商工委員会 第4号
- 発言数
- 203 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1993/11/09
会議録
○委員長(中曽根弘文君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨八日、村田誠醇君が委員を辞任され、その補欠として西野康雄君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(中曽根弘文君) 特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○倉田寛之君 リストラ法案、俗にそう呼んでいるわけでありますが、その法案の質疑に入ります前に三、四点、現下の経済状況について経企庁にお伺いをいたしたいと思います。 私が申し上げるまでもなく、最近の我が国の経済は依然景気の低迷が続いております。今年度の第一・四半期のGNPはマイナス二%、景気動向指数は一致、先行とも七月まで三カ月連続で五〇%割れとなっております。中でも消費支出、百貨店販売あるいは自動車新規登録台数等消費関連の指標は軒並み前年比マイナスを続けております。一口で言いますと、大変な消費不況であるわけであります。 これに対して政府は、昨年から三度にわたりまして経済対策を決定して実施に移してきたところでありますが、なかなかその効果が実際あらわれない。これは一体何が原因なのか、この点について経企庁長官の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(久保田真苗君) 確かに、特に今回の不況の特徴が個人消費の低迷であるということはまことに事実でございます。これにつきましては、実際バブルの影響等によりまして企業収益も悪く、所得の伸びが低いと、そういった一連のことがあると思います。しかし、数度にわたって経済対策を打ってきた。確かに、昨年の八月から三十兆円に上る追加の対策を打ってきております。そして、この対策の効果が全くあらわれていないということではないと思うのでございます。 例えば、一-三月期、四-六月期のQEの政府投資の数字をごらんいただきますと、それは効果が出ていると言ってよろしいと思うのでございます。足元におきましては、公共事業着工統計等を見ましても関連指標が総じて堅調に推移しておりますし、その中でも住宅投資というのは非常に高水準で推移してきておりまして、これが一つの下を支えているという効果がございます。そして、例えば四月の追加対策、それから九月の追加対策、これについての本格的な影響はまさにこれから出てくるところでございまして、私どももこれを一日も早く実現していくことを願っているわけでございます。また、こうした政府投資の波及効果、あるいは金融システムの安定性の確保という措置を考慮いたしますと、一連の対策がこれまで相当な効果を発揮しているものと思っております。 しかし、おっしゃいますように、八月以降も循環的な要因のほか資産価格の下落と、それが好転しておらないという状況でございますので、民間の需要の低迷が続きまして、その上に急激な円高等がございます。その中で、経済全体として見れば、対策の効果が速やかに発現されていないということは否定できないというふうに思っております。今後とも五年度補正予算、それから九月の経済対策、これをぜひとも高水準で確保してまいりたい、努力してまいりたいと思っております。 また、住宅投資につきましては、金融公庫の申し込み状況を見ますと、非常に住宅関連の需要が強く、この効果が着実に発現してくると考えております。
○倉田寛之君 長官にお答えをいただいたのでありますけれども、今回我々が直面している大変な不況というのは戦後最大の不況であろう、こういう受けとめ方を私はすべきだと思います。そこで、ただいま私が御質問申し上げたのはその原因になっているものは何か、こう申し上げたんですが、答弁の中で具体的に示されないんですが、例えばこの不況というのは単なる循環不景気ではない、構造不景気、重層不景気の様相を呈しつつある。 それでは、その原因は一体何かというと、ストック調整という意味からいえば四つあるだろう。 一つは、設備投資。在庫調整をやってきたけれども、この調整がなかなか思うように進まない。 それからもう一つは、やはり家計だと思う。一千兆円の預貯金があります。日本の主婦は、本能的に雇用不安であるとかさまざまな状況を踏まえた中でこの家計の消費的支出というものに対してストップがかかっている。 それは背景もあるんですよ。長官は御存じかもしれませんけれども、三千八百世帯と言われる中でもう既にカラーテレビは一世帯二台の普及率であるし、あるいはその世帯の八〇%の中で自動車は一・五台であるとか、あるいは北海道を除いて八〇%の世帯層の中でクーラーは一・五台だとか、そういう家庭における必要な耐久消費財その他もろもろというのはもうキャパシティーを超えている。こういうことで家計がやはり停滞している。 それからもう一つは、金融機関の不良不動産。一説には三十兆円云々と言われますけれども、私はいろんな資料を拝見すると、これは百兆円ぐらいに簿価でなるんではないか、こういう感じがする。 さらには、株。 この四つのストック調整が極めて停滞をしているというところに大きな原因がある、こういうふうに思っておるんですが、長官の御所見はいかがですか。
○国務大臣(久保田真苗君) おっしゃいますように、四つのものが停滞しているということは、確かに在庫調整も今回の月例でやはりこれが停滞しておるということでございますし、また家計につきましては、一連の耐久消費財、従来型のものにつきましては、確かに買いかえ需要があるという程度のそういう時代になってきているということだろうと思いますから、新規のいろいろな分野が開発されるということを待つ、そういうトレンドが一方にあると思います。 しかし、これはもとをただせば、不況そのものの原因というよりは一つの移り変わりという一種の構造的な変化でございまして、それにかわるものとして、先日の緊急経済対策におきまして私どもは住宅及び住環境というところに着目をしているわけでございます。この面が実現されてまいりますと新たな耐久消費財への需要というものも起こってくる、つまり波及効果を持つそういう産業であるというふうに思っているわけでございます。 また、金融の不動産不良債権でございますけれども、公式には十三、四兆というふうに言われておりますけれども、確かにこれはもっと多いものであろうということも言われております。この面につきましてはやはり必要な償却等を急いでやるもの、あるいはこれを十分にやっていかなきゃ……
○倉田寛之君 長官、申しわけないけれども、私の質問にそうかそうでないか、やはり同感に思うとか思えないとか、そういう視点でお答えください。
○国務大臣(久保田真苗君) はい、おおむね同感でございます。
○倉田寛之君 この論議は後ほどまた時間を見ながらさせていただきたいと思うんです。 そこで、私は経済企画庁の経済運営について一、二お尋ねをいたしておきたいと思うんですが、その第一は、経済運営の判断材料となる景気指標は早くて二カ月おくれ、特に景気判断の重要な指標としておられる景気動向指数についても、先行指数ですら二カ月程度の先行性しかありませんね。発表が二カ月おくれでありますから先行指数の意味をなさないと言われてもいたし方ありません。こうした指標に基づいて経済対策を打ったところで手おくれたと言われても仕方がない、こう実は思うんです。 もう少し現在の景気判断に有用な指標の確立に努めるべきではないか。経済企画庁の内部におきましては長期先行指標の開発のための検討を行っているということは耳にいたしているところでございますが、ぜひ検討だけではなくてこれの実現を期すべきだ、こう実は思うのですが、長官いかがですか。
○政府委員(土志田征一君) お答えをいたします。 まず、経済の現況の判断をどういうふうにしているかということでございます。 景気動向指数、DIをお取り上げいただいて大変ありがたいわけでございますけれども、私どもはこれだけではなくてさまざまな、例えば通産省で作成されております鉱工業生産統計とかそういったもの、あるいはさまざまな業界の方のお話とか、そういうことをもとにいたしまして毎月月例経済報告というものを作成しております。そういうことでできるだけ最新のデータに基づいて最善の判断を行うよう努力しておるところでございまして、今後ともその点では努力を続けたいと思っております。 同時に、DIにつきましても、確かに先行指数は山に対しましてはかなり先行性があるわけでございますが、谷の方は二、三カ月ということで、ちょうど指標が出るときから二、三カ月といいますと、たまたま足元と同じぐらいでございます。それではもう少し先行きの判断に不十分ではないかというようなこともございまして、先生御指摘のように、何か一年程度先行性があるような指標ができないだろうかということで勉強をしているところでございますが、なかなかこれが一本の指標としてうまくまとまるかどうか、今後とも努力を続けたいというふうに思っております。
○倉田寛之君 それでは、努力を続けていくということはわかるんですが、実際の問題としてそういう実現に向かって自信がおありになるんですか。
○政府委員(土志田征一君) これは専門家の方々の御意見も伺いながら進めていくことでございますが、指標ができるかどうかというのは、今自信があればすぐできるわけでございますが、一生懸命努力をするということで進めたいというふうに思っております。
○倉田寛之君 この点は経済企画庁そのものの役割ということにかかわってくるわけですから、単に検討し努力するということではなくて、経済企画庁は今日ただいま二十一世紀に向かっていかなる役割を果たしていくべきかという視点に立って最善の努力をなすべきだ、こういうふうに思うんですが、長官いかがですか。
○国務大臣(久保田真苗君) 確かに、先行性のある指標というものは今本当に大事で必要を感じております。それで、来年度の概算要求におきましても新たな景気分析指標の開発という形で要求を出させていただいておりますし、ぜひこれはもう優先的に確保させていただきたいものだと思っております。努力してまいります。
○倉田寛之君 次に、二つ目は経済企画庁の景気判断でありますが、いろいろな論評を拝見しますと、どうも認識が甘いのではないか。六月の段階で景気はこれ以上悪くはならないと、いわゆる底入れ宣言を行ったわけですね。その後の状況では、底入れどころか底割れではないか。月例経済報告などを拝見いたしましても、「回復に向けた動きに足踏み」との表現がなされておりますね。とてもそんな状況ではないのではないか。 このことから感じられますことは、とかく経済企画庁は、こう申し上げると失礼でありますけれども、デスクの上でデータ主体で物を見ているが、データは景気の一部をあらわしているにすぎません。これは完全とは言えないわけでありますから、もっと現場に踏み込んでよく見る必要があるんではあるまいか、客観的な景気認識、敏感な景気認識のための努力をもっと払うべきではないか、こういう感じを私は強く持つわけでありますが、長官いかがですか。
○政府委員(小林惇君) 今委員御指摘の六月の底入れ宣言後の問題でございますけれども、確かに六月の段階で、在庫でございますとか企業の業況判断あるいはマネーサプライの動向等々で改善の兆しがあったわけでございます。その後の動向ということについていろいろ御指摘がございましたけれども、冷夏、長雨、あるいは本年二月以来の円高の動向等が非常に経済の足を引っ張っておるというような状況でございまして、経済の認識は非常に厳しく考えておるわけでございます。 経済企画庁といたしましては、データそのものをもちろん重視しておりますけれども、そのほかに補足的な意味で幹部を地方に派遣いたしましたり、あるいは各種業界の要路の方にもお出ましいただきまして種々の御意見などを徴しつつ経済の現状判断に努めておるつもりでございます。
○倉田寛之君 余り納得できる答弁でありませんが、先へ進ませていただきます。 三つ目は、私はやはり日本の経済の骨格という表現が正しいかどうかは別にして、一口で言いますと、日本経済というのは土地本位経済だと思うんですね。金融についても、担保をとる際にはやはり土地を中心に考えられています。ところが、バブルの崩壊によって資産価値が低下をしてしまいました。担保価値が下がったわけです。貸し付けはふやせない。金融機関自体も膨大な不良債権を処理できないままでいる。いまだに経営体質の改善を優先していかなければならない。したがって貸し出しも慎重にならざるを得ない。幾ら金利を低下させても資金の貸し出しが盛り上がらない一つの原因になっていることも、私は現実だと思うんです。 現在の土地税制はバブル時代のものでありましたから、不動産の売却益に高額な税金が課せられています。企業がリストラを行うために売却をしたくてもちゅうちょせざるを得ない、こういうことから考えていきますと、政府の政策の整合性というものはいささか疑問に思わざるを得ません。 この際、土地についての流動化を促進して取引量の拡大を図ることが景気浮揚につながるのではなかろうか、現行の土地規制はバブル期の緊急的措置であったわけですから現段階では役目を終えたと考えるべきではなかろうか、こういうふうに実は思うのですが、長官、こういった言についてどのように受けとめられますか。
○政府委員(小林惇君) 委員御指摘のように、土地の取引量というものは、バブル期のときと比べまして、件数においてもあるいは面積においても現時点で相当減っておるというふうに思われるわけでございます。当然そこの取引量の減少というものについては、土地規制であるとかあるいは各種の土地取引に伴います税制というのがかかわり合いがあるというふうに存じます。 ただ、御案内のとおり、バブルによる不動産価格の上昇により、庶民あるいは住宅を得ようとする国民にとっては非常な塗炭の苦しみという状況があったわけでございます。そういった歴史的経緯があって種々の制度が整備されてきたという側面は見逃すことができないんではないかというふうに考えております。このような最近の経験を踏まえれば、やはり利用価値に見合った適正な地価水準の実現ということが大目標でございまして、そのための総合的な土地対策を推進することが必要ではないかというふうに考えております。
○倉田寛之君 経企庁長官は、本院の議員を長くお務めでありますが、その間に対する質疑というのは余りないんですけれども、第百二十三回国会の参議院の決算委員会で、委員長として当時の宮澤総理大臣に御質問されていることがあるんです。これは非常に興味深く私は読み取らせていただいたんですが、要するに、昭和六十三年度、元年度というのはバブル経済の渦中にありましたよと、しかしその後の経済財政運営がなされてきたけれども、どうも景気の減速とか後退局面における政府の対応を見ると、バブルの再現を警戒する余り、経済財政政策、金融政策が後手後手に回っているんじゃありませんか、こういうことを平成四年六月十八日に御質問をされているんです。 そこで、今私が御質問申し上げました点について長官からもお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(久保田真苗君) きょうの閣議後の懇談会でも上原国土庁長官から、地価監視区域制度の運用の弾力化について御報告がございました。 私は、今庶民が営々と貯蓄したものを住宅に充てていくという上から、土地の適正な価格による有効利用ができるということは非常に大事でございまして、その点からいえばそのような規制を緩めて土地利用に資していくということはとても大事だと思います。ただ一方に、土地は非常に投機の対象になりやすいということがございます。 私は確かに、決算委員会で前総理にそのような質問をした覚えがあります。そのときは、非常に今回の不況が大型化、長期化していきそうだということがございまして、そういう御質問をして、もう後手後手に回るのはそれだけはやめてほしいという意味のことを申し上げました。今も後手後手に回ってはならないと思う気持ちはございます。 しかし、あのバブルの後遺症が非常に長期にわたっている、そして企業が萎縮しているのをどういうふうに励ましたらいいか、そしてまたそれが土地投機というようなところへいってはならずというその辺の兼ね合いが、実に土地というものはそういう意味で大事なものだと思いまして、先ほど政府委員からお答えしましたようなそういう原則に立ちまして、今後私もよく見守っていきたいと思っておるところです。
○倉田寛之君 それでは長官、おおむね現状認識は私と共通しておると思うんです。 そこで、その現状認識に立って、経済企画庁というととかく調整官庁だ、こういうことを言われてきたわけなんです。しかし、今後のやはり経済企画庁というのは、今も御議論をさせていただいたように、土地本位経済の我が国において現状を分析すれば、土地の規制を緩和し、あるいは譲渡所得税等々においても何らかの緩和策を講じる、こういうようなことも経済のより活性化への一つの施策だ、こういうようなことを認識されておられるとすれば、経済企画庁自体、経済指標をデスクワークの中で集計をしてこれを発表するのではなくて、経済政策の方向性を示唆するような経済指標の提示をしていく官庁になっていかなきゃならないんではないか。 特に、景気対策等々を策定するに当たっては、景気の低迷の原因は一体何であるのか。例えば、先ほど来御議論をさせていただいたように、消費の不振が最大の問題だと。このことは例えば、雇用不安から消費抑制的な動きにつながっているというようなことはわかるんですけれども、さらに詳細に原因を究明する、関連性を突く、そういって有効な対策は何であるか、こういうようなことを数値で示しながら経済企画庁として示唆を与える、こういうような役割を今後は果たしていかなければならないのではないか。こう実は思うんですが、その点について長官いかがですか。
○国務大臣(久保田真苗君) 私自身も本当にその必要を痛感しております。特に、今は不況の問題もありますけれども、そのほかにもう一つ経済の構造変化とか、それに伴う転換を図っていくという非常に重要な時期がここのところ続いていくと思われますので、その経済運営のかじを取るという意味から、私どもは今までより以上に必要なデータを集め、先見性のあるそうしたかじ取りをしなければならないということを痛感しております。 そんなことで、おっしゃったようないろいろな原因究明、そして先ほど言われました現場を知るということ、私どもは実務官庁として実務を持っているという面はそれほど多くございませんので、その点は十分心得まして、天の声よりは地の声に聞く、そういう態度でやってまいりたいと思います。
○倉田寛之君 それでは続いて、中小企業者新分野進出等円滑化法案に関連をいたしまして、通産省に以下お尋ねをしてまいりたいと思います。 まず第一は、本法律案はもともと平成六年度中小企業対策の一環として通常国会に提出が予定をされていたものだと思うんです。それを繰り上げる形で緊急経済対策の中に盛り込まれて今国会に提出することとなりましたが、私が仄聞するところ、景気対策としての即効性は少ない、こういうふうに思います。そして、その内答も金融、税制措置など従前の中小企業対策立法の枠を出ておりません。したがって、そう新味がある法案だというふうには実は受けとめられないのでありますが、構造的な変化への適応の円滑化を支援する目的というのであれば十分に内容を練って、そして通常国会にわかりやすい形で提出をすべきではなかったのか、こういう感じがいたすわけですが、この点について通産大臣に伺います。
○国務大臣(熊谷弘君) 先ほど来委員が御指摘のとおり、現在の経済情勢というものはまことに厳しいものがある。しかも、それは単純な景気循環によるものではなくて、深く中長期にわたる構造の危機に起因するものだと。これは、私も委員と全く同感でございます。御指摘のとおりだと思います。 そこで、先般細川内閣が緊急経済対策をまとめて発表いたしたわけでありますけれども、これはやはり同様の認識を持っていたのでございます。そして、そういう中で、今回の緊急対策はいわゆる即効性のある景気対策に加えて、中長期の構造政策のファーストステップ、第一歩といたしたい。内閣発足後一月しないうちに取りまとめなければならなかったわけでございますので、そういう作業の中でファーストステップという位置づけをいたしたのでございまして、規制緩和等の中長期の効果が期待される政策もその中で行われたわけでございます。 翻って、中小企業の状況はどうかと申しますと、この不況はここ一年で起こったものではございませんで実に長期にわたっているわけでございまして、状況はまことに厳しい。そういう中で、大企業以上に経営資源が少なくしかも構造変化の中で波にもまれるようにしております中小企業のことを考えますと、一刻も早くこの構造政策を組み立てていかなければならないというのが私どもの認識でございます。 委員が御指摘のように、この構造政策というのは非常に多岐にわたりますので、それを全部議論し検討し尽くしてからやっておるということでは、中小企業のサイドから申しますとやはり時を失するおそれがある、一刻も早くまず中長期の構造政策のファーストステップの一つとして今回の法案を提出させていただいた次第でございますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
○倉田寛之君 その点はいささか議論のあるところですが、次に進みましょう。 そこで、特定業種の指定について一、二お伺いをしたいと思うんです。 本法律案の第二条第三項でいう特定業種の判断基準としては、経済の多様かつ構造的な変化による影響を受けている業種とあるだけで、余りにも抽象的過ぎると思うんです。これではどのような要件に当てはまれば指定をされるのかわかりません。実際に施策を利用する中小企業に対してわかりやすい規定にすべきではなかったのか、また具体的にはどういう要件に当てはまれば指定をされるのか、この点について明快にお答えをいただきたい。
○政府委員(村田成二君) 先生今御指摘の指定要件でございますが、この第二条第三項に幾つかの構造変化の例が書かれております。先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、中小企業は非常に大きな構造変化、しかも多岐にわたる構造変化の中で非常に苦しんでおります。そういったことを例示として挙げさせていただいたわけでございます。 ここに書かれておりますように、例えば海外、特にアジア地域におきます工業化の進展などによりまして競争条件が著しく変わってきております。それからまた、情報化や技術の高度化に伴いまして国内の投資の一巡というのが目立ってきております、さらには、技術革新の進展によりまして生産工程の変化等が生じておるわけでございまして、こういったことを総合的、複合的に見通した場合には、全体としてやはりこういった構造変化を共通的に受けている業種を幅広く指定していくという考え方になっているものでございます。 具体的に申し上げれば、こういった要件を受けまして工業と、これは非常に広い分野でございます、製造業全体でございますけれども、これはどの業種ということではなしに、工業全体としまして共通的にこういった変化を受けておるわけでございますので、政令におきましてはまず工業を幅広く指定いたしたい、かように存じております。それからまた、類似の影響を受けておりますソフトウエア業あるいは情報処理サービス業、こういったものもこういう構造変化を受けている同様な例といたしまして当面指定してまいりたいと考えておるわけでございます。 確かに非常に抽象的、茫漠としておりますけれども、なるべく幅広く指定していくことによりまして、わかりにくさあるいは中小企業者としての判断の容易さを克服、確保していきたい、かように考えておる次第でございます。
○倉田寛之君 次に、包括的に工業全般を指定することというふうに今の御答弁でお話をいただいたのでありますけれども、将来的には、工業の中でも経済の多様かつ構造的な変化による影響を受けていない業種もあらわれ得るし、逆にそれ以外の産業で影響を受けるものもあらわれると思われます。特定業種の指定につきましては、経済状況の変化に応じて適宜追加指定もしくは指定取り消しを行うべきであろう、こう実は私は思うんですが、どのように対処されますか。
○政府委員(村田成二君) 先生御指摘のように、この法案は実は七年間の時限立法でお願い申し上げているわけでございますが、七年の間には、過去を振り返りましても想像を絶するような変化が生じているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、やはり経済情勢、産業の実態、国際関係の変化、もろもろ諸要素を判断しながら、先生のおっしゃるように機動的にこういった業種追加あるいは業種の指定の削除というものを行ってまいりたいと思います。 ただ、先ほどお答え申し上げましたように、非常に幅広く中小企業者の努力をエンカレッジする、支援するということが一つの大きな目的でございますので、やはりそういった幅広い支援ということももう一つの観点として踏まえながら御指摘のような運営を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○倉田寛之君 次に、特定中小企業者についてお尋ねをいたしたいと思います。 特定中小企業者に該当するための具体的な要件の一つとして、輸出比率や下請比卒がある程度であることというのが挙げられていますね。しかし、考えてみますと、輸出比率や下請比率を要件とすることが輸出、下請関連産業偏重であるという実は批判も一方であります。また、輸出比率と一口に言いましても、親企業の輸出製品に必要な部品を供給している下請中小企業の場合は一体どうなるのか。こういった不適切な点もあります。このような点から、輸出比率や下請比率を要件とすることは妥当とは言えないのではないか、こういう感も抱かされます。 こうした要件になぜしたのか、またほかに適当な要件を定めることはできなかったものか、非常にこの点に矛盾を感じますが、いかがですか。
○政府委員(村田成二君) 先生今御指摘の特定中小企業者の要件でございますが、政令で定めます要件、予定しております要件を含めまして二種類に分かれるわけでございます。 第一グループは、生産高等が過去のある一定の期間に比べまして大体一〇%以上減少しているような企業というのを第一グループとして考えております。これは輸出比率、下請比率関係なく基準を決めたい、かように存じておるわけでございます。 それから第二グループは、今先生御指摘の輸出比率、下請比率と複合的に要件を設定したいと考えておりますが、これは生産額等が第一グループのように大幅に減少していなくても、大体めどとしましては過去に比べまして大体五%から一〇%の間ぐらいで減少しているグループを取り上げたいと思っております。そういったグループにつきましては、今先生御指摘のように、一定の輸出比率、下請比率をあわせて達成しているといいますか持っている企業というふうに考えておる次第でございます。具体的には、輸出比率、下請比率とも大体二〇%ぐらいをめどとして考えております。 こういった第二グループにつきまして、なぜ輸出比率、下請比率を導入するのかということに限ってお答えさせていただきます。やはり生産額等が大幅に減少していなくても、将来、先ほど申し上げましたようないろんな構造的変化を受けまして甚大な影響をこうむる危険性のあるそういったグループというふうに考えますと、例えば海外の地域におきます工業化の進展ということに伴いまして競争条件が将来とも悪化する危険性が高いというのは、やはりある程度の輸出比率がある企業ということになろうかと思います。 それからまた、技術革新に伴いますいろいろな親会社の生産工程の変化、そういったもの、それからまた先ほど先生が敷衍されました親企業から輸出用の部品その他を下請で受注している企業、こういったものはまさしく輸出比率というよりは親企業からの下請比率でとらえる方が適切かと思います。そういった下請企業というものにつきましては、ただいま申し上げましたような生産工程の変化等々の影響を受けやすい、こういった観点から一つの指標として導入したらいかがかということで考えておる次第でございます。
○倉田寛之君 次に、新分野進出について三点ほどお伺いをいたしたいと存じます。 新分野進出の具体的な要件の一つとして、生産工程等が著しく異なり、かつ製品の機能や性能等がそれまでのものと著しく異なる産業への進出というものが挙げられています。これも抽象的で意味がわかりにくい。これでは新分野進出を計画している中小企業にとりましては判断ができない、極めて不親切である、こういう声も聞くわけであります。もっと具体的な例を出して説明をしてください。
○政府委員(村田成二君) 構造変化に対応して行います企業の努力というのは多岐多様にわたろうかと思います。そういった多岐多様な努力をどういうふうな概念あるいは定義でつかまえるのかというのは非常に難しいところでございまして、私どもも大変苦労したところでございますけれども、先生おっしゃるように、確かに一般の国民の皆様から見て、あるいは中小企業の皆様から見てわかりにくい定義とならざるを得なくなっております。 具体的に私どもで考えておりますところを答えさせていただきますと、大まかに分けて二つの範疇で考えております。一つは、日本標準産業分類の四けた分類、これ細分類と申しますが、その分類を超えて業種間の移動を行うような新分野進出の場合。それから二つ目の範疇が、つくっております製品が、従来つくっておりました製品に比べまして、製品をつくります間の過程といたしましての原材料あるいは生産加工技術、このいずれかがやはり異なっている。それからまた、つくりました製品について、用途、販路、機能、性能、これはすべてという意味じゃなくてそのいずれかが従来と異なっている、こういったケースを第二の類型としてとらえたい、かように存じておるわけでございます。 標準産業分類の細分類を超える例というのは、これは比較的わかりやすいわけでございますが、例えば具体例で申し上げますと、綿、スフ製造業者というのがおりますけれども、その業者が金属糸の織り込み技術、こういった技術を活用いたしまして家電製品のボディーとなりますような新素材を開発する、それをもって家電部品の製造を行う、こういった分野に進出するという例が挙げられようかと思います。 それから、従来の製品に比べて、つくり出すまであるいはつくった製品においてそれぞれ異なるという第二の類型でございますが、この具体例としましては、例えば陶磁器、タイル製造業者という方がおられますが、そういった陶磁器、タイル製造業者が特殊成分を混入いたしまして素材の軽量化を図る。この軽量化を図ることによりまして学校給食向けの食器の製造を行う、こういったことが挙げられようかと思います。 いずれにしましても非常にわかりにくい分野でございます。なるべく私どもといたしましては具体的な事例を集めまして、都道府県あるいは局を通じまして中小企業の皆さんにわかりやすく周知徹底を図ってまいりたい、かように存じております。
○倉田寛之君 具体的にケースワン、ケースツーと仮に例えたら、どういう例をお出しになりますか。
○政府委員(村田成二君) ただいま具体的ケースを御紹介したわけでございますが、ケースワンというのが先ほど申し上げました産業分類を異にして移動する場合でございまして、これは例えば耐火れんが製造業というのがありますが、耐火れんが製造業からファインセラミックスの製造販売業へというような例ですとか、あるいはボルト、ビス、ナット製造業からプレスファスナー製造業へと、こういった業種転換、業種分類を超えての移動というものを例として示せるかと思います。 それから、同じ産業分類の中では、先ほど申し上げた例のほかにもねじ製造業からねじ製造業という例があるわけですが、これは同じねじでもねじの表面処理加工というものを工夫することによりまして非常に高度な高品質のねじをつくっていく。それによって一般用途用のねじというものから産業機械の特殊用のねじに移っていく、こういった例が挙げられるかと思います。 いずれにしましても、できるだけ多くの事例を集めまして、御紹介してまいりたいと思っております。
○倉田寛之君 ここに利用の手引というのがありまして、これは成功例しか中小企業庁は載せてないんだろうと思うんです。ここには新分野進出の具体的な例があるんですが、この中に不成功だった例というのをやっぱり載せておかないと参考にならないんですね。 そこで、新分野進出に当たっては中小企業者の意欲をむだにしないためにもその努力を最大限やはり尊重すべきだ、こう実は思います。そこで、本法の趣旨に合う対応をしていくためにも、新分野進出等の計画の承認に当たってはその新分野進出等の意味をできる限り広範囲に認めることが必要である、こう実は思うんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(村田成二君) 確かに、先ほど申し上げましたように、構造変化に対応する企業の努力というのは多種多様でございます。この多種多様な努力をできるだけ広くすくい上げてエンカレッジする、支援するということが何よりも私どもは大事だと思っております。したがいまして、そういった観点からも、先ほど申し上げましたような新分野進出の定義あるいはその範囲等々につきましてできるだけ幅広く、それからまた業種指定におきましてもできるだけ幅広くという観点で運用を行ってまいりたい、かように存じております。
○倉田寛之君 新分野の進出に伴いまして、進出する先の分野でも既に中小企業が事業を行っている場合も想定されると思うんです。その場合、進出することによって競争が激化する、当該事業分野に属する中小企業者に不必要な混乱を起こさせる懸念はないだろうか、この点についていかがですか。
○政府委員(村田成二君) 確かに御指摘のような懸念というのは全くないわけではないと私どもも考えております。 ただ、そもそもにおきまして経営資源あるいはその力が弱い中小企業者がいろんな努力をしていくに際しましても、多大な困難を通常伴うものだろうと考えております。例えばコスト面でも、そ れからまたつくった製品の販路の新規開拓の面でもリスクを伴うおけでございます。それからまた、本法案によりましていろんな支援措置を用意しておりますが、このような支援措置も通常の困難性を一〇〇%カバーできるというものではないと思っております。以上考えますと、やはり既存の事業者と全く同じ商品で何らの新規性を持たないままに参入していくというのは非常に難しゅうございますし、そういうケースもまた少ないし、それからまた相当の新規性を持って参入していく場合にはそれなりの苦労を伴う、こういうことかと考えております。 したがいまして、御指摘のような御懸念は確かにあるんでございますけれども、直ちに既存分野において激しい競争が引き起こされるということでは必ずしもないのではないかというふうに考えておる次第でございます。ただ、それは懸念としまして現実化する危険性もあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては社会的に認めがたいほど他の企業への著しい悪影響、こういったものが生ずる危険性がある場合には、やはり承認要件の第三条第三項というのがございますけれども、国民経済の健全な発展を阻害する危険性があるということで承認をしないことになるんであろうというふうに考えております。
○倉田寛之君 私は、進出をする中小企業のみ支援するということになるわけですから、その分野で既に事業を行っていて支援を受けられない中小企業との間に不公平感というものがどうしても起こる、そういう感じを持つんです。ですから、その点は留意して対応しなきゃならぬ、こういうふうに思うんですが、その点についてはいかがですか。
○政府委員(村田成二君) まず、この法案につきましては、進出する企業にももちろん支援措置を講じますが、進出されるサイドの企業でもその企業の創意工夫、努力というものが本法案の要件に合致してまいりますれば、当然本法案の支援措置をひとしく受けることができるわけでございます。また、先ほど申し上げましたように、他方こういった新分野進出につきましてはそれなりのコスト、リスクというものがかかるわけでございまして、このような本法案におきます支援措置も一〇〇%これをカバーするわけではないということをあわせ考えますと、比較いたしますと確かに不公平に見えるんでございますが、実質的にはそういった面での不公平さというのはさほどないのではないかと考えております。 ただ、こういった新分野進出を行わない事業者におきましても、先ほど来議論が出ておりますように、今苦しい経済状況のもとでいろいろな努力をされているわけでございます。合理化、近代化、あるいは販路開拓、いろいろ生きる道を探して努力しているわけでございまして、私どもといたしましては、本法案におきます支援措置以外に通常のそういった企業努力に対しましても従来より必要に応じ各般の支援措置を講じておりまして、そちらの面の支援策もこれからもますます充実させていきたい、かように存じておる次第でございます。
○倉田寛之君 次に、海外進出についてお尋ねをいたしたいと思います。 中小企業の海外進出が促進されることによりまして産業の空洞化が懸念される、こういうことを実はよく聞くわけであります。通産省は、国内事業をすべて閉鎖して丸ごと海外に移転するような例は少ないから産業空洞化は起こらないと言っておられるようでありますが、果たしてそう言い切ることができるだろうか。比較的経営力のある中小企業は計画承認というお墨つきを得て海外に進出をします。国内にはそれすらもできない零細な中小企業が何の支援も受けられず残るという結果になる。この点について御所見を承りたい。
○政府委員(村田成二君) 海外展開、海外移転と申しましても、中小企業の場合にはやはり積極的に対外戦略、国際戦略を展開するという観点から進出するケースというのは非常にまれであるというふうに私どもは考えております。むしろ国内でやっていけない、やっていけない要因は幾つかございますけれども、これも昨今の雇用情勢はともかくといたしまして、中長期的に見れば三K職場と言われて労働者の確保ができない。あるいは今のような日本の高水準の労働賃金を払っていたのではやっていけない。さらには大企業が海外に展開をする、それに伴って大企業からの受注が、親企業からの受注が減少してしまうあるいはなくなってしまう。そういったことに対しまして、やむにやまれずやっぱり対応していくというケースが大部分であろうかと思います。しかも、できれば国内でとどまっていろいろな努力をしたいというケースがむしろはるかに多いわけでございまして、雪崩を打って海外に中小企業が出ていくという事態にはまずならないのではないかというふうに考えております。 私どもは、実は本法案の検討の中で九月にアンケート調査を実施いたしました。そのアンケート調査の母数の問題その他正確性の問題はございますが、御紹介させていただきますと、何らかの形で新規分野進出、国内におきます努力をしたいと言っております企業は大体四分の一でございます。それから、海外に何らかの形で出ていきたい、展開したいと考えております企業が五%でございました。しかもその五%でありますが、全面的に国内を閉鎖して出ていくという企業は非常に少のうございます。一部商工会議所等の調査によりましても、全体の一%にも満たない数が全面的に閉鎖して出ていきたいという数字でございます。したがいまして、先生御指摘のような空洞化に直ちにつながるという大きなうねりにはまずならないものと私どもは考えているわけでございます。 それから、経営力のある企業だけが出ていって零細企業は残されてしまうのではないかというような点につきましては、先ほど申し上げましたようにやはりやむにやまれず出ていくケースが大部分でございまして、国内に残る企業が大部分でございます。したがいまして、海外には優良企業が出てしまって国内には零細企業だけが残るという形には必ずしもならないんではないかと、楽観的に過ぎるかもしれませんけれども。私どもは、国内面における努力というものもやはり本法案で重要な努力として位置づけておりますものですから、そういった点の法運用の充実を期しまして国内に残る方々の努力も支援してまいる所存でございます。
○倉田寛之君 次に、本法律案では外為法などで直接投資が禁止されている国への進出を除いて基本的に進出先の地域の限定はありませんが、自国の産業が発達していないところへ我が国の中小企業が進出をすることによって相手国の産業の健全な発展を阻害することが憂慮されるわけです。そのことが新たな摩擦として国際関係に影響を及ぼすことのないよう、十分な注意が必要ではないかと思われます。 私の調査では、一九九三年一月二十五日の日経の中でこの例の一つとしてシンガポールが挙げられています。いわゆる積極的な外資導入によって八〇年代後半から九〇年代初めにかけて高度成長を達成したが、その反面地元の中堅中小企業は出おくれるという結果をもたらした、こういう実はシンガポールにおける我が国の進出企業との間の摩擦。 それから二つ目は、マレーシア、タイ。我が国の企業ばかりじゃありませんけれども、外国企業が集中豪雨的に進出ラッシュになった。地元のローカル企業からの人材引き抜き合戦が展開をされて ローカル企業の賃金上昇と従業員不足が生じた、これは商工総合研究所の中小企業の海外進出、中央経済社一九九一年。 三つ目は、日本の国内においても大手企業の海外進出に伴って部品を納入する中小企業の中には、現地での技術水準や摩擦があるという不安から現地企業との技術提携にとどめた例もある。これは九三年十月十五日大阪毎日、実はこういう報道がある。 こういうことからして、ただいまの点についてどのようにお考えですか。
○政府委員(村田成二君) 大変不勉強で今先生が御指摘になりました具体的な事例については必ずしもつまびらかにいたしておりませんけれども、ただ一般論として申し上げますと、中国、ASEAN諸国等の最近におきます目覚ましい工業発展は確かにあるんでございますが、ただ中長期的にこれを見た場合にはそういった産業経済発展を支えてまいります部品産業ですとかあるいは生産設備のパーツをつくります産業ですとか、そういったすそ野産業がこれからどういうふうに整備されていくかというのは重要な課題だろうというのが一般的な認識であろうかと思います。 そういった観点からは、細々とした日本経済におきますすそ野、基本的な部分を支えております中小企業というものが現地に進出をいたしまして、現地企業との協力関係のもとにそういったすそ野産業を形成していくというのは基本的には望ましい方向であろう、かように存ずるわけでございます。 ただ、先生御指摘のように、これは中小企業だけではないと思いますし、むしろ大企業が中心だと思いますけれども、現地においていろんな摩擦が出ていることもまたこれは事実でございます。私ども通産省といたしましては、先般より海外進出、海外投資に当たってのガイドラインをつくりまして、いろいろな指導を企業にいたしておるわけでございますが、そういった精神は、本法案の十四条というのがございまして「国際経済環境等の考慮」というのがございますが、こういったこと、あるいは十一条の国の指導、助言といったことを通じまして、現地におきます円滑な進出が可能になるようにケース・バイ・ケース、具体的に指導していくということが大事かと思います。 また、海外進出に当たりましては、今御指摘のような問題もございます。したがいまして、いろいろなジェトロ、中小企業事業団等々の相談窓口を通じまして、そういった御指摘になられましたような問題を生じないように指導していくということも肝要かと思っております。
○国務大臣(熊谷弘君) ただいま法律に基づく項目についての計画部長の答弁があったわけですけれども、私は委員の御指摘につきまして、実はAPECの会合がございますので、八月の末からそれこそ一日ずつでございますけれども、韓国それからシンガポール、今御指摘だったシンガポール、ここではASEANの経済担当閣僚の皆様方と、それから北京と、実は三日間で八カ国の方々とこの種の問題につきまして徹底的な実は議論をしてまいったところでございます。 実は、APECの十一月に行われます会合におきましても、この投資の問題につきましてはアジア・太平洋地域の国々の最大の関心事項でございますし、私自身が参りましたいわゆる発展途上の国々の経済関係者はすべてこの問題について重大な関心を持っております。 その中で、先ほど来計画部長が申し上げましたようにすそ野産業、サポーティングインダストリーと申しておりますけれども、この分野の進出につきましてはどの国も実は非常にこぞって期待をしておるというのが現実の姿だと私は実感をしてまいりました。もちろん個々にはさまざまな問題もありましょう。しかし、御案内のとおり、このアジア・太平洋地域は文字どおり世界の成長センターでございますし、また日本の将来の発展の手がかりもここにある。そういう中で、従来型の商社や大企業だけの投資ではなくて、日本の大変な経験を積んだ中小企業の方々の進出、そしてそれとの提携というものなくしてアジア経済の進化、発展はあり得ないという非常に強い期待を持っているということを私は実感してまいりました。 委員御指摘のさまざまな問題について視野に入れながらも、しかし基本的には私どもは、今回のこの法案に出されました海外進出を容易にしていくという政策はこの大きな流れの中で重要な役割を果たし得るのではないかというふうに感じているところでございます。
○倉田寛之君 次に、指導の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 本法案の第十一条で定めております国や都道府県による指導及び助言に加えまして、一部では経営指導の実績のある商工会、商工会議所にあわせて新分野進出等の計画の指導や助言を行わせる、よい効果のある計画が策定できるだろう、こういう議論もあるわけでございますが、この場合には中小企業庁あるいは日本商工会議所などがガイドラインを策定して運用基準の統一を図ることになるのではないか、こういうふうにも思われます。そのこと自体は判断基準の適正化という面で効果があることだとは思いますが、一方いわゆる地域性に応じた対策の展開が困難になるのではないか、こういうふうに思われるのでありますが、この点についてはいかがですか。
○政府委員(村田成二君) 先生よく御承知のように、中小企業の場合、こういった法律ができましても実際問題として自分たちがどういうふうにこれを使っていったらいいかよくわからないというケースが相当部分を占めております。それからまた、自分たちがやろうとしていること、いろいろチャレンジしたいと思っていることにつきましても、これが実際にこういった公の制度の中にどういうふうに乗っかっていくものか、どういうふうにつながっていくものかもなかなかわかりにくいという面がございます。 したがいまして、今先生が御指摘になりましたような各般にわたります私どもの指導、助言あるいは商工会、商工会議所を通じてのいろんなアドバイスというものは、基本的にはそういった中小企業の皆さんの本法案へのつながりを具体的につけていくそのための中小企業の皆さんへの理解の増進と、それから実際にどういうふうにこれを運んだらいいかという点のガイドラインといいますか手助けということを考えております。 したがいまして、ある程度最低限の趣旨を全国的にそろえていこう、こういうことでございます。必ずしも、実際問題として地域による特殊性あるいは特色というものを払拭して画一的に運用するということは考えておりません。それからまた、そういうことにならないように地域の独自性が発揮されるような指導の仕方をしてまいりたい、かように存じております。
○倉田寛之君 ぜひ地域に応じたきめの細かな対策というものを講じていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。私が調べたところによれば、例えば福井県の織物業のように県の商工労働部が転廃業、淘汰もやむなしというものもありますけれども、愛知県瀬戸地区の陶磁器置物業あるいは神戸の真珠加工業、これは高付加価値の商品へのシフトなのですが、これによって海外シフトを進めて事業の生き残りを図る、こういう例も実はあるわけですから、それぞれの地域の地域性というものは非常に重要な判断の材料になりますので、ぜひこの点はしっかりと受けとめていただきたい、こういうふうに思うわけです。 次に、雇用の安定の問題についてお伺いをしたいと思います。 新分野への進出あるいは海外進出に当たって、従来行ってまいりました事業の縮小を伴うことも大いに予想されるところだと思うのです。その場合、職種の転換、配置がえ、人員の削減までも行われる可能性がある。本法律においても中小企業者、国、都道府県に対して、雇用の安定に対する義務を課してはおりますが、さらに一層その点について今後の状況を見ながら適切に監視をし、必要に応じ対策をとっていくべきだと思うのですが、具体的な対策についていかがですか。
○政府委員(長田英機君) 先ほど来議論がありましたように、非常に構造的な影響を受けている業種に属している中小企業でございますので、片や非常に厳しい状況にあるわけでございます。また同時に、新しい分野の事業に行こうということでございますから、その間雇用が非常に重大な問題になるということは十分認識しております。 こういう点から法律では十二条で「雇用の安定等」の規定を置いておるわけでございまして、これによりまして国とか都道府県等が、失業率とかあるいは有効求人倍率等の雇用の関係指標を十分注意しながら、雇用調整助成金制度の積極的活用とかあるいは職業訓練、就職のあっせんというようないろいろな措置を積極的に実施していくということによって問題なきを期していきたいと考えておるわけでございます。
○倉田寛之君 次に、情報の提供についてお尋ねをいたしておきたいと思います。 中小企業者にとりましては、新分野進出を支援すると言われても、厳しい環境の中でいかに乗り切っていくか四苦八苦苦労しているわけです。それどころではないという企業も多いかもしれません。技術力あるいはさまざまな事業のノウハウ、取引先との関係、設備の問題など、今までの蓄積というようなものを断ち切れないところも大変多いのではないか、こういうふうに考えられます。 そこで、新分野進出を図る意欲が起きる中小企業が多く出てくることを期待して普及活動に力を入れ、あるいは中小企業に示唆を与えるような事例を含む情報など積極的に提供することが必要だと思うんです。また、そういう体制をっくっていくためには、各都道府県、市町村の担当部、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会などを活用するため十分な連絡をとりながらその整備を万全に備えていくことが必要ではないか、こういうふうに思うのでありますが、この点についていかがですか。
○政府委員(長田英機君) 先生御指摘のとおりだと思います。中小企業が大企業に比べていわゆる格差があると言われる場合、最近はそういう情報面の格差が非常に大きい、こう言われております。こういうことのために私どもとしましては、今先生がおっしゃいましたようないろいろな機関を総合的に動員してやはり情報提供をやっていく必要があると思います。特に海外への進出につきましては、先生からも今お話がございましたようにいろいろな成功、失敗事例をつくったりしております。また、いろいろアドバイザーを設けていろいろ情報提供をしたりしております。そのほか、商工会や商工会議所あるいは中央会、そういうところからも指導あるいは情報提供ということが行えますし、あるいは県の関係の情報センターからも情報の提供ができます。 こんなふうにいろいろな諸機関がございますので、これを総合的に動員をして、中小企業者の人たちの海外、新分野進出をやりやすくしていきたいと思います。
○倉田寛之君 次に、経営安定の問題についてお伺いをいたしておきたいと思います。 言うまでもなく景気低迷が長期化している今日、中小企業、とりわけ小規模企業にとりましては日ごとに経営状況が悪化をしつつある。政府としては緊急経済対策において中小企業対策、つなぎ資金融資のマル経などの対策はとってこられているところでありますが、さらに経営安定のための施策を強化充実をしていく必要があろう、こういうふうに思うのですが、この点は大臣がよろしいかと思います。
○国務大臣(熊谷弘君) これは先ほど来、景気対策につきまして冒頭に委員から御指摘をいただいたところでありますけれども、構造対策は構造対策といたしまして、中小企業の皆さん方がまさに緊急に経営の安定を図るということが極めて重要になっているわけでございます。倒産件数こそ落ちついているとは言いますけれども、時々あの奈良県の村本建設のようにどんときまして、途端に実は関連の中小企業の方々は思わぬことにしわ寄せを受けまして右往左往するということでございまして、私どもも今回のこの緊急経済対策におきましても経営安定につきましては非常に注意を払ったところでございます。 具体的に申しますと、中小企業運転資金支援特別貸付制度、それから緊急経営支援貸付制度、中小企業信用保険の特定業種指定の弾力的実施等の対策を講じることとしているところでございます。 いずれにいたしましても、昨年来累次経済対策を講じているわけでございますが、この中で中小企業の経営安定のための措置はよりきめ細かく積み重ねてきているところでございまして、委員も御案内のとおり、いわゆる金融の新規貸し出しの中で政府系金融機関の占める比率は五割を超えるというところまで来ているわけでございます。もちろん、これで十分だと胸を張るつもりはございませんけれども、今後ともこうしたことを頭に置きまして万全の構えで臨んでまいりたいと考えているところでございます。
○倉田寛之君 他に数点お尋ねをしたい項目もございますが、次に移らせていただきたいと思います。 ここに日本開発銀行一九九三年九月という企業リストラ戦略に関する緊急調査というブリーフィングがあるんですが、これを見ましても、新分野への進出について資本金十億円以上千四百五十五社、有効回収率四九%という資料の中で実施中が二三・五、検討中が二五・六、検討の必要ありが二五・五、検討の必要なしが二五・四、かような数字がいろいろ分類をされて示されておるわけであります。いずれにしても、新分野への進出によって経営を安定し、経営資源を自社有力分野へ重点配分する、こういうような考え方が中小企業等々の中にあるようでありますので、この法律が効果を生むことを心から期待をいたしたい、こういうふうに思います。 次に残された時間、通産大臣に、冒頭経企庁長官にお尋ねをしたこと、リストラ法で議論を続けさせていただいたこと、これら議論を背景として産業構造の変化と産業政策の問題について時間の許す限りお伺いをさせていただきたい、こういうふうに思うわけです。 いささか独断的な意見を申し上げるかもしれませんが、その前提となることを一、二分ちょっとお話をさせていただきます。戦後の産業政策の変遷を見ても、戦後すぐは限られた資源を石炭、鉄鋼などの基幹産業に優先的に配分する政策でスタートした。六〇年代は石油化学、機械産業などの重化学工業を保護育成する。七〇年代はIC、コンピューターなど先端産業の育成を急いだ。八〇年代も新素材、バイオ、環境、エネルギー、こういった諸施策の支援を行い、推進してきた。このような産業政策というのは、一口で言ってしまえば我が国における富をふやして蓄積をして、それを分配することで我が国の経済力というのは大いに向上をしてきた。 しかし、国際的な冷戦構造の枠組みの中では、自由主義陣営の一員として米国に追随していれば不安なく自国の経済力向上に専心はできたが、もうその枠組みはない。この冷戦構造の終結とともに、計画経済か市場経済かの選択ではなくて、市場経済の中で新たな秩序を必要とすることになりました。いわゆる対立の構図が失われたわけでありますから、我が国は今まで経験をしなかった国際的な立場に置かれるようになったのではないか。 そこで、こうした国際的変革に対して我が国の経済はどのような変化、対応をしていかなければならないのか。経済成長一辺倒で米国の市場を頼りに輸出主導型の成長経済を歩んできた我が国が、巨額の貿易黒字、本年は一千三百億ドルとも言われ一千四百億ドルとも言われ、経常収支においても一千億ドルではないかというふうに言われているわけですから、そういったものを背景にさまざまな経済摩擦を生んできた。輸出依存の経済成長、供給者優先の産業政策ではもはや理解されないのではないか、こういうふうに私は思うんですが、この点大臣の御所見はいかがですか。
○国務大臣(熊谷弘君) まことに何か倉田教授のもとに入門したくなるような立派な御認識ではないかと思いますし、私自身もまさにそのように考えているところであります。私なんかはボキャブラリーが不足していますので、倉田節を聞きますと思わず聞きほれておったんですけれども、しかしながらその認識の中にございます問題は、もう既に端的にあらわれているわけであります。 第一に、我々は日本の経済というものは世界のフロントランナーになったと。今の倉田委員のお話の前提にあるものは、我々が世界のやや後発者として常に先進国のモデルをもってそれを遣いかけてきたというのが一つ前提にあったと思うのですが、これからいよいよ我々はフロントランナーになってみずから大変なリスクの中を新しいシステムをつくり上げていかなければならないということが、従来の考え方と決定的に事柄を画するものではないかというふうに思います。 第二に、もう既にこれも委員御指摘になっておられますが、確かに計画経済と自由経済、資本主義と社会主義の対立というのはピリオドを打ったわけでありますけれども、しからばいかなる市場経済をつくるのか、いかなる資本主義を構築していくのかということが実はこれからの課題になってくる、そこに大きな選択が迫られているというふうに思うわけでございます。実は現在我々が経済不振に悩んでいるというのは、景気というのはもう言うまでもなく資本主義そのもののリズムでございまして、不況が来るというのは変えなければならないということを示しているのではないかというふうに私は思うわけでございます。 そのような意味で私どもは、若干のコメントを申し上げたわけですけれども、基本的な認識において倉田委員と全く同じ認識を持つものでございます。
○倉田寛之君 今通産大臣から適切なお答えをちょうだいしたんですが、確かに我が国は二番手ランナーからフロントランナーになって、ローリスク・ローリターンということよりもハイリスク・ハイリターンというような形にだんだんなってきた。 そこで、大臣はシンガポールでアジア諸国のそれぞれの通商政策の担当大臣にお会いになられてきたというお話を先ほど伺いましたけれども、日本、アメリカ、ヨーロッパはもう既に成熟産業社会を形成してしまった。ですから、そこで生産される製品というのは、求める人というパイは、求められる分量というのはもう決まってしまった。いかに相手にたくさん食べさせるかということをすることによって貿易摩擦が起こってくる。 かつて日本が国民所得五千ドルを超えたときに、いろんな耐久消費財を家計は支出して購入し、自動車も購入するという時代が訪れて今日になったわけです。アジア諸国、台湾、韓国、シンガポールはもう国民所得五千ドル以上を超えているわけですけれども、いよいよ中国の華南地方を含めますと、西暦二〇〇〇年というのは少なくとも五千ドルのパイを超える、アジアの人口というのは一億を超えるだろう、こういうようなことが言われているわけなんで、私は、通産省の産業政策上、今後対応していく上でこういった点も視野に入れていくことが必要ではないか。先刻大臣からASEAN諸国の経済閣僚との懇談のお話が出たものですから、この点も実は大臣の考え方をお聞きしたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(熊谷弘君) まさに委員が御指摘のように、アジア・太平洋地域の中でもアジア地域は、文字どおり世界に類例を見ないくらいの高度成長を遂げている国々でございますし、今後とも基本的にはこの傾向は続いていくだろうと思います。成長の良循環が始まっておりまして、ちょうどカリが飛んでいく雁行形態風に、国々も産業構造も次々に追いかけっこしながら競争しながら、それぞれが双方に影響をし合ってどんどんいい方向へ向かっているということでございます。 そして、実はそれが日本の経済を考える場合に極めて重要な要素になってきつつあると、これも委員が御指摘のとおりでございまして、私どもが例えばリストラを考えるときに、独禁法の運用を考えると、日本の国内のマーケットだけ考えていると、これしかマーケットがないわけだからもう合併しちゃいけないとかというような基準がちょっと合わなくなるような、そういうぐらいに市場の間の、例えば域内の貿易もふえてきておりますし、日本にとって大きな比重を占めてきつつあるということだろうと私は思います。 そういう意味で、アジア・太平洋地域の産業構造を水平的に展望してプログラムをつくっていくということは、これからの日本の経済運営を考えていく場合に大変重要な要素でございますし、とりわけ産業の分野におきましては欠かせない必須の要件ではないかというふうに思うところでございます。
○倉田寛之君 そこで私は、次の点を二、三質疑したいと思うんです。いずれにしても、我々経験のしない構造変化がひしひしと迫りつつある、こういう認識に大臣もお立ちになっておる、こういう理解に基づいてお尋ねをするんですが、その中で具体的な例としては、やはり消費の行動とかライフスタイルというのはまさに変わってきたと思うんです。 それで一、二いろんな資料を調べてみますと、例えば消費行動などにも、今までは高級品というのは飛ぶように売れていた。バブルの背景もあったのであろうと思うんですが、ところが景気が低迷してきて低価格転換というのが非常に顕著になってきた。百貨店の紳士服販売も落ち込んでいますが、郊外型のいわゆる廉価販売服店などはそこそこ伸びてはいる。高級レストラン、高級クラブ、もうこれは敬遠をされて閑古鳥が鳴く、逆にカラオケボックスが繁盛したり、飛行機では、ファーストクラスの航空客は減少したけれども格安の航空券によるエコノミークラスはそれで埋まっている。高級一眼レフの売り上げは落ち込んだが、レンズ付フィルム、バカチョンカメラと普通呼んでいるカメラのことだろうと思うんですが、「写ルンです」というカメラはどんどんと売れる。 こういう価格志向の強まりというのは、需要構造そのものの転換としてとらえることができるんではないか、こういうふうに思うんです。そうしますと、やはり流通構造もこれに伴って変化を余儀なくされますね。低価格志向への転換というのは百貨店を直撃するでしょうし、ディスカウントや低廉な商品を豊富にそろえている店の進出をさらに促進してしまう。こういったディスカウンターの台頭というのは従来の流通過程の短縮を基本にしたものではないか。一方で、コンビニエンスに代表される、仕入れから販売までの統合された流通システムという業態も新しくどんどんと進んでいく。こういう流通構造の変化というのが見られる。 つまり、業者の売りたいものを利益とコストを算定して得た価格ではなくて、その製品ならこの価格で提供すべきだ、あるいは消費者の多様な選択に即応できるシステム、いわば消費者の見方に立たなければならなくなった。こういうふうに実は現状認識をすべきだと思うんですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(熊谷弘君) 私は、学者ではありませんので、倉田委員のように非常に滑らかにはなかなか表現できないのでありますけれども、素朴に一人の人間に返ってみますと、明らかに大きな変化が起こっているということを感じております。今お話しされたように、極めて消費者の行動がプライスコンシャスといいますか、閑古鳥の鳴くデパートでも、値段を安くいたしますともうそれこそ恐ケしいほどの人が集まり、口にまで袋をくわえて出てくるなんていう場面が出ているそうでございまして、そういう点では、値段の点でも大きく消費者の行動が変わっていると思います。 ただ、総じて豊かな社会になってまいりまして消費者の行動が変わってくるのは、これはもう当たり前の話だろうと思うんです。ただ一方で、先ほども企画庁長官が御指摘をされておったわけでありますが、住宅というのを消費と言っていいかどうかわかりませんが、従来から実需のあるものについて適切な供給がなされれば、それは非常に需要に結びついてくるということもこれは言えるわけで、持ち家が非常に伸びているというのはその端的なあらわれではないかと思うのでございます。 いずれにいたしましても、経済が大きく変わっているこの時期でございまして、消費者の行動もそれに大きく影響を受けるわけでございます。我々といたしましては、これらの変化に対応する産業の供給構造というものを、基本的には企業サイドが考えることでありますけれども、やはり大 きな枠組みは提供していかなきゃならない。それは二つございまして、一つはシステムの問題であります。もう一つはテクノロジーといいますか技術の問題ですね。 システムの問題というのは、今回、緊急対策で講じました規制緩和等もその一つでございましょうし、それから円高差益還元、内外価格差の是正というのも一つの方向だろうと思います。今後、さらに工夫をしていかなければならぬと思っております。それから技術の問題、これは御存じのように商品が成熟化してしまいまして、なかなか新しい技術がすぐにわっと出てきていないとも言われているんですけれども、逆に専門家に言わせますと、もうすぐ商品化されそうなさまざまな技術がうごめいているということもあるんだということもございますので、私どもは、その両面にわたって適切な施策を講じていかなければならないというふうに思うところであります。
○倉田寛之君 いろんな変化を経て生産構造も変化を来しつつあるし、変化を余儀なくされつつある。そうしますと、既存の産業というのはやっぱり活力がどんどん減退をしてくる。例えば、リストラ法の中でも関連で触れましたけれども、中小企業の新規開業率はこのところは低下の傾向を示して、製造業などではついに廃業率を下回る、いわゆる新規参入による活発な競争というものが行われにくくなっている、こういう状況も起こっている。したがって、市場参入の活性化の必要性、これを一体どういうふうに今後行っていくんだ、こういう問題もあるでしょう。 そこで、私は大臣に御質問をまとめとしてしたいのは、今まで通産省が行ってきた産業政策のあり方、これ自体をもう転換せざるを得なくなってきているのではないか。今までは、ひたすら我が国の経済力の向上のために生産者の保護という視点で物をとらえてこられたというふうに思うんです。現在起きている、先ほど来御議論させていただいた変化を見ますと、量的な拡大というのはもう期待はできません。したがって、質を追求していく流れの中にあるだろう。 日、欧、米、成熟した産業社会の中で、日本の電機業界一つとってみても、これから来るべき産業への転換となれば、情報であるとか映像であるとか、それらを中心としたソフト、付加価値の高いもの、現在では八兆円とも言われ、十五兆円とも言われる産業でありますけれども、少なくとも二〇〇〇年を越えれば三百兆をはるかに超える産業を形成するだろうと言われている。こういうようにだんだんと質的なものを求めた産業社会へ向かっていかなければならない。したがって、従来の産業政策というのは供給者重視の立場でありましたから、これからは消費者、生活者重視の社会への変革の中で通商産業政策というものもおのずから対応していかなければならない。 しかし、先刻議論をさせていただいたリストラ法についても、それは緊急的第一歩だと大臣はおっしゃられましたけれども、従来の政策の延長線上で構造改革論という視点の中で対応しようということに実はなっているわけだと思うんです。それではもうだめですよ。こうした変化に対応するためには、ここで制度あるいは仕組みをどう変えるのか、そういった改革論ではなくて、あるいは過去の経緯、こういうようなものにとらわれずに現在の本質というものをしっかりとらえ直して、新しい発想、新しい体制をつくり出していくことが通商産業省として今置かれている課題だ、私はこういうふうに思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(熊谷弘君) 基本的な物の考え方、大変委員の示唆に富んだお話を拝聴したわけでございます。 もとより、産業政策は供給者を離してでき上がるものではございません。しかしながら、重心を生活者、消費者の視点に置くということは大変重要な視点だと思いますし、そういう形から、競争政策も含めて私どもは今さまざまな工夫を凝らしているところでありますが、委員御指摘のように、常に原点に返ってこの問題に取り組んでいくということは大変大事だというふうに考えます。
○倉田寛之君 大臣ごらんになられたと思うんですが、過日日本経済新聞を拝見しておりましたら、官僚二百人に対するアンケートというのがあります。これは一般の人のアンケートじゃありませんで、霞が関の上級職約二百人を対象にアンケートをした。百四十七人がこれに答えた。この中で、行政改革を進めていくとこれから要らない官庁はどれとどれですかということで、百四十七人が投票したんですね。そうしましたら、これは上級職の官僚が投票したんですから通産省の官僚はまさか投票しなかったとは思うんだけれども、不要官庁ランキングに通産省は三番なんですよ。経企庁も安全じゃないんで、五番目にランクされているんです。 私は、経済企画庁も通産省も今変革を余儀なくされつつある現状の中で、今までの経験は経験としても新しく踏み出す勇気と自信を、若手の意欲を持った方々もいるわけですから、大臣が先頭になってやっぱり新しい時代を画していくことが必要だ、こういうふうに思うんです。その辺の御決意を最後に熊谷大臣と久保田経企庁長官にお伺いいたします。
○国務大臣(熊谷弘君) 倉田委員の愛情あふれる御指摘につきましては肝に銘じまして、我々はこの激変する経済社会の中における通産省のあり方をしっかりとらえ直しながら前進をしていきたいと思います。
○国務大臣(久保田真苗君) いろいろ本当にありがとうございます。 私どもは、ぜひ生活者重視という点に一つの方向性を持って頑張っていきたい。要らない官庁の上位に経済官庁が並ぶというようなこと、そういうところに最も改革が求められていると思いますので、心してやってまいりたいと思います。
○倉田寛之君 時間が早いですが、以上で終わります。
○委員長(中曽根弘文君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十八分休憩 ――――◇――――― 午後一時開会
○委員長(中曽根弘文君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法案を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○一井淳治君 まず、要望を申し上げさせていただきます。非常に深刻な不況でございますけれども、円高対策あるいは不況対策についての要望でございます。 先日、商工委員会は群馬県下に視察に参りまして、私も同行させていただきました。地元の中小企業の方々あるいは商工団体の方々がらまことに深刻な不況について聞かされ、不況対策を早急に進めてほしいという強い要望がありました。 大臣もこういった話を各方面で聞かされて、またかということかと思いますけれども、本当に私どもも地域におりましてはその話ばかりでございまして、地元に帰りましても、にこやかに元気よく振る舞っておったら何か申しわけないような、そんなふうな大変厳しい状況であります。 そういった中におきまして、今減税とかいろいろと対応が真剣に検討されておるわけでございますけれども、それよりほかに方法はないだろうか、あるいはもっと早急に強力な方法はないだろうか、詳しくこれを検討しながら真剣に取り組んでいく必要があるんではなかろうかと思いますので、なお一層の大臣以下通産省の方々の不況対策、円高対策に対するお取り組みをまず要望申し上げます。 それから、この法律についてでございますけれども、現今、中小企業に対する不況対策が非常に期待を集めていることは言うまでもないことでございますけれども、不況が中小企業のすべての分野にわたっており、私どもとすれば、できる限り広範囲な中小企業に対してこの法律の適用がなされるようにしていただきたいと考えるわけでございます。 具体的に言いますと、法の二条第三項に特定中小企業者という言葉がありまして、この定義があります。この定義が具体的に決まるについては、政令を二段階に置いて定めるというふうになっておりますけれども、この政令の定め方等におきまして、できる限り広範囲な中小企業に対してこの法律の適用がなされるように特別の御配慮をお願いしたいのでございますけれども、まずその点はいかがでございましょうか。
○政府委員(村田成二君) まさしく先生おっしゃいますように、私どもといたしましてもできる限り広範な中小企業者の多岐にわたる努力を支援したい、かように考えておりまして、今御指摘の政令でも二グループに分けて要件を定めたいと思っておりますけれども、その共摘要件は、過去に比べての生産額あるいは売上高の減少というのを一つのメルクマールにいたしたいと思っております。ただ、その過去に比べての減少ぐあいにつきましても、今し方申し上げましたような趣旨にのっとりまして、極力対象を広げられるように工夫をいたしたい、かように思っている次第でございます。 具体的に申し上げますと、例えば一〇%程度過去に比べて売り上げ等々が減少しているという場合でありましても、この過去のとり方を少し幅広くとるというようなことを工夫することによりまして相当程度の中小企業者がカバーできるようになるだろう、こういうふうに考えております。
○一井淳治君 仮に一〇%という基準が設けられた場合に、九・五%の業者が落ちるということのないように、そういったあたりのできる限りの配慮をお願いしたいと思います。 それからもう一つ、「組合等」ということでの絞りもありますけれども、「構成員の相当程度を占める」という言葉ですね、「組合等」の要件になっているわけですけれども、そのあたりはどのように解釈されるんでしょうか。これが同じように中小企業を抱える組合に対して、どの範囲の組合に対して適用があるかということにかかわりますので、質問をする次第でございます。
○政府委員(村田成二君) ただいまの先生の御質問は、特定中小企業者と並んで組合について規定されておるわけでございますが、その組合の要件であると思いますけれども、今私どもといたしましては、特定中小企業者がおおむね半数程度以上を占めているというのをメルクマールにしたい、かように存じております。
○一井淳治君 できる限り広範囲に入りますように、少なくとも製造業といいますか、あるいは工業ですね、それができるだけ包括的に入るような方向でお進めいただきたいと要望しておきます。 次に、二条の三項ですけれども、「近年における経済の多様かつ構造的な変化による影響を受けている工業その他の業種」という絞りがございますが、これは読み方によっては、「近年における」という言葉が出てくるわけですから、極端に言いますと、日本ではどのように努力しても結局は消滅する以外にないだろうというふうな業種のようにも読めないこともないわけですけれども、そのように解釈されてしまってはいけないと思います。 不況は現在すべての中小企業を襲っていますから、現在一時的な影響で困難を来しているけれども、しかし本来的には成長力や発展力を持っている、そういう企業に対しても適用があるように、「近年に」を余り長くとってしまうと、今申し上げましたように本来成長力、発展力があるんだけれども、一時的に今不況で困難を来しているというものが頭からのけられてしまうと思うんです。ですから、優秀な企業も不況対策に該当するようにお願いしたいと思いますけれども、そのあたりはいかがでございましょうか。
○政府委員(村田成二君) この法律で特定業種を定めるに当たりましては、いろいろな構造的要因が複合的に生じている、こういった事態に対応する必要性のある業種ということで指定をいたしたい、こう思っているわけですけれども、この複合的な要因によって非常に大きな構造的な問題に対応を迫られているという場合に、近年におきますというその近年というのは、ここそう長い間ではない、特に最近に至って顕著になってきているところ、あるいは顕在化してきているところは大きいと思います。 したがいまして、そういった変化に対応する必要性のある産業といいますのは、私どもの判断でも、例えば工業全体にこれは共通的にやはり対応を迫られているという状況にあろうかと思いますので、極力政令指定に当たっては幅広くこういった要件に、特に最近に至って該当している業種は幅広く取り上げていきたい、こういうように思います。
○一井淳治君 誤解がないように申し上げておきますけれども、もちろん構造的に日本ではたえかねるような企業も激変緩和措置が必要でありますけれども、やはり今お答えがありましたように、不況対策ということでこの法律が適用されるように重ねて要望をいたしておきます。 次に、中小企業が海外に進出するには二つのケースがあると思います。一つは、親企業あるいは元請企業が海外に進出して、そして下請も一緒に出ていくということが一つのタイプであります。もう一つは、そういったこととは関係なしに、自分の企業の製品の一部を海外で安く生産をして、それで安い製品とあわせて全体として企業の利益を確保するとか、あるいは商品の生産工程の一部を海外に移してその商品の価格競争力を高めていくという、中小企業が独自に海外に進出するという二つのタイプがあると思います。 後者の方でございますけれども、非常に優良な企業は、海外に進出した現地で、例えばその現地の産業技術の高度化とかあるいはさまざまな現地の発展のための投資をしていたり、または現地に適した商品を開発して現地でのいい商品を販売するなどして、現地に貢献をしていることが優良企業の場合は非常に多いと思います。 ただ、これが残念ながら非常にコストに影響することもありますので、そのような日本の企業が海外に進出して、その地域で日本に対する非難が起こらないように地域に溶け込みながら海外の地域の発展のために企業が業績を上げていくという、海外に進出した企業がその現地の発展のために尽くす、そういう投資について無利子融資とかそういった方法が考えられると非常にありがたいと思いますけれども、そのあたりについていかがでございましょうか。
○政府委員(長田英機君) 海外で事業を行う場合に、現地でのインフラ整備につきまして無利子の融資が行えないかという御質問だと思いますけれども、率直に申しまして、現在無利子融資という制度はございません。 ただ、経済協力基金が出資をいたしまして、そして海外と合弁で工業団地をつくったり、そういうようなことは行っておりまして、現に大連についてそういうようなケースがございます。
○一井淳治君 この法律はさまざまな助成があるわけですけれども、そういった投資に対して頭からこれを排除するという趣旨ではないと思うんですが、どうですか。
○政府委員(村田成二君) 先生先ほど御指摘になりました例えば現地に適したような商品の開発、そういったものがあらかじめ新分野進出等計画に含まれているという場合には、本法案のいろいろな支援措置の中でも十分な支援がなされるものと思います。特に、例えば承認を受けました計画に従って行われます。ただいま申し上げましたような商品の開発、販売、こういうものにつきましては財投金利割れの特利融資制度、これを用意しておりまして、その適用があるものと考えております。
○一井淳治君 それから、海外で商品をつくってこれを日本に持ち込んで販売するという最近の形態を見た場合に、今私が申し上げましたように、海外の現地の発展とか海外の日本に対する信頼の強化とかいうことを常に考えながら、相当の投資もしながらいい方向に進んでいる企業も非常に多いと思います。 他方、非常にひどい場合を言いますと、海外で相当安い商品を開発して、しかも相当安く、相当広範に多くの商品が日本国内で売れておると。そうしますと、そういった商品をまねて、ほとんど同じような商品を別の会社が海外から、本当に半分とかあるいは三分の一ぐらいじゃなかろうかとも言われておりますけれども、大変安く国内に仕入れてくる。それで、海外で調達した商品が日本国内でまた激しい価格競争を起こしているということも現に起こっています。 そして、後者の場合には海外から商品だけを調達するわけでありまして、地域の発展とか日本に対する信頼とか、そういったことは全然考えないで収奪的に安い商品を調達してくるということもありまして、海外で調達する商品を国内で販売する業者間で大変激しいといいますか、情け無用といいますか、あるいは商業道徳に反するのじゃなかろうかというふうな闘いが実際に展開されておると思います。 後者のようなことばかりが強まってまいりますと、日本の海外での信頼をなくしてしまうでありましょうし、また、本法のように海外の展開を支援する法律をつくってもなかなかうまくいかないと思うわけでございます。 そういったことで、異常なといいますか、あるいはダンピング的な安値で外国で調達した商品を販売しておるような場合に、通産省といたしましてヒアリングなど実情を調査、把握されて、全般的な政策を立てる参考にしていただきたいというふうな要望も私どもは現地で聞いておるわけでございますけれども、御感想でも結構でございますから、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(長田英機君) まず、御質問の前段に関連すると思いますが、海外に進出した企業がダンピング等のような取引の形態で日本に物を持ってくるというような点とこの法律との関係でございますけれども、これにつきましては、この法律は海外進出の計画を承認することになっておりますけれども、私は、海外に進出した企業がどこにどういうふうにどんな売り方で商品を売るかというところまでは、この承認の対象にはなっていないというふうにこの法律との関係では考えております。
○一井淳治君 あと、後半の答えをあわせてお願いしたいと思います。これは御感想で結構でございますから。
○政府委員(中川勝弘君) ただいま先生御指摘のケースは、海外で生産されました製品が不当に低い価格でダンピングの形で入ってくるようなケースを想定しての御質問だと思います。 御存じのように、我が国でもダンピングの法制がございまして、当該輸入品が、その輸出をいたします国の国内価格と比べて輸出価格が非常に低価格でダンピングしておって、それがまた日本の産業に影響を与えるというような場合には、関税定率法に基づきます調査を行いまして、そういう要件に合いました場合にはダンピング課税を賦課できるという制度がございます。 ただ、私どもの今の日本の貿易の状態を考えますと、御承知のように大幅な貿易収支の黒字になっておりますので、一般的に申しまして輸入の拡大をむしろ実は推進をしているところでございますのですが、先ほど申し上げましたような不公正な貿易ということが明らかになります場合にはそういう制度がございます。
○一井淳治君 次に、産業の空洞化が重大な課題となっております。また、不況の中で、最近では失業率が二・六%と言われておりますけれども、雇用情勢も極めて深刻になっています。 特定中小企業者が新分野進出に当たりまして失業を発生させるという場合には、第十二条によりまして都道府県が職業訓練、転職あっせんをしなければならないわけでありますし、また、突然大量の人員整理が行われて従業員が何の前ぶれもなく路頭に迷うような社会的に非常識なことが起こってはなりませんので、第三条第二項の「新分野進出等に伴う労務に関する事項」、これは都道府県知事に対する届け出事項でありますけれども、これには人数の配置、変更、従業員との協議やその意向、退職従業員の再就職の見通し、そういったことがうかがわれるような事項が含まれていなければならないのじゃなかろうかと考えますけれども、そのあたりのことについてはいかがでございましょうか。
○政府委員(長田英機君) 労務に関する事項についての内容でございますが、この記載事項といいますのは、申請する中小企業者の事務負担の関係、それから計画の内容が当然明らかでなければならないというようないろいろな兼ね合いで決めてい、かなきゃならないということで、現在まだ検討中でございますが、計画の開始時期あるいはその終了時期のそれぞれの員数、あるいは新分野進出等に必要な員数、そのような判断に必要十分な事項は記載するということで今検討を進めております。
○一井淳治君 この法律の施行によりまして、我が国の産業の空洞化だけが進んで、日本の経済がますます沈滞するようなことにつながってはならないと思います。 第三条第三項の承認の要件といたしまして、「国民経済の健全な発展を阻害するものでないこと」とか、あるいは「新分野進出等を円滑かつ確実に遂行するために遣切なもの」という要件が挙げられております。これは例えば国内部門の大部分を海外に移転してしまって、当該企業は外国において生き延びていくという私的利益はある、あるいは外国の方では自分の国に企業が来るという意味での利益は確保されるけれども、我が国としての利益が全くない、地域の経済や雇用に悪影響を及ぼすばかりである、そういったケースは承認されないのではないかと思います。そのあたりのことを十分配慮して今後通達など作成していただきたいと思いますけれども、そのあたりはいかがでございましょうか。
○政府委員(長田英機君) 三条三項の考え方といたしまして、私どもはいろいろなケースがあると思いますけれども、社会的に認めがたいというようなケースを承認するつもりはないわけでございます。 その場合に、今先生が御指摘になられましたような、大部分が海外へ移転してこっちへ残るものが非常に少ないというようなケースでございますが、基本的に法の運用に当たりましては、一つのケースをとらえてそのケースごとにどうかということを判断していく必要がありまして、今の先生のお話のように一概にシロ、クロというふうに申し上げることはできませんが、いずれにしろそれではなかなか中小企業の方も大変でございましょうから、判断の基準になるようなものをこれから何か工夫してみる必要があるかなというふうに考えております。
○一井淳治君 そういう今後工夫をされる中におきましては、「国民経済の健全な発展を阻害するものでない」とか、あるいは「新分野進出等を円滑かつ確実に遂行するために適切なものである」というふうな語句が適切に解釈されるように十分な御配慮をいただきまして作成をいただきますよう要望をいたしておきます。 次に、市町村に承認手続を移管する場合が予想されますけれども、場合によっては、これは例外かもしれませんが、市町村の行政能力が低くて要件の確認などが十分に対応できないというおそれも全くないことはないわけでございまして、都道府県の指導監督が市町村に及ぶのかどうか、そのあたりについてお尋ねします。
○政府委員(村田成二君) 先生御承知のように、できるだけ津々浦々の中小企業者にこの法律をなるべく幅広く活用していただくために、都道府県知事のみならず市町村長あるいは特別区の長に事務を委任することができることとしておるわけでございます。 ただ問題は、それだけ多数に上りますと、能力の問題は別といたしまして、やはりこの法律に関する基本的な考え方あるいはこの法案自体の基本的な解釈の仕方、そういった点においてややもす ればそごが出がちになるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、都道府県あるいは市町村が法案の解釈だとか運用方針につきまして、いずれにせよ基礎的な部分は共通の認識を持つ必要がある、かように考えております。これがまた本法を円滑かつ適切に実行していくゆえんであるというふうに考えている次第でございます。 したがいまして、私どもといたしましては、計画の承認手続というような一番大事な部分あるいはその他の基本的条項の解釈等につきまして、実施要領の形でできるだけ具体的に考え方あるいは基本的な方針について周知徹底を図っていくということによって、この共通認識を形成していきたいと考えているわけでございます。 ただ、その通達だけでも不十分な場合には、個々の疑問のケースにつきまして市町村長から都道府県知事に問い合わせ照会をし、さらにそれでわからなければ当庁を含めての関係機関に都道府県知事を通じて御照会いただくということをもって実効性を担保してまいりたいというふうに考えております。
○一井淳治君 次に、この法律による支援措置でございますけれども、これを早急にそして確実に実施していただきたい。 まず第一に金融上の措置ですけれども、法律の五条と六条に記載されております。これが直ちに実施されるものと思いますけれども、特に五条第一項は政令が出てくるわけでございます。この政令も直ちに施行するようにお手配をいただきまして、また九条の方では「必要な資金の確保に努める」ということが書いてあるんですけれども、その点につきましては補正予算の方で十分早急な対応をしていただきたいと思いますけれども、そのあたりのことについての御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(村田成二君) 先生がただいま御指摘の五条、六条、五条が「中小企業近代化資金等助成法の特例」ということで、いわゆる設備近代化資金の関係でございます。それから六条以下が「中小企業信用保険法の特例」を規定しておるわけでございます。この設備近代化資金及び保険の特例につきましては、本法案を御了解いただきまして関係政令をなるべく早く定めたいと思っておりますけれども、それが公布、施行され次第直ちに適用に移りたいというふうに考えております。 また、御指摘の五条一項の設備近代化資金に関します政令でございますが、これは設備近代化資金の償還猶予の期間、これを定めているわけでございますが、その期間につきましても法律では「七年を超之ない範囲内で」と書いてございますが、その一番最大限の七年ということでこの法律の施行、あるいは関係政令の公布、施行と同時に内容を定めたいというふうに考えております。 それから、御指摘の第九条でございますが、これは「資金の確保」ということでございますが、内容といたしましては、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等を通じます低利融資制度、それから中小企業事業団の高度化融資制度、この二つが主たる点でございます。これらは先生御指摘のように補正予算で手当てすることになっておりまして、現在補正予算案を編成中でございますが、国会において予算が御了解いただければ、成立後可及的速やかに実施に移してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○一井淳治君 それからもう一つ、第十条に税制上の措置ということが書かれていますが、こちらの方も、法に規定されておりますように、確実にこれが実現するように要望をいたしまして、次の質問に移らせていただきます。 中小企業の国外への展開につきましては、中小企業はそれほど技術の蓄積もありませんし、また海外での法的な知識あるいは人間的なつながりもありませんから、現実には非常に困難を来しています。外国の例を引いたらあれですけれども、人の言うところによりますと、アメリカ大使館などは相当地域に草の根的に浸透しておって、企業が進出する場合の応援も相当完備しているような話も聞くわけでございます。日本の場合にはお役所の方の、特に外務省の援助がなかなかいただけないので、通産省としてもう少し中小企業も海外に進出できるようなさまざまな御支援がいただければと思いますけれども、そのあたりはいかがでございましょうか。
○政府委員(長田英機君) 通常、各地の大使館には経済担当がおりまして、そういう経済を担当している者がいろいろ現地への進出のお世話をしていると思いますが、員数の関係とかそういう点から必ずしも十分じゃない面があろうかと思います。 そこで中小企業庁といたしましては、中小企業庁自身の対策といたしまして、例えば情報面では中小企業事業団がいろいろな情報提供を行う。それからジェトロ、日本貿易振興会でございますが、ここにも海外のいろんな情報がありますから、その提供を行うというようなことをやりましたり、あるいはノウハウの提供のために中小企業事業団が海外投資のアドバイザー制度をつくっていろいろアドバイスをするというようなこともやっております。 また、国内だけではありませんで海外におきましても、日本貿易振興会、ジェトロとそれから中小企業事業団、あるいは現地の法律事務所とか公認会計士の事務所とか、これは海外でございますけれども、そちらの方でいろいろ相談事業をやったり、それからセミナーを開催したりして、いろいろ大使館以外の面でも一生懸命そういう施策を展開して中小企業者が行きやすいようにしているところでございます。
○一井淳治君 御説明がありましたように、現在さまざまな御努力がなされているということは、私もよくやっているなと思いますけれども、やはり中小企業が海外に展開するにはそれだけでは極めて不十分なところもありますから、今私の方でお願いしたような問題意識を持ちながら、一層行政の立場で充実していくように御努力をいただきたいと要望申し上げます。 次に、きょうは中小企業の関係ということで特許行政についてもお尋ねをさせていただきたいので、特許庁からおいでいただいていますので、あと残された時間、よろしくお願いしたいと存じます。 特許行政につきましては、現在、審査処理の促進、大量出願対策、あるいは意匠、商標の機械化とかぺーパーレス計画などの課題があって、これが進められていますけれども、そのようなことも含めまして、特許庁は今後十年間のうちにどのようなことを実施していこうとされておるのか、そのあたりの今後十年間の特許行政の方向について御説明を伺います。
○政府委員(麻生渡君) 今後の特許行政の長期的な展望でございますが、大きく二つ課題があると考えております。 一つは、今先生が御指摘になられましたように審査の促進の問題でございます。平成四年でございますけれども、出願件数は八十一万件ということで非常にたくさんのものが出願をされております。また、このような出願がたまっておりまして、未処理案件も約百万件あるというような状態でございます。そういう中で鋭意審査の促進をやっておるわけでございますが、どうしてもおくれぎみである、国際的に見ましてもおくれておるということでございます。現在審査官の増員、あるいは今お話がございましたようなペーパーレス計画、これを鋭意推進いたしまして審査の短縮、迅速な処理ということに努めておりますが、これも今後非常に長い課題でございまして、この審査促進をまず進めるということが第一の課題でございます。 第二番目は国際的な問題でございます。技術革新は世界的にどんどん進んでおりますし、また企業活動、これも国境を越えておるという状況でございまして、産業活動の基礎的な制度でございます特許その他の工業所有権制度、これを国際的に調和させるという課題がございます。現在、ウルグアイ・ラウンドの知的所有権交渉あるいは世界知的所有権機構の特許調和条約、あるいは日米包括協議での二国間協議というようなさまざまな場でこの世界的な特許制度の調整のための作業が行われております。私どもといたしましては、産業活動の世界的な円滑な展開を助けるという意味でもこの調和のための努力に一層傾注いたしまして、またそれに対応いたしまして、国内の制度も国際化をしていくということに努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○一井淳治君 通称ハーモ条約ですか、この批准の問題あるいは大量出願対策の問題、これらについてもう少し具体的な御説明をいただけませんか。
○政府委員(麻生渡君) 第一のハーモ条約でございますが、これは世界知的所有権機構で現在交渉が行われておるわけでございます。世界の特許制度、これが食い違いがあるということで、できるだけこれを統一する。特に非常に問題なのは、日本、ヨーロッパの制度は非常に共通点が多いわけでございますが、アメリカの場合にはこれらの国と非常に違っておるという点がございます。 端的に申しまして一番大きな違いは、日本あるいはヨーロッパは先願主義をとっておるわけでございますが、アメリカは先発明主義をとっておるというようなことでございまして、発明の認定の仕方が根本的に違っておる。そのために特許をめぐります申請の難易あるいは紛争というものが非常に激化しておるということが要素の一つになっておりますから、これを統一しようということでございます。 現在、このWIPOの方の交渉では先願主義へ統一しようというような方向で交渉が行われておりますが、昨年の九月に出ましたアメリカでの政府への勧告はこのような方向を受け入れるということでございましたが、その後政権がかわりまして、もう一度見直しをしておるというような状況でございます。そのために、本来、ことしの七月に外交会議を開きまして最終的な条約をつくるという予定であったわけでございますが、これが延びておるというような状況でございます。 いずれにしましても、アメリカの内部の検討を急いでもらいまして、何とかこの際、非常に世界的に盛り上がっております制度統一のために一層日本としては努力をしていきたいと考えているわけでございます。 それから大量出願の問題でございますが、これは例えば特許の場合でございますが、日本は年間に約三十七万件の特許が出る。それに対しましてアメリカの場合には十六、七万件であるというようなことでございまして、日本は世界的に見ますと非常に大量出願国であるということでございます。これは日本の産業の活力をあらわすわけでございまして、それ自体は非常に結構なわけでございますが、一方で私どもの処理という点から見ますと、大変大きな処理量を抱えておるということでございます。 このために私どもは大きく四つの対策をしております。一つは先ほど申しました増員でございます。もう一つはペーパーレス計画ということでございます。これは事務処理あるいは先行発明の検索の徹底的な電子計算機化ということでございます。三番目は、外部のいろんな知恵をかりるということでございまして、先行技術の調査などにおきまして外部の民間のいろんな有識者、経験者の知恵をかりていくということでございます。四番目は、非常に出願が多いわけでございますが、実は出願されましたものの約三割しか特許になっていないということでございますものですから、大量に出願しております企業に対しましてもっと出願の厳選をお願いするというようなことでございます。
○一井淳治君 今後、特許庁におかれましてはさまざまな施策を実施されると思いますけれども、実施される場合には、十分周知される手段を尽くされることと、また事前に弁理士会や関係団体の意見も十分徴されまして、合意を得ながら施策を推進していただきますよう要望します。 次に、弁理士法の改正についてはかねてから課題になっていますけれども、現在どのようにお考えになっておるのか、あるいはどのように今後対処していかれるのか、ごく簡単で結構でございますから、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(麻生渡君) 弁理士制度は工業所有権制度を支える非常に重要な制度でございます。しかしこの制度も、最近のように技術の革新が非常に速い、あるいは国際化が進んでおるという状況の中では、当然弁理士さんの役割あるいは機能も変化するというふうに認識をいたしております。したがいまして、この変化する役割にどう対応するかという観点から弁理士制度のあり方を当然検討しなければならないと考えております。弁理士会におきましても、そのような認識のもとに現在そのあり方について検討しておる最中でございます。また、私どもも庁内に検討会を置きましていろんな角度から弁理士制度を検討いたしております。また、ユーザーでございます日本特許協会、こちらの方でも依頼者の立場から検討しておるという状況でございます。これら三者の検討を総合いたしまして、法律をどのように変えるかということを詰めてまいりたいと孝えておる次第でございます。
○一井淳治君 最後に、実務上の改善についての要望をさせていただきたいと思います。 一つは審査の促進という観点からでございますけれども、審査官などが一つの意思決定をされる、例えば拒絶理由通知を出そうとかあるいは登録査定をするという意思表示をされてから、その意思表示が特許庁の外へ出ていく時間、書面の場合には、意思決定をなさってから実際に特許庁から発送される発送日までの間に四捨五入をすれば一月ぐらいの日にちがまだかかっているところがございます。平成二年十二月以降のいわゆるペーパーレス化された部分については、これは機械化されて改善されておりますけれども、それ以前の特許・実用新案あるいは商標、意匠については、そのように意思決定がされてから実際に特許庁から意思が発送されるまでに時間がかかっておりますので、この点の追いつくための改善を一つは要望いたします。 もう一つは、例えば出願とかあるいは審判申し立てとか、基本的な申し立ての場合には出願人、審判申立人の住所、氏名あるいは代表者の名前などを書くのは当然でございますけれども、中間手続においては書類の同一性さえわがればいいわけですから、出願番号あるいは審判番号と補助的に出願人名あみいは審判申立人名ぐらいを書くようにして、あと中間的な手続につきましては、住所とか代表者の名前とかあるいは発明の名称とか、商標につきましては分類とか区分とか、そういったものは書かなくてもいいのじゃなかろうか。特に納付書のあたりになりますと、要するに特許庁に対してお金が入ればいいわけですから、出願人が数名おる場合に一々数人の住所、氏名を連記する必要はないんじゃないかなと思いますので、そういった事務の改善。 以上二点を要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○山下栄一君 法案に即しましてお尋ねしたいと思います。 中小企業者にとっては、新分野への進出といいましても、極めて厳しい長期にわたる不況の中で悪戦苦闘しておるというそういう現状では決断が非常に容易ではない、このように思うわけです。この法律の実効性を高めるために、午前中も先ほどもお話がございましたですけれども、中小企業者へのバックアップ体制が具体的に必要である、このように思います。 午前中も、具体的な示唆を与えるために、新分野進出の成功例の情報を蓄積してそれを提供するというそんなお話がございました。具体的にこういう新分野進出の中小企業者の方の相談に乗れるような体制、特に情報提供のネットワーク化といいますか、これは具体的にどの程度整備されておるのか、また整備の強化ということが必要ではないか、このように考えるわけですが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(長田英機君) 御質問の情報の提供でございますが、いろんな機関がございますけれども、中心となりますのは、中小企業事業団にいろいろな中小企業関係の情報が集積されておりまして、そこで情報のデータベースみたいなものがございます。中小企業情報センターというのが県ごとにございまして、そこに情報が流れて、そこから提供されているというルートが一つ。それからもう一つは、海外の情報がなかなか入手しがたいと思いますけれども、それはジェトロの方でいろいろ海外の情報を集積しております。そういうようなことを通じて情報提供が行われているということでございます。
○山下栄一君 海外進出の情報の場合もそうですけれども、ジェトロというのも地域にきちっとそういう組織があるということですね。
○政府委員(長田英機君) ジェトロも実は国内事務所がたくさんございまして、大体三十ぐらいあるようなことで国内にいろいろなネットワークを持っておりまして、そこで情報提供をやっております。
○山下栄一君 海外進出の話になりますけれども、全然経験ない方が日本の商習慣とか労働慣行と全く違う世界に行くわけですから、具体的なアドバイス体制、単なる情報だけじゃなくて、やりとりしながら相談しアドバイスできるというような、そのような人員等の体制もジェトロの地方事務所にあるということでしょうか。
○政府委員(長田英機君) 今、私は三十ぐらいと申し上げましたが、正確には三十三の国内事務所をジェトロが持っておりまして、ここで具体的な情報提供と指導と申しますか、そういうことに当たっております。
○山下栄一君 この法案の十一条の指導、助言、特に都道府県の場合も「行うものとする。」と書いてあるわけですが、特に都道府県、場合によっては市町村の窓口の体制ですけれども、実際に中小企業者が計画を作成する段階、ここで県が具体的にアドバイス、指導できることが必要だと思うのですね。そのためにはやっぱり県職員の指導力の向上とか、そういうバックアップ体制が必要であろう。そのための予算措置を伴う支援、これは考えておられるのかどうかということ。 またさらに言えば、中小企業者が製品開発とか新しい技術の開発に取り組むための支援、新製品の開発とか技術開発のための具体的な応援体制を組まなければこれはできないと思うのですね。その辺の予算措置を伴う支援をどのように具体的に考えておられるかどうか、この二点をちょっとお伺いします。
○政府委員(長田英機君) 県の職員が適切に指導しなければいけないわけでございまして、そういう県の職員の能力アップのために、中小企業大学校というのが中小企業事業団にございますけれども、そこで研修をしたりしましてその能力向上に努めております。それから、技術開発も先生御指摘のように非常に重要な点でございまして、これは私どもが技術開発のための補助金をいろいろ個々の企業とか組合に交付したりいたしまして、そういうことで技術レベルのアップを図っていくというようなことをやっております。
○山下栄一君 この法案そのものの実効性を高めるために技術分野における具体的な中小企業者そのものへの支援もやっぱり必要であろうと思いますので、この点も特に御検討をお願いしたいと思います。 それから、予算との関係で、第九条に「国及び都道府県は、」、ちょっと飛ばしますけれども、この新分野進出等への「事業に必要な資金の確保に努めるものとする。」、こういう条文があるのですけれども、これは具体的にどのようなことなのでしょうか。
○政府委員(村田成二君) 幾つかございますけれども、まず第一は、新分野進出等計画あるいは事業開始計画に従って事業を実施するに必要な設備資金等につきましては、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等からの特別の貸付制度、現在の金利水準で申し上げまして三・六%程度を予定しておりますが、そういった特別の貸付制度の創設を予定いたしております。 それからまた、中小企業者が共同で高度化事業等を行う場合には、中小企業事業団の方から高度化融資事業を行えるように、またこれの創設を予定いたしております。 それからさらに、先ほどの御質問でもちょっと先生お触れになりましたけれども、新分野進出等を行います中小企業者あるいは組合の新商品開発等につきましては、これは現在、六年度予算として補助金を要求中ということでございます。
○山下栄一君 十二条の雇用安定の問題、先ほどお二人の方が質問されたわけですが、やはりある程度新分野進出、海外進出は配置転換、人員削減等を伴う場合も出てくるであろうと、こういう痛みを伴うことを覚悟したことがこの十二条の規定であるのではないかと思うわけでございます。 ところが、内容的にはそれぞれ努力規定になっているわけでございますので、「必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」という規定からさらに一歩踏み込んで、具体的な手だてまで保証するというようなことを考えるべきではないかな、こういうことを思うわけですけれども、この点につきまして通産省、そして労働省からも一言ずつお願いしたいと思います。
○政府委員(村田成二君) 詳細は労働省の方からお答えいただくのが適切かと存じますけれども、第十二条「雇用の安定等」に関する規定の二項、三項、ここで御指摘のように国及び都道府県の努力規定が書いてあるわけでございます。第二項の方は、いわば事業縮小を余儀なくされつつも依然雇用している労働者についての措置であろうかと思います。それから三項の方は、むしろ不幸にして解雇に至ったその後の雇用されていた労働者についての措置、こういうことになるわけでございます。 通産省といたしましても、雇用の安定は非常に重要な問題だと考えておりまして、労働省とともに雇用の安定には最大限の配慮を払っていきたい、かように存じている次第でございます。
○説明員(坂本哲也君) 第十二条の「雇用の安定等」の具体的な措置ということでございますけれども、まず第二項の国の責務でございますけれども、これは今御答弁ございましたように、離職者を出さない、雇用をずっと継続するという特定中小企業者に対しまして具体的にいろんな支援措置を講じていこうということでございます。具体的には雇用保険法に基づきます雇用調整助成金制度、これは委員御案内のとおり、事業活動の縮小の場合に、休業あるいは教育訓練あるいは出向というような形で雇用の継続を図っていく場合に休業手当等の一部を助成する制度でございますが、こういったものの活用を図っていこうということでございます。 また三項の方は、雇用関係から離れた方、こういう方々に職業訓練を行う、あるいは就職のあっせんを行う、その他必要な措置を講ずるということでございます。職業訓練につきましては、公共の職業訓練施設、国と申しますより具体的には雇用促進事業団が行っておりますが、職業能力開発促進センターあるいは都道府県が設置しております職業能力開発校、こういったところで職業の転換を必要とする労働者に対する訓練を行っております。また、就職のあっせんにつきましては全国の公共職業安定機関、ここで職業相談ですとか職業紹介を行っておるわけでございます。また、その他必要な措置といたしましては、雇用保険法に基づきます失業給付、こういったものが含まれるというふうに理解いたしております。
○山下栄一君 最後ですけれども、今回のこの法案は九月の緊急経済対策を受けての非常に重要な新政権の法案であると思われるわけですが、日本経済の新たな活路を開くために中小企業の挑戦を支援する、こういう観点から本当に大事な法案であると思うわけですけれども、最後に大臣の御所見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(熊谷弘君) 委員も御指摘のとおり、中小企業が全般的な日本経済の構造転換の中で大変な状況に今遭遇しているわけでございます。そういう中で、私どもは中長期にわたる構造改革を進めていこうとしているわけでございますけれども、とりわけ中小企業が構造転換のさなかで厳しい道のりを歩まざるを得ないと、一刻も早くこの状況に対応できる体制をつくっていきたいというのが本法の提出理由の大きな柱でございます。 もちろん、中小企業が生き抜いていくためには、まずみずからの努力が必要でございますし、みずからの決意が必要でございます。しかしながら、中小企業であるがゆえに構造転換ということになりますとなかなか自力だけではこの構造転換を乗り切ることができないわけでございまして、そうした状況を考えましてこうした法案を提出しているわけでございます。 しかしながら、これだけですべてがたちまちにバラ色になるかというと決してそうではございませんで、私どもはマクロの経済運営、適切な成長政策、そういうものも必要だと思いますし、また規制緩和を初めとするミクロの政策も重要であろうと思います。そういう中で産業構造政策も重要でございますので、そういったものを三位一体として構造改革に産業政策として取り組もうとしているわけでございますけれども、とりわけ中小企業はその中で厳しい状況にある、そういうことでございます。この法案をぜひ早期に成立させていただきまして、そしてその施行の過程の中で、先ほど申し上げました大きな政策の枠組みと並行しながら中小企業のますますの強化発展に私どもは努めてまいりたいと考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○小島慶三君 だんだんと午前中から議論が進んでまいりまして、なるべく重複した質問にならないように努めてまいるつもりでございます。 初めに自己紹介をさせていただきますと、私の生まれた家が埼玉の農村地帯の中の農村工業、本当の意味の商工業で、足袋というものをつくっておったわけでございます。この足袋を父が始めましてから七、八十年になるわけでありますが、その間、経済の動きにつれて本当に浮沈を重ねて一喜一憂して我々一家の者はき走わけでございます。そういうことで、中小企業問題については私は非常に大きな関心を持っておるわけでございます。 先ほども一井先生がおっしゃいましたように、この間高崎へ現状視察に参りましたときに県の団体の方がら、今の細川政権は政治改革ばかりに力が入っちゃって景気対策という面にタイムリーな手が打てないんじゃないか、こういうお話がありまして、私はつい、そんなことはありません、一つには財政と金融のポリシーミックスをやりました、それから輸入促進もやっております、円高還元対策もやりました、規制緩和もやりました、年末までにはさらに数百項目にわたる規制緩和ができると思いますと、こういうお話をしたんです。 けさの東京新聞を見ていますと、日本総合研究所というところで、規制緩和がうまく行われた場合、全体の需要創出効果は四十五兆にもなる、ただし輸入が三十三兆ふえるのでネット十二兆の増である、これでもGDPの増は二・六%になりますから相当なことが考えられておるわけでございますが、その結果雇用が百二万人ふえて、失業率も今の二・六%、実質は六、七%ぐらいと高いと思うんですけれども、それを一・五%下げる効果がある、こういう記事が載っておりました。 ただ問題は、やはり規制緩和という場合にはかなりの痛みを伴うということがあると思うのであります。今までの既得権、そういう言葉が適当かどうかわかりませんが、それに安住していた人たちはやはり痛みを伴うということでございましょう。ですから、景気対策としてプラスの面ばかりではないというふうに思われるわけであります。 今回のリストラ法案も若干それに似たようなところがあって、景気対策とだけ言ってしまうには、もっともっと構造対策ということでそちらの面が大きい。したがって、この法律が本当に効果を上げていくには、目先のことじゃなくてやはりある程度時間がかかる。その間にはやっぱり痛みを伴う。転業というのは必ず痛みを伴いますから、そういうことはあるのではないかと思うのでございます。 それで、私どもとしてはできるだけ景気対策になるようないい面を先に出して、そして全体の経済政策の中に中小企業対策というものを位置決めしていくということが肝要かどば思うのでございますが、これは通商産業大臣にお伺いをいたしますけれども、どういうふうに今の景気対策の中で中小企業対策を位置づけられるか、この法案の位置づけ、そういうことにつきまして大局的にひとつお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(熊谷弘君) 学識深い小島委員に私どものような浅学非才の者がお答えするのはまことに内心じくじたるわけでございますけれども、私は、現在の経済の不振というのは、単なる景気後退というような議論で片づけられる問題ではないと思っておるのでございます。 これは、過般の一般質問でお答えした中でも私なりの意見を申し上げてきたわけでありますが、今回の不況というのは二つ意味がございまして、一つは、これはそれぞれの委員からも御指摘をいただいていることでありますが、何よりも戦後の不況の中で日本経済の内的な要因による不況という初めてのケースでございまして、すべて外とのかかわりで天井にぶつかって不況になっていく、あるいは外からの衝撃が来て不況になっていくといういわば外傷型の不況じゃなくて、あえて言えば成人病的な不況だ、まさに内部要因による不況だということが今回の不況の大きな特徴だと思うんです。 第二に、今回の不況の意味合いというのは、もともと景気の循環というのは資本主義経済、市場経済の一つの特徴でございますけれども、インフレになったり不況になったりするというのはその市場経済なり資本主義経済というものの一つのリズム、調整プロセスでございまして、これはある意味ではもう必然的なものであります。しかしながら、今回の場合は、日本経済はさまざまな景気対策なるものがとられたにもかかわらずさしたる効果がないという御批判をいただいているゆえんのものは、日本が今までとは違う市場経済、資本主義経済の体制に入ってきているということを示しているのではないか。ですから、現在の不況がどのようなものであるかということを認識することによって対策は全く変わってくる。 そこで、先ほど御視察に出かけられたときに現地の方から御指摘をいただいたというのは、現地の方はまさに従来型の政策をとれば景気がよくなるはずだという御認識のもとで言われているんだろうと思うのでありますけれども、私は政治改革を優先しなければ今回の景気対策というものが本当の意味での経済再生策たり得ない、そこに来ているんだというふうに考えているわけでございます。 規制緩和と一口に言いますけれども、まさに小島委員が御指摘になられましたように、私は現在平岩研究会がやられて出された中間報告を丁寧にやっていくだけでも大変なことだと実は思っております。まして、今後内外価格差の是正その他の構造政策をやっていくということになれば、これはさまざまな利害を克服して新しい地平線に日本を導いていく作業になるわけであります。 私は、実は政治改革論議をずっとリクルート事件発生以来やってまいりました。私どもも当時は自民党の中におりましたけれども、いわば内なる古さを克服するために懸命の努力をしてきたわけでございます。さまざまな政策との絡み合いの中で、やっぱり政治改革というものをやらなければそうした大胆な政策、構造改革はとり得ないというのが我々の達した結論でございました。経済改革も行政改革もすべて軟は一でございまして、そういう意味で私どもはそのことを国民の皆様にやっぱりきちっと説明をしていかなければならないのでないか。目先の項目の数だとか、ドレッシングされた金額だとかというものを披露して景気対策と呼んでも、もはや経済はぴくりとも動かないという状況ではないか、こう私は考えているわけでございます。 そういう中で今日のリストラ法案、中小企業の法案を提出した理由と申しますのは、細川内閣におきまして発足当初まず経済の情勢の共通認識を持とう、そしてその上でやはりまず緊急に国民の心配にこたえる必要があるということで、一月に満たぬ作業日程の中で緊急対策を取りまとめたわけでありますが、その視点というのは即効性のある景気対策はさることながら、やはり中長期の構造政策の第一歩を踏み出すものにしたいということでございます。今回のリストラ法案もそういう視点に立った中小企業政策である、即効性のある中小企業安定、いわゆる金融対策その他についても別途に講じているわけでございまして、そういう位置づけであるということを御理解いただきたいと思うのでございます。
○小島慶三君 大変適切な御指針、御見解をいただきましてありがとうございました。 次に、この法律案が対象とするのは一体何かということなんでございます。 それで、中小企業という世界のうちの小企業対策の中で中というのが入っているのは日本だけだと、日本はそれだけミドルというもののウエートが高いんだということを私の恩師の山中篤太郎先生がおっしゃいました。私もそのとおりだと思いますので、日本はそういうことから見ますと大企業、中企業、小企業そして零細企業とピラミッド型というのをなしているということであろうと思うのでございます。 それで、今回のこの法案というのはそのうちのどの辺のところを主に対象としておられるのか。もちろん開発型の企業あるいは独立系の企業というのはそれなりに力もありますし、技術もありますから、それはそれでやれると思うんですが、むしろ下請とか又請とか、そういうふうなところは恐らく分類としては下の方が対象になるのかなと考えておったわけでございますが、その辺はいかがなものでございましょうか。長官にひとつお伺いします。
○政府委員(長田英機君) 本法が対象といたしますのは、御案内のとおり製造業では資本金が一億円以下あるいは従業員が三百人以下ということが一応原則的に対象になるわけでございます。そして、そういう中小企業の中で、いわゆる経済の構造的な変化の影響を受けている業種に属しているという一つのスクリーンがございます。 その上でもう一つ、生産額とかあるいは取引額が相当程度減少してるというスクリーンがもう一つございます。生産額や取引額が相当程度減少しているというその数字をつくります場合に、生産額が相当減少しているもの、生産額がそれほど減少していなくても輸出比率とか下請比率が高い、その二つの範疇を頭に置いております。どういうことかと申しますと、かなり事業活動が大変になっている方と、それから下請企業のような人とかあるいは輸出型の産地で円高で非常に輸出比率が高いので困っている、そのような企業が対象になりまして、特にその中小企業の中で大中小とのあたりかなということはちょっとはっきり申せませんけれども、そういうような一つの群を対象にして助成措置を講ずることにしております。
○小島慶三君 ありがとうございました。 恐らく、こういう産業からこういう産業へといったような形のビジョンというのはなかなか描きにくいんだと思うんですけれども、これからのさっきお話の出ました産業の質的な展開というか、あるいはレベルアップというか、その辺のところをねらって大きな流れを巻き起こされるということではないかと思うんです。ですから、従来ですと一辺倒で外へ出ていく。例えば、日本のまねをした中国の郷鎮企業なんというのは千二百万ほどこれはつくられたけれども、全部これは輸出に特化していくということで外貨を稼いで必要な資本財を買う、日本がかつてやったようなコースをとっているわけであります。日本はむしろその段階でなくて、輸出一辺倒というよりもむしろ内熱といいますか、内に熟するといいますか、そういうことが恐らく必要になってくるのではないかと思うのでございます。 それで、次に中小企業の転換能力ということでございます。 なかなか牛を水のところまで引っ張っていっても水を飲まないということでは困りますが、そういった意味の転換能力というものをどのようにお考えになっておられるかということで、私の家の経験から申しますと、私の家は、忍藩で下級武士の内職が青じまというものだったんです。一時使われなくなりまして、今はジーパンなんかでかなり使われておりますが、その青じまをつくっているうちに、需要が限られているものですから、作業衣とかあるいは大工さんとか屋根屋さんとかそういう方の使用、あるいはゲートル巻きをつくるとか、そういうことでだんだん需要、マーケットが変わってまいりまして、それじゃ何に転換しようかというので、一大決心で足袋に転換したわけでございます。 足袋も一時華やかな時代があったわけですね。それで、私どもは行田地区の足袋でございますが、これはもうかなり零細であるにもかかわらず一大産業団地になりまして、それで、これが大阪の福助さんといったような大企業とも十分拮抗して伸びてきたわけでございます。それには一つのノウハウというかそういうものがありまして、徹底的に作業工程を分業化する。足袋のあんなものでも二十五工程ぐらいあります。ですから、それを分割して分業形態をとる。さらにその分業をもとにした協業というものを進めるということで、これはかなりな力になって転換していったわけであります。 それからその次に、足袋がだんだん売れなくなりまして、これはおはきになる方もなくなって、例えば屋根屋さんとかそういう方は足袋をはかれますけれども、あとは室内用という形で使われるということで、だんだん需要が減ってまいりまして困ったと思っている間にいわゆる軍需景気が次々に起きてまいりました。日清とか日露とか欧州大戦とか、その軍需景気というのはどういうことかと申しますと、船の上で足袋をはけば滑らないわけです。だから艦上足袋と申しておったそうですけれども、そういう時代があった。しかし、これは戦争が済むとぱったりなくなって、今度は学童服とか作業服とかそういうものをつくり始めたわけでございます。したがって、その辺の転換は非常にスムーズだった。 しかし、今度の戦争の後でそういった需要も見込めなくなりまして、ファッションに転換した。ところが、ファッションに転換するにはかなりのデザイン能力が必要であるということで大変苦労したわけでありますが、それから最後の転換としてICに転換したわけであります。これは女工さんの手先の器用な労働力がありますから、それをそっくりICに転換した。ところが、ICの方は初めは末端の作業は労働集約的だったんですけれども、これがだんだんに機械化されてまいりました。その機械化というものが急ピッチで、せっかくの女工さんの指先のしなやかな労働力がこれも余り意味がなくなってしまいましたということで、転換の最後に私の家は失敗したということになるわけであります。 そのときに一番問題だったのは、やはり大企業とのジョイントベンチャーを組んだということが非常なミスでありまして、これは大企業の設備投資能力と比較になりませんから合弁といっても一緒にやっていけないわけですわ。それでだめになってしまったという経験がございます。 ただ、これは転換と申しましても、全部ミシンを使うわけでありますから、いわば異業種への転換というよりもミシン産業といったような展開であったと思うんですね。 だから、恐らく今度の場合も、そういう従来の作業なり生産工程の延長でやれるところは余り心配がないんだろうと思うのであります。むしろそれよりも心配なのは異業種交流ということで、それがある程度のお互いの結びつきを持って展開していく、こういうところにどういうふうに支援、応援をしていったらいいかというのがかなり問題になるのではないかと思うのでございます。そういった転換能力の問題について、これは後でまた御質問させていただきますけれども、一に金であり、二に技術であり、三にシステムであるというふうに私は思っております。 中小企業庁の方の今度のこの法案を通じてのそういった転換能力という問題についてのお考えを伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○政府委員(村田成二君) 大変難しい御質問ではあるのでございますが、私どもがこの法案をつくるに際しまして、実際中小企業の現場でどういう苦労が新分野システムについて考えられるかいろんな調査をしたわけでございます。今、一に金、二に技術、三にシステムとまさしくおっしゃったわけでございますが、私どもの調べた感七でもほぼ似たような感じがいたしております。 ちなみに申し上げますと、一つは、技術開発力、商品開発力がどうしても自分たちだけでは不足であるという中小企業者が相当数に上っております。それから二つ目は、資金調達、設備投資その他いろいろ開発から実際の商品化までの資金コスト、それの負担に耐えられないというのも相当数に上っております。それからまた、システムというところは非常に難しいわけでございますが、実際問題として新分野に進出したところでどういうふうな販売ルートを見つけていったらいいかよくわからない、あるいは自分の技術シーズを十分生かした形での商品開発、あるいはその販売に至るまでのシステマチックな戦略が組めないというのもこれまた非常に大きな数に上っているわけでございます。 私どもとしましては、そういった今申し上げましたような点に着眼しつつ、これはもちろんいろいろな既存の制度もございますが、その制度の活用も図りながら、しかしさらなる支援措置の充実を期せないかということで本法案を組み立てたつもりでございます。
○小島慶三君 ありがとうございました。 初めの金の問題なんですけれども、私は、全国に二十ばかり小島塾というのがありまして、そこを時々訪れているわけですが、どの地区へ行きましてもやはりこの金の問題というのが非常に深刻であります。要するに、金が流れてこないというのが共通の訴えてあります。ですから、去年十兆、ことし十三兆、そしてさらに六兆というふうに三十兆近いいわば呼び水があるにもかかわらず金が流れてこないというのは一体どういうことかと。 この間北海道へ参りましたときに、みんなが集まっていろいろお話をしておられました。その中で、こういうことが出てまいりました。これは笑い話のような、もっと深刻な問題なんだと思うんですけれども、例えば札幌の銀行屋さんの集まりでこういう話が出たんですね。それはどういうことかといいますと、このごろ銀行の合い言葉というのがカツカイシュウというんだそうです。カツカイシュウというのはどういうことかというと、回収したやつが勝つ、回収したやつが生き残ると、こういうことなんだそうです。 それで、若干悲鳴みたいな話がそこから出てまいりまして、とにかく銀行く行ってもやれ担保だ、やれ貸し付け条件だということでなかなかスムーズには貸してくれない。一遍金を返せと言われて、返せばまた貸してくれるかと思うと貸してくれない。そこで、自分のところでやるとなれば、銀行の業務としては面倒を見てやるわけにはいかないから信用保証協会に行け。信用保証協会というのはそういうぎりぎりのところで助けてくれるものだと思いきゃ、これもやれ担保だやれ何だ、銀行と同じようなことをやって、銀行といわば信用保証協会の間でキャッチボールされていると。こういう話が出てまいりましたので、これではやっぱり信用保証協会がせっかくあっても余り役に立たないなどいう感じを強く持ったのであります。その辺は私もいろんなケースを聞いておりますけれども、聞くにたえないような貸し渋りの状況というのは、これはもう今は中小企業者の怨嗟の的になっていると私は思うんです。 こういう点で、なかなか法律事項としてはできないでありましょうが、そういった貸し渋りの解消策といいますか、こういうことについてはこの法案がうまく実施されるまでにはかなりいろんな曲折があると思うんですけれども、焦点になるのは金だと思うんですが、この辺どういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(長田英機君) 最近の情勢を見てみますと、先生の御指摘のとおり、まず政府系の中小公庫、国民金融公庫、これは貸し付けが非常に伸びております。今ここにありますデータでは、日銀のデータですが、中小公庫は貸付残高の伸び率でいきますと、九月は前年の九月に比べて一〇・七%伸びております。それから国民金融公庫は九・〇%、これも九月でございますが伸びております。七月のこれはデータでございますが、都市銀行が三%ということでございます。 そういうことで政府系の金融機関が民間の金融機関に比べて伸びているということが一つと、それからもう一つ、今保証協会のお話がございました。これは前回の不況のときなんかもいろいろそういう話がございましたが、実は今回は平成五年度上期の実績でございますけれども、前年に比べて金額で八・七%、件数で二・二%伸びている。八・七%ですから少ないか大きいかという評価は難しいかもしれませんけれども、今の市中銀行の貸し付けの伸びなんかに比べれば伸びているわけでございます。 そこで、民間の銀行の貸し付け態度でございますけれども、実はこの九月十六日の経済対策におきましても民間の金融機関の貸し付けの問題がやはり議論になりまして、金融当局におきましても過度に消極的な融資姿勢をとるな、そして健全な経済活動に必要な資金が円滑に流れるように適切に対応しろと、こういう通達を銀行局から発しておりまして指導をしております。この指導は何回も行われておるわけでございますけれども、今回もこういう指導をいたしまして、私どもとしましてはこういう累次の指導を通じまして実効が上がっていくように期待しているということが現在の心境でございます。
○国務大臣(熊谷弘君) 中小企業庁としてはここら辺までが発言の限度だと思いますが、私は通産大臣というよりは国務大臣として、まさにこの中小企業金融の苦しさを醸し出す金融システムというところに、我々が今後規制緩和を含めて構造改革を最もやらなきゃならない分野であることを示していると思っているんです。 委員も経済分析家のお一人でございますから御案内だと思いますけれども、短期プライムレートは、九月に落ちてからぴたっと張りついてぴくりとも動きませんね。この世の中で、自由である価格が全く同じレートで一日も動きもしない、四十兆円のマーケットですよ。こんなばかなことがありますか。 競争もない、談合も行われる、規制はがんじがらめ、不良債権問題が私は今度の景気の低迷の大きな原因だと思いますが、ほとんどデータはディスクロージャーされない、何か言えば信用秩序が壊れるといって一切やみからやみと、こういうことがまかり通っておって景気がよくなるわけがない。私はそういう意味で、こういったタブーを結局は我々がやがてはぎ取らなければならぬときが来ると思っているんです。ただ、力んでおっても物事には順序がございまして、何年たっても逃げないわけですから、やっぱり一つ一つ積み上げながらやっていかないと、従来の不景気と今回の不景気というのは同じ不況問題でもわけが違うというのがここにもあらわれていると私は思っております。 そういう意味で、委員もそうですし、我々も国民の方々といろいろ日々接触するわけですけれども、やはりかみ砕いて、いかに今回の日本経済のかかっている病が重いのかということをよく理解をしていただいて、それにはただばんそうこうをつけるだけではだめなんです、やはり根っこのところにメスを入れなければだめなんですと。金融一つとっても、私は、単純に銀行に命令をしてみたところで、はあさようでございますかということで済まされて何一つ動かないというこの今の事態を見れば、やはり金融も含めた徹底的な構造改革をやらなければならぬというふうに思うところでございます。
○小島慶三君 大臣の熱意ある御答弁で、大変私も感銘を深くいたしました。 それで今のように、例えば大蔵省で通達を一本当しても、これはなかなか効かないと思うんです。だから、何か駆け込み寺でもないんですけれども、そういうクレームを聞いてやって、具体的に銀行に対してももうちょっと面倒を見てやれとか、そういうふうな何か話をするところはできないものでしょうか。
○政府委員(長田英機君) 私もちょっと細かくは知らないんですが、商工調停士という人が商工会や商工会議所におります。ちょっと正確な数を知らないんですが、この間その全国集会がございまして、そういう方々が中小企業の相談に乗って金融機関に話をつなぐ、いろいろなビジネスの経験をした方々がそういうことに任命をされてそういう役割を一生懸命やっておりまして、最近は非常に大活躍なそうでございます。
○小島慶三君 何かそういう権威ある機関ができないものかと私は思うのでございますが、これはひとつ御研究いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 それから、次に技術の問題なんですけれども、なかなか技術の保有についてはコンサーバティブな企業もありますけれども、しかし逆に自分の開発した技術というものを実現するチャンスがないままに、いわばため込んでいるという企業もありまして、そしてそういうところからはいろんなルートを通じて企業へ出ていくわけであります。ですから、そちらの方は割に出しやすいんですけれども、じゃ逆に、自分は今までの仕事との関係でどういう技術が求めれば与えられるのか、こういう仕組みといいますかそれが非常に大事だと思います。 私ごとになって恐縮ですけれども、私がかつて兼任していましたテクノマートの関係もありまして、これはオンラインで必要な技術、ニーズをぶつけてそれに対するアンサーが返ってくる、こういうことで、なかなか仕事としての展開がうまくいかなくて苦労いたしましたけれども、これなんかは使えば使える組織なのではなかろうかというふうに思うわけでございます。 それで、こういう技術が欲しい、そういうデータをとってみましたら、これは驚くべきことに、一位が水耕法の技術でございまして、それから二番目がアワビの一貫的な栽培システム、それから三番目はキノコでして、四番目に小麦の二次加工というのが出てまいりました。そういうふうに案外農業と工業との間にはそういうニーズが転がっているんですね。これは今まで農村が閉鎖的であった関係もありましょうが、そういったところにビジネスチャンスというのはかなりあるということを示しているんではないかと思うわけです。とにかく、ベストテンの中の四つまでが農業関係なんですね。だから、工業と農業が縁がないというふうにお考えになるとそれは違うのでありまして、かなりお互いに地域的には密接に交流できるチャンスがあるんだろうと私は思っております。 ですから、地域の活性化にいたしましても、やはり生命系のと申しますか、そういうふうな結びつき、コンプレックスがかなり重要なのではないかというふうに思うんですけれども、中小企業庁さんの方にもそういった技術移転の仕組みというのはいろいろおありになると思いますので、その辺を少しお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(村田成二君) 先生御指摘のような発想に基づきまして、既に中小企業庁といたしましても、昭和六十三年からいわゆる融合化法というものを施行いたしましていろいろな事業を行っているわけでございます。この融合化法におきましては、分野の異なる中小企業者間のそれぞれの知識のマッチング、融合を図る、それを活用した研究開発を行うというのを第一目的といたしております。それから第二に、こうした異分野の融合化によってもたらされた技術成果をどう利用していくか。それから三点目は、その成果の利用を実際のマーケット、需要ニーズにどう結びつけていくか。こういったあたりを総合的に支援していこうというのがこの融合化法のそもそもの趣旨、目的であるわけでございます。 こうしたことで、六十三年に本法施行以来、大体二百四十件弱の計画承認をいたしましていろいろな事業を行っておるわけでございます。 それからまた、実際問題としまして、このような融合化を進めるに当たりましていろいろな交流の場というものを設けていくことが何よりも肝心でございまして、そういった観点から中小企業事業団あるいは都道府県がそれぞれ異なる分野の中小企業同士の接触の場、交流の場というものを幅広く整備してきております。それからまた、実際問題としまして技術開発成果の事例紹介、あるいはそれの流通というような点についてもいろいろな施策を講じてきているところでございます。 本法におきます新分野進出等と言いましても、個々の事業者だけで、狭い経験とそれから限られた知識で新しい分野を切り開いていくというのはなかなか難しゅうございます。おっしゃるように異なった分野のいろいろな交流を通じて、あるいはそれの融合合体を通じていろんな成果が出てくるというふうに感じておりまして、融合化法のこういった成果、あるいは先生御指摘の農業とか違った産業分野のいろいろな幅広い交流、刺激を通じて本法が実効的に運用されますように考えてまいりたい、こう思っております。
○小島慶三君 ありがとうございました。 それで、三つ目のシステムという問題なんですけれども、恐らくこのリストラ法がどんどん進んでいくにつれて、そしてまた異業種の交流が進み、産業転換が進むという過程で、やはり一番問題になるのは既存のシステムであろうと思うのでございます。 〔委員長退席、理事沓掛哲男君着席〕 例えば、私どもが終戦後に占領軍のディレクティブナンバーファイブというので独占禁止法といったようなものをつくらされましたときに、結局最後はおまえの方に任せるというので、今の橋本龍太郎さんのお父さんのところで独禁法をまとめたわけであります。この最初のときの独禁法というのは、ほとんど向こうの司令部のジャッジ・カイムという人の案の翻訳そのままでした。そのままと言ってはちょっと語弊がありますが、大部分そのままでした。日本の風土に合わないというようなところもいろいろあって、後先いろいろ独禁法の改正がなされたわけでありますが、その後逐次独禁法もだんだん穴があいてまいりまして、それがほかの法律による独禁法の適用除外ということでございました。それで、この適用除外の法律が今四十七あると言われております。 何が言いたいかと申しますと、要するにそういうふうな適用除外でガードされた業界が多ければ多いほど、中小企業が新しい自分の道を探して、そして参入しようという段になってちょっと待てよという話になる。それは参入できないということになる。そういうことになったのでは、せっかくのリストラ法が死んでしまいますので、独占禁止法の洗い直しというか、そういう点につきましてもひとつ中小企業庁の方から、こういうケースがあってうまくいかないよということをぜひおっしゃっていただくようにお願いしたいと思うのでございます。 これは、最初に大臣からお答えのありました規制緩和と景気対策、あるいは中小企業対策という問題に絡んでいるという問題でございまして、こういう点につきましてもこの独占禁止法の適用除外というものを一つ一つ洗って、そしてもう不要なものもかなりあると思うんですけれども、恐らくこういう法律的にガードされているところは一番参入が難しい壁だろうと思いますので、この辺までぜひ手を伸ばして整理をしていただきたいというふうにお願い申し上げます。ひとつ大臣よろしくお願いいたします。
○国務大臣(熊谷弘君) 委員が先ほども御指摘なすっておられましたけれども、規制緩和というものが定量的にどれぐらい経済の活性化に影響があり得るかというのはさまざまな議論があると思うんですけれども、しかし間違いなく日本経済の現在の停滞を打開するのに私は甚大な効果があると考えておるわけであります。 その中で、独禁法の問題について御指摘がございました。公正取引委員会におきましても、細川内閣発足後、独禁法の運用に当たりましては極めで厳正にかつ的確に行っていくという姿勢を示しているところでございまして、むしろ四百人のメンバーでは足りないというぐらいの気迫に満ちておりますし、しかもこういう今摘発しているものは氷山の一角にしかすぎないという気持ちでやっておりますということでございました。その後見ていますと、次々にそういう事実が明らかになってきております。 そういう中で、法には触れないけれども、むしろシステムとして適用除外になっている問題につきまして今委員から御指摘があったわけでありますが、当然のことでございまして、これは例外とせずに、これを本来継続していいのかどうかというのを、その原点に立ち戻って検討を加えていくべきだというふうに思うのでございます。 若干私の体験で申し上げますと、独禁法の適用除外で保護していただいた業界で強くなったのは余り多うございません。私自身もかつて繊維産業について、その応援部隊としていろいろやっておったんですが、御存じのとおり繊維産業は中小企業団体法に基づくいわゆるカルテルの適用除外を受けまして、そして登録制をしいて、他の人たちは大企業も一切入れないといって守ってもらったらどういうことになったかといったら、まさに開発途上国の労賃にけ散らされるという惨たんたる結果になったわけです。 しかしなお、私この間福岡へ参りまして、博多織の、しかも新商品開発をやっている方の工場まで見てまいりましたけれども、やはり知恵と技術を持ち続ければいかなる事態にも生き残れるというところも見てまいりまして、この繊維の場合は、団体法はことしをもって事実上はほとんどもうみずから返上されましてなくなりました。 このように、私はやっぱりもとに戻って適用除外の問題につきましては見直しをすべきだと。その中には一種肥大化いたしまして、経済的な勢力ではなくして政治勢力化したような業界もあるわけでございまして、それが牢固たる力を持ち、中小企業に金を回さぬというところもございます。そこのところは、これは委員の皆様方にもお願いでございますが、我々はみんなこのことについて選挙区に戻るとつらい立場をお訴えになられていると思うんですけれども、やはり勇気を持って、何ゆえにこういうことになっているのかということをお互いに突き詰めて、そして自由な経済をつくるというためにはどうしたらいいかということを工夫すべき時期に来ている、こう思うわけでございます。
○小島慶三君 山ありがとうございました。 今もお話にちょっと触れておられたと思うんですけれども、中小企業は必ずしも弱者であるとは限らないのでありまして、中小企業だから生きていける、そういう企業も随分あるわけであります。 この間岡山へ私が参りましたときに、これも小島塾の関係で行ったんですけれども、メンバーの一人が、あれだけとにかく手とり足とりして失敗した農業という前例があるのに、なぜ中小企業についてもこれだけいろんなことをやらなきゃ生きていけないのかと、まさに生きていかせるための法律であるわけですけれども、そういうことを言った人があります。要するに、今確かに不況には違いないけれどもこれは伸びるチャンスである、生き残るチャンスであるということを言われた人があるわけであります。どうして政府はちょっと困った困ったと言われるとすぐに何でもいろんなことをやるのか、かえってそれが中小企業のバイタリティーをなくすということもあるんではないかということを言っていたわけであります。 この人はもちろんリストラ法に反対でそういうことを言っていたわけじゃありません。その人の気持ちといいますか、これは私は非常にうれしいと思っておるわけであります。自己努力をぎりぎりまでやってというのは大変貴重だと思うんでございます。 私の経験で申しますと、東京の小島塾に坂井さんという人がおりまして、この人はおじいさんがたばこの自動化機械の、刻み機械の発明者でもあり、お父さんは理研におられたエンジニアなんです。本人もそういった技術屋さん的な血が流れているんだと思うんですけれども、終戦後全く工場その他を焼かれてしまって、そしてゼロからスタートをした。この人が、初めは例えばいろんなテレビやなんかの箱の塗装から始めたんですね。 塗装から始めまして、それでどんどん仕事がふえる、大きくなる。そうすると百人限度で会社の拡大をストップしちゃうんです。ストップしてよそへ会社をつくるんですね。だから百人単位の会社がどんどんいわば細胞分裂みたいにしてふえる。そして、あらゆる権限を百人の社長に任せてしまう、もう人事権も行使しない、それから株主権も行使しないという非常に一風変わったグループのオーナーになっているわけであります。 それが、最近は先端技術、殊にアメリカにもないような先端技術をちゃんとやっているところもあります。だから、小さいけれども、技術レベルといいますかあるいは経営姿勢といいますか、これは大企業も及ばないようなところがあるというので、だんだん会社の数がふえまして今四十になっているそうであります。これは分社制という名前で呼んでおりまして、分社制の本なんかもあるわけであります。この分社制を聞きつけてきてそして海外で翻訳したいというので、今十七カ国語に翻訳をされて分社制というのが読まれております。 それから、もちろんそういうことで人も非常に多く訪ねてくるということで、こういうのは中小企業と言っていいのかどうかわかりませんが、大企業を中小企業の精神でやっているということでしょうか、分社制と言っております。海外でも今かなり有名になっておる。中国あたりでも非常にこれに関心を持って、日本が強くなったのは中小企業だ、そのモデルはこういうところなんだというのでしょっちゅう中国に呼ばれて行ったりしております。 〔理事沓掛哲男君退席、委員長着席〕 それで、この間フランスの人が見えたという話で、いろんな本を読んでみたけれども、どうしてこれがうまくいくのかわからないというのでフランス人が彼のところへ訪ねてきたんです。彼の工場も見て、こんな小さいけれどもすばらしい工場があるのかなというふうに感心していたわけです。ただ、そういう企業がバイタリティーを持ってどんどんやっていくノウハウというのは何かというと、やっぱりどうも信頼をして仕事を任せるということのようでございます。ですから、その辺のいわばイロハというものがあって、これがどんどん大きくなっていくんだと思うんです。 それで最後に、フランスの人が来ていろいろ話を聞いたけれども、おまえの話はよくわからぬ、何が何でも全部任せちゃうというようなことで果たしてそれでうまくいくのか、わからぬと言ったわけです。そうしたら、彼がしばらく考えて、そのフランス人にこう答えたというんです。じゃ、あなたは象がダイヤモンドを見分けると思いますか、こう言ったらフランス人がはたとひざを打って、わかったと言ったそうです。本当にわかったのかどうかわからないけれども、何かそういう話をしておりました。 やはり中小企業には持って生まれた生きる力、独立心というものはあるわけなので、そういう企業はあえて余り支援の必要もないのかもしれませんけれども、どちらかといえばそういう可能性のあるところに大いに支援措置を講じて、もう一歩踏み出せば何とかなる、そういう過程でつぶれてしまう中小企業が随分あるわけでありますから、 今みたいに廃業なんて言わないで、もう一歩その前に、困難の中に踏み出させるための応援法であるというふうな形で運用していただきたい、ぜひお願いをいたします。 本当にどうもきようはありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
○井上計君 法案についてお伺いする前に、大臣にこれはお伺いしたいんですけれども、あるいは私のお尋ねする内容いかんによってはお答えしにくいということであれば、あえてお答えはなくても結構であります。 細川内閣が誕生いたしまして、熊谷大臣は通産大臣に御就任になりました。もと参議院におられましたし、また長い間中小企業問題については大変御熱心で御造詣が深くて、私の友人でありますところの静岡県の中小企業団体中央会の会長からも大臣の中小企業問題についての大変な御努力については十二分に聞いておりますから、そういう面では私どもは大変喜んでおるわけであります。 ただ、そこで一つ疑問に感じておりますことは政務次官の問題であります。 従来、通産、大蔵、農水には政務次官が二人おられます。いろいろ記録を調べてみますと、昭和三十二年に国家行政組織法の一部を改正する法律ということで、政務次官を二人置くことができる、その省は大蔵省、農林省、通商産業省、こう決められました。自来、昭和三十二年以降、この三つの省については政務次官が二人ずつずっとおられたわけであります。いろいろ記録を取り寄せてもらいまして調べました。 大蔵省は、昭和三十二年にこの設置法が改正されましてから毎回衆参一人ずつずっと就任をされておりまして、先般の宮澤内閣まで参議院で政務次官に就任された方が四十四人、衆議院では四十三人、こういうことになっておるわけであります。 一方、通産省を調べますと、三十二年に設置法が改正されました以降、どういう理由か知りませんけれども、約四年ばかりは衆議院からずっと二人出ておられましたが、昭和三十六年の佐藤栄作通産大臣のころから衆参ということになりました。実は竹下元総理が政務次官でおられたときには一人だけということがありますけれども、その後ずっと衆参から出られまして、委員長を初め、委員会の中にも通産政務次官を歴任されました方が今この席でも三人おられるんですか、そのほかにもまだおられますから四人ばかり当委員会におられます。ずっとこれを調べますと、先般の宮澤内閣まで三十四人の政務次官が参議院から出ておられるわけであります。 ところが、今回は衆議院から二人出られまして、参議院からは政務次官が誕生しませんでした。我々には従来参議院から政務次官が出ておられるということで非常に身近に感じて、何かあればやはり参議院の政務次官を通じていろんな問題のお話もしたりあるいは御協議もしたり、また委員会の連絡も大変スムーズにいっておった、こう思っておりましたが、今回なぜ参議院から、特に通産は、あるいは大蔵もそうでありますけれども政務次官が出なかったのか。これは任命権者は細川総理でありますから、細川総理が参議院を軽視されたから出なかったのか、あるいは何か理由があるのか等々について大変疑念を持っているわけでありますが、(「同感です。」と呼ぶ者あり)同感だという声がありますが、その辺のことについて恐らく皆さん同様のお気持ちであろうと思うんです。 これは法律問題とは関係ないようでありますが、これから中小企業問題、通産行政について我々が当委員会でいろいろ審議しあるいは協議する上で、やはり参議院から政務次官が出てほしいな、こういうふうな気持ちがいっぱいであります。この辺のところを大臣がどうお考えになっておるか、あるいはお答えしにくいのであればお答えは結構でありますけれども、何らかの機会に総理に参議院でそういう声があるということをぜひ申し伝えていただきたい、これはお願いと、あえて質問とは言いませんけれども、何か御意見があればお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(熊谷弘君) 尊敬する井上委員から肺腑をえぐるような御質問でございまして、私ども細川内閣の発足というものが御案内のような事情の中で成立いたしたわけでございまして、七党八会派が相談を寄り寄りしながら、しかも極めて短い時間の中ですべて作業が進められたということがその最大の理由であったと私は思っております。 私自身も参議院におりまして、その思いというのは全く諸先生と同じ気持ちでございます。また、私自身は宮澤内閣まで何度か党のいろいろなお仕事をさせていただきまして、政務次官を決定する会議には何度となく立ち会いみずからその作業に従事してまいりましたので、どのような観点で内閣が構成され、その中で政務次官がどのような考え方でそれぞれ配分されていくかということについてはある程度の経験を積んでいるものでございます。もっとも、あのころは自分がどこへ選ばれるのかというので、少し政務次官のところまでは頭がいかなかったわけでございますけれども。 委員の御指摘は、私は的を射たものだと考えますので、今後細川総理を初めそれぞれ与党の指導的皆様方にも、委員の御指摘になった点につきまして私なりの形でよく伝えて、今後のそれぞれの人事の際に的確な対応措置が講ぜられるように努力をしていきたいと思います。
○井上計君 大変お答えにくいことであったと思いますが、明快にお答えいただいてありがとうございます。 調べますと、細川総理も大蔵政務次官をやっておられるんですわ。全く参議院から政務次官が出て意味がないと思っておられるのか、そんなふうなことをちょっと疑いたくなるものですから、機会がありましたら総理にもそれからそれぞれ与党の首脳にも、参議院でこういう声があるということをぜひひとつお伝えいただきたい、重ねて要望しておきます。 そこで、法案について、私は時間がありませんので細かい点を省略しますが、午前の質問で倉田委員からもお話がありましたが、今深刻な不況の中で困っておる中小企業に対するカンフル的な、特効薬的な役割をこの法案に求めるのは無理だと、余り効果がないと、これは私も同感なんですね。ただ、心理的には大きな影響があるであろう。しかし、では現実にこの法案を施行されて喜んで飛びついてくる中小企業者が果たしているであろうかと考えますと、実はいないんではないかな、こういう疑念もあるわけです。これは長官や計画部長に御苦労を願って法案をおつくりいただいて大変恐縮ですが、そういう気がするんです。 私が、何人かの今行き詰まっておる、特に自動車関係の部品の孫請ぐらいですね、将来非常に不安を持っておる業者にどうだと聞いたら、我々はとても出る力がありませんということです。だから、部品メーカーでも大きな大企業の部品メーカーはあるいは海外に行くでしょう。しかし、その場合に、孫請等の小さな中小の部品メーカーを抱いていこうとか連れていこうとかいう意思は全くないですね。自分たちの技術を現地で採用した従業員でつくった企業にやらすということは考えていますが、国内の業者を連れていこうというふうな考え方は余りないようです。 それからもう一つ、中小企業が海外に進出した場合に製品の販路をどうするかという問題があるんです。五十年代はかなりの中小企業が台湾だとか韓国に随分進出をしました。しかし、それは日本国内の市場に該当する、市場をねらった商品を工賃の安い台湾や韓国でつくったから実は成功したんです。ところが、そういうふうな企業は、台湾、韓国の工賃が非常に高くなりましてメリットがなくなりましたから大陸に逆にまた転籍した。ほとんど今失敗しているわけですよ。中小企業単独での海外への進出はなかなか難しいということを考えると、そのことについてぜひいろいろな指導の面で御努力、御検討をお願いしたい。これは要望です。 それから、そこで関連しますけれども、新分野とは何ぞやという問題。けさも倉田委員が同じようなことをおっしゃっておりました。現在、国内で中小企業が新しい分野に行くといっても事実上新しい分野はないんです。自分は新しいと思ってももう既存の業種がいるわけですから、そういう中で新規参入してまた競合するというふうなこと等、これは考えただけでもそうですから、なかなか新しい分野はありません。強いて言えば、新しい分野、新しい技術、新しい製品を創造した場合には完全なベンチャーなんです。リスクがいっぱいなんです。せっかくできる法律でありますけれども、そういうふうなものに対して資金的な助成が得られるかというと、これは現実には無理なんですね。 それからいま一つ、一社二社の中小企業単独ではできませんから、そこで特定業種が集まって特定の組合をつくる。特定の組合をつくった場合に、事業団の高度化資金の対象になるような高度化計画であっても、この法律に基づいたとすると事業団の長期の借り入れはできませんね、これ七年ですから。その辺ちょっとお伺いしたいんです。 それで、でき得ればそのような中小企業が、高度化計画を承認されて、それで協同組合等によって国内でも新分野あるいは海外でも協同組合として進出する場合には、この法律でなくて何か特別な方法で、この法律ではなくても従来の高度化計画等による事業団の長期低利あるいは長期無利子というようなものを融資対象にするようなことをあわせて考えていただかないとなかなか実効が上がらぬではなかろうか。せっかくつくる法律でありますから、やはり現実に合った中小企業に対する問題点の解決になるようなそういう運用が望ましいんではなかろうか、こんなふうに考えております。 お答えいただくところがあればお答えいただくとして、以上、意見と要望とあわせて申し上げておきます。
○政府委員(長田英機君) 先生が御指摘のとおり、中小企業の中の小さい方の人が海外に行くというのは確かになかなか難しいと思います。私どもの調査では、新分野に進出するという企業は大体四分の一ぐらいありまして、海外に行くというのが五%ぐらいなんですが、どちらかというと大きなところだろうと思います。 そこで、先生御指摘のように、いろいろそういう面でおくれております技術面とか情報面とかあるいは人材面で私どもとしては大いに後押しをしなきゃいけないというふうに思うわけでございまして、指導を相当強力にやっていかなきゃいけないと思います。 また、確かに小さいところはひとりでは行けないんで、一緒になって組合を形成していくということが考えられ得ると思います。これにつきましては、現在、中小企業金融公庫とかそういう面の政府系金融機関からの融資は組合も対象にしております。御案内のとおり、金利は高いわけでございまして、高度化資金に比べればまだ条件はよくない。 そこで、高度化資金なんでございますが、今の制度のもとでは、今のままでは難しいわけでございます。それでは、これからどうなるのかという点でございますが、高度化資金は、都道府県がいろいろ診断・指導したりすることをやっていまして、あるいはその後事業団とか都道府県がいろいろ指導を継続してやったというような形になっております。これから、こういう案件も出ていけばいろいろと考えていかなければいけないと思うのでございますけれども、ほかの制度とかいろいろ関係もございまして、ちょっと勉強させていただきたいというふうに思う次第でございます。
○井上計君 ぜひひとつお願いします。運用の中でいろんな問題が出てくると思いますから、本当に効果があるためにも、せっかくの法律でありますから、若干はみ出してもそういうふうな運用についての検討、また格段の指導をぜひひとつお願いしたいと思います。 そこでもう一つ、こういうふうな新しい制度、法律ができますと、とかく中小企業が利用しようとしても申請から承認まで随分時間がかかるんです。大体このごろどうでしょう。今度の法律で特定業種に指定される、指定された業種の業者が申請をする、実際に答えが返ってきて承認になって融資を受けるのに半年では無理でしょう。タイミングを失するおそれがある。従来皆そうなんですね。 従来でも高度化計画なんかは、まず計画をつくるまでかなり準備はありますが計画をつくって、それから都道府県を通じていろいろの形で申請をして最終的に承認になるのは大体二年です。どうかすると三年かかっているでしょう。だからもうタイミングを失して、当初計画ががらり変わってきているということが随分あったわけですね。ぜひこの点もお考えいただいて、申請から承認までできるだけ短縮をしてもらうということも、ぜひこれからの運用の中でまた指導の中でお考えいただきたい、こう思います。 以上、要望して終わります。
○市川正一君 今、中小企業は二年以上続くかつてない深刻な不況に直面しております。この間、昨年三月の景気対策、八月の十兆七千億円の総合経済対策、それでも景気の回復が見込めないために、九三年度予算が成立して一週間もたたないうちに、ことしの四月に十三兆二千億円の新総合経済対策と、三回にわたる景気対策が実施されております。その総額は二十三兆九千億円に上っておりますが、景気回復の効果がもたらされておりません。通産大臣はその原因をどこにあるとお考えなんでしょうか。まずお伺いします。
○国務大臣(熊谷弘君) まず事実関係だけでございますけれども、委員御指摘の金額というのは、過去のいわゆる緊急ということで当初予算とは別にとられた景気対策、この九月の対策以前にとられた対策の額であろうと思うのでございます。 中小企業対策としては、昨年から大体四兆円を超える金額の方策を決定し、実施されつつあるところでございますけれども、そういう中で今委員御指摘のように経済の状況が必ずしもはかばかしくない、何ゆえかという御指摘でございます。これは先ほどの小島委員を初めとする諸先生の御質問に私の考え方を申し上げてきたところでありますけれども、今回の不況と申しますのは、従来型の景気循環のみによって起こったものではなくて、日本経済の中長期にわたる構造問題がさらに絡んだ複合的な不況である、したがいまして、景気循環対策的な施策と同時に中長期的な構造改革を実施しなければならない状況ではないか、こう考えるわけでございます。 残念ながら、宮澤内閣の政策というのは、そのタイミングや規模ということについての話は別といたしまして、中長期の構造問題に対する認識というものはなかったように思うのでございます。私ども細川内閣の成立後、まさにこの構造問題、経済の改革、これは行政の改革も含めてでございますけれども、それに細川内閣の大号令のもとで取り組もうということでございます。 中小企業について申し上げますと、そういう政策の一環といたしまして、いわゆる景気循環的な経済安定といいますか、経営安定対策を講じつつも、他方で、今回提出し御審議をお願いしております法案を初めとする構造改革につきましても、今後これをファーストステップといたしましていろいろ努力をしていきたいと考えているところでございます。
○市川正一君 私は結局、内需拡大と称する景気対策が大企業本位の景気対策であったという点にあるんだと言いたいんです。 大臣もけさほど来いろいろ述べられ、今も大いに大見えをお切りになったとあえて言わせていただきたいんですが、八月九日の初閣議後の記者会見で、私は朝日新聞を持ってまいりましたが、三段抜きで出ておりますが「この三年間、大蔵省、経済企画庁などの診断はでたらめだった。」と批判し、通産省は入っておりませんけれども、「日本企業は談合体質そのもの。中小企業が新しいことをしようとしても難しい。なぜ、そういうことになったのか、メスを入れていくべきだ」、こうおっしゃっています。 問題はどこにメスを入れるかということだと思うんです。私は、細川政権が本当にメスを入れて生活者重視の円高景気対策をとるというならば、最も深刻な打撃を受けている中小企業の経営のために、国内消費の六割を占める個人消費を拡大させるためにあらゆる手段を尽くすことでなければならぬ、こう思うんです。私は、細川政権が九月十六日に緊急経済対策を打ち出され、確かに部分的改善策を講ぜられたことも承知しております。しかし、その基本になっているのはやっぱり地域開発プロジェクトの推進であり、大企業のリストラ支援であり、銀行くの減税の推進など、依然として大企業中心の経済対策が進行している。 そこで、具体的に伺いたいんですが、八月末に提出された来年度の中小企業対策費の概算要求は九三年度より六十八億円少ない千八百八十三億円、一九七〇年代後半の額にまで後退しております。各省庁の一般会計の概算要求を見てみますと、前年度予算比で六・一%増になっています。なぜ中小企業対策費が三・五%の減要求になっているのか、その点をお伺いします。
○政府委員(長田英機君) 平成六年度の概算要求でございますが、まず一般会計の通産省分は、先生が御指摘になられましたように、六年度の要求額は千二百九十五億で七十億の減でございます。そのほかに実は特別会計がございまして、エネルギー関係等の特別会計が六年度要求として五十億あります。前年度より二十九億ふえております。もう一つ非常に重大なものは、商工会、商工会議所の人件費関係を地方交付税に移したということがございまして、これが実際六年度は二百三十七億ございまして、この分がいわば中小企業対策として一般会計の中小企業対策費の中には入ってないんですけれども、実質的に商工会、商工会議所に人件費として地方交付税から行っている、こういうふうにしたわけでございます。 そういうものを総計いたしますと、通産省関係は平成六年度の要求額は千五百八十二億になります。五年度の予算額が千四百六十一億でございますから、百二十一億の増ということで、パーセンテージでは八・三%の増ということになっております。
○市川正一君 方々からかき集めてきて、それでこれだけありますと言って見せ金みたいにしてもらっても困るんです。やっぱり骨格にある一般会計、そこではっきり勝負してほしいんです。 経過的に見ても、中小企業対策費が一般会計予算に占める比率は七九年以来ずっと減ってきておるんです。特に、不況がこういう状況になった九一年度は〇・二八%でした。九二年度は〇・二七%、九三年度〇・二七%と減少し、ついに来年度の九四年度概算要求では〇・二四%と史上最低に落ち込んでいるんです。これは客観的事実です。私は、看板に偽りありというんでは困るんで、別会計の方まで持ち出すんじゃなしに、やっぱり中小企業対策費というものを骨格である一般会計においてもっとふやすために、中小企業庁長官、ちょっと気張っていただきたいと思いますがいかがですか。
○政府委員(長田英機君) 私としましては、この中小企業対策予算の充実に一生懸命努力しているわけでございます。ただ、見せ金と今おっしゃいましたけれども、実は、従来この中小企業対策予算に入っておりました商工会や商工会議所に対する人件費そのものが交付税の方へ移りましたものですから、それは従来どおり商工会や商工会議所に金が行っていることは事実でございますので、これは見せ金ではなくて、現実にその分の金を合計してみて初めてそれで中小企業対策費というふうに言えると。ただ、一般会計の予算額を見れば先生おっしゃるとおりだと思うわけでございまして、この辺につきましても御指摘でございますので一生懸命努力はしていきたいと思うわけでございます。
○市川正一君 その努力の結果を注目して見ていきたいと思うんでありますが、いずれにしても、この中小企業の仕事の確保などを初めとする活性化こそがまさに景気回復の大道であり本道であると私は確信いたしております。 中小企業者四十万を結集している全国商工団体連合会のアンケート、約五万数千名から回答が寄せられまして、私はそれを拝見いたしましたが、七八・四%が売り上げが減少していると。うち一〇ないし三〇%減っているというのが四六%、三〇ないし五〇%減っているというのが二〇・七%、五〇%以上減っているというのが九・八%、約一割です。そういう中で不況による経営苦、生活苦から、それが原因で自殺された全商連の会員さんがこの四月から八月の五カ月間で四十六名に上るという痛ましい事実も報告されております。 先日、東京の大田区で聞いたある業者の声を紹介しますと、仕事が全くなくなって四カ月になる、バイトで働いた女房が病気で倒れた、保険を解約して食べている、年末までもつかどうか、あとは首つりだけですという悲痛な声も聞きました。 中小企業金融公庫が先日発表いたしました景気動向調査が朝日に出ておりましたが、「中小企業の景気情勢は後退感が強まっている」、こう言って一九五九年の調査以来深刻な状況であると警告しております。 この暮れにかけてさらに落ち込むことが見通されるんでありますが、通産大臣にあえてお伺いをいたします。こういう小規模事業者の苦境をいかなる実感を持って認識されていらっしゃいましょうか。
○国務大臣(熊谷弘君) 私どもは恐らく、市川委員よりもはるかに零細中小企業の方々と接触をしていると私は確信しております。あなたよりははるかに我々の方が、零細企業の一番下のところをはいずり回りながら苦労してこの十八年間参っておりますのであなたがやたらと人にレッテルを張りたがりますけれども、私はそういう苦労の数々というのを見てまいりました。まさにあなたがおっしゃられたような、本当に自殺した人もおります。そういう苦労の中で、しかし同時に、懸命に努力して、統制的指令的経済のあの過酷なものを愛するのではなくて、自力で自発的に知恵を絞り汗を流してやってきている日本の中小企業の姿を見てきた者でございます。 そういう中で現下の経済の厳しさ、これは本当に事実大変な状況にあるわけでありますけれども、同時に、それぞれがだれかに責任をかぶせるのではなくて懸命に、特に私どもの浜松というと。ころの地域というのは国に応援をしてもらって地域の経済をつくってきたのではないという非常に自負心に満ちたところでございます。これは農業もそうなんですけれども、それだけに我々はその中小企業の方々の御苦労というものをこの政治の中に。やはり生かしていかなきゃならぬと。 ただ、従来のように個々の手とり足とりというよりは、もっと大きな経済の枠組みといいますか、中小企業の方の創意や工夫や努力というものが報われるそういう枠組みをつくっていかなければならないのではないかな、私は今そういうふうな感じを強く持っているわけであります。それはなぜかと申しますと、一つ一つ中小企業の方々がぶつかっていた問題が中小企業の方々の努力だけではどうにもならない、また行政的な個々の努力ではどうにもならない、もっと大きな枠組みをつくり上げていかなければならない、それが私ども細川内閣が掲げているところの経済改革の方向ではないか。 それは、中には規制緩和というものもございましょうし、あるいは内外価格差といった問題もございましょう。もちろん従来型の財政金融政策もございますけれども、もっとそういった基本的な自由で公平で透明度の高い経済をつくっていくということが次代の中小企業の活路を開く最大のポイントではないかな、私はそういう感じを持っているところでございます。
○市川正一君 私がお聞きしたのはそういう実態についての認識を問いかけたわけで、別にどっちがよう入っているかということのコンクールやおませんのですから。ただ、認識が非常に深刻な状況にあるということで一致することはこれはまことに結構なことです。問題はじゃその実態に対する対策の問題です。 そういう立場から私は本法案について以下の質問をいたしたいのであります。 まず、法案の目的は、「近年における国際分業の進展、需要構成の変化その他の経済の多様かつ構造的な変化に適応するために」この法律をつくる、中小業者がその構造的な変化に適応するために実施する事業を支援すること、こうなっております。しかし、今直面している中小企業の困難の根本、それは私をして言わしめれば、大企業が急激な円高の進行を契機として積極的に促進している海外生産の増強、逆輸入の増加、部品生産の内製化などを前提にしておるわけであります。まさに大臣の言葉をかりればこの大もとのところにこそメスを入れなければならない、そうしなければ結局後追いにとどまって本当に中小企業の経営を守ることができないのではないか、私はこう思うんですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(熊谷弘君) もともとこれは、現在の経済の環境の中で大企業を問わず中小企業を問わずどのように生き抜いていくかと、市場経済という枠組みの中で、しかも現実に経常収支黒字がこれだけ積み重なりまして国際摩擦という中に日本経済が置かれているわけでございます。そういう中で日本だけが一方的に何もかもつくり、しかも輸出するのは勝手にさせてもらい、しかも我々は豊かに暮らしていこうと言ったって、これは相手がそうさせてくれないわけでありまして、そこには国際的なルールがあり市場経済というものの原則が成り立つわけでございます。そういう中で大企業もまた生き抜くためにさまざまな苦労をいたしているわけであります。 今のお話で逆輸入がいかぬということになるならば、まさに今度は、もし今市川委員がおっしゃったとおりの論理をアメリカもやり、中国もやり、東南アジアもやるということになったら一体世界はどうなるかということになるわけでございます。そこには一定の、どうしても世界は自由であり自由な貿易が行われなければならない、投資もまた自由に行われなければならないという原則が成り立つといたしますと、大企業であろうと中小企業であろうとそこに命令をして何かをするとか、統制をして何とかするということはなかなかできないわけでございます。 そして、大企業もまた大勢の労働者の方々によって成り立っているわけでありまして、生き抜くためにさまざまな工夫をせざるを得ない、その一つとして海外進出をすることにもなるだろう、私は、これはまず一つ認めなければならない現実だろうと思うのであります。 しかしながら、その場合にどのようにして日本の経済が空洞化したりあるいは雇用に問題が起こったりということを防ぐのか、それからまた、委員御指摘のように中小企業の方々にとってもどのように活路を開くのかということを政策として私は展開をすべきなのではないだろうか。具体的にはもう再三申し上げているとおりでありますが、マクロの政策、ミクロの政策、さらにセミマクロの政策、三位一体で我々はそれをやり抜いていこうと考えているところでございます。
○市川正一君 私は、現実の日本経済が直面している問題に即して問題提起をしているつもりなんです。 じゃ、今日の日本の異常な円高、さらにまた異常な貿易不均衡、その原因は一体何なのか。それは我が国の側の要因として言えることは、例えば自動車、電機などに見られる一部巨大企業の劣悪な労働条件及び下請中小企業いじめ、これをベースにした異常な輸出ドライブじゃないでしょうか。これは客観的な事実ですよ。そして、それをもし放置するならば、産業空洞化を招いて中小企業や地域経済を崩壊させることになるという、私どもは八五年円高当時から声を大にして警告してきた、そういう結果が今日のいわば深刻なまさに複合的不況の事態を生んでいる。しかも、急激な円高が最近一層深まる中で大企業が国内生産を大幅に縮小して、国内産業を空洞化させて海外に出ていこうとしている。これもまた事実なんですよ。 私は、大企業は社会的責任を果たせということであって、それを敵視するつもりはさらさらありません。こういう大企業の海外進出を野放しで無条件に放置したままで中小企業対策を講じても矛盾はますます深まるばかりです。どうしてもここで、大企業の生産拠点の海外移転についてはこういう不況の時期の間はせめて凍結するというような措置をとるべきではないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(熊谷弘君) ただいまのお話は、社会主義経済を信奉される市川委員ならばこれは論理的に成り立つわけでございますが、我々は本来的に経済活動というものは自由な、透明度の高い、競争性の高い市場活動によって行われるべきものだと。 自由化したものを、これはどういう形にせよ法律的に禁止をするということなのか。それとも、今おっしゃられる議論をすれば、俗にいわゆる行政指導で、も」言うことを聞かなければありとあらゆるいたずらをするからという畏怖心を与えて相手に断念させるというやり方をするのか。現実に行政指導というのはそういう側面があるわけであります。ここで明確に断ると後何されるかわからない、官庁というのは敵に回すとひどい目に遭う、我々はそういう社会をもう今後やめていこう、もっと自由度の、透明度の高い社会に変えていこう、これが細川内閣の考え方でございます。 私は、そういうやり方ではなくてもっと正当な、海外に大企業が全部全部行かなくてもいいようなマクロの政策を講ずるとか、あるいは大企業の場合にも新分野に転出するような方法を考えていくとか、さらにはいわゆる円高差益の還元も含めて内外価格差を是正して、円高ではあるけれどもしかしコストダウンも図れてある程度踏みとどまって国内でも頑張れるとか、技術開発を進めて同じ物だけれども安くていい物を国内でつくれるようにするとか、そういうような市場経済の原理原則にのっとった対応策を講じて、ねらいは我が国の経済が空洞化せず中小企業もまた活躍できるような経済をつくっていきたい、こう考えているところでございます。
○市川正一君 考えていらっしゃるのは自由なんだけれども、そうはなっていないんですよ。私がここに持ってきたのは九二年の通商白書なんですが、この中でも多国籍企業の利益と国民の利益とが一致しなくなってきているというふうに指摘しています。現実にはそういう矛盾と破綻が広がっているんです。この問題に私は目を背けることはできぬと思うんです。 特に、最近の海外進出は、以前の輸出代替のためばかりじゃなしに逆輸入を直接目的にするということなどに見られるように日本国内の生産に影響を与えております。産業の空洞化を促進させております。そのことを是認されるならば別ですよ。今、大臣はそのことをできるだけ緩和していくという意味のことをおっしゃった。 去年成立した中小企業集積法で指定を受けております新潟県の燕の洋食器の産地を調べてみますと、地元の中小メーカーの海外進出、中国などへの委託加工による逆輸入で三次、四次の零細業者の仕事が激減しておるんです。また、精密機械の企業が集積しております長野県の諏訪工業団地を見ましても、二十七社のうち三社がメーカーの要請で海外生産を開始しております。 ある製作所は、仕事の半分を占める部品を、マレーシアにその生産を移す親企業メーカーから海外に行かないならよそにやらせる、こう言われて海外進出を準備しておるけれども、結局親企業は単価を抑えてくるし、そうなると国内の他の単価も下げられる、見返りは望めないというふうに訴えておりますが、この製作所の下請は六十八社あるんですね。海外進出で仕事が半減すれば下請への影響ははかり知れない。つまり、地域の分業体制の崩壊につながるというんですよ。 私ども本委員会が、先日群馬に調査に参りました。 資本金九千万、従業員七十人のあるしっかりした金属工場でありますが、その代表者に斎藤文夫委員が質問いたしました。リストラのことも説明して、海外に行かれるお気持ちはありますかと。そうすると、たちどころにそれどころではありませんというふうに回答が返ってきました。 ですから、法案では確かに新分野進出のほかに海外の地域における事業の開始を支援することになっておりますけれども、大企業等の大手メーカーの要請で産地の中堅メーカーや一次下請などの海外進出、これを推進させることにいわば一方的に利用される。その結果、二次以降の下請の仕事がなくなり、解雇などの雇用不安、地域経済、国内産業の空洞化の促進につながるおそれが、今私述べました熱やあるいは諏訪、こういうことに見られるように現実に起こらないという保証はない。その点をどういうふうに防止していくのか、どう対策をとられるのかということをこの際、立ち入ったことでありますがお伺いしたい。
○政府委員(長田英機君) 大臣からお答え申し上げておりますように、自由主義経済でございますから、いろいろ中小企業を取り巻く関係の企業からなかなか厳しい経済的な条件、そういう立場に中小企業が立つことは現実に直面している問題でございます。それはやはり円高を契機としたりこの不況を契機としたりして構造的な問題だと受けとめられると思います。 そういう状況下でどういうふうにして中小企業が生き残るかということを考えてみた場合に、その一つのオプションとして、選択肢として海外に行くということもあるんだろうと思います。すなわち、国内で新しい商品の生産をすることもあると思いますし、あるいは新しい事業を始めるということもあると思いますし、あるいは海外に行くんだということもあると思います。これはすなわち中小企業が活路を求めていくという一つの選択肢でございまして、それを強制しているわけでもございませんし、むしろそういうものとして受け取っていただきたいと思うわけでございます。 また、現実に海外に中小企業が行きます場合にいろいろなデータをとってみますと、大体本社をこっちに残して、こちらの生産を縮小するというのは極めて少ない状況なんでございます。そうしますと、中小企業は活路を求めて海外へ行って、そしてその経営を安定させ、そして国内におきましてもまた新たな分野の事業に取り組む、そういうようなことができるようになるわけでございまして、私どもはそういうようなイメージでこの対策を考えておりますので、ぜひそこのところを御理解いただきたいと思います。
○市川正一君 私が述べているのは社会主義経済でも何でもないですよ。言うならば経済の民主主義です。だから、大企業あるいは巨大経営の横暴を許すんじゃなしに、中小企業や零細企業も企業として成り立つように必要な援助をやっていく、そういう立場がなければ今のこの社会は、経済は成り立たぬですよ。だから、そういう立場で言うと、今述べたような事態に対してどういうふうな手を打つかということを私は聞いたんであって、何も自由主義経済、社会主義経済のお説教を聞くつもりじゃおませんです。 しかし、時間がないので先に進みますが、先日、私は東京の大田の地域を調べてまいりましたが、ここでもアイ・ビー・エムやビクターなどの海外移転でその一次下請の仕事が減ってしまって、昨年九百万円であった仕事が全然なくなった、こういうふうに言っております。親会社が中国に工場をつくり、プラスチック成形の仕事が十分の一減った、こういうことも聞いてまいりました。こういう下請業者、中小企業の八割を占める小規模事業者は今回の法律を本当に利用できるのかどうかという心配に駆られているわけですね。 そこでお聞きしたいのは、法案の支援対象とする特定業種、特定中小企業者については政令で定めることになっておりますが、こういった不況で苦しむ小規模事業者も利用できるよう幅広く指定されることと思うんですが、確認をさせていただきたい。
○政府委員(村田成二君) 特定中小企業者につきましては、二種類のグループで指定をいたしたいと考えておるわけでございます。 その場合に、一つのグループは、生産額あるいは売上高が過去の一定時期に比べまして一〇%以上減少、こういう要件でいきたいと思っておりますが、一〇%以上減少というのは今のこの不景気下では相当程度の、特に規模の小さい事業者はほとんど全部と言っても過言ではないと思いますがカバーされるレベルでございます。 それからまた、第二のグループは、そこまで生産額等が減少しておりませんでも、五%から一〇%程度の減少でありましても、一定以上の下請比率あるいは輸出比卒の企業につきましては対象といたしたいと考えております。その場合に下請比率につきましては二〇%ぐらいをめどといたしておりますが、この二〇%というラインはこれまた小規模事業者にとりましては相当程度カバーできる、ほとんど全部カバーできるに等しいラインであると考えております。 以上、要は先生御指摘の規模の小さい事業者につきましては、むしろカバレッジが大きくなる方向での指定の仕方になるというふうに考えております。
○市川正一君 わかりました。 そこで、引き続いて伺いますが、特定中小企業者が新分野進出等の計画を策定する場合に、この新分野の範囲が狭くなればほとんど利用できないし、この不況下で新たな分野を開拓することもまた非常に困難であります。とすれば、例えば産業分類の四けたでの業種が変わる場合、これははっきりわかるんですが、同じ業種の中であっても、取引先の変更や製品の仕様書等の変更、あるいは機能や性能が従来と何らかの変更があれば適用されると思うんですが、そう確認してよろしゅうございますか。
○政府委員(村田成二君) 四けた分類で分類を超えて移る場合はさておきまして、今御指摘の用途その他性能等々の点でございますが、私どもの考え方といたしましては、例えば販路だけが変わるとか用途だけが変わるというのは、まだなかなかそこまで広げるというのは非常に難しいというふうに考えております。 具体的には、やはり製品に至るまでのプロセス、これは大きな要素としては原材料と生産加工工程というのがあるわけでございますが、そのいずれかが変化するということと、それから実際問題として生産される製品が用途、販路、機能、性能、これはいずれかでも結構だと思いますが、従来と異なるというこの二つの大まかな要件を満たしていただければ対象とし得るというふうに考えておりまして、こういった観点でまいりますと、かなりの中小企業の皆さんの創意工夫というのは拾えるんではないかというふうに考えておる次第でございます。
○市川正一君 わかりました。 続いてお伺いしたいのは、新分野進出等の計画が承認されて受けられる支援は、法案にありますように、事業費補助費、設備近代化貸し付けの償還期間の延長、低利融資制度、信用保証制度による別枠融資などの優遇措置、さらに設備に対する特別償却などの税制の優遇等々となっております。特に、既存の設備近代化貸し付けの償還期間の三年の延長などは、かねて我が党も要求していたことであり、前進面として率直に評価いたします。 しかし、もう一つ、大企業やメーカーの要請で購入した機械設備のリース、借入金の返済の問題が残っております。この資金の手当てがなければ新分野への設備投資を実施したくてもできないし、せっかくのこういう優遇措置も生きてこない。こういう実情に対応して低利融資制度で運転資金を対象にすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(村田成二君) 九月に策定いたしました緊急経済対策における中小企業対策は、大まかに分けて二つの柱で成り立っているわけでございます。一つは現下の不況に緊急的に対応する経営安定対策と、それからもう一つの柱が今御審議いただいておりますこういった新分野進出等の中小企業者の創意工夫努力を支援するシステム、この二つの柱で成り立っているわけでございます。今委員御指摘の当面の低利のいろいろな運転資金、返済資金を含めましての資金の融通につきましては、むしろ第一の柱の当面の経営安定対策の方で累次にわたって講じてきたところでもあり、また先般の九月十六日の対策でもさらなる要件の緩和等の改善を図ったところでございます。 本法案におきまして、あるいは本法案に関連いたします支援措置の中で御指摘のような支援措置を講ずるということは、むしろこの法案の対象事業者に限定することとなりかねませんものですから、むしろ一般的に苦境にある中小企業者に対しまして措置を講ずるという意味で、当面の経営安定対策の方で講ずる方が適切かということで先般の対策を講じたところでございます。
○市川正一君 実態をいろいろ調べてみると、運転資金について融資が受けられないということになりますと、既存の設備についての返済を抱えたままでは新分野への進出は非常に困難なんですね。結局利用できるのは一部に限られることになりかねない。 長官御存じのとおり、前回の円高時に特定地域法を実施しましたが、そのときに経営安定貸付融資制度で運転資金についても措置いたしました。その結果、一万一千以上の利用者があったわけですね。今回の法案に対して業者が一番失望しているというか、また逆に言えば期待しているのはまさにその点であり、この運転資金の問題について非常に要望が強いということを、私はここで時間も参りましたので強く要請します。制度としては差別、選別はないとおっしゃいますけれども、メニューをたくさん中小企業は持っておりますがそれを実施したくてもできない現実にあるということを指摘して、この点はひとつ引き続き検討をお願いしたいというふうに思います。 次に、不況対策の柱である経営安定対策の金融問題であります。 先ほど小島委員も触れられましたが、最近、民間金融機関に融資の申し込みに行くと既存融資の返済を逆に迫られる例が少なくありません。政策融資である体質強化資金を活用した融資を都道府県等に申し込むと、中小企業庁の昨年十二月の通達に基づいて融資が受けられない。 この通達の問題については、本年五月十三日の本委員会で前任者の関中小企業庁長官とのやりとりをもうここで繰り返しはいたしませんが、しかしその中身の、業況の回復、発展が見込まれるものという、景気がいつ回復するかといったようなことを個々の業者に求めるということはこれは非現実的であります。五月の本委員会で関長官から「私どもとしては基本的に県の自主的な判断というものを尊重するということで運用させていただいているわけです。」、こういう答弁がありましたが、そういう立場で実情に即した弾力的な運用がなされているということを私は再確認いたしておきたいと思います。いかがでしょう。
○政府委員(長田英機君) 先生御質問の点は緊急経営支援貸付制度の運用でございますが、たしか私の前任者のときにいろいろな議論がございまして、これは現在でも、中小企業が貸付要件に該当するか否かについての具体的事例の判断については、制度の趣旨にかんがみまして個々の中小企業者の実情に応じ都道府県等が自主的に判断を行うように指導しております。 なお、先生の御指摘の厳しいという点の表現のところと関連いたしますけれども、私どもとしては、融資の際に困窮度の高い中小企業者を優先するような指導もあわせて行っております。
○市川正一君 最後になってまいりましたが、実は昨年の十二月九日に本委員会で私はトヨタ、松下、クボタの下請いじめの実態について追及いたしました。その手口は、VAとかVEと称する価値分析で年二回恒常的に単価の切り下げを下請に押しつけております。 その後の調査でも自動車、電機関係ではすべてのところで実施されており、先ほど申しました先日の本委員会の行った群馬の調査でも、前橋の自動車部品の業者が年二回単価切り下げを強要されているという切実な訴えがありました。しかも、単価の切り下げに応じなければよそへ回す、海外から調達すると言われて結局親企業の指し値で受注しなければならない状況になっていることも、同じくここに参加された同僚議員もまた村田計画部長もその場におられて聞かれたと思うんです。親企業が、今までつくっていた部品をアメリカでつくらせこれを日本に逆輸入する。加えて、ボルトで言えば十円の単価だったのをアメリカ並みの六円でやれ、切り下げる、仕事は取り上げていく。そういう血の出るような訴えを実際に中曽根委員長を初め私どもは聞いてまいりました。 相次ぐコストダウンを強要されてきた下請はもはや余力はありません。しかるに、最近の異常円高で十月に入ってから部品価格の切り下げが強要されております。こういう実態について通産省は調査なさっているのか、またどう対応されているのか、あるいはまた下請代金法に違反するものについてはきちんと警告、勧告、企業名の公表を実施すべきだ、件数だけではなしに内容も公開すべきであるという諸点について、私が実際に群馬で見聞した実例、本委員会の調査の結果に基づいて以上三点について質問をして終わりたいと思います。
○政府委員(長田英機君) 親企業と下請企業の関係でございますが、私どもは定期的に調査をして下請代金支払遅延等防止法の違反がないかどうかということを調べております。しかしながら、先生御指摘のような経済の今のいろいろな実態にかんがみまして、九月十六日の経済対策において特別な緊急調査を実施しようということを決定いたしました。約一万の企業を対象といたしまして緊急の調査表を既に十一月二日に発送済みでございまして、その結果を十二月初旬にも取りまとめ、違反の事実があればこれを改善するように所要の措置を講じてまいりたいと思っております。 それから、もう一点の代金法に基づく調査結果が公表されてないんじゃないかということでございますが、実は従来政府刊行物を出すときにそれを載せておりまして、別に隠しておくものでもございませんから必要に応じてお渡しすることもできますし、
○市川正一君 件数だけでなしに中身も。
○政府委員(長田英機君) 中身も、今即答できませんけれども、別に隠しておく性格のものじゃないと思いますので、どこまで公表できるか検討してみたいと思います。
○市川正一君 終わります。
○野間赳君 野間と申します。本日の最後の質疑ということでありますが、各委員よりるる質疑がなされておるわけでありますが、私は視点を変えましてお尋ねをさせていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。 私は四国の愛媛県今治市の出身の者でございます。ここは造船、海運、繊維、タオル、そういった中小企業の集積をされたところであるわけでありまして、今日の不況の真っただ中に立たされておるというような地域ではないかと思っております。従来の不況は、なべ底景気から始まりまして、大体循環的な不況でありますから十二カ月、一年前後で景気の回復の見通しが立っておったと私は考えております。しかしながら、今回の不況は、お話しのとおり構造的な要因が大きく加わってきておりますから、もう二年半、三十カ月になんなんとする、しかも見通しが立たない情勢であるということであります。景気が整いませんから身動きができない、そういたしますと海運業者が悪い、海運が悪ければ造船の関連の仕事がなかなか思うようにいきません。 特に、私の地元の地域はタオルの生産地でありまして、全国の生産高の約六〇%を生産しておる地域でございます。今日の長期の消費低迷、また円高によります発展途上国の輸入、そういったものに直撃をされておるというような地域でございます。そういったことで、高額な織機を抱えておりますし、対応しようにもできないというような零細業者もたくさんおるわけでありますが、こう いうふうな大変厳しい経営状態を、通産省御当局におきましては実勢をどのようにお感じになられておるかということをまずお尋ねいたしたいと思うのでございます。 先ほどからお話に出ておりますように、三十六年間不況カルテルで登録制をしいてきていただきました織機も、十月の末に二年繰り上げまして撤廃ということになりました。これらも心理的なマイナス要素として地域には、産地には非常仁大きなものが残されておるわけでございますので、そういうふうなものも含めまして、現在の情勢をどのようにつかまれておられるか、ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(土居征夫君) 今般の構造不況につきましては、特に繊維産業の場合は、この直前のバブル期といいますか好況期に、高級品への志向ということでいろいろと産地が新しい努力をいたしまして設備投資をして対応を図った直後でございましたので、今度の構造不況の中で特に消費者の消費態様が変わってまいりまして、どちらかというと従来の高級品志向から急激に今価格志向が低価格品に移ってきたというようなことから、結果的に従来の構造改善対策、各企業の対応が逆に出た形にもなっておりまして、非常に厳しい状況にございます。 特に、今治のタオル業界はタオル業界の中でも付加価値の高い先ざらしの製品ということで、いわば高級品をつくっております。そういう意味でも、非常に深刻な影響を与えておるというふうに考えております。
○野間赳君 そういうふうなものを踏まえておったわけでありますが、八九年に通産省の繊維ビジョンが実は提言をされたのであります。その提言は、ファッション化の推進、情報化、技術開発への対応等々積極的に取り組んでいく実需対応型供給体制の構築というようなこと、また生活文化提案型産業への脱皮という新しい考え方が実施をされたわけであります。 八九年に提言をなされまして今日の情勢でありますから、非常に大きな波をかぶったこの八九年の繊維ビジョンであったと思うわけでありますが、この実施状況が今日どういうふうなことになっておりますか、お尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(土居征夫君) 今御指摘がありました八九年の新繊維ビジョン、それを受けまして繊維工業構造改善臨時措置法が平成元年に改正延長されましたわけでございますが、そこでビジョンを受けて内需の変化に迅速かつ的確に対応できる実需対応型の供給体制の構築を推進しているところでございます。 この法律に基づきまして、現在構造改善事業としましては、ローマ字で恐縮でございますがLPU、リンケージ・プロダクション・ユニットという構造改善事業を実施しておるわけでございますが、現在四十四グループ三百一社、それから九件の構造改善の円滑化計画、これを承認いたしまして、資金面、税制面での支援を行っているところでございます。 今治地区におきましては、タオルメーカーを中心といたしまして、この構造改善グループが五グループ承認を受けまして、現在構造改善に取り組んでいるところでございます。 一方、先生おっしゃいました生活文化提案型産業ということで、繊維産業のファッション化対策を進めているわけでございますけれども、平成二年に財団法人日本ファッション協会を設立、さらに平成四年には財団法人ファッション産業人材育成機構というものを設立しまして、ファッションに関します各種のイベント、人材育成事業を実施しておるところでございます。さらに、平成二年からは、石川、今治、大阪の順に繊維リソースセンターを整備いたしまして、このビジョンの趣旨に沿った対策を進めているところでございます。
○野間赳君 このような提言を全面的に受け入れたものであったわけでありますが、業界はこれに総意をかけ、すべてをかけて繊維リソースセンターをやるということに相なったわけでございます。第三セクターでこれを設立をいたしました。このことによって東京一極集中を排して情報発信機能を強化する、地域活性化の起爆剤として地方からの情報を発信することで地方の活性化を図っていくというようなことでやってきたわけでございますが、そのリンースセンターの目的は一体どういうものであったのか、通産省の立場でここでいま一度お尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(土居征夫君) 繊維リソースセンターの目的といいますのは、今御紹介ありましたような前回のビジョンの中で示されておりまして、繊維産業の需要のファッション化への対応、これを急速に推し進めるという観点から、産地を中心といたしました繊維産業の商品企画機能、これを強化していく、さらには繊維産地の情報発信機能を強化を図っていく、こういったことがビジョンでうたわれている目的でございます。 これを受けまして、政府としては繊維工業構造改善臨時措置法を改正いたしまして、新たにこのリソースセンターのための規定を置いております。法律上は繊維工業高度化促進施設ということにしておりますけれども、そこで書いてありますこのセンターの目的につきましては四点ございました。情報収集事業、調査研究事業、人材育成事業、展示交流事業等の繊維産業の高度化を促進するための事業を総合的に行うことを目的とするというふうに規定されてございます。
○野間赳君 そういうことであったんだろうと思いますが、産地の業界の将来をかけたこの中核施設としての繊維リソースセンターでありますが、その運営が実際になかなかのことになっておると私は考えます。 それは、情報を商品化をしていこう、こういうことに私は非常に無理があったのではなかろうかというような気がいたしております。情報を運営収益の柱とする、そういうふうな構想から始まったわけであります。こういうふうな声がたくさん地元では出ておりますが、通産省としてはどのようにお感じになられておるのか、お尋ねをいたしたいと思います、
○政府委員(土居征夫君) この繊維リソースセンター構想につきましては、先ほど申しましたように繊維産地の商品企画機能あるいは情報発信機能の強化のための基盤整備を図るということのためのものでございますので、まず施設建設費について非常に初期投資がかかります。そういう意味で、どのリソースセンターにつきましても、短期的には収益は余り期待できないということで、中長期的に採算をとっていこうという方針になっております。 例えば、今治のリソースセンターにおきましても、事業といたしましてはタオルサンプルの収集とかあるいはタオルフェスティバルの開催などの新商品開発、あるいは需要開拓事業につきまして成果を上げているところでございますけれども、まだ黒字転換はなっておりません。今治の当初の収支計画でも黒字転換は開業後七年以降ということになっておりますし、累積欠損につきましては十四年以降ということになっております。 そういうことで、確かに先生がおっしゃいますように情報の商品化で収益をということではございますけれども、政府といたしましても、こういういわばインフラ整備といった観点もございますので、収益性について第三セクターにしまして、産業基盤整備基金からの出資とかNTTの無利子融資という形で公的な支援を大幅に導入いたしまして、そういった収益の厳しさに対する政府の支援を行っているところでございます。したがって、資金問題につきましても中長期的にその解決を図っていくことが可能ではないかというふうに考えております。 ただ、先生から先ほど来御指摘がありましたようにこれは第三セクター方式でやっております。したがって、国の資金で支援している面と同時に民間セクターがいろいろ資金面とか利用面で支えているところもございます。この民間セクターが最近の構造不況で非常に厳しい状況にあるということがリソースセンターの経営面にも影響を与えているということは事実だというふうに判断しております。
○野間赳君 私の地元、そしてあと二府県で同じようなリソースセンターを建設いたしておるわけでありますが、みんな先ほどからお話しのとおりの運営上の問題を抱えておると私は思っております。これらをどのように指導していかれるのか、今後の対策、そういったものを重ねてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(土居征夫君) これまで開業いたしておりますのは、今お話がありました今治、大阪及び石川の三センターでございます。その事業実績といたしましては、情報収集あるいは提供事業、人材育成事業など積極的な活用が図られておりまして、産地活性化の中核拠点施設としての位置づけということが明確になっているわけでございます。 これは、ことしの六月に新しい新繊維ビジョン中間報告が出まして、それに基づきまして来年度から次の構造改善対策のステップを踏み出すということで、予算要求、法律改正の準備をいたしているところでございます。そこでは、やはりビジョンにありますように、産地のクリエーションというのが非常に大きな政策の柱になっております。そういった意味で、繊維リソースセンターにつきましては産地の中核機関としての活動を一層活発化していかなきゃいけないということから、来年度予算におきまして中小企業施策等の活用も含めて支援措置を検討しているところでございます。
○野間赳君 存立そのものが危ぶまれておるというような状況であると私は考えておりますので、今後ひとつよろしく御指導のほどをお願い申し上げておきたいと存じます。 一方、業界を取り巻いております環境は、先ほど申し上げましたようなことが重なっておるわけでございますが、特に今日の円高でありますから、海外からの輸入攻勢が大変厳しいものがあります。それに呼応いたしまして、地元のタオル産業も中国またベトナム、タイ、そういったところに進出を決定いたしまして、既に昨年来生産がそろそろ始まりつつある、こういうふうな状況であります。 糸の染めから仕上げまで一貫生産の工場でありまして、今日本の賃金の二十分の一から三十分の一ぐらいの状況ではなかろうかというようなことであるわけでございますので、安い豊富な労働力をフル活用して生産を上げておる。でき上がった物は日本、アメリカ、東南アジアへと輸出を展開しつつある、こういうふうな状況であるわけでございます。海外進出をいたしております企業はまあまあ大手の連中であるわけでありまして、先ほどからお話しのとおり中小零細業者が全く取り残されてしまうというような状況になっております。海外進出組が国内の産地を圧迫する、また一万御多分に漏れず空洞化の問題が生じてきつつある、こういうふうな情勢であります。 産地、業界を今後とも活性化していかなきゃならぬと同時に、無秩序な輸入がまた並行してやってくるわけでございまして、原産国表示の徹底を今後どのようにしていくのか、またMFAの問題をどういうふうに考えていくのか、たくさん問題があろうと私は思うわけでございます。こういった問題につきまして、現時点の通産省のお考えがございましたらお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(土居征夫君) 繊維産業の実態につきましては、先ほど御説明しましたような消費の減退あるいは消費者の消費態様の変化という非常に大きな構造の変化が繊維産業に大きな影響を与えております。同時に円高、これが繊維産業の場合には御承知のように輸出一に対して輸入二という入超産業でございまして、輸出の減少あるいは輸入の増加という形でダブルで効いてまいりまして、いわばトリプルパンチの状況で極めて深刻な事態になっております。 その中で、海外展開を行う大企業、中小企業もございますけれども、一方で国内に何とか構造改善をやりながら残っていかなきゃいけないという繊維産業もございまして、こういった国内に残る繊維産業に対しましては、先ほど来御説明いたしておりますように来年度予算あるいは来年度からスタートしようということであります新しい新繊維ビジョンに基づきます構造改善対策、この中で基本的な対策を講じていくことを準備中でございます。 今御指摘がありました輸入問題についての二点でございますが、第一点の原産地表示の問題につきましては、現在、具体的には日本タオル工業組合連合会でございますけれども、タオル業界におきまして、不当景品類及び不当表示防止法に基づきます公正競争規約を締結いたしまして、我が国の業界の中での原産国等の表示を徹底するといったことが業界の中で検討されておるという状況でございまして、これを現在見守りながら必要な指導等を行っていきたいというふうに考えております。 二番目のMFAの問題につきましては、これも本年六月の繊維工業審議会総合部会、産業構造審議会繊維部会の合同会議で策定されました新ビジョンで、発動によって得られます効果とそれによって生ずる問題の度合いを比較考量して、種々の支援策の実効が期待できない場合の手段というふうに位置づけておりまして、現在繊維工業審議会の中に設置いたしました通商問題小委員会において、業界の実態や展望を踏まえながらMFAのあり方を検討しているところでございます。
○野間赳君 繊維ビジョンを実行するために、設備の登録制度を先ほどお話しのとおり廃止をなされたわけでありますが、これにかわる環境整備策、そういうふうなことを私は考えておるわけでございます。早急にそういうふうな対策を講じていただけることができるかどうか、その方策などがございましたらお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(土居征夫君) 平成三年の末に設備登録制度の廃止の方針が決定されまして、その際に、その対応策といたしまして、構造改善あるいは事業転換に積極的に取り組む事業者に対しまして融資制度が創設されております。具体的には中小繊維工業活性化特別貸付制度及び中小繊維工業事業転換等特別貸付制度でございますが、これに基づきまして必要な低利融資を行っているところでございます。 これとあわせまして、産地組合が行います構造改善指導事業への支援を強化してきているところでございます。具体的には、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法に基づきまして、いわゆる繊維産地につきましてもその後対策の強化を図ってきているところでございます。さらに、先ほど来御説明いたしておりますように今回の答申に基づきまして、国内の構造改善対策を産地につきましても法改正、延長あるいは予算の拡充によりまして強化していきたいというふうに考えているところでございます。
○野間赳君 続きまして、経済企画庁にお尋ねをいたします。 経企庁の経済見通しは、関係他省庁、民間機関等の調整を含めてどのように作成しておりますのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(小林惇君) ただいま先生お尋ねの点でございますけれども、経済見通しにつきましては、毎年度の予算編成に合わせまして、経済見通しと経済運営の基本的態度という形で策定しております。 この策定に先立ちましては、当然のことでございますけれども、当年度の経済情勢あるいは翌年度の経済を取り巻く諸情勢を踏まえまして、翌年度に政府がとるべき経済運営の基本的態度と、それからそうした経済運営のもとで実現を見込むことのできる望ましい経済の姿をお示ししようとするものでございます。 策定に先立ちましては、当然のことでございますけれども経済企画庁で原案をつくりまして、これをたたき台にいたしまして関係各省庁間で十分な議論を行い、また民間の有識者の意見なども折節承りつつ、最終的に政府全体として取りまとめを行っているものでございます。
○野間赳君 けさ方からの御質問にも倉田先生初め出ておったのでありますが、景気は底割れをしたという見方が広がっておる中でありますが、今日なおかたくなに、経企庁におかれましては六月下旬に当時の船田元長官が言われました景気底入れ宣言を撤回なされません。各界から、底入れ宣言は経企庁の判断の大きなミスでなかったかという批判もかなり集中をしておると思うのでございますが、このことについての御見解をお尋ねいたしたいのでございます。
○政府委員(土志田征一君) 御指摘のとおり、六月の月例経済報告を閣僚会議で御報告いたした際に、当時の船田長官からおおむね景気は底入れしたのではないかというような御発言があったわけでございます。これは当時、例えば在庫調整がほぼ一巡したのではないか、あるいは企業の業況判断が下げどまったのではないか、マネーサプライが増加に転じた、あるいは株価も当時は二万円台を回復した、こういったような状況を踏まえまして、その時点ではこれ以上悪くならない段階まで達したのではないかというようなそういう判断をお示ししたわけでございます。 しかし、その後、この点は御承知のとおりでございますけれども冷夏、長雨の影響、あるいはさらに急激に進みました円高の進行というようなことで、厳しい情勢が続いているわけでございます。この点については、例月、月例経済報告におきまして判断を順次そのときどきの情勢に合わせて変更してきているところでございます。
○野間赳君 続きまして、これもお話に今出ておったのでございますが、平成四年度の経済見通しによりますと平成三年十二月三・一二、そして一年経過をいたしまして平成四年十二月に一・六という下方修正をなされまして、そして実質〇・八という惨たんたる状況であったわけでございます。 平成五年度の実質GNP成長率についても、政府は平成四年度十二月の段階で三・三の見通しを出されたままでありまして、今日四-六月期の速報を見る限り、この数字は果たして本当に達成ができるのかどうかというぎりぎりのところに来ておると私は思うのでございますが、いかがなものか、重ねてこのことについてお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(小林惇君) 委員お尋ねの点でございますけれども、四-六月期の数字が年率で二%のマイナスということが出たわけでございまして、非常に厳しい結果というふうに受けとめております。五年度の成長率自身、政府が今年一月に決めましたものは三・三というような数字でございまして、大変かけ離れておるようにお感じだと思いますけれども、いましばらくいたしますと七-九月期のQEの数字が出てまいりまして、そこで判断ができるという状況になるものというふうに考えておりまして、その段階で見通しの改定というものも考えてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○野間赳君 先般、日銀の三重野総裁が記者会見において、金融機関の融資の姿勢について談話を出されておられますが、民間金融機関の慎重な貸し出しが景気回復の頭を抑える一因になっておると述べられております。今年度下期の景気の回復はまたずれ込む可能性が非常に強いという見方を示されたものであると感じました。 また、今月の五日に発表されました中小企業金融公庫の七-九の中小企業の動向調査を拝見いたしますと、売り上げについてのことであったわけでございますが、その指数が三六・三という数値でありまして、これは五十九年に調査が始まって以来数値が過去最低というようなことであります。 また、先月末ぐらいの経企庁の景気動向指数その他の発表によりましても、かなり厳しいものをうかがい知るわけでございますが、経済企画庁といたしましてこのように先行きの見えにくい状態、現状をどのように判断をなされ、分析をなされ、また今後どのように推移していくものか、経済見通しについてお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(久保田真苗君) 先生おっしゃいますとおり、日銀総裁の御発言それから景気動向指数等を見ますと、本当に個人消費、設備投資がずっと低迷しておりまして、企業の収益、雇用情勢も依然厳しいわけでございます。景気の現状は、回復への動きが先送りされているという厳しい情勢でございます。私どもといたしましては、先ほど底割れといったようなお言葉もございましたが、まだその底割れというような状況になっているというふうに判断してはおりません。 経済見通しにつきましては、先ほど申し上げましたように七―九を待って、これは大きいいろんな数字が寄りかかっている数字でございまして、そこつな訂正は禁物でございますので、その上でさせていただきたいと思い、また月例報告によりまして、その月その月の景気がどうなっているかという判断は、おのずからこれからも的確にお示ししていくという努力をいたしたいと思っております。もちろん、この四月、九月にいたしました追加経済対策の効果が本格的に出てくるのはこれからでございますので、私どもは精いっぱいの努力をいたしまして、早くにこの景気によい兆候が出てくるということのために頑張っていくつもりでおります。
○野間赳君 七-九の経済指標というのは、大体いつごろ出てまいりますか。
○国務大臣(久保田真苗君) 十二月に入ってすぐ出ると思います。
○野間赳君 円高についてお尋ねをいたします。 円・ドル相場は、ことしの二月初旬に円が急騰、急伸をいたしまして、八月十七日に東京市場で瞬間ベース百円四十銭を記録いたしました。最近、若干ドルが値を戻しておるわけでありますが、依然として円高の基調であることは変わりがございません。 そこで、現在の円レートは、実体経済からいいまして高過ぎると私は率直に感じております。どのような御認識が、お尋ねをいたしたいと思います。また、関連をいたしまして、今回の急激な円高は、輸出に依存をした産業だけではなしに、すそ野の広い産業を通じて直接輸出を行わない産業にまで苦境に陥れておる、現在の景気にさらなる悪影響を多大に与えておると私は思っております、一日も早い適正水準化が必要と考えておりますが、どのような円高是正策を考えておるのか、あわせて経企庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(小林惇君) 委員御指摘のとおり、本年の八月中旬には百円台ということで、百円に迫る水準になったわけでございますけれども、現在は百五円台あるいは百八円台というようなところで推移しておるわけでございます。 御案内のとおり、円高には輸入価格が低下するというようなことでメリットもございますけれども、御指摘のとおり急激な円高は輸出企業の円建ての手取りを減少させ企業収益を圧迫するというようなこと、それからそれら輸出関連企業の業況を通じて国内の一般企業にもマイナスの側面が波及するというようなことがございます。基本的に経営者のマインドにも大きく響く面があるわけでございます。 しかしながら、この為替レートにつきましては、現在の国際経済社会におきましては、各国それぞれ経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移するものということに目標を置いておるわけでございまして、人為的にあるいは政府が一定の水準を示すということは適当でないということになっておるわけでございます。円高の是正策といたしましては、遠い道のりのように見えるかもしれませんけれども、基本的に内需中心の経済運営を徹底していくということに尽きるというふうに考えております。
○野間赳君 為替レートの適正水準ということも各業界、各方面から聞かれるわけであります。私は、率直に実体経済から申しまして、今日では百二十円ぐらいが適正なところでなかろうかと感じておるわけでありますが、通産大臣はそのことをどのようにお感じになられておりますか、ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(熊谷弘君) 委員が御指摘のとおり、円高は若干今小康状態でございますけれども、この為替レートの水準が果たしてファンダメンタルズを反映した適切なものかどうかということになるわけでございますけれども、これはなかなか難しい問題であります。 個人的に幾らがいいかというのはなかなか判断がつかないところでございますけれども、現在の水準が日本経済のファンダメンタルズを反映した適切なものとは到底言えない、過大評価されていると私は思います。購買力平価で見ますと一ドル二百円ではないかという議論もございます。そういう意味で、我々はこの円高の是正というものをやはり政策の方向として考えていかなければならないと思うのでございます。 問題は、ただこれだけの為替レートになった、水準になったという基本的な背景といたしまして、日本の経常収支黒字の累積、それも何か最近起こったかのように時々言う人がいますが、そうじゃなくて一貫してここのところふえ続けてきたわけでございます。しかも、国際会議で歴代のリーダーが国際的にもこうします、ああしますと約束をしたのが全部裏切られてきた、こういう背景があるわけであります。現在の円高のよって起こったのは、いまだに昨年の政府経済見通しというものがやっぱり決定的なものであった、だれが考えても、あの当時私は自民党におりましたけれども、こんなばかなことをしたら大変なことになるぞといって政調会でみんなで議論したわけでございます。したがいまして、あのときのみんなの議論が極めて健全な判断であったなと今思い起こしておるわけでございます。 したがいまして、我々の政策の方向というものは、まず為替レートそのものよりも、この経常収支黒字の是正という方向に向けていかに明確な政策方針を明らかにし、一つ一つの政策判断を下していくかということが重要であろうと考えているところでございます。
○野間赳君 るるお尋ねをいたしてまいりましたが、このような経済状況の中で中小企業の置かれております立場は非常に厳しいのであります。そこで、中小企業の景気対策の全容とその中での本法案の位置づけ、そういったものにつきましてお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(長田英機君) 景気対策への位置づけでございますが、景気対策は昨年の八月、本年の四月に講ぜられまして、さらにまた本年の九月十六日に経済対策が決まったわけでございます。その経済対策の中で、この法案を臨時国会に提出させていただくということを決めたわけでございます。 その九月の中小企業関係景気対策の柱としましては、まず緊急の経営安定を図る、このために、運転資金の特別貸付制度の枠を拡大しましたり要件を緩和したり、あるいは緊急経営支援貸し付けのこれも枠を拡大したり要件を緩和したりして、とにかく倒産するのを防ぐということが第一の点でございます。 それから、それに並ぶものとしまして、現在この不況下でいろいろな構造的な問題が生じてきておりましてそれに直面しておりますが、その構造的問題に直面している中小企業がどうやって活路を見つけていくかということについて対策を講じようということでこの法案を提出させていただいておるわけでございまして、両方相まちまして今回の経済対策を形成しているわけでございます。
○野間赳君 不況の長期化であるわけでありまして、中小企業者が直面をいたしております経営環境はもう極めて厳しいそのものであります。このリストラ法だけでこの事態が打開できるものではない、私はこのように考えておりますが、大臣にその辺につきましてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(熊谷弘君) 私も委員御指摘のとおりだと思います。 もとより、リストラ法案は中小企業のこれからの構造転換の中で生き抜いていく一つの大きな柱ではございますけれども、まず第一に、全体としての内需拡大政策がなされなければ、転換能力を生かすといっても現実には摩擦だけが起こるわけでございますので、適切なマクロ経済運営というのがまず一番大事だろうと思うのでございます。第二に、さはさりながら新しい財政金融だけではようやり切れないわけでございまして、やはり新しいチャンスを生かす、新しい機会をつくり出す、いろいろな障害を取り除くという意味での規制緩和あるいは内外価格差の是正といったミクロの政策が必要だろうと思います。 加えて、中小企業というよりは産業全体としてあるべき産業構造の姿、またかわっていく分野の確定といいますか、新しいビジョンの提示、そのためのさまざまな政策を用意する、こういったマクロ、ミクロ、そしてセミマクロとでも言うような政策を用意いたしまして、そういう中で全体としてスムーズに新しい分野に展開できるような環境をつくっていかなければならない。繰り返すようでございますが、中小企業分野の政策として非常に大事な柱ではございますけれども、これだけですぐ全部が終わりというわけにはいかない、こう考えているところであります。
○野間赳君 最後の質問にさせていただきたいと思いますが、現在の景気の状況、中小企業の抱える問題は先ほど来お話しのとおり極めて多く、厳しいものであります。このような時期でありますだけに、今回のリストラ法は中小企業の活性化を推進すべき大事なものであると私も考えております。そのことでも、この法案はまさに当を得たものであると考えております。 しかし、大切なことは、この法律をどう運用するのか、またどのような指導をしていくのかということにもかかってくると思っております。中小企業のサイドに立った適切な運用と指導を強くお願い申し上げ、最後に大臣より、この法律の運用に当たっての意気込みまた心構え、そういったものについてお伺いをいたしまして、最後にいたしたいと思います。
○国務大臣(熊谷弘君) まさに委員御指摘のとおり、仏つくって魂入れずでは単なる法律になります。私どもは、運用こそがこの法案の目指す道を生かす、運用を適切に行うということが大事だろうと思っております。とりわけ、中小企業でございますから、東京にいて絵をかいているのと違いまして現場ではさまざまな問題が出てまいります。まして、都道府県、市町村の各団体とのまた遠隔操作ということになってまいりますので、よほど腰を据えた取り組みをしていかなければならないと考えているところでございます。 加えて、現下の極めて変化の激しい厳しい状況の中での施策でございます。先ほど来各委員からも御指摘がありましたように、その状況変化を取り入れながら弾力的に機動的に運用を図ってまいる所存でございます。
○委員長(中曽根弘文君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中曽根弘文君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 沓掛哲男君から発言を求められておりますので、これを許します。沓掛君。
○沓掛哲男君 私は、ただいま可決されました特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措置法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本新党・民主改革連合、民社党・スポーツ・国民連合及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 特定中小企業者の新分野進出等による経済の構造的変化への適応の円滑化に関する臨時措遣法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 特定業種の指定については、社会・経済事情の変化に的確に対応しつつ、適切かつ迅速に行うこと。 二 新分野進出又は事業開始に係る法の運用に当たっては、既に当該分野で事業を行っている中小企業者との競争を不必要に激化させ、これら中小企業者に困難を強いることのないよう留意すること。 三 海外における事業の開始又は拡大に係る法の運用に当たっては、国内の関連事業者に悪影響を及ぼすことがないよう留意するとともに、関連事業者の事業の振興についても配慮すること。 四 新分野進出等計画の承認に当たっては、「新たな事業の分野への進出」を幅広く取り上げる等中小企業者の努力を積極的に支援するよう配慮すること。 五 中小企業者の新分野進出等に関する便宜に資するため、新分野進出等に関する情報の積極的な提供に努めること。 六 新分野進出等に当たっては、雇用の安定に配慮するよう指導を行うとともに、雇用安定施策の積極的活用を図ること。 七 中小企業の置かれている厳しい経営環境にかんがみ、中小企業の経営基盤安定のための施策の一層の充実・強化に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(中曽根弘文君) ただいま沓掛君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(中曽根弘文君) 全会一致と認めます。よって、沓掛君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、熊谷通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。熊谷通商産業大臣。
○国務大臣(熊谷弘君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
○委員長(中曽根弘文君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十五分散会 ――――◇―――――