商工委員会消費者問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 186 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1994/06/06
会議録
○白川委員長 これより商工委員会消費者問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。 内閣提出、製造物責任法案を議題といたします。 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料により御了承願います。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
○佐藤(剛)委員 消費者問題等特別委員会に属しておりますが、委員会の代表の一人としまして、意見を申し述べさせていただきます。 このたびのPL法案は長きにわたったものでございます。歴史をさかのぼりますと、昭和五十年、我妻栄先生が中心になりましてこの要綱を出されたわけでございまして、自来二十年近くたっておるわけでございます。私は、我妻試案と比較いたしますと、この程度のPL法案では、案が遅きに失しているのじゃないかという感じを持つわけであります。ここに、法務省からいただいた「製造物責任法要綱試案 製造物責任研究会」という我妻先生の案がございます。 それはさておき、消費者行政につきまして各省庁、企画庁を中心に積極的に取り組まれたということに対しまして、企画庁の方々を中心とする関係各位に敬意を表します。 消費者というのは、別の面で言いますと生活者でもあるのです。八百屋さんが魚屋に行けば消費者なんです。魚屋さんが肉屋に行けば消費者であります。肉屋さんが八百屋さんに行けば消費者なんです。テレビのメーカーでテレビをつくっている人が家へ帰れば消費者なんです。その意味でいきますと、消費者イコール生活者であり、あるいは国民一人一人であるという感じがいたします。そうすると、消費者行政の中核は、消費者が、国民が何を考え、どのような行動をしているかということを考えて手を打っていくのが消費者行政だと私は思っておりますし、私自身は消費者行政を担ってきた経験がありますので、そういうことを改めて思い知るわけであります。 最初に申し上げました昭和五十年、今から約十数年前でありますが、そういう五十年という一つの区切りのときに要綱試案が提起されておりまして、この要綱を民法の学者が、時の我妻栄と言えば、これはそうそうたる先生でありまして、その先生が出されたものが今日ここに至っだということは、私は法務省も若干の責任があるだろうと思うし、何か急にPL、PLと言い出されてきたというのは納得できないわけであります。 私は、歴史的な区分で消費者問題を取り上げ、過去を振り返ってみたいと思うのですが、戦後二十年から三十五年、一昔というのは十年と言いますけれども、私は一昔というのは大体十五年だと思っている。十五年ぐらいで換算していきますと大体世の流れがわかるわけであります。 昭和三十五年といえば、御承知のように、日米安保条約を通すか通さないかということで国会が日夜囲まれまして、そして樺美智子さんが亡くなったのが昭和三十五年。このときの一番のベストセラーが「きけわだつみのこえ」という本で、売れておりました。私もそのころは学生でありましたが、二十年から三十五年というのは、一つの時代区分で言うと、政治の時代であろうと思います。政治が経済あるいは文化に非常に先んじた時代でありました。 そのときの消費者の気持ちは何にあったかというと、しっかりしたきちんとした着物を着たいうまい物を食べたい、いい家に住みたい、いわゆる三種の神器というようなものがあった。国民、消費者には、一種の飢餓感というか不足感が漂っていたわけであります。この不足感にいかに対応してやるかという政策が必要であって、御承知のように、岸さんが三十五年の日米安保のときに刺されて、そして池田総理になっていわゆる所得倍増計画が推進されて、三十五年から五十年というのは経済の時代に入っていくと思います。政治の時代から経済の時代に入った十五年だと思う。 地方からたくさんの人たちが東京に集中した。そして、日本の経済がいわばガットの中における自由化ということをやり始めたのです。自動車の自由化が昭和四十年だ。コンピューターの自由化が四十三年だ。そのコンピューターの自由化で大半の工業製品というのはそこで終わったのだ。もしそのときに米の問題をきちんと取り上げておれば、米の農業について日本の産業資本が入るという道を考えていれば、今日の日本の農業はもっとしっかりしていたと私は思います。この間、予算委員会で、畑通産大臣、当時の農林大臣には、私、言葉が悪いですけれども、二回ばかり食ってかかりまして、今の米の減反を国際的に公約した愚劣外交であるということを申し上げましたけれども、それが昭和四十年代でございます。 消費者にはいろいろの不満感が出てきました。環境問題、大気の問題が出ました。大気汚染防止法ができました。水の問題について水質汚濁防止法ができました。騒音規制法ができました。これは大体昭和四十年の半ばであります。それと同時に、消費者保護基本法というのができ上がったのが、企画庁長官、御承知のように昭和四十年の半ばであります。そして、四十六年にニクソン・ショックもありました。それがあって一ドル三百六十円体制が崩れたけれども、石油ショックが昭和四十八年にあったけれども、全体として眺めれば、ベストセラーでハウツー物がはやり、重役になる方法がどうだとかいう流れは経済の時代であり、国民には、戦後十五年間の不足感と違って、不満感が漂っていた時代であります。 この不満感をいかに解消するかということが消費者行政の中核だった。そして、その中核の中でいろいろな法律の体系というものもできています。通産省も消費者行政を推進した。企画庁も行った。各省庁ともやってきたわけであります。 そして、昭和五十年になろうとしているころ、当時を眺めていきますと、ベストセラーに塩月弥栄子さんの「冠婚葬祭入門」がなります。「冠婚葬祭入門」がミリオンセラーになる。百万部売れる。そうするとまたさらに塩月弥栄子さんが「続冠婚葬祭入門」を書く。そうなりますとまたミリオンセラーになる。いわば経済の時代から文化の時代に入ってくる。おじさんが亡くなると、会社も、休暇をとって行ってこい、こういう時代に入ってくるのであります。 その昭和五十年の一番の時点に、私が最初に申し上げた我妻栄さんという、私の恩師でもありますが、民法の学者が「製造物責任法要綱試案」を出された。 私はなぜそういう一つの時点を申し上げるかというと、この政治の時代、経済の時代、十五年ごとの政治の時代、経済の時代というのが終わろうとしている。その間に石油ショックもあったし、一ドル三百六十円体制が崩れたが、五十年から何となく、時代的に言いますと、私は文化の時代と称していいのじゃないかと思いますが、そういう流れ。消費者・生活者はどういう動きをしたかというと、何か先が見えてきた、何か将来に対する不安感が出てきた。年をとったらば就職できるのか、年金がきちんともらえるのか、健康なのか、子供は一緒に住んでくれるのか、言うならば一種の不安感であります。 この不安感の逆は、安定であり、安心であります。そういう意味で、自民党の政権が安心、安全という面をとらえながらやってきたということは私は正しいと思うし、それが国民に安心、安全、安定という志向をもたらしてきたのだろうと思っております。 そういう安全という枠内で私はこの製造物責任というものをとらえたい。しかし、それは少し遅過ぎる、この程度のものであるならば。法律というのは運用でありますから、これから申し上げますが、いろいろの課題があります。 そういうふうな枠内で、消費者が、生活者が今一番考えておることというのは、安全という一つのものが出てきて、この製品は安全なのか、薬は安全なのか、食べ物は安全なのか、こういう面にもう既に五十年のころから移ってきているのがいわば消費者であり、消費者はライフスタイルを既に自覚して行動していたんじゃないか。 その意味では、今回の消費者行政の問題についてけちをつけるのではないのですけれども、この六条に収れんじているものは重要だと思いますよ。大化の改新、聖徳太子の憲法は十七条たがら、まずそういうふうな観点で本件をとらえるべきではないか、私はそう考えるのであります。私の意見でございます。 通産大臣、企画庁長官、ひとつまず御所見をお聞きいたしたい。質問しているんじゃないのです。意見をお聞きいたしたい。
○畑国務大臣 とりわけこの問題につきましてはかなり早い時期からいろいろ御検討、御研究をされておられる佐藤先生ということを承知いたしているわけでございます。 今、そういう中にございまして、十年あるいは十五年単位でもって世の中が、そしてまた価値観が、人々の生活のありようが大きく変わるということが、今日までの一つのありようでなかったかなというように考えるわけでございます。そういう中にございまして、大量生産そしてまた大量消費、こういうような本格的な産業分野における成熟といいますか、いろいろな問題がそれに伴いまして発生をする中にございまして、ただいま先生御指摘のとおり、いささか遅きに失したのではないかというような御指摘を賜ったわけでございます。 私は、やはりかような時点におきまして、この問題を機に、ある意味におきましては国民各界各層の方々が、従来の生活の基本的な位置づけ、物の考え方、そういうことの中にございまして、意識改革をしなければならない。そういうような意味合いで、今回このPL法案によって一つの問題提起が国民各界にもされておる。 そしてまた、行政の面におきましても、さような意味合いでの御理解といわゆる啓蒙活動を真剣にやらなければこの法案を制定した意味がない、こういうようにも考えるわけでございまして、ただいま御指摘を賜りましたような意味合いの中から、この法案の一日も早い成立をお願い申し上げますとともに、行政サイドにおける取り組みのさらなる努力を重ねていかなければならぬという思いを新たにさせていただいている次第でございます。
○寺澤国務大臣 委員がおっしゃったことに私は一〇〇%同意をしております。やはり生活者重視の世の中で若干遅きに失したのじゃないかと思われますけれども、こういう法案がやっと審議されているというこの状態で、ぜひこれが成案となりますよう、そして生活者本位のそういった社会のためにこの法律がよく利用されますよう私は念願しております。
○佐藤(剛)委員 ありがとうございました。 それでは法務省、私が言いましたこの我妻試案、一番早い昭和五十年に出したものとこの六条、本案との根本違いを三つ言ってください。
○升田説明員 ただいま委員御指摘の我妻東大名誉教授が、昭和四十七年に検討を開始され、昭和五十年九月に「製造物責任法要綱試案」として公表されたものと今回の法案との違いでございますけれども、いろいろな面がございます。 三つと言われますとやや迷いますが、大きな点では、例えば推定規定を我妻試案では採用しておりますけれども、今回の法案では採用しておりません。 それから、欠陥の定義規定、これは本法案では「通常有すべき安全性を欠いていること」となっておりますけれども、我妻試案では「製造物の通常予見される使用に際し、生命、身体又は財産に不相当な危険を生じさせる製造物の瑕疵」というぐあいになっております。 あるいは責任主体の点でございますが、今回の法案では、製造業者、輸入業者あるいは表示製造業者等に限られておりますけれども、我妻試案におきましては、販売業者、賃貸業者、運送業者なども含むということになっております。 あるいは責任期間の点でございますが、長期の責任期間、本法案におきましては原則十年という除斥期間を設けておりますけれども、我妻試案におきましては損害発生時から二十年というように提案されております。 そのほか幾つかの点は違いがあるように見受けられます。 〔白川委員長退席、玉沢委員長着席〕
○佐藤(剛)委員 ありがとうございます。 私は、今おっしゃられましたけれども、一つの問題は定義、我妻試案で言っております定義というのは、流通に置かれているもの全部を書いている。こちらは動産。不動産は入らない、電気は入らない、こういう形になっていますね。私はその問題がちょっと大きいと思っているのです。この問題についてちょっと関係省庁に伺います。 建設省、これは私がよくいろいろな会で言っておりましたが、ちょうど昭和五十年の初め、ラルフ・ネーダーというアメリカの消費者運動家が日本に夫婦でやってきまして、私、一晩彼と飯を食いながらいろいろ議論を闘わしたことを思い出しております。そのときに彼が言っていた製造物責任、プロダクトライアビリティー、私がプロダクトライアビリティーという言葉を聞いたのは彼からが初めてでありました。 彼が来たのはなぜかというと、プロダクトライアビリティーについて経団連において講義をするということで、スピーチがあったわけであります。そのプロダクトライアビリティーというのは住宅問題だ。住宅におけるいわゆるプロダクトライアビリティー、製造物責任という問題を取り上げたのが彼でありました。 アメリカにおいてどうしてそういうプロダクトライアビリティーというのが建築との問題であるのかというと、彼が言っていたのは、自動車の問題とかというのが一番大きい。自動車で、緩衝枕をつけていたが、頭をぶつけて死んでしまう。拡大損害というのが多い。そのときに言っていたのが、アメリカというのは広いわけですから、庭にプールをつくる。そうすると、プールというものは従物であるが、一体だから不動産だが、飛び込んで頭をぶつけて死んでしまう。不動産に付着している階段みたいなものがある。そうすると、階段というのが、日本みたいな小さいのと違って、ごらんのように、こんなふうになったりしてだあっと落ちてしまうわけだ。年寄りが落ちて頭を打って死んでしまったりするケースが多いのです。そういうふうな問題についての製造物責任というものを、物をつくった人、ディベロッパーじゃなくて、そういう者に対してやっていかないと、つくった人と売る人は別になっている。日本の場合でもそうですね、分譲何々と同じように。というようなことで、一つのはしりがありました。 したがって、その点について、僕の持論なのですけれども、これはこの案には入っていないのですが、建設省の考え方というのはどういうものなのかということをここでもう一度お聞きいたしたい。それから、企画庁はそれに対してどのように考えて外したのか、これもお聞きしたい。
○林説明員 不動産を製造物責任の対象にするかについてのお尋ねだと思いますが、この製造物責任を果たす製造物の範囲については、法案の作成段階あるいはそれ以前の国民生活審議会の場におきましてもさまざまな議論がなされたわけでございますが、一般的に申しまして、大量生産・大量消費という形態が当てはまるような製品たる動産がその制度の対象になる分野であるということで、特に不動産につきましては、契約責任による救済がある、あるいは民法の七百十七条の土地工作物責任による救済手段が用意されている、あるいは耐用年数が長く、その間の維持補修といったような状況によってかなり左右されるという意味で、それらの性状を考慮する必要がある、また、EC諸国でも不動産は製造物責任の対象外であるというようないろいろな観点から、本法案の対象とすべきでないという考え方が大勢を占めまして、そのように定まったものと理解しておるわけでございます。
○佐藤(剛)委員 ECは入れてない、これは事実なのです。ところが、アメリカにおいては、州の中の判例には不動産というのは入っておるケースがある。判例法の積み重ねもある。ですから、ここのところはどうするかという問題は積み重ねしかないのだろうと思うのです。アメリカの場合というのは、プールをつけて子供たちがぼんと飛び込んで死んでしまう、ビニールのところでも何でも、水の深さが何かというその問題が争われるわけですね。今アメリカはたばこの問題ですら争っているのですから、集団訴訟をやっているのですから。たばこというものについて、メーカーのフィリップ・モリスについてクラスアクションを出しています。そういうものがあるくらいですから、そういうケースがあってもしかりなのですけれども、アメリカにはそういう事実があるわけですね。 だから、今おっしゃられたような、民法でできますよ、どうですよと言ったならば、この話はちゃらになってしまうのですよ。結局、みんな民法でできる、できないことはないのだ、製造物責任の議論というのは。製造物責任というものは、民法七百九条とかあるいは瑕疵担保責任とか、そういうふうなところでどうしてもメーカーを追っかけていかなければいかぬ。メーカーの責任というより、製品の欠陥から出てきたものをやるのが製造物責任なのだ、拡大損害なのだというところから飛び出るわけですから、今建設省の言っている、そういう今政府委員の読み上げられたような形では十分ではないということを申し上げておきます。 企画庁は取りまとめられたわけだと思うのですが、問題提起があったはずですが、局長、ひとつ答弁してください。
○坂本(導)政府委員 委員御指摘のように、不動産をどう扱うべきかという議論は相当ございました。ただ、建設省から先ほど御答弁申し上げましたように、国民生活審議会では、先ほどのような理由から、対象としなくていいのではないかという考え方。ただ、不動産といえどもその個々の構成物は動産でございますから、個々の動産について問題があればこのPL法で対応していくということでございまして、全体としての不動産は先ほど建設省が答弁申し上げた内容でございます。
○佐藤(剛)委員 局長、今例えば建築物に従たる物でガス湯沸かし器がくっついているというのは、これは動産でいいんですよ。ところが、ボイラーだの何だのって初めからくっついているのだ。今のふろなんというのはみんなそうなんですよ。そういうふうなところがボイラーならボイラーで出てくると、これで爆発して家が燃えてしまう、これはテレビが故障していて燃えるのと同じなんです。そういうふうなところの違いがよくわからないということの問題です。 そしてこれはアメリカにおいて、企画庁、勉強しているのかどうかわからないけれども、勉強していないのじゃないかな、ちゃんとそれは判例でなっているわけだから、そういうものについてきちんとしたことの企画庁の判断があって、建設省のことについて納得したのかどうか。建設省がやめろやめろと言うから、それに応じていっただけの話じゃないのかということを申し上げているのです。もう一度。
○坂本(導)政府委員 不動産の部分であっても、出荷時点においてそれが動産であればPL法の対象になる。したがって、全体としての不動産はこの対象外であっても、個々の部品が引き渡し時点で動産であれば対象になることから、問題ないと考えたわけでございます。
○佐藤(剛)委員 よく納得しません。テークノートしておいてください、記録の方。 では、この問題はとりあえず留保して次のところに行きます。 厚生省。血液製剤というのが非常に大きなあれになっています。血液製剤というのは対象になりますと、生血のところはちょっとよけましょうというような話になっているのでしょうが、これまでの日本の歴史でサリドマイド、サリドマイドは 御津免のように妊婦の人が鎮痛剤として使用すると奇形児が産まれる、この事件、これは和解されております。それからキノホルム、整腸剤で発生したスモン病、これも和解されてしまっている。和解されてしまっているから事実関係というのははっきりしていないのですが、集団訴訟みたいなものですから、まだ残っている人たちはいるわけですよ。そういうものは厚生省はどういうふうに考えますか。この法律の対象になるのですか、サリドマイド、それからキノホルム。
○矢野説明員 まず血液製剤ですけれども、血液製剤にもいろいろございまして……(佐藤(剛)委員「血液製剤はいい」と呼ぶ)はい。 医薬品の副作用が欠陥に当たるかどうか、こういう問題でございますけれども、この薬というのは多かれ少なかれ副作用を伴うという、そういう特性を有するものでございます。逆に言いますと、副作用のない薬は効かないというようなことさえ言われておるわけでございまして、副作用は必然的に多かれ少なかれ伴う、こういうことでございます。 そこで、どういった場合が欠陥に該当するかということになりますと、ちゃんと警告表示も行われている、そういう中で薬が使われて副作用が発生した、こういった場合は直ちに欠陥とは言えないのじゃないか。つまり、有用性を考慮してもそれを上回るような被害が生じた、こういった場合に初めて欠陥、こう言えるのじゃないかと考えております。 そこで、サリドマイドとかスモンとか過去にいろいろな事件があったわけでございますけれども、今度の法律ができますと、当然こういったものも製造物責任法の対象になるということでございます。 そこで、今度、過失責任から欠陥責任と、こういったことになったわけでございますので、原告にとっては立証負担面で軽減される、こういうことが言えるのじゃないかと思います。 ただ、薬というのは使い方が非常に大事でございまして、医療関係者の責任というものがあるわけでございますので、あくまでこれは個々具体的に、個別ケースごとに慎重に判断されるべき問題じゃないかと思っております。
○佐藤(剛)委員 私は大いに訴訟しろの何も言っているわけじゃないんで、厚生省関係のものを注意して取り扱わないと、これは医者も中に介在するわけですから。医者も介在するケース。アメリカでの訴訟なんというのはそういうケースです。そうすると、今キノホルムも対象になります、サリドマイドの原因のものも対象になる、そういうふうに言われましたね。それは運用において、これから具体的個別案件のときに・新しい一つの分野ですから、十分厚生省の知見をもってやっていく分野ですよということを、私は、何といいますか、親心じゃないけれども、少し慎重にいろいろ検討しておいた方がいいと思います。ちょっと勉強してくださいよ、厚生省。 先ほどに戻りますよ。我妻試案の中で我妻先生は、法律の提案の「付記」の中の第三というところにクラスアクション、つまり「クラス・アクション等、特定の者が多数の被害者の利益を代表して救済をはかるための制度」、こういうようなものについて導入を考えるべきであると提言しています。クラスアクションというのは、日本語に訳すと、集団訴訟です。民事訴訟法の体系で言いますと、集団的に物を出すわけですけれども、こういうもののことを言っております。あのスモンにしてもサリドマイドにしても、そういう問題であったわけですから、その裏腹の問題としてよく勉強しておいてください。 それから次に、この法律の運用の問題を最初に、一時間のうちの三十分ですが、ちょっと申し上げます。 私の感想を含めましてあれなんですが、アメリカには四悪というのがある。企画庁長官の所見を伺いたいと思いますが、私は、何がアメリカ経済を痛ましているかというと、一つは麻薬をのむこと。 第二は離婚者が多いこと。離婚者が多いから、犯罪者の大体七割というのはバツ一とかバツ二とか、そういう人たちです。兄弟が父親が違っていたり、そういうケースがたくさんあるわけです。 第三は弁護士が多いこと。日本の司法試験とアメリカの制度とが違うから、アメリカはおそらく七十万人近くいるんじゃないですかね。そこら辺を、法務省、日本とアメリカの弁護士の数の比較、後で教えてもらいたいのですが、人口が倍ではあるけれども、アメリカは多過ぎるから、結局一つの濫訴、いわば食うために弁護士が訴訟をいろいろな問題につしてやってきているんじゃないかと私は思います。 それに似たものがたばこ訴訟なんじゃないかと思うのですが、これは大蔵省、いますか。法務省で答えていただけますか。たばこ訴訟というのが今ルイジアナで、フィリップ・モリスのところでクラスアクションが起きています。あれは何の法律に基づいてああいう訴訟が起きているのか。PLではないのか、何なのか、そこら辺もお教えいただきたいのですが、これは後ほどです。 四つ目のものは、二年ごとに下院の議員がかわること。だもんで、日米関係はそのために摩擦問題が起きたりなんかするわけであります。 私が申し上げたこの四悪のところの弁護士が多いということをよほど注意してやらないと、日本の場合というのは、これは前の質問者がされておると思いますけれども、訴訟頻発の形にいかないとも限らないが、弁護士の数が少ないからまだうまくいくのじゃないかと私は思っていますけれども、それほど悲観はしていません。してはいませんが、そこの点を思っておりますので、それについて法務省は、こういうものの条項をやりますと、そういう濫訴というのがないかどうかという意見をひとつお聞きしたい。 企画庁として、私が申し上げたものを含めて、これは運用の問題。運用の問題というのは、我々が運用するわけじゃないですから、この六条の憲法ができ上がると、大化の改新の、聖徳太子の十七条の憲法じゃないけれども、六条の憲法ができ上がると、これに基づいてやるのは民間の消費者であるし、弁護士がやるわけですから、この点についての見通しというか、そういうようなものをお聞かせいただきたい。
○升田説明員 ただいま御指摘のアメリカにおける制度と我が国に製造物責任を導入した場合の影響でございますけれども、まず、アメリカにおきましては、御承知のように一九六〇年代から各州の判例法によりまして製造物の欠陥を損害賠償責任の根拠といたします製造物責任の法理というのが採用され、その結果といたしまして、濫訴もあったでしょうけれども、訴訟事件数が急増をいたしまして、製造物責任危機あるいは保険危機と呼ばれる弊害が生じてきたと指摘されていることも事実でございます。 そして、その原因といたしまして、アメリカの司法制度でございますけれども、先ほど御指摘の弁護士の数が多いというような意味での訴訟社会であること、あるいは弁護士成功報酬制度がとられているということ、それから懲罰的損害賠償制度があるということ、あるいは陪審制度があるなどといいましたいろいろな事情が影響しているのではないかと指摘されていることも事実でございます。 他方、今回、本法律案によって提案しております製造物責任は、製造物の欠陥により人の生命、身体または財産に被害が生じた場合における製造業者等の責任要件を過失から欠陥に転換するということによりまして、従来我が国におきましてとられておりました、裁判例で積み重ねられてきておりました過失判断の高度化、抽象化あるいは客観化と言われる実務の工夫を実体法上も取り入れるということによりまして、その法的安定性を高めるという面も強く持っておりますので、先ほどの司法制度の違い等も勘案しますと、この法律によりまして我が国が濫訴社会に傾斜するといった可能性は低いと考えられます。 なお、参考までに我が国と司法制度が比較的似ておりますヨーロッパ諸国におきましては、製造物責任制度の導入後に濫訴の弊害といった現象が生じてないと承知しております。
○坂本(導)政府委員 委員御指摘のように、国民生活審議会でもやはり同様の問題の見方がございまして、国民生活審議会では、「我が国と米国の司法制度の違い等を勘案すると、米国において見られるような訴訟社会に我が国が陥るということは、現状の司法制度の下ではほとんど考えられないが、米国における「製造物責任危機」ともいえるような状況に我が国が陥らないよう、今後とも十分注意していく必要がある。」という指摘がございまして、今回の政府案をつくるに当たっても、内容的にEC並みというものを考えたところでございます。
○佐藤(剛)委員 お話のことはそういうことなんだろうと楽観していいのじゃないかと思うのです。それはやってみなければわからない。やってみなければわからない試みですから、そのときにいろいろ弊害が出てくるものに対応しなければならない。その中に幾つかあるものを消費者もきちんとやらなければいけない。消費者も消費者教育というものを、しっかりとした賢い消費者にならなければいけないし、それから販売業者もきちんとやらなければいかぬし、メーカーもやるべきことをやらなければいけない。 これまで通産省はいろいろな政策をやってこられて、例えば消費者の関係の窓口を開く、あるいは消費者担当の重役をつくる、それから消費者と企業との間のかけ渡し、冷蔵庫なら冷蔵庫というようなもののふたのあけ方をこうしたらいい、内部でやったがいい、こういう使い方を生活者の経験を通じて、これをフィードバックして、消費生活アドバイザーというような人たちがその力によってメーカーに影響を与えて製品をつくり直していく、危険なところを直させる、こういうようなことをやってきてそれなりの、また苦情の窓口を置いておる。ですから、苦情だけを受けてやっているんじゃなくて、いや、これは消費者も悪いんですよとはっきりやっています。これはちゃんとした人たちがやっているから私は偉いと思っていますし、誇りを持って消費者教育をそういう形でやっているわけです。 ですから、単に事故の件数が、各県に消費センターというのがあるのですが、事故の件数が上がっているから行政をやっているということじゃないので、本当は件数が少なくなって、件数というものはむしろなくなる方がいいのです。それを次第次第になくするぐらいの気持ちで消費者行政というのをやっていかなければならないと思うのです。 幾つかありますが、第一の問題としまして指摘申し上げたいのは、アメリカでは製品について、はっきりとレッテルに書いてあるわけですよ、取扱説明書の。企画庁長官、一番御存じだろうと思いますが、毒のあるものをポイズンと書いてある。それから、危険だというものはデンシャーと書いてある。それから、第三のところのものはウォーニングと書いてある。第四はコーションと書いてある。こういう四つの分類、ポイズン、ゲンシャー、ウォーニング、コーションといって、このものを食べるとあなたはがんになりますよ、こういうものを書きながらやっているわけです。日本の場合はそこまでまだいっていないわけです。これは何なのかというと、アメリカにおけるPLの免責をできるだけするために、恐らくメーカー自身あるいは販売業者が一つの知恵としてそういうことを出さざるを得なくなっているのだろうと私は思うのです。 そこら辺の見通しについて、企画庁長官はどのような考えをお持ちでやっておられるか。また、今後どういうふうな気構えでおられるか。非常に抽象的なお話で恐縮でございますけれども、長官、一番御存じのとおりでございますから、御所見をいただきたいと思います。
○寺澤国務大臣 委員御指摘のように、アメリカの場合に、製品の表示に関しては最悪の事態を明らかに仮定して、がんになるとか、そういうことが書いてある品物もあったかというふうに私は記憶をしております。それとこの法律との問題についてはまだ政府委員の方からきちんとお答えをさせますが、私の考え方としては、やはり表示上の変化というか、この法律が成案になってから日本の場合でも変化があらわれてくるのではなかろうかというふうに私は考えております。
○清川政府委員 表示及び取扱説明書について一言補足をさせていただきたいと思います。 今佐藤委員御指摘のとおり、表示及び取扱説明書が、商品そのものの欠陥の判定、認定と非常に密接な関係があるということは、まことにその傾向を強く深めているわけでございます。私ども、このPL法の関係もございますが、やはり最近の製品の持つ危険の特性につきまして、子供でも高齢者でも、そしてまた一般の方々も理解、識別可能なように表示あるいは取扱説明書を十分わかりやすく、かつまた統一的に認識されるようなものにすることが必要であるということで、表示・取扱説明書適正化委員会を設けまして、この中には、メーカーの方はもとよりでございますけれども、消費者の方々も含めまして、この委員会を開いております。この委員会によりまして消費生活用製品の取扱説明書の作成に関するガイドラインというようなものもつくりまして、極力統一的に、かつ、わかりやすい表示取扱説明書をつくるよう心がけているところでございます。
○佐藤(剛)委員 今心強い御意見がありましたから、ぜひそれぞれがつかさをもってこの運用をする場合にやっていかなければならない責任だと私は思う。 本件は、消費者もしっかりしなきゃいけないし、賢い消費者になるためには、消費者にわからせるような形で、消費者に対していろいろな取扱証明書というようなものをきちんと、長官がおっしゃったように僕は変わらざるを得ないのだろうと思っております。ポイズンだとかデンシャーだとかウォーニングだとかコーションというようなアメリカ流じゃないけれども、そういうことをしないと、例えばゴキブリにシュッといって、ゴキブリ一匹すぐ死んでしまうようなのは、人間のどこかにつけば必ず皮膚はおかしくなるのですよ。ゴキブリが一遍に死んで、人間の皮膚が大丈夫だという薬はないと思う。それをどういうふうな形でやるか。シュッとやるとカビが出ませんといえば、それが皮膚にっけばどうにかなるし、しらがのところをしらが染めでやっておりまして失明したとかなんとかいうのもある。安全というのは、法律だけをつくって体系を出せばいいというものではなくて、本当は法律のない社会というのが一番いいわけですから。うまくいけばこの製造物責任法なんというのはない方がいい。ところが、ないと、消費者がなかなか過失というものを証明しにくい。そういうことで、企業の秘密との問題があるから、消費者志向のような行政ということが私は必要になっておると思っております。 それからもう一つの点は、少額の被害救済。拡大損害はあれで民法七百九条を超えるんだけれども、しかし、額とすれば、一千万円だ、数万円の話ではないというものがあると思うのですが、少額救済について議論がなされたのか、どういう形でやろうとしているのか。企画庁でしょうか、ここら辺をお聞きいたしたいと思います。
○坂本(導)政府委員 今回提出しております法律案は、民法の特例の部分でございますから、したがって今御指摘のあったような極めて重要な少額被害の救済、つまり裁判外で処理される案件についてどう対応していくかということが法律上は出てきておりません。したがって、各行政府の中でそういった問題に対応するためにいろいろな機能を充実させていく必要があるだろう。 例えば、私ども経済企画庁でございますと、地方の消費生活センターや国民生活センターというものの機能を充実させていく。それから、各省にもおのおのの出先機関、検査機関がございますから、そういったところの機能を充実させていく。そして、相互に連携をとって対応していくということが大事で、この法案の御審議をいただきながら、同時に私どもはそういった面での充実、拡充を図ってまいりたいと考えております。
○佐藤(剛)委員 これはお願いします。 局長、この我妻試案にも今の問題は指摘されております。民法学者がこの問題についての導入を考えなければいけないと言っている。我妻先生というと、これは我妻先生だけではなくて、星野英一教授を初め竹内昭夫先生、日本のそうそうたる人たちの提案であるわけですから、原点に戻って、ひとつこの機会に研究してみてください。 それから、次の問題にいたしましたのは、因果関係の推定問題です、欠陥の推定。この欠陥についての推定条項というのはなくなりましたね。欠陥を推定するかしないかというのはある意味では立法政策、アメリカあるいはECと比較したりする場合。それから、日本での弁護士会だのいろいろな提言がありました。そういうものをどう取り扱うかというのは私は立法政策の問題だと思うのですが、それがなくなった理由どうして入れなかったのかという理由をもう一度ここで確認したいのです、ちょっと法律論になりますけれども。
○升田説明員 ただいまの欠陥についての推定規定を設けるべきかどうかという問題につきましては、欠陥に関する推定規定を設けますと、本来、欠陥の立証につきましては、個々の製品の特性あるいは事故の態様などの多くの事情が関係しておりまして、個々の事案の相違を捨象いたしまして、法律上一律に一定の事実から欠陥ということを推定するというのは、被害者の立証負担の軽減という目的を超えてしまうというおそれがあるということ。 個々の事案ごとの事情を問わず、一律に欠陥の存在を推定するだけのその根拠となる経験則が存在しないということ。 それから、こういう推定規定を設けますと、現在の不法行為一般の体系を混乱させかねないということ。それからさらには、被害者側の立証の負担につきましては、個々の事案の内容に即しまして事実上の推定などを利用することによって、むしろそちらの方が適正かつ公平な立証負担の軽減が実務上図ることができるし、またそういう実務も期待できるということ。 それから、欠陥の推定規定につきまして諸外国、特にヨーロッパ諸国において採用されていないといった事情から、今回、推定規定を採用しないというのが相当であると考えられるに至ったということでございます。
○佐藤(剛)委員 欠陥の推定規定を入れるかどうかは、私はこの問題に関連すると思っているのです。 消費者が、例えばメーカーに対して調査要求する、そういう調査要求という条項があれば、私は欠陥の推定規定はなくてもいいと思う。これは我妻試案にも似たような考え方があるのです。欠陥の推定は、ECはないのです。それから、日本弁護士連合会もない、日弁連の案にもなかった。これはある意味では立法政策であるけれども、その資料要求をしたときに、それについて、企業というのは秘密ですから、いろいろ資料出してくださいよ、何してくださいよ、過失ですよ、欠陥、そのところは一消費者としてはなかなかわかりにくい、訴訟の案件の中でもできにくい。そういうことのために、この調査要求、請求権、そういうような条項をこの六条の、実際的には七条ですけれども、実質は六条のところにプラスして一条入れておくべきではなかったのかというのが私のリーガルマインドなんですけれども、その点についていかがお考えであるか、関係省庁の御意見を伺いたい。 これは法律論として難しくないですよ。この問題は、法律の証明の仕方には、証明と疎明というのがあるのです。証明と疎明というのは民事訴訟でやるのです。疎明というのは、余り細かく、詳細やることのないのを疎明という。これは法律用語。わかっているでしょう。こうこうこういうようなものに過失があると証明するのですよ、疎明するのですよ。それから始まるのですよ。そうするとそのときに、その関係の資料をちょっとくださいよ、見せてくださいよと弁護士がやるわけでしょう、訴えるのだから。それを見せてくれたらどうですか、こういう話なんです。法務省。
○升田説明員 今お尋ねの件は、訴訟の実務におきますと、民事訴訟法の三百十二条にございます文書提出命令の件だろうと思いますけれども、現在実は法務大臣の諮問機関であります法制審議会の民事訴訟法部会におきまして、平成二年七月から民事訴訟手続の全面的な見直しの作業を続けておりまして、その中で、証拠収集手続の見直しという問題につきましても検討の対象とされております。 今委員御指摘の点につきましては、製造物責任について特別にそういった証拠開示あるいは証拠の収集を容易にするような手続を設けるべきではないかというような御指摘だろうかと思いますけれども、実は、製造物責任だけにつきましてそういう特別の取り扱いをするという理由が乏しいということでございまして、やはり民事訴訟の一般の見直しの中で検討すべきではないかと考えられるわけでございます。 そこで、現在、先ほど申し上げました民事訴訟法部会におきましてどういう検討がされているかということになりますけれども、確かに我が国の証拠収集手続におきましては、証拠が一方の当事者に偏在する事件において、証拠収集の手段として先ほどの文書提出命令等というのが十分ではないという指摘がされている一方、他方、それではアメリカ型のディスカバリーの制度のように広範かつ極めて強力な証拠収集手続を設けるということになりますと、この手続の利用に膨大な費用と時間を要するなどの大きな弊害があるということも指摘されておりまして、そこで、法制審議会の民事訴訟法部会におきましては、アメリカのディスカバリー制度に見られるような弊害が生ずることがないように配慮しながら、我が国の証拠収集手続をより充実したものに改めるという方向で議論が進められているということでございます。
○佐藤(剛)委員 これはわかりやすく言いますと、そんな難しい話じゃないのですよ。例えばテレビがおばあちゃんが誤使用したのか何かで火が出て燃えてしまった、テレビでしかこの火事がない、そのおばあちゃんは死んでしまった、こういう話なんです。それでこれは訴訟問題になりますね、PL問題になりますね。そうしたときに、その被害者にかわって原告側の訴訟代理人、弁護士がそれについていろいろ、テレビメーカー何々に対して、その関係での事故が今までどういうふうなケースでありましたか、似たような使い方がありませんでしたかという資料要求をする、欠陥があったということの後ですよ。逆に、誤使用を被害者が認めました、そうしたら今度は逆に、製造業者が被害者の方に対して情報を出してくださいということを要求。お互いなんです、レシプロシティー。 そういうことをやるということに一歩踏み切ったなのに、どうして民事訴訟法の勉強やっているからこれは別だなんという話をしているのか知らないし、それにそうですかといって応じた企画庁も企画庁だし、そこのところがよくわからない。そのぐらいのことの特例条項をきちんと置きなさい。何も加害者側に偏っているわけじゃないし、被害者側に偏っているわけじゃないし、両方の話なんだから。これは欠陥があるということが出てきたときに、欠陥の推定条項がなければそういうものを、情報請求権という条項を入れておいてしかるべきじゃないですかということを申し上げているのです。企画庁の局長。
○坂本(導)政府委員 委員御指摘のように、法律上の推定規定がないということから被害者がなかなか原因究明ができないという指摘は国民生活審議会でもございました。ただ、法律制度として委員御指摘のような調査条項をということではなくて、むしろ生活審議会としては、そういった被害者の救済のために各関係の行政府あるいは検査機関等の原因究明機能を充実させ、それを相互連携し、しかも窓口がどこかわかるようにするということが大事ではないか、こういう角度から生活審議会では議論が行われまして、私どもとしては、それを受けまして、関係各省と相談しながら、そういう面での体制整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
○佐藤(剛)委員 私の持ち時間がなくなりましたので、最後に、繰り返しになりますが、申し上げさせていただきます。 一つは、先ほどアメリカの例を申し上げました。アメリカの四悪というようなものの二の舞を踏まないように、日本というのが訴訟王国にならないように注意していかなくてはいけないし、それから同時に、このPL憲法六条、聖徳太子の十七条じゃないけれども、実質としては六条ですね、この六条を生かすも死なすも消費者保護の枠内ですから。今までこれだけ時間がかかったわけだから、安全という問題について消費者の志向はすごくあったわけなのに、もう五十年のときに既に出ていたのに、そのときに余り法務省も本気でやらなくて、企画庁も本気でやらなくて、そういうことで今日までに至ったわけだから、その間において、それはいろいろな事故だの何だのありました。 ですが、これはさておき、これから進めていくに当たっては、私はそれぞれのつかさ主義を徹底すべきである。一つは役所。役所がきちんとしてPRをし、きちんとした体制をとる。 それから第二は、メーカーもきちんとやる。これは特に通産省はしっかりと、各メーカーに消費者担当重役なり何々というようなものを置いて消費者の声を聞くというようなこともやってきたわけですが、その延長というのはきちんとやる。 それから、よく消費者教育をするということ。消費者がとかく、自分で誤って使用したものを消費生活センターとか何とかに持ってくるんだ。そうすると消費生活センターの方は、いただきましたといって、電話の件数ふえましたといって、あたかも件数がふえればそれがいかにも消費者行政をやっているというケースもなきにしもあらず。実際のはそうじゃないのですよ。だから、そういうのはすぐにその場できちんと、これはあなたの使い方が悪かったのだ、どういう取り扱いになっていましたか、ちゃんとデンジャーとかポイズンとかあるいはウオーニングになっていたんじゃないのですかということで、その場その場で問題を解決して長引かせない、こういうことがまた重要である。 そして、消費者自身にわからせるように、例えば取扱説明書というものも最近は大分よくなりました。漫画で書いてあって、バッテンがついたりいろいろなことになっていますが、お年寄りの目がしょぼしょぼしないでよく見えるような形でやっていくとか、そういうふうなことの配慮が必要であり、それがなしにはこれは単なる消費者六条だけで終わってしまう話になりますから、全体のバランスの上に立った、日本の風土に合った、そういう製造物責任の法律の運用になるようにということを私は申し上げます。 最後に、企画庁長官、通産大臣から、私の所感に対しまして御意見をお願いしまして、終わらせていただきます。
○寺澤国務大臣 今委員がおっしゃるとおりだと思います。その線で、我々としては生活者重視のためにやっていきたいと思います。
○畑国務大臣 今佐藤先生御指摘のとおり、消費者、そしてまたメーカー、そしてまた行政、三者三様のそれぞれの立場におきまして、この問題についていわば意識改革を十二分に行う、その上に立ってただいま先生御指摘のような各具体的な事項を徹底してやっていく、それが大切だろう、かように考えております。
○佐藤(剛)委員 どうもありがとうございました。
○玉沢委員長 浜田靖一君。
○浜田(靖)委員 自由民主党の浜田靖一であります。 商工委員会と消費者問題等に関する特別委員会の連合審査会でもう既に多くの議論がなされている製造物責任法案について、特に農林関係の問題を質問させていただきたいと思います。恐らく、既に他の委員から出た質問もあり、重複する点も多々あろうかと思いますけれども、私自身大変不勉強でありますので、わかりやすくお教え願いたいと思うわけでございます。 さて、このPL法については、昭和四十八年から国民生活審議会において検討され、今日まで長きにわたって議論されてきたわけでありますけれども、今日まで制定に至らなかった理由そして、今回の成案を得た背景はどのようなものなのか、お教え願いたいと思います。
○寺澤国務大臣 欠陥製品から被害者を守ろう、こういう考え方、これは委員御指摘のようにもう二十年も前からずっとあったわけでありますが、昭和五十年代に国民生活審議会が取りまとめた報告でも、この製造物責任について立法化に向けての検討の必要性が指摘されているわけであります。ただ、その導入につきましては、社会的、経済的に非常に大きな、そして広い影響がありますので、当然いろいろな人の意見を聞いて非常に慎重に検討しなければならなかったということで、政府といたしましては、国民生活審議会等において検討をずっと続けてまいりました。 委員御指摘のように、どんな背景があって今日の法案提出までに至ったのかということにつきましては、私としては四つぐらいの背景があったのじゃないかと思います。一つはやはり生活者重視という考え方が非常に普及してきた、一つはやはり規制緩和の動きが強まってきた、一つは製品輸入が非常にふえてきた、一つはヨーロッパの各国でも立法化が進展してきたというようなことで、法案としてこの委員会に御審議をお願いしているような段階にやっとなったということであろうかと思います。
○浜田(靖)委員 確かにそういう流れの中でPL法に対する関心も深まってこういう状況になったと私も思うわけでありますけれども、今長官からお話がありましたように、もう既に先駆けてそのPL法を導入している国があるわけであります。その中においてもやはりアメリカがその先駆け的な存在であるわけでございますけれども、現在の海外における各国の制定状況というのはどうなのか、そしてまた、その中でも特にアメリカとヨーロッパの状況をお聞かせ願えたらと思うわけであります。
○坂本(導)政府委員 まず、アメリカでございますが、一九六〇年代から欠陥を要件とする製造物責任が、これは判例でございますけれども、判例の展開によりまして一般化しております。 他方、EU諸国では、一九八五年七月に製造物責任に関するEC指令がEC閣僚理事会において採択されたことを受けまして、EC指令に基づく各加盟国での立法化が進展しておりまして、フランス、スペインを除く十カ国において立法が完了しております。 また、EFTA諸国でも、EC指令とほぼ同一内容での立法化が行われております。 さらに、フィリピン、オーストラリア、中国、台湾などアジア・太平洋諸国でも、欠陥を要件とする製造物責任立法がなされております。 また、問題はないかという御指摘でございますが、アメリカでは、たびたび指摘されることでございますけれども、訴訟件数の増加、評決額の高騰、訴訟結果の不確実性が問題となり、七〇年代と八〇年代の二度にわたりまして、製造物責任危機ないし保険危機とも言われるように、保険料の急騰や、一部では保険の引受拒否も発生したということがございます。 しかし、米国の問題は、先ほど来答弁がございますように、懲罰賠償制度あるいは弁護士成功報酬制度など特異な司法制度によるものが多いということでございまして、直ちに我が国にこういった面があらわれるとは考えておりません。 一方、ヨーロッパでございますが、一九八五年七月の欠陥製品の責任に関する加盟国の法律、規則及び行政規程接近のための閣僚理事会指令、いわゆるEC指令でございますが、それに沿って立法を行ったEU諸国においては、我が国と民事司法制度において類似性を持っておりまして、本法案と同様の特徴を持つ製造物責任制度を導入しております。英国を初め法施行後五年を超える国が幾つもございますけれども、これまでのところ、クレームあるいは訴訟の件数、製造コスト、保険料、製品開発意欲あるいは物価上昇率などにおいて目立った影響はあらわれておりませんので、大きな社会的な問題になっているということはないようでございます。
○浜田(靖)委員 そして、先ほど長官のお話にあったのでありますが、規制緩和の問題であります。 日本では、国、民間ともに事故の未然の防止、そしてまた再発防止、被害の救済というような諸制度が欧米に比べよく整備されておるわけであります。各国からいろいろと日本に対して規制緩和の申し出があるわけでありますが、ここにPL法を導入することによって、再びこの点を指摘されるようなことがあるのじゃないかと思うのですけれども、その点に関してはいかがでしょうか。
○畑国務大臣 ただいま浜田先生御指摘のとおり、現在、我が国におきましては、事故防止のための安全規制あるいはまた被害救済のための履行確保措置、こういうものはそれなりに整備がされておる、これは御指摘のとおりでございます。 今回の法案は、いわば被害救済にかかわる裁判規範を整備することにより、これらの措置と相まって、製品の安全性にかかわる消費者の実質的利益の増進を図る、こういうような立場に相なっておるわけでございますので、この辺をお含みおきを願いたいというように考えるわけでございますし、なおまた、安全規制等につきましても、いわば財産の安全の確保等を目的といたしておる意味合いから申し上げれば、経済的規制と同列に論ずることはできないのではないかなということを考える反面、やはり国際的調和の観点から、引き続き透明性確保への配慮を行い、そしてまためり張りのききました体系としていくことが今後の課題であろう、こういうような認識を持たさせていただいているわけでございます。
○浜田(靖)委員 確かにそういった御努力をお願いする次第でありますし、また、この制度について各国とのいろいろな、各国にはもうPL法が導入されておるわけでありますけれども、その中において国際的な調整をとるというようなことの必要があるかどうか、それもちょっとお答え願えますか。
○坂本(導)政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、製造物責任制度は、欧米諸国のみならず、アジア・太平洋諸国・地域にも広がりつつありますが、製造物責任について立法した諸国では、おおむねEC指令に沿った形の制度を採用をしております。 そして、今回提案申し上げております法律案は、我が国の事情等を反映して、多少の違いはございますけれども、おおむねEC指令の内容に沿ったものでございまして、例えば、開発危険の抗弁の問題、推定規定の問題、責任期間の問題等について、EC指令と同一内容のものになってございます。したがって、そういう面で、御指摘のように、国際的調和を図る必要があるという認識に立っております。
○浜田(靖)委員 ありがとうございました。 いろいろな意味で、わかりやすくこの制度というものを内外ともに説明していく必要もあろうかと私は思うわけでありますけれども、ここで質問を次に移らさせていただきます。 本法の第二条の定義についてでありますが、農林関係についてでありますけれども、まず、未加工の農林畜産水産物は対象になるのかどうか、ちょっと教えていただけますか。
○大隈説明員 お尋ねの未加工の農林畜水産物は対象となるのかということでございますけれども、製造物責任法案におきましては、「製造又は加工された動産」が製造物責任の対象となる製造物ということでございまして、未加工の農林畜水産物は対象にはならない。これは、基本的に自然の力を利用して生産されるものであるということから、対象から除外しております。
○浜田(靖)委員 そこで、特に農林水産物というのは食品関係のあれになるわけでありますけれども、できれば加工と未加工の判断基準をできるだけ具体的に教えていただきたいと思うのです。
○大隈説明員 加工か未加工かということの判断でございますけれども、まず、一般に加工というのは、その物の本質は保持しながら、新しい属性、性質をつけ加えまして価値を加える、これが一般的な考え方でございます。 そこで、もう少し具体的に申し上げますと、加熱、つまり煮るとかいるとか焼く、あるいは味つけを行う、あるいは粉にひく、あるいは搾汁を行うというのは、製造あるいは加工に当たるというふうに考えております。 それから、単に切断をした、あるいは単に冷凍、冷蔵を行った、あるいは単に乾燥したというようなものは未加工に当たるというふうに考えております。
○浜田(靖)委員 まだいまだにちょっとわかりづらいんでありますが、本当に今回の場合には、そういうものに対する具体的な定義については、これを明確にしないという法制審のあれもあるわけでありますけれども、国民生活審議会等ではやはりこれは明示すべきだというずれがそこにはあるんですけれども、判例にゆだねられるということになると、その場合、もし問題が起きたとき、製造者も被害者の方も、双方ともに疑心暗鬼の中で、何かそれぞれの一方的な判断に頼るようなことになって、本法の目的であります「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展」を阻害することになってしまうような気がするんでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○坂本(導)政府委員 御指摘の製造という点では各審議会ともおおむね意見の一致を見ておりますが、ただ、別の問題で、欠陥というものの定義について、具体的に定義をすべきであるという御意見と、いや、それは抽象的にしておいた方がいいという御意見と両方ございまして、具体的にという御意見の方々は、これは裁判規範であると同時に、今御指摘のように企業あるいは消費者にとっての行為規範でもある、だから明らかになればなるほどいいんだという考え方でございます。しかし、一方、余り個別に具体的に明らかにし過ぎますと、個々のケースでなかなか裁判官が判断しようがなくなってしまう。この兼ね合いをどうするかということが非常に大きな議論として起こりました。 今回お願いしております法律案では、「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮してこということで、考慮事項として具体的には三つ掲げております。しかし、この三つですべてということではございませんので、個々のケースごとに、例えば表示の問題は、特性上どうかということは個々のケースごとにございますが、おのおの個々のケースでそのウエートの置き方が違うものですから、ここでは三つを代表して例示させていただいているところでございます。
○浜田(靖)委員 その件に関してはそういうことになるわけですが、もう一つ、農林関係でいいますと、例えば栽培ですとか飼育、増殖、この三つに関してですけれども、それは「製造又は加工」という概念の中には含まれないのかどうか、それを少し教えていただきたいと思います。それは、先ほどお話にあったように、とにかく具体的な例示が少ないゆえに私らにとってはわかりづらい点もあるわけなんで、その辺も含めてちょっとお教え願いたいなと思います。
○大隈説明員 先生お尋ねの栽培、飼育あるいは増殖ということでございますが、栽培につきましては、例えば、作物、野菜、果樹の栽培ということが代表的な例でございますし、家畜の飼育というのが飼育の代表例かと、それから増殖の例としては、例えば種子類の増殖ということが考えられますが、いずれも、並べてみますと、基本的には自然の力を利用して生産等が行われているということから、「製造又は加工」に当たるものではないというふうに考えております。
○浜田(靖)委員 そうはいっても、今の農水産物について言わせていただくと、非常に工業的な生産みたいな形のものが行われているわけですよ。というのは、水耕栽培によるカイワレダイコンとか、養殖の水産物、特にノリ養殖などは確かに自然の力を利用して、ノリの部分をとって、それを今度製品化するという作業があるわけですよ。そうすると、今のノリ養殖、ノリの仕事というのはとってくるだけであって、あとは、すべて資本投下が、ノリづけから乾燥まで全部一つのオートメーション化しているわけですよ。これは資本投下で言えば、二千万、三千万の機械を導入して、実質上手がかかるというのは、ノリをとってきてそれを機械に入れるだけで、出てくるときにはもう製品化というか一つのノリの形をして出てきてしまうわけなので、そういうものに対する判断というのがあるわけなので、その点についても御意見を伺わせていただけますか。
○大隈説明員 農水産物の工業に近いような生産が行われた場合にどうか、また代表的な例として養殖ノリということでございますけれども、これらにつきましても、一見工業と似ておるように見受けられる部分もございますけれども、自動車や家電製品をつくるようにノリをつくっておるわけではございませんし、水耕栽培なり養殖水産物につきましても、自動車をつくるように魚をつくっておるとかカイワレダイコンをっくっておるということではございません。あくまで生物が本来持っております生命力というものを利用して生産を行っておる。自然のいわば光にかわるものとして、一部人工的な光を使うとか、あるいは土はなくても水で育てられるということでございますから、これらのものにつきましてはやはり同様に製造には当たらない。 そこで、養殖ノリでございますけれども、養殖水産物については製造物ではないと考えておりますし、単なる乾燥あるいは単なる切断というのは加工には当たらないと思いますので、その場合には恐らく未加工であろうというふうに考えます。
○浜田(靖)委員 そうしますと、今言われたような自然を中心とするものに対しては、それは製造だとか加工だとかとは認めない。では逆に、その範疇に当てはまるものというのは何があるのか、教えていただけますか。
○大隈説明員 加工という範疇に当てはまるものということでございますれば、先ほど申し上げましたが、例えば味つけをいたしますということ、それから加熱をしたり、いったり、ゆでたりということで、これは性質が変わって、それによって新たに価値が加えられる。したがいまして、例えば養殖ノリをノリのつくだ煮にいたしますと、これは加工に当たるというふうに考えます。
○浜田(靖)委員 わかりました。 だから、その定義の部分で本来そういった周知徹底をしないと、このPL法に関して言わせていただければ、農林水産物というのは非常に微妙なところがあるのかなというような気が私はするわけでありますけれども、今度は問題が起きた場合というか、現状として、農林水産省においては、製造物の欠陥について、原因究明機関としてどのようなものを考えていらっしゃるのか、お教え願えますか。
○大隈説明員 農林省におきましては、現在、一つは本省そのもの、そこに消費者の部屋というのを設置しております。それから、全国に十カ所ございます農林水産消費技術センター、ここにおきましても消費者の部屋を設置いたしまして消費者相談を行っておりますけれども、さらに、単なる相談ということだけではなくて、検査分析体制というものを整えまして、これは農林水産消費技術センターが中心になるということで、ここにおける検査機器の整備といった検査分析能力の強化を図っております。 それから、食品事故にかかわります消費者の相談内容の分析あるいは評価体制の整備ということを行って、一層の原因究明のための情報の蓄積を図ってまいりたいというふうに考えております。
○浜田(靖)委員 今、整備という話も出たわけですけれども、逆に今度は消費者対策を講ずるに当たっては、もっと具体的にお教え願えませんか。
○清川政府委員 消費者対策の関係、原因究明機関、そしてまた紛争の処理、多くの局面があるわけでございます。 通産省産業構造審議会におきましては、製品総合安全対策ということで、製品事故の発生の防止、再発の防止、あるいはまた少額の事件等につきましては相対での解決、あるいはまた業界団体を通しまして相談に乗ってもらうような解決、そしてまた、通産省におきましても、消費者相談窓口など各般の施策を講じておるわけでございます。 特に、今の原因究明機関につきまして、これは通産省の産業構造審議会あるいは経済企画庁の国民生活審議会、このような審議会における検討におきましても、製品事故にかかわる紛争の円滑かつ適切な解決、そしてまた被害者の証明負担の軽減、あるいはまた同種事故の再発の防止等の観点からこの拡充の必要性が指摘されているところでございまして、政府としては、この法案の提出とあわせて、整備を積極的に進めているわけでございます。 具体的に言いますと、国の機関などにおきまして、研究機器、分析器などのような機器の整備を含む原因究明あるいはまた検査能力を拡充するというようなこと、あるいはまた民間検査機関などの原因究明にかかわる各種の要請、依頼の受け入れ体制を整備するというようなこと、そしてまた各地の消費生活センターなどへの問い合わせに対しまして国の機関を紹介する、あっせんするというような体制をつくること、このような整備を含めて検討を進めることといたしております。 例えば、具体的に通産省で考えてみますと、通商産業検査所という長い歴史を持った検査機関があるわけでございますけれども、ここにおきましては、製品の安全向上のための基盤整備にかかわります研究機器の整備を行うということ、あるいは被害者の証明負担の軽減にも資するような原因究明あるいは検査分析を行うための拡充強化を図るという方向にございます。 また、専門的な知識、ノウハウを有する民間検査機関がございます。例えば、電気製品について見ますと財団法人日本品質保証機構あるいは財団法人日本電気用品試験所などがございますし、あるいはまたガス燃焼器具でいえば財団法人日本ガス機器検査協会など多くの民間の機関があるわけでございますけれども、このような民間検査機関におきます依頼の受け入れ体制を整備する、こういったことに努めているわけでございます。 また、第三点になりますけれども、通商産業検査所などが各地の原因究明機関を結ぶネットワークを形成しまして、情報交換等を通じまして専門家の育成を図る、そしてまた消費生活センターなどからのお問い合わせに対しまして適切な機関を紹介、あっせんするような体制の整備を行うということにいたしております。これは先ほど具体的に通産省の例示をしましたが、政府全体の機関におきましてこのような形でネットワークを組み、相互に協力し合いながら、消費者問題につきまして整備を続けていく、このようにいたす方向で準備をいたしております。
○坂本(導)政府委員 重複いたしますが、ちょっと答弁させていただきたいと存じます。 委員御指摘のように、原因究明という問題は非常に重要であるということから、国民生活審議会におきましてもいろいろな角度から議論が行われました。その結果、原因究明関連情報をまず充実させなければいけないというようなこと、これはいろいろな機関があるから、そういった機関の情報を全部集めてこよう、そういうことが重要である。それから、原因究明関連技術の向上が必要ではないかというような御指摘もいただいております。それから、消費者、事業者との信頼関係も重要だ、こういった信頼関係がもたらされるような体制をつくることが必要である。さらに、既存の機関や専門家等を有効に活用していくことが必要だ、こういう御指摘をいただいております。 これを受けまして、私ども経済企画庁といたしましても、各地の消費生活センターの積極的な活用、そしてさらに、通産省から答弁申し上げましたが、都道府県の他の試験研究機関、あるいは民間の検査機関、大学の研究室、国の機関や国民生活センターとの間で連携体制の整備、これが重要である。さらに、消費生活センターにおける対応が難しい製品事故に関する原因究明や検査分析については、国の機関や国民生活センターが引き受けられるようにその体制を整備するとともに、これら機関は各地の原因究明機関を結ぶネットワークのかなめとしての役割を果たす必要がある。 こういったことから、私ども、まだお願いをしている予算案でございますけれども、こういった角度から予算の充実をお願いしているところでございまして、御指摘のとおりだろうと考えております。
○浜田(靖)委員 ずっとお話を聞いたわけでありますけれども、特に農林水産消費技術センターの件でありますけれども、これはいろいろな意味で陳情等も大変多くあるわけでありますが、食品衛生の意味で農林省の農林水産消費技術センターと保健所との境界線が、食品衛生法と絡んで線引きが非常にあいまいな部分が、お互いに乗り入れている部分があるのですが、製造者にとってみれば両方にかかわりたくないということで、そういった意欲的な部分が阻害されるような気もするわけなんですが、その辺の線引きの件に関しては、農林省としてはどのようにお考えでしょうか。
○大隈説明員 先生御指摘のとおり、食品につきましては、絶えず安全衛生の面と品質の面、両面が出てまいりますけれども、その線引きの関係といいますか、厚生省との間の連携体制につきましては、私ども、密接な関係を保ちながら、どういうふうに具体的に作業体制を確立していくかということは、これから厚生省と御相談しつつ検討してまいりたいと思います。 ただ、食品衛生法の体系、これは厚生省の方の世界でございますし、それから一方、農林省の関係では農林の規格に関しますJAS法とかその他の体系がございますので、その両方を踏まえながら検討をしていくということであろうかと思います。
○浜田(靖)委員 それともう一つ、消費技術センターの件なんでありますけれども、今現在十カ所ほどあるというふうにお聞きしておるわけでありますが、この十カ所で今現在いろいろな陳情処理もしている、苦情処理もしておるわけでありますが、一番頻度の高いものというのはどういうものがあるのでしょうか。
○大隈説明員 消費技術センターの関係におきましては、もともとは生糸の検査所でございましたが、これがその他のJAS規格の検査・検定を行うということで、規格検査所と名前を変えました。それがさらに、消費者関係の仕事も行うということで、消費技術センターと名前を変えてまいりました関係がございまして、本来的、伝統的にはJASの規格に関します検定とか鑑定とかといったような仕事が多いわけでございます。 ただ、このごろは消費者の苦情相談、あるいは残留農薬や食品添加物に関する分析実績というものも上がってまいりました。したがいまして、今後そういうような食品の品質の検定に関する仕事というのはふえてまいりますというふうに考えております。 ただ、現時点で見ますと、JASの鑑定の仕事が量的には多いかと思います。
○浜田(靖)委員 今度このPL法が実施されていくわけでありますが、そうしますと、農林水産消費技術センターとしてはどのように今後設備を充実したらいいか。 そしてまた、逆に、検査人員も含めて、今十カ所しかないわけでありますが、見ると結構偏りがあったりしておるわけでありますが、今後そういうものに対して最低でもどのくらい必要かというか、設備の面でもそうですが、人員の面でもどのくらいが必要かということをちょっとお聞かせ願えますか。
○大隈説明員 先生御指摘のとおり、現在、消費技術センターの位置というのは、本来的には輸出検査等をやっておりました関係でやや偏りがあるように見受けられますけれども、今後この十カ所につきまして適宜統廃合といいますかを行いまして、六本所、四支所から、八本所に変えるということを考えております。 それで、人員の関係では、現在約五百名以上の人員がございますけれども、この場でどのくらい将来目標として人員が必要か、あるいは予算が必要かというようなことはちょっと申し上げかねるわけでございますけれども、ただ、減ってまいります業務もございます。輸出の検査の関係あるいはその他需要が下がってきておる業務というのもございますので、その辺のところもよくにらみながら、できるだけ効率的に現在の組織を活用しつつ、必要な部分については拡充を図ってまいりたいというふうに思っております。
○浜田(靖)委員 農林省はそういった形で対応していくということでありますし、これの大もとであります通産、企画庁、両方ともにちょっとお聞きしたいのです。 先ほど消費生活センターですとかいろいろなセンター、検査所とか含めてネットワークづくりをしていくということでありましたけれども、実質的に、予算的な部分で、では果たして今の体制よりどのくらいのことをすれば消費者に対して情報提供が十分に行き渡るというふうにお考えになるのか、その辺を含めて、それはもう自分たちの気概というか、そういうものでも結構でございますので、将来に対する意気込みというか、そういうものも含めてちょっと教えていただきたいなと思います。
○清川政府委員 浜田委員お尋ねの原因究明機関を初めとします体制整備の問題でございます。 私ども、平成六年度予算におきましても、あるいはまたそれに先立ちます予算措置におきましても、予算の増額ということを予算案の中に実現をさせていただいております。 この原因究明機関の拡充というのは、一回ですべていくわけにもいかないと思っております。機器の整備あるいは人員の訓練、体制の整備、こういった問題は非常に長期間かかることも十分覚悟しながら、鋭意拡充を進めてまいりたいと考えております。
○坂本(導)政府委員 先ほど来御指摘のありますように、原因究明機能の充実というのは極めて重要でございます。したがって、私ども、関係各省庁において、予算面等で努力をしてまいりたいと思います。 一方、いかに効率的に予算を執行するかということがございまして、そのためには関係各省の各種機関あるいは地方公共団体の各種機関というものが、おのおのの特殊性、特性を発揮しながら、しかもその間で重複がないようにするということも大事だろうと思います。 したがいまして、本法案の御審議と並んで、私どもは関係各省庁あるいは地方公共団体と相談しながら、どういったネットワークをつくっていくことが効率的か、またその場合にどういった予算が必要かということにつきまして、絶えず念頭に置きながら考えてまいりたいと思います。
○浜田(靖)委員 今回のPL法に関して言わせていただければ、消費者を保護する意味を含めて、しっかりとした情報の開示をしていかないとこの法案を有効裏に運用することができないと思いますので、どうかその点に関しては各関係省庁が一体となって情報開示に努めていただければと思うわけであります。 その中で、アメリカではこの情報開示についてはどのような方法で行われているのか、その辺も含めて一言お願いできますでしょうか。
○升田説明員 ただいま御指摘の点は、アメリカにおきましてはディスカバリーという制度がとられておりまして、我が国の制度にはない制度でございまして、その点につきまして、アメリカでも時間がかかるとかあるいは費用がかかるといった弊害というものが指摘されているというぐあいに承知しております。
○浜田(靖)委員 そういう制度もあるようであります。必要とあらばそこまで踏み込んで考える必要もあろうかと思いますし、その中にはいろいろな問題点もあろうかと思います。その点に関しては臨機応変に、PL法案ができたからといってそれに固執するのではなくて、やはり足りない部分は足し、そしてまた改正すべきところは改正するなり幅広い考え方の中でこの法律を皆さん方でも注意深く見守っていくことが必要だと私は思うわけでありますけれども、消費者に対する啓蒙活動も含めて皆さん方で今度はどのような働きかけをしていくのか、その点についても一言ずついただけますか。
○坂本(導)政府委員 委員御指摘のように、このPL法案は今の流れでございます規制緩和、つまり消費者も企業も自己判断で責任を持ってやっていくというための土俵づくりとして絶対に欠かせないものだというふうに考えております。 しかしながら、ただ土俵をつくればいいということではなくて、例えば消費者の場合においては、いかに消費者が適切な情報を入手し得るかということが大事でありますし、さらに入手した情報をいかに選択するかということも大事であります。また、消費者には赤ちゃんもおればお年寄りもおります。したがって、そういうことも考えなければならない。 したがいまして、私どもはこれから各種の面での情報収集並びにそういったものを踏まえた上での消費者教育というものが重要になってこようかと思います。先ほど来申し上げましたように、単に成人消費者だけではなくて、いろいろな面での消費者がおられますから、そういった面を含めて、きめ細かい消費者教育あるいは消費情報の提供というものが重要になってまいります。 しかしながら、これは言うことは割合簡単でございますが、個々の具体的な施策に落とすという場合には相当いろいろ難しさがあろうかと思います。今私ども必ずしもすべてを網羅しているわけではございませんので、今後、経済企画庁のみならず、関係各省庁、地方公共団体の御協力をいただきながら、そういった問題点を詰め、適切な情報提供あるいは消費者教育の実施に努めてまいりたいと考えております。
○浜田(靖)委員 ぜひともそういった形で、法律ができたからといってそれが伝わらないようでは困りますので、皆さん方の御協力によってPL法案というものを正しく理解をさせていただいて、その目的が何であれ、我々だけがわかっていてもしょうがないわけでありますので、どうかその御努力を皆様方にお願いをする次第であります。 大変足りない質問で申しわけございませんでしたけれども、私の予定していた質問がすべて終わりましたので、早目でありますが、これで質問を終わらせていただきます。
○寺澤国務大臣 委員の御指摘のとおりでありまして、その方向に向かって我々も全力を傾ける所信でございます。
○浜田(靖)委員 どうもありがとうございました。
○玉沢委員長 伊東秀子君。
○伊東委員 社会党の伊東秀子でございます。 これまで森永砒素ミルクとかスモンとかカネミ・ライスオイル事件とか、大変悲惨な製造物に起因する被害の問題がいろいろ出てまいりましたが、その底にたくさんの消費者の泣き寝入りがあった。私は、今回、製造物責任法がこういう形で国会で審議されるということ、細川政権時代のPL法の連立与党プロジェクトの一員としても大変感謝している次第でございますし、早急に国会審議に上げていただきました関係各位の皆様方にも心から感謝申し上げます。 その与党プロジェクトの審議の過程あるいはそのほか国会で詰めておきたい問題点、まだたくさん残っているかと思いますので、そういったことを御質問させていただきたいと思います。 まず、本法案の目的でございますけれども、冒頭に質問にお立ちになりました自民党の林義郎議員も大変格調高く言っておられましたように、この法案が、個人や企業の活動の自由と、社会に起こってくるところの損失をだれがどのように負担するのが社会として公平であり妥当であるか、そういった二つの要請の兼ね合いをむしろ政治家が判断しなければならない問題であるというふうに林先生もお考えになっておられる、そのような形でこの製造物責任法案というのが出てきたという、大変的確にこの法案の指摘をなさったと思うのでございます。 この法案をそういう形で考えましたときにちょっと気になりますのは、冒頭の目的規定の中に、消費者保護ということを第一条で明確にうたいながら、ちょっと読ませていただきますと、「この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と書いてございます。 この消費者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与する、これは、調和的というよりも、むしろ主眼が消費者保護にあるんだ、消費者を保護することによって反射的な利益と言えばいいのでしょうか、結果的には国民生活も安定し、かつ経済の健全な発展に寄与するんだというような関係にあるというふうにとらえていいのかどうか、その点ちょっと確認的に伺います。
○坂本(導)政府委員 御指摘の点でございますが、消費者の保護を図りではなくて、「被害者の保護を図り」でございますから、場合によっては消費者よりはより広い、つまり自動車の使用者だけではなくてその事故に巻き込まれた人も入るという点がございますが、御指摘のそれ以下の点は、御指摘のようにこの法律ができることによって企業はより安全性の向上に努めた商品を提供することが期待される。 さうにまた、直接触れてございませんが、この法律案はほぼEC並みの内容となっておりますので、そういった面で国際的な経済との調和というものが図られるということが結果的に生み出される目的でございます。
○伊東委員 次に、推定規定の問題でございますが、先ほど佐藤委員も大変重要な点を指摘しておられまして、なぜ推定規定を入れなかったのかというようなことをついておられました。さらに、林義郎委員も法律上の推定の重要性というようなことをついておられましたし、公明党案では法律上の推定があったのにその点ほどうなったのかというような御質問も一日目にあったのではなかろうかと思っております。 それで、推定に関してなんですけれども、これまでの御答弁では、法律上の推定まで入れてしまうと立証負担の軽減という目的を超えてしまう、個々の事案において事実上の推定を活用しながら適正に運用していきたいと考えているという大変前向きな御答弁をいただいているわけではございますが、製造物から生じた被害に関して裁判で争われる場合に、何しろ原告となる被害者は、製品に関して全く情報もない、知識もない、技術もない、素手のものである。一方の製造者、企業は、製品に関する情報を一手に持っている。そういうような状況の中で被害者側に立証負担の軽減を図るということは、具体的に言えば、事案に応じて立証責任の転換を図っていくこと、あるいは訴訟指揮に基づいて、証拠を保持している側、企業の側が圧倒的に多いと思いますが、そういうところにどんどん証拠の提出を求めていくというようなことを指しておられるのか、もう少しわかりやすく御説明いただけたらと思います。
○升田説明員 まず、御指摘の点にお答えする前に、今回、本法律案によりまして提案しております製造物責任といいますのは、従来の過失を欠陥に改める、変更するという点が大きな内容となっております。 そこで、現在の過失責任のもとにおきます責任関係の立証といいますのは、御承知のように、被害者側の方で製造業者に対して損害賠償請求をしております場合には、製造業者の過失、損害の発生、過失と損害との間の因果関係を立証しなければいけないということになっております。したがいまして、過失を欠陥に変えるということでございますので、本法律案のもとにおきます立証関係につきましては、被害者側の方で、欠陥の存在、損害の発生、欠陥と損害との間の因果関係を立証する必要がある、これが原則でございます。 ただし、今委員御指摘のように、実際に裁判、特に裁判を中心とします損害賠償請求の実務におきましては、個々の製品の特性あるいは事故の態様、それから証拠の内容、証拠の偏在状況その他いろいろな事情を考慮いたしまして、経験則を活用するとか、事実上の推定を活用するとか、あるいは一定の事実につきまして立証責任を相手方に負わせるとか、そういったいろいろな工夫を重ねながら、実質的に被害者の救済が図られるというような場合があるというのが実務の取り扱いでございます。
○伊東委員 原告が立証しなければいけないことは、過失が欠陥に置きかわったということであっても、欠陥の存在、それから欠陥がいつ存在したかというその存在時期、欠陥と損害の因果関係、損害の発生についてももちろんでございますが、こういった点を立証しなければ損害賠償が受けられないという関係にあるわけでございますが、原告にとって欠陥を証明するということはこの法案のもとにおいてもなかなか難しい問題を含んでいる。 そういうことで、事実上いろいろな形で推定を及ぼしていこうということは、今日までの審議の中でも各大臣から御答弁もいただいているわけでございますが、その欠陥判断におきまして、この法案では三つのメルクマールを置いておりますね。「製造物の特性」「通常予見される使用形態」「その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」を欠陥という。 そうしますと、欠陥判断におきまして、この三つの要素プラスあらゆる事情ということなんですけれども、このほかに、これまでの答弁では、国生審や産構審で出てきた九つのメルクマールも一応こういった特性判断と言えばいいのでしょうか、欠陥判断のメルクマールになり得るという御答弁がございました。それは結局は、こうした国生審や産構審で挙げられたような、費用対効果とか損害発生の蓋然性とか予測可能性とかいろいろございますけれども、そういったことは、原告が立証責任を負うということとは全く関係なしに、双方から出てきた証拠の総合判断のメルクマールである、つまり立証責任とは関係ないというふうに考えてよろしいのでございましょうか。
○升田説明員 やや専門的な話になりまして恐縮でございますけれども、ただいま委員御指摘の点は、訴訟実務上、主要事実は何かという問題に関連することになりますけれども、本法案で提案されております製造物責任におきましては、製造物に欠陥があることというのが主要事実であるというぐあいに考えるのが原則だろうと考えております。
○伊東委員 そうしますと、一般に非訟事件で言われているような、借地借家法などで出ていかなければいけない正当事由があるかどうかというときに、その事由にいろいろなことが双方から挙げられる、それを総合的に判断するということで、あくまでも争点は安全性を欠いているかいないかであって、原告が一つでも立証が足りないから敗訴するというような、ちょっとこれも専門的になりますけれども、立証責任の分担とは関係ない、申立的なものであるというふうに考えてよろしいということでございますね。
○升田説明員 本法案が成立いたしますと、最も大きな問題点は欠陥の内容がどういうことかということにあることは予想されますが、将来、いろいろ学説の発展あるいは実務のいろいろな展開があろうかと思いますけれども、基本的には委員御指摘のとおりであろうと思っております。
○伊東委員 今のように考えますと、原告としては、今後、この法の趣旨、要するに立証負担の軽減というところは以前よりも一歩進んだということになるのではなかろうかと思うのです。 もう一つついでにお聞きしますと、総合的な欠陥判断に必要な証拠の提出でございますが、これまでの審議でも出ておりますように、この製造物責任に関する訴訟では製品に関する専門的な情報というものがどうしても決め手になる、それを消費者である原告は全く持っていないという場合が圧倒的に多くて、アメリカではディスカバリーの制度、あるいはイギリスやそのほかのヨーロッパ諸国においてもかなり裁判所の方で企業側に提出を求めるという制度ができている、あるいは立証責任を転換しているというような場合があるわけですけれども、本法のもとにおいても、訴訟指揮において、証拠の収集においては、より証拠に近いと言えばいいのでしょうか、証拠を持っている人に裁判官の自由心証の範囲内で提出を求めることができるようになるというふうに考えていいのかどうか、いかがでございましょうか。
○升田説明員 ただいま委員御指摘の点は、民事訴訟法の三百十二条にございます文書提出命令あるいはそれに関連する訴訟運営の現状についてのお尋ねだろうと思いますけれども、実際の訴訟におきましては、先ほど申し上げました民事訴訟法の三百十二条という規定を根拠にしないでも、御指摘のように、証拠により近い人がそれぞれ証拠をできるだけ多く出して真実を究明し、その上で判断を求めるというようになされておると思います。 また、証拠の判断につきましては、御指摘のように、民事訴訟法の百八十五条にございます自由心証主義によりまして判断される、こういうことになろうかと思います。
○伊東委員 それでは、事実上の推定について具体的なことをもうちょっと伺いたいと思うのですが、三月二十九日に大阪地方裁判所でテレビの出火事件の判決がございました。この判決で、問題にされたテレビは全く焼失して存在しない、そういうことで、我が党の松本議員も取り上げましたように、被告である松下電器はそのことを理由にして、原因究明をこれ以上続けることが困難だからということで控訴を断念したというようなことがございます。 製造物責任訴訟では物が存在しないという場合が圧倒的に多いんじゃなかろうかと思いますが、その場合に、欠陥の立証において、どこに欠陥があったというような部位の特定まで求めるようなことになるのか。 あるいは、この裁判で判示しているように、評価の問題として、例えば「欠陥原因および注意義務違反の内容を具体的に立証しなければならないとすれば、特別な知識も技術も有しない利用者が、主として製造者の支配領域に属する事由を解明しなければならないことにな」る。そういうことで、テレビから発火した、しかも合理的な使用であった、この二点から欠陥を推認するというふうな方法をとっておられるのですけれども、こういったような形にこの法のもとではなるのかどうか、その辺はいかがでございましょうか。
○升田説明員 まず、個々の事件につきまして、その判決の当否、どうであったかということにつきましては論評を差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、一般論として検討いたしますと、問題となりました事件は、過失責任のもとにおきまして損害賠償請求がなされた事件でございます。そして、その判決の中には欠陥というものがまず問題となっておりまして、欠陥が認められた場合に過失が事実上推認されているという内容になっております。 また、この事件が今後どういうぐあいに影響するかという点についてのお尋ねにつきましては、先ほどもお話しさせていただきましたように、同じ製品でありましても、事故の態様が異なる、あるいは証拠の内容が異なる、さらに証拠の状況、偏在状況といいますか、そういった点も異なるということになりますので、そういういろいろな事情を考慮して適切な判断をするというのが実際の裁判の取り扱いでございますので、直ちにこれがあるからどうということにはなかなかならないかとは思います。
○伊東委員 もうちょっと伺いますと、一応今回、推定規定というものが全部、欠陥の存在についても、欠陥と損害の因果関係についても、法律上の推定というものは入れられてないということで、一部の方々にはこれは大変残念なことだという意見もあるものですから伺っているわけでございますが、テレビの発火を例にとりましたときに、テレビを耐用年数をうんと超えて使っていたわけではない、一応耐用年数の範囲内であった、そして普通に使っていた時に発火した。どういう形で発火に至ったかの具体的な事由までがやはり今後も求められるのかどうか。そうじゃないよというような、事実の推定を及ぼすというのはもっと違う形の証明でいいんだよ、そういったことなのかという、大変雑駁ではございますが、その辺を、事実上の推定といっても一般の人になかなかわかりづらいんじゃないかと思うので、わかりやすく御説明いただけたらということでございますが、御説明できる範囲で結構でございます。
○升田説明員 なかなかお答えしにくい質問であると思うのですけれども、先ほど来申し上げておりますように、事故が生じます製品にまことにさまざまなものがございますし、同じ製品につきましてもいろいろな形で事故が起こるということになりますので、なかなか判断が難しいという場合もあろうかと思います。 ただ、一般論として申し上げますと、テレビにいたしましてもそのほかの製品にいたしましても、例えば、買ってすぐテレビが発火したというような場合と、それが十五年、二十年たって、また使い方もいろいろ経て発火したというような場合、同じ発火という場合でも、買ってすぐそういう発火があれば、先ほどの御指摘のような事実上の推定とかそういったことを論ずる以前に、常識的な判断としても、何かどこかおかしかったのではないかという意味の判断は働くのではないか、こう思われるわけでございます。
○伊東委員 ありがとうございました。 それから次に、製造物の概念のところに移らせていただきます。 「「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。」ということになっておりますが、加工について、前回の審議のときに、冷凍や乾燥は加工とならないというふうにたしかお答えになったのではなかろうかというふうに思うのですが、私の聞き違いでございましたらお許しいただきたいと思います。 私が物の本で調べたところでは、加工とは、製造までには至らないが、動産に対して人為的にその品質、機能を維持、追加ないし強化するためなどに行われる作為をいうというようなことになっておりまして、急速冷凍をしたりとかあるいは人為的に乾燥するというような場合、それも大量にそういうようなことを業として行うというような場合には、やはりその冷凍過程で細菌が混入したりとか、いろいろな事故が生ずる場合がある。現にコレラ・エビ事件、南アフリカかどちらかのエビの事件も報道されております。そういう意味では、冷凍や乾燥を含まないというふうな形で一概に言ってしまうのはいかがなものかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○坂本(導)政府委員 御指摘のように、今回提出しております法律案におきましては、「「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう」という規定になってございまして、加工とは、私どもの理解では、動産を材料としてこれに工作を加え、その本質は保持させつつ、新しい属性を付加し、価値を加えることというふうに解釈しております。 具体的なケースによって考えられますが、先ほどのように乾燥あるいは冷凍ということは加工に該当しないのではないかと考えております。
○伊東委員 先ほど私が申し上げました例のように、業として大量に急速冷凍あるいは急速乾燥して行っている、そしてその過程に細菌が混入するというような場合が皆無とは言えない。そして、それが販売された場合に、これは冷凍だからなんというようなことになってしまうと消費者としては困ってしまうのじゃないかと思うのですが、その辺、全くそれを画一的に扱うのか、ケース・バイ・ケースでやはりその点も考えるのか、ちょっとお答えいただきたいのです。
○坂本(導)政府委員 その大量に、継続的にというところは、必ずしも加工という概念とは直接の関係はないと思います。その加工という概念では、ケース・バイ・ケースによって考えることになろうかと思いますけれども、先ほど申し上げたような、冷凍あるいは乾燥であれば加工に当たらない。ただ、これも具体的などういう製品をどういうふうに扱っているかということで考えなければいけないと考えております。
○伊東委員 次に、血液製剤についての問題に移らせていただきます。 前回の審議の中で自民党の野田議員から、血液製剤を製造物に含めるのは血の通った行政という点から問題ではないかという御指摘がございました。私もこのPL法プロジェクトの一員としてその論議にずっと加わってきたのでございますが、政府の答弁にもございましたように、血液製剤はやはり加工した製造物であるということと、さらには、野田議員は主に政策判断、政治判断としてこれは除外した方がいいのじゃないかというような御指摘だったと思うのですけれども、やはり現にこの輸血に基づく、血液製剤による被害というのが起きている、そしてその被害が非常に少数ではあっても甚大である、体にかかわることで甚大であるということ、あるいはワクチンなどの場合には幼児に大量に発生するというような悲惨さ、そういうことももろもろ勘案した上で、特別に政策判断から血液製剤だけを除外することはよくないということで、通常の判断のもとに製造物としたわけでございますが、その点について何かつけ加えることございましたら、御答弁いただきたいと思います。
○坂本(導)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、この定義の第二項で、欠陥とはどういう状態をいうかということで、「当該製造物の特性」等が掲げられております。したがって、欠陥かどうかという問題は別として、加工された動産に当たるかどうかということでございますと、血液製剤、生ワクチンについても、血液またはウイルス等に加工を加えた製品であることから、いずれも製造物に該当するものと考えております。
○伊東委員 それで、前回の答弁で若干気になったところがございまして、私のメモによりますと、政府の統一見解ということで御答弁がございました。その答弁が出てきた脈絡は、製造物に関する問いに対して欠陥判断に関する御答弁が出てきまして、血液製剤及び生ワクチンについては、血液またはウイルス等に加工を加えた製品であることから、いずれも製造物に含まれ製造物責任法の対象となる、これが原則である。その輸血用血液製剤、全血製剤と血液成分製剤ですが、この欠陥については次のような製品の特性等の事情を総合的に考慮し、判断する必要があるということで、三つほど挙げられたわけでございます。 その一つが、生命の危機に際して使用されるもので、他に代替性がなくて非常に有用性が高いとか、輸血による副作用については警告表示がなされているとか、輸血用の血液製剤は、世界最高水準の安全対策を講じた上で供給されていて、技術的にウイルス感染や免疫反応等による副作用の危険性を完全には排除できない。 したがって、「現在の科学水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による副作用は欠陥に該当しないものと考えている。」というような厚生省の業務局の方の御答弁がございました。 これは私は二つの観点から問題ではないかなというふうに感じたのでございます。一つ目は、この一、二、三という形で挙げられた点、これは一つ一つ反論すれば反論してもいいのですけれども、今はそういう問題じゃなくして、こういった特性の中身というのは、まさしく裁判所がさまざまな訴訟に提出された証拠をもとに判断する中身であって、やはりこういうことを今から行政府の方で統一見解を出すのはいかがなものかというようなことが第一点。 それと、「現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス」というふうに言っているわけですけれども、これもまさしく開発危険の抗弁という形で訴訟で厳しく判断される中身であり、欠陥に該当するかしないかというのは、日進月歩のこういう技術のもとにおいては、こういったような形で断定的に輸血用の血液製剤あるいは生ワクチンは欠陥に該当しないのだという行政府の見解を出すことは、私は、三権分立の建前からいってもおかしいのではなかろうか。このように考えられるのではなかろうかという一つの例示というならわからなくはない。しかし、この審議の段階においてこのような形で断定的に裁判所が決定することをやることは、司法への越権にもなるのじゃないかという気もするわけでございますが、いかがでございましょうか。
○坂本(導)政府委員 先ほどのお尋ねで厚生省薬務局長が答弁した内容は、まさしく先ほどお尋ねのような内容の答弁を申し上げました。 私どもがこういった考え方をとっておりますのは、本法案を提出した政府の立場として今どういう考え方を持っているかということで申し上げたわけでありまして、これはこの問題に限らず、例えば具体的推定の考え方についても期待をしておりますし、そういった面で政府としての考え方、裁判所を拘束するということではなくて、この法案提出に当たっての政府の考え方を申し述べたというふうにお願いしたいと思います。
○伊東委員 といいますと、例えば、現時点では、輸血用の血液製剤、生ワクについてはこのような考え方もとり得るというような、その程度のことというふうに考えてよろしゅうございますか。
○坂本(導)政府委員 前回、厚生省から答弁申し上げましたときも、「現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による副作用は欠陥に該当しないものと考えている。」ということでございまして、現在というところと科学技術の水準というのはいわばリンクして動いていくものでございますので、それは状況によって変わり得るだろうと思います。
○伊東委員 本来なら科学技術の水準の中身も裁判所が判断するものである。だから、行政府としては私はそこまで踏み込むのはいかがなものかという思いでございますが、とにかくそういう考え方もとり得る、裁判所を一切拘束しないということであれば、それはその程度にとどめておきます。 次に、原因究明、さらには紛争処理機関に関してでございますけれども、現在も各業界ごとに、例えば自動車業界では、自動車の欠陥に関しての問題が持ち込まれたときに、その原因を究明する機関がある。家電メーカーでもあるのではなかろうかと思うのです。しかし、それが消費者サイドには一切公表されない、情報がシャットアウトされている。同じような件数がどれぐらいあって、それがどのような原因に基づくものかということが知らされないという問題がございます。 先ほどからの御答弁では、今後、国としても原因究明にかけてはいろいろと予算措置を講じてきちんとやっていきたいということでございますが、現に行われているそういった民間の、しかも製造者側のそういったものに対しての情報公開、これを過渡的措置としてでも行うよう行政指導すべきであるというふうに考えますけれども、いかがでございますでしょうか。
○清川政府委員 伊東委員御指摘のとおり、民間の検査機関といたしまして、例えば、電気製品につきましては財団法人日本品質保証機構あるいは財団法人日本電気用品試験所、石油機器につきましては財団法人日本燃焼器具検査協会など、民間検査機関が各製品分野におきまして原因究明テストを実施しているわけでございます。 これら民間検査機関における製品事故に係る情報の分析結果につきましては、行政、企業、そして消費者、三者それぞれにとりまして、事故の再発防止に向かいまして必要な、重要なものであると考えておりますので、製品事故に係る紛争の円滑かつ適切な解決にも資するものとも考えられます。 そのような意味では、一般的な情報の提供を図りつつ、また個別の原因究明につきましては、情報の公開について幾つか考えなければいけないという点もございます。個々の事案につきましては、当事者のプライバシーあるいは依頼者と当該機関との契約の問題などもございますので、この辺につきましても検討しながら、しかしながら、分析の結果あるいは情報につきましてはなるたけ広く提供されることが望ましいと考えております。
○伊東委員 今現に行われている原因究明に関しての情報が公開されるならば、再発の防止というこの法の目的、なるべく被害を拡大させないという意味からも、それは今すぐでもやっていかなければいけない、非常に緊急性のあることではなかろうかと思うのです。 企業秘密ということもあるかと思いますけれども、今の時代が、消費者重視、生活者重視、本当に企業の社会性ということが問われている今、もう一歩積極的な御答弁をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○清川政府委員 民間におきます個別の原因究明につきまして、これは企業自身で行われている場合もございますし、あるいはまた企業の費用負担で、民間研究機関、検査機関との契約関係のもとで実施されているというものもございます。このような私契約に関するものにつきまして、政府としての介入には難しいものがあるわけでございます。 ただ、紛争の解決につきましては、これは両当事者が関係しているわけでございます。相互に情報が提供されていくことは極めて重要でございます。また、具体的な事案の処理に際しましては、企業からは製品に関する技術情報が積極的に提供されることが期待されますし、他方では、消費者からは製品の使用状況などに関する情報の提供も期待されるところでございます。 このようなことでございますが、しかしながら、先ほど申し上げましたが、基本的に、私契約に基づく原因分析等につきまして、政府としての介入には十分な検討をしながら対応していく必要があると考えます。
○伊東委員 それから、予算措置も含めて、原因究明機関を今後整備していきたいという御答弁が以前からございましたが、これは、自動車とか家電、食品、薬品、こういった主要な製品別に整備していく必要があるというふうに私は思いますし、さらにはこういったところの研究結果、研究というか原因究明した結果を訴訟上もどんどん利用できるシステムが必要じゃないか、そのためにも第三者機関、独立機関として存在させなきゃいけないのじゃないか、そのように考えるわけでございます。 この製品事故、起きた事故に関しては的確な原因を探っていく、そして、今後より被害を少なくしていくという観点から原因究明機関というのは大変重要で、そういう意味の第三者制、独立機関、情報公開、訴訟上利用できるシステムが非常に重要になってくるのじゃなかろうかと思います。この点について、通産大臣あるいは経企庁長官、いかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○清川政府委員 予算など事実に関する部分がございますので、一言先に補足説明させていただきたいと思います。 伊東委員御指摘の予算などにつきましては、補正予算あるいは平成六年度予算におきまして、通産検査所の予算の拡充などに努めているところでございます。 また、行政機関による原因究明と、別に民間の検査機関による原因の分析等があるわけでございますが、政府の関係のものは別としまして、民間検査機関の原因究明につきまして、これの中立性あるいは公平性の問題という点があろうかという御質問の趣旨ではございます。 先ほど申し上げましたように、原因究明につきましては、情報公開という一つの要請と同時に、また、当事者のプライバシー、あるいは依頼者と当事者の契約関係もございますものですから、これにつきましては検討をしながら、しかし、実際問題として、事故情報の提供、これは両当事者からの提供というようなことが極めて重要なことと考えるわけでございます。
○畑国務大臣 ただいま伊東先生の御指摘は、そういった一つの結果が出たことが、この法の趣旨にのっとって、いい意味での広い活用ができるように、そういったお気持ちを述べられたというふうに考えるわけでございまして、私どもにおきましても、ただいま事務段階での懸念材料はございますけれども、物事は前向きに、本法の趣旨にのっとった対応をこれから、公的機関におきましてもあるいは民間サイドにおきましても取り組みをすべきであるという基本的なスタンスの中で物事の対応を進めてまいりたい、こう考えております。
○寺澤国務大臣 委員御指摘のように、調査研究機関というのは、やはり一番大事なのは独立性だと僕は思うのですね。しかも、消費者に対するディスクロージャーというか情報の開示、これに透明性をつける、既存のものをも含めましてそういう方向でやっていくべきであると私も思います。
○伊東委員 次に、紛争処理機関でございます。 こういった消費者被害の問題というのは、弁護士会などが相談をしますと、自動車に関してとか家電についてとか、たくさんいろいろな相談が寄せられますし、消費生活センター、そういったところにも一一〇番等を通じてたくさん被害が寄せられている。だから、裁判に出るのは非常に少ないということが言えるのではないかと思うのですけれども、そういう意味で、非常に身近な紛争処理機関、ここが公平にしかも公正にきちんとした処理をしていく体制をつくっていくということが大変重要なことではなかろうか。 そういう意味で、この法が裁判規範であると同時に行為規範であるという部分も出てきているのではなかろうかと思うのですが、この紛争処理機関については、関係各機関はいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○坂本(導)政府委員 裁判外の紛争処理体制という問題につきましては、御指摘のように、関係審議会の検討の中でも、製品に起因する消費者被害を本当に救済するためには、こういった少額、裁判になじまないような被害について、被害の救済も念頭に置いた解決手段の多様化ということを図る必要がある。そのために、第三者による簡易な紛争処理機関というようなものの整備充実も大事ではないかという指摘がなされているところでございます。 したがいまして、具体的なあり方といたしましては、少額被害等につきましては、例えば広く相対交渉、あるいは地方の消費生活センター、苦情処理委員会等、消費者が身近に利用できる既存の体制の一層の活用を図っていくということも大事でございますし、さらに、こういったところで解決できないような案件も当然ございましょう。そういった場合については、個別のニーズに応じて、個別の製品分野ごとにおのおの専門の知見を持った機関の活用、さらに、そういった機関についていかに中立性、公平性を与えていくかということが重要な課題になると考えておりまして、私どもは、この法案の御審議をお願いしますと同時に、そういった面での体制整備、充実のために努力をしてまいりたいと考えております。
○伊東委員 例えば、建設工事におきましては建設工事紛争審査会とかいうので、仲裁にまでいけるような形の調停機関みたいなのが都道府県等にもありますけれども、こういった消費者被害に関して、各分野かなり専門的である。主要な製品、自動車なら自動車、家電なら家電、非常にメカニズムが高度で専門的である。それに関して、専門家と消費者の代表みたいな方の入ったそういう仲裁制度等を導入していく、そのような方向性についてはいかがでございましょうか。
○坂本(導)政府委員 現在のような行財政事情のもとで新たな機関をどんどんつくっていくことがいいのか悪いのか、これはまた別の角度の問題があろうかと思います。したがいまして、少なくとも私どもといたしましては、大学も含めて、関係各省の既存の機関といったものの機能の充実と横の連携を強化していく必要があろうと思います。 さらに、私どもで言えば、国及び国の地方機関等の消費者相談窓口について、専門家の配置、あるいは原因究明能力を有する機関との連携強化等による相談・あっせん体制の充実を図る、あるいは必要に応じて専門家を地方に派遣する、こういったこともやっていく必要があろうと考えております。
○伊東委員 最後になりましたが、この製造物責任法は、連立内閣になって、本当に消費者重視ということに関して初めできちんとした形で成立しようとしている法ではなかろうかと思います。そういう意味では、両大臣の意気込みのほどを最後にお伺いして、終わりにさせていただきたいと思います。
○畑国務大臣 いわば戦後五十年たちましたお互いの国民生活のありようあるいは産業界のありよう、すべてが一つの区切りをつけまして、新しいスタートをさせなければならない、そういう中にあります消費者サイドに立った一つの画期的な法案である、かような意味合いでの成立を回らせていただきたいと考えております。
○寺澤国務大臣 大量生産・大量消費という現代社会におきまして、製造物から消費者を守る、被害者を守るというこの法の精神にのっとって、今後非常に大事なことは運用だろうと思います。経済企画庁といたしましても、全力を挙げて、成案なりし後はこの法の運用をやっていきたいと思っております。
○伊東委員 どうもありがとうございました。
○玉沢委員長 住博司君。
○住委員 既に何人かの委員が質問に立っているわけで、重複することもありましょうけれども、私自身の認識を深めること、それから確認の意味も含めてお尋ねをしていきたいと思います。率直かつ明快な答弁をまず要望しておきます。 消費者を製品事故から守るためには、何よりも事故の未然防止、再発防止、被害救済が求められますし、行政上の措置や裁判の規範を含む総合的な安全対策が必要だ、こういうふうに私自身も思っています。PL法制化というのは世界の趨勢ですから、そしてまた事故の再発防止、責任の明確化という点をあわせ考えれば、今回の法制化は言ってみれば望ましい方向かな、こういうふうに私自身は感じております。 しかし、これまでさまざまな分野でこの問題についての議論がありました。私も、我が党の経済・物価問題調査会の製造物責任制度に関する小委員会の論戦を振り返ってみますと、幾つかの指摘があったことを記憶しております。例えば、製造者の規模によってはPL法制化によってかなりの負担を生じることになりはしないかとか、また、アメリカのように製造物責任の訴訟提起が一年間で何十万件というような訴訟社会を招くことにならないかなど、いろいろな御議論があったように思います。このことを背景にしながら、きょうはわずかの間ですけれども、質問をさせていただきたいと思います。 まず第一に聞きたいのは、製造物責任の要件に欠陥が挙げられている。欠陥とは、ある物が「通常有すべき安全性を欠いていること」とされていますけれども、どの程度の安全性が通常備えられるべき安全性と言えるのか、その点を伺っておきたいと思います。例え話を入れても結構ですから、どうぞよろしくお願いします。
○坂本(導)政府委員 「通常有すべき安全性」とございますが、実際には個々の製品によってなかなか違いがあるということでございまして、一概にこれこれはと申し上げるわけにはいかないわけでございます。したがいまして、この法律案では、「通常有すべき安全性」を欠いているということを判断する考慮事情として、「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮してこと規定しておりまして、例えば「特性」では、赤ちゃんが使うおもちゃと高度な専門知識をもって当たるような機械というものは違いがございましょうから、これこれと一概に断定できないので、こういった形で表現させていただいております。
○住委員 これは運用でどう見ていくかというようなこともあると思いますので、そこのところはやはりきちんと見ておかなければならないのかな、こう思います。 ただ、私たちの国も今まで、事故の未然防止という観点からすれば、法律上の安全規制義務というのは幾つかの法律の中であると思います。そういうことを考える。それから、安全基準、行政上の措置みたいなものもございました。そこで、こうした国の基準に合致しながら起きてしまう事故、その過失や製品の欠陥もあり得ないことではないのではないかなと私は思うのです。 そのことを考えたときに、今までは、当然、行政規則と民事責任との関係については、今までの過失責任原則においても論じられているところで、要するに行政上の安全規則を製品が満たしていることを理由にして免責にはならないということは争いのないところでありましょうけれども、改めて、国の基準に合致しながら起きた事故における製品の欠陥というのはどういうふうに考えるのかということを伺っておきたいと思います。 同時に、一方、安全基準を設定したり製造承認をした国の責任は一体どうなっていくのだろうか、これはPL法制化によって変わるのであろうか、そのことも含めてお答えをいただきたいと思います。 〔玉沢委員長退席、白川委員長着席〕
○清川政府委員 安全規制に適合した製品の欠陥及び製造物責任法の関係でございますけれども、行政上で決められている製品安全規制、これは製品事故防止を目的としまして、製品の製造・販売に対して充足すべき最低基準を定めた取り締まり法規であるということでございます。また、副次的な効果でございますけれども、企業の製品安全対策あるいは消費者の購入及び使用にかかわる評価のガイドラインとしての意味を持つという点もあろうかと思います。 これに対しまして新たなPL法案は、製品事故が発生した場合の被害救済のためのルールを定めるものでございまして、製品安全規制を代替するわけではなくて、相互に補完するという性質のものでございますので、この両者は意義・目的を異にするというものでございます。 したがいまして、もちろんこの安全規制に適合するあるいは適合しないという点は、規制対象製品の事故に係る損害賠償訴訟の際の欠陥判断における重要な考慮事項の一つではございますけれども、しかしながら、裁判所におきましては、安全規制の基準とされる技術水準、これと製品に係るあらゆる事情を総合的に考慮して判断される、個々の製品の欠陥の有無について問題とされる技術水準と異なるものでございます。 例えば、最高裁の判例がございますけれども、自動車の助手席の背もたれの前倒れ防止装置というものをつける義務がまだなかった当時の判決でございますけれども、メーカー側が保安基準に違反していないということを理由に過失の存在を争った際でございますが、最高裁におきましては、「保安基準は取締規程に過ぎず、保安基準に違反しないことをもって、製造上の過失なしとすることはでき」ない旨の高裁の判決を是認しておりまして、従来の取り扱いにおきましては、この製品安全規制というものは最低の基準を定めた規制であるというふうに位置づけられているわけでございます、 しからば、政府が定めた規制とそれに従って製品をつくった製造業者の責任関係でございますけれども、製造物責任というものは、製造業者が欠陥のある製品を製造して流通させて、そして被害があったか否かという点にあるわけでございまして、そのような製造物を製造して市場に流通させるというところに大きな問題、帰貫性があるわけでございまして、市場に流通させたかどうか、これは最終的には製造業者の判断にかかわってくるわけでございますので、製造物責任の問題は依然として残るわけでございます。 なお、政府の定める規制に従って製品を製造したことによって欠陥が生じた場合、国家賠償法第一条の規定が問題になるということは、もちろんこの国家賠償法第一条の規定に従って、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失」があってこのようなことになったということであれば、国も損害賠償責任を負う可能性はあるものでございます。
○住委員 御丁寧に答弁していただきました。 今回の法案でいわゆる責任期間というのを十年というふうに設定してあるのですけれども、これはどんな根拠で定められたのでしょうか、確認をしておきたいと思います。
○清川政府委員 除斥期間を定めた長期の責任期間の問題でございますけれども、この責任期間の長さにつきましては、一つには、最近の技術革新が大変急速でございまして、安全性に対する社会的な通念も変化をしております。 また、製造物の通常の使用期間・耐用期間といったものも、比較的長期使用されるものにつきましても、平均的な耐用期間は十年程度あるいは使用期間七年程度とあるのは通常のことと言われております。 また、検査記録などの保存期間、あるいは諸外国における立法例も考慮いたしますと、十年とすることが適当であるということで、十年ということとされております。
○住委員 中古の品についてもちょっと聞いておきたいのですけれども、改造や修理というのもあるのでしょうが、もともとの製造者の責任というのは、中古品についてはどういう扱いになるのでしょうか。それから、つくった当時と利用目的が全く違う場合というのはどういう取り扱いになるのでしょうか。そのこともちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
○坂本(導)政府委員 御指摘の中古品でございますが、中古品といえども、「製造又は加工された動産」に該当するという以上は、製造物責任法の対象となります。中古品の場合も、当該製造物を製造または加工した製造業者が当該製造物を引き渡したときに存在した欠陥と相当因果関係のある損害についてのみ損害賠償の責任を負うことになります。 ただし、中古品として売買されていたものについては、以前の使用者の使用状況や改造・修理の状況というものが確認しにくいこと、あるいは中古品販売者による点検、修理や整備などが介在するということも多く、裁判においては、製造業者の責任の有無については、こういった全体の事情を踏まえて慎重に判断されるものと考えております。
○住委員 例えば、これからも新しい製品を開発しなければならない、こういうことがたくさん出てくると思うのですね。そのときには、今までよりも安いものとか、便利なものとか、質のよいものとか、そういった要望にこたえようとするわけですね。しかし、今回の法制化によって製品開発のリスクが大きくなるんだ、あるいは開発に慎重になるんだという指摘があったことを記憶しております。特に資金力や人的資源の弱い中小企業にとって、賠償負担にたえ得るのかとか、あるいは価格転嫁ができるのかといった声もあるのですけれども、その点ほどのようにとらえておられるのでしょうか、そのことをお伺いをしておきたいと思います。
○清川政府委員 新製品の開発意欲の減退、そしてまた中小企業の負担でございますけれども、大企業に比べまして相対的に人的、技術的あるいは資金的に恵まれていない中小企業に対しまして、一つには部品・原材料の製造業者についての抗弁、あるいはまた政府といたしまして、各般の施策によりまして、周知徹底あるいは啓蒙普及啓発活動等々を行うことによりまして、中小企業に対する支援に努めてまいることといたしております。
○住委員 この法律は動いてみないとわからない部分がたくさんあるのだろうと思いますけれども、もう一方で、製造物責任制度が導入された場合は、経済に与える影響というのはどういう程度のものかということを考えておかなきゃならないのです。 私の浅い考えで言えば、これは賠償責任への保険料負担というのがかかってくるんじゃないかな、こう思います。そのときに、物価に与える影響というのはどうなんだろうか、この点試算したことがあるのかということと、どの程度のものになると考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○坂本(導)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、我が国と民事司法制度においてかなりの類似性を持ち、また、本法律案と同様の特色を持っておりますEC指令に基づいて製造物責任制度を導入したEU及びEFTA諸国において見ますと、これまでのところ、製造コスト、保険料あるいは製品開発意欲などにおいて目立った影響はあらわれていないというふうに承知しております。 お尋ねのこの制度が我が国について導入された場合にどうかという非常に難しい点でございますが、現在、既に製造物責任保険制度に入っている企業の方々もかなりおられます。しかし、今入っていない方々も相当おられる。その未加入の方々がこの一年間で仮にみんな保険に加入するという大胆な推計をいたしましても、消費者物価に与える影響は〇・〇〇五%程度というふうに試算されるところでございます、
○住委員 ほとんど影響がないというふうに判断をされているというふうに受けとめておきます。 私どもは、外国からいろいろなものを輸入する国でございますけれども、国によって当然安全規制は異なる。こんなことを言っては失礼かもしれませんけれども、一般的に国内産品よりも輸入品の安全性の確認は困難であることから、なかなかちょっと心配だな、こう思うことがあるのです。 製造物責任制度の導入は、例えば今言った保険料の問題も含めて言えば、輸入を抑制することのはずみ車になりはしないかという指摘があったというふうに覚えております。特に、賠償を履行する能力のある先進国ならまだしも、発展途上国はなかなかそういうことができないから、それらの国々からの輸入品というのはかえって少なくなっていくのではないかという御指摘があったと思いますけれども、その点についてはどのようにとらえておられるのでしょうか、その点もお伺いをしておきたいと思います。
○清川政府委員 発展途上国を中心といたしました輸入に対する影響でございますけれども、一つには、この法律案そのものは西欧諸国と同様の制度、調和のとれた内容のものとなっているという点、また、国産品と輸入品を区別することなく欠陥責任を定めるという点、このような点で共通性があるということによりまして、商品の選別が行われるということはない、平等に扱われるということで、制度としては輸入について悪い影響があらわれることのないようなものとなっていると考えます。 また、実態におきまして、我が国の企業に対する調査をいたしたところでございますけれども、製造物責任の導入によりましてどのようなことを考えるかということでございますが、海外の生産現場での安全性確保体制を強化する、あるいはまた輸入先の保険加入など、損害賠償の履行確保の充実も行うというような努力をするという企業は非常に多かったわけでございますけれども、輸入先を変更する、あるいは輸入を減少する、中止するというような企業は大変少なかったわけでございます。これは、我が国企業が開発途上国にみずから進出して現地製造を行って、日本のマーケットに適した製品を開発輸入してきているということもあるいは大きな要素となっているかもしれませんが、このように、実際上調査したところでは、輸入に対しての阻害ということは大きな要因にならないものと考えられます。
○住委員 個別的な話に移りますけれども、血液製剤の問題について伺っておきたいと思います。 輸血に使われる三種類の血液製剤のうち、血漿分画製剤を除く全血製剤と血液成分製剤は基本的に加工処理せず使われているものだから製造物とは言えない、製造物責任の対象から除外すべきだというのがたしか中央薬事審議会等々の結論であったと思いますけれども、それが法制化の段階で対象に含められることになった。その経過について、もう既に何人かの委員が御質問していると思いますけれども、繰り返しになりますけれども、改めて伺っておきたいと思います。
○矢野説明員 最初この問題について検討しましたのは中央薬事審議会でございますけれども、この場では、今委員のおっしゃったように、そういう理由で製造物責任法の対象にすべきではない、こういうことであったわけです。 ただ、その後の政府部内における検討の中で、こういった輸血用の血液製剤につきましても、保存液とか抗凝固剤を加えておる、あるいはバッグに詰めたまま流通される、こういったことから、やはり加工された動産であるということで、製造物責任法の対象にされたわけでございます。 ただ、欠陥の定義はこれはまた別でございまして、これも先ほどお話がありましたような経緯で、要は製品特性を配慮した欠陥の判断を行う。その結果といたしまして、「現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による副作用は欠陥に該当しない」、こういう政府の考え方が示されたわけでございます。
○住委員 その政府の考え方というのはどういう形でまとめていったのか、その経過をちょっとお伺いさせていただきたい。
○矢野説明員 この輸血用の血液製剤の問題につきましては、献血でもって国内の必要な血液は賄う、こういうことで、昭和三十九年以来、日赤、国、都道府県、関係者が協力して行ってきたわけでございます。そういう中で、ようやく輸血用の血液製剤ですとか凝固因子製剤について国内自給が達成される、こういうことで、ようやく成果が上がってきたわけでございます。 したがいまして、今回、製造物責任法の立法に当たりまして、こういった血液事業の安定供給に支障が生じるのではないか、こういう不安というのが日赤関係者あるいは医療関係者を中心に非常に高まったわけでございます。 そこで、私どもとしましては、製造物の範囲に該当する、こういうことは製造物の定義からしてやむを得ないといいますか当然であるといたしましても、こういった血液事業の安定供給に支障を生じることのないようにということでこの問題について対応したということでございます。 そういう中で欠陥の定義規定が設けられたわけでございまして、これを具体的に血液製剤について当てはめますと、先ほど来申し上げているようなことで、「現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による副作用は欠陥に該当しない」、こういう考え方を政府全体としてまとめたわけでございます。こういうことによりまして、要はPL法の導入に伴いまして輸血用の血液製剤の安定供給に支障が生じないように、こういうことになろうかと判断しております。
○住委員 そうしますと、今、血液製剤をめぐる事故の発生率というのはどれくらいあるのですか。それから、輸血患者でよく言われる肝炎の話がありますね、これはどれぐらいの発生率になっているのかも含めてお聞かせをいただきたいし、そういったことによる訴訟というのはあるのでしょうか。 それは今話題にもなっておるようですけれども、そんなことを考えて、例えば今統一見解をまとめたのだとすれば、何でわざわざそうやって組み入れていかなければならないのかという議論にも立ち至るし、あるいは言ってみれば免責事項みたいなものをつくるとすれば、本来のPL法制化の意味合いとはまた違ってくるのではないかというふうに考えますけれども、どうでしょうか。
○矢野説明員 まず、事故の発生でございますけれども、これは各種の検査とか問診を世界最高レベルの水準で実施しておるわけでございますけれども、現在の科学水準のもとではどうしても完全に危険性を除去できない、こういう実態にあるわけでございます。 ただ、最近、検査法等も随分新しく開発された、充実をしてきたということで、昔と比べますと減っておりますけれども、まだ一%程度の肝炎、非A非B型の肝炎と言われておりますけれども、一%ぐらいあるのではないか。その中でC型肝炎というのが〇・二%ぐらいの割合で発生するのではないか、こういう研究結果などがございます。数でいいますと、C型肝炎は二千人から三千人ぐらいの患者が年間発生しておるんじゃないか、こう見られておるわけでございます。 それから、裁判でございますけれども、これは、献血事業の主体として日赤自体が訴えられておる、こういう裁判は今のところございません。幾つかの裁判がございますけれども、これはいずれも病院が訴えられておりまして、そういった面液製剤の使い方が適切さを欠いていたんじゃないか、こういう理由で病院が訴えられている、こういうのが幾つかあるということは伺っております。 それから最後に、こういった形で免責、つまり欠陥の定義、欠陥に該当しないという形で免責規定を設ける、自主的にそういう規定を設けるというのはおかしいじゃないか、こういうお話かと思いますけれども、これはやはり製造物の定義というのが法律上あるわけでございますし、例外はなるべく設けるべきではない、こういう御意見も強いわけでございますし、それから何よりも、輸血用の血液製剤につきましても、先ほどから申し上げているような、いろいろな薬液を加えるとかバッグに詰められたまま流通する、こういった加工が行われている、これは紛れもない事実でございますので、製造物の定義自体から外してしまうということはやはり適当ではないのじゃないか、こう判断した次第でございます。
○住委員 これは生ワクチンも同じ考え方だというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○矢野説明員 生ワクチンも同様でございます。これはいろいろな工程を経て製造されているわけでございまして、具体的に言いますと、ウイルスとか細菌を用いまして、これを培養して増産をする、それに安定剤等の添加をしたり、あるいは凍結乾燥をする、こういった各種の工程を経て製造されておるわけでございます。もちろんその生きた細菌、生きたウイルスそのものの能力を医薬品として利用しておる、こういうことではございますけれども、そういった加工工種を経ておる、こういうことから、やはり製造物に該当するということでございます。 ただ、これも、欠陥につきましては、製品の特性その他諸般の事情を総合的に考慮した上で欠陥の有無が判断されることとなる、こういうことでございますので、副作用があるからといって直ちに欠陥がある、こういうことにはならないんじゃないか、こう考えております。
○住委員 先ほどからお伺いをしていますと、例えば血液製剤の場合には、もちろんかわりがきくものじゃないですよね、それから副作用や感染の危険性が完全になくなるというものでもないということだから、いろいろと統一見解をつくって免責にしてある、こういうことなんでしょう。しかし、これからいろいろなことを考えていくと、血液製剤に限らないかもしれませんが、こういう問題による被害というのは避け得ないということになる。そうすると、それに対する補償、救済というのは、これは裁判に訴えていくしかないというふうに今のところ考えておられるんでしょうか、そのことをちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
○矢野説明員 この輸血用の血液製剤というのは、これは命を救うためには使わざるを得ない、こういうことでございます。ほかに代替する治療方法もない。一方では、幾ら念を入れて最高水準のチェックをいたしましても、完全にウイルス等の混入を排除できない、あるいは副作用もどうしても防げない、こういう非常にジレンマにあるわけでございます。 したがいまして、この被害者の方々は、非常にお気の毒でありますけれども、そういった事柄を総合的に考えますと、これはやむを得ないといいますか、まあ受忍の範囲内ではなかろうか、こういう考え方をとっております。
○住委員 受忍の範囲内かどうかというのは、これはまた別途、別の場所で議論をさせていただくことになると思いますが、今も訴訟の話をしましたけれども、この製造物責任の法制化は、言ってみれば一つの裁判規範になって、過失から欠陥というようなことで随分変わるんだろうな、こう思うのですけれども、例えば裁判以外の日常の紛争解決の規範というんでしょうか、これにも重要な役割を果たしていくことが考えられる。 しかし、これによって、例えば使う側の信じられない誤使用が容認されたり、あるいは安全意識の低下による事故とか、あるいはクレームが増大するとか、そういったことは起き得ないのだろうか、そういうふうに考えるのですけれども、その点ほどうかということ。 それから、よくいろいろな形で暴力的な威迫行為、これを伴う悪意のクレームというのが増加するのではないか、こういうおそれもなきにしもあらずではないかと思うのですけれども、それについてはどうお考えになっているのか伺っておきたいと思います。
○坂本(導)政府委員 この法律では、定義として、欠陥を「当該製造物が通常有すべき安全性を欠いている」。この考え方は、特定の消費者、私なら私が考えるということではなくて、合理的な使用という考え方でございます。 したがって、そういう観点から、いろいろなクレームが増加するとすれば、単にその被害者の使用の問題から生じた場合には、本来この法律で考えている対象ではないわけでございますので、まず全体的にはこの法律の趣旨を消費者に対してあるいは企業に対しても周知徹底させるということが必要であろうかと考えております。 そしてまた、個々具体的に、今御指摘のようなモラルリスクを生ずるおそれもあるわけでございますから、そのためにも消費者教育が必要である。 しかし、さらに、例えば暴力的行為ということが全く考えられないわけでもない。こういった場合には、企業として毅然とした態度をとっていただくと同時に、警察当局との連携もとっていただく必要があろうと考えております。 ただ、一点つけ加えさせていただきたいと存じますのは、この法律は、テレビならテレビ、当該製品の欠陥だけではなくて、当該製品の欠陥によって拡大損害が生じた場合ということでございますから、このテレビだけがおかしいというようなクレームは、この法律の段階で対象とならないということだけ御理解いただきたいと存じます。
○住委員 まさにこの法律はそういう意味を持っているんですよということが相当大きな広い範囲でわかってもらわないと、言ってみればいちゃもんをつけるというんでしょうかね、おれのところのこれはこういうふうになった、おまえのところの製品に欠陥があるからじゃないか、訴えてやるぞみたいなやり方でおどされないとも限らない、そういう心配がやはり出てくるだろう、新しい法律だから。 先ほども畑大臣が大変な意欲を持って、決意を持って御答弁なさっておられましたけれども、それだけの新しい法律で、つまり消費者保護のためにはこれは大事な法律ですよ、新しい法律ができましたよ、これだけが前面に出てまいりますと、本当によく内容がわかっていかない。よく聞いてみますと、きょうの話も、この法律ができることによって何もかも責任が問われるというような話ではなくて、いろいろなことがちゃんと証明されなければそれは立証できないといったぐいの話だと私は思うのですね。そういうことから考えれば、よほどのきちんとした周知徹底をしていかなければいけないのではないか、その点をぜひ配慮していただきたいということを私は申し添えておきたいと思います。 そしてもう一つ、冒頭にも述べましたけれども、よくアメリカみたいになっちゃうんだ、一年間に五十万件だなんていうこの製造物責任をめぐる訴訟が起きるんだ、日本も同じように濫訴が起きるんじゃないのかというような御指摘があるように思うのですけれども、これは例えば先進的なところでいえば、ECもそうでしょうし、それからアメリカもそうだ、一体我々はどっちの国に近いのかな、どっちの地域に近いのかなということも含めて私たちは考えておかなきゃいけないと思うのですけれども、今の時点でどういうふうにこの問題をとらえておられるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
○坂本(導)政府委員 御指摘のように、アメリカでは濫訴になって保険危機等を招いているということは私どもも承知しております。ただ、先ほど来御答弁がございましたように、アメリカの司法制度あるいは裁判制度というものの特殊性がございます。弁護士の成功報酬制度、あるいは懲罰的な賠償制度、陪審制度。したがいまして、我が国においてこの法律案によってアメリカのようになることはまず考えられないだろう。 また、この法律案の中身は、我が国と同じような司法制度をとっているEC諸国並みの内容となってございます。そのEC諸国においてPL法が導入されたことによって特に大きな問題は生じていないと聞いておりますので、我が国の場合もECと同様のことを考えているということでございます。
○住委員 きょうはPL法制化についての質問をさせていただきました。私も、これは今までずっといろいろな議論をしてきて、大変重要な意味を持つ法律だと思います。ですから、この法律の趣旨が徹底されまして、そして消費者のために非常によく利用されますように、そのことを政府としてきちんと対策をとっていただきたいことをお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 〔白川委員長退席、玉沢委員長着席〕
○玉沢委員長 西村眞悟君。
○西村委員 西村眞悟です。 大臣、まず冒頭にお伝えしておきたいと思うのですが、本日午前中に公聴会がございまして、充実した、そして積極的な公聴会でございました。特に加藤一郎先生には、本法案には欠陥がないというふうな冒頭の御意見をいただき、また、実務家であられる中坊公平先生には、みずからが担当され苦労された森永砒素ミルク中毒事件の体験を踏まえて、あの当時にこの製造物責任法があればあのような悲惨な長期化はなかったと思うと心が痛む、その意味で最後の締めくくりとして、この法案が提出された以上はどうしても通していただきたいというふうな御意見をいただいております。これをまずお伝えしておきまして、質問に入らせていただきます。 今までのいろいろな委員の先生方から質疑応答がございました。私は屋上屋を重ねることはせずに、民法の我が国の法体系という観点から、二つだけ質問をさせていただきたいと思います。 言うまでもなく我が国は民法の法体系を持っておりまして、それは法的安定性にも寄与するし、そしてまた、そのもとで判例が集積してきております。この当該法案、製造物責任法案もこの法体系との整合性という観点から見ていく必要もあるのではないかと思います。 そこで、いつも問題になる推定規定でございますけれども、そもそも我が国の既にある体系上、要件事実について推定を設けてその存否を決めるというふうな法律が果たして体系上整合するのか否か、この点について御意見をいただきたいと思います。
○塩谷政府委員 製品の欠陥に起因する損害について製造者等に対して賠償を請求するための要件事実でございますが、一つは流通開始時に製品に欠陥が存在したこと、二つは損害が発生したこと、三つは流通開始時の欠陥と損害との間に因果関係があることであります。これらの要件事実につきましては、権利の発生を主張する者が具体的な権利発生事実を主張・立証するというのが我が国の民事訴訟の通常の原則であるというふうに承知をしております。 この原則に対しまして推定規定を置くという考え方が示されておりますが、これにつきましては、先ほど来御議論がありますように、一つは、一般の不法行為や過失を要件としない賠償責任を課しているさまざまな特別立法においても、権利根拠規定に係る要件事実について法律上の推定は置かれておりません。製造物責任において権利根拠規定について法律上の推定を行うとすれば、不法行為全体の体系のバランスがとれなくなる可能性がございます。 二つは、製品の欠陥に基づく被害の発生には製品特性等を反映いたしましてさまざまな態様がありますが、被害の性質や被害発生の態様のいかんにかかわらず、制度上、同じ要件のもとで製造者に証明責任を転換して、欠陥や因果関係の存否が不明であった場合の不利益を製造者にこうむらせることは妥当でないなどというふうに考えております。
○西村委員 いずれにしても、消費者の方々から、特に推定規定が保護か非保護か、この法律の特徴のメルクマールのように言われておるのですが、判例の集積上そのような運用はなされるはずがない、私はこのように思っておるのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
○升田説明員 立証責任の原則は先ほど経済企画庁の方からお答えいたしましたとおりでございますが、実際上それではどういうことによって運用されているのかということになりますけれども、これは、個々の事案におきまして、個々の事故の態様、あるいは製品の種類、あるいは証拠の内容、証拠の偏在状況等さまざまな事情が考慮されまして、事案に即して、まさに事案に即して欠陥あるいは因果関係といったものの認定が行われることになるわけでございます。 その場合に、裁判上さまざまな手法というものがございまして、御指摘のような事実上の推定というものもございますし、あるいは経験則を利用する、あるいはいろいろな事実を総合して認定するというようなやり方もございますし、また、一部では間接反証といった考え方も提案されております。 いずれにしましても、事案に即した公平な被害者の立証負担の軽減が図られていくということはございますけれども、それ以上に何か積極的に法律上規定しなければいけないということにはなっておりませんし、また、判例上、そういった個々の事案を捨象いたしまして一定の原則が現在までできているという状況にはございませんということでございます。
○西村委員 問題をちょっと変えますけれども、概念についてちょっとお尋ねいたします。 製造物という概念、また、欠陥という概念がこの法律の一つの大きな柱でございますけれども、血液製剤等の議論を聞いておりますと、欠陥に該当するか否かの議論と製造物に該当するか否かの議論がどうも混線しているような感じがする場合がございます。先ほどの厚生省の課長からの御答弁でそれは非常に明確に指摘されておったと思うのですけれども、念のためお聞きしておきますが、例えば、製造物という概念には該当するんだと、しかし、これは余り製造物責任法理で判断され得べきものではないというふうな一つの政策的判断等があったといたしまして、その概念には該当するけれども、本件、この物については特別除外すると。このような製造物責任法という法律を制定する場合に、このような操作をして果たして体系上合理的なものか。こういうふうな法体系を認めてしまった日本の法というものは、小さな問題ではございますけれども、全体的に見てやはり整合性はなくなるのではないか、このような疑問を持つのですが、この点についてひとつ御意見をお聞かせください。
○坂本(導)政府委員 この法律の第二条で、「「製造物」とは、製造又は加工された動産」と定義されております。したがって、「製造又は加工」に血液製剤が該当するか否かであろうかと考えます。そして、血液製剤につきましては、血液に加工を加えた製品であるということから、この第二条第一項の定義の「加工された動産」の対象にはなるというふうに考えております。 また第二の、それでは欠陥に当たるかどうかということで、委員は、政策的な配慮は整合性がとれないのではないかという御指摘もあったと思いますが、政策的判断ということではなくて、そこにございますように、「「欠陥」とは、」「通常有すべき安全性を欠いている」、その場合の考慮事情として「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期」、ここをどのように解釈するかということになろうかと思います。 この解釈の点につきまして、私ども政府といたしましては、先ほど来厚生省が申し述べましたような、血液製剤の特性というような、その他の事情もすべて総合的に考慮すると欠陥に該当することはないものと考えておりますが、これは政策的に検討ということではなくて、法文の解釈として血液製剤の特性等をどう考えるかという観点からの問題でございます。
○西村委員 よくわかりました。ありがとうございます。 この法案、冒頭申し上げたように、中坊公平先生のおっしゃったことではありませんが、やはり我々はこの国会でこの法案を成立させる国民に対する責務を負っていると思いますしかれども、結局は法は法なきを期すのでありまして、この法律によってすべて裁判で決着をつけさせるということが目的ではございません。そのような考え方ではなくて、法は法なきを期す。やはりこの法律成立と同時に、この法律と共同して、事前に事故を防止する、そして事故の原因を究明する、このような機関の整備がどうしても必要ではないかと思っております。これによって、この法律の究極の目的である「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展」が得られるものと思っておりますので、この点、大臣、よろしくお願いいたします。
○畑国務大臣 御指摘がございましたとおり、法の精神の中にもございますように、私どもの与えられた立場にございましては、再発防止あるいは未然防止、そういうことにつきましても同時並行的な行政展開を強力に推進をしていかなければならない。そしてまた、正しく国民各界各層の方々に周知徹底を図ることもこれまた大きな責務であろう、かように受けとめさせていただいておる次第でございます。
○寺澤国務大臣 委員御指摘のとおりだと思います。法の精神にのっとって、政府としても一生懸命にその運用に努めたいと思います。
○西村委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。 これで質問を終わります。
○玉沢委員長 吉井英勝君。
○吉井委員 私は、せんだっての六月三日に続いて、まず推定規定の問題から質問に入りたいと思います。 私も土曜、日曜と大阪へ戻っておりまして、生協その他私の知り合いの消費者団体、消費者保護の運動に携わっている方とか、それから「欠陥商品一一〇番」を初めとしてこうしたことに当たっておられる弁護士会やまた個々の単位の法律事務所などにも伺っていろいろ御意見その他聞いてまいりましたが、さまざまな相談が今持ち込まれております。 例えば、大阪で四月に二日間行われた「欠陥商品一一〇番」だけでも、電気で三十七件、自動車の二十四件を含めて、百二十一件の相談がありました。こういう相談事も、かなりいろいろ具体的にお聞きしましたが、そのうちの一例を御紹介すると、例えば一階でテレビを見ていてテレビが故障した、仕方がないから二階へ上がって二階のテレビを見ている間に一階の故障したテレビから発火をした、煙が充満して娘さんが一酸化炭素中毒で亡くなったという不幸な出来事がありました。 ところが、三月のあの大阪地裁のテレビの判決の場合、あの被害が起こったのも私の選挙区の大阪の八尾市というところなのですが、このときは目撃証人がいたということで、事実上強く推定されるとして原告の太子建設工業の方が勝ったわけでありますが、今の場合は残念ながら目撃証人がいないということで、推定規定のないもとでは実は非常に大変なのです。 それで、メーカー側の方は、それは放火犯人が家に入り込んで放火した可能性だってあるということを言い出しますね。そうすると、放火でないということの証明をせよということになるわけです。こういった調子で、次々に他の火災原因として考え得るものを出してくる。被害者はその一つ一つについて道理のないものであると証明して、退けていかないといけないわけですよ。 消防の実況見分などからして、テレビが出火場所であるという場合、推定規定があれば、メーカー側は、どうしてもそれが違うと言いたいときは、原因はテレビでないとみずから証明をしなければだめだし、証明し切れない場合には、それで被害者が救済されるということになるわけですね。つまりメーカー側に立証責任が置かれるわけです。 被害者とメーカーというのは、資金力の面でも、情報量の面でも、科学技術の知識などあらゆる面で対等の立場に立っていないということは明白です。その中で、これまで被害者側の泣き寝入りが非常に多かったというところから、今度のPL法をつくるということになってきたというのがこの間の経過であるというふうに私は思うわけであります。 ですから、被害者と製造業者との間の立証負担の公平が確保されることになるかどうか、ここにある意味では根本問題の一つがあると思うのです。そういう点で、推定規定の導入というものがどうしても必要なものだと私は思いますが、この点についての大臣の見解をまず改めて問いたいと思います。
○升田説明員 御指摘の推定規定と申しますと、本法律案のいろいろな検討の段階でさまざまな立法の諸提案を参考にしたわけですけれども、そういった諸提案の中には、欠陥、因果関係、あるいは欠陥の存在時期に関する推定規定を提案しているものがございます。しかし、本法案におきましてこの推定規定を設けなかったのはさまざまな問題点があったからでございます。 すなわち、まず欠陥などの事実の立証につきましては、本来、個々の製品の特性、事故の態様等多くの事情が関係しているものでございまして、個々の事案の相違という点を捨象いたしまして、法律上一律に一定の事実からこれらの事実を推定するということになりますと、委員御指摘の被害者の立証負担の軽減という目的を超えてしまうおそれがあるということがございます。 また、個々の事案ごとの事情を問わずに、一般的に欠陥あるいは因果関係などの存在を推定するというためには、それぞれの相当の経験則が必要であろうかと思われるわけでございますけれども、そういった経験則が存在しないということ。 さらには、そういった推定規定を設けるということは、現在の過失責任のもとにおきます不法行為の一般の体系を混乱させかねないということがございます。 さらには、被害者の立証負担につきましては、個々の事案の内容に即しまして事実上の推定などの工夫を利用することによりまして、適切かつ公平な立証負担の軽減というものが実務上行われておりますし、また、今後もそういうことを期待できるということがございます。 それから、欠陥あるいは因果関係の推定規定につきまして、諸外国、特にヨーロッパなどの状況を見ますと、諸外国におきまして採用されていないということがございます。 さらに申し上げますと、今推定規定と申し上げておりますのは、抽象的な推定規定という議論になっておりますけれども、それぞれの提案になっております推定規定におきましては、推定の前提となる事実というものがございますけれども、そういう前提事実がややあいまいな事実でございまして、そういった事実から推定をするということは問題が多いといった事情から、推定規定を採用しないということに至ったわけでございます。
○吉井委員 これはせっかく消費者被害の救済、保護という立場に立ちながら、その考え方というのは実はその立場に立っていないというふうに私は思うのですよ。製造者と被害者との公平のために、証明負担の軽減ということはどうしても必要だと私は思うのですよね。 このことは十三次国生審でも指摘されているところでありますが、日本の場合には、まず、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどには存在して日本にないものでは、証拠開示がないわけですね。 それから、ドイツ、フランスにあって日本にないものとしては、鑑定制度の活用などによって、ドイツ、フランスはこれはあるわけですが、事実上の推定等によって裁判官による被害者の証明負担の軽減ということがあるわけですが、日本はこれがない。 それから、今ヨーロッパでもないようなお話がありましたけれども、欧米では証拠の優越ですね、五一%証明と言われている。これは立証責任は優越性の証明でよいということになっているが、日本はこれでは不十分だ。 こういうことがあるなど、やはり推定規定を設けなかったならば、これは本当に情報量その他にしても弱い立場にある被害者の側がそれを証明して争うということは大変な困難を伴うわけで、せっかくこの法律をつくるからにはやはりそこへ進んでいかないと十分に意を達せられないと私は思うのです。 私は、これと関係してくるのは第一条の「目的」だと思うのですね。「国民経済の健全な発展に寄与する」という、いわゆる公害基本法で問題になった経済との調和条項を入れてしまったために、被害者保護ということをうたいながらも、その目的に反して推定規定をとらない、こういう結果になってきているのじゃないかと思うのです。 私は、この点でも、この推定規定ということを考えても、やはり目的の中から、この経済との調和条項に当たる「国民経済の健全な発展に寄与」という部分は削除する、そして本当に消費者保護という立場に立ち切るということがこの法の目的に合ったものだと思うのですが、目的の部分はひとつ大臣の方から答弁いただきたいと思います。
○坂本(導)政府委員 委員のお尋ねは、法律上の推定規定どこの目的規定を関連させてのお尋ねでございますが、法律上の推定規定を入れなかったことにつきましては、先ほど法務省から答弁申し上げたとおりでございます。 この目的規定で、「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展」ということが産業との調和条項ではないかというお尋ねでございますが、ここは、被害者の保護を図り、そのことが、またこの法律ができることによって、より企業は安全性の高い商品を供給することが期待され、また、我が国のこの法案とECの立法はほぼ同程度の内容になっておりますので、そういった意味で国際的な経済との調和も図れるということになりますので、そういったことを念頭に置いてこの規定が入れられているわけでございます。
○吉井委員 そもそもこのPL法においてその目的とするところは、被害者の救済、消費者保護であって、私は、経済との調和という、これはもう既に前回議論しておりますから次の論点に入るために置いておきますが、それは全くこの法の趣旨に照らして不必要なものを入れているということを指摘して、次へ行きたいと思います。 次は欠陥の定義の問題ですが、何をもって欠陥とするか、その定義について、法律案では、特性、使用形態、引き渡した時期の三点の例示に続いて、「その他の当該製造物に係る事情を考慮」することにしておりますが、ここで言うその他の事情とは具体的に何を指すのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
○坂本(導)政府委員 ここでは「当該製造物が通常有すべき安全性を欠いている」ということを欠陥と定義しておりまして、その欠陥を考慮する際に、「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期」を三つ具体的に述べまして、その上で「その他の当該製造物に係る事情を考慮して」とございます。 したがいまして、ここで言いますところのその他の事情はすべての事情を考慮するということでございますが、例えば、危険の明白さ、あるいは製品のばらつき状況、あるいは天災地変等もろもろの事情が考えられます。すべてを含むということでございます。
○吉井委員 国生審の報告によりますと、欠陥の判断の基準ないし要素について、EC指令が例示しているもの以外に例示するように求めて、具体的には、一つは製品の効用・有用性、二つ目に製品の価格対効果、三つ目に技術的実現可能性、四つ目に被害発生の蓋然性とその程度、五つ目に使用者による損害発生防止の可能性、六つ目に製品の通常使用期間・耐用期間などを挙げております。これはウェイトの危険効用基準の定式を持ち込んでいるものではないかとも思われるわけですが、いずれにしてもこういう六項目を挙げております。 今改めて確認しておきたいのは、その他の事情には、今指摘した六項目は含まれないと解釈していいですか。
○清川政府委員 欠陥の定義の条文、第二条におきまして、「当該製造物の特性」「その通常予見される使用形態」、それから「引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情」という概念で整理をいたしているわけでございます。 その他の事情につきましては、この三要素以外にもあらゆる事情があるということで、その他の事情。この書き方によりますと、すべてを含めてその他の事情ということになりますので、その他の事情というのは、この例示を含めて、すべての事柄を含むということを言っているわけでございます。
○吉井委員 今の例示を含めてすべてと言い出すと、すべてとは何か。ですから、今指摘したような六項目は、それでは含まれるという立場ですか、含まれないと解釈していいのですか。
○清川政府委員 先ほどの六項目につきましては、それぞれ「製造物の特性」あるいは「通常予見される使用形態」、そしてまた「引き渡した時期」の中に具体的には含まれるわけでございますが、法文の書き方でございますけれども、その他の事情という概念、これはすべてを含むという網羅的な概念を示しているわけでございまして、この六項目も結果的には含まれるわけでございます。
○吉井委員 六項目が今含まれるというお話です。表現上は非常にあいまいなんですが、結局これは、この三つの例示を含めて国生審の指摘した内容、明確に言えば産業界の要求は全部盛り込んだ、それで表現上は少しあいまいにした玉虫色の規定、こういうふうに理解をせざるを得ないと思うのですが、私はこの規定というのは、国生審の報告で言う「欠陥概念を可能な限り明確化することが望ましい。」という産業界の要求にこたえて、欠陥概念を可能な限り狭くしたもの、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。法文上は非 常にグレーな規定といいますか、玉虫色といいますか、あいまいな形なんだが、しかし、今おっしゃった答弁からすると、この六項目は全部含まれるんだ、つまり欠陥概念を極めて限定的に定義をして、救済へのハードルを高くしている、こういうふうに言わざるを得ないと思うのですが、この点ほどうなんですか。
○坂本(導)政府委員 ただいま国生審の御指摘がございましたが、国民生活審議会では委員言われたような表現になっております。しかし、国民生活審議会は関係各界の学識経験者にお集まりいただいた会でございまして、産業界寄りであると決めつけるということには全くならないであろうと考えております。 そして、この中で今回具体的に「当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期」、三つを具体的に例示しておりますが、これは個々の事案によって非常に事情は異なろうと思います。そこで個々の事案において共通性を持ったものを三つ例示として挙げているわけでございまして、具体的な個々の事案の判断に当たっては、これ以外の事項もそれぞれウエートを異にしつつ判断されていくべきものと考えます。 〔玉沢委員長退席、白川委員長着席〕
○吉井委員 国生審のメンバーの構成がどのようなものであるかは私もわかっているわけですが、しかし同時に、産業界の方たちのこれまでの議論の経過というのも、もちろん他の報告書を読んでわかっているつもりであります。 それで、この法律というのはもともと消費者の欠陥商品による被害の救済、消費者保護というところから始まっているのに、救済へのハードルを高くしてしまう、欠陥というものを極めて限定的に定義してしまう、こういうことになってくると、私は、せっかくこの法をつくろうとしながら、仏つくって魂を抜くと言いますか、そういうことになってしまうと思うのですよ。この規定はそういう点で灰色の規定だと思うのですが、消費者被害の救済というこの法の原点に立ち返って考えるならば、私は、原案のような欠陥の定義を改めて、消費者期待基準に基づいた欠陥の定義に改めていくべきじゃないか、やはりそういうふうに考え直すべきだと思うのですが、この点は、大臣、どうでしょうか。
○坂本(導)政府委員 まず第一条の「目的」のところで「被害者の保護を図りこということで、消費者よりも広い概念になっております。まずここは御理解いただきたいと存じます。 それから、消費者の利益期待というのは個々の主観で判断される可能性があります。ここで専ら申し上げておりますのは、「当該製造物が通常有すべき安全性」という考え方でございます。
○吉井委員 消費者期待基準に基づいた欠陥の定義、そこのところは私はやはりきちっとはっきりさせた方がいいと思うのです。どうですか。
○坂本(導)政府委員 ただいま申し上げましたように、第一条で「被害者の保護を図りこと、そして第二条で定義をしておりますが、消費者ではなくて被害者が第一条の目的規定になっております。これは直接の消費者でなくても被害者になり得るからということでございます。定義規定は先ほど申し述べたとおりでございます。
○吉井委員 これは消費して被害が生まれるわけなんですよ。もともとどういう経過を経てこのPL法をつくろうということになってきたのか、このことを考えてみれば、あなたの今のお話は全くへ理屈にすぎないと私は思います。 大体、長い間消費者の皆さんがいろいろな被害を受けて泣き寝入りをしてきた、その消費者の被害の救済からまさに消費者保護、そういう観点でつくられてきたものでありますから、それを今のようなお話にすりかえるというのはとんでもないことだ、許せないことだと思います。 次に、経企庁の立場は、そういう点では消費者の立場に立っているのかどうか、私は今のお話を聞いておって甚だ疑問に思いました。 さらに、五条に定める「期間の制限」について伺ってみたいのですが、民法では二十年となっておりますが、この法律案では「製造物を引き渡した時から十年を経過したとき」と期間を半分に短縮しております。その理由は何ですか。
○清川政府委員 期間の制限でございますけれども、期間の制限を置く理由そのものは、不法行為におきまして無制限に損害賠償が提起されるという問題と法的安定性という関係から、長期の期間制限が定められているわけでございます。 この期間制限につきまして、今回、産業構造審議会あるいは国民生活審議会を初めとして議論をしていただいたわけでございますけれども、一つには、最近の技術革新の急速な進展、これによりまして安全性に対する社会的な通念が急速に変化をしていることに加えまして、製造物の通常の使用期間あるいは耐用期間というものが、比較的長期に使用されるものであっても、平均的な耐用期間は十年程度あるいは使用期間は七年程度であるということ。 そしてまた、検査記録等を保存しておく必要がございますが、こういった検査記録を保存しておくということの負担。 そしてまた、諸外国の立法例でございますけれども、EC指令におきましても十年とありますように、諸外国における立法例も十年ということでございますので、このようなことを勘案して十年であることが適当であるとされたわけでございます。 なお、しかしながら、製造物の欠陥に起因する損害の中で、身体に蓄積するいわゆる蓄積損害、あるいは一定の潜伐期間を経た上で出てくるような損害、このような損害もございます。このような損害を考えますと、製造物の通常の使用期間を一つの前提として十年のままといたしますと、被害者保護の面から必ずしも適当ではないということもございまして、本法では、このような損害の場合につきましては、例外的に責任期間の起算点を「損害が生じた時」としまして、救済を図ることとしているわけでございます。
○吉井委員 今のお話なんですが、要するに国生審の報告などで、EC指令が十年になっているので、国際的な調和の観点から十年にすると述べておりますし、今の答弁も大体そういう趣旨なんですよね。産業界も、資料の保存が大変なので十年にすべきだ、こういう要求を出しておりました。そういうのを私も産業界の報告書等で読んでおります。 政府の態度が私はここで問われると思うのですよ。そういう産業政策なり経済政策で考えているわけじゃないのですよね、今の場合は。そういう法律とは違ったものとして今度の法律というのは考えているわけです。そのとき、この産業界の求めているものを基準にして、それに合致するものは取り入れるけれども、合致しないものは、例えば流通開始時の欠陥の推定などは、外国で立法例が存在していても取り入れようとしない、消費者被害の救済を軽視しているものになっているということを言わざるを得ないと思うわけです。 この出発点が、法律の目的は消費者被害の救済というところにある、それを考えていると言いながらも、やはり経済との調和条項に傾いてしまっていっている。それが責任期間は二十年にしないで十年にしたという、私は根底的にそこがあるのじゃないかと思うのですよ。 私は、ここはやはり大臣として政治的決断といいますか、責任期間はやはり消費者の被害救済、消費者保護という立場に立って二十年に、これは民法と合わせた考え方に改めよう、そういう決断というものを大臣としてやってもらう必要があると思うのですが、大臣、どうでしょうか。
○清川政府委員 委員御指摘の点のほかに、私申し上げましたけれども、最近の技術革新が非常に急速でございまして、製造物の安全性に関する社会的な通念、これも変化をいたしております。あるいはまた、製造物の通常の使用期間あるいは耐用期間、こういったものも実態として十年程度でございます。このようなことのほかに、諸外国における立法例を踏まえましても十年程度ということでございまして、実態的な状況、そしてまた制度の国際的な調和といった問題も含めまして、十年ということが適切であるという御答申を得ているわけでございます。
○吉井委員 商品の耐用期間が十年が多いとか、そういうことは私は基準にするべきものじゃないと思うのですよ。それはデザインの変更その他でどんどんどんどん変わるでしょう。しかし、製造物について二十年責任を持つ、それは消費者保護の立場から当然のことじゃありませんか。それを何ですか、あなたのお話を聞いていると、技術革新が進んでモデルチェンジをやったり耐用期間が十年という、その辺を考えたら十年で当たり前のようなことをおっしゃるが、それはやはり今言いましたように、結局、産業界の要求というものを基準にして、それに合致したものは一生懸命取り入れられるのだけれども、しかし、消費者の期待する基準なり、消費者の願っている消費者の被害救済、そういう立場に立ち切っていない。この点では、やはりこの法の第一条に変な条項を盛り入れたことと一対のものと言わざるを得ないと思います。 先日に続いて、もう一点私は開発危険の抗弁についても申し上げたいと思いますが、先日の議論で、知見の水準を入手し得るというあいまいな表現にしていますね。しかし、私はこれは、その時代における最高の知識水準、世界最高の科学・技術の水準、これをやはり知見の水準というものにきちっと答弁の中でも明確にしていただく必要があると思うのですよ。この点についての答弁を求めたいと思います。
○坂本(導)政府委員 この法律案におきましては、「当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見」、こうございまして、その場合の知見とは、特定の者の有する知識というものではなくて、客観的に社会に存在する知識の総体、こういう考え方。そのことをわかりやすい表現で言うならば、入手し得る最高の科学・技術の水準、こう御説明申し上げたところでございます。
○吉井委員 私は、その引き渡したというところも、これはやはり製造物を流通に置いた時点、そのこと自体を明確にしないことにはいけないと思うわけです。そして、この点ではスモンの判決でも、製造者に世界最高の学問水準での安全性確保義務を認めだというのがスモンの判決に示されている点だと思うのです。ですから、その引き渡した時点、そういうことじゃなくて、商品、製造物として出すわけですから、まず流通に置いた時点、その時点で、スモンの例に見られるように、その時代における最高の学問水準、最高の科学・技術の水準、知見の水準とはそういう程度のものなのだ、私はこの点だけはちょっと答弁でやはりきちっと言っておいてもらいたいと思うのです。どうですか。
○坂本(導)政府委員 この第四条の第一号で、「当該製造物をその製造業者等が引き渡した時」とございますのは、流通に置いた時期というふうに考えております。
○吉井委員 時間が参りましたので、残念ながらきょうの質問はこれで終わりますが、ただ、最後に、大臣、本当にこの三十分の議論を聞いていただいて、せっかくこれまで何千件と言われるような消費者の方の相談を、委員長も弁護士さんだから事務所の方では相談を受けられたと思うのですが、そういう相談を受けた中で、本当に被害者の多くは泣き寝入りだったのです。裁判やったって立証する力もないという中で、せっかくこの法律をつくろうとするのですから、目的規定の中を、やはり被害者救済、消費者保護の部分だけに限って、変な経済との調和条項をくっつけたためにその後の規定においてもおかしなものが出ておりますから、私はこの点は消費者保護の原点に立ち返ったものにするという点についてのお考えだけお聞きして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
○畑国務大臣 先生の従来からの御意見、そしてまた本日の先生のお立場からの御意見、私なりに伺わせていただいたわけでございますが、今日まで、事務段階を初め関係の皆様方、もろもろ検討した中においてただいま御提案を申し上げさせていただいております法案でございますので、御理解を賜り、一日も早く法成立のために御推進を賜りますことをお願いを申し上げる次第でございます。
○寺澤国務大臣 吉井委員の御意見、承りました。この法案は各界の方々のいろんな御議論の結果こうなったというふうに理解しております。この法案の直接の目的、被害者の保護を図り、なおかつそれがひいては国民経済の健全な発展、こういうふうに広がっていくものだろうと私は信じております。
○吉井委員 終わります。
○白川委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。 これにて散会いたします。 午後五時二十七分散会