外務委員会 第1号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1994/03/04
会議録
○菅委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 国際情勢に関する事項について研究調査し、我が国外交政策の樹立に資するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ────◇─────
○菅委員長 第百二十八回国会から継続になっております児童の権利に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 お諮りいたします。 本件の提案理由説明につきましては、既に第百二十八回国会において聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ───────────── 児童の権利に関する条約の締結について承認を 求めるの件 〔本号末尾に掲載〕 ─────────────
○菅委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋葉忠利君。
○秋葉委員 社会党の秋葉でございます。 子どもの権利条約、政府訳では児童の権利条約ということになっておりますが、この件については、百二十六国会において、私たちかなりの時間を割いて質疑をいたしてまいりました。それ以前にも実に三年以上、このことについて八十人以上の国会議員がさまざまな議論を行ってまいりました。今国会においては、この総括といいますか最終的なまとめという意味で、百二十六国会以降実はかなり重要な客観的な情勢の変更がございますので、そういった客観的な事実を踏まえながら、改めて子どもの権利条約の精神を確認した上で、これが日本国内においても、さらには世界においても、本当に子供たち一人一人の権利を十分に守り、さらに子供たちの与えられた可能性を最大限に生かすために、最終的なまとめの質問、したがいまして、これまでの審議と重複する部分がありますけれども、何点か伺いたいと思います。 まず最初に伺いたいのですけれども、百二十六国会に提出されましたこの条約の日本語訳と今国会に提出されております日本語訳、異なっているところが数カ所見られると思うのですけれども、まずその経過について、また、どうしてそのような変化が起こったのかなどについて、簡単に外務省の方からお答えいただければと思います。
○高野政府委員 お答え申し上げます。 本条約を再提出するに当たりまして、第百二十六国会、特に本委員会での御審議その他報道、出版物等で指摘されました諸点を参考といたしまして、また、前回の提出後に入手いたしました情報等も踏まえ、改めて条文全体のチェックを行った次第でございます。その結果、三カ所につき訳文を変更することとさせていただきました。 従前の訳文に必ずしも適切でない部分があったことにより、政府が一たん国会に提出した訳文を変更することとなったことは遺憾でありまして、国会に御迷惑をおかけすることになったことを大いに反省しております。 今後、このようなことが生じないよう、訳文の作成に当たりましては、これまで以上に慎重を期してまいる所存でありますので、何とぞ御理解を得たいと存じております。
○秋葉委員 その点について一、二申し上げたいことがあるわけですが、百二十六国会においては、外務省の態度は、外務省で作成をした訳がベストであるということをおっしゃっておりました。そのベストであるという意味をパラフレーズしていただきたいなというのが一点。しかしながら、同時に、ベストであるにもかかわらずなぜ再チェックする必要が生じたというふうに認識されたのか、その点について簡単にお答えいただきたいと思います。
○高野政府委員 第百二十三国会におきまして提出いたしましたテキストにつきましては、我々事務方といたしまして最善を尽くした、最善の手順を尽くして提出させていただいたという意味で、ベストを尽くさせていただいたということを申し上げたわけでございます。 先ほど申し上げましたように、その後、国会におきます審議その他の諸点を踏まえまして、政府といたしまして、改めて条文全体のチェックを行った。その結果、適切でない点が三カ所ございましたので、その三カ所を改めさせていただいたということでございます。
○秋葉委員 全然答えになっていないと私は思います。最善を尽くしたからというだけではなくて、その訳の内容がベストだということをはっきりと外務省がおっしゃっている。あえて議事録は読みませんけれども、それだけの自信を持ってお出しになっている。万一のことがあったらどうするんだということまで私は聞かざるを得ないような状況が百二十六国会でした。ですから率直に、それはベストを尽くしたものであっても、誤りがあったということを認めた上でそれを改めましたということを言うべきなのではないでしょうか。 その点については時間がありませんのであえて触れませんけれども、例えば外務省は、この第三十七条(c)の訳に関して、「セーブ」という言葉の前にコンマがあるから外務省の訳が正しいんだということをおっしゃった。その文法的な解釈については誤りだっだということがはっきりと、少なくともこの一点については、ほかの点も後日時間をとって確認したいと思いますけれども、最低限そういった事実問題についてはきちんとした現状認識を示してください。逃げるばかりではだめだと思います。
○高野政府委員 ただいま御指摘の三十七条(c)項につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、第百二十六国会で本委員会において御指摘があったことはそのとおりでございます。 我々政府といたしまして、その際の審議のやりとり等も踏まえ、全体として再チェックさせていただいた結果、原案は不適切であるという判断に立ちましたので、変更させていただいたということでございます。
○秋葉委員 この点についてはこれ以上触れないことにいたしますけれども、恐らく傍聴をされている方々の中では、なぜこの点について私がこだわっているのかよくおわかりにならない方がいらっしゃると思いますので、一言説明をしておきますと、これは条約の審議権、条約の解釈について、だれがその解釈をする権利を持っているかというところにかかわっているので、私はここにこだわっているということを申し上げておきたい。 外務省の見解では、国会そして外務委員会がここで判断を要求されているのはただ単に条約の批准に賛成をするか反対をするかということだけであって、内容にまで立ち入ることはできない、簡単に言うとそういうことを主張しているわけですが、国会としては、例えば条約の訳に関して、あるいは国内法との関連について、その運用等について、国会の方でそれについての解釈を与える権限があるという主張をかねてからしてまいりました。 その点について、これはきょう一回の議論でおさまる問題ではないと思いますけれども、いわば三権分立のうちの二つ、立法と行政との間のやはり非常に明確に一線を画さなくてはいけない問題だというところで大事なんだというところを改めて説明をさせていただきたいと思います。 その意味でこの訳にこだわっているわけですけれども、外務省の態度として、今おっしゃったのは、これから誤訳を出さないようにさらに努力をするということでございました。それについて異議はございません。しかしながら、外務省も神ならぬ人間の集まりです。ですから、人間の集まりである以上、これは誤訳が出る。万全を期しても誤りが起こるということは、これは避け得ないことなので、実はここで当然必要とされるのは、万一誤りが生じた場合に、いかに早く、できれば事前にそれを見つけて、どのような手段で、しかも、百二十六回の国会のようにただ単に自分は正しいんだということだけを主張するのではなくて、より合理的な手続によってきちんとした訂正が行われるような体制を整えるべきだというふうに思います。 その点について、外務省の中で少しこれから翻訳についてのシステムを変えるということを伺っておりますので、簡単に、これからどういうふうに変えていくつもりか、伺わせていただきたいと思います。
○小池(寛)政府委員 お答え申し上げます。 条約の訳文は、従来から正文テキストの文言の意味をできるだけ正確に反映するようにということで、まず外務省で原案を作成し、次に関係省庁とともに何度か読解を繰り返して協議して、最終的には内閣法制局の審査を経て慎重に作成してきておりますことは、先生よく御承知のところでございます。 先ほども申し上げましたように、今後、これまで以上に一層慎重を期して訳文を作成していく所存でございます。 それで、今般の訳文変更を招いた事態を反省いたしまして、訳文作成に一層慎重を期するため、新たに外務省内に訳文委員会を設置することといたしました。訳文委員会は、条約局審議官を長として、原局の審議官、参事官ほかの関係者を構成員として、内閣法制局が最終的な審査を行う前の段階で、外務省として訳文作成に慎重を期するために一層検討を加えるということを目的とするものでございます。
○秋葉委員 少なくとも委員会をつくって、そこでチェックをきちんとするということには私も賛成ですから、ただ、余り作業が冗長にならないように、効率的にやっていただきたいと思います。 しかしながら、実は、この今回の何カ所かの誤訳について、外務省の中でそういったチェック機構を持たなくてもきちんとした誤訳の発見とその訂正は簡単にできたということは、当然御存じだと思いますけれども、改めて申し上げます。 例えば、ここに私が持っております子どもの人権連というところでつくった対訳集がございます。これが発行されているのは一九九二年の六月です。おととしですね。去年の百二十六国会のときには、もうこれはかなりたくさんの人が読んでいた文書です。その中には、ユネスコ訳と国際教育法研究会の訳が政府訳と並列されてきちんと載っておりました。その二つの訳を見れば、政府訳だけが異なった解釈をしているということは明白です。 それで、外務省の中に委員会をつくって検討するということも大事なんですけれども、そこでもう一つ大事なのは、そういった外務省の外のいろいろな意見について、これも一つの意見の表明ですから、外務省訳が間違っていますよというふうに私のように委員会で言ったわけではありませんが、しかし、事実として誤訳を指摘している文書が存在するわけです。そういったものを謙虚に比較検討することによって、当然このような時間のむだというのは省けたわけですし、その時間、より重要な問題についての質疑ができたというふうに私は思います。ですから、ただ単に委員会をつくればそれでいい、形を整えればそれで外務省が何かやったことになるというのではなくて、外務省の態度そのものをより民主的な、より謙虚なものに変えていく必要が私はあるのではないかというふうに思います。 その点について、これまでのその誤訳の問題についてと今後の予防策について外務省からの見解がありましたけれども、やはり外務省全体としてもっと謙虚に外務省外の声を取り入れる努力をするといった観点について、羽田外務大臣、これまでの総括といったような意味で、この誤訳のことに関して一言、外務省の方針といいますか大臣として前に引っ張っていく決意といったものをぜひお披瀝いただければと思います。
○羽田国務大臣 まさに皆様に御審議をいただこうということで、国会に訳文を正文とあわせて提案をさしていただいたということでありまして、これが誤訳ということになりましたことを大変申しわけなく存じております。 私どもといたしましては、今御指摘もございましたけれども、御指摘に基づいてこれを修正したわけでありますけれども、そういったことも含めながら、私どもやはりみんなに、審議される皆さん、あるいは国民の皆さんにもわかりやすい、これを我々も謙虚に努めていくことが必要であろうというふうに考えております。
○秋葉委員 ありがとうございました。 大臣から謙虚にという言葉が聞けて、私は、国民の一人として外務省のこれからの方針に大変自信を持てたような気がいたします。それはやはり永田町にいると、私も国会議員の一人として、多くの市民の方々が考えているような現実から離れてしまうということをたびたび痛感しておりますので、そういった形で外務省も同じような立場から多くの人の声を謙虚に聞いていくという意思の表明がなされたことを大変私はうれしく思っております。 で、そのことについてもう一言あえて申し上げさせていただきますと、多くの声を、多くの人々の声を、その国会の外からの声を聞くということに関連をして、それは最終的には国会、つまり議員が選挙によって選ばれ、国民の代表として議論を行う国会の意思を尊重するということだと私は思います。 したがいまして、今の外務大臣の発言は、条約の問題について、あるいはその解釈について国会が 少なくとも行政側としては国会がすべての権限を持つというふうに今言明することは恐らくできないだろうというふうに思いますけれども、しかしながら、国会の役割が非常に重要である、そして、審議権が一〇〇とは言わないでもかなりの部分国会に審議権があるということを認めていただいた発言だというふうに私は解釈をいたします。 で、その点について次の質問に移りたいわけですけれども、この条約、子どもの権利条約をこれから、恐らくきょうの委員会で可決され、本会議で可決されることになり、正式に批准されるわけですけれども、この子どもの権利条約を具体的に国内でさまざまな面において適用をしていく、その上で実は百二十六国会の一番最後の段階において決議が行われております。 この決議は私は形式的には現在でも生きている決議だというふうに解釈をしておりますけれども、条約の批准そのものが実は百二十六国会では流れてしまったので、それに付随した決議も存在しないという解釈もあり得ると思いますので、この決議について、もう一度決議の精神、少なくともこの精神、その中にはこの条約を広めていくに当たって、児童の権利条約という言葉だけれども、広報等に当たっては例えば子どもという言葉も使っていきましょうといったような実質的な内容も含まれているわけです。そういった意味で、この決議の精神を継承していく、それだけではなくて、決議には盛り込まれなかったけれども条約本来の精神を尊重していくということを、一言外務大臣にもう一度ここではっきりと確認をしていただきたいと思います。
○羽田国務大臣 御指摘の決議につきましては、外務省といたしましてもその内容につきまして尊重すべきものというふうに考えております。 この決議にもありますとおり、特に子供も条約を理解し得るように、また、わかりやすくという点から、国会の承認後、この条約の広報活動、このことを行うに当たりましては、児童ばかりではなくて子供という言葉、これも使用していく考えでございます。 また他方、条約の正式名称で使われておりますチャイルドの訳につきましては、我が国が既に締結しております他の条約の訳文、あるいは我が国の憲法、労働基準法、児童福祉法等に用いられております法令用語、これとの整合性の見地から、児童を用いることが最も適当と判断したものでございまして、子供に改めるということはできないことだけは御理解をいただきたいというふうに思います。
○菅委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○菅委員長 速記を始めてください。 羽田外務大臣。
○羽田国務大臣 私が先ほど御答弁申し上げた中で、誤訳という、訳文に誤訳があったと申し上げたわけでありますけれども、今般の訳文の変更は、より適切なものにしたということで御理解をいただきたいと思います。
○秋葉委員 それをパラフレーズすると誤訳ということに私の頭ではなるのですが、この際、神学的な言葉の問題で争っている時点ではないと思いますので……。 それから外務大臣、先ほどのお答えも、子供と児童の使用についても非常に真摯なお答えだというふうに私は受けとめております。ですから、そういう事情にかんがみて、あえてそこのところは私は異議を立てませんけれども、ただし、問題の指摘だけはさせていただきたいと思います。 やはり、少なくとも外務省がベストであると言明したからには、これはちょっと差別的な表現になって申しわけありませんが、男だったらちゃんと責任をとってください。そういうベストであるなどということを言っておいて、その後でやはりその言葉を翻すような、そういった態度をとっているから日本の政治がいつまでもよくならないと私は思っています。自分の言葉に責任をとれない政治家が本当に国の政治全体に責任をとれるのか、そういう非常にゆゆしき問題だと思いますから、その認識だけは申し上げておきたいと思います。 それで、先ほどの児童の権利条約というふうに政府側が呼んでいる子どもの権利条約、正式名についても、私たちは子どもの権利条約に直すべきだという主張をしてまいりましたが、これも時間がございませんので、あえてその問題について今回議論をして政府側の考え方を変えることはできないというふうに判断をいたしております。しかしながら、その広報とか、それから、できるだけたくさんの子供たちにこの権利条約について理解をしてもらって、その精神を子供たちだけではなく私たち大人もきちんと日本の社会の中に広めていくという姿勢では、私は政府のお考えと全く一致しているというふうに信じたいと思いますので、先に行かしていただきたいと思います。 この条約の中の四十二条、広報の義務があるわけですけれども、今外務大臣がおっしゃった趣旨とも関連して、具体的にどのような広報を行って、どういうふうにこの条約の内容について伝えていこうとしているのかを伺いたいと思います。 まず手始めに、これからできるだけたくさんの人にこの条約の内容について知ってもらうということを言う場合に、現在どの程度の人、特にどの範囲の子供たちがこの条約について知っているかということ、そこがわからないと話になりません。ですから、現在の時点、あるいは昨年ぐらいの時点でも結構ですけれども、子どもの権利条約というのが日本の子供たちの間にどの程度知れ渡っているのか、そういった調査がありましたら、あるいは外務省としてどのような把握をなされているのか、これは文部省の方でも結構ですけれども、学校を通して子供たちが子どもの権利条約について少しは知っているのかといった点についてお答えいただきたいと思います。
○高野政府委員 政府といたしましてこの条約が子供にどの程度知られているのかを示す客観的なデータを有しているわけではございませんが、東京の中学生の約八五%がこの条約を知らないというアンケート結果が昨年六月に報じられていることは承知しております。
○秋葉委員 それは朝日新聞の調査だと思いますけれども、出典も明らかにしていただいた方がより正確でよかったと思います。 文部省としては、これとは別に、現状の把握をなさっておりますでしょうか。
○富岡説明員 文部省といたしましては、本条約につきまして児童生徒がどれくらい知っているかということについては、つまびらかに調べた、または把握していることではございませんが、私どもといたしましては、児童生徒や先生に十分な理解が進んでいるとは必ずしも言えないという認識は持っております。
○秋葉委員 現在の時点ではその条約そのものがまだ批准をされていないわけですから、批准をしてから努力を始めるんだということで、その認知度が低くてもまあ仕方がないという説明はある程度納得がいくのですが、問題はこれからだと思います。 今もおっしゃいましたように、これからどのような方法でこのPRを行っていくのか。その中で、例えばこれから一年後という時点を考えて、そのときには日本の子供たちのどのくらいのパーセントの人たちにこの条約の存在を知ってもらう、例えば二、三%ということであればこれは何もしないということと同じでありましょうし、一〇〇%の子供たちにぜひ知ってもらいたいというのは事によったら無理かもしれない、ある程度常識的な線が出てくると思いますけれども、外務省にとって数値目標を掲げるというのは鬼門かもしれませんが、できたらある程度の数値目標を掲げた上で、その目標を達成するために大体どのような方法でPRをしていくのか、簡単に御説明いただければと思います。
○高野政府委員 数値目標を設けることにつきましては、この子供に対する条約の場合につきましても容易ではございませんが、政府としては、この条約の対象である児童が一人でも多くこの条約の中身を十分理解することができることを目標に鋭意広報活動に取り組んでまいりたいと考えております。
○秋葉委員 より具体的なお答えが欲しいのですけれども、例えば文部省はより具体的なPRの方法というのをお考えになっているのでしょうか。
○富岡説明員 先生御指摘のとおり、条約の中には教育に関します重要な規定が多く盛り込まれておりまして、学校におきます教育活動にも深くかかわるものと思料しておるわけでございますので、文部省といたしましては、条約締結後、学校関係者への通知の発出、あるいは先生よく御案内のように、各種のいろいろな段階の会議等あるいは研修会等もございますし、広報誌等もございますので、外務省とも連携いたしながら積極的に条約の趣旨、内容等の周知を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○秋葉委員 より具体的な方策というのがこの委員会で出てくることを私は期待していたのですけれども、現在進行中あるいは私が子供たちの代表といいますか、何人かの人たちから聞いたようなアイデアについて、例えばこういったことができるということを御参考までにまず申し上げておきたいと思います。 例えば、そのパンフレットをつくって学校等に配付するにしても子供の言葉、大人の言葉ではなくて、しかも年齢に合わせた、小学校の一、二年生と中学校の三年生ではもちろん使っている言葉が違います、年齢に合わせた子供の言葉によるパンフレットをつくるということはどうしても必要だと思いますし、このことについてはアムネスティが既に公募をして冊子をつくろうという運動を行っております。 それから、諸外国で行われているような例を見ても、テレビとかラジオを有効に使う、コマーシャルで、例えば二年間この子どもの権利条約についてテレビのコマーシャルを使っていろいろな情報を流し続けるなどということも可能だと思いますし、それからテレホンサービスなんということも考えられる。あるいは記念切手を発行してこのPRをするといったような国もございますし、あるいは郵便局といったところでPRをする、さまざまな方法があると思いますけれども、こういったアイデアは別に私が考えたわけではなくて、子供たち自身がこういったさまざまなアイデアを出しているというところが大事だと思います。 したがって、外務省、文部省、特にお願いしたいのは、子供たちの意見をPRにもぜひ取り入れていただきたい。そして、ただ単に外務省の中だけで考える、文部省の中だけで考えるのではなくて、開かれたPRの方法から、子どもの権利条約についてはぜひお役所として取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。 それに関連して、もう一つ大事な問題なのですが、いわゆる子供の権利についてのオンブズパーソンをつくる。オンブズマンというのは、マンが男性ですから、これは男女どちらでもいいのでオンブズパーソンという言葉になっていますけれども、こういった動きも世界的にございます。これについて法務省ではやはり同じような考え方を持っておられるということを聞いていますけれども、その構想を簡単に説明していただきたいと思います。
○河野説明員 我々の人権擁護機関におきましては、従来から、いじめ、体罰、不登校児などの子供の人権問題に積極的に取り組んできたところでございますが、近年、不登校児の増加、それからいじめについて重大な人権侵犯事案が発生しているところでございます。これらを防止するための適切有効な対策が結局は求められるということで、人権擁護委員の中から、子供の人権を専門的に取り扱う子どもの人権専門委員を指名し、他の人権擁護委員の協力を得て、子供の人権問題の解消に全般的に取り組んでいくというものでございます。 具体的な活動内容といたしましては、子どもの人権相談所の開設や子供の人権問題に関するアンケート調査の実施、それから機関誌の発行、子供座談会の開催などを実施して、子供の人権に関する情報を収集いたしまして、人権侵犯事件が発生していることが察知された場合には、法務局と協力いたしまして、適切な救済を図ろうというふうに考えているものでございます。 以上でございます。
○秋葉委員 ありがとうございました。 今、説明だけを聞いておりますと、何も問題はないような気もいたしますけれども、実は法務省の子供の人権オンブズパーソンについて、そもそも人権擁護委員会制度そのものに疑問があるといった意見もございます。このような新しい制度をつくるに当たっても、ぜひお願いをしたいことは、やはり子供の立場から、子供も含めてさまざまな人たちがこのオンブズパーソンの制度が生きるように提言をしておりますので、これまた法務省だけではなく、広く子供たちの意見、社会全般の意見をインプットを、建設的に取り入れていただきたいということをお願いしたいと思います。 それから、もう一つ文部省に伺いたいのですけれども、この子どもの権利条約批准に当たって、これを機に、文部省として、いじめの問題について何か非常に大きな、何といいますか、これを記念して、いじめの問題を撲滅するための何か新しい方法を模索するとか、あるいは新しい制度をつくるとか、そういったことが当然考えられると思いますし、それは子どもの権利条約の精神に沿っていることだと思うのですが、例えばいじめということに限っても結構ですけれども、何かそういったことを文部省としてはお考えになっているのかどうか、一言お聞かせいただきたいと思います。
○富岡説明員 児童も人格を持った一個の人間として尊重していこうということが今度の条約の趣旨でございますので、その条約全体の趣旨を踏まえまして、学校におきまして、例えばいじめを許さないというような姿勢で学校運営をしていくということは大事だというふうに私ども認識しております。 そういう観点から、教師一人一人が児童生徒の生活実態のいろいろきめ細かい把握に努めるということの指導の充実とか、全教職員がいじめの問題の重要性を認識して取り組んでいくという体制の確立が大事でございます。 その指導の一層の充実を図ってまいりますとともに、平成六年度に、いじめ、校内暴力等につきまして総合的な実態調査を行いまして、この対策につきまして適切な資料を得るということで予算化いたしまして、児童生徒の問題行動に関します総合的調査研究というようなものを実施する予定にしております。 そのようなものをいろいろあわせまして、この問題について真摯に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○秋葉委員 時間がございませんので、今の件については、後刻また文部省の方と詳しいお話をさせていただければと思います。 そして、もう一つこの子どもの権利条約の中で私たちが注目をしておりましたのは、第二条の関係のことでございます。 特に婚外子差別について、私たちは例えば民法の九百条といったことを問題にしてきたわけですけれども、この点についてもかなり大きな変化が百二十六国会以降生じてまいりましたので、まず、法務省の方でその変化をどういうふうに認識しているのか、手短に伺いたいと思います。
○小池説明員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘の問題につきましては、その後、平成五年六月でございましたか、東京高等裁判所で民法九百条四号ただし書きが憲法に違反するという決定がなされております。さらに、昨年の秋、いわゆる国連人権B規約の日本政府報告の審査におきまして、規約人権委員会からこの九百条四号ただし書きの規定がこの条約に抵触するというような指摘、コメントがなされた、そういう状況の変化がございます。
○秋葉委員 そういった状況の変化に対応して、例えば今後法制審議会においてこの婚外子差別の問題について、特に民法九百条を改正するといったような議論が出てくると思いますけれども、法制審議会のそういった活動を法務省としては激励をし、そして子どもの権利条約二条あるいはその他の国際的なさまざまな人権規約に沿うような形で法務省が努力をしていくということを当然お考えになっていると思いますけれども、少なくともその基本的な姿勢について、一言法務省の方からお答えいただきたいと思います。
○小池説明員 法務大臣の諮問機関でございます法制審議会の身分法小委員会におきましては、現在、婚姻及び離婚法制の全般に関する見直しの審議を進めております。相続の問題は直接のテーマにはなっていないわけでございますが、先ほど御答弁させていただきました状況の変化等にかんがみまして、私どもといたしましては、この問題につきましてもあわせて法制審議会でその取り扱いについて審議をお願いしたいというふうに考えております。
○秋葉委員 その法制審議会における結論が、例えば民法九百条例外規定、これは四号でしたか、民法九百条について特に婚外子差別についての条項は変更するようにというような、あるいはその方向の結論が出た場合には、当然それを遵守する、尊重する決意だというふうに解釈いたしますが、それでよろしいのでしょうか。
○小池説明員 法制審議会におきまして、民法改正として取り組むべき問題だという御指摘があり、その旨の答申がなされれば、それを最大限尊重するということでございます。
○秋葉委員 この問題に関連してもう一つ、住民票における続柄の記載の問題がございますが、この点についても、実は百二十六国会でも、私も含めて何人かが質問をいたしております。 それで、この住民票の記載の問題に関してもその後の変化もございますので、民法九百条というのはただ単に民法だけの問題ではなくて住民票の記載にも影響を与えるさまざまな見解が出されたわけですから、自治省の方として、住民票の記載事項に関してより平等な立場に移行するといった方針をお持ちなのかどうか、少なくともそういった方向での検討がなされているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○松浦説明員 住民基本台帳制度につきましては、それが住民の居住関係の公証ばかりではなくて、選挙人名簿の登録といったように幅広い行政事務に使われているということでございますので、この住民に関する記録を正確かつ統一的に行う必要があるというふうに私どもも考えているわけでございます。 御指摘がございましたような世帯主との続柄の問題でございますけれども、これは続柄が世帯主との身分上の関係をいうものであるというふうに考えておりまして、この記載方法を国民の身分関係を公証いたします公簿でございます戸籍の記載に対応させていくということが、先ほど申し上げました正確かつ統一的な住民に関する記録を行うというこの住民基本台帳制度の目的に照らして、やはり必要であるというふうに考えております。 ただ、プライバシーの保護の観点から、こういった世帯主との続柄を含みます住民票の交付請求がありました場合には、特別の請求事由というものを必要にいたしております。そういうふうなことから、プライバシー保護には万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○秋葉委員 その点については、実は今回のお答えが前回のお答えよりも後退している印象がどうしても出てきてしまうのですけれども、その戸籍とは一応独立した形で住民票の続柄記載をすることが可能であるという見解もございます。 それから、昨年の秋には全国連合戸籍事務協議会の総会が開催されまして、これは戸籍の実務を行っている人たちのつくっている組織ですけれども、しかもこれは半ば公的に認められている組織ですが、そこにおいてもほぼ満場一致に近い形で、続柄の記載について平等化を図るべきであるという決議が採択されております。さらに、さっき申し上げましたように、民法九百条、それから国際的なさまざまな場面における日本のこういった婚外子の差別について厳しい指弾も行われています。 そういったところを勘案いたしますと非常に残念ですけれども、しかも、佐藤大臣という我が党の大臣が自治大臣として指揮を振るっている自治省から、どうも後退してきたような感じを持たざるを得ない答えが出てきたことを大変に残念に思いますけれども、これは恐らくどこかの意思の疎通がうまくいかなかったのではないかというふうに勘案いたします。ここでも何点か出てまいりました、昨年以来のさまざまな状況の変化に対応する前向きの方針変換をぜひ自治省にもお願いしたいと思います。 それから、外務省を初めとして、この子どもの権利条約、これから批准、そして実際にこの精神に沿った、さまざまな制度が変わったりあるいは法律ができたりといったことを私は期待しておりますけれども、やはり一番大事なところは、この子どもの権利条約の一番基本的な原点である子供の立場に立った、一人一人の子供の立場に立った政治であるというところに改めて思いをいたして、皆さんと一緒に私も微力ながら努力をさせていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○菅委員長 福田康夫君。
○福田委員 児童の権利条約を批准・承認するに当たりまして、二、三お答えをいただきたいと思います。ただし、この条約は百二十六国会で我が党も相当時間を割いて議論をいたしておりますので、簡略にさせていただきます。 まず、本条約の締結国は百五十四カ国に上りました。国連の加盟国の約八割に当たっております。 条約の前文、本文五十四カ条を通して読みますと、世界じゅうの十八歳未満の児童に対しまして、日本国憲法に明記してある基本的な人権に関する諸規定を適用させよう、あるいは児童福祉法、学校教育法、また労働基準法に記載されているような趣旨や目的が世界各国にあまねく行き渡るようにしようというのがこの条約であると思っております。 ところが、世界じゅうには十八歳未満のいわゆる子供は十七億人いると言われております。この子供たちがひとしく平和で健康な生活を送っているかということになりますと、まことにそういうふうなことが言えないような現実がございます。幾つかの具体例をあえて申し上げたいと思います。 アフリカ大陸の十から十四歳児の四分の一は不法に働かされている。もちろん教育は受けておりません。 この地球上で一日三万五千人の子供が死亡しております。抗生物質とか経口補水療法という簡単な治療で防げるような肺炎とか下痢、はしかで毎年八百万人が死亡しております。これはユニセフの世界子供白書に載っておるものであります。 インドでは、貧しい親が生活のための借金の返済のために一千万人の子供が労働に従事しております。もちろん教育どころではありません。 ブラジルでは、九百万人の子供の路上生活者がいるわけでありまして、その子供たちは生きるために泥棒を初めとしてあらゆることをしております。一方、金持ちの人たちは、町の秩序維持のために元警官らを雇って、町の掃除をする、こういうふうに称してこの子供たちを抹殺するということをしておりました。その子供の数は一九九〇年から九二年の三年間に四千六百人になるということがブラジルの連邦警察の調べでわかっております。 サハラ砂漠以南のアフリカ諸国で、生まれた赤ちゃん千人当たり五歳までに死亡する人数、つまり五歳未満児死亡数は、国連統計では世界平均で百八十三人でありますが、本条約を既に批准しておりますニジェールという国は、これが最悪でございまして三百二十人、うまり千人のうち三分の一が五歳までに死亡しておる、こういうことであります。ちなみに日本は六人であり、米国は十一人であります。 別の国連統計によりますと、ソマリアでは、小学校に入学した子供が五年生に進学する割合はわずか二%ということでありました。これは百人の子供が小学校に入学して五年生になれる子供はたったの二人しかいないということであります。日本は一〇〇%、米国は九六%ということになっております。 こういうふうな資料は、大体ILOとかWHOで数字をまとめておるわけであります。 ですから、信憑性はかなり高いというふうに考えてよろしいかと思います。このほかにも人身売買、人身売買後の臓器摘出というふうな実に悲惨な報告が数多く寄せられております。 さて、このような世界の悲惨な子供たちの現実を踏まえて、子供たちの人権を守り、安心のできる状況をつくるために国際社会が協力し合うことが、この条約の最大目標であり、意義であると思っております。 他方、先進国であるといっても問題がないわけではありません。 例えば、ニューヨークの貧しい子供たちが路上で麻薬売買をしておる。それどころか、子供たち自身がクラッカーという向精神薬を運用する。クラッカーのために強盗まで働くということが雑誌に紹介されております。 また、日本でもつい先日、十四歳の、女子中学生ですね、女子学生が金欲しさに売春を行っているということが、これも新聞で報道されております。 以上、途上国、先進国と言わず、それぞれの状況の中でさまざまな問題を抱えておりまして、この条約で児童と呼んでいる子供たちというのは、こういうふうな現実の中にいるということを指摘しなければいかぬと思うのであります。 そこで、このたび日本がこの条約を批准するに当たりまして、一義的には我が国の児童の諸権利を守る、このために国を挙げて全力を尽くすということでなければなりませんけれども、同時に、これを機会に、先ほど来の貧困、そして政治社会制度の整わないことにより虐げられている悲惨な状況の子供たち、児童をこの地球上からいかに少なくするかということについて、我が国としてこの分野を国際貢献の一つとして位置づけるぐらいの気持ちを持って条約批准をするということでなければならないのではないかというふうに私は考えているのでありますけれども、大臣はいかようにお考えになっていらっしゃいますか。また、そのような趣旨に沿ったODAの実施とかいうふうなことも考えてもよいのではないかというふうに思っております。御答弁願います。
○羽田国務大臣 ただいま福田委員の方からも御指摘ございましたように、この条約の作成の背景にはやはり、貧困あるいは飢餓、武力紛争、また虐待、性的搾取、こういった困難な状況に置かれている児童が開発途上国また先進国を問わず存在するという事実があるものというふうに考えております。 特に開発途上国の子供たちは、栄養失調あるいは高い幼児死亡率、また教育のおくれなど厳しい状況のもとにありまして、かかる状況を改善するためには、この条約にもございますように国際協力が重要であり、また今福田委員から御指摘のされたとおりであろうと思っております。 我が国は、従来から国連の児童基金、ユニセフを通じてでありますけれども、また国連の世界保健機関、国連の教育科学文化機関、こういった国際機関を通じました資金協力などを実施するとともに、また、二国間援助にありましても、小中学校の校舎の建設あるいは教材の供与ですとか、あるいは母子保健、それから小児病院プロジェクトなどへの協力を行ってまいりました。 また、平成四年の六月に閣議決定したものでありますけれども、ODA大綱におきまして、ODAの効果的実施のための方策の一つとして、子供等の社会的弱者にも十分配慮する旨掲げているところでございまして、私どもは、この条約の趣旨、そして今福田委員の方から御指摘のありましたような点、こういったことをやはり念頭に置きながら、これからもやはり適切な対応というものが望まれているだろうというふうに考えております。
○福田委員 基本的な考え方については、私は、外務省の方また大臣のお考えという中に私が申し上げたことも十分入っているような感じがいたします。そういう方向でぜひひとつこの機会に、そういうふうな国際的な観点というものをよく踏まえた上で、この条約加盟の意義を考えていきたい、こういうふうに思っております。よろしくお願いしたいと思います。 次に、訳文の修正問題であります。 これは先ほど秋葉議員からかなり詳しく質疑ございました。この問題につきましては、百二十六国会での審議に当たりまして政府が訳文には誤りはないと答弁を繰り返していたにもかかわらず訂正を行った、こういうことでありますけれども、その上に、今回の訂正箇所には、百二十六国会で誤りであると指摘がなされ、その指摘に対して政府は訂正の必要ないとしているというふうな部分も含まれておるわけであります。 このような政府の姿勢は、国会に対して大変不誠実であり、国会審議を軽視しているというふうに言われてもしようがないのではないかというふうに思っております。 実は、我が自民党の方も、当時は与党として本条約の批准の促進のために大変力を尽くした、このように自負をいたしておりました。そういうふうな立場から考えても、今回の訳文訂正の問題は極めて遺憾である、こういうふうに言わざるを得ないと思います。 そこで、事務当局責任者の方と、あわせて外務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。 先ほど、適切なというふうな表現ございましたけれども、適切なというか、私どもからすればやはり誤訳は誤訳であったのではないかな、こういうふうにも思っておりますが……。
○羽田国務大臣 訳文をこうやって正さなければならなかったことにつきましては、先ほども申し上げましたように、おわびを申し上げたいと思っております。 私どもは、皆様方に御審議をいただくに当たりまして、より適切な訳というものに対して、皆様に理解いただけるようにこれからも注意していきたいというふうに思っております。 今御指摘のありました点については、先ほど秋葉委員にお答えを申し上げましたように、この委員会等で御指摘いただいたこと等も踏まえまして、私どももよく検討した結果、より適切なものにしたということで御理解をいただきたいと思います。
○高野政府委員 従前の訳に必ずしも適切でない部分がありましたことによりまして、政府が一たん国会に提出した訳文を変更することになりましたことは遺憾であります。 国会に御迷惑をおかけすることになったことを大いに反省しております。 今後、このようなことが生じないよう、訳文の作成に当たりましてはこれまで以上に慎重を期してまいる所存でございますので、何とぞ御理解いただきたいと存じます。
○福田委員 次に、オンブズマン制度を導入するということについてお尋ねをいたします。 来年度から法務省が子どもの人権オンブズマンを設置する、こういうふうに伺っております。内容の検討も相当具体的に進んでいるというふうに伺っております。 例えば、設置場所については、とりあえず東京、大阪を初めとする十カ所というふうに言っておりますけれども、この制度は早急に全国的に展開すべきものではないかというふうに考えております。あわせて、この制度は何よりもこの制度の存在を子供に知らせなければいかぬというふうなことがございます。 政府は、子供たちはもとより国民に対して、この制度の理解を進めてもらうための努力、こういうものが必要なのでありますけれども、このオンブズマン制度について、どういうふうな段階になっているか、お知らせをいただきたいと思います。
○河野説明員 お答えいたします。先ほどのと一部重複する答弁があるかもしれませんが、お許しいただきたいというふうに思っております。 法務省での人権擁護機関と申しますと、人権擁護局及び法務局、その下部機関の各地方法務局でございますが、そのほかに人権擁護委員というものがございます。 このような人権擁護機関におきましては、従来から、いじめ、体罰、不登校児等の子供の人権に関する問題について積極的に取り組んできたところでございますが、近年、不登校児がなお増加している状況や、それから、いじめなどによる重大な人権侵犯事案が起きてくるということから、これらを防止するための有効適切な対策がどうしても必要ではないかというふうに考えたところでございます。 そして、さきの百二十六国会の質疑におきまして、子供の人権侵害問題については、オンブズマンという新しい制度を導入するのではなく、人権擁護機関等の相談活動を強化することによって対処する旨、宮澤前内閣総理大臣が答弁しているところでございます。 これらの状況を踏まえまして、人権擁護機関の強化の方策として、人権擁護委員の中から子供の人権を専門に取り扱う子どもの人権専門委員を指名するということで、他の人権擁護委員の協力を得るとともに、法務局及び関連機関との連携を図りながら、子供の人権の問題全般を対象に取り組んでいくというところを検討しているところでございます。 具体的な内容といたしましては、子どもの人権相談所の開設、子供の人権問題に関するアンケート調査の実施、機関誌の発行、子供座談会の開催などを実施して、子供の人権に関する情報を収集して、人権侵犯が生じたと察知された場合には、法務局とも協力して適切、有効な救済を図るというふうに考えているところでございます。 そして、人員的なものは今検討中ではございますが、人権擁護委員というのはもともと「市町村の区域に置くものとする。」という法文上の位置づけがございます。これは人権擁護委員法の三条でございますが、さらに、「人権擁護委員は、」「各都道府県の区域を数個に分けて定める区域ごとに、人権擁護委員協議会を組織する。」というふうなのが同じ人権擁護委員法の十六条に規定がございます。したがいまして、この協議会にとりあえず一人ずつ置こうかというふうに考えておりますが、予算的な問題もございます。 そして、何せ新しい制度でございますので、当面五十ある局のうち十局くらいを予定しているところでございますが、なおまだ検討中というところでございますので、御了解をいただきたいと思っております。
○福田委員 この権利条約につきましては、私の方から申し上げることはこれで切り上げさせていただきまして、一般情勢について少し当局の皆さんのお考えを聞きたい、このように思っております。 一般情勢についてこの条約審議の間にやるというのは好ましいのか好ましくないのかよくわかりませんけれども、一つ言えることは、最近、外務委員会の開催が非常に少ないんですね。そういうふうなことで一般質疑等もほとんどできないというのが現実でありますし、また、今世界は非常に大きく揺れ動いておる、こういうふうなことでありますから、そういうことを考えますと、もう少し大臣も足しげくこの委員会に足を運んでいただくということも必要であろうかというふうに思いますし、きょうこういうふうな質問をさせていただくことも許していただけるんではないかというふうに思っております。 そこで、早速ですけれどもスーパー三〇一、このことにつきましてお尋ねをいたします。 これはけさ、それも早朝でございますけれども、米国より公表もしくは通告がされたというふうなことでありますけれども、この通告がどのような形でなされたか、そしてその内容はどういうものであるか、またクリントン大統領から細川首相に電話があったというふうにラジオで聞きましたけれども、そのようなことであったのか、その内容はどういうことであったのか、それをお聞かせください。
○羽田国務大臣 この問題につきましては、けさといいますか、零時、一時ごろでございましたか、クリントン大統領から細川総理に電話があったということ、そしてその後大使館に対して連絡があったということでありまして、これが発出される事前に我々の日本に対して通告があったということであります。 そして、この内容といいますのは、細かくはあれでございますけれども、アメリカとして、これはどこの国を対象にするものではないということ、それから従来のあれに比較してよりリーズナブルなものであるということ、そしてこの期間といいますのはおよそ二年間であるということ、議会で今出されておりますものはより厳しく、しかもこれを恒久的なものにするというようなことが言われておるわけでありますけれども、これを二年間の措置とするということになっておるということであります。 以上申し上げます。
○福田委員 何か午前一時ということで、毎晩御苦労さまでございます。 発表がありましたこれについて大臣の感想はいかがでございましょうか。また、二月十一日の首脳会談が、不幸にしてというふうに申しましょうか決裂をした。このようになる予想はそのときからあったのではないかというふうに思いますけれども、原因はその会談にあったのかどうか、そのことも含めてお答えください。
○羽田国務大臣 このスーパー三〇一は、この間の大統領選挙のときにクリントン大統領は実は既にこういうものを復活するということを公約されておったということであります。そして、米国が大きな赤字をつくっていくという中にありまして、議会の方からも大分前から、実はこの三〇一について議会として法律を提案する、その内容はより厳しいものであるということであります。 そして、今、包括協議との関係がおありになったわけでありますけれども、私どもが米国におりましたときにも、あるいは米国に向かいます以前からも、どうもこの法律はちょっと別個であるということ、そして避けては通れないであろうということ、それから、議会の法律を通すよりは、やはり行政府として大統領令でやった方が対応というものがリーズナブルなものになるであろうということは、実はそのころから聞かされておったということであります。ですから、今度の包括協議というものはまとまらなかった、不調に終わったということによってこの問題がなされたというふうには私どもは受け取ったくないというふうに思っております。 それから、この問題が今出されたわけでありますけれども、これは結局、その国が一方的に二国間で相手の国に対して調査し、そしてあるときには制裁を加えるというようなことであって、これは基本的には余り好ましいことではない。特に、ウルグアイ・ラウンド、この結果が成立されまして世界貿易機関という機関が今度できるわけですね。そして、紛争の解決手続に従うことなくある国が一方的な措置をとることは、明示的にここで実は禁止されておるわけであります。このような新たな国際ルールというものが実質的に合意されたやさきに、米国政府が他国との貿易問題の解決に際し一方的な措置の発動というものを可能とする手続の強化、これを図ったということについて、私どもとしてはやはり懸念を表明せざるを得ないということであろうと思っております。 今後、米国政府がこの復活されたスーパー三〇一、これに基づきまして、いかなる措置をとるかにつきまして、我々としてもやはり注視していく必要があろうと思っております。 ただ、我が国としては、世界の二大経済大国、ちょうどアメリカが二六%ですか、日本が一六%という大変な大きな経済大国になっておるということでありまして、この二国間の経済というもの、貿易関係というものがスムーズにいくということがやはり世界の経済にも大変な影響を与えてしまうのだということを我々は自覚しなければならぬだろうというふうに思っております。 ですから、今度の三〇一条そのものについては、私どもは懸念を表明いたします。しかし、そうかといって、こういった問題に対して余り、我々としてはやはり冷静に対応をするということが大事であろうというふうに思っております。 それから、包括協議については、基本的にはやはり日本が一方的に圧倒的な黒字を続けていって、しかも、いろいろな措置をするにもかかわらずまだどんどん広がっていってしまうということを私どもは認識してもらわなければいけないということでありまして、この間の不調に終わったときにも、これで、ノーと言った、物別れになってよかった、そんな思いじゃいけないよ、やはり日本としては独自に、むしろこういった問題、この貿易黒字を縮小するために主体性を持ってやるべきである、しかもそのことは国民生活をより豊かにするのだという視点に立ちながら我々は対応すべきだということを、私は、そのときにも担当の皆さんに申し上げると同時に、その後国民の皆さんにも放送等を通じながら申し上げてまいったところであります。
○福田委員 ただいまの大臣の御説明で、この間の首脳会談の結果こうなったのだということではない、こういうふうなニュアンスでありましたけれども、私は冷静に判断して、この間の会談の結果この三〇一条の発表が促進されたというふうなことは言えるのではないかな、こういうふうに思います。 それはともかく、細川総理は、モトローラのときでしたか、ガットのルールに基づいて対応するというふうなことで、理屈は理屈で、理論は理論でというふうなことでかなり対抗的な姿勢を示したように思います。それに対して、外務省の方は、今大臣の言われたように、過剰反応はしない、それよりも日本として市場開放に努力をする、こういうふうな趣旨を述べているように思いますので、そういう意味においては、外務省の考えておられる方向の方が正しいだろうというふうに私は思っております。 来週の初めに関係閣僚が会合して、市場開放の政策取りまとめ、この中間報告をするというふうなことを聞いておるのですが、そういうふうなことになっていますか。
○羽田国務大臣 先日、事務レベルの皆さん方を総理が招かれまして、帰ってきた翌日でしたか翌々日お話をされたこと、それから、その後私ども十閣僚が集まりまして対応について検討いたしました。と申しますのは、先ほど申し上げたとおりでありまして、私ども、この大きな黒字というものの十分意味のある縮小というものを図っていくということがやはり対外貿易のためにもよろしいということのために、日米関係が不調に終わったけれども、我々としては積極的にやっていこうということを申し合わせしました。 そして、そのときに、これからそれぞれの省で担当の者たちがやはり努力をするわけでありますけれども、そういった努力の成果あるいは方向性、こういったものは逐次閣僚が集まって議論をしていきましょうということを申しておるところでありまして、あるいは、来週ということではなくて、今週あるかもしれません。 いずれにしましても、今御指摘のような点について、我々としては十分よく連絡をとりながら、一つの成果を上げていきたいというふうに考えております。
○福田委員 おっしゃるとおり、この日米包括経済協議の提起した基本的な考え方というのは、やはり日本が恒常的に黒字をためる、そのことについてどのような回答を日本が用意できるかどうか、このことじゃないかと思うのですね。 そこで、今まさに混乱というふうに言っていいような状況になっておりますけれども、この混乱の原因は、そういうふうな基本的な論理に対して日本側の明確な対案が示されていない、こういうことであると思っております。これは細川政権の課題ということになりますけれども、日米関係の安定した軸をこれからどこに求めていくのか、こういうふうな非常に大きな、大事な問題であるわけであります。 そこで、ちょっとさかのぼりまして、この間の日米交渉、いろいろ御苦労されたようでございますけれども、このときの模様をちょっと振り返ってみたいと思うのです。 外務大臣も二月十日にワシントンに入って、三回にわたり七時間の会議をした。これも午前四時くらいまでやったというふうに、これは新聞に出ておるわけであります。 外務大臣はその出発の前に、七日の夜にモンデール大使に東京でお会いになった。そのときに交渉妥結のためには譲歩が必要であるという趣旨の発言をされた。そこでもってアメリカ側には、日本は数値目標で譲歩するのではないかというふうに、誤り伝わったのか、そういうふうな趣旨で伝わった。正確だったかもしれませんけれども。その上で羽田外相、大臣が予定よりも一日早い訪米をしたということで、米国はすっかり日本は譲歩案を持ってきたのだというふうに思い込んでしまった。こういうふうなことがボタンのかけ違いのような形でもって進行していった、これは新聞報道によるのでありますけれども、そういうことだったのですか。
○羽田国務大臣 それは全然違っておりますね。よく報道でそういうことが書かれたりなんかしているのを見まして、我々二人で話したものがどうしてそんなふうに伝わっていくのか、伝わるはずもないし、知られるはずもないのですが、どうして伝わっていくのかなという思いがあります。 ただ、問題は、アメリカの方の関心を持っておった問題というのは、マクロの問題なんかもあります。そして、税制なんかの問題についても、残念ですけれども、ああいう形になってしまったということは一つの誤解を生んだ大きな理由でもあろうと思っております。 それともう一つは、今の話は、まさにミクロの問題についての数値目標ということについて我々が譲歩する、その気持ちというか、そういったことが議論になるということについても実はそこでもお話はしておらないわけであります。ですから、そういった全体の、マクロなんかも含めた全体の問題でより理解されるものができるのかなとあるいはモンデールさんは感じられたかもしれませんけれども、そういった具体的な問題ではないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。 そして、この機会ですからお話し申し上げたいと思いますけれども、私どももこれはやはりどうしてもまとめたいという思いはあったのです。カナダとかヨーロッパ、こういったところとは実はしょっちゅうこういうもめごともあるんだ、不調に終わることもよくあるよというお話で、もう一度また頭を冷やしてからやろうかなんていう話が割合と早い時間にあったわけですね。ところが、私どもは、やはり経済問題というのは、国民の感情、こういったものを高ぶらせてしまう、そういう原因になるものであるから、日米間のほかの問題は幾らうまくいっていても、この関係がおかしくなったときには非常に厄介なことになる可能性があろう、その意味でもっとしぶとく話そうじゃないかと言いながら明け方までの話になってしまったというのが実態であります。 そこで、やはり一番大きな問題になりましたのは、それぞれの分野にわたっての内容というのは割合といいところまで詰まってきておったということです。ただ、この協定が結ばれた結果、その後どうなっていくのかな、このトレンドをあれして引き伸ばしたものですねという、これをはかる物差しというところに実は問題がぶつかってしまったということであります。 先方の言うのも、決してこの物差しを全部使って日本に対して制裁を加えるものじゃないんだよ、そんなことで我々は使おうとしているんじゃないんだ、要するに、一つの議論の対象として、物差しとしてこれを使いたいんだというお話だったのですけれども、過去いろいろなものの交渉をしてまいりましたときに、そういう話だったものがいつの間にやら日本の公約であるなどということになってしまって、これに対して三〇一を適用するとかあるいは制裁措置を加えるというような話があったために、そういうことを振り返ったときに、私たちは今そういう物差しになる可能性のあるものについてはとり得ないんだよという話を率直に実は申し上げて、そういうことではなかなかアメリカの中も理解させられないなということで、私たちの方もまた、そういった管理貿易につながるような可能性のあるものについて、これを理解することはできませんということであったということ、しかし、お互いによくまたこれからも話し合いながら、日米貿易というものだけはきちんとしていきたいね、そういうことを話しながらお互いに別れたということであります。
○福田委員 外務大臣がそのような認識をされていらっしゃるということで、そういうお考えを持つ副総理、外務大臣がいらっしゃって、何で細川総理が、その後の記者会見も含めまして、国民に対してどうもうまくいかなかったんだというふうな印象を与えるような表現をされたのか、これがよくわからないのであります。その辺で総理と外務大臣の間にお考えの食い違いがあるのかどうなのか。そうなのではないかなという感じもしないわけではない、こんなふうに私は考えているところでございます。 この決裂の原因、今おっしゃったように福祉税構想がついえたということもあったと思います。これは最大の原因だっただろうというふうに私は思っております。アメリカの方は、数値がだめならマクロでいこう、こういうぐらいな期待を持っていたのではないかというふうに思いますが、しかし、このついえた後に、単年度六兆円というふうな数字が出てきたわけであります。 このことについて、六兆円だけというのであれば、それも単年度ということであるなら、これはアメリカとしてもなかなか承服しがたい。しかし、これがさらに翌年も、またその次の年も続くんだ、当初の三年間六兆円ということなんだ、そういうふうなことを考えているんだということを説明をされたならば、それはそれでうまくいった可能性もあったんじゃないかな、こういうふうに思うのですけれども、これは何か、決裂した後にどなたか行ってアメリカ側にそういうふうな説明をされたというふうなことを聞いておりますので、どうもうまくない交渉をされたのではないかなというふうな感じがします。それはいかがですか。
○羽田国務大臣 これはちょうどカンターさんが日本にやってこられましたね。それから、私は、たしか七日の日の夜でしたか八日の日の夜でしたか、モンデールさんともお話をいたしました。そして、そのときに申し上げたのは、まさに今のマクロの問題の中の一つである減税問題です。ミクロの今の問題というのは協定を結んでも時間がかかるわけですね。そして、今の例えば予算措置とかあるいは減税の問題とか、こういったものは直ちに消費者の皆さん方が買おうという意欲を起こすことであるということで、非常に早く効果があらわれることですね。ですから、その意味で、このマクロの問題に対して大変関心を持たれておったということは事実であります。 そういったときに、ちょうど私ども税制の論議をやっておったところです。そのときに、やれ五兆円である、あるいは六兆円であるとか、あるいはこれを一年間だとかあるいは二年間、三年間であるとか、そして、三年目に税をある程度国民の理解を得なければならないかもしれない、実はそういう議論をいたしているさなかでありました。そして、たしかカンターさんとお会いしたときには、その三年間ということを続けながら、そのときに国民の理解を得ようというような話を実はしておったときでありました。 ただ、我が国は民主的な議会でありますから、あるいは民主的な運営をされておるところでありますから、みんながこれは一致しないとなかなか難しいのです、そこが難しいところで、今あなたにこうこうこういうことを申し上げる、今こうですよということをまだ申し上げる段階ではないのです、今まさに議論をしているさなかでありますなんということを実は申し上げておりました。 そして、私はそういった話をすると同時に、アメリカでカンターさんと会って、そしてまたその日の夕方、ベンツェンさんなんかとお会いしたときにも、私は、実はそういう経緯を踏まえながらもう既に御説明申し上げておったということでありまして、それが後になってから説明されたものではないということだけは率直に申し上げておきます。
○福田委員 もう一つ、アメリカは官僚との交渉に限界を感じたというふうなことは前々から、いろいろな閣僚からそういうメッセージが出ていたわけでありまして、政治家による政治決断に随分期待をしていたのじゃないかな、こういうふうな節が見られますけれども、それに日本はこたえられなかったということであります。政治決断できなかったのですか。
○羽田国務大臣 官僚とかいろいろとあれされますけれども、これは自民党時代もそうでありますけれども、各閣僚があるいは与党が官僚を例えば指揮していく、そういった中で一つの方向性を出すと、官僚の皆さん方は一つずつ積み上げながら仕事をされていくといったことでありまして、私は、政治決断というものは、そういうものを踏まえて決断していくことが正しいやり方であろうと思っております。 ただ、どうもアメリカと日本の機構、大統領制と日本の議院内閣制、長いこと続いてきた機構というのは違いますね。今度も、例えば大統領がかわりますと、何千人という人が一遍に、次官以下の人たちがかわってしまうというのがアメリカの機構であります。 ですから、私はよく思うのですけれども、今までも長いことアメリカと話し合ってきて思うことは、アメリカというのは確かに発想の転換というのはすごく大きかったり、あるいはおもしろい発想をするということがよくあるのですね。ただ、残念ですけれども、前の政権とおれたちは全然違うんだよということですから、えっ、今度あなた方と話していて違うのですかと私たちが逆に思う場合がある。日本の場合には、確かに大きな転換がない、そのかわり継続性あるいは一貫性というものがありますね。それで、一つずつ積み上げていくという方式であります。 私は、このあたりの議論の仕方というものが、そうやって積み上げてきた継続性のあるものを踏まえながら政治が決断をするということであって、先方の皆さん方が言うことは当たらないのじゃないのかなというふうに思っております。 ただ、私たちは今までの場合にも、これは私が逆に自民党にいたときに、余り長い政権が続いている中ではなかなか転換ができないのかなということを言っておったことがあるわけでありますけれども、その辺を我々政治もよく頭に置きながらこれから対応をしなければいけないのかなという思いを新たに強くしております。 いずれにしても、向こうは官僚がどうのこうのと言いますけれども、私たちにすると、先方の方は逆に大きな変化のためにちょっと我々が対応しにくい場合があるなという思いなんかも持ったこともあわせて申し上げておきたいと思います。
○福田委員 細川総理が大事な決断をするときは、何かいつも時間がないような感じがするのですね。この日米問題も極めて大事なことであり、そのために国民福祉税という大問題を真夜中に出した、それもいきなり出してきたというぐらい大事な問題であるということは十分承知の上で、相当な犠牲を覚悟してあの問題を出してきたというふうに私は思います。だけれども、どうも何か最後の詰めがいつも甘いような感じがいたしまして、そのことが実は心配なのであります。 それで、その会談をした後の記者会見、例の大人の関係という話、これにつきましてはいろいろ言われておりますけれども、しつこいようでございますけれども、直後は財界もマスコミも大変もてはやした、本当に直後だけでありますけれども。しかし、翌週に円高になるというふうなことがありまして、何か非常に慌てていろいろな対策を講ずるべく動かれたというふうに、動くというか指示をされたというふうに承知しておりますけれども、細川総理の気持ちは、何か日本がようやく大人同士のつき合いができる、そのぐらいの力がついたんだというふうな意識を非常に強くお持ちになっておられたのじゃないかというふうに思いますけれども、国際社会で日本が大人になったんだという意識を日本人が持ったというのは、これは歴史的に言いますと二度目なんですね。 一度目は、日露大戦で勝利をした一九〇五年、その後なんですけれども、あのときも日本人の意識が大変高揚したということがございました。私はそのことで思い出したのは、徳富盧花が「ああ日本よ、爾は成人せり。果して成長せる乎」ということを言っているのです。要するに、日本はいよいよ大人になったんだ、国際社会で大人の仲間入りだということですけれども、これから果たしてうまく成長していくかどうかという心配も同時に込めてそういうことを言ったのではないかと思います。 そういうことを考えますと、何か歴史は繰り返すというふうな気持ちがいたしまして、実は私はそういうお考えについては心配もしているのですよ。 問題はこれからどうするかというふうなことでありますけれども、正直言って、今はスーパー三〇一が発表されるというふうなことで、何かちょっとまずい方向に一歩、まあ半歩かもしれませんけれども歩み始めたのじゃないかな、そのぐらいな認識を持っていなければいけないのじゃないかな、こんなふうに思っているのです。 一九〇五年のころは、おもしろいのですね、これはエール大学の朝河貫一教授が日本の経済的黄禍論というのがアメリカにも当時芽生えてきたというふうに言っています。エール大学でずっと教鞭をとっておられまして、アメリカのことについては詳しく知っている方がそういうふうに言っておりました。これは日本が非常に危ないんだというふうなことを言っているわけでありますけれども、そのときに、日本人は驕慢になってきた、こんなふうにも言っているのです。これはどうも私どもに対する大変な警告じゃないかな、こんなふうに私は思っておりまして、ぜひそういう方向にならないような認識、御配慮をお願いしたい、こう思っております。 昨日、朝日新聞の世論調査の発表がございました。これは二月二十七、二十八日の調査結果でございますけれども、日米関係は「うまくいっている」というのが二〇%、「そうは思わない」が六四%ということで、これは驚くべき数字であるわけでありまして、米国側が今どのように米国民が思っているかということを調査しましたらば、やはり似たようなことが出てくるかもしれない。ただ、アメリカの場合には日本の情報というのは余り伝わりませんからそこまで深刻に考えていないというふうには思いますけれども、しかし、そういう傾向はアメリカ・サイドにもあるんじゃないかな、こういうふうに思っております。 私は、先ほどこれも大臣言われましたけれども、日本の世論とか国民とか、その同士打ちのような対決が起こるということになりますとこれは大変なわけでございますので、ぜひそういうふうなことにならないようになるべく早い機会にいろいろな処置をとっていただきたい、こういうふうな政治的な配慮をお願いしたいと思います。 本当の成熟した大人の関係というのは静かな関係の中で物事が進行すること、これは文化人類学者の青木保さんという方が二、三日前の新聞に書いておりましたけれども、そういうことではないかと思います。今はそういうことではないというふうに私は申し上げたいと思います。 細川内閣の外交全般でありますけれども、私は、細川内閣というのが政治改革優先の内閣であるというふうなことでそっちの方に力を注いでおった、したがいまして景気対策も遅れた、その結果が今日の事態かもしれません。それと、外交についても、これも私からすれば不満であるというふうに申し上げなければいかぬ、こういうふうに思っております。 細川総理が外交面で目立つことをされたというのは、昨年の十一月に韓国に行って謝罪をされたということですね。それから、同じく十一月、直後でございますけれども、シアトルのAPECに出席をいたしまして、これはアメリカとアジアの取り持ち役というふうなことであったようでありますけれども、細川総理が何をされたか、何となくマフラーの写真が印象に残る、私にはこんなふうな感じしかしないのであります。それから、先般の日米経済協議で決裂をした、こういうふうなことであります。 実は、クリントン外交、クリントン大統領は一体どういうことをしてきたかということをちょっと調べてみたのでありますけれども、細川総理が就任されました後と同じ期間だけとりましても、昨年の九月に、イスラエル、パレスチナ解放機構の和平合意。これは調印式がワシントンで行われて、アラファトが出てきて、そして一緒に写真に写った、こういうことがございました。それから、十一月にはAPEC閣僚会議が行われた。これはシアトルで行われたわけであります。まさにアメリカの顔を立てたような形になったわけであります。そして、十二月にはウルグアイ・ラウンドが決着した。本年一月になりましてNAFTAの発効があったわけであります。これも、昨年秋に、相当な努力をクリントン大統領自身されているわけであります。一月初旬にヨーロッパを訪問されています。NATOの首脳会議に出席したのでありますけれども、ここでは、それ以外に米ロの首脳会談をしておりまして、ロシアをPFPに参加させるということに成功したわけであります。そしてまた、米、ロ、ウクライナの核兵器の廃棄について合意を取りつけております。 まだございますね。ベトナムの経済制裁の解除、それからまた今進行中の北朝鮮の核査察の実施、そういうふうなことで、今申し上げただけでも随分あるわけでございまして、日本と米国の外交力の違いというふうに私は見ておるのでありますけれども、大臣、どうですか。
○羽田国務大臣 確かに米国はNATOにも参加しており、しかも大変有力な国である。ベトナムとは制裁ということで経済的な交流がなかったということ。あるいはやはり核疑惑ということになると、どうしてもこういった問題について、北の方も本当に話し合えるのはやはりアメリカだというようなこと。確かにアメリカの影響力というのは大変大きいところでありますし、また、世界的に大きな役割を果たしていかなければならない一つのあれを持っている国であろうということ、これは私も率直に認めなければいかぬと思っております。 ただ私は、これからの日本の外交というのは、確かに軍事力については日本の国は使わないということでありますけれども、しかし、世界の国から資源を求め、また世界の国に物を買ってもらいながら今日の日本の繁栄があるということ、これを考えたときに、例えば環境問題ですとか人口の問題ですとかエイズの問題ですとか、あるいはエネルギーの問題ですとか資源の問題ですとか、こういった問題についてはやはり日本が積極的にやっていくことが大事であろう。 今、このところ細川内閣になりましてからもそういった問題について東京で会議をやりましたり、あるいはそういったことを国際的にコミットをしたりいたしております。また、紛争解決の問題につきましても、軍事力によるというよりは話し合いですとかあるいは人道的な支援ですとか、そういったことによって、このところカンボジアあるいはその他でも大きな役割を果たしておるということでありまして、日本の持てる機能というもの、能力というもの、これをやはり存分に発揮していくことが大事であろうと思っておりますし、そして、やはり日本の国は、先ほども申し上げたように、世界の理解と協力、そういう中で今日の繁栄を築いているんだということを考えたときに、そういう面でこれから積極的な努力というものをしていくことが必要であろうというふうに考えておりまして、まさにきょうの国会での施政方針演説の中でもそういったことが述べられるであろうというふうに考えております。
○福田委員 日本としては、軍事力もありませんから、外交面においても限られた範囲ということがあるかもしれませんけれども、しかし、そういうことになりますれば、今まさに問題になっております日米の経済問題を全力を挙げて解決する、このことに大臣もひとつ大いに意を用いていただきたい、こういうふうに思います。 さて、日米会談でもう一つ安全保障の問題があるわけですね。北朝鮮の核査察。また、核査察をさせない、拒否されたという場合に経済制裁を安保理事会で決議すれば日本はそれに従う、その制裁に加わる、こういうことになるわけでありますけれども、私、これはなかなか大事なことであるというふうに思いますので質問をさせていただきます。 現状は査察が行われるというふうなことで進行しておりますから、経済制裁までいかなくても済むのではないかというふうに期待はいたしておりますけれども、しかし、査察を許さないまだ未報告の場所が二カ所あるとか、それから北朝鮮もなかなか駆け引きがうまいですから、これからどういうふうな展開になるかわからないという非常に不安な面もあるということでありまして、これは決して楽観は許されないのではないかというふうに思います。この見通しはどのように今現在考えていらっしゃるか。
○羽田国務大臣 私ども、この北朝鮮の核開発問題につきましては、従来から韓国そしてアメリカ、この国と話し合うと同時に、また中国ともこういった問題について話し合ってきたところであります。そして、私どもがアメリカの皆さんにも申し上げてきたことは、確かに緊迫した状態であるけれども何とか粘り強く話し合ってもらいたい、そして物事の措置をする場合にはやはり段階的に漸進的にやってほしいということ、それから万が一のことがあった場合にも常に門戸を開いておいてほしい、窓口を開いておいてほしいということを申し上げてまいりました。そういう中で、アメリカも大変粘り強く話してくれたということで、その結果IAEAとの話し合いで今お話のあったとおりの査察が行われるということであります。 ただ問題は、あとまた二カ所の特別査察ですとかそういった問題なんかもこれから議論になっていくことであろう。あるいは南北がやはり話し合うこと、そして南北が話し合った結果、朝鮮半島にあっては核はもうない、やりませんという宣言をやはりしてもらうということも大事だね。これからそういうステップを踏んでいかなければならないということで、予断を許さないことでありますけれども、しかし、つい数日前に韓国とアメリカが発表されたように、チームスピリッツについてもこれを今停止しますということを言われておるということで、私は、今いい方向に進んでおるので、北朝鮮がさらに積極的にこの疑惑を晴らすために努めてほしいという思いを持っております。
○福田委員 経済制裁、そこまでいかないかもしれぬという今の状況ではあるかもしれませんけれども、一応政府の方もいろいろなケースを想定して、その場合にどうするかということも考えていらっしゃると思うのでありますけれども、きょうは時間がありませんので、その質問はまた別にさせていただきたいと思います。 今、実は北朝鮮に対して日本が経済的に支援をしているということについて国際世論がかなり厳しい批判をしておる、こういうことがございます。 例えば、昨年十二月のロサンゼルス・タイムズに、北朝鮮の核武装の資金が日本から送金されている、細川政権が北朝鮮に断固とした態度をとれないのは、政権内部に社会党や新生党代議士がいるからだなんというのもございますし、それから、一月のウォールストリート・ジャーナルには、これまでの北朝鮮に対する日本の対応は、困難な問題が生ずると砂の中に頭を突っ込んで知らないふりをするダチョウだ、日本は北朝鮮へ年間六億ドルの送金の資金源になっておる、こんなふうにも言っておりますし、また、これは二月のニューズウイークでありますが、周波数分析器のココム違反、これもアメリカの雑誌に取り上げられておる、こういうことであります。 こういう批判に対して、日本は何らかの対応策をとっているのかいないのか、いかがですか。
○羽田国務大臣 前段の部分、いろいろ政党あるいは私どもの党の名前も挙げられたわけでありますけれども、しかし、私どもが基本的に考えなければならぬことは、北朝鮮、この国はやはり我々の隣国であるということですね。これは私たちは否定してはならぬということだろうと思うのです。ただ問題は、閉ざされている国であるというところに問題があるので、そのためにやはり門戸を開く、また開く環境をつくっていくということは、私は何としてもこの北東アジアの平和のためにはどんなことがあったって大事なことだと思うのですね。 そういうことで、やはりいろいろな形で呼びかけていくということは、私はこれからも努力していかなければいけないことであろうと思うし、そしてまたあの国が孤立化していくということは、あの国にとっても決して幸せなことじゃないはずですね。ですから、そういったことをやはりより理解していただくということが大事なことであろうというふうに思っております。 ただ、これは支援というのは、別に国が支援しているということじゃない。日本に在留のいわゆる北朝鮮の方々がいらっしゃる。その人たちが国に帰るときに送金をしているんじゃないか、あるいはこの国から送金しているんじゃないのかということが言われておるわけでありますけれども、これは当然人道的なといいますか、家族の中でのそういう交流というものは私ども否定するものではありませんし、また、そういったものがあるということもいろいろな立場から聞かされております。ただ問題は、いろいろな形で送金がされるということでありますから、本当の実態というのはなかなか実は把握できないということであろうと思っております。これは支援でないということだけは申し上げさせていただきたいと思います。
○福田委員 それは支援でないことは確かかもしれぬけれども、大きな意味ではやはり支援であるというふうにも言ってもいいのではないかと思います。しかし、そういうふうな指摘が今なされておるということは注意をしなければいかぬことですし、これが経済制裁との兼ね合いで考えられますと大変大きな問題になるというふうに思うのであります。 そういう意味で今現在の、例えば資金は年間六百億というのが定説になっているのですね。その中は現金の送金もあるかもしれません。それ以外に物品もあるかもしれぬ。しかしトータルして六百億、こういうふうに言われておるのですけれども、これがもし送金されているというのであれば、この送金の実態とかそういうことについては把握されていますか。これはどこですか、大蔵省。
○井川説明員 ただいま議員の方から、北朝鮮に対する送金というか資金の流れを把握しているかという御質問がございましたけれども、北朝鮮に対する資金の流れはさまざまなルートが考えられます。これは我が国が同国と隣接しているとか、あるいは歴史的な関係、経済的、人的交流が行われているということによるものでございます。 ただ、いろいろな統計から見ますと、我が国と北朝鮮との経済関係は、貿易、これは輸出と輸入を合わせたものでございますけれども、年間約五億ドルの規模に上っております。それから我が国から同国に対します直接投資の流れを見ますと、昭和六十一年から平成四年度までの累計で約三千六百万ドルの規模に達しております。 親族間の送金も含めたそれ以外の送金につきましては、国際収支統計におきましても地域別の分類になっておりまして、北朝鮮について個別国として把握することは困難な状況でございます。
○福田委員 どうも今の答えは、私の質問には十分答えていないようなというか全然答えてない、そういうふうな感じがいたしますけれども、これはなお何か手元のものでそれ以上言えますか、具体的に。
○井川説明員 今答弁させていただいた以上のものを私どもは把握しておりません。
○福田委員 それじゃそういうことについて少し御検討ください。調べて教えていただければいいと思います。後ほどで結構です。 それで、そういうふうな問題は、今はいいのですが、いざ経済封鎖という処置がとられた場合には大問題になることであります。しかし、その以前の問題として、今現在いろいろ問題があるように思います。こういうふうな指摘がアメリカからされるということは決して好ましいことではないというふうに思います。安全保障の問題は、広く日米経済のことも含めて、日米問題というふうなことで取り上げなければいけない、その中の一つの大きな課題であると思いますので、この辺ひとつ、慎重と申しますか、どういうふうにしたらいいかということもあわせ考えていただきたい、こういうふうに思っております。 時間になりましたので、これで質疑を終わります。
○菅委員長 古堅実吉君。
○古堅委員 私の持ち時間は残念ながらわずかに十分です。御答弁はぜひ簡潔にお願いします。 最初に、条約の名称の問題です。 細川総理は、昨年八月二十五日の本院本会議において、この条約の広報活動などを行うに当たっては「児童」ばかりではなく「子ども」という言葉を用いることも考えてまいりたいという趣旨のことを答弁しておられます。子供という訳語が適切だという立場からの質問や主張、申し入れなど、極めて数多くの問題提起がなされてまいったことは御存じのとおりです。自民党政権から細川連立政権にかわりました。それでもなぜ子供という訳語にはならなかったのか、明確にお聞きしたい。
○羽田国務大臣 簡単に申し上げます。 我が国が現在まで締結した条約におきましては、チャイルドが低年齢層の者を一般に指す場合には児童という訳語が用いられるということが通例でございまして、子供と訳した例は見当たらないということであります。 なお、チャイルドが親子関係における子という意味に限定される場合には、子という訳が用いられておるというふうに考えております。 そして、我が国の国内法令におきましても、児童が、憲法あるいは児童福祉法、児童手当法、労働基準法等において広く法令用語として用いられているということでございまして、児童の定義が必ずしも統一されているということではございませんけれども、いずれにしましても、そういった例に基づいて児童というふうに訳させていただいていることを御理解いただきたいと思います。
○古堅委員 児童とか子供とか、どちらが正訳でありどちらが誤訳だなどとかいう趣旨のものではないと思います。この児童権利条約、子どもの権利条約の、子供にとって極めて重大な意義を持つ子供の権利行使の主体を重視する、こういう立場を踏まえて条約の積極的な意義を真正面から受けとめるのであれば、これだけ大問題にされてきた児童というよりは、やはり保護の対象としての響きのあるそういう言葉を変えて、子供というふうに使った方がいいぞと広く主張もされ、提起もされてきたそういうものに耳を傾けるべきであったというふうに考えます。そうならなかったところには、やはり子どもの権利条約についての積極的な姿勢の問われる問題があったのではないか、そのことを指摘して前に進みます。 次は、条約第二十八条に関連して伺いたいと思います。 第二十八条第1項(b)は、中等教育の発展に向けた努力の方向を示すものとなっておりますが、「例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。」このようにうたわれています。 ところで、我が国の高校進学率は約九六%で、準義務教育化していると言われるところまで来ております。その高校教育に占める私学の比重は、全体では約三割、東京など都市部では五割から六割近くだ、このように言われております。これだけ大きな比重を持っています。この私学に対して、九四年度の高校以下の国庫補助額を大幅に削減しようとしております。九三年度の国庫補助額八百四十七億円を九四年度には六百三十五億円に二五%、二百十二億も削減する方向であります。これを私学高校の生徒一人当たり国庫補助額で見ますと、九三年度が四万二千四百円であるのに対し、九四年度は二万九千六百円、一万二千八百円も削減しようというものであります。これは、中等教育への「無償教育の導入、」「財政的援助の提供のような適当な措置をとる。」という条約二十八条の展望する方向とは逆行するものだと考えますが、いかがですか。
○早田説明員 お答えを申し上げます。 私立高等学校等経常費助成費補助金につきましては、現在の極めて厳しい財政事情にかんがみまして、御指摘のように平成六年度は、まことにやむを得ない措置といたしまして、一般補助を前年度よりも削減したものでございますが、一方で地方交付税措置が特別に充実されております。これによりまして、補助金と地方交付税措置を合わせました国全体の財源措置につきましては、大幅な拡充が図られておりますために、都道府県の学校法人に対する助成水準につきましても、充実することができるものと考えております。 したがいまして、今回の措置につきましては、国と地方公共団体がお互いに協力して私学助成を推進していくという現在の補助制度の基本的な枠組みを維持しておりまして、補助金の役割、性格等につきまして変更するものではないと考えております。 以上でございます。
○古堅委員 財政事情でやむを得ない措置としてというふうな断りのもとにそういうことをしたというのでありますが、条約二十八条1項(b)の規定に照らしても、国の私学への助成は今後も強化すべきだというふうな考えは明確にお持ちですか。
○早田説明員 文部省といたしましては、今後とも国の財政事情あるいは私立高等学校等の果たしている役割の重要性等を総合的に勘案いたしまして、私立学校振興助成法の趣旨に沿いまして、私学助成の推進を図っていきたいというふうに考えております。
○古堅委員 先ほどの説明で、国庫補助と地方交付税を通じての補助の合計額では増額だ、そういう説明をされている方向の表明がございました。しかし、地方交付税というのは何も特定される財源ではありません。それにふやしたからといって、それが助成の方向に行きません。どの態度をとっても、これは自治体に任された、そういう範囲のものです。ですから、そういうことになるのかどうかは、なってみぬとわからないという面がございます。 現に、九一年度の都道府県が支出した生徒一人当たりの助成額では、高校の場合ですが、東京で二十六万五千二百四十五円補助を出しているのに、一方、鳥取では措置単価の十七万五千九百円を割って十七万四百七十七円しか出していない、こういう状況がございます。中学校の場合でいきますというと、島根県で三十万五千九百十円、そういうことがある一方、各県のばらつきが極めて大きいのですけれども、和歌山では十五万四千八百四十六円というふうに、措置単価をはるかに割るなどとかいうふうな実態がございます。交付税をふやしたからなどというふうなことで、私学への助成をふやしたというふうなことにはならぬ。 それを本当にふやす措置は、そういうどっちにでも使えるような金額に持っていくのではなしに、国庫補助として動かすことのできないような措置をもって明確にする、そこにこそしっかりした見届ける方向があるんだというふうに言えるのではないですか。
○早田説明員 お答えいたします。 この高等学校等に対します私学助成につきましてでございますが、都道府県の経常費助成に対します国の財源措置といたしましては、従来から国庫補助金と地方交付税措置とによりまして講じられてきているところでございますけれども、繰り返しになりますが、今回、国庫補助金を削減する一方で、補助金と地方交付税措置を合わせた国全体としての財源額は大幅な拡充が図られているということ。それから、現在、都道府県の助成水準、助成実績を見てまいりますと、全体としては国の財源措置額をかなり上回る水準になっております。それから、今回の一般補助の削減につきましては、そもそもこの補助金の役割、性格を変更するものではございませんで、国庫補助金の配分に当たりましても、各都道府県の助成水準に応じて配分をする傾斜方式を採用いたしまして、助成水準の引き上げを誘導するというような仕組みになっております。 そういうようなことなどから、各都道府県においても助成水準を維持向上させることができるというふうに考えておりますけれども、文部省といたしましても、各都道府県に対しまして、各種の会議等の機会をとらえまして、国の財源措置の額等の状況、あるいはこの補助金の持つ意味、趣旨等を御説明をし、その充実を要請してまいりたいというふうに考えております。
○菅委員長 お約束の時間は既に経過しておりますので、結論をお願いいたします。
○古堅委員 私学関係者だけではなしに国民一般からも強く求められているように、これまで以上に、私学の持つ役割にふさわしい国からの補助金を的確に行い、一層強化される、そういう方向へ強く求めておきたいと思います。 最後に、この条約は間もなく国会の承認を得て批准されていき、これから実施の問題が求められる、そのように考えています。その実施に当たっては、文部省、法務省、厚生省、その他多くの省庁にまたがる所管問題が出てまいります。したがって、それぞれの省庁任せにするのではなしに、総合的に基本的施策を計画して推進する体制をつくることが望ましいというふうに考えます。 総理府内に、例えば条約実施推進本部、そのようなものをつくって推進することを検討してほしいと思いますが、大臣、いかがですか。
○羽田国務大臣 この問題につきましては、今御指摘のありました点なんかも含めまして、私どもといたしましても、関係省庁とよく連絡をとりながら、やはりこの条約というものがきちんと履行されるといいますか、そういった中で本当の権利が守られていくように、児童の権利が守られるように、我々としても努めていきたいというふうに考えます。
○古堅委員 終わります。
○菅委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 ─────────────
○菅委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○菅委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕 ────◇─────
○菅委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 本日の委員異動に伴い、理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に若松謙維君を指名いたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、 本日は、これにて散会いたします。 午後零時十四分散会 ────◇─────