予算委員会 第5号
- 発言数
- 313 件
- 登壇者
- 45 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1993/03/19
会議録
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。 平成五年度総予算三案審査のため、来る三月二十五日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認めます。 つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(遠藤要君) 平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算、平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、総括質疑を行います。及川一夫君。
○及川一夫君 再開をするに当たりまして、委員長に一言、私は気持ちを申し上げたいんですが、五日間、一週間近く休会のような状態になったのは大変問題であります。 委員長は、いずれにしても中立公正の立場ですから、委員会の構成の中で証人喚問問題というのは大変強い要求があるということは御承知のはずだというふうに思います。したがって、今後の運営の中で、我々委員だけではなしに社会全体に、国民全体にわかるようなひとつ運営をしていただきたい。証人喚問は行われるものという認識の上に立って私はこれから質問を開始したいというふうに思いますので、気持ちだけ委員長に申し上げておきたいというふうに思います。 まず総理、金丸さんの脱税問題というのは一体どこまで発展をするんでしょうか。率直に言って唖然どころか笑い話にすらなっている。私は、金丸さんの問題を金丸個人の問題だけと考えておりません。少なくとも国会には同僚という言葉があります。同僚という言葉を使うときには、自民党の先生であろうが、我が党であろうが、公明党であろうが、民社党であろうが、いずれにしても国会議員というものをとらえて同僚議員という言い方を私はしていると思っています。したがって、みずからも問われている、こういう気持ちでいるわけでありまして、にもかかわらず所得隠しが六十億、七十億と言われるような数字、あるいはまた脱税行為、政治資金規正法違反という問題、さらには献金、政治献金を目的外に使用して蓄財をするというようなこと等がいわば毎日のように報道をされている。残念などという言葉では言いあらわせないというふうに私は思います。 総理は、国会においてこの問題に対して残念、遺憾ということはおっしゃられたように思いますけれども、国民に向かってどのような気持ちを持ってこれから事に処するかということについては少なくともこれまで余り発言がないように思う。一体謝罪というものをしておられるかどうかというようなこと、おわびですね、確かにいろんなところで何か御発言されているようでありますけれども、この予算委員会においてそうした態度というものを示されたことがあるようには思えないんですが、その心境を含めてお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国会議員のあり方の問題でもあると言われましたことは、私も同様な思いであります。 この事件は極めてそういう意味で残念であり、遺憾なことですが、起訴が決定いたしましたときに、私としては政治のあり方、政治家のあり方について国民に深い疑念を、不信を与えるに至ったことはまことに申しわけないということを申しました。それは起訴が決定いたしました時点でございますが、この点は同様のことを当委員会におきましても申し上げたいと思います。 事件は検察、国税当局によってなお捜査、調査中であります。これはもとより厳正に行われることには疑いがございません。したがいまして、その結果について申し上げる段階ではございませんが、いずれにしても、政治資金あるいは政治そのもののあり方についての国民の深い不信、疑念にこたえるためには政治改革をぜひともこの際なし遂げなければならない。緊急改革につきましては既に前国会におきまして御決定を願ったわけですが、抜本改革につきましてこの国会におきまして成文、立法を含めましてぜひ決定をしていただき、直ちに実行に移らなければならない。事態は非常に、いわば我が国の民主主義自身が危機に立っておるというふうに認識をいたしております。
○及川一夫君 事件の内容が当委員会で正規に表明されたことがないわけでございますが、いずれにしても公訴されております。したがって、公訴内容について法務省にお伺いをしたいと思います。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 検察当局におきましては、捜査中の金丸前議員及び生原元秘書に対する所得税法違反事件のうち、公訴時効が切迫をしておりました昭和六十二年分につきまして、去る三月十三日、両名を東京地方裁判所に公判請求したわけでございます。 公訴事実の要旨をお尋ねかと思うわけでございますが、金丸前議員につきましては、生原元秘書と共謀の上、金丸前議員の収入を除外して割引金融債券を購入するなどの方法によってその所得を取得した上、昭和六十二年分の実際総所得金額が二億二千九百七十九万六千五百八十九円であったにもかかわらず二千九百七十九万六千五百八十九円で、これに対する所得税額が四百三十四万九千百円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、不正に一億一千八百八十五万四千百円の所得税を免れたというものでございます。 また、生原元秘書につきましては、この金丸前議員の共謀事案のほか、同様の方法によって自己の所得を取得した上、昭和六十二年分の実際総所得金額が六千百七十一万七百五十七円であったにかかわらず千百七十一万七百五十七円で、これに対する所得税額が九十六万五千八百円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、不正に二千六百六十四万六千円の所得税を免れたというものでございます。
○及川一夫君 入りの問題についてさまざまなことを調査されていると思うのでありますが、こういう中から、この公訴事実をもとにしてのこれからの争いというのは贈収賄ということまで含めて争うことになるのでしょうか。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 検察当局におきましては、現在、先ほどお答え申し上げました三月十三日に公訴を提起した分をも含めまして、所得税法違反の事実について鋭意捜査を進めているところでございます。 現在までのところ、今、委員が御指摘になられましたような贈収賄罪等の事実については報告を受けておりませんけれども、いずれにいたしましても、なお捜査を続けているところでございますので、それ以上のことは現段階ではお答えすることはいたしかねるわけでございます。
○及川一夫君 この脱税ということで言われる内容を見てまいりますと、所得隠しをするために割引債券というものを利用されている。そういう中で、よく竹下さんの名前もちらちら出てくるのでございますけれども、こういったものを視野に入れられてその後の調査をされているんでしょうか。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 巷間いろんな報道がなされているかと思いますけれども、その報道の内答についてはもちろん法務当局から御意見を申し上げることはできないわけでございます。 で、先ほどお答え申し上げましたように、金丸前議員及び生原元秘書に対する所得税法違反事件について現在捜査をしているわけでございますから、先ほどお答え申し上げました以上のことはお答えは御勘弁をいただきたい、御理解をいただきたいと思うわけでございます。 なお、あわせて申し上げますれば、現在検察当局において捜査を進めておりますのは、今申し上げました所得税法違反事件のほかに、もうこれは委員御案内のとおりと思いますけれども、さきの金丸前議員に係る五億円に関する告発事実、政治資金規正法上の収支報告書不記載等の事件につきましても、なお捜査を並行して進めているということでございます。
○及川一夫君 金丸事件に関しては六十二年度分のみの公訴ということになっておりますが、六十三年さらには平成元年、平成二年、平成三年、こういったものも捜査の対象になっていると思いますが、そう理解してよろしいか。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 昭和六十一年分につきましては、これはもう委員も御承知と思いますけれども、公訴時効の問題がございますから、これは公訴時効が既に完成しているというふうに考えられるわけでございますけれども、逮捕事実に含まれております金丸前議員の平成元年分及び生原元秘書の昭和六十三年から平成三年分の所得税法違反の事実については、これを両名を勾留して捜査を続けているところでございます。 現段階におきましては、その他の所得税法違反の嫌疑が認められたという報告には接しておりませんけれども、先ほどお答え申し上げましたように、いずれにいたしましても所得税法違反の事実について捜査を進めているわけでございますから、そこは十分御理解をいただければ幸いかと思うわけでございます。
○及川一夫君 とにかく内容的には相当多額のことが報道されていますからね、少なくとも今後の捜査いかんによっては所得税法違反というものに限るのではなくて、恐らく贈収賄事件まで発展をするんじゃないかという、またそこまで突っ込んだ解明をしなければ国民は納得しない、こういうふうに思うんですが、そのような観点をお持ちかどうか、法務省にお伺いします。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 これはもう申し上げるまでもないわけでございますが、検察当局におきましては、現在捜査中の事件のうち所得税法違反事件につきましては、告発に係るものを含めまして国税当局と連携をとりながら全容解明のための必要な捜査を行っておるところでございますから、適正に事件を処理するものというふうに考えているわけでございます。
○及川一夫君 これだけの多額の疑惑がかかっているわけですから、まさか所得税法違反や脱税問題だけで終わるというふうには私は考えられない。したがって、当然のこととしてさまざまな疑惑解明というものを徹底して行わなければならないというふうに私は思います。 そういう観点から、ささいなことのようで非常に重要だと思うのは、国民の政治家に対する信用というのは今や一%、信用できないというのが九四%も国民の中にあるということがこの前の世論で証明されました。それだけに、たかがマージャンのことのように思いますが、実は科学技術庁長官のあのマージャンに対する新聞紙上における発言というのはいかがなものかと思いますが、まずもって事実関係をはっきりしていただきたい、こう思います。
○国務大臣(中島衛君) 私の発言で多大な御迷惑をかけたことをおわび申し上げたいと思います。 あの朝、ある新聞社から、初めての方でありますが、電話をいただきましてお話をいたしました。そのことが夕刊に掲載をされるということになりまして、事実と違う点がありましたので、記者会見をして私の事実を申し上げた。あの記者会見のとおりでございます。
○及川一夫君 記者会見とおっしゃるが、その前に電話で話されたことはどういうことですか。
○国務大臣(中島衛君) 金丸先生とマージャンをしたことがあるかという問い合わせでございましたので、あるということを申し上げました。そこで、その記事にはかけマージャンであるというようなことが出たわけであります。そこで、私は金はかけていないということを記者会見ではっきり申し上げたわけでございます。
○及川一夫君 そんなこと信用できますか。それぞれ自分の胸に聞いてごらんなさい。中身はともかくとして、マージャンでかけていないなんということを言われて、大体閣僚の皆さん、みんなマージャンをやる方、そんなことやりますか。私はわからない。 もう一度答えてください。
○国務大臣(中島衛君) 今お答えしたとおりでありまして、それ以上のことはないんであります。
○及川一夫君 大体、自民党の皆さんの中でも例えば浜田幸一委員長が、広報委員長ですか、「辞めなければならない閣僚がいる。国会議員でありながら、とばく行為をしていた」と、こういう御発言も総務会であったそうですが、それは事実でしょうか。官房長官、おわかりになりませんか。
○国務大臣(河野洋平君) 官房長官は総務会に出席をいたしておりませんので、事実関係はよく詳細承知しておりません。
○及川一夫君 そんなことは百もこっちは承知で今質問しているわけですけれどもね。 新聞、マスコミの報道を見ますと、聞かれて、「ああ、やっていたよ」という、その前段のところはかけマージャンをやっていますかどうですかということを聞かれたんだと思うんですよ。やっぱりやっているから、「ああ、やっていたよ」ということは自然の形で出たと思うんですよね。それを今さら、これはしもうたと思って記者会見で否定するなどというやり方は、ますます政治家はうそをついているということに私はなってくるように思いますよ。中島科学技術庁長官、どうですか。
○国務大臣(中島衛君) 何回聞かれても同じお答えしかできないわけでございます。 金丸先生のところで何回かマージャンいたしましたけれども、ごく限られたプライベートな仲間だけのことでありまして、私は、まことに申しわけないと思いますが、そのことを外に申し上げたりすることはないと今までも思っておりましたし、今もごく私的な集まりだというように考えておるところでありまして、お金のやりとり等は一切ございませんので、この際申し上げておきたいと思います。
○及川一夫君 限られた仲間、それから外に漏らしたりしないだろうという言葉ね、だからかけマージャンをやっているんですよ。やらないはずはないですよ。 もう一度答えてください。
○国務大臣(中島衛君) 今までの答弁と同じでございます。
○及川一夫君 だからますます不信が高まるんですよね、総理。 マージャン、三百万も四百万もかけるようなかけマージャンは、それはやっぱり糾弾されますよ。当然のことだと思う。法務大臣、そうでしょう。しかし、家族でマージャンをやりながらラーメン一杯かけるなんということはあるんですよ、これ。大体、マージャンというのはそういうものなんでしょう。それを全部否定するやり方というのはやっぱり不信が高まるばっかりですよ。 総理、どうですか、この問題。総理に答弁を求めます。
○国務大臣(河野洋平君) 一部、新聞で報道をされましたので、官房長官といたしまして、科学技術庁長官には事実そういうことがあったかどうかをお尋ねをいたしました。中島大臣からはそうした事実はございませんという御返事がございましたし、重ねて中島大臣からは記者会見でそうした事実のない旨をきちんと述べておられます。閣僚としてそうした御発言、我々はこれを信頼しているところでございます。
○及川一夫君 全く官房長官は人がいいからね。それは信頼しなきゃいかぬでしょう。それは人のことですからね。だけれども、あなた自身の体験を踏まえて科学技術庁長官の言葉を本当に信用できますか。私は信用できない。 もう一度お答えください。
○国務大臣(河野洋平君) 中島大臣は閣僚として誠実に仕事をいたしておられます。こうした仕事の実績を考えますと、中島大臣の御発言は十分信頼するに足るというふうに思っております。
○及川一夫君 実に情けないというふうに私は思います。本当のことが言えないということを、官房長官もその一人だということを私は確認しておきます。 次に進みたいというふうに思います。 実は事件が起きるたびに内閣がいろんなことをなされます。そこで、過去の事実として幾つか内閣として提言をしたりあるいはまた決議をしたりした経過があると思いますが、このことについて、いつ何をしたか、何を決議したかということについてお答え願いたいと思います。
○政府委員(伊藤博行君) お答え申し上げます。 過去に先生お話しのございましたいろいろな提言等がございます。その重立ったものを申し上げますと、まずロッキード事件を契機といたしまして設置されましたロッキード問題閣僚連絡協議会におきましては、昭和五十一年の十一月十二日に対策が取りまとめられておりまして、同日、閣議に報告されております。その対策の骨子は、贈収賄罪の規定の整備、公務員の綱紀粛正の強化、許認可事務の整理合理化の推進等の行政の公正確保のための措置の強化、選挙制度や政治資金制度のあり方についての検討等を内容としております。 それから、その後ダグラス・グラマン事件を契機といたしまして設置されました航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会がございますが、この協議会におきましては、昭和五十四年九月五日に提言がなされ、同年九月七日に閣議報告されております。提言の骨子は、選挙制度や政治資金制度のあり方についての検討等の政治の浄化のための対策、企業倫理の確保のための対策、許認可事務の整理合理化の推進等の行政の公正確保のための対策、制裁法規等の整備強化等を内容といたしております。 以上でございます。
○及川一夫君 今言われたものを私なりにまとめてみると、四つの柱と十五項目が決議の内容、そして四つの柱と十四項目、これが提言の内容ということで、大平内閣並びに三木内閣で決められたというふうに私は思うのであります。 そこで、今御答弁いただきましたが、この中で実施をした内容というのは幾つありますか。
○政府委員(伊藤博行君) 提言の内容は非常に多岐にわたっております。いろいろの各省にまたがっておりますけれども、相当数は検討し実施しておりますが、若干実施に移されてないのもございます。 実施されたもの、数ではちょっとまだ計算しておりませんけれども、例示的に申し上げますならば、先ほど御説明申し上げましたロッキード事件再発防止のための対策関連等でいきますと、例えば「贈収賄罪の規定の整備等」という項がございますけれども、その中で「収賄罪の法定刑の引き上げ」等は昭和五十五年に実施されております。それから「犯罪捜査等についての条約の整備」、これにつきましても「日米犯罪人引渡条約の適用罪種の拡大」、この新条約が昭和五十三年に署名され五十五年に発効しておりますけれども、そういったようなことで相当数は実施されております。 ただ、全部が全部実施されているというわけじゃございません。それにつきましてはそれぞれ提言はいただきましたけれども、さらに議論した結果、なかなか法律的に難しい問題もあるというようなこともあって実施されていないのもございますが、相当数は実施に移されておるというふうに理解しております。
○及川一夫君 相当数は実施をされたというのは、実施されないものと比べるとそれこそ実施のしやすいものという意味になるわけですね。肝心かなめのやつがなかなかもって実施をされないと、こういうふうになるわけなんですが、特にロッキード事件再発防止のための対策ということで五十一年十一月の十二日にあった中で、賄賂罪の推定規定というものの新設というものがございますが、これは実施されないということになりますが、なぜですか。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 今、委員が御指摘になられましたわいろの趣旨に関する推定規定を新設することにつきましては、これは無罪の推定というそもそもの刑事法上の原則との関係で問題があるということが一つございます。 また、委員が今御指摘になられました「ロッキード事件再発防止のための対策について」の中で例示されておりますところの推定規定につきましては、下級公務員の場合を例にとりますと、交際相手が比較的限定されておるわけでございまして、社交上受け取る財物等も均質化しているために効果的に機能すると考えられるわけでございますが、政治的公務員あるいは高級公務員の場合には日ごろ交際範囲も広いわけでございまして、社交上受け取る財物等の種類、価格、あるいはその幅が広いために、密接な利害関係者から財物等を受領いたしましても果たして通常の社交の程度を超える財物等であるか判定しがたい場合が多いわけでございまして、推定規定が効果的に機能しないおそれがあるというような問題がございますので、今後さらに検討することが相当であるというふうに考えているわけでございます。 念のため申し上げますと、これは委員もう十分御調査になっておられると思いますが、今申し上げた「ロッキード事件再発防止のための対策について」の中で提言されております問題の一つとして指摘されております「賄賂の趣旨に関する推定規定」と申しますのは、例えば「公務員が、その職務の執行につき、密接な利害関係を有する者から、通常の社交の程度をこえる財物その他の財産上の利益を収受」等「したときは、(収賄罪)の規定の適用については、職務に関して賄賂を収受」等「したものと推定する」という規定でございまして、そのことを委員御指摘になっておられたんだと思うわけでございます。
○及川一夫君 当時の議論としては、どうも刑法上なじまないというようなそういう立場から否定をされたということも聞いているわけですが、なぜ刑法上なじまないんでしょうか。これは法務大臣、御存じのようですが、ひとつお答え願いたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) この推定規定が無理であるといったことについての専門的な立場のお答えは、今、濱刑事局長から申し上げたとおりなんですね。やはり刑罰規定として推定規定ということになりますと、一体それはだれが推定するんだといったようなことが出てきまして、刑罰の理論としてそういう推定規定は無理であるというのが私の見解でございます。
○及川一夫君 それならば、例えばイギリスでは公務員法にこの推定規定というものが載せられているということが言われているわけですね。ならば、特別立法とかあるいは今まさに議論になろうとしている、なっている腐敗防止法というものの中でこれをとらえるということはできないんでしょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 今お答えしましたように、刑罰の基本法である刑法等の中でそういう規定をつくるのは私は無理であろう、こう思いますが、今、委員の御質問は、ある行政目的とでもいいますか、それを担保するための罰則規定ということで考えたらどうだと、こういうお話だと思いますが、それはやはりイギリスにはイギリスの政治土壌もありましょうし、日本の政治土壌とは違う。また、一八八三年と今日の時代ではまるきり違うといったようなことで、この点については政治改革の法規の中で、政党法をつくるのがいいのか悪いのか、あるいは選挙法の中に書くのがいいのか、あるいは政治資金規正法の罰則の中で書くのがいいのか、これはやはり慎重に検討すべきであろうと、こう思います。 ただ私は、ともかく罰則をつくれば世の中よくなるという考え方に基本的に疑問を持っておるわけでございます。これほど慎重にやりませんと逆のマイナス面も出てくるといったようなことをお考えにならないといけない。基本は政治に伴う金の問題であるとするならば、それはやはり個々の政治家の倫理観といいますか、道義心とでもいいますか、あるいはまた政党それ自身の道義の問題、こういう点からきちんと考えた上で慎重の上にも慎重に考えないといけないことであろうと、かように考えます。
○及川一夫君 慎重の上に慎重さが。五億円の政治献金をされても二十万円で終わってしまう、これに対する国民の不信というものは大変なものじゃないですか。 しかし、今、後藤田法務大臣がおっしゃるほど我が国の政治資金規正法とかあるいは汚職事件に対する罰則というのは、また防止をするための措置というのは、もうざるを地でいくようなものになっているというところに大きな問題があるだけに、これは私は真剣に考えるべきだと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) だから、今お答えしましたように、これはやはり政治資金規正法なりあるいは選挙法なりそういった面で十分慎重に考えたらいかがでしょうかと、こう申し上げておるわけでございます。 そこで、その二十万円のお話が出ましたが、私の口からこれお答えするのはどうかなと思いますけれども、現行の政治資金規正法は相当欠陥のある法律であると私自身はさように考えておる。だからこそ、さきの臨時国会で、二十万円云々ということはいかにも整合性を欠いておるではないかといったようなことから、一年以下の禁錮刑を国会の皆さん方の御意思で改正をしたというのも、そういった政治資金規正法の中にある欠陥を補正する、こういう意味合いでおやりになったと思いますので、さらにまたこの上政治資金規正法が欠陥があるという皆さん方のお考えならば、これは今回の抜本的な政治改革の中でお考えをいただければいい、こう思います。
○及川一夫君 そこで、この問題をどういうふうにけじめをつけていくかということが総理もおっしゃるように今国会の大変な問題だと思います、四点セットでやりたいということは、それはそれなりに私も受けとめるんですが。 そこで総理、一つは、去年の一月韓国に行かれたときに記者団と懇談をされました。そのときに、政治資金規正法のようなものはもう緊急事態と、切り離してでもこれをやらなければいけないという御発言になったことを覚えていませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはそういう感じを持ったことがございます。また、それは緊急事態であることに違いありませんけれども、その後具体的に起こりましたことは、私が自分の党内に政治改革推進本部というものをつくりまして、そして、政治改革全般についてひとつ党としての案を決めて、立法を要するものがたくさんございますので国会に提案をしたいということを申しまして、その中でいろいろ議論をしておりましたが、急ぐものがやっぱりあるというので、緊急分につきまして二月の半ばでございましたか三月に入りましたか、党の意見をまとめまして、これは前国会において法律にもしていただいたのでありますが、同時に、抜本分につきましては、昨年の十一月までに引き続いて案をまとめてほしいということを申しまして、この案ができ上がりつつございます。 間もなく国会に御提案をして御審議をいただきたい、こういうふうに思っているところでございますが、これらは政治資金の問題をあわせまして今四つの法律案として検討しつつあるところでございます。
○及川一夫君 切り離してでも政治資金規正法はあるいは腐敗防止法は成立をさせなければいけないというふうに思われることは私は正しいと思うんですよ。そういうふうに総理が最初思われておったことが今日的には四点セットということになるんですが、それはそれとして、しかし会期は六月二十日まででしょう。その会期のうちに四つを成立させると言うけれども、各党折衝の中でどうしても選挙制度はなかなか合意できない、そのときにどうするかという問題が必ず私はあると思うんですよ。そのときに対する総理のお考えとして、切り離してでもというふうにはならないんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の暮れに各党の党首会談をお願いいたしましたときに、何人かの党首から、自分の方としても政治改革については案をまとめたいと考えているので、自民党の実とあわせて国会において国民の見ている前でひとつ議論をして成案を得ようではないかというお話があって、私はまことに結構でございますということを申し上げました。 それで、衆議院に政治改革特別委員会が設置をせられたわけでございまして、自民党案は間もなくこの委員会に提案をせられると思いますが、各党も恐らく同様の御準備をしていらっしゃる。ですから、そこでは整合的な、全般の問題についてこれから御議論が私は始まるのだと思います。 私自身が自民党案の、私は推進本部長でございますので、について考えておりますことは、ここまで参りますとやはり全部の問題をもう思い切って根本から考え直さなければ、びほう的なやり方ではだめだという感じを持っておりまして、それは及川委員の言われますように、政治資金は政治資金の問題がたくさんあるわけですが、これはやはりしょせんは選挙についての公費助成というものに至らざるを得ないであろうと思っておりまして、公費を助成するとなれば、それは選挙制度そのものが今のままでは公費助成というものは難しいと考えますので、そこらあたりから、ほかにもたくさんございますけれども、四つの法律案の相互関連性、不可分性というものが出てくるというのが私の考え方でございます。 いずれにしても、しかしこれはこれから衆議院の特別委員会で御議論になる点であろうと思います。
○及川一夫君 いずれにしても、与野党合意の上でやるという前提に立ては立つほどそのことについて決断をする時期が来ると思うし、選挙制度が合意しないからほかの三点はもうぽしゃってしまうという、議決をしない、成立をさせないなどということになったら、国民の不信はそれこそ倍加、三倍加するということだけは私は申し上げておきたいというふうに思います。 そこで、時間が過ぎてしまっているんですが、外務大臣、実はさっきから私も気になってしょうがないんですけれども、外務大臣に対する御質問をしなければいけないというふうに思っているんですが、外交方針とそれから総理の施政方針にやや私は微妙に食い違う点があるんじゃないかというような気がしてなりません。 総理大臣は一貫した方針のもとにということで、恐らく政経不可分のことを言われているような気がするし、外務大臣の場合には、要するに外交の、エリツィン訪日の問題で窓口が開けた、だから拡大均衡のもとに新しい事態に発展をさせるんだということを言われている。この辺のことは食い違いはないんですか、総理大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 結論を申し上げますと、食い違いはありません。 物事を決定するまでには、予算でも何でも同じでありまして、各省それぞれの見解を持っておりますから、それを代表して所管大臣が話をすると。大激論もあるし、議論もあるし、いろんなことがあった中で決定された大きな方針については食い違いはない。細かい言い方とか言い回しとか、これは人の顔が違えば言葉も違うように、みんな幾らかとり方によっては、それは違うと言えば、全く同じことを同じ口でしゃべるわけじゃありませんから多少そういう点はあるかもしれませんが、物の考え方とか基本的方針は違いはありません。
○及川一夫君 そうすると、拡大均衡という外務大臣の御発想はどういうことなんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、私は参議院でかつてロシアと日本との関係については魚心あれば水心だと、こう言ったんですが、これはなかなか訳が難しいらしいね、魚心あれば水心というのは。それからまた、これは誤解を与えるというんだね、いろいろ。そういうようなことでやめちゃったんですが、要するに、北方四島が一括早期返還と言っておりましたが、それが実現するまでは一切ソ連に対する援助とかそういうようなところはやりませんよという基本方針を何十年これ続けてきたわけです。 しかし、ロシアもがらっと変わって、共産主義がなくなって、なくならないけれども政府の方はそういうものにはのっとらない。まして、スターリンの力については行き過ぎもあるし間違いもあるということをゴルバチョフ政権以来、がらっと、一種の無血革命みたいなものですから、そういうふうに変わってきたわけですよ。 それで、外交方針については法と正義に従って我々は外交をするんだと、こう言っていますから、我々は額面どおり受け取っておりまして、しからば北方四島の問題等についてもあの中でも議論がいっぱいあるんですよ。我々見ておりまして、例えば最高会議なんかに行ってロシアの外務省は、例えば五六年の共同宣言、これはその一部を認めないと今までずっとソ連時代言ってきたわけだから、そういうことはしかし通用しないよということを最高会議で外務大臣が説明しているんですよ。そんなことは、これは今まで考えられない話ですから、ロシアの今まで言っているのが間違いだということをロシアの外務省も国会で説明しているんだから、だから、そういうふうに変わってきている。 そういうような中にあって、我々としては、かたくなに四島が帰ってこなければ一切口もきかないという話じゃなくて、それは大いに向こうの立場も尊重するものは尊重しながら、しかしこちらの権利はちゃんと認めさせなければならぬ。それは譲るわけにはいかない。しかしながら、それについてはお互いが歩み寄っていかなければこれはいつまでたっても平行線だから、だから少しずつ歩み寄ってそして一致点に向かって進もうじゃないかというのが、拡大均衡という言葉もあるでしょう、歩み寄りながらということもあるでしょう。しかし、それは基本的には変わらない。 政経不可分とよく言われますが、それはどこの国だって政治とそれから経済と、大きな問題は不可分なんですよ。外交というのはそういうものなんですから、どこだって。例えばODAでいろんな援助をやるにしたって、政経全く関係ない、そんなことないですよ。それは人権を無視したり民主主義を守らなかったり、それから人民を苦しめたり、そういうところへはやらないというのは、やっぱり政経一致しているからですよ、これは。何も困っているからやるというわけじゃありませんから。やっぱり政治というものを考えながらやっているわけですから、だから政経というのはもうそれは不可分が当たり前。どこまで厳格にやるかという問題はまた別ですが。 だから、そういうような問題等につきましては我々は基本的には変わっておりませんが、実際の取り組み方については、やっぱり実態に応じて、それでこちらの権利、主張をちゃんと主張しながら歩み寄っていこうという現実的な外交をやっている、いつつあるということです。 大変長くなって恐縮です。
○及川一夫君 政経不可分というものを確かにどこまで厳密にやるかということは、それは角も立つときもあるし、大変な問題だと思うんですね。 そこで私は、ロシアとの関係ではやはり信頼関係を確立するということが最も大事だと思うんですね。そういう点で、日本の過去を洗いながら現状というものを見てみたときに、一つは日本の国防方針というのがあるんですが、戦前の国防方針に何が書かれであったか、外務大臣、御存じですか。
○政府委員(畠山蕃君) 大変古い国防方針、帝国国防方針というものを御質問が未然段階でございましたので私どもの方で調べでございますが、一九〇七年に決定をされました。自後三回改定を見ているわけでございますが、最初の決定のときには、「将来ノ敵ト想定スヘキモノハ露国」、ロシアでございますが、「露国ヲ第一トシ 米、独、仏ノ諸国之二次ク」、「国防二要スル帝国軍ノ兵備ノ標準ハ 用兵上最重要視スヘキ露光ノ兵力に対シ 東亜二於テ攻勢ヲ取リ得ルヲ度トス」というふうに書いてございまして、一次改定では、陸軍は、露、米、中の順序とし、海軍は米国を第一位の想定敵国としたというふうにあります。 第二次、第三次改定においてもほぼ同様の内容かと存じます。
○及川一夫君 今言われましたように、我が国はとにかくロシアというものを敵国としてずっと来ているんですよ。だから、そういうものがやっぱり国民の教育の中にも私はあったように思うし、そのことが何となく知らず知らずの間に偏見になっているんじゃないか、こういうふうに私は思ったりするんです。 したがって、これを克服しなければいけないということを含めての私は質問ということになるんですが、実はロシアの軍隊と交流を防衛庁がやりましたですね。これについてちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中山利生君) 国際間の平和を保っていくためにはお互いの国同士の理解と信頼関係が基本であるということは、先生がおっしゃったとおりであろうと思っております。 そういう意味で、今、何か戦前のお話が出ましたけれども、とにかくお隣の一番近いところに国防力を超えたような強力なパワーが存在しているということは、我々といたしましてもこれは十分に関心を持っていかなくてはならないと思っておりますが、それにいたしましても、お互い同士がその実態を理解し合い、その理解し合うことによってお互いが侵略の意図がないとか平和についての考え方とかそういうものをしっかりと固め合って、そして信頼を高めていくということは非常に大事なことであろう。 そういうことで、先般、ロシアの制服組の幹部と我が防衛庁の研究所がいろいろと具体的な率直な意見の交換を第一回として行ったわけでありますが、お互いに非常に成果があったということで、これも日本とロシアの信頼関係の構築に大きな前進になったのではないかというふうに評価をしているところでございます。
○及川一夫君 ロシアからは、どういう方がおいでになりましたか。
○政府委員(畠山蕃君) ロシア側からは三名でございまして、参謀本部参謀総長第一代理ニョフエフ陸軍中将、それから参謀本部大学の教授イワノフ陸軍少将、三人目が国防省渉外部副部長ネグレーエフ海軍大佐、以上の三名でございます。
○及川一夫君 防衛庁長官はこの三名の方にお会いになりましたか。
○国務大臣(中山利生君) お目にかかっておりません。
○及川一夫君 この交流の会議の総括というのは、大体どうまとめておられますか。
○政府委員(畠山蕃君) 御質問の趣旨は、会議の内容ということでよろしゅうございますね。 非常に長いことになりますので詳しくは申し上げませんが、二月二十四日、ロシアの国防政策の基本方向ということで先ほど申し上げましたニコラエフ参謀総長第一代理が話をされまして、この中には情勢認識、それから軍事政策の主要機能として予測機能、指揮機能、調整機能があるというような説明、軍事政策についての原則、それから軍事ドクトリンの概要、そういったようなことについての話がございました。 それから、二月二十五日は、ロシア軍建設の基本的方向ということでイワノフ参謀本部大学教授が述べた話としては、軍建設の主要目的、それからロシア軍の基本的任務、あるいは軍事的安全保障の基本方針、それから軍建設の基本的方向、さらには軍建設の三段階ということで具体的に三段階のステップの内容を示されたということ等でございました。 ごくあらまし、概要を申し述べますとそういうことでございました。
○及川一夫君 そういった総括に先だって、言われたことを事実という前提でお受けとめになりましたか。
○政府委員(畠山蕃君) 極めて真摯な学究的な報告会でございまして、その限りにおきまして彼らの信ずるところを述べていただいたというふうに受けとめております。
○及川一夫君 例えば極東軍は十二万人削減をしたという話があったことに対して、防衛庁はそのとおり事実として認めて、軍縮の努力をしているというような評価をされましたか。
○政府委員(高島有終君) お答え申し上げます。 確かに先方の説明の中に軍縮の説明がございましたし、その中に今御指摘になりましたように十二万の削減の話も出ておりました。ただ、全体に従前に正確にどれだけの兵力があったのか、あるいはこの十二万の削減がどの地域から行われるのかといった詳細な説明には至っておりませんので、私どもといたしましては、この説明だけをもって正確に評価をするにはやや説明不足というふうな印象を持ったところでございます。したがいまして、今後ともそういう点は正確に承知したいというふうに考えておるところでございます。
○及川一夫君 防衛庁長官、この会合は毎年続けられるお考えですか。
○国務大臣(中山利生君) 第一回の会合が、今御報告を申し上げましたように、非常に率直な意見の交換があったということで両国の関係に大きなプラスになるということで、これからも、まあ毎年といいますか続けて会合を開いていきたいと思っております。
○及川一夫君 相手は中将、少将、大佐ということで、防衛庁でもかなりのクラスだと思うんですよね。しかし、防衛庁長官が全然こういう方とお会いしていないというのはどういうことでしょうか。
○国務大臣(中山利生君) ロシア側がこちらにおいでになるという事前の折衝の中で、もう当然こちらとしてもそれに対応できる折衝をしなくてはいけないということでございましたが、こちらもそのとおり対応できるような態度で接遇をしたわけでありますが、向こうのロシア側の御意向は、そういう形式的なことよりも実質的な率直な、先ほど御報告を申し上げましたように、学究的な、そういう話し合いをしたいという御希望でございました。先ほど御質問のようなことについての疎漏はなかったというふうに思っております。
○及川一夫君 防衛庁長官はそうお受けとめでしょうが、私の立場から言えば、こういうものをきっかけにして本当の人間関係といいますか、日本とロシアの信頼関係の糸口をとにかく開いていくというチャンスだと思うんですね。したがって、これからもお続けになるとすれば、ぜひそれ相応の対応をしなければいけないというふうに私は思っておることを申し上げておきたいと思います。 次に、春闘問題に移らせていただきます。 労働大臣、中基審が何か労働側不出席のまま答申を出されたということをお聞きしましたが、どうなっているんでしょうか。
○国務大臣(村上正邦君) 中基審に労側が欠席したままというのは、これは春闘とはかかわりが直接的にある問題ではないわけでございますが、しかし今回の春闘は時短も含めて幅広く議論されておることは私も承知いたしております。 実は、八日の日に審議会に諮問をいたしましたこの件につきまして御答申をいただくということでございましたが、労側の皆さん御出席をいただけないということで十二日に実は延ばしました。その間、この審議会の会長初め、誠心誠意労側の御出席を求め、私どもといたしましても側面から御出席をお願いいたしました。しかしながら、十二日においても御出席をいただけなかった。そこで、答申を見合わせまして、なおかつ誠意を示していこう、説得に努力をしていこうということで十七日に延ばした。ここでぎりぎりでございますと御判断をなさったんだと思いますが、十七日も御出席をいただけないということでございましたけれども、夕刻、御答申を賜った、こういう経緯でございます。
○及川一夫君 労働側の対応というのは当然だと思いますね。少なくとも論議に論議を重ねて三者合意で決まったものについて、その所管庁である労働省がそれを覆して、そして一年間また延ばすというような提案というのは、それはどうしても私はのめるものじゃないと思うんですよね。したがって、政令というのはお出しになられるんですか。
○国務大臣(村上正邦君) 御趣旨はよくわかりますが、今日の経済状況の中で、本当に私どももあらゆる角度から十分検討させていただきまして猶予措置を設けた、こういうことでございます。 御承知のように、政治というものは生き物でございますので、そのときどきのいろんな事情も勘案をしなきゃならないということでございまして、そうしたことで四十六時間を最低基準として定めてまいりたい。しかし、これは最低基準でございますので、企業と労働側とそれぞれお話し合いをいただきまして、四十四時間に持っていける、ところは持っていっていただくというその努力は、私ども一刻も早いそういう体制ができるように、政府としても労働省としてもあらゆる措置は講じていきたい。罰則規定があるものですから、ぎりぎりの四十六時間というこうした対応はやっぱりしてあげなければいろいろな実態にそぐわないことであってもいけないということで、そういう方向でまいりたい、こう思っております。
○及川一夫君 労働大臣、それは道なんですな。四十六時間できるところはやってもらうと言うけれども、四十六時間をやろう、やりますということで一生懸命やった結果どうしてもできないところというのは出てくると思いますよ、それは。しかし、そのときには労使間で労働基準監督署を入れて話をすれば実行できるんですよ。私の体験から見てもそう思っておるんです。 ぜひ、政令は出さずに実施をする、そうして問題のあるところは個々に話をし合うということでいくべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(村上正邦君) せっかくの御提言を賜っているわけでありますが、一応こうした方法でお願いをしてまいりたい、こう思っておりますので、どうぞひとつ御理解を。
○及川一夫君 意味ありげな目をされても、うんと言うわけに私はいかないわけであります。 これは春闘全体にも影響があるんですよ。労働省を信用することはできない、同時にまた経営者も信用することはできないということに労働側はなるはずですよ。そうしますと、やっぱり賃上げの問題でもそれなりにエキサイトしますよね、どうしても。 ですから、政令を出すに当たってはそのことを十分念頭に置いて、政令を出すということについてはむしろ私は考え直した方がいい、具体的には必ず私は解決できるというふうには思っているんですが、労働大臣もう一度答えてください。
○国務大臣(村上正邦君) 御理解賜ったんじゃないかと思って及川委員の目をじっとこう見たわけでありますけれども。私はもともと性善説をとるものでありまして、労使間においては十分そこらあたりの理解はいただけるものだ、こう思って政令を出させていただきたい、こう思っております。
○及川一夫君 この問題は、労働大臣もそう労使関係を体験したようでないのですけれども、労働側を信頼してもらいたいということだけを私は申し上げて、政令問題について、私はお出しになることはやめた方がいいということだけ申し上げておきます。
○国務大臣(村上正邦君) ちょっとそれに対して。 そうおっしゃれば、労働者側も労働省に対しても御信頼を置いていただきたい、このことを申し上げておきます。
○及川一夫君 わざわざ言い直すからおかしくなるんでね、これは。私は、やっぱり労働省というのは監督するというか、労働者との間の中立の立場に立っていろいろと善政を施していかなきゃいかぬという立場だと思うんですよ。どっちに理があるかといえば、私はやっぱり労働者側にあるというふうに思いますから、重ねて私は出すべきではないということを申し上げておきます。 最後になりますが、ちょっと総理大臣、ロシアのエリツィンさんの訪日の問題、さらには今のロシアの事態に備えてさまざまな先進国の動きがありますね。臨時G7というものを開けというような御意見もあるようでございますけれども、私はそうした方がいいんじゃないかという前提に立ちながら、総理大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のような背景がございますので、今年のサミットの議長国でございます我が国といたしまして、政府代表、いわゆるシェルパでございますが、の初めての会合を先般香港で開きました。その会合におきまして、ロシアからフョードロフ副首相を招聘してロシアの事情を各国の代表が聴取したということがございます。それは、及川委員の言われますように事態がなかなか重大であるということ、またエリツィン政権そのものも非常な困難に遭遇をしておられる、それに対してサミットの各国としては支援を送りたいという気持ちが強うございますので、そういうことも兼ねまして、そのような会合をいたしました。 その際に、幾つかの国から七月のサミットにはロシアも東京にお招きをする、その形等々は別といたしましてそういうこと自身が好ましいのではないかという意見もございました。もう少し各国の意見をよく聞きまして議長国としての態度を決めなければならないと思いますが、そういうこともございまして、一昨日、外務次官を米国及びヨーロッパの各国に派遣をいたしました。それはただいま御指摘のような問題につきまして議長国としての判断を固めたい、こういうつもりでございますので、いずれ各国の意向を聞きましてから決定をいたしたいと思います。
○及川一夫君 終わります。
○委員長(遠藤要君) 以上で及川君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(遠藤要君) 次に、石井道子君の質疑を行います。石井君。
○石井道子君 自民党の石井道子でございます。 参議院の予算委員会も一週間の空転をいたしましたけれども、ようやく再開をされまして、委員長初め現場の皆様方、関係者の皆様方の御努力、御苦労を多とするものでございます。 ことしの予算委員会は、景気対策もありますし、暫定予算が回避をされました、自然成立ということも避けなければなりませんし、またこれは二十二年ぶりに年度内成立が実現したということ、大変意味が大きいと思っております。(「まだ決まってないよ」と呼ぶ者あり)見込みが立ったというような感じでございまして、参議院の予算委員会としても予算の自然成立を避けて、参議院としての独自性またその権威と存在を意義づけなければならないという立場でございますから、そういう面では大変重要ではないかと思っております。 今や、佐川問題を初めといたしまして、巨額の脱税事件などによって国民の政治不信はますます深刻化をしております。国民の怒りはまさに頂点に達しているのではないかと思うわけでございまして、特に今まで自民党を支持し協力をしてくださった女性の嘆きと怒りというものが大変大きいわけでございまして、残念に思っております。毎日マスコミによってさまざまな思いもかけない事実を突きつけられまして、まことに腹立たしいわけでございますし、情けない思いがいたしますし、本当に残念至極でございます。 そう言うよりほかないと思うのでございますが、脱税事件とかあるいは不正蓄財等の解明については捜査当局にお任せをするといたしましても、再発防止等に対しまして何とか政治改革を断行し国民の信頼を回復しなければ政党政治の浮沈にかかわるものでありますし、今後の日本の政治の行く末が心配でございます。国会運営のあり方を含めまして、党利党略にこだわることなく、与野党挙げてその正常化のために取り組まなければならない大変重要なときではないかと思っております。 私は、座右の銘として真善美ということをモットーとしておりますけれども、今まさに政治における真を追求し、政治における善を実行し、また政治における美を創造していく、この重要性を改めて痛感しております。 自民党でもその責任の重大なことを感じまして、政治改革の断行を決意し、そして検討を長い時間をかけまして進めてまいりまして、昨日、自民党の政務調査会におきまして抜本改革としての政治改革関連四法案が了承をされたところでございますが、これは、一つには単純小選挙区制度による公職選挙法の改正と、またこの区割りを決める衆議院議員選挙区の画定委員会を設置すること、それからより透明度を高め厳しい規制のあります政治資金規正法の一部改正と、また政党助成法の法案ということで、この四つの中身を決めたところでもございます。 一部に政治資金の規制強化を分離して処理した方がよいというお考えも聞いておりますけれども、政治改革の抜本改革に対します総理のお考えと決意のほどをお伺いしたいと思っております。この際、国民が一日も早い実現を待望しております政治改革について強力な指導力を示していただきたいと思います。政治改革を断行する総理の顔を十分に見せていただきたい、そんな思いでございます。 どうぞ御答弁をよろしくお願いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの政治に対する国民の不信を政党政治のまさに浮沈にかかるものと言われましたことは、私の認識も同感でございます。したがいまして、このときに、この国会において何としてもこの抜本改革をひとつ成就をさせていただきたいというふうに念願いたしております。 私といたしましては、昨年、緊急改革分をお認めいただいた、これは既に実行に移されたわけでございますが、そのときにもこれは抜本改革を前提としての緊急改革であるということを御説明いたしてまいりました。そして、その抜本改革の時期が参ったわけでして、ただいま御指摘のように、昨年十一月の末までにとお願いをいたしました自民党の抜本改革案がその時期にでき上がりまして、その後もろもろの党内の議論、手続を経まして先ほど御指摘のように政審会議におきまして要綱の決定を見たということでございますので、やがてこれが国会に提案せられ特別委員会の御議論になることと期待をいたし、信じております。 と同時に、昨年の暮れ党首会談をいたしましたときに、私がそのような御説明を申し上げましたのに対して幾つかの党首から、御自分の党も案を具してひとつ国会に出したいというお話がございまして、またそのような作業が進んでおるように承っております。 したがいまして、衆議院の特別委員会におきまして各党からの案につきましての御討議、御審議が行われることになると思いますが、その際は石井委員の先ほど言われましたように、自民党が提案をいたしますのは恐らく四法案でございますが、この四法案をばらばらにいたしましては実は政治改革の実が上がらないというふうに考えております。 それは四法案がおのおの密接に関係し組み合わさっておるからでございますが、その一例を申しますならば、先ほど石井委員の言われましたように、政党助成法というのは選挙について政党に公費を支出しようというものでございますが、政党が公費を受けるとなりますれば、当然その支出については厳格でなければこれはならないことはもちろんですが、そのための選挙制度をどうするかということは考えざるを得ない。したがいまして、この公費支出というのはある意味で政治資金の一部を国が負担するという意味で政治資金問題の透明性、改革に大変に資するものでございますけれども、それは選挙制度の改革とマッチしなければ現実に行い得ないという問題がございます。 これは一例でございますけれども、その例一つをとりましても四つの法律案というものは切り離せないと私どもは実は信じまして、国会に党として御提案をいたすのでございまして、この点はまず衆議院の委員会において御議論になると思いますが、各党におかれましてもその辺は十分に御検討をいただきたい問題である。 いずれにしましても、まさに政党政治は浮沈のふちにございますので、この国会で何としてもこの抜本的な政治改革を実現いたしませんと国民の信を失う、百年の将来に悔いを残すことになるのではないか、こう考えておりますので、いずれ当院でも御審議をいただくことになろうかと存じますが、その点よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
○石井道子君 次に、景気対策についてお伺いいたします。 我が国経済はバブルが崩壊をいたしまして、二年にわたりまして大変深刻な不況のムードの中にあります。そして、特にことしの一月からさらに悪化をしておりまして、ますます深刻になっているわけでございます。製造業の冷え込みはもちろんでございますけれども、非製造業等すべての業種で悪くなっているようでございます。そして、全国中小企業団体中央会が三月初めに調査したところによりますと、この不況は全国に拡大をしておりまして、地域を問わず業界を問わず大変企業家マインドの冷え込みが大きくて、先行きの悲観的な見方が強いということでございます。今までの政府の認識との間に多少の隔たりが見られたという感じもいたしますけれども、この対策が後手になっては困るわけでございますので、何としてもここで対策を強化していただかなければならないと思います。 また一方、長引く不況によりまして、企業は終身雇用制度とか年功序列型の制度の見直しをいたしまして、リストラクチャリングの動きもあります。さまざまな変化があるわけでございます。 政府は、我が党の景気対策を受けまして昨年の八月末に十兆七千億円に上るかつてない大規模な総合経済対策を策定いたしました。その着実な実施を図っておりますので、その効果を期待しているところでもございます。平成四年度の補正予算の速やかな完全執行が望まれますし、また現在審議をしております平成五年度の予算の一刻も早い成立を熱望し努力しているところでもありますが、衆議院においては八年ぶりに一月から予算委員会が開かれまして参議院に回ってきたということでございますので、速やかな平成五年度の予算が成立することが何よりも先決であると思っております。 現在我が党は、本格的な景気対策が必要ということの認識に立ちまして、党内に総合景気対策本部を設置いたしました。鋭意検討しておりますし、その対策としては所得税あるいは住宅及び投資減税についての検討をし、また公共投資の前倒し、さらには年度を通じて切れ目のない公共事業の追加補正を行うことや、建設国債の対象事業も拡大をして社会福祉施設あるいは住宅対策、そして学術研究施設の整備や医療体制の整備などへもこれが及ぶような配慮をしているところでもあります。 政府は国民が強く期待をいたします景気の回復、内需拡大に対してどのような方策をもって取り組まれますか、総理の御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの不況が単に在庫をめぐる循環を超えまして資産価格の下落という新しい経験したことのない要因を持っておりますことは、石井委員が今お話しになられたとおりでございます。 すなわち、資産価格の下落によりまして消費者は消費意欲を失うわけでございますし、企業は投資意欲を失います。また、それが金融機関に及びましたために金融機関は融資対応能力を欠くことになりましたし、証券市場においてはエクイティーキャピタルを起こすことが非常に難しくなった。経験したことのない要素を含んでおりましたために、昨年の春ごろからでございますけれども、これにどう対応するかということで、先ほどお話しの十兆七千億円の総合経済対策を八月に決定いたしました。 ただ、そのときに、先ほど申しましたように、金融機関、証券市場というようなものも今回はただの循環でない問題としてあらわれてまいりましたので、そういう措置もしなければならない。これもあわせまして八月の施策に盛り込んだわけでございますが、この八月の施策がその後補正予算の多少のおくれもございましてかなりの部分が今年に持ち越されたという感はございます。ございますが、しかし石井委員の言われましたように、御審議中の平成五年度予算もその延長線上で組まれておりますので、これが新年度から執行することができるといたしますれば相当大きな効果を経済に与えることは明らかであると思います。 他方で、一月ごろからと言われましたのは、確かにこの三月の決算期というものがございますので、それまでの間の毎日毎日は非常に政府としても注意を払って経済の運営をいたしてまいりましたが、幸いにして例えば金融機関につきましては、金融機関の不良債権の処理の問題についての機関も設立され、その実行も行われることになりました。また、住宅専門の金融会社、いわゆる住専につきましても解決の方式というものが最近まとまりました。また、証券市場もいろいろ関係者の努力もありいたしまして出来高もかなりふえてきたというようなことがございましたので、まずこの三月、危機と言われましたものは心配はしなくて済むような状況になってまいっておると思います。 しかしながら、全体の景気の回復は本来そう早いことは期待されませんので、やはり政府として必要があれば新しい施策をいろいろ考えなければならないと思ってはおります。そして自民党の中でもそういう検討はいろいろに行っておられるようでございますけれども、政府といたしましては、何よりもまずこの平成五年度予算の成立をお願いいたしまして、その施行をできるだけ早くいたしたい、それがまず第一に大切なことであろうと考えております。
○石井道子君 我が国は国民の英知と努力によって経済大国になりました。確かに経済力の指数の上では高い数値を示しているわけでございますけれども、実際には国民が生活していく上での実感とはかけ離れている面があるのではないかと思っております。政府は昨年六月に経済計画の指針として生活大国五カ年計画を策定されまして、生活大国の実現に努力をされております。総理も施政方針演説で触れていらっしゃいますが、今こそ国民一人一人が我が国の経済の実力に合った生活の豊かさを実感できて、生きがいを持って生活できるような経済発展の実りを配分されることが重要でございます。 そのためには一体何が必要かということでございますが、当面代表的なものは下水道の整備あるいは道路交通網の整備など国民生活の生活基盤としての社会資本の整備であると思いますし、大都市圏においては、地価の引き下げによって住宅取得を容易にするということとともに、高齢者とか障害者などにも住みよい住宅の構造とか広さを持ったゆとりのある住宅を取得するために住宅減税を行うことも必要ではないかと考えられます。また、働く方々に対します生活のゆとりとしては労働時間の短縮がありますし、我が党も生活大国推進に関する調査会を設置いたしまして、今までの量的な面の拡大から生活の質的充実を目指した社会経済への転換が必要であるということの認識に立ってその方策を検討しているところでございます。 総理、この問題は、宮澤内閣の看板政策でもあります。真の意味での生活大国の実現に向けて総理の御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 不況のときに生活大国がというような問い方がございますけれども、私は、むしろ不況のときであるのでやはり生活大国というものを考えていくべきではないかというふうに申し上げたい。それは家計においてもいろいろ反省がございますし、先ほど言われました企業のリストラクチャリングというのもある意味でやはり企業のあり方についての反省であって、いわゆる大きさ、あるいは消費がただ大きいというようなことでなく、本当に豊かな生活を築くための消費でなければならないし、また企業のあり方でなければならないという意味におきまして、むしろこういうときにこそ生活大国というものを標榜する契機であるというふうに考えておるわけでございます。 それで、具体的には、確かに石井委員の言われましたように、例えば先ほどから申しますように中央、地方で相当の公共投資をいたすわけですが、やはりそれはおっしゃいましたような生活関連のものを中心に行っていくことが大切で、また現に行われつつございます。それによって我々の生活の豊かさというものを充実していきたい。 また、いわゆる社会福祉につきましても、生活大国五カ年計画におきましてデイサービス、デイケアのセンターを何年までにこれぐらいにいたしたい、あるいは労働時間の問題、あるいはおっしゃいました住宅の問題等々、具体的な目標を掲げまして生活大国五カ年計画は実行を行政に望んでおるわけでございますが、今回、このたびのいわゆる総合経済対策等々を通じましてそれらのものを実行すべく予算化をいたしておるところでございます。老齢社会にやがてなっていくという事実だけはこれはもう避けることのできない事実でございますので、この不況に対処するそういう中で生活大国を目指して築いていく、そういうふうに私ども考えております。
○石井道子君 次に、環境問題についてお伺いいたします。 総理は施政方針演説の中で、環境対策は生活大国実現のための礎であると述べられております。積極的に取り組んでおられる姿勢が見られるわけでございますが、特にことしは、地球環境問題を初めといたします環境問題の広がりを踏まえまして、今後の我が国の環境政策の指針となります環境基本法案が三月十二日に閣議決定をされました。そして国会に提出されているわけでございますが、この閣議決定に当たりまして、総理は特に談話を発表されました。それは、「環境基本法案は、地球サミットの成果に沿った新たな取組みを世界に先駆けて始めるための挑戦でもあります。」、そして「ここに我が国としての環境への新たな取組みが開始されたことを宣明し、国民各位とともに全力を尽くしてまいりたいと考えます。」と力強くおっしゃっていらっしゃるわけでございまして、その総理のお気持ちというものは大変積極的なものと受けとめております。 この法案の内容につきましての質問は委員会の法案審議の場に譲るといたしまして、きょうは法案の背景となります新たな環境政策の展開の方向について、環境庁長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林大幹君) 石井先生の御質問にお答えいたします。 先生御案内のように、実は、環境基本法という形でそれをこれからの環境行政の基本に据えようという考え方で政治として取り組むというのは恐らく世界の中でも日本が初めてじゃないかという決意を、総理もお持ちでございました。したがいまして、総理の御決意を閣議決定の日にそう表明されたわけで、それは今石井先生の申されたとおりであります。 ただ、私ども、この時期にということでありますけれども、今日の環境問題は、実は環境庁がスタートしたころから思いまして大変様相が変わってきております。環境庁がスタートした時期には、これは産業公害あるいは公害から生まれるいろんな国民にかける不便というものを何とか払拭していこうという目標が中心でありましたけれども、今日は、それももちろん踏まえておりますけれども、さらに地球規模で環境問題に取り組まなきゃならないという、今そういう地球全体の要望といいますか要請といいますか、それを背景にして取り組むことになっておりますので、それだけにまた環境基本法のような非常に理念を持った基本法をもとにしてこれからの環境行政を運営していくという、そういう大事な時点に達したということが今回の環境基本法を提出させていただきました理由でございます。
○石井道子君 言うまでもなく、環境は経済社会の基盤でございます。その基盤としての環境を損なうことなく開発を進めるという持続可能な開発という考え方は既に国際的な共通認識になっていると思いますが、問題はそれを具体的にどのように実現するかということではないかと思います。 生活大国実現のためにも、持続可能な開発の具体的な方向に向けましてどのような施策を展開していこうとするお考えでしょうか、環境庁長官にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(林大幹君) まさに先生の御指摘のとおりでございまして、環境問題には二つの側面があろうと思います。一つは、空間的な広がりであります。つまり、地球規模という空間的な広がり。それからもう一つは、我々が後の世代に対しても住みよい環境を残さなきゃならぬという時間的な広がりでございますね。この時間と空間との広がりの中で環境問題というものに取り組まなきゃならないというのが私は今日差し迫った問題だろうと思っております。 それには、今先生のお言葉の中から図らずも持続可能という新しい言葉が出たわけでございますけれども、これはもちろん、我々が後の世代にわたる時間的な問題も含めた意味における環境政策に取り組むときにはやはり持続可能ということでなければいけませんし、それからまた、個々の政策につきましてはそれなりにまた鋭意取り組まなければなりませんけれども、包括的な問題としてはやはりあくまでも、地球に優しいという言葉でいいかどうかわかりませんけれども、人間に優しい、しかも人間だけではなくて生きとし生けるものに優しい地球環境というものをいかに守っていくかということが大きな目標になろうと思っております。 環境庁といたしましては、そういう問題に鋭意取り組んでいくつもりでございます。
○石井道子君 開発途上国に対しましては、政府は既に地球サミットの場におきまして、環境分野の政府開発援助を平成四年度から五カ年間で九千億円ないし一兆円に拡充するという具体的な目標を述べておられますが、先進国間では包括的な協力目標についてはまだ見当たらない状況だと思います。 これまで環境問題について非常に消極的であったと言われております米国では、クリントン新政権のもとでホワイトハウスに環境政策局を設置いたしました。そしてまた、環境保護庁を省へ昇格することが検討されると聞いておりまして、大統領のリーダーシップのもとに環境問題への取り組みは非常に強化されるようになっているのではないかと思います。こうした動きは、今後の環境問題に対する国際的な取り組みを大きく変化させるものではないかと思うわけでございます。 先進国首脳会議がことしの七月に東京で予定をされておりますが、その場で先進国間の包括的な協力体制づくりなど環境分野での先進国間協力について具体的な提案を行ったらどうかと思いますけれども、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) クリントン新政権ではアルバート・ゴア副大統領がかねて環境問題については非常に熱心な人でございますので、おっしゃいますような政策の展開が期待されるところでございます。 したがいまして、いわゆるサミットにおきましても当然この問題は議論されることになるであろうと思っておりますが、大筋は昨年のリオの会議で大体引かれておりますのでそれに乗りまして、さらに各国がやるべきことはどういうことかといったようなことは当然議論になると考えておりますが、なお具体的な議題としてはまだこれからシェルパの間で詰めてもらおうと考えております。
○石井道子君 次に、児童と家庭をめぐる問題についてお伺いいたします。 我が国は世界一の長寿国となりました。高齢化がますます急激に進行しているような状況でございまして、老人問題は非常に国民の間に深く浸透し、また政府も非常に前向きにその政策を充実されているところでございます。 高齢化社会のもう一つの側面といいますと、やはり子供の問題がありまして、これは車の両輪という形ではないかと思います。特に出生率がますます低下をしていくという我が国の実情がございまして、この問題については、高齢化社会の問題に比べますと非常に取り組みがおくれているのではないかということを感じるわけでございます。 平成元年には、いわゆる一・五七ショックというものがありまして、合計特殊出生率の低下が大きな衝撃を与えました。そして、平成三年には一・五三という数字になりまして、最低記録を更新しているわけでございます。このことは、将来の働く世代が減少いたしまして、日本の経済全般にも影響を与えますし、また社会保障の制度へも非常に響いてくると思われるわけでございます。 出生率が下がってくるという原因はいろいろと考えられておりますけれども、一つには、女性が高学歴化となって、社会進出が非常に活発になりまして経済力を身につけまして、未婚の方とか晩婚の方が非常にふえております。それからまた、子育てに対しますコストとか教育費が非常にかかり過ぎるということが言われておりますし、住宅が狭いので余り子供を多くできないというような方もいられるようでございますし、また仕事と育児を両立させるための環境づくりがまだ不十分ではないかということを思うわけでございます。 女性の職場進出も非常に目覚ましいわけでございまして、平成三年度では働く女性の数が二千六百五十万人にもなりまして労働力人口の四〇・八%を占めております。既に育児休業法が平成四年の四月より施行されているわけでございまして、その辺の効果も期待をしているところでございますが、仕事と育児の両立を図るための支援対策として労働省として今どのような状況であって、その今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。これからは働く女性の問題を抜きにして考えることができない、そういう時代になっておりますので、そのことを前提とした取り組みが今後は必要になってくると思いますので、御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(村上正邦君) お答えをいたします前に私の私見をちょっと述べさせていただきますが、出生率というものをただ労働力だとか経済のためにだとか、そういうとらえ方というのは私はいかがなものかと。それは私ども労働省の立場としては、政策的にはこのことは当然考えていかなきゃなりませんが、まずやはり生命の尊厳さというところからこれはぜひ考えていただきたい。このことを、これは当然お考えいただいていることだと思いますが、ややもいたしますとそういうふうに受け取られがちでございますので、その点をどうぞひとつよろしくお願いを申し上げておきます。 そこで、女性が安心して子供を生み育てていく、働く人たちがその能力や経験を生かしつつ仕事と育児や家庭生活を両立することができる環境を整備することは、今後真の意味で豊かな社会をつくっていくためにも重要であると考えております。このために労働省では、昨年施行されました育児休業法に基づく育児休業制度の定着、昨年策定いたしましたガイドラインに沿って介護休業制度の普及促進、助成金制度の創設による事業所内託児施設設置の促進、保育園や介護福祉施設・サービスなどに関する情報の提供事業の充実などに今後取り組んでまいります。
○石井道子君 保育対策というものも大変重要でございます。 今行われております保育制度というものは昭和二十二年にスタートしておりまして、児童福祉法による貧困家庭の救済対策であったわけでございまして、いわゆる保育に欠ける乳幼児が対象でございました。今は、働く女性がふえてまいりまして利用している形が非常に変わってきているわけでございまして、女性も男性と勤務条件が同じで遅くまで働く方もふえてまいりますから、時間外とか延長保育の必要性も非常に高まっておりますし、また、核家族化が進んで子育てに大変苦労をして専業主婦においては育児ノイローゼが非常に頻発をしているわけでございまして、その相談相手ということもどこかでしなければならないと思いますが、今後も保育対策がゆとりと豊かさを実現できる生活大国づくりに対しまして非常に重要な柱であると思っております。 保育料の軽減とか、あるいは入所児童の処遇の向上とか、また保母さんの待遇とか確保対策など、非常にさまざまな問題がそこに潜在をしているわけでございまして、これからは思い切った保育対策の改善を図ることも必要かとも思います。 先日、保育問題検討会を厚生省が設置されたと聞いておりますが、その趣旨と今後のスケジュールについて御説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(清水康之君) お答えをいたします。 社会環境の変化に対応いたしまして、厚生省といたしましては、従来から先ほど御指摘の乳児保育、延長保育、あるいは一時的保育といったものの事業の推進に努めているわけでございますが、この特別保育対策は、地域のいろんな特性が反映される、多様な保育ニーズに対応するということでございますので、その実施の状況は地域によってさまざまでございます。ただ、一般的な傾向として率直に申し上げますと、乳児保育や延長保育を実施している保育所の中でいわゆる民営保育所の占める割合が七割ぐらいでございまして、保育ニーズの多様化に対して若干公営保育所での取り組みがおくれているなというのが率直な感想でございます。 私どもといたしましては、女性の就労が増加して就労形態も多様化する中でぜひこの女性の就労と子育ての両立を図るということが極めて大切であるというふうに認識しておりますので、今後とも運営主体のいかんを問わず、特別対策につきまして的確な柔軟な対応ができるように努力してまいりたいと思います。 それから、先ほど御指摘の保育問題検討会でございますが、実は各方面から保育料あるいは入所児童の処遇水準の問題、保育時間の問題、あるいは放課後児童対策の問題などさまざまな問題が提起されております。したがいまして、保育ニーズの多様化等、社会の変化に対応した保育制度のあり方、あるいは費用負担のあり方、こういうものを全般的に総合的に検討する必要があるという考え方に立ちまして保育問題検討会というものの設置をお願いし、十七名の委員で、この中には自治体の関係者、保育関係者、あるいは学識経験者などなど入っておりますが、先般二月二十五日に発足をし第一回の会合を開いていただいたということでございます。今後は、最初のうちは月一回程度の開催になろうかと思いますが、いろいろ総合的に保育財政、保育行政全般にわたって御検討いただきまして、年内を目標に何か検討結果をおまとめいただければ、できることから平成六年度予算から具体化を図っていきたい、こう考えております。
○石井道子君 平成四年の五月に毎日新聞が調査した結果を見てみましたら、子供を健やかに育てるために何を望むかという質問に対しまして、教育費の負担を減らしてほしいという方が三九・六%ございまして、児童手当の増額と支給期間を延ばしてほしいという方が三五・九%ございました。また、住宅費を補助してほしいという方が二五%余りあったわけでございます。 そういう経済的な支援についてはいろんな方法がありますが、一つには児童手当制度があります。これも昭和四十六年から制度が始まりまして、期間を短くしたり支給金額をふやしたりいろいろと工夫をしながら経緯をしているわけでございまして、一昨年には個人に支給する額を増額するかわりに三歳未満のみとなったわけでございまして、そのときもいろんな議論がありましたが、このことも今後の検討課題として考えていただきたいと思う次第でございます。 住宅問題についても、できるだけ多子世帯に対して公的な賃貸住宅への優先入居などを配慮していただきたいと思いますし、子育て家庭に対します住宅政策における支援については特に建設省にお願いをしたいと思うんですけれども。 それからまた、子供たちが伸び伸びと遊べる場として公園などの問題についてもお願いをしたいと思います。
○政府委員(三井康壽君) 御指摘の多子世帯に対する住宅の問題でございますが、住宅政策はいわゆる居住水準の向上対策と住宅の広さをさらに広くしていくということが基本の政策の一環でございますので、年々歳々賃貸住宅も持ち家住宅も住宅の規模を拡大させていただいているところでございます。 そういった中で、公営住宅に多子世帯の方が入りやすくしたらどうか、こういう御意見でございます。これは、公営住宅の中でも平成四年度から多子世帯向け公営住宅というのを特定目的の公営住宅の範囲に入れまして、各公共団体で今やっていただいているところでございます。全国的な集計は年度が終わってないのでまだ申し上げる段階でございませんけれども、北海道とか福岡とかそういうところではかなり進んでおりますし、大都市では住宅難が相当深刻でございますので、倍率の優遇等をして東京都など今進めていただいているところでございまして、今後とも努力いたす考えでございます。
○石井道子君 よろしく御配慮のほどお願いいたします。 それから、最近、家庭の状況が非常にさまざまでございまして、いろいろ社会問題を起こしております。受験戦争の過熱とか、また子供が親に暴力を振るうとか、先日は両親が子供を殺してしまったというような現象も起こってまいりまして、大変悲しい事件もありました。このような家庭の崩壊なども非常に深刻な問題でございます。その点で教育の果たす役割というものも大変重要であると思いますし、学校教育と家庭教育と社会教育の連携ということも大切でございますが、そういう点について特に文部大臣にその対策についてお伺いをしたいと思います。 特に文部大臣は仕事と育児と家庭というものを立派に両立をされまして御活躍をされてまいりました、女性のかがみといいますか、そういう方でありますので大変敬服をしているわけでございますが、そういうお立場からも新しい家庭のあり方について、その体験を踏まえましての御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 過分のお言葉をいただきまして恐縮の至りでございます。 私自身の経験はもう随分前のことでございまして余り御参考にはならないかと思いますが、確かに最近、家庭におけるさまざまな問題が世間の注目を集めておりまして、家庭のあり方、家庭の果たす役割というものが見直されているというふうに私も感じております。 子供の健全な育成を目指すためには家庭の役割が何よりも大切であるというふうに思いますし、家庭というのは、母親だけではなくて父親も大変大きな役割を持っていると私は思いますので、特に父親の家庭教育への参加ということに力を入れてやっていかなければならないというふうに思っております。もちろん、家族の問題の専門家による家庭教育のあり方あるいはその地域社会での支援体制などもさらに力を入れて整備充実していかなければいけないと思います。 文部省といたしましては、市町村に対する補助事業として、働く親のための家庭教育学級という学習機会の整備充実とか、都道府県への補助事業といたしまして家庭教育充実事業による相談体制の整備充実に努めてまいりますとともに、父親のための家庭教育振興策についても平成三年度から幾つかの地方自治体に委嘱して研究を行っているところでございます。また平成四年度には、新たに新しい親と子の関係を探るというテーマのもとに、フォーラム家庭教育というのをつい先日実施したところでございます。さらに平成五年度の予算案におきましては、現代日本の家庭教育の特色や課題を明らかにするため家庭教育に関する国際比較調査を実施したいと考えておりまして、所要の経費を計上しているところでございます。 今後とも新しい家庭のあり方、子供の健全な育成ということを目指して所要の施策を推進してまいりたいと考えます。
○委員長(遠藤要君) 石井君の残余の質疑は午後に譲ることとして、午後一時まで休憩いたします。 午後零時二分休憩 ――――◇――――― 午後一時一分開会
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算、平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、石井道子君の質疑を行います。石井君。
○石井道子君 午前中は児童と家庭をめぐる問題について触れさせていただきました。このような問題は、日本のこれからの将来を担う子供たちを健やかに生み育てるという環境づくりに今積極的に取り組まなければ将来に禍根を残すのではないかと思っているわけでございます。 政府においても、既に内閣に関係省庁によります連絡会議として、健やかに子供を生み育てる環境づくりについて検討されていると伺っております。今後どのような形で取り組まれる御予定でございましょうか。 総理は、今回の内閣におきまして女性大臣を採用していただきました。そしてまた、長年の希望でございました婦人問題担当大臣も設けてくださったわけでございまして、女性に配慮した、女性対策を積極的に推進するという姿勢を見せてくださったわけでございまして、女性軍は大変喜んでいるところでございます。 そのような形で、今度は子供についても家庭の問題についても積極的に取り組む総理の顔をぜひ見せていただきたいと思うわけでございまして、御期待をしているところでございます。その御所見についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、子供が生まれるところから育児というようなこと、それから子供に対する家庭教育、社会教育、学校教育等々、これは大変に幅の広い問題でございますから、当然、政府としては各省庁がみんな何がしかの関係のある問題であると思っております。 その意味では、婦人でも同じなんでございますけれども、特に婦人担当を河野大臣にお願いをいたしましたのは、婦人といいますとどこかの役所の所管というような感じがございますものですから、そうではなくて、内閣全体でこの問題は考えなければならないと思ってそういうことをいたしましたが、子供についても実は同じことであろう。そういう意味では、特にその担当ということは置きませんけれども、各省庁みんな自分のところの問題であるというふうに意識をして行政をやってもらわなければならないと思っております。
○石井道子君 今、家庭そのものが大変複雑な問題を抱えておりまして、やはり家庭とか家族のあり方について改めて考えなければならない、新しい時代に合った家族の問題を考えるべきときに来ているのではないかと思います。 実は国連が一九九四年、平成六年に国際家族年とすることを決議いたしたわけでございますが、この国際家族年につきましては、そのような国民的議論を展開しながら関連施策の推進を図る契機として大変有意義ではないかと思っております。 日本においても関係省庁が連絡をとり合って、政府を挙げて取り組みを展開すべきではないかと思いますが、国際家族年に対します政府としての取り組み方針について御答弁をお願いしたいと思います。官房長官でよろしいでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 国際的にさまざまな問題を取り上げて、ある時期を一つのきっかけをつくるための時期として御指定をなさることが過去にもいろいろございました。 例えば、障害者年などもその一つでございますが、そして、それを一つのきっかけとしてその運動なりその考え方が広まっていく、多くの方に理解をされていく、あるいはその問題について深くみんなが考えるようになる、そういう点で非常に意味のあることだろうと思います。そうしたことを考えながら、我が国も対応をしていかなければならないのではないかと思います。
○石井道子君 今後ともどうぞよろしくお願いをいたします。 次に、国際医療協力の問題についてお伺いをいたします。 最近は世界各地でさまざまな紛争が起こっております。その中には難民問題もありますし、貧困があり、飢餓があり、病気で悩んでいる方が大変多いわけでございまして、我が国が行う国際医療協力というものは大変重要でございます。その期待もまた大きいのではないかと思います。 昨年六月に閣議決定されました政府開発援助大綱の中におきましても、飢餓と貧困に苦しんでいる開発途上国の多数の人々に対して、人道的な見地からこれを看過することはできないとされました。人道的な面から考えるということが再確認されたわけでございまして、その重点項目の中に基礎生活分野の医療分野の支援があると思いますが、その保健医療分野の協力についてはその援助の中心の一つに位置づけられると思うわけでございます。 既に、途上国に対しましては病院を建設いたしましたりしておりますけれども、とかく日本のODAは箱物援助と言われます。そして、多額の費用で病院や施設をつくって五年たつと日本が引き揚げてしまうので、日本の医療や技術が、また医薬品が根づかないという弊害があるのが実情ではないかと思います。 そういう点で、医療従事者、医師を初めといたしまして看護婦などのマンパワーの問題というものが大変重要でありますので、そのような人々の派遣に対して、厚生省、外務省、大変御苦労されているのではないかと思いますが、そういう面で、そういったような派遣先の国情に合った医療を行うための専門的な人材育成、このことにもっと力を入れていかなければならないのではないかと思います。 そういう点で、厚生省が平成五年度に設置される予定であると聞いております国立国際協力医療センターがありますが、そのことについてお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(田中健次君) 先生のお話しのとおり、国際社会の一員たる我が国に対しまして一層の人的貢献が求められている状況でございまして、我が国が行います医療分野における国際貢献の拠点といたしまして、ことしの十月一日に国立国際協力医療センター、これは仮称でございますが、これを設置する予定でございます。 この国際協力医療センターは国立病院・療養所の再編成の一環といたしまして、国立病院医療センターと国立療養所中野病院を統合いたしまして、国際医療協力に資する情報の収集機能あるいは人材育成機能、研究機能、高度の総合的診療機能を備えた国立高度専門医療センター、いわゆるナショナルセンターとして運営することといたしております。 より具体的な内容を申し上げますと、第一には開発途上国におきます保健医療情報の収集分析、二番目が開発途上国において問題となっている疾病の調査研究、開発途上国に適する保健医療技術の開発・移転の研究、三番目に開発途上国に派遣する医師等の専門家の養成と確保、それから開発途上国からの医療技術研修生の受け入れ等総合的、専門的な医療技術の教育を実施する、それから四番目にこうした人材育成等を行う臨床の場といたしましてプライマリーケアレベルから高度の専門、的診療機能までを有する病院を持つ、おおよそこういう内容でございます。
○石井道子君 そのような施設を利用して大いに人材育成がされることを期待しておりますが、もう一方で、地震とか洪水などの災害のときにおきます医療チームの派遣とか医薬品の緊急援助の問題がありますが、これは医療チームだけが行ったのでは用をなさないのでございまして、組織的にやはり行動する必要があります。そういう点では防衛庁の災害対策の面とかあるいは防衛医官の方々のあり方とか、外務省とか関係省庁との連携の中でやらなければなりませんので、そういう点についての協力体制についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。 先生御指摘の災害緊急医療支援体制につきましては、今お話がございましたような緊急援助隊の医療チームというものを従来から派遣いたしておりまして、既に被災国政府から高い評価を得ているというふうに考えております。従来、これ、法律ができましてから既に十六件派遣いたしております。そのほか、緊急医療のニーズにこたえるために常時医療関係者五百名が登録されているといったような体制にもなっておりますし、それから医療チームを派遣するに及ばない程度のいろいろな被害に対しましては、医薬品の供与といったようなものも件数にいたしましても十件以上毎年この数年にわたって行っているという実情がございます。
○石井道子君 時間になってしまいましたのであとの質問はすることができませんので、答弁をお願いいたしました大臣の先生方には大変失礼をおわび申し上げる次第でございます。 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(遠藤要君) 以上で石井君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(遠藤要君) 次に、久保田真苗君の質疑を行います。久保田君。
○久保田真苗君 総理にお伺いしたいと思います。 間もなく訪米の御予定もあるわけですが、三月十二日に北朝鮮の核不拡散条約の脱退ということがありまして、私は非常に重大な懸念を持っているものでございます。なぜならば、従来からアメリカは非常に核不拡散に強い姿勢を持っておりますし、いろいろ安保理等へもこういう話がいずれ出てくる可能性もあるわけでございまして、そうなったときに東アジアの緊張とか戦乱とかが一斉に引き起こされるのではないかという懸念を抱いているのでございますけれども、総理としてはどういう御所見でございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 朝鮮民主主義人民共和国はかなり世界から閉ざされた国のように見えますので、我々が常識的に判断することとひょっとして違う判断をすることがあるかもしれない、それは危険なことでございますけれども。 そういう前提を置きますと、IAEAから脱退をするということが朝鮮民主主義人民共和国にどういう利益があるのかということは、どうも私どもに理解がしにくいことでございます。何かの判断に基づくものか、あるいはむしろミスジャッジメントに基づくものか、その辺のことはなかなかわかりませんので、さしずめすぐにそれに対して対抗処置をとる前に、もう一遍考え直してみる余地はないのかという機会は私は与えた方がいいのではなかろうか。 と申しますのは、前段に申しましたような何かの錯覚あるいはミスジャッジメントに基づくことはあり得るのでございますので、そういう意味では、もとより極めて遺憾なことではございますけれども、まずもう一度考え直してみる気はありませんかと、そういう機会をなるべく当面与えてみることが大事ではないだろうか、当面の問題としては私はそれをまず申し上げておきたいと思います。
○久保田真苗君 機会を与えるということが本当に大事だと思います。 外務大臣にお伺いしたいと思いますが、その機会は与えられるのでしょうか。そして、日本としてどういうことをやっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは予定されておるわけではありませんが、あらゆるチャンスをとらえてやはり北朝鮮に、核の疑惑を国際社会で持たれることは何のメリットもないですよということを知らせることだろうと。もちろん日本と北朝鮮との交渉がある場合は我々が直に言うこともございますが、例えばきのうのように中国の相当の人が来られたような場合においては、中国自身も北朝鮮が核を持つことについては否定的な考え方を持っておりますし、そういうような疑惑を受けない方がいいという点も我々と同じでございます。したがって、北朝鮮を国際社会の中では比較的近くにいると思われる人等を通して説得するということから始まることだろう、そのように思って今後もいろんなことを通じまして積極的に働きかけていきたいと考えております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどお答え申し上げましたときにIAEAから脱退と申し上げたそうでございます。NPT、核拡散防止条約よりの脱退と訂正をさせていただきます。
○久保田真苗君 確かに、私どもから見ますとメリットはない。しかし、メリットよりも誇りというものを重んずる国もあるわけでございます。しかし、これはメリットがないところの話ではないという、そこの危機感を本当に朝鮮民主主義人民共和国が持つということが今非常に大事なんじゃないかと私は思います、私の思い過ごしであれば結構なのですが。 例えば、軍事行動が起こされるというようなことはこの地域にとって大変なことでございまして、それは朝鮮、韓国、中国、日本、そういったところがこれまで営々と築いてきたその基盤を全く台なしにされかねないという、そういう危機感を私たちは今持ってこの問題に身を入れるべきではないかと思うわけでございます。 それで、一つは、いろいろな方法で説得をすると言われますが、日本に説得の道はあるんでしょうか、外務大臣に伺います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは説得という言葉がいいか悪いかは別としても、やはりああいう国ですから、世界のことの勉強はしているでしょうけれども、指導者が必ずしもみずから先進国を歩いているわけでもありませんし、私は知らない面がたくさんあるだろうと、そう思っておるんですね。しかし、余りそれを孤立化に追い込んでしまっても困りますし、そうならないように部下の言うことをストレートに聞いてくれればいいけれども、聞くのかどうか、そこらのところがなかなかよくわからない。 いずれにしても、トップダウンの国だから、だからまあいろんな角度から、やはり余り短気を起こさない方がいいことは、よく話をして理解をしてもらうということが大事なんですよ。 新聞報道等によれば、米韓軍事演習をやったからそういうことを言ったんであって、それをやめればまたちょっと話が別みたいな報道は一部ありますが、そこらのところも実際当たって聞いてみないことにはよくわからない。わからないことが多いわけですから、だからやはり多少時間が少しかかっても、一遍に制裁というんじゃなくて、そういう手も通して穏やかにまずやっていただくことから始めるべきだと、そう思っております。
○久保田真苗君 総理、私、説得の道があるかないかということを考えますと、日朝交渉がうまくいってこなかったということは非常に残念なことだと思うんです。 ところで、それであっても、宮澤総理のお言葉でいろいろな御見解を出していくということは、一方的にでもこれはできることだと思うんですね。そうした場合に、やっぱりこれは非常な危機なのであるということとか、私の考えではですけれども、東アジアのこの基盤というものを崩すわけにはいかないんだということ、それから朝鮮の人民を犠牲にするなどということはできないのだということ、それから言いたいことは、国際的な流れの中でNPT体制というものにいろんな国と手をつないでこれからやれるんだ、だから抜けるなど、そういったことを私でしたら言いたいと思うんです。 総理として、そういう総理のお考えを、非難ではなく、非難というよりはむしろ近くにいる隣人として、その運命を分け合うかもしれない隣人としてそういう御見解を出していっていただくというわけにいかないでしょうか。この国会もその一つの場であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) まさにこの国会もその一つの場だと思います。朝鮮民主主義人民共和国の国民は恐らく世界の外で起こっていることを知らされておらないと思いますけれども、指導者は、日本の国会でどういう議論が行われておるかということには必ず関心を持っておるに違いないと思いますので、その点はまさに久保田委員の言われるとおりと思います。また、そう思いながらお答えを申し上げておるわけです。 日朝の交渉が一つの直接の接触の場ですが、それを除きまして直接の接触というものは確かにございませんけれども、しかし、例えばIAEAで今度の脱退の問題をすぐ安保理事会に持っていくべきかどうか。これは持っていきますとコンプロンテーションが強まると思いますが、ちょっと待てと、ここはもう少し再考を促すべきではないかということを、我が国も入りましてそういう対応をしておるというようなこと。 あるいはまた、これは具体的には申しにくいことかもしれませんけれども、同じような考えを持つ国々がやはり相談をして、そして、そのような意思表示を朝鮮民主主義人民共和国にいたしますときに、我が国もその有力な一員であるといったようなことは考えられることでございますので、意思表示をする場はいろいろあろうと思いますし、また、積極的にそういう意思表示を我が国としてはこの段階ではやっぱりいたすべきだと、またそう努めるべきだと考えております。
○久保田真苗君 外務省に伺います。 北朝鮮のプルトニウム抽出量から保有する原爆の個数を試算されたという報道が幾つかの新聞に出ていましたけれども、どういう方法だったんでしょうか。
○政府委員(須藤隆也君) お答え申し上げます。 報道された記事によりますと、外務省が試算したということになっておりますが、正確に申しますと外務省が外部の専門家に頼んで計算してもらったということでございまして、全くの試算でございます。それも、北朝鮮が八六年以来稼働していると申告しております五メガワットの実験炉において使用される燃料、使用済み燃料を効率よく回転させた場合にどの程度のプルトニウムがその炉の中で生産されるであろうかということを専門家に計算してもらったわけでございまして、理論的にはこのくらいの量になるということでございます。 しかしながら、それを実際に分離したかどうか、あるいはそれを現在貯蔵して持っているかどうかというようなことについては何ら予断しているわけではございません。
○久保田真苗君 余りいい趣味だとは思わないですね、原爆何個分などということを外務省が報道に話すなんということは。 同じ試算で日本が保有しているプルトニウムは原爆何個分に当たりますか。科学技術庁でもどっちでも結構です。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 今ほど外務省から御答弁のございましたように、私ども、その試算が一体いかなることでおやりになったのか、全くつまびらかにいたしておらないところでございます。その意味では、その前提に立ちまして、我が国が何個ということにつきましてはお答えいたしかねるところであることを御了解賜りたいと存ずる次第でございます。
○久保田真苗君 そういうことは、どこの国も言われて気持ちのいいものではないんですね。キログラムを八キログラムで割って何個分というようなことは、相手の名前が特定される場合は非常にこれは迷惑だと思うんです。 で、あかつき丸が運んだものは、その試算によりますと百二十五個分だということですが、科学技術庁どうですか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 あかつき丸が運びましたものは、核分裂性プルトニウムにして約一トンでございますので、ちなみにあかつき丸が運びましたプルトニウには、いわゆる原子炉級プルトニウム、リアクターグレードプルトニウムでございまして、全く核兵器にするには適さないプルトニウムでございます。もとより我が国は核兵器に関する一切の活動はやっていないことは先生御承知のとおりでございます。
○久保田真苗君 あかつき丸以外に別に何トン持っていますか、現在。そして二十年間に三十トンを輸入するそうですけれども、それは原爆何個分に当たりますか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。 我が国では御承知のようにプルトニウムは実用の発電用原子炉、それから高速増殖炉及び新型転換炉、さらにはMOX燃料施設、これはウランとプルトニウムの混合酸化物の燃料をつくる施設でございますが、それから使用済み燃料の再処理施設等々におきまして保有されておるところでございます。 原子炉等規制法に基づきまして国が受けました報告をもとにいたしまして平成三年十二月三十一日現在で集計いたしましたところによりますと、プルトニウムの金属量の合計は約二万九千九百キログラムとなっております。ただし、これは今申しました金属量の合計でございまして、あかつき丸の運びました一トン、これはまさに核分裂性プルトニウム量として一トンということでございますので、ベースは違うということでございます。 それから、イギリス及びフランスに委託しております。ただいま先生お触れになりました委託再処理から出てまいりますプルトニウムでございますけれども、これは残り、計算上約二十九トンになるわけでございますけれども、これからしかるべき形で日本に運ぶということでございますけれども、いずれもいわゆる原子炉から出ましたものであるということでございまして、核兵器には何ら結びつかないというものであることを御了解賜りたいと存じます。
○久保田真苗君 関係があるかないかということはよその国が評価することだということを銘記していただきたいんですね。 私が伺いたいのは、プルトニウムの問題は結局科学技術庁がプルトニウム政策としてこれを推進しておられるわけですけれども、科学技術庁長官は、この原発のプルトニウム利用ということを核拡散の問題に結びつけてお考えになったことはございますか。どうお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(中島衛君) 我が国はプルトニウムは平和利用に限って研究開発を進めておるわけでありますし、我が風では原子力基本法に基づき現に平和目的に限り原子力の開発利用を推進しております。また、これを担保するために、従来から核不拡散条約に加盟をいたしておりますし、国際原子力機関の保障措置も受け入れておりますし、国内では原子力規制法等に基づき厳格な国内保障措置を実施しておるわけでありまして、平和利用に限って利用しておるわけでございます。
○久保田真苗君 私がお伺いしたことと違うと思うんです。私は国際的な水平核拡散の問題を言っているわけでして、日本が例えば三十トンのプルトニウム、何千個という原爆の原料になるであろうそういうものを保有する、そういう政策を進めるということが水平拡散につながりはしないかということなんです。 プルトニウムはおっしゃるように効率のよいエネルギー源です。そのかわり人体に有害だというもろ刃のやいばです。最も悪いことは、簡単に核爆発物に転化できるというその一点でございます。こういうものを日本が大量に持つということが周辺国において、自分も持とう、あるいは日本に脅威を感じる。いずれにしましても、ではプルトニウム発電を初め、いざという場合には転化のできるような物質を保存するというそういう誘惑につながらないかということを私は申し上げているんです。もう一度お願いします。
○政府委員(石田寛人君) 技術関係につきましてお答え申し上げさせていただきたいと思います。 我が国の原子力開発利用は、繰り返して申し上げておりますように、すべて平和利用でございまして、軍事利用につきましての情報、知見、私全くないわけでございます。ただ、一般的なまさに原子炉物理と申しますか核物理学の観点から申しまして、核兵器とプルトニウムにつきましては次のように言われておると承知しておるところでございます。 核兵器級のプルトニウムは核分裂を起こしますプルトニウム239、これは239だけが核分裂を起こすわけではございませんで、御承知のように奇数番号のプルトニウム、プルトニウム241も核分裂を起こすわけでございますが、実際、軍事用のプルトニウムにおきましては、ほとんどが239と言われておることは御承知のとおりでございます。 このプルトニウム239の純度は九三%以上のものが必要であるとされておるのに対しまして、原子力発電で平和利用した使用済み燃料から回収されますプルトニウム、すなわち先ほども申しました原子炉級、リアクターグレードのプルトニウムでございますが、これはプルトニウム239の純度が六〇%前後、ただこの前後というのはかなり幅がございます。もちろん、原子炉の中で燃料をどのように燃やすかによりましてこれも当然変わってくることは御承知のとおりであるわけでございますが、それが六〇%前後ということでございまして、先ほども申しましたように、原子炉級プルトニウムで核兵器を製造したといたしましても、極めて能率の悪い粗製の核兵器しかできないということが物理学的に一般的に言われておみところであるわけでございます。 そういうことでございますので、私どもが使用済み燃料を再処理し、それを抽出し、さらに核燃料サイクルとして使っていきますプルトニウムはまさに軽水炉から出てきたプルトニウムということでございまして、その活動につきましても、御承知のように国際原子力機関、IAEAによりますブルスコープ・セーフガード、全領域をカバーする保障措置を受けておるわけでございます。そういうことで、私どもの原子力活動はすべて透明に平和の目的に行われておるということを、もちろん私ども自身もそうでございますし、国際社会にも御認識いただくよう努力をしており、またその仕組みもできておるということを申し上げさせていただきたいと思うわけでございます。
○久保田真苗君 日本の弁解をなさればなさるほど私は心配なんです。私が言っているのは、日本の安全問題もあるけれども、それを今言っているんじゃないんです。途上国がみんなプルトニウムに魅力を感じてプルトニウムを利用することになったときに、私たちは頭を高くして寝られるかということなんですよ。そして、いざというときにはそれは簡単に原爆になる。粗製でも何でも原爆は原爆なんですからね。 総理、私は時間の関係でもう総理の御意見を伺いたいんですけれども、私が申し上げたいのは、原子力の平和利用はNPTの上ですべての国の権利になっております、平和利用ならば。ですけれども、実際にはプルトニウムには危惧と脅威があるという、それをぬぐえないんですね。そして横への拡散はプルトニウムの商業利用を通じてプルトニウムが行き渡っていく。そして、それがいつ原爆に転化するかわからないという、そこにNPT体制のもう一つの落とし穴が私はどうしてもあるように思います。 そして、仮に朝鮮がプルトニウムの再処理施設を持ったとしても、それは個々にある固有の権利なんだと私は思います。南北の間で非核化の交渉をするということはそれは自由です。私どもも歓迎しますのですけれども、それを盾にとって相手を責めるということは私どもにはできない。そういう立場だということなんです。そういうことだと思います。 総理、私は、日本が派手にプルトニウムの輸送をするということ、プルトニウムの保有量を高々と世界に掲げていくというようなそういったことではなく、何とかこれを厳重な国際管理なりなんなりそういうものができるまでの間、ごくごく慎重な態度をとっていただきたいということなのでございます。総理の御見解を伺います。一「北朝鮮はよくて、日本のプルトニウムはだめなのか」と呼ぶ者あり)
○委員長(遠藤要君) 御静粛に。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもは、日本の状態から見まして原子力発電というものはどうしてもやらなきゃならないものだという立場でございます。久保田委員のお立場を存じませんが、そういう立場でございますから、そういう意味でプルトニウムの平和利用ということは我々にとって大事なことだと考えております。 それが原子爆弾になるならないということは、その国の持っている政策と管理能力の問題だと思いますが、我が国は原子兵器をつくるつもりはございませんし、プルトニウムを管理する能力がございます。病院がモルヒネを持つのは治療のためであって、モルヒネ患者をつくるためではありません。それはそういう管理ができるかどうかということでございまして、モルヒネは全部やめてしまえというようなことには私はなってこないのだろうと思いますから、その国の政策と管理能力の問題で、我々はそこはしっかりやっているつもりでございます。
○久保田真苗君 エネルギーのない途上国への国際貢献が、非常に難しいようなものに、プルトニウムに巨額のお金をつぎ込むという今まだそういう段階ではないと私は思っております。 次に、国連の問題でございます。総理は昨年一月のニューヨークでの安保理のサミットにお出かけになりました。あそこでは総理は、国連の今後に対してどんな御印象ないしはお考えをお持ちでしたでしょうか。もし御感想があればお願いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 第一に、冷戦後の時代になって国連がやっと本来期待されている機能を発揮できるような状況があらわれたということ、第二に、しかし突然のことでもございましたので国連はその機能を発揮するだけの能力なり準備なりを十分には持っていない、それらを充実する必要がある、こういうことでございました。
○久保田真苗君 日本の加盟時からのことを御存じのベテランにおこがましい話でございますけれども、私は、あのサミットの結果出されました「平和への課題」という事務総長の報告書をよく読みまして、それが国連憲章の枠内での改革と言われていることで、もう一度国連憲章も見たんです。私は大変戦特色の強い憲章だなという印象を新たにします。敵国条項、それから安保理の構成、そういったところにそれはあらわれていますけれども、それだけではないと思います。渡辺外務大臣はしばしばこれについて御発言ですが、国連憲章にどういう御不満をお持ちでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、国連憲章はもう五十年近く前にできたものですから、当時としてはやはり米ソというものも一緒に日独を相手に戦争をして、疲れ果てて、もう再びそういう戦争はやるまいということで私はできたと思うんですね。 ところが、御承知のとおり、米ソの対立というものがイデオロギーから発して世界各地で勢力拡張をやって地域紛争が絶えない、しかも、国連憲章では拒否権というものが認められておって国連が大きく言えば機能しなくなっちゃったということなんですな。それがこの米ソの対立が終わったのでやりづらいかというと、逆であって、米ソとも戦争はしたくないということになってきたわけですから、原点に戻ったわけですよ、国連の原点に。 だから私は、これはいい時期だからやはりこいつは、こいつと言っちゃなんだが、これは伸ばしてやらなきゃいけないな、そうみんなが思っているんだろうと。我々もそれについては、しかしながら改めてもらうべきところは改めてもらわなきゃいけません。しかし一種の憲法改正みたいなもので手続がえらい複雑ですのできょうあしたというわけにはいかぬでしょう。それは数年かかるかもしれないけれども、やはり理想に向かってもう一遍見直しをして、この現実の世の中にも合わせてもらうような努力はたゆまずやっていきたい、そう思っております。
○久保田真苗君 私は、憲法と違って国連憲章は戦時中につくられたものだということを思うわけです。草案は四四年の八月から十月にワシントン郊外でつくられておりますし、調印は四五年の六月ということになっております。そこで、勢い戦時体制の強いものでございまして、その中で一番できの悪い部分と言われているのが第六章「紛争の平和的解決」という部分だという定評がございます。私もそう思いますので、二、三の点についてお伺いしていきたいと思います。 まず一つは国際司法制度の問題ですが、外務省に伺います。 国際司法制度は、これは武力闘争にかわる一つのオールタナティブであり得ると思うんですけれども、政府はこれについて改革すべき点があると思いますか。
○政府委員(丹波實君) 御承知のとおり、国際司法裁判所は国際連合の大主要機関の一つということで大変重要な役割を果たしておることは先生御承知のとおりでございまして、特に過去の案件処理の数を調べてみますと、七〇年代は本当に余りなかったのが、今日係属しておる案件は十件以上になっておりますけれども、非常に各国がやはりそのICJというものの重要性ということについての認識を高めつつあるというのが今日だろうと思います。 先生の御質問は今後の改善点でございますけれども、この点は先生が言及しておられるガリ事務総長の先般の「平和への課題」の中でも幾つかの点を提案しております。一つは、義務的管轄権の受諾国をふやそうじゃないかという点。それからもう一つは、小法廷の利用というものをもっと考えようじゃないかという点。それからもう一つは、開発途上国が裁判所に出てきた場合に、当然訴訟の費用がかかるわけですが、その費用を先進国が持つための基金というものができております。この基金を強化しようじゃないかという点が触れられております。 これは事務総長が単に、何と申しますか、非常に短期的にそういうことを思いついたんではございませんで、この道に大変お詳しい先生ですから御承知と思うんですけれども、例えば一九七四年に国際司法裁判所の役割の再検討についての総会の決議というものが出ておりますし、それから一九八〇年でございますか、マニラ宣言と呼ばれるものがやはりこの問題に触れております。そういう歴史を背景にしてガリさんが主要点をまとめられたのがこの改善点で、私たちは非常に適切な指摘ではないかと思っております。 今後、国際社会の中で日本としても、いろんな国と意見交換をしながら改善できるものは改善していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○久保田真苗君 今、義務的管轄権と言われましたが、義務的管轄権とはどういうものですか、そして何カ国が加入していますか。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。 これは国際司法裁判所規程という多数国間でできておる一つの条約でございますが、そのICJに関する条約、その第三十六条の中で、要するに各国が一定の問題については義務的に、例えばA国とB国があった場合に、A国が一定の問題について、ここに書いてあるわけですが、B国が訴えてきたら必ず裁判に応訴しますということを宣言するというそういう意味です。ですから、そういう宣言をしないでこの管轄権を受諾していなければ、B国がA国を訴えてきてもA国はおれは嫌だと言うことができるわけですが、A国がここの三十六条にある宣言をした場合には、B国が訴えてきた場合には必ず裁判所に行かなければならない、そういう義務を負うという意味でございます。 現在のところ、私たちの承知しておるところでは五十六カ国の国がこういう義務的な管轄権を受諾しておる。御承知のとおり国連の加盟国は百八十でございますけれども、その数に比較しますと五十六というのはまだ少ないということで、やはり義務的管轄権を受諾する国をふやしていくことによってICJが活発に利用されるということが非常に重要だ、そういう意味でございます。
○久保田真苗君 政府としては、その三分の一しかない受諾している国、それをふやすために一肌も一肌も脱ぐ気がおありですか。 それから、安全保障理事会自体はICJに持ち込むように勧告することができるはずなんですが、そういう勧告を安保理はしたことがございますか。何回しましたか。
○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、日本自身がこの義務的管轄権の受諾を既に当然行っておるわけでございまして、日本としてもこの問題は重要であるということをいろんな機会に言ってきたつもりでございます。それから先ほど申し上げました基金に対する日本の貢献というのは実は世界で一番多いということで、このICJを活発化させるために私たちできることはしてきたつもりで、今後とも先生が現在触れられておる点も含めていろんな努力はしてまいりたいというふうに思っております。 安保理がいろんな案件につきまして、ICJに持っていくようにという勧告を過去何度かしておると思います。突然の御質問でございますので、それが何回という数字は今持っておりませんけれども、安保理がICJを利用したということは、これは非常にあるケースであると思います。
○久保田真苗君 ICJに持っていくようにと、安保理はそのことに余り熱心ではないということが定評でございますので、よろしくお願いします。 局長が言われましたもののほかにもう一つ、安保理としてあるいは国連総会として司法裁判所の勧告的意見を何かについて聞いていくというそういう作用を持っておりますね。その勧告的意見というものは今までにどのくらい求められていますか。それで、それはどういうものですか。説明してください。
○政府委員(丹波實君) 国連の安保理その他の国連関係の国際機関がICJの勧告的意見を求めることができるというのがその決まりでございまして、過去、具体的な件数ちょっと持っておりませんけれども、国連機関は割と頻繁にこの意見は求めておると思います。 例えば非常に有名なPKOの例で申しますと、国連の平和維持活動の費用というものの分担について、これは加盟各国に割り当てられる費用であるかどうかという点について、例えば一九六〇年代、コンゴのケースですが、フランスとかソ連が反対したというのに対して国連がそれじゃICJの意見を求めようじゃないかということで求めた件も大変有名でございますけれども、そういうことでICJは国連の提訴を受けて勧告的意見をこれまで出してきているということは先生おっしゃるとおりでございます。
○久保田真苗君 でも、ガリさんは、もっと頻繁に求めるべきだと言っていますし、事務総長にもそれを請求する権限を与えるべきだと言っております。 この点についてはどうですか。日本としてはこういうものを押していく、そういう意思がおありですか。
○政府委員(丹波實君) お答え申します。 現在の国連憲章、それからICJの条文から見ますと、確かに事務総長が勧告的意見を求め得るというふうな読み方はできないというのが現状でございまして、先生の御意見はまさにガリ事務総長のいろんな意見とともに一つの御提案でございますけれども、私たち総会におきまして事務総長の紛争の平和的解決のための権限というものを強めていくべきだということでいろんな決議案その地やっていることは御承知のとおりでございまして、今の考え方はそういう延長線上の一つのお考えであろうと思いますので、私たちは、これはやはりできるものならば日本は反対すべき理由はない、むしろ積極的に取り組んでもいいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○久保田真苗君 今までは憲章のほぼ枠内なんですが、私は憲章にない問題があると思うんです。それは、政府でないものの提訴の道が開かれていないということなんです。外務省は、現在、国家間の紛争と国内の紛争とどちらがどれだけの割合ぐらいか、資料をお持ちですか。
○政府委員(丹波實君) 国際間の紛争と一国の中におきますいわゆる国内紛争との把握の問題がそもそも難しいわけでございますので、数字的に比率がどうなっているかという点をこの場で申し上げることは難しゅうございますけれども、第二次大戦後にあらわれた傾向としては、例えば植民地解放のゲリラ闘争といったものをどうとらえるかという問題がございますし、それから冷戦後のいろんな世界の中で残念ながら起こっております国内的な紛争というものがふえつつあるということは申し上げることができるんではないかと思います。
○久保田真苗君 一説によりますと、一五%が国家間で八五%が国内紛争だと言われております。そして現在、カンボジア、ソマリア、モザンビーク、これは皆、内戦なんでございます。ほかにもまだ内戦の例がたくさんありまして、PKOがそういうところへ出ているわけでございます。 この人たちは、政府以外の人たち、紛争者、それから少数民族、エスニック、難民、こういった人たちは、係争があったときに、武力をとるかわりにどこの裁判所に訴えることができるんでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 先生がおっしゃられんとしておられることは私は想像できますけれども、御承知のとおり、国際社会は依然として主権国家というものが併存してできておる社会でございますので、当然、主権国家の主権、独立という原則がございますし、それにそこから派生するものとして国内への不干渉制度というものがございますので、国際社会に一つの裁判所をつくって国内のものもどんどん管轄させるということになりますと、その干渉の問題という問題が出てきますので、私は国際社会における世論の動向としてはまだそこまでいっていないというのが現実ではないかというふうに認識をしておる次第でございます。
○久保田真苗君 認識はおっしゃるとおりだと思いますのでも、訴えて出るところがなければ武力で立ち上がるより仕方がございませんね、これは。国連はそれの手当てをしていないということだと思うんです。そして、主権国家は少数民族なんかが訴える場所を持つことを好まないというそういう傾向があることだと思います。 その一方、国連はソマリアのような内戦にもお墨つきを出して多国籍軍あるいはPKOを出すということばやるわけでございますから、その面では、つまり軍事的な面では、国境を乗り越える作業を今現に行っているわけでございましょう。その辺の矛盾はどうお考えになりますか。
○政府委員(丹波實君) 例えば国内的な問題でございましても国連は全く手を尽くす道がないということではございませんで、先生御自身が触れられたカンボジアの問題にしても、あるいは昨今余り話題になっていませんけれどもかつてのアフガンの問題にしても、あるいは国内紛争ではございませんけれども長い間続いたイラン・イラク紛争にしても、結局、国連が関与して国連が和平への道をつくったということはやっぱり過去の歴史だろうと思うんです。 それから、ソマリアにつきましても先生ちょっと触れられましたけれども、ソマリアの場合には、あそこで何十万あるいは百万単位の子供たちが飢えで死にかかっている、いろんな国が食物を送っても届かない、それを助けたいという国際世論がやっぱりああいう動きをしたんでございまして、そこはそういうことでちょっと違うんではないかというふうに今考える次第でございます。
○久保田真苗君 私は、何もそのことが非常に悪いと言っているわけじゃないんですよ。ただ、平和的解決の道には道がふさがれていてなぜ強制措置の方だけにその道が開かれるのか、そのことを言っているんです。ですから、平和的解決の方へ行く方法がない。つまり、国連はその意味で平和的解決の道を開いていない機関だということを私は今申し上げたいんです。 次に移ります。 国際刑事法廷です。これは安保理がイニシェートしてこういうものをつくったそうですが、このパネルについて説明をお願いします。
○政府委員(丹波實君) 恐らく先生は、旧ユーゴにおきまする紛争との関連での最近の国連の動きを念頭に置かれておると思いますけれども、これは去る二月に、安保理決議八百八だったと思いますが、採択されまして、大変非人道的な事態が旧ユーゴ紛争の中で起きておる、国際法廷を設立すべきであるという決議でございます。この決議は、国連事務総長に対しまして、こういう非人道的な事件を裁判に付するための法廷を設置する、そういう検討をしてほしいという決議になっておりまして、現在その安保理の決議を受けて事務総長が報告を作成する過程にあります。したがいまして、私たちはその報告の内容を見て、一体どういう問題があるかないかということを検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○久保田真苗君 私は、非人道的なことをした行為者個人に当たっていく、こういう法廷ができることは基本的には賛成なんです。ただ問題は、これが安保理のもとに置かれるのか、そしてなぜこのパネルにはユーゴの問題を扱う、あれほど女性がいろんな意味で迫害を受けているあのユーゴでなぜ女性のパネルが一人もいないのか、そのことをお話しください。
○政府委員(澁谷治彦君) この国際法廷につきましては今ガリ事務総長が努力いたしておりますので、その結果を待ちまして私どもとしては対応していきたいと思っております。私どもとしては、この件については非常な関心を持って注目しております。
○久保田真苗君 それでは、ぜひそういうものが実現しますように、そして、ただし国益にとらわれる安保理というようなところではなくて、独立の裁判所として、そしてその中に必ず女性が含まれるように御尽力をお願いいたします。 総理、私こんなことをくどくど聞いてきたんですけれども、最近のいろいろな紛争での暴力的傾向を通じまして、私は国際的に今までも半端だった平和的手段の開発についての熱意が低いと思います。特に国際司法制度は未完成交響楽だと思います。そして、私が総理にお願いしたいのは、この未完成の国際的な平和制度についてぜひ日本の貢献をお願いしたい、こういうことなんでございます。いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭に、昨年の初めに国連に行ったときに国連というものについてどういう感想を持ったかというお尋ねがありまして、私はその第二の問題として、国連に非常な期待が寄せられるに突如としてなりましたが、それを遂行するためのいろいろな意味での準備が十分でないということを申し上げました。それは今、久保田委員がいろいろ言われました具体的にはそういういろんな問題を含んでおるのであると思います。 もともとからいえば、外務大臣が言われましたように国連憲章の問題でありましょうし、それから冷戦というものが終わった結果、かえって今まで静かでありました民族間の紛争というものが起こって一つの国家が分裂するような、複数国家に分かれるというような状況も見られておりますけれども、そういう場合にどうするか。先ほど政府委員が申し上げましたように、それはしかし、そうなりますまではやっぱり一国の主権の中に起こった問題だということになりますから、今までの国連の建前からいえばそれには手を触れないのが本来である。しかし、それならばその一つのエスニックの人たちはどこに問題を持って出るかといえば、持って出るところはない。それはしかし、主権国家の中で本来ならばそういう紛争を処理して平和的に、なかなか難しいことでしょうけれども、平和的に分かれるということであるのかもしれません。といったような問題がいろいろあると思います。 そのほかに、これからの平和についてのことで申せば、やはり私は武器、大量殺りく兵器や核兵器はややいろんな統制の試みがございますけれども、通常兵器には全くほとんどございませんから、そういう動きが通常兵器のいわば拡散を大変に促進してしまうというようなことも心配なことであります。つまり、冷戦が終わったということがもうつい最近のことでありますから、それから後の世界全体の新しい平和の構築のためには、国連を初めとしまして、国際司法裁判所にしましても、いろいろな点で我が国としても新しく取り上げなければならないたくさんの問題がある、それについてはやはり当然のことながら我が国としても努力をすべきだというふうに思います。この点は御指摘に私も賛成でございます。
○久保田真苗君 武器の規制、武器貿易の規制ということに触れていただきました。それはもうぜひ日本が提案したことですから、ガリ報告の中では一度も触れていないんですね、こんなにばかにされて黙っていることはないと思うので、私は外務省には抗議していただきたいと思います。 もう一つ、法務大臣にちょっと伺いたいんです。 国際司法制度は法務省の役割の中にあるのでしょうか、ないのでしょうか。あるとすれば御尽力をお願いしたいと、こういうことです。
○国務大臣(後藤田正晴君) 法務省の関係のもとにはございません。
○久保田真苗君 これは問題なんじゃないんでしょうか。どうして法務省がやらないで、あるいは最高裁がやらないでこの制度の改革に日本が貢献できるんでしょうか。ぜひお考え直しいただきたいと思います。 次に、私はもうほかのことを申しわけないけど飛ばしましてPKOに参ります。 PKOは、現在カンボジアに行っている文民警察官、停戦監視員、工兵隊、こういう方たちは、今現在、武器を携行していますか、いませんか。また、武器の使用をしたことがありますか。
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。 ただいまお触れになりました停戦監視員でございますが、これはUNTACにおきまして我が国の監視員のみならず一般に停戦監視員は武器の携行を認められておりません。実際に武器は携行しておりません。それから文民警察官でございますが、これは必要があればけん銃を携行することは許されております。ただ、現実に現在のところは武器を携行しておりません。 部隊については防衛庁の方からお答えをお願いしたいと思います。
○政府委員(畠山蕃君) 施設大隊につきましては、要員の生命等の防護のためということでカンボジアまで持っていっているという意味での携行としては、幹部にはけん銃、曹士には小銃を基準として、けん銃七十八丁、小銃五百二十二丁をカンボジアまで携行しております。 それで、現在それをどういう場合に実際に持っているかという意味での携行の話を申し上げますと、いかなる場合にその武器を携行させまた返納させるかについては、そのときどきの状況に応じまして大隊長またはその委任をされた者がその必要性を判断するということになっておりまして、具体的な例を申し上げますと、夜間にわたる輸送業務を行わせる場合とか、それから宿営地の警戒、警備の業務を行うといったような場合には武器を現実に持たせるということになっているわけでございます。
○久保田真苗君 武器を実際に使用したことがありますか。また、停戦合意が破れるということはどういう状態を指すとお考えですか。
○政府委員(柳井俊二君) UNTACにおきましては、これまで武器を使用したことはないと承知しております。一度攻撃を受けたときにPKFの、これは他国の要員でございますが、身を守るために使ったことはあるやに聞いておりますが、今その資料を持ち合わせておりません。少なくとも我が国の隊員が使用したということは全くございません。 それから、ちょっと補足させていただきたいと存じますが、先ほど武器の携行につきまして御質問ございました。文民警察につきましても現在携行していないというふうにお答えいたしました。そのとおりでございますが、文民警察につきましてはUNTACでも必要があれば携行が許されておりますし、我が国の実施計画上も武器は現地までは持っていっておりますが、これは保管しておりまして実際には携行していないということでございます。ちょっと正確を期すために補足させていただいた次第でございます。 それから、第二点でございますけれども、いわゆるその五原則の第一の原則でございます停戦の合意がどういう場合に崩れたかという点でございますけれども、これは具体的な状況に照らしまして総合的に判断すべきものというふうに考えております。したがいまして、抽象的に一般的にあらかじめこういう場合ということは大変申し上げにくいところでございます。 ただ、強いて申せば、例えば停戦違反ということでなくて全面的に戦闘が再開されるというような事態になりますれば、これは一つの重要な判断基準になるというふうに考えておる次第でございまして、これまでもいろいろな機会に御答弁申し上げてきたところでございます。 いずれにいたしましても、カンボジアにおきましては、停戦違反あるいは武装集団による攻撃ということが起きてはおりますけれども、全面的に戦闘が再開されておるというわけではございませんで、パリの和平協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは維持されておりまして、停戦の合意は保たれているというふうに認識しております。
○久保田真苗君 ソマリアですね、ツマリアについて五月一日に米軍から国連に指揮権が渡って、UNOSOMⅡで二万大規模の平和強制部隊を出したいというガリ総長の勧告だそうですが、それの経過は現在どうなっていますか。
○政府委員(澁谷治彦君) 目下、安保理を舞台としまして主要関係国及び安保理事国の間で議論が行われております。いずれ決議案という形でその議論はまとまってくるものと予想しております。
○久保田真苗君 ユーゴですけれども、二月十九日ごろ、国連保護軍のPKOに対して、安保理の重武装化と武力行使容認決議というものが出ましたですね。この人たちはPKOの条件で派遣されていたんだと思いますけれども、出先でこういう決議が出てPKOが変質しているということについて外務省はどう理解していますか。
○政府委員(澁谷治彦君) 確かに一般論を申し上げれば、通常のPKOとして出されたものがその情勢の変化に応じて、例えばマンデートを拡大するということはあり得るかと思います。しかし、その際には必ず安保理の決議によってその決定が行われるということでございます。 ユーゴの事例につきましては、確かに例えば予防展開的な任務も与えております。それから、通常のPKOとは若干異なるような任務、安全のための武力行使という任務も与えておりますけれども、この点につきましては、私どももちょっと法的な観点から再度詳細に検討した上で、通常のPKOと異なるのかどうかにつきまして結論を出したいと思っております。
○久保田真苗君 こういうマンデートの追加あるいはPKOの変質ということがカンボジアにもあり得ると思いますか。そして、そういう決議が安保理で行われた場合は自衛隊は撤退しなければなりませんね。
○政府委員(柳井俊二君) UNTACにつきまして、このUNTACのPKOとしての性格は、御案内のとおり、いわゆる古典的な合意、同意に基づくPKOでございますが、UNTACの性格、そういう性格を変えるというような動きはないと承知しております。 いずれにいたしましても、我が国のPKOへの派遣は国際平和協力法の定める条件に従って行うべきものでございます。一般論として言えば、このような条件にそぐわないものには参加ができないわけでございます。 カンボジアにつきましては、特にそういう動きはございません。
○久保田真苗君 もう一つ、PKOが平和強制部隊にソマリアで変わるかもしれないこと、それからユーゴのようにいながらにしてPKOが重武装化するということ、こういうふうになったにもかかわらず、事務総長が指揮権を持っているということについて外務省はどういうふうに理解されますか。つまり、国連憲章で事務総長に武力行使、国連軍の指揮という権利は与えられていないはずですけれども。
○政府委員(澁谷治彦君) 確かに、平和執行機能という点は新しい試みでございます。「平和への課題」の該当部分を読みましても、その法的根拠については不明な点もございますけれども、この点につきましては安保理で一々決議をした上で加盟各国は同意しているという形をとっておりますので、国連の総意としてそういうことを認めるのもやむを得ないという結論を出したものと理解して.おります。 私どもも目下UNOSOMⅡにいかなる貢献が可能なのかどうか、その範囲については検討中でございます。
○久保田真苗君 総理、モザンビークに調査団をお出しになった、そのことについてはもう結構なんですが、モザンビークヘ行って、行った先で状況がごろごろ変わるということはアフリカの場合はたくさんあることだと思います。私は、こういう行った先で性格の変わるPKOに、もしかしたら違法、違憲になるかもしれない自衛隊を派遣するなどということはお考えになるべきではないと思うんです。 それからもう一つ、なぜ武力行使の指揮権を事務総長が持つことができるのか、私は憲章上これは問題だと思います。PKOがぎりぎりなんじゃないでしょうか、戦えない軍隊だそうですから。そういう状況の中で、事務総長はそういう指揮に必ずしも適当な人だとも思えませんし、それから、例えばアメリカ軍ならアメリカの将兵の生死に責任を持つのはアメリカの大統領とアメリカの国会以外にはないはずなんですね。その方たちには一票の権利で影響力を国民が行使できるんです。 事務総長はいかなる意味でもそういう方じゃないんですね。そういう方に武力行使の指揮権をお預けするということは、政府にとっても国会にとっても国民にとっても非常に無責任なことだと思いますので、私は事務総長の指揮権の問題については、政府がよく御検討の上誤りなきを期していただきたい、そのことを思います。 総理にお答えをいただきたいと思います。危ない、そういう違法、違憲になるような、そして流動的なPKOに自衛隊を派遣することはないと、そのことをおっしゃっていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、モザンビークのことでございますがいずれにしても、我が国としては大使館もありませんし、事情を十分知りませんので、各省庁からひとつ責任者に現地に行って調査をしてもらいたいと思いまして調査に参りました。帰ってまいりましたところですが、来週早々官房長官に調査の報告があるそうでございます。 それを聞かなければなりませんが、私も実は久保田委員と一つ同じことを考えている部分がございますのは、在外公館がございませんし、在留邦人、日本人も数十名漁業関係者等がいる程度で、大きな国でしかもわかりにくい国でございますから、もし何かを我が国で派遣するということになりますときには、先ほどおっしゃいましたことはもちろん確かめていたしますが、それに加えまして、在外公館がございませんので、あそこはジンバブエの兼轄になっておると思いますが、何か事がありましたときにジンバブエからでは間に合いませんので、我が国から少なくとも現地に政府のシビリアンが、外交官ということだと思いますが、現地にその間滞在をして、そして何かありましたときには我が国とモザンビーク政府との間を外交的な立場で交渉をする代表というようなことは最小限必要ではないか。 電話等の連絡はいいようなのでございますけれども、しかし、政府当局者がいないというところへどういう人たちであれ政府から派遣をするということには不安がございますから、政府当局者をやっぱり現地へ派遣して、常駐と申しますか、その間現地にいてもらって、そして用があれば東京と連絡をさせるということは最小限必要ではないかということを感じております。 それから、第二の問題はちょっと私の手に合いかねる面倒な問題でございますけれども、この間のガリさんの本を読んでみましても、いわゆる平和、あれは何というふうに言うのか、平和インワォースメントと書いてあります。それはどういうふうな日本語がいいのかわかりませんけれども、そういうことを言っておられるけれども、国連憲章上どこから出てくるかということは必ずしもはっきり書いてありません。 書いてありますことは、第七章で国連軍というようなものをつくるのは急にできるとは思えない、しかし今までのピースキーピングであったらばいざそれが不可能になったときには何もできないのか、それもおかしいではないか、そうだとすれば多少重装備を持ったような、いわゆるPEUというんでしょうか、それが重装備を持ってでも平和を回復しなければならない場合がどうしても現実にあるではないか、そういう議論をしておられる。 私はかなり注意して読みましたけれども、議論をしておられるんで、いわば問題意識はわかるというところまでは私は言えるんだと思いますが、しかし第七章の規定でもない、六章では無論ないわけですから、それは問題意識はわかるし、これは久保田委員のおっしゃったことを私は逆に申すんじゃないんですけれども、ソマリアで食い物が渡らなければかわいそうだといって人道的な行動を起こした。そこは済んだ。済んだらまたごちゃごちゃになりそうだと。それじゃ、またもとになってしまうんだから、そうでないようなやっぱり多少武装した状況で平和を維持しなきゃならぬだろうという、そういうことでございますね。 ですから、そこは動機がけしからぬということではなかったはずなんですけれども、国連憲章にはっきりした基準がないから、先ほど政府委員が申しましたように安保理事会の決議でこれをやらせてもらおうと考えているのではないだろうか。その場合には事務総長が指揮権を持つことになるかもしれないと思いますが、それも七章のことでありませんから、六章にはそういうことはないわけで、そこまで安保理事会のマンデートを受けたというふうに考えるのかどうか、これからのことでよくわかりかねます。 もう一つは、そういうところヘアメリカが兵隊を自分の国以外の指揮にゆだねるかどうかという、これはどうもアメリカがどう考えるかということで、今までそういう例を寡聞にして私は存じませんが、その場合のアメリカ人というのをアメリカの軍隊と考えるのかあるいはボランティアと考えるのか、その辺はちょっとアメリカがどう考えるかわかりかねております。 いずれにしても、この問題は、いろんな意味で今の国連のPKOと現実に起こっている事態との間に一つ何か欠落があって、世界の状況に国連が対応できていないという一つの問題であろうと思っています。
○委員長(遠藤要君) 以上で久保田君の質疑は終了いたしました。(拍手) ――――◇―――――
○委員長(遠藤要君) 次に、井上章平君の質疑を行います。井上君。
○井上章平君 自由民主党の井上章平であります。 実は、関係大臣の方々、質問通告をいたしましてからおよそ十日たってしまいまして、その間に世の中の方が大きく変わったということもありまして、質問の要旨までも一部変わっておるということがあります。その辺は御容赦いただきまして、臨機応変の御答弁をお願いいたしたいわけであります。 〔委員長退席、理事井上裕君着席〕 初めに、政治改革についてお伺いをいたしますが、この点につきましては先ほど石井委員からもお話のあったところであります。政治不信とか政治改革という言葉がこれほど切迫感を持って語られたことはかってありません。政治は国民の信頼を失っては成り立たないことは言うまでもないところであります。そういうことで、自由民主党は関連四法案の成案を得て今国会に提出する手はずとなっており、この一括成立を期そうとしておるところであります。 しかし、その内容はまさに歴史に残る大変革と言えるものでありまして、何分にもこれはこれからの政治の仕組みを大きく変える話でありますから、従来からさまざまな意見のあるところであります。したがって、与野党でどうしても一致しない点が残ることは十分考えられるわけであります。参議院は御承知のように与党少数でありますから、自民党案が通過しないということも念頭に置かざるを得ません。これにつきましては、そのときは国民の信を問う、つまり国民の選択に仰ぐというような意見も一部にあるわけであります。 いずれにいたしましても、この国会で国民の納得いただけるような実のある成果を強く求められているということでありますから、この問題に直接総理からお答えいただくというのはなかなか難しいと思いますが、そういった状況下にある政治改革のこれからの取り組み方ということで、総理の御所見をいただきたいわけであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今の政治に対する国民の不信というのは、何度も申し上げておりますが、極めて深いものであって、ぜひこれはもうこの国会でこれに対する政治改革によって対応しなければならない。これは党派を超えて皆さんのお感じになっていらっしゃることであると思いますので、自民党といたしましても案を具しまして、衆議院の特別委員会でまず各党からも案が出てまいりますでしょう、いろいろ御議論を願ってぜひこの国会で、まず衆議院で成立をさせていただき、さらに参議院において御審議をいただいて、政治改革が法律として、しかも私どもの気持ちで申しますと、いろんな問題がみんな相互に連関をいたしておりますので、連関した形で一括してお認めを願って改革をすぐにも実行いたしたいというふうに考えております。
○井上章平君 次に、景気対策についてでありますが、景気の動向につきましては既に今日まで各委員からお尋ねがあり、経企庁長官、そして総理へ御見解も伺ってまいったところであります。 長い好景気の後、バブル経済の崩壊とともに急速な不況がやってきました。初めは水膨れ経済がしぼむ過程の避けられないリアクションという見方もあったわけでありますが、今日の様相はそれを超えた大変深刻なものとなって国民の生活を直撃しておると思います。この不況をどうやって克服するか、今日国政の最大の課題の一つであることは言うまでもないところであります。 政府は、平成四年度予算の前倒し執行、大型の総合経済対策の発動、そしてただいま審議しております平成五年度予算と間断なく対策を進めてこられたわけでありますが、政府の月例経済報告を拝見しましても、この一月以来深刻な不況のもとにあるということで、いわばはっきりした出口を見出せない状況のように見受けられるわけであります。 そこで、お伺いいたしたいのでありますが、特に昨年末の補正予算を含む十兆七千億円と言われる総合経済対策、この実施状況でありますが、もう三月半ばでありまして、当初見込みどおりこれは進捗しておりますのかどうか。これは経企庁長官でございましょうか、お伺いいたしたいわけであります。 それと、平成四年度のGNPも予期しない不況によりまして大幅な下方修正を余儀なくされるようでありますが、こういう状況下にあってこの経済対策をどのように評価されておるのか、お伺いをいたしたいのであります。
○政府委員(長瀬要石君) 先生から御指摘がございましたように、我が国の経済、引き続き低迷をいたしておりまして、循環的な要因のほかに資産価格の下落ということもございまして大変厳しい状況にありますこと、御指摘のとおりと思います。 昨年八月の総合経済対策につきましては、その中に盛り込まれております事業規模八兆六千億円に上ります公共投資等につきまして、財政措置を踏まえましてその実施が図られているところでございます。 国の公共事業等の執行率でございますけれども、補正予算が成立いたしまして三週間後の昨年十二月末の時点におきまして、補正予算に係りますものの執行率が約二八%程度ということでございますし、当初予算を含めまして八一・一%、このように承知をいたしております。 さらには、建設省御所管の公共事業等につきましては、一月末の時点で契約率がおおむね九〇%程度の進捗でございまして、そのうち補正予算に係ります分につきましては五〇%程度、このような進捗というふうに承知をいたしております。 いずれにいたしましても、補正予算を踏まえまして、ことしの初めから総合経済対策の効果が本格的に浸透していく、このように見ているところでございまして、それに御審議いただいております五年度の予算が重なっていく、こういうことかと思っております。 いずれにいたしましても、今後ともこの対策の円滑な推進ということが重要だと考えておりまして、そのような観点から、経済情勢の変化を細心の注意を払いながら、一日も早く景気の回復感が実感できるような対応ということを考えていく必要があると思います。 さらには、一・六%という点についても御指摘を賜りましたけれども、昨年十-十二月のGNPは前期比〇・一のプラス、こういうことでございまして、大変厳しい状況を反映した姿、このように認識をいたしております。このようなことを踏まえながら対応を図っていくべき状況かと考えております。
○井上章平君 総合経済対策といいますと、かつて円高不況のときに、昭和六十一年、六十二年でございましたか、両年度にわたって政府は経済対策を打ち出したわけでありますが、そのときの実績が思い出されるわけであります。このときは総理は大蔵大臣として尽力されたのでありますが、特に六十二年度の六兆円対策というのは、当時、私はその衝に当たった一人でありますけれども、やってみて確かな手ごたえがあったというふうに今も記憶いたしておるわけであります。 このときも公共事業が大きな柱でありました。公共事業偏重ということを問題にされる方もあるわけでありますが、私の経験によれば、当時二〇%を超える追加予算が全国に配られまして冷え切った地域経済の底上げをした、景気回復に大きなはずみとなってその後の好況をつくり出したというようなことを今実感として思い出すわけであります。 それと今回とオーバーラップさせていろいろ考えるわけでありますが、ただいま平成五年度予算を年度内に成立させることが一番大事な景気対策というふうに総理はずっとおっしゃってこられたわけでありますが、今日の状況を見ますとさらに間断のない対策が必要と、ただいまの経企庁からの景気観測を見ても明らかでありますし、それと本日でございますか、総理は景気もいよいよ底を打ったというふうな見解を述べられたというふうに伺っておりますが、さらにもう一押しすれば景気は確実に上向くような状況にあるんではないかという観測もあるわけであります。また、いろいろなそういった兆候もあるやに伺っておるところであります。 自民党も景気対策本部で種々今検討を進めておるところでありますが、国民は経済に強い総理のこれからのかじ取りに大きな期待を寄せておるところであります。既に一部では、この予算成立直後にも思い切った景気対策が行われるというような先取りした議論、討論も行われておるというところでありますが、これに対して直接話法で総理がお答えいただくというのはちょっと無理だとは思いますけれども、これからの景気対策に対する総理の御所見をお伺いいたしたいわけであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十一年、六十二年のいわゆる六兆円の景気対策のときには、井上委員にも、御自身でこの先頭に立たれましたので、よく御記憶のことでございます。今言われましたようなことが確かにございました。 今度の場合、一つ、やはり資産価格の下落と申しますか、ここから金融機関、証券市場等に及ぼした影響が非常に大きかったということ。それから家計におきましても、やっぱり資産の下落ということは、購買力といいますか消費意欲を、消費性向を落とす傾向にございますから、そういったようなことが前回と違った、事を複雑にしている要素だと思います。 しかし、前にも申し上げましたけれども、金融機関の問題につきましては不良資産の処理についての仕組みができましたし、また住宅専門金融、いわゆる住専につきましても処理の方式が最近まず合意されました。証券市場も多少出来高もふえてきたということで、それらはいわゆる景気循環外のこのたびの新しい要因に対する対応が少しずつ整ってきたということを意味すると思います。したがって、いわゆる三月危機と言われたものも、まずそういうことはなくて済むという感じになってまいりました。 そういうことを、多少難しい問題が少しずつ処理方法がわかってまいりましたという意味できのう商工会議所でああいうことを申しましたけれども、同時にしかし、もうはまだなりということを申しますから、政府といたしましては決してそれで気を緩めるつもりはございませんということも申しました。 こうやって予算が、仮に新年度当初から執行させていただきますと補正とつながりましてかなりの大きな威力を発揮すると思いますけれども、何分にも初めての経験の不況でございますから、さらにいたすべきことがあればこれは遅滞なく十分にやはり対策をとっていかなければならないということは思っております。思っておりますし、自民党の内部でもいろいろ検討してもらっておるところではございますけれども、政府といたしましては、ともかくもまずこの予算を成立させていただいて、それを執行してその上でというふうに考えておるところでございます。
○井上章平君 ありがとうございました。 次に、当面の景気対策の柱となっております公共事業の執行についてお伺いいたします。 これは経企庁からも概略のお話がございました。関係各省庁にそれぞれお伺いすべきだと思いますが、時間の制約もありますので、建設省所管事業について建設省にお伺いをいたすわけでありますが、もう三月半ばであります。残りわずかの本年度でありますが、補正予算も含めまして本年度の公共事業の執行状況、大ざっぱに、まだ数量的にということになると十二月とか一月の値しかないようでありますが、執行状況、それと今後の見通しについてお伺いをいたしたいわけであります。
○政府委員(望月薫雄君) お答え申し上げます。 先ほど経企庁の長瀬局長から御答弁申し上げましたように、建設省所借事業につきまして私ども精力的な取り組みをさせていただいております。 数字は、先ほどのお話のように、一月末現在で補正も含めまして全体の扱っている予算につきまして九〇%程度の契約をいたしております。その後二月、三月と、現在三月を迎えているわけでございますが、私ども現在の状況では、ここで数字を正確に申し上げるには手元に持っておりませんが、ほぼ一〇〇%の契約は十分できる、そのためのまた努力をしている、こういう状況でございます。 ただ、一言つけ加えさせていただきますと、契約のすべてが年度内に完成ということは事柄の性質上いささか困難が伴うものが当然ございます。そういった意味で、例年よりいささか高目のいわゆる契約済み繰り越しというものが出ようかと思いますが、これも挙げて新年度、四月、五月には順調に仕事が現地で展開する、こういった性質のものでございますので、私ども景気対策としての事業を滞りなく執行させていただいておる、こういう状況でございます。
○井上章平君 ところで、公共事業を実施するのは言うまでもなく建設業でありますが、民間工事の極端な冷え込みが続く中で、その施行能力には何の問題もないと言われております。むしろ問題なのは、急増する事務量を抱え込んだ発注機関の能力ということが言われておるわけでありますが、この点についてもお伺いいたしたいわけであります。 これを、急増する仕事量を抱えてそれをやり遂げるためには、当然一層の事務の簡素化、合理化が不可避であるとともに、年間を通じて合理的な発注体制の維持ということも非常に大事ではないかと思います。それと、一方ではこれは受ける建設業の方からも、平準化つまり一年を通して平均化した工事施行が強く求められておるところであります。 平成五年度に間もなく入るわけでありますが、その予算執行については既に前倒し発注の準備をされておるというようなことも伺っておるわけでありますが、平成五年度全体を見渡して、この事業執行について建設大臣の御所見をお伺いいたしたいわけであります。
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。 先生御指摘をいただきましたように、公共事業は乗数効果も就業誘発効果も非常に高いわけでございますので、それだけに景気に対する役割は非常に大きい、このように私も認識しております。 ただいま御指摘いただきましたように、このような体制の中で仕事を執行するような体制が、技能労働者の不足率は平成五年一月で〇・九%であり、二十三カ月間にわたって前年同月を下回っているような状況でございますし、また資材も前年度に比して需給関係は下回っている、このような状況でございますので、労働力の面からも資材の面からも、また民間事業が非常に冷え込んでいる、このようなことからいっても、業界において仕事を受けられるような体制は十分ある、このように考えておりますので、ただいま政府委員から答弁をいたしましたように、平成四年度の補正予算を含めまして年度内に一〇〇%近く契約をしたい、このようなことで今取り組んでいるところでございます。 そして、平成五年度につきましては三月中に設計積算を済ませるように今準備をしているところでございます。そして、事務の簡素合理化についても大幅に取り組めるように今準備をしておりますので、切れ目のない景気対策ができますように、特に平成五年度は景気対策としての公共事業の役割は大きいわけでありますので、大幅な前倒しができるような環境づくりに今懸命に取り組んでいるところでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
○井上章平君 続けて建設大臣にお伺いいたしたいわけでありますが、中小企業への発注の確保、特に政府及び関係機関の対応についてであります。 これにつきましては、先日も上田委員より、全体について、中小企業の仕事の確保についての御指摘があったところでありますが、特に政府及び公団等の関係機関の発注する公共事業について地方の建設業界より強い要望のあるところであります。とりわけ今回一連の景気対策の中で公共事業が増加しておりますが、どうしても発注側の事情によりまして一件工事単位が大きくなり、そのために中小企業が疎外される、そうなるのではないかという懸念が地方で広がっております。この点について建設大臣の御所見をぜひ承りたいわけであります。
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。 先生から御指摘いただきましたように、中小企業の受注がしやすいような環境づくりをするということは非常に大切なことであると、このように考えております。 平成三年度の中小企業の受注状況は三〇・一%でございますが、四年度は三〇・四%ぐらいになってくると思いますし、さらに計画発注あるいは分割発注あるいは発注標準の遵守、そして共同体の活用等によって中小企業に対する仕事が発注できるような環境にしなくちゃならないということは従来どおりでありますが、ただ、定則が行われました四十二年から昨年度までで建設省だけで約一万一千人の定員が削減されている、こういった状況でございまして、そのぎりぎりの中で各現場で懸命に仕事をやっているわけでございます。 そして、景気対策として大幅な公共事業の前倒しをしなくちゃならなへ、こういった状況でございますので、こういった中で懸命に仕事をしていく中で、中小企業にそういった機会をどうやって確保するかというものと景気対策をどう進めるかということ、公共事業の前倒しをどのようにやっていくかということが、ある面では一部では矛盾するようなものの中から、中小企業の受注関係を確保するという非常に難しいことに懸命に建設省としては取り組んでただいま実績を上げているところであると、このようなことで御理解をいただきたいと思います。
○井上章平君 次に、土地住宅問題についてお伺いをいたします。 まず、地価の動向についてでありますが、近く地価公示価格が公表されるというふうに伺っております、まだこれについてはお示しいただけないようでありますが、特にお伺いいたしたいのは、バブルの中で急騰した地価がその崩壊とともに一転下落に向かったわけでありますけれども、今日どこまで下がったのか、バブル直前と対比してどのようなところに今来ておるのかということであります。さらに今後どのように推移するかということもありますが、もう既に下げどまったというような観測も二、三出ておるようでありますので、この辺についてもお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(井上孝君) 井上委員にお答えをいたします。 お尋ねの地価でございますが、平成二年の秋ごろをピークにいたしまして以来下落をいたしております。特に大都市におきましては非常に顕著な下落を見ております用地方圏におきましても下落または鎮静化という状況にあるようでございます。特に昨年一年、東京圏等では相当、パーセンテージで二けたに及ぶ下落があったようでございます。 しかし、宮澤内閣が目指しております生活大国、具体的には住宅を勤労者世帯の年収の五倍以内で良質な住宅が持てるようにと、こういう目標、このためにはいろいろ建築コストとかございますが、一番大きいのが地価でございますけれども、下落をいたしておりますけれどもまだそういった目標には達しない、さらに下落を期待したい、こういう状況でございますので、一昨年の一月に閣議決定いたしました土地対策推進要綱に従ってこれからもなお地価の安定、鎮静化、下落に努めていきたい、こう思っておる次第でございます。
○井上章平君 建設省の住宅局長でよろしいんですが、お伺いいたしたいのは、今、国土庁長官のお話のありました生活大国づくりの課題として年収の五倍で住宅取得ということが大きな目標になっております。これ、なかなかまだそこに到達していない。一つは地価が下がり切っていないということを今お話を伺ったわけであります。しかし、地価もさることながら、さまざまな政策によってこれを推進していかなければならないと思うのでありますが、建設省としてどんな政策をおとりになっておるのか、お伺いをいたしたいわけであります。
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。 先生御指摘をいただきましたように、年収の五倍、東京から一時間から一時間半ぐらいのところで七十平米あたりでマンションを新築で買った場合の年収五倍ということでまいりますと、平成三年度の段階で大体六十五平米で五千九百万円でございましたが、現在は六十三平米で五千百万円ということでございますので、年収の大体五・九倍でございます。そして、七十平米ということになりますと、大体東京、神奈川、千葉、この辺の方々の平均年収が八百六十五万ということですと大体六・五倍でございますので、それだけ下げていくということになりますと、今、国土庁長官からお話をいただきましたように、土地対策ばかりでなく、住宅金融公庫の融資、あるいは住宅促進税制、居住用財産の買いかえ特例、こうしたものを網羅的に機動的に行うことによってこの地価を下げ、また住宅のコストを下げていく、両々相まっていきませんと年収五倍ということに近づいていかない、このように考えております。 また、今回は特定優良賃貸住宅、こうしたものも賃貸住宅の中堅層の需要にこたえていく、こういう政策も両々相まってこの生活大国づくりの住宅政策の柱になれるように努力をしていきたい、このように考えております。
○井上章平君 住宅建設というのは大変すそ野の広い産業を網羅いたしますので、景気対策上からも大変重要なことであります。 そこで、この不況の中でありますが、住宅が着工戸数で床面積も含めまして大変健闘しているというようなことが言われております。今後の見通しとしてどうかということをお伺いいたしたいわけでありますが、実は先日の三月の経企庁の月例経済報告の中を見ますと、住宅は不況の中では比較的頑張っておるという評価であります。しかし、建設省が出しております「月例建設経済」によりますと若干ニュアンスが違いまして、既に陰りが見えておるというようなことも述べられております。 しかし、子細に検討いたしますと、どうもこの数値には一過性の特殊事情が上乗せされておるのではないかという気がいたします。それは、例の市街化区域内農地の宅地並み課税の導入で一時に大量の賃貸住宅建設があったためで、これは間もなく峠を越し、これから減っていくのでありましょうから、これを除いたら一体住宅は今どのような状況かというようなことが実は心配になるわけであります。 いずれにいたしましても、住宅は政府の重要な政策課題でもあります。また、景気対策としても、今申し上げましたように大変重要な意味を持つものと思います。何とか今のペースを維持して景気回復につなげたいという思いが強いわけでありますが、この点について、これは建設省にお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(中村喜四郎君) 先生御指摘をいただきました住宅に対して若干陰りが出てくるのではなかろうかと、このような御指摘、私も率直にそのような状況を心配せざるを得ないようなこともございます。これは賃貸住宅が果たしてきた役割で、分譲とか戸建てが伸びてこない、こういった状況でございますので、やはりこういったことを考えてまいりますと、本質的に戸建て、分譲が伸びていけるような住宅政策というものが望ましい、このように考えております。 そのためには一刻も早く予算を成立させていただき、その上で住宅政策のさらなる状況の好転のための施策等も国会の中で御審議をいただくことが何よりも好転し上昇気流に乗せていくためには必要ではなかろうかと、このように考えておりますので、ぜひ御理解と御協力をいただきたいと思います。
○井上章平君 まだ住宅問題でありますが、これは住宅行政の取り組み方についてお伺いしておきたいのでありますけれども、多くの人にとって住宅はまさに一生の大事業と言われておりますが、どうも良質の資産として次の世代にまで受け継がれるようなものがつくられておるかどうかということであります。 俗に、日本は木と紙の文化、ヨーロッパは石どれんがの文化と言われますが、ヨーロッパに旅行いたしましても、百年、二百年たった古い住宅が今も立派に現役で使用されておるのには驚かされるわけであります。日本の場合はせいぜい二十年になるとそろそろ建てかえ期に入る、特に木造建築の場合はそういう状況下にあるようであります。これからの資源の制約あるいは高齢化社会の到来等を考えますと、やはり住宅の質の問題もこれから重要な問題ではないかというふうな思いがするわけでございますが、何か具体的な住宅政策上方策があるのでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(三井康壽君) 御指摘のとおり、日本の住宅はヨーロッパと違いまして木造中心でございますので、耐用年数はヨーロッパと比べるのはやや難しいかなと思っておりますけれども、良質な住宅ストックを形成するという御指摘は御指摘のとおりでございます。 戦後、木造住宅がやや粗雑なものでつくられてきたという経緯もございまして、最近私どももその反省の上に立ちまして、なるべく耐久性の高い木造住宅が建設されるように技術開発を含めまして進めているところでございます。最近では総合技術開発プロジェクトというプロジェクトをつくりまして、特に高耐久性の木造住宅の建設ができるような基準づくりをいたしております。 例えて言いますと、柱を今まで使っておりますものより太くするとか、あるいは基礎も少し高くつくりまして湿気防止ができるようにするとか、これは昔から日本でもやっていたところではございますけれども、最近それをさらに見直しをさせていただきまして、こういう高耐久性木造住宅というのを基準づくりいたしまして、これをおつくりいただくような方々には住宅金融公庫の割り増し融資をするとか、あるいは償還期間を延長して負担の軽減を図るとか、こういった措置を講じているところでございます。 ただ、またこれは実施いたしましてから数年でございますので、まだはかばかしくストックがふえているわけではございませんけれども、御指摘のようなことを受けまして私どもも努力いたしていきたいと思っております。
○井上章平君 次は文教問題につきまして二、三お伺いをいたしたいわけであります。 まず一つは、これは過日、井上委員また山本委員からもるるお話のあったことでありますが、大学等の国立学校の文教施設の整備についてであります。これにつきましては、既に文部大臣それから総理からも大変御理解のある御答弁を私拝聴いたしました。今さら何を申し上げることがあるかという思いもいたしますが、一つつけ加えさせていただきたいのは、特に主として大学の建物の老朽化についてであります。 これは特に歴史のある大学ほど大変深刻な問題のようであります。高度成長期に、時代の要請に応じまして学生数が急増いたしました。この受け入れのために大体昭和三十年代から四十年代にかけまして校舎の大増築が行われたわけであります。いろいろ文部省からも資料をいただきましたが、大体平均してもこの時期に建てられたのが約半数ぐらいあると伺っておりますし、私出身でありますが、京都大学の工学部になりますと七五%がこの時期に建てられた建物で占められると、こういうことであります。 ところが、普通の鉄筋コンクリートの建物でありますと大体耐用年数は五十年から六十年と言われております。もっと長いものもあるわけでありますが、なぜかこの時期に建てられたものは三十年ぐらいで大変一斉に老朽化が始まった。いろいろ伺ってみますと、この時期のコンクリートに問題があったというようなこともあるようでありますし、また大変大量に建てなければならなかったために、良質とは言えない、粗製乱造型の建物が建てられたというような事情もあるようであります。これは逐次建てかえ期が来ております。中にはもう学生をそこに入れるのが危ないと言われるようなものも使っておるというような深刻を問題もあるようであります。 一方、建てかえ予算の方を見ますと、大体平均いたしまして一%、つまりすべて建てかえるのに百年かかる、七五%でございますと七十五年かかるというような予算の状況ということで、大変憂慮される事態とのことであります。 文部省ではこのような事実をどの程度掌握されて、どのような対策をお考えでありますのか、お尋ねいたしたいわけであります。
○国務大臣(森山眞弓君) 国立大学の教育研究環境が大変好ましくない状況が多いという点につきましては、以前にもここでお話し申し上げましたし、また、ただいま先生がかなり具体的に御指摘いただいたとおりでございます。 国立大学の研究施設だけではなくて、学術研究機関というものが一般的にそのような傾向にあるということは、実は私自身も最近精力的にあちこちの研究機関を実際に見せていただきまして実感しているところでございます。学術研究というのは長期的なものでございますし、またこの分野でこそ国際貢献をしっかりしなければいけないということも考え合わせますと、このような研究機関の条件整備をするということは非常に重要なことだと考えております。 平成四年度の当初予算におきましては、特別施設整備資金というのを国立学校特別会計に設置いたしまして、これも従来の文部省関係の予算といたしましては画期的な試みで多くの方に御協力をいただいたわけでございますが、この特別会計を設置いたしますなどいろいろな工夫をこれからしていきたいというふうに考えておりますし、平成四年度の補正予算におきましても、施設費等の増強に特に意を用いたところでございます。さらに、平成五年度の予算案におきましても、施設費、前年度創設しましたこの特別施設整備事業の継続のほかに文教施設費六十二億円増、合わせて一千八十九億円を計上いたしたところでございます。 文部省といたしましては、御理解をいただきまして、今後とも厳しい財政事情のもとではございますが、さらに一層の改善充実に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしく御支援のほどをお願いいたします。
○井上章平君 国際貢献の話が出ましたが、もう一点お伺いいたしたいのは留学生の受け入れについてであります。 我が国の国際社会に対する貢献の一つに海外からの留学生の受け入れが当然あるわけでありますが、特にアジア近隣諸国からの近年急激な留学生の増加という現象があると聞いております。 一方、これに伴いましていろいろな問題もあるわけですが、その最大のものは、せっかく日本にやってきても大変厳しい生活を強いられているということであります。もちろん円高という事情もありますが、どうも受け入れ体制が全くと言っていいほどできていない。特に日本の住宅事情を強く反映いたしまして宿舎事情が大変困窮をきわめているというようなことで、せっかく日本に留学して確かに知日派にはなっても、そんなことから親日派にはなってくれないというようなことが、私、東南アジア等でいろいろ伺ってきたところであります。 二〇〇〇年までに十万人受け入れというような計画もあるようでございまして、我が国の国際社会での役割から見て、これはもう当然果たすべきことだと思いますが、やはり並行して宿舎事情を何とか抜本的に改善しなければ、かえって国際的にもマイナスイメージをつくることになりはしないかと心配をいたしておるところであります。 文部省の対応についてお尋ねいたしますが、私もいろいろと関係各省に伺ってみたわけでありますがなかなか困難な事情があるようであります。留学生宿舎を住宅問題というような観点から見れば、これは建設省の問題でありますし、ODAの一環として見れば、もちろん日本国内で建てる留学生向けの住宅をODAではいかんともしがたいと思いますが、これは外務省であり、留学生の受け入れそのものは文部省であり、予算づけはもちろん大蔵省と、こういうことになるわけでありますが、何とか関係各省打開の方策をこれは早く見出さなければという感じが強くするわけでございます。 それぞれの省庁にお伺いいたしたいわけでありますが、聞いてもらっても困るというような事情もおありのようでありますので、文部省にお答えいただきまして、なおこの問題につきましては総理からもぜひ御所見をお伺いいたしたいわけでございます。よろしくお願いします。
○政府委員(長谷川善一君) 委員ただいま御指摘のとおり、外国人留学生につきましてはいろいろな問題をなお抱えておるわけでございます。 二十一世紀初頭十万人の受け入れという一応の目標のもとに、昨年の五月現在では四万八千人強の留学生が参っております。それらの留学生に対します教育、研究の拡充の問題あるいは日本語の問題、奨学金の問題、これは民間の協力も得ながら着々と進んでおるわけでございますが、中でも宿舎の問題につきましては大変に大きい課題であると認識いたしております。 文部省としましては、これまで国立大学に留学生宿舎を次々建設するほか、地方公共団体が宿舎建設に着手いたします際に奨励金を交付する、あるいは公益法人の建設する宿舎建設に補助をする、あるいは一般学生寮、それから民間企業の協力によりまして社員寮への留学生の入居等々を奨励いたしておりまして、これらの措置によりまして現段階では全留学生の二二・五%に当たります一万一千人がこういった寮に入居しておる状況でございます。 これにつきましては、これからもなお各方面の御協力を得ながらいろいろな措置を講じてまいりたい。私どもといたしましては、留学生のために宿舎を提供する貸し主に対しまして助成をする指定宿舎の制度あるいは入居する場合の保証人の問題がございます。保証人の支援事業、そういったものを新たに平成五年度やりますけれども、さらにこういったことを各方面の協力を得ながら強力に進めてまいりたいと強く念願いたしておるわけでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) ほかのことと違いまして、留学生の問題というのは、井上委員のように関心を持っていただく方がそうたくさんおられませんで、いわばこの政治の方でいろいろ予算要求になって出てくる場が少ないものでございますので、とかくなかなか日が当たらない。しかし、これは外交、国と国とのつき合いから申しましても非常に大事な問題でございますので、十分政治として注意をしてまいらなきゃならないと思っております。 御指摘ありがとうございました。
○井上章平君 御理解あるお言葉ありがとうございました。 それでは次に、環境問題について二、三お尋ねいたしたいわけでありますが、まず環境基本法の制定について、過日閣議を経て国会に提出されたわけであります。環境庁の御努力を歩といたしますが、人類の生存さえ脅かしかねない環境問題の重要性はもう今さら申し上げるまでもないことであります。 この環境基本法の制定によって新たな環境政策の出発点というような思いがいたします。先ほど石井委員からもこの問題については環境庁長官の所見をお伺いしたところでありますが、重ねて恐縮でございますが、お願いいたしたいと思います。
○国務大臣(林大幹君) 井上先生の御質問にお答えいたしますが、まさに先生御指摘のとおり、環境問題として抱えておる課題が大変今違ってきております。 かつて環境庁がスタートしたころの二十年前を振り返ってみますと、そのころは地域を中心にした公害防止というようなことが大変大きな課題でございましたし、それからまた自然環境をいかにいい環境に整えてこれを保存しておくかというようなことも大変大事な環境問題でございました。 もちろん、そういう問題が今必要なくなったということはありませんで、今日といえどもこれは大変大事な課題ではございます。しかし、それとともに我々の国民生活が非常に一口に言えば社会経済活動の幅が広がったと申し上げてもよいと思いますけれども、このような生活様式に起因する都市型生活型公害というものが著しく我々の目の前にあらわれてまいりまして、それに加えまして地球環境という言葉で表現されるように、地球規模で環境問題に取り組むということが今世界的な一つの命題にもなっております。 このような大きく変化してきました環境対策に対しまして、それなりの基本理念をはっきり確立しまして環境政策を進めなければ手おくれになるということから、このたび閣議決定をいただきまして環境基本法案を国会に御提出させていただいております。 そういう意味でございますので、またそのときが来ましたらよろしく御審議をお願い申し上げます。
○井上章平君 次に、具体的な環境対策について二、三お伺いいたしたいわけであります。 特に、河川はそれ自身が環境を構成している代表的な公共物でありますが、河川そのものはその機能上いろいろな河川工事が行われるわけでありまして、そのために環境との調整が大きな問題となる場合があります。 そこで、これは北海道開発庁長官にお伺いいたしたいのでありますが、石狩川の支川に千歳川というのがあります。これは聞きますと大井川級の河川。北海道に入りますと小さく見えますが、大河川であります。これが石狩川に合流しておりますために、石狩川が洪水になると水はけが悪くなって湛水するというような歴史が繰り返されてきたところであります。それを直接放水路で太平洋側に抜こうという壮大な計画がありますが、これがウトナイ湖を初めとする通過地の北海道特有の豊かな自然環境の保全との間で大きな問題をはらんでおるというふうに伺っておりますが、その調整の成否につきまして長官の御見解を伺いたいわけであります。
○国務大臣(北修二君) お答えいたします。 井上委員はこの方の専門でございまして、北海道といえども十分御理解のことと、かように存じます。 御承知のように、石狩川を初め、歴史の中でもう百年間、二年に一度ずつ大災害がございまして、我々もその災害の中で育ってきた一人で、肌で実感をいたしておるわけでございます。しかし、河川につきましては長年の河川改修というか、随分改良はされてまいりました。しかし、御案内のように、この石狩川の下流において大きな災害が昭和五十年、五十六年、こういう大災害がありまして、その面積は二万七千ヘクタールを上回る災害でございます。何としてもこの災害を防ぐために、第五期の北海道総合開発の後半を今スタートいたしておるわけでございますが、自然と共生をテーマに千歳川の放流をいたしたい、かように考えておるところでございます。 お話のございましたウトナイ湖や美々川の湿原につきましては、都市近郊にあって、すぐれた自然環境を形成していますが、北海道開発庁といたしましても、千歳川放水路事業の推進に当たって関係機関と十分協議を進めていますが、ウトナイ湖や美々川湿原を含む周辺の自然環境や良好な景観を保全して、積極的に今後努力をしていこう。 したがいまして、この千歳川放水路につきましては、従来美々川を通そうという考え方があったわけですが、これを変更いたしまして、美々川は従来どおり保全をしていこう。さらに、ウトナイ湖は随分時間がたっておりますので、だんだんと湖水が少なくなってきておるわけでございます。しかし、これも以前よりもより強化をしよう。一部水を入れたり、下の方を、河川を調整するようにあれして、美々川とウトナイ湖については自然を守るという上で最善を尽くして御期待に沿いたい、かように考えておるわけでございます。よろしくお願いいたします。
○井上章平君 ありがとうございました。 あと二、三、河川と環境という問題についてお伺いいたします。 環境庁にお伺いしたいんですが、河川水質は一時期非常に悪くなったというふうな言われ方をしたわけでありますが、近年は非常に改善されてきたというふうに聞いております。現状、また今後の見通しについて、簡潔にお伺いいたしたいわけであります。
○政府委員(赤木壯君) お答えいたします。 河川、湖沼の水質汚濁の状況でございますが、有機汚濁の代表的指標でありますBODとかCODの環境基準の達成率について、昭和四十九年度と平成三年度で比較してみますと、湖沼については、閉鎖性水域であるということでほぼ横ばいの状況でございますけれども、河川につきましては、達成率が昭和四十九年度は五一・三%でございますが、平成三年度は七五・四%というふうに大きく改善されてございます。 こういうふうに水質の改善が進みましたのは、排水規制だとかあるいは下水道の整備が進んだというところによるのが大きいんではないかというふうに我々は考えでございますが、ただ、湖沼とか都市内の中小河川の達成率が低いという現状もあるわけでございまして、環境庁といたしましても今後とも排水規制の強化徹底を図ると同時に、生活排水対策については水質汚濁防止法等に基づきまして、下水道の整備等生活排水処理施設を整備を進めるだとか、あるいは家庭の台所等での対策の普及啓発を総合的、計画的に推進していくということが必要だと考えておりますし、また湖沼につきましても湖沼水質保全特別措置法に基づきます各種の対策の推進を図って、河川、湖沼というものの水質改善を一層進めていきたいというふうに考えてございます。
○井上章平君 河川の環境を考える場合に、もう一つ重要な問題は魚の問題であります。一 河川がコンクリートの護岸に変わって、こぶな釣りしかの川も魚がめっきりいなくなったというようなことをよく聞くわけであります。本当に魚は減ったのかということでありますが、これもどうもいろいろの資料を見ますと、大きな誤解があるように思われます。 これは水産庁にお伺いいたしたいのでありますが、内水面漁業、これは主として河川、湖沼でとれる魚を指すわけでありますが、漁獲高はどういうふうに推移しておりますか。昭和四十年ごろと今日と大体二十年ぐらいの前後で比較してお聞きいたしたいわけでありますが、特に代表種でありますアユとサケ・マスについてどうでありますか、お願いいたします。
○政府委員(川合淳二君) いわゆる河川などの内水面でございますけれども、全体の漁獲量は近年十万トンというような数字で推移しております。 今、先生御指摘のアユあるいはサケ・マス、これは私どもといたしましても種苗放流などで努力しているものでございますが、例えばアユでございますと、四十年代八千トンというようなオーダーでございましたけれども、五十年で一万四千、六十年代になりますと一万七千というような数字になっておりますので、この辺は確実に増加してきているというふうに私どもは認識しております。
○井上章平君 サケ・マスはわかりませんか。
○政府委員(川合淳二君) 失礼いたしました。 サケで申しますと、例えば四十年代は五千トン、五十年代が八千七百トン、最近は一万五千トン、年によっては一万八千トンというようなときもございます。かなりの増加を見ているところでございます。
○井上章平君 これは漁獲高でありますからそこにどれだけ魚がすんでおるかということを必ずしも意味しないとは思いますが、しかし、大体パラレルになっておるんじゃないかと推定いたします。昭和四十年代と現在、つまり二十五年間にアユは二倍、サケ・マスは大体三倍ぐらいにふえておるということであります。これはとりもなおさず河川環境改善の一つの成果だというふうに私は思うわけであります。 特に河川工事を進める中で魚の生育技術を開発して成功した例が幾つかあるわけであります。 時間の制約もありますので、その代表として琵琶湖総合開発計画におけるアユ、それから長良川河口ぜき事業におけるサツキマスの育成事業の成果についてお伺いいたしたいわけでありますが、特に長良川の河口ぜき事業につきましては今いろいろと批判されておるわけであります。その中には、せきの建設によってこのサツキマス等のいわゆる遡河性魚類の行動が遮断されてしまう、で、絶滅の危険があるというふうな言われ方をしておるわけであります。しかし、もともと自然界では、このサツキマスというのは細々と生き延びてきた魚でありまして、幻の魚と言われるようにほとんど見かけることがなかったわけでありますが、これをこの河口ぜき事業を行うに当たりましていろいろと種苗育成に努めて、今日のような相当な漁獲高が確保できるまでに育ったわけであります。 一たん増殖させて、今度はそのせきで絶滅させる、そんなことが本当にあるのかどうか、まことにおかしな話でありますが、その辺の事情について説明していただきたいと思うわけであります。
○政府委員(岩井國臣君) 御指摘の琵琶湖総合開発事業の関係、それから長良川の河口ぜき建設事業の関係で御説明申し上げたいと思います。 両事業とも、事業に着手する以前から大変なメンバーの専門家によります調査団を組織いたしましていろんな調査を実施してまいりました。琵琶湖につきましては、琵琶湖サーベイチーム、BSTと呼んでおりますが、これは大体六十名ぐらいの学識経験者、長良川につきましては、KSTと呼んでおりますけれども、九十名ほどの専門家によるチームを組んで、いろんな環境に関する調査をやったわけであります。 その中で、先生御指摘のとおり、琵琶湖、長良川ともやはりアユの問題が一番大きな問題でありましたし、それから長良川につきましてはアマゴの問題もあわせて問題になったわけであります。 まず琵琶湖の関係でございますけれども、水位低下によりまして、流入河川へのアユの遡上、それから流入河川におけるアユの産卵に大変な影響が出てくるのではないかということで、先ほど言いましたBST調査をいろいろやったわけであります。それに引き続きまして、水資源開発公団におきまして、滋賀県と一緒になりまして四年間にわたりましていろんな調査を実施いたしました。その調査結果に基づきましていわゆる産卵のための人工河川を建設しておるところでございます。 その結果、琵琶湖の湖産アユでございますけれども、アユ種苗としてその需要は大変高いわけでございまして、全国の需要の六〇%ないし七〇%は琵琶湖で占めておる、こういうことでございますが、平均的に言いまして、その一五%程度を人工河川で増殖したものであると言われております。そういうことで、人工河川の実用化というものは琵琶湖産のアユの種苗の安定供給を可能にいたしまして、その資源維持に多大の貢献をなしておるのではないか、こういうふうに考えております。 その次に長良川でございますけれども、御案内のとおり、長良川は岐阜のウ飼いで見られるように大変アユで有名なわけでございまして、これが大問題になったわけでありますが、KST調査の結果を踏まえまして、建設省中部地方建設局におきましては、昭和四十三年度に岡山県の水産試験場にアユの種苗生産試験を委託いたしまして量産化の技術の確立に努めたわけでございます。その成果を踏まえまして、引き続き岐阜県の中でも幾つかの箇所でそういった試験を重ねまして、現在では岐阜県の種苗センター、これは規模で四百万尾の規模を持っておりますけれども、そのセンターで人工種苗の生産をやっておりまして、河川放流用といたしまして年間四百万尾から五百万尾の稚アユが生産されております。 それからまた、当時、生態学的には余りよくわからないというふうなことでございましたけれども、アマゴの中で海におりていくいわゆる降海型のアマゴが長良川にもいるらしいということでございました。水資源開発公団では、岐阜県と協力いたしまして昭和四十四年から五十六年にかけまして放流用のアマゴの種苗生産のためのいろんなまた試験研究を実施したわけでございます。その成果は現在では民間に普及しておりまして、種苗の生産、出荷が民間レベルで盛んに行われておる、こういうことでございます。 長良川におきます降海型のアマゴにつきましては、昭和四十年代前半にはほとんどとれていなかったのでございますけれども、そのような経緯を経まして、昭和六十年には岐阜市長がサツキマスと命名するほど漁獲高がふえてきた、こういうことでございます。六十二年には十六トンということで大変な漁獲高を示しておる、こういうことであります。 以上のように、琵琶湖開発事業あるいは長良川河口ぜき事業を進めるに当たりまして、建設省及び関係機関におきましては、アユ、サツキマスにつきましては今述べたとおりでございますけれども、そのほかにつきましても魚類の生態系の保全に多大の努力を積み重ねてきておるところでございます。
○井上章平君 次はリゾート開発について、これは国土庁長官にお伺いいたしたいわけであります。 総合保養地域整備法、これは施行いたしましてもう五年になるわけであります。数多くのプロジェクトが地方の期待を担って発見したわけでありますが、今日いろいろ調べてみますと、この不況によりましてその進捗がはかばかしくないというふうに聞いておるわけであります。 もともと、生活大国五カ年計画で労働時間の短縮、そして当然余暇拡大という時代に入るわけであります。それに対して長期滞在型のリゾートライフ定着ということを目指しましてこの整備法という形で結びついたわけでありますが、何といいましても、この法律は主体事業が民間の開発、民間活力の導入策であります。官、公はいろんなインフラ整備等でそれをサポートするという形で地域開発を進めようということで進められてきたわけでありますが、どうしても民間はこういった不況になりますと経営の安全を守るために憶病になりまして、相次いで縮小する、あるいは中には撤退するというようなことで大問題になっておる地域も散見されるわけであります。 しかし、景気循環の中でこのようなことになっては、こういった長期的な目標を持つ地域開発にとっては大変困ったことであるという感じがするわけであります。これを今後どのように進めていくべきかという点につきまして、現在の状況を含めまして国土庁長官の御見解をお伺いいたしたいわけであります。
○国務大臣(井上孝君) 井上委員の御質問にお答えいたします。 昭和六十二年に御指摘の総合保養地域整備法ができまして、今日まで既に三十九都道府県、一県が準備中でございますから約四十の地域について整備が進められておりますが、井上さん御指摘のように、最近の経済情勢の変化によりまして一部で開発業者が撤退をするというようなところもあるように聞いておりますけれども、しかし三十九地域とも全部まだ整備計画を取りやめるというようなところは出てきておりません。かわる業者を探したり計画を縮小したりというようなことで対処しておるようでございます。 そのほかに、やってみまして五年ほどたちましたが、どこも画一的過ぎるじゃないか、ゴルフ場とホテルとか、金太郎あめのようにどこでも同じようだと。それから、利用料金が民活を主体としていますから高いところがある。それから、自然環境保全上問題があるというようなところもございますので、昨年の四月から国土庁の方で研究会を専門の学者の方々にお願いいたしまして見直しをしていただきました。二月に、先月でございますが、この報告をいただきました。井上さん御指摘のように、労働時間の短縮とか余暇活動の拡大というようなことで国民のリゾートに対する潜在需要というのは非常に大きなものがある、したがいましてこの見直しの線に沿ってさらにこれを進めるという方向で今この研究会の成果に基づいて政策を展開していこう、こう思っております。 まず地域の発展に貢献するというようなことも一つの目標にしたいし、それから先ほども言いました画一的じゃなくていろんなリゾートの種類をふやしていきたい。それから、一年に一回家族連れで一週間ぐらいは滞在できるような料金、そしてそういった魅力のある地域をつくっていきたい。特に小規模リゾートといいますか、農山漁村に滞在をして家族連れで保養するというようなこと。 それからもう一つは、井上さんも御指摘のように、民活主体ではございますが、いろいろ各省の施策を調べてみますと、運輸省でマリーナの整備に補助金といいますか国の支援をするという方法もありますし、またオートキャンプ場をつくるというのに国あるいは地方で支援をするという方法もありますので、こういう問題をきめ細かく積み上げまして、そして本当に国民が行きやすく、そして長期滞在ができるようなリゾートをつくるように、これから方針を改めて見直していきたいと思っております。
○井上章平君 ありがとうございました。 引き続き、また国土庁長官で申しわけないのでありますが、災害対策についてお伺いいたしたいわけであります。 それは、申すまでもなく、雲仙・普賢岳の噴火災害の現況についての御見解を伺いたいわけであります。 この噴火は、もう既に二年が経過いたしまして、多くの期待もむなしくまだおさまる気配がないわけであります。仮設住宅等でひたすら噴火の終息を待っておられる被災者の疲労も大変なものでありましょうし、またこの地域全体の成り立ちを考えましても、鉄道や道路の安定的な供用、あるいは降灰が続いておるわけでありますが、この降灰の中での農業をどうするのかというような非常に多くの問題が山積していると伺っておるわけであります。特にこの対策としては、一日も早い終息を待って地域の復興をというふうな建前で来たと思いますが、こうなりますと、やはりある程度長期化した場合の対策ということも考えにあわせ置かなければならないのではないかというふうに感ずるわけであります。 我が国は火山国でありまして、こういった人家密集地帯のほんのもう数キロのところであのような噴火が起きるということは、まあめったにないことでありますが、あり得ないことではないという教訓を得たわけでございます。これに今後どのように地域住民の生活の安定を図りながら対応していきますか。噴火との共存というふうな関係を続けなければならないことも覚悟しなければならないんではないかというふうにも感ずるわけでありますが、この点につきまして、恐縮でございますが国土庁長官、もう一度御見解をお伺いしたいわけであります。
○国務大臣(井上孝君) 御指摘のように、雲仙普賢岳の災害は非常に長期化いたしております。私も実は自民党の災害対策委員長をやっておりましたので、火砕流が起きました一昨年ですか、現地に行ってまいりました。当時は非常に悲惨な状況でございまして、集団して体育館などに収容されておる、なるべく早く仮設住宅でもいいかもつくってもらいたいというような非常に痛切な御要望がございました。 私、国土庁へ参りましてから、去る一月の二十一日でございますか、また再び現地へ行ってまいりました。空気は全く変わっております。噴火は変わっておりませんけれども、火砕流の危険は相変わらずでございますが、地域の住民の中に、これだけ長期化いたしましたから、もう地域の再建をひとつ図ろう、復興のために何をしたらいいかというような、当時に比べますと活力が出てきたようなふうに見受けてまいりました。 同時に、当時は太田さんという所長さん、そろそろ終息に近づいてきたんじゃないかなというようなこともおっしゃっていましたけれども、先般また火砕流が若干ございましたし、そういったことでこれからの復興のためにどうしたらいいか。今なお二千人に及ぶ方が避難をしておられる。そういう方々が安全なところへ集団移転をしていただくとか、あるいは今おっしゃいましたように農地の安全を図る、こういった復興、再建、地域の開発に対する施策をこれから進めていかなきゃいかぬなということを痛切に感じたわけでございます。 そのためには、先般も起きましたが、土石流対策のための水無川周辺の河川の整備、それから貯砂施設とでもいいますか土石流をためる場所、それから砂防ダム。幸い建設省で平成五年度の予算であそこの砂防ダムを直轄でやるということを決めていただいたようでありますし、予算が成立すれば直ちに国がみずからあそこで大きな砂防ダムをつくるというようなことにも地元は非常に喜んでおられるようであります。 そういったことから、私どもとしては早期の火山の終息というものは願いますけれども、これは自然現象でございます。何とか安全な農地、住宅地をあそこへつくり、そして地域の方々に安心して住んでいただけるように、いろんな施設を施して、各省の御協力を得てやってまいりたい。そのために国土庁が窓口となって地域と御相談しながら対策を立ててまいりたい、こう思っておる次第でございます。
○理事(井上裕君) 以上で井上章平君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○理事(井上裕君) 次に、山口哲夫君の質疑を行います。山口君。
○山口哲夫君 まず、検察庁にお尋ねをいたします。 小針暦二福島交通の会長、けさほど何かアメリカに突然飛び立ったというそういう情報が流れております。小針氏といえば金丸脱税事件にも関係あるでしょうし、また竹下元総理にもいろいろと関係が深い。また、検察庁としては事情聴取の予定もあるというふうに聞いております。これは明らかに、一説には逮捕を逃れるために、あるいは事情聴取を逃れるために、国会喚問を逃れるためにアメリカに逃げたという説さえあります。このことにつきまして、一体検察庁はどうするつもりなのか、まずお聞きいたします。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 委員のお尋ねの御趣旨はちょっとわかりかねるところもございますけれども、要するに今委員が御指摘になられた小針会長が渡米したという報道、この点につきましてはもちろん検察当局も十分承知しているものと思うわけでございます。 委員のお尋ねは、要するに現在検察当局において捜査している事件との関係でどう思うかという御趣旨がと思うわけでございますけれども、これは一般論としてお答えすることをお許しいただきたいわけでございますが、もちろん検察当局におきまして与えられた条件の中で必要と認める事柄につきましては必要な捜査を行うわけでございまして、そういう意味で必要な捜査は適正に行うというふうに考えているわけでございます。
○山口哲夫君 事情聴取の予定はあるんでしょう。
○政府委員(濱邦久君) これは御理解いただきたいと思うわけでございますが、特定の人物について取り調べをするかどうか、あるいは取り調べをしたかどうかということについてはお答えをひとつ御遠慮させていただきたいと思うわけでございます。
○山口哲夫君 もしそういう事態が出てきた場合にはアメリカに捜査員を派遣する、そういうこともあり得ますね。
○政府委員(濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、検察当局において捜査をする過程で必要と認める事項については必要な捜査を行うことは、これは一般的に申し上げまして当然のことでございます。
○山口哲夫君 アメリカに行くかです。アメリカに行くかと聞いているんですよ。
○政府委員(濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、具体的な事柄についてはお答えをいたしかねるわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、それぞれの場合、局面に応じて必要な捜査は適正に行うということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○山口哲夫君 もし仮にアメリカに行かなきゃならなくなった場合、行ってみたけれどもいなかったというようなことも考えられますね。そういう点では、今から小針氏に対する注意を払っておく必要があると思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、それぞれの場合、局面に応じまして、与えられた条件の中で必要と認める捜査は適正に行うということで御理解をいただけるのではないかと思うわけでございます。
○山口哲夫君 それじゃ最後に、この問題で検察庁としては小針氏を極めて重要な人物である、そういうふうに認識しているというふうに考えていいですね。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 先ほどもちょっと申し上げましたように、特定の人物について捜査との関係で検察当局がどういう認識を持っているかということについては、お答えを御勘弁いただきたいと思うわけでございます。
○山口哲夫君 今までの経過からいって、一般の市民とはこれはもう明らかに違うというそういう認識は持っているでしょう。
○政府委員(濱邦久君) その今委員がおっしゃいました一般の市民とは違った認識を持っているかというお尋ねでございますけれども、ちょっとお答えがかみ合ってないかもしれませんが、先ほどからお答え申し上げておりますとおり、特定の人物について捜査との関係でどうこうということは申し上げかねるわけでございます。 ただ、先ほどお答え申し上げましたように、検察当局において必要と認める事柄について必要な捜査は行うということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○山口哲夫君 まあ、この辺にしておきましょう。 それで、総理にお尋ねいたしますけれども、けさほど我が党の及川議員の質問したことですけれども、やっぱり四法案を一括可決できない場合において、これは分離しても必要なところから可決するべきでないのかという質問に対しまして、総理は一時そういうことを考えたこともあったというお話を聞きました。 これは、やっぱり私は四法案を一括処理できればそれは一番理想だと思うんですね。しかし、それが仮にできない場合、今国民の期待というのは、例えば企業と政治家の金の癒着、そういうものだけでも絶つべきだというそういう期待があるわけです。ですから、一歩前進するという形でも、分離してでも、この政治改革はやっていかなければならないというお考えはないですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一時そういうことを考えたこともあったと申し上げました趣旨は、お尋ねが昨年の一月ごろに政治資金規正法というものは急ぐ云々ということを言ったことがあるかと、こういうお尋ねでございましたからそういうふうに考えたことがございますと申しましたが、それは現在のような四つの法案というものを前提にして申し上げたわけでは全くもちろんございませんで、一般論として政治資金の改革というものは処理を急ぐということを申したという意味でございます。 そこで、今現実になろうとしております四つの法案ですが、これはもうはっきり四つが密接な連関を持っておりますから、忌憚なく申せば、そのうちのある部分を抜き取ってそこだけを立法するということは難しいし、また改革の目的には沿わないというふうに私としては考えております。 ただ、これは恐らくは議員提出の法案になるんでございましょうから、衆議院におきまして各党の提案された法案をどのようにお扱いになるかということに属しますので、政府としてこうあるべし、こうあってというようなことを本来ならば申しにくいことでございますけれども、自民党が立案したものを私の立場から見ておりますと、これはやはり不可分のものとしてお扱いをいただきたいというふうに私は思います。
○山口哲夫君 自民党が今つくられている例えば政治資金規正法、これまでより一歩前進しておりますね。一括でなくして、仮にこれ一つだけでも可決した場合に何かまずいことがあるんですか、現状よりも一歩後退するんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはどの部分をどういうふうにされるかということがわかりませんので一般的にお答えをするとすれば、やはり不可分だと申し上げるしかないのですけれども、仮に例えて言えば政党助成という法律を自民党は考えておりますけれども、これはやはり政治資金というものと密接に連関をいたします。ある政治活動のかなりの部分が公費で賄われるということでございますから、当然それは連関があるのが当たり前であって、それと関係なしに政治資金の問題というのを、少なくとも法案に盛られましたような中身を公費助成と全く別にそのまま成立させることができるかどうか、いいかどうかということを仮に一つの例をとって申せば、私はそれは問題があるというふうに思うわけです。
○山口哲夫君 法案の関連がないとは言わないですよ、私は。関係があると思います。 ただ、今国民が期待しているのは、一歩でも二歩でも政治の浄化を図ってもらいたいという期待が物すごく多いわけでしょう。そうしますと、自民党の案というのは、内容においては今までのように企業と政治家との金の癒着ですね、それが金額的にも物すごく低くなってきたわけでしょう。私は、企業の政治献金は反対ですけれども、自民党の案としては一歩前進していると思います。だから、それをどうして通したらマイナスになるんですか。関係していることはわかりますよ。だから、何がそれじゃマイナスになるのかと。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、政党助成との関係を申し上げたわけですけれども、本来、まだ法案が提出されていない、それをこれから衆議院の特別委員会で議論しようというときに、仮にこれがこうなってこれだけどうだとおっしゃいましても、それはお答えのしょうがない。少なくとも四つの法案の性格がどうだとおっしゃいますから、これは不可分だと私は思いますと申し上げます。
○山口哲夫君 失礼ですけれども、そういう御答弁は詭弁に私は聞こえます。少なくとも一歩前進しようとしている法案が今四つ出てきているわけでしょう。それは関連しなかったら、一つ一つやったんでは現状よりもかえって政治浄化にはつながらない、政治の悪化につながるんだというならわかりますよ。そんなことはないんですから、一歩でも前進するということははっきりしているんですから。それだったら、ここだけ切り離してでもやるというのが当然でないかと私は思いますね。そういうことをしないということになると、また国民が政治に対する不信感を持つんじゃないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の考えでは、四つが不可分でございますから一つだけ取り出して前進ができるかどうか、それは前進できないんじゃないかと思います。
○山口哲夫君 この問題だけやっているわけにいきませんので、私は、そういうお考えでやるということは結局は小選挙区を何が何でも通そうというそういう背景があるからそういうことを言われるんじゃないかと思います。 さて、後藤田さんにお聞きいたします。法務大臣というよりも後藤田さんにお聞きしたいんですが、この間、三月の十五日のある新聞に、政治改革が実現するんなら比例代表並立ても併用制でもこだわらない、こう言っておりますけれども、その辺のお考えをちょっとお聞かせください。
○国務大臣(後藤田正晴君) 選挙制度に絶対のものはありませんね。大きく分ければ小選挙区もあれば比例制もあるし、それからまたそれの折衷と。その折衷には並立制もあれば併用制もある。どれを選択するかとこういうことですが、私は小選挙区論者なんです。この方が選挙制度の中では絶対ではないけれども一番よろしいと、こう私自身は思っております。 そういう前提に立ちながらも、少なくとも各党とも今の制度はよくないとどの政党も言ってらっしゃるでしょう。ならば中選挙区制度は、ここまで歴史の沿革はあるけれども、いろんな弊害が出ている以上は、この際直したらよかろうというのが各党の御意見でしょう。だからそれはそれでどれかにしなきゃならない。私は小選挙区が一番いいが、それじゃその比例制をどう考えるんだと、こうおっしゃいますから、それは並立制が二番目だと。三番目は、併用制を取り入れた、そして小選挙区と組み合わせるのがこれがよろしいと、こう言ったんです。ただし、その場合には条件がありますよと、小選挙区の場合の条件は何かというと、これはやはり公認制度のあり方あるいは無所属候補のあり方、これをきちんと決めないと小選挙区というものはうまく作動しませんよと。 それからまた、比例制はこれはよくない。それは小党分立になる。したがって、比例制を入れるときにはこれまた大きな条件があるよ、それは足切り条項ですよ、足切り条項を入れない限りはこれは大変なことになりますよと。だから、そういう意味において私は比例制の場合には条件があると、こう申し上げておる。 ならばどうするかということになると、少数意見というものも選挙制度はよく考えなきゃなりませんから、私は小選挙区論者ですので単純な小選挙区がいいけれども、どうしてもとおっしゃるんなら、それは私はやはり小選挙区のこの制度を答申するときに、少数意見を加味するという意味において同じ比例制を入れるんなら並立制の方がはるかによかろうと、こういったことを私は私で考えていることをそのまま申し上げたのがああいう記事になったわけでございます。あくまでも単純小選挙区が私の基本の考え方でございます。
○山口哲夫君 現状の中選挙区制よりもこれまた一歩でもいいものをつくろうというんであれば、仮に併用制でまとまる空気が出た場合にはそういうことにひとつぜひ御尽力をいただきたいということをお願いしておきます。 それでは、地方分権の問題に移ります。 今日ほど地方分権に対して各党、各界が大変な関心を持ってきているときはないと思います。ちなみに、日本社会党は地方分権推進法、それから民社党さんは地方分権推進基本法、それから自民党さん、公明党さん、共産党さんは、運動方針で地方分権を非常に強く訴えております。それから全国知事会では中央集権制限法、民間臨調では地方分権基本法ということで、それぞれ大変な勢いで地方分権をしようというふうに言っております。 これに対しまして、総理は一月二十五日の我が党の山花委員長の代表質問に対してお答えをしておりますが、どうも気になるのは、概して賛成だという、そういうお答えをしているんですけれども、この地方分権に対する基本的なお考え方をまずお伺いしておきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 行政改革ということをよく言われますときに、一つの問題はやはりデレギュレーションといいますか、官から民へということでございますし、もう一つの問題は中央から地方へということだと私は基本的に心得ております。 憲法で地方自治ということを定めておりますけれども、私はこれは残念なことですけれども、憲法に定めておることの中で一番実現がおくれている部分ではないかという感じを持っております。 殊に、戦後すぐならばともかく、今いわゆるナショナルミニマムというものはほぼ日本じゅうどこでも最低なきゃならないものは施策としてできておるわけでございますから、そういう意味でも、そう中央がお世話をしなくてももういいという、かなりそういうことは私は変わってきていると思いますし、殊に住民に身近な行政は地方でやってもらった方がよくわかるし、親切にいくし、いいに決まっておるわけでございますから、そういう意味で、国のおせっかいと申すと言葉が過ぎますけれども、それは戦後とは随分違ってきたというふうに私は基本的に思っています。 ただ、地方分権ということをいたしますときには、これは行政を配分するわけですが、やはり財政も配分しませんと行政だけ分けるということでは恐らくうまくいかないだろう。行財政の再配分というそういう問題として取り上げるぐらいのつもりがないとなかなか思い切ったことができないのではないか、問題としては私はそういうふうな認識を持っています。
○山口哲夫君 もう少し一歩踏み込んで、具体的にどういう行政を国と地方が担当したらいいのかということですが、私はやっぱり国というのは国の根幹にかかわる行政をやるべきだと思うんですね。外交とか防衛とか司法とか、あるいは全国的な交通通信関係とか社会保障関係。それ以外のいわゆる一般市民の生活に密接するような問題はすべて地方がやるべきだ。このことは地方自治法の第二条にもそれらしきことが書かれてあります。こういう具体的な政策の配分についてどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私も先ほど地方自治法をちょっと実は見てみたんですが、二条の二項とか三項とか十項でございましたか、かなり具体的に書いてあるのでございますね。 ですから、あそこのところへ立ち返りましたら、具体的にもう中央、つまり地方は基本的に何をするのも自治なんだが中央のやることはまあ別だみたいなことが書いてあるわけですから、中央のしなきゃならぬことというのは、どう申しますか、欲張って考えずにと申しますか、ここまで来ましたら本当に必要なことにとどめたらいいんではないかなと、あの法律をもう一遍読み直してみると。そして、それに忠実にやりましたらかなり地方に渡せるものがいろいろあるのではないかというふうに、私は法律を読みまして今思ったところでございます。
○山口哲夫君 総理、大変地方分権を積極的に進めなきゃならないという基本的な御意思をお持ちだというふうに理解をいたします。 それであれば、やっぱり分権をきちっと担保できるような法律をつくっておく必要があるんじゃないんでしょうか。各党とも今みんなその法律を予定しているわけです、作成しているわけです。どうですか、立法化した方がいいんじゃないでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこのところでございますけれども、地方自治法を読みますと、かなり地方に渡してもいいものがいろいろ具体的に例示して書いてあるわけでございます。ですから、事柄は法律をつくるつくらないの問題ではなくて、むしろあそこに書いてあるような物の考え方を地方と中央が一緒に相談してあのとおりやれるかどうかということではないであろうかというふうに思います。これは山口委員は御自分で長い間行政をせられましたので、私よりはもっとそういうことを地方の側から御存じでいらっしゃるかと思いますけれども、地方自治法を読みますと、これをちゃんとそのとおりやったらかなりなものが地方に渡せるんではないか、私はこういう実は感じを持っております。
○山口哲夫君 自治省の方いらっしゃったら、第二条第十項ですか、ちょっとお読みください。
○政府委員(紀内隆宏君) 二条の二項と、それと十項と両方読ませていただきます。 まず、二条の二項でございますけれども、「普通地方公共団体は、その公共事務及び法律又はこれに基く政令により普通地方公共団体に属するものの外、その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」と、こうなっております。一方、そのすぐ後に三項というのがございまして、ここでは「前項の事務を例示すると、概ね次の通り」ということでたくさんのものが列挙されておりますが、「但し、法律又はこれに基く政令に特別の定があるときは、この限りでない。」と、こうなっております。 一方、十項をごらんいただきますと、十項では「普通地方公共団体は、次に掲げるような国の事務を処理することができない。」とありまして、ここに限定列挙されておりますものが八号ございます。一号が「司法に関する事務」、二号が「刑罰及び国の懲戒に関する事務」、三号が「国の運輸、通信に関する事務」、四号が「郵便に関する事務」、五号が「国立の教育及び研究施設に関する事務」、六号が「国立の病院及び療養施設に関する事務」、七号が「国の航行、気象及び水路施設に関する事務」、八号が「国立の博物館及び図書館に関する事務」と、このようになっております。
○山口哲夫君 今読まれたように、さっき私が申し上げたような国が行うべき仕事以外はできるわけですね。それを全然やってないわけです、現在。機関委任事務一つさえ満足に自治体に対して移譲できないでいるわけでしょう。 こういうことを考えたときに、きちっとやはり立法化をして分権を担保するような必要は私は絶対にあると思いますね。それをやらない限り、幾ら頭で分権は必要だと言っても一歩も進まないと思います。ぜひ分権の立法化をお考えいただきたいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 忌憚なく申しまして、そういう立法が政府としてできるぐらいならば、地方自身が実はそのとおりやれるんだろうと思うのでございます。大変忌憚のないことを申しますけれども。 ですから、やっぱりそのもとのところに、この法律どおりのことがなかなかできにくいというところに一つ、中央ばかりじゃないかもしれませんが、その辺の関係のところに問題がきっとあるんだろうというのが私の正直な感じでございます。問題があるということをよくおっしゃるように認めますが、その解決は、地方自治法に書いてあることをできるだけそのとおりやろうとしましたらかなり解決できるんではないかというふうに思います。
○山口哲夫君 それでは、いろいろと諮問機関をつくられておりますけれども、そういう分権を推進するために具体的に今何が必要なのか、分権したときにどういう行政を国や地方がそれぞれ分担すべきことなのか、そういった基本的な方針について、どうですか、ひとつ諮問機関をつくって、地方分権推進委員会でもつくって何年間かかけてしっかり議論してもらうというそういうことを考えていただけませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、行政改革とか臨調とかいうところでいろいろ実は有識者の方々から意見を出していただきまして、答申になり切るものもありますし、実は途中で答申にならないままになってしまうものも御承知のようなことでありまして、それでもああいう答申がございますと少しずつは実現をして今日までまいりました、何年か積み重ねまして。 ですから、率直に申しまして、これは中央各省庁それから地方との関係もございましょうけれども、それと財政もやはり私はどうしても一緒でないと本当のことはできないなと思いますから、そういう大きな仕事に取り組んでそれがやれるかどうかという問題なんだというふうに私は思っていまして、したがいまして、行政改革等の委員会からしばしば答申をいただき御意見をいただいておるところであります。
○山口哲夫君 今までのような答申ではまずいと思うんですね。地方分権そのものに絞って諮問をしていかなければいけないんであって、ぜひそういう方向で検討してほしいと思うんです。明治維新以来の大改革につながるような問題だと思います。これを宮澤さんがやられたら、天下の総理大臣として歴史に残ると思うんです。どうですか、ちょっと考えてもらえませんかね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 考えるのはしょっちゅう考えておるのでございますけれども、まさに私は明治維新以来のことであると思っていまして、ですから行財政の再配分というのはどうしてもしなければならないところにきておる、首都の移転なんという問題も一極集中というような問題もやっぱりここのところに問題があるというふうに考えていますので、一生懸命ひとつ努力をいたしてみます。
○山口哲夫君 ぜひ検討していただきたいと思うんですが、具体的な問題に入ります。 総理が幾ら今まで努力してきたとおっしゃっても、現実には私たちに言わせれば全然前進していないと思いますよ。例えば、地方制度調査会が昭和六十三年、八八年、五年前に出したこの答申、十六項目、多極分散型国土の形成に関連が深いと思われるものについてだけ重ねて提言をするんだと言っているんです。今まで幾ら言ってもさっぱりやらないと書いていますよ。 それで、各大臣にお聞きしたいと思うんです。 十六項目に関係する大臣、建設、厚生、運輸、農水、環境、通産、大蔵の七大臣に、少なくとも五年間ほうり出されていたこの十六項目についてあなた方の任期中には必ず実現させてみせますと、そういうお約束をひとつここでしていただきたいと思います。どうでしょうか。
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。 先生から御指摘いただきました地方制度調査会の答申につきましては、建設省といたしましては、権限の移譲、国の関与の是正等については積極的に取り組んできたところであります。原則として、現在の都市計画制度においては市町村が決定することになっておりますし、また地方拠点都市法では指定や基本計画の作成は地方公共団体が行うこととなっております。必要最小限度のものは、町づくりや地域整備に当たっては地方の自主性や創意工夫を最大限に尊重していく考え方であります。今後とも、国から地方への権限移譲については、公共団体の執行体制、財政能力を勘案しながら推進していきたいと考えております。 ただ、先ほど先生が御指摘をいただきましたように、一極集中是正の問題について私の考え方を述べさせていただきますと、現在、東京、神奈川、千葉、埼玉で三千百八十万人おります。日本の国土の三・六%にこれだけの方がいるわけでありますので、この一極集中是正問題というのは、権限移譲という問題もあろうかと思いますが、そればかりでなく、国会の移転の問題やその他の問題を網羅して考えてまいりますときに、この問題は国が中長期的なしっかりとしたビジョン、そして構想を地方と連携をとりながら進めてまいりませんと、この問題は国土政策上非常に重要な問題である、このように考えておりますので、建設省といたしましては、こうした問題に責任と実効性を持てるようにしていくために、地方と今まで以上に連携を緊密にしながら取り組まなきゃならない責務があるということでこの問題に取り組んでおりますことを御理解いただきたいと思います。
○山口哲夫君 任期中にやりますか。
○国務大臣(中村喜四郎君) 今申し上げましたように、努力をさせていただくつもりでございます。
○山口哲夫君 厚生省、どうですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) お答えをいたします。 厚生省関係では水道事業でございますが、地方制度調査会の答申を受けまして、工事総額が一億円以下のものにつきましては知事の認可といたしたところであります。現在、厚生大臣認可でありますのは全体の三・三%でございますが、これは実は、先生も御案内のことと思いますけれども、水利権の調整の問題が残されておるわけでございます。 今後とも権限の移譲化に努力していく決意でございます。
○国務大臣(森喜朗君) 特色ある地域の発展を図るためには地方分権の推進が極めて重要であるというふうに通産省としても考えております。 通産省といたしましては、従来からも積極的にこれに取り組んでおりまして、工場立地に関する指導監督権限の都道府県知事への委任範囲の拡大等の措置を講じております。また、今後におきましては、本年四月には商工会議所の監督権限の一部を都道府県知事に委任することを予定いたしておりまして、引き続き、地方への権限移譲に関しまして検討を進めてまいりたいと、こう思っております。 なお、政策的には、例えば産業配置、今、工場再配置と言っておりますが、あるいはテクノポリス、頭脳立地法あるいは拠点都市法の中にこれから入ってまいりますオフィスアルカディアなど、できる限り地方に政策的なイニシアチブをとってもらうという考え方で、いろんな意味での支援措置を考えておるところでございます。
○山口哲夫君 在職中に努力しますか。
○国務大臣(森喜朗君) もちろんこれからさらに努力いたします。 それから、先生、ちょっと長くなって余計なことを言うなとおしかりをいただくかもしれませんが、私は一昨年、衆議院の議運の委員長をいたしておりまして、国会改革で幾つか取り組ませていただきました。大変与野党協力しまして、例えば一月召集などを実施することによって国会の運営がいろんな意味で変わってきたと思います。 先ほど総理との御議論を伺っておりましたが、いろんな意味で、役所の権限を地方に移すということは本当にいいことなんですが、なかなかやっぱり役所の立場から移しにくい面もあるんだと思います。私は、国会の機能からいって、例えば委員会の制度を少し考えてみる。先ほど先生おっしゃいましたように、例えば歳入歳出、あるいは外交、治安、法務も入りますね、あるいは教育、これなどの委員会は国会ということは主力になると思いますが、もう少し細かな委員会を全部やってしまいますと、やっぱりどうしても権限は国の方に強まってくるのかな。そういう意味で、私は、国会の委員会を思い切って与野党全体で取り組んでみると、かなりその面からもこの官署、省庁の権限というのは地方に移してもそう支障がないような、逆の立場からやってみるということも一つの考え方かなと、私はこう思いました。 余計なことを申し上げて、お許しをいただきたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) 農林水産行政におきましては、地域の特色に応じた農林漁業の振興等が図られるように適切に機能分担あるいは相互協力のもとにいろいろやっております。この際、全国的な基準のもとに運用すべきものについては国が行う、それからそれ以外のものについては地方自治体に委任をいたしております。大部分は農地転用あるいは一定の保安林の指定、解除、これは既に都道府県知事に委任をしております。この地方制度調査会答申の提言に沿って、平成三年の農地法の一部改正によって、地域整備立法に基づいて、地域が自主的に策定した計画に即した農地転用について権限の移譲を行ったところでありまして、私のところでやっているものはもうほんのわずかでありまして、ほとんどが知事の権限でやられているというのが現状であります。
○国務大臣(林大幹君) 山口先生にお答えします。 古来より「上策は自治にあり」という言葉がありまして、これは自治というものを除いて政治の姿はあり得ないということは鉄則でございますので、環境庁といたしましても地方制度調査会の答申につきましてはこれを尊重いたしております。特に、環境庁の所管するところには国立公園がありますが、これの許可につきましても、地域住民の日常生活に深くかかわる公園につきましては都道府県知事に権限を委任しているところでありまして、現在八五%は都道府県知事の権限のもとにこれを進めております。 したがいまして、環境庁長官といたしまして、その権限にかかわる行為につきましては、実はその中でもさらに出先でありますところの国立公園管理事務所の所長に委任している事務もございますが、環境庁長官が直接許可している件数は現在全体の七%でございます。 特に国立公園は我が国を代表する非常にすばらしく傑出した自然の風景地でもありますし、国民の共通の財産と考えてもいい大事な財産でありますから、これらにつきましては、さらに国立公園の名に恥じないようなそういう管理というものも大事でありますので、環境庁として心して管理、運営に当たっております。
○国務大臣(越智伊平君) 運輸省では埋め立ての問題、これを徐々にお願いをして特定重要港湾の規模のもののみ残っておるような次第であります。また国際観光ホテル、この問題は基準が外人の利用するホテルという意味でございますので、基準を合わす。それから自動車運送事業でございますが、このごろ一県のみになっておりませんので、こういう部分が残っておりますが、徐々に地方に移譲をしておると、こういうことであります。今後も努力をいたしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 山口議員の御質問の中で、地方制度調査会の中での答申、六十三年の答申でございますが、大蔵省関係で出ておりますのは信用金庫の話でございます。 信用金庫は、現在八十七兆円ぐらいの金融機関になっておるわけでございまして、金融、経済の中におきましても大変大きなウエートを占めるような形になっております。一般の金融機関、いわゆる都市銀行と並列していろいろな行政指導その他をしていかなければならない私は問題が絡んでいると思いますし、たとえ一つ都道府県にもしも移譲するということにいたしますと、実は信用金庫の中で約四〇%が二府県にまたがっているような支店その他を持っているわけでございまして、そういったことを一つでやるというのはなかなか難しい問題ではないか。 これから金融の自由化をやっていきましたりいろんなことをやっていかなければならないそういうふうな金融行政でありますから、今そこを分けて別々のところへ持っていくというのはかえって難しい問題を起こすんじゃないかな、私はこう思っておりますし、また監督をするといいましたところで、普通の監督じゃなかなかできません。金融的ないろいろな知識、経験を持っていることが必要でございますから、その辺総合的にやっていくということの方がいいんじゃないか、こう思っておりますし、金融機関相互間でも地域を超えたいろんな話し合いが進んできておるところでございますから、私は、今持っていくというのは正直なことを申しましてなかなか難しいんじゃないかな、こう思っているところでございます。
○山口哲夫君 例えば今の信用金庫でも、二つにまたがっているものだけは大臣が許可して、またがってないものはそれぞれの知事にやらせるというのも一つの方法なんです。ですから、知恵を働かせれば幾らでもやる方法があると思うんです。 今なぜわざわざ七名の大臣にお答えいただいたかと言えば、この十六項目の五年前に出されたものが、確かに手はつけているんですよ、つけているけれども、我々自治体の経験者からいくと肝心なものは絶対渡さない、どうでもいいようなものばかり地方に渡すんですよ。 その一例だけ申し上げますと、下水道事業ですよ。市町村の下水道事業の事業計画の認可ですよ。下水道計画全体の認可、これを知事に渡せと言っているのに、何をやったかというと、主要な管渠の配置などの返還だけ渡したんですよ。こんなもの何十年に一回やりますか、主要な管渠を移動するなんていうのは。 全部がそうなんですよ。どうでもいいものだけ取り上げて役人はやっているんです。役人の方に失礼かもしれないけれども、自分の権限を渡すんですから、それはなかなかやらぬですよ。それをやるのが大臣でしょう。私はやっぱり、総理が分権に対して大変力を入れるというさっきの御意思がありましたので、各大臣も大臣の政治力で役人の方々に、これは大臣の諮問機関がこう言っているんですからちゃんと渡しなさいというような指導をしない限り、十年たったって二十年たったってこんなものやらないですよ、役人は。 私は一般質問でもう一回やろうと思ったけれども、一般質問ないようですから、この次に地方行政委員会でもう一度各省にみんな質問しますので、ぜひひとつ大臣の方できちっとした指示をしておいていただきたいと思います。それでは、分権問題は以上で終わります。 今度は、地方財政計画について総理にお尋ねをいたします。 時間がないので結論だけ申しますけれども、昨年は地方交付税から八千五百億円も大蔵省は引き上げました。大変けしからぬと思うんですが、ことしはまた四千億です。一体これは、地方自治体固有の財源である地方交付税をなぜこういうことをするのか、私は疑問を持ちます。これに対して総理は、平成四年五月十八日の参議院本会議で我が党の野別議員の質問に答えて、地方交付税は「地方の固有財源である」、こう言っております。このお考えは今でもお変わりないですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題につきましてはいろんな論争がありますけれども、私は余りこれは不毛の論争をしても仕方がないのだろうと。むしろこの内閣でも、昨年もそうでございましたけれども、国の財源、地方の財源といいましてもしょせんは国民の財源でございますから、お互い国が苦しいときもある、地方が苦しいときもある、両方苦しいときもあります、今は両方苦しいときかと思いますが、その中でやはり地方はどうしても地方の最低の財政の必要がございますから、それは満たさなきゃならぬ。しかし、国の方の苦しさがいかにもなお異常であるというときに、そういう地方のミニマムな財政需要は満たした上で、それにもう基本的な支障が生ずるようなことはこれはできませんけれども、その上でお互いにいろいろ、何と申しますか、お互いの立場あるいはお互いの財政の内容を考えて、そして協力をしていくということ、私はそういう考え方でこの平成五年度におきましても地方の方からいろいろ御協力を願っておる、気持ちとしてはそういう気持ちでおるわけでございます。
○山口哲夫君 後にする答弁を先にやられたのでは困るんでね。 私は法律論で今聞いているんですよ。九二年の五月十八日の本会議でこう答弁されているんです。地方交付税が「地方団体に法律上当然に帰属するという意味において地方の固有財源であると申して差し支えないと考えております。」。「地方の固有財源である」ことは間違いないと言っているんです。ここだけは変わらないでしょうねと聞いているんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はここにもそういうふうに書いてございまして、地方交付税は、地方交付税法の規定により、国税正税の一定割合をもって交付税とするものとされており、それが地方団体に法律上当然に帰属するという意味において地方の固有財源であると言って差し支えない。
○山口哲夫君 これは地方財政の憲法ですから、そう簡単に変えられたら困るんです。それにもかかわらず、固有財源の四千億をまたことし吸い上げたわけですよ。これは非常に納得できません。 それからもう一つ、この法律で九三年度の予算に、交付税に加算をするといった二千九百二十四億、大蔵大臣と自治大臣との覚書で四千三百十七億、これはことし積み増すと言っているわけでしょう。合わせて七千二百四十一億円を来年度、平成五年度の予算に積むことを法律で約束しているのにかかわらず、それをまた法律改正して延ばすというんでしょう。こういうことが許されていいですか。総理、どう思います。
○国務大臣(林義郎君) 私からお答え申し上げます。 今、委員から御指摘のような問題ありますけれども、私は国と地方は車の両輪のごときものであろうと、こういうことでやはり経済の運営をやっていかなければ、公経済として両輪でありますから、国の財政もおかしくなってもいけませんし、また地方財政もおかしくなってはいけない、そういったことを考えながらやっていくというのが基本だろうと思います。 御承知のとおり、国の財政が大変厳しい状況にあることは御承知のとおりでございますし、地方財政だってそう楽だと私は一つも思いません。大変なことだと私は思いますが、いろんな所要の地方交付税総額を確保した上で関係者の御協力、御理解をいただいて地方交付税のいろんな措置を考えてきたというのが今回の予算の措置でございます。御理解のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。
○山口哲夫君 こういうことを毎年続けられておりますと、地方自治体はもう完全に政府に対して不信感ですね。ですから、もうよほどの事情がない限り、こんな簡単に法律改正するなんというのはとんでもない話だと思うんですよ。来年度からはできるだけこういうことはやらない、二度と法律を曲げるようなことはしないということはお約束できますね。
○国務大臣(林義郎君) 今お話を申し上げたようなことでございまして、将来にわたります地方財政対策につきましては、その時点におけるところの国及び地方の財政状況等を踏まえ、地方財政の円滑な運営に支障を生ずることのないよう地方交付税法に基づいて適切に処理してまいりたい、これが精いっぱいの答弁でございます。
○山口哲夫君 自治大臣、もっと頑張ってくださいね。二度とこういうことがないように。 ということは、総理ね、総理は生活大国ということを標榜されて、ことしから始まるわけですけれども、地方自治体というのはいかにおくれているかということです。生活大国を本当にやろうと思ったら、地方がまず一生懸命に公共事業とかそのほかの施策をやらなければならない。 例えば一例をとってみますと、国道の改良、これは八七・九%、都道府県道五六・六、市町村道は四四・二%ですよ。国道の半分ですよ、改良は。舗装に至っては国道が八七・七、市町村道は一五・一%です。生活して毎日歩く道路の舗装が一番おくれているということですよ。 それからゴールドプランだって、六兆円と言っていますけれども、ホームヘルパーを十年後に十万人にすると言っていますけれども、人口十万人に対して九十人ですよ。スウェーデンはもう既に九百二十人ですよ。これで果たして生活大国と言えるかということです。 そのほか諸外国との比較、時間がありませんから余り申し上げられませんけれども、例えば下水道の普及率は日本は四五%、イギリス九五%、ドイツは九一%、大体そんな水準ですね。都市公園に至っては、東京二十三区二・六、一人に対する平米。これに対してニューヨークは十九・二、パリは十二・二、ロンドン三十・四、ボン三十七・四。もう全然日本は問題にならないでしょう。 だから、生活大国を本当に標榜するのであればもっと地方に対して、公共事業ももちろんのこと、福祉の関係、教育の関係、すべての関係で相当のお金をつぎ込まなければできないと思うんです。そういう中で、四千億を吸い上げてみたり法律で約束されている金まで七千数百億円を吸い上げるといったら、地方は何も仕事できなくなるじゃないですか。 これからの公共事業を伸ばしていって生活大国をつくっていくためにも、今後地方自治体に対する財政的な援助はたっぷりやるという約束をしてください。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは確かに、昨年来の総合経済対策にいたしましても平成五年度の予算でもそうですけれども、地方の単独事業というのは昔のことを思いますと随分大きくなってまいりました。それはやはり地方にそれだけつまり地方としてのニーズがあるということでございますから、それによってまた今回のような経済対策も有効にできるわけなんでございますので、地方財政を豊かにすることの重要性は大変強く感じております。
○山口哲夫君 四百三十兆の公共投資、アメリカと約束したときに、過去十年間どのくらい地方がやっていたか調べてみました。公共事業全体の七〇%を地方自治体の手でやっていました。財政的には六二・四%地方自治体が負担しているんです。これから公共事業はふやさなきゃならないでしょう、恐らくもっともっと。そういうことになった場合には、地方自治体の負担というのは大変な金額になると思います。今お答えいただいたような考え方で来年度以降の地方財政計画に対してはぜひひとつ十分な配慮をしていただきたいとお願いをしておきます。 それで、最後に一つだけ。 地方財政で国会決議というのがあります。これは「地方交付税を国の一般会計を通すことなく、国税収納金整理資金から直接交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる制度を積極的に検討すること。」と言っております。どのくらい検討が進んでいるでしょうか。
○政府委員(斎藤次郎君) 従来から、国会決議にもございますように、地方交付税を交付税特別会計に直入すべきであるということを検討すべきだという決議があることは十分承知しております。また確かに、近時で申しますと平成四年度予算に対応した地方交付税法等の一部を改正する法律案の国会審議の際にも、衆議院及び参議院の地方行政委員会においてそういうことを検討すべきであるという旨の決議が行われたことは十分承知しております。 しかしながら、地方交付税を一般会計から交付税特別会計に繰り入れるという現行制度は、昭和二十九年度の地方交付税制度創設以来とられている制度でございます。これを変更するということは国の予算制度あるいは会計制度にも大きな影響を及ぼすものでございますので、私どもとしては極めて問題が多いと考えているところでございます。検討は今後も続けますが、その点を御理解賜りたいと思います。
○山口哲夫君 これだって本当にやる気があったらできないことはないですよ。国会決議というのは私は非常に重いと思うんですね。こういうような考え方で大蔵省がいるからいつまでたっても地方財政は確立されないので、国の都合でいつでも地方財政は踏み倒せるんだという思想がみなぎっているからそういうことになると私は思うんです。これは国会決議の軽視ですから、またいつかの機会にやりますので、ぜひひとつ検討していただきたいと思います。 最後にアイヌ問題です。官房長官にお尋ねいたします。 アイヌ民族は先住民であるというふうに私は考えておりますけれども、いかがですか。
○国務大臣(河野洋平君) アイヌの人々が古くから北海道に住んでいたということは文献その他からも明らかで、これは古くから住んでおられたということは通説になっているというふうに承知しております。
○山口哲夫君 それを先住民というふうに言うんですけれども。そうですね。
○国務大臣(河野洋平君) 先住民とか先住民族とかいう言葉は国際的にどういうふうに定義をするかということで、専門家の方々がさまざまな議論をしておられるようでございます。コボ報告を初めとしてこの問題についてはさまざまな報告が行われておりますが、依然として先住民族とはこういうものだという国際的に合意した定説というものがまだできていないというふうに私は報告を受けております。
○山口哲夫君 そんなことないですよ。三月十六日に国会図書館から回ってきたこれを見ますと、「国連が提示した定義があげられる。」といってずっと書いてます。これは国連広報部の発行、九二年の七月、国際先住民年公式パンフレット、そのパンフレットの写しですけれども、その中にちゃんと国連が一つの定義というものを示しているというふうに書いてあるんです。
○政府委員(伊藤博行君) ただいまの先生の御質問につきましては、官房長官から申し上げましたように、国連でもいろいろ議論がされているということは私どもも承知をしております。ただ、国連として正式に採用した形で定義づけをしているということではなくて、先ほどのコボの例も一つの例でございますけれども、一つの報告として提案されているというふうに理解しております。
○山口哲夫君 コボ報告というのは、国連が正式に委任をしてお願いして出したものですよ。それがちゃんと報告として出てきているんですから、これは国連の定義ですよ。
○政府委員(伊藤博行君) 先ほど来御議論になっておりますけれども、先住民をどう定義づけるかということは、その定義のもとでどういう法律的効果を与えるかということと密接に関連してこようかと思います。 そういう意味で、現在私どもが承知しておりますのは、いわゆる先住民と言ったときにどういう権利が付与されるべきであるかという議論と両々相まって同時決定的に議論されるべきじゃないかということで、そのいずれもまだ国連としての答えを出し切った段階ではないというふうに承知いたしております。
○山口哲夫君 国連の定義というのはいつ決まるかわからないんですよ。ことしは国際先住民年なんです。国連の定義がなかったらどうして仕事できないんですか。アメリカ、カナダ、オーストラリア、それぞれ政府としての定義というものをちゃんと持っていますよ。国連定義なんというのは関係なしに自分たちはちゃんとやっているんです。どうして日本はできないんですか。
○政府委員(伊藤博行君) 事柄がいろいろ多岐にわたっておりまして、例えば国際先住民年に当たって我が国としてどういうことができるかということは、先住民の定義がどうかということは横に置いて、ウタリあるいはアイヌ文化がどういうものであるかということを十分理解していただく、そういう広報といったような点に中心を置いて我々としてもやっていきたい。しかし、そのことは国連における定義がどうかということとは切り離した格好で活動を進めてまいりたいということで、それは同時並行的な活動は可能であるというふうに理解しております。
○山口哲夫君 北海道の方からアイヌ新法をぜひつくってもらいたいという要望が出ています。このことは、やはりアイヌの基本的人権をまず認めなさい、そして自立できるような基金をつくりなさい、そのほか幾つかありますが、そういうことは国連の定義が決まらなくったってやろうと思えばできるはずなんですよ。どうですか、やる気ないですか。
○国務大臣(河野洋平君) アイヌ新法をつくれという御要請は十分承知をいたしております。先生も御承知のとおり、この問題については検討委員会などができていろいろと検討も続けているところでございますから、この検討委員会の検討が進むのを見守っているところでございます。 先生御指摘のように、国連の定義とこの問題、アイヌ新法とは必ずしも一緒でなくていいではないかという御主張のように伺いましたけれども、この問題は別に考えるというのも一つの考え方、しかし一方で、やはり国際的な定義ができ、国際的な先住民にとってのいわば権利といいますか、そういうものが国際的に共通した権利となってできてくるのであれば、それもまたそれとの整合性というものも重要だというふうに思いますので、その辺も十分考えながら検討委員会の検討、そして内政審議室での議論を今見守っているところでございます。
○山口哲夫君 総理にもお尋ねしますけれども、検討委員会の検討を待ってもだめです、これは。なぜならば、この検討委員会ができたのは森山さんが官房長官のときにようやく窓口を開いたんです。大変感謝しています。あれから何年たっていますか。四年たっているんですよ。四年たって何を検討したと思いますか。道庁の人からいろんな話を聞いて、我々が道庁だけから聞くのはおかしい、当事者からも聞きなさいと言ったら、ようやく重い腰を上げて聞き始めた。しかし、学者から聞きなさいと言ったって、聞かないんですよ、四年たってただ研究しているだけなんですよ。これは政治課題です。先住民として認めて新法をつくることに障害があるんですか。
○国務大臣(河野洋平君) 大変この問題に長く取り組んでこられておる先生の御指摘はまことにごもっともな点が多うございます。 しかし、事実関係をまず申し上げますと、検討委員会では、先生からさまざまな御指摘もございましたし、あるいはいろいろな方面からの御指摘もございまして、昨今では例えば本年一月には北海道大学の中村教授の話もヒアリングをいたしておりますし、恐らく今月もしくは来月になるかと思いますが、近々また次のヒアリングも準備をしているところでございまして、私が報告を聞いておりますところによれば、おおむね一、二カ月に一回のペースで相当精力的にその作業が進んでいるというふうに聞いております。 一日も早くこうした問題に結論を出すということは当然必要なこととは思っておりますが、もうしばらくの間この検討委員会の検討を見ていただきたいと思います。
○山口哲夫君 大変失礼かもしれないけれども、政府はアイヌ新法をつくることをあえて引き延ばしているとしか考えられないんです。だから、ゆっくりやれ、そういう指示さえ与えているんじゃないかとさえ考えたくなりますよ。四年かかって何らの結論も出ない。こんなことがありますか。 アイヌ新法をつくらなければならない根拠というものがきちっと出されておりますよね、北海道のこの報告の中からも。そういうことを考えたら、まずやっぱり関係者を含めたアイヌ新法制定のための審議会をつくるべきだと私は思うんです。そして、いろんな各界各層の御意見を聞いて、百年間にわたってアイヌの人たちの言葉やあるいは財産を全部奪ってきたわけでしょう、新法をつくって、人権を与えて、ちゃんと認めて、そして自立できるような体制というものをつくるのが当然の政府の責任じゃないんでしょうか。総理、いかがですか。
○国務大臣(河野洋平君) お尋ねをいただいている先生の方がこの問題にははるかに十分な知識をお持ちでございますので、どういう答弁を申し上げるのがいいかと思いますが、検討委員会は御承知のとおりかかわっております役所も十省庁に上っております。大変広範多岐にわたる議論をするのは当然のことだと思います。こうした大変広範多岐にわたる問題を一つ一つ検討して結論を出していくという作業でございますから、少しばかり時間がかかっているのはぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。 この問題につきましては、アイヌ民族の定義をいかにするか、あるいは先住民族としての権利をどう考えるか、その性格、内容をどういうふうにとらえるか、さまざまな角度、さまざまな議論がございます。こうした難しい問題が存在をするということはもう先生十分御承知のとおりでございまして、こうした問題を整理しながら一つずつ結論を出すべく一生懸命努力しているところでございますので、しばらく時間をおかしいただきたいと重ねてお願いをいたします。
○山口哲夫君 今、官房長官おっしゃった幾つかの項目は、これは全部結論が出ております。今さら検討する余地なんかありません。 中曽根内閣のときに、日本には少数民族はいないと言って大変な大きな問題になりました。国際問題になりました。それと同じように、国際先住民年であることし、今のような答弁を日本政府が続けている限り、これから国際会議がたくさん開かれるでしょう、国際社会の中でまた再び日本の人権に対するあさはかさというか、そういった無知を天下に、世界の国々にさらすことになります。ぜひ宮澤総理として、この先住民年に当たってアイヌ新法をできるだけ早くつくるという決断をされるときだと思いますけれども、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 事情は官房長官から申し上げたとおりでございます。そして、法律を仮につくりました場合の後のこともいろいろ正直のところ考えておかなければなりませんから、十分に真剣に検討させていただきます。
○山口哲夫君 終わります。
○理事(井上裕君) 以上で山口君の質疑は終了いたしました。(拍手) 本日の審査はこの程度といたします。 次回は来る二十二日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十六分散会