厚生委員会 第8号
- 発言数
- 55 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1994/06/10
会議録
○加藤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人として京都大学経済学部教授西村周三君、公立みつぎ総合病院院長山口昇君、日本労働組合総連合会社会政策局長五十嵐清君、全国保険医団体連合会副会長室生昇君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。本日は、本案についてそれぞれのお立場から何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 なお、議事の順序でございますが、参考人各位からお一人十五分程度ずつ御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。 それでは、まず、西村参考人にお願いいたします。
○西村参考人 京都大学の経済学部で、医療経済学というのと保険論というのを研究しております西村でございます。よろしくお願いいたします。 時間の制約がございますので、健康保険法等の一部を改正する法律案に関しまして、二点に絞りまして意見を述べさせていただきたいと思います。 まず第一点は、入院時の食事の給付の見直しにかかわる改正案に関してでございます。 私は、患者さんの一部負担ということに関して、一般論といたしまして、それはある程度の額を御負担いただくべきであるという考えを持っております。その重要な一つのポイントといたしまして、いわゆるノーマライゼーションの考え方というのがあろうかと思います。それは、病院に入院しても、あるいは在宅で医療を受けていても、どこにおっても日常的な生活、つまり病院の中の入院が極めて特殊なものであるという考えに至らないような状態をつくっていくということが重要であろうと思いまして、今回企図されております負担の公平という観点から見て、在宅時における食事の必要な分について病院においても食事代が必要ではないかという考え方は、基本的には十分理解できるものであるというふうに考えております。 しかしながら、今回の改正案に関しては、やはり幾つか気になる点もございます。幾つか申し上げたいと思います。 まず第一点でございますが、今回の改正は、この食事についての一部負担等、いわば負担の公平化という目的、それから医業経営の安定化を目指すための診療報酬の改定、この二つの事柄が重なっておりますために、しばしば個々の項目の改正に関しては、目的がいま一つはっきりしないということになりはしないかという危惧を持っております。 具体的には、今回の給食の一部負担の見直しに伴って生じますであろう患者さんの一部負担の増加額は、厚生省さんの推計等によりますと、今のままの数字ですと約三千五百億円程度になろうかと思いますしばしば、この法案が形成される経過を見てまいりますと、医療機関の経営が非常に不安定化しているということがありまして、何とか財源をどこかから調達したいという発想が他方でございました。それにかかわる公費負担あるいは社会保険料等の財源が非常に逼迫しております中で、どうしても財源が見つからないから、やむを得ないから患者さんに一部負担を願ってという発想が若干あったのではないかという印象を持っております。 しかしながら、はっきりしておかなければならないことは、今申しましたように、三千五百億円という金額は、一回の改定に要する、一回の改定によって生じます約一兆円の医療費増の中に占める割合としましては、かなり大きな額ではございますけれども、こういったことを今後、将来医療機関の安定化のために診療報酬を改定する財源として目指すということはもう不可能なわけです。つまり今回一回きりでありまして、これをさらに借また患者さんからいただくというようなことはほぼ不可能でありますわけですから、一回きりこういうことができるというものでありますから、法案の細部に関してチェックをするに際して、この財源を調達するという目的と、それから患者負担の公平化を図るという目的をごっちゃにしてしまいますと、いろいろ問題が生じてまいるという感じがいたします。 その一例として例えば考えられますものは、長期入院にかかわる患者さんの負担であろうかと思 います。私の理解では、比較的短期の入院にかかわる場合においては、御家庭でも食事をなさっているわけでありますからそれほど大きな負担にはならないという印象を持ちますが、長期に入院なさった場合には、やはり一カ月二万四千円の負担というのはかなり大きなものになろうかと思います。 他方で、こういった患者負担を増加することに伴う機能といたしまして、受診を抑制することができるのではないかという期待がしばしば持たれております。しかしながら、私どもが各種のデータで調査いたします限りにおいては、受診抑制には、この程度の額の一部負担の増というのはそれほど結果的に大きく響いてこなかったというのがこれまでの経緯でございます。したがって、このような一部負担の増加をいたしますと、長期入院にかかわる患者さんの負担だけが大きくなって、そして結果として長期入院がそれほど減らないのではないかという危惧が持たれます。 もちろん、私は長期入院を是正すべきであるという基本的な考え方には賛意を示すものであります。さまざまな老人保健施設あるいは各種福祉施設等が充実され、また在宅医療、在宅福祉等が充実されることによって、不必要に長期に及ぶ入院患者が発生することを避けるということが政策としてとられなければならないことは極めて重要だと考えております。しかしながら、この目的のためには別途の手段を講じるべきではないかというふうに考えております。 もちろん、具体的に長期入院をなさっていらっしゃる患者さんの現状を個々に調べてまいりますと、いわば経済的要因によって、ほかの施設にいるよりも、あるいは在宅にいるよりも実質的に負担が安いからという理由で病院入院を希望なさっている方が多く、そういう方々に対して負担の公平化を図るべきであるということに関しては賛成でございますが、今回のようなこういう形で大きく網をかけますと、やむなく、さまざまな形で慢性疾患をお持ちになって、他の施設で療養等を受けることができない可能性がある患者さんにしわ寄せがいくという可能性があるのではないか。その点に関して特段の配慮がなされる必要があるのではないかというふうに思っております。 これに付随しまして、やや学者的、机上の空論的一般論を申して大変恐縮ですけれども、従来の一部負担のあり方に関する議論に関して言いますと、私は今後長期的な課題として、次のような点を考えるべきではないかというふうに思っております。 近年に至りましてさまざまな形でいわば定率ではなく定額負担というものが随分ふえてまいりましたが、健康保険法の法そのものに載っておる基本的な発想の中に、定率負担という考え方が根本の中に入っておるかと思います。この定率負担というのは、例えばしばしば患者さんのコスト意識を高めるためにといったような議論がなされ、そのことの存在価値が言われてまいりましたが、実際、各種の調査を見た場合に、今のような一割程度あるいは二割程度の負担の状況で、患者さんのコスト意識というものがそれほど高まるというふうにも思えません。もちろん、私は患者さんのコスト意識を高める必要がないと申しているわけではございませんが、定率負担によって患者さんのコスト意識を高めようという考え方にはやや無理があるという意味で申し上げております。 いずれにしましても、患者さんの一部負担を定率にするという発想が現行健康保険法の中には根強く入っております。この点をやはり大きく見直していくことをしないと、先ほど申した、例えば一方の目的が医療機関の経営の安定化、他方の目的が患者負担の公平という、この二つの目的を同時に実現しようとしますと、さまざまな矛盾が出てまいります。 例えば、近年大病院へ患者さんが集中することになるという問題が出ましたときに、それでは大病院の患者さんの一部負担を上げようではないかという発想がまず当然出てまいります。ところが、現行の制度のもとでは、そうすることは大病院の診療報酬を引き上げるということになり大病院の医業経営を安定化させ、中小病院あるいは開業医さんの医業経営を不安定化させる。つまり、入ってくる側のお金と患者さんが払う側のお金が連動しているために、今申した公平かつ適正な医療供給という目標と患者さんの負担の公平という目標とが両立しがたいということがしばしば生じてまいるわけでございますから、今回、先ほどの長期入院についての配慮だけではなく、今後は全般的に患者さんの負担のあり方の問題と、それから医業経営の安定及び適正なさまざまな各種医療施設及び福祉施設あるいは在宅ケアサービスの三つの間の適切なメニューの提供という問題とを何とか切り離して考える発想ができないものであろうか、委員の先生方にお考え願えればありがたいと思います。 次いで、第二点でございますが、それは今回の法案が目標としております付添看護の解消ということに関してであります。 今申したことと関連するわけでございますが、先ほど申しましたように、今回いただいた計画案の数値でいきますと、三千五百億円の患者負担の増大ということになります。これをもって付添看護の解消に充てるというふうにされておりますが、これは正確な試算ではなく、厚生省さんの試算が果たして一〇〇%正しいかどうかわかりませんが、現状約二千億円程度の付添看護の負担があり、そのうち約一千億円程度が付添看護療養費として支払われておりまして、残りの一千億円程度をいわば解消するということになろうかと思いますが、今申しましたように、三千五百億円と一千億円という間には数字の乖離がございます。 しかも、お考えいただければすぐわかりますように、給食費の一部負担の増というものは、既に付添看護を必要としないような病院においても給食費の増による収入増というのが入ってまいるわけです。したがって、三千五百億円という形で給食費の一部負担の見直しによって財源が調達された分がそのまま本当に、付添看護が現在行われていて、そしてそこで患者さんが負担なさっておられる付添看護料の解消に果たしてうまく結びつくかどうかということに関しては若干疑義のあるところでありますので、この点についてやはり特段の配慮が必要なのではないだろうかというふうに考えております。 私、今後の考え方といたしまして、今、現行の問題点のみについて申しましたけれども、患者負担のあり方ということに関して言いますと、今回出てまいりますのはいわば一日定額制というものになろうかと思います。それよりもむしろ施設の利用料というようなイメージでもって、もちろん程度の問題はございますが、短期に入院される方も長期に入院される方もほぼ同じ額、あるいは、それはやや極端であるというのであれば、長期の場合負担が段階的に少し少なくなっていくというような方向を考えるのも一案ではないだろうかというふうに考えております。 もう一度くどいようですけれども、現時点におきまして長期入院なさっている患者さんがいらっしゃって、その相当数の方々が、病院で治療をお受けになるよりも、むしろ在宅あるいは他の福祉施設等々で療養をお受けになることが望ましいと判断される場合が少なくございません。したがって、そういうことが行われるようにさらに諸施策が行われることが必要であるということを決して否定するものではございません。ただ、私が申し上げているのは、それを今回の給食費の負担といったような形で推し進めようとするところには無理があるのではないかというふうに考えておるところでございます。 時間が参りましたので、これで終わります。(拍手)
○加藤委員長 どうもありがとうございました。 次に、山口参考人にお願いいたします。
○山口参考人 私は、広島県御調町で公立病院の院長をやっております山口でございます。 地域の病院、私どもは二十年前から在宅ケア、在宅医療に取り組んでまいりました。そして寝た きりゼロを目指して保健、医療、福祉の連携システムを構築いたしました。私ども、これを地域包括ケアシステムと呼んでおりますが、そういう立場から今回の健康保険法等の一部を改正する法律案に関して意見を述べさせていただきたいと思います。 なお、その前に、私どもの地域包括ケアシステムの概要を簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。 四点ほど申し上げさせていただきたいと思うのですが、第一点は、先ほど申し上げました在宅ケア、これはちょうど二十年前にさかのぼりますが、訪問看護、訪問リハビリというものを始めました。これは、私どもの広島県御調町には寝たきりが非常に多かった。それもその大半がつくられた寝たきり。対応がまずいためであり、介護力の不足、不適切な介護、そのようなものに基づくつくられた寝たきりが多いということから、在宅ケアを始めたわけであります。病院というのは患者さんがやってくるのを待って医療を提供する、いわゆる待ちの医療と私は呼んでおりますが、それだけでは寝たきりは幾らでもつくり出されていく。そこで、待ちの医療から地域へ出ていく医療に転換をしたわけであります。 第二点は、行政部門である保健と福祉を病院の中へ健康管理センターというのを十年前につくりまして、そこへ持ってまいりました。まさに行政の機構改革を行って、病院の医療と保健と福祉がドッキングして、連携というよりも保健、医療、福祉の統合を果たしたわけであります。こういうことによって、従来別々に行われておりました保健、医療、福祉サービスが一緒になって提供することもできるようになりました。また、ケアコーディネーション、ケースマネジメントというような手法もそこに生まれてきたわけであります。私どもは、そういうことによってケースによって看護婦と理学療法士が一緒になって家庭訪問する、さらに保健医療スタッフと福祉スタッフが一緒になって行く、それに歯科衛生士も加わる、栄養士も加わる、あるいは薬剤師も加わる、このような在宅医療をずっと展開してまいりました。 三点目は、そのような病院と行政の健康管理センターの周りにいろいろな保健福祉施設を建設してまいりました。いわゆる地域包括ケアシステムの構築でございますが、ハード面としては老人保健施設、痴呆専門棟、在宅介護支援センター、訪問看護ステーションあるいはケアハウス等々の保健福祉施設を合築または併設をしていったわけであります。 このような地域包括ケアシステムのハード面の連携だけでなくて、ソフト面としては、先ほど申し上げました在宅ケア、さらに健康づくり、そして四点目に申し上げたいと思っております住民参加の問題、地域の今千三百人ほどのボランティアの方がいらっしゃいますが、住民参加しての地域ぐるみの地域ケア体制、このようなものを地域包括ケアシステムのソフト面として私どもは構築いたしました。 そのような立場からこの二十年来やってまいりまして、一つの成果を得ることができました。それは、寝たきり老人が三分の一に減るという効果を得たこと、第二番目には、昔私どもの町はお恥ずかしいことですが非常に医療費が高かったのですが、それも伸び率がダウンしてきたというような成果を得ることもできました。そのような立場から、今回のこの法改正について意見を二、三述べさせていただきたいと思います。 まず第一点は、付添看護・介護の解消の問題でございます。私は、二十一世紀はこの介護が非常に大きなウエートを占めてくる、障害者人がふえればふえるほど、この介護という問題はゆるがせにはできない問題であろうと思っております。 そういう意味で、現在の付添看護というのは、本来病院、医療施設側がやるべき看護・介護を、患者さんと付添看護婦さんとの間で、あるいは業者との間で任意に契約して病院の中で付添看護・介護をやっていらっしゃる。これは私は余り望ましい姿ではないと思っております。やはり医療機関側の責任としてきちんとした計画のもとに看護・介護は行われるべきであろう。そういう意味からは、私は今回の、付添看護・介護も解消して、そして病院側の責任として病院側の業務の中に取り入れていく、この発想は大いに賛成というふうな考えを持っております。同時に、それはケアの質の向上にもつながっていくであろうと思いますし、従来基準看護の病院は看護計画を立てておりまして、今後私は、介護も介護計画を立て、そういうケアの質の向上を図るべきであろうと思っております。 先ほど申し上げましたように、二十一世紀は介護の時代と私は思っておりますが、それにたえる仕組みを今こそつくっていただきたい。今回のこの法改正案はその第一歩であろう、このように評価をしております。 二番目に、住宅医療の推進でございますが、これは先ほど申し上げましたように、私ども、二十年前からこういう在宅医療に取り組んでまいりました。そして、その結果寝たきりも減るというような効果も得たわけでございますが、従来の病院は、やはり患者さんがやってくるのを待って医療を提供する待ちの医療であったと思っております。今後高齢化が急ピッチで進む中で、特に二十一世紀を視野に入れますと、医療機関で患者さんがやってくるのを待っているだけでなくて地域へ出ていく、家庭の中へ医療を持ち込んでいく、私はこれをわかりやすく、住民の皆さんには医療の出前だと言っていますが、そのようなことが全国あちこちで行われるべきであろうと思っております。 二十年前に私たちがやり出しましたときには、そうたくさん訪問看護等をやっている病院はございませんでした。しかし、今や国もいろいろな意味で制度化し、これが全国に広まりつつあるというのは、私は大いに評価し、またうれしく思っているわけでございます。 私どもの調査では、お年寄りの本音は老後は家族に囲まれて我が家で過ごしたい、このように考えているお年寄りが三分の二以上いらっしゃいます。もっと本音も言えといえば私はもっと高い数字が出るのだろうと思いますが、やはりお嫁さんに気兼ねし、いろいろな周囲の状況を考えて施設へという方もいらっしゃいます。しかし、今後の高齢社会、さらに超高齢社会が来ることを考えますと、私は、このような在宅医療というのは積極的に推進していくべきである、今回の法改正の中でそれがうたわれているというのは、大いに評価をいたしたい。 さらに、訪問看護事業を制度的に位置づけ、その対象範囲を広げる。老人以外にも難病、あるいはがんの末期、あるいは若い人でも脳卒中で倒れ重度障害を持った方、たくさんいらっしゃるわけでありますし、現在私どものところではこれを無料で訪問看護をやっておりますが、これが十月からの改正では少しでも対象が広がっていくというのは、私は大いにこれを期待をし、待っておるわけでございます。 それから、こういう在宅医療は、私は医師の訪問診療だけじゃない、看護婦の訪問看護だけじゃない、いろいろな職種、医療スタッフはもちろんのこと福祉スタッフも一緒になってやるべきであろう、これはまさにケースマネジメントでありケアコーディネーションであろう、このように思っているわけであります。 三番目に入院時の食事の改革の問題でございますが、私は、これはただ単に一部負担を上げる云々という問題でなくて、このようなとらえ方をしております。 現在、患者さんの自己負担額はそれぞれ異なっております。病院で二万数千円、老健施設が五、六万円、特別養護老人ホームになりますと所得に応じてゼロ円から二十万、それぞれ異なるわけでありまして、在宅は幾らかかっているか。これが、むしろ食事に限らずいろいろな諸経費を考えますとかなりかかっていると私は思っておりますが、そのように療養する場所によって一部負担額が異なる、これは私は、老健施設ができる最初のとき からこの自己負担額を公平にしていただきたい、このようにいろいろな場で申し上げてまいりました。 どうしてかといいますと、本来ならば、もしこの負担額が平等であれば、その患者さんの病状あるいはADLの程度等々に基づいてお医者さんが、あなたは病院でやはり入院治療を受けなさい、あなたは老健施設が適当ですよ、あなたは在宅で訪問看護できちんと療養できますよ、こういうことが強く言えるのですけれども、現在のように負担額が異なりますと、やはり負担額の少ない方を選びたいというのは人情でございます。そうしまうと、本当は老健施設が適当だがなと思っても、ついつい負担額の少ない病院へ希望するというケースも私たち、数多く経験いたしました。 そういうことを考えますと、今回のこの食事の問題にしましても、負担額がかなり公平化されるという意味では、私はこれを大きく評価をしているわけでございます。 もちろん、それに伴って食事サービスを改善しよう、配ぜん時間あるいはメニューの多様化、食堂の設置等々をうたっております。私はこれはいずれも大いに結構なことだと思います。私どもの病院では、もう十数年前から朝食は七時半、夕食は六時配せんを実施しておりますし、六、七年前には患者さん専用の食堂を各フロアに一つずつつくりました。これは患者サービスであると同時に寝たきりゼロ作戦でもありまして、動ける人はみんな動いて食堂でとってもらおう、患者さんのQOLの向上にもつながるものである、この数年間やってまいりまして、そのように考えておるところでございます。 また、このような負担額の問題は、先ほど西村先生もおっしゃいましたけれども、これは私素人でございますので触れませんが、あくまでも客観的なデータに基づいてお決めいただきたい。その上で当面このような暫定的な措置をとろうというのは、これは政治の場で御判断をいただきたい、このように思っているわけであります。 それと、病院食は治療の一環である、これは確かにそうでございまして、そういう意見があるのも承知しておりますし、私もいわゆる特別食に関してはそのように思っております。しかし、今回の改正は、私は、そういう医学的な問題でなくて単なる仕組みの改正である、このようにとらえておるわけでございます。 それから四点目、老人保健福祉施策を推進していこうということで、老健施設あるいは老人訪問看護ステーションの整備に拠出金が充てられる、私は、これは非常に現場にとりましては大きな福音であろう。今まで、特に都市部ではこの老健施設の整備がなかなか進んでおりません。そういうようなところでも今後は一層促進されるのではなかろうかと思いますし、そのほか、在宅介護支援センターを制度的に位置づけようとか、あるいは老人保健福祉審議会、これが創設されようとしておりますが、私どもの保健、医療、福祉の統合から考えますと、審議会も当然これは統合していただきたいと思っておりましたし、今回それが構想として打ち出された、大いに評価をいたしたいと思います。 最後に、医療保険のほかの分野でございますが、特に国保についてでございますけれども、施設へ入所する方の国民健康保険、これが住所変更と同時にその施設のある市町村へ移ってくる、するとそこの国保財政は非常に圧迫を受ける。従来から問題にされておったわけでございますが、これが今回、入所前の住居地でという一つの特例が設けられるということでございます。私は、これは小さな町村にとっては大きな福音であろうと思っておりますし、同じことが精神病院の長期入院者についても言えるのではなかろうか。これも今後脚勘案いただければ幸いだと思います。 いずれにいたしましても、今回のこの改正が二十一世紀の医療あるいは医療保険制度につながっていくわけでございまして、その第一歩であろうと思っております。そういう意味で、国会におかれましてもぜひ妥当な線をお出しいただいて、私ども、十月からの診療報酬の改定も待ち望んでいるところでございますし、そういう点も御勘案いただければ幸いだと思います。 以上で私の陳述を終わらせていただきます。(拍手)
○加藤委員長 どうもありがとうございました。 次に、五十嵐参考人にお願いをいたします。
○五十嵐参考人 おはようございます。御紹介いただきました日本労働組合総連合会、連合の五十嵐と申します。 本委員会で議題になっております健康保険法等の一部を改正する法律案に対して御意見を申し上げさせていただきます。 まず、結論を先に申し上げますならば、私どもは、今回の改正法案に対して、おおむね了解できるものではないかと考えているところであります。 その理由を申し上げますと、今日、人口の高齢化の進展にあわせまして、疾病構造が変化をしてきている、あるいは医療サービスに対するニーズの多様化や高度化など、保健、医療、福祉を取り巻く環境が大きく変化をしてきているわけでありまして、それにこたえる施設として今回の改正が行われているのではないか、そう考えますと、私どもはこれを評価をしたいと思っているわけであります。 より具体的に申し上げますれば、付添看護・介護給付の改革なり、あるいは在宅医療の推進、さらには入院時の食事の改善、現行現金給付等の見直しなどが行われているわけでありまして、健康保険法はもとより、国民健康保険法、老人保健法等の改正について、私どもは評価をしてまいりたいと思っています。 しかし、残念ながら、評価をするにいたしましても、今回の改正にもろ手を挙げて賛成できない点が甚だ残念でありまして、その点についてはぜひ改善を図り、そして慎重な御配慮をお願いをせざるを得ない。この政治の場で御配慮をお願いを申し上げたいと思うところであります。 その慎重な配慮を求める点であります。それは、もう既に御論議いただいているかと思いますが、今回新たに創設をされます入院時食事療養費制度の内容であります。 入院時の食事にかかわる保険給付の見直しにつきまして、新たに標準負担額といいますか、そういうものを設定をいたしまして、本人で一日八百円、住民税非課税世帯で六百六十円、さらに低所得者に三百円の定額自己負担を求めることが盛り込まれているわけであります。この定額自己負担の算定といたしましては、総務庁の家計調査に基づく平均的な食料等の費用とされてはいるわけでありますけれども、うがった見方をしますならば、これは入院であろうと在宅であろうと食事代はかかるものでありますから、自己負担をすべきだという考え方ではないのかと思います。 しかし、私どもは、この入院給食を医療の一環として位置づけていくならば、あるいは医療の一環として重要な要因を持つ疾病等による入院患者等については、医療保険審議会の建議にもありますとおり、やはり引き続き保険給付の対象とすべきものではないかと考えます。すべての入院患者に対しまして一律定額負担を導入することは、私は、現時点では時期尚早ではないのかと思います。特に、疾病構造が慢性疾患に現在変化しつつあるわけでありますから、これら慢性疾患の入院患者に過大な負担を求めることにつながるものでありまして、そういう点で、私どもは慎重な配慮、慎重に対処していただきたいと申し上げているところであります。 また、これらの入院時におきます給食の患者負担の導入は、付添看護・介護給付の改善、在宅医療の推進、入院食事の改善を一体のものとして推進するということを言われているわけであります。これは、患者負担によって生じました財源で措置をしようというものでありましょうが、最大の課題であります付添看護・介護給付の改善について、全体の姿が、あるいはこれに要する費用の内容が残念ながらまだ明らかにされていないので はないかと私どもは考えます。 多額の保険外負担としてその解消を求めてきたこの付添看護・介護の改革は、私どもにとっては大変喜ばしいものではありますが、看護や介護サービスの診療報酬上の評価をどのように行っていくのか、あるいは看護・介護マンパワーをどのようにして今後確保していくのか、あるいはそのためにどの程度の費用が必要になるのかなどについて明らかにすべきではないかと考えます。 医療保険審議会の論議経過等もお聞きをする中で明らかにされたこの制度改革によります財源影響は、入院時の食事に係る給付の見直しで三千二百七十億円生ずるという試算が明らかにされているわけでありまして、このうち、医療給付の改善に三千百六十億円を充当するというふうに言われています。当局は、この付添看護・介護の解消に大部分を充てる考えのようではありますけれども、これにかかわる給付の改革については、まだ中医協の段階での論議ということで明らかになっていないのではないかと思います。 私どもがここで重視をいたしますのは、付添看護の院内化とあわせまして、平成八年度以降に新しい看護・介護体制に移行するプロセスと、いわゆるこの人材確保の問題であります。 計画では、新たに必要とする看護婦、准看護婦数、約三千人、そして新たに必要とする看護婦、准看護婦以外の補助者の数が約六万人と言われていますが、これを一体どのように確保していくのか、さらに、これらの人たちに対しまして、診療報酬上どのような評価を行っていくのか、さらには、それにどの程度の費用が必要なのかについてきちんと説明をすべきだと私は思います。これらの点を明らかにして提起をすることが、国民の皆さん方に余分な負担といいますか、不安感を与えないものになってくるのではないか。 そういう点で、私どもがまず第一に重視をしなければなりませんのは、この人材確保の面で、看護・介護サービスの質の低下を来さないような配慮、さらには、これらの人たちの人材の育成、能力開発などについて、やはり労働省と連携を密にいたしまして、対応を進められるようにお願いを申し上げる次第であります。 私たちは、今後の高齢社会における増加する負担に対してやみくもに反対をするものではありません。それなりに負担が生じてくるものについては、私どもは、税であれ、保険料であれ、自己負担であれ、前向きに対応してまいりたいと思います。ただし、ただ単に提起されたものについてすべてオーケーということにはならないのではないか、その前提として、むだな支出を排除をし、そして資源を有効に活用していくというシステムが確立されていることが条件になるだろうと思います。 もっと言えば、それだけではなくして、行政に対してもあるいは政治に対しても、国民から信頼されるそういうものにしていかない限り、負担だけを求めてきたら私どもは断固としてこれについては反対をしていく決意であります。 ですから、医療保険制度においても、むだな医療費を排して医療費の適正化を図ること、さらに入院給食にいたしましても、果たしてむだはないのかということについて、やはり我々としましては、検討が必要ならば根本的に基本的に検討してみようではないかと考えているところであります。 そういうことを前提にいたしまして、むだを排することによって今後の介護やあるいは看護費用に充てるということがまず必要であろうと思います。即、入院給食の自己負担をもってこれに充てるという考えではなくして、やはり国民にそれなりの負担を求めるということでしたら、現在の医療保険制度におきます医療費の適正化の問題についてやはりメスを入れるべきであろうと思います。そういうことを行うことによって保険外負担の解消というものを図りつつ、国民に不安感を植えつけない、与えない施策というものを進めていくべきであろうと思います。 特に負担の問題では、今回の健保法改正によります入院給食に加えまして、厚生年金や国民年金の保険料の引き上げも予定をされているわけであります。今回の負担の導入は、国民に対して医療に対する不安感を植えつけるものであってはならないと思います。むしろ、付添看護や介護体制の整備とその実行目標というものを定めていただきまして、現行の看護職員配置基準の質的な拡充を図るなど、国民に対する不安感の払拭というものが大変対策としては重要だろうと考えておりますので、この点についての対策といいますか、緊急な施策を打ち出していただければ幸いであります。 冒頭申し上げましたとおり、今回の改正については評価をするものがあります。しかし、繰り返し申し上げますが、この入院給食の標準負担額については、やはり疾病内容を問わずに一律に定額の負担を求めるということについては私どもは再検討が必要だろう。そういう点では、ぜひ政治の場で慎重な御配慮と、提起をされております金額の抑制について極力御努力をいただきますようにお願いを申し上げまして、時間がちょっと余りますが、私の御意見とさしていただきます。 どうもありがとうございました。(拍手)
○加藤委員長 どうもありがとうございました。 次に、室生参考人にお願いいたします。
○室生参考人 私は、全国保険医団体連合会の副会長をやっております室生昇でございます。 全国保険医団体連合会は、現在医科歯科八万人の会員を有する保険区の団体であります。今回の健康保険法等の一部を改正する法律案には基本的には賛成できない、こういう立場から、その理由を三点に絞って述べさせていただきます。 まず第一は、入院給食の一部患者負担についてでございます。 まず医師の立場から指摘しておきたいことは、入院給食が治療の一環であるということであります。この点は厚生省自身も認めていることであります。疾病構造が成人病を中心に変化してきている中で、治療食として、また栄養指導や生活指導の具体的実践として入院給食の役割はますます重要になっております。したがって、健康人の日常の食事とは同列に論じられないものでありまして、家でも食事はとるのだから同程度の負担は当然だ、こういう論議は非常に乱暴であると私は思っています。このことから考えますれば、医療保険における療養の給付の対象とすることは当然であり、治療行為の中でこの部分だけを取り出して、一部にせよ患者負担とすることは道理に合いません。 患者、国民の多くは今回の改革の内容を知っておりませんが、御承知のように、入院給食の有料化については、日本医師会、全国公私病院連盟を初めとする病院団体、日本栄養士会病院栄養士協議会、全国患者・家族団体協議会などの多くの団体が反対しておりますし、また、九百五十を超える、全国の三分の一に近い地方議会で反対決議を採択しております。こうした中で、医療の基本にかかわる重要問題を短時間の審議で強行すべきではないと考えております。 一日八百円という金額について言えば、厚生省の資料にもありますように、老人の場合は二倍以上の負担になります。また、高額療養費の対象とならないことから、そっくりその全額が負担増となります。これでは入院を手控える患者さんも出ざるを得ません。 医療保険審議会の建議書の中には、在宅との費用負担の不公平、不均衡という記述がありますが、それならば、在宅療養の給食サービスを充実させ、保険給付の対象とすべきであります。 ニーズの多様化に対応して、入院給食の質の向上を図るためという説明もされているようでありますが、今回の入院給食患者負担三千億円台のうち、入院給食の改善に回すものはわずか二百億円のみ、こういうことになっております。これでは質の向上はとても望めません。厚生省がおつくりになりました「改正の方向についてのQ&A」の第六問、この中で、質問として、この改正で病院での食事は本当によくなるのですかという問いを設 定いたしまして、以上のような方策を推進することにより、患者さんの意向を反映したおいしい食事やメニューの工夫といったサービスの改善が図られるものと考えられますという答えとなっておりますが、そのような保証は微々たるものでありますし、皆無と言ってもいいと思います。このようなことでは医療機関とのトラブルが逆に起きるのではないか、こういう心配すらしておる次第であります。 この間、ニーズの多様化を理由にして特定療養費制度の活用と称して、患者負担の拡大が進められてきました。その一つとして導入されているものに、患者の選択、負担による特別注文食、特別材料食というものがあります。これを採用しているのは、約一万の病院のうち特別注文食が十四病院、特別材料食の病院が大病院のごくわずかであります。こうした実態にもあらわれているように、ニーズの多様化を口実に自己負担増を行うのは患者の願いに反しております。 今回の改革の重大な問題点は、今後次々と保険給付の範囲が制限され、患者負担の拡大が推し進められていくことが懸念されることであります。 これまで特定療養費を運用して差額徴収の対象が拡大されてきましたが、これにはまだ患者の選択によるという制約がありました。改正法案の中にある入院時食事療養費は、この制約を外してすべての患者に一律に事実上の保険外負担を課そうというものであります。医療保険審議会の建議書にもありますように、次は薬代、病院の室料と給付見直し、患者負担の拡大が進むことになります。こうした事態が進めば、患者は自分の懐ぐあいと相談しながら受診せざるを得なくなり、医師としては、患者の懐ぐあいを心配しながら治療の内容を選択しなければならなくなります。このことは、早期発見、早期治療を妨げ、病状が悪化して、結局は医療費の増加につながることになります。 次に、付添看護の解消についてでございます。 付添看護が解消されるなら入院給食の患者負担も仕方がないという声もありますが、政府の付添看護解消計画には重大な問題点がございます。 第一点は、財源負担の問題であります。付添看護の保険外負担の解消を掲げながら、入院給食に新たな患者負担を導入するのは矛盾しております。現在、付添看護が認められていない基準看護の医療機関に入院している患者にとっては、負担がふえるだけで、メリットは何もありません。 また、本来、付添看護の解消のために使われるべき現行の付添看護療養費一千四十億円は、出産育児一時金の創設や老人保健施設整備等の実施など、別の用途に充てるとしている点も納得がいきません。 第二の問題点は、看護力の大幅な低下を招くということであります。 付添看護は、手術後、急性増悪期、あるいは要介護者などに、患者さんそれぞれ一人に一人の看護、すなわち一対一の看護を二十四時間体制でできることから、不十分な看護体制を補う役割を果たしてきました。現在の基準看護のもとでも、三交代制では患者対看護要員の比率は、理論上は六対一から十二対一、さらに夜間の場合や週休二日制、有給休暇などを考慮すると、実際の比率は一層低いものとなります。したがって、基準看護の病院でも、重症患者には家族などが付き添わざるを得ないという状況が生まれているのが現状であります。医療機関によっては、基準看護をとると付添看護がつけられなくなるために、人員基準を満たしていても、わざわざ基準看護をとらない医療機関もあるくらいであります、 こうしたもとで、基準看護の大幅改善と、それを保障する看護婦の養成、増員を抜きにして付添看護を廃止するならば、看護職員の負担強化と看護力の大幅な低下を招くことになります。 厚生省は、付添婦の病院内の職員化などのために、介護職員の六万人増員を図るとしていますが、その具体的方策は明らかになっておりません。現在の診療報酬で、看護補助者一人当たりの金額は一日七千二百円です。これから被服だとか厚生費などをとりますと、実際に一人当たりの支払いに充てるのは四千円程度となってしまいます。これでは、付添婦が院内職員として雇用された場合、現在の付添看護の慣行料金から見て収入のダウンになることは間違いありません。さらに、付添婦の平均年齢は五十六歳と高齢であります。不定期就労が多いことなども考えると、厚生省の病院内職員化計画は、現実に保障がないということになります。 また、厚生省は、今回の計画における看護婦の必要増員数を、介護要員の六万人に対して、わずか三千人と発表しております。このことにもあらわれておりますが、付添看護の廃止に伴って創設される新看護体系は、看護婦の増員をほとんど行わず、現在の看護体制の不備を専ら無資格者の増員で補おうということであります。看護補助者の役割を正当に評価することは当然でありますが、このような厚生省の計画は、看護の質の低下を招くものであります。 第三の問題点は、保険外負担の解消どころか新たな患者負担の増大が懸念されております。付添看護にかかわる多額の保険外負担そのものの原因は、厚生省が一九八六年以降八年間も、付添看護費の支給額を据え置いてきたことにあります。まず、この引き上げを行うべきであります。 これまで申しましたように、現行の基準看護ですら付き添いをつけざるを得ない状況のもとで、条件整備をせずに制度としての付添看護を廃止すれば、家族付き添いなどの名目での付き添いが増加することは明らかです。この費用は全額患者負担となり、現在より患者負担はさらに増加することになります。 さらに問題なのは、十月一日の診療報酬改定で看護料と介護料を別建てに設定することによって、将来は介護料部分を介護保険の対象とするなど患者負担にすることが、厚生省の高齢者介護対策本部などで検討されているということであります。既に入院医療管理移行中の病院の特別の看護について、患者からの差額徴収が導入されております。付添看護廃止についても、移行計画実施中の医療機関に同様の差額徴収を認めるということが懸念されます。 第四の問題点は、中小病院、有床診療所のスクラップ化が進むということであります。看護婦確保法などが制定されましたが、この間、看護婦不足は一向に解消されず、とりわけ中小病院、有床診療所の看護婦不足は一層深刻になっています。 この背景には、看護婦が雇える診療報酬になっていないことがあります。病院の四割を占める基準看護外の病院の看護職員一人当たりの年間看護料は、診療報酬では約二百五十万円、有床診療所では、基準看護よりも看護職員の質の高いところでも百万円弱であります。こうしたもとで、歳入の約二五%の補助を受けている国公立病院と異なりまして、民間の病院は看護婦の労働条件を改善していくことは非常に至難のわざであり、その結果、看護婦の確保が困難になっております。 こうした状況のもとで付添看護が廃止されれば、看護要員の確保が困難な中小病院、有床診療所は、療養型病床群、老人病院への転換やベッド削減、無床診療所への道を選択せざるを得ません。 私が住んでおります愛知県では付添看護の給付差額が約八万円で、これらが付添看護を要求する患者さんの負担になっておりますが、今回の法律改正案で付添看護の病院職員化をしても、看護上の患者及び家族の負担をなくするという保証はありません。確実にこうした負担をなくそうというのであれば、まず、現行の健康保険制度のもとで保障してもらえる金額と実際の患者負担との差額をなくすること、つまり、現行の付添看護療養費で保障する金額を増額することの方がより現実的であり、改善と言えるのではありませんか。 聞くところによりますと、法案についての審議時間を極めて短時間に済まそうというような話もございますが、この問題は極めて重大な問題であり、特に実態を調査するなどして慎重に審議をしていただくことを望みます。 最後に、日本の保険医療費は、決して高くはございません。厚生委員会に配付されました資料の中にも今回の制度改革をなぜ行うかという点がありますが、国民医療費が毎年一兆円も増加しており、今後の医療保険の長期的安定を確保するためには給付と負担の見直しが必要であるという趣旨であります。果たして日本の医療費は、その経済力から見て高過ぎるでしょうか。一九九〇年にアメリカの議会で報告された資料によりますと、国民一人当たりの医療費はOECD諸国の中で第十四位であります。医師、看護婦の数も非常に少ないのが実情でありまして、百ベッド当たりの職員数は、アメリカの三百五十人、欧州の百八十五人に対して、日本はたったの八十人であります。 今求められていることは、保険医療費の総枠を拡大して診療報酬を改善し、医療保険で患者の費用の負担なく、よい医療と看護が受けられるようにすることです。このことは、多くの国民の願いでもあります。 今回の健康保険法等の改正案は、残念ながら国民皆保険制度のいわば空洞化を招くものであり、国民の願いに反するものと言わざるを得ません。改めて慎重な審議を要望いたしまして、陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○加藤委員長 どうもありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○加藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。持永和見君。
○持永委員 四人の参考人の先生方にはお忙しい中をきょうは厚生委員会に意見陳述ということでおいでいただきまして、大変貴重な参考になる御意見をいただきましたことを、まずは心から御礼を申し上げたいと思います。 大変短い時間ではございますが、二、三の点について参考人の先生方にお伺いいたしたいと思います。 まず、医療保険制度のあり方の基本的な問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、これからの医療保険制度、給付と負担とのバランスというものが大変問題になるかと思います。そういった中で医療保険制度の安定を図っていくということが大事なことだと思いますが、西村先生、そして五十嵐先生にこの点はお伺いいたしたいと思いますけれども、保険料負担を増大しても給付を改善して、患者の負担をできるだけ少なくする方向で医療保険制度を持っていくのか、あるいは給付は改善するけれども保険料負担の増大はできるだけ抑えて、受益者負担といいますか、そういった意味で患者負担を適正な水準に引き上げるという方向へ道をとるのか、あるいは給付を一定水準にとどめる、そのことによってこれからの増大する保険料負担を抑制するという方向に考えるのか、おおよそ三つの方向があるかと思います。 いずれにしても、これからも高齢化社会になればなるほど医療はふえ続けることになると思いますし、また、医療技術の進歩あるいは医学の進展、そういったことによって医療費は増大するということが見込まれますが、そういった中で、医療保険制度のあり方として今申し上げたような点についてどのようにお考えなのか、西村先生と五十嵐参考人にお伺いをしたいと思います。
○西村参考人 今御質問にありましたように、一般論といたしまして、今後著しい高齢化を迎えるに伴いまして医療費が増大いたします。したがって、現行の給付水準を維持するということを前提としただけでもかなりの保険料率の引き上げを避けることはできないというふうに考えております。したがって、問題は、まあ私の考えは、何とか現行の給付水準を維持していただきたい、それに伴う必要最小限の負担の増というものを国民にお願いしていく必要があるのではないかというふうに考えておりますが、その際、やはり細部にわたって見直すべき点が幾つかあろうかと思います。 それは、先ほども申しましたように、定率という考え方にやはりちょっと大きな考え方の転換ということをする必要があるのではないか。いわば施設利用料というふうな形で医療機関を御利用いただくに当たって一定額の負担をしていただき、その一定額は、あるいは国民の感覚からしてやや高いなと思う額であっても仕方がないかなというふうに思っております。しかし、それに伴って、医療費が高くなればなるほどそれに応じて負担率が大きくなっていくというふうなことは避けなければならないというふうに考えておりますのが一点でございます。 もう一点だけ申し上げますと、先ほどちょっと言い忘れましたけれども、基本原則はそうではございますけれども、現在医療にかかわる給付は、先ほどからの御議論にもありましたように、福祉との密接な関連を持った各種医療サービスというのが出てまいっております。したがって、各種の給付の公平ということに関して申しますと、ただ単に医療の給付の公平という観点だけに絞ってそのあり方を議論するというのも、これからますます不十分になってまいろうかと思います。 ちょっとノーマライゼーションという考え方を申しましたけれども、例えば給食というのは、私、ある院長さんがおっしゃったことでこういう経験がございました。それは、日ごろ日常生活で病院に入っていないときはいろいろな形で差別をされているのだから、せめて病気で入院したときぐらいみんな公平に扱ってもらいたいという患者さんの声を随分伺いました。これはもっともだと思いますが、他方で、我々が例えばデパートの屋上へ行って食事を食べるときに、隣の人が自分よりもちょっと高い食事を食べているからといって、それについて差別されたというふうに思わない日常生活というのが現在実現しておろうかと思います。 したがって、金額的な問題というよりも、病院の中で私たちが差別感というものを感じず、かつ、自分である程度お金を支払って、医療上の制限のもとで欲しいものが食べられるといったような状況をいかにつくり出していくかということが肝要でございまして、この点に関して言いますと、医療保険法そのものの枠内でこの種の問題を考えていくということには非常に限界があるので、より広い生活という観点の中から給付のあり方というのを検討していくべきではないかと思っております。
○五十嵐参考人 御質問のありました医療保険制度の今後の基本的なあり方でありますが、私も、ただいま西村先生おっしゃられたように、基本的には給付の水準は現行程度を維持していただきたいという考え方であります。それに伴う負担等については、先ほど申し上げましたとおり、負担には応じようというのが基本的な考え方であります。ただ、医療費の問題等を考えますと、毎年一兆円程度これからふえていく。そして、現在の二十四兆円を超える医療費が、与党の税制協議会等でいろいろ出されておりますが、六倍にもふえていく。そして、その中で老人医療費が十倍にもふえるのではないかということを考えますと、これからの問題は、高齢社会の中でこの老人医療費をどういうふうに考えるかということだろうと私は思います。 それも、やりようによりましては給付を現行の水準に維持しながら、もう少し考えていただきたいと思いますのは、病気になってお医者さんにかかって、そして医療費がふえるということではなくして、もう少し私どもとしては健康づくりの面で重点施策として考えていただけないだろうか。今の病院が老人のサロン化しているというお話をよく聞くわけでありますけれども、そうではなくて、地域の中にそういう高齢者の皆さん方が健康相談に行けるような、そういうハードの面でのいわゆる施設、そして地域のコミュニケーションというような、そういうセンターをつくっていただいて、もっと健康づくりの面でお金を使うということになりましたら、当面は大変金がかかるかもしれませんが、将来を見たときには医療費を抑制 する効果が生じてくるのではないのか。個人負担を、あるいは自己負担をふやして抑制を図るという後ろ向きではなくて、前向きな施策で今後の健康づくり、医療保険制度のあり方というものを考えていきたいと私は思っております。
○持永委員 ありがとうございました。 次に、今回提案されております医療保険の改正案、先ほど来参考人の方々からもお話がありますとおり、問題はいろいろございますけれども、付添看護の問題、そして給食費負担の問題、この二点が大きな問題ではないかと思います。時間も余りありませんので、それぞれお伺いしたいことがたくさんありますが、給食費負担の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 西村先生の先ほどのお話で、今回の給食費負担について特に長期入院患者に相当の負担がかかってくるんじゃないか、この辺についての配慮が必要ではないかというようなお話があったと思いますけれども、私どももそういう観点からいろいろと議論をしていきますと、やはりもう一つは、特に所得の低い階層、そういった人たちへの配慮というのを兼ね合わせながら、この長期入院患者の問題を考えるべきなのか、あるいは長期入院患者そのものが、そのこと自体が大変な長期の間の自己負担ということで重荷になるだろうから、こういうことについてやはり政策的な配慮が必要だというふうにお考えなのか、その点をひとつ西村先生にお伺いいたしたい。 あわせてでございますが、山口先生は現場の立場で今老人医療問題に大変御熱心にお取り組みでございますけれども、こういった負担の公平という観点から、山口先生には医療の現場のお立場として今回の給食費負担の問題、これについてお話をお伺い申し上げたいと思います。
○西村参考人 手短にお答えいたします。 基本的には、長期入院の方に概して低所得者の方が多いということが言えるかと思いますので、低所得者に対する配慮というものを優先させていただくことに異論はございませんが、ただ、やはり難病あるいは重度の障害ということの指定を受けることができなくて、かつ医学的に治療がやむなく長期入院に及ぶというケースがあろうかと思います。それについて御配慮を願う必要があるのではないかということを申し上げました。
○山口参考人 ただいまの持永先生の御意見、御質問でございますが、負担の公平化という面からいいますと、先ほど私申し上げましたように、病院にいても老健施設にいても福祉施設にいても在宅であっても、どの場で療養するにしても、療養する場がどんなに違え、私は自己負担は公平であるべきである、このように思っております。先ほど申し上げたとおりでございますが、そういう観点からいいますと、私は、長期入院の是正ということにもつながっていくのではなかろうか。 老健施設が通過施設と言われて、あの一部負担金が五、六万ということでやっておりますが、これで現場が混乱したという例は私どもの場合にもございませんし、全国的にも余り聞いておりません。それから、通過施設ということで、やはり在宅へ帰っていくという観念がお年寄り、家族の中にあるわけでございます。そういう点からしますと、長期入院という問題の、もちろんこれは病状が悪いからといえばそういう面はかなりあると思うのですが、もう一つはそういう自己負担額が少ないという点も私は要因の一つではなかろうか。我々もそれを経験しております。病院から老健施設へということを主治医が勧めましても拒否された例がございます。そのときはっきりと家族の方がおっしゃったのは、やはり負担額がふえるからということをおっしゃいました。 そういう点を勘案すれば、私は負担の公平化ということは、何回も申し上げますが、在宅であっても施設であっても病院であっても同じであってほしい、そういう点では今回の改正を私は評価をしたい、このように思っております。
○持永委員 ありがとうございました。 時間が大変ありませんので、簡単にひとつ最後にやはり現場の立場から山口先生にお伺いしたいのですが、先ほど室生先生の方から、せっかくこういった付添看護の改善制度を考案してもなかなか実際問題としてついていかないんじゃないかというようなお話がございましたが、ひとつ山口先生、現場の立場でこういった要員の確保の問題、マンパワーの問題、それから将来の見通し、それについて御意見ございましたらお伺いしたいと思います。
○山口参考人 ただいまの御質問でございますが、まずマンパワーの問題でございますけれども、私は介護という面に非常に重点を置けばマンパワーの問題、看護婦のみに絞らないで、介護員、介護の職員、最近は介護福祉士という資格もできております。介護そのものが、私は専門職として非常に質のいいケアをやるべきだろうと思っております。そういう意味からいいますと、療養型病床群あるいは介護力強化型病院あるいは老健施設等々がもう少し整備されて、そういう受け皿ができて、そしてその患者さんの病状に応じていくことが必要であろう。そうしますと、今の基準看護で、例えば特二類をとっている病院が慢性疾患をたくさん抱えて長期入院を抱えますと、これは医療費もかさみますけれども、その病院にとっては看護婦さんをたくさん抱えなければいけないということになります。したがって、適当な療養する場で療養していただくためには、今言いましたように看護婦という要員だけをたくさん抱えるのでなくて介護する専門職を抱えていくという発想の転換が今後は必要であろう、このように思っております。
○持永委員 ありがとうございました。これで私の質問を終わらせていただきます。
○加藤委員長 網岡雄君。
○網岡委員 参考人の方々には、遠路当委員会に御出席をいただきまして非常に貴重な陳述をいただきまして、感謝をいたしております。 そこで、時間も限られておりますから、お尋ねを申し上げたいと思うのでございますが、一つは、五十嵐参考人にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、入院給食というものは、今までの医療の中での位置づけというものは医療の一環ということで入院給食というものが位置づけられてきたというのが一つの方向であったと思うのでございます。そういうことを考えた場合に、医療費の適正化というものは、厳正公平に医療費を使っていくという面では当然これは必要なことではございますが、しかし、その適正化を図っていく一つの方策といたしまして保険給付やそれから自己負担を導入していくというものは、私はやはり一定の許容の範囲というものがあると思うのでございます。 今回の改正の場合、例えば低所得者の場合一日六百六十円、こういうことになっておるわけですが、これは一月に換算すれば一万九千八百円という負担が要ることになるのでございまして、人間は食べるのはどこでも一緒だという考え方も一つの理屈ではございましょうけれども、しかし低所得者ということを考えた場合に、毎月それだけの負担がかかっていくということは、患者にとりましては非常に重荷になるところだと思うのでございます。そういうことなどを考えた場合に、医療の公平性といいましょうか、そういう観点から自己負担の範囲というものは一体どの程度にしたらいいかということを五十嵐参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
○五十嵐参考人 最後の御質問から先にお答えを申し上げますと、自己負担額、今回提起をされている金額があるわけでありますが、その点について私どもとしてはどの程度がよろしいというところまではちょっとお答えしかねるところでございまして、ぜひ政治の場で御判断をいただければと思うところであります。そういう点で、六百六十円、それから三百円というお話がもう出ているわけでございますが、やはり八百円の問題もぜひ忘れないで考えていただければと思います。 それから、最初の方にお話がございました点について考えますと、医療費の適正化という問題で、私どもはこの入院給食の問題も考える必要が あるだろうと思っているわけであります。一定の自己負担というものが、それぞれ疾病の内容といいますか、それによって考える必要があるのだろうと私は思います。単純な例で大変恐縮でありますが、若い人でスキーで骨折をして入院をしている人と、それから成人病等で長期療養が必要で入院をしている人、食事療法ということを考えたときに、その人たちに対しても一部負担を定率で取るのかということになりますと大変きついわけでありまして、骨折をして入院をしている人の食事とそういう食事療法をしなければならない入院給食のものを一緒に考えて負担をすべきだという考え方は、やはり検討が必要ではないだろうかと私は考えております。
○網岡委員 続いて五十嵐参考人にお尋ねをいたします。 五十嵐参考人は先ほど、付添看護婦の院内化を図っていくということは、それは非常にいいことだということで認める、しかし、今日の病院その他の医療施設を見ましたときに、介護・看護体制というものが非常に不十分だと。先ほどおっしゃったように、准看護婦は現時点で三千人、そして付添看護婦を院内化していくための補助者というのが六万人ぐらい必要だというようなことを指摘なさったのでございますが、私、この御指摘を非常に注意深く拝聴いたしたところでございます。問題は、御指摘のとおりでありますけれども、この不足というものを一気に、短期の間に解決をしていくということは、この数字から見まして非常に難しいという気がいたします。 そこで参考人にお尋ねをいたしますけれども、当面どうしてもやっていかなければならない人材確保の問題とか、基準看護の配置基準に照らして、それを充実していくための方策とかいったような当面の課題、そして最終的な、看護婦の三千人、補助者の六万人ということに向けて、これは国会が考えるべきことであろうと思いますが、一定の、五十嵐参考人の場合は連合という労働組合の代表の役員にもおなりになっておるわけでございますから、そういう立場から、初期の段階でどうするか、中期の段階でこの目標についてどうするかというようなことのお考えがございましたら、この際御指摘をいただきたい、こう思います。
○五十嵐参考人 人材確保の長期的な課題といたしまして、その解決策は、せっかく看護婦等の人材確保法が成立しているわけでありますので、ぜひその法律の実効性を高めていく施策を行っていただきたいと思っているわけであります。 あわせて、それに向けて人材養成を含めた当面の人材確保の面でありますが、これもお聞きするところ、労働省、厚生省両省でそれぞれ検討が進められているようであります。労働省マターの話になるかもしれませんけれども、その点は両省一緒になりまして、先ほど申し上げましたような具体的な目標人数等が出されているわけでありますから、その確保に向けて取り組みを強化していただきたいと思います。 ただ、先ほど来お話がありますように、潜在看護婦等おられますし、あるいは新しいシステムとして弁護士というような資格を与えることもできるようになっておりまして、そういう取り組みを進めているようであります。 ただ、私ども大変危惧をいたしますのが、付添看護院内化が図られたといたしましても、その配置基準がどうなるかとあわせまして、やはり付添婦と言われる人たちの質の問題であります。これは必然的に看護婦や准看護婦と異なってくるのだろうと思いますので、その点、ぜひ質的低下を与えないように、そして患者にとって不安感を与えないようなシステムをつくっていただきたい。一つの考え方といたしましては、ホームヘルパーの二級程度の養成といいますか講習といいますか、そういうものをきちんと義務づけていただきまして、付添婦と言われる人たちの質的向上を図っていただければというふうに考えているところであります。
○網岡委員 最後でございますが、これは全員の参考人の方々に一言御意見をお聞かせいただきたいと思うのでございます。 医療の中身の高度化といいますか、だんだん中身が濃くなっていく状況でありますから、当然国民医療費というのは増加の一途をたどっていくことになります。こういう増加の状況を補っていく場合に、今回のような、いわゆる給食費の負担を患者に負担させることによって改善を図っていく、こういう手法というものがとられるということは、私、感心したことではないと思うのでございます。 したがって、これからも医療費が増加の一途をたどっていく、こういう状況にあるときに、今回のような、患者負担のみに求めていく、こういうようなやり方で医療保険の改革を図っていくということについて、これは妥当な措置であるかどうか、そして、こういう場合にどういうことをやったらいいか、端的なことでお答えをいただきたいと思いますが、それぞれ参考人の方にお答えをいただきたいと思います。
○西村参考人 今の御質問の趣旨に私も賛成でございまして、高齢化に向かっての医療費を医療保険の財源の枠内で考えていくということにはもはや限界が来ているかと思います。もう既に言い古されたことでございますが、福祉財源とのドッキングをいかに図っていくかということがやはり非常に重要な問題ではないかと考えております。
○山口参考人 ただいまの先生の御質問でございますが、私は、先ほど言いましたように、いろいろな施設、医療施設だけでなくて福祉施設も視野に入れた自己負担額が必要であろう、このように思っておりますので、各施設間をその患者さんの病状に応じて、あるいはADLの程度に応じて移動するというのが適正であろう、病院だけを視野に入れた観点でなくて、それには在宅も含めて、在宅医療を推進する、あるいは保健施設、福祉施設、そして医療施設、そのようなところを病状に応じて、移動といいますか、必要な療養ができるような体制をつくっていく。 そういう点からいいますと、私は、今先生がおっしゃったように、今後の医療費の増、その地質の問題を考えたときにどうかということでございますが、病院の中だけを一つとって見るのではなくて、そのように保健、医療、福祉という全体の広い視野の上に立って考えれば、今回のこの改正だけで改善するとは思っておりません。ただ、今回はその第一歩である、このように思っております。それで、保健、医療、福祉の連携というより、統合されて初めて、私が今申し上げるようなことができるのであろうと思っておりますので、今回を第一歩として、さらにいろいろ施策をお考えいただきたい、このように考えております。
○五十嵐参考人 ふえる医療費に対して、その財源としては、冒頭申し上げましたように、私は、税、保険料、それから自己負担というものがあるのだろうと思います。 ただ、今後のことを考えますと、ふえ続ける医療費にどう対応するのか、それだけで負担がもうかなりふえるわけでありますから、それを抑えるということになりましたら、やはり医療の適正化は大変重要なことでありますけれども、もっと言えば、私は健康づくりを大変重要視しているところであります。そういうことによって、この医療費の増高を抑える、あるいは、もっと言えば、予防医療といいますか、そういうところにも力を入れていただく必要があるのではないか、それによって医療費の増加というものを抑えることが可能ではないだろうかと私は考えております。
○室生参考人 今後の医療費の財源をどのように求めるかということでございますが、臨調行革以来、国民所得の伸び率以上に医療費は伸ばさないという政策がとられまして、結果といたしましては、国民の所得の伸びを下回る医療費しか実は医療費として回っていないという現実でございます。 そういう中で、国庫負担の割合も一九八〇年の三〇・四%から二三・四%に減っております。それと同時に、患者負担が約一〇%ぐらいふえてきておる、こういう状況があります。これ以上患者 さんの負担をふやすということは、先ほど述べましたように、早期発見、早期医療につながらないマイナスの問題というふうになりますし、現在の医療内容からいたしましても、これを支えていく上での医療機関、現在の医療費の配分というものは非常に低い。そういう面では、世界的な全体の動向を見まして、社会保障全般、先ほど福祉、保健、医療は一体のものとしてやるべきだということでございましたが、社会保障費としての国の割り分、こういうものはまだまだ世界的に見て日本は非常に少ない、そういう意味で、国家的にそういう点を医療、福祉、保健を含めて増加する、財源を配分していただくということ。 それからもう一つは、国民の保険料として支払う分でございますが、これも国際的に見ますと、大企業とそこで働く労働者の方たちの負担割合、こういうものがまだまだ、日本はほぼ五分五分ということでございますが、欧米諸国になりますと、資本家が七割、被用者側が三割というような状況になってございますので、そういうように国と大きな資本家がやはりこの問題についての責任を今まで以上に持っていただくことによって財源を確保し、医療を確保していく、あるいは社会保障、社会福祉を確保していくということじゃなかろうかというふうに私は思っております。 以上であります。
○網岡委員 どうもありがとうございました。終わります。
○加藤委員長 桝屋敬悟君。
○桝屋委員 それでは、続きまして質疑を続けさせていただきます。 四人の参考人の方、きょうは本当に御苦労さまでございます。貴重な御意見をありがとうございました。 最初に、時間もございませんので、重複を避けまして質疑をさせていただきますが、西村参考人にお伺いしたいと思います。 先ほど先生のお話の中で、特に付添看護の解消につきましてさまざまな問題点を御提議いただいたわけでございますが、私ども、今回の改正の大きな柱がまさにこの付添看護・介護の解消ということでございまして、いわゆる個人契約の形をとります家政婦さんという方が実際に医療機関に入っておられる、こういう実態は先進諸国にないわけでございまして、ぜひここを改善をしたい。さらには、その部分が大きな保険外負担ということで患者負担になっておる、重くのしかかっておる、こういう実態を考えますと、大変な困難さは伴うと思いますが、何としても改善の緒につかなければならないというふうに思っているわけでございます。 そこで、西村先生にお伺いするわけですが、今回の改正の柱でございますこの付添看護の解消という命題といいますか目標、これに対する評価といいますか、御意見を再度お伺いしたいと思います。
○西村参考人 まだ今後具体的にどのような施策をおとりになるのかというのは私も不明でございますので、若干憶測を交えたお答えで恐縮でございますが、やはり基本的に今おっしゃった方向についてはぜひやっていただきたいと思っております。そして、問題は二本立て、つまり長期的にどう考えていくかということと、短期の、現在の問題をどう考えていくかということを分けて、そして、まず先に短期の問題を申しますと、基準看護をとっていない病院におきます看護補助者、無資格者に対する何らかの診療報酬上の措置といったものをおとりいただいて、そこで正規職員化する、あるいはパートタイマーとして職員化するというような方向をお考えいただくということが必要ではないかというふうに考えております。やや長期的な問題といたしましては、家政婦さん自身が高齢化しているということもありますので、この問題をどう考えるか微妙な問題でございますけれども、長期的にはやはり無資格者というものがなくなって有資格者で実現するということが好ましいわけでございます。 そこで、単純に有資格者が何人、無資格者が何人といったような形での基準看護の設定というふうなこと、短期的にはやむを得ないかと思いますが、それのみにとどまらず、できれば病院内等々における無資格者に対してさまざまな形で研修等々を行い、そして長期的に資格が取れるといったような体制というものを考えていただくということも一考かと存じております。 他の細部にわたっては、またわかりました後で機会がありましたら。
○桝屋委員 もう一点、西村先生に重ねて御意見をお伺いしたいのですが、今回の短期的な、今御指摘になりました中で家政婦さんの問題。実は先般のこの委員会でも大変大きな問題になったわけでございますが、大変に高齢化になっておられるということ、さらには、私は個人的には、これから二〇〇〇年くらいまではまさに少子・高齢社会に向かっての準備期間だ、このように思っているわけですが、かつて保育所の保母さんが十年かけて無資格から有資格と、こういう時代がございましたけれども、そういうときかなというふうに思っております。そういう意味で、現在の十四、五万と言われております家政婦さんのマンパワーを、この変化の移行期にどのように地域福祉あるいは地域医療、さらには院内化の中で活用していくのかという点につきまして御意見をお伺いしたいと思います。
○西村参考人 大変難しい問題でございますが、今申したように研修等の機会というものをおつくりいただく、あるいは市町村等の公的機関に何らかの形でコンタクトをとっていただいて、できるだけいわば公的な職種という性格が強くなるような方向を御勘案いただければというふうに考えております。
○桝屋委員 ありがとうございます。これは、今後私たちも真剣に考えていかなければいけない問題だと思っております。 それで、今先生も言われましたように、町村との連携とかという大事な問題になるわけでございます。そこで山口参考人に、今の家政婦さんの問題、現場の医療機関におられまして、先生は保健、医療、福祉の総合化、一体化ということを常におっしゃっておるわけでございますが、こうした民間の介護サービス業といいますか、こうした方々もこの移行期においては重要なマンパワーではないか、このように私は思うわけですが、先生の御意見をお伺いしたいと思います。
○山口参考人 ただいまの御質問でございますが、西村先生もおっしゃいましたけれども、私は幾つかの手法があろうかと思います。 一、二申し上げてみますと、例えば付き添いさんの研修はもちろんですが、従来の経歴といいますか、経験歴、そのようなものを勘案いたしまして、もし本人が希望されれば介護福祉士の国家試験の受験資格等々もあるわけでございますので、そのような受験資格を与えるというのが第一点。 第二点は、ヘルパーさんへ転向する、あるいはヘルパーさんも講習を受けた時間によって幾つかの資格というか、ランクづけがございますが、あのような資格を与える、これも手法の一つであろう、このように思っております。 したがいまして、病院に現在付き添っていらっしゃる方が今回の改正によって全員ほかへ転向されるということはないと思いますし、そういう場合に院内化によって病院が責任を持ってやる、そのときに少し中長期的な見方としてそのような資格を与えていく仕組み、このようなことを考えるのも一つの手法ではなかろうか、このように思っております。
○桝屋委員 家政婦さんの問題につきましては、実は今までも労働行政と厚生行政の中で非常に谷間になってきたという認識を私たちもいたしております。私たちの立場としても、いずれにしても、今までに十分でない医療の現場をしっかり支えてくださった方々だ、こういう観点から有効なマンパワーとして評価し、活用していく方途を考えてまいりたい、このように思います。 山口先生にもう一点御質問したいわけでございますが、今回の改正の中で私が大変に評価をして おりますのは、老人保健福祉の分野で情報提供というものがやっと市町村の責務として位置づけられたということでございます。私も現場におりまして長い間期待をしておった点でございますが、先ほどの家政婦さんの活用も本当にこの情報の一つになるわけでございますが、そういう意味では、ヘルパーさんあるいはデイサービスあるいは保健婦さんの訪問等、こういう具体的なサービスを提供するのと同じ価値でもって情報を提供するということが非常に大事な戦略になってきているわけでございまして、先生が現場で先進的なお取り組みをされる中で、この辺の評価あるいは今後の展開について御意見をお伺いしたいと思います。
○山口参考人 お答えいたします。 情報提供というのは、私は、総論的に申し上げますと、行政だけでなくていろいろな分野で必要であろう、このように思っております。現在、非常に活用されつつあるのは脳卒中情報システムでありまして、これは、寝たきり老人ゼロ作戦に端を発しまして、行政と医療機関、あるいは老健施設なんかもそうでございますが、そういう施設間に情報提供をして、そして早目に把握をする、そして退所後、退院後は保健婦等が家庭を訪問して、寝たきりにならないように手を打つ、このような趣旨があるわけでございますが、そのような脳卒中情報システムを一つ例にとってみましても、先生がおっしゃるように、情報提供というのは、私は非常に大切な分野であろうと思います。 それで、今回の改正案を見ましても、そういう老人保健福祉の制度の中でそのようなことをやろうというふうになっております。これは、私は、利用者本位といいますか、サービスを受ける住民サイドに立ったときには不可欠のものであろう。今回それをあの改正法案の中に盛り込んだというのは、私は、現場サイドから見ますと、非常に評価するわけでございます。 また、私は、先ほどもちょっと申し上げましたが、病院長であると同時に行政の保健福祉の責任者でもございまして、そういう意味からは、行政と医療機関あるいは老健施設、福祉施設等々の間の情報提供というのはもう本当に不可欠であります。双方にとってこれは意義の深いものである。それは、やはり住民のためのサービス提供をやっていく。在宅ケアにしてもそうですし、入院あるいは入所すべてについて言えるのではなかろうか。先生のおっしゃるとおり、今回の改正案の目玉の一つであろう、このように私は思っております。
○桝屋委員 実は、大きな問題の陰で大変重要な今回の改正点だと私は思っております。ただこれは、市町村が簡単にここはできないだろうという気持ちを持っておりまして、さらに、やはり法改正と同時に具体的な施策の展開が必要だろうというふうに思っておりますので、今後とも、御指導をお願いしたいと思います。 それで、続きまして、五十嵐参考人にお伺いしたいんですが、今回のこの改正の大きな問題、まさに入院給食の有料化、患者負担ということでございまして、大きな国民的な関心を呼んでおります。ただ、先ほどから出ております、今後の高齢社会の中での医療費の増大というものが大きな要因であるわけでございますが、私は、本質的には、先ほど西村参考人もおっしやいましたように、我が国のやはり医療の現状というものがどうも福祉を肩がわりしているという実態があるということでございまして、今回の医療保険制度の改正のみでは決して解決できない、まさに国の社会保障のシステム全体の問題として大きな課題があるだろうというふうに思っております。 そういう意味では、この改正をスタートといたしまして今後大きな課題に取り組んでいかなければならないわけですが、特に連立政権の中で、年金、医療、福祉のありようということも今検討させていただいておりますが、最後に、五十嵐参考人のその辺の御意見をお伺いしたいと思います。
○五十嵐参考人 御指摘のとおりでありまして、今の医療保険の中でかなりの部分が、福祉の問題についても給付がされているのであろうと私は思います。その点では、諸外国の例で申し上げるまでもなく、我が国の高齢者福祉の問題、大変おくれていると言われているわけでありますから、そちらの方を今後重点的に対応していかなければならぬだろうと私は思っています。 そういう点で、私どもも、福祉の問題についてはこれからの高齢社会の中でどうあるべきかというのを検討をしておりますし、一定の方向を打ち出しているつもりであります。ですから、そういう点について、私どもとしましては、政治の場でもぜひ実現をしていただきますようにお願いを申し上げているところであります。 いずれにしましても、私どもの先輩でしたら、これから迎える高齢社会というものをまくら言葉にしまして今後の対応を考えていったらよろしいのでしょうけれども、今四十代あるいは五十代前半の我々世代は、間もなく迎える高齢社会の中で、これからの自分の住んでいく社会をどうつくるのか、大変切実な課題としてこの肩にかかっているわけでありますので、そういう点では自分の問題として、同じ世代の問題としてこれからの高齢社会のあり方というものを検討しているところではあります。
○桝屋委員 ありがとうございます。 まさに大変な今後の行政需要の増加が見込まれるわけでございますが、私どもとしても、福祉を格段に拡充をするといいますか、やはり大幅なサービス水準の引き上げというものを今後は目指していかなければならない。その財源をどうするかということは大変私ども頭が痛いわけでございますが、今後とも御指導を賜りたいと思います。 以上で私の質疑は終わります。ありがとうございました。
○加藤委員長 岩佐恵美さん。
○岩佐委員 きょうはお忙しい中、参考人の皆様、御苦労さまでございました。 まず、付添看護を廃止して患者負担をなくす、この問題ですけれども、基準看護病院においても家族等の付き添いがあるというふうに聞いていますし、結構そういう体験をされた方が多いというふうに思います。本当に患者負担がなくなるんだろうか、そういう問題と、それから病院の方にとってみると、私、ある民間の二百床程度のベッドの病院でしたけれども、そこに伺って実態をお聞きしたんですけれども、付添看護を本当にやめてしまうというふうになると、今まで付添婦に頼っていたので急にもう看護体制を変えなければいけないんで、どうしようかというふうに思っている、それから、差額ベッドとお世話料を今以上にふやさないとやっていけないんじゃないだろうか、そういうような声も伺いました。 その点について、お二人の参考人からお伺いしたいと思います。まず山口参考人、そして室生参考人にお伺いしたいと思います。
○山口参考人 ただいまの付添看護・介護の解消の問題でございますが、私は、今のままというのは、もう十年も二十年もずっと続いている状態でございまして、これをこのまま放置していたのでは二十一世紀の、障害者がどんどんふえていく時代には対応できなくなるというのはもう自明の理であります。そのためには、私はやはり、先ほども申し上げましたが、看護・介護の質の向上を図るべきだ、このように思います。そうしますと、付添看護・付添介護という問題は、やはり質という問題からすれば病院側がやや責任を持たなくなる傾向があるんじゃないか。それを病院側が責任を持つ体制にしていくというのは質の向上につながるんだろう、このように思っております。 それからもう一つ、じゃそういう病院側が責任を持つ体制をつくれば、今おっしゃったように病院の運営、経営が非常に苦しくなる、これをどうしてくれる、このような問題でございますが、私は、これに対しては、その病院が今どんな体制、例えば百ベッドの病院があった、こう仮定をいたしますと、百ベッドの中で全部が一般ベッドで占めている、そういう長期入院者が結構多い、こういう病院は結構あると思います。しかし、そうい う場合に、例えば一般ベッドは半分の五十にして、あとの五十は私は、療養型病床群、あるいは思い切って老健施設への転床、そういうことを考えて今後の病院運営はやるべきではなかろうか。そうしますと、スタッフの数というものが、看護婦の増を図らないで介護のスタッフで対応できるわけでございますので、病院側にもそのような発想の転換が今から求められていくんじゃなかろうかな。 それで、先ほども私ちょっと申し上げましたが、介護の質の向上ということを考えますと、今後の介護というのは、ただ単にお世話をするというのではなくて、看護計画と同じように介護計画を立てる時代にだんだんなっていくんだろうと思います。そのようなことを考えますと、介護のレベルアップということによって療養型病床群等々に切りかえていくというのも一つの手法ではなかろうか、そういうことで病院の運営、経営を改善していく、危機を突破していく、このような発想の転換が必要であろうと私は思っております。
○室生参考人 付添看護を廃止して患者負担をなくすということについて、病院の方ではどういうふうになるかという御質問でございますが、厚生省は、患者と看護婦、介護人の比率を一般病院では二対一、老人病院では三対一にする、こういうふうに言っておりますけれども、付添看護が廃止されても手術後や急性増悪期の患者さんについては一対一の看護が必要になる。これは病院全体として、先ほど山口先生がおっしやいましたようないろいろな患者さんがおりますから、そういうふうな配置ができるといたしましても、かなり小さな病院になりますと、そういうことが非常に厳しい状態に置かれるということがございます。 と申しますのは、二百床とか三百床の病院になりますとこれはそれなりにカバーすることができますが、二十床、三十床というような小さな病院、こういうところになりますと、例えば季節的変動だとかあるいは突然患者さんが重症化するということになりますと、全体として看護婦さんの数あるいは介護人さんの数が少ないわけですから、術後の数日間あるいは重症期間のある一定期間、これは何らかの形で補強をそのときだけやらなければならないというような状況が現状では大いに発生しておるところがあります。 したがいまして、私たちの団体に加盟しておる医療機関の中でそのような小さな病院では、全体としては基準看護だけの看護要員を抱えておるにもかかわらず、そういう術後のことにおける手当てができないということから、わざわざ基準看護の診療報酬を辞退いたしまして、基準看護以外のその他の看護料だけをいただいて、そういう手術後の体制に備える、こういうようなことをやっておる病院あるいは有床診療所、有床診療所というのは今度四月からできましたけれども、ことしからできた有床診療所のそのような、一類、二類看護の申請をも辞退しておる有床診療所も現実にあるということでありまして、そういう点で、現状のままでこれは余り性急にやりますと、それを保障する基盤のない中では病院の中で非常に混乱が起き、困難に陥るのではないか。 それからもう一つは、患者さんへの負担というのが、そういう付き添い制度がなくなりますと、これは付き添いをつけた場合には患者さんの方が全額負担をしなければならないという状況が一つ発生する。それから、病院側といたしましては、現在の看護料が先ほど申しましたように非常に低いわけですから、これは看護婦さん一人あるいは看護要員一人をきちっと抱えていくだけの診療報酬がございませんから、こういうのがなくなりますと、これは室料差額とかそういうところで病院側は何とかカバーせざるを得ないということになりまして、これまた患者さんにも御負担がかかるというような状況になるのじゃないか。 この解決といたしましては、やはり看護婦さんあるいは看護要員の絶対数、質的によいそういう要員の絶対量を養成していただくということと、現在の看護料というものを、情勢に見合った、特に引き上げる中でこの問題を解決していく以外にはないのじゃないかというふうに私は考えております。
○岩佐委員 給食料が有料化された場合、この間の委員会でも私ちょっと質問したのですけれども、患者さんにとってみれば、八百円払っているのだからおかゆなんかの場合にはこれでいいのかとか、絶食はどうするのだとか、重湯だったら家から持ってくるとかそういうことが起こったり、あるいは医療機関の方で、例えば松竹梅というようなことが一般的に入ってくるという、そういう状況になると、患者さん同士が何でだということになって、治る病気も治らなくなってしまうのではないか、こんな心配が指摘をされているわけですけれども、この問題について、室生先生いかがでしょうか、患者さん、医療機関の力場から。
○室生参考人 ただいまの問題点でございますが、先ほども若干触れさせていただきました。今度八百円の導入によって、患者さんの意見が病院側に反映するから食事の内容もよくなるのじゃないかということを厚生省がQアンドAで答えておるわけですが、病院側にしてみますと、その八百円の患者さん負担に見合うだけの全体の給食にかかわる材料費、あるいはそれにかかわる技術料、こういうものを適正に評価されなければこれは絶対にできないことでございまして、実際にうちでも食べておるからいいんじゃないかといいますが、実際の病院になりますと、いわゆる患者食という、治療食という以外の一般に標準食と言われる中に、実は刻み食だとかそれから軟菜、かゆ食とかいういろいろなバラエティーに富んだものを我々病院側は提供しなければならないという状況に置かれております。 そういう中で、実際にこういう負担が出てきますと、これは治療食じゃない一般食といっても、これも治療の一環であることは厚生省も認めておるところでございますから、そういう点でのバラエティーが、その患者に合った、状態に合った、あるいは体に合った食事のバラエティーを我々つくっておるわけですが、それにも増して松竹梅だとか趣味に合ったものを導入するということになってきますと、これはやはり相当の設備等も備えなければならない。だから外注をするというような方法が今提起されておりますが、外注になりますと、これまた外注された食事に対して我々がどう医学的な責任を持てるかということになりますと、これは厚生省でもいろいろな基準というものをおつくりになるということでございますが、我々医療担当者としては非常に難しい問題が発生してくるということになります。 患者さん同士の問題は、現実にそういうことは私まだ伺っておりませんが、実はそれは、表向きは皆さん平静にしてみえますが、実は、私のところは三百七十床の病院でございます。私のところは絶対に患者さんからつけ届けをいただかないという主義でやっております。そのためにそういうトラブルは起こっておりませんが、聞きますところによりますと、医師あるいは看護詰所へ届けをするせぬということがやはり院内でのいろいろなトラブルの原因になっておるということも聞いておりますので、やはり院内でのそういうような患者さんの相互の違いというものが際立ってきますと、いろいろな点で難しい問題も発生するのじゃなかろうかというふうに私は危惧しております。
○岩佐委員 これは医療の基本にかかわる問題なんですけれども、医療費の抑制ということがずっと行われてきています。それと同時に国庫負担も減ってきている。こういう中で医療が本当にどういうふうに今後あるべきなのかということで、厚生省は、国庫負担がない、資金がない、そういう中であらゆるいろいろなことを考えて、もう手詰まり状態に陥っているのじゃないか、そういうようなことも指摘をされています。八日の質疑で私ちょっとその点を取り上げたところですけれども、西村参考人にお伺いをしたいと思います。その辺についてどうお考えでしょうか。
○西村参考人 先ほど室生参考人がお話しになりましたように、医療費の中に占める国庫負担の比率は急速に低下してきております。諸外国と比べ ても決して日本の医療費は高い水準にあるとも思えないというのは事実でございますから、やはり一方で、私先ほど申し上げたように、何らかの形の患者負担をお願いするということも必要かと思いますが、より根本的には、今お話しになったように、いかにして公的な財源を確保するかということにより多くの努力が割かれるべきではないかというふうに思っております。
○岩佐委員 これから審議が、まだ八日に始まったばかりで、きょう参考人質疑が行われたわけですけれども、室生参考人、もしこの点だけはどうしても言っておきたいということがございましたら、どうぞ言っておいていただきたいと思います。この点だけはというのがありましたら。
○室生参考人 全般を通じましてでございますが、医療内容の改善という名目でもって、そのために他の部分の、患者さんへの負担をかぶせるというようなこと、あるいは医療機関の内容を改善するということで、他の部分を診療報酬で下げてくる、こういうことが数年続いておるわけです。そういう中で、どんどん医療機関や患者さんへのしわ寄せといいますか、犠牲といいますかが強まっておる。こういうことはぜひともこの機会に直していただきたい。 それで、付添看護を廃止するということが看護全体をよくしていくということであるならばこれは大いにやっていただきたいし、そういう観点から、付添看護をどう考えるかということから進めていきたいし、そのために患者さんの給食の一部負担をふやす、こういうことは絶対にやめていただきたいと思います。 以上であります。
○加藤委員長 ほかの参考人の方、ございませんか。——よろしゅうございますか。
○岩佐委員 終わります。
○加藤委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々におかれましては、大変貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十一分散会