大蔵委員会 第7号
- 発言数
- 116 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1993/06/03
会議録
○委員長(野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二日、山田健一君が委員を辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(野末陳平君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。林大蔵大臣。
○国務大臣(林義郎君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、最近における社会経済情勢にかんがみ、住宅取得促進税制を拡充するとともに、民間設備投資の促進に資するための措置及び特定扶養親族に係る扶養控除の特例措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、住宅取得等をより一層促進することにより内需の拡大を図るため、住宅取得促進税制について、控除期間のうち、住宅を居住の用に供した年及びその翌年については、住宅借入金等の年末残高千万円までの部分に係る控除率を一%から一・五%に引き上げた上、その適用期限を一年延長することといたしております。 第二に、民間設備投資の促進のための一年間限りの措置として、中小企業者等の機械の特別償却制度を抜本的に拡充し、機械装置及び事務処理の能率化等に資する器具備品について特別償却と税額控除の選択適用を認める中小企業機械投資促進税制とするとともに、事業の省力化または合理化に著しく資する機械等について特別償却と税額控除の選択適用等を認める高度省力化投資促進税制を新たに設けることといたしております。 第三に、教育等の諸出費のかさむ中堅層の税負担軽減に配慮するため、特定扶養親族に係る扶養控除について五万円の加算を行う特例制度を設けることといたしております。 以上の改正につきましては、住宅取得促進税制にあっては平成五年四月一日以後に家屋を自己の居住の用に供する場合について、設備投資促進のための措置にあっては平成五年七月一日以後に取得等をするものについて、特定扶養親族に係る扶養控除の特例にあっては平成五年分以後の所得税について、それぞれ適用することといたしております。 これらの改正は、四月十三日に策定された総合的な経済対策に盛り込まれた事項のうち、税制上の措置を実施するためのものであります。 以上が租税特別措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(野末陳平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○前畑幸子君 ただいま御説明のありました税制の前に、今回発表されております新総合経済対策のポイントというところに関しまして少々お尋ねをいたしたいと思います。 今回の新総合経済対策の事業規模、史上最大の十三兆五百億円としてこれを大変自画自賛していられるようでございますけれども、逆に申すならば、私はむしろこれだけ巨額の追加対策が必要になったこと自体が問題ではないか。この史上最大でなければならない理由はどこにあるかということをお尋ねしたいと思います。そしてまた、今後の対策も史上最大規模を続けることになるのでしょうか、その辺もお聞きしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 平成四年の夏に新しい経済対策を策定いたしまして、補正予算を昨年の暮れにお願いしたのでありますが、そのときも相当大きなもので考えたわけであります。国会への提出その他がおくれましたものですから、もう少しタイミングが早かったならばというようなこともありました。さらに、引き続きまして平成五年度の予算を策定いたしまして、不況に配慮したところの予算と、こういう形で御審議をお願いしたところでございます。 正直申しまして、経済はそれらのいろんな諸施策にもかかわらずなかなか芳しい回復の足取りを見せていない。もっと歩ってしかるべきではなかったかなというふうな、後で思えばその当時に考えられましたことよりはどうも足取りが遅々としたものである。そういうふうに考えておりまして、経済の情勢を見ておったところであります。 ことしになりまして、一月、二月というふうな状況では、まだまだいろんな指標を見ましても、景気回復の方向がかすかには見られたかもしれないがなあということでございます。三月ごろになりまして、やっと少しは景気回復の方向がというような話でありまして、ただ、いろんな諸条件を考えますと、さらに一層の拡大したところの方向に持っていかないと、日本経済の力からいたしまして物足りないものがあるんではないだろうかこんなふうなことを考えましたし、日本経済を持続的な安定的成長の路線に乗せるためにもさらなる努力が必要であろうということを考えまして、四月十三日の日に総合経済対策を決定したところでございます。 御指摘のありましたような十三兆二千億というような大きなもので出しましたけれども、これらをもちましてやっていくならば、今すぐにという話ではないかもしれませんけれども、ことしにわたりましてよき持続的成長の局面に入っていけるものだと考えておるところでございます。 予算につきましてもいろんな御指摘が予算委員会等でございました。なぜそんなことを今さらやるんだと、こういうことでありますが、昨年の経済運営を見まして、八月に出したのでありますから本当はもっと早くやればよかったなあという悔いが私は残っているところでございまして、ことしも本来ならばもう少し後でもということもあるかもしれません。しかしながら、本当に確実にしていくためには、早目から手を打っていった方が経済対策としてはいいんではないか。我が国がそういった本当のいい路線に乗せるためにも、政府の政策を明らかにし、いろんな方策をやることによりまして国民的にも安心していただけるような路線ができてくるものだろう、こういうふうに考えているところでございます。こうしたことをやれば必ず御期待に沿えるような安定成長路線、持続的成長路線に乗せることができるものだろう、こういうふうに考えているところでございます。
○前畑幸子君 この法案の参考資料の中にありますことについて少しずつお聞きしたいと思います。 政府は、今回の新総合経済対策は九三年度の名目GNPを二・六%引き上げる効果ありという試算でいられるわけでございます。しかし、民間調査機関によりますと、この二・六%というのはかなり過大な見積もりであるのではないかと指摘をされているようでございますが、政府の御見解はいかがなものでしょうか。
○説明員(新保生二君) お答えいたします。 対策の効果二・六%は過大ではないかというお尋ねでありますが、対策の効果を厳密に算定するというのは非常に難しいことでありまして、御承知のように定量化できるものと定量化できないものといろいろさまざま含まれておるわけであります。この中で定量化できるものに限定してあえて一年間でどれくらいの効果があるかということを試算しますと、名目GNPを二・六%ぐらい引き上げるというふうに我々は試算しております。 その試算のやり方は、十三兆二千億というのが全体の規模でありますが、このうち需要追加措置ということで限定して考えますと、事業規模で定量化できるのは十三兆五百億という金額になります。これの中から、直接需要には結びつかない項目が幾つかあります。例えば用地費でありますとか中小企業対策のうちの運転資金部分等であります。こういうものが四・二兆円ありますから、これを差し引いて、それ。に、乗数効果というものが期待できるわけですけれども、この乗数効果については企画庁の世界経済モデルというのがありまして、一・三九という値を示しておりますが、その差し引いたものに一・三九を掛けますと大体十二・二兆円ぐらいの需要拡大効果があります。この十二・二兆円というのは、四年度の実績見込みであるGNP四百七十二兆円の約二・六%という計算であります。 この試算はいずれにしましても定量化できる部分だけの試算でありまして、このほかに投資減税でありますとか電力とかガス、いわゆる公益事業的な民間企業の設備投資の促進でありますとかさまざまな金融・証券面でのいろんな対策、こういうものを含めて対策の効果と考えるべきでありますが、しかし、定量化できる分だけに限定すれば二・六%、こういうことであります。
○前畑幸子君 今の御説明でちょっと私が気になるところは、民間調査機関の場合ですと、政府系金融機関の融資枠の拡大は民間金融機関からの振りかわりにすぎないのではないかという説明もあるわけです。民間調査機関の場合はこうしたものを試算の対象から外していると思いますけれども、政府はどうしてこうしたものが入ってGNP引き上げ効果と見るのか、そのあたりを御説明いただきたいと思うんです。 一昨日の日経新聞によりましても、中小公庫、国民公庫の新規貸付額が最高になったということが書かれております。「景気後退で民間の金融機関が貸し出しに慎重になっていること、総合経済対策で貸出枠が拡大されたことなどによる」と書いてありますけれども、これは、私どもが中小企業を眺める限り、今まで中小企業は民間金融機関からの借り入れがスムーズにできていたのが、担保の力が弱まったり利益率が悪くなりまして、不良債権の心配をして民間の銀行が貸してくれない、ですからやむなく政府系の金融機関に行かざるを得ないということなのです。 その辺がちょっと私の考えとは食い違いがあるんですが、御説明いただけますか。
○説明員(新保生二君) 御指摘のように、民間の試算では効果はもう少し小さく試算されております。その多くは、政府の財政投融資の部分についてこれを効果の算定の際除外して、効果がないという前提で試算しているものが多いというふうに考えております。 財政投融資の効果でありますが、これは御承知のようにさまざまなものがありますから、それぞれ一つ一つ効果は違うので計算はかなり難しいんですけれども、例えば住宅公庫の融資の追加、こういうものも確かに民間資金から振りかわる部分が一部あることは事実であります。しかし、逆に公庫の融資を追加したことによって、通常、公庫の金だけで住宅を建てる人は少ないわけですから、つまり住宅公庫の融資の追加に民間資金分を足して、五〇%か四〇%かその割合はわかりませんが、公庫が追加した金に民間資金分を足して住宅投資をやるということで、追加額よりも大きい住宅投資が結果としては実現するということもあるわけです。 それからもう一つ申し上げたいのは、例えば開銀の融資等を使って市街地再開発をやりますと、中央の公的な部分に投資が追加されますと、当然それに誘発されて民間投資が起きるというメカニズムもあるわけであります。これらを考えますと、確かに民間資金から振りかわる部分もあるけれども、逆に、民間資金を誘発して投資をふやすというメカニズムもあるわけでありまして、民間の試算のように財政投資については効果がゼロという試算はやや行き過ぎではないかというふうに思っております。 それから、先生御指摘のように、特に民間資金の貸し渋りとかあるいは貸し出し慎重化という状況がある中では、公的資金を追加することによって、中小公庫とか国民金融公庫の融資を追加すれば本来出なかった設備投資等が刺激されるということでありますから、この面からも財政投融資の効果はある程度期待できるというふうに考えるべきであると思います。
○前畑幸子君 先ほども御説明をいただきましたこの(注)ところに書いてありますGNP比についてですけれども、「対策の規模十三・〇五兆円から用地費及び運転資金等四・二兆円を控除しこと書いてありますね。この事業規模から控除される四兆二千億円の内訳はどんなものがありますでしょうか。
○説明員(新保生二君) 四・二兆の内訳は、実は一番重要なものは、公共用地の先行取得にかかわる部分は最終需要に直ちにつながるものではありませんからまず控除しております。それから、中小企業向けの融資の追加のうち、設備投資に回る部分と運転資金に回る部分と大別できるわけでありますが、運転資金に回る部分は直接最終需要を誘発するものではないという考え方から控除をしておる。この二つの部分が一番大きい部分であるというふうに考えております。
○前畑幸子君 それでは、事業規模十二兆五百億円のうち、国と地方と財政投融資の内訳はそれぞれ幾らずつになるのでしょうか。
○政府委員(涌井洋治君) 十三兆五百億円の財源内訳でございますが、今回補正予算として国会の御審議をお願いしております中で、まず、一般会計の中には二兆三千二百二十三億円計上しております。その内訳は、公共事業等の追加が二兆二千二百十八億円、それから中小企業等の特別対策費等が千五億円、このほかに国庫債務負担行為の追加が一兆二千八百九十六億円ございます。それから、経済対策に織り込まれております住宅取得促進税制の拡充等に伴う減収分として千四百六十億円の減収を見込んでおります。さらに、財政投融資の追加といたしまして、今回の補正予算において三兆一千五百六十七億円の追加を行うことといたしております。それから、その他約七兆六千億円になるわけでございますが、これは特別会計の自己資金、それから地方等の財源で賄うことになっております。
○前畑幸子君 この一番目に書いてあります公共事業等四兆一千七百億円、それから教育、研究、医療、社会福祉施設等一兆一千五百億円、これの国と地方の負担割合はそれぞれどのようになるでしょうか。もう少し詳しく。
○政府委員(涌井洋治君) 国と地方等に分けますと、国は七兆七千億円、そのうち一般会計の歳出が三兆、財政投融資が四兆一千、特別会計等の自己資金が七千億円でございます。地方等は五兆四千億円となっております。
○前畑幸子君 私、ちょっと意味をよく理解できないのでお聞きしたいんですけれども、国費付き国債とかゼロ国債、用地国債という言葉を耳にしますけれども、ちょっとこれについて御説明いただけますか。
○政府委員(涌井洋治君) 国債という言葉を我々通称で使っておるわけでございますが、正確に申し上げますと、財政法上の言葉としては国庫債務負担行為という言葉が正確な言葉でございます。 その中で、通常、単年度で終わる事業につきましては通常の歳出予算で事業を執行するわけでございますが、例えば公共事業の中でも橋であるとかトンネルのように単年度で終わらないような事業、二年、三年かかるような事業については、数年間にわたる契約を行う必要があるために契約権限を国庫債務負担行為という予算形式で国会の御承認をいただいて事業の執行をしているわけでございます。 そのうち、通常ですと、例えば二年の事業の場合には、最初の年に半分お金が出る場合には歳出予算の方に五割計上する、翌年度の予算に残りの五割を計上するという形で事業を執行していくわけでございますが、ゼロ国債という形で我々呼んでいるわけですけれども、これは初年度の予算計上をしない契約、数年度にわたる契約でございますが、初年度に歳出予算を計上しないものを通称我々は前金がゼロの国庫債務負担行為と呼んでおります。これも今回の景気対策の一環として、特に公共事業の場合やはり年度間の平準化が必要でございますので、この制度を今回の景気対策として使っております。 このほかに、用地を確保するために、国庫債務負担行為で例えば五年、通常用地国債五年ですけれども、五年間にわたって契約を行って用地を取得して公共事業の執行をする、支払いを五年間に分けて分割して行っていくというものを用地取得制度として予算制度の中に組み込んでいるということでございます。
○前畑幸子君 そうしますと、この①の「公共事業等」の中には、いわゆる国庫債務負担行為ですか、そういうのはどのくらい入っているのでしょうか。
○政府委員(涌井洋治君) 今回の公共事業等の追加の中で、国庫債務負担行為は総額で一兆二千八百九十六億円の追加をお願いしております。その内訳は、道路、河川、下水道等のようないわゆる公共事業が一兆九百六十五億円、国立大学の施設整備あるいは国立病院の施設整備等のいわゆる通称その他施設費と呼んでいるものでございますが、この関係が千九百二十一億円、計一兆二千八百九十六億円の追加となっております。 なお、先ほど先生がおっしゃいましたいわゆるゼロ国債というものもこの中に入っておりまして、事業費ベースで六千億円、国の予算ベースでは三千九百六十九億円を補正予算に計上しているところでございます。
○前畑幸子君 ちょっと私の取り違えかもしれませんけれども、当年度の支出が伴わないのにゼロ国債等の国庫債務負担行為を経済対策に含めるということは、どういうふうに理解したらいいのでしょうか、何か事業規模を大きく見せかけるための水増し的な行為のような気がいたしますが、いかがなものでしょうか。
○政府委員(涌井洋治君) ゼロ国債を景気対策として追加している趣旨は、景気の足取りを確かなものとするためにはどうしても公共事業の早期執行を図る必要がある。特に、年度が切りかわる四月、五月というのは、通常どうしても公共事業の執行が進みません。そういう意味で公共事業の執行の平準化を図る必要があるということで、景気対策として従来からこれは計上してきているところでございます。 実際問題として国の歳出はその年度内には行われないんですけれども、契約権限、国庫債務負担行為を国会で御承認いただければ契約を行う。そうしますと、受注した企業はすぐに資材手当て等を行う、あるいは労務者の確保を行うということで経済活動は行われます。ということで、これは経済対策として内需拡大の面で効果があるということで従来から景気対策に含めているところでございます。
○前畑幸子君 そうしますと、発注書だけいただいて、自分で銀行で借り入れをして事業を先に進めよと。私の周りにいる中小企業の立場からいいますと、来年になったらお金を払うということですから、仕事はたくさんいただくんですけれども、現実に入金がされないわけですから大変苦しい状況になるのではないかなという気がいたしますが、それはどうでしょうかね。
○政府委員(涌井洋治君) 受注者は確かにみずから資金手当てを行う必要があるわけですけれども、これにつきましては中小企業金融公庫等政府関係金融機関を通して融資量を最大限確保している。他方、その資金手当てに伴う金利分については、これは各事業官庁において予定価額に上乗せして従来から実施しているところでございまして、企業の負担にはならないようにしているところでございます。
○前畑幸子君 よくわかりました。しかし、今おっしゃいます負担にならないという企業は第一下請であって、第二、第三下請のところはそういうものは入ってこないわけですので、やはり中小企業にとっては余り潤わないのではないかなと漠然と今思うわけです。 大臣にちょっとまとめでお聞きしたいと思いますけれども、このように、今お聞きいただいたように、国、地方、財政投融資の負担割合があいまいなような気がするわけです。国庫債務負担行為というものも含まれておりますし、経済対策の内容が非常にわかりにくいんですね。私が理解できなくても別に事は済みますけれども、大学教授とか民間調査機関のような専門家の方ですら、正確な理解ができないのでこの経済対策に対する評価が困難であるという言葉も出ておるようでございます。やはり、私も含めて国民がこうしたせっかく出していただいた経済対策を評価できるという、もう少しわかりやすい表示方法をしていただけないものかなと思うわけです。 要するに、数字の上だけで事業規模を史上最大ということで誇るのではなくて、理解しやすい、国民がなるほどと思われるような公表の仕方が必要ではないかなと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(林義郎君) 先生からいろいろと御質問がありました。予算の中の話をいろいろと詰めていきますと、今政府委員から答弁を申し上げましたような話になってきます。 それから、経済の乗数効果をはじくと、いろんな理屈もあると思いますが、私は思いますのに、そういった数字をどこの数字でどうだこうだというのじゃなくて、やっぱり景気をよくするというのは仕事を出すことだろう、こう思うんです。どこの金がどうだという話よりは、実際に仕事がこれだけ出てくる、新しく学校の修築をする、あるいは道路の改修をする、または下水道の整備をする。仕事をやることによって潤ってくるわけでございまして、どれだけ仕事が出てくるかというのが一番大きなことじゃないかと思います。 例えば、お話がありましたように学者さんがいろいろと言っておられる。実は、この中にもありますけれども、政府の直接の金でなくて開発銀行等を通じまして融資をするような仕組みも考えております。それは本来民間銀行でやる話だから、そんなものを勘定するのはおかしいじゃないかという御議論が民間の学者さんなんかからは出ておるわけでありますけれども、私はそうは思わないのでありまして、政府が開発銀行を通じましてそういった形で安い金を融資する、また、そういった項目を特定いたしまして融資対象にいたしますことによって確実に仕事が出てくるわけでございまして、もしもそれをやらなかったならば、一般の企業がやるかどうかということはわからない。むしろ、経済政策として積極的に仕事をどう与えていくかというのが私は一番大きな問題だと思います。 十三兆二千億というのはほとんどいろんな仕事に回るわけでございますから、そういった意味で仕事がこれだけふえてくるんだ、仕事がふえることによって雇用もふえます、雇用がふえることによって家庭の収入もふえてくる、さらには失業をすることがなくなる、それによって収入がふえてまいりますから、その方々がいろんな買物をされる、または外で食事をする、そういったところで料理店その他のところも潤っていくわけでありますから、私はまず仕事がどれだけふえていくかというのをやるのが一番大切なことだ、こう思います。 先ほど来政府委員からその数字につきまして御説明しましたけれども、私は基本はそこじゃないかと思いますので、十三兆二千億という数字は今までかつてないところでありますから、相当なものがある。私はこういうふうに宣伝してもいいと思いますし、またそれが正しいやり方ではないか、こう思っているところであります。
○前畑幸子君 林大臣のおっしゃいますのは、受取手形でも、今キャッシュが入らなくても、やはり仕事が出ることが先決ではないかということと理解させていただきます。 もう一つ、公共事業の配分については、所管庁別のシェアが大変固定化しておりまして、予算面なんかでも硬直化が生じていることはいつも指摘されていることでございますけれども、平成三年度から設けられました生活関連枠における住宅、環境、福祉施設など生活者の立場に立った配分を厚く行う必要があると思います。今回の公共事業の配分に当たって、こうした点に目の届いた、行き届いた改善がなされているかどうかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 委員御指摘のとおり、公共事業ないし社会資本というのは、私はそのときそのときの経済情勢、社会情勢におきまして、いわゆるインフラストラクチャーとしてのものをどう整備していくかということにかかると思いますし、それは時代の変遷とともに変わってくるものだろうと思います。 かつては、我が国におきましても、道路建設というものを中心にしてやっていかなければならない、鉄道の建設をやっていかなければならないというような時代には、そうしたものに重点が置かれたということは事実だろうと思います。しかしながら、国民生活が複雑化し、多様化していき、また豊かになってくるに従いまして、いろんな点での社会資本の整備というものはやっていかなければなりません。昨今におきましては、生活大国の実現というものを展望して景気の現状に的確に対応していくという観点から、新しいいろんなこと、新しい方策というものを打ち出しておるところでございまして、都市再開発であるとか電線類の地中化をすることであるとか、下水道とか集落排水等につきましてできるだけ配慮をして重点的、効率的な配分をしてきておるところであります。 いわゆる各省間のバランスということでございますが、それは全体としての予算の仕組みからしまして、今までのところもやっていかなければならないことでありますけれども、新しく生活関連枠というような格好でやってまいりましたし、また、今回の補正のシェアと五年度の予算の当初シェアと比較いたしますと、例えば下水道におきましては、五年度の当初シェアは一一・七%であった。補正で追加したシェアになりますと一四・八%になるというようなことでございますし、市街地再開発というような仕事、これも五年度当初シェアでは〇・四%、補正の追加シェアでは一・七%というふうに変わってきておるところでございまして、今まさに要望されるところの新しい時代に対応して生活大国の実現を展望しながらやっていかなければならない。特に、景気刺激ということでございますから、そういったことを配慮して今回の補正も考えておるところでございます。
○前畑幸子君 この十七ページにも、公共事業の内訳に「快適な生活環境の形成に資する事業」ということで前向きに取り組んでいただいておるわけですけれども、新しい言葉として新社会資本整備という言葉が今盛んに言われております。これはこれまでの公共事業で手の届かなかった情報通信基盤とか教育、医療、福祉施設などの充実、社会基盤を重点的に整備するものということで、九四年度予算編成で宮澤総理はこれを別枠とするというような前向きの意欲を示していらっしゃいますけれども、大蔵省は余り乗り気でないとお聞きいたしておりますが、どういう理由からでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 新社会資本整備とか、私たちの方は新しい社会資本の整備、こう申し上げているわけでありますが、なぜそういったことになっているかと申しますと、先ほど申しましたように、社会経済情勢の変化に応じまして社会資本の充実というものもだんだん重点が移ってくるということは私は事実だろう、こう思うんです。特に、生活大国五カ年計画というようなものも出ましたし、そうした将来展望を踏まえながら、また景気の動向に的確に対応していくためにこのことは重要であろう、こういうふうに考えているところでございます。 ただ、新社会資本整備という形になりますと、何か一つのものがかちって出てくる、こういうことでございますが、私はそういったものではなくて、先ほど申しました下水道の整備であるとかいうようなものにつきましても、今までもずっとやってきているところのものでございますから、改めてどうだという話ではない。それをどこの範囲までが新社会資本整備かという形でくくるかというのはなかなか難しい。 もう一つ言いますと、それじゃ新社会資本整備でないものは旧社会資本だと、そんなことになると、一体どこからどこまでが新でどこまでが旧だなどということは私は非常に難しいんだろう、こう思いまして、そういった意味で新しい時代に対応していくところの社会資本の整備というものをやっていかなければならない、こう思っているところでございます。 また、社会資本の整備は公共事業だけでやっているわけじゃありません。いろんな医療施設であるとか社会福祉の施設であるとか、そういった施設もございますし、教育、研究等の高度化、情報化等に対応する各施設等もありますから、そういった整備もやっていきますし、また民間におきましても、社会資本の整備と言われるようなもの、例えば電線を地中化いたします。東京なんかでもありますけれども、電線を地中化すればずっと都市の美観上もよろしいし、いろんな交通の問題等からしても非常によろしいということでございます。そういったような形のものは、実は公共投資というような格好での政府の金ではなくて日本開発銀行等を通じまして財政投融資という形でやっているところでありまして、私は、そういったものは、新しい社会資本の整備と言った方が紛らわしくなくていいんじゃないか、むしろそういった形で積極的に進めていくべきものだろう、こういうふうに思っているところでございます。 何もかも皆一緒にしまして公共事業というような形でくくるというのは、私はもっと広い概念を持っているものがこの新しい社会資本の整備じゃないかな、こういうふうに考えているところでございます。
○前畑幸子君 しかし、今回の対策では何回も速効性のある事業という観点から提案がされているような気がいたします。要するに、私は新社会資本整備というものは中長期的なビジョンに裏づけられてきちっとされたものでなければならないと思うわけです。その辺大蔵省とそんなに違うわけではないですけれども、速効性のあるものに力を入れていくことになりますと、四百三十兆円の公共投資の基本計画も見直す必要が出てきてしまうのではないかなと心配をするわけですが、そんな心配は要らないでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 四百三十兆というのは相当大きな話でございますし、それを今どうしてやるとかなんとかということを考えておるわけじゃありません。新しい社会の情勢に応じまして社会資本をどう整備していくかという大まかな話でございますから、毎年毎年の予算の段階におきまして私たちは考えて、その結果としてそのぐらいに大体なるだろう、こういうふうな見通しでやっているところでございます。 もちろん、そういったことを、一つの大きな枠組みというか目標というものを抜きにしていろんなことをやっていくのもどうかと思いますが、基本的な考え方というのは私はそういったふうに考えていったらいいんじゃないかと思います。 ただ、もう一つ申し上げますと、速効的直接的と、こういうふうな話がございました。これは、速効的なというのは、今まさに仕事をやりまして、そうすると工事発注をいたします。発注をいたしますと、それから金が回ってくる。こういう形でありますから、そういった意味で私は速効的なということが言えるんだろうと思います。早く仕事をやってくれなければならない。ことし発注しておいて来年とか再来年とかに仕事を入れようというのじゃ速効的ということにならぬのだろう、こう思いますので、仕事は仕事としていろいろと今から準備をし、できるだけ早くやっていかなければならない、こう思っているところでございます。 もう一つ申しますと、正直言うとこの予算を今の段階に出しまして出てまいりますのは学校の施設であります。先生も御承知のように学校は夏休みがある。夏休みの間にいろんな工事をやったりなんかすると非常に学生のため、学校のためにもいいわけでございますから、今から予算を通していただいて、それでさっとやれば大体夏休みまでには間に合うようなことができるわけです。これがおくれて七月、八月ということになりますと、学校の生徒がおる間に工事をやったりするのはどうかねというような議論が出てきたりなんかしますから、そういった意味で速効的なものというのは、私はできるだけ早くやってもらうようにしたらいいんじゃないかな、こういうふうに考えているところでございます。
○前畑幸子君 次に、五月三十日の東京新聞に「税収不足三兆円規模」という大きな見出しで記事がありました。一九九二年度の税収が政府見積もりを大きく下回り、三兆円規模の税収不足になる見通したということです。 補正予算後の政府見積もりを大きく下回るわけで、昨年の十二月に約五兆円の減額補正を行っているわけですから、九二年度の当初予算と比較すると合計八兆円の見積もり違いになってくるということでございます。九二年度の税収不足の見通しと、これほどの見積もり誤りを計算されるということはどこに原因があったのでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 確かに新聞等でいろいろと言われておりますけれども、まだ私どもの方では、数字が出ていますのは全体の七〇%ぐらいのところまでしか出ていませんので、四年度の税収がどうなるかということを確たる数字で申し上げる段階にはなっていないと思いますが、今までのところで見ましてこれを想定してみますと、税収の動向はなかなか容易ならざるものがあるなというふうに考えられるところでございます。 いずれにいたしましても、そういったものをどうしてやっていくのか、またどういうふうに考えたらいいのかにつきましては、政府委員の方から詳しく答弁をさせたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) 今日ただいま現在におきましては、この三月末の税収までしか判明しておりませんが、四年度分の所得税の確定申告の結果が明らかになりまして、これが前年に比べますと約四割減と予想を上回って低調でございましたことから、四年度の申告所得税収が補正後の見積もりを相当下回るということは避けがたいことだというふうに思っております。 ただ、今大臣からも御答弁ございましたように、四年度税収全体につきまして見ました場合に、これはなお四月分の税収が確定値としてどうなるか、さらに特にウエートの大きな三月決算法人に係ります法人税でございますとか、あるいは消費税が納付されてまいります五月分税収の動向を十分注視していく必要があると今は考えております。 それらの状況を確認する必要があるわけでございますけれども、税収全体につきましても、補正予算の見積もりで想定しました税収動向の達成は容易ではない状況に立ち至ったというふうに思われるわけでございます。 なぜそのような状況になってきたかということにつきましては、さらにこの内容につきまして十分な精査、分析が必要だと思われますけれども、申告所得税収がここまで予想を下回りました一つの理由といたしましては、土地の譲渡所得が私どもが想定しておりました水準をかなり下回ったということに大きな原因があるように思われます。そういった点を中心にしまして、この状況につきましてはさらに分析をしてみたいと思っております。
○前畑幸子君 今、土地の譲渡所得が大変落ちたとおっしゃいますけれども、十二月の時点で減額補正を行っているわけで、十一月までの土地の取引を見てみればそれは明らかなことです。十二月の最終に駆け込み譲渡があったにしても、それは大したウエートを占めないものではないかなと私は判断します。十一月、十二月初旬の時点でどれだけの土地取引があったかということを把握すれば、これだけの差額というものは十二月の時点でもう既につかめたのではないかと思います。 そして、三月の個人申告がこれだけ落ち込んだということは、次に九三年度の七月-十一月の予定納税額がそれだけまたマイナスになるわけですから、今年度は大変な減収になってくるのではないかと私は心配いたします。減ることはこれは政府の責任でないとおっしゃるかもしれませんけれども、やはりそこに経済指導の間違いがあって結果がそうなるわけなんです。 それでは、この税収不足をどのような歳入で賄われるのかということもこの新聞に書いてございますが、「一兆円以上は埋め切れず、歳入欠陥となる可能性が強い。この場合、国債整理基金から必要額を決算調整資金として繰り入れ、穴埋めする」ということですけれども、九三年度末で国債整理基金からどれほどの要するに資金を融通されるつもりでございましょうか。
○政府委員(涌井洋治君) ただいま税収についての話がありましたけれども、四年度の決算につきましては、三月末までの税収実績ということでございますので、進捗割合が七割ということで、まだ不確定な要素がたくさんある。そのほかに決算の場合には税収以外に税外収入がどうなるか、それから他方、歳出につきましても、これは例年決算段階である程度の不用が出てきます。そういう部分も現段階では判明してないわけでございますので、確たることは申し上げられないわけでございますが、仮に、それでもその結果として決算上の不足が出てきた場合には、決算調整資金制度がございますので、それによって対応することになるわけでございます。 具体的に申し上げますと、決算調整資金から一般会計に資金を組み入れて決算不足に対応する。それで、実際、現在決算調整資金はゼロであるわけですけれども、それの不足分は国債整理基金から決算調整資金へ繰り入れを行うこととしております。 なお、国債整理基金からどれだけ入れることができるかという点につきましては、不確定要素がございますので、現段階では確たることを申し上げられない状況でございます。
○前畑幸子君 決算調整資金の残高はゼロであるから、要するにすべて国債整理基金から来るわけですね。そうしますと、国債整理基金の方の資金繰りが大変厳しい状況になるのではないかと思いますけれども、その辺の見解はいかがでしょうか。
○政府委員(涌井洋治君) 国債整理基金から決算調整資金へ繰り入れた場合には、仮にことしの決算でそれを実施した場合には、法律上、六年度までに繰り戻すことが義務づけられております。ですから、これはいわゆる国債整理基金に属する現金を一時的に融通するものという制度になっておるわけでございます。
○前畑幸子君 ちょっとよく理解できませんけれども。 ことしの秋には恐らく九三年度予算の税収見積もりが下方修正されることになると思いますけれども、きのうの新聞ですか、大蔵省の方針として、概算要求基準を引き締めるということのようです。「投資的経費をマイナス五%とするほか、公共投資の伸びを確保するための生活開運重点化枠など別枠措置の改廃を柱に検討する。」ということがもう既に書かれているわけです。先ほど一生懸命重点的に政策をとおっしゃって、もう次の新聞には「改廃を柱に検討する。」となっているわけですけれども、この辺はどういうふうに理解したらいいものでしょうか。
○政府委員(涌井洋治君) 平成六年度の予算編成の第一歩は、平成六年度のシーリングの設定になるわけでございます。確かに、現在の税収の状況を見ると、来年度の財政も大変厳しいものにならざるを得ないと考えているところでございますが、来年度のシーリングをどうするかについては、新聞はいろいろ書いてありますけれども、全く我々財政当局の方ではまだ検討に入っている段階ではございませんので、白紙でございます。これから検討していくところでございます。
○前畑幸子君 今回の住宅取得促進税制についてお伺いをさせていただきたいと思います。 私、これはマンションとか住宅とかを売る一覧になっている本から拾い出したんですけれども、新築住宅を買うとき、それから新築マンションを買うとき、中古住宅を買うとき、貸し付けの面積がそれぞれ違うわけですね。これは建設省にお聞きした方がいいかと思いますけれども、その違いを御説明いただけませんか。
○説明員(石井正弘君) お答え申し上げます。 住宅金融公庫の融資制度におきましては、良質な住宅ストックの形成あるいは居住水準の向上を図るという観点から、対象の住宅の規模につきまして下限の面積を定めているところでございます。 具体的に申し上げますと、融資の種別についていろいろございますので若干異なるわけではございますが、主なものを申し上げますと、戸建て住宅の建設資金につきましては七十平方メートル以上、マンションの購入資金につきましては五十平方メートル以上、それから中古住宅購入資金のうち、マンションにつきましては四十平方メートル以上、戸建ての場合は五十平方メートル以上。 主なものでございますが、以上のようになっております。
○前畑幸子君 これは、中古住宅の場合は四十平米以上ということで据え置きなんですね。 それから、上限はどうなっていますか。
○説明員(石井正弘君) 個人住宅建設につきましては、先般の総合経済対策の中で二百四十平米というふうに上限を引き上げでございます。それから、中古のマンション、戸建てにつきましても、同様二百四十平米ということで上限は一律になっております。
○前畑幸子君 大蔵省にお聞きしたいのですけれども、今御説明いただいたように、上限は二百四十平米ですけれども、下限が新築と中古とによって違っているんですね。 最低床面積を四十平米にしたのは、五十五年に四十平米以上百六十五平米となったんです。それまでは百二十平米以下、百六十五平米以下ということで下限がなかったんですけれども、この四十平米というのを設定された理由はどこにあるのでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘のとおり、昭和五十五年度の改正におきまして、住宅取得控除の適用対象となります新築住宅の床面積につきまして、四十平米以上という最低床面積基準が設けられたわけでございます。そもそも、この住宅取得促進税制という制度自体をお考えいただきますときに、これは政策税制でございまして、基本はそのときの国の住宅政策、その住宅政策が施行される目的を遂行していかれるお手伝いを税制上の措置としてどこまでしていくかということであろうかと思います。 今の前畑先生のお尋ねを伺っておりまして思い出しますのは、住宅政策の展開として建設省におきます住宅建設五カ年計画が一期、二期、三期と取り運ばれるに従いまして、目指す目標というものもだんだん移り変わってまいりました。第一期のころ言われておりましたのは、一世帯一住宅の実現、第二期のころは一人一室規模を有する住宅の実現というような目標がたしか定められておったと思います。 この五十五年のころといいますと、ちょうど第三期の住宅建設五カ年計画が走っておったころかと思いますけれども、このころになりまして、それまでの住宅難の解消から一歩進みまして居住水準の目標の設定ということが言われるようになり、その中に最低居住水準といったような概念が盛り込まれてきたということがあったかと思います。 そういった一般的な住宅政策の運営というものを受けて、税制におきましてもある一定以上の居住水準に目標を絞った住宅政策に合致した促進税制であるべきであるという議論から、そのような方策が講ぜられたというふうに記憶いたしております。
○前畑幸子君 じゃ、今回五十平米に引き上げられた理由はどこにありますか。
○政府委員(濱本英輔君) それから少し時日が経過いたしまして、この五年度改正におきまして最低床面積が四十平米から五十平米に引き上げられたわけでございますけれども、今、住宅建設五カ年計画の方は第六期の五カ年計画に移っておりまして、四人世帯の最低居住水準といたしまして五十平米というものを計画が想定しておったかと存じます。 そういう状況下におきまして、住宅取得促進税制のあり方というものをこの時点でもう一度見直しましたときに、幾つかの手直しとあわせまして、この点につきましても手直しを行うことが適当と判断された次第でございます。
○前畑幸子君 その何次計画というのは結構なことだと思うんですが、一つ例を申し上げたいと思いますけれども、現在のマンション購入者は大体三十代、四十代のサラリーマンの方が大半だと思うんです。平均的な購入価格、年収の五倍と言われますとまあ大体四千万円前後ではないかととらえていただきたいと思うんです。しかし、首都圏の徒歩圏で買おうと思いますと、まだまだ地価も高いわけですから、上限をふやしていただきましたけれども、四千万では二百平米なんというマンションはとても買えません。 そうしますと、この購買者たちが適用除外になるような住宅促進税制というものは、私はいかがなものかなと思うんです。大蔵省の皆さんがこうした三千万から四千万のマンションを購入される層の実態というものをどこまで把握していらっしゃるのか疑いたくなるような今回の四十平米から五十平米への下限の引き上げなんです。 一つの例を申し上げますけれども、これは大蔵省の職員の方です。本年の四月に売り出されました平塚市の新築マンションを買おうと思われました。平塚駅から歩いて五分のところです。価格が三千八百万円から四千三百万円、何とか買えるということで、専有面積五十二平米と書いてありました。しかし、御専門家ですから、登記簿上何平米か調べられたら、四十九平米だということなんですね。住宅金融公庫の融資はばっちり受けられますけれども、税額の控除が受けられないために、この方はこのマンションを買うことはやめられたんです。 これでは本当に庶民のための住宅促進税制なのか。五十平米なんというのは小さな部屋で、そんなところに住めるわけないとおっしゃるかもしれませんけれども、私、きのう名古屋からも取り寄せたんです。中古マンションですと四十八・九八平米で千三百八十万円、それから四十三・五一平米で二千八十万円、こういう物件が中古で売りに出ているんです。やはり新婚の御夫婦とか共働きの御夫婦は、少々狭くても場所のいいところでということでこういう物件を一生懸命探していらっしゃるんです。これでも約十四、五坪あるわけですから、皆さんどれだけ大きいお家に住んでいらっしゃるかわかりませんけれども、私はこの程度だと思うんですね。 そうしますと、そういう方たちが今度四十平米から五十平米に上がったことによって全員対象から外されてしまうんですけれども、これが庶民のための促進税制と言えるんでしょうか。いかがでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 住宅取得促進税制は、先ほど申し上げましたように、居住水準の向上という総合的な住宅政策のねらいと同じ目標を共有する制度でございますし、あわせて今回の改正もまさにそういうことなんでございますけれども、内需の拡大に資するという観点からもこの税制を展開していこうという論議がこれまで行われてきた。そういう論議を背景として持っている制度でございます。 したがいまして、この制度の本旨というのは新築住宅の取得を促進するということに置かれていると従来考えられてまいりました。ただ、それに準ずるものとしまして、既存住宅につきましても一定の要件を備えたものにつきましてこれを取り込むということがこの制度の歴史の中途で行われたわけでございますけれども、本旨はそこにあるということが一つございます。 その上で、一体どの程度のものを助成の対象にすべきかということを考えなければならぬわけでございますけれども、私どもの立場からしますと、これはやはり税制として、税制の中のいろいろな秩序、税制上の要請といったようなものを制度に組み込まなきゃならぬということは当然でございますけれども、その基本にございます目指す政策というのは、国の住宅政策そのものになるべく合致したものでなければならないということを心がけるといいますか、手がかりとして進まざるを得ないわけでございまして、先ほど申し上げましたような建設省の基本的な計画の想定します水準というものがその場合重要な意味を持つというふうに従来受けとめてきたわけでございます。 それでは、前畑先生の今の御趣旨とは少し飛躍するかもしれませんけれども、国が望ましいと思う良質の住宅ストックを形成していくということはわからないではないが、他方で、例えば自力で最低居住水準を確保することができないような階層の人たちに対して住宅政策はないのかという問題にぶつかるような気がいたします。 その点につきましては、これは建設省からお答えいただくべきことかと存じますけれども、私どもが聞き伺っているところで申し上げれば、そういう階層に対する国の対応としましては、当然公的主体による住宅供給、そういう角度からの助成というものをもう一つの柱として展開していく、そういった総合的な政策展開というものの中で住宅水準、居住水準というものの向上を目指しながら、本当に気の毒な方々に対する別の手助けもなさる、こういう組み立てで今日の住宅政策はあると理解しております。 今御指摘の平塚のケースにつきまして、たまたま基準を外れるという問題がそこに生ずるわけでございますけれども、こういう制度の場合に、どこかで一線を画するということになりますと、どうしてもその一線の前後でそういう問題が出てくるということにつきまして、これはやむを得ないことかと私は思います。 もし問題があるとすれば、その計画におきまして一定の目標を設定し、居住水準を吟味する段階におきまして、そういった論議がどのように行われるかということではないかと思います。これは我々の所掌を越える問題でございますけれども、そういうふうに理解いたします。
○前畑幸子君 今の御説明を聞いておりますと、住宅促進税制というのは、新築住宅なり新築マンションを建てる人たちのために、売りやすくするというふうに理解されても仕方がないような御説明のような気がするんです。私は、住宅にお金を使うから所得税を緩和しようというのがねらいの一つの柱でもあるのではないかなと思いますと、やはり住宅金融公庫と税制というものは、国民のための融資制度であり国民のための住宅取得の恩恵なわけですから、同じ基準でしていただかないとちょっと腑に落ちないんです。 中古マンションというのが、狭くなって出ていかれる、その後をまた次の若い世代が買うという、そういう中古マンションの動きが今大変多いわけでございます。そうすると、昔の住宅政策の上から五十平米以下で二DK、二LDKという住宅が多いわけですので、住宅金融公庫の対象になっているならば、税制上もこの四十平米というものを、下限も守っていただかなきゃちょっと片手落ちではないかなという気がいたします。 「住宅情報」などを見ていただくと、私も初めて今回見てみましたけれども、五十平米を切る住宅が、随分載っております。ですから、やはりそうしたきめ細かいところに、下の方に厚くしていただくのが税であって、何も二百四十平米、七十三坪近い方たちをどんどんふやしていくのではなくて、もう少し心の通った税制というものをしてもらいたいものだな、十五坪はもう住宅として認めないんだ、今後の政策としては二十坪以上のものを建てていけと言われても、ちょっとこれは厳しい状況ではないかなと思います。 私はちょっと腑に落ちない気がしてならないんですけれども、それは、五十平米になるということに関連しまして大変いろんなところで問題が出てくるんです。まず住宅取得資金の贈与を受ける三百万までの無税がありますね。これも軽減措置のものも五十平米以上となるわけですし、それから住宅用家屋の所有権の保存登記とか登録免許税の軽減措置なども同じように引き上げられるということですから、そうしたものを全部加味しますと、五十平米以下のマンションを買った層にはかなりの負担がかかるということなんですけれども、大臣、どうお考えになられますでしょうか。私は、そんなところにすべてにこの十平米というのは被害が出てくるような気がいたしますが。
○国務大臣(林義郎君) 政府委員からまた御答弁をさせますが、今回やりましたのは、一つには、住宅建築促進税制というような格好でありまして、先ほど来申し上げておりますように仕事をふやしていくというのが今回の対策だと思うんです。したがって、住宅の問題でありますから、中古住宅でも、そこに安く入れるというような配慮をすることも必要でありますが、住環境の整備という形であるならば、当面の施策としてやりましたのは、新しい住宅を何とか建ててもらうことによりましていろんな景気刺激になるだろうと、こういうふうなのが一つの今回の私はねらいだっただろう、こう思うんです。 そうした意味でいろんなことを考えておったところでありまして、先生の御指摘のような四十平米云々、確かにいろんな問題が私はあると思います。それは住宅政策全体の問題としてありますが、当面は私はそういうことで考えていったと思いますし、それから、これから一体日本の住宅をどういうふうにしていくのか。私は、やはり国民生活がだんだん豊かになっていけばなっていくだけ、長い目でかけて広いところの面積を持ったゆとりのある生活ができるようにしてあげた方がいいんじゃないかこう思っているところでありまして、いろんなことをそれから考えていくのが、もう一つ別の観点からやる話じゃないだろうかなというふうに思っています。 詳しくは政府委員から答弁をさせます。
○政府委員(濱本英輔君) 一言、先ほど御答弁申し上げましたことにつけ加える形になりますけれども、前畑先生のお考えは、望ましいと思う住宅水準、居住水準というものが整っていく、その居住水準に向けて全体を誘導していくという行政そのものを否定していらっしゃるわけではないのではないかと私は勝手に推察させていただくわけでございます。ただその場合に、その水準に漏れるもの、そういうものの中に非常に気の毒なケースが多々出てくるということでは問題ではないかというお気持ちでおっしゃっていただいているんじゃないかという気がいたすわけでございます。 そうだといたしますと、私ども、税の世界でこの問題に向き合いまして思いますのは、まさに考え方として、床面積の最低基準を設けること自体を否とするわけではなくて、その線引きの仕方に問題があるという御指摘かというふうに思えるわけでございます。 となりますと、線引きの基準というものを先ほど申し上げました根拠によっているということでございますので、やはりもとに返ってそこをどう考えるかということが結局問題になるのかなと、同じようなことを繰り返して恐縮でございますけれども、そのように考える次第でございます。
○前畑幸子君 そのとおりです。住宅は少しでも広くて優雅に暮らしたいのは私もそのとおりの希望ですけれども、やはり買えないということも理解していただきたいし、買える層がたくさんある層をどこに置くかということにも問題はあると思います。それは、広いところに住めるようにしていただくということは政策として必要ですけれども、置き去りになっていくところにも目をかけていただきたいなということをお願いしたいと思うわけです。 それから、もう一つついでにお聞きしたいんですけれども、住宅取得税制における床面積というのが、これは私ども税務の申告をしていますと、年に何例となく事案が出てくる問題なんです。 住宅金融公庫の場合には専有面積五十平米あれば貸し付けの対象になるんですね。ところが税制上は登記面の平米でいくわけであります。そうしますと、マンションなんかは、内心寸法といいまして壁の中心から中心で寸法をはかりますと、先ほど申し上げたように五十二平米あっても四十九平米になってしまう。マンションの場合そういう問題が非常に多く出てくるんです。 普通の一般のサラリーマンは、住宅を買いまして、五十平米以上あるからこれで還付申請ができると思っているところが、登記簿謄本を取って三月に税務署へ行くと、あなたは四十九平米ですからだめですよということが出てくるんです。こういうトラブルが実務面で実際に出ております。税務職員におかれても、本当に気の毒だと思うということなんですけれども、どうしようもないんですね。こういう問題をもう少しきちっときめ細かいところで指導していただく方法をお考えいただきたいなと思いますが、この違いというものはずっと前からあるわけなんです。 逆の面もあるんですね。上限が二百二十平米のときに、二百二十平米までだからこれで還付申告ができるなと思って、半年の間に車庫をつくってしまった。車庫をつくって、それが登記に載っていて二百三十になっていて対象にならなかったという反対の事例もたくさんあります。 ですから、その辺が、住宅金融公庫の対象と税務上の対象が食い違いがあるというところに非常に泣く納税者があるということに関しまして、大蔵省の方の御見解は仕方がないと言われると思いますけれども、いかがなものでしょうか。
○政府委員(松川隆志君) 住宅取得等の特別控除の床面積の要件の判定に当たりましては、先生御指摘のとおり、マンションなどの区分所有の家屋でございますが、これにつきましては専有部分をどう計算するかということでございます。 この計算に当たりましては、不動産登記法施行令第八条におきまして、いわゆるこうした建物につきましては、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分によることということになっておりまして、住宅取得等特別控除につきましてもこれと同様に計算することとしております。 そしてまた、このように取り扱っていることの背景といたしましては、施行に当たっての省令におきまして、適用を受ける場合の所得税の確定申告の添付書類として登記簿謄本、または抄本ということになっております。これと対応するように考慮しているということでございます。 以上でございます。
○前畑幸子君 それはわかっているんです。それを説明していただくつもりはないわけですけれども、要するに住宅金融公庫と税法上が素人にわかりやすく一致したものに、各省庁でおれのところの平米はこれだ、僕の方はこういうふうだということでなくて、やはり国民のサイドに立って決めていただきたいなということをお願いするわけでございます。結構でございます。 それから、特定扶養親族の問題でございますけれども、これは社会党も扶養親族に関しましてはお願いをしているわけですから、ふやしていただくことを私は否定するものではありませんけれども、十六歳以上二十三歳までということで年齢制限をされているわけですね。中学で就職する方、高校卒業で就職される割合は微々たる数字であると思いますけれども、大学生、高校生に厚い控除を与えるならば、こうした低年齢で働きかけた人たちに対しては基礎控除を十万円ふやすというのが子供にとっての平等ではないかなというような、私なりの感じでございます。そしてまた、例えば低学年の子どもさんをたくさん持っていらっしゃる方、それから高学年をお一人、二人持っていらっしゃる御家庭においても差がつくのではないかと思うわけです。 要するに、大学生にはお金がかかるからというところが基本だとは思いますけれども、これから子供を少しでもたくさん産んでいただきたいという国の政策としては、こういうあり方よりも、第一子は控除幾ら、第二子は控除幾ら、第三子は控除幾らというふうにされると二人三人産んでいただけるのではないかなというような考えも持つわけです。これはお答えいただかなくても、私のひとり言と思っていただいて結構でございます。 最後に、毎回大臣にお願いを申し上げて、今回も残す時間で少しお願いがしたいわけですけれども、先回来大変大臣にも前向きの御答弁をいただきました相続税の延納から物納への件でございます。 物件を売却したくても不動産市場の冷え込みなどで思うように売れないという被相続人の立場、将来の売却に多少の望みを託して一生懸命努力をしているんですけれども、先日の四月六日、七日、八日の各新聞に、こうした事態を重視され、延納申請を物納に切りかえることを認める方針を九四年度の税制改正に盛り込むことを決めていただいたということで、大変うれしく思います。なお一層、確定していただきたいなと思うわけです。 ここで私思うんですけれども、延納した人を物納させていただきたいとお願いしたんですけれども、お国の側にとっても、土地ばかりたくさんいただいたんでは先ほど来悩んでいる税収不足に拍車をかけるわけなんですね。ですから、今年度から、相続発生から二年以内に相続物件を売った場合には相続した土地に対する相続税額を全部控除するということが出てまいりました。これをもう一つ延納申請から物納に切りかえる層にも当てはめていただくわけにはいかないものでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) ただいまの御提案といいますか、もともと、この問題は前畑先生が前々から我々に御主張ありましたことでございまして、そのたびに私どもが原則論を申し上げ、それに対して危機的な状況につきましてまたお話を伺いということでございます。 今回、率直に申しまして、先ほど来長々御指摘ございました住宅取得促進税制の例に象徴されておりますように、一つの制度をつくりました場合に、その周辺に山ほど問題がある。そのケースケースを吟味しないで、あるいは吟味し尽くさないで新しい施策を講ずるということにつきまして、慎重を期すべしという御教示のようにも承ったわけでございますが、そういった中で、今の相続税の問題というのはよほど実情をよく調査し、法制的にも対応できるものかどうかを吟味しないと軽々に措置が講ぜられるものでないということは前畑先生十分御承知いただいていることだと存じます。 そういう中で、私どもも果たしていかなる対応が必要か、いかなる対応が可能かということを率直に申しまして今勉強させていただいております。ただ、勉強勉強というのはいいが、傍らでもう火のついている事案がある。それに対しましては、先ほど来お話ございましたように国税庁で当面の措置というものを講じてもらったわけでございまして、この当面の措置が貸してくれている時間の中で私どもは勉強を進めるつもりでおります。 そのときのお話でございますけれども、今先生が御指摘ございましたやり方というものは、これはちょっと別の意味合いで二年という期限を切りまして今のような措置をお認めしておるということでございまして、果たして延納から物納へ切りかわりますケースというもの、これはこれからよく考えてみなきゃならぬことでございますけれども、物納の場合というのはそもそも譲渡所得税が非課税になっているわけでございます。そういう状況でお気持ちをどこまで酌み取り得るのか、それから、そもそもここに今我々がいただいております問題を解決するのにそのような手法、それに近いような手法というものは何か適当な答えになるのかどうか、にわかに判断つきかねるところでございます。 この件につきましては、前から申し上げますように非常に基本的な問題を含んでおるように思っておりまして、よく吟味をさせていただきたい、かように存じます。
○前畑幸子君 ちょっと言い方が今は簡単に申し上げたので御理解がいただけなかったかと思いますけれども、今年度からの相続の申告者に関しましては、相続した物件を売却した場合、相続人が納付しなければならない全相続税の中に占める土地に対応する相続税は全部控除してもいいというのがことしから入ったわけですね。それを、私が先回来お願いしている九〇年ごろからの相続発生者にも対応していただく方法をお考えいただいてはいかがかということです。 といいますのは、来年か再来年ぐらいには多少は、このまま土地が動かないわけはないわけですから、やはり自助努力というものも納税者にはさせなきゃいけない、物納すればいいだけでは私はいけないと思っております。お国も、土地ばかりいただいて、フェンスを張って草を取って持っていただいても、税収不足になるだけですから、お困りになるわけですからね。国民としてはとにかく相続した物件を前向きに売却して金銭納付できる方法を私たちは指導しなきゃいけないと思いますけれども、納付しやすくする手だてをこの三、四年の相続人に考えていただくならば、こういう方法も選択の一つとしてお考えいただきたいなと考えているわけです。 相続してから二年以内に売った納税者だけが対象になるわけですけれども、その期限もこの際もう少し、せめて倍の四年ぐらいに延ばしていただけると、二、三年すれば多少は土地も動き出すのではないかなということを私は考えてお願いをしたわけでございます。
○政府委員(濱本英輔君) 今回の、先生が先ほどからおっしゃいます相続税の支払い額を取得価額に上乗せをして譲渡所得を計算するという方式、これを取り入れさせていただきました理由は、今回、平成四年から土地の相続税の評価の適正化が行われましたし、それから譲渡所得課税につきましても税率の引き上げが行われた、そういう納税環境の変化、ほかのルールの変化というものと見合った措置でございますから、それを直ちにさかのぼらせて拡大適用していくということには私はなじまないというふうに思います。先生のお求めになっていらっしゃる核心部分のお答えというのはもっと別の方法で探すべきであろうという気が私は直感的にはいたします。 ただ、それがにわかにどういうことか、特に先ほどちょっと古い年次の御言及がございましたけれども、やはり私はこの問題というのは、地価高騰のピークにございました平成二年、三年に相続を開始されましたような方々、その後あのような地価の下落が引き続き起こったと、そういう異常な局面におありになった方々をどうするかという問題として少なくともとらえ、それに対する最適な解というものを探してみたいという気持ちでございます。
○牛嶋正君 私は、租税特別措置というのは、今回の場合のように住宅取得の促進とか設備投資の促進あるいは中堅層の税負担を軽減するという特定の課税目的を持って導入されるわけでありますが、常に租税特別措置は課税の最も重要な基準であります公平性をゆがめる、そういう問題といいますか側面を持っているのではないかと思います。 そのため、これらの租税特別措置を導入するに当たりましては、この特別措置が持っている二面性、二つの側面を十分に検討して、公平のゆがみを上回る課税の効果というものが発揮されなければ、その導入は非常に認めがたいのではないかというふうに思います。そういう観点から、今回提案されております三つの租税措置についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 まず、最初の住宅取得促進税制の拡充でございますが、既に現行の所得税制におきましては、課税ベースから帰属所得、この場合は帰属家賃でございますが、これが除外されているわけでございます。したがって、同じ所得水準の納税者でありましても、持ち家に住む人と借家に住む人では税負担上の不公平が既に生じております。したがって、今回のこの住宅取得促進税制の拡充というのは、さらに住宅取得者に対しまして優遇措置でございますので、持ち家に住む人と借家に住む納税者の間の不公平を拡大するのではないかと思っております。それだけに、今回の促進税制が住宅取得をかなり促進する効果を持たなければならないと思っております。 今回、大蔵省は、減収見込み額で二百七十億円を見積もっておられますが、これによりましてどれほどの戸数の住宅の新設が予定されているのか、そのあたりから、促進税制の効果についてまずお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) 住宅というのは民間投資の中でも需要喚起のすそ野の広い分野でございまして、今回の措置というのは、先ほど来話題に出ております住宅金融公庫の融資での対応、また融資枠の拡大も図られたわけでございますけれども、それと相まって相当の内需拡大に資するはずであると確信しておりますが、これを定量的に計算いたしますことは非常に困難であろうというふうに思います。 ただ、牛嶋先生のお求めでございますので、一つの試算例というようなことでお許しいただければ、建設省の方で一つの試算がございますものを御紹介申し上げてみたいと思います。 従来、ベースデータというものが、融資の関連で、つまり金利がどれぐらい変動いたしますとどれぐらい住宅の着工がふえるかということを過去の実績から探るということは不可能ではないようでございまして、そういう意味におきまして、今回の措置が金利に置きかえますとどれぐらいの軽減負担効果があるかということを踏まえまして計算をいたしてみましたところが、一つの試算でございますけれども、おおむね六千億円程度の住宅投資の増加が期待される、そのような計算例がございますことだけ御報告しておきます。
○牛嶋正君 今、試算だというふうに御説明がありましたけれども、私はそんなに促進効果が出るのかなという疑問を持っております。 と申しますのは、普通のサラリーマンが自分の家を持つという場合、相当長い期間にわたる計画を立てて、いつどこでどういうふうな規模の住宅を持つかというふうなことを決めながら貯蓄をしていくんではないかと思うわけです。 ですから、そういう住宅を取得する計画を立てるに当たりまして、それではどういう要因が計画の内容を決めていく場合に作用するかと考えてみますと、自分の場合を振り返ってみると、所得水準、それから将来の所得の見込み額、これがやっぱり大きな要因ではないかと思います。それから地価水準、そして地価が今後どういうふうに動いていくか、地価の将来の動向も非常に大きい。それから、所得とこれは関係ありますけれども、一応計画の中で設定する貯蓄額だろうと思います。さらに、金融公庫等の借入限度額、どこまで借りられるのかということも大きいと思います。その次ぐらいに金利が来るのではないかと思うわけです。 そうしますと、今おっしゃいました、金利を実質的には引き下げるということで試算されたわけですが、私はこの金利の影響というのは若干取得の時期を早めたりあるいはおくらせたりするぐらいの、そういう効果しかないんではないかというふうに思っております。やはり一番大きいのは地価の動向である。最近の住宅建設の順調な伸びを見ておりますと、地価の動向というのが非常に大きいんではないかと思うわけです。 そういうふうに考えますと、この促進税制というのは私はそれほど大きな効果は期待できないのではないか。むしろ、それよりも普通の所得税減税と同じように消費を刺激する効果の方が私は期待できるんじゃないかと思っておりますけれども、先ほどの試算の数字とあわせましてもう一度その点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) 確かに、牛嶋先生の御指摘のように、住宅建設をいたします場合のそれぞれ当事者の心づもりと申しますか、心の中での計算というものは、通り一遍のものではなくて複雑なものであろうと思います。 ただ、先ほどお示しをいたしました計算例、ほかに適当な試算もございませんものですから建設省の試算を借りて御報告をいたした次第でございますけれども、これは長いそういう住宅建設の歴史と申しますか集積されたデータの中から一つの回帰として導き出された計算上の数字にすぎませんので、そのことを十分お断りをしなければいかぬと思いますが、局面局面によりましてその効き方も当然違ってくると思います。金利が非常によく効く局面というものもあるかもしれないという気はもちろんいたします。そういうものがならされた形での一つの計算例ということかと思います。 また、今先生が最後におっしゃいました点は、家が建てはその家の中にいろいろな新しい道具が持ち込まれる、そういうものが引き起こすところの一連の波及効果、そういうようなものが意味があるのではないかというふうにも聞こえたわけでございますけれども、事そこに至りますと、なかなか計算上それをお示しするということはさらに難しいという感じがいたしますが、もちろんそういうことを期待しての住宅政策であろうと存じます。
○牛嶋正君 それじゃ次に、設備投資減税についてお尋ねしたいと思います。 ここでは二つの項目がございます。中小企業機械投資促進税制とそれからいま一つは高度省力化投資促進税制でありますが、前者については、これも初年度だけでございますけれども、金利の引き下げと同じ効果を持っているのではないかというふうに思います。従来から認められておりました初年度一四%の特別償却率、これが三〇%に引き上げられます。差額の一六%について税の軽減がなされるわけですが、今、中小企業を想定いたしまして軽減税率二八%を想定いたしますと、初年度だけですけれども、大体四・五%ぐらいの金利の引き下げということになろうかと思います。 この数字を見ておりますとかなり効果が期待されそうですけれども、私は、こういった金利の引き下げが投資を促進させるためには、もともと投資の利子弾力性がかなり大きくなければならないと思っております。そして、その投資の利子弾力性というのは結局は投資の将来収益に基づいて出てくる数値だと思っておりますが、現状はかなり将来に対しまして暗い見通ししかいずれの企業も持っていないんではないか。したがって、バブルのときの過剰投資によって押し上げられた損益分岐点を何とか押し下げる、そういった方向に経営の方針が向かっているような気もするわけであります。 そういう状況のもとで、恐らく投資の利子弾力性はそれほど大きくはないんではないか、そういうふうに考えますと、この税制にとりましてもそれほど投資を促進するのかなという感じを持つわけです。これにつきましても、減税額といたしまして五百四十億というのを想定されておりますが、これから想定いたしますとかなりの投資促進効果を期待されているようですけれども、そのあたりの数値をもし試算されておりましたらお示しいただきたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) 確かに今の収益状況、そのもとでの企業行動というものを想定しました場合に、投資減税措置というものがどこまで効果を上げ得るのかというのは大いに疑問であるという御指摘は私どもよくわかります。 ただ、牛嶋先生が今御指摘になりました利子弾力性、将来の投資収益等に誘発されるところの投資という意味、そういう意味におきましては、これはいわば一般的な投資というものを想定してのお話かと存じますけれども、今回の講ぜられます措置というのは、かなり焦点を見定めました、一般的な政策減税というよりも非常に限定的なといいますか攻撃的といいますか、そういう気持ちを盛り込んだ措置になっておるということをひとつ御理解いただけないかという気がするわけでございます。 で、その効果というものを計算しますことも非常に難しい作業でございますけれども、これも通産省の試算として私どもが聞いておりますところを御紹介することでお許しいただきたいのでございますが、直接、投資の対象となります設備のほかに、これに付随して購入されると見込まれます設備、設備というものはそういうものがセットで動くものでございますから、そういうものを誘発してくるということを考慮に入れまして、およそ全体で二・五兆円、つまり二兆五千億円ぐらいの規模の効果が見込まれるのではないか。 ただ、この二兆五千億円という数字は、今回措置の対象になります設備そのものが新しくどれぐらいそういうものに投資されるかということを見込む数字でございまして、いわば今回の景気刺激措置によってプラスされる部分というよりも、根っこからの計算額であるということをお許しいただきたいのでありますが、そういうものがあり、さらにそれがいろいろな波及効果を生ずる。その波及効果の分というのはこの二兆五千億の中には盛り込まれておらぬと考えていただいていいわけでございますけれども、そういうものを考え合わせますと相当のプラスになるのではないかというふうに計算をしております。 その計算自体は、非常に難しい作業でございますので、アバウトなものであるというふうにお受けとめいただきたいと存じます。
○牛嶋正君 今、攻撃的とおっしゃいましたけれども、私もその点は看過しているわけではございませんで、これまでのシェア拡大第一主義と申しましょうか、多くの企業がとってきた経営方針、これは、今やむしろ効率を高めてそして減収の中で増益を図っていくという経営方針に変わってきているんではないかと思いますね。 そのためにはコストを下げなければなりません。コストの中でかなり大きな部分を占めておる人件費に関しましては、配置転換とか希望退職を募るとかあるいは新規採用を手控えるという、いわゆるリストラクチャリングを通じて進めているところだろうと思います。それから金利コスト、さらには販売費、これは広告宣伝費とか交通費、交際費等を抑制しながら販売費の削減を図っていく。こういったコストを削減していくに当たりまして、固定費としてかなりの部分で減価償却費があるわけです。この減価償却費を抑えていくということになりますと、もう既に設置されている機械を効率的に利用すると同時に、できるだけ新規投資あるいは置きかえ投資を先延ばししていくということにならざるを得ないわけであります。 しかし一方では、今申しましたように人件費の削減ということになりますと、この二番目の項目に挙げておられます高度省力化投資促進税制というのは、まさに人件費の削減のための投資と結びついてくるわけです。そういたしますと、全体のコストを下げるに当たりまして、人件費の削減が高度省力化の投資を進めることによってかなり進むとするならば、この税制についてはかなり期待を持つことができるのではないかと思っているわけであります。 先ほど、五百四十億円の減収で一応効果としては二兆五千億という数字をお聞きいたしましたけれども、この二つの項目でそれがどういうふうに想定されているのか、突っ込みなのか、もし分けられるとするならばどうなのかということをちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) この計算自体でございますけれども、通産省の試算にかかわるものと申し上げましたけれども、ある部分につきましては積み上げのデータによって捕捉し、またある部分におきましては過去のデータによって捕捉し、それを全体としてマクロ的に処理する部分はそのような方法で処理しておりまして、率直に申しましてこの中身を細かく分けてお示しできるような状況にはございませんので、その点をさっきアバウトと申し上げましたけれども、お許しをいただきたいと存じます。
○牛嶋正君 それでは、時間もかなり迫っておりますので、最後の特定扶養控除の引き上げについてお尋ねしたいと思います。 基礎控除、配偶者控除、それから扶養控除等の人的控除でございますが、所得税におけるこういった人的控除がどういうふうな意味を持っているのかということですが、私はこんなふうに考えております。 個々の納税者の担税力を算定するに当たりまして、その所得をそのまま担税力とはみなさないで、納税者本人、さらには配偶者、それから扶養親族が最低生活水準を維持するに必要な所得を控除して、それを超える部分について担税力を見出していく、こういうふうなことで人的控除がなされていると考えているわけでございます。ですから、この最低生活水準をどう見るかという問題はありますけれども、一応本人、それから配偶者、扶養者区別なく一人の人間が最低生活水準を維持していくために必要な所得は同額であるとみなして、本法では一応一定額の所得控除がなされているんじゃないか、こういうふうに思うわけです。私は、こういった見方の方が公平の基準に合致していると思うわけでございます。 ですから、その扶養控除の特例の中でも、老人扶養親族あるいは特別障害者である扶養親族に対する特例というのは、私はそれなりに、今申しました人的控除の役割というのはこの中で十分に認められているというふうに思います。と申しますのは、健常者に比べてそういった人たちは社会的弱者として同じ生活水準を維持していくためにより多くのコストがかかるということは十分に理解できるからであります。 だとしますと、年齢が十六歳以上二十三歳未満の特定扶養控除に対する特例というのはどういうふうな説明をしたらいいのかということでありますが、これは全く別な説明をしなければなりません。 今回の提案の中でも説明されておりますように、「教育等の諸出費のかさむ中堅層の税負担軽減に配慮する」ということであります。そういたしますと、同じように人的控除としてこの部分というのは取り扱えないんではないかと思っております。これから所得税の見直しを進めていくに当たりまして、やはりこの特定扶養親族に対する特例については問題が残ると思いますけれども、これについて大蔵省はどんなふうにお考えになっているのか、まずお聞きしたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) 諸控除の考え方につきまして、今先生から承りましたような考え方というのは基本的に私どもの考えておりますところと違いがないように思うのでございますけれども、特定扶養控除につきまして、そもそもこれが論ぜられるようになりましたきっかけと申しますものは、それぞれの世帯のライフステージごとの収入と支出の分析というものが一応できまして、それを順番に、世帯主の年齢がだんだん高じてまいりますにつれましてどういう変化をたどるかということを分析することができるわけでございます。 大数的に観察いたしますと、ちょうどお二人の子供のうち十六歳ないし二十二歳のゾーンにその子供たちが入ってくる、そこで、収入額も非常に高い、一生のうちで大きな額の収入を得ている時期には差しかかっているわけでございますけれども、支出額がそれをさらにかなり超えてしまう、そういう非常に厳しい生活条件にさらされる期間がある。その時期に、その世帯主にどれだけの担税力を求めるのかという論議になりまして、これは教育費ということに限定したわけではない、教育費というものもその中の要素であるということは想定されますけれども、限定したものではない。一つのライフサイクルに即した控除のあり方としてそういうアプローチというものは可能であろうというふうに議論されたことでございまして、私どもとしましては、その限りにおきましては、この控除というものを所得税制度の中に持ち込むということはぎりぎり可能かなというふうに思っておるわけでございます。 しかし、今後、この制度をどのようにさらに将来に向けて考えていくかということになります と、ベースにございますのはそういうライフステージにおける収入と支出の状況ということでございますので、そういうものがどのような層にどういうふうに変化していくか、当然そういう議論と結びついてくる話でございますから、この控除のあり方自体をそういう目で今後追いかけていくことは必要かと存じます。
○牛嶋正君 今の説明で私よくわからないんですが、担税力というのはどれだけ生活をしていく場合に費用がかかるかということじゃなくて、所得税の場合には稼得した所得というのが担税力を図るベースではないかと思います。ですから、そういう生活費が一定の年齢のところでかさむということに関しましては、それは別な方法で見ていくべきではないかと思います。こういう議論をいたしますと、所得税の議論になってしまいますので、一応それはそれでおいておきたいと思います。 最後の御質問ですけれども、いずれにしましても、そういった中堅層の税負担の軽減ということでございますが、こういった所得控除で軽減を図っていくと、こういう問題が出てくるんじゃないかと思うんです。 今三人の納税者がおりまして、家族数は特定扶養親族二人を抱えている標準世帯であるというふうに仮に想定いたします。違うのは所得でありまして、年収が五百万、七百万、一千万の三人の納税者を想定いたしますと、大体課税最低限が三百万といたしまして、課税ベースは二百万、四百万、七百万となりますが、限界税率がそれぞれ一〇%、二〇%、三〇%ということでございますので、二人で十万円の所得控除を受けたといたしまして、最初の所得五百万の人は一万円しか軽減されない、七百万円の人が二万円、それから一千万円の三番の人が三万円になる。最も税の軽減を図ってほしい人は最初の五百万の年収の人だと思うんですが、それが一万円しか軽減されない。 これは所得控除の場合はこうならざるを得ないわけですけれども、軽減ということであれば、むしろ税額控除でもいいのではないかというふうなことも問題として起こってくるということで、この点についてお考えがございましたら最後にお聞きして私の質問を終わらせていただきます。
○政府委員(濱本英輔君) 今の問題の御提起は、所得控除でいくべきか税額控除でいくべきかという、要するにその点にあろうかと存じますけれども、課税最低限を構成いたします人的控除がすべて所得控除にそろいましたのはシャウプ勧告に基づきます税制改正以降というふうに記憶いたしております。 シャウプのもとでどのような議論があったのかということを記録をたどってみますと、結局、納税者にとって所得レベルで控除するというやり方が非常に便利であるというような議論でございますとか、例えば同額を大世帯と小世帯との間の税負担の配分を公平にするという観点からしましても所得控除の方がなじみやすいのではないか。つまり、これいろいろな考え方ができるとは思いますけれども、さっきちょっと牛嶋先生もお話しくださいましたように、基礎的な非課税部分というのは例えば家族構成等に応じてもちろん増減いたしますけれども、生活に必要な費用というものは所得の大きな世帯でも所得の小さな世帯でもそれほど差はないという考え方ももちろんあろうかと存じます。そういうことから、控除を所得にそろえたということは議論あっての選択であったというふうに記憶いたしておりますし、その上にこの累進構造を乗せました場合にはどうしても今のようなことにならざるを得ないということかと存じます。 ただ、それは諸外国の場合どうかと考えてみますと、アメリカ、イギリスにおきましては基礎的な人的控除は所得控除でやっておりますし、それからドイツ、フランスの場合にも、例のN分のN乗方式の調整の問題はございますけれども、基礎的な人的控除はやはり所得控除になっておりますので、諸外国の経験でもまあ今日のところ所得控除がなじみやすいという選択をしているのかなというふうに想像いたしております。
○寺崎昭久君 租税特別措置法の一部改正案につきましては、これに民社党の主張をおおむね取り入れていただいていると思いますので、法案の質問を省略しまして、法案の背後にある諸問題、とりわけ金融機関の不良債権とその処理について質問をいたしたいと思います。 まず、金融機関の決算と不良債権処理に係る問題について質問いたします。 この三月期決算で大手の金融機関が大幅な減益になるということが報じられておりますけれども、しかしながら赤字に陥るというほどでもないようであり、そのために、さらに償却できるはずの不良債権の処理を先送りして利益を確保したのではないかという見方が少なくありません。もしそういう実態がないなら是非すべきだと思うんですが、この金融機関の決算に当たり不良債権処理と決算、つまり利益計上について大蔵省は何か指導されたのかどうかその点からお伺いいたします。
○政府委員(寺村信行君) 昨年の八月十八日に「金融行政の当面の運営方針」を公表いたしましたが、そこにおきまして金融機関の決算対応のための措置として株式含み益の決算対策のための安易な益出しの抑制を求めることにいたしました。これは、今後償却すべき不良資産がかなりある状況で金融機関が一定の利益水準を確保するための株式の含み益の益出しというのは金融機関の基礎体力を保持していくためにも問題ではないか、むしろいたずらに基礎体力の消耗を図ることになるのではないかという考え方から、金融機関に要請をしたわけでございます。 当然、株式含み益が存在します場合に、それを益出しを行って決算対策を行うということは、これは経営の判断としてはそのような判断をおとりになってもいいわけでございますが、このような状況のもとでそのような措置をとることは必ずしも経営の健全性の確保のためには好ましくないんではないかという考えを示しました。これはむしろこの不良資産の償却により利益水準が落ちてもやむを得ないのではないかという見解を一方で示したことになるわけでございます。 同じ考えが配当性向基準の適用の一時停止でございまして、従来、金融機関は内部留保を厚くするために利益の社外流出になります配当を四割以下に抑えるべきであるという指導基準がございましたが、このような状況では配当を行うためにはむしろ一定の利益を確保しなければいけない、そのためには株式の含み益の益出しを行わなければいけないということで、これは、今やこのような時期は内部留保の積み増しよりも不良債権の償却の方が優先されるんじゃないかという考え方を示したわけでございまして、いずれも実態に即した決算を行うことが適当ではないかという考え方に基づくものでございます。 今回の三年度決算におきまして、ただいま御指摘のございました都銀、長信銀、信託の三業態の状況でございますが、たまたま金利低下局面でございまして調達コストが減少いたしました。貸出金利回りも資金需要の低迷を反映いたしまして低下をしておりまして、預貸し金利ざやはむしろ減少しておりますが、有価証券利回りが直ちに低下しなかったということから業務純益は増加をいたしました。しかし、今回、これらの金融機関は積極的に不良債権の償却を行いました。結果としては経常利益は大幅に減少したということになっておりまして、このような状況のもとでは適正な対応でなかったかと考えているところでございます。
○寺崎昭久君 昨年度末、金融機関が共同債権買取機構に売却した債権というのは四千五百二十一億円、これにより計上できた譲渡損が二千二百九十六億円と伝えられております。この債権譲渡によりまして、当面少なくとも一千億程度の法人税、事業税の減収が見込まれるわけでありますが、この減収額というのは大蔵省が当初見込んでいた金額どおりであると、そのように受けとめていいのかどうか。これから先どの程度こうしたものが発生するとお考えなのか、いかがでしょうか。
○政府委員(寺村信行君) 売却損が二千三百億円発生をいたしまして、その結果約六千八百億円の不良債権の減少になったということは御指摘のとおりでございますが、税収見積もりとの関係というのは、恐らく当初見積もりの段階ではそのような要素は算入されていないのではないかと思います。それ以降の金融情勢の変化に伴いましていろいろな措置が講ぜられました結果、そのような処理が行われたということではないかと思います。
○寺崎昭久君 この共同債権買取機構に対する損失だけで税収を云々するというのは無理があると思いますが、これに限って言えば、法人税と事業税、実効税率が約五〇%とすれば、二千二百九十六億円の譲渡損に対する税収ですから一千億は下らないであろうという推測はできるわけです。 そのことを申し上げたわけですが、この税収減というものが当面のものにしろ、新総合経済対策において政府が財源不足を理由に野党が要求した所得税減税を見送ったことや、あるいは千五百億円の政策減税を強調していることを考えますと、また、この一千億円の税収を図るには例えばビール一本十円値上げしなくちゃいけないということを考えますと、何か割り切れない、釈然としないものを感じるわけでございます。 そこで、この譲渡損に係る税法上の問題についてお尋ねしたいと思います。 これは三月二十六日の当委員会でも質問をさせていただきました。その続きになりますけれども、国税庁は、今回の共同債権買取機構への不良債権の譲渡に伴う損失全額を税務上の損金として処理することを認め、その根拠として法人税基本通達二-一-四でいう販売に係る棚卸資産の引き渡しの場合と同様の取り扱いとなるという見解を示されました。私はちょっとこれは牽強付会じゃないかと思うんです。 というのは、棚卸資産と不良債権とは性格が全く違うと思うんです。アメリカやイギリスでも不良債権の譲渡は行われているわけでありますけれども、その際、その行為に伴う売却損益をいつどれだけ認識するかという判断は大変厳格に行われておりまして、例えば債権が最終的に幾らで売れるかを合理的に予見できる状態であること、あるいは支配権が完全に相手側に移るというところにポイントが置かれているわけです。つまり、外形的に債権が移転したというのではなくて、経済的な便益とかリスクが移転したかどうかということで損益計上を認める云々ということをやっているんだと思います。 今回の共同債権買取機構に対する不良債権の譲渡というのはその実態が伴っていないんです。まず第一に、債権の回収可能性の合理的な予見ができない。これは不良債権の市場がないから当然といえば当然のことでございます。それからもう一つは、担保不動産の売却によって発生する損益の最終的な帰属先というのはこの買取機構ではなくて融資元の金融機関に移るということからいうと、欧米でやっている例とは随分とかけ離れた内容になっていると考えるわけであります。 そこで、私は、今回は不良資産の早期処理とか損失の早期確定ということを考えて、かなり政策的配慮というかそれを加味して決めたことだと思いますので、この際、経営の自己責任ということも加味していただいて、例えば一定割合の損金不算入扱いというのがあってもいいんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(松川隆志君) 今回のケースでございますけれども、今御指摘のあったように、法人税法におきましては、法人が資産を譲渡することによって実現する損失というのは、法人税法第二十二条第三項第三号、損失の損金算入の規定によって損金の額に算入されることとなっています。こうした例は、例えば株式の譲渡損等もそういう扱いになるわけでございます。 それで、今回のケースにつきましては、今いろいろ御意見ございましたが、国税庁としての見解といたしましては、金融機関がその擁する不良債権を共同債権買取機構に譲渡する際に実現する損失を損金の額に算入することにつきましては、税務上問題ないというふうに考えております。 それで、今、アメリカ、イギリスの会計基準が実質的な観点から債権の売却があったかどうか判断することになっている、これに比べて日本の場合行き過ぎではないかという御指摘でありますけれども、今回のケースにつきましては、まず買い戻し特約つきの譲渡でないということでございます。これはあくまでも債権自体は買取機構に最終的に譲渡されているということでございます。 そしてまた、二段階で処理しているという点、これはやや特異ではないかということでございますが、これにつきましては、今御指摘のあった法人税基本通達二-一-四で、棚卸資産について、例えば石油、鉄鋼等の取引につきましてこうした二段階による譲渡価額の決済ということを税務上認めておりますので、こうした取引とのバランス上特に問題ないというふうに考えております。
○寺崎昭久君 今の点については私まだ異論があるんですけれども、時間がありませんので大臣に最後にお伺いいたしたいと思います。 今回の買取機構構想が出てきたときに、たしか公的資産を入れたらどうかという話もあったと記憶しております。結果からしますと、税法上の取り扱いの公平性を考えても、私は公的資金を融資して税制上の優遇措置をつけなかった方がよかったのかなというような気持ちも今あるわけですけれども、それはそれとしまして、この買い取り会社による不良資産の早期処理の方法というのは、実際には資金力がある金融機関にはメリットが大きいけれども、資金的な余裕の乏しい中小の金融機関に対して果たして有効なてこ入れになるんだろうかという疑問もあるわけです。 そういう意味からいうと、中小金融機関向け対策として、例えば不良債権処理のための公的資金の融資なども含めて何か手を打つ必要があるんではないかと思いますが、もし御承知でしたら中小金融機関の実態等も含めてお話いただければありがたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) この共同債権買取機構の問題につきましては、委員御指摘のように、公的資金を入れたらというような話も最初にはあったことも事実だと思います。しかし、こうした形でやる場合におきましては、やはり全く民間の形でやった方がいいであろう、それでないと公正さが確保されないという問題がありますし、どこまで公的資金を入れていくかというのも私はいろんな問題が出てくるだろうと思います。むしろ、民間の金融機関でやられて、中小金融機関も含めた百六十二の機関が出資するなどして、非常に広範な範囲での機構になっておるところでございます。 私は、そういったことからして、この機構が中小金融機関だから使えないということではなくて、やっぱり参加しておられるわけでありますから、当然に、いろいろな形で使う、こういうようなことを考えて参加しておられるし、また、もしもいろいろなことがあるならば、そういった形での問題というのは私はこの機構を利用してやったならば解決できるんじゃないだろうか、こう思っておるところでございます。 中小金融機関の問題につきましては、なんでしたら後で政府委員から答弁させますけれども、全体のものとしていろいろ難しい問題を抱えておるんじゃないかなということがいろいろと言われております。特に、経済がこれだけ非常に大きく変わってきました。いろいろなところで不安のような問題が時々出てくるんじゃないかということが新聞等で報道されておりますけれども、そういったものにつきましては、私どももそれに対応してやっていかなければならない。今のところはすぐにどうだこうだというような話ではないし、基本は、金融機関がありますけれども、民間の自主的な努力、自発的な努力というものによって経営の健全化その他を図っていかなければならないものだろう、こういうふうな認識でおります。 〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
○吉岡吉典君 提案されている減税案については、私どもが強く要求していた所得税減税が取り入れられていないという大きい問題がありますし、また、減税の内容についても投資減税で一部大企業も対象とするというような問題を初め、批判すべき点も持っています。しかし、主として国民、中小企業向けの減税であるという点で、私どもも賛成しております。 きょうは短い時間ですが、取り入れられなかった所得減税にかかわる問題として幾つかお尋ねしたいと思います。 まず、累進性の緩和ということを考えているということは、これまで総理初め述べられてきているところです。私、四月二十二日のこの委員会でも申し上げましたけれども、累進性の緩和、つまりどういう人に税率を低くするかという問題の答えを出すためには、二兆二千五百五十億円の減税になるという試算が行われました前回の抜本税制改革の影響、言いかえれば、だれがこの二兆二千五百五十億円の減税の恩恵を受けたのかということについての調査が前提にならなければならないと思います。 当然、そういう調査結果について大蔵省なりの判断はお持ちであると思います。どういう人々が、どういう階層がどういう形での恩恵を一番受けたか、ちょっとお知らせ願います。
○政府委員(濱本英輔君) いろいろなとらえ方があり得るとは思いますけれども、当時の資料で各所得階層別にどれぐらい減税の恩恵を受けたかつまり減税率がどれぐらいであったかということを比較してみたことがございました。 今、私の記憶でございますけれども、抜本改革前と抜本改革後を比較いたしまして、当時の計算では、給与収入三百万円の層でございますと八八・八%の減税率、つまり約九割近い減税になった。四百万円の層ですと五三・一%の減税率。これが例えば五百万円になりますと四一・四、一千万円になりますと二六・〇、こういった状況で減税が行われたというふうに記憶いたしております。
○吉岡吉典君 大蔵省、そういう資料をお持ちのようですから、それは後からぜひいただきたいと思います。 いろいろ要求しても材料はないということでもらえませんので、別の国税庁が発表しておられる「民間給与の実態」というものの中から私どもが計算し直してみると、百万円から四百万円の階層ではほとんど減税の効果が出ていない。四百万円以上になって若干の減税効果が出ていますが、とりわけ七百万円以上のところで減税効果は最も大きい。つまり中間所得層でないところですね。「民間給与の実態」では、千五百万円を越える給与所得者の統計も特別つくってあります。その表を見ても、高額所得者層が減税効果が大きかったことがあらわれております。 私どもが計算し直した表は差し上げてありますけれども、この事実は確認していただけますか。 〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
○政府委員(濱本英輔君) 拝見いたしました表に基づきまして申させていただきたいと存じますが、このデータは民間給与実態調査をもとにした数値を並べておられるわけでございますけれども、この民間給与実態調査といいますものは、実は毎年その年々で非連続的にサンプルを求めまして、それに基づいて計算をすることになっておりますものでございますから、そのサンプルの中身、例えば世帯構成が変わりますとか扶養者の数が減少しておるというような今の傾向があらわれますとか、そういうことがございますと、それを反映した動きに一つ相なります。高所得者層もまざっておりまして、そのまざり方も複雑な影響を及ぼすことがあり得ます。 それともう一つ大きな問題点といたしまして、給与の支給を二カ所以上から受けておる、そういういわば従たる給与を受けている人たちに対する源泉徴収の適用事績というものがそのままここに記載されておりまして、これがちょっと読み取りにくいといいますか、申しわけないことでございますけれども、読み取っていただきにくい状況をつくっておるように思うわけでございます。 つまり、ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、いろいろな控除というのは本来の勤め先で行われるわけでございまして、第二の勤め先の場合には、源泉徴収に際しまして同じようなことをもう一度そこでやりますと二重の控除を生ずることになりますので、第二の勤め先におきましてはそういう控除を行わないで、甲欄、乙欄と称しておりますけれども、税法上乙欄の表を適用いたしまして源泉徴収を行っておるわけでございます。 したがいまして、例えば平成元年分以降におきまして、給与収入百万円以下の方でありますれば所得税はかからないはずでございますけれども、そういう二番目の勤務先で源泉徴収を受けておられるような場合には統計上所得税額が集計されてくるというようなことがございます。そういうことがこの表に出てしまっておるのではないかということ。 もう一つは、比較されております時点が、この表にございますようなことでございますと、あるいは抜本改革前後で比較をしていただくということが適当かと思うわけでございますけれども、といたしますと昭和六十一年というのが改革前の時点でございまして、これと比較をして見ていただきたかった。この場合八八年とございますから六十三年でございますが、六十三年以降の比較ということになりますと、アバウトに申しましてですけれども、この間の抜本改革の半分ぐらいしか効果が盛り込まれていない。つまり、途中の時点から後の姿を計算していただいていることになるのではないかということを懸念いたした次第でございます。
○吉岡吉典君 私どもは、どういう影響が出ているかということが今後の税制を検討する場合一番重要だということで、繰り返しいろいろな資料をいただきたいと言ってきたんですが、そういうのはないということでお出しにならない。したがって、客観的に最も正確にどういう影響がどの階層にあらわれているかということを調べる資料を与えられていないわけです。 せめて我々が手にすることのできる材料というので、国税庁のお出しになったものを見て、この資料が十分正確な実態かどうか別として、ある傾向はこれによってもとらえることができるだろうと思ってやってみたところ、先ほども言いましたように一番大きい減税の影響を受けているのは七百万以上と。より大きいところがより大きいということが出たわけです。そのことを言うと、この資料では余り正確なことがわからぬよと今の局長のように言われると、そうすると、我々は税制を検討する上での基本的素材をあなた方から与えられないまま、わずかの手がかりで物を言うと、それは余り税制検討の当てにならないというのではちょっと困るわけです。ですから、私は繰り返し、二十二日にも言いましたけれども、共通のデータで論議ができるものをぜひ示していただきたいと思います。 その上で、私は――にもかかわらずやはりこの国税庁の民間給与の実態である程度の傾向はわかると思います。前回の抜本税制改革というのも中堅層の重税感を緩和するということがうたい文句でしたけれども、実際はそうはなっていない。今度も中堅層の重税感を和らげるということで累進性の緩和ということが言われているわけですが、これが再び同じことを繰り返すようでは大変看板に偽りありということにもなると思います。 そこで、私お伺いしたいんですが、五段階の累進制を二段階または三段階にするという中身ですけれども、この間の新聞報道によると、一〇%、二五%、四〇%になるであろうというもう具体的な数字まで出ています。もちろん、私ここでそれはどうかと言っても、今そういう答えは出ていないということだと思いますけれども、具体的にお伺いしたいんですが、中堅層の重税感緩和ということならそれにふさわしい税率緩和が考えられるだろうと思います。 報道による五〇%が四〇%に最高税率が下げられるということになると、前回の税制改革以来続いている高所得者減税ということになると思います。ですから、最高税率も下げることもあり得るのか、それは全くないということなのか、あるいは最低税率の一〇%を上げること、これはもうないというのかいやその可能性もなきにしもあらずだというのか、この点に絞ってお答えをお願いしたいんです。
○政府委員(濱本英輔君) データを私どもがお示し可能なものを持ちながら十分お示ししていないということでございますれば大変申しわけないことだと存じます。私が先ほど引用させていただきました減税率というのはすぐにでもお持ちを申し上げたいと存じます。 それから、民間給与実態調査につきましてちょっと言及をしていただきましたけれども、民間給与実態調査をとりましても、さっき申し上げましたような特殊な部分を除きまして、きちんと年末調整をしておりますようなそういう通常のサラリーマンにつきまして比較をしていただきました場合には、負担率が著しく抜本改革前を上回っているというような状況はない、かように思います。もちろん所得税は累進構造をとっておりますから、年々負担率が上がってくるということは事実でございますけれども、この抜本改革の大きさというものの影響をしみじみ感じさせられますのは、今日ただいまにおきましても、抜本改革前と比べて同一の所得階層、同一の定点的に観測しました場合の負担率が改革前を逆転しているということはまずないだろうというふうに感ずるわけでございます。 それから、肝心のお求めの件でございますが、税率構造をどのように見直していくつもりなのかという御指摘でございます。これは新聞に一部報道されましたような具体的な論議が今政府部内でございますとかあるいは税制調査会でございますというような事実は全くございません。要するに、基本的に今の事実として、特にこの抜本改革は課税最低限あるいは中低所得層の税負担に大きな影響を今も残しておりまして、税負担は中低所得者の場合、よその国などに比べましても低いという事実はそのとおりだと思いますけれども、最高税率の水準はそういった他の国に比べるとかなり高いものになっているということもこれは事実でございます。 そういう事実はしばしば引用されますけれども、それをどうするのか、どういった階層の所得者にどの程度の税負担を求めることが至当であると判断するのかというのは全くこれからの論議でございまして、何ら一つの方向性を持っているわけではないということを申し上げたいと思います。 ただ気持ちとしまして、累進構造でございますから、ほっておきますと所得が進みますにつれてだんだん高い税負担に直面していく、どの層が一番険しい状態になっておられるかということについて気遣いをしなきゃいかぬという気持ちを持っているということでございまして、どこがどうと言い切っているわけではございません。
○吉岡吉典君 時間ですので終わります。
○池田治君 租税特別措置法の改正につきましては、先ほどからいろいろと質疑がなされましたので、質問を省略させていただきます。 ついでながら、税制の問題につきまして、日米間の移転価格税制という点について若干お尋ねをしたいと思います。 五月二十六日の新聞を読みますと、米政府による移転価格税制の運用強化に伴い、米国の内国歳入庁は日系企業に照準を当てて制度を運用している。最近ねらい撃ちを始めた。しかも検査に入ったアメリカにおける外国系の子会社で三社に一社が日本企業である。調査時間の約六割も日本企業にターゲットを当てている、こういう記事が出ております。 そこで、私も調べてみましたら、アメリカの議会では外国企業に課税をせよという意見が前々からかなり強く要求をされているようでございます。 例えば、九〇年六月に行われました価格移転操作に関する米国議会の公聴会では、ボニア下院議員は、日本の自動車会社は正当な税金を払っていない、これはミシガン州民が我々の職を奪ったライバル企業に対して間接的に補助金を与えていることになる、こう言ってみたり、またハンター下院議員は、日系企業の納税の現状は米国政府や納税者への大きな詐欺行為である、こういう強い批判をしているようでございます。日本の議員はまだアメリカ批判をやったことはございませんので、私はこれは不当な発言だと思って御質問をするわけですが、当局はどのような御判断に立っておられますか。
○国務大臣(林義郎君) 日米間でいろんな摩擦がありまして、アメリカの議員が相当なことを言っているという話も、私も新聞で見たり、私自信もアメリカの議員と話をしまして、おまえのところは何でそんなことを言うんだねと、こういうふうな話を時々やることがあるんです。私もおつき合いをしている議員がおりますから、その連中と話をいたしますと、彼らが言っていますのは、自分たちの職が奪われるあるいは日本の企業が来ていい成績を上げてアメリカの企業がやられてしまう、自分たちの方は税金を納められない、日本の企業だけだと。こういうふうなやっかみといったら悪いかもしれませんけれども、そういったような感じが正直言って私はあるんだろうと思います。 日本の企業は別にアメリカに行っておかしなことをするつもりは全然ないし、正当な税金は税金として払う、こういうふうな話でありまして、そういったような風潮があるということは決していいことではない。日米間でやはり正当なルールをつくってやっていかなければならない、こう思っておりますし、日米の税務当局でいろいろ話をして、冷静に話をしていくという態度が私は必要なことじゃないかな、こういうふうに思っているところでございます。
○池田治君 大臣の基本的なお考えはわかりましたが、しかし、数年前、「国税庁が八百億円の還付 米に納入」、日米税金紛争だ、こういう大きな見出しで新聞に出たこともございます。 現実に松下、トヨタ、日産等々がかなりの還付を受けたということは、アメリカの子会社がアメリカの内国歳入庁に対して多大な税金を払ったということのようでございます。こういうことがいつまでも続いても困るわけですけれども、現在までに追徴を取られた企業は何社ぐらいあるんでしょうか。そして、総金額は幾らぐらいになりますか。
○政府委員(瀧川哲男君) アメリカの方でどういう調査を受けてどの程度の税額を取られているかというのは、実は私どもの方は相互協議というものを受けたものしか存じ上げないので、全体についてお答え申し上げることはできないわけでございます。したがって、まず相互協議をやりまして合意に達しまして、その結果私どもの方で還付を行ったというものの法人数について申し上げますと、五法人でございます。 ただ、今金額のことをおっしゃられたわけでございますけれども、これは実はその合計額でも申し上げますと、結果として個別に当たる事項にわたりかねないということもございまして、従来から御答弁申し上げるのを御容赦いただいているわけでございます。ぜひその点御理解賜りたいと思います。
○池田治君 従来からということでなかなか総金額を発表にならないようでございますが、アメリカは情報公開の国であり、また日本も行政手続法を制定して今や情報をオープンにせよという時代でございますので、これを言ったからといって特別に支障は私はないと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(瀧川哲男君) 私どもが個別の問題につきまして余り数字を申し上げないことにつきましては、もう先生御理解いただいていると思いますけれども、申告納税制度というものは納税者との信頼関係、協力関係というものを基本にいたしますので、その結果守秘義務につきましても通常の公務員法よりは重い、公務員法ですと一年以下というのが二年以下の懲役になっているようなそういう守秘義務がございます。おまけに、相互協議につきましては租税条約上の守秘義務というものがその上にさらにかぶっておりまして、ぜひ先ほど私申し上げたようなことにつきまして御理解いただきたいと思います。
○池田治君 理解はできませんけれども、きょうはこの程度にしたいと思います。 そこで、日米間で価格税制をめぐって紛争が絶えない、そしていまだに続いているということの一番の原因は何にあるんでしょうか。
○政府委員(瀧川哲男君) 実は大変難しい御質問でございます。 私思いますに、基本的な部分は、日米間の貿易取引であるとかあるいは直接投資というものが大変日米間の協力関係によって増大してきているということ、その結果、当然のことではございますけれども、日系企業のアメリカにおきまするプレゼンスというものが高まってきている、こういうことが基本にあると思うんです。 税金摩擦とおっしゃいましたけれども、これをどのようにとらえるのか、大変難しいことでございますのでこれはちょっと横に置かしていただきますと、やはりプレゼンスが大きくなって、密接かつ増大した相互の経済関係というものがあれば、おのずから税金問題というものもふえてきているんではなかろうか、かように考えております。
○池田治君 そういう点もあるかもわかりませんけれども、アメリカの立場で考えますと、この背景には巨額な財政赤字に伴う財源対策があるとも言われております。そして、年々膨らむ財政赤字の原因の一つに外国企業の課税逃れがある、これに目をつけなければアメリカの財政は健全性が保てない、クリントン政権はこういう新しい考え方に立っているんじゃなかろうか、こういう見方もございます。また、それを主張するのは、アメリカ議会が非常に強い主張をして議員の立場を有利に働こう、こういうことも加わってアメリカ政府はかなりの強い規制をしいてきたんではないか、こうも言われておりますが、これは大臣は答えられませんか。
○国務大臣(林義郎君) クリントン政権ができます選挙中に、外国企業から相当税金を取るぞと、こういうふうな話が選挙運動のときに出ていました。クリントンというのはまたおもしろいことを考えている男だなと私も実は思っておりましたが、政権を獲得されましてから後は、そんな外国企業どうだというような話も、大変なたくさんの額を取るというような話はありませんが、租税の公平化というか、同じ立場にあるものならばやはり同じような格好でやっていかなければならない、こういうふうな体制で今臨んできておるように思っているところであります。 ただ、日本はこういった法案を出したりなんかするのに政府がやりますが、アメリカは議員提案の国でございますから、いろんな議員からいろんな議論が出てきていることはたくさんありまして、毎年こんな法案が出ているけれども、これ全部片づけたらとんでもないことになるというような話で、議員提案の法律でございますから随分の数の法案がありますけれども、成立するのはわずかである、こういうことであります。 やはりアメリカの議会でそういうふうな動きがあるということはいろいろ考えていかなくちゃなりませんし、先ほど申し上げましたように、冷静な形でいろいろな対話をしていくことが私は必要だろうな、こう思っておるところでございます。
○池田治君 大臣のおっしゃるとおり、企業の税負担の実効税率は、アメリカが約四〇%、日本では約五〇%と一〇ポイントも日本の方が高いわけですから、課税逃れのために米国より税率が高い日本に企業が利益を移転している、こういうことは考えられないわけでありまして、クリントンさんの選挙演説というか人気取りのための主張じゃなかったかと思われる点も多々あるわけでございます。 そこで、大臣も言われますように、公正な取引価格の認定基準を正確なものをつくらないと、アメリカはアメリカで勝手な基準をつくり、日本は日本側で勝手な移転を行う、こういうことになるところに私は摩擦の原因があるんではなかろうか、かように考えておりますが、これに対しては国税当局はいかがでございましょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 池田先生のお尋ねの件に関しましては、既にアメリカの具体的な執行がことしに入りましてから動き出しまして、それをめぐりましていろいろな論議がございます。そのことをまず御報告申し上げるべきかと存じます。 本年の四月に、アメリカの移転価格税制に関します新しい規則が出まして、やや具体的になりますけれども、その中に、独立企業間価格の算定方法の一つとしまして、比較対照利益法、英語でコンパラブル・プロフィット・メソッド、CPMと称しておりますけれども、そういう手法を取り入れております。この手法というのは、端的に申しますと、類似企業の利益率に着目をいたしまして独立企業間価格を算定しようというものでございます。 やり方によりまして、例えば従来国際的に確立しております独立企業間価格の算定方法というのが幾つかございますけれども、そういう算定方法に優先をしましてこの新しい手法が講ぜられるということになりますと、非常に恣意的な課税が起こる可能性はないか、あるいは企業の特殊事情というものを十分酌み取れないで課税が先行するというようなおそれはないか、そういう問題意識を我が方も抱きまして、これをOECDあるいは二国間協議の場を通じまして問題として指摘してまいったわけでございます。 こういう事実を受けまして、アメリカは、このOECDあるいは我が方の主張に対しまして耳をかすところがございまして、幾つか大事な点につきましては、この規則案が出まして以降、そういった外からの申し入れを受け入れる形で原案を修正いたしましたものを今規則として施行したわけでございます。 ところが、この中身をよく見てみますと、なお新しいCPMという手法を他の従来の独立企業間価格の算定方法といわば同列のものとして並べて適用しておるというような事実が目につきます。したがって、今後、これが運用のいかんによりまして問題を生ずるということになれば、我が方としても引き続き問題を提起していかなければならない、そういう今は局面にあろうかとも思っておりまして、アメリカの動きを注意深く見守っておるというのが今の状況でございます。
○池田治君 大変な問題と取り組まれておると思います。この課税規則を四月に改めたということはわかっておりますが、みなし利益といいますか、アメリカの同業者間における卸価格と日本の親会社から子会社への卸価格を同一に見て利益を算定する、こういうことを画一的にやられると、二重課税の可能性も出てくるわけでございますので、日本はアメリカに弱いと言われておりますが、大臣以下局長さん、アメリカに負けないような対抗措置でひとつ頑張っていただきたいことをお願いしまして、質問を終わります。
○国務大臣(林義郎君) まさに、税というのは公正な立場で取らなくちゃいけない。アメリカで発生したものについてアメリカでかかる、日本で発生したものは日本でかかる、これは当たり前のことでありますから、私はそういったことをやっていかなくちゃならないと思います。 この機会ですからあえて私申し上げておきますが、税の問題についてもこういった問題があるが、もう一つ、私的所有権という問題がありまして、これもやはり非常に争いのあるところです。それからもう一つは、独占禁止法の適用という問題がありまして、私は、こういった点でアメリカなりOECDで共通のルールづくりというものをやっていかなくちゃいけない問題じゃないかな、こういうふうな基本的な認識を持っていることを申し上げておきたいと思います。
○島袋宗康君 景気対策と減税問題について早速でありますけれども質疑をさしていただきます。 五月の政府月例経済報告によりますと、景気回復の感触を強めているようであります。しかし、民間の設備投資計画は二・八%減で二年連続のマイナス、先月の新車販売台数も二カ月連続の前年度割れであるというふうに、民間需要は非常に弱くなっていると報告されております。そこへもってきて昨今の急激な円高、これが今後の我が国の景気回復にどのような影響を与えていくのか、政府の御見解などをお聞きしたいと思います。
○政府委員(日高壮平君) 今委員から御指摘がございましたように、我が国の経済の現状は、いわば一種のまだら模様といいますか、回復の兆しを示す分野もあれば、まだまだ低迷を続けているという分野もあるということでございますけれども、全体として見れば、先般の月例経済報告でもその判断を示しておりますけれども、回復の兆しがあらわれてきているということで、具体的に底入れをしたかどうかという時期については経企庁の専門家の御判断にまちたいとは思いますけれども、流れとしてはそんな感じになってきているというふうに思っております。 今御質問がございました急激な円高が我が国の経済にどういう影響を与えるかという点でございますが、これはプラスの面とマイナスの面、両方あると思います。正直申し上げまして、まずプラスの面を申し上げれば、輸入原材料等のコストの低下を通じて企業収益を改善させるという面が一つございます。もう一つは、例えば輸入物価の下落によりまして個人の実質所得を増加させる。そういったようなプラスの面があることは否定できないわけでございますが、急激な円高というものは、当然のことながら輸出産業の円建ての手取りを減少させる、そういう過程を通じまして企業収益を圧迫するということになるわけでございます。 したがいまして、私どもとしては、そういったプラスの面もあるとはいえ、最近のような急激な円高というものは、これは分野によって若干の影響の差はあるとは思いますけれども、総じて申し上げれば、先ほど申し上げたように、現在やっと回復の兆しが総じて見れば出てきたというような、そういうタイミングでこういう状況になってまいりますと、それが景気の足を折るといいますか、そういう危険性もあるということでございますので、その点ではやや心配であるという点は否めないだろうと思います。 そういう意味で、私どもとしては、為替レートについてもファンダメンタルズを反映するような安定した動きを示すことを期待しているわけでございますし、それと同時に、現在御審議をお願いしておる補正予算、これに盛り込まれている景気対策を着実に実行することによって、内需中心の持続的成長が可能になるように今後とも心がけていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○島袋宗康君 今おっしゃるように、補正予算といろいろ絡んで景気がよくなるだろうというふうなこともおっしゃっておりますけれども、やっぱり何といっても消費不況というものが現実にあるんではないか。いわゆる国民の消費マインドが冷え切っているところに問題があるんではないかと指摘したいわけです。要は、個人消費をいかに拡大していくかということ、それから昨日のOECDの閣僚理事会でも指摘されたように、我が国の内需拡大対策は今や所得税減税以外ないんではないかということを私どもは考えているわけでありますけれども、政府は、所得税減税問題はあくまでも景気対策の切り離して税制の抜本改革論議で検討したいというお考えなのか。前にもお答えがありましたけれども、重ねて大臣の御見解を求めたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 所得税減税につきましては、もう委員先刻御承知のとおり、国会でも自民党と社会、公明、民社党との間で幹事長・書記長会談が数次にわたって行われましたし、先般も我が党の幹事長から、当面の問題としては所得税減税をやるなにはないが、この国会まだ最後までありますから引き続き協議をしてまいりたいと、こういうふうな話をしておるところでございます。 私ども政府の立場といたしましては、こうしたことを、国会の話でございますからこの話は十分に尊重してまいるべくその推移を見守っておるところでございますけれども、一般論として申し上げますならば、所得税減税につきましては、いわゆる公共事業等をやりますところの事業活動によるところの景気刺激策に対して、景気対策としての効果に疑問があります。また、財源として大幅な赤字国債を出さなければならないということになればそれの問題がある。さらには税制全体の関係でどういうふうに考えていかなければならないかという、広範な点でいろいろ検討すべき点があるんじゃないかというふうに考えておるところでございます。
○島袋宗康君 ぜひ、減税の私たちの要請については誠意ある御見解を、ひとつまた改めて求めますのでよろしくお願いします。 そこで、去る三月の租税特別措置法改正によって、いわゆる水割りウイスキーが手ごろな価格で販売されてよく売れているという話も聞かされております。そこで、法改正から余り日数がたってないんですけれども、この改正によってアルコール業界にはどのような影響が出ているのか。例えば酒の酒類別の出荷量の変化、また低アルコール飲料の売れ行きの動向など数字がございましたらお示し願いたいと思います。
○政府委員(窪田勝弘君) いわゆる水割りウイスキーでございますが、この四月下旬から発売されました。ウイスキーメーカーの話では、滑り出しは順調であるというふうに聞いております。 今、御質問のございました酒の酒類別の出荷量の変化あるいは低アルコール飲料の売れ行きということにつきましては、水割り発売後、何分日が浅いもので、まだ御報告できるような計数は取りまとめられておりません。この点御了解賜りたいと思います。
○島袋宗康君 このウイスキーの低税率化には思わぬ反発がある。例えばECなどからこの問題について相当いろいろな問題が提起されておるように聞いております。大蔵省はこの状況をどのように把握されているのか、この反発してきた理由はどういうものがあるのか、その辺を御説明願いたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) 水割りウイスキー等の税率の特例措置に対しましては、英国などから、ECの域内ではアルコール分が四十度以上のものでなければウイスキーとして販売したり輸出したりすることができない事情にございますことから、一種の国内保護税制であるという批判がございます。また、水割りウイスキーの出現によりましてウイスキー自体の信頼を損なうおそれがあるのではないかというような指摘もなされたやに聞いております。 これに対しまして我が国といたしましては、今回の措置は、一つは最近の酒類消費が低アルコール化傾向を示しておりまして、蒸留酒の低アルコールのものにかかる税負担が過重になっているという事実がある、それから、ウイスキーを炭酸水で割りましたいわゆるハイボールにつきましては既にこの商品が先行しておりまして、それにかかっている税負担と比べますと不公平になっている、こういう問題を解決し、税制の合理化、適正化を図るために創設したものだという説明をしております。 この税率自体が酒税法で定めております本則税率とアルコール分一度当たりで同じ税率でございますことから、何ら特定の国産ウイスキー等を優遇するものでないということもあわせ説明しております。
○島袋宗康君 その現在の税率はこのまま維持できるのかどうか。ECなどが言うように同じ蒸留酒という理由でウイスキーとしょうちゅうを同じ税率にするのか。とするならば、税率を上げて統一するのか、あるいはまた下げて統一するのか。ECからのそういった苦情あるいは問題提起について、そのまま現行でやっていける筋道が立てられるのかどうか、その辺の現段階での御見解を承りたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) 今の水割りウイスキーと直の問題ではないかと存じますけれども、ECはもう大分前、六十二年の十一月の理事会で採択されましたガット・パネル報告におきまして、指摘されておりました蒸留酒間の税率格差縮小問題について、依然として改善されていないとして我が方に対しまして早期に是正するように求めてきております。 これに対しまして我が方といたしましては、平成元年度の酒税の抜本改正におきまして、ガットの勧告も踏まえてウイスキーなどにかかります従価税制度それから紋別制度を廃止しますとともに、一方でしょうちゅうの税率を大幅に引き上げる、ウイスキーの税率を引き下げ、蒸留酒の間の税率格差を大幅に縮小したという事実があるということ、その後の我が国における蒸留酒の消費動向を見ますと、国産のウイスキー類やしょうちゅうの消費数量が大幅に減少しております中で輸入ウイスキーの消費数量は大幅に増加しておる、そういう事実を機会あるごとにECに説明して、理解が得られるように努めているというのが今の状況でございます。
○島袋宗康君 違う話ですけれども、いわゆる酒の自動販売機について、消費者団体など七十五団体から未成年者の飲酒禁止法違反を助長し健康にも悪影響を及ぼすなどの問題から、廃止の要望が出されていると思います。このたびの水割りウイスキーの自販機での販売についても反対の意見が出されていると思います。 本委員会の三月の租特法一部改正法に対する附帯決議では、酒類の販売について業界が適切な対応を行うよう指導を求める附帯決議がなされておるんですけれども、その点について大蔵省及び業界はどのように措置を講じられたのか、その辺を御説明願いたいと思います。
○政府委員(窪田勝弘君) お酒の自動販売機による販売の問題でございますが、酒類はアルコール飲料という商品特性を有していることから、酒類業者はこの点にも十分配意した販売を行って社会的な責任を果たしていく必要があると考えております。 基本論としては、酒の自動販売機は中小零細小売店を中心に広く普及をしておりまして、消費者の利便にも寄与しているあるいは酒販店の経営の省力化にも資しているという側面もございますので、これをどうするか、設置するか否かという点については、基本的にはその酒販店みずからが経営方針に照らして判断すべきことであろうと思っております。 国税庁といたしましては、御指摘のあった未成年者の飲酒問題に従来から深い関心を持っておりまして、例示でございますが、一つは、これは夜十一時から朝五時まででございますが、自動販売機による酒の深夜販売を行わない、それから、自動販売機あるいはお店の店頭に未成年者の飲酒は法律で禁止されているということを周知しているわけでございます。また、そのほかに未成年者の飲酒禁止の注意を喚起するために、新聞や雑誌あるいはテレビ広告といったものにつきましても未成年者の飲酒が禁止されているということがわかるような表示を行うようにという指導もいたしているところでございます。 附帯決議を三月末にいただいておりますので、今後とも国税庁として未成年者飲酒防止等に十分配慮するよう業界を指導してまいりたいと存じます。
○島袋宗康君 せっかく附帯決議をして、問題解決に当たってほしいということでありますから、消費者団体の意見も十分尊重して今後政府としても自販機から酒類がなくなるような方途がとれないものかどうか、これだけの消費団体の要求ですから、何とかひとつこたえていかなくちゃいけないと思うんですけれども、再度その対策についてお聞きしたいと思います。
○政府委員(窪田勝弘君) 御指摘のように自動販売機の問題というのは非常に重要な問題であると認識しておりますし、また一方でそれぞれの消費者の利便あるいはそれぞれのお店の経営の省力化という点も考え合わせなければなりません。今後、この自動販売機の問題というのは引き続き自粛の方向で検討はしてみたいというふうに思っております。
○委員長(野末陳平君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十二分散会