予算委員会 第7号
- 発言数
- 439 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1993/03/23
会議録
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、平成五年度総予算三案の審査の委嘱についてお諮りいたします。 本件につきましては、理事会において次のとおり決定いたしました。 一、審査を委嘱する委員会及び各委員会の所管は、お手元に配付のとおりとする。 一、審査を委嘱する期間は、特別委員会については三月二十六日の午前とし、常任委員会については同日の午後とする。 以上でございます。 ただいま御報告いたしました理事会決定どおり、審査を委嘱することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(遠藤要君) 平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算、平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き、総括質疑を行います。清水澄子君。
○清水澄子君 報道によりますと、エリツィン・ロシア大統領が超憲法的な特別統治を宣言しまして、そして議会との激しい対立が深刻化しておりますけれども、政府はどのようにこのロシアの現状を把握しておられるか、どう対応されようとしておられるのか、外務大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) マスコミ報道のとおり、ロシアでは大統領府と最高会議の間で大変な基本的な問題で意見の違いがあって対立していることはあのとおりでございます。しかし、我々といたしましては、どういうような道を選ぼうが、第一次的というか第一義的といいますか、には、それはその国の国民が決定をすることでございます。したがって、どれがいいどれが悪いということを断定的に申し上げることはできません。 しかしながらゴルバチョフ・エリツィン体制というものが今までの独裁的な、ややもすると人権無視の共産主義的なやり方を放棄して、我々と同じ価値観を持つような人権尊重、民主主義、自由、それから市場原理というような同じような社会体制をつくっていこうと、こういうことでございますので、そのこと自体は我々もかねて普遍的に念願しているところでございますから、そういうことであるならばぜひともそういうふうなことで、しかも軍縮が行われて大量破壊兵器がどんどんこの世の中から去っていく。現に一部そういうことを米国との間で取り決め等もしておる。これがさらに深化して、深まるということは非常にこれは人類のためにいいことなので、そういうことであれば、だれそれというわけではありませんが、そういう体制が今後やはりあそこで樹立されるということについては非常に高く評価をすると。 そういう意味において、我々西陣営と呼ばれた先進国がそいつを支持している、そういう体制ができることを支持している、これは事実であります。したがって、我が国においてもその例に漏れず、いろんな立場の違いがございますが、国際社会の一員としての分相応の協力は今までもやってきておりますし、今後もそれはやぶさかでないというのが基本的な考え方であります。
○清水澄子君 それでは、防衛庁長官にお尋ねいたします。 カンボジアPKO活動に参加する第二次派遣の自衛隊施設部隊の先遣隊の六十名が自衛隊の制服のまま民間の定期旅客便に同乗することになっておりますけれども、このことは一般の旅客の安全に対して非常に不安を与えることだと思いますけれども、防衛庁長官の御見解はいかがでございますか。
○政府委員(畠山蕃君) 御質問の趣旨を必ずしも私正確に理解しているかどうかわかりませんが、防衛庁といたしましては、第二次カンボジア派遣施設大隊の先遣隊の隊員約六十名が制服を着用して民航の定期便に搭乗する予定としておりますけれども、それが他の乗客の安全確保上特に問題があるとは思っておりません。
○清水澄子君 国際民間航空条約を見ましても、陸上自衛隊がチャーターする兵員輸送目的の航空機というのは国の航空機が使われているわけです。民間航空機とは全く異なるものでありまして、これを民間航空会社が行うということは、やはり乗客、乗員に責任を負う民間航空としての使命を放棄することにつながるんじゃないか。そういう点で私は防衛庁長官にお伺いをいたしたんですが、ぜひお答えください。
○国務大臣(中山利生君) 私も御質問の趣旨、多少そういうこともあるかなという感じがしないこともないわけですけれども、私自身としては、制服で民間機に乗ることが一般の乗客に大きな不安を与える、危険をもたらすというようなことは全然考えておりません。
○清水澄子君 部隊の移動に対して非常に安易なお考えだと思います。 次に、私は昨年アジア六カ国を訪問してまいりました。そして、元従軍慰安婦の方々や戦争の被害者、そして関係団体、国会議員、政府関係者とお会いいたしまして、この問題に対する意見や要望を伺ってまいりました。韓国には四回、北朝鮮にも二回行ってまいりました。 アジアには今もって正当な根拠を持ち、戦争の痛みがいやされない人々が数多くおられます。私はこうした人々がおられる限り、私たち日本人は勇気を持ってこの古傷にも触れながら人間社会の道義をわきまえた誠実な対応をしなければならないと考えております。そして、過去の責任は政府も国民も全員で負わなければならないという考えに基づいております。 そうした立場から、きょうは従軍慰安婦問題に絞りまして質問させていただきたいと思います。 まず最初に総理にお伺いします。 今回、韓国の金泳三大統領が従軍慰安婦問題について発言をされました。これについて政府はどのように確認しておられますか、また、総理の御認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 総理へのお尋ねでございますが、事実関係もございますので私からまず御答弁をさせていただきたいと思います。 金泳三大統領が従軍慰安婦問題に関しまして、日本側がその真実を明らかにすることが重要であるとの趣旨の発言を行われたということを承知いたしております。 政府としては、こうした韓国側の意向も十分に念頭に置いて、従軍慰安婦問題の事実関係に関する調査に引き続き誠意を持って取り組んでまいりたい、こう考えております。
○清水澄子君 総理、大統領は発言の中で韓国の道徳的優位性というのを強調されました。その意味をどのように受けとめておられますか、ぜひ総理お答えください。
○国務大臣(河野洋平君) 金泳三大統領がただいま委員おっしゃいましたような趣旨のことを発言されたということも承知をいたしております。このことは、韓国政府がこの問題を非常に重要視しているということのあらわれというふうにまず思います。と同時に、韓国政府がこの問題について、補償の問題はみずから行う、道義的な問題について日本にその考え方をはっきりしてほしい、そういうお気持ちがあるというふうに受けとめたわけでございます。 私どもは、かねてから申し上げておりますように、筆舌に尽くしがたい心の傷を負っておられる方々に対して我々の気持ちを誠心誠意示したい、そのためにまず誠実な姿勢で調査を尽くしたい、こう考えておるところでございます。
○清水澄子君 昨年、総理は、ソウルでこの慰安婦問題で謝罪をされました。その謝罪の対象というのはどなたに謝罪なさったんでしょうか。政府の代表にですか、それとも韓国、そして朝鮮半島全体の皆さんに対してでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 特にだれを対象にということは申しませんでしたけれども、私は韓国大統領に招かれまして韓国を訪問しておったのでございますから、当然のことながら韓国政府、韓国民に向けて発言をしたつもりであります。
○清水澄子君 それは植民地支配で苦痛を与えたすべてのことを指しておっしゃったんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 別に植民地支配というようなことを申したことはございませんけれども、我々の戦時中の行為によって人々に耐えがたい苦痛を与えた、そのことに対して遺憾の意を表明したのでございます。
○清水澄子君 非常にそこがあいまいだと思います。戦時中というのと植民地支配からというので随分認識が違いますけれども、次に進めます。 調査の進展状況と見通し、そして発表の時期について御説明ください。
○国務大臣(河野洋平君) 昨年七月に中間的な発表をさせていただきましたが、それ以後も六省庁にわたりまして真実の解明のために懸命の努力をいたしております。大変膨大な資料の中から関係する文書を見つけ出すという作業も相当な作業でございまして、現在、誠心誠意その作業に取り組んでいるところでございます。
○清水澄子君 もう少し具体的に中身を言ってください。
○政府委員(谷野作太郎君) ただいま官房長官から御説明したところでございますが、昨年とりあえず六省庁、警察庁、防衛庁、外務省、文部省、厚生省、そして労働省に調査を御依頼いたしまして、その結果を発表させていただきました。その後、調査対象をいま少しく広げまして、法務省あるいは国会図書館それから国立公文書館等にわたっておりまして、そういったところも含めて調査を継続しておるということでございます。 いつごろ発表するのかというお尋ねでございましたけれども、先ほど官房長官から御説明しましたように、かなりの作業量でございますので、ただいま申し上げられるところといたしましては、とにかく調査に全力を挙げましてできるだけ早い機会にその調査の結果を取りまとめて発表したいというふうに考えております。
○清水澄子君 元軍人の調査もしておるということを報道で見ておりますけれども、そういう人たちはどういう目的でどういう人たちを対象にしておられますでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 資料に当たるだけでも不十分だと思いまして、直接当時の関係者の方々からお話を伺う努力も開始いたしております。どのような方、まして個人名にわたりますことはこういった方々とのお約束事でこの場で御説明できませんけれども、資料だけではなくて幅広くいろいろの方からお話も伺っておるということでございます。
○清水澄子君 そういう場合、政府の方だけが選ぶのじゃなくて、もっとやはり民間の広い協力を得ることを私は希望します。 そういう中で、戦前の機関で拓務省というのがあったんですけれども、その省はどういう役割を持った役所でしたでしょうか。
○政府委員(高野紀元君) お答え申し上げます。 拓務省は拓務省官制に基づきまして、昭和四年より昭和十七年まで設置されていたものでございます。拓務省の権限としては、拓務省官制第一条に次のように規定されていたものと承知しております。すなわち、 拓務大臣ハ朝鮮総督府、台湾総督府、関東庁、樺太守及南洋庁ニ関スル事務ヲ統理シ南満州鉄道株式会社及東洋拓殖株式会社ノ業務ヲ監督ス 拓務大臣ハ渉外事項ニ関スルモノヲ除タノ外移植民ニ関スル事務及海外拓殖事業ノ指導奨励ニ関スル事務ヲ管理ス 拓務大臣ハ前項ノ事務ニ付外務大臣ヲ経由シ領事官ヲ指揮監督ス 以上でございます。
○清水澄子君 それから、朝鮮半島での国家総動員体制というのはどういう状況でしたでしょうか。
○政府委員(高野紀元君) 恐縮でございますが、ただいまちょっと資料を持ち合わせておりませんので、調べて後日お答えいたします。
○清水澄子君 ここに「拓務要覧」というこういう古いのが図書館にありました。拓務省を私も知らなかったんですけれども、いろいろ調べているうちに。これは戦前の植民地支配を統制した機関であるわけです。そして、そこでは朝鮮での、何といいますか、国家総動員体制が図で示されているように、もうすべて村の本当に字の里に至るまで住民の一人一人が愛国班に組織されて、その活動が警察と憲兵隊によって連絡、密接な関係で動いていた、こういうことが書かれてあります。 ここで私は、こういう実際に植民地支配を管理した拓務省関係等をやはり調査すべきだと思いますので、ぜひ調査をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(谷野作太郎君) 御要望に沿うように措置いたしたいと思いますが、ただ一言つけ加えさせていただきますと、外務省の所持しております資料の中から既にかなり多数の拓務省関係の資料が出てきております。それは公表されておるところでございます。
○清水澄子君 そういう資料もぜひ公開をしていただきたいと思います。 次に、国家公安委員長にお尋ねいたしますけれども、今、外政審議室が一生懸命調査をしていますけれども、どういうわけか警察関係の資料が一枚も出ておりません。その理由は何でしょうか。どういう指示を受けてどういう調査をされていらっしゃるのかお答えください。
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。 警察庁におきましては、平成三年の未、内閣官房からいわゆる従軍慰安婦に関係すると思われる資料の有無について調査を求められました。そこで、警察庁、本庁はもとより警察大学校などの附属機関、各管区警察局などの地方機関、さらには全国の都道府県警察において関係資料についての調査を行いましたが、現在までのところ資料の発見には至っておりません。 以上でございます。
○清水澄子君 一枚も出てこないというのはむしろ逆にみんな不自然だと思いますし、完全なものがなくてもやはりここは徹底的に調査をしていただきたいと思います。 特にこの当時の内務省の警保局の特高警察とか朝鮮総督府、朝鮮憲兵隊などの関係は大体やはり警察庁で調べなければならないんじゃないだろうか。そういう意味で、国家公安委員長と警察庁長官がもっと連携をとって本当に誠実な姿勢を示していただくことを私はここでお願いしたいんですが、どうぞ国家公安委員長、ひとつお答えいただきたいと思います。(発言する者あり)
○委員長(遠藤要君) 静粛に。
○国務大臣(村田敬次郎君) お答え申し上げます。 警察庁官房長からお答え申し上げましたように、当時、平成三年の末、十二月十二日でございますが、内閣官房からいわゆる従軍慰安婦に関係すると思われる資料の有無についての問い合わせがありました。そこで、官房長が申し上げたように、警察庁本庁、それから警察大学校、附属機関、管区警察局など全部詳細に調べたのでございますが、要は、内務省から戦後の警察庁になる、それは全く組織が違っておりまして、そういう資料が欠鉄をしておるという状態のようでございます。 したがいまして、私もこの問題についてよく尋ねたのでございますが、先ほど官房長からお答えした以上のことが今の段階では申し上げられない、こういう状況でございます。
○清水澄子君 調査をしていただけますか、どうですか。調査をしてくださいとお願いしているんです。
○国務大臣(村田敬次郎君) 調査はたびたびしておるようでございます。しかし、現在において清水委員にお答えするようなことが全く出ていないという報告でございました。
○清水澄子君 調査を約束してください。
○国務大臣(村田敬次郎君) 調査はなおいたします。
○清水澄子君 官房長官、本当にこの調査をもっと徹底してやっていただきたいと思います。 私が韓国を訪問いたしました際、韓国政府は、どういうふうに慰安婦というものが連れていかれたのか、そしてそれはどういうふうにどこに慰安所が設置されたのか、そしてそういう人たちはどういうふうに管理されたのか、そして戦争が終わったときにその後どうされちゃったのか、そういうふうなやっぱり全体像を知り得る限りで解明してほしいという要望が出されたわけです。このことにつきまして、その全体像を出す努力をしていただいておりますでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) お尋ねがございましたし、こちらから何回もお答えを申し上げておりますように、当然全体像がわかるように誠心誠意調査をいたしております。現在もそれを続行いたしております。
○清水澄子君 じゃ、全体像を解明されるということを約束していただけますね。
○国務大臣(河野洋平君) 解明するべく一生懸命調査をいたしております。
○清水澄子君 ところで、政府は強制を立証する資料がないと表明しておられるわけですけれども、政府が考えられる強制というのはどのような内容でございますか。
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。 いろいろな意味合いがあろうかと思いますが、ごく自然に強制ということを受け取りまして、その場合には単に物理的に強制を加えるということのみならず、おどかしてといいますか、畏怖させてこういう方々を本人の自由な意思に反してある種の行為をさせた、そういう場合も広く含むというふうに私どもは考えております。
○清水澄子君 まさに例えばだまされた場合があっても、それはもう現地で逃げ出せない状況、やっぱり心、体ともに自由が全く拘束されている、しかもその上に性的に奴隷の状態に置かれるということは、もはやそれ自体が強制だと思います。 そこで、私は総理に、この韓国挺身隊問題対策協議会が一生懸命その証人たちの証言をもとに挺身隊研究会と共同編集しました「強制的に連行された朝鮮人軍慰安婦たち」というものを出されました。それを今一冊総理にお渡しいたします。その中に目次と、それから一部だけをちょっとお読みいただけるようにそこに翻訳しておきましたけれども、どうぞ総理、それをお読みいただきたいと思います。そして、その中からどういう状態で強制されたかということを、必ずそれを資料の中にあらわすということをぜひお約束いただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) わかりました。 後段に言われたこと、ちょっとよくわかりませんですが、ひとつ読ませていただきます。
○清水澄子君 私は、やはり資料だけでこの問題の全体像というのは難しいんじゃないかと思います。 それで、やはり実際の被害者の体験こそがまさに生きた資料だと思います。そういう意味で、私はこの証言集を調査資料の中にきちんと加え公表をされることを今要望したわけです。 そこで官房長官、私は、もっと現地に行って、自分たち日本の方が足を運んで元慰安婦の方と直接面接をされ、そしてその聞き取り調査をしなければ、私たちの本当の意味の反省とか誠意をあらわすことができないと思うわけですけれども、ぜひそのことを実行していただきたいのですが、いかがでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) まずは文書を徹底的に調べるということが調査のスタートでございます。大分調査は進んでおりまして、先ほども御答弁を申し上げましたが、相当なところまで文書を探す調査は進んだようにも思います。この文書を探す調査だけでは十分でないという部分もございますから、関係された方々のお話もお聞きをするということを考えております。ただ、その関係された方々をどういう範囲でどういう人たちを選ぶか、考えるかということについては、よく慎重に考えていたしたいと思っておるところでございます。
○清水澄子君 実行されるかどうか。
○国務大臣(河野洋平君) 慎重に今考えているところでございます。
○清水澄子君 それはもう新聞に既に実行すると報道されているんですが、どうしてここで約束していただけないんですか。
○国務大臣(河野洋平君) 御意見としてはよく承っておきたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 若干補足させていただきますと、先生からそのようなお話はかねてから伺っておるところでございますし、官房長官も恐らくその御要望に沿った措置を考えておられるんだと思いますが、ただ、慎重にと官房長官がおっしゃいますゆえんは、これは私どもだけが決め得る話ではございませんで、相手国政府がございますし、それから当事者の方々の同意といいますかそういうことも必要でございますし、そういった今後の手続を念頭に置いての御答弁だと思います。
○清水澄子君 もう予定におありなんだと思うんですけれども、やはりその場合には北朝鮮とかアジア各地にも行かれるかどうかということについてお尋ねします。
○国務大臣(河野洋平君) 聞き取り調査につきましては、我が国との関係、各地域の事情など考慮すべき点がまだございます。先ほどから申し上げておりますように、十分委員の御意見は承らせていただいて慎重に考えたいと存じます。
○清水澄子君 ぜひそれは実行していただきたい。また、それを実行しなければこの問題は解決されていかないと思います。 次に、政府はよく強制に関する資料がないと言うわけですけれども、岩波で「昭和天皇の終戦史」というのが最近出ました。これを読みましてもはっきり、敗戦のとき、二週間の空白期のときにこれは徹底して文書を燃やしたということをここに書かれています。それが軍からの指令で、そして警察のルートを通じて余りにもたくさん燃やし過ぎて他のものまで燃やしたということが書かれているわけですけれども、こういう資料の隠滅というのは刑法でいう証拠隠滅罪に本来ならなるものだと思います。 そういう意味で、資料がない、そういうものがないということの中で問題をいろいろ逃げていくのじゃなくて、やはりですからあらゆる人々の言葉、証言を聞いて、そして誠意をあらわすべきだ、こういうことを私は申し上げたいわけですが、もう一度そういう意味で聞き取り調査、それから民間の人たちの協力を得るということをお約束いただきたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 民間の方の御協力といいますか、先ほども御答弁いたしましたように、既に資料に当たるだけではございませんでいろいろな方々のお話を伺っておるということでございます。それから、聞き取り調査につきましては、先ほど来官房長官の御答弁のとおりでありまして、清水先生の御意見を重いものとして伺っておくということであろうかと思います。 ただ、あえて申し上げますれば、従軍慰安婦の方々、時々東京に見えます。私自身かなり時間をかけてお会いいたしておりまして、全くこういった方々と私どもの間に接触がない、お話を伺っていないということではございません。
○清水澄子君 次に、補償にかわる措置とおっしゃっているんですが、その措置とはどういうもので、被害者に届くものなのかどうか、お答えください。
○国務大臣(河野洋平君) 国会においても繰り返しお答えをいたしておりますが、法的には日韓間では、従軍慰安婦問題に関する補償の問題を含めて日韓両国及び両国民間の財産・請求権の問題は、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであるというのが政府の立場でございます。これはまず大前提として委員も御承知のとおりでございます。 ただし、その後この問題について累次申し上げてきたところでございますが、本件の問題の性格などにかんがみまして、つまり従軍慰安婦として筆舌に尽くしがたい辛苦をなめられた方々に対し我々の気持ちをいかなる形であらわすことができるのか、現在各方面の意見を聞きながら誠意を持って検討いたしておるところでございます。この検討を引き続きいたしておりまして、どういう形であらわすかについてはもうしばらくお時間をかしていただきたいと思います。
○清水澄子君 韓国では、日本が真相解明の前にこの基金構想を打ち出した、そのことに対して、まず日本というのはいつでも先に金で手を打つというやり方だということへの大きな国民的な反発が起きたわけです。そして、だから日本軍によるこの従軍慰安婦の生活支援というのは韓国人みずからの手で行おうと、挺身隊おばあさん生活基金募集国民運動本部というのができました。そして、韓国政府は生活保護や住宅などそういう生活支援をやはり予算化すべきだという国民の声が起きたわけです。 ですから、そのことは一つは、もう解決済みというそういうことではなくて、やはり問題があったんだということを私たちが真摯に主体的に誠実に対応していくという中で私はこの問題を一緒に解決していかなきゃならないという立場で申し上げておりますので、ぜひそういう立場を貫いていただきたい。そうしなければこれは絶対相手の国民に納得を得られないということを再度私は申し上げたいんですが、官房長官、いかがですか。
○国務大臣(河野洋平君) 繰り返し申し上げることになりますが、金泳三大統領の御発言を私も伺いまして、大統領のお考えはお考えとして大変高い見地からの御判断というふうに伺いましたけれども、私どもには私どもの、先ほどから申し上げておりますように、筆舌に尽くしがたい辛い思い、悲しい思いをなさったに違いない方々に対する我々の気持ちをどうあらわすかということを考えているわけでございまして、この問題は大統領の御発言が仮にあったとしても、あるいはなくても、この我々の気持ちは変わりがないところでございます。
○清水澄子君 昨年十二月に韓国言論会館が日本リサーチセンターにアンケートを依頼しています。これによりますと、五〇%の日本人がやはり心からの謝罪と補償をしなければならないということを回答しております。そういう気持ちをやはりあらわすようなそういう手だてをぜひお願いをしたいと思います。 次に、婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約というものがあったわけですけれども、これに日本は加盟をしていたでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 先生の御質問は、一九二一年九月にジュネーブで作成された条約のことをおっしゃっておられると思いますけれども、正式な表題は婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約と思います。 日本はこの条約には同じ年の七月の三十日に署名いたしまして、一九二五年の十二月十五日に日本に対して効力を発効されておる、そういうことでございます。
○清水澄子君 その条約の目的、内容は何ですか。
○政府委員(丹波實君) 実は、この条約の前に一九一〇年の五月に作成されました条約が一つございまして、醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女売買禁止ニ関スル国際条約というものがあったわけです。 今、先生が御質問の条約は十四条から成りまして、その前にできました一九一〇年条約に掲げられた未成年の婦人に対する違反行為の処罰のため一切の措置をとるべきことを定めているわけですが、この前の条約に掲げております未成年及び成年の婦女子に対する違反行為の未遂及び予備の処罰を確保するため必要な手段をとることを約するという、そういう条約でございます。 この条約を含みます売春のための人身売買禁止に関する条約を一本化した条約として、さらに戦後一九五〇年に、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約というものができておることも先生御承知のとおりだと思います。
○清水澄子君 その条約を批准されたときに、どのような留保条件をつけられたんでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 先生の御質問は、冒頭で御質問になられた一九二一年の条約のことをおっしゃっておられると思いますが、この条約に、先ほど申し上げましたとおり、日本が一九二五年十二月に入りましたときに、日本政府としてこの条約の署名に当たりまして次に申し上げる二つの留保と宣言を行っております。 一つは留保でございますけれども、その内容は、この条約の「第五条ニ関スル確認ヲ延期スルノ権利ヲ留保」するということでございまして、要するに一九一〇年の条約は未成年の婦人と成年の婦人を区別しておるわけでございますけれども、この成年の基準で一九二一年条約第五条が満二十歳から二十一歳へ引き上げるということでございます。という意味は、当然未成年の年齢が下がるということで、未成年者の保護を厚くしようという目的でこういう規定があるわけですが、この部分につきまして留保したということです。しかしながら、一九二七年に至りましてこの留保を撤回しておるということでございます。 次に、宣言でございますけれども、この条約への署名が朝鮮、台湾及び関東租借地を含まないという点を宣言で宣言しておるということでございます。
○清水澄子君 要するに、日本では十八歳や未成年者を売春のいわゆる公娼制度もあったわけですから、しかし国際的には一応つじつまを合わせなければならない、しかし、年齢は守れないというので二十一歳以上というのを留保したんだと思います。それから、その当時の植民地地域をそこから除外をしていたということになると思います。 そこで、今度は警察庁にお尋ねいたしますが、やはり警察庁の方から昭和十三年に内務省発警第五号というのが各庁府県長官に出されているわけですけれども、その通達の内容と理由を御説明いただきたい。
○政府委員(垣見隆君) お答えいたします。 ただいま委員御指摘の通達につきましては、関係省庁のいわゆる従軍慰安婦関係の資料調査において判明したものと思われますけれども、警察庁において保管、管理していたものではございませんで、その通達の発出の事実について、また内容について、警察庁として責任を持ってお答えをすることができませんことを御理解いただきたいと思います。
○清水澄子君 それでは、その資料の出てきたところからお答えください。
○政府委員(高野紀元君) お答え申し上げます。 これは慰安婦に関連する資料の調査の一環として外務省の史料館にたまたまあった資料を外務省より提出したものでございますが、なぜこの資料が外務省にあったかというその経緯等については私ども必ずしもつまびらかにしておりません。
○清水澄子君 不親切ですね。その資料をお読みいただければいいんです。 これは内務省発警第五号として内務省警保局長が各庁府県長官、知事にあてているわけですね。「支那渡航婦女ノ取扱ニ関スル件」、なぜ外務省史料館にあったかわからないとおっしゃるんですが、これを読めばはっきりわかります。婦女売買に関する国際条約に基づいてこの文書を出しているわけです。だから、これに違反をすると困るんだと。この中では、そういう売春を目的とする婦女の渡航は、いわゆる満二十一歳以上、特に性病のない者のみを日本からは北支と中支だけに限って外務省は身分証明書を発給すると書いてあるわけですわ。ちゃんとそれは行政として出されたことですから、こういうことはやっぱり明確に資料の中から明らかになったということをお伝えいただきたいと思うんです。 そこで、官房長官、前に私はここで外務大臣が日本の女の人も多かったんですよとおっしゃったのが非常に気になっていたんですけれども、朝鮮からなぜ従軍慰安婦が大量に駆り出されたか。ちょうどこの文書が出た昭和十三年ぐらいから慰安所ができてまいります。その当時の国際社会では、婦人及び児童の売買は国際的な犯罪であるというそういう条約がつくられていた。ですから、日本も加盟をせざるを得なかったんだと思います。そして、売春を目的とする渡航というのは、やはりそれは犯罪ですから、日本政府は国内の女性を慰安婦に送る場合も限定せざるを得なかったわけですね。ですから、そこではっきり限定しておいた。そのかわりに朝鮮、台湾、関東租借地はこの条約の適用地域から除外をしてあるわけですから、植民地の女性が慰安婦の草刈り場になったというのは当然であると思うわけです。 ですから、当然この慰安婦に朝鮮女性が多かったというのは、これだけでも私は日本政府ははっきりこれは政策的に行ったことだと、こういうことはこれでわかると思いますけれども、それをお認めになりますか。どうぞ。
○政府委員(谷野作太郎君) ただいまのお話は、私どもがただいま行っております調査作業に一つの参考とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○清水澄子君 どうぞ答えてください。
○委員長(遠藤要君) 委員長はこちらにおります。
○清水澄子君 はっきり政策だったというのはこれでおわかりだと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) ただいま明らかになっております文書だけをもって政策という重いものであったかというふうに断定することはできないと思いますので、いま少しく私ども勉強させていただきたいと思います。
○清水澄子君 非常に率直じゃないと思いますけれども、じゃそれは改めて調査を約束していただきたいと思います。 次に、総理にお伺いいたしますけれども、最近フィリピンのラモス大統領が来日されましたけれども、そのときにはどういう慰安婦についてのお話があったでしょうか。
○政府委員(高野紀元君) 今月十一日に行われました宮澤総理とラモス・フィリピン大統領との首脳会談におきまして、従軍慰安婦問題につきましてラモス大統領より、本件の早期解決を希望する旨の御発言がございました。これに対し宮澤総理より、衷心からのおわびと反省を述べ、同時に、日本政府としてさらに事実関係の調査を継続するとともに、我々の気持ちをいかなる形であらわすことができるのか、誠意を持って検討してきている旨の御発言をされました。
○清水澄子君 総理はどういうふうにお答えになったんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま政府委員が記録に基づいてお答えしたとおりでございます。
○清水澄子君 私は総理にお伺いしているんです。
○委員長(遠藤要君) 総理がただいまお答えになったでしょう。
○清水澄子君 いや、総理はそれに対してどういうふうにお答えになったかと。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま政府委員が記録に基づいてお答えしたとおりです。
○清水澄子君 じゃ、総理は、フィリピンの従軍慰安婦というのは日本軍のフィリピン占領下で起きた問題、それから朝鮮半島の問題は旧植民地下で起きた問題なんですが、この二つの意味合いが違うということを御認識ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっとお尋ねの意味わかりかねます。
○政府委員(高野紀元君) 今の御質問に関しましては、政府といたしましては、さきの大戦中、フィリピンのようにその領域が我が国軍隊により占領されたことのある地域であれ、あるいは韓国等我が国の領域の一部であったが戦後独立した地域であれ、国籍、出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として筆舌に尽くしがたい辛苦をなめられたすべての方々に対し衷心よりおわびと反省の気持ちを申し上げて、我々の気持ちをいかなる形であらわすことができるかということを現在誠意を持って検討してきているという立場でございます。
○清水澄子君 それでは外務省の方、ハーグ陸戦法規の第四十六条と、それから一九二九年の捕虜の待遇に関するジュネーブ条約を説明してください。
○政府委員(丹波實君) ハーグの陸戦法規はジュネーブで作成されました条約でございまして、一九〇七年に作成されたものでございますけれども、陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約ということでございます。 で、陸戦のまさに法規慣例に関します種々の規則が国際条約として締結、ここにまとめられておるということでございますが、特に今の先生の御質問との関連で申し上げれば、この第四十六条を御質問しておられると思いますけれども、第四十六条は「家ノ名誉及権利、個人ノ生命、私有財産並宗教ノ信仰及其ノ遵行ハ之ヲ尊重スヘシ」と。これは占領国の軍が被占領国のこういうものを尊重すべしということでございまして、それからその四十六条の最後の文章は、「私有財産ハ之ヲ没収スルコトヲ得ス」というふうになっておるわけでございます。 それから、二つ画の条約は一九二九年の捕虜の待遇に関する条約でございますけれども、これは捕虜がその人格及び名誉を尊重されるべきであるという考え方に立って種々の規定が規律されておるということでございます。 陸戦法規につきましては日本は加盟しておりますけれども、この一九二九年条約には日本は入っていないということでございます。
○清水澄子君 つまり、ハーグ陸戦法規の第四十六条というのは、日本は「家ノ名誉」なんということになっているんてすが、これはファミリーとなっています。家族の名誉。ですから、それは家族を構成されているすべての人々、女子、全部入れてのこれは権利であるということです。 それから、このジュネーブ条約は批准していないと言いますけれども、これは第二次世界大戦が始まったときに連合国と日本はそれを守るという約束をしてあったはずですから、そのことはここで否定なさらない方が歴史を忠実に認識することになると思います。 そこで、私はお尋ねしたいんですけれども、この二つの条約とも、やはり特に女性、こういう戦争中といえども最低個人の人権、一般民間人の人権を守らなきゃいけないと。そして、特に二九年ジュネーブ条約では、捕虜の人格とあわせてここに特に女性に対する一切の待遇、人権を守らなきゃいけないとなっているわけですけれども、フィリピン人、中国人、オランダ人の従軍慰安婦の場合は、敵国民に当たる一般市民に対して行った占領地の住民の保護義務に違反したということにおいて違いがあるのじゃないですかと私は先ほど伺ったんですけれども、特に二九年ジュネーブ条約、女性の尊厳を求めたその条約にも違反しているのではないか。この点について、外務大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ちょっと法律の解釈上の問題ですから条約局長から解説をいたします。
○清水澄子君 解説は聞いていません。
○政府委員(丹波實君) 先ほどの二九年条約、私が日本は入っていないと申し上げた趣旨は、したがって日本は何でもできたということで申し上げたつもりはございません。私は、先生がここでおっしゃる捕虜の人格、名誉は尊重されるべきである、あるいは一般論として婦人はきちっと待遇せられるべきだという考え方は、こういう条約を持ち出すまでもなく、基本的なそれは国際社会に常に通用すべき考え方であるというふうに考えております。 それから、ハーグの陸戦法規につきましても、先生御承知のとおり総加入条項がございまして、条約としては第二次大戦中にそのまま適用はならなかったかもしれませんけれども、しかし陸戦法規の中で言っております今の個人の生命とかあるいは家の名誉、権利を尊重しろという考え方も、これは国際社会に共通する考え方であったと思います。 こういう考え方に照らして、先生が問題にしておられる従軍慰安婦の問題については、先ほど総理、官房長官以下政府から答弁しておりますとおり、その筆舌に尽くしがたいいろんな災難をかけて申しわけなかったということを累次我々は表明しておるということでございます。
○清水澄子君 それじゃ、その陸戦法規の第三条はどういうことが書いてありますか。
○政府委員(丹波實君) 条約附属書の方の第三条をおっしゃっておられると思いますけれども、そうでございましょうか。
○清水澄子君 一九〇七年の第三条。
○政府委員(丹波實君) 承知いたしました。 先生がおっしゃっておられるのは附属書の方ではございませんで、本文の方の第三条と思います。 これは、第一条が「軍隊に対する訓令」、それから第二条がその条約の適用について書かれておりまして、第三条として「前記規則ノ条項ニ違反シタル交戦当事者ハ、損害アルトキハ、之カ賠償ノ黄ヲ負フヘキモノトス。交戦当事者ハ、其ノ軍隊ヲ組成スル人員ノ一切ノ行為ニ付責任ヲ負フ。」ということが書かれてございます。
○清水澄子君 はっきりしています。損害賠償の責任は日本にあるということであります。 次に、こういうことを総理はお聞きになっていて、この植民地下の女性であれ占領地における女性の虐待であれ、いずれもやっぱり日本は非常に非人道的なことをやってきたと思うわけですけれども、総理は、こういう女性を性的な奴隷にした慰安婦問題というのは、戦争当時ももちろん、及び今日の国際法から見ても、人道に対する罪の犠牲者とお認めになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 人道に対する罪というのはよくわかりませんので、お答えを正確にはいたしかねます。今法律的なやりとりでございますから、人道に対する罪というのをちょっと定義をしていただきますとお答えができると思いますが、非常に遺憾なことだということはもう申すまでもないことでございます。
○清水澄子君 それならば、極東軍事裁判のときの人道に対する罪というところを読んでください。
○政府委員(丹波實君) 極東国際裁判所条例ということに基づきまして極東軍事裁判が行われたわけですが、この条例の第五条の一八)、「人道に対する罪 即ち、戦前又は戦時中為されたる殺戮、職域、奴隷的虐使、追放其の他の非人道的行為、若は犯行地の国内法違反たると否とを問はず本裁判所の管轄に属する犯罪の遂行として又は之に関聯して為されたる政治的又は人種的理由に基く迫害行為。」、以上でございます。
○清水澄子君 総理、いかがですか。
○国務大臣(河野洋平君) ただいま条約局長から御説明を申し上げました人道に対する罪ということで、極東国際軍事裁判所が裁判をしたわけですけれども、同裁判において人道に対する罪について有罪とされた被告は存在しなかったものと承知いたしております。しかし、これは繰り返し申し上げますが、人道に対する罪について有罪とされた被告がなかったということを私が申し上げましても、そのことが委員が先ほどから述べておられます事柄について我が国がその罪の意識がないとか、そういうことを申し上げているわけではないことはぜひ誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。 いずれにせよ、いわゆる従軍慰安婦について我々が持っております気持ちというものは、この場で何回も申し上げたとおり、そのつらい悲しみ、そういった筆舌に尽くしがたい思いについて我々が何ができるか、何をしなければならないか、そういう思いは十分にあることをぜひ御理解いただきたいと思います。
○清水澄子君 重大なことをおっしゃったと思います。私はあえて言わなかったんですけれども、ここでわざわざ人道に対する罪というのがわからないとおっしゃるから極東軍事裁判を申し上げたので、そうしたらそれにはその該当者がいないとおっしゃるんですが、そうなると極東軍事裁判どうぞお調べください。はっきりあります。しかし、そういうことまで否定されるんでしょうか。私はこの問題は後に残しておきたいと思います。
○委員長(遠藤要君) ちょっと、質問者もありのまま尋ねるというか、もっと明確にせぬと。
○清水澄子君 じゃ、極東軍事裁判の結果も否定されるんでしょうか。
○政府委員(丹波實君) サンフランシスコ平和条約の第十一条におきまして、日本は極東国際軍事裁判所の判決の結果と裁判というものを受諾しておりますので、政府として極東軍事裁判の判決を否定するということはあり得ないわけでございます。 今、官房長官が申し上げましたのは、先生も御承知のとおり、この極東国際裁判所は平和に対する罪、それから、先ほど申し上げたようなハーグの陸戦法規違反といったような通常の戦争犯罪、それから三つ目が人道に対する罪と三つの犯罪というものを基準に裁判した中で、直接人道に対する罪というものでその有罪の判決がおりたということにはなってないということで、前の二つによってその有罪ということは排除されてないわけでございますので、官房長官の御説明が極東軍事裁判上その判決を否定したという結論にならないことは先生御理解いただけると思います。
○清水澄子君 余り理解できないんです。 女性の性的な奴隷化は重大な人権侵害だと思いますけれども、そういう侵害された人々の名誉の回復そして人権の回復をする私は義務があると思いますが、総理、そのことに同意なさいますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのような耐えがたい苦痛をお与えしたことは、日本政府として極めて遺憾に思うということはしばしば申し上げておるとおりであります。
○清水澄子君 同意されますか、名誉回復をする、人権を回復することに。(発言する者あり)
○委員長(遠藤要君) 質問者以外の方は御発言は許しておりません。発言者以外の方には発言を許しておりませんので。
○政府委員(谷野作太郎君) したがいまして、ただいま日本政府におきまして進めておりますこの問題についての真相の解明ということがとりもなおさずそういう先生の今御指摘なさったことに通ずるのだと思います。韓国政府もそのように申しております。
○清水澄子君 総理、もう一度伺います。 人権を侵害された人たちの人権を回復する義務、名誉を回復する義務があるんじゃないでしょうかということを申し上げているんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう意味で、今事実関係を一生懸命調査をしているということを申し上げておるわけです。
○清水澄子君 それでは本当に納得されないと思います。 次に、昨年十二月十八異国連安保理でボスニア・ヘルツェゴビナヘの女性の残虐行為を非難する決議とかそのほかの戦争犯罪を裁く国際法廷の設置については賛成なさったんですが、そのことと過去のこの問題はどういう関連があるのでしょうか。これは外務大臣お答えください。
○政府委員(澁谷治彦君) 御指摘の安保理決議につきましては、私どもは賛成いたしました。これらの決議は旧ユーゴにおける悲惨な状況を見逃すことができないという国際社会の共通の意思表示をしたものとして私どもとしては賛成した次第でございます。
○清水澄子君 答弁になってない。過去の問題とどういう関連ですかと聞いたんです。 国連で決議されたことと、過去のこの慰安婦問題とはどういうふうな関連性がありますかと聞いているんです。
○委員長(遠藤要君) 澁谷国際連合局長、発言を求めるときはもっと手を挙げて元気よく。
○政府委員(澁谷治彦君) 失礼いたしました。 もちろん私どもといたしましては、こういう決議に対する態度を決する際には過去の問題についても十分意識しておりましたけれども、例えば従軍慰安婦の問題につきましては別途調査が行われておりますし、こちらの決議については現在の悲惨な旧ユーゴの状況について国際社会が共通の意思表示をしようとしている、そういう決議案に対して私どもとしては賛成をしたということでございます。
○清水澄子君 この決議は組織的な強姦の禁止、これは犯罪ということなんですね。ですから日本の外交には私は一貫性がないと思います。 時間がありませんので次に参りますけれども、私はここで総理に四つの政策を提案したいと思うんです。 総理はソウルで過去を直視する勇気を強調されました。私もそれ全く同感です。ですから、ぜひ歴史教育の中に従軍慰安婦問題を取り入れる努力をしていただきたい。 それから第二には、第三者による中立公正な調査組織とそして歴史の研究機関、そういうものをはっきりつくっていく、そして民間の人の協力を得て、NGO等の協力も得ながらそこに政府が資金的にも援助をしていく、そういうことを考えたらと思います。 そしてまた、ことしの政府予算では日本の戦没者のための戦没者追悼平和祈念館というのが二十億円で準備され、二年後に百二十三億円で完成することになっておりますけれども、日本には自国民の被害の記念館しかないというのが国際的にも非難を受けているわけです。ぜひこの加害的な責任を明らかにする歴史記念館の建設を私はここで希望いたします。そのことが後世に過去の問題を教訓として残すことになると思います。 そして第四番目には、日本は戦後賠償は済んだと言われておりますけれども、ここに、実は外務省の資料の中に日本自身が第一次世界大戦のときにドイツに対して個人補償を求めた記録がございます。ですから、戦争の賠償問題というのはやはり個人の補償を含むのが一般的でありますので、ぜひ個人に届くようなそういう補償をしていただきたい。 この従軍慰安婦問題というのが私は今後の日本のアジアの外交の試金石と考えておりますので、どうぞ総理、このことについての御見解をお願いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 第一の問題につきましては以前にも申し上げておりますが、過去にありました事実は事実として後世の国民にも正直に伝えておく必要がある。それは学校教育の問題でもございますので、学習指導要領のことは昨日も文部大臣お答えでございましたが、そういうふうに考えます。 それからあと三つの点は、先ほど官房長官が申し上げました我々のそういう謝罪の気持ちをどういう形で言い知れない苦労を、された方々に表明するかということを、この調査が済みましたときにやはり考えなければならないと思っております。
○清水澄子君 終わります。
○委員長(遠藤要君) 以上で清水君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(遠藤要君) 次に、本岡昭次君の質疑を行います。本岡君。
○本岡昭次君 私は、総理、外務大臣を中心に、韓国併合に至るまでの歴史の真実を明らかにし、今までと違った強化された新たな日韓関係を構築しなければならないという立場で質問させていただきます。 今日、冷戦構造の終えんに伴い、国際関係が流動化し国と国との相互依存が増大しています。日韓関係も新しい協力関係が求められています。しかしながら、両国民レベルの信頼関係が極めて脆弱であり、両国民の相互不信も増大しつつあると言われています。総理はこの相互不信増大の原因がどこにあるとお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは長い長い歴史をたどらなければならないことでございます。我々が我が国の歴史の中でいわゆる現在の韓国あるいは朝鮮半島の国々との幾つかの接触、いろいろな出来事に巻き込まれたことは今さら申し上げるまでもないことでございますが、そういう歴史的な背景、それから殊に最近で申しますれば日韓併合というようなことがございました。これは何としても韓国の人々にとってはやはり耐えがたい歴史であったと思いますが、そういったような背景というものはやはり無視することができない。 我々としては、それはそれとして、我々の過去を反省することによって両国間の親善を積み上げていきたいと戦後一生懸命誠意を持って努力をいたしておるところでございます。
○本岡昭次君 基本的に総理と今のレベルでは認識が一致するので非常にやりやすいと思います。 そこで、さらに細かく聞いていきますが、ことしの二月十五日、国連の人権委員会が開かれました。そこでスイスの国際的な人権組織である国際和解団体が、一九六三年国連総会に提出された国際法委員会の報告をもとに、日本の韓国併合の足がかりとなった一九〇五年の保護条約、第二次日韓協約は無効であるという報告を提出いたしておりますが、このことについて政府の見解を求めます。
○政府委員(丹波實君) 国連憲章のもとで国際法委員会というものができておることは先生御承知のとおりですが、国際法委員会は国際法の編さんその他の作業を行っておるわけですが、一九六三年に国連の国際法委員会におきまして条約法、現在ウィーンの条約法条約というのが既にできておりますが、条約法条約の審議過程の中で、一九六三年のILC、国際法委員会はILCと言っておりますが、ILCの年次報告に審議の議論が含まれておりまして、その中で国際条約の締結に際しまして国の代表者に対する強制が行われたと主張されたことのある条約の一つの例といたしまして、先生が今言及になられた一九〇五年の第二次日韓協約というものが言及されていたわけでございます。 そのような強制が現実に行われたとかあるいはこの協約が無効であるというような断定的な議論は行われておりませんけれども、少なくともそういう例として一九六三年のILCの年次報告に挙がっておるものですから、それを根拠にスイスの先ほどのNGOが一九〇五年の日韓保護条約は無効であるという主張をしておられるのだろうと思いますが、しかし先生御承知のとおり、いろんな審議、議論がございましたが、最終的に一九六六年にILCが条約法条約の議論の関連で国連に出しました報告書の中では、この例というものは落としてあるわけです。 したがいまして、私たちは確かに議論の過程でこの条約が一つの例として議論をされたことはあるけれども、最終的なILCの結論の部分からは落ちておるものですから、国際社会がコンセンサスとしてこの一九〇五年の条約を無効であると考えているんだという認識を私たちは持っておらないということでございます。
○本岡昭次君 そこの例が落ちているというところですね、読んでみてください。
○政府委員(丹波實君) まずILCでこの議論が行われておりましたときに、特別報告者として、これはイギリスの国際法学者ですけれどもウオルドッグという人がその報告者になりまして、ずっと報告した記録がございます。 その該当のところをお読みいたしますと、ハーバードの研究草案は、そのような例として、つまり強制が行われた条約の例として幾つか、一七七三年、分割条約を受諾させるためのポーランド国会の包囲ということを言った後で、一九〇五年、保護条約の受諾を得るための韓国皇帝及び大臣に対する強制云々とありまして、それから一九三九年にボヘミア・モラビアに対するドイツの保護条約にチェコの大統領、外相の署名を得るためにヒトラー政権により用いられた身体的強制が挙げられるという報告になっておるわけですが、先ほど私が申し上げました一九六六年の最終報告書を見ますと、歴史上、条約の署名、批准を得るために、交渉者のみでなく立法機関の構成員に強制が行われた例は幾つか存在する。 その例には国家自身に対する強制の一つの方法として、国家元首または大臣に対する強制と彼ら個人に対する強制とを完全に区別することが不可能な場合もあることは事実であるといたしまして、例えばとして先ほどのボヘミア・モラビアに関する例だけを挙げておりまして、一九〇五年の保護条約の例は挙がっていないということを申し上げた次第でございます。
○本岡昭次君 おかしいよね。ちょっと国語的にちゃんと読んでくださいよ。私ももらったんですよね。ここには、強制の一つの方法として国家元首または大臣に対する強制と彼ら個人に対する強制とを完全に区別することが不可能な場合もあることは事実である、例えばと、こうきておるということは、区別することが不可能なものについてこれだと書いてある。その前の三つは、これはもうはっきりと国家代表への個人的強制であるというふうに書いてある中に日本の一九〇五年の保護条約があるんですよ。そんなばかな説明してもらったら困りますね。
○政府委員(丹波實君) 言葉の足りないところがございましたら申しわけございませんけれども、重要なことは、いろんな学者先生方によって議論は行われましたけれども、一九六六年にILCとしてこの問題についての最終報告書を国連総会に上げたわけですが、その中には一九〇五年の保護条約は例としては挙がっておらない、いずれの意味でも例としては挙がっておらない、こういう趣旨でございます。
○本岡昭次君 それでは、一九六三年に年次報告を出しているでしょう。その中ではどう書いてありますか。
○政府委員(丹波實君) 一九六三年のILCの年次報告には、この条約法条約の中間草案に関する議論のコメンタリーが二つ挙がっておるわけですが、その一つは先ほど私が申し上げたウオルドックの報告です。これは先ほど大体のところをお読みいたしましたので省略いたしますが、それを受けでいろいろな議論が行われて、それを暫定的にまとめたのがやはり六三年の年次報告に載っておる。先生はそういう趣旨だろうと思います。 その部分につきましてお読みいたしますと、ハーバードの研究草案は、そのような例として、そのようなというのは上の方で強制が行われたと主張されている例は幾つか存在するということを受けておるわけですが、もう一度繰り返しますけれども、ハーバードの研究草案は、そのような例として、一七七三年、分割条約を受諾させるためのポーランド国会の包囲、一九〇五年、保護条約の受諾を得るための韓国皇帝及び大臣に対する強制、それから一九一五年の例を挙げて、さらに最後の方で一九三九年の例を挙げておる。表現的にはウオルドックの報告と非常に近い表現になっておる次第でございます。
○本岡昭次君 またその議論は別にいたしますが、はっきりと国連のこの年次報告の中に、一九〇五年の日本の韓国に対する保護条約が個人に対する強制、脅迫によって締結されたものでこれは有効と言い得ない、要するに国際法上無効というふうに言われても仕方がないというふうな例に、四つの例の一つに挙げられているという、このことだけは私たちは忘れてはならぬ、このように思います。この議論はまた別の機会でさらに詳しくさせていただきます。 それで次に、日韓の間では一八七六年の江華条約以降七つの条約が一九一〇年までに結ばれておりますが、その一つ一つを説明してください。
○政府委員(丹波實君) 実は御承知のとおり、一九一〇年に至るまで五十幾つの協定、条約が結ばれたと承知しておりますが、先生のおっしゃっておられる七つは主要な条約をおっしゃっておられると思います。 以下が主要な条約ではないかというふうに考えます。ごくかいつまんで申し上げますと、まず明治九年、一八七六年二月二十六日に結ばれました日韓修好条規というのがございます。これは江華府において署名、調印されたものでございます。この修好条規は前文及び十二条から構成されまして、朝鮮国の自主独立をうたうとともに、日朝両国が双方の首都に外交問題につき協議するための使臣を置くこと、釜山に加えて二港を日本人の通商のために新たに開くこと、それから開港された地で日本人が朝鮮人に対して罪を犯した場合は我が国の裁判に服すること等が書かれてございます。 次に、明治二十七年、一八九四年八月二十六日にソウルで調印された日韓両国盟約というものがございます。この盟約は前文と三条から構成されておりまして、清の軍隊を朝鮮国の国外に退去させ朝鮮の独立を堅固なものとすること、日本は清との戦争に当たり朝鮮はその兵たんを支援すること等を規定してございます。 三番目には、明治三十七年、一九〇四年でございますが、二月二十三日にソウルで調印された日韓議定書がございます。この議定書は前文及び六条より構成され、日韓両国の親交の保持、韓国は行政の改善に関し日本政府の忠告を受け入れること、日本は韓国の皇帝の安全を保つこと、日本は韓国の独立を保証すること、第三国の侵害または内乱の場合、日本が必要な措置をとり、韓国もこれに便宜を与えること等を規定してございます。 四番目に、明治三十七年、一九〇四年の八月二十二日、ソウルで調印されました第一次日韓協約というものがございます。この協約は三項から構成されておりますが、韓国は日本の推薦する日本人一名を財務顧問とすること、日本の推薦する外国人一名を外交顧問とすること、条約締結その他の重要な外交案件に関してはあらかじめ日本と協議すること等を規定してございます。 五番目に、明治三十八年、一九〇五年十一月十七日にソウルで署名された第二次日韓協約がございます。この協約は前文及び五条から構成されておりまして、日本の外務省が韓国の外国に対する関係及び事務を監理指揮すること、日本は外交に関する事項を監理するため韓国皇帝のもとに一名の統監を置くこと等を規定してございます。 残りは二つでございますが、六番目に当たりますが、明治四十年、一九〇七年七月二十四日、ソウルで署名されました、いわゆる第三次日韓協約というものがございます。この協約は前文及び七条から構成されておりまして、韓国は施政改善に関して統監の指導を受けること、韓国の法令制定及び重要な行政処分はあらかじめ統監の承認を受けること、韓国は統監の同意なくして外国人を雇用しないこと等を規定しております。 七番目には、明治四十二年、一九一〇年でございますが、八月二十二日、ソウルで署名されました日韓併合条約がございます。これは前文及び八条から構成されておりまして、韓国皇帝は一切の統治権を日本皇帝に譲与すること、日本皇帝は韓国の統治権譲与を承認し韓国を日本に併合することを承諾すること、日本は韓国の施政を担任し韓人の身体及び財産を十分保護すること等を規定しておるということでございます。
○本岡昭次君 今のが一八七六年以降一九一〇年日韓併合に至る重要な諸条約なんです。日本の韓国植民地支配の着実な手順がうかがわれるわけなんですね。 昨年の五月十一日、韓国ソウル大学の慎鏞廈教授の調査によりますと、一九〇五年締結の先ほどの第二次日韓協約、保護条約と言われているもの、それと一九〇七年の第三次日韓協約は韓国の皇帝の批准を得ていないということが調査の結果明らかになって、国際法上無効であるという主張をされております。 私はことし二月に訪韓をいたしまして、この慎教授とも会いました。そして、関係者との間で面談でもっていろいろ話を聞き、資料も持って帰ってまいりました。韓国に保管されている日韓、韓日協約と向こうでは書いてありますが、こういう資料を者もらって帰りました。 当時、大韓帝国は専制君主国であります。すべての外国との条約と勅命には皇帝の親筆署名と玉璽の捺印が必須条件なんです、条約締結には。日本国政府はこの当時、日本軍憲兵隊などを動員して大臣を威嚇して、そして同意を得て、高宗生帝の署名捺印を得て保護条約を強制締結しようとしたんです。しかし、五人の大臣が口頭で同意させられる、総理大臣は廊下へ日本軍憲兵隊の手によって引っ張り出されてしまうというふうなことが起こって、強引に皇帝の署名と国璽の押印をしてもらおうと思ったけれども最後まで皇帝がこれを拒否してやらなかったということなんですね。 韓国のソウル大の慎教授が韓国に残っている史料を調査の結果そういう結論に達した、こういうことなんです。このとおりであるならば一九〇五年の保護条約が無効だと。皇帝の署名も捺印も何もない、こういう条約が果たして有効と言えるかという問題を提起されているんです。どうなんですか。
○政府委員(丹波實君) 韓国の学者先生それから北朝鮮の関係の方々も同様な主張をしておられるということは、報道その他により承知いたしておるところでございます。 今、先生が指摘になられたこの二つの条約の韓国側の署名者は、まず一九〇五年の第二次日韓協約につきましては日本の外務大臣に当たる外部、韓国の言葉だと思いますが当時の外部大臣、それから第三次日韓協約につきましては先方は内閣総理大臣が署名しておりまして、一般論として申し上げて、外務大臣とか内閣総理大臣と申しますものは自国を当然に対外的に代表し得る資格を有するものでございまして、このような韓国側の代表と日本国の代表との間で合意の上で締結されまして実施に移された条約につきまして、今先生が御指摘の、あるいはさかのぼって韓国の学者先生などが指摘しておられるような専ら韓国側の国内の事情である事由を根拠として国際法上無効であるという主張は、私たちは有効にはなし得ないというふうに考えておる次第でございます。 ちなみに、一言つけ加えさせていただきますと、このような実は論点をめぐりまして日韓の国交正常化、幾つか、財産・請求権の問題とともに三つ四つの大きな問題があったと思います。そのために十数年の期日を費やして交渉したわけですが、結局しかしでき上がった一九六五年の日韓基本関係条約の第二条では「千九百十年八月二十二日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される。」という、こういう第二条に合意することによって日韓は前に進もうではないかということが合意された。確かに、しかし過去につきましてはいろいろな思いを日本政府としては御承知のとおり表明しておりますけれども、法的には第二条がこういう条約を条文で規定しておるということは非常にそれなりに日韓間で重要な意味を持っておるということを一言つけ加えさせていただいた次第でございます。
○本岡昭次君 いや、専ら韓国側の事情であるなんというようなことを私はここで納得するわけにいきませんね。韓国側の事情の立場に立って無効であるという主張を私たちは客観的に検証せないかぬのと違いますか。 韓国のその当時の大韓国国制という日本の憲法に相当するものの第九条には、国の最高主権者である皇帝が直接諸般条約を締結すると明記されてあるんです。その人の印鑑がないものを一体客観的に専ら韓国の事情であるなんと言えるんでしょうか。 また、韓国の皇帝である高宗は一九〇七年にいわゆるハーグ事件というものを起こす発端になる密書、抗議文というものをオランダのハーグで開かれた第二回万国平和会議の各国の人に渡そうとしたんです。ところが、それを阻止された。その文書の中にはっきりと、皇帝が自分の親書として、一九〇五年十一月十七日、日本公使と朴斉純が締結した条約五条について、皇帝高宗は初めから認めなかったし、署名も国璽の捺印もしなかった、二、皇帝はこの条約を日本が勝手に公布するのに反対をした、三、皇帝は独立の皇帝権を一毫も他国に譲与したことがない、四、外交権剥奪の強制条約は根拠のないものであり、ましてや内治上のものをどうして認めることができるか、認めたことがない、五、皇帝は日本統監が来て常駐することを許さなかったし、皇室権も一毫も外国人が思いどおりに行使することを許さなかったというようなことをやっているんですよね。 そのことを専ら韓国側の事情であったなんというようなことで私は済ませることじゃないと思うんですがね。これはちょっとどうですか、外務大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはいろいろ議論が私はあると思いますよ、率直に言ってね。 日韓の新しい関係をつくろうというときも、これは十数年かかっているわけですから。で、もうお互いに主張が合わないと、その結果ある程度妥協といえば妥協ですが、今条約局長から説明があったように、向こう側は向こう側の言い分がある、こちらはこちらの言い分があるが、そこで過去のことを繰り返していろいろ言ったってまとまりゃせぬから、そこでこの協定ができた瞬間に、もはや今までの日本と韓国の間のいろんな条約とか協定はもう既に無効であるということを言ったわけですよ。既に無効。そのときからということであって、その辺が妥協の産物と言ってはしかられるかもしらぬが、そういうことで十数年の交渉に終止符を打ったという現実があるわけです。したがって、それを否定するというわけにもいかないですね、これは。 ですから、いろいろ言えば先生のおっしゃることはごもっともだと私は思う点もありますし、いろいろありましょう。ありましょうが、そういうものを総合的に網羅した結果が新しい日韓関係のスタートでございますから、それをまたほごにしちゃう、やり直しというようなことをやったら、またこれ大変なことになってしまうので、我々としては新しい日韓関係というものをつくった日韓の協定、そういうものを基盤にして今後より一層の日韓友好を進めていくということが一番の私はいい方法じゃないか、そう思っております。
○本岡昭次君 まあ外交とか政治的な妥協とか国と国の関係とかいったようなものは、外務大臣のような立場でそれはやらなければならないことがあるでしょう。しかし、歴史上における真実とか事実というのは一つでありまして、そしてそのことを学問的に解明していく、あるいはまた不幸な過去とは何であったんだということを両国民が正しく認識するということは、私は別だと思うんですよ。私は正しく認識する必要があると言っておるんですよ。歴史的な妥協はわかっております。だから私は、韓国に対して先ほど言ったように、新しい関係でさらに強力な日韓関係をつくっていかにゃいかぬ、そのためにはという立場で物を言っておるつもりなんですが、誤解のないようにしてください。 そうしたら、韓国の専らの都合だというふうな言い方をするならば、日本としてはどうであったのか。日本はどうなんですか、旧帝国憲法の第十三条をちょっと読んでください。
○政府委員(丹波實君) 大日本帝国憲法第十三条のただいまの該当のところは「天皇ハ」「諸般ノ条約ヲ締結ス」というふうになっておる次第でございます。
○本岡昭次君 それをもう少し解説してください。
○政府委員(丹波實君) ただいまお読み申し上げたところの趣旨は、条約を締結することを天皇の人権に属せしめるということでございます。 で、先ほど先生が当時の韓国の憲法をお読みになられ、基本的には表現的には同じような趣旨かもしれませんが、いずれにしても二つ、一つは大変昔の話、それからもう一つは外国の話ですから、韓国の憲法については私がこの場で解釈を云々することはできないわけですが、大日本帝国憲法の条規につきましても、昔のことでございますけれども、それではこういう表現になっているからといって天皇陛下がすべての条約を批准されたかというと実はそうはなっておらない次第でございまして、むしろ先ほど申し上げました日本の総理大臣あるいは日本の外務大臣が署名することによって、場合によってはもちろん帝国議会の批准を経て発効するということもあったわけでございます。 したがいまして、結論的に申し上げますと、こういうぐあいに書かれているからといってすべて天皇陛下が批准するということにはなっておらなかったという次第でございます。
○本岡昭次君 これは天皇の外交人権を定めたものなんですね。それで、批准する場合もあるしない場合もある、こうおっしゃいましたが、どういう場合に批准が必要でどういう場合はそれでは批准が必要でなかったんですか。また、どういう場合に天皇の署名とか国璽の捺印が必要でどういう場合は必要がなかったんですか。
○政府委員(丹波實君) 先ほど申し上げましたように、第十二条は「天皇ハ」「諸般ノ条約ヲ締結ス」と規定しておりまして、これは条約を締結することを天皇の人権に属せしめるということでございますけれども、この憲法は、日本による条約の締結に至る手続について明文で何ら特段の規定を置いておりません。条約の締結に当たって天皇の批准を要すると定めているわけでもない。したがいまして、個々の条約の締結に際して批准を要するか否かは、この条約の発効要件として、相手国との間の交渉において批准を要する旨の合意が行われるかといったようなことによってその状況が違ってきておるということだったと思います。
○本岡昭次君 そうしたら、先ほど説明された七つの条約に天皇はどうかかわったんですか、それぞれに。
○政府委員(丹波實君) 先ほどの七本の条約のうち批准されておりますのは一八七六年の最初に読み上げた条約でございまして、残りの六つの条約は天皇陛下によって批准はされておらないわけでございます。 ちなみに、それではその江華条約と他の条約はどこが違うかということになりますけれども、六つの条約はいずれも大日本帝国憲法下で締結されたものでございます。江華条約につきましては、日本国旧憲法が制定されましたのは一八八九年でございますので、この江華条約はそれ以前の条約であったというところが違っておるのだろうと思います。
○本岡昭次君 それでは、天皇の批准を必要としない場合、この憲法第十三条との関係でどういう手続が要るんですか。
○政府委員(丹波實君) 一つ申し上げることができますのは、条約を結ぶ場合に、相手国との交渉の中で、この条約はお互いに批准まで手続を完了させようという合意があるかないか、これが非常に大きなファクターだと思います。相手国との間で明示のそういう批准条項を置いていない場合には批准しない、置いてある場合には批准するというのが一番一つの大きな例として申し上げることができると思います。
○本岡昭次君 私も外交資料館に行って全部見てきました。今おっしゃったように、最初の江華条約だけ天皇の親筆と玉璽がありまして、あとは全部ありませんでした。 この憲法十二条の解釈についていろいろ勉強したんですが、ここにはこういう書き方がしてあるんです。「調印に依っては唯条件附に効力が生じ、批准に依ってそれが確定するのである。」、こういうふうに書いてありまして、やはり天皇の外交人権という立場からすれば、天皇の批准というものによってそれが最終的に確定する、私はこれは正しいと、こう思うんです。 それから、天皇の批准を必要としないということの中に、「全権委員は、天皇から条約締結に付いての全権委任状を賜はつて居るもので、批准を留保して調印することも又は之を留保せずして調印することも、総て全権委員の機能に委任せらるるのである。」と、こういうことであって、天皇の外交人権を全権委任状という形でもって全権大使とか公使で行くんだと。ということは、これは全権委任状と。非常に重要な意味を持ちますね、天皇の外交人権を預かって行くんですから。 そういう意味で、すべての条約の中にこれに臨んで署名捺印した人が全部天皇の全権委任状というものを皆所持して行ったんですか、どうですか。
○政府委員(丹波實君) 私たちこの点いろいろ外務省のかつての文書、保管を当たってみましたけれども、確たる記録は見つけることが今日までできなかったわけでございます。典型的には、一九〇五年の先ほどから御議論の対象になっていますところの保護条約ですけれども、当時、林特命全権公使がこの条約に署名しておるわけですが、この林公使に対する委任状というものは今までのところ記録としては見つかっていないということでございます。
○本岡昭次君 記録として見つかっていないといって、天皇の外交人権を代行していくという重要な書類が保存されていないということについて、私は納得できないんです。なかったと思うんです。出していなかったという方が正しいと思うんです。どうですか。
○政府委員(丹波實君) ちなみに、当時の閣議で林公使に対して条約締結の全権を委任するという閣議決定が行われておることは承知いたしておりますけれども、先生がおっしゃっておられる委任状そのものについては、今日までのところ記録を当たってきましたけれども、見つかっていないという次第でございます。
○本岡昭次君 全権委任状とは一体何なのか、正確にもう一遍解釈してください、ここで。
○政府委員(丹波實君) 私は、今手元に条約法条約というものを持っておりますけれども時これはもちろん今問題になっておる時点にはまだできていない条約でございますけれども、一つの考え方を示しておると思います。 全権委任状と申しますのは、外国との条約交渉が調ったときに、それを確定する権限というものを自分は本国から与えられておりますということを相手方に正式に立証する通常は文書であると言うことができると思います。 いろんなことが書かれておりますけれども、一つここに書かれておりますのは、その場合、例えば元首あるいは政府の長あるいは外務大臣といったような方々は、そういう書類を提示しなくても、そういう職務にあることそのこと自体によってその国を常に代表し得るという考え方が表明されております。 それからもう一つは、出先の大使、公使、昔は公使、今はもうほとんど大使でございますが、の場合には、その国と本国との間の二国間の関係を処理する分に関しては自国を代表することができる。この場合には、いわゆる書面で全権委任状というものを提示しなくてもその大使であるという職務自体によって本国を代表し得るというそういう規定もある次第でございます。
○本岡昭次君 そうしたらここの結論として、委任状はなかった、委任状は保護条約を締結する林権助公使には出されていなかったというふうに私は判断してよろしいですね。
○政府委員(丹波實君) 丸い数字で申し上げて九十年前のことになるわけで、事柄は確かに先生おっしゃるとおり重要な事柄であったと思いますけれども、九十年あり、その間戦争とかいろんな問題があって、私たち記録を今後とも調べてみたいと思いますけれども、依然として今日までのところは見つかっていない。見つかっていないということが一九〇五年のときに委任状がなかったというそういう結論に今日の時点で到達し得るのかどうかにつきましては、ちょっとそこまではまだいかないのではないか。 いずれにしても、今後とも探してまいりたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 出していなかったんですよ。出ていなかったんです。 私は、韓国へ行ってこういうコピーをもらってきました。(資料を示す)これは一九〇七年七月二十四日に当時の伊藤統監と李完用総理によって調印された第三次日韓協約のときに必要であった委任状なんです。だれの委任状であったかというと、韓国側の皇帝の全権委任状の謄本なんです。それで、ここに何にも書いていないわけです。要するに、これをつくってそして皇帝の委任を得ようとしたんですよ。ところが、皇帝はノーと言って応じなかったんですよ。応じなかったんですよ。 こういうことから見ても、やはり委任状というものは双方の天皇、皇帝の外交人権を代行するものとして絶対必要であったんですよ。それをやらないでやってしまった。韓国側からすれば、もう完全に韓国の御事情ですなんというようなことを言っていられるものじゃない。これははっきりと言って有効性というものを、外務大臣の言っている観点じゃないんですよ、事実として国際法上手続が完全に不備であったというふうにこれは言わざるを得ないのであります。 それで、そのことがきょうのこの新聞にちょっと出ておるんですが、外務省、外交当局は「全権委任状があったという記録はあるはずだが、昔のことなので保管がない。」と。こんな大事なものを、あるはずだが保管がないというようなことで、日本の国は、なんですか、外交文書を粗略に扱っているんですか。そして、仮に委任状がなくても大使や公使は条約を結ぶことができる、有効性は崩れていないと、こうなるんですね。とすると、一体、委任状とは何やということになってくるわけですよ。委任状がなくても済むんなら、何も委任状をつくらんと外務大臣や総理大臣がやればいいじゃないですか。 一方、委任状というものが必要だとするということは一体何なのか、この問題をもう一遍解明してください。
○政府委員(丹波實君) 先ほど申し上げましたとおり、当時の林公使は閣議決定から見ましても全権委任を与えられ、かつ日本と韓国との間の問題を処理するというもともとのそういう機能を持って韓国に滞在しておるといういろんな状況からしても、私たちはこの条約が無効になるような形で締結されたという認識は持っておらない次第でございます。
○本岡昭次君 そうすると、訓令と同じことなんですか。ここにその当時の、書いてありますが、ここに訓令と書いてありますよ。全権委任状を出したとか全権委任とかいうが、訓令ですよ。訓令でもってこういうことができるんですか。
○政府委員(丹波實君) 先ほどから申し上げておりますとおり、その委任状の存否につきましては現在記録に当たっておるということでございますが、それにかぶせて一言御説明させていただきますと、先ほど全権委任状のところでも御説明申し上げましたけれども、総理大臣あるいは外務大臣あるいは派遣されている大使、当時は公使がヘッドでございますけれども、というものはその職にあるというそのこと自体によって二国間の関係を処理し得る、こういうふうな立場にあるわけでございます。その点だけ御説明させていただきたいと思います。
○本岡昭次君 絶対に今のはおかしいですよ。私はいろんな本を読みました。美濃部達吉氏、これ一番権威ある人ですよ。この人の十三条を読みましたけれども、今の条約局長の解釈がもしここへ入ったとしたら、これはもう全然この美濃部達吉博士の憲法第十三条の天皇の外交権の解釈が崩れてしまいます。そんなむちゃなこと言わせて、外務大臣、いいんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは法解釈の問題でありまして、いろいろ見方はあると思いますが、私が先ほど言ったことに実際は尽きる、そう思っているんです。 個々の問題を取り上げますといろんな疑問点は私はあると思いますよ。確かに、先ほど七つの重立った条約、協定等は、あれだけを、あれだけを聞けばですよ、日本がやはりもうぎりぎり少しずつひねっていったということをほうふつさせるような形にはなっていることもそれは事実でしょう。事実でありますが、しかしそういうものを全部ひっくるめて、戦後、日韓の協定というものでちゃんと締めくくって新しい日韓関係をつくろうということになったわけですから、だから私は過去を認めないというわけじゃなくて、そういう今おっしゃるようなことも念頭にあって、我々としては韓国に対しては本当に過去にはいろいろの申しわけのないこともしたという意味も含めて、今後の日韓関係というものは今まで以上に一層有効な関係に持っていこうという気持ちを忘れていないということであります。
○委員長(遠藤要君) 本岡君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。 午後一時に再開することとし、暫時休憩いたします。 正午休憩 ――――◇――――― 午後一時二分開会
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算、平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、本岡昭次君の質疑を行います。本岡君。
○本岡昭次君 私は、一九九〇年の六月の六日だと思うんですが、この本院予算委員会で初めて従軍慰安婦の問題を取り上げました。それ以来、絶えずこの従軍慰安婦問題をどう解決したらいいかという問題の責任というものの重さを感じて今日までやってきました。先ほどの質問もいわばそのことのために私は質問したつもりであります。 従軍慰安婦あるいは強制連行といった日韓の間に横たわるこの問題、つまり国際法上の重大な人権侵害というこの問題がどういうふうにすれば解決できるのかという、さまざまな方法がありますが、私は午前中の論議をやって、まず第一次、第二次、第三次と進められてきた日韓協約、その上にある一九一〇年の日韓併合条約、そうした問題が本当に国際法上瑕疵のないものであったのか、正当性を持ち得るものであったのか、あるいは道義的、道徳的という立場から見て、韓国の皆さんに胸を張って我々が誇り得るものであったのかどうか。そうしたところに私たちはきちっと足を置いて考えていかなければいけないということをつくづくと感じました。 そういう立場から、政府はできないと言うだろうけれども、国際法上の違法性を日本政府として認めるというところから始めなければならない、こう思いますが、最後にこのことの見解を聞いておきたいと思います。
○政府委員(丹波實君) この点につきましての私たち政府の考え方と申しますか、気持ちにつきましては、私は先ほどの渡辺外務大臣の御説明の中に尽きていると思うんです。いろんな論議が日韓正常化交渉、十四年間、十数年間にわたって行われたことは、本当、先生御承知のとおりで、その中の非常に大きな論点がこの問題であったと。 しかしながら、やはり日韓関係を正常化しないわけにいかない、正常化して発展させることが非常に重要であるという、そういう気持ちを含めてこの日韓の基本条約の第二条の中に、先ほど読みましたけれども、「千九百十年八月二十二日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であることが確認される。」と。これは当時の日韓両政府が本当にぎりぎりの妥協点を探ってこの表現を見つけたということで、ぜひ御理解いただきたいと思うんです。 私は、今ここで先生に先ほどから御説明申し上げたことは何も政治的道義的にどうだということを申し上げているのではございませんで、本当に純粋に条約的、法律的な観点から、私は当時の条約局長ではございませんのでもう本当に少ない資料の中からこうであったであろうということで御説明申し上げたんで、そういうことも含めてぜひ御理解いただきたいというふうに考えます。
○本岡昭次君 総理に最後に伺っておきます。 歴史の真実を認めない者は再び同じ過ちを繰り返す、こう言われております。今、本当にその歴史の過ちを認めた上で妥協したのかという問題が必ず問われると私は思うんです。 金泳三大統領が、この従軍慰安婦問題の解決について日本に物質的な補償は求めない、そのことによって今後は道徳的に優位に立って新しい韓日関係の定着に向かうことができると発言されました。ある新聞は、社説で「日本の道義が試されている」と政府の誤りなき対応を求めました。 私は、日本の朝鮮半島植民地支配が道徳に反する行為であり、国際法上違法であったというこのことを認める勇気のない限り、日本が韓国に対して道徳的に、優位とは言いません、対等の立場に立って新しい日韓関係を築くことができないのではないかと私は考えているんです。総理のお考えを最後にお聞かせください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 午前中から大変に精細な条約等々に基づいての御議論を拝聴いたしておりました。また、政府委員も条約の見地からそれについてお答えをいたしておったわけでございます。 結局、それが違法であるか違法でないかといったようなことは、渡辺外務大臣も言われましたように、一九六五年に日韓基本条約ができるに至りますまでの十数年の間、まさに議論をいわばされ尽くしたところであったと思います。その結果、第二条でございましたか、にああいうことで両者のいわばそれこそぎりぎりの妥協を図ったということでございましょう。そのことがむしろ大事ではないかという渡辺外務大臣のお考えは私もそのように思いますが、しかし、いずれにしても、日韓併合以来の一九六五年までの歴史あるいは敗戦までの歴史というものは決して我々にとって誇りにできるものではない。このようなことは二度と繰り返すまいというのが国民の決心であると思いますし、また私ども政府もそのような考え方から日韓の間の友好親善というものに努力をいたしておる。 そういう中でこの慰安婦という問題が起こってきたわけでございますから、そういう立場から、我々として誠意を持ってこの問題についての、我々のいわば過去における過ちを陳謝する、その真心をどういう形であらわすことができるかということは、なお残された問題ではありますけれども、事実関係を偽りなく究明をして明らかにするということが、我々の過去の反省というものを現実に関係者にもわかってもらう一番大事な道であろうというふうに考えております。
○本岡昭次君 最後に、在日朝鮮人の子供たちが民族学校に通学する際、日本の子供たちと違ったパスを使っております。大変金銭的に不利な状態に置かれております。 かつて村岡元運輸大臣は、この状態を指して民族差別であると、このようにも発言をされて、この民族差別を早期に解決しなければならぬとおっしゃいましたが、一体いつどのようにしてこの民族差別を解決するのか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(越智伊平君) 現行のJR通学定期制度は、他の民鉄と制度上の差異があり、国会等でも指摘されたところであります。また、村岡元運輸大臣、また奥田前運輸大臣も答弁をいたしておりますが、その趣旨に従って今鋭意JRの方で相談をしてもらっておる次第であります。
○本岡昭次君 いや、もっとはっきり言ってください。いつどういう方法で解決するのかということを。
○国務大臣(越智伊平君) もともとJRの料金につきましては、JRから申請がございましてそれを認可する制度になっております。村岡元大臣が御答弁申し上げたのは、次の運賃改定の時期、こういうことを言っておるようでありますのでございますから、今検討を指示しております。 そういうことで、JRの方から申請があればということでございますが、なるべく早くやるようにと、こういうことでありますのでございますから、いついつということがただいま申し上げられない、こういう次第であります。
○本岡昭次君 いわゆる民族差別を解消するために運賃値上げをする、こういうことですか。
○国務大臣(越智伊平君) 民族差別というようなことでは、それで高くするというような気持ちは毛頭ございません。料金というのは全体的な料金の決定をいたしますのに、やはり一般乗客あるいは通勤定期あるいは学生定期あるいは身体障害者等の割引等々を考慮して全体の枠で決定しておるわけでありますから、朝鮮人学校についてもぜひ次の機会にやりたい、こういうことで相談をさせておる、検討をさせておると、これが実情であります。
○本岡昭次君 私は、大野元運輸大臣からずっと歴代の運輸大臣にこの話を持ちかけているんですが、一向にらちが明かないわけであります。運賃値上げをしなければこれが解決しない、その理由は何でですか。
○政府委員(秦野裕君) ただいままでの検討の経緯につきまして、若干補足して御説明させていただきます。 先生ただいま御指摘ございましたように、従来から朝鮮人学校を初めとします通学定期の取り扱いにつきまして、各般の御意見をいただいております。現在までにJRを含めましていろいろ検討会を開いて検討を進めてきておるわけでありますが、この問題の解決のためには、やはり朝鮮人学校を含めます各種学校あるいは専修学校、そういうもの全体をどうするかというところの検討が必要になるわけであります。現在の検討の過程では、先生御案内のとおり、大学を含めました専修学校あるいは各種学校のグループ、それから高等学校のグループ、中学校のグループ、JRの場合この三段階に分かれておるわけであります。そこがいわば問題の所在でございまして、民鉄の場合にはそういう区別がございませんで、一本化されておるというところに一番先生今御指摘の問題の発生する源があるというふうに考えておるわけです。 そこで、ことしになりまして、やはり民鉄並みにその通学定期の割引率を一本化する方向で検討してはどうかということで、各社に対しまして具体的な検討の内容を指示しておりまして、その結論を待って対処いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○本岡昭次君 なぜその民族差別を解消するために各種学校と一緒にならなければならぬのですか。
○政府委員(秦野裕君) これは各種学校にはいろいろな種類がございまして、先生御指摘の朝鮮人学校の問題もございますし、あるいはいわゆる専修学校の高等課程あるいは各種学校のいろいろな種類の学校というのがございますので、特に民族問題ということではございませんで、そうした大学生あるいは高校生とそうした専修学校なり各種学校との間の区別、これをなくす方向で検討しよう、こういうことで進めておるわけでございます。
○本岡昭次君 各種学校と一条校との間の格差を解消せよと言っているんじゃないんです。民族差別があるからなくせと。はい、民族差別がある、認めます、なくしますとおっしゃったんだから、ストレートにそのことをやってもらえばいいんじゃないですか。
○国務大臣(越智伊平君) 民族差別というようなことを考えておりません。朝鮮人学校だけをやりますと今度は逆差別になる、こういうことでございますから、私は、やはり日本人であろうとどこの国の方であろうと同じような方法でやっていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
○本岡昭次君 そうすると、村岡元運輸大臣がこれは民族差別だから解消せにゃいかぬということを取り消されるわけですか。
○国務大臣(越智伊平君) 村岡元運輸大臣が御答弁申し上げたことも私の考えと同じで、特別に朝鮮人学校だけをということでなしに、朝鮮人学校、民族差別のような受け取り方をされると困るからやりますと言っておるのは、それと並ぶものは全部一緒にやると、逆差別にならないようにみんな平等にやっていこう、こういうことであります。朝鮮人学校だけを取り上げてやりますと逆差別になると、でございますから、確かに朝鮮人学校の生徒もそういうことで引き下げをしたいと私は思いますけれども、それに並ぶものは全部一緒にやりたい、こういう気持ちであります。
○本岡昭次君 なぜ朝鮮人学校の子供たちがこれ差別だと言い、日本の子供と一緒にしてもらいたいと言っているんですか。そのことを全然わかってないじゃないですか。
○国務大臣(越智伊平君) よくわかっております。例えば、アメリカンスクールにしてもやっぱり同じように扱わないといけない、日本人もあるいは朝鮮人もアメリカ人もどこの国であっても同じように扱うと。私は、何も朝鮮人学校がだめだということでなしに、朝鮮人学校をやるとすれば、ほかの国も日本人も同じような制度については同じように引き下げたい、こういう気持ちであります。
○本岡昭次君 いや、もう涙が出るほど悲しいですよ。先ほど私が何でこんなに長い間議論したんだよ。全然わかってないんですよね。なぜ朝鮮人の子供たちが日本の私たちの身近におるのか。在日朝鮮人と在日アメリカ人と同じように判断すること自身が間違っているんですよ。そうでしょう。強制連行、先ほど私が長い間時間をかけて、ああしたことの結果、今、在日朝鮮人がおるんでしょう。その子供たちに対して私たちがこれから日韓、日朝、いろんな関係を仲よくしていくためにまず国内でやることがあるでしょうと、そのことの中の一つとして取り上げているんですよ。アメリカンスクールやとか専門学校とどうだこうだという問題以前の問題としてこの問題の解決をしていこうという認識が政府にあるのかないのか、これが問われているんじゃないんですか。そういう発言をするのはあなただけや。
○国務大臣(越智伊平君) JRの通学定期割引につきましては、学校教育法に基づきましてその適用範囲を定めているところであります。 朝鮮人学校につきましては、学校教育法上各種学校としての位置づけをされておるわけでありますのでございますから、各種学校については平等に、同じようにやろうと、これが私ども運輸省の考え方であります。
○本岡昭次君 各種学校の中のじゃなくて、日本人の子供たちが日本の学校に通学していることと、朝鮮人学校の子供が通学していることの条件の差、通学定期のパスの差、それを民族差別だと過去の運輸大臣はとらえてどうしたら解決するかという苦労をしていただいたことと、全然発想が違うじゃありませんか。
○委員長(遠藤要君) そういうふうな疑いのないように改善するというんでしょう。
○政府委員(秦野裕君) 私どもの村岡元大臣の御発言で理解しておりますのは、いわゆる朝鮮人学校と日本人学校との間に定期の割引について差があるという趣旨でお答えになったんだというふうに私ども理解しております。 そこで、それを合わせるにはどうすればいいかということで現在検討していることは、先ほど来御答弁申し上げているとおりであります。 そこで、それをやります際に、朝鮮人学校だけを特別に従来の各種学校の中から抜き出してやるというよりは、この際、通学制度全体を見直した中でこれをやることが一番望ましいという方向で現在検討を進めているわけでございまして、決して差別をそのまま継続するのがいいというふうに申し上げているわけではございません。
○本岡昭次君 そうしたら、運賃を上げなければできなくなると、こうなるんでしょう。朝鮮人学校の子供たちのために運賃が上がったということになるんじゃないですか。
○政府委員(秦野裕君) したがって、制度の改正になるものでございますから、運賃改定の際にこれを行うのが一番スムーズに円滑に制度が移行できるということで、運賃改定の際に見直しを行いたいということを申し上げておるわけでございます。決して朝鮮人学校の制度を見直すことによって運賃が上がるという趣旨で申し上げているわけではございません。
○本岡昭次君 最後に一問。 そうしたら、いつ運賃改定ができる予定なんですか。
○政府委員(秦野裕君) 現時点ではJR各社から申請の意思はまだ来ておりませんので、いつということは現時点では申し上げられません。
○本岡昭次君 はい、もう結構です。
○委員長(遠藤要君) 以上で本岡君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(遠藤要君) 次に、猪熊重二君の質疑を行います。猪熊君。
○猪熊重二君 最初に、今大きな問題になっている金丸前議員の脱税事件に関連して、宮澤総理の所見と責任についてのお考えを伺いたいと思います。 まず、金丸前議員の脱税は、最初は国民は怒っていたけれども、もうあきれている、何ということなんだろうということで。佐川急便事件、それから皇民党関与事件、そして今度は金丸脱税事件、このような政治不祥事がずっと続いている。 まず、金丸元自民党副総裁の今回の脱税事件に関する総理の見解をお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 前にも申し上げたことでございますけれども、まことに残念なことでありますし、また国会議員であられた、しかもいろいろな要職も帯びられた方のことでありますので、同じ国会議員の立場から申せば、国民に対していろんな政治不信をさらに深めるような結果になりまして申しわけないことであると考えております。 もとより、事件はただいま検察、国税両当局者によって厳正に取り調べが行われておるものと信じております。
○猪熊重二君 総理、総理はほかの人と違って、この問題について遺憾であるというふうなことで他人行儀なことを言っているお立場にないと私は思うんです。大体、総理が総理になる際に、総理を推してくれて、そしてそのために総理が現在の地位にあることができたのは、まさに金丸さんを中心とする竹下派の応援なんです。そして、自民党の副総裁といえば実質的に自民党を全部掌握する最高の地位にある、その人になってもらおうということを決めたのはあなたなんです。どの新聞記事を見ても、あなたが金丸さんを副総裁にお願いしたいというときに、党体制強化のためにも立派な方なのでできるだけ早い機会にお願いしたいと思っておりますと、これはほとんどの新聞が書いている。あなたはこんな立派な方を副総裁にした。それが平成四年一月八日です。 それから今日までの一年を超える期間、あなたが副総裁にしたということによって金丸さんがいろんな金を集めて脱税する、それにあなたは間接的に幇助している形になっていると私は思うんです。そういう意味において、そんな他人事で遺憾だとか残念だとかなんていう問題じゃないはずなんです。あなたのこの問題に対する責任をどうお考えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 副総裁に就任を願いましたのは、これは私の意思によって、私の発意でいたしたことでございます。それは言われるとおりでございます。 ですから、そういう方が今度のような事件を起こされた、そのような容疑を受け起訴を受けられたということは、大変に残念なことで申しわけないことだというふうに思っていますが、その後のそのような所得税の脱税等々について何か幇助関係があるというようなことは、言葉のあやでおっしゃったかもしれませんが、私はそういうことは考えておりません。 〔委員長退席、理事井上裕君着席〕
○猪熊重二君 要するに、あなたが副総裁という重要な立場につけた、そのことの結果としてこれだけの裏献金を取得し脱税するということになる。そういう関連性のもとにおいて、結果的にあなたか子助けしたのと同じじゃないかということを私は申し上げている。その責任のとりようとして、もう少し御自分の立場というものから考えて何らかの処置があるべきだと、私はそう思う。 次に、細かいことですけれども、金丸さんの事件に関連して転がり出てきたマージャンの問題についてお伺いしたい。 この問題については、及川一夫委員の質問に対して官房長官は、中島科学技術庁長官がかけマージャンはしていないと言っているから私はしていないと思うと、こうおっしゃる。 そこで総理にお伺いしたい。総理はこの金丸さんとかけマージャンをした閣僚はいるのかいないのかお調べになったのか。要するに、かけマージャンなんかやっている、そういう道義的な倫理的な欠如感が非常に今回の政治腐敗の根源なんです。私はマージャンもしなきゃかけマージャンもしない。これは刑法上犯罪になっているんです。総理として閣僚にお伺いになりましたか。そしてもし、みんながやっていないと言うから私はやっていないんだと言うんなら、そうお答えいただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 閣僚にもなろうという方はおのおの自分の身の処し方については十分に考えておられるに違いありません。私は自分の閣僚に一々そういうことを尋ねてみる気はございません。
○猪熊重二君 ですから、もし今後いろんな捜査の結果としてかけマージャンをやった人が出てきた場合には、単にその人の責任だけじゃなくして、あなた自身がそういうふうなかけマージャンをやるような人間を閣僚に任命していないとおっしゃるんだから、あなたに責任とってもらわなきゃいけない。 次に、竹下元総理の問題についてもお伺いしたい。 いろいろ竹下元総理については、先ほど申し上げたような皇民党、暴力団関与の問題だとかあるいは佐川の再建に関する仲介の問題だとか、さらにはつい最近出てきた問題としては、金屏風事件に絡んだ五億円の疑惑の問題であるとか、あるいは三月十一日の新聞報道によれば日本債券信用銀行とのワリシン取引があるとか、こういう問題がいっぱい出てきています。この竹下元総理に対する自民党としてのいろんな事実調査をやったらどうですかと我が党の市川書記長が申し上げて、総理はやりますと。私もこの委員会でも申し上げたんです。いろんな新しい疑惑がいっぱい出てきた。そういう意味において、自民党において竹下元総理のこういう種々の疑惑についての解明をなさる意思はありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 市川書記長にもお答え申し上げましたとおり、自民党におきまして、執行部が中心になりまして竹下氏から事情を聞きました。調査をいたしました。
○猪熊重二君 そのときに調査したのは、佐川急便の問題とそれから特に暴力団の問題なんです。その調査したというその後において金屏風の問題とか今申し上げた日債銀のワリシンの問題とか出てきている。こういう問題についてやる御意思はあるんですか、ないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 法に触れる疑いがあるようなことであれば、これは党員としてその事情を党として聞かなければならないと思いますけれども、ただいまのところ、前回の調査以後そういうことを承知しておりません。
○猪熊重二君 自民党として自浄能力を持っておやりになるということがないんだとすれば、やっぱりこれは国会で国政調査権に基づいてさらにいろいろ竹下さんにお伺いしてみなきゃならぬことがいっぱいあります。それだけ申し上げておく。 それから、総理の政治改革に対する取り組みとその責任についてお伺いしたい。 特に政治改革を今国会中にやりますと総理はおっしゃっているけれども、もしできなかったときにはどういうふうに総理は責任をおとりになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今国会中にお願いをいたしたいと思っておりまして、自由民主党におきましては既にその案をほぼまとめておりますので、やがて衆議院に提案をし当該委員会で御審議を願うことになると思います。よその党におかれましてもいろいろ案を御検討中のようでございますから、まず衆議院の特別委員会においてそれにつきましての御審議が始まることと思います。 政治改革は焦眉の急の問題でございますので、国会におきまして改革を法案として成立させていただけるものと信じております。
○猪熊重二君 政治改革をどうするかということは、宮澤総理にとってはもう実に重大な問題なんです。なぜかといえば、こういうふうにこれだけ国民の政治不信を引き起こす不祥事が自民党を中心にして起きているのに、それの国会における国政調査も満足にできない。自民党の調査もできない。そして、総理が、逃げ口上と言っては失礼かもしれぬけれども、全部政治改革へ持っていっているんです。その全部持っていっている政治改革ができなかったときには、この政治不信に対する政治不信解消のための手だてというものはなくなってしまう、あなたの立場に立ては。だから、そんな国会の方でやってくれるからできるでしょうなんという問題じゃないはずなんです。 あなた自身の政治的責任においてこれをどうするかということについて、もう一度お伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 第一に、自民党におきまして調査をいたしたということは申し上げました。 第二に、国会の国政調査について御言及がございましたが、これは私がとやかく申し上げるべきことではありません。 第三に、自由民主党としてはベストを尽くして国会に法案を提出をいたしました。したがいまして、これは国会においてひとつ御審議の上可決をしていただきたい、そういうふうに申し上げる以外にこれは申しょうがないわけでございます。
○猪熊重二君 この問題を押し問答していてもしょうがないから、次の問題に移ります。 納税者番号制についてお伺いします。 まず、納税者番号制導入に関する政府の従前の検討経過及びこれに対する現在の政府の方針についてお伺いしたい。
○国務大臣(林義郎君) 猪熊委員の御質問にお答え申し上げます。 納税者番号制度というのは随分昔からいろいろ議論をされておったところでございますが、昨今では、税制の抜本改革の際に当たりまして昭和六十三年二月に政府の税制調査会に納税者番号等検討小委員会が設けられまして、平成元年一月に答申が出ましてその基本的な考えが示されたところであります。 いろいろとありますけれども、仮に納税者番号制度を導入する場合には、第一に大多数の個人及び法人に対して全国一連の生涯変わらない番号を付するということが体制として必要である、第二に納税者番号制度とプライバシーの保護との関係についての国民の共通の理解を得ることが必要である、第三番目に適正公平な課税のためには制度に伴う煩わしさや費用を受忍することもやむを得ないという国民の合意ができることが必要であるということが述べられておるところでございまして、その後政府部内におきましてもいろんな検討が要望されたことから、技術的、専門的な問題について現在検討を進めておるところでございます。 昨年の十一月に、利子及び株式等譲渡益課税の見直しのための審議にあわせて中間的な報告として納税者番号等検討小委員会報告を公表するとともに、十二月の税制調査会答申において、その時点における基本的な考え方を示したところでございまして、その答申の中におきましては、納税者番号等に関しては種々の角度から具体的な検討を行ったが、まだ検討されるべき課題が残されているし、国民の理解もまだ十分でなく、今後深められていく過程にあることから、引き続き検討を行っていくということが適当であるという答申をいただいておるところでございます。
○猪熊重二君 今、大蔵大臣がおっしゃったように、納税者番号制導入についてはいろいろな問題があることは私も理解できます。しかし、いろんな問題があるからといって、問題だけをいろいろ検討していったら物は進まない。 今、大臣が言われた中で、この納税者番号制の導入に関する個人のプライバシーの問題、こうおっしゃるけれども、私の立場から言わせれば、現在、個人の申告納税者についてのプライバシーと言うけれども、ほとんど大蔵省においては納税者の納税に関する各種のデータを把握している。ですから、個人の申告所得税に係る納税者整理番号について、その内容を説明してください。
○政府委員(濱本英輔君) 納税者整理番号について説明をしろということでございますけれども、確定申告などを行われる方に対しまして、税務署別に整理番号を付してこれを部内的に整理をしておる事実がございます。 ただ、この整理番号の特徴というものを考えていただきますと、納税者番号制度との対比で申し上げた方がいいかと存じますけれども、取引の際のその番号の告知でありますとか、税務当局へ提出する各種書類にその番号を記載することを義務づけるとか、そういったことは納税者番号制度においては想定されることでございますが、こういった整理番号は、これは部内の整理のための番号でございますからそういった義務づけを行うものではありませんし、また、当然納税者番号となりますと全国一連の番号で生涯変わらないものである、ほとんどの人を網羅する番号であることが必要であろうと思いますけれども、そういう特質も備え得ないということかと存じます。 つまり、相手方に、納税者側に何ら番号使用の義務がないという点が一つ。それから、税務署ごとに番号を付与しておりますために、税務署から税務署に人が移動すればそれを追いかけていけないといいますか、番号はそこで切れるということになります。それから、何よりも大きい特徴は、整理番号の対象というのは個人の場合は確定申告をした者の一部に限られておりますから、大部分の給与所得者には番号がついていないというようなことが事実としてあろうかと存じます。
○猪熊重二君 要するに、現在プライバシー問題が重要だとおっしゃるけれども、納税者の確定申告、この確定申告書の三枚目のここに書いてあるこの項目は全部コンピューターに入っているんです。だから、全然、プライバシーがどうだこうだとおっしゃるけれども、現にもう国税庁においてこれだけの項目、納税申告書の三枚目のこれだけに書いてあるこの項目は全部コンピューターに入っているんです。プライバシーも何もあったもんじゃない。そういう意味において、プライバシーなんということを理由にするんだったら確定申告者のプライバシーはとっくに侵害されているということを申し上げたい。 いずれにせよ、私が納税者番号制導入を検討したらどうだということは、例えば今回の金丸さんの問題にしたって、あれだけの多額のワリシンを買って利子に対して一八%課税されるだけで、あとは全部ポッケヘ入る。しかも、割引債の購入者のほとんどは個人で一人当たり二、三十億円購入する例は珍しくないんだそうだ。見たこともさわったこともない金だ。三十億円もやったとしたら、この分離課税によって一八%の分離課税だから税金が三千万ももうかるようになっている。金持ちがますますもうかる仕組みになっている。そうじゃなくて、納税者番号制を導入して総合課税して、利子所得、配当所得に対する適正な課税を行うべきだと思う。 労働大臣どうですか。働いている人間は一〇〇%取られている。取られているというと言葉は悪い、一〇〇%課税されているんです。どうです。
○国務大臣(村上正邦君) 勤労者の立場に立ってみますると、おっしゃるとおり、適正、公正、公平な課税の実現は税制上の重要な課題であると思っております。納税者番号制度の導入は、公平確保のためにも一定の効果は持つものと考えますが、大蔵大臣が言いましたように、いろいろ検討しなきゃならぬ問題もあるようでございますけれども、総合課税方式への移行は基本的には望ましいと私は思っております。
○猪熊重二君 グリーンカード制を導入するということが決まった、そのグリーンカード制をつぶした当の張本人がまさにワリシンでこれだけもうけてこれだけ脱税している、このことをよく国民は覚えておかなきゃならぬ。 今、労働大臣のおっしゃるように、労働者は年収四百万、五百万の中から税金を取られている。ところが、分離課税によってぬくぬくと利得している人がいる。こういう不公平な税制のもとにおいて、さらに直間比率の見直したとか言って大衆課税である消費税のさらなる率の値上げたとか、そんなようなことは絶対許すわけにはいかぬ。 次に、使途不明金についてお伺いします。 企業の使途不明金については磯村委員の方からも話ありましたけれども、この平成三年度だけでいいですから使途不明金、特に私が一番問題にしているのはこの使途不明金のうち政治献金と判明した額、その辺の問題についてちょっと説明していただきたい。
○政府委員(瀧川哲男君) 使途不明金のところだけといっても、実はこのもともとの数字がございますので全体からやらせていただきます。 まず、平成三年度につきましてですが、私どもの国税局の調査課が所管する、これは原則として資本金一億円以上の法人になりますが、これについて申し上げます。 調査課の所管法人数は平成四年六月末現在で三万三千七百二十八件ございます。そのうち平成三事務年度に実地調査を実施しましたのは四千七百二十二件、その割合一四%になります。この実地調査を行った法人のうち使途不明金を把握した法人は五百五十四法人、使途不明金総額は五百五十八億円となります。そのうち、調査の結果使途が判明した金額が百三十九億円、使途が判明しないものが四百十九億円となっております。 なお、使途判明及び未判明の件数につきましては、計数を把握してないので残念ながら申し上げることができません。 そこで、使途不明金の総額五百五十八億円のうち使途を解明することができなかった四百十九億円につきましては、結局わからなかったわけでございますので、やむを得ずそれを支出した法人に法人税を課するという形におさめてございます。 また、使途が判明した金額百三十九億円でございますが、これについて申し上げますと、支出先に課税できるほど十分に確認できたものにつきましてはその支出先に課税する一方、その支出金額に損金性があれば支出法人の損金として取り扱うこととしています。ただ、大部分の支出金額につきましては交際費や寄附金に該当する場合が多く、交際費につきましては原則として全額損金不算入、寄附金につきましては一定の限度額を超える部分の金額が損金不算入とされることになります。 さっきの五百五十八億円というのはリベートとか手数料とか交際費等に充てられたと思われますが、その七五%の四百十九億円は先ほど申し上げたように使途を解明するに至らなかったわけでございます。百三十九億円につきましては先ほど申し上げましたように判明したわけでございますが、このうちに政治献金と見られるものが二十四億円程度ございます。
○猪熊重二君 要するに、平成三年度企業使途不明金のうち二十四億円は政治献金だという。しかも、これは隠れた政治献金なんだ。だから、二十四億円を企業が出して二十四億円をもらった政治家がいる。しかも、この二十四億円は使途不明金というくらいな形で裏から来るから、政治資金規正法上はほとんど記帳も報告もされていないんだろうと思うんです。 この二十四億円の政治資金の使途の行き光とかそれに対する課税とか、その辺は国税庁としてどのように処理しましたか。
○政府委員(瀧川哲男君) 使途不明金のうち明らかに政治献金であることが確認できたものにつきましては一般に寄附金として取り扱うわけでございまして、支出先に対しても課税することとしております。しかしながら、支出先に課税できるほど十分に確認ができないものもございまして、これにつきましてはやむを得ず使途不明金として支出法人に法人税を課税する、つまり損金を否認するということで処理してございます。
○猪熊重二君 そうじゃないよ。政治資金として二十四億ある。これの行方をどう追及して、それを全然申告も何もせぬ、政治資金として受け取った政治家に対する課税はどうなっているんだと聞いているんだ。
○政府委員(瀧川哲男君) 先ほども申し上げましたように、支出先がわかっているものについては課税処理をいたしております。それから、使途不明金の支出先につきましては、その解明に、その後課税処理に大変時間がかかるものもありますし、あるいは課税の際に何年度分もやったりするわけです。数字の面でとらえてはおりませんので、やるべきことはきちっとやっているということで御理解いただきたいと思います。
○猪熊重二君 やるべきことをやっているというんじゃ、何を言っているんだか全然わからない。要するに、二十四億円といったら大変な金でしょう。皆さん方はどうか知らぬけど、私にとってはえらい金である。これだけの二十四億円の金を裏からもらった政治家がいるということを許せぬということなんです。これに対する課税をどうしたんだと聞いているんです。 やったとかやらぬとか、何もしませんでしたとか、もう少し明確に答えてくださいよ。
○政府委員(瀧川哲男君) 要するに、一線におきましてはきちっと課税しておるわけでございますけれども、私どもはその数字を追跡して把握するということは大変難しいということを申し上げておるわけでございまして、やるべきことはやっておるということでございます。
○猪熊重二君 要するに、そんなことを言ってたんじゃだれも納得しないんだ。そんな答弁では。 いずよにせよ、この使途不明金、企業の方も使途不明金を出す、これを受け取る方もいろんなところが受け取るだろうけれども、政治家も大分受け取っている。特にこの使途不明金の八割近くは建設業界の、建設業の会社の関連だと、こういうことになっている。このような使途不明金の商法上の処理というか責任について、法務省にお伺いしたい。
○政府委員(清水湛君) お答えいたします。 いわゆる使途不明金という概念は商法の分野では認められていないわけでございます。商法上要請される貸借対照表とかあるいは損益計算書というのは会社の財産及び損益の状況を正確に判断することができるように明瞭に記載しなければならない、こういうことになっているわけでございまして、いわゆる使途不明金とされるものについても、いずれかの費目、例えば交際費とかそういった名目で分類されて会計帳簿に記載されておる、こういうことになっておるわけでございます。 そして、もしこのいわゆる使途不明金につきまして会社の計算書類等に不実の記載をしたということになりますと、これに関与した取締役について過料の制裁が科せられるとかあるいは会社または第三者に対して損害賠償責任を負うとか、さらには自己または第三者の利益を図るためにそういったいわば粉飾的な経理をするということになりますと、商法上の特別背任罪に該当することもあり得る、こういうふうになっているわけでございます。
○猪熊重二君 総理、この使途不明金の問題に関して内閣としてもう少し検討して、どういう処置を講じたらいいか、大蔵、法務いろんな関係省庁があるでしょうから、もう少しこういうものがなくなるような方策について検討する御意思はありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは専門家が長いこと頭を痛めている問題でございますけれども、法人側において使途不明ということを主張し、また実際調査をしても使途が不明であるというときは、それを否認するしかない、損金扱いはできないということ、それが私は税法上の処理であるというふうに考えます。
○猪熊重二君 今、それは国税の問題とすればそういう課税の問題だと。そうじゃなくて、商法上も要するに取締役、監査役の忠実義務違反の問題だとか、状況によっては特別背任の問題とかになり得る余地がある。いろんな問題があるから総合的に使途不明金問題について検討するということが必要なんじゃないでしょうか、こういう意味で申し上げたんです。 いずれにせよ、時間がありませんので関連質問の方を先にお願いします。
○理事(井上裕君) 関連質疑を許します。荒木清寛君。
○荒木清寛君 租税特別措置法四十一条の十六によりますと、政治団体に対する個人献金につきましては一定の要件のもと寄附金控除の対象となっております。この制度の趣旨を説明してください。
○政府委員(濱本英輔君) 一般に政治活動に関します寄附金の控除に関しましていろいろな御議論がございまして、昭和五十年の政治資金規正法の一部を改正する法律の規定によりまして、個人のする政治活動に関する寄附金で政治資金規正法または公職選挙法の規定による報告がされているものについては、租税特別措置法の定めるところにより、税法上の優遇措置を講ずるものとされたことによりまして特例が設けられたわけでございます。 具体的には、個人のする政治活動に関する寄附金でその今申し上げましたような法律の規定に係ります報告がなされているものにつきましては、一定のものについて寄附金控除の対象とされているわけでございますが、政治資金規正法や公職選挙法により報告されたものでありましても、政治資金規正法の規定に違反することとなります寄附が中にございましたり、あるいはその寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められるような寄附は寄附金控除の対象にならないというのがこの租税特別措置法四十一条の十六の趣旨がと存じます。
○荒木清寛君 立法の趣旨はどういうところにあるんですか。この制度の目的です。
○国務大臣(林義郎君) これは五十一年に政治資金規正法を改正いたしました。それまで、政治資金というのは青天井と申しますか制限がなかったわけであります。そのときに、個人献金をやはり重視していこうではないかというような考え方もございまして、法人についてはこういうことはやっておりませんけれども、個人の場合には、一つにはそういう個人献金をやはり重視していくということが当時の政治資金規正法の一つの物の考え方だったものですからそういうふうな形をやったわけであります。 当時の趣旨としてはそういった形でやったわけでありまして、その後運用しておりましたならばいろんな問題もあったと思いますが、現在ではそういった形で個人がやはり政治活動に寄附をするというような形での運用ということになっているように御理解を賜りたい、こう思います。
○荒木清寛君 自民党の愛知県会議員十七名、名古屋市会議員十名がいわゆる回し献金を行っていたことが判明をいたしました。この事案の概要と、この回し献金が寄附金控除の対象となるのかどうか、お答えを願います。
○国務大臣(林義郎君) 御指摘の愛知県における回し献金事件というんですか、その話は新聞報道では承知しておりますけれども、事件の概要について、個別の事件に当たるものでございますから答弁は差し控えさせていただきたい、こう思います。
○荒木清寛君 国税当局及び自治省はこのいわゆる愛知の回し献金問題につきまして調査をし対処をしているわけでありますけれども、その内容について報告を求めます。
○政府委員(瀧川哲男君) いわゆる回し献金等をしまして寄附金控除を受けたというような報道が昨年の秋ごろから報道されたわけでございまして、それを踏まえまして、今度の確定申告の時期に合わせて皆様方にお配りしています国会議員へのチラシ、これは「平成四年分の所得税の確定申告について」というチラシですが、この中に寄附金控除に関する周知文を追加掲載させていただきまして皆様に御周知いただいたわけでございます。 一方では、各都道府県の選挙管理委員会等の窓口に「政治活動に関する寄附をした場合の寄附金控除について」という周知文を備えつけまして、適正な寄附金控除の適用について周知を図ったと。これは私どもとそれから自治省の連名で掲載させていただいた、こういうことでございます。
○荒木清寛君 私がお聞きしておりますのは、当該のその愛知の事件についてどういう調査をしたのかどういう対処をしたのか、脱税事案としてこの更正決定あるいは重加算税等徴収をしたのか、そういうことをお聞きしているわけです。
○政府委員(瀧川哲男君) その件につきましては、先ほど大臣から、個別に当たる事柄でございますので答弁することは差し控えさせていただきたいとお答えさせていただいたわけでございます。 私ども一般論で言いますと、常に適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じましていろいろな資料、情報を集めているわけでございますが、寄附金控除につきましても、課税上問題があるという場合には実地調査を行うなどによって適正な課税に努めておるところでございます。 今後ともそういった考え方で適時適切に対処していきたい、こう思っております。
○荒木清寛君 個別にだれが幾らと、そういうことは結構ですから、修正申告をさせたのか、あるいは脱税事件として更正決定をして重加算税等の加算税を課したのか、その点について重ねてお聞きいたします。
○国務大臣(林義郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、個別の案件につきましては御答弁するのは差し控えさせていただきたいと思いますが、いわゆる回し献金というやつはやはり初めの法律の中においても認められていないところでありますし、私は、そういったものはこの寄附金控除の対象にならないものだろう、こう思っておりますから、そういった形でしかるべき措置が当然されておるものだろう、一般論として申し上げるならば私はそういうことだと思います。 ただ、具体的に何先生にどうしたとか、何さんにどうしたとかというような話までお答えするのはいささか度を過ぎているところではないか。国税の秘密保持義務というか守秘義務の範囲を超えるものだろう、こう思いますので御容赦をいただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○荒木清寛君 同じことを聞くわけですけれども、個別の問題は結構ですから、全体として脱税事件としての処理をしたのかどうか、この愛知県でですね。それについて重ねてお尋ねいたします。
○政府委員(瀧川哲男君) 今お尋ねの件は個別の事柄にわたることでございますので、やはり答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○荒木清寛君 押し問答になりますからやめておきますけれども、この愛知の事案におきましては修正申告という形で三年間について自主的に修正申告をさせている、そういう結果であります。しかし、これは寄附をした者に特別の利益が及ぶ、そういうことを隠して申告して寄附金控除を受けているわけでありますから、これはまさに脱税事案でありまして、そういった意味での調査といいますか対応が必要であったんじゃないかというふうに私は考えます。 そのほかの地域におきましても過去に同様な事例があったのかどうか、報告を求めます。
○政府委員(瀧川哲男君) 私ども、新聞報道で若干あったような記憶がありますけれども、詳細には承知しておりません。
○荒木清寛君 いわゆる回し献金として国税庁が修正申告をさせた、あるいは更正決定をしたという事例はほかの県ではないんですか。
○国務大臣(林義郎君) 私からお答え申し上げますが、回し献金というのは、今愛知県のお話がありましたね。皆ちょっと悪いことを考えようと思ったら気がつくような話だろうと、正直言って思います、私も。そうしたことのないような形でやっぱりやらなければならない。 先ほど申しましたように、法の趣旨は個人献金を推奨していきましょう、企業献金ではなくてと、こういうことでありますから、それを免れたやり方だと思いますし、税法がやっぱりそういったことを許しておったんじゃいけない、こう思っております。そうした意味で、今回のこの確定申告の時期に合わせまして国税庁から国会議員用のチラシも、「平成四年分の所得税の確定申告について」というもので、こういったことはだめですよとこういう話をチラシの中に入れて配付いたしましたり、適正な寄附金控除の適用について周知徹底を図るということの努力を私たちの方はしておるところでございます。
○荒木清寛君 国会議員に限らず議員というのは、議会を通して税金の取り方、使い方を決め、監視をしていくというのが使命であります。その議員が脱税をするということは、金額のいかんにかかわらず、国民にとってはこれ以上腹立たしいことはないというふうに私思うわけでありまして、この際、全国的にこの回し献金の有無について国税庁に調査をしていただきたい。金丸問題で忙しいのであれば、それが終わってからでも結構ですからやっていただきたいというふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、決していいことではない、いわば免れてやった行為だと私は思いますから、こういったことがないようにいろんな周知徹底を図っていくということも必要だろうと思いますし、また、もしもそういったようなことがありましたならば、税を取る方といたしましたならば、やっぱりこれは国民ひとしく税金というのを納めてもらわなければならない、政治家だから税をまけるとかどうだという話は絶対いかぬのだと思います。国民ひとしく同じように税金は税金として払わなければならない。これは私は大原則だと思いますから、そういったことのないようにいろんな形での周知徹底、また検討をさせてみたい、こういうふうに考えております。
○荒木清寛君 周知徹底も結構なんですけれども、過去に起こったことについての税務調査という点で、もう少し積極的にやっていただけませんか。
○政府委員(瀧川哲男君) そういった報道がありますし、そういったことを踏まえまして、もう既に各国税局に対しましてこういったことがあるということで注意喚起をさせていただいております。
○荒木清寛君 先ほど、確定申告に際しまして、ことしは注意書き等を配付したというお話でありましたけれども、今後の再発防止策としまして、その一枚の注意書きで果たしてこういった回し献金の再発防止ができるものかどうか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) お答え申し上げます。 いろんな点で、先ほど申しましたように、政治家でもやはり納めるべきものはちゃんと納めてもらうというのが基本原則であります。それでなければ国民皆納得しないと思いますから、私はそういった形での徹底を図っていく。やはり国税庁もいろんな形で注意をしてやらなければならない、国税の職員も注意をしてやらなければなりませんが、やっぱり払う方の方が本当に真面目になって払うということの納税道義というものの問題も私はあるだろうと、こう思いますので、そういったものが両々相まってやれるようにいろんな形で宣伝等もいたしたい、こういうふうに考えているところでございます。
○荒木清寛君 先ほど大蔵大臣がおっしゃいましたように、これはちょっと考えるとだれでも思いつく事案でありますから、極めて再発の可能性が高いと思います。 そこで、私は総理にお尋ねをしますけれども、この再発防止という観点からも、議員が行う個人献金については寄附金控除の対象から除外するべきである。そもそもこの優遇措置の趣旨は、一般市民が政治に容易に参加をできるようにするということであって、決して政治家の行う政治献金というのを念頭に置いたものではない、そのように考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 税の方の立場から申しますと、ひとしくということでございますから、個々人が行う、例えば先生なり私が税を払うという、こういうことでも同じ取り扱いになるだろうと思うんです。むしろ、政治家がどうだこうだという問題は政治資金規正法の方の話、あるいは政治家の払うところの資金の規制をどうするか、こういうことになるんではないか、法律論としてはそういうことになるんじゃないかな、こう思います。 いずれにいたしましても、これはそういったお話になれば、私は全体の問題として考えていかなければならない一つの問題がな、こう思っているところでございます。
○国務大臣(村田敬次郎君) 先ほどからの御質問、政治資金規正法上からの立場を申し上げてみたいと思います。 政治資金規正法上は、自治大臣または都道府県選挙管理委員会に認められている監督上の権限というのはいわゆる形式審査権でありまして、実質的に内容を審査するという権限は与えられておらないわけです。これは政治資金規正法上三十一条に明定をされているところでありまして、したがって実態を自治大臣または都道府県選挙管理委員会が詳しく調べて、そしてこれに対応するということは法律上許されておりません。 したがって、先ほど来両委員から非常に熱心な御質問のある点は、今後一体これに対する抜本的な解決策があるかという問題で、実は国税上の取り扱いとしては非常に国税当局でも捕捉に困難をきわめておる、そういうことが大蔵大臣、また当局の御答弁ではっきりしておるわけでございまして、現在自民党の抜本改革案では、公私の峻別を徹底するという見地から、政治家個人は原則として政治活動に関する寄附は受け取ることができないこととしておりますし、これによって政治家間の寄附も禁止されることとなるということで自民党の抜本改革案ではそれが出ているわけでございます。 これは各党間でも、非常にこの問題は今までは政治資金規正法上のいわば一つの盲点という点があったわけでございますから、これからの法案化に向かって各党が最終的な論議をしっかりと詰めて進めていただくことだと思っておりまして、これに対する解決案というのは各党で今非常に熱心に御議論をいただいておるところだと私は承知しております。
○荒木清寛君 次に、交通安全問題につきましてお尋ねをいたします。 公明党愛知県本部では私が推進本部長となりまして、一昨年以来通学路総点検を行ってまいりました。県下ほぼすべての小学校で、約四万二千人の方の協力を得まして実施をいたしました。その結果、歩道の幅が狭い通学路が全体の五八・五%ある等、一言で言いますと通学路の狭い、危ない、歩きづらいと、そういう実態が明らかになったわけであります。 そこで、昨年の六月十八日に我が党は建設大臣に対しまして、全国の通学路について緊急に通学路総点検を実施していただきたい、そのような申し出を行ったわけでございます。 第十一次道路五カ年計画の案によりますと、通学路の安全点検調査を行う、そういう項目がございまして大変に感謝をしておりますけれども、そこで、この安全点検の実施の範囲、具体的な実施の方法、実施の時期、そしてその予算措置についてお尋ねをいたします。
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。 先生御指摘をいただきました通学路の安全対策につきましては、第十一次道路五カ年計画において生活者の豊かさの視点から、暮らしの安全性の向上を主要課題として取り上げ、交通安全対策、特に児童、高齢者等のための道路整備等を推進していく方針でありますが、平成三年度に実は幼稚園、小学校の園児児童が通学中に事故に遭われた数が五千二百八十八人、その中で三十九人の方がお亡くなりになっております。 それだけに御指摘をいただいた点が非常に重要であると、このように考えておりまして、建設省といたしましては、平成五年度より実施する通学路安全点検調査について小学校、警察など関係機関との協力を得ながら、児童と一緒に歩いて点検する、児童の目の高さで点検する等、児童の立場からきめ細かく点検を行うとともに、点検結果に基づいて交通安全施設等の整備を推進し児童等の安全確保を図っていきたい、このように考えております。
○荒木清寛君 予算措置はどうですか。
○政府委員(藤井治芳君) 今、大臣から申し上げました方針に沿いまして、私どもこの計画が確定いたしましたらすぐにでも、ことしの夏までに、まず各都道府県全国一斉に幾つかの学校を選びましてモデル調査をさせていただこうと思います。 なぜやるかというと、どういう調査が本当にわかるか。今までも点検をやってまいりました。しかし、十分ではないだろうと。 では、どういう調査、これは東京のような場合と愛知県の場合、四国の場合、全部違うと思います。そういうようなことで、どういう調査がいいかを調べて、全国の小学校約二万四千校ぐらいございますが、それに沿ってこれを一斉にやらせていただこうと思っております。 その際、歩道とあるいは立体横断施設、防護さく、道路標識、照明、こういったようなものについて実施するわけでございますが、その場合に幾つかのやり方を考えております。 それは、まずそのベースになるのは小学校だとか子供に関係する方々、それから警察、道路管理者が一緒になって検討会をつくります。そして、通学路がいわゆる単発じゃなくてネットワークとして使えなければ意味がありませんので、ネットワークを構成するようにするにはどうしたらいいか、こういう対策だと思います。その際に、例えば交通規制等もお願いしてコミュニティー道路として整備する、あるいは別ルートとして歩行者専用道路を設置する、あるいは道路を少しいじりまして歩道を設置するとかいろんなやり方が考えられます。 そういうことで、私ども今回の補助率の全国的な全体的な見直しの中で、通常の事業は二分の一ということになっておりますが、十分の五・五ということでこの通学路についてはお認めいただいておりますので、そのような形でこれから一生懸命やらせていただきたいと思っております。
○荒木清寛君 最後に総理、総理は中央交通安全対策会議の会長でございます。この車社会から子供の命を守るためにどのような決意をお持ちかお聞きいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただでさえ年間の交通事故で死ぬ人が一万人を突破するというような現在の情勢でございますが、そのこと自身が非常に社会的な問題でありますけれども、いわんやその中で小学生については、殊に国も地方もみんな関係者が配慮していかなければならない重大な問題だと思っております。
○猪熊重二君 国税庁にお伺いします。 土地建物を新しく取得した場合に、国税庁としてはいろいろ取得資金等について調査していると思いますが、どのような調査をしているかお教えください。
○政府委員(瀧川哲男君) 不動産取引に関してでございますが、従来から移転に関する登記等の資料、これは当然のことでございますが、そのほか不動産の譲渡等に関する資料など大変広範囲な資料、情報の収集と蓄積というものを図ってきております。それと、納税者から提出された申告書等と不動産取引にかかわる私どもが集積した資料、情報等を含めた各種資料、情報等を総合検討いたしまして課税対象者というものを選定している、こういうようなやり方をしております。
○猪熊重二君 私が政治家の土地建物の取得についてもきちんとそのような取得原資の調査をしているのかと伺ったら、国税庁は、やっています、間違いなく全部きちんとやっていますと、こうおっしゃった。 ところが、金丸前議員の山梨県の自宅の改築費用、これは概算約三億円だそうですが、これが平成三年にできている。これについての取得原資の調査はされたんですか。
○政府委員(瀧川哲男君) 個々の納税者の方々の個別にわたる事柄でございますので、納税者の協力を必要とする、前提とする私どもの行政上、従来からそういったことについてお話しすることは控えさせていただいているところでございます。 国会議員の方々につきましても納税者という面では一般納税者と変わるところはございませんので、私ども異なる取り扱いをすることはむしろ不適当であるというように考えておりますので、どのような問題であれ、それなりに時期を選び適切なときに対処する、こういうことでございます。
○猪熊重二君 三月十八日の新聞報道によれば、東京国税局は、年間二千万円前後と申告された過去十年間の金丸前副総裁の個人所得から改築資金を出すのは不可能と判断して今般調査したと書いてある。 こんなの、平成三年の春に建てたときに、三億円のものが二千万円ぐらいの総所得の金額の人が建てられるか建てられないか、こんなことは今になってわかることじゃないんだ、そのときからわかっている。全然やっていない。もし今やったとしたら、どうなるか。この新聞報道はうそなんですか。
○政府委員(瀧川哲男君) 金丸前議員の昭和六十三年分以降の容疑につきましては、現在、東京地方検察庁、それから私どもの東京国税局において引き続き捜査、調査中であるわけでございまして、これ以上の答弁につきましては差し控えさせていただきたいと思います。
○猪熊重二君 要するに、どっちみち裏金だからどこか目に見えるものから捜していくよりしょうがないんだ。不動産があって、立派な家屋敷をつくったら、どこから銭を持ってきたんだと。あるいはちゃんとさっき言ったワリシンなんかも、無記名じゃなくて、名前がわかっていればそこから出てくるんです。 ところが、こういう不動産の取得原資がどこから出てきたのかということについて、政治家についての調査は国民の調査レベルと同じだと言うけれども、そんなの私は間違っていると思う。国民一般に対する調査の方がもっときついんだ。それで、政治家に対する税務調査が全然なされていない。こういう不公平は許しがたいことなんです。もう少し身にしみて、政治家に対する調査をやるかどうかということについて、国税はどう思いますか。
○政府委員(瀧川哲男君) 先ほども申し上げましたけれども、政治家の方々も納税者として私どもは全く同一として考えておりまして、調査につきましても全く同一の方針で臨んでおります。 なお、新聞にいろいろ出ておりますけれども、私どもが現場の連中にいろいろ聞いてみますと、政治家の方々に対する調査の割合というのはむしろもっと大変多いというように私は聞いております。
○猪熊重二君 時間がありませんから申し上げますけれども、国会議員は憲法上地位を保障され、歳費を保障され、しかも免責特権、不逮捕特権という、これだけの国民から違った意味での特権を与えられているんです。この国会議員が一般国民以上にもっと身を厳正にせにゃならぬというのは当たり前のことなんです。プライバシーの問題だとか、あるいは一般税務調査の問題であるとか、国民よりもこれだけの特権を持っていながら、さらにぬくぬくと金もうけに走るなんて許しがたいことだという意味において、総理、これから半年間ぐらい、一年かかってもいいから国会議員の全資産を調査する特別な査察をやる、特別調査をやる、こういうことを私は提案したいんですが、どうですか。 そうでなければ国民は納得しない。もう時間がないけれども、大体あなた歳費一千数百万もらっただけでこんな家が建つか。私なんかそれで食っていくだけで精いっぱいだ。それなのに、何であんなに土地が買えて家が買えるんですか。その銭はどこから出てくるのかということについて、全国会議員を半年でも一年でもかかって、ほかの国民のちゃちな脱税はもういいから、国会議員を全部それをやったらどうか。私はそれを提案したい。御意見を伺いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国会議員は特に戒心をしなければならないという御指摘はまことに同感であります。また、行政は国会議員であるがゆえに手かげんをするというようなことはもちろんあってならないことであります。
○猪熊重二君 終わります。時間です。
○理事(井上裕君) 以上で猪熊君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○理事(井上裕君) 次に、肥田美代子君の質疑を行います。肥田君。
○肥田美代子君 最近、国立大学病院、国立病院の薬代の滞納が大変問題になっております。日本の医療の中核をなす東大病院にさえそういう大きな滞納があるということが報道されましたけれども、その事実関係についてお尋ねします。
○政府委員(吉田茂君) 東大病院等国立大学病院の一部におきます物品の代金支払いに関する今回の事態についてでございますが、文部省で調査いたしましたところ、平成四年四月から十二月末までに納入されました御指摘のような物品のうち、平成五年一月未現在において支払いがなされていなかったものは三十一大学で約百億円と相なっております。これらにつきましては、業者との間の長い取引の実態に従ってきていたということがございますが、これまでにすべて支払いを終了しております。
○肥田美代子君 今度の病院の滞納につきまして、私は国立大学病院だけかと思っておりましたら、最近報道されましたのは国立病院ですね、ここにも滞納があったということで私はびっくりいたしました。やっぱり厚生省は医療の中核を担っていらっしゃるわけですから、こういう管轄の病院に滞納があったということについて、私は大変大きな問題と思いまして厚生省に調査を早速お願いしたわけです。このデータにつきまして、多分役所の方が出てきて数値をお話しなさるのが普通だとは思いますけれども、私は今回に限っては厚生大臣にきちんとお話しいただきたいなと思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) お答えいたします。 国立病院の中で医薬品の代金が滞納、遅納しておるということは私も承知をいたしております。滞納、遅納の原因でございますけれども、やはり国立病院のあり方というものが今厳しく問われておるわけでございまして、国立病院自身がいわゆる経営改善というものを前面に掲げておる、そういう中でこれもできるだけ医薬品を安く購入したいと、こういうことで大変価格交渉に手間がかかったということがまず第一点でございます。 それから御案内のように、平成四年度からいわゆる薬価基準の算定方式というものが変わりました。バルク方式から加重方式に変わりました。それからいわゆる流通改善、こういうものがございまして大変調整に手間がかかった、このように承っておるような次第でございます。 いずれにいたしましても、国立病院のいわゆる経営の改善というものは今後とも進めていかなければならないわけでございますけれども、公的な機関が誤解を受けないように今後指導していく決意でございます。
○肥田美代子君 今、先に原因をおっしゃっていただいたんですけれども、まず実態調査の結果についてきちんとお話ししていただきたいと思うんです。それを厚生大臣にお願いしたんですが、私はこの数値というのはとっても重いと思うんです。それで、事務方にお話しいただくよりも後のお話の続きがとってもスムーズにまいりますので、ぜひこれは厚生大臣にお願いいたします。答えるのに大した手数がかかることじゃないと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(田中健次君) 事務的なお話でございますので、政府委員から答弁をさせていただきたいと思います。 それで、今般、ことしの三月一日現在で把握した限りにおきましては、百十三の施設におきまして医薬品及び器材の消耗品の納入に対します未払いが生じておりまして、それは昨年の四月から十一月までに納入された分が四十六億円、それから十二月に納入された分が五十九億円で、十二月までで合計百五億円となっております。 それで、国立病院・療養所はたくさん数がございまして、この未払い額は全体のどのような割合になるかということを申しますと、この百五億円と申しますのは本年度の予算額に対する割合は四・七%でございます。それから、百十三の施設で未納があったわけでございますが、その施設に対する割合は四七・九%と、こういうことになります。
○肥田美代子君 私は今、厚生大臣にお伺いしたんです。確かに数字ですから事務方でいいという考え方もございますでしょうけれども、私は国会議員といたしまして国会議員にお伺いしたんですから、この場合、私は大ざっぱな数でもいいですから厚生大臣が答えてくださることが本当だと思うんです。もし私の考え方が違っていたら、厚生大臣、おっしゃってください。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私の手元にある資料は、ただいま部長が申し上げました資料と同じでございます。
○肥田美代子君 私は、かねがねちょっと不思議だなと思ってまいりましたのですね。私には政府委員はちっともついてくれなくて、大臣の方ではそうやって数値の方はさっさとおっしゃる方がいらっしゃる。確かにこれはここの国会の風習、習慣だと思いますのですが、私は、やはりお願いしたことだけは大臣が答えてくださる、そういうことにしないと私たちの立場もないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 誠意を持って答えさせていただきたいと思います。お許しいただきます。
○肥田美代子君 私は数値に関してお願いしているんです。しつこいようですけれども、厚生大臣はどうしてそんなにこだわっていらっしゃるんでしょうか。私は淡々と厚生大臣に数値をお願いしますというふうに申し上げたんですけれども。
○国務大臣(丹羽雄哉君) お答えをいたします。 本年三月一日現在で把握した限り、百十三施設において医薬品及び器材消耗品の納入に対する未払いが生じております。四月から十一月までに納入された分で四十六億円、十二月に納入された分で五十九億円の計百五億円となっております。この未払い額は本年度予算額に対しまして四・七%、施設数に対しまして四七・九%でございます。
○肥田美代子君 ありがとうございました。大変失礼なことを申し上げて済みませんでした。 それで、百十三施設で百五億ですね。これは一施設に直しますと大体一億円の滞納ということになりますけれども、この中で本当に飛び抜けて多い額というのはどことどことどこでございましょうか。
○政府委員(田中健次君) 個々の国立病院におきます未払い額につきましては、これは日々状況が変わっておりまして一概に申し上げにくい状況でございますけれども、国立病院医療センター、それから国立京都病院で平成四年十二月までに納入された医薬品と器材消耗品につきましてことし三月一日時点で未払いになっていた金額は、それぞれおよそ七億円程度でございます。
○肥田美代子君 あとは。
○政府委員(田中健次君) 同じ時点でこれに同程度の遅延になっておりますのは、国立札幌病院がおよそ七億円程度、それから国立長崎中央病院でおよそ六億円程度の未払い状況となっておったというふうに承知をいたしております。
○肥田美代子君 大変な金額です。さっき厚生大臣からその理由についてお話しいただきましたので、次に参ります。 支払い遅延防止法というのがございますけれども、これはどうしてこういうことが立法されたのか、そのことについて説明してください。
○政府委員(藤井威君) 御指摘の政府契約の支払遅延防止等に関する法律というものがございます。昭和二十四年にできた法律でございますが、この法律の第一条に目的が記されております。それによりますと、「この法律は、政府契約の支払遅延防止等その公正化をはかるとともに、国の会計経理事務処理の能率化を促進し、もって国民経済の健全な運行に資することを目的とする。」というふうに書いてございます。
○肥田美代子君 内容についてもお願いします。
○政府委員(藤井威君) 内容ということでございますが、主な内容は、国の会計事務を処理する職員が故意または過失により国の支払いを著しく遅延させたとき、懲戒処分に値するという条文がございます。さらに、国が遅延日数、いわゆる細かい点を除きますと工事代金については四十日、その他は三十日、適法な支払い請求書を受領した日からこれを超えた日数支払いが遅延した場合に遅延利息を支払わなければならない、こういうような内容のものでございます。
○肥田美代子君 厚生省に伺いますが、今回の場合、これは法律違反に当たるんでしょうか、当たらないんでしょうか。
○政府委員(田中健次君) 国立病院・療養所におきましては、納品後の事務手続等いろいろございますが、これを適切に処理いたしておりまして、ただいまもお話がございましたが、支払い請求書の提出がありますと、これを内容をよく検証いたしまして、ただいまの支払い遅延防止法、この法律の範囲内で会計処理を行っているところでございます。私どもは、その法律の範囲内で処理を行っている、こういうふうに理解をいたしております。
○肥田美代子君 何カ月も滞納がありましてそれで支払い遅延防止法の範囲内だとおっしゃるのは、いろいろとその中にわけがおありだと思いますけれども、それは後にいたしまして、会計検査院は東大病院を調査されたと聞いておりますけれども、今後どのように対応していかれますか、ほかの病院についても。
○説明員(平岡哲也君) 国立大学の附属病院の未払い、支払いのおくれの問題につきましては、新年度以降各大学の定期検査の際にあわせて大学病院の検査を行う予定でありますが、この未払い、支払いのおくれの問題につきましても十分注意して検査をしてまいりたいと思っております。
○肥田美代子君 定期検査の中でとおっしゃいますけれども、これは私たち聞いておりましても大変な問題だと思うんですね。ですから、本当に定期検査の中だけでいいんでしょうかね。
○説明員(平岡哲也君) 全国に附属病院を持っております大学は四十二ほどございますけれども、定期検査におきましてこれの相当部分、半分以上の検査を実施する予定になっておりまして、そういうことで対処してまいりたいと思っております。
○肥田美代子君 もう一度伺いますが、じゃ積極的にしていくということなんでしょうか、私ちょっと姿勢がよくわからないんですけれども。大したことないと思っていらっしゃるのか、大したことだと思っていらっしゃるのか、その辺も加えてお願いします。
○説明員(平岡哲也君) 国立大学の附属病院というものは先進的な高度の医療を施すということで、そういうお立場にあるということは事実でございますけれども、また同時に、会計上のルールというものはきちんと守っていただかなければならないというふうに考えております。そんな意味でこの問題について積極的に十分な検査をしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
○肥田美代子君 先ほど厚生省の方から遅延防止法にはひっかからないというふうに御答弁いただいたんですけれども、内情は違います。確かに形式上はそうなっておりますけれども、業者が納入しますね、そしてそれが仮納入ということになりまして請求書に日付を入れないんですね。それで、大学病院が支払うというときになって日付を入れる。そうすると一カ月の遅延防止法にはひっかからないわけですね。そういう事情がありますものですから私は会計検査院に伺っているんですけれども、このことについては本当に積極的に調査していただきたいと思います。 それから、こういう高額の滞納が起きますと問屋さんが厳しいんですよ。もう破産したところもあるというふうに報道されております。やはり薬は人間の命にかかわるということで、問屋さんが薬を納入しないわけにはいかない。しかし、納入すると、さっき厚生大臣がおっしゃいましたように、なかなか価格が決まらないわけですね。ですから、払ってもらうまで泣く泣く待っているわけですけれども、請求書に日付が入ってないから三十日はきちんと形式上守られている形になっている。ですから、これはかなり弱いところにひずみがきているというふうな感じを持つんですけれども、厚生大臣、こういう実情をどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) そういう事実がないように、先生御案内のように、新しく薬価基準の算定方式というものを改めました。それから、いわゆる流通改善というような、いわゆる医療機関の言いなりによって値段が決まる、そういうことを改めるということで流通改善を決めたわけでございますが、そういうような国立病院における事実は私は承知しておりませんけれども、十分にあらぬ誤解を受けないように指導していく決意でございます。
○肥田美代子君 確かに厚生大臣がおっしゃるように、そういう理由は承知いたしております。しかし、やはり国立大学とか国立大学病院というのは大変財政が苦しいんじゃないですか。 例えば、厚生省にお伺いしますけれども、東大病院でインターフェロン、C型肝炎のお薬なんですけれども、これをどのぐらい購入しておりますか。
○政府委員(吉田茂君) 東大病院という御指摘でございましたので私どもから答弁申し上げたいと存じますが、インターフェロンにつきましては、肝炎の薬というような面で新たにまた保険請求の対象になったわけでございまして、最近非常に使い始められておるという状況にあるわけでございますが、具体的に大学に配分いたしました医療費の範囲内で各大学が判断しながら薬剤費等を使用しておりますので、予算執行段階におきます個々の薬剤費の額については把握はしておりませんが、最近これが多く使い始められておるのは事実でございます。
○肥田美代子君 そのインターフェロンの購入額が、例えば東大病院の場合、かなり財政を圧迫しているというふうにお考えになりますか。
○政府委員(吉田茂君) 私どもそれぞれ予算で決められております医療費の範囲内での予算執行という形になってくるわけでございますが、インターフェロンの使用量がふえつつあるということはその分、御指摘のように、経費に影響が出てきているということは言えるのではないかと思います。
○肥田美代子君 やっぱり国立病院や国立大学病院というのは先端医療になっているわけですから、そこのところの苦しさをもうちょっと理解してあげてほしいなと私は思います。 それで、薬の値段がなかなか妥結しないものですから、そのしわ寄せが民間の小さい業者にやってきている。そして、言いかえれば病院経営が民間の犠牲によって今は成り立っているというふうに私は考えるわけです。ですから、ここでどうしてもきちっとした対策が必要じゃないかと思うんですけれども、例えば必要ならば病院予算の増額でありますとか診療報酬の見直し、会計処理上の問題等、本当に緊急に改善すべきことがあるんじゃないでしょうか。文部大臣それから厚生大臣、お尋ねします。
○国務大臣(森山眞弓君) 大学病院というのは治療だけではなくて教育とか研究とかいうこともその使命の一つになっておりますので、普通の大学の学部やあるいは一般のほかの病院、治療を主としておられる病院ともまた違った役目があると思います。 したがって、その運営、経営は大変難しい面があろうと思いますが、しかしそのために人様に御迷惑をかけるということが許されるわけでもございませんので、今後は御指摘のような問題が二度と起こらないようにいろんな面で指導してまいりたいと考えているところでございます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) お答えをいたします。 最近、国立病院もさることながら、民間病院におきましても経営の危機というものが指摘されておるわけでございます。そこで、私どもはその原因がどこにあるのかということで、近々実態調査をすることで今準備をいたしております。いわゆる看護婦さんなどの人材の高騰によるものなのか、あるいは最近は医療機器が大変高額医療機器が導入されておるわけでございますが、そういうところにあるのか、あるいは先ほどから御指摘がございます医薬品のいわゆる差額というものが非常に少なくなってきておる、こういうところに原因があるのか、さらにバブルによる影響なのか、そういうことを含めまして民間病院についていろいろこれから近々、夏ごろをめどに実態調査をする、こういう方針でございます。 国立病院・療養所のあり方につきましては、いわゆる民間病院と競合するのではなくて、いわゆる難病であるとか専門的な特殊分野を中心にしてこれから要するに国立病院のあり方というものを考えていきたい、こういうようなことで国立病院の再編成計画というものを打ち出しておるわけであります。一般会計からも二千五百億円ほど持ち出しがなされておるわけでございますけれども、こういうことも含めましてこれからも国立病院のあり方というものを十分に考えていきたい、このように考えているような次第でございます。
○肥田美代子君 実は、いろいろ聞いてみますと、このような薬価をめぐる問題というのはことしだけじゃないんですね。もう毎年起こっているらしいんです。 それで、薬の値段の交渉のせめぎ合いというのはかなり激しゅうございまして、やっぱり病院経営が薬価差益に頼ってきたその弊害が確かに今出ていると思います。ですから私は、おばあちゃんが病院から手提げ袋に薬をどっさりもらってくるのを見ますと、ああまた病院経営の一端を担っているんだなというふうにいつも悲しい思いをするわけですけれども、大臣もう、そろそろそれぞれの病院任せにしないで、処方せんは病院から外に出して、そしてきちんと薬と病院の医療ということを分けていく行政に移られたらどうでしょうか。さっき積極的にこれから進めるとおっしゃっていらっしゃいましたので私はとても期待したいと思いますけれども、この医薬分業というのが実は今回の問題の解決方法の一つになるんじゃないかと思うんですけれども、大臣はどう思われますか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) お答えいたします。 国立病院・療養所のいわゆる医薬分業というものは、私は率直に申し上げて、支払いのいわゆる滞納であるとか遅延、こういう観点からではなくて、それとは別に、外来患者の待ち時間を少なくしていくとかあるいは薬の副作用を薬剤師さんがチェックする、こういうような観点から私は推進をしていかなければならない、このように考えておるわけでございます。 平成元年度から国立病院関係では、地元の薬剤師会との協力のもとで三十七カ所の国立病院をいわゆる院外処方せん発行モデル施設に設定をしておるわけでございますけれども、私どもは基本的に今後とも医薬分業というものを推進させていく決意でございます。
○肥田美代子君 国立病院の処方せんの発行計画というのは知っておりますけれども、今、本当に進んでいますでしょうか。最初の目標と、それから現在の数値を言ってください。
○政府委員(田中健次君) ただいま大臣がお答え申し上げましたが、三十七のモデル病院におきまして院外処方せんの発行、私どもは平均でこれを三〇%程度とすることを目標としておりましたけれども、平成三年度におきましては一二・六%、こういう数字でございます。
○肥田美代子君 やっぱり余り進んでないですね。 それで、さっき厚生大臣が病院の改善に二千五百億というふうにおっしゃいましたけれども、それでは医薬分業についてはどのぐらい予算を計上されておりますか。
○理事(井上裕君) 厚生省、どなたが答えますか。
○政府委員(田中健次君) 国立病院の関係の予算ということのお尋ねでございますと、ちょっと申しわけありませんが、今その予算の数字を持ち合わせておりませんので御了解いただきたいと思います。
○肥田美代子君 そうじゃなくて、全体です。
○政府委員(岡光序治君) 医薬分業を推進するための経費といたしまして平成五年度予算でお願いをしておりますのが六十二億八千百万でございます。
○肥田美代子君 医薬分業は病院の薬剤費を軽減する、そういうことだけにあるんじゃございませんでして、この医薬分業の本当の目的はやはり患者さんサイドのメリットなんですよね。ですから、病院に行かれて一時間も二時間も薬をもらうのにさえ待たされる、そしてその薬をもらっても自分の飲む薬は何に効能があるかということを知らないわけですね。恐らく、皆さん病院でもらわれる薬の中で、自分はこういう薬を飲んでいるということをはっきりおっしゃれる方は少ないと思うんです。ですから薬の本がベストセラーズになるわけですけれども、やはりこういう医薬分業によりまして町の薬屋さんがきちんと薬の情報を患者さんに伝える。そして、例えば病院の中の薬剤師さんはいわゆる薬包みのマシーンにならないで、入院患者のところに行ってきちんと服薬指導をする。やはりそういうきちんとした分業がこれから必要じゃないかと思うんです。 ですから、病院が卸業者と何カ月も値段の交渉をする、そして一方では患者さんが一時間も二時間も薬で待たされる、私はこういう日本の医療の現状について、これが普通だと思っていらっしゃる方はいらっしゃらないと思うんですけれども、厚生大臣、どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私どもは、医薬分業について基本的に積極的に進めていく、こういうような基本的なスタンスのもとに、わずかばかりでございますけれども、医薬分業が実現しつつあることを先生十分に御承知と思います。 まず医薬分業は、先ほどから申し上げておることでございますけれども、いわゆる薬の待ち時間が少なくなるということ、それから薬剤師による副作用のチェックであるとか、複数の医療機関にかかった場合にこれをチェックできる、こういうことでいわゆる重複投薬の防止ができる、こういう観点からもこれは今後私どもは重点的に進めていかなければならない、このように考えているような次第であります。 先ほど部長からもお話がございましたように、いわゆる医薬分業率は現在一二・六%でございますけれども、私どもは、何と申し上げましても地域の医師会の御理解であるとか、薬剤師会の積極的な取り組み方、さらに薬局の体制、こういうものが三位一体となって絡まっていかなければ実際問題なかなか難しいのが現実でございますし、それと何よりも患者さんがこの問題に対してもう一つ御理解をいただかなければならない、このように考えておるわけでございます。 いずれにいたしましても、薬局を支援していくためには医薬品のいわゆる備蓄などを行う医薬分業推進センター、こういうものの整備が何よりも必要である、このように考えているような次第でございます。先生の今後ともよろしく御指導、御鞭撻のほどお願いします。
○肥田美代子君 確かに国民の間に病院で薬をもらえば安心だという気持ちもあるんですよね。 ところで、今G7の中で医薬分業をしていない国はどことどこですか。
○政府委員(岡光序治君) 日本だけでございます。
○肥田美代子君 これはやっぱり日本は医療情報の後進国、発展途上国というふうに言わなきゃならないと思うんですね。 それで、先ほど厚生大臣は、確かに薬剤師の方にも受け入れ態勢がまだ整っていないとおっしゃいした。今、医薬分業を推進しているとおっしゃいましても、これは各病院任せなんです。病院のお気持ちで処方せんを出していただくという形になるんですけれども、これはやはり組織的にきちんと厚生大臣がなさらないと、いつまでたってもどっちが卵か鶏かというふうになりまして、結局G7ではそれこそ恥ずかしいような国になります。ですから、もう一度その辺を組織的にきちんとやっていくということについてお話しいただけませんでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども申し上げたわけでございますけれども、これに対しましてはやはり医師、それから薬剤師、患者、この三位一体となって御理解をいただかなければならないわけでございますので、私どもは強力に医薬分業を推進していく決意でございます。
○肥田美代子君 先ほど厚生省、六十数億とおっしゃいましたけれども、医薬分業推進のための予算はそれで正しいですか。
○政府委員(岡光序治君) 関連の予算も含めて申し上げたのでありますが、非常に限定的に申し上げますと、先ほど大臣がお話を申し上げました分業推進支援センターの施設整備費であるとか、あるいは関係者がお話をいただきます分業定着促進費、あるいは在宅でいろいろ医療が行われますのでその在宅での薬剤を供給する経費であるとか、あるいは個別の医薬品の服薬指導を行う際のマニュアルづくりであるとか、そういうふうに限ってまいりますと、合計では九千八百万円ということになっております。そのほかに施設整備費の関係で約三千五百万という数字が直接的な経費でございます。
○肥田美代子君 さっきの数字はどうもおかしいと思ったんですが、やはりびっくりするほど少ない金額なんです。これで例えば国民の中に医薬分業を啓蒙するといいましても、テレビで放映するお金にも足りないんじゃないですかね。ですから、やはり広報のお金もきちんと出していただきたいし、その辺本当に厚生大臣、よろしくお願いします。 それで、総理にお伺いしますが、生活大国づくりを掲げていらっしゃいますけれども、今お聞きいただきましたとおりでございまして、医療の現状については総理も御認識はあったかと思いますけれども、ちょっと申し上げたいことは、ECでは患者向けの医薬品の説明書がついてないと取引を禁止するということを来年の一月から始めるわけです。これくらいやはり医薬品の情報について国民に知らせようという動きがヨーロッパにはあるわけですね。ところが、日本にはそういう決まりがないものですから、ヨーロッパから入っている薬についてはそういうことは一切しなくていいわけです。日本の業者が向こうに輸出するときにはきちんと患者向けの説明書を入れなきゃいけない。やはりそういうところにも随分と日本の後進性というのがうかがわれるわけですけれども、どうでしょうか。これから医療について本当に積極的にこの状況を改善するというお気持ちがもしおありでしたら、お話しください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから御質問を伺っておりまして、実は私もややショックを受けた方です、いやしくも国が百億以上の金を滞納しているというお話なんですから。 それはまあ恐らく、私は後でどういう事情か聞いてみようと思っているんですけれども、肥田委員の言われますように、薬価をめぐるいろんな問題というのが一つあるんだろうと思いますが、しかしそれ以外にも何か事情があるのかもしれませんので、事情があればそれを一つ一つ直していかなければなりません、よそ様にも迷惑のかかることでございますから。事情がなくて滞納していろんなら、これはもう責任者に責任をとらせるしかない。どちらかだというふうに私は今思ってお話を伺っておりましたものですから、ひとつ自分としても事情を聞いてみなければならないと思っています。 全体としてこういう問題についてもう少し関心を持たなければならないということは、ただいまお話を伺っていろいろに感じておりまして、御教示をいただいたと思います。
○肥田美代子君 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。 次は子供の権利条約のネーミングについてお尋ねいたします。 子供に対する考え方も随分時代を追って変わってまいりましたけれども、今回国連ではっきりと、子供というのは保護の対象ではなくてそれぞれが自分の力でよりよく生きていく存在であるというふうに子供観を変えました。私はこの子供の権利条約は子供にとって本当に新しい時代への幕あけだと思うんです。 子供の権利条約についていろんなことが議論されております。私は子供にとってこれほどすばらしいものはないというふうに考えておりますものですから、このネーミングについてもやはりかなりこだわらせていただくわけです。私は、自分の子供が生まれましたときには、その名前を一生懸命考えました。今はそういう気持ちでございます。 それで、総理にお伺いしますけれども、みずからの力でよりよく生きていく存在という、そういう国連の子供観を踏まえ、また宮澤家のお父様として子育ての経験をも踏まえまして子供観をどういうふうに持っていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変大事なものと思っております。
○肥田美代子君 突然の質問でございますので、失礼いたしました。 ただ私は、総理は恐らく子供のことはどうでもいいと思っていらっしゃらないと思うんですね。二十一世紀に向かってとても大切な存在だというふうに思っていらっしゃると思うんですけれども、例えば総理はお子様をどういう方針でお育てになりましたですか。どういう社会人にしようと思ってお育てになりましたか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、うそをつかないことと人に迷惑をかけないことだけ言ってきました。
○肥田美代子君 この子供の権利条約の名称につきまして、きのう同僚議員の浜四津さんが質問しまして、総理もこれは国会でかなり議論のあるところであるというふうに認識していただいていたことをうれしく思うんですけれども、かなりこれには世論が動いておりまして、例えば作家だとか評論家だとかという女性たちも総理のところにお願いに参りましたし、それから先日は超党派の、それも自民党の方々も加えた衆参の女性議員の署名を持って官房長官の方に申し入れに行かせていただきました。マスコミの論調も大体「子供」です。それで、高校生たちも、私たちは児童じゃない、子供ですというふうに申しまして鳩山前文部大臣のところに申し入れに行っております。 こういう状況にあって、それでもなお外務省がどうしても児童だというふうにこだわっていらっしゃる、それにはよほどのわけがあろうと思うんですけれども、具体的に「児童」を「子供」にしますとどういう支障が起こりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはなかなか難しい論争でございまして、それは確かに子供条約と言った方がわかりやすいんじゃないかという議論も一つあるんです。 しかし、子供条約にしても、五十歳の子供条約というのはないんだろうし、しかし子供というと孫のいる子供も実際ありますからね。孫のいる子供、いるんですよ。私の子供はまだ孫はおりませんが、いますな。子供の子供だから。しかし、そういうふうな子供っぽいとか大人っぽいとかいうと、それは子供っぽいというのは三十、四十の人を子供っぽいとは確かに言わないです。二十歳、未成年ぐらいのイメージです。しかし、子供というと広いんです、非常に。七、八十の人にとってみれば五十歳も子供だから、だから確かに広い。 そこで、私もそれは考えたんです。これはみんなそう言うんだから直したっていいんじゃないかというふうに考えたんですが、やはり今までの例とすれば、児童福祉法だとか児童手当法だとか、いずれもそういうのは十八歳未満の者を「児童」と、こう言っておる。 我々が子供のころは、子供のころといったら二十歳以下ですね。子供のころは小学生のことを児童と言ったんです。中学生のことは児童と言わなくて、それは生徒と言ったんです。専門学校以上の人を学生と言ったんです。そういう使い分けをしたこともある。今は高校生を子供というのか児童というのか生徒というのか学生というのか知りませんが、確かに「児童」ということになると年齢が下ということでいろいろ限定をされるという使い分けがしてあるんだろうと。 結局、仮に「児童」を「子供条約」に直すということになると、今までのいろんな条約の解釈だとか今までの法律だとか、全部直さなきゃならない。しかも、非常に「子供」というのは意味が広い。そういう問題もあって、さあどっちかなと私も考えたんだが、惰性に流れるわけじゃないが、やっぱり「児童」で、今までどおりでいいんじゃないかという結論に悩んだ末に達したということでございます。
○肥田美代子君 今、大臣が「児童」を「子供」に直しますとすべての法律をかえなきゃいけないというふうにおっしゃいましたけれど、外務省、それは本当ですか。
○政府委員(丹波實君) ただいまの大臣のお言葉につきましては、森山文部大臣も国会の中の委員会でそういう趣旨の御答弁、そういうというのはこれから申し上げる趣旨の答弁をしておられますけれども、結局、法律的な用語の整合性というところがやはり問題ではないかという趣旨で大臣が述べられたものと私は伺っておった次第でございます。
○肥田美代子君 用語の整合性については、私はもう耳にたこができるほど伺いましたので、それはもう理解しております。 ただ、今、外務大臣がおっしゃったことは、私どうも承服しかねるんです。本当にそうですか。「児童」を「子供」に直しますと全部法律をかえなきゃいけませんか。
○政府委員(丹波實君) ただいま申し上げましたとおり、法律上の整合性が重要であるということを大臣特有のお言葉で表現されたと、こういうことでございます。
○肥田美代子君 今、通訳していただきましたけれども、私どうもそういうふうには聞こえないんです。ここはとっても大切なところだと思うんです。 ちょっと失礼な言い方ですけれども、外務大臣は恐らく誤解なさっているんじゃないかと思うんです。それで、外務大臣、もしも「児童」を「子供」に直すことで法律を全部直さなくてもいいとなれば、本当に面倒なことがないということになれば、賛成してくださいますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは正確に言えば、直すとかどうとかということでなくて、それは法律の用語の整合性というような言葉を使った方が正確かどうか知りませんが、いずれにいたしましても、今まで長い間時間もたつし、この「児童」という言葉もある程度歴史とともに定着してきておりますし、先ほど言ったように、「子供条約」ということになれば、五十歳の子供もいるということでもあるし、一長一短の問題もございます。 私も、実は本当のことを言うと、社会党の前委員長の田邊さんから電話があって、それはそうだなと賛成したんです、一遍。それで話をしてみたんだけれども、なかなかこれは厄介だということで、また後から電話をかけて取り消した、そういういきさつが実はあるんですよ、本当のこと言って。だから、今そういうことで、私の時代には直すという気持ちにはなれないんです、実際に。
○肥田美代子君 それでは、整合性ということでまずお伺いしますけれども、外務省では「子供」と「児童」、それぞれ定義ございますか。
○政府委員(丹波實君) 「子供」と「児童」という言葉に対しまして外務省として定義を持っているかという御質問に対しましては、外務省は外務省としての役所柄、言葉について、そういう「子供」と「児童」について厳格な定義を外務省として下すという立場にはございませんけれども、今般の権利条約につきましては、政府から累次御説明申し上げてきておりますとおり、条約上の先例、国内法上の法律用語としての使い方、諸般の状況を考えて、この場合は「児童」というのが最も適切であろうということで文部省あるいはその他の関係省庁、法制局とも協議の上、閣議決定をしてこういう言葉で統一して国会の審議にお出ししておる、こういうことでございます。
○肥田美代子君 言葉は時代とともに変わるんですね。 特に、宮澤総理は言葉にはとても敏感でいらっしゃるし、大事になさっていらっしゃいます。ですから、例えば「ウーマン」という言葉、これは「婦人」よいう日本語訳だったのがその後「女子」になりまして、今ではこれももう古いですね。 私は、時代とともに言葉が流れるということにもう少し敏感になってほしい、外務省はもう少し頭をやわらかくしてほしいと思うんですけれども、丹波条約局長、いかがですか。
○政府委員(丹波實君) シェークスピアとかいろんな文学者が言っておりますけれども、法律家とか法律といったものには若干人間から見て冷たさがあるというのは、そういったものの宿命であろうかと思います。 〔理事井上裕君退席、委員長着席〕 先生のおっしゃるとおり、「子供」ということをこの場合使うとしますと、先ほど大臣の御説明にもございましたけれども、やっぱり法的な整合性というのも実は法律的な要請として一つあるわけでして、時代の変化とともにというのはわかりますけれども、法律的な整合性ということも非常に一つの重要な考え方であるということはぜひ御理解いただきたいというふうに考えます。
○肥田美代子君 外務省がおっしゃっている法律の整合性というのは、内容ではなくて言葉面じゃないんですか。言葉面を合わそうと、そういうふうに思っていらっしゃるんじゃないんですか。
○政府委員(丹波實君) 先生のそのお言葉の言葉面ということの意味でございますけれども、本当に私たちも関係各省庁とも協議し、いろんなことを考えて、この場合は「児童」だということでございますので、ぜひそういうことで御理解いただきたいというふうに思います。
○肥田美代子君 それでは、各大臣の管轄下にある法律の「児童」の年齢についてお伺いします。 労働大臣、厚生大臣、文部大臣、自治大臣、それぞれ労働基準法、児童福祉法、学校教育法、道路交通法について、御自分の所管の「児童」についてお願いします。
○国務大臣(村上正邦君) 労働基準法では満十五歳に満たない児童を労働者として働かせてはいけない、こう書かれております。 ところで先生、この問題は私も国対委員長のときに肥田議員に陳情を受けて、「子供」にできないのかと私も先生のお立場に立って外務省に申し入れたことがございます。ところが、いろいろ今お話承っておっても、非常にかたいんですよ。労働省にも婦人局というのがありましで、私は大臣になりましたときにこれを女性局に変えるとこう言いましても、なかなかああだこうだと言って一たん決まったものは変えない。こういうあれがありますので、余計なことでございますが、ここはひとつしばらく時間を置いていただいた方がいいんじゃないのかなと。これは閣議の決定もされたことだと。私も随分、今も先生に同情しながらいろいろとその場、いろいろな方々にも先生の趣旨を申し述べておりますが、なかなかガードはかたいということだけは申し上げておきます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 児童福祉法においては、「児童とは、満十八歳に満たない者」とされております。
○国務大臣(森山眞弓君) 学校教育法におきましては、小学校に在籍する者を「児童」、中高等学校に在籍する者を「生徒」と呼んでおります。
○政府委員(関根謙一君) 道路交通法では、十三歳未満六歳以上の者を「児童」と定義しております。
○肥田美代子君 ばらばらですよね。 ところで、条約の「児童」はどこの省庁の「児童」ですか。
○政府委員(丹波實君) どこの省庁の児童ということではございませんで、この権利条約では十八歳未満のチャイルドあるいはチルドレンというふうに定義されておりますので、いろんな状況から判断してこの場合は「児童」が適切であるというふうに判断したということでございます。
○肥田美代子君 これだけ年齢枠がそれぞればらばらなのを「子供」と大きい枠でもって抱える方が本当はいいんじゃないかと思うんですけれども、宮澤総理、どう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは実は私も困った問題だと思っておりますのは、確かに委員のおっしゃいますように、私は言葉が時代とともに変わったんだと思うんです。ですが、昔つくられた法律は昔の用語を使っておりますものですから、それを今絶対直さなきゃならぬと申し上げておるわけじゃございませんけれども、やっぱり法律というものは、ある言葉を使ったらその言葉がずっと使われていくというのが普通の考え方だし、まあそれが便利なんだろうと思うのでございます。ですから、ちょっと今になると古臭い言葉だなと思いましても、それはそれで法律では使っておるということはしばしばございますので、これはそのケースなのだろうと。 それからもう一つ、条約の方でさっき条約局長が申し上げていました一つのことは、「子供」というのが親と子という世帯の問題として使われるときと、それから一定の若い年齢、幼い年齢について使われるときと、日本語は両方に使っておるものございますから、それを法律的にはやっぱり分けておきたいという気持ちが私はあるんだと思うんです。ですから、何も無理に強弁をしているというわけでもない。しかし、おっしゃることもわからないではないなというような、正直を申しますと私はそんな気持ちでおります。
○肥田美代子君 言葉をかえますと、前の法律をかえなきゃならないというのはちょっと違うのでございまして、例えばILO宣言では「婦人」となっておりましたのが女子差別では「女子」になっておりますし、「土人」という言葉もまだ法律の中には生きていますけれども、この条約では「原住民」になっておりますし、国連の言葉ではもう既に「先住民」になっております。ですから、前の言葉をかえなきゃいけないというのはちょっと違うんじゃないかと思うんです。こういうことは政治家がもう思い切って政治判断をしなきゃしょうがないんですね。 それで、外務省にもう一度お尋ねしますけれども、過去の条約の日本語訳で批准後直されたことはありますか。
○政府委員(丹波實君) 最近の例を一つ挙げさせていただきますと、捕虜の待遇に関します一九四九年八月十二日付のジュネーブ条約というのがございます。これが先生の御質問の過去にそういう訳文を訂正した例があるかということに対して、答えはございますという一つの例だと思います。 もともとこの条約は、戦争その他の武力紛争の場合におきまして捕虜を保護することを目的として作成されたものでございまして、日本政府は昭和二十八年、随分音ですけれども、二十八年の四月にこの条約に加入いたしております。同じ昭和二十八年十月二十一日に官報で公布いたしております。 実は、問題はこの条約の第六十七条でございまして、この六十七条は、捕虜の抑留の期間中にいろいろな支払いが捕虜抑留国または捕虜の所属国により行われた場合に、敵対行為が終了した際に、この支払いは関係国の取り決め、つまり捕虜の所属国と捕虜の抑留国との取り決めの対象とするということをこの第六十七条が書いておるわけです。この第六十七条の条文の中に、「ザ・セット・パワー」、定冠詞のザとセット、それからパワーという表現がございまして、この表現、政府のもともとの訳文のテキストではこの表現は、前で触れられた国あるいは前述の国と普通の言葉ではそういうことに当たるわけですが、その「ザ・セット・パワー」というのを政府が国会に批准でお出ししたときの訳文では「抑留国」というふうにしてあったわけです。 これに対しまして、昭和六十年代になりまして国会の諸先生方から、この「抑留国」というのはおかしいんじゃないかといういろんな指摘がございまして、捕虜の「所属国」とすべきだという指摘がございまして、これを受けまして外務省が、古い条約でございますけれども、関係各国にも照会いたしました結果、結局この「ザ・セット・パワー」というのは「所属国」とするのも「抑留国」とするのもちょっと判断がつかない、したがってもともとの「当該国」というのが正しいんではないかということで、その「ザ・セット・パワー」というのを中立的に「当該国」というふうに改めたという、そういう例がございます。これはそのときに閣議で外務大臣が報告いたしまして、官報にも告示したという手続を踏んだ次第でございます。
○肥田美代子君 今伺っておりますと、外務大臣が閣議で報告して官報で出せば、それで変更できるんですね。いとも簡単なんですね。ですから、その気にさえなってくださればいいんですよ。確かに今総理も難しいとおっしゃいました。さっき外務大臣もこれはもうかえるつもりはないというふうにおっしゃいましたけれども、いま一度考え直してください。ぜひお願いします。 子供たちのためという言い方はもちろんですけれども、私たちのためでもあります。大人たちと子供たちが本当にいいつき合いをするにはどうしたらいいかという条約だと私は思っておりますので、それにあえてかたい四角い名前をつけないで、子供たちの条約でございますからやわらかい言葉でプレゼントしていただきたいと思うんです。よろしくお願いいたします。 総理、もう一度お願いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) またみんなでよく検討をいたしてみます。
○肥田美代子君 終わります。
○委員長(遠藤要君) 以上で肥田君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(遠藤要君) 次に、喜岡淳君の質疑を行います。喜岡君。
○喜岡淳君 社会党の喜岡淳です。総理を初め関係閣僚にはよろしくお願いをいたします。 最初に、総理の心境についてお尋ねをいたします。けさ各紙は一斉に大手ゼネコンの十億円献金問題を報道いたしました。公共事業の三%が相場であったということも報道されております。ついに国民が持っておった疑念が事実として明らかになったというふうに受けとめておりますけれども、総理、今度の事態について世間のわかる言葉で率直に心境を語っていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) けさ報道されたこと自身につきましては、私はこれを確認する自由を持っておりませんけれども、しかし、連日こういうことが報道されて、政治というものを国民が大変に信頼をされなくなる、信用をされなくなる、まことにどうも申しわけないことで、早くここから我々立ち直らなければならないということを強く感じております。
○喜岡淳君 建設大臣にお尋ねをいたします。 今回建設業界の構造的な問題が露呈をされたように私は思っております。特にこの業界については、非常に使途不明金の多い業界としてかねてからたくさんの指摘を受けてきておったはずであります。建設大臣は今後ゼネコンの各社に対して一体どういう御指導をされるつもりなのか、明確にお答えをいただきたい。
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。 御指摘をいただきました今回の事件につきましては、現在捜査当局において解明がなされているところでありますので、建設省としてこの段階でコメントを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、大手ゼネコンに調査が入ったということはまことに遺憾なことである、このように考えておりますし、また、公共事業を執行する建設省としては、今日非常に不況が深刻になってきておりますので、公共事業というものが果たしていく景気対策の役割というのは非常に大きいこの時期でありますし、また、国民の税金を使わせていただいているということを考えていったときに、その執行に対しては厳正に当たらなきゃならない、このように考えております。 そこで、建設業自身にも国民の信頼と期待にこたえて適正に事業を実施していかなきゃならない責務がある、このように考えておりますので、今後こうした問題が国民からいろいろと御指摘をいただくことがないようにしていくために、公共事業の実施に当たって会計法等の法令に基づいて厳正かつ適正に執行していくことが必要であり、公共事業に関する入札、契約の制度については、昨年の十一月に御承知のとおり中建審において一層の透明性と競争性を確保していく必要性がある、具体的には指名競争入札制度の改善、多様な入札・契約方式の導入、こうしたことにつきまして、事務当局に対しまして具体的に答申内容を早期に実施できるように私の方から今指示を出しているところでございます。 本件に関しましては、建設省としても大きな関心を持って今後この推移を注意深く見守っていきたい、このように考えております。
○喜岡淳君 総理に使途不明金の対策についてお考えを伺いたいと思います。 このやみ献金がいとも簡単に使途不明金として処理されておる、何とも言えないですね、国民から見れば。確定申告の時期も終わりましたけれども、いとも簡単ですよ。私は、そういう意味では企業の使途不明金について、これに対しては厳しい措置をとって使途不明金が出ないような対策を早急に確立するべきだと思います。使途不明金に対して厳しく禁止をしていく、そういうことが出てこないような対策を早急に検討していただきたいわけですが、総理にはそのお約束をいただけるでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、委員のおっしゃっていらっしゃいますのは、現実に報道されておりますような事態をどういうふうに防止するか、改善するかというそういう観点から言っていらっしゃいますが、しかし、それならば例えば政治資金の問題として言えば、保有金の問題であるとかそういういろいろなそれに関係する規制の方法があると私は思うのでございます。 それで、使途不明金というのはまことに不愉快な種類の言葉でございますけれども、企業を経営する場合に実際企業として何かの秘密で言えないということは、これは必ずしもこういうケースばかりでなく、私はいろいろあるんだろうと思います。それは企業としてはつまり経費として否認される、そういうペナルティーを払った上で使途不明だと、場合によってはこれはまた重加算税というようなこともあり得ることですから、そういうペナルティーを払ってもなおこれは言えないという種類の支出、そういう支出を企業というものがすることを社会的に認めるか、法律的に許すかどうかということに私は一般論としてはなるのだと思います。 したがいまして、ただいまの問題をどうして防止するかということ、そのことの問題意識は私もよくわかりますが、だからといって企業の使途不明金というものを一切認めないということになれば目的以外のいろんな影響を生むのではないか、よく専門家の意見をこれは聞いてみたいところだというふうに私は思います。
○喜岡淳君 今度は自民党の総裁としての立場でお聞きをいたします。 今度の金丸氏の手元に入ってきた金の一部は個人の私財となっておりましたけれども、多くの金は経世会のために使われておったんではないでしょうか。それは自民党の皆さんの選挙の金にもなっておったはずであります。そういう意味では今度の事件は、金丸氏個人の問題というよりも自民党という政党と表裏一体の問題として国民は鋭くかぎつけております。自民党の総裁としてこういった疑念に対するお考えを聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこはやはり自民党という党と、それから自民党が持っておりますいろいろ派閥に伴う問題とはやはり何とか分けて考えていかなければならないと思っていまして、私どもの党内改革の問題として、派閥というものがそのような金にまつわる問題、あるいは地位にまつわる問題、あるいは党として有能な人材を簡抜する際に派閥的考慮によってそれがゆがめられるような問題、それらはひとつすべてきちんと党内改革の問題として改めよう、もしそれが改められないのであれば派閥というものはやはり最終的にはこれを認めるわけにいかないことになるということで今回の党内改革を実はいたしておるところでございます。 派閥に伴う弊害というのは私ども党内の問題としてよく痛切に感じておりますから自分の党内の改革として直してまいりたいと思っております。
○喜岡淳君 所得税減税の件で大蔵大臣にお尋ねをいたします。 よくこれまでの答弁の中でも、減税をしてもその分は貯蓄に回ってしまうんだということをたびたびおっしゃっておられるわけですが、一体その根拠はどういうところにあるんでしょうか。なぜそういうことが言えるんでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) お答え申し上げます。 我が国の貯蓄率をずっと見てまいりますと、バブル時代を通じまして傾向的に上昇してきておる。家計調査を勤労世帯で見ますと、平成四年では二五・五%になっておりますし、またバブルが崩壊いたしましてからその後の資産デフレの状況等見まして景気がなかなか動かないうまくいかない。こういうふうなことも言われておりますのは、耐久消費財のストック調整や消費者志向の堅実化といったような現象が見られる。 こういったことからいたしまして、私は、所得税減税というような話をされましてもそれがすぐに消費刺激あるいは景気刺激の方に向かうものではない、多くのものがやはり今の状況から判断するならば貯蓄の方に向かうんではないだろうかという判断をしておるところでございます。
○喜岡淳君 お手元に資料を配付させていただきましたけれども、この資料の中でも明らかなように、平成元年、二年、三年、四年、可処分所得のふえたうちの七割前後は消費の方に回っておることが証明されております。消費に回るのは当然なんですよね。 そこで、総務庁長官にお尋ねをいたしますが、私の方は今こういう資料を配りましたけれども、可処分所得がふえた分のうち一体どの程度が消費に回っていくのか、総務庁長官の最近の御認識について伺いたいと思います。
○国務大臣(鹿野道彦君) 総務庁が実施いたしております家計調査の結果によりますと、全国勤労者世帯の可処分所得に占める消費支出の割合は平成四年におきましては七四・五%、平成三年と大体同水準になっております。過去五年間を見ますと昭和六十三年の七五・七%から低下傾向にある、こういうふうになっております。
○喜岡淳君 このお手元の資料のとおり七割前後は消費に回っておる。貯蓄に回っていくというのは本当に一部だろうということがわかると思います。 そこで、大蔵大臣と総理に再びお尋ねをいたします。 消費の低迷ということが指摘をされておりますけれども、一体その原因についてどうお考えでしょうか。大蔵大臣、総理の御見解を賜りたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 今お話がありまして、消費がどうして低迷しているか、こういうことだろうと思います。 消費というのは、やっぱりみんなが可処分所得がふえていく、まあ俗な言葉で言えば給料がだんだん上がっていく、先の見通しがあればだんだんと消費もふえていく。貯蓄というものはやはり自分の将来のことを考えて蓄えをしておかなければならない、そういったような不安があるからなかなかふえないということも私は一つの事実だろう、こう思うんです。 そういった形で全体がやはりふえていかなければならないんじゃないかなということと、いろんな原因が私もあると思いますけれども、かつてのような時代でございましたならば、新しい物が出てくる、新製品が出てくる、そうするとそこで爆発的に消費がふえてくるというような事態は私はあったと思うんです。そういったようなことがなかなか今ないというような形で消費がふえていかないんじゃないか、こう思っています。 それから、今先生のお配りいただきました資料でございますが、ちょっと私はよくわからないのは、この六〇、八〇、六〇と、こう書いてありますが、私は七四%というのはさっきの二五・何%に数字が合っているんだろうと、こう思いますけれども、この六〇云々というのはちょっと私もあれですから、この数字ちょっと私も今いただいたばかりですから、後で検討させていただきたいと思っています。
○国務大臣(宮澤喜一君) やはり一つは資産効果の裏返しと申しますか、逆資産効果というものは一つあると思います。それから、どうも経済状況がよくないので、ことしのベースアップであるとかあるいは自分の残業手当であるとかあるいは昇給のチャンスであるとかボーナスであるとか、そういうものについてどうも明るい見通しが持てない、したがってここはちょっと財布のひもを締めておかないといけないというそういう気持ち。それから、考えてみればかなり耐久消費財初めいろいろ着るものにしましても履くものにしましても、まああるといえばあるといったようなことから、ここらは心理の問題がかなり私はやっぱり響いているんじゃないかと思います。
○喜岡淳君 総務庁の家計調査報告、平成四年の速報、これによりますと、勤労者世帯の可処分所得の伸びは実質わずか〇・五%、消費も実質わずか〇・五%。その低迷しておる最大の原因は、税の負担が六・一%も伸びておるということが明らかになっております。私は税の重たいことが消費を低迷さしておる最大の理由ではないか、こういうふうに確信を持っておるところであります。 そこで、大蔵大臣にお尋ねをいたしますけれども、少なくともこの三十年間、給与総額に占める所得税の負担割合はどういうふうに推移をしておるというふうに御認識でしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 委員にお答えいたします。 先ほどこの数字がちょっとと言いましたけれども、私、今ちょっと事務方で調べましたら大体これで間違いないようでございます。よくわかりましたから、先ほどの答弁を訂正させていただきます。 それから、もう一つ申し上げますが、所得税の負担割合というものはどうなってきているかというのは、お配りいただきました資料の中にもあります。確かにこれは国税庁の企画課の方で出しました数字でそういうふうな数字が出ている、こう思います。しかしながら、所得税の負担割合というものがここに書いてありますように非常に高くなっているというのは、この国税庁の資料の私は一つせいだろうと、こう思うのであります。 それはどういうことかと申しますと、若干長くなりまして恐縮でございますが、全体の所得税全体をとりまして全部割っちゃった、こういうことでございますので、高い人の所得も入るし、それから今扶養者が減少しておる、それから独身者の方がふえている、そうしますと税はだんだんだんだん高い負担率になります。それから二カ所以上で給与をもらっている、こういうふうな方もあります。そういったものを全部含めて計算しておりますものですからこういうふうな形のものが出てきているんだろうと、私はこう思います。 このこと自体が私は間違っているとは申しません。そうでございますが、普通に比較いたしますときにはいわば標準世帯をとりましてやっているわけでございまして、この前の税制改革をやりましたそのときまでは相当高い負担でございましたものが、税制改革をやったおかげで相当な程度下がってきた。私たちの方で持っておりますのは、例えば勤労者の標準世帯、平均をとりまして言いますと六十一年までは五・三〇、こういうふうな話でありまして、それが六十三年に税制改革をやり元年には四・四一%になってきた。それがだんだんその後は実は所得が上がっておりますから、当然、所得が上がれば一般的には税は上がってくるということは事実だろうと思います。 それから、標準世帯等をとりますと、給与収入等をとりまして負担率を比較すると、改正前は一〇・六%、改正後にはすぐに六・七%まで下がりましたけれども、平成五年には七・七%ぐらいになっている、こういうふうな数字がありまして、実体的に申しまして一所得税というのはこの前の相当大きな税制改革をやりましたおかげで相当程度下がってきている、まだ私はそれが税制改革をやりました前のところまでの水準にはなっていないというのが現在の実情ではないか、こういうふうに認識をしております。
○喜岡淳君 昭和三十年代、所得税の負担割合は四%台で推移をいたしておりますが、四十年代、五十年代に入り五%台で推移をいたしております。そして、六十年代には六%台、ついに今や六・三四%、最大のピークに上り詰めておりますね。私、改めて所得税減税を早急に実施するように要求をしておきたいと思います。 続いて、運輸省の問題についてお尋ねをいたします。 運輸大臣、佐川疑惑と運輸行政の問題についてお尋ねをいたします。 去年の春、運輸省は佐川グループの中核六社の合併を認可されております。この際、佐川が暴力団との関係をきっぱり断ち切るように厳しい指導をしておると思いますけれども、その姿勢については今日いささかも変化がないと思いますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(越智伊平君) もちろん変更はありません。
○喜岡淳君 さて、運輸大臣にお尋ねをいたします。 平成二年、愛媛県の町議会議員に対して右翼団体のメンバーが街頭演説を行った際に、大臣御自身はもう一人別の右翼のメンバーの方に相談をして金銭解決を図ったということについて、事実かどうか。事は重大でございます。納得のできる詳しい御説明をお願いいたします。
○国務大臣(越智伊平君) 今御指摘の問題は、吉海町町会議員重松、これが海岸の埋め立てをいたしました。許可をとってやったのでありますが、その境界が違っておった、こういうことであります。その問題は県との話し合いで解決をいたしました。 ところが、右翼がそのことについて街宣活動をしていたと。これは激しい街宣活動でありまして、細君や子供が親戚に疎開するという状態でありました。そのときに、その重松町議が私のところへ、私は月曜から金曜までほとんど東京ですから、私の秘書に、いつ帰るか、あるいはこういうことでお願いしたいという話がございました。私は、その話を聞きまして一番に警察へ相談をしなさいと、こういうふうに言いました。ところが、警察も今の街宣活動だけではどうにも取り締まりようがないという話でありました。私も警察の方にもお願いをいたしましたが、返事はそういうことであります。 結局、今のそのような状態が続いておりまして、何とか方法はなかろうかということでありますから、私の知り合いに別の右翼団体でありますが平木というのがおりまして、この平木に、平木君こういう状態だが何とかいい方法はないかと言いましたら、話してみましょうということで話を引き受けてくれたわけであります。 そうしまして、一週間ばかりたちまして、あれはどうしても少し金を出さないと解決がつかない、こういう話の返事が返ってまいりました。私は金のことについては中へ入るわけにはいかないから、当事者同士の話にしないといけないと。その以前に、重松町議に、こうこう言っておる、金を少し出さないと解決しないと言っておるがどうかと、こう言いましたら、金が要っても女房も子供が疎開しておるような状態だからぜひとも話をしてもらいたい、こういう話でありました。重松君にも私は、金の話は私が決めるわけにはいかないということであります。 重松と先ほど申し上げました平木、この二人は全然知らない。私は両方知っておりますけれども、知らない。そこで、私が国へ帰った晩に、一回引き合わすからその話をしなさいと、こういうことで話をした、こういう状態であります。後で知りましたけれども、その今の右翼と重松自体も直接その間に、私は知らないわけですけれども、金の話をやっておったと、こういうことをその後の裁判証言等で言っておるという状態でございますのでございましたから、その二人を会わせまして二人に話し合いをさせた、こういう事実であります。
○喜岡淳君 右翼ということでありますが、警察の方にお尋ねをいたします。 この右翼団体誠友会の富里二郎会長、また越智大臣が直接御相談に行った、知った方という政経維新塾の平木譲司さん、この二人は地元では暴力団員というふうに世間は見ておりますし、私も調査の結果、そういう調査結果を得ておりますが、警察庁にこの点についてお尋ねをいたします。どうでしょうか、二人の確認は。
○政府委員(廣瀬權君) お答え申し上げます。 まず、愛国誠友会会長なる者が暴力団の構成員として認定していたかどうかということでございますが、これは警察といたしまして暴力団構成員として把握をいたしておりました。それから、もう一方の人間でございますが、これは当時は構成員であったようでございますが、その後破門されているというふうに承知しております。
○喜岡淳君 大臣、この事件は右翼じゃなくて暴力団がやっておるということが判明をいたしました。 暴力団のこういった街頭演説等々による金銭の恐喝事件については、警察にお尋ねをいたしますが、私は警察の皆さん方が現場で大変御苦労されておることに対して敬意を表しておるものでありますが、こういう事態の場合は、警察に対して御苦労ではございますけれどもあくまでも解決を求めていく、私はこれが政治家としてとる態度ではないかと思っております。こういった場合、警察庁の皆さん、お尋ねをいたしますが、あくまで警察に解決を求めるのが筋だと思いますが、どうでしょうか。私、間違っておるでしょうか。
○政府委員(廣瀬權君) お答え申し上げます。 ただいまお答えいたしましたように、本件事案は、右翼団体ということで街宣活動をやっておりまして、そのものの会長がかつ暴力団の構成員であったという形でございます。街宣活動は右翼活動としてやっておるようでございます。 先生御指摘のとおり、右翼にしろまた暴力団にしろ、とにかくそういう事案が起こったときにいち早く警察に届けていただく。警察といたしましては、そういう事案を認知いたしまして、これが犯罪に該当するというものにつきましては速やかに所要の捜査を行ってまいりたいと思いますが、またそれが犯罪に至らない事案でありましても、相手方に警告を行う等いたしまして被害の未然に努めてまいりたいと思います。 私の方は暴力団対策でございますが、これは挙げて国民の御申告にかかっているということでございますので、今後とも警察を御利用いただきたいということを心から願うものでございます。
○喜岡淳君 私は警察の言うのが当然のことだろうと思います。どこの世界に、実際にあったから情けない話なんですけれども、こういった暴力団の問題に対して毅然とした態度がとれない政治家、閣僚経験者がどこにおるんでしょうか。 しかも、大臣が相談したという方、その平木さんという人、どういう人ですか。あなたは右翼と言った。この平木譲司という人は平成四年五月十一日、町議恐喝事件で逮捕されておりますね。ところが、これがよくわからないんですが、何かの動きがあったんでしょう、五月二十九日、この事件については処分保留で釈放されておるじゃありませんか。だから白い人と言うかもわからない。 しかし同日、釈放と同時にゴルフ練習場の開発をめぐる五百万円の恐喝事件でこの平木譲司氏再逮捕じゃないですか。そして六月十三日、養豚業者に対する五百万円の恐喝事件で再々逮捕ですよ。六月三日に警察がこの平木譲司のところからけん銃所持で銃刀法違反、七月十二日には養豚業者に対する恐喝事件で起訴され、同時に七月十三日、銃刀法で起訴されておりますね。十月二十八日、ついに松山地裁において上記起訴事実により懲役二年六カ月の判決で服役中であります。あなたはこの人と知り合いだと言った。何でしょうか、これは、総理。 私はもう全くこのことに何の反省もない閣僚がおることに対してショックですよ。わかりません。暴力団と運輸業界の関係を断ち切れというのがあなたの指導の立場じゃないんですか。佐川に対してあなたの姿勢はそうでしょう。佐川に暴力団との関係を切れと言った人間が、その役所のトップの大臣がこんなことで示しがつくんでしょうか。納得いく答弁をくださいよ。
○国務大臣(越智伊平君) 平木君というのは私は暴力団であるとは認識をしていなかったのであります。もちろん、この街宣活動をやっておった右翼も暴力団ということは知っておりません。我々が暴力団と一般的に言っておるのは、暴力団員であるというのを聞いておるのは大体わかっておりますけれども、何といいますか随分その末端の方でないかと思いますが、暴力団というのは聞いておりません。 先ほど警察庁の方から御答弁がございましたが、警察はお願いをするし、実際に街宣活動をやっておる。この重松の家のそばで街宣活動をやっておる。そのそばに警察の車は来て、警察の車は来ていつも巡回をしておるし、また立ちどまって見ておる。であるけれども、今の法律ではやれないと、こういう回答でありました。でございますから、警察へお願いして警察がやってくれることであったら結構でありますが、警察は実際はやれない、こういう状態でございました。 でございますから、私は暴力団どつき合いをしたり暴力団に物を頼んだり、そうしたことをやったことは一度もございません。でございますから、佐川問題どこの問題とは別個の問題だ、私はこういうふうに感じておる次第であります。
○喜岡淳君 それはもうだめですよ。僕の質問の答えじゃないわ。明らかになったじゃないですか、関係者だということが今、知らない知らないと言ったって。
○委員長(遠藤要君) 立って御発言願います。
○喜岡淳君 知らない知らないと言ったってだめだよ、答えているんだから。何で知らないんだ。警察ははっきり言っているじゃないか。何が知らないだよ。警察庁は答弁しておるじゃないか。わかったじゃないか。わかったんだから、ちゃんと答弁すればいいんだよ。 知らないと言うんじゃなくて、今、警察庁は富田三郎氏が暴力団山口組系河野組の構成員であるということをはっきり言ったわけですよ。今わかったじゃないですか。しっかりと答弁してくださいよ。知らなかったと、今の場で何でそんなことを言えるんですか。
○国務大臣(越智伊平君) 暴力団員であるということは私は知っておりません。知らなかったのであります。今聞きましたが、私は知っておりません。ただ、今の宣伝活動をしておるのはいわゆる右翼だと、こういうふうに認識をしておりました。暴力団であったということは今聞いて知ったようなわけであります。
○喜岡淳君 じゃ、今わかったわけですから、あなたは政治家として間違った態度をとったのか、そんなことは全くない、何一つ私は非の打ちどころはないと言えるのか、はっきりと言ってください。
○国務大臣(越智伊平君) 先ほど申し上げましたように、警察に連絡をしお願いし、本人もお願いし私からも相談をいたしましたが、今の暴対法のできる前、またただいまも、愛媛県で条例でもつくってもらわないと十分取り締まりができない、こういうふうに言っております。愛媛県議会でもそういう条例をつくろうかという動きが今ございますが、とにかく私は暴力団であるということは全然知っておりません。また、今話を聞きましたが、そのことの、今の街宣活動をやめさすための連絡をお願いした、こういうことであります。
○喜岡淳君 わかったから、どう責任を感じておるかという質問でしょう。
○委員長(遠藤要君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(遠藤要君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(越智伊平君) 暴力団ということはただいま聞いた次第であります。一般的に、暴力団と私どもの地元で言っておりますのは、何組、何組というところへふだん出入りしておるような者を暴力団、あれは暴力団ということでありましたが、今初めて暴力団ということを聞きましたが、それは、その当時としては暴力団ということの感覚は私はありませんでした。しかし、暴力団であったとすれば、その者に頼んだということはよくなかったと。 しかし、先ほど申し上げましたように、警察にも連絡をいたしますし、警察の車はその重松の家の付近にたびたび来ておる、しかし、それは今の段階では取り締まりができない、こういう状態であったからやむを得なかった、こういうふうに私は解釈をしております。 平木が暴力団だったということはただいま聞きまして、その点については暴力団であったのであれば呼ばなかった方がいい、こういうふうに思っております。
○喜岡淳君 運輸大臣、暴対法ができる前だったから取り締まりができなかった、警察もやってくれなかったとおっしゃいましたが、警察庁の方にお尋ねいたします。 四国銀行松山支店の右翼街宣問題、これは暴対法ができる前のことでありますが、非常に高い評価を受けております。この処理はどういうふうにされたんでしょうか。
○政府委員(菅沼清高君) お答えいたします。 ただいまお尋ねの事件は右翼団体の街頭宣伝活動に伴う違法行為ということで警備警察サイドで検挙いたしましたので、警備局長であります私の方から御説明いたします。 お尋ねの事件は、平成四年の四月一日から六日までの間、愛国誠友会の会長、富田三郎が会長でございますけれども、その会長らが街頭宣伝車四台で四国銀行松山支店に押しかけまして、不正融資、過剰融資の糾弾などを掲げて、大音量による街頭宣伝を繰り返し銀行の業務を妨害した事例でございます。この件は、被害者の側の積極的な被害申告と相談がございまして、警察におきまして捜査を行いました結果、四月九日同会長ら七人を威力業務妨害と名誉棄損で逮捕いたしたものでございます。なお、主犯格の先ほどの同会会長につきましては、懲役二年八カ月の刑が確定しております。 以上でございます。
○喜岡淳君 暴対法がなかったって、こういうふうに警察は皆さん体を張ってきちっとされておるわけですよ。あなたは閣僚経験者、建設大臣の経験者として、当時、なぜあくまでも警察ルートで解決を求めなかったのですか。警察に言ったけれどもしてくれなかったと。閣僚経験者たる越智さんに対して本当に警察がそんな態度をとるなどというのは、だれが聞いても日本じゅうで信用する人はいないですよ。そんなばかな答弁はやめてほしいと思います。 運輸大臣、もう一つ反省していただきたいことがある。越智大臣は建設業界の重鎮としても、四国はもとより、有名でございます。四国通建の会長として活躍されておる、建設業界のトップですね。 一九八七年、あなたは建設大臣に就任をされております。あなたは建設大臣としてどういう行政をされましたか。当時、建設省は建設業界から暴力団を排除する旨の通達を八六年に出したはずであります。あなたは建設業界の重鎮として、しかも建設大臣として暴力団に対しては排除する責任ある立場にあったはずです。その当時まじめにやっていなかったんでしょうか。そういう疑問を私は思いますが、建設大臣就任時代も暴力団との関係はきっぱりとやっていましたか。おかしいじゃないですか。
○委員長(遠藤要君) その辺ちょっと、発言をしょっちゅうやっているから御注意願います。
○国務大臣(越智伊平君) 六十二年当時は私は建設業界のトップではありません。既に以前にやめております、辞任をしております。 六十二年に建設大臣に任命されまして、一年二カ月、建設大臣を務めました。この間には、暴力団の排除、これについては積極的な発言をし、また積極的に進めておった、こういうことであります。 それから、先ほどお話しの、あくまで警察と言いますけれども、警察に事実話をいたしますし、また重松も警察にお願いするし、宣伝カーのある近くまで警察の車は来て見ておったけれども取り締まりはしてくれなかった、これが事実であります。
○喜岡淳君 建設大臣をされて、今運輸大臣をされておる越智さんともある方が、警察の責任にするなどという情けない答弁はやめてくださいよ。そんな情けない答弁は私は残念でなりません。人のせいにしないでくださいよ。あなたが警察ルートをあくまでも頼らなかった、私はここが問題だろうと思います。 そういう意味では、総理にお尋ねをいたしますが、あなたは、この人こそと見定めて運輸大臣の就任をお願いした越智さん、こういう状況でございます。あなた御自身、総理御自身が抜てきされた運輸大臣がこういう状況です。果たしてこれで、佐川と暴力団の関係を断ち切りなさいとか、あるいは、政治家と金と暴力団のこのスキャンダル事件に対して国民の怒りがピークに達しておる中でいかなる責任を感じておられますか。もう本件については政治改革問題以前の問題ですね。総理大臣として、こういった閣僚として適格と考えておられるのか、あるいはそうでないと考えておられるのか。さらに、抜てきをされた総理御自身の感想をお聞かせください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから質疑応答を伺っておりましたが、越智大臣のお話は、その重松という人が家族をも疎開させなきゃならないような窮状にあって、そして警察にも依頼をしたけれども十分な効果がなかった、そこで、何と言われましたか、平木ですか、という人に、ひとつこの窮状を救ってはもらえないかという話をされたと。それが越智大臣の果たした役割でございますけれども、伺いますと、そのときに越智大臣は、平木という人が暴力団であるということは全く自分は知らなかった、こういうお話でございます。 そういうことから申しますと、越智大臣が言っておられますように、知っていたとすれば自分はそういうことは恐らくいいことでなかった、こう言われますから、御存じなくて善意の上でそういう仲介をされたということだと私は今のお話を理解いたしました。
○喜岡淳君 現職の閣僚が恐喝やけん銃不法所持で逮捕されるような人とつき合いがあってみたり、あるいは暴力団の街頭演説活動に対して警察にさえとことん解決を求められないような腐敗した倫理の中では、国民は不幸だと思います。運輸大臣、私はあなたが運輸大臣として一〇〇%確信を持って適格者であるようには思いませんので、本件についての責任ある態度表明を、もう暴力団関係者というのがはっきりしたわけですから、世間に対して後日表明をすべきだと私は申し上げておきたいと思います。 引き続いて、佐川の違法ターミナル問題についてお尋ねをいたします。 去年の秋、運輸省では全国で十カ所佐川の違法ターミナルを発表いたしました。既に七カ所については行政指導を終わったと聞いておりますが、では残りの三カ所、青森の弘前、滋賀県、運輸大臣の地元の愛媛県松山のターミナルですね、この三件についてどういうふうに行政指導されておるのか、お尋ねします。
○政府委員(土坂泰敏君) 今の三件についての状況を御報告申し上げます。 まず、松山でございますが、松山につきましてはトラックの事業協同組合がございまして、それの持っております施設を佐川が借りるということでことしの一月二十七日に賃貸借契約が締結をされました。これをもとに二月十日に運送法の事業計画変更認可申請を出してこられまして、三月十八日付で認可をいたしたところでございます。今月中には移転が完了する、そういう見通しになっております。 それから次に、滋賀の問題でございますが、これにつきましては個人のお持ちの土地を借りてそこに佐川がトラックターミナルを建築するということで、これも平成四年の十月十五日に土地の賃貸借契約を締結いたしました。本年の三月十一日に事業計画変更認可申請をいたしております。これに対して三月二十二日付で認可をいたしました。このターミナルも今月中に移転が完了する見通してございます。 それから最後に、青森佐川の弘前営業所でございます。これは別の会社が持っております土地の上に別の会社がターミナルをつくりまして、これを青森佐川が借りるという形にしておりまして、そのための土地建物の賃貸借契約を平成四年の九月二十五日に締結いたしております。これを受けて一月二十五日に変更認可申請をされておりまして、一月二十八日付で認可をいたしております。 ただ、このターミナルは雪のために工事がおくれておりまして、ターミナルの完成は五月ごろになる見通してございます。そのために、年度内に今のターミナルから撤退をしていただくというお約束でございますので、五月までの間、現在既に青森佐川急便が持っておりますほかのターミナルに暫定的に移転をしていただきまして、今のターミナルは撤去をしていただく。その上で、現在建設中のターミナルが完成するのを待って再度そこに移転をする、そういうようなことでやっていくというような報告を受けておるところでございます。
○喜岡淳君 どうして運輸省はそんなにまた佐川に甘くするんですか。雪のためといったって、ここだけじゃないでしょう、雪が降っているのは。そもそもここは違法認可なんでしょう。したがって、時間がかかるから三月三十一日までには責任を持って移転させますというのが国会の約束だったでしょう。あのとき、雪が降ったらおくれるからというのは、何にもそんな話ないですよ。三月三十一日で弘前の営業所についても移転さすんでしょう、約束どおり。約束は撤回されるんですか。
○政府委員(土坂泰敏君) 今まさに先生が仰せになったことを御説明したつもりでございます。 つまり、年度内に今のターミナルからいなくなる。いなくなった上で、じゃどこへ行くかといいますと、既に五所川原であるとか青森であるとか別途既存のターミナルがございます。そこへ暫定的に移る。したがって、弘前は年度内にやめるということでございます。したがって、違法状態は年度内に解消をいたします。その上で新しいターミナルの完成を待って五月に再移転する、こういうことを申し上げたつもりでございます。
○喜岡淳君 三月中の約束ですから、きちんとやっていただきたいと思います。三月中まで期限を切っておりましたけれども、実は三月三十一日までは違法営業を結局運輸省が認可しておるわけなんですから、ここのところをよく考えておいてくださいよ。 さて、この青森佐川の弘前営業所の新設認可に絡んで、私の疑問をお尋ねいたします。 お手元に昭和五十七年六月十日付の仙台陸運局長丹羽一夫殿あての自認書というものをお配りいたしております。青森佐川の弘前営業所の新設の際にはこの自認書なるものが一枚添付をされておりますが、これによって認可がおりた。自認書で認可のおりるような行政があるのかと思って私はこれひそかに手に入れたわけですが、唖然といたしました。そんなことがあるんですか。運輸大臣、自認書などで認可がおりるんですか。大臣、お尋ねいたします。
○国務大臣(越智伊平君) 我が運輸省といたしましては、道路運送法に基づく認可であります。この営業所とかそういうことにつきましては、都市計画法あるいは建築基準法、こういったものは実際は各自治体へ委任をいたしておりますが、そこで手続をしておるわけであります。 今お話しの自認書、これは適当な名前では率直に言ってないと思いますけれども、必ずそれをやっておりますということの自認書であります。したがいまして、今の都市計画法なりあるいは農地法なりあるいは建築基準法、そういうものの手続は責任持ってやっております、やります、こういうことでございました。 そこで、私就任以来は、自認書とかそういう書類でなしに、各自治体なら自治体に十分連絡をして、その上で道路運送法の許認可、これをやるように指示をいたしまして、今そのとおり実施をいたしております。このことについてはちょっと少し、自認書というのはどうであったか、こう思いますけれども、今後はきちっとやっていこうと。 それから、先ほどの……
○喜岡淳君 今後ですか。じゃ、それは認めたわけね。
○国務大臣(越智伊平君) いや、自認書が適当でなかった、自認書であるということが適当でなかった、相手の自治体なりそういうところによく聞き合わせて打ち合わせしてやるべきであった、今後はこうしようということでありますのでございますから、今後はそういうふうに指導していきたいと、かように思う次第であります。
○政府委員(土坂泰敏君) 青森佐川急便の弘前営業所の設置については昭和五十七年の八月に認可をいたしておりますが、その際に、都市計画法等の関係法令に抵触しないことについて申請者に誓約書といいますか自認書といいますか、そういうものを提出してもらって、それで確認をしたという事実がございました。運送法に基づく認可に当たりまして、そういう関係法令に抵触しないかどうかということについては、運輸省がみずからの責任で関係の部局に問い合わせるなどして判断をすべきものと考えます。そういう意味で、この自認書というもので確認をした行為というのは適切でなかったというふうに反省をいたしております。 これからどうするかという点につきましては、先ほども申し上げましたように、昨年に、九月でございますが、建設省との間でよく相談をいたしまして、これからは一件ごとの認可申請に当たって一つずつ都市計画の担当部局に問い合わせをして、問題がないことを確認した上で処理をするというふうに決めて、それぞれ通達を出してきちんとやるようにしたところでございます。
○喜岡淳君 自認書がケースとして全くないかといえば、それはゼロとは言えないでしょう。しかし、よしんばレアケースとして万が一自認書を使う場合だって、その自認しておる内容を証明するに足り得る関係書類を添付するのが当然でしょう。 こんな自認書でどうやって、読みますよ、「道路交通法、農地法、都市計画法、消防法、建築基準法、其の他公害に関する法令等に抵触しないことを自認いたします。」、青森佐川会社の社長の判こ、こんなものでどうやって確認できるんですか。運輸大臣、これでどうやって確認されたんですか。その審査の経過について説明してくださいよ。納得できないですよ。こんなもので審査できるわけがない。
○政府委員(土坂泰敏君) 事務的な手続でございますので私からお答えさせていただきたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、他法令との関係は、今先生が仰せになりましたように、具体的にやはり証明書を持ってきていただくとか、こちらから関係のところに問い合わせをして返事をいただくとかいうことをすべきであったと思います。したがいまして、このやり方は適切でなかったということでございまして、この点を反省をして、先ほど申し上げたように是正措置を講じたということでございます。
○喜岡淳君 反省反省という言葉はテレビでもよく聞きますけれども、一体どういうふうに再発防止をされるのかですよ。 ちなみにこの問題は、佐川の出してきたこの自認書そのものが虚偽だったわけですね。都市計画法に抵触していないことを自認しますと書いておるが、抵触していたからこそ違法ターミナルとして去年運輸省は指摘したんでしょう。今、改善命令を出しているんでしょう。虚偽の申請書じゃないんですか、この自認書そのものが。 したがって、虚偽の申請に対しては、そして虚偽の申請とか不正行為によって取得した免許とか認可とか、こういったものは当然私は取り消すべきが本来の姿だろうと思うんですよ。風俗営業法だって、不法によって取得した免許、許可は取り消すことになっていますよ。風営法の八条あるいは四十九条、都市計画法も第八十一条、職業安定法の第六十四条、労働者派遣事業法の第五十九条、貸金業の規制等に関する法律第四十七条、宅建取引業法の第六十六条、第七十九条、全部不法に取得したものは取り消すということになっておりますよ。運輸省もぜひ再発防止策について検討していただくようにお願いをしておきます。 次に、防衛費の問題でお尋ねをいたします。 最初に、防衛費の審議に当たって、総理、大蔵大臣の答弁を求めておきます。 平成五年度予算のうちに納税者に説明できないような予算は含まれていないと思うが、どうでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 御質問のとおりでございまして、私たちは胸を張ってこの予算をお願いしているところでございます。
○喜岡淳君 それじゃ防衛庁長官にお尋ねいたしますが、今度の新型輸送艦の導入の必要性と、五百三億円という予算の見積もり根拠についてお尋ねいたします。
○国務大臣(中山利生君) お答えを申し上げます。 今回導入をしようとしておりますLST、輸送艦でございますが、先生からいただいた資料にありますように、これまで二千トンクラスの輸送艦を六隻保有していたわけであります。今回一隻が退任をするということを機会に、これまで我が国の防衛力の中で輸送力というものが少し欠けていたということもありまして、御承知のように我が国は三千キロ近い細長い島国でありますが、この島国を最小限度の装備と人員で守っていくというためには、事に応じてその部隊を移動させるようなそういう輸送力というものが非常に大事になってくるわけでありまして、そういう意味で今回、今までと違った、今までは海岸に直接接岸をして前のドアをあけて装備をおろすという船でございましたが、今回はもう少し速力の出る、収容能力もある、また我が国の海岸線のいろいろな状況に応じてエアクッションで積載物を運ぶというような新しい型の輸送艦を導入しようとしているわけであります。 しかもこれは、今までの輸送艦はこの間のカンボジアからの輸送の帰りに向かい風に遭ってスピードが全然出なくなってしまったというような欠陥もありますので、少なくとも民間のフェリー並みの速力が出せる、しかも先生の資料にありますように、乗員等につきましても今の二千トンクラスの船と同じぐらいの人員で操作ができるというような将来の人的資源の制約なども配慮をして、どうしても今回この輸送艦が必要であるということで導入を図ったわけであります。 今、この中身についての積算をということでございましたが、衆議院の予算委員会におきましても宇都宮委員の御質問がありまして、我々としても、まさに国政調査権といいますか予算委員会でございます、そういうことでありますので、予算の御審議をいただくためにもできるだけ詳しい内容、資料というものを提出しなくてはならないということでできるだけの努力をしているわけでありますが、何分にもこういう装備といいますものは、また特にこの輸送艦等非常に大きい高価な装備品でございます。しかも、大量生産とか定価とかがあるわけではありませんで、この価格の決定にも非常に苦労をしている。 これから入札というようなことになろうかと思いますが、余り詳しくこの積算価格を発表いたしますと、入札によって国に対する損害が大きくなるのではないかというようなことで、国政調査権、私も国会議員の端くれでありますから、国政調査権というものをできるだけ発揮するということは先生と同じ意見を持っておりますけれども、しかし片っ方では今申し上げたようないろいろな規制がありますし、公務員としてのいろいろな制約があるわけであります。 そういうことで、宇都宮先生とも長い時間、言え言えないということで、結局最後に宇都宮先生にも納得をいただけないまま終わってしまったわけでありますが、これは今回初めてこういう議論が始まったわけではありませんで、もう議会が始まってからずっとこういうことの議論が行われてきまして、議会なり委員会と役所の間でいろいろと工夫を凝らして今日まで来ているものと思っておりますが、これからもなお一層そういう研究を重ねて国政調査権の方でも満足のできるようなそういう体制が、両方の面目が保たれる、立場が保たれるというようなことになれば幸いなんではないかなと思っております。
○喜岡淳君 今の答弁は審議するなということですよ、結局は。 じゃ、ホバークラフトをこの新型LSTに、輸送艦に搭載する予定ですが、一隻幾らで計算されておりますか、言ってください。
○政府委員(中田哲雄君) いわゆるLCACと申しておりますホバークラフト的な船でございますけれども、これにつきましては官給品の一部として私ども積算をさせていただいておるわけでございます。 官給品全体といたしまして百億円強でございますけれども、この中で特にLCACが幾らかという具体的な価格につきましては、ただいま大臣からも申し上げましたように、今後の契約実務上大変に不利を生ずるというおそれがございますので、御答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○喜岡淳君 予算審査できないじゃないですか。言ってくれなければ審議できないじゃないですか。国民はみんな公共事業と防衛費にはまんじゅう代とコーヒー代が入っておると見ておるんですから、言いなさいよ、ちゃんと。
○政府委員(中田哲雄君) 防衛装備品につきましては、一般に市場性が大変乏しい、調達先が限定されている場合が多いわけでございまして、その意味では競争原理が働きにくい分野とも言えるわけでございます。このため、調達に当たりましては、いろいろな要素ごとに原価につきまして厳密な積み上げを行いまして契約等の折衝に当たることとしているところでございます。 仮に、契約前にこの調達予定価格を想定させますような情報をあらかじめ明らかにするということになりますと、例えば相手方の価格面におきます努力等を促すことが大変困難になるということで、場合によりますとお認めいただいた予算の枠内におさまり切れないというふうな危惧も私ども抱いているわけでございまして、そういう意味で国側が大変に不利になる状況が想定されますので、これまでも個別具体的な装備品価格の公表は差し控えさせてきていただいているところでございまして、御理解を賜りたいと存じます。
○喜岡淳君 そんなことでは予算審査できないじゃないですか。そんなことだったら予算審査できないじゃないですか。これだけ公共事業をめぐって疑問があるんですよ、国民の中には。企業が十億円ずつ出しているんでしょう。こんな議論じゃできないですよ。
○委員長(遠藤要君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(遠藤要君) 速記を始めて。
○喜岡淳君 理事会の方によろしく配慮をお願いして、この問題は留保しておきたいと思います。 最後に一つだけ、文化庁、文部省に、文部大臣にお尋ねをいたします。 文化庁ではアンコールワットの遺跡修復事業として二千三百万円の予算を計上されておることに対して心から敬意を表したいと思います。人類の文化財産を維持、修復していく事業は非常に立派な国際貢献だと思いますが、今度のアンコール遺跡の修復事業、そしてこれからの文化庁、文部省の文化の面での国際貢献に向けた力強い御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 来年度、アンコール文化遺跡に関する共同研究のための経費といたしまして二千四百三十五万六千円を計上させていただいておりますが、これは倒壊の危機にありますアンコール遺跡へ専門家を派遣しましてまた遺跡の調査などを行いますとともに、カンボジアから専門家を招聴しまして、我が国の文化財研究所などにおきまして保存、修復、環境整備等に関する共同研究を行うものでございます。 現在我が国は、経済のみならず文化の面においても国際貢献が求められているということは先生御指摘のとおりでございますが、この事業についてその一環として高い評価を受けますよう、カンボジア側の要請を踏まえつつ適切に実施してまいりたいと考えております。
○喜岡淳君 どうもありがとうございました。
○委員長(遠藤要君) 以上で喜岡君の質疑は終了いたしました。(拍手) 本日の審査はこの程度といたします。 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十一分散会