労働委員会 第11号
- 発言数
- 246 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1993/06/01
会議録
○委員長(田辺哲夫君) ただいまから労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日、野間赳君及び清水達雄君が委員を辞任され、その補欠として坪井一宇君及び岩崎純三君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(田辺哲夫君) 労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 おはようございます。 きょうは、労働基準法にかかわる審議でございます。この法案によって労働時間の短縮というものが図られていくということで、私も大変うれしく思っているところですけれども、そういう中におきましても実は最近過労死というような言葉が大変使われるようになって、その実態としてはさまざまな長時間労働などによる問題が起こっているのではなかろうかというふうに思います。 本来であれば、その中身などについてもちょっとお尋ねをしたいところですけれども、時間の関係もございますので、きょうは過労死なども含めて労災認定の手続、これについてもいろいろな問題点が指摘をされているところでございますので、その幾つかの点についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思っています。 まず、労災の認定の手続でございますけれども、私がお聞きしたりあるいはいろいろな調査結果などを拝見しますと大変長時間かかっている、こういう傾向が見えるのではないかというふうに思います。これは、平成二年の四月に衆議院の社労委員会の参考資料として出されているものでございますけれども、保険給付に関する審査請求、これの一件当たりの平均所要日数、決定までの所要日数が昭和六十三年度で百七十六日という数字が出ておるんです。これは、労働省の資料に基づいているのではなかろうかというふうに思いますが、これはまた御確認をいただければ幸いだというふうに思います。これは一例ですけれども、このように大分長期化をしている。この間、請求人とか家族にとっては大変大きな負担がかかっていると言ってもよろしいかというふうに思っています。 そういう意味で、この労災認定手続ですけれども、やはりできる限りこれからも迅速な処理、こういう方向を目指していくべきであろうというふうに思いますけれども、労働省の方としてはこの迅速処理についてはどんな御努力を図っていらっしゃるか、あるいは今後御検討されるかお聞きをさせていただきたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生の御指摘は全くそのとおりだと思います。労災保険制度の目的は被災労働者の迅速適正な保護にありますから、認定は迅速に行わなければならないと思っております。 そこで、現状及び対策を申し上げますが、まず監督署の段階での認定の状況を申し上げますと、いろいろ労災の請求事案がございますけれども、そのうちの相当数を占める休業給付の請求につきましては、調べてみましたところ請求を受理しましてから平均しまして二十日以内に支払いを行っている、そういう努力をいたしております。 しかしながら、御例示がございましたようにいわゆる過労死などという問題が出てきております。これは率直に言いまして非常に内容が複雑でございます。したがいまして、調査その他に時間を残念ながら要します。そのため認定に時間がかかるということで、遺族の方々にも御迷惑をかけているところでございます。これは何とかやはりもう少し早められないかということで、いろんな改善努力をしております。 例えば、平成五年度からは、いわゆる過労死の医学的な判断をしていただく専門医を第一線の労働基準監督署に配置をし始めております。たしか、九十数名を平成五年度配置したところでございますが、今後も監督署に脳・心疾患の専門医をさらに多く配置いたしまして、いわゆる過労死というような難しい事案の認定の迅速化をこの面からも図ってまいりたいと考えている次第でござい ます。 それから二番目には、基準局に労災保険審査官がおりまして、これが監督署の処分に不満がある場合に審査をしているわけでございます。ここでもいろいろ時間がかかる問題がございますので、例えば保険審査官を増員するなど、審査体制を整備いたしまして迅速処理に努めているところでございます。また、一番最後になりますと、東京にございます労働保険審査会で再審査が行われるわけでございます。調べてみますと、ここでもかなりの時日が再審査にかかっておりますので、従来からもいろいろやってきているところでございますが、関係職員の増員を図るなど、これまた事務処理体制を整備しまして迅速処理に努めているところでございます。 以上のような現状及び対策でございますけれども、先生の御指摘ごもっともでございまして、今後とも認定の迅速化あるいは審査の迅速化には全力を挙げてまいりたいと思っております。
○千葉景子君 制度上も今後いろいろな検討を加えていただいて、ぜひ迅速な処理をお願いしたいというふうに思います。 ところで、迅速な処理をするためにも、一つは労災認定に関連して、いわゆる被災者といいますか請求をする側ですけれども、なかなか自分のいろいろな立場を説明したり、あるいは主張する判断資料というんですか基礎資料、こういうものがなかなかそろわないというのが実情ではなかろうかというふうに思うんです。審査請求の段階でもそういうものがなかなか手元にないために十分な争い方ができないあるいは主張ができない、どうしたらいいのかと、こういうようなことによってなかなか手続上も迅速な処理が進まない、こういうことも頭に置かなければいけないだろうというふうに思います。労働基準監督署がどんな資料で判断したか、こういうものが請求側にもわかればそれに対して、いやこれは実はこうだとか反論をするとか、あるいはそういうのが適切にできるだけ手際よくやることができるのではないか、こういうふうに思うんです。 そういう意味では、資料をできる限り開示していただく、それによって審査請求段階でもさらに迅速な処理というものに寄与することができるのではないかというふうに思うんですけれども、その資料の開示などについてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 監督署が保険給付の請求人に対しまして不支給決定の通知を行います場合には、通知書にその理由を記載しております。それで、ある程度請求人の方もその理由を知ることはできますものの、おっしゃるように詳しい内容をお知りになりたい方々もございます。そういうことで、請求人から監督署に対しまして処分理由の説明が求められました場合には、法律上の根拠とその解釈、医学的判断その他の理由などをできるだけわかりやすく第一線で御説明するようにしているところでございます。今後もこういう御説明を励行してまいりたいと考えている次第でございます。 それから、審査請求の段階におきましても、請求人から資料の開示の要求がございました場合には原則的にこれに応じることに局ではいたしております。ただし、プライバシーの問題がございまして、そういうことで第三者に迷惑が及ぶと判断されるような資料、あるいは資料提出者の同意がどうしても得られない資料につきましては開示できないということで、やむを得ずそういう措置をとらせていただいておるところでございますが、それらのケースに該当しない場合は原則的に請求人の方々から資料の開示の要求があれば開示していくという原則で当たっているところでございます。 以上、監督署と局段階における資料の開示などについて申し上げましたけれども、本当に御指摘がございましたように請求人などに対しまして必要な判断資料を御提供するということが労災の手続の迅速処理につながるものだと我々も考えておりまして、そういう観点から問題のないようにさらに努めてまいりたいと思っております。
○千葉景子君 基準といいましょうか、そういう点について確認をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、平成二年五月二十四日のこの参議院の社労委員会、それから三年六月二十六日の決算委員会で木庭健太郎議員がやはりこの資料の開示の問題について質問をなさっておられます。そして、労働省の方からは一定の例外はあるけれども請求人の要望に沿って資料の一部の開示をやるように努力する、こういうお答えになっておるんです。これは、基本的なお考えだというふうに思うんですけれども、その考え方が今でも基本になっているのかどうか。 それから、これは労働省としてそういうふうにお考えであっても、やはりそれぞれの現場でこの考え方が徹底されているのかどうか疑問を持たざるを得ない場面もあるわけです。一切だめだよというような話も聞いたりもしております。 そういう意味で、この考え方が基本的にはそのまま維持されているのか、それからそれの各労基署とか各地方への徹底、こういうものをどうされているのかお聞きしたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) 労災認定に関して収集した資料を保険給付請求人などから開示の要求があった場合に、これに応ずるかどうかにつきましては、御指摘のように国会でも取り上げられた次第でございます。平成二年の五月二十四日の参議院社会労働委員会で木庭健太郎先生が御質問をなさいましたけれども、そのときに私が審議官としてお答えしております。 その原則といいますものは、プライバシーの問題などもありまして、第三者に迷惑が及ぶと判断されるものや資料提供者の同意がどうしても得られないものはできませんけれども、それ以外は資料を請求人などに開示していく、これが原則でございまして、今でもこの基本原則は変わっておりません。そういうことでやらせていただきたいと思っております。 そこで、現場への徹底の問題でございますが、確かにいろんなケースの中には必ずしも今申し上げた基本原則で処理が行われてないんじゃないかと疑問視されるものがあるかもしれませんが、第一線に対しましてはいろんな会議その他を通じまして今の基本原則を徹底させております。不十分な点があるかもしれませんが、そうであればさらに今後、きょうも御指摘がございましたので、今後の全国会議その他の機会を通じまして、今申しました基本原則で資料の開示を行っていくように第一線にさらに徹底をしたいと考えております。
○千葉景子君 この資料の開示につきましては、労災保険審議会からも貴重な報告が出されているところでございます。 一九九二年の十二月十七日、労災保険審議会の認定問題小委員会、ここで審議がされまして審議会に諮られて了承されて、そして労働省の方に報告をされているということでございます。この審議会での報告によりますと、文書開示の要件といいましょうか基準、こういうものについて、「個人のプライバシー、企業の秘密その他第三者の権利を侵害するおそれがあること等」、こういうようなことがない限りは請求人に対して閲覧をさせる、こういう報告がなされております。 これに対して、労働省は通達をもってこれを指示をされているんです。ただ、労働省の通達によりますと、一つはこの小委員会あるいは審議会の報告も基礎にされているとは思いますけれども、もう一つ昭和五十七年二月二十二日付の通達、これは第三者からの文書の開示の要請に対する考え方、この通達、それから平成四年三月三十一日、行政情報公開基準の取り扱い、これの考え方、これを下敷きにされまして、ほぼこれと同様に考えるのだというふうな通達をされていらっしゃるんです。 この第三者からの文書の開示というのはあくまでも第三者から、それから行政情報の公開というのはこれは一般的に行政内にある資料をできる限り公開をしていこうという意味での一般的な基準ということになろうかというふうに思います。そ れに比べて、やはりこの審議会の報告というのはあくまでもやはり労災認定、こういう一定の特別な場を想定してその実情なども踏まえた報告であろうというふうに思うんです。そういう意味では、やはり第三者からあるいは一般的な行政情報ということではなくて労災手続における開示の問題ということで、この審議会の報告をできる限り尊重いただきたいというふうに思うんです。 その通達については、そういう特別な事情とか背景というものを少し無視されているんじゃないかという嫌いがどうも読み取れて仕方がないんですけれども、その点についてこの審議会の報告などを十分踏まえて開示の条件、こういうものをこれからもしっかりと確定されて、そしてそれを指導いただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 労災保険審議会の認定問題小委員会からまさに先生御指摘のような内容の報告を先般いただいたところでございます。今後、労働基準局といたしましては、この認定問題小委員会の報告の基本原則を尊重いたしまして、請求人からの資料閲覧に対処してまいる考えでございます。 一方、昭和五十七年の二月二十二日に出しました通達による第三者からの文書開示請求に対する取り扱いにつきましては、御指摘のように時点が違いますし、またその背景も違いますが、基本的には第三者からの文書開示請求に対しましても、先ほど申し上げました今回の認定問題小委員会の報告の原則にのっとって同じような扱いをしていくべきではないかと考えている次第でございます。 そういう考え方に立ちまして、第三者からの文書開示請求に対しましても同じような原則でこれに対処するよう第一線機関に指示徹底をしてまいりたいと考えております。
○千葉景子君 被災者やあるいは家族などにとっては、本当にいざのときのために資料を何か保存しておいたり、あるいはまたそのためにメモをつくっておいたり、毎日の日常の生活の記録をとっておくとか、こういうことは考えられないわけです。いざ不幸な出来事が起こって、自分の家族はあるいは自分は一体どういう働き方をしていたんだろうか、どんな生活ぶりだったんだろうか、あるいは健康状態は本当にどうだったんだろうかと改めて考えざるを得ないということが多いわけです。 そういう意味では、やはりそれに関する適切な資料などがあってこそ正確な主張なりもできるでしょうし、それからその手続に対するさまざまな協力も気持もよくできるのではないだろうかというふうに思うんです。そういう意味では、先ほどの一定の条件といいましょうか基準、私もわからないではありませんけれども、できる限り請求人の意向を尊重していただきたい。それから、企業などの同意が必要だということは確かにわかります。行政庁に対しての資料の提供だったわけですから、全くそれを無視してなかなか開示できないということはわかりますけれども、ただどれだけ力の差があるかといえば、やはり被災者側にとっては本当に丸裸だと、こういう状況でもございます。そういう意味では、企業の本当に根幹の秘密にかかわるようなことがない限り適切な指導をいただく、できる限りそれを見せることに同意をもらう、こういう努力も重ねていただきたいというふうに思います。 そういう意味で、行政庁側にある資料の問題がございますけれども、当事者間ででも、例えば企業から当事者、被災者などが資料を得たいと、こういうことについても労働省側もできるだけそういうことに協力するような指導などもできればいただきたいというふうに思うんです。例えば、出勤の状況とか、あるいは健康診断の記録とか、あくまでも個人にかかわるような資料、こういうものはどう考えてもそれだけですぐ企業の秘密が損なわれるというような問題でもありません。そういう意味では、請求人からの求めがあれば企業側もできる限り協力をして、この労災認定の手続がスムーズに、迅速に行われるような、そういう手だてをぜひ積極的に講じていただきたいというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(石岡慎太郎君) いわゆる過労死のような労災事案について見ておりますと、遺族の方々が、亡くなられた方が会社でどういう出勤の状態にあったのか、例えば長時間働いていたのかどうなのか、これにつきましてはなかなかその情報を得ることができないわけでございます。 確かに、企業秘密に属するものについては会社側も協力せよと言いましてもできないのかもしれませんけれども、やはり会社側はできる限り、自分のところの労働者がいわゆる過労死などで亡くなられた場合には、遺族の方々のことも考えて労災請求に私は努力をすべきではないかというふうに考えております。監督署などが間に入っておりますけれども、企業に対してもいろいろ労災の認定につきまして協力を求めているところでございます。その結果、非常に過労死の問題についても協力をしてくれる会社もございますが、そうでない会社も残念ながらある現状でございます。 間に入っております監督署あるいは労働基準局は、これが労災であるかどうか適正な判断をしなければならない立場にあります。そのために、企業側の情報、協力も必要でございますので、役所の仕事を適切に行うと同時に、遺族の方々にも適正な補償が行われるように監督署などが企業の協力を労災の認定についてこれからも的確に求めていくように第一線には指導してまいりたいと考えております。
○千葉景子君 この手続の中で、審査請求段階で参与の方がいらっしゃいます。参与の参考の意見を求めて適切な判断をしていこうと、こういう仕組みになっているわけです。少なくとも、この参与に対してはできる限り公平な、そしてまた的確な意見を出していただくという意味で、参与に対する資料の提供、こういうことも不可欠なことであろうというふうに思います。 これは、私も必ずしも正確ではないかもしれませんけれども、参与に対する資料の提供の仕方というのが、それぞれの審査会間などで何か格差といいましょうか、違いがあるというようなことも耳にします。これは、事件の種類にもよるだろうというふうに思いますし、それから必要性とか、あるいはまた参与からの求めがあったや否や、こういう問題もあろうかというふうに思いますけれども、少なくとも参与の側で意見を出すのにこういう資料は当然不可欠なものだ、こういうようなことがありましたら、これはやはり全面的にその資料を見ていただいて、そして的確な意見を出していただくということが、これはもう必要だろうというふうに思います。 その点で、以前報道などで資料の一部しか提供しなかったと、それによって参与の意見が最終的には全部見せてもらっていたらひょっとしたら違う意見が出たんじゃないか、こういうようなことが新聞報道などされたこともございます。 そういうことを考えますと、やはり参与の要求には適切に、それから十分にこたえていく必要があるだろうというふうに思いますが、その点についてぜひ明確なお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) 審査請求段階における参与の方々に対する資料開示の問題につきましては、参与の方々はやはり適切な資料に基づきまして労災の審査につきまして正しい判断をしていただかなければならないと、これが原則であると思っております。 そこで、審査官は参与に対しましていろいろの資料を提供しておるところでございますが、現実問題といたしましては、先生まさに御指摘なさいましたように事件の種類やそれから参与の先生方からの御要求などがいろいろまちまちでございますので、結果的に参与の方々にお出ししている資料につきましてはその事件事件あるいは地域地域によって違っているというところがあろうかと思います。しかし、その結果参与の方々がもう少し こういう資料も出してくださいというような要求が出てまいると思います。その場合には、審査官は参与の方々が必要であると要求されました資料は原則としてこれをお出しするようにという指示をいたしておりまして、プライバシーとかいろんな問題がありまして出せないものに仕方がございませんけれども、参与の方々が御要求なさる資料につきましては審査官はできるだけ原則としてこれに応じていくという運用もしているところでございます。 今後とも、一部新聞に問題が出たようでございますが、そういう問題のないように参与の方々に適切な資料を提供いたしまして正しい判断をしていただくという努力を重ねてまいりたいと思っております。
○千葉景子君 まだまだこの労災手続の問題についてもお聞きをしなければいけないこともあるんですけれども、時間の関係もありますのでまたこの続きは別な機会に譲らせていただきたいというふうに思います。 さて、労基法の直接の関係の問題でございますけれども、私からは変形労働時間について何点がお尋ねをさせていただきたいと思います。 今現行制度で三カ月、一カ月、一週間という単位の変形労働時間制が導入されています。その利用の進展ぐあいというのはどの程度か、労働省としてはどう把握されていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 現行の変形労働時間制の利用の進展状況でございますが、まず一カ月単位の変形労働時間制について申し上げますと、平成四年の調査で一カ月単位の変形労働時間を採用している事業場の割合は全体の二四・三%でございます。平成二年が三・三%でございましたのでその利用が進展しているわけでございます。一カ月単位の変形労働時間制は、前回の労働基準法の改正以後、週四十八時間から四十六時間そして四十四時間と短縮してきておるわけでございますが、これをこなすために四週五休制あるいは四週六休制というようなものを導入するために一カ月の変形制をその際には利用して行うと、こういうのが私どもの通達で示しているところでございまして、そういう形で一カ月の変形労働時間制の利用が進んできているという状況でございます。 それから、三カ月の変形労働時間制でございますが、これは届け出を義務づけておりますのでその届け出件数を見ますと、昭和六十三年には三百一件、その後平成元年に三百六十一件、平成二年に四百十一件、平成三年が八百十五件という状況になっております。 それから、一週間単位の非定型的な変形労働時間制、これは小規模の旅館その他の事業について設けている制度でございますが、これも法律上届け出を義務づけております。その届け出件数を見ますと、昭和六十三年に四件、平成元年が五件、平成二年が十八件、平成三年が十四件と、こんな状況になっております。
○千葉景子君 一カ月については、平成四年で二四・三%というのはどういう基礎サンプルでの調査結果なんでしょうか。ちょっとそれを確認させていただけますか。
○政府委員(伊藤庄平君) これは私ども、労働時間につきまして、労働基準監督官を使いまして全国の事業場を監督指導に回ります。そういう中で労働時間の実態を把握したものでございまして、その際の調査対象事業場になりました事業場を無作為に選定いたしました一万三千九百九十八事業場がその調査対象でございます。
○千葉景子君 今数字を挙げていただいたんですけれども、これを見たところ、一カ月もサンプル数からいうと全体像がこれでわかるのかどうかまだちょっと疑問ですけれども、三カ月などを見ても平成三年で八百十五ということですね。三カ月変形制なども普及がほとんどされていない、こういう実情だろうというふうに思うんです。 そういう中で、一年変形というさらに長いタームの変形制を導入するということの意味というのはどういうことにあるんでしょうか。その点はどう認識されていらっしゃいますか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 一年単位の変形労働時間制は、年間の休日をふやすことによりまして実質的に週四十時間制を実現していただくために効果的な制度ではないかと考えているものでございます。 もとより、これが乱用されますことは絶対に避けなければいけませんので、乱用防止の規定などは設け、あるいはまた指導はしていくつもりでございます。これが、乱用がない形で運用されますと、我が国の週四十時間制の実現に効果的な制度だと思っております。 さらに申し上げますと、この制度を御活用いただければ、例えば大企業なんかがそれに該当すると思いますが、既に週四十時間制を実現しております上にさらに休日をふやしていただきまして、三十九時間とか三十八時間とか、年間を平均いたしまして一週当たりさらなる労働時間の短縮をしていただける、そういう点でも効果的な制度ではないかと考えております。
○千葉景子君 今御指摘のあったところは、ちょっと後ほどまたお尋ねしたいというふうに思うんです。 三カ月の変形制がなかなか導入がされていない、こういう中で一年という変形制になりますと、一年間でいろいろな業務の体系を考える、あるいはスケジュールを考えるということになります。なかなかそう簡単に導入できるという制度ではないというふうに思うんです。あるとすれば、業種などを考えたとき一体どんな業種が一番導入を期待している、あるいはされようとしているか、その辺はお考え、あるいは検討なさっていらっしやいますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 一年の変形労働時間制につきましては、いろいろ厳しい要件を付しておるわけでございますが、その中でも変形制を導入するに当たりまして、まず当初に一年間の休日をあらかじめ設定する、またそれぞれの期間の労働時間、これを特定する必要がある、したがって始業、終業時刻もあらかじめ特定される、そういった厳しい年間を見通した労働時間管理を行うことが必要になるわけでございます。 そういったことから見ますと、あらかじめそういったことの見通しができない、いろんなそのときどきの受注の事情等によりまして業務量が変動して労働時間の特定が困難な業種、こういった部分ではかなりこの制度の利用はしにくいといいますか余り普及しないんではないか。むしろ、そういった年間を通して工場の操業度について一定の波動性がある程度見込めるような、そういうところで年間の労働時間管理を行う中で利用が可能になる、こんなふうに考えております。
○千葉景子君 そういう業種の一つとして、私は建設業などもこの一年変形制が利用される可能性のある業種の一つではなかろうかというふうに思うんですけれども、いかがでしょう。
○政府委員(伊藤庄平君) 建設業についてはどうかという御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように一年の変形労働時間制は、年間を通してあらかじめ休日を設定し、また労働時間を特定していく必要がある、こういったことがまず要件でございます。 そのほかにも変形期間、この場合一年を想定いたしますと一年を通じて雇用されていること、そういう労働者しかこの変形労働時間制の対象にはできない、こういう要件もあわせて付しているところでございます。 御指摘の建設業につきましては、やはりその事業の性格上受注作業である。そういった受注に左右されやすい、また天候、季節に業務量が左右されやすい、こういったことから年間を見通した、また年間を通して雇用する者についての労働時間管理ということになると、いろいろ克服しなくちゃいかぬ問題も多々持っているんではないかというふうに考えておりまして、建設業などがこの変形制の利用の中心になっていくということはなかなか厳しいんではないかというふうに思っております。
○千葉景子君 私も、これがむやみに安易にそういう業種の中で乱用されるようなことがあってはならないというふうに思うんです。受注の平準化がなかなか進まないという中では、やはり多くの受注があるときにより多く働いてもらう、あるいは少ないときには少し労働時間を減らしていく、こういうようなこともされないとは限らないわけです。 ただ、建設業などはその多くがまだ日給月給制である、あるいは週休二日制などがまだほとんど普及していない、こういう実情でもございますので、こういうところに一年の変形制というようなものが導入されるようなことになりますといろいろな問題が出てくるのではないか、こういう懸念があるわけです。これは、既に衆議院の方でも、我が党の沖田議員などからもこの辺の危惧が指摘をされているというところだというふうに思います。そういう意味で、一年変形制という制度が導入される、あるいは法的に認められるというこの段階において、やはりまず建設業などについての月給制あるいは完全週休二日制の促進、こういうものをこの際より積極的に図っていく必要があるのではないかというふうに思います。 そういう意味で、発注時期の平準化などを含めていろいろな対策というものが必要かと思いますけれども、その点について労働省としてこの際積極的な対策を講じていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生の御指摘はもっともでございまして、そういう問題も念頭に置きながら一年の変形制などにつきましては取り組んでいかなければならないと思っております。 建設業について、一年の変形制導入についてはなかなか困難な面があると思いますけれども、この問題につきましては建設省と今後いろいろ連携を図りまして、御指摘のように発注時期の平準化、適正工期の確保など受注条件の改善が図られますように建設省の協力も得ながら労働省も努力をしてまいりたいと思っておると同時に、御指摘の月給制の普及も非常に大事な問題でございまして、これが普及しますように労働省としてもいろいろ指導してまいりたいと考えている次第でございます。
○千葉景子君 月給制の移行、週休二日制の促進、こういうことにもぜひ努力をいただきたいというふうに思うんです。 それから、一年変形制のようなものを考えるとすれば、それに対して悪用されない、乱用されないような防止策といいますか、そういうことも必要だというふうに思うんです。そういう意味では、例えば年間スケジュールのつくり方、そのモデルのようなものをつくって指導をするとか、それぞれの事業場単位、あるいは建設業の場合がなり第二次、第三次下請というような形になって難しい面はありますけれども、やはりそれぞれに指導徹底をしていく、そしてまた仮に変形制などが導入されるような事業場がありましたらば、それがどう運用されているかその運用状況を厳しくチェックする、こういう体制が不可欠だろうというふうに思いますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) この一年の変形労働時間制につきましては、制度上いろいろ厳しい要件を付しているところでございますが、その利用が制度創設の趣旨であります休日増、そういった形につながっていくかどうかについていろいろ御心配もいただいておるところでございます。 私ども、この制度の運用に当たりましては厳しく制度の趣旨に沿うよう指導していく、また実態の把握も行い、それに基づいて適切な指導を行っていく、こういう考えでございます。具体的にも、今御指摘のございました年間スケジュールの作成等についての考え方、そういった点も十分参考にさせていただいて実効ある指導のあり方を検討しそれを実行していく、こういう考えております。
○千葉景子君 大臣、一般的にもいろいろな指導が必要ですけれども、先ほど私が指摘させていただきました建設業などでは、まだまだ環境整備のようなものも整っていないという状況でございます。そういう意味では、これはやはり関係省庁と大臣間で十分に連携をとっていただいて指導体制を確立していただく必要があろうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 御指摘についてそのとおりだと思っております。 建設省等と連携を図りつつ、発注時期の平準化、適正工期の確保等受注条件の改善により労働時間短縮のための基準整備を図るとともに、月給制の普及促進を図るなど、日給制労働者の労働条件の改善の観点からもこの制度が適切に利用されるよう強力に指導していかなければならない、こう思っております。 この変形制につきましていろいろと御懸念いただいておりますこと、この審議を通じましてそれぞれの委員から御指摘を受けていることを十分踏まえさせていただきたい、こう思っております。
○千葉景子君 さて、一年変形制のそれぞれの基準などについてお尋ねをしたいというふうに思うんです。 この変形制というのは、一日八時間、週四十時間という一つの形を弾力化して例外的な措置をしようということでございます。特に、一日の働き方に弾力性を持たせるということですから、長いタームの変形制になりますと、より家庭生活とかあるいは社会生活との調和を保つということが非常に難しい、そこをどうしていくかというのが重要なポイントになってくるだろうというふうに思います。 特に、私も女性の一人でございまして、この委員会での参考人の松本さん、女性の立場から御意見などを出していただきましたけれども、やはり現状では多くの女性が家事、育児あるいは介護などの家庭責任というものを実質的には負っているというのが実情でございます。本来であれば、これは男性、女性ともにということではございますけれども、現状はなかなかそうはいかない。こういう中で女性が働き続けられる、そして家庭の生活もあるいは社会での生活もきちっと確立をしていくということになりますと、やはりそれ相応の配慮なりあるいは条件づくり、こういうことがなされなければいけないだろうというふうに思っています。 女性にとって、一日どういう時間帯で働くか、あるいはどういう自分の時間がつくれるか、これは一日単位が非常に重要なことなんです。そういう意味では、この変形制を採用するに当たっても一日あるいは週、こういう単位で労働時間をきちっと管理するということが非常に重要なことであろうというふうに思います。その意味で一年の変形制については、例えば一日の上限、これをやはり家庭生活も、それから仕事も両立をできる、そして健康も保てるというような形できちっとした規制を加える、こういうことも必要だろうというふうに思いますし、それから連続した労働日数、こういうことについても一定の歯どめをする必要があるだろうというふうに思います。 私は、一日の上限というのは少なくとも健康やあるいは家庭のいろいろな責任、こういうことを考えれば八時間というのが一つの重要な基準になろうというふうに思いますし、連続した労働日数、これも法の計算上からいくと連続して十二日ぐらい働かせることができる仕組みにはあるんです。しかし、これが本当に健康的な人間らしい働き方かというと、到底そうは思えない。だとすれば、連続した労働日数というのは六日という形で規制を加える、こういうことも必要だろうというように思います。 また、先ほど言ったように女性などを考えたときには育児、介護などの問題、それがございますし、あるいは働きながら学んでいる、こういう皆さんも今は生涯の学習ということもありますし、こういう方もたくさんいらっしゃる。こういうところにやはり十分な配慮をしていく必要があろうかというふうに思いますけれども、その点について労働省としてのお考え方を示していただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) ただいま一年の変形労働時間制を利用していくに当たりまして、指導に当たるべき私ども、また利用する企業の側においてもいろいろ留意すべき点について御指摘がございました。御指摘の点は、いろいろ私どもも生かしてまいらねばならないというふうに思っております。 この一年の変形労働時間制は、現在相当数のところが四十四時間あるいは四十六時間というような週単位の時間で猶予されているものを四十時間制へ持っていく、あるいはさらにはそれよりも可能なところについては自主的な努力によりまして前進させていただく、そういったことのためにある程度の労働時間を年間管理等を行う中で休日をふやす、そういった道を設けていくというのがこの制度の趣旨でございます。もちろん、そういった利用の中で働く女性の方々等に対して一定のいろんな規制が加わっていくことについては、これは避けなくちゃいかぬ、そういう観点は十分念頭に置いて対処してまいりたいと思っております。 具体的には、私ども現在の三カ月制について設けられております一日十時間、一週五十二時間という限度時間につきまして、これは一日につきましてはこれを十時間よりも縮小する、こういう考えております。一週につきましても、これは四十八時間としたいというふうに考えております。したがいまして、一日につきまして具体的に何時間になるかにつきましてはさらに労使の見解等を承りながら決めさせていただきたいと思いますが、一日、一週ともに縮小するということで、一日についても八時間を外れる幅は非常に小さくしていく、また一週の幅を縮小することによってそれが続かない、こんな仕組みを確実につくり上げでいきたいというふうに思っております。 それから、連続労働する日数の限度でございますが、原則は四週に四回、特に間隔を定めず休日を設ければよいというのが現行の労働基準法の定めてございますが、この一年の変形労働時間制につきましてはそこは一週間に一回の休日を与えなければならないというふうに厳しくするつもりでございます。さらに、御指摘のございましたようにそれの設定によりましては最高十二日の間隔があくことがある、こういうことでございますが、私どもは四週四回という原則を一週一回の休日というふうに厳しくしている趣旨が十分生きるようにそういったものにつきましては届け出の際、その後の実態把握の段階で十分実情をつかみまして、それに基づきまして趣旨が生かされるように厳しく指導してまいりたいというふうに思っております。 それから、育児や介護あるいは働きながら勉強する若い人たちにつきましての変形労働時間制の適用でございますが、現在三カ月制につきましてもそのような人たちにつきましては必要な配慮をしなければならないという労働基準法の施行規則における定めをつくっておるところでございまして、当然一年の変形制についてもこれを適用していくという考えでございます。これに基づいて、現在でも労使協定等を取り寄せますとかなりのところでいろいろな配慮がされておりますけれども、一年の変形制に当たりましてもそういった施行規則の規定が徹底するように十分指導してまいりたいというふうに考えております。
○千葉景子君 この一年単位の変形労働制ですけれども、これは先ほど最初に御答弁にもありましたように年間の休日増を目指す、こういう制度でございます。だとすれば、それが実効あるようなものでなければいけないわけです。 計算をしてみますと、一日八時間労働とした場合、今四週八休制、年間百四日の休日というのを実施している企業では、結局これ以上はもう休日をふやさなくても変形制を導入できる、こういう計算になるわけです。それがちょうど法にぴったりと合う、そういう典型例になるのかなという気がするんですけれども、それであれば今の制度以上に休日をふやすということにはならないわけです。そういうことから考えたときに、年間休日増という趣旨を生かすならば、少なくともこの制度を導入するならば完全週休二日制に相当する百四日の休日プラスアルファ、こういうものが確保されなければこの一年変形制はだめだよと、こういうくらいな考え方に立たなければいけないだろうというふうに思います。 そういう意味では、休日増を目指すために労働省としてはどのように措置をなさるおつもりか、あるいは今後指導なさっていくつもりか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) 一年の変形制は休日の増加を図ることによりまして、週四十時間制などを実現するものでございます。したがいまして、御指摘のようなケースは望ましくございません。やはり休日が今の制度以上にふえなければいけないというふうに考えております。 一年の変形制がそういう趣旨のものであるということを、この法案が成立させていただきましたら、事業主に対しまして第一線機関等を通じまして周知徹底を図っていくとともに、いろいろな届け出の際にはそうなっておるかどうか、もう十分チェックをしまして、この制度が休日増につながるようなそういう制度で運用されるように厳しく監督指導をしてまいりたいと考えております。
○千葉景子君 もう時間が迫ってまいりましたので、最後にお尋ねとそして要請をさせていただきたいというふうに思うんです。 先ほど、最初に現行の一カ月、三カ月、一週間、この変形制の進展ぐあいというのをお尋ねしたんですけれども、余り進展をしていない。それから、とりわけ届け出義務などがない一カ月というのは、先ほどサンプル数でも一万三千九百九十八ですか、そういうことでなかなか実情あるいは実態が把握できていないというのが現状ではなかろうかというふうに思うんです。私どももなかなかこれはわかりません。そういう意味では、今後こういう変形制をどう運用していくか、あるいは見直しをしていく、チェックをしていくという意味でも、まず実態をきちっと見きわめる必要があるだろうというふうに思うんです。 そういう意味で、まず一カ月単位の変形制につきましても利用の実態あるいは内容などを一度十分に全国的な調査をしていただく、その上にのっとって今後の制度のあり方などをぜひ再検討をいただきたいというふうに思いますけれども、どうでしょうか。それはお約束いただけないでしょうか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘を踏まえまして、一カ月の変形労働時間制の実態などの把握に今後努めてまいりたいと思います。
○千葉景子君 終わります。
○中西珠子君 この前の労働委員会でも、今度労基法の改正によりまして導入されることになる一年単位の変形労働時間について既にお聞きしたわけでございます。また、四野党共同要求としても提出しておりまして、この一年間を単位とした変形労働時間というものが今までの一カ月、三カ月それから一週間の非定型変形労働時間、こういったものよりもずっと期間が長いということで非常に心配する向きがございます。 私自身も大変心配しておりますし、また多くの、殊に女性労働者の方々から毎日のように陳情をお受けして、部屋にいらしていろいろお話もお伺いいたしておりますばかりでなく、何百通という変形労働時間、殊に一年単位のはやめてくれという、こういう御要請がたくさんあるわけでございます。また変形労働時間のことを聞くのかと、くどいとお思いになるかもしれませんけれども、まだちょっと私はお聞きしたい点もございますので、まず一年単位の変形労働時間制というものについてお聞きしたいと思います。 人間は生活のリズムというものがありますから、女性でなくても男性労働者にとっても変形労働時間制というのはある期間だけ非常に長時間働いて、そしてある期間は休めるからいいじゃないかということになっても、一日の生活のリズムというものが崩されると、これは健康に害を与えることになるという心配がございます。 殊に、女性にとりましては、現在は家事、育児 の負担が女性に重くかかっているのが現状でございます。そういった家事、育児の負担を負いながら変形労働時間制のもとで、ある時期には長く働いて家にはなかなか帰れない、子供も預けてある保育所からも連れ戻すことができないというふうな、そういったいろんな困った事態が起きますので、殊に女性にとってはこの変形労働時間制というものは余り好ましいものではない。好ましくないどころか、もう家庭と職業との両立を阻んでしまう、どうしてもやめなきゃならない羽目に陥るというふうな事態も出てくるのではないかと非常に心配するわけでございます。 とにかく、一年単位の変形労働時間制を導入された動機というのは、労働時間短縮を早く実現するため、そして年間の休日というものをふやすためだというふうに伺っているわけでございますけれども、年間の休日をふやすということであるならば、完全週休二日制に相当する百四日間の休日と、それから国民の祝日も加えた少なくとも百二十日程度の休日が確保されるように労働省としてはガイドラインを作成したり、本当にきめの細かい指導を行っていただきたいと思うわけですが、いかがですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 一年の変形労働時間制につきましては、まだ四十四時間あるいは四十六時間といった水準にある事業を含めまして週四十時間労働体制へ移行していく、そういう年間の休日管理等を行う中で四十四時間から四十時間へといった道筋を進める道が出てくるのではないか、こういう考えから設けたいというふうに考えているものでございます。 御指摘のとおり、そういったものを利用する過程で生活のリズムが狂っていく方、あるいは働く女性の方々にとって非常にきつい状況が出るといったようなことは、これは是が非とも避けなければならないものでございます。したがいまして、私どもこの制度の運用に当たりましては制度の趣旨が十分生かされるように御指摘のような点を念頭に置いて、事業主に対してどのようにこれを使ってもらうか、そういったもののいろんな基準といいますか考え方を十分この審議の過程で出されましたポイント等を念頭に置いてつくっていきたい、それに基づいて指導していきたいというふうに思っております。
○中西珠子君 労働者にとっては、生活のリズムを乱すという意味からいっても一日の上限が非常に大事になってくるわけです。 三カ月単位の変形労働時間におきましては、一日十時間が上限になり、一週間は五十二時間が上限になり、一週間一日の休日を与えるということになっておりますけれども、三カ月ではなくてもっと長い一年の単位になりますと一日の上限というものはやはり短くしていただかなければ困るわけで、例えば八時間にしていただきたいというのが私たちの要望でございますし、一週間の上限は少なくとも四十八時間にはしていただきたい。それから、連続労働日については六日ということにして、一週間の間に一日は休みをとれるようにしていただきたいと思っているわけでございますが、一日の上限を十時間というのはとにかく長過ぎますから、八時間にするということはどのようにお考えですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 三カ月の変形労働時間制の場合は一日が十時間、一週が五十二時間というのが限度になっておりますが、これにつきましては私ども一日、一週の双方について縮小したいというふうに考えております。一週につきましては五十二時間から四十八時間へ縮小したい。一日につきましては、これを縮小することについてはもう基本的な前提として考えておりますが、私ども八時間あるいは九時間というような問題につきましては労使の議論をもう少し詰めさせて、その上で決定させていただきたいというふうに思っております。 ただ、一週について四十八時間というような縮小をいたしますので、仮に八時間を超える日があったとしても、それは縮小することによって十時間よりそんなに大きくならない。しかも、四十八時間という週の制約をかぶることによってそんなに続けられない、こういう仕組みはつくり上げていきたいというふうに思っております。
○中西珠子君 三カ月の一日十時間の上限よりも必ず短くしてくださるわけですね。ということは、私たちは八時間を要求してますけれども、真ん中をとって九時間、もしくはできれば八時間ということにしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(伊藤庄平君) これは、縮小いたします。
○中西珠子君 縮小するとおっしゃったんですから、これはどの時間になるか、少なくとも真ん中あたりということで大いに期待したいと思います。 それから、私がこの前ちょっと申し上げましたけれども、変形労働時間制を導入する場合は、一カ月は別ですが、一週間単位の場合も三カ月の場合も一年単位の場合も一応労使協定というものを結ぶわけです。それで、労働組合が労働者の過半数で組織されるものがあればいいけれども、労働組合がない場合は従業員の過半数を代表する者と労使協定を結ぶ、こういうことになっているわけです。 従業員の過半数を代表する者が果たして民主的に選ばれるかどうか、その資格、適格性というものについては既に施行規則の中で労働協定の締結という欄をお設けになって、適格者それから選出方法というものをきちっとお決めになっています。これを大いに指導してくださっているんだと思うんでございますけれども、私がこの前ちょっと申し上げた時短促進臨時措置法のもとで企業レベルで時短推進委員会ができまして、それはもちろん届け出があるわけでございますが、その届け出の前に、時短推進委員会の労働側メンバーの選出方法につきましてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。適格者というもの、それから選出方法というものをやはりきちっとして指導していくというお考えでいらっしゃるか。 なぜそういうことを申しますかといいますと、時短推進委員会の決議に基づいて変形労働時間制が導入されるとなるときには決議を、満場一致の決議でございましょうけれども、労使協定とみなす、そして届け出は必要なしということになるわけですね。そういたしますと、時短推進委員会の労働側メンバーの選出方法、または適格性というものは非常に大きな意味を持ってくると思うんですけれども、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 労使協定を締結する際の相手になります企業と、その相手になります労働者の代表でございますが、特に労働組合がない場合の選定方法につきましては、私ども通達等におきましても企業側の懇意に流れることのないように、具体的に避けなければならない者の範囲あるいはその選任の手続について民主的な形で行われるように、具体的な投票あるいは挙手等の手続で選出されるといった例示も含めて指導しているところでございます。
○中西珠子君 私は、施行規則の内容を聞いていないんです。ここに載っていますからわかっているんです。ただ、その施行規則に労使協定の場合の過半数を占めている従業員の代表というものを選ぶときの選出方法をお決めになっておりますね。そして、その適格性もきちっとお決めになって指導していらっしゃいますね。それと同じことを時短推進委員会の労働側メンバーについても指導してくださいますかと聞いているんです。施行規則の内容を聞いていないんです。
○政府委員(伊藤庄平君) 全く同様でございまして、推進委員会のメンバーにつきましても、労使協定の場合と同様に労働者代表を選ばなくちゃいかぬわけでございまして、その際の手続につきましては、今申し上げたような例えば企業の管理者に近いような者はだめというような基準あるいは選び方について投票、挙手、そういった民主的な手続で選ぶこと、そういう具体的な手続を示して指導しているところでございます。 これは、非常に重要なことでございますし、先般出ました労働基準法研究会の報告等でも、さらにそのあり方について検討するようなことも出されておりますので、そこは私ども厳正に指導してまいりたいというふうに考えております。
○中西珠子君 とにかく、労使協定の場合と同じように施行規則でもつくって厳重な指導をやっていただきたい、これを心からお願いいたしておきます。 それから、少数組合が存在している場合にはこの扱いはどうなりますか。労使協定を結ぶ場合に、過半数で組織されている労働組合がない場合、過半数を占める従業員の代表を選ぶわけでしょう。その選び方についてはきちっと施行規則で指導してくださっていますね。ただ、これは自分の意思で自分たちだけでつくった少数の組合があった場合、この組合の代表の扱いはどうなりますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 労働時間短縮推進委員会の委員の半数につきましては、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、いわゆる過半数組合の、または労働者の過半教を代表する者の推薦に基づいて指名される、こういうことが定められておりまして、少なくとも委員の半数については過半数を超える組合あるいはその過半数以上の者を代表する人に就任していただく、こういう仕組みでございます。
○中西珠子君 これは、時短推進委員会の場合でしょう。労使協定の場合はどうなりますかと言っているんです。
○政府委員(伊藤庄平君) 労使協定の場合も全く同じ定めをしておりまして、それに基づいて実行をさせているところでございます。
○中西珠子君 時短推進委員会ができましたという届け出がある場合に、そういった労働者代表がきちっと選ばれているかどうかもよく調べて、そして届け出をちゃんと受け付けるというふうにしてくださいますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 時短推進委員会が設置されますと、これについて届け出が出てまいります。その点については、今御指摘になった点は重要なチェックポイントでございますので、厳しくチェックしているところでございます。
○中西珠子君 決議をやった場合、この時短推進委員会が企業レベルにおいて決議をやって変形労働時間制を導入した場合、それは労使協定にかわるものとして届け出が要らないわけです。しかし、どこでチェックなさるかと考えますと、結局のところ就業規則の変更を伴うから、就業規則というのは労働協約やら労使協定や何かの修正されたもので、そしてそれを明示するものだというふうに理解しますが、それによってとにかく労働時間の制度が変わった場合は就業規則の変更ということになります。そうするとそれを届け出なくちゃいけないという義務があります。そこにおいて、基準監督署はきちっと調べてくださいますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 時間短縮推進委員会の決議につきましては届け出が必要ないことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、就業規則の変更が行われる場合はこれは確実に届け出なければならない、またいわゆる三六協定についてもやはり届け出を要す、こういうことになっております。 変形制の場合等につきましては、そういう始業終業時刻の変更を含め就業規則の変更にわたることになりますので、それにつきましては届け出があり、その段階で変形制の導入がされたということでその内容等についてチェックし必要な指導を行う、こういう体制をつくっていきたいと思っております。
○中西珠子君 ただ、基準監督官が少ないでしょう、これをふやしていただかないととてもお気の毒だと私たちは思っているんです。そういう届け出が就業規則が変更になったといってあった場合も、すぐにそれをチェックなされるかどうか疑問なんです。だから、なるたけ私どもも一生懸命応援いたしますので、定員をふやして、監督官をふやして、そしてきちっとやっていただきたいと思うわけでございます。大臣、いかがでございますか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 一年の変形労働時間制につきましては、乱用が行われませんように事前に事業主団体等を集めましてよくその趣旨を説明いたしまして、問題のないように指導をしてまいりたいと思います。これは、監督官が少ないときに有効な措置ではないかと思っております。 監督官の増員につきましてもいろいろ難しい事情がございますけれども、今までも二十名前後はふやしてきておりますので、今後とも努力をしまして監督官を増員させてまいりたいと思っております。
○中西珠子君 大いに監督官もふやして、そしてこういう変形労働時間は乱用されないように厳しく御指導、御監督くださいますようにお願いいたします。大臣の御決意のほどを伺います。
○国務大臣(村上正邦君) 御後援ありがとうございます。 強力なそうした御後援をいただきながら目的が達成できますように、十分人的なことにつきましてもやっていきたいと思いますけれども、もうとにかく一人ふやすということは大変な予算、大蔵省の厳しいいろいろなあれもございまして、事情もこれ勘案賜っておけばありがたい、こう思っております。何を申し上げたかわからぬような答弁になりましたけれども。
○中西珠子君 私ども労働委員会が大蔵省に大臣をバックアップして出かけていって、ふやしてください、こういうふうに言いますから。 とにかく、大いに乱用を防いでいただきたい。これが時短に結びつき、年間の休日もふえるということで、そして弊害がないということを切に願っているわけでございます。この法案の中に、平成九年四月一日からは週四十時間労働制を実現するんだという労働省側の御決意、労働大臣の御決意が一番大きなものだと思いますけれども、があらわれているわけでございますから、とにかく乱用されないように弊害がないようにやっていただきたいということでございます。 平成九年四月一日から一応実現することになっている週四十時間制につきましては、今まだ猶予措置と特例措置でございます。殊に、中小企業にとっては労働時間短縮ということはいろんな理由があって非常に難しいことだと思うんでございますが、現在猶予措置と特例措置両方を合わせますと、全労働者の六三・七%がとにかくまだまだ長い労働時間でいるということなんです。 それで、中小企業の時短の促進措置というものをこれからおとりになって、大いにやっていらっしゃるわけですし、時短の推進センターもおつくりになるわけですけれども、その対策と措置の最重点は何ですか。簡単におっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 今回の改正法の中で、時短促進法を改正して労働時間短縮支援センターを指定させていただく制度をお願いしているわけでございます。 ここでは、労働時間の短縮がなかなか難しい中小企業の事業主に対しまして、省力化等の投資を行いながら所定労働時間を短縮していく。そういうことに成功した場合に、三百万円から五十万円の間で規模に応じて助成金を支給する。あるいは時短促進法に基づいて共同で時間短縮に取り組む場合の団体に対しまして、事務費用を一千万円を限度に助成する。こういった助成金の支給をして労働時間短縮を強力にバックアップするものと、それから労働時間短縮のための具体的なノウハウにつきまして、いろんな情報の提供あるいは研修事業等を支援センターを通じて行いたいというふうに思っております。
○中西珠子君 労働時間短縮を本当に実現するためには、やはり労働省ばかりでなく他省庁、建設省、運輸省、通産省、そういったところと緊密な連携をとってやっていただく必要があると思うんでございます。宮澤内閣の生活大国五カ年計画の目標年、これは平成八年でございます。その目標 年の平成八年には、他省庁との連携のもとに相当の実を上げて時短に対して大いに頑張っていただきたいと思うんでございますが、大臣の御決意のほどを伺いたいと思います。
○国務大臣(村上正邦君) 宮澤内閣の生活大国五カ年計画実現、こういうことで労働大臣の拝命を受けたわけでありまして、週四十時間労働制への移行を柱とした本法案も、おかげさまで御協力を得まして、本日これが最後の御審議になればありがたい。そして明日、本会議でこれを成立していただくという運びになるのかな。とすれば、その運営と円滑な実施を私どもは図っていかなきゃならない。労使の積極的な取り組みを推進してその実現に寄与してまいりたい、このような決意でおります。
○中西珠子君 大いに頑張ってください。頼もしい労働大臣でいらっしゃいますので、御期待申し上げております。 五月三十日付の読売新聞に、不法就労の外国人が摘発されて、これは昨年一年間に非常にふえて、ほとんど倍増に近い。六万二千人が摘発されまして、強制退去処分というものを受けたというふうに報道がございます。外国人労働者に対しては、労働基準法はもちろん適用になると思います。労災や何かも社会保険も適用になるべきだと思っておりますが、不法就労の外国人労働者に対しては労働基準法は適用になりますか、どうですか。
○国務大臣(村上正邦君) 不法就労そのもの、これは問題があるんです。しかしながら、今の御質問についての労働基準法を初めとする労働保護法規は、日本の国内の事業場で働く労働者であれはすべて適用されるものであり、したがって不法就労外国人についてもこれらの法規が適用される、このようになっております。 それから、これは余談でありますが、きょうは「禁煙デー」だそうでございまして、閣議におきましても、今週は灰皿も一切置かない、きょうこういう話がありましたが、この労働委員会におきましても、委員長、これは大臣の言うことじゃございませんけれども、社労委員会の分かれでもございますので、せめてきょう一日そういう御自覚を賜っておけば、担当閣僚としてもありがたいことだと思っております。
○中西珠子君 法務省はいらしておりますか。ただいま申しました読売新聞の報道記事は大変簡単なので、もう少し詳しいことをお教えいただきたいと思うわけでございます。 不法就労の労働者が倍増したそうですけれども、倍増した理由はどのようにお考えですか。
○説明員(大久保慶一君) 不法就労者の増加した理由というのは種々ございますが、まず不法就労者の多いところは、近辺のアジア諸国でございます。そして、その国と我が国との賃金格差というのが著しくございます。こういったところから、我が国の方へその近辺諸国から職を求めて来るという圧力がございます。また一方では、我が国の方にも若干労働者不足感というものがございまして、これらの要素が相まつなどして不法就労者がふえてきたのではないかと思っております。
○中西珠子君 不法就労をしていた人たちの性別構成はどのようになっておりましょうか。
○説明員(大久保慶一君) 不法就労者で、私どもの方で摘発をいたしました中で、男女別を調べてまいりました。そうしますと、男性は全体の八割近くでありまして、摘発者数六万二千百六十一名中の四万七千五百二十一名でございます。女性は一万四千六百四十名ということでございまして、前年とほぼ同じような比率でございました。
○中西珠子君 年齢は若い人が多いんでしょうか。
○説明員(大久保慶一君) 年齢別で調べましたところ、二十五歳以上三十歳未満というのが一万八千人ほどおりまして、全体の約三割を占めておりました。続いて、三十歳以上三十五歳未満というのが一万三千百二十三名で、約二一%ということで、若い人たちが多いということがうかがえました。
○中西珠子君 不法就労をやっていた業種ですね、どこが一番多いか、大体のところをお教えいただきたいと思います。
○説明員(大久保慶一君) 職業別に見ますと、男性と女性とちょっと分かれておりますので、男性からまずお話しします。 男性については、建設作業員が全体の五割強に当たります二万四千二百八人、それから工員が三割近くの一万三千二百六十四名でありました。 女性につきましては、スナックなどで働くホステスが全体の三割強の五千三十人と最も多く、続いて工員が二割近くの二千五百四十九人というような割合でございました。
○中西珠子君 不法就労をしていた人たちは、報酬はどのくらいもらっていたんでしょうか。
○説明員(大久保慶一君) 報酬別につきましては、日額で計算いたしますと一番多いのが七千円を超えて一万円以下というのでございまして、三万五千人ぐらい、全体の半数を越える約五六%ほどございました。
○中西珠子君 もっと低い人もいるんでしょう。
○説明員(大久保慶一君) 低いのは、七千円以下から三千円ほどといったものもございました。
○中西珠子君 不法就労をさせていた雇用主、これは国籍別に見るとやはり日本人が一番多いんでしょうね。
○説明員(大久保慶一君) 雇用主について調べましたところ、日本人が御指摘のとおり多くて、五万三千七百十七人が日本人のところで働いていたということで、八割を占めております。
○中西珠子君 そのほかはどういう国籍の人ですか。
○説明員(大久保慶一君) 続いて多いのが、雇い主は韓国人であったという人が三千八百二人、それから中国人であったとする人が千二百三十九人といった順でございました。
○中西珠子君 強制送還をされるのは、期間はどのくらいなんでしょうか。摘発されて、それから強制送還、もちろん個々によって違うでしょうけれども、例えば賃金がまだ未払いであったとかいう場合、強制送還をするのを少し延期してちゃんと賃金がもらえるようにしておやりになるかどうか、そういうことについてお聞きしたいんです。
○説明員(大久保慶一君) 送還までにかかる期間というのはちょっと資料がございませんが、おおむね二週間ぐらいであると承知しております。 それから、次の賃金不払いの関係はどうかという御質問ですが、これにつきましては当局は退去強制手続の外国人につきましては賃金の未払いとかそれから労働災害などが認められる場合には所要の救済措置がとられるようできる限り努めております。事案に応じて権利救済上必要があると認められるときには送還を一時見合わせるなど、柔軟に対応するという方針でございます。
○中西珠子君 権利救済上必要があるとお考えになるときには法務省単独の御判断なのか、労働省の方と御相談になってこれは基準法違反であるとかそういう判断をなさるのかどうか、そこをちょっと伺いたいんです。
○説明員(大久保慶一君) その点の運用はケース・バイ・ケースによります。しかし、事案によっては労働省の関係機関等と連絡をとりまして所要の救済措置をとるなどした上での対応ということでやっております。
○中西珠子君 不法就労であると、不法就労じゃないちゃんとした資格を持って滞在してそして就労をしている人とは違って、やはり使用者側が不法就労であることにつけ込んで賃金未払い、不払いをやってみたり、ピンはねをやってみたり、いろんなケースがあると思うんです。そういったときの労働基準監督上の措置というのは、とにかく強制送還をしてしまえという方が先になるのか、それともきちんと基準法の適用になっているんだから基準法上の義務は履行させるというのと、その兼ね合いがどの程度なのか私はよくわからないんです。やっぱり労働省とよく御相談になって、ケース・バイ・ケースとおっしゃいましたけれども、お決めになっていただかないと困ると思うん ですね。 労働省側は、どういうお考えでいらっしゃいますか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘のように、不法就労者につきまして労働保護法規に照らしてこれを救済すべきそういう事案がありましたときには、我々といたしましてはこれを救済するのが当然だと思っております。 したがいまして、法務省の関係機関に連絡をとらせていただきまして、救済措置終了後、例えば退去強制手続をとっていただくという形が一番望ましいと思っております。
○中西珠子君 これは、まだ日本は批准しておりませんけれども、一九七五年にILO総会が採択した百四十三号条約というのがございます。これは、劣悪な労働条件のもとにある外国人労働者に関する条約でございますけれども、この条約の第九条におきまして、たとえ不法就労であっても賃金とかそれから社会保険、医療が殊に重要なんですけれども、そういうものに対する内国労働者との均等待遇というものが大事であるということを一応言っているんです。というのは、不法就労を奨励しているわけではなくて、不法就労はなるたけ国際協力によってなくすようにいたしましょうということをまず言って、いろんななくす方向や方法を列挙しているのでございます。しかし、それでもなおかつ不法就労として滞在してしまった場合は賃金とか医療、その他の面でやはり均等待遇を与えなきゃいけないということを言っているわけでございます。 また、国連で一九九〇年に採択されましたすべての外国人労働者とその家族の権利保護条約というのがございます。それの二十五条におきましても、不法就労であるからといって低賃金や劣悪な労働条件で外国人労働者を使用してはいけない、なるたけ均等待遇をしてやれということと、それから緊急の場合は医療の面でも自国民と同じように扱ってやれということを言っているわけでございます。 ただいま労働省のおっしゃったような、また法務省も労働省と連携して大いにこういった人たちにも、たとえ不法就労であっても基本的人権を持ち人間としての尊厳を持っている人間なんですから、やはりそういった立場から扱っていただきたいと思うわけでございますが、労働大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 最初に申し上げましたとおり、その扱いはぴちっとしていかなきゃならぬ、こう思っております。 先日代々木に行きましたときもイランの一青年といいましょうか、彼が私に、井戸掘りをやっているが一日七千円だ、二千円は昼の昼食代で取られるというような抗議を申し込んできたり、それからまた腕をけがした、雇用者側はその補償もしない、そういうことでいいのかというような苦情等々も直接賜りました。 そういうことからいきまして、不法就労、不法滞在ということには問題がある、こういうところはやはり厳正にしていかなきゃならぬ。しかし一方、働いているというこの事実に直面をしたときには、先ほども申しました法規に照らして保護をしていかなきゃならない、このように思っております。
○中西珠子君 権利回復のためにいろいろなすっておあげになって、そして強制送還は普通は二週間が原則だけれども延ばしてやるというふうなことをなさる。一方、強制送還をするときの費用はだれが負担するんですか。
○説明員(大久保慶一君) 退去強制者の送還につきましては自費出国とか、それから運送業者の負担による送還、それから国費送還という形態がございますが、不法就労防止を図る観点などからは大部分は自費出国の形で送還しております。しかし、どうしても送還費用が都合ができないといった場合には国費送還を行うというような扱いをしております。
○中西珠子君 先ほど申し上げましたILO百四十三号条約もそれから国連の方のすべての外国人労働者とその家族の権利保護条約におきましても、追放される形での強制送還の場合は追放する方の国の方が持つ、本人に自費負担させるのは余りよくない、こういう考えなんですね。 ですから、本人がお金がない場合どうなさるんですか。
○説明員(大久保慶一君) 先ほど申しましたけれども、どうしても費用ができないという場合は国費をもって送還するというような扱いをしております。
○中西珠子君 そういう人の割合はどのくらいでしょうか。
○説明員(大久保慶一君) ちょっと資料を持っておりませんが、大部分は自分の費用でお帰りになっておりまして、この割合は大変少ないと、このように承知しております。
○国務大臣(村上正邦君) 私が答弁することじゃありませんが、私がこの前行きましたときに、イランの人たちと会話をいたしましたときに、お金は持っているかと言いましたら、銀行に預けていると。だから、皆さんはやっぱり働いていますので割合持っているんだなと、こう思いました。この割合はわかりませんが、金は持っているんだなと。身に持っているととられる心配があるから銀行く預けていると、これは不法滞在者ですよ。これがこう申しておりました。
○中西珠子君 女性の場合、やはりホステスとか、悪い場合は売春婦というふうなものに売られたりなんかするケースもあるわけです。そういう場合の暴力団員の関与というのは相当程度いまだにあるんでしょうか。
○説明員(大久保慶一君) 私どもが退去行政をいたしました中で調べた限りでございますが、暴力団が関係があったということを申し述べておりました者は一千七百五十六人でありました。そのうち、やっぱり女性が多くて、女性は千三百十七人で、七五%でございました。
○中西珠子君 女性の場合、タイの女性が多いということで、タイの大使館や何かも問題にしているらしいんです、本国においても問題にしているらしいということがありますけれども。パスポートを取り上げてしまって帰れなくしてしまった場合とか、いろんな困った状況が起きていると思うんですけれども、そういうのは把握していらっしゃいますか。
○説明員(大久保慶一君) 女性を調べたところ、タイ人の方が千九十九名で約六三%でございました。なお、その中でパスポートを持っていた人がどのくらいかについてはちょっと承知しておりませんが、ない人も結構いるということを聞いております。
○中西珠子君 逃げ出さないために、一種の強制労働をさせるためにパスポートを取り上げてしまっているとか賃金のピンはねをやっているとか、いろんなケースがあるらしいんですけれども、タイの方の政府それから大使館、そういったところが、たとえパスポートなくてもこっちで発行してあげるから帰れるようにしてあげるということを言っていると聞いているんです。これは、大変国辱的な話だと思うんですけれども、いかがですか。
○説明員(大久保慶一君) 私の承知しているところでは、パスポートを発行するについても、自国民であるということの確認が前提となります。したがって、タイ国政府の対応もなるべく早くそのパスポートの発行手続を進めようという姿勢でおられます。しかし、問題は自国民であるかどうかの確認に時間だとかいうものがかかっておるようでございまして、その点の運用を円滑にしようということで私どもも対応をしておるところでございます。
○中西珠子君 不法就労の場合も不法滞在の場合も、とにかく不法就労、不法滞在は悪いことであるけれども、賃金、労働条件の面、また医療とかそういった面で余り差別をしてはいけないということが国際的な流れとなっていると思うんですけれども、不法就労であって、摘発をされて、そして急に病気になった場合とか、そういう緊急の場 合に医療はどういうふうにお受けさせになっているんですか。
○説明員(大久保慶一君) 収容中に御指摘のような緊急に病気になった場合というときには、速やかに近くの病院等へ入院させて治療を行う等の処置をとっております。
○中西珠子君 その費用は国費ですか。
○説明員(大久保慶一君) その場合は国費でやっていると思っておりますが、ちょっと具体的なところまでは承知していません。
○中西珠子君 後で教えてください。 外国人労働者の問題は、非常に入国管理の面から御苦心なすっているんだと思いますし、また労働省の方ではただただ外国人労働者が日本に潜り込んできて単純労働をやるということは余り好ましくないとお思いになっていると思います。私自身も、外国人労働者で、殊に不法就労の人が賃金が安くても働く、長時間労働もやる、そして劣悪な労働条件だって危険なところだって働くということになってきますと、日本のマージナルな労働者、例えばなかなか働き口のない中高年の男性労働者とか、それから女性の中高年のパート労働者とか臨時日雇いの人とか、そういった人たちの賃金とか労働条件、それから雇用機会というものにもしわ寄せに将来なってくるのではないかという心配があるわけなんです。 ですけれども、現在はとにかくそういった大変な御努力をなすって、たとえ不法就労の人でも基準法もその他の労働法規も適用するということでやっていらっしゃるわけですけれども、訓練の面で今度予算措置もおとりになりましたし、そして訓練を受けさせて、そして日本で一定の期間働かせるという機構をお考えになったと聞いておりますが、これはまだ発足してないんですか。そのアイデアというか構想について少し御説明いただきたいと思います。
○政府委員(伊藤欣士君) 今御指摘のいわゆる技能実習制度につきましては、主として開発途上国の未熟練の労働者の方々に対しまして、一定の期間の研修を経た上で、その研修の成果が上がったかどうかというような評価等行いまして、その成果が一定水準以上に達した場合に、その後は雇用関係のもとで正規の労働者としての法制度のもとでさらに熟練度を高める機会を認めまして、その方が自国に帰られたときに、その母国の発展のために習得した技能を役立ててもらおうという考えで発足させているものでございます。 この制度につきましては、人づくりを通じまして国際協力を推進するという観点に立ちまして、外国人研修生に対しましてより実効ある技能移転を行うというための新たなシステムとして、第三次の臨時行政改革推進審議会の第二次答申において提言されたものでございまして、本年四月より実施されておるわけでございます。 この制度は、広い意味で研修制度というものの拡充でございまして、出入国管理及び難民認定法上の仕組みは、前半の研修期間の在留資格は研修ということでございまして、研修成果の評価等を行った後、在留資格を法務大臣が認めます特定活動ということに変更いたしまして、その資格のもとで技能実習を行うということでございます。 現在の外国人の研修制度のもとでは、研修生は報酬を受ける活動、いわゆる就労ということは認められていないところでございますけれども、今般発足させました技能実習制度の後半の実習期間中においては、雇用関係のもとで技能等を習得することが認められる。また、実習生に対しましては、労働関係法令等が適用されることになるわけでございます。 労働省におきましては、平成五年度において予算をお認めいただきまして、本年四月に策定いたしました技能実習制度推進事業運営基本方針等に基づきまして、現在関係者及び研修生を送り出している国々への説明等を行っているところでございまして、財団法人の国際研修協力機構への委託事業といたしまして、いわゆる良質な研修生を確保する、あるいは適正な技能移転の確保のためのいろいろな事業をやっていただき、この制度の円滑かつ適正な実施を図ることとして今準備ないしはその事業を進めているところでございます。
○中西珠子君 これは非常にいいアイデアで、そして国際協力の面からも大変貢献されることと思うのでございます。四月に発足とおっしゃいましたけれども、もう既に研修生は来ているんですか。どういうふうに選んで、何人ぐらいが来ているんですか。
○政府委員(伊藤欣士君) この制度は四月から制度そのものを発足させたわけでございますけれども、ただいまちょっと省略いたしましたけれども、日本のJITCOという機関と送り出し国のしかるべき機関がいわゆる話し合いをする協定等を結びまして、そのルートに乗った形で施行というか実施されるのが基本でございます。 ただ、現在研修で来ておられて、この制度が発足するということでこれを技能実習の方に切りかえるというような御希望があることは事実でございます。それで、発足の際の経過措置といたしまして、四月以降も研修を続けておられる方ということで、基本的には八月以降も研修を行っておられる方々の切りかえを認めていこう。これは、技能評価のシステムなり申し出があった後のいろいろな手続等入管の切りかえの事務的な手続もございますので、三カ月間の経過措置を置かせていただきまして、その経過期間後もなお研修をしておられる方々について申し出があれば、そのほかいろいろ要件はございますけれども、切りかえを認めていこうということでございまして、本来的な意味での技能実習制度の研修生が現在入っているということはございません。
○中西珠子君 送り出し国のしかるべき機関とおっしゃいましたけれども、どういう機関ですか。
○政府委員(伊藤欣士君) それは、それぞれの送り出し国によって違うようでございまして、現在JITCO、国際研修協力機構の方が現地等に参りましていろいろ御相談を申し上げているところでございます。例えば、国の正規の行政機関という場合もあるようでございますし、また商工会議所、そういう名前がどうかわかりませんが、使用者団体等がそういう窓口になるというような可能性もあると考えております。
○中西珠子君 そちらから推薦された人の名前が国際研修協力機構に来て、そしてそこで一種の選考をやって、それでこの人はというのが特定の活動の大臣許可をもらうということになって、研修が終わった場合はそこで雇用をされつつ研修なんですか、研修に来たときにもう初めに雇用関係はそこであるわけですか。
○政府委員(伊藤欣士君) 先ほど御説明申し上げましたように、一定の研修期間を経て一定の評価をクリアすれば雇用関係のもとで実習を行うという現行法の仕組みを利用いたしておりまして、広い意味では研修でございますけれども、雇用関係になるのはその評価を得まして在留資格を特定活動ということに切りかえられた後にそういう形になるわけでございます。
○中西珠子君 その研修期間を経て、果たして技能を習得したかどうかという試験は労働省でなさるわけですか。
○政府委員(伊藤欣士君) 一応、前提となる研修の成果が上がったかどうかというのはいわゆる公的な評価でそれを行うということになっておるわけでございます。その場合の公的な評価というのは、例えば労働省の場合は能力開発促進法に基づきます技能検定あるいは大臣がやっております技能審査というのもございますし、例えば他の省庁で溶接士の試験であるとか、それぞれ独自で各省庁が持っていらっしゃるような公的な評価がございます。 いずれにしましても、法律に基づくもの以外の公的な評価につきましては、いわゆるJITCOの中で評価をする委員会というものを設けていただきまして、学識経験者等に集まっていただきましてそれが公的な評価であるかどうかということをお決めいただきまして、公的な評価であるということについて公示をするという形でオープンにすることといたしております。
○中西珠子君 それで、学習に関しては雇用関係を結んだ会社なりなんなりのところで宿舎も提供してもらって、そしてそこで実習をする。それが企業側にとってもプラスになるわけですね、労働力がふえるという意味で、これは、非常にうまくいけばいいやり方かなと思いますけれども、まだお始めになったばかりでどういうことかよくわからないものですから、お聞きしたわけでございます。 技能検定の方法などにつきましても、今まで労働省やなんかがやっていらっしゃる技能検定にアジアの諸国の人が合格するというふうなことになりますと、技能の水準とか技能の検定を経た人たちの技能内容というものが、やはり国際的な共通性を帯びるという意味では、非常にこれは技術や技能の面の向上という観点から見てプラスになるのではないかと私は考えて大いに期待しているところでございますから、慎重にこれはやっていただきたいと大いに希望しております。 労働大臣は、これについては大いに張り切ってやっていらっしゃるんだと思いますけれども、労働大臣のこれについての御抱負を伺わせていただいて私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(村上正邦君) 非常に御期待を賜っておりますことをひしひしと感じております。 研修技能制度、これはやはり労働省の今後の政策といたしましては最重点政策として打ち出していくべきである。世界に技能をもって貢献をしていく、これも一つの国際貢献だということで、労働省としては大きく世界に羽ばたいていきたい。また、中高年層、逆にこうした方々も発展途上国へどんどん出ていく、そうした仕組みもつくっていきたい、こう思っております。 日本の労働省という観点だけではなくして、世界の労働省、こうした位置づけの中で張り切っております。
○中西珠子君 大いに期待しております。 職業安定局も国際的な職業の機会を与えると、こういうふうにたくさん抱負が広がっていくと思いますけれども、技能の面では国際的な共通の基準をつくるということが昔からILOなんかの夢でもあったわけでございますし、大いに頑張ってやっていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(田辺哲夫君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ――――◇――――― 午後一時二分開会
○委員長(田辺哲夫君) ただいまから労働委員会を再開いたします。 午前に引き続き、労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○吉川春子君 まず、私は一年制変形導入と時短の問題について伺います。 一年制の変形導入に際して、時短を条件としていないわけですね。現行、三カ月では法定四十六時間を四十時間にすることなどを条件として導入を認めたことに比べても大きな後退であると思いますが、なぜ政府の目標として掲げる千八百時間なりを条件として導入させるなどの方法をとらなかったのか。二千八十時間のまま労働時間の大幅な弾力化を行う理由を最初にお伺いします。
○政府委員(石岡慎太郎君) 一年単位の変形制は、年単位で休日の増加を図りまして週休二日制に相当する週四十時間制の導入をしやすくしようとする意図の制度でございます。 確かに、先生御例示いただきましたような二千八十時間になる計算もできるとは思いますが、しかし一般的にはこの週四十時間制のほかに休日制度を採用している企業は多いわけでございます。また、残業時間も適正な水準に抑えようとしている企業も多いわけでございますので、こういう制度を導入することが千八百時間の目標を達成するための一つの大きなステップになる、そういうふうに考えております。
○吉川春子君 ストレートにはお答えはなかったわけですけれども、今お話があったように休日増を図り労働時間を短縮するためというふうに繰り返し説明しているんですが、果たしてそうだろうかという問題です。 ことし三月から変形労働時間制を導入して時短をしたという郵政の職場を調べてみまして大変驚きました。これを簡単に言いますと、従来十六勤と呼ばれていて、午後五時から深夜の仮眠休憩を含めて翌日九時までの勤務時間、これは二日分の労働時間を続けて行わせていたわけです。これはこれで大変疲れる勤務形態だと思うんですけれども、今回三月から仮眠時間を前と後に分けて、それぞれを一日の労働時間として、仮眠休憩時間を労働時間から除く、こういう措置をとったわけです。 だから、夕方五時から翌朝九時まで、二時間の仮眠を挟んで連続十六時間労働者を拘束する。そして、その深夜二時間分断された時間があるんですけれども、二時間なんというのは仮眠はできないし、自宅へ帰れるはずもないし、今までどおり郵便局で仮眠をとっているんですけれども、しかしここでちょっとでも寝過ごすと今度欠勤扱いになるわけです。だから、仮眠をとるのも安心してとれない。労働者にとってはすごい負担になっているのにもかかわらず計算上は二時間労働時間を節約したと、時短になったと、こういうふうに言っているんですけれども、こういうことで本当に時間短縮と言えるんでしょうか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 御指摘の郵政省の具体的なケースを熟知しているわけではございませんが、もし仮に御指摘いただいたような連続十六時間の拘束あるいはまたその他仮眠とか休憩の問題が事実であれば、率直にお聞きしている限りではいろいろやはり問題があるケースではないかというふうに感じられます。 実態を早速郵政省からも聞いてみたいと思っております。
○吉川春子君 ぜひ、そういうことでお願いしたいと思います。 ビラには、地獄の夜勤とか勤務とかというあれもありますけれども、労働大臣、真夜中に二時間、もうこれは労働時間じゃありませんよと、次の時間が始まるまでこの二時間も自由時間なんですよ、こう言われますね、一時から三時の間とか十一時から一時の間とか。だから、それはもう労働時間から外すんだから時間が短縮されたんだと、自由にお使いくださいと言われても、労働者は家に帰ることもできないわけだし、二時間ではもう寝過ごしちゃいますね。こういうことを時短というふうなその位置づけ、今局長がおっしゃられたように本当によく調査していただきたいと思いますけれども、閣議でも郵政大臣にぜひこういう実態があるんだけれどもと問題提起をしていただけないでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 時短というのはただ時間のつじつま合わせをやるというのが時短だというふうには私どもはとるべきではない。実質的に、私はもう口を酸っぱくして言っておりますように時間に追われるようなそういう生活からゆとりを持たせてあげるということが大事なことだ、こう思っておりますので、吉川委員の今の御指摘については実態がどう実際なっているのか調査をさせますし、それからまた折があれば郵政大臣に、もしそういう実態ということになれば申し上げておきます。
○吉川春子君 ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。 続いて、変形労働制が導入されたときの時間外手当の支払いとか、その法的な性格などについてお伺いします。 残業をさせるためには三十六条協定の締結が必要です。労働者は、三六協定があるからといって残業の義務が直ちに生じるわけではなくて、判例でも、労働協約、就業規則、労働契約のいずれかによって超過労働の義務を定めていなければなら ないというふうにするものと、その都度合意を必要とするというふうに分かれているんですけれども、そういうものがない場合には使用者は残業を命ずることはできないし、労働者は従う義務もないと拒否できるわけですが、変形労働時間制はこうした原則を崩すことになるのではなかろうかという点についてお伺いします。 変形労働時間をとって、法定過労働時間を超えて働かせた週、例えば四十八時間働かせる週があるとすると、その調整のために法定過労働時間より短い所定労働の週が出てきますね、例えば三十二時間。この週に、三十二時間のときに所定労働時間を超えて、しかし法定労働時間四十時間未満、こういう場合の労働を命じることができるんでしょうか。それは残業なんでしょうか、それとも残業ではないんでしょうか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 一年の変形制の場合、しかも法定労働時間が四十時間という前提を置かせてお答えさせていただきたいと思いますが、その場合に、先生御指摘のように週四十八時間と週三十二時間の所定労働時間がありまして働いているケースなどにおきましては、時間外労働の判断は次のようになります。 三つございますが、一つは、労使協定で所定労働時間が八時間を超える時間とされている日については、その所定労働時間を超えた時間が残業になります。それから、所定労働時間が八時間以内とされている日については八時間を超えた時間と、こうなります。 問題は二番目でございまして、労使協定で所定労働時間が法定労働時間である四十時間を超える時間とされている週については、その所定労働時間を超えた時間が残業時間になりますが、今御指摘がございましたように週の所定労働時間が三十二時間のように四十時間を下回る場合におきましては、その四十時間を超えた時間が時間外労働に相当するわけでございます。
○吉川春子君 そうすると、これは拒否できないということですか。残業拒否ということはできないというふうになりますか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 残業拒否の問題につきましては、まず法的にはあらかじめ労働協約、就業規則あるいは労働契約において三六協定が締結されれば時間外労働を命ずることができる旨の定めをしておけば、これに基づいて時間外労働に服する義務があるという見解、それからそれでは足らないという見解がございますけれども、最高裁は御承知のとおり前者の説を採用しております。 そこで申し上げるわけでございますが、一年の変形制におきまして、一年を通じて週四十時間になるという変形労働時間制を採用した場合におきましては、週四十時間を、すなわち法定労働時間を超える事態がこのケースでは容易に予想されるわけでございます。そういう場合におきましては、会社側は三六協定などの締結をするのが常識的であろうと思います。もしこれをやっていなければ、週四十時間を上回る場合は三六協定の締結なしに働かせたことになりますので、基準法違反になると思います。 そこで、御指摘の所定労働時間が三十二時間を超えて働く場合にそれを拒否できるかどうかでございますけれども、先ほど言いましたようなことから、やはり三六協定を結んでおればそれに従って時間外労働をすることができると思いますけれども、それがない場合はこれは非常に問題のケースになるんではないかと思います。
○吉川春子君 前回、賃金部長のお答えの中で、どの部分が労働時間に当てはまるかということは、結局一年たってみないとわからない部分もあると、こういうふうにおっしゃられました。 そうすると、一年制の変形労働の場合においては、働いているときにこれは所定内労働時間なのか残業時間なのかということがわからない部分が出てくる、それはそうなんです。そうすると、そのときは拒否できるんですか、できないんですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 前回お答えいたしました時間外労働に当たるかどうかわからない部分でございますが、一日、一週については、これはそれぞれ明確に、例えば八時間を超える日を決めていた場合にはあらかじめ定めていた時間を超えた部分、それがもし八時間より下回る、あるいは八時間であれば八時間を超えた部分というふうに一日ずつは明確になります。一週も同様でございます。 ただ、先生がおっしゃいましたように一週について四十時間を下回る時期に当たっている場合に、その下回っていた時間、これが先生の例示ですと三十二時間という例示でございますが、これと四十時間の間で働いた部分についてどうするかということの御指摘だろうと思うんです。それは結局、一日、一週について特定しながら積み上げできますと、その部分について年間平均すれば、四十掛ける変形期間の週の数ですね、これを上回る場合が出てきます、その部分が。これは、はっきりといわゆる割り増し賃金の対象になる時間外労働になりますので、その部分が生ずる可能性がある限り、あらかじめ三六協定を結んでおくべきであると、先ほどこれは局長が申し上げたとおりでございまして、三六協定がそういう形で事前に結ばれていれば、先生御指摘の時間外労働の拒否といった問題については、先ほどの最高裁等の考え方に即して判断されることになるかと思います。
○吉川春子君 時間外手当の支払いの問題についてはちょっと後で伺いたいと思うんです。 そうすると、一年たたないと結局この時間は、三十二時間から四十時間未満で働いたこの時間が時間外だったのか、そうじゃなかったのかというのは確定しないわけですね。そうすると、あらかじめ三六協定を結んでおけば、結果としてそれが時間外だったとしても働いているときはもう拒否できない、こういうことですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 時間外労働の拒否の問題からいえば、あらかじめ三六協定を結んである場合、これは最高裁の考え方に従えば原則として拒否はできない、こういうことになろうかと思います。
○吉川春子君 最高裁の判例は、言うまでもなく一年制の変形労働の導入とか、そういうこととの関係じゃないわけです。 私が今問題にしているのは、繰り返し言いますけれども、三十二時間の週で四十時間の法定労働時間よりまだ満たないその部分について、残業かどうかの判断は一年たたないとわからない部分が出てくると言われるでしょう。そうすると、残業代の支払いについてもそうなんだけれども、普通だったらそれは労働時間じゃないんだから、所定労働時間じゃないとすればそれは拒否できる場合もあるわけです、残業として。そういう扱いについてはどうなるのか、こういうことなんです。一年変形制の導入を前提とした場合にどう判断するのか、今自分が働いている時間が残業なのかどうとかというのはわからないわけでしょう。
○政府委員(伊藤庄平君) これは、先生御指摘のように割り増し賃金の対象になるのかどうかということと残業拒否の問題を切り離して考えた方がよろしいのかと思います。 例示されました三十二時間と四十時間の間で働く場合でございますが、これは変形制のもとで事業場内で決めているあらかじめの所定内労働時間を上回り、なおかつそれを見ていきますと平均四十時間になるための法定労働時間の総枠を超える可能性もある。したがって、あらかじめ三六協定を結んでおくべきであるというふうに私ども考えております。したがって、あらかじめ三六協定が結ばれている限りその事業場内の所定労働時間を超えることについては今までの判例の考え方からいって原則としてやはり拒否できないだろうというふうに解釈をしておるところでございます。
○吉川春子君 それは、もう大変働く人にとっては不当な結果だと思うんです。 それでは、支払いの問題について伺いますけれども、要するに労基法の二十四条では、賃金を一括してそして一月ごとに払う、こういうふうにな っていますね。ところが、今のお話ですと一年たたないと残業手当が払われない、こういうふうになるとすれば、これは二十四条の違反になるんじゃありませんか。
○政府委員(伊藤庄平君) 最初に、変形制と残業割り増し賃金の支払いの関係でございますが、先ほど申し上げましたように大多数につきましては一日あるいは一週について法定労働時間との関係、あるいはあらかじめ労使協定で定めた時間との関係から大部分についてはその都度割り増し賃金が算定され確定するというふうに思っております。その確定した分については、毎月一回の支払いの原則にのっとって毎月残業代が支給される。 ただ、先生の三十二時間という例示、これは過当なりで言えば一番労働時間が少ない週の例でございますが、四十時間を下回っている週で、四十時間と下回っていることをあらかじめ定めないで働いた分につきましては、これはトータルで見て、変形期間全体を見て変形期間内の所定労働時間、いわば平均四十時間に当たるべき労働時間を超えた場合にこれはやはり割り増し賃金の対象になるということで、その段階で事業主に割り増し賃金の支払い義務が生ずる。これは、そこで支払い義務が生じた以上毎月一回の原則にのっとって直近の月にやはり支払われなければならない、こういうことになるわけでございます。 そういうことで、この残業代の支払いの方法は若干微調整部分が後で残りますけれども、支払い義務が生じた段階で毎月一回の原則にのっとって直近の支払い日に支払えば労働基準法上問題ないものと解釈をしております。
○吉川春子君 二十四条は要するに一括と毎月という二つのことを決めています。そして、それは大部分については確定するとおっしゃいますけれども、確定しないものも出てきて、一年たたないとどの部分が残業かどうかというのはわからないわけだから、そうすれば二十四条に反すると思いますし、二十四条というのは一年まとめて残業料を払う、計算するなんということはそもそも想定してない条文じゃありませんか。
○政府委員(伊藤庄平君) 今申し上げましたのは二十四条の月一回の支払い義務でございますが、その月内に事業主に支払い義務の生じた賃金については毎月一回きちんと払っていかなければならない、こういうことをこの二十四条で定めておるわけでございます。 最長一年の変形労働時間制の場合も、大多数については各週ごとに残業割り増し賃金の支払い義務が確定しますので、それに従って払っていってもらう。しかし、微調整部分が残り、変形期間全体で精算して、なお事業主は割り増し賃金を追加支払わなければならないという債権が確定したら、その確定した段階で月一回の支払い原則にのっとって直近の月に支払っていただく、これで労働基準法上は問題ないものというふうに解釈をいたしております。
○吉川春子君 債権が確定したら一月以内とおっしゃいますけれども、一年間も債権を確定しないようなそういうやり方というのは労働基準法が予定するところじゃないんじゃありませんか。 毎月毎月の賃金を全額払いなさいと決めているその趣旨は、やっぱり働いた月に、少なくとも一カ月以内に給料をもらえないと生活できないからでしょう。わずかな微調整が残る残るとおっしゃいますけれども、そういうものが必然的に出るわけですね、一年変形でも三カ月でも。そういうものについて、やはり二十四条はそういうものは認めていないんじゃないか。局長、どうですか、これは。労基法の立法趣旨からいって反するんじゃないですか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 確かに、先生御指摘のように基準法第二十四条におきましては通例そういう微調整のようなものまで対象にしてないんじゃないか、そういう御疑問が出てくるのはある意味では当然のお考えかと思います。 ただ、先ほどから部長が何度もお答えしておりますように一年の変形労働時間制をとりますと、最後に出てきます時間外労働につきましては、本当にこれはもう微調整のわずかなものでございまして、しかもそれが生じたときにはその後にきちっとその時間外手当の分は払うということであれば、この基準法二十四条の規定に照らしましてそれがもう違法である、おかしいではないかということにはならない、許されるのではないかと考えております。
○吉川春子君 微調整微調整と言いますけれども、微調整というのは何時間ぐらいなのか、それだってまだわからないので、本当に微調整なのか大幅な調整なのかわからないと思いますが、この微調整なら認めるという二十四条の根拠、どこの条文上の文句で微調整なら認めるというふうに読めるんでしょうか。ちょっとお示しください。
○政府委員(伊藤庄平君) これは微調整だから二十四条に違反しないという趣旨で申し上げたのではなくて、まず変形制の場合い私ども残業代の確定に当たりまして、各日各週でできるだけ精算し、微調整部分はできるだけ残らないような形に持っていくことがまず一つ大事だろうと思います。 微調整部分がどうしても技術上残る。ただ、これについては賃金支払い義務が確定したらその段階で各月一回の支払いの原則にのっとって支払ってもらう、これが行われれば労働基準法上問題がないというふうに御説明を申し上げたわけでございまして、微調整部分だから二十四条との関係は問題ないんだというふうに申し上げたわけではございませんので、ぜひ御理解いただきたいというふうに思っております。
○吉川春子君 二十四条では説明できませんでしょう。それから、一年たたないと債権が確定しないなんて、そういう働かせ方がやはり労働基準法が予定してないわけなんです。 結局、例えば四十時間でも四十八時間までは文句なく働かせて、そしてこれはもう残業料も払わなくていいし拒否もできないということは、ばっと上限の方は決めておいて、それとの関係で三十二時間まである週は所定時間を縮小するというんだけれども、しかし実際は四十時間まではもう自由に働かさせられるし、そしてそれは残業料がどうかも一年たたないとわからない。こういうようなことが一年の変形労働時間制として導入されれば出てくるわけです。 だから、結局変形労働時間というのは企業にとったはいいですね。四十時間のところを四十八時間まで残業料は要りませんよと、それで拒否もできずに働かせますよというんだけれども、下の方の手当ては全然してないわけです。だから、そういう意味で非常に働く人たちの権利という点は認められていないわけで、法的にも欠陥がある、そして企業のための労働時間制の導入だと、まさに一年というのはそういうものだと私は思いますが、局長いかがですか。条文上の根拠をそれとも示せますか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 労基法第二十四条の趣旨は私もよく熟知しているつもりでございますけれども、一年の変形労働時間制につきましては、支払い義務があるかどうかわからないものが確かにごく少量ではありますけれども最後に残るという仕組みであろうかと思います。しかし、その支払い義務が生じた都度その後払うというのは、これまた基準法二十四条の趣旨でもあるわけですから、私はそういう形は二十四条に抵触はしていない、そういうふうに思います。
○吉川春子君 抵触していると言えば、法案提出の根拠を失いますからそういう答弁はわかりますけれども、非常に疑問の多い制度だということだけを私は強くここで指摘しておきたいと思います。 変形勤務と女子労働者の問題について続いて伺います。 今回の法改正がもし実施されますと、変形労働時間が広範囲に取り入れられることになるだろうと私は予測しております。当委員会でも繰り返し指摘されておりますように、家事、育児、老人介護などを担わざるを得ない女性労働者は、今でも大変なんですけれども、一層困難を強いられるわ けです。 そして、こうした勤務が女性にとってどれだけ大変かということを変則勤務を今現実にやっているJRの職場を例にとってちょっとお伺いしたいと思うんです。都内のJRの直売店に勤める女性の労働者と私最近お目にかかりました。このお店の営業時間は、午前十一時から二十二時まで、夜十時までなんです、普通の日は。休みの日はもうちょっと早く終わるんです。そして勤務時間が、朝十時、十一時、十三時三十分、十四時十五分、こういうふうに始まるわけなんです。これで、休日の日はまたさらに四つのタイプがあるので八つのタイプを繰り返し勤務しているわけで、帰宅時間は全部違うんです。もともとこの女性労働者は内勤で、通常の時間帯で勤務していたんですけれども、何年か前にこうした勤務にかわったわけなんです。 この間、お子さんができて、保育所というのは東京は六時までのところが多いんです。六時までに迎えに行こうにも、一番早い日で終わるのが六時半ですから絶対に迎えに行けないんです。今どうしているかというと、核家族なので夫が迎えに行っているわけなんです。それで今までやりくりしてきたんですけれども、今度は夫が交代勤務に組み入れられることになったわけなんです。そして、JRに対してお母さんの方が、自分の保育所の迎えの時間に間に合うような職場にかえてほしいと何遍も言っているんだけれども、またそれを認めてもらっていなくて途方に暮れているというんです。 だから、こういう変則勤務も、やはり女性が家庭を持ってそういう任務を持ったときに働き続けられなくなるというふうに事実これは示していると思うんですけれども、大臣いかがですか、こういう女性の働き方は。
○国務大臣(村上正邦君) 非常に難しい質問であろうかと思うんです。 まず、就職するときの約束、ここらあたりの経緯も十分知らなきゃなりません。しかし、でき得ることならば労使の中で話し合いをしてそういう一つの理想的な労働時間を確立していくということが望ましいことはもう論をまたないことだと思います。一人一人がそういう働きやすい環境づくり、これが私の労働行政だと、こう申し上げているわけでありますので、一歩でも二歩でもそういう理想に近い職場環境をつくっていくということが大事なことだと思っております。
○吉川春子君 働くときの条件というのはもう激変したわけです、国鉄ですから、分割・民営化のもとに。それはもうきょうは触れません。 それで、労基法六十六条は、弾力的労働時間制のうちフレックスタイム制以外の三つの類型の変形制については、妊産婦の請求によって適用除外を決めていますし、それから育児等に対する配慮義務も労基法施行規則の十二条の六にあるんです。これは、帰る時間が少しでもずれると保育所の送り迎えとか介護とかそういう子供の世話に支障を来すとか、そういうことが考慮されているからなんですけれども、そういう帰る時間との関係で大変困るというのは交代勤務の女子も同じだと思うんです。こういう十二条の六の適用範囲を交代勤務の女子等にも拡大していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) ただいまの交代制勤務との関係で、できるだけ働く女性の方も家庭との両立が図られる形でできるような配慮といいますか、そういう職場内の勤務体系ができないものかということでございますが、交代制勤務の場合、とりわけ現状、働く女性の方にとって家庭との調和にどう対応していくかというのはなかなか難しい問題が出るかと思います。できるだけそういった調和が図られるような配慮がされることがもちろん望ましいわけでございますし、そういった方向に向けて労使で十分その辺の職場内の勤務体系、そういったものを構築していただくようにぜひ私どもも期待をしたいと思っております。 また、今御指摘がございました交代制勤務について、そのような体系、法律上一律の規定になじむかどうか、これは大きい問題があろうかと思います。ただ、交代制のあるべき姿についてはいろいろ審議会等でも議論もございますし、交代制勤務のあり方についてはいろいろ関係者と話し合う機会を持っていきたいというふうに考えております。
○吉川春子君 時間がなくなりましたので、最後の質問です。これは、大臣にもぜひ、交代制勤務の女性労働者等に対してもそういう適用を拡大していただきたいということをお願いしておきたいと思います。 それで、先日発表されました平成四年度女子雇用管理基本調査は、新規学卒者の就職について男子のみとする企業が依然として多くて、この不況下で「逆風就職戦線 女性差別も」というふうにも報じられております。この調査で、女子の活用についての問題点として企業が挙げているのは、女子の勤続年数が平均的に短い、これが四六・四%、家庭責任を考慮する必要があるというのが三九・五%となっているんです。女性の意識に問題があるかのような言い方だけれども、そうではなくて女性が働き続けることが困難になってきていることを示していると思います。 今回の労基法の改正はそうした傾向に一層拍車をかけることになるんじゃないか、変形が。そういうふうに私は大変心配をしています。 これは新聞の報道ですけれども、豊島区の男女平等推進センターの佐藤所長が、「会社は、すぐ辞めるから女はやっぱり駄目って言うんだけれど、女さえ迎え入れられない男の働き方は何なのか」、こういうふうにおっしゃっているんです。本来、男性にも女性並みの保護というか人間らしく生活できるようなそういう規定を行うべきであって、それを崩していくということじゃまずいんじゃないかと思うんですけれども、やっぱり就職戦線の問題でも女性がいかに働き続けられる環境をつくるか、そのために労働者保護法としての労基法の果たす役割は非常に大きいと思いますが、最後にその点についての大臣の御所見を伺って質問を終わります。
○政府委員(石岡慎太郎君) 女性の労働者がその能力を大いに発揮していただく社会を形成していくことは、我々にとっても大事なことの一つでございまして、基準法改正に当たりましてもいろいろそうなりますように配慮しながら臨まなければならないと考えているわけでございます。 確かに、一年の変形制につきましてはいろいろ乱用がされたりあるいはまた女性の方々にとって働きにくい状況が形成されるおそれもございますので、この制度をもしお認めいただければ、導入に当たりましては事前によく事業主にこの制度の趣旨を徹底いたしまして、例えば女性の労働者で問題のある方々につきましては労使協定で労働者の範囲の特定もする仕組みになっておりますから、そこから外していただくとか、そういうことが労使間で行われるようによく指導あるいはまた監督をしてまいりたいと考えております。
○国務大臣(村上正邦君) 御指摘は御指摘とし、また今おっしゃられたそうしたことについても十分心してまいりたいと思います。
○足立良平君 私は、まず第一番に裁量労働制の問題からちょっと質問していきたいと思います。 今回の法改正で、「研究開発の業務その他の業務」という従来の基準法上の法文を一応削除して命令に切りかえるという改正案であります。この内容は、適用業務を命令で定めることによって基本的に現行制度よりも限定性の強いものになったというふうに、この五業種ですね、理解をいたしているわけでありますが、そのような理解でいいかどうかということがまず一つ。 それから二つ目に、裁量労働制を初めて制定いたしました昭和六十二年のときであったと思いますけれども、この六十二年のときに対象業務を命令で定めることは困難だという労働省の答弁があったやに記憶をいたしているわけであります。したがって、そういう面から通達による例示にとどめたという経緯があったわけでありますが、そういう点が六十二年から今日の時点で変更になって いるわけでありまして、そういう点でその間の事情の変化というものについて労働省の考え方はどういうところにあるのか、この二点についてまず考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) まず、第一点のお尋ねにお答えいたしますと、今回の法改正によりまして裁量労働制がとられる業務につきましては命令で定めることになりますが、これは業務の範囲を限定しようという趣旨に基づくものでございます。 それから、二番目の御質問でございますが、私は国会でのやりとりは正確に存じておりませんけれども、もしそういうことで労働省当局が六十二年当時に命令で定めるのは困難であるとお答えいたしたとすれば、確かに命令で定める場合も通達で定める場合も同じでございますが、裁量労働制の対象業務が非常に特定しにくいといいますか、そういう問題点を念頭に置いて当時の担当者がお答えしたのではないかと思います。 そういう事情は今日においても変わりませんけれども、その後いろいろ労働基準法研究会などでもこの裁量労働制を検討していただきまして、そこで労働省といたしましては、審議会でいろいろ客観的に公平な立場で、行政の恣意が入らない形で、あるいは限定的にこういう対象業務を御審議いただきましてお決めいただく、それを命令の形にする、こういう方向が研究会の研究結果とかあるいはまた審議会の議論を通じて一番いい方向ではないかと思うように当局もなってまいりましたので、今回命令で定めさせていただきたいという案を出している次第でございます。
○足立良平君 今回の労働基準法の改正の趣旨というのは、何と申しましても今日の経済の状況、経済の規模、あるいはまた今日の経済の規模に至るに当たって、そこに労働者を中心にして大変な努力をしてきている、そういう経済規模に見合ったゆとり、豊かさというものを確実なものにしていく、あるいはまたそういうものを実感できるような労働慣行というものをつくり上げていくという観点から、今回の労働基準法の改正というものは行われようとしているというふうに私は理解をしているわけであります。 したがって、そういう趣旨からいたしますと、既に本委員会におきましてもいろいろな議論がされておりますように休日なり年次休暇にいたしましても、あるいはまた適正な裁量労働時間の設定というふうなもの、あるいは適用の対象業務、これらはすべて労働者の保護というものの観点から慎重にされていかなければいけないというふうに今まで議論としてされてきたわけでありますが、そのことの労働省としての決意というものを再度お聞かせ願っておきたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) 裁量労働制につきましては、確かに先生御指摘のようにこの制度が乱用されますと労働時間の適用が外されまして、ひいてはそれが労働者保護につながらない、そういうおそれが多分にございます。 したがいまして、必要なものは裁量労働制の業務として認めていかなければならないと思いますけれども、それはあくまでも客観的に見て確かにこれは裁量に任されて業務をしている、そしてそれに対して裁量労働制を適用しても労働者の保護の点で問題はない、そういうものに限って業種の選定につきましては慎重にやっていくべきであると考えております。
○足立良平君 労働基準法研究会報告の内容を見ておりますと、これは少し長いんですが読みますと、「ホワイトカラーの中には、管理監督者以外の者でも、業務の遂行について使用者から具体的な指示を受けずに自律的に働いている労働者が相当数存在しており、このような労働者については、一律に労働時間管理を行うことは困難であり、また必ずしも妥当ではない。」というふうな文言が実はありまして、そして「現行の労働時間法制とは異なる新たな規制のありかたを検討すべきだ」というふうな考え方がこの労働基準法研究会報告の中に出ているわけであります。 従来の労働時間の管理というものの中で、技術革新に伴いましてホワイトカラー化というものが日本の職場の中で今相当進んできているということの実態を踏まえた報告書の一文であります。これは、一部分しかつかんでおりませんから、その前後のこれに対する認識の問題でございますが、これで私は労働省にお聞きをいたしておきたいと思いますのは、この日本の一般的にホワイトカラーというふうに呼称されるものについて、労働省としては一体どういうふうに定義をされているのかということが一つ。 それから二つ目に、この労働基準法研究会報告の日本のホワイトカラーの労働時間問題についての管理のあり方を少し考えてみる必要があるというその前提になっておりますのは、いわゆるアメリカにおけるホワイトカラー、エグゼンプションの考え方というものが前提にあるやに私は推測をいたしておりますが、日本のホワイトカラーと米国におけるあれは私は異質だろうというふうに考えているんですが、それらの定義につきまして労働省としてどのように認識をされているのか、この点まずお聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) まず、労働基準法研究会等でいわゆるホワイトカラーと表現しているホワイトカラーの定義でございますが、これもイメージを抽象的に申し上げた言葉の面が強いわけでございまして、私ども俗称といたしましては企業において主として事務・管理部門、時には販売部門、これに携わる労働者を総称するときに申し上げておるわけでございます。 ただ、最近の状況の中では、現場で直接生産に携わる労働者、いわゆるブルーカラーと俗称されておるわけでございますが、いろいろな技術革新、経営の拡大、また事業所内でもいろんなサービス部門、間接部門が増大していることによって、必ずしもその境界線がはっきりしてきていないという状況がございます。そういう中で、私どももいわゆるということをかぶせて使っているという面がございますので、そういった使い方であるということをまず御了解いただきたいというふ けないということで、私どももこの問題につきましては別途実務家等を含めた研究会をつくり、どういう対応が可能か慎重に検討した上でもう一度審議会で御議論を願ってみたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○足立良平君 今労働省の方からいわゆるホワイトカラーというものに対する定義、業際というのかそれは極めて毅然としていないという認識の上で慎重に検討していくという考え方が出されましたので、私はその点を特に要請しておきたいというふうに思うんです。 特に、日本の労働慣行というものを考えてみますと、今伊藤部長も答弁の中で触れられておりますように労働者の採用といいますか雇用する場合の前提が欧米の場合、アメリカにしてもヨーロッパにいたしましても全く違っている。ヨーロッパやアメリカにいたしましても、これは明らかに職種を限定して職種契約している。日本の場合には包括契約をしているんです、いわゆる初任段階から、学卒者を含めて。 そうしますと、包括契約をして、そして企業の中で教育とかあるいは経験を積みながら一方は経験者の中に入っていくという一つの終身雇用を前提にして、しかも昇進というものを頭に置きながら日本の雇用慣行というものができ上がっているわけであります。そういう中におけるホワイトカラー化していく今の職場の実態というものと、アメリカにおけるホワイトカラー、エグゼンプションの実態というものとは明らかに違っているわけです。また、その違うところに逆に言うと労働大臣がよく言われている日本的労働慣行のよさがあるわけです。 というのは、経済が大きく変化したときに、例えばアメリカなりヨーロッパはそういう職種契約を前提にして雇用をいたしますから、これは職種の転換ということが事実上不可能になってきている。ところが、日本の場合には包括契約をしてその中でずっと進めていっているわけでありますから、経済が変化し、あるいは構造そのものが変化したときは当然企業内における職種転換を行ってそれに対応していく能力というものを一方では持っているわけでありますから、それは労働者が常々言われているように雇用を確保していく、失業者を出さないという面においては日本の慣行というものはこれは重要視していく必要があるだろう。 したがって、そういう観点からいたしますと、ホワイトカラーの取り扱いというものをアメリカ的な発想で日本的な慣行を全く相入れないような考え方で労働時間という問題をとらまえてまいりますと、日本の企業の中で大変な問題を逆に起こしてくる。あるいはまた、労働省自身も労働行政の側で大きな問題を起こしてくることにつながってくるのではないか。このように考えておりますから、これからの審議会におきましての議論というものもそういう観点で極めて慎重に、しかもそれは限定的に取り扱いをしていただかなければいけないのではないか、このように私は思うんですが、その点局長の方からあえて考え方があればお聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) 確かに、日米の労働者の働き方などを比較いたしますと、先生御指摘のような違いを私も感じているところでございます。 日本の労働者のあり方、雇用制度のあり方でいい面は残していく、そういうことを念頭に置きながら基準法の諸制度も組んでいくということが労働者保護の面でも非常に大事ではないか、そういうふうに感じております。
○足立良平君 これは、今までの委員会なりあるいはまた衆議院の委員会の議論で、私ひょっとしたら読み間違えたのか聞き間違えているのかもしれませんけれども、これからのこの審議会における検討、これは検討課題でありますから今の段階で断定的に労働省としては言えるものではないという前提を置きながら、現行の五業務に加えて、その他につきましては審議会で検討してもらった上で追加もあり得るんだというふうなニュアンスがあったやに私は受けとめているんですが、それは私の方の受けとめ方の間違いでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 衆議院段階でこの問題について私ども答弁してまいりましたのは、命令で定める裁量労働の対象業務は五業務を中心に定めていきたい、労働者保護の観点から慎重に決めていきます。 先生御指摘のように、それ以外に追加することがあるやのニュアンスがあったのではないかという御指摘については、まさに今のホワイトカラーの問題が法案提出の過程で審議会でも種々議論があったということであろうと思います。ただ、その点については、先ほど局長からも申し上げましたように別途研究会等を設けてやはり日本的な雇用慣行の中でどうあるべきかということを十分慎重に検討した上で対応したい、そういう考えでございますので、当分五業務を中心に定めてまいりたいと思っております。
○足立良平君 わかりました。五業務を今から広げていくというような考え方はない、このように私は理解をいたしたいと思います。 結局、ホワイトカラーの問題というのは、労働行政というのは一般的にはブルーカラーを中心に置いたような労働行政、置いたとは一概に言えないんですが、感じを持ちがちであります。 〔委員長退席、理事大木浩君着席〕 労働組合自身もブルーカラーを前提に置いた組織をされている傾向がありまして、第三次産業を中心にしてホワイトカラー化の状況の中で労働組合自身が組織化されるのはなかなか難しいという一面性がある。問題は、先ほど触れましたようにこれからの日本の社会を規定していくのはホワイトカラーというものに視点を置いておきませんと、これは大変な問題を将来に惹起していく要因があるんではないかというふうに思いますので、そういう点で労働省の方におかれましても慎重の上にも慎重にひとつ対応していただきたいということをまず申し上げておきたい、このように思います。 それから、次に時間外の割り増しの関係についてでございますが、これも私前回のときも少し触れたが時間が足らずに突っ込み足らずでございましたので触れておきたいと思うんですが、労働基準法というのはこれはいわゆる最低基準を決定した強行法規でございます。今回の基準法の改正というのは、割り増し賃金率を二五%から五〇%というこの幅で「命令で定める」、こういうことになっています。これがいいか悪いかについては、私は基準法の精神からするとこれは問題がある、あるいは憲法二十七条の点からしてもこれは問題があるというふうに考えているわけであります。 この問題につきまして、ことしの三月十日にも参議院の予算委員会で私の同僚の寺崎委員から提起をいたしているわけでありますが、この憲法の理念に反するという質問に対して、これは石岡局長の方から三つの点で反しないというふうに答弁をされている。 一つは、御承知かと思いますが、二五%から五〇%という限定をつけているからいいんだ、こうおっしゃった。しかし、私はこの答弁を聞いておりまして、これはいささか問題があるなというように思いましたのは、例えば二五から五〇%というこの幅だから問題がないというのか。例えば、極端に言うたらゼロから一〇〇%にしても問題ないのか言うたらこれはもう全然論外だろう。だから、限定があるからと言うけれども、一体それではその限定というのはどこまでの範囲を限定というんだということは、これは論理的に説明し切れないという問題が一つある。 それから二つ目の理由として、命令を定める際の考慮事項というのは定められているんだということをおっしゃっている。 そして三つ目に、中央労働基準審議会の意見を聞くことが予定されているんだというふうに三つの条件をおっしゃっているわけです。例えば、中央労働基準審議会の意見を聞くといいましても、これはちょっとしつこいようですけれども、猶予措置を一年間延ばすことについても労働側が欠席 をして、そしてああいうふうな不正常な状態でやったという事実からすると、中央労働基準審議会で審議をするから云々という理由もこれもいささか無理があるんではないかという感じがしてならない。 したがって、その辺のところ、憲法上の物の考え方からして、これらの点について再度労働省としてこういう考え方だから問題ないならないということをひとつはっきりとしておいてもらいたい、このように思うんです。
○政府委員(石岡慎太郎君) 確かに、憲法第二十七条におきましては、賃金などの「勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」と明記されているところでございます。したがいまして、割り増し賃金率につきましても基準法ではっきり率を明記できれば一番よかったと思っております。 しかしながら、割り増し賃金率につきましてはやはりこれを基本的には引き上げるべきだと思いますが、そして五〇%までこれを引き上げていくべきだという目標も持っておりますが、それをするためにはやはりいろいろ諸般の情勢を考慮しながら時間をかけて引き上げていくという、引き上げにはこういう事情がどうしてもございましたので、今回そういう背景に立ちまして、一定の条件づきのもとでこの割り増し賃金率の規定を変えさせていただいたわけでございます。 憲法の二十七条の解釈におきましても、必ずしもすべて基準は法律で規定しなければならないということではございません。合理的な範囲でかつ個別具体的な委任であれば政省令に委任することもできる、そういう解釈が一般的に行われているところでございます。そういう法律の解釈もございますので、今回割り増し賃金率につきましては三点限定条件をつけさせていただきました。 一つは、現在二割五分でございますが、これを五割まで上げるという政策目標を掲げたつもりで「二割五分以上五割以下の範囲内」とさせていただきました。それから、引き上げていく場合には労働者の福祉、時間外または休日労働の動向その他の事情を考慮して、それに合った場合には引き上げていかなければならないという趣旨、条件をつけさせていただいたわけでございます。さらに最後には、中央労働基準審議会で意見を聞きましてということも条件につけさせていただきました。 確かに、御指摘のように四十六時間の猶予措置の延長につきましては、異例ながら労働側委員の退席のもとで事が決しましたけれども、我々も深く反省しております。また、こういうことは二度とあってはならない。あの措置はやむを得ない措置であったとは思いますけれども、こういう事態をできるだけ避けていかなければならないと思っております。今後審議会の運営にも意を用いまして、中央労働基準審議会におきましてもこの割り増し賃金率の引き上げの意見をよく聞きまして、行政側が努力をするという形をとらせていただきたいと考えております。 以上のような合理的な範囲内でかつ個別具体的な委任をさせていただきたいというのが今回の法改正の趣旨でございまして、決して憲法二十七条に反しているとは思っておりませんので、よろしく御理解をいただきたいと思います。 また、重ねて最後に一言つけ加えさせていただきますと、割り増し賃金率は労働基準法制定以来、四十数年間二五%のまま据え置かれてきました。今回、この引き上げを前提とした一定の政策目標を示した改正案を出しておりますのは、政策的にも立法的にも意義がかなり大きいのではないかと考えておりますので、この点もあわせて御理解を賜りたいと思います。 〔理事大木浩君退席、委員長着席〕
○足立良平君 憲法上のいろんな見方というのはそれぞれ学説もありますし、今ここで時間の関係で議論は差し控えたいと思います。 今局長の答弁の中でありましたように、政策目標として時間外の割り増し賃率を五〇%に引き上げていきたいということを明言されているわけであります。そのことを大変重く受けとめておきたい、このように思います。 それから、次の年休の関係について触れておきたいというふうに思います。 年休の関係で、これも前回の委員会で私は触れたところでございますが、今の年休の付与日数が現実的には全員が二十日になっていないということでございますが、これは今回の改正で言うなら十年六カ月勤続をしないと二十日間の年休の付与というものにならない、こういう案になっているわけであります。 この十年六カ月、あるいはまた現行の十一年という問題をめぐってなんですが、ちょっとお聞きをしておきたいと思うのは、日本で今終身雇用というものが漸次崩れかけてきている。もともと大企業なり、あるいはまた皆さん方のような公務員のところだけが終身雇用であって、日本の中小企業というのは本当に終身雇用であったかどうかは、これは学説の分かれるところでございます。今若い労働者を中心にして、いい職場があればどんどん転職していっていいんだという考え方が相当強くなってきている、現実問題として。 したがって、そういう面からいたしますと、これはこれからの課題として、十年六カ月あるいは十年以上勤続しないと二十日なら二十日の有給休暇というものは付与されない、こういう現実をやはり変えていく必要があるんではないか、制度の側で。したがって逆に言うなら、これは当初労働組合の連合の方も主張いたしておりましたような、いわゆる勤続年数云々という考え方を、今は別として将来にわたってこれを変更していく、その考え方というものが労働省の側におるかどうか。この点お聞きをしておきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 年次有給休暇の問題につきまして、転職率の高まり等を背景にそのあり方についての検討をすべきではないかという御指摘でございますが、確かに若い勤労者を中心に転職率の高まりが見られる中で、我が国の終身雇用慣行がどう変化していくのか。これは非常に大きい問題でございまして、私どもも雇用対策等の観点から慎重にそこの行く末を見きわめなくちゃならないというふうに思っております。 したがいまして、現段階で年次有給休暇制度の付与のあり方と直ちに結びつけて云々するということについて、私ども結論を出すことについてはなかなか難しいというふうに受けとめております。ただ、この年次有給休暇の最低付与日数のあり方につきましては、私ども今後の大きな課題としてILO条約の水準などを参考にその増加を図ることについて、できるだけ早い機会に中央労働基準審議会に検討をお願いして速やかに結論が得られるようにしていきたいと思っております。そういう中で、付与日数のあり方についてはいろんな関係者の御意見を聞いてみたいというふうに思っております。
○足立良平君 これはILO条約との関係も含めて、今部長がおっしゃいましたように早急に検討をしていっていただきたいと思います。 ただ、終身雇用が崩れていくといいますか、若い人がどんどん転職をしていくということは、ある面におきましては日本の労働慣行というものが変化していくということにつながってくるのかもしれないんですが、私はむしろ積極的にとらえていくべきではないか。 というのは、今の日本の労働市場といいますか、そういう面を考えてみますと、ともすればいわゆる有為な人材というものが大企業に集中しがちになる。そして、日本の中小企業なりそういう点を考えてみますと、人材不足ということが起きているわけでありまして、そういう面からいたしますと、人がどんどん転職をしていくという状態をつくっていくことは、日本の中小企業の問題を含めて、平均的に発展をしていく、人材的にはプールされ得る、そういう条件をつくっていくことに私はつながってくるというふうにも考えます。 そういう点では、単にILO条約云々とか休暇云々とかいうことだけでなしに、そういう日本の労働慣行というものもやはり経済社会の変化に伴って、そしてまた日本の各業界における平均的な 発展、人材を再配分していくという観点からも、私は終身雇用というものについてかたくなにこれを守っていかなければならないそういう性格のものではないのではないか。むしろ、労働省はそういう面を側面から促進していくような政策というものを持っていいのではないか、このように思っておりますので、そういう観点も含めて、これは早急に別途検討を進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 これはもう最後でございますが、労働省所管の許認可事項の削減の問題について質問をしておきたいと思います。 今までの質疑の中では、労働省所管の許認可事項の削減の問題についてはほとんど出ていなかったように記憶をいたしております。これは、日本の労働時間を短縮していくという面におきましても、官庁の許認可をどのように受けるかということによって、企業の段階において労働力といいますか時間が大変食われている。これはむしろ考えてみましたら、昨年度末で全部で一万九百四十四件くらいだったと思いますが、今どんどんふえてきている。そういう面では、一番大きな官庁にいたしましたら二千件を優に超しているわけでありまして、その点からいたしますと、労働省の許認可事項というのは比較的少ない部類に入るだろうというふうに見ております。 しかし、そうであったといたしましても、労働省の許認可というものを見直していく。そして、企業がやらなくてもいい仕事、あるいは許可のためにわざわざ東京まで出向いてこなくてもいいような状態をつくっていくということは、私は企業が合理的な経営をやり、そして労働時間を短縮していくという面においても極めて有効ではないかというふうに思っているわけであります。そういう観点で、これからの労働省の許認可事項の削減についての考え方をお聞きいたしておきたいというふうに思うわけであります。 事実、これは宮澤内閣におきましても、五月二十日付で行政管理局の方からも削減について、早急に一割削減というふうな方向も出されているわけでありまして、そういう点でこれから労働省の削減に向けての具体的な取り組みの方針は一体どういうものになっているのかということが第一点。 それから二点目に、今までは必要だということで許認可事項を持ってきているわけであります。したがって、そういう面からすると、内部だけで検討するよりも、むしろ第三者の方の意見というものを聞きながら検討していくということが必要なのではないか。このようにも思っているわけでありまして、この点についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(村上正邦君) これは、宮澤総理から強い御意向が示されまして、一万件以内に抑え込もう、こういう方針が打ち出されて、私もこれは労働省といたしましても大所高所から踏み込んでいきたいと、事務当局に削減の方向で督励をしております。 せっかくきょうは官房長がこうして珍しく座っておりますので、恐らくこの回答のために来ているんだと思いますので、官房長の発言の場も与えてやったらどうかと思いますので、官房長に少しくこのことについておしゃべりをさせていただければ、こう思います。
○政府委員(七瀬時雄君) 政府の方針、それからそれを受けた労働省の方針につきましてはただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございます。 確かに、私どもの行政では安全衛生の関係とか人の生命にかかわるような事項も持っておりますし、また雇用の関係でもいろいろな許認可を持っております。そういった意味では非常に必要性が高いものであると思っておりますけれども、時代の流れなり技術革新に対応して見直していかなければならないし、一つ一つをとってだめだだめだと言っていたら何もできないんではないか。日ごろから、大臣からもそういった角度から督励を受けております。 もう一つは、規制をする立場だけではなくて、規制をされる側の立場にも立って現場の意見もよく聞いて、こういうふうな指示も日常受けているところでございますので、そういった気持ちに立って見直しを進めてまいりたいと考えております。
○足立良平君 終わります。
○笹野貞子君 今度の労働基準法の改正の最も一番のポイントというのは、ゆとり、豊かさというのを実感できる、そういう生活大国になるための一つの目的達成のための手段だというふうに私は受けとめております。しかし、ゆとり、豊かさという言葉はこれは質の問題ですから、質というのは何か比較するものがなければいいのか悪いのか、高いのか低いのかわからないというふうに思います。 午前中の質疑で大臣は、労働行政というのは事日本だけではなくて国際的に重大だ、こういうふうに大変高邁な論を展開されて、私はまさにそのとおりだというふうに思うわけです。これは、質問通告をしていなくて大変申しわけないんですけれども、大臣の大変な御熱意を午前中聞きまして、結局日本がこれからゆとり、豊かさという生活の中で、労働条件というのは生活を抜かしてはこれはあり得ないもので、生活を豊かにするということは労働条件を豊かにするということと同義なわけです。そのために午前中大臣は、日本は生活大国としてこれからの発展途上国のために技術を伝授して世界の労働条件をよくする、こういうふうにおっしゃった。そうすると、日本の労働条件というのは世界でもうトップクラスかというと、どうもそうでもないですね。まだ労働条件に関しては日本よりずっと質量ともにすぐれた国があります。 そういう意味で、この間はフランスの例を挙げたのですけれども、大臣ここでひとつ、これから私はフランスとドイツのことを例にとってお話ししようと思うんですけれども、労働条件に対する先進国と言われるようなそういう国々に対して、大臣はこれから国際労働大臣としてどのようにお考えかをまずちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 実は、きょう閣議後に外務大臣、そして通商産業大臣、それから経済企画庁長官が御出発をなさったわけでありますが、この会議に私は労働大臣も出せと。 といいますのは、ヨーロッパ諸国におきまして三千五百万近くの今失業者が出ている、この会議においても特に雇用と失業という問題がテーマにのる、アメリカからも労働大臣が行く、こういう話ですから、先ほど足立先生からの御質疑の中にありました日本のよき長年培われてきた労使間における雇用というこの思想といいましょうか、哲学といいましょうか、こういうことをこうした国際首脳レベルの中において労働大臣として御披瀝することも非常に有意義なことではないか。そこで外務大臣に、アメリカから労働大臣が行くなら日本の労働大臣も行くということで、そういうことなら日本としても今回労働大臣も御一緒にお願いするようにいろいろとそういう方向でまとめてまいりましょうと、通商産業大臣も賛意を表されたわけであります。 ところが現状は、きょうこの労基法を上げていただく、あしたは本会議、またパートという衆議院において審議が重なっておるということになれば、身は一つでございまして、どちらを選ぶか、こういうことになりましたとき、事務方は国会優先にしてもらいたい、一日も早くこの法案は上げておかないとということで、行きたいのを我慢してひとつ何とか何とかと、こういう話でございまして、私もこれを断念したわけであります。 ですから、私は大いにこういう国際会議の場に出て、当初申し上げましたやはり日本は長年一つの労使関係でつくり上げてきた知恵というものがあるんです、また労働という価値観についてもヨーロッパやそれぞれの国と違う、こうした考え方をこの際明確にしていく必要がある、こう思っているんです。 そこで、今御質問のことに触れさせていただきますならば、人間社会において物が豊かになるということだけが本当の豊かさなのか。私は、そこには精神的豊かさ、精神的貧乏であってはならない、これが特に日本の、私どもが追求してきた今までの考え方ではないかと思っております。しかし、余りにも一面的なそうした精神的なことだけということではやはり世界に通用するものではない。ですから、このバランスの問題だと思うんであります。 そうしたことから言って、今日くれぐれも申し上げておりますようにその精神的豊かさの中に働くことの喜び、汗を流すところの喜び、こういう日本的な労働の価値観ということも頭に置きながら時短というもの、時間的余裕というもの、ゆとりというものをうまく調合していかなきゃならない、そうしたことに今後苦心をしていかなきゃならぬのかな、こういうふうに私は考えております。 エデンの園を追放されて働くという苦役を与えられた、その苦役から少しでも解放されようというのが一つの労働というものの考え方であるやに私どもは教えられてまいりましたけれども、そこにやはり私は日本的な勤労の喜び、勤労の価値観というものの理解を大いに世界にも深めていかなきゃならぬなと。 ドイツあたりでは千五、六百時間まで短縮してきているということでございますが、しかしそれがあながちもういいのか、生産性ということからいってどうなのかと、こういうことも今後私どもは研究していかなきゃならない、こういうふうに今思っております。
○笹野貞子君 エデンの園で苦役を与えられたのは古代の話で、現在はまさに大臣がおっしゃられたように労働の喜びというのを感じるという時代になりました。 しかし、今おっしゃいましたようにこのバランスというのが非常に重大ですし、今大臣もそのために一生懸命に労働大臣として頑張らなきゃいけないという、つまりこのバランスが大変問われる時代になったわけですから、バランスというのは私の言葉で言いますと公平で公正な感覚を持つということだというふうに思います。そういう意味で、労働省は常に企業と働く者の公正で公平なバランス感覚を保つためには、きちっと中立性を守りながら両方の具体的な例をこれから知っていただかなければいけないというふうに思いますし、ただ日本だけのことじゃなくて、外国のすぐれた労働行政というのをしっかりと取り入れていただきたいと、そういう思いを込めて今大臣に質問させていただきました。 大臣は、ユニークな大臣で、本当に積極的な方ですから、今度のこの労基法の改正に対しましても、私たちが何でもこの委員会の中でここはおかしい、ここは危険性があるというふうに指摘した箇所はしっかりとそのバランス感覚を持って対処していただきたいというふうにまずもってお願いをいたします。 それでは、私の質問に入らせていただきますけれども、私の質問の仕方が下手なのか、労働省の方が上手なのか、いつでも時間切れになって私の思った回答が得られませんでした。そして、聞くところによりますと、伊藤部長はますますフランスの労働法の研究を重ねていらっしゃるということですから、きょうも大変私は興味を持って伊藤部長の研究の成果をお聞きしたいと思っております。 この間は、私はつまり質の問題というのはまず量から始まらなきゃいけない、日本の今度の労基法の改正でいくと千八百時間という根拠は何かということを盛んにお聞きしたわけです。そこで、フランスがこういうふうにすると変形労働制を使ってもそれ以上は出ないんだという千七百時間のシミュレーションを出して、だから変形労働制を使っても危険はないんだから、今度の労基法の改正で変形労働制を使って千八百時間になるというそのシミュレーションをお出し願いたいと、こういうふうに言ったんですけれども、きょうはそのシミュレーションをお示しいただけるわけですね。
○政府委員(伊藤庄平君) 先生この前も御指摘ございましたように、週四十時間労働制を実施した場合に、年間単位で考えれば二千八十時間ということになる。そこから千八百時間に向かうまでの道筋といいますか、シミュレーションについてどういうふうに考えているのかという点であろうかと思います。 私ども、確かに一年の変形労働時間制は年単位で休日管理を行い、休日を業務の繁閑をうまく利用してふやしていくわけでございますが、単純に週平均四十時間ということのみを考えれば年間の総労働時間の総枠は二千八十時間になる、これは事実でございます。そこから実は出発するわけでございまして、年間の年次有給休暇をそこから何日とるか、これについては私どもぜひ二十日付与、二十日取得というものを目指して努力していきたいというふうに思っております。また、国民の祝日等の休日がここからオンされて差し引かれる。 千八百時間で使っているモデルを申し上げれば、両方合わせて三十五日の休日が引かれることになるわけでございますが、これになりますと千八百時間ということになってくるわけでございます。しかし、これにはもちろん時間外労働が含まれておらないわけでございまして、時間外労働をこれに加算すれば週平均四十時間ということのみでは千八百時間というものには到達しない、そういうシミュレーションになるわけでございます。 これは、変形制の場合に限らず、週四十時間労働制を週休二日制で実現した場合も同様でございますが、やはり私どもこの四十時間というものの基盤をひとつこの法案の成立によって確定させていただき、その上で労使の取り組みによってさらなる休日増、あるいは一日当たりも現在平均で申し上げますと約七時間半をちょっと下回る平均の一日の所定労働時間になっておりますけれども、そういう労使の自主的な取り組みもあわせて推進していただくことによって千八百時間というものに近づいていけるんではないか。 そういう努力も私どももし、また労使の一層の取り組みもこの法案を成立させていただければ、そこを機にそういうところに向けて促してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
○笹野貞子君 今の部長のお話からしますと、この間私が今の法規をそのまま使うと千八百時間にはならないんだということを盛んに力説したわけですけれども、今のお話でいきますと、千八百時間にするためには三十五日の休日増ということを念頭に置いているというふうに受け取っていいわけですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 千八百時間の私どもよく示しているモデルで用いていますまように、年次有給休暇を二十日付与、二十日取得というものを達成する、そのほかに国民の祝日などの休日がきちんと確保される、これでいけば時間外労働を抜きにすれば千八百時間になるということでございます。時間外労働を含めれば、さらに労使の自主的な努力によって一日当たりの所定労働時間の減少なり、これ以外の休日の増加に向けて一層努力していただく、そういうことをまた促進していくことが必要になる、こういうふうに申し上げたところでございます。
○笹野貞子君 つまり、部長の今のお話からすると、やはり変形労働制というものはその運用方法を間違うと長時間労働になるということだけの御認識はしっかり持っていただけたというふうに思いますので、その御認識が大変重大だというふうに思いますので、その点は私と共通認識ですね、部長と私とは。
○政府委員(伊藤庄平君) この一年の変形労働時間制は、週四十時間制に近づいていくために休日をはかったりする一つの道筋の方法として提案しているわけでございまして、それを効果的に使わないと制度趣旨が実現されないという認識は全く同じでございまして、制度の趣旨が生きるように 我々対応をすべく努力しなくちゃいかぬという認識を持っております。
○笹野貞子君 そこまで認識が一致したということは大変うれしいことだと思います。その認識があることによって、つまり労働行政としてどういう対処が必要かということが始まるわけですから、その辺どういう対処が必要かということを具体的に説明するとどうなりますか。
○政府委員(伊藤庄平君) やはりこの一年の変形労働時間制について、私ども制度上は一日、一週の限度時間を現在より減らしたり、年間で休日をあらかじめ決めておきなさいとか、いろんな手当てをして制度の趣旨が生きるような法律上の枠組みはつくったつもりでございます。 ただ、それに加えて御審議の過程でもいろいろこの制度に対する懸念なり、あるいはこの制度の目的が真に生きるためにはこんなこともというアイデアもいろいろいただきました。そういうことを頭に置いて、労使がこの制度を導入するに当たってどういうところに留意し、どういう形でこの制度を導入していくのが適切か、そういうことを私どもとしても示す用意をしていかなくちゃいかぬのだろうというふうに思っております。その辺は十分検討して実施していきたいというふう思っておるところでございす。
○笹野貞子君 十分検討する、努力するといいましても、努力という言葉は非常にいい言葉なんですけれども、努力というのは結果じゃなくてプロセスなんですね。努力した結果だめだったということもあるわけですから、そういうことのないように努力という言葉を使っていただきたいというふうに思います。 そこできょうは、私はこの間フランスの労働法の話をしたんですけれども、労働条件では先進国と言われる国にこれから日本は近づいていかなきゃいけない。労働大臣も国際労働大臣になるためには、質量ともに国際的に日本はすばらしいんだというためには、やっぱりすぐれた国を範としなければいけないわけで、続いてドイツの労働基準法のことをちょっと私も勉強してみました。 聞くところによると、局長も大変フランスにもドイツにもお強いということですから、きょうはドイツの労働基準法のことを私もより一層知れれば大変よろしいわけですから、どうぞ波長の合っている部長にいろいろなことをお話しいただければというふうに思います。 まず、ドイツの労働関係の法律を見ますと、これは一九三八年の労働時間法という法律ができて以来ずっとそのまま改正なしに今日に来ていることはフランスと全く違うわけで、フランスは三度にわたって次々と変わっているわけですけれども、ドイツは変わっていないんです。しかし、法律的には一週四十八時間、そして一日の労働時間を十時間として限定する変形労働制も二週間、五週間と認められております。このドイツの法律を見ますと、法律的には非常に緩やかなんですけれども、現実はどんどん法律よりも前へ前へと行って、世界で一番労働条件が質的にすぐれていると言われているドイツに今なっているわけです。 ここで私は、このドイツの労働時間法という法律あるいは閉店法という法律あるいは祝日禁止法という法律等々を見まして、かえって最初の労働法は非常に厳しい制限をつけてチェックをしました。ですから、一九三八年といいますと相当古い段階で、一週間の時間制を決めたり、一日の上限枠を決めたり、あるいは祝祭日のことを決めたり、非常に国家が一つの目安を持ってはしっと目標を立てたというのがよくわかります。 しかし、現在の日本を見ると、一九九三年になってもまだ省令にゆだねるとかあるいは猶予期間をぱっと一年延ばしてしまうとか、私たちの反対にもかかわらずあれよあれよといううちに猶予措置をとってしまったり、こういう言葉を使うとしかられるかもしれませんが、緩やかというかルーズというか、そういう感じがいたします。 そこで、質問いたしますけれども、このドイツがとっている一つの国としてのポリシーをばちっと打ち出して、それに向かって労使自治という言葉がドイツではもう使われているように労使がその法律をちょっとでも超えよう、法律に規定されることに引っかかってああこう言われるようなことをしないでおこうという労使自治というのが既に生まれていまして、これがどんどん労働条件をよくしているわけですけれども、ドイツのこういう考え方に対して日本の労働行政としてはどのように参考にし、どのように参考にしないのか。それは、今の日本には合うのか合わないのか、どこが違うのか。総合的にひとつ御回答いただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 確かに、ドイツの労働時間等を中心とした法制を見てまいりますと、例えば一日については八時間、一週については四十八時間というふうな規定でございますが、現実には労使協定によりまして過当なりの労働時間も三十五時間を目指そうかというような段階に到達してきているような、労使の間で労働時間短縮に向けてのいろんな話し合いが行われ、両者のいろんな要請を重ねて調整した非常にいい結果が出ているという点については先生御指摘のとおりかというふうに思っております。 そういった面で、労使の自治というものを尊重するためにまず枠組みをしっかり示して、そこへ労使も話し合いを促進していってもらう、そういう方策、これはやはり私どもも可能な限り参考にし、念頭に置いて制度をつくっていかなくちゃいかぬということは御指摘のとおりだろうと思います。 我が国は、かなりの中小企業を抱えながら労働時間短縮を進めていく、相当数がまだ四十四時間あるいはそこに到達していないものもある、そういう状況の中でやはり私どもは四十時間というものに向けてレールを今回教かしていただいて、そういった中小企業も含めてそこへ向かっていただく道筋を整える、また支援措置もあわせて行う。そういうレールを敷きますので、労使のいろんな取り組みによってそこへ円滑に到達できるような努力をしていく。こういうこともやはりこのドイツのやり方、そういうものも見ながら、ただ目標を法律で示すという点ではかなりドイツとは違いますけれども、一つのそういう発想も受け入れつつ私ども現状に即した形でそういう形をとったというふうに御理解をいただければありがたい。 割り増し率等の問題につきましても、今後労使の間でいろんな話し合いが行われ、その成果というものも、私どもこれからこの法案に盛られた制度を真に意義のあるものにしていくためには、そういうものも一方で期待しながらまた関心を持って見守りながらいい制度になるようにしていかなくちゃいかぬ。そういう期待も込めておりますので、ドイツで行われておりますように法律で一つの枠組みをつくり、労使のいろんな自主的な話し合いの進展、そういうものも一方で期待する。そういう仕組みについては、多々日本的な点はございますけれども、私ども十分参考にさせていただきながら制度の枠組みの設計に当たったつもりでございます。
○笹野貞子君 部長のお話を今聞いていまして、別に悪いとは言わないんですけれども、具体的な例がちっともお話の中になくて、そういう枠組みをつくるように努力しますとかレールをつくりますとかそういうお話なんで、つまりドイツのどこをまねるとそういう枠組みができ、ドイツのどこを参考にするとレールが敷かれるかという、もうちょっとドイツのことの具体的なひとつ御回答をいただけませんでしょうか。 例えば、休日開店をすると罰則をつけて、日曜、祭日は昼の二時までで店をしまいなさいと、それ以後はペナルティーを科すというこういう非常に具体的な法律があるんです。こういう法律に対して日本はそれを参考にできるのかできないのか。そういう罰則をつけるということは今日本ではどうなのかということはどうなんでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 具体的なところで申し上げれば、ドイツの立法の中身を見ましても、私ども参考にする際、二つの角度が内容から見て必要だろうと思うんです。 例えば、法定の所定労働時間については一週について四十八時間というのが法律上の水準でございます。ただ、実際上は労使の協定によりまして今や三十五時間を目指そうかという段階まで来ているというふうに先ほど申し上げました。ただ、こういう点について考えれば、私どもの国内で現行の法律上四十時間を上回る水準を法定ラインとして出しておいて労使の話し合いで四十時間あるいはそれ以下まで持っていけるかということになりますと、やはり私どもが選んだ道は今回御提案申し上げているように法律で平成九年度からは原則としてすべての分野で四十時間制を決めてもらう、こういう法律を提案しているわけでございまして、そういう意味ではドイツのパターンとは違ってきたという点が一つございます。 それから、先生御指摘のようにドイツの法律ではさらに一日二時間というふうな時間外労働についての規制とかかなり厳しい点があるわけでございます。こういった点は、日本の法律または今回提案申し上げている基準法の改正内容よりも厳しい点もある。そういう点、これは私ども今回の改正の中で、例えば残業時間の上限規制というような点について直ちに今回の法改正の中に盛り込んで我が国の雇用慣行の中でやっていけるかというと、それは大変難しいということから外しておるわけでございます。一方では、時間外労働協定の目安時間等も定め、またこれも時間外労働の動向に応じて見直していき、それがそういうものを通じて指導することによって労使の時間外労働の抑制に向けた話し合いもひとつ促進していく、そういう効果も期待している。 これは、ドイツでいえば法律を上回る話し合いを労使に期待した、そういうところのやり方にも通ずるんだろうと思いますので、我が国の場合いろんな項目項目によって日本的な雇用慣行、労働慣行のことを考慮しながら、ドイツのいいところ、また日本流になじめるところ、そういうものを引っ張り出しながらある程度我が国の制度として構築していく、そういうつもりで対応をしていきたいと思っていますし、また今回御提案申し上げている内容もそういうつもりで作成したつもりでございます。
○笹野貞子君 私がドイツの労働法のことを勉強しましたのは、「各国の労働時間制度の運用実態」というのと「比較労働法」というもので学んだんですが、部長も同じものを読んでいらっしゃると聞きましたけれども、一緒ですね。
○政府委員(伊藤庄平君) いろんな資料がございますが、主として先生と同じ「変容する労働時間制度」を見させてもらっております。
○笹野貞子君 そうすると、話は非常に早いですね、同じ書物を読んでいるわけですから。この間の委員会のときも、フランスがこの変形労働制を導入するときには、これは企業の方の時間の弾力の効率化を上げるために導入したというふうに書いてありまして、それは部長もそうだとおっしゃいました。 今度のドイツもやはりこの本を読みますと、最初はつまり労働時間の配分を弾力化するために、営業効果を上げるためにドイツもこの制度を導入したと書いていますけれども、共通認識でいいですね。
○政府委員(伊藤庄平君) 前回のフランスについての御指摘、また今回のドイツについての御指摘でございますが、私どもフランスの例について確かめるためにも海外労働白書等を参考に勉強させていただきました。 その過程を見ますと、フランスでは当初大量失業ということの解消を目指してワークシェアリングの観点から週三十九時間制を導入した。同時に、一方では弾力化の規定も入れたわけでございますが、その後一九八六年、八七年とフランスの輸出の低迷が続く中でEC統合等を背後に控えて競争力の向上を図っていかなくちゃいかぬというような要請がこの変形制、当初からあった変形制でございますが、それについていろんな点について要件の緩和を図られていった経緯があることは先生御指摘のとおりでございます。 ドイツにつきましては、こういった法律上の形としては、設けられている変形制はかなりフランスとはタイプの違った変形制でございまして、実際に各産業ごとに設けられている変形制は、法律とは別のかなりバリエーションに富んだ変形制が労使協定で用いられているようでございます。これは、まさに過所定労働時間を労使協定で減らしていくという努力と、一方では過所定労働時間は減らすけれども、やはり企業活動の柔軟性といいますか、それを保つための労働時間についての弾力的な配慮を求める企業側の要請と労使の折り合ったポイントとして、そういう変形制が各産業ごとにかなりバリエーションのある形で設けられているというふうに認識をいたしております。
○笹野貞子君 つまり、私がこの質問をいたしますのは、フランスが導入するときも、ドイツが導入するときも、やはり営業上のメリットを優先して入れたという事実なんです。これを労働行政として認識していただかなければ困るんです。 フランスもドイツも入れた動機はそういう動機ですが、しかしここが労使の自治によって今では、これはかえって労働者側の「長い休暇、週末をもたらす等、労働者の労働解放への欲求にも応えるという意義を持つ。」ように至ったと、こういうふうになっているわけです。ですから、導入された意義の運用を間違っていくと、これは悪用されるということは明らかにわかるわけです。フランスやドイツのように、行政の中でそれが悪用されないように、あるいは間違った運用をされないように努力をした結果、現在のようないい制度に変わった。 この本を読むときはそこを一番力を入れて読まなければ、ただ外国の労働法をちょっと知ったことになっちゃって、それは私は勉強した意義がないわけで、部長もそういうふうにお勉強をしていただいて、変形労働制というのは外国の例を見てもやはり危険性があるんだ、だからこの危険性に対して労働行政の中でしっかりと監督指導し、また労使の間でもこういう制度があったときには、それを間違った方向に行かないような努力をしなければいけないという、そういう姿勢がなければいけないと思うんです。 私は、なぜしつこく何回にもわたってこの変形労働制というのを例に挙げているか。これは、今度の労基法の改正は、ゆとり、豊かさを実現するための労基法の改正であって、そのゆとり、豊かさを実現する改正が、ゆとりや豊かさをかえって逆行させてしまうような問題があったときには、それは労働行政として注意しなければいけないということを知っていただくためにしつこくこうやって質問しているわけですから、その趣旨を十分に酌んでいただかなければ、私もせっかくフランスとドイツの労働法を勉強したかいがなくなってしまいます。 そこで、ひとつ部長に質問をさせていただきますけれども、この間の部長の答弁の中で、こういうのがありました。就業規則の不利益変更に当たることは許されないんだと、今度の労基法の施行に当たって現状の不利益変更はできないというふうにおっしゃいました。間違いありませんね。別に恐ろしい質問じゃないです。
○政府委員(伊藤庄平君) 一般的に申し上げて、就業規則等について労働条件を不利益に一方的に変更することについては、これは判例等から見ても許されないというふうに解釈しております。
○笹野貞子君 つまり、私が言いたいのは、一つの例として、既にもう所定の八時間労働をし、そして休日も百二十日とり、きちっとした企業の中で、もしも変形労働制を使って休日もふやさない、所定の時間も変えない、しかも変形労働制をそのまま使って、全く現状維持で何も休日がふえないという場合にはどのようにお考えですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 変形制につきましては、先ほど来先生御指摘のとおり諸外国は産業上の要請等もあって生まれた。私どもの今御提案を申し上げている変形制は、四十時間に向けて年間の総労働時間を含めて短縮していこう、その手段としてぜひ使っていこう、こういう趣旨で提案申 し上げているわけでございます。したがって、この制度の趣旨が生きるように本当に実効のある方策を講じてその制度の趣旨を生かしていかなくちゃいかぬことは御指摘のとおりでございます。 今先生が御指摘になったような例でございますが、変形制をとりながら休日はふえないというような形、これはこの制度の目指している趣旨とは異なるわけでございまして、やはり変形制をとりながら休日をふやし、週四十時間制に近づき、年間総労働時間も短縮していく、この形が十分担保されるような、この制度を導入するに当たっての労使の方々がその際に留意すべきポイント、またどういうふうに制度をつくっていったらいいかというような一つの考え方といいますか、そういうものも私ども明確に持ってそれに基づいて指導していく、こういうことをやっていきたいというふうに思っておるところでございます。
○笹野貞子君 つまり、私は一つの例として、変形労働制という危険を含んでいるようなものを導入したときには、外国の例とかいろんな例をきちっと理解した上で、これが時短に進むようなやり方ならば労働省は大いにそれはいいと思うんですが、時短に進まないような逆行するような方法はしっかりと歯どめをかけていただきたいというふうに思っております。 そこで、今度の変形労働制は女性にも年少者にもこの施行が許されているわけです。そういう意味で、最後に大臣にお聞きいたしますけれども、私はやっぱり質の問題というのは常に自分より高いものがある質を見本にし、まねをしながら、一歩でも二歩でもその質を高めていかなければいけないというふうに思います。そういう意味で、大臣、これからフランスとかドイツとか、そういう先進的な労働条件のある国を見習いながら、ひとつ日本の労働行政を国際的にすばらしいものだというふうに高めていく御決意というんでしょうか、そういう労働行政をさせていく、この労働基準法がそのきっかけになるという、そういう御決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(村上正邦君) まねるということは学ぶに通ずるということを私も教えられてまいりました。ドイツ、フランス、私は非常に不勉強でありましてよくはわかりませんが、どこの国ということではなくして、まねるものがあれば大いにまねて学んでいくということは大事なことだと思っております。
○笹野貞子君 ありがとうございました。
○庄司中君 きょうは、労働基準法それから時短促進法の改正の各党の質問がちょうど三巡しました。この間、各党委員からいろんな論点あるいは要望が出されましたし、それからその点が十分熱心に、かつ慎重に議論をされてきた、こんなふうに思います。 こうした審議を踏まえまして、ちょうど二巡目が終わりました五月二十五日だと思いますけれども、私たち四会派、つまり日本社会党・護憲民主連合、それから公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、民主改革連合のこの四会派は、政府・与党に対しまして共同要求の提出をいたしました。そして、ずっと議論をしてきた状態を踏まえまして、審議における論点の整理あるいは要望の整理ということを行うべきであろうというふうに考えました。それからもう一つは、今後の政府の施策への明確な反映といいますか、私たちが議論をしてきたことが今後の政府の施策に反映をしていく、あるいは組み込まれていく、こういうことを示すためにある意味では明確にしたい、こういうふうに考えたわけであります。 さて、そうした立場から四会派を代表する立場で以下質問したいというふうに思います。ただ、御承知のとおり項目が非常に多いものでございますから、簡潔に質問をいたしますので、御答弁の方は全部大臣にお願いをしたいというふうに考えます。 それでは、最初の問題でありますけれども、法定時間猶予措置の問題でございます。この内容は四点ございます。 第一点は、本法施行後毎年実態調査を行って、その結果に基づいて猶予措置の見直しを行ってほしいという点であります。 二番目は、三百人以上の事業場で、現在は三百人以上の事業場でありましても猶予の対象になっているところはございますけれども、三百人以上の事業場は一切対象から除外をするということであります。 三番目は、規模三百人未満の適用の判断基準であります。適用するか適用しないかという一つの基準でございますけれども、現行ではほぼその達成率が七五%、つまり四分の三を超えないとだめである、それ以下なら猶予であるというふうになっておりますけれども、これを六〇%に改めてほしい。六〇%といいますのは、産別最賃の拡張適用という意味でございます。つまり、七五%から六〇%に下げるということであります。 四番目の問題は、猶予措置の法定労働時間は四十四時間以下にしなさい。この以下というところにはちょっと含みがありまして、四十時間一本でなくて、つまりスタートから四十二時間もあり得るではないのかというふうなことであります。 猶予措置につきましては、以上の四点について質問をいたします。
○国務大臣(村上正邦君) 御指摘の趣旨を踏まえ、平成九年度からの週四十時間制への移行が円滑かつ確実に行われるようにとの観点に立って、平成六年四月における猶予措置の対象事業の範囲を新たに行う実態調査の結果を踏まえ、極力限定するとともに、その後においても適宜実態調査を行い、その結果を踏まえ、猶予措置の水準及び範囲について所要の検討を行うことといたします。 また、同様の観点に立って、猶予措置の対象となった事業については猶予期間中であってもできるだけ早期に週四十時間制が実施されるよう関係省庁とも連携を図りながら、中小企業の事業主に対する必要な指導援助を計画的に行い、平成九年度からの週四十時間制への移行が円滑かつ確実に行われるよう努めてまいります。
○庄司中君 次は、特例措置の問題でございます。 ここでは、次の内容を含みます。 一つは、特例措置といいますのは、法のもとの平等の立場から基本的にはあってはいけない特別扱いが恒久化される状態を残しておくことはできない、そういう点から基本的には近い将来廃止すべきであるというふうに考えます。実は、調べてみますと労働省もかつてある時期には特例措置の廃止を考えていたということがございます。そういう点では、廃止に向かって段階的に取り組んでいく必要があるだろうということであります。 そのために、当面十人未満の商業・サービス業などが対象でございますけれども、改正法の施行時、来年度ということになりますけれども、これを現行の四十八時間から四十六時間以下にするということであります。これには、以下ということにはさっきも申し上げましたように複数の意味が含まれているということであります。 それから、四十時間制が全面的に実施される、つまり猶予措置がなくなるということでございます。九七年度になると思いますけれども、このときには四十六時間以下のものが四十四時間以下になるということであります。 もちろん四番目には、対象範囲を縮小するということも当然含まれます。 以上であります。
○国務大臣(村上正邦君) 労働者十人未満の商業・サービス業等に係る労働時間の特例については、御指摘の趣旨を踏まえ、改正法の施行に合わせてその水準を短縮する方向で検討するとともに、その対象事業の範囲についても最新の実態を踏まえ検討いたします。 また、週四十時間制が全面的に実施された段階における特例措置のあり方については、その対象事業が社会全体の労働時間短縮の進展から取り残されることのないよう配慮しつつ、改めて中央労働基準審議会に検討をお願いすることとし、その結果を踏まえ適切に対処いたします。
○庄司中君 次は、時間外・休日労働と深夜労働 の問題に入りたいというふうに思います。 一つは、時間外労働協定の適正化指針というのがございますけれども、この点について現在休日労働の規制が入っておりません。ですから、休日労働の規制を入れるということであります。 それから、指針の目安でございますけれども、現在は一週間十五時間、そして一年間にしますと三百六十時間という目安がございます。これを縮小する方向で見直すべきであるというふうに考えます。 ただ、例えば一週間が十五時間、一年間が五十二週でございますから、一週十五時間を五十二倍しますと七百八十時間になるわけです。これはもうべらぼうな数字になるわけでありますから、短期の協定を繰り返すことによって長時間労働は許されるというふうなことを防止する。そういう意味では、一年未満の期間の協定の場合でも同時に一年期間を締結させるということをどうしてもやらなきゃいけない。短期協定の繰り返しで長時間労働が事実上許されるという状態を防止する必要があるんじゃないだろうか。 それから、もう一つ大きい問題は、法的根拠をきちんとするということであります。法的根拠をきちんとすることは、規制の有効性を高めるということのためにもどうしても必要だろうというふうに思います。 以上であります。
○国務大臣(村上正邦君) 時間外労働の規制については、時間外労働協定の適正化指針に基づく目安時間の遵守の徹底に努めるとともに、同指針の内容についても速やかに必要な見直しを行います。 また、一年を期間とした協定を同時に締結させる指導の実施を含め、時間外労働協定の適正化指針をより実効あるものとするための方策についてもあわせて検討いたします。 法定休日労働についても、指針の内容の見直しに合わせて、その規制のあり方について検討いたします。
○庄司中君 次は、割り増し賃金率の問題であります。割り増し賃金率の算定基礎の通常賃金でありますけれども、もう一時金を加える状態に来ているんじゃないだろうかということであります。 一時金の性格を考えてみますと、確かに戦前はボーナスといいますか、職員と工員、つまりブルーとホワイトというふうに分けますと、ホワイトカラーしか対象にならなかったし、その全額が人事考課で行われていたということがございます。しかし、最近の状態を見てみますと、労使が協定をする、全従業員、全組合員に支給をされる。そして、人事考課は非常に少なくなっている。こういうことを考えますと、もはや賃金としての性格を持っている。冬と夏に支給されるという日本的な特色はございますけれども、性格としてはもう賃金ではないだろうか。つまり、労働に対する対価というふうに考えるべきじゃないだろうか、こんなふうに思います。そろそろ一時金を算定基礎に加えていくことを検討する必要があるんじゃないだろうかということであります。 それからもう一つは、割り増し率の水準というのはさっきも議論をされましたけれども、国際的な相場というのは時間外が五〇%、休日が一〇〇%、もうこう見ていいだろうというふうに思います。ただ、今度の法改正という立場に立ってみますと二五%から五〇%というふうになっておりますので、この二五%から五〇%の間でどういうふうに段階的に引き上げていくかという問題があるだろうというふうに思います。その点で、私たちは経済計画の最終年度までに、つまり今度の改正法、政令で決められる五〇%の上限に両方とも到達するようなことを考えるべきではないだろうか。 大きく分けてこの二点の問題があるというふうに思います。
○国務大臣(村上正邦君) 時間外・休日労働の割り増し賃金率についての今回の改正は、法定労働時間外の労働に対する補償、時間外・休日労働の抑制、国際的な公正労働基準の確立等の観点から政策目標を掲げたものであるとの認識に立って、段階的な引き上げに努めてまいります。 具体的な道筋に関する御指摘については、貴重な御意見として念頭に置きながら、前述の立場に立って、当面まず法定休日労働の割り増し賃金率については改正法の施行に合わせて引き上げることとし、時間外労働の割り増し賃金率の引き上げについても、週四十時間制への移行スケジュール等を踏まえつつ、引き続き中央労働基準審議会に検討をお願いいたします。
○庄司中君 次は、深夜労働の問題でございます。 例えば、深夜労働といいますのは十時から朝五時までというふうになっておりますけれども、深夜の労働というのは労働時間の面からいきますと量の問題というよりも位置の問題でございます。どこに位置するかという問題であります。それから、回数がどのくらいかという問題、それから深夜の勤務の間隔がどうなっているかという問題は非常にやっぱり大きい問題なんです。夜仕事をするという人間のバイオリズムといいますか、人間の生理はそういうふうになっていないわけでありまして、深夜の労働を繰り返しますと体力はかなり消耗するというふうなことがございます。 それからもう一つ、深夜の労働を考えてみますと、最近非常にふえてきている。今までは三交代のところが大体深夜労働の対象になったわけでありますけれども、最近ではブルーよりもホワイトカラーのところに非常にふえてきております。例えば、金融市場が国際化する、為替相場なんかは全くそうです。ロンドンの市場は午後六時に開きます。それから八時間なり七時間なり開きます。アメリカのニューヨークの市場は午後十一時に開きますから、年がら年じゅう世界のどこかで市場は開いているということになるわけであります。それに基づきまして周辺のホワイトカラーも深夜労働というのが非常にふえてきている。 つまり、位置の質の問題、疲労の問題と、それからもう一つそれが社会的にふえてきているという問題をとらえますと、この深夜労働の問題については割り増し率を時間外労働と同じように考えないといけない、そういう同様な取り扱いをすることが必要なんじゃないだろうか。先ほども御答弁にありましたように、労働に対する補償という観点からこの問題を取り扱うべきであるだろう。別の問題だというふうに考えないでいく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 深夜労働につきましては、その実態の把握に努めるとともに、割り増し賃金率を含め、そのあり方について今後検討いたします。
○庄司中君 次は、変形労働制に移りたいというふうに思います。 といいますのも、この問題は本委員会では一番議論されたテーマでございます。一回目も二回目も三回目も絶えず変形労働が先行する形で議論をされました。そういう点では、本委員会にとって非常に重要な課題であった、こんなふうに思います。 中身に入りますと、一つは一日の上限時間を八時間にしてほしいということであります。これは、もう何回も指摘されましたから繰り返しませんけれども、生活のリズムがある、それから労働と家庭の両立の問題がある、その点ではやっぱり八時間が必要である。つまり、一日に力点が置かれて変形制は考えられるべきであるということであります。 それから、本制度の新設の趣旨が休日をふやす、つまり年間休日をふやすという趣旨であるとすれば、そのために一年間でこれだけ休日ができる、あるいはこれだけ休日を確保しないと変形制の意味がない、あるいは認めない、こういうふうなことを考えるべきだろう。私たちは、年間百二十日程度の休日が必要であり、それを行うためにはガイドラインをつくった指導を行う必要があるんじゃないだろうか。 それから三番目には、時短促進法に基づく推進 委員会の決議の実施の問題がございます。これは届け出を必要としないということでありますけれども、これについてのチェックと指導は欠かせないということであります。 それから、四番目でありますけれども、猶予措置の対象事業がございます。これは四十時間でありますけれども、四十二時間まで認められる、こういうふうな制度ができておりますけれども、これを例外として認めるべきではない。あくまでも変形制の場合には週四十時間一本でいくべきではないだろうかということであります。 それから、連続労働の日数の上限、つまり六日働いたら一日は必ず休める、こういうふうな規制をつけるべきであるということであります。 それから、言うまでもありませんけれども、現行三カ月制と同じように育児、介護、勤労学生等に対する配慮事項の措置は当然今までの答弁でもなされておりますけれども、改めて確認をしておきたいというふうに思います。
○国務大臣(村上正邦君) 一年単位の変形労働時間制については、一週の上限を四十八時間とし、一日の上限についても現行三カ月単位の変形労働時間制より縮小いたします。 また、一年単位の変形労働時間制については、年間休日増を図るという制度の趣旨が十分生かされるよう制度導入企業の目安及び指導の準拠となるようなガイドラインを作成するとともに、労働時間短縮推進委員会の決議に基づいて実施される場合も含め、定期的な実態把握に努め、乱用されることのないよう十分指導監督いたします。 さらに、一年単位の変形労働時間制に係る週平均労働時間の暫定措置については、まことにやむを得ない範囲に限定いたします。 連続労働日数の上限については、一週間に一日の休日が確保される日数とし、それが上限として適切に機能するよう前述のガイドラインの策定を含め十分配慮いたします。 育児、老人介護等を行う者については、三カ月単位の変形労働時間制の場合と同様に、一年単位の変形労働時間制の適用に際しても必要な配慮がなされるよう措置いたします。
○庄司中君 次は、変形労働時間制の一カ月単位の問題でございます。 現行制度でいきますと、休日あるいは一週一日、労使協定、届け出等の規制が全くありません。割合自由にこれができる。つまり使用者にとっては使い勝手がいいということになるだろうというふうに思います。 実際には、これがどういうふうに活用されているかといいますと、先ほども議論に出てまいりましたけれども、長時間労働に悪用されている例がかなりある。私たちもそういう例をかなり多く聞いております。したがって、三カ月が前の制度改定のときにでき、そして今度は一年ができたわけでありますから、今度は変形労働制システムという格好で全体を見直す必要があるんじゃないだろうか、こんなふうに思います。 一カ月制ができてからかなりもう年月がたっております。そういう意味では、この段階でシステムとして全体を見直してみる、システムとしての整合性を求めていく、そのためには新しい一カ月の変形制についても規制のあり方を検討しなきゃいけないんじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、どんなふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 一カ月単位の変形労働時間制については、その利用の実態の把握に努め、適切な運用がなされるよう十分指導いたします。 一カ月単位の変形労働時間制を含め、変形労働時間制については、改正法施行後三年以内に実態調査を行い、その結果に基づいて必要な見直しを行います。
○庄司中君 次は、年次有給休暇のところへ入ります。 有給休暇の問題は、議論にありましたように高低付与日数の問題がございます。ILO条約の最低付与日数というのは、御承知のとおり三労働週十五日でございますので、これをとにかく満たすということを考えなければならないんじゃないだろうか。 それからもう一つは、継続勤務一年ごとの加算日数でございます。一年継続勤務をした場合に現行では一日ふえるわけでございますけれども、これを二日にしたらどうだろうかということです。それから、総日数の上限が現在は二十日でございますけれども、これを二十五日にすべきではないだろうか。平均二十五日付与されて、そして平均二十五日完全消化というのが経済計画のモデルにもなっておりますから、そういう点ではそれに合わせるように現行の制度を変えていく必要があるんじゃないだろうか、こんなふうに思います。 それから、取得の促進でございますけれども、現行の平均の取得率が約五〇%、半分程度でございます。これを引き上げるためには、恐らく二つ考えられる。 一つは、計画付与制度の有効性を高める必要があると思うんです。私たちが主張しておりますのは、年度初めに労働者に取得希望を聞いて、それが実現できるように企業の経営計画の中に取り入れていくということであります。つまり、そういうことを使用者に義務づけるということになります。さっきもフランスの話やドイツの話が出てまいりましたけれども、有林の付与については経営者の責任です、日本の場合と考え方はかなり違いますけれども。少なくとも、日本の現状に合うためには年度始めに希望を聞いてそれが実現されるように経営計画の中に取り込む、それを義務づける、この点がどうしても必要だろうというふうに思います。恐らく、我が国のいわゆる雇用慣行に合うだろうというふうに思います。 それからもう一つは、労働者自身が有休をとることをみずから制限するということであります。労働者の側にとりますと、自分が病気になったときとか家族が病気になったとき、その場合に欠勤になっては困るわけでありますから、有林を確保していくというふうになります。いわば、労働者の側からいきますと、自発的な取得の制限ということになるわけであります。さっきは経営の方の問題になりましたけれども、今度は労働者の方の自発的な制限。これを取り除くためには、例えば病気休暇の制度化が必要であるとか、あるいは家族が病気になったときにそれを看護する休暇が必要であるとか、これが片方に保障されておりませんと有給休暇はとりにくい、こういうことになるのではないだろうかというふうに思います。この点について、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 年次有給休暇の最低付与日数については、ILO条約の水準を参考に、御指摘も貴重な御意見とし、十分念頭に置きながら、増加を図ることについて改正法の施行に伴う所要の審議が終了次第早急に中央労働基準審議会に検討をお願いし、速やかに結論が得られるよう努めてまいります。 また、連続休暇取得促進要綱に示した年次有給休暇の平均二十日付与、二十日取得の目標達成に向けた労使の自主的な取り組みの一層の促進を図ることとし、そのための実効ある方策について同要綱の見直しを含め早急に検討いたします。 年次有給休暇の完全取得については、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法に基づく企業内における労働時間短縮推進体制の整備を一層推進し、計画付与制度の活用、連続休暇制度の普及に努めるとともに、より実効ある方策について引き続き検討いたします。 病気休暇、看護休暇のあり方については、年次有給休暇の完全取得の促進の観点からも実効ある方策について検討いたします。
○庄司中君 年次有給休暇の中の次の課題は、出稼ぎ労働者とパート労働者の扱いをどうするかということでございます。 今度の法改正で、継続勤務要件というのが現行一年から六カ月と、これはようやく国際基準並みになったわけであります。しかも、最低付与日数が十日である。この二つを押さえますと、出稼ぎ労働者について見ますと、現行の出稼労働者対策要綱、それから六十三年の基準局長通達、この二 つで、継続就労三カ月以上が三日程度、それから六カ月以上が六日程度ということが目安になっておるわけでありますけれども、これは今度の改正によりまして当然変わってこざるを得ない。付与要件一年を前提としておりますからこれは変わってこざるを得ない。同時に、付与実施について関係業界を指導しなきゃいけない。この指導を強めていかなきゃいけない。そうしませんと、これが空文化してしまう、権利の拡大が実際に労働者のところに及ばない、こういうふうになるだろうというふうに思います。 それから、パート労働者の問題でございますけれども、これは比例付与というふうになっておりますから当然必要な措置を講じる必要があるというふうに思います。ただ、平成二年の実態調査を見てみますと、実際に付与されていない人というのもかなり多いですね。それから取得率も通常労働者よりも低いわけです。通常労働者も低いわけでありますけれども、それよりもパート労働者は低いということがございますので、パート労働者の有林取得あるいは付与については特別な指導を行う必要があるんじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 年次有給休暇の継続勤務要件が六カ月に短縮されることに伴い、出稼労働者対策要綱に基づく出稼ぎ労働者に対する年次有給休暇の付与日数の目安について見直しを行い、出稼ぎ労働者にもその実態に応じて有給休暇が付与されるよう関係業界等を指導いたします。 パート労働者に対する年次有給休暇の比例付与については、今回の改正に伴い必要な措置を講ずるとともに、取得の促進に向けて指導の強化に努めてまいります。
○庄司中君 次は、みなし労働時間制の問題でございます。 みなし労働時間制の場合には二つありまして、一つは事業場外労働に関するみなし労働時間制であります。ここで一番心配になりますのはみなし労働制でございますけれども、仕事のノルマがふえていくということでございます。実際に、労働時間が実質的にはふえていかざるを得ない、長時間労働にノルマの面から追いやられてしまう、休日それから有給休暇がとれなくなる、そういうふうにならないようなみなし制度というものを構想していかなきゃなりませんし、実際としてもそうなっていかなきゃいけない、そのためには十分な指導が必要だろうというふうに思います。 それからもう一つは、裁量労働制に関するものでありますけれども、現在は適用対象業務が五業務というふうになっております。ここで私たちが心配しなければならないのは、いたがらに業務がふえていきますと、裁量制にふさわしくない業務までが適用になっていきますと、実際には制度の乱用になって結果的には長労働時間制ができてしまうんじゃないだろうか。そういう点から考えまして、業務分野を拡大する、先ほどもお話がありましたけれども、この点についてはかなり慎重にやる必要があるんじゃないか、こんなふうに思いますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 今回の改正は、現在通達で例示している五業務を中心に裁量労働制の適用対象業務を命令で明確に定める趣旨であって、その具体的決定に際しては御意見も踏まえ、労働者保護の観点から十分慎重に検討することとし、その利用の実態の把握に努め、休日及び年次有給休暇の確保を含め適切な運用がなされるよう十分指導いたします。
○庄司中君 次の問題は、中小零細企業に対する援助の問題であります。 年間千八百時間、それから週四十時間労働制が我が国に定着をする、定着をすることによって国民生活が変わってくる、こういうことが実現するかしないかはいわば中小零細企業がどうなるか、本当にできるのか、この問題にかかわってくるだろうというふうに思います。そういう点で、ここでは二つだけ問題を挙げておきたいというふうに思います。 一つの問題は、時短支援策という問題でございます。既にある中小企業労働力確保法あるいはさきの国会で成立をしました時短促進法、そしてまた今回時短促進法の改正がございますけれども、私は今度の時短促進法の改正を見てみましても、支援策としてはまだ弱いんじゃないだろうか。中小企業が労働時間を短縮するというのはかなり重い負担であります。これはもう否定できないだろうというふうに思います。それを乗り越えていくためには支援制度であるとかあるいは全体としての助成制度を厚くしなきゃいけないというふうに思います。そういう点では、今後の法律で改正をされました部分をなお今後一層拡充していく必要があるんじゃないだろうか、こんなふうに考えます。 もう一つは、下請振興基準の問題でございます。実際に最近の実態の調査が発表されておりますからそれを見てみますと、親企業から終業後に発注をして翌朝納入しろという、そういう発注が非常に多い。それから特に多いのは、これはびっくりするわけでありますけれども、休日の前に発注して休日直後に納入をするというのがございます。これは、実態調査によりますと四〇%を超えています。そして五〇%、半分に近いところが親企業からこういう発注方法を受けているということであります。こういう取引方法が時短の促進を阻害をしている。それから、取引方法の面からいきますと、親企業の方は優越的な地位にあるわけでありますから、下請が発注を断ったら取引関係を失うという危険も実はあるわけでありまして、そういう意味では公正な取引方法とは言えない、こんなふうに考えられます。 それから、もう一つ問題なのは、下請振興基準といいますのが製造業だけが対象になっている、流通なんかも入っていないということであります。そういう意味では、この基準すら守られていないけれども、基準のないところはもっとひどい状態だというふうになるわけでありますから、その振興基準の業種の拡大ということをこれから考えるべきではないだろうか。確かに、振興基準の問題は通産省の管轄の問題でございますけれども、例えば先ほどお話がありましたように閉店法が時短に貢献をしているということもあるわけでありまして、そういう意味では労働省が関係省庁に問題を出していく、そういうことも積極的にやるべきじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 下請企業における労働条件の改善、向上に資するため、関係省庁との連携を図りながら下請振興基準の周知徹底を図るとともに、関係省庁への協力要請、定期連絡会議の開催等により、短納期発注の改善等取引慣行の是正に向けて、政府全体として強力な取り組みを進めてまいります。 中小企業における労働時間短縮を促進するため、新たに設けられる助成制度等の積極的な活用に努めるとともに、その利用状況等を勘案しつつ、必要な支援措置の拡充強化に努めてまいります。
○庄司中君 次の問題は、特別に現在長時間労働の状態にある業者に対する対策を強化しなきゃいけないんじゃないか。その特別の業種対策の対象になると思いますのは、道路貨物運送業における自動車運転者の問題でございます。これは、もうずばりそのまま御理解いただけるというふうに思います。それから、先ほども出ましたように建設業の問題でございます。 この二業種については、どうしても特別対策を強化しなきゃいけない。先ほどの下請振興基準においてもそうでありましたけれども、企業の運営自身を変えていかないといけない。つまり、時間対策というものを企業活動の前提にしていかなきゃいけない。そういう意味では、発注とかそれから仕事の消化であるとか、そういうものをみずからの課題としてやっていく必要があるだろう。そのためには、労働省として今までもやってきておりますけれども、今なお根本的な状態が改善をし ない、こういう条件の中ではさらに働きかけを強め、その対策を強化していく必要があるんじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 週四十四時間制に対応して本年一月に改定された自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の周知徹底に努めるとともに、引き続き週四十時間制への移行に対応してその内容についても必要な見直しを行うことといたします。 建設業における週休二日制等労働時間短縮を推進するため、建設省等と連携を図りつつ、発注時期の平準化、適正工期の確保等受注条件の改善が図られるよう努めるとともに、月給制の普及促進を図る等日給制労働者の労働条件が改善されるよう十分指導いたします。
○庄司中君 今度は、林業労働者の問題であります。 今度の法改正によりまして、労働時間法制が林業にも適用をされるようになりました。御承知のように、林業といいますのは非常に今見直されている。つまり、市場メカニズムだけでは解決できないといいますか、処理できない林業の特性というのが今見直されているだろうというふうに思います。例えば、国土の形成面であるとか、あるいは環境面からも重要な分野であるというふうになってきているわけでありますけれども、同時に林業の内部に入ってみますと人材確保が非常に難しい。つまり、人材の面から荒廃するんではないかという心配が現に出ているわけであります。人材確保の面から考えていきますと、やっぱり産業の近代化が必要です。働く人の権利と労働条件が確保されないと人は集まらない。そういう点で、林業に労働時間法制が適用されるということは非常に歓迎すべきことであって、林業における今後の状況改善というのが大いに期待されるわけであります。 もう一つ心配になりますのは、初めての適用でありますから、これがうまく適用できるだろうかという問題が実はあるわけでありまして、その線については慎重に、そして十分な指導を行っていただきたいという問題でございます。 それからもう一つは、農水省関係で今度は林業が労働法制の適用の対象になったわけでありますけれども、現在未適用になっている部分はかなりございます。林業が今度適用になったわけでありますから、例えば水産業においてもその他の農水分野の産業の中でもいずれも人材確保が問題になっておるところでありますので、関係省庁と協力をしながら労働法制の適用拡大を図っていく必要があるんじゃないだろうか、こんなふうに考えておりますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 新たに労働時間法制が適用される林業については、法定労働時間の適用が円滑に行われるよう指導に努めるとともに、今後における雇用改善対策のあり方について検討の場を設けてまいります。 農畜水産業への適用拡大については、今後関係省庁と協議いたします。
○庄司中君 それから、先ほど問題が出てまいりましたけれども、労働問題というのは労使で成立をしておりますので、当事者である労使の協定というものがこれは基礎にならざるを得ない。ところが、先ほども議論の中に出てきましたように労働者代表という、つまり定義はあるわけでありますけれども、それが実態としてはうまく機能をしていないということでございます。 御承知のように、労使関係というのは二つあります。一つは、使用者とそれから労働組合の関係です。それからもう一つは、労働組合のないところであっても使用者と従業員の関係というものはあるわけでありまして、これがいわば労使関係の二つというふうに言えることなんです。もちろん、前者の方が望ましいわけでありますけれども、我が国の実態をとってみますと、労働組合の組織率がアメリカほどじゃありません。フランスほどじゃありませんけれども、やっぱり低いという状態がございます。特に、我が国の特色としましては中小企業の組織率が非常に低いわけであります。 そうしますと、労使協定といいましても、労働組合がないところではどうしても従業員の労働者代表ということを考えざるを得ない。ところが、この労働者代表というのが実態を見てみますと、例えば監督の立場にある者がそれを代行するとか、ある意味では形骸化している部分が実はかなりあるわけです。中小企業の場合には組織率が非常に低く、そして労働者代表制というものが形骸化しているということになりますと、膨大なこの分野に労使関係の空白地帯ができている、空白があるということに実態上はならざるを得ないということになります。そういう意味では、この問題はもう言われて久しいわけでありますけれども、今もって解決をされていない。 先月の十日に、労働基準法研究会労働契約等法制部会が報告書を出しました。私もこの報告書を非常に期待をして読んだわけでありますけれども、その中には例えばこういう表現があります。「現在労働基準法に定めがない労働者代表の選出方法、権限、任期等について、明確化することが適当」である、こういうふうに述べられております。それから、「現行の労働者代表の選任の手続について法律上明確化することについて検討することが適当」だというふうになっておりまして、ここでは「法律上明確化することについて」というふうにかなり踏み込んだ指摘があるわけであります。そういう点では、長年の懸案になっているこの問題を早急に検討していく必要があるんじゃないだろうかというふうに思います。 それからもう一つは、就業規則の作成義務者の範囲ということでございます。現行制度は「常時十人以上の労働者を使用する事業場」というふうになっておりますけれども、同じように先ほども申し上げました労働基準法研究会労働契約等法制部会の報告では、「常時五人以上の労働者を使用する事業場」が適当というふうに、つまり十人を五人に下げるべきである。これは、現在の経済の動きを見てみますと、経済のサービス化がかなり進行しまして、そして小規模の事業所もふえている。つまり、小規模で市場に参入するという例も多いわけでありますから、この二つの問題があります。 労働者代表の問題と、それから就業規則の作成義務者の範囲という問題についてはもう既に報告書が発表されたわけでありますから、早急に検討してほしい。つまり、労働法制がどんどん変わっていく変わり目にあるわけでありますから、それを積極的に推進するためにも、その基礎にある労使の協定あるいは当事者の立場の明確化ということは避けがたい、あるいは緊急の課題であるというふうに思いますけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 労働者代表の適正な選出について指導に努めるとともに、その選出のあり方に関する法制上の問題について、ただいま御指摘の労働基準法研究会の検討結果を踏まえ、労働契約法制問題の一環として検討いたします。 就業規則の作成義務の範囲等についても、労働基準法研究会の検討結果を踏まえ、労働契約法制問題の一環として検討いたします。
○庄司中君 もう一つは、行政体制の充実という問題があるだろうと思います。 制度が変わってまいりますと、その変わったことを周知する、そして実態に生かしていくということが実は必要なわけでありますけれども、今度の改正、それから改正後のいろんな課題がございます。そういうものを果たして実施してうまく短期に機能するだろうかという心配はどうしてもあるわけです。先ほどの質問にもありましたように労働基準局の監督官、これがヨーロッパなんかと比べますとカバーすべき範囲が非常に広いといいますか、担当の事業所の数が余りにも多くてとてもカバーし切れないという面があるわけであります。そうしますと、どうしても波及がおくれるといいますか、実態が前に進まない、こういうふう な状態が心配されるわけであります。 恐らく、すべての面でそうでありますけれども、さっきもちょっと言いましたけれども、社会システム自身が大きく変わっていく、つまり変わり目にあるわけです。そして、労働法制自身、労働制度自身もやっぱり変わっていかざるを得ない。そういうときに行政の推進主体自身が弱いとうまくこれが転回できない、こういう問題があるだろうというふうに思います。そういう意味では、行政体制を充実していかなければいけない、こういうふうに思います。 ただ、一方の議論として行政が余りにも肥大化することは望ましくない、これはもう国民の合意だろうというふうに思います。そういう点では、行政全体のシフトを変えていく必要がある、つまり生産者保護から国民生活優先のところにシフトを変えていかなければいけない、こんなふうに私は考えます。今までのように横並び一律ではなくて、必要な部分に戦力は投入していく必要がある。その観点から、これから労働基準監督官の人数であるとか、こういう点については拡大をしていかなければいけない、そういうふうに考えます。 先ほどもちょっと御答弁があったようでございますけれども、改めて答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(村上正邦君) 労働基準法の履行確保、労働時間短縮の一層の促進を図るため、労働基準監督官等の増員を初め、労働基準行政体制の充実強化を図ってまいります。
○庄司中君 最後の問題になると思いますけれども、法の見直し規定を明記したらどうかという問題です。 率直に言いますと、例えば生活大国五カ年計画の柱といいますのは、あそこの計画の第一に出てまいりますのは労働時間の短縮です。労働時間の短縮、年間千八百労働時間制に向けての問題、これが実は五カ年計画の先頭といいますか、優先的な課題であったというふうに思います。確かに、今度の法改正によりまして週四十時間制という原則といいますか、そういうものが確立されたのかもしれません。 しかし、個別に見ていきますと、例えば有給休暇はどうなんだろう、あるいは割り増し賃金率はどうなんだろう、猶予制度はいっぱい残っているじゃないか、特例制度もあるじゃないか、あるいは変形労働制の規制も十分じゃないだろう。こういうふうに考えてみますと、今の時点、つまりこの審議が最終的な段階にかかる時点で振り返ってみますと、どうも余りにも積み残しが多過ぎるんじゃないだろうか。有給休暇の問題や割り増し賃金率の問題や、それから今申し上げましたような問題を積み残しておいて、果たして文字どおり実質的な週四十時間制あるいは年間千八百時間に向かって前進できるだろうか、こんな疑問があるわけであります。そうしますと、いわば週四十時間制の原則が通ったというよりも、積み残しが多いということを考えますとそれは建前にすぎないんじゃないだろうか、こんな感じがいたします。 そういう点から、国民に向かって法ではっきりと見直し条項を入れていく。多くの積み残しの課題はあるけれども、その積み残しの課題を解決する時期の可能性というものを国民に示す必要がここにあるんじゃないだろうか。そのためには、附則の中にはっきりと見直し条項というものを入れるべきじゃないだろうか、こんなふうに考えますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 御指摘の趣旨に沿って、改正法施行三年後に施行状況を勘案しながら今後における労働時間法制のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることといたします。
○庄司中君 特に、力を込めていただいて本当にありがとうございました。 私たちは、三日間この審議をしておりまして、実は労働行政の一つの大きな転換点というものを感じてまいりました。ある意味では、今回の審議というものが歴史に残る一つの節目になるのではないかという感じがいたします。 ただ、先ほども申し上げましたように今度の審議を通じまして残された課題は非常にまだ大きいという感じがいたします。例えば、国際基準にほとんど到達していません。ちょっと胸を張って、週四十時間制だというふうに私たちは世界に向かって言えないわけであります。そういう点では残された課題は大きい。 しかし、一つの曲がり角をはっきり曲がった、こんなふうに私たちが実感できるようにこれから行政側も十分御努力をしていただいて、私たちもまた努力をしつつ、ともに文字どおり実質の生活大国に向かって進んでいきたい、このことを特に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ―――――――――――――
○委員長(田辺哲夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。 佐々木浦君が委員を辞任され、その補欠として山崎正昭君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(田辺哲夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田辺哲夫君) 御異議ないと認めます。 労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の修正について吉川君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。吉川君。
○吉川春子君 私は、本案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。 これより、その趣旨について御説明申し上げます。 政府案につきましては、本委員会で各委員からもさまざまな問題点が指摘されました。本修正案は、一言で申しますならばそうした問題点を解決し、真に時間短縮を進める措置を講ずると同時に、過労死の原因ともなっている過密労働の規制、男女差別、パート、すなわち短時間労働者に対する差別の禁止等所要の修正を行うものです。 以下、具体的に御説明いたします。 第一は、法定労働時間を例外なしに一日拘束八時間、週四十時間とし、完全週休二日制を法定することとしました。政府は休日の増加による時間短縮を口にしていますが、法定週休日を一日から二日にふやすことこそ、その保障になるのです。 第二に、一年単位の変形労働時間制についてはこれを削除し、同時に現行の三カ月、一カ月の変形制もこの際廃止することとしております。変形労働時間制についても、当委員会において残業代の支払い、時短促進法上の問題点、また女性が働き続ける上で極めて有害であることなど、種々議論がありましたが、要は長期間にわたる変形制に起因するものであり、これの削除なくして解決の手段はないのです。 第三に、裁量みなし労働制について、現行の五業種を法定するとともに、その具体的な導入については労働者の要求によるものとしております。この制度が広範に導入されているアメリカでは、際限ない長時間労働が既に問題となってきており、当然の措置であると考えるものです。 第四に、時間外労働に上限を法定しております。この問題につきましても各委員から御指摘がありましたが、ここでは、一日の上限を二時間、月二十時間、年百二十時間といたしました。同時に、割り増し率につきましては、時間外について五〇%、深夜・休日については一〇〇%としております。なお、時間外労働について、労働者本人の同意を法定して、労働者の保護の徹底を図る措置を講じております。 第五に、すべての労働者に年次有給休暇を最低二十日与えることとしております。さらに完全消化を図るため、一定日数の連続取得と完全消化を使用者に義務づけております。 第六に、賃金及び昇給、昇格等について、男女の差別の禁止を明記いたしました。さらに、短時 間労働者等の差別をなくすため、雇用形態による差別についても禁止規定を設けております。 第七に、中小企業に対する必要な援助を行うことも、当然のことながら措置しております。 その他、所要の修正を講じております。 以上が、本修正案の主な内容でありますが、本委員会の審議の経過からして、各委員の御賛同を得られるものと確信しております。委員各位の御賛同をお願いし、提案理由の説明といたします。
○委員長(田辺哲夫君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、日本共産党の修正案に賛成、政府案に反対の討論を行います。 反対の第一の理由は、一年間の変形労働時間制を導入して、本来一日単位で把握すべき労働時間を一年の単位で管理することにしたことであります。 これが、長年にわたって確立されてきた八時間労働制を崩壊させるものであり、一方、使用者にとっては残業代を大幅に節約できるという労働者保護とは全く相入れないものであることは、これまでつとに指摘されてきたところであります。提案者は、休日の増加を図ると言っていますが、本制度が休日増を促進するものでないことは、既に質疑の中でも明らかになりました。また、この制度が女性労働者にとって、働き続けることを困難にするものであることも明らかであります。 政府案では、現行の三カ月変形制にある制約条件も緩和するなど、一年制変形を広範な産業に広げることを目指しており、これでは一層多くの労働者が被害をこうむることになるので、むしろ現行の三カ月、一カ月の変形制も廃止すべきであると考えます。 第二は、裁量みなし労働の枠を外し、これを大きく拡大することに新たな道をあけたことであります。 労使間で一日八時間と決めるならば、所定時間内では仕事が終わらず、ノルマ達成まで九時間、十時間と働いても労働時間は八時間とみなすという、法定労働時間制そのものを根底から覆すものと言わざるを得ません。私は、質疑の中で現在の過労死の原因がノルマストレスにあることを指摘しましたが、こうした傾向に一層拍車をかけるものとなることは避けられないのです。 第三に、政府案では週法定労働時間の四十時間制への移行について、広範な猶予措置及び特例措置を設けていることです。これが日本における労働時間短縮をおくらせ、かつ当該労働者にとっては法のもとの平等に反するものであることは余りにも明白です。 第四に、時間外労働の規制について有効な措置を講じていないことであります。 過労死を生み出すほどの我が国の異常な長時間過密労働を規制するためには、時間外労働の上限規制が不可欠です。そうであるにもかかわらず、今回の法改正では見送っており、到底認めることはできません。さらに、時間外労働に対する割り増し賃金率の引き上げについても極めて不十分なものであり、賛成できません。 以上、政府案は、労働者、国民の願いに真っ向から反するものであることを指摘して、私の反対討論を終わります。
○足立良平君 私は、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、民主改革連合を代表して、ただいま議題となりました労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、これに賛成し、日本共産党提出の修正案に反対の立場で討論を行います。 労働時間の短縮は、今や国民的な課題となって久しく、宮澤内閣が昨年六月に策定した生活大国五カ年計画におきましても、平成八年度までの計画期間内に年間総労働時間を千八百時間とする目標が掲げられているところであります。 前回計画のように、目標を未達に終わらせることなく、政府は必ずや年間総労働時間千八百時間の達成を実現させねばなりません。今回の労働基準法の改正は、猶予措置等が付されながらも、平成六年四月から週四十時間制に移行し、我が国における週四十時間労働制時代の幕あけを告げるものであり、この点において評価を行うものであります。 しかしながら、本改正案につきましては、時短促進の観点からは、残念ながら不十分な点も少なくありません。 第一点目は、来年度から週四十時間への移行が明らかにされたものの、依然、多数の労働者が猶予・特例措置の対象になっていることであります。この猶予措置につきましては、業種・規模別の実態調査をきめ細かく行い、その結果を踏まえ、猶予措置の対象事業の範囲を極力限定するとともに、猶予措置対象事業場に適用される法定労働時間については、これを極力短縮すべきであります。 第二点目は、時間外労働の割り増し率の引き上げが見送られている点であります。国際的に公正な労働条件を確立し、時間外労働を抑制するためにも、割り増し率の引き上げは急務となっているにもかかわらず、今回その引き上げが見送られたことはまことに遺憾であります。当面、休日労働割り増し率につきましては、引き上げられる方針が明らかになりましたが、時間外労働につきましても、四野党統一要求に即して、段階的に引き上げていくことを早期に明らかにすべきであります。 第三点目は、年次有給休暇についてであります。最低付与日数につきましては、ILO条約の水準にまで早急に引き上げられるべきであり、今経済計画の期間内には、その水準を達成することを強く要請しておきたいと思います。また、取得率向上のための実効ある方策の検討を要望いたします。 第四点目に、いわゆる一年単位の変形労働時間制につきまして、本委員会における論議の過程で、多くの委員からその乱用を懸念する指摘がなされておりますが、趣旨説明や大臣答弁において確認されておりますように年単位での休日増を図る目的に沿って、適正に運用されるよう強く要請しておきたいと存じます。 年間総労働時間千八百時間の実現のためには、週四十時間制へのスムーズな移行に加え、我々が本委員会において指摘した諸問題に対し政府の対応が不可欠であります。政府の真摯な取り組みを期待いたします。また、この改正を契機に、今後政府が、時短に向けての社会的気運を一層盛り上げ、労使の自主的な努力を強力にバックアップすることによって、すべての勤労者がゆとりと豊かさを実感できる社会が一日も早く到来することを強く期待し、私の討論を終わります。
○委員長(田辺哲夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、吉川君提出の修正案の採決を行います。 本修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田辺哲夫君) 少数と認めます。よって、吉川君提出の修正案は否決されました。 それでは、次に原案全部の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田辺哲夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、笹野君から発言を求められておりますので、これを許します。笹野君。
○笹野貞子君 私は、ただいま可決されました労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会 議、民社党・スポーツ・国民連合及び民主改革連合、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、すべての国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現し、同時に、国際協調を推進するため、年間総労働時間千八百時間を早期に達成するよう、次の事項について適切な措置を講ずべきである。 一、猶予措置の対象事業については、法の下の平等の観点から極力これを限定するとともに、猶予期間中であっても、できるだけ早期に週四十時間制が実施されるよう、関係省庁が十分連携し、中小企業の事業主に対する必要な指導援助を行い、平成九年度からの週四十時間制への移行が円滑かつ確実に行われるよう努めること。 二、時間外・休日労働の割増賃金率についての今回の改正は、法定労働時間外の労働に対する補償、時間外・休日労働の抑制、国際的な公正労働基準の確立等の観点から政策目標を掲げたものであるとの認識に立って、段階的な引上げに努めること。 三、一年単位の変形労働時間制については、労働者の家庭生活との調和を図るため、合理的な一日、一週の労働時間及び連続労働日数の上限を定めること。また、制度の運用に当たっては、濫用されることのないよう十分指導・監督するとともに、改正法施行後三年以内に実態調査を行い、その結果に基づいて必要な見直しを行うこと。 四、年次有給休暇の最低付与日数については、ILO条約の水準を参考に、速やかにその増加を図ること。また、年次有給休暇の平均二十日付与、二十日取得の実現に向け、実効ある方策を推進するとともに、介護休業等について、法制化を含めそのあり方について検討を行うこと。 五、出稼労働者に対する年次有給休暇については、継続勤務要件の改善が行われたことに伴い、その実態に応じて有給休暇が付与されるよう指導基準を速やかに見直すとともに、関係業界等に対し周知徹底を図ること。 また、パート労働者に対する年次有給休暇の比例付与についても、今回の改正に伴い必要な措置を講ずるとともに、完全取得に向けて指導を強化すること。 六、建設業における週休二日制等労働時間短縮を推進するため、関係省庁が十分連携し、発往時期の平準化、適正工期の確保等受注条件の改善が図られるよう努めるとともに、月給制の普及促進を図る等日給制労働者の労働条件が改善されるよう十分指導すること。 七、下請企業における労働条件の改善・向上に資するため、関係省庁が十分連携し、下請振興基準の周知徹底を図るとともに、短納期発注の改善等取引慣行の是正に向けて、政府全体として強力な取組みを進めること。 八、みなし労働時間制については、休日及び年次有給休暇の確保を含め適切な運用が行われるよう十分指導すること。また、裁量労働制の適用対象業務を定めるに当たっては、労働者保護の観点から十分慎重に検討すること。 九、労働基準法の履行確保、労働時間短縮の一層の促進を図るため、労働基準監督官等の増員をはじめ労働基準行政体制の充実強化を図ること。 十、小、中、高等学校の完全土曜休日制の早期実施に努めること。 十一、改正法施行三年後に、その施行状況を勘案じ、今後における労働時間法制のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(田辺哲夫君) ただいま笹野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田辺哲夫君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、村上労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村上労働大臣。
○国務大臣(村上正邦君) 本当に長い間御審議ありがとうございました。 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
○委員長(田辺哲夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田辺哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十八分散会 ――――◇―――――