文教委員会 第2号
- 発言数
- 197 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1993/02/23
会議録
○委員長(松浦功君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○森暢子君 去る二月十八日に森山大臣の所信を聞かせていただきました。その中で、二十一世紀に向けて我が国が発展していくためには、国民が生活の豊かさを真に実感できる生活大国づくりを進めていく上で教育の果たす役割は重要だ、こういうふうに前文でおっしゃっています。そして、学制百二十年の成果の上に一人一人の個性を生かす多様な教育の実現を目指す。そして、新しい時代に対応した教育改革を推進していきたい、このように述べられた後、重要な課題として九項目を挙げていらっしゃいました。 この中で、教育の果たす役割というのはよくわかりますし、新しい時代に対応した教育改革もわかります。大臣は、そういう果たす役割、または新しい時代に対応した人間像としてどういう人間像を描いていらっしゃるのかお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 百二十年間、先輩方が粒々辛苦の上で築き上げられました日本の教育、これは大変大きな成果を上げてきたと思います。 明治の初めに、これから世界の中で追いついていくためには国民全体のレベルを上げなければいけない、そういう基本的な考え方に立って国民の知識、情報、教育のレベルを一斉に全体として上げるためにはどうしたらいいかということでいろいろな努力が重ねられてまいったと思います。それが今日、世界の中でも諸外国からうらやましがられるような立派な教育制度となって、そしてその目的を相当程度果たし、日本の国がいろいろな苦しい目に遭いながら、それを何とか克服して今日また発展することができたというのは国民の資質が全体として非常によかったからだということが一つの大きな理由だと思われますので、教育の成果が大きな力となって今日の日本があるということは多くの方がお認めになるところだろうと思います。 しかし、今日は、百二十年前の日本と現在の日本では大変立場が変わっておりますし、国民生活の内容もレベルも大変変わってまいりました。ですから、世界の中で日本がどのようにして生きていくか、また多くの国から尊敬を受けつつそれぞれの立場で国際的に認められ、かつ貢献していくというようなことが必要だといたしますと、そのために教育は従来のままでは適当ではない。もちろん、最低の基準というものはあるわけですから、それを国民に最低の基準をクリアしてもらうということは重要ですけれども、それと並んで一人一人の個性を尊重し、それぞれの特色を生かしつつ多様な活動ができる、一人一人が充実した人生を送りつつ社会にも貢献できるというような姿が望ましいのではないかというふうに私は考えております。
○森暢子君 今、大臣がおっしゃったように、今までの成果はわかりますけれども、今子供たちや教育の置かれている現状というのは本当にたくさんの問題を抱えております。 その中で、教育とは何かということを私も考えてみましたが、やはりどういう時代になってもどういう状況になっても生きていく力をつける。そして、問題を解決し判断できる、そういう力をつけていく、それが教育の果たす役割ではないかというようなことを私自身思っております。 そういう意味で、今回いろいろな問題があります中で大臣が述べられました所信の中の第二の部分ですが、「初等中等教育の充実」というふうな中から問題を選んできょうはお話を申し上げたいと思います。 まず、学校五日制についてお尋ねいたします。 昨年九月から学校週五日制がスタートいたしました。これについても本当に日本の教育がもうひっくり返るような大変な出来事であったと思うんですが、とりあえずスタートした。そして、九月からですが十月はちょっとできなかったんですね。九月、十一月、十二月、一月、二月と五回の今まで実施なんですね。そういうことで、十分な実態はつかめないと思います、たった五回ですから。ですけれども、実施状況等学校現場の実態をどのようにつかんでいらっしゃいますか聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 学校週五日制につきまして、先生お話がございましたように、九月からこれを導入したわけでございます。 通常、こういう制度を導入する場合に学年に合わせて導入するという方が学校運営上は大変いいわけでございますが、かといってこれを準備期間なしに導入するということはやはり混乱が起こるだろうということで、方針を二月に決め、三月にいろいろな制度改正を行い、そして六カ月程度の準備期間を置いて九月実施ということにしたわけでございます。私どもとしては、結果としてこの準備期間を置いたことによりまして地域、家庭の御理解もいただき、またいろいろな取り組みもなされた結果、おおむね順調に滑り出したものと、このように考えておるわけでございます。 ただ、九月実施ということでございますので、年間の授業計画というのが既に決まっておる。その中で年度途中にこれが入ったということでございますので、いろいろ新聞報道に出ておりますように、学校五日制を実施した土曜日の分をどこかに上乗せしなきゃならないとか、そういうような問題指摘もされておるわけでございます。私どもとしては、ことしの場合はそれはある意味ではやむを得なかったのかなと、そういうような事情の中で。ただ、平成五年度から実施する場合につきましては、年間全体の中でやはり考えていただきたいというようなことで指導はしておるわけでございます。 それから、今先生、実態をどのように把握しているかということでございますが、何せ九月からの実施でございますので、まだ十分な恐らく状況も出ていない、こういうようなことで、本年度末に実践の結果というものを把握したい、そしてそれを今後の学校週五日制の実施に向けての参考にしたいというようなことで、現段階で把握している姿というのは今申し上げたようなことで、年度途中というようなことでそれぞれの学校でいろいろな御工夫をされたものと、このように考えているわけでございます。
○森暢子君 保護者の方からどんな声があったとか、それから学校の先生方はどういう思いか、また子供たちはどう思っているかというあたりをつかんでいらっしゃいますか。
○政府委員(野崎弘君) 具体に調査という形ではとらえていないわけでございますけれども、やはり保護者の中にもいろいろな、学校五日制というものが動き出したことによりまして子供たちに土曜日のゆとりが出たというような御意見もあるように聞いておりますし、一方やっぱり子供の学力が心配だというような話も聞きます。概して子供たちの方におきましては、土曜日が月一回でございますけれども休みになったというようなことで、その間少しゆっくりできるというような、そういうような気持ちが多いのではないか、このように思っております。
○森暢子君 この学校週五日制で私学の問題を前回のときにもいろいろとこの場で話が出されたと思うわけですね。私学の学校週五日制については文部省もいろいろと指導していらっしゃったようでございますが、最近の新聞によりますとなかなか十分いっていないというふうな新聞情報でございますので、本日、私学の学校週五日制について文部省はどのように把握されていらっしゃるかということをお聞きしたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 私学の学校週五日制の実施状況につきましては、平成四年の九月現在においてどうであったかということを調査したわけでございます。その結果を本年の一月八日に公表いたしまして、概して中高等学校で十分進んでいない状況が見られるというような新聞報道がされたわけでございます。 実際の姿を数字で申し上げますと、全体で見ますると私立学校が一万六百十七校あるわけでございますが、その中で何らかの形で学校週五日制を実施している学校、これが六千六百三十七校ということで六二・五%、全体的に見ますと三分の二が実施をしている。それから、実施はしていないけれども、学校週五日制への移行を予定している学校というのが七百九十校で七・四%、これを両方足しますと七割がそういうことで予定をしているということでございます。 ただ、これを校種別に見ますと、何らかの形で学校週五日制を実施している学校、幼稚園で見ますと七〇%、それから小学校では四九・四%と、小学校では大体半分が実施に移っているわけでございますが、高等学校で三二・七%、中学校では二〇・五%ということで、学校種別で見ると中高等学校においてまだ進んでいない状況がある、こういうように認識をしているわけでございます。 これはやはり先ほど申し上げましたように、九月からの実施ということで公立学校の方はいろいろな御工夫で実施に踏み切ったわけでございますけれども、私立学校は恐らくいろいろな事情の中で年度途中の実施ということが難しかったという面もあるんではないか、そんなことで新年度、平成五年度からはぜひ年間の授業計画の中にこれを組み込んで、私学におきましてもぜひ学校週五日制を導入していただきたいということで、この一月八日に公表いたしますと同時に、同日付で私立学校を所管いたします各都道府県知事あてにその旨の御指導方をよろしくお願いをしたわけでございます。また、いろいろな私立学校の主管部課長会議におきましても、この調査結果等もお話ししながら引き続いての指導をお願いしているということでございまして、私どもとしましては私立学校を含めました学校週五日制の円滑な定着ということで今後とも努力をしていきたい、このように思っております。
○森暢子君 指導していかれるということなんですけれども、問題点は何かということなんですね。私学で実施されない、どうして、なかなか実施が難しい。これは今数字をお聞きしましたけれども、やはり私学というのは大変慎重でありまして、中学校では二割、高校では三割ぐらいしか実施していないというふうな、これは新聞情報でございますが、そういうことがちまたに出ているわけですね。そういう中で、じゃどうして私学になかなか学校週五日制が実施されないという問題点はどこにあるかについてはいかがでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 今お話ししましたように、中学校、高等学校で実施率が低いということでございますので、やはり上級学校への進学を著しく意識し過ぎていると。そういうようなことから、偏った教育と申し上げるとちょっと言い過ぎかと思いますけれども、そういう上級学校へとにかく進めさせなきゃいかぬという意識の強い教育を行う風潮、いわゆる今の受験体制の影響というものが大きいのではないかと思っておるわけでございます。 ただ、やはり学校週五日制の趣旨というのは、みずから学ぶ意欲、そしていろいろな活動の場を自分で選択していく能力、そういうものを子供たちにぜひ身につけていただきたいということでございますので、その辺の願いとなればやはりこれは皆さん共通だと思うわけでございまして、ぜひその辺の願いというものを、これは私立学校に通わせている保護者の方々はもちろんでございますけれども、実際に教育を担当している方々にも十分御理解いただき、ぜひこの学校週五日制の定着 を図っていきたい、このように思っております。
○森暢子君 学校週五日制の実施の目標は、やはり子供たちにゆとりを持たせて、本当に自主的にいろいろ物事を考え、そして人間関係をつくっていく、そういう豊かな子供たちを育てるためにゆとりを持たせるということで始まったと思うんですけれども、そういうような実施はこれからだと思います。 特に私学の、今ちょっとおっしゃいました問題点は私も同じように考えておりました。受験体制が一つの大きな原因だと思います。上級学校への進学ということがいつも親や子供たちの心にあるということでありますし、それから先生方や保護者の方たちにもこういう学校週五日制の趣旨を必ず皆さんに行き渡るようにしていただかないと、これは社会の中で定着していかないんではないかと思っておりますので、ぜひこれはあらゆる方面から声を上げてその定着を目指していかなければ完全週五日制はなかなか難しいんではないかというふうに思います。 それで、学校現場は今どうしているかということなんです。実態をつかんでいらっしゃると思いますけれども、学校ではまず学校行事の見直しをしております。そうしないと今の指導要領の内容の中ではなかなかこなせないということで、例えば修学旅行を三日行っていたのを二日にするとか、私の岡山では大山という鳥取にあります立派な山へ三日間かけて二年生がもう楽しみにして大山登山というのをし、キャンプをしキャンプファイアをして帰るのが目的でありましたが、これを一日削っております。もう行ったらすぐ山へ登って一泊して帰る、こういうことに変えていっているわけですね。そうしないとこなせないわけですね。 学校行事の見直しをするということは、子供たちにとってはもう楽しいことがだんだんなくなっていく、こういう現状でありますし、それと平日に授業を上乗せして一日八時間授業の実施をするとか、現場は苦しい選択を合しているところであります。 そういうことで、結局はこれからも問題になってくると思いますが、学習指導要領上の問題が出てくると思うんですね。昨年の委員会の中でもこの問題は出ました。鳩山前文部大臣は、学習指導要領の改訂には大体十年かかる。十年に一回ということで、十年かかってようやく新しい指導要領ができるんだということをお話しになったわけでありまして、これではどうにもならないと思うんですね。そのあたりを新しい大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますかお聞きしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 学習指導要領をいずれは見直さなければいけないということはおっしゃるとおりかと思います。今までは週一日お休みで六日間は学校があるということを前提につくられていたものですから、それを週五日制にして、それが毎週ということになれば何らかの形で影響が出てきますし、それを修正しなければいけないということは考えられることでございますけれども、この五日制そのものについて、だから十年かかるというようなふうに、そう単純なものでもないんじゃないかなという気がいたしております。 学習指導要領は従来は十年サイクルで大体改訂してまいりましたので、その時期が来ればそのことを考えて手直しするのは当然でございますけれども、今ようやく始まったばかりでございますから、もう少しその回数を重ねていろいろな経験や実績を踏まえて、できるところから少しずつやっていくということで五日制も少しずつ定着させていきたい。ですから、十年かからなければできないというものでもないんじゃないかなと、私は個人的にはそう考えているところでございます。
○森暢子君 十年かからなくてはできないということはないというふうなお言葉をいただきましたので、やっぱりこれはもうすぐさま、例えば教育課程審議会をきょうからでも開いてどうするかということをやっていかないと間に合わないと思うんですね。 それで、世の中どんどん変わっていきますし、その社会の状況に合わせて子供たちもその中でどうしても引きずられていってしまいますし、二十一世紀、二十二世紀を見通して、じゃ学校の五日制というのを定着させていくためにはどういう対策が必要なのかということは今から始めても決して早過ぎるいうことはないと思うわけです。そういうことで、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。本当に現場の先生方、そして子供たちが毎日それで格闘しているわけでありますので、ぜひ早く腰を上げていただきたいということを強く要請しておきます。 それでは次に、今いろいろと問題になっております業者テストのことについて触れていきたいと思います。 けさの朝日新聞、毎日新聞、いろいろな新聞で皆さんもうごらんになったと思いますが、業者テストを直ちに排除するようにということで文部省が通知を出されたようでございます。このことについてちょっと概要の説明をいただけたらと思います。
○政府委員(野崎弘君) 昨日付で各都道府県に通知を出したわけでございます。これは、去る一月二十六日に文部省の高等学校教育改革推進会議におきまして、業者テストの偏差値を用いた入学者選抜が行われないようにするということと同時に、中学校は業者テストの実施に関与せず、業者テストの偏差値に依存した進路指導を行わないこと、こういうことを内容とする報告が出されたわけでございまして、その報告を受けまして、「高等学校の入学者選抜について」ということで二月二十二日付で事務次官通知を各都道府県に対し発出したところでございます。 この通知の内容はこの会議の報告の内容に沿ったものでございまして、概要は、業者テストの問題につきまして今申し上げたようなこと、そしてあわせて高等学校入学者選抜の選抜方法の多様化、そして選抜尺度の多元化を図るというようなことを盛り込みまして通知を出したわけでございます。 文部省としましては、この通知の趣旨に沿いまして各都道府県におきまして改善が図られますように、三月十日に各都道府県の担当課長等を招集した会議を開催して指導の徹底を図ってまいりたいと、このように思っております。
○森暢子君 このことについて「直ちに改善すること。」、実施に当たって時間的な猶予は認めない、もう直ちにやめなさいという強い通知が出されているわけですね。そういう対応を素早くなさったということは文部省としては本当に異例のことではないかと評価はいたしますけれども、これで現場がどうなるかということは大変な問題で、多分学校やその地域がいろいろと悩んでいるんではないかというふうに思います。 そして、私がちょっとお尋ねしたいのは、今どうして業者テストがこの時点で出てきたかということです。今まで業者テストをずっとやっていたわけですね。そのことについて文部省もある程度の対応をなさってきているわけですが、それが今どうして去年の暮れぐらいからこのように社会の中で大きく出てきたかということなんです。 今までの文部省は業者テストについてどういう対応をなさってきたか、そしてこの問題が一挙に今なぜ出てきたか、そのことについてちょっとお話をしてください。
○政府委員(野崎弘君) 業者テストの問題につきましては、これは昭和五十年初めごろからやはり大きな問題としてとらえられてまいりまして、業者テストに過度に依存した進路指導が行われているのではないかというような指摘もございまして、昭和五十一年にその業者テストに依存することを自粛する趣旨の通知を出したわけでございます。 その通知を出した後、若干減ったわけでございますが、またこれが若干業者テストを利用することがふえてきたということで、その次に昭和五十八年に再度、業者テストに依存する進路指導を行わないようにというようなことで通知を出してき たわけでございますが、何と申しましてもこの業者テストと申しますのが大変便利な手法であるというようなことでなかなか学校におきましてはこれがなくならないというのが現実であったのではないかと思います。 片や、やはり子供たちの数がふえるという中で、親も、そしてまた先生方もそうでしょうけれども、なるべく中学浪人を出したくない、どこかの学校に入れたいというようなことからそういう業者テストの結果というものを利用してきたということがあろうかと思うわけでございます。 今回、やはりこういうことで私どもが強く打ち出した背景と申しますと、確かに進路指導でそういう形で利用されてきて、それがさらに進みまして、その業者テストの結果によって合否を決めてしまうというところまでこれが行き着いてきたわけでございます。やはり公教育として全然責任がない、責任を持てない、そういうテストの結果によって進路が決まってしまう、これはいかにもひどいのではないか、こういうことからであるわけでございまして、もちろんこの発端は埼玉県の教育長が業者テストの結果を私立高校に提供しない、こういうことを言われ、それが新聞に報道されたということがきっかけとしてあるわけでございますけれども、少なくともやはりこれはそういう公的な学力テスト、そういう形で最後の試験が行われるにもかかわらずその前の段階で業者テストの結果で振り分けが行われ、また事実上の合否決定が行われる、こういうことはぜひなくさなきゃいかぬということが今回のこの通知に至った経緯でございまして、したがって今回の通知でも一番強調しておりますのは、平成六年度から業者テストの結果を中学校は高等学校に提供しない、そして高等学校もそれを求めないということでございます。 そして、その前提として、やはり中学校がそういう業者テストに関与しているということになりますとどうしてもそういうところにつながっていくということが考えられますので、中学校もこれに一切関与しない、そういう意味で、公教育の場で業者テストというものに公教育としては関与しない、こういうことを明確に打ち出したということなわけでございます。
○森暢子君 業者テストが行き着くところまで行き着いたんではないかと思います。もう本当に偏差値で、点数だけで人間をはかってきたこの何十年間の間に、子供たちがその中でどういう思いをしてどういう現象があったか、それが本当に行き着くところまで行き着いたというふうな感じがいたします。子供たちの叫び声が聞こえるようなのでありますが、私も学校現場におりまして、このテストなるものにも遭遇してまいりました。各県の状況が新聞紙上で報告されておりましたが、偏差値をそのまま学校に示すところと、それからそれを基準にして子供たちの進路指導に使っている学校とか、岡山県の場合は偏差値はほとんど見ておりませんでしたけれども、そういうふうな進学のための一つの目安として使っていたという長い歴史があるわけです。 その中で、学校の先生方はやはりできるだけ子供たちを希望の高校に入れてやりたい、担任とすればそれが思いであります。そして、中学浪人なんてかわいそうな事態にはさせたくない、そういう思いがあります。また、保護者もできるだけ自分の子供をいい学校に、そして希望の学校に入れてやりたい、浪人はさせたくない、こういう思いがあります。子供たちもできるだけ行きたいんですけれども、テストの点だけで自分がはかられている。こういうことから、学校の教師に対する不信感、それから学校の中で五教科のみができる子供がいい人間だというふうな評価の中で、本当に自分はつまらない人間だ、そしてその中の疎外感、孤独感、こういう中からいろいろな行動に出るというふうな事態の中で今まで進んできたと思うわけです。 それで、問題点がどこにあるかということなんですが、私も今申しましたように、やはり人間とか子供の能力というものを偏差値だけではかる、はかってきた今の現実であります。そういうことに問題があるのではないかと思います。人間の能力とか価値というものはどういうところで本当にはかればいいのか。大臣は個性を生かす教育ということをおっしゃいましたが、じゃ個性を生かす教育の中で偏差値だけではかられてきた今の教育現場、そういうことについてどのようにお考えになられますか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御指摘のような問題が大変エスカレートしまして、それで偏差値のみで人をはかる、子供の価値を決めるというようなことは好ましくない、それを何とか方向転換して、子供の個性やその特徴や可能性やそういうことを多角的に見て血の通った指導に汗を流していただきたいというのが私どもの願いでございます。 高校の方もそれに対応して、そういうことだけで新しい生徒を受け入れるということではなく、子供たちのさまざまな価値をそれぞれ生かせるような体制にしてもらいたいというふうに考えているところでございますが、既にそのような努力をなされている高校も大分出てまいりまして、最近では高校の種類にもいろいろなのがございます。つい先日、私、新座市にあります埼玉県立の新座職業総合技術高等学校へ行ってまいりましたけれども、そこは先般私どもが新しい学校のあり方として発表させていただきました総合学科の考え方を先取りしておられまして、子供たちの選択によって多様な学科が自分の考えで自分の希望で選ぶことができる、そのような仕組みになっておりまして、子供たちも大変生き生きとしているように私見てまいりました。また、東京にも単位制の都立の学校ができておりますし、全国にはかなりの数ででさ始めております。高等学校の体制もいろいろな工夫をして、それぞれの子供の個性や希望がかないますように体制を整えていってもらわなければならないというふうに考えております。
○森暢子君 高校教育の改革というのは本当に大事になってくると思いますね。 それで、今の偏差値の、大臣もおっしゃいましたように、ただ知識だけ点数だけで人間をはかるということは、もうこれからは本当に大変な事態になるというひとつの警鐘を今回鳴らしているんだというふうに思います。五教科に重点を置いておりますので点数だけで評価し、そして人間をランクづけてしまう。どんなに申しましても、東大を頂点といたしましたピラミッド型の大学の図式というのはなかなか今の社会の中では崩れそうにもない、まずそれをどうしていくかということも大きな問題であると思います。 今まで偏差値で輪切りされてきた子供たちがどういうことになってきたかということはもう御存じだと思いますが、私も学校現場におりまして、やっぱり無気力がまず一つ出てまいりました。どうせと言うんですね、どうせ僕はもう数学もできないし英語もできないしと。あきらめですね。そうすると、どこへ自分の存在感を示していくかということがいろいろな形であらわれできます。 例えば、あなたは勉強できないけれども体力があるしスポーツができるからいいがと、こういうふうに担任は言うわけですね。あなたはよく走れるしいいじゃないの、こういうふうなことを言うんですね。じゃ、勉強もできないスポーツもできない子はどこで存在感をみんなに認めてもらうか。あなたは絵がかけるからいいじゃないかと。じゃ、絵も下手だと、そういうことになるとどうなるかということなんですね。本当に子供たちは行き場がなくなってくる。そして、自信喪失につながっていき、自信がないんだ、もうどうなってもいいんだと。しかし、親も担任も高校へ行きましょうと。あなたはこういうところに行ったら入れるから行きなさいと。行きたくない、勉強は嫌いだ、もっともっと自分がやりたいことがあるけれども、今の社会では進学しなきゃいけない。それで不本意入学。その中で、行ってみたけれども、何も自分は張り合いもない希望もない、だんだんと退学していく。そして、高校中途退学者が十二万、こういう現実を今つくり出してきているわけ でありますね。 私がある高校生の声を聞きましたら、その高校生の弟の話なんですけれども、弟は一生懸命勉強しているんだけれども、点数がとれない。しかし、高校へは行きたいんですと。先生とお母さんと相談しましたら、先生が、この点数ではあなたが希望している高校へは行けません、人間は大変いいんだけれどもねと、こうおっしゃったと言うんですね。それが担任の先生の言葉なんですね。それで、弟は高校へ進学したいんです、点数はとれないけれども高校へ行きたい。何か人間をはかるような受験ができないのかというのがそのお姉さんの切実な訴えだったわけです。これが本当ではないかと思うんですね。人間はいいんだけれども点数がとれない、それですべてその人の人格を決めてしまって、そしてランクをつけられるということに対する子供たちの叫びではないかというふうに思ったわけであります。 そういうことで、文部省もいろいろと大英断を下されまして高校教育の改革の推進について第三次報告も出され、そしてそれを受けて、本日いろいろな新聞紙上で出ております、今お話をしていただいたような偏差値をやめる方向での動きがあったわけでありまして、文部省の大手術だと、このように思い大変評価をしているところでございます。 しかし、具体的にどうするかが明らかにされていないんですね。大臣も一月二十六日の記者会見で、先生自身が汗をかいて指導してほしいということをおっしゃっておられます。もちろん、教師の姿勢が大事でございますが、じゃ具体的にどうしたらいいかはその地域の教育委員会や先生方に任せるということなんです。しかし、具体的にどうしたらいいか、何かお考えがあったらお示し願いたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) よく、業者テストを公教育から排除した、そうしたら何かかわるべき基準を示すべきではないかというお話も伺うわけでございますが、私どもとしましては、またそのかわるべき基準を示すことによって、またそれがあるかどうかも私どもはまだ別に確たるものがあるわけじゃございませんけれども、そのことによってまたそれがひとり歩きをする、つまりそれによってまた新たな序列ができると。 やっぱり今の一番の問題は、これは業者テストの問題にしてもそれから偏差値の問題にしても、つまり人間というものを一列に並べてしまうと。今、先生もお話があったように、人間は本来一列に並ぶものじゃないんだということがなきゃならないんですが、何か基準をつくることによってその基準のもとにおいては人間が一列に並んでしまう、どこかでその人間を切らにゃいかぬ。結局、そこにまた新たな弊害が出るわけであって、私どもがこの代替案というのは、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、高等学校もいろいろな形で多様な教育の場を用意していただくということがやはりある。それから、その入試自体もいろいろな形で入試をしていく。推薦入学の方法をとることもあるでしょうし、それから定員ごとにいろいろな評価の置き方を変えていく。それから、学力検査も五教科を全部総合点で見るんじゃなしに得意科目とかそういう形で見るとかあるいは推薦入学の中で美術とか図工の能力とか、もちろんスポーツの能力なんかを見ていくとか、そういう形でいろいろなことを実施している。その際、うちの推薦入学というものはこういう形でとるんですよということをやっぱり世の中に明示していかなきゃいけない。その中にはボランティア活動なんかも入ってくると思いますが、そういう明示をすることによって、その明示されたものに向かって、自分はやっぱり学力の方ではあれだけれども、例えばボランティアの方でいろいろやってみようと、それが評価されることになるかもしらぬ、そういうことでやはりいろいろな評価尺度をつくっていく、それがやはりこれから求められるものではないかと思うわけでして、文部省が今後こういう評価尺度のもとにやりなさいということは、やはりそれはそれでまた大きな弊害を呼ぶのではないか。 そういうようなことで、私どもはいろいろな方法をひとつぜひ汗をかいて考えていただきたいという意味合いは、そんなことを込めまして述べさせていただいているわけでございます。
○森暢子君 今おっしゃったとおりだと思います。これからたくさんの問題があると思います。高校教育の改革もあるし、それからもう一つは大学入試制度の改革もございましょう。それと大変重要なのが社会とか企業、それから保護者、もうみんな国民全体の意識改革というのが不可欠ではないかと思います。 そういう意味で、教育がかかわっているからどうしても文部省ということになりますけれども、やっぱり国全体としてこの問題をどう考えていくかという視点が必要ではないかと思います。やはり、人をつくるのでございますから、これから日本の社会に出ていく人間はどういう人間がいいかということを全体として考えていく。生徒一人一人の個性とか創造力を重視した教育のシステムはどうあったらいいかということでお互いに力を出し合ってこの問題は考えていきたいというふうに思っております。 続いて、エイズ教育について入っていきたいと思いますが、今いろいろな問題を呼んでおりますエイズ教育について、余り時間もございませんので、これは厚生省の方にお尋ねいたしますが、簡単にその概要、そして日本の現状、国の施策、それから厚生省のエイズに対する施策についてお伺いしたいと思います。
○説明員(尾嵜新平君) 我が国におきますエイズ患者感染者の現状について御説明をいたします。 平成四年末までに患者が五百四十三名、感染者が二千五百五十一名報告されております。患者、感染者の報告数は年を追いまして増加の傾向にございまして、平成三年には前年の二・五倍、平成四年にはさらに前年の二・一倍というふうなペースで増加をしておるところでございます。また、その感染経路につきましても異性間の性行為が主たる感染経路となっておりますし、また在日外国人の感染者の数も増加をいたしておるという状況にございます。 このエイズ対策につきましては、患者、感染者の急増や全国的な広がりを踏まえまして、緊急かつ総合的な取り組みが必要であるというふうに私ども考えておるわけでございます。 具体的には、感染予防と患者、感染者との共存に重点を置きました啓発普及を推進いたしますことと、安心して検査や医療が受けられるような体制の整備、またカウンセリングなどの相談指導体制の整備、四つ目が研究並びに国際協力の推進、こういう対策を進めてまいる考えでございます。 また、厚生省といたしましては平成五年度予算案におきまして、エイズストップ作戦といたしまして前年度の予算の五倍の百一億余の予算を計上いたしておるところでございます。
○森暢子君 けさの新聞に、厚生省がエイズ予防のCMをつくったと、あすから一カ月、二万回放映というのが出ておりましたが、これについて何かありましたら。
○説明員(尾嵜新平君) 本日各新聞で報道されておりますが、今の御指摘のテレビのスポットをちょうどあすから、二月の二十四日から全国のテレビ、民放を通じましておよそ二万回強流す予定にいたしております。これは、平成四年度の補正予算におきまして約三億八千万のテレビスポットのための啓発普及費をお認めいただきまして、これによりまして一カ月間全国にこの啓発普及のためのスポットを流す予定にいたしております。
○森暢子君 それでは、文部省の方もいろいろと考えていらっしゃると思いますが、文部省のエイズ教育の現状をお教え願いたいと思います。
○政府委員(奥田與志清君) ただいま厚生省の方からお話がございましたように、現下の深刻な課題でございます。しかも、十代、二十代、そういう若い層に患者、感染者が出てきているということでございますので、学校教育におきましてもあらゆる手段を講じましてこれに取り組んでまいりた いというのが基本的な考え方でございます。 具体的な内容といたしましては、まずエイズ教育につきましては小中高等学校を通じまして、一つは病気の予防などを扱う保健体育、それから他人とのかかわり、集団社会とのかかわり、偏見、差別などについて取り上げる道徳、三つ目に、望ましい人間関係の育成や健康な生活態度の形成などについて扱う特別活動などを中心にいたしまして、教育活動全体で推進するようにしているところでございます。 先生御案内かと思いますけれども、例えば小学校におきましては体育科の保健領域におきまして、病原体がもとになって起こる病気の予防としてのエイズの予防を指導するということもございますし、二つ目は、道徳におきましても、病気の人への思いやりの観点からエイズ患者、感染者と助け合って生きることが必要であるといったようなことを理解させるということを含めまして、発達段階に応じまして適切な対応をとっていきたいというふうに考えておるところでございます。
○森暢子君 今お話がありましたように、やっぱり知識の普及というのが一番でありまして、もう現状ではエイズに対しては予防しかない。知識を持って、そしてそれを予防するしか特効薬はないということで、そのためには一番に教育が求められてくるわけでありまして、教育こそが唯一最良のワクチン、こういうキャッチフレーズもあるようでございますが、本当に教育に求められるものが大きいということであります。 それで、文部省はいろいろとしていただいておりますが、今エイズ教育の視点についてお触れになりましたが、やはりただ知るだけではいけないということで、ともにその人たちとこれから生きていかなきゃいけないんですから、それに対する誤解とか偏見のないそういう社会づくりというものが必要になってくると思うんですね。そして、差別と偏見に対応するいろいろな、ただエイズを知識として教育するんではなくて、やはりその他の差別にも目を向けていって、そしてともに過ごしていかなきゃいけないというふうなことが求められるんですけれども、その中でやはりエイズ教育は性教育の一環として取り上げられるのではないかと思いますが、そのあたりの関連はどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
○政府委員(奥田與志清君) 学校におきますエイズ教育につきましては、ただいま申し上げたような観点から教育をすることが大事だというふうに考えております。 一方、学校におきます性教育でございますけれども、一つは発達段階に応じまして、例えば男女の体つきの変化などについて科学的な知識、これを与えるということ、さらに人間尊重と男女平等の精神に基づきまして男女の人間関係をどう形成していくかという人間としての生き方及びそれに基づく判断力を身につけていくということが大事でございまして、こういう観点から性教育を推進いたしております。 文部省といたしましては、先生御指摘のとおり、エイズ教育は小学校から発達段階に応じまして実施しなければならないと考えておりますし、同時に性教育につきましても同様でございます。その際に、性教育の一環としてエイズ教育を取り上げるということが大事ではないかと考えておりますし、専門家の意見も同じような考えでございますので、そのような方向で推進してまいりたいと考えております。
○森暢子君 学校現場における性教育がどのように実施されているかということをおつかみになっていらっしゃると思うんですけれども、性教育というのはなかなかやりにくい、どうしても先生方はできるだけいろんな方にやっていただきたいという思いがあって、保健の先生にいくとか体育の時間にしていただきたいとかまたは養護の先生にお願いしようとかいうふうなことで、性教育を本当に、ただ性器教育ではなくて男女平等の視点から人間教育まで持っていくというのは学校現場ではなかなか大変なことであります。 私も担任をしておりましたときに学級会活動の時間でこの性教育を取り上げました。そして、いつもそういうときには小さい紙を五分ぐらい前に配りまして、後で感想を書かせてそれを読むのが楽しみだったんですけれども、その感想を読んでみますと、やっぱり性についてはいろいろ知っていたと。それはどこで知ったかといったら、友達に聞いたとか雑誌で読んだとかテレビで見たとかで知っていた。しかし、本当はどうなんだろうかなという気持ちを持っていたというんですね。それで、学級でみんな一緒に担任の先生に聞いて安心したと、こういうことが感想に出てくるんですね。ですから、性教育というのを学校で取り上げるということは本当に大切なんだなということをつくづく感じました。あの人に、あの先生に、この教科にといったらい回してはなくて、やっぱり積極的に取り組んでいく。子供は、学校で先生にみんなと一緒に聞いたんだからこれはもう本当に確かなんだと、こういう確信を持つわけでありますね。 そういうことで、性教育、そしてエイズ教育は学校現場で本当に前向きに取り組んでいくということのいろいろな配慮が必要なんではないか。そのために、やっぱり学校五日制の今の指導要領の中身では時間が足りないんではないかということをつくづく感じております。 そこで、ひとつ厚生省にお伺いしたいんですが、ただ厚生省と文部省だけがエイズのことをやるというのではなくて、これはもう国じゅうがやらなきゃいけないことだと思うんですが、何かエイズ対策本部なんというのがございますでしょうか。ありましたらどういうふうに取り組んでいらっしゃるかお伺いしたいと思います。
○説明員(尾嵜新平君) エイズ対策につきましては、政府全体の中では関係閣僚会議を設けておりまして、それで各省エイズ対策に取り組んでいただいているというところでございます。 その閣僚会議におきましてエイズ問題総合対策大綱というものを作成いたしまして、それに沿いまして各省がエイズ対策に取り組んでいただいているというのが現状でございます。
○森暢子君 もう一つ、このエイズは、今皆さん方御存じのように、アジアで大変猛威を振るっているということでございますね。それで、日本がこういう大国でございますので、アジアに対してこのエイズに関するどういう協力ができるかということについて何か考えておられましたら、文部省か厚生省が、どちらかお答え願いたいと思います。
○説明員(尾嵜新平君) アジア地域のエイズの現状というのは、先生も御承知だと思いますが、深刻さを非常に増してきているというふうに私どもも認識をしているわけでございます。日本といたしましても積極的な国際協力をする必要があるというふうに考えておるわけでございます。 厚生省といたしましても、これまでWHOを通じました多国間協力、そのほかに東南アジア諸国からの研究者の招聘あるいは研究委託などを行っておるところでございます。 さらに、平成五年度予算案におきましては、アジア地域を中心といたしましたエイズ国際協力プログラムの検討を行う予定にいたしております。 なお、来年八月には、アジア地域で初めての国際エイズ会議を日本で開催するという予定にいたしているところでございます。
○森暢子君 今、各省で取り組むということでございまして、こういう問題は文部省と厚生省だけでは到底できないものでありまして、ぜひみんなで力を合わせて今すぐやらないと大変な事態になる。今潜伐期間でいっ発病するかわからない人の数というのは多分もうつかめないと思うんですけれども、大変危機的状況にあるということで、早急に取りかからなければいけないというふうに思います。 それで、文部省に求められる、教育に求められるものが大変多うございまして、きょうお話しした中でも、やはり業者テストの問題もそうですが、エイズ教育もやらなきゃいけない。それから学校給食も教育の一環であると、これも大変な問題で ございます。それと環境教育ですね。日本の環境、地球全体の環境をどのように見て生きていくか、たくさんの話題が今社会をにぎわしております。または、国際貢献はどうあるべきか。これも小さいころから子供たちの中に教育が必要であるということで教育に求められるものが大変多いということで、大臣、大変だと思いますけれども、頑張っていただきたいと思うんです。 それで、そのエイズ教育またエイズに対して大臣が何かこういうふうに文部省も真剣に取り組んでいるという行動を示していただきたいと思うんです。例えば、エイズの病で闘っている人たちのところにお見舞いに行くとか、何か森山大臣ここにありと、エイズ教育に対してこういう願いを持ってこうやっているんだというのを示していただけたらなと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど政府委員からるる御説明申し上げましたとおり、文部省もその責任は感じておりまして、いろいろな仕事をやっております。 おっしゃるようなこともあるいは考えられるかもしれませんけれども、これからまた世の中全体にアピールするということも重要なことですから、何か具体的な方法があれば私も精いっぱいやってみたいと思っておりますが、さしあたっては、先ほど来申し上げましたようなエイズ教育の充実ということについて努力をしていきたい。 今までもエイズというものが注目され始めてからいろいろやってまいったのでございますけれども、最近の緊急な状態にかんがみまして、予算も今年度は大幅に拡大いたしまして、例えば高校生全員にそのパンフレットを配付するとか先生方にも各学校五冊も十冊も行くように指導の手引を差し上げるとかいうようなことをいたしてまいりましたので、そのようなものが必ず効果があらわれてくるものと思っております。
○森暢子君 最後に一つ申し上げたいんですが、エイズ教育は単なる知識の教育とかエイズを教えるとかエイズに対してどうしていこうかとかいう問題ではなくて、やはりつまるところは人権教育ではないかと思います。つまり、それぞれ人間一人一人の権利をどのように守って理解しともに生きていくかということから、いろいろな差別を受けている人たちにも目を向けてともに理解し生きていく、こういう視点を持ってこれからも頑張っていっていただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○上山和人君 日本社会党・護憲民主連合の上山和人でございます。 私たちは、先週木曜日、十八日に文部大臣の所信表明、そしてそれに続いて政務次官から平成五年度文部省所管予算の概要の御説明をいただきました。二十一世紀を展望して平成五年度の文教行政の基本方針が示されたと理解いたしております。 それにつきまして文部大臣は、冒頭のごあいさつの中で、教育は国家百年の大計だという趣旨のお話をなさいましたが、私はその御趣旨に深く共鳴しながら、宮澤内閣の政策の中心であります生活大国づくりと教育の関係、そしてその教育を進めていく裏づけとなる文教予算のあり方について御質問させていただきたいと思うのでございます。どうぞ大臣、本音のところでお答えいただければありがたいとお願いを申し上げたいのでございます。 その前に、実は私率直に申し上げまして、森山文部大臣に大きな期待を寄せている者の一人でございますから、そのことについてちょっと大臣に直接お聞きいただきたいのでございます。 昨年の十二月十一日の宮澤内閣の改造によりまして文部大臣に御就任なさったわけでありますけれども、そのときマスコミを含めて世論がかなり反応して関心を示したと思うんです。その中で、実は大臣が新聞のインタビューに、女性だからとして特に言うことはありませんとお答えになっていたのを新聞記事で見たわけです。また一方、文部省内の女性職員の多くの皆さんの間では、女性がトップになったからといってこだわりなんてない時代だと。また、事務次官はおいでにならないんだと思いますが、坂元事務次官は、今どき女性大臣を騒ぐ方がおかしい、きっぱり言い切っていらしたと新聞に書いてありました。 いろいろ女性が大臣に就任されたことについては見方があるんだと思うんですけれども、大臣御自身女性として、やっぱり男性にはないといいますか、男性とは違う、女性だからこそ、女性ならではのお気持ちといいますか御決意があるんじゃないだろうかと私は思うんですけれども、そういうことにつきまして率直に大臣のお気持ちをお聞かせいただけないものかと思うんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 大変御懇篤な御質問で恐縮でございます。 文部大臣という仕事あるいは閣僚という立場は、別に男性であるから女性であるからということでその責任や職域が違うわけではございませんから、そういう意味でそのようにお答えを申し上げたのでございます。しかし、また考え方を変えてみますと、やはりどんな仕事でもそうですけれども、ある仕事をする場合にそれに取り組む姿勢とかその結果出てくる成果とかそういうものは、それに当たる人間の人生経験がいろんな形で反映してくるものだと思います。 そう考えますと、やはり私が女性として今日までいろいろな男性にはないような経験をしてきたということが何らかの形で反映するかもしれないと思いますし、特に教育あるいは文化というような面では、女性に深い関係のある、女性の多くの方が深い関心を持つ、そういう場でもありますし、現にたくさんの女性が活躍してきた場でもございます。 そういう意味で、私が初めて文部大臣という役目をちょうだいしたということは必ず何らかの意味があるし、私として自分の持っているものをすべてこの職責を全うするために注いで最善の努力をしていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
○上山和人君 大変ありがとうございました。安心いたしました。 実は、九州の福岡に豊前市というところがございますけれども、そこの市民運動家の方だと思いますが、前田俊彦さんという人が、住民運動は女性が動かなければ本物にならないとおっしゃっているんです。それから、京都で小児科のお医者さんをなさっている松田道雄さんという方がいらっしゃるんですけれども、この方は、「私は女性にしか期待しない」という本をお出しになって、草の根のところでデモクラシーを実現できるのは女性しかいないと言っていらっしゃるんです。 私もこれまでのいろんな体験を通しまして、率直に申し上げまして、この福岡の前田さんや京都の松田さんと同じような思いをいたしております。私もいろんな場面で、人間にとっては大変厳しいといいますか人間としては苦しいとき苦しい場所に、男性は逃げ出していなくても女性は一人でも残っているという場面にこれまでたびたび遭遇したことがあります。やっぱり突き詰めて考えると、男性にない女性の新しい生命を産む力、男性と女性のその違いによるものだろうかと考えさせられているんです。これ以上女性論を展開する時間もないんですけれども、私は、当委員会にもたくさん女性の委員の皆さんいらっしゃいますから、女性の皆さんに負けてはならないという思いの一方で、やっぱり女性にはいつも大きな期待を寄せているんです。 特に、森委員もおっしゃいましたけれども、今子供たちを取り巻く環境が大変厳しゅうございます。そういう中で、大臣が所信表明の中で、教育が今学制百二十一年目の歴史の節目を迎えて新しい歩みを始めているんだ、こうおっしゃいました。そういう状況の中で登校拒否や高校生の中途退学の状況に見られますように、子供たちを取り巻いている環境が大変厳しいように思うんです。所信表明でおっしゃいました、新しい時代に対応する教育改革を進めていく道のりは大変厳しいと思う のでございまして、そういう大きな歴史の節目と申しますか、しかも難しい歴史の曲がり角であればこそ、やっぱりこういうときに女性文部大臣を得たということは歴史的には意味があると思うところでございまして、どうぞ大臣、これからはやっぱり日本じゅうの子供たちの母親として、子供たちが今の苦しい状況から解放されるようなことを展望しながら教育改革に立ち向かっていただきたい、初めに心から御期待申し上げるものでございます。 本論に移りますけれども、実は宮澤総理は、総理に就任されてから一貫して生活大国づくりに熱意を注がれて進めておいでになっております。昨年の六月には生活大国五カ年計画を策定されまして、今国会の冒頭の施政方針演説の中では、「本年は、生活大国の実現に向けて本格的な第一歩を踏み出す年であります。」とおっしゃっております。それを受けて文部大臣は十八日の所信表明の中で、生活大国づくりを進める上で教育、学術、文化、スポーツの果たすべき役割はますます重要になっておりますという趣旨のお話をなさったんです。 ところが、その生活大国五カ年計画の中にほとんど教育の位置づけがないんです。わずかに、「労働時間短縮」の問題として「学校の週五日制」の問題に触れられております。そして、「豊かな学習・文化環境形成」の問題として、「学校施設の多機能化」、そして「放送大学の学習機会の拡充、専修学校の質的充実・向上」がうたわれているにすぎな。いんです。そうなりますと、宮澤内閣の中心的政策になっている生活大国づくり、その生活大国づくりを進めていく上で教育は重要な役割を果たさなくてはならないと大臣がおっしゃった。そのとおりだと思うんですけれども、生活大国五カ年計画の中にほとんど教育の位置づけがないことから、私はやっぱり生活大国と教育の関係について考えさせられるのであります。そして、宮澤さんがおっしゃる生活大国とは一体子供たちにとってはどんな国なのかということについて考え込まざるを得ないんです。 大臣はその生活大国と教育の関係について、あるべき姿をどのようにお考えになっていらっしゃるのかお伺いしてみたいのであります。
○国務大臣(森山眞弓君) 今まで戦後日本が四十数年間、何とかして生活水準を上げたいということから一生懸命努力してまいりまして、いわゆる経済大国と言われるようになったわけでございますが、しかしその中にはいろいろなひずみ、ゆがみも否めない事実でございまして、一人一人の個人の感じる豊かさと国が外国などから言われる豊かさとどうも一致しない、そこがおかしいではないかという問題意識から生活大国という言葉が出 てきたのだと思います。物質的な豊かさや経済力といいますか、そういうものだけでは人間は決して本当に幸せな充実した生活ができるものではなくて、心豊かなゆとりのある、そういう生活が望まれるという気持ちが込められていると思うんです。そういうことだといたしますと、心の豊かさあるいはゆとりというものの中にもちろん労働時間の短縮ということもございますでしょうけれども、単に労働時間が短くなったというだけではなくて、それによって生み出された時間を有効にそれぞれの個人も楽しく充実して使うように、また社会的にもそれがプラスになるようにということを考えていきますと、その分野で教育の果たす役割というのは大変大きいというふうに思うわけでございます。 教育というと非常に限定されたイメージがあるかもしれませんけれども、学校教育だけではなくて、生涯にわたって常にどなたでも、いつでも、どこでも希望するときに教育の機会を得ることができる、文化に接することができる、そういうことが望ましいのではないでしょうか。それが生活大国の中に占める文教行政あるいは文部省の役割ではないかというふうに私は思っているわけでございます。
○上山和人君 お話はよくわかるんですけれども、少し私が申し上げたいことと論点が違うんです。 先ほど登校拒否や高校生の中途退学のことについてちょっと触れました。でも今日、文部省のこれは調査結果による数字でございますけれども、年間五十日以上も欠席するいわゆる登校拒否の児童生徒数が、平成三年度一年間を例にとりましても、小学生で九千六百四十五人もいます。中学生で四万三千七百十一人いるんです。それに三十日以上五十日未満長期に休んだ生徒の数を加えますと、小学生でいわゆる登校拒否をした子供たちが一万二千六百三十七人です。そして、中学生が五万四千百十二人もいるんですね。大変な状況じゃないでしょうか。そして、高校生につきましては、中途で退学をする者が平成三年度一年間で十一万三千人、高校生の百人に二人は中途退学を余儀なくされている勘定になるんです。私は、子供たちがこういう状況になっているとき、その国を生活大国と呼ぶことができるだろうかと思うんです。 それから、厚生省の研究班の調査結果の数字でございますけれども、今中学生の二二%はうつ病症状を訴えている。そして、中学校では一クラス平均二人は治療を要するうつ病状況に陥っていると報告されております。 子供たちのこの苦悩している状況がいかに深刻かというのがお互いにわかるんですけれども、そういうふうに子供たちが苦況にさらされている状態でその国は生活大国とは言えないんじゃないでしょうか。だから、子供たちのこの今の状態で宮澤さんがおっしゃる生活大国づくりをこれから進めていくのであれば、やっぱり子供たちのそういう状態を解消する教育改革こそが生活大国づくりの中心課題の一つに据えられなければならないのではないかというのが私が申し上げたいことでございます。 そういう観点からしますと、生活大国五カ年計画の中に、それが生活大国づくりのすべてだとはもちろん私も言いませんけれども、でもあの計画の中に教育の位置づけがほとんどないのは、やっぱり宮澤総理の生活大国構想の中に大きな教育的な視点が欠落しているのではないか。やっぱり、率直にそこから今後教育を考えていかないといけないと思いますので、なかなかおっしゃりにくいことかもしれませんけれども、やっぱり宮澤総理のおっしゃる今の生活大国構想の中にはっきり教育的な視点が大きく欠落しているんだということはお互いに理解し合わないとこれからの一般質疑の論戦がかみ合わなくなると思うんですけれども、大臣いかがでしょうか、率直にどんなふうにお考えになるか、大事なところですから御見解をお聞かせください。
○国務大臣(森山眞弓君) まさに先生が御指摘のようなことがございますので、文部省が所管しております教育、文化の面におきましても大きな改革をしようということで今鋭意努力をしているところでございます。 この生活大国五カ年計画の中にも、終わりの方ですけれども、「初等中等教育において」云々、「大学等において」、「大学等の教育研究基盤の充実」、その他かなり書き加えられてはおりますが、ここに書いてあることだけではもちろん十分ではございませんで、私どもの所管しておりますいろいろな面でその実現のためにこれから努力をさらに続けていかなければならないと思っております。 先ほど来申し上げておりますように、例えば高等学校における教育の多様化とか個性化とかあるいは偏差値教育を排除するとか、そういうこともその一つのあらわれと御理解いただきたいと思ってございます。
○上山和人君 やはり生活大国構想の中に教育的な視点がしっかり据えられなければならないという観点では大臣のお考えも一致している、そんなふうに理解をいたしました。 私は、やっぱり宮澤総理がこの生活大国行きのバスを仕立ててこれからかじ取りをなさるんですから、だれよりも先にその生活大国行きのバスに乗せなくちゃならないのはお年寄りと子供たちだと思っているんです、いつも。一つの時代を生き抜いて随分御苦労なさってこの時代を支えていらしたお年寄りと、紛れもなく次の時代を担う子供 たちこそ真っ先に生活大国行きのバスには乗せなくちゃならない、いつもそう考えております。御存じと思いますけれども、イギリスの政治学者にラスキさんがいらっしゃいますが、ラスキさんは子供とお年寄りの姿を見ればその国の政治がわかるとおっしゃっています。まさに至言と言っていい言葉だと思って私は忘れることができないのでございますけれども、どうぞこれから今大臣が御表明になりましたようなお考えで教育的な視点を欠落させないように、むしろこれから生活大国づくりを進めていく上で教育の視点を中心に据える、ぜひ大臣のお力でもっともっと宮澤内閣の政策展開に当たってその点を強く示してくださるようにお願い申し上げたいのでございます。 次の問題に移りますけれども、そういう観点でこれから教育改革を進めていくとするなら、何といってもそれを裏づける文教予算のあり方がこれからは問われてくるんじゃないかと思うんです。ここで申し上げる必要もないことです。みんな理解し合っているのは、もう教育に関心のある人ならだれでも今日常識になっておりますのは、文教予算の特色というのは人件費が高いことだ、これはだれでもよく理解をしていることだと思うんです。平成五年度の文教予算の五兆四千二百六十五億、そのうちの四兆一千八百七十八億円が人件費でありますからまさに七七%を占めることになりまして、残りはわずか二三%です。その二三%で物件費をやりくりしなくちゃならないし政策的な予算編成もしなくちゃならないとなりますと、しかも一律シーリングのもとに編成された予算ですから出口がないわけですから、どこでどう人件費以外の政策を流動的に予算として編成していくかということは大変苦しいことだと思うんです。 そういう状態で、二つの問題が深刻な問題として起きているんだと私たちは把握いたしております。 一つは、一般財源化が進んでいること。もう一つは、文部省の皆さんが御苦労なさっているとそれは思いますけれども、この前、提案なさっております予算案の御説明にいらした担当の方が、私たちも自己収入に努力をしましたとおっしゃって、国立大学の入学金を三万円引き上げました、そして受験料を二千円引き上げましたとおっしゃった。私は少し違和感を感じましたね、自己収入に努力をしたとおっしゃいましたので。何のことはない、その財源を捻出するために、自己収入といって家計負担にその負担を転嫁するというのは少し語弊があるかもしれませんけれども、家計負担をふやしていらっしゃるわけです。だから、一律シーリングで文教予算が編成される状況のもとでの深刻な問題として、一つは一般財源化が進んでいる、一つは家計負担が耐え切れないほどに、もう限界状況に至るまでふえ続けているという、この二つの面が私たちが真剣に考えなくちゃならない問題として起こっているんじゃないかと思うんです。 特に、一般財源化の問題は、これは明治以降の歴史に逆行すると思うんです。明治以降、公教育の市町村、都道府県、国の間の負担割合が市町村から都道府県へ、都道府県から国へとその比重がだんだん移行しているわけです、これはもう歴史の経過ですから。なぜそうなったかというと、子供たちの機会均等を保障しようと、そしてやっぱり財政格差で教育諸条件に格差が生じないようにだんだん国が負担する割合がふえた、そういう歴史的経過があると思うんですけれども、それを一般財源化する流れに変わってしまって、むしろそういう明治以降の歴史にも逆行する大変これは重大な問題ではないか。特に、だんだん市町村から都道府県へ、都道府県から国へと比重が大きく変わってきたその意味が、先ほどから申し上げますように、子供たちの教育の機会均等を保障する、そして地方の財政格差によって子供たちの教育諸条件に差が生じないようにという大変大事な理念からそういう経過があるだけに、一般財源化はそれに逆行する教育上の非常に大きな問題をはらんでいる、そう思います。 それからもう一つ、やっぱり家計負担がどんどんふえている。公立大学と私立大学の授業料や入学金や受験料といったものは一年置きに公立大学と私立大学の間でイタチごっこを繰り返して上昇しっ放しです。公立高校の授業料は、私の記憶では十八年間一年たりとて休むことなく上昇しっ放しです。これは大臣、御存じでしょうか。そんな状態になって、この前発表されました経済企画庁の国民生活白書の中でも、教育費の負担増が一つの要因となって出生率が低下し続けていると。昨夜の十一時からのNHKニュースの中でもその問題を取り上げておりましたけれども、少子社会という新しい言葉を政府の方でおつくりになって、初めてこの国民生活白書の中で教育費の家計負担の問題と出生率が低下し続けていることとの関連が国民の皆さんの前に明らかにされております。 そういうふうにして教育費の家計負担がどんどんふえて、それが出生率を低下させる要因にもなるほどの状況を一律シーリングのもとで文教予算が編成されていることがやっぱり引き起こしているんじゃないでしょうか。厚生省の白書の中で、このまま出生率がどんどん低下していくと百年後に日本の人口は半分になる、千年後には日本列島には四万五千人しか住んでいないだろうという未来を予測するデータが示されているわけですので、これこそ教育は国家百年の大計、大臣がおっしゃる国の根幹にかかわる問題でありますから、今のまま一律シーリングのもとで大方のほかの予算と同じように文教予算が編成されるのであれば、こういう状態を改めようがないと思うんです。 だから、こういう深刻な状況になっている問題として、大臣どうでしょうか、本当に今までおっしゃってきた、特に大蔵省が言ってこられたんですけれども、文教予算というのは単なるほかの予算と同じように経常的な経費としてとらえていいんでしょうか。やっぱり防衛費や特にODA関係費が別枠として取り扱われていることと比較して考えても納得できない。どうでしょうか、今申し上げましたような深刻な問題の要因にもなっているだけに、文教予算のあり方が今までのように経常的経費として一律シーリングのもとで編成されることについてどのようにお考えか、なかなかこれもおっしゃりにくい問題かもしれません。どうぞしかし、やっぱり本音のところでおっしゃって、これからの道筋を、少なくとも向かうべき方向ということだけは明らかにしてほしいものだなと思うんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 大変、文部省の予算について御同情いただきまして、まことにありがとうございます。確かに仰せのとおりいろいろな難しい問題を抱えております。 しかし、我が国の財政全体ということを考えてみますと、例えば平成四年度末の公債残高が百七十六兆円を上回る見込みということであり、国債費が歳出予算の二割を超えるというようなことを考えますと、依然として財政状態が厳しいということには変わりがないわけでございまして、そういう状況の中で、大蔵省の立場からシーリングというものを設定していくということも一つの方法としてやむを得なかったのではないかと考えております。 特に、文教予算についてはおっしゃるように、人件費の割合が大変高いものですから、政策的な経費について弾力的な対応がなかなか困難であるということもおっしゃるとおりでございます。しかし、文部省といたしましては、厳しいシーリングの中でも各種施策の合理化とか重点化を図りながら所要の予算の確保に努めてまいったわけでございまして、文教予算の充実化ということは最近特に意を用いまして努力してまいっているところでございます。宮澤総理も、また林大蔵大臣もこの文教予算の問題点については十分御理解をいただいておりまして、いろいろな場で知恵をかしていただいておりまして、精いっぱい努力しているつもりでございます。 平成五年度の予算におきまして経常経費について生活学術研究臨時特別措置というものが講じられまして政府全体で千百億円、文部省の予算については三百三億円が新たに加算されたというよう なこともそのあらわれかと考えております。 今後とも、文教予算の重要性ということを肝に銘じまして、その充実について各方面の御理解が得られますように努力してまいりたいと考えております。
○上山和人君 おっしゃいましたように、文教予算の中でも、特にことしの平成五年度の予算編成に当たっては、今大臣がおっしゃいましたような工夫も努力もされてきているというのはよくわかるのです。財政事情が苦しいからやっぱりシーリシグやむを得ないでしょう。 しかし、文教予算が大事だからその中で努力すべき点を努力したいという趣旨に聞こえたのです。でも、大蔵省が財政難を理由に文教予算にいろいろ注文をつけてきた経過、これからもそういう動きがあることについてはお互いによくわかっているわけでありますけれども、財政は苦しいと言いながら、やっぱり防衛費それからODA費、これは別枠措置なんです、一律シーリングじゃなくて。 だから、各論についてはまたいずれ一般質疑の中で詳しくいろいろ見解もお聞きいたしたいと思うのですけれども、少なくとも防衛費、ODA費は今後なかなか重要な分野だしこれは抑制することは難しい、むしろ抑制すべきではないということも中身の問題はいろいろありますけれどもあると思うんですが、防衛費やODA費というより、少なくとも防衛費が、苦しい厳しい財政事情だと言いながらもやっぱり別枠を設けて予算が編成されていることと比較して、先ほどから申し上げる国の根幹にかかわる出生率の低下の一つの大きな要因にまでなっている問題あるいは一般財源化が進んでいく、歴史に逆行するような重要な問題をはらんでいる文教予算がシーリングやむを得ないという考えでは私はどうしても理解しにくいし、少なくともこれからは、ことしの予算の編成まではシーリングのもとで行われましたけれども、その中で少し工夫はいろいろありますけれども、これからはやっぱり文教予算は別枠にする努力をすべき性格のものだということをぜひ文部大臣として腹を固めていただけないかなと思うんです。 それに関連して、総理の御見解がはっきりしておりますのでお互いに確認をしておきたいのは、実は昨年の秋の臨時国会で我が党の久保亘議員が代表質問をいたしました。そのとき久保議員が、アメリカでは教育などの人的資本に対する投資は未来への投資、そして教育に必要な財源を社会資本への公共投資と同じように考えているということを指摘しながら、総理の文教予算に対する根本的な考え方をただしたことがございました。それに対して宮澤総理は、要旨ですけれども、次のようにお答えになっているんです。 文教予算というのは人件費が非常に多いわけだから、シーリングのもとでは非常な犠牲になっているのではないか、こんなふうにお答えになっていますね。シーリングも長いことやっているから、非常なメリットもあるが弊害も起こることがあり得る、文教予算についてそれがかなり顕著になっていると自分も思っておりますと。だから、シーリングの弊害が特に文教予算の面で顕著になっていると総理御自身がお気づきになっていらっしゃるわけです。そして最後の方で、問題があることも認識している、シーリングは、建前は建前として、それに対してどのような是正措置ができるかということを現実に平成五年度予算から始めたい。これは大臣が少しお触れになりました。現実に始めたし、これからもそれをやってまいりたい、そうお答えになっています。 だから、総理の御認識も徐々に文教予算はシーリングにはなじまないんだという方向に向かっているように聞こえるんです。いずれ、総理に直接見解をただす機会があればと思うことですけれども、御答弁の内容からは明らかにそういう方向に向いていらっしゃるように思うんです。 そして、最後のところで宮澤総理がおっしゃったこの言葉を私は大事にこれから胸に刻んでいきたいと思っておりますのは、「何といっても教育というのは将来の我が国を決定するものでございますから、これについてはどれほど大事に考えても考え過ぎるということはないというふうに私は思います。」、こうおっしゃっております。だから、教育というのは我が国の将来を決定するんだから、教育についてはどれほど大事に考えても考え過ぎることはないんだと、これは総理がはっきりおっしゃっていまして、総理のお考えが、教育に対する理念といいますか御決意のほどが集約されているようにこの言葉に思うものですから、これからも私たちの大事なよりどころになるんじゃないかと思うんですけれども、そういう総理の御答弁につきまして、端的に、これからの文部行政の責任者として教育改革をお進めになる大臣としてどんなふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先ほど私もちょっと申し上げましたように、また先生がただいまいろいろと引用してくださいました御答弁のとおり、宮澤総理は特に文教予算についてそれが非常に重要であり、それにもかかわらずいろいろと難しい問題を抱えているということをよく御認識でございまして、私にも時々その点について御心配いただいている言葉をかけていただいております。私は大変ありがたいことだと考えておりますので、総理の御意向も外し、また私ども自身の意欲、希望を実現できますように予算編成についてはこれからも精いっぱい努力いたしてまいりたいと考えているところでございます。
○上山和人君 大変よくわかりましたし心強い思いでございますので、どうかひとつ頑張っていただきたいんです。 少し時間が残っておりますので、ここで私は、既に文部省の方で今から約三十年前に教育投資論といいますか教育投資の観点で長期総合教育計画論が展開されていたことを私たちは学制百二十一年目に向かうこの大事な曲がり角にやっぱり歴史の教訓として振り返っておくことは大変大事だと思います。 そこで、これは大臣じゃなくても結構ですが、三十年前の昭和三十七年当時の教育投資論の観点での長期総合教育計画の理念というのは生きているんでしょうか、今でも。どうなんですか、その点を率直にお聞かせいただけませんか。
○政府委員(岡村豊君) 御指摘の長期総合教育計画は、文部省が昭和三十七年に刊行いたしました「日本の成長と教育」、副題が「教育の展開と経済の発達」でございますが、において提唱されましたものであるというふうに理解いたしております。 この「日本の成長と教育」という本におきましては、「人間能力をひろく開発することが、将来の経済成長を促す重要な要因であり、」、そして人間の能力の「開発は教育の普及と高度化に依存している」、こういう認識に立ちまして、その意味で教育に対する経費の投入を投資というふうにとらえて、若干具体的に申し上げますと、我が国の明治以降九十年間の教育の歴史を顧みまして、また他国の歩みと比べまして、このような観点から我が国の経済発展に果たした教育の役割を分析するということをいたしております。そして、その中におきまして長期にわたる教育の総合的な計画の意義等を指摘し、また仮に教育の総合的な計画を立てるとしたらどのような点に配慮すべきかという指摘を、簡単な指摘でございますが、しているわけでございます。 このように、昭和三十七年の長期総合教育計画というものは、その意義等がこの本の中で指摘されたというものでございまして、計画自体を策定したというものではないわけでございます。そして、この長期総合教育計画というものがこのようなものであったことに加えまして、同じ本の中で前書きでございますが、「教育を投資の観点から取り上げる場合には、困難な問題に遭遇し、なお、検討すべき幾多の問題を残しているので、この報告書も一つの試みにすぎない。」ということを述べているものであります。 また、その後我が国の社会経済も大分変わっておりまして、また教育におきましても基本的な量的拡充は原則として達成されたと、近年では重点 が量的拡充から質的充実に移ってきたというような状況の大きな変化もございまして、その後具体的に長期総合教育計画が樹立されるということはなかったわけでございます。 その精神が生きているかということでございますが、先ほど申し上げましたように、計画自体はつくられておらぬわけでございますが、教育の充実というものが経済社会の発展の基盤として重要であるという基本的な認識は変わっていない、この理念と申しますか精神というものはこの意味では生きているというふうに考えております。
○上山和人君 よくわかりました。 ちょうど三十年前に既に、今おっしゃったように、教育を投資的な観点から考察されている。それも文部省内でそういう議論がずっと続けられていたということは、大変私たちにとっては貴重な、何といいますか、経過のように思うんです。もちろん、今お答えいただきましたように、そういう考え方が途中で消えるはずはありませんし、そういう流れがやっぱり宮澤総理の先ほど御紹介申し上げましたような昨年の臨時国会における御答弁にもあらわれているんだと。そして、今大臣がまたつけ加えてお考えをお示しになりましたけれども、そういう流れになっているんだと思いますので、ぜひ教育を投資的な面から、恐らく三十年前の昭和三十七年当時の文部省内のその投資的な観点から教育を考察するということが、そのころの世界の動きといいますか国際的な趨勢の中でやっぱり議論され始めた、考察され始めた、もう詳しい国際情勢は申し上げませんけれども、そういう歴史的な経過があると思うし大変貴重でございますから、歴史こそ教科書でございますので、私どもにとりましてはそういう歴史の経過も大事にしながら、これからやっぱりアメリカ並みとは言いませんけれども、社会資本への公共投資と同じように文教予算、教育予算をアメリカでは考えている。そういうほかの国と全く同じレベルにとは言いませんけれども、同じような考え方が特に発展途上国においても最近広がっているという状態でございますから、難しい時期を迎えている、歴史の曲がり角にある日本の教育改革を進めていく上で振り返って確認しておくことが大事だと思います。 そこで、こういう状況の中でやっぱり私たちを励ましてくれますのは、教育関係者だけでなくて教育関係外にもだんだんやっぱり投資的な観点で教育は考えるべきだ、文教予算は考えなくてはならないのではないかという御認識が広がりつつあるように思うのでございます。 時間の制約がありますからほんの御参考までに御披露申し上げますと、日経新聞の二月十八日、ちょうど大臣の所信表明のあった日ですが、これは元の大蔵事務次官ですよ、おっしゃっているのは。そこにやっぱり一つの意味があると思うんです。財政が厳しいからといって一般財源化を大蔵省が今進めていらっしゃるわけだけれども、元大蔵事務次官の竹内道雄さん、この方は今資本市場研究会の理事長をお務めになっていらっしゃるよこつでございますけれども、その竹内さんがこうおっしゃっています。 「景気対策というと道路、河川などの公共事業をさらに増やすか、所得税減税をするかという議論ばっかり。工夫がないね」 道路や河川の工事を増やしても、恩恵を受けるのは一部の業界や地域に限られる。所得税減税の消費刺激効果も限られている。「どうせならもっと中長期的にみて有意義なところにおカネが使えないか」「国立大学の施設の汚さは想像を絶するほど。建物と学問や仕事は関係ないと言い切れない。公共事業予算のシェアを気にせずに思い切って大学などの施設整備ができないものか」。景気への即効薬にはなりそうにないが、ヒトヘの投資を通じ長い目でみて日本経済を活性化させることが重要というわけだ。そんなふうに元大蔵事務次官がごく最近日経新聞に記事を寄せていらっしゃいます。 もう一つ、やはり日経新聞の「経済教室」の中で東大の岩田教授が人的資本形成の問題を論じていらっしゃいます。ほんの少し御紹介申し上げますと、 道路や下水道が将来の世代のための資産であることは確かであるが、若い世代の人的資本形成のための費用もまた直接的な投資であり、将来世代の資産であることは言うまでもない。 政府支出の面でも、人的資本形成のための「公共投資」が問われていると言ってよい。 米国では人的資本の形成に要する費用も投資的支出に含めているのである。先ほど申し上げましたことと関連がありますけれども、そういうふうにおっしゃっています。 こういうふうに徐々に世論が、やっぱり教育は投資的観点から、教育予算もそういう投資的な観点から考えるべきだというふうに広がりを見せていることが私たちを励ましてくれています。 もう一つ、やっぱり非常に元気づけられますのは、私は一年生ですからこれまでの国会の経過はよくわかりませんが、この委員会に去年からおいでになっている先生方もたくさんいらっしゃいます。昨年の通常国会で、特に衆参の文教委員会では文教予算を一律シーリングの適用除外にする、そういう声がそろって特別決議を上げる動きがあったというふうにお聞きしているんですが、そのとおりだと思います。しかし、残念ながら大蔵省の反対が強くて日の目を見なくて、平成五年度も一律シーリングのもとで文教予算も編成されたといういきさつがあるのでございます。 この流れを、これは委員長に対してお願いなんですけれども、非常に大事な流れだと思います。少なくとも昨年の通常国会の段階で衆参の文教委員会で文教予算は一律シーリングの適用除外にするという声がそろって、そして特別決議を上げる動きがあったという流れは非常に歴史の流れとして、また国会のこの過程でも大変大事だと思います。私など一年生は非常に元気づけられ勇気づけられているところでございまして、どうぞ委員長には格段の御努力をいただきまして、できるなら今国会の一般質疑などをよくごらんになりながら、ひとつそういう流れをもっと進めるようにぜひ御努力をお願いしたいものでございます。よろしくお願い申し上げます。 最後に、私、大臣に御決意をお伺いして、もう中途半端なことは申し上げません、質問を終わりたいと思うのでございます。少しは時間が余るかもしれませんが、後は同僚の肥田委員に時間をプレゼントいたしたいと思います。 教師の日というのがほかの国にあることは御存じだと思います。中国で九月十日、それから韓国で五月十五日、タイで一月十六日、アルゼンチンで九月十一日。私が持っている資料では世界で教師の日を定めて、その日には教師をたたえてお父さんお母さんたち、子供たちが一緒に教師にプレゼントするという、いわゆる教師の日が定められているんです。そのことを見まして、やっぱり日本で今教師の日を設定したとしても果たして、大変残念ですけれども、先生たちと子供たちの間にあるいはお父さんお母さんと先生たちの間にそれほどの尊敬と信頼のきずながあるかなと率直に思います。大変日本は深刻な状態になっていまして残念な状況だと思うんですが、今の状況で教師の日を制定されるなどとはお考えになっていらっしゃらないと思うんですけれども、でもこんな国もある。そして、こういうふうに教師と子供たち、お父さんお母さんたちとの間の尊敬、信頼の関係が深い。 そういう理想的な姿を展望しながら、何度も言うのも少しおかしいんですけれども、今こそ女性大臣の出番だと思っています。どうぞそういう理想に向けて、本当に日本でもそういう日が制定されるような教育環境、国の状態にして、生活大国の中にしっかり教育が生きて子供たちが今の苦しみから解放されるような、そういう将来の姿をぜひ描きながら、文部大臣として全国の子供たちの母親として力強く女性パワーを発揮してくださるようにお願いを申し上げて、最後に大臣のまた御決意をお伺いして、私は質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○国務大臣(森山眞弓君) 大変心強いお励ましをいただきまして、まことにありがとうございます。 いろいろ今教育の現場で出てきておりますさまざまな問題の多くは先生方と子供たち、またその家庭との間の信頼関係が必ずしも十分ではないというところにあるのではないかと私は考えております。そのようなことになってしまったのはどういうわけかということを考えてみますと、いろいろと複雑なさまざまな要素がありまして一言では言えないと思いますが、しかしその信頼を回復していくように努力するということが私どもに預けられました大変大事な課題であるというふうに考えております。 ですから、先ほど来お話が出ておりましたいわゆる業者テストの廃止、そしてその後にどのような指導方法を示すのかというような御質問もございましたが、そのようなことを考えていくにつきましても、最終的には先生と子供たちの、またその御両親との信頼関係ということが何よりも大切で、それを築いていくように努力するということが根底になければ、どのような技術を考えてもどのような予算をつくりましても解決にはならないというふうに考えております。その一番大事な子供たちと先生との、また御両親と先生との信頼関、係ということを築いていきますように、さらに高めていきますように精いっぱい努力いたしたいと考えております。
○肥田美代子君 もう十二時になりまして、おなかの虫が鳴いていらっしゃる向きもあろうかと思いますが、もう三十分ばかり御辛抱願います。 子供の本離れとか活字離れというのが今世界的に問題になっております。しかし、よく考えてみますと、子供が本から離れていってしまったのではなくて、子供を本から引き離しているのが大人であるという、そういう自覚が大人自身にないというのが問題であると、私はそういうふうに考えております。 人生の中で一番言葉の感性の鋭い時期が子供時代なんですけれども、その時代に本を読む時間がない、そして読みたい本が手の届くところにないという状況に子供たちが置かれているというのは、やはり私たち大人の怠慢じゃないかと思うわけです。それで各国政府は、今真剣にこの問題に取り組み始めておりますし、日本でも民間で今子供の本の書き手と作り手とそれから渡し手、その三者が横の連絡をとりまして、子供にいい本を手渡そうというようなフォーラムも計画されているやに伺っております。 そこで、政府にお聞きしたいんですが、日本では新学習指導要領で、みずから学ぶ意欲や主体的に考える資質や能力などを重視する新しい学力観に立った教育を行うと聞いています。しかし、現実問題として子供たちは本離れ、活字離れに走っていってしまっている。これはどうしてなのかと考えますと、どうやら学校図書館の整備が十分でない、そういうところにも一つの原因があるようでございます。 それで、大臣にお伺いしたいんですけれども、具体的なことは別といたしまして、この子供たちが本当に本好きになるために学校図書館をどういうふうに充実していったらいいとお考えになるか、そのあたりから伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 私どもが子供であったころに比べますと、テレビとかそのほかさまざまなメディアが発達しておりまして、子供たちも大変忙しいと思います。新しい知識あるいはおもしろいものを吸収するのがほとんど本だけであった時代と今は大変違っておりますし、そういうところで子供たちに読書の指導をする、読書のおもしろさを教えるということは格別の努力が要るというふうに思うのでございます。 学校図書館というのは非常にそのための有力な手段でございまして、教育上非常に重要な役割を持っているというふうに考えます。特に、先ほど来申し上げましたように、社会の情報化が進行するその中で、多くの情報の中から子供たちがみずから自分で必要な情報を集めたり選択したり活用するという能力を育てるということが求められているわけですが、このようなことから学校図書館の果たす役割はさらに大きくなった。考えようによっては特別重要な役目を果たすというふうに考えられると思います。 また、おっしゃいますとおり、御指摘の新学習指導要領におきましては、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの能力の育成を重視する新しい学力観に立った教育を進めているわけでございまして、このような教育を実現するために学校図書館が重要な核の役目を果たしていると思います。学習指導要領の総則の中に新たに学校図書館の機能の活用に関することを加え、それとともに読書意欲を高めることなどを明記いたしまして、学校において充実した読書指導が行われるように配慮したところでございます。 本年度に学校図書館の現状に関する調査を実施しておりまして、まだ結果は出ておりませんけれども、その結果が出ましたらそれも大いに参考にしつつ、平成五年度からは読書指導の充実についての調査研究事業など新たな事業を実施いたしまして、読書意欲の高揚を図る指導方法などを検討することにいたしたいと思っております。 今後とも努力してまいりたいと思いますので、御理解いただきたいと存じます。
○肥田美代子君 私は、この委員会のメンバーにならせていただきまして初めての委員会で子供の読書環境の充実とか学校図書館について質問させていただいたわけなんですが、それからもう一年余りたちまして、文部省の方でもいろいろお考えいただいたことがあると思いますが、どのような施策を今お考えでいらっしゃるか、そして将来的にどういうふうにしようと思っていらっしゃるかというあたりを伺いたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 今後の方策ということでございまして、今大臣からもお話がございました。現在、学校図書館の現状に関する調査というのを実施しております。これはたしか先生からの御質問がありまして、前大臣が学校図書館の現状を調査しますという約束をされ、それを受けまして現在調査を実施しているところでございます。それで、現在集計中でございまして、本年夏ごろを目途に取りまとめをしたい、このように思っております。 それから、新年度の措置としましては読書指導の充実についての調査研究事業ということで、これは読書意欲の高揚を図るための具体的な指導方法、こういうことにつきまして、ちょうどそういう団体がございますので、団体の方に研究を委嘱して具体的な方法についての方策をお願いしたい、このように思っておるわけでございます。 それから、やっぱりこの学校図書館の図書を充実しなければならないだろう、こういうことでございまして、学校図書館の図書を計画的に整備するということで地方交付税措置を実はお願いしておったわけでございます。それに対しまして自治省の方から、おおむね現状の一・五倍程度の蔵書冊数まで計画的に整備するということで、五年計画で約五百億程度の地方交付税措置ということがほぼ認められたわけでございます。平成五年度はそういうことで約八十億の措置を予定している、そういうことで学校図書館の図書も充実をしていきたいと思っております。 そのほか、学校図書館担当の事務職員の配置改善、これは教育助成局の方で今御検討いただいているわけでございますが、そういうものにつきましての改善、その地やはり一番大事なのは子供たちの実際の読書指導をどうするかというあたりでございますので、このあたりはいろいろな研修の場などを通じまして趣旨の徹底を図ってまいりたい、このように思っております。
○肥田美代子君 今伺っておりまして大変うれしく思っております。文部省もとうとうやる気になられたなという気がいたします。どうぞ頑張ってください。確かに蔵書がふえることは大変うれしいことでございます。五カ年計画といえども五百億というのは大変な御努力で捻出というか知恵を働 かせていただいたものだと、私は高く評価させていただきたいと思います。 それで、学校図書館には本も大切ですが、それと同じぐらいかそれ以上に大切なのは、やはり人が要るということなんでございます。事務職員の複数配置、それは学校図書館のための事務職員であるということですが、これは市町村でそういう予算を計上しないと結局は別の面に持っていかれてしまうということになるわけです。ですから、この事務職員は学校図書館にどうぞ配置してくださいということを文部省の方からも指導していただきたいと思います。 そして、やはり一番必要なのは司書教諭なんでございますけれども、今の配置状況はもう極めて低い状況にありまして、辛くも放課後とか休み時間にあいているような状況でございます。本当に子供たちのお客さんが一日じゅう入ったり出たりという状況になるには、やはり司書教諭配置の問題がとても重要になってまいりますけれども、そのことにつきましてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(井上孝美君) お答えを申し上げます。 まず、前段の学校図書館の担当の事務職員の改善につきましての考え方について御説明を申し上げたいと思います。 今回の国会に標準法の一部改正法案を提出して御審議をお願いしているところでございますが、その内容でございます第六次の公立義務教育諸学校の教職員配置改善計画及び第五次の公立高等学校の学級編制及び教職員配置改善計画におきまして、高等学校につきましては学校図書館専任の事務職員の配置基準を現行十八学級以上から十二学級以上といたしまして、七百六十人の増員を行う改善を行うことといたしております。 また、小中学校につきましては、学校図書館の事務量が増大する大規模校におきまして事務職員が図書館事務を分担することができるように複数の事務職員の配置改善を、小学校につきましては現行三十学級以上から二十七学級以上に、中学校につきましては現行二十四学級以上から二十一学級以上といたしまして、千三百八十九人の改善を行うことといたしております。 これによりまして学校図書館の運営を一層充実させるようなお取り組みを各学校においてしていただくようにいたしたいと思うわけでございますが、文部省といたしましては、先ほど先生から市町村の小中学校における配置についても指導してほしいというお話がございましたが、今回の教職員配置改善計画におきます事務職員の複数配置の趣旨ができる限り生かされるよう今後とも指導してまいりたい、このように考えているところでございます。
○政府委員(野崎弘君) 後半の質問の学校図書館の司書教諭の関係でございます。 これは、先生御存じのように、学校図書館法では、司書教諭は司書教諭講習を修了した有資格の教員の中から充てる、こういうことになっているわけでございます。そういうことで、文部省におきましては、昭和二十九年以来、各国立大学に委嘱しまして学校図書館司書教諭講習というのを実施しておるわけでございまして、有資格者の増加、そしてその司書教諭の発令の促進に努めていると。 現在、状況を見てみますと、有資格者のいる学校の割合というのが小学校で大体二〇%、中学校で二五%、高等学校で三五%ということで、有資格者のいる学校はそれぐらいの数になっておるわけでございますが、実際の発令になりますとそれを大変下回っていると。 これはいろいろ事情があると思うわけでございます。やっぱり司書教諭ということで発令されますと、結局その仕事だけを専任でされて、ほかの先生方の協力が得られなくなるんじゃないかとかいろいろあると思うのでございます。それで、実際上図書の担当の図書主任とかあるいはそういう形の校務分掌上の発令というのはまた別途されている、こういうような実情もございまして、先生も恐らくねらいとされるところは子供たちの読書指導というものをもっと充実すべきであると、そのための一つの考え方として司書教諭ということをお話しされたのではないかと思うわけでございます。私どもも、子供たちの読書指導というものをどういう形で充実していくのが一番いいのかというあたりは一つ頭を悩ましているわけでございます。 もちろん、この司書教諭の発令というものを私どもも大いに促進していかにゃいかぬ。そういう意味で、各都道府県の指導をしてまいりたいと思いますが、やはり一方では子供たちの読書指導というもの、これは一人の先生でするわけにいかぬと思います。やっぱり国語の担当の先生はもちろんでございますが、多くの先生方が協力してこれを実施していかなければいけませんので、やはり学校の中においてどういう協力関係のもとにそういうものを促進していったらいいのか、そういうことにつきましてもまた検討してまいりたい、このように思っております。
○肥田美代子君 子供たちは時を待てないんですよね、どんどん大きくなっていきますので、悉皆調査の結果が夏までにまとめられるということですから、それを受けましてなるべく早く、そのことを切にお願い申し上げたいと思います。 それで、さっきちょっと申し上げるのを忘れたんですが、五年間で五百億の交付税のことなんですが、これもやはり市町村がその気にならないと別のところに使われてしまいますよね。ですから、これは子供たちに本を手渡すためのお金なんだということを文部省がくれぐれも指導していただきたいと思います。 それから、先ほどから偏差値教育の問題でお話いろいろございましたけれども、私は偏差値重視の教育ではなく、学校図書館中心の自主的、創造的な学習形態が出てくることが望ましいと、そういうふうに思いますので、その点くれぐれもよろしくお願いいたします。 それでもう一つ、空き教室がどんどんできてまいりますけれども、その教室に例えばじゅうたんを敷きまして子供たちがごろんと寝転んで本が読めるような、そういうスペースにできないものでしょうか。
○政府委員(井上孝美君) お答えいたします。 小中学校におきましては児童生徒数の減少等によりまして学級数が減少いたしまして普通教室に余裕が生じるようになっておりまして、ただいま先生がお話しになったとおりでございまして、そしてこれらにつきまして積極的にその有効利用を図っていく必要があるというように私ども考えておるところでございます。 このような趣旨から、現在使用されていない教室の有効利用の具体的手法を示した手引書の作成を既にいたしておりますし、また昭和六十三年六月に既存施設の有効利用についての通知を出しまして、特別教室や多目的スペース等への転用など一層の有効利用の促進を指導しているところでございます。 また、それらの教室を改造して読書活動のために使用する図書室や図書スペース等、教育方法の変化に対応した施設へ有効利用を図る場合には大規模改造事業の国庫補助対象としているところでありまして、今後とも各学校の実情等に応じましてそのような整備、活用が図られるように努めてまいりたいと、このように考えております。
○肥田美代子君 どうかその点もよろしくお願いします。 それから、さっきのことでもう一度お答えいただきたいのですけれども、その五百億の地方交付税について文部省はどのように市町村に指示を送ってくださるんでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) いろいろな都道府県の会議の場がございます。そういうときにこの交付税措置でこういうことがされたと、初年度は八十億ついたという話を十分徹底いたしまして、各県からもそれぞれ市町村にそういう指導をしてほしいということを既にお願いしております。 今後とも、よくその辺のところはフォローアップをさせていただきたいと思います。
○肥田美代子君 それでは話題を変えさせていただきまして、子供の権利条約についてなんです。 先日、衆議院の文教委員会でちょっと傍聴させていただきました。その際に、この権利条約の批准の意義について文部大臣がお答えになっていらっしゃいましたけれども、あのときは多分嶋崎委員のとっさの質問でございまして、恐らく大臣のお答えはあれじゃちょっと言葉が足りなかったとお考えじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 児童の権利条約の意義についてということで御質問かと思いますが、これは児童の権利に関するいろいろなことを定めておりますけれども、主として世界の多くの児童が今日でもなお飢えとか貧困とかそういう大変困難な状況に置かれているという現状にかんがみまして、グローバルな観点から教育も含む児童の権利保障の推進を目指したものというふうに認識しております。 この条約は、児童生徒の心身ともに健全な発展のために教育を初め各種の特別な保護と援助とを確保しようとするものでありますが、我が国といたしましては、日本国憲法にもそのような趣旨が書いてございますし、国際人権規約、昭和五十四年に我が国も批准いたしましたが、これとも軌を一にするものでございまして、基本的に教育基本法、学校教育法などに規定されております我が国の教育の目的、目標の趣旨に合致するものと考えております。 我が国といたしましても平成二年の九月にこの条約に署名いたしまして、昨年三月に国会に提出いたしまして、批准のために御審議をお願いしているという状況でございます。
○肥田美代子君 今、大臣がおっしゃいましたのは立法者の意思ということで、私はそれはよくわかるのでございますけれども、ただ、やはり政治家でいらっしゃいます文部大臣がお答えになる言葉といたしましては少しまだ足りないような気がするんです。条約の趣旨は、やはりその国その国の子供の状況にこの条約を当てはめていって子供の一日一日を本当に幸せにしていこうということでございまして、例えば日本の子供たちの状況は、じゃ本当に憲法があるから、ほかの法律や条約があるから十分に守られているかといいますと、決してそうじゃないと思うんですね。子供に関するいろんな今事件が起こっているということをもう一度考えていただきましてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますとおり、我が国には先ほど申し上げたようないろいろな法律がございまして、法律制度はこの条約と一致しているということが言えると思うんですけれども、現実の現場においてはいろんな問題があるということはおっしゃるとおりでございます。 ですから、先ほど来お話が出ておりますように、いろいろな問題点に対処するべくいろいろ努力をしているわけでございまして、例えば先ほどの話にもありましたとおり、児童生徒の個性やその希望や可能性を十分尊重して、それらが十分に伸びるような教育、指導、学校運営を行うように今教育の改革をいろいろなレベルで行っているところでございます。 この条約を契機といたしましてさらに一層の推進に努めていきたい、そういうふうに考えます。
○肥田美代子君 まあ、安心いたしました。 それで次は、児童か子供かという条約のネーミングの問題でございますが、この間大臣が嶋崎委員の質問に対しまして、お気持ちには同感、しかし残念ながら変えられません、遺憾ですというふうに答えていらっしゃったのを記憶しているんですが、恐らく大臣は世論が今どう動いているかということについては十分御承知だと思います。それで残念ながら変えられないというのは、私は本当にそうなのかなという気がいたしております。 なぜなら、この条約は多国間条約でありまして、日本語は正文じゃないんですね。単なる日本語の訳文なんです。ですから、例えば宮澤総理がPKO協力法のときにもっと国民にわかりやすい言葉に書きかえようとおっしゃいましたけれども、あのときは法律の正文が日本語でございましたから、結局通称名ということで変更になったと記憶しています。法務省も刑法をよりわかりやすい言葉に変えようという努力もぼつぼつし始めておられるようですが、やはり法律用語というのは日常の生活の中で生きた言葉、生活の中により密着した言葉であるべきだと私は思うんです。 それで、うちの児童はわんばくでねと言うお母さんがいれば別ですけれども、普通は、うちの子供はわんぱくでねというふうに言うと思います。まして、私は心配するんですが、学校現場で児童は小学生のみです。中学校、高校は生徒と言います。この条約は四十二条に広報の義務も明記してあります。ですから、中学校、高校の生徒に児童の権利条約というネーミングで手渡した場合、かなりの違和感があると私は思うんです。 この間、私はある中学生新聞で、中学校、高校の生徒が、僕たちは児童じゃなくて子供と呼んでほしいというような一文を見ましたが、これはかなり大切なところでして、この条約は子供たちのものですから、特に子供たちの意見を聞かなきゃいけないし子供たち中心に決めなきゃいけないと思うんです。 ですから、さっきも申しましたように、私は今でもその気になればこの名称は変えられると思うんです。いろいろ自民党さんの中にも制約はあるとは思いますけれども、ただ政府が出し直しをすればいいというまだ段階なんですよね。ですから、私たち女性議員もこの問署名を集めまして宮澤さんのところに持っていったんです。超党派の女性議員が皆さん署名をしてくださいました。これをもし出し直すということになれば全野党は大賛成ですし、自民党さんの中にもとてもやっぱりセンスのいい方がいっぱいいらっしゃいまして賛成してくださっていらっしゃいます。ですから、変えられないというのは外務省のメンツだけの問題じゃないかと思うんです。そのメンツを今大切にするときなのかどうかにとても疑問を感じますし、ここで大臣は閣僚の中で子供たちの唯一の味方なんです。ですから、どうか汗を流していただきたいんです。 本当に大変なことかもしれませんけれども、やる気になればやれると思いますので、その辺のお気持ちを伺って、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(森山眞弓君) 条約の訳文というのは御承知のように外務省と内閣法制局というところでやるわけでございますが、そのときに日本語として適当な言葉であるかどうかというほかに、ほかの法令やほかの条約でどう呼んでいるかということと、同じ定義のものであれば同じような言葉を使わないと食い違いが生じますので、そういうことを専門的に検討して訳文を決めると聞いております。 この児童という言葉ですが、今おっしゃいますように、中学生は生徒だと言われましたけれども、例えば児童福祉法とか児童手当法などは十八歳までを児童と呼んでいるわけでございまして、そのような法律、そのほかの類似の法律との整合性ということを考えて児童というふうに訳するのが適当だと判断されたと聞いております。 ですから、日本政府が批准する条約ということになりますと、やはり日本国内の今までにあります法律や条約の内容と同じものは同じ言葉で示すというふうにしていくことが原則でございましょうから、そういうことを聞きますと、この条約だけを見ますと先生の言われるような気持ちもわからないことはないし、子供たちはましてほかの法律との関係について特に深く承知しているわけではないでしょうからそういうふうに思うのも無理はないと思いますけれども、この条約について名称を児童の権利条約というふうに呼ぶことになっているというふうに思いますし、メンツではなくて、むしろ法律制度の整合性という意味があるのだというふうに私は解釈しております。
○肥田美代子君 済みません、終わろうと思いましたけれども、もう一言だけ言わせてください。 確かに整合性は大事なんですけれども、じゃ本 当に整合性が唯一大切なものかといいますと、例えば条約の中には婦人という言葉もございますし女子という言葉もございますね。法律の中には「こどもの日」という言葉もございますから、整合性ということでは私は余りこれは説明にはならないと思うんです。さっき大臣は児童福祉法のことをおっしゃいましたけれども、児童ということになりますと各法律の年齢の区切りが違うんですわ。道路交通法などでは六歳から十三歳です。ですから、それぞれの法律でこれだけ児童の区切りが違うにもかかわらず、新しい条約にまでまた児童という言葉を使うのはいかがなものか。むしろ私は、そうなりますと、児童とした場合には日本の法律の方をさわらなきゃいけないんじゃないかなという気もするんですよ。法制局の方も児童を子供にしたからといって問題にはならないというようなこともはっきりおっしゃっていらっしゃいますし、私は法律の用語の統一性なんかで逃げられては困ると思うんですね。ですから、その辺、もう少し直す努力をしていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 別に逃げるつもりではございません。しかし、法律用語の統一性、整合性ということはそれほど大事ではないというふうにお考えかもしれませんけれども、これまた一つの要件であることは確かでございまして、これを全く無視することはできないと思うんです。 ですから、個人的な気持ちとしては先生のおっしゃることもよく理解できますし世間一般の方々がどのように感じていらっしゃるかということも承知はしているつもりでございますけれども、この条約の正式な名称としては児童の権利条約ということでいかざるを得ないというふうに思っております。
○委員長(松浦功君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十分開会
○委員長(松浦功君) ただいまから文教委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○田沢智治君 私が質問をするに際しまして、まず参議院の文教委員会の構成員でありました森山眞弓先生がこのたび文部大臣に就任したこと、我が文教委員会全体を挙げて歓迎の意を表するのでございます。しかし、しっかりやっていただきたいと存じます。 そこで、私は、きょうは四つの項目に基づいて御質疑をしたいと思っております。全部できるかどうかわかりませんが、まず第一に高校教育の改革についてお伺いしたいと思っております。 去る二月十二日、高校教育改革推進会議の報告が出され、総合学科の創設が示されたことは、改革の声はあるけれども具体的内容がさっぱりないというような批判もある中できちっとした内容を示したことは、心から歓迎をしたいと思っております。特に、我が国における高等教育の進学率は既に九五%に達し、準義務教育になっていると思われるのであります。高校教育は、発足以来普通科と工業、商業などいわゆる職業科に分かれており、一般的に見て普通科は進学、職業科は就職と固定的になりがちであったのでございますが、現在では必ずしも生徒のニーズに合っていない制度の実態が問われているように思われるのであります。 そこで、今回設置しようとする総合学科は、高校教育の改善と弾力化、多様化を進める上で大変意義深いものがあると私は思っております。 現在のように変化の激しい時代に、十五歳前後で将来の方向を固定的に選択するということは大変難しいことであり、高校に入ってみたけれども、どうも自分の思ったイメージとは違うという無気力感になったり、年間十一万人に及ぶ多数の退学者が出るというような現象が出ているのも、制度の中における欠陥があるんじゃないだろうかということを私は思う一人です。また、一つの価値観で皆が競うということになると偏差値万能という現象が幅をきかすことになり、多様な選択の中で価値の尺度を分散することになれば、総合学科は教育全体の改革にも大きな役割を担うと期待していいのではないか。 しかし、このように総合学科は例外的、特別な学校として設置するのでは改革にはならないと考えるのであります。少なくとも、現在の職業高校の改善を図る上からも早急に設置し、希望するすべての生徒を受け入れ可能にすることが望ましいと思うのでございますが、総合学科の設置目的と今後の設置目標をいかに考えているか文部省から聞きたいと思っております。
○政府委員(野崎弘君) 総合学科についてのお尋ねがあったわけでございますが、先生今御指摘ございましたように、現在の高等学校の学科は、普通教育を主とする学科と専門教育を主とする学科と二つになるわけでございまして、学科をつくった場合にどっちかに考えを決めにゃいかぬ。そして、現在は普通科志向というものが大変強いということで普通科の方へ子供たちが流れていくと、こういう状況があるわけでございます。 そういう中で、平成三年の四月に中央教育審議会の答申がございまして、「普通科と職業学科とを総合するような新たな学科」を創設したらどうかという御指摘がございました。これは、やはり生徒の興味、関心、そういうものに応じられるように高等学校教育が多様化していかなきゃいかぬということの一環で出されたわけでございます。それを受けましてこの推進会議で検討いたしまして、二月の十二日に最終報告が出されたわけでございます。 総合学科は、したがって普通科目のみならず専門科目も多数そこで開設をする。そして、生徒が自分の興味、関心に基づきまして履修する科目を選択する、こういうことなわけでございます。そういう自由な選択を通しまして、能力、適性等を多面的に評価する。そういう中で、今先生御指摘ございましたように、いわゆる偏差値を尺度とします高等学校間の序列意識というものを打破できる契機になるんじゃないか、こう思っておるわけでございます。 それで、今後これが例外的なものであれば意味がないではないかと、こういうお話でございました。 私どもは、総合学科というものの考え方、これがやはりこれから高等学校教育を通じて大事な考え方であろうと思っております。つまり、普通科に行く子供でも就職する者はいますし、職業科でも進学する者がいるわけでございますので、普通科、職業科ともに、やはり普通科は普通科の教育をすればいいんだとか、そういうことじゃなしに、普通科におきましてはやはり職業的な科目を開設することも大事ですし、それから職業学科において普通科的な科目も開設していくというようなことも大事なわけで、普通科、職業科もやはりこれからいろんな多様なものになってほしい。その中でやはりこの総合学科というものがぜひ大きな力をつけていただきたいと思っておるわけでございます。 当面、今後どうするんだということでございますが、報告をいただきましたので、これから制度、いろいろな仕組みの改正を行いまして、平成六年には改正ができるように準備を進めたいと思っております。この平成五年度の間にそれぞれ設置を検討している県もございますので、そういうところの検討をまちまして平成六年には開設ができるようにしたい。恐らく、当初はなかなか数の上では大きな数にはならないと思いますけれども、やはり各県でそれぞれ工夫をしていただきたい。そういう意味で、私ども余り総合学科には枠をはめておりません。もちろん必修教科などは必要ですけれども、できるだけいろいろな工夫をしていただきたいと思っておりまして、各県でやはりいいものをつくっていただいて、それが全国にも波及 するということを考えていただきたいと思っております。 それからもう一つは、総合学科の特色は、やはりいろいろなものが開設され、そしてまた子供たちが選択できるというところにあるわけでございますので、既設の高等学校におきましても複数の学科を持っているような場合には、今まではその学科の間で定員が決まっているわけですけれども、むしろそれを総合学科として定員を決めて、今まで持っていた、開設しているものを生徒の興味、関心によって主体的に選択できる、そういうような形で総合学科にかわっていくということも可能じゃないかと、こう思っておりますので、そういう観点で、今先生御指摘ございましたように、総合学科の設置が今後さらに進んでいくようにいろいろな面で指導なりまた趣旨の徹底を図っていきたい、このように思っております。
○田沢智治君 鋭意努力してその実現を期してもらいたいと思っております。 ところで、今回の総合学科は単位制の高校として設置することが提案されているものであると認識しておりますが、入試方法はどんなようなことを考えていますか。
○政府委員(野崎弘君) 単位制、これは結局総合学科ということになりますと、子供たちが自己の興味、関心に基づいて科目を選択をするということでございますので、従来のように学年制のような発想で科目を構成することはできないわけでございます。そういう意味で、この単位制を取り入れたわけでございますが、やはり入試につきましてもこの報告書の中にいろいろ提言をされているわけでございますが、推薦入試あるいはいろいろな能力、適性を持つ生徒を入学させる必要があると思うわけでございます。 そういうようなことで、いわゆる狭義の学力のみならず、文化、スポーツ活動あるいはボランティア活動等の実績を重視した推薦入学、そういうものの導入など多様な選抜方法を工夫していただきたい。この辺も文部省としてこうしなさいというのじゃなしに、やはり各県のいろいろな工夫で多様なものが実現できればいい、このように私どもは考えているわけでございます。
○田沢智治君 大変ユニークな考えで、ぜひ成功させて多くの若者に夢と希望を与えていただきたいと思っております。 そこで、単位制の総合学科を有する高校ができる。職業高校教育との整合性についてどう考えておられるのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 結局、総合学科ということでございますので、開設する科目が普通科から職業科まで広がってくるわけでございまして、子供たちがそこで主体的にいろいろなものを選択するということでございます。 ただ、職業学科というのはどうしても農業、工業というようなことで特定の技術をそこで習得させるというような形のものになってくるわけでございますけれども、やはり総合学科ができることによりまして職業学科におきましてもいろいろな教育内容の改善を図るとかあるいは学科の枠を超えた選択制の導入とか、そういうようないろいろな努力もしていただかなきゃならぬと思います。両方の仕分けということになりますと、総合学科というのはいろんなものを多様に開設していただく、そして子供たちが選択する、職業学科の方は特定の領域という形がやはり基本的に違う点ではないか、このように思っております。
○田沢智治君 総合学科は生徒の希望に基づいて選択し、履修する科目が多様であることから単位制ということが私は適当であろうかと思います。しかし、学習指導要領によりますと、もともとは高校は小中と異なりまして、時間数ではなく必要な取得単位数で示されており、単位制が基本であるとも言えるのではないかと思うんですが、御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 高等学校につきましても、やはり学年制と単位制を併用しておったというのが大部分の高等学校かと思います。これは、学年制ということになりますと学習の順序性とかあるいは系統性の確保が容易であるというような利点がございます。あるいはクラス単位に分かれますので、そういうクラス単位による生徒指導が容易であるとか、それから効率的な学校運営が行われるというようなメリットが従来あるということで単位制と学年制というものが併用されている。 ところが、学年制が併用されているがために、一単位でも落とすとまた同じ学年をやらなきゃいかぬ、いわゆる留年みたいな形があるというような弊害も指摘されておるわけでございます。従来、学年制で運営されておりました高等学校におきましても、一単位を落としたから進級できないんだということじゃなしに、その辺は弾力的に措置を講じてほしいというようなことを今度の新しい学習指導要領の中には書き込んだりしておるわけでございまして、学年制は基礎としつつも、やはり単位制のメリットというものを今の既設の高等学校におきましても十分取り入れていただきたい、このように私どもは考えております。
○田沢智治君 今、局長が話したように、従来の考えは学年制が主力ですから一教科でも落とすと留年というような、極端な例を引きますとそういうことになる。今度は単位制を導入するということになると、やはりその整合性をとりながら、ある一面においては単位制、ある一面においては学年制というもののバランスをとりつつその子の個性と能力をどのように引き出し、どのように伸ばしてあげるかという親切味のある愛情教育というものが今欠けているところに大きな課題が私は残っているんじゃないかと思うんです。 今回の場合は、総合学科というものの中に単位制をある程度入れたということは、そういう弊害というものを乗り越えて、ある意味における制度の弾力化、多様化というものを通して子供一人一人の個性というものを見ていけるような、大事に育てていけるような一つの教育的効果が出てくることを私も期待しておりますが、そういう運用を文部省としては期待しておりますか。
○政府委員(野崎弘君) 単位制高校につきましては、既に定時制、通信制につきまして昭和六十三年からこれを取り入れているわけでございまして、現在既に全国で三十六校ほどそういう高等学校ができております。学習歴あるいは生活環境など多様な生徒を広く受け入れて大変成果を上げているわけでございます。 やはり、そういうメリットを全日制の高等学校にもぜひ生かしていただきたい、こういうことで今回全日制の単位制高校ということも動くわけでございまして、まさに先生おっしゃったようなことでこれから総合学科、そしてまた単位制高等学校の教育が実施されますことを私どもも期待しているわけでございます。
○田沢智治君 私もぜひそれを期待したいと思っておりますので、大いに推進していただきたいと存じております。 次に、私学振興対策について二、三お伺いをさせてもらいます。 最近、一部の有力者から私学助成は憲法違反であるというような発言がございまして、今自民党内でも憲法問題について議論をしておるところでございますが、そういうような意見、これからいろいろな形で出てくるのではないかと私は憂慮しておるのですが、きょうは内閣法制局の見解を明確にしてもらいたいと思っております。 私は、私学助成については憲法八十九条に書かれた公の財産の支出、利用の制限に関する規定との関係が問題になっているということは承知しております。しかし、私立学校は国民が教育を受ける権利を保障する公共性を持った学校教育を行っておりますし、御承知のとおり、平成四年度においては高等教育全体に占める私立学校の数だけでも七五%、実に学生数にしては二百十七万人という全体の高等教育を受けている学生の八〇%を私学が担っているという現実、このことは国民が教育を受ける権利を保障し、教育の機会均等という観点から私立学校の担っている役割は実に大きいものがある、こう思っております。 また私立学校は、学校教育法、私立学校法等に より、その設置、廃止の認可や閉鎖命令、寄附行為の認可、残余財産の処分の制限等に担当の規制を受けております。もろもろの国の支配を一定限度以上受けている公教育機関であり、公の支配に属する事業であるという憲法解釈上既に決着がついておると私は思っておるのでございますが、内閣法制局の見解を承りたいと存じます。
○政府委員(津野修君) お答えいたします。 ただいま私学助成と憲法第八十九条についてのお尋ねがございましたわけですが、御承知のとおり、憲法第八十九条には、公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対して公金の支出とか公の財産の利用を禁止するという規定があるわけでございます。 ところで問題になりますのは、公の支配に属するということでございますけれども、その点につきまして、私立学校その他の私立の事業に即して申し上げますと、公の支配に属するといいますのは、その会計、人事等につきまして国あるいは地方公共団体の特別の監督関係のもとに置かれているということを意味するわけでございます。 私立学校につきまして具体的に申し上げますと、私立学校振興助成法等法律がございますが、そういう法律に定めるところのいわゆる所轄庁の監督に関する規定がございまして、こういった規定と申しますのは助成を受ける私立学校を公の支配に属させる意義を有する規定であるというふうに考えることができるわけでございます。 この点につきましては、昭和五十四年の三月十三日に参議院の予算委員会におきまして、当時の内閣法制局長官の方から、私立学校法、私立学校振興助成法等の制定の経過を踏まえまして、現行の法体制のもとにおきましては私学に対して国が助成をすることは憲法上も是認されるのだという解釈が肯定的に是認され、かつ確立したというふうに考えるというような答弁をしているところでございまして、この考え方は現在も我々は変わっていないということでございます。
○田沢智治君 法制局としては憲法違反にならぬというふうに、はっきりと言明できますね。
○政府委員(津野修君) そのとおりでございます。
○田沢智治君 ちなみに、私もいろいろな資料を求めてきょう臨んだんですが、今の憲法学者の大勢は憲法違反に当たらないということで大体まとまっているように思っております。特に、憲法学者を代表する佐藤功先生の平成三年に発行された「日本国憲法」の中にもはっきりとそういう位置づけ、「私立学校に対する右のような助成は違憲ではないと解することができよう。」ということをはっきりとうたっておりますし、また千葉地裁で、私立学校に助成金を出すことは憲法違反であるという市民有志の訴えに対して判決が出ております。 私立学校は、伝統的な自主性を持つ反面、公的な性質を有するものとして系統的な学校制度の中に組み込まれている。 教育基本法、学校教育法、私学法、助成法等々の教育関係法規により、私立学校は、その設置、廃止、教職員の資格要件及び教育内容等について法的規制を受け、また、私立学校の設置主体である学校法人についても、その資産、組織、管理に関して法的に規制され、さらに、補助、貸付等の助成がなされた場合についても、法的規制を受けているのである。 わが国において私立学校に対する公的助成が広く必要とされる社会情勢にあることも前記のとおりであり、かような総合的観点からするときは、憲法八九条後段の規定する「公の支配」に属する事業とは、国又は公共団体が人事組織、予算等について根本的に支配していることまでをも必要とする趣旨ではなく、それよりも軽度の法的規制を受けていることをもって足り、私立学校について言えば、教育基本法、学校教育法、私学法等の教育関係法規による前認定の程度の法的規制を受けている場合には公の支配に属しているものと解し得るのである。それゆえ、およそ私立学校に対する公的助成が憲法八九条後段に違反するとの主張は、採用することができない。 これは、地裁ではっきりと判決を下しております。 私は、そういうような客観的な資料等を見ても憲法違反であるという意見がこれからたくさん出てくるのではないかということを心配しておりますが、そうではない、内閣法制局もそのような見解を持っているということの確認ができたと思うんですが、文部省としてはどういう見解をとられますか。
○政府委員(中林勝男君) 文部省といたしましても、ただいま内閣法制局の方でお答えになったとおり、そのように理解をしたところでございます。
○田沢智治君 私学なくして日本の教育はない、あえて言えばそういう状況にあるということで、ひとつ私学振興に文部省も力を入れてほしいということを要請したいと思っております。 次に、最近の経常費の助成率について二、三お聞きいたしたいと存じます。 私立学校振興法には、私立学校に対しては国は経常費の二分の一以内を助成することができるという規定が置かれ、同法制定時にも、「できるだけ速やかに二分の一とするよう努めること。」という附帯決議がなされております。それにもかかわらず、実際の補助率は制度創設以来二分の一をはるかに下回り、年々低下の現象で推移している。最も新しい年度の補助率、平成五年度計算ができれば、できなければ四年度でもよろしゅうございますが、どうなっているかお聞かせいただきたいと存じます。
○政府委員(中林勝男君) 補助割合でありますけれども、新しいところとしましては平成三年度でございます。平成三年度で一三・三%ございます。 なお、ちなみに補助割合のピークは昭和五十五年度でございまして二九・五%、そのときの私大等の経常費補助金は二千六百五億ということでございます。その間、学校数、学生数等の増加が著しくあるということも背景にございます。
○田沢智治君 今の話を聞くと年々確かに低下している。低下しているものをどう上げたらいいか、何かお考えがあれば聞かせてください。
○政府委員(中林勝男君) 私大等の経常費補助金でありますけれども、これはかねて臨調・行革審の御指摘もございまして総額が抑制をされてきたということがございます。私どもは私学が、特に高等教育については量的にも質的にも大変大きな役割を果たしておりますし、高校以下についても大変重要な役割を果たしているということで、年々財政事情の大変厳しい折ではございますけれども、精いっぱいの努力をしてまいってきたところでございます。 そのようなわけで、年々努力はしてまいりましたけれども、母数となります学生数あるいは学校数の増加、これは十八歳人口が急増してきたという社会的な現象を背景にしているわけでございますけれども、そのような事情もございまして、年々の努力にもかかわらず助成水準については結果的には低下をしてきたと、こういうことだというふうに考えているところでございます。
○田沢智治君 大蔵省は見えていますか。 きょうは大蔵省にきちっと言っておかなきゃいかぬと思ってあなた方をお呼びしたんだが、大蔵省は毎年の予算編成時においては私学助成の減額というものを打ち出している。これはどういう理由で減額を先に出すのですか。
○説明員(福田進君) お答えいたします。 今、私学部長からお話がございましたように、まず昭和五十六年に臨調の第一次答申、いわゆる土光臨調の第一次答申におきまして、「私立大学等助成費については、」、途中省略いたしますが、「総額を前年度と同額以下に抑制する。」との答申をいただいております。また、五十七年に第三次答申、基本答申でございますが、ここにおきましても「私学助成については、当面総額を抑制し、」、途中省略いたしますが、「適切な教育・研究プロジェクトについての助成を重視する等の改善を図る。」。さらに五十八年、最終答申でございますが、これにつきましても「(私立大学等経常費補助及び私立高等学校等経常費補助)」を「当分の間、い ずれについても総額を抑制する。」、「私立大学等に対する補助金の配分方式」につきましては「一般補助について、」「傾斜配分を強化する。」「特別補助の助成総額に占める割合を高める。」等々の答申をいただいております。また五十九年には、「私学助成の総額抑制・配分方法の合理化等、」「を図る。」。六十年の行革審の意見におきましても同じように、「私学助成の極力抑制と配分合理化等の措置を」維持すると。六十一年の同じく行革審答申におきましても「特色ある教育・研究プロジェクトについての助成をより一層重視するとともに、」「引き続き総額を抑制する。」といったこと。また、六十二年につきましても、効率的な助成を推進しろという答申なり意見なりをいただいております。 また、御案内のように、臨教審におきましても昭和六十二年の四月におきまして、「私学助成の充実に当たっては、経常費補助を基本的に維持・充実しつつ、大学院の整備、外国人教員・留学生の受入れなど今後比重を加えるであろう分野に配慮し、また特色ある教育研究プロジェクトに対する補助の大幅な拡充を実現する」といった答申をいただいております。 また、昨年の年末でございますが、十二月十九日、財政制度審議会におきまして、私立大学等につきましては、「私立大学等経常費補助の配分については、」「より一層の見直しが必要である。」、高等学校経常費助成費補助につきましては、「国と地方の機能分担、費用負担の在り方の観点から見直しを進めるべきである。」「以上を考慮し、私学助成については、引き続き総額抑制を図るとともに、その重点的・効率的配分等内容の見直しを進めていく必要がある。」、こういった報告をいただいております。 私どもといたしましては、私学助成につきましては以上申し上げました従来からの臨調・行革審答申、財政審の報告等を踏まえまして重点化、効率化に努めてきたところでございます。 五年度予算におきましては、御案内のように、総額で八十億、私大等経常費につきましては五十四億、高校等の経常費補助金にあっては二十四億、研究装置施設整備補助金にありましては一億、私立大学研究施設整備等補助金にあっては一億それぞれ増額し意を用いたところでございまして、今後とも私学助成につきましては厳しい財政事情、臨調・行革審答申等の指摘、それから先生今お話しになりました私学の果たしている役割等を総合的に勘案して、今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。
○田沢智治君 今、大蔵省からいろいろお話がありましたが、配分の合理化とかあるいはその効率的配分、内容的な意味における検討をせよということは、これは当然だと思います。また、国の金だからこれを効率的に使うというのは当然だと私は思っておるんですが、何せ御承知のとおり物価がどんどん上がる。積算基礎条件という経常費の積算基礎が何十年来全然上がってないということは、一体これはどういうような考えをもって上げてないんですか。
○説明員(福田進君) くどいようでございますが、私学助成につきましては、今申し上げましたような累次の臨調・行革審答申等を踏まえて重点化、効率化に努めてきたところでございます。 そういった見地から私立大学等の経常費補助金について申し上げますと、特色ある教育研究プロジェクトについての助成でございますいわゆる特別補助を充実させてきておりまして、このために、御指摘のとおり、一般補助につきましてはこのところ据え置きとなっているわけでありますが、他方で特別補助につきましては、いわば厳しい財政事情のもとではございますが、飛躍的な伸びを確保しているところでございます。 ちなみに、特別補助の伸び率で申し上げますと、元年度が二三・二%、二年度が一四・九%、三年度で一四・九%、四年度一四%、そしてただいま御審議いただいております五年度の予算におきましては一五・七%の伸びを確保しているところでございます。 五年度予算におきましても一五・七%、五十四億の増額でございますが、このすべてを高等教育、の高度化、学術研究の充実等に重点を置くことといたしまして、全額高度化推進特別経費、研究推進特別経費などのいわゆる特別補助に充てることとしているわけでございまして、今後とも補助金の効率的使用を図る観点から重点的な効率的配分に努めてまいりたいと考えております。
○田沢智治君 確かに、平成五年度は八十億と大変努力してくださったことに我々も感謝はしておるわけでございますが、内示を出すときに現状からマイナスシーリングみたいな形で毎年一〇%だ五%だといってなぜ引くのかというんです。結果的には、やはり国民的世論というものは私学が大事だということははっきりしているんだし、そして大蔵省も努力して八十億ことしはつけてくれたし、昨年も七十二億ですかをつけてくれたということで我々も感謝しているんですけれども、どうせ出すならやっぱりちゃんと現状維持なら現状維持で出しておいて、そして重点配分のこういう面についてはひとつ大蔵省も考えるから私学側も努力しろよというように、同じ金を使うならば喜んで感謝して使い、効率的にあるいは合理的にやれとあなた方が言っているとおり、そういう気風というものを私は振起してほしいと思うんですが、福田さんどうですかね。
○説明員(福田進君) 私、五年度予算編成をさせていただいたわけでありますが、そのときに考えましたことは、一つには御案内のように、五年度の税収が非常に落ち込んでいる、財政状況が非常に厳しいという状況が一方でございます。他方で、特に大学について申し上げますと、大学に進学している人は今進学率が高まってはおりますけれども、少数派でございます。私の頭によぎりましたのは、他方で同世代の半数以上の人が働いていて税を納めている。その状況のもとにおきましていかにして効率的な予算をつくるか、補助金を配分いたしますときに納得の得られるような配分の仕方をしなきゃいけない。パイが限られている、ないしは諸般の事情で前年度よりもより一層限定されざるを得ない、そういう状況のもとで予算を組む場合に私どもとしてのスタンスをある程度示させていただくという意味もございました。 前年度までの内示の仕方、どういう内示をしていたのかという一種のスタンスがそこに示されているわけでありますが、それも頭に置きながら総合的に勘案いたしまして、昨年度四年度予算の場合には、御案内のように、三年度予算に比べまして私大等の経常費補助率におきましては五%、それから高校等につきましては三年度五%の三角であったのが四年度には一〇%の三角という内示をしております。他方で、私大等の装置につきましては三年度がマイナス五%の内示でございましたがゼロ、前年度同額という内示をさせていただいております。 五年度につきましてはそういう今までの内示の推移を頭に置きまして、私大等経常費につきましては三角五%、高校等の経常費につきましては三角一〇%、装置設備につきましてはゼロ%ということで、先生御指摘のような内示をさせていただいたわけでございまして、結果的には八十億増ということになった次第でございます。
○田沢智治君 三四%前後でしょう、大学へ進学しているのは。だから、その層の多くは働いているとあなたは言うけれども、それならば国立大学の一人当たりの国の公的財政の支出、僕の試算では平成四年は二百五十六万円ですよね。私学の助成は何ぼかというと、二千何ぼのうち大学の方だけ頭数で割ると十三万二千円ですよ。一対十九の関係ですよね。 だから、こういうことになってくるとすれば、高等教育の八〇%は私学が支えているわけでしょう。日本の国を動かし、日本の国に活力をもたらし、国民の豊かな生活を支えているということの現場で働いているのは私学出身者が多いんですよ。私学出身者の大学卒とそれから高等学校、中学を出た人たちが一緒になって日本の国を支えて、それぞれの御役御役で構成し合って助け合っ ていくから日本は今日これだけ繁栄しているわけですよ。ですから、私学関係の人たちだけたくさん出しちゃったら働いている人たちに不公平じゃないかというもし考えがあるとすれば、そうじゃなくて、お互いに協力し合い、知恵ある者は知恵を出して、汗を流す者は汗を出して、その人格においてはこれは公平平等ですよ、命をたっとぶということも同じ。そういう役割役割をそれぞれがやはり果たし合って国家というものを形成しているんじゃないんですか。 とするならば、二百五十六万円を国立大学の学生一人に出していて、私学が十二万二千円で、働く人のことを考えるとそんな出せませんという論理はやっぱりちょっと無理があるんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。
○説明員(福田進君) 私が申し上げましたのは、先生にちょっと誤解があったか、私の舌足らずかもわかりませんが、それは私学だけではなしに、もちろん国立も含めまして文教予算の配分に当たってないしは文教予算を編成するに当たっての事情を述べましたので、その点は一つ補足させていただきたいと思います。 それから、今国立の大学生の場合と私立の場合の比較がございましたが、これは今手元に細かい資料がございませんので細かいことは申し上げませんが、一つは頭で配分する場合のその分母、分子に当たりますものにつきまして、どこまでを分子に入れどこまでを入れないかという、この配分の区分の問題もございますので、それで一対十九という先生がお示しになりました比率がそのまま妥当するかどうかにつきましてはちょっと疑問があるんじゃないかということだけ申し上げさせていただきます。細かい数字がないものですから今ここでは申し上げませんが、その疑問だけ呈させていただきたいと思います。
○田沢智治君 本当は、これは予算委員会で僕が全国のテレビを通してぴしゃっと今度はやろうかと思っているんだよ。 それで、日本の教育というものは国是だからやっぱりきちっとしなきゃだめなんだよね。だから、そういうようになれば私立学校国庫負担法というようなものを議員立法か何かで出して、国もこれだけ責任持つ、そのかわり私学はこういう点でしっかりやれと。国立大学はこうするからおまえらもしっかりやれというふうに負担をきちっと決めて、それぞれの機関がそれぞれの力を出し合ってもっとすばらしい日本をつくらないと、これまたアメリカとの格差が出てきますよ。 今クリントン政権は、御承知のとおり、日本の教育制度は非常にすばらしいし日本の教育に学ばなきゃならぬといって教育振興を大きな柱にしているわけですよ。それと同時に、科学技術の振興と産業技術の振興をこれまた一生懸命やらないと日本には勝てないというようなことで、向こうは国挙げてそういうものに重点政策として取り組もうとしているわけ。 それで、日本は私学がやるならまあやってもらえばありがたいんだというような気持ちじゃないかとは思いませんけれども、内示のときに一〇%頭を切っちゃうというような、そういう不親切なやり方は私は来年度からは考えてほしい。総額抑制するというのなら前年度比でいいじゃないですか。それで、重点配分についてはこうするああするという意見が出されたら、もっと出される方も感謝するんじゃないかと思いますので、その辺のところをひとつ御配慮いただき、福田さんの意見も私は非常によしとして受けます。それと同時に、今後とも私学振興に対して限りない御支援を、あなた一番よく知っているんだから、理解者なんだから、理解者は大事にしなきゃいけないから我々も一生懸命大事にしますから、ひとつ御支援をいただきたい。 最後に、文部大臣、ちょっと御感想をお聞かせください。
○国務大臣(森山眞弓君) 私学の助成というのは予算作業の中でも文部省にとって大変大事な項目の一つでございます。私も大臣に新しく就任して早々に予算作業がございまして、十分わかっていたわけではないんですけれども、その重要性ということは議員当時から身にしみておりまして、一生懸命努力させていただいたつもりでございます。大蔵省にも考えていただきまして、第一次内示のときょりは相当考慮していただいたというふうに感謝しているわけですが、私学と申しますのは、先生もおっしゃいますとおり、量的にも質的にも国民の教育という面で果たす役割は非常に大きなものがございますので、これからもその重要な役割にかんがみまして、その発展、充実ということに文部省としても努力をしていきたい。予算の面でもこれからも大蔵省の協力もいただいて、精いっぱい頑張ってまいりたいというふうに思います。
○田沢智治君 人事院来ていますか。今度はあなたの番。 余り褒めることは一つもないので申しわけないと思うけれども、教育は人なりという、それと同時に教育者というものは生徒一人一人の全生命を守るということにおいては大変な重い責任を持つわけですね。私も学校教育をやっているから現場がよくわかるし、現場の先生とも給料、手当等含めて団交を私はやっているから、実際の現場はわかっているんですよ。 ところが、一般的に見て教員というものの給与が、昔はやっぱり警察官か学校の先生かというぐらいに給与も高かったし社会的評価があったわけですよ。それだけ命がけでできたということは、しなければならないという責任感を持っていたわけ。最近、人確法ができて以来今日に至る経過を見ると、実質的には大変目減りしちゃって、学校の先生といえどもようじをくわえて高ようじでいこうなんという時代はもう終わっちゃったわけですよね。周りの生活がよくなれば、やっぱり学校の先生の生活も周りよりもややよくしていくことによって、私も先生になりたいなというような、そういう気持ちを持たせ、いい先生を生み出す社会的土壌というものを政治家はつくらなきゃならないと思っています、私は。 それで、人確法ができたということおいては、非常に私はいいものができたなという気持ちでおったんですけれども、最近の実態を見ると、それがもう一般の行政職のレベルから見ると全部埋没しちゃって、行政職は十一に分けるレーンがあるわけですよ、給与表にね。教員は一レーンきりないんだ、一レーンきり。教頭になって一つ移行する、校長になって一つ移行する。だから結局、言うなれば三つのレーンで走っているわけですよ。教頭にもなれないし校長にもなれない教員は、採用されてから定年まで一つのレーンを走るという こういう非合理的な、俗に言うと格差に対して人事院は責任ある答申を大蔵省がどこか知らぬけれどもやらなきゃならぬと私は思うんですが、あなた方はどう考えているの。
○説明員(武政和夫君) お答えいたします。 そういった教育界にすぐれた人材を確保するというのが非常に大事だという趣旨に基づきましていわゆる人材確保法というのが制定されまして、そして究極的に学校教育の水準の維持向上に資する、こういうことであろうかと思いますが、その方策としまして、「義務教育諸学校の教育職員の給与については、」「必要な優遇措置が講じられなければならない。」とした法律がございます。これに基づきまして、教員給与につきましては昭和四十九年以降三次にわたりまして計画的な特別改善、給与水準を引き上げ、初任給を改善し、そして教頭の法制化に伴う等級を新設し、教員特別手当、部活動手当といったものを行っております。 その後につきましても私どもはその人材確保法に基づきまして必要な措置をしたと考えておりますが、その後におきましても毎年の給与勧告に当たっては、この特別改善の趣旨を尊重しましてその効果を損なわないように努めてきておる、このように考えております。
○田沢智治君 それはまあ、理屈からいえばそういうことは言えるんだよね。 ただ、御承知のとおり、初任給は教員の方が高い、行政職よりもね。ところが、十年、二十年、三 十年ということになると、結局係長になったり課長補佐になったり大概していくんですよ。そうするとレーンが移るから、実質的に本俸でいくと一般教職員の本俸のレベルは一般行政職よりもややいいんですよ、間違いなく。ややいいけれども、わたりがないから年齢層から対比すると実質的に目減りしちゃっているわけですよ。 ですから、やはりいい教育をさせるにはいい教育にふさわしい待遇というものを保障して、そしていい仕事をさせていくということにならないと優秀な人材というものは教育界にはなかなか残りづらくなると思うんですよ。 私が一番心配するのは、教育界にいい人材が来ないということになると日本の将来は暗いと思う。アメリカが製造業がだめになって日本の製造しておるすばらしい工業製品を買わざるを得ないということは、情報化の方にいいのが打っちゃって製造業に優秀なのが残らなかったわけ。同時に、大学とかそういうところにも優秀なのが残らないで、景気のいい産業界に行ったり情報産業に打っちゃったから空洞現象が起きちゃっているわけですよ。日本もこのままいくとそういう方向になることを非常に危惧しているんです、私は。 ですから、大蔵省がうんと言わなきゃ人事院が答申してもむだになるからやらないというような、そういう官僚的発想じゃなくて、国家の将来の大計の中で今職務として何をやらなきゃならぬかというやっぱり使命感で、あなた方はあっちへうろうろこっちへうろうろしないで職務に忠実な答申を国家百年のために私はやってもらわなければならぬと思うんですよ。 もちろん、あなた方に言わせりゃやっているよということを言いたいんだろうけれども、そういう目減り現象があるということになると、一つや二つ、二十年勤めたら一号アップするレーンをつくってあげるとか三十年勤めたらもう一号アップするようなレーンをつくってあげるとか、そういうような配慮を将来性として検討してもらいたいと思うんですが、どうですか。
○説明員(武政和夫君) 先生におしかりをあるいは受けるかもしれませんが、目減りとおっしゃいました。しかし、目減りと申しますのはいろいろ特別改善のときに行いました義務教育等教員特別手当、これは当初六%相当額ということで定額で決めたわけですが、その後額をいじっておりませんので、その辺につきましては確かに目減りとおっしゃられるのもわかるわけですが、その他につきましてはそれぞれの職務内容に応じまして俸給表なり手当を改善しておる、このように私どもは思っております。 しかし、一方では特別調整額、いわゆる管理職手当が出るような非常に上位な方につきましては確かに行政(一)の職員の方が上になるということがありますが、これはこれでまた管理監督という、 そういう仕事の内容の違いに基づく手当でありますからやむを得ないんではないかなと、こう考えております。 ただ、今後におきましても、従来の経緯も踏まえまして、教員の処遇と人材確保の大事さということは承知しておりますので、引き続き遺漏のないように適切に対処してまいりたいと、こう基本的には考えております。 ただ、これもお聞き苦しいかと思いますけれども、あえて申し上げさせていただきますと、いろいろ公務には多種多様な職種がございます。したがいまして、この公務部内の相対関係あるいは公務員の中の給与秩序というのも非常に大事ではないか。どれでも、教員ももとよりですが、その他の職種につきましても懸命に働いてもらわなくちゃならないわけでして、そういう意味で人事院としては全職種について目を光らせていく必要があると、このように考えております。 ただ、先生はさらなる特別改善を教員に図ったらと、こういう御意見かと思いますが、これにつきましては、そういったいろいろな職種があるといった事情あるいはお金の問題もその中にありましょうし、そういう意味におきまして関係各方面の支持と納得が不可欠ではないか。 そして、実際人材確保の現状がどうなのか、昭和四十九年当時と現在とどうなのか、あるいはその後の公立学校、大部分がこれは先生ですから公立学校の問題だと思いますけれども、給与水準がどうなっているのか、その辺をよく状況把握をしていただき、そして関係者の御議論をいただき、そして人確法上の措置はこうあるべき、それに準じた措置はこうあるべきというようなコンセンサスあるいは環境整備といいますか、そういったものが図られる必要があるのではないか、このように考えております。
○田沢智治君 環境整備ということになると、私立学校は給与体系をよくしている。公立の中高の先生、小学校の先生よりも私立学校の先生の方が多分平均二号俸ぐらい上ですよ。だから、いじめとか校内暴力なんというのは私立に余りないわけよ。それは、いい人材をある程度確保しているからだと僕は思う。 それと同時に自分たちが、そういうことが学校内で起きるような現状をつくると学校がだめになるから危機感を持って一生懸命生徒に接する、そういう努力をしているわけ。公立の先生方は人材が悪いと言っているわけじゃないですよ。いい人材をさらに生かすには、やっぱり二号俸ぐらいレーンをつくって、将来性の中で十年いたら私はこのくらいになる二十年いたらこのくらいになる三十年いたらこのくらいになるんだというように、先生頭いいからちゃんと計算しているんですよ。一本の路線きりで単線運転しかできなきゃ、何ぼになっても何ぼだということきりわからないでしょう。そんなような希望も涙もないようなレーンを維持していくなんというのは非近代的ですよ。 ですから、やっぱり十年たてば十年苦労した分だけのすばらしい知恵を持ち、すばらしい教育技術を持ち、すばらしい英知を持っているんだから、それに見合うようなやっぱり給与体系というものをしいてあげるということは教育界というものを活性化する上において私は大事だと思う。ですから、この辺のところ、ひとつ十分に上司とも話し合って検討してください。これは一点お願いしたい。 それから、これは文部省がどうか知らぬけれども、大規模校の校長は一四%の手当出ているね。人事異動で中規模以下になっちゃったら一二%に減ってしまうと。これはもちろん職務だからしょうがないだろうけれども、一四%で一生懸命大規模。で努力した校長が今度は人事異動で中以下になったら一二%に減っちゃうというのは、これでいいのかなと思うんだな。やっぱりもう大規模でうんと苦労した知恵なり努力というものは小規模校へ行ったって、それだけのパワーと力を養成しているんだから当然質量ともそれだけの力が発揮できるということを想定したときに、実質的に給与ダウンするということは結果的には左遷されたというような印象を持つのようちのお父ちゃん何だと、今度は給料減っちゃったじゃないかということになると、おやじの権威もなくなる。これは一番いけないことだと思う。 だから、一たん上げたらば、やっぱりそれだけの人ならば、何かまずいことがあれば別だけれども、そうじゃない場合はそれを維持してあげるという努力をしなければ教育界の一貫性は僕はないと思うんだが、これは人事院なのか文部省なのかわからぬが、どうなんですか。
○政府委員(井上孝美君) お答え申し上げます。 校長、教頭の管理職手当につきましては、私どもとしてその職務と責任に見合う手当になるように従来からも人事院に対してその引き上げについて要望してきているところでございまして、特に最近は新教育課程の実施あるいは初任者研修の充実、登校拒否等の対応など、その職責はますます重要性を増しているというように認識しているところでございます。 そこで、ただいま先生から御指摘がございました校長の管理職手当が大規模校については一四%であり、その他については一二%であるというようなことから人事異動上そのようなものについて も十分配慮する必要があるわけでございまして、都道府県教育委員会が広域的に校長の人事異動をする場合にはそういう管理職手当あるいは学校の規模等を十分踏まえて、その校長がその力量を十分発揮できるような適切な人事配置を行うように私どもは従来からも指導しているところでございます。 したがいまして、各都道府県教育委員会におきましてそのようなことが起こらないような適切な人事配置がなされるような指導を今後ともしていきたいと思いますし、あわせて、先ほど申し上げました校長の管理職手当についてはなおその職責に見合った手当になるように努力していきたい、このように考えております。
○田沢智治君 もう時間がないので、ほかに二、三お話ししたかったんですがこの次に回してもらいますが、やっぱり校長職というのは大変体力も必要になってくるわけですよね。ですから、ある意味においては若い世代の登用というか、そういう意味では新陳代謝していく努力というものも一面においてなさってもらいたいなと、私はそう思うんです。やっぱり教育は息吹だから、先生と言ったときに、おい、なんだと、打ては響く返りという、心の、魂の触れ合いというのが非常に大事だと私は思うんです。 ですから、ある程度の年がいったからもう校長にしなきゃならぬというような、そういうような人事考課を期待するんじゃなくて、適任であり力量があり大変人柄もいいということになるならば、そういう者を抜てきしてどんどん活用し登用し、やはり若い子供の命を躍動させていくような、そういうような人事配置というものをさらに御希望申し上げ、人事院もひとつそういう視野に立って御尽力を賜ることを心から御祈念申し上げまして、私の時間が来ましたのでこれで終わらせてもらいます。
○山下栄一君 公明党の山下でございます。 私の方からは具体的な問題を二点お伺いしたいと思いますが、まず、登校拒否の問題でございます。 特に最近、登校拒否の子供たちがふえ続けておるという非常に深刻な状況があるわけでございます。特に昭和五十年以降はもう一貫してふえ続けておる。きょうの午前中、上山委員の方からもお話がございましたが、小学校ではこの五年間毎年千人という単位でふえておりますし、またそれも非常に低年齢化してきている。中学校では、特に長期欠席者、三十日以上という観点で統計を出しますと、百人に一人の中学生が登校拒否である、一校当たり約五人に当たるという大変な数なわけでございます。 この登校拒否の原因につきましても、特定の子供に見られる現象であるというとらえ方から、最近はもうどの子供にも起こり得る現象であるという認識の転換も行われておるわけでございますが、今の時代状況でこの登校拒否に関する問題が軽くなるということは考えられませんで、ますます深刻化するのではないかという認識を持っておるわけでございます。これは、先進国において非常に物が豊かになって心の病といいますか、そういう観点もありますでしょうし、また一貫して指摘し続けられております学歴偏重の社会全体の風潮ということにも大きな原因があると思うわけでございます。 特に中学生の登校拒否の数が多いわけでございますけれども、中学校生活、高校生活の中身が非常に薄くなってきておりまして、高校生活を豊かにするとか中学校生活を豊かにするという、そのような観点からの生活状況になっていない。細かく序列化された大学、高校を上に見ながら、とにかくいい学校に、いい高校に大学へという、そういう観点しか親も教師も子供たちも目的観を示すことができないという状況もございまして、そういう精神的な圧迫感もあるのではないかと思うわけでございますけれども、ともかくそういう競争に乗りおくれてはならない、だから頑張るんだという、そのような意義づけしかできない中学校生活、高校生活になってきている、これも大変大きな問題になっておる。また、家庭における教育力、お父さんお母さんが共働きの状況の家庭がふえておりますし、地域の教育力も低下している。 いろんな原因が考えられておるわけでございますけれども、ただ、その登校拒否の子供たちの問題は、本人も大変な苦しみですし親も先生方も大変な苦しみ、特に目に見えない心の問題でございますので非常に対応が難しいという状況があるわけでございます。 そういうことから、時代状況を考えまして教育における登校拒否の問題というのはまさにこれから、今もでございますが、最大の教育課題である、こういうとらえ方をすべきではないかな、こういうふうに思うわけでございますが、まず大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、先生がおっしゃいましたように、登校拒否というのが大変目につき始めてまいりまして次第に多くなってきているということは、大変問題だというふうに認識しております。 文部省におきましても、この問題に対応しますために従来から教師用の指導資料の作成、配付をいたしましたり、教員のこの問題についての特別の研修をいたしましたり、教育相談活動とか適応指導教室事業などの推進をしたり、登校拒否などの児童生徒指導困難校に対する教員の加配などの施策を講じてきたところでございまして、平成五年度の予算案におきましては適応指導教室事業の拡充を図るとともに、新たに登校拒否研修講座及び自然体験学習講習会などを実施するように考えております。 また、昨年三月十三日に取りまとめられました学校不適応対策調査研究協力者会議の報告の趣旨、提言を踏まえまして、九月二十四日付で各都道府県教育委員会等に対して登校拒否問題の対応について局長通知を発しまして、学校や教育委員会に対して登校拒否問題の取り組みの一層の充実に努めるように要請したところでございます。 先生も御指摘くださいましたように、やはり学校というものが一律に単純なやり方で全体を平均的に教育し全体のレベルを上げるというような従来のやり方から、個々の子供たちの個性や能力をそれぞれに見詰めてそれぞれに指導していく、それぞれのよいところを伸ばしていくというような指導がこれからなされますようにいろんなレベルで努力してまいりますが、十分それが対応し切れていないところにこのような問題が起こってきているのではないかというふうに考えているところでございます。
○山下栄一君 今、大臣の方から文部省が考えておられるさまざまな方策のお話があったわけでございますが、この登校拒否児対策の中身をもう少し御質問したいと思うわけでございます。 まず、学校における教員の対応でございますが、先ほど申しましたように、非常に問題の原因がわかりにくいということがございますので、ある程度の知識がないと原因がずれてしまうような対応をしてしまう場合があるわけでございまして、そういう意味では、今おっしゃった教員の研修ということは大変大事なのではないかな、このように思うわけでございます。ただ各県の、そういう特に登校拒否問題に対する研修体制、これが非常に強力なところとそうでないところとばらつきがあるのではないか、このようなことを感じておるわけでございます。特に、精神医学の知識とか心理学の知識、この辺が必要になってくる問題でございますので、教員の経験、教育経験があればよいという問題でもないと思いますので、ある程度専門的な知識も必要である、そういう意味で教員の研修は非常に大事なことである。 そういう観点から、今現在日本の中で専門的なこういう登校拒否児に関する対策として充実した研修体制をとっておられるような都道府県がございましたらちょっと教えていただきたいな、このように思います。
○政府委員(野崎弘君) 先生御指摘ございましたように、これは一人の先生がそのことを知識として持っていればいいということじゃなしに、やはり教師一人一人が登校拒否問題についての理解を深めるということは大変大事なわけでございまして、そういう意味で私どももこの教員の研修には大変力を入れておるわけでございます。 全国的に申しますと、まず文部省では全国の生徒指導担当の指導主事あるいは教員を対象にしまして生徒指導講座というのを開催しております。その中でいろいろな登校拒否に関する指導のあり方等の研修を実施しまして、それをまた各県に持ち帰っていただいて各県段階の研修をしていただくという形をとっているわけでございます。各都道府県の教育委員会におきましては、これは文部省との共催によりますが、生徒指導講座、これは県の段階の生徒指導講座でございますが、これを実施していただいておりまして、やはり登校拒否児童生徒への指導、カウンセリングを中心とした研修講座を実施しておるわけでございます。 専門的な講座はそういう形で実施しておりますが、そのほかに各県におきましては初任者研修とか中堅教員研修あるいは管理職研修、そういう段階ごとの研修がいろいろあるわけでございまして、そういう研修の中におきまして登校拒否問題を含めました生徒指導に関する研修も実施していただいておるわけでございまして、私どもとしてはいろいろな場でこういう研修の機会というものを確保していきたいと思っております。
○山下栄一君 文部省が中央で研修を行われて、それを受けて各県でやるという方式も一つの方法かと思いますが、やはり全教員がぶつかる問題ですので、そういう意味で各県の研修体制をさらに強化する必要がある、このように私は考えておるわけでございます。 ただ、非常に主体的、自主的に各地方におきましては充実した内容を持っておられる県もあると思いますので、その辺の問題の深刻さから考えまして、研修体制が全国でどうなっておるのかという一度全国調査をやるべきではないか、このようなことを考えておるわけでございますが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) どういう形で実施するかは別にしまして、そういう全国的な状況の把握は努めてまいりたいと思っております。
○山下栄一君 先ほど大臣も加配の問題をおっしゃったわけでございますけれども、学校の中においてやはり専門的なそういうカウンセリングの能力を持っておられる先生方の育成といいますか、これも大事な課題であると思うのでございます。 専門的な知識、技術、経験も踏まえまして、そういう先生方を配置していくという、そういうスクールカウンセラー制度ともいうべき、ちょっとこれはアメリカ方式みたいなやり方は日本になじまないかもわかりませんけれども、教員免許を持ちながら、だけれどもそういう心の問題に対して非常に専門的な対応もできるという、そういう先生方がきちっと学校の中にいらっしゃるということが非常に大事なんではないかなと。登校拒否の子供を扱う先生方が単に保健の先生とかということではなくて、きちっとした教員免許を持ちながら教育相談担当教員といいますか、スクールカウンセラーでも構いませんけれども、そのような先生方をきちっと配置する、そういう先生が非常に専門的な力を持っておる、こういう相談担当教員の制度化といいますか、こういうこともやるべきではないかなと思うんですけれども、この点どうでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 今、各学校には生徒指導担当の生徒指導主事というのが置かれておるわけでございまして、そういう方が中心になって生徒指導の関係に携わっているわけでございますけれども、各学校にそういう専門のカウンセラーを置くということになりますと、やはり現在の段階におきましてはむしろ教員の充実というような形で定数改善等もされておりますので、現時点においてそういう形で進んでいくということはなかなか難しい課題かと思うわけでございますけれども、貴重な御提言として受けとめさせていただきます。
○山下栄一君 今申しましたように、単に先生方を余分に配置するということでは解決できないような問題でございますので、そういう意味で、先ほど申しましたような心理とか精神的な知識とかそういうこともきちっとわかっておられる先生方の養成という、そういう意味である程度専門的なカウンセリング能力を持っておられる先生方、これをきちっとやっぱり配置する必要がある。 そのためにもやはり、名前はちょっとわかりませんけれども、スクールカウンセラーとなるのか教育相談、単に生徒指導ということではなくてカウンセリングマインド豊かな担当教員という、そういう意味で専門的な体制といいますかある程度統一的な認定基準なんかも考えて配置するというふうな方向に持っていくべきではないかなと。これからますます深刻化が予想されますので、そういうふうなことでないと、心の問題は対応を誤りますと余計こじらせるということがございますので、そういう意味でも教師の中にそういう専門的な教師の育成ということが非常に大事なんではないかなと。そのためにも、統一基準も含めまして、そういう特に能力を持つ先生方を育成していくという、また育成していくだけでなくて体制化もぜひともやっぱりこれは考えていくべきである、そういうように思うわけでございますが、再度お伺いしたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 昨年の三月十三日に出ました協力者会議報告におきましても、学校の先生だけじゃなしにやっぱりそういう専門的な知識を持った人たちとの連携も大事であるという指摘があるわけでございまして、したがっていろいろな教育相談の機関あるいは福祉関係の機関とか、そういういろいろなところとの連携協力を図るべきである、こういう指摘もされているわけでございまして、確かに一人一人の子供をとらえたときにその出てくる対応というのはいろいろなものがあると思うんです。医学的な面も必要でしょうし心理学的な面も必要であろうし、いろいろな面で必要になってくると思いますので、その一人の先生で対応するというのは、先生御指摘のように大変難しいと思っているわけでございます。 やはり、研修の場合を通じて先生がいろいろな知識を持っていただくことが大事であると同時に、いろいろな関係の機関との連携を深めて総合的にこういう問題に対応していくということが大事だと思っておるわけでございまして、先生のおっしゃるような専門的な職員を各学校に配置できるというところまではなかなか私どもも踏み切れないわけでございますけれども、御趣旨を体しましていろいろな関係の専門機関と、そしてまた専門の先生方との連携を深めるようにこれからも指導してまいりたいと思っております。
○山下栄一君 話がちょっとかみ合ってないんですけれども、私はお医者さんとか心理療法士とかそういうふうなことを言っているんではなくて、例えば教員集団の中にそういう専門的な知識も技術も持った先生方を育成していかなきゃいかぬと。そのために、やはりそういうしっかりした研修体制を組んで、四、五日とか一週間の研修で終わりとするのではなくて、長期にわたる研修体制を強化しながら先生方もはぐくんでいくというふうなことを考えていくべきではないかなと。 特に、東京都におきましては国立教育研究所ですか、非常にしっかりした、私も先日参ったんですけれども、この辺のカウンセラー育成、教師の中から希望者を募りながら、上級、中級、初級から始まって、そのような教師の育成ということで力を入れておられるという、東京都はそうなわけでございます。首都圏でもそういう県が神奈川県とか群馬県とかあるようでございますが、私が住んでおります関西圏なんかはそういう体制は弱いわけでございます。 そういう意味では、各都道府県なり、まあ国でも構いませんけれども、しっかりした研修体制をとりながらこういう専門教員を育成していくという、教員免許を持ちながらそういう指導ができるという教師をやはりこれからどんどん育成していかないと、これは本当にかえって中途半端な対応をしたために問題が深刻化して、もうお医者さんに頼らざるを得ないというふうな、そういう状況が広がってくるのではないかなと、このようなことを考えますもので、こういう専門教員、相談教員といいますか教育相談担当教員といいますかスクールカウンセラー、どういう言い方がいいかわかりませんけれども、そのような教員の研修体制の強化充実、これをやはり国を挙げてやるべきではないかなと考えるわけでございます。 大臣、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 今、先生が御指摘くださいましたように、教師の中にそのような気持ちと、それから能力を持つ者をふやしていくことによって、これに対する対応をもっと上手にうまくするべきであるということ、まことにそのとおりだと思いまして、先ほど私もちょっと申し上げました平成五年度の予算案におきまして適応指導教室事業の拡充を図るとか新たに登校拒否研修講座などを考えておりますのも、そういうことの一環でございます。 先生の御経験を踏まえての大変具体的な御提言でございますので、さらにその御趣旨を体しまして努力していくようにいたしたいと存じます。
○山下栄一君 来年度予算にかけておられる登校拒否対策事業の観点だけでは非常に弱いのではないかなと思いますもので、今意見を述べさせていただきました。 関連してでございますが、各都道府県にあります教育センターなどの教育相談機関ですけれども、これは子供、それから親、教師も相談できる場として教育委員会所属の教育相談機関が全国にたくさんあるというふうに聞いております。市町村まで含めますと一千三百を超える教育相談機関がある。ただ、教育相談機関の中身が非常にこれもばらばらであるということで、相談員が常勤の場合もありますし非常勤だけしかいらっしゃらない、それも単に元校長先生とかいう管理職経験者はいらっしゃるけれども、医学の観点とか心理学の観点の職員がいらっしゃらないという、そのようなこともあるわけでございます。 ただ、先ほど申しましたように、教育相談の内容といいますのはやっぱり登校拒否に関する相談が非常に多いという実情から考えまして、相談員の体制充実、スタッフの充実ということが大変大事になってくるのではないかなと思うわけでございますが、この辺の教育相談機関、特に各都道府県、市町村にございます教育相談機関の充実強化のための国の支援といいますか、これは具体的にあるんでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 今、教育相談機関についてでございますが、県、指定都市で見ますと機関が二百十一ありまして、常勤職員がトータルでございますが五百五十五人いるということでございまして、県の段階ではある程度体制的に整っているんじゃないかと思います。県、指定都市の段階におきましては整っているんじゃないかと思いますが、市町村になりますと千百四十七機関がございますが、常勤が九百五十六人というようなところで、中には常勤の人がいないというところももちろん出てきているわけでございます。 国の財政措置がどうかということでございますけれども、指導員の配置につきましては地方交付税で措置をいただいておるわけでございます。そういうことで、今後におきましても地方交付税面におきます財政支援措置というものの充実に努めてまいりたいと、このように思っております。
○山下栄一君 その財政支援措置なんですけれども、教育相談機関の教育センターを初めといたしまして、非常に役割がこれからますます大事になってくると思います。そういう問題の子供を抱えた親も教師も具体的に相談できるところはやはりそういう教育委員会所属の教育センター等ではないかなと思いますので、そういう意味で、例えば文部省予算の中に登校拒否等対策総合推進事業というのがございますね。この中に教育相談機関に対する財政的支援というのは入っておるんでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 現在、私どもが力を入れておりますのは適応指導教室という形でいろいろな委嘱事業を行っておるわけでございますが、そこにつきましての国の財政措置というのはしておるわけでございますけれども、教育相談機関におきます相談員の配置につきましては先ほど申し上げたように地方交付税面で措置をしている、こういうことでございます。
○山下栄一君 私は適応指導教室の支援も大事だと思うんですが、やはり具体的に問題を抱えた登校拒否の子供の親も教師も相談できるところ、本当にわらにもすがるような思いで行かれるところ、教育相談所といいますか教育センター、これは大変重要な役割を果たしておるというふうに思うわけです。 特に、現在では学校の中にそういう専門家がおらないので、地域におけるそのような教育センターが大変大事である。そこにやはり国として、特に登校拒否の総合推進事業というのがあるならば、適応指導教室だけではなくて教育相談機関への財政的支援というのは、これは地方交付税というやり方ではなくて文部省予算としてやっぱりぜひともやるべきであると考えるわけでございますが、大臣どうでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生の御指摘の趣旨はよくわかるのでございますけれども、この問題はなかなか一律にというわけにはまいりませんで、それぞれの地域によっても、また市町村の具体的な実情によって違うところもあろうかと思います。したがいまして、地方がそれぞれにおやりになることを文部省としてお助けするというような姿勢でやっていきたいというふうに考えます。
○山下栄一君 ぜひとも前向きの対応をお願いしたいというふうに思います。 時間がございませんもので、あと一点だけ教育費の問題でございます。 これも午前中お話あったわけでございますが、家計の中における教育費の占める割合は年々増加しておる、家計を破壊しているのが教育費であるというふうなことも言われるぐらいであるわけでございます。また、午前中もございましたように、子供をたくさん産めない原因の第一位が子育てに費用が大変かかるということが昨年でしたですか経済企画庁の世論調査でも出ておるわけでございまして、教育費の負担の問題は大変大きな問題である。生活大国どころか生活貧国日本。子供の教育費が高くつくので産めないという大変深刻な問題であると思うわけでございます。 ちょっと具体的な御質問をいたします。 昨日、社公民三党で教育減税をまとめまして具体的な提案をしておるわけでございますが、今後いろいろ検討されると思いますけれども、特定扶養控除の引き上げ、また入学金の一部を税額控除するというふうな考え方が出ているわけでございますが、教育減税に対する大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○政府委員(岡村豊君) 特定扶養控除でございますけれども、これは昭和六十三年の税制改革で、働き盛りで収入が比較的多いものの教育費等の支出がかさんで生活にゆとりのない中堅層の税負担に配慮するために、高校から大学在学年齢の十六歳から二十二歳までの扶養親族について設けられたものというふうに承知しております。 文部省では、その後の物価上昇や教育費負担の増大等にかんがみまして平成五年度の税制改正要望におきましてこの特定扶養親族の割り増し控除額の引き上げ等を要望したところでございますが、御案内のような厳しい税収等の状況から実現を見なかったところでございます。しかしながら、教育費負担の軽減という意味で大切な課題というふうに考えておりますので、引き続き検討すべき課題であるというふうに考えております。 また、入学金等を所得控除するということにつきましては、これは昭和三十九年から昭和五十二年まで同じように税制改正要望をしてきたところでございますが、税制上いろいろ問題があるということで実現していないわけでございます。
○山下栄一君 文部省予算で特に教育費に応援できるのは奨学金だと思うわけでございます。昨年の六月二十二日ですか、育英奨学制度に関する見直しということで調査研究会が設置されたとお聞きをしておりますが、具体的な方向性は出てまいりましたでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 現在、いろんな角度から育英奨学のあり方について御検討いただいておりまして、まだ審議の途中でございます。そういうことで、まだ結果については御報告申し上げられる段階ではございません。
○山下栄一君 その中で入学金、特に大学入学金を無償の対象とする項目も検討するということを前大臣からお伺いしておるわけでございますが、それも含めましてこの研究会の具体的な答申が出てくる時期は、どうなんでしょう、来年度予算に間に合うかどうかですね。
○政府委員(遠山敦子君) いろんな角度からの御審議が目下行われているところでございまして、その中に入学金の問題もテーマになる時期が来ようかと思いますけれども、今のところいつの時点で報告が出るかということにつきましてまだ申し上げられないのはまことに残念でございますが、今そういう状況で鋭意審議中ということでございます。
○山下栄一君 ぜひとも来年度予算に間に合うような形で御検討よろしくお願い申し上げたいと思います。 最後に大臣に、先ほど申しましたように、この教育費の負担がまさに出生率低下の主要な原因になっているという、そういう親御さんの意識であるということから、教育減税、また奨学金の拡充に対するお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 教育の機会均等の理念を実現するためにも、父母の教育費負担が余り過大にならないように配慮することは当然のことだと思っております。 国民生活白書で少子社会という言葉が出てまいりまして、子供をこれ以上産みたくないという理由の一つに教育費の重いことが挙げられていることも承知しておりますが、必ずしもそれだけではないのではないかと。ほかにもいろいろな理由がある中の一つとして確かに重要な課題であるということは私どもも十分認識しているところでございまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、奨学金であるとかあるいは税制の面であるとかあるいは私学助成であるとか、さまざまな面で文部省としてできる限りの努力を今日までいたしたところでございますが、これからもそのような方向で努力してまいりたいと考えております。
○刈田貞子君 午前中から大変専門的な文教行政のお話を聞いていて、大変勉強になりました。大臣もお疲れだと思いますが、私は少し肩の張らない質問をさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 文部省は、ことし四月の中学校新指導要領から新しく中学生の喫煙、飲酒、薬物乱用の行為に関する問題を「疾病の予防について理解を深めさせる。」ということで取り上げ始められておりますけれども、私はこの問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。 まず、指導要領のこの一行を具体的にはどんな形で現場で計画あるいは授業計画を持たせるようにしていくのか、プログラムはどんなふうに考えておられますか、その辺から教えてください。
○政府委員(奥田與志清君) 飲酒教育のことでございますけれども、中学校、高等学校の保健体育、特別活動を中心にいたしまして、大事な問題でございますので、学校教育活動全体を通じて行うことにしたいということで今取り組みつつございます。 具体的に申し上げますと、保健体育におきまして、中学校の場合には「疾病の予防」の項目で、また高等学校では「現代社会と健康」という項目で飲酒と健康とのかかわりについて指導するということにいたしておりますし、また「特別活動」におきましては健康の保持増進の観点から飲酒に関する指導を取り上げるという指導をすることにいたしております。 文部省におきましては、これらの指導の充実を図るために、日本学校保健会にお願いをいたしまして、あちらに専門家がいらっしゃいますので、中高等学校別に飲酒防止に関する保健指導の手引を作成して全国の学校に配付するということをいたしますとともに、教職員のための研修会を実施いたしまして、今申し上げましたような趣旨を実現すべく努力してまいりたいと考えているところでございます。
○刈田貞子君 御存じの国立久里浜病院の先生のグループで調査なさった資料によりますと、中学生の男子で一週間に一度以上飲酒をする学生は十人に一人、女子で二十人に一人というような調査の数値がございます。 〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕 文部省がこれまでこうした調査は一度もしたことがないということは、平成二年のこの委員会にも同じ問題が取り上げられて答弁をなさっておりますけれども、こうした実態について現状を把握しなければ教育の仕方もないんじゃないか、私はそういうふうに思うので、文部省でもやはりこうした飲酒の実態について調査をする必要があるのではないかというふうに思います。 この種の調査につきましては、実はこれは久里浜病院の鈴木先生を中心としたグループの調査ではありますけれども、そのほかに幾つかかなり適切なものがございます。したがいまして、そういうものを参考になさりながら、現状がどうなっているかということをやはり把握しなければ私は手も打てないだろうというふうに思いますが、くしくも先ほど局長の答弁の中で、非常に重要な問題なのでというふうにおっしゃられたからにはかなり重要なことと現状認識をしているというふうに受けとめて、それを前提にこれから私はお話を進めますので、ひとつよろしくお願いをいたします。 ところで、九一年にWHOのアルコール関連問題国際専門家会議というものが東京で開かれました。そのときにWHOは、この会を終結するに当たって一つの勧告を出しております。その勧告の中に非常に重要な部分として指導の仕方が書いてある。「仲間同士の啓発」、それから「学校における総合的な健康教育」、ここらあたりが文部省に大変絡んでくるところだと思います。それから、「責任ある酒類の提供といった有効性の明らかなプログラムを、地域に根ざした教育プログラムと共に推進する」ということが書いてございます。 私が実はきょう課題にすることは、この「地域に根ざした教育プログラム」というところでひとつ考えていただきたい、こういうことでお話をするところでございます。 実は、五十九年、委員会は違いますけれども、私は、お酒がいつでも、どこでも、だれでも買えるシステムになっていることについていささか問題ではなかろうかという質問をいたしております。そのときには、厚生省、それから国税庁がいろいろ答弁をしてくださったわけですけれども、その下敷きにはやっぱり子供たちのアルコールをめぐる社会的問題あるいは健康上の問題、そういうものを踏まえて質問をいたしておるつもりでございます。 そこで、ちょっと文部省さんの方には休んでいていただきまして、これからきょうここに参加をしていただいておりますところのこの問題に関係のある関係省庁から答弁をしていただきたい、このように思いますので聞いていてください。 まず、厚生省にお尋ねをいたしますけれども、厚生省は昭和六十年、既にこのお酒の問題、それが青少年に与える影響のことを公衆衛生審議会から意見書として受けているはずなんです。それには、テレビコマーシャルも含めたいわゆる宣伝広告のあり方、それとまたこの売られ方の問題も含めまして、自販機の問題を意見として出されているわけでございます。それから以降八年近くたっていますけれども、関係各方面に働きかけるようにということが付記してあるのですが、何をやってこられましたか。 〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕
○説明員(廣瀬省君) 先生の御指摘のとおり、六十年に公衆衛生審議会から御指摘を受けておりま す。それに基づきまして、厚生省といたしましては精神衛生センターにおいて未成年者の飲酒の問題を含め、アルコール関連問題に関する知識の普及、相談、指導等の事業を推進してまいりました。 そのほかに、病院におけるアルコール専門病棟の整備、それからアルコール依存者等の治療に従事する者に対する研修の充実、それからアルコール依存回復者の社会復帰対策等の推進を行ってまいりました。そして、先生の御指摘とおり、平成三年の四月にWHOのアルコール関連問題国際専門家会議の勧告等を踏まえて、具体的には公衆衛生審議会精神保健部会のもとにアルコール関連問題専門委員会を設けております。そこで現在検討をいただいているところでございます。
○刈田貞子君 恐らく、こうした問題に大きな課題があるということでさらに検討を続けている、こういうことになるんだろうと思うのですけれども、検討を続けている時間が長過ぎる。そして、厚生省は何にも手を打ってないわけ。一番この問題について大きな声を、子供の健康上の問題として出さなければいけないはずの厚生省が、非常にこのことでいわゆるアクションを起こすのには不適当だと思うくらい何もやっていないというふうに私は思います。 それで、未成年が特に飲酒をするという害について簡単にお答え願います。
○説明員(廣瀬省君) 六十年の公衆衛生審議会の答申の中で、「アルコールが依存性薬物」であるということが指摘されております。その観点に基づいて、特に法によって未成年者の健康を守るということがうたわれてございます。公衆衛生学的観点から申せば、当然精神面の問題、それから成育、発育の問題を含めた特に大変重要な問題と認識しております。 そのためにどうするかということになりますが、特に先生の御指摘されております販売その他の問題を含めたところということになりますと、具体的には非対面的な問題ということを含めて具体的な検討をせざるを得ないのかというふうには思っておりますが、この辺については関係省庁とも十分検討しながら進めてまいりたいというふうに思っております。
○刈田貞子君 聞くところによりますと、本年度内に改めて、重ねて公衆衛生審議会からこの問題等に関する意見書が出るやに聞いておりますけれども、意見書が幾ら出てもやはり行動を起こしていただかないと何にもなりません。したがいまして、何とか厚生省がイニシアチブをとって頑張っていただきたいというふうに思います。 私が長いことアルコールの問題をやってきている背景には、やっぱり飲み過ぎ、特に子供のいわゆる未発達の状況の中における飲酒の問題に関しては、肝臓、膵臓はもちろんのこと、脳への影響あるいは生殖器への影響といった大きな疾病を招く、そうした要因をつくっていく原因になっている。ひいてはアルコール依存症というような問題になりますと、これはいわゆる青少年期から飲酒をした者に非常に多いというようなことも言われております。したがいまして、厚生省はこうした子供たちの健康を飲酒という行為の中から守っていくためにも、やはり真剣に取り組んでいただきたいというふうに思います。 それからもう一つは、今度はお酒を売る方の国税庁でございますけれども、これもまた私は大変文句があるんです。売りまくるという感じがどうもしてなりません。私がこうした問題を取り上げたのは五十九年でございましたけれども、五十九年のときには当時たしか自販機が十六万台ぐらいだと思います、酒類販売の。今はもう二十万台を超えているわけですよね。どうしてこんなにお酒が売りたいのと言いたいくらい私はこの問題に怒りを感じております。酒類の税収は二兆と聞いておりますが、自動販売機から得る税はその中の一部だろうと思うのです。東京医科歯科大学の医学部の高野先生、中村先生の調査でございますが、アルコールを飲むことによって受ける社会的、経済的リスクを計算しておられるんです。これは六・六兆と言っています。酒税で賄う分の三倍も社会的リスクがあるというふうに言われている、そんな試算も出ております。 したがいまして、私はお酒を売りまくって税を取るということはかり考えるのではなくて少し子供の健康上の問題も考えていただきたい、こんなふうに思うのですけれども、先ほどお話しいたしましたWHOの勧告やそれからまた公衆衛生審議会からのいろいろな意見書、こういうものはおたくの部署も知らないわけではないわけですよね。ですから、そういうものを踏まえてどういう行動をとられてきているのか、それから五十九年に私が質問したとき以降何かしてくださいましたか、この二点についてお伺いします。
○説明員(二宮茂明君) 先生御指摘のように、お酒は飲めば酔うという致酔性、特性を持っております。そういうことで、私どもといたしましては御指摘の自動販売機の設置等につきまして、未成年者の飲酒防止等の面について問題であるとの指摘がなされておるということは十分承知いたしております。酒類業者におきましてこうした点にも十分配意した販売を行って社会的責務を果たすようにということで指導しております。 具体的にどういうことをやってきたかという御指摘でございますが、この自動販売機のみの免許は付与しないということをまず昭和四十八年から実施いたしております。その後、平成元年に酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律、これが一部改正をされまして、この規定に基づきまして未成年者の飲酒防止に関する表示基準、これを制定、告示いたしております。 具体的には、未成年者の飲酒は法律で禁止されておるということ、それから管理責任者の氏名、連絡先、それから午後十一時から翌朝五時まで販売を停止しているという、そういった表示でございます。それからさらに、平成三年には自動販売機の店舗への併設指導等を強力に進めております。また、この酒販店の店頭にステッカーによる注意、未成年者の飲酒は禁止されていますという趣旨のステッカーを全酒販店に張るというような指導を行ってきておるところでございます。
○刈田貞子君 国税庁も前よりはこの問題について問題意識を持ち始めていただいているのはすごくよくわかってきておりますので、頑張っていただきたいと思います。前に私が質問したときよりは全然反応が違うんですね。ですから、少しは前を向いているなというふうに思うんです。 公正取引委員会、これが今問題だと言われております。それは、去年の十二月十日、全国小売酒販売組合、そこで臨時総会を開いて酒類の販売方法について考えていこうという決議をいたしております。「酒類のアルコール飲料としての特性に配慮すれば、」、これはさっき言った致酔性あるいは依存性、そういう問題を考えて「酒類の販売は対面の方法によるべきものである。今後自動販売機による販売方法等を廃止し又は改めること」、これは売る人たちがじかに言い出したわけです。これは、実は私もこの運動を長いことやっていて、大変な快挙でございます。 ところが、それにブレーキをかけたのが公正取引委員会さんだっていうんだから、みんな社会が挙げてびっくりしているわけです。公正取引委員会というのは消費者及び国民の味方になるところだと思っていたら、足を引っ張るところになったとか書かれていらっしゃるわけです。これはもう時間がないので、きょうは文部省さんとやり取りする日ですから皆さんとやるのはまた場を改めますけれども、一言。独禁法の八条一項四号に抵触しないようにするには、この小売業はどういうふうにこの行為を行えばいいですか。
○説明員(住川廣治君) この問題につきまして、大分私どもの方に誤解があるように私は感じておるところでございます。 御質問のことにつきまして御説明いたしますが、自動販売機の酒類の販売ということにつきましては我が国においては法令上特に禁止されているわけではございませんし、また既に営業方法として広く社会的に定着し認知されているわけでございます。したがいまして、小売業者の重要な競 争手段の一つとなっているところでございます。 また一方、利用者は未成年者に限られているわけではございません。自動販売機による販売は消費者の利便に寄与するところ大というふうに考えているところでございます。 このような状況のもとで業界団体が販売機の全面撤去を申し合わせるということは、小売業者の競争手段を制限することとなり、独占禁止法上問題になるおそれがあると考えております。 しかしながら、自販機の撤去、これは未成年者の飲酒を防止するという社会、公共への配慮のために行うものであり、ほかに方法がないとすれば業界団体による自販機の撤去の申し合わせ、これは販売業者にその申し合わせを強制しないものであるならば、原則として独占禁止法違反とならないものと考えております。
○刈田貞子君 いいですか、会議録に残りますよ。 私、秩父問題、秩父への指導、それから長崎県の問題を知っております。今、時間が本当にないので細かいこと言えないんだけれども、実はとてもその八条一項四号の展開の仕方の難しいところだと思うんです。お苦しみのところはよくわかるけれども、今明言なさったところは会議録にきちっと残りますので、これはやっぱりちゃんと確認をさせていただきます。 文部省さん、お聞きのとおりでございます。私がさっき申し上げました「地域に根ざした教育プログラム」の作成ということについては、やはりこうした学校教育の中ではとても抑え切れないところの子供の行動範囲の中で、こうした飲酒というような問題に関して課題を抱えることになるんです。そこで、そうした環境はやはりつくっていってやらなければならない、大人社会が、こういうことでございます。未成年者飲酒禁止法という法律が我が国にございますけれども、この法律は、飲んだ少年たちが罰せられないで、飲ませた者が罰せられる法律でございまして、我が国におきましてはそういう未成年の子供たちの飲酒を大人社会が守ってやろうという、こういう精神に基づいた禁酒法なんですね。非常に私はこれはすぐれたものだと思っている。 私も、決してお酒を飲んではならないというようなこと、百害あって利なしなどという愚なことは申しているものではございませんで、未成年の段階において飲酒をするということの健康上、社会上、そしてまた飲酒運転というようなものがたくさんありまして、あるいはそこから非行等ヘエスカレートしていくというような課題が実は多いんです。 したがいまして、そうした問題を文部省においてもしっかりと把握していっていただきたいということを私は希望いたしますので、こうしたテーマを取り扱わせていただいたわけでございますけれども、やっぱりこれから、もし公正取引委員会さんが今言われたことが確実だとすると、問題解決は早いんです。ところが、今まで公取さんは突っ張っていました。独禁法違反と、こう言っていた。それで、業界がみずから業界としてそれを撤去することができないところで事が乗り上げていたんです。したがって、国税庁も国税庁指導でやると、これも独禁法違反と公取さん言っていたんですよ。ところが、きょうはちょっと話が違うようだし、こんなにたくさんの方が聞いておられますから、これは問題解決につながるあれが出てきたと思います。 しかし、これから自販機が撤去されていくまでにはまだまだ道が違うございますので、私は、いつでも、どこでも、だれでも買える環境にあるこの酒類の自販機については、文部省でもそのリード役になってそういう環境を改善していくことに努力していただきたい、このように思いますので、ぜひこれはお願いしたいというふうに思いますが、森山大臣の所感を伺いたい。 それからもう一つ、私、時間がございませんので、ついでに申し上げてしまいます。 先般、大臣の所信を伺わせていただいたわけでございますけれども、生涯教育の中にのみ一カ所、女性の社会参加に対する支援というような立場の婦人問題が出ていたと思います。しかし、私は、学校教育現場にも男女平等教育というような課題がまだまだ必要と思われる部分がたくさんあることを知っておりまして、これから漸次そうした問題についてもお伺いをしていくわけですけれども、そうしたテーマが大臣の所信の中に、特に婦人問題について大変大きな功績を残してこられた森山文部大臣がもう二、三行お書きになってもよかったのではないかというふうな気がいたしますので、そのこともあわせて御答弁いただければと思います。 以上です。
○国務大臣(森山眞弓君) 最初の点につきましては、刈田先生の大変御熱心な運動の成果として今こちらの皆さんがお答えいただいたような、まだ先生のお立場から見ると十分とは思えないかもしれませんけれども、少しずつ前進しつつあるという成果は私も学ばせていただきまして、大変参考になりました。その関係者の重要な一人として文部省も、先ほど来政府委員がお答えしたような方向で一生懸命努力してまいりたいと思います。 何と申しましても、学校だけではとてもカバーし切れない問題でございますので、地域の皆さん、御両親、御家族、そしてこういうお役所の皆さん方のお力を得て、ぜひ青少年一学校の生徒たち児童たちの健康を守るということにさらに努力してまいりたいと考える次第でございます。 それから、男女平等のことがちょっと言い方が足りなかったではないかというお話でございますが、文教行政全般にわたってある一定の時間の中で一通りお話ししなければいけないという制約がございまして、私自身といたしましては初めから終わりまで婦人問題をやらせていただいてもよろしかったんですが、そうもまいりませんで、あのようなことになりました。 先生がそのようにおっしゃっていただきますことはまことに心強いことでございまして、これからもその気持ちをさらに強く持ちまして、頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
○江本孟紀君 私は民社党・スポーツ・国民連合の江本です。きょうはよろしくお願いします。 まず、スポーツ財源と、そして行政組織のあり方、オリンピック報奨金の問題、そしてプロ・アマ交流問題等を中心に質問させていただきます。各項目ごとに私なりの意見を申し上げながら御質問いたしたいと思いますので、答弁は後ほど各項目ごとにまとめてしていただければ結構であります。 何せ初めてやるものですから、多少の暴投、ボークその他あると思いますので、ひとつよろしくお願いします。ちなみに、プロ野球ではボークの日本記録を持っております。 まず、大臣にお伺いしたいんですが、毎年甲子園で高校野球が始まるときに文部大臣の始球式というのがあるんですけれども、今回はおやりになるのでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) そのような慣例になっているということは承知いたしております。 それで、さしあたって三月の二十六日に選抜の試合が開会されるそうでございまして、もうあと一カ月余りでございますので、ぜひそのような場に出させていただきたいと希望しているんですが、ただちょうど国会も開会中でございますし、諸先生のお許しがあればということでございますので、よろしくお願いいたします。
○江本孟紀君 始球式にもし出られるのであれば、練習のときに私を使っていただければと思います。キャッチャーとかピッチングコーチなんかはやってもいいかなと思っておりますけれども、高校野球の問題はそのうちまたやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 それでは、スポーツ財源について御質問したいと思います。 平成二年度の補正予算による政府出資金をもとに創設されたスポーツ振興基金の益金によってオリンピックを頂点とする競技スポーツヘの援助の枠が拡大されたことは大いに評価すべきだと思いますが、近い将来、スポーツ施設の整備は広く国 民各階層、つまり幼児から高齢者、また勤労青年、青少年、女性、そして僻地を含む各地域を対象としたさまざまな事業への配慮、一般の市民レベルでの国際交流など生涯スポーツの分野に対する援助へ広げていくには果たして十分な原資があると言えるのでしょうか。もし政府が求めているような、というよりは国民が十分かつ公平にスポーツに参加していくことのできる環境を創出するためには果たしてどの程度の予算が必要とされるのか、具体的な施策や事業の展望を明確にしながら御説明いただきたいと思います。 また、私はスポーツの持つ使命と意義をもう一度見直し、評価すべきときが来ているのではないかと思います。例えば、余りに高度に発展し細分化された複雑で不透明な現代社会や、今やっと見直されようとしている偏差値教育のもたらしてきたさまざまな弊害を顧みたとき、学業第一主義から個性を尊重し総合的な人間教育へ脱皮するために果たすスポーツの意義ははかり知れないものがあると思います。 そこで、大臣の所信表明の中にもございましたが、生活大国づくりを進めていく上で教育、学術、文化、スポーツの役割ということで、非常にこれは重要だということを言われておりましたが、ちょっと余談ですけれども、教育、学術、文化、スポーツと、この順番がどうも一番下にスポーツがあるというのが気に入らないんです。実は、スポーツの中に文化もあれば学術もあれば教育もあるということで、本当は一番先にこなければいけないんじゃないか、そういう意味合いで、私はスポーツというものの中には非常に深いものがあると。 特に、文化ということになれば、スポーツは高校野球を含めプロ野球も含めて国民が非常に幅広く親しんでおります。相撲にしても国技と言われ、これももう既に国民生活の中での文化の一つだというふうに思います。それから、スポーツの中にはスポーツ医学、それから科学トレーニングだとか学問が非常にこの中にも最近は入っております。それから、教育ということで言えば、これはもう協調性だとかチームワークだとか、スポーツの中にそういったものが非常に含まれているということですから、教育にも非常に幅広いものがある。そういうことですから、そういう視点に立ってスポーツとはだれしもが自分の持つさまざまな条件に合わせて公平に参加することができるものであり、他の文化と比較しても極めてすぐれた人間形成と価値観の創造手段であると思います。 そういう意味では、私はスポーツはそれ自体が独立した一つの文化であり、この振興と施策の推進を図るためには、本来それなりの独自の行政組織や財源があってしかるべきだと考えております。文化を扱うための文化庁があるんですけれども、スポーツを扱うためのスポーツ庁があってもいいんじゃないかと思っておりますがいかがでしょうか、大臣の御所見を賜りたいと思います。 そして、それを支えるためのスポーツ財源が現在のこうした経済情勢の中でスポーツ新税という形を求めるのは難しいのであれば、一つの考え方として、例えば最近話題になっておりますサッカーくじのような、国民の任意にして少額かつ広範な貢献によって支えられるスポーツくじの採用もすぐれたアイデアではないかと思います。スポーツくじの問題は最近マスコミ等で報道されております。いろんな問題もあるかとは思いますけれども、私はスポーツ財源を確保するための一つの知恵ではないか、こういったものも少し考えていただければと思っておりますが、率直な大臣の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) スポーツ庁の設置ということについて御指摘がございました。 スポーツが非常に重要な役割を果たしているものであり、特に生活大国と言われ始めましてからその重要性はますます大きくなっているということは私も同感でございます。昭和六十二年の臨時教育審議会第三次答申、昭和六十二年に出された報告におきまして、スポーツの振興に関する懇談会というのがございますが、その報告におきましてスポーツ省の設置ということが行政組織の充実強化として提言されているところでございます。この問題は大変大きな問題でございますので、行政改革の動向なども勘案しながら、長期的な観点に立って慎重に検討すべき課題だと考えております。 なお、文部省といたしましては、スポーツを担当する行政組織の充実強化を図りますために、昭和六十三年七月の機構改革によりまして、従来スポーツ課という課があったんですが、その課を二つに分けまして、生涯スポーツ課と競技スポーツ課の二つにいたしまして拡充強化したわけでございます。両課が連携協力を図りながら施策のより一層の充実に努めているところでございます。 それから、スポーツの財源としてサッカーくじその他はどうだろうかという御指摘でございますが、昨年の一月、財団法人日本オリンピック委員会、また財団法人日本体育協会が各党のスポーツ議員連盟などにスポーツくじ制度の創設について要請されたということは承知いたしておりまして、現在それぞれの関係方面において検討されているということを承知しております。現段階ではそれぞれどのような検討段階にあられるか具体的内容についてはっきりわかっておりませんけれども、私どもといたしましては、射幸心を殊さらあおるようなものではなく夢や楽しみを買ってスポーツの振興のために役に立つ、そういうための寄附をしてもらうというようなものにすれば広く国民の合意が得られるのではないかなというふうに考えているところでございます。 最初にお話ございましたスポーツ振興財団その他の予算については、政府委員からお答えいたします。
○政府委員(奥田與志清君) 江本先生お話しのように、スポーツで非常に重要なものの一つが資金、わけても体育施設に充当される資金ではないかと思います。 現在、体育の関係で申し上げますと、平成元年の十一月に保健体育審議会で答申を出しまして、そこにおきましては「二十一世紀に向けたスポーツの振興方策について」というのがございますが、その際、市町村が今後体育施設を整備していく場合の指針というのを示しておりまして、それぞれの市町村が住民のいろんな協力を得ながらそれぞれ努力しておられるという状況でございます。 そこで、文部省といたしましては、こういう御努力に対しましてできるだけの御支援を申し上げたいというふうなことで、社会体育でございますとかあるいは学校体育の施設の開放もございますので、そういうところにつきましてはできるだけの補助金を用意するというふうな状況でございます。 現在どの程度施設が整備されているかということを簡単に申し上げたいと思いますけれども、昭和六十年九月の調査によりますと、民間の施設を含めまして二十九万二千余の施設がございます。設置者別の区分で言いますと、学校体育施設が十五万八千余、公共スポーツ施設が六万余というふうな状況でございます。 来年度の予算につきましてはいずれ先生方にも御審議をいただくわけでございますけれども、昨年度に比べまして五十五億円余の増を計上いたしているところでございます。
○江本孟紀君 今の施設の問題は、また後でもう少しお聞きしたいと思います。 サッカーくじの問題ですけれども、もう少し時期が来ればこの問題はまた違う形で討議されると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 次に質問したいのは、競技スポーツの充実強化をうたいながら、バルセロナ・オリンピックでメダルを獲得した選手に与えられた報奨金というのがありますけれども、これに行政の名のもとに一時所得として税を課しました。こんなことはだれが見てもちょっとおかしいんじゃないかというふうに、非常に理解できないことであります。 この件に限らず、著しく公的貢献をした方に支払われる特別な手当や報奨金のようなものに対し ては課税所得から控除すべきだと思いますけれども、大臣どのようにお考えでしょうか。 この件については政府全体の判断を必要とすると思いますので、どうか閣議の議題としてひとつの前向きな見解と決断が出されるよう御要望いたします。
○国務大臣(森山眞弓君) アルベールビル、バルセロナ両オリンピックについては財団法人日本オリンピック委員会を初め、その他の競技団体がそれぞれ独自にメダリストまたは入賞者に対して報奨金をお出しになったわけでございます。これらの報奨金は、所得税法上平成四年度の一時所得として課税されるということで、先生御指摘のような社会的関心が大変高まったわけでございますが、文部省といたしましては、このような報奨金についてはこれがスポーツの振興や選手の競技意欲の向上に資するという意義を踏まえまして、その税制上の取り扱いについて各競技団体の報奨金制度の実態などを把握しながら今後検討してまいりたいと思っております。 なお、おっしゃいましたスポーツ以外の学術もしくは芸術に関する顕著な貢献という、例えばノーベル賞とかその他幾つか指摘されているのでございますが、そのような方々については特別に所得税法の中に非課税ということで既に決められておりまして、そういう方々は除外されているわけですが、スポーツについてはその規定がございませんので、残念ながら平成四年度の税制については規定どおりに課税をしなければならないという立場でございます。 今後の問題として検討しなければならないかと考えております。
○江本孟紀君 それはぜひお願いしたいと思います。課税のことに関してもスポーツはちょっとどこかに追いやられているかなという気がいたしますので、ぜひお願いしたいと思います。 次に、プロ・アマ問題について質問をいたします。 IOCの憲章からプロ選手の参加禁止規定がなくなり幾つかの競技、すなわちサッカー、バスケット、テニス、アイスホッケーなどについてはオリンピックにプロ選手の参加が認められるようになりました。今後、こうした傾向とプロ・アマの連携と協力は時代の趨勢として一段と加速すると思われますが、残念ながら私の出身の野球界ではいまだ厳しい条件があります。この障壁を取り除くことが我が国における最大のスポーツ人口を持つ野球界の発展と強化につながると思っております。ちなみに、プロ野球ファンは全国六千五百万人と言われ、昨年は入場者が千二百万人も入っております。 この際、文部省としても平成元年十一月の保健体育審議会答申の趣旨を踏まえ、ぜひプロ・アマ、そして問題の多い高校野球界への指導と助言を行い、一層の促進を図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(奥田與志清君) 先生今プロ・アマの問題、御専門の野球の点についてお話がございました。 先生の方が御専門だと思いますけれども、一般論といたしまして、御指摘ございましたように、特に競技力を向上するといったようなことなどに観点を置きますと、プロ・アマの交流をするということが適切ではないかというふうに考えられますし、御指摘ございましたように、オリンピックにおきましてもお挙げになられました種目につきましてはプロも参加ができるというふうな方向になってきております。 そこで、今高等学校のことにつきましてお話がございましたけれども、これは先生にこういうことを申し上げて大変恐縮だと思いますけれども、徐々に、例えば社会人野球などにつきましてはプロの現に活躍しておられる方あるいは先生のように活躍をされて非常に優秀な技能を持っておられる方の御指導を仰ぐことができるというふうになってきております。高等学校につきましては、まだ高野連でそのような措置をするというふうに至っておりません。これはやはり私どもからそうしなさいという問題ではなくて、高野連自身が、先生も御指摘のように、自主的にいろいろな状況を判断して総合的に決断をしていただく問題ではないかというふうに考えております。
○江本孟紀君 高校野球の問題は非常に難しいんですけれども、仮に、余談ですけれども、僕が文部大臣になった場合に始球式は非常にしづらいんですね。元プロ選手ですから高校生に球を投げることはできないという、そういうややこしい問題ができますから、なることはないと思いますけれども、仮にそういう問題が出てきた場合に困るので、なるべく早くプロ・アマもすっきり一つのスポーツということでやっていただければいいかと思います。 次の質問をさせていただきます。 スポーツ財源についてのさっきの質問とちょっと前後するかもしれませんけれども、平成五年度の文部省予算の内訳を見ますと、一般会計の五兆四千二百六十四億七千二百万円に占めるいわゆるスポーツ関連予算は五百四十億九千四百万円です。その割合はわずか一%以下で、人件費を除いた予算に占める割合も三%程度にすぎません。私自身スポーツに関係してきた者として、果たしてこのような予算で今後の国民のスポーツに対するニーズを満足させることができるだろうかということは非常に疑問を感じております。 現実に、文部省で行っているスポーツアンケートによりますと、一般社会人の七割余りが一年間に何らかのスポーツを行っており、就学期にある児童生徒、学生の正課体育や課外体育を含めると、国民の大多数がスポーツに参加していることがわかります。また、国民のスポーツに対する興味や関心度をスポーツ観戦の実績アンケートで見ますと、九四・四%という圧倒的な割合が示されおります。参議院選挙の投票率が五〇%程度であるということを考えますと、スポーツが大変な国民的欲求の対象であると言えると思います。 また、文部省から出されている「我が国の文教施策 スポーツと健康-豊かな未来に向けて」によれば、その第一編第一節「体育・スポーツ振興の意義」においてスポーツとは「人類の文化の中でも極めて重要なものの一つ」であり、「豊かな人間性をはぐくむ人類共通の文化」であると位置づけた上で、その振興を図らなければならないと書いてありますが、私は、果たしてこのような高邁な理念に比例した予算配分がスポーツ予算に対してなされ、またそうした意気込みを政府全体として推進しているのかどうかということは非常に疑問に思います。 このスポーツに関する重要性というのは、例えば宮澤総理でも毎週日曜日はこの寒いのに必ずゴルフに行かれるという。非常に健康であると思いますが、これはやはりスポーツに親しんでいる結果じゃないかと、ここら辺が国民生活を豊かにと言っている原点じゃないかと思います。 そういうことで、例えばスポーツ施設一つをとってみた場合でも、国や自治体などの公共スポーツ施設は全体の二割にすぎません。民間のスポーツ施設や職場のスポーツ施設に大きく依存をしている現状であると思います。また、総理府の世論調査によれば、スポーツ振興について国へ要望する事項のトップは施設整備であり、六八・五%に上っております。さらに、今後ますます物に対する価値観が心や健康を求める価値観へ移り変わっていく中で、余暇時間の増大や生活の利便性が高まり、社会環境が複雑化し、スポーツに対する依存度は一段と高まっていくものと思われます。 こうした現状と傾向の中で、文部省として中長期的にはどのようなスポーツ施設の配置計画を持たれ、どの程度の予算を必要としているのでしょうか、具体的な数字をもとに御説明をいただきたいと思います。 また、この件に関連して、生涯スポーツの普及振興のための予算の中で学校体育施設開放事業がありますが、我が国の体育、スポーツ施設の半数以上を占める学校体育施設をもっと一般地域住民のスポーツ活動の場として活用していくことこそ スポーツ施設供給の即効的な効果が挙げられると思いますが、いかがでしょうか。 昔、私たちが子供のときは校庭は自由に使えて、野球もうまい者が一番先にやれたという、こういう競争のいい社会でしたけれども、今は学校はすべて放課後は締め出されております。昭和六十二年の臨教審答申以降開放率が八割近くになったと一応そうは言われますけれども、実態はかなりかけ離れております。施設の使用時間帯や曜日、種目等の条件によって、また更衣室や夜間照明、用具管理などの客観的条件によってかなりの施設の開放が実際には不十分な状態にあると思います。わずかな助成措置によって地域住民が身近なスポーツ施設を得られるという大きな効果を生むわけであります。ぜひ一層の推進を要望したいと思います。 また、施設の管理のための人材としては、放課後の課外教育の時間帯も含めてもっとその地域地域に潜在しているいろいろな業種の退職者、高齢者を一定の研修を条件としながら活用してみたらどうでしょうか。こうした人材はさまざまな社会経験を豊富に積んでおられる方があり、児童生徒たちへのよい社会教育にもなると思います。例えば、プロ野球を二十四、五歳でやめて何もすることがない者を使っていただいたりなんかするのも結構かと思います。また、高齢化社会を迎えた今日、精神的にも豊かでかつ社会的連携の中で生きがいのある環境の提供にもなると思いますけれども、いかがでしょうか。最後になりますけれども、文部省の見解を賜りたいと思います。
○政府委員(奥田與志清君) 先生お尋ねの件、多々いろいろな分野にわたっているかと思いますけれども、三点につきまして申し上げたいと思います。 一つは、ちょっとお触れになりましたけれども、スポーツ振興基金でございます。 これは大勢の方々の御理解をいただきまして、平成二年度の補正予算で政府の出資金二百五十億円、それから民間からの浄財も仰ぐというふうなことで発足をいたしまして、平成四年度、今年度は三年目になります。さきのオリンピックにおきましてもこの基金から援助がありまして、それが選手にとって物心両面での励みになったというふうな報告も聞いておりますし、同時に、安定的にしかも継続的に資金が出されるということにつきましては生涯スポーツに関係しておられる方々も非常に期待を寄せておられるわけでございまして、私どもはそういう期待にこたえるような努力をさらに続けていきたいというふうに考えております。 それから、学校体育施設の開放の問題でございます。 先生が御指摘のように、あれだけ立派な施設がございますので、これを地域住民が、しかも学校の施設というのは身近にございますので、これを大いに活用するようにしていただきたいというふうに思っておりまして、一つは私ども文部省の方でお手伝いをいたしておりますのは、夜間照明施設あるいはクラブハウスなどの整備事業に御支援を申し上げるということ、それから施設管理や利用者の安全確保を図るということが必要でございますので、そのための管理指導員を配置するということにつきましても財政的にお手伝いをさせていただいているところでございます。 その結果、現在どの程度学校の施設が開放されているのかということを申し上げたいと思いますけれども、体育館で言いますと約八割、運動場ですと同じく約八割、水泳プール、これは約四割というふうな現在状況でございまして、年々この開放率といいましょうか地域住民が利用する率が高まってきているのではないかというふうに考えております。 それから、最後にお触れになられました、社会にいらっしゃる、運動について十分な指導能力を持った方々の活用といいますか、失礼ですけれども、そういう方々をもっとスポーツ活動の面で御協力いただくということでございます。 私ども文部省におきましても、これにつきましては例えば学校の運動部活動、そういうところに県の方から経験豊かな外部の指導者を派遣する事業をいたしておりまして、優秀な方を学校の部活動にお招きするというふうなことができるような事業も展開いたしております。さらにまた、学校教育でやっていくということになりますと免許状も必要になってまいります。免許法も改正をされまして、例えば特定の技能にすぐれたスポーツの指導者につきましては免許状がなくても特別非常勤講師という制度がございまして、これも大いに活用されつつあるというふうな現在の状況でございます。 今後とも頑張っていきたいと思っております。
○江本孟紀君 そういうことも全部含めて、やはりスポーツ財源の確保というのは非常に大事になってくると思いますので、いろんな方法、いろんな知恵を出し合って、その確保のために頑張っていただきたいと思っております。 質問を終わります。 ありがとうございました。
○橋本敦君 続きまして、私の方からは私立幼稚園の問題について質問をしたいと思います。 我が国における教育の中で私学教育が占める重要性については当委員会でもるる議論をされ、その認識についてはお互いに重要性を疑う者はだれもいないわけでありますが、きょうはその中でも幼稚園教育の問題についてお尋ねをしたいと思うわけであります。 まず、文部省の学校基本統計によります数字で見てみますと、因数は、私立幼稚園が八千七百三十五、公立幼稚園が六千二百二十二、国立幼稚園が四十九園、こうなっております。在園者数を同じくその統計で見てみますと、私立幼稚園が約百五十五万、公立が三十九万一千、国立幼稚園の幼児が六千六百十三、こうなっておりまして、この数字を見ましても私立幼稚園の占める位置というのが極めて大きく、またかつ重要であるというのはおのずから明白だと思うわけであります。 そこで文部省に、この私立幼稚園の教育の位置、その果たしている役割についてはどのような認識でいらっしゃるのか、その点をまずお伺いして議論の出発点にしたいと思います。
○政府委員(中林勝男君) ただいま先生おっしゃいましたように、幼稚園教育において私学の占めている割合は量的にも大変大きいわけでございまして、お触れになりましたように、学校数で約六割、幼児数で約八割を占めるに至っております。また、内容におきましても、建学の精神に基づくそれぞれ園の特色ある教育を実践しているというふうに承知いたしております。このように、我が国の幼稚園教育に大きな貢献をしているというふうに認識しているところでございます。
○橋本敦君 その幼稚園の私立園の実態につきまして、たまたま昨日、全国私立学校教職員組合連合、そこから実態調査が明らかにされました。 この実態調査の内容を見てみますと、一九九二年の九月から十二月にかけまして、対象は私立幼稚園教職員、全国十六都道府県にまたがって百七十カ園、二千二百五十九名の職員を対象といたしまして直接の面接及び質問紙によるアンケート調査を含めた調査が行われたようであります。この実態調査は、幼稚園教育の実態について幾つかの重要な問題を提起したと私は思うんですが、この実態報告については概要を文部省はつかんでいらっしゃいますか。
○政府委員(中林勝男君) 概要を承知いたしております。
○橋本敦君 そこで、問題点に入りたいと思います。 まず、その実態調査から明らかになってきた重要問題の一つは、私立幼稚園の先生たちは若くて、したがって経験の短い先生が国公立に比べて圧倒的に多い。つまり、ベテランの先生が極めて少ないという現象が出ているわけであります。これを今回の実態調査に基づいて数字を指摘いたしますと、二十五歳未満の職員は私立ては五九%、公立七・五%、国立五・四%、こういうわけでございますから圧倒的に私立ては若い先生が多い。それでは、三十歳から四十歳までの、言ってみれば働き 盛りの経験を積まれた職員はどうかというように見てみますと、私立は一一・二%ですが、公立は五二・七%、国立は三八・九%、こうなっておりまして、そういう意味では、幼児教育について高い専門性を必要とするそういう内容の職務に関してこういう差ができている。 これはなぜこうなっているのだろうか、これがやっぱり問題を解明するアプローチの一つの入り口になるわけですが、どういうわけでこういう現象が生じているのか、文部省はどういうようにお考えでしょうか。
○政府委員(中林勝男君) 今、先生がお触れになりました私立幼稚園の教員構成でありますが、私どもも実は実態は承知いたしておりまして、学校基本統計調査でございますが、御指摘のありました二十五歳未満の教員の割合が全体の五〇%、二十五歳以上三十歳未満の教員の割合が一八・六%、三十歳以上の教員の割合が三二・四%ということでございまして、公立の幼稚園のそれと比較しまして、全体的な傾向としては私立の幼稚園では比較的若い教員が多い、こういうふうに思う次第でございます。 なぜ、公立幼稚園に比べてこういう若い年齢層の教員が多いかということは一概に分析はしづらいのでございますけれども、いろいろと経営者に聞いてみますと、結婚の退職で早目におやめになるという方が比較的多いのではないかということは聞いたことがございますけれども、詳しくはよくこれからも分析し考えてみなければならないと思っている次第でございます。
○橋本敦君 これからも分析して考えてもらいたいんですが、結婚をするから退職というのは、それはありましょうが、それは国立ても公立ても同じですわね。公立あるいは国立の幼稚園の先生が結婚しないわけじゃない。 だから、やっぱりそこから一歩進んであなたがおっしゃるように検討する必要がある問題なんですが、この実態調査から一つ考えてみますと、幼児教育の仕事、これはやりがいがあると感じている先生は、調査によりますと約九割、八七・二%に上っている。生涯自分の天職としても幼児教育に情熱を傾けてやりたい、意欲からいってもいろんな意味で情熱があるわけなんです。 ところが一方で、それじゃずっと続けられますかという設問に対して、現状ではできないという先生が五四・九%、もういろんな困難があるけれども働き続けたいと答えているのが四三・一%で、これを上回って今ではこのまま続けることは難しいと考えている方が多いことがわかるわけですね。 そこで、それじゃどうして続けられないと考えていますか、やめたい理由は何ですかということの調査をやってみますと、この実態調査から浮かび上がってきますのは、まず第一に仕事の割には私立幼稚園は低賃金であるということ、それから、家に持ち帰る仕事も多くて自分の自由な時間がなかなか持てないという理由、三番目に、それと関連をしますが、時間外労働が多いのに残業手当もつかないという劣悪な条件が改善されない、こういうアピールがあるということがわかっているわけです。 そこで、私立幼稚園と国立幼稚園の職員の給与をこの実態調査から調べてみますと、なるほど差があるわけです。 基本給のみによる比較をこの調査で見てみますと、二十歳代で国立と私立ては二万二千円の差があります。三十歳では差が開いて五万一千円、四十歳になりますと十一万円の開きが出てくる。長く勤めれば勤めるほど格差が開いてくる、こうなります。それから、この基本給の差だけではなくて基本給と一時金等の手当、これを加えた比較をしてみますとさらに差が大きくなりまして、二十歳代では年間八十二万円の差がある。それから、三十歳で年間百五十五万円、四十歳になりますと二百七十万円の所得の差が出ているという、そういう実態が浮かび上がってきているのがこの調査の結果であります。 また、私立幼稚園で今指摘をしました手当の問題で調べてみますと、週平均の超過勤務時間が九時間二十六分、こうなっているんですが、残業手当は四・七%の園しか支給していない。圧倒的多数の九五%ほどの園が正規の残業手当を支給していないという、こういう実態も浮かび上がってきました。 ここに一つ大きな問題があるということがはっきり問題点として出てきているわけですが、こういう実態の改善の必要性について文部省としてはどうお考えでしょうか。
○政府委員(中林勝男君) 御指摘になりました私立幼稚園に働いていらっしゃる先生方の勤務条件の問題でありますけれども、先生も御案内でお尋ねだと思うのでございますが、申すまでもなく、私立学校の勤務条件の問題につきましては、これはそれぞれの私立学校の労使間において労基法に基づいてこれを決定しておるわけでございまして、私どもはこれに関与することはできない立場になっているわけでございます。 したがいまして、私立幼稚園における勤務条件の問題につきましては、まずもって幼稚園教育の振興あるいは経営の観点からそれぞれ労使間で十分なお話し合いをしていただいて、誠実にこれを実行されるということが大切ではないか、一般的にはそのように思っているところでございます。
○橋本敦君 あなたの答弁は極めて一般的な範囲を出ないんですけれども、例えば日本の労働時間はヨーロッパに比べて年間五百時間多い。労働省でも年間労働時間を減らすということを政府の基本施策としてやっていますよね。また、やらなくちゃならない。それを労使間の話し合いと協定に任せておいていいということで済むかというと、もう済まない今の国際情勢になり時代になっているでしょう。 だから、そういう意味では、文部省のやっぱり指導、そして労使間交渉を基本としてやるのは当然だけれども、その交渉が待遇の改善、勤務条件の改善、幼稚園教育の一層の向上につながっていくような施策を国としてどうやって進めるかということを研究しないと、この実態調査からの教訓は生きてこないわけですよ。 だから、そういう意味で、こうした実態についてどういうように認識をし、これをまたどのように改善していく知恵を出すかということについて、私は、国は国としてやっぱり責任ある考え方を持っていかなくちゃならぬと思うんですね。大臣はこの点をどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 人生のスタートで初めて教育の機会を得る幼稚園というところは、子供たちにとって大変大事な一つの場だというふうに思います。 その幼稚園教育の大半が私立幼稚園であるということを考えますと、その私立幼稚園における先生方が意欲を持ってしっかりと指導していただくということが大変大事でございまして、そのような観点から幼稚園の先生方の勤務条件にも関心を持たなければならないというふうに考えますが、具体的には先ほど私学部長が申し上げましたようなことで、文部省といたしまして賃金をどのようにしなさいとか労働時間をどうしなさいということを個々に申すようなことができない立場でございますので、その点は残念ながら言えないわけでございますが、幼稚園の教員の皆さんの勤務条件が少しでもよりよいものになって必置きなく自分の能力、意欲を十分発揮できるような職場になってほしいというふうに考えております。
○橋本敦君 そういう大臣のお考えに基づいて、じゃ具体的に進める一切の知恵がないのかというと、決してそうじゃないわけですから、例えば実態に見合った私学助成の拡充、充実ということの範囲で国としていろいろな施策を進めるということも私はこれから一歩進んで大事だと思うんです。 だから、そういった問題について考えますと、かねてから言われてきております私学経営の経営難を解消するための経常費二分の一助成という問題の実現を目指していくことが一つあります。 それからもう一つは、ベテランの教員育成とい うことに向けて、特に教職員の待遇改善につながる人件費助成というのを検討してみる必要があるのではないかといった問題、こういった問題もあります。 それからさらには、一クラス当たりの園児数を縮小していくということの基準化、こういった意味では一学級当たり四十人以下を原則とするという幼稚園設置基準というものが定められているわけですけれども、これは一九五六年に制定されて以来ずっとそのまま手がつけられていないわけです。三歳児の問題でも四十五人という園もあるような状態で、今この問題についても対処をしていくという方向が非常に大事ですから、三歳児については早急にこの基準を引き上げるように検討を開始する、こういった問題がいろいろあると思うのです。 こういった問題に手をつけて文部省として施策を前進させていただくことを私はこの機会に切に要望しておきたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(中林勝男君) 私学助成の観点で最初に私からお答え申し上げます。 私立幼稚園の園児数というのは、これは御指摘をまつまでもなく減少をずっとたどっておりまして、この減少傾向は今後もしばらくの間は継続するというふうに予測されておりまして、したがいまして私立の幼稚園の経営というのは引き続き厳しい状況であると考えられるわけであります。 私どもとしてはそれぞれの設置者の自主的な経営努力をより期待申し上げているところでございますけれども、私どもも幼稚園教育の中で私学が果たしておる役割の重要性にかんがみまして、従来も厳しい財政事情のもとではありますけれども、私学の助成にいろいろと工夫し、それなりの努力をしてきたつもりでございます。 この高校以下の経常費助成でございますけれども、その中におきましても高等学校や小中学校に比べて幼稚園については、例えば単価、例えば前年度の伸び率につきましてもそれなりの配慮をしまして、幼稚園のこういう経営にも配慮を加えたということを御理解いただきたいと思うわけでございます。 もちろん、私学振興助成法の目的は御案内のとおり経営の観点というようなものばかりではございませんで、やはり教育条件の維持向上とか就学上の経済的負担の軽減というのが大きな柱でもございますので、そういった私学振興助成法の目的に照らしまして、幼稚園の振興という観点から今後も私学助成の充実に精いっぱいの努力をさせていただきたいと、このように思う次第でございます。
○政府委員(野崎弘君) 幼稚園設置基準の改正についてのお尋ねがあったわけでございますが、確かに幼稚園設置基準は一学級の幼児数を四十人以下、これを原則とするということで定めているわけですが、これは最低の基準ということで示したわけでございまして、各幼稚園におきましては地域の実情とか幼児の発達状態等に応じまして適切な学級編成を行う、こういうことにされているわけでございます。 現実に、今文部省の指導といたしましては、幼児によりきめ細かな教育が行えるようにということで平成二年度から学級定員を三十五人以下にすることを奨励するということにしておりまして、学級定員を三十五人以下に引き下げることに伴いまして新たに保育室等の増築を行う必要がある場合にはそれに対して補助をすることができると、こういうことにしております。 また、教職員配置につきましては、地方交付税の積算におきまして教諭の数を十五人から十七人に増加するというようなことで学級定員の引き下げに努めているところでございます。 また、この平成三年三月に第三次の幼稚園教育振興計画を策定したわけですが、その中でも一学級の幼児数については三十五人以下とするよう計画的な改善に努めることという指導をしておりますので、その辺の指導を今後も続けてまいりたい、このように思っております。
○橋本敦君 私学の自主性を尊重するというのは当然そうでなきゃならぬわけでありますが、私学と公立との格差が一層ひどくなって、そして今私が指摘したように、意欲のある、また幼児教育に生涯をささげたいと思っているそういう意欲のある人たちの意欲もそいでしまうというような結果が一層広がらないように、私はこの点について大臣がおっしゃいました幼児教育の重要性ということを一層踏まえていただいて、文部省として状況の改善のために一層の努力をお願いしたいということを大臣に申し上げておきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。 じゃ、次の問題に質問を移してまいります。 次の問題は、大学の研究施設に関する問題でありますが、昨年の暮れから今年にかけまして京都大学の実験用飼育ラットが、新聞にも大きく報道されましたが、腎症候性出血熱、HFRSというようでありますが、これに感染したという問題が発生をいたしまして、京都大学で実験のために飼育されておりました二千匹余りのラットを焼却処分せざるを得ないという事態が発生いたしました。これはもう研究にとっても大変なやはり貴重な試料の損失にもなるし、研究発展の阻害にもなりますし、職員の健康安全という点からも問題ですし、非常に重要なことでございましたので、早速京都大学に駆けつけまして、私どもも調査団をつくって調査をしてまいったわけでございます。 そのときに文部省にも問題を指摘したんですが、一つはこの感染の起こった原因は一体どこにあったかを徹底的に調査してもらいたい。もう一つの問題は、京都大学だけではなくて、実験用ラットは全国の大学研究機関がいろいろたくさん飼育しておりますから、同じような汚染の心配があっては大変なので、そういった問題についても文部省としてよく検討してもらいたいということを申し入れてまいったんですが、昨今の新聞によりますと、京都大学以外にもやはりこの抗体陽性ラットが見つかったという報道が出ておりましたので、いよいよこれは全国的に大事だなということを痛感しておりますが、文部省は現状をどのように把握されておりますか。
○政府委員(長谷川善一君) 先生御指摘の京都大学のHFRS感染ラットの問題でございますけれども、京都大学でこの感染ラットが発見され焼却処分が行われた後でございますが、文部省から国立大学動物実験施設協議会、それから公私立大学の実験動物施設協議会双方に対しまして実験動物の適切な管理、それから実験従事者の安全等について万全を期すように注意喚起をいたしまして、関係大学にこのことは周知徹底されたわけでございます。 大学ではこれらの注意喚起を受けた後に、順次検査を行う施設を持っております大阪大学の微生物病研究所あるいは実験動物中央研究所、札幌医科大学等々に検査の依頼を行っているわけでございますが、検査の結果、現在までに大阪大学の微生物病研究所の検査分の中で数大学で抗体価の比較的高いラット、陽性と断定しているわけではございませんが、疑陽性のラットが発見されたものと承知いたしております。これにつきましては、二月の十四日に報告を受けております。 文部省の方といたしましては、既に一月中に専門家の意見の聴取を終えまして、今後とも引き続きまして動物実験施設協議会と連絡を図りながらそれぞれの施設の飼育管理状況の確認、安全確認等々を行うという姿勢でございます。十八日、先週でございますけれども、実はこういう症例といいますのは昭和五十六年ごろ各地において起こりまして死者まで出たという例がございますので、昭和五十六年に流行性出血熱予防指針というのを定めて各大学に配っておるわけでございます。この中に注意事項はすべて喚起されておるわけでございまして、この予防指針のさらなる徹底を図るという趣旨のもとで通知を行っておるわけでございます。 当初、感染経路のお話がございましたけれども、現在の状況では感染経路の特定がまだできていない状況でございます。
○橋本敦君 今おっしゃるように、感染経路の特 定ができてないというところが非常に将来的にもまだ心配が残ってくる問題があるんですよね。京都大学でも実験施設を見学させていただきましたが、京都大学の動物実験施設は規模の面でも約二千匹のラットを入れられるということで全国大学の中でも一、二の施設ですが、それでも医学部の各部門の研究のためには数が足りませんで、中央実験施設以外のそれぞれの研究部門でも、その施設以外でもラットを飼っている。ところが、そのラットを飼っている場所が中央実験施設のように完璧に管理されるかというと、なかなかそうはいかないという施設上の問題もありまして、野ネズミが入ってくるという心配が一切ないかというと、そうとも言い切れないというようなこともありまして、そういう意味では施設の安全性確保が非常に一つは大事だと。 それからもう一つは、定員削減等によってこの問題での職員の充実体制というのが非常に難しくて、このラットの管理、飼育について正規の職員じゃなくてアルバイト職員に頼っているという状況も一部あるということも伺いました。しかし、そういう意味では安全管理という点が大学の責任でなかなかやりにくい。 そこで、私は文部省にお願いしたいのは、感染経路を突きとめるための実態調査をこれからも厳しくやっていただくことが一つ。それからもう一つは、こういう実験施設の設備の安全充実にそれなりの資金を必要としますから援助していただくということが一つ。それから、動物実験の管理に当たる専門的技官あるいは専門的職員の増員を図っていただく必要があるということが三つ目。それから、先ほどおっしゃったように、職員で亡くなった方も出た昔の経験もあるというお話もそのとおりでありますから、職員の安全を確保するために安全点検として研究従事者にこの抗体検査を定期的に実施することを制度化していく、こういった面で総合的に、研究の振興は大事でありますから一層安心した研究が体制的にできるようにこの際思い切った施策を進めていただきたい、このことを要望したいんですが、いかがですか。
○政府委員(長谷川善一君) 先生御指摘の点でございますけれども、現在文部省では動物実験施設、集中的に幾つかの動物をまとめて管理いたしまして、よい環境のもとにそれを飼育するというような施設を逐次置いてきておるわけでございます。 今回のラットの感染につきましては、残念ながら京都大学の方は動物実験施設そのものが汚染をされておったという状況でございますけれども、そのほかの機関で出ております例もほとんどは古い大学などでは特にこういう動物実験でそれぞれの教室の中で動物飼育を行っているというケースがございまして、そういうものがかなりこういった何といいますか発症を起こしておるところでございます。 現在、動物実験施設を逐次充実していこうという方針でございまして、医学部を持っております国立大学四十二大学ございますけれども、三十九の大学にこのような施設を設けております。平成五年度にも琉球大学につくりますので、四十の大学になるわけでございます。できるだけ動物実験施設を充実させまして安全な管理体制をつくる。 それから、御指摘の定員等の配置でございますが、逐次、定員状況が非常に厳しい中でやってまいっておるわけでございますけれども、今後ともなお一層努力していこうと考えておる次第でございます。 それから、職員の定期健康診断あるいはこういった感染に関する検査等でございますけれども、これにつきましては、それぞれ附属病院あるいは保健管理センターというようなところを持っておる大学でございますので定期的にやるようにということで予防指針でも示しておりまして、その励行を図るように指導してまいりたいと思っています。
○橋本敦君 大臣、お聞きのように、この問題は全国的に非常に医学の進歩と発展の上からも職員の安全からも大事な問題になってまいっておりますので、文部省としても鋭意この改善と今後の安全な研究の発展のために大臣としてもお力添えいただきますようにお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のとおり、各大学における実験動物についていろいろな問題があるということを今よくわからせていただきました。 それだけではなくて、大学における研究施設、その管理状況というものにはいろいろな問題がございます。これがようやく最近世間の関心を集めておりまして問題意識も非常に高まっておりますので、文部省といたしましてはこの実験動物の問題も含め、研究施設、その管理状況等の改善のために努力してまいりたいと存じます。
○橋本敦君 終わります。
○乾晴美君 大変お疲れのところ、もう私で最後でございますので頑張っていただきたいというように思います。 私、つい先ごろ、クリントン政権の副大統領のゴアさんが書かれました「地球の掟」という本を読ませていただきました。それは、衆議院議員の非常に環境に詳しいと言われております小杉隆さんという方が訳した本でございましたけれども、前の方には環境のことがたくさん書かれておりました。でも、その本の後ろの方に家族のことを非常に詳しく、登校拒否も含めて今の日本の家族、家庭のあり方ということについて書かれていたように思うんです。 時あたかも来年は国際家族年ということが設定されていると思うわけなんですが、それに関連して文部省としてはどのようなことを計画しておられるか、そして国際家族年を迎えるに当たって文部省としての考え方、理念を大臣からお聞かせください。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生おっしゃるとおり、国連が一九八九年の第四十四回の総会におきまして、一九九四年、つまり来年を国際家族年とすることに決定したわけでございます。 国際家族年というものが設定されました背景といたしましては、経済発展に起因する社会構造の変化、そのことによりまして家族の性質が変容してまいりまして、家族を中心とした生活から家族の外の生活に中心が移ってきたということがまずございます。 また二番目には、経済発展に伴って家族の規模が縮小いたしまして、いわゆる核家族化という傾向がどこでも見られるようになったということがあります。 三番目には、これらの結果、家族のきずなが薄くなりまして、家族がみずからその基本的ニーズを充足させる能力が低下しているということが指摘されているわけでございまして、このような背景に照らしまして、国際家族年は政府及び民間の間で家族問題についての関心及び認識を深めて、主として家族問題に取り組むための政策の策定実施を強化するということを目的とするというふうに承知いたしております。 文部省といたしましては、国際家族年を踏まえまして、平成四年度には「新しい親と子の関係をさぐる」というテーマを設けましてフォーラム家庭教育というのをつい先日開催いたしたところでございます。さらに、平成五年度の予算案におきましては、現代日本の家庭教育の特色や課題を明らかにする家庭教育に関する国際比較調査を実施したいと考えておりまして、所要の経費を計上しております。 今後とも、国際家族年の趣旨に留意しながら、心身ともにたくましい子供の育成が図られますように家庭教育の充実に向けて施策を推進してまいりたいと考えます。
○乾晴美君 文部省としては、心身ともに健やかな子供が育つように、そういう家庭を目指してということですが、午前中から同僚議員もたくさん、上山議員そして山下議員も登校拒否といいましょうか不登校の人たちのことを随分述べられておりましたけれども、私も心身ともに健康な子供を育成するということに関しましては非常に関心もあ りますし大切なことだと思っておるわけなんですが、なかなか学校現場としても大変だろうなと思うわけでございます。 今度、文部省が全国の約一千名の養護教諭の方を対象に保健室利用調査というのを行ったそうなんですけれども、私も元高校教師をいたしておりまして保健室のあり方というのはよくつぶさに見てまいっておるわけなんです。今の生徒の中には何となくとか非常に情緒不安定な子たちもいまして、どこが苦しいわけでもないんだけれども保健室に来たとか、それからもうほとんど一日の半日以上保健室へ来てしまって、いわゆる保健室登校というような生徒もいるわけです。そういうことになってきますと、養護教諭の方はそれなりの本来のお仕事があるわけなんですけれども、そういった教室外でのいじめとか悩みだとかということの相談を持ちかけられますと、知らないと言うわけにはいきませんで、どうしてもその相談に応じてしまうということなんですね。 そういうことにかんがみ、文部省では今度保健室を利用している人たちに対して、養護教諭だけでないのかもしれませんが、主に養護教諭を対象にしてカウンセリングを実施するための相談活動の手引というんでしょうか、そういうものを作成されたというように聞かせていただいたわけなんですが、その作成の過程と内容がどういうものかというのを教えていただきたいと思います。
○政府委員(奥田與志清君) 先生、今御指摘の保健室を訪れる児童生徒、特に心の問題で保健室へやってくるわけでございますけれども、そういう子供がふえていると。そこで文部省といたしましては、ぜひこういう子供に対して適切な指導を養護教諭の方々にやっていただきたいと考えております。 先生今お話ございました手引書でございますが、これは現在作成中でございまして、日本学校保健会に委託をして、そちらの方では専門家によります委員会を設置し今鋭意努力していただいているところでございます。めどといたしましては恐らくことしの七月ぐらいまでにはできるんではないか。そして各学校で活用していただこうと考えておりますけれども、例えばこういうふうな事項がこの中に盛り込まれるのではないかと思っております。養護教諭と保健室相談活動の特質、保健室相談活動の進め方、相談内容に応じた相談活動の実際といったようなことが内容になると思いますが、いずれにいたしましても実践的な手引書として大いに活用されるようなものをつくっていただこうと考えております。
○乾晴美君 もうでき上がっているのかと思っていたんですが、これからだということなので早急につくっていただいて、また中身も教えていただきたいなというように思います。 それでは、ヘルスカウンセリングというのを今度なさるということだと思うんですが、指導者養成講座を全国に三カ所、また定員百名で計画しているということを聞かせていただいたんですが、三カ所の場所とその内容はどういうことなのでしょうか。
○政府委員(奥田與志清君) 先生御指摘のヘルスカウンセリング指導者養成講座でございますけれども、これは対象といたしますのは各都道府県におきまして指導的な役割を果たしておりますところの養護教諭の方々にお集まりいただくということでございます。 お話ございましたように、全国を三つの地区に分けまして開催いたしております。内容的には心の問題、先ほど申し上げましたような、そういう子供に対しまして適切な指導ができるように、そして現場でといいますか学校で一生懸命努力をしている養護教諭の方々に対しまして適切な指導をしていただけるように指導的な立場にある方々に対しまして講習を受けていただいて、都道府県でそれを還元していただくといいますか生かしていただくということを考えております。
○乾晴美君 そういうことでヘルスカウンセリングもやっていただこうかということになりましたら養護教諭に対して非常に重要視していただけるというか、そういう認識についてはうれしいのですけれども、養護教諭には養護教諭としてのまた別な仕事もあるわけでして、勤務が厳しくなるのではないかなというように心配するわけです。 それで、私もこの国会に出していただくまでは徳島の県立城北高校というところでお世話になっておりましたけれども、そこは今千六百人ぐらいの生徒がいらっしゃるわけなんで、そこで養護の先生がお一人なんですね。これではもうどんなにいい手引をいただいても、そういうカウンセリングを受けられても大変ではないかと思うんです。複数制についてどのように考えられていらっしゃるか、もっと積極的にやっていただきたいというように思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(井上孝美君) ただいま先生から養護教諭の複数配置についてお尋ねがございましたが、今国会に政府から提出しております標準法の一部改正法案におきまして、平成五年度から十年度までの六年計画におきまして、第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画及び第五次公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画におきまして養護教諭の定数につきましても、その改善を内容としているわけでございます。 先ほど養護教諭の職務の複雑、困難性が増し、またその複数配置の必要性が増してきたという先生からのお話がございまして、私どももそのような養護教諭の職務の重要性にかんがみまして、最近における養護教諭の職務というものが、先ほどお話がございましたように、保健室に来室する多数の児童生徒の中には身体面のみでなく精神面で相談を求めてくる者も見られ、また表面的には身体的な症状を訴えながら、内面では心の問題を持っている児童生徒の状況が指摘されている、さらには思春期特有の性的な悩みに対する相談活動や、近年の社会情勢にかんがみましてエイズ等に対する正しい情報提供なども重要になっている、このような状況を踏まえまして、養護教諭の業務量が増大しているというように考え、その職務の遂行が困難となっている三十学級以上の大規模校に対しまして複数配置を行うことといたしまして、複数配置といたしましては小中学校で五百四十二人、高等学校では八百二十三人の増員を今回の改善案の内容とさせていただいているところでございます。
○乾晴美君 ありがとうございます。不勉強でしてよくわかりませんでしたが、安心いたしました。ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。 午前中、業者テストの問題なんかもありまして、今学校ではいろんな問題点があるなということで、私も業者テストについて聞かせていただきたいと思っていたんですが、同僚議員から聞いていただきましたので省かせていただきますが、やっぱり学力偏重といいましょうか偏差値偏重というのは学校の中の先生方の意識の中にもあるわけでございます。 私が国会へ来ましたときに、非常に物を省略して言われるのでよくわかりませんでした。例えば、沖北特というのは何のことだろうとか、一般の人には通じないなと思ったり、それから参議院本会議のことを参本とかということに非常にどきっとしたりいたしましたが、学校ではオンショビと言うんですね。オンショビというのはおわかりになりますでしょうか。おわかりになっても答えにくいのかもわかりませんが、オンショビというのはいわゆる五教科と違う音楽、書道、美術のことでございます。また、五教科と違うあとの五教科といいましたら音・書・美・保・体と、後に保健体育が入ってきまして、家庭科は入ってもいない。学校の先生方の中でもそういう言葉が言われているわけでして、業者テストはだめだ、もっと多様な生き方があってということであれば、それを廃止するだけでなくて教師が一人一人そういった学力偏重の考え方をなくしていくんだ、いわゆる子供の創造力だとか直感力を養っていくんだという新しい学力観とか生き方指導を見つめ直していかなければ本当はよくなっていかないだろうなというように思っております。 そういうことから言えば、教師みずからが意欲を持って取り組むにはどうやったらいいんだろうかということで、文部省は先生方に対してどのような指導をこれから考えていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 確かに、進路指導の問題はこれから我々真剣に考えなきゃならぬと思っておるわけでございます。 従来、えてして業者テストの偏差値というようなことで、むしろ偏差値が主役になっていたんじゃないかという反省があるわけでございまして、今御指摘がございましたように、やはり基本は生徒の能力、適性あるいは興味、関心、将来への進路希望、こういうものを十分踏まえまして、また進学しようとする高等学校の特色とか状況を生徒が十分理解した上でなされるべきである。やっぱり主役は生徒であるということを基本に据えなきゃならない、このように思っているわけでございます。 文部省におきましては、毎年、進路指導担当指導主事等を対象にいたしました研究協議会というのを開催しております。また、進路指導資料の刊行等も行っているわけでございます。特に、平成二年に進路指導の改善に関する調査研究協力者会議というのを設けまして、その調査研究の成果を受けまして平成四年度に進路指導資料の内容を刷新していわゆる理論編的な進路指導資料をつくったわけでございますが、平成五年度刊行予定の第二集におきましては実践例を豊富に取り入れた進路指導資料をつくりまして、それが唯一の手段ということじゃございませんけれども、いろんな工夫が実際に学校において行われているんだということを多くの先生方に知っていただく、そしてまた工夫をしていただくということが大事だと思っています。そのほか、中央レベル、都道府県レベルにおきまして進路指導講座を実施しております。平成四年度では、中央講座で二百十九人、都道府県講座で一万四千六百人の教員が参加しております。 こういうものも年々実施をし、そして進路指導の基本的な考え方、そういうものをよく趣旨の徹底を図ってまいりたいと思っております。
○乾晴美君 ということで進路指導の方にもいろいろ力を入れてくださるということなんで、そういう中から今回また新たに総合学科を考える学校になってきたんだろうと思うんです。九年前からそういった総合学科を先取りして、先ほどちょっと大臣もおっしゃったかと思いますけれども、埼玉県には実験校があるようでございます。その伊奈学園総合高等学校の成功例もお話を伺いたかったんですけれども、時間が参りましたので、中身ではなくて、そういう総合学科の教育の特徴として進路指導のガイダンスをやったり生徒の個性を生かした主体的な選択ができたり実験とかそういった体験ができたり、また多様な能力を適性に応じて教育をするんだという趣旨には私大いに賛成なんですが、次の五つにつきましてちょっと心配な点がございますのでお伺いしていきたいと思います。 その一つは、ガイダンスの機能充実のための教員配置がどうなっているだろうか。それから、多様な授業展開にかかわる教員配置の基準の見直しが要るのではなかろうか。多様な授業展開にかかわる学習室の増設だとか実践的体験学習の重視に伴う高等学校の設置基準を見直す必要があるだろうなと。それから、これから多様な施設設備の管理と多数の教員の配置に伴う事務を処理する事務職員等の配置基準もまた見直していかなきゃいけないのではないだろうか。それから、総合学科を配置する都道府への財政的支援体制の見直しも要るのではないかというように思うんですが、この五点について教えていただきたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 今、先生から伊奈学園総合高校の話が出ました。これは普通科の中で実施をしている高等学校でございまして、総合学科を先取りしたような形のものでございます。 私も先般、五時ごろこの高校を訪れたのでございますが、生徒がまだ、放課後でございますけれども、いわゆる部活動みたいないろんな活動をしています。いかに子供たちが自分の興味のあることならば熱心に取り組むかという姿を実際に見させていただきまして、やはりこういう高等学校が全国各地にできればいいなと私は思っているわけでございます。 今、先生の具体の御指摘ございました。総合学科はまさに子供たちの興味、関心に基づきましていろんな科目を開設するということでございます。したがいまして、ガイダンスも大変大事でございますし、また多様な科目を開設するわけでございますので、先生の配置につきましてもいろんな工夫をする必要があろうと、こう思っておるわけでございまして、現在の教職員定数改善計画の中でこの辺につきましても十分取り組んでいただいているわけでございます。 ただ、現在のところまだ具体的に何人ということには数字は出ておりませんけれども、定数を具体的に検討する際にはその辺のところを適切に対処していきたい、このように思っております。 それから、施設設備の関係でございますけれども、現在、今までのところ産業教育関係の授業を行っているところにつきましては産業教育振興法に基づきまして補助がなされているわけでございまして、総合学科につきましてもそういう従来補助の対象となっていたような教科、科目につきましてはやはり補助の対象にしていきたい、このように思っています。そして、理科教育及び産業教育審議会におきまして産業教育振興法に基づきます補助が行われる施設設備の整備基準の見直しが行われておりますので、総合学科の特色が十分生かせるような、そういう方向で基準の策定に努めていきたいと思っております。 それから、事務職員の配置の問題、財政的な支援措置の問題、こういう問題につきましても基本は各県の工夫ということでございます。したがいまして、私ども、こういうことをやったらば得するんだとかそういう形になりますとみんなそちらの方に誘導されちゃうというようなことで、余りそういうことはしたくないのでございますけれども、やはり総合学科が全体的に全国的な設置が進んでいくような方向でいろいろな工夫をしていきたい、このように思っております。
○乾晴美君 総合学科についてもう一問だけですが、生徒が急減期を迎えるわけですね、これから高等学校というのは。そういうところで、総合学科の実施は既設高校の編制がえのような形で対応されるのか高校新設を実施されるのか、そこら辺をちょっと聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 形としては新しく総合学科を設置をするという形もあれば、あるいは従来の普通科あるいは職業学科を転換するというやり方も両方あると思います。これはまさに、従来のものにとらわれずに新しいものを工夫しようという形になりますと新設というような形で出てくる場合もあると思いますけれども、今のような状況ですとやはり転換をするというものが多いのではないかと思っているわけでございます。 現在、複数の学科が設置されている学校があるわけでございますけれども、こういう学校は現在学科ごとに定員を決めておるわけでございますね。これを学科ごとの定員というものの枠を取っ払って、学科を超えていわゆる定員を定める。つまり、総合学科として定員を定めるということによりまして子供たちは選択履修ができるわけでございますから、そういう形の総合学科、もちろんそれだけで総合学科という形じゃ余りにも工夫がないものでございますから、そういうものを基礎にしながら新しい試みをその中に入れていただく、そういうような総合学科の設置ということも考えられるんじゃないか、こう思っております。
○乾晴美君 高等学校の人数が減っていくということもさることながら、今後大学も随分減っていくのではないかというように思うわけです。第二次ベビーブームの波が大学に押し寄せた九〇年から三年間、十八歳人口は二百万人を超えておった。ピーク時の九二年には二百五万人に達したと言われております。九三年以降の五年間を見てみます と、十八歳の人口が九三年では百九十八万人、九四年では百八十六万人、九五年は百七十七万人、九六年は百七十二万人、九七年が百六十七万人と減少するだろうと、西暦二〇〇〇年には百五十万人を割り込みそうだと、こういうことなんです。 これは、高等学校をお出になる方が今の割合と同じ八八%ぐらいでほぼ横ばいするだろうなというところで計算されたみたいなんですけれども、今後閉学だとか廃校に追い込まれていく短大とか大学は可能性としては十分あり得るのではないかというように思うわけですが、このような事態に対する文部大臣の御見解を伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 確かに、十八歳の人口が減少していくということはもう今から予測されるわけでございます。そのことによって、程度の差はあっても各大学を初め高等教育機関が何らかの影響を受けるということは避けられないのではないかというふうに思います。 このような状況を迎えるに当たりまして、各大学等におきましては社会や国民の要請にこたえて魅力のある個性的な大学をつくっていくということが求められているわけでございます。 文部省といたしましては、各大学がみずからの理念に従って個性豊かな発展と教育研究条件の改善のために積極的な取り組みを行ってほしい。そのために奨励、支援するということを考えているわけでございまして、大学設置基準の大綱化、自己点検・自己評価システムの導入などの措置を講じたところでございます。 これを受けて、現在各大学等におきましてはカリキュラムの改革を初めとする大学改革に取り組んでおられるところでございまして、文部省といたしましても教育研究の質的充実のための取り組みをお勧めし促しているところでございます。 また、十八歳人口が減少という話を中心に先生の御指摘ございましたけれども、各大学は広く社会人に門戸を開いて職業人の再教育あるいは社会全体の生涯学習ニーズの高まりにこたえるというようなことも大変重要ではないかというふうに思います。 なお、高等教育の規模については、今後十八歳人口が減少するということを考慮いたしまして、大学の新増設は原則的に抑制していきたいというふうに考えております。
○乾晴美君 大学もそういうように廃校になっていくという中で、これからの本来の大学のあり方だとかまた必要性について見直す時期に来ているだろうなというように思います。 ただいま伺いました中で大体わかりましたので、ちょっと問題を変えて一言だけ違う問題でお願いしたいと思うんです。 これは森議員もおっしゃっていたことなんですが、エイズ教育が大切だということなんですけれども、私はエイズ教育にあわせてセクシャルハラスメントもそろそろ学校の中で教育すべきであるというように思います。これは昨年の三月三十一日のテレビ朝日の「CNNデイブレイク」で、既にアメリカのカリフォルニアの高等学校ではセクシャルハラスメントのガイドラインをつくって高校生の授業の中に使われているんだということが放映されておりました。また、子供たちに自分の体を大切にして大人の要求にいやと言える、そういった勇気を教えたいということで、大阪の母親グループなんですけれども、その方々が幼稚園とか保育所に劇を仕立てて指導していたらしいんですが、ことしの二月に小学校で初めての公開講座も予定しているんだというようなことで、そろそろ皆さんはじっとしていられなくて、そういう方向で小学校の間からでもセクシュアルハラスメントを指導したらいいという方向になってきております。 いかがでしょうか、そろそろ教育の中にもセクシュアルハラスメントを取り入れるということについての大臣の御見解を伺いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) セクシュアルハラスメントというのは英語でございまして、初めは何のことがわからないという方が多かったんですけれども、このごろは大変一般的に使われるようになりまして、日本においても大変問題意識が高まってきていると思います。 今までの言葉で言えば男女平等に関する教育というふうにでも言えるのではないかと思うんですが、男女平等に関する教育というのは個人の尊厳、両性の本質的な平等などについての理解を深めるということでありまして、極めて重要な課題だと思います。このために小学校、中学校また高等学校、各学校の段階を通じまして社会科や道徳や特別活動などにおいて児童生徒の心身の発達段階に応じて適切に指導するということになっております。 例えば、中学校の社会科の公民的分野におきましては、現在の家族制度の基本的な考え方が個人の尊厳と両性の本質的な平等に基づいていることを理解させるとともに、道徳においては、男女は互いに相手の人格を尊重し、健全な異性観を持つようにすることとしております。また、高等学校では現代社会において、基本的人権の保障や人間の尊厳と平等などの観点から男女平等を取り上げるとともに、ホームルーム活動などにおいて男女相互の理解と協力について取り扱うということが決められております。 また、御存じのとおり、今回の新学習指導要領におきましては、高等学校におきましては家庭科を男女とも必修といたしておりまして、男女が協力して家庭生活を築いていくということについても指導するようになっております。 今後とも男女平等に関する教育の一層の充実を図ってまいりたいと考えます。
○委員長(松浦功君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後五時二分散会