大蔵委員会 第6号
- 発言数
- 258 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1993/04/27
会議録
○委員長(野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二十六日、山田健一君が委員を辞任され、その補欠として谷本巍君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(野末陳平君) 協同組織金融機関の優先出資に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。林大蔵大臣。
○国務大臣(林義郎君) ただいま議題となりました協同組織金融機関の優先出資に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 近年、金融の自由化が進展する中で、金融機関の自己資本の充実は喫緊の課題となっており、協同組織金融機関においても、経営の健全性を確保するため、自己資本の充実が急務となっております。 本法律案は、このような協同組織金融機関をめぐる状況の変化にかんがみ、その自己資本の充実に資するため、普通出資を補完するものとして優先出資を発行できる制度を設けるとともに、優先出資者の権利の保護について定めることにより、協同組織金融機関の経営の健全性の確保を図ろうとするものであります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 本法律案では、協同組合原則と優先出資者の権利保護の調和を図るため、優先出資者には普通出資者総会における議決権を与えないこととする一方、剰余金の配当については普通出資者に対する優先権を与えることとし、また、優先出資証券の発行、優先出資者総会制度等についても所要の規定を設けることとしております。 なお、優先出資を発行できる協同組織金融機関は、農林中央金庫、商工組合中央金庫並びに全国を地区とする信用協同組合連合会、信用金庫連合会及び労働金庫連合会としております。 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(野末陳平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○本岡昭次君 今回の法案の審議に入る前に、金融制度改革の問題全般について若干御質問をしておきたいと思います。関連があると考えるからであります。 銀行、信託、証券、それぞれの分野に業態別子会社方式による相互参入を行う改革が実施をされました。このことは、戦後の金融制度の特徴であった分業別、専門別が大きく変更されることとなりました。このことにかかわって、平成三年六月二十五日の金融制度調査会答申で「新しい金融制度について」というものがございます。この中を見ますと、「金融制度見直しに当たっての視点」として、一、利用者の利便、二、国際性、三、金融秩序の維持、四、地域金融の活性化という四点を挙げております。 これを見る限りにおいて、金融改革に当たって最も重視すべきは利用者の利便というふうに思うんです。国民の側からしてもこれは当然だと思います。ところが、この改革の中で最も重視されるべき利用者の利便というものがないがしろにされているのではないかという声があります。また、改革の中身が金融秩序の維持ということに重点が置かれ過ぎて、結果として大蔵省の行政権限がより強化されることになってしまったんではないかという意見も耳にします。 今回の制度改革で利用者、つまり国民の皆さんにとってどのような金融サービスの恩恵を受けることができるようになったのか、具体的に示していただきたいと思うんです。
○政府委員(寺村信行君) 今回の制度改革は、ただいま委員からお話がございましたように、専門制、分業制に基づく各業態間の垣根を低くすることによりまして競争促進的な施策を導入するということがねらいでございます。それによりまして市場の効率化を図りますとともに、ニーズに対応した金融証券サービスの提供が可能になる、そういうことをねらったものでございます。 具体的にどのような改革が行われるかと申しますと、競争促進的な施策を導入することによりまして当然競争が進められ、その結果各種の手数料、例えて申しますと信託報酬とか社債等の発行手数料の引き下げだとか、そういうことが当然競争促進的な施策として行われるということがねらわれております。 それから同時に、垣根を低くすることによりまして従来の制度では考えられなかったような新たな金融商品の提供が可能になる。例えて言えば三年超の預金の導入、従来は期間三年までの定期預金しかございませんでしたけれども、長短分離制度を見直すということで四年、五年の定期預金の導入、あるいは変動金利預金の導入ということも今年じゅうに予定をいたしておりますが、そういうふうに商品の多様化をして、ニーズに合った、消費者に対していろいろな多様な金融商品を提供する、あるいは競争を促進することによりまして手数料等の引き下げをねらっている、こういうのが競争促進的な政策の結果として期待されるわけでございます。 それ以外に、具体的に例えば地方の住民、中小企業、農林漁業者に対します金融サービスの均てんということをうたっておりますが、それは具体的に申し上げますと、地域金融機関が本体として信託業も営むことができる、あるいは子会社をつくることができる、あるいは代理店方式によって従来地域では受けられなかった信託サービスを受けられるということが考えられます。 それから、例えば信用組合等につきましては、国債の窓販、ディーリング業務、外国為替業務、それから信金でございますと社債の受託業務とか、こういった従来地域金融機関が行えなかったような新たな金融サービスの提供が可能になるということでございます。 そういったことで具体的なサービスの提供ができるということとなるほか、先ほど申し上げましたように、競争促進的な施策を導入することによりまして金融資本市場の効率化が達成できる、それによって国民全体の効率化を達成することができる、こういうねらいで行われているものでございます。
○本岡昭次君 今の局長の答弁は、私が質問した国民がどれほど恩恵を受けたかとかどれほど利便になったかということに対しての答えとすれば全くわからぬですね。わからぬから私質問しておるんですけれども、国民が聞いてなるほどという答えにはなっていない。 さらに聞きますが、今そういう可能性があるということをおっしゃった。商品の多様化、手数料の引き下げ、あるいはいろんなところで信託サービスを受けるとか、効率化とかいろいろおっしゃいました。それでは、きょうも関係のある協同組織金融機関が、例えば今もおっしゃったけれども、信用金庫等が社債の募集の委託業務、また信用組合、労働金庫、農協等が国債等の窓口販売、窓販ですね、またディーリング業務、為賛、債券の売買、証券取引を行うというふうなこと、そういうこともおっしゃいました。しかし、こういうことがそれでは具体的に現在どのように行われているのか。また恐らく認可事項で、認可申請がされてそれを大蔵省が許可するという形になろうかと思いますが、一体それではそういう状況が現在どう進行しているのか、今後それらのことが国民に向けてのサービスの部分としてどのように進んでいくのか、具体的に説明をしてください。
○政府委員(寺村信行君) 昨年の国会で成立をいたしました金融制度改革法、その後、政省令それから通達の整備をしてまいりましてこの四月一日に施行されたということでございまして、その各種の認可条件とかいろいろ決めております、それに沿ってこれから各金融機関から申請が出てまいります。 例えば、信託業務につきましても、本体でやるのか子会社でやるのかあるいは代理店方式で信託業務をやるのかというのは、それぞれの地域のニーズあるいは金融機関の経営の体力の問題もございまして、具体的に例えば代理店方式でやるのか、本体としてやって一部代理店を併用するのかという選択を各地域金融機関がこれからみずから行いまして、どの方式でそういうサービスを提供していくかということを今それぞれの金融機関が真剣に考えているという状況でございます。 それから、例えば外為業務とか新たな国債の窓販、ディーリングでも、やはりお客様からお預かりするものですから、全く能力のないようなところに簡単にというわけにはいかない。やはりそれだけの顧客に対する信用の問題もございますから、原則として緩めるわけでございますが、すべてオーケーというわけにはいかないんで、一定の要件をどうしても、それぞれの要件なりそういう対応ができているかどうか、そういうものを見ながら広げていく、こういう対応をこれからするところでございまして、まさに今各地域金融機関ともそのような対応をみずから判断をしつつある、こういう状況でございます。
○本岡昭次君 これからということですが、これからだということであるからこそ、私は一体見通しはどうなるんだと。 今いろいろ大切な商品をお客様からお預かりするんだから、それを受け入れ、管理し、お客様の利益を図るための条件を整備しなければなりませんというふうな意味のことをおっしゃいました。とすれば、こういうふうに垣根はとった、利便性という問題を前面に押し出してやろうとした、しかし、実際何年もかかってみたけれども、どこも今おっしゃったディーリング業務はできない、社債募集の受託業務が信用金庫とか信用組合とか労働金庫ができないということであれば、これは文字どおり絵にかいたもちになるわけです。 少なくともこういう法律をつくられた以上、そうした可能性、将来そういう条件になるであろうという見通しのもとにやられたと思うんですよね。そうでしょう。とすれば、四月からだと言っても、この法律は相当以前から議論もされ、そして昨年成立したものですから、今言いました信用組合、信用金庫、労働金庫等々がこうしたいろんな新しい事業を進めていくことについての大蔵省としての見通しをもう少し話していただけませんか。
○政府委員(寺村信行君) まさに、委員御指摘のとおり、この具体的な成果が出てまいりませんと、何のための金融制度改革かということになろうと思います。 そういう意味で、昨年来、法律を国会で制定されましてから、具体的な進め方につきましていろいろ調整をしてまいりまして、その関係で政省令、通達が出ましたので、それを受けまして今金融機関が急いでみずからもその選択をどちらの方向で、具体的には例えば信託業務でございますと、本体方式でいくのかそれとも子会社をつくるべきなのかというのを今真剣に悩んでいる。しかし、それもいつまでも悩んでいるわけではなくて、早晩具体的な結論がそれぞれの各金融機関から申請として上がってまいりますので、それにはできるだけ迅速に対応していく必要があろうかと思っております。 したがいまして、それが何件で幾らということはちょっと今の段階で、今金融機関がそれぞれの対応を考えているところでございます。とにかく可及的速やかに私どもとしても対応していくべきものではないかと考えております。 それから、金融商品のことも先ほど触れたんでございますが、これも具体的に制度改革の成果でございますが、今まで定期預金は三年までのものでございましたが、この十月には四年物の定期預金を導入する。さらに、来年五年物の定期預金を導入する。それから変動金利預金につきましても、今までは信託分離制度という制度の建前で金融機関では提供できなかったんでございますが、この十月に三年までの変動金利預金を導入する。それから、二年後に今度は四年超のものにつきまして見直す、こういう方針を今示しておりまして、そういう方向に沿って着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。
○本岡昭次君 これから各単位金融機関のさまざまな努力ということになってくると思います。しかしながら、大蔵省の行政権限だけが強化したとか、あるいは行政指導が非常に力を持っていったというふうなことにならないように、国民の利便性という問題が単位銀行のみずからの力で実現するように希望をしておきたい、こう思います。これから具体化の展開について注目をしていくことにいたします。 それではもう一つ、金融制度改革の一つの重要な問題として、地域金融の活性化という柱があります。地域金融といいましても、それは主にその地域にある、地域経済を支えている中小企業に対する融資ということにあると考えます。 その場合に、こうした協同組織金融機関がそれでは一体どういうふうにして中小企業向けに融資をしているのか、貸し出しをしているのかということを示すここに一つの表がございます。これは信用金庫が一九九三年三月にとった統計です。「金融機関別中小企業向け貸出金額・比重の推移」という表題です。 これを見ますと、都市銀行、地方銀行、第二地銀、いわゆる銀行ですね、こうした銀行がやはり一番多くて、平成四年の十一月現在で七二・五%。昭和六十二年の三月は六〇・一%です。それが七二・五%というふうに、シェア別に分けるということじゃないけれども、要するに主として大企業に顔を向けておった全国銀行が、シェアの分野において六〇・一%から七二・五%。一二・四%中小企業のところへ比重を移してきているという実態があるんですよ、現に。 当然、そのしわ寄せはどこへいくかということになる。そうすると、中小企業金融関係のところを見ると、信用金庫が昭和六十二年三月には一五・四%であったのが平成四年の十一月では一五・七%。全く横ばい、ふえていないんです。そして、信用組合も四・一%であったのが四・六%というふうに、これもほとんど伸びていないんです。そして、トータルとしては三二・一%から二〇・三%というふうに構成比は低下している。 一方、政府系金融機関の中で、今回の五団体の中に入る商工中金、この商工中金というのは、これは政府も出資をしてやっている中小企業に向けての金融機関ですよね。そこがどういうことになっているかというと、昭和六十二年三月では三・七%であったのが平成四年十一月では三%というふうにずっと下がってきてしまっているんです。 こういう実態を見たときに、本来地域金融、中小企業に対する金融機関として存在をすべきこうした協同組織金融機関、今回この法律の対象になっているところが一体これからどうすればいいのか。いわゆる東京、大阪等の株式市場に上場している一流企業、大企業のところへ全国銀行と競争をしていかなければならぬのか。一方はなたれ込んでくるというこういう状況で、本当にこれからこういうところが生き残っていけるのか。 しかし、それを拱手傍観していてはならないわけで、地域金融、中小企業向けの金融はそれぞれ固有の目的を持ってつくられた、労金は労働者というところを対象につくられたそういう金融機関でありますが、そうしたところがこれからどういうふうにして生き残っていくのか。先ほど統計上で見たように、本来自分がかかわらなければならないところが大銀行によってどんどん侵食されていっているこの状況下にあって、一体こういうところをどうするのかといった問題について大蔵省のお考えを聞かせていただきたい。
○政府委員(寺村信行君) ただいま委員からお示しいただきました計数、これは昭和六十二年と平成四年との比較でございます。ちょうどバブル期を挟んでいる比較でございます。 実は、バブル期におきまして、大銀行が中小企業金融にかなり積極的に対応してまいりました。一つは、大銀行の融資先であります大企業がエクイティーファイナンスあるいは社債市場からの資金調達をするということで相対的に借り入れ需要が大企業は減少したという中で、大銀行としても生き残り対策として中小企業の分野へ進出をしていったという事情がございます。これは、このこと自体は競争促進的な施策でございますから、中小企業者にとって企業者の利益のためにはマイナスでないという認識でございます。 ただ、この計数は、その後バブル経済の崩壊ということによりまして、不良資産の増大ということで、大銀行がバブル期のように中小企業に対して必ずしも積極的でなくなった。その意味で、ごく最近の計数では地域金融機関あるいは協同組織金融機関の貸し出しの伸びは大銀行よりかなり高いという状況になっております。これは今後これからの条件でどういうふうに変化していくかちょっとまだわからないんでございますが、そういうような状況が今あるところでございます。 ただ、そうした中で、地域金融機関あるいは協同組織金融機関として今後どう考えるかということでございます。先ほど来申し上げてまいりましたけれども、金融制度改革というのは競争促進的で、利用者の利便のために競争促進的な施策を導入するということは、実は金融機関の経営にとっては厳しい状況を引き起こすということでございます。その意味で、今後特に地域金融機関あるいは協同組織金融機関については経営は厳しくなるんだというふうな認識を持っております。したがって、それに対応するだけの基礎体力をできるだけ強化する必要がある。 その場合に、やはり今まで限定されておりました業務を、できるだけ多様化を図っていろんな業務もできるという選択肢をなるべく広げ、その中で自分の金融機関としてのニーズと体力を考えながらどうやって生き残っていくか。そういう競争をすることによって利用者に対してのサービスの向上を図るとともに、金融機関としても体力を向上させていく。そういう施策をこれからやっていかなければいけないということで、金融制度改革では業務をなるべく広げ、そして選択の余地を広め、同時にやはり経営合理化努力、これは今回やはりかなり重要な問題になっているので、常々地域金融機関、協同組織金融機関については経営合理化の努力を一方で要請をしている、こういうことを続けているところでございます。
○本岡昭次君 今の議論を続けていくわけにいきませんので、この問題の議論はまた別の機会に譲ることにいたしまして、本日提出された優先出資法案に入っていきたいと思います。 この優先出資法案というものを提出されたのも、結局その基本には、今局長と私とが話をしたような問題を解明するということにかかわっていると考えます。 それで、協同組織金融機関で今回対象になっておるのが農林中央金庫、商工組合中央金庫、全国信用金庫連合会、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会の五つの団体なんですが、これはいずれも会員の相互扶助を本来の目的とする協同組織金融機関ということであって、それぞれがみずからの力、すなわち自己資本をどう強化していくか、比率を高めていくか、そのことによって経営を安定させていくかということは、会員の力を基本とすべき、これが当然だと思うんです。 しかし、今回は、それに頼っていたんではこれ以上の自己資本の充実、経営の安定強化が図れないから、員外の会員でない人、例えば機関投資家というふうな者が予想されますが、そうした人たちから資金を導入することが必要だということになってきたと考えられます。 そこで、そういう方法を講じるということもこうした法律によって可能でありましょうが、それでは、現在の会員、協同組織を形成しているそれぞれの会員がもっと相互扶助の立場に立って自己資本の充実ということを図る方法がなかったのか、あるいはまた、優先出資制度という新しい方法の導入は員外会員の手によってしかできないのか。 私は素人ですからこんなばかな質問しているのかもしれませんが、会員によってこういう優先出資制度を導入するということはできないのか、なぜ会員ではもうだめなんだ、員外会員で自己資本の充実を図らなければもう先行き大変なことになるんだというふうな判断に至った理由、そしてまた、今回なぜこのような内容となったのか、この法律の根本的なところをお話しいただきたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 委員の御指摘のとおり、本来、協同組織金融機関でございますから、これは会員からの出資というのが原則であるべきだということでございます。 ただ、既に今委員からお話がございましたけれども、会員からでございますと、やはり会員資格が限定されている。あるいは会員が中小企業者とか農業者とかあるいは中小企業協同組合とかということでございまして、比較的負担能力に限界がある。それから、協同組合の原則でございますが、平等の原則がございますので、ある会員が突出して負担能力が高くてもそれを持つことができないとか、いろいろ普通出資を増加させるのに限界がございます。 一方で、経済の発展に伴いまして協同組織金融機関もかなり規模が拡大をしてまいりまして、特に連合組織におきましては、会員からの余裕金を運用しなければいけないということで自動的に資産規模が大きくなっていく。そうかといって、単位組織の会員は一定の限界がございましてそこから出資をどんどん増加させるというのも困難だというと、やはり会員外から協同組合原則には抵触しない範囲での自己資本の調達、充実策を検討する必要があるのではないか、こういうことで今回の制度の導入を御提案させていただいたということでございます。
○本岡昭次君 自己資本率という問題、今までしばしば私たちが耳にしたのはBIS基準、国際基準の八%、これになるかならぬかということで銀行がいろいろ苦心をしたということを情報として我々知ります。 しかし、今回、この自己資本比率がこうした協同組織金融機関にも適用されて、海外に事業を展開しているところはBIS基準で八%、海外に持っていないもの、労働金庫と信用組合ですか、これは四%程度というふうな形が適用されます。BIS基準に到達するかしないかといって銀行が大騒ぎをしておったのは今も頭にあります。今株が上がって何かうまく乗り切れたとかいう話を聞くんですが、そういうことがこれから信用組合とか労働金庫、国内基準のところだけの四%という問題にかかわって、四%を達成したしなかったということがいろんな意味で制約的に議論になってくるのかどうかということなんですよ。 それで、その一方、こういうことを出す以上、労働金庫にしても信用組合にしてもそのほかにしても、一方八%、一方四%を達成させるんだ、あるいは達成しなくてはいけないんだということが一つの目的のようになっていったときには、一体どのようになるのか。信用組合の全国組織は今二・一八、労金が一・三八ですか、こういうところが国内基準四%に到達するのかしないのかという問題にかかわって、一体これからそれぞれの金融機関に対して四%、八%がどういうかかわりを持ってくるのかということを御説明いただけませんか。
○政府委員(寺村信行君) 自己資本の充実というのは、実は金融自由化との関連が非常に強い問題でございます。 従来のように金利もすべて規制するとか、あるいは業務のいろいろな分野について規制を強化してまいりますと、監督行政で経営のリスクというのはある程度カバーできるわけでございますが、金利も今度この六月から定期預金金利自由化、来年は流動性預金金利自由化という金利の自由化が進んでまいります。それから、今申し上げましたように経営のいろんな選択肢を与えられるということになりますと、実は経営のリスクというのはこれから非常に大きくなっていくということでございます。 そうすると、そのリスクを担保するために、一方信用秩序を図っていくためには、どうしても最終的なリスクの担保というのは自己資本になるということで、実は自己資本の充実というのは従来以上にこれは重要な意味合いになってくる。今までは、確かにいろいろな規制、レギュレーションの枠の中で金融機関が経営していればよかったわけでございますが、いろいろな自由化によってやはり最終的な担保を一方で自己資本に求めてやっていくということが求められる。その意味でやはり今後とも自己資本の充実策が必要である。 ただ、自由化も一挙に自由化が起きるというわけではございませんで、基本的にはやはり金融市場に対する不測の混乱を招かないように段階的、漸進的に行われていくということでございまして、そういう過程で徐々にそういう体制を整えていく。自己資本の充実につきましてもやはりそういう方向で各金融機関がこれから努力をしていく必要があるのではないか、このように考えております。
○本岡昭次君 それでは、はっきりと聞きますが、先ほど信用組合、労働金庫、農協等が国債の窓販あるいはディーリング業務、為賛、債券の売買、証券取引というものを新しくしてもよろしいよと広げた。ところが、その受け入れ態勢ができていないからまだやっていない。そこへ国内基準の四%がある。この四%というのは、そうした新しい仕事をする上に、金融の基盤が確定していなければ広げたら大変なことになりますよと。関連しているんでしょう、これ。だから、四%基準が達成できなければ国債の窓販とか為替業務とか証券のそうした取引というものはやらせませんよということになるのかどうかということです。 今の局長の話では、四%達成していなければ非常に危険だからと。今までは会員に対する融資だけであったけれども、そうした新しい金融改革の中で出してきた自由化の、債券の扱いとか国債の扱い、為替等いろいろなものをやれるようにしたということとのかかわりをはっきりさせて、もう一遍端的に、四%を達成できなければこういうことは認めませんということになるのかならぬのか。
○政府委員(寺村信行君) 先ほど委員の御指摘になりましたケースは連合会のケースでございます。ところが、単体でございますと、信用組合も労働金庫もほぼ大多数の組合、金庫は大体四%に達しております。もちろん達成していないところもございますけれども。 今のお話は、連合会のお話ではなくて、例えば外為業務とか、それは大体少なくとも自己資本比率では四%に達しているところが多いわけでございまして、私どもとしても経営の健全性のメルクマールとしてやっぱり四%は重視していきたいと考えておりますが、それによってほとんどの信用組合がその基準で落とされるということにはならないのではないかと思っております。
○本岡昭次君 私は兵庫ですが、その単位銀行、労金なら兵庫労金というのがある。そこは既に国内基準の四%に達している。だから、やろうと思えばやれる、条件が整えばと。 そうすると連合体ですね、それでは四%という国内基準をそこに持ち込んだ。私の言ったディーリングとかいうのは連合体はできないんですか、できるんですか。
○政府委員(寺村信行君) 先ほど来、いわゆる地域金融機関で業務の規制を緩和して新たな業務で国債の窓販、ディーリングあるいは外国為替業務と申しておりますのは、地域の単位の信用組合、単位の労働金庫とか、そういう頭で実は御説明をいたしておりまして、その限りにおいてはかなりの部分が自己資本比率規制の面ではクリアできるんじゃないかと思っております。 ただ、連合体、連合会をどういうふうに位置づけるかというので、連合会によってもいろいろまちまちなんでございます。例えば農林中金の場合、単体としては非常に自己資本比率が小さい、ところが系統を合算すると非常に大きくなる。逆に、全国信用金庫連合会は単体としては大きいんですが系統を合算すると逆になるとか、いろいろ連合組織によって、それぞれの特性あるいは経営の内容によりましてまちまちでございます。 御指摘のように、全国信用協同組合連合会あるいは労働金庫連合会はそれにしても低い。ただ、低いと申しましてもこれは国内基準で、例えば全国信用協同組合連合会、二・一八%でございますが、これは実は総資産分の自己資本という、ちょっと定義が違います。BIS基準でやりますと総資産じゃなくてリスク資産でございますから、例えば国債はノーリスクになりますので、分母が小さくなります。仮にBISでいきますと七%を超えるというような状況になっておりますので、その辺の状況も具体的に勘案しながらこの連合会の取り扱いについては考えてまいりたいと思っているところでございます。
○本岡昭次君 そうすると、自己資本比率を高めていくために員外会員から優先出資を求めていくというこの仕組みを連合会のレベルのところでやるというのは、その会員をふやしたりすることは難しい。単位のところが日本四十七都道府県に一つずつだったら、五十とか戸とかふやさぬ限り単位はふえへんわけですから。そういう意味でこれを導入するということで、一方、その単位の機関に対しては、自己資本比率どうこうという問題、これは関係ないということなんですか、今おっしゃったように既にもうそれは一定の基準を満たしているからいいんだというんですか。将来、単位のところにもそうした員外会員における優先出資というものを認めるというのか、導入させてもなお自己資本比率を高めさせるんだというお考えがあるんですか、そこのところはどうですか。
○政府委員(寺村信行君) 御質問を二つに分けさせていただきまして、まず、単位組織が四%いっているからもういいんじゃないかという御質問でございます。 これはいっていないところもございますので、引き続きその充実をしていただかなければ、基準に満たないところはそのような努力をしていただくのでございますが、ただ、この自己資本というのはこれは最低基準でございますので、実はできるだけその最低基準を上にいっていただく方がこれから金融機関の経営上必要ではないかということで、引き続き経営努力、自己資本充実のための金融機関の努力は要請してまいりたいと考えております。 それからもう一つ、じゃ優先出資を単位組織まで拡大することを考えているかということでございますが、今回の法律で御提案させていただいておりますのは、連合組織の問題として考えております。単位組織はそれはまだ会員数の拡大という自己努力の余地もございますし、それからこの種の優先出資というのは、これからも御議論が出ると思うのでございますが、基本的に協同組合原則との関係をどう考えるかという問題もございますので、やはり連合組織に限定した方がいいのではないかという考えでございます。
○本岡昭次君 もう時間がなくなりましたんでかいつまんで質問します。 この法律の中に優先出資者が議決権がないために、財産権を守るということから定款等の閲覧権あるいはまた謄写権というんですか、「閲覧又は謄写を求めることができる。」、それは「政令で定める書類の」と、こうなっているんですが、それはどの程度のものを考えておられるのか。
○政府委員(寺村信行君) 基本的には、普通出資者が閲覧できる範囲と考えております。 なぜ政令でと申しますと、これは実は団体によって書類の名称に差がございまして、例えば総会議事録という言葉がございますが、農林中金とか商工中金ではそれが総会決議録となっておりますし、業務報告書が農林中金、商工中金では事業報告書というような形になっておりますので、やや技術的な点から「政令で定める」ということにしたんでございますが、基本的には普通、各根拠法で事務所に普通出資者が閲覧できる書類が定められておりますから、それと同じものというふうに考えております。
○本岡昭次君 次に、優先出資というものの扱いなんですが、証券化して要するに株式と同じような形で市場に流通させるというお考えのようです。それで、優先というのは何かということの定義として、配当の場合に普通会員より先に配当するということで、必ずしも配当率を普通会員よりも高いものにするということではないというふうな意味のことが書いてあります。 それでは、私の持っている資料、これ正しいのかどうかということなんですが、現在、普通出資における配当率、農林中央金庫七%、商工組合中央金庫五%、全国信用金庫連合会八%、全国信用協同組合連合会七%、労働金庫連合会一%と私の資料はなっているんですが、間違いありませんか。
○政府委員(寺村信行君) そのとおりでございます。
○本岡昭次君 そうなりますと、優先出資の証券という形で購入をしてもらうという場合に、配当率が普通の一般会員よりも高いというよりか、先にという、順序が優先するんだということになったときには、要するにこの優先出資証券の配当というのは、例えば農林中央金庫であれば七%、ちょっと色をつけて七・一%、あるいは労働金庫であれば二%、いや二・一か二かというふうな形で優先出資証券の配当が設定されると考えていいんですか。
○政府委員(寺村信行君) まず今の配当率でございますが、例えば農林中央金庫の場合、一応上限が六%となっております。ところが準備金が出資総額の四分の一に達した場合は八%までということになっておりますが、今の経営状況から七%というのが決まっているわけです。商工組合中央金庫におきましても全く農林中金と同じように八%のうちの五%。これは政府出資の問題もございます。それから、労働金庫連合会は上限は一〇%でございます。ただ、現状において経営の実態から二%、こういうことになっておりますので、実際の配当率は経営の状況に応じて変わってくると思います。 しからば、優先配当の率をどういうふうに決めるかということでございますが、これはやはり各それぞれ発行体のお考え、もちろん一応の上限規制は設けますけれども、それはまさに市場の状況とそれからやはり各金融機関のそれぞれの連合組織の経営体力の問題というようなことで、総合的にこれからも、かつそれが売れなければいけないということでございます。さりとて余りコストがかかるものであってもいけないという、そのぎりぎりのところをこれからどうやって見つけていくかということを各機関が判断をしなければいけない、こういうことになるのではないかと思います。
○本岡昭次君 私は労金の理事もしたことがあるので労金というところへすぐ目が行くんですが、一〇%で、実際今は状況が悪いから二%と。ここのところは、優先出資の証券を発行しても、現状二%で、ちょっと色をつけて二・一とか二・五でも、これが市場に流通するというふうなことはほぼ考えられません。とすれば、上限の一〇%というところに持っていってやれば、これは普通一般会員と優先出資者の余りにも格差が生じますね。 といって、今言ったばらばらの配当、現実に実態に合わせたものがあって、そこへ優先出資法によって証券が一斉に市場に出ていくというときに、機関投資家が買うときには、これは会社のためとか会員の相互扶助とかそういう視点じゃなくて、まさに売買の中で利益をどれだけ得るかということでかかわってくるわけでしょう。 とすれば、こういう方法を講じても、幾らどうぞ買うてください買うてくださいと言っても、買ってもらえない団体がこの中に出てきて、大蔵省の考えること、またこれに賛成なさった各五団体も、格差が生じてこれは大変なことになるんじゃないか。全体に押しなべて、このことが自己資本比率を高めていくということに働くのかどうかということを危惧するんですが、そのあたりはどうですか。
○政府委員(寺村信行君) まず、実際の配当率は各機関の連合組織の経営努力によってまた上がっていく場合も十分あるので、今の状態が固定されるということではないし、そのための努力をそれぞれおやりになっていらっしゃると思うんです。 それから、優先出資を出すかどうかというのはまさに普通出資者総会の、定款改正事項でございますから、それでも出すのかどうかというのはみずからの御判断だと。ただ、そういう選択肢を制度としては用意をいたします。しかしお決めになるのはそれぞれの組合員の意思でお決めになる。組合員というのか出資者の総会でお決めになる、定款改正事項でございます。 どの程度のメリットをそこに付与するかどうかということも、やはりそれぞれの機関で自己責任でお考えをいただかなければいけないことではないかと思っております。
○本岡昭次君 大体わかってきましたが、考えてみたら大変なことですね、これは。 相互扶助といって、お互いの助け合いだといってやっていたところに、員外のものを持ち込むかどうか、そして持ち込めるところと持ち込めないところ、また自分の意思で優先出資をやろうとする、やらないという。それぞれの単位の協同組織金融機関がやればいいということですが、そのことによって、せっかくそれぞれの協同組合組織金融機関がある程度目的とするところを一致させて歩んできたそのこと自身が、これから大きくさま変わりをして、相互の力関係によってまさに自由化の荒波の中にそれぞれがもまれていくということになりますね。 だから、そういう力関係においてそれぞれのところで格差がついてももう仕方がないんだというふうに大蔵省としてお考えになっておられると私は言わざるを得ないのです。それはそれで一つのやり方だと思いますけれども、しかし協同組合金融機関というのがスタートの段階にはそれぞれの目的を持ってそれなりの役割を果たして今日に至っているという歴史的な経過を見るときに、今のような枠だけをつくって、そしてやれるところはやりなさいというふうな形が果たしていいのかどうか、また時期的に適切なのかどうなのかというようなことを私は心配いたします。 しかし、それぞれの事業団体の皆さんがこれにかかわってやりましょう、やれますと、こうおっしゃっているんだから、そこのところは文字どおり金融の自由化に向かって進む中で大いに頑張ってもらわなければいけないのかなと思ったり、これをいろいろ勉強しまして、私も初めの方の労働金庫運動にかかわってきましたから、何か非常に悩ましい思いを持っているということをちょっと感想的に申し上げまして、大蔵大臣、一言も答弁いただいてないので、今私も感想を述べましたのでちょっと感想的におっしゃっていただければ結構かと思います。
○国務大臣(林義郎君) 本岡議員も労働組合の関係で労働金庫にいろいろと御関与があったことも承知しておりますが、私は、こうした金庫はそれぞれの性格を持ってやってきたと思うんです。協同組合的な組織で、協同組合が自己努力によってやっていくというのが一つの考え方でありましたし、いろんな農林中金であるとかそのほかの信用組合連合会、信用金庫連合会などというようなものもそういった協同組織的なもので育ってきたわけです。 ただ、そういったところに対しまして、先ほどちょっとお話がありましたように、だんだんと大きな銀行の方がいろんな市場侵食をしてくる。しかし、これは一方の金融を受ける方の立場からすれば、大きなところも今までのところも、いろんなところが入って競争してやってくれるのは金を借りる方からすればそれは結構な話でありますし、こちらもやっぱりふやしていかなくちゃならない。そういった要請もありまして、そこがやはり競争的な金融施策というか金融市場というものをつくっていく。その中で、どういうふうな形で今までのこういった組織が生きていくかというのが私は今回の問題だろうと思います。それぞれのところでこうしたことをやりたいと、こういうふうなお話でありますから、いろいろ知恵を絞って私はやっていくということが大切なことじゃないかと思います。 金融機関独自の経営の問題もありますが、やっぱり考えるのは、金融機関が持つところのサービスというものを本当に考えていかなければならないのでありますから、そのサービスをするためにどういったことをやったらいいかということは当然に我々としても考えていかなければならないところだろうと思います。金融でありますから、サービスというものを全部無制限にやるというわけにもなかなかいきませんし、その辺はいろいろなことを配慮しながらやっていくということが大切なことではないだろうかな、こう思っていることを申し上げておきたいと思います。
○谷本巍君 本岡委員からの労働金庫問題などを踏まえての質問に続きまして、私は農林中央金庫への優先出資導入問題を中心に若干伺ってみたいと思います。 初めに伺いたいのは、農林中央金庫の場合、どんな会員外優先出資を想定しておられるか、この点伺いたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) これからの制度でございますので、まだ具体的にどういう方が優先出資に応ずるかというのはちょっと明確には申し上げられないんですけれども、恐らく機関投資家が一つの対象として考えられるのではないかと思っております。
○谷本巍君 例えば、農業関連産業とかあるいはまた外資、これは想定しておりませんか。
○政府委員(寺村信行君) 農業関連というとちょっと漠然でございますけれども、かなり会員になっておられるところ、傘下に入っておられるところもあると思います。それから、特に外資ということではなくて、もちろんこれは転々流通性がございますから結果的には保有されることもありますけれども、国内からの、転々流通する有価証券として発行して資本を調達する観点でございますけれども、具体的にどこを対象というところまではまだ、それをねらってこうだというイメージを持っているわけではございません。
○谷本巍君 続いて、農林中央金庫の自己資本比率の拡大について伺っておきたいと存じます。 現在、単体で言いますというと二・二%、三段階通算で言って八・六五%だと聞いております。単体だけで八%にしていこうという目標のようでありまして、その場合の方策並びに達成の時期についてどのようにお考えになっておるでしょうか。
○政府委員(寺村信行君) 個別の機関がどのようなお考えを持つかというのはちょっと私どももこれは申し上げられないわけでございます。農林中金が今後どのような経営方策をこれからお考えになるかということでございまして、行政当局があらかじめこうしろということにはならないと思います。 ただ、単体と通算で通算いたしますと八%のBIS基準を超えておりますので、その点で農林中金が海外での活動に制約を受けるということは今のところはないと思っておるのでございますが、基本的にはやはり今後海外のマーケットがどのような評価をしていくかということで、農林中金としても、単体としても、自己資本の充実を図っていきたいという考えは持っておられるというふうに理解をいたしております。
○谷本巍君 その点は、直接接触をしておる農林水産省はどうお考えですか。
○政府委員(今藤洋海君) 農林中金の自己資本の増強策についてでございますけれども、御案内のとおり、会員からの増資につきましても、平成二年に三百億円、平成四年には二百五十億円といったことで近年特に増資に努めておりますし、また内部留保につきましても、六十三年以降毎年毎期百八十億円程度の内部留保というようなことで自己資本の充実に努めておるわけでございます。 今後、この優先出資を初めといたしまして、いろいろな自己資本調達手段といったようなものを活用するということによりまして、五年ないし十年のうちに農林中央金庫単体でもBIS基準の達成を図りたい、このように伺っておるところでございます。 農林水産省といたしましても、適切にこれに対応してまいりたい、このように考えております。
○谷本巍君 その場合、五ないし十年という話が出てきたのでありますが、会員外の優先出資の占める比重はどの程度に想定しておられますか。
○政府委員(今藤洋海君) これはまだ全くそういった具体的な計画というものはございませんので、今のところお答えしかねます。
○谷本巍君 次に、優先出資と協同組織について伺いたいと存じます。 金融自由化時代を生き抜くのには協同組織金融機関も自己資本を充実しなければならぬということが昨年の金融改革法の審議の際にも強調されてきたところであります。しかし、既存の自己資本充実策だけでは限界があるということから、優先出資制度を取り入れるということになったわけであります。しかしながら、その優先出資制度の取り入れ方いかんによっては協同組織の性格に抵触をしたり、協同組織のあり方を変質に導いていく導火線にもなり得るといったようなことから、本法案でもいろいろな制限を加えておるわけであります。 そこで、初めに伺いたいと思いますのは、政府は自己資本充実のための方策についてどんな検討を行ってきたかということであります。 御存じのように、昨年六月の参議院大蔵委員会の附帯決議は「協同組織金融機関については、優先出資制度を含め、自己資本充実のための方策を検討すること。」というふうに述べております。言っていることは、優先出資を含めぬと自己資本充実は難しいだろうという前提に立っておるわけでありますが、優先出資オンリーでいきなさいとは言っていないんです。つまり、この附帯決議の中心になっておりますのは、自己資本充実ということが中心になっているわけです。 であってみるとするならば、研究会の報告などを読んでみますというと、自己資本充実というところに焦点があるんじゃなくて、すべてが何か優先出資というところで問題が解消されてしまったような印象を私は持つのですが、その点どうでしょうか。
○政府委員(寺村信行君) 自己資本充実には大きく分けまして、出資金の増加が一つございます。それから内部留保の充実というのが二番目として考えられるわけでございます。それから三番目は負債性の自己資本調達でございます。 昨年来検討してまいりまして、もちろん出資金の増加につきましては、るる申し上げてまいりましたように、普通出資でございますといろいろな限界がある。会員が限定されている。それから一出資者当たりの出資額に制限がございます。これは、協同組合原則の平等の原則に抵触しないように上限が設けられております。そういったことがございまして、普通出資の増加にはおのずから制約があるということで、今回出資金の増加の中での優先出資というのを御提案させていただいておりますが、このほかにもちろん各機関は内部留保の充実も図っております。 それから三番目に申し上げました負債性の自己資本調達がございますが、これにつきましては、いわゆる普通の株式会社形態の民間金融機関につきましても、昨年の八月十八日に「金融行政の当面の運営方針」を発表いたしました際に、株式市場が非常に低迷をしておるということで、そこの自己資本調達ができないので、負債性の自己資本調達手段を多様化するということでいろいろな新たな調達手段の多様化を図ってまいりましたが、協同組織金融機関につきましても、同じように負債性の自己資本の導入を図ってまいりまして、これは商中とか全信連でございますが、劣後ローンの取り入れを行っている、そういった対応を図っているところでございます。それのほかに、今回優先出資の制度を導入する、こういう対応をしようとしているところでございます。
○谷本巍君 優先出資でこれを進めていきますというと、先ほども申し上げましたように、協同性を持つそれの性格というのが変わっていく可能性がある。本法案の場合は、優先出資は会員出資を補完するものというふうにそこは位置づけてきたわけです。それからまた、協同組織の議決権は与えませんと。さらに、優先出資の発行口数ですか、これについても一定の制限を加えていく。協同組織の非営利性を維持するために配当にも上限を設けるということを言っているわけです。 そこで、初めに伺いたいのは、この配当に上限を設けるということ、先ほどのお話ですと、それぞれの協同金融機関ごとに上限を設けるということになるわけですね。
○政府委員(寺村信行君) 考え方としてはそうでございます。結果的にどういうケースになるかは、これは具体的な検討を待ってみないとわかりませんが、考え方としてはそれぞれで考えていくということでございます。
○谷本巍君 そうしますと、それぞれの協同機関、先ほども指摘がありましたが、一番低い配当が二%で、高いところは八%。ばらつきが非常に大きいという状況の中で、上限をセットする。これは今のお話ですと、やってみなきゃわからぬというような話になっておるのでありますが、それぞれの機関が優先出資を集めていくためには、できるだけ配当を上げなきゃならぬということに追い込まれていきますね。 配当を上げるためにはどうすればいいかということになってくると、経営はもう合理性を貫徹するしか方法はなくなってくるだろう。協同性の無視というような面がそういうところから出てきはしないのかということを私は案ずるのでありますが、その辺どうお考えになっておりますか。
○政府委員(寺村信行君) そうなりますと、御指摘のようなことになりますと、まさに協同組織金融機関の存立の理念を否定することになるわけでございます。協同組織金融機関は営利性の追求を目的とするのではなくて、あくまでもやはり相互扶助が目的である。そして相互扶助の目的を遂行するに当たって、金融自由化の過程でそれをより強化できるような対策として設けたわけでございます。ところが、配当のために営利法人化するということは、そもそもこの存立の理念を否定することになりますから、そうならないような考え方で、先ほど御指摘ございましたけれども、口数の制限あるいは上限の規制、それから当然のことながら議決権を与えないというような各種の制約を課しているということになるわけでございます。
○谷本巍君 それでは、優先出資の発行口数ですけれども、これは普通出資の二分の一以内と規定しておりますね。この二分の一という根拠は一体どこから出された根拠なんですか。
○政府委員(寺村信行君) これはいろいろな考え方があろうと思います。少なくとも半分以下であるというのが一つの考え。つまり優先出資が普通出資をオーバーしないというのが一つの基準として考えられますが、現在我が国の商法での無議決権の優先株が総株数の三分の一、全体の三分の一に優先株を限定しております。ということは普通株の二分の一ということでございますので、二分の一ということではなくて、やはりそういった我が国商法の優先株数についての制限等も勘案して普通出資の二分の一、全体の三分の一、こういうことで御提案をさせていただいたわけでございます。
○谷本巍君 総株数の三分の一で普通出資の二分の一以内、これは格別理論的根拠はないが、要するに普通出資の口数を超えないようにしていくというところでこういう数字が出てきた、こういうお話ですか。
○政府委員(寺村信行君) これを検討するに当たりまして、外国のやはり協同組織金融機関の優先出資の制度も調べたわけでございますが、外国におきましてはちょうど半数を超えないというような基準がございますが、我が国におきましてはそれよりももう少し低い、商法の優先株の例もございますので三分の一、こういうことにしたわけでございます。
○谷本巍君 普通出資の二分の一以内という基準を決めて、そこまでやってみたが、もう少し資本力を強める必要があるというような問題が出てきた場合にはどう対応されますか。これは将来の問題です。
○政府委員(寺村信行君) 将来の問題として、客観情勢がそういうふうになるかどうかということでございますが、もし客観情勢からしてそういう必要があると考えられるような状態になりましたら、それはまた当然国会の御審議をお願いするということになろうと思いますが、当分はそのような状況にはならないというふうに考えましたので、こういうことで御提案をさせていただいているということでございます。
○谷本巍君 将来その種の問題が起きたとしても、拡大するかしないかということは、あくまでも協同性、相互扶助性といいましょうか、それの維持ということをまず前提にして考えていきましょうということですね。
○政府委員(寺村信行君) そのとおりでございまして、出資の額の必要があるならやはり普通出資をふやしていただくのが原則であって、普通出資がふえましたら三分の一でもその分は増加するということになりますが、あくまでも原則は普通出資であって、優先出資は補完的なもので、総体の出資口数が多いからといって優先出資から普通出資、そこを拡大するという考えは今持っていないということでございます。
○谷本巍君 そこで、農林水産省に伺いたいのでありますが、これから先、今は農林中央金庫が対象になっておるわけでありますけれども、農協もこれの対象に含めていくようなお考えがあるかどうかについて伺いたい。 御存じのように、昨年農協合併促進法が成立をして、この合併は今までとは違って県連を原則廃止をしていって、県連の持つ機能を中央機関と単協の方へ二つに分けていくということでありますから、農協の合併というのがそれを前提とするなら相当大規模な合併になっていくだろうと見られます。かなり大きな事業体ということになってきますと、そういう状況の中で、この金融の問題についてもやはり自己資本強化というような観点から優先出資の問題という要求が出てくる可能性もあり得ると思うんです。 ところが、まだ農林中央金庫の場合にはいいと言ってはなんですけれども、いいんですけれども、これが農協段階ということになってきますと、協同性への影響というのがかなり強く出てくる可能性が私はあると思うのです。そういう点も含めて、農林水産省がどう考えておられるか伺いたいのです。
○政府委員(今藤洋海君) 農協への優先出資の導入の可能性というお尋ねでございますが、今回、優先出資の導入を全国団体でございます農林中金に限定しておりますのは、こうした全国組織でございます農林中金が、個々の会員であります農協の業務を補完するということで高度かつ多様な役割を担っているということから、金融自由化により積極的に対応していく必要があるということ、さらには農協の資金運用機関的な役割を持っているということで、会員からの余裕金の受け入れを拒否することができない、みずから資産規模をコントロールできないといったこと、さらには、会員のニーズにこたえまして国際業務を行っているということからBIS規制達成の必要性が高い、こういうようなことで農林中金に今回優先出資の導入をしようとしておるわけでございます。 ただいまお尋ねございました農協の自己資本の充実、これにつきましては、今後こうした金融自由化の中に、競争激化にさらされるわけでございますし、さらには合併というようなことで、全国七百数十、今は三千以上ございますが、そうした合併を目指しておるわけでございます。そういう中で金融事業を強化していくという上では自己資本の充実を単協段階においても十分やっていかなきゃいかぬ。 そういったことから、単協の自己資本比率というものを六%ということで今回明定をいたしまして、その増強に指導をしておるわけでございますが、具体的にはそれぞれの農家からの出資の増強でございますとか、さらには昨年新しい制度といたしましていわゆる後配出資といったような制度も導入をいたしております。さらには従来からの回転出資金でございますとか、内部留保の充実、こういったことによりましてこの六%の自己資本の充実を図っていくということで、農協も強い取り組み姿勢を示しておるところでございます。 そういったことでございますので、農協にこうした外部からの優先出資を導入するということについては現時点では考えておりません。
○谷本巍君 それで、私はやっぱり農協の合併のやり方が一番問題だろうと思うんです。一番悪い例で言いますと、要するに合併をして本所に人も機能も集中していく、これが一番合併のあり方としてはまずいあり方です。最近農村を訪ねてみますというと、村の中で一番いい建物は役場です。その次は農協です。そういうところの農協は決まって農家から遊離しております、一般的傾向としては。大型合併をすればするほど本所というのをスリムにしていって、そして合併で得られた経済的成果を農家との接触部門、つまり支所ですね、そういうところへおろしていく。大きくなれば大きくなるほど本所を小さくスリムにしていくというやり方でいけばこれは大体うまくいくんです。 でありますから、一つには合併の進め方に問題がある。やっぱりいい合併の進め方をやりながら、例えば農協の組合員の中で優先出資、これの引き受け手なんかもふやしていく。そしてまた普通出資、両方やっていくというような方法だって私はあると思うんです。この優先出資にしたって、何も一般の金融機関に買ってもらうだけじゃなくて、これは農家が買うことだってできるわけですし、またそれをやった方がいいわけでありますから、そういったような面の指導なともあわせて強めていただきたいと思うが、いかがでしょうか。
○政府委員(今藤洋海君) ただいま進めております農協の合併、こういうことによりまして規模が拡大するわけでございます。それによりまして農家なり組合員との関係が希薄化するんじゃないかとか、市町村行政との関係が希薄化するんではないか、こういった心配を各地域で聞いておるわけでございます。 私ども、農協の規模拡大、合併ということにつきましては、事業能力の充実でございますとか人材の適正な配置といったことでございますとか、いろんな面で大変大きなメリットがあるということで進めておるわけでございます。しかしながら、今おっしゃいましたような組合員との結びつき、こういったものがいずれにしましても協同組織である農協の原点でございますので、今お話ございましたように、そういった関係が希薄にならないように、支所の機能を充実していくといったことでございますとか、それぞれの地域の特性に応じました営農指導をしっかりやっていただいて、農業面でも実が上がるようにという形での指導もこれから十分してまいりたい、このように考えておるところでございます。
○谷本巍君 大臣、大蔵省の局長と農林水産省の局長とのやりとりをお聞きになっていたと存じますが、ここのところで最後に大臣の考え方を伺いたいのです。 大臣、やっぱり私は農協が存続できたのは、農協だから存続ができたと思うのです。これは当たり前のことなんですが、当たり前のことを当たり前にきちっと言って、やってきたからだ、こう思うんです。 大臣も御存じだろうと思いますが、ヨーロッパの生活協同組合、これはもう効率化の論理でもって走ってきた。そのためにどんな状況が生じたかというと、事業体は大きくなったが、大企業に吸収されて生協運動としての実態を失ってしまったという例が結構多いんです。やっぱり協同組織というのをそういうふうにしてしまってはならぬと思うんです。 そのためにこの法案でも優先出資を行うに当たってということでかなりの幾つかの条件というのを設けてきておりますけれども、しかし、優先出資がふえていけば経営のあり方にかなりの影響が出てくることはどうも私は免れ得ないのではないかという感じがしてならないのです。絶対にそうならないという保証を、大臣が一〇〇%今保証できますというんだったら保証しますということをここで言っていただきたいんですけれども、そういう自信も、まずやってみなきゃわからぬという点が多いだろうと思います。 そういう意味で、かなりこれは実験的な性格を持っておるわけですから、これからの成り行きを慎重に見守りながら法の運用についても慎重を期していただきたいし、それからまた、当座は政省令を制定するに当たっても協同性を侵すことがないように慎重な配慮を加えていただきたいということをお願い申し上げたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 今谷本議員から御指摘のありましたように、協同組合制度というのは我が国でも農協、消費生協、その他いろんなところでやっているわけで、私も昔勉強したのは、賀川さんが消費生協の中心でやっておられた。やっぱり協同組織でやるというのが私は一つの原則だろう、こう思うんです。 協同組織でやるというのは、お互いの相互扶助というのが原則でありまして、いわゆる株式会社組織のように資本の論理をもって貫くものではない。そういった私は一つの精神的な運動というか社会運動的なものがその背後にあったことも事実だと思いますし、農業をやっていく場合におきましてそういった協同組合というものが非常に大きな役割を果たしたということは私は否定できないというより、むしろ推奨してよかった歴史だろうと思うんです。 ただ、そのいろんなところにおきまして相当に金がかかってくるということも事実であります。協同組織で各会員の議決権が平等だと各会員から全部金を集めるということがなかなかできなくなった。しかしながら、協同組合というものを育てていくためにはやっぱり金も必要であろう。そういたしますと、自己資本充実というような格好で優先出資権というようなものを認めていってやるということは必要でありますが、それによって今お話しのような経営の本来的なものが失われるようなことがあったならば私はかえって困ることになるんじゃないかなと思いますし、むしろこれは本当は協同組合の組合運営の方々の自覚の問題が基本だろうと思うんです。 それから、やはり協同組合を持っておられる方々の物の考え方というものがそこになくちゃいけませんけれども、行政の方といたしましても、そういった物の考え方に沿ってやっていくということが必要なことではないだろうかな、こう思っているということを申し上げておきたいと思います。
○谷本巍君 一つの問題としては、確かに運営に当たる人の問題、これは大臣御指摘のように私はあると思います。 それと同時に、やはりもう一つの問題は、これは一つの仕組みですから、また実験的にやってみるような性格の、今の段階ではそうなんですから、これをやってみて将来的にいろいろ問題が生じてくれば、このあり方の再検討、これもまた一つしていただきたいと思うんですが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(林義郎君) 協同組合の問題につきましては、私はいろんな問題がある、こう思います。今は農協の方でありますが、消費生協なんかにつきましても別の観点でのいろんな問題がまた出てきているのもあるんですね。いたずらな形で大きくなった、こういうふうな話で、じゃそういったものをどうするんだというようなことは日本の中でもありますし、ヨーロッパやその他も、さっき先生が御指摘になりましたように私は問題がいろいろあると思うんです。そういった問題がありますから、それはそのときの状況に応じて立法なり何なり考えていかなければならない、こう思います。 ただ、今ここで考えておりますのは、優先出資制度によりまして協同組合的な組織のものについての力をつけていこう。力をつけていくのはそれだけでありまして、それから先に変質をしていくとか何とかということになりましたならば、当然そのときには別の角度からまた考えていかなければならない問題があるだろうと思いますし、そういったことこそまさに立法当局がいろいろ考えていかなければならない問題だろう、こういうふうに思っているところであります。
○谷本巍君 時間がなくなってきました。最後に農林水産省に伺いたいんです。 今大臣と私とのやりとりをお聞きになっていたと思います。農水省として農林中央金庫に対してのこれからの言うなれば指導といいましょうか、そういう意味での考え方を最後に伺っておきたいということです。 つまり、金融自由化、そして農協合併が進んでいくという状況の中でこの制度ができた。この制度を運用していくに当たって、やはり何といっても協同性の維持ということを大事にしていかなきゃならぬわけであります。でありますから、その点、さらにはまた貯貸率を高めなきゃならぬという問題等々も抱え込んでおるわけでありますから、そうした問題も含めて農林水産省としての考え方を聞かしていただきたい。
○政府委員(今藤洋海君) 金融自由化が進展してまいります中で、大変系統の信用事業が環境が厳しくなってきておるということでございます。農協系統におきましても、先ほど来お話ございました合併によります経営の合理化、さらには事業なり組織、現在単協、県、全国と三段階になっておるわけでございますが、これを二段階にしていくといったような取り組みを明確に打ち出しておるわけでございます。 そういった具体化に現在取り組んでおるところでございますが、こうした中で、系統信用事業の全国組織であります農林中央金庫につきましては、従来にも増しまして多様化しております組合員、地域ニーズへの対応、こういったものを補完する機能の強化、さらには、そうした系統の資金を外部経済との接点に立ちまして、有効かつ効率的に運用いたしまして収益を系統に還元するといった資金運用機能の問題、さらには、大変経営が厳しくなっておる中でございますので、農協なり信連、そういった経営の改善、安定のために各種のいろんな情報の提供をしていくといった機能、そういうものがさらに今後強く発揮されるように求められているわけでございます。 そのような機能をよりよく発揮していくということの上で、今回の農林中金の優先出資を初めといたします自己資本の充実、さらには従来から各般の業務機能の拡充もしていただいておるわけでございます。そういったことを通じまして、経営基盤の強化をさらに発揮していくということが大変重要だと思っておるわけでございます。 私ども農林水産省といたしましても、この系統の信用事業全体が金融自由化に適切に対処し、農家、組合員の負託に的確にこたえていけますよう、自己資本の充実でございますとか事業組織の見直しを通じました経営の合理化、効率化、さらにはリスク管理体制の強化、こういった各般のことにつきましてさらに一層の指導をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
○谷本巍君 終わります。
○牛嶋正君 先ほどから、本岡委員、それから谷本委員、この問題について非常に核心をついた御質問をされているわけですが、私もこの協同組織金融機関というのは、一方では組合員の相互扶助を第一の目的とする協同組織としての性格を持っているということ、一方では地域の金融活動を通じて地域経済の振興を図るという金融機関としての性格を一緒に持った制度でありますので、本来最初から矛盾を含んだ制度であるというふうに考えております。 すなわち、協同組織性は内向的でありますが、金融機関としての性格は外向的であります。こういった相反する方向性をどのように調整していくか、これはこの制度が続く限り常に考えていかなければならない課題であると思っておりまして、そういう点で今回のこの法案は非常に難しい問題を含んでいるように思っております。 従来は、どちらかといいますと、協同組織性に重点を置きながら金融機関としての役割が果たされてきたのではないかと見られるわけですが、先ほどからの議論がありますように、ここに参りまして、金融の自由化の進展とともに地域金融機関としての役割が強く求められるようになってまいりまして、制度の重点が少しずつ協同組織の方から金融機関の方へ移ってきたというふうに言えます。そのため、先ほど指摘いたしました内向性と外向性の調和が改めて問われるわけでございます。 私は、こういった観点で、今回の優先出資制度の導入が果たして調和していくためのベストのポリシーであるかどうかという観点で少し議論をさしていただきたいと思っております。 その前に、この法案が提出された背景として、協同組織金融機関が地域金融機関としての役割を少しずつ増大してきたということがあると思うんですね。そこで、もしできましたら、組合員に対する融資額あるいは非組合員に対する融資額の推移など、そのあたりの地域金融機関としての役割の変化みたいなものをお示しいただければ、そこから少し議論を進めてまいりたいと思いますので、まずお願いをいたします。
○政府委員(寺村信行君) ただいまの委員の御質問は、単位組織の員外、員内の計数の御質問だと思いますが、大変恐縮でございますけれども、ちょっと手元に具体的な計数を持っておりませんものですから、ちょっとあれでございますが、基本的には、今御指摘にございますように、協同組織金融機関といっても地域を基盤にいたしております。それから地域が限定されておりますから、まさに協同組織ということでございますが、その地域から資金を吸収し地域に還元するというような役割を担っております。そういった点では、この協同組織金融機関が地域金融機関としての役割を果たす面はかなり大きいと考えております。 そういったこともございまして、今回の金融制度改革におきまして、農業協同組合や信用組合等の協同組織金融機関につきましても、社債、地方債の募集の受託業務とか、国債の窓販、ディーリング業務とか、外国為替業務等を法令上認めるというような、地域金融機関としての役割をより発揮できるような措置を講じてきた、こういうことでございます。
○牛嶋正君 少し細かな御質問に入る前に、協同組織金融機関の制度を理解しておきたいと思いますので、それに関連して二つほど御質問さしていただきたいと思います。 今回の五つの連合組織はいずれも単位組織を会員としているわけでございますが、それぞれの会員数、言いかえますと単位組織の数というのはどのようになっているのか、それをお教えいただきたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 四年三月末の会員数を申し上げます。 農林中央金庫は九千二百二十八団体でございます。それから商工組合中央金庫は二万七千六百七十六団体でございます。それから全国信用金庫連合会、これは信用金庫でございます。四百四十金庫でございます。それから全国信用協同組合連合会、これは三百九十七組合でございます。それから労働金庫連合会四十七金庫でございます。
○牛嶋正君 この数は変動はあるんでございましょうか、最近数年間で。
○政府委員(寺村信行君) 商工組合中央金庫は最近のケースを見ますとわずかずつ増加傾向にございます。ところが、信用金庫連合会、信用協同組合連合会等は合併等がございましてやや減少傾向にある。労働金庫連合会は各県のでございますので変わっていない、こんな状況でございます。
○牛嶋正君 次は、単位組織の規模でございますけれども、これも恐らく今の連合会と同じようにその会員数は非常にまちまちだと思いますが、その単位組織の規模を仮に組合員数で見た場合に、かなりやっぱりそこに格差があるのでございましょうか。大小といいますか、単位組織の規模の上で。
○政府委員(寺村信行君) 組合員数で単位組織の状況を申し上げます。 農林中央金庫の単位組織であります農協の組合員数は、平成二事業年度でございますが、平均いたしまして二千三百九十七人でございます。最大が三万二百五十二、最小が三十九ということでございます。 商工組合中央金庫の所属団体であります協同組合の組合員数は、平均いたしますと五十二でございます。最大が九万四千程度、最小が四でございます。 それから全国信用金庫連合会の単位組織であります信金の会員数でございますが、これは平成三年度末でございますが、平均いたしまして一万七千三百九十一名でございます。最大が三十五万四千四百十二名、最小が七百九十四名でございます。 それから全国信用協同組合連合会の単位組織であります信用協同組合でございますが、平均は九千七百三十八名でございます。最大が十万二千三百九十七名、最小が四百六十九名でございます。 それから労働金庫連合会の単位組織であります労金の会員数は平均で五千百六名、最大が三万二千八百九十三名、最小が四百九十二名でございます。
○牛嶋正君 今の単位組織の規模、かなりの格差がありますので、先ほどから議論がありますように、やはりまず連合組織でこういった優先出資の制度を導入するわけですけれども、単位組織で考えることはなかなか難しいんではないかと今思ったんですが、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(寺村信行君) まさに、先ほど来御議論いただいておりますが、やはりこの優先出資制度、基本的には協同組織金融機関のいわゆる理念に照らしましてどの範囲で考えるべきかという問題がございます。そういうことを勘案しまして、連合組織を今回対象といたしまして、単位組織は対象としないということで御提案をさせていただいたわけでございます。
○牛嶋正君 先ほども議論がありましたように、やはり協同組織性を重視するということになりますと、自己資本の充実を図るためにはまず組合員ないしは会員からの出資を増額させるということが第一に考えなければならない方法ではないかと思うわけであります。 しかし、組合員は出資額につきまして制限が課せられていることとか、あるいは出資資格者の限定がなされているということから非常に自己資本充実が困難であるという指摘がなされているわけですが、組合員の平等の議決権というのは出資の口数ではなくて一人一票ということでありますので、先ほどから議論がありますけれども、私は出資者一人当たりの出資に制限を設けなくてもいいのではないかというふうに思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(寺村信行君) これは法律で制限をしている立法趣旨の解釈の問題だと思います。 確かに御指摘のとおり、一人一票ということでございますから影響ないのではないかという考え方もあろうかと思いますが、法律であえてそのような規制をしいているということは、やはり大口出資者の実質的な影響力が想定され、そのような影響力を排除するための規制ではないかと考えております。
○牛嶋正君 先ほどからの議論で、地域金融機関としての役割が増大していくわけですが、これは結局は非組合員に対する金融サービスの提供ということになろうかと思います。恐らくこのサービスの提供が少しずつ非組合員にも増大していっているのではないかと思うんですが、その場合に、協同組織の原則であります相互扶助という目的、それをどういうふうに調和させていくかということですが、非組合員に対する金融サービスの提供を行う場合に、ある程度組合員との間に区別といいますか差別といいますか、そういうものがあるのかないのか、ひとつお教えいただきたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 一定の制限がございまして、預貯金の受け入れは、信用金庫を除きまして、預貯金総額の二〇%以内という制限がございます。それから貸し出しも総貸出金の二〇%以内、こういう制限がございます。
○牛嶋正君 先ほど一出資者当たりの出資の規制が設けられているということでしたけれども、それでは、組合員に対する預金額あるいは融資額、そういったものに対して何らかの制限が設けられておりますか。
○政府委員(寺村信行君) 基本的には制限はございませんが、ただし貸し出し面につきましては、いわゆる大口信用供与規制と申しますか、まさにリスクを回避するという意味で同一人に対するのは原則として自己資本の二〇%以内という制限がございます。
○牛嶋正君 先ほどから優先出資をどういうふうにみなすかということで、会員の出資であります普通出資を補完する、こういうことから優先出資の絶対額の制約といいますか制限も決められているわけです。しかし、この優先出資者というのは議決権を持たないわけでありますから、したがって出資者ではありますけれども、組合員とは少し色分けされるべきであるというふうに思うわけです。 したがって、資本金としての性格は持っているわけですけれども、普通出資と同じような取り扱い、自己資本としての取り扱いが果たして適切であるかどうかということであります。例えば自己資本比率を算定するときに普通出資は全額自己資本の方に算入されるわけですが、優先出資につきましては例えばその五〇%を自己資本として算入して自己資本比率を計算するというふうな取り扱いも考えられるんではないか。これは私の一つの提案ですけれども、これについて今回のこの法律ではどのようなお考えでございましょうか。
○政府委員(寺村信行君) 自己資本へ算入する額をどう見るかという問題でございますが、基本的には、まさに最終的なリスクの補てんとしてどの程度調達された資金が対応できるかどうかということで判断をすべきではないか。 〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕 例えて申し上げますと、例えば期限つき劣後ローンでございますと、いわゆる本来の出資金に比べれば一定の限界がございます。それから、例えば株式含み益を自己資本に算入する場合には、現在のBIS基準では、市況によって変動する性格もございますので全体の四五%しか算入しない。そういった償還義務があるかどうかとか、市況の動向によってその額が変化するとかということで、まさに調達された資本の性質で考えるべきであり、調達先はどこか、あるいはそこに議決権が付与されているかどうかということですが、最終的なリスクの担保として機能する場合にはその点は同じでございますので、同様の、いわゆる本来の趣旨と同じように算定していいのではないかと考えております。
○牛嶋正君 優先出資はあくまでも普通出資の補完であるというふうなことから、先ほども議論ありましたように、普通出資の二分の一の口数を限度とするということでございますが、この場合、それぞれの連合組織において、その範囲内であれば別に一定の割合を定めて、例えば三〇%なら三〇%というふうに定めて、それでもって優先出資の発行を行っていくということはできるわけでございますね。
○政府委員(寺村信行君) まさにこれは会員がみずからお決めをいただく問題でございまして、法律上の上限は二分の一でございますが、定款でそれをさらに下回る限度を設けることは可能であるということでございます。
○牛嶋正君 優先出資者の権利と義務というものを見てまいりますと、権利としては、剰余金の配当等について優先的内容を付けるということがあるわけですけれども、それに対しましては配当の上限が一応決められている。そして、一方義務の方はと申しますと、出資額の範囲内で損失の補てんに参加しなければならない。また、これは義務ではございませんが、議決権が与えられていない。こういうふうなことで、義務と権利というものを見た場合に、どうも私は権利よりも義務が非常に大きいのではないかという気がするわけであります。 そうなりますと、剰余金からの優先配当を期待する優先出資の申し出が実際に連合組織が期待するような形で集まるのか、これは先ほども議論が出てまいりましたけれども、そういう気がいたしますけれども、これについて大蔵省の方はどういうふうに見通しておられるのか、お教えいただきたいと思います。 〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
○政府委員(寺村信行君) 投資家が優先出資証券を投資対象として魅力あるものと考えるかどうかということでございます。 判断の基準としては、配当利回り、それから安全性、流通性、あるいはキャピタルゲインへの期待とか、そういったもので判断をして投資家は投資行動を決定すると思います。 じゃ、実際にこれを発行した場合に、どういう商品が提供されるかということはまさにこれからの問題でございますが、優先出資ということでございますので、普通出資に先立って配当を受ける権利があるということでございますので、配当低下の懸念が相対的に少ない。普通の株式配当に比較して魅力的な面を持つことができる。それから、証券として発行いたしますので、将来的には上場または店頭登録も可能となるような法整備を行いますので、流通性の確保が図られるというメリットがある。それから、これは信用の問題でございますが、全国レベルの協同組織金融機関でございますので、経営の安定性に対する一つの信頼感も期待されるということから、魅力ある商品が提供される可能性は十分あるのではないかというふうに考えております。
○牛嶋正君 私、一番最初に申しましたように、この制度が組織の持っている相矛盾する性格を調和させるベストのポリシーかどうかということを判断するのはまさにここにかかっているのではないかという気がするわけです。 それで、いろいろ私議論させていただきますと、やはり今の段階ではこれが考え得る一番いい方法ではないかと思っておりますけれども、先ほどからのお二人の御議論にもありましたように、ここがうまく優先出資者から資金を集め得るかどうかということが非常に大きな問題でありますので、二分の一ということですけれども、むしろ優先出資の枠も最初は低く抑えておいた方が、それぞれの連合組織がもう少し低く、例えば三〇%とかあるいは二〇%というふうな枠を決めて行った方が、今おっしゃいました信用性というふうなものからいってもいいのではないかと思っております。 連合組織の役割をちょっとお尋ねしたいわけでございますが、この連合組織の第一番目の役割というのは、会員であります単位組織の間の地域的、季節的資金の需要調整ということが挙げられております。そして、さらに単位組織に対する支援融資等による単位組織の信用力の維持ということが挙げられているわけでございますが、単位組織間の資金の融通、これを考えますと、連合組織がいわば銀行の銀行のような役割を果たしているというふうに考えられるわけです。 その場合に、単位組織全体として資金の需給がバランスしておりますと、それは余ったところからその資金を利用している単位組織の方へ回すということができるわけですが、全体としていつも資金がバランスするとは限りませんで、時には全体で見ましても資金が不足するというふうな、資金の需給のギャップが生じるということになります。その場合に、連合組織というのは一応それを埋めていくわけでございますけれども、その資金というのはどういう形で調達されるのかということです。これをお教えいただきたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 具体的には単位組織からの預金の受け入れ、あるいは預金以外の形態をとりますけれども資金の受け入れてその調整を図るということでございます。 連合組織の役割でございますが、今お話のございました地域的、季節的な調整のほかに、全体として余裕資金を効率的に運用するとか、それから、昨今の特にコンピュータリゼーションというような状況でございますと、事務の集中による業務の補完というような役割とか、あるいは単位組織ではなかなかノウハウなり、その態様からしてできないようないろんな業務の補完的な役割とか、そういった多面的な役割を連合組織はこれからますます担っていかざるを得ないんじゃないか、そういう感じを持っております。
○牛嶋正君 最後の質問ですが、連合組織の場合もやはり自己資本の充実というのは会員の出資金をまず拡大するということが第一に考えなければならない点だと思いますけれども、先ほどの数字でも示されておりますように、会員数の増大はほとんど見込めないわけでございます。したがって、会員の出資額をふやすということになりますけれども、この場合、単位組織からの出資を求める場合に、例えば単位組織の規模等によって出資額が決まるものなのか、それとも全体として、一会員の出資額は枠があってその範囲でそれぞれの単位組織が決めて出資を決定していくのか、そのあたり、各単位組織からの出資の決まり方みたいなものを最後に教えていただきたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 多少組織によってまちまちなところがございますが、基本的には各委員の既出資額の比率とかそれから預金とか貸し出し残高等の構成比等を基準にして定められているという現状でございます。
○寺崎昭久君 今回の法律案では優先出資の発行団体に予定されてはおりませんけれども、農林中央金庫の経営に密接な関係にある都道府県信連の金融のあり方について若干お伺いしたいと思います。 まず、農業協同組合財務処理基準令第七条にある「信用事業を行なう組合」というのは、単位農協のことを言うのか県信連のことを言うのか、お尋ねいたします。
○政府委員(寺村信行君) 単位農協でございます。
○寺崎昭久君 財務処理基準令の第七条というのは、本来、協同組織金融機関の目的に照らして信用事業を行う組合の員外金融機関への貸し付けを規制したものであると理解しておりますけれども、現在県信連が行っている金融機関への融資を見てみますと相当の巨額に上っており、なおかつ金融機関の中では住宅金融専門会社への貸し付けが多くなっております。 このことが今住専の再建策の中でいろいろ論じられているんだと思いますが、農業協同組合法の趣旨に照らして考えれば、県信連についても財務処理基準令に定めるように、例えば第七条に定めるように一〇%を貸し出しの限度にするというように決めたり、指導されたりする必要があるんじゃないかと思いますが。
○政府委員(寺村信行君) 住専についての貸し出しの御質問だと理解をさせていただきますと、住専につきましては金融機関としての位置づけが行われておりますので、この制限規制が課されていないということでございます。
○寺崎昭久君 今ちょっと聞き漏らしたんですけれども、私は、県信連が、金融機関への貸し出しについても信用事業を行う組合が規制を受けているのと同様に、例えば一〇%以下という規制を課すことを考える必要があるんではないでしょうかという質問をしているんです。
○政府委員(寺村信行君) 単協につきましては、まさに協同組織金融機関としての性格からあるいは相互扶助という理念からこのような規制が行われておりますが、信連は連合組織になっておりますので、逆に言いますと単位金融機関からの余裕金を運用するというような性格も持っております。それから、さらに全国組織の連合会ですともう少しそういう性格が強いという位置づけから、現在そのような規制が行われていないということでございます。
○寺崎昭久君 ちょっと私の質問通告の仕方が的確でなかったのかもしれませんが、やはり県信連といえども会員に貸し出しをするとかそういうことが目的なので、過度の金融機関への貸し出しについては一定の規制が必要ではないかということを申し上げているわけです。今後の問題として御検討いただき、また折を見てお話を伺わせていただきたいと思います。 それから、もう一つ県信連の金融問題でありますけれども、これまで住宅金融専門会社向けの貸し出し実績が大変大きくなっているというのは、その背景にあるものとして、大蔵大臣の直接監督下にあり、したがって安全な融資先であるという認識が一般にあったからではないかと推察しているわけであります。そういう大蔵省の言ってみれば監督下にあるということから安全であるという認識が生まれ、そのことが県信連の融資先としての比率を高めたというように認識しているわけであります。 今住宅金融専門会社が、日本住宅金融を初め、いずれも再建策を講じなければならない、そういう時期を迎えていると思います。その再建策をマスコミ等で伝えているところで見ますと、例えば母体行については金利をゼロにするというような案も含まれておりますが、農林系の金融機関に対してはある程度の金利を保障する、四・五%ぐらいまでしかまけられませんよという案が言われているように思います。 このことを考えてみますと、バブル経済のときにはほかの銀行と同じように住専などに融資をし、バブルがはじけたらほかの母体行に比べると損の少ない負担を行うというのでは自由競争の原理にも反するし、そのことが金融システムの維持という面から問題を残さないのかどうかという懸念を私は持っております。この点について、まずそういう懸念があるのかないのかをお伺いしたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 今回のバブル経済の崩壊に伴います特に不動産価格の低下によりまして、いろいろな経済の各分野におきまして、つまり価格の低落に伴いますロスが発生をいたしております。そのロスが、評価損益の増減で顕在化されない場合もございますが、各企業あるいは金融機関で具体的な損失として発生しているというケースが非常に多くなっております。特にこのバブル経済の崩壊のロスの影響が金融機関の貸出面で大きく影響が出ているということでございます。これは住専に限らず、ノンバンクの個別問題についてもそうでございます。 昨年の八月十八日に「当面の運営方針」で述べたところでございますが、これらの損失をどうやって処理をするかということを早く合意形成を図る必要がある。つまり、損失分担のルールを早く決める必要があるということで、金融機関に努力を要請してまいりました。 その後の経緯でございますが、銀行系のノンバンクからまずいろいろな損失分担の合意形成ができてまいりました。その合意形成はいろいろな態様がございますが、例えば母体金融機関がロスを全部しょって処理をしてしまうというケースもございます。それから、母体の方でそれに対する基礎体力がない場合には関係金融機関に金利減免支援を要請するということでございますが、その場合もかなり母体が相当程度のロスをしょった上で、母体あるいは当該ノンバンクとの、金融機関との密接度合いあるいは金融機関の負担能力等を勘案しながら、例えばゼロ%の金利支援でございますとか公定歩合並みとか短期プライム並みとか長期プライムレート並みとか、そういうようないろいろなケースによって合意形成ができてまいりました。 住専につきましては、この種の銀行系ノンバンクと違いまして、実は母体金融機関が極めて多数が一般的な例でございますので、どちらかというと、この処理について必ずしも母体が自己の信用と直結していませんものですから、合意形成がややおくれていた。かつ、関係する金融機関が極めて多数ございますので、お互いに母体であったり非母体であったりというんで利害関係が錯綜しておりますので、合意形成がなかなかできないという事情がございました。 先ほど委員御指摘にございました日本住宅金融につきまして、母体行間で合意形成ができました。それは母体がゼロ、一般行が二・五%、系統が四・五でございますが、この分担ルール自体はいろいろなケースの処理の一つの方法であって、これだけが突出しているということではないわけでございますが、関係金融機関でそういうような合意形成が図られつつあるという理解をいたしております。 日本住宅金融のみならず、他の住専につきましてもまだ問題が残されておりますので、一日も早い合意形成を当局としては金融機関に要請をしているところでございます。
○寺崎昭久君 今後の問題、今後のあり方ということで、県信連等が行う金融先として住専などは推奨される対象どお考えなのかどうか。大蔵省から見て、県信連などが融資によって配当とか利益を得る場合の対象に住専は好ましい融資先と考えておられるのかどうか、今後の御指導についてお考えがあればお尋ねしたいんです。
○政府委員(寺村信行君) 今回、住専への融資は、系統だけではなくて各金融機関すべての業態を通じまして融資をしておりますし、それから住専に限らずいろいろ損失が発生しているノンバンクについても同じような状況が発生しているところでございまして、特に系統だけがその種のノンバンク、住専について突出しているという状況ではなくて、全体として過去のバブルの過程におきましてそういう融資が行われたということは事実でございます。 現在、日本住宅金融につきまして損失分担の合意形成が図られつつあることは、期間が非常に長いわけでございます、十年間にわたって日本住宅金融の中で損失を処理しつつ不良資産を整理し正常化を図っていくというような計画でございまして、それについて各金融機関が金利減免支援をする、こういうようなことで合意形成が図られているわけでございます。 具体的にどこそこに対する貸し付けが適切かどうかというのは、これはまさに金融機関の判断の問題でございまして、当局としてどこが適切かどうかということは今までに申し上げてないわけでございまして、ただそういうような努力は現在行われているということを申し上げさせていただきたいと思います。
○寺崎昭久君 協同組織金融機関に今回優先出資制度を導入するわけでありますが、今回この制度を導入するということは、この制度導入なしには経営の健全性が保てないという判断に基づいてのものである。もちろん、それだけが理由だとは思いませんが、大きな理由は健全性の確保ということであろうと思うんです。 このことを見方をかえて言いますと、今までの仕組みにおける役割というのは既に終わったんであって、優先出資を加えることによって今までの機能に何らかのプラスをしたい、せざるを得ないというお考えがあるんではないかと思うんですが、その辺の御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) これはあくまでもこれからの、過去に生じた事態に対する対応と申しますよりも、むしろこれから金融自由化を迎えまして、当然のことながら、金利規制あるいは業務規制を行っている時代に比べまして、経営上のリスクは非常に増大していく。その経営リスクを担保するために自己資本を充実していく必要がある。 翻って考えますと、協同組織金融機関については、自己資本調達についてはいろいろな制約がございますので、協同組織、協同組合原則と抵触しない範囲での自己資本調達手段の多様化を図ることによりまして、金融自由化へ対応しつつ相互扶助の目的をその中でよりよく果たしていくことができるような環境整備を行おうというような考え方でございます。
○寺崎昭久君 今回、協同組織金融機関の性格を変えず優先出資制度を導入されようということなんでありますけれども、見方を変えますと、かなり営利法人化がその部分に限って言えば進むというふうに考えてもいいんじゃないかと思うんです。 そうしたことを考えてみますと、今回のやり方以外に、例えば協同金融機関の連合組織を営利法人化、すなわち株式化する。そして各単位組織を株主にするというやり方もあったし、そういうやり方をとっても本来の協同組織金融機関の性格を大きく損なわせずに変えることができたんじゃないかと思いますけれども、なぜそういう株式化等を考えられなかったのか、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) この優先出資制度を導入いたしましても、やはり経営の根幹を決めるのは普通出資者総会において決定されます。優先出資者総会というのはあくまでも優先出資者の権利を保護するための規定でございまして、経営の根幹はあくまでも普通出資者総会で決めるわけでございますので、それによって営利法人化への道ということは、これは普通出資者総会の判断事項でございますので、その心配はないのではないかと考えております。 それから同時に、株式会社化でございますが、株式会社制度をとりますと、仮に既会員からの株式であっても、基本的には営利性の追求という面が強く出る可能性があるので、やはり株式会社化というのは協同組織金融機関の理念に照らして適切ではないのではないかと思います。
○吉岡吉典君 協同組織金融機関が安定的な経営を行うために自己資本を充実することが重要なことであるとは私も思います。しかし、その方法が問題であり、協同組合らしいやり方、その独自の役割が損なわれないように最大の配慮がなされなければならない、この点がこれまで論議されてきた点でもあったと思います。 私が特に重視したいのは、昨年開かれた国際協同組合同盟、ICA東京大会で「協同組合の基本的価値」が中心テーマとして論議されたことであります。要するに、協同組合の一層の発展のためにその原点を見直そうということでありました。 そういう論議の中で、資金調達問題についても重要な強調点があり、第一に、組合員にさまざまな形態の自発的な出資金に投資することを奨励すること。第二に、外部から求める場合、例えば従業員、労働組合、年金ファンド、公共投資家、密接に関連する協同組合組織からの調達を挙げておりますが、結論として、いろいろの調達方式があるにしても組合員があくまで基本であり、他の方法に移る前に慎重に真剣に組合員を基本とした方法を検討しなければならない、こういうことが強調されております。これはこういう文書にもなっているところであります。 大蔵省ももちろんこういうことはよく御存じの上で今の法案提出になっていると思いますけれども、私は、いろいろ説明も聞き、またいろいろな文書も読む中で、我が国では去年のICA東京大会でも強調されているようなこういうあらゆる努力、それをどう具体化するかということの答えが十分出されないまま安易に優先出資に流れているんではないかという気がしてなりません。 そういう点で、例えば普通出資には限界があるという、その限界をどういうふうにするかというようなことは法律の検討を含めて大いに研究の余地があったのではないかと思いますけれども、その点まずお答え願います。
○政府委員(寺村信行君) 協同組織金融機関の自己資本充実に当たっての基本的な考え方は今委員御指摘のとおりだと存じます。 そういった中で、なおかつ一方におきまして金融自由化の進展に伴いまして自己資本充実の必要性がございます。具体的にどういう対応をすべきかということを種々検討してまいりました。対象となります五団体も、これまでも会員からの増資、それから内部留保の充実等でかなりの努力をしてきたわけでございますが、やはり会員の範囲が限定されていること、会員の出資負担能力にも限界があるということ、それから特に必要性のサイドからの問題でございますが、系統の中央機関は資金運用機関的な役割を単位組織に対して負っているということで、この単位組織等からの余裕金が自動的に連合組織に上がってまいりまして、みずから資金規模をコントロールできない、年度によって非常に資産が急増するようなこともございます。自己資本比率の適正水準の計画的な達成が困難であるというような状況もございまして、この既存の充実策の限界を克服いたしまして会員からの出資を補完するものとして優先出資を導入しようということで御提案をさせていただいたわけでございます。
○吉岡吉典君 どういう形で資本調達するかということは協同組合のあり方に基本的影響を及ぼしているというのが東京大会で強調された点でもあるわけです。その点で、今いろいろ限界は言われた。その限界を突破するためにどういう方策が研究され、検討されたかという中身が私聞きたかったんですけれども、そこは限界があるということに終わっているわけで、やはり私はそこの研究が十分やられていないと感じざるを得ないわけです。 さて、いろいろな制約を設けてはあるということでありますが、優先出資というものはやはり協同組合のあり方に影響を与えざるを得ないではないかと思います。それは、先ほど牛嶋委員の質問の中で、一票制の中で組合員の中に何らかの出資の額に差を設けてもいいじゃないかという質問に対して局長は、同じ一票でも大口出資者の実質的影響力が生まれるという答弁がありましたけれども、そういう優先出資の実質的影響力ということはお認めになるのかならないのか。 特に、優先出資の額は口数にして普通出資の半分を限度としていますが、これは時価発行でありますから、額面の二倍で発行すれば普通出資と同額、三倍で発行すれば逆転するということにもなるわけです。そうなれば優先出資者は協同組合金融機関の運営に参画しないことにしても、資金の大半を営利を目的とする外部出資に依存する形となって、協同組合はこの外部出資者に対する配当のためどうしても利益追求が第一とならざるを得ない、こういうことにもなると思います。それは結局協同組合の性格をゆがめることにはならないか。 こういう点については、局長もお答えになりました大口出資者による実質的影響力という心配はこの優先出資に関してはないとおっしゃるのかどうなのか、お答え願います。
○政府委員(寺村信行君) まさにそういう心配がございますので、今回優先出資者は普通出資者総会の議決権を有しないということにいたしたわけでございます。 したがって、優先出資者は協同組織金融機関の運営に自己の営利意思を反映する場がない。優先出資者総会はございますけれども、これは例えば一定の配当を約束しているのにもかかわらずそれが実行されないとか、そういう優先出資者の権利が侵害された場合にという非常に制約されたもとで優先出資者総会が開催されるということになっております。基本的には、例えば普通出資者でございますと、普通出資者総会に出席することによって大口出資者である影響力を行使する道があるわけでございますが、経営の根幹を決定、経営方針を決定するのは普通出資者総会でございまして、そこへの議決権がないということで、御懸念のような問題を排除しようという考えでございます。
○吉岡吉典君 私、時間がないから今のに時間をとって反論できないんですけれども、それは、同じ一票でも出資額が違うと実質的影響力が出るとおっしゃったのとは矛盾する論理になりますよ。私が特に今質問した中心点は、優先出資者に対する配当を優先しなくちゃいかぬ。しかも、それは時価発行で二倍三倍で発行すれば普通出資者よりも多くなる、逆転さえあらわれるもとで、実質的な配当のための運営ということにならざるを得ないじゃないかということについてお伺いしたんですが、その点についても一切不安はないということだとすれば、私は全くのんきな話だと思います。 もう一つお伺いしますけれども、中小企業等協同組合法は第五条で、協同組合が掲げるべき要件を定めて、四つ挙げていますが、その第四番目にこういうふうに述べております。「組合の剰余金の配当は、主として組合事業の利用分量に応じてするものとし、出資額に応じて配当をするときは、その限度が定められていること。」と、こういうふうになっております。この「主として組合事業の利用分量に応じてするもの」とする剰余金の配当、これと今の優先出資の問題とは矛盾しないんですか。
○政府委員(寺村信行君) 根拠法で定められておりますのは、株式会社のように利益を得てこれを社員に分配するということを目的とするものではないということを明確にうたっているわけでございます。 ところで、優先出資者につきましては、先ほど申し上げましたように、配当を幾らにするかということは、優先出資に対する配当を幾らにするかということも普通出資者が決める話でございまして、そのことについてあらかじめ約束した配当率を下回って配当したというような、権利を侵害された場合に優先出資者総会が開かれるわけでございます。基本的に配当をどうするか、事業運営をどうするかということは普通出資者総会で、これについて優先出資者は影響力がない、議決権を有しないということでございますので、そういうことになっているわけでございます。
○吉岡吉典君 あなたはすぐ議決権の話にするわけですけれども、議決権があるなしじゃなくて、この優先出資を導入すれば、優先出資者に対する配当を保証しなくちゃならないということを経営の中心に置かざるを得なくなるわけでしょう。その結果いろいろな問題が生まれてくるんじゃないかという心配を私は申し上げているわけですよ。 去年の協同組合の東京大会での審議を見ましても、例えば世界における協同組合のいろいろな大変な状況が論議され、その中で株式に走ってつぶれた例等々、ヨーロッパの例もたくさん論議されている。今の優先出資というのは株式会社化ということではありませんけれども、あくまで組合員に依拠するという点からは踏み出すことになるわけですね。その踏み出すことに伴っていろいろ不安が出てくる。これは専門家の指摘もたくさんあるわけです。 そういうことを、今の答弁を聞いていますと一切問題ないんだというふうに大変のんきに考えておられる感じがするので、私はかえって今の答弁で不安を強めざるを得ないんです。本当にどんな心配も持っておられないんですか、時間が来ましたから、その答弁だけ求めて終わります。
○政府委員(寺村信行君) まさに御懸念のような問題があるからこそ、いろいろなそれをチェックするシステムを法律の中に制度として予定をしたわけでございます。 結局、優先出資者によります財務基盤の強化というのが、まさに会員の事業利用、利便の向上につながって相互扶助の目的を充実させるということでございますが、ある意味では、そのための相互扶助の目的をより達成するための必要経費的なものとしての位置づけを、この法律の建前をこれまた会員がそういうふうに判断するかどうか、まさに定款で普通出資者がそのように判断するかどうかというところにかかっているわけでございます。ただ、そういった制度的な枠組みをつくったということでございます。
○吉岡吉典君 時間ですから終わります。
○委員長(野末陳平君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 ――――◇――――― 午後一時三十分開会
○委員長(野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 協同組織金融機関の優先出資に関する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○池田治君 本法律案は、協同組織を守りながら自己資本の充実を図るために第三者からの資本を受け入れようとするものであります。 このことは、非営利事業に営利性を加味した優先資本を受け入れて協同事業の資本力を強化するものと理解しております。協同性を守りながら優先出資者の権利を保護しようということは、午前中の議論にもありましたように、なかなか利害の合わない点もあるんではないか、矛盾しているところも出てくるんではないか、こういうことが考えられますので、私は具体的な問題について、立ち入ってお尋ねをしたいと思っております。 〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕 まず第一に、優先出資証券の性質の問題でございますが、優先出資証券は本法で発行することが認められております。証券というのはもともと権利が証券上に化体したものだと言われておりますが、株式会社では株券、有限会社では持ち分券、そしてまた会社の資金調達のための債券は社債、こういういろいろな有価証券が出てまいりまして、それぞれに保護規定を置いております。本法では二十二条の五項で、証券の占有を所持人とみなすという明文を置きまして権利の保護を図っておられます。 しかし、会社に対する対抗要件はどうするかというところを見ますと、二十三条ですか、ここで株主名簿のような優先出資者名簿に記載をされた者でなければ会社に対抗できないと、こういう条文になっております。 いろいろそういう問題が出てくると思いますので、まず第一に、この優先出資証券の性質は株券と見ていいのか社債と見ていいのか、それとも持ち分券と見ていいのか、これらの性質について御答弁をお願いします。
○政府委員(寺村信行君) 優先出資証券の性格でございますが、ただいま御指摘がございました株券あるいは社債券等との相違点に即して申し上げます。 まず、配当請求権でございますが、株式や有限会社の出資に対する配当は、決算期ごとの利益処分におきまして毎回決定されるものでありまして、無配の場合もあり得るわけでございます。一方、社債の場合は配当ではなくて利息の支払いでございますから、これらの率は固定型が原則になります。これに対しまして、優先出資は優先的配当の部分は固定的でございます。ただ、剰余金が全くない場合にはそもそもできないという問題もございますから、固定性がやや緩和されている。それから、剰余金の水準に応じまして付加的に配当することも認められておりますので、この点はちょうど社債と株式の間というような感じがございます。 それから、元本の償還でございますが、社債はそれが保証されておりますが、株式、有限会社の出資は資本として損失のてん補に充当されるものでありますので、元本は保証されませんし償還もされません。投下資本の回収は譲渡によってのみ可能ということになりますが、優先出資も同じ性格を持っているわけでございます。 それから、優先出資証券の流通性でございますが、これは株券や社債券と同様、商法の規定に倣いまして善意取得等の規定を設けておりまして、その流通性を高めるようにしておりまして、そのために本法案の附則で証券取引法を改正し、優先出資証券について証券取引法の投資者保護の規定を適用することとしているところでございます。
○池田治君 御説明を聞いておりますと、やや株券に似た存在であると理解してよろしいのでございましょうか。
○政府委員(寺村信行君) そのように考えております。
○池田治君 そうしますと、株券の善意取得とか質権の効力とか除権判決による再発行とか、こういうものも大体株式に似たものが認められておると理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(寺村信行君) そのように理解をいたしております。
○池田治君 そこで、お尋ねします。 具体的な事案を申しますが、優先出資証券を従来持っていて、これを何らかの理由で紛失した人がAさんだったとします。出資者名簿にもAさんの名前が出ております。Bさんはそれを、落としたのを拾って所持人となりました。そこで今度、Cさんがあらわれて、Bさんの持っている優先出資の証券を善意で、Bさんが持っているのは拾ったものと知らないで、当然の譲り受け人だと思って平穏、公然、無過失で譲り受けたと。こういうことを想定してみますと、Cさんが協同組織の金融機関に対して名義書きかえの請求ができるかどうかという問題も出てまいりますが、これはどのような立場で理解されておりますか。
○政府委員(寺村信行君) この場合、Cさんは善意の取得者であるということになりまして、金融機関はその名義書きかえの請求を拒むことができないということになると思います。
○池田治君 これは全く商法と同じでございますね。 そこで、今度はAさんもまた除権判決をとって、名簿の記載は実際私のものであって、Cの名簿記載を認めたのは間違っているという申し立てが出てきた場合はどうでしょうか。
○政府委員(寺村信行君) この場合、Cさんは優先出資の占有によりまして形式的な資格を有する、その請求に応じて名義書きかえをしたわけでございます。今のお話でございますと、その場合にたとえ実質的に無権利者であったとしても、商法と同様に悪意または重過失のない限り免責をされるということになりますから、その名義書きかえが適法に行われたと、こういうことになると思います。
○池田治君 それでは次に、優先出資者総会についてお尋ねいたします。 本法案の三十一条で規定されておりますが、優先出資者に優先出資者総会の招集権は認められるのか認められないのか、これをお尋ねします。
○政府委員(寺村信行君) 一定の要件に該当した場合は招集を求めることができるわけでございます。
○池田治君 その場合、議題の提案権も認められるのでしょうか。提案は認められないとしても、総会が招集され、会議中に緊急動議が提出できるかどうか、こういう問題もあろうかと思いますが。
○政府委員(寺村信行君) 優先出資者には普通出資者総会におきます議決権は与えないということになっておりますが、一方、優先出資者の権利保護を図る観点から、優先出資者に不利益となる事項の決定については優先出資者総会の承認を要するものとなっております。 〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕 したがいまして、優先出資者総会における議決権というのは、承認をするかしないかという一種の拒否権的な性格のものでございまして、提案権は認められていないということでございます。
○池田治君 そうしますと、金融機関の大事に関してでございますが、普通出資者の総会では何ら問題にされないし、金融機関の理事会でも問題にされていないのに、第三者から募集しました優先出資者の総会で大事について何らかの議決をすることも可能なんでしょうか。
○政府委員(寺村信行君) 優先出資者には役員の解任権が付与されておりません。したがいまして解任決議はできませんし、仮に行われたとしてもその決議は無効になるということでございます。 結局、優先出資者の権利というのは、剰余金配当請求権の財産権が中心でございまして、それを侵害されるおそれのある場合に承認を必要ということになっておりますので、役員の解任権等の権限は一切与えられてないということでございます。
○池田治君 確かに配当権に関するものが主となって優先出資者総会の問題が規定されているように思いますが、そうしますと、金融機関の経営が悪化して従来の経営方針を転換させなければ危機的な状態にある場合、優先出資者総会では運営に関する決議は認められるのかどうなこれをそのまま放置していれば配当請求もできなくなるおそれがある、こういうような場合はいかがでございましょうか。
○政府委員(寺村信行君) 優先出資者には経営参加権がないわけでございますので、優先出資者総会におきます経営方針変更決議はできないということになります。しかし、経営悪化等によりまして二期連続して優先配当が行われない場合には、優先出資者総会を開催し、業務及び財産の状況を報告しなければならないものとなっております。 この場合、優先出資者は十分の一以上の同意を得ましてその運営や財産管理が法令、定款に違反または著しく不当である旨を主務大臣に申し出ることができるものとなっております。この申し出に対しまして主務大臣が必要な措置をとるものと十九条十項で規定をされておりますので、主務大臣の監督権限を通じまして適正な業務運営を確保することになっているわけでございます。
○池田治君 次はディスクロージャーの問題ですが、金融制度調査会のディスクロージャー作業部会の報告では、協同組織金融機関は相互扶助を基本理念とする非営利法人であり、銀行とは異なる性格を持っておるので、総会を通じて組合や会員にディスクロージャーはもう既に行われている、だから当面は不良債権の開示も求めない、他の業態の状況を見きわめた上で協同組織金融機関の実態に即したディスクロージャーを検討すべきである、こういう報告がなされております。 今日の問題になっておる優先出資制度を設けると、この作業部会の報告は説得力がちょっと弱くなるんじゃないか、こう思いますけれども、大蔵省はどう理解されておりますか。
○政府委員(寺村信行君) 不特定多数の者から出資を募る場合には、協同組織金融機関と言えどもその不特定多数の投資家保護のためということから証券取引法上のディスクロージャーが必要とされている。今回もそのような改正をしているところでございまして、このようなごく会員だけの協同組織金融機関ということで特に不特定多数の者からの出資を募らない場合は従来どおりの取り扱い、こういうことになろうかと思います。
○池田治君 優先出資者というのは会員外から募っているわけですから、この報告はそのまま当たらなくなるんじゃないですか。
○政府委員(寺村信行君) ですから、会員外から募りました場合は今回の法律によりまして証券取引法上のディスクロージャーを必要とされている、こういうことになるわけでございます。
○島袋宗康君 本法案は、優先出資による協同組織金融機関の自己資本率の引き上げを図り、BIS基準の達成を目指しているようでありますが、全国信用協同組合連合会の自己資本比率は平成四年三月現在で二・一八%と非常に低い値になっております。その原因は何でしょうか。また、構造的にそうなっているのか、現在の制度に限界があるのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 全国信用協同組合連合会の自己資本比率は御指摘のとおり二・一八%と低い水準にとどまっております。これまでも全信組連は会員からの増資や内部留保の積み増しに努めてまいりましたけれども、出資者が信用組合に限定されている、合併等によりまして会員はむしろ減少している、それから単位組織の会員が中小企業個人でございますので出資負担能力は相対的に小さいということ。 それから、一方におきまして、この率が低いというのは分母が大きいということでございます。全信組連におきましても他の協同組織金融機関の連合組織と同様に系統資金の効率的な運用を行うということから資金運用機関的な性格を持っておりまして、単位組合からの余裕金が連合組織に上がってまいりますが、それを一概に自己資本が低いからといって拒絶することはできないわけでございます。資産規模をみずから、通常単位組織でございますとそのようなコントロール可能でございますが、これは連合組織という性格からどうしても受け入れざるを得ないということで、分母が非常に大きくなってしまう。そうすると分子の対応がおくれてしまう、そんな状況が続いて今のような状況になっているわけでございます。
○島袋宗康君 それじゃ、BIS基準達成の見込みについてお伺いします。 この法案の成立によって、国際統一基準の適用を受ける協同組合組織金融機関のいわゆるBIS基準について、いつごろ達成される見込みなのか、またこれらの金融機関の最新の自己資本比率はどのようになっているか、お伺いします。
○政府委員(寺村信行君) 優先出資の発行が認められます連合組織、全国レベルの協同組織金融機関のうち、農林中金と商工中金と全信連の三団体が海外に営業拠点を有しておりますので、いわゆるBIS基準の適用があるわけでございます。 四年三月末のBIS基準の状況を申し上げますと、農林中金は単体では二・二一%でございますが、系統を通算いたしますと八・六五%で既に八%のBIS基準を達成いたしております。それから商工中金でございますが、これは単体で四・七五%、それから全信連は単体で八・三二%とBIS基準を上回っている状況でございます。恐らくこの五年三月末におきましても農林中金、全信連は単体もしくは通算でBIS基準を上回っていると存じます。 それから商工中金につきましては、今回・七五%と申し上げましたけれども、これは国によってBIS規制の取り扱い方は違いますが、日本政府といたしましては、商工中金が政府系金融機関であるという特殊性を説明いたしまして、その特殊性に応じた取り扱いを海外の監督当局には説明をしている、こういう状況でございます。
○島袋宗康君 協同組織金融機関の今後のあり方についてお伺いします。 近年の金融自由化の進展によって、協同組織金融機関は厳しい局面に置かれているんじゃないかと思います。政府は、これらの金融機関の経営の健全性確保はこの優先出資制度の創設で足りるとお考えなのか、あるいはさらに何らかの施策が必要だと思われているのか、その辺について御見解を承りたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 今回の金融制度改革法の成立を契機といたしまして、協同組織金融機関あるいは地域金融機関を問わずいろいろな規制緩和が行われまして、段階的、漸進的ではございますが、競争促進的な政策が導入されるということになっております。 実は、そういう競争促進的な施策を通ずることによりまして利用者利便の効率を図り、システムの効率化を達成するというのが目的でございますから、当然その協同組織金融機関も一方では厳しい競争促進的な施策で経営上はこれからは大変厳しい状況になってくる。しかしそれは利用者利便あるいはシステムの効率化のために必要である、こういう認識で制度が進められるわけでございます。 同時に、各金融機関はいろいろな選択肢の幅が広がるということでございますので、やはりみずからの顧客のニーズに、協同組織金融機関でございますと会員のニーズに適合した経営の選択を行って、サービスの向上に努めていく必要がございます。 同時に、やはり経営の体力の強化策に努力していかなければいけない。これは協同組織金融機関にかかわらずすべての金融機関について言われることでございますが、そういった中で、協同組織金融機関の自己資本の充実策につきましては今回特別にこのような御提案をさせていただいたわけでございます。 しかし、これだけで足りるということではなくて、これからいろいろ業務の規制の緩和をしてまいります。それに当たって適切な対応、まずそれぞれの機関の自助努力、それから経営改善のための努力が必要とされるのではないかと考えております。
○島袋宗康君 政府の施策としては、この法案をつくることによってもまだ残されている部分というものは考えておらないんですか。いわゆる改善といいますか、そういったものを。
○政府委員(寺村信行君) 金融制度改革は四月一日から実施をされまして、各種の業務についての規制緩和が図られます。今度、それぞれの協同組織金融機関につきまして新たに業務の範囲を拡大していくということをこれからまさにやろうとしているところでございます。同時に、このような法律的な手当ても一方でしている、こういう状況でございます。
○島袋宗康君 法案によれば、協同組織金融機関の非営利性と利益追求のための優先出資者の間で利益対立があると考えられます。一つ目に、配当率に上限を設ける点、二つ目に、優先出資者の払込剰余金を資本準備金に繰り入れる制度の創設など、優先出資者に少し不利ではないかと考えられるわけであります。 そこで、優先出資者総会を開催するようになっておりますが、株主総会の形骸化が指摘されている今日、果たしてその総会で投資家保護ができるのかどうか、その辺をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 優先出資者の権利保護を図るための措置でございますが、具体的に申し上げますと、優先出資者総会を招集し、その承認を受けなければいけない場合を法律上列挙いたしております。 その優先出資の発行に当たりまして、優先出資者以外の者に対しまして特に有利な発行価額をもって発行する場合、これは当然既存の優先出資者の権利が侵害されるということになります。それから、配当可能な剰余金があるにもかかわらず、普通出資者総会において優先出資者に対する配当額の額をあらかじめ約束した額を下回るような配当を行う場合、定款に定められました優先出資の内容で既存の優先出資者に損害を及ぼすような変更を行おうとする場合、それから、優先出資の分割、消却または合併による出資の割り当てにつきまして優先出資の種類ごとに異なる取り扱いを行おうというような場合には一優先出資者の総会を招集してその承認を得なければいけない。優先出資者はそれに対して拒否権を持っている。つまり、自己の財産請求権に不利な扱いをされた場合には、それに対して拒否をすることができるということでございます。 それからさらに、経営に対する関与権は一切ないわけでございますが、経営が悪化しまして二期連続して予定された配当が行われないようなときには、業務及び財産の状況を報告する。そのときに十分の一以上で主務大臣に申し出ることができるというような、そういうような保護の規定を設けているということでございます。
○島袋宗康君 株主総会が形骸化されているということがよく言われておりますけれども、出資者からそういった意味での投資目的は何だったのかと言われないような形で十分保護ができるような指導をしていかなくちゃいけないと思うんですけれども、ひとつよろしく御配慮願いたいと思います。 時間がないので飛びますけれども、最後に優先出資のメリットについてお伺いいたします。 この法案により一般投資家がメリットあるいは投資意欲を感じる点ほどこにあるのか。また実際に投資してくれるこういった方々が不安のないように、本当に期待を持たせるという意味で、優先出資するメリットがあるのかどうか、その辺についてひとつ詳しくお聞きしたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 優先出資証券の金融商品としての魅力の問題でございます。 優先出資は、普通出資に先立って配当を受け取る権利があるということでございますので、どちらかというと、配当が安定的であるというメリットが一つございます。それから、将来的にこれが上場または店頭登録も可能となるような整備を行いますから流通性が付与される。それから、個別の単位組織ではございませんで連合組織でございまして、かなり全国レベルの組織でございます。主務大臣の直接の監督のもとに置かれておりますので、経営の安定性についてもある程度の信頼をいただけるのではないか。そういうようなメリットを投資家がどのように判断されるかということに尽きるのではないかと思います。 そういうような制度上の手当てはいたしておりますが、実際に投資家がそれを魅力のある投資対象として受け入れるかどうかというのは、当然やはりこの発行体であります協同組織金融機関の努力いかんにかかっていくのではないかと思っております。
○委員長(野末陳平君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表し、協同組織金融機関の優先出資に関する法律案に反対の討論を行います。 本法案は、農林中央金庫、信用協同組合連合会など協同組織金融機関に優先出資を認め、組合の外部からの出資を受け入れようとするものであります。 協同組合が自己資本を充実させ、経営基盤を安定させることは重要であります。しかし、その方法が問題であります。外部資金を求める余り、協同組合の基本性格を損なうようなことになってはなりません。この点で、近年欧米において、資金調達を名目に株式会社化を図り結局倒産するなど、資本の論理に身をゆだねた協同組合が不振と崩壊の危機的状況に陥る事例も出ていることを考慮に入れるべきであります。 昨年東京で開かれた国際協同組合同盟、ICA世界大会では、「協同組合の基本的価値」がテーマに話し合われ、出資についても、あくまで組合員を基本とした方法を検討しなければならないと合意されたのであります。 ところが、本法案は、組合員あるいはその関係者等からの出資の方策についての検討を十分行わず、安易に部外出資に頼ろうとしているのであります。 優先出資の額は普通出資の額の二分の一に限っていますが、時価発行のため、優先出資が普通出資を上回ることも大いに予想されるのであります。また、優先出資者に対する配当の額が優先的配当の額を下回った場合などには優先出資者総会を招集しなければならないなど、普通出資者総会における議決権を与えないにしても、外部的圧力がかかる仕組みとなっています。そのため、優先出資者への配当財源の確保と営利本位の運営が追求され、協同組合の性格が損なわれる危険が予想されるのであります。その結果、本来の組合員に対する利用者配当など利益の還元が後回しにされ、ひいては組合員の脱退、組織の崩壊につながることがあってはなりません。 以上、協同組合金融機関の性格が損なわれることのないよう努力を求めて、反対討論といたします。
○委員長(野末陳平君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それではこれより採決に入ります。 協同組織金融機関の優先出資に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(野末陳平君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野末陳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(野末陳平君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 皇太子徳仁親王の婚姻を記念するための五万円の貨幣の発行に関する法律案の審査のため、本日、参考人として日本銀行発券局長前田尚志君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野末陳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(野末陳平君) 皇太子徳仁親王の婚姻を記念するための五万円の貨幣の発行に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。林大蔵大臣。
○国務大臣(林義郎君) ただいま議題となりました皇太子徳仁親王の婚姻を記念するための五万円の貨幣の発行に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府は、皇太子殿下御成婚を記念するため、五万円記念金貨幣、五千円記念銀貨幣及び五百円記念白銅貨幣の発行を予定しておりますが、現在、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律においては額面が一万円を超える記念貨幣を発行できないことから、五万円金貨幣の発行ができるよう本法律案を提出した次第であります。 この法律案は、皇太子殿下御成婚を記念して、特別に五万円の貨幣を発行できることとするとともに、本法律案に基づき発行される貨幣につきまして、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の関係条文を適用し、その素材、量目、発行枚数等を政令で定めること等とするものであります。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(野末陳平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木和美君 私は、この法律案の審議に入る前に、一つだけ確認の意味で国税庁にお聞きをしたいと存じます。 先般二十二日の大蔵委員会で、同僚の志苫委員から金丸事件問題に関連して、五億円問題について政治資金規正法で処罰をした、それで一件落着が、しかしこの問題は政治資金規正法と所得税法との関係があって、所得税法の方はどういうことになっているのかという質問がございました。そのときに国税庁から、現在告発が行われているので個々個々の問題は答えられないが、一般論として言えば、国税当局としてはやるべきことはやっておりますという答弁がございましたが、この経過は間違いございませんか。
○政府委員(野村興児君) いつも一般論でお答えをして非常に恐縮でございますが、私ども、個別の事案につきましては、まさに納税者の適正な課税を実現する、こういった観点から常にあらゆる機会をとらえまして有効な資料、情報の収集に努めまして、課税上問題がある、こういった場合には実地調査を含めまして厳正な対応をしているところでございますし、今後、一般につきましてもこのような基本的考え方に変わりはございません。
○鈴木和美君 議事録上はっきりしておきたいんだが、問題があれば国民の側に立ってそれぞれ査察調査を行うというお答えですが、この金丸問題については問題があるということで現在引き続き査察調査を行っていると理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(野村興児君) 本件につきましては、現在検察当局に対しまして告発が行われておるところでございます。検察当局においてなお捜査を継続中であると承知しておるところでございます。 私ども国税当局が本件等につきまして査察調査を行うかどうか、この点につきましては、一般的な話で恐縮でございますが、査察調査と申しますのは、大口、悪質な適脱の疑いのあるものにつきまして、検察官に告発し、刑事訴追を求めることを目的といたしまして国税犯則取締法に基づきまして強制調査権を発動して行うものでございます。 その法律上の要件といたしましては、よく言われておりますように、偽りその他不正の行為があること、適脱の結果が発生していること、一般の刑法犯と同じように故意があること、こういった要件が必要であるわけでございます。これらにつきまして立証し得る見通しがあるかどうか、こういったものを慎重に今検討した上で要否を判断することにしているわけでございます。
○鈴木和美君 それでは、金丸問題と関連いたしまして、いわゆる佐川マネーと言われる問題で新潟ルートと言われているような二億円問題については、金丸問題と同様に取り扱っている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(野村興児君) ただいまお尋ねの新潟の問題、具体的に申し上げますと、新潟知事選に際しまして金子前知事陣営等に対しまして提供されましたいわゆる三億円の問題であろうかと思うわけであります。 この問題につきましては、昨年の十一月三十日の衆議院予算委員会におきまして、法務当局から、このうち一億円につきましては政治資金規正法違反の疑いで起訴が行われているという報告が行われたところでございます。残りの二億円につきまして、同法違反等の嫌疑があるとして訴追するに足る事実が確認できなかった旨の報告があわせて行われておるわけであります。 その後、この二億円に係ります脱税の告発が検察当局になされているところでございまして、現在検察当局において捜査が継続されている、こういうふうに承知しているわけであります。 この点について国税当局は対応いかん、こういうお尋ねかと思いますが、これにつきましては先ほど一般論でお答えしましたとおりでございます。
○鈴木和美君 今お話しのように、新潟ルートの問題については既に告発状が約三千二十人から出ているわけですね。そういう意味では、検察当局の問題でもあると同時に、一般論というお答えでございますから、金丸問題と同じように、その中にこの新潟ルートも入れてぜひしっかりした対応をしていただきたいと存じます。 それでは金貨問題に入りますが、まず一番最初に警察庁にお尋ね申し上げます。 天皇在位六十年記念硬貨の偽造事件がございましたね。いろいろ新聞をにぎわしたわけでございますが、今日捜査状況がどういうことになっているのか、同時になぜこういう事件が起きたのかというような総括的な見解があったらお聞かせいただきたい。
○説明員(林則清君) 本件につきましては、平成二年一月、都内の金融機関から警視庁への申告により認知いたしまして以来、現在までコイン業者あるいは金融機関等からの捜査によりまして国内における金貨の流通ルートの全貌をほぼ解明するとともに、約十万八千枚の本件偽造金貨を押収しているところでございます。 また、コイン業者等関係者からの事情聴取の結果、これらの金貨はスイスから持ち出されているということが判明いたしましたので、国内捜査とあわせて、現在までにスイスを初めとする関係諸国に数次にわたり捜査員を派遣するとともに、ICPO等を通じまして関係外国捜査機関に対しまして関係者からの事情聴取等の捜査依頼をするなど、鋭意国外捜査を行ってきたところであります。 いまだ事件解決には至っておらず、今後とも引き続き外国捜査機関との連携を密にして流入ルート、偽造グループの解明に向けて粘り強い捜査を行ってまいる所存でございます。
○鈴木和美君 命のお話では、なかなか難しい問題だと思いますけれども、まだそのルートというのは全然つかめていないということになりますか。外国の捜査機関と提携をしながら進めていきたいというお話は、この前の十万円の金貨のときにも同じお答えなんですわ。私、これ自分で議事録を持ってきているんですが、それから一点も進展していないんです。 皮肉って言っているわけじゃないんですよ。それぐらい難しい問題であるので、これからは一体どういう力点をかけながら捜査を終了する方向に持っていくかという新たな何か対策の展開はございますか。
○説明員(林則清君) 御指摘のとおり、外国が関係をいたしておるというふうに見られますので、捜査活動に困難な点はございますけれども、流入ルートについての情報もございますので、我々としましては、ただいま申し上げましたように外国の捜査機関との連携等も密にしながら捜査を進めてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木和美君 もう一つお尋ねしたいのは、押収した十万七千枚、これは今どういうことになっているんでしょう。 これは毎日新聞の平成二年十二月十八日の記事ですが、「警視庁が異例の返還方針を固めた最大の理由は、ニセ金貨が貨幣価値はゼロでも一枚あたり二十グラムの純金が使われているため。」偽造の判こを押すか、溶かしちゃって純金にしてそれで返すか、大蔵省と相談の上でそういう対策がとられているという記事があるんですが、現在はこれどういうことになっているんですか。
○説明員(林則清君) 本件の偽造金貨につきましては、引き続き捜査中の事件の証拠物でありますので、現在も警視庁において押収をいたしておるところでございます。 今申し上げましたように、本件偽造金貨につきましては、捜査中の事件にかかわるものである、証拠物であるということに加えまして、偽造金貨自体これが犯罪の組成物ということで没収の対象ともなり得るものでございますから、刑事訴訟法の百二十三条のいわゆる押収継続の必要性というものがまだ認められるわけでございまして、現時点においてこれを還付するということはできないわけでございます。 なお、将来押収継続の必要性がなくなりまして、仮に返還という可能性が出てまいりました場合でありましても、本件の偽造通貨自体はいわゆる御指摘のように法禁物でありますので、このままの形では何人の所有も許されないものでございますから、現物のままで返還をするということはできないということになろうかと思います。
○鈴木和美君 そうすると、現在は手元にあるわけですね。将来返すというような場合には現物そのままを返すというわけにはいかぬので、溶かしたり判こを押したりというようなことで返す場合もあるというのが、記事としてはもう返したというような記事になっている。記事の方がちょっと間違っている、そういうことですか。
○説明員(林則清君) まだ返したという事実はございません。ただいま申し上げましたように、現在の時点においてはこれを返還するということは不可能でありますけれども、将来、いわゆる没収され得るものでありますけれども、没収の必要性がないとかあるいは捜査上の留置の必要性がないと認められるに至った場合には、恐らく刑事訴訟法の四百九十八条の趣旨に沿った形で返還ということが行われ得るというふうに現在考えております。
○鈴木和美君 恐縮ですが、二課長せっかくおいでですので、一万円札の方はどういうことになりますか。一万円札の偽造の方の捜査状況について関連して聞かせてください。
○説明員(林則清君) お尋ねの一万円札の偽造事件につきましては、去る四月十一日からこれまでに大阪、京都、滋賀、奈良の各府県下におきまして銀行あるいはJRの駅などから合計五百六枚の偽造券が発見されておるという状況でございますが、その大半が銀行の両替機でありますとか駅の自動券売機を通じて、これを通過いたしておりまして、過去にありましたこの種の通貨偽造事件とはその点で様相を異にする一種新しい形の通貨偽造事件であります。 警察といたしましては、事件発生直後から大阪府警を初めといたしまして、事件発生を見ております関係府県警察において直ちに捜査本部を設置するとともに、大量の捜査員を動員いたしまして鋭意捜査を行っているところでございます。また、事件発生を見ておりません府県警察にありましても、関連情報の収集に努めるとともに、警戒を強化するなど、犯人の一日も早い検挙に向けて全力を挙げて捜査いたしておるところでございます。
○鈴木和美君 警察庁に最後の質問ですが、金貨も一万円もそうですが、こういう事件であるということで、事件の背景とか原因とか防止対策とかそういうものはそれぞれの案件に基づいてやっぱり検討されているんでしょう。検討されていないんですか。 なぜそれを聞くかというと、例えば今度の皇太子の五万円を出すときに、偽造の問題がこういう原因でこういう反省があってこうだというようなものがなければ、偽造対策は十分かと言っても、言葉で大丈夫だと言うだけでございますよね。だから、警察当局から見たときにここはこういうことがおかしい、こういうことがおかしいと思われるというような総括というのはなされていないんですか。それがなされたものを例えば大蔵省に物を言う。 例えば、両替機みたいなことはある意味ではわかるんです、機械の問題ですから。それで、「大蔵省と日銀は警察庁の協力を得てニセ札の特徴と機械の識別能力を分析、製造業者に呼びかけている」というこんな記事もあるんですが、したがって、偽造金貨、一万円というような事件事件に関して、何か総括されて大蔵省に物を言うということはあるんですかないんですか。
○説明員(林則清君) まず、御指摘の今回発生いたしております両替機なり自動券売機を通ったという関係につきましては、警察といたしましては、大蔵省初め関係省庁あるいは団体に対しましてこういった警戒、監視の防犯対策を強化していただくということを要請しますとともに、自動券売機等の業界団体に対しましても機器の改善等の要請を行うとともに、それに資するための協力をいわば捜査とかあるいは捜査手続上支障のない限り御協力申し上げておるというのが現状でございます。 それから、先ほどの金貨の関係につきましては、これ残念ながらまだ検挙されておりませんので、果たしてどのあたりにこういった事件の原因、動機と申しますか、こういうものがあったんだろうかということはまだ解明されておりませんけれども、一般論としましては、大変に偽造技術等が高度に発達しておるということがうかがえますので、捜査の過程で得られたそういった今後の防止対策に資する点につきましては、関係省庁とよく連絡をとりつつその防止に資するための協力をいたしたいというふうに考えております。
○鈴木和美君 どうぞしっかり捜査の方お願い申し上げたいと思います。 さて、今のお話を聞きまして銀行局にちょっとお尋ねしたいんです。 一万円札の方ですけれども、そういう事件が起きたために、銀行両替機、券売機いずれも大変日常生活に欠かすことができない機械なんでございますが、大変迷惑というか混乱というか、そういうものが起きていると思うんです。したがいまして、今の警察当局のお話じゃないですが、銀行局は各金融機関に対してどういうような指導をなさっているのか、またこれから券売機問題などについてどういう対策を打ち出そうとしているのか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 事件の発生の連絡をいただきましたのは四月十二日でございましたので、十三日に当局から財務局及び全銀協に対しまして口頭で注意喚起をいたしました。全銀協におきましては、十三日付で傘下の金融機関に対しまして注意喚起の文書を発出をいたしました。 それから、翌十四日でございますが、警察庁から防犯対策の強化と捜査の協力の要請がございました。偽造券の主な特徴を述べられているとともに、具体的な対策として各金融機関に自動両替機の設置場所に対する監視、警戒の強化と、にせ一万円札が発見されたときの警察への通報、それから自動両替機の点検強化というようなことの対策の強化と捜査協力の依頼がございましたので、またそれに対応いたしましてその趣旨を財務局に対しまして文書で通知をした、こういう対応をいたしております。 これらの要請を受けまして、各金融機関におきましては、両替機の使用を一時停止するという、これは地域によって若干対応が異なってまいりますが、あるいは稼働させる場合は行員を立ち会いで稼働させているというような措置をただいま講じているところでございます。
○鈴木和美君 もう一つお尋ねしますが、つまりにせ札をはじく両替機、券売機、これはもう少し精密にしてもっと枚数よく見ながらはじけるような精密な機械をつくる方がいいという意見があると聞いています。反面、余り精密にすると古いお札が今度は両替できない。そういうような板ばさみの問題があって大変メーカーは困っているという話を聞いているんですが、そういうことについての省の見解なるものはございますか。
○政府委員(寺村信行君) 再発防止のために具体的にチェック機能をどのようにするかという問題でございまして、ただいま委員御指摘のような問題がございます。ただ、チェックシステム、すべてのちょっと問題のあるのを全部はじき出すというようなことでなくて、有効にチェックし得るような機器の開発なり何なりができるかどうか、そういう技術的な検討を要する問題もございますし、それから現在との辺のチェック機能をどのように対応すればいいかという、これは捜査当局によります事実関係の解明を受けて検討する必要もございます。今後そういった問題を検討していく必要ございます。 一方、通産省におきましても、今回の事件を踏まえまして、十四日付でございますが、自動販売機工業会に対しまして通達を出しまして、偽造紙幣問題に係る対策委員会を設置して、専門技術者間の協議体制をつくって検討していくというような対応も行われつつある状況にございます。
○鈴木和美君 大臣、今ずっとやりとりをお聞きになったと思うんですが、大蔵省的に言うんであれば、金貨の方が大変責任が重いような私は気がするんです。一万円札の方は両替機ですから、だから省というよりは省が委託した両替機のメーカーの性能、そういうのに大きなウエートがあるわけですね。 しかし、いずれにしても、こういう問題というものは、十万台くらいあると言われている両替機、券売機が使えないというようなことになったんでは国民生活に大変重大な影響があると思うんです。したがって、これは大蔵省としても関係当局と十分相談をして国民生活に支障のないような御手配をいただきたいと思いますが、大臣の見解だけ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 御指摘のように、一万円札等の問題につきましては、両替機というのはなかなか私は技術的に難しいものだろうと思うんです。一万円札の印刷の方を精密なものにしてなかなか偽造のできないようにしていく、こういうことがあります。またそれに伴いまして、両替機の方も相当また精密なものをつくっていかないといけないということでありますし、なかなか難しいことでもありますけれども、やはり技術的な点は相当日本は進んでおる技術を持ってますから、両面相まっていろんなことをやっていかなければならない。関係当局ともよく十分連絡をしながらやっていくことが必要だろうと思います。 やはり通貨でございますから、通貨がそういった偽造されるというのは国の信認にもかかわる話でありますから、これからも十分配慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
○鈴木和美君 前田参考人、大変お忙しいところ恐縮でございます。 二、三質問させていただきますが、この前十万円の金貨がもっと出るであろうと思ったのが還流されちゃったですね。現在日銀に還流されている枚数は何枚ぐらいありましょう。
○参考人(前田尚志君) 昭和天皇御在位六十年記念金貨につきましては、千百万枚発行されたところでございますが、現在三百八十万枚が本行に還流しております。 なお、最近の還流状況は落ちつきを示してきております。
○鈴木和美君 もう一つお聞かせいただきたいんですが、その三百八十万枚は現在どういうふうな処理、保管をなさっているわけですか。もうそのまま三百八十万枚倉庫に置いたままですか。
○参考人(前田尚志君) 還流してきたものにつきましては、日本銀行におきまして金庫にそのまま保管しております。
○鈴木和美君 それはいつまで保管するんですか。
○参考人(前田尚志君) 当面そのまま日本銀行において保管するわけでございますが、今後の取り扱いにつきましては、還流状況等を見きわめつつ、大蔵省等関係各方面と協議してまいりたいというふうに思っております。
○鈴木和美君 お忙しいところどうもありがとうございました。 さて、今のお話を聞いて大臣にちょっとお尋ねするんですが、千百万枚出そうという、十万円ですから一兆一千億ですね。三百八十万枚返ってきちゃったということは、三千八百億赤字を出したということになりますな。 まず、大臣に聞く前に事務当局から、この会計処理はどういうことになるんですか。
○政府委員(藤井威君) 金貨が市中より還流いたしました場合におきましては、現在、貨幣回収準備資金制度というものがございまして、貨幣流通高の十分の一の貨幣回収準備資金を積むという形になっております。したがいまして、還流いたしますと、その額面額の十分の九だけ当該年度の貨幣回収準備資金から一般会計への繰入額が結果として減少するということに相なります。
○鈴木和美君 会計処理上はそういうことになっているんでしょう。 しかし、私は、素人的に考えますと、この前の質問のときも申し上げたんですが、とにかく枚数一千百万枚売ろうということで全部計画をして、全部発注をして、そういう仕入れからコストから全部見て、あのとき幾らだったかちょっと金額は忘れちゃったですが、予定収入として、国は幾らかもうけようとしたわけですね。もうけられなくなっちゃった。それで三千八百億赤字を出しちゃった。仕込んだものが売れなくて戻ってきちゃった、返品になっちゃったんだから。これは営業会社で言ったら大変な責任になりますよ、そんなのは、もうこれは社長首ですわと言ったことがあるんです。そうしたら、当時の橋本大蔵大臣は、いや私の責任で本当に申しわけない、もう責任を痛感しておりますと。言葉では言うんだけれども、その責任の所在がさっぱりはっきりしないんです。 林大臣はこういう問題についてどういう責任感をお持ちでしょう。感想を聞かせてください。
○政府委員(藤井威君) 大臣にというお話でございましたが、今の御質問は、御在位金貨、あの当時一千百万枚発行いたしました。当時のことを考えてみますと、もう本当に久しぶりの金貨の発行ということで世間の注目を非常に浴びたということで、最初に一千万枚出しまして、それからしばらくたってまた百万枚追加して出すというような措置をとったわけでございます。 我々としましては、長く国民に愛蔵されるという記念通貨としての性格を期待して発行し、また一応それが国民の間で受け入れられたわけでございますが……
○鈴木和美君 時間がないから、責任だけでいいですよ。
○政府委員(藤井威君) その結果としまして、おっしゃるように三分の一に近いものが還流してきているということについては非常に我々も残念だと思っております。原因の一つに先生が御指摘の偽造事件等もあったというふうに考えております。 責任という御質問でございますが、再びこういうようなことが起こらないように、例えば偽造事件が発生することがないように、あるいは枚数についても慎重に考えていくというような方針を今後これを教訓にしてとってまいりたいというふうに思っております。
○鈴木和美君 林大臣、聞かせてください。
○国務大臣(林義郎君) 陛下の御在位を記念してとか、今回また皇太子殿下の御成婚を記念して国民的にお祝いするということで出したわけでありますが、なかなかうまくいかなかったということになれば、やはりその出したところの責任かなと、こう思うわけです。 ただ、これもどの程度の責任、これなかなか難しい話でございまして、正直言って、じゃ出さなければいいかということになれば、やはり出さなくちゃいかぬ。また、足りなくなっちゃってプレミアムなどがついたらまた困ることになるし、ある程度まで余分に出しておくことの方がいいのかなとも考えておりますし、そういったような形で、確かにその出すときの当事者の責任であるし私の責任かもしれませんけれども、なかなかこれ、後でじゃ責任をとれと言われたところで、とてもじゃない、責任のまたとれるような話でもないがな、お祝いの話でございますからと、そんな感じを持っているところでございます。
○鈴木和美君 なぜ私はそれを聞くかというと、この前も言うたんですが、そういう偽造事件が発生するということは、三つの観点から検討してほしいということを当時の橋本大臣にもお願いしたんです。 一つは、大蔵省の甘さだということを私は言ったんですよ。それは、あの在位のときにはまさか天皇を利用して偽造が出るなどとはだれも思っていなかったんです。有識者会議をやったってそんな話は一回も出ないです。衆参の大蔵委員会でその法案を質問したとき、たまたま私が偽造があったらどうするかと言った。私も偽造なんかあると思っていなかったですよ。だから全体がそういう仕掛けとして甘さがあったんじゃないか、そういう反省をせにゃいかぬよ、そういうことを申し上げたんです。 もう一つは、大蔵省の製造技術の問題の観点から考えてくれと。大蔵省の造幣局の職員が大変な技術を持って、それこそ大した細工師もいるわけですよ。そのくらい技術がいいわけです。けれどもその技術におぼれちゃって――そこで問題なのは、そういう偽造事件が出るということは、国の通貨に対して大変な信用が落ちますね。こういうところが問題じゃないのか。 それから三番目は、制度的に問題がありはせぬかと。それはなぜかというと、制度というか、仕掛けと言った方がいいんでしょうけれども、とにかく四万円の地金が十万円になるんでしょう、つまり法定通貨にしたんだから。法定通貨にしたというところにうまみがあるから偽造屋がそこに出てくるわけでしょう、六万円もうかるんですから。そうでない限り偽造なんかやるわけないんですよ。だから、そういう反省に立ってその次の天皇即位は二十グラムが三十グラムになったんでしょう。 そういう反省点、そういうことを考えたときに、国の通貨に対してこれだけの信用度を落としたということは、これは非常に戒めてかかってもらわにゃいかぬよということを申し上げて、その責任はどうしてくれますかと言うたら、橋本大臣、もう私が全責任を負って頭を下げるきりないと言うんですわ。今林大臣の気持ちを聞くと、そんなこと言われたっておれはわからないよみたいな、それでは役所仕事の親分としてはちょっと子分がわいそうじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(林義郎君) 通貨の信認性を傷つけるというような話になりましたならばやはり大変な問題だと思いますし、その辺につきましては、私も当事者として当然に責任を考えなければならない問題だろう、こう思いますが、じゃ一体どういうふうにしたらその話ができるのかねと、こういうふうなことで私は申し上げたところでございます。 今お話がありましたように、偽造の問題であるとかというようなところをどうして解決するか。技術の問題でありましょう。しかし、技術というものもこれは限界のある話だろうと思いますし、そうした点をどういうふうに考えたらいいのかなと、こう思っておるところである。率直に私も気持ちを申し上げたところでありまして、発行する当事者の責任は私にあるということは当然のことでございます。
○鈴木和美君 それでは次の問題は、五万円にした理由とか何かという問題は時間があったら聞きます。 私は、この前もちょっと問題提起したんですが、どうも納得がいかないのは、今度の五万円と十万円は同じなのか違うのか、大蔵省の気持ちなんです。今理財局長は愛蔵という言葉を使ったでしょう。愛しながらしまっておく。そういう性格のものとしてこの金貨を出すのか、通貨として出そうとするのか、その点がどうも不鮮明なんです。これはどういうお気持ちですか。
○政府委員(藤井威君) 記念通貨、記念貨幣ということの持つ意味ということだと思います。貨幣法におきまして国家的な記念事業について記念貨幣を発行するということが認められておるわけでございますが、国家的な記念事業についての記念をするということでございますので、やはり出した貨幣は基本的には国民の皆様方に喜んで愛蔵していただくことを期待しておるものという性格を持つことは否定できないであろうと思います。 ただし、これは貨幣法によりまして認められておる記念貨幣でございますので、そういう愛蔵を期待しているわけでございますけれども、同時に法定通貨としての性格を持つ。したがって、額面十万円の通貨はあくまでも十万円として今後ともに法律上の通用力を有するという性格を持つ。 今回計画しております五万円の記念貨幣につきましては、やはり同じように愛蔵を期待する記念貨幣であると同時に、法定通貨五万円としての価値をずっと持ち続ける、そういうこれは二重の性格を持ったものというふうに御理解をいただきたいと思います。
○鈴木和美君 そういうことなんでしょう。けれども、それは私は、両方兼ね合わして現行の法体系の中で泳ごう、泳ごうという表現はよくないんですけれども、適合でもいいんですが、そうさせようというための理屈だと思うんですよ。 愛蔵とか埋蔵とかというような、しまっておいてくれというのであれば、それだけの性格であるならばメダルでいいわけでしょう、金貨の。ところがそのメダルまでいかないというんであれば、これは現行の通貨法とは別な立場に立った法律を私はつくった方がいいと思うんです。 それができないというんであれば、通貨法の七条に「二十倍」というのがある。二十倍は、一円なら二十円、百円なら二千円でしょう。そこまでは取らなきゃならぬという七条の規定なんです。ところが、これは無制限法貨と制限法貨が法定通貨にはあるはずでしょう。 だから私がこの前言ったときには、そういう五万とか十万というのは七条そのものを適用するんじゃなくて、もう少し制限の方でやったら知恵が出るんじゃないかと言ったんです。なぜかというと、例えば十万円二十枚持っていって二百万でしょう。金貨を二十枚持っていって自動車を買ったり毛皮買ったりする人いますか。金貨二十枚持っていったらにせじゃないかといってデパートの方が逆に不信を持っちゃうんです。 ところが七条を適用するということは、二十枚まで受け取らなきゃならぬとなっているわけでしょう。だからそういう金貨五万、十万のようなものは、例えば一枚とか二枚とかというようなことをやったっておかしくないんじゃないかと私は思う。その方が愛蔵の方の、あなた方の精神に沿うんじゃないかとこの前申し上げて、研究させていただきますと言ったんだけれども、相変わらず同じじゃないですか。何か知恵がないんですか、ここは。
○政府委員(藤井威君) お話は既に承っておりました。今回も五万円を計画いたしますときに内部的にはかなり検討いたしました。 先ほど申しましたように、記念貨幣は国家的な慶事、国民的な行事を記念する貨幣ということで、愛蔵を期待しているということですと、一般的に支払い手段として流通使用される可能性は小さいということは先生が御指摘のとおりでございます。先ほど申しましたように、そういう愛蔵の対象としての記念コインの性格と同時に、これに法定の通用力を与えて法定通貨としてとにかく五万円の価値はずっと持たせるという、いわゆる貨幣法上の記念貨幣として出すという基本的な性格もまた同時に持っておるということでございます。 その場合に、通常貨幣と全く同じ、普通の我々が持っております五百円とか百円とかという通常貨幣と全く同じ法的性格を付与することによって、むしろ国民が記念貨幣を安心して保有することができるというそういう側面、つまりこれはあくまでも貨幣法上の補助通貨であるという性格をはっきりさせるという方が貨幣の信認という意味では、とにかく補助貨幣としてのちょっと違った性格のものだというふうにしない方がいいというように我々考えまして、従来の特別法により発行されました貨幣、今まで何種類がございます。最初がオリンピック貨幣、それから御指摘の御在位六十年のときは十万円と一万円と二つ、それから御即位記念の十万円、これだけを今まで特別法により発行いたしましたが、いずれも一般の補助貨幣と同じ法文をすべて適用するという形で法律上統一してまいりました。今回も同じ法的性格を付与すべきであろうというふうに考えた次第でございます。
○鈴木和美君 どうもその点が私は今でも納得できないんですけれども、記念貨幣だから補助貨幣とは違うというんでしょう。七条というのは補助貨幣の適用でしょう。ところが、記念の方も七条を適用するから補助貨幣と同じなんでしょう、法定を付加するという意味では。だけど、そこのところはちょっと違うのじゃないかとこの前から私言っているんです。だから、別な知恵が何とか出ないのかと、その方がむしろ国民が安心するんじゃないかということを提起したんですが、それはもうこれしかない、現在でもこれしかないという考えですか。
○政府委員(藤井威君) 特別法による五万円金貨、あるいは前回出しました十万円金貨、そういうものが他の補助貨幣と違う性格というふうに考えられる部分というのは、先ほど申しましたように記念貨幣であるから多くの場合国民の愛蔵の対象になるであろう、またそれを期待して出すということがちょっと違う点だろうと思います。しかし、それに法定通貨としての性格を与えるという点は、これは通常の通貨と何ら変わるところがないわけでございまして、その部分に着目して、これは法定通貨なんだということでほかの通貨との差がないんだというふうにした方が体系としてもすっきりするし、その方がわかりやすいし、また実際に貨幣法の体系から言ってもそうすべきであろう、つまり通常貨幣と全く同じ法的性格を付与すべきであろうというふうに考えたわけでございます。
○鈴木和美君 くどいようですが、もう一回お尋ねしますが、記念貨幣というものを法定通貨にするということは、七条があるから法定通貨なんですか。そうじゃないでしょう。貨幣法の中に法定通貨として扱うということだけはっきりすれば、例えば二万三千円でも五万円で通用するよ、四万の地金でも十万円で通用するということを国が保証するわけでしょう。それが法定通貨でしょう。だから、七条と法定通貨にするということは同一ではないんじゃないですかと私は言っているんですよ。どうですか、そこ。
○政府委員(藤井威君) 今回の記念貨幣を法定通貨として考えるということは、まさに貨幣法の特例としての、現在の記念貨幣法の法律の根本的な趣旨でございます。 したがって、七条が適用されるかどうかによって法定貨幣であるかないかという、その根本的なところに差が生ずるとは私も思いません。思いませんが、法定通貨である以上は、通常貨幣と同じ法的性格を付与すべきであろうというふうに考えたわけでございます。
○鈴木和美君 ありがとうございます。私はそれで満足なんですが、したがって、今度は七条の「二十倍」というものをもう少し別な扱いに記念貨幣はした方がいいんじゃないかという理屈が出てくるわけです。どうぞこれは検討してください。今ここでやったってしょうがないですから。 さて、銀行で五万円が取りかえられるとか発売されるのは、何月何日を予定していますか。
○政府委員(藤井威君) 御成婚に際しましては、今回の法律に伴います五万円金貨のほかに、五千円銀貨、それから五百円白銅貨の発行も予定しております。五千円銀貨と五百円白銅貨の方は法律の必要がなくて政令でできますので、先般政令を出していただきまして、今現に製造にかかっております。そっちの方は、御成婚の期日、六月上旬近辺には間に合って引きかえができるような態勢に持っていけるというふうに考えております。 ただ、金貨の方はこの法律の成立を待ちまして製造にかかるわけでございますし、また金貨と申しますものは技術的にもかなり製造に時間がかかる、銀や白銅貨に比べますと相当時間がかかるものでございますので、やはりどうしても製造に四カ月近い日時を要するというふうに考えておりまして、多分金貨だけは九月の、秋口の引きかえになろうかというふうに考えております。
○鈴木和美君 秋口になるということは、随分日にちがあくということですよね。それで記念だって言ってみても、随分ぼけている話ですな。だけれども、それでも精いっぱいの製造の力しかないということでしょう。精いっぱいですよ。 この前、私は片山政務次官と大蔵の理事で造幣局にお邪魔して、鋳型の問題を見たり、労働者の働いている状態を一緒に見たわけですよ。もう現在でも精いっぱい、超勤、超勤、超勤でやっている状態ですな。 この状態について、政務次官の片山さん、どんな印象を持ったか、この前の印象をまずちょっと聞かせてくれませんか。
○政府委員(片山虎之助君) 今お話ありましたように、せんだって私も初めて造幣局を視察させていただきました。 お話がありましたように、貨幣が中心ですけれども、勲章だとかその他の工芸品の製造過程をつぶさに見せてもらったわけであります。あれはなかなか大変な仕事だと私も思いましたが、職員の皆さん、本当に一生懸命やっているな、こういう感じを持ちました。 造幣事業というのは、もういろいろお話ありますように重要な仕事でございますので、今後とも適切に着実にやっていくということが必要だろう、そういう感じも持ったわけであります。 以上です。
○鈴木和美君 造幣局からも来ていただいているところですが、大臣一つお願いがあるんですわ。 今政務次官もそういう評価をくださって大変ありがたいと思うんですが、橋本大臣のときに私はお願いしたんです。造幣局の労使間を見てみますと、もう急いで急いでこれつくらせられるわけです。この前のときは一円だったですからね。もうとにかく大変な労働ぶりなんですよ、超勤、超勤で。ところが、現行の大蔵省の対応から見ると、造幣局の対応から見ると、もう超勤手当を払うのが精いっぱいだというんですな。 だけど、私のところのたばこ屋でもいいんですけれども、それだけ苦労して苦労してやったようなところには、言葉は適当でないかもしれないが、御苦労手当とか、まあ報奨でもいいや表彰でもいいや、そういう制度というのがあるんですよね。それで、一般的な国家公務員と違って労働協約にそのことがちゃんと書いてあるんです。ところが、造幣局、それを適用したことないんですよ。適用できないというんです。今の賃金制度が横並びだとか、そういうことで決まっちゃうものだから、気持ちはあるんだけれどもなかなかできないんだというのが現在の状況なんですよ。 だから、私は橋本大臣に、そういう制度があるんだからやろうと思えばできるんじゃないかと。もう大変な仕事でしょう。超勤手当を払うのは当たり前ですよ。超勤手当を払わないでただ働きさせているのは、大蔵大臣、あなたのところの本省だけだ。本省のスローガン見てごらんなさいよ。「きょうのうちに帰りましょう」でしょう。毎週水曜日は早く帰ろうとようやくなったけれども。もっとはっきり言うなら、時間数まで持っていますよ、あなたのところただ働きさせているのが。だからこれは労働基準法違反なんだけれども、造幣局の場合には現業ですから超勤手当だけは払ってくれますよ。 だけど、私は、それだけ非常に苦労に苦労を重ねて一生懸命やっているところには、一生懸命に報いられる制度があるんだから、それを何とか活用して、温かい志をやってくれぬかということを橋本大臣にもお願いしておった。わかりましたと言っておった。わかりましたと言うだけですよ。 それから二年過ぎて、この前造幣の組合に行って聞いたら、いや何にもありませんと、こう言う。それではちょっといかぬから、林大臣になってからもぜひその点は検討してください。大臣、ここは検討するとも答えられないから、そうでしょう、検討すると答えたら、またおれにやられるから。私の気持ちだけを酌んでいてほしいと思うんです。何かそれについて御感想でもあれば聞かしてください。
○国務大臣(林義郎君) 鈴木先生はもう大変にその方面お詳しい方でありますし、かつて専売にもおられた方でございますから、大蔵省の関係の組合の関係はよく御承知のことだ、こう思っております。 私も先般、組合との話し合いをいたしまして、いろんな方面からお話がありました。御指摘のように、なかなか大蔵省関係の職員の仕事は大変なことでありまして、残業その他の問題も多々あると思います。なかなかそういったことできませんので、せめて作業環境の整備であるとか福利厚生施設であるとか、いろんな点については配慮しておりますが、正直申しまして、今お話しのようになかなかそう簡単に規則があるからどうだこうだという話でもないようでございますが、いろんなことをまた考えてみたい、こう思っておるところでございます。
○牛嶋正君 先ほどからお話が出ておりますように、皇室関係での記念貨幣の発行を見てまいりますと、昭和天皇の在位五十年それから六十年、そして現天皇の即位の記念、そして今回の皇太子の御成婚を記念しての発行ということで、六十一年以降を見ましても、この間、七、八年の間で三回も発行されているわけでございますが、余り頻度が多くなりますと、私は記念としての意味づけがだんだん薄れるんではないかというふうに思います。 戦後最初に発行されたのがオリンピックの記念、それから在位五十年までは相当な期間がたっているわけであります。そうなりますと、皇室関係にいたしましても、その他の関係にいたしましても、記念貨幣を発行される場合の基準といいますか、目安といいますか、どういう場合に記念貨幣を発行されるのか、そういうものがあるのかないのか。どうも財政状況が悪いときに頻度がだんだん重なってくるような感じも受けるわけですけれども、まずそのあたりをお尋ねいたします。
○政府委員(藤井威君) 記念貨幣の発行の頻度でございますが、先生が御指摘のとおり昭和三十九年のオリンピック東京大会が初めてでございまして、以降、今回の前の発行は平成四年の沖縄復帰二十周年記念コインというのを出しました。合計で十五回十九種類発行いたしております。 この記念コインは、貨幣法の中に国家的な記念事業として行われた場合に発行するという規定があるだけでございまして、何をもって国家的な記念事業と考えるかというのが基本でございます。こういう場合に国家的な記念事業になりますという具体的な基準を持っているわけではございませんが、まさにこの規定どおり国が記念するにふさわしい事業であるかどうかということが基本であり、それに対応しまして従来どういう場合に発行してきたかというような先例を考えてケース・バイ・ケースに決めているということしかちょっとお答えのしょうがないんじゃないかというふうに思います。 財政収入を目的としてというようなことを判断基準の中に取り入れているつもりはございませんし、またおっしゃいますように、余り判断基準を甘くして頻度が多くなるということもどうかなというふうに考えております。
○牛嶋正君 今回の場合、恐らく記念貨幣の発行というのは皇太子の御成婚を国民みんなでお祝いしようというふうな趣旨が込められているんではないかと思いますけれども、それだけに、先ほども議論がありましたように、発行した金貨がかなり売れ残ってしまうとか還流するとかあるいは偽造貨幣が出回るということになりますと、かえって記念貨幣発行の趣旨に傷がつくと思うんですね。 それだけに発行される貨幣の種類、それから発行枚数といいますか発行量というのは十分に慎重に検討していかなければならないと思いますが、今回の場合は記念金貨が五万円とされました。そして、発行枚数が二百万枚ですね。これは在位六十年記念のときに比べますと額面が二分の一になっていますし、発行枚数も五分の一ということであります。こういうふうに決められたわけですけれども、その場合に、私は今申しましたような事柄を十分考慮されてのことだと思いますが、特に金貨を五万円にされたこのあたりの理由づけみたいなのがございましたら教えていただきたいと思います。
○政府委員(藤井威君) 従来、皇室関係の御慶事に際して十万円金貨を二回発行したわけでございますが、その場合にもどんな形で記念通貨を発行するかということに関する有識者の懇談会というものを設けて、いろいろ各方面の御意見を伺って決めた経緯がございます。今回も皇太子殿下御成婚記念貨幣に関する有識者会合を設けまして、実際には今年の二月二十二日に開催いたしましたが、いろんな方の御意見を伺いました。 その中でほぼ一致した意見として、額面については広く国民各層の需要に応じるため小さい方がいいという意見が出されまして、それを受けまして、従来十万円の金貨幣を出してきたところを今回の御成婚記念貨幣に関しては金貨の分は五万円額面にするというふうに決めたわけでございます。 やはり国民各層の需要ということもございますので、あわせて先ほどちょっと申しましたように銀貨、白銅貨も出すということで、広く御慶事に参加していただくという趣旨を徹底しようということでございます。銀貨の場合も御在位六十年のときには一万円銀貨でございましたが、今回はそれを半分にしまして五千円銀貨にする、五百円は五百円白銅貨ということで、額面を少なくして持っていただきやすくする、いわば愛蔵されやすくするという趣旨で事を考えたわけでございます。 それから発行枚数でございますが、御在位六十年の金貨が一千万枚それから追加して百万枚、合計一千百万枚発行いたしまして、一応国民の皆様方には受け入れられたわけでございますけれども、結果的には先ほど来議論になっておりますように三分の一還流してきてしまったということを踏まえまして、御即位記念の十万円金貨につきましては二百万枚といたしました。その金貨も三十万枚ほど実は還流してきております。そういう状況も踏まえまして、今回は五万円ということにいたしまして、枚数は御即位記念金貨と同じ二百万枚というふうにいたしました。 我々といたしましては、この五万円金貨を持ちたいとおっしゃる国民の皆様方、いわば引きかえの希望者に対してできる限り行き渡るように配慮するということを基本として考えたわけでございますが、余り少なくしてフィーバーが起こるというのもやはり問題であろうということでこういう判断をしたわけでございます。
○牛嶋正君 今回の発行額は、総額では千四百億円になりますね。記念貨幣でありますけれども、やっぱり通貨の発行だと思うんです。しかも、その通貨の発行は性格的には私は政府紙幣の発行とよく似ていると思うんです。 そういたしますと、金貨の場合には素材価格がございますので額面どおり財政収入にはならないと思うんですけれども、今回の千四百億円の発行でどれくらいの純収入と申しますか財政収入をお考えになっているのか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(藤井威君) 先生も御承知のとおり、財政収入を目的として記念硬貨を発行するというような要因が我々の頭の中にあるというわけではございませんけれども、結果といたしましては財政収入が見込まれます。現在のところ、これは極めてラフな計算でございますが、一般会計に約六百億円程度の収入となるというふうに考えております。
○牛嶋正君 発行の趣旨はともかくとして、法貨として発行されるわけですから、私はやはり通貨としての機能を持たなければならないと思っております。そうでないと、我が国の貨幣制度そのものに対する信頼性がある程度低下するというふうな問題も出てくるわけであります。 さらに、先ほど愛蔵ということをおっしゃいましたけれども、もし求めた人たちが愛蔵してしまうということになりますと、これはいわばたんす預金みたいなものになりますね。その分だけ消費需要が減少するわけでありまして、今景気対策の面からも発行した通貨がやはり通貨としての機能を十分に発揮することが求められているのではないかと思うわけです。 そうだとしますと、ここで記念貨幣の流通速度というのが問題ですね。流通速度をどういうふうにはかるかですが、今仮に一年間の貨幣の取引に何回使われるかということで流通速度をはかるといたしますと、これまでの十万円の金貨というのはほとんど流通速度はゼロではなかったかと思うんです。 今おっしゃいました愛蔵というのは、たんすにしまっておくというふうな感じで私受け取ったんですが、もっと違う愛蔵の仕方があるんじゃないかと思うんです。通貨として使いながら、時には記念貨幣を受け取ると、きょうは非常にラッキーだというふうな感じで、そのときどき記念の趣旨をもう一度かみしめるという愛蔵の仕方もあると思う。僕はむしろ通貨としての機能を考えるならば、そういった持ち方あるいは使い方が望ましいんではないか。 私は、その場合に、五万円という額面が場合によっては私が今申しましたような通貨としての機能を持ち得るんではないかという気もするんです。もう一度、先ほどの御質問と重複いたしますけれども、そういったことは五万円を決定される場合に考慮されましたでしょうか。
○政府委員(藤井威君) お話は非常によく理解できます。ただ、金貨幣に関する限りは、やはり実際上は愛蔵の対象としての性格というものが非常に強い形で国民に受け入れられるという結果になるだろうというふうに私は思います。しかし、愛蔵されてもその部分は五万円としての立派な貨幣資産でございまして、それが減価することはないわけでございますから、そういう意味での法定通貨としての価値というものをこれに付与しておるということであろうと思います。 事実上は、やはり転々流通というのは金貨に関してはかなり難しいんじゃないかなという気がいたします。それ以外のコインにつきましては、五千円銀貨が転々流通するか、これはちょっと金貨ほどじゃありませんけれども、どうかなという気がいたします。五百円白銅記念貨幣につきましては、これは場合によっては流通する可能性があり得ると思います。そういうことも考えまして、今回は五百円白銅記念貨幣のサイズは通常の五百円貨幣のサイズと同じにいたしております。 そういうことで一応考えてはおるわけでございますが、五万円、五千円に関していえば、やっぱり基本は愛蔵を期待する法定貨幣であるというふうに考えているところでございます。
○牛嶋正君 私は、今回の金貨額面五万円につきまして、ちょっと別な理由づけといいますか考え方を持っておるのでございます。 それは、現在の高額紙幣の一万円が発行されたときは、千円札が通貨量の八七%に達したときというふうに聞いておりますけれども、私の感じ、経験では、今の一万円と当時の千円から受ける感じがほぼ同じぐらいだと感じておるんです。これは私の所得が上がったせいもあるでしょうけれども、もしそうだとすると、一万円の通貨量の中でのシェアは大体もう八〇を超えているのではないかという気がいたします。 そうしますと、一万円が発行されたときの条件というのは一応整っているわけでありまして、一段上の高額紙幣の発行というものを考える時期ではないかという気がいたします。その場合に、一度に十万じゃなくて、私は五万というのが一つの段階かと思っておりまして、そうなりますと、先ほどからお尋ねしておりますように、今回の五万円金貨がかなり通貨としての機能を発揮することになりますと、今回の記念金貨の発行が一つのテストケースになるのじゃないかとちょっとうがった見方をさせていただいているわけでございます。今のところ、大蔵省としてはそういった高額紙幣の発行についてどんなふうにお考えになっているのか。
○政府委員(片山虎之助君) 今御指摘ありました高額券を発行するかどうかにつきましては、通貨の種類に対します国民の需要の動向だとか、また高額券に対する心理的な影響だとか、多面的に慎重に検討しなければならない。 なるほど一万円の流通のパーセンテージが八七%というのも事実でございますけれども、これは過去のいわば経験値みたいなものでございまして、現在までのところ、いろんなことを含めますと高額券を発行する考えは持っていないところでございます。
○牛嶋正君 私も、そう申しましたけれども、だんだんとやっぱりクレジットカードなども発達してきておりますし、また先ほどから議論がありますように偽造の問題もありますので、そういうふうな水準に達しているけれども今しばらくはそういったクレジットカードの普及なども見ながら慎重にお考えいただければと、こんなふうに思っております。
○寺崎昭久君 まず、通貨法で貨幣の種類を額面五百円以下としております。それから記念貨幣の額面価格については一万円以下としている、その理由について御説明いただきたいと思うんです。
○政府委員(藤井威君) 貨幣法によります貨幣、我々は補助貨幣と呼んでおりますが、金属を素材として耐久性にすぐれている、そういう貨幣の性格から、相対的に少額な取引、日常非常に頻繁に行われるそういう取引において、いわばお札、銀行券の補助的役割を果たすという形で用いられております。貨幣法は、こういう観点から貨幣の最高額面を、いわば銀行券に対する相対的な関係から一応五百円以下というふうにしているものでございます。 記念貨幣につきましては、国民の需要に即しまして貴金属の素材を用いることがある。今回の場合のような銀貨なんかはまさにそういう例でございますが、したがって比較的高額面になることが考えられます。しかし、一方で通常の銀行券が最高一万円であるという相対的な関係から考えまして、余り高額面の貨幣を一般的に発行する、そういうことを貨幣法上いわゆる行政府に任せてしまうということは、やはり通貨政策上問題があるのかなという観点から、記念貨幣についても最高額面を銀行券と同額の一万円としたというのがこの法律の趣旨であろうというふうに思います。
○寺崎昭久君 先ほど記念貨幣の発行基準について御説明がありましたけれども、答弁を聞いていてもなかなか理解が届かないものですから、具体的な例で補足をさせていただきたいと思うんです。 例えば、国民的な記念行事ということで考えてみますと、国民体育大会とか植樹祭とか、あるいは国民の祝日を制定したときなどは国民的行事、事業と言えるんではないかと思うんですが、こうしたケースについてはなぜ記念硬貨などが発行されないんでしょうか。
○政府委員(藤井威君) 先ほど、記念貨幣は国民的行事あるいは国が記念するにふさわしい事業であるかどうかという判断がまず基本にあるということを申しました。そのほかに前例ということと、それから余り頻繁になるというのも問題ではないかなという三点を申し上げたつもりでございます。 おっしゃいました例を、一つ一つ今、それはどうでしょうかという結論を出すのは非常に難しいわけでございますけれども、一般的に申しまして、毎年毎年めぐってくるような行事、そういうことにおいて毎年毎年出していくというのはちょっとやっぱりオーバーかなというような気がいたします。
○寺崎昭久君 大臣にお伺いしますが、今毎年毎年やるような国家的な行事というのは記念貨幣になじまないというお話がございました。私もそうだろうと思いますが、そうしたケースについては何周年とか、天皇在位六十年とか、そういう節目節目で発行するというのは一つの考え方だと思うんです。 やがて憲法ができてから五十年を迎えますが、こうした行事は記念貨幣の発行対象になりましょうか。
○国務大臣(林義郎君) 記念貨幣と申しますか、こういったものをたびたび出すのはやっぱりどうかな、こう思うわけでありまして、余り次から次へと出すような話では本来はないんだろう、こう思っておるところであります。 それから今憲法五十年、こういうふうなお話がございましたが、そういったときにどうするのかというのは、まだ先のことでございますから、そのときに皆さんで御議論をしていただいて、そのときまた国会でやったらというような話でもあれば考えるという、正直言ってそういうことではないかな、こう思っています。何から何まで全部いかぬという話でもありませんが、そのときに考える話で、どうだこうだと今から申し上げるのもちょっとまだ早過ぎるように考えております。
○寺崎昭久君 額面価格と素材価値の関係についてお伺いしたいと思います。 これまで大蔵省の御説明を聞いておりますと、諸外国の記念貨幣の発行例との比較においてもバランスがとれているという認識を示されておりますけれども、私はこの額面価格と素材価値との比較というのは比率でなくて差額で見るべきじゃないか、むしろ高額貨幣に関しては特に差額で考えるべきじゃないか、そのことが偽造防止にもつながるのではないかと思いますが、私のそういう主張に対して、御見解はいかがでしょうか。
○政府委員(藤井威君) 今回の金貨の発行に際しまして、十万円という額面価格ではなくて五万円という額面価格を採用した理由は、先ほど来御説明いたしておりますように、皆様方にできる限り広く持っていただきたいというそういうことでございますけれども、あわせまして、量目を金を十八グラム使うという予定にいたしております。過去の十万円金貨は、御在位六十年記念が二十グラム、それからその次の御即位記念が十万円で三十グラムでございましたから、五万円で十八グラムとすることによりましてやや量目を多目にとる。 結果的には、先ほど申しましたような額面を五万円にするということと素材の量目をやや多目にとるということで、おっしゃいますように差が縮まりまして偽造インセンティブが小さくなるという効果を持つことは確かだと思います。そういう考慮が我々にあったことも事実でございます。
○寺崎昭久君 量目を多くするというのは私はいいことだと思うんですけれども、しかしながら、金地金の相場というのは常に変動しておりますし、そういうことを考えますと、金の含有量で最低保証するというのはなかなか困難なことなのかなという感じを持っております。 したがって、偽造貨幣の可能性が低いこと、それから法貨としての流通性、そういったようなことを考え合わせますと、例えば通貨法五条で決めている貨幣の種類については、その限度は別にしまして、一万円を上回る貨幣についてはむしろ金地金型コインにする方が趣旨にもかなっているのではないかと考えるわけですが、そういう考え方をおとりにならなかった理由があればお聞かせください。
○政府委員(藤井威君) おっしゃいます金地金型貨幣というものが存在いたします。これは額面価格に関係なく金の素材価格にほぼ等しい価格、金の素材価格に加工賃とそれから若干のマージンを乗っけたそういう価格で販売されるものを言っておりまして、実際に我々が手に入れられますものは、主として産金国が金の販売促進という目的のために製造しているものでございます。 こういう種類の貨幣は、性格から言いますと貨幣と言うよりもむしろ金地金そのものに近いということでございまして、金地金型貨幣を発行しようというそういう考えは我々は持っておりません。どこの国の例もそうなんでございますが、何らかの形での記念行事あるいは記念事業に際しまして記念コインを出すという場合には、金地金型貨幣で対応するということは非常にまれであろうというふうに思います。
○吉岡吉典君 これまでの論議でも答えは明らかではありますが、皇太子の結婚を記念して貨幣を発行した例は今回が初めて、戦前戦後ともこれまではなかったことだ、そういうふうに受け取ってよろしいですね。
○政府委員(藤井威君) 皇太子殿下の御成婚に関する記念貨幣は今回が初めてでございます。
○吉岡吉典君 この際、ちょっと関連して宮内庁にお伺いしておきますけれども、皇太子の場合に結婚、離婚というのは憲法のとおりに自由なのかどうかなのかということを明らかにしてください。
○政府委員(宮尾盤君) 皇太子殿下の結婚及び離婚は自由であるかと、こういう御質問でございますが、皇太子殿下を含みます皇族男子の婚姻につきましては、両性の合意のみでは成立をしませんで、先生御承知のように、皇室典範第十条に定めておりますように、皇室会議の議を経ることが必要だということにされております。 離婚ということにつきましては、これは法律上の問題としては特段の制約をする規定はございません。
○吉岡吉典君 これも宮内庁にお伺いしますけれども、今度の硬貨の発行も皇太子結婚の記念行事の一つとして行われるわけですが、この問題を含めまして皇室の行事及びこれに対する国のかかわり方というのは、現行憲法によって天皇の機能、地位が旧憲法と根本的に変わったということを踏まえたものでなければならないと私は思います。即位の際の休日の問題が論議になった当時、私内閣委員会におりまして、内閣委員会でもこの問題は提起したことがあります。 天皇の機能、地位の変化という点については、内閣法制局の見解としても次の二点が示されました。第一点は、国の元首の地位、国の元首であって統治権を総攬する地位にあったのが象徴に変わった。第二点は、神勅にさかのぼる地位から国民の総意に基づく地位に変わった。この二点が挙げられました。要するに、神勅に基礎を置いた地位から主権者国民に基礎を置いた地位に変化した。これ根本的な変化だということであります。 こういう変化を踏まえた皇室の行事及び国のこれに対するかかわり方でなければならないと私は思いますが、宮内庁はどういう御見解ですか。
○政府委員(宮尾盤君) 旧憲法下における天皇の機能、地位と、それから今の憲法のそれとは今お話になったような変遷があるということはそのとおりでありますが、現行憲法は、第一条に天皇は国の象徴であり、日本国民統合の象徴である、こういうふうに規定をいたしておりまして、第二条ではさらにそれを世襲のものであるというような規定を置いております。そのように天皇の地位というのは明治憲法と現行憲法とでは変わっておりますけれども、現行憲法においてはそういう大変重要な地位におられるわけでございます。 私ども、今回のいろいろな御結婚の諸儀式を行っていくに当たりましても、基本的には今の憲法のそういった趣旨に沿い、かつ皇室にはこれは長い伝統的なしきたり等がございますので、そういうものも尊重しながら今回の国民待望の御成婚の儀を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○吉岡吉典君 天皇の地位が変わったという点ですが、私はこの変化というのは非常に根本的な変化で、憲法によって日本の主権者というのは君主から国民に変わったわけです。そういう大きい変化があった、主権者が国民に変わったもとでの新しいあり方ということでなければ、やはり新しい地位、といってももう現憲法新しくも思われませんけれども、にふさわしいあり方だというふうには言えないと思います。 今、憲法と同時に古くからの伝統に沿ってというお話がありました。これは即位のときにも憲法と伝統に沿ってということがありまして、この点でも私当時いろいろ質問も申し上げたんですが、伝統ということについて私が思うには、やはり天皇が神とされていた時代の伝統と、それをそのままではなく、天皇の地位が神でなくなった、そして主権者は国民に変わった、そういう憲法上の地位の根本的な変化のもとで新しい伝統が始まるべきであると思うんです。 その際、伝統だといって天皇が神であった時代にまでさかのぼってその儀式を引き継ぐということは、私はやはり現行憲法の精神に沿ったものというふうに言いがたいと思うんですけれども、宮内庁はやはり大いに過去までさかのぼらなければならないとお考えになるんですか。
○政府委員(宮尾盤君) 今の御質問は、私ども基本方針といたしまして、憲法の趣旨に沿いかつ皇室の伝統を尊重してと、この皇室の伝統ということについてそれでいいのか、こういうお立場からの御質問であろうと思います。 私ども、皇室の伝統というのは、今回の御成婚につきましては皇室親族令という旧皇室令が一つございまして、そういうものも一つの参考にするという意味で申し上げておるわけでございます。この点につきましては旧制下におきましては皇室典範というのが大日本帝国憲法から独立をした法体系をなしておりまして、皇室典範に基づいていろいろな皇室令が定められておったわけですが、新しいといいますか、現在の憲法が制定をされたことに伴いまして、皇室典範はその法律的な公的な根拠を失ったわけでございます。そういう意味で、憲法に適合しているか否かということにかかわらず、形式的に一律に存立根拠というものがなくなった、こういうふうに考えております。 しかしながら、皇室にはいろいろな長い伝統がございまして、皇室の諸行事等もそれに基づいて今までやってまいりました。それらが現在の憲法に違反をしない限りは、皇室の諸行事も旧皇室令に準拠して行うことは何ら法的にはこれは差し支えないというふうに考えておるわけでございます。 今回の御成婚もそういう意味で、世襲制の天皇制のもとにおける皇位継承第一順位の皇太子さんの御結婚である、こういうことから、憲法の趣旨に反しない限りにおきまして、できるだけ皇室の長い伝統というものは私ども尊重をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○吉岡吉典君 私は、そこは先ほどから言いますように大いに意見を異にするところであります。 伝統だという名前で天皇が神とされた時代の儀式を受け継ぐこと自体が現行憲法の精神に反すると思っていますが、その議論ここで時間がありませんからこれ以上繰り返しませんが、今既に行われている一連の儀式というのはだれが何に基づいて立案したのですか。立案したかという、何に基づいて。
○政府委員(宮尾盤君) これは、皇室がいろいろな諸行事を行うということは、当然法律上特段の問題がないわけでございまして、今回の御結婚につきましては、私ども対外的にもそういうことを申しておりますように、納采の儀等から始まりまして十五の関連儀式等をやるわけでございますが、これらの儀式をどう進めるかということについては、まず基本的には宮内庁の中に御婚儀委員会というものを設けまして、皇室をお世話する立場からそういう事務的な問題を検討し、一連の儀式をやることにいたしているわけでございます。 ただ、この一連の儀式の中で、御結婚の儀、それから朝見の儀、宮中饗宴の儀、これはその儀式の性格上国事行為として行われる国の儀式というふうに位置づけすることが相当である、こういう考え方から、去る四月十三日の閣議決定におきましてそれを国の行事という位置づけをしていただいております。
○吉岡吉典君 依拠したのは、皇室親族令を参考にしたということでしょう。
○政府委員(宮尾盤君) もちろんそういうものも参考にいたしまして、それから新しい現在の憲法のもとで昭和三十四年に今の陛下の結婚式がございました。これは現行憲法のもとで、先ほど私が申し上げましたような、憲法の趣旨に沿い、皇室の伝統を尊重するといういろいろな検討を詰めまして、既にそういうことが行われておる。こういう先例も参考にいたしたわけでございます。
○吉岡吉典君 私は、皇室の私的行事だと言いながら、政府機関である宮内庁が、もう既に廃止された旧皇室法の一つである皇室親族令に依拠して大体昔のままの神事である一連の儀式を立案し、それが実際に実行されているということ、また、その一連の神事の中の三つを取り出して国事行為だとすることもやはり主権在民の憲法の精神上それに沿わないものだというふうに思います。 同時に、それを記念して、これまで皇太子については硬貨を発行したことが一回もなかった、その硬貨を発行するということも、これは私はやはりそういう主権在民に反することの一層のエスカレートだというふうに思っております。 時間が来ましたので最後に一つ。これはここで大蔵省に約束だけしていただきたいんです。答弁求める時間ございませんので、文書でいいですからお願いしたいんですけれども、このためにかかる各省ごとの予算はどうなっているのか。宮内庁のはわかりますけれども、ほかの省のがどうかということはわからないそうですので、この際、各省庁。 あわせて、これまで私何回お伺いしても各省ごとに聞いてくれということで返事がいただけませんでしたので、昭和天皇の葬儀の際及び現天皇の即位の際にかかわった各省庁ごとの予算、これも文書で結構ですから後でいただきたいということ。いかがか、その返事だけいただいて質問を終わります。
○政府委員(涌井洋治君) 後日文書でお答え申し上げます。
○池田治君 私も質問を準備してまいったんでございますが、吉岡議員までで大体重要な問題点は出そろったと思っております。したがって、重複を避ける意味から私の質問は省略させていただきます。
○委員長(野末陳平君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(野末陳平君) 速記を起こして。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○吉岡吉典君 日本共産党を代表してただいま議題となりました皇太子徳仁親王の婚姻を記念するための五万円の貨幣の発行に関する法律案に反対の討論を行います。 皇室の行事及びこれに対する国のかかわり方は、現憲法で主権在君から主権在民が確立し、天皇の機能、地位も皇祖皇宗、神勅に基礎を置いたものから、主権者国民を基礎に置いたものに根本的に変化したことを踏まえたものでなければなりません。 そして、現憲法のもとでは皇太子の結婚は、憲法、皇室典範に何の規定もない私的行為であります。それなのに、政府機関の一つである宮内庁が、新憲法の発効とともに廃止された天皇とその一族を神聖にして侵すべからざる存在とした旧憲法下の皇室親族令の内容を引き継ぐ儀式案をまとめ、政府は、神事主体の天皇家の一連の儀式の一部を取り出して国事行為としました。さらに、神道方式で行われる宗教儀式である結婚の儀当日を休日として国民に祝意を表明させるための特例法を制定させたのです。これは憲法の主権在民、政教分離原則に反するものであります。 宮澤内閣は、これを踏襲するばかりか、さらに記念金貨の発行を行うため、本法案による特別措置をとろうとしています。皇太子記念貨幣の発行は、戦前も戦後も前例のない全く初めてのことであります。 これら天皇家の私的行為である皇太子の結婚にかかわり一般法の体系を超えた特別措置を講ずることは、従来政府が行ってきた国事行為規定を利用しての天皇美化・神聖化策を上回るものであり、宮澤内閣がこれを機に天皇の政治利用、美化・神聖化を一段と進めようとするものであると言わなければなりません。 このような皇太子の結婚を利用した憲法の主権在民原則の空洞化や、国民の金権政治に対する怒りをそらそうとする政治的利用に反対することを表明し、討論を終わります。
○委員長(野末陳平君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 皇太子徳仁親王の婚姻を記念するための五万円の貨幣の発行に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(野末陳平君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野末陳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十分散会