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128回国会参議院1994/01/11

政治改革に関する特別委員会 第10号

発言数
155
登壇者
18
会派数
7
開催日
1994/01/11

会議録

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) ただいまから政治改革に関する特別委員会を開会いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一号)、衆議院議員選挙区画定審議会設置法案(閣法第二号)、政治資金規正法の一部を改正する法律案(閣法第三号)及び政党助成法案(閣法第四号)(いずれも内閣提出、衆議院送付)並びに公職選挙法の一部を改正する法律案(参第三号)及び政治資金規正法の一部を改正する法律案一参第四号)(いずれも橋本敦君発議)、以上六案を一括して議題といたします。  本日は、六案の審査のため、六名の参考人の方々から意見を聴取することといたしております。  午前中は三名の参考人の方々に御出席をいただいております。東京工業大学教授田中善一郎君、三菱化成株式会社相談役鈴木永二君、日本労働組合総連合会会長代行芦田甚之助君、以上三名の方々でございます。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  参考人の皆様から忌憚のない御意見をいただきまして六案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、田中参考人、鈴木参考人及び芦田参考人の順序でお一人十五分程度の御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。  それでは、まず田中参考人にお願いをいたします。田中参考人。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) ただいま御紹介いただきました田中でございます。  まず、簡単な自己紹介から始めさせていただきたいと思います。  私、ただいま委員長から御紹介いただきましたように、東京工業大学におきまして政治学の研究をやっている者でございます。主として専攻分野は、政治理論及び現代日本政治の問題につきまして勉強させていただいておる者でございます。そういう私がこの国権の最高機関の一翼を担われている参議院のこの場にお招きをいただきまして、非常に光栄に存じております。また、その機会を与えてくださいました自由民主党の方に対して、厚くお礼を申し上げたいと思います。  なぜこのようなことを申し上げるのかと申しますと、私は実は、この政治改革の御議論がもうずっと進められているわけでありますが、進めていただいている中で私自身何か違和感といいますかちょっと話が違うんじゃないのかな、そういうような感じを持ちながら今日までつき合っていたわけです。  昨年の七月まではほぼ一年間アメリカのカリフォルニア州のスタンフォード大学で勉強しておりましたわけですけれども、やはり私の専門柄、常に日本の国会の動きの情報は入れていたわけでありますが、やはりどうも今おかしいのではないかということを感じつつおりまして、このまま政府案なりあるいは自民党案なりが通ってしまっていいのだろうかということを思っておりましたところ、こういうお話がありましたので出てまいったわけです。  ただ、じゃなぜおまえはそれまで黙っていたのかということでありますが、黙っていたわけではないんです。友達同士では話していたわけでありますが、話していますと何か、後でお話ししますが、私は今回の政治改革において、特に選挙制度改革につきましては大変批判的あるいは消極的な見方を持っております。そういう立場で私がもし発言しましても、そうすると田中は守旧派が、それからまた守旧派でなければ守旧的な自民党の手先なのではないかとか、そういうことを言われる可能性があるということがありまして、なかなか言いにくい土壌がこの一、二年間世上にございまして、少なくとも私はそう受けとめたわけでありますが、なかなかこういう御議論が出なかったのではないかというふうな感じを私は持っているわけであります。  また、本日は私は自民党御推薦ということで出てまいりましたけれども、私のような者がここでそういう形で出てまいりますと、もう田中は自民党のシンパであるというようなレッテルが張られまして、これからの私のつき合いにおいて時には非常なデメリットが起こるかもしれない、こういうことがあるわけです。ですから、小心翼々たる大学の一介の教師である私みたいな者にとりまして、きょうのような形で出てくるというのはよほどの決断があったということ、その中で出てきたんだということを諸先生方にはぜひ御理解いただきたいと思うわけであります。  前置きが長くなりましたが、そういうことで、私は主として選挙制度改革につきまして御意見を述べさせていただきたいと思うわけであります。  まず、今回の選挙制度改革の問題に関しましては、一番の問題点は、今日までさまざまな御議論が学問的な論証なしに進められてこの政府案なり自民党案が出てきているという点であります。  例えば、中選挙区制では政権交代がないというような御議論があります。これも実際に、これはもう既に御存じだと思いますが、さきの総選挙において起こったわけであります。あるいは中選挙区制ではお金がかかるということがありますけれども、これも後で御質問があればお答えいたしますが、日本の明治以来の議会制度、小選挙区から大選挙区、中選挙区、いずれの制度もとられているわけでありますが、お金がかかるということは常に言われていたことでありまして、中選挙区制度とお金がかかることは関係がないというふうに考えるのがまず学問的な良心であるわけであります。あるいは小選挙区制は政権交代があるとか、あるいは小選挙区制をとれば組織政党ができて政党の近代化ができるとか、あるいは比例代表になれば腐敗が省くなるとか、あるいは組織が強化されるとかいうようなのがあたかも学問的な真理であるかのごとく巷間に流布していて、そうした議論のもとで政府案あるいは野党案というものができ上がってきているというのを私は憂慮するわけであります。  もちろん、そういう方々には、政治家の方々あるいはジャーナリストの方々は別に政治学の専門家ではありませんからそういうのも結構であるわけですが、残念なことに、私の同業者であります政治学者と言われている人たちの中でもそういうような御議論をされる方がないわけではないわけであります。  そういうときに、先ほど言いましたように、私みたいに小心翼々たる者が申し上げるというのはとてももう心臓が張り裂けるような気持ちがあるわけでありますが、ただ、これはお話ししておかなければいけないのは、少なくとも学問的に良心的な人は、今回の選挙制度の改革の議論の前提に関しては、先ほど言いましたように大変問題が多いのではないかと考え、ただ申し上げると唇が寒い雰囲気があったのではないかということであります。そういう意味で、今回そういうことがあります。ですから、今までそういう議論が出てなかったとしましたら、あるいは少なくとも国会でそういう御議論がなされてないというならば、それはぜひここで申し上げておきたいという気がしたわけであります。  そういう形で、御議論の結果、さきの通常国会におきまして自民党からは小選挙区制、それから野党の主なところからは併用制、つまり基本的には比例代表制の制度が御提案されたわけですが、それはそれで私は一つの哲学があったと思っているわけです。  例えば小選挙区制ですと、これは強い政権政党をつくるという、ある一定の条件が必要なんですけれども、学問的にはそう言わなきゃいけないんですが、ある二足の条件が与えられますと強い政権政党ができるということが言われております。それは私は正しいと思っていますが、そういう意味で小選挙区制というのは一つの哲学があるんですね。政権を担うのには強い政権政党をつくらなきゃいけない、こういう御議論であるわけですね。  それからもう一方の、当時の主な野党が出されていた比例代表制、もう一度言いますが、併用制というふうに言われてますが、実質的には比例代表制でありますが、比例代表制は民意をなるたけパーセンテージで正確に表現していこうという意味で、これはこれまた哲学があったわけであります。  ところが、今回政府及び自民党から出された案は、それを二つあわせたまさに全く木に竹を接いだ並立制というものが提出されているわけでありまして、一体これはどっちを向いているのか全くわからないわけであります。そういう点が非常に問題であるということ。  それからもう一つは、並立制に関しましては、さきの七月の総選挙において各党がいずれも公約しなかった制度であります。そういう制度をその後の国会においてにわかに取り上げて国民の信任を得ずにやるということには、これは民主主義の手続において瑕疵があるのではないかと私は思っているわけでありまして、その意味でも慎重な審議というものが私は必要なのではないかと思うわけであります。  せっかく私は自民党御推薦ということで出てまいりましたので、ここでちょっと自民党を応援するような言い方をしておきますと、特に政府の当初案は五百議席で二百五十対二百五十ということでありますが、これはまさに足して二で割る方式でありまして、自民党の大先輩である大野伴睦先生が一番お得意だったやり方だったわけであります。ですから、まさに政府当初案は哲学がないというふうに言われても仕方がないんではないかと私は思っておるわけであります。  そこで、私思い出したのは第七次選挙制度審議会、一番直近の選挙制度審議会が第八次でございますが、第七次の選挙審議会の結論のときの資料を実は数日前に読んだことがあるんですが、その中で、もう先生方御案内のことだと思いますけれども、結局まとまらなかったわけですが、ただ第七次選挙審議会は並立制が多数案であるということは指摘して答申が終わったわけでございます。その中に、その第七次選挙制度審議会の委員として出られて、しかも私が大学時代に教えを受けたある先生、具体的な名前、これを言えば知っている人はすぐわかっちゃうんですけれども、申し上げませんが、その先生がどのような選挙制度がこれ望ましいのかという質問に対して、それは比例代表制か小選挙区制というふうに書いてあります。  私は、最初に読んだとき、これおかしいんじゃないの、まじめにやれと。我が尊敬する先生が比例代表と小選挙区両方とも挙げているわけですね。ある意味では水と油の関係の制度ですね。それだけれども、今お話ししたところからおわかりいただけると思いますけれども、多分その先生は、並立制というのは哲学がない、やるならばどちらかでなきゃいけないということをまずは主張されているんですね。議論が煮詰まったところで、多分どちらかの方を言われたんではないかというふうに私は思っているわけであります。  その意味で、やはり選挙制度というのは民主政治の根幹を形づくるものでございますから、哲学があるものであってほしいというふうには思われます。  それから第二点は、しかし、並立制というのは比例代表制と小選挙区制を組み合わせているわけですが、政党の全国化ということが前提とされるならば基本的には小選挙区制のタイプの選挙制度になります。これはもう皆さん各種の試算などから見てもそれが御理解いただけると思うわけでありますが、あるいはもしそういうふうに小選挙区制含みのタイプの選挙制度だというふうに並立制を理解するならば、自民党案の方がより筋が通っている。よいとは申し上げませんが、筋が通っていると私は思うわけであります。  自民党案の方は、三百と百七十一ということで小選挙区の方の比重が大きいということになるし、また選出母体が都道府県のレベルになっているということで、その意味では小選挙区制に近いというふうに理解することができるわけであります。その意味では確かに筋は通っていると思うわけでありますが、しかし、先ほど言いました問題点は免れないのではないかと私は思っております。  それから第三点は、これはもうしばしば指摘されているわけでありますが、政府案は現行参議院の選挙制度と非常に酷似している制度であるということであります。特に本院においてこのような案を通過させるのは自己の存在価値を否定することに通じるのではないかと私は非常に憂慮しております。  参議院、第二院、まあ参議院において第二院と申し上げるのが果たしてよろしいのかどうか私わからないんですけれども、参議院の存在価値に対してはさまざまな御議論があるのは私は承知しておりますけれども、仮に、憲法が規定するように参議院が必要だとするならば、選挙制度は衆議院のとはできるだけ異なるものにすべきであると私は確信するわけでありますし、多くの方は恐らく賛成されるのではないかと思うわけであります。その意味で、政府案は現在の参議院の選挙制度と大変似ているということでこれはまた問題になるのではないか。つまり、参議院の選挙制度改革の具体案が提出されていない段階でこの案を採決する、あるいは成立させるということには大いなる問題があると私は思っております。  それから第四点は、一票の重みの問題でございます。もう既に、衆議院の中選挙区制におきまして定数是正問題というのは一九六〇年代のころから大問題になっているわけで、全然解決ができていないわけであります。ようやく今回になって抜本改革の機運がみなぎってきたというのにかかわらず、出てきたものは何と驚くなかれほとんど格差が二を超えるような代物が出てくる。最も国民の中のエリートである国会がそういうことを出していいのであろうかと私は深く深く憂慮するわけであります。少なくとも限りなく一に近づけるような制度的保障を持った選挙制度を考えていかなきゃいけないのではないかと私は思っているわけであります。  そろそろ時間になってきました。もう少し時間があると思ったんですけれども、あっという間に終わってしまいましたが、そういうことで以上の点をまとめさせていただきますと、今回の議論は、各種の選挙制度についての政治学的な実証的研究に基づいてはいないという点、それから衆参両院のそれぞれの個性を考えた上でそれぞれにふさわしい選挙制度を考えるべきであるという点、それからもう三十年来の、四十年来かもしれません、四十年来の懸案であるところの一票の重みというものについての配慮が全くとは言いませんがほとんどないという点、そして最後に、選挙制度改革において哲学が感じられないという点において大変問題があると私は考えております。その意味では、先ほど言いましたように、筋としては自民党案の方が通っているのではないかと思います。  もう時間になりましたので終わらせていただきますが、もし私がどういう選挙制度が望ましいと考えているかにつきましては御質問がございましたらお答えさせていただく、その他政治資金関係、政治倫理関係につきましてはこれも御質問の中でお答えさせていただきたいと思っております。超過いたしましてまことに失礼しました。(拍手)

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) ありがとうございました。  次に、鈴木参考人にお願いいたします。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) 御紹介にあずかりました参考人の鈴木永二でございます。  本日は、参議院からのお声がかかりましてここへ出てまいりましたのでございますが、御承知いただいているとは思いますが、私は、政治問題につきましては今お話しの田中先生のように専門家でも何でもございません。政治を一般国民として見ている立場からの感じ方を申し上げて、政治改革の必要性についてどう考えるか、また国会審議のやり方等を見て私なりに感ずるところ、そういった点を意見として申し上げさせていただきたいと存じます。  それで、まず第一に今回の政治改革法案の位置づけでございますが、この政府提案の四つの法案というものは、結論を先に申し上げますと、今の時局といたしましては何としてでも今国会で成立させていただきたいというのが私の率直なるお願いであり、結論でございます。  国民の目から見ましていろいろ問題点はそれぞれにございましょうけれども、政治というものは最後は国民の意見を総括するということだろうと思いますので、ただ理屈だけでは通らないという点もあろうかと思いますが、この今回の政治改革法案というのは、与野党間の意見の相違はあるにしましても、大筋ではもう既に平成元年六月に自民党が政治改革推進本部を設置して、その検討の結果、小選挙区比例代表制の導入を提言して以来の考え方に沿ったものだと、このように国民は皆理解しております。  それ以来、海部内閣、宮澤内閣、そして今回の細川内閣と五年越しの三回目の挑戦であるということはよく理解していただかなけりゃならぬと思います。これ以上国会での審議を遅延させるということは国民の政治不信というものを高めることになりますので、政治改革の実行は国民の強い希望であり、これにこたえることは与野党の重大な責務であるとすら考えていただきたいというのが私のお願いでございます。  この意味から現在の状況を見ますと、衆議院の選挙制度改革を衆議院で可決したものを参議院が審議拒否というような形になっているのはどういうことでございましょうか。また、そもそもこれらの中選挙区制度の抜本改革を発議し、並立制の導入を党議決定したのは、平成元年のことでございますが、自民党であったと記憶しております。  今国会で審議されております政治改革政府法案は、これはいろいろ問題も提起されるのかもしれませんけれども、かつて海部内閣当時提出された政府法案とうり二つだとも言われております。これを野党になったからということで今は認められないというふうに国民には映ずるのでございますが、国民から見て、この点は不可解というほかはございません。政府案と自民党の主張との差は埋めることのできない溝があるものとは、実は私ども国民の目からは考えられないわけでございます。十分妥協可能なものであると思われます。そういうようなことで、ぜひ一日も早く国会での論議を尽くし、修正すべき点は修正して国会での成立を図っていただきたいというのが私の切なるお願いでございます。  一部にいろいろ提案もあり、政治腐敗防止のみにしてはどうかというような問題と、あるいは衆議院と参議院との選挙制度をセットにして考えなければいろいろふぐあいが出てくるんじゃないかということも言われますが、それもそれなりの理由はあろうとは思いますけれども、しかし、こうした意見は国民の立場から見ますと、改革を先送りしようとしているのではないかという疑念をぬぐうことができないというのが正直な感じでございます。仏の顔も日に三度と申しますが、国民のこれ以上の政治不信を招くことのないように、政治改革つぶしと言われないように改めて諸先生方の御認識をいただきたい。私は、今、国民の立場から申し上げております。  それから、なぜ政治改革が今必要かという点について今さら私が申し上げるのも失礼でございますが、東西冷戦構造が崩壊し、また五五年体制と言われた体制が終えんという歴史的な転換期にありまして、日本の政治は国内外に山積する課題に直面しておりながら、その対応はなかなかできない。結論的に申し上げますと、私も行政改革を三年担当させていただきましたけれども、結局、政治の力なくして行政改革もできるものじゃございません。私が得ました三年間の結論はそういうことでございまして、政治がしっかりしてくださいということでございます。  私ども十本の提案を提出しまして、それなりに意味を持っておると私は今も自負いたしておりますけれども、この規制緩和と地方分権の問題、国際貢献の問題、我が国が二十一世紀の世界の大国として、公正で透明な社会である、そして自律自助の社会である、そしてこれは私のつけ足しになるかもしれませんが切に思っておりますことは、やはりこういった透明公正、自律自助の世の中でも、思いやり、こういう精神がなくなった日本というものは先がない、こんなふうに思っておりますし、また国際社会から尊敬される国にならなきゃならぬということも常に言われながらなかなか十分には達成されていないと思いますが、そういったことのためにはいかに多くの改革が必要であり、そのためには公正で透明な自律自助に基づいた政治力というものが中心になって動いていただかなければ実際問題として世の中は動いてこないということを痛感いたしておりますので、この際、先生方に特にこの点について御留意をいただくようにお願いしたい次第でございます。  そういったことで、政治改革が政治のあり方を審議する入り口で立ちどまっているということはまことに残念なことでございまして、理由はともかくとして、やはり政治改革を断行して、そしてすべての社会秩序というものが政治の力で新たな対応を示すようにしていただくということが先決じゃないか。そういうことで、いろいろ御意見はあろうとは思いますけれども、やはり日本の置かれている立場、国民の望んでいる状況から判断していただいて大同についていただくということを努力していただくことが必要じゃないか。大変差し出がましいことを申し上げますが、そういったことでございます。  したがいまして、景気対策ということを一刻も早くやってもらいたいということは、もう皆様方と、私も経済界に身を置いてきました者として痛感するわけでございますが、しかしこれからはただ単に景気を刺激することだけではなく、それを通じて日本の産業構造、非常に難しい問題でございますが、新しい環境に即応した経済構造というものを打ち立てなければなりません。それには、また繰り返しになりますけれども、よほどの政治力をもって今までの慣習、システム、それから枠組みというものをぶち壊していただかなきゃならぬ、私は経済界におりながら、痛みを覚悟しながらそう申し上げておるわけでございます。そういうことで、くどくなりますけれども、株価対策とか公共事業、不況対策等いろいろな問題がございますが、こういったことも今のような立場からお考えいただきたい。  もう一つ、これは蛇足かもしれませんけれども、今の不況をつくづく考えますと、やはり一番底の深いところにありますのは政治の先行きに対する不透明さ、政治に対する見通しが立たないということが第一でございます。その次が、信用システムの状況がはっきりしない。どれだけ赤字があるのか、損失があるのか、どういうところが土地でひっかかっているのかということもはっきりされておりません。それから、経済対策の見通しというものがどこまで行われるかということもはっきりしません。その三つがこの不況を極めてあいまいに不透明にして長引かせている原因の、全部とは申しませんが、非常に大きな部分であるということも御理解いただきたい、こう思っております。  東西冷戦構造の崩壊、五五年体制の終えんというときにかかわらず、率直に申し上げますと、日本の政治行政体制は依然として官主導の最適工業社会を目指しました昭和十六年体制のままだと申し上げてもいいと思います。規制緩和とか地方分権とか個々の問題について言われます、またゼネコン汚職とかいろんなことが言われますが、その根底には何があるかというと、やはりこの政治行政のシステムの枠組みというものが、そのまま昔の追いつけ追い越せ型のままに置かれているということが一番の基本であるということを、私はもう心からそう確信いたしております。  そういうような意味におきまして、この枠組みというものを世界の環境に適応した枠組みに直していただくということをお願いしたいわけでございまして、それは先ほど来申し上げております戦時中に行われました東京一極集中の政策、そして規格による大量生産、大量輸出という発展途上国型の政策というものが根底にそのまま残されておる、個々のことを一々いろいろ言われておりますけれども、その点は本当に私は先生方に十分理解をしていただければと、このように思っております。  それでは次に、参議院審議のあり方について感じたことを申し述べさせていただきます。  何と申しましても、参議院に送付されてから審議が、まあ数日は審議されたと聞いておりますけれども、それらしきいい審議が五十日余りの期間行われなかったということはまことに遺憾であり残念だと思います。国民の多くも、参議院のこの問題の取り扱いについては戸惑いを覚えておると私は思っております。法案が参議院での政争の具に供されているんじゃないかという印象をぬぐい切れないわけでございます。  憲法上の要請から言いましても、参議院は良識の府として、重要法案の審議に当たっては慎重審議の末に必要な修正をつけ加えて対応していただくということが憲法の期待しているところではないでしょうか。政争の具として重要法案を人質にとったりこれを廃案もしくは継続審議にするというようなことが国民の間では心配されております。それは、失礼なことかもしれませんけれども、非常に問題であると言わざるを得ません。参議院自体の存在意義を危うくするものです。こういったことは、議論がいろいろ行われるだろうと思いますけれども、私はやはり参議院というものの存在意義を問うためにはこれは軽視できない問題だろう、こう思っております。  それから、憲法五十九条の適用の問題が言われておりますが、みなし否決ということは簡単に申し上げますと憲法上何ら障害があるものとは思われませんが、しかし、この規定の存在自身が憲法上の要請に基づいておるものでございますし、参議院はこの規定を発動させないような事態に、私が先ほど申しましたように、六十日以内に慎重審議してそして良識の府としてこれに結論をつけて判断をしていただきたい、こういうことでございます。  もう一、二、言葉でしますが、政治改革法案の審議は参議院の自主性と独自性を遺憾なく発揮する絶好のチャンスだったと思います。今回の国会審議を通じて、衆議院での与野党の熱のこもった議論に比べて、参議院の議論は国民の目で見ますとなかなか届かないもので終わっているように思っております。どうか憲法の想定する六十日以内での効率的で充実した審議を尽くして、ぜひ政治改革を政治家自身の手によって決着させていただきますことをお願い申し上げまして、私の御説明にかえさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) ありがとうございました。  次に、芦田参考人にお願いいたします。

芦田甚之助日本労働組合総連合会会長代行

○参考人(芦田甚之助君) 連合会長代行の芦田でございます。  本委員会におきまして意見を述べる機会をいただきましたことを心から感謝を申し上げるところでございます。  私は、政治改革四法案につきましては基本的には賛成である、そういう立場から意見を述べたいと思うわけでございます。  ただいまも鈴木さんからお話がありましたように、政治改革法案は自民党の海部内閣、宮澤内閣の二度にわたりまして国会に提案をされたわけでありますけれども、二回とも挫折してしまったわけであります。今回ようやく衆議院を通過いたしまして、この参議院の議を経て政治改革四法案が日の目を見ようとしているわけでございます。しかし、修正政府案が参議院に付託されまして五十日以上たつにもかかわらず遅々として審議が進まないことに対しまして、国民は大きないら立ちを持っているわけでございます。参議院の存在そのものが問われかねない、こういう状況に私は今あると思うわけであります。国民の期待にこたえるためにも、審議を促進いたしまして早期成立を図っていただきたいと思うわけでございます。  今次の政治改革四法案の柱とも言うべき小選挙区比例代表制については、政府案も自民党案も小選挙区比例代表並立制という面では一致しているわけでございますから、この前の小選挙区一点張り、比例代表なんというのはらち外だというような自民党の態度であれば、これは一致をさせようと思ってもなかなか難しいと思いますけれども、今回は小選挙区比例代表並立制という基本的なところにおいて一致しているわけですから、その上でもって議論をしていくならば私はこの合意も一致も可能だと思うわけでございます。  議員の定数の問題ですが、当初の政府案は小選挙区二百五十、そうして比例区二百五十でございました。自民党案は、小選挙区三百、そうして比例区百七十一でありました。これが衆議院で修正をされまして、小選挙区二百七十四、比例区二百二十六となりました。これは自民党が受け入れたわけではありませんけれども、この政府の修正案というものは、自民党の主張も大いに受け入れて、あるいはそれに歩み寄ってできた数字ではないかと思うわけでございます。そういう意味で、衆議院で通過した小選挙区比例代表の議員の定数というものは、私はこれで妥当だというふうに思っているわけでございます。  次に、選挙区の単位でございますが、比例区については政府案では全国単位でございます。自民党の主張は都道府県単位でございます。  都道府県単位ということになりますと、人口の少ない県、例えば鳥取、島根あるいは高知、福井等におきましては今でも衆議院の定数が四名であります。それが今度は、小選挙区から二つに割って二名出てくる。あともう二名ぐらいしか比例区の枠がないわけであります。比例区が二名の枠しかないということは、大変これは窮屈な話でございます。本来、小選挙区に対して比例代表並立ということは、小選挙区の中で多様な選挙人、有権者の意思なり意見というものが吸収できない、反映できない、そのために比例代表というものをあわせて持とうというのが今回の柱になっているわけであります。そうすると、もっと広い範囲の中から比例代表というものを選び出すことでなければ比例代表の意味が薄らいでしまうと思うわけでございます。  そういう意味で、私は広範囲の中から比例代表を選ばなければならない、比例代表というのは全国単位が私はやっぱりベターだというふうに思うわけであります。  都道府県単位というものは比例代表としての意味を持たないとは言いませんけれども、余り意味がない。そういう意味で、私は全国単位がベターだと思いますけれども、百歩譲って、今お話しがありますように参議院の比例区も全国でありますから、そういうような兼ね合いから考えるならば、ブロック制の導入ということを考えてもいいんではないか。第八次選挙制度審議会の答申におきましてもブロック制が答申された経緯があるわけでありますので、私は、ベターは全国単位である、しかしまあ次善の策としてブロック単位がよろしい、都道府県単位は論外であるというふうに思うわけでございます。  それから一票制か二票制がということでありますが、これは一票制には私はやっぱり無理があるなと思います。すなわち小選挙区と比例代表、一票でもって両方をカバーするということには無理があるんではないかというふうに思います。例えば小選挙区から無所属の人が出たとします。その場合、比例区における投票はではどうなるのかということの問題等もあり、学者の先生、きょう田中先生からも聞いたらいいと思うんですが、憲法違反の疑義があるということが言われておりますので、そういう疑念のあるようなものはやめた方がいい、二票制にすべきだと思うわけでございます。  次に、戸別訪問の問題でありますが、戸別訪問につきましては、ヨーロッパでは選挙運動の当然の姿として認められております。言うなれば選挙運動の中心は戸別訪問であります。これまで我が国におきましては禁止をされておりました。これが今度の政治改革法案の中におきましては戸別訪問を認めることになりました。これも私は賛成であります。  ただ、戸別訪問に懸念がないかというと、いろいろやはり行き過ぎがあるんではないかな、こういう懸念は私自身も持っております。しかし、その行き過ぎた戸別訪問、行き過ぎた行為というものが有権者の皆さんから受け入れられるのか。私はやっぱりそういう行き過ぎた行為というものは嫌われると思います。反感を持たれると思います。結果的には、そこの政党にとっても候補者にとってもそういう行き過ぎた戸別訪問をやるということは決してプラスにはならない。マイナスになると思うんです。そうすると、その政党にしてもマイナスになるような戸別訪問はしないように、私はやはりその政党が責任を持って運動員の教育をすると思います。したがって、それなりの節度のある戸別訪問になってくるのではないか。そうはいかなければ、その時点でやはり見直したらいいのではないかというふうに私は思うわけでございます。  したがって、いろいろ懸念はあるけれども、そう心配したことじゃありませんよということを私は言っておきたいと思うわけでございます。  次に、企業・団体献金の問題でございますが、この問題はやはり私は今度の政治改革の出発点であり、また柱であると思うわけであります。  政治家と金の問題、政治家と企業の癒着の問題、これがやはり国民の厳しい指弾を浴びているわけでございます。すなわち、リクルート、佐川急便、ゼネコン問題の一連の汚職事件が続発をいたしまして、国民の政治不信が高まってきたためにこの政治改革にさらに取り組まなければならないということになってきているわけでありまして、その取り組み方が、前二回改革法案ができて葬られてしまった、挫折してしまった、中途半端な扱いできたために昨年の大きな政変が起きたのではないかというふうに私は理解をしているわけでございます。  したがって、政治家と金のよくない関係を正すために、私は政治家に対する企業献金を廃止するのが妥当だと思います。  政府案では、政党に対する企業・団体献金を存続することになりましたけれども、これは過渡的措置としてやむを得ないことであり、そして五年後には見直すということになっておりますので、私はこれはこれでいいと思っております。  次に、政党に対する公的助成の問題でありますが、私は公的助成というものは必要だとは思いますけれども、これも過渡的措置という考えていくべきではないか。  民主政治にとってコストがかかるのは承知をしております。しかし、それは国民一人一人が自己の政治的信条に基づいてみずからの浄財によって政党を支援し、また政治家を支援していくべきものだと思うわけであります。  ただ、我が国の場合、そういう政治的風土というものが未成熟であります。したがって、個人の浄財によっていろいろ政党活動、政治活動をやろうと思ってもなかなか十分なことができないという状況にあるわけでありますので、したがって私は、当面、政党に対する企業・団体献金も認め、そしてまた公的助成も必要だと思うわけでございます。ただ、政党はそれに甘んずることなく、みずからの足で立てるように努力をしていくことが大切だと思うわけであります。  大変厳しいことだと思います。日本のこの政治的風土の中で、今私が言ったことを求めることは大変厳しいことではありますけれども、しかしそれに向けて一歩踏み出さなければ、私はやはり本当の政治改革にはならないだろうと思うわけでございます。  以上、政治改革の中の論点の一つについて意見を申し上げたところでございます。  もう一つは、法案そのものとは直接関係がありませんけれども、政治にお金がかからないようにするためには、私は、選挙の公営化を進めていくということがやはりこれからの重要課題だと思うわけでございます。そして、今回のこの政治改革四法案が片づいた後には、地方議員の問題、地方の首長の問題、さらには参議院の問題等についても論議を深め、取り組んでいただかなければならないと思うわけでございます。  最後になりましたが、冒頭申し上げましたように、政治改革四法案は衆議院を通過したわけであります。五年越しのこの問題が衆議院を通過したその重みを、やはり参議院におかれましてもしっかり受けとめて対応をしていただきたいと思います。衆議院において足らざる点をチェックし補正をしていくのが、私はやはり参議院の重要な役目ではないかと思うわけでございます。  今は、この政治改革四法案を早期に成立をさせまして、そして全力を挙げて当面する不況対策に力を入れてもらう、また、当面する内外の諸問題に取り組んでいただくことが参議院の任務ではないかということを申し上げまして、私の意見を終わらせていただきます。(拍手)

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

関根則之自由民主党

○関根則之君 自由民主党の関根則之でございます。  きょうは、お忙しい中を三人の参考人の先生方においでいただきまして大変貴重なお話を伺うことができました。まず最初に、お礼を申し上げておきたいと思います。  最初に、田中参考人にお伺いをしたいと思いますけれども、大変いわば学問的な理論的な根拠に基づきまして、学問の成果を踏まえて選挙制度のあり方等につきまして考え方をお聞かせいただきまして大変参考になったわけでございますけれども、今、選挙制度は二つしかないんだろうと私も考えております。中間的な形態はあるかもしれませんけれども。  一つは小選挙区制であり、もう一つの極に比例代表制というものがあるのかな。その中間にいろんな形があるけれども、どちらかというと、例えば中選挙区制も分類上は比例代表という考え方の方に入るんじゃないか、ちょっと範囲が狭いといいますかバラエティーのとり方が少ないというだけの差であって。大選挙区制に至っては、これはもう比例代表にほぼ同じようなところまでいくのかなと、そんな感じがいたしております。  そういう中で、小選挙区制は民意の集約であり、比例制は民意の反映だという考え方がございますけれども、これは衆議院の方の審議の段階でも野田さんから大変きれいな形で整理してお話がありまして、私もそのとおりだと思うんですけれども、そんな分類はもともとおかしいんであって、選挙である以上それはもう民意の集約であり反映である。特に議員内閣制を持っているそういう制度のもとにおける選挙というのは、これはもう両方を兼ね備えた制度でなければ全く意味がないのでございまして、そういう考え方に立つべきではないかと思いますけれども、こういう考え方に対して、先生、何か御意見がありましたらちょっとお聞かせいただければありがたいということ。  それからもう一つ、考え方の問題でございますけれども、私は、小選挙区制というのは死に票が大変出るじゃないかとか、四〇%で政権を獲得することができるじゃないかとか、そういう問題は確かにあることはありますけれども、もともと選挙というのは国家意思を一本に絞っていく、その集約過程というものが選挙であり政治であるのではないか、そんな感じがしてならないわけでございます。  国家意思というのは二つも三つもあったらおかしいのでありまして、数え方がいろいろありますから、私は一式という言葉を使いたいと思うんですけれども、総理はだれにするんだ、内閣の性格はどういうことにするんだ、税に対してはどういう考え方を持つ、福祉とか医療とかあるいは教育とかそういう問題についてはどういう物の考え方を持っているんだと、こういう一そろいの政策というもの、人の面から見ても物の面から見ても金の面から見ても一式の政策というものをきちっと国家として決めていく、そういう過程がやっぱり政治過程であり、また選挙が一番典型的にそういうものをあらわしてくるんじゃないか、そんな感じがしてならないんです。  その一つの国家意思を決めるときに、国民に、有権者にできるだけ近いところで有権者に決めてもらうというのが私は小選挙区制度じゃないかという感じがいたします。  二つの政党ないしは三つの政党、極めて限られた政党が争って、どっちが政権をとるんだ、どっちが総理をとるんだという争いを直接選挙民に決めてもらう。確かに小選挙区ごとに分かれておりますから、おれのこの地域ではこの人を総理に選ぶんだ、おれの地域ではこの党を通じてこの人に総理としてやってもらいたいんだ、そういう意思決定をぎりぎり選挙民に問うのがそれが小選挙区制の本質ではないか。むしろ、そういう意味からいうと、全部の意思を反映することはできないんですから確かに死に票はあるかもしれないけれども、意思決定を直接国民がやる、そういう意味では非常に民主主義の原理に近いんじゃないかという感じがいたします。  比例制、確かにパーセントできれいな形で反映はしますけれども、人間の持っている価値観とか物の考え方というのはこれはもう一人一様でありまして、十人寄れば十の意見があるんじゃないか。百人寄れば百の意見がある。一億二千四百万全部集めなきゃ本当の意味の民意を反映した政治なんてできるはずがない。しかし、そんなことは、これはもう国民集会なんというのは無理な話ですから、だからこそ代議制がとられているんだと。  しかし、そういう制度で政党数が相当大きくなる、数も大きくなる、そういうものがそれぞれ出しできますと、今度はその選ばれた人たちの間で次に政権をだれにするんだというそこでの話し合いが始まるわけですよ。その過程を通じて初めて二、三位連合というものも起こるでしょうし、三、四位連合ができるかもしれませんし、そういう形で必ずしも国民が考えているような政府ができない、むしろ国民の意思から遠いところで政府がつくられてしまう、そういうこともあるんじゃないかなという感じがするわけでございます。  その辺のところの考え方をちょっと参考までにお教えいただけるとありがたいと思います。いかがでしょうか。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) お答えします。  選挙制度について、特に比例代表と小選挙区の功罪について私の考えを述べよ、こういうような趣旨だというふうに受けとめさせていただきまして述べさせていただきます。  私は、関根先生がおっしゃるように、選挙には一方ではやはり民意の反映というのが必要である。しかし他方では、まさに先生が言われたとおり、政権をつくる、強固な政権をつくるという任務もある。だから、単に正確な民意を反映しただけでは選挙としての役は立たないし、また単に強い政権だけで民意がかなりの程度無視されるというのも、これは望ましい制度ではないと私は理解しております。  そうしますと、小選挙区と比例代表というのは今言ったようにそれぞれ大体は対応しているわけでありますが、そこで私がこういうことを言うのは何を言っておるのかと言われるかもしれませんが、その意味で私は現行の中選挙区制というのは非常にいい制度だというふうに理解しているわけであります。  先ほど先生からお話しもありましたが、中選挙区制というのはかなりの程度比例代表に近い。だけれども、今までの衆議院の選挙を見てもおわかりですが、自民党に、つまりあの当時は自民党ですが、大政党にやや有利な形の議席を与えるようなシステムになっているということで、後で詳しいことはもう一度申し上げますが、制度としては中選挙区制というのが今言った二つの課題にこたえる上でベストに近い形態であろうというふうに私は理解しております。これは私だけでなく、恐らく自民党の諸先生方あるいは社会党の多くの先生方も内心では、本音のレベルにおきましてはそうだというふうに私のことを多分理解していただけるものであろうと私は理解しているんです。  じゃなぜ中選挙区制は評判が悪いのかというと、それが私が最初の十五分でお話ししましたところの学問的根拠のない議論が中選挙区制について言われ過ぎている。既にもうお話しいたしましたが、中選挙区制は金がかかるということを言いましたが、それはもう関係ない。それから、例えば中選挙区制においては政策が行われないというようなことを言われていますが、まさか社会党の支持者が自民党の先生方に投票するはずはないわけで、自民党の支持者が共産党の先生方に投票するはずはないわけで、中選挙区制でもちゃんとれっきとした政策選挙が行われているわけであります。また、政権交代がない、これも言われましたが、これも現に起こったわけであります。  というように、今まで中選挙区制について一見言われていた幾つかの命題というのは学問的批判にたえない命題でつくられているわけでありまして、そういう誤解を解けば中選挙区制のよさというのが多くの方にわかっていただけるのではないか。  なぜこれまで昭和の初年から、厳密には大正の一番最後の年ですが、中選挙区制がここまでとられたか、一時、占領軍の制度で一回ばかり大選挙区制が採用されましたが、ここまでつながったのかというのは、もちろんそれは代議士の方々のそういう住み心地のよさというのがありましょうけれども、やはり国民がなじんできた制度であるということにあるんではないかと私は思っています。  ただ、なぜ中選挙区制が問題だったのかというのは、一番大きなことは先ほど言いましたように定数の是正が全然図られていないということです。これは、国権の最高機関のここでこんなことを言っていいのかわかりませんけれども、一番の問題点はやはり最高裁が毅然たる態度をとらなかったことなんですね。三倍などという何か全然、これも私も勉強しましたんですけれども、なぜ三倍なのかというのは、最高裁は実は三倍自体も明確には言っていないんですが、三倍程度であろうということなんですが、三倍という数も根拠がないままに示されて、三倍なら合憲であるというようなことを言われているわけですが、これはおかしいわけでありまして、戦後を除きました中選挙区制のときでも一・五倍を一応目安に組み立てられている制度でございます。  というわけで、やはり中選挙区制が私が申しました最初のような活力を持つためには、今言いました一・五倍ないしはどう見ても二倍未満の格差のもとで行われるようにすればすぐれた制度として今後もまだまだ十分通用していくものであるというふうに私は確信しておるわけです。  それから、もう一つ。  比例代表でもいいと思っているわけですが、やや問題点を感じているのは、先生が御指摘になった点で、選挙のときに全く関係ない、全然違った、我々は別に政権をとるよと言っていたのが、終わったら突然連立政権を組むというようなことがあり得るわけです。例えばこれがいい例がどうか知りませんが、さきの総選挙で社会党に投票した有権者の多くは、社会党が新生党と組むということに対して非常な抵抗を持っていたと思うんです。それが実際には組んでしまったということで、多分社会党あるいは新生党に投票した人は裏切られた気を持っているのではないか。  そういうことで、もしそういう比例代表が行われるならば、なるたけ連立政権ができたときの形を最初に国民に提示する形で選挙戦が戦われるということが望ましいと私は考えております。

関根則之自由民主党

○関根則之君 ありがとうございました。  政治というのは、やっぱり約束をきちっと守るような形で国民に話をして、合理的に説明した政策なり考え方なりを政治の面で本当に実現してもらわなきゃ意味がないんで、途中でくるくる変わってしまっては困ると思います。  それから、いわば比例制だけでまいりますと、先生今お話しいただいたように、何か間接選挙みたいな形になってしまうおそれもあるんではないか、そんな感じがしてならないわけでございます。いずれにいたしましても、選挙制度に一つの哲学がなければならないということはこれはもう当然御指摘のとおりだと思います。  我が党が前々から主張しておりますのは、基本は小選挙区制ですよ、しかしそれでは余りにも偏ってしまう、少数意見が拾い上げられない、そういう弊害を是正するために一部補完的に比例制を採用する、そういう一本筋の通った考え方をきちっと措定をしていかなければいけない、そんな感じがしてならないわけでございます。  一票制、二票制の問題もそういうことでございまして、それから重複立候補とかそういう問題がありますけれども、およそ一度に行われる二つの選挙に両方とも立候補するなんというのはこれは法律上認められてないわけですよね。県会議員と市会議員の両方に立候補する、国会議員と県会議員とに立候補するということはできないわけでございますから、そういう意味におきましても、一つの一連の選挙なんだ、一つの選挙なんだということを考えることによって初めて重複立候補というのは認められるんじゃないか、そんな感じがしてなりません。  また、そういう理論的な面からこれからもいろいろと教えをいただきたいと思いますが、先生お話しのところてございましなどのような選挙制度が望ましいのかということにつきまして先生のお考え方をひとつ、時間はまだございますのでお話しをいただければありがたいと思います。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) お答えいたします。  もう既にお話ししたと私は理解しておりまして、選挙区の定数の是正を行った上での中選挙区制度、厳密に言いますと、これも慣例ですが、かつては中選挙区制度、三人区から五人区までということでございますが、その辺はなるたけ、やはり二人区というのはこれかあれかというだけですが、できるだけ比例代表の形を出させていくためには三人区から五人区、あるいはせいぜい六人区どまりの選挙制度を持った中選挙区制度というものが望ましいのではないか。  そのためには、やはりこれはまた非常に国会議員の先生方には申しわけないんですが、国会議員からは独立した区割り委員会をつくり、行革審みたいな委員会の答申に対しては最大限尊重して国会はそれを法案化するというような慣例を、これはやれというのは恐れ多いことでございますから、慣例を国会が打ち立てる、そういうことによって国勢調査ごとに改めていく、こういうやり方が望ましいと私は考えております。  以上でございます。

関根則之自由民主党

○関根則之君 衆議院と参議院の代表の仕方といいますか、できるだけいろいろ異なった分野の意見を両方がうまくバランスをとりながら反映ができるような選挙制度が望ましいんだというお話があったと思いますけれども、今これはいろいろ職能代表というのが参議院の比例制の中で大変うまく反映されているんじゃないかと私は考えておりますけれども、こういった問題につきまして参議院と衆議院とどういう機能分担をすべきなのか。その辺について先生のお考え方がありましたらお話をいただきたいと思います。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) お答えいたします。  非常に難しい問題がございまして、私自身もこれまでずっと考えてまいりましたが、どういうふうにしたらいいのかというのは、正直言いまして成案は持っておりません。  ただ、やはり政権の基盤は衆議院に置くべきである、だから衆議院はやはり政権の基盤を持つべきであるというふうに思います。先ほど言いましたように、もし二院制が必要であるというならば、参議院はやはりそれに対するチェック機能、政権の暴走に対してチェックを与える、そのために慎重審議を行うとか、そういうような機関であるべきであるというのが一応常識的なところではないかというふうに今は理解しております。  以上です。

関根則之自由民主党

○関根則之君 次に、鈴木参考人にお話をお伺いしたいと思います。  何かお話の中で、参議院の審議で自民党が審議拒否をしているというようなお話がございましたけれども、これは私どもは決して審議拒否なんか実はしていないんでございます。委員長さんに公正中立を疑わせるようないろんな動きがあったものですから、それに対してきちんと釈明をしていただきたい、そういう問題が最初にありましたよ。しかし、それもそんな長いことなく片がついてまいりましたし、また今こういう景気の中で景気対策をきちっとやるべきではないか、こういうお話を申し上げて、予算委員会の開会、その他補正予算の審議を早めるとか、そういう話をしているわけでございまして、決して審議拒否などはしていないということを最初に申し上げて、そういう理解がありましたらひとつ改めていただきたいと思います。  それから、今の法案をぜひ成立させるべきだ、こういうお話でございました。修正すべき点があったらそれは修正をして成立を図るべきだ、こういう御意見もあったかと思いますけれども、参考人は、修正をするとすればどのような点が修正対象になるというふうにお考えでございますか。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) お答えします。  今、審議拒否はしておらないと。法律的にはそういうことであろうと思いますが、何しろ十五分ですから急いでしゃべっておりますので発言の不手際はお許しいただきたいと思いますが、しかし国民の目には、やはり到着してもう六十日近くなってそして審議が二日とか数日しか行われていないといいますと、それはいろんな広い意味で審議拒否、また復習するとしかられますからやめますけれども、私はそういうものだろうと思います。  ですから私は、国民の目から見てどう映るか、いわゆる国民不在の議論になっちゃ困るということを申し上げておるわけでございまして、それは国会では国会の理由があってそれだけの時間をおとりになっておると思いますけれども、しかし一般国民は、これだけいろんなものが急ぐ急ぐと山積しているときに、それだけかかってとにかく四、五日しかせずに、国民の目には何を審議されたのかということがどうもぴんとこないというようなことは、やはり何か審議拒否みたいじゃないかと申し上げておきますが、と言われてもいたし方ないじゃないかと私は思うのでございます。  これだけ世の中は忙しい物事が差し迫ってきておるわけで、特に自民党からも景気対策についてどうだと、予算を早く編成せい、補正予算をどうと、こういうことを言われておるわけでございますので、私は、これはひとつ国民の目にどのように映るかということを十分考えていただきたいということで回答にさせていただきたいと思います。  どのように改革したらいいか、こうおっしゃいますけれども、私はあえて意見を申し上げません。最初から申し上げましたように政治に直接一回だってタッチしたことはないわけでございまして、大局論からいって今どうしていただくのが必要なのかということのために私はやってきたわけでございまして、今の御質問は、芦田さんに向いてはこれは大変カンニングになるかもしれませんけれども、私が変な自信もないことを申し上げるよりも芦田さんに時間をいただいた方が私は適切だと思います。私はとにかく妥協ができる、できないような溝があるとは思われないということだけを申し上げておきます。

関根則之自由民主党

○関根則之君 せっかくお尋ねをしているのにお答えをいただかないということは私としては非常に残念でございますが、参考人の御意見でございますので、それはそれで承っておきます。  国際社会でこれから尊敬されるような国になっていかなければいけない、こういうお話でございまして、そのこと自身は私も全く同感でございます。ただ、公明公正というお言葉もお使いになりましたけれども、まさにそのとおり公正でなければならないということ、特に私は必要だと思うんですよ。  今、国民の目にどう映るかということ、そういう観点を非常に強調して物事を判断すべきだと、こういうお話でございます。もちろん民主主義の社会でございますから国民の意を十分酌んで国民の意に沿って政治というのは行われなければならないわけでございますけれども、国民の意思というもの、これを見出すというのは非常に難しいわけですよね。それはいろいろな世論操作もないわけじゃございませんし、マスコミももちろん公正な報道をしていただいているとは思いますが、中にはややともすると、この間ちょっと、テレビ朝日でございましたか、ああいう問題も起こったような形で、必ずしも公正さを保っているのかなということが疑われるようなものもないではないわけです。  そういう中で私どもは、将来間違いのない、参議院として良識の府としての間違いのない審議というもの、与えられた法案に対してきちんとした議論をしなければいけない、こういうことでやっているんで、マスコミを通じて国民の声というのがわっと上がってくる、人気投票法のようなものをやって世論の支持が高いとか低いとかそういうことを言われる、そういうものにただいたずらに流されてはいけない、それをやってしまっては本当の意味のしっかりした政治家ではないんじゃないかと私は常々みずからを戒めております。おもねることは易しいけれども、本当に将来の日本のためにやっておかなければならないことは何なのか、そういうことに私はいつも自重自戒をしているところでございます。  そういう議論をしていても仕方がありませんので、芦田参考人にちょっとお尋ねをいたします。  戸別訪問の問題で、制度としてはいいのではないか、しかし行き過ぎの懸念があるという御指摘。私も行き過ぎを非常に心配しているんですよ。  これは、この間おもしろい比喩が新聞に出ていまして、私もなるほどと思ったんですけれども、兵庫で狩猟に行った人がお正月の用意のために山に入っていた女性の方を誤って鉄砲で撃っちゃったんですね。そういう事故が起こっているんですが、それに関連して、ある猟師の人が、狩りをしに行ったんでしょうね、山で普通の人に適で会った。そして言うことに、あんた、鉄砲を撃つかもしれないから気をつけてくださいよと言ったんだそうですよ。まことにおかしな話なんですけれども、そうしたら、そのすれ違った土地の人が、あなたこそ鉄砲を持っているんだから気をつけてくださいよ、こう言ったというんですよ。そうしたら鉄砲撃ちの方は、おれたちは許可をもらって狩猟をしているんだ、あなたは許可をもらって歩いているわけじゃないじゃないか、こういう反論をして、その人はびっくりしたというんですね。日本人というのはそういうところがあるんだと思うんですよ。  今までは禁止されましたよね。今度、法律改正で戸別訪問は許可されたということになりますと、今盛んにこれは宣伝されていますが、そういうことになると、一般の人は法律上の権利として戸別訪問が認められたんだということになる。夕方忙しいときに、子供は泣いてるわ、だんなさんは帰ってくるものだから夕飯の支度をしなきゃいけない、もう忙しい時間に次から次へとんとんとたたかれる。忙しくたってやっぱり出ていかないと怒られるんじゃないか法律違反になるんじゃないかそういうナイーブな感覚というのは日本人にはあるんですよ。それが日本人の一種の特性かもしれませんけれども、そういう風土のあるところで行き過ぎというものを私は非常に心配する。ある候補者が次から次へ戸別訪問をやっているときに、その対抗馬の競争相手はじっとしていられなくなると思うんですよ。  参議院の審議で指摘されましたけれども、六千五百万人投票しますよね。参議院の選挙でも大体六千万からいたしますよ、一億近い有権者なんですから。その人たちにどうやって戸別訪問をするんだと、こういう問題もあるわけでございます。  そういうことを十分御理解をいただいた上でお話をいただきたいと思うんですけれども、将来行き過ぎ等があったら自然にこれは直っていくだろう、選挙民の批判を通じて自然に直っていくだろう、私はちょっとこれは態度が甘過ぎるんじゃないかなという感じがしてしょうがないんですよ。金権腐敗の問題だって社会からこれだけ批判を受けておりますけれども、ほっぽらかしておってはなかなか直らないものだから、法律をもってある程度強制的にやっていこうではないかということをやっているわけですよね。  そういうことで、法律をわざわざ変えて懸念のある法律をつくるということは私は慎まなければいけないんじゃないかな、そんな感じがしてならないわけでございます。御発言の中に見直したらいいというような御発言がありましたけれども、これはどういう意味ですか。今、法律の修正問題もあるわけでございますけれども、その修正の中で修正点の一つとして取り上げたらいいじゃないかそれとも、多少危険はあるけれども実施しておいて後で直したらいいじゃないか、どちらの意味でありますか、ちょっとお教えいただきたいと思います。

芦田甚之助日本労働組合総連合会会長代行

○参考人(芦田甚之助君) 私が申し上げましたのは、戸別訪問を解禁する、そしていろいろとやってみた。いろいろやってみたけれども、懸念することが本当に起きてきた、そしてますます悪くなっていくというようなことであれば、その時点でやはり見直すべきではないか。  先生の御指摘も私はわからぬわけではないんですよ。わからぬわけではないんですが、やはり運動員がその政党の俊補者の当選のためにいろいろ動く場合、政策も訴えなきゃならぬ、いろいろあるでしょうけれども、やはり有権者から悪い心証を持たれて票がふえるわけはないのでありますので、どうやっていい心証を持たれるか、どうやって自分の言っていることを理解してもらえるかということでやはり運動員の方々は運動すると思うんですね。そうすれば、いろいろ懸念はあるかもしらぬけれども、私はそういう問題は是正されていくのではないかという性善説に立っているわけであります。

関根則之自由民主党

○関根則之君 政党助成法に関連いたしまして芦田参考人からお話をいただいたわけですけれども、やっぱり政党というのは自立が必要なんだということで、そういう自分の足できちっと立っていけるように余り公的資金に頼らないでやっていくようにするのが望ましいという趣旨のお話と受けとめたわけでございます。  いずれにしろ、しばらくの間はこの法案に基づいた助成が必要だと、こういうことのようでございますけれども、将来はこの政党助成というのはやめていった方がいい、そういうお考えでございますか。

芦田甚之助日本労働組合総連合会会長代行

○参考人(芦田甚之助君) 私は、やはり政党は自主独立、自立であるべきだという基本的な考えを持っております。  しかし、そうはいっても国民から個人個人の浄財を集めて自立できるような政治的な風土にあるのかというと、現実問題としてそこまで成熟をしておらないと思うんですね。そうすると、日本の政治の活性化のためには政党の活性化が必要でありますから、そのためにはやはりコストが必要であります。その点についてはやはり公的助成が必要であろう。じゃいつまでかというふうなことは期限を区切って言うべきものではない、基本的には自立ていくべきだ、こういうことを言っているわけです。

関根則之自由民主党

○関根則之君 大変貴重な御意見をいただいたというふうに理解しております。長期的な観点からは自分でやっぱり始末をしていくといいますか資金を調達していく、そういう考え方が基本にあるということでございます。  もう一つ芦田参考人にお伺いをしたいんですけれども、例の比例代表の名簿単位のことです。  今、全国単位の案でございますけれども、これでまいりますと、やっぱり全国単位というのはあくまでも全国選出の国会議員ということになるわけですね。地域との結びつきというのは必然性はない。もちろん日本人でしょうからどこかの生まれ育ちの人、どこかに生活の本拠を持っている方ですからどこかの地域の代表ではあるよといったって、制度としてその地域代表じゃありませんから、たまたま東京の中野に住んでいたってなかなか東京の代表という機能は果たしにくいわけでございます。  そういう意味で、特に私は、政権をつくるための衆議院の制度というのは地域との結びつきというものが非常に大事じゃないかという感じがしてしょうがないわけでございます。地域を離れた衆議院の制度というものを根幹に据えていくということ、これはやっぱり問題があるんじゃないかなと。  サブとして、補完的な制度として使うということはそれは大いにあり得ると思うし、私もそれを認めないわけではありませんけれども、基本的にはやっぱり地域代表、地域から国政をゆだねる人をその地域として選んでいく。おらが村の代議士なんですよ。自分の郷里の代議士、その人に本当に恥ずかしくない活躍をしていただくということによって選挙区の選挙民も本当に誇りを持つ。そのことを背景にして出てきた衆議院議員も、郷里の選挙区の有権者に恥じないようなしっかりした行動をとっていく。こういう関係が本当に望ましいんじゃないかと、平たく言って。そういう意味で、地域性というものを私は大事にすべきではないかそんな感じがしてならないんです。  そんな観点から申し上げますと、鳥取は確かに四人が二人になっちゃうんですね。それで残り二人をどうするかということですけれども、今のこの制度だとこれは全国区なんですから、全国で集計するということになると鳥取と関係なくなってしまうんですよ。二十五の県で半分以下になっちゃうんですよ。高知県なんかは五人いるのが二人になっちゃうんですよ。半分以下でしょう、四割でしょう。これはやっぱり問題だと私は思いますよ。  そこのところを補完するために次善の策としてブロック制があるではないかと。我が方としては同じ方向への御議論をいただいたわけでございますけれども、何か都道府県別の名簿にしてしまうと鳥取の場合二人になってしまって、二人の比例は全く意味がなくなってしまうということですけれども、私は意味がないとは思わないんですよ。小選挙区制というのは、政治的な意味で一人一人の殺し合いっこですからね。政治的に本当に勝つか負けるか、生かすか殺すかという戦いになってしまうわけですよ。  一人しか当選できないんですよ。それに対して、例えば鳥取県で比例名簿で二人当選できるというのは、二番手の党も当選可能性があるということなんですよね。そういう意味で小選挙区とはまるで違うんですよ。確かに、第三党、第四党は無理かもしれないけれども、第二党まではいけるわけですよ。  それから、もちろん大阪とか東京みたいに人数の多いところ、人口の多いところは十何人というような形になると思いますから、そういうところばそれこそ七%とか八%の政党でもどんどん当選ができるようになってくるということで、決して意味のないことではない。  地域代表をできるだけ地域に密着したような形で出していけるという制度であるというふうに思いますけれども、その辺のところ、ほとんど意味がなくなるというような感じのお話があったんですけれども、その辺について何か考え方がございましたらお教えください。

芦田甚之助日本労働組合総連合会会長代行

○参考人(芦田甚之助君) 今、先生がおっしゃいますように、地域に根差した代表が必要だということは十分わかります。それはやはり小選挙区の中から選ばれていくわけでありまして、小選挙区の中で一つを争うわけですからいろいろ反映できない意見や意思というものがあるわけでありますから、それはこの比例代表の中から選んでもらう。それは狭いところで選ぶというよりも、もう少し広いところで選択の幅を持たせてやっていく方が比例代表にふさわしいのではないか。ですから、地域に根差した衆議院議員の方もおるし、比例代表という幅広い中から国政に参画をする議員もおられる、両方あっていいのではないかと思うわけです。

関根則之自由民主党

○関根則之君 お話はありがたく拝聴いたしておきます。  ただ、そこで本当に、まさに衆議院と参議院の間のバランスといいますか、両方がうまく、衆議院では拾えない異なった意見を参議院の方で拾うていく、参議院で拾えない意見を衆議院で拾っていくとか、そういうバランスを、お互いに協力し合うような関係、そういうものをうまく組み合わせができないかなという感じがしてならないわけでございます。  最後に、田中参考人に、政党法というのはつくった方がいいかどうか。特に今度、政党補助金がごそっと入りますと、権利能力もないような社団に何十億という金が入る可能性があるわけです。やっぱり少し問題があるんじゃないか。余り細々とした規制をするのはよくないけれども、しかし多少の、ごくごく必要な、例えば労働組合法というのが今ありますよね。労働運動というのはどうぞ御自由にやってください、しかしやっぱり一定の規制はいたしますよと。あれは法人格を持たせるようになっていますから、その方が組合員の福祉の向上のためにいいからということでああいう制度ができているんじゃないかと思うんですよ、これは芦田先生の方が専門ですけれども。  そんな意味から、もう時間がなくなりましたのでごく簡単で結構でございますから、政党法をつくることについてどう考えるか、ちょっとお教えください。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) お答えいたします。  残念ながら私は余り詳しくは勉強しておりませんけれども、そういう意味の趣旨なので、政党は私党であると同時に公党でもあるわけでありますから、そういう公金が助成されるようになりますと、基本的なところ、もちろん言論の自由集会、結社の自由等、憲法で認められたものは保障した形で、規制というんですか、何らかの法律的な枠組みを与えることは現在は必要ではないかと思っております。

関根則之自由民主党

○関根則之君 どうもありがとうございました。(拍手)

川橋幸子日本社会党・護憲民主連合

○川橋幸子君 それでは、三人の参考人の先生方に、私のいただいている時間は三十分でございますけれども、少々時間短縮しまして二十五分ぐらいでお尋ねさせていただきたいと思いますが、お尋ねさせていただく順番といたしましては、鈴木参考人、次いで田中参考人、最後に芦田参考人、こういう順番で伺わせていただきたいと思います。  それぞれの参考人の先生方も自己紹介を含めてのお話があったかと思いますので、聞く方も何者であるか簡単に申し上げるのが礼儀かと思います。  まあ大した人間ではございませんけれども、五十半ばにして政治を初めて志したという参議院議員でございます。一年半前の参議院選挙、例の投票率が非常に下がった、これはちょっと異常な状態ではないかと言われたその時期に、私個人としては政治に夢といいますか情熱といいますか、あるいは次世代のことまで考えるというとちょっと大げさでございますけれども、憂慮というそんな気持ちを持ちまして、実は変革、チェンジ、今流行語でございますけれども、私が使ったころはまだ余りどなたもお使いにならなかったのですが、それをテーマにしてここまでやってきたものでございます。  変革、チェンジを私のテーマとして政治を志したということでございますので、当然私の動機の中には、政治不信をぬぐうための何らかの変革、変化を政治が実現してほしいと。また、そこの中に私も、一翼どころじゃないです、本当にほんの少しのチャンスでもいいから機会があるなら自分もそれに参画してみたい、こういう気持ちであったのでございます。  そこで、鈴木参考人に初めに伺わせていただきたいと思います。  鈴木参考人はそれこそ一流の経済人でいらっしゃるわけでございますが、経済一流、行政二流、政治三流と言われて長い時間がたったわけでございますけれども、この言葉につきまして参考人はどんなふうにお考えになられますでしょうか。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) どうも御質問痛み入りますが、私はあの当時から経済が一流で政治が三流だなんということは言ったことはございません。これは、政治も経済も一体の国民が運営しているわけでございます。特に政治については選挙ということでやっているわけでございますから、政治が悪いということは、国民も悪い、経済界も悪いということだと、私はこう思っております。  先ほど来申し上げました、政治がしっかりしてもらわないと何事も変革的なものはできない、これは私の信念でございました。その信念に、また三年間の行政改革の会長をやらせていただきました。まあ骨身にしみ込んだ苦悩の経験でもございます。  ひとつ余分な話になるかもしれませんが、行革の提言はもうこれで一応はストップ、むしろあとは政治的な実行あるのみということで、私どももそういった意見でございますし、また内閣の方もそのような御意見で、また皆さんもその点は御異議がない話だろうと思っておりますので、やっぱり実行ということをぜひ示していただく。それには政治の力ということでございまして、経済界も今までの態度を大いに改めなければならないというときに差しかかってきている、こう思っております。

川橋幸子日本社会党・護憲民主連合

○川橋幸子君 経済一流、行政二流、政治三流とおっしゃったことはない、大変良識のある参考人のお言葉かと存じますが、実は私はこう言われても仕方のないようなそういう仕組みがあったのではないか、そんな感じがいたします。  政治不信というのは二点あると私自身は思っていたわけです。  一つは、やはり政治と金の関係、腐敗の問題ですね。お金でなければ政治が動かせない、そういう問題が一つ。それから二点目は、どうも国の意思決定、国家と言うよりも私ども市民の立場に立つと国と言った方が理解しやすいのでございますけれども、国の意思決定がどうもこのところはっきりしない。意思決定の仕組みもはっきりしない。あるいは意思決定のタイミングなり、あるいは決定すべき内容の問題点なり争点なりが国民にはっきり示されない、こういう意味で国の意思決定がうまくいってないんじゃないか。この二つに対する政治不信というのが非常に大きいのではないかと私は思っていたわけでございます。  今、参考人の方からとにかく実行、決めることだ、そういう趣旨の御意見がございまして、私も意を強くするわけです。私は、自分流の言葉で言わせていただきますと、政治が当事者能力を取り戻す、政治が負うべき責任を負うということは、結局、自分自身の当事者能力を持って、あるいは痛みを感じながら決める、あるいは決めた後でさまざまな御批判にも耐える、そういう意味の当事者能力というものが今非常に政治に求められているのではないかと思いますが、もう一回参考人の方からそのあたりの御感想、御意見を伺いたいと思います。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) 私の経験から申し上げまして、日本人はどうも個々の事件については非常に先鋭に対応しますけれども、その背後にあるシステムと申しますか枠組みといいますか、また片仮名で言いますとパラダイムと申しますかそういったものに対して基本的に考えていくという思考方法が少し弱いんじゃなかろうか。これは私ども自身についても言っておるところでございます。  そういう意味におきまして、今の政治改革を含めまして、行政改革、それから経済改革、すべて今こういう大きな転換点として、私はカオスの状態と言っておりますが、もう旧来の秩序は役に立たなくなって新しい秩序を必要とする。そういう認識に立ちますと、よほどの決意を持ってパラダイム、枠組みを考え直さないといけない、そう思っております。  これは政治の責任だけとは申し上げませんが、行政、経済、すべて、先ほどもちょっと申し上げました昭和十六年、いわゆるアメリカヘの宣戦布告の前にしました一極集中、東京集中、そして規制社会、そういったものを戦後また思い出しでやってきた。それが非常に成功したということは、また自民党一党支配、言葉はいいのか悪いのか知りませんが、非常な功績を上げられて安定した日本経済が構築されたわけでございますが、ここへ来てどうするかというときに、今そういった成功の物語がむしろ足かせになっているという状況を、早く政治改革を達成して、強い政治力で社会システム、行政システムを直していただきたいということに今凝り固まっておるところでございます。

川橋幸子日本社会党・護憲民主連合

○川橋幸子君 大変説得力のあるお言葉で、私も共感といいますか、同感といいますか、とても尊敬する参考人でいらっしゃると、これはごますりではなくて本当にそのように存じております。  そこで、少々鈴木参考人にお尋ねすることが多くて恐縮なんでございますけれども、あと一点、二院制をとっておりまして、衆参の役割というものがあるかと思うんですが、その点についてお伺いしたいと思います。  参議院は良識の府と言われている。そういう参議院の役割についてどのようにお考えかということと、関連いたしまして、衆参の役割分担、機能分担があるならば、選挙制度改革も衆参の制度の整合性を考えて提案すべきだと。先ほど参考人も冒頭、審議をおくらせるというそういう意味の批判には衆参の整合性という意味は使ってはならないというふうにおっしゃいましたけれども、その辺をそれではもう一回、政権の基盤をつくる衆議院の選挙制度が変わって参議院が変える必要があるのかないのか、またその議論もございますけれども、その整合性を保つためにどのような手だてをすればよろしいのか、どうお考えでいらっしゃいますでしょうか。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) 参議院の存立意義と申しますかそれはやはり良識の府ということは、憲法でも参議院は解散ということがないわけでございますが、やはりそういったことを心配せずにじっくり良識の府として判断をしていただくということが本質だろうと思いますので、そういう点からいうと、言葉は大変失礼でございますが、政争の具になるというような扱い方はぜひやめていただきたい。  そういう意味において、今度の六十日近くの会期が経過しているということは、国民一般の目には、何をしておられますかという疑問はもう何としてでもぬぐえないところでございまして、ですからやはり慎重審議は、六十日あれば、もう五年間も論議している問題でございますので、十分その結論に達せられる能力はお持ちでございますので、それをひとつやっていただきたいということ。  それからもう一つ、衆議院との関係、先ほどから問題になっておりますが、それは当然だろうと思いますけれども、今度の出発点は、まず衆議院の制度を解決してその後で参議院との関係は考えようといったのが、やはり私の記憶では、最初自民党のこの制度を検討されるときの経過としてそれがはっきり示されておるわけでございますので、その方針に従って今度も審議がきている。ですから、衆議院と参議院との役割分担、性格、制度というものについていろいろ疑問が先ほどからも出ておるわけですが、それを今待つというんじゃなくて、それは整理してからもう一回その整合性を考えるというふうにしていただきたい、こう思うわけでございます。

川橋幸子日本社会党・護憲民主連合

○川橋幸子君 それでは、とにかくまず実行、政治がみずから自分の身を正すことを決定できることから、まず衆議院からと。今回の法案の成立を私どもも期したいと思っておりますので、ぜひまた御協力、御支援賜りたいと思います。  続きまして、それでは田中参考人の方に今度はお尋ねさせていただきますが、田中参考人には、先ほど関根委員からも御質問がございましたけれども、政党の役割につきまして私もお尋ねさせていただきたいと思います。  田中参考人の場合は、大学の政治学の先生でいらっしゃいまして、理論の政治と現実の政治をそれこそ整合性があるというのでしょうか、実証しながら学問を進めていかれるお立場かと思います。  今回、政治改革四法案の中で、新たに政党助成金というようなものが導入されるわけでございますね。この参議院の中でも、政治家性善説、性悪説、政治家の方は性悪説が強いからこれだけの罰則が強化されたのでございましょうか。しかし、政党の場合は、むしろ結社の自由、性善説に立って政党の評価、政党に対するチェック機能はむしろ選挙民の方にあるんだから大丈夫だという、こんな御議論が強かったわけでございます。  性悪説が強い政治家が集まって政党をつくると性善説に変わり得るのか。これもちょっと普通の人はわかりにくいのではないかと思いますが、そのあたり、政党のあり方というものについてお話を例えればと思います。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) 大変実は大きな問題で、学問的にまじめに考えますと、これから一生懸命うちに帰りまして参考書を開いてお話ししなきゃいけない問題でありますが、特に政党助成との関係についてだけ考えていることをお話しさせていただきたいと思います。  私は、もうずっとかなり前から政党に対する助成というのはいつかは必要になるのではないかということを思っておりました。こういうことが問題になるには何か大きな事件が起こらなければ出てきませんので、この機会というのがその大きな機会になるのではないか。この機会を逸しますと、恐らく政党助成というのはまた二十年三十年先の方に移っていってしまうのではないか、おくれてしまうのではないかと思っておるわけです。  なぜこういうふうに考えておりますかというと、先生は性善説、性悪説の立場からお話しいただいたわけでありますが、将来的には政治資金というのは、お二人の参考人の方もおっしゃっておりますが、やはり個人献金で賄うべきである。これは、やはり民主政治というのは国民一人一人が担っていくべきものでありますから、そうなっていかなきゃいけないと私は確信を持っているわけです。これもまた両参考人からもお話があったわけですけれども、現在の段階で特に日本の文化といいますか風土といいますか、国民は政治からお金をもらうことは期待しても、自分からお金を出すという意識には日本人はややほかの先進国に比べれば欠けている点が多いのではないかと思わざるを得ない状況がしばしばあるわけであります。そういうところで、これは客観的に言いまして、言ってみますればそれを補っていたのがある意味では企業献金であったと言わざるを得ないと思うんです。  そうした中で企業献金を大幅に制限するなりあるいは禁止するなりという方策をとりますと、やはり政党にとっては大幅な不足が起こるだろうと思うんです。共産党というような政党あるいは公明党ではそういうような問題は余り起こらないと思いますが、その他の政党についてはそういうことはかなり先鋭に起こるだろうと思いますが、やはり政党というのはその国のデモクラシーを担っている大きな重要な存在である、単なる私的な存在ではないということからいいましても、やはりその中の幾分かは国民がそれ相応の痛みを分かち合っていかねばならないと思っております。  ただ、それに一番いいのは、例えば確定申告のときに、私は自民党に、あるいは私は社会党に、私は共産党に幾ら寄附するというのをやって、それを徴収してくれればこれは一番いいわけでありますが、日本の風土はもう先生御承知だと思いますが、例えば仮に私が共産党だなんと言いますと、多分日本の会社においては、そういう人の将来に対してはかなりの問題が起こるやに聞いておりますので、そういうことはなかなか難しい問題があります。そうなりますと、やはり一括して助成するという方式はしょうがないんではないかというふうに私は思っております。

川橋幸子日本社会党・護憲民主連合

○川橋幸子君 政党助成は必要と、過渡的なものかもわからないけれどもやっぱり必要なんだというお話でございます。  それで、今度はお金じゃなくて政党の運動面といいましょうか政策立案能力といいましょうか、そういうものについてお尋ねしたいと思うのでございます。  官僚主導が長かったせいか、日本の政治そのものが政策立案能力を失って久しいといいましょうか、そういう能力が乏しいというような御批判をよく一般から聞かれるところでございますけれども、そうした政策立案能力を高めるための努力について、結社の自由もそうかもわかりませんけれども、これだけの公共機関、公共的な財産となるべき社会組織だとすれば、やはり労働組合法とか会社法とまでいかなくても、何がしか社会に向かって政策立案についてこれだけの義務を負うということを明示できるような、そういうものが必要なのではないかと思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) 政党が何をやるべきかということは、これはまさに政党の存立の根幹にかかわるものでございますので、今の私の個人的見解としましては、そこまで指定するなり何らかの形、法的な形で言うのは大変難しい問題をはらんでいると思います。  先生御指摘のように、政党が政策立案能力を高めることは本当に急務である、これは全く同感であります。そのためにはやはり、政策秘書なんという制度が今回採用されましたけれども、一つはイギリスの政党のように大きく組織化しまして、内部において政策立案の専門の部署をつくり上げたということがあります。でありますので、日本の場合には、これからはそういう助成が行われますと、それができる可能性があるということが一つの展望であると思います。  もう一つは、これはアメリカ方式と言ってもいいかもしれませんが、アメリカの場合には、個々の議員の先生方の力が強いわけでございますので独立していらっしゃる。その場合には、議会において、議会全体ですね、つまり日本の国会でいいますと国会に強い調査能力を持った機関をつくる。そして、与党はもう政府の官僚が背後に控えておりますから、全くとは言いませんが、それなりに問題はないわけですが、野党の先生方あるいは野党の政党がそのままそれを利用するためのスタッフの充実というのがぜひぜひこれから考えていかなきゃならない課題だと私は思っております。

川橋幸子日本社会党・護憲民主連合

○川橋幸子君 それも、規制するんじゃなくて、政党自身の自覚でやると。お金が余ったら返すというようなことではなくて、むしろそういうところにちゃんと手当てをするだけのアウトプット代を出せるような政党になれと、このように承って構いませんですね。  もう一問だけ。  私、ごらんのとおり女性でございますけれども、今回の選挙制度の改革と女性の政治参加の問題について非常に実は内心は危惧しておるところでございます。しかし、これも考えてみますと、法律上女性の枠を何%というわけではなくて、むしろ政党が立候補者を立てるときに女性の意見を反映できる、それこそ日本の政治をノーマライゼーションできる道ではないかと思うんです。  そういうことで、各政党の党首からはいい言葉をいただいているわけでございますけれども、学者の先生方はその女性の問題について、特に立候補機会を確保するということの政党の方針、その辺についてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) お答えいたします。  これは、以下の話は私の個人的なお話でございまして、政治改革のものがみんな一致しているというふうに考えないでいただきたいと思います。  基本的には、先生がおっしゃったように、女性議員が出てくるのか、どれくらい出すのかというのは、まず第一義的にはその当該所属の政党が決めることである。あるいは無所属候補だったらその方が決める。また、女性が出るべきことだと思うわけです。  政党に関しては、人口の半分以上は女性でありますから、そういうことで女性を採っていくということは十分考えられる。なぜならば、女性が女性を投票する可能性は今後高くなるだろう。つまり、票をより多くとるために女性を立てるということは、簡単に言えば有効なわけですね。そういうことです。そういう意味で、その傾向は今後ふえていくであろう、だから余り御心配要らないだろうと思うわけです。  それからもう一点の、個人的な形で立候補している無所属の方が、まさに先生が言われたようにグラスルーツから出ていらっしゃる方がこれからどんどんふえていくようにしていくべきであると私は思っているわけです。そのためには、いろんな、私はちょっとその辺は素人でわからないんですが、育児制度とか子供を預かるとかそういうような方向での整備は今後どんどんと充実させていく必要があって、女性が活躍される機会がふえていくというのは、社会の多様化、さまざまな意見が政治に反映する上で望ましいことだと思います。

川橋幸子日本社会党・護憲民主連合

○川橋幸子君 ありがとうございました。  本当に時間の配分が下手でございまして、芦田参考人にもたくさんお伺いしたかったのでございますが、ちょっと五分ぐらい残して終わりたいと思いますので、一問だけ、先生のおっしゃりたいことを十分おっしゃっていただきたいと思います。  芦田参考人にお伺いしたいことは、長い労働運動におかれましてのキャリアの中から、私が想像いたしますところ、労働運動も理想と現実というものに絶えずどう折り合いをつけてくるかオール・オア・ナッシングではなくて、理想を掲げながらその方向に一歩でも二歩でも近づくために非常に御苦心なさってこられたんじゃないかと思います。今回の政治改革も、これが万全かと言われるとそうではないという答弁がいろいろ政府席から返ってくる。だけれども、一歩でも二歩でも着実に国民の信頼にこたえて、変えたい、変わりたい、こういう願いが強いと思うのでございます。  御自身のキャリアの中から、理想に向けて現実をどういうふうに変えていくか、そういう御視点の中から今回の政治改革四法案についての何か貴重な御示唆をいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。これ一問で終わらせていただきます。

芦田甚之助日本労働組合総連合会会長代行

○参考人(芦田甚之助君) 労働組合は、主として活動の範囲というのは労使関係の中にあるわけです。さらに社会的なあるいは政治的なことにも広げてきてはおりますけれども、中心的なことは労使関係の中でのものが一番大きな問題です。  労使関係の中で何をやるかというと、労働条件を上げなきゃいかぬ、ベースアップもしなきゃならぬ、労働時間の短縮もしなきゃならぬ。しかし、我々が要求したからといってそれがすべて通るわけではありませんから、お互いに交渉しながらそこそこのところで妥結をしていかざるを得ない。言うなれば、交渉を通じて、次善の策といいますかそこで手を打っていかなければならないというのが労働運動の立場だと思うんですね。革命的労働運動と違うわけですから、民主的な労働運動というものは僕はそういうものだと思っております。同時にまた、交渉相手とは信頼関係というものがやっぱりできておらなければならないと思っております。  そういう意味で、この選挙制度改革もすべて百点満点でなければならないとは思っておりません。今のこの小選挙区比例代表の基本的なことは政府・与党も自民党も一致しておる。ところが、個別の問題で意見が対立してしまう。個別の問題で意見が対立してしまって、大事な一番大きなものを流すようなことがあってはいかぬというふうに思っています。

川橋幸子日本社会党・護憲民主連合

○川橋幸子君 ありがとうございました。終わります。(拍手)

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 公明党の白浜でございます。  きょうは、大変お忙しいところ貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。十分しか時間ございませんので簡潔にお伺いしたいと思います。  まず、田中参考人にお伺いしたいと思います。  先ほど、政府案は哲学がないと、こういう話がございましたが、当然、小選挙区と比例代表制、まあ典型的な選挙制度、それぞれ民意の集約であり、反映であることは違いないわけでございますが、政府案は、よりその民意のいわゆる集約に力点を置いた小選挙区が二百五十、半分、それから民意の反映に力点を置いた比例代表が半分、二百五十、きちっとした考えがあって、それがきちっと哲学がある案であるということを私今申し上げておきたいと思うわけでございますが、ただ一点、自民党案の方がましだとおっしゃいましたね。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) 筋が通っていると。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 筋が通っていると。ああそうですか。筋が通っている。私は筋が通っていないと思うんです。  そこ一点だけお伺いします。  要するに、比例代表制という制度を持ちながら都道府県別で集計すると、そうするといわゆる二人を決める県が二十数県あるわけですね。比例代表というのは、先生御存じのように、やっぱり一〇%の得票率で一〇%の議席がある、きちっと鏡の上に反映する、議席に反映する、そういう建前の制度ですね。二人を比例制で決めるということ自身に、これ哲学ございますか。私ないと思うんですね。この点、一点だけまずお伺いしたいと思います。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) 私は自民党案の方がましだとは決して言っていません。筋が通っていると。  で、申し上げます。  かつての政府原案では二百五十、二百五十ということになります。そうしますと、今、政党が全国的に各党が存在していると前提しますと、例えば某党が、一番多数党がいつも絶えず選挙区で五一%をとったとしますね。そうしますと、結局その一番最大の政党は全部の小選挙区をとりますね。その中で、残りの比例区では二百五十掛ける五〇%は最高党がとるわけでありますね。なりますね。ですから、今そういうことで、だからそこで全体と見たら何%その党がとるかといえば、結局、小選挙区の形の方で力が決められるんであろうというふうに私は申し上げた。私の言いたいのはそこなんです。ですから、その政府案のかつての原案はより小選挙区的な色彩が強いんだと。組み合わさっているけれども、そういうことを申し上げたわけです。  そうした中で、もし小選挙区でやりたいならば、自民党案の方がより比例代表区の方も小さなレベルで、小選挙区的なところで、つまり県レベルで都道府県から代表者を選出するということで筋は通っているだろうと。それはいいとか悪いとか何にも言っていません。  先生御指摘のことは絶対にあります。私はそれもちゃんと知っております。ただ、今の言った観点からいえばそういうことが言えるのではないかというふうに私は申し上げたわけであります。(「理路整然としている」と呼ぶ者あり)

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 いやいや、私が聞きたかったのは……

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) ちょっと待ってください。今ちょっとやじ、この方に。失礼。関根委員に対してちょっと物を言いますが、そうでしたらやはり自民党はかつての衆議院に出されたような小選挙制度を出すべきであるというふうに私は思っております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 だから、私そこだけ聞きたかったんですよ。それは二名程度選ぶのに比例で選ばぬと。全部が小選挙区の方がわかりやすい制度なんですよ。だから、比例代表制を入れている意味が余りないんじゃないか、この点だけ私聞きたかったわけでございますが、時間がございませんのでこれで失礼いたします。  鈴木参考人にお伺いします。  十一月十八日に衆議院を通過いたしまして五十数日たつわけでございますが、この間いろんな与野党の協議があったわけでございまして、景気対策が先じゃないかとかいう御意見も強くございました。しかし、先ほど参考人もお話しされておりましたが、審議は両方一緒にやった方がいいですし、政治改革をやり遂げること、政治の安定というのが景気の浮揚になるんだと、景気対策のまず土台づくりであると、私どもはそう考えているわけでございます。ましてリクルート事件発生以来五年間を経過しているわけで、ここでもしつぶれるようなことがございましたら、国民から見て、もう国会とか政治家とか信用できない、こういう事態にもなりかねないと思うわけでございまして、この点に関する所感をまず伺いたいと思います。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) 今までも申し上げてきたつもりでございますが、やはり議会制民主主義の危機だろうと私は思っております。  日本にそういった危機がないか、必ずしもそうは言えないと思います。私は古い人間でございますので、昭和一けたから二けたのあのファッショ下の時代をずっと、歴史としてじゃなくて自分の学生時代の体験として持っておる人間でございますが、あのとき議会制民主主義がつぶれて、結局、軍事ファッショになった。割合と簡単な動機でああいうふうに走っちゃうわけでございますね。  ですから、今はもう政治家は本音で議論を一つもしていない、みんな建前だということで。それでなければもっと政治改革にしてもわかりやすいという声が聞かれるわけでございますが、私はそれはほっておくべきじゃないと思うのでございます。やっぱり本音で議論していただいて、とことん議論して一ところへシフトしていただくということだろうと思います。悪かったらまた次に改革をすればいいというくらいの決意でやっていただいていいんじゃないか、こう思っておりますが、御質問の……

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 景気対策の関係でございます。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) 景気対策ですね。  これは本当に理解していただきたいんですが、私は先ほども申しましたが、まずこの景気が底なしにずっと行きますと、やはり政治不信、本当にやってくれるのかということが一番の問題。それには強力な体制ができているのかいと。今できていないじゃないか。やはり昔の十六年体制のままの既得権意識、縄張り意識で、みんな政治も行政も一緒になって、いわゆる鉄の三角関係と癒着のことを一時言いましたけれども、そういったような状態に対する国民の声もございます。  それからもう一つ、これはここで申し上げることじゃございませんけれども、信用不安、いわゆる信用システムが非常に大事だということで、公定歩合を今の一・七五まで下げてきて少しも効果が出ない、私ども経済界はそういうことを言っておったわけであります。おととしの春、公定歩合をどんどん下げられて、それだけじゃとてもだめですよということを言っておったわけですが、そのとおりに残念ながらなった。  それで、今も信用不安。あれだけの、もうこれ以上下げられないという公定歩合の引き下げをやっても、信用システムについて本当にみんなが信用していない。そこに将来この経済がどのように動いていくかということでみんな不安がある。土地の問題もまだ解決はしないということがある。  その二つが根っこにあるということを十分認識していただいて、その上にあってどのような構造転換をしていくかということでございますので、本当に先生方の前だから政治が大事だってお世辞を言っているわけじゃ絶対ございませず、何とかしていただきたい。これは経済界が一流だ二流だなんて言っておる暇はないと私は思っております。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 時間がないので、もう一点簡潔にお願いしたいんですが、企業献金ですね。  これは要するに政治家個人と結びつくと非常に贈収賄になりやすい。事件になっているのはそういうことなんです。ということで、今回政治家個人との関係をまず断ち切ろうということで政党に一本化されたわけでございますが、ずっと企業活動をされてこられまして、この企業献金の政治家個人への禁止、この点をどういうふうに認識されておりますか。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) お答えします。  行く行くとしましてはやはり政党法というようなものをしっかりつくって、私は政治に詳しくはございませんが、聞くところによりますと、イギリスの政党法というのは金だけじゃなくて候補者もぴっしゃり、統制と言っては悪いんですが、吟味して品定めしてやっておるというふうに聞いておりますが、そういうふうにだんだんいきますれば、やはり行き着くところは政党のいわゆる選挙費用は国から応援してもらわなくてもできるというところへ来るだろうと思います。  何しろ長い間のことがございますし、特に今ここで取り上げるのは不適当かと思いますが、私はそこが非常に基本にあると思いますのであえて申し上げますが、今の議員構成といいますと、大体世襲が五〇%ぐらいある、それから大きな労働組合から二〇%ですか、それにまた高級官僚から一〇%と。そういうことを言いますと、国民は国の政治の一番大事なことをつかさどっておるのは世襲かということがございますが、これから金の問題をぎじぎじ言いますと、やはり世襲というのは相続税のかからない一番の資産を相続されるわけですから、これはまた税法でもちょっと問題じゃないか。いや、これは冗談でございますが。  そういう意味でやはり全体を見なければならぬ。一つだけ金さえ練ればいいという問題でもない。人も考えなきゃいかぬわけです。

白浜一良公明党・国民会議

○白浜一良君 芦田参考人、どうも済みません、時間がなくなりまして。  お伺いしたいことがございましたが、以上で終わります。(拍手)

中村鋭一日本・新生・改革連合

○中村鋭一君 参考人の先生方、御苦労さんでございます。  田中参考人、一番最初にお話しをなさいまして、ただいまも言及がありましたけれども、その中で今回の政府案には哲学がないと、こうおっしゃいました。  元来、選挙制度に哲学という単語を使うのが妥当であるかどうかはやや私は疑問があるように思っております。選挙制度というのは我々が絶大な信頼をおいております民主主義というものを具現化していく上での一つの普遍的な手続その他、選択あるいは国民の意思を一番端的に政治にあらわす上での制度の問題でございますので、それはむしろどの選挙制度が一番いいかということは国民が最終的に選択をする問題であって、一番いいと思われる選挙制度を、ベストがないとすれば一番ベストに近いベターを実現するための英知の所産と言うべきである、このように私は思いますので、ちょっと我々の意見を代弁させておいていただきたいと思います。  鈴木参考人にお伺いをさせていただきますが、先ほど来からお伺いしておりますと、鈴木参考人の御意見はまさにこれは卓見と言うにふさわしい言葉の連続でございまして、私は大いに感銘をいたしました。その点で、今ここにこうして私が立って自分の意見を申し上げておりましても、これはまさに卑小な管見と言うべきでありまして、大いにきょうはひとつ鈴木参考人に今からもう一度けいがいに接しさせていただきまして、我々を裨益し、勉励し、何としても今国会中に関係四法案を成立させるための御激励を賜りたい、このように考える次第でございます。  ここに雑誌がございますが、これは昨年の六月に鈴木参考人がお書きになったものでございまして、「ステーツマンの政治へ」、このように白書していらっしゃいますが、これを見ますとこのようにおっしゃっておいでですね。一、政治改革の全体像、二、政治と行政の関係、三、政界再編、四、選挙制度改革、五、政治資金制度改革、六、政治倫理と腐敗防止、七、国会運営の改革等々を何としてもやり遂げてもらわなければ相ならない。「もし、それが与野党間の駆け引きによって再び先送りされるような事態になるならば、それこそ国民を愚弄し、議会制民主主義を破滅させるものとして、後世の非難を浴びなくてはならないだろう。」、これは鈴木参考人が一年近く前に雑誌に書いていらっしゃることです。  それからいま一つ、「ディベートを重んずる社会、ここから政治が始まり、民主主義が生まれるということを、われわれはこの際はっきりと認識する必要があろう。」、こうもお書きになっていらっしゃいます。  ここに自民党の村上さんがいらっしゃいますけれども、私が記憶しておりますのは、過日の参議院本会議において村上委員がお話しをなさいました。そのときに村上さんが、これからの参議院というものは、例えば委員会審議においても国会議員と政府委員がやりとりするんじゃなくて、議員相互間、与野党相互間、委員相互間のディベートを大いにやる必要があるということをおっしゃいまして、私は、いいことをおっしゃるな、ぜひこれはどうしても実現しなければいけないな、そういう思いを深くした記憶がございます。  ですから、そういうことを含めまして、あと六分ございますから、ひとつ昨年六月にお書きになったことも含めて、本日おっしゃいましたことも含めて、大いに我々を叱咤勉励するところの論を今から展開をしていただきたい。  ただその前に、私、先日、国会図書館で本を借りました。四部にわたる浩瀚な本でございました。これは、サー・ジェームズ・ブライスという人が一九〇九年に著しました千三百ページに及ぶ浩瀚な書物でございます。題名は「モダン・デモクラシー」、これは「近代民主政治」と訳されておりますけれども、これは古往今来の書籍を渉猟いたしまして、イギリスの大政治家でありかつ大政治学者であったジェームズ・ブライスが八十二歳のときに千三百ページに及ぶ書物を著した、民主主義というものに対する烈々たる情熱を秘めた大著でございます。  その一番最後のところでブライスは、「古来いろいろな政治形態があった。しかし、今は民主主義がその主流である。民主主義というものには、デモクラシーには多大の欠陥がある。その欠陥を指摘する人は甚だ多い。いわば抜け穴だらけである。しかしながら、民主主義が欠陥だらけで抜け穴だらけだからいけないと言う人に私は問いかけたい。ならば、あなたは民主主義にかわる別の、これ以上はないという政治形態を我々に提出し得るか否かと。」、このようなことがブライスのその大著の結びの言葉になっております。  私は大いにこの言葉に感銘を受けました。当委員会で審議をしております政治改革四法案は、まさに我々がほかに選択を許されないデモクラシーというものを本当に国民の血肉にするための大事な大事な委員会の審議でございます。  その辺をあわせまして、あと四分でございますが、鈴木参考人からぜひ我々を叱咤勉励するところのけいがいに接しさせていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問はこれで終わります。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) どうも恐れ入ります。針のむしろに座らせられたみたいな感じがいたしますが、先ほどの村上先生は、私、日経連時代からずっと御指導を受けておるような間柄でございまして、どうも最後にこれはきゅっとやられそうですが。  今、高邁なお話がございました。私は学生時代から心がけております、そのために失敗もしておりますが、何とかずっと今志を同じゅうしてやっておれることでございますが、トーマス・カーライルという方が、産業革命の最中でございますが、サンディカリズムとかあるいは共産主義とかいろんなものが提起されて、これから産業革命後の世界はどういう社会体制でいくかということを論じておったさなかでございますが、そのときに産業家であったトーマス・カーライルは、やはりこれからは、今おっしゃいましたように民主主義の社会でやっていかなきゃいかぬと。サンディカリズムとか共産主義ということでは、これからの新大陸に発展していく我々としては十分にいかない。やはり冒険心といろんな英知を持っておる産業人が陣頭に立たなければならぬだろう。中世まではナイトとかあるいは教会というものが大衆を指導してきたが、もうそういった勢力もない。そういった時代には、やはりその時代をしょっておる産業人が世の中を見ていかなきゃいかぬ。  その見方でございますけれども、いわゆる知的なアリストタラートは、ほっておいたらばあるいは共産主義的な指摘とかサンディカリズムが言うようなことになるかもしれないけれども、善導していけば立派な将来が開けていけるということを言って、産業人はぜひ自分の立場だけじゃなくて公の立場から指導していかなきゃいけないということを主張したわけでございます。  そういったことを私は日経運の会長になりました当時から痛感いたしまして、こうやって日本は民主主義として立派に繁栄しているけれども、やはり大衆がそういった気持ちでおらなければ、政治だけにすべての責任をかぶせるのは酷だという思想で、経済団体もそういった自分のところの産業のことだけじゃなくてもう一歩高い日本全体の立場から発言しなきゃならぬな、そういったものがリーダーだということを一時言ったことがあるのでございますが、きょうそれを思い出させていただいて、とても偉そうなことを今申し上げましたけれども、先生のお話でちょっと誘発された大変僭越な言い方になりましたですが、心がけだけはそういうことであります。  どうぞよろしくお願いいたします。

中村鋭一日本・新生・改革連合

○中村鋭一君 ありがとうございました。(拍手)

長谷川清民社党・スポーツ・国民連合

○長谷川清君 民社党の長谷川でございます。  きょうはお三方、本当にお忙しいところありがとうございました。  私、時間の関係もございますので、先ほど鈴木参考人と芦田参考人のお話を聞いておりまして、片やもう財界のトップマネジメント、片や八百八十万を代表する、今は会長代理でございますが、新聞によりますと、次、山岸会長の後ほぼ確実だと、それぐらいのお方が、日ごろはいろいろと賃金だ、賞与だ、いろいろの分配をめぐって対立をするというか、交渉相手でございますお二方が、この政治改革四法案に関しましては全く一致をして、そして国民の声はこうだ、早く上げろ、こうおっしゃったことは、本当に本日の最大のこれは私にとりまして成果であったと思うんです。  そういう視点でもう少しく、先ほど何回か聞いておりますけれども、さらにお聞きをしたい点もまだございます。  一つは、国際社会というところから見た今日の日本の政治の状況。景気の問題は国内問題でございましょうけれども、特にこの政治改革四法案、この問題は四法案でありますから全部関連いたしております。そういったものに対して、しかも四周、五周おくれの課題である、まだ卒業しないのか、これがあらゆる経済ベースに国際社会の中で悪影響を出していると。こういう視点などについて、ひとつ国際社会から見た今日の日本の姿をどう見られているか、このことを最初に鈴木先生と芦田先生にお伺いしておきたいと思います。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) 御質問にお答えいたしますが、私は、もうことしくらいからみんなが明るい気持ちで努めていくということが必要なときに来ている、こう思います。ただ、しかし楽観はできない。  その困難な点はございますけれども、痛みは痛みで引き受けるというくらいの気持ちで労働界の言葉で申し上げたら芦田さんにしかられますが、私はもうずっと労働組合とは御一緒にお話し合いは常にやってきておりますのでそれほど差はない、こう思っておりますが、もうことしくらい、ひとつ立ち上がって新しい方向へ目を向けて、そっちへ活路を見出そう。  今までの日本の一番悪いところは、視点が定まってないという点が今度の不況の長引く、また出口が見えないという点でございますので、そういった点を、日本の産業、社会の目標をはっきりセットをして、そしてそれに向かって産業界は産業界、労働界は労働界で進んでいくということが非常に大事なときになってきている。このままずるずると滑り落ちることがあっては大変なことになると思います。ことしはそういった意味で、すぐにはこうなりませんが、なべ底であってもそのうちに上がっていくという努力をみんながしなきゃならぬ、明るい気持ちでいかなきゃならぬ、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

芦田甚之助日本労働組合総連合会会長代行

○参考人(芦田甚之助君) 日本の政治改革を国際社会がどう見ているかということだろうと思うんですが、この十数年ほどをとりましても、ロッキードからリクルート、さらに佐川、今のゼネコン、日本の政治は一体どうなっているんだろうというふうにやはり世界の人からは見られていると思うんですね。  それで、日本の政治は本当に自浄能力があるのかどうか、これもまた見られていると思います。五年にわたる政治改革の法案が行ったり来たりしてなかなか日の目を見ない、これもどうなっているんだろうということで、やはり世界の多くのリーダーの方々から、日本はどうもうまくいってないようだよ、信頼もなかなか置くことは難しいんじゃないか、こういうような形で私は見られがちではないかと思うんですね。  それで、今度の国会で選挙制度のこの改革四法案を上げればようやく、日本もまともな方向で政治が動き出すのではないか、そういうふうに私は見られると思いますので、何としてもこの国会で上げてもらいたいと思うわけです。

長谷川清民社党・スポーツ・国民連合

○長谷川清君 確かに宮澤内閣の時代、宮澤内閣もテレビで国民に向かいまして、これが上がらなければ日本は沈没します、必ずやります、ここまで宣言をいたしましたが、結局はできなかった。長い間の時間がかかって今日ここへ来ております。今この部屋の雰囲気からいたしますと、もうあしたにでも上がりそうな雰囲気でございますけれども、(「きょうでも上げたら」と呼ぶ者あり)ああ、いい意見が出ました。それで、これからは自民党の方は余り攻撃はしない、こういうふうに聞こえますけれども、やはり今なおまだいろいろと残された大事な時期に来ておりながら出口が見えないという状況のもとに現実はあります。  そういう点において自民党が野党自民党になった場合には、これだけの長きにわたった与党経験、そして立派な野党として国家国民のために必ずなるであろうと私は本当にひそかに思っておりましたが、現実はというとなかなか厳しゅうございまして、いろいろと大変な矢が飛んでくるというこういう状況だと思いますが、その点について、野党自民党についての今のお考えがございましたら、もう時間が本当にございませんが、一言ずつお聞かせをいただきたい、ぜひ聞いておきたいと思うんです。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) やっぱり自民党もかということを言われないようにひとつ頑張っていただきたいと思います。さすが自民党だ、こういうふうにひとつぜひお願いいたします。

芦田甚之助日本労働組合総連合会会長代行

○参考人(芦田甚之助君) 三十八年の政権担当をしてきた自民党でありますから、その経験を生かした野党としてのやり方がまたあると思いますので、そういうものがさすがは自民党だと言われるような形であらわしてもらいたいと思っています。

長谷川清民社党・スポーツ・国民連合

○長谷川清君 大体結論が出たようでございますけれども、田中参考人に、哲学の問題が出ましたが、私はやはり、白と黒とを合わせていきますとやはりベストミックス、それは非常に灰色のような色になるかもしれませんが、そこに哲学がないというのはいささか――私はいろんな意味においてたくさんの意見をそれぞれ吸収し合ってベストミックスの状態で現実があると思います。これこそデモクラティックなものだと思いますが、残された時間も大分ございませんけれども、そういう点についていささか、先ほどのお話によりますと、本来ならば一番いいのは現状のままだ、そして自民党案が筋が通っている、そして今の政府案は哲学がない、要約をすればこういう段取りになっておりましたので、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) お話しさせていただきます。  やや短い時間でのお話でしたので私の真意が必ずしも伝わっていない面があるんではないかと思いますが、基本的には私は現状がいいとは決して申し上げておりません。  実は、御質問がありましたらお話ししようかと思っていたのですが、今のところ全然御質問がありませんので、ちょっと申しわけありません、この機会をおかりして選挙制度改革以外についての私の意見をお話しさせていただいて、私の全体に対する評価を申し述べさせていただきたいと思うわけであります。  今回の政治資金の問題に関しましては、ざる法と言われあるいは非常に問題点があるということの中で、いずれも現行よりはるかに進んだ案が連立与党の方からもまた自民党の方からも出てきているということで、私は非常に高く評価しているわけであります。いいところは別に言わなくてもいいというのは学者の悪い癖でありまして、それは言っておりませんでしたけれども、そういう意味で私は、今回こういう機会を得て、先ほどの芦田さんの御指摘のようにさまざまなスキャンダルを経てようやくここまで国会議員の方々が立ち上がってくれたということは非常にいいことだと思っておりまして、やっとここまで来てくれたのかというふうに思うんです。やはりこうした側面を特に強調して、ぜひ今国会で上げていただきたいと思っているわけです。  選挙制度に関しましては、従来の私の国会の研究あるいは理解からいいますと、なるべくは各会派の同意のもとでやってきたというふうに私は理解しております。たとえ一部の野党が反対していましても、通してもいいよというのが暗黙に伝わる形でかつて自民党はやってきたというふうに、私はこれまでそういうふうに国会運営、特に参議院はやってきたというふうに理解しているわけでありますが、選挙制度というのは非常に重要な後世に残る問題でございますので、それについてはやはり慎重に。で、今一致できるものについては速やかに実施していただきたい。  そしてまた、後者の政治資金とかそういうものこそ今回の政治改革の骨格部分であると私は理解しております。そういうことです。

長谷川清民社党・スポーツ・国民連合

○長谷川清君 終わります。(拍手)

聴濤弘日本共産党

○聴濤弘君 最初に田中先生にお伺いしたいと思います。  実は昨日、田中先生に何を質問しようかと考えておったんですが、きょう先生の御意見を伺いまして、私が持っておった問題意識とかなり一致するところがあるので、それでどのように質問をしたらいいかと考えておったところであります。  それは、例えば中選挙区制度のもとでは政権交代ができない、小選挙区制の方が交代できるんだとか、中選挙区制では腐敗が起こる、金がかかる、同士打ちが起こる、それを小選挙区制に直せばそういうものはなくなる等々、小選挙区制導入についてそういう議論がいろいろ行われてきた。この国会でも議論されてきましたが、先生はきょう、これには特別な学問的根拠はないんだということをおっしゃられましたが、私も実はそういうことを考えていた次第です。この点で非常に一致するということなんでありますが、そこで、私二点お伺いしたいんです。時間がありませんのでまとめて二点お伺いいたします。  一つは、それでは同士打ちが起こったり金権腐敗が起こったり金がかかったり、そういった弊害というのは、それでは何に由来するものなのか。選挙制度に由来するものじゃない、学問的にはそういうことは言えないということでありますから、私もそのように思いますが、それでは何に由来するものか、政党の体質によるものかこれが一点であります。  二点目は、きょうの御意見の中で、とどのつまり学問的に選挙制度の問題で根拠を持って言えることがあるとすれば、一つは小選挙区制というのは強い政権をつくる上で適した制度であるということは言えるだろうとおっしゃいました。それからもう一つは、比例代表制というのは、併用制という言葉でおっしゃられたと思いますが、比例代表制は民意を反映するという点では適した制度である、少なくとも学問的にはそういうことは言えるというふうにおっしゃられました。  そうしますと、中選挙区制を変えなきゃいかぬ理由というのは、今まで言われていた理由というのは学問的根拠がないわけですから、そうすると、とどのつまり根拠を持って言えることは、小選挙区制を導入すれば、あるいは並立制でも同じですが、導入すれば強い政権をつくる、強い政治をつくっていく、そういうことはできるんだ、結局、選挙制度の改革、今の改革と言われているとどのつまりの問題はそういう強い政治をやっていくためのものだということにならざるを得なくなってくるというふうに思うんですが、どのようにお考えになりますか。  その二点について御質問したいと思います。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) お答えいたします。  まず、腐敗とかそういうものが選挙制度によらないならどこに由来しているのであるかという御指摘でございます。  これにつきましては、これもまた学問的に言いますとよくわかっていないところがありますが、私は少なくとも一つの大きな理由は日本人のやはり文化的な要因があるのではないかと思うんですね。  それは一番簡単に言いますと、これは学生の前でいつも言っているんですが、日本は贈り物文化である、何を頼むのにも何か持っていかなきゃいけない、菓子折りなりお金なり持っていく。それから、合理主義者の目から見れば全く意味のない、盆暮れに必ずお中元、お歳暮をやる、こういうことがありますね。何かにつけて物を持って自分の意思をお願いしていく、そういう意思を通じていくような文化というのは我が国にある。  政治家の方が例えばお祭りなんかに行くときも、私は自民党の某政治家のお話を伺ったことなんですが、ただでは団地の盆踊り大会にも入れていただけない。やはり何か、ビール一ダースなりあるいはビール券なり、そういうものを持っていかなきゃ仲間に入れていただけないというようなところがあるという御指摘がありました。  そういうようなところがありまして、私はもちろん政治家の方の御努力も必要であると思いますけれども、根源的なところはやはり国民の意識がどうも金権的になっているんではないか。やっぱりそこをまず改めるような何か工夫はないのか。あるいはそれを改めるには、私は余り好きではないんですが、違反に対しては罰則を強化していくとか、そういうのをある程度強化せざるを得ないのかなというところまでは考えております。  それから第二点でありますが、小選挙区制になると強い政党になるというふうに御指摘がありましたが、強い政権をつくる方に一般的には言えると思います。  ただ、これもいろんな条件がございまして、例えば各小選挙区がいわば一人一党型になる。つまり、アメリカはまさにそういう制度でございますね。小選挙区制であります。下院議員を見ていただきたいんですが、一人一党で、そうなりますと各議員が一人一党をつくりますので独立してしまう。ですから、その結果できた集合としては。議院の委員長、議長等を決めるときだけは一つの結束した政党になるけれどもその他は全くばらばらの政党ができるということで、一般的に、ある条件が与えられれば小選挙区制になると強い政党、強い政権が生まれる可能性があるけれども、別の条件が与えられると必ずしもそうはいかないということである。私は学問的にはそういうふうに言うべきであろうと思っております。

聴濤弘日本共産党

○聴濤弘君 きょうは参考人の御意見を伺う場所ですから、ここで詰めて一本とったとかとらないとかそういうことをやっておるわけではございませんので、国民の方に問題があるというふうな御発言でございましたけれども、それは若干納得しがたいという点はちょっと一言だけ申し上げておきたいと思います。  次に、鈴木さんにお尋ねしたいと思います。  贈る方の問題というのがいろいろ出ましたので、経済界を代表しておられるので質問したいと思うんですが、企業献金というのは本来やめるべきものだというふうにお考えか、あるいは一定の条件ならそれは構わないというふうにお考えか、そこのところをまず最初にちょっと聞かせていただきたいと思います。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) 率直にお答えいたしますと、そういった企業献金がなくてもいいような政治体制、選挙制度に早く持っていっていただきたい、こう思います。

聴濤弘日本共産党

○聴濤弘君 それではもう一つ質問させていただきます。  企業献金がよくないというのは、それにはわいろ性というのがいつでもつきまとっているということに大きな問題があるということはもう指摘されているとおりだと思うんです。  その問題はちょっとおきまして、私なんかもいろいろテレビの討論だとか、財界、経済界の方もいらっしゃる場面で討論をすることがあるんですが、その場合わいろ性の問題というようなことを指摘しますと、それに対して経済界の方は、企業の側としてはそういう問題が起こるのはそれはよくないことだ、しかし民主政治の育成のために必要な金なんだという御説明をよく受けるんです。テレビ討論というのは一分半でもう発言ができなくなりますのでそこのかみ合った議論したことがないんです。  私はよくわからないのは、民主政治の育成と言うんだけれども、特定の政党に財界がお金を出すのがどうして民主政治の育成になるのか、その論理はちょっと理解しがたいんです。その点はどのようにお考えですか。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) なかなか難しい問題でございますが、はっきり申し上げまして、先ほども申しました選挙制度、政治というものをそういったことがなくてもいいものへ早く持っていってもらいたいということと、今そういうことをお聞きになったのは現在よりももうちょっと前だろうと思いますが、恐らく今まではそういった意識も相当あったろうと思いますけれども、現在の状況からいいますとむしろそういったことを表面に出してくる理由は余りないんじゃないか、私はそう思っております。それだけ日本の政治は成長した、成長しつつある、私はそう信頼しております。

聴濤弘日本共産党

○聴濤弘君 最後に、一分しかございませんが、芦田参考人にお伺いしたいと思います。  きょう御発言を聞いておりまして、もし断違っていたら私訂正いたしますが、芦田参考人は企業・団体献金について本来的にはこういうものはない方がいいということをおっしゃられたと思います。それからもう一つは、政党助成の問題についても、これはもう本来的に言うと政党というのは自主独立てやっていった方がいいんだというふうにおっしゃった。だから、本来的には二つとも、いえば余りよくない。ところが、今回のは、いろんな理由はあるんだけれども、両方ともいいというそういう法律になっているわけですね。  これは、両方とも悪い、本来的にはなくすべきだというのがいろんな理由で両方ともいいという、これは何か最悪の選択のように思うんですが、いかがでしょうか。その点について伺って、もう時間が来てしまいましたので私の質問を終わります。

芦田甚之助日本労働組合総連合会会長代行

○参考人(芦田甚之助君) 民主政治にはやはりコストがかかる。しかし、そのコストは本来ならば国民一人一人が浄財で負担をしていくべきだろう、支援をしていくべきだろうと思うわけですが、日本の政治風土はそこまでいっていない。じゃ、どこが負担するのか。そうすると、やはり政党については企業・団体献金もそれは必要だ、さらに国の公的助成も必要だ、こういう考え方に立って先ほど申し上げたわけです。

聴濤弘日本共産党

○聴濤弘君 終わります。(拍手)

下村泰二院クラブ

○下村泰君 どうも三人の参考人の方、御苦労さまでございます。  二院クラブの下村でございます。ついこの間までは漫才をやっておりました。  私は、こちらの席に並んでいらっしゃる諸先生方と違いまして、御幼少のみぎりより政治家を志してここへ来たわけじゃないんです。たまたまあゆみの箱という社会奉仕の運動をやっておりまして、そのさなかに重度障害児者の方々とお会いをしまして、またその保護者の方々とお会いしまして、私たちの目の黒いうちはいいが、この子たちは一体将来どうなるんだろう、少なくともこのあゆみの箱の運動をしている人たちの中から国会へ行って私たちの悩みを直接伝えてほしいというようなおことばをたくさんいただいて、それじゃひとつ立候補してみるかといったら、間違えて当選したわけなんです。それでここへ来ました。  それ以後、ここへ来ましてからは皆様方のお話しになっているような難しい政治上のことは一切やりませんで、あくまでも終始一貫身体障害者のことのみやってまいりました。私は、いまだに議会用語も使いませんし、小難しい言葉も使いません。また使おうとも思いません。あくまでも庶民の代表の感覚でここにおります。  先ほど来議論されている今度の法案についても、一般の方々はさほど感じていませんよ。中選挙区であろうと小選挙区であろうと、普通の焼き鳥屋ののれんをくぐっているような人たちの生活には何ら影響ないんですよ。御本人たちがそう言っているんです、関係ないんだと。それこそ鈴木参考人の前でございますけれども、その方たちの二言目はそれよりは景気回復だよと、これを必ず言いますよ。  大体、今度の細川政権の成立というのは、もう参考人の方にこんなことを言うのは馬の耳に念仏ですけれども、今までの政治じゃ飽き足りない、どういうところが飽き足りないかといえば、要するに各種の汚職が今日まで尾を引いてきて、それじゃ嫌だよ、もうちょっときれいになっておくれよ、こういう願いから今日の政権ができたんだと思うんです。  それで、今度の法案が出ておりますけれども、私は一番思うんですけれども、例えば選挙区の問題、選挙制度の問題なんというのは、これは本当は後回しでもいいんですよ。私に言わせれば、一番大事なのは政治資金規正法と腐敗防止なんですよ。これがなくならない限りは、連立政権であろうとどんな政権であろうと国民はやはり信用しないんですよ。何じゃ、また顔ぶれがかわっただけじゃないか、これだけのことなんですよ。  今度の例えばこの法案が仮に通過したとします。そうしまして、この政治資金規正法と腐敗防止、これが完全に形になるんだろうか、あらゆる国民が納得する形になるんだろうか、これをお三人の方々にそれぞれ思っていることをお聞きして私は終わりたいと思います。  順次、田中さんからどうぞひとつ。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) お答えします。  正直言いまして、わかりません。  ただ、現行の制度に比べればはるかに規制等が行き渡っておりますので、透明度においても少しは拡大される、それから選挙違反等につきましても、あるいは政治資金の出し入れにおける不透明な点につきましても、改善されるんではないかと私は予想しており、また大いに期待しております。

鈴木永二三菱化成株式会社相談役

○参考人(鈴木永二君) それを期待してこの政治改革四法案の成立を期待しているわけなんですが、しかし漫然と期待しているわけではございません。国会議員の方々はもちろんのことでございますが、よほど国民全体がその意気込みでやらなければ、これはおっしゃるようなことにまたなってしまうかもしれません。そうしましたら、先ほど来言っておりますように、今度成立しなかったら、日本人は本当にやる気があるのか、煙が上がったときだけは水をかけるような格好をするけれどもそれが過ぎればまたそのままじゃないかと。もう何回繰り返したか、私が記憶しておるだけでももう片手ではおさまらぬかもしれません。それではしょうがないわけですから、今度せっかくこれで難産の上成立したならば、皆さんが本気で建前と本音を区別せずにここに問題点があるということをさらけ出してそれをどうやるかということをやっていただかないと、御心配のようにそんなに安心してできるもんじゃないと私も思います。  私は、先ほども申しましたように世の中を明るく今見なきゃとても日本の将来はおぼつかないと思いますので、この点もまず皆さんと一緒に争っていただけるんだということ、それからそれに基づいていろいろな施策によって日本の景気も上向いていく、焼き鳥屋ののれんをくぐられる方々にもああ少しはよくなったなと思われるようなふうにしていただかなきゃいかぬと思います。  これは経済界もみんながやはり努力しなきゃならぬ問題だと思っていますので、ひとつよろしく御指導のほどをお願いいたします。

芦田甚之助日本労働組合総連合会会長代行

○参考人(芦田甚之助君) 政治腐敗をなくしていこうということについては、私はやはり政治資金規正法の問題もあるでしょうし、選挙制度の問題もあるし、腐敗防止法の問題もある。そういうやはり制度全体をただしていかなければ、そういう腐敗の防止はなかなかできないと思います。  それならば制度だけつくっていけばすべてそれで一丁上がりになるのかというと、私はそうではないと思います。やはり国民の、さらにまた政治家の倫理性というものをもっと高めていかなければ、そういうものはいつになってもなくならないだろうと思います。

下村泰二院クラブ

○下村泰君 ありがとうございました。結構です。――まだ何かありますか。言い足りないことがありましたらどうぞ。

田中善一郎東京工業大学教授

○参考人(田中善一郎君) ちょっと追加させていただきたいと思うんですが、そうしたら腐敗防止等が実効を上げるためにはさらにこれからどういうことが必要になるか、ちょっと私考えていることを一言だけお話しさせていただきます。  現在の制度は、皆さん御存じだと思いますが、政治資金等は自治省に届け出るということで終わっているわけであります。それについて調べてそれでどこに不正があるのかということは、システムが確立されておりません。現在の新しい制度、出されている政府案もそういうふうになっていないと思いますので、これからの課題としましては、やはりアメリカにおけるFECみたいな常に政治資金の出入りを調査する機関、公的な中立的な機関をつくって監視するようにすること、それから、そうしたデータに国民が自由にアクセスできるようなシステムをつくっていかなきゃいけない。それがやっぱり望まれることで、その辺のことももし与野党の間で合意が図られるならばぜひとも実現していただきたい、そういうふうに思っております。  以上です。

下村泰二院クラブ

○下村泰君 結構です。(拍手)

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)  午後一時四十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十六分開会

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) ただいまから政治改革に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、六案の審査のため、参考人の方々から意見を聴取することといたします。  御出席をいただいております参考人は、駒澤大学教授前田英昭君、筑波大学教授蒲島郁夫君、弁護士志田なや子君、以上三名の方々でございます。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  参考人の皆様から忌憚のない御意見をいただきまして六案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、前田参考人、蒲島参考人及び志田参考人の順序でお一人十五分程度の御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。  それでは、まず前田参考人にお願いいたします。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) 駒澤大学の前田でございます。  私の意見を述べる機会を与えていただくことを光栄に存じております。  今回の政治改革四法案の原点は、私は腐敗防止であるという認識に立ちまして、腐敗防止という観点から私の関心のある問題について端的に意見を述べさせていただきます。  まず、選挙浄化のための罰則の強化であります。  罰則規定が威力を発揮するためにはピストルを突きつけられたときの恐ろしい威迫感がなければなりません。今回の改正は、連座制の適用対象を立候補予定者の秘書にまで拡大しましたが、法律では総括主宰者などと意思を通じて選挙運動を行った者というふうになっておりまして、この「意思を通じて」という表現が免責規定と同様の効果を発揮して罰則強化を妨げる働きをするように私には思われてなりません。「意思を通じて」という表現は、昭和二十九年の公選法の改正に際して、従来、長年、連座制の抜け穴と批判されてきた免責規定を削除するかわりに入ったという経過がございます。  ちなみに、イギリスの一八八三年腐敗・違法行為防止法では、免責規定は極めて厳しく、ほとんどないに等しく、かつ挙証責任を被告側に課しております。  そして、買収に使われる金は選挙運動費用につながりますから、選挙運動費用の法定額を厳守するということについても規制を加えなければ十分ではありません。チェック体制の導入が求められるところであります。  このピストル的威迫感があるかどうかということが選挙浄化を成功させるかどうかの一つのかぎであります。イギリスの腐敗防止法は候補者に対する威迫感がありました。したがって、選挙費用の法定額が守られたのだと思われます。  次に、連座の場合の立候補制限についてであります。連座制に立候補制限が入ったのは今回が初めてでありまして、これは画期的なことであります。ただ、五年間の立候補制限は実際に何回の立候補制限になるかを考えてみなければなりません。制裁措置としては二回以上が相当だと私は考えております。一回は謹慎します。その次に立候補できるかどうかが問題であります。この場合にもおとり、寝返りの免責規定が入っております。イギリスの腐敗防止法ではおとり、寝返りというものは認められておりません。  また、この立候補制限は当該選挙に関してであります。例えば衆議院議員選挙の場合には、その選挙区に限ってでありますが、次の衆議院選挙には立候補できませんが、参議院選挙、知事選挙の立候補には何ら差し支えないというのであります。これはいかがなものでありましょうか。  次に、収賄罪の場合にも公民権の停止が新たに導入されました。これも画期的であります。議員が収賄罪により刑に処せられるということは大変珍しいことであります。珍しいということは、残念ながらそういう行為がなかったということでなくて、職務権限の壁があって収賄の疑いがあっても罪にならないとされた例が多いというのであります。献金かわいろかがよく問題にされるところであります。そのほかに党員としての立場で行った行為とか、職務権限のある議員を操る大物が影響力を行使したとか、ばらまきの献金など、明治四十年にできた現在の刑法ではとても対応し切れない事件が次々発生しております。今回の改正で何らこれらのことに手をつけていないのは腐敗防止の観点から見れば期待外れであります。  次に、政治資金規正法違反者に対する制裁措置として新たに公民権停止が導入されました。これも画期的であります。しかし、違反者は会計責任者であって、これまで議員には責任が及ばなかったのであります。今回資金管理団体ができますと、その責任は議員にも及ぶようになっておりますが、ここにも会計責任者の選任、監督について相当の注意をした場合は除くというふうに免責規定が入っております。免責規定をつけずに連座制を政治資金規正法にも導入できないものでありましょうか。  民間政治臨調では、政治団体の代表者、会計責任者及び秘書が政治資金規正法に違反し、刑に処せられた場合は連座制を適用して議員の公民権を停止するとしております。民間政治臨調の提言といいますと例の連用制が目立つのでありますが、連用制のほかにも腐敗防止など十分議論しておりまして、こういう提言にも関心を持っていただきたかったと思うのであります。  次に、腐敗防止に関して今回の改正案で取り上げられなかった現金使用の禁止について申し上げさせていただきます。  腐敗汚職事件は現金の授受がつきものであります。段ボールやジュラルミンケースで現金を運んでいく状況はどうしてもダーティーな印象をぬぐえません。日常生活では便利なカードが利用されているのに、なぜ政界だけ現金が珍重されるのか。政界においても現金の使用を禁止すべきだと私は考えております。政治の近代化は政治資金の近代化、現金の使用禁止につながります。  外国の例を見ても、フランス、アメリカで、ある一定額以上の現金の授受は禁止されております。選挙運動や政治活動に使われる金は透明であり、国民に金の流れがわかるようになっていなければなりません。太陽の光は最大の殺菌作用であると言われます。政治資金についても同様であります。金融機関の口座を介して金の授受を行うことは金の流れの透明化に間接的ながら役立ちます。国会議員につきましては、どの金融機関でも使える特製の議員カードというものをつくれないものだろうか。議員バッジとともに議員の象徴になることを私は夢見ております。  口座による金の授受は、金の流れをチェックする手段だけでなくて、候補者のためにも十分役立ちます。イギリスでは選挙にエレクトラル・アカウントという口座がよく使われるようであります。これは法律で特にその使用が義務づけられているわけではありませんが、口座を使うことによって、いつ、幾ら、どこから金が入ったかということが明確になるわけでありまして、他人から金の不正使用や不正授受との疑いをかけられたときにはその反証の材料に使うことができるのであります。  ところで、腐敗防止は法規制だけで十分ではありません。政治倫理と一体のものとして考えるべきであります。アメリカ最高裁の判事ブランダイスはこう言っております。「法的責任は、倫理という海の水に囲まれた小さな島のようなものである」と。倫理の海が干上がってしまったら島は島でなくなる。単なる陸地である。法的責任は追及できない。厳罰を科そうと思っても倫理に裏打ちされなければ不可能だということでありましょう。例えば人を殺すことは極悪非道、人の道に反することだとされている。そういう倫理に支えられて犯人に厳罰を科すことができるのであります。駐車違反についてはいかがでございましょうか。そうはいかないだろうと思います。  倫理の海の水のかさがふえれば島は水に没してしまいます。もう法的責任の追及は必要でなくなるのであります。つまり、政治倫理が確立されているところでは、腐敗、汚職の疑いをかけられた者は身のあかしを立てなければ公職をやめざるを得ないのであります。こういう慣行ができていれば島はもう不必要なのであります。腐敗防止を法律によって規制する必要がなくなる。イギリスがその例であります。  イギリスの国会議員に関しては収賄罪がありません。しかし、収賄する議員が一人もいないというわけではありません。収賄の疑いをかけられた者は身のあかしを立てようとみずから積極的に努力いたします。同僚や国民を納得させられなければ辞職します。自分たちの選んだ代表者を監獄にぶち込もうと思っている人は恐らくそういらっしゃらないのではないでしょうか。国民はけじめをつけてくれということを政治家に期待しているものと私は思います。けじめさえつけばそれで終わり、それ以上法的責任を追及しないのではないかと私は考えております。  アメリカ議会の政治倫理委員会の活動は、政治倫理の厳しさを見せつけます。ライト下院議長を初めとして何人もの議員が、政治倫理委員会で釈明しながら、議員の納得を得られなくて辞職していきました。設置まで七、八年かかり、設置されてから一度も開かれることのない我が国の政治倫理審査会と比べると、アメリカの政治倫理委員会は全く対照的であります。  今回の政治改革四法案は、腐敗防止に関しては私は一歩前進したと思います。しかし、その効果については疑問が持たれます。今後の一層の改革の御努力を期待いたします。その際、よく引用されるイギリスの一八八三年の腐敗防止法のような徹底した厳罰強化への道をさらに突き進むのか、または政治倫理の確立への道に歩みを移して罰則強化への道は雑草を生やすのに任せておくのか。私は後者の道を選ぶことの方が望ましいと考えております。  最後に、三つの提案をさせていただきます。  第一、参議院では十分な審議を尽くしていただきたい、そして衆議院の審議で足らなかったところを補っていただきたいということ。公聴会を開けば採決ができるという慣行は、良識の府である参議院ではつくっていただきたくありません。アメリカの委員会では、公聴会は委員会審査の冒頭に行われるものであります。今回、正月五日から委員会を開いたという熱心さは国会の歴史に長く記録されるでありましょうが、ただ早く開いたという事実を残すのでは意味がありません。国民が納得するだけの審議をしていただきたいのであります。  法案の引き延ばしは、上院の引き延ばし権、ディレイングパワーといいまして、世論の盛り上がりを見るという意味において大切なものとされております。アメリカでは、上院は議員数では下院の四分の一以下ですが、審議時間は下院をオーバーしております。我が国でも、戦後間もなく、緑風会があって参議院が第二院の機能をよく果たしたと言われる昭和二十六年には、審議時間について衆議院をオーバーしたことがございます。第二院であり議員数が少ないからといって、審議を簡単にしていいというものではありません。  第二、採決は党議拘束を外して自由投票で行ってほしいということ。自由投票は、衆議院の非公式の場で問題にされたようでありますが、参議院でこそ実現してほしいのであります。イギリスでは、政治改革、議員の進退に関する問題、宗教や良心にかかわる事項、議員立法については自由投票で行われる例が多いようであります。EC加盟問題では、保守党は自由投票、労働党は衆議院では党議拘束をいたしましたが、造反者が出たのを見て貴族院では自由投票でありました。ドイツでは、つい最近、首都ベルリンに国会議事堂や政府機関を移すかどうかについて自由投票で決めました。  憲法上、衆議院に比べて参議院は党議拘束を緩和できる条件を備えております。採決は自由投票で、そして四法律案を一つずつ行ってほしいと私は考えております。  第三、法律が成立した後、これで政治改革は終わりというのではなくて、特に政治腐敗の防止はこれから始まるようなものでありますから、法律施行後に、立法者の意思が貫徹されたかどうか法律のフォローアップをすることをお願いしたいと思います。議員の資産公開制度は、その法律制定までに相当の時間がかかりましたが、現在、立法者の意思は実現されていると考えてよろしいのでありましょうか。  以上、三点が行われるならば、参議院は良識を発揮したと評価されるものと私は確信しております。  終わります。ありがとうございました。(拍手)

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) ありがとうございました。  次に、蒲島参考人にお願いいたします。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) 筑波大学の蒲島でございます。  本日は、参考人として意見を述べる機会を与えていただき、大変ありがとうございます。  時間が十五分と限られておりますので、皆さんのお手元に私の参考人意見のアウトラインを用意しておきました。それに沿ってお話ししたいと思います。  まず、選挙制度の改革について幾つかポイントがございますけれども、選挙制度改革をするとどういうふうな政党制になるのか、そういう議論がマスコミあるいは政界でよくなされております。例えば、今度の選挙制度改革によって二大政党制になるとか、あるいは多党制になるとか、それからどちらの政党が利益を得るとか、そういうふうな議論が多いわけです。  しかしながら、選挙制度改革というよりも、実は政党制を決めるのは世論の分布ではないかというふうに政治学者は考えているわけです。  ここに有名なアンソニー・ダウンズの理論を御紹介しますけれども、左の方が多党制を生む世論の分布です。このようにA、B、C、D、Eというふうな形で多くの山があります。それから、二大政党制を生む世論の分布というのは、中央にピークのある正規分布の形をしたものです。それで、○の方を革新、それから一○○の方を保守というふうにしますと、A党はAという山を、それからC党はCというイデオロギーを、それからE党はEというイデオロギーを代表して、それが多党制の形になっていくわけです。  ところが、二大政党制を生む世論の分布といいますのはこのように正規分布をしておりまして、正規分布をしておりますと中道に多くの有権者が固まっております。そうすると、その中道の有権者を獲得するために、A党とB党は中心に寄っていくわけです。そうすると、だんだんA党とB党の関係が政策の差がなくなってまいります。つまり、A党が政権をとってもB党が政権をとっても安定的な政権交代が行われるということになってくるわけです。  それでは、日本の世論の分布はどうなのかということを考えてみますと、私どもが一九九三年七月、今回の総選挙の直後に日本人のイデオロギー、特に保守と革新について調査をした結果がここに示されています。  これを見ますと、二大政党制を生む世論分布に非常に似ております。しかしながら、左の方に小さな山がある、右の方に小さな山がある、だからこれはなかなか無視はできないわけですが、全体的に言いますと中道にピークのある正規分布をしている。つまり、選挙制度の改革の前に、日本人の世論の分布というのは中道を望むような、そういうふうな二大政党制を生む世論の分布に近いのではないか。  実は、この世論の分布は選挙の結果こうなったわけではなくて、選挙の前もこのような形をしていたわけです。ところが、これまでは自民党が中道に近づく形で分裂し、そして政権担当能力のイメージが非常に低いと言われた非自民諸政党の分裂の中にあって、自民党が大変な利益を得てきた。そういう意味では、世論の分布そのものは二大政党に近い。大きな流れをこの中からつかむとすると、連立与党が一緒になって連立政権が成立した直後から実は二大政党システムの動きが始まっているというふうな理解をしていただきたいと思います。  そして、その中にあって我々は選挙制度の改革についての議論を行っているわけですけれども、小選挙区制の部分において二大政党制を固定化する方向に持っていくだろう、それから比例制の部分において、さまざまなまだ小さな山がありますし政党のアイデンティティーがあるわけですけれども、この維持に働くのではないか。それからもう一つ、この小選挙区制を残しておくことは、ここの二大政党の中に入ってこない少数意見の尊重と変化への感受性にとっては非常に重要ではないかというふうな考えを持っております。  じゃ、このような大きな日本人の世論の流れの中において選挙制度をめぐる議論はどのようなものかといいますと、まず第一に定数配分の問題があります。この大きな流れの中にあっては、配分が今の配分から微調整されたとしても恐らく全体的な変化をもたらさないだろう。ただ、政党のメンツとかそういうことがあると思いますので、それからアイデンティティーの確保という意味もありますので、それは難しいかもしれないけれども、大きな政治の流れの中では微調整はそれほど大きな変化をもたらさないと考えます。  それから比例区の単位に関しては、候補者とのつながり、道州制、それからボーダーレス社会への対応という形でもし妥協がなされるとすれば、全国区からブロック制に変わる。ただ、それは全国区の選挙区を放棄するということであれば少数意見の尊重と変化への感受性がそれだけ低くなるということになると思います。  投票方法については二票制と一票制が今提起されてありますけれども、恐らく二票制の方がこの二つの少数意見の尊重と変化への感受性にとって十分対応できるのではないかというふうに考えます。  四番目に、重複立候補というのがありますけれども、この問題に関しては、小選挙区制が提案されたときに、金権腐敗体質をなくす、あるいはスキャンダル議員をそこで排除するというふうな役割が大きく取り上げられてきたわけですけれども、もしこれを比例区で敗者救済をするようなことになれば、その大きなスキャンダル議員を排除するというふうな意味の部分でやや問題があるんじゃないか。  それからもう一つ、敗者復活あるいは小選挙区の方の敗者救済を認めますと、女性や、それから二十一世紀に必要な説得の政治家つまり知性とか能力とか尊厳さを持った政治家を名簿になかなか入れにくくなる、そういうふうな問題があるんじゃないかというふうな気がします。  時間がございませんので、次に政治資金規正法案について述べたいと思います。  二ページに政治資金規正法案について書いてありますけれども、これはどちらかといえば対立的な争点ではなくて、有権者の方から見ればちゃんとやってほしいという合意争点の意味を持っております。  政治資金規制を考える上で三つの原則があります。第一に透明性の向上、第二に監視体制の確保、それから第三に罰則の強化ということになると思いますけれども、今回の法案は、現行の法案と比べますと、その三つの原則の上から見ても進歩しているんじゃないかというふうに考えます。  しかし、幾つかの問題がございます。  まず第一に、特定の政治家を指定して献金するひもつき献金の場合どうするのかという規定がない。第二に、特定の政治家の支配下になり得る、なるかどうかわかりませんけれども、支配下になり得る政党の支部組織あるいは関連組織を乱造することによって、政治家に対する企業献金あるいは団体献金が事実上野放しになる、そういうふうな問題が指摘されております。解決策としては、企業・団体献金を禁止してしまうか、あるいはをれを五年後の見直しの間に、もしこれが続くとすれば、この二つの抜け穴はぜひ防ぐべきであるというふうに考えます。  次に、寄附の定義についてですけれども、これはいつも私は疑問に思うんですが、金銭以外の秘書とか車とか事務所、そういうふうな利益供与が寄附としてみなされるのかどうか。寄附の定義をより明らかにするべきじゃないかというふうに考えます。  それから、透明性のさらなる強化に向けてあるいは監視体制のさらなる強化に向けて考えますと、先ほど前田先生がおっしゃったように、政治資金の流れを銀行口座を指定して明確化する。あるいは公開性を高めるために、今のように自治省に出向いて閲覧するのではなくて、データベース化してすべての人がコンピューターを通して閲覧できるようにするということが大事ではないかと思います。  それから、選挙運動について幾つかのコメントがございます。  選挙運動を考えるにおいて何が重要かといいますと、投票率が今どんどん下がっております。長期的な課題としては、この投票率の減少にどう対応するか、そういうことを考えつつ選挙運動に関する法律を改めなければいけないだろう。  選挙運動をめぐる争点については、今二つ上がっておりますけれども、戸別訪問の自由化をするかどうか。この問題に関しては、選挙あるいは投票に対する参加意識を高めるためには、選挙運動全体を自由化して活性化する方面から見ますと、禁止の方向ではなくて自由化の方面に向かうべきではないかというふうに思います。  それから二番目に、テレビ討論形式の導入。せっかく小選挙区制を導入して政党対政党の選挙になるわけですから、無味乾燥なテレビ政見放送をやめて、テレビ討論によって、ちょうどアメリカの大統領選挙のように、有権者の関心を高めて選択を可能にすべきではなかろうかというふうに考えます。  そのほかに政治参加の拡大をめぐる争点として、比例代表制で議席の配分が受けられるのは三%の得票率、比例代表選挙に候補者名簿を出せる条件が三%の得票率、企業・団体献金を受ける条件としての三%の得票率というのがありますけれども、これは政治参加の拡大という観点から見ますとやや高過ぎるのではないか。これはやはり一、二%まで下げて、ただ公費助成に関しては、血税を使うわけですから、その対象についてはややハードルを高くして三%ほどでもいいのではないかというふうに考えます。そのほかに選挙年齢の引き下げ、在外邦人の選挙権の付与、地方選挙における在日韓国人の選挙権、そういうふうな観点からも政治参加の拡大という意味でぜひ考えてほしいと思います。  最後になりましたけれども、区画定審議会設置法案について一言述べさせていただきます。  選挙の区割りというのは、極めて政治化されやすい。そのために三つの原則が必要だと思います。まず、中立性、専門性、それから実際に代表を選ぶ選挙区住民の要望の吸収性、この三つかない限り、なかなか政治家の方々も納得できないし、それから有権者の方々も納得できないわけです。この三原則から見ますと、この法案には幾つかの問題点があるんじゃないか。  一つは、総理府に審議会委員を置くとなっておりますけれども、それはそのときどきの与党に非常に影響されやすい。それから、それを十年に一回見直すために、常駐の職員ではなくて、パートタイムの職員という人がそこに入っていくわけです。そういう意味で、中立性、専門性、使命感の観点からいうと、イギリスのように常設の職員、十二人から三十六人ですけれども、それを持つ行政委員会方式にすべきではなかろうかというふうに考えます。  二番目に、イギリスの選挙区画委員会の経験を見ますと、区割りには七年間の作業を要しているわけです。十年に一回行うわけですけれども、イギリスの場合は七年間の作業を要しています。この法案では十年ごとに行われる国勢調査後一年以内に行うというふうに述べてありますけれども、日本の官僚組織は大変効率的だとはいいましても、それでも楽観的過ぎるのではないかというふうに考えます。  三番目に、最後になりますけれども、選挙区割り委員会による地方公聴会、これは非常に大事である。イギリスではこの地方公聴会を大変尊重しておりまして、最初に中央で決めた後でこの地方公聴会を行い、それで選挙区住民の要望の吸収性に努めているわけです。これについて法案では何ら触れられておりませんけれども、ぜひこれについて考えてほしいと思います。  あと一分時間がありますので、最後に。  この政治改革法案について皆さん大変情熱を持ってやっておられますけれども、これがおくれることになると恐らく三つのコストが今考えられるんじゃないか。  一つは、政治改革法案を長引かせることによってオーバーロードエフェクトといいますか、過重効果といいまして、つまりほかの政策に余りタッチできなくなる、そういうふうなコストがある。それから、波及効果というコストがあって、政府あるいは国会が余りこのために仕事をしておりますと、外交とかさまざまなほかの政策に波及していって、それが大きな問題となる。それから、これがもしできないようなことになりますと、国民の間の政治不信が非常に高まって、これが後遺症となって残るんじゃないか。そういう意味でオーバーロードエフェクト、過重効果、波及効果、それから後遺症、そういうふうな大きな問題が残りますので、ぜひ早い機会にこの政治改革関連法案を成立させていただきたいと思います。  これで、参考人意見を終わります。(拍手)

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) ありがとうございました。  次に、志田参考人にお願いいたします。

志田なや子弁護士

○参考人(志田なや子君) ただいま御紹介にあずかりました弁護士の志田でございます。  私は参考人として、政府案及び日本共産党案について意見を述べさせていただきます。  今回の政府案の核心は、衆議院の中選挙区制を廃止いたしまして小選挙区比例代表並立制を導入することにあります。国民主権の原理、国民の選挙権の保障、この観点から見てこれがよいことなのか悪いことなのかこれが問題の本質であると思います。  一昨年、私は小選挙区制の母国イギリスに調査に行ってまいりました。イギリスでは小選挙区制に対する批判が大変高まっております。イギリスでは、保守党が四割前後、労働党が三割前後、自由民主党が二割前後の得票があります。ところが、小選挙区制が民意をゆがめ、保守党が過半数の議席をとって政権を担当し続けている。他方、第三党の自由民主党は二割前後の得票で三%の議席しかとれません。世論調査では、この小選挙区制の問題点についてどういうことが言われておりますかといいますと、半数の支持も得ていない政党が政権を担当すべきではない、このように回答している人が六六%に及ぶわけです。また、小選挙区制では選択肢が二つに狭められてしまいます。  さらに問題なのは、小選挙区制では当選政党が固定化いたしまして、大部分の選挙区が無風選挙区化してしまう。イギリスでもアメリカでも再選率は約九割となっております。そうしますと、無風選挙区での選挙が事実上意味のないものになってしまう。また、当選政党以外の政党を支持する有権者が自分の意見を代表する議員を出せないということが批判されております。ですから、今イギリスでは小選挙区制を廃止いたしまして単記移譲制という日本の中選挙区制に似た選挙制度を導入しよう、こういう機運が高まっております。  小選挙区制、保守二大政党制のアメリカでは投票率は三割台にまで下がっております。貧しい人たちは民主党、共和党のどちらに投票しても変わらないということで政治に絶望して投票にすら行かないのです。  ケネディ大統領のブレーンの一人でありましたアメリカの高名な経済学者ガルブレイス教授が最近「満足の文化」という本を出版いたしました。日本でも翻訳されております。この本の中でガルブレイス教授は、国民の中では少数派ではあるが投票者の中では多数派である、そういう上位二割程度の満ち足りた人々、この支持を得て行われる政治が、ホームレス、飢餓、教育の不備、麻薬の苦しみ、貧困など、いかにアメリカ社会を傷つけ破壊しているかということについて厳しく批判をしております。  選挙制度と社会保障の関連について興味深いデータがございます。ユニセフの一九九三年度版の「国々の前進」という書物がございます。その中で、先進資本主義国の中で貧困ライン以下の子供の割合が二割と最も高いのがアメリカなのです。二位がカナダ、三位がオーストラリア、四位がイギリスとなり、貧困ライン以下の子供の割合がそれぞれ一割前後となっております。今述べました四つの国はいずれも小選挙区制の国です。  私は事柄は単純であると思います。つまり、国民のための政治が行われるためには、国民の民意を公正に反映する選挙制度が不可欠であるということなのです。小選挙区制が国民主権の原理から見ていかに欠陥のある制度がおわかりいただけるかと思います。  次に、定数五百のうち二百二十六の比例代表部分について申し述べます。  小選挙区部分が二百七十四で、比較第一党が得票率が三割台であってもその小選挙区のうち八割もの議席をとるという劇的な結果が生じますから、残りの二百二十六の比例代表がこの結果を覆すことはできません。例えば並立制で昨年の総選挙が行われたとしますと、自民党が六割の議席を獲得して圧勝してしまい、政権交代は起こらなかったということになります。並立制といいましても、結局は小選挙区制が基本の選挙制度だということなのです。  その上に、比例代表部分では三%阻止条項で小政党が切り捨てられます。法案では、立候補、小選挙区の選挙運動、公的助成、企業・団体献金で徹底的に差別される。これほどまでに徹底的に小政党や新しい政党、それから無所属候補を差別して議会への進出を妨げる、そういう立法例を私は知りません。この法案の構造は、明らかに憲法四十四条が定める被選挙権の法のもとの平等に反するというふうに思います。  さて、小選挙区比例代表並立制の導入の理由の一つといたしまして、民意の集約による政権選択の明確化などということが言われております。比較第一党でありさえすれば、半数の支持がなくとも、たとえ三割台であっても、過半数の議席を獲得して民意を集約し、比較第一党が内閣をつくるために国会議員の選挙を行うというもので、あたかも内閣が国権の最高機関であると言わんばかりの考え方であります。  しかし、憲法は前文で、日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動すると宣言しております。また、憲法四十一条では、国会は国権の最高機関であるというふうに定めております。ここで言う国民代表といいますのは、民意の分布が忠実に国会に反映される社会学的代表を意味するというのが憲法の学説でございます。これを国民の選挙権という観点から見ますと、一票の投票価値が平等であって、選挙での支持に比例して代表を送ることができるということが求められると思います。ですから、民意の反映を大きくゆがめる小選挙区比例代表並立制は、憲法の求める国民代表原理に全くこたえることができない選挙制度だと思います。  議会選挙に小選挙区比例代表並立制を採用している国には、韓国、セネガル、ハンガリー、ベネズエラ、ブルガリア、マダガスカル、メキシコ、ロシアがあります。実は、このほとんどの国は大統領制を採用している国でありまして、国民が直接に政権を選ぶときに選挙で決めているという仕組みをとっております。つまり、並立制による民意のゆがみが政権選択にまで及ばない、そういう仕組みになっているわけであります。  以上、憲法から見ましても、諸外国の実例から見ましても、政権選択のために並立制を導入するということが全く根拠がないということがおわかりいただけるかと思います。  中選挙区制はどうかといいますと、定数の不均衡があっても三割台にまで得票率が下がった政党が過半数の議席を獲得するということはできません。現に、昨年の総選挙で得票率三七%の自民党は政権の座をおりました。また、中選挙区制には比例的な機能があり、準比例代表制とも呼ばれております。また、政党だけではなくて、候補者個人も選択できるという長所があるというふうに言われております。したがって、中選挙区制は国民代表原理にこたえることができる選挙制度と言うことができます。今求められているのは、中選挙区制のもとでの最大格差二・八三倍に及ぶ衆議院の議員定数の不均衡を抜本的に是正して、より公正に民意が反映できるようにすることであると思います。  私は、女性の一人として、小選挙区比例代表並立制が衆議院への女性の進出を妨げるということを皆様に訴えたいと思います。小選挙区部分では、各党が候補者を一人に絞るために女性がそもそも候補者になりにくい。比例代表部分でも重複立候補と惜敗率ということで小選挙区制の論理が入り込み、女性の進出が困難になっております。韓国で並立制の導入によって小選挙区部分では女性議員がゼロになった、こういう経験があります。今でさえ女性の衆議院議員は少ない。これをさらに激減させるような選挙制度を導入すべきではないと私は考えます。  次に、政治資金規正法改正案と政党助成法案について述べます。  国民が政治改革として望むのは、各種の世論調査でもおわかりのように、政治腐敗の防止であり、政治資金規制の強化です。政府案の目玉は政治家個人への政治献金の禁止ということですが、これは衆議院、参議院の審議の中で、政党支部というトンネルを通って政治家個人が企業・団体献金を受け取るなど、たくさんの抜け道があるということが明らかになりました。政治腐敗をなくすためには企業・団体献金をすべて禁止するほかありません。もし企業・団体献金を禁止することには反対であるということでしたら、なおさらゼネコン汚職や佐川急便事件などの徹底解明をしていただいて、政治腐敗をなくするためにはどうしたらよいかということを真剣に検討していただきたいと思います。  また、先日の新聞報道によりますと、大企業の一昨年の使途不明金が五百九十五億円に上っているというふうに報道されております。このような使途不明金がやみ献金の温床となっているということは今や国民の常識です。この使途不明金に対する対策についてもぜひ検討していただきたいと思います。  このように政治腐敗には抜け道をつくっておいて、政党助成法案では国民の税金から三百九億円を助成するということを提案をしております。政党助成は政党を国家の側に組み込むものでありまして、結社の自由を保障し政党を国家から独立したものと位置づけている憲法の原理とは全く異質なものです。国民の側から見ますと、自分の支持しない政党にまで政治献金を強制されるということになり、思想、信条の自由という観点からも大問題です。  このように、今回の法案は改革案というふうに名のってはおりますが、実は大改悪にほかならないと思います。衆議院と参議院の審議の中で並立制導入の根拠となっていた、お金がかからなくなる、政権交代ができる、政策本位の選挙になる等々という根拠はすべて崩れ去ってしまいました。あるのは民意を無視しても即断即決で政策を実行していける強力な政治を実現するということだけになってしまいました。  最後に、共産党提案の法案について述べたいと思います。  中選挙区制のもとでの最大格差一・五倍未満の定数是正、企業・団体献金の禁止、使途不明金の規制、連座制の強化など、政治腐敗の防止に不可欠な内容が盛り込まれていると思います。その意味で国民の常識にかなった提案であるというふうに思います。  とりわけ、私はここで強調して申し上げたいのは、選挙制度という国民主権の原理と国民の愚挙権に直結する問題については、政党が選挙で公約をきちんと掲げて戦い、国民的な議論を尽くして、国民の同意を得て決定する必要があるということです。昨年の総選挙で並立制を選挙公約としていなかったわけですから、現行の中選挙区制のもとでの定数の不均衡を抜本的に是正するというのが、これが当然の道筋であると思います。  一昨日のテレビ番組で武村官房長官が、衆議院の選挙制度を変えた暁には参議院、地方議会の制度が今後の課題になるというふうに発言しておりました。国民の選挙権は、このままでいきますとどこまでも切り縮められるということになりそうです。  憲法は、選挙権は国民固有の権利であるということを定めております。国会議員は国民の代表者として勇気を持って行動していただきたい。このことを参議院の議員の皆様にお願いをいたしまして、私の意見を終わりたいと思います。(拍手)

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

関根則之自由民主党

○関根則之君 自由民主党の関根則之でございます。  参考人の三先生には、きょうはわざわざお出かけをいただきまして、私どものために貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございます。自由民主党として特に前田先生にはお願いを申し上げているわけでございますが、心からまずお礼を申し上げたいと思います。  まず、前田先生にいろいろとお教えをいただきたいと思いますけれども、腐敗防止策、やっぱり何といったって威迫感がなければだめだ、こういうお話を伺いました。まことに情けない話ではございますけれども、やはりそういうことも必要に応じてきちっとやっていきませんと汚職だとか腐敗だとかこういうものはなくなっていかないのかなと、人間の業のようなものを感じるわけでございます。  先生のお話によりますと、やはりおとりのような形でだまされて巻き込まれたというような場合をセービングクローズで除外をしておるとかそういったいわば逃がしてやる口のようなものが残っていることが腐敗防止の効果を大分薄めちゃっているではないか、こういうお話がございましたし、同じような延長線上で、連座規定の問題でありますとかあるいは公民権停止の問題につきましてもそういう問題があるというお話を承ったわけでございます。  まさにそのとおりだと思いますけれども、それらの中で、法案そのものも大変もう審議が押し詰まってきておるというような現時点のことを考えまして、特にこの際この点だけは改めておいた方がいいじゃないか、そういうものがございましたらひとつ具体的にお教えをいただけるとありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) お答えさせていただきます。  法律の中身について、実はそれほど私は勉強していないで出てまいりました。これは、急に出席するよう御要請がありましたものですから全部を実は見るわけにいかなかったわけでございます。  それで、今の御質問に直接お答えできるのは、先ほど申し上げましたように、立候補制限について、当該選挙に関してというところでございます。これは衆議院議員の場合には、参議院議員も、そしてまた知事も、国政レベルとかそういうふうなところでの選挙についての立候補は控えるべきではないんだろうかというふうに考えております。  これに関してイギリスの腐敗防止法でどうなっているかというと、イギリスにおける選挙というふうになっております。したがって、選挙によって公職につくような場合をすべて想定しているんではないかというふうな感じがしております。この問題についての議論があったかどうか私は定かでございませんけれども、今回の法律をちょっと見た限りでは何か不自然な感じがするということでございます。  そのほかの点について、私は大変厳しいことを申し上げました。これは、実はイギリスにおける腐敗防止法を私は勉強しておりますものですから、そのイギリスにおける腐敗防止法というものが念頭にありまして、日本における公職選挙法の罰則規定というものが大変緩やかだという感じがするわけでございます。イギリスにおける腐敗防止法というものを念頭に置かなければ、結構厳しく規定してある、あるいは今回のような場合に公民権停止までも入れているわけでございますから、大変これは画期的なものではないかというふうな指摘が十分できるだろうと思います。  繰り返しになりますけれども、イギリスの腐敗防止法というものから見るとどうも緩やか過ぎる。ですから、私としてはどうもこの辺が問題だなというふうなことを実は申し上げたのでございます。  しかし、翻って、イギリスの一八八三年というのは今から相当前の話でございます。そのときによくまあこういう法律ができたなという印象を持つのでございます。今日における我が国の憲法で基本的人権が保障されているこういう状況におきまして見ると、イギリスの一八八三年の腐敗防止法のようなこういうきめ細かい法律は難しい。国民の権利を相当制限できるような、一見そういうふうに思われるような、むちゃだと思われるような、そういう規定が中にはあるわけです。例えば、選挙事務長には投票権がないのでございます。こんなことは今の日本ではちょっと考えられない。よく世間で罰則強化というときに、イギリスの一八八三年の腐敗違法行為防止法のような法律をつくったらどうかと言われる。私はそこまでいったら大変な、いろんな問題が起きてくるというふうなことを実は考えておるわけです。  ですから、先ほど免責規定その他で問題点があると言いましたけれども、最終的に申し上げたように、一歩前進であるというふうな理解はしております。  お答えになったかどうかはわかりませんけれども、答弁とさせていただきたいと思います。

関根則之自由民主党

○関根則之君 ありがとうございました。  どうも、市民革命といいますか長い間の歴史の中で個人の権利とか義務とかそういうものをしっかりと市民社会の中で培ってきたイギリスと、神様だってやおよろずの神がいるような日本とでは、そういう神様が仲よくやっていると、そういうのもまた一面とうといことだと、また、私は共生という概念からすれば日本は日本の物の考え方はいい面があると思いますが、しかしこういったいわゆる腐敗と言われる分野についてはこれはやむを得ずきちんとした対応策をとっていかなければいけない、そういう中で先生の先ほどからのいろいろな御説明をありがたく拝聴させていただいた次第でございます。  次の問題に移ります。  現金使用の禁止という形で新しい制度を採用したらどうかというお話を承りまして、なるほどなと大いに感心をさせられた次第でございます。世は挙げてコンピューターの時代になっており、情報ハイウエーをつくっていこうではないかそういう時代でございますので、日本もいろんな意味で政治の世界にもこういう手法をどんどん入れてきて、極端に言えば本当に一銭一厘まで清潔な政治をやりたいですよ。私自身も個人的なことを言ってそうですけれども、そういうことになれば政治家としては本当に楽なんですね。こんなにありがたい話はないと思うんですよ。  何もやましいことはしていませんけれども、政治家は一つにひっくるめて同じように何か悪いことでもしているんじゃないかと思われることは本当に心外でございますので、こういった制度ができて、すべての収支が自分を一たん離れて第三者に証明してもらえるようなそういうシステムが、しかし実際そういうシステムということになると細かいいろんな手間もかかるでしょうし、経費もかかるでしょうし、そもそも時間がかかって面倒くさくてかなわぬ、うっかり忘れた者に対してどうするんだというふうな、またそういう問題も出てきますからなかなか難しい面はあろうかと思いますが、そういう方向で今後ひとつ具体策についてもいろいろと御研究をいただき、教えていただければありがたいな、そんな感じがするんです。  実は寄附等の禁止の規定の強化という項目が今度の法律にございまして、今度は慶弔についての、もちろん寄附はだめなんですけれども、あいさつ状、祝電というようなものも一切禁止される、こういう規定が新たに政府案では入るようになっているんですね。  これはすべての慶弔のあいさつ状を禁止するかというと、そうじゃないんです。手書きで書けばいいというんですよ。今このあいさつを手書きで書いているなんというのは、それはごく何通がはありますよ。しかし、忙しくてしょうがない政治家が、それこそ災害見舞いに行って帰ってきて、そこで会った二十人三十人の人に一々書けるものじゃないです、実際問題としてね。それが年に一遍ならいいですけれども、そういうことがしょっちゅうあるわけですから、いろんな機会に。そういうときに、印刷はだめ、もちろんワープロでぱっと一斉に書き出せるようなやつもだめ、手書きならいいというんですね。これは労力のある人だけが有利になるという制度なんですよ。  細かい話になりますけれども、そういう制度があるときに、こういう形でカードを使ってやれるような制度が日本に導入されれば大変結構なことじゃないか、そんな感じがしてならない。政治制度全般、選挙運動を含めてそういうものにもっと合理的な精神を導入いたしまして、新しい技術だとか機械だとかそういうものもどんどん使えるような、そういう形にしていかなければいけないと思います。  先生はエレクトラルアカウントという例をお出しになって御説明いただきましたけれども、もうちょっと詳しい御説明というかお話をいただけたらありがたいんですけれども、アメリカだけじゃなくてほかの国でも何か特異なことでもございましたらお教えをいただきたいと思います。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) エレクトラルアカウントのことを申し上げましたけれども、正確には私は存じておりません。  議員カードというふうな法律で定めたようなそういう特定のものがあるというわけではないのでございます。エレクトラルアカウントというか一つの金融機関における口座を設けて、候補者の方がそこからお金の授受をするというふうなこういう習慣、これは自然発生的に恐らく入ったんではないかと思うのであります。  日本ではよく政治家のお金について周りからチェックするというふうな発想がございますが、それを一歩超えて政治家自身がみずから積極的に疑われたときに証明するにはどうしたらいいか。自分はもらってないもらってないと言っても、現金ではそのもらってないことを証明することができないわけでございますね。銀行口座を使ってあれば、実は何月何日に入っているとどなたさんが私に対して言われた、そういうお金を私はもらっていないということで批判をかわすことができるということでございます。  例えば、私、学生のころ法律を学んだときに聞いた不貞の抗弁なんと同じでございまして、もらってないということを証明するのは大変難しい。そういうふうなときにこの銀行口座を使っておくとはっきりしてくる。例えば先ごろ金丸事件のときに、お金をいつもらったとか、いやもらってないとか、あるいは、いつの時点であったとかはっきりしないと。こういったときに御本人は、もし本当にそれが不正な金でないとすれば、世の中からの批判に対しまして非常に心外でしようがないだろうと思うんですね。ですから、そういうときに銀行口座を通っていれば、それをオープンにしていただけば、確かにおっしゃるように何月何日にこれだけのお金が入っている、あるいはここには入ってないということを一般国民あるいはそういう疑問を提起される方に対してお示しすることができる。そういう習慣をつけることが大事なんじゃないのか。  そういうふうな見方をしますと、選挙の際に、エレクトラルアカウントというか、一定の金融機関の口座をお使いになっているということは、私ども日本人から見ると、先進国の知恵ではないのかなという感じがしておるわけでございます。  詳しいことについては存じません。

関根則之自由民主党

○関根則之君 ありがとうございました。  先ほどのお話で、アメリカではよく報道でも報じられておりますけれども、政治倫理委員会が大変活発な動きをしている。私どももいろいろ見聞きをするわけでございます。それに引きかえまして日本では、せっかくあります政治倫理審査会が必ずしも十分機能していないではないか。大体似たような制度が二つの国にありながら、アメリカでは非常に高く評価もされ機能を発揮している、日本では必ずしもそうでない。  この辺の違いはどの辺から起こってきているものなのか。アメリカの政治倫理委員会におきます運用なんかで日本にはない何か工夫がなされている面があるのかもしれないと思われるわけでございますが、その辺の違いの理由なりアメリカでの実際の運用の仕方、それから制度につきまして、この辺に根本的な違いがあるんだよというようなことでもありましたら御説明いただければありがたいと思います。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) お答えさせていただきます。  一つは、基本的な問題になると思いますけれども、我が国では議員の選挙争訟に関する問題が裁判所の権限になってございますね。アメリカあるいはイギリスのような古い伝統のある国におきましては、議院自身が選挙の裁判あるいは資格について裁判をするという権限を持っている、また自分たちで自分たちを裁くということを実際やっていたというそういう習慣がございました。これが伝統として残っているんではないだろうかと思っております。  例えば、マッカーサー憲法草案の中では、我が選挙争訟でしたね、これをそれぞれの議院がやるようになっていましたけれども、我が国においてはそういう伝統がないというので裁判肝に所管を移した、そういうことがございました。自分たちで自分たちの同僚を裁くというそういう習慣があるというのが、まず基本的な問題でございますね。我が国においてはそういう習慣がなかった。これが我が国で政治倫理審査会をつくってはみたけれどもなかなかうまく運用できないということの一つの問題、基本的な問題です。  あと二つ特色を申し上げさせていただきますならば、一つは倫理委員会の開催の条件でございますね。  我が国においてはいろいろ議論になったようでありまして、正確に覚えておりませんですけれども、委員の三分の一であるとか二分の一であるとか、そういうふうなことが議論になったことがございます。委員の意見によって倫理委員会の開会が決まるわけでございます。  アメリカの場合には、政治倫理委員会、常任委員会のような形になっておりますけれども、その委員会の委員だけではなくて――もちろん委員が、こういう問題を政治倫理委員会で取り上げてみよう、あるいはそういう関係の方の釈明を求めようじゃないか、調査をしてみようというようなことを委員の方が取り上げる、そういう形で委員会が開かれる場合があるわけでございますけれども、そのほか、大事な問題としては、院外からのそういう委員会を開いてくれという要請に対して門戸を開いている。この点が違うわけですね。例えば一般市民からの申し立てによっても政治倫理委員会を開くことができる。これは大変大きな特色だと思います。  我が国の場合には、例えばある政治家の問題が起きまして、その人は政治倫理審査会で取り上げてもらったらどうだろうか、そういう方に政治倫理審査会に出席してもらっていろいろその事情を御本人から聞いてみたらどうか、あるいは御本人が出席したいというふうなことがございましても、政治倫理審査会の委員自身がそういう合意をなされないと実現しないということであります。それがアメリカと日本との違いでございます。  もう一つはその政治倫理委員会の構成でございます。  アメリカでは、議員の進退に関する問題は与野党とか政党の色によって決めてはならない、こういう原則を長く貫いているわけです。議員の進退ということになりますと、懲罰であるとか、あるいはいろいろ不正問題を起こした場合、そういうふうな問題提起がされたときに、それは政党の党議拘束によってこれをいろいろ調べるということをしない。具体的にどういうふうになっているかといいますと、委員の構成が多数党と少数党が同数になっている。例えば上院の場合には三対三ですね、多数党・少数党、共和党・民主党、多数・少数ございますけれども、三対三になっているんです。下院もそうです。  我が国の考え方でいきますと、三対三の中から委員長を出します。委員長を多数党の方から出しますと、採決では三対二になりますね。採決をすると三対二で多数党の方がいつも負けるということになる。アメリカではそういうやり方はしてないんです。必ず多数党の委員長も一票を投ずる。すると、いわゆる党の決定によってやろうとすると三対三になるんです。下院はたしか十二ですから、六対六になるんです。そうしますと、物を決めるためには、一党だけでは決まらない、必ず相手の同意がなければ決まらないというシステムになっているということなんです。  我が国の場合には、常任委員会の委員の配分と同じように、各会派の勢力比に応じて倫理審査会の委員が決められていたように思います。そうしますと、どうしても多数党、与党が政治倫理審査会の多数を占めることになる。与党の言い分がどうしても通るというふうなことになる。この点が一つの違いだというふうに考えられております。  とりあえず二つだけ今頭にあるので申し上げさせていただきました。

関根則之自由民主党

○関根則之君 どうもありがとうございました。  御指摘をいただきました、アメリカでは公聴会を最初にやるんだ、委員会審議の冒頭で公聴会をやって、そこで出た意見をまさに委員会の審議に生かしていくというお話を伺いまして、日本の公聴会が形骸化されているじゃないかと。衆議院の方でこの法案につきまして地方の公聴会をやりましたけれども、地方からいろいろと意見が出てきた中で、そういう形骸化、形式的にただプロセスとしてやっているだけじゃないかというような厳しい意見が多々出てきたのを伺っておりますけれども、そういうことなどもこれからの委員会審議に大いに活用していくべきではないか、与党の皆さんも十分聞いていただいたんではないかというふうに思っているところでございます。  とりあえず前田先生につきましてはその程度にしておきまして、また時間がありましたら戻ってまいりますが、蒲島先生に次にお伺いをしたいと思います。  世論分布曲線ですか、大変ユニークなど申しますか、私ども勉強が浅いものでございますから、余りお目にかかったことのない曲線をお示しいただきまして、いろいろと御説明をいただきましてありがとうございました。確かにそういうことがあるのではないかという感じを受けたわけでございます。  そこで、そういう中で、先生からいただきました資料の中にも載っているのですけれども、ノエル・ノイマンが沈黙のらせん理論というのを提唱している。人々は自分が少数意見の持ち主になることをいとうという気持ちがあるんだと、そういう意見が少数意見を本来持っているであろう人たちを多数意見の方に吸引していってしまう、みんな多数意見の方へまとまってしまうという、寄らば大樹の陰といいますか、勝ち馬に乗った方がいいよ、出ていくバスに乗りおくれては大変だよ、そういうような、これまた日本人の通弊ではないかと思いますけれども、わりかし軽々と新しいものさえあればいいんだ、変革さえあればいいんだというような感じの、私は中身が大事だと思いますけれども、そういう風潮にもあらわれているのじゃないか、そんな感じがしてならないわけでございます。  そこで、先生がお示しいただきましたこの二大政党制を生む世論分布の図のような形で一山できれいに世論分布がなされているということになりますと、これは二大政党を生むんならいいけれども、この軸がちょっとぶれますと、二大政党じゃなくて一大政党になってしまう。一つの大きな政党がもう圧倒的に議席を占拠し、しかもそれが権力と結びついた場合にはもう絶対不動のものになってしまう。かつての自民党がそういう形だったのかもしれませんけれども、そういうような状況をつくり出していってしまう。少数政党の圧迫ぐらいならいいけれども、中間政党の存在を許さない、そういうような政治状況を起こしてくるおそれがあるんではないか。  日本人のイデオロギーのこういう山の形が、制度のつくり方いかんによってはまさに二大政党ではなくて一大政党になるんじゃないか、そういう心配については先生はどうお考えになりますか、

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) お答えいたします。  日本人のイデオロギーについて、この軸がぶれてしまったらどうなるか、そういう質問だと思いますけれども、これは通常の場合、ここでは保革イデオロギーという形で包括的な争点を総合したものであらわしているわけです。  ところが、通常の選挙ではこれがあらわれてくるわけですが、支配的な争点が出てくることがありますと、特にその時期に重要な争点が出てきますと、この軸以外のことで選挙が争われると、例えば先ほどお話しがありましたように消費税、賛否両論ありますけれども、すべての人が賛成するような争点が出てきますとしますと、そのときは、イデオロギーではなくて、実はその争点に関してどちらの方が有効に対処できるかというそういう形で有権者は選択するわけです。それがそういう支配的な争点がなくなりますと、また通常のイデオロギー争点になってくるわけです。  そういう意味で、投票行動とイデオロギーというのは非常に相関関係が高いわけですけれども、通常もしイデオロギーをもとになされるときは基本的に中道意見を求めて二大政党制になりやすい。常に中道の部分を分化しようという働きがありますから、特殊な支配的な争点がない限り、例えば戦争にみんなが賛成とか、そういうときに一党だけになってしまう、戦前のケースになる可能性もありますけれども、通常のケースではこの二大政党制を生む世論の分布の場合は大体二大政党になって、この部分でイデオロギー的に余り差がなくなるわけです。そうしますと、それはどちらが有効に政策に対応できるかというイデオロギー以外のことでも投票行動が行われる。そして、そこに政権交代が起こったとしても余りイデオロギー的に乖離した政党が次の政権をとるということがないわけです。  今度も、政権交代によって非自民連立政権の方が基本的には自民党の政権を継承すると言ったのは、いかにこれまでの歴史があろうとしてもまさに日本人のイデオロギーの分布の中ではそれを許さない、そういうふうな状況になってしまうわけです。  だから、そういうことで政党の方が世論の方に向かって動く。世論の方が政党の方に向かって動くというのではなくて、民主主義のもとでは政党の方が世論の方に向かって動くというふうな形になると思います。そういう意味で、通常のケースで今おっしゃったような形で一党になるということは考えられずに、ある特殊な支配的な争点が出てきたときにそういうふうな可能性もあるだろうということは考えられます。

関根則之自由民主党

○関根則之君 ありがとうございました。  日本はかつてあれだけの大戦争を戦ってまいりました。翼賛政治というものも経験しているわけです。私もわずか十五歳で軍籍に身を置いた経験を持っておりますので、ああいう気違いじみた動き、物の考え方にみんながわっと行ってしまう、その中で全く何にもわからない子供たち、自分の判断力もない人たちが巻き込まれていく、巻き込まれた結果自分の命を失っていくという悲惨な状態を決して繰り返してはいけないと思っております。  これからの政治システムを考える場合に、本当に、少数政党といいますか反対党を大事にするとか、自分たちの意見と合わない人たちの意見もできるだけ尊重して結論を導き出していく、そういうまさにこれが民主主義の基本的な理念であり、取り運びのあるべき姿だと思っておりますので、そういう形に持っていかなければいけない、そんなふうにも考えているわけでございます。  先生、具体的な問題で、重複立候補につきまして敗者救済的なやり方はやっぱり問題がある、こういうお話をいただいたと思いまして、これは我が意を得たりだな、そんなふうに受けとめさせていただきました。  ただ、現実には今の法律にこの規定が入っておるわけですね。ただの敗者ならいいんですけれども、有効投票の六分の一をとりませんと法定得票数に達しませんから、たとえトップでありましてもその小選挙区で当選人となることができない、再選挙になってしまうわけですね。しかしそういう人でも、これは下稲葉先生が審議の過程で明らかに指摘をされた事項でございますけれども、比例選の方で惜敗率が一〇〇%になるわけですから、この方はトップで当選してしまう。名簿のつくり方によって、個人名での名簿が上になければ、同順位者の名前を最初に持ってきますと、トップで当選するということもあり得るんです。  これなどに至ってはまことにもっておかしな話ではないか。選挙の制度として、いつも品格なんという言葉を使うとしかられるんですけれども、私は、これ一つだけとっても何かこの選挙制度の品位がちょっと疑われてしまうような意味を持っているんじゃないかという感じがしてしょうがないんですが、ひとつそういったものをも含めて今のこの法律の原案のままで、そういうものを敗者復活、敗者救済を認めるような法律でいいのかどうか、その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) お答えいたします。  今の質問は、重複立候補を認めているわけですけれども、それを認めていいのかどうかというそういう御質問だと思います。  私自身の意見は、やはり敗者救済を認めるような重複立候補は認めない方がいいんじゃないか。ただ、認められたとしても、それを運用するのはだれかといいますと政党ですね。政党が長期間に有権者に敏感に反応する、あるいは二十一世紀の日本の政治を考えるような政党であれば、恐らくそういうふうなすべての名簿の人が敗者復活用に用意されているような政党は長もちしないんじゃないか。  どうしてかといいますと、この小選挙区制において非常に不利になるのは女性の立候補です。それから、先ほども言いましたように、これまでの政治、二十世紀の政治というのは、経済成長の中にあって利益配分をどのように行うかという利益配分にたけた政治家がこれまで大きな力を持ってきたわけです。ところが、経済成長が終わりこれから高福祉社会あるいは国際貢献が求められるときには、いかに国民に犠牲を強いるかというそういうふうな状況が出てくると思うんですね。そのときに必要なものは説得の政治家というものが二十一世紀に向けて必要だと思われるわけです。  そうすると、その説得の政治家というのはどういう資質の持ち主かといいますと、知性あるいは能力、ある種の尊厳さ、それから尊敬を受けている、そういう人たちをやっぱりどんどん政党が持たざるを得ない。しかし、昔からそういう人はなかなか政治的なパワーがありませんから、小選挙区でみずから立候補していくのは大変難しいわけですから、そこでこの比例代表の部分でそういう人たちをリクルートする、調達していくということが大事になってくると思います。  だから、運用の面とできるというのとは違うわけですね。もしこれができるとしても、例えば自民党であればそれを無視してもっといい人を載せるということもできるわけです。そういうことが考えられますので、法律の運用の面と規定の面は別に考えられた方がいいんじゃないかというふうに思います。

関根則之自由民主党

○関根則之君 もう一つちょっとお尋ねしておきたいんですけれども、これもお話の中に在日韓国人の選挙権付与というお話があったと思うんですが、これは何ですか、日本にまだ帰化していない方に対して選挙権を与えなさい、こういうことでございましょうか。もしそうだとすれば、まさに外国人に対する選挙権の付与ということになりますから、今までの選挙法なり選挙権の立て方と随分違ってくるのでございますけれども、これは、例えばどこかほかに外国に例があり、理論的にも当然こうしてよろしいんだというようなことでございましょうか。その辺、ちょっとお教えいただければありがたいと思います。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) お答えいたします。  私の専門分野は政治行動論という分野で、特に政治参加ということを中心に勉強をしております。政治参加の観点から見ますと、日本の国にいてそれで税金を払っている、そういうふうな在日外国人の方にはやはり地方選挙においては選挙権を与えるべきではないか、そういうふうな意見を持っております。  それは先ほど言いましたように、選挙年齢の引き下げとか、あるいは在外邦人への選挙権の付与とか、そういうことを含めた上で、同質的な日本の社会においてはそういう違った観点から、その人たちが政治に参加することによってより政治がよい方向に向かうんじゃないかという観点から、こういう人たちの政治参加の拡大ということを、これはさまざまな法律が絡まっていると思いますので今回の法律ということはちょっと無理かもしれませんけれども、長期的には公職選挙法の中で考えていってほしいというふうな観点から申し上げたところです。

関根則之自由民主党

○関根則之君 これから国際化が進んでまいりますと、昔、日本と歴史的、伝統的に非常に密接な関係もあり、地域的にも近いところであり、しかも交流が長い間かかって繰り返され、本生に濃密な関係のある国とのそういう問題と、最近国際化が進むことによって新しくおつき合いが始まったような国々との関係はおのずから違いも出てくるんだろうと思うんですね。しかし、かといって一たんこういう制度を始めますと、簡単にそういう差別を国によってつけたら、またいろいろな問題が逆に起こってくるであろう。例えば、特定の国から新しく労働技能研修生のような方が入ってこられるというようになったときに、そういう人たちに選挙権を与えるということになると、いろんな問題が出てくるんじゃないかという感じがするわけでございます。  先生のお話はお話としてありがたく拝聴させていただきました。  志田先生、質問の時間が残り少なになってしまって申しわけないのでございますが、一つだけちょっとお尋ねさせていただきたいと思いますけれども、今のような中選挙区制度というのはどうしても、私どもが今までそうだったんですけれども、政権をとろうとすると、三人のうちの二人までは要らないかもしれませんけれども、五人のうちの三人ぐらいはとらないと政権がとれないわけです。政権の安定性ということになりますとどうしてもそういう選挙のやり方をするということになりまして、一選挙区に二人ないし三人の同じ党の候補者が出ますと、どうしても同士討ちという問題が起こってきてしまうわけでございます。  そのことが、これはもう言い古されたことでございますけれども、今の政治改革、特に選挙制度の改革の一つの大きな柱といいますか原因となっているわけでございまして、我々自身もいろんな面で思い悩み、現実に同士討ちの厳しさといいますか、そういうものを見聞きし体験をしておりますので、特にその辺が本当に大丈夫なのかなという感じがするわけでございますけれども、志田参考人としてその辺のところをどういうふうに御理解をいただいているのか。  政権をとらないでいいんだ、こういう政党がもしあるとすれば、そういう政党にとっては例えば今の三人から五人を中心とした中選挙区制というのは非常に居心地がいいといいますか、ぐあいのいい制度かもしれませんけれども、本当にまじめに政権を担当しようという意欲のある政党にとっては非常に大きな問題でございますので、ぜひひとつその辺のところの考え方をお聞かせいただければありがたいと思います。

志田なや子弁護士

○参考人(志田なや子君) 今のお話ですけれども、中選挙区制だから政治腐敗が起こるとか選挙の腐敗が起こるということは全くないんですね。  先ほどイギリスの例が出されましたけれども、実はイギリスでも、一九七六年だったと思いますけれども、小選挙区制のもとでポールソン・スキャンダルという大疑獄がありました。それから、つい最近、昨年の夏だったと思いますけれども、ナディヤ疑獄ということで、これは朝日新聞社で出しております「アエラ」という雑誌に出ておりますけれども、やみ献金疑獄で大変揺れているわけです。ですから、小選挙区制にすれば政治腐敗や選挙腐敗がなくなるということではない。選挙制度とは一切関係がないというふうに私はお考えいただくのが正しいかと思います。  それから、同じ政党で何人かが出るということがどうかということをおっしゃられたんですけれども、イギリスでは単記移譲制という中選挙区制に似た選挙制度をとりたいというふうに言っているということを先ほど申し上げましたけれども、同じ政党から何人かの候補者を出せるということは、いろいろな担当分野といいますか、あるいは女性であるとか、そういう意味で議員のいろいろな顔ぶれをチームワークよく議会に出せるということで、むしろそれは長所として挙げられているんです。ですから、それは運用なのだというふうに思っています。同士打ちでよくないというふうに使うか、いろんな顔ぶれの方を集めて議会に議員が出せるのでチームワークよく仕事ができるというふうに運用できるのか、それは私は運用の問題であるというふうに考えております。

関根則之自由民主党

○関根則之君 終わります。(拍手)

峰崎直樹日本社会党・護憲民主連合

○峰崎直樹君 私は、日本社会党北海道選挙区選出の参議院の峰崎でございます。  きょう聞いておりまして、なるほどもっと早く参考人の意見を聞く機会があってもいいし、事前に皆様方がどういう内容をお話しになるのかということがわかっていれば、また質問のやりとりももっと深まったかな、こんな思いをしておりますが、早速、最初に筑波大学の蒲島郁夫教授に対して質問をしていきたいと思います。  最初に、私、一昨年の七月の参議院選挙で当選してきたばかりでございまして、そのとき大変ショッキングだったのは投票率が非常に低かったということなのであります。この三ページ目に「選挙運動について」とございますが、選挙運動を考える上で長期的な課題は投票参加の向上である、政治的関心の高まりなど選挙への興味や投票参加のコストの減少、こういう問題が指摘をされ、実は一月十一日付のきょうの朝日新聞に、南カリフォルニア大学に今行っておられます橋本先生という方が「論壇」で、「人はなぜ投票に行かないか」、こういう分析をされております。  専門家であられる蒲島参考人の方にお聞きしたいわけてありますが、なぜこういうふうに投票率が下がっているのでしょうか。その点をまずお聞きしたいと思います。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) 投票率を決める要因は基本的には二つあります。それは政治状況、いかに政治状況が興味深いものであるのか、そういうものです。それからもう一つは、個人の心理的なものにかかわるものです。  これまでは、有権者は高い投票義務感というものを保持していたわけです。ところが、その投票義務感というのは、学校で習ったりあるいは政治の勉強をしたときにそういう投票に行かなければいけないという義務感を獲得するわけですけれども、この義務感の日本全体における総量が世代交代によってだんだん減ってきているというのが一つの現象だと思います。だから、これから長期的には投票率は低下していくだろう。  ただ、もう一つの要因である政治のおもしろさというんですか、これがそのときどきの投票率を決めるわけです。だから、リクルート、消費税選挙のときは、これまでの傾向から見ると投票率が参議院においても高かった。あるいはいろんな状況の場合において、政治が非常に緊迫してきたりあるいは候補者同士の戦いが非常に激しくなってきますと、その状況のもとでは有権者の意識は一定に置いても非常に投票率が高くなるわけです。  そういうふうな二つの要因、政治の舞台づくりは、これはどちらかといえば政治家の方がつくるものです。それから政治意識というのは有権者の個々にかかわるものです。  ところが、最近の現象を見ていますと、今回の総選挙でもそうですけれども、政権交代があるように見えても、投票率が上がるような政治の舞台ができても投票率は低かった。それはどうしてかというと、もう一つの要因が入ってきているんじゃないか。私はこれを有権者の観客化と言っていますけれども、有権者が非常に興味を持ってテレビを見たりあるいは新聞を見たりするけれども、だからといって自分の足で行かない。だから、いかに政治がおもしろくなっても投票所までは行かない、そういうふうな傾向があるわけです。  だから、今言いますように、そういう意味で三つの要因が投票率を決めている。政治の舞台、有権者の観客化、それから政治的義務感の低下ですね。そういうふうな中にあって公職選挙法を改正しようとすれば、それをいかに高めていくかという観点から見ていかなければいけないだろうと。そういう観点からこの戸別訪問の自由化、テレビ討論形式の導入ということをぜひお考えいただきたいと思ったわけです。

峰崎直樹日本社会党・護憲民主連合

○峰崎直樹君 大変貴重な意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。私もこの問題は政治の原点だと思いますので、いわゆる投票率の向上、国民の政治参加の拡大ということについて鋭意これからも引き続き頑張っていきたいなと思っております。  さて、資料の中で「選挙運動をめぐる争点」としてテレビ討論形式の導入ということで、実は今回の法案の中で、NHK、各民放も入りますが、例の自分の個人演説を六分間、テレビでやることができるということが今回はなくなりまして、そして政党が放送するということになったわけですが、この点について、ここに記載をされているように、無味乾燥なテレビ政見放送をやめたいと。私もそう思うんです。とにかく今まで自分がやった選挙運動の中で一番神経を使ったのは、あの五分三十秒におさめなきゃいけないテレビ放送だったんです。もう胃がきりきり痛むような気持ちがいたしました。その意味で、ああいう形式ではなくてもっと自由にディベートしたい、討論したいというときに、法律をつくられた側の官僚の方々にお聞きしますと、しかしそれは公平性が保てるかどうかということを必ずおっしゃるんです。  参考人はその点に関して、これはもう公平性ということは余り気にしないで、ちょうどNHKが日曜日の九時から政治討論会をやっておりますけれども、あれでしゃべっておられる時間数、できる限り公平に恐らくNHKも配慮されているんだろうと思うんですが、ああいう形でディベートができるようになればいいのかなというふうに思うんですが、その点、何かお考えございますでしょうか。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) お答えいたします。  このテレビ討論形式による選挙運動というのは公平性の観点から問題があるんじゃないかという議論があるというお話でしたけれども、私はその公平性をある程度犠牲にしてもこの際これを断固として導入すべきだと思います。  私はアメリカ大統領選挙の分析もやっておりますけれども、あそこで国民の非常に多くが大統領選挙のテレビ討論を見るわけです。そこでどのような形で公平性を確保しようとしているか、その努力もちゃんとわかっていますし、それから、今回小選挙区制になれば、それぞれの選挙区において候補者もそれほど多くないと思うんです。これまではさまざまな演説会によってそういうふうなテレビ討論に似たようなことも行われてきたと思いますけれども、この電波社会においてはぜひテレビあるいはラジオを利用しながら、電波を利用しながらそういう政治討論を行って、その中で有権者の関心を高めて選択を可能にするような方向に向かってほしい。  だから、一分一秒という形で公平性は保てないかもしれませんけれども、アメリカの大統領選挙のテレビ討論を見てみますと大変公平に司会の方がその配分をやられているわけですから、それが日本でできないはずはないし、小選挙区制になって、特に小選挙区の中においてはこのテレビ討論の導入というのはぜひ考えていただきたいというふうに考えます。

峰崎直樹日本社会党・護憲民主連合

○峰崎直樹君 今後もこの種の改正作業などあるときには、私もぜひこういう論議が活発になるような方向で意を受けてやっていきたいと思います。  さて、その下に「政治参加の拡大をめぐる争点」というのがございます。ここに記載されている点について私も賛成でございますが、ここに記載されていない点で少しお伺いしたいと思います。  と申しますのは、私は、選挙を本当に活性化をさせていく、国民から見て本当に政治をおもしろくするといいますか活性化をするというか、そういう観点で考えたときに、候補者のリクルートメントということが非常に重要な問題になるのではないか。今度の法案の中でも、候補者をどのようにして決めるかということについての方法を届け出なきゃいけないという記載がございます。  この中で、私は、現行選挙制度の中で、これは国家公務員法、地方公務員法に関連してまいるんですが、公務員のいわゆる立候補した時点においてこれをやめなきゃいけないという問題、あるいは民間人の方々が立候補をしたとしても終わってまた帰っていけるような道筋だとかそういう、議員となる人たちの出身が二世議員であったり高級官僚のOBであったり大労組の出身者であったり、あるいはその他本当に限られた人材になってきているんではないのか、この点が私はやはり少し改正をされてしかるべきだというふうに思うんですが、その点について蒲島先生はどのようにお考えでしょうか。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) お答えいたします。  今の御意見に私も大変賛成です。今、政治の世界に入っていく人たちが非常に限られた人になっている。特に二世議員とか、それから自分の人生の中でそれだけの時間あるいはわがままを許せる人だけがリクルートされていく、それは長期的に政治の世界をゆがめていくんじゃないかというふうな気がします。  今も御指摘のように、特に公務員の場合は立候補した瞬間にやめなきゃいけないという形になりますからいろんな問題があるかもしれませんけれども、公務員、民間人を通して、現職のままというのは無理かもしれませんけれども、やめるのではなくて休職のままとかそういうふうな形でリクルートできれば恐らく政党側にとってもよりいい人を集められるんじゃないかというふうな気がします。  そういう意味で、ここには書きませんでしたけれども、リクルート面の活性化という意味で今のようなお考えをぜひ進めていただきたいというふうに思います。

峰崎直樹日本社会党・護憲民主連合

○峰崎直樹君 実はそれとちょっとまた絡む問題なんですけれども、これはその前の「政治資金規正法案をめぐる争点」の「寄附の定義について」の中で、金銭ではない秘書、車、事務所などの利益供与、これは寄附になるかどうか、私もこれは前から問題だと思っておりました。こういうハードウエアの問題と同時に、私はソフトウエアの問題を少し考えてみる必要がある。すなわち、情報という問題、我々が政治家になるときの有利不利の問題というものがあるんではないのかの  と申しますのは、これはちょっとこじつけ的になりますが、通産省で先日ああいう出来事がございました。高級官僚の方あるいは官僚の方々がおやめになって立候補される。これは日本国民でありましたら当然、憲法に保障された立候補する権利がある。私も一般的にはそれはそうだろうと思います。  しかしながら、高級公務員の方々がお持ちになっている情報だとかあるいはその有利性みたいなもの、こういう中で、先ほど公務員について国家公務員法や地方公務員法を改正してできる限り立候補が自由にできるようにというお話を申し上げたと同時に、もう一方でそういう方々の立候補を一時的に制限をするというようなそういったような意見を私はちょっと聞いたことがあるのでございますが、この点、蒲島参考人はどのようにお考えか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) 大変難しい質問でございますが、基本的に政治家が持っている情報とか能力とかあるいは資産というものは、それを例えば第三者が、この人はさまざまな情報に通じている、だからしばらくは見合わせるべきではないか、そういうふうな理由でもって政治家になりたい人を阻止できるだろうかという観点から考えますと、私はできないんじゃないか。  それが例えば、普通私たちが考えますのは、それほどの情報を持ってかつ能力のある方であれば、より一層政治を活性化して日本の政治がよくなるんではないかというふうな観点から有権者は選ぶわけです。最終的な選択は有権者が持っているわけです。だから、なるべく参入の壁あるいはハードルを低くして、そしてその最終的な選択を有権者に任せるというふうな方面で政治参加の機会を拡大していく方がいいんじゃないかというふうに私は思います。

峰崎直樹日本社会党・護憲民主連合

○峰崎直樹君 ありがとうございました。  蒲島教授に一ページ目の点についてまたお聞きしたいと思うんですが、「日本人のイデオロギー」と書いてあるところに「革新的」と「保守的」とございますが、この基準は何をもって革新、保守というふうにこのイデオロギー分布ができ上がっているんでございましょうか。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) お答えいたします。  これはイデオロギーというものが投票行動を規定しているかどうかということにかかわってくると思いますけれども、我々の研究では、その人の保守革新度といいますか、実際にこれは世論調査を行って、三千人のサンプルに対してその人の保守革新度を十段階で聞いたものです。十段階で聞きますと、一番左の位置の人が全国的に見ますと約二%ぐらい存在する。そういう意味で、有権者の保守革新度を有権者に答えてもらったその尺度から構成した分布がこれです。  それで、これがすべてを説明するのかというと非常に難しいわけですが、ただイデオロギー度と投票というのは非常に相関関係が高いし、それからイデオロギーというものがさまざまな争点を重ね合わせる、そういうふうな力を持っているわけですね。そういう意味で、政党支持とイデオロギーというものは我々が政治行動の研究をする上において大変有用な尺度になっている。その尺度を全国的な調査を行って構成したのがこの図だというふうに理解してほしいと思います。

峰崎直樹日本社会党・護憲民主連合

○峰崎直樹君 蒲島教授に対して最後の質問になりますが、二ページ目の「政治資金規正法案について」以下記載されている点、本当に私もこのとおりだろうというふうに思うんですが、今回出されております政治資金規正法案について、今度の法案は前進しておると判断されるかあるいは、確かに指摘される不十分性はあるんですが、やっぱり前と変わらないなということか、率直にどちらの評価でございましょうか。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) お答えいたします。  今の件に関しては、最初に述べましたように、透明性の向上、監視体制の確保、罰則の強化の三つの原則を見ましても大変前進していると思います。  ただ、せっかく前進しておりますし、それから政治資金規正法というのは、実は国民のすべてがちゃんとしたものにしてほしいと、そこには何ら対立がないわけですね。そういうものであるからこそ、少しの問題が見つかったとすれば、先ほども言いましたように、ひもつき献金はどうするかとか、あるいは支部をたくさんつくることによって、その支部というのはどちらかといえば政治家の支配下に置くような支部になると思いますけれども、それを乱造することによって企業・団体献金が事実上野放しになるということ、そういう問題がもう既に出ているわけですから、この段階でぜひそういう抜け穴を防いでほしいと思います。  それから、先ほども問題になった秘書とか車とか事務所、そういうものの取り扱いもやはり定義しなければ、ある部分では認められるし、ある部分では認められないというそういう変な状況になるような気がします。  それから、前田先生もおっしゃったように、これはやはり透明性をより一層確保する、あるいは監視体制をより一層強化するためには銀行口座をつくって政治家の人はそのカードから引き出す、選挙資金はその中に入れてもらう、我々が家計でやっていることをやるというふうにやってしまえば、これは非常に透明性が保たれたものだし、それから、それをもとに出される政治資金の流れを透明化する上においては、書類というものはみんなが信頼するわけで、今の場合、手で書いてこういうものですといってもなかなか信用しない、しかしそれが銀行口座を通していれば信頼度が高い、そういうふうな形から国民の政治家に対する信頼が高まっていくんじゃないかという気がします。

峰崎直樹日本社会党・護憲民主連合

○峰崎直樹君 次に、前田参考人にお聞きしたいと思いますが、その前にちょっと私の体験談といいますかお話を申し上げたいんです。  実は、ことしの年明け早々に、アメリカ系の証券会社に、日本の駐在所なんですが、そこに勤めている私の同級生がちょっとぜひお会いしたい、こういうことで、一月六日の夜だったんですけれども、お会いしてまいりました。そのときに、外資系の証券会社に勤めている彼の、アメリカというところの仕事ぶりというのは大変なものだなということを痛感させられたんです。  そのときにいろんな情報の話をしました。彼いわく、全世界の情報が自分のところに集中してくる。それは双方向で、自分からも情報を入れ、そして情報が入ってくる、こういう話になった。それはすばらしいシステムだねと。彼は、企業の株式の売買だとかあるいは企業の乗っ取り、乗っ取りと言ったら変でありますが、そういったような仕事なども担当しているんだそうでありまして、産業、経済を大変よく知っている。  私はそのときに、あんたは株はやらないのかい、こういう話をいたしました。株をやるとするとインサイダー取引になるんじゃないのか、こういう話をしたら、本人はもう株なんというのはとってももうからない、もうからないというか面倒だと。  と申しますのは、その企業は当然証券会社でありますから、そういう情報はたくさん全世界から集まってくる。そうすると、株に関する情報ももちろん持てるわけでありますけれども、いざ売買するとなったときに約二、三週間かかるんだそうです。すなわち、企業の側がじっくりと、なぜ売買するのか、そのあれはどういうところから手に入れたのかとか、いろいろ大変な審査なんだそうであります。だから、とてもそれはもう間尺に合ったものじゃないということに実はなったわけでありますが、先ほど来聞いておりまして、私も政治資金の近代化、透明化というのは大賛成だと思うんです。それはやらなきゃいけない。  先日、実は衆議院議員の全国会議員の方々、そして参議院議員はもう半年前だったでしょうか、全国会議員の資産公開が行われました。私は残念ながら株は一株も持っていないんですけれども、一千万円以上の額面を持っておられるいわゆる国会議員の数が、もちろん社会党にもおられましたけれども、かなりの数がおられるわけですね。  私は、あのリクルート事件のときのリクルートコスモスの未公開株の問題と絡めて、情報を早く知る立場にある人間というのは、株式というものに手を出すときにはこのインサイダー取引という問題と絡む関係からして、先ほど指摘をされた中に、株式の問題もやっぱり政治家はこれを自分が政治家である間はやってはいけないんではないのか、こういうふうに思うんですが、前田参考人、いかがでございましょうか。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) お答えさせていただきます。  全く同感でございます。株については、確かに情報を早く知り得る立場の人、特に公権力の行使に携わる方々、国会議員ももちろんそうでございますし、大臣もそうでございますが、そういった方々については、たとえ本人が悪いような方向に持っていくということでなくても外から疑いの目をもって見られるということがございます。  政治は信頼が大事でございます。したがって、リクルート事件のときに私は考えたのでございますけれども、政治家は――政治家というのは大変広うございますけれども、大臣とか国会議員は株を持ってはいけないとは私は申し上げないんです。私は政治家がお金持ちであっても十分構わないし、むしろその方が望ましいと思います。株については、自分の職務と結びついて、あるいは議員であるがゆえに情報を仕入れてもうけてしまう、これは大変な不信につながるわけでございますから、在職中は、一切売買しない、信託する、こういうふうなことが一番望ましいのではないかと考えております。  イギリスの例を申し上げますと、一九一二、三年でございますか、いわゆるマルコニー・スキャンダルが起きたときに、未公開株が大臣に随分配られたわけでございます。あのリクルート事件のいわばもとになるような事件でございますけれども、そのときにイギリスにおける対応の仕方としては、日本ではすぐ法規制によって何とかしようじゃないかという発想をするわけでございますが、イギリスでは法規制ではなくて大臣の申し合わせで、大臣は株を持ったら一切在職中は売買しない、あるいは信託するというふうな趣旨の決定をしたと思います。そして、その決定を守ったようでございます。  日本の場合でございますと、申し合わせとかあるいは議院の決議とかそういうものだと、拘束力がないからということですぐ法規制を考えられると思うんです。ただ、法規制となるといろいろ詰めなきゃならない問題があります。だから、そこら辺はイギリスの方が進んでいるというのか、私は今先生がおっしゃったこと、そのとおりだと思いまして、在職中にはそれを売ったり買ったりしない、疑いを持たれないようにすることが、特に最近事件が起きているときでございますから、国民から信頼を得る、裏切らないというために大事でございます。  そういう意味で、先生おっしゃったように、株については在職中は売買しない、信託すみ、そういうふうなことをなされるのが望ましいんじゃないか。これは法規制でできるかどうかわかりませんけれども、国会の中の申し合わせとか、そういうふうなことでしていただくことが望ましいというふうに考えております。

峰崎直樹日本社会党・護憲民主連合

○峰崎直樹君 私も大変意を強くしましたので、そういった点で今後とも改革に努力していきたいと思いますが、時間も余りなくなってまいりました。  前田参考人はかつて参議院におられたということですが、先ほど採決について参議院では党議拘束を外すべきだという御指摘がございました。私もこれからの時代は政党に対する帰属意識、もちろん政党政治でありますからあるんですが、個人の裁量といいますか、個人が国民から信託を受けている、その観点から党議拘束を外すということについての方向というのは必要なんじゃないかと思っている一人なんです。  その際、こういう矛盾は起きないかということをちょっと申し上げてみたいんです。  それは、参議院において比例代表制というものが導入されました。比例代表制というのは政党を選ばせる選挙です。そうすると、必然的に参議院にいわゆる政党色を薄めようという傾向に対して、この比例代表制が入っているということは逆に政党色を強めるという傾向になっていて、この点は党議拘束を外すという限りにおいては比例代表制と矛盾してこないかと私は危惧するんですが、その点いかがでございましょうか。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) お答えさせていただきます。  おっしゃるように、確かにその点は問題だと思います。比例代表制は本来政党政治を促進するんではないか、こういうふうな前提でお考えになっておられると思いますし、あるいは比例代表制の名簿というものが政党単位、そして拘束ということでやっておりますから、国民サイドから見ると、政党に投票した、政党投票によって当選された方々が政党と離れて自由な立場で意思を表示されるということは矛盾ではないかという疑問も確かにあると思います。  しかし、政党は国民に対して一体何を公約したのかということが問題であります。例えば今度のような選挙制度の問題について、国民に対して公約しているのでございましょうか。  原則としては政党中心で物を考えるということが大事だと思います。議員のそれぞれお一人お一人が投票するということですと、これはなかなかまとまりにくいということで、原則としては党の考え方、党議に従って行動するということは望ましいと私も考えております。  しかしながら、余りにも日本では党議拘束が厳し過ぎやしないか。先ほど幾つか例を申し上げましたけれども、党議拘束をしても党議に拘束されないで自由に、日本流に言いますと造反する方があるわけでございます。  イギリスの統計によりますと、党議拘束をしたと申しますか、パーティーボートと言っているわけでございますけれども、パーティーボートの定義は一〇〇%の拘束率ではないのでございます。日本流に考えますと、党議拘束をしますと造反者が一人もいないということで、党議拘束率一〇〇%ということになるわけでございますけれども、イギリスの統計を見ますと九〇%というふうになっております。九〇%以上の方が同じ党議に従って行動するというのをパーティーボートと言う。ということは、裏を返しますと、一〇%近くの人は造反する、棄権ないしは反対するということがあるわけでございます。そういうことと比べますと、我が国では余りにも党議に縛られ過ぎているんじゃないか。  そこで、党議に従えば、議員自身は、委員会において質問や自由な意思表示というのがおできにならないのじゃないか。そうなると、国会における討論が活性化されない。そういうことから見れば、政党の主義主張とか大事な問題を除いてはもう少し党議が緩和されてもよろしいんではないか。  先ほど、衆議院よりも参議院の方が党議拘束が緩和されやすいんじゃないかと申し上げました。それは憲法によりますと、衆議院は内閣の支持基盤でございますから安定多数というものが保障されていなければいけませんけれども、参議院の場合には必ずしもそうではない。政府をつくること、例えば総理大臣指名において参議院は決定権を有しない。私が申し上げたいのは、参議院は日がわりの多数で構わないということが憲法で要請されていると思うのです。そうしますと、党議拘束があっても多少そこから出ていかれる方、自由な投票をされる方があってもよろしいんじゃないか。その方が参議院らしいんではないかというふうなことを感じております。  用意しておりませんのでお答えになりませんでしたけれども、お許しをいただきたいと思います。

峰崎直樹日本社会党・護憲民主連合

○峰崎直樹君 もう時間が参りまして、本当は志田参考人にもお話を伺いたいところですが、時間優先、促進するために以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 参考人の皆さんには、本日は大変有益な御意見をありがとうございました。  公明党の猪熊重二と申します。  まず前田参考人に、今質問があった党議拘束の問題についてやはり私もちょっとお伺いしたいと思うんです。  というのは、いろんな問題の中で、どうしても私としてはこの法案には賛成できない、しかし賛成しないと党を除名になるかもしれないし、まごまごすると議員をやめろなんということになっちゃうわけです。例えば脳死の問題で今のような臓器移植法が出てくれば私は賛成できないし、あるいは現状のままにおける消費税の税率アップなんという法律に対しても私は賛成できない。私は自分自身の考えにおいてできない。しかし、そんなことを言っていると首になっちゃうというふうなことで、どうしても党議拘束という問題について、非常に難しいけれども何らかの形があるべきじゃなかろうか、こう考えるんです。  党議拘束というのは一方において政党の結社の自由の問題で、その党派において、うちの党はどうしても一寸一分も自由な行動は許さぬよという結社もあってもいいんだろうし、うちは緩くいくよというのもあってもいいだろう。だから、これは果たして法律事項なんだろうか、それとも各政党の結社の自由に基づく自由な問題なんだろうか。その辺の問題が一つ。  それから、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、衆議院と参議院でやや違っていいんじゃなかろうかというような御意見だとお伺いしたんですけれども、しかし、例えば今私が申し上げたような脳死法の問題なんということになると衆議院も参議院もないんじゃなかろうか。だから、参議院についてだけは各政党とも、私の方の公明党も参議院の方は党議拘束を緩和したらどうだとかいろいろ言っているんですが、なぜ参議院の方だけの問題なんだろうか。  この二点についてお教えいただきたいと思います。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) お答えさせていただきます。  一つは、結社の自由ということから党議拘束がどの程度できるものなんだろうか、強制的なものもあるし緩やかなものもあるんじゃないかという御質問でございまして、私この点の法律についての解釈は残念ながらできません。  ただ、憲法の考え方から申しますと、国民の代表ということに国会議員はなっております。そして、国民の代表ということは我が国の憲法には書いてございませんけれども、ドイツの憲法では、国民の代表者であって院外からの指令に従わない、良心にのみ従えばいいという規定になっております。我が国の憲法にはその文言はございませんけれども、やはり国民代表というのは同じようなものだと思います。したがいまして、党議拘束と個人の良心、自主的な判断というものがぶつかった場合には、憲法上、法律上は自主的な決定を下すことができるんであろうと思います。そのときに、先ほど御心配になりました除名の問題ということでございますが、この点が日本では極めて厳しいというふうな感じがいたしております。  先ほどパーティーボートのところで一〇%近くの方が造反をするのがイギリスの例であるということを申し上げました。その場合に、その造反した人はどういうふうな制裁を受けるかという問題がございますが、除名は最近ではございません。そうすると、イギリスの政党は規律が緩やかなのかというとそうではないんです。二回三回と繰り返したり行動が激しいと、除名ではないけれども制裁問題が起きてきます。次の立候補の際に推薦しないとかあるいは選挙運動資金を出さないとか、そういうふうないろんな制裁措置はございますが、少なくとも除名はない。  その点で、日本では一回ぐらいでも党が除名とか、そういう形で議員個人に威圧感を与える、それはほかの国の政党状況を見ておりますと、望ましくないんじゃないか、厳し過ぎるんじゃないかというふうな感じが私はしておるのでございます。  それから、二番目の脳死とかこういう問題でございますが、これは政党の主義、政策と全く関係ないということだと思います。  先ほどイギリスの場合の自由投票で、良心の問題あるいは宗教上の問題について、これは党で決定できないということで、これはもうほとんど自由投票でございます。例えば日曜日に店を出すかどうか、これはキリスト教の国でございますから、そういう問題が出てきたときにどうなるか。これは自由投票でございます。それから、脳死の問題も死刑廃止ももちろん自由投票でございます。  公明党ばかりではありません、社会党でも脳死の問題を議論しているときになかなか意見の一致ができなかったと。そうしますと、意見の一致がならないから法案を提出できないとか、そういうことになっているようです。これは意見の一致を求めることの方がむしろ不自然で、私は、こういう問題についてこそ自由投票をぜひやって、我が国でもこういう自画投票をやれるんだというお手本というかモデルを示していただきたい。  ちなみに申し上げますと、じゃ戦前から日本に自由投票の方法値ないのかというと、あるのでございます。無記名投票というのがあるんです。  この無記名投票というのは自由投票とは違います。制度としてあったのです。自由投票というのは各政党が党議拘束を外すという問題でございますね。つまり政党の問題なのでございます。戦前における我が国における無記名投票というのは、白い玉と黒い玉を持ちまして投票する。数だけが問題になる。だれが賛成したか反対したかわからない。こういう制度があるのでございます。地方議会の方にも標準会議規則の中に入ってございます。  そういう意味で、その良心の問題については自由にやる、これを党議拘束するというのはむしろ間違いであるというふうなことを私はかねがね考えているのでございます。  それからもう一つは衆議院と参議院の問題ですけれども、よろしゅうございますか……。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 私、最初に申し上げるのを忘れたんですが、私の持ち時間十分しかありませんので、蒲島参考人にお伺いします。  在日韓国・朝鮮人等を含めた在日外国人の地方選挙における投票権の問題に関して、憲法の規定自体において、要するに、憲法九十三条二項は、地方公共団体の長、その議会の議員は、「その地方公共団体の」、その次が大切なんですが、「住民が、直接これを選挙する。」、こういう規定になっているんです。ところが、この「住民が、直接これを選挙する。」という憲法の規定が、地方自治法と公職選挙法に行きますと、日本国籍、「日本国民たる」、こういう余計なものがくっついてきちゃっている。この憲法の住民規定、住民という用語の規定をどのように考えるか。  それから、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、代表なければ課税なしというのはこれは民主政治の原則であるにもかかわらず、税金だけは取っておいてそれで選挙権を与えない。しかも、例えば平成二年度の大阪市生野区の総人口十五万五千人の中、日本国民は十一万九千人、外国人人口は三万五千八百人、率にして二三%の外国人が課税だけはされるけれども地方議会の投票権も与えられていないというこの現状について、なるべく簡単にひとつよろしくお願いします。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) 時間がないので簡単に言いますけれども、今、先生がおっしゃったように、在日韓国人を含めた在日外国人というふうに私は言っておりますけれども、地方選挙においてはこの在日外国人に選挙権を与える方向でやはり考えるべきではないか。先ほどおっしゃったように、二三%の住民が非常に多額の税金を払っているということは、まさに選挙権もあってしかるべきじゃないかというふうに考えます。これは私だけの意見ではなくて、恐らく政治学の学界ではやや常識化した意見になっているんじゃないかというふうに考えます。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 志田参考人にお伺いします。  政党助成金が、憲法十九条、思想、良心の自由に反するというふうな趣旨の御発言と私は伺いましたけれども、その理由は、納税者が納税したそのお金が自分の支持しない政党に行ったから思想、良心の自由に反するというのか、それともそういう納税ということを抜きにした意味において憲法に反するというふうにおっしゃるのか。  というのは、もし納税者の権利において思想、良心の自由に反するというんだったら納税していない人にとってはその問題は起きてこないことになってしまうし、今度は、納税とかどうとかということを抜きにして国民全般の問題だとしたら税金の使われ方の問題であって、自分が出した金がどこへ行ったから思想、良心の自由に反するとかという問題と異質の問題になると思うんです。  簡単にひとつよろしくお願いします。

志田なや子弁護士

○参考人(志田なや子君) 私は、思想、信条の自由を定めている憲法の規定の趣旨に反するというふうに考えております。  といいますのは、憲法では信仰の自由、宗教の自由というものを一方で保障しております。そして、国家権力がこれに関与したりあるいは宗教団体を国家の一部に入れたりすることも禁止しておりますし、公金支出ということで宗教団体に国のお金を出すということは、これは憲法八十九条で禁止しておるわけです。つまり、この宗教の自由を完全に保障しようとすると、すべての宗教を信じないという自由もあるわけですね。特定の宗教を信じるという自由もある。そうしますと、国家権力が公のお金をすべての宗教団体に支出するとしてもこれは最終的には国民の宗教の自由、信仰の自由を侵害するということでかなり厳しく制限しているわけです。  それじゃ、思想、信条の自由について同様の規定があるかといいますと、それはありません。ただし、思想、信条の自由、政党支持の自由というものを完全に保障しようというふうに考えれば、やはり公のお金を政党に支出するというのは問題があるのではないかというふうに私は考えております。

猪熊重二公明党・国民会議

○猪熊重二君 どうもありがとうございました。(拍手)

平野貞夫日本・新生・改革連合

○平野貞夫君 参考人の方々には貴重な御意見をまことにありがとうございました。  前田参考人には参議院事務局にお勤めのころからいろいろ御指導をいただいておりますので、本日の質問は遠慮させていただきます。  まず、蒲島参考人にお尋ねいたしますが、昨年七月の日本人のイデオロギーの調査の結果をお教えいただきましたのですが、自民も非自民も政策的には中道に集中している、こういうことでございました。その点はよくわかりましたのですが、一方で政治運営といいますか国会運営ではなかなかそういう現象でない。私は、国会改革というのは政権交代が行われるようになればほとんど解決するということを信じておったんですが、ヨーロッパで言われております議会政治の紳士協定で、自分が政権についたとき困ることは相手の政権に対してはやらない、こういう紳士ルールがなかなか我が国にはまだ定着していないように思います。  そういうことから考えまして、政権交代後約五カ月になりますが、率直に申し上げまして、以前の野党の一部にもあったんですが、日本の政党は野党になるといろいろ問題のあるキャラクターを出す。要するに、政策では中道にまとまろうとしても運営では両極に分かれようとする。何かこれが日本人の政治意識といいますか、政治文化あるいはイデオロギーの特性かなどうかなという感覚を持っておるんですが、先生の御意見を伺いたいと思います。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) お答えいたします。  簡単にお答えいたしますけれども、今おっしゃった非自民連立政権の方ですけれども、これは中道に向かうというのは、有権者から見ると向かってほしいということですね。ただ、その政党の中にいる人にとっては長い歴史がありますから、それを迎えるためのコストが大変高いわけですね。だから、特に左にあればあるほど中道に向かう勢いが遅くなって、それで、その連立の与党の中でもいろんな問題があるというふうなことはその調整コストが非常に高いということだというふうに考えます。  ただ、今の御質問の件は自民党が野党になると余り大人げないというふうな質問の趣旨だと思いますけれども、そういうケースは私自身は国会運営の中はよくわかりませんけれども、基本的に例えば政権交代前の野党のケースを考えますと、それが政権担当能力のイメージを傷つけてきたんじゃないかというふうな気がするわけですね。だから、それが恐らく本当であって、そういうことが長期間にわたって続けられるとすれば、それは国会運営という戦術的なところではプラスの効果をもたらすかもしれないけれども、有権者を対象とする長期的な戦略的な面ではむしろマイナスの影響が大きいんじゃないかというふうな感じを持っています。

平野貞夫日本・新生・改革連合

○平野貞夫君 わかりました。要するに、国民、有権者の意識というのは、政策面でも運営面でもまあ仲よくやれと、こういうのが先生の調査の結果だと理解いたします。  志田参考人にお尋ねいたしますが、志田参考人の御意見、それから共産党の先生方の大変何といいますか理論的な意見を聞いていますと、憲法は民意の反映、これを中心に規定していて、選挙制度もそれを原理にしておくべきだ、一言で言えばこういうお話だと思います。  そこで、私の意見でございますが、日本国憲法の前文ではたしかそういう書き出してはございますが、人類普遍の原理として前文の中に、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と、こういう人類普遍の原理を採用しているわけですが、これがすなわち議会政治の原理だと思います。そこで、この信託と由来という概念は民意の反映だと思います。しかし、代表者による権力の行使というのは民意の集約ではないかと思います。  私は、日本国憲法のとっている議会制民主政治は、民意の反映だけじゃないと思います。民意の集約、これも重要な憲法の原理であって、民意の反映だけですと政治というのはアナーキーになります。そういう意見を持っていますが、いかがでございましょうか。

志田なや子弁護士

○参考人(志田なや子君) 憲法で書いております国民代表ということを考える上には、憲法四十四条で被選挙権をも国民の権利として定めていること、それから憲法第十五条で国民固有の権利として国民の選挙権というものを定めていること等々を総合して考えまして、それは民意の分布を正確に反映する社会学的な代表であるということは、高名な憲法学者で芦部信喜先生という方がいらっしゃいますが、芦部信喜先生を初め多数の憲法学者の考え方でございます。  それは、日本の今の憲法の国民代表というものがかなり歴史的な経過を持って現代的な意義を持つものというふうに考えるのと、先ほど言った被選挙権をも国民の権利として憲法の条文に殊さら書いてあるというようなことからそのように解釈されております。

平野貞夫日本・新生・改革連合

○平野貞夫君 六〇年安保のときに大変国会はもめました。そのときに丸山真男先生が朝日新聞に、議会政治の機能としての代表機能と教育機能という、このバランスを議会政治はとらなきゃだめだという非常に大事な論文を載せられたんですが、この教育機能というのが国民を説得し意見を集約するという意味だと思います。  憲法もそうでございますが、議会政治の常識というのは、やはり民意を代表させることと民意を集約させることのバランスをとるということが骨幹だと思います。社会主義国家でも、かつて権力の民主的集中論というのをやりましたですね。これなんかはこの並立制にある程度思想的影響を受け継いでいるんではないか、私はそう思います。  ですから、並立制というのを非常に批判されますが、私は日本の選挙制度にとって画期的な制度だと思っています、そのバランスをとるという意味で、なぜかならば、中選挙区制というのは、これはやっぱり日米安保体制という中で、国家や国民がアメリカに守られてひたすら経済成長とその富の分配を調整するだけ、そういう国会の機能ばっかりだったんです。冷戦がなくなりまして、大変なことになっておりますね。そこに甘えの民意を吸収することを若干是正して、民意の集約と民意の反映のバランスをとるといいますか、こういう意味では私は画期的な制度だと思います。  外国の制度をいろいろ言われますが、これはやはり民族性の差がありますので論外だと思います。私のこの意見に対してどのようなお考えをお持ちかお答えください。

志田なや子弁護士

○参考人(志田なや子君) 私は、民意を集約して政権選択のために選挙制度を考える、選挙権を考えるというのは全く本末転倒だと思います。もし国際貢献のために一定の政策をなさりたいということであれば、それは国民にきちっとその政策を説明して国民の納得を得て、過半数の国民の支持を得てなさればいいことであって、殊さら民意をゆがめてそういう政策を実行しなければならないというような政策はないと思います。  それから、さらに申し上げたいのは、先ほど社会主義政権と並立制とは共通性があるというふうにおっしゃったからますます不安になったのですが、実は結局、民意をきちっと反映させるということが政治の自己修正能力を発揮させるということなのですね。そういう自己修正能力を失わせたということで、先ほどガルブレイス教授を引用いたしましたが、アメリカは民主主義の自己修正能力を失わせてしまったということで彼は大変嘆いておるわけです。そして、アメリカのように自分を傷つけ破壊させるようなそういう傾向が日本に今出てきているけれどもということで前書きで警告しているんです。ですから、私はその警告を素直に受け取った方がよろしいのではないかと考えております。

平野貞夫日本・新生・改革連合

○平野貞夫君 一言、委員長お願いします。

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) 時間です。

平野貞夫日本・新生・改革連合

○平野貞夫君 民意の反映だけを考えた選挙制度はファシズムかアナーキズムを必ず招くと思います。  以上で終わります。(拍手)

長谷川清民社党・スポーツ・国民連合

○長谷川清君 民社党の長谷川でございます。  お三方の参考人の皆さん、本当にきょうはありがとうございます。先ほどからいろんなとうとい御意見をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。  私も十分しかございませんので、時間の関係上、政治家と金という点だけをこの中からピックアップしまして考えてみたいと思うのであります。  今日こういうふうな状況で国会は懸命に今この法案に立ち向かっておりますけれども、先ほどからもお話に出ておりますイギリスの状態と今日の日本というものがよく比較をされていると思います。イギリスの場合もこういう議会政治がほぼ二百年ぐらい続いた中で、いろんな汚職が起こってそして一八八三年に防止法ができている。こういうことを考え、その後一九一二年にはまた新たにルール化がされており、これは特に大臣クラスを縛るということ、その後にはまた新たに議員を縛っていくというようなことで、大体三点セットができて今事なきを得ている。  それに比較いたしまして、我が国はまだ民主政治という点においては、実質的には、まあ戦後五十年たつかどうか、こういう状況にあると思います。その割には今の我々が行っております与野党を通じてのこの政治改革四法案、これはレベル的に言いましてかなり頑張っている水準のものではないかと総括的に私は感ずるのでございます。  いろんな意味において、高齢化社会も、スウェーデンのようなところでも八十年、他の国は百二十年ぐらいかかっておりますが、日本では四十年で高齢化が来ている。腐敗の問題もこれまた五十年でやらなきゃいけない。こういう状況に今来ているという認識がまず大事だと思います。それにしては頑張った内容になっている、私はこういう比較のとり方をしたいのでございます。  そういう点につきましてお三方のそれぞれの、レベルのとり方というか、大ざっぱに見て、いや、とにかく今一生懸命頑張っているな、こういう点のひとつ御印象を賜りたいのでございます。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) お答えさせていただきます。  私は確かに頑張っていることは頑張っていると思います。ただ、政治の世界というのは頑張ったり一生懸命やったりしても結果がよくなければだめであります。よく結果責任ということを申します。ですから、頑張っていても結果がよくなければ、私はプラスの点を差し上げられないというふうに思うんです。  イギリスの場合にも、確かにおっしゃるように、二百年ぐらいの間いろいろな問題があって、ようやく一八八三年に腐敗防止法をつくりまして、そして選挙を浄化した。そして我が国では、大変おくれたけれども、そのスタートは戦後ではなくて、大正十四年にスタートしているわけでございます。普選法に選挙運動費用の法定化が入りましたが、そのときから数えて今日まで何年になりましょうか、とにかく努力をしてきた。努力してきてよくなったかというと、私はその点は、イギリスではよくなったけれども、日本では同じことの繰り返しをしているのではないのか。  それはどこが違うのか。確かに頑張っていることは頑張っているんです。法律の改正も随分やっています。それから、今これだけ政治改革の議論を盛んにやっておりますけれども、昭和初年、五年から七年、十二年ごろにかけては大変な議論をしていますね。今の選挙制度審議会に当たるような議会制度審議会とか幾つかの機関を設けて努力をしているが、結果として、大山鳴動してネズミ一匹も出なかったんじゃないか。  そういうことを考えると、確かに頑張っているということは私は評価するんですけれども、結果がどうも出ない。その出ない理由は何か。その一つは、お互いに痛い思いをできるだけ避けようとするそういう気持ちがあるし、国民もそれを許したんじゃないか。それからもう一つは、政党政治の発達がおくれた、そういう考え方です。  長くなるといけませんから、それだけ答えさせていただきます。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) レベル的に頑張っているんじゃないかという御意見ですけれども、感想としては、確かに現行法から比べると今度の政治資金規正法案というのは大変前進したものだと思われます。しかし、制度だけがそれを保障するわけではなくて、その制度を動かす政治家の方々あるいは有権者の方々の意識、そういう部分がおくれたままでは制度が生かせないわけですね。この今の法案でも、日本の法案は世界でも最も厳しい方に入るわけです。それでもこれだけのいろんな事件が起こるわけですから、そういう意味で制度をきちっとするとともに、やはり人の部分でももう少し考えなければいけない、あるいはモラルを確立しなければいけないんじゃないかというふうな気がします。  それからもう一つの点ですけれども、先ほど透明性のさらなる確保というところで、せっかくこれだけレベル的に頑張っているわけですから、レベル的にもうちょっと頑張って最高のレベルまで持っていって、やはり現金を使わない、あるいは銀行口座を通してカ-ド化すると。そういう普通の有権者が日々行っていることがどうしてできないんだろうかというのが一般有権者の疑問なわけですね。それにこたえるということにして、それがもしできたとすれば画期的な法案になるんじゃないかというふうな気がします。  私自身はよく外国で日本の政治についての講演をするわけですね。外国に行きますとだれでも愛国者になってしまいますので、日本の政治についてさまざまな非難を受けますと、そこでいろんな機会にかばってきたわけですけれども、この一、二年非常にかばい切れなくなってきた。その一番の問題は政権交代がない。でも、政権交代は今度あったわけですね。それについてはよろしいわけですけれども、やはりもう一つの金権選挙、その方面を絶対なくしてほしい。私自身が外国に行ったときも、胸を張って日本の民主主義を語れるような方向に持っていってほしいというのが私のお願いです。

長谷川清民社党・スポーツ・国民連合

○長谷川清君 すぐに時間がたってしまいました。  今、現行法でいきましても、例えばお正月になりますと年賀状、その年賀状は印刷して出せないんですね。私も選挙区と言えば全国でございますから、電力出身ですから沖縄から北海道までずっと全国を回るわけでございます。これは確かにもう与野党超えまして、普通の日本の常識からすると年賀状の一枚ぐらいは、おれは君に協力したんだよ、一生懸命やったのよといって、これは常識だと思うんです。葬式がありましても、葬式に出席をすれば香典料は出せますが、言づけるわけにはいかないということで、いろんな行事がありましても金一封出すわけにはいかない。これは現実の問題。  私はついこの間ドイツに行きました。選挙の真っただ中でございました。ドイツの選挙、みんなに聞きますと、金や物を使う候補者は落選するからそんな愚かなことはしません、有権者が言うんです。同じように戦後五十年、用意ドンでまいりました。しかし、ヨーロッパというデモクラシーが進んだ国と日本のような国ではスタートが大分変わっておりますし、下地が違います。一口に都会や地方といいますけれども、随分また違います。  でございますから、私は、闘うという言葉があるとすれば自分との闘いだ、こう思って、昨年もことしも年賀状は出しておりません。来た方々に今手書きで一生懸命書いているわけです。これは百枚、二百枚、五百枚、一千枚じゃなくて、大変でございます。実際は出る金を少なくしていかないと入る金の問題が出てきて、いろいろブラックマネーとかつながっていきます。現実の問題と法律の問題の中では、もう本当に皆さん、与野党を超えてみんな一人一人は懸命に闘っていると思うんです。  そういう中にあって、私は今頑張っているという言葉を使いましたが、レベル的によりよいものに少しでも改善を加えていく、今よりも少しでもよくしていく、ここに私は今の日本の置かれた最大の価値があるんじゃないかというふうに考えまして、頑張っている、こうおっしゃっていただくと与党も野党も、よし、もう一回頑張ろう、こういう気持ちでもう一つ活力が出てくる、こういう感じで申し上げた次第でございます。  もう時間がなくて大変恐縮でございますけれども、最後になりましたが、志田先生、どうかひとつ激励を賜りたいと思います。

志田なや子弁護士

○参考人(志田なや子君) 私は激励をしたいとは思いません。  なぜかと言いますと、政治資金規正法、政治腐敗の防止について言うと、多分点数をつけるとすると十点か二十点なんだと思うんです。ただし、選挙制度について言いますとマイナス百点ですので、合わせますとマイナス八十点になってしまいますので、私の考え方といたしましてはぜひこの政府案は廃案にしていただきたいということでございます。

長谷川清民社党・スポーツ・国民連合

○長谷川清君 最後は蒲島先生にお願いすればよかったかなと思いましたが、質問を終わります。(拍手)

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。  三人の先生方、本当にきょうはありがとうございます。  まず、志田参考人にお伺いいたしますが、参考人はイギリスの選挙制度について大変お詳しいと伺っております。  小選挙区制をとっているイギリスでもアメリカでも、当選政党が固定化している、再選率が九割で無風区が非常に多い、残りのところでは激烈な選挙戦が行われる、こういうふうに言われているんですけれども、イギリス国民はこの小選挙区制について今どういうふうに考えているのか世論の動向などを伺わせていただきたいと思います。  同時に、中選挙区制に大変似ているという単記移譲制に移行するかという論議も強まっているそうですが、それはどういうものなのか御説明を賜りたいと思います。  それから、志田参考人に二点目ですが、民意の反映なのか集約なのかという論議は、非常に当委員会でも繰り返し行われておりますが、私は、憲法が国政選挙に求めているものは、憲法前文、四十三条等で明らかなように、民意の反映であるというふうに思います。そういう点では死票をたくさん出す小選挙区制の導入はとんでもないという立場に立っているんですけれども、小選挙区制導入の一つの理由として、政権選択が明確に意思として示されるような制度ということで小選挙区制を導入するというのが政府の繰り返しの説明なんです。私はこれは非常に本末転倒の議論であると思うんです。  つまり、国政選挙の要素の中に政権選択というものを絡めるということは、今申しました憲法の規定上も疑義があります。それから、国会と内閣というのは、言うまでもありませんけれども、我が国は議院内閣制をとっておりまして、この二つが民意の切り捨てにより特殊の勢力が多数を占める、つまり内閣と国会、行政府と立法府の集中といいますか、三権の分立てはなくて集中の方向に向かうおそれもあるというふうに私は考えているんですけれども、この民意の集約、政権選択の意思を明確にするということで小選挙区制を導入する政府の説明について参考人としてはどうお考えなのか、その点を伺いたいと思います。  三点目は、政府は小選挙区制の導入について政権交代が起こりやすいというふうに説明しているんですけれども、これは昨年の中選挙区制のもとでの総選挙で政権が交代しましたので論拠がなくなってしまったということは明らかですけれども、今のお話ですと、むしろ並立制の方がかえって政権交代が行われにくいんだということを述べておられますので、その点についてもお聞かせいただければと思います。  以上、三点お願いします。

志田なや子弁護士

○参考人(志田なや子君) まず、イギリス国民の小選挙区制についての意識ということですけれども、私が見た最新の新聞で言いますと、昨年の五月に世論調査をいたしましたところ、小選挙区制を廃止して比例的な機能を持つ選挙制度を導入しようという回答がついに五〇%を超えたそうであります。私が一昨年行ったときには四十何%というところだったので、またふえたんだなというふうに感じました。  なぜ小選挙区制がいけないというふうに考えているかということですが、それは先ほども申し上げましたが、半数の支持もないのに過半数を獲得して政権を維持してしまうということについてのイギリス国民の不満というのが非常に強いわけです。実は、サッチャーさんのときから通算しますと、今度選挙があるころまで保守党が政権をとるといいますと多分十七、八年になってしまうわけです。先ほども申し上げましたように、国民の支持の上では三大政党化しているものですから、そうしますと実は政権交代は起こりにくくなるんです。つまり、第一党がたくさんの議席をとってしまうということがありまして、政権交代が起こりにくくなるということもイギリス国民の不満の一つです。  それから、無風選挙区が多くなる。それで、候補者の方は党の選挙ではもう勝つに決まっているんで党の公認を得ることに全精力を注ぐということになって、有権者がないがしろにされちゃう。  それから、自分の意見を代表する議員を出せない、女性やマイノリティーの代表を出せないということがもう一つの批判の理由になっております。  それからもう一つは、実は小選挙区制のもとでの定数格差の是正というのは中選挙区制よりもはるかに難しいんです。先ほどイギリスの区割り委員会のことが蒲島先生の方から出ていたかと思うんですけれども、イギリスではある意味では小さな改正、一・五倍未満に区割りを訂正するというのをしょっちゅう行っております。大きな改正は十年に一度でしたでしょうか。そうしますと、結局、非常に区割りが人為的になってしまうということで、中選挙区制よりもはるかに一票の格差を是正するのが難しい。一票の格差をなくそうと思えばなくそうと思うほど区割りが人為的になってしまう、こんなことがございます。  それで、それに対する単記移譲制が、中選挙区制と似た制度ですけれども、それを導入する根拠というのは全部裏返して考えればよろしいわけです、選挙結果として比例的機能があって比例制が確保できる、候補者個人も選べる、それから地域的一体性を保ちながらも一票の格差の是正が図れる、そんなことでこの単記移譲制という中選挙区制に似た制度を採用するのが最も有力な対案になっているというのがイギリスの現状でございます。  それから、民意の反映、民意の集約という点については吉川先生と同意見でございまして、先ほどもちょっと平野議員の質問にお答えいたしましたが、国民代表で構成する議会というものが社会の縮図といいますか民意の縮図のようになるべきだ、国民代表はそのような意味なのだということにつきましては、先ほども申し上げましたように、芦部信喜先生や杉原泰雄先生やそのほか多くの憲法学者がそのように言っておりまして、それよりも政権選択が先で民意の集約が先だというのは、多分今私の考えている憲法学説からいいますととても思い浮かばない考え方でございまして、憲法の考え方とは全く違うのではないかというふうに思います。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 時間がないので前田参考人にだけお伺いいたしますけれども、参考人が政府の連座制の強化を評価しながら、総選挙でだめでも参議院やほかの選挙に立候補できるじゃないかとおっしゃいまして、私も全くそのとおりだと思います。  私どもはそういうことを避けるために公選法の連座制の規定にも立候補制限ではなくて公民権停止という措置をとっておりますので、ぜひ日本共産党案もごらんになっていただいて御意見を聞かせていただきたいと思うんです。腐敗防止を選挙制度によって防止するというのが今の政府案の考えで、小選挙区制の導入が腐敗防止ということに有効につながるのかどうかということを私は非常に疑問に思うんですけれども、選挙制度でもって、小選挙区制でもって腐敗防止ができるかどうか、その点だけ時間がなくなりましたので簡潔にお願いします。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) お答えさせていただきます。  後の問題から申し上げますと、私も実はそう思っております。選挙制度で腐敗防止をなくそうというそういう発想はいろいろございます。それでできないことはありませんけれども、選挙制度を変えただけでできるかどうかというのは私は疑問に思っております。  それから、もう一つだけ言わせていただきますと、先ほどの公民権停止の問題。私は共産党案を読んでございませんけれども、公民権停止と立候補制限とはやや違うし、憲法の上での選挙権と被選挙権は違うものと私は理解しているのでございます。そういう意味で、公民権停止までしない方がいいのではないか、今はそういう感じを持っております。

吉川春子日本共産党

○吉川春子君 時間なので終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

下村泰二院クラブ

○下村泰君 三人の参考人の諸先生方どうも御苦労さまでございます。  二院クラブの下村でございます。  私は午前も同じことを聞かせていただいたんですが、同じことを三人の先生方に伺いたいと思います。  今回のこういうような法案が出るという原因は、もう国民はだれでも知っているわけなんですね。どういうことかといったら、まず近々ではロッキードから始まって、共和があって、リクルートがあって、ゼネコンがある。それ以前にも昭和疑獄とか昭和二十年代から連続していろいろありました。しかもいろいろと、お名前を出すのもはばかりたくなりまするけれども、政界の偉い古い方が何十億という資産をもうけたり、ワリサイとか公債とか、私は大体余りお金に縁がありませんから割引債券なんというのは今度初めて知りましたけれども、そういったようなものの制度があったとか、あるいはその方の奥さんが金の延べ棒を持っていたとか何で政治家だけがそんなことができるんだというような怨嗟の声といいますか、政治家というのはそんなに銭のもうかるものかいなというような声がちまたには満ち満ちているわけですよ。そういうことから今回のこういった政変になったと思うんです。  一番国民が望んでいるのは、こういうことが二度とあっちゃいけないんだと。一般の会社に勤めている人ならば刑事が一回訪ねてきただけでえらいことになるわけですよ。ところがバッジがついていると意外とそんなことは関係ないんですね。しかも実刑が下っても平気でいられる。そんなばかなことがあるかというのが一般の方々の感覚です。  それで、お三人にお伺いしたいのは、今度のこの法案が通ることによって政治資金規制というものがきちんとできるのか本当に透明になるものなのか、それから腐敗防止が完璧にできるのか。先ほど前田先生がおっしゃいましたが、ピストルを突きつけなきゃ驚かない。それから蒲島先生のおっしゃるには、特定の政治家の支配下になり得る政党の支部組織や関連組織を乱造することによって、政治家に対する企業・団体献金が事実上野放しになる、こういうような見解があるとすれば、とてもじゃないけれどもこの趣旨に沿ったものはできないんじゃないか、やれないんじゃないかというのが私の率直な感想なんです。  ですから、本当に今度の法案が通って国民が納得し得るような状態になるのかならないのか、お三人からそれぞれ御意見を伺いたいと思います。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) お答えさせていただきます。  今度の改革法案が通ることによって政治がきれいになるかという御質問だと思います。そうあってほしいという願望を私は持っております。そして、実際そうなるかどうかは将来の問題ですからわかりませんけれども、先ほどから申し上げておるように、私は大変疑問ではないだろうかという感じがします。それは、政治を浄化する、きれいにするということは法律をつくるだけではだめだという考え方を私は持っているからであります。  私、先生方を前にして大変言いにくいことをはっきり申し上げさせていただきました。政治家の皆さん方自身が痛い思いをしてでも少しでもよくすると。先ほどどなたか先生がおっしゃったように、年賀状も書けない、いわば義理も欠く、これは大変なことですね。そういう痛い思いをすることを一度通らない限りはきれいにならないんじゃないか。それを先生方にもしていただかなきゃならないし、国民も、議員ならば今まで寄附してくれたのになぜしてくれないんだというのも我慢をする。それがある一時期どうしても必要なんじゃないだろうか。それをイギリスの一八八三年の腐敗防止法は通り越した。痛い思いをしなきゃいけない。それは先生方だけじゃなく国民もそうですね。  だから、こういう法案は普通の法律じゃなくて、私は時限立法としてやってほしい。極めて厳しい法案を、かつて大学法を通したときのように、三年とかそういう時限立法でかなり厳しいものをやって、それできれいになったらもとへ戻してもいいじゃないかなと思っております。  きれいになることを私も期待申し上げておりますし、私も協力させていただこうと思っております。

蒲島郁夫筑波大学教授

○参考人(蒲島郁夫君) 簡単に述べさせていただきます。  この法案が出る原因となったさまざまなスキャンダルが起こりましたけれども、私自身の感想としましては、多くの政治家がああいう悪いことをしているのではなくて、ほとんどの政治家が資金調達にむしろ苦しんで、ためるどころか、どこからお金を持ってくるか、それだけでも大変な思いをしていらっしゃるんじゃないか、そういうふうな政治家の方がたくさんいらっしゃるんじゃないかというふうに、むしろ政治家になった方を慰めてあげたいくらいの気持ちでもあります。  しかしながら、先ほども言いましたように、こういうふうな政治改革法案が通ったときに、これでとめられるかどうかということは、実は法律を守らない人がいるかどうかということですけれども、法律を守らないと思った人はどうしてもとめられないわけですね。だから、法律を守らなかった人がやり得にならないような形で抜け道を防ぐ、そういうふうな形でこの法案をより充実したものにしてほしいと思います。それで、一般の政治家の人は、悪いことをせずに、金に苦労せずに清浄な政治活動ができるような、そういう状況になってほしいというのが私の願いであります。

志田なや子弁護士

○参考人(志田なや子君) 政治資金規制についてですけれども、私もいろいろ新聞記事を読んでみましたら、ある政治家の秘書の方が今までどおりやれますよと自信を持ってお答えになっている記事があります。政党支部のトンネルを通して幾つも支部をつくることができるというようなことや、ひもつき献金もできるとか、今からこれだけ抜け道があるんですから、でき上がった後にはまたいろいろと抜け道を考えることができる、もっと考えられるのではないかというふうに思っておりますから、政治資金規制に関して申し上げますと、それほど前進というふうには私は考えておりません。  したがって、政治腐敗がなくなるというふうには全く思えないというのが実情でございます。

下村泰二院クラブ

○下村泰君 前田先生にもう一つ伺います。  ただいま大変厳しくないというふうなお答えだったんですけれども、今度のはそんなに厳しくないと、じゃ厳しくするにはどうしたらよろしいですか。

前田英昭駒澤大学教授

○参考人(前田英昭君) お答えさせていただきます。  先ほどの御説明の補足になると思いますけれども、いろいろありますが、その観点で言いますと、免責規定を少なくするということでございます。そして、イギリスのように免責は被告、候補者の方が立証しなきゃならないようにする。そういうのがイギリスの成功した理由の一つになっております。ですから、厳しくするにはどうするかというと、そういうことでございますね。  それから、お金を使わないようにするということです。イギリスで成功したのは、お金を使わないようにするということ。お金を使わないようにするということはなかなかできないことでございます。だけれども、しろと言って、それでピストル的威迫感でもってやらせるわけですね。そうすると、候補者自身は困るんです。その困ったところへ政党が手をかした。政党政治というのはそういうものですね。  政党がやると、なぜよくなるか。個人や後援会がやると、どうしても情実が絡まってくる。政党がやると、今まで選挙ブローカーが入っておりますけれども、まず選挙ブローカーがいなくなります、政党がやるわけですから。そうすると、産直の論理で、それだけ政党がもうかるんです。それから、政党が候補者のための運動をするようになると、情実とは違った、政策の宣伝とかそのほかの運動をするようになるのではないか、そういうふうなことが私には考えられる。  そういう意味で、まず議員候補者がお金を使わないようにする、あるいは候補者にお金を出さないようにする。私は、お金の出る蛇口を閉めてくださいと、こう言っているんですけれども、そこまでできるかどうかわかりませんけれども、厳しくするにはどういうふうにするかという御質問でございますれば、そういうことを考えておりますが、日本人はやはりかわいそうだという観念が非常に強くて、そこまでできるとはちょっと考えておりませんが、そんなことを考えております。

下村泰二院クラブ

○下村泰君 またやりますと、時間が食い込みますから、これで終わりにします。(拍手)

本岡昭次日本社会党・護憲民主連合

○委員長(本岡昭次君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会

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