農林水産委員会 第15号
- 発言数
- 251 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1993/06/04
会議録
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、農業機械化促進法の一部を改正する法律案、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案、以上三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○一井淳治君 法案の中を読んでおりますと、「効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う」農業構造にするとか、いわゆる目標が各所に出てくるわけでございますけれども、どういう農家を集積していって、どういう農家を希望しておられるかということをまずお伺いいたします。
○政府委員(入澤肇君) 今回の法案でねらっています農家というのは、一口で言いますと経営マインドを持った農家、別の言葉で言えばプロの農家ということを私どもは意味しております。要するに、家計と経営というのをきちんと分離して、可能な限り生産性を上げて、そして産業としての農業を確立していくんだ、そのような担い手としての農家ということを念頭に置いて効率的・安定的な経営体というふうに申し上げたわけでございます。
○一井淳治君 新政策を見ますと、個別経営体では十から二十ヘクタール、複合経営では五から十ヘクタール、そして個別経営体を三十五万から四十万戸、組織経営体を四万から五万戸と想定しているということが書かれてあるわけですけれども、こういうことを目標とされておるんじゃないんですか。
○政府委員(入澤肇君) そのような経営マインドを持った農家が農業経営をやっていく場合に、所得、労働時間、労働条件、三つの観点から他産業と遜色のないレベルの要件を享受し得るということで、そういう農家層を実現していくためには、例えば稲作においては今申されたような経営規模の生産が必要ではないかということで試算をしたわけでございます。
○一井淳治君 ですから、稲作単一農家の場合では十から二十ヘクタールということを想定してあるわけですね、どうですか。
○政府委員(入澤肇君) そのとおりでございます。
○一井淳治君 そういう集積をしていく過程の問題なんですが、既存の農家が手放す場合には、効率の悪い、例えば山の下の草の生えやすいとか日陰であるとか面積も狭いとか、そういった生産性の低い農地がまず流動化の対象として出てくるんじゃなかろうかということが考えられますし、また現に最近の統計数字を見ましても、大規模化する農家に集積していっているかといえば決してそうではなくて、中規模同士がお互いにある範囲の農地を手放しては中規模程度の集積が進んでいくという現状があるわけですけれども、そういった現状が変わっていくんでしょうかどうでしょうか、このままでは変わらない気がするんですが。
○政府委員(入澤肇君) 確かに、我が国の農業の零細性、農地の分散錯圃の状況を見ますと、これは大変なものでございまして、例えば一農家当たりの所有する筆数が田畑合計で十三・二筆、一筆当たりの面積が八・七アール、こういう状況を克服しながら規模拡大をやっているわけでございます。 その規模拡大をやっている流動化の実績を見てみますと、従来は五ヘクタールを超えるような大規模階層の農家戸数自体が少なかったこともありまして、御指摘がありましたように大体二ヘクタール程度の中規模農家がねらいの中心になったわけでございます。しかし、最近では徐々に五ヘクタールを超える大規模層が受け手として主体となりつつあります。したがいまして、私どもが目指しています経営規模の方に向かって徐々に状況が変わりつつあるというふうに認識しております。
○一井淳治君 経済的な自然の流れに任せておったら中規模の集積以上には進まないんじゃなかろうか、相当行政の方がリードといいますか、かなり強引な誘導をしないととてもとても十ヘクタールとか二十ヘクタールにはならないんじゃないかという感じはいたしますけれども、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(入澤肇君) あくまでも連担化、集約化を図る仕組みとしましては、集落段階の話し合いをベースにしまして地道に努力を続けなければならないというふうに考えておりますけれども、それに対する政策手段としては各般のものを用意して、今まで以上に一段と強化されたものにしなくちゃいけないと考えております。 その意味におきまして今回この法律を提案しているわけでございますが、その中で特に流動化の主体となります農地保有合理化促進事業を強化すること、それから農地の利用調整活動を強化すること、このような政策手段を駆使しまして、現状と十分調整をしながら可能な限り目標に向けて進んでいきたいというふうに考えているわけでございます。
○一井淳治君 この法律に書いてある程度の手段で目標は達成できそうなんですか。
○政府委員(入澤肇君) 十とか二十ヘクタールという目標が達成できるかというと、そういうことを明確にこの時点で申し上げるわけにいきませんけれども、しかし出し手がかなり多くなってきている、担い手もかなり少なくなってきている、しかもそういう中で中山間地域におきまして特に耕作放棄地がふえている。 こういう状況を考えますと、日本農業の生産力を維持発展させるためには専門的に水稲耕作の経営をやるという農家層に農地を集めなくちゃいけないという状況にあるわけでございまして、これは現下の状況を踏まえますとどうしても担い手を育成していくということが必要じゃないかということでございます。
○一井淳治君 必要であるということは理解できるんですけれども、今申し上げましたように十ないし二十ヘクタールの経営体を三十五万から四十万戸つくっていくんだという、これができるんですか。
○政府委員(入澤肇君) 三十五万から四十万戸の農家をつくっていくということを前提といたしまして毎年階層分化があります。マルコフコーホートという一つの統計手法に基づいて計算してみますと、だんだんだんだん農家層が減っていく、担い手も減っていく。そういう中で、一方で農地の階層分化で見てみますと、先ほど二ヘクタールと申しましたが、二ヘクタール以上のシェア、さらに三ヘクタール以上のシェアの農家がふえ、五ヘクタール以上のシェアの農家がふえております。ですから、そういう状況を踏まえますと今申し上げたような数字に近くなっていくんではないかというふうに見ております。 しかし、自然に任せたんではだめなんで、政策的に助成する仕組み、バックアップの仕組みをきちんと整備しなくちゃいけないということで、今まで御議論いただいているような政策手段を提案しているわけでございます。
○一井淳治君 稲作農家の収益について農水省から統計資料をいただいておりますけれども、十ヘクタールぐらい耕作を拡大していきますと全国平均で十アール当たり四万五千円ぐらいの収益が上がるという統計が出ております。私はこの統計というのはややバラ色過ぎるんじゃなかろうかという感じを持っておりますけれども、しかしこれを前提としてでも、例えば新たに土地を集積して十アール当たり三万円の地代をさらに支払いをするようになるとすれば残りの純益というのは非常に少なくなってきますし、また例えば十アール当たり百万円ぐらいの農地を新規に購入するとすれば、自己資金があれば別ですけれども、そうじゃないと金利を払わなくちゃいけませんね。 そういったことで、現在の平均収益からすれば、拡大していくということは非常に危険性を伴うんじゃなかろうかという感じがいたしますが、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(入澤肇君) 確かに、地価の状況等から見ますと、規模拡大にはかなりの資金が必要でございますし、そう簡単に進むとは思っていません。しかし、地価の高いところでは利用権を設定して賃貸借で経営規模を拡大する。場合によっては経営の受委託によって規模を拡大するという方法も組み合わせながらやっていかなくちゃいけないというふうに考えております。 そういうふうなことを可能ならしめるために、例えば小作料を支払う場合に、五年分一括して前払いで払う、その場合の資金を無利子で貸すとか、あるいは標準小作料の制度を設けるとか、あるいは利用権の設定と所有権の取得を組み合わせるための政策手段も用意しております。 例えば、十年間無利子で賃貸借の資金を貸しまして、これは経営が可能になるなというふうに考えられる段階になったところで農林公庫の三分五厘資金を貸す。そうすると、三十五年二分資金ということであります。そのようにいろんな政策手段を組み合わせて、農地の取得あるいは経営規模の拡大ができるように持っていきたいというふうに考えているわけでございます。
○一井淳治君 そういう細かい配慮をしておるということは、裏を返すとほんのちょっとした計算の狂いによって赤字になってしまうということであろうと思います。 そういったことの関係からすれば、稲作の場合は米価が不安定であれば農家の方は規模拡大ができないと思うんです。ですから、私は米価が下がるようなことがあれば、あるいはそういうことがちらほらちらほらしている限りは規模拡大は進まないと思います。この辺のお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(田名部匡省君) 価格政策というのはなかなか難しい問題ですけれども、しかし、生産費でありますとか需給の事情、そういうものを参酌して今日まで米価の決定をしてきたわけであります。これも規模によって大分違うんです。ですから、方向としては、規模を拡大して何とか価格を、内外価格差といいますか、そういうもののためにもなるたけ引き下げられる方向に進めていきたい。まあ、これはどうなるかはやってみないとわからぬことでありますけれども、しかし安定すればそういうことも可能であろう、こう思うんです。 そこで、この生産費についても、規模拡大に伴い必要となった経費も見ておるわけでありますから、機械も大型の機械を導入するということになれば、それらも十分諸経費で積み上げられて再生産が可能になるように、構造政策の推進と整合性がとれるものと実は考えておるわけでして、決してそういうものを無視して米価というものは勝手に決めているわけでないものですから、価格政策の適切な運用に努めて効率的・安定的な経営体を育成していきたい、こう考えております。
○一井淳治君 農水省でおつくりの統計数字を見ますと、一ヘクタールから一・五ヘクタールの間は一万三千円ぐらいの収益しか上がっていない。一・五から二ヘクタールになって三万二千円ぐらいになるんです。ですから、二ヘクタールぐらいの人が規模拡大しようと思っても三万円の地代を払ったらゼロになっちゃうわけです。ですから、相当規模が大きくなっていけば、そこから利益が出ますけれども、現在普通の農家の方が集積を進めていこうとしても非常に困難なわけでございます。 したがって、ここで将来の米価について大臣がお約束するわけにはいかないことは私もわかりますけれども、構造政策のためには、価格政策を相当強力に念頭に置いて農政を展開していかなきゃならないと思います。この点は私と大臣の考えは同じじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
○政府委員(上野博史君) 今、規模に応じた稲作の収益の数値の御披露がございましたんですけれども、その数値の出てくるまでの過程として、規模拡大のために必要としている買い入れ地代等のコストも中に入っているわけでございます。大臣も申しましたように、これから規模拡大を進めていくために、機械なりそういう借地のための経費というようなものがふえてまいれば、当然そういうものはコストとしてカウントされる。 ただ、価格でございますから、言うなれば全国一律の一つの価格で決まるということで、個々の経営体にとりまして、経営の状況でそれが赤になるか黒になるか、いろいろ状況はあると思いますが、一般的に言えば、規模拡大の努力をされればそれだけ収益は上がる、コストが単位当たりで見れば下がってまいるということで御努力がいただけるんではないか、かように考えております。
○一井淳治君 統計数字を見ただけですけれども、この統計には自作地もあるし、小作地もあるし、いろんなものが入っています。ですから、今後新規に拡大する人は皆さん金利を払って買うか、あるいは地代を払うわけですから、この金額どおりにいかないと思いますし、また官房長の統計についての考え方は私とは違います。 ただ、私の言いたいのは、価格政策がしっかりしないと農民はまた希望を失って長続きしない。構造政策をするためには価格政策が非常に大事だという、そこのところの認識を大臣に伺いたいわけです。
○国務大臣(田名部匡省君) 価格政策の、例えば米価の決定の仕方、これは今までも、過去何回かいろんなやり方を変えました。どう変えてみても、規模の問題がありまして満足のいくような状態にならない。満足している人もあるけれども、満足しない。満足しないという人は、規模が小さい方々が多い。規模が小さい人というのは、どちらかというとそれだけでは生活できないものですから、他の畑作をやるとか、あるいは土地がそれだけしかない人はどこかへ勤め先を探す。それはそれで私はいいと思うんです。全体として所得が他産業並み、そういう人は他産業並み以上になっていますから、それはそれで進めていけばいいことであって、そうでない、農業に主としてかかわってやっていこうという人がそういう状況にないというと、働きにも行けない、農業だけでも生活ができない。そこのところをきちっとしながら、高齢化に備えてそこに土地を集約して何とか農業経営が成り立つようにということで、これは私はいつも申し上げるんですが、経営的な感覚というのはそこなので、そこでどうすればいいか、買ったらどうなるか、借りたらどうなるか、いろいろのやり方がありますので、ここにはこれがいいということは言えません。 ですから、地域でよく御相談いただいて、それで買った場合にも返していけるという見通しに立つならば、何年かで買っていくんだという方法もあるだろうし、どうしても高くてだめならば借りてやる、いろいろ考えていただきたいのはそこなんです。そういうことで、価格はちゃんとやりますけれども、余りそれだけに固執しておると百年たっても不満というものはなくなりませんので、不満をなるたけ解消して、そして少ないところにはそれなりの手当てをまたしていく、こういうことは考えております。
○一井淳治君 長いお言葉をいただきましたが、その中に一点、価格についてはちゃんとしていくというお言葉がありましたから、それだけで私は結構だと思います。一番大事な点ですからね。その点をもう一遍お聞きしたいんですが、そうしておると私の質問時間がなくなってしまいますので。 次に、中山間の関係で質問させていただきますけれども、中山間地域について、農業者年金の特別扱いはできないかということでございます。 経営移譲年金については、現在経営移譲するということが要件になっておるわけですけれども、しかし、山奥の大変非能率な水田等については、これは経営移譲ができないような場合にも、例えば景観が非常にすぐれた林地にするように植林をしていくとか、あるいは非常に意義の高い保安林にするとか、あるいは地域の発展に非常に有効な公共施設に転換するとか、そういった場合には経営移譲年金を給付してもいいというふうに、少し農業者年金について中山間地帯の特例を設けたらいいんじゃなかろうか、そういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(入澤肇君) せっかくの御提案でございますけれども、農業者年金の経営移譲年金の受給要件につきましては、御承知のとおり非常に要件が厳しく定められているわけでございます。 的確な後継者や第三者に農地の権利が移転、設定されることが必要でありますし、経営移譲農地が農地として利用される等の要件が設けられておりまして、農地を林地化する、保安林化する、あるいは施設用地とすることにつきましては的確な経営移譲として認めることについてはなかなか制度の趣旨からして難しいんではないかというふうに考えております。
○一井淳治君 難しいのはよくわかっておるんです。しかし、日本の農村部とヨーロッパの農村部を見ますと、ヨーロッパの場合は非常に景観が美しい。つまり、日本はここには耕作放棄地があり、ここには稲をつくりというふうに非常に景観的に劣っていると思いますけれども、そういったことで、非常に有意義な土地の移行というものがある場合は、仮に後継者が出てこなくても大変高い意義があるわけですから、そういったことを御配慮いただきたいと思います。特に、どうしても後継者が出てこない場合には農業者年金基金が借り受けるというふうになっていますけれども、その場合も三年間頑張ってどうしても後継者が出てこない場合はもとに返して結局は歳入に入れてしまうというふうになるわけですから、三年のむだを省いてもっと早くから地域にとって意義深い土地に使えるように、経営移譲年金について中山間地域については特別の配慮をお願いしたいと思います。 それから、農業機械の関係でございますけれども、女性の就業人口がもう六割を超えようとしているわけでございますが、私どもが農村部を歩いておりますと、女性の方から農業機械が女性の体力やあるいは体格に合っていないという不満を聞くわけでございます。女性向けの機械の開発は女性の方が農村部で元気を出して働くためにも必要ではなかろうかと思いますけれども、そのあたりのお考えをお伺いします。
○政府委員(高橋政行君) 確かに、女性が今農業の重要な担い手ということで役割を果たしておるわけでございます。しかしながら、女性の皆さんは、あるいは高齢者の方も入りますが、一般に男性と比較すると体格とか体力に不利な面があるということで、そういった体力に適合した農業機械の開発あるいは改良の必要性につきましては我々も十分認識しておるところでございまして、そういったことも考えながら研究開発を推進してきておるところでございます。 具体的に申し上げますと、生研機構におきましては、機械についてできるだけ軽く動かせる操作レバーの開発であるとか、あるいは運転席周囲におけるペダルとかスイッチ、そういったものの配置を改良いたしまして操作性の向上を図る、あるいは補助ステップ等によりまして乗降時に安全の確保を図る、それから機械の操作性や作動状態を表示するパネルの機能向上を図るとか、あるいは振動とか騒音量の軽減をするというような試験研究を推進してきておるところでございまして、こういった成果を踏まえて今後新たな農業機械の開発に反映させていきたい、このように考えております。
○一井淳治君 女性が容易に使いやすいように調節機能をつけるとか、いろいろ御配慮をお願いしたいと思います。 それから、農業機械操作上の事故を見ますと、一つは転倒や転落の事故が非常に多いわけですけれども、それに対する安全対策、そして高齢者の方の操作ミスというのもあります。操作ミスは、そこまで考えなくてもいいじゃないかという考えはあるでしょうけれども、現実に農村部では高齢者の方が機械を操作するわけで、そして何百人という方が事故で落命しておられるということもあるわけですから、操作ミスで例えば前進ギアとバックのギアを間違えて入れたという場合にも緩慢に発進するとか何かいろんな方策を考えていただきたいということを希望させていただきまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
○菅野久光君 長い時間の審議も私が一番最後のバッターになったようでございます。しかも時間が七十分ということで盛りだくさんなことを質問したいと思っておりますので、ひとつ答弁の方もできるだけ要領よく簡潔にお願いを申し上げたいと思います。 まず初めに、きのう私どもの稲村委員が生産法人の構成員の相続税の問題について、何とか納税猶予制度等取り扱いをしてもらえないかという強い要望がありまして、そのことを質問いたしました。同じようなことで一林業関係の経営者が生産法人の中に関係するときのこともありますが、同じような問題ですので、このことについて再度私の方でお尋ねをいたしたい、このように思います。
○政府委員(入澤肇君) 昨日も御答弁申しましたとおり、私どもも同じような意識を持って過去何度か税務当局に対しまして税制上の要求をしております。しかし、納税猶予を継続し、あるいは納税猶予の対象とすることにつきまして、納税猶予制度が持っている特性ですね、特例農地等におきまして適用者みずからが農業経営を行うことが前提に仕組まれていること、それから納税猶予制度は農地農民に認められた特例制度であること、この壁が非常に厚くて何度挑戦してもなかなかあかないんです、私どももそのたびごとに知恵と工夫を凝らしているんですが。 例えば、ことしの平成五年度の税制要求におきましてもいろいろと要求してきました。角度を変えて一つ突破口を開けないかということで工夫に工夫を重ねたのが例の特定農業法人の準備金制度なんでございます。あれは、ああいうふうなことで農業生産法人の税制を一歩でも前進させたいという気持ちで、本当に知恵を絞った結果ああいうふうな要求になって、これは初めて認められたんですけれども、なかなかこの納税猶予制度は難しいということを御理解いただきたいと思います。
○菅野久光君 私どもも難しいことはよくわかっておりますが、知恵のある皆さんですから何とかまたいい知恵を出してもらいたいということをここのところは強く要望しておきたいと思います。 それから、農業生産法人が計画的に規模拡大を図ろうとする場合に農地価格の上昇ということが経営に大きな影響を与えるおそれがあるというふうに思うわけでございます。当初いろいろ計画したことがそのことによって崩れるということにもなりかねないわけでございますので、何とか農地保有合理化法人を活用してこのような農地価格の上昇が規模拡大を阻害することにならないようなことが必要ではないかというふうに思いますが、その点はいかがですか。
○政府委員(入澤肇君) 御指摘のとおり、計画的に規模拡大を図ろうとして農業生産法人が農地を取得する場合に、規模拡大計画を立てた時点と比べまして農地価格が上昇したということで負担が大きくなって、なかなか計画に沿った規模拡大が難しいということは各地にございます。 この農地価格への対応といたしましては、今回の法律で特に農地保有合理化法人の持つ中間保有機能を十分に活用してひとつ工夫ができないものかというふうに考えているわけでございます。それはどういうことかと申しますと、具体的には、農地保有合理化法人が先行的に農地取得をします。それに必要な経費を上乗せして売る。ですから、地価の上昇局面におきましても過去の価格に必要経費を上乗せしただけで売れるようにすると、現行の地価との間にギャップがありますから、その分だけ安くなる。そのような農地保有合理化法人の中間保有機能を十分に駆使して可能な限り計画的に農地取得ができるようにしたいというふうに考えているわけでございます。
○菅野久光君 土地の値上がり等があっても生産法人が心配のないような、そういう措置をとるということで、それは確認をしておきたいと思います。 ちょっと具体的に、今のは地価が上がる場合なんですが、合理化法人が例えば十アール当たり五十万円で取得した土地、それがその後地価が値下がりする、これは北海道なんかは値下がりしているわけですが、そうした場合に、だれかに売り渡しをするときに十アール当たり四十万円ということになれば、その間に十万円の差が出るんですが、売り渡すときには買った価格で売り渡すのか、時価で売り渡すことになるのか。その場合には合理化法人が、下がった場合には損をするというか欠損を出すわけですね。そういったような取り扱いはどのようになりますか。
○政府委員(入澤肇君) 時価で売り渡すわけでございますから、その場合には農地保有合理化法人が欠損を生ずるわけでございます。したがいまして、今までの運用としましては、売り先がはっきりしてから買えというような指導を、財政当局や会計検査院からも財政資金の効率的な運用、合理的な運用という視点から指摘されておりまして、可能な限りそのようなことがないようにしてきたわけでございます。 しかし、地価が上昇したり下降したりなんかする局面におきまして規模拡大を進めなくちゃいけないという政策目的がございますから、これからは可能な限り農地保有合理化法人の持っている中間保有機能を活用しながらやっていくのが必要だということで、ことしは売り渡し信託の制度を新しく考えたわけです。これも地価が下降局面におきまして、下降局面にありますからとても今は買わないよというふうなところを、それじゃ規模拡大は進みませんから、下降局面にあっても買って、しかもリスクを最小限に食いとめるということで工夫したものでございます。
○菅野久光君 次に進ませていただきます。 ちょっとこの法案とは直接関係がないんですが、きのう帰って、朝日の夕刊を見ますと、「際立つ日本の農業保護策 水準引き下げを提言 OECD報告」と、こう出ましてびっくりしたんですが、このことについて、余り時間がありませんから簡潔にひとつ説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(眞鍋武紀君) 突然のお尋ねでございますのであれでございますが、簡単に申し上げますと、OECDにおきましてPSEということで各国の保護の水準ということが試算をされておるわけでございます。これを毎年どういうふうになったかということを報告として出しておるわけでございます。 それで、新聞報道等に出ておりますのは、我が国の水準が非常に高いということが出ておるわけでございますが、これはどうしてそういうふうになったかと申しますと、要するに内外価格差とそれから生産量といいますか、そういう要するに価格差と生産量を掛け合わせたようなもの、大ざっぱに申し上げますとそういうもので表示されるわけでございます。そういうことで、この数字は一九九二年の数字でございますが、これは天候等がよかったために生産量が大幅にふえたということと、それから円高によりまして非常に内外価格差が拡大をした、こういうことで大きく出ておるわけでございます。 したがいまして、PSEというのは、前から我々は主張しておるわけでございますが、各国の政策改革というものをよく反映するというよりかむしろ外的な要因に大きく左右される、こういう限界があるということでございまして、そういう限界が露呈したものであるというふうに考えておるわけでございます。 したがいまして、我々としましては、こういうPSEの問題点を十分に留意しながら、幅を持って、そういうものだというふうに解釈をされるべきものだというふうに考えておるところでございます。
○菅野久光君 世論の中では農業に対する保護が少しやり過ぎるんじゃないかという声が非常に強いわけですよ。したがって、こういうものが出ると、またそういう人たちを勢いづかせて、実態と違うような感覚で物をしゃべられますので、関係者や団体にこの新聞の報道されたことについては、ひとつ速やかにわかりやすい形で周知をさせるというか、そういう対策をぜひとってもらいたいというふうに思うんですが、よろしいですか。
○政府委員(眞鍋武紀君) そのようなことで検討させていただきます。
○菅野久光君 検討でなくてやってもらいたいんですよ。いいですか。
○政府委員(眞鍋武紀君) わかりました。
○菅野久光君 それじゃ、本論の方に入りますが、中山間地の農業を今後どう進めるかというのは日本の農業の今後にとって非常に重要な意味を持っておるということはずっと質問を通じて明らかになってまいりました。今の状況のお話を聞きますと、一日に全国で二つぐらいの集落がなくなっていくというような過疎化が急速に進行していっているというようなお話もあります。しかし、そうした中で、本当にこれをこのままにしておいていいのかということを考えるときに背筋に何か寒けが走るような私は感じがするんです。 きょうは日ごろ自治体行政で大変御苦労いただいておる自治省の方にも来ていただいておりますし、それから国土庁の方も来ておられますので、いろいろ何か日程の都合もあるようですから、ちょっと順番を変えてそちらの方を先にやりたいというふうに思います。 国土庁が五全総で定住人口から交流入口に何か改める方針を固めだというような新聞報道があります。それはそのとおりですか。
○説明員(鈴木正明君) 現在の全総計画、第四次全国総合開発計画でございまして、昭和六十二年にできておりますので、今ちょうど中間点で総合的点検を行っているところでございます。先生御質問のお話は、その総合的点検の中間報告を今ちょうど検討しているところでございますが、これについての報道ではなかろうかと思います。正確に申し上げますと、この委員会を今もやっているところでございまして、まだ結論は出ておりません。その報道は、現在やっております検討とはちょっと方向が違っておりまして、確かに議論は出ております。 どういう議論かと申し上げますと、二十一世紀初頭に向けて人口減少地域がこれからもっと広がるだろう、その中で、地域の現状とか地域の振興とか、こういうことを考えるときに定住人口というのは非常に大事な要素である、しかしその定住人口だけではなくて、暮らしやすさとか生きがいとか他の地域との交流とか、こういうほかのいろんな要素も考えていかないといかぬのでなかろうか。それから、地域づくりにおいては、今申し上げましたように、定住人口がふえていくということが非常に大事でございますが、これにプラスしてほかの地域との交流、この交流入口をふやしていくということも非常に大事ではなかろうか。こういう意見が出ているわけでございます。 ですから、その意味では先生がおっしゃったのと少し基本の趣旨が違っているというところでございまして、四全総の目標が多極分散型の国土を形成していこうということでございます。私どもとしてはこの趣旨を踏まえまして、四全総に基づいて各般の政策を進めてまいりたいと存じておるところでございます。
○菅野久光君 一極集中をあれして多極分散型の国土をつくっていく、国土の均衡ある発展ということが四全総の目的ですね。しかし、先ほど申し上げましたように、もう一日に二集落ぐらいずつなくなっていくというようなそういう状況だから、それに何か合わせたかのようなことになっていくとますます過疎化ということに拍車をかけていくのではないかということを私は大変心配するんです。 九一年で人口減少の市町村が二千七市町村、全体の六二%。それから、さらに深刻なのは、出生者数より死亡者数が上回る人口自然減の市町村が九一年には千五百三十五市町村、全体の四七・四%を占めていて、人口動態の変化が急ピッチで進んでいるというような状況は確かにあります。それをいかにして食いとめるかということが四全総の私は目的だと思うんですね。そういう意味で、今特定農山村の問題は国土庁も共管でこれはやっているわけですね。それは、いかにその特定農山村いわゆる中山間地に定住者をふやすか、それがやっぱり大きな目的でなければならない、こういうふうに考えておるんです。 そこで、自治省はそれぞれの自治体の関係を抱えておられて大変御苦労いただいて、ことしの予算でも森林関係で千八百億、これは本当に市町村が大変喜びまして、農林水産省の予算は年々、ことしは横ばいのようですが、シーリングのあれに阻まれてなかなか森林の関係にも予算がいかないという中で、自治省がそういったような予算を確保してもらったということは大変ありがたいことで、私も農林水産委員の一人として自治省の皆さん方に本当に心から感謝を申し上げたいというふうに思うんです。 そこで、こういう中山間地に定住者をいかにふやすかということはそれぞれの自治体にとっても大変重要な事柄ではないかというふうに思うんですが、それらについて自治省としてどのようなことを考えておられるのかこの機会にお聞かせいただければと、このように思います。
○政府委員(遠藤安彦君) お答えを申し上げます。 先生御指摘のとおり、中山間地域は、大変高齢化が進んでいたり人口減少ということが顕著になっているわけでありまして、このことを何とかとめなければいけないというように私どもも真剣に思っているわけでありますが、とめるためには幾つかの要素があると思います。 一つには、農林業を中心とする産業の振興といいますか、就業機会あるいは所得の問題、これとそれから生活環境の整備の問題というのがあると思います。農山村においても生活のできる、暮らしやすい村としての機能を持ったそういうところを創出していかないと、魅力がないから若い人が抜けていくというようなことになるわけでありまして、私どもは自治体ができるだけのことをするためのそういうシステムというものを考えていく必要があるんじゃないかということでやっているわけであります。 これまで、御案内のとおり、山村地域ですと、山村振興法とかあるいは過疎法だとか、そういった地域振興立法によって施設整備を図ってきたわけでありますけれども、例えば、先ほど先生御引用していただきましたが、ことしからやろうとしております森林・山村対策、定住環境の改善を大きく山村でやっていただこうと。これも基本的には単独事業でやる話でありまして、活力といいますか意欲のあるそういう山村が、なおそういう意欲に基づいていろいろできるような財政システムというものを提供しようということで、森林・山村対策千八百億を創設したところであります。 林道でありますとか公有林の取得、管理、それから林業労働者対策といったようなものを盛り込んでいるわけでありますけれども、ともかく平成五年度からこういうシステムをスタートさせましたので、これの行方を注意深く見守りながら、なお先ほど申し上げましたような考え方に基づいて暮らしやすい、住みやすい市町村と、村としての共同体というものに取り組んでいきたいというように思っております。
○菅野久光君 それぞれの自治体でいかに過疎化を食いとめるか、あるいは中山間地の農業を何とか守らなければならないということでいろいろ知恵を凝らすことがそれぞれの地域でなされているというふうに思うんです。 そんな面で、一番大変なのは財源問題だというふうに思います。ぜひ中山間地の、やっぱり中山間地ですから農林漁業が主体になっていることだけは間違いありませんから、農林水産業がより発展するような、そういうことについての財政的なひとつ裏づけといいますか援助といいますか、そういったようなことについてさらに自治省としても特段のお力添えをお願いしたいというふうに思います。 総務審議官、けさこちらに来られて、これからまた何か別の日程があるということをお聞きしておりますので、ぜひ今申し上げたことをまた来年度予算に向けてよろしくお願い申し上げたい、このように思います。どうもありがとうございました。国土庁はもうちょっと残ってください。済みません。 農業の生産条件の不利な地域、不利不利といって一体どのくらい不利なのかということなんですが、例えば土地生産性の十アール当たりの純生産で、または労働生産性や就業者一人当たりの農業所得などをどのように考えられておるのか、あるいはどのように把握されておるのか、その点をひとつおっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(入澤肇君) 作物構成だとか経営規模等経営内容が異なっておりますので、単純に比較することはなかなか難しいですけれども、いろんな調査で見てみますと、一つには、地域区分別に見た一戸当たり農業所得は、平成二年の農家経済調査によりますと、平地農業地域では百七十万八千円、これに対しまして中間農業地域は百四万六千円、平地の六一%でございます。さらに、山間農業地域になりますと六十万円で、平地の三五%となっております。 それから、十アール当たりの生産農業所得は、平成二年産の生産農業所得統計によりますと、平地農業地域では九万五千円でございますが、これに対しまして中間農業地域は八万円、平地の八四%でございます。それから、山間農業地域は六万四千円で平地の六七%となっております。
○菅野久光君 そのように大変な格差があるんですね。ですから、これからの農業は規模拡大が非常に重要だということでいろんなところでそのことが言われているわけですが、平地のところはある程度わかるんですが、中山間地の規模拡大ということについてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(入澤肇君) 中山間地域の中でも大規模な土地利用型農業というのが展開可能なところもございます。例えば、長野県の川上村のレタスだとか岐阜県の高鷲村の大根などは土地利舟型農業で生きていこうということで規模拡大を果敢に進めております。 しかし、多くの地域は立地条件等から平たんな土地が少ないために平地農村に見られるような大幅な規模拡大は困難であります。このような地域におきましては、複合経営の展開それから経営の多角化、こういうことを十分に考慮した対応が必要であるというふうに私どもは認識しておりまして、地域ぐるみでの収益性の高い作物の導入を含めた複合的な経営体による農業経営ということで、土地利用の効率化ということに重点を置いて経営改善をやっていただきたいというふうに考えております。
○菅野久光君 中山間地といっても全部それぞれ条件が違いますから一律には言えないと思いますが、規模拡大規模拡大とやっていくと、中山間地のいわゆる居住人口あるいは集落、そういったようなものにまた影響を及ぼすというようなことなどもあって、なかなか中山間地の規模拡大というのは私は難しい面があるのではないかというふうに思います。その辺は、それぞれの市町村で自分のところをどうやっていくかということを十分尊重するような形でいかないと、ますます中山間地の集落がなくなっていくような状況になっていくんじゃないかということを心配しております。 先ほどお伺いいたしましたように、中山間地の不利さというのは収益の面においてはもうはっきりしておるわけですね。しかし、なぜこの中山間地における農林業というものが大事なのかと、ここのところがなくなったら大変なことになるというようなことでいろいう言われているわけですが、その辺をどのようにお考えになっておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(入澤肇君) 何度も申し上げておりますとおり、我が国の農業の例えば生産の中に占める中山間地域の位置づけ、これが農家数、耕地面積、それから農業粗生産額、いずれも全体の約四割を占めております。そういう意味では、中山間地域の農業を振興するということがとりもなおさず我が国の農業を振興させるもとになっている、大きな要因になっているというふうに考えていいんじゃないかと思います。 それから、中山間地域全体の中で見ますと、また農林業というのが基幹的な産業になっておりますから、中山間地域を活性化させるという意味では農業の役割を重視して活性化を図らなくちゃいけない。二重な意味におきまして中山間地域における農業の役割を評価して、これを発展させなくちゃいけないというふうに考えているわけでございます。
○菅野久光君 それぞれの地域の産業的な側面あるいは農林業の持つ公益的な機能ということで、中山間地がだめになれば、下流だとかあるいはその地域に大きな影響を及ぼすということから、ここはひとつおろそかにできない。だから、何とかしなきゃならぬというのが今日的な農政の一つの大きな課題だ、あるいはそれぞれの市町村の行政においても大きな課題になっている、そういうことだと思うんですね。 しかし、そこで営農する方は先ほど言われたようなハンディをしょって営農するわけですから、現状からいくとそのハンディを何とかしなければそこに定住するということにはなっていかないのではないかというふうに思うんですね。それが例えば農産物の価格一つとってみても、これは全国一律ですね。一律の中で中山間地に住んでいる人も平地に住んでいる人もみんな同じように生きているわけですね。そうすると、生産効果の悪いところにはなるべく住みたくないという気持ちが出てくるのは当然じゃないでしょうか。しかし、何とかしなきゃならぬ。何とかしなきゃならぬということになると、そこにやっぱり一定の所得補償というものが私はなければならないというふうに思うのであります。 例えば、価格の問題一つとってみても、先ほど言いましたように全国一律なんですが、農業の持つ公益的な機能、国土保全だとか環境保全だとか、それから水の問題、さまざまな問題があります。そういったようなことについては、私もさきの委員会で、いろんな計算の方法はありますが、ヘドニック法では約十二兆円、代替法では約五兆円の農業・農村の持つ環境保全上の役割がある。だから、こういうことをやっている中山間地に住んでいる農業者に対して、これらについての何らかの対価といいますか、そういうものが私は必要ではないかというふうに思うんです。 これは価格の問題とは別に、条件不利地域にいて、そういうはっきり計算はできないけれども、しかしそこで営農していることによって先ほど言ったような公益的な機能を果たしているということについて、やっぱり国民全体としてどうもありがとうございますという気持ちを込めた何らかのものがあってしかるべきではないかというふうに私は思うんですが、そこはどうでしょうか。
○政府委員(入澤肇君) なかなか直ちに所得補償といってもそういう条件が整っていると私は考えておりません。今ヘドニック法であるとか代替法による国土保全、外部経済効果がかなり中山間地の森林や水田にはあるというふうなことがお話しございましたけれども、我々もその点については十分認識しております。 もっとこの算定方法、評価方法が客観的なものであって、例えば十五兆円と五兆円ではかなり違います。だれが見てもなるほどというような方程式が研究の成果によって開発されますと、もっと私どももいろんな政策の主張をするときに楽になると思って、研究を急ぐようにと言っているんですけれども、そういうふうな視点から、しかし手をこまねいているわけじゃございませんでして、ことしも中山間・土と水の保全基金というのをそのような評価を背景にして財政当局に要求して、一応将来に向けて三百億円の基金ですか、を積み立てるということが認められたわけでございます。 これは中山間地域における土地改良施設等の維持管理、水田の維持管理等に要する経費をそういう基金をつくって見る。それから、先ほどお話がございました自治省の千八百億円のお金も森林の維持保全のために一定の財政資金を投下しようじゃないかということで認められたわけでございます。ですから、こういう評価そのものをうまく活用しながら、私どもは環境保全、国土保全のためにいろんな工夫をして予算をとっていくという努力をやっているということを御理解いただきたいと思います。
○菅野久光君 去年の十一月ですが、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉において、ECとアメリカとの合意において共通農業政策改革によって採用した直接所得補償を農業保護削減の対象外とすることを認めさせているんですね。だから、中山間地における所得が先ほど言ったような形で平地から見ると非常に低い、そういうことからいくと、何らかの形での直接所得の補償ということが私は中山間地に定住させる一番大事なというか効果的なといいますか、そういう方策ではないかというふうに思っているんですが、なかなか世論の賛成を得られないとか、まだ日本の国民の中にそういうことがうまくいかないのではないか、そういう点では若干憶病になっている面が私はあるんではないかと思います。 しかし、中山間地に定住してもらわないと、実際にそういう仕事というのは私はできないと思うんですよね。定住してもらうことが大事で、だから定住してもらうためには直接所得補償ということが大事ではないかというふうに思うんですが、大臣、はてなというようなことではないと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(田名部匡省君) 今回の法案でも、いろいろと予算措置でありますとか新商品の開発、販路、あるいはいろんな経営の指導ということで中山間地対策を、いろいろ今構造改善局長からもお話しありましたようなことを今やっておるわけでありますが、これは議論するともう国土政策上の話までいきまして大変長くなるんです、本当は。 前にも申し上げたかと思いますが、フランスでもパリでもロンドンでも、キャパシティー以上の人を集めないために農業で頑張ってくれと。今まさに東京というのは一極集中で集まってきて、交通は渋滞、下水から上水から、もう皆機能がおかしくなる。そのために都民の方々の負担というのはこれだけ大きいわけですね。それを考えれば本当は、今からこれを言っても始まらぬから私は余り申し上げたくないんですが、金がかかるんであれば、農業振興で農業で頑張ってくれる人たちにお金を出す、この考え方がヨーロッパのデカップリングなんですね。しかし、今、日本でそれを申し上げてもどうにもなりませんし、何とか中山間地の対策としていろんなことをこれからやっていこうということであります。 おっしゃるとおり、農業だけを振興したんではなかなか若い人たちがそこへ定着するかどうかという問題があると思うんです。同じ中山間地でも、例えば私の場合だと割合一時間以内のところにみんな働きに来る場所があるものですから、そうでないところをどうしていくかということだと思うんです。そのためには多様に就労の場を確保してあげる。農業だけで議論しているとなかなかいきませんので、通産大臣にもこの間お願いしました。 各省庁今こうして来てくれておるというのも、研究会を開いていただいたりいろんなことをやって、自治省もお金を出すことになったし、そういう中で、都市との交流の中でまた仕事の場というものも出てくるだろうし、そのためには集落排水もやっていかなきゃならない。もう多様に各省庁で今手をかけていかなきゃならぬ。 お話しのように、中山間地は大事だというのはわかっています。農業をやることが国土の保全でありますとかいろんなことにつながるということで我々は投資をしているわけですけれども、そのほかにもっと所得補償をということになった場合に、果たして負担する側の方々が、わかっておってもそれ以上の負担に耐えられるか。あるいはこの先出生率が低下する時代、次の時代の子供たちが、全体的な日本の今の国債の問題、あるいは年金から医療、そういうものの負担に耐えていけるだろうかということまで考えると、これ以上負担をむしろ減らす方向に我々は努力していかなきゃならぬということでやっているときに、片方ではふやしていくということは果たしてできるのかなという不安が実はあるわけです。 したがって、今やっていることを達成して、その状況を見て、この政策でどうしても問題点が出てくるということになれば、これは国民のコンセンサスを得ながら引き続き検討して、どういうことが考えられるのか。もう常に私たちは前進するという気持ちは持っております。ですから、この政策でつまずくことがあればこの政策というふうにして、将来的にはどういうことになりますかわかりませんが、いずれにしても、中山間地の農村、集落、あるいは人口の減少を食いとめるというために最大限の、これから何十年かかろうとも努力を続けていかなければならぬ。その気持ちは持っておりますので、今のところはこのやっている政策でひとつ御理解をいただきながら、次のことがあればまた御相談申し上げますので、そういうことで御理解をいただきたい、こう思っております。
○菅野久光君 何十年もかかっているうちにいよいよだれもいなくなったら大変なんで、できるだけ早くに対応策を考えていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思います。入澤構造改善局長も何か物の本にどうも自信が持てないというようなことが書いてあったということを私も聞いておりますが、早く自信を持って提案できるようにいろんな検討を進めてもらいたいというふうに思います。 就労の場といえば、林業の関係で流域管理システムなんかもつくって、第三セクターか何かでもつくって、そこで林業と一体になってやるようなことなどもこれからは含めて幅広く、ただ単に工場を持ってくることだけが就労の場じゃないわけですので、そんなことなども含めて総合的に、いずれにしろその地域に定住できるような、そういう方途というものを何とかみんなで考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。 そこで、今度の中山間地の問題についても、定住させる、あるいは中山間地の農業ということで新規作物の導入だとか、いろんなことが言われておりますが、極端に言えば、それらのことはもうそれぞれやれるところは私はやってきたんじゃないかなという気がするんですよ。しかし、なかなかうまくいかないので今のような過疎化が一層進んでいっている。しかも非常に生産性が低いというようなことなんで、農民の方と話したら、まあ事新しくこのことをというような感じがないわけじゃないということの話なども聞いております。 そこで、中山間地域の経営改善だとか安定資金融通制度だとかということで、新規作物を導入するときにいろいろ金もかかるだろう、だからできるだけ低利のお金を貸しましょうということになっていて、それも二回を限度みたいなことなんですね。償還条件も緩和するというようなことでやられているんですが、もともと非常に生産条件が悪いから、お金を借りたら必ずこれは返さなきゃならないですね。幾ら低利だって寝ている間でも利子だけはついていくわけですよ。ですから、新規作物なんということになると、その新規作物を育てるためには時間がかかるわけですよ。農業というのは時間がかかる。だから、それを二回の融資ということで縛ることがどうなのか。 それから、新規作物を導入するときに個人の農家でやらせるのか、あるいは市町村だとか、第三セクターか何かとにかくそういうところでやって、そして、ああこれはもう個人でもこれでやれるというときにそういうものをやってもらうとか、何かそういうようなことが私は必要ではないかなというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(入澤肇君) まず、中山間地域でやれることはかなりやっているということも事実でございますが、この間御一緒に倉淵村へ行って見てまいりましたけれども、あそこで新規参入者で中山間地域で三・八ヘクタールやっている農家の方は、平場に比べて中山間地域こそ非常に魅力がある、農業経営の発展の可能性を秘めているというようなことを言っていましたけれども、まだまだ工夫の仕方いかんによっては私は可能性があるんじゃないかと思っております。 それから、新規作物の導入につきましては、当然のことながら今も御指摘がありましたように個人の能力に依存してやるんじゃなくて、地域ぐるみでいろんな話し合いをしながらやる。その場合に、市場とか食品産業の関係者などの助言は必要不可欠でございまして、この市場の関係者とか食品産業の関係者などの指導によりまして需給動向をきちんと把握することがまず大事である。それから、地域の関係機関が一体となって濃密な営農指導を展開することが必要であるというふうに考えておりまして、最適な農業的土地利用計画をきちんとつくって、その上で経営改善計画をつくるわけでございますから、その地域全体の協力がなければできないというふうに私は考えております。
○菅野久光君 もう既に手がけているところとかそういうところに対して、こういうような低利のしかも償還条件なども緩和していく、そういうことをやられるということは私は大変いいことだと思うんです。しかし、これからやるというところはあの提起されているようなことでは非常に私は難しいように思うんです。 それで、現在やっぱり必要なのは、関係各省庁の連携、協力ということを今回もやられてきた、これは一面非常に私はいいことだというふうに思います。しかし、きょうも本会議で地方分権ということの決議をいたしました。たまたまこの地方分権の推進に関する決議をした日に私が質問に立って申し上げたいのは、中央で、いわゆる役所の方で、こうやったらいいんでないか、ああやったらいいんでないかということをいろいろ考えられることは考えられて結構なんですけれども、思い切った地方への権限移譲、地方分権化の私は徹底ではないかというふうに思うんです。 それぞれの地域地域で、地域に合った状況の中で、いろいろ知恵を凝らして、こうしょう、こうすべきでないかというようなことを計画される、その計画されたことについて関係各省庁がいかにそのことに協力をするかということをしなければ、地方の特質に応じた取り組みが私はできないのではないかというふうに思うんです。これだけ北から南、そして中山間地といってもみんなそれぞれさまざまに条件が違うわけですから、だから、もっと地方のそういったようなものを大事にしていく、それに対して関係各省庁が応援をしていくという、そういう政治の手法というものが私は大事だと思うんです。 一生懸命やっておられる皆さん方には大変申しわけないんですが、農林水産省がこうやれということでやった農家の人たちはほとんど苦しい目に遭っている、しかし、こう言われたからおれはそうやらないと別なことをやった人は非常にうまくいっているというようなことをよく聞きます。それは、今言ったような地方の知恵というものをしっかり酌み上げて、それがうまくいくような方向といいますか、それは法律だとかなんとかといういろんな難しい問題はありますが、これはどこの省庁でも大事なことではないか。 そんなことで、きょう地方分権の推進に関する決議をいたしましたので、これからの農林水産省のいろいろなものに取り組む姿勢、それはぜひそういう地方のいろんな知恵というものを吸い上げて、それに対していろんな情報を提供してやる、ここではこういう例があるとか、ここではこうやってうまくいっているとか、そういう例を挙げながら。そして、財政的な面だとかいろんな面で援助をしてそれが成功するように仕上げていく。私は、そこにこそ国土の均衡ある発展というものが望まれるのではないかというふうに思うんです。 そんな意味で、国土庁、本当に忙しいところちょっと足とめいたしましたが、何か定住人口から交流入口に指標のあれを移していくということになると、いよいよ今の過疎化の状況を見て、国土の均衡ある発展なんということはあきらめて、今はもうモータリゼーションだ、道路もよくなったから、どれだけ人がそこの地域に行くかということで、地域の活性化というものを図っていこうということは、私はやっぱり問題があるのではないか。せっかく五省庁で今度の中山間地法案の共管をしている立場からいくと、私が言っていること、あるいは新聞に書いてあることが、国土庁が考えていることと多少違うような面が、先ほどのお話であるようですが、仮にも新聞に書いてあるような方向に行くとしたら、これは私は後々問題になるのではないかというふうに思いますので、ちょっと残っていただきましたが、そういうことですから、ひとつ十分心して、それぞれの中山間地を抱えている市町村が発展していく、そういうようなことを国土庁としても考えてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。 お帰りになって結構です。 それでは、次に入ります。 多少具体的な問題になりますけれども、中山間地域農村活性化総合整備事業の対象地域の問題ですが、自然的・経済的・社会的条件に恵まれず、農業の生産条件が不利な地域を要綱で定めております。 そこで、要綱で言う農業生産活動を通じて国土・環境保全機能を維持していく必要がある地域とは特定農山村地域と同じと考えてよろしいでしょうか。
○政府委員(入澤肇君) この中山間地域農村活性化総合整備事業につきましては、先生御指摘のありましたとおり、条件不利地域のハード基盤の整備を行う事業であるということ。対象地域といたしまして、過疎地域活性化特別措置法、山村振興法、離島振興法、半島振興法、この地域を対象といたしまして実施しているところでございますから、今度の中山間地域の特定農山村の法案の対象地域はほぼこれらの地域とダブります。ですから、ハード基盤の整備の促進をねらいとした総合的な地域振興のための四法の指定地域とは若干は異なりますけれども、大体重複して適用されるんじゃないかというふうに考えております。
○菅野久光君 条件不利地域についてそれぞれ関係各省庁の間で目的が違うからいろいろあるんでしょうが、中山間地域活性化資金の対象地域が千七百五十市町村、農林統計上の農業地域類型が、中間農業地域が千五十四市町村、山間農業地域が七百三十八市町村、それから過疎地域として指定されておるのが千百四十三市町村、振興山村が千百九十五市町村、みんなそれぞればらばらなんですね。 それで、今度の場合、特定農山村地域としていく市町村の数はもう大体決まっておりますか、今策定中でしょうか。
○政府委員(入澤肇君) 今政令で抽象的に定められておりますので、その政令の条件を数字でどのように表現するかということにつきまして関係各省庁と検討しているところでございます。 先般、ここでも御答弁申し上げましたけれども、現行の市町村であれば大体千二百市町村ぐらい、旧市町村単位で見ますと千五百ぐらいが対象地域になるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
○菅野久光君 特定農山村地域における土地基盤整備事業、これは平地農業地域に比べて十アール当たりの事業単価はどのくらい割高になっておるでしょうか。
○政府委員(入澤肇君) 中山間地域は、まず傾斜の急な農地が多いということ、それから農地のまとまりに欠けるというふうなことから、御指摘のとおり平地に比べてかなり整備コストが割高でございます。 したがいまして、採択基準の緩和であるとか補助率の引き上げとかいろんなことをやっていますけれども、平場で通常の圃場整備をやりますと十アール当たり百万円ぐらいでございますが、同じような工種・工法で中山間地域をやりますと百二、三十万円はかかる、大体二、三割は高くなるというふうな状況でございます。 したがいまして、中山間地域においては圃場整備のあり方も特別な工法を使ってやり直す。例えば、ちょっと私も特殊用語でなかなか理解できなかったんですが、まき直しなどという、一斉に区画整理をやるんじゃなくて、等高線に沿って畦畔をつくるというふうな工法でやりますとかなりコストが安くなるというふうなことで、そういうふうなことで条件の不利に対して対応しているというところでございます。
○菅野久光君 平地ではなくて、中山間地については、特に条件が不利なだけにそこのところは公費でできるだけ基盤整備をしてあげるということが大事で、せめてそこら辺は直接所得補償が今はできないわけですから、そこのところには十分な配慮をしてもらいたい、このことを強く要望しておきます。 それから、基盤強化の関係でございますが、農家の人が一番心配なのは、きのうからずっと委員会でも質問が出ておりますが、企業の参入ということについて、だんだん農業者がいなくなったときに企業に生産法人がもう何というんですか、乗っ取られるという言葉はよくないかもしれませんが、そういうことで将来そこがもう農業ができなくてほかのことに使われるような形になってしまうのではないかというふうに思いますが、そこのところは十分チェックをしていくというようなお話がございました。しかし、そのチェック体制といいますか、どのような形で、あるいはどのような機構でチェックをしていくのか、その点についてお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(入澤肇君) 企業の参入につきましてはいろんな要件がございまして、現行の農地法の仕組み、それから農協法の農事組合法人の制度、これとの調整のもとにどこまではいれるかというのでかなり慎重な議論を重ねました。したがいまして、農地法を改正して株式会社に農地を取得させるということはしないというふうなことで、農地法の耕作者主義の原則のもとに若干の緩和を行ったわけでございます。 農地制度につきましては、農業委員会が全国津々浦々、農地の守り神として地味ではありますが極めて重要な活動をやっております。私どもはこの法律が成立いたしましたら関係の政省令とともに通達を出しますけれども、農業委員会を特に督励いたしまして、十分に農業生産法人の活動状況、それから企業が参入した場合にはその参入の状況等も把握させる。そして、農業委員会法二十九条の規定に基づきまして必要があれば必要な是正措置を講ずるというふうに持っていきたいと思っております。
○菅野久光君 必要があれば必要なときにというようなことではなくて、本当に農業者の人たちはこの農業生産法人に対する企業参入のことについて心配をしております。 だから、農業委員会でチェックするにしても、生産法人に対するチェックというのはある程度、半年に一回やるとか一年に一回やるとか、そういうのをきちっと決めておかないと、二年なり三年なり、どうもおかしいぞという話が入ってから行ってみた、行ってみたらもうどうにもならなくなっていたということでは幾らチェックしたってこれはだめなんで、効果がないわけです。だから、何らかのそういうきちっとした体制をつくっておく必要があるのではないかというふうに私は思っているんですが、その辺はいかがですか。
○政府委員(入澤肇君) 農業生産法人のチェックシステムは、ある意味では非常に重層的にできておりまして、許可時には農地法第三条によって許可要件に該当しているかのチェックがございます。 許可した後のフォローのチェックにつきましては通達で定められておりまして、許可条件に伴う報告、要するに許可条件が守られているかどうかについての報告を受けてそのチェックを行います。それから農業生産法人台帳の作成、整備によるチェックを行います。 それから、農業委員会法二十九条で報告あるいは調査等を行うことになってもおりますし、要件欠缺の場合の措置といたしましては、農地法の十五条の二で要件を欠いた場合の一定期間内の是正措置の命令、それから是正しない場合の国の買収措置。それから今度は農地を転用する場合のチェックといたしましては、農地法の第四条、第五条のチェック。それから解散により農地を処分する場合のチェックも行います。 今回は、特に農業生産法人の企業参入の問題は非常に問題があるというふうな視点からいろんな御意見、御指摘をいただいておりますので、農業生産法人の台帳の報告を毎年やらせる、毎年チェックするというふうにして状況を把握し、行政的にもしかるべき措置がとれるように体制を整備していきたいというふうに考えております。
○菅野久光君 それでは、そのチェック体制というのは、報告を受けてその報告をチェックするということですか。
○政府委員(入澤肇君) まず申請のときにチェックしますから、後はその条件を守っているかどうかということを報告を受けてチェックするんですけれども、御承知のとおり農業委員会の皆さん方は流動化奨励員の辞令みたいなものを持ちながら各地域の農地の巡回点検指導をやっております。最近は、年に一カ月は徹底した巡回点検指導をやるということでパトロール月間というのを設けておりますが、要するに農業委員会の皆さん方も、通常のパトロールあるいは巡回点検指導、そういうふうな中で十分に農業生産法人の活動状況等も把握してもらうということにしていきたいなと思っております。 もちろん、農協とかそれから都道府県、市町村の行政当局にも一定の役割を分担してもらわなければなりませんけれども、そういう意味での行政指導の徹底につきましてはこれから通達を出して指導していきたいと思っております。
○菅野久光君 私は農政改革としてそういうところを信用しないわけじゃないんですけれども、やっぱりこういうものはきちっとしておいた方がいいんじゃないかなというふうに思うんです。どうもそういうふうに巡回をちゃんとやることになっているといっても、どこかで抜け落ちていくところがあるわけですから、そういう意味で、指導ということで例えば半年に一回とか一年に一回とか義務づけるとか、何かそういうことは考えられませんか。
○政府委員(入澤肇君) ですから、これは先ほどの地方分権じゃありませんけれども、今度の法律はできるだけ地域農政の精神を徹底させる、我々はガイドラインを示すということなんです。しかし、農地法とか農業委員会法とか既存の法律に従って所要のチェックはするという三段構えで提案しているわけでございます。可能な限り地域の実情に合わせて農政を展開しなくちゃいかぬわけでございますから、地域の末端の行政の担当者であります市町村とか農協の役割を今まで以上に重視しなくちゃいけないというふうに思います。 農業委員会の活動につきましてはいろんな意見を言う人もいますけれども、私はこれを機会にその活動を強化し、本来の役割を十分に果たすというふうに持っていかなくちゃいけないと思っておりますので、そこは現行の農業委員会系統の制度を尊重し理解しなくちゃいけないんじゃないかというふうに考えております。
○菅野久光君 農民の人たちに心配かけないような体制をぜひつくってもらいたいと思いますし、特にチェック体制の問題については国会でも大変問題になったというようなことで、指導などをひとつ徹底してもらいたいということをこの機会に要望しておきたいというふうに思います。 それから、農地保有合理化法人なんですが、昭和四十五年に農地保有合理化推進事業が発足して、平成三年度までの実績なんですが、売買事業が、買い入れが十六万二千ヘクタール、売り渡しが十四万四千ヘクタール、そして賃借事業が、借り入れが三万四千ヘクタール、貸し付けが二万九千ヘクタールという実績になっておりますが、これから百七十五万ヘクタールですかの集積をやるということで、今日までの約二十年ちょっとの間の実績、これをどのように評価されますでしょうか。
○政府委員(入澤肇君) 農地保有合理化法人というのが農地法の耕作者主義の例外として認められて二十年ちょっとたっているわけでございますけれども、私はかなりの成果を上げてきたとは思います。しかし、行政の担当者として欲目で見ますと、もう一つ実績が欲しいなという気持ちもございます。今は全国の都道府県に農業公社ができておりますけれども、人員とか組織、規模が必ずしも十分でないところもございます。 そういう意味で、県の公社だけでは十分でないということで、市町村なりあるいは農協、それから市町村にも農業公社を認めるというふうなことで、四つの形態で農地保有合理化事業を進めるというふうな仕組みもつくってきたわけでございます。 今までは売買が中心でございましたけれども、県の公社は売買を中心にし、その他の三つの農地保有合理化法人は賃貸借を中心としというふうなことで業務分担をやっております。これからは、その両者がかなり今まで以上に仕事の量がふえるんじゃないかと見ております。それは、農地保有合理化法人の一般的な中間保有機能をこれから重視することになりますと、売買の件数もふえていくでありましょう。しかし、先ほど来議論しておりますように地価の問題等もございますし、資産保有意識の問題もありますから、売買だけではとても片づかないというところでは利用権の設定ということで対応することもありましょう。 ですから、私は、ここで四つの形態の合理化法人が形態を整え、農地法の三条ただし書きにちょっと端っこに位置づけられたような農地保有合理化事業だったんですけれども、今度の農業経営基盤強化法の中に農地保有合理化事業とはっきりと位置づけられまして、ある意味では非常に大きな仕組みになったわけでございます。これを機会に財政的にもいろんな助成手段を改めて講じたところでございまして、これから本格的にこの農地保有合理化事業を進めていけばかなりの成果を上げていくんじゃないかというふうに期待しているわけでございます。
○菅野久光君 中山間地の地域指定の問題で、北海道は、例えば稚内の近くの宗谷の丘陵地だとか、それから釧路の湿原は、ラムサール条約が今度出る関係であの周辺の地域の問題があります。これは根釧原野と言うんですが、その地域だとか稚内のあの近くというのは、確かに見た目は平地に近いんですが、緯度からいくとかなり高いんです。緯度ばかりを言っておれないんですが、中山間地の指定に当たって、そういったような条件なども一応何か考慮に入れられるのか入れられないのか、その辺はどうでしょうか。難しい問題でしょうな。
○政府委員(入澤肇君) 湿地の面積とか湖の面積は条件になりませんが、それ以外の条件に適合すればその地域も対象地域になることがあります。よく数字を見て検討してみたいと思います。
○菅野久光君 それらの地域の問題についてはまたいろいろとやらなきゃならぬと思っております。 いずれにしましても、今回提案された新政策三法の問題は、去年の六月に「新しい食料・農業・農村政策の方向」が出された。本当に正直言って、こんなに早くそのための法案が出されるという予測はちょっとしておらなかったんです。それと、率直に言って、非常に審議時間が短いということは、これはもう私どもとしては非常に問題だなというふうに思っております。 ただ、予算関連の法案なだけに一面では早く通して、そして予算に盛られているものを使わせてくれという声もあります。非常に私どもも悩みました。正直言っていろんな問題があるんですよ。それなりに努力されたことは認めますけれども、そういう意味では、私どもも両方の板挟みに遭いながら、問題点は問題点として指摘をしながら、私どもの立場としてはこの法案は通さなければならない、こういう立場に立っております。 いろいろな問題などについては、今後の委員会の中でも一般質疑などを通じながら問題点を明らかにし、そして農林水産省としてそれらの問題について是正するものは是正をする、また次の施策にということで、ぜひ率直に、お互いに日本の農業をどうするか、中山間地の農業をどうするかという、そういう観点に立ってやっていかなければならない問題だというふうに思っておりまして、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
○委員長(吉川芳男君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。 ただいま議題となっております三案のうち、まず、農業機械化促進法の一部を改正する法律案について、討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 農業機械化促進法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川芳男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、三上君から発言を求められておりますので、これを許します。三上君。
○三上隆雄君 私は、ただいま可決されました農業機械化促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民主改革連合、二院クラブの各派及び各派に属しない議員新間正次君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農業機械化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 我が国の農業・農村は、農業就業者の減少、高齢化の進行等の厳しい事態に直面している。 今後、農業の担い手が希望とやりがいをもって取り組める農業づくりを進めていくためには、農作業の効率化と労働負担の軽減を図る必要があり、農業の機械化を一層促進することが急務となっている。 よって政府は、本法の施行に当たっては、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。 一 農業生産力の増進と農業経営の改善を図る観点から、生物系特定産業技術研究推進機構における高性能農業機械及び農業機械化適応農業資材についての試験研究等の一層の充実を図ること。 二 高性能農業機械等の試験研究、実用化の促進及び導入に関する基本方針については、「新政策」との整合性に留意しつつ、その内容が農業機械化の促進を通じて、農業経営の改善に資することを旨として適切に策定すること。 三 高性能農業機械実用化促進事業の実施に当たっては、生物系特定産業技術研究推進機構 の出資事業という性格にもかんがみ、事業の実施主体となる実用化促進会社の適切な運営の確保、同会社が行う標準的機械化栽培様式の策定や金型の製造・貸付け等の事業の円滑な推進及びこれら事業の成果の利活用に際しての公益性の確保を図るため、技術的支援等を行うとともに的確な指導に努めること。 四 農業機械の導入による農家負担を軽減し、高性能農業機械の円滑な普及とその効率的利用を促進する観点から、金融上の措置の充実及び税制上の措置を含めた助成措置の効果的活用を図るとともに、農業機械銀行の積極的活用やリース・レンタル方式の推進等利用形態の合理化に努めること。 また、導入後の維持経費の低減を図る観点から、大型トラクターにおける車検期間の延長等についての検討に努めること。 五 農業機械による農作業事故を防止するため、生物系特定産業技術研究推進機構による検査・鑑定、使用者に対する安全対策に関する啓発等の一層の充実を図るとともに、都道府県における導入計画の策定に当たっても、農作業の安全確保に十分配慮した内容となるよう適切な指導に努めること。 六 農業機械の開発、実用化及び普及を効率的に推進するため、実用化促進事業における地方公共団体、農業団体、試験研究機関等の参画、協力はもとより関係機関の一層の連携強化に努めること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(吉川芳男君) ただいま三上君から提出されました附帯決議案の採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川芳男君) 全会一致と認めます。よって、三上君提出の附帯決議案は全会一致がもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、田名部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田名部農林水産大臣。
○国務大臣(田名部匡省君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(吉川芳男君) 次に、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案の両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案並びに特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案、この二法案に対しまして反対の討論を行います。 まず、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案についてです。 反対の第一の理由は、農地法等を改悪して農業生産法人及び農事組合法人の事業及び構成員の要件を大幅に緩和し、企業の農業と農地への参入を容認することは、農地はみずから耕作する者が所有するというこれまでの農地制度の基本である自作農主義を崩し、家族農業の否定につながるものであり、認めることはできません。農業への企業参入は、たとえ一定の制限措置が講じられていても、事業要件が緩和される中で、農機具や種苗などを握る独占的企業が農業生産法人を系列化に置き、農産物の流通支配を強化し、その農業生産法人を事実上支配することは、企業と農民との経済力の違いから火を見るよりも明らかであると指摘せざるを得ません。 反対の第二の理由は、認定農業者制度を導入することです。これは、新政策が目指す大規模な望ましい経営体に農地を集積し、その法人化を進めるために都道府県と市町村に育成すべき担い手を認定させ、農家を選別して補助事業や低利な融資、税制上の優遇措置などを集中できるようにするものです。中小農民の切り捨てにつながるこうした構造政策を認めることはできません。 次に、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案についてです。 反対の第一の理由は、中山間地域の市町村が作成する農林業等活性化基盤整備計画に基づく所有権移転等促進事業は、農地法、農振法及び森林法などで定めている開発行為を制限した規定を適用除外して進めるものであり、開発規制を緩和するものでしかありません。そして、この計画に盛り込まれる施設にはゴルフ場などの大規模開発施設を取り入れて、大規模な農林地を一括して転用することに何ら歯どめがとられていないのです。これでは土木建設事業による地域活性化が一層推し進められ、リゾート法の教訓、バブル経済崩壊の反省を何ら踏まえたものにはなっていないと指摘せざるを得ないのであります。 反対の第二の理由は、中山間地域の農業者が強く望んでいるEC並みの直接所得補償方式を導入せず、新規作物を導入した場合の収入減に対して新たな借金を負わせる融資制度を創設するだけであり、これでは中山間地域の市町村が地域活性化対策として強く望んでいる担い手確保にはほど遠い施策でしかありません。 以上、反対の理由を述べて、討論を終わります。
○委員長(吉川芳男君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終結したものと認めます。 これより、順次採決に入ります。 まず、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川芳男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
○菅野久光君 私は、ただいま可決されました農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党。護憲民主連合、公明党・国民会議、民主改革連合、二院クラブの各派及び各派に属しない議員新間正次君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案) 最近における我が国農業及び農村は、先進国中他に例を見ない食料自給率の低下、農業の担い手・後継者不足、耕作放棄地の増大、高齢化、過疎化の進行等その健全な発展を図る上で極めて憂慮すべき事態に直面している。 このような事態に対処するため、今後の農政の推進に当たっては、新たな視点に立って食料自給力の維持・強化を図るとともに、効率性のみでなく、農業及び農村の有する多面的な役割を明確に位置付け、農業者が自信と誇りをもって農業及び農村の活性化に取り組める施策の展 開を図ることが重要課題となっている。 よって政府は、新農政推進に必要な施策を早急に整備するとともに、本法の運用に当たっては、次の事項の実現に努め、農業構造の改善等の促進に万遺憾なきを期すべきである。 一 本法の実効をあげるため、農地対策と経営対策とを一体とした推進体制の整備を図ること。 二 本法等の推進に当たっては、新政策で示された望ましい経営体における主たる従事者が他産業並みの労働時間で他産業従事者と遜色のない所得の確保ができるよう、構造政策の 促進とともに価格政策の適正な運用を図ること。 三 望ましい経営体の着実な実現に向け、農業後継者等の青年農業者の育成とその安定的確保を図るため、これらの者の就農に当たっては、金融支援等の助成措置、営農指導の充実、研修体制の整備、情報提供に係る施策を一層強化すること。 四 農地流動化施策の推進に当たっては、規模拡大志向農家に対する支援措置と併せ、高齢農家や安定的兼業農家等の位置付けを明確にし、これら農家を含め地域全体としてメリットを享受できるような措置を講ずること。 五 構造政策の推進に当たっては、転用許可制度の厳正な運用や土地利用区分の明確化等による優良農地の確保と併せ、適正な農地価格の形成に努めるとともに、耕作放棄地の解消を図る施策の充実を図ること。 六 環境に配慮した持続可能な農業の展開が世界的な課題となっていることにかんがみ、環境保全型農業の推進に必要な各種施策を充実すること。 七 市町村が農業経営基盤の強化の促進に関する基本構想を策定するに当たっては、広く関係者の意見を聴き、地域の特性に即した農業構造・経営目標等が設定されるよう指導すること。 八 農業経営改善計画の認定制度の運用に当たっては、地域関係者の自主的な取組を基本とするとともに、農業委員会、農業協同組合、農業改良普及所等の協力体制の確立を図ること。 九 農地保有合理化法人については、その業務が適切かつ円滑に実施されるよう、農地銀行活動事業等との連携強化を図ること。 十 農業経営の法人化を促進するため、法人の設立、法人の持分の取得等に対する助言、指導その他の支援措置を整備すること。 十一 法人化や規模拡大等の推進に当たり必要となる雇用労働力については、雇用労働者に対する福祉の増進及び労働環境の改善を図る等その安定的確保に資する所要の指導を行うこと。 十二 農業生産法人の事業及び構成員に係る要件の緩和については、これが農外資本による実質的な経営支配や農地取得等を招来することのないよう適切な指導を行うとともに、農業委員会等による監視体制の強化を図ること。 また、新たに構成員として参入し得る企業の範囲については、真に農業生産法人の事業の円滑化に寄与するものに限定すること。 十三 農地の流動化の促進とその集団化を図る基礎的条件を整備するため、農業農村整備事業の円滑な推進に努めること。 また、第四次土地改良長期計画の推進に当たっては、その進捗率を高めるため、必要な予算の確保に努めるとともに、農地利用の集積に資するような事業展開に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(吉川芳男君) ただいま菅野君から提出されました附帯決議案の採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川芳男君) 多数と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、田名部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田名部農林水産大臣。
○国務大臣(田名部匡省君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(吉川芳男君) 次に、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川芳男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
○菅野久光君 私は、ただいま可決されました特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民主改革連合、二院クラブの各派及び各派に属しない議員新間正次君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に対する附帯決議(案) 近年、我が国農業及び農村を取り巻く内外の諸情勢の変化の中で、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な中山間地域は、過疎化、高齢化の進行、就業機会の不足、耕作放棄地の増大、生産基盤整備、生活環境整備の遅れに加え、地域社会の活力低下等今後早急に解決を要する多くの困難な課題に直面している。 こうした事態に対応し、当該地域の活性化を図るためには、農林業を中心とした産業の振興等を通じた定住条件の整備とともに、農林地等の地域資源の適切な維持管理のための積極的な取組が重要課題となっている。 よって政府は、本法の運用等に当たっては、次の事項の実現に努め、中山間地域の農林業の活性化と豊かで住みよい農山村の育成に万遺憾なきを期すべきである。 一 特定農山村地域における農林業が国土・自然環境の保全等に果たしている役割の重要性にかんがみ、適切な農林業活動を通じてその機能が維持増進されるよう各種施策の一層の充実に努めるとともに、いわゆる直接所得補償方式については、構造政策の達成状況、国民的コンセンサス等も踏まえ、引き続き検討を深めること。 二 本法の運用を初め中山間地域の活性化を図る各種施策が総合的に実施されるよう、関係各省庁間の連携・協力を一層強化するとともに、国、都道府県、市町村を通じた円滑適切な推進に十分を期すること。 また、今後の多極分散型国土形成を図る各種施策の実施に当たっては、中山間地域の果たす役割に対する国民的コンセンサスを確立し、これに基づき当該地域に対する重点的な投資に努めること。 三 特定農山村地域を定めるに当たっては、本法に基づく施策の効果が十分に発揮されるよう既存の地域振興立法等との関係に留意するとともに、旧市町村単位でも指定するなどきめ細かい配慮をすること。 四 市町村が農林業等活性化基盤整備計画を策定するに当たっては、地域住民の声を反映するとともに、これが地域の特性を生かした実現可能な計画として位置付けられるように指奪すること。 これと併せ、事業の推進に必要な地域リーダーについては、研修等の充実、市町村相互の交流、異業種との交流等を通じてその育成、確保ができるよう、支援の充実に努めること。 五 国及び都道府県は、特定農山村地域において新規作物の導入や生産方式の改善が円滑に行われるよう、農業試験場や農業改良普及所等を活用し、営農・経営指導の充実、モデル団地の設置、先進優良事例の紹介等所要の措置を講ずること。 六 中山間地域経営改善・安定資金については、その活用状況等を見定めつつ、必要に応じその運用の改善につき検討すること。 七 農林地所有権移転等促進事業の実施に当 たっては、利用権設定等促進事業との整合性に配慮するとともに、優良農地の確保と耕作放棄地の有効活用等に留意したきめ細かい運用が行われるよう指導すること。 なお、本事業の実施に伴う登記等諸行政手続きについては、関係各機関相互の協力により円滑に遂行されるよう配慮すること。 八 特定農山村地域の活性化を図るため、立ち遅れている農業及び林業の生産基盤の整備を推進し、農林業の振興、農村地域工業等導入促進法等の一層の推進により、就業・所得機会の創出に努めるとともに、生活環境の整備充実に努めること。 九 地域住民の要請にこたえた特定農山村地域の活性化が図られるよう、本法による措置に加え、地方財政措置を含む適切な措置を講ずるよう努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(吉川芳男君) ただいま菅野君から提出されました附帯決議案の採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉川芳男君) 全会一致と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、田名部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田名部農林水産大臣。
○国務大臣(田名部匡省君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(吉川芳男君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 —————・————— 午後一時三十分開会
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、一井淳治君が委員を辞任され、その補欠として三石久江君が選任されました。
○委員長(吉川芳男君) 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○稲村稔夫君 私は、これから審議をいたしますJAS法の一部改正に関する法律案の内容に入ります前に、どうしても申し上げて農林水産省の考え方を伺っておきたいことが、実は午前中の審議の採決の直前のことでございました。 それは、新農政三法の審議の質問の冒頭に立ちました村沢委員から、政省令について資料として審議に先立って提出をするようにと、こういう要求がされました。要するに、始まっておりましたから、審議の過程の中で参考にするためにということだったはずであります。 しかし、ここにその政省令をいただきましたのはまさに採決の寸前ということになるわけであります。採決の寸前にいただいたのでは、これは参考にも何にもならぬわけでありまして、審議を真剣にしようとする者の立場で要求をされているものに対して、農林水産省はどんな考え方でいるんだと疑わしくなってくるわけであります。 本来、政省令というのは法律が決まってからそれぞれできるものでありましょうが、しかし、その法律の中にこれは政省令で定めると明記をするわけでありますから、少なくともどういうことをやろうとしているのか、このぐらいのことが明確にされないで法案を審査してくれというのは、私から言わせれば極めてけしからぬ、こう申し上げざるを得ないわけであります。 これは本来は官房長がお答えになるところなんでしょうかね。しかし、私はこれ事前に通告しておりませんでしたし、いただいてすぐどう考えてもおかしい、納得がいかないから、まずここで冒頭で申し上げますので、大臣はどうお考えになりますか。
○国務大臣(田名部匡省君) 基本的には、それは全部の審議をしていただければ一番いいんだろうと思うのでありますが、私ども、従来から基本的な大事な部分の法案というものを審議していただく、あとはその決められた法案の中で、附帯決議もありましょうし、いろんな御意見もあった、そういうものを十分体して、こまいところといいますか、こまいけれども実施に当たっての大事な部分ですから、それは、従来から提出した各省、局が責任を持って対応するということでやってきたと思うんです。 できたものについてまでやれればベターでありますけれども、しかし肝心の一番骨子になる法案というものをやるというのが従来からのことではないのかなという、はっきりしたことを申し上げるわけにいきませんが、それが私ども政治家の一番ポイントであろう、こう思います。
○稲村稔夫君 大臣はトップで座っていらっしゃるから、細かいことにまで御答弁をいただくような立場でもありませんからね。官房長は呼んでいませんでしたので、やむを得ずまず大臣から聞きましたが、しかも請求がなかったというんであれば、私は実は要求していませんでしたから、私が今ここで出しなさいと言ったら無理だと、こう言われてもこれはやむを得ないことはありましょうけれども、しかし、あらかじめ要求をされて、そしてかなり時間があって、それで政省令そのものを出せというんではなくて、少なくとも方向性が決まっている考え方くらいは出しなさいという意味合いも含んでいたと思うんですよね。それを、それこそ採決直前に出す、これはどうしても私は納得し切れるものじゃないんです。といって、ここで座るわけにもいきませんのでね。 それで、農林水産省の対応として、今後請求があったときにはそれこそ速やかに提出をしていただく、そのことをきちっとこれは大臣から指示していただかなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(田名部匡省君) 確定したものはそのことは可能だと思うのでありますが、検討中のものをお出ししてこれまた議論に供するということもいかがかと思うんです。ですから、きちっと固まってというのとその辺をどう区別するか、考え方も、いろいろやってそれはまた変わるかもしれない、いろいろ相当やりますので、その経過の中のものをお出ししても、何か議論に供するということだとちょっと問題があるのかなと、こう思います。
○稲村稔夫君 大臣、政省令というのは場合によっては議論の対象になることがあるんですよ、内容の問題としては。そういう内容であっては困るとか、そういう内容だったらこの法案には賛成しかねるとか、そういうことだって起こり得るんです、審議の中のあれでいけば。ですから、私は大臣の今言われることは少し筋がおかしいと思うんです。 それにしましても、省内でいろいろ検討していたり、あるいは他省庁との調整に手間取っていたりしてまだはっきりした方向が決められないというものもそれはあるでしょう。ですから私は、小なくとも決まったものはちゃんと、ここまではこれは決まっています、決まっていないものはこれはまだ決まっていません、これから決めますと言うなりなんなり、やはりその辺の仕分けをちゃんとして、要求があったときには出すべきだと思うんです。
○国務大臣(田名部匡省君) 政省令で反対があるかもしれぬ、こうおっしゃることもわからぬわけではありませんが、法律からはみ出た解釈でやるということはないわけでありまして、そのために法案の審議をいただいているわけであります。その過程の中で、これについてはどういう考えをしているかということについて言うことは、これはできるものもあるだろうと思うので、その辺で、私も事務的な詳しいことまではわかりませんので、私の感じ方を申し上げているので大変議論がかみ合わないところもあると思いますが、極力わかる範囲では審議の過程でお答えするようにはいたしていると思います、まだ固まっていないものまでは答弁できませんけれども。今後、そういうことで私どももどういうことは可能なのか十分検討してみたい、こう思います。
○稲村稔夫君 私は、この問題は今後のことというのもみんな絡んでまいりますので、本委員会の運営とも非常に重大な関係があるというふうに思います。したがいまして、委員長に要望いたしますけれども、理事会でそれらの点については今後どういう対応をするかということを含めて御検討をいただきたい。いかがでしょうか。
○委員長(吉川芳男君) 理事会で協議をさせていただきます。
○稲村稔夫君 もったいない時間を十分費やしました。 そこで、JAS法の問題に入らせていただきたいと思います。 私は、今回提出された法案、なぜ今この法案が特定JAS規格なども含めて提起をされてきたのかよくわからない、そういう面を持っております。 そこで、まずお伺いしたいのは、有機農産物等の特別表示についてのガイドライン、これは既に四月一日から施行されているわけでありますけれども、特定JAS規格というのが今度決められようとしているわけでありますが、このガイドラインと特定JAS規格というものの関連性について、これは一体どういうふうになるんだろうか。 お願いをしたいのは、私の方はかなり聞き方が粗っぽいかもしれませんが、例えば、建前の上ではガイドラインとJASとは直接はつながっておりませんみたいなだけの御答弁だと、実際はいろんな運用面ではつながってくるわけでありますから、それだけではちょっと納得いたしませんので、大変恐縮ですけれどもその辺はちゃんと踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(須田洵君) お答えいたします。 まず、有機農産物のガイドラインにつきましては、最近、有機農産物等の特別表示をしたものが非常に出回っている。その表示問題に、まず第一歩といいますか、これは法律じゃございません、あくまでもガイドラインということでございますけれども、そういうもので表示の適正化を図っていこうということで、この四月一日から施行に入ったものでございます。御承知のとおりでございます。 これの持つ限界点としましては、あくまでもガイドラインということでございますので、例えば有機農産物という表示をしてあって、確認責任者とか現場の責任者とか、そういう表示がしてあっても、実際にどうなのかということについてのチェックができないといいますか、それはガイドラインの限界といいますか、そういうものである。こういうこともございまして、やはりそういうきちっとした認証システムというものがいずれ必要になってくるんだろう、こういう考え方が当然出てくるわけでございます。そのあたりにおいては思想的に言いまして特定JAS規格というものがつながっていると思います。 ただ、この改正JAS法といいますか、改正後のJAS法に基づいて具体的な規格をつくるという場合におきましては、当然のことながら有機農産物をめぐります生産、流通、消費のさまざまな実態なり関係者の意向等も踏まえまして、新しい法の定める手続に従って有機農産物なりあるいはそのほかのものについて具体的にまずどの規格を取り上げるかの審議が行われ、さらにその規格の内容としては具体的にどういうものにするかといったことについて改めて論議をしていかなくちゃならぬ。 そのような意味におきましては、今回の農産物等のガイドラインで、有機農産物あるいは無農薬、減農薬、いろいろございますけれども、それらがストレートにそのまま特定JAS規格の内容になっていくというものではないという、そういう位置関係にございます。
○稲村稔夫君 そうすると、現在の表示のガイドラインは、特定JASそのものの表示とは違う、こういうことですね。そうすると、特定JASの規格というのは大体どういうものにしようとお考えになっているんですか。
○政府委員(須田洵君) 今申しましたように、具体的にJAS規格として、つくり方JASといいますか、そういうもので有機農産物というものをもし取り上げるとしたときのその内容といいますか、ということになろうかと思います。これは、当然のことながらその内容については今私の方で勝手に決めるというようなことではもちろんないんで、関係者間で詰めていくことにはなるんですけれども、しかし、ある程度のイメージといいますか、そういうものが当然あってしかるべきだろうという意味でお尋ねだろうと思います。有機農産物の定義につきましては、やはり基本的に有機農業の生産体系の内容に応じて定められるものになるんではないか、かように考えております。 ガイドラインで一つの定義をまずしておりますが、その定義を定めるに際しましては、欧米等におきます現実に設定されております基準といいますか有機農産物の定義が一応明確になっております。当然、有機農産物についての定義を詰めていく過程においては、そうした内容もよく踏まえて検討していくということになろうかと思いますが、ガイドラインの検討の際においても、既にそういう視点から、大体こういう定義であれば内外全体を通じまして通用していくものになるんではないかと、これは有機農産物だけに関してでございますけれども、そのような定義になっているわけでございます。 もう少し具体的に中身に入りますと、そういうような意味でのかなりよりどころになります米国の農業法によります有機農産物の栽培基準というのを見たときに、土壌管理あるいは施肥とか病害虫対策、あるいは雑草対策、そういった栽培基準というものを全体的にこういう考え方でやるんだ、今申しました施肥その他においてこういうものを使っちゃだめだ、あるいはこういうものを除いては使っていいと、具体的に明確にしていく、そういうことだろうと思います。 それともう一つは、重要なポイントになりますことは、土づくりを主体としましてどういう形でこれから有機農業の生産に取り組むかという計画を、いわゆる考え方として国定基準等に照らしてみてもそれが正しいんだという計画の認証といいますかそれの裏づけといいますか、そういうものも相まって定義を形成していく、そういうようなことになろうかと思います。
○稲村稔夫君 局長、私が伺っているのは、定義を決めてこれからどういうふうにしていこうかというのはこれから聞こうと思っているわけで、問題は、特定JASというのは何なんだと、こういうことを聞いているわけです。 今のお話をいろいろ伺っていると、大体想像がつくのは、一つは、いわゆる有機農産物というのは特定JASに将来入れていこうというふうに考えているんだなということは、今の御答弁で想像がつきました。だけれども、特定JASというのは、生産行程等に特定な方法を用いてということでしょう。そうすると、これは有機以外にもまだいろいろとあるということになるわけでしょう。だから、特定JASというのはどういうものを考えているんですかと僕は聞いているわけです。
○政府委員(須田洵君) 若干舌足らずで恐縮でございますが、有機農産物のほかにも地鶏とかあるいは平飼いの卵とか、最近、特別の生産方法でつくったんだと称していろいろ販売されているようなものについても、そういうもの全体にわたって製法JASといいますか、そういう規格をつくっていく、このように考えております。
○稲村稔夫君 私は、今のお話で、いわゆる有機農産物というのがJASの対象になるものの中ではかなり多くの部分を占めるなというふうに感じながら伺いました。 そうすると、僕はさっきからいわゆるというふうに言いましたが、有機農産物というのはどのような定義をするか、こういう問題になる。さっき局長が私よりも先回りしてお答えになったのは、ガイドラインで定義をしているようなものというようなことに触れられましたね。そうすると、結局、特定JASというのは、ガイドラインと形の上では別だけれども少なくとも有機農産物についてはガイドラインと密接不可分のものだということになるでしょう。 そこで、今のガイドラインというのはまだこれから手直ししようという話も伺っているんですが、それはどうなんですか。
○政府委員(須田洵君) 有機農産物のガイドラインにつきましては、有機のほかに無農薬、減農薬と幾つかの種類のものが入っているわけでございます。それらについていろいろな論議もあるわけでございますけれども、まずはやってみようということでこの四月一日から実施に入っているわけでございますが、いろんな論議もあったこともございますし、何分初めてのことでもございますので、実際にやってみて問題がもしあればさらに見直しをして直していこう、このように考えているわけでございます。 ただ、それらの中での主要な論点の中で、有機農産物そのものをめぐっての、これでは国際的に緩いとか、そのような話は全体のウエートとしては必ずしもそう大きくはないというふうに理解しております。
○稲村稔夫君 一つは、ガイドラインをめぐっていろいろと議論がまだあって、その議論を踏まえながらこれから手直しをしていこう、そういう現状の中で、なぜ今JASの中に特定JASという規格を設けなければならないのか。 これは、ガイドラインでやっていった中で、僕は何も減農薬ばかりでないと思いますよ、有機の定義についてもいろいろと今後出てくるかもしれません。そういうものを踏まえてまた変わっていこうとするのに、何も今急いで特定JASというのを決めなくてもいいんじゃないですか。そう思いますが、その点はいかがですか。
○政府委員(須田洵君) 具体的にJAS法で有機農産物についての規格をつくっていくその前提としましては、当然、有機農産物のガイドラインを具体的に実施して、その結果がどうかということも見直しをして、ある程度そういうものについての見きわめがついた、そういうようなことも視野に置きながら具体的に規格づくりに入っていくんだろうと、流れとしてはそのように理解しております。 しかし、あくまでも、今の有機農産物等をめぐる全体の表示の問題というものはこのままほうっておくわけにいかない、そういう状態でもございますので、取り組みとしては、できる限り早期にまず特定JASを含めた枠組みをつくって、具体的な中身の規格についてはいろいろ関係者間の合意形成を重ねていく、そういう中で規格をつくっていく、このようなプロセスを経ていく必要があるんではないか、かように考えております。
○稲村稔夫君 どうもそういうお話だけでは、僕の方が頭の回転が遅いものですから理解が十分にできないんです。 じゃ、そこでさらにお尋ねしますが、JAS規格というのは今までは加工品について当てはめられてきた。加工品、つまり工業的に生産をされる、加工される、そういうものについては一定の規格を設けることによって一定のある程度の品質のものをそろえることができるようなことになるんだと思うんです。 ところが、生産行程を統一するということについて、一定の生産行程でということについては私は大変疑問があるんです。というのは、例えば工業であれば一定の生産工程というのは、一定の製品を生むということは可能でしょう。しかし農業というと相手は自然を対象にしている。地形も違います、気候も違います、いろいろな条件が違うわけでしょう。そういう中で生産行程というのはそれぞれの地域の特性によって違ってくることが随分あるんですよ。 そうすると、統一的な生産行程そのものが、私は全国で統一的に生産行程というものを決めることの難しさというところがあると思うんです。そういうことが一つと、それから、たとえ生産行程を統一しましたと言っても、生産行程を同じにしたら品質的に同じものができるかということにもなる。 消費者の立場からすれば、規格というものが設けられて決められれば、大体それで一定の品質であると判断をする場合が多いんじゃないでしょうか。ということになってくると、その辺のところがいろんなことが錯綜しているのにかなり無理があるんじゃないかなという気がするんだけれども、いかがですか。
○政府委員(須田洵君) まず、最初の点でございますが、生産方法の問題でございますが、従来の加工食品JASといいますか、そういうものでは、いわゆる製法といいますか製品全体の規格として認証し得た。 これは、生鮮品については確かに先生もおっしゃいましたように非常に品質も不安定でもございますから、製品自体の認証というのはおよそ不可能に近いだろうというふうに考えるわけでございますが、物によっても多少そこは違うと思いますけれども、しかし製法といいますか生産方法、栽培方法といいますか、そういう面から申しますと、先ほども例に出しましたアメリカの有機農業法なりヨーロッパにおきます基準なり、要は例えば有機農産物ということであれば、ミニマムにこういう基準を全部満たさなくちゃならぬですよということの基準は現実に欧米の例から見ても可能だろう。 これは、全部が全部可能かどうかというのはまた論議もあろうかと思いますが、有機農産物に関する限りにおきましてはそういう既にアプローチがある中でございますし、さればといってそう簡単なものでもないというふうに私どもは認識しておりますけれども、全国どこで生産してもおよそ有機農産物というものに合う基準は、これこれの要素を全部満たしてくださいよという意味の基準づくりは可能だろうというふうに考えております。 それから、第二点の品質の問題については、もともとが製品としては規格化できないということから出発しておりますから、同じ生産方法をとってもできたものについてはやはり相当ばらつきが出てくる可能性は当然あるだろうというふうに考えております。それは、こういうものであるということを前提として消費者なりなんなりに説明をしていくということになろうかと思います。
○稲村稔夫君 これは後でまた触れるつもりですけれども、特に品質についてということでありましたところは、私は、消費者の立場からすると、品質もさることながら、品質の規格にばらつきがない方がそれはいいんでしょうが、ばらつきがあるかないかということよりも、少なくとも食料については安全性とか新鮮さとか、そういうことの方が大事なんだと思うんです。ですから、そういうふうに考えていきましたときに、生産行程で全体の規格を取りまとめていくというやり方が私はどうも不適当だという感じがしてならないんですよ。 それで、先ほど局長の御答弁の中で有機農業法とかなんとかということがちょっと出ましたけれども、まさにそういう別体系で、別の有機農業から有機農業を促進していく、推進していくという観点で、そしてそういう農産物がどういうものでなきゃならぬかというような、そういうまさに州立てのものでやられる方がいいんじゃないか。ということは、JASというのはいかにも無理がある。今まで皆さんがならされてきたJASというのは、農林水産省のお墨つきをもらった間違いのない品質の商品なんですよと、言ってみれば工業製品ですからね。そういう側面を持ってきているわけです。 そうすると、ここのところは特定JASということで、生産行程で規格を決めるというちょっと異質なもの、JASには余り僕はなじまないと思うんだけれども、そういうものを一緒にしてきているところに私は非常に無理があるというふうに思うんですが、その辺はどのように考えていますか。
○政府委員(須田洵君) その点については、繰り返しになりますけれども、従来のJASというのはどういうものだということの観念が非常にしみついておりますから、そういうものから抜け出していくのは非常に難しい面もあるわけでございます。昨今の消費者ニーズ等から見ましても、見せかけといいますか見かけよりも、実際にそういう方法でつくったのかどうか、そのつくり方にこだわるといいますか、そういうところにむしろよりニーズを見出すということもあり得るわけでございます。そういう農産物の場合においては、製品としては仮に、ちょっとみばといいますか見てくれはやや悪いようなものであっても物は非常にしっかりしているんだという、これは極端な例でございますけれども、そういう目で商品を見ていく、そういうことも十分考えられるんではないか、そういう考え方でございます。 そして、アメリカなりヨーロッパなりの法制をそのまま取り込む、同じものであるということでは必ずしもございませんで、日本の例えば有機なら有機についての今日の状況といいますか、そういうものもよく踏まえながら、日本としてどうあるべきかということをこれから新たに考えるという姿勢で臨んではどうかということでございます。
○稲村稔夫君 入り口論議だけをずっといつまでもしているわけにもいきませんので、この法案の最後の締めくくり、どういうふうになるかというのは、審議をしていく経過の中で、きょうは出発点ですから、そこのところはあと私の意見だけ申し上げて、次の質問に移ります。 私は、局長の言われるような、消費者のニーズがいろいろと変化してきている、そのことを大事にしたい、これはもうそのとおりだ、私もそうしなきゃいかぬと思うんです。それから、何もヨーロッパの物まねをしろと言っているんじゃないんです。ヨーロッパと日本とは事情が違うんです。日本の特徴をうんと生かさなきゃならぬというのは当たり前のことなんですよ。だから私は、特定JASなどという狭い範囲内のそういう取り組みじゃなくて、もっと有機農業を日本全国に普及させていくようなそれこそ法体系ができてきてしかるべきではないか、そういうふうに思うのであります。そこのところはもうこれ以上続けていても時間ばかりたつようでありますから、次の方に進ませていただきます。 私は、有機と言ったときにいろいろな評価をすべき点はいっぱいあるわけでありますが、その中でも一つの課題としてやっぱり安全性の問題というのがあると思います。この安全性というのは、現在の一般的、普遍的に行われている農業の生産体制というものに比べれば有機農業というのは安全性というものが高いということが言えると思いますけれども、しかしそれも今後の課題としてはいろいろとまだあると思います。 そこで、そういう中で、今の一般的、普遍的な農政の中で、安全性については極めて私は心配が多いわけであります。その例は私が連載物みたいにしてずっとやってきておりますから、もう園芸局長はぽつぽつ顔をしかめ始めているんだろうと思いますけれども、農薬をどうしても使わなければならぬという農業をやっている限りにおいては私は安全性を本当に最終的に保障し得るというふうにはなかなかいかない、そういうふうに思うんです。 それにしても、今の農業は普遍的に一般的にはそうなっているんですから、そういう中で安全性を最大限確保するために農林水産省はいろいろと努力をしている、そういうふうに思うんです。だが、その主体的に努力をしていると思っていることと実際ということとを比べたときには、実際は農水省が思っているほど有効にという場合もありましょうし、それから予想していなかったような方向でいろんな新しい展開があるというようなことが起こってきていると思うんですね。 その中で、連載物と言いましたのは、例の新潟県で今発生をしているCNPと発がん性の問題であります。 そこで、この間の一般調査のときにCNPについて私はいろいろと伺いましたけれども、そのときにお聞きをしようと思ってできなかった問題が幾つかあります。それを今伺っておきたいと思います。 まず、農薬の検査体制についてであります。現在の農薬取締法が改正をされたのが昭和四十五年です。その昭和四十五年に改正をされたときにいろいろと本院の農林水産委員会でも議論がされております。そのときに検査体制についていろいろと心配をする議論がございました。 そこで、ちょっとお伺いをいたしますが、昭和四十五年当時の農薬検査所の検査職員の数と現在の数、そして登録、再登録の件数とこの推移、これを比べるとどのくらいになるでしょうか。それは今数字がありますか。
○政府委員(高橋政行君) まず、農薬検査所の定員の推移でございますが、昭和四十五年におきましては、いわゆる実際の検査に携わるという意味の技術屋さんでございますけれども、三十八名でございまして、それが平成四年には六十名になっております。 それから、登録件数でございますが、新規登録件数は昭和四十五年には七百六十六件で、平成四年では二百七十一件でございます、それから、再登録件数でございますが、これは昭和四十五年が千三百二十九件、それが平成四年では千七百九件でございます。
○稲村稔夫君 そこで、農薬取締法によると、私の読み方がまだ悪いのかもしれませんが、第二条では、登録をする際には見本の提出を求めていて、その見本を職員が検査をするということになっていますね。 そこで、これらのものはみんな検査所の職員の方がその見本を全部検査をきちんとしておられるんでしょうか。
○政府委員(高橋政行君) 農薬の安全性に関する検査に当たりましては、先生お話しのように農薬検査所において行っておるわけでございますが、そこでやっておりますのは、そこに各種の試験成績が提出されるわけでございます。一方、人間の健康といいますか、そういう面から見た場合の安全性という観点から、環境庁長官が保留基準というのを定めております。これは厚生省の場合でございますと残留基準になるわけでございますが、それが定められていますので、その基準に照らしてそういう試験データを突き合わせまして、果たして安全であるかどうか、それから安全であるような範囲で使用するのにはどういう使用の方法がいいかというようなこともあわせて調べまして、それで農薬の登録をしているという状況でございます。 それで、その際に、見本も出されておりますが、見本そのものによって新たに例えば残留検査をするとか慢性毒性検査をそれでやってみるとかというところまではやってはおりません。
○稲村稔夫君 しかし、見本を出させて検査をすることに法令上はなっているはずなんです。そうすると、どういう検査までやるかということは、これは施設の問題やら能力の問題やらというものも含まれてくるでしょうから、それはあるだろうと思いますけれども、しかし、職員をして検査せしめるということになっている、見本を検査させるという点は実行されていないんですか。
○政府委員(高橋政行君) ここで言っています、我々が検査所でやっておりますことは、農薬の見本に関係いたしましては、その製剤の特性、果たしてそういう成分になっているかどうかとかいうようなことのチェックはいたしますが、先ほど申しましたように、慢性毒性の検査ですとか、そういうようなデータをもう一度そこでつくり直すとか、そういうようなことはしておらないで、その点はメーカーの方から出されました実験データによって判断をしておるということでございます。
○稲村稔夫君 農薬取締法、さっき私は第二条と言いましたが、コピーを見ながらの話になりますが、第二条の三項では、「農林水産大臣は、前項の申請を受けたときは、」、つまりこれは登録の、これは輸入も含めてですが、「申請を受けたときは、農薬の検査を行う職員へ以下「検査職員」という。)に農薬の見本について検査をさせ、次条第一項の規定による指示をする場合を除き、」云々と、こうなっていますね。これは見本を提出させているんですから、「見本について検査をさせ」となっているんだから、私はこの条文のとおりにいったらしなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
○政府委員(高橋政行君) ただいまの農薬の見本に関係してでございますが、農薬の見本についての検査は、今申し上げましたような特性ですね、実際にそこで調べているのはそれでございまして、そのほかの点についてはデータに基づいて検査をしているというやり方でやっております。
○稲村稔夫君 そこで、どうもまだわからないところがありますけれども、これはまた法文の解釈問題でぐずぐずぐずぐずと議論をしていても先へ進みませんから、ここのところは私は少なくとも検査については、法律の条文というのは条理によるとか解釈によるとかというのがありますが、まさに条理というのを大事にしなきゃならぬのだというふうに思うんです。だから、これは出されてきた登録申請の書類で審査をしてということだけでなしに、やはりきちんと検査をして確認しなきゃいけませんよという意味のことだと私は理解をしながらこれを受けとめているんです。条理に従えばそういうことじゃないかというふうに思いますけれども、その論争は今はやめておきましょう。 でも、私がこういうことを申し上げたのは、今の検査所の職員の体制というものが、これだけの登録件数があって、せっかく増員はしているけれども、しかし必ずしも十分ではないんじゃないか。今のような体制でもし検査を一々やらなきゃならないということになったら、とてもこの人数じゃ足りませんということにもなるわけでありますから、むしろ検査所の職員の体制というのはもっと強化をして、法文にあるような条理に従って検査ができるような体制をつくるべきではないか、こんなふうに思うわけであります。 そういう中で、実はCNPの検査で私はいろいろと疑問を感じているわけであります。 この間、CNPの登録時に出された書類、再審査のときに出されたものということで伺ったら、これは膨大なものだけれども、「農薬時報」に報告をされている大体概要のとおりであると、こういうお話がありました。その「農薬時報」に出されていた各種のデータの中には、我が国の検査機関できちんと検査をしたものもありますけれども、しかし外国に委託をしたものも随分ありました。そういう中で、インダストリアル・バイオ・テストというアメリカの会社に依頼した犬の問題は、これはかなり問題がありますということを申し上げましたね。たしか、IBTはそのデータの改ざん等で摘発をされて、倒産を余儀なくされているという形になったわけであります。 そういう書類が提出をされたということに対して、農林水産省は何か対応をされたんだろうと照うんですけれども、これはどうされましたか。
○政府委員(高橋政行君) 確かに、先生から今お話がございましたIBTLのデータでございますが、このCNPが登録される際に出されたデータそのものがよかったか悪かったかはよくわかりませんが、いずれにせよIBTLそれ自身はちょっと問題があった機関であったということは言われておるわけでございます。 それで……
○稲村稔夫君 ちょっとなんというような問題じゃないでしょう。大変な問題だったんじゃないですか。
○政府委員(高橋政行君) 問題があった会社ということでございます。 それで、このIBTLでやった毒性試験は、CNPのアミノ体についてやったデータでございます。
○稲村稔夫君 局長、それはちょっと違うよ。 「農薬時報」に載っていたことについて僕は聞いているんです。「農薬時報」に載っているのはアミノ体じゃないですよ。アミノ体はこれから聞こうと思っていたんだ。
○政府委員(高橋政行君) 失礼いたしました。 実は、IBTLでやった試験は、CNPアミノ体の毒性試験と、それからもう一つCNPの慢性毒性試験がございまして、それについて犬を用いてやったというのと二つあるわけでございまして、今私は前者のアミノ体の方だと思ってお答えをいたしましたが、先生の御質問は、犬を用いたCNPの慢性毒性の方の試験のことでございまして、これにつきましては、残留農薬安全性評価委員会の専門家による評価の際にも特段の指摘事項もなかったというふうに聞いておるところでございます。 それで、じゃ、そういうまあ変なといいますか問題のある会社のデータを使って判断したということになりはしないかということになろうと思いますが、その点につきましては、マウス及びラットを用いた残留農薬研究所のデータに基づいて評価しているところでございまして、我々としては問題がないんじゃないかというふうに考えておるところでございます。
○稲村稔夫君 局長、一生懸命部下をかばいたいというふうに思われるのかもしれないし、それから、やってこられたことについての瑕疵を問われたのでは困ると思われているかもしれないけれども、私は、そのときの手続そのものに、認可をしたときの認可そのものに瑕疵があったとかなんとかと言っているわけではないんです。しかし、後から出されてきた申請、それじゃ、そのために何でそういう書類がいろいろと出てくるんですか、データを出させるんですか。出てきたデータの中で問題があるということが後になってわかる、こういうことがやっぱりあるんですよ。 そうすると、問題になるデータがつけられていたら、その問題になったデータを出したIBTというのが一体我が国ではまだほかにテストを出していないかどうかということも含めて、IBTに対する調査というのを徹底的にしなきゃだめでしょう。 これはカナダやアメリカというのはどう決めていますか、IBTの検査をしたデータに対してカナダとかアメリカはどういう対応をしていますか。
○政府委員(高橋政行君) 今、アメリカなどにおきましては、内部監査をいたしまして、その結果、問題があるものと問題のないものとを区別しております。
○稲村稔夫君 局長、後ろからいろいろと教えてもらいながら答えられるんだから、詳しく答えられないことはわかりますけれども、特にカナダあたりも見直しを指示しているんですよ、IBTの出したもののデータについては。だから、検査のし直しをするというくらいのことをしなかったら、事人間の命の安全というものにかかわるんですから、そうするとそういうものをしなきゃいかぬでしょう、IBTでそういうインチキデータをつくっていたということがわかったんだから。 我が国では、今の農薬の場合に、IBTに出していたものというのはほかにどのぐらい件数があるんですか。わかりますか。わからないでしょう、それは。
○政府委員(高橋政行君) ちょっとその辺はしかとはわかりません。
○稲村稔夫君 それだから困るというんですよ。そういう問題が起こったら、それこそすくに調べてIBTに——そうでしょう、たまたまCNPの場合は、あなたが言った日本の農薬研究所が、そこでやったデータもあったから今そういう言い抜けができるわけだ。だけれども、IBTのデータを中心にしているものが中にあったらどうするんですか。そういう調査をしなかったら困るでしょう。——時間ばかり食っちゃって困るんですよ。
○政府委員(高橋政行君) 今、どのくらいのIBTLのデータを用いてやったのがあるかということはちょっと数としてはわかりませんが、我々の方といたしましては、そのIBTLの資料を使って、それがいわゆる判断材料としては一番中心になる、そういうデータとして使ったもので問題があるものとないものとを分けまして、問題があるというふうに思われたものについてはその後追加データも要求してやっております。 しかしながら、たまたまこのCNPに関係いたしましたデータにつきましては、先ほど先生もちょっとおっしゃいましたように、残留農薬研究所でやったデータがございまして、そちらの方で判断をしたということで、これについては追加データを求めるということはしていないという状況でございます。
○稲村稔夫君 局長に聞けば聞くほどいろいろと混乱すると思いますので、これ以上内容に立ち入ることはもうやめます。 ただ、今度は局長の責任でこれは答えてもらいたいんですが、IBTというテスト会社は世界でも指折りの信頼が置ける機関という評価を一時的にずっとされていたんですよ。だから我が国へも結構たくさん出している。ということがあるので、それだけに心配なんです。 そうすると、今仕分けをしているというふうにお話がありましたが、その仕分けを急いでやってもらって、そしてIBTのかかわるものについては今度はきちんとした機関できちんと検査し直す、こういう体制を確実にとってもらいたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(高橋政行君) 先ほど申しましたように、IBTLのデータを中心的なものとして用いておるものについては、追加データを求めるというようなことで見直しをしていきたいと思っております。
○稲村稔夫君 ぜひ、それはもう間違いなくきちんと実行していただきたい。 私がくどいようにこんなふうに申し上げているのは、この間の質問に対して、さっき私より先回りしてあなたが答えたアミノ体のことについては、これは地方行政委員会でうちの大渕委員に農林水産省の職員が答えたことから端を発して、アミノ体のデータが本当にあるのかどうかと私が尋ねたわけです。そうしたら、あるとお答えになった。あるんだったらと言ったら、登録時のときには主流じゃないけれども参考でくっついてきていると、こういうお話だった。それで、その参考というもので何があるのか、それじゃそれを出しなさいという話になったら、膨大だから全部出さない。それじゃ要約はということで私のところに出てきた。そうしたら、これまたIBTなんだよね。今のインチキ、でたらめをやったところなんだ。 ところが、地方行政委員会で質問があったのは一体いつですか。ついこの間でしょう。IBTのそれが暴露された、発覚したのは随分前ですよ。職員の方はわかっているんだよ、IBTでそういうことが起こっているのは。それなのに、他の委員会だとはいえ、委員会でアミノ体のこういう実験データがありますなどと、インチキの会社がやったところを、インチキかどうかも確かめていないでしょう、それなのにそういう答弁の仕方をしているということは、私はこれは非常に問題だと思うんです。 そういうことが気になる。だから、局長、毅然たる態度でもって今の仕分けを急いでやって、そして全部IBTのものについては再調査をしなさい、こう私は要望しているんです。意味はわかったですね。
○政府委員(高橋政行君) この農薬登録に際して出されましたデータでございますが、CNPアミノ体とそれからCNPそれ自身を投与しての場合と二つ違ったデータがあるわけでございますが、結局IBTLが出してきたデータは、CNPアミノ体ですね、アミノ体という形で投与した場合のデータを出してきたわけですが、……
○稲村稔夫君 ちょっと違うって。あなたの答弁は、答弁するとまたややこしくなるじゃないの。 この間は、犬についておかしいと聞いて、聞いた後で、アミノ体のことは別問題として、他の委員会でアミノ体の実験結果があると答えているが、私はそういうアミノ体の実験データというのは見たことがない。だから、あったら出しなさいと言ったら、参考としてついてきたのがありますから後で出しますということになったんでしょう。 だから、今のようなアミノ体もありますという答弁をほかのところでしていること自身がおかしいんですよ。そうでしょう。今のアメリカのその実験機関がインチキだということがわかったんでしょう。わかってしまっているその後で、アミノ体のデータのことなんてわざわざ言う必要ないんですよ、そんなの。言う必要ないのに何でそんなことを答えているかということが私にはあるんですよ。ほかの委員会での話ですよ。そして、そういう今のあなたのところの体制というのに僕はそうなると不信感を持たざるを得ないんだよ。 だから、局長みずからきちんと、例えばこういうインチキなことがあったということであれば、そのことはちゃんと正すという体制を局長自身の責任できちっとしてやってください、これがなきゃ僕は信用できなくなりますよ。これは今度の法案の審査に全部関係するんですよ。
○政府委員(高橋政行君) IBTLのデータに関係しての登録の話は、先ほども申し上げましたし、先生が申されましたようなことでやっていきたいということはそのとおりでございますが、ちょっと私がここで御説明申し上げようとしたのは、いずれにせよアミノ体のデータは先生がおっしゃったように参考ということで出されておりまして、しかもそれはIBTLのつくったものでございましたということです。そのとおりなんです。 それで、じゃ、うちの方はどうしてそういうデータが出たにもかかわらず、何かそれをいかにも認めたといいますか、それを判断基準にしたのかというふうに恐らく思われるんじゃないかと思いまして、そこのところはどういうふうに判断したかということをちょっと申し上げたかったということでございます。
○稲村稔夫君 ここから先はずっとおたくの方の言いわけになっちゃうと思いますから、もう聞きません。 要するに、今少なくともIBTのものについてはきちんとしていただくという御答弁をいただきましたから、そのことをしっかりとやっていただきたいと要望を申し上げて、次へ進みます。そうしないともう時間がなくなってきました。 私がこんなふうにしてずっと申し上げてまいりましたのは、今、いわゆる普遍的、一般的になっている農法というものが、例えば除草剤というのが一般的に使われるとこういう問題が起こってきます。ですから、そういう除草剤など、農薬などを使わない農業というのが私は本来の農業が追求すべき姿ではないかと思うんです。そこで、有機農業をぜひ私は政府が積極的に推進していただきたい、そう思うんです。 ということになりますと、これまたもとへ戻って恐縮なんですけれども、JAS法で特定JASということを決めるという程度のことでは有機農業が一般的、普遍的に全国に推進されるということにはならぬのじゃないかと思うんです。 そしてしかも、そのためには、私は今長々となってしまった、これはこんなに長く聞くつもりじゃなかったんだけれども、さらにもっと聞きたいところがあったんですけれども、省略せざるを得なくなった農薬のチェック体制というものがある。この農薬のチェック体制というものが私はまだまだ今のところ極めて不十分だと思って聞いているわけです。 そうすると、こういうものが不十分なままで、一般的に、普遍的に今のように農薬を使う、そういう農業が進められる。これに対して、僕はもう一つの対極として有機農業というのが、本当に安全ということでは信頼ができる農法としてこれが一つの対極に置かれるんじゃないか、そんなふうに思うんです。 そうしたときに、有機農業というものに対する推進のための体制というのが極めて不十分なんじゃないか、そんなふうに思うんですけれども、その辺についてはいかがですか。
○国務大臣(田名部匡省君) 具体的なことは担当局長からお答えいたしますけれども、これは政治家として私はお話し申し上げたいと思うんですが、おっしゃるとおり安全な食品というものはもう国民だれしも願っておることだと思うんです。ただ、ガイドラインとかJAS法によってその普及を図るということは私はちょっといかがかなと思うんです。これはこれ、普及は普及というふうにとらえていただかないと、何か、例えば悪いんですけれども、道交法をつくって自動車を普及させるとか運転免許者をふやすとかということではないのと同じかなと私は思うんです。 委員、大分農薬専門家ですが、私や国民の多くの人たちは、新鮮なものはわかっても安全かどうかというと全くわからぬと思うんです。ですから、私はそういう意味で一方では有機栽培というものは普及していかなきゃならぬ。それは別個我々はやります。ただ、昨今、農家の方々が自分で独自にいろんな工夫をされて、産直でやるとか直接どこかに提供しているということ、これはそれでいいと思うんです。ただ、市場に出回ってまいりますと、いろんな名前がついて、これが本当かどうかという判断が今度は消費者がつかないということでありますので、このガイドラインによって一つのものをやっていかなきゃならぬ。 私は基本的には、ブランド品といいますか、オランダの花もそうですが、だれがつくったかという名前が出まして入札をするわけですね。その人のものはえらい高く売れる。この有機栽培も一、二割高いんだろうと思うんですが、本当であって高いのはこれはいいと思う。今農薬でもインチキがあるんだということですが、生産にインチキがあったんでは困るわけです。ですから、そういうことをやっぱりきちっとする。これは私はどちらにもいいことだと思うんです。消費者にとっても本当に安心して買える、あるいは生産者も、本当にまじめにつくっている人、あるいは名前だけでつくって売っている人、こういうのがあったのでは正直者はばかを見るわけでありますから、そういう意味でこれをひとつ御理解をいただきたい。 有機農業を普及させることは当然でありますが、現状として〇・八%程度でありますから、それだけにやっぱり労力がかかる、あるいは収量も劣る。これは土壌との関係で、品目等がその土壌に合えば同じようにいくんだろうと思うんですが、なかなか難しいんで、そういうことを指導してやらなきゃならぬ、あるいは研究を進めさせなきゃならぬということで、いずれにしても技術、情報の収集、提供、あるいは無利子の農業改良資金、そういうものを提供しながら、一方ではこれはこれできちっとやっていくというふうに御理解いただいて、委員おっしゃるとおり、健康に安全な食料というものは一番我々も求めるところであります。 ただ、余り強調しますと、今やっている農業は安全でないんだというふうに受けとめられるとこれは困るわけでありまして、健康には悪くないがしかし環境に優しい、より安全なものということになると、この道を進めていく。これも、やれやれと言ってやるんではないわけでありまして、農家の皆さん方の考え方でどちらをやるかというのはあるんだろうと思うんです。しかし、方向として私どもは安全な食料ということを目指すことは当然だ、こう思います。
○稲村稔夫君 今、大臣のお答えをいただいたわけであります。その中ではかなりの部分は私は大臣と認識が一致するところがあるわけでありますが、また同時に、認識がかなり違うという部分もお答えの中にはありました。その点についていろいろと議論をする機会が今後あればまたしたいと思いますが、きょうは法案との関連の中でいろいろと伺います。 そこで、私は何も今の農法が全部もうだめだと、こういうふうに決めつける体制になれと言っているんではないんです。しかし、今の体制の中でいったときには非常に疑わしいものがいっぱいあります。少なくとも疑わしきものについてはチェックの体制を強め、検査をしていくということを農林水産省が旗振りになって、先頭になって物をやっていくというくらいの姿勢がなきゃだめなんだと思うんです。 この間から言っているCNPを私はここのところ連載物でやっているんですよ。これもまた連載しそうなんですよ。連載物になってきたのは、結局、ほかのものもみんなやりますけれども、一つのことだけでもこういうことがありますよということをみんなできちっと考えなきゃならないと思うから申し上げるんです。 そうすると、今のCNPにしてみても、新潟大学の山本先生がそれこそ十年も追求してきて、そして少なくとも複合的な要因等の一つとしてCNPが胆のうがん、胆道がんと因果関係があるという確信を持たれて、そのことが発表されているんです。これは疑わしきなんですよ、まさに。そういう疑わしきは積極的に旗を振って、それで調査をどんどんやって調べる体制をつくるという、調べていって、そして本当に悪いという結論が出ればたちどころにそれをやめさせるくらいの姿勢が農林水産省になければいかぬのです。 でも、どちらかというと、ここで僕らがいろいろ質問していると、質問に答えるためにガードする、そういう形で次々と答弁のあれがあるものですから、そうするとますます信頼ができなくなってしまうという形になるので、先ほどのような注文を申し上げたということにもなるんです。 そこで、大臣のおっしゃったことの反論になる部分も出てくると思いますけれども、例えばつくっている人がまだ全体の中では数少ない。なぜ少ないかというと、これは人手がかかるからとかなんとかということばかりじゃないと思うんです。やっぱり全体の有機農業というものについての育てていこうという農林水産省の体制の問題だというふうに私は思うんです。 そこで、有機栽培について熱意を持った人間がふえなかったらこれは困るんです。まず人から始まりますね。そうすると、熱意を持っている人づくりというものに対しては農林水産省としてどういう体制をお持ちになっているでしょうか。
○政府委員(高橋政行君) まず、先生おっしゃいましたように、有機農業といいますか、これがまだ点としてといいますかそういう形でしか存在しておりません。その一つの大きな理由は、農法といいますか、そういう形でしっかりとできているという状態でないということもあろうかと思いますし、それから今おっしゃいました指導者といいますか技術者といいますか、そういうものがまだ十分でないというような面もあるんじゃないかと思っております。 それで、我々、そういう技術を確立するためにどうしたらいいかというようなことでは、一つは、現場でさまざまな工夫をしながら有機農業に取り組んでいる方がいらっしゃるわけでございますから、そういう実践現場からの、土づくりであるとかあるいは病害虫防除だとか、そういった個別技術を吸い上げてくる。その場合に、普及員の皆さん方も勉強していただかなきゃいけないというようなこともありまして、いろいろ普及員の皆さん方も使ってまずそういうようなことをやっていることが一つ。 それから、先駆的に有機農業に取り組んでいらっしゃる農家の皆さんの一連の、個別技術じゃなくて、体系的といいますか一連の技術を持っていらっしゃるものがあります。そういうものにつきましては、今度現場でもう一度実践的にやってみて、そこで問題点なりあるいは効果、そういうものを検証していこう、そういうところにも普及員の人たちに積極的に参加していただいて、普及員もそういうところで養成をしているといいますか、そういうことをやっております。 その結果、今、各普及所におきましても、有機農業の推進といいますか、そういうことを指導の旗印にしておる普及所もかなり出てまいりまして、我々、なまぬるいじゃないかというような御意見もあるかもわかりませんが、そういうようなことで一歩一歩そういう人づくりなどの育成も含めながら技術も確立していきたい、こう思っておるところであります。
○稲村稔夫君 いろいろとお答えいただいたけれども、結局何かペーパーの上の御答弁のような感じがしてならないんです。 そうすると、じゃ、なぜ有機農業を推進しなければならないか。そういうことを本当に腹に置いた人間をつくらなかったら、人づくりというのは、そういう人づくりをしていかなかったら有機農業というのは広がっていかないんじゃないでしょうか。なぜそういう有機農業を推進すべきなのか、これは局長自身はどういうふうにお考えなんですか。
○政府委員(高橋政行君) 有機農業の過去の発達といいますか、どんなふうにして発達してきたかというような経緯からもおわかりいただけるかと思いますが、消費者の皆さん方が安全志向なりあるいは自然志向というようなものを強く求められるというような中で、これにいかに農業として対応していくかということで有機農業というのは現在拡大をしてきたというふうに私は理解をしております。
○稲村稔夫君 あなたは農蚕園芸局長でしょう。ですから、消費者のことに気を使うことも大事ですよ。消費者ニーズという問題は重視しなきゃならない。しかし、農業という観点からいったら、なぜ有機農業が大事なのか、このことをやっぱりきちっと整理しておいていただかないといかぬのじゃないかと思うんです。それは、いろいろな見解の違いがあればあるなりでいいですけれども、少なくとも私はそう思うんですよ。 このままいったら日本の農業だって、土づくりというものを忘れて砂漠をつくり上げていくということにだってなりかねない。幸いにして日本は水田が多いですから、水田というのは水が有機物を少しでも運んできてくれていますから、そういう面では砂漠化していくスピードはうんと遅いけれども、しかし今のような農業のやり方、一般的、普遍的に言われているような農業のやり方をやっているとだんだんだんだんと砂漠化していきますよ。 まさに有機物というのは、土が有機物の宝庫でなけりゃならぬ。その土づくりのためにも有機農業というのは非常に大事なんです。農業の一番基本になる部分だというふうに考えていったときに、今の経済情勢だとかいろんなものの難しさというのはいっぱいある。そういう壁はあるにしてみても、一番基本になる大事な部分というのは、これは推進をしていくために少なくとも農蚕園芸局長という立場だったらいろいろとお考えをいただけているんじゃないかなと思うんですが、その辺はいかがですか。
○政府委員(高橋政行君) 農業全体につきまして、最近よく言われております環境保全型農業ということを新農政でも強く打ち出しておるわけでございますが、これは御存じのように、そういった化学物質による、いわゆる農薬とか肥料ですね、そういうものによって環境が破壊されるようなことがあってはならない、持続的な生産というものを今後とも続けていくにはどうしたらいいかということの中で、できるだけ環境への負荷を少なくしようということで我々は環境保全型農業ということを言っておるわけです。 有機栽培とか有機農業という話が出てきておりますが、我々は農薬とか肥料を全く使ってはいけないというようなことを別に言っておるわけでございませんで、それは一定の使い方、使用方法を間違わなければ、適切にやれば安全性ということからも問題ないということでございますから、それはそれとしてあるわけですが、さっき申し上げましたように、その中でできるだけ少なくしていこうというのにはどうしたらいいかということが一つ。 それから、そういう環境保全型農業を進めていく一つの極といいますか、そういう形として有機農法というのもありますと。それで、有機農法については先ほど申しましたように消費者ニーズというものもあるわけですから、そういうものに積極的に我々が応じていくということも考えなきゃいけないんじゃないか、こう思っているということであります。 それから、土づくりということからすれば、堆肥を施用するとかそういうことも当然必要なことでございまして、またそれはその問題としてやっていかなきゃいけないことだというふうに思っております。
○稲村稔夫君 もう時間がなくなりまして、私は九十分もらったけれども、結局肝心なことをまだ幾つも残したままもう時間が切れてしまいます。審議時間が足りないというのは、こういう審議のあり方にもやっぱり問題が出てくるんだと思うんです。今後のこととして非常に大きな問題だと思うんです。 そのことは仕方がないんですが、そこで、私はかなり一方的に自分の意見などを申し上げていかざるを得ないということになります。 今、局長の言われたことには大きな問題点があるんです。というのは、私はあくまでも農業というものは、自然環境とかなんとかというへ理屈を言う前に、農業の一番の基本になっているのが有機ということであって、今の行き方というのは変則的なものなんだということは、これはきちっと踏まえていただかなきゃならないんじゃないかというふうに思っているんです。 それは、例えば病害虫対策だって農薬を使わなきゃ病害虫が駆除できないかというと、そんなことはないわけですよ。現実に、農林水産省からインドネシアなんかに派遣されている人たちでは、農薬というよりも昆虫の生態、昆虫学から対応して、発生時期、いかなる時期にどういう対応をしたらいいかということを研究しながら害虫に対応する、病気に対応するというやり方を一生懸命やっておられる方もあるし、対応としてはそういう方法がある。それから、品種改良、育種という問題があります。これは強いものをどんどんとつくっていくということもあります。 そういうことで、言ってみれば、有機栽培に適したそういう対応をしていくことによって、一つの普及の条件というのが、それだけじゃないですから、条件の大事な一つがつくられてくるということになると思うんです。 そのほかに運搬の問題もあります。この間、私たち社会党は中央市場を見にいきました。そうしたら、残念ながら有機の野菜というのはちょっとくたっとしているんですね。そこから今度はまた僕のところの新潟なんというと、新潟で有機の野菜を買いたいというので八百屋さんへ行くと、その中央市場でちょっとくたっとなったやつがまた送り返されてきまして、そして地方の市場から八百屋さんのところへ来る。そうすると、もうかなりぐったりしたやつを我々は買わなきゃならないということになる。私どもは、毎日朝市へ行って物を直接買ってくる方がずっと早いです。今の流通問題にもメスを入れなきゃならないんです。そして新鮮なものが食べられるという体制を、」地域で消化できるようになればこれは随分違ってくるでしょう。そういう体制も一緒にあわせていかなきゃだめなんです。 そして、有機をきちっと実行していくというためにも、お互いに自主管理体制があって、そして市町村ごとには先ほど言ったように条件にいろいろ違いがあるんですから、違いの中できちんとその地方に合った規格というものの確認ができていくような、そういう組織体制などというものも必要なんだと思うんです。こういうものがそれぞれ整備されてきて初めて基準をどうするかという問題になってくると思うんですよ。 ということで、私は、JASの特定というのはどうもまだ早過ぎるんじゃないかな。こういうのを最後の結論として持っております。最後に結論を申し上げまして、お答えを大臣からいただけれは、それで終わります。
○国務大臣(田名部匡省君) 究極の話は一致しているわけでありまして、私もそう思います。思いますが、現状を考えてみると、一、二割どうしても高くつく。あるいは少ないわけですから、きのうの意見にもありましたが、産地でできるだけ消費をすれば新鮮など、こういうことになる。 流通などいろんなことを考えていきますが、ただ申し上げたいのは、価格が現状の価格と同じ程度でできるものならばいいわけですけれども、国民はみんな豊かな人ばかりではないんで、そういう人には全部これに変えた場合に価格の面はどうか。それは確かに安くできるのもあると思うんです、土壌とか、どういうものがそこに適しているかということさえうまくやれれば。そこはまだ今始まったばかりなものですから、確かに私どもの体制はおくれておると思います。しかし努力をしていきたい。今の農産物の価格と同じ程度のものになっていくようにこれまた努力をしていかなきゃならぬということでありますから、いま少し我々の努力を御支援いただきたい、こう思います。
○稲村稔夫君 やむを得ません。
○三上隆雄君 ただいまは我が党の大ベテラン議員が極めて高度な濃密な質問をいたしましたが、私は、その後を受けて若干の質問を申し上げたいと思います。しかしながら、私もまた稲村先生と同じで、シリーズ物、リンゴの輸入に関して後ほど質問を加えなきゃならないので、あらかじめ御了解を得ておきたいと思います。 今回の農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律については、いろいろ問題があります。一歩前進だという評価もあるわけでありますが、今まで稲村さんの質問の中にもあるように、この特定JAS規格について特に今回重要視したということについて、時期的なものとまだ不足な面等々があるやに思うわけでありますから、その点については十日の参考人の意見を聴取しながら、そしてまた我が党の議員も質問いたします。ですから、私はさっき言ったように若干この問題に触れて質問を繰り返したいと思います。 本来、食べ物というものは、安全を前提とした、人間が生きるために、そして長らえるために必要なものであって、栄養、カロリーを摂取するために絶対不可欠なものであります。これは体そのものが求めるものでありまして、その次には、食べ物そのものが人間が生きていくための一つのまた喜びであるわけであります。 このことからいいますと、目で見て楽しみを得る、そういう段階に入っていって、最終的に求めるものは、やはり食というものは心で食べるものだ、こう思うんです。今の時代は、まさしく最初は体を保つための食べ物である、そしてまた、ある程度目で楽しみながら食事をする、最終的にはやっぱり心が求める食べ物でなきゃならぬ、こう思うわけであります。 そうなりますと、その心で食べる前提は、今消費者が望むものは安全ということが一番その心の奥深くに、そしてまた一番重要なポイントだと思うわけであります。そしてまた、その食べ物というものは、環境に優しい、持続可能な生産手段や有機自然農法の振興によってそれがかなえられると思います。それに一定の付加価値を付与し、生産者も消費者もその恩恵を享受できるようにすることがこの法律であり、改正だと思います。 その点からいたしまして、この法改正の趣旨には一応賛同するものでありますけれども、果たして、生産から消費に至るまでの情報やその品物か、法が今求める、ねらっております。そのことが上しく伝わるのかどうか、その点について若干の質問をしたいと思います。先ほどの稲村先生の質問にもありましたように、有機農法、有機自然農法、いろいろな呼び方がありますけれども、全国には多くのその実践者がございます。今回の法改正によって一番歓迎しなけりゃならない団体、現在有機農業をしている人たちが、そういう人たちこそ反対をしているわけであります。私の地元の団体からも、今回の制定については慎重を期すべきだという、そういう請願者が多く来ました。ある団体からこのような文書が入っております。三月十五日現在で、その団体が全国で百五十二団体、今は今回の改正に反対する団体がもっともっとふえていると思います。 そこで、今回の改正で、有機農業の健全な発展を阻害するとの心配をしている団体と協議の場を持ったのかどうか、その点の受けとめ、その団体の反応とそういう交渉を持ったのかどうかをまずお尋ねしたいと思います。
○政府委員(須田洵君) 三上委員おっしゃいましたように、ガイドラインからこのJAS法にかけまして、率直なところ、多くの方々からいろんな声が寄せられております。 私どもも、いろんな方と議論を今日まで重ねてまいりました。表面的には当然反対の方、実際に有機農業と取り組んでおられる生産者団体関係、特に産直あるいは宅配関係とか、そういう関係の方々を中心に、反対といいますか疑問といいますか、どうなるんだろうという不安とか、いろんなものが錯綜した声だろうと思っております。 ただ、反面、私のところにはいろんなまた賛成といいますか、むしろぜひやってくれ、あるいは、自分たちとしては表面上こういうことだけれども、自分としては有機農業をずっとまじめにやってきて、借金も大分たまったけれども、ようやく自分たちのやっている有機農業というものが少し目を向けられるようになってきた、いろいろ議論があるだろうけれども、そこは自信を持ってといいますか信念を持ってやってみてはどうかと、こういう声もかなり聞かれます。必ずしもそういった声は表面には出ておりませんけれども。 しかし、いずれにしましても、いろいろ厳しい御意見もあるわけでございます。ただ、先生も御承知かと思いますが、その反対の方々でも、この基準づくりというものにつきまして、自分たちも何も基準なしにやってきた、それで大分商売といいますか、宅配なりそういう取引も広がってきた、そういうことに対してほうっておいていいのか、自分たちも基準づくりをやっていこうじゃないかと。そういう取り組みに、ある意味では私どもに対する批判的な意見を持ちながら、一方ではそういう建設的な動きにつながってきつつあるというようなことも聞いております。 いずれにしましても、そういうことによりまして有機農産物について、従来の産直なり宅配といいますか、そういうものだけではなかなか受けとめがたいほど一般流通の場において流通せざるを得ない、そういうところにまで広がってきている今日におきまして、基準なりあるいは表示面においての取り組みというものを積極的にやらざるを得ないんではないか、かように考えておるわけでございます。 お尋ねの協議の問題につきましては、法案の作成といいますか、あるいはガイドラインをめぐりまして、全員集まった中での話し合いというようなことでは必ずしもございませんけれども、いろんな形でのディスカッションを我々自身もやっております。そんなような状況でございます。
○三上隆雄君 実は、本委員会でも築地市場の実態を調査に行かせてもらいました。実際あの売り場にも有機農産物が陳列されて販売されている状況もつぶさに見させてもらったわけでありますけれども、果たしてその商品が実際そういう形で生産されているのかどうか、その産地から来たのかどうか。そして、一たん入ったものをまた仲買がそれを小分けして小売するわけですね。そのときに別な商品と一緒くたにして適当に表示してやられる心配がないかなどなど、私はまだ大変な問題があるなどいう気がしてきたわけであります。 今までの産直なり契約栽培というのは、産地を実際消費者が見て、人と人との交流の中で、そこで安心しての取引があったから一定の価値観というものができた。先ほど大臣は一割か二割と言うけれども、そんなものじゃ私は採算がとれないと思う。少なくとも三〇%近い、あるいはそれ以上のものでないと、品目によっては生産性がないと思うわけであります。その意味で何かまだ早いのではないかなという気がしてなりません。 そこで、そのような確認をどの機関で、どういう形でされるのか、それを政府がどう指導するのか、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(須田洵君) 今までのガイドライン、現在の段階におきましてはガイドラインのもとでの流通でございますから、当然のことながら、法律的な裏づけも何もないわけでございますから、今のままではちょっと具体的に本当にそういう生産方法でやったかどうかということの確認はなすすべがないといいますか、そういうものだと思います。今度JAS法の法制がもし実現し得たならば、三上委員がおっしゃいましたような適切なチェックの仕組みということがこの制度の一番基本の部分だというふうに私どもは理解しておりまして、私どもとしましては、中立的な第三者である格付機関、これは農林水産省の機関もしくは都道府県、あるいは登録格付機関、これは非営利法人でございますが、そういうところが、きちっと生産者なり圃場等の登録を受けて生産期間中に基準に合った生産方法でやっているかどうか、その現地確認等を行うといったようなことをやることが前提になろうかと思います。 その場合におきまして、単に第三者的な格付機関だけですべて監視し得るかということは、一定の限界もありましょうから、いわゆる生産行程管理者ということで、これはアメリカ等におきましての具体的なこれまでの先例におきましても、みずからも生産管理をきちっとやっていくということと並行して適切に運営していくのが最善である、かように考えております。
○三上隆雄君 前段申し上げましたように、まだ私は若干これを制定するには性急過ぎるなという気がするわけでありますけれども、これからの審議の中でそれぞれまた議論があって結論が出るだろうと思います。 そこで私は、食品の安全性という面から今回のリンゴの輸入問題をもう一度取り上げてみたいと思います。 実はきのうの質問ではっきりお答えがなかったわけでありますけれども、きょうの農業新聞に米国産リンゴの問題で、米国の上院議員と農水政務次官、衆議院の方の石破政務次官と協議したというのか対談したというのか、その記事が載っております。大臣、これはどう思いますか。この間、五月二十九日の日経新聞に「リンゴに映る政治の本音 「経済仮想敵国」防げ」という見出しで、「東京サミットを成功させたければ、また、コメで米国の理解を求めるなら、リンゴで譲歩しろ」というクリントン政権のメッセージが宮澤総理に渡されたという記事がありました。それから六月二日、これは産経新聞でありますけれども、「リンゴの日米摩擦を避けよ」という見出しであるわけでありますが、もう農水省の調査が始まっているという報道もございます。 これもまたきのうの私に対したお答えとは若干食い違いがあるわけでありますけれども、その辺の事情を、お答えを確認しながらもう少し進めたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) 前にも数量まで書いておった報道を私も見ました。私も知らぬことをどうしてこの新聞は何万トン入るとかなんとかいうことを書くのかなと、本当に不思議でしょうがない。 それから、宮澤総理にそういうことを言ったとを言わぬとか、これはもう全くありません。けしからぬ報道だなと思っておりますし、石破政務次官とのきのうの会談、きょうも記者会見でいろいろ申し上げておきました。まああした記事になるかどうか、当たり前のことを言うと余り記事にならぬですね。犬が人にかみついたというのは記事にならぬで、人が犬にかみついたというのは記事になるんです。 そういうので、私はごく普通に、この問題は政治的に解決するものではない、どんな圧力をかけようとも、他の国がやったことと同じことをやってもらわぬと、アメリカといえどもこれはもう話し合いにならぬわけですから。しかも三〇一条とかなんとか言っておるようでありますが、そんな話でないんです、これは。ですから、石破政務次官もそのことはきちっときのう申し上げたようであります。 意図的におくらせているとかなんとか言っているようでありますが、そんなことは全くないんで、必要なデータをアメリカが出さないからこうなっているんであって、ちゃんとやったんなら必要なものは出してくださいと。これが出てこないだけのことであって、もうこれ以上のものではないんです。ですから、どうぞ、事の経過、私を一番信頼していただいて結構だ、こう思います。
○三上隆雄君 ただいま田名部農水大臣からかたい決意をいただきましたけれども、大臣、この新聞をもう一度引用しますけれども、「「できる」「できない」をはっきりさせること、しかもすぐ反応すること、」、そして「「たかがリンゴ」と軽視することなく、問題の所在を明らかにし、日本の見解、対応をはっきりし、リンゴ問題が日米間の摩擦にならないようにしてほしい。」という締めくくりなんですね。ここまでいくと、大臣、今のお答えを逆から判断すると、アメリカが一定の科学的な書類を提示すると、それは無制限に入れるということになりませんか。だからこそ私どもは心配しているんです。 ですから、今の食品の安全性からいって、もちろん日本の経済的な問題も含んで、はっきりこれ以上は入れないというスタンスで、スーパー三〇一条の問題も含めて、広く議論することがむしろ私は生産者を安心させることだと思うんです。その点についての御見解はいかがでしょうか。
○政府委員(高橋政行君) ニュージーランドリンゴについて、ニュージーランドリンゴに限らずかもわかりませんけれども、輸入に何か歯どめをかけるというようなことができないのかという御質問だと思いますけれども、現在、何と申しましても、リンゴについては少なくとも輸入自由化されておるわけでございまして、このように自由化されているものについては、ガット上輸入数量制限をするとかいうようなことで、数量を制限してしまうというようなことは極めて難しいことになっておるわけです。 それで、現在何か歯どめをかけるようなことがほかにあるのかということでございますが、植物防疫法上、病気が入ってくる心配がある、そしてそれについての防除技術も確立されていないというような場合には、これは国際植物防疫条約上も認めておりますから阻止することはできますが、それ以外の理由ではガット上どうしてもできないということでございます。
○三上隆雄君 ガット上無理だと言うけれども、アメリカはスーパー三〇一条で日本に報復措置をとるということですけれども、この可能性がありますか、それをおどかしているような、威圧するような言い方をしていますけれども。
○政府委員(高橋政行君) 我々は、ニュージーランドのリンゴに関してもいろいろ申し上げておりましたが、いわゆる国際植物防疫条約上、これはそういう技術が確立されているかどうかということの判断で輸入解禁できるかどうかということでございますよということを申し上げておりましたが、今回、アメリカのリンゴについてはれっきとしたそういう技術的な理由があるわけですから、たとえ三〇一条で言ってきても、何か私の判断としては三〇一条の対象になるような性格のものではない、こういうふうに思っております。
○三上隆雄君 私もそう思うのであります。逆に、日本のミカンのことを例にとってある程度の体制を整えるべきだと思いますけれども、スーパー三〇一条もアメリカの国内法であります。日本の果樹振興法、そしてまた農業基本法も日本の国内法であります。日本の国内法で、日本の果実に量的に、価格的に重大な影響を及ぼしたときにはその調整をとるという項目がありましたけれども、ミカンの現状は生産量があれほど減退したわけだし、いっときあれほど価格も低落したわけでありますから、この条項を発動できなかったんですか。
○政府委員(高橋政行君) 先生、今お話がございましたように、果振法第五条によりまして、果実の輸入によって、特定果実と言っていますが、今は温州ミカンだけが政令で指定されておりますが、その価格が著しく低落してしまうとか、あるいは生産、出荷に重大な支障を与えるというような場合に、日本の国内の果実について生産。出荷安定措置を講じでもそうした事態を克服し得ないというようなときには、輸入に関して必要な措置を講ずるというふうに書いてございまして、ここにはこの五条を実施するためのやり方、手続、そういったものについては何も定められておりません。 じゃ、この辺はどう解釈するのかということがございますが、これは具体的な措置はほかの法令で実施するということになるのではないかというふうに思われます。そうすると、ほかの法令でやるということになりますとどうなるかといいますと、例えて言いますと、関税定率法によりまして緊急関税を設定する、高い関税を設定するとか。あるいはガットの規定に関税譲許、関税率というのはみんなガットに届け出まして約束をしておるわけですが、その約束した表を撤回するとかあるいは修正してもらうというようなやり方。それから輸入貿易管理令の規定によりまして輸入の承認とかそういうようなことをやるとかということで少しでもチェックしていくというようなことが考えられるわけですが、これらの措置をとろうといたしますと、どうしても関係国と協議することになるわけです。 そうすると、協議がそれでうんというようなことで果たして調うかどうかという問題、それから例えば関税を高くするといたしますと、そのかわりに代償措置を我が国が相手国に出さなきゃいけなくなるわけですが、そういう代償措置の提供が可能であるかというようなことになりまして、なかなか実際に本条を発動するということは難しいのではないかというふうに思っております。
○三上隆雄君 難しいのか、それとも発動しない方が我が国にとって有利なのか、そこを簡単に一言で言ってください。
○政府委員(高橋政行君) 有利不利にかかわらず、実際に発動ができないというのが本当のところだろうと思います。
○三上隆雄君 それでは、厚生省の関係も来ていますから、最後にお尋ねしたいと思います。 アメリカの食品衛生法といいますか、連邦食品・医療品・化粧品法という具体的な法があるようでありますが、アメリカの場合は、原則的に安全基準というか、その基準がない場合は入れてはならないという、そういう法の性格であるようでありますけれども、日本の場合は、日本の厚生省が例えば食品衛生法で農産物の農薬の残留基準を決める。そのときに残留基準の規定というか基準がないものについてはどうするんですか。日本の場合は基準がないものは無放任という法の性格というかそういう状態にあるようでありますけれども、その辺の実態はどうなんですか。
○説明員(牧野利孝君) 日本とアメリカの違いということで御指摘があったわけでございますけれども、アメリカの場合には、確かに認められた農薬以外の農薬が検出された場合にはその流通がとめられるわけでございます。日本の場合には、個個の農薬ごとに認めている認めていないという制度でございませんで、必要な基準をつくって、羊の基準に適合するかどうかということで農産物の販売あるいは流通が規制されるわけでございます。 したがいまして、基準が設定されている農薬が検出された場合には、その基準に適合しているかどうかを判断するわけでございまして、また、基準が設定されていない農薬が仮に農産物から検出された場合には、その検出されましたレベルであるとか、あるいはその農薬にかかわりますADI、一日摂取許容量などの安全性に関する資料、さらには国内におきます登録保留基準や諸外国の基準を参考にいたしまして、その農産物の流通の可否等につきまして判断することになるわけでございます。
○三上隆雄君 いつも不完全燃焼で終わるわけでありますけれども、とうとう時間が来ました。 大臣、こういう食品衛生上からいっても、農薬の使用基準からいっても、防疫の国内法上の条件からいっても、アメリカと日本はいろんなハシディがあるわけでありますから、その点でこれからの国際関係を維持していくために、しかも日本の国民の安全と健康を守るためにも、農業を守るためにも、もっと幅広い武装をしてアメリカと毅然と対応していけるようにお願いをして、厚生省、きょうもまた最後になりまして申しわけありませんが、以上で私の質問を終わりたいと思います。
○矢原秀男君 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、JAS法の一部を改正する法律案につきまして若干の質問をいたしたいと思います。 改正の趣旨については、私もかくなければいけないなという同感の気持ちでいっぱいでございます。いわゆる豊かでゆとりのある国民生活の実現が現下の政策課題となっております。当然のことだと思います。食生活についても、一つは量から質への志向、二番目には健康について心配をしていく、三番目には安全の志向、四番目には本物志向等々の消費者ニーズの変化にこたえようとされておられる政策展開でございますので、基本的には了とするものでございます。 消費者に対する正確でわかりやすい食品情報の提供を促進することは重要課題でございますが、これにつきましては、生産農家の方々、そしてそれに関係するいろいろのお仕事を持っていらっしゃる方々が非常に御苦労をされるであろうことは、我々の感謝の中で御努力をしていただきたいというふうに思っております。消費者の立場から見ましても、生産者の皆さん方の御苦労というものを常に感じながらいかなければいけないなと、こういうふうに思うわけでございます。 そこで、まず問一の質問でございますが、規格を制定するまでの手順というのが明示されております。ここでちょっとお伺いしたいんですが、「規格制定までの手順」というのは、もちろん御承知のように、「大臣が必要あると認めるとき」、そして「農林物資の生産・流通の実態調査」からずっとおりてまいりますが、「JAS調査会の意見聴取」、「諮問」と「答申」というのは、「JAS専門委員会」、これは技術の専門委員会ですね、生産者の代表、消費者の代表、学識経験者等で構成されるようになっております。第二の「JAS専門委員会」は消費者の代表が九人、学識経験者三人で構成されている。三番目の「JAS調査会」は食品部会十一人、うち消費者代表三人、こういうふうになって諮問と答申というのがなされるんです。 まずここで、専門委員会というのが過去とか現在いろいろのところにあるわけでございますけれども、どういうふうな現況で一生懸命議論が交わされてきているのか。いろんな問題の委員会を思いながら、私も余り内容を精査しておりませんけれども、該当のこういうふうな方々のちょうちょうはっしの本当に真剣な御意見というものは具体的にはどういうようなものがこういう部門でよく出てくるのかなと思うのでございます。いきなりでございますので申しわけございませんが、簡単で結構ですから、お伺いします。
○政府委員(須田洵君) JAS規格が制定されるまでの手順として、矢原委員からお尋ねがございましたように、ある規格をつくるべきかつくらざるべきかというその判断の最初のステージがございます。それがまた非常に重要だと思いますが、それらを大体クリアして合意形成をして、さあ一定の規格をつくろうと。 例えば、ついこの間でございますと風味かまぼことかいうようなものをやった例がございますけれども、それをじゃ具体的にどういう規格をつくるかということになりますと、今お尋ねのように、JAS専門委員会、技術サイドを特に生産者代表、消費者代表、学識経験者等で構成いたしまして、さらに別に消費者中心の専門委員会がございまして、いわゆる技術と消費者とその二つの専門委員会からの論議をクリアしていくというのが通常の形でございます。 一つの規格がつくられるまでにおきまして、委員もおっしゃいましたように、消費者サイドから見ますと、ある一定の規格はこのくらいの基準にしてほしい、端的に言いますと例えば食品添加物はできるだけ少なくとか、規格の内容についていろいろ注文が当然あるわけでございます。一方において、具体的に製造しておりますメーカーサイドというものはなかなか現実に今置かれている状況から見てそのとおりいかない面もある。その辺がある意味ではもろにぶつかり合うわけでございます。そういうものをいろいろ意見調整した上で、しかし何はともあれ規格をつくろうじゃないかということで最後はコンセンサスに達していくわけでございますが、それを経て最終的にJAS調査会でおまとめになる、こういうプロセスでございます。
○矢原秀男君 今答弁を伺いましたが、規格制定までの手順というのは非常に厳密になっておりますので、優秀な方々で、本当に安心していいんではないかなと今組織図を見ているわけでございます。 問二でございますけれども、有機農業の推進、充実、そういう将来方向についてでございます。 欧米と日本とではどのような相違や共通点があるのかなというふうなことを私は始終考えているわけでございますけれども、皆さんの現状分析ではどういうふうなお考えでございましょうか。
○政府委員(高橋政行君) 欧米と日本との有機農業の違いでございますが、欧米における有機農業は、環境問題への関心が高まりまして、さらに自然回帰志向というようなことでの精神運動の影響も受けまして、二十世紀の初めから取り組みが付われてきております。そういう意味では、我が国よりも早い時期からいろいろな推進団体の設立であるとかあるいは自主的な有機農業ガイドラインの設定というようなものもできまして、さらに近年に至りまして法律で有機農業の表示等に係る制度の充実が図られたというふうに聞いております。 それで、我が国の方でございますが、欧米の方は畑作中心でございますけれども、我が国は幸いにして水田作中心の農業でございましたので、環境保全に貢献してきたといいますか、環境問題が余り表面化することがなかったということがありまして、有機農業への取り組みはそれほど顕著ではなかったわけですが、特に飽食の時代を迎えまして、消費者の皆さん方も健康志向が高まるという中で有機農業への取り組みが見られるようになってきたというふうに認識しております。 このような有機運動の歴史的な経過に違いがございますが、農法としては畑作、水田作というような違いもありまして、いろいろな違いもありますが、基本的なところは共通なところがあるんじゃないかなと思います。また、歴史的な経過の違いから、それぞれ世論の有機農業に対する受けとめ方、そういうものについてはかなりの差があるんじゃないかなというふうに思っております。
○矢原秀男君 フランスの「ラベル・ルージュ制度の概要」というものを見ておりますと、「目的」は「食料品の品質を保証すること等による消費者の保護、生産者の収入の改善及び地方産品の販売推進による生産者の努力の促進並びに食料品の多様化の推進を図ること」ということで、一九六〇年に制定されております。「認証の仕組み」、「対象食料品」とございますが、大体向こうでは二百五十四ラベルぐらいを対象の食料品としているようでございます。この点、日本との対比でどうなのか。 それからもう一点は、私、フランスの方のラベルと日本のJASの証紙というものを比べておるわけでございますけれども、フランスの方では、行政機関、農業・食品業界、消費者、学識経験者で構成されて、ラベルというものを、日本も一緒でございますが、つくっております。消費者の八〇%がラベル産品を高品質な産品として認知しているという世論結果があるようでございますが、見ると一日でぱっとわかるわけですね、いろんな内容を見なくても、こういうふうな形で。(ラベルを示す)それから見ると日本のラベルというのは、消費者の皆さんも大変お忙しいから、ばっと見るときには、瞬間的に、あっ、この品物はとラベルにやっぱり目がいくと思うんですね。そういうときに、余り注意をしないとなかなかわからないというようなことではちょっといかぬのではないかなと思っているわけでございますが、そういう点はいかがでございますか。
○政府委員(須田洵君) フランスのラベル・ルージュ制度は私どもも勉強しておりますが、特に家禽類といいますか、地鶏とか鶏の関係、その関係につきましては非常に勉強になる面がございます。それと、発想的にも勉強になる面がございますが、矢原委員おっしゃいましたように、現在のところ、全部で家禽類を中心としまして二百五十四ラベルあるということでございます。 これに対して、日本の場合は青果物とかいろんなものが考えられるかと思いますけれども、具体的にこれからの取り組みいかんということで、中身についてはちょっと比較のしょうがないということでございます。 それからもう一つは、アピールするような、見やすいラベルということが非常に大事なことだろうと思っております。私どもは、まずはこの法制の枠組みといいますか仕組みを何とか実現することが第一でございますけれども、次のステップとしましては、規格の具体的な内容づくりということがもちろん最大の重要ポイントでございますが、並行しまして、矢原委員がおっしゃいましたような、だれにもわかりやすい、従来の加工食品のJASとは別な意味で工夫をして、非常に見やすいものを見出していくということがかなり重要なことだろうというふうには認識しております。今後の研究課題でございます。
○矢原秀男君 消費者の購入する立場、情報化、そして常に行動されて非常にお忙しい消費者の立場でわかりやすいものにしていただきたいと思います。 それから、ガイドラインもいただいているんですが、欧米にない無農薬、減農薬というのを日本ではこれに盛り込んでいらっしゃるわけでございますけれども、いろんな角度の分析の見方があると思うんですが、簡単に伺いたいと思います。
○政府委員(須田洵君) ガイドラインにおきまして、確かに欧米にはございません無農薬、減農薬というものも入れてございます。これについては、これをめぐってのいろんな論点といいますかいろいろ議論があるところでございますが、私どもとしましては、今の日本の実態から見まして有機農産物一本というふうにはなかなかいかないんではないか。 現実にそういう表示のものが相当程度出回っている中におきまして、かつまた、日本の気象条件の中で特に農薬との関係については非常に厳しい状況下に置かれておりますので、そういう中で農薬を減らしていく努力、そういうものをそれなりに位置づけるという意味合いも含めまして、大変悩んだ末でございますけれども、そういうジャンルも設けたわけでございます。 ただ、中身につきましてのいろんな論点、ここで繰り返しませんけれども、とにかくいろいろやってみていろんな問題があれば見直しをする、そういう姿勢で取り組んでいきたいと思っております。
○矢原秀男君 次に、農薬を使わないで安心して農産物の生産、こういうふうな形になるわけでございますが、私たちも、戦前でございますけれども、子供のときに農業を手伝い、家で出た堆肥を積み上げて、そうしてあぜの草を刈りながら、そういう枯れたものを土の中に還元をしながら一生懸命やったものでございます。戦後、農薬のこういうふうな産業というものが高度に発達したために、私は、素人考えでございますけれども、土壌の弊害というものも出ているし、そしてまた病害虫に対しても、薬はメーカーで開発されるけれども、どんどんどんどん使用するために、いろんな病原菌が免疫になって逆に抵抗力を持っている。人体でもしかりであるけれども、農作物も生き物でございますから、私はこの点を非常に心配しております。 隣におる風間さんはお医者さんですから人体に対する医薬品のあれはよく知っていらっしゃると思いますけれども、有機農業での病害虫の対策というものを私は心配する一面を持っておりますけれども、それに対してはどういうふうな対応を考えていらっしゃるのか。そしてまた、安心した農産物の生産というものを本当に可能にしていかなくちゃいけないという私も立場でございますけれども、逆に少し危惧をしておりますけれども、そういう面の対応はどうされますか。
○政府委員(高橋政行君) 我々も農薬を使うことが一概に悪いというふうには思っておりませんで、これも農薬登録法というのがありまして、そこで農薬の適正使用という形で、人体の健康に安全なような形での使用ということでやっておるわけでございます。 有機農業では、現在ガイドラインでも、そういった化学的に合成された農薬、そういうものは使わないということにしておるわけでございますが、そうした場合に果たしてうまく病虫害の対策ができるのか、うまく防除ができるのかというような問題があろうかと思います。現在、有機農業の取り組んでいる実態を見ますと、まず病虫害抵抗性の強い作物、品種、そういうものを選択するとか、あるいは病害虫に強い丈夫な作物を育てるというようなことが基本になって進められております。 例えて言いますと、栽培方法としては適地適作とか適切な堆肥の施用ということをやりまして、いわゆる無理な栽培様式をしない、人間で言ったら無理な働き過ぎをしないようにするというようなことでしょうか、そういうことをする。それから、天敵を利用するとか、あるいは対抗植物、それから拮抗微生物などというようないわゆる微生物などを使いまして例えば地中の虫を少なくするとか、それから太陽熱を利用するとか、あるいはよく新聞なんかに出ておりますが、アイガモとか魚の放し飼いなんかによりまして雑草を除去するとか、そういうような農法が行われております。
○矢原秀男君 そういう点は、またよく技術的にもさらに研究していただきたいと思います。 最後に、二点だけお伺いしたいんですが、今度は農業に従事される方々のお立場から考えてみたいと思うんです。我々消費者は、こういうふうな誠意を持った作物をつくっていただくことは、本当に人間生命の健康のためにいいわけですから、感謝をするわけでございますが、例えば有機農産物を一生懸命される農業の従事者がいらっしゃるとしますと、ある程度今までつくったものと比較をしたときに減産をする場合がやはりあるんではないか、こういうふうに思うんです。 そういうときに、例文は有機農産物が値崩れであるとか減産するとか、そういうようないろんな形の微妙なものが経営的に出てまいりますけれども、この有機農法への転換をされた方々に対したときに、ECのあの補助金というものが将来検討されるのかどうか、こういうことを私はまた懸念しているのでございます。この点はいかがでございますか。
○政府委員(高橋政行君) 確かに、今、有機農業は点として存在しておりまして、そういうものを求める消費者の皆さんの需要に応じていくという形で行われておるわけでございますが、有機農業でつくられました有機農産物といえども、やはり過剰生産ということになれば当然価格が低下するということはあり得るわけでございます。 それで、価格低下の場合、例えばECなんかはどうしているかということになりますが、ECでは環境保護地域で農業をやっている人に奨励金を支払うというような制度はございますが、いわゆる価格支持的な措置は講じておらないというふうに我々は承知しております。それで、今のような価格低下がないように、むしろ有機農産物であっても需要に応じた生産ということを心がけていくことが必要ではないかというふうに考えております。 なお、こういった有機農業に取り組んでいく皆さん方の負担軽減といいますか、そういう経営を始めるときの負担軽減ということで、現在、有機農業に新たに取り組む農業者の皆さん方には無利子の農業改良資金の貸付制度が平成四年度から講じられることになりましたので、これをうまく活用していただいて経営の安定化を考えていただくということではないかというふうに思っております。
○矢原秀男君 最後に、大臣に伺いたいと思うんですけれども、この関連する問題は前の委員会でも大臣と質疑をさせていただきました。 大臣もこちらでお一人で生活をされているときは正確な食品情報というものを目にしながらお置い物をされていると聞きましたけれども、国民の皆さんは、皆消費者になるわけですけれども、正確でわかりやすい食品情報の提供を受けるということは、健康の面からも、量から質への志向という形からも、つくっていらっしゃる方々には御苦労でございますけれども、日本のこういう国柄か考えておりますと、やはりこれは当然避けて通れない大事な法律の改正案である、こういうふうに思うわけでございます。 そういうことで、私を初め先輩・同僚の議員の皆様からいろいろの質疑、そういう複合的な合わせた質疑の中で、改めて私は大臣のこれらの点についてのお考えを聞いて、終わりたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) 今、委員お話しになったように、私の青森県は、空気もいいし、水もいいし、長生きだろうと思っておったら短命だと。聞きましたら、塩分をとり過ぎだというんでびっくりいたしまして、私も健康診断をしてもらったら塩分とり過ぎだということがわかりまして、その後、ドレッシングを買うんでもしょうゆを買うんでも、私、自炊ですから、低・減塩のしょうゆ、ドレッシングも一本一本見ながら、塩分がとれが少ないかというのを買って生活していることから見ると、表示というのは本当に助かるな、こう思うんです。 今お尋ねの話、私は消費者あっての農業だし、農業生産があって国民の生命が維持をされている。これはもう本当に一体のものなんですね。ですから、これを進めるに当たっては、どっちが損してどっちが得だという話ではなくて、本当に国民合意の中でどうあるべきかということを考えて進めるべきだ、こう思っております。 その際、今、議論の中にもどんどん振興しろという御意見もあれば、振興すると困るという団体の人もあるというお話もありますが、しかし基本的には、今よりも農薬を減らして健康に安全な食品をつくっていこうということであれば、そういう私心を捨てて、本当にどこが一番いいのかという話し合いの中で、求める方とつくる方が合意の中で私はやっていくべきものだ、こう考えておりますので、一生懸命努力をしていきたい、こう思っております。
○風間昶君 公明党の風間でございます。関連して質問させていただきたいと思います。 通告はしておりませんが、ふっと今思ったんですが、今回のこのJAS法改正の品質表示、大臣もおっしゃったように、消費者のニーズに応じて消費者の利益を保護するためだという今回の法律、一方では安全で安心な食べ物と言っておきながら人体に危害を及ぼすようなものかどうかという、その防止上のものでは今回の法はないと思うんです。これはこれで、加工食品で言えば食品衛生法で決められておりますので、その辺のところで、今後消費者のニーズに応じて表示をしていくのは結構なんだけれども、もう一方では人体の、受ける側の作用からいくとその辺の整合性が持たれない場合がこれから出てくる可能性があると思うんです。 つまり、もっと医学も進んできますと、今まで安全だと思っていたのが十年、十五年たってみたら危なかったんだということが、今まで歴史が繰り返されて、医学的な情報の中でもそういうことはあるわけです。その辺のところはどうも今の仕組みでいくと、省庁縦割りですから、こっちでは人体の被害について、こっちでは消費者のニーズに応じてという形で進んでいったときに、その縦割り制度が非常に不都合な状況になってくることが予想されると思うんです。 その辺のところを一番僕は憂えている一人なんですけれども、もし人体にこれは安全でないということがわかってきたときに、一方では表示を変えていかなきゃならないと思うんですよ。その辺の基本的な考え方を、ちょっと通告しておりませんけれども、大臣に伺います。
○国務大臣(田名部匡省君) まず先に局長から。
○政府委員(須田洵君) 安全性の問題をめぐりましては、風間委員もおっしゃいましたが、まさに厚生省さんの食品衛生法によりまして人体への安全性ということについてはきちっと対応されておるわけでございますが、私どもの例えばJAS法なり食品そのものを所管する立場から、食品の安全性も含めた広い意味での品質といいますか、そういうものをしっかり維持あるいは改善していくという、そういう対応が当然のことながら必要だろうというふうに考えているわけです。 ですから、ただニーズがあれば何でも対応するというようなものでいいかどうかとか、あるいは単なる高付加価値で値段を高く消費者に買ってもらうがためにそういう規格をつくるとか、そういうものじゃいかがなものかという感じもするわけでございます。風間委員もおっしゃったように、時代時代の流れ、これは当然医学の進歩とかそういうことも視野に入れながら、その時代においてさらに必要とされる、特により安全性を高めるとかいうようなニーズに沿って厚生省さんとも我々も縦割りの中で連携協力しながらやっていく、また、必要によってはさらに必要な手だてを我々の法制の中でも打っていく、そのような考え方でいくべきかと思っております。
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるとおり、今安全でも将来安全でないかもしれない、それは中にはあり得ると思うんです。しかし、これは医学的な分野で、私は先ほど新鮮なものは目で見てわかりますが安全かどうかというのは素人にはわかりませんというお答えをしたんですが、それだけに専門家の先生のような方々にしっかりと調べてそういうものを出していただくということが、これはもう国民にとってはそこが頼りでありますから、そういうときにはこれは適切に表示でも何でも変えていかなきゃならぬだろう、こう思います。 どうぞ、私の方から逆にお願いしたいんですけれども、国民は、公害の問題でも、空気、水、目に見えないものは不安があってもどうしようもない分野なんです。そういうことはもう専門の学者の先生方にお願いするしかない分野でありますから、ぜひひとつ常日ごろから危険なものは早目に御指摘をいただきたいというふうに逆にお願いをいたしたいと思います。
○風間昶君 ニュージーランドのリンゴも危険な可能性があります。 質問通告してなかったんで、申しわけございませんでした。 そこで、今回の特定JAS規格に定められるもののうちあわせて製品検査を行うものは従来のJAS規格に準拠して品質表示基準を示すというふうになっておりますけれども、一方では、特定JAS規格に定められるもののうち製品検査を行わないものについては品質表示基準を適用する対象としておりませんけれども、その理由は端的に言って何なんですか。
○政府委員(須田洵君) お尋ねの御趣旨は、特定JAS規格、今度有機とかあるいは地鶏とか、そういうようなものの規格をつくるわけですが、一方で、私どもの制度の改善として考えております品質表示基準の拡充、これはそういう二本柱から今回の改正のポイントが成り立っているわけでございます。 品質表示基準というのは、申すまでもなく、いわゆるJAS規格が定められているものについて、そのJAS規格を受ける受けないにかかわらず必要な最小限の表示はこういうふうにしなさいということで義務をかけるわけでございます。つまり、あくまでも適正な表示をさせるという観点からでございます。それを、今度、JAS規格が非常に難しいものについて、しかし消費者の立場からぜひ品質表示基準をやってくれというようなニーズの強いものについて品質表示をさせるそういう道を開く、こういうことでございます。 特定JASとの関係でございますけれども、ちょっとややこしいんでございますけれども、いわゆる特定JASというのは、先般来もお話ししてございますが、要するに外見からいろいろ見てもなかなか有機農産物かどうかわかりません。そういうものについて、本当にその製法にかなってといいますか、そういうつくり方をしたんだということをチェックするといいますか、そういうことを認証する仕組みでございますから、JAS規格を受ける受けないにかかわらず全部そういう表示をしなさいというのはやや矛盾した形になるわけでございます。 ですから、そこはちょっと無理があるということでございまして、もし仮に特定JASで有機農産物ができて、こういうJAS規格をさらに全部守りなさいという形になったときには、恐らくアメリカの有機食品法のようにすべての者に対して、一般のそういう規格を任意的に受ける受けないじゃなくて強制的にそういう認証を受けて、そういうものでなければ有機というふうに表示ができないという仕組みに突っ込まなきゃだめだといいますか、それは今の実態から見ましてそこまでは熟してはいないんじゃないか、かように考えておる次第でございます。
○風間昶君 もう一点、JAS規格で、消費者の利益の保護のためその特性から見てJAS規格を制定することが困難な品目であって政令指定するものというふうにありますけれども、具体的にどんなものを想定しているんですか。
○政府委員(須田洵君) これは、まさにその品目につきましては、この法律が通りました次のステップとして具体的にどういう品目がいいかということを、特に消費者側の御意見をまず聞くことになるんではないかというふうに思います。 それからまた、一方では、手順でございますけれども、そういうものに対して関連業界が本当にきちっと対応できるかどうか。そこのところは全体に義務をかけるわけでございますからなかなか大変なことでございますが、そこらをいろいろ調整していくという、そういうプロセスになると思います。 したがって、今、この場におきまして、この品目は必ずやるだろうとか、そういうようなことはちょっと申しかねるわけでございますが、あえて申しますと、私どもの一応事務的といいますか、そういう立場でどんなものが考えられるかということを考えますと、例えば日記物といいますか、豆腐、油揚げのたぐい、それから納豆あるいは食パンとか、日もちの比較的短いもので、一方ではなかなかJAS規格ができない、これはいずれもJAS規格はないわけです。そういうようなものについては、品質表示基準というものはこういう制度の拡充を通じて活用したらどうかという声が恐らく消費者サイドからも相当強く出てくるんではないか、かように見ております。
○風間昶君 ありがとうございました。 次に、JAS法とは関係がありませんが、農業担い手の問題でちょっと大臣も含めてお聞きしたいんですけれども、要するに担い手の確保、これはきのう、きょう、それからその前も含めてずっと新農政についてのいろいろな議論があって、今回三法が通って、実際に新農政が具体化して軌道に乗るには私は少なくとも三年ぐらいかかるんじゃないか、もしかしたら五年ぐらいかかるのかなと。 そうすると、五年かかるとしますと平成十年ですから、担い手確保が、担い手対策がというふうにきのうも官房長がおっしゃっていましたけれども、その間は、要するにメインは中高年者の農業従事者の方々が一番やらなきゃならないわけです。そのことを考えるならば、農業従事者の方の健康・労働管理、これはもちろん農水だけの問題ではないと思いますけれども、一つは、安全、快適な農業労働の管理といいましょうかコントロールというか、このことと、もう一点は、農業従事者自身の健康維持といいましょうか管理、これが物すごく大事になってくると思います。 それで、農水省としてもこれは黙って見ておくわけにはいかないだろうと思います。そういう意味で、農業労働の管理についての農業労働推進事業とか、そういうのは今までどのくらい、いつからどういうふうなことがなされていたのか、ちょっと概要をお聞きしたいと思うんです。全国的に集計をとっているのかどうか。
○政府委員(高橋政行君) 担い手それ自身の問題につきましては、何年間ということではなくて、それなりの労働力は新陳代謝していくわけでございますので、不断に担い生育成ということをしっかりやっていかないとだめではないかなというふうにまず思っております。 それで、先生がおっしゃいましたように、そういうような担い手の方々あるいは若い青年の方々が農業に取り組んでいただけるためには、やはり農業それ自身が快適なものでなきゃならないということで、そういった面からの取り組みもまた重要なことと思っております。 特に、農業生産の特殊性から、非常におかしな格好で作業をしなければいけないとか、非常に不規則であるとか、いろいろな健康管理面から見ても問題がある点があるわけでございます。したがいまして、我々、平成二年度から農業労働管理推進事業というのに取り組んでおります。 ここでやっていることはどういうことかということですが、快適な農業労働に従事できるようにするために環境整備を図るにはどうしたらいいかということで、環境整備のための農業労働管理指標というのを策定いたしまして、これに基づいて作業改善をやっていこうというものでございます。この事業は、平成二年度からやってきておりまして、三カ年の継続事業、一つのテーマについて三カ年やるという継続事業で、我々といたしましては、これは平成七年度まで続けていこうというふうに思っております。 それで、現在取り上げております対象作物も、野菜、特にハウス物ですと相当に作業環境というのが問題になりますので、そういう意味で野菜とかあるいは果樹、花卉といったような、どちらかというと今のところは園芸作物を対象にして進めてきているところでございます。
○風間昶君 その事業をしていくに当たってはどのぐらいの管理が必要かという、まずその調査をしなきゃならないわけですね、実態はどうなっているのかということも含めて。これは四十七都道府県、全国的にやられているんですか。
○政府委員(高橋政行君) 我々といたしましては、これはモデル的にといいますかそういう格好でやりながら、それを点として、全国的に広げていこうという考えのもとにやっておりますが、現在のところ、やった県の数としましては全部で二十県で実施しております。 若干詳しく申し上げますと、東北で三県、関東で四県、北陸で一県、東海で二県、近畿で二県、中・四国四県、九州三県、沖縄、そういう状況でやっております。
○風間昶君 ちょっと待ってください。北海道はやっていないんですか。問題だな。どうなんですか、北海道はやる予定は入っているんですか。
○政府委員(高橋政行君) 先ほど申しましたようにこれは平成七年度までの事業として計画しておりますので、北海道については本年度から実施するということで現在検討しているところでございます。それで決まったということではございませんが、道庁とも話をしていかなきゃいけないということで、今検討しているところでございます。
○風間昶君 ぜひ、その前に前向きにという言葉を入れていただきたいと思います。検討するというのはいつになるかわからないことが多いので、よろしくお願いしたいと思います。 それから、農業従事者自身の健康状況についても担い手対策の一環として農水省でも私は押さえておく必要があるんじゃないかというふうに思うんです。 それで、厚生省の国民調査統計では、職業別のいわば通院者率というのを出していますけれども、圧倒的に通院者率が多いのは農林漁業の従事者が一番多いんです。それからその次に多いのは大臣も含めて管理職の方々が多いわけです。それが全国の総数の率を大幅に上回っておりまして、その後は主婦とか仕事をしていない人たちがいろんな病気を持って通院していく率が多い。圧倒的に農林漁業の従事者が多いわけです。 その中でも一番多いのは、高血圧症を含めた循環器疾患と腰痛、肩凝りの要するに整形外科的な疾患なんです。私も今まで北海道の大体二十市町村のいろんな病院をずっと歩いて診させてもらって、圧倒的に多いのは農林漁業の方々なんです。六十歳を過ぎると、人間は正常の姿勢が保たれている人は大体四割しかいないんです。あとの六割は、ほとんどこうなったりこうなったりするわけです。湾曲異常が起こってくるんです。今までの私のデータも、それから日本の整形学会のデータでもそうです。 それで、このことに関して、特に農業従事者に関して旭川医科大学の整形外科の竹光教授が十年間フィールドワークをやっておりまして、北海道のへそと言われている富良野の中規模農家の従事者の方々と、それから遠軽地方の酪農家の方々の腰痛と背骨の変形を診ております。そうすると、圧倒的に酪農業での女性の背骨の湾曲が、特に腰曲がりといっても腰の下の方が曲がっている、大臣、ちょっと横から見ていただきたいと思いますけれども、こういう感じです。全体にこう曲がってくるんではなくて、こういう感じなんです。いわゆる出っちり、この湾曲姿勢が物すごく多い。 それで、要するに何を言いたいかというと、酪農家で特に女性に物すごく有意に高いんですよ。年齢変化だけじゃなくて、長時間の蹲踞と前屈姿勢が背骨の筋肉を引き伸ばして、ここの背骨の筋肉が物すごくやせてくる。そうすると真ん中にある背骨のぐりぐりが飛び出ている…
○委員長(吉川芳男君) 簡潔にお願いします。
○風間昶君 済みません。 それで、農業従事者の健康調査について、ぜひ農水省でも多少かかわっていっていただきたいというのを要望して、これから私も調べていきますから、ぜひお願いしたいと思います。 三分オーバーしまして申しわけございません。
○林紀子君 今回の法案改正に対しまして、私どもの方にも主婦連を初めとする消費者団体から連名の要望書をいただいております。 それによりますと、まず、地域差及び自然条件、気象の相違があり、生鮮一次産品に関する全国統一的な基準ができるのか。二番目に、生鮮一次産品の生産過程の検査の実効性を保証し得るのか。これらの疑問を払拭するための措置を講じ、消費者の支持を得られるような内容にしてほしい、こういう内容のものです。 この四月にスタートした特別表示ガイドラインから、それに引き続いて今回の特定JAS規格の設定については、消費者団体を初め生産者団体からも時期尚早という声が大変大きく上がっておりますけれども、まず大臣にお聞きしたいのですが、この声に耳を傾けるべきではないかと思います。そして、衆議院の段階で第四条、第七条の修正が行われまして、調査会には消費者の意向を今までよりは反映できることにはなりましたけれども、今回の特定JAS規格の品目を規定する際にはあくまでも消費者が納得した段階で納得したものを決めるべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(田名部匡省君) 有機農産物などの特別の生産方法による食品の増加に対処して適切な表示をする、食品の情報を提供するということは私は大事なことだ、こう思っているんです。 賛否あると思うんです。どういうわけですか、私のところには、いや、いいことだ、わからぬからぜひはっきりしたものをやってくれという人が多いんですね。それは、今までの生産しておった方々、独自のことでやられた方々にすると、まあ反対はあるかもしれません。あるかもしれませんが、決してこれを押しつけるつもりではなくて、本当にこのままでいいのかどうかということを考えると、有機農業をどんどん振興していきますともっともっとふえてくるわけですから、本当にこうだ、間違いないというものをやっていただくということは大事なことです。これは生産者にとっても、まじめに取り組んでいる人にとったはいいことであるし、これを野放しにしておいて、表示だけやってどんどん売られたとなると、これは高いものですから、消費者には迷惑になるわけです。 消費者だとか生産者だとかということでなくて、毎日食べるものを売るわけですから、また国民から見れば毎日食べるんですから、両方が本当に納得して現実に対応した、理想はもっといい案はあると思うんですよ。理想は理想として、現実に今やれることということで十分理解を得ながらやっていきたい、こう考えております。
○林紀子君 今までの質問のお答えの中にも出てまいりましたけれども、有機農業を行うのは大変手間がかかる、そういうことはもう皆さん異論なくお認めだと思うわけです。 「有機農産物等生産・流通・消費調査結果」、これを農水省は一昨年の七月に発表なさっていらっしゃいますけれども、それを見ますと、現在のいわゆる有機農業の実態は、集団あるいは個人の事例で全国で千七十八事例にとどまっている。経営状況はどうかというと、経営が成り立っているがわずか二八%、経営的に成り立たないが五%、極めて苦しいが七%、苦しいが成り立っているが四〇%。しかも、労働時間はどうかという問いには、経営が堆肥製造や除草などで通常栽培よりも多くかかると答えている方たちが六二%に上っている。 そういう大変な状況なわけですけれども、今この有機農家の方たちに対する支援措置というのはどういうふうになっていますか。
○政府委員(高橋政行君) まず一つは、有機農業をやろうというような自主的な動きを我々としても支援していくという立場から、まず技術的な点につきましては、現在、各地で行われております有機農法といいますか有機技術についての情報を収集するとか、あるいはそれぞれの技術の問題点を解明し効果を解明して、そういったものを収集し、それでそれを普及とかそういうものの組織を通じて農家に還元していくという技術的な側面が一つでございます。 それからもう一つは、こういうような有機農業を開始していくというような人たちに対しまして、昨年、改良資金の中に、無利子の資金でございますが、有機農業の関係の資金を設けたところでございまして、これを活用して支援を申し上げているところでございます。
○林紀子君 そうしますと、例えば経済的な支援措置というのは、今お話のあった新たに有機農業を始める方に対して近代化資金ですか、それを無利子ということで渡すということになるわけだと思いますけれども、今回の法案で言われております特定JAS規格を、今まで有機農業をこういう大変な状況の中でここまで築いてこられた方たちが本当に得ることができるのかどうか、これが大変疑問になると思うわけです。 といいますのは、生産者に対して実施圃場の看板を立てる、栽培計画、栽培管理記録、出荷記録、こういう義務づけをさせるとともに、また格付手数料も支払わなければならない、こういうことになるわけですから、そういうことでは今まで有機農業を築いてきた方たちをかえって排除するものになってしまうのではないか、こういうおそれはないでしょうか。 そして、それと関連してお聞きしたいと思うのですけれども、今、大企業は野菜工場というのに大変力を入れています。これは四月六日の日本農業新聞に出ている記事ですけれども、植物工場ということでキューピーと電力中央研究所、出光興産などが取り組んでいる実例というのがここに出ております。これは有機農業ではないが無農薬野菜として安全な食品として売り出される。そして、一億五千万円とも言われておりますけれども。この施設設備には大変なお金がかかる。農水省の方はこれを援助してモデル事業として取り組まれているわけです。 ですから、そういうことを考えますと、こういった財力のある企業が特定JAS規格の認定を受けて付加価値のあるものを売る、こういうことになってしまって、今まで築き上げてきた有機農業の栽培者にはかえって重荷になってくる、負担になってくる、こういうことが考えられると思いますが、いかがですか。
○政府委員(須田洵君) まず、最初の点でございますが、例えばいわゆる有機農産物というものについて特定JAS規格ができましたならば、制度自体は任意の制度でございますから、全部が強制的に受けなくちゃならぬということではないわけでございます。こういう特定JASという認証制度に乗って円滑に生産・販売活動をやっていった方がいいという道を選択する方々がこれに取り組む、こういうことになるわけでございます。恐らくは、これはやってみなくちゃわかりませんけれども、従来の顔の見える同士といいますか、お互いに産消提携でやっているというものについては、あえてこの特定JASというものでなくても従来のまま継続してやることについては特段の不都合は生じないというふうに考えております。 それから、二点目の野菜工場云々の関連でございます。 誤解のないように申し上げたいわけでございますが、植物工場といいますか、そうしたいわば高度な生産方式というものにつきましての取り組みが、特にメーカーとかあるいは電力関係とかいろんなところが取り組んでおります。お尋ねのとおりでございますが、そうした中で、私どもの方からそういうものについて、そういうメーカーに対して何か助成をするとかいうようなことは全然考えておりませんで、そういう植物工場といいますか野菜工場の今後の展開というものが、私どものいろんな試算なり計算をやってみましてもそう簡単に採算に乗れるようなものではないというふうに私どもは見ております。 しかし、そうしたような時代が超長期の先においてあるいはあり得るのかどうか、そういうことだろうと思います。そうした中において生産者何人かが集まって自主的にそういうものに取り組もうという動きに対して、ある意味では実験的といいますか、そういうものとして一部に林委員がおっしゃった補助金を出しているわけでございます。 今お聞きしていますと、メーカーなりそういうものに対して何か助成しているかのごとく聞かれますとちょっと大変なことになりますので、私どもはそのような考え方でやっているということでございます。そういうようなものがJAS規格といいますか特定JASをどういうふうに見て取り組んでいくかということ、これは恐らく今の状況の中では、野菜生産の中で見ましてもウエートとしても極めて小さいものでございますから、そのようなことは今後の展開としてもちょっと見当がつかないという、そんな感じでございます。 いずれにしましても、受けたいといいますか、特定JASに乗って円滑にやっていきたいという方に対して、規模の大小というようなことを問わず、できるだけ負担を少なく参加できるように、これは仕組みをつくっていく段階でございますけれども、そういうようなことで検討してまいりたいと思っております。
○林紀子君 確かに、メーカーに補助金を出すのではないということはわかっております。しかし、そのモデル事業に対しては大きな助成をしている。一方、こつこつと本当に食の安全ということを考えながら有機農業を続けてきた方たちには、先ほどからお話がありましたようにお金の面での助成というのは一切ない、そういうアンバランスということも、ぜひ指摘をしておきたいと思うわけです。 それから次に、「食の科学」五月号というのを拝見いたしました。「有機農産物ガイドラインとJAS法」というのが載っておりましたので、今回の法案の参考にということで私も読ませていただいたわけです。そこで食品流通局の小林総括参事官がお書きになっていらっしゃるわけですが、これを読みまして、どうもちょっと引っかかるなというところがあるわけなんです。これは別に揚げ足を取るという気は毛頭ないわけですが、今回の特定JAS規格、「作り方JAS」というふうにこの中では書いていらっしゃいますけれども、今回の法案と大きく根本的なところにかかわり合いがある、そういう問題がここに書かれているんじゃないかと思うわけです。 といいますのは、こういうくだりがあるわけです。「各種の農薬は、すべて残留性を含む安全性等についての検査を経たうえで使用方法を定めて登録され、一般に使用されているものであり、使用方法に従って適正に使えば問題ないものでかる。」、こういう表現なわけです。特定JAS規格で有機農産物が想定されているのは、安全性でまさっているという判断があるから特定JAS規格というふうに考えているのではないかと思うわけですけれども、この表現では有機農産物と通常の農薬を使って栽培したものとが同じ安全性があると、こういうふうに誤解を招くような表現ではないかと思うわけです。 ですから、ここで根本的な問いになるわけですけれども、有機農産物と通常の野菜との安全性の比較について農水省はどういうふうに考えていらっしゃるのかということをはっきりお答えいただきたいと思います。
○政府委員(高橋政行君) ただいまの質問は、このたびのガイドラインで示された有機農産物という前提でのお話だと思います。と申しますのは、有機農産物にもいろんな用語があるわけでございますから、そういうものとして理解いたしますが、一般の農産物の生産には農薬などが当然使われておるわけでございます。この農薬は、たびたび申し上げておりますように、安全性を確かめられたもののみが登録を受けて使用するということでやってきておるわけでございまして、そういった安全性につきましては厚生省なり環境庁なりが基準を示しまして、その範囲内のものであれば安全であるということでやってきておるわけでございますから、そういう意味では科学的に見て一般の農産物も有機農産物も同様に安全であるというふうには言えるのではないかと思います。 しかし、この基準値というのは上限でございますから、そういう意味では程度の差はあるということになるということではないかと思います。
○林紀子君 そうしますと、よくわからなくなってくるんですが、程度の差というものに対して今回この特定JAS規格というものもつけていくということになるわけですか、程度の差を見てそこでやっていくということになるわけですか。同じ安全なものだったら、そこでどういうふうに差をつけてこの特定JAS規格というものを考えたのか、その辺の根本にかかわってくる問題ではないでしょうか。
○政府委員(須田洵君) 私の方から申し上げるのもなにかと思いますが、恐らく、高橋局長が今申されたことは、要するに食品の安全性という観点から見たときに、その安全性の問題をクリアしているという意味においては一般の野菜も有機野菜も同じであるということだと思います。 ただ、農薬という面で、農薬以外の要素もいろいろあると思いますから、安全性の問題は一概に一つの指標だけでは議論しがたいと思いますけれども、仮に農薬が多いか少ないかという尺度といいますか、これも農薬の中の種類とかそういうことにもよりますからまた一概には言えませんけれども、そういう観点から、明確に農薬が少ない、あるいはないというようなものとして表示をする、そういう位置づけになっているものがその限りにおいてより安全性が高いといいますか、そういうものであるという考え方はできるだろうと思います。
○林紀子君 今のようなお答えであれば、なおさらまたもとの問いに戻ってしまうわけですけれども、何で今こんなに急いで、生産者も消費者も納得をしていないところでこの法案を通していくのか、つくっていくのかということにもなってしまうのではないかと思うわけです。 現在のJAS規格の問題というのもこれまた大変大きな問題があると思うわけです。例えば、現在、ハムについてですけれども、健康や安全の観点から硝酸塩や亜硝酸ナトリウムを使わない無添加ハムは、JAS規格の方からするとハムとは認められないということでJASマークはつけられないということです。それからソーセージも同じで、無塩漬ソーセージという表示にしなければならない。また、かん水の加えられているめんにはJAS規格が認められているけれども、つなぎに卵を使っためんは適用されていない。しょうゆは、大豆などの植物性たんぱく質を酸で処理したアミノ酸液で薄められたものもJAS規格と認められている。こちらは合成化学物質を使うことが当然とされている。そういうことですね。 品質について安全であるものがJASはつけられない、化学物質づけのものにJASというお墨つきをつける。今回の特定JASの表示は、消費者の食に対する安全性志向が強くなってきているから、それにこたえるものだということが強調されているわけですけれども、それならば、現在のJASも是正をしていかなければどうしても整合性はない、おかしいものになると思うんですが、その辺はいかがですか。
○政府委員(須田洵君) 今いろんなことをたくさんお話しされましたので、一々個別にやりますと時間がたってしまいますから一括して申しますと、今おっしゃったような疑問点、問題点といいますか、そういうようなものは現在のJASの加工品の中におきましてもいろんな議論があることは確かでございます。また、それに対していろいろ対応したり対応し得ていなかったり、いろいろあろうかと思います。 ただ、今ハムなりソーセージのお話がございましたが、亜硝酸塩の問題は従来から非常に議論がございますけれども、ハム、ソーセージというものはどういうものかという商品イメージといいますか物のイメージというもの、それとの関連だと思います。そのあたりはまだこれからも大いに議論していかなくちゃなりません。 JAS規格そのものを見ましても、林委員も御存じかと思いますが、例えば食品衛生法上その使用が認められている食品添加物や何かにつきましても、その許容範囲の中でJAS規格についてはより少なくということで設定されている例も非常に多いわけでございまして、消費者側から見ましてもう一歩だというようなことが品目によってはあろうかと思いますけれども、このあたりについては、具体的な規格をつくるというプロセスにおきまして、つくる側のいろんな置かれている状況等から見ていろいろ難しい面もあって今日までこのような状態にあるということでございます。 今までの加工食品のJASについても、今回この部分については制度的には特段の手当てといいますか改正はいたしませんけれども、運用についてはさらにこの機会に全体的に見直しをしてやっていきたいというふうに考えております。
○林紀子君 時間がなくなってしまったんですが、最後に、現行のJAS規格でもう一点。 農水省の消費技術センターで、品質の規格がどうか、正しい表示が行われているかどうかということで抽出検査を行っているそうですが、この不適合率が非常に高いということを聞いております。こういう検査結果について消費者に公表する、メーカー名も公表する、また公表するシステムをつくるべきだと思いますが、その点について最後にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(須田洵君) 私どもの消費技術センターの方で市販品の検査をやっております。物にもよりますが、その中で品質面あるいは表示面、両方を通じまして不適合率といいますか問題のあるものという、そういう意味では五・五%というのが平均的な姿になっております。 ただ、その中身につきましては、これは重いか軽いかというのはいろいろ見方にもよりますけれども、ちょっと表示の面で行き過ぎた表示をしているとかそういうようなケース、それから流通の過程で水分が少し少なくなったとか、いろんなケースがあるようでございまして、これらの不適合のケースに対してはそれぞれの工場にきちっと連絡をして注意し、また直させるということで対応しているわけでございます。これについてメーカー名等を公表するとか、そういうふうには考えがたいというふうに思っております。
○星川保松君 今回のJAS法の改正は、いわゆる健康・安全志向、本物志向あるいは自然食品などへの志向といいますか、そうした消費者のニーズにこたえていくんだということでありますけれども、ここで非常に大事なことは、健康度、安全性、本物かにせものか、自然か不自然かということは極めて測定しにくいものなんですね。目に見えないものなわけでありますから、これは下手をしますと非常に感情が先走ってしまっていろんな混乱を引き起こすおそれがあるというふうに私は心配するわけでございます。 例えば、先ほど農水大臣が買い物に行って塩分の少ないのを選んで買っておると。塩分の少ないというのはいいんですけれども、例えば農水大臣が有機農産物のところに行って一生懸命それを買いあさっていたなんということになりますと、ああ、やっぱり農水省でやっている農薬と肥料などの監督行政も怪しいんだ、もしこういうことに受けとめられでもしたら、これはもう大変なパニック状態になっていくんじゃないか。その点、慎重にこれは運んでいかなければならないことだと思うんです。慎重にということは、感情的なものが先走らないように、あくまでも科学的に対処していく必要がある、こう思うんです。 それで、今いろいろな方面からいろいろな心配が出されておるわけですけれども、それは多分にそういう感情的な面の強い心配が出されているんじゃないかと思うんです。したがって、食品に対する科学的な考え方というものが熟しておりませんとそういう心配が大きくなってしまうと思うんです。そういう面ではいわゆる農薬は毒ですね、農薬で自殺した人を私は何人も知っていますけれども。ただ、それは濃厚なやつを飲んだりするから毒なわけで、方法やなんかを間違わなければそう毒のあるものではないということでこれは販売されているんだと思います。 例えば、農薬と肥料というのは本質的に違うところがあると思うんです。肥料というのは、これは植物の栄養なわけですから、植物の体内に取り込まれてその組織の一部になるわけなんです。ところが、農薬というのはこれはあくまでも毒で、植物についている虫や病原菌を殺す。それを殺した後は結局分解するか酸化するかして無毒のものになっていくというのが原則だと思うんです。 ですから、かけた農薬がどういうふうになっていってどうなるからこれは安全だというふうに農水省は見ておるのか。それから、肥料はどういう形で植物の中に取り入れられていって、毒性というものはないんだというようなことを、買い物に行く一般の人々もその原則ぐらいはきちんと科学的に理解できるような、そういう知識の普及といいますか、それと同時にこの施策は進めていかないとこれは混乱を起こすんじゃないか、こう思うんですが、その点についてどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるとおりだと私も思うんです。難しい理屈は私もよくわかりませんが、安全だと言われると余り気にしないで買っておるんですが、私の家族なんか見ても、一々これは農薬をどのぐらい使ったとかなんとか、そんなのはないんです。ただ、テレビ等で、アメリカの米にコクゾウムシですか、置いておいたら死んだとか、そういうのを見るとこれは危険だなと思うだけの話であります。 したがって、よく理解をしてもらわぬと困るので、こういうところで有機農業の議論をしていますと、何か有機農業以外は健康に悪いんだというふうに受け取られると困るんであって、基準どおり使えばどっちも安全なんだと思います、私、専門家じゃありませんから。ただ、より安心してといいますか、そういうのだと、高くてもこっちの方がいいなという人はそれを買い求めているわけでして、私の認識で、どの人たちがどのぐらいおるかわかりませんが、そう食べ物に私は不安を感じて買ったり食べたりしているということはないわけです。ただ、今おっしゃるように、やっぱりそこは国民によくわかるように説明しておかぬと、変に誤解を受けても困りますので、そういうことだろうと私は思います。 特に化学肥料なんかでも、これは栄養素でありますから全く人体には影響ないわけであります。ただ、農薬ということになると、これは使い方を誤ると人体に影響があるということで登録制度に基づいて厳正に検査をして、これ以内で使いなさいということをやっておるものですから、そこは相当注意をしてやるということが必要であろう、そのための周知徹底を図る必要がある、こういうふうに思います。
○星川保松君 それから、例えばいわゆるガイドラインによる表示をやった場合、同じもので、ホウレンソウならこっちのホウレンソウが無農薬、こっちの方が無化学肥料と書いてあったとしますね。それはある程度の科学的な知識がなければこれがどういうことになるのか、選択するのにこれは何の参考にもしょうがないわけです。ですから、肥料と農薬というものは違うんだというようなことを理解してもらわなければ、こういう表示をやってもこれは何の意味もなさないということになると思うんです。 それで、例えば肥料にしましても、いわゆる化学合成の肥料、化学肥料ですね、それから有機質の肥料、例えば堆肥のようなものですね、そういうものを入れた場合に、これは作物に根から吸収される際に違うんですか、どうなんですか。
○政府委員(高橋政行君) 堆肥などを与えまして、それが肥料として作物に吸収される、そのときには例えば窒素なら窒素という形で吸収される。あるいは今度化学肥料をやりまして、それが作物に吸収されるときには窒素ということですから、そういう意味では同じでございます。
○星川保松君 そうなんですね。いわゆる窒素肥料。窒素、燐酸、カリ、いろいろありますけれども、吸収されるときは同じなんです。ただ、堆肥の場合は土が肥えていくんです。土がいい土になっていくということなんです。 ところが、一般の方の有機農業に対する理解ということを見ますと、どうもそこのところがごっちゃみたいなんです。有機質の肥料というものは、有機の分が何か吸収でもされるような、それで化学合成したものは化学合成のまま作物の中に入っていくような錯覚を起こしている。 私たちは子供のころ、私はもちろん農村部だからですけれども、小学校から「農業」という本がありまして、それで農業のことを肥料のことも農薬のことも一通り習ったんです。今、そういう科学的知識というのは恐らく生物学の範疇では習っていると思いますけれども、農業という面から、作物を栽培するという面から果たして教育の方では扱っているんでしょうか。これは文部省じゃなきゃわからないかな、あなたの方では。
○政府委員(高橋政行君) 今の当該肥料の部分をどう扱っているかということは定かではございませんが、我々も文部省とも相談いたしまして、農業をいろいろ理解してもらおうということでいろいろな副読本をつくるとか、最近ですとビデオをつくるとか、そういうようなことをしながら教育に取り入れてもらうということをやってはおります。
○星川保松君 ですから、今、各方面からこの法改正はちょっと時期尚早なのではないかという声が出てきているのは、そういう科学的な食物、作物、飼育する動物等についての知識がないままこっちが先行して、そのギャップができているというところから私はどうも混乱が生じてきているんじゃないかと思うんです。 だから、農水省としては、生産者と消費者という面だけ、店頭の商品のことを考えてやっていますけれども、その根底に国民のそういう農産物に対する科学的な知識というものを高めていくためには、そのためのガイドブックみたいなものもどんどん出して、そして国民の理解を深めながらこの仕事は進めていくべきだ。もしここで改正しても、同時にやっていってほしいと思うんですが、これはどうでしょうか。
○国務大臣(田名部匡省君) 先ほどのお話ですが、文部省で小学校五年の社会でそういう教育をいたしておりますから、もう子供たちというか若い者は……
○星川保松君 栄養なんかもですか。
○国務大臣(田名部匡省君) 教えております。 ですから、そういうものではむしろ我々の方がよくわからないんですが、子供たちの方はよく知っております。私、娘と一緒だったものですから、そういうことはよく知っております。ただ、日付が、賞味期間の過ぎたのを見てはどんどんどんどん捨てるので、私はもったいないのでいつもこれでけんかになるんですけれども、表示を見て、これはもう賞味期限切れたと言って捨てるので、むしろそっちの方がこれは問題なのかなと思いますが、実態はそうなっております。
○星川保松君 同じようなことが、例えばこれは特定JASの方で、今度はいわゆるつくり方に対する扱いというのが新たに入ってくるわけですけれども、それについても言えることだと思うんです。 一つの例を挙げますと、地鶏というのがあるわけですが、地鶏というのは地べたを走って歩く飼い方だと思うんです。しかし、地べたを走って歩くからといって、例えば施設の中でも、地べたでなくても板敷きでもコンクリートでも、それは走って歩けばいいようなものですけれども、私らが子供のころというのは、その辺の土をほじくって昆虫を食べたりミミズ食べたり、そういうのが地鶏と、私らはそういうのが頭にあるんです。だから、平飼いとかと言っても、これは地べたで飼うのと何の差異があるのか。地鶏なんと言っても、そういうことがまだ至るところに出てくると思うんですよ。 だから、地鶏と、これと反対のやつは何と言うんでしょうか、棚飼いと言うんですかね、それとの根本的な違いというのはどこにあるのか。それも示されませんと、何となく地べたを走って歩くやつはうまいんだとかいいんだとか、これも科学的根拠がないとまた混乱するんじゃないかと思うんですよ。だから、私はやっぱり科学的な何か根拠を示しながら進めていかないと、基準のとりどころがない。いわゆるつくり方のJASについても言えると思うんですが、このことについてはどうお考えですか。
○政府委員(須田洵君) 畜産物につきましても特定JASの対象になり得るというふうに考えまして勉強しておりますが、平飼いとかそれから地鶏とか、これも星川委員もおっしゃいましたように、人によって受けとめ方が非常にばらばらな面もございます。 それで、いろいろ我々も調査してみますと、イメージが非常に違っている面がございます。しかし一方では、先生方もお気づきと思いますが、スーパーその他での店頭ではやたらに多くなっています。したがいまして、ここにも平飼いの定義とかいうのもございますけれども、平飼いとか地鶏とかいうものについてはこういう定義だということを、ある程度日本としてはこういう考え方だということを固めていく必要があるんだろうというふうに思います。ですから、そういうような意味ではますますこういう特定JASのようなものが必要だろうと思います。 ただ、もう一つは、単なる定義だけではだめなんで、その定義をつくる飼い方とか具体的な飼養の基準というんですか、そういうようなものについてもある程度共通的なミニマムスタンダードといいますか、そういうようなものが必要になってくるんではないかというふうに考えます。 星川委員がおっしゃるように、一般的に非常に用語の混乱している面がございますので、そういう点についてのPRといいますか正しい普及といいますか、そういうようなことも並行して、ガイドラインの段階でもそうでございますけれども、私どもは単にガイドラインの中身を説明するパンフレットを配っておりますけれども、それだけでは不十分な面も今御指摘のとおりでございまして、今後はこの法律段階も含めてその辺の工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
○星川保松君 それから、例えばガイドラインによる表示というのがあるんですけれども、買い物に行くのはおばあちゃんたちから子供たちまでいるわけですから、子供さんたちでもおばあちゃんでも、みんなにわかるような表示にしなくちゃいかぬと思うんです。 例えばということで例が出ておりますが、「転換期間中有機農産物」なんて書いてあっても、何のことやらこれはわからないと思うんです、有機農産物そのものもわからないと思うんですが。ですから、やはりもう少し工夫をしてだれにでもわかる表示にしなくちゃいかぬと思うんですが、このことについてはどうお考えですか。
○政府委員(須田洵君) 転換期間中がなぜ必要かという説明は省略いたしますけれども、おっしゃいますように、この表示の問題を詰めていきますときに非常に悩みますのは、いろんな必要なことを正確に書くということになりますと、たくさんのことを書いていく、あるいは難しいことを書かざるを得ないことになる。正確を期するというような意味ではそういうふうになるわけでございますけれども、一方では、星川委員がおっしゃったように、ぱっと見てわかる、余りたくさんあったんではちょっと読む気もしないという問題もあるわけでございます。 その辺のところを、転換期間中というものが必要かどうかの議論は別としまして、これから幾つかのタイプが必要だとしますと、そのタイプについての簡単なマークとか、ぱっと見れば、ああこのマークは有機だとか、そういうことがわかるような工夫も同時にしていかなくちゃならぬかというふうに思っております。
○星川保松君 ですから、最初、一年なら一年、六カ月なら六カ月でもいいでしょうから、「転換期間中有機農産物」というのはこういうものだとそこに説明でも入っていれば、一遍読めばわかるでしょうから、そういう親切な表示が必要だと思います。 最後に、農水省もいわゆる有機農業というものを進めていく、奨励していく、こういう立場のようですけれども、今まではどうも消極的だったんじゃないかと思うんです。国の試験場なども果たしてそういう研究をやっているのか。有機農業になりますと、確かにこれは収量が減ります。私の友達で除草剤を振らない田んぼをつくっている人がおりますけれども、除草剤を振らないで手で人力でやるといったら大変なんです。もう大面積は耕作できないということになっていくわけなんですよ。ですから私は、米は国が買っているわけですから、米の特定JASの製品を出すところには、それはそれだけ減収しますから、できたら減反を緩和してやるとか解除してやるとか、そのくらいの措置はやっていくべきだと思うんですが、どうでしょうか、大臣、ひとつ最後に答えてください。
○政府委員(高橋政行君) 確かに、有機農業を始める場合に、それぞれ経営としては軌道に乗るまでいろいろと大変であるというような事情もございます。したがいまして、我々としてはこれに対して何らかの支援をしていかなきゃいけないということで、現在、農業改良資金に有機農業導入資金という無利子の資金を設けまして、据置期間三年、償還期間七年という資金を設けたところでございまして、これを何とかうまく活用していくということではないかと思っております。 そのほか、助成といたしましては、例えばいろんな形で地域のいろんな資源を利用して堆肥をつくっていくというようなことになりますと、大体共同でやるというような場合が多いわけでございますが、そうした場合にはいろいろな助成措置も行っていくというようなことも考えていきたいと思っております。
○国務大臣(田名部匡省君) ぜひこれやってみたいという人には支援をしていきますけれども、ただ、どこでも成功するというものでもないし、特に土壌に適した品目、これがマッチしませんとうまくいかないだろうと思うんです。ですから、そういうこともありますので、ただ無利子の資金があるからといってみんなやられても、その辺はよく研究機関等で研究しながら適切にやっていかないと、失敗しては困りますので、その辺も適切に指導していきたい、こう考えております。
○星川保松君 終わります。
○新間正次君 今回のJAS法改正の中で、有機農業の位置づけというようなことをちょっとお尋ねしていきたいと思います。 ここに五月十七日の読売新聞に載りました記事があるんですけれども、無農薬・有機農法を普及させた医師、梁瀬義亮さんという方がお亡くなりになったという記事が出ております。その見出しに、「僕に間違いがあったら 今、言ってくれ」、「遺された言葉」ということで、 「化学肥料や農薬、それは死の魔法です。生命を無視し、増産だけが目的ですから」。自分で育てた無農薬野菜をリュックに詰め、夜行列車で上京、厚生省や農林省で農薬の害を何度も訴えた。 故郷、奈良県五条市で昭和二十七年に内科を開業する。病の根源は食生活に、の思いから野菜をたくさん食べた。やがて体に変調を覚える。肝炎、胃腸カタル、口内炎。野菜を勧めた患者にも同じ症状が出た。 農家が出荷前にこっそり薬液に漬けていた。 野菜の鮮度を保つためだった。農薬の本を買いあさって勉強、保不気味な症状は農薬野菜が原因と確信する。 昭和三十四年に「健康を守る会」というのを御自分でおつくりになられまして、それから周囲の方々から異端視されながら雑木林を開墾、安全な野菜や自然食品の生産・販売を始めた。 息を引き取る前「僕に間違いがあったら、今、言ってくれ」と問い、家族のほほ笑みに「ありがとう」を二度繰り返した。 有吉佐和子の小説「複合汚染」で「昭和の華岡青洲」と紹介される。というこの記事がぱっと目に入ってきたわけでございます。 さて、先輩委員からもいろいろとお話が出ていたわけでございますけれども、JAS法の改正において、有機農業というものが日本の農業の大勢を占めることを目標としているのか、あるいは農業全体における有機農業の位置づけをどのようにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(高橋政行君) 有機農業につきましては、化学合成された農薬、肥料を使用しないで生産された農産物、そういうものを求める消費者のニーズが高まる、そういう中で、先ほど先生の方から御紹介がありましたように、それぞれの地域で生産者の皆さん方がいろいろな工夫をしながら取り組みをしてきた、そしてそれが拡大してきたということであろうと思います。 それで、この有機農業というのを見てみますと、通常の農業に比べますれば、非常に一般的な話でございますけれども、労力が多くかかるとかあるいは収量の面でも劣る。物によっては収量がむしろよくなるというのもありますけれども、一般的に言いますとそういうような面もありまして、我が国農業生産の相当部分を有機農業が担っていくというようなことにはなりにくいんじゃないかというふうに思っております。やはり何と言っても、こういった消費者の安全性志向あるいは自然志向にこたえながら、特に中山間地域を中心といたしまして、中山間地域に存在するいろんな地域資源、そういうものを利用して物質循環システムといいますか、そんなものを巧みに生かしながらやっていく農業の一つというように我々としては位置づけ、支援し、推進していくことが重要ではないかというふうに考えております。
○新間正次君 まさにおっしゃるとおりでございまして、中山間等の農業には僕はこれは大変有利な条件ではないかなというような感じがいたします。これはぜひ推し進めていただきたいと思います。 五月二十五日付の朝日新聞に、東京都市場衛生検査所は、「回虫やぎょう虫といった寄生虫が復活するきざしが見える」という理由から、「野菜の検査態勢を強化することにした。」、こういう記事が出ております。日本で栽培されていない輸入野菜の増加がその原因の一つではないかと考えられておるが、一方で「有機野菜が原因と見られる回虫の症例がいくつか見つかった。」という、これは大変気になる記事でございます。 まず厚生省の方に、この記事の中に、衛生状態の悪かった終戦直後には全国平均で八割の野菜から寄生虫の卵が検査で見つかっておる。「一九八五年には三・九%まで下がった。」とあります。農作物関係の寄生虫が原因で発病したことが確認されている症例のうち、終戦直後からの罹病率、罹患率といいますか、のデータの推移を厚生省として把握している具体的な事例がありましたら教えてください。
○説明員(尾嵜新平君) 寄生虫病患者の発生状況についてお答え申し上げます。 寄生虫病予防法という法律がございまして、その法律では「蛔虫病、十二指腸虫病、住血吸虫病、肝臓「ヂストマ」病」を寄生虫病というふうに定義をいたしているわけでございます。 このうちで患者の報告を義務づけておりますのは住血吸虫病のみでございます。その報告義務によりまして届けられております患者数でございますが、昭和三十年には住血吸虫病の患者が一千三百四十九名という報告がございました。それが平成三年には全国で三名の患者が報告されておるのみでございます。 それと、今お話がございました一般によく知られております回虫症につきまして、法律の報告義務はございませんけれども、厚生省がやっております保健所での検査の数字といたしまして「保健所運営報告」の中で報告をされておりますが、これは昭和三十五年でございますが、寄生虫検査の結果からは、検査を受けた方がおおよそ八百万強ございまして、回虫卵を保有している方というのが百二十万強ございます。虫卵の保有率は一五・五%というふうな数字になってございます。それが平成三年には、検査を受けた者の数は減っておりますが、五十七万強の方がお受けいただきまして、そのうちの回虫卵の保有者は六十五名でございまして、その虫卵保有率というのは〇・〇一%ということで、いずれも、寄生虫病の患者さんあるいは虫卵保有者というものは過去に比べて大幅に減っておるという状況でございます。
○新間正次君 私どもも子供のころに飲みにくい海人草とかというのを飲まされて嫌な思いをしたこともあるわけでございますけれども。さて、お聞きしましたところによりますと、確かに三十五年から減り始めておる。厚生省としてはこの症例を予防するために何か指導を農家の方に対してなさっていたのか、わかれば教えていただきたいと思います。
○説明員(尾嵜新平君) 厚生省から直接農家の方に御指導をするということが過去にあったかどうかというのは、詳細はちょっと存じておりませんのでお答えしかねる部分でございますが、保健所としまして、こういった寄生虫病対策ということで一般的には住民の方に対します衛生教育あるいは衛生思想の普及という面に力を入れ、なおかつ虫卵検査を受けていただくということと、そういう早期発見、早期治療ということを重点的にこれまで行ってきたということでございます。それと、これは厚生省だけではございませんが、生活環境の改善というものもあわせて進んでまいったということでございます。
○新間正次君 続いて、有機農法が見直され、昔のように堆肥を使い、さらに農薬を使わずに農業をしていくというわけでございますけれども、今後このような病気への罹患率が増加するおそれがあるのではないかという心配があるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○説明員(尾嵜新平君) 有機農業という内容につきまして、詳細は存じておりませんけれども、その使います肥料と申しましょうか、それについても人ぷんをそのまま使うというものだけではないように伺っておるわけでございます。 また、先ほど御説明いたしましたように、虫卵保有者とかあるいは患者というものが大幅に減少しております今日で、仮に人ぷんをそのままの形で肥料にするという場合に、全く影響がないということは言えないと思いますけれども、過去のような急激な虫卵保有者とか患者が出るということはなかなか考えにくいんじゃないかというふうに思っております。
○新間正次君 ぜひ、厚生省と農水省と連携をとりながらこの問題については解決をしていっていただきたいと思います。 続いて、五月二十八日の新聞に、目黒区へ有機農産物を提供している農家が後継者難と栽培の難しさから減ってきているという記事が出ておりました。もう勘弁してほしい、産地のつくっている方でそんなような声が出ているわけでございますけれども、技術の向上のためには普及員の役割が大変重要だと思われるわけでございますけれども、そのあたりは農水省としては何か御指導をする用意はあるわけでございますか。
○政府委員(高橋政行君) 普及員などの取り組みということでございますが、有機農業、日本は歴史が浅かったということもありまして、西欧の場合に比べますと取り組みがおくれておるかもわかりませんが、最近では有機農業に対する機運も生まれてまいりましたので、各農業改良普及所におきましても、これまで各地の実情に照らしまして、現在、水稲とかあるいはお茶、野菜といった作物の有機栽培に技術あるいは経営的な指導を実施している例が各地に見られてきておりますし、各県でもこれを普及する場合の重要な柱にしているところも見られてきておるところでございます。これからにおきましても、さらに普及所を中心にいたしまして、技術的・経営的な指導を進めたいというふうに思っております。 それから、特に平成四年度から環境保全型農業推進事業というのを実施しておるわけでございますが、その中におきましても有機農業を環境保全に資します農業の一形態としてとらえまして、この事業も活用しながら有機農業を実践する人々に対しまして技術的な支援も行っていきたい、こう思っております。
○新間正次君 有機農業というか農法というのは私はむしろ非常に歴史のあるものだと思っておりますけれども、ぜひひとつ有機農法イコール安全な農作物という形になるように努力してほしいなという感じがいたします。 最後に、大臣にお尋ねいたしますけれども、この法案というのは、消費者を守るための大きな枠をまずつくって、実質的な面は多方面の方々の意見を聞き、理解を得ながらこの枠の中で検討していくものと理解しております。例えて言うならば、土俵をつくって、その上で生産者と消費者の戸を乗せて慎重なる検討をしていく。ということになりますと、農水省の行司ぶりが大変大事になってくるのではないかという感じがいたします。 生産者から見れば、自分たちの商品が消費者からの信頼を得るためにとはいえ、その導入によって著しく生産効率が落ちるのでは困る。また消費者からすれば、買物のときにぱっと見てわからないほどごちゃごちゃした表示ではこれまた困る。といって、そこに欲しい情報が何もなくてもまた困るというような意味で、大変難しい問題だと思います。両者の接点を取りまとめるのは大変難しいと思いますが、今後、特定JASの規格づくりを含めて、実質的な面で消費者、生産者の生の声をどのように生かしていかれるのか、大臣の見解を聞かせていただいて、質問を終わります。
○国務大臣(田名部匡省君) 本当に難しい問題でありますけれども、しかし、消費者の皆さん方により安全なもの、まあ安全なものと言うと語弊がありますけれども、どういうものかというのがわかる、そういう仕組みというものをこれにこだわらずいろいろやっていった方がいいと思うんです。フランスのラベル・ルージュというんでしょうか、これにはこれだけの中にいろんな情報が全部入っている。こういうもの等を十分研究しながら、あるいはさっき地鶏の話が出ましたが、私も買うんですけれども、何か高いのはいいのかなと思って買っているだけで、中身は全然わからなかったんです。今聞いてみたら、その地域の鶏、こういう意味で、そうでないのは一般鶏と、こう言うんだそうで、放し飼いが基本であるけれどもそうでないのもあると、こう言うんですね。 ですから、基準というのは、ある程度消費者の皆さんに私が知り得る程度のことはわかってもらわぬとならぬ、こう思います。一生懸命消費者、生産者の意見も聞きながらよくやりたいと思うし、私、今この資料をもらって、これは早速我が家へ持っていって、こういうものは安全なんだと、生鮮にこだわるともういろんなところに影響が出るというのをさっきちょっと読んでおったものですから、こんなに迷惑がかかるんであれば、消費者ももうちょっとこういうことの知識を入れて、交通混雑を解消するとか、環境にまで影響あるという話でありますから、よくよく十分検討しながら対処していきたい、こう考えております。
○委員長(吉川芳男君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。 午後五時三十一分散会