商工委員会 第7号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1994/06/10
会議録
○白川委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、製造物責任法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。甘利明君。
○甘利委員 先般このPL法の質疑をさせていただきました。きょうは三十分ほど時間をいただきまして、この間の質疑でまだ若干の疑念が残ったところ、あるいはさらに掘り下げて伺いたい点等々を質問をさせていただきます。 本論に入ります前に、いささか気が重い質問をしなければなりません。それはこのところ数日間予算委員会をにぎわせている問題でありまして、昨年十二月の内藤前産政局長の辞任問題についてであります。 私は、基本的に政治は官庁の大事に介入すべきものではないというふうに考えておるわけでありますけれども、本件の人事は、結果として、通産行政、通産政策に混乱と停滞をもたらした、そういう意味において看過できない部分があるというふうに考えているわけであります。こういった点につきまして、通産省としては今回の一連の問題をどう受けとめておられるのか、また、今後このような疑念を抱かせるようなことのないよう公正な大事にお努めをいただけるか、この点をまず伺います。
○畑国務大臣 ただいま甘利先生から内藤前局長をめぐります問題等々、いろいろ御心配を煩わしておりますことを恐縮に存ずる次第でございます。とりわけ商工委員会の先生方には通産行政発展のために大変な御努力を賜っている中にございましての問題でありますだけに、一層申しわけない気持ちでいっぱいであるわけでございます。 本問題は、御案内のとおり、人心一新といったような意味合いの中から事柄が進められたケースというように受けとめておるわけでございますし、そしてまた、いわゆる政治そのものが大事に介入をするようなことがあっては劣らないということも御指摘を賜ったわけでございますが、今後の大事につきましては、当然のことながら、より中立公正、適材適所、これを基本としまして物事を進めてまいりたい、かような気持ちを新たにさせていただいておるような次第でございます。
○甘利委員 これに関しまして、六月六日に予定をされておりました内藤前局長の参考人招致が延期をされたわけであります。新聞等によりますと、いろいろなことが言われているわけですけれども、与党から圧力がかかったとか、一部の報道には、ほかならぬ通産省から前局長に帰国するのを思いとどまらせるような圧力がかかったという報道もあるわけであります。この点について、通産省に事実を確認したいと思います。
○畑国務大臣 この問題につきましては、国会で大きく取り上げられて論議が始まっておるさなかにございまして、内藤さん御自身の健康状態によって云々ということに今日相なっておるわけでございます。 この問題につきまして、いわゆる御本人に対してどうこう、あるいはまた出席をすべきあるいはすべきではないといったようなことを通産省サイドから物申すということはあり得る余地がないというように常識的には私は考えておるわけでございますが、さような意味合いでの事実も全くございませんし、これからもあり得るはずのないただいま御指摘の問題である。 あくまでも御本人の判断であり、そしてまたこれからは国会論議を冷静に見詰めてまいりたい、私どもの立場にございましてはかように考えておるところでございます。圧力をかけるなどということは一切あり得ない、かように断言してはばからないところでございます。
○甘利委員 この種の問題は、本来、こういったところで議論をされることに相なってはならない問題でありますし、私が二度とこの種の問題でこうした場で質問に立たなければならないというようなことがないように、厳正、公正な大事にぜひ努めていただきたいと思います。 そこで、本論に入ります。 前回、一時間と少し質問をさせていただきまして、大分疑問の点がはっきりしてきたわけでありますけれども、まだまだかなりグレーゾーンというのがたくさんございまして、てん補すべき損害の範囲、拡大損害についての議論というのはいろいろ出ました。各委員の先生方からいろいろ出ましたけれども、これはよく読んでみますと、拡大損害についてはいろいろな手配があるのですが、欠陥が発生をした製品そのものについては除外をしているというふうに書いてあるわけですね。 法案の作成過程では、三つの審議会でいろいろと専門的な見地から検討がなされました。一つは国生審でありますし、一つは産構審であります。そしてもう一つが法制審。この三つの審議会の場でそれぞれの専門的な見地からいろいろと議論をされた。 この議論の経緯を追ってみますと、国生審と産構審では、欠陥製品のみに生じた損害については含めない。そのもの自体についてだけで損害が終わってしまった、つまりテレビが欠陥で燃えて、それ以外の被害が全然出なかったというときには、そのものについてはPL法の対象としてはおらないわけですね。 ところが、法制審では、全部含めるんだ、テレビがテレビの欠陥で燃えて、拡大損害として家が燃えてしまったという場合には、家もテレビも全部もちろんPLで含めますけれども、テレビだけしか損害がありませんでしたというときには、国生審と産構審ではこれを対象とせず、法制審ではその場合にも対象としますよ、つまり民法の不正行為の原則どおりですよという議論があったわけですね。 最終的にはこの三審議会での議論が集約をされて、結局含めずということになったわけであります。これはいろいろな配慮があってこうなったと思いますけれども、ちょっと分かりにくい部分がありますから、その経緯というか、いかなる配慮のもとにこうなったか、その辺のところをちょっと伺います。
○升田説明員 ただいま委員御指摘のように、法制審議会の民法部会の審議結果におきましては、製造物責任に基づく損害賠償の範囲につきまして、現在の不法行為に基づく損害賠償が民法四百十六条の規定の類推適用、これは、通常、相当因果関係の法理と呼ばれておりますけれども、この類推適用によって判断されていることを踏まえ、この原則によるものとしておるわけでございます。これは、現在の不法行為に基づく損害賠償の実務が特に問題を生じておらないばかりか、適切な運用がなされていると考えたからでございます。 他方、本法律案におきましては、拡大損害が生じない場合には、三条のただし書きでございますが、製造物責任が適用されないとされております。これは歴史的に見ますと、製造物責任が拡大損害のてん補を主な目的として発展してきたこと。 それから、製造物に欠陥があったとしても、拡大損害が発生しておらず、その製品の欠陥によって生じた損害がその製造物自体、製品自体のみにとどまる場合には、欠陥と欠陥に至らないという品質上の瑕疵の区別が事実上微妙で困難な場合が多いということ。 それから、拡大損害がない場合にも製造物責任が生ずることといたしますと、品質上の瑕疵に関する不当なクレームのためにこの制度が乱用されるおそれがあること。 さらに、品質上の瑕疵につきましては、契約責任によって救済できることなどの事情を考慮したものでございます。 したがいまして、本法律案は、先ほどのような考え方、取り扱い方をしておるわけでございますけれども、これは法制審議会の民法部会の審議結果と矛盾するものではないと考えております。 なお、製造物に品質上の瑕疵があった場合には、被害者といたしましては、先ほど申し上げました契約責任、具体的に申し上げますと瑕疵担保責任とか債務不履行責任に基づきまして販売業者等に対して責任を追及することができるということになりますので、被害者の救済の観点から問題はないだろうと考えております。
○甘利委員 事実上の契約者である販売店との相対処理の方が迅速であり親切である、濫訴を防ぐということの話と受けとめさせていただきます。 誤使用といいますか、本来の使用目的と別に使用してトラブるということについては先般も若干伺いました。そして、誤使用を警告する取扱説明をそこに書き込めば免責要件となるかということについても質問をさせていただきました。ケース・バイ・ケース、個々のケースでなかなか的確に判断ができないようでありますけれども、それでは、欠陥を承知をしていながら使用して発生をした事故、例えばメーカーが欠陥の確認をして周知する、例えば車に欠陥がある、そこのところだけを取りかえますということになっている場合、それを承知して、それを理由に車をぶつけて交換をしろというようなことがなきにしもあらずだと思いますけれども、被害を受けたとされる者がその製品の欠陥を承知をしていながら発生した事故については、過失相殺の対象になり得るでしょうか。
○升田説明員 ただいま御指摘の誤使用の問題は、法律の実務におきましては、誤使用あるいは異常使用といった形で問題が論じられていることでございます。 一般論としてまず申し上げますと、過失責任主義のもと、現在の不法行為のもとでも、製品事故に起因する損害賠償責任の有無が被害者の誤使用との関係で問題になることは多いわけでございまして、実務上、誤使用が認められる場合には、損害賠償責任が否定される場合がございます。本法律案でも、製造物の使用形態が欠陥の考慮事情の一つとして法律上規定されているわけでございますけれども、この意味で誤使用は、欠陥の有無の判断に当たって考慮されるべき一つの事情である誤使用と他の事情とを総合して欠陥の有無が判断されることになる、こういう関係になっておるわけでございます。 どのような誤使用があった場合に製造物責任が否定されるかと申しますと、これは一概になかなか申し上げにくいことでございますけれども、製造物の種類、あるいは事故の態様、欠陥の種類、誤使用の形態等さまざまな事情を考慮いたしまして事案ごとに判断する、こういうことになろうかと思います。 なお、被害者の誤使用が製品事故の原因となっているような場合におきましては、その誤使用の内容にもよりますけれども、その製造物に欠陥があるとされた場合でありましても過失相殺の対象とされることが多いと考えられるわけでございます。 ただいま委員御指摘の、被害者が製品に欠陥があることを知りながら製品を使用して事故が生じた場合に、被害者がその事故発生を防止する可能性があったか否かといった事情にもよることになるわけでございますけれども、通常は御指摘のとおり過失相殺の対象になるものと考えられますし、さらにその程度、態様によりましては、実務上、危険の引き受けあるいは因果関係の不存在といった考え方によりまして、製造業者等が損害賠償責任を負わないという場合もあろうかと考えております。
○甘利委員 最近はマニアックな人といいますか、既製のもので満足をしないという人が非常にふえておりまして、例えばオーディオマニアなんかでも、既製のメーカーが売り出している完成品では満足をしない。自分で一つ一つ部品を調達をして物をつくり上げる、自分流の音をつくり出す。あるいは車好きな人がビンテージカーをリストアするのに、まさに整備士以上の能力を持っている人が随分いて、ピストンやシリンダーのたぐいから全部集めてきて、自分で組み立てをして完成品をつくるという例が随分あるのですね。 そういった場合には、その人は消費者であると同時に製造者になっているわけです。そうした製品についてPL事故が生じた場合、その被害者でありなおかつ製造者である人の責任の度合いといいますか、被害者としての被害請求の度合いと製造者としての製造の度合い、あるいはその相殺勘定というのはどうなるのか。 また、車の場合は、いずれにしてもでき上がったら車検というのを受けないと走れないですね。国家がちゃんとした完成品ですよということを認めるわけですね。そして、認めたとき以降に製品欠陥事故が起きた場合、被害者でありなおかつ加害者である部分がある、この辺の関係はどうなりますか。 〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
○坂本(導)政府委員 御指摘の自動車の関係は後ほど通産省から御答弁があるものと思いますが、前段の方でございますけれども、一般に、部品といえども製造または加工された動産に該当する限り、本法案における製造物として製造物責任の対象となります。 御指摘のような設例におきまして、当該部品について部品製造業者が引き渡した時点で通常有すべき安全性を欠いていれば、部品製造業者は当然に当該部品の欠陥に起因する損害について賠償責任を負うことになります。しかし、先ほど御指摘のように、事故の原因が誤った組み立て方法等、被害者の部品の通常予見されないような誤使用による場合であり、他の諸般の事情をあわせて考慮した上で当該部品に欠陥があるとは言えないときは、部品製造業者は責任を負わないものと考えられます。 そして、過失相殺の観点でございますけれども、部品に欠陥があり、かつ被害者の使用方法あるいは組み立て方法等にも問題があって被害が生じた場合には、本法案の第六条に基づきまして、民法の過失相殺の規定が適用されるものと考えております。
○甘利委員 アメリカでのPL訴訟を見てみると、自動車の欠陥訴訟というのが結構ありまして、べらぼうな損害賠償金の判決が下っている例がありますけれども、例えばブレーキに欠陥があって車が事故を起こした、運転者もけがをしたし、たまたまブレーキがきかないということで歩いている人もはねてけがをさせたという事件の場合、運転者のけがの損害補てん、これは当然、欠陥車による事故ですから、自動車のメーカーに行くと思いますね。そこで、はねられた歩行者、これは確実に運転の誤りでなくて自動車の欠陥による事故であると認定をされた場合、はねられた歩行者の被害、損害についてはどこに責任がありますか。
○清川政府委員 お答え申し上げます。 ブレーキの欠陥により運転者自身、そしてまた第三者の損害の関係をどのように補てんするか、責任を持つかという設例でございますけれども、まず、運転者自身でございますけれども、運転者自身は、自動車損害賠償保障法に基づきまして、自動車の欠陥に起因する事故の有無にかかわらず、つまり欠陥に起因する事故であるからといって免責されることなく、被害を受けた第三者に対する賠償責任を負うことになります。 他方で、今度は欠陥メーカーの方でございますけれども、自賠法による運転者の責任にかかわりなく、被害を受けた運転者、そしてまたけがをした第三者に対する損害賠償責任を、本法案の欠陥による製造物責任によって負うことになるわけでございます。 このように、自賠法に基づく運転者の賠償責任と本法案に基づくメーカーの賠償責任とは両立し得るものでございます。そして、被害者である第三者は、メーカーと運転者のいずれに対しても損害賠償の請求をすることができる。この場合、判例によりますと、メーカーと運転者は不真正連帯責任を負うということで、それぞれ責任をみずから負うものというふうに解されております。
○甘利委員 これは本当にその答えでいいのかしら。被害者と事故を起こした車を運転する運転者の責任というのは、どちらにどれだけ過失があったかによって支払う金額というのは違うと思いますよ。つまりこれが、例えば自動車に欠陥がなくて、運転をしていた人が信号を見誤ってそのまま行ってはねた場合と、普通に走っていたけれども歩行者が飛び出した場合、同じけがをして、同じ治療費がかかった場合でも、それは支払う金額というのは違ってくるのじゃないですか。同じですか。同じだとしたならば、一義的にけがをした者に対して運転者が過失があろうとなかろうと支払うということで通ると思いますけれども、しかし、どちらにどれだけ過失の度合いがあるかによって恐らく支払う金額は変わってくるんじゃないですか。
○清川政府委員 先ほどは、設例によりまして、根本的な責任の負い方につきましてお答え申し上げたわけでございますが、先生御指摘のとおり、事故にはそれぞれ態様が多くございます。その態様によってそれぞれの責任の負担というものが生じてくる、それによって変わるということで、裁判所で判断されるものと思います。 また、御指摘の例のようなもののほかに、例えば、先ほど質問がございましたように、欠陥のある車を使ったことによる防止の可能性、あるいはこれによる過失相殺、あるいはまた危険の引き受けとみなされる場合等々ございますけれども、これにつきましては、先ほどもお答え申し上げました根本的な考え方のもとにおきましてそれぞれ実情がしんしゃくされ、裁判の結果が生ずるものと考えます。
○甘利委員 つまり、私が申し上げているのは、PL事故によるそうした交通事故なんというのは、往々にして運転者に一〇〇%責任がないという判決が下ることが多いと思うのですよ。その場合に、責任がない人がけがをした被害者に対して支払うという義務はないわけですね。そうすると、直接的にその責務を負う欠陥を有した自動車のメーカーに行くはずなんですよね。その辺のところがクリアにされていないと、じゃこの場合、運転者の道交法上の責任はどうなりますか。警察庁、お見えになっていますね。
○倉澤説明員 交通事故の際の運転者の責任につきましては、個々具体的な事例に応じて判断する必要があるわけでございますが、一般的には、運転者に道路交通に関する法令の違反が全くなく、自動車の製造上の欠陥により事故が生じたものである場合には、運転者の責任は生じないと考えております。
○甘利委員 つまり、PL訴訟でメーカーが払う損失補てん金額、これによって、道交法上の運転者の免許が停止になるのか、全く責務を負わないのか、これは関連してきちゃうわけですよね。そうでしょう。だって、PL訴訟上、裁判所が、車の欠陥による事故であるから受けた損害は全額補てんせよという判決を出したら、責務がないんですから、その判決によって道交法上の責任が全くない、免責される。片方で、一〇〇%補てんせよ、つまりこれは一〇〇%車の欠陥によるものである、それによる損害であるから補てんせよという判決が出ていながら、道交法上で運転者に責務があって六十日間の免停になるというようなことは、本来、存在しないはずなんですね。そうじゃありませんか。
○倉澤説明員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、具体的な事例に即して判断すべきものではございますが、一般的に申しますと、先生御指摘のとおり、運転者に全く過失がない、そのような事故については一運転者に道路交通法上の責任も生じないものというふうに考えております。
○甘利委員 そこで問題なのは、同時にはっと両方の結論が出ればいいですよ。道交法で免停になっていて、片方のPL裁判で全額補てんせよというような場合が出るのじゃないですか、そういうケースが。片方であなたに責任はないと言いながら、片方であなたに責任があるという、違った結論が出るおそれがありますよ。 そういう点がありますから、どうしていくか、法務省ともいろいろとよくすり合わせをしていただいた方がよろしいかと思います。 質問が一つ残りましたけれども、時間が来ましたので、終了いたします。
○逢沢委員長代理 続きまして、尾身幸次君。
○尾身委員 PL法案について質問をさせていただきます。 この製造物責任法案につきましては、自民党におきましてもずっと実は審議をしてまいりまして、この法案の審議の最初に同僚の林義郎議員が質問をいたし、その中で言及をいたしましたように、我が党では製造物責任制度に関する小委員会を中心に検討してまいりました。そして、平成三年十月八日に中間報告を出しまして、製造物責任制度に係る基本的な検討課題二十二項目を示したところでございます。 この製造物責任制度は、過失責任を欠陥責任に変更して、被害者の救済、消費者利益の増進を図るものであります。これは、一方で、国民生活、産業活動、国民の意識、モラルにもかかわりを持つ重要な制度であります。また、関係者の意識、行為に影響を与えるものでございますが、他方、基本的な性格といたしましては、裁判の規範であるために、裁判所がこの法律を解釈、運用して、個別具体的な事案の解決に当たるという、その二点を忘れてはならないと考えるわけであります。それだけに、国会審議の中で、立法の前提とも言えますさきの二十二項目の検討課題についての考え方、あるいは立法の趣旨、各条項の解釈について明らかにしておくことが極めて重要だと考えているわけであります。 そこで、私は、今まで同僚議員が行った質疑も踏まえながら、これらの重要事項につきまして改めて確認をさしていただきたいと考えているわけであります。 まず第一に、製造物責任制度の導入によりまして、日本もアメリカと同様にいわゆる濫訴社会になるのではないかという懸念が持たれております。自民党の製造物責任制度に関する小委員会で昨年お招きをしたコーネル大学のヘンダーソン教授も、アメリカにおいては、欠陥責任制度の導入の結果、PL関係の訴訟が急増をして、保険料の引き上げや保険引き受けの拒否等の問題が起こり、企業が負担に耐えかねて倒産をするなど、いわゆる製造物責任危機、PL危機が発生したというふうに言われております。そして、その反省を踏まえて製造物責任全体の考え方を見直しているという話でございました。そして、ヘンダーソン教授は、日本はアメリカの過ちを繰り返してはならないという話をされたわけであります。 日本とアメリカでは司法制度などの点で事情が違いまして、私は、アメリカのようになる可能性は少ないと考え、またそのようにも聞いておりますが、具体的に日米間でどういう違いがあるのか、なぜ日本においてはアメリカのようなことにならないと言えるのか、その点についての見解を承らしていただきたいと思います。
○升田説明員 我が国とアメリカとの司法制度、特に不法行為に基づく損害賠償制度を比較してみますと、アメリカにおきましては、陪審裁判制度、懲罰的損害賠償制度あるいは弁護士の成功報酬制度といった我が国には存在していない米国固有の司法制度が存在しており、これらの制度が主な原因となりまして、先ほど委員御指摘のような製造物責任危機と呼ばれるような濫訴の弊害が生じてきたといった指摘がされております。 しかしながら、我が国の場合には、こういったアメリカに固有な制度を採用していないなどの事情もありまして、本法案によりまして製造物責任制度が認められましても、我が国におきまして濫訴社会が招来されるといった懸念はないものと考えております。 なお、我が国と同様の司法制度を持っておりますヨーロッパ諸国におきましては、製造物責任制度の導入により濫訴の弊害といった現象が生じていないと承知しております。
○尾身委員 そこで、今のお話のヨーロッパについてでありますが、一九八五年に製造物責任に関するEC理事会指令、いわゆるEC指令が採択をされました。EC加盟国十二カ国のうち、現在までにフランスとスペインを除きます十カ国がこの指令に基づいて国内法の整備を行ったというふうに聞いているわけであります。そのほか、EFTAの加盟国でも、数々の国でこのEC指令に準じた立法が行われているというふうに聞いております。 この製造物責任制度は、製品事故に際しての事業者の責任を定める基本的な規範でございまして、国際的な制度との調和をとることも必要であると考えているわけであります。今般の法案につきましては、これまでの政府御答弁によりますと、おおむねEC指令と同じ内容のものであるという説明があったわけでありますが、どういう点で同じか、また、EC指令と違いがあるとすればどういう点か、その点につきまして御説明をお願いいたします。
○坂本(導)政府委員 本法は、責任要件を製造業者等の過失から製造物の欠陥へ変更しようとするものであり、御指摘のように、欠陥製造物についての責任に関するEC指令と基本的に同様の考え方を採用しております。例えば期間の十年の問題は基本的に同様の考え方を採用しております。 ただ、法案作成に当たりましては、我が国の経済社会の実態、あるいは民法の体系、あるいは法理論との整合性などに留意して検討してきており、その結果、これから申し上げますような点でEC指令とは異なる内容になっております。 一つは、本法では、長期の期間制限に関し、蓄積損害等について被害者救済の観点から特例を設けているということでございます。これはEC指令にございません。 二番目には、免責額あるいは責任限度額を本法案では認めておりませんけれども、EC指令では免責額を設定しており、また、責任限度額を置くことも認めております。 三番目には、本法では拡大損害がある場合には当該欠陥のある製造物も賠償の対象範囲内となるのに対しまして、EC指令では当該欠陥ある製造物自体は賠償の対象外となっております。 四番目に、物損については、EC指令では通常個人的な使用または消費に供される性質のもののみ賠償の対象となっておりますのに対し、本法ではこのような限定を加えておらず、事業用についても欠陥と相当因果関係のあるものは賠償の対象としております。 それから五番目に、EC指令では製造業者、輸入業者及び表示製造業者を対象としておりますが、本法では、これからのほか、当該製造物の製造、加工等の事情から見て、実質的な製造業者と認められることができる表示をした者も責任主体としております。 一方、EC指令では、真の製造業者を特定できない場合に販売業者に補充的な責任を課しておりますけれども、本法ではそういった責任は認めておりません。 以上が主たる点でございます。
○尾身委員 今の点につきまして、EC指令では、製造業者が特定できないときは、流通業者が合理的期間内に被害者に対して製造者等の身元を告知した場合を除き、流通業者を製造業者とみなして責任主体としているわけでございますが、今のお話のとおり、本法案では流通業者のかかる一般的な責任が明記されていないわけであります。なぜこういうことになったのか。EC指令との差についての理由を御説明願いたいと思います。 なお、本法では、これに関連をいたしまして、この部分だけ先に聞かせていただきますが、第二条の第三項第二号で、みずから当該製造物の製造業者または輸入業者として当該製造物に氏名等の表示をした者や当該製造物にその製造業者等と誤認させるような氏名等の表示をした者を、また第三号では、当該製造物の製造、加工、輸入または販売に係る形態その他の事情から見て、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者を責任主体としているところでございますが、この後半の三点につきましても、どういうことを考えておられるか、具体的にどういう理由でこういうものを責任主体としたかという理由についてもあわせて説明をお願いをいたします。
○清川政府委員 お答え申し上げます。 まず、EC指令にあるような流通業者の責任を明記しなかった理由でございますけれども、御指摘のEC指令の規定は、最終的な賠償義務者たるべき製造業者が被害者にとって不明な場合に、これを明らかにするということを主たる目的としているものであります。 しかしながら、一般的に、被害者が製造業者を知っているか否かという主観的事情によって不法行為責任における賠償義務者の範囲が左右されるということ。つまり、この場合、告知できなかった販売業者は含まれ、告知できた販売業者は含まれないということになるわけでございますが、このようなことは法理論上合理的と考えられず、我が国におきまして立法例もないわけでございます。このために、我が国の不法行為体系との理論的整合性の観点から、本法律案においてはこのような考え方を採用しないこととしているわけでございます。 なお、販売業者につきましては、直接の買い主との関係では、直接的には契約関係がございまして、事案によっては瑕疵担保責任あるいは債務不履行責任を追及されるという可能性もございまして、被害者の救済上は特段の欠けるところはないものでございます。 それから、第二号に規定する表示者とは、例えば製造元何がしあるいは輸入者何がしなどの肩書を付して自己の氏名等の表示を行った場合や、そのような肩書を付していない場合であっても、例えば電気製品に単にブランド名を付することによって社会通念上製造業者と誤認されるような表示となっている場合が該当すると考えられます。 それから、第三号に規定する表示者とは、例えばスモン訴訟におきまして、別途製造業者はいるにもかかわらず賠償責任を認められました大手製薬会社の事案のように、販売者何々あるいは販売元何々といった肩書で自己の氏名等の表示を行った場合であっても、当該表示者が当該製造物と同種の製造物の製造業者として社会的に認知されており、また、この当該製造物を一手販売している場合などが該当するものでございます。
○尾身委員 流通業者について法務省に伺いますが、消費者が被害を受けたときに、どこから買ったかはわかっているという状況であるわけですが、製造業者がわからない、特定できないというときに、被害を受けた消費者が損害賠償を請求できないということになる可能性があるという意味において、EC指令の方が消費者利益の保護のためにはいいのではないかという意見もあると思うのでありますが、その点についてはどういう考え方で流通業者を外したのか、理由を伺い洗いと思います。
○升田説明員 ただいま委員御指摘のような被害者の救済が図られないという面もございますけれども、他方、自己が製造していない製造物について製造業者がまた損害賠償責任を負わせられる、しかも、通常の過失責任と違いまして、厳格責任と言われる製造物責任を負わせられる可能性があるということも、やはり法律的に見ますと非常に問題があるといった事情から、先ほど申し上げましたように、通常の販売業者につきましては契約責任で対処することにし、先ほどの補完的な製造物責任を負わないという考え方に立っておるわけでございます。
○尾身委員 次の質問に移ります。 我が国製造業は、企業数で見てその九九%以上、従業員数で七四%程度が中小企業によって占められているわけでございます。中小企業に与えるこの制度改正の影響というものは非常に大きいと考えております。中小企業は、大企業に比べまして、人的、技術的、資金的に能力に恵まれていないために、一般に、この製造物責任制度の導入によりまして、大企業に比べて不当に厳しい影響を受けるのではないかという懸念が持たれております。この点につきまして今回の法制化に当たってどのような配慮がなされているか、三つの点についてお伺いをしたいと思います。 まず、部品・原材料製造業者は下請の中小企業者であることが多いわけでありますけれども、部品・原材料でありましても製造物に当たるわけでありますので、これについて非常に不安を感じている中小企業者が多いと思います。これについて法律上どういう手当てがなされているか、お伺いいたします。
○清川政府委員 部品・原材料の製造業者の問題でございますけれども、製造物責任は、当該製造物の欠陥の存在に着目して損害賠償責任を認めるものでありますので、尾身委員の御指摘のとおり、部品・原材料につきましても、欠陥が存在したとすれば、本来はその製造業者は損害賠償責任を負うこととなるわけでございます。 しかしながら、一つには、その部品・原材料が組み込まれる他の製造物の製造業者が行う設計に関する指示に従わざるを得ず、それに欠陥が生じるというケースがあり得るわけでございます。 また、二つには、指示に従った部品・原材料製造業者については、指示をした製造業者と同程度の欠陥の回避の可能性、ひいては帰責性を問うことは適当でなく、公平性を欠くものと考えられます。 したがいまして、このために本法案では、第四条第二号に部品・原材料の製造業者の抗弁の規定を設けまして、このような部品・原材料製造業者については、その欠陥がこれらを組み込んだ他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示のみに起因するものであり、その欠陥の発生について過失がなかったことを証明したときは、政策的観点から、その責任を免ずるという法案といたしております。
○尾身委員 今「設計に関する」というお言葉がありましたけれども、例えば、製造の仕方とか方法、あるいは材料・材質について親企業から指示を受けた場合、「設計に関する指示」ということで読めないのではないか。つまり、「設計」という言葉が非常に狭く書かれているために、全体的な親企業からの指示がこれで読み取れないのではないかという心配があると私は思っておりますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
○清川政府委員 ここで要件となっております「設計に関する指示」の概念につきましては、法案作成の過程で、過去の立法例、立法の用例も参。照しながら内閣法制局におきまして議論したところでありまして、当該部品・原材料についての設計図に限らず、その構造、材料・材質、性能、仕様等が含まれるものであります。 この法案につきまして、制定後には各般の普及啓発活動も行うところでございまして、解釈につきましてのこのような考え方は、実際の訴訟における裁判所の判断に当たっても十分考慮されるものと考えております。
○尾身委員 三つ目でありますけれども、中小企業は、大企業に比べまして、製品の品質あるいは安全性の向上対策がややもすればおくれがちでございまして、こういう面について中小企業を政策的に支援する必要があるというふうに考えているわけであります。 そのほか、この法案の内容等についての普及啓蒙も必要であると思いますし、また、クレームの処理や訴訟対策等々につきましても、いろいろな施策をやって中小企業に対する配慮を十分しなければならないという考えを持っておりますが、この点についてどういうことを具体的に考えておられるか、お話を伺わせていただきたいと思います。
○長田政府委員 先生御指摘のとおり、中小企業に悪影響が出ないように、いろいろ普及啓発等を積極的にやっていかなければいけないと思うわけでございます。この法案につきましては一年間の猶予期間が設けられておりますので、特にこの一年間につきましては、制度の内容の十分な周知徹底を図るような準備支援を行ってまいりたいと思います。 具体的には、ソフト面におきましては、中小企業の製品安全性向上を図るために、平成六年度の予算案におきまして、製造技術あるいは製品事故、紛争処理機関等に対する情報の啓発普及等に必要な予算といたしまして、一つは、商工会、商工会議所が小規模企業者に対して行うところの講習会等開催に対する補助、それから、全国中央会が行いますところのいろいろな調査研究、製品の安全性を高めるためのビジョン作成、広報、指導、それから三番目には、中小企業事業団が実施しますところの中小企業者、商工会、商工会議所等のいろいろな指導を担当している人あるいは地方公共団体の施策担当者に対する講習、パンフレットの作成、配布等を行うということを考えております。 さらに、設備関係のハード面につきましては、中小企業金融公庫、国民金融公庫の特利による低利の融資、あるいは税制面における特別償却、そういうような面で中小企業者に対して万全の対策を講じてまいりたいと思っております。
○尾身委員 製品に欠陥があった場合、部品の欠陥によってそれが生ずるケースもあると考えているわけでございますけれども、部品に欠陥があった場合には、部品の製造業者、それからそれが組み込まれた物の製造業者、いずれも責任主体となり得るということでございますが、被害者が訴訟を起こすに当たりましては、このいずれをも訴えることができるのかどうか、その点について伺います。
○清川政府委員 部品に欠陥があった場合、部品の製造業者、そしてまたこれが組み込まれた物の製造業者のいずれを訴えるか、両方を訴え得るのかという点でございますが、他の製造物の部品・原材料になるものでございましても、製造または加工された動産に当たる限り、製造物責任の対象となるわけでございます。 これに欠陥があったことにより被害が生じた場合には、その被害者は、部品・原材料の製造業者、そしてまたこれを組み込んだ他の製造物の製造業者、このいずれに対しても損害賠償請求を起こすことができるわけでございます。
○尾身委員 この場合、両方を訴えることができるという話でありますが、この制度が導入されますと、納入先であるいわゆる親企業との力関係で、下請の部品製造業者が不当に責任を押しつけられるようなおそれがあるのではないかという心配があるわけでございますが、この点については法律解釈上どういうふうになっているか。 また、実態的に、親企業と下請企業との間の力関係から見て、責任を押しつけられるというような心配があるかどうか、その点についてどういう手当てを考えているか、お伺いをさせていただきます。
○長田政府委員 まず、法律の点からどうかという御質問でございますが、法律の関係では、下請代金支払遅延等防止法との関係でいろいろなケースが考えられると思いますが、比較的想像される典型的なものとしましては、不当な理由に基づきましていろいろ求償される、あるいはPLに伴います保険料等を下請事業者に一方的に押しつけられるというようなことがあるかもしれませんけれども、こういうようなケースにつきましては、それを下請代金の単価の引き下げという形で対応してくるという場合には、下請代金の減額行為として下請代金支払遅延等防止法の違反になるわけでございます。このほかに、書面をちゃんと交付しなきゃいかぬとか、いろいろ事項がございますが、この下請代金支払遅延等防止法につきましては、中小企業庁は、公正取引委員会と協力して、検査等に万全を期してまいりたいと思います。 また、下請代金支払遅延等防止法でカバーしない範囲につきましては、これは公正取引委員会の問題ではございますが、独禁法の優越的な地位の乱用ということによりましていろいろ対応されていくというふうに考えられます。 また、法律以外の点につきましては、実態上、親企業と下請企業のトラブルに対応しますためには、私どもとしましては、下請企業振興協会というのがございますので、ここでいろいろと普及啓発、すなわち下請企業と親企業といろいろトラブルが生じないように、いわゆる発注の書面はちゃんと用意をしておけとか、いろいろそういうようなことを含めて啓発普及を図りますとともに、仮にトラブルが生じたような場合には、ここに顧問弁護士を設置してありまして、それで法律的な問題についていろいろ相談に乗っていただく、そういうようなことで、実態的に何か紛争があった場合には対応してまいりたいと思っております。
○尾身委員 次の各号の事項を証明したときは賠償の責めに任じないということで、下請業者については、その「設計に関する指示に従ったこと」ということと、それから「その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。」という条文があるわけでありますが、この「過失がない」ということの挙証責任はどちらが負っているんでしょうか。もしこれを下請業者が負うということになると、この点について非常に困難に陥るという危険性があると思いますが、法務省、お答えをいただきます。
○升田説明員 委員御指摘の免責事由法律案の第四条の二号でございますけれども、これは原則として、第三条の方で製造物責任を負うという者に対して例外として免責を認めるということになりますので、通常の法律の条文の立て方からいたしますと、これは免責を受ける製造業者等が立証責任を負うということになろうかと思います。 したがいまして、先ほど御指摘の「かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。」という点につきましても製造業者等が立証責任を負う、こういうぐあいに解されるということになろうかと思います。
○尾身委員 私が心配しているのはこの点でありまして、先ほどの支払遅延等防止法というようなことを言っているんじゃなくて、親企業との関係で、過失がないことを下請中小企業が証明をする責任を負うということは、非常に中小企業にとって過酷なことになるのではないかという心配をしているわけでありますが、これについてどうお考えか、もう一度答弁をお願いします。
○長田政府委員 下請代金支払遅延等防止法におきましては、書面の交付義務というのがございまして、そこでその発注の内容を明確にしなければならないという義務が一つございます。 それから、先生お話しの点に対応しましては、下請企業のサイドといたしましては、先ほど私が申し上げましたように、親企業とのいろいろなトラブルを避けたり、あるいはそういうことを立証したりすることのために、こういうことを注意しなければいかぬ、ちゃんと書面は保存しておかなければいけない、どういうふうに製造したんだというような、注意しなければいけないことを我々として列記と申しますか、そういう事項を下請企業振興協会を通じまして下請企業に対して大いに普及していくということを通じて、下請企業がそういうことに対応できるように努力していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○尾身委員 これは法律そのものがこうなっているわけでございまして、この条文のために、実際の経済社会において非常に実は免責事由がうまくワークしないのではないかという心配が私はちょっとあるように思っておりますが、この点については十分な配慮をしていただきたいというふうに思います。 時間がありませんから、この問題は余りこれ以上突っ込みませんが、次の質問に参ります。 事故原因の問題でありますが、製造業者と消費者の間で事故原因について意見の相違が争点となることが多くあると思いますけれども、紛争の公平な解決を通じた円滑な被害者の救済を実現するためには、どうしてもこの事故原因の究明が非常に大事だというふうに思っているわけであります。 そういう中で、今まで政府として事故原因究明体制の整備を図っていくという答弁をいろんな観点からしているわけでありますけれども、この事故原因の究明というのは、事故の態様とか争点となる技術的内容等は、事故や製品の分野によって相当違うと思っているわけであります。そういう状況の中でいかなる体制整備を進めていくお考えなのか、その点についてお伺いをいたします。
○坂本(導)政府委員 委員御指摘のように、本法律案では過失を欠陥に変えておりますけれども、それでもなおかつ大量生産・大量消費の社会において欠陥の証明がなかなか難しいということは指摘されておりまして、御指摘のように、原因究明体制の整備につきましては、関係審議会においてもその必要性が指摘されているところでございます。 したがいまして、政府としては、この法律案の提出とあわせて、同時にそういった面での充実を図っていく必要がある。そして、具体的には、委員御指摘のようにいろいろな国の機関等がございます。おのおの特性を持っているということでございます。したがいまして、おのおの特性を生かしながら相互に連携を持って、なおかつ実際の消費者がどこへ相談に行くかという体制も含めて整備を図っていきたいというふうに考えております。 そして、平成五年度の補正予算、あるいは御審議いただいております平成六年度予算案におきましても、こういった面での予算措置を講じているところでございます。
○尾身委員 次に、裁判外の紛争解決処理体制の整備について今までいろいろ質疑がありましたけれども、実際にこの紛争の当事者にとって使い勝手がよくて、処理の結果に両当事者が納得され得るような体制を整えなければならないと私は考えているわけでございますけれども、この裁判外の紛争解決処理体制の具体的な整備の方策につきましてどう考えておられるか、お伺いをさしていただきたいと思います。
○清川政府委員 製品事故に関しまして、関係審議会等における検討におきましても、少額被害など裁判になじまないような被害の救済も念頭に置いた検討が大切であるということで検討を続けてまいっております。 裁判外の紛争処理体制の具体的な整備の方向といたしまして、一つには、少額被害などにつきましては、広く相対交渉、そしてまた地方の消費生活センター、苦情処理委員会など消費者が身近に利用できる既存の体制の一層の活用をすることといたしております。 そしてまた、これらで解決できないような案件につきましては、ニーズに応じまして、個別製品分野ごとに専門的な知見を活用した体制を、中立性、公平性の確保を図りながら、整備していくということは必要であると考えております。 したがいまして、国及び国の地方機関などの消費者相談窓口については、専門家の配置、原因究明能力を有する機関との連携強化による相談・あっせん体制の充実を図る。また、必要に応じまして製品関連技術専門家等を派遣するなど、都道府県等の紛争処理機関に対する必要性に応じた協力を行うことを検討いたしております。 また、民間活力を利用した製品分野ごとの体制整備に当たりましては、紛争解決の手続及び結果が消費者が納得のいく申立、公平なものであることが、このような制度の信頼性を確保して、被害者の救済の実効を高めることにつながると考えます。そのための審査体制の中立性、判断基準につきまして、国が一定の要件をガイドラインとして示すことを検討いたしているわけでございます。
○尾身委員 この法律案におきましては、対象となる製造物は「製造又は加工された動産」というふうに規定をされておりまして、建築物は不動産であるために対象にならないとされているわけであります。今までの政府側の説明では、建築物全体は対象にならないけれども、その部分を構成するエレベーターとか窓ガラスは動産として対象になるというふうに聞いているわけであります。これはどういう区分けでそうなるのか。エレベーターメーカーとか窓ガラスの製造業者それぞれの責任関係も含めまして、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
○社本説明員 不動産と動産の区分はどのようにつけるのかということでございます。 不動産の一部を構成するものでも、製造者から引き渡しかなされた時点で動産であったものについては、本法案の対象に該当するものと考えられております。したがいまして、御指摘の窓ガラスなどにつきましても、不動産の一部を構成するものとは考えられますが、その物が製造者から引き渡しか行われた時点では動産であり、本法に言います製造物に該当いたすわけでございます。 責任の所在でございますが、その不動産の一部を構成する動産を製造した者がその製造物責任を負うことになるということになると考えられます。
○尾身委員 血液製剤につきまして、この委員会で随分と議論が集中いたしました。相当なやりとりがあったわけでありますが、この点についてどうお考えか、御説明をお願いいたします。
○矢野説明員 輸血用血液製剤の取り扱いにつきましては、製品の特性等いろいろな事情を考慮して欠陥の判断をする必要があるということでございます。 結論的に申し上げますと、現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による副作用は欠陥に該当しないものと考えておるということでございます。
○尾身委員 もうちょっとしっかり答えてください、丁寧に。
○矢野説明員 わかりました。それではお答え申し上げます。 血液製剤及び生ワクチンについては、血液又はウイルス等に加工を加えた製品であることから、いずれも製造物に含まれ製造物責任法の対象となる。 二番目に、輸血用血液製剤、これは全血製剤及び血液成分製剤をいうものでございますけれども、 輸血用血液製剤の欠陥については、次のような製品の特性等の事情を総合的に考慮し、判断する必要がある。 ①生命の危機に際して使用されるものであり、他に代替する治療法がなく、極めて有用性が高い。 ②輸血によるウイルス等の感染や免疫反応等による副作用が生ずるおそれがある旨の警告表示がなされている。 ③輸血用血液製剤は、世界最高水準の安全対策を講じたうえで供給されているが、技術的にウイルス感染や免疫反応等による副作用の危険性を完全には排除できない。 従って、現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による副作用は欠陥に該当しないものと考えている。 また、生ワクチンの場合にも、製品の特性その他諸般の事情を総合的に考慮した上で、欠陥の有無が判断されることとなるので、その副作用が直ちに欠陥であるとはいえないと考えている。以上でございます。
○尾身委員 今の答弁、ずっと統一的な政府の答弁だと思っておりますが、この政府答弁というのは、提案者としての本法案についての解釈論であるというふうに考えております。この法律案は後でいろいろ議論させていただきますが、この実際の運用といいますか、これは当事者間の責任あるいは権利義務関係の問題でありますので、この法文を一体どういう格好で解釈するかということは裁判所でやることになると思います。 こういう今の政府答弁というのは裁判官を拘束することになるのかどうか、この点について、これは法務省にお伺いいたします。
○升田説明員 ただいま厚生省から話がありましたように、血液製剤が製造物責任の対象となるということを前提といたしまして、実際に血液製剤の欠陥を理由とする損害賠償請求訴訟が提起された場合、製造物責任が認められるかどうかということになりますと、これは個々の事案の内容によって異なると言うほかはないのでございます。 裁判官といたしましては、実務上、本法律案が成立いたしますと、その法律の定める要件に従いまして、製造物の特性等の事情を総合的に考慮した上で欠陥の有無等を判断することになるということになろうかと思います。もっとも、本委員会の審議を通じて明らかにされました本法律案の立法趣旨というものは、実際の訴訟におきましても、裁判所の判断に当たりまして十分考慮されていくもの、こういう関係になると考えております。
○尾身委員 次の質問に移ります。製造物の表示についてお伺いをいたします。 製造物につけられました指示や警告についての表示に問題があった場合に、その製造物に欠陥があったというふうにされる場合があるのか。あるいは使い方とかその他について、指示や警告の表示をつけていさえすれば欠陥がないということになっているのか、この点についてお伺いをさせていただきます。
○清川政府委員 表示につきましては、この法案の第二条第二項におきます欠陥の定義、条文がございますけれども、ここにおきまして「当該製造物の特性」という例示がございます。この「当該製造物の特性」の中に製造物の表示という点も含まれるわけでございますが、警告表示あるいは指示といったものの意義を考えますと、例えば、所定の用法を守らないと副作用が生じる薬のように、設計上または製造上完全に除去し得ない危険性があるけれども、社会的効用があるゆえに市場に出されている製造物があるというような場合がございます。事故の発生を消費者側で防止するための指示・警告に関する表示がこの場合には極めて重要な意味を持つわけでございます。こうした場合に、表示の有無及び内容を含めて欠陥の認定が行われることになるわけでございます。 他方、その表示の内容でございますけれども、表示をつけさえすればよろしいかということになりますと、これはまた事案に即して表示の適正が問題になるものと考えられます。 そしてまた、例えば、全く仮定の話でございますが、洗濯機につきまして、ふたをあけると脱水槽の回転が停止するような洗濯機が極めて広く現実に普及した、そういうふうに仮定をいたしてみますと、このような場合に脱水槽の回転が停止しないような洗濯機が出てきた、このような場合に設計または製造上除去し得るような危険性が除去されていない製造物について、これまた表示を行ったとしても欠陥があるというふうに考えられる場合もあろうかと思います。 このようなことを踏まえまして、裁判所におきまして、「製造物の特性」の中で、製造物の表示の有無、そして内容を含めて、欠陥について総合的に判断されるものと考えます。
○尾身委員 このPL制度を導入した場合、国の安全規制をどうするのか、安全規制との関係についてお伺いをさせていただきます。 規制緩和、規制緩和と言われているわけでありますけれども、この安全規制を縮減とか撤廃するということになりますと消費者保護に反するのではないかという観点もあるわけでありますが、この点どうお考えになっておられるか、お伺いをいたします。
○清川政府委員 製品の選択は、基本的には消費者自身が行うわけでございますけれども、最近の製品の高度化、複雑化によりまして、消費者自身が製品の安全性を確認することが非常に困難になってきております。このような背景から、今回、製造物責任制度が導入された後におきましても、国民の生命財産を保護する観点から、適切な情報の提供とともに、製品の安全性にかかわる規制は極めて重要なものと考えるわけでございます。 他方、尾身委員御指摘のように、規制緩和の大きな流れがございます。臨時行政調査会、臨時行政改革推進審議会の答申などにおきまして、経済的規制を中心に規制緩和が提言されてきております。安全規制などの社会的規制につきましても、国民の生命財産の安全の確保などを目的としておりますので、経済的規制と同列に論じることはできないわけではございますが、常に見直しを行い、実態に適合したものにする必要があろうと考えます。 このような観点から、安全規制につきましては、製品の特性、流通、使用、事故などの実態に即しまして、対象品目、基準、規制の内容について見直しを行い、めり張りのきいた体系としていくことが重要であると考えております。
○尾身委員 国の安全基準と欠陥認定との関係についてお伺いをいたします。 製造業者等は国の安全基準を守って製品をつくっていると思うのでありますが、この基準をクリアしている場合でも必ずしも製造業者等が免責されるとは限らないというふうに言われているわけでありますけれども、この場合、国の責任は全くないというようなことでいいのかどうか、その点についてのお考えを伺います。
○清川政府委員 行政上の安全規制基準と製造物責任法との関係は、これは意義・目的が異なるものでございますので、行政上の安全規制への適合、不適合と、本法案におきます欠陥の存在、言いかえれば製造物責任の存否の判断は必ずしも一致するものではございませんで、安全規制に適した製品の事故につきまして、製造業者等に対しまして本法案にかかわる損害賠償責任が認められることはあり得るわけでございます。 しかしながら、この安全規制への適合、不適合は、規制対象製品の事故にかかわる損害賠償責任の際の欠陥判断における重要な考慮事項の一つとなっていると考えております。安全規制にかかわる技術的基準を合理的に定めることによって、消費者、企業双方にとって、欠陥判断の予測可能性あるいは安定性を高めることに資することになると考えるわけでございます。 なお、安全規制に適合している製品につきましてその欠陥による事故が発生した場合に、仮に安全規制の不備と事故の原因である欠陥の発生の間に因果関係があって、この安全規制の不備につきまして国家賠償法第一条の要件である公権力の行使に当たる公務員の故意または過失が認められるときは、国は、製造業者などの製造物責任の有無にかかわらず、国家賠償法に基づく国家賠償責任を負うことになるものと考えられますが、これはまた総合的に法廷において判断されることとなると考えます。
○尾身委員 今の話を伺いますと、例えば薬の例なんでありますけれども、薬の安全基準、これは審査をするわけでありますけれども、それは事人命にかかわる非常に大事なものであるというふうに私は考えております。したがって、かなり厳密な最高水準の知識で安全基準をつくってありまして、その基準に基づいて薬の許可、認可をしていると思うのでありますけれども、そういう安全審査をクリアした薬について、その薬が欠陥と認定された場合に、もともとその安全基準をつくった国の損害賠償責任というのはないのか、今のお話のようなことで処理されるのか、その点についてお伺いをさせていただきます。 製造業者等から見ますと、非常に厳しい国の安全審査を経てつくっていて、なおかつ欠陥があるというふうに認定されて、そしてその製造業者等はPL法で責任を問われ、国の方は何ら責任を問われないというのはどうも片手落ちではないかという思いもあると思うのでありますが、その点についての御説明をもう一度お願いいたします。
○坂本(導)政府委員 薬に限りませず、全般的に、国家賠償法によりまして、国が公権力の行使に当たって責任を問われる場合があります。ただし、この場合は過失責任になっておりますが、御指摘のような案件は、国家賠償法の責任が問えるかどうかということになろうかと思います。
○尾身委員 今のこととも多少関係があると思うのでありますが、次の質問に移ります。 第四条の一号の規定は、いわゆる開発危険の抗弁と言われているものでありますけれども、この中に規定されています「科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。」というのが免責事由になっているわけであります。この「科学又は技術に関する知見」というのは、素人から見ると、どういう水準のもの、どういう内容のものを意味しているのかということがどうも余り明確でないように思うわけでありますけれども、この点についての政府のお考えをお伺いさせていただきます。
○坂本(導)政府委員 御指摘のように、第四条の一号で「当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によってはこという表現になってございます。そこで、具体的に少しわかりやすく御説明させていただきます。 本法案におきますところのこの「知見」とは、欠陥の有無を判断するに当たって影響を受け得る程度に確立された知識のすべてであり、また、特定の者の有するものではなくて、客観的に社会に存在する知識の総体を指すと考えております。 すなわち、他に影響を及ぼし得る程度に確立された知識であれば、初歩的な知識から最高水準の知識までのすべてが含まれることになり、おのずから、免責されるためには、当該欠陥の有無の判断に必要となる入手可能な最高水準の知識に照らし欠陥であることを認識することができなかったことを証明することが必要となります。 また一方、「科学又は技術に関する知見」については、確立された学術知識等を前提にするものと解されますので、特定の一学者だけが危険性を認識していたような場合に、直ちに開発危険の抗弁が認められなくなるものとも解されません。 したがって、開発危険の抗弁については、入手可能な最高の科学・技術の水準ということで判断がされるものと考えます。
○尾身委員 そうすると、この水準の意味というのは、最高水準のものも含めた知識の総体である。 そして、何という表現を使われたかちょっとあれですが、社会的に確立された知識であるということになりますと、普通の製造業者でありますと、例えば日立とか東芝とか、日本あるいは世界のトップレベルの製造業者なら知っているような知識の水準を持ち合わせていない、そこまで達していないようなこともあろうかと思うわけでございますけれども、そういう点で、個々本人が入手し得る、本人の能力の限界を超えているような場合もあり得るのではないか。そこまで厳しい最高水準ということを求めておられるのかどうか、その点についてもうちょっと詳しい説明をお願いいたします。
○坂本(導)政府委員 個々の事案で欠陥が議論される場合、その欠陥の製造物を製造した製造業者が、単にその業者が持ち合わせていないということでは免責されるわけではございません。しかし一方、特定の学者だけが持っていて、それで抗弁できないというわけではございません。 したがって、先ほど申し上げましたように、入手可能な最高の科学・技術の水準ということで判断されると考えます。
○尾身委員 冒頭にも申し上げましたが、以上いろいろなことを質問させていただきましたが、今回の法案は、裁判所が個別具体的な事案についていかに解釈、運用していくかにかかるところが大きいわけであります。また、事実上の推定あるいは証拠収集、損害賠償額の評価を初め、いろいろな意味で裁判官の裁量を認め過ぎているのではないかという意見もあるわけであります。 しかしながら、私は、事実上の推定とか証拠収集とか損害賠償額の決定などについては、民法あるいは民事訴訟法の一般原則によるとの考え方で裁判官が適切な判断をするという前提でできているわけでありますし、本法の主眼は、むしろ現在の不法行為責任の原則であります過失要件を欠陥要件に変えることにありまして、本法に規定されていない事項は民法の一般原則によるということになっており、私自身はまたそれが妥当であると考えているわけでありますが、提案者であります政府として、この点についてどういうふうにお考えになっておられるか、お伺いをいたします。
○升田説明員 ただいま委員御指摘のように、本法律案で規定しております製造物責任の主たる内容といいますと、製造物に起因する事故によって人の生命、身体または財産に被害が生じた場合について、民法の不法行為による責任要件であります行為者の過失から製造物の欠陥に変更するというものでありまして、不法行為の特則として製造業者等の損害賠償の責任を定めるものでございます。したがいまして、そのほかの事項につきましては当然に民法の規定が適用されることになるわけでございます。 例えば、どういうものがあるかといいますと、損害賠償の方法。これは金銭によって損害賠償するというのが民法の規定でございますけれども、そういった規定も適用される。あるいは先ほど来議論になっております過失相殺の規定、これも適用される。あるいは共同不法行為の規定といったものも適用される。さらに、類推適用の問題でございますけれども、民法の四百十六条、いわゆる相当因果関係に関する規定、これも適用されるということになっておりまして、これらの規定につきましては、民法の過失責任に基づく損害賠償請求の実務の運用というのがほぼ百年にわたっておりまして、こういった実績を踏まえて、そういった制度を製造物責任についても適用される、こういうことになっておるわけでございます。
○尾身委員 具体的な個々の事件におきます本法の適正な運用を確保するためには、私は、この委員会で種々質疑応答がなされて明らかになった立法の趣旨、各条項の解釈の仕方が、裁判官をも含めた関係者に広く周知徹底されることが極めて重要であるというふうに考えているわけであります。 そこで、これまでの質疑で示されました提案者としての政府の考え方あるいは法律の解釈を伺いまして、その説明、解釈の内容を前提として、私は本法案に賛成するものでありますが、しかし、この法案は、いわゆる通常の法案と違いまして、法案の所管官庁といいますか、法案を運用されている官庁が特定されているわけではありませんで、民間というか、当事者同士の権利義務関係あるいは責任関係を規定する民法の特例であるというものであります。 そういたしますと、今説明をいただきました、あるいは解釈についてのお話を伺いました内容は、実はこの法案の趣旨が紛争当事者間の権利・責任関係を規定する裁判規範であるということから、この法案につきましての解釈、考え方として承った政府の説明が、裁判、司法の現場でそのまま裁判所の解釈になるとは限らないことも厳然たる事実だと考えているわけでありますけれども、その点について政府はどういうふうに考えておられるか、お伺いをさせていただきます。
○寺澤国務大臣 委員の御質問は、本法の解釈についての政府答弁の説明と裁判所の解釈との関係についての我々の見解ということだろうと思います。 本法の解釈についての政府答弁は、裁判の場における裁判官の判断を拘束するものではありませんが、裁判に当たっても十分考慮されるものと期待しております。
○尾身委員 実際に裁判が行われるときに、私は、裁判官がこの委員会の質疑を全部読んで、もちろん裁判官の判断でありますから、基本になりますのはこの法案の文章そのものだというふうに思っているわけでありますが、この委員会での説明あるいは提案者の解釈論を読んで、そのとおりに裁判の運用をしてくれるとは限らないという、今の大臣の御答弁のとおりだと思っているわけであります。 さはさりながら、我々は、この法案についてその審議をする際は、政府側の提案者の趣旨あるいは法案の解釈についての説明を伺って、その内容を前提として賛否を判断しているわけでありますから、そこに法制度の問題として非常に大きな問題点があるように私自身は感じているわけであります。 したがって、今この委員会で審議をされました、あるいは参議院も含めて衆参全体で審議をされました答弁の内容、また、ほぼコンセンサスができている考え方につきましては、例えばこの答弁をもとにして、質疑をもとにして、各省がばらばらではなくて、政府全体として一本の解説書、コンメンタールみたいなものをつくって、関係者に提案者の意思として、また、そういう説明を伺った立法府が、説明の内容を理解した上でこの法案を通過させたものであり、裁判の実際の運用に当たって十分その考え方が反映されてこの施行ができるような、そういう手当てをすることが必要であるというふうに考えております。 どの役所がこの法律の所管ということではありませんから、政府、提案者全体としてこの委員会での質疑の内容をまとめて一つの解説書のようなものをつくって、これは裁判官だけではありませんで、被害を受ける可能性のある消費者あるいは製造業者等に対しましても十二分にその趣旨を徹底させて、この委員会で審議をされた内容が実際の裁判の結果に立法府の意思として十分反映されるような手段を講じていただきたいと考えているわけでございますが、この点について御答弁をお願いいたします。
○坂本(導)政府委員 委員御指摘のように、この法律案は、裁判規範であると同時に行為規範として、実際に裁判にまで至らない間に、この法律案に基づきまして各種の議論あるいは調整が行われるだろうと考えます。 したがいまして、この製造物責任制度の導入が円滑に行われ、制度本来の趣旨が実現され、あるいは定着していくというためには、私ども政府側の立法趣旨も含めて、そういった内容を製造業者あるいは消費者初め関係各界に周知徹底を図っていく必要があろうと思っております。 この法律案は猶予期間が一年間ございますので、その一年間を活用いたしまして、先ほど委員御指摘のあるように、政府一体となった統一的な解釈というものを含めて周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。
○清川政府委員 尾身委員御指摘のとおり、この製造物責任につきまして、この適用されるところ、そして影響するところは、裁判規範として働くのみならず行為規範として働くわけでございます。 すなわち、先ほど御指摘がございましたように、多くの中小企業を初めとして関係する人たちにとっては、いかなる製品をつくれば安全と考えられるのか、いかなる表示をすれば欠陥でないのかといった具体的な、そしてまた統一的な判断を多く要するところでございます。 先ほど中小企業庁長官からも御説明がございましたけれども、通産省といたしましては、中小企業を初めとして関係者全体に対しまして、可能な限り広く教育・啓発活動をし、周知徹底を図っていくことといたしたいと思います。
○尾身委員 私が今お話ししているのは、今の答弁よりもう一声突っ込んだことを聞いておりまして、今の官僚制度の中では、やはり通産省とか農林省とか厚生省とか企画庁その他関係の行政機関というのは、何といっても自分の省庁に関係するところに、まあ悪く言えばやや身びいき的に考えてこの法案の解釈等をやるのではないかということもちょっと懸念されるわけであります。 しかし、ここで答弁をされた内容についてはお互いによく連絡をとっていただいておりまして、ほかの役所の答弁が自分の方の考え方と違うということはないはずでありますし、そういうふうに伺っておりますので、これはばらばらに解説書をつくるというようなことではなしに、両大臣に伺いますが、やはり政府統一でこういうものをつくっていくことが必要であると私は考えておりますが、この点についてのお考えをお伺いをさせていただきます。
○寺澤国務大臣 私も委員と同じような考え方を持っております。大変大事な法律であります。その方向で考えさせていただきます。
○畑国務大臣 本法は、今回の論議の中でも種々御指摘を賜ったわけでございますが、ある意味におきましては極めて画期的な、そしてまた各界各層それぞれ関係者の方々にまず前提として意識改革を求めて、そしてまたそれにこたえて意識改革をしていかなければならない、そういう要素もこれまた存在する法律案であろうというふうにも考えるわけでございまして、ただいま尾身先生御指摘のとおり、これは縦割りというような物の解釈ではなくして、政府一体となって、ただいま御指摘を賜りましたこの一カ年間の猶予期間の中にございましても、十分先生の趣旨を体しました対応を具体的に進めてまいりたい、かように考えております。 〔逢沢委員長代理退席、伊藤(達)委員長代理着席〕
○尾身委員 通産大臣、私がお伺いしておりますのは、法案についての解釈論等について、提案者としてここで政府が説明をされた内容、私どもがその説明を聞いて、それならば賛成だということを決める内容について、実際問題として、この委員会での議論を裁判官が個々の事例の裁定に当たって全部読むとは限らないと思っているわけであります。したがいまして、そういう内容をまとめたものをきちっと出して、各省ばらばらではなしに統一的なものを出していただきたいということを申し上げていますので、その点についての大臣のお考えをお伺いしたい。
○畑国務大臣 いささか言葉が足りませんで失礼を申し上げましたけれども、ただいまの先生の趣旨を体しまして、いわば横の連携の中できちっとした共通認識、そしてまた共通のこの審議の中における理解、そしてまたありよう、こういうものが裁判の段階になっても大きく一つの根拠になり得るようなそういう具体的な、例えば印刷物をつくる等々、あるいはQアンドAといいますか、そういったようなものをつくる。そういうことをこれからやっていく必要がある、かように受けとめさせていただいておるわけでございます。
○尾身委員 最後の質問でございますが、通産大臣にお伺いさせていただきます。 関係者が長い間にわたりましてまとめてこられました、いわゆる過失責任から欠陥責任に変更するという、民法の基本原則を変えるという、私は歴史に残る非常に大きな法制度の変革であるというふうに思っているわけであります。これによりまして、今後いわゆる被害者の救済が図られる。それと同時に、片方では企業あるいは製造業者がより安全な製品の供給に努めるなど、全体として国民生活の向上あるいは経済の発展に大きな進歩があるというふうに私自身期待をしているわけであります。 そこで、今の裁判上どうするかということとは別に、この制度の導入に当たりまして、行政実務の面で、事実上被害者が十分に救済され、また、製造物についての安全性の確保が一層進んで、国民生活の安定向上と国民経済の発展が実現されるように、行政面におきましてもいろいろな手当て、施策を進める必要があるというふうに考えておりますが、その点についての通産大臣のお考えと決意をお伺いをさせていただきます。
○畑国務大臣 ただいま尾身先生御指摘のとおり、本法案の位置づけといいますものは極めて大きなものがある。こういうことを考えますと、我が方におきましても、引き続き具体的なこの法案に対する理解を進める、あるいはまた予防あるいはまた再発防止、そういった点にも力を入れていかなければならない、かように考えるわけでございます。 私どもは、さような意味合いの中から、例えば、制度内容の周知徹底、消費者に対する教育、啓発、あるいはまためり張りのきいた安全規制、なおまた表示・取扱説明書の適正化、裁判外紛争処理、事故原因究明体制の整備、情報の提供等々がこれから極めて大切な要素を占めておる、かような認識に立って対応を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○尾身委員 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○伊藤(達)委員長代理 続きまして、大畠章宏君。 〔伊藤(達)委員長代理退席、委員長着席〕
○大畠委員 日本社会党の大畠章宏でございます。 我が国において、戦後、森永ドライミルク事件、サリドマイド事件、スモン事件、カネミライスオイル事件など、製品の欠陥により多数の被害者が生じた事件が、昭和三十年から、あるいはまた四十年代に発生をいたしました。それ以来、本法律案の制定に向けて御努力をされた多くの関係者の皆さんに心から敬意を表したいと思います。 本法案につきましては、既にこれまで社会党を代表して松本龍議員、伊東秀子議員、坂上議員等々からいろいろと御質問をさせていただきました。本法案の目的、欠陥概念の件、あるいは開発危険の抗弁、製造物の範囲、原因究明機関の強化、さらには特に血液製剤等々についてもいろいろと質問をさせていただき、明らかになっているところでありますけれども、これらの質問を踏まえながら、短時間でありますけれども、これまでの審議を振り返りながら、確認及び補充の総括質問をさせていただきたいと思います。短時間でございますので、答弁は簡潔にお願いを申し上げたいと思います。 最初に、本法案の目的規定についてお伺いをしたいと思いましたけれども、この件につきましては、既に松本議員、伊東議員等々からの質問において、メーカーの現実的な立場というものを踏まえながらも、消費者保護の観点から明確な大臣答弁をいただいておりますので、この件については重複を避けたいと思います。 そこで、今いろいろと御質問ございましたけれども、血液製剤の件について御質問をさせていただきたいと思います。 この血液製剤につきましては、既に政府見解というものが示されましたけれども、この政府見解というものは個々の事案についての裁判上の法解釈を拘束し得るものではないことは、先日、伊東秀子議員の質問に御答弁をいただいているところでありますけれども、さらに三点ほど御質問をさせていただきたいと思います。 第一点は、輸血用血液製剤によるウイルス感染の例としては、B型・C型肝炎が多いと聞いておりますけれども、その感染被害の発生状況あるいはウイルス混入を防止するための検査技術の現状はどうなっているのか、この件についてまずお伺いしたいと思います。
○矢野説明員 検査技術の件でございますけれども、最近非常に向上いたしております。 その結果といたしまして、肝炎の発生状況でございますけれども、B型につきましてはもうほとんど完全に克服されております。ただ、非A非B型、ノンAノンB型の肝炎でございますけれども、これは検査技術がC型肝炎につきまして導入されるまで七%ぐらいの発生率があったわけでございますけれども、現在では一%ぐらいに減少いたしております。
○大畠委員 そうすると、一般論としては、検査技術の不断の向上により、特定のウイルス等の混入が欠陥に該当する場合も出てくるというように解釈してよろしいですか。
○矢野説明員 この科学・技術水準の向上といいますものが欠陥の判断に当たりまして影響してくるというのは、これは当然でございます。したがいまして、仮に特定のウイルスにつきまして検査技術が確立した、その後で当該ウイルスが混入した血液製剤が流通に置かれた、こうなりますと、欠陥に該当する場合も当然出てまいるということでございます。
○大畠委員 次に、血漿分画製剤による血友病患者へのエイズ感染が重大な社会問題となってきておりますけれども、政府はこの血漿分画製剤による感染被害についても、輸血用血液製剤と同様に、現時点では欠陥に該当しないとの見解を持っておられるのかどうかお尋ねしたいと思います。
○矢野説明員 今御指摘のございました血漿分画製剤でございますけれども、これは種々の加工処理が加えられた製品でございます。したがいまして、その過程におきまして、リスクの排除も技術的に可能になっておるわけでございます。この点が輸血用血液製剤と根本的に違うところでございまして、輸血用血液製剤につきましては、先ほどから申し上げているとおり、ウイルス等の混入といいますのが技術的に完全に排除できていない、こういうことでございます。したがいまして、輸血用血液製剤についての見解というものは、血漿分画製剤にそのまま当てはまるものではないということでございます。
○大畠委員 さらに、医薬品の副作用被害については、製薬メーカーに民事責任がない場合にも、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構によって被害の救済が図られておりますけれども、血液製剤、生ワクチンによるウイルス感染や免疫反応等による副作用被害についてはどのような救済が図られるのか、お伺いしたいと思います。
○矢野説明員 この医薬品の副作用被害につきましては、今お話のございましたように、救済基金制度がございます。 ただ、この中におきまして、今お話のございました輸血用血液製剤は対象になっておらないわけでございます。これは、抗がん剤ですとか輸血用血液製剤につきましては非常に重い副作用を発生する可能性が高い。一方では、ほかにかわり得る治療法がございませんので、どうしても危険を承知で使わざるを得ない、こういうことでございます。したがいまして、そういった場合の被害につきましては、これは受忍の範囲内ではないか、こういう趣旨で、法律上も輸血用血液製剤につきましては救済対象外になっておるということでございます。 ただ、生ワクチンにつきましては、これは対象になっておりまして、現在でも被害救済が行われております。
○大畠委員 機構が設置された当初の目的・趣旨に照らして、輸血用血液製剤による被害も含めて広く救済を図ることができるよう、ぜひ検討をお願いしたいと思います。 次に、欠陥の概念について、法務省並びに通産省にお伺いしたいと思います。 第二条第二項の「欠陥」の定義では、「製造物の特性」「通常予見される使用形態」「製造物を引き渡した時期」、そして「その他の当該製造物に係る事情」を欠陥判断の際の考慮事情として掲げておりますけれども、これは裁判において原告である被害者が必ず主張・立証しなければならない要件事実に当たるかどうかお伺いしたいと思います。
○升田説明員 製品事故の被害者が製造物責任に基づきまして損害賠償を請求する場合、そのために何を主張・立証すべきか、すなわち要件事実が何であるかという問題でございますけれども、製造物の欠陥、すなわち製造物が通常有すべき安全性を欠いていることを主張・立証しなければならない、こういうぐあいに考えられるのが原則でございます。もちろん、この解釈につきましては今後議論を呼ぶところではございますけれども、原則的には今申し上げたように考えられるわけでございます。 したがいまして、今委員御指摘の本法律案二条二項において規定されております「製造物の特性」「通常予見される使用形態」「製造物を引き渡した時期」等の事情は、いずれも欠陥という製造物責任の要件となる事実の存否を判断する際の代表的な考慮事情を例示したものでございますので、主張・立証責任の対象となる要件事実には当たらないと考えられるわけでございます。
○大畠委員 それでは次に、開発危険の抗弁について種々この委員会の中でも議論があったところでありますけれども、この件について改めて経企庁にお伺いしたいと思います。 開発危険の抗弁の判断基準は極めて厳格なものでなければならないと考えるところであります。本法案に言う「科学又は技術に関する知見」の意味を改めて確認させていただきたいと思います。
○坂本(導)政府委員 本法律案における「知見」とは、欠陥の有無を判断するに当たって影響を受け得る程度に確立された知識のすべてであり、また、特定の者の有するものではなく、客観的に社会に存在する知識の総体を指すものでございます。 すなわち、他に影響を及ぼし得る程度に確立された知識であれば、初歩的な知識から最高水準の知識までのすべてが含まれることになり、おのずから、免責されるためには、当該欠陥の有無の判断に必要となる入手可能な最高水準の知識に照らし、欠陥であることを認識することができなかったことを証明することが必要となります。 したがいまして、開発危険の抗弁につきましては、入手可能な最高の科学・技術の水準が判断基準となるものと考えます。
○大畠委員 今「科学又は技術に関する知見」についてお伺いしたわけでありますが、欠陥があるにもかかわらず、開発危険の抗弁によって製造業者等が免責される場合にも、医薬品副作用被害救済制度等の他の救済制度や社会保険等の活用により、また場合によってはこれらの制度を拡充することも視野に入れながら適切な救済が図られる必要があると考えますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○坂本(導)政府委員 アメリカにおけるような健康保険制度の不備ということが我が国の場合はございませんので、御指摘のように、医薬品救済基金あるいは健康保険制度あるいは年金保険制度あるいは労働者災害補償保険制度で、免責された場合について適切な救済が行われていくものと考えております。
○大畠委員 次に、原因究明機関等についてもいろいろと質疑があったところでありますけれども、この件について経企庁長官と通産省に伺いたいと思いますが、事故原因究明体制の整備は被害者の立証負担軽減のために重要な意味を持つものでありますが、消費者の利便を図る観点からは、特に、中立、公正な機関、国民生活センターや都道府県等の消費生活センターの原因究明能力の充実向上が求められていると考えます。この件についての長官の所見を、また、通産省の所見を伺っておきたいと思います。
○寺澤国務大臣 製品の事故原医究明につきましては、国民生活審議会の報告におきましても、被害者にとって利用しやすい原因を究明する機関を整備し、その証明負担を軽くするよう提言されております。 経済企画庁といたしましては、この報告の趣旨を踏まえ、まず、消費者にとって身近な各地の消費生活センターにおける原因究明機能を充実強化するため、商品テスト機品整備のための交付金を都道府県等に交付することにしております。 また、国民生活センターについては、原因究明のための商品テスト体制の強化、商品テスト情報の収集・提供システムの構築などを重点といたしまして、機能の強化を図ってまいりたいと思っております。 さらに、消費生活センターで原因の究明が難しいものにつきましては、民間の検査機関、大学、国の機関や国民生活センター等各機関相互の緊密な連携体制を整備してまいりたいと思っております。
○清川政府委員 原因究明体制整備の具体的なあり方といたしまして、国民経済上のコストも踏まえて、専門的な知見、ノウハウを有した既存機関あるいは人材を活用しながら、体制整備を進めていくことが必要であると考えております。 具体的に通産省について申し上げますと、通商産業検査所など経験とノウハウのある公的機関による原因究明体制の拡充強化、第二には、原因究明に係る知見、ノウハウを有する既存の民間検査機関の受け入れ体制を整備していただく、第三には、原因究明能力を有する民間検査機関あるいは大学の研究室などの機関に関する情報の地域や製品分野の整理、そしてこれらの機関を紹介、あっせんできるような体制を整備するというようなことを推進することといたしております。
○大畠委員 この製造物責任法の基本的なといいますか、この法案を目的あるいは趣旨に沿った形で生かすためには、この原因究明機関について、今それぞれ経企庁並びに通産省から機関の充実をするという趣旨の御答弁がありましたけれども、ここが一番のかぎになっていると思いますので、ぜひ今の答弁をベースとして着実な、確実な強化をしていただけるように要望したいと思います。 それから、この法案の中小企業に対する影響について、対応策についてお伺いしたいと思いますが、既に先ほど尾身委員の方からも御質問等がございましたけれども、下請中小企業に対する不当な責任転嫁等を防止するためには、独占禁止法や下請代金法の規定も活用して下請取引関係の一層の適正化に努める必要があると考えますけれども、この件については、公正取引委員会並びに中小企業庁の所見を伺っておきたいと思います。
○植松政府委員 お答えさせていただきます。 親事業者が自己の取引上の優越した地位を利用しまして、下請事業者に責任がないにもかかわらずPL法上の損害賠償の費用を下請事業者に負担させたり、あるいは専ら親事業者のためのPL保険料の負担などを理由としまして一方的に単価を引き下げたり下請代金を減額させたりすることは、独占禁止法または下請法上問題となるおそれがあります。 したがいまして、公正取引委員会といたしましては、大畠委員の御指摘の点にも留意しつつ、下請事業者に対して不当なしわ寄せ行為が行われることのないよう、独占禁止法及び下請法の厳正な運用に努めてまいりたいと考えております。
○大畠委員 今公取の方からお話といいますか見解を伺いましたけれども、公正取引委員会は今日本国内でもいろいろと注目をされている省庁でもありますし、さらにこの法案の趣旨を踏まえて、厳正な対処といいますか、中小企業に対するきちっとした対応を今のお話のとおり行っていただきますようにぜひお願いしたいと思います。 そこで、もう一つ中小企業庁の見解をお願いしたいと思います。
○長田政府委員 下請代金支払遅延等防止法につきましては、私ども、公正取引委員会と一緒に協力をいたしまして、この製造物責任と密接に関連する事項について、この代金法の調査、検査、それを重点的に公正取引委員会と協力してやってまいりたいと思います。
○大畠委員 中小企業庁にも申し上げたいと思いますが、いろいろと今日の経済界を支えているのは下請中小企業でございます。そういうことから、何かと立場が弱いということもありまして、本法律の施行に伴ってしわ寄せが来ないように、今御答弁がありましたけれども、公正取引委員会と連携をとって対応していただきたいということをぜひお願いしておきたいと思います。 次に、この消費者の教育等について、経企庁並びに文部省、通産省の三省庁にお伺いしたいと思います。 今回の法律の趣旨を消費者、製造業者等に周知徹底させる方策の一環として、先ほど国民生活センターというお話が出ましたけれども、国民生活センター等による製品事故に関する情報の収集。提供の一層の拡充強化、さらに学校教育の場における消費者安全に係る消費者教育の充実等が必要と考えますけれども、この件について、関係部門の対応策等についてお伺いしたいと思います。
○坂本(導)政府委員 製造物責任制度の導入が円滑に行われ、制度本来の趣旨が実現され定着していくためには、委員御指摘のように、製造業者あるいは消費者を初め関係者に正しく理解されることが不可欠でございます。 このため、政府としては各般の周知徹底を図るわけでございますが、具体的に、国民生活センターにおきましては、被害の未然防止、拡大防止のために、全国の消費生活センターや協力病院とネットワークを結ぶ危害情報収集システムを整備し、製品事故等に関する情報を収集・提供しておりますけれども、これらの製品事故に関する情報については、地方自治体、消費者等の協力を得て、その収集・提供の一層の拡充強化を図っていきたいと考えております。 さらに、製品に係る事故防止及び円滑な被害救済を確保するため、製品の基礎的な知識や取扱説明書、マニュアルの読み方等について、副読本としても利用できるような冊子を作成するなど、製品安全に係る消費者教育の充実を図っていきたいと考えております。
○河上説明員 学校教育の場における消費者安全に係る消費者教育の充実ということにつきましてお答えいたします。 消費者としての正しい態度や知識を身につけるということは、学校教育における重要な課題であると認識しております。従来から、小中高等学校を通じまして、社会科とか家庭科を中心に指導を行ってまいりました。 今回、学習指導要領が改訂されまして、これからの社会の変化というものに対応するという観点から、この消費者教育に関する各教科の内容の改善を図っております。 具体的に申しますと、例えば中学校の公民の分野で消費者保護ということを取り扱う際に、「消費者として主体的に判断し行動することが大切であることを考えさせる」ということを新たに示しております。 それから、技術・家庭という教科がございますが、その中で幾つかの領域がございまして、「家庭生活」という領域で「物資・サービスの選択、契約、購入及び活用について考え、消費者としての自覚をもつ」、こういう指導をすることになっております。 また、「電気」という分野がございますけれども、電気機器の安全かつ適切な活用について指導するなど、生活に必要な知識と技術を習得させることとしております。 この「家庭生活」という領域あるいは「電気」という領域は、技術・家庭科の中で必修の分野になっておりまして、すべての生徒に教えることになっております。 また、高等学校にまいりますと、現代社会という科目がございまして、その中で「消費者保護と契約」ということを教えることになっております。 また、「政治・経済」というところで、やはり「消費者保護」というものを指導することになっておりますけれども、教科書を見ますと、既に製造物責任の考え方を紹介しているものもございます。 家庭科におきましても、「消費生活と消費者としての自覚」あるいは「生活情報の活用」ということを指導することになっておりまして、製品の取扱説明書など、生活情報の適切な活用についても指導するということになっております。 今後とも学校教育における消費者安全を含めた消費者教育の一層の充実に努めてまいりたいと思っております。
○清川政府委員 製品事故にかかわる情報そして教育は、消費者にとっても、中小企業を初めとする各企業にとっても、そしてまた行政にとっても極めて重要でございまして、通産省といたしましては、これまでもこうした情報の収集・提供、そしてまた教育につきましていろいろ工夫を凝らし、努力をいたしているところでございます。 例えば、より安全な消費生活のために、製品の基礎的な知識や取扱説明書、マニュアルの読み方につきまして、学校教育用の副読本としても利用できるような冊子を作成する、そして学校に専門家を派遣するなど、関係省とも協力しながら、製品安全教育に係る学校教育の充実を図っているところでございます。 例えば、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会におきましては、学校における消費者教育事業、シンポジウム、研修会などを行っておりまして、例えば、消費者教育につきまして、全国百十校の高等学校におきまして、日常消費者問題に取り組んでいるアドバイザーあるいはコンサルタントであるこのアドバイザー・コンサルタント協会の会員を講師として派遣いたしまして、消費者教育を行っているところでございます。 そのほか、テキスト、ビデオを作成し、学校等に配付をいたしまして、消費者教育にも努めているところでございます。
○大畠委員 これまで、過失責任という形でいろいろ取り上げてきましたけれども、過失責任から欠陥責任への大きな転換にこの法律の制定によってなると思います。やっと日本も欧米並みにこの問題を取り上げ、そしてこの法律が制定されようとしておりますけれども、この法律に対する一般的な認識はまだまだ十分じゃないと思います。 そういうことで、先ほどから答弁がありましたけれども、経企庁、文部省、通産省、それぞれ努力をして、せっかくこの法律ができるわけでありますから、これを全国民に周知徹底させるため、先ほど尾身委員の方からは法律を解説したパンフレットというものもつくるべきじゃないかというお話がございましたが、通産省でも一般国民向けに、こういう場合にはこういう形で救済されますという具体的な内容がわかるものをぜひつくって徹底していただきたいと考えているところであります。 もう一つ、ちょっと時間が迫ってまいりましたけれども、免責特約の効力について、法務省に伺いたいと思います。 本法律案には免責特約を無効とする旨の明文の規定が設けられておりませんけれども、消費者との関係で製造業者等の製造物責任を免責する特約は有効かどうか、この件についてお伺いしたいと思います。
○升田説明員 ただいま御指摘の免責特約でございますけれども、立法例を見ますと、EC理事会指令におきましては、十二条に「責任制限条項または責任排除条項によって、その製造物責任を排除または制限することができない」といった規定が設けられておりまして、本法律案におきましてはそういった規定を設けておりません。 これは、製造物の欠陥による製造業者等の損害賠償責任に関する免責特約につきまして、事前に加害者の損害賠償責任を制限あるいは免除する旨の記載が製品の表示や取扱説明書などに仮に存在しましたとしても、これによって特約が当事者間に締結されたと認められるということは困難であると。したがいまして、この場合には有効、無効の問題を生じるまでもなく、そういった免責特約の効力はない、こういうことになろうかと思います。 さらに、免責特約が締結され、その成立が仮に認められたといたしましても、この特約は民法九十条、これは公序良俗に反する契約は無効であるという規定でございますけれども、この規定によりまして無効と判断される場合が多いと考えられるわけでございます。少なくとも大損に関する免責特約につきましては、公序良俗違反を理由に無効になるものと理解されております。 このように、免責特約の効力につきましては、個々の事案におきまして、その成否あるいは公序良俗違反の有無を判断すれば足りるわけでございまして、実際、これによりまして被害者の保護を損なうおそれはないと考えられたことから、本法律案におきましては、これを一律に無効とするような一般的な規定を設けなかったということになるわけでございます。
○大畠委員 ありがとうございました。 いろいろと質問してまいりました。この法律の目的というものが、過失から欠陥への転換により被害者の保護を図るものであるということにつきましては、既にこれまでの各委員の質問に対する大臣からの答弁等々で明確になっているところであります。 この製造物責任法の制定を求める全国津々浦々の消費者団体からの要請がたくさん寄せられておりますし、また、この法律案に対する国民の期待も大変高いものであります。 私たちは、社会党としても、この法律案は既に各種審議会や連立与党PL法プロジェクトチーム、さらに本委員会においていろいろと広範な見地から十分な審議が行われ、問題点の解明も図られてきたところでありまして、私としては、また社会党としても、原案どおり速やかに成立を図るべきものと考えております。 この際、両大臣の法案成立への決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○白川委員長 ちょっと待ってください。 先ほどの法務省の升田参事官の答弁でございますが、非常に大事なことでございますので、あわせて政府委員からも先ほどの免責特約の排除については答弁いただきたいと思います。後で結構です。 両大臣、どうぞ。
○畑国務大臣 ただいま先生御指摘のとおり、本法律案につきましては、関係審議会等々、そしてまた社会党さんを初めとする各政党におきましても、あるいは関係団体にございましても、長い期間にわたるお取り組み、そしてまた真剣な論議、そういうものを踏まえた中での今回の法律案であるわけでございますので、引き続き御理解、御支援を賜る姿の中で、一日も早く本法案の成立を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○白川委員長 では、経済企画庁、大臣の前に。
○坂本(導)政府委員 先ほど法務省からも御答弁申し上げましたが、消費者との関係で特別の約束、契約をしておりましても、その内容が民法九十条による公序良俗に反するものとして無効とされる場合が多いと考えます。特に大損に関する免責特約というものは、公序良俗違反を理由に無効とされるものと解されます。
○寺澤国務大臣 製造物責任制度の導入につきましては、政府として、関係審議会等において一生懸命に検討を進めてまいり、この制度の法制化を図るべきだという結論を得まして、この法案を提出したものであります。ぜひとも速やかに御賛同くださるようよろしくお願い申し上げます。
○大畠委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○白川委員長 次に、枝野幸男。
○枝野委員 民主の風の枝野幸男でございます。 改新の皆さん、公明党の皆さんの御理解をいただきまして、さきがけ・青雲・民主の風を代表して、与党の立場から、本法案について質疑をさせていただきます。 特に私は連立与党のプロジェクトチームの中に入れていただきまして、本法案の制定の過程に役所の皆さんとともに参画をさせていただきました立場から、本法案の重要な部分について確認的な答弁をいただきたいと思っておりますので、時間も短うございます、要点を手短に御答弁いただければと考えております。 まず、欠陥の定義についてお尋ね申し上げます。 欠陥の定義については、「通常有すべき安全性を欠いていること」というふうになっておりまして、これが要件事実である、主要事実であるというふうなことを先ほど大畠委員からの質問にお答えいただきました。 それでは、いざ裁判となった場合、裁判官はこの「通常有すべき安全性を欠いていること」というのをだれの立場に立って判断をするのか、これは当該製造業者の立場からではないというふうに考えますが、この点について御答弁をお願い申し上げます。
○坂本(導)政府委員 御指摘の「通常有すべき安全性」の内容は、当該製造物に係る諸事情を総合的に考慮して判断されるが、究極的には製造業者、消費者を含めた通常人が具備すべき安全性として期待しているものであるかどうかで判断されることになると考えます。したがいまして、当該製造業者や被害者など、特定の者の立場で判断されるものではございません。
○枝野委員 欠陥の定義についてもう一点だけお尋ねします。 条文の中にも三つの考慮事情というものが書かれております。また、本法案の前提としてありました産業構造審議会あるいは国民生活審議会の報告の中では、欠陥についての考慮事情として九つの条項を挙げております。しかしながら、すべての製品あるいはすべての事故についてこの九つの事情すべてを考慮するわけではない、事故の態様、製品の態様によって考慮すべきものもあるし考慮しないものもある、したがって条文には書かれなかった、こういう理解でよろしゅうございますね。
○清川政府委員 本法律案におきましては、欠陥の概念の明確化の要請、そしてまた争点の拡散の防止による被害者の救済の要請との調整の観点から、共通性、重要性、そして両当事者にとって中立的な表現ということを念頭に工夫を行いまして、欠陥認定に当たっての考慮事情として、枝野委員御指摘の、「製造物の特性」「通常予見される使用形態」及び製造業者によって製造物が引き渡された時期の三つを例示しているわけでございます。 御指摘の九項目との関係につきましては、これらの三項目の考慮事情には、産業構造審議会あるいはまた国民生活審議会で掲げられている九項目は概念として含まれているわけでございまして、実際の裁判におきましては、個々の事案に応じてウエートを置くことにしつつ、これらの要素が総合的に勘案されて欠陥の判断がなされることになるものと考えるわけでございます。
○枝野委員 製造物責任法に関しましては、欠陥責任に転換するということと、もう一つ、推定規定をどうするかということが大変大きな問題になりました。結果的にこの法案の中には法律上の推定の規定は置かれないということになっておりますが、現実の裁判の現場におきまして、特に高度の先端技術を用いております欠陥製品の事故に関しましては、証拠がどうしてもメーカー側に偏るという現実があるのは、これは否定できない事実であると思います。 本製造物責任法が本当に有効に機能するためには、国民生活審議会などの報告にも書いておりましたが、事案に応じて事実上の推定をきちんと活用するというふうな裁判上の運営がなされなければ、なかなか本質的な意味を持つことが難しい場面が少なくない、このように考えております。 事実上の推定の活用ということは国民生活審議会の報告ではきちんと書いておりますが、本法案を提出いたしました経済企画庁の立場といたしまして、この事実上の推定の活用という点についての御認識をお聞かせいただきたいと思います。
○寺澤国務大臣 本法案では、立証責任については、原告が責任原因を立証するこれまでの原則が維持されておりますが、政府としては、裁判において個々の事案の内容、証拠の提出状況等に応じて、経験則、事実上の推定等を柔軟に活用することにより、事案に即し、公正に被害者の立証負担の軽減が図られることを期待しております。
○枝野委員 次に、本法案の三条におきましては、拡大損害が生じなかった場合、当該製造物についてのみ生じた損害についてはPL法の対象から外しております。これは、例えばプロジェクトチームの議論の中でもございましたが、製造物責任制度というのは、いわゆる不良品についての品質クレーム、これは対象にはなっていない、あくまでも安全性に関する欠陥が生じた場合の問題である、このことを踏まえての趣旨であると理解しておりますが、まずこの点についての確認をお願い申し上げます。 そしてまた、この不良品についての品質クレームについてまでこのPL法でカバーされているのではないかという誤解が一部にないではありません。この点についての周知徹底についてどのようにお考えになっているか、お聞かせください。
○古賀政府委員 本法案におきます欠陥というのは、御承知のとおり、製造物が通常有すべき安全性を欠くということを示す概念でございまして、安全性にかかわる損害を生じませんような単なる品質の瑕疵は、これは欠陥に該当しません。本法案の対象にはならないということで、御指摘のとおりでございます。 次に、当該製品の欠陥、つまり通常有すべき安全性を欠くということによって生じました損害がその製品自体にとどまる場合どうかという御指摘でございますけれども、欠陥ある製品自体の損害と、欠陥には至らないけれども品質上の瑕疵があるにすぎない場合との区別が事実上非常に微妙で困難な場合が多い、こういうことの理由によりまして、本法案では、当該欠陥製品自体の損害は製造物責任の対象から除外するということでございます。 最後の御指摘の周知徹底でございますけれども、この点は非常に重要な点と存じます。法案全体の広報とあわせて、この点、しっかりと周知徹底に努めてまいりたい、かように思っております。
○枝野委員 ところで、本法案は、損害の賠償の対象となる損害の範囲につきまして、事業用の財産に生じたものをも対象とし、また責任限度額も設けておりません。これについては、一部からは、余りに大きな損害の範囲にまで拡大してしまうのではないかというふうな不安の声もないではありません。この点については、民法の相当因果関係の理論によって制限される、問題はないというふうに考えておりますが、この点についての御見解を確認したいと思います。
○升田説明員 製造物責任に基づきます損害賠償の範囲につきましては、ただいま委員御指摘のとおり、民法四百十六条の規定を類推適用して判断される、こういうことになるわけでございます。 そこで、実際に事業用損害の取り扱いにつきましてどうなるかと申しますと、事業の内容、得べかりし利益の内容、性質、事故の態様、被害者と加害者との関係等の諸般の事情を考慮いたしまして、通常損害であるか特別損害であるかを判断し、特別損害である場合には、予見可能性があるかどうかというその二段階の判断の枠組みを通じて、製造物の欠陥と相当因果関係のある損害のみが対象とされる、こういうことになっております。 従前、相当因果関係に基づきまして損害賠償の範囲が判断されてきたわけでございますけれども、事案の内容に即して常識的な範囲で損害賠償が認められてきておるところでございまして、今後、製造物責任が認められましても、事業用損害につきまして損害の範囲が不当に拡大するというおそれはないものと考えております。
○枝野委員 一つ細かいところで確認をさせていただきたいと思いますが、この製造物責任法に基づきます損害賠償請求権と従来の民法に基づく不法行為責任に基づく損害賠償請求権、この関係は請求権競合になるということでよろしゅうございますね。
○升田説明員 御指摘のとおりでございまして、この法律案によって認められようとしております製造物責任は、現行の不法行為責任等の他の法理に基づく責任に加えて設けられるものでございまして、これらの責任に影響を及ぼすものではないと考えております。
○枝野委員 さて、この法案に関しましては、メーカーの皆さん、特に中小企業の皆さんにいろいろと不安を与える、あるいは産業界に影響を与えるというふうな指摘も一部からは出されてきております。 しかしながら、これまで日本の国の製品安全管理というものについては、世界で最高レベルの、非常に高度の安全管理システムがとられている。しかも、大部分のメーカーの皆さんは、安全に対する配慮というものをきちんとお持ちになってなさっておられるというふうに理解をしております。 そして、この法律は、万が一にも事故が起こってしまった場合についてのみ適用される裁判規範という性質を持っております。 したがいまして、まじめに製品をつくり、安全対策に気を配っていらっしゃる特に中小企業などの皆さんには、本法案ができても特段心配はございませんよ、今までどおりきちんと安全に配慮して物をつくっていらっしゃれば、大部分の方には心配ないのです、影響はないのですというふうに考えますけれども、この点、中小企業等を所管しておられます通商産業大臣の見解をお願い申し上げます。
○畑国務大臣 ただいま枝野先生御指摘のとおり、従来から我が国の産業界、そしてまた中小企業のお立場にございましても、安全管理の問題には大きく御努力を賜っておるところでございますから、さような意味合いでの新たな負担ということは少ない。 しかしながら、何といっても中小企業のお立場にございましては、本法案に伴う不安あるいは懸念材料、こういうものがあることはこれまた事実でございますから、そういうことを踏まえまして、委員御案内のとおり、本法案の中に部品・原材料の製造業者の抗弁措置あるいは施行まで一カ年間の猶予期間、こういうものが設けられますとともに、そしてまた、何といってもやはりこれから制度内容の十分な周知徹底が極めて大切であるというように考えるわけでございますし、なおまた安全性向上のための設備投資に対する支援措置、これは金融面で、あるいはまた税制面でこれに対する支援措置をきちんとやってもらいたい、こういうことを本年度予算案の中にも計上をさせていただいておるような内容に相なっておるわけでございます。 趣旨を踏まえて努力を重ねてまいります。
○枝野委員 ありがとうございました。 この製造物責任法というのは、まさに細川前内閣が掲げました生活者主権という見地か非常に重要な、そして大切な第一歩をしるす法律であると個人的に考えております。そうした中で、細川総理と同じ寺澤長官が主管大臣として今そこにお座りになっている、そして私もこの質問を一番最後にさせていただけるということについては、大変感慨無量なものを感じております。 本法案が一日も早く成立することと同時に、まだ残された課題はたくさんございます。そうした点について各省庁を含めて努力をして、生活者主権の確立というものに向かって頑張っていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○白川委員長 これにて、内閣提出、製造物責任法案に対する質疑は終局いたしました。 次回は、来る十四日火曜日午前九時五分理事会、午前九時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会