労働委員会 第2号
- 発言数
- 149 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1993/10/29
会議録
○松岡委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野功統さん。
○大野(功)委員 坂口労働大臣御就任以来、恐らく私が初めての質問者であると思います。労働大臣に初めて質問をさせていただくトップバッターであることを、大変光栄に思う次第でございます。 細川内閣は、政治改革ということを看板としてやっておられますけれども、今大臣、日本経済のリーダーである、牽引車の役割を果たしてきました、例えば自動車にしても電機にしてもあるいは通信にしても、具体的に言いますと、NTTにしろ東芝にしろ日産にしろ、大変な希望退職を募っているとか、人員削減の計画を持っているとか、不況下で大変な雇用不安を惹起していることは御存じのとおりであります。日本経済の不況というのはここ三年ばかり続いておりまして、消費を見ましても十八カ月ばかり伸び悩んでおることは御存じのとおりでございます。 この中で、どういうことが原因で雇用不安なり不況なりになっているか。これは言うまでもないことでありますけれども、例えば円高の問題。円高の問題一つとりましても、これは大変なことなんです。日本の企業がどんどん海外へ移転していってしまう、空洞化現象を起こしている。とすれば、これはやはり雇用が削減されていくということとつながっていっているわけであります。一方において、円高の差益が勤労者に還元されないとすれば、勤労者、労働者としては、失業の不安と、生活上何らの恩典に浴さない、こういう状態になってきているわけであります。円高問題あるいは冷夏、長雨の問題、ゼネコン汚職の問題、あるいは中国の経済引き締めの問題、いろいろなことによって日本の景気が悪くなってきております。これはもう当然のことでありまして、この中で、申すまでもないことでありますが、所得税減税という声が大合唱になって起こっているわけであります。 ただ、問題としては、所得税減税と同時に、時差はありますけれども、消費税を上げる、こういう話も内閣、与党あたりから出てきているわけでありますが、この消費税の税率を引き上げるということは、やはり勤労者、働く者にとっては大変なことであることは間違いないわけであります。消費税引き上げ、財源をどこに求めるか、当然我々政治家として考えなければいけないことでありますけれども、一般論として、景気が悪くなれば減税をやる、景気がよくなれば増税をやる、これは経済学のイロハであることは間違いありません。消費税のかわりに、例えば利子に対する課税制度を考え直すとか、あるいは配当課税について考え直すとか、あるいは租税特別措置法、もう大もとに、振り出しに戻して考えていくとか、いろいろなやり方があると思うのであります。この点は、私はやはり、勤労者、一般大衆を考えれば、高齢化社会の税制をどう考えていくか、こういう問題とつながってくるわけであります。景気が悪いということを原因として、我々政治家として考えなければいけないことがいろいろあるわけですね。 そういう状態のもとにお尋ねしたいのでありますが、細川内閣の一員として、坂口労働大臣、政治改革と景気対策と一体どっちが大事なんだ、こうお尋ねしますと、恐らく政治改革も景気対策も両方とも大切だろう、こうお答えになるとは思いますけれども、やはり政治家というのは常に選択なんですよ。どちらを優先させるかという選択に迫られているのが政治家でありますから、これは、どっちが大切だ、労働大臣としてひとつお願い申し上げたい、明確にお答えいただきたいと思うのであります。 それから、もう一つ細川内閣の表看板は規制緩和であります。規制緩和というのはもちろん日本経済にとって大変重要なことでありまして、その限りにおきましては私は大賛成であります。規制緩和をやれば、先ほど申し上げました円高の差益も必ず国民に還元される、これは間違いありません。ただ、雇用問題として考えた場合に、規制緩和をやれば、一時的にではありますけれども、必ず失業が増大してまいります。その点、規制緩和を看板とする細川内閣の一員でございます坂口労働大臣としては、雇用問題を担当する労働大臣としては一体どのように規制緩和をお考えになるのか。大変難しい問題でありますけれども、経済全体としてはやはり規制緩和を進めていく、当然のことであります。ただ雇用問題に限って考えますと、一時的に失業がふえるという問題点を抱えております。その点はどうお考えになるのか、この二点、まずお尋ね申し上げたいと思います。
○坂口国務大臣 きょうは初めて答弁をさせていただくわけでございますが、大野先生に初めて質問をしていただきまして、また大変難しい問題を一番最初にちょうだいをしたわけでございますが、最初の、細川政権の中の一人として、政治改革と経済問題、とりわけその中の雇用の問題、どちらが大事かというお問いでございます。 孝ならんと欲すれば忠ならずという言葉がござ いますけれども、政治改革の問題は、細川政権発足のときにどうしてもやらねばならないこととして掲げたことでございますから、これはやはり一方でどうしてもやり抜かなければならないことでございます。しかしながら、一方におきまして今御指摘のように日本が大変な経済状態に陥りまして、そして労働行政をつかさどりますところの我々にとりましても、雇用の問題が大変な状態になっておりますことも事実でございます。先生に先に、両方どもと言ってはならぬぞ、こうくぎを刺されたわけでございますけれども、まずは車の両輪としてこの二つのことを進めていくというのが今の細川政権に課せられた任務ではないだろうか、そんなふうに思っております。 もう一つ、規制緩和の問題についてでございますが、これも御指摘のとおり、規制緩和を進めますと、たとえ一時的であるにしろ、そのときには雇用不安が起こることは当然でございます。また、規制緩和をすればまた新しい雇用が生まれるという考え方もございますけれども、しかし規制緩和をいたしました直後、それではすぐに新しい雇用が生まれるかといえば、そこにはやはりタイムラグもあるんだろうというふうに思います。 そこで我々といたしましては、規制緩和をこれから大きく進めていくということになれば、それに合わせてこの雇用の問題をこれまた両方相まって進めていかなければならない、大きな問題であるというふうに思っております。とりわけ職業移転、新しい職種にどういうふうにしてつけていくかというようなことにつきまして、企業内のみならず企業外におきましても職業移転というものがよりスムーズにいくような体制、それをバックアップをしていくということをぜひ我々として心がけていかなければならないと考えているところでございます。
○大野(功)委員 二兎を追う者は一兎をも得ずという言葉もありますけれども、いずれも二兎を追うようなお答えでございますが、どうぞ二兎ともとらえていただきますように、御奮聞いただきたいと思います。 そこで、今回の経済情勢をかんがみまして思いますのは、景気循環の問題と、それから日本経済が構造的に変わっていっているのではないか、この構造的な問題、この二つの問題をやはり我々十分考えていかないと今後の日本の雇用の問題を解決できないのではないか、このように思うわけでありますが、景気循環の問題を考える場合に、どうも我々の打つ手が後手後手に回るおそれがあるのではないか。それはなぜかといいますと、考えてみますと、例えば景気判断をする統計資料がかなりおくれて出てくるという傾向があるわけでありまして、しかも各省ばらばらであります。政府で、一本の機関でいろいろな統計をつくっているわけではない。例えば、通関統計であれば大蔵省、工業統計は通産省、農林統計は農林省、有効求人倍数とか失業率は労働省、こういうことでございます。 したがいまして、ここで私はお願いしたいのは、第一には、各省が担当しているいろいろな統計、これは迅速に出してもらわないと、急速に変化する経済状況に即応して適宜適切なる景気対策が打てないのではないか。それからもう一つは、各省が協力してこういう景気判断を下していく資料をつくってもらいたい、この二点でございますが、これは事務局、何かございましたら御発言いただきたいと思います。
○征矢政府委員 統計調査の問題につきまして御指摘ございましたが、私ども、調査いたしましてできるだけ早く公表するように努力はいたしているわけでございますが、御指摘のような問題ございます。物によりまして、調査等で一年近くかかるものもございます。したがいまして、今後これにつきましてはできるだけ早く公表できるように、さらに改善努力をしてまいりたいというふうに考えております。 それから、政府間におきます御指摘のような点でございますが、これは各省それぞれの所管で統計調査等もやっているわけでございますが、そういうものにつきまして、経済見通しその他におきまして、これはできるだけ整合性を持って迅速に対処できるように、これも今後努力すべき課題だというふうに考えているところでございます。
○大野(功)委員 政府間協力していち早く統計ができるように、今何にもその点勉強されていないようでありますけれども、各省間で勉強の機会が早くできて実効があるようにお願い申し上げたいと思います。 今申し上げましたように、現在我々は循環的な問題と構造的な問題、両方考えていかなければならない。まず循環的な問題から考えていきますと、例えば有効求人倍数でありますが、ただいま〇・七ぐらいになっている。失業率も二・五、これは景気の一番悪かったときに比べれば、三・一%に比べれば低いと言われておりますけれども、それでもなお二・五%、しかもこれは社内失業というものをカウントすれば六%ぐらいになるんじゃないか、こう言われているわけでありますね。 景気循環に対する対策、労働政策というのは、労働省大変頑張っていただいておりまして、雇用調整助成金も十分活用されているように聞いております。ただ、雇用調整助成金の活用につきましては、どうも大企業が活用する傾向があって、中小企業の活用が余りないのではないか。これは一体どうしてそういうふうになるのか、もう少し中小企業に活用してもらうためにはどのようにやっていけばいいのか、この点についてお考えがあればお願い申し上げます。
○坂口国務大臣 御指摘のように、ただいま雇用調整助成金を使用していただきます企業がだんだんとふえてきております。一番最近の数字でございますと、業種で二百業種を突破いたしました。そして、九・五%くらいの事業所数でございますから、事業所数で見ますと約一割の事業所がこの雇用調整助成金を使用していただいていることになります。そうした中で、中小零細企業からのお申し込みも次第にふえてはきておりますけれども、御指摘のとおり、数からいきますと、最初のスタートの点では大きい企業の方が多かったということは言えるであろうと思います。しかし、おいおい中小企業の方もふえてきております。 実は、きょう九月の有効求人倍率が出たわけでございますが、〇・六九になりまして、そして完全失業率が二・六%になりました。こういう情勢でございますので、ぜひともひとつ、この雇用調整助成金をもっと中小企業にも申し込んでいただきやすいような形にしなければいけない、申し込みしやすいような状態にもう一歩していこうというので七項目ばかり改正をいたしまして、そしてさらに申し込みのしやすいような状態にしていきたいというふうに思っております。そうしたことで、ぜひ中小企業の皆さん方に御利用をいただきやすいような形に今後も努力をしていきたいというふうに思っております。
○大野(功)委員 次に、循環的問題ではなくて構造的な視点から考えていきたいと思うのであります。 円高をきっかけにして、発言は撤回したようにも見えますけれども、例えば日経連の永野会長の賃下げ論あたりも出てきておるわけであります。これは日本型経営の根幹を揺るがす、つまり、日本型経営というのは雇用関係が非常に安定している、年功序列賃金である、終身雇用である、こういうところから非常に安定した雇用関係で経営が成り立っているということでありまして、賃下げ発言などが出てきますと、どうも日本型の雇用の維持がもう不可能になってきているのではないか、そういう問題。それから、先ほど申し上げましたように産業の空洞化の問題。 しかも、よく考えてみますと、為替レートの関係、魔術だとは思いますけれども、日本の労働者というのは世界の中で一番高い月給をもらっている。ところが、購買力平価で考えますと、恐らく西欧の二分の一くらいの賃金しかもらっていないのではなかろうか。しかも、西欧の労働者に比べれば長時間働く。こういう現象を考えてみますと、一番高い月給をもらっている日本の労働者が、実は 実質的には西欧の三分の一くらいの賃金しかないのじゃなかろうかというようなこともあるわけであります。 こう考えてみますと、経営の合理化というのはどんどん進んでいく、進んでいって、会社は残るけれども勤労者に対して、全部そこにしわ寄せが来るのではなかろうか、こういうことすら考えられるわけであります。それを解決していくには、日本型経営を支えてきた雇用関係を変えていかなければいけないのかなという疑問も出てきているわけであります。したがいまして、例えば年功序列賃金の問題、終身雇用の問題、首切りの問題、フリンジベネフィットの問題、社内教育の問題等、こういう問題が将来出てくるのではないか。今現在は恐らく、定年退職をした人の補充を切り詰めてやっている、あるいは社内失業を抱えている、こういうことでしのいではいると思うのです。 今申し上げましたような経済の厳しい現状を考えますと、日本の将来の雇用関係というのは、これまで日本の経済を支えてきた根幹的なところをもっともっと考え直さなければいけないのではなかろうか、こういうことも考えられるわけでありますけれども、大臣、長期的に考えてこの点はどういうふうにごらんになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 大変大きな問題でございますが、一つは、日本型の年功序列型賃金あるいは終身雇用制、こうした慣習が日本にずっと続いてきたわけでございます。それで、最近我々がいろいろの調査をしてみますと、四十五歳以上ぐらいのところにかなりな動揺がございますし、そしてこの四十五歳から五十五歳、あるいは五十五歳以上ぐらいのところに人余り感と申しますか、そうした感じが企業の中にも出ているわけでございます。今度若い皆さん方の方を見ますと、若い皆さん方の方は、一度就職をされましてもさらにまた次の新しいところにお移りになるという、渡り鳥をされる方がかなりいるというようなことがございまして、自身から選択をされる者、あるいは自分から選択はされないけれどもそうせざるを得ない者含めまして、今までの終身雇用制というのは多少揺らいできているのかなという感じを私たちも持たざるを得ません。年功序列型賃金につきましてもまたしかりでございます。しかし、全体から見ますと、この終身雇用制は基本的には続いていくだろうと考えておりますし、その形態は今後も継続されるものと思っております。多少の変化はありますけれども、基本的には今後も続いていくのではないだろうかと思っております。 そうした日本の雇用制度を中心にしまして、日本の企業はこれからまたさまざまな選択をしていくわけでございますが、これからいろいろの選択をする中で、産業の構造も変化をするのでありましょうし、それに対しましてまた雇用構造も変化をさせなければならないわけでございますから、そうした変化を十分にわきまえられるように、その辺の流動もスムーズにいくように配慮をしながらこれから進むことが、日本のこれからの雇用にとりまして重要なことではないかと思っております。
○大野(功)委員 今世の中の変化というのは、もう我々人間の知恵を絶するような変化が起こっている。これはベルリンの壁が崩れて以来の現象でありまして、まさか自民党も野党になるとは思わなかったのでありますが、野党になってしまった。これ以上の速い速度でいろいろな変化が起こっていくと思うのであります。 その変化の中で、私は一つだけどうしても、同僚委員の方々にもお訴え申し上げたいし、大臣にも聞いていただきたいことは、今まで日本経済を支えてきた、日本の国が繁栄してきたその背景には、個人よりも企業、企業よりも国家が大切だ、こういう考え方があったと思うのですね。また、企業をとってみても、中小企業より大企業が大切だ、あるいは消費者より生産者が大切だ、生活の質よりも製品の質が大切だ、女性よりも男性が大切だ、輸入よりも輸出が大切だ、こういう発想法で戦後の日本経済はどんどん成長をしてきたのでありますが、ここで我々はこの発想法を全部転換して、逆転させていかなきゃいけない、こういう時期に今来ていると思うのであります。 官庁の中では、労働省は一番早くこの逆転を図っているように思えるのであります。それはなぜかといいますと、今申し上げました、女性より男性をというのが男性よりも女性をというように発想法が転換しているのではないか。いち早くパートタイム労働小委員会などもこの委員会に設けて、パート労働問題もきちっと解決をしていく、こういうこともあります。 なかんずく最近は、大変難しいセクハラの分野にまでお入りになっていらっしゃる。ただ私は、この間セクハラの紙を見まして、セクハラの定義みたいなのが書いてありまして、それを読んでみますと、「相手方の意に反した、性的な性質の言動を行い、それに対する対応によって仕事を遂行する上で一定の不利益を与えたり、」云々と書いてありまして、一般の人が読んでよくわからないのですね、こういう文章というのは。せっかく庶民の味方、労働者の味方でやってくれている労働省でありますから、もっとわかりやすい文章で書いていただきたいと思うのでありますが、そういう面では非常に進歩をしている行政府であると私は思っております。これは一々、一々というのは、例えば個人より国家、その発想法を逆転する、こういう問題があるということを私はきょうは追及したかった、これが本体でありますけれども、ちょっと時間がなくなってきましたので、簡単にはしょっていきます。 今の、女性より男性を男性より女性というふうに発想法を逆転させるという問題から入っていきますと、今長期的に見てみまして、日本で一番大変な問題というのは人口の減少であります。もっと子供さんをつくってもらわないと、将来の年金その他が大変危なくなってくる。ところが日本の女性というのは、生産年齢人口で見てみますと、もう五一%の女性の方が働いていらっしゃる。これは世界で二番目なんです。ところが、女性の方が余り職場に進出されますと、今度は家庭におきます児童、子供の教育、あるいは家庭におきます老人の介護、こういう問題がなおざりになってまいりまして、その点が社会コストになってくる。だから、女性が余りにも多く社会に進出することについては、先進国の一部では反省もあるやに聞いておるわけであります。ただ、日本の場合は、女性にとっては、働くこと、子供を育てること、お年寄りを介護することの三つを同時に進行していかなければいけない、大変きつい、厳しい状態であると思います。 一つは、婦人が今五一%と申し上げましたが、もっと職につくことがいいのかどうか。これは介護とか育児とか、それが社会コストになる、そういう全体を考えまして、そういうことをもっと進めていくのがいいのか。五〇%ではなくて、七〇%も八〇%も働いていくのがいいのか、これが第一点。 それから第二点は、今からどうしたって家庭と職業を両立させていかなければいけない。来年は国際家族年だということでありますから、その点は大臣、非常に力を入れてやっていただかないと、短期的な問題ではなくて、将来の日本の国の力、子供をもっとつくっていかないと日本の国の力は出てこないわけでありますから、そういうことも頭に入れながらうんと力を入れていただきたいのであります。 まず第一に、女性がもっと職業につくことについてどう考えるか、第二番目に、家庭との両立についてどういう施策をお持ちになっているか、これを聞かせていただきたいと思います。
○坂口国務大臣 最初の問題でございますが、御指摘になりましたように、労働につかれる女性の皆さん方が非常に多くなってまいりました。そして、労働意欲をお持ちになっている女性の方がふえていることも事実でございます。これをもっとふやした方がいいかどうかという問いでございますけれども、いいかどうかということは別にいたしまして、労働意欲の高まりがございますし、そ してまた、今から数年いたしまして二十一世紀を迎えました場合に、二〇〇〇年から二〇一〇年、この十年の間に十五歳から五十四歳までの間の若年あるいは中年の労働人口が約四百万人も減少をしていくというようなこの状況を踏まえましたときに、労働に対して意欲をお持ちいただいている女性の皆さん方に働いていただける職場をどうしてもつくらなければならない、これはやらねばならないことではないかと思っております。 それからまた、超高齢化社会が来るわけでございますから、その超高齢化社会を支えていきますためには、どういたしましても支える側の、もう少し具体的に言えば、いわゆる保険料を払う側の人数をふやさなければならないわけでございますから、そうした意味からいきましても、女性の皆さん方に日本におきましてはもう少し働いていただけるような職場を拡大していくことが大事ではないかと思っております。 それから、そうはいいますものの、生まれてくる子供の数が少なくなっていくではないかという御指摘でございます。御指摘のとおり、女性から生まれます子供さんの数は平均して一・五〇ということになったわけでありますから、これがさらに減っていくということになりますと、それこそ超高齢化社会がさらにまた輪をかけまして悪循環を繰り返すことになるわけでございますので、女性の皆さんに働いていただきやすい職場をつくりますと同時に、お子さんを育ててもらいやすい環境もまたつくっていかなければならない。だから、二つのことを同時に可能にして進行をしなければならないわけであります。お子さんを生み、育てやすい環境と、そして女性の皆さんに働いていただきやすい環境と、両方とも整備をしていくことが、これから二十一世紀初頭の日本の労働行政の中で非常に大きな仕事ではないかと私は思っております。 そうした意味で、育児休業の問題、介護休業の問題等もございますし、そうした問題も踏まえまして、一つの企業あるいは一つの個人だけが痛みを感じるのではなくて、お互いが痛みを分かち合うような形でこれを乗り切っていくことが大事ではないかというふうに思っております。
○大野(功)委員 今の長期的な質問でありますけれども、循環的に考えますと、ことしの女子新規学卒者の就職状況というのは大変絶望的なものがあるわけでありまして、短期的な問題としても考えていかなければいけない、しかし長期的にも考えていかなければいけない、両面でもっと女性の労働ということを考えていかなければいけない時期じゃないかと思います。 それで、時間でございますのでもう一問だけで終わらせていただきますけれども、先ほど私は、日本経済というのは個人より会社を大切にして発展してきた、この発想法を全く逆転させなければいけない、会社より個人の方が大切なんだ、こういうふうな発想法で今後やっていかなければいけない、こういうことを申し上げたわけであります。 さらにそれを敷衍しますと、今までは協調性、会社の中でもどういう人が出世するかといいますと、協調性のある人が出世する。役所なんかはどうかわかりませんが、そういうことだったのでありますが、それではもう日本の経済は限界に達している。やはり今から協調性よりも独創性を持ってやっていかないと、日本の経済というのはもう限界に来ているのだろう。こういう意味で、私は、やはり個人の持つ尊厳というものをもっともっと大切にしてもらえないかと思うわけであります。 それはどういうことかといいますと、税金の問題でもそうでありますし、例えば社内旅行でも、三泊四日を四泊五日というふうに税制上の優遇措置を直してきている。会社人間をどんどんつくるということになるのですね、協調人間をどんどんつくるということになるのです。さらに、例えばフリンジベネフィットで申し上げますと、社宅の問題とか、それから社内のスポーツ施設の問題とか、いろいろな問題が出てくるわけでありますけれども、そういうことに税の優遇措置を与えるよりも、例えば自己を磨くということにもっと税の優遇措置を与えていかなければいけないのじゃないか、それが将来の日本を再活性化させていく唯一の道ではないか、このように思っているものであります。 大臣は、人間と個人と会社の関係についてどうお考えなのか。さらに、もし私が申し上げるように個人の方が大切だとすれば、通勤手当とかそれから社宅とかあるいは社内旅行とかそういう問題に力を入れるよりも、もっともっと個人個人の教育訓練に対して政府としていろいろな措置を考えていくべきとお考えなのかどうか。この二点をお尋ね申し上げまして、私の質問を終わります。
○坂口国務大臣 先生の御指摘になりました、個人をより大切にというその基本的なお考えにつきましては、私も全く同感でございまして、大筋におきまして先生の御指摘のとおりだと私も思っております一人でございます。 ただ、会社におきます慰安旅行等の税制の問題でございますとかそうした具体的な問題になりました場合には、それはそれでまた全体としての企業における意味もあるのではないかというふうに思っておる次第でございまして、具体的な問題につきましてはいろいろ議論も多かろうというふうに思いますので、これからまたいろいろと御指導をいただければというふうに思っております。 ただ、基本として、個人をより大切にしていくという先生の御指摘につきましては、私も先生の御指摘のとおりだというふうに思っておることを申し上げて、お答えにさせていただきたいと存じます。
○大野(功)委員 ありがとうございました。
○松岡委員長 長勢甚遠さん。
○長勢委員 坂口大臣には、御就任以来大変積極的に労働行政にお取り組みいただいておりますことに敬意を表したいと思います。 早速、就任のとき、単純労働者問題について、受け入れの拡大といったことまで御発言になって、この発言については、参議院等の御論議の中で、これから慎重に考えたいという、従来の自民党内閣の方針と変わらないというようなことをおっしゃっておられると聞いておりますので、そのことは了解したいと思いますが、ただ、新聞等で御発言の内容、おっしゃっている中で少し私が気になりましたのは、国際的に見て必要な人だけを採るというのでは問題点として残るということをこの労働者受け入れ問題の一つの視点としてお持ちのようでございますが、日本は先般の改正等によって専門技術者、技能者の受け入れについては世界で最もオープンな国であると私は認識をしておるのでございますが、その認識は、大臣、私と違わないでしょうか。
○坂口国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。 外国人労働者の問題につきまして私が発言をさせていただきましたのは、日本にとりましてそのことがメリットがある、あるいはデメリットがある、そうした立場だけでこの問題を考えてはいけないのではないか、もう一つ、国際貢献という立場でこの外国人労働者の問題も考えていかなければならないのではないか、そういった立場から実は発言をさせていただいたわけでございます。 参議院の本会議でもそういう御質問がございまして、お答えをさせていただいたところでございますが、自民党の方で、私の前大臣のときに技能実習制度をつくっていただきました。この技能実習制度を、立派な制度でございますので、この制度をさらに将来充実をさせていくということで、私が思っております趣旨というものは十分に生かされるものだというふうに思っております。
○長勢委員 今お聞きいたしましたのは、日本は世界で最も技能者、専門技術者についての労働市場をオープンにしている国であると私は認識をしておるのですが、その認識は一致しておるでしょうか、この点をお聞きしたかったわけでありますが、お願いします。
○坂口国務大臣 それは一致しておるというふうに申し上げてよろしいかと存じます。
○長勢委員 将来的に、この問題は日本が取り組 まなければならない大きな問題であります。ただ、私ども自民党は、外国人問題に関してわざわざ特別のプロジェクトチームをつくって、もう長年月をかけてあらゆる角度から検討し、今検討を続けておるわけでございますが、そういう議論の中でいつも私自身が感じてまいりましたことは、景気が大変いいときには、とにかく外国人をどんどん入れろ入れるという大合唱が起こる。また、最近景気が悪くなりまして、外国人問題が起きている中で、もうこういうのを早く出してくれという意見まで出てくる。こういうふうに、これは政治の風潮でありますが、ムードによってどんどん議論が進められる。そういう中で、この大臣発言というものも国内外に大変な影響を与えたわけでございますが、こういう風潮は私は大変よくないと思うのですね。これから、景気の問題もありますが、長期的には、労働力問題、労働力人口の問題が大変我が国にとって大きな問題でありますから、そういう視点に立ってこの問題を議論をしていただきたい、こう思いますし、我々も進めていっておるわけであります。 これからいろいろな面で、大臣もそういう意味で御検討いただくと思いますが、具体的にどういうやり方で検討しようとされておるのか、あれば教えていただきたいと思いますし、それ以上に、この外国人労働者問題について、どういう視点からこの問題を考えようとされているのか。国際貢献という趣旨を今おっしゃいましたけれども、それ以外にもお考えがあるんじゃないか。また、現在の外国人労働問題の一番大きな課題、問題点というものをどういうふうに認識しておいでになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 今さら申し上げるまでもないと思いますが、現在、丸めた数字で約六十万の外国人労働者が日本におみえになる。その中の約三十万人が不法就労者である。丸めた数字でございますけれども、そういう状況が続いておりますことは決して好ましい状態ではないというふうに思っております。 また、今御指摘になりましたように、景気がいいときには多くの皆さん方を雇い入れられたところも、現在のように景気が低迷をしてまいりますとその外国人労働者を解雇をされるというようなことが次々起こりまして、そしていろいろの問題も起こってきている。こういう状況でございますので、これは、先生も御指摘のように、国際貢献、あるいは国際的に見ましても決して好ましいことではないと私も考える一人でございます。そうした意味で、国際貢献という意味からいきましても、もう少しきちっとした外国人を受け入れる体制をつくっていかなければならないのではないかというふうに思っております。 それは、先ほどお話に出ました技能実習制度、こうした制度を十分に御理解をいただいていないところもあるのではないかというふうに思いますので、これから先雇い入れをしていただくようなところにつきましては、そういう制度がありますことも十分ひとつ理解をしていただいて、そうしてその制度を活用をしていただくようにしていきたい。あるいはまた、現在のところ、職種によりましては受け入れられない職種のものもあると思うわけでありますが、そうした職種につきましても、将来はまた考えていかねばならないだろう、そんなふうに思っております。 現在のところ、その技能実習制度を中心にして考えていくということが大事ではないかというふうに思っておりまして、それと、現在三十万に及びます不法就労の皆さん方の問題がありますのを、これをどう解決をしていくのか、ただ取り締まるだけで果たしていいのか、私たちも知恵を絞らなければならない問題だと思っております。
○長勢委員 今、国際貢献の観点からということをおっしゃったわけでありますが、聞きようによっては、外国人の方々を雇ってあげることが国際貢献になるかのごとき受けとめ方をされますと、私はちょっと問題じゃないかと思いますし、その視点はここで十分議論できませんが、そういう意味であれば間違っておると私は思っております。外国とのつき合いという意味での外国人との関係、労働者問題についても考えなければならぬという視点はありますが、国際貢献という表現は誤解を与える、また私が言ったような意味であれば間違いであると私は思っております。 それ以上に、やはり日本の将来的に予想される人手不足時代の労働力市場というものをどう考えるかという脈絡の中で外国人労働者をどう位置づけるかということで考えなければいけないわけで、大臣のお考えの中に人手不足時代の労働力市場というものを、どういう構想の中でこういう話になるのか、ぜひ明確にお答えをいただきたいと思いますし、今技能実習制度のお話をされましたけれども、これは労働者の受け入れの問題ではないわけであります。この制度は単純労働者を受け入れないということを前提にしてつくられておるわけでありますから、これは労働者の受け入れということではなくて、まさに外国の技能あるいは技術を高めてあげる、こういう立場だけの話でありますから、少し誤解があるのじゃないか、こういうふうに私は思いますが、これからの労働力市場についてどういうふうにお考えになっておるかという点を中心に、ひとつ御見解を明確に伺いたいと思います。
○坂口国務大臣 これからの日本におきます労働力がどれだけ不足するかということにつきましては、今早急に結論を出すことはなかなか難しいのではないかと思います。 ただ、労働力人口が減少していくことだけは事実でございまして、先ほど申しましたように、二〇〇〇年から二〇一〇年だけの間をとりましても、十五歳から五十四歳までの間の人が約四百万人減少するわけでございますから、減少するということは事実でございます。しかし、そういう状況がございます中で、一方において、これは産業構造がどのように変化をしていくのかということにもよるだろうと思います。 そうした中で外国の皆さん方をどのように受け入れるかということは、今それを決定することは甚だ難しいことではないかと私は基本的には思っておりますが、そうした考えの上に立ちまして、先ほど申し上げましたようなことを申し上げたわけでございます。確かに、技能実習制度は外国の労働者を日本に長期に受け入れるというわけのものではございません。むしろ、日本でいろいろな技能を身につけていただいて、そして自国に帰っていただいて、それを生かしていただくということが主なことではないかと思いますので、そういう意味では先生の御指摘のとおりであると私も思いますが、しかし、現在許される範囲内で行うとすれば、そういうことではないだろうかと思っております。
○長勢委員 この問題は、これからムードに流されることなく、その場その場でいろいろな話が出るのは国際的にも大変まずいことだと思っております。 大臣、我々自民党は、一生懸命努力をして、昨年の七月に一つの提言をさせていただいて、そしてそれを踏まえて、今年度予算についてはこの問題に大いに取り組めるような体制も整備をする努力をしてきたわけでございます。この自民党の提言について、お読みいただいているかどうかわかりませんが、お読みいただいておるとすればどのように評価をされておられるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 まことに不勉強で申しわけございませんが、今ちょっと勉強させていただいておりませんので、早速勉強させていただきたいと存じます。
○長勢委員 この提言を熟読玩味をしていただければ、いかに自民党の政策が正しいかということが御理解いただけるのではないかと思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。 それで、今不法就労者の問題をお取り上げになりました。これは現実に当面しておる大変大きな問題であります。最近、新聞等で外国人の犯罪の問題が大変取り上げられておるわけです。その中には凶悪犯、麻薬だとか窃盗だとか、そういう問題も大変ふえていることが問題になっております。不法就労の問題は、やはりまず入国管理の問題であると同時に、ルール化をしていくということでいろいろな努力をしてきておるわけですが、こういうことをさらに進めるためにも、また外国人問題を公正に議論するためにも、犯罪というものだけは早急になくする努力をしていかなければならぬと思います。雇用にかかわる犯罪が大変ふえていることがさらに次の問題に派生をしているのじゃないかと思うのであります。この犯罪がどういう状況になっておるか、きょうは警察庁の方、お見えいただいていると思いますが、ひとつ御報告をお願いします。
○黒澤説明員 お答え申し上げます。 外国人労働者にかかわる雇用関係事犯につきましては、主として職業安定法、労働者派遣法などの雇用関係法令違反や入管法違反、不法就労助長罪でございますが、こういったものがございまして、これらの法令を適用いたしておるわけでございます。 本年上半期の検挙状況でございますが、件数にいたしまして三百五十七件、人員にいたしまして四百三十五人を検挙いたしておりまして、平成四年、前年の同時期、すなわち上半期でございますが、比較をいたしまして、件数で二百二十四件、一六八・四%の増、人員で二百七十一人、一六五・二%の増とそれぞれ大幅にふえておる状況がございます。この検挙いたしました人員の中で、ブローカーの検挙は六十四人を数えております。また、暴力団関係者の検挙につきましては二十一人となっております。 最近の事件、検挙を通じて特徴的傾向として見られますことは、ブローカー等が介し、不法就労外国人が首都圏を中心といたしまして全国に拡散する傾向が強まっていることが挙げられようかと思います。今後とも、外国人労働者の就労に介入しまして、職業あっせん、仲介などで暴利を得ているブローカーあるいは暴力団を重点にいたしまして、強力な取り締まりを推進してまいりたいと考えておるところでございます。
○長勢委員 いろいろ努力をしていただいておるわけでありますが、今暴力団その他のこともおっしゃいましたけれども、とにかく日本人が弱みにつけ込んでそういうことをする、そういうことが社会秩序も乱す、また外国人のイメージも悪くするという本当の悪循環になっておるわけであります。また、そういう中で、これは事案がわかりませんけれども、ボランティアを装ってという表現が正しいのかどうかわかりませんが、いろいろな形で行われているというふうに聞こえてまいります。大臣も、こういう問題心配されていると思いますが、ぜひ労働行政でも、これは警察とどういう関係で協力されているのかわかりませんが、雇用の現場に一番近い労働省においても犯罪の問題については厳正に対処していただくことが問題解決に資すると思いますので、ひとつその決意をお聞かせいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 この外国人の不法就労を防止するためには、どういたしましても悪質ブローカーの取り締まりということが大事なことは先ほど御指摘になりましたとおりでございます。今後とも、職業安定法や労働者派遣法の厳正な施行によりまして、悪質ブローカーの排除に努めてまいりたいというふうに思っております。不法就労の問題につきましては、これからもひとつ引き続き関係省庁と綿密な連絡をとりまして、そしてできる限り正常な形になりますようにしていきたいというふうに思っております。 いずれにいたしましても、外国人労働者が日本におきまして働いていただいている、そしてその中でこうした犯罪その他がふえてくるということは大変残念なことでございますので、こういう状態を防止するためにはどうしたらいいかということにつきましても積極的に考えていかなければならないというふうに思っております。
○長勢委員 外国人といっても、もちろん適正に入国され働いておられる方、また入国をして就労が認められておる方々もおられるわけでございますが、その中で大きな問題になったり、ウエートを持っておるのは日系人の方々であります。景気が大変悪くなってこの方々が失業の危険にさらされておるといったようなことも大変心配されることでありますし、片一方で、特に農林業、水産加工業等の分野ではいわゆる今の中でもなかなか人が確保できない、そういう中で不法就労に頼っておったといったような事案も聞くわけであります。しかし、こういうところは、やはり不法就労はどんどん摘発すると同時に、適正な人手確保ができるように、そういう団体、企業に知恵を出すような協議組織をつくるとかそういう例もあるようでありますから、そういう指導をしていただきたいと思います。 特に、日系人の方々が大変そういうことで今後の雇用について心配をされているとすれば、労働省の方でもいろいろセンターをつくって紹介体制等を強化をされておるようでありますが、人手が足りないといって困っておる、また特に従来不法就労に頼っておったようなところについてより広域的に紹介体制をするとか、そこで協議組織をつくらせて安定機関と連携をとるとか、もう少しこの日系人の方々の問題は、まあ日本人、我々自身も大変、日本人の方々が一番大事といったら大事ですけれども、国際的にも問題になることですから、私が申し上げましたようなことも含めて強化をしていただきたい、このように思いますが、局長、御答弁をいただければ。
○七瀬政府委員 ただいま先生からお話がございましたが、南米諸国から約十五万人の日系人の方々が日本で仕事をされておりまして、最近の景気低迷の中で解雇などの事例も出てきております。 先般労働省で五百の事業所につきましてヒアリングをいたしましたけれども、雇用調整を行った事業所の割合は六%となっておりまして、数字的には必ずしも日系人だけにしわ寄せがいっているということではございませんし、御指摘のとおり、日系人を雇用している事業所の多くが人手不足に悩んでいるというようなこともその数字に反映していると思います。また、日系人の方々が遠く祖国から日本に来ている、そういう状況を十分配慮して事業主の方々が対応しておられるということもあるのではなかろうかと思っております。 ただ、今後の問題につきましては、十分警戒感を持って対応をしていくべきでございましょうし、サービスセンターの機能を充実すること、それから御指摘がございました協議会を活用するというようなお知恵もおかりしながら適切に対応してまいりたいと思っております。
○長勢委員 これは日系人の方々もいわゆる広域紹介体制に組み込まれておるのか、そういう意味で日本の求職者と同じように扱われておるのか、そこは教えていただきたいのですが。
○七瀬政府委員 日系人の方々、言葉の問題その他もございますので、日系人雇用サービスセンターを中心にやってはおりますけれども、私ども基本的な考え方としては、全国の公共職業安定所の機能も一緒になって活用して、これらの方々のお役に立ちたいというふうに考えているところでございます。
○長勢委員 日系人の方々の情報網も、彼らなりに持っておるといううわさも聞きますが、ぜひ公的機関でも広域的な対応ができるように御努力をいただきたいと思います。 次の質問に移りますが、昨年来、いわゆる病院の付き添いなどに働いておられた家政婦さん方が、とにかく職場が減少しておる、わかりやすい言葉で言うと締め出されておるということで、大変困っておる、こういう話をたくさん聞くのでございますが、これは今どういう状況になっておるのか、また、それがどういうことでこういうことが起きておるのか、経緯なり事実をひとつ、厚生省さんお見えいただいておると思いますが、教えていただきたいと思います。
○篠崎説明員 御質問のお答えでございますが、看護、介護のサービスにつきましては、私ども従来から医療機関の適切な管理体制のもとに医療機 関の看護スタッフとして一体的にそういうサービスが提供されることが望ましいという考えを持ってまいりまして、看護スタッフの充実のための措置を講じてきたところでございます。付添看護につきましては、このような観点から、その院内化をできるだけ進めてまいりたいと考えておりまして、平成四年四月の診療報酬改定におきましても、基準看護の重点的な評価などの措置を講じたところでございます。こういうことでございますので、その院内化を推進していく過程におきまして適応することが難しい付添婦さんがいるということも承知をいたしておりますけれども、院内化の推進についてできるだけ関係者の御理解を得ながら円滑にこれが進むように努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○長勢委員 職場が大変締め出されて、表現が間違ったら許してもらいたいのですが、いずれにしても少なくなって、働く件数が少なくなっておるというふうに聞かされておりますが、どういう現状になっておるか、労働省さんの方ですかね、事実を教えていただきたいと思います。どれくらい減っているのか、実際私聞かされているのですが、実態はどうなっていますか。
○七瀬政府委員 平成四年十一月の調査によりますと、平成三年に比較いたしまして、その日その日あるいは短期間に働いていただく、そういう形の家政婦さんの求人で二四・一%減少しております。また、これについては地域によってかなりばらつきもございます。また、今年度に入りましてさらに厳しい状況にあるという認識を持っておりますが、この求人減の要因といたしましては、病院における付添介護の求人減が大きな要因となっているということは言えようかと思っております。
○長勢委員 今のお話ですと、四分の一職場が減った、こういうふうに私は理解をするわけでありますが、厚生省さんの御認識も、現状についての認識はそのとおりでしょうか。
○篠崎説明員 数字の上では、私どもは付添看護の支払いの件数の方から見てみます限りにおきましては、まだ平成四年度の数字は出ておりませんが、平成元年、平成二年、平成三年とその数は、支払いの件数はふえておるわけでございます。 ただいまのお答えと関係をするかもしれませんが、私どもといたしましては、付添さんが患者さんとの一対一のこういう自由契約ではなくて病院との契約によって、つまり院内化を進めていただければというふうに感じておるわけでございます。
○長勢委員 厚生省さん、労働省さん、問題のとらえ方の方向が違うものですから、数字をすり合わせる余裕が私今時間的にないんでございますが、いずれにしてもこれから特に老人看護とか介護というものが大変重要になってまいりますし、そういう中で保健を守っていくという観点、また良質の医療を提供するという観点も大事ですし、同時にやはりメンタルな意味で患者さんが、従来の家政婦さんがやっておられたようなサービスといったようなもののニーズも大変強いと思うんです。 このバランスをどうとっていくかということが大変難しいのと、またもう一つは、労働力政策として考えても、厚生省さんがお考えになっておったようなことが人の面の確保、人手の確保ということで具体的に現実的に実行できるものでなければ、その目標が正しくても実行不能ということでは意味がないわけでありますから、そういう観点から従来の家政婦さん、またそれをやっておられる業者の方々というものを活用していくということも当然あってしかるべきではないかな、これは素人目に思うのでございますが、そういう観点から、これからの人手確保、良質の医療を確保していくための人手の確保ということについて、厚生省さん、何か今後の方向づけがあるんでしょうか。
○篠崎説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、付添看護の院内化の方向というのは、付添婦の方々が医療機関と契約を結んでいただいて医療機関のスタッフとして介護や看護の補助業務に当たっていただける、そういう形態を包含するものでもございますので、こうした形で付添婦の方々がその経験を生かしていただけるのではないかと思っております。したがって、御指摘のように大変貴重な人材の活用という観点から、付添婦の方々が医療機関のスタッフとして大いに活躍をしていただきたい、そのように御期待申し上げているところでございます。
○長勢委員 今の課長さんの御説明、私なりに説明としてよくわかるのでありますし、またそういうことでうまくいけばいいのでありますけれども、現実にはちょっとどこをどうすればどうなるのか、私も今明確な結論を持っているわけではありませんが、現実に今まで働いておいでになった家政婦さんが大変お困りになっているという事実が起きていることは間違いがないところだろう、私はこう思っておるわけであります。 ぜひ労働大臣、家政婦さん方、今までいろいろな御苦労もされてきた方も多いわけでありますし、困っておられることは事実であります。そういう中で厚生省さんの施策も進めてもらわなければならないわけでありますが、どういうやり方がいいのかわかりませんけれども、私じゃまだわからないのでありますが、ひとつ大臣も、四分の一も不景気で職が減っているわけではないわけでありますから、何らかの事情で四分の一減っている。今厚生省さんの御説明ですと院内化ということでございましたが、そのことが結果として職場を失うことになるということが自動的に起こることなのかどうか私にはわかりませんけれども、何らかの形でこの家政婦さんが将来的に心配をしなくても済むように、雇用を守るという立場からお骨折りをひとつぜひいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○坂口国務大臣 家政婦さん方が一生懸命御努力をしておみえになりましたことは、私、この目で見てきた一人でございます。したがいまして、先生が御指摘になりましたように、現在家政婦さん方が大変お困りになっている、そういうお話も十分に実は承っておりまして、労働省にお邪魔いたしましてから大変私も憂慮いたしております問題の一つでございます。担当の人たちと話し合いをいたしておるところでございまして、ぜひ家政婦派遣業の皆さんあるいは家政婦さんの皆さんが今後雇用の面で御心配が要らないような形にするためにはどのようにしていったらいいのか、もう少し総合的にひとつ検討をさせていただきたいというふうに思います。
○長勢委員 最後にさせていただきますが、これから予算編成作業を進められると思いますし、そういう中で高齢者対策が一つの大きな柱だろうと思います。全体的なことについてはこの後も同僚議員から質問があると思いますが、私は、もちろんたくさんの施策を労働省講じておられるわけですけれども、そのうちの一つとして定年退職後の方々の活用、また生きがいという立場からのシルバー人材センターというものに力を入れてきていただいていることに私は敬意を表しております。 しかし、どうもとにかく金がないという時代でございまして、そういう中でこういう方々が今後安心してその事業に参加をしていけるのかどうかということを全国たくさんの方々が心配もされておるわけであります。私は、これはこれからの高齢者社会にとって大変大事な政策だと思いますので、ひとつ大臣、これにはシルバーの方々が心配のないように全力を上げるという決意をぜひ御披瀝をいただきたいとお願いをいたします。
○坂口国務大臣 就任さしていただきまして三カ月でございますが、この間にこのシルバー人材センターについての多くの御質問等が寄せられておりまして、関心を持っております項目の一つでございます。 先生御指摘のとおり、定年退職後における短期的な就業機会を提供する団体として大きな役割を果たしていただいておりますし、また短期的ではなくかなり継続的にお仕事をしていただく、そういう方もあるわけでございますので、その皆さん方のそうした団体に対しまして積極的に育成ある いはまた御支援を申し上げる体制を整えていきたいというふうに思っております。
○長勢委員 どうもありがとうございました。終わります。
○松岡委員長 住博司さん。
○住委員 きょうは労働委員会で初めての質問ということで、私どもの大野理事、そして我が党の労働政策のスターでもあります長勢先輩から今御質問をさせていただきました。その中で私感じましたことは、これは与野党という立場を超えて我々がどうしても取り組まなければならない課題、これがまさに雇用政策であり、そして労働政策全体にわたるものであるということをお互いに認識をしておかなきゃいけない。ですから、立場を超えてきちんとその問題に真正面から取り組んで物を進めていかなければならないんだ、こういうふうに思っているところです。 今長勢議員が最後に高齢者の話もなさいました。私自身は、今よく言われるように二十一世紀になると四人に一人が六十五歳以上の高齢者になるんだ、超高齢化社会だ、こういうふうに言われている。これもほとんどすべての人が認識なさっている我が国の将来像だと私は思います。 人口の高齢化が我が国の社会、政治経済にいかなる影響を与えていくのか。これに対して、有効かつ的確な政策がとれなければ、労働力供給の不均衡と経済成長の停滞、あるいは租税や社会保険料の増加、社会保障に関する費用の支出増大、こうしたことが重なり合って、社会的な不満や不安、そして経済危機が起きかねない、これが言ってみれば高齢化社会危機論ということだと思うのです。つまり、そういうことを考えて、例えば前回の大臣の所信表明の中でも、この問題相当力を入れてやりますよ、来年の法改正も含めて考えていかなければならないところたくさんありますよというようなことをおっしゃったわけです。 さて、しからば具体的に何をするのか。お題目は並べても実効性が上がらなければ何にもならないわけですから、きょうは大変短い時間ですけれども、労働大臣に基本的理念、考え方をお尋ねをしていきたい、こう思っています。 まず年金と雇用についてです。高齢化と出生率の低下が重なって年金財政は厳しくなる、こういうふうにずっと皆さん方聞かされてきた。これは数字の点ですから厚生省の方にお答えを求めますけれども、サラリーマンOBの受け取る厚生年金、支給開始年齢が同じで今の給付水準を維持したとき、保険料率が今後どう変わっていくのか、現在幾らで将来どうなっていくと予想しているのか、その点をお聞きしたいと思います。
○中村説明員 お答え申し上げます。 厚生年金の保険料率でございますが、現在労使折半で合計一四・五%になっております。ただいま厚生年金の方は平成元年に実施されました財政再計算に基づいて運営されておりますが、それによりますと、現在のままの制度、給付設計によりますと、最終保険料率は二〇二五年に三一・五%に達すると見込まれております。なお、その後新しい人口推計ができましたので、その新しい人口推計に基づいて暫定的に試算を行いましたところ、これは平成五年三月に暫定試算を公表させていただいておりますが、それによりますと、厚生年金の支給開始年齢を六十歳のままにいたしますと、最終保険料率は二〇二五年以降三四ないし三五%程度になる、こういうふうに見込んでおります。
○住委員 今のままでは倍になる、こういうことですね、簡単に言えば。年金制度は支えられなくなる、これが話を私どもが承っていることでございます。これに手をこまねいているわけにはまいらない。以前にも年金の支給開始年齢の問題で議論をしました。そして、どうしてもやはり二十一世紀の初頭にかけて段階的に支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き上げていくことは避けられないんじゃないかと思うのですね。だから、年金審議会の中でも、その中でいろいろな方法を踏まえて答申があったやに私は覚えております。 もちろん、これは雇用政策との絡みで重要な問題ですから、労働大臣きちんとお読みになっている、こう思うのですけれども、例えば、まず厚生省にお伺いしますけれども、弾力的措置というのがありましたね、二つ。これについては今答えられる部分はないかもしれないけれども、もともと皆さん方が考えていることと大体同じだと思うのですが、今この答申を受けて一体いつの時点でそれをきちんとお示しをするのか。その今の方針を、この時点でわかる範囲でちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
○中村説明員 先生からただいまお話にありましたいわゆる弾力的措置の問題でございますが、この言葉は、この十月十二日に出されました年金審議会の意見書において使われております。 どういう意味かと申しますと、支給開始年齢の問題いろいろございますが、つまるところ、二十一世紀に向けて今後の年金制度を考えますと、二十一世紀に向けて社会経済のあり方全体を問われる中で、年金制度もこれに対応していかなければならない、先生からお話がありましたように、高齢者雇用の推進というのは極めて重要だ、年金制度もそれと連携のとれた制度にしていく、そういった意味で、六十歳代前半期について個々人の方のニーズにこたえられる年金制度も弾力的な仕組みをとるべきだ、こういう御指摘がございます。 いろいろな方式がございますが、年金審議会の意見書の中でも、早期から繰り上げ年金を支給して、早期の支給に応じて一定率の減額を行う、いわば繰り上げ減額方式と呼ばれているものと、六十五歳以降は本格的な年金として設計しますが、六十歳代前半、六十歳から六十四歳については別個の給付、いわゆる別建て方式みたいなもの、二つのことが考えられるじゃないか、その辺を中心に政府案を作成するようにということでございましたので、この年金審議会の意見書の二つの考え方を軸に、現在、利害得失などを検討して具体的な案の作成に努めております。 いつかということでございますが、来年の二月の通常国会には予算関連法案として提出させていただきたいと考えておりますので、一月には、年金審議会、社会保障制度審議会の方に改正案を政府の方から諮問いたしたいと思っておりますので、それに向けて政府案を固めてまいりたいと考えております。
○住委員 この問題は、各政党の会派それぞれ今まで考え方が違っていたのですね。公明党も、支給開始年齢は上げませんよ、給付水準は同じですよ、負担率は上げませんよ、こういうようなやり方で実を言うと選挙で公約をなさってきたやに私は覚えております。社会党の方もそうでした。しかし、今の現実を見るとなかなかそうはいかないんじゃないだろうかと。これは、現実問題としてその問題を避けて通ることはできません。 労働大臣、この問題について今の御見解、そして、雇用の問題と年金、これについてどういう方針で臨んでいかれようとするのか、ぜひその見解をお聞かせいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 年金とそして雇用との関係は非常に関係深い問題でございまして、私も、労働大臣に就任をさせていただきましてから、六十歳代前半の雇用の問題とそして年金の問題とを両方にらみながらいろいろと話し合いもさせていただいてきたところでございます。 住先生御指摘になりましたように、だんだんと高齢化してまいりまして、そして六十歳以上の方の人数がだんだんと多くなってまいりました。詳しい数字を今ちょっと忘れましたけれども、昭和五十年台半ばで五十五歳以上の人の人口と二十一世紀初頭の六十五歳以上の人の人口とは大体パーセントが同じではなかったかというふうに記憶をいたしております。さすれば、十年ずれる形になるわけでございますから、人生八十年の枠組みをつくっていこうと思いますと、やはり当然それに見合ったすべての枠組みをつくらなければならないというふうに思うわけでございます。 そうした意味で、当然のことながら年金の問題が議論になってきているというふうに思っておりますし、年金の問題は厚生大臣の所管でございま すから、私がとやかく申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、しかし、年金を受ける時期とそして雇用の問題とは非常に関係の深い問題でございますので、でき得る限り雇用を六十五歳まで引き上げていくということを、私の立場としてはやらなければならないというふうに思っております。 できるならば、雇用の方が少し先行することの方がよろしいのではないかというふうに思っておるわけでございますが、六十歳定年がようやくにして八〇%、そしてこれからやろうという予定の企業を含めますと九四%ということでございます。これを今度継続雇用、いわゆる勤務延長を六十五歳まで持っていこうということになりますと、これはまた十年ないし十四、五年かかるのではないかというふうに思いますが、できるだけ早くこの六十五歳まで働く意欲のある人には働いていただけるような環境をつくっていきたい、そういうふうに思っております。 ただ、六十歳代は非常に価値観が多様化いたしておりまして、六十歳で私はもういいんだとおっしゃる方もあるわけでございますので、強制するわけにはまいりません。働く意欲のある人に対しては働いていただける環境をつくり上げていくというのが労働省の立場ではないかというふうに思っております。そうした関係の中で、一生懸命六十五歳までの勤務延長を頑張りたいというふうに思っております。
○住委員 今大臣からその御決意を聞いて、本当にその政策をきちんと進めていくことが大事だ。どうぞ年金の問題は、これは立場があるからなんてことを言わないで、厚生省が今考えておられる、各政党の立場もあるかもしれませんけれども、むしろ労働大臣としてきちんと将来を見据えて調整役を果たして、ぜひともその将来の姿がきちんとできるように、むしろその推進役になるぐらいの覚悟でこれは臨んでいただきたい、こう思っているところです。 今大臣がその中で、六十五歳までぐらいは働ける意欲のある人はどんどん働いてもらえるような環境づくりをしたい、これがまさにこれからの高齢者雇用行政の最も大きな要点になると思うのです。きょうは幾つか質問を予定してきたのですけれども、またいずれそういう機会があると思います。 その前に一つだけ聞きたいことがあるのですけれども、例えば坂口労働大臣はよく労働衛生の専門家だ、こういうふうにお伺いするわけですね。年齢によって仕事の、何というのですか、意欲とか能力というのはやはり変わっていくと思うのですね。定年というのは一律に決めるものじゃないのかもしれませんけれども、やはりそうだ。しかも、長い間働いできますと、その周りの環境が随分変化してくる。特に今技術革新の時代になってくる。今まではどうしても人間が機械に合わせるみたいなことがあったように思うのですね。しかし、これからは機械を人間に合わせるみたいなことも考えていいだろうし、もっと途中で再教育というのを考えていくような方法、職業訓練のやり方とか能力開発のやり方というのは今までとやはり発想を変えてもらわなければいけないのではないかな、こんなふうに思うのです。 ちょっと大まかになりましたけれども、つまり、環境の変化に応じて高齢者の方々が、まさに働く意欲のある方々がきちんと働けるようにするために行政としてやらなければいけないこと、たくさんあると思います。そのことをかいつまんで、決意も含めて聞かせていただきたいと思います。私の質問はこれで終わらせていただきますので、その決意を聞かせてください。
○坂口国務大臣 まさしく御指摘のとおりだというふうに思います。 一つは、高齢者に対する職業訓練、だんだんと機能も低下するわけでございますので、それに見合った新しい訓練といったものもしていかなきゃならないだろうというふうに思いますので、それは今まで以上にひとつ活発に行えるようにしなければならないというふうに思っております。 それから、あわせまして、これも今御指摘になりましたように、人それぞれ機能低下の度合いは違うわけでございますので、いわゆる人間工学的なという言葉がございますけれども、ひとつ人間に機械を合わせまして、そして二人三脚で、そして一人としての人間の仕事が十分にできるような体制をつくり上げていく、そうしたことがこれから要求されるのではないかというふうに思っております。障害者の皆さんの間にはそうした行き方ができ上がっているわけでございますから、高齢者の皆さん方の間におきましても、そうした人間工学的な問題が加味されまして、そしてよりよく働いていただく場所をつくり上げていくということが大事ではないかというふうに思っております。 そうしたことをやり遂げながら、六十五歳まで働く意欲のある人に働いていただく環境をつくり上げていく、不断の努力を続けていくということが労働省に課せられた任務であるというふうに自覚をいたしております。
○住委員 ありがとうございました。
○松岡委員長 寺前巖さん。
○寺前委員 聞きたいことは山ほどあるのですが、時間が何しろ三十分でございますので、重点的に聞かせていただきたいと思います。 この間、坂口労働大臣から所信を聞かせていただきました。第一番目に、雇用情勢についても厳しい状況が引き続いて起こっている、一層注意すべき状況だ、そういうことから、具体的には雇用調整助成金の活用によって企業の雇用維持の努力をやっていきたい、そういう趣旨の御発言でした。 十月十七日の公明新聞に、一面トップに大臣のインタビューをしておられます。それを見ますと、失業不安時代を乗り切る、そのためには雇用調整助成金を充実する必要があるという角度からのお話が全面的に載っていました。 そこで、私は、これをめぐってお聞きをしたいのですが、実は大阪に三洋電機というのがございます。その下請の工場に三立電機というのがございまして、AV事業部の事実上の一生産ラインである。その徳島工場で、十月末でですか、全員解雇という問題が出てきているわけなんです。聞いてみたら、四月から六月ごろでしたでしょうか、雇用調整助成金が支給されている工場なんです。雇用調整助成金というのは、ずっと引き続き雇用ができるようにという立場からお金を出して面倒を見てきている。中小企業と大企業の支給の仕方は違うけれども、面倒を見てきている。 こういう経過からなってきているときに、つぶされてしまうといったら、一時的に使われただけだということになるならば、この運営の仕方というのは問題だなと思う、それが親会社である三洋電機そのものがつぶさないということで面倒を見なかったならば、事実上の三洋電機の下請系列下にあるのですから。それで聞いてみたら、おたくの方の局長さんのところまで現場の労働者は陳情に行ったということが新聞にも出ておりましたから、これはもう気がかりで大変だったのだろうと思いますけれども、この三立電機の首切りだという問題に対してどういうふうに今日まで対応してこられたのか、まず御説明をいただきたいと思います。
○七瀬政府委員 三立電機は、昭和四十二年に徳島工場を設置いたしまして、同工場でただいま御指摘のあった企業の関連企業として、CDラジカセなどを製造してきたわけでございますが、現下の経済情勢のもとで、元請会社の発注停止による工場閉鎖問題をめぐって関係者間の話し合いが行われているというふうに承知いたしております。 これまで、徳島県や本社の所在地である大阪府の担当課を通じまして、同社及び元請企業から事情を聴取するとともに、徳島工場の従業員の雇用の確保について十分な配慮を行うようにいろいろ申し上げてきたところでございますが、労働省におきましても、直接元請企業に対して事情をお聞きするとか、申し上げることをいろいろ申し上げるというようなことをやってきたところでございます。 これらのことを踏まえまして、現在徳島工場従業員の雇用の場の確保のための真摯な話し合いが労使間で行われているということでございますので、その結論を待った上で、行政としてどういう対応があり得るのか、そういったことを検討してまいりたいと考えているところでございます。
○寺前委員 この工場の問題は、関連従業員が約五百人で、現在では従業員百六十八名のCDラジカセ組み立て工場でありますけれども、十月末で発注を打ち切るということが発表されたわけですね。ですから、今はもう十月末なんですから、非常に考えさせられる段階になってきているわけですね。 ところが、この三洋電機というのは何をやっているんだろうかと見たら、海外の生産拠点からオーディオ製品の逆輸入を昨年の五十万台から七十五万台へと五割も拡大している。カラーテレビの輸入も五十万台へと拡大している。そして、二十六年間も一社専属の下請工場に対して閉鎖をするというのですから、自分のところの利益のためだったら海外へどんどん出ていって、そしてつくったものを日本へ持ってくる、それで日本の労働者は、おまえのところは賃金が高いさかいにもうつぶすで、これでは日本の労働者としてたまった話じゃないと思うのですね。 だから労働大臣、あそこまで雇用調整助成金をしてでも雇用不安をなくそうとおっしゃるんだったら、それこそ三洋電機の社長にでも直接、ちょっと待てよ、おまえのところのやっているやり方というのはおれたちにとっては極めて迷惑だ、きちんと責任を持ってくれよということを、大臣、それこそ乗り出しても、さすがだと言われるようにやられて当然じゃないだろうか。私は気がかりでならないわけなんで、ひとつ大臣、やってくれますか、そういうふうに。
○坂口国務大臣 個別の案件でございますので、私も寺前先生が御質問いただくこの要旨を拝見させていただきますまで実は存じませんでした。それで、御質問いただくということで私も資料を拝見させていただいたところでございます。 今御指摘をいただきましたように、雇用調整助成金というのは、継続をしてこれから頑張っていく企業に対して出そうというものであることだけはもう間違いがないわけでございまして、しかし、そうは申しましても、頑張ろうと思っておりましても頑張り切れなかったというのも中には出るかもしれません。しかし、この企業の場合にはどういう状況にあるのかということを私も初めて知らせていただきましたので、とにかくよく調査させていただきます。寺前先生の御趣旨を踏まえてよく調査をさせていただきたいと存じます。
○寺前委員 趣旨を踏んまえて調査をするというのですから、調査をしていただいたらいいですよ。通産大臣も直接話をするということも言っておられるようですから、私は直接知りませんが、委員会で何かそんなことをおっしゃっていたようですから、ひとつ通産大臣とも連絡をとってもらって、本当に必死になって、今雇用不安になっているときであるだけに、またそうやって雇用調整助成金まで出して面倒を見てきただけに、それが生きてくるように、親会社が保証しなかったら困るじゃないかということを私は提起されて当たり前だと思うので、必ずそれはそういう方向で実現をしてほしいということを要望しておきたいと思います。 同時に、この間の労働大臣のあいさつの第三番目のところで、「ゆとりが実感でき、安心して働ける勤労者生活の実現」をやるという問題をお話しになっておられる。 私、京都の中央郵便局に、この間、晩に行きました。一回見てくださいよという話なので見に行ったわけですが、ことしから例の年千八百総労働時間に呼応して郵便局の雇用の形態が、勤務の形態がいろいろ変えられてきているのですね。新しい夜勤制度ができてきておる。どういうことが起こっているのかというと、夕方五時から翌朝の九時まで、二時間の仮眠を挟んで連続十六時間、労働者を拘束している結果になっているという形態ができてきておる。その二時間の仮眠というのは、実際、家にも帰るわけにはいかないのだし、好きなようにしなさいと言われて、それが直接の拘束時間として賃金の対象になるわけではないと言われても、仕事を終わってすぐ寝るわけにはいかないし、一杯飲んで時間におくれたらえらいことになるのだから、結局、事実上、管理されているのと同じことにならなかったら役に立たぬことになる。 そうすると、労働基準法云々の話も、それはそれで検討してもらうことが必要だと思いますけれども、これがゆとりが実感できるというような勤務体系だろうか。民間労働者全体を含めて基準法とか労働法というのは生きてこないといけないわけですが、その一番の、直接国が管理する部門でこんな勤務形態をやらしておいていいんだろうか。これはもう再検討を直ちに、国家機関の中の運営の仕方であるだけにやってもらう必要がある。 労働省として、労働大臣、この問題について御検討あるいは御調査あるいは現場を見られたことがあるのだろうか、ひとつ見解を聞かしてほしいと私は思うのです。
○石岡政府委員 郵便局では、完全週休二日制に相当する四週八休制を実施するため、御指摘のとおり、本年三月から新しい夜勤制度を導入いたしております。この制度は、私どもも調査をいたしました。それによりますと、夕方五時に勤務いたしまして、十一時まで六時間働きます。その後、十一時から一時まで二時間、完全に勤務から解放される時間がとられています。一時からさらに八時間の労働が行われる、こういう形態でございます。 監督署の方にも六件、申告が上がってまいりましたし、労働省もいろいろ基準法に照らして問題がないかどうか調べたところでございますが、労働省としましては、現在のところ、これは基準法などの問題はないというふうに判断をいたしているところでございます。 確かに御指摘のとおり、深夜の二時間、完全に勤務から解放されているとはいいますものの、夕方の五時から翌日の九時近くまでの、始業から就業までの時間が長いというのは事実でございますが、この制度によりまして四週八休制が実現されている、休日がふえているという一面もございまして、御指摘のように、これはゆとりのない、ゆとり実現に適合してない制度ではないかというふうには必ずしも言えないというふうに考えております。 見直しの御指摘もございましたけれども、基準法上、法令違反もないと考えておりますし、この問題につきましては、もし見直すならば郵政省の労使でお話し合いをしていただく性質の問題ではないか、まずかように考えます。
○寺前委員 大臣に聞きたいのですよ。大臣、専門家なのだから、労働衛生については。 それで、現場へ行ってみたら、私も思いました、何日目かにまたこれが回ってくるということになったら、これは健康上ゆゆしき問題になるな。それから、家庭の姿もこれまた変わってくるだろう、大変なことになるな。こんなものでゆとりが実感できるだろうか。 だから、法律なんというのは後からできるものだから、法律が実態に合わなかったらまた直していかなければならぬという問題であって、労働基準法上の問題は横にさておくと私はこう言っているんだ。それじゃなくして、こういう勤務形態を国家機関の中でやっていて、国家の労働者に対する模範的な対応になっているだろうか。これは直接大臣としても見ていただいて、そして検討していただく必要があるんじゃないだろうか。だから私は大臣に問題を提起しているわけです。いかがですか。
○坂口国務大臣 今局長からお話を申し上げたとおりでありまして、法律上は問題がないということでございます。 新しい週四十時間の勤務体系をいよいよ来年の四月から取り入れるということで、さまざまな試みが各地域で行われているのであろうというふう に思います。その一環ではないかというふうに思いますが、勤務によりましてはそうした一般の勤務とは多少違った勤務体系になるところもあろうかと思います。 これも今回私初めて聞かせていただきましたので、省内でよく意見を聴取して、聞かせていただきたいというふうに思います。
○寺前委員 参議院でことしの六月一日、村上国務大臣がこういうことを言っていますね。「時短というのはただ時間のつじつま合わせをやるというのが時短だというふうには私どもはとるべきではない。」云々と、こう言われて、「実態がどう実際なっているのか調査をさせますし、それからまた折があれば郵政大臣に、もしそういう実態ということになれば申し上げておきます。」というふうに前の労働大臣も言っておられるわけですね。これはもう何カ月か前の話です。 ですから、新しい大臣に就任されたのですから、この際に、今も省内でよく意見を聞いてというお話がございましたので、労働大臣自身にも、この面でも直接調査をしていただいて、改善方をあえてもう一度要望したいと思いますが、よろしゅうございますか。
○坂口国務大臣 先ほど申しましたように、何はともあれ省内で一度よく検討させていただきたいと思います。
○寺前委員 時間の都合がございますので、せっかくの機会ですのでさらに話を進めたいと思います。 「健康で快適な職場づくり」というのが所信のごあいさつの中にもございました。そこで、私のところに持ち込まれている問題として、手話通訳の健康問題と頸肩腕障害に対する労災認定問題について聞きたいと思います。 政府は、ことしの三月、国際障害者年の十年の実績に立って、今後十年の政府が実施すべき施策をまとめた「障害者対策に関する新長期計画-全員参加の社会づくりをめざしてこという内容のものを発表しておられます。障害者対策推進本部というのですから、内閣総理大臣を本部長として、そこには労働事務次官も本部員として参加してつくられたものです。 それを読むと、その中に、「手話通訳者に多発している頸肩腕の障害に対する対策を講ずる。」というのが出てくるわけです。手話通訳者に頸肩腕が多発しているのかなということを私もあえて感じておったところに問題が持ち込まれたから、そこでその原因は一体何で多発するようなことになってきているのか、厚生省、お見えでしたら御説明をいただきたいと思います。
○冨岡説明員 御説明申し上げます。 関係団体が実施いたしました調査によりますと、手話通訳を行っている人の中に肩や首、腕がだるくなるといった症状を訴える方が出ておられるという報告がございます。 この点につきましては、実は因果関係につきましては専門的にもう少し検討される必要があるものと思っておりますが、実際にやっておられる方また団体の方のお話によりますと、長時間継続してやるとか、それから一人の方に忙しいときに集中したりするということによってそういうことが出てくるということがあるというふうにも聞いております。
○寺前委員 私がちょっとこの問題を持ち込まれてから調べてみたのですよ。これは単純比較もいいのかどうかはあるかと思いますが、労働省が九大産業、八千事業所、約一万五千人について「労働者の健康状況の実態」という調査をおやりになった資料があるのです。それと、全国手話通訳問題研究会が一九九一年十月に「日本の手話通訳者の実態と健康について」という全国調査をおやりになった。これをちょっと比較してみたのですよ。 そうすると、例えば「目のかすみ・疲れ」というのが、手話通訳者の場合には八五・六%だ、九大産業の、労働省の場合だったら四二・八%だ。倍あるのですね。「手足のけいれん・しびれ」、手話通訳者は二四・〇%、九大産業を見ると六・〇%。これは四倍もある。「肩・首筋のこりなど」、手話通訳者は八一・五%、九大産業で六二・〇%。これは一・五倍ほどある。「視力低下」、手話通訳は六二%からある、九大産業を見ると二八・二%だ。だから、これは倍以上もあるということになるわけです。こう見ると、手話通訳者というのはなるほど多発をする要因というのはあるなということをこの結果から見ても言えるのではないだろうか。 一九九一年、東京で開かれた第十一回の世界ろう者会議でも、「手話通訳者は、通訳時に手、腕、肩を繰り返し動かすためにさまざまな種類の炎症、頸肩腕障害を起こす。WFDは、ほとんどの手話通訳者が抱える頸肩腕障害と、この深刻な問題をいかに解決し、あるいは防止するかについて、各国が理解するよう働きかける必要がある。」ということを勧告しておりました。 手話通訳者にこういうような問題が起こってきている、これは対策をするというのは急務ではないだろうか。今もお話がありましたが、少数の人に仕事が集中しているという問題もある、こうおっしゃるわけですから、一体どういう対策を今組まれているのか、これは厚生省になるのですか、御説明いただきたいと思います。
○冨岡説明員 御説明申し上げます。 少数の手話通訳を行う人に業務が集中し、その負担が過重となることのないよう、厚生省におきましては、手話通訳を行う人の養成、それから技術の向上のためにいろいろな対策を講じでございます。 具体的に申し上げますと、私どもの予算事業の中に、障害者の社会参加を促進するため、コミュニケーションの確保とか障害者の移動対策のためといったさまざまな事業がございますが、そのためのメニュー事業として障害者の明るいくらし促進事業というものを実施いたしております。その中で手話通訳に関しましては、手話奉仕員養成事業、手話奉仕員派遣事業、手話通訳設置事業といった事業をもちまして、手話通訳者の養成、確保に努めているところでございます。
○寺前委員 私は、少数の人に仕事が集中しているという問題が提起されている以上は、そのことに対する直接的な検討をやらなかったら話にならないと思うのです。すなわち、例えば厚生省の委託事業で手話通訳制度調査検討報告書を読むと、聴覚障害者百人に一人を標準としておおむね四千人程度の通訳者を設置するということを考えなければいかぬのじゃないかと、目標まで提起しておられますよ。そういう目標に向かって養成事業を検討しておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○冨岡説明員 御説明申し上げます。 先生のお話にございました、手話通訳制度調査検討報告書によりますと、手話通訳者の設置の数については、設置場所、派遣対象を勘案し、聴覚障害者百人に一人を標準としておおむね四千人程度を目指すべきであろう、こういった提言をちょうだいいたしておりまして、これにつきましては実際の将来の目標といった観点から大変貴重な提言であるものと承知いたしております。 しかしながら、実際、その手話通訳者の設置につきましては、県とか市とかいった地方団体に設置されておるわけでございますが、設置形態とか設置場所といったところが、例えば福祉事務所であったりとか、どこに置くかということでいろいろ多様なものがございまして、全国的一律の目標設定についてはなかなか難しい点もございましたが、いずれにしましても、先ほど御説明申し上げましたように、とにかく手話通訳者の養成、設置といった事業を推進することによりまして、そういった方を着実にふやしてまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
○寺前委員 現在登録している人が五百五人なんでしょう。八倍からのものをやろうと思ったら、計画的に何をやることによってそれを進めることができるのかということをきちんと位置づけてやらないと、そういう提言はなかなか立派なものだと言わぬばかりの話ばかりしておったって始まらないと思うのですね。実行しなかったらいけないというふうに私は指摘をしたいと思うのです。 労働省関係でも、職安に配置されています。坂口労働大臣は一九七四年に社会労働委員会で、私もかつてやっておりましたから、御質問になっていたことを知っておりますけれども、労働省においても職安の窓口でそういう人たちといろいろ相談しなければならないわけです。だから、これは非常に強化をしてもらう必要があると思うのです。 そこで、現在まで手話通訳者の頸肩腕障害に関連して何件の労災申請がなされているのか、認定されたのはそのうち何件なのか、継続中の案件は何件で、これはどのくらいの時間がかかっていまだに結論が出ていないのか、御説明いただきたいと思います。
○石岡政府委員 手話通訳業務に従事する方からの頸肩腕症候群に係る労災請求事案は、これまで六件ございます。そのうち、業務上と認定したものが三件ございます。したがいまして、残りの三件は現在審査中でございますが、そのうちの一つは平成四年二月に請求が出されたものでございます。それから二番目は、平成三年一月に出されたものがございます。三番目には平成二年十月に出されたものがございまして、二年ないし三年審査にかかっている状態でございますが、この症状は業務上のものかどうか認定する際に大変難しい問題がいろいろございまして、医師の判断も仰ぎながら、あるいは事実関係も詳細に調べながら適正を期すために時間をかけているわけでございまして、御理解のほどをいただきたいと思います。
○寺前委員 二年も三年もかけられて、待っている方はたまったものじゃないですよ。だから、ちゃんと労災認定の労災法には迅速な保護と書かれているわけなんだから、そんなに時間をかけられておってはたまらぬ。 そこで、一体、労働省としては何をしたらいいのか。例えばチェーンソーだったらチェーンソーの使用のあり方についてはこうこうこうしなければならないとか、いろいろな作業管理規定みたいなものを持っておられますね。キーパンチャーだったらこうするんだとか、VDT作業のための労働安全衛生法上の指針はこうするんだとか、そういうようなものが一つは準備されているのかどうか。 それから、認定ということになってきたら、認定で時間がかかるというのは、労働基準法の施行規則の別表第一の二の三のところに削岩機はこうこうこうこうと名前を書いて認定するとなっているけれども、こういうふうに長いことかかっているものはその他の項に入っているからいつまでも結論が出ないんだ。これが僕は実態だろうと思う。とすると、そういう内容について早いこと結論づける方向を出してあげなかったらいかぬ。だから、予防の側面と、なった結果に対する敏速なる対応、この二つの対応を早く位置づけてあげる必要がある。だから、そういうことが今検討されているのかどうかというのが質問したい一つです。 それから第二番目に、これは私が持ち込まれたのは、京都上労働基準監督署に出されている岡田記恵子さんという人の話なんです。これは実は京都市の聴覚言語センターの職員の人ですけれども、労働省の職安で仕事をしておられた。今職安のその仕事をしておるところは二人おられる。一人でやったときに、聾唖者から聞き、そしてその聞いた話を今度は聾唖者でない人に話をする、そして今度は聾唖者でない人の話をまた聾唖者に持っていくというふうに往復でやっているのですから、それは大変なんだ。だから、だんだんひどいことになるんだ。一九八七年から実はその職安で仕事をしておったんだけれども、今日までずっとなってきている。後から応援に行かれたところの人がつくづく岡田さんの状態について次のように言っておられる、岡田さんの場合は今二名で担当している仕事をすべて一人で担って、他の相談室職員とも気楽に話ができる状態ではなかった、身体的疲労とあわせて精神的にもかなりの疲れを蓄積していたのではないだろうかと。 少ないということは、そういう状況下に置かれているんだから、だからそういう事情を考えたときに、私は、二年も三年もかかるような、いや、まだ結論が出ていませんでは済まないと思う。特に、主治医は明確にこれは業務起因性疾病であるということをちゃんと書いて出しておられる。僕は、疑わしきものは主治医の、医師の判断を尊重してやるというのが基本的立場でなければならないと思うんだ。だから、第二番目に聞きたいのは、この問題についてのけりを速やかにつけていただきたい。主治医のこの診断を尊重してほしいということを提起したいのですが、この二点についてお答えいただきたいと思います。
○石岡政府委員 キーパンチャー、金銭登録作業者、それからVDTの作業者などにつきましては、作業管理基準を設けまして予防対策に努めているところでございますが、現在実は三カ年計画で頸肩腕症候群の予防対策につきまして専門家の方々に、どうしたらいいか、調査研究を御依頼しているところでございます。今年度末にはまとまりますので、その結果をも見ながら新たな作業管理などにつきましても準備をしてまいりたいと考えております。 それから二番目の御質問でございますが、別表一の二の三項の四号ではなくてその他に入っているから処理が遅いのではないかという御指摘がございましたけれども、それは関係はございません。手話通訳者の頸肩腕症候群の問題につきましても、先ほど言いましたように、六件申請されまして三件は認定しているところでございます。一部おくれているものもございますが、今後それも急ぎまして対処するとともに、おくれていることは本当によくないことでございますから、今後全般的に労災申請の迅速適切な処理のために、いろいろ対策も講じておりますので、努めてまいりたいと思います。 それから三番目に、個別具体的な事案といたしまして、京都の職安の障害者職業相談室にお働きの手話通訳者の方の頸肩腕症候群についてお尋ねがございました。 現在、この件につきましては、京都局から本省の方に稟伺されておりまして、本省の方で医師の方々から成る専門の委員会を設けまして、これが労災かどうかという判断をしているところでございます。この作業を急ぎまして、迅速にこの問題についても対応してまいりたいと考えております。
○寺前委員 もう時間が来ましたのでこれでやめさせてもらいますが、大臣、最後に、この種の問題に対する見解を聞かせていただけたらまことに幸いです。
○坂口国務大臣 速やかに処理されるように検討いたします。
○寺前委員 ありがとうございました。
○松岡委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ――――◇――――― 午後一時五分開議
○松岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。赤城徳彦さん。
○赤城委員 午前に引き続いて、大臣にいろいろお伺いしたいと思うのですけれども、今の経済情勢、あるいは日本の経済構造がこれから変わろうとしているという大きな転換期だと思いますが、そのことと雇用対策、そういった点について、午前中の質問と多少重複するかもしれませんが、少し敷衍して伺いたいと思います。 まず、今大変な不況下にあって、雇用情勢、危機的な状況にあると私は思うのです。世間一般に伝え聞く雇用に関するいろいろな事態と、労働省で資料として発表されるものと、ちょっと感覚のずれがあるのかなという気がしないでもないのです。先ほどニュースでもやっていましたけれども、有効求人倍率が〇・六九にまた下がった。この数字自体も大変なことだと思うのでありますけれども、一方、完全失業率は二・五%でそれほどふえていない。ここを見て、まだ全体としては雇用は ちゃんといっている、こういう評価がされているのではないかなと思うのです。それが、今起こっている事態に対してちょっと危機感を欠いている原因になっているのじゃないか。 この間、この経済情勢のことで経済企画庁の方に会う機会がありましたので伺ったのです。景気がもう底割れしているのではないか、そこら辺は、底割れが心配だというふうに言われるけれども、どうなったら底割れなんですかと聞きましたら、それは雇用です、失業者がどっとあふれるようになれば、それが消費の減退あるいは社会不安を生む、したがって生産も落ち込む、それがまた雇用の不安につながる、また消費が減る、そういう悪循環に陥る、その一つのメルクマールがまさに雇用だ、しかし今現在まだ失業率から見たらそれほどの状況ではない、まだ底割れではない、こういうふうな言い方だったのですが、私は実は、その完全失業率という数字ではそう言われても、潜在的にはもう割れている、雇用不安があり、収入が多少伸びがあるといっても、実質は収入減と言っていいような状況だと思います。 在庫調整がもう終わります終わりますといってなかなか終わらないのは、消費が伸びないから。その根っこにあるのは雇用不安、あるいは残業が減って収入が減るとか、そこら辺から在庫調整も終わらない、生産が伸びない、したがってまた雇用不安が生まれる、そういう循環にもう既に入っているのではないか。そこを明らかにするためには、マクロとしての数字だけではなくて、実際の現場でどういうふうな雇用の状況になっているのか。例えば、学校は出たけれども、就職先がない、特に女子の場合そうですが、それからパートはどうなっているのか、残業はどのくらい減っているか、ホワイトカラーの調整とか、工場を閉鎖しているとか、現象としてはいろいろ伝え聞くのですが、それの局面局面に分けて、こういう状況なんですということをこれは整理してみないといけない。全体として失業率がこれだけですということじゃなくて、その中身をよく分析していただきたいと思うのでありますけれども、そこら辺は労働省としてどういうふうに把握されているのか、お尋ねします。
○坂口国務大臣 後ほど事務局の方からさらに詳しい数字をまた申し上げたいと思いますが、八月の下旬でございましたか、各業種に対しまして調査を労働省としていたしました。この内容を見てみますと、約六割の事業所におきまして雇用調整が実施をされております。 ただし、この時点におきましては、その内容は、雇用調整と申しましても、残業規制でありますとか中途採用の抑制が中心でありまして、一時休業でありますとかあるいは希望退職者の募集といったところまではまだそういっていない。今までに比較をいたしますと若干ふえてはおりますけれども、そう多くはない。ここが中心ではありません。残業規制や中途採用の抑制が中心になっておるという段階でございました。こういった状態で、そして非常に四十五歳以上のところに過剰雇用が目立つ、四十五歳から五十五歳までの間、五十五歳以上、こうしたところに企業の過剰雇用感がございまして、そして若いところにはむしろ過剰雇用感はない、高齢者のところに過剰雇用感がある、そういう結論が実は得られたわけでございます。 そうした状況を見ますと、先生が御指摘になりましたように完全失業率二・五、きょう、二・五五になりましたので四捨五入しまして二・六というふうに発表になりましたけれども、二・五五。今まで二・五三が二・五五になったわけでございます。それだけに抑えられておりますのは、現在の状況からいきますと、企業がかなり努力をしてくれているというふうに私も思う一人でございます。しかし、これには、今までのさまざまな経験を生かしながらいろいろの不況を乗り越えた企業が、やはり雇用というもの、労働者というもの、あるいは労働力というものがいかに大切かということを十分にわきまえて行動してくれているものというふうに思うわけでございます。また、我々労働省の政策といたしましても、午前中から申し上げておりますように、雇用調整助成金等を十分に使いまして、できる限り現在の雇用を維持していただくようにお願いをしている、そうしたことも影響を及ぼしているのではないだろうかというふうに思っております。 これから先、こうした状況の中でなお推移をするというふうに考えておりますし、むしろもう少しまだ悪化する可能性もある。経済の状況から考えますと、経済が悪くなりますと、その後まだ半年ないし一年間ぐらいは雇用の悪化が続くものでございますから、これから後もなお雇用のこの不安な状態は続くものと覚悟をしなければならないというふうに思っておりまして、さらに注意を要するだろうというふうに思っておる次第でございます。
○赤城委員 私が申し上げたいのは、実際に首切りとかそういうことが起こって初めて社会不安が起きるのではなくて、今大臣言われた調査の中でも、残業の規制とか中途採用を抑制するという、つまりその企業で雇用している者は雇用は引き続き確保されている、まだ表面には出ていないのだという御趣旨じゃないかと思うのですけれども、しかし、表面に出るというのはまさに完全失業率がぽんとはね上がることだと思うのですが、そうならなくても、既に残業規制や中途採用の抑制とか、雇用は確保されているけれどもその中の調整が進んでいることが先行きに非常な不安を生んで、それが経済に対しての悪影響を及ぼしていると思うのであります。 四十五歳以上の中高年のところには過剰感がある、若年の方はまだそうでもない、こういうことでありましたけれども、やはり採用の方が、この採用を手控えるということは、もう既にそこへ雇われている人にとっては影響はないのですけれども、学校は出たけれども就職先が見つからない、これはもうこれ自体が大変な社会的な不安定性を呼ぶものだと思うわけであります。 そこでちょっと伺いたいのですけれども、内定取り消しの話が随分言われましたけれども、それについて企業名を公表するとかいろいろ措置をとるということを伺っていました。それがどういうふうな扱いになったのか。それから、内定取り消しというのは、これは裁判例もありますから、どういう法的問題点があるのか。私は余り専門ではないのですけれども、もうそれ自体が法的な問題を生んでいるのだと思うのですね、内定取り消しということが。労働基準法の研究会でも、これを法的に位置づけよう、こういうふうに言っていますので、単に企業名公表とかいう以上にこの内定のあり方というのは大きな問題があると思いますけれども、そこら辺はどういうふうにお考えか、お尋ねします。
○七瀬政府委員 採用内定取り消しの問題でございますが、具体的には、本年三月新卒者につきまして、景気の急速な悪化を反映いたしまして、百十四社、五百九十三人の採用内定取り消しが発生いたしております。これは、新卒者でこれから社会に出ようとする若い人たちの将来を傷つけるような非常に深刻な問題でございますので、私どもといたしましては、採用内定取り消し企業の公表という措置をとったところでございます。また、その後、新卒者の募集、採用に関して大幅な変更があった場合には届け出る制度であるとか、そういったことに対する指針をつくったとか、そういった形で対応をいたしているところでございます。 いずれにいたしましても、来年の新卒者は前年に比べてさらに厳しゅうございますので、採用内定の取り消しというようなことが起こらないように、私どもも行政の立場で目を光らせていかなければならない、このように考えているところでございます。 採用内定の法律的な問題につきましては、労働基準局長の方から答弁いたします。
○石岡政府委員 採用内定の法的な性質につきましては、昭和五十四年に最高裁が大日本印刷事件で判断を示しました。それによりますと、採用内定通知は労働者の労働契約の申し込みに対する承 諾であり、応募者による誓約書の提出と相まって解約権留保つきの労働契約が成立した、こういう判断でございました。 一般的に、採用内定につきましてはこのように労働契約が成立しているケースが多いのではないかと思っておりますが、そういう場合には、その採用内定の取り消しは使用者による労働契約の解約に当たりまして、通常の労働者の解雇の場合と全く同様に労働基準法の適用がある、こういう問題になるわけでございます。 それから、労働基準法研究会についてお尋ねでございますが、ことしの五月に労働法学者から成ります労働基準法研究会は報告を出しまして、今のような採用内定が労働契約であるというケースが一般的になってきていることにかんがみまして、労働契約の締結にはこのような採用内定も含むことを法律上明確にすべきではないかといった報告を出されたわけでございます。 労働省といたしましては、現在この点も含めまして、研究会からの報告につきまして中央労働基準審議会でいろいろ検討をしていただいておりますので、その検討結果を踏まえまして、法的整備も含め所要の施策を講じてまいりたいと考えております。
○赤城委員 まさに内定それ自体が法的効果を生んでいる、もう労働契約が締結されている、解約権留保つきだけれども契約が締結されていて、それをみだりに解約権を行使するのは権利乱用なりあるいは契約の解除というふうな、それ自体が法的効果を今現在もう判例上は生んでいるわけで、それを明確に位置づけるかどうかということは別途検討されているわけですけれども、内定取り消しをしているという事態に対して、それを公表するとか届け出するとかそういうとっている措置が、法的に守られていることに対しての違反事例に対して余りにも弱いのではないか、指導のやり方が。これは一つの問題点だと思うのです。もう一つは、内定にそれだけの効果があるとなると、来年の就職戦線ではもう下手に内定は出せないな、それが今起こっている事態で、内定すらとれないのですね。それがもう一つの問題点だと思うのです。 先に話を進めさせていただきますけれども、今は内定を出してくれない。地元の人なんかで、今度就職するという人に聞きましても、もう十社も回ったけれども一社も返事がないとか、そういうふうな話はよく聞くわけであります。そこでよく聞いてみると、どこを受けているんだと聞くと、大概東京の、大手の会社名を挙げるのですが、大体そういうところを今受けて採ってもらおうというのが無理なんじゃないかと助言申し上げるのです。こういう状況ですから、無理に採用をせいと言ってもなかなか難しいことはわかっていまして、ではあのバブルのときにはなかなか採用できなかった地元企業、そっちはまだ採用したいというのもあるでしょう。しかし、学生はなかなかそっちには行かない、大手がいい、東京がいい。こういうところをどううまくマッチングさせるかというのが一つ大きな対策になってくると思うのです。 学生にとっても、自分がどんな職種に向いているかということはなかなかわからないのですね。平成六年度の予算で、そこら辺は勤労体験プラザ、全国一カ所だそうですけれども、要求されていると聞きました。もちろんそういうのも大事でしょう、実際に体験してもらって。私は、もっと進んで、実際にそういう自分が就職したいと思う会社でアルバイトなり働いてもらって、それで体験を踏んでもらう。つくられた体験プラザという形じゃなくて、実際の会社で働いてもらうというような仕組みがあれば、もっとそこら辺は採用する側、採用される側がうまくマッチングしていく、かみ合っていくんじゃないかと思うわけです。ちょっとこれはお答えは結構です。 こういう問題はどこにも起こってくる。午前中の質問の中にも、そういう労働者と就職口、企業との調整、この調整をどうするかというのが今の一番大きな課題になってくる。それは今まで言われていたような、企業内でどう調整するかとかいうことではなくて、日本の経済全体のリストラの中でどういうふうに移動をスムーズにしていくのか、こういうことだと思うのです。 午前中大臣が、日本型の労働慣行、終身雇用とか年功賃金、こういったものはどういうふうになるか、そのことに対して基本的に続いていくだろう、終身雇用は基本的に続いていくだろうということでお答えいただいたのですが、これは、ある会社に入って安定的に雇用が継続していって、将来の労働者の生活設計もできますという非常にいい雇用慣行、これまではうまく機能していたと思いますけれども、終身雇用や年功賃金がそういう雇用を安定させるいい仕組みである、したがってこれを継続させていくのが望ましい、そうお考えなのかどうか、ちょっと大臣お答えをいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 きょう午前中にもお答え申し上げましたように、若い人たちの中には、就職をいたしましてすぐにまた違う企業に変わったり、そういう皆さんもあるわけでございますし、本人は希望をしておりませんけれども、中高年のところにおきましては雇用過剰感がありまして、そして企業の移動を余儀なくされるという方も最近はございます。そうしたことで、今までから比較をいたしますと、この終身雇用の形態も若干揺らいではきております。 しかし、皆さんのお気持ちの中にはできるだけ長く勤めたいというお気持ちがございますし、また雇われる皆さんの側も自分の企業の中で教育をして長く勤めてもらいたいという気持ちも、まだ私は多く存在しているというふうに思っておりまして、若干期待も込めてでございますけれども、なおこの終身雇用制は今後も続いていくのではないか、こう今のところ判断をいたしております。しかし、今までのようにしゃくし定規を当てたような形での終身雇用制は難しいだろう、しかし、一部の崩れはあるにいたしましても、基本としては続いていくのではないだろうか、そんなふうに思っている次第でございます。
○赤城委員 基本的に労使双方にとって安定的な雇用関係が維持できる、望ましい、また、今後も継続させていくべきだということであれば、もちろん今までのよき伝統というかプラス面の意味というのはよくわかるのですけれども、しかし、現実がもうなかなかそうはいかなくなっているというのは各所で出てきている。 それは、一つは今の不況による雇用調整の問題なんですけれども、それ以上に、長期的に見ても高齢化がどんどん進む。若年労働者は少ないけれども管理職ばかり多くなって、管理職何人に部下一人なんということになりかねないような人口構成の動きもありますし、それからもう一つは、規制緩和ということを今の内閣が打ち出していることが大きな雇用構造の転換を生む。これはもう終身雇用とか年功序列ということを言っておれなくなるほどの構造転換を実は今の内閣は目指しているのではないかな、そう思わざるを得ないのです。 もう大分前にどなただか評論家の方が、流通改革と農業改革、これでそれぞれ百万人の失業者が出る、メガ失業の時代だ、こういうことを予想されておりましたけれども、まさにそのような方向に今進んでいるのではないか。大店法を廃止する、当然中小の商店経営者にとっては大変な影響が出てくる。農業の自由化の問題もしかり。それから一般競争入札。ゼネコン問題から一般競争入札へ、こういうふうな流れが出てきておりますけれども、もしそうなりますと、これまた中小の建設業者、そういったものがどういうふうに再編されていくのか、そういうことも予想されるわけであります。 そこら辺、ちょっとこれは予想しがたいことだと思いますけれども、具体的にどういう構造転換が起こるのか。流通改革、建設業、農業そのほか、今言われているような規制緩和でのリストラ、どういうことを想定されて、当然その中では再編される部分は再編される。大臣は、雇用は企業を超えて動くということはあるけれどもすぐに新しい 雇用は生まれてこないということを言われました。まさにそのギャップが一番大きな問題になってくる。そこで、将来像として、どんな産業が再編されて、どこへ雇用が移動されて、どんなふうになるかというのは、これはなかなか今から予想しがたいところだとは思いますけれども、こういうことになるんだよということを示していただかないと、規制緩和で再編される業界は大変だ、大量失業者が出るぞというところまでは言われても、その先どうしたらどこへその雇用が吸収されるのかということが、ビジョンが示されないと、これまた大変な雇用不安を生んでいるのではないかと思いますけれども、そこら辺は、大臣どうお考えでしょうか。
○坂口国務大臣 大変難しい御質問でございますが、確かに規制緩和を行いましたときに、それによりますところの失業が生まれることは間違いないと私も思うわけです。午前中にも申しましたとおり、その後また経済の活性化が起こって、そしてそこに新しい雇用が発生してくることは考えられますけれども、その間にタイムラグがあるのではないかと私も思っている一人でございます。そうしたことを考えますと、この規制緩和を進めていくときには、それにあわせて、やはり失業というものに対する予防ということを並行してやっていかなければならないだろうというふうに思います。 それから将来、どんな企業がそこに発生をし、どんな構造転換がなされるのかというところでございますが、そこはまさしく私もだれかに教えてもらいたいところでございまして、構造転換がなされて雇用転換がまたそこで行われる、その根幹になりますところの企業の構造転換がどのようにこれからいくのかということが不透明でございますし、なかなか予測のしがたいところでございます。私も今一生懸命そのところを勉強しているところでございますけれども、現在なおかつ結論を得ていないというのが実情でございます。先生の方で何か御意見がございましたら、教えをいただきたいと存じます。
○赤城委員 今の内閣が大きな改革を掲げて推進されている、これはこれですばらしいことだと思います。今の日本の経済の枠組みがこのままこれからも発展を続けていくかどうかというのは、やはり大きなリストラの波をくぐっていかなければいけないと思います。 しかし、そのときに、経済構造が大きく転換していく、規制緩和や何かで変革をさせていくのだということと、しかし一方、失業は出さない、雇用はそのまま継続するんですということ、これは相矛盾することでありまして、大きな変革の中には当然そこで働く労働者も大きく移動する、雇用の構造は変わっていく、むしろそれを積極的に変えていかなければいけない。ちょっと言い方は語弊がありますけれども、失業を恐れてはいけない。 例えば、アメリカやイギリス、今大分景気がよくなってきた。アメリカは特にあれですけれども、失業率は日本よりはるかに高い、高いけれどもその中でちゃんと景気は、経済はやっていける。日本は失業率は低い、しかし景気はこんな状況であります。それは、表には出ないけれども、潜在的に失業という問題を抱えているのです。それが表に出ないだけに、なおのこと対策が後手に回っている部分があるのじゃないか。最初に質問申し上げたのも、数字で外に出る失業率だけじゃなくて中にある問題も含めて、雇用の状況もこれは経済変革の主要な部分でありますから、それははっきりとビジョンを示していただきたいという意味で申し上げたので、雇用も含めた大きな改革の絵というのを描かなければ非常に片落ちで、大きな不安を増幅させることになるだろうと思います。 そこで一点。雇用調整助成金という制度、もう随分な業種に広がりましたけれども、この仕組みが本来は、今申し上げたような、雇用を含めた変革に使われるべきなのですけれども、今の企業内で雇用を確保してくれればそのために助成金を出しますというふうな、むしろ現状維持的な助成金になっている。つまり、言い方をかえますと、不況業種をただ救うための助成金であって、雇用を調整するための、つまりリストラするための助成金にはなっていないのではないか。制度上はそれができるようにはなっているのですけれども、今の企業内で抱えるために補助します、助成しますというだけのシステムになっているのではないかと思うのですけれども、そこら辺はどうお考えでしょう。
○七瀬政府委員 先ほど来、雇用の現状認識についてのお話がございまして、例えば失業率が二・六%になっておるというのは、非常に企業の雇用維持努力があるからであろうかと思っておりますが、ただ、おっしゃいますように、これは時間外労働の削減とか中途採用の停止とか、いわば雇用のバッファーという形でやってきたものがそろそろ限界に来ている中での二・六%であるという厳しい状況は十分認識したいと思っております。 さて、雇用調整助成金の趣旨でございますけれども、先生ただいまお話がありましたように、率直に申しまして、循環的な問題に対応するために、いわば好況期にためたお金を不況期にということでございますので、このお金の性格は、基本的には厳しい中で現在の企業で雇用を維持する、そういうための性格のお金であろうかと思っております。 ただ、先ほど来お話がございますように、この苦しい時期にそういう形で乗り切ると同時に、今大臣からお話がございましたが、中長期的に産業構造の転換にどういうふうに対応していくのか、また、それに対してどういう助成、援助があり得るかということを同時並行的に考えていかなければ、労働政策として国民の皆様方に対して示すためには、そういうことも考えることが必要だろうと同時に思っております。
○赤城委員 時間が来ましたので、ちょっとしり切れですけれども、要するに、体の上半身は改革で大きな変革をと言いながら、足元はもうがっちり固まったまま動かしちゃいけないんだということでは、非常にちぐはぐなことになると思いますので、大きな変革を掲げられる以上、雇用問題も含めたビジョンを示していただきたい、あるいは検討していただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。
○松岡委員長 岩田順介さん。
○岩田委員 坂口労働大臣におかれましては、新政権の初代の労働大臣に就任をされまして、時あたかも、今までの議論でもございましたように、非常に景気が低迷するという、そしてまた雇用不安が進行するのではないかという厳しい労働環境の中にありまして御奮聞いただいておりますことに、心から敬意を表する次第であります。 さらに、私自身もそうでありますが、今国会で与党の立場で質問をさせていただく、期せずしてそうなったわけでありますけれども、与党というのは初めてでありまして、いまだしの感がございますけれども、この労働委員会というのは、私の経験で申し上げましても重要な委員会でありますし、過去、与野党一致して運営されてこられた、こういう歴史のある委員会でありますが、より一層私どもも責任を感じて、その上で努力してまいりたい、かように決意をしているところであります。 ただいままでの議論でもございましたが、世の中は非常に大きな変化を遂げているわけであります。その中で、我が国の産業、経済のみならず、我が国を取り巻く環境というのも非常に変化をしたことは言うまでもございません。 例えば、高成長という時代を通過してきたわけでありますが、安定成長の時代に入った。それから、今までは欧米をにらんでキャッチアップの時代だったけれども、フロンティアの時代に入った。先達というか、みずから切り開いていくという日本の立場になったことは、これは言うまでもありません。大きな変化だというふうに思います。 それから、我が国経済、産業を支えて高成長を遂げてきたというその大きな要因は、その一つには、やはり若い世代、若い労働力ということであったと思いますけれども、これがもう言うまでもない高齢化社会にまさに突入をしようとしている わけてあります。小国から経済大国になったわけでありますから、環境は一変してしまったという実感であります。 大臣の決意の表明にもございましたけれども、そういった戦後の日本の構造の中で、労働者が、勤労者がいわゆる生活や暮らしに実感として豊かさを感じてきたという時代は、私は、やはりそうなかったのではないかというふうに思うのですね。したがって、そういう観点からひとつ何点かの御質問をしたいというふうに思います。 個人として豊かさに実感がない。例えば賃金の問題、もうこれは釈迦に説法でございますけれども、昭和六十一年から六十三年には二%程度の伸びがあったわけでありますが、しかしそれ以降は徐々に低下をして、平成三、四年は一%にも満たない、こういう状況になっているわけであります。さらに、年間総労働時間でありますけれども、これは製造業に限って申し上げますと、その国際比較でありますが、アメリカは千九百四十三時間、イギリスは千九百二時間、フランスは千六百八十二時間、ドイツが千五百八十二時間、こういうふうになっておりますけれども、依然として日本は二千時間を容易に切れないという実態にあることは御承知のとおりであります。それから、これもさきの御質問にもあったかと思いますけれども、主要国の労働分配率、これは一概に国際比較はできない面があります。しかし、アメリカが七四・六、イギリスが七五・八、ドイツが七〇・八、フランスが七〇・一、こういうことになっておりますが、日本は七〇・八という数字が挙げられておるわけであります。 一方、現状、産業雇用について見ますと、円高の進行に伴って製造業の生産拠点というのは海外に移る気配がありますね。これは、経済原則からいって、自由経済の原則からいって当然の現象であるとも思いますし、今後これは一層進むのではないかというふうにも思われます。例えば、一九八五年、それから八八年、そして九二年あたりの三つの円とドルの関係を見ましても、大体二・四、五倍ぐらいになっていますね。ですから、例えば千円で四ドルだったものが千円で十ドルというふうになるわけです。そうしますと、やはりコストのかかるものは海外に生産を移すということに、気分も実態もなっていきますね。八五年に、ある、どことは申しませんが、マレーシアで八千五百名の工場労働者を使っておったクーラーメーカーが、現在では二万五千に膨れ上がっていますね。まさにそういう状況になっていくだろうというふうに思うわけであります。 ことしの七月にジェトロが調査をいたしておりますけれども、海外生産比率を上昇させ輸出を減らす、それから部品、半製品の海外調達を進めるという企業が、一九八八年当時の同じ調査に比べまして相当多くなっているわけであります。円高による海外生産シフトの影響を、三和総研の試算によりますと、例えば九二年の六・六%から一二%に拡大すると、製造業と関連業界を含め雇用は百二十万減少する、ことしの八月時点の完全失業率は二・五%であるけれども失業者は百六十万人、そして企業が社内失業者をすべて吐き出したというふうに仮定をしますと、四百万人程度の失業者が出て失業率は六%にはね上がる、こういうことになってはいけないわけでありますけれども、こういう試算が出ているわけであります。雇用不安というか、不安の増大はやはりきちんと鎮静させるというか、そういう方向に持っていかなければならないという重大な局面も一つあるというふうに思っているわけであります。 先ほども申し上げましたけれども、バブルが崩壊をして景気が後退をして不況が長引いているという、企業をめぐる環境は大きく変わったわけでありますが、企業の経営資源を再配分して望ましい事業構造へ立て直していくための経営の再構築、いわゆるリストラの進展などを含めまして、やはり産業構造は大きく変化するだろうというふうに思われます。高齢化の問題もそうでありますが、就業形態も終身雇用から変わっていくのではないかという一部の動きもございましたけれども、こういった状況の中にあって、豊かさを目指して労働環境の整備を図るという、まさに労働者、勤労者にやさしい労働行政をどう指導、実施されていくのかというのが大きな当面のテーマでもあろうというふうに思います。 大臣の所見を伺ってまいりましたが、もう一度この点について御所見を賜りたい、かように存じます。
○坂口国務大臣 労働行政の中で一番大事なものは、やはり何と申しましても雇用ではないかと思います。個人の生活にとりましても、また社会の安定にとりましても、雇用というものが最も大事であります。 雇用というのは、その国あるいはまたその地域の文化のバロメーターみたいなものだというふうに思っておりますが、その雇用を取り巻きます環境というのは、さまざまな条件の集合体ででき上がってくる問題でなかろうかというふうに思います。そうした意味で、我々はその雇用の質をこれからだんだんと高めていかなければならないというふうに思っておりますが、そのことが豊かさの一つであろうというふうに考えております。 ただ、そうはいいますものの、今御指摘になりましたように、はっきりいたしておりますものの一つとして、人口構造が変化をする、これはもうはっきりとわかっているわけであります。もう一つは、リストラ、これがどんな形で進みますかは不透明でございますけれども、恐らく起こるであろうと予測することにかたくはありません。こうした大きな変化が起こります中で、私たちはこの雇用の質を高めていかなければならないというふうに思っております。 高齢化の問題につきましては、これは中高年がふえ、そして若い皆さん方の労働者の人数が減るわけでございますから、高齢者の皆さん方の働く場をさらに確保をしていく。午前中にも申しましたとおり、六十五歳までの雇用環境というものをつくり上げて、そして働く意欲を持つ皆さん方にはそれを提供するということがなければなりません。しかし、意欲はあるけれども肉体的衰えというものが伴うわけでございますから、その皆さん方に対する職業の訓練あるいはまた職業転換に対する訓練、そうしたものもあわせてこれは行っていかなければならないだろうというふうに思います。 一方、不透明なリストラに対しましてどのような対応をしていったらいいのか、ここが労働行政の中で一番難しい部分ではないかというふうに思っております。これから先産業構造がどのように転換をしていくのかということにつきましては、先ほども赤城先生にもお答え申し上げましたとおり、不透明な部分が多いわけでございまして、不透明な部分と申しますか、予測しがたい部分が多いわけでございます。したがいまして、どのような産業が育ちどのような産業が衰退をしていくのかということがはっきりしません以上、雇用の方も雇用がどのように転換をしていくのかということを予測することが非常に難しいわけでございます。 ただ言えますことは、そうしたリストラが起こりましたときに、今までの労働者の皆さん方がスムーズに新しい職業に転換できるような体制、それがどんな企業であれ新しきものに転換をしていただけるような体制をつくり上げていく、そういうシステムをつくっておくということは必要ではないだろうか。そういう意味で、ぜひともそうした労働行政がこれから問われることになるだろう、そんなふうに考えております。
○岩田委員 リストラの問題について最後にお答えいただきましたが、本日は、同時にこの時間、商工委員会でも中小企業支援のためのリストラ法、いわゆるリストラ法案というのが審議されているようでありますが、これは労働省としても大変かかわりが深くなってくる法案でもありますが、別な観点でありますけれども、ぜひひとつ大臣の気配りをお願いをしておきたい、かように考える次第であります。 景気は依然として低迷が続いておるわけであり まして、先ほどの御説明では失業率は二・六だというふうに御説明がございました。六十一年、六十二年の円高不況のときとは、構造的にもやはり景気の内容というのが違っているんじゃないかというふうに思います。今回の場合は、デフレ感といいますか、そういったものが企業に重圧になって、企業の活性化といいますか、立ち直りが見えない。それが雇用不安になっていく。そうしてさらに消費が落ち込む。そうしますと、当然設備投資も抑制ぎみになっているわけでありまして、またそれは雇用不安、雇用問題というふうに悪循環をしていくわけですね。 前回の六十二年に雇用対策含めて政府が対応されましたときには、一応底をついて、景気は上昇機運になりそうであるという時期であったということ等を考えれば、今回と前回の背景は相当違う。それから、例えば前回はブルーカラーが大体中心となった雇用調整が進んでいったと思いますけれども、今回はもっと厳しい、ホワイトカラーに及んでいるということ。それから、新卒者には非常に地獄みたいな時代であるということ。とりわけ、女子新卒については本当に真っ暗やみである、こういう時代であります。一体、いつこの景気回復の兆しが見えるかというのは、これは予測しがたい。円の動向についても神のみぞ知るという状況が言われているわけであります。前回は三・一%という失業率まで上がったのでありますが、現在は二・六ということで、まあまあというふうに安心しておっていいかどうかという問題も感じるわけであります。 私は、六十二年五月に三・一%を超えた失業率を政府としてはどうするのか、どういう観測をするかというのはなかなか、一方では雇用調整に対する対策をされておられる中では、非常に何とも言いがたいことだろうというふうには思いますけれども、大臣、今後のこの雇用失業情勢と雇用調整の見通しをどういうふうにお考えであるのか、お伺いをしたいと思います。
○坂口国務大臣 円高不況のときと比較をして御指摘をいただいたわけでございますが、今回の場合に有効求人倍率も〇・七四から〇・七二、そして七〇になりまして、今度は〇・六九とこう下がってまいりました。また、完全失業率も二・五三が二・五五になりまして、四捨五入いたしまして二・六%ということになったわけでございます。 このような状況を現在見ておりますと、まだ今後この状態はさらに厳しくなる可能性も含んでいるというふうに思っております。さらに、現在の大学卒あるいは短大卒の皆さん方の就職状況等を勘案いたしましても、その感を深くいたします。それから、この八月に調査をいたしました各業種の調査におきましても、四十五歳以上のところに雇用過剰感が非常に漂っている、そうしたことを総合的に勘案いたしまして、なお厳しい状態は続くであろうと思っております。 しかし、今回二・五%にしろ二・六%にしろ、これだけの完全失業率で現在維持できているのは、やはり現在までの幾つもの不況の中を企業がくぐり抜けた、その経験を生かして健闘をしてくれている。そしてまた国の中にもいろいろな、先ほどからの御意見もございますが、雇用調整助成金等のそういう制度もでき上がってきた。あるいはまた一つの遠因といたしましては、働く時間がだんだんと調整をされて、目標は千八百時間でございますけれども、そこまでは至っておりませんが、ようやく二千時間を切るような段階になってきた。ワークシェアリングも進んできた。そうしたことが総合的にして二・六%という段階でとどまっているのではなかろうかと想像をいたしております。 しかし、厳しい情勢がなおかつ続くということを私たち覚悟いたしておりますし、また景気がたとえ好転をしたといたしましても、その後半年ないし一年間というのはなお厳しい状態が続くのが常でございますので、我々ひとつこれから先、この景気の動向に十分注意をしながら誤りなきを期していきたい、そのように思っております。
○岩田委員 戦後の何回かにおける不況の経験、これは貴重な経験を生かしていっていただきたいわけでありますが、関連して、もう一つお尋ねしておきたいのであります。 前回労働省は、三十万人の雇用創出プログラム、こういったものを展開してあの不況に対応されてきました。これは三十数万人の雇用を生んだ成果を上げたという報告になっておりますけれども、先ほど申し上げますように、今回と六十一、二年の不景気の状況というのは本質的に違う、こういう体質があるわけであります。 労働省は、今回の不況対策につきましても、雇用調整助成金を初め精いっぱい対応してきておられることは私どもも評価をするわけであります。しかし、先ほどの質問にも、雇用調整助成金などは、大企業は利用できても中小企業はなかなか利用できない、利用していないという実態の指摘もございましたが、そういったことをも勘案しながら今後の雇用対策としてのもっと強力な対策を打つべきではないか。雇用調整助成金についても、二百を超える対象として展開をされていることは評価をするわけでありますが、なお厳しくなるであろうというこの雇用情勢の見通しについても大臣からのお話ございました。この点、一体どういうお考えがあるのか、お尋ねをしたいと思います。
○坂口国務大臣 実は、きょうスタートするところでございますが、有効求人倍率が〇・六台に六年二カ月ぶりに落ちたということもございまして、雇用対策プロジェクトチームを編成をいたしました。事務次官をキャップにいたしましたこのチームを編成をいたしまして、きょうスタートするところでございます。ここでは、現在の雇用問題、雇用創出をどうするかといった問題、それから中期的な問題も含めまして検討をしたいというふうに思っておりますが、現在直面をしております問題につきましては、十一月一カ月ぐらいで早々に結論を出して、そして対策を講じたいと思っておりますし、それから中期的な問題につきましては、来年三月まで、いわゆる今年度いっぱいぐらいをかけまして、ひとつ結論を得たいというふうに思っております。先生御指摘になりましたような、前回並みの何十万というような雇用創出に結びつくかどうかはわかりませんけれども、ひとつ我々でき得る最大限の努力をしたいというふうに思っております。 ただ、労働省が行い得ます範囲というのは限定をされておりますし、先ほども御指摘になりましたように、悪循環を繰り返していきます。その鎖を断ち切るという意味では大変大きな効果があるというふうに思いますが、その根本になります経済を立ち直らせるということにつきましては、労働行政の中での政策だけでは不十分ではないかというふうに思っております。総合的な政策が遂行をされます中で、我々はその悪循環を繰り返さないように鋭意努力をしていくということであるのではないかというふうに思っております。そのようなチームをスタートさせるということ。 それから、雇用調整助成金につきましても、もっと中小企業の皆さん方に使ってもらいやすい形にしようというので、いわゆる届け出その他も簡便にしようということで、それもこの十一月半ばまでには発表したいというふうに思っております。
○岩田委員 次に、時短の問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、本年六月に労働基準法が改正をされました。来年四月からは、一定の猶予対象事業場を除いては週四十時間、こういうことに移行していくわけであります。三年後の平成九年度からは、原則としてすべての事業場が週四十時間に移行することが既に決まったわけであります。昭和六十三年から段階的に行われてきた週法定労働時間の短縮も、いよいよ最後の段階に入ったということであります。 先ほども労働時間の問題、若干触れましたけれども、年間の実際の総労働時間の推移を見ますと、労使の努力もあって着実に進んでおりまして、初めて、千九百五十八時間でありますが、二千時間を切ったというところまで到達をしたわけであります。しかし、政府の目標である千八百時間とい うものに比べればまだ随分格差があるわけでありまして、経済状況もありますけれども、これは一層積極的に取り組んでいかなければならない当然の課題だというように私は思うわけであります。 しかし、現実的には、経済の問題、いろいろ御議論ありましたけれども、こういう雇用情勢が厳しいという状況の中では時短どころではない、倒産寸前で時短どころではないという声はあちこちでよく聞くわけでありますが、これは率直に言って理解をしなければならない実態にもあると思います。そういうむしろ難しいかなという状況もあるわけでありますが、しかし、景気のいい時代にぐんと進んでいるかというと、そうでもなかったのですね。残業が多くて時短どころではないというような経験を、この数年の間に私どもは体験をしてきているわけであります。しかし、こういう状況の中でこそやはり時短というのは進めなければならない。 なかなか厳しい状況もありますが、政府としては、労働時間の短縮というものが、例えばコストアップに必ずしもつながらぬ、さらには生産性の向上につながっていく、さらには雇用の維持に役立っていく、いろいろ議論された経過がございますけれども、こういう点を含めてやはりもっと、とりわけ基盤の弱い中小に対して、啓発等の理解を求める行政指導というのが今こそ必要ではないかというふうに思うわけであります。特に、中小事業主に対しては、強力な支援という観点からもその取り組みが求められているのじゃないかというふうに思いますが、大臣のお考えをさらにお聞きをしておきたいと思います。
○坂口国務大臣 御指摘のように、ようやくにして千九百五十八時間に到着したわけでございますが、来年の四月からいよいよ週四十時間、スタートするわけでございますし、そのためにはやはりさまざまな企業に対しまして、PR、そしてまたいろいろの政策を用意をしなければならないというふうに考えております。とりわけ、中小企業の皆さん方に対してどのように手を差し伸べていくかということが最大の問題であろうというふうに思います。 ただいま先生からも御指摘になりましたように、この厳しいときに時短どころではないというお声がそこここから起こっておりますことも事実でございます。しかしながら、そうした状態を乗り越えてやはり時短を推進をしていただきますためには、大局的立場からこの時短の意味するところを御理解をいただかなければならないのであろうというふうに思います。中長期的立場から御理解をいただければ、この時短がどんなにプラスになるかということを御理解をいただけるのではないかというふうにも思います、 しかし、今当面する現在からいうならば、それは非常に厳しいということもまた我々も理解できないわけではございませんで、この点を理解しつつも、今後の問題につきましては、十分に相談に乗りまして、そして我々が用意をいたしておりますところの中小企業に対する奨励金制度等の利用をいたしまして、できる限り平成九年三月までの間に中小企業におきましても足並みをそろえるように、努力をしたいというふうに考えているところでございます。
○岩田委員 時間がなくなりましたので、簡単にもう一問だけお尋ねをして終わりたいと思います。 外国人労働者問題それから女性労働の問題等々含めて、これは必ずしも大都市に起こっている問題ではないんですね。この十年間を限って見ましても、全国津々浦々と言ってもよいでしょう。いわゆる地方における労働問題、地方自治体における労働行政の分野というのは、非常にこれは広がっているというふうに思いますが、しかし、各都道府県もそうでありますが、各市もそうでありますけれども、いわゆる一般財源というのは、ずうんと伸びているわけですね。さて、十年、ちょっと正確に今記録を持ちませんが、ぐっと伸びているにもかかわらず、地方の労働費というのは、ずっと旧態依然として横ばいの状態ですね。これは、例えば自治省の交付税の労働費の算定基準、特別交付税の算定基準を見ましても、基準は全然変わってないんですよ。ふえるはずはないです。随分持ち出して、東京、神奈川、横浜、いろいろ、大都市はもちろんそうでありますが、各都道府県、それから都市においてもかなり需要というのは膨れているにもかかわらず、いわゆる財源配分というのが全然変わっていない。こういったことにも一つの特徴があらわれておるわけでありますけれども、これから先の労働行政のあり方というのは、国、県、地方自治体、こういったところの行政の責任もやはり大きくなっているわけでありまして、協力関係ももちろん強化していかなければならぬと思いますが、時間の関係で各論には触れませんけれども、私は、やはり重要視していくべきだろうというふうに思っておりますが、大臣の御意見を賜りまして、質問を終わりたいと思います。
○坂口国務大臣 高齢化、その他さまざまな状態の変化によりまして、地方との連係プレーをしなければならないことが非常に多くなっていることも事実でございます。人材センターその他を見ましてもしかりでございますし、地方にゆだねなければならないと申しますか、お願いをしなければならない面もたくさんあるわけでございますが、労働費というものが全然変わってないという御指摘、そのとおりではないかというふうに思うわけです。こうした点、これからさらにふえこそすれ少なくなるということはないわけでございますから、今までのままでよしというわけにはいかないだろう。これから、ひとつ連携を深める中で、やはりそうした財源的なことも考えていかなければならないだろう、私も考える一人でございます。 御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
○岩田委員 終わります。
○松岡委員長 宮本一三さん。
○宮本委員 当委員会で初めての質問でございますので、最初に坂口大臣の御就任、お祝いを申し述べたいと思います。 振り返ってみますと、戦後長い間、日本の経済は非常に順調な発展を遂げてきたと思います。その間に、大きな景気の出とかあるいは谷のようなものがございましたけれども、全体的には世界が驚くような、そんな高度成長を実現してきた。そういう中で、失業問題というような問題が真剣に考えられる、そんな時代がつい最近までなかったような気がいたすわけでございます。最近になりまして、長年続いてきた日本の成長パターンというものが大きな曲がり角に来ておるのじゃないだろうか。そんなことと同時に、国際化が進む中で、日本の労働問題を考えるときにも、単に日本の国内の雇用問題だけではなしに、多くの方が今触れられましたように外国との関係ということも考えなければいけない。 そんな非常に難しい時代に差しかかったときに労働大臣の重責につかれたわけでございますし、また、これは労働省全体にも言えることでございますけれども、これから本当に日本の中枢になって、社会問題、労働問題を背負ってもらわなければいけないということを思うときに、大臣にお祝いを述べるとともに、これから大変な御苦労でございますけれども、ひとつ頑張っていただきたい、このように最初に述べさせていただきたいと思います。 ところで、今もお話がございましたように、現下の日本経済を見てみますと、深刻な不況が非常に長引いております。この低迷の続く中で一体これから労働問題どうなっていくのだろうか。お話しのように、確かに有効求人倍率もだんだんと下がってまいりまして、〇・六九というような数字、今御紹介されましたし、また、完全失業率につきましても、正確には二・五五というふうなことを今言われておりましたが、この間の三・一というふうなのに比べるとまだまだ何か余裕があるのかなというような気もしますけれども、しかし、置かれている今の日本経済のこれから先の見通しの暗さというふうなことも考えますと、完全失業率ということも極めて深刻な問題を今提供している ように感ずるわけでございます。円高の方も一進一退でございますから、どんな展開になるかわかりませんけれども、しかし、雇用にとりまして、今の経済情勢は非常に悪いということだけは確かでございます。 それだけに、最初に大臣にお伺いしたいのでございますが、最近の雇用の実情と、それから、これから先どんなぐあいに展開するのかなという、これは景気との関係もありましょうけれども、最初に大臣の御所見を伺いたいと思います。
○坂口国務大臣 先ほどからお答えをしておりますことの若干繰り返しになる面もございますので、お許しをいただきたいと存じますが、御指摘いただきましたように、有効求人倍率、完全失業率、ともに悪化の方向にございます。そして、八月の下旬に私たちが調査をいたしました各業種のそれぞれの内容を詳細に検討いたしましても、かなり厳しさが増していることがわかります。とりわけ、業種別で見ますと、鉄鋼、工作機械、電気機械といったところが非常に過剰感が大きい、そして建設、百貨店といったところが過剰感がまあ少ない、そうしたばらつきはございます。また、地域的に見ましても、関東、信越あるいは東海、北陸、こうしたところが、今までの値と比較をいたしますと有効求人倍率の落差が大きい、こうした結果も出ておりまして、これらのことを総合的に判断をいたしますと、なお非常に厳しい状況にあるというふうに認識をいたしております。その他、昨今出てまいりますさまざまな指標を拝見いたしましても、その感を強くするわけでございます。 こうした状況の中で、今後雇用情勢を十分に分析をしていかなければならないというふうに思っております。とりわけ雇用調整助成金を、現在二百三業種に及びますが、二百三業種の皆さんにこの雇用調整助成金を使用していただいておりますが、その雇用調整の内容を拝見いたしましても、最初のころに比較いたしますと、雇用調整の中身が、少しずつではございますけれども厳しさを増してきている。そんなことを総合的に判断をいたしまして、これから先まだ厳しさが続くものということで、さらに対応をしていかねばなるまい、そういう意味で、雇用対策プロジェクトチームを編成して、この緊急時を乗り切るための対策をひとつさらに一層深めていこうということを私たちも決意をしたような次第でございます。そうした状況にありますことを、まずお話を申し上げさせていただきたいと存じます。
○宮本委員 ありがとうございました。 確かに、今大臣御指摘のように、雇用情勢は非常に深刻な段階になっていると思いますし、また、そういった認識のもとに、これまでも政府としても、九月に決定された緊急経済対策を含め、また、自民党時代からもずっと進めてまいりました経済対策はそれなりの効果を出しつつあるとは思いまするけれども、まだまだなかなか深刻な状況にある中で、雇用対策につきましても、労働省の方でも従来から本当に大変な御努力をちょうだいいたしておりまして、特に雇用調整助成金制度、これが、今大臣触れられましたように二百三業種に拡大させていただいているようでございますし、内容的にも変わっておりまして、大変な努力の跡は、私も大いに敬意を表する次第でございます。 しかし、今置かれておりまする雇用の情勢を考えてみますと、まだまだこれからひとつ御努力をお願いしなければいけないのかなというような気がいたす次第でございます。特に、このたびの雇用問題、大きな景気循環としての深い谷に入っているという認識、プラス、ここへ来て世界の経済の大きな変化といいますか、それから来る日本の経済全体の構造変化というような問題も考えますと、それに対しても長期的な雇用対策というものをぜひ考えていただきたいとは思いますし、そういう意味で、中長期的な雇用問題に対するビジョンといいますか、そういったものを大臣お持ちでしたら、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
○坂口国務大臣 先ほど少し、最後に触れさせていただきましたが、産業構造の変化でありますとかリストラの進展等、今後予測されます我が国経済の構造的な変化に対応いたしますために、中期的な視点からこの雇用対策をどうしていったらいいかということもあわせて検討をしていかなければならないというふうに思っております。先ほど御紹介を申し上げました雇用対策プロジェクトチームの中で、緊急の課題とそして中期的な問題と両方を議論をしていきたいというふうに思っておりまして、この中期的問題は来年三月までに結論を得たいというふうに思っておりますが、これから約半年ばかりございますけれども、そこでひとつ徹底的な議論を詰めていきたいというふうに思っている次第でございます。それで、当面の問題につきましては、そんな悠長なことを言っていられないものでございますから、十一月中に結論を出したいというふうに思っております。 なかなか選択できる幅はそう広くはないわけでございますけれども、先日も東京の五反田にございます職安にお邪魔をいたしましたが、もう皆さんに職業安定所に来ていただくのを待っているだけでは雇用が出てまいりませんので、各企業を回りまして、職員が回って雇用の掘り起こしをやっておりますが、しかし驚きましたのには、この五反田の職安だけでも八百八十八件ございまして、人数にいたしまして一千九十八名の雇用がその中から出てきたということで、新しく今年卒業される皆さん方に御紹介を申し上げたという経緯がございます。全国的にそうしたことをひとつ加味をしながら何とか、急場しのぎでございますけれども、総力を挙げて一人でも多くの皆さん方に雇用が行き渡りますように努力をしたいと考えているところでございます。
○宮本委員 ありがとうございました。 中期の考え方については、来年の三月までに集中的に議論をしていただきまして、また我々もそれに参加させていただいて、ぜひ大きな成果を出していただきたいと思いますが、やはり、最近のように経済が大きく変化をしておる時代でございます。構造変化が激しいときには、普通生じる失業のほかにも、そういった構造変化から来る摩擦的失業といいますか、そういったものが当然に出てくるわけでございます。そういう失業というのは、場合によっては非常に前進的といいますか、経済にとっては必ずしもマイナスでない、プラスの面もあるというように感ずる次第でございまして、特に、停滞している方から伸びている職業群の方へ労働が移動することによって経済がより活性化される、そういう面もあるわけでございますが、それが不況と重なりますと、特に大きな失業雇用問題を引き起こすわけでございます。 今まさに、そういった日本の経済の曲がり角というか構造変化というものと、それから経済循環的な意味の不況、これがダブっておりますだけに、雇用問題、失業問題は非常に深刻になってくるわけでございますが、それだけに、そういった問題に対応するためにはどうしても、労働者の再訓練といいますか、あるいは職業能力開発といいますか、そういったものが不可欠になってまいると思います。現在も労働省の方でなかなかの努力をされ、職業能力開発体制というものが非常に整備はされてきておりまするけれども、これは私もまだまだと思う点があるわけでございます。大臣、この点はどのように充実をされていくお考えか、ひとつお示しを願いたいと思います。
○坂口国務大臣 先ほども御報告を申し上げました八月下旬の私たちの調査におきましても、特に中高年のホワイトカラーにおきます過剰雇用感が各企業ともに強いわけでございます。したがいまして、特に重点的に中高年のホワイトカラーの皆さん方に対する教育訓練というものを行っていきたい。 そこで、このホワイトカラーに対する教育訓練を専門的に実施する施設の整備を現在進めておりまして、さらに、職種転換等のための能力開発を支援する給付金制度の充実も図っていきたいというふうに思っております。もちろん、ホワイトカラーだけではございません、他の分野の皆さん方の職種転換も大切でございますけれども、現在とりわけ中高年のホワイトカラー、管理職、そうし た皆さん方のところに厳しい目が向いているということが事実でございますので、ここを重点的にしましてひとつやっていきたいというふうに思っているところでございます。
○宮本委員 さきの質問者の中でももう既に触れられておりまするけれども、労働時間についてお尋ねをしたいと思います。 確かに日本の労働時間は国際的にも非難されるほど長いわけでございまして、働き虫というようなことが言われるほど、そして、しかしある意味ではそれがまた我々日本人、伝統的に美徳として教えられてきた、そういった面もあるわけでございますだけに、労働時間を何とか短縮するという話、これには非常に大きな社会的な抵抗もあるし、また、発想の転換といいますか、今までの社会理念というものの大きな変化が要求される。それほど難しい問題に今労働省としても取り組んでいるわけでございます。労働時間を短縮しろしろと言うけれども、何だ、そんなことで世の中うまくいくのかという単純な批判から、今申しましたような国際的な問題等々、本当にどっちが正しいのか迷うような、そんな問題ではあるわけでございますが、しかし、これだけ日本も豊かになったわけでございます。国際的な非難を受けることはいかぬと言うだけではなしに、我々日本人の生活が本当に快適な生活で、そして余裕のある生活が楽しめるためには、どうしても労働時間の短縮ということを実現しなければいけない、このように考えるわけであります。 もう既に六十三年ごろから段階的に縮小の努力がなされてきておりますし、来年の四月からは週四十時間制ということに原則として移行するということになっております。ただ、問題は、平成九年の三月末までには、今とっている猶予措置というようなものも、これはなくして、何とか実現へということが示されているわけでございますけれども、これは大臣というよりむしろ労働省の方に質問をしたいわけでございますが、こういった不況時期でございますし、特に中小企業を抱えております。これはなかなか実現が難しいと思いますが、しかし、設定したタイムリミットが、単にタイムリミットと一応掲げただけで、結果的にはずるずる延びるようなことになってしまうと、これは本当に後々の信頼の問題もございますだけに、確たる自信を持ってやっていただかなければいかぬわけでございますが、どのようなタイムスケジュールといいますか、あるいは実際にどうやってこれを実現していく所存であるのか、事務当局の方からひとつ御説明を願えればありがたいと思います。
○石岡政府委員 先生、時短の意義についていろいろ御発言いただきましたけれども、私どもも全く同感でございます。そのような意味合いにおきまして、これから、厳しい中ではございますが、時短を進めていかなければならないと思っております。 ところで、来年四月から施行される改正基準法では、現行の週四十四時間制を原則として週四十時間制に移行することとしています。しかし、御指摘のように、労働時間の短縮がなかなか進まない中小企業が存在するわけでございまして、来年四月から一気に四十時間というわけにはまいらないということで、平成九年三月末までの間、三年間猶予措置を設けることとなっております。しかし、三年後にこの猶予措置が法律上なくなりますので、この三年後に、この猶予期間をうまく中小企業が利用して週四十時間に平成九年度から移行できるように、猶予措置の範囲とか水準についてもそういう点を十分考慮して定めていく必要があろうかと思っておる次第でございます。 具体的には、現在それらにつきまして中央労働基準審議会で、公労使三者構成でございますが、それぞれの立場から、どうすればいいか御議論をいただいているところでございますのできれば年内に中央労働基準審議会から御答申をいただきまして、来年四月から施行されます改正労働基準法の政省令を定めてまいりたい、そういうスケジュールを考えております。
○宮本委員 ありがとうございました。 タイムスケジュールその他については、中央労働基準審議会の方で、来年の三月、四月までに、答申をいただいて何とかいい案にしていただきたいと思いますが、これは本当に、今局長が話されましたように、中小企業を抱えておるだけに、そしてまた、日本の場合この中小企業が非常なウエートを持っておりますだけに、中小企業で時短が実現しないとなかなか全体としての時間短縮の目的が達せられない。そういった日本的な問題を今抱えておるわけでございますが、そのためにはやはりきめの細かい指導とそして強力な援助が一体となって行われなければいかぬと思うのでございますが、この点、労働大臣としてはどのようにこういった援助なりあるいは指導を進めていく御所存かをちょっと、御決意でも結構でございますが、お伺いしたいと思います。
○坂口国務大臣 今スケジュールは局長の方からお答えをさせていただいたとおりでございますが、いずれにいたしましても、中小企業の皆さんにこれから三年の間に御理解をいただかなければならないわけでございます。三年間あるといいましても、あっという間にこの三年間ぐらいは過ぎていくわけでございますから、今からひとつスケジュールをきちっとして、そして中小企業の皆さん方に御理解をしていただくように我々も努力をしなければならないというふうに思っております。これはやはり、この時間短縮、時短の精神というものが何かということを御理解をいただくこと以外にないわけでございますので、現状の経営の厳しさ等を乗り越えて、そして中長期的な展望に立って、いかにこのことが大事かということを御理解をいただく、それ以外に方法はないというふうに思っておりますので、ぜひひとつその線に沿って努力を続けたいというふうに思っている次第でございます。
○宮本委員 最後になりますが、最初に私大臣に、なかなか大変なときに極めて重要な、大きな責任を負われまして、ぜひ大任を果たしていただきたいと申し述べたわけでございますが、御就任されましてそろそろ三カ月かなというふうに思うわけでございます。その間、いろいろな大きな問題を処理されてまいったし、またこれから非常に難しい局面でその都度その都度高度な判断をお願いしなければならないと思うわけでございますが、三カ月間の大臣としての御感想なり、あるいはこれからこの難しい労働問題、雇用問題を前にしての御決意などお聞かせ願えればありがたいと思います。それをもちまして、私の質問を終わりたいと思います。
○坂口国務大臣 励ましのお言葉をいただきまして、ありがとうございます。約三カ月でございますが、いよいよこれからが胸突き八丁と申しますか、厳しさはこれからだというふうに自覚をいたしております。 現在取り組まなければならない問題は、当面のこの不況下におきます雇用の問題と、中長期的展望に立ちました労働行政の問題と、双方にらみながら、そして双方ともに前進をさせていかなければならないというふうに思っているところでございます。 また、そうした問題とあわせまして、労働衛生の問題等につきましても、ひとつこの際に見直しをすべきところは見直しをし、そして前進をさせ、働く皆さん方の健康を管理し、安全を維持していかなければならないだろう。現在なおかつ年間一万人を超える職業性疾患に罹患をする人がおみえでございますし、年間二千四百人前後の労働災害で亡くなられる皆さん方がおみえになるというような状況を思いますとき、この人たちを一人でも少なくしていく方向で努力をしなければならないと決意をいたしているところでございます。何とぞこれからいろいろと御指導いただきますようお願い申し上げたいと存じます。
○宮本委員 どうもありがとうございました。
○松岡委員長 山名靖英さん。
○山名委員 公明党の山名靖英でございます。きょうは私にとっても初質問でございます。大変未熟 でございますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。 坂口労働大臣におかれましては、大臣就任以降大変精力的な活動を展開していただいておりまして、お聞きしますと、この不況下の雇用促進を図るために、銀行協会あるいは各種経済団体等訪問をされまして、いわば就職促進の活動をされております。こういった活動は、従来にないこういった厳しい状況の中での事態であるがゆえだと思いますけれども、歴代の大臣にはない行動力に、また的確なその打つ手に対しまして、冒頭、心から敬意を表するところでございます。 それで、テーマとして出尽くした感じがいたしますが、大変重要な問題等が山積しておりますので、重複があろうかと思いますけれども、私は、端的に質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、雇用対策の問題でございます。先ほど来よりお話がるる出ておりますように、大変深刻さを増している、こういった事態の中で、現在の経済不況の実態というもの、構造的な要因というもの、これをやはり的確にとらえていかなければ、また的確な対応策がとれない、こういうふうに思うわけでございます。従来型の、いわば在庫調整型の不況と違って、いわば複合的な、資産デフレを含めたこういった事態の中で、従来にない、我が国が経験したことのない、こういった経済不況を招いておると私は認識をしておりますけれども、まず最初に労働大臣に、現今の我が国の経済不況の実態というもの、その要因というもの、どのように認識をされているか、お伺いをいたします。
○坂口国務大臣 お答えが重複をいたしますけれども、お許しをいただきたいと思います。 景気の低迷を反映をいたしまして、九月の有効求人倍率が〇・六九倍というふうに、八月の〇・七〇倍からさらに低下をいたしまして、昭和六十二年七月以来六年二カ月ぶりに〇・六倍台まで低下をしたわけでございます。完全失業率につきましても、過去の円高不況期の最悪期の水準には達してはいませんけれども、二・六%とやや上昇の傾向がございます。雇用情勢は依然として厳しい状況が続いておりまして、一層注意すべき状態にあると認識をいたしております。 労働省が八月の下旬に実施いたしましたヒアリングにおきましても、六割の事業所におきまして雇用調整が実施をされております。その内容は残業規制や中途採用の抑制が中心でございますので、私たちもほっと胸をなでおろしているところではございます。しかし、今後一時休業あるいは希望退職者の募集、解雇といったものが増加しないとは限りません。今後注意深く見守っていきたいというふうに思っているところでございます。 今後の経済情勢いかんによりましては、厳しい雇用調整が増加することも予測されますので、先ほどから申し上げておりますように、雇用対策プロジェクトチームを発足をさせまして、その中で、当面しております雇用対策、そして中期的な問題、それらもあわせてひとつ議論をしていきたい、早急に結論を出したい、そんなふうに考えているところでございます。 先ほど御指摘いただきましたように、来春卒業されます、とりわけ大学の卒業生、その中でもとりわけ女子の大学卒業生の皆さんが非常に就職難でお困りになっている、何とか皆さん方におこたえする方法はないだろうか、暗中模索しているところでございます。現在は、企業の皆さんにお願いする以外にございません。したがいまして、現在の不況の波を比較的受けにくい業種の皆さん方に対しまして、中長期的展望に立ってぜひ採用をお願いをしたい、そういうお願いをしているところでございまして、この十一月から十二月にかけまして、主な市におきまして、なおこういう厳しい状態ではあるけれども、採用したいと言っていただきます企業と、まだ就職が決まっていない学生さんたちの、集団お見合い会というと平たく言い過ぎるかもしれませんけれども、そういう会を持たせていただきたいというふうに思っておりまして、一人でも多くの皆さん方に就職の機会をつくっていきたいというふうに思っておるところでございます。 以上、そうしたことを計画しておりますことを御報告を申し上げたいと存じます。
○山名委員 先ほどの御答弁、大変御努力をされておるわけでございまして、緊急対策と、当然時代とともに中長期的にわたる将来への見通しというものを立てていく、こういった姿勢についてはこれからの大変大きな課題として早急に取り組んでいかなければならないと思いますし、今お述べになりましたように、最近、新卒者なかんずく女子学生の就職難、あるいは五十歳以上の中高年の再雇用問題、中堅社員なかんずくホワイトカラーの雇用対策、こういった課題が緊急課題として出されておるところでございます。いわば大臣みずからが就職活動の第一線に立たれて闘いをされている、このことを是としながら、こういった緊急課題に的確に対応していただきますよう要望をさせていただきたいと思います。 次に、雇用対策法に基づきまして策定をされております雇用対策基本計画及び年次雇用計画についてでありますが、第七次基本計画が昨年閣議決定をされました。平成四年から平成八年までの期間の雇用対策の方向が示されたわけでございまして、そういった中で、この第七次のいわゆる雇用計画につきまして、現今の不況の実態の中で昨年度の認識とかなり違ってきているのではないか、このように私は考えるわけでございます。まだ昨年の閣議決定の時点ではこのように求人倍率も落ち込んでおりませんし、各企業の、電機あるいは製造業、自動車産業を中心とする雇用調整が今ほど深刻でない時点での認識に立っての第七次雇用対策基本計画であったわけでございまして、そういった意味からも、いま一度この第七次雇用対策基本計画の見直しというものを考えるべきではないか、このように私は思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○坂口国務大臣 御指摘をいただきましたように、現在の第七次雇用対策基本計画、平成四年度からでございますが、策定されておりまして、「労働力供給制約に対応するための基盤を整備し、労働者一人一人の個性が尊重され、その意欲と能力が十分に発揮できる質の高い雇用構造の実現を目指すこと」という課題がついているわけでございます。この課題は現在もなお目指すべきものであるというふうに考えておりますし、現時点では計画全体を変更するつもりはございませんが、必要に応じてフォローアップをしてまいりたいというふうに思っております。 労働力人口の鈍化は予測できたことでございますし、午前中にも申し上げましたとおり、二十一世紀初頭、二〇〇〇年から二〇一〇年の間には若年そして中年の労働力人口が約四百万人減少するという状況を踏まえてこれは策定されたものでございますし、そうした点からいきまして、そのバックボーンになっておりますところは受け継いでいきたい。しかし、必要に応じてこれから変化するであろうさまざまな問題を抱合していけるようにフォローアップをしてまいりたいというふうに思っております。 また、今後、産業構造の変化やリストラの進展等、我が国経済の構造的変化も見込まれますので、これに適切に対応し得る中期的雇用対策のビジョンを策定することとしていきたいというふうに思います。それは、先ほど申しましたようなプロジェクトチームの中で十分に検討をして結論を出したいというふうに思っております。
○山名委員 今の事態というのは、いわゆる高齢者の雇用不安あるいは障害者雇用の問題、外国人労働者の問題、こういったことを含め大変課題が山積をしておるわけでございまして、こういった課題は従来にない我が国のいわば労働行政の根幹にかかわる、また一国の将来にかかわる問題でもございます。先ほど来より大臣からるる答弁をされておりまして、いわゆる日本的経営の危機というものを踏まえながら中期的な対策を講じたいということでございます。 そこで、質問の第三点目でございますが、くし くも労働大臣から先ほど答弁がありまして、こういった問題は単に労働省のみで取り組むには不十分であるということで認識をお述べになったわけでございますが、私もそう思いますし、これはやはり国を挙げて、労働省も通産省も厚生省も大蔵省も総務庁も経企庁も、すべての機関が総合的に立ち上がっていかなければならない、そういう意味の横断的ないわゆる仮称雇用問題対策連絡協議会的なものをつくるべきである、私はこのように思っております。ただ、先ほどの御答弁の中で、事務次官を総括責任者としてプロジェクトチームをつくって短期的、中期的に検討するという御答弁もございました。そこで、そういうプロジェクトチームの推移を見る必要があるわけでございますけれども、こういった緊急課題に対して、将来的な展望に立っての超横断的な省庁間の連携したプレーが労働大臣を中心にしてできないものかと思っておりますけれども、御所見をお願いしたいと思います。
○坂口国務大臣 経済対策閣僚会議等がございまして、全体の問題はそうした中で今後進められていくものというふうに思いますが、この雇用対策を労働行政の中だけでやっておりましてもなかなかこれは解決のできない問題でございます。午前中にも申しましたとおり、例え方がやや悪いかもしれませんけれども、対症療法的な意味合いが強いわけでございますので、もう少し根治療法的な対策が必要ではないかというふうに思っております。そうした全体の対策を立てる中で、しかし、労働行政としての持てる力を十分に発揮をして、そして対症療法的な方法も加味していかなければならないというふうに思っております。 現在のように雇用が悪化をする、その雇用の悪化がまた経済全体の悪化に拍車をかけるという悪循環を繰り返す可能性がございますから、この悪循環の鎖を断ち切るという意味では、対症療法的とは申しますけれども、大きな威力を発揮するものというふうに今自覚をしているわけでありまして、そうした意味で自信を持ってこの雇用行政を私たちは進めていかなければならないというふうに思っております。 しかし、それだけで十分かというふうに言われれば、やはりそれだけでは十分でございませんで、総合的な経済対策というものが必要であろう、それは経済対策閣僚会議等で十分に連絡をとりながらひとつ今後進めさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。
○山名委員 それで、先ほど来おっしゃいましたプロジェクトチームでございますが、どういった規模を持ち、どういった内容、方向性を持ってこれから進めようとされているのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。プロジェクトチームですね、これについて今後のめど、どういった規模にするのか、どういった内容の方向性を持ちながら進めていくのか、お願いいたします。
○坂口国務大臣 このプロジェクトチームは、労働事務次官を総括責任者といたしまして、そして各局長さん方にも中に入っていただいて進めていきたいというふうに思っております。 プロジェクトチームにつきましては、先ほど申しましたように、一つは「当面の雇用失業情勢に的確に対応するため、労働者の雇用の維持、雇用の促進、雇用機会の開発及び生活の安定を図るため基本的方策の樹立に関する事項」、こうしたことを一つ、それから二番目といたしまして「我が国経済の構造的変化を踏まえた中期的な雇用対策のビジョンの策定に関する事項」、この二つを中心にして進めていくということを考えております。 スケジュールは、先ほど申しましたように一の方は十一月中、そして二の方は来年三月までにその結論を出すということで進めていきたいというふうに思っているわけでございます。 なお、この中身につきましてどんなことをこれから議論をするのか、どんな結論が出そうかということにつきましては、全く今のところ予測することができませんで、幅広くひとつ議論をし、その中からぜひ即効性のある問題を取り上げて、そしてお役に立つようにしたいというふうに考えているわけでございます。
○山名委員 こういった景気の落ち込みと雇用不安というのは、各都道府県におきましても大変深刻な事態でありますし、それぞれ独自策を検討しながらこの局面を乗り越えようと苦労をしているところでございます。私は京都なんですけれども、京都府でも府の単独事業といたしまして、京都府学生職業情報センターを開設をして就職等の促進をしたり、あるいはUターンセンターというものをつくりまして、求人・求職情報の提供、職業相談等を行っている。あるいは人材確保フェアというものを開催をいたしまして、企業の説明会あるいは職業相談を実施するとか、いろいろなそれぞれの施策を単独で進めておるわけでございます。したがって、きょうは要望にとどめておきますけれども、ぜひともこういった各地方の取り組みに対しての特段の助成、補助をお考えをいただきたいと思う次第でございます。 次に、育児休業の問題についてお伺いいたしたいと思います。 昨年四月、企業に育児休業制度の導入を義務づける育児休業法というものが施行されたわけでございまして、これは長年にわたっての要望がやっと実現をされまして、大変喜ばれております。しかしながら、実施状況についてはまだ極めて低いと言わざるを得ないわけでございます。その理由は、やはり休業保障についての企業の立ち上がり、理解がもう一歩と言えるわけでございます。そういった中で、今後とも我が国の労働人口の推移等も予測されたデータもあるわけでございますけれども、やはり子供を生み育てていく、こういった女性の雇用というものが、有業率といいますか、これが極めて高くなっている現況の中で、育児休業者へのいわゆる所得保障という問題について、この実現が待たれるわけでございます。 先般、大臣の諮問機関でもあります婦人少年問題審議会が、この育児休業者に対する経済援助についての意見書をまとめておりました。今後労働省としてもこの方向で進めるやに仄聞はしておるわけでございますが、ここで改めて、現況の育児休業法の実施状況並びにこれからの所得保障に対する御決意のほどをぜひお伺いしたいと思う次第でございます。
○坂口国務大臣 御指摘のとおり、育児休業法は既に決定をされまして実施されているわけでございますが、その中には経済援助が含まれていないということで、多くの皆さん方から御指摘を受けてきたところでございます。 そこで、去る九月二十七日に出されました婦人少年問題審議会の建議におきまして、育児休業取得者に対する経済的援助については雇用保険制度で措置されることが当面現実的かつ適当との内容が示されたところでございます。先ほど先生からは所得保障というふうにおっしゃいましたけれども、所得保障とはなかなかいかないわけでございますので、経済的援助、こういう言葉を使わせていただいているところでございまして、少なくとも経済的援助を申し上げることにしたい、まずとにかく一歩を踏み出したいということでこの建議をいただいたところでございます。 労働省といたしましては、この建議の趣旨を踏まえまして、雇用保険制度としての対応のあり方につきまして具体的な検討を進めているところでございます。これに関しましては、中央職業安定審議会、今度は別の審議会にかわったわけでございますが、中央職業安定審議会の雇用保険部会において今御議論をいただいているところでございます。近いうちにその結論をいただくものというふうに思っておりますが、同部会での労使両方からの御意見を賜りながら、できるだけ早く結論を出していただきまして、そして来年の通常国会におきましてはぜひ御審議をいただけるようにしたい、そんな予定で現在進めているところでございます。ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
○山名委員 もう時間がないわけでございますが、最後に、これも将来の我が国にとって極めて大事 な問題として私どもが力を入れておるのが、いわゆる介護休業法の法制化ということでございます。御案内のように、厚生省の資料によりましても、介護を要する寝たきり老人は現在約六十万、これが二〇〇〇年には十年足らずして百万人に達するというふうに見込まれている状況の中で、いわゆる働く人々が家族のこういった介護そして職業の両立を図るという極めて大変な問題、課題に直面をするわけでございまして、昨年労働省はこの事態を踏まえまして、「介護休業制度の普及促進のためのガイドライン」を制定をされました。しかしまだその普及率は極めて低いわけでございます。 それとともに、私はここでさらに御質問をしたいと思いますが、この介護休業の法制化について労働大臣の御決意、いつごろをめどにして検討されるのか、また、それまでのつなぎとしてのガイドラインの普及についてどのような取り組みをされるのか、以上の点についてお答えをお願いいたします。
○坂口国務大臣 育児休業法と並びまして非常に大事なのは、この介護休業制度でございます。これから高齢化社会を迎えまして、どうしてもなおざりにすることのできない問題でございます。私たちも、私たちもと言うとしかられるかもわかりません、私もその年齢にだんだんと近づいているわけでございまして、いつかは御厄介にならなければならないかもしれないこの制度でございます。 そこで、一刻も早くこれを法制化したいわけでございますが、介護休業の場合には、幾つも検討をしなければならない問題がございます。御承知のように、育児休業の場合、お子さんの場合には、一年たちましたらそのお子さんがどれほど成長し、どれほど手が離れるかということが予測ができるわけでございますが、介護休業の場合には、半年なり一年経過いたしましたときにどれだけよくなり、どれだけ手が離れるかということは予測ができにくい。ひょっとしたら一年では済まない、二年も三年もかかるかもしれませんし、あるいは半年で決着がつくかもしれないし、三月でつくかもしれない、こういう将来に対する目安がつきにくいという面もございます。そうした問題をどのように処理していくかということがございます。 そうした面も含めまして、法制化につきましては、さまざまなそうした問題をひとつ法制化に先立ちまして検討しなければなりません。婦人局長の私的研究会として多くの専門家の皆さん方にお集まりをいただいて、そしてこの論議を開始したところでございまして、早く皆さん方のそうした議論の結果をまとめていただいて、そしてこれまた皆さん方にお願いを申し上げたいというふうに思っておりますが、またそうした問題が幾つかございます。 したがいまして、順序といたしましては、育児休業法のその経済的援助の方を皆さん方にお願いして、御審議をいただくということの方を先にやらせていただきたい、こんなふうに考えている次第でございまして、我々といたしましても精力的にこの研究を続けていきたい、かように考えているところでございます。
○山名委員 終わります。
○松岡委員長 鴨下一郎さん。
○鴨下委員 先日来の本委員会でも、大臣のごあいさつの中で、生活者の立場もしくは勤労者の立場というようなことでごあいさつをいただいていまして、細川政権発足以来私たちは、生活者の立場もしくは勤労者の立場というようなことで政策を進めていくというようなことに関しまして、大臣の心温まるそういうごあいさつ、大変敬意を表するものでございます。 その中で、この大臣のごあいさつの中で「ゆとりが実感でき、安心して働ける勤労者生活の実現」というようなことを大臣申しておるわけでございますけれども、そのゆとりある生活というようなことで、先ほど来時短の問題が多く語られているわけでございますが、その時短が、労働省の方向では約千八百時間を目指して時短を進めたいというようなことでありますが、現在は千九百五十八時間ということで、まだまだ先は長いというようなことが現状だろうと思います。 その中で私たちが、今二千時間を切って千八百時間台に突入したということは、ある意味で労働省の政策そのものの成果だろうというようなことで評価をするものでございますが、それ以外に現在の不況の問題、そこに伴います残業の減少等、これがある意味で時短を皮肉にも促進する、こういうようなことにもなっているのではなかろうかというふうに我々解釈しているわけでございます。 そうすると、実際に、そのゆとりある生活というようなことで考えますと、時短が進んで、ある意味で時間的にゆとりがあるというようなことは実現をしつつあるわけでございますけれども、それに伴ういわゆる経済的な裏づけというようなものが裏腹になっていく、こういうようなことも間々聞こえることでございます。 現実に、私は今まで医者をやっておりまして、その中で患者さんがある病気でいらして、その中でおっしゃっていることは、時間的な余裕ができたけれども、実際には、住宅のローンを抱えていたり教育費にかかっていたり、そのところに残業に関する賃金の部分が充当されていたのが、これがカットされた、このことが大変なストレスになったというふうなことをおっしゃっているような方もいらっしゃるくらいでございます。 そこで、きょう大臣にお伺いしたいことは、ゆとりある生活というのは、空間的な住宅の問題も含めまして、その時間的な問題、それから経済的な問題など諸側面があるというふうに私は考えておるのでございますが、労働省の考えるゆとりある生活というのは、具体的に一体どういうような生活を想定していらっしゃるのか、それからもう一つは、その指標となるものは一体何なのか、その辺のことについてお示しいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 難しい御質問でございますが、ゆとりでございますとか豊かさという言葉、それは主観的なものをかなり含んでおります。先ほど御指摘になりましたように、時間的なゆとりあるいは経済的な豊かさ、そうしたものを中心に考えていることは事実でございますが、それだけではないだろうというふうに私個人は思っております。 どなたかの御質問にお答えをしたところでございますが、とりわけ雇用というのは、その国あるいはその地域の文化のバロメーターとして存在する、総合的なものの中にその雇用というのは存在するのではないだろうかというふうに思っております。先ほど例として挙げられましたように、時間的ゆとりがあるがゆえに余計なことを考えてストレスになったというのではいけないわけでございますし、どういたしましてもやはり総合的な質を向上させなければなりません。しかし、そのためには余りにもこの日本の労働は忙し過ぎるということだけは今まで言われたわけでございますから、時間的ゆとりをつくり出すということがその中の一つの要素であることだけは間違いがない。 そしてまた、経済的にも決して恵まれ過ぎているわけではない。そうした意味で、経済的な面もこれをこれから充実していこうということも、これもまた一つの要素であることに間違いはないわけでございます。今までのように、時間外労働をして、それによって補うという形ではなくて、所定内の労働時間の中で必要な賃金が得られるような体制を、みんなで話し合いながらどのようにしてそれを決定していくか。大きい企業だけではなくて、関連企業も含めまして、その企業間のさまざまな話し合い、そしてそこで働く人たちとの間の話し合い、そうした総合的なものの中で、痛みを分かち合いながらお互いの主張を調和をしていくというのがこれからの雇用にとりまして大事ではないだろうか、そんなふうに考えております。
○鴨下委員 そういうゆとりある生活というのが、ある意味でまだまだな部分があるというふうに私は考えておるわけですけれども、そういった場合 に、例えばゆとりを求めてなかなかそれが実現しない状況の中で、ある種職業的な病気だとか何かが生じてくるわけですけれども、今まで我々が労働災害に伴うさまざまな病気もしくは外傷というようなことの中で、昭和の二十年代ぐらいまでは、過酷な肉体労働の中で起こってくる病気、例えばじん肺症であるとかけい肺だとか結核というような、ある意味では、従来の肉体労働に伴う病気を中心に労働災害というようなものが位置づけられていた部分があると思うのですが、最近では、栄養状態や肉体的な労働条件が改善されてきたのに伴いまして、むしろ精神的な労働もしくは頭脳労働に伴うさまざまな病気、疾患というようなことがふえてきた。具体的に申し上げますと、成人病やある意味でのストレス関連疾患、こういったようなものの比率がふえてきた、こういうふうに考えるわけでございます。 ある意味で、今までの歴史的な経緯の中で、産業の構造もしくは第一次産業から第二次産業、第三次産業というふうに移行することに当たりまして、いわゆる労災を含めた、労働条件に伴うさまざまな疾病の種類、構造も変わってきているというふうに認識しているわけでございますけれども、労災の認定というようなことに関しましても、今まではやや肉体労働的なものに関する疾病に重きを置かれているような認識を私は持っているのです。 その辺のところで、今後の話なんですが、成人病あるいはストレス関連疾患といったようなものが、職場の中で起こり得る病気として労働省は今どういうふうにお考えになっているのかということについて、御答弁をいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 事務的な部分がございましたなら、また局長から答弁をしてもらいたいと思います。 御指摘のように、今までの労災に匹敵します、匹敵すると申しますか、労災に当たります疾患というものはかなり限定をされておりました。今御指摘になりました、例えばストレスといったような病気がその中に入ることができるかどうか、これは、労災請求がありました場合には、労災補償制度の本旨に基づきまして十分な調査を行い、そして適正、迅速にそれに対処するというのが、これが模範答弁でございますけれども、現実問題といたしましては、客観的な評価ができるものは大変よろしいわけで、審査はしやすいわけでございます。しかし、客観的に評価のできにくい疾病、これが労災によって起こったものか、あるいは他の原因によって起こったものか区別をすることができにくい疾病、そうした問題につきましては、申請をしていただきました場合に、それを調査するときに大変難航をしているというのが実情ではないだろうかというふうに思います。しかし、申請をしていただければ、そのことにつきましては、当然のことながら十分な調査を行いましてそれに対処するのが務めでございますので、そのようにさしていただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
○鴨下委員 時間が来ましたので、これで終わらせていただきますけれども、お願いといたしまして、今後、そういうような疾病構造が変わってきたということを踏まえて、労災等についての御考慮もいただきたいというふうにお願い申し上げます。
○坂口国務大臣 疾病構造が変化をしておりますことは御指摘のとおりでございまして、新しいそうした疾病構造の変化等を踏まえ、新しい情報も踏まえながら、これから労災等の問題あるいは過労死の問題等につきましても、鋭意積極的にひとつ研究を重ねていきたいと考えております。
○鴨下委員 終わります。
○松岡委員長 石井紘基さん。
○石井(紘)委員 皆さん、お疲れさまでございます。最後、もう横綱でなくて弓取りのようなものでございますので、短時間で終わらせていただきます。 今し方、労働大臣、私ども日本新党の鴨下さんの質問に対しまして、雇用は文化のバロメーターというすばらしい誉言葉をいただきましたが、もう少し拡大をして考えてみますと、労働行政なり労働政策というのは、今後ますます我が国の政治、行政、全般にわたってのかなり重要なポジションを占めてくる。したがって、むしろ、労働大臣というのは内閣の中でも最も基本柱の中の基本柱というふうに私は言ってもいいのじゃないかと思っております。つまり、雇用の問題だけじゃなくて、労働政策、労働行政、こういうものがしっかりしているかいないかということが、やはり我が国の文化のレベル、ひいてはまた生活の中の喜びとかあるいは夢とか、そういうものに結びついていくのだろうと思いますので、ぜひ、私も新米でありますけれども、御指導をいただきながら一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。 そこで、労働省のあるいは労働政策の役割としましては、今までの縦割りの行政の中で、労働行政はここまでというようなのを余り気にしないで、むしろ、例えば今日的な大きなテーマであります高齢化の問題あるいは国際社会における問題というような領域においては、積極的に労働行政がもっともっと縄張りを広げていくといいますか、仕事を拡大していくという発想が必要ではないかと思います。 例えば、労働省あるいは労働行政の中に国際的なテーマがかなりの部分にわたってあるわけであります。国際社会への積極的貢献を目指して、人づくりを通じた国際協力というようなすばらしい内容がたくさん盛り込まれておりますが、こういうことにしても、労働省はここまで、あとこっちは外務省、こっちは法務省というようなことでは、これだけのすばらしい、立派な政策というものが十分、一〇〇%具現化されてこないという側面があるのじゃないのか。先ほど国際貢献の話も、随分きょうは出ましたけれども、むしろ国際貢献というよりは、広い意味での労働政策あるいは経済構造の問題、国際的なレベルでの経済構造の問題というふうなとらえ方をしていくべきではないか。 最近、我が国の中小企業は、アジア地域にたくさん工場をつくっているところもあるのですが、むしろそういうことよりも、向こうの企業を育てて、そして向こうからの輸入をどんどん促進していこうという傾向が強くなっていますし、一方では、貿易のインバランスによりましてむしろそれがますます拡大して、特にアジア地域なんかからは輸入が減っておるということは、また経済の大きな構造的な問題であるわけです。そうしますと、外国に企業を育てて、そしてそこから輸入をしていこう、つまり、向こうのレベルアップを図っていくということは、将来にわたっていろいろな雇用の問題その他、我が国の経済全般を考えるときに、非常に今から考えておかなければならない問題ではないかというふうに思うわけです。 そこで、雇用促進事業団というのは、私も幾つかの施設を見学してまいりましたけれども、地味でありますけれども大変立派な仕事をやっておられる。これは我が国の経済、雇用の問題に大変貢献しているだろうと思います。そういう中で、ここには外国人、人づくりと書いてありますけれども、しかし、全国に二十三ぐらいある能力開発の短期大学というようなところには、ほとんど、多分一人もいないのじゃないかと思うのですが、外国の研修生がいない。それは、我が国が向こうのレベルアップをして、技術を提供して、向こうで我が国の産業に合う製品をつくらせるためにも、これは決して産業の空洞化の問題ではありませんし、そういうことは非常に必要なので、私は具体的な提案として、このポリテクカレッジという職業能力開発短期大学に相当数の外国の研修生を入れることが可能かどうか、そして、私もちょっと調べましたけれども、これはできるはずでありますので、そういう施策をとるように前向きに進めていただきたいと思います。 なお、それは、いろいろなほかの施設に外国のそういう技術者を訓練するために迎えているのはあるのですけれども、この短期大学というのはとりわけすぐれた機能を持っておりますのでそうい う提案をするわけでありますが、いかがでございましょうか。
○松原(東)政府委員 御指摘のように、公共職業訓練施設には、本来の運営に支障のない範囲で外国人の研修生も受け入れられるように、これは能開促進法にも規定がございます。 現状では、現実に研修生が利用しておりますのは、雇用促進事業団の施設のうちの能力開発促進センター、ここに、本年度四月以降現在まで、二十六施設に七百八十二人の研修生が財団法人の国際研修協力機構のあっせんにより利用をいたしておるところでございます。なお、これらの研修生は、御承知のように企業が研修生を受け入れ、その前段階の座学研修、おおむね三カ月でございますけれども、これを受けるということで利用しておるものでございます。 なお、御指摘の職業能力開発短期大学校につきましては、原則として二年間の長期課程、これが原則でございまして、その間の生活費等の問題もございまして、法律上は入校は可能でございますけれども、現実のニーズとしてはまだそこまではいっておりません。 なお、職業能力開発大学校がございますが、これは四年の留学でございまして、ここには、自費によります若干の研修生といいますか、留学生が入っておるのもございます。 以上でございます。
○石井(紘)委員 これは、特に日本の経済が構造的に成長経済からまた新たな状態にかなり変化をしておりますし、また景気の問題もありますし、そういう中でも中小企業の手間を省くといいますか、負担を軽減するという意味におきましてもこれは大変役に立つのじゃないかと思いますので、ぜひ御検討をお願いします。 それからもう一つ、高齢化社会に向かっていくわけでありますが、労働省の中にはいろいろな施策がたくさん盛られております。しかし、通勤地獄の中で比較的高齢者が、例えば定年延長、先ほど大臣のお話にもありましたように、六十五歳に向かっていくにしても、まず雇用促進の方を先行させる必要があるのじゃないか、私も全く賛成でありますけれども、そういう中でも、六十五歳とか、あるいはもっと働きたい、そして働ける、そういう人に働く機会を提供していくための裏づけのためには、やはりそういう通勤地獄の中で六十五歳になっても七十歳になっても通勤しろということはまた現実的じゃないので、せっかくいい絵をかいてもそれが実らないということにもなるわけであります。 同じく雇用促進事業団がやっておられる雇用促進住宅というのがございまして、この状況も、私先日お邪魔をしていろいろと聞いてまいりましたけれども、ここに、今現在で実態としては相当高齢の方の割合がふえておりますけれども、しかし、応募するのに、たまたまあきが出てタイミングがよくなければできないというような状態で、大変な盛況といいますか満杯の状態ですけれども、ここに高齢者の一定の枠をあらかじめとって、そして高齢者の雇用のために資するということが考えられないものかどうか、これをぜひ御検討をいただきたいと思います。 これはどなたかか知りませんが、大臣、お願いできれば、それをもって私の質問を終わらせていただきます。
○坂口国務大臣 雇用促進住宅を高齢者のためにもう少し開放しろというお話でございますが、雇用促進住宅という名前が示しておりますように、本来の趣旨は雇用促進ということでこの住宅はできたわけでございますから、高齢者を大手を振ってその中に全部入れるということはなかなか難しいだろうというふうに思います。ただ、現実問題といたしましては、高齢者が現在一四%入居しているところでございますので、今後とも働く高齢者のためにはその活用にできるだけ努めてまいりたいというふうに思っております。 そのほか、入居要件としましては、公共職業安定所の紹介によりまして住居を移転して就職する、いわゆる移転就職者であることが原則でございますけれども、職業の安定を図るために宿舎の確保を図ることが必要であると公共職業安定所長が認める者についても貸与することができることとしておりますので、労働者であれば年齢制限は特に設けられていないということでございます。 ですから、お仕事をしておみえにならなくて、いわゆる御隠居生活をしておみえになる方は不可能でございますけれども、働いておみえになる方でございましたならばこの条件に当てはまるわけでございますので、御利用いただけるものと存じます。
○石井(紘)委員 ありがとうございました。
○松岡委員長 本日予定された質疑はすべて終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十三分散会