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128回国会参議院1993/11/02

法務委員会 第1号

発言数
138
登壇者
20
会派数
5
開催日
1993/11/02

会議録

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る十月六日、菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として糸久八重子君が選任されました。  また、本日、久保田真苗君が委員を辞任され、その補欠として大脇雅子君が選任されました。     —————————————

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に糸久八重子君を指名いたします。     —————————————

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、検察及び裁判の運営等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) この際、三ケ月法務大臣及び佐々木法務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。三ケ月法務大臣。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) このたび法務大臣を命ぜられました三ケ月章でございます。  内外にわたり極めて困難な問題が山積しておりますこの時期に法務行政を担当することになり、その職責の重大であることを痛感いたしております。  私は、民間から任用された者でございますが、法務行政に課せられた使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図るためには、その基盤とも言うべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民の権利がよく保たれていることが極めて重要であると考えております。  私は、こうした認識のもとに、法務行政の各分野にわたって適切な方策を講ずるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。もちろん、これらのことは委員の皆様方の御理解、御協力なくしては果たすことができませんので、どうか御指導、御支援くださいますようよろしくお願い申し上げる次第でございます。  そこで、この機会に、当面する法務行政の重要施策を申し上げまして、委員長初め委員の皆様方の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  まず、出入国管理行政の充実強化についてであります。  本格化する国際化時代を反映し、最近における外国人の出入国者数は増加の一途をたどっており、また不法在留者も現在約三十万人と推計される状況のもとで、出入国管理行政における事務量は急激に増加し、これに加えまして来年九月には関西新空港の開港が予定されておりますので、出入国管理行政を迅速適正に、また円滑に遂行していくために今後一層の業務体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。  出入国管理行政の遂行に当たりましては、我が国社会の健全な発展の確保及び国際協調と国際交流の増進への寄与という基本理念のもとに、専門的技術者等の外国人の受け入れの促進及び実践的な技術等の海外移転を図る技能実習制度の円滑な実施を図る一方で、不法就労外国人に対する厳正かつ効果的な対策を推進していく所存でありますが、外国人に関する諸問題については、今後とも内外情勢や世論を踏まえながら幅広い角度から検討を加え、これらに的確に対処してまいりたいと考えております。  第二に、国民的見地を踏まえ、かつ時代に即応した法整備の実現を図ってまいりたいと思います。  法務省の所管する法律には法体系の根幹をなす基本法が少なからずございますが、これらの法律の中には、その用語が漢文調の文語体であって、制定時から相当の年月を経ているため、現在では一般国民に理解しにくいものになっており、その現代用語化の検討を要するものがあります上に、内容的に見ましても、裁判を国民に利用しやすくするという見地や行刑制度の近代化を図るという見地から全面的な改正を要する法律があり、また最近における社会経済情勢を反映し、自己株式の取得及び保有規制の見直し、外国法事務弁護士に関する規制緩和等の問題につきましても適切に対処することが求められておるわけであります。  そこで、現在、これら各分野の法律につきまして、必要な検討を加え、あるいは法制審議会の各部会での審議を進めるなどしているところでございまして、できるだけ速やかに所要の措置を講じてまいりたいと考えております。  なお、法律扶助制度につきましては、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために重要な制度であることは改めて申し上げるまでもないところでございますが、我が国における司法制度にふさわしい制度のあり方について抜本的に検討する必要があると私は考えております。  そのほか、各種犯罪事象に的確に対処して良好な治安を確保すること、また登記事務のコンピューター化の促進等により行政サービスの向上というふうなことにも努めてまいりたいと考えております。  以上、法務行政の当面の課題につきまして私の考えているところを申し上げましたが、委員長初め委員の皆様方の一層の御協力、御支援を得まして、これらの課題に全力で取り組み、法務大臣という重責を果たしたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 次に、佐々木法務政務次官。

佐々木秀典日本社会党・護憲民主連合法務政務次官

○政府委員(佐々木秀典君) このたび法務政務次官に就任いたしました佐々木秀典でございます。  時局柄大任でございますけれども、法務大臣の補佐役として、時代に即応した国民のための法務行政の推進ということを目指して、微力ではありますけれども、誠心誠意努力をしたいと考えております。  何とぞよろしく御指導、御支援を賜りますようにお願い申し上げ、簡単でございますけれども、ごあいさつとさせていただきます。     —————————————

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 次に、金谷最高裁判所事務総長より発言を求められておりますので、これを許します。金谷最高裁判所事務総長。

金谷利広最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(金谷利広君) 去る九月十三日付で最高裁判所事務総長を命ぜられました金谷でございます。至らない者でございますが、千種前事務総長が最高裁判所判事に任命された後を受けまして司法行政の任に当たらせていただくことになりましたので、どうかよろしくお願い申し上げます。  裁判所というのは、もう申し上げるまでもございませんが、個々の事件の裁判を通しまして国民の権利を守り、法秩序を維持するという大切な役割を担っております。裁判所がこの役割を十分に果たすことができますように、微力ではございますが、司法行政の面において精いっぱい微力を尽くしたいと存じております。  幸い、今日まで当委員会の委員長及び委員の皆様方の深い御理解と甚大な御支援のおかげで裁判所の運営の方も逐次充実してまいってきております。今後とも変わらぬ御支援をお願い申し上げまして、簡単でございますが、就任のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。     —————————————

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 先ほど法務大臣の法務行政に取り組むお考えを承りまして、私も大変共鳴するところが多いわけでございます。どうかひとつ、いろいろ多くの問題もございますので積極的にお取り組みいただきたいと思います。  一内閣が一つ大きな仕事をやればいい、こういうふうに言われているわけでございますが、法務省の抱える問題もたくさんございます。今からいろいろお伺いいたしたいと思いますが、大臣もひとつ重点を決めまして、大臣の御在任中に大きな問題を一つでも二つでも解決するようにお力添えいただければ、御努力いただければありがたい、このようにまず申し上げます。  きょう私は、先ほどの法務大臣のいろいろなお考えに対しまして御質問申し上げたいと思います。  その前に、細川内閣ができまして最初の総理の記者会見を私拝見いたしておりまして、内心非常に複雑な感じを受けたものがございます。それは申すまでもなく、さきの大戦における総理の認識 といいますか、総理の発言でございまして、侵略戦争であった、間違った戦争であったということをはっきりおっしゃった。その後いろいろなことがあったんだろうと思います。国会その他で論議されまして、真意はこうだということで補足されておられる。私に言わすと、最初のお話が真意であって、後はすりかえじゃないかというふうな感じすらするわけでございますが、その中で三ケ月法務大臣がはっきりした表現でお答えされていたのが大変印象に残るわけでございます。  私どもの年代の者は多く同僚を戦争で失いました。そしてまた、多くの遺族が残されております。お国のためということで貴重な一命を、自分の夫が、自分の父が、あるいは兄弟がささげた。それが間違った戦争であったと、こう言われますと、本当にもうむなしいといいますか、どうしたんだと。しかも一国の最高責任者がああいうふうなことをおっしゃっている。私どもは、いろいろな事情があるにしろ、あのような言葉が率直にはっと出てくることについて非常に複雑な、やるせない、そして憤りを感ずるわけでございます。  最近の教育のせいかどうかわかりませんが、先祖を敬うという気持ちが国民の中に少なくなってきている。両親を尊敬するという気持ちもだんだん薄れてきているんじゃないか。自分だけが何とかうまくやっていけばいいというふうな風潮は、私どもにとっては大変心配な風潮だと思うのでございます。やはりこの際、心の問題を大事にし、心と心とのつながりというものを深めて、社会なりあるいは世界なりとの関係において私どもはきずなをつくっていかなければならない、このように思うわけでございますが、そういうようなものを含めまして、まず最初に法務大臣のお考えを承りたいと思います。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) この問題につきましてはさきに、先生も御出席であったと記憶いたしておりますが、参議院の予算委員会でも私の考えを述べさせていただく機会を与えられましたわけでございますが、重ねて私の考えを述べさせていただきます。  私は、率直に申しまして、今、先生がどちらが本音かというふうなことをお話しになりましたけれども、最初のこの発言と申しますのは、私が認証式を済ませまして新聞記者会見に出てきましたときに、総理がおっしゃったというそのままの形でございますが、それが閣議でそういうふうなことについての、閣議としての各閣僚の意見を踏まえた発言というのが所信表明の中で表明されたと私は理解しているわけでございます。  その所信表明では、過去の我が国の侵略行為が多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに深い反省とおわびの気持ちを持っておるということと、それから、我が国が今享受しております繁栄と平和はこうした方たちの大戦のとうとい犠牲の上に築かれたものであって、先輩皆様方の御功績のたまものであるということを銘記しなければならないというふうな形での所信表明がなされた次第でございます。  私も、初めその侵略戦争という言葉がぽっと出てきましたときに、全く突如としてそれを聞きましたときに、ぱっとひらめきましたのは、この言葉の真意の背後にあるのは、この所信表明でパラフレーズされたようなことを総理は最初の新聞記者の席というところでぱっとこう表現を用いられたのであって、真意は今申しましたようなところにあると直覚いたしたわけでございます。  そのことの意味は、私もそのすぐ後のまだ考え方もまとまらない記者会見で述べましたということで、先生あるいはお目にとまっておるかと存じますが、それはやはり、何と申しますか、このたびの戦争を、いろいろな戦争観がございます。既にこの国会でもいろいろ論議されておるところでございまして、一つ一つ私はそれを深くかみしめているわけでございます。  もう既に五十年前のことにつきまして、近隣の諸国におきましては忘れがたい傷跡というものを残しておるというのもある意味で事実であろう。そういうものに対して一国の総理が、言葉の選び方はあるいは適切でなかったかもしれないけれども、真意として今も述べました、所信表明で述べられましたようなことを申し述べることは、やはり今後のアジアの諸国との交際と申しますか、国際的な協力と申しますか、そういうようなこと、あるいは憲法の前文にありますような「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」、こういうふうな気持ちに即応するものとして、この発言からいろいろな付随的な効果が出るかもしれないけれども、やはりこれは一国の総理としてかなり勇気のある発言であるというふうな表現を用いたように私記憶いたしておるわけでございます。  その趣旨は今申し上げましたとおりでございますが、あわせまして私が申し上げましたことは、もし侵略戦争だということになりますと、今、先生の御指摘のように、我々は果たして侵略の手先となったんだろうかという問題にぶつかります。  私、しばしば国会でも申し上げさせていただいておりますが、私は学徒出陣という形でもって学業を中断されまして戦争末期に兵役に服した者でございまして、実は私ども旧制高等学校の親友、五人おりますが、全員出まして、一人が特攻隊で、一人がやはり撃墜されて亡くなりまして、五人のうち二人が戦争で亡くなりました。実は率直に申しまして、私は長い間こういう人たちの声を背中に聞きながら生きてきたというのが実際でございます。おれの分も頼むぞというふうな声が聞こえてきたわけでございます。そういう面から申しますと、やはりこの侵略戦争というふうな言葉がもしそういうふうな意味であるならば、これに対して私は抵抗感があるんだということも率直に申し上げたわけでございます。  ただ、私もそのときは閣僚の一員でございますので抵抗感があるという言葉で抑えておったわけでございますが、その後、予算委員会で述べましたように、やはり私と全く同じ時期に同じような境遇で出ました方が朝日新聞の「論壇」に投稿され、それが「天声人語」にも載りました。そこでは、やはり我々があの時期に行ったのはもはや戦争は末期であって、軍紀もかなり退廃しており、しかもこの戦争はこのままではいかぬ、何とかしなければならぬと思いながらもそういうことはできないということでございましたので、そういうふうな気持ちで一生懸命、これはもうとにかく我々が捨て石になるというふうなことも必要なのではないかという形で生きてきたつもりでございまして、そういうふうなものがこの総理の後段のところに入っておるというふうに私は現在では理解しておるわけでございます。  少し長くなりまして恐縮でございますが、率直な心情をお話しさせていただいた次第でございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 閣僚としての御発言でございますのでなかなか慎重に御答弁いただいておるわけでございますが、この問題はこの程度におきまして、きょうの大臣の先ほどのお考えにつきまして質問いたしたいと思います。  まず、出入国管理行政の問題を第一に取り上げておられますので、この点から入りたいと思いますが、大臣が冒頭に、「私は、法務行政に課せられた使命は、法秩序の維持」云々と法秩序の維持を最初に掲げておられるわけでございます。ところが、不法在留者も現在約三十万人と推計される状況だと。  法秩序の維持と不法在留者三十万人との関係を大臣はどういうふうに御認識なさっておりますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 法秩序の維持というふうなことに関しましても、実は私が学者生活を送っておりましたときと現在とは国際化の度合いが非常に違っておりまして、やはり法秩序ということの内容自身が国際化の進展とともに変質してきているような感じを受けるわけでございます。  そういうふうな中におきまして、日本の国内での法秩序の維持ということにつきましては、日本の長い伝統もございますが、やはり新しい問題として、今言いましたような、不法在留三十万人というふうな状況に対応する経験はこれまでの日本 の法務行政には存在しなかったわけでございますし、そういうふうな形でやはり今最も喫緊に人的、物的な施設というふうなものが要求されるのはこの分野であろうというふうなこと、また予算の面におきましても重点配備をお願いするのが適当であろうというふうな考慮からこの問題を第一番目に申し上げた次第でございまして、決してそれと国内の法の秩序の維持というふうなことが価値の上で上下にあるというのではなしに、むしろ法秩序の維持の中における一つの新しいファクターを強調するというつもりで申し上げたものと御了解いただければと存ずるわけでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 この三十万人という数字は最近急速にふえてきた数字でございます。政府も法務省を中心としていろいろな施策を打ちました。加えて最近の景気の停滞ということもございまして、最近の増加は大変鈍ってきているという実情でございます。  そこで、大臣は、この三十万人の数字を大臣の御在任中に減らせることができるのか、どのようなお気持ちでいらっしゃるのか、その辺のところを伺いたいと思います。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 我が国に出入国する外国人の数は増加しておりまして関係業務が増加の一途をたどっているということまでは承知いたしておりますが、果たして三十万人がどんどん減っておるんだろうかということにつきましては、これは関係の局長の方から具体的に御説明していただきたいと思いますが、ただ私といたしましても、やはりこれは国際化の一環でございまして、避けて通れない問題と考えております。  したがいまして、関係当局の御理解を得て、本年度の予算で百八十二人の定員増、これは非常に法務省としても異例な定員増でございますが、そういうふうな措置を得ております。先ほど申しましたように、来年にはまたこれを広げていかなければならない、こういうふうな関係でございまして、それでもってどれだけこの不法在留者というふうな者の減少という実績が上げられますかどうか、この辺につきましては、精いっぱいの努力はいたすつもりではございますが、はっきりした見通しというふうなことにつきましては、私自身そういう入管行政というものにわずか三カ月前に携わった者でございますので、具体的にどのくらい減らせるものだろうか、減らす覚悟があるかということにつきましてはちょっと発言を差し控えさせていただき、具体的な数の推移等につきましては、お許しをいただけますれば政府委員の方からお答えさせていただきたいと思います。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 数の推移は私どもよく承知いたしておりますので結構でございますが、私は、やはり他人任せではなくて、大臣御自身がどの程度重点を置いて、力を入れてこの施策に取り組まれるかということによって大変変わってくるという認識でございます。  ここに書いてございます関西新空港の開港が予定されているとか、これは当然のことでございまして、こういうようなことについて一層の業務体制の充実強化、これは増員だとかいわゆる体制の整備だと思いますが、これは当然要求されることだと思いますし、まあいろいろ書いてございますけれども。  そこで、坂口労働大臣が御就任なさったときに、単純労働者の受け入れを許容されるような発言をなさったのを私この耳で聞いたことがあるわけでございますが、大臣の御所信はいかがでございますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 労働大臣の発言の真意につきましては、その後労働大臣もいろいろと閣議の席上などで釈明をされたり、あるいは国会で御答弁になったわけでございますが、私といたしましては、外国人労働者の受け入れに関して、私ども政府は専門的技術を有する労働者についてはできる限り受け入れる方向で対処する反面に、いわゆる単純労働者の受け入れについては慎重に、また対応をいろんな角度から検討するということを基本方針としてまいりましたし、今後もそういう方針でまいりたいと思っております。  入管法は、この方針に沿いまして、専門的技術、技能、知識等を持って我が国で就労しようとする外国人については幅広く受け入れる道を開いておりまして、これは国際協調と申しますか、国際化ということで避けて通れない道でありましょうが、その反面にいわゆる単純労働者、今御指摘の単純労働者でございますが、この受け入れについては我が国の経済社会全般に影響を及ぼすところが極めて大きく、どう対処するかについて国内のコンセンサスを確保することがまず必要であり、法務省としては、関係省庁と協議しつつ、総合的な観点から慎重に検討を続けたいと考えております。  私といたしましても、できますことならば、そういう方向の形でもって一歩でも二歩でも前進することが私としてできますれば非常に幸せであると考えております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 外国人の受け入れなりなんなりの主管官庁はどこでございますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 法務省には入管局がございまして、入国管理は私の所管ということになっております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 労働大臣の発言は食言じゃございませんか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 労働大臣の発言は、これはどうも所管外のことでもございますので、まあ入国管理という切り口と、それから外国人の労働者管理という局面はあるいは切り口が違うのかなというふうに考えておりまして、食言であるかどうかというふうなことについて私の意見を述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 答弁になってないな。  労働大臣が労働行政の立場からいろいろおっしゃる、あるいはまた法務省とも御相談なさるということは、これは当然だろうと思う。そして政府として方針を決めるとかね。しかし、主管官庁はどこだということは答弁差し控えるということですか、どうですか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 労働大臣は労働政策という角度からこの問題をとらえておられるのだと思いますし、私は法務大臣として外国人労働者の出入国の管理というふうな角度からこの問題を所管している、こういうふうに考えておるわけでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 労働大臣には法務大臣としてこの件について具体的に直接申し入れされましたか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 労働大臣のこの発言につきましては、いろいろと閣議の席上ないしは閣僚懇談会の席上、単純労働者の問題につきましては従来の方針を維持しながら厳格に対応していくんだというふうな形で政府として対応いたしておると私は考えております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 私の質問に答えてほしいと思うんです。  主管行政は入管局でしょう、法務省でしょう。法務大臣がその立場から労働大臣がああいうふうな答弁なさっていることについて何にもおっしゃらないのか。ただ閣議の席でどうだった、こうだったということで、直接坂口労働大臣に対して、入管行政はおれの責任なんだ、法務省はこういうふうに考えている、従来こう考えているんだというお話はなさらなかったんですか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) その点につきましては、懇談等の席におきまして入管局の立場はこうであるということはしょっちゅう労働大臣とお話し申し上げております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 いや、懇談と言われると話がはっぎりしないんですよ。役所として労働省に、大臣、これ大臣の発言ですから、局長だとか課長の発言じゃないんだから、それはやっぱり大臣同士の問題だと思うんですよ。お話しなさいましたかと、こう聞いているんです。懇談で何だかんだというのはわかりますよ。私は役所としてお話しなさいましたかと聞いている。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 先ほど申しましたように、坂口労働大臣とはこの問題につきまして、入 管の方としてはこういうふうに考えておる、あなたの御発言というものとは食い違う点があるというふうなことは申し上げたことがございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 何かこの問題の主管の役所がどこであるかはっきり、まあ答弁差し控えたいとおっしゃった。そういうふうな態度ですと、私は、第一にまず入管行政の問題取り上げられた。最初におっしゃっているんですね。三十万人も不法在留者がいる、こういうふうな御発言ですので、その辺のところが私は一番ポイントだと思う。だからお伺いしているんです。  それじゃ伺いますが、昨年、相当数の強制退去の実績を法務省はお持ちなんです。強制退去、これは十分なさっていると御認識ですか、それともまだ十分でない、こういうふうな御認識ですか、どうですか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) さきの御発言に関しましては法務省の方から労働省に対しまして、先ほど私申しましたように、単純労働者の処遇につきまして申し入れをいたしております。  それから、退去の処置でございますが、私はやはり法の範囲、法の許すところで厳正に対応しているものと信じております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 今の最初の答弁、役所同士の話は私も知っているんです。むしろ私も、法務省なり労働省におかしいじゃないか、法務省、おまえのところはそれでいいのかと、あなたの役所は大臣に言われっ放しでということを申し上げますよ、そこまでおっしゃるのなら。私は申し上げます。  退去強制の問題も今の大臣の答弁は私大変不満なんですよ。今、退去強制の該当者が、要するに三十万人の中で退去強制の該当者がたくさんいるんですよ。それが入管行政が手が回らない、人が足りない、施設が足りない。最近、牛久にできるのはもちろん御存じですね。あれだけでも十分じゃございませんですよ。そういうような現実なんです。警察の協力も得ている。実態のどろどろした話は私幾らも知っていますよ。それを今みたいなきれいごとでお話しされますと、とてもじゃないが、第一に重点に掲げておられる入管行政について私は大変心配せざるを得ない。  牛久の収容所は、いつ、何人収容できる施設ができますか、大臣。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 私は詳しいことは存じておりません。ただ、そういうのができましたということは報告を受けておりますが、まだ現場に臨んで視察するというふうな機会は与えられておりませんでした。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 きょうはこの問題はこの程度にいたしておきますが、第一の重点として掲げておられるわけですから。私ども従来もいろいろ御協力申し上げてきました、施設の問題にしたって、増員の問題にしたって、予備費の問題にしたって。しかし、まだまだだと思うんですよ。ですから、それは大臣がそういうふうな認識を持たれまして、そして大臣がその気になるとできるんです、役所というところは。これはもうぜひやってほしいと思うんです。そういうふうな立場から申し上げております。  次に移ります。  第二に、「時代に即応した法整備の実現を図ってまいりたい」、こういうふうにございます。「用語が漢文調の文語体であって、」云々とございますが、具体的にはどのような法律をお考えになっておられますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 民事関係等の法では、基本法で現代用語化を要するものといたしましては、御承知のように、民法典、商法典、民事訴訟法典がございます。これらの法典は片仮名、文語体で表記されておりまして、非常に国民に理解しにくいものとなっているため、これを平仮名、口語体の表記に改めてわかりやすいものにする必要があるということは私もそういうふうに信じておりまして、現に私は、この職につきますまでは民事訴訟法典の改正作業の責任者として担当しておりまして、あわせまして民事訴訟法の現代語化というふうなことにつきましても取り組んでまいってきたところでございます。民事訴訟法はそういうわけでございますが、それぞれの法典につきましても民事局におきまして法律学者の協力を得て研究会を設けて現代用語化のための基礎的な研究を続けているところでございます。  刑事局所管の法律といたしましては刑法典につきまして現代用語化の検討を行っているところでございまして、現行刑法典は、これまた先生もうとっくに御承知のとおり、明治四十年に制定されたものでありまして、特に漢文調、文語体の特徴が激しい法律でございます。一般国民に理解しにくいものとなってきていることは否定できないところでございます。そこで、刑事局におきまして、原則として内容に変更を加えることなく現行刑法典を忠実に現代用語化する方向で検討に着手しており、なるべく早期に成案を得るべく作業を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 これもう法務省、相当前からいろいろ検討を続けられまして近く成案を見るような状況にあるということでございまして、これは早急に進めてほしいと思うわけでございます。しかし、これは直接大臣が先に立っておやりにならなくちゃできないというものじゃなくて、もうどんどん進んでい谷ことでございます。  それはそれといたしまして、大臣が直接先に立ってやってほしいということがその次に書いてあるんですね。「行刑制度の近代化を図る」、こういうことですね。これは言うならば監獄法の改正ということを念頭に置かれたことだろうと思いますが、監獄法の改正についての大臣の決意をひとつ承りたいと思います。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 御案内のとおり、現行監獄法を全面改正する必要があるということは随分前から論じられておりまして、法制審議会、私もその審議に参画したわけでございますけれども、法制審議会の総会におきましてもかなりの回数を重ねた検討がなされた結果、刑事施設法案といたしまして昭和五十七年に国会に提出されたわけでございます。その後十年余りの間に廃案、再提出を繰り返して、本年六月の第百二十六回国会における衆議院の解散に伴いまして廃案になっているところでございます。  しかしながら、行刑の近代化、効率化及び国際化を図る必要性はますます強まっており、刑事施設法案の成立に向けて一層の努力をしなければならないと私は考えておるところでございます。そして、これまでと同じことを繰り返さないためにも、これまでの間に国会関係の皆様から御指摘を受けました点などを種々の側面から検討しながらその再提出に向けて準備を進めているところでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 今、大臣お話しがございましたように、この問題は昭和五十五年の十一月ですか、法制審議会の答申をいただきまして、そして政府が法案を制定いたしまして国会に提案いたしましてからもう十二年以上たっているわけでございます。当時の野党の多くの方々が反対されたという経緯があるわけでございますけれども、その背景には日本弁護士会の反対というのが底流に非常に強くあった、こういうふうに思うわけでございます。そこで、日本弁護士会と法務省あるいは警察庁、しばしば会合を重ねられましてある程度の成案を得て、これならいけるというところで提案しようという段階になって日弁連の幹部の方がおかわりになった、そしてまた振り出しに戻るというふうな経緯も踏まえて今日まで来ているわけなんです。  しかし、監獄法というのを読んでみますと、今、規制緩和だということがやかましく言われているんですが、あんなきつい法律はないんですよね。人権尊重の立場からいっても大変な法律だろう、このように私は思います。そういうふうな中で矯正局関係の方々は大変苦労しながらおやりになっておるわけでございまして、一日も早く監獄法の全面改正、刑事施設法あるいは留置施設法の制定というものが望ましい、こういうわけでございます。今度私ども野党になったわけでございますが、御協力申し上げるのにやぶさかじゃございま せん、もともと。  問題はいろいろあるんですが、代用監獄の問題なりあるいは接見交通権の問題なり、いろいろそういうようなことはあると思うんですけれども、やはりそれは理想を高く掲げて理想でなくちゃだめだだめだと言うよりも、そういうふうな中で法案が成立しないでもう十二年も監獄法のまま来ているわけなんですよね。あるいは代用監獄は廃止だといいましても、全国に今千三百近く警察の留置所があるわけなんですよ。それを一斉に廃止して、じゃ拘置所をつくれと、拘置所を何百つくったらいいかわ。かりませんがね。拘置所をぜひつくってくださいと言って地元の人たちが拘置所の誘致を積極的に働きかけるようなところはほとんどないと思うんです。土地も手に入らない、施設もどうだと。あるいは増員の問題ももちろんございましょう。金もかかる。それから、施設もただ収容するだけじゃない。取り調べ室なりなんなりたくさん要るようになるんですね。そうだとすれば、やはりどういうふうな形で現実的な解決を図っていくかというのは大体方向が出てきているんじゃないかという感じがするんですよね。  私は、先ほど申し上げましたように、一大臣一つの仕事だとおっしゃるなら、入管の問題もいろいろございますけれども、まさしくこういうふうな問題を、民間におられて、しかもその関係の仕事に大変長く携わっておられる大臣のことでございますので、この際大臣がイニシアをとっていただいて、日弁連だとかあるいは連立与党だとかあるいは我々だとかに積極的に調整されまして、一日も早くこの刑事施設法の改正というふうなことでお力添えいただいたらありがたいなと思います。  ここに書いてございますが、通常国会あたりを前提としてお考えいただいているというふうに考えてよろしゅうございましょうか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 先ほども申し上げましたように、同法案は過去に何度も廃案、提出を繰り返している、その背後には御指摘のようにいろいろな深い根があると私も考えております。次に再提出する場合には、同じ繰り返しになりませんように問題点の有無、内容等について慎重な検討を加えて、できるだけ速やかに私も法案を提出できるように全力を尽くしたいと考えておるところでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 通常国会は無理でございますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) できましたらば通常国会に提出いたしたいと考えておりますが、しかしながら先ほど申しましたように、これは過去に廃案になりました経緯からいたしましてもいろいろ法曹三者の協議協調というふうなこともございまして、そういうふうなことを考えますと、ここのところで何が何でもというふうに申し上げられるものかどうか、私といたしましても率直に言って自信がないわけでございますが、大変励ましのお言葉をいただきました。ひとつ与党になられました方との御協力もいただきまして、新しい状況のもとで新しい形での法案成立に向かって努力をいたしたいと存じております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 さらに、商法改正の問題に触れておられますね。自己株式の取得及び保有規制の見直し問題、あるいは外国法事務弁護士に関する規制緩和等、これも法律改正でございますね。この辺は通常国会と考えてよろしゅうございますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 自己株式の取得制限緩和につきましてもいろいろな議論がありまして、目下法制審議会商法部会において各界から寄せられた意見を参考としながら、また四月十三日に発表されました政府の総合経済対策において「自己株式の取得及び保有に関する規制の見直しについて、次期通常国会までに結論を得、所要の対応をすべく検討を促進する。」、こういうふうに平成五年の四月十三日にされておりますことを踏まえまして、それを継承いたしまして法務省としても適切に対応いたしたいと考えておるわけでございまして、やはり通常国会にはほかの問題、商法改正の問題もございます。これはぜひ出したいと思いますが、自己株式の取得につきましても、できましたならば通常国会に提出するということを目標として努力をいたしたいと考えております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 その次に、法律扶助制度の問題について出ております。  そこで、つくづく感ずるわけでございますけれども、法律扶助制度の問題にいたしましても外国法事務弁護士の問題にいたしましても、商法の自社株取得及び保有の規制、これはそう直接じゃないにしても、それにしても関係あるわけですが、あるいは監獄法の改正の問題、さらには司法試験、あるいは今大変話題になっておりますPL法案、製造物責任法の問題等の問題に関連いたしまして、全部底流に弁護士会がございますね。全部底流に日本弁護士会というものがあるわけなんです、弁護士の先生方もいらっしゃいますけれども。ところが、御承知のとおり、弁護士法というのは議員立法でございましょう。政府委員がいらっしゃらない。私ども議論したくても議論の相手がいないんです。大臣、どう思われますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 確かにいろいろ司法改革をしてまいります場合には、やはり弁護士会の協調、同意を得て進めていくというのが私は長い目から見まして日本の司法制度のためにいいことであると考えておるわけでございます。  したがいまして、できるだけ弁護士会と法務省あるいは裁判所との協調を密にしていくということを私は期待しているわけでございますが、仮に申し上げさせていただくことがお許しいただけますならば、最近の立法の流れの中におきましては、私は法務省と弁護士連合会との関係というものは少しずついい方に向かいつつある、この流れというふうなものを大事にしてまいりたいと考えておるわけでございます。  例えば外国法事務弁護士の問題にいたしましても、先般の研究会の成果として出てきたことは御承知のとおりでございますし、私が部会長として既に実現いたしましたものの中に、例えば民事保全法の改正であるとか、簡易裁判所の統廃合の問題であるとか、そういうふうな問題につきましては、実は全会一致でこの法案が法制審議会の部会を通るようになってまいりました。  また、今御指摘の法律扶助制度に関しましても、このたびの予算化を伴いまして、外国法事務弁護士の問題と同じような形での研究会を発足しながら、両方の意見をすり合わせながら協調的な形で進めてまいりたい、私はそういうふうに考えております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 それは仲よくお話し合いされて、話し合いができるというのが一番望ましいわけなんですが、法律扶助法というのは、これはむしろ弁護士会の方から皆様方の方へ陳情がある事案なんですよね、法律扶助制度をつくってくださいというお願いなんですよ。皆さんたちが、例えば刑事施設法を何とか協力してくださいというお願いに対しては言うことを聞いてもらえないんです。お願いのことばかり聞かれても、それはだれだってできるんだけれども、話し合いして何とか刑事施設法を改正しようということについてはもう長年にわたって反対しておられるんですよ。だから陳情される分について仲よくというのは当たり前のことですよ。  その辺のところを私は、弁護士会とのかかわり合いがいっぱいございますね、今申し上げましたような。これは一つの例ですよ、法律扶助法にしたってPL法にしたって司法試験の問題にしたって刑事施設法の問題にしても外弁の問題にしたって、いっぱいあるんですよ。そういうふうなものを総合的に法務省と日弁連、あるいは場合によっては国会もどういうふうにするべきかというふうな議論の場がなければ、いいのはいい、悪いのは悪い、とことんまで。そういうふうな形では私は実りのあることにならないのじゃないだろうか。  大臣は弁護士でいらっしゃる。だからそういうふうな意味からも何とかその辺のところで、すばらしい大臣がお見えになったんですから、大臣のイニシアで何かできるんじゃないかなというふう な感じがするんですが、いかがでございますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 私も弁護士の一員といたしまして、やはり今御指摘のようなところに問題があることは重々承知いたしております。  ただ、立法化の実現ということになりますと、いろいろなステップも必要であろう。せっかく御激励をいただいたことでございますので、私もできるだけ今までの私がやってまいりました路線を踏まえまして弁護士会というものに積極的に働きかけ、御意見を申し上げ、そしてできるだけ司法制度の前進というふうなことに努力してまいりたい。それは訴訟法などというものを自分の一生の学問として選んだ私の最後の御奉公の一つであるというふうにも考えておるところでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 今度はちょっと話題を変えまして一司法修習制度の問題についてお伺いいたしたいと思います。  大臣は弁護士でいらっしゃるということでございますが、弁護士法何条の弁護士でいらっしゃいますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 弁護士法の条文は忘れましたが、学識経験者である大学の教授、助教授で五年以上の者がなれるというその規定に基づきまして、日弁連の非常に慎重な審査を受けまして弁護士登録をいたした者でございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 弁護士法第五条の三号に、「五年以上別に法律で定める大学の学部、専攻科又は大学院において法律学の教授又は助教授の職に在った者。」ということでございます。これは、要するに司法修習生の修習を終えなくても弁護士の資格を取得できるという法律の規定によって大臣は取得されたわけでございます。  大臣は、御経歴を拝見いたしますと、昭和二十五年に東京大学の法学部の助教授になられましてから、教授、法学部長、名誉教授あるいは学士院会員等の要職にございまして、特に民事訴訟あるいは裁判制度、法曹養成等々御活躍いただいているわけでございます。  私は、大臣のように御立派な方が弁護士になられるということは大賛成でございますが、大臣が大学を出られた当時と違いまして、今、大学というのはたくさんございますね。そこの助教授、教授を五年やっただけで、司法試験も合格しないで弁護士になれるということについていかがお思いになりますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 確かに弁護士法のこの規定は、これは終戦直後の大学制度及び大学院というふうなことを念頭に置きながら考えられた規定であると思いますが、その後法学教育の量などもふえまして、量のふえますにつれましていろいろと今度はまた質の問題も伴ってくるということは我々法学教育に従事する者の間でいろいろと問題としておるところでございます。  恐らくと申しますか、私もそうでございましたが、弁護士連合会の方でこういう制度を運用するにつきましては、今、先生が御指摘になりましたように、たまたま形の上で五年の新制大学のところでもってやったからといってすぐ弁護士に任用する、弁護士の許可をするという運用ではなくして、かなり厳しい運用をされていると私は承知いたしております。  立法論といたしましては、やはりこれは少し緩過ぎるのでありまして、例えば法学博士号を取得した者に限定するとか、少なくとも大学の教授経歴が二十年ぐらいあった者に限るとかというふうなこともそろそろ考えなければならない時点ではないだろうかと学者といたしましては考えておるところでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 二年前までこの委員会に加藤武徳先生という先生がいらっしゃいました。法務委員としていらっしゃったんです。  この加藤武徳先生は岡山県の知事を二期八年なさったんですね。参議院議員は五期二十九年四カ月お務めになったんです。司法修習生の試験にも合格なさったんです。修習を受けられる暇がなかった。今申し上げましたように、参議院議員をなさって知事をなさって、また参議院に戻ってこられたんです。そして、参議院だけでももう三十年近い議員歴がある方です。  この方が、今、司法修習へ入っておられるんですよ。弁護士の資格がないんですよ。大臣、いかが思われますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 確かにアンバランスであるという感じはいたしますが、現行法のもとでそういうような場合に修習免除という規定がないとなかなか運用が難しいのではないだろうかというふうに考えておるところでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 現行法で云々というのはわかるんです。だから私は法律改正の議論をしていたんですよ。今、大臣もちょっとおっしゃいましたね、この五条三号はちょっと甘いんじゃないかというような。今申し上げましたのは逆な意味で、こういうふうな人ですら。ところが、司法試験に合格しまして本院の法制局を三十五年やっているとなれるんですよ。国会議員は三十年近くやってもだめ。これはもうしょうがないんですかね、どうですか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) この条文につきましては、弁護士の取得でいろいろ列挙がございまして、やはりおっしゃるとおり、法制局参事もしくは内閣法制局参事官の職にあった者というふうな者はあれでございますが、そうでないと現行法の解釈といたしまして日弁連の方ではなかなか難しいのではなかろうかと思います。  そういうふうな点の法律改正の必要があるという世論がずっと強くなってまいりましたならば、もう大分古い法律でございますので見直しの時期には来ておると思いますが、いかんせん、何と申しましても弁護士法は弁護士の存在の基本に触れる法律でございまして、その辺のところを十分慎重に対応しながら立法するなら立法するというふうなことをしなければなるまい、こういうふうに考えております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 現行法の解釈というのは私どもわかりますからあれなんですが、立法論として、もう議員立法で今日まで来ている、弁護士法というのは。いろいろな問題がある。先ほど大臣の所信の中でも刑事施設法の改正を初めとして、弁護士がかかわっているやつがたくさんあるんですね。片や弁護士法は今申し上げましたような問題もないわけじゃない。  日弁連の所管庁というのはございますか。日本弁護士連合会の監督官庁と言ったら言葉が悪いから、所管している官庁はございますか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 弁護士法では弁護士会の自治が認められておりまして、所管官庁という概念は弁護士に関する限りないと理解いたしております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 国会は国権の最高機関でございますね。ところが、そういうふうなものが全くらち外にある。果たしてそういうふうなことがいいんだろうかどうだろうか。弁護士さんのことについて、今申し上げました立法論を初めといたしまして、弁護士さん個人の問題として私どもお伺いしたいことはいっぱいあるんですよ。新聞に弁護士さんの非行だとか、あるいは所在不明になったとかいろいろございます。お伺いしたいと思うんです。どこの政府委員もいらっしゃらないんですね。そういうふうな点について、大臣は何か御認識ございませんか。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 法曹養成制度というものも既に戦後随分時間がたっておりまして、先ほど申しましたように、基本法の改正というふうなものが一挙に押し寄せてくる時期の中でこの制度だけがいつまでも今までどおりであるということはあり得ないのかもしれません。  実は司法試験制度改正ということが数年前に行われまして、私もその司法試験制度部会の部会長をいたしまして、少しずつ法曹養成の方の改革というふうなことの糸口はつけたつもりでございます。  そこのところの内容の一つといたしまして、法曹三者構成の法曹養成制度等改革協議会におきまして、いろいろと司法試験の成績であるとか、それの年齢低下が実現しているのかとか、いろんな検討課題を目下鋭意検討を行っているところでご ざいまして、その協議会におきましても法曹養成制度につきましていろいろな観点からの検討が行われるものと私は考えておるわけでございます。  こういうふうなこと自身が、今まで弁護士制度というものを全く先生のおっしゃいますように協議の場がなかったのに比べますれば、私はやはり一歩の前進であるというふうに考えておりますので、そういうふうな芽を伸ばしながら一歩でも、今、先生御指摘の現行の弁護士法の問題には、確かに学者としての立場から見ますならばいろいろな問題点がないわけではないというふうな点は学会の多くの方の認識でもございます。一歩一歩努力してまいりたい、こう考えておるところでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 ちょっと話を進めます。  司法修習制度の問題に関連いたしまして、司法試験を受かりまして二年間修習するわけでございまして、それから判検事、弁護士になる。  これは事務当局で結構ですが、修習を終わって出られてから判検事、それから弁護士の比率ですね、パーセンテージだけで結構ですからお願いします。

泉徳治最高裁判所人事局長

○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 過去五年間におきます司法修習終了者の任官等の状況でございますけれども、裁判官と検事の任官者が二五・一%でございます。それから弁護士になられた者が七四%でございます。あとの一%がその他ということになっております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 七四・八%ですか。

泉徳治最高裁判所人事局長

○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 約七四%でございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 七四%ですね。わかりました。  弁護士の養成について。  司法試験というのは、これは資格試験ですね。そして二年間ほど修習されて、そして一人前になられるということなんですが、国家試験に合格してから一人前になるまで、こういうふうな修習制度なりなんなりを設けている制度はほかにございましょうか。これは法務省ですか。

永井紀昭法務省大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(永井紀昭君) 外国では、例えばドイツとか韓国等が同様の制度を設けております。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 国内のいろいろな国家試験がございますね。司法試験以外にたくさんありますね。そういうふうなもので修習を義務づけられているものはございましょうか。

永井紀昭法務省大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(永井紀昭君) 法務省所管のところを中心に調べてみましたが、そういう制度は見当たりませんでした。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 そういうふうなものを義務づけて、なおかつ国が給与を出しているわけですよね。私は判検事になる人ならまだいいと思うんですが、弁護士になる人まで国が二年間給与を与えている、今度の人事院勧告でもある程度ベースアップしたやつが表を見ると出ているようですけれども。昭和五十二年からこの議論は国会でもされているわけです。速記録を調べてみますとされているわけなんです。  質問を変えますが、一人当たり二年間に国が幾らくらい国費を支出しておられますか。

泉徳治最高裁判所人事局長

○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 司法修習生一人当たりに要します経費と申しますのは年間で約四百万でございますので、二年間ということになりますと約八百万ということになるわけでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 そういうふうな国費が弁護士になる人の修習のために出されている。大学なんかに入りますと、授業料を払って勉強させてもらっているんですよね。これとは全く道なんです。月給か何か差し上げて、そして修習してもらっているというふうな形。法曹を大事にするという立場もわからぬわけじゃないけれども、私が調べてみますと、横並びに国家試験でそういうふうな形でやっているのは一つもないんですよね。むしろ貸与制というふうな形で貸与されて、そして判検事になる人は判検事になって何カ年かすればそれはもう返さぬでいいとかというふうな制度も考え方としてはないわけじゃないし、あるいは弁護士として国家権力と闘おうというふうな本当に気概のある、そんな八百万を国からもらうのはしゃくだ、返上する、要らぬと言うぐらいの人もあるかと思って聞いてみたら、いないというお話だった。  だから、その辺の問題について外国を調べてみますといろいろとあるんです。一応公務員の扱いをしているところもある、あるいは全然何もやっていないところもある、あるいは講義料を徴収しているところもある。国によって違います。日本もこの際ひとつ検討すべき事柄じゃないか。この制度ができましたときに、私も調べてみましたら、判検事になる人の方が多かったんですね。今は圧倒的に、八割近い人が、七割以上の方が弁護士さんになっておられる。既得権は侵害しないというのかどうか知りませんけれども、その辺の制度の基本もこの際お考えになったらどうかなという気がするんだけれども、いかがですか、大臣。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) そういう御指摘はしばしば私も耳にするし、私もそんな考え方を国会で述べたこともあったような気がするのでございます。  ただ、今すぐにそういうふうに直すのがいいかということになってまいりますと、この制度がこういうふうになりましたのは、やはり戦前における弁護士の地位というのと戦前の裁判官、検察官の地位、そういうふうなものの格差あるいはその間の溝、それが今でも在朝、在野というふうな観念として残っておりますわけでございまして、そういうふうなものを少しでも法曹の一体感を養成するというふうなためには、やはりこういうふうな形で制度をとるということ、そしてまたそれを四十数年にわたってずっと維持してきたということにつきましては、私は日本の事情を考えますとそれなりの事情があったように思うわけでございますが、法曹人口の飛躍的増加というふうなことを考えてまいりますと、いずれは今の御指摘の問題も視野にとらえながら議論をしていかなければならない日が来るのではないだろうかというふうに私も考えております。  ただ、現在のところ、そういうふうな形で法曹人口の増加と申しましても、今度の改正で百人あるいは二百人伸ばすということだけでも非常にいろいろな難しい問題があったことを体験いたしておる者といたしましては、もうしばらく先ほど申しましたような法曹養成制度等改革協議会における議論などの進展を踏まえながら法務省として考えていく、裁判所とも相談し、日弁連とも相談していき、こういうふうなスタンスをとってまいりたいと考えておるところでございます。

下稲葉耕吉自由民主党

○下稲葉耕吉君 私の時間も参りましたのでこの程度にいたしますが、きょうは大臣の先ほどのごあいさつ、いわゆる抱負といいますか、所信といいますか、それに対する質問に絞らせていただきました。質疑の過程でも明らかになりましたように、法務省が抱える問題はたくさんございます。その中で、やはり大臣がイニシアをとっておやりになる仕事というのははっきりしていると思うんです。どうかそういうふうな意味で私どもも大いに議論を闘わせて、そしてすばらしい法務行政をなさいますように御協力することにやぶさかじゃございません。そういうふうな意味で大臣の御健闘をお願いいたしまして同僚議員にかわります。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 異例でございますが、お言葉を受けまして感銘いたしましたので、一言申し上げさせていただきます。  いろいろ御激励をいただきまして、私もせっかく民間から入った法務大臣といたしまして、いろいろな過去のことはございますけれども、ただいまのお言葉を励みといたしまして、できるだけ全力投球、これが最後の御奉公というつもりで邁進してまいりたいということを申し上げまして御激励に対するお答えとさせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。

服部三男雄自由民主党

○服部三男雄君 下稲葉委員の質問の補足という形で司法試験制度と入管業務についてお尋ねしてまいりたいと思うわけであります。  大臣が大学の講義のときに、ジェローム・フランクの本を引用されまして、たしか大臣が訳され たんじゃなかったかと思うんですが、たしか「誤判」という本だったかと思うんですが、その中で、裁判の遅延は拒否に等しいというような有名な言葉があるんです。  刑事裁判はもちろんのこと民事裁判でも、私ども弁護士の一員として期日の指定の問題で、裁判所の施設の充実等の問題もあり、増員の問題もあって裁判所の方の受け入れは可能なんですが、弁護側が、弁護士の数が少ないということもあるんでしょうけれども、なかなか期日を受けられないということでずるずる延びていくという弊害がもう二十年や三十年続いております。これは私も経験しておりますし、事実だろうと思うんですけれども、その裁判の遅延によることによりまして、日本の裁判頼むに足らずということで巷間言われました民事暴力という暴力団の介入とかいろんな社会現象が起こったわけでありまして、それは暴力団対策立法によってある程度防げるようになったと思いますが、その根底にある裁判の遅延というものを考えますと、いわゆる司法試験の合格者をふやす必要があるのではないかということは長らく言われておったわけです。  ところが、弁護士会としては、弁護士というのはそんなにもうかる商売ではありませんから、余り数をふやされると失業の問題が発生しますので、かなり反対もある。それから、今、下稲葉委員のおっしゃった修習生の給与の問題、それから施設の問題等があって大蔵省が余り熱心じゃないということでなかなか定員をふやすことができないというような問題がある。だから下稲葉委員は弁護士になる人に給与を払う必要は余りないんじゃないかという問題点を提起されたわけであります。  しかし、諸外国から見ると明らかに日本の弁護士の数が少ない、司法官の数が少ないということは統計上も出ておりますので、ひとつ最高裁並びに所管される法務大臣として、どのくらいの数の弁護士あるいは判検事がいればこの程度の遅延を、例えば民事一審で平均三年と言われておるわけですけれども、これを一年以内にできるとか、こういうある程度の長期的な見通しというものをお持ちなのかどうか、それに沿った司法制度の改革というものをお考えなのかどうか、この点について最高裁と法務大臣から御所見を伺いたいと思うわけでございます。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 弁護士等の、また裁判官、検察官を含めまして、いわゆる法曹の人口が現在の規模で十分であるとは私は考えておりませんので、やはりこれは充実していかなければならないと考えております。  具体的にどの程度がいいのかという御質問でございますが、これはなかなか答え方の難しい問題でございまして、国情もあり、またこれまでの沿革もあり、そういうふうなところでどのぐらいの規模というのが適当かというふうな問題はなかなか答えにくいのでございますが、現在、法曹養成制度等改革協議会におきましては、各国の人口と法曹人口の比率、それの伸び率等々のいろいろなリストというふうなものも勘案しながら、将来の法曹人口のあるべき姿といいますか、導入可能なあるべき姿というふうなものをいろいろと研究しておるところでございます。  そういうふうな形でもって協議を踏まえまして今後ともぜひ前向きに検討していきたいとは思いますものの、先ほど御指摘のございましたように、司法修習生を国費で養成するという制度を今すぐ撤廃するということが果たしていいのか悪いのか、それに対する大蔵当局の反応はどうであろうかというふうないろいろな問題が複雑に絡み合った問題でございますので、恐らくそういうふうな問題が一つ一つ明らかにされ、そして学会の世論となり、法務委員会のきょうの御議論を私は非常に敬意を持って拝聴したわけでございますが、そういうふうな改革へのいろいろな支援というふうなファクターというものを考えまして、私といたしましてはぜひ前向きに考えてまいりたいと存じておるところでございます。

泉徳治最高裁判所人事局長

○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) ただいま法曹人口のお話が出ましたけれども、御承知のように、ここのところ修習生をふやしておりまして、それまで五百人でございましたものを過去二年間、六百人、六百人とふやしてまいりまして、ことしの司法試験でも七百十二名でございましたかの合格を出しております。来年からは修習生を七百人採用する、こういう状態になってまいりますので法曹人口も相当ふえてまいると思います。  今後、日本としてどの程度の法曹人口が望ましいのか、あるべき姿かということは大変難しい問題でございます。ただいま法曹三者で法曹養成制度等改革協議会というものを開いておりまして、そこの一番のテーマが法曹人口でございます。私ども、外部の委員の方々の御意見も承り、また世論の調査などもいたしてあるべき法曹人口というものを検討していきたいと思っております。  裁判所に関して申しますと、裁判所は毎年裁判官の増員をお願いしておりまして、しかもその増員された裁判官の定員というものも充足が随分進んでおります。来年度の予算におきましても判事補十名の増員をお願いしているところでございますが、私どもとしては充員可能な範囲内で増員を毎年図っていって裁判官の充実に努めたい、このように考えております。

服部三男雄自由民主党

○服部三男雄君 今、抽象的、一般的な回答でございまして、裁判の遅延の弊害というのは二十年、三十年言われてきたわけでありまして、事この問題は、確かにそれは弁護士会の協議も必要でありましょうけれども、本来行政に属することでありまして、行政でありますから長期的な見通しを立てて具体的にこれだけのことをやらにゃいかぬというその目的に沿って、それは大蔵省もありましょうしいろいろな問題があるんでしょうけれども、やっていかなきゃいかぬのじゃないか。今の最高裁並びに法務大臣の御回答はもう二十年前から同じ回答の繰り返しであって、やはり行政としてはもうちょっと見通しを立てて、例えば一審が民事で三年かかる、刑事で二年かかると言われているのを一年にするにはどうしたらいいかという具体的な政策を考えなきゃいかぬのではないかと強く要望したいわけであります。  加えて、今度の連立与党は規制緩和ということを言っておるわけです。この司法修習生の数というのはまさしく規制緩和の問題でありまして、本来職業選択の自由で適性のある者がつけばいいわけでありますし、あとは需要との均衡の問題でありますから、弁護士の数がふえ過ぎたら、弁護士になって失業するというなら弁護士にならなきゃいい、これだけの問題であります。明らかに数が不足しているなら、規制緩和の一環としてこの問題はもっと強力に取り上げていく必要があるというふうに思いますので、最高裁並びに法務省のさらなる御努力を期待するものでございます。  次に、修習の制度の内容でありますけれども、今、修習生の平均合格者年齢が二十八歳ぐらいじゃないかと聞いております。大学の法学部へ入るのが十八歳ぐらいとしますと、特にこのごろ大学の教育が教養課程よりも専門的な技術を早く身につけさそうという文部当局の流れもありまして、早くから法律の勉強を始める。そうしますと、司法試験を通ろうと思うと若い学生が非常にフレキシビリティーに富んだ大事な時期に、人格形成の大事な時期に非常に専門的な細かい法律の解釈とか条文を十年間も勉強している、それがいいか悪いかは別としまして。  その一つがやっぱり試験が難しいという、日本で一番難しい試験だと言われているということ、細かいことを試験で要求されるということ、いろいろな弊害があるわけでありまして、その問題は合格者の拡大あるいは試験のやり方等を大いに改善していただいて、法曹にふさわしい、リーガルマインドのある合格者をスクリーンアップしていただくように改善を望むわけであります。  そのように、十年間も細かいことばかり勉強してきたということによって一種のバランス感覚というのでしょうか、社会人としての常識を欠くタイプを採りがちだということは昔から言われておりまして、それだけに修習の内容を細かい技術的 な指導よりももっと社会常識のふえるように、涵養されるように、きざな言葉で言えばリーガルマインドということに尽きるのでありましょうけれども、そういうふうな制度に変えていかれる必要があるのではないかと私も二年間お世話になった経験からそういう実感を持っておりますが、最高裁並びに法務省としてはどのようにお考えがお伺いしたいと思います。

泉徳治最高裁判所人事局長

○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 実際に司法修習生を御経験の服部委員から司法研修所における教育について御批判をいただいたわけでございますけれども、御承知のように、我が国の大学教育が法律の基礎理論に重点を置かれておりまして、法律実務とは随分乖離がございます。司法研修所は二年間で法律実務家に必要な一定の技術を習得させるということを一番の目的にしております。そういう関係でどうしても基礎的な実務、技術的な問題あるいは手続的な問題に重点を置かざるを得ないわけでございます。  ただ、御指摘のように、法律家に必要なのは、法律とか判例とか学説とか、そういったものの単なる知識ではございません。一番大事なのは御指摘のようにリーガルマインドでございます。私どもは司法研修所におきまして、また実務修習庁におきまして実際の事件を教材といたしまして、これを修習生と先輩の法曹が討論し合うことによって論理的思考力、法律的な分析力、またその考えたところを表現する力、こういったものをつけさせるように目指しているところでございます。  私ども、かねがね若い者に対しましては、単に条文とか判例を覚えてそれをどういう解釈をとっているかということだけを覚えるのじゃなくて、どうしてそういう解釈が生まれてきたか、その背後にあるものを勉強すべきであるということを常に言っております。私どもは、そういう具体的な事件を素材にして、その背景までさかのぼってリーガルマインドをつけるような、こういうことに常々腐心をしているところでございます。今後もそういうふうに続けてまいりたいというふうに思います。

永井紀昭法務省大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(永井紀昭君) 委員仰せのとおり、現在、司法試験に合格する人の平均年齢が二十八歳というラインがずっと続いております。受験回数も六、七回というのが平均でございまして、在学生以外の合格者の中では無職の者が大多数を占めている、こういう現状がございます。  大学の先生の中には、司法試験に合格するには何年間もかかるということから、成績が優秀なといいますか、いい人材がどうも司法試験を敬遠してしまって企業、官庁等へ逃げてしまうという、こういう嘆きの声も聞かれるわけでございます。それで、こういった法曹に適格な方々にぜひ来ていただくというためには、やはり司法試験の改革もしなきゃならないだろうと思います。現在、先ほど来話が出ております法曹養成制度等改革協議会におきまして司法試験のあり方などについても検討しておりますし、またさらに司法研修所における研修の内容等についても検討している、こういう状況でございます。

服部三男雄自由民主党

○服部三男雄君 次に、下稲葉委員の補足になりますけれども、入管業務についてであります。これも一番厄介な弁護士会と余り関係ない話でございまして行政の話であります。  先ほどの大臣の御答弁をお聞きしまして、一生懸命やろうということで行政目的の第一に挙げておられるのは大いに歓迎するところでありますけれども、もう少し、どれだけの不法在留者があって、どういうふうに入ってきて、これに対処するには今までの経験からどれだけの人数が要るというある程度の長期的な見通しと基礎調査、それに基づく長期的対応策というものがないと、ただふえてきたから、ことしは大蔵省が認めてくれたから、あるいは国会が認めたから百人ふやすんだ、百八十人ふやすんだというのではなくて、不法滞留者のうちでどういうのが本当に日本の文化とか法というものを遵守するのか。  特に新宿・大久保とか、いろんなところで非常に問題が多い、ところも出ておるわけでありまして、こういうものに対応するにはどうしたらいいんだという長期的な見通しというものと、それに沿う人員の拡大という計画を立てることこそ本当の行政のやり方だろうと私は思うわけでありまして、それについての調査機関なり入管が本当にできるのかどうか、今やっているのかどうか。  それからもう一つ問題になるのは、アメリカから今要求されている日米建設協議問題があるわけです。要するに、日本の土木工事を開放しろと。これ実際アメリカが来たって日本ではできないんですよ、それだけの人もいないわけですから、アメリカでは雇えない。必ず韓国とか、あっちの方から入ってくる可能性が高くなる。そうすると、これは日本にどんどん入りますから単純労働者の問題に返ってくるわけです。こういった流れというものを考えて、どういうふうな長期計画を立てておられるのかということについて御答弁願いたいと思います。

塚田千裕法務省入国管理局長

○政府委員(塚田千裕君) 御指摘のとおり、出入国の審査、在留審査あるいは退去強制等々出入国管理に関する各分野で大変な行政需要が発生しております。  私どもは、長期計画と銘打った計画こそ持っておりませんけれども、長期的な視野でこれらの問題に対処していかなければならないということは肝に銘じております。したがいまして、そのような視点に立ちまして入管関係の職員の増員につきまして逐年増加を図ってきているわけでございます。  特に、平成五年度におきましては、関係当局の御理解を得て百八十二人という大幅な定員増が認められて管理体制が強化されたところでございますけれども、精いっぱい努力しまして、全体のみならず、積み上げと申しますか、個々の行政需要に応じた長期的な見通しでもってやってまいりたいと考えております。

糸久八重子日本社会党・護憲民主連合

○糸久八重子君 社会党の糸久でございます。  大臣、御就任おめでとうございます。民間から御起用ということもありまして、大変各方面からの期待が高まっておるところでございます。  私は、就任間もない八月に武道館で大臣にお目にかかりましてお話をする機会に恵まれました。とても気さくで誠実なお方とお見受けをいたしました。私は、法務行政は素人でございますけれども、法務行政というのは大変かたいイメージがあるわけですけれども、そういうかたいイメージの法務行政に一石を投じていただきたく期待を申し上げる次第でございます。  さて、法務行政に課せられました使命は法秩序の維持、これは歴代の法務大臣が挙げておりまして、三ケ月法務大臣もきょうのごあいさつの中にも述べられておるわけでございますけれども、新政権といたしましても法務行政の継続性、一体性は尊重されるものと思いますけれども、旧弊にとらわれない変革への期待も大変大きいものがあるわけでございます。  大臣として三カ月経過をしたわけでございますが、その三カ月の御所感、特に法務行政の最高責任者として留意していらっしゃる事柄も含めてお伺いをさせていただきます。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) なかなか信条にもわたるところがございましてお答えしにくい問題でございますが、法務大臣になりまして非常に痛感いたしておりますことは、非常に責任が重い職務であるということでございます。これまで私も法律に携わってまいりましたが、しょせんそれは学者として自分の意見を発表し、その意見を闘わせるということでございます。法務大臣という立場に立ちますと、自分の一言一句というふうなものがすぐに国政というふうなことに影響を及ぼすというふうな意味におきまして、非常に重いものを背負っておるという感じが第一でございます。  第二は、この国会でのいろいろな鋭い御質問というふうなことを拝聴いたしまして、やはり皆様の背後には有権者の方々の負託がある、そういうふうなもののバックとしての御発言であるということが非常に私のように民間人から大臣になりました者にとりましては心臓にきりきりと突き刺さ るような、そういうふうな感じを持ち、非常に傾聴に値する、我々が今まで法律論を闘わしていたのとは違うような感じを受けておるという二点がございます。  できますことならば、それがわずか三月の間でございますが、法務行政というそういうところに限りましても、私の専門の民事のところまではある程度の勘でもいけるわけでございますが、ほかにもいろいろな所管にわたりますところにつきましては、三月の間、非常に私は目下勉強させていただいておるというのが率直なところでございます。早く何とか一人前になって、先ほど申しましたように、そういうふうな責任の重大性と、それから国会でのこういう御質疑というものをいかに行政の中に生かしていくべきかということについて回答を見出していきたいということがこのわずかばかりの期間の感想でございます。

糸久八重子日本社会党・護憲民主連合

○糸久八重子君 政治改革が焦眉の急となっております。その原点は、何といいましてもきれいな政治、それからお金のかからない政治制度を確立することにあると思います。金と政治にまつわる不祥事は今までにたくさんありました。そのたびに政官財の癒着構造を断ち切ることが必要であるとしながらも、その構造に切り込むメスの切れ味はよくありませんでした。  金丸元副総裁の政治資金規正法違反の事件処理に関しましては、検察批判の声が大きく上がったことは記憶に新しいことでございます。最近のゼネコン汚職に対しまして、東京地検特捜部を初め検察の活躍には大変目覚ましいものがございます。事件の徹底解明こそ政治改革につながるものであり、また検察の威信回復にも大きく寄与するものであると思います。そして公平な捜査が速やかに進展することが望まれるところでございます。  大臣は、就任の記者会見で、検察の盾になるとの決意を披瀝なされました。また、先般の石原内閣官房副長官の捜査見通しに対する発言に対して不快感を示されたと報道されておるわけでございますが、その真意のほどとゼネコンの疑惑に対する大臣の認識、それから対応を含めてお聞かせいただきとう存じます。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) いわゆるゼネコンをめぐる贈収賄事件につきましては、検察当局におきまして、大手の会社の役員であるとか地方団体の首長等々を逮捕するなどして、法と証拠に基づき適正に対処していると私は考えておりますし、今後とも刑事事件として取り上げるべきものがあれば取り上げる、法と証拠に照らし、不偏不党の立場に立って厳正公平に対処していくものと考える次第でございます。  検察の盾となるというふうなことを申し上げました趣旨は、これはいささか私事にわたるかもしれませんけれども、ちょうど裁判官は言いわけせずという言葉がありますように、検察官もまたひとり独立の機関として、検察に対するいろいろな御批判というふうなものに対して言いわけができないような立場にある。そういうふうな場合に、やはり検察の頂点に立つ人間といたしましては、検察というものはこういうものなのだ、ここら辺まではできるがこれから先のところはできないものなのだ、法と証拠に基づき捜査、公判を維持する、こういうふうなところがあるのだということを、例えばこういう国会の場などでもって答弁を申し上げることを通じまして国民にそういうふうな検察の使命というふうなものを理解していただくよすがになればなという気持ちが背後にあったからでございます。  それ以上に、これ以上どうするというふうな形ではなしに、むしろ検察というもののあり方というものについて、今御質問のありましたようなことを聞かれまして、検察というふうなものは法と証拠に基づいて、そして公判を維持するということのために厳正公平かつ不偏不党の立場でやるものだということを事あるごとに繰り返し申し上げさせていただくということが私の真意でございました。  石原官房副長官の発言ということにつきまして新聞に報道されたわけでございますが、率直に申しまして、実は正式に石原官房副長官がそういうふうなことをお話しされたということは、私は承知いたしておりません。先日も官房副長官は、そういうふうなことはなかったんだというふうなことでございました。  私のあの発言と申しますのは、そういうふうなことを言ったという話だが、それに対して法務大臣はどう考えるかという、専ら新聞記者の発言に対してお答えしたものでございます。  したがいまして、これは単なる報道に対してどう考えるかということでございましたので、私は、先ほど来申しておりますように、検察当局はあくまでも法と証拠に基づき厳正的確に対応すべきものであるし現に対応しておる、ましていわんや現在の事件に対してはそうであるというかたい信念を持っておりますので、そんなばかなことはないだろうという非常に怖い顔で私はしゃべったのではないだろうか。余り私が怖い顔をしてそういうことをしゃべったものでございますから、新聞記者の方では、あれは不快感を表明したのだというふうに受け取ったのかなと。  ある新聞によりますと、法相怒ると書いた新聞もございますが、私としましては別にあんなところで、怒っているというよりもむしろ、そんなことは言うけれども私はこういうことを信じておるんだよということをちょっといつもよりは怖い顔でしゃべったというのが真相だと御承知いただければと存じます。

糸久八重子日本社会党・護憲民主連合

○糸久八重子君 百二十六国会での商法の改正案の審議の際に、企業の使途不明金が政治腐敗につながっているということから、その根絶の必要性が論議をされました。商法上は使途不明金というものはないというだけでなくて、使途不明金が政治腐敗のさまざまな温床になっていることから見ましても、この根絶のための総合的な対策を検討すべきであると思うわけでございます。  百二十六国会では、「企業の社会的責任の重要性にかんがみ、会計帳簿の不実記載等を防止するための所要の措置について検討すること。」という決議が上げられておるわけでございますけれども、使途不明金根絶のための方策について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 御指摘のとおり、実は使途不明金という概念は商法上は認められていないものでございますが、これに対して不正な経理を行うということは商法の禁止するところであって、一定の要件のもとに取締役等は会社に対して損害賠償の責任を負わなければなりませんし、また特別背任罪等の刑事制裁を受けるものとされておるなど、現行法でも既に必要な規制がなされておるところでございます。  御指摘のように、非常にこの使途不明金の問題というふうなものが浮上してまいりまして確かに事態も新しい展開を見せておりますので、果たして商法上こういうものの規制に親しむものなのかどうなのか、これはやはりもう少し私どもとしても検討させていただきたい、こう思っております。

糸久八重子日本社会党・護憲民主連合

○糸久八重子君 十月四日の衆議院の予算委員会で、ゼネコンをめぐる贈収賄事件について、国会の要請があれば中間報告に協力する旨の答弁をなされていらっしゃいます。  このことの再確認を含めまして、国会の国政調査権と検察行政のあり方について大臣の御所見をいただきたいと思いますが、あわせて指揮権についての御認識も伺っておきたいと存じます。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 中間報告の件でございますね。——これは、この間お答えいたしましたように、国会から中間報告を行うようにとの御要請があれば、その時点において法令に照らして御協力できる範囲や内容について検討することはやぶさかではございません。ただ、本件につきましては東京地検による捜査が続けられているところでありますので、その点を踏まえながら対処していきたいということでございます。  それから、指揮権の問題ということは、具体的に申しますとどういうことをお答えしたらよろし いのか、非常に大きな問題でございますが。

糸久八重子日本社会党・護憲民主連合

○糸久八重子君 国会の国政調査権と検察行政のあり方。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 検察権の行使、これはもう行政権の行使の一部を構成するものでございますから国政調査権の対象となるものでございます。  しかしながら、これには特性がございまして、司法権と密接な関連を持ち、ある意味で準司法的な性格を持つ機関によって行使されるものでありまして、司法が公正に行われますためにはその前提をなす検察権が適正に行使される必要があるというふうな、そういう特異性を持っているものと私は理解しておるわけでございます。  したがいまして、国政調査権の行使については、法務、検察がこれに協力すべきは当然でございますが、三権分立、特に司法権の独立等の憲法上の要請やこれに由来する法令上の制約があることから、おのずから法の許容する範囲を超えて協力することができない面もあり得るかということも御理解いただきたいと存ずるわけでございます。

糸久八重子日本社会党・護憲民主連合

○糸久八重子君 大臣は学識経験者として長らく法制審議会で重要な役職、職責を経てこられたわけでございますが、法務省所管の法律は基本法とか原則法が主体ですから拙速な法改正には慎重でなければなりません。その意味で法制審で十分検討することは有意義なことだと思いますけれども、国会こそが立法機関、そして法制審の追認機関的なものではないということも確認をしておきたいと思うところでございます。  残された時間が少なくなりましたけれども、法制審の身分法小委員会で例えば非嫡出子の問題とか夫婦別姓の問題とか報告が出ているわけですが、結論が十二月ごろ出るというようなお話もお伺いをしております。  そこで、非嫡出子の問題ではジュネーブで開催中の国連規約人権委員会で非嫡出子差別の日本の法律制度が最大の焦点になったということを聞いておりまして、日本政府に早急な法改正を要請したと報道されておるわけでございます。六月には非嫡出子の相続差別は違憲であるという判決も出ているわけですが、この非嫡出子問題を初め夫婦別姓等早急な法改正が必要であると思いますけれども、大臣としてどういうお考えをお持ちでしょうか。

濱崎恭生法務省民事局長

○政府委員(濱崎恭生君) まず事務当局からお答えさせていただきますが、今、委員御質問の中で御指摘いただいた点で若干申し上げさせていただきますと、現在、法制審議会の身分法小委員会では、婚姻・離婚法制について見直すべき点があるかないかということを審議の対象にしておりまして、相続の問題は現在の直接の審議の対象になっておらないわけでございます。  それから、この小委員会の検討でことしじゆうに試案的なものが出るというような御指摘がございましたが、民事訴訟法の方はことしじゅうに試案をつくるということで審議が進められておりますが、身分法小委員会の方はいま少し時間がかかるという状況にございますので、よろしく御承知おき願いたいと思います。  それから、御質問の点でございますが、御指摘のとおり、先般、十月二十七日にジュネーブで人権B規約に基づく第三回の政府報告書についての審査が行われて、そこでもいろいろこの嫡出子・非嫡出子の相続分の問題について委員の中から人権規約に違反するのではないかというような指摘があったという報告を受けております。  ただ、この人権規約の問題につきましては、人権規約制定当時のいろんな議論に照らしまして、嫡出子・非嫡出子間の相続分の区別というものはこの人権規約に抵触するものではないという解釈のもとに我が国はこの条約に加入したという経緯がございます。  また、我が国の憲法問題につきましても、委員御指摘のとおり、ことしの六月の東京高裁の決定で憲法十四条に違反するという趣旨の判断があったわけでございます。他方、その前の平成三年の三月に同じ東京高裁で憲法には違反しないという決定があり、それについては現在最高裁に係属中ということでございます。  法務省といたしましては、この人権B規約の関係におきましても、あるいは我が国の憲法の問題といたしましても、この相続分の区分の規定は、委員御案内のとおり、正当な婚姻関係、それによって生ずる家族を保護するということを目的とする区別であって、一つの合理性を持った制度であって人権規約あるいは憲法に違反するものではないという考え方を持っております。規約人権委員会におきましてもその旨を鋭意説明して委員の理解を求める努力をしたところでございます。  ただ、民法の規定につきましては、委員の御指摘等も含めまして従来からいろいろ御議論があることは承知しているところでございまして、立法政策の問題として今後どうするかということは慎重に検討しなければならない。ただ、この制度は我が国の国民の価値観あるいは国民感情といったものを踏まえた伝統の中で定着してきた制度でございますので、そういった国民の意識、感情といったものの動向を見ながら慎重に考えてまいらなければならない問題であるというふうに認識しているところでございます。

糸久八重子日本社会党・護憲民主連合

○糸久八重子君 ありがとうございました。

深田肇日本社会党・護憲民主連合

○深田肇君 時間が大変短うございますから、率直に一、二のことを御質問申し上げながらお願いをいたしたいと思います。  実は先ほど来から自民党や社会党の先輩議員の方々の大臣とのやりとりを拝聴しておりまして、率直に申し上げますけれども、人間性が大変豊かでいらっしゃると思いますし、同時にまた正義感に基づいての誠実さもあふれているように思います。いい大臣を迎えることができたなと思いましたことを率直に申し上げて、敬意を表しておきたいと存じます。  実は、きょう私の方から一、二お話をしながら御意見を賜りたいことは、今、千葉の刑務所で服役中の埼玉県の石川一雄さんの仮釈放や仮出獄、そしてまた再審請求について、大臣、そして矯正局長等々に御質問しながらお願いをしておきたいと思う次第でございます。  そのお話に入る前に、実は昨日、報道で知ったのでありますが、吉田勇さんが再審決定をから得たことを知って、長い間吉田さん御苦労であったなと思いながら、裁判所の方もよく決断をしてもらったと心から他人事ではない気持ちでうれしく思っています。何とか一日も早く完全に名誉が回復されることを念じながら、吉田さんに伝わるならば心からお祝いを申し上げておきたいと思っておる次第でございます。  そこで、石川一雄さんの問題に戻りますが、もう何回かごの委員会でもお話しさせてもらっているところでありますけれども、簡単にもう一度一つ、二つ、経過だけ申し上げておきたいと存じます。  と申しますのは、一九六三年、今から三十年前でありますが、別件逮捕で石川一雄さんが逮捕されて以来、数えてみればもう三十年間獄中の生活をしているというのが大変私たちにとっては気の毒だし、何とかしてあげなければいかぬなという気持ちがあることを率直に申し上げておきたいと存じます。同時にまた、最高裁で無期の確定をされたのが一九七七年ですから、それからももう十六年間たっているというのがこれまた事実でございます。そうなりますと、石川さんは二十四歳で逮捕されて現在五十四歳で、最近も面会をしてまいりましたけれども、御本人は元気のようでありますけれども年はとったなと、若いときの写真に比べますと年をとったなというふうに率直に思っているところでございます。石川さんのお兄さんや御家族のお話を伺いますと、お父さん、お母さんも亡くなって、大変年月のだったことを実感しているところでございます。  もう一つ申し上げておきたいことは、この三十年間の間の未決の勾留日数が十一年八カ月、大変これは長いことだと思います。そのことを今御返事いただこうというわけじゃありませんが、事実 経過としてもう一度しっかり申し上げた上で、きょうは新しい矯正局長の松田さんの顔も見えますし、保護局長もわざわざお出かけのようでありがたいことと思いますが、どうなんでしょうか、率直に伺います。  先般も局長のところには直接私どもの党の副委員長大出さんのお供をいたしましてお願いにも上がりました。その足でまた他の同僚議員と一緒になりまして千葉刑務所の方に参りまして荒井所長ともお会いをしてお話をしてまいりましたが、石川さんの現況はどういうことなんでしょうか。ひとつお話を伺いながら、率直に申しますけれども、問題点はもうないんだろうと思いますので、いかがなものでしょうか、そこらあたりもお聞かせいただければありがたいと存じます。  ここでお答えいただけるものではないかと思いますけれども、仮釈放に関しての所長からの上申はまだないのかもしれませんけれども、あるかもしれませんし、同時に環境はどの程度よくなりつつあるのかについても一言お話をいただければありがたいと思っているところでございますが、いかがでありましょう。

松田昇法務省矯正局長

○政府委員(松田昇君) 委員御案内のとおりでございますが、本人は、昭和五十二年の九月以降、刑の執行ということで千葉刑務所で服役中でございます。  現在の処遇の状況でございますけれども、昼間は施設内の洗濯工場で洗濯夫などとして就業いたしております。夜間は個室におきまして読書等を行っておりまして、規則正しい生活を持続しております。現時点では処遇上特段の問題は生じていない、このように承知をいたしております。

深田肇日本社会党・護憲民主連合

○深田肇君 そこはあれだろうと思いますから、それはもう結構です。  そこで、大臣、それから法務委員長を初めとして先輩議員の皆さん方に、石川さんに対する私の言葉から申し上げますと支援をしている国民の側の今日的状況を簡単に御報告申し上げまして、御理解いただきながらいろんな意味でのお力添えを賜りたいと思っている次第でございます。  そのことを箇条書きに申し上げますと、十月二十九日、これは七四年の十月三十一日に無期の判決が出たものですから毎年三十一日を目途にしまして、土曜、日曜が入りますと二十九日のような日にやるのでありますが、全国から毎年支援集会といいますか激励集会をやるんです。もちろん、スローガンは再審を早く開始せよとか仮釈放、仮出獄を求めようとか、たくさんありますが、いろんなことで思いを持った方々が今度も日比谷の集会場には一万人の方が集まったということをひとつ大臣及び局長、しっかり御記憶をいただきたいと存じます。余り新聞載らないですね。  同時にまた、その前の十月の十九日に、名古屋で部落解放研究と同じテーマで石川さんを激励しようという集会で、これまた私も行ってまいりましたが、一万四千人集まったんですね。それで、大変な熱気の中で石川さんに対する激励を送ろうということもあるわけでありまして、率直に申し上げますが、人権国家であるとか民主的憲法を持っている国家であるとかということを前提としていろんな意見があることも踏まえますが、今申し上げたいことは大変関心が高まっているということで一、二の例を挙げているわけでございます。  その次に、私は埼玉県選出でありますからちょっと具体的に申し上げますが、埼玉県ではこういうふうな陪審の劇を素人がつくりまして、「狭山事件」というのをつくりまして埼玉の市町村で上演するんです。もちろん素人がやるわけでありますけれども、いろんな議事録を持ってきまして一応やるわけです。陪審員はそこに集まる、集会の会場でありますが、市民が陪審員だということでやるのでありますが、そういうことを市町村中心でやっております。  時間がありません。簡単に申し上げますけれども、これを上演するための実行委員会というのをつくりまして、責任者は御存じの丸木美術館の館長をやっておられます画家の丸木位里先生と優先生のお二方。九十歳のお年でもございますから夜は出かけるのが大変でございますので、私の方が代理を務めまして同じ会場に参りまして趣旨説明をしたのでありますが、もう本当に会場は駆け引き抜きで満杯でした。こんなに人が集まるのかと思うほど皆さんが関心を持って集まってこられる。二時間やって、後でお話を伺いますと、こういうことがまだこの埼玉の中で残っていたのか、こんなことがまだ日本に残っていたのか、三十年もですか、石川さんも大変ですね、御家族も大変ですね、こういうふうにおっしゃるんですね。この中の主役俳優としてお兄さんの石川六造さんが出られまして、証人喚問で証人のところで証言をするというような場面もありました。大変な関心が高まっているということを申し上げるためにこのことを例に挙げたのでありますが、そういう状況にあることもひとつぜひ御理解の中に入れてもらえればありがたいというふうに思います。  もう時間がありませんからこれで終わらざるを得ないのでありますが、私たちが関心を持っているのは、再審請求というのは当然本人や弁護士の方々にやっていただくのでございますが、もう七年前にやっているんですね。再審を開始してもらいたいということを七年前にやって、今日まで全く動きがない。今お話し申し上げたように、昨日は吉田さんの再審開始が決まったということでございますから何とか、これ法務大臣がどうこうできるものでないことも承知の上で伺うんですが、ちょっとそれにしても七年間ほっておかれるというのは気の毒なんじゃないかというふうに率直に思います。  同時にまた、事実調べというのがないんです。ぜひ事実調べをしてもらいたいというふうに思います。例えば、大臣御存じの法律専門家の学者の先生方がこぞって、北海道から九州までの先生方が事実調べをしたらどうかという要請書を裁判所の方にどんどん出している、署名もどんどん行っているという状況もあります。  同時にまた、一般市民から、もうとにかく再審をやったらどうですか、事実調べをやったらどうですかというはがきが六百万。これはずばり言いますが、社会党の歴史でも驚くほどのことなんです、六百万のはがき。いや、書かせたんじゃないかとおっしゃるのは別にして、六百万のはがきが集まったことは事実でありまして、これは本当に私にとっても驚きでありますし、それだけ関心が高まっているんだということを御報告申し上げておきたい。  同時にまた、狭山の、埼玉の奥でありますが、そこの現地に行ってかもいのところを見ようとか、万年筆があった、なかった、いろんなことがありますからそこを見ようではないかという、現地視察をやろうというのが十万人、十万人も来ておるんですよ。これも数多いんですね、そういう状況。もちろん自費で来られるんです。そういうことも考え合わせていただきまして、何とか御配慮をいただけるような環境づくりができないものかなということをぜひこの際、大臣に直訴する機会はこの場所であるということでお話をしている次第でございます。  その後の弁護団の話を伺う限りにおきましては大変自信があふれておりまして、筆跡鑑定についても新しいものを出した、証拠品としての万年筆のあった、なかったについてある程度のものを出した、それから自白したときの経過について、十年間で出してやるよと言ったことによって石川さんが大変動揺したという事実についての証言もあるし、石川さんもそのことを裁判でしゃべりたいと言っているようなこととか、もう弁護士が出すものは全部出しているようでありますから、一日も早く再審が開始できますようにお願いをいたしたいものだと。  もう時間だと隣からお話があります。これで終わります、ところが、最後に一つだけ聞いてください、もうお答えは一分しか、三十秒しかもらえないことでございましょうが。  私の手元に石川一雄さんから手紙が来るんです。同時にこれは全体にも発表されているもので あります。その長い手紙の中の最後に本人が、勉強もしてなかったあの人がよく三十年間、中で勉強したんだと思いますが、字も書けるようになりました。歌を詠むことができるようになりまして、歌を書いてきたんです。「終止符打ちだし獄に三十年 明日の社会へ満を持す」。もう一遍言います。「終止符打ちだし獄に三十年 明日の社会へ満を持す」。これを読んだときに、彼の気持ちが正直にあらわれているなと。これを全国民によく理解してもらって、もちろん法務大臣にしっかり御理解いただいてお力添えを賜りたいものだということを申し上げた上で、できれば御感想なり御所見なりいただければありがたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) まことに胸の痛む御報告をいただきまして、そういう情報を集められまして私どもにお教えいただきましたそのことにつきまして、心から敬意を表する次第でございます。  法律論になりますと、再審のあり方というふうなことになりますとこれは裁判所の問題でございまして、司法権と行政権という一つの溝がございます。その点はひとつ御理解いただきまして、私といたしましては、一人の人間といたしまして、お話のほど本当によく拝聴させていただいたということでございます。

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      ————◇—————    午後一時一分開会

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

常松克安公明党・国民会議

○常松克安君 与えられました十分の質疑時間でございまするがゆえに、端的に法務大臣の基本姿勢についてお伺いさせていただきたいと存じます。  何はともあれ、先刻大臣から、法秩序の維持と国民の権利の保全のために全力を尽くしたい、こういうふうな御所見を賜りまして、まことに心強く思うものであります。大臣は、民間から閣僚に就任され、法曹界の大家として今日までいろいろ法行政にも貢献をなさいました。そういうふうな世界から行政という立場で、非常に異質な世界の中で今後いろいろ御苦労があろうかと存じますが、何分とも御尽力のほどよろしくお願いを申し上げておきます。  まず第一番目には、ごあいさつ文の中で法改正あるいはまた制度改正というものに対していろいろな角度からお述べになっていらっしゃいますが、この件についての大臣の基本姿勢の取り組みについてお伺いいたします。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 午前中お答えいたしたことと多少重なる面がございますが、法務行政の遂行に当たりましては、私は、民間から選ばれましたということを常に忘れることなしに、国民的見地を踏まえながら、また同時に、非常に激しく時代が動いておりますので、時代に即応したスピードアップということも必要かと思いますので、そういうふうな体制を維持しながら、できるだけ法整備の実現、法改正の実現、各分野にわたって方策を講じてまいりたいと考えているところでございます。  御指摘のように、何分まだ素人でございますので、いろいろうろうろするところはございますけれども、精いっぱい勉強いたしまして、今後とも法務行政をめぐる諸課題に全力を挙げて与えられた重責を果たしたいと重ねて申し上げたいと存じます。

常松克安公明党・国民会議

○常松克安君 常日ごろ、私は諸行政の中にありまして三つの点を深く感じております。  まず一つは、非常に最近情報公開あるいは情報というものが国民の皆様に行き渡り、こだわりを持つ時代に入ってきたのではないだろうか。なぜなんだろう、なぜなんだろう、なぜだ、なぜこんなことになっているんだろう、素朴な、法に携わる以外の方々の立場においても、そういうふうな時代の変化と申しますか、感覚と申しますか、これが一つでございます。  それから第二番目には、スピード化を非常に国民の皆さんが求めていらっしゃる。なぜ審議会審議会審議会、検討検討とおっしゃるのか。十五ラウンドで終わりのはずが三十も五十ラウンドもかけて、まだでき得ない。一体どういうことなんだろうか。ある一面では、この場所にふさわしくないかもしれませんが、二年三年かけてできるものが五年十年かかれば国民にとってはこれは増税じゃないか、二年三年で上がるようなものが一年で上がれば減税じゃないかというふうな視点をもっておっしゃった方もいらっしゃいます。  確かに私たちは四六時中、息を吸うこと以外は法に定むるところというのがほとんどの我々の生活、そのときに当たらねば我々はその法の庇護を受けられない、あるいは権利闘争ができ得ないとかいろいろございましょうけれども、スピード化時代ということになってまいりますと、非常にここにおきますところの大臣のお立場。過去において三代目の民間より選出された大臣かと聞きます。世間では三代にして物成就という言葉がございます。そういたしますならば、過去の大臣の選出された時代背景、非常に混乱した、非常に重大案件を抱えた、だれもが処理でき得なかったものをそのときに政府がその人に託したものは、法解釈の論理や理屈じゃなくして、政治判断、政治決断、こういうものを求め、その実績というものが今脈々と法体系の中に生かされている一面これあり、このようにも伺っております。  そうしますと、このスピード化時代というものをどうかひとつ、大臣の善言葉の中におきましても累々とした決断、決意がございますが、このところの心得というものをまた一段と政治決断というものの大家としての御決裁があるべきときではなかろうか、このように思っております。  第三番目に、よく言われるのでありますが、国民と法務省なのか、国民の法務省なのか。少なくとも庶民が求めておりますのは国民の法務省、こういうふうな視点というものが、声が一日一日といろいろな法体系、いろいろな制度の中で要求度というものが非常に大きくなってきております。国の制度自体が変革を求めておる。いろんな改革、改革と言われますが、私はその中でも一番国民生活の安定に寄与するためにこの国民の法務省というふうにひとつお育て願いたい、こういうふうな観点を持っておるようなことであります。  つまるところ、三番目といたしましては、だれのための鐘が鳴る、だれがために鐘を鳴らす。やはり私は、国民のための法務省という感覚は営々と先輩の先生方によって築き上げられてきましたが、今の新しい価値観あるいは国際化、いろいろに対応するには少しぎくしゃくとして対応が後手後手に回った面があちらこちらに目移りするのではなかろうか、こういうふうな感じを持っております。  ひとつ法務大臣として、私もまじめに真摯に勉強してまいりますがゆえに、どうか御指導賜らんことをお願いし、最後の御所感を求めて質問を終わりたいと思います。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 午前中の御質問をやはり激励として受けとめさせていただいた点が多々あるのでございますが、ただいまの御発言は全く素人の私に対する激励として受け取らせていただきます。  第一のスピードの問題でございますが、全く私も同感でございます。私、実はこの職につきます前に民事訴訟法の改正の責任者になっておりますことは先ほども申し上げたわけでございますが、これはだらだらとやっていたら百年河清を待つに等しい、これはもうどんなことがあったって二足の納期を設定してしなければならないということを私自身申しまして、そうしてその任期中はメンバーの交代を控えていただきたいということを申しまして動き出しまして既に三年目でございまし て、予定どおりのスピードで民事訴訟法の改正作業なども進んでおるわけでございます。それで、民訴の改正という自分の専門領域以外の点につきましても、今の激しい時代の流れにおきましてはスピードということが大事であるということは肝に銘じて法務行政の処理に当たってまいりたいと存じます。  それから、国民の法務省でなければならない。私、戒心しておりますことは、常に自分に問い続けておりますことは、自分のやっていることが果たして国民と法というものを近づけるに役に立っておるんだろうかどうだろうかということをこの就任以来日夜考え続けておるというのが実際でございまして、御指摘のとおり、もはや国民基盤に立った法務行政というふうなことにつき、民間大臣として何がしかの、たとえ小さなことでありましてもそういうことができますればと思って今後も努力してまいりたいと存じます。  それから、第三の問題は何でございますか。

常松克安公明党・国民会議

○常松克安君 もう十分でございます。終わります。

平野貞夫参議院新生党

○平野貞夫君 新生党の平野でございます。  御承知のように、細川連立内閣が誕生しまして政権が交代しまして、そして三ケ月法務大臣が起用されて御就任いただいたわけでございますが、連立政権というのは、国民からの期待と同時に不安感も率直に言ってあると思います。その中で、三ケ月大臣の御就任によって、政権の安定といいますか、あるいは国民の政治に対する安心というのがかなり大きなおもしになっているんではないかと私は感じているところでございます。  実は御就任の翌日、私がねてから御指導を受けております政治学の京極純一先生から電話がありまして、日本の議会政治もまんざらではないというお褒めを、私たち連立政権をつくった方でございますからそういうお言葉をいただいたんです。いろいろ世間から期待される分波風も高いと思いますが、どうかひとつ、民間から起用されたという言葉は余りいい言葉じゃございませんで、国民から出た大臣ということでひとつ頑張っていただきたいと思います。  時間が限られておりますので、総論、書生論で大臣に一点、それから各論で事務当局に一点お尋ねしたいと思います。  きょう大臣から御就任のごあいさつをお聞きしたんですが、おやっと思ったことが一つございます。ごあいさつの中に「法秩序の維持と国民の権利の保全」という言葉が入っていたことでございます。おや、法務大臣があいさつにこういう用語を使うのは随分世の中変わったのかな、こう思って実はちょっと前の法務大臣のごあいさつを調べましたところ、後藤田法務大臣のころからこの言葉が使われておるようでございます。その前の大臣のときには、これはあいさつじゃございませんが、所信なんですが、「治安の確保及び法秩序の維持」、そして「人権擁護行政」、こういう分類をしておるんですね。これは平成四年の二月でございますので、一年たって後藤田大臣のときにこのような用語に、法務省自身がかなりお変わりになったと私は感ずるんですが、その分国民も非常に期待をして、また安心をしたんじゃなかったかと思っておるわけでございます。  そこで、法秩序の維持と国民の権利の保全というのは、書生論で申しますと、人間が社会を形成する限り秩序は要る、同時に人間は本能として自由を追求する、こういう一つは矛盾したものの調整ではないかと思うんです。法務行政というのはそういう意味で人間の根本のあり方にかかわる重要な行政ではないかと思いますが、そういう観点から法務行政に臨む大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 大変乱、傾聴に値する御指摘をいただきまして、それほど法秩序の維持と国民の権利の保護というものが新しいものであるのかなと。私などは大学でそういうことを教えておりましたものでございますから、これは車の両輪であると当然のことを申し上げたつもりでおるわけでございますが、改めてそういう御指摘を受けますと身も引き締まるような思いで、国民の権利の保護というふうなことと法秩序の維持というふうなことがいかに大事なことであるかということを考えさせられる次第でございます。  今御指摘のございましたように、確かに、民間出身であるかどうかというふうなことではなしに、さらにはまた議員であるかどうかということでなしに、およそそういう職務に携わる者といたしましては、その出身いかんということで差異はなく、今申し上げましたような法務行政というふうなものの真の使命というものを常に追い求めながらやっていかなければならない、私としてはそういうふうなつもりで、もう一度申し上げたいと思いますが、なかなかなれない仕事ではございますが、精いっぱい勉強いたしまして、御指摘の点を全力で果たしてまいりたいと存じます。  初めのお言葉はいささか私にとりましての褒め過ぎのお言葉と私は拝聴いたしまして、むしろこれは激励のお言葉というふうに受けとめさせていただき、私は御指摘のほど仕事をしたわけでもございません。ただ、過去の蓄積の全力を挙げまして御期待に沿いたいな、こういうふうなことを申し上げてお答えにかえさせていただきます。

平野貞夫参議院新生党

○平野貞夫君 細川連立政権というのは軟構造でございます。史上最強の野党を擁しております。しかし、午前中の下稲葉先生の御発言どおり、協力するにやぶさかでないという、特に法務行政にはそういう温かいお言葉をいただいておりますので、私たちも一生懸命頑張っていきたいと思います。  大臣のごあいさつの中にもございましたのですが、法務行政の中の規制緩和、特に象徴的なものは国際的な問題で外国弁護士問題というのがあると思います。  そこで、永井部長にお尋ねし。たいと思います。  このことも随分懸案問題だったのでございますが、昨年九月に法務省と日弁連の共同によりまして外国弁護士問題研究会が設けられて、その問題について精力的に皆さん研究され調査され、そしてことしの九月でございましたか、報告書を取りまとめられ、それが法務大臣、それから日弁連会長に提出されたと聞いております。  今までアメリカ政府及びECから出されていました外国法事務弁護士の活動に関する規制緩和の要望の中で、共同経営の問題だとか雇用の問題、こういったものが最も重要な問題だ、そういうふうに承知しておるんですが、この点について報告書はどういうふうな内容、要点なのか、簡単に。

永井紀昭法務省大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(永井紀昭君) ただいま委員仰せのとおり、外国弁護士問題研究会は、九月三十日に報告書を取りまとめまして、法務大臣と日弁連会長に提出いたしました。  その中で、共同事業と雇用の問題につきましては次のとおりの提言がされております。現行法を改正して外国法事務弁護士と我が国の弁護士が共同事業を営むことができるものとし、共同事業の方式としては、多様な形態を選択することができるような新しい制度を設けることを提言する。しかし、外国法事務弁護士が弁護士の日本法に関する法律事務の処理に介入することを防止するため、日弁連による監督を維持し、弁護士の職務の独立性を確保する方策を講ずる必要がある、このように提言しております。  この点は、現在のいわゆる外弁法が日本の弁護士と外国法事務弁護士とが一緒に仕事をしてはいけない、一緒にといいますか、一つの事務所で利益や報酬を分け合うような形で仕事をしてはいけないという規制があるものですから、これについては改めるべきであるという提言を行っております。  一方、雇用につきましては次のように提言しております。外国法事務弁護士が単独で弁護士を雇用することは、引き続きこれを禁止することが相当である。しかし、弁護士と外国法事務弁護士との共同事務所においては、弁護士を雇用することが認めもれるよう制度を改正することを提言すると言っております。  これは、現在、外国法事務弁護士が単独で日本 の弁護士を雇用するということを禁じております。外国法事務弁護士が自分の取り扱えない日本法に関する法律事務を日本の弁護士を使ってやらせて利益を取得するという、そういうことはやってはいけないということで、これについては研究会の報告書も引き続き禁止してよろしい、しかし共同事務所を今度は設けることができるならば、そこにおいては日本の弁護士さんを雇ってよろしい、こういうような趣旨の提言でございます。

平野貞夫参議院新生党

○平野貞夫君 午前中の御質疑の中にもありましたのですが、日弁連という組織の性格の問題もあると思いますが、この報告書が提出された後の法務当局あるいは日弁連、対立があるとは思いませんが、多少ニュアンスの産みたいなものはあるやに聞いております。今後この二点の問題について、どういうふうな検討状況になるのか、法務省としてどのようなお考えなのかお教えいただきたいと思います。

永井紀昭法務省大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(永井紀昭君) 外国弁護士問題研究会から報告書の提出がありまして、その後日弁連では、現在外国法事務弁護士に関する委員会というものを設けておられますが、ここにおける委員会での検討、あるいは理事会などでも共同事業を中心としてこの報告書の提言内容を具体化しようということで鋭意検討を行っていらっしゃるということでございます。  それで、私ども法務省といたしましても、日弁連の自主性を尊重いたしまして、日弁連と緊密に協議を現在も重ねているところでございまして、この研究会の報告書に書かれました研究成果を踏まえまして、共同事業を中心として外国弁護士受け入れ制度の改善を行うという観点から現在鋭意検討を行っているところでございます。日弁連の方では、例えばきようも現実にいろんな会員集会を開きまして、特別会員である外国法事務弁護士も含めて協議を行っていると聞いております。  法務省といたしましても、これからも日弁連と緊密に協議を行って速やかに政策決定を行いまして、日弁連の提案されます趣旨を十分勘案して立案作業に取りかかりたい、かように思っているところでございます。

平野貞夫参議院新生党

○平野貞夫君 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後に、繰り返しますが、連立与党の大臣というより国民の大臣でございます。我々も大臣が適正な法務行政が遂行できますように力いっぱい協力したいと思います。どうかひとつ頑張っていただきたいと思います。  終わります。

紀平悌子各派に属しない議員

○紀平悌子君 午前中、三ケ月法務大臣及び佐々木法務政務次官、そして金谷最高裁判所事務総長の御就任のごあいさつを御懇篤にいただきましたこと、まことにありがとうございました。いろいろ申し上げたいこと、それから、特に法務大臣には非常に国事多難な際に御重責をお担いになりますこと、これから大変御苦労さまに存じますと一言だけ申し上げて始めさせていただきます。  きょうは時間もございませんので問題を絞らせていただきまして、脳死についてお伺いをしたいと思います。  昨今、臓器移植技術が目覚ましい進歩をしております。医学の現場における死の概念、定義、それと刑法上の死というものとの食い違いが出てきているように素人ながら思われます。具体的には心拍停止前の脳幹の不可逆的な機能の停止、つまり、脳死の状態をどう考えていくかということでございます。  そこで、去る十月二十二日、九州大学第二外科で肝臓移植が行われました際に、摘出は心臓の停止後でしたけれども、肝機能を維持するため、心停止以前に肝臓の機能を良好に保つ保存液を患者の血中に注入したという報道が一部ございました。この件につき、脳死に関連して以下質問を二、三させていただきたいと思います。  法務省、厚生省に順次お伺いしたいわけでございますが、まず、仮に心停止前に保存液を血中に注入することについて、これが心臓停止への影響があるのか、今度の場合の実態と法的な解釈について関係当局の御認識と御対応をお伺いしたいと思います。  大変難しい問題で短い時間でいただくのは無理でございますが、なるべく簡単に、私にもわかるようにお願いいたします。

岩尾總一郎厚生省保健医療局疾病対策課長

○説明員(岩尾總一郎君) 今回の大阪での肝臓摘出に関しては、担当の救急医師は、実際には心停止後に保存液、灌流液が肝臓の血管系に流入し始めたと記者会見で説明しております。  一般論として申し上げますと、冷却保存液を心臓の拍動中に肝臓の動脈や門脈に注入した場合、成分中のカリウムが高く、また温度も低いために、通常は速やかに心停止を生じることとなります。

紀平悌子各派に属しない議員

○紀平悌子君 続けて法務省に。

濱邦久法務省刑事局長

○政府委員(濱邦久君) 今、委員が御指摘になられましたような報道がなされたことはもちろん承知しておるわけでございますけれども、この件に関する事実関係の詳細は私ども必ずしも把握していないわけでございます。また、具体的事案に関する事柄でもございますので、厚生省御当局からお答えされた以上のことを私どもの方からはちょっとお答えはいたしかねるわけでございます。

紀平悌子各派に属しない議員

○紀平悌子君 今回の手術におきまして、脳死後で心停止前の患者に対して保存液を注入することは、あくまで移植のためであって、これは治療のためではないということでございます。これは脳死を迎えた人間の尊厳への配慮をいささか欠くものではないかというふうに私も思いますし、その説もございますけれども、今後の脳死立法の研究とあわせ、今後具体的に脳死移植についてどう対応していかれるのか、心停止前の保存液注入をどう考えるのかお伺いをしたいと思います。法務省、お願いいたします。

濱邦久法務省刑事局長

○政府委員(濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、今、委員が御指摘になっておられます具体的事案に立ち入ったお答えは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  ただ、一般論としてどういうふうに考えているかということにつきまして、私どもの考え方をお答え申し上げたいと思うわけでございます。  一般的に脳死体からの臓器移植におきまして、医師の判断いかんによって不当な行為が行われるのではないかという危惧と申しますか、そういう御趣旨での御質問ではなかろうかと思うわけでございます。  あくまで一般論として申し上げるわけでございますが、脳死状態にも至っていない者から臓器を摘出すれば、これは被摘出者に対する関係で殺人罪等の犯罪の成立が考えられるわけでございます。また、およそ医療行為として不必要あるいは不適切であるのに摘出に係る臓器を移植いたしますれば、被移植者に対する関係で傷害罪等の犯罪の成立が考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、脳死状態に至っているかどうか、また臓器移植が医療行為として必要適切なものであるかどうかということは、これは個々の事案において判断されるべき事柄であるというふうに考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、脳死判定あるいは臓器移植の必要性等についての判断につきましては、これは委員が御指摘の御趣旨だと思いますが、適正に行われるべきであることはもちろん当然でございまして、これを担保するための基準や手続のあり方につきましては医学的知見等に基づきまして各方面で検討されているものと承知しているわけでございます。

紀平悌子各派に属しない議員

○紀平悌子君 これは文部省にお聞きするんですけれども、大臣にもぜひお説を承りたいと思いますので、時間も切迫しておりますので続けて伺います。  去る一月の十三日だったと思いますが、山形県新庄市十日町の市立明倫中学校の体育館の用具置き場で発生しました児玉有平君の死というのをまだ私どもは決して忘れてはおりません。何としても胸が締めつけられるような事件でございました。  このマット殺人事件と言われる問題は、刑事事 件としての性格もさることながらですが、事件の再発防止ということが何より亡くなった方への手向けともなることだと思います。事件の再発防止のためには、加害者である生徒の家庭や学校での欲求不満、加害者とあえて申します、被害者と普通は考えるんですが、やはりその欲求不満ということが一つのああいう行為になってきたんだろうというふうに心理的に考えられるわけですけれども、これを緩和する教育施策というものは文部省ではどう考えていらっしゃいますでしょうか。  子供たちとの対話をする暇もないほど忙しい今の学校教育の内情は承知はしておりますけれども、不平とか子供の心を吸い上げるような施策というか、窓口、システム、そういうものを設けていじめ問題を未然に防止するということを考えておられないでしょうか。  実はこれは前大臣のころも質問を申し上げた件なのですが、私としては満足なお答えはなかったというふうに記憶しております。悲劇の再発防止への取り組みを、全般として文部省にこれはお聞きしたいんです。非常に具体的な問題で、済んだことは済んだことよということで次にまた起こるまでは口をつぐむという問題ではないというふうに思っております。  このいじめの問題に関しまして、新大臣の御認識というか、なるべく具体的に、どういうふうにやったらこれが防げるのだろうかというふうなもし御所見がございましたら続けてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

河上恭雄文部省初等中等教育局中学校課長

○説明員(河上恭雄君) ことしの一月に山形の新庄の中学校でいじめによります生徒の死亡事件が発生しました。大変痛ましい事件でございまして、生徒のとうとい命が失われたということは極めて遺憾に思っております。  このいじめとか暴力の問題に対しましては、子供たちが生活をしている学校あるいは家庭、地域の関係の方々が連携して取り組む必要があるわけでございますけれども、とりわけ学校におきましては、個々の教師、とりわけ学級担任が児童生徒との日常的な触れ合いの機会というものを積極的にふやすということ、そして子供たちの生活実態というのをきめ細かく把握する、そして子供たちがいつでも教師に、今御指摘のように、不平不満なりそういったものを相談できる、そういう雰囲気をつくっておくということが大切でございます。同時にまた、学校の全教職員がこの問題の重要性を認識して、校長を中心に協力して取り組むということが大切だと思っております。  そういう観点から従来から学校の指導体制の確立等につきましては指導してまいったわけでございますけれども、今回の事件を踏まえまして、さらに各県の担当の課長あるいは指導主事、生徒指導担当の指導主事というものがおりますけれども、その会議とか、あるいは全国の中学校長さんの会がございますけれども、そういった会議の場をおかりしたりして指導をしてまいりました。各県におきましては、これまで教育センターとかあるいは教育研究所というところに教育相談の窓口が置かれております。そういう中でいじめ等に関する相談を行っております。  国としましては、そういった教育相談活動というものを支援するために担当の職員の配置について交付税措置を行っておりますし、そういう教育相談活動というものを全国で積極的に推進していただくために、モデル事業としまして巡回教育相談でございますとか夜間の電話相談などを行っております。そのほか、教師向けの指導資料でございますとか研修、あるいは問題の多い学校には教員を余計に配置するといったような施策も講じているわけでございます。  今、先生御指摘の子供たちの意見を聞くようなシステムということについてでございますけれども、先ほど申し上げましたように、教師と子供の日常的な触れ合いというものを深める中で子供の気持ちなり不平不満なり意見というものをよく酌み取っていただくという努力が必要でございますし、同時に、生徒指導主事というのがおりますけれども、その生徒指導主事を中心とした校内の生徒指導体制というものを充実していくということが大変大切だと思っております。  来年度の概算要求でも、私どもこの問題を深刻な事態として受けとめまして、いじめや校内暴力といった児童生徒の問題行動に対する対応を図るために、全国の子供たち約一万人を対象としました実態調査、聞き取りを含めた実態調査を行いまして、同時に専門家によります教育者会議というものを設けまして、そこでこういったいじめの問題あるいは暴力の問題を防ぐための指導のあり方や生徒指導、教育相談の体制のあり方等について検討していただきまして総合的な対策を打ち出してまいりたい、そういうことで今関連の経費を要求しているところでございます。  文部省としては、今後とも指導の徹底と施策の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 法務省といたしましては、いじめが心身ともに健全に育成されるべき児童生徒の人権にかかわる問題であるという、こういう考え方のもとに従前からいじめ電話相談などを設けてこの問題に積極的に取り組んでまいりましたけれども、ただいま委員御指摘のように、それにもかかわらずいまだ深刻なこういうふうな事案が生じております。まことに残念でございます。  そこで、新たに人権擁護委員の中から子供の人権問題を専門に取り扱う子供の人権専門委員を設けることを検討しているところでございます。これは委員が前から御主張になっていらしたところと承っておりますが、これを機会にぜひそういうふうなものを設けることを前向きに検討してまいりたいと存じます。  今後ともいじめの根絶に向けまして積極的な啓発活動に取り組んでまいりたいと存じております。

紀平悌子各派に属しない議員

○紀平悌子君 ありがとうございました。終わります。

安恒良一各派に属しない議員

○安恒良一君 内外大変問題が山積みしているときに法務大臣に御就任されました三ケ月法務大臣に心から敬意を表したいと思います。と同時に、大臣が言われましたように、法秩序の維持と国民の権利保全に当たりたいという決意を表明されましたが、大いに今後脚奮闘くださいますことをまず冒頭にお願い申し上げます。  そこで、私も時間がわずかしかありませんので一、二点、具体的問題でお聞きをしたいと思います。  まず、大臣の所信の中に、国民的見地を踏まえ、かつ時代に即した法整備の実現を図りたい、こういうことを言われております。その問題と、きょうもちょっと同僚委員も取り上げられましたが、榎井事件が高松高裁で再審が決定されました。確定判決以来四十四年という長い年月がかかっています。しかし、私は、再審に極めて慎重な裁判所が遠い昔の裁判を見直す決定を出したこと自体は、やはり司法がまだまだ人権の側に立っておるということ、そして健全に機能しているなど、こういうことでこれまた敬意を表したいと思っています。  すなわち、司法の根幹は、疑わしきは被告の利益に、これが鉄則なんですから、そういう点から見て今回の高松高裁の判断は適当な判断だったというふうに評価をしたいんです。  ところで、私が問題にしたいのはその次の問題で、再審という非常救済手続の扉が開くまでに要した余りにも長い歳月について大臣にお考え願いたいと思いますけれども、吉田勇さんの場合は十八歳から六十六歳まで、これ四十八年という長い年月がかかっていますね。十八歳といえば、ほぼ一人前の大人になって何らかの仕事につく。それからこの年月を考えますと、働き盛りを全部過ごしてしまって、もう六十六歳ということになると人間がやや老境を迎えるということになる期間だと私は思いますが、冤罪を晴らすために、ただそれだけのために人生のほぼ一生が使われる、こういうやり方というのは私は社会では異常だと言わざるを得ないと思うんです。異常だと言わざるを 得ないと思います。  そこで、裁判制度や再審制度の抱える問題点として真剣に検討されてしかるべきではないか、こういうふうにこの問題で私は考えるわけですが、大臣は以上の点についてどういう御見解をお持ちでしょうか。また、具体的に再審制度等についてどのような観点から今後改正をお考えになっているのか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  以上であります。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) お尋ねの刑事再審の制度でございますが、これにつきましては、その運用の実情、諸外国の再審制度、改正の必要性等について研究を重ねているところでございます。  この制度の難しさと申しますか、そういうふうなことはどこにあるかと申しますと、一つはやはり確定判決による法的安定性を重視しなければならないという法の一つの根本的な要請と、それから今御指摘のような個々の事件についての具体的妥当性の要請との調和点をどこに求めるかというところに刑事再審制度の運用並びに立法上の困難な問題が潜むように私としては考えております。  何と申しましても、この問題は刑事裁判の本質、刑事訴訟制度の基本構造にも触れるものでございまして、本当に各般の角度から今後も続けてまいりたいと思いますが、的確迅速な裁判の実現という観点からすれば、第一審の充実がまずもって重要と思われます。その上で今申しました二つの要請の妥協点というものを求めて今後検討を続けていきたいと思っておるところでございます。

安恒良一各派に属しない議員

○安恒良一君 大臣の所見にもありましたように、再審の再開には、旧法も今の刑訴法も、無罪を言い渡すべき新たな証拠、新規性と明らかな証拠、明白性が必要だということはわかります。しかし、私はやっぱりそれにしても四十四年ということですから、人生を全部これに使ってしまったということ、そういうものが僕は許されるべきではない。やはり制度を改正すべきなら制度を改正すべきものだと思いますから、大臣がおっしゃったような難しさわからぬわけじゃありませんが、十分に御検討をしていただきたいということを強く要望しておきます。  それから、私は吉田さんの汚名をそそぐためには早く再審の手続を進めるべきだと思いますが、この点について大臣、どのようにお考えでございますか。

濱邦久法務省刑事局長

○政府委員(濱邦久君) 具体的事件に関することでございますので私からお答えを申し上げたいと思います。  今、委員が御指摘になっておられます事件は、昨日一高松高裁において再審開始決定がなされたばかりの事件でございます。検察当局におきまして十分その決定の内容等を検討いたしまして、適正に対処するものと考えるわけでございます。したがいまして、そういう段階でございますので、今御指摘の具体的事案に立ち入ったお答えは法務当局からは御遠慮させていただきたいというふうに思うわけでございます。

安恒良一各派に属しない議員

○安恒良一君 いや、あなたが答弁するとそういうことになるからあなたに私は答弁求めたんじゃないんです、もう私どもは政府委員というのは要らぬと思っていますから。ですから私は大臣に、人間大臣としてできるだけ、もう四十四年もかかったんですから、そういうことの御努力をお願いしただけですから。あなたのようなお役人答弁は要りません。これ、言っておきます。  じゃ大臣、どうぞ御努力ひとつお願いしておきます。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 確かに四十何年というふうなもの、長いということ、まことに私もそのとおりであると思います。ここに至りますことにつきましては、先ほど申しましたような法律、刑事司法の根幹に触れる難しい問題があったということもございましょうが、やはり私どもの努力の足りない点もあったと反省しなければならないのだろうと思います。そういう角度に立ちまして十分今後の検討をさせていただきたい、法務大臣としてはこのように考えております。

安恒良一各派に属しない議員

○安恒良一君 次は外国人労働者問題で、最大野党、最強の野党の下稲葉さんからいろいろ聞かれましたが、私はちょっと角度を変えた形でお聞きしたい。というのは、新しい法務大臣がお間違えになってはいけませんから。  というのは、下稲葉さんの御主張は、この前労働大臣が発言したのは食言じゃないかと。いわゆる主管は法務省にあるんじゃないかと。おまえたちは抗議したかと、こう言って盛んに大臣に食いつかれたんですね。私は間違いだと思います。外国人労働者問題というのは、私はやっぱり労働者問題の主管は労働省にある。ただし、それの出入国に関することについては法務省が主管庁でありますから、外国人労働者問題というのは労働省、そして法務省、それから外務省の共管事項で、十分にそこで相談をされるべき問題でありまして、労働力問題として労働大臣がお考えになるのは当たり前のことであって、食言でも何でもない。そんなことに抗議をされると、大臣、逆に恥をかかれますから申し上げておきたいと思います。  そこで、私はこの点はもう前々から何回も予算委員会で三省に問いただしてきているのは、大臣、ぜひここのところをお考えいただきたいんですが、大臣は決してこの外国人労働者問題を治安問題を中心にお考えになっているとは思いません。しかし、私は今まで予算委員会で労働省、外務省、それから法務省に聞きますと、法務省のニュアンスはどうしても、今回の大臣の表現の中にはそれは出ていませんけれども、やや治安問題というのが頭の底にあるわけです。ですから、さっきからのやりとりを聞いておりましても、いわゆる出入国管理のための人手をふやしていただいて、厳重にチェックするために頑張らなきゃならぬという局長の答弁が返ってきているんですが、私はそれはもう時代感覚のずれもいいところだと思う。  今日の国際社会において、しかも日本の置かれている立場の中において、しかも三十万という人間が不法滞在だ、不法滞在だで片づけられる国内の情勢がということなんですね。というのは、中には犯罪を犯すとかいろんな問題もありますけれども、やはり適正な労働力としてたくさん使われているのが東京の周辺にもたくさんあるんですよ。ただ、それはいわゆるビザの問題で、六カ月観光ビザで入ってきたとなると、そうすると私はそこらの点をもう今日の時代に即して法務省も外務省、労働省との間で十分お考えになることが必要じゃないかと。  ただ、ここに書いてあるようないわゆる専門職を受け入れる、これはもう前々からそうですから。そして最近になって研修関係の人を受け入れる、実践的な技術等の内外の移転ということ。しかし、それだけではもう済まされぬところに日本の立場が置かれている。ですから、私は大臣の答弁を聞いていますと少しそういう、まあ私の言葉とは違いますが、ニュアンスが出ていると思いますから、大臣、この問題についてはぜひ、法務省ですからどうしても出入国管理、やや頭の中の重点が治安問題というふうに置きがちですから、これは役人皆そうですから、そこを間違えぬように、外国人労働者問題については世界各国から笑われないように。  例えば、私は当時労働省と相談して、いわゆる労働許可証制度というものをもってどうしても要る人は来てもらう、単純労働であってもということを提案したことがあるんです。ところが、そのとき真っ向から反対したのが法務省なんです。そして、とうとう労働省が引き下がっちゃった。しかし、それからまた数年たっていますから、そういう状況にありますから。  きょうの午前中の下稲葉さんの発言を聞いておりますと、大臣いろいろ知恵をつけていただいたとか激励を受けたとおっしゃっていましたから、ちょっと心配になりましたからそこのところについて、外国人労働者問題というのはやっぱり国際的な視野でとらえて、国際的ないろんな制度を考えられてお取り組みくださらぬと間違いを犯されることになると思いますから私の意見を申し上げ て、大臣、所見があれば聞かせていただきたい。私の持ち時間が参りましたので、どうぞ。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 単純労働者の受け入れにつきましては、御指摘の点は一つの大きな問題であると存じますが、あわせまして我が国の経済社会全般に及ぼす影響も大きい。それに対して国内のコンセンサスというものが必ずしも一義的に形成されているとは私にもちょっと思えない点がございます。  そういう点がございますので、ここからは特に強調させていただきたいのでございますが、法務省といたしましては、関係省庁と協議しつつ、総合的な観点から慎重に、先生の御意見も踏まえながら検討させていただき続けることにさせていただきたいと御返事させていただきたいと存じます。

安恒良一各派に属しない議員

○安恒良一君 終わります。

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 次に、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  まず、政府から両案について趣旨説明を聴取いたします。三ケ月法務大臣。

三ケ月章法務大臣

○国務大臣(三ケ月章君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。  政府におきましては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。  第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、これらの報酬または俸給を増額することといたしております。  第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与等に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。  これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成五年四月一日にさかのぼってこれを行うことといたしております。  以上が裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

猪熊重二公明党・国民会議

○委員長(猪熊重二君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会      ————◇—————

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