P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
126回国会参議院1993/04/22

大蔵委員会 第5号

発言数
194
登壇者
27
会派数
6
開催日
1993/04/22

会議録

野末陳平自由民主党

○委員長(野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  租税及び金融等に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 おはようございます。  大蔵大臣には、去る四月十三日に新総合経済対策を作成され、また対日支援のG7大蔵大臣会議、さらには宮澤総理大臣の訪米、クリントン大統領との会談、また急激な円高等々、大変日夜経済運営のために心を砕かれていることに敬意を表する次第でございます。きょうは私の持ち時間が十分でございませんので、簡単に要点だけお伺いをし、御苦労の一端をお述べ願いたいというぐあいに思っております。  まず最初に、日本経済は一昨年以来ずっと低迷を続けております。これにはいろいろな経済分析、要因分析がなされておりますけれども、昨年来景気対策に十分な手を打ってこられたと思いますけれども、今景気動向に若干の動意が見られるとも言われております。大蔵大臣の現在の景気動向に対する御認識をお伺いしたいと思います。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 昨年の八月の総合経済対策の財政面での柱となる補正予算の成立が当初予定されたよりはちょっとおくれたということもありまして、当初、八月ぐらいに考えておりましたよりは昨年末にかけての公共投資の伸びが落ちて、そういったこともありまして在庫調整のおくれ、ずれなどというものも生じたことも事実であります。  しかし、ことしに入りましてから、八月の総合経済対策に盛り込まれた公共投資がだんだんとその実効が出てきた。二月、三月にはそういったようなことも私ははっきりと認められるんじゃないか、こう思っておりますし、乗用車の販売もプラスに転じてきたこと等々ございまして、生産の回復も数字が出てきておる。けさの新聞を見ますと、私まだ確認はしておりませんが、電力の消費なども少し伸びてきた、こういうふうなことがはっきり言っておりますし、そういった意味で生産、出荷の回復というのは明らかにその兆しを見せてきたんだろう、こう思っていますけれども、景気というのはまだ予断を許さない状況にあるんだろうと思っております。  そういった意味で、今後総合的な経済対策の実施を図っていかなければならないだろう、こういったのが私の今基本的に持っているところの考え方でございます。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 今お話を承りましたけれども、日本の経済、昨年の経済対策の効果もあったと思いますけれども、どうも一-三月ぐらいが底であるのかなというような状態になっております。  ことしの二月、商工会議所の全国大会で宮澤総理が今景気の庭なんじゃないだろうかということを述べられました。どういうわけかマスコミはこれ小さく冷たく扱って余り議論になりませんでしたけれども、私も現在底に近い状態あるいは横ばいになるのかな、あるいはちょっとテークオフするのかなというような状態ではないかと思っております。  その際に、さらに景気の回復を確保するという意味で今回、十三兆二千億の経済対策を決められたわけでございますが、この対策によって景気が多少とも上向きになってくれれば大変幸いなんですけれども、この対策でどれくらいの効果を景気回復に対して見込んでおられるか、それについてお伺いをしたいと思います。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 新総合経済対策の効果につきましては、実際にはその対策に盛り込まれた各項目について、補正予算等の提出もまだでございますし、具体的内容の確定を待つ必要がございます。あるいは経済情勢いかんによってややその効果も異なってまいるということでございますので、具体的定量的にお示しするのがなかなか難しいわけでございますが、いろいろな対策に盛り込まれた各項目のうち、いわゆる直接最終需要に結びつく各項目につきまして、波及効果を計算して全体としてどれだけ景気に影響を与えるかということを試算いたしますと、名目ベースで今後一年間にGNPの二・六%程度になるというふうに私ども試算をいたしているところでございます。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 平成五年度の予算編成に際しまして、政府見通し三・三%にGNPの成長がなるだろうと。これは、私も実は政府側にいたことがありまして、成長率というのは要するに目安なり傾向を示すもので、必ずしもそれにこだわるものじゃありませんけれども、三・三%成長というのが一般的には議論されておりますが、いかがでしょう。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 五年度の成長率につきましては、まだ本年度始まったばかりでございますので現段階で確たることは申し上げられませんけれども、先ほど大臣も申し上げましたように、先般の景気対策、十兆七千億円の前の景気対策の効果が本年一月以降着実にあらわれてきている。そのほかに、景気に配慮いたしました五年度の当初予算が年度内成立をさせていただいて、現実にもう動き出している。それに加えて、今回の景気対策、しかもできるだけ早く実行に移したいというふうに私ども考えておりますけれども、そういったものが相まって、公共投資等につきましてはいわば年度を通じて切れ目のない執行が可能になるだろうというふうに考えています。  そのようなことを考えますと、私どもとしては、こういった対策の効果もありまして、政府経済見通しで想定した線に沿って内需中心の持続的成長が実現するというふうに考えているわけでございます。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 今御説明いただいたように、いずれにしてもこれを執行していかなきゃならぬということが極めて重要なわけでございます。これには補正予算等々の手段が出てくると思いますが、それについての政府側の準備状況、そして、これは国会に補正予算を提出しなきゃいかぬわけですけれども、そこら辺についてどのような見通しをお持ちでしょうか。これは特に政務次官にお伺いしましょう。

片山虎之助自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(片山虎之助君) 今楢﨑委員、総合経済対策のことの御質問ございましたが、現在、その内容等を踏まえまして鋭意補正予算の編成作業を行っているところでございまして、できれば五月の連休明けの中旬ごろに補正予算を国会の方へ提出させていただきたい、こういうふうに思っております。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 ぜひ、すばらしい対策でございますので、鋭憲政府側で御努力を願いたいと思います。  私は、昨年の秋の景気対策、十兆七千億と言われました。これはドルに直すと八百六十億ドルなんですね、その当時の通貨で。今回は十三兆二千億円。これは今円レートがずれていますからよくわかりませんけれども、千二百億、あるいは千百億の間ぐらいの大型な経済対策であるわけです。比べてみて申しわけありませんけれども、ロシア支援というのをこの前発表になりましたが、四百三十四億ドル。これは政府側では足していないんだそうですけれども、新聞で報ぜられたところです。  そんなことを考えますと、大変に大型の経済対策をつくられた。また、昨年の緊急対策はまだ効果を持続しているという状態でございますから、これが経済の実勢にきかないわけがないというぐあいに思っているわけです。  しかし、マスコミではちょっかいを入れて、真水論というのをやっているんですね。いや、土地代も入れているじゃないかと。それに対して大蔵省は反論されたという話でございますが、これについての大蔵省のきちっとした見解を承りたいと思います。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) ただいまお話のありました真水論ということでございますが、実はその概念が、明確な定義がございませんで、論者により使い方がまちまちでございます。  御指摘のありましたような、用地費が直接GNPを押し上げる効果を持っていないんではないかとか、あるいは国庫債務負担行為のうちゼロ国債と呼ばれるようなものは当年度の支出に直接働かないんではないかとか、いろんな御指摘があるんですけれども、しかし、いずれにいたしましても明確な定義がございませんものですから、このような真水が幾らかという議論は無用の混乱を招くのではないかというふうに思っておりまして、私どもはそのような整理をしておらないわけでございます。  景気浮揚という観点から考えますと、やはり事業規模全体が重要なことでございまして、今回の対策が史上最大の十三兆円を上回るという規模、これがまさに我が国経済の内需中心のインフレなき持続的成長の実現に寄与するもの、このように考える次第でございます。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 私も真水というのは随分おかしな言葉だなと思うんですが、ただ、英語でリアルウオーターと言って有名になっちゃっているものですからね。これはひとつ、大蔵省とか政府側がいろんな形でこれについての見解をさらに深めていかれることが必要なんじゃないかと思います。  例えば、運転資金なんかについても、あるいは土地の購入費もGNPと関係ないというぐあいに学者の先生はおっしゃるんですけれども、実のことを言えば、土地が動いていく、運転資金がついて企業が存続していくということも大変に大きな経済対策であることは間違いないわけですから、それらの点も含めて議論をしていただきたいと思うんです。  さてそこで、この大型補正予算はまだ御検討中だと言われることでございますけれども、実は膨大な額の財源を必要としてくるわけです。主として公債を充てられるというぐあいに聞いておりますけれども、その財源についてどういうお考えをお持ちかということを明らかにしていただきたい。  特に、社会資本整備の中で、研究所であるとか、従来補正では余り取り上げられなかった分野のあれがございますし、それらについて財政法を曲げてまで公債発行で対応すべきではないかというような議論も途中で行われました。これらについての御見解を承りたいと思います。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) 新総合経済対策を実施するための予算編成作業につきましては、先ほど政務次官の方からお話を申し上げたとおりでございまして、現在、鋭意編成作業を急いでおるわけでございます。  御指摘の新社会資本というものに対する財源の手当てということでございますが、財政法の現在の建設国債の規定、これはきちっと守った上でいわゆる公共事業費について建設公債を発行していくという従来どおりの考え方を堅持して予算編成を進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  そこで、その財源ということになりますと、現在の予備費を取り崩す、それから御指摘の建設公債を発行する等々でございますけれども、いずれにいたしましても、その財源につきましては現在検討を行っております補正予算の結論の中で最終的に詰めてまいりたい、このように考えておりまして、現時点ではこういうことで、これ以上のことを申し上げるような段階ではないわけでございます。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 まだ政府部内で御検討中ということなのでこれ以上申し上げませんけれども、いずれにしても公債を出さなければこの緊急対策はできないんだとは思いますが、ぎりぎりの財源の御工夫をしていただいて、赤字公債に頼らずにこの対策を遂行していくことが大変重要なことだと思っております。財政は国の基本でございます。ぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。  ところで、ちょっと局面を変えて税制関係に移らさせていただきたいと思います。  私、昔、大蔵省に在職をしまして、税金のことをやったこともあるんですけれども、そのころに「汝の俸、汝の禄は民の膏、民の脂なり」ということわざ、言葉をよく聞かされておりました。これは、なんじらの俸給は人民たちが粒々辛苦して納めた民のあぶらであるから心して使えよと、こういう意味の言葉だと思います。これは福島県二本松市の霞ガ城跡の通用門に建てられている碑の言葉でございます。その言葉を毎日通る門の前に建てて藩士たちを戒めたというぐあいに聞いているわけでございます。  そのように、税は民のあぶらでございますから、これを使うときには心して使わなければならないと同時に、またいただく税は、納税者に不合理な、あるいは重税感があるとか納得できないというような税の体系はとるべきでないと思うわけでございます。  そこで、ではありますけれども、税制一般についてはとても議論する時間がございません。三点だけ御質問をさせていただきたいと思います。  第一点は、今回の対策の中で、景気循環とともに資産バブルが一つ加わったわけですが、実は土地の対策が十分入ってないような感じがするんですね。そのことを深く議論していくとまたいろいろ議論がありますが、いずれにしても、現在土地の取引はほとんどとまっていると言われております。これは需給の関係だとは思いますけれども、どうも税制が相当のかかわりを持ってきているんじゃないかというような感じがいたすわけでございます。  平成五年の税制改正では、居住用資産の買いかえの特例を一部認めていただきました。しかし、基本的には土地の税制の基本にありますところの長期譲渡所得、これが私は高過ぎるんじゃないかと思っているわけでございます。これは、土地基本法を制定をいたしましたときに、国税を二〇%、二五%から三〇に上げ、またそれに伴いまして地方税も税率を上げたわけでございます。  いろんな考え方があるかもしれませんけれども、土地の取引が流動化していくためには、また価格形成が円滑に進むためには、供給面において余りプレッシャーがかかってしまうと問題が生ずるわけでございます。今の譲渡所得税の税率は、どうも土地の供給に際して中立的でなく、供給抑制的に働いているのではないかというぐあいに思うわけでございます。  そういうような観点からいいますと、供給面に過重な税負担をかけているということは問題ではないだろうか。  さらにまた、資産所得課税という点から見ましても、株式課税には一%の分離課税でございますけれども、これは所得に対して二〇%という考え方になっておる。また、利子課税にしても二〇%という考えになっておりまして、何かバランスがとれないなというような感じがいたしておりますが、御所見を伺いたいと思います。

片山虎之助自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(片山虎之助君) 御指摘の土地の譲渡益課税につきましては、御承知のようにこれまでかなりな頻度で改正が行われてきたところでございます。それはときどきの政策的な要請がもとよりあったわけでございますけれども、全般的に言えばやっぱり緩和傾向であった。そのために国民の皆さんの方では、税制の緩和にもっとなるんじゃなかろうかということで売り惜しみの傾向を生じたということが懸念されてまいったわけであります。  そういう議論がございまして、先般の平成三年度の税制改正で、とにかく土地に対する税負担というものはもっと適正、公平にしよう、それから少なくとも土地の資産としての有利性を縮めよう、こういうことから、少し長期的、安定的な税制として確立しよう、こういうことになったわけでありまして、御承知のように、一般の土地譲渡益に対します所得税率を住民税も含めまして一律三九%に、しかしあわせて、軽減税率を優良住宅地や公共用地の確保といった面からそういう譲渡につきましては一律二〇%にしよう、こういうことが決まってきたわけでありまして、これらの措置を当面は着実に定着させることが課題ではなかろうか。  税調なんかでも、一般的に土地譲渡益の軽課については問題がある。外部的な要因で土地が上がったものについて、それをそのまま認めることは税負担の公平性の観点からも問題があるし、あるいは勤労所得とのバランスの議論もある。こういうことが言われておりますので、当面は、先ほども申し上げましたが、平成三年度の措置を着実に定着させていく、こういうことが必要ではなかろうかと考えております。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 政府はそのようにしか答弁できないと思いますけれども、ここに問題があることは明らかであります。ぜひ御検討を継続して行っていただきたいと思います。  さらに、土地税制のうち地価税の問題を取り上げてお伺いをしなければならないと思います。  地価税は、やはり土地抑制的な観点から導入されたというぐあいに言われております。特に地価税が導入されたときは、銀座その他の繁華街の土地の値上がりは本当に目を覆うものでございました。それらの政策目的で始めた税制ではあるんですけれども、現時点においてはその税制が経済的にどのように働いているだろうかということに着目をいたしますと、先般発表になりました地価税の適用業種、適用法人等々を見てみますと、不動産業あるいは金融業、百貨店を含む小売業等々、あるいは鉄鋼等の生産会社がこういうような適用を受けておるようでございます。  これはお耳にも達していると思いますけれども、さまざまな波紋、経済のゆがみを生み始めております。例えば不動産業のうち賃貸業、この賃貸業は今や目を覆うばかりの状態で、入居率が九〇%ぐらいになっちゃったとか、あるいはもっと厳しく言えば、新しくビルができたけれども入居者がいないとか、いろんな問題を生んでいるように思います。  一番当初は、いやいや、地価税がかかっても、高い土地に住むのだから転嫁すればいいじゃないのというような議論があったように思いますけれども、転嫁するどころじゃない、現在は賃貸料が下がっている。これは、経済的に考えてどうなんだろうかという問題は厳に存在をするわけでございます。  またさらに、生産会社等々のうち鉄鋼業について考えてみますと、鉄の商品価格というのは実は国際価格なんです。地価税だとかそういうものが転嫁できない商品であるわけです。それらのものであるにもかかわらず大きな税金をかけられている。いや、そんなところでつくらなくて、ほかのところでつくりゃいいじゃないかと。冗談じゃない、製鉄所をさっとほかの土地に移すなんてことはできるわけがないですから、そういう意味でも、いろんな問題点を生んでいるというぐあいに思いますが、これについてはどのような御所見をお持ちでございましょうか。

片山虎之助自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(片山虎之助君) 地価税につきましては、制度創設の際に大変な議論があったことは承知いたしております。  地価税は地価抑制を目的とした政策税制であることは確かでございますけれども、それじゃ当面の地価下落だけを考えた短期的な、対症療法的な税制がといいますと、そうではない。土地の保有コストを上げて土地神話を打破する、こういう長期的な性格、体質改善的な性格も同時にある。こういうことになっておりまして、まだ制度が始まって長い時間がたっておるわけではございませんし、当面は地価がなるほど下落傾向にございますけれども、地価税そのものの趣旨、性格を考えれば、今後とも着実な実施、定着を図っていく。  せんだっての当委員会の租時法の一部改正の際の附帯決議にも、地価税の着実な定着、こういうことを入れていただいておりますので、そういう考え方で対応いたしたい、こう思っております。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 いずれにしても、平成五年度は税率をさらに上げて実行されるわけですけれども、税制の持つ経済に対する影響は一体いかにあるのか、また、税制が政策に関与する限度、特に土地に対しては、昔から土地税制ということが税金として土地の価格形成にあるいは供給面に関与してきたことは歴史があるわけでございますから、それらのものを基本的によく見直し、検討し、悪い点があれば、悪い点はないかもしれませんけれども、あればそれをきちっと見直すという態度を堅持してほしいと思います。  さて、最後の質問をさせていただきたいと思いますが、それに関連して相続税の問題がございます。  相続財産のうち、現在不動産の占めている割合というのは非常に高い比率になっているようですけれども、地価の上昇というんでしょうか、評価額の上昇とともに大変な上昇を続けております。  私が拝見したところでは、昭和六十二年に相続税の納税額、要するに申告額です。申告額の計表を見ますと、昭和六十二年に一兆四千三百四十三億であった。これが平成三年には三兆九千六百五十一億、わずか五年の間に約二・七倍になっているんです。これが上昇した理由は、言うまでもなく相続財産のうちの大半を占める不動産の価格が上昇したということであります。  しかし、相続税がそれでいいのか悪いのかと言い始めるとちょっと議論が長くなりますので、そのうち、きょうは物納について伺いたいと思います。  先般、前畑委員が御質問なさいましたけれども、いわゆる相続税の申告をして、延納あるいは物納の申告をしたときに、物納の申告をした人は延納に直せるんですけれども、延納した人は物納に直せない。この問題は前畑さんがこの前御質問になったと思いますが、この前の問答を伺って、理屈はあると思いますけれども、バブル時代に高い評価を受け、そのときの経済状態では何とか延納できると思っていたのだけれども、がたんときちゃった。現在は土地の取引は全く途絶していると言ってもいい状態だと思います。いや、無理して売ろうと思えば売れるじゃないのとおっしゃっても、無理して売れば半分ぐらいになっちゃう。こんな急激な下落は到底個人の責任とは言い得ないんではないだろうか。ましてや、政府側は高い評価額のもとに相続税をかけているという事実もございます。先ほど理屈はあろうがと申し上げましたのは、理屈はいろいろあると思いますけれども、相続税の納税者にしてみると非常に割り切れない、不合理感を持つんではないだろうかというぐあいに思っているわけでございます。  したがって、一般論的にこの程度云々というわけではありませんけれども、少なくとも二・七倍にまで相続税が上がっちゃったと。恐らく政府の意図しているよりはより多くの税金になっていると思うんですけれども、そういうここ数年の問題について特別の御配慮をいただくという、言ってみれば涙も情けもある、こういうぐあいに申しましょうか、そのような配慮、御検討をぜひお願いしたいと思っております。  なお、技術的な問題についてですが、実は相続税の物納については厳しい許可条件があるように思っております。私もこの件については若干税側が厳しい要件をつくり過ぎているんじゃないかというぐあいに思っておりますが、これもあわせてお伺いをしたいと思います。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) 延納から物納へ切りかえを認めるということは、納税の方法といたしましては原則から例外へ変更を認めるということになるわけでございまして、前回も御議論ございましたことでございますが、租税債権確保の観点からそれが許されることかどうか。それから、既に困難な状況の中で納付を済ませておられる方々とのバランスをどう考えるのかといったような問題がやはりあろうかとは存じます。  ただ、地価高騰のピークにございました平成二年あるいは三年に相続を開始されまして、その際に土地を相続された中で、その後地価の急落や売却しようと思っても売却できないという事情に直面されまして結果的には納付困難に陥っておられるような方々がおられるという実情を伺い、さらにそういったケースについて相当厳格な条件をつけてもいわば緊急避難的な措置として延納から物納への切りかえを認めてはどうか、そういう声がいろいろな方面から出てきました。当委員会でも、先ほど御指摘ございましたように、前畑先生等から御指摘がございましたことを我々は重く受けとめさせていただいております。  基本的なテーマにかかわる問題であるということでもあり、慎重な検討を要する事項であると思っておりますが、今の実情、実態の調査を十分いたしますこと、それから法制面での検討としてどういう観点が外せないか、チェックいたしますのにはそれなりの時間もかかろうかと存じますけれども、御趣旨をなるべく踏まえて、何らかの対応が可能かどうか勉強したいと思っております。  ただ、検討にそれなりの時間がかかると申し上げましたけれども、急な対応を要するケースもあろうかと思われます。そういったことも考えまして、税務執行上、例えば延納条件の変更などにつきまして弾力的な取り扱いができないかどうか、そういった余地はないかどうか、これもあわせて早急に対応を国税庁に検討してもらっておる、そういう状況にございますことを御報告申し上げたいと存じます。

中山寅男国税庁徴収部長

○政府委員(中山寅男君) 物納の許可要件、許可条件でございますけれども、非常に厳しいのではないかという御質問がございました。これについてお答えさせていただきます。  まず、従来、物納というのは非常にまれなケースでございまして、そういったこともこれあり、非常に厳密な取り扱いをしておったということは事実でございます。しかしながら、平成二年、平成三年それから昨年でございますけれども、この物納の実例がふえるというケースが予想されましたので、物納の許可要件等につきまして昨年の六月に通達を改正いたしまして、種々の観点から物納の許可要件を緩和いたしますとともに、処理に関します促進を図ろうという観点から対応をさせていただいておるところでございます。  そういったことで、蛇足になりますけれども、平成四年度、はっきりとした数字はまだつかめてはいないんでございますけれども、処理いたしました物納の件数は三千件を超えております。従来は五百件から六百件ということでございますので、五年分ぐらいを一年間でやり遂げておるわけでございますけれども、三千件のうち二千件は物納をちゃんと認めさせていただいております。  そういった観点から、物納の許可要件につきましては、従来と違って相当緩和されておるというふうに御理解いただいて結構かと思います。今後とも、先生の御指摘を踏まえまして対応してまいりたい、こういうふうに国税庁としては思っております。

楢崎泰昌自由民主党

○楢崎泰昌君 終わります。

佐藤泰三自由民主党

○佐藤泰三君 税制につきまして、一般税制が直間比率、所得税、相続税の三点、医療につきまして事業税、固定資産税、相続という六点につきまして端的にお尋ねいたしますので、よろしくお願いいたします。  日本が戦後焼け野原から、国民の勤勉と政府の指導よろしきを得まして、平均寿命世界一、また経済世界第二の大国に成長して、近くサミットの議長国として重大な責任を負わされているわけでございますが、と同時に大きな負担もかかってくるわけでございます。ロシア支援の問題あるいはODA、PKOと、大変なる負担がかかってまいります。  これはとりもなおさず国民の負担になるわけでございまして、その点考えますと、今までは島国日本と言っておりましたけれども、今は世界の日本でございますから、世界の交易も自由でございます。きのうも朝見たんでございますが、毎日二百二十万トンの原材料が船で入らなければ国がなっていかないというぐあいでございますから、国民の負担にかかります税の問題につきましても、G7の国並みの歩調がそろわないと大きな今後マイナス面が出てくるんじゃないかと思うわけでございます。  以下、それにつきまして御質問申し上げます。  平成五年の当初予算におきます所得課税の割合が六四・四%、OECD諸国二十四カ国のうちの日本は最高でございます。アメリカ六一、ドイツ五〇、イギリス四七となっておりますから、最高でございます。しかも、所得税の収入は国民所得対比七プロを超えておりまして、一%の三、四兆円規模の減税は可能ではないかなとも考えられるのでございますが、いかがかと思います。  また、直間比率でございますが、直接税と間接税の比率は日本七二・六対二七、G7、アメリカを除きまして日本が最高でございます。イギリス五七対四二、ドイツ四九対五〇、フランス四〇対六〇と、世界の趨勢は大体フィフティー・フィフティーが直間比率の割合ではないかと思うのでございます。  また、相続税にしましても、日本の最高税率は七〇%、アメリカ五〇%、英仏四〇%、ドイツ三五%と、これまた最高税率に位するわけでございます。  税金の痛み、いわゆる税痛と俗に言われておりますけれども、所得税あるいは突然起こった相続税等が国民に非常な税の負担、痛みとして感ずるんじゃないかなと思われるのでございます。まして、これから高齢化が進みますから、二〇二〇年には六十五歳以上の高齢者が四分の一を占める。しかも働く人口が減ってまいります。それを考えますときに、この直間比率の割合もある程度訂正しておかないと非常なる財政的困難さを来すのではないかなと考えますときに、この見直しは不可欠なものと考えますが、いかがかと存ずるわけでございます。  さきに総理が記者懇談会で、所得税減税は直間比率見直しを含める税制の抜本的改正の中で考えたいということを言っておったようでございますが、所得税につきまして現在五〇%の最高税率の引き下げ、税率区分の簡素化あるいは消費税の検討等につきましての大蔵大臣のお考えを以上三点につきましてお示しくださればと思います。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 佐藤議員から大変広大なお話をいただきました。私もいろんなことを考えていかなければならない。  日本は、世界における一つの国家ということではなくて、アメリカに次いでの第二の経済大国でありますし、世界に対して一国としての責任を果たすだけではなくて世界の経済をどうしていくかということについてもいろいろと考えていかなければならない時代に来ていると思います。そうした意味で、G7もありますし、またこの四月末にはそちらの方にお許しをいただいて行ってまいりますけれども、これからどうやっていくかというのは本当に考えていかなければならない話だろうと思います。  そうした中におきまして、我が国の財政が果たす役割というのはいかなることを考えていったらよろしいか。日本が世界の全部の負担をしょうなどということはできない。相応な負担というものを考えていくということは私はあるだろうと思いますが、どんな形でやったならば世界の平和、また世界の経済の発展というものが考えられるかというのは、やはり各国それぞれの自助努力もあってやっていかなければならないことだろう、こう思っておるところであります。  そこで、財政、お互いの国々のを見ますと、それぞれの国においてあり方が違っておるわけでございまして、今お話がございましたように、日本は所得税の負担が低いんじゃないかと。課税最低限なんかを見ますと、ヨーロッパの方なりアメリカの方が低い。しかしながら、累進の形はそちらの方が緩やかであって、日本の方が累進度がきついというような問題もございます。  それから、相続税のお話もありましたけれども、相続税というのは各国それぞれの国民感情に基づきましていろんな私は物の考え方があるんだろう、こう思っておりますし、直間比率の問題にいたしましても、ヨーロッパでは間接税体系のものが非常に低いけれども、アメリカではそうではないというようなこともあります。私はそういった問題は各国の国民感情とか経済体制とがそれぞれの違いがありますから、それぞれで出てきている、こういうふうなことだろうと思います。  そこで、私はむしろ税というものを考えるときに、やっぱり税のプリンシプルというものがあるだろう、こう思うんです。そのプリンシプルというのは、資産、所得、消費に着目いたしまして、それを適切に組み合わせるということが必要である。そのあるところのプリンシプルというものは公平、中立、簡素というのがやはり税のあり方じゃないかな、こう思っておるところでありまして、全体として国民の信頼を得られるような税体系を常に考えていかなければならないと思っておるところであります。  四、五年前に我が国でも税制の相当大幅な改革をやりました。所得税減税をやりましたり、消費税の導入等も議会の御可決をいただきましてやったところでありますけれども、税というものは今申し上げましたような原則のもとにこれからも考えていかなければならないものではないか。今すぐにどうだこうだということはありませんけれども、税に対する基本的な考え方というのは私は今申し上げたようなことだろうと思います。  国内におきましては、先生からも御指摘がありましたように、高齢化社会に対してどうやっていくか、これはあしたとか来年とか再来年の話じゃありません、相当長い長期の問題で考えていかなければならない。高齢化社会になればその負担をだれがどうしていくか。これは税だけでなくて年金その他の問題もありますから、租税及び社会保障費負担というような格好でのものもやはり考えていかなければならない話じゃないだろうかな、こういうふうに思っておることを申し上げておきたいと思います。

佐藤泰三自由民主党

○佐藤泰三君 時間もあれでございますから、続きまして、医療に対する税制問題を端的にひとつお伺い申し上げます。  今、日本の医療の六一%は民間によって賄われておるわけでございますが、そのうちの六四%が赤字経営に立ち至っているわけでございます。さきの総務庁におきます全国五十の国立病院・療養所の行政監察の結果によりますと、本来診療報酬で賄うべき国立病院の運営が二五・五%も一般会計から繰り入れがされて運営されておったという指摘と改善を求めておるわけでございますから、いわんや民間はなおさらでございます。  そこでお尋ねいたしますが、社会保険診療報酬につきましては、事業税の問題でございますが、医療法によりますと営利を目的としてはいけないと禁じられている医療でございます。特に国民の皆保険制度を支えている社会保険診療につきましては、事業税免除の特例がございますが、この存続をさらにさせるべきであると考えますが、いかがかと存ずるわけでございます。  第二点は、医療機関に対する固定資産税の問題でありますが、固定資産税は地価の高騰によりまして大変大きな負担になっております。平成六年度から評価見直しと言われておりますので、固定資産税は大幅に上昇するだろうと思われます。保険収入の水準が公的に抑えられておる医療に対しまして、事業の公共性を考えるとき、固定資産税につきましても減免等の措置をお考えになっていただかないと医療の将来は厳しいんじゃないかと考えるのが第二点でございます。  次に、病院や診療所などの相続問題でございますが、土地の公示価格の高騰によりまして、平常でも厳しい運営のところを、相続問題が発生しますとほとんどの病院がやむを得ず閉鎖するという事態に立ち至っているケースを間々散見するわけでございます。このままですと、土地の高い大都市では無医村化するという現象も考えられるわけでございます。  昭和五十年に農家の相続問題で租税特別措置法で農家の相続税の二十年減免という制度がつくられましたけれども、医療につきましても、やはり農家と同じような民間医療の後継等考えますと何らかの農地の特別法のようなことも考えてしかるべきじゃないかと存じますが、その三点につきましてひとつ御答弁をお願いするわけでございます。

瀧野欣彌自治省税務局府県税課長

○説明員(瀧野欣彌君) まず、私の方から事業税についてお答えいたしたいと思います。  事業税におきましては、ただいま御指摘がございましたが、社会保険制度の普及充実を図るという趣旨におきまして、社会保険診療報酬については課税しないという制度が昭和二十七年に創設されました。その後、ただいま御指摘がいろいろございましたけれども、社会保険診療の公益、公共性というような観点もございまして、こういった制度が現在まで維持されてきておるということでございます。  しかしながら、ただいま申し上げましたように、昭和二十七年の創設でございまして、制度創設以来既にもう四十数年を経過しているという中で、社会経済情勢も相当変化しておるわけでございます。そういったことを踏まえまして、税制調査会の答申におきましても、所得税、法人税におきましては概算経費率という制度がございますけれども一応課税ベースには入れておるというようなこともございまして、事業税におきましても少なくとも所得税や法人税のような課税に改めるべきではないかという指摘を再三にわたり受けておるわけでございます。  したがいまして、我々といたしましては、やはりこういった税制調査会の御答申というものは重く受けとめなければならないというふうに考えてございまして、他の事業との税負担の公平性の問題もございますので、見直しには努力しなきゃいけないというふうに考えているところでございます。

堤新二郎自治省税務局固定資産税課長

○説明員(堤新二郎君) 固定資産税関係につきまして御答弁をさせていただきます。  固定資産税そのものにつきましては、委員御承知のとおり、土地とか家屋とか償却資産といいました固定資産の保有と固定資産の所在する市町村がさまざまな提供をいたしております行政サービスとの受益関係ということで課税をいたしておる税でございまして、その市町村の基幹的な税目として広く負担をお願いいたしております。そういった固定資産税の基本的な性格からいたしまして、非課税とか課税標準の特例措置とかいいました税の軽減措置につきましても、非常に限定的な措置が講じられておるところでございます。  今問題になっております病院とか診療所とかといいました医療機関につきまして申し上げてみましても、国立あるいは公立の病院ですとか日赤の病院、それから農協の病院あるいは共済組合とか健康保険組合とかといいました協同組合のような組合の病院といったものに限定をして軽減措置が講じられておるところでございまして、そういった固定資産税の基本的な性格からいたしまして、医療機関につきましてさらに減免措置あるいは軽減措置を講ずるということは適当ではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それから、平成六年度の評価がえにつきまして言及がございましたので少しお答えさせていただきますと、平成六年度の三年に一遍の固定資産税の土地の評価がえにおきまして、今回は地価公示価格の七割程度を目標に評価をやるということにいたしております。  そういたしますと、地域によりましては、確かに委員御指摘のとおり、評価がかなり上がる地域もあるわけでございますけれども、平成六年度の評価がえといいますのは固定資産税の土地評価の均衡化、適正化を図るというのが基本的な目標でございまして、それによりまして評価が急激に上がりました場合に、税負担が急激に上がることのないように総合的かつ適切な調整措置を講ずるということにいたしておりますので、医療機関の税負担につきましてもそういった総合的かつ適切な調整措置が講じられます結果、税負担についても適切な調整がなされるものというふうに理解いたしております。御理解を賜りたいと思います。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) 相続税に関しますお尋ねの部分につきましてお答えを申し上げます。  農地の納税猶予の特例でございますけれども、これは農地の所有と経営の不可分という農地法上の制約を考慮いたしまして、農業の自立経営を目指される方が民法の均分相続制にとらわれることなく農地を引き継ぐことができるようにという農業基本法の趣旨に対処しますために農業政策の観点から設けられた極めて異例の措置でございます。しかし、この措置につきましても、課税の公平の確保でございますとか適正な土地利用の観点から問題が大きいという声が高まりまして、平成三年度の税制改正におきまして、土地税制改革の一環として三大都市圏の特定市の市街化区域内の農地につきまして原則廃止をされたところでございます。  財産課税でございます相続税におきましては、取得した財産の価値そのものに対して公平に負担を求めるということがどうしても必要でございまして、すべての財産を平等に扱うということが課税の基本となりますので、したがいまして、ただいまの三大都市圏の特定市街地のそういった農地の特例も見直されるという状況のもとで、お医者さんのみを取り出しました相続税の特例を新設するということは極めて問題が大きいように私どもは思います。  ただ、御指摘のように、ちょうどそういった小規模事業者といいますか、あるいはお医者さんを含めましたようなそういった事業者の方々の相続税納付の実態というものに対する配慮が必要だと、こういった観点からの御議論ももちろんございまして、そういった御議論に対応いたしますための一つの処方としまして、事業用の小規模宅地の課税の特例というものが既に設けられておりましたけれども、平成四年度の税制改正におきましてこの減額割合を拡充するという形で、今や二百平米までの面積につきましてはその七割が減額されている。そういう状況になってきているということを申し上げておきたいと存じます。

佐藤泰三自由民主党

○佐藤泰三君 ただいまの、農地は特例があるから農地と医療機関は一緒にならないということでございましたけれども、三大都市の農地は農地といいましても実際はほとんど作物をつくっていないような現状が多いと思います、極端な例でございますが。医療は町中におきまして、週休二日等が定着しますと、その間に医療はどこで診るのか。救急病院をつくりましても、公的病院はなかなか診ません。そのような最も重い人命を守るべき機関が農地よりはまだ軽く扱われるというのはどうかなと思うのでございます。  特定法人を解散する場合には国庫に入るとなっております。そのような施策もあるあれでございますから、やはりこれは農地ももちろん命のもとでございますが、それを守る医療機関の固定資産税、特に相続の場合は御一考賜るべきじゃないかなと思います。  また、今固定資産税課長さんですか、六年の見直しで何か減免措置ちょっとおっしゃいまして、よくわからなかったんですが、それにもう一遍お答え願えればと思います。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 佐藤議員は、もう御経歴からしていろんな御議論があることは私も十分わかりますが、私もかつて厚生大臣をやっておりまして、いろいろと議論をしたことがあるんです。  こうした問題は、今ずっと役所の方から御説明がありましたけれども、昭和二十七年に診療報酬体系の特例というような形が設けられた。そのときに書いたのは「当分の間」と。二十七年からで何で当分の間だというような議論さえあるところでございまして、私はいろいろ考えていかなければならないと思っています。  最初に佐藤議員からお話がありましたように、今医療機関というのは大変な経営状況が問題になってきている。大きな国立の病院でも大変に大きな赤字を抱えているじゃないか。一体それはどういうふうにしたらよろしいのか。  おっしゃるとおり、国民の医療を立派なものにしていかなければならないというのは一つの要請であります。この要請と同時に、いかな形でもってやっていくかというのは、診療報酬体系の問題もあるでしょう、また薬といわゆる診療との体系をどうしていくかというような問題もあるでしょう。私は、いろんなことを考えてやっていくことが必要でありますし、あるべき医療政策というのはどういうことだろうか、その中で医療法人というものは一体どういうものか。医療法人だから聖域だと私は思いません。いろんなことを考えていかなければならない。  しかし、医療法人が果たしているところの役割の中で、どんなことを考えていったらいいかというのは、お互いなお考えでいかなければならない問題だろうな、こう思っておるところでございまして、そういったものと税制とのマッチングをどうしていくかというのはこれからも私は議論をしていかなければならない問題だろうと思っています。  今まで議論を積み上げてきましたところは先ほど事務当局から御説明しましたようなことでございますから、その点は御理解を賜りたい、こう思っております。

堤新二郎自治省税務局固定資産税課長

○説明員(堤新二郎君) ちょっと説明が不十分であったかもしれませんけれども、固定資産税の基本的な性格からいたしまして、民間の医療機関の固定資産に対する税負担を減免することは適当ではないというふうに申し上げたわけでございます。  ただ、平成六年度の今度の土地の評価がえにおきましては、公的な土地評価の均衡化、適正化を図るという大きな目標に従いまして、固定資産の評価を地価公示価格の七割程度を目標に評価がえをいたすことにしておりますので、現在の大都市圏の評価水準からいたしますと、数倍にも評価が上がるところもあるわけでございます。それがそのまま税負担になりますともう大変なことで、これは事業が継続できないわけでございますので、評価がえに伴います税負担につきましては、いろいろな措置を講じまして従来と変わらないようななだらかな負担になるような適切な調整措置を講じていきたいというふうに申し上げました。ちょっと言葉が足りなかったかもしれません。

佐藤泰三自由民主党

○佐藤泰三君 時間ですから終わります。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 私、きょうは前自民党副総裁、金丸被告の脱税事件にかかわる問題を中心的に伺うことにいたしておりますが、林大蔵大臣、初顔合わせですから、あなたの財政運営のスタンスといいますか哲学のようなものをちょっと一、二、伺っておこうと思うんです。  先ほど来お話がありましたが、四月十三日に新総合経済対策を決めましたね。いずれ審議の俎上に上るでしょうから、詳しくはそこで聞きますが、気になることを一つ、二つだけ。  一つは、大臣の当初の財政演説あるいは所信表明演説から引用しますと、「内需を中心とした持続可能な成長を実現する」ため、「国、地方を通じ全体として十分な額の公共投資を確保」したはずの九三年度予算が成立したばっかりだというのに、過去最高の追加措置が講じられるというのはどのような意味を持つんですか。まずお伺いします。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 確かに先生御指摘のように、平成五年度予算のときにおきます財政演説では、必要十分な公共投資を確保したということを申し上げました。  私は、あの五年度予算を作成するときには、こういったものでやるならば当然に内需中心の持続的成長を図れるものであろうというふうなことは、その当時の、予算編成時におけるところの情勢を考えて最善の施策と思ってお願いをしたところでございます。  しかしながら、その後の景気の現状を見ますと、回復の兆しは徐々にあらわれてはきておりますものの、平成五年度の予算におきましては、またその前にやりましたところの平成四年度での補正予算、そういったものがもう少し早くできたならばということもあったんでありますけれども、もう一つ景気の先行きが予断を許さないような状況であるということも率直に認めざるを得ない、こういうことでございまして、今後におけるところの景気の足取りを確かなものにするために、予算成立直後という異例の時期でありましたけれども、総合的な経済対策を策定する必要があると判断をしたところでございます。  判断をいたしまして、対策の規模につきましては、実効性の高い施策を積み上げて適正なものを考えていかなければならない。こうしたことによりまして、五年度予算で盛っておりましたところの景気に配慮したところの予算、こういったことがさらに一層実現できる、内需中心の持続的な成長が一層確実なものになっていく、こういうふうに考えてお願いをしようということでございます。  いずれ補正予算をお願いすることになるだろうと思いますので、内容等につきましてはそのときにおきまして御審議を賜ればありがたい、こう思っているところでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 機動的な財政運営という意味がないわけではないが、ならば九三年度予算は何だったのかという議論が生じますが、これはまあちょっとやめておきましょう。  新総合経済対策は多分に首相の訪米土産の感がなかったわけでもないんですが、にもかかわらず、クリントン政権からは余りありがたがられなかったようで、高い評価も受けなかったようですね。そればかりか、大統領の口先介入とも言える円高という荷物を背負っちゃって、さらにまた、国務長官は八〇年代後半の日本を期待しているかのごとき発言もあったようですが、この事態を財政当局の責任者としてはどのように見ておられますか。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) アメリカの大統領へ手土産を持っていってというような話ではなくて、私どもは、この経済対策というのは、まさに内需中心で日本の経済が持続的な成長へ移る、こういうふうな形でやらなければならない、そういうふうに考えて十三兆二千億の新しい政策をやっていこうということでございます。  アメリカの大統領との話は、最初でありますから、率直な話し合いをいたしましょうと。それまでにクリントンさんと宮澤総理との間では電話でいろいろ話をされたりしておりましたが、やはりひざ突き合わして最初に話をしていったというところが私は非常に実りがあったものだろうと思っております。特に、私などとは違って、宮澤さんは英語で通訳なしでやられるわけですから、私は大変実りのある話があったんじゃないかと思っておるところであります。  それから、円高の問題につきましては、大統領がそういうふうに言われたという話は、新聞記者会見のときでありまして、円高というようなことについて言及があったと。それを私は過剰に市場が反応しているような感じがしているわけであります。  私は、ファンダメンタルズを反映して為替相場がなだらかな形で動いていくということにつきましては、これは国際経済場裏におきまして当然のことだろう、こう思っていますけれども、こうした急激な形で動いていくというのは、日本経済に対しましてももちろん悪影響を与えますけれども、同時にそれはアメリカに対しても決していい影響を与えるものではないだろう、そういったような私は認識を持っておるところでございます。  いずれにいたしましても、私たちは対応を考えていかなければならない。特に、為替相場がファンダメンタルズを反映しないような形で思惑等によりまして大きく短期間に変動するようなこととか、不安定な動きを来すというようなことは決して好ましいことではありませんし、適時適切に対応してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 十四日の日米蔵相会談の双方のコメントが食い違っておったりしまして、どこかが食い違ってどこかが火消しに一生懸命だという印象を受けますが、いずれこの問題も議論の対象になるでしょう。  ところで、大蔵省の財政金融研究所のレポート「資産価格変動のメカニズムとその経済効果」、これを読んで思うんですが、景気の要因あるいは景況観などいろいろ違いはありますけれども、円高が進捗をする、金融緩和が図られる、財政が出動をする、こういう状況は、八五年のプラザ合意以降の局面と類似したところがあります。  そこで、当時の状況と今の状況は何が同じで何が違うのか、今後の経済運営のキーポイントになっていくだろうと思いますので、その点簡潔に。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 今御指摘がございましたプラザ合意以降、いわゆる円高不況と言われる状況のもとにおける経済状況と現在の状況、確かに、いわば景気後退局面が非常に深刻であるという点においては、一般論としては共通している部分が随分あるだろうと思います。  ただ、その原因なりあるいは個々の経済指標等を比較してまいりますと、かなり大きな違いもあるだろう。いわゆる円高不況のときには、急激な円高が基本的には経済に悪影響を与えたということでありますけれども、今回の景気後退局面では、いわゆる循環的な要因のほかに、株価なり地価なりといったいわゆる資産価格の急激な低下というものが実体経済に思わぬ影響を与えた、そういう意味では今回が初めての経験ではなかろうかというふうに思います。  さらに、経済状況をいわゆる経済指標的な考え方で少し説明をさせていただきますと、例えば一つ金融の問題を取り上げますと、公定歩合の水準は二・五%ということで、史上最低ということでは当時と現在とでは同じ水準にございますけれども、例えば同じ金融の問題をとりますと、当時のマネーサプライは二けた近い伸び率を示していた。今回はやっと少し下げどまりの傾向があらわれるということで、前年に比べてはマイナスの状況がずっと続いてきたということでございますので、金融面での状況も当時とは違っているのではないかというふうに思います。  それから、企業収益の面につきましても、これはいろいろな要因があるだろうとは思いますけれども、当時に比べますと現在がなり悪化しているというような状況もあろうかと思います。そういうことで、似ている面もあれば違っている面もあるだろう。  ただ、いずれにしましても、そういった景気後退局面、原因が何であれ、それに対応する政策というものは財政面か金融面での対応ということになるわけでございますから、政策面では前回の反省も生かしながら適切な政策をとっていかざるを得ないということであろうかと思います。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 この点は皆さんのレポートの中にも「経済情勢の認識から経済政策の効果が発現するまでのタイムラグの存在は、経済政策を判断する上で難しい問題であり、慎重な情勢認識が必要である。」という記述もありますが、今の局面の判断を誤らないように要望しておきます。  この項で最後に、一点でいいですが、林大蔵大臣、あなたの経済運営や財政哲学を聞いたことはないんだけれども、生産関係あるいは社会構造が随分変化しておる今日の時代状況のもとでも、いわゆるケインズの一般理論は有効だとお考えですか。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) ケインズ・セオリーというか、ケインズの一般理論というのはありますけれども、これは理論として一世を風靡した学問であることは私も認識をしているところでありますが、今先生のおっしゃったような問題を現実の政策の中でどう適用していくかという問題はいろいろと私は問題があるところだろうと思います。  一律に景気刺激策をとってやるというような話じゃなくて、財政というものは本来いわゆる景気に対して調整的な話をしておる。景気が悪くなりましても税収というものはそれほど落ちないというような話がありますし、景気がよくなりましてもそんなに伸びない、こういうふうな話もありましたり、そういったようなこともございますから、私は、そういったようないわゆる税収とか財政の規模というようなものがそれはそのままですぐにどうだということではない。その上でさらに刺激的なことをやっていくとかどうだというような話になりましたならば、一体どういうふうに考えてやったらよろしいのかというのは、すぐれて実務的な話と申しますか、すぐれて政策的な話だろうと思っておるところでありまして、そのときそのときの経済状況に応じて判断をしていかなければならないことではないだろうかな、こう思っておるところであります。  今申しましたようなことは、我が国の財政というものを考えますならば、百八十二兆円にも達するような大きな国債を抱えている、こういうふうな中で国債費が政策的経費を圧迫していくというふうなことで非常に構造的な厳しいものがありますから、そのことは十分に頭に入れて考えていかなければならない。  そこで、いわゆるケインズ的な施策という形じゃなくて、刺激的なことをやるにつきましては、おのずから私はそういった制約がある。これはもう当然のことだろうと思いますし、そういったことを無視してやるというわけにはなかなかまいらない、こういうことであります。  経済、財政の運営に当たりましては、それぞれそのときそのときの経済社会情勢、今お話がありましたようなバブルについてどうだこうだというような話もあります、また新しい社会需要というのも出てまいりますから、そういったものに対応していろんなことをやっていかなければなりませんけれども、一つには、先ほど申しました赤字国債の問題、こういったものはやはり十分頭に置いて考えていかなければならない問題だろう、こういうふうに考えております。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 ケインズ政策は市場に対する麻薬だという説もあるぐらいですから、ちょっと伺ってみたんですが、いずれまたこれは本格的に議論させてもらいます。  そこで、きょうの私の本題であります問題に入ります。  前自民党副総裁金丸被告が、東京佐川急便の元社長渡邉廣康被告から五億円の献金があったことを認めたのが去年の八月二十七日ですね。あれからちょうど七カ月、ことしの三月二十七日に所得税法違反の罪で追起訴されるまで、この一連の出来事を便宜私はきょうは事件と呼びましょう。この事件には、政治倫理の問題、政治資金の問題あるいは税務上の問題など幾つかの側面がありまして、それぞれの観点から解明をして検討しなければならぬのでありますが、きょうは、本委員会は大蔵委員会でありますから、この委員会の性格上、税務あるいは金融資産の取り扱い上の観点から若干事件の問題に迫ってみようと思うんです。  これには、後ほど第二段階として申します会社の経理、使途不明金の扱いが重要な要素を持ちますので、とかく新聞種にもなっております使途不明金の大手でありますゼネコンから、きょう、本店においで願って少し事情をお伺いしたいということを私はお願いしたんです。この時期でありますから、この参考人招致を拒む者など一人もおるまいと思ってたかをくくっておりましたら、だめでしたね、きょうは。委員長、どういう理由ですか。

野末陳平自由民主党

○委員長(野末陳平君) これは自民党とそれから社会党の間で協議が対立したままになっておりますので、本日は御要望に沿えなかった、こういうことでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 余り国民に説明できる話じゃないと思うが、委員長の今の発言で「本日は」と言ったから、本日以降がひとつ有効になりますように委員長に注文というか、お願いをしておきます。  ところで、税務あるいは債券などの業務を所管しておる大蔵省は、この事件にどのようなかかわりを持って、どのような役割を果たして、どのような問題点を把握して、どのようなことが検討課題として残りましたか。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) ただいまのお尋ね、まず国税サイドからお答えをさせていただきたいと存じます。  今回、ただいまお尋ねございました金丸前議員に係ります所得税法違反の事件につきましては、検察当局とも協議の上、当初から共同でかつ十分な連携のもとに、法律に基づきまして厳正かつ適切な調査を行ったものでございます。  その結果、今御指摘にもございましたが、昭和六十二年分所得につきましては三月十三日に、昭和六十三年分及び平成元年分所得につきましては三月二十七日に、検察当局に対しまして国税犯則取締法に基づきまして告発を行ったところであります。これを受けまして、検察当局におかれましては起訴が行われたと承知しておるところでございます。  もう御承知のとおり、申告納税制度のもとにおきまして、適正な申告と納税が行われるためには適正公平な課税の執行を通じまして税負担の公平を確保する、税務行政に対する国民の信頼を得る、これが何よりも肝要であると私どもは考えているわけであります。今後とも適正公平な課税を実現し、国民の信頼を確保するために着実に努力を積み重ねていきたい、このように考えているところでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 今の話だけでは余り抽象的でわからぬから、おいおいとじゃお尋ねしていきましょう。  国税当局には、それを所管する法律で、例えば所得税法の二百三十一条の二からいきまして、事業所得などについては普通法人に記帳の義務がありますね。その記帳をしてあるものを調べる、皆さんの方は「帳簿を検査するものとする」。あるいはまた、必要に応じて犯則事犯になれば質問検査権もある。あるいは告発する権利というか義務もある。さまざまな権限を与えられておるんですが、事の順序としまして、今あなた六十二年の話をしましたが、金丸被告が政治資金規正法違反の罪に問われた九〇年の五億円に関して聞きますけれども、私どもが承知をしておる限りでは、この五億円は政治資金規正法上の届け出も報告もない、税務上のいかなる記帳も申告もされていないと聞いています。  これはあれですか、税務当局としてはこの五億円についてやるべきことはやったんですか。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) ただいまお尋ねのいわゆる五億円問題につきましては、まず政治資金規正法違反の問題といたしまして検察当局の捜査、処理が行われているわけでございます。これは既に処理が行われているところでございます。  また、今お尋ねの五億円に係りますところの脱税の告発については、これは去る四月二日に参議院の予算委員会におきまして法務当局から報告されていますとおり、現在も検察当局において捜査を継続中であると承知しておるところでございます。  個別事件に係ります国税当局の対応につきまして答弁をすることについて、いつも非常に恐縮でございますが、内容については差し控えをさせていただいておるわけでございますが、一般論で本当に恐縮でございますけれども、国税当局は常に納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じまして有効な資料収集に努めているところでございます。そして、課税上問題があると認められた場合には、これは実地調査を行うなど適正な課税といった観点から努力をしておるところでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 いえね、金丸被告の第一次の起訴、追起訴すなわち所得税法違反、これは国税当局の犯則を取り締まる国犯法による告発に基づくものということは承知しています。国税が告発をする、検察が起訴をするという形をとったことはわかります。  私、今聞いているのは、九〇年の五億円授受に関して、今のお話ですと、政治資金規正法違反として処理をされたというのは、それは検察当局の扱いのことなんです。全額を政治資金として受け入れて、全額を政治活動の費用に充てて、その政治活動の費用は全額経費性があったと検察は言っているんじゃないんです。量の違反があったと言っている。そのことと税務上の取り扱いは別次元のことです。検察の方が一件落着をしたから我が方、事終われりという立場ではない。その点は十分におやりになりましたかと聞いている。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) ただいま御指摘のとおり、五億円問題というのは二つの側面がございまして、まず第一は政治資金規正法違反という、これについては告発が出されておりまして、それについての捜査、処理がなされているという御説明を申し上げたところでございます。  なお、いま一つ五億円に係りますところの脱税の告発もあわせて検察当局に出されているところでございます。これについては先般の検察、法務当局からの報告のとおり、現在もなお捜査を継続中であるというふうに聞いているわけでございます。  なお、委員のお尋ねの国税ではどうかと、こういうお話でございますが、国税につきましては、個別の問題、これは先ほども申し上げましたけれども、何度も恐縮でございますが、個別の問題でございますので、一般論ということで、常にあらゆる機会を通じまして有効な資料、情報収集、こういったことに努めているところでございます。その事情について御理解をいただければと思うわけでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 今のあなたのお話はわかりました。ちょっとくどいようですが、九〇年の五億円分については告発を受けてなお検察当局が捜査中である。我々も告発をしてますから、それがまた続いているのかなというふうに今の話でわかりましたが、しかし、そのこととは別に、国税当局としてはその五億円があったかないかのことも含めまして、それが一体渡邉廣康個人からのものなのか法人からのものなのか。それによって税務上の扱い違ってきますからね、贈与税になったり所得税になったりしますから。あるいはまた、正規であってもなくても献金というような認定はできるわけですが、それが一体。所得になったかどうか。それから支出に経費性があるかどうかということが国税の分野になるわけで、そういうことは、個別の問題はなかなかお答えにくいようですが、おやりにならなかったんじゃないですか、またやってないんじゃないですか。検察の方で政治資金規正法で一件処分したから、政治資金規正法で処分したというのは、政治資金として入って政治資金として出す、だけれども届け出がなかったとか量を超えたとか。そういうことでやられちゃったんだから、おれの方は関係ねえなという扱いをなさったんじゃないんですか。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) 私どもは、あらゆる機会、いろんな情報、こういったものについてはその情報を蓄積して常に適正な課税が行われるよう努めているところでございます。  今お尋ねの問題につきましては、個別の事業でございます。まことにたびたびで恐縮でございますが、個別事案ということで、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 どうも皆さんとやっていると、個別のことは答えられないと言って、なるほど所得税法二百四十三条、法人税法百六十三条等でいろいろございますが、しかし、これは何も一切そこでわかったことは言っちゃいかぬというんじゃないのでありまして、同じ国税の中で、一般調査でわかったら査察の方に回して、犯則事案があるとすれば査察の方が告発をすればいいわけでして、そういうことは何も禁止されていないわけです。そういう判例も出ていることですから。  しかし、やるべきことはやっておるというんだから、それ以上のことをおれは聞きにくいけれども、後になって判明したんだけれども、金丸被告は、政治献金の一部または全部を資産の形成に充てた。巨大な蓄財に励んでいた。  この脈絡で言うならば、九〇年の五億円が蓄財に回らなかったという保証はどこにもない。何か突然に切り離されておる、六十二年の分だけとか六十何年の分だけとか。わかった証拠でそうなるのかもしれませんが、ためておいたやつで買ったとかいうことになればおのずから様相も変わっていくわけでありますから、そういう意味で、あなた方の税務の実務で、政治資金規正法として処罰をされたからそれは政治資金であった、政治資金であれば、政治資金として消費したものはすべて経費性があるから非課税だ、こういう扱いをなさっているんじゃないんですか。どうですか、この辺は。

松川隆志国税庁課税部長

○政府委員(松川隆志君) 政治資金の税務上の取り扱いについてのお尋ねでございます。  政治資金に係る所得につきましては、所得税法上非課税ということではございません。政治資金収入はその政治家にとって雑所得の収入金額とされまして、その金額から政治活動のために消費した金額を必要経費として控除いたしまして、その残額が課税の対象になるということでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 ですから、そのような実務上の扱いをなさっておる。それはいろんな通達で雑所得処理がされておる。  じゃ、聞きますが、そもそも政治資金が非課税とされる税法上の根拠はどこの規定ですか。

松川隆志国税庁課税部長

○政府委員(松川隆志君) ただいま申し上げましたように、いわゆる政治資金収入自体は雑所得の収入金額とされまして、その消費した金額はいわゆる所得税法第三十七条の第一項の必要経費として控除して、その残額が課税の対象になるということでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 実務上、政治資金を雑所得とする場合のその必要経費というのは、この三十七条の一でいけば、「収入金額を得るため直接に要した費用の額」ですね。  それで、同条の「所得を生ずべき業務について生じた費用の額」、この「業務」というのが政治家の仕事になるんですか。そうすると、政治活動は政治資金を得るための業務という解釈になっちゃいますね。そういうことなんですか。

松川隆志国税庁課税部長

○政府委員(松川隆志君) まず、必要経費でございますけれども、この場合の政治家の政治活動に関する支出の実態について見ますと、一つは、秘書、事務所職員の給料、手当、あるいは事務所の賃借料その他の費用、あるいは通信費、旅費、国会報告等のための費用、委託調査費、あるいは会議費、それから政党の政治活動の費用を賄うために経常的に負担する本部費、支部費、それから政治活動に関する交際費、接待費、寄附金等が一応必要経費として控除するということにされておりまして、これにつきましては国税庁で議員用の説明パンフレットに掲載しているところでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 いや、私が不勉強ですか、政治資金が非課税とされる税法上の根拠というのは、まず政治団体の場合は、政治団体は人格なき社団に該当しますからということで税法上は法人とみなす、法人税法の三条ですかね。人格なき社団というのは収益から生じた所得のみに課税されるという建前になっていますから、政治献金を受ける行為というのは収益事業じゃありませんから、したがって非課税。これはわかります。  もう一方、政治家が企業から政治献金を個人として受けても、贈与を受けても非課税とされるのは、公選法に基づく選挙運動に要する費用の場合に限られているんじゃないんですか、法律上は。所得税法九条でしたかね、ちょっと忘れましたが。あるいは相続税法もありましたかね。しかも、それは公選法百八十九条の届け出があった場合に限られる、そうなっていますね。  この規定以外に、今あなたの御説明になった実務上政治資金を非課税とする法律の根拠規定、どこかにございますか。

松川隆志国税庁課税部長

○政府委員(松川隆志君) ただいま先生の御指摘になった公選法の届け出をした収入でございますが、これはそもそも収入自体がいわゆる課税所得にならないという、もう最初の計算から除外されているわけでございます。その他のいわゆる政治資金収入は一応雑所得として、収入としてカウントされまして、そこから必要経費を引いてその残額をいわゆる所得として課税するということでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 ですから、実務上はそうなっていることはわかります。政治家個人が企業から献金を受けた場合、これは雑所得になるんですよと。今そうなっていますよね。これは所得税法の三十五条の規定で、それでいいわけです。  それから、政治資金規正法上の届け出がなされていれば、政治活動に使われたものとして事実上非課税扱いをなさっているようです。厳密な意味では私はそうでないと思うけれども。だが、その金が全部使い切れずに残額が出ておるという場合には、残額があって政治家が個人目的に使ったような場合はそれは雑所得ですよと、こういうふうにしてやっていますよね。  問題は、届け出のないやみ資金はすべて雑所得として実務処理をされておるんですか。そこからさらに費用性があるかないかを峻別しているんですか。それはどうなんですか。

松川隆志国税庁課税部長

○政府委員(松川隆志君) 税務上の取り扱いといたしましては、政治資金規正法に報告されていない収入であっても、いわゆる政治資金収入として把握いたしまして、それから必要経費を控除して残額に課税するという考え方であります。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 余り細かくやってもしょうがないんです。ただ、私は、実務上政治資金を雑所得とする場合のいろんな取り扱いがあることはよく承知していますが、一応届け出があるものについては政治活動のために使ったなというふうに推定する根拠にはなる、これこれに使いましたと届け出があるわけですから。  しかし、そうではないやみ資金ということになると、推計する根拠もないわけでありますから、当然に税務調査の対象にならなきゃならない。しかし膨大な量のものを全部調べられるかどうかわかりませんけれどもね。  金丸被告の五億円の授受というのは、届け出はない。当然に税務調査の対象になるケースだ、五億円について。そのことが端緒になって、あとのことを皆さんはよくおやりになったと言って世上褒められておるわけでありますが、この五億円に関して私言っているんですよ、五億円に関して言ってもこれは税務調査の対象になる経費であると。  それをしないで、何か検察の方へ上申書みたいなものが出たそうですが、一連の状況であれば必要経費だったんだなというふうに国税当局も認定したとすれば、それは間違いなしに甘いということを申し上げたいんですよ。この点どうですか。

松川隆志国税庁課税部長

○政府委員(松川隆志君) 個別の問題ということではなくて一般論として申し上げますと、政治資金の使途が明らかでないという場合に、ただ政治活動に使ったというだけでは必要経費として認めるわけにいかないというのはそのとおりでございまして、その事実関係について十分検討する必要がある。その結果、私的消費とかあるいは私的財産形成に使われたということであれば、当然課税の対象になるということでございます。  それで、一般的に、個人的な消費の部分がその中に含まれるということであってその区分が十分できない場合には、実態に応じてその費用は原則として必要経費として認めないというような取り扱いになるわけでございまして、そのあたりはやはり実態に応じて判定していくということでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 いやいや、実態に応じて課税していくようにぜひしてもらいたいんですが、その実態に応じての中にこういうケースもあるんでしょう。  金丸さんはたまたま五億円を、企業から来たのか個人から来たのかはっきりしませんが、受け取って、それは個人として受け取った。個人として受け取って届け出もしなかったし、量的違反もあったので、これは政治資金規正法で上申書をもとにして処罰された。その金はどこへ行ったのといったら、政治団体へそっくりやったと。政治団体にもちろん記録はない。ないが、これも上申書か何か供述で、入ったものは全部そっくり仲間の議員にそれぞれ配りました、こういうお話で完結されているようです。  さあ、ここで、政治資金だといって一概に経費性があると言えないから税務調査の対象になると。お話はわかりました。仮に個人が受けた政治資金を派閥の同志に配ったとしましょう。この派閥の同志に配る資金は、当該政治家の政治活動に必要とする経費性のある資金ではない。それは個人目的、親分として振る舞う、恩を売る、そういう個人目的を持った資金の供与、支出であって、一般的に言われる、秘書とか事務所とか車代とか電話代とか、そういう政治活動に必要な経費ではない。こうなりませんか。そのような認定は、稲村利幸元環境庁長官の十七億余円の脱税のときに判例で示されているんじゃないですか。その点はいかがでしょうか。

松川隆志国税庁課税部長

○政府委員(松川隆志君) ただいまの御指摘でございますが、基本的に、このパンフレットにおきまして列挙していると番目の「政治活動に関する交際費、接待費、寄附金」という中に含まれるというふうに考えております。  それで、稲村事件に関する判決につきましても我々は検討しているところでございますが、あれは情状酌量の材料として、政治活動に消費したということに対して、政治活動においても公的な部分と私的な部分があるという中で比較的これは私的な部分ではないかという指摘を判決でしている、こういうふうに認識しておりまして、その経費性を否定するものではないというふうに考えております。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 いや、政治活動というのは、本来一般の人を対象にして行うものでして、政治家同士の金銭の授受というのは厳密な意味での政治活動とは言いがたいという解釈が一般的に成り立っていたんじゃないですか、今まで。たまたま稲村判決のときに、わかりやすく言えば、後援会の維持拡大や選挙地盤の強化などはどちらかというと政治家個人の利害に関する出費という性格が強くて、非課税にするのは余り相当でないなというニュアンスの判決になったものだろう。  ですから、それは事業家が事業の維持拡大のために出費するという対比で考えられているんじゃないかと思うんですが、ともあれ、私は政治家同士の間の資金授受というのは、届け出がない限り、私的消費の所得処分と見るのが妥当だというふうに思います。  派閥のボスが仲間の議員に金を配るというのは、先ほど言いましたように、自己の勢力あるいは地位を確保する以外の何物でもないんであって、これは個人的利益だ。したがって、秘書を雇うとか交通通信費を払うとかの政治的な費用とはまるっきり性格が違う。そうでなかったら、所得税法の「収入金額を得るため直接に要した費用の額」という、これを政治活動にどんなに当てはめてみても、ボスが仲間に配る金はここからは解釈として出てこないということを感じますので。この点はこれから政治資金規正法等の改善が行われればこれはまた別であります。  その認識があれば、個別のことはあなた方おやりになっているかやらぬのか個別のことではお答えにならないが、九〇年の五億円について、今私が述べたような認識があれば国税当局は念入りに国税の立場で調査なさるはずだし、なさった結果、あるいは査察までいったか犯則法で告発までいったか、これはわかりませんが、そういう性格のものであったであろうということをこの点については指摘をしておきたいと思います。  いずれにしましても、このたびの事件で税務上問われたことは、政治資金の使途について公的活動に費やす資金と個人的利害に関する資金とを峻別することが問われたというふうに私は思います。  とはいいましても、なかなか政治活動にとっての必要経費というのの認定は個別対応を要する問題で、政治家をとっつかまえて個別対応するというのは実務上さまざまな制約があることは現実問題としてわからぬわけではありません。何でも政治家に関する調査例は何か〇・二%かそれくらいしかないらしい。これはわかりませんが。私は、ですから届け出のないものは原則として全額雑所得の収入だというふうにして、もう割り切って扱っちゃった方がよろしいというふうに思います。  もう一つ、この点はどうですか。所得税の納入義務のある者が、偽りその他の不正行為で租税の納付を免れるということは適脱犯を構成するわけですが、届け出のないやみ献金を受領してその金額を申告しない場合には、偽りその他の不正行為に当たりますか。

松川隆志国税庁課税部長

○政府委員(松川隆志君) 雑所得につきましては記帳義務がございません。また、帳票類の保存義務もないわけでございますので、直ちにそのことをもって何も記帳されていないと、これは政治資金規正法の方の問題とは別の問題でありますが、税法上そういう意味での非違がある、不正があるというふうに一概に指摘はできないというふうに考えております。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 そうやって甘くなっているとだめだと思うんですね。政治資金規正法に基づく収支の報告に載らない、その記載に入りがないということは、公明正大な資金でないということの裏返しでもあるわけでして、公明正大なものは裏金にする必要もないわけですから、今の点、私はあなたの答弁、にわかに受けとめにくいですね。  ともあれ、金丸被告が個人の不正蓄財に充てたやみ献金は企業の使途不明金からだと。  使途不明金にはいろいろな形態はあるんですが、まず使途不明金の秘匿形態にはどんなものがありますか。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) 使途不明金という具体的な定義があるものでは必ずしもないわけでございますけれども、使途不明金がどういう形態になっているかというお尋ねだと思います。  態様として二つのグループに分れるかと思います。一つは法人みずからがその使途を秘匿いたしまして、いわゆる業務関連の経費性があるという認識はありながらあえて損金の算入をみずから断ってしまう、みずから自己否認をして申告をする、こういった態様が一つございます。いま一つは、いわゆる通常の一般科目、例えば交際費であるとか人件費であるとかあるいは外注費であるとか、そういった一般科目の中に使途がわからない経費、そういったものが紛れ込んでいる、こういった態様もあろうかと思うわけであります。  そういったことでございますが、使途不明金というものが具体的に法律上明記されているものではございません。私どもは、ただそういったいろんな形態のものがございますものですから、税務処理上法人税の通達におきまして、特にそういう使途がわからないもの、こういったものについて特に規定を設けているわけでございます。  法人税法の基本通達を読ましていただきますと、「法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない。」、そういう取り決めになっているわけでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 法人税法二十二条の規定からいきますと、使途不明金なんというものは発生する余地はまるっきり出てこない。しかも、それは一般に公正妥当と認められる基準で会計処理をするわけですから、あんなものは出てくるわけはないのですが、今お話がありましたように、自己否認をする、あるいは他の費目で損金経理をする、あるいはまた渡し切り交際費にしちゃうとか、あるいは簿外資金をつくるとか、いろんな形態があるんでしょう。  ですから、よく言われておりますように、使途不明というのは調べる国税当局にとって使途不明なんでして、知らぬは亭主ばかりなりという話なんです。知らぬは国税ばかりなりで、あとはみんな知っているのが使途不明金という性格を持っていますよね。だから使途秘匿金と言う方がいいんだと思うんです。  それで、これはちょっと聞かせてください。私、皆さんからいただいた資料で、平成三年について、使途不明金の額が五百五十四社で五百五十八億円、大きいのから小さいのあるんですが、資本金一億円以上ですから、一社約一億円になりますか。これは全法人の一二、三%しか調べていないんですから、単純に全法人に換算しますと四千億円ぐらいの使途不明金の総額になっちゃうわけです。  そのことはともかく、使途不明金の七割以上が自己否認、あとの三割程度が税務調査ではれちゃった額ということになっているようですが、仮に自己否認の額が、損金性があるとすれば企業は随分むだなことをしているものですよね。損金で認めてもらえるのにむだなことをしている。むだなことを上回る何かメリットでもなければ隠さぬということになるのでしょうが、この自己否認額は年々ふえていますか。かつては三割ぐらいだったのが四割、五割、六割、七割というふうに自己否認額はふえておるのかどうかということ、まずそれちょっと簡単に。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) ただいま委員から御指摘ございましたように、使途不明金総額のうちに占める自己否認の額の割合というものは、ここ十年を見ますと七割から八割、各年によって相当差がございますけれども、そういった割合で大体推移している、このように思っております。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 累年七割から八割。そうすると、あと二、三割が不正経理がばれちゃったという額になるようです。  このうち使途の解明されたものが約二割五分の百三十九億というデータをいただいておりますが、これを業種別に見ますと、建設業が約七割。それできょう建設業から来てもらいたかったんだけれども、建設業が七割の額を占めている。ですから、これをごく単純に仮に一億円以上の全法人に換算いたしますと、建設業だけで二千七百億から三千億円も使途不明金がある勘定になっちゃう。建設業のわかった分だけでも七割ですが、これの秘匿形態で一番多いのはやっぱり使途不明金ですか。何ですか。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) 使途不明金は実は先ほど申しましたようにさまざまな形態、方法で支出されているわけでございます。これを特に計数的に取りまとめて統計をとっているわけではございません。ただ、サンプル的に私どもが見ている限りにおきましては、例えば建設業につきましては、いわゆる外注費あるいは人件費、こういったものを架空に計上する、いわゆる俗に架空経費という形で計上されるものが多いやに聞いておるわけでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 架空経費ですか。架空経費というのは普通秘匿形態としては裏金をつくる手法ですよね。安いものを高く買ったりするとか、安く払ったり高く払ったりするとかですね。そういう裏金づくりの手法なんですが、使途不明の形態でわかったものだけで一番多いのが自己否認だというんでしょう。そうすると、建設業について言いますと、例えば簿外資金による使途不明金が多いんですか。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) ただいま申し上げましたのは、自己否認したもの以外の、いわゆる先生おっしゃった二割もしくは三割のそういったものがどういうふうな形でということでお答えをした次第でございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 自己否認以外、俗に言うばれちゃったというのが残りですから、百六十八億になるわけですから、そのばれた中には、今言いましたようにそういうどっちかといえばいかがわしいものですよね。――お話がわかりました。  そこで、しかし建設業総体としますと、やっぱり秘匿形態は自己否認分が圧倒的なんですね。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) 今手元に業種別のそういう計数を具体的なものを持っておりませんので、恐らくかなりの部分はそういった形のものになっておると思います。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 わかりました。  ところで、この使途不明金の功罪、功を論ずるのもどうかと思うんですが、功罪にも若干かかわりがあるんで、中小企業と大きい企業との間で自己否認の割合とか発生形態に違いがあるんじゃないんですか。その辺何か特徴がございますか。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) 使途不明金につきましては、私どもは税務調査、税収確保を目的に調査をやっているわけでございまして、使途不明金の形態別詳細を統計としてとっているわけではございません。  特に、中小法人については、いわゆる俗に私ども署所管法人と言っておりますけれども、これについてはそういう総合的な計数を徴しているわけではございません。今までお話をしてまいりました計数は、資本金一億円以上のいわゆる調査課所管法人と俗に私どもが言っておりますところの計数でございます。したがいまして、そういったような計数の意味合いからいいましても、使途不明金の大企業、中小企業別のそういういろんな諸事情というものは必ずしも正確にお答えできるような資料は持ち合わせていないわけでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 ただこの問題、これから考えていく場合に意味があると思うんです。  私も確証あるわけじゃないが、容易に想定できることを言えば、大きな企業の場合には、工作資金とか政治資金とか、そういうふうなものの割合が多いのではないか。実態上社会正義に反するものが多いのでみずから使途を明示し得ないのに比べて、中小企業の場合には、損金性はあるんだけれども、親会社とか得意先にいろいろと気兼ねとか圧力があって、また親会社から言われてひねり出す場合もありますから、そういう親会社あるいは得意先とのかかわりあるいは圧力で自己否認せざるを得ないような社会的な状況、背景というものが中小企業の場合には容易に考えられるわけです。ですから、それ自体は社会正義に反するものじゃないんだが、支出の相手方に迷惑かけちゃいかぬという性質のものになってくるのかなと。  こうなりますと、使途不明金の取り扱いにも若干の配慮が必要になってはくるわけですが、そのことはともかくとしまして、私は、基本的には使い道を明らかにできない、それを言うたら支出先に迷惑がかかるという事情があるとか、あるいはこれが明らかになっちゃったら犯罪とかそういうものにつながっちゃうとか、そういうケースがあるわけで、だから自己否認で税金さえ払っておけば文句はあるめえと。実はそういう制度になっているから問題があると思うんです。  これはこれから触れます無記名金融資産にも共通のことなんです。国税さんは、仮に無記名でも税金になりゃいいと、金融債券の場合は売り買いのときにちゃんと税金払うわけですから。あえてにおいも色も聞かないということがあるにしましても、税金を払えば済むという問題ではない。これは税金それ自体それで完結しないわけですから、もらった先の税金だれも取っていないわけですからね。そういう意味では、税金自体も完結をしていない上に、社会秩序あるいは社会的公正というようなものに大きくかかわってくる問題ですから、税金さえ払えばいいというふうにしてしまっちゃいけない。  しかも、これよくよく考えてみますと、使途不明金をつくる、そのために自己否認をするとかあるいは他の費目で損金経理するとか渡し切り交際費にするとか簿外の資金にするとかという、どの形態もこれは全部法律的な責任がつきまとっているんです。説もさることながら、刑法、商法、さまざまなものもつきまとっておるんです。  法務省おいでですが、使途不明金には一体どのような法律的な責任がつきまとっていますか。

大泉隆史法務省刑事局刑事課長

○説明員(大泉隆史君) いわゆる使途不明金につきましては、今国税当局からも御説明がございましたように、課税庁に対して使途を秘匿する、費用性を証明できないということのために損金算入を認められないものと考えておりますが、企業が使途不明金として処理するものについていかなる刑事上の問題が生ずるかという点についてのお尋ねでございます。  これにつきましては、個別の犯罪の成否ということにつきましては、委員御案内のように、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき事柄と思いますが、例えば政治資金規正法上の問題あるいは商法上の特別背任の問題等々種々の犯罪の成立の可能性が考えられるところでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 どうも法務省の専門家にしちゃ余りいい説明じゃないな。  使途不明金を自己否認した場合だけを見ましても、百二十六条の記帳義務違反とか、法人税法上の責任ももちろんあります。ただ、これは罰則はありませんけれどもね。あるいは商法上ちゃんとした計算書類を出すことという役員の義務のようなものにも違反するし、特別背任、会社荒らし等に対する贈収賄、株主の権利行使に関する利益供与の禁止、会社に損害を与えた取締役の賠償責任、刑法の贈賄罪、談合罪、こういうものが使途不明金の中には字引のように詰まっているんです。  私のさっきの推計だと四千億、あるいはもっと大きいのかもしれません。その中には今言ったさまざまな法律的な責任が字引のように詰まっている。それを案外軽視して、国税サイドがまあ税金になりゃいいわいというだけでこれ済みますか。税金が入ってくればいいという問題ではないということを私は金丸事件というものが強く示唆をしたと思うんです。  ただ、国税さん、いろいろ税務調査をやって使途不明金調べているうちに、違法な支出が、これは贈収賄だな、これは談合だな、これは何とかだなといって、生き字引を片っ端から調べているうちにわかるかもしれませんね。この場合皆さんどうなさいますか。

野村興児国税庁調査査察部長

○政府委員(野村興児君) 税務調査において知り得たいろんな犯罪等についての取り扱いのお尋ねでございます。  御承知のように、税務職員には所得税法等によりまして他の一般国家公務員よりも重い守秘義務が課せられているところでございます。税務調査によって知り得た事実を第三者に通報するということはまさに守秘義務に触れるという問題が生ずるわけでございまして、また私どもの立場からいいますと、それ以上に重要なことは、守秘義務を守ることによって培われてきました、まさに長年にわたって培ってきた納税者との信頼関係、こういったものを損なうおそれもあるわけでございます。  そしてまた、つけ加えまして、税法上の質問または検査の権限、いわゆる質問検査権の行使に当たりましては、例えば法人税法第百五十六条に「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」、こういった具体的な規定もあるわけでございます。こういったことも頭に置いて対応しなければいけない。  そういったことから、税務調査によって知り得た事実、これを関係当局に通報する、こういったことについてはおのずと消極的な対応にならざるを得ない、こういう立場にあることを御理解いただければと思うわけでございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 それは法人税法百五十六条でしたか、の規定はわかりますが、しかしこれにも私は皆さんが使途不明金に係る税務調査をきちっとやっているうちにさまざまな問題に気がつくだろうと思うんです。今度の金丸さんの所得税法違反が国税の犯則法に基づく告発に基づくものと言われておることを見ましても、皆さんなりの税務調査の結果がそのようなあれにつながったんだろう。  この経過を容易に想像できますのは、税務調査をやっている、少しやばいなという問題にぶち当たる、守秘義務がありますから、これをいきなり捜査機関やそういうところへ持ち込むことはできませんが、同じ同僚である査察に回すことは、情報を提供することはできるわけです。それが犯則事案として調査に入れば、そこから先は告発義務さえあるわけでありますから、守秘義務は免れる。またそういう判決もあるわけです。これは、人権はもちろん大事にしますが、同時にやっぱり犯罪は許さないということを的確にやっておれば今度の金丸事案のようなことはもっと早い時期にわかっていたはずというふうに思います。  そろそろこの問題のまとめにしますけれども、るる申し上げましたが、会社には経理担当がおって、公認会計士の監査も受けて、商法等の規定によって監査役の監査も受ける。使途不明金を自己否認したり、そのような形で処理した場合の法律的な責任や処罰規定もちゃんとある。したがって使い道がわからぬ金などあるはずがないのに、自己否認などという奇妙な仕組みが存在をして、社会、公共の病理の源泉にすらなっている。これが金丸事件の教えたものだ。突き詰めて言えば、使途不明金というのは企業の不正経理のことである、不正な経理だ。先ほど来言いました。にもかかわらず税金さえ払ってくれればいいわいというふうに扱われておることにやっぱり問題があるというふうに思えてなりません。  これは、使途不明金というのは、場合によっては法人税法百五十九条の脱税犯の構成要件をなすわけでしょう、「偽りその他不正の行為」に該当することだってあるわけですから。それを見逃すということは国税当局の怠慢になるわけですからね。  使途不明金を自己否認して税金をかける、その理論的な根拠というのは、私が今税金を払うのは、本来はかからぬ支出なんだけれども、これが相手方に行くと税金がかかる、だから相手の分をかわって私が払いますという代替課税の理屈は一つわかります、これにかけるということは。ですが、もともと損金性のないものを自己否認すれば、自分の分の税金は払うが相手の分の税金は払っていないわけです。ですから、ここには当然そういう場合には二重に税金払ってもらわにゃならぬ。二重課税とかあるいは超加算税とか、そういうものの論理が働かないと、課税の公正を期すことはできないということになっちゃうんじゃないでしょうか。ましてや、建設業界の金の流れからいえば。それは原資から見ても一般納税者への背信だ。  大蔵省、これ間違いでしょうかね。この記事しか私知らないんですが、私このころは現役の議員だったんですが、記憶がないんですが、そういうような諸状況などもあるので、このような企業の経理処理に対して、大蔵省は七八年ごろ、私がちょっと触れたそういう場合には税金倍いただきましょうかという一種の超重加算税の研究を進めたことがあると言われておりますが、どういういきさつだったんですか。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) 大蔵省におきましては、いろいろな課税上の問題につきまして常時勉強をさせていただいておりまして、その中には外国の税制の研究、検討など、外国に出張いたしまして向こうの状況を調べできますとか向こうから人を呼んで聞きますとか、そういうことももちろんあるわけでございます。  この使途不明金に関連します問題につきましても、過去問題意識を持ちましてもちろん勉強したことはございました。新聞に出ておりましたのは私どももちょっと見た記憶がございますけれども、特にしかし超重課税でございますか、超重加算税ですか、そういう何か銘打って特別なものを研究したという記憶は、少なくとも今の私どもにはございません。過去のものをめくってみましても特にそういう改まった勉強というものはございません。  ただ、恐らくと想像で申し上げて恐縮でございますけれども、先ほどもちょっとお話が出かかっておりました諸外国の中に、フランスなどは特別な課税をしておりますので、そういうものを研究したということはございましたし、日本においてそういうことができないだろうかということをその際あるいは考えたかもしれません。  ただ、その問題につきましてその後私どもとして持っております考え方は、やはり所得が本当に存在している真の所得者に対して課税をするという柱を、物事の考え方というものをきちんと立てまして税制を運営していきたいと考えておりまして、ある程度、今ちょっと先生、代替課税というお言葉ございましたけれども、そういった形で想定をして課税をしていくという世界をそこに入れてしまうということが本当にできるのかどうか、いろいろ難しい問題がそこにはあるだろうということで、そこに踏み切るというには、まだ私どもの方ではそういう状況ではない。税の法益として今守られなきゃならないいろいろな法益がございますから、今の考え方にそこは立たざるを得ない。  そうすると、使途不明金というのは放置されるのかという問題がございますけれども、やはり今の私が申し上げました考え方に沿って申しましても、真実の所得者に対してきちんと課税をするということが目指す方向でございますので、そこをできるだけ、これは国税当局の力をかりなきゃなりませんけれども、最大限やってもらえないだろうかというのが今日の状況でございます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 この項の結びにしますが、いずれにしましてもこの使途不明金、さまざまな面を持っているわけで、また中小企業と大きい企業との違いがあったり、またさまざまな使途不明金をつくらざるを得ない社会的背景というふうなものも一概に否定するのもどうかとは思いますが、ただ、課税当局だけでこれは対応するのはちょっと面倒だろう。そういう意味できょうは法務省当局に来てもらっておりますが、そういうところと連携をして、とにかくこれの持つ社会的な面がもう放置できなくなっておるわけですから、これは大臣、ひとつ十分な検討材料にしてもらいたい。  私はその際、支出額の一五〇がいいか一二〇がいいか、フランスのあれでいきますと一二〇%ぐらいになるようです。――一二〇%ぐらい、もっと小さいですか。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) もうちょっと小さくなってきます。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 あれ三〇とあれで五〇でしょう。重加算税で一〇〇でしょう。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) 御質問の途中で恐縮でございますけれども、当初そういった率で課されておりましたものが、やはりフランスにもフランスのいろいろな事情、問題があったようでございまして、最近縮減される傾向にございまして、たしか今一〇〇%と聞いております。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 税率のことはあれですが、やっぱり私は基本的には違法な経理処理だと思います、公明正大でないことも確かなんだから。  課税面では、先ほど言いました超重加算税と言うかどうかは別としまして、新しいものを考えたらいいし、また先ほども答弁がありましたように、社外流出の判定を厳格にして実質所得者課税というものをあくまでも追及するというのは当然だと思いますが、同時に、この支出の事実を知っておるのは企業なんですから。わからぬのは国税当局だけなんです。出している方はみんなわかっているわけですから、わかっておらぬといったらこれはまた罰則があるわけですからね。  にもかかわらず使途を明らかにしないというのは、やっぱりペナルティーが必要なんで、使途不明金の性格によっては、企業者というか役員というか、そういう者の責任に帰すわけですから、これはその連中の所得とみなして税金を取っちゃう。まさか四千億が全部役員の所得にはならなかろうが、それぐらいのことは考えてもらいたいということを主張しておきます。いずれこの問題は続けて取り上げます。  最後になりましたが、さてそうやってつくり出されたやみ献金が金丸さんの資産形成に充てられて、その方法が無記名の金融資産であった、こういうことに物語は進むわけであります。  時間がないのであれですが、金融資産の無記名性というものはその流通性からいって当然だという面もありますし、しかしまた無記名にもさまざまな制約条項を課した方がいいというんで、マネーロンダリングの措置を講じたり、無記名の貯金だか預金をなくしたり、いろんなことをやってきたいきさつがあるようです。  しかしどうですか、少なくとも金融機関が発行する金融債は特別の優遇手当てを受けているわけです。発行限度額にしましても、普通のものは二倍ぐらいなところを三十倍にするとか、さまざまな優遇策を受けているわけであります。それだけにまた利用するのかもしらぬが。  私は、金融機関の発行する無記名金融債についてはもう一度見直す必要があるということを前提にしまして、納税者番号の問題が検討が進んでいけば決まりはつくわけですが、全体にいけばこれが人権だ何とかという問題にも絡んでくることもあるようですが、私は、最低限、資産を持っている人はいえば金持ちなんだから、資産の取引する人は資産取引番号とでもいうもので管理をしたらどうかと思いますが、どうですか。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 委員御指摘の話で、割引金融債の無記名の問題が今お話がありました。これはやっぱり財産秘匿の温床になるんではないか、こういうことでございますが、割引金融債は割引金融債で既に税金をそれでいただいてやっているようなことでございます。税金を初めに取ってそれでやっています。しかし、流通転々するためには無記名がよろしいという、もう長い伝統のもとにこれやってきているのが割引金融債のあり方だろうと思うんです。  そこで、一体どういうふうにしたらよろしいか。今先生も御指摘になりましたように、資産を持っている人は全部登録をしたらどうだ、こういうふうなお話がありました。これもかつていろいろ議論をされたところでありまして、いわゆるグリーンカード制をやるとか、それからいわゆる背番号制をやるとかというような議論が今までありました。これ随分長いこと議論されてきたわけでありますし、また昨今も政府の税制調査会におきましてそういった議論をいたしまして、どういうふうな形でやっていくのかというのを今議論をしているところであります。  それじゃどういった形のものをやっていったらよろしいかどうだということになりましたら、そこでまた、今議論がありますから、議論を続けているということだろう、こう思っています。  私はこの問題は、課税の問題におきまして、所得、資産、消費、こういうふうな形でやっていくときにおきまして資産課税をどうするかという大問題になってくる事柄ではないかな、こう思っているところでありまして、そういったことを全体をよく見て考えていかなければならない問題だろうと思っているところであります。

志苫裕日本社会党・護憲民主連合

○志苫裕君 中には無記名金融債券がアングラマネーを吸い上げるには効果があるとか、それはまあそうかもしらぬわな、名前を書かなくてもいいんであればわけのわからぬ金で債券を買えるわけですから。そのときに確実に税金をいただけるという意味じゃアングラマネーを吸い上げる効果があるのかもしらぬが、しかし同時に、このたびはしなくも出てきた社会的な公正、これはシュンペーターの言葉じゃありませんが、やっぱり選挙の制度や選挙の資金、租税というものは社会の根幹をなす問題でありますから、少々の便利さを犠牲にしても公正を追求しなきゃならぬときはあるという意味で、ひとつ早い機会に再発防止を兼ねた検討を求めておきます。  最後になりましたが、これは情報提供だけです。  やみ献金にも新手がありましてね。今私が言いました使途不明金だけでやっているわけでもないんで、最近はやりのコンサルタント会社というのをつくりましてね。コンサルタントというのはあれいい商売ですね。何でも相談を受けるのがコンサルタントですが、今まで、ある企業から政治献金を受けていた、ある企業から秘書を出してもらっていた、ある企業から車、運転手を提供してもらっていた。こういうのを、コンサルタント料としてその政治家がつくった会社に払うわけです。これは営業行為になりますから、やみ献金で も何でもない、そのコンサルタント会社の運転手を使う、秘書を使う。金は営業で出入りするわけですから、会社はもうけないように必要な分だけ借金を重ねておればいいわけです。  こうやって政治資金の裏金が形を変えているというケースが最近流行をしておりますので、ここでは具体的な会社名を挙げると物議を醸しますから、とりあえず情報として提供をして、国税当局、しっかり対応してもらいたいということを申し上げて私の質問を終わります。

野末陳平自由民主党

○委員長(野末陳平君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ――――◇―――――    午後一時三十分開会

野末陳平自由民主党

○委員長(野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、租税及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 私からは、一つはさきに発表されました総合経済対策、それから今いろいろ問題となっておりますロシアに対する経済支援の問題、この二点についてきょうはお尋ねをいたしたいと思います。  まず、「総合的な経済対策の推進について」、四月十三日に発表されたわけでありますが、いわゆる新しい総合経済対策十三兆二千億円、事業規模過去最大、こういうことで、これから後半に向けて何とか景気の反転、回復を目指していこう、こういうことのようでございます。その中身、それから景気対策として手を打っていかなければいけない、こういう立場等々については十分理解はするわけでありますが、確かに昨年から一連の景気対策が打たれてきた、そしてつい先般まで九三年度当初予算の審議を私たちもやってきたわけでありまして、これとの関係で言いますと、やっぱりきちっと整理をしておくことはしておかなければいけないんではないか、こういうふうに実は考えております。  景気対策の上から、間髪入れずに当初予算が成立をした。そしてすぐひっかけて総合経済対策、これはそれとして理解できないわけではありませんが、ただその場合に、今日まで当初予算を審議をしながら、その当初予算が組み立てられた大前提、これは言ってみれば発表された政府の経済見通し、九三年度は三・三%の実質成長を前提に税収、歳入歳出がその上に組み立てられていって当初予算がつくられた。これで三・三%成長を目指していくんだ、こういうことで実は審議をやって、きたわけであります。  この景気対策、総合経済対策が打ち出されて、その直後に、これは総理もそして大蔵大臣もそうでありますが、これをやったら波及効果二・六%のGNP引き上げ効果がある、全体としてことしは三・三%の実質成長は可能だ、こういう言い方がされているわけであります。当初予算のときも三・三%の実質成長目指してやる。今度はそれにこの総合経済対策をやれば三・三%いくと。じゃ、政府経済見通しの上につくられた当初予算の審議は一体何だったのでありますか。政府の見通しが、去年の八月に総合経済対策を出されたときも、あれは三・五%でしたね。三・五%達成がこれでできるということでいきましたが、暮れには一・六%。どうも経済状況からいってこのままでは難しいという状況が出てきたわけであります。  そういったような、見通しが途中で誤っておる、あるいは見通しに狂いが生じた、どうも今の景気の状況ではこれは難しいんではないかということになれば、その時点できちっと一定の判断をして、したがってこういう総合経済対策を打って何とかそれに持っていかなければならぬ、こういうことにならないと、この前まで政府見通しに基づいて組まれた歳出歳入、この上にでき上がった当初予算を一生懸命審議をして、これをやることが、一日も早く上げることが景気対策になるんですよ、しかも政府の言われる三・三%成長、半ば国際的公約的にもなっている、そういうところを目指していくんだということが強調されていた。そして今またこれをやったら三・三%成長だ、こういうことになると、一体じゃ政府は見通しが本当にそれでよかったのか、あるいは政府よりも何よりも、この国会で我々自身が当初予算の審議、一体何をお前らやっておったのか、こういうことに実はなるわけであります。  そういった意味から言えば、そこら辺の見通しに狂いが生じた場合は、率直にその点は認めて、そして次の対策に向けての理解を得るという方向が私は望ましいんではないかというふうに思っておりますし、審議を通じてただすべきところがあればただしていく、こういう真摯な対応が求められているんではないかな、こういうふうに思っているわけであります。  この「総合的な経済対策の推進」、これを読んでみましたが、そういうことも全然触れられておりませんし、何とかこの事業規模で景気のこれから足取りを確実なものにしていきたい、こういうことで触れられているだけであります。  こういった一つの手法、あり方、国会審議との関係等々について、まず、今回のこの総合経済対策の位置づけを含めて所見を賜りたいと思います。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 後で事務当局から御説明はさせますけれども、昨年夏に総合経済対策を出しまして景気対策をやろう、こういうことでありました。国会の都合もありましてちょっと始まるのがおくれちゃったんですけれども、とにかく昨年の暮れには補正予算を通していただきまして、新しい方向づけをいたしました。昨年の十二月には平成五年度の予算案、景気を配慮したところの予算案をこういったことで出しまして、一月来国会に御審議をお願いしまして、国会の大変な御努力で三月三十一日の日には二十二年ぶりで年度内成立ということにしていただきました。  そうしたことでありまして、私どもは常に景気をどうやっていくか、こういうのが一つの大きな考え方であったわけであります。昨年十二月に予算を編成し、一月に出したときにおきましては、そのときの経済情勢を勘案いたしまして景気に対しましては十分に配慮してやる、そのときの最善の施策を盛り込んだものだと考えているところであります。  しかしながら、その後の状況を見ますと、景気の動向につきましてはまだ、今でこそ回復の兆しは見えておりますけれども、なかなかの問題であるということがありました。また、国会でのいろんな御議論におきましてもそういうふうな御指摘もあったところでありまして、正直申しまして、依然として景気の先行きについてははっきりしたものがまだ私は確実なものとは言えない。  そういったことで、その足取りを確実なものにするために予算成立後直ちに、余り時日を置かずというのは全く異例のことだとは思いますけれども、早さにこしたことはないだろう、こう思いまして、総合的な経済政策を出していくことが必要であろう、こう判断をしたところでございます。そのために新たな予算措置もやっていかなければならないという形で、今国会におきまして補正予算案をお願いするように現在作業を急いでおるところでございます。  先生から御指摘のようなこともありますけれども、やはり日本経済が持続的な好ましい成長路線へ向かっていくように私たちも最大限の努力をいたしたい、そうしたことが今回の新経済政策の基本的な考えであるということについて御理解を賜りたい、こう思う次第でございます。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) ただいまの大臣からのお話でほとんど尽きておるわけでございますけれども、あえてつけ加えさせていただきますと、平成五年度予算、これは大変厳しい税収動向、財政事情のもとで、私どもといたしましては既存の制度や歳出の徹底した見直しに取り組みまして、何とか内需中心の持続的な成長を図るための最善の施策を盛り込みたいということで努力したつもり でございます。  ただ、大臣から詳しくお話がありましたとおり、ごく最近の景気状況というものを見ますと、回復の兆しを示す動きが少しずつあらわれてきているとは思いますけれども、やはり四年度の補正の成立が昨年暮れになったこと等々いろいろございまして、景気の先行きがいまだ予断を許さない状況にある、これは率直に言ってそういう状況にあるというふうに考えるわけでございます。  こうしたことから、政府といたしましては、今後の景気の足取りを一層確かなものとするために、予算成立直後という極めて異例の時期ではございますけれども、総合的な経済対策を策定した次第でございます。  現在、この総合経済対策を実施するための予算措置につきまして、鋭意予算編成作業を急いでいるところでございます。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 今それぞれ御答弁をいただきました。今度の新総合経済対策についての考え方というものを今お示しをいただいたんですが、私はこの中身そのものについてはまた後で質問もしたいと思っておりますが、それに入る前提の考え方として、こういった予算の審議、さらには補正予算、これからまた審議をするということになろうと思いますが、一つの節度をきちっと踏まえてこれからやらないと、ずるずるずるずる、何とかもうとにかく政府見通しを達成する、あるいは景気を回復するためにはその辺はいいんだというようなことが行われていったんではおかしいではないかということを一言申し上げたかったわけであります。本当にいろんな状況の変化というのは現実にこれはあるわけですから、その点は十分これからしっかり踏まえて弾力的に対応していくということがあってもいいんじゃないかという気がしますので、そういうことも踏まえてひとつ対応方よろしくお願いを申し上げたいと思っております。  それから、午前中もちょっとお話が出ておりましたけれども、今回のこの十三兆二千億円の対策でもっていわゆるGNP二・六%押し上げの効果があるんだということでありますけれども、その根拠をお示しいただきたい。経企庁の方、済みませんが、よろしく。

柳沢勝経済企画庁調整局審議官

○政府委員(柳沢勝君) 先生のお尋ねの今回の総合対策の効果でございますけれども、今回の対策の効果につきましては、今後補正予算作成過程におきまして具体的内容をさらに確定する必要がある項目がございますとか、あるいはもともと定量化になじまないといった項目もあるということもございますので、具体的定量的に経済対策の効果というものをお示しすることは決して容易なことではないわけでございます。  ただ、今回の史上最大の規模ということで決められました新総合対策の総規模は、十三兆二千億ということになってございます。これは、平成四年度名目GNP実績見込み額、四百七十二兆円でございますけれども、と比較いたしますと約二・八%に当たるものでございまして、波及効果等も考えますと、その効果は相当大きなものであるというふうに考えることができるわけでございます。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 それはわかるんですよ。二・八%に当たるし、効果もあるだろう。  去年も、十兆七千億円やったときに、これでGNP押し上げ効果二・四%、今回はこれ出されて二・六%、こうはじかれているわけですよね。その根拠を示してください、こう言っておるんです。

柳沢勝経済企画庁調整局審議官

○政府委員(柳沢勝君) 今回の対策の規模の約十三兆二千億のうち、いわゆる有効需要の追加をもたらす具体的な公的支出というものの事業規模を算定いたしますと、約十三兆五百億になります。その十三兆五百億をベースにいたしまして、GNPの効果を測定する場合に、GNPにはもともと含まれておりません用地費等を差し引きまして、また投入産出関係などのいわゆる乗数効果等の波及効果を考慮いたしまして計算いたしますと、そしておおむね一年間の効果ということで算定いたしますと、名目GNPの約二・六%程度に相当するというふうに試算しているところでございます。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 具体的に組まれておりますね、十三兆二千億円。その中でいわゆる有効需要にはね返っていく、いわゆる真水ということで午前中もちょっとお話がありましたが、ある程度のやっぱり基礎が出てきて、それに言われるような乗数効果、それを見て大体この程度の数字が出てくるというはじき方をされるわけでしょう。だから、それを聞いているんですよ。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 午前中、当委員会での御議論もございましたように、いわゆる真水論というのはなかなか定義が難しいし、人によってその言われている内容が違うということで、私どもがいわゆる景気に対する影響ということを考えます場合には、今御議論ございましたように、最終需要に影響を与えるものということでカウントすべきものだと考えているわけであります。  それで、今お話がございました二・六%というのは、実は、昨年の総合経済対策、十兆七千億円の場合と同じような計算をするという前提で議論をいたしまして計算をいたしますと、そのベースになりますものが十三兆五百億円でございます。これは今回の対策に盛り込まれております公共投資等に政府関係金融機関等の数字を加えましたものということで、これが昨年の十兆七千億円に見合う数字でございます。  そこから最終需要に結びつかないもの、例えば用地費とかあるいは中小企業関係の政府関係金融機関の融資がございますが、そのうち運転資金に該当するものにつきましては、これは最終需要に結びつかないということで、そういったものを差し引いて、その差し引いたものに、先ほど経企庁からお話がございましたけれども、乗数を掛けて二・六%という計算をしたということになるわけでございます。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 したがいまして、十三兆五百億円、これから乗数効果の分を逆算をしていくと大体八兆幾らということに恐らくなるんだろうと思うわけでありますが、午前中もちょっとお話がありましたが、去年以降景気のいろいろ対策、今度で言ってみれば三次にわたるわけでありますが、なかなか効果が目に見えて出てこない。  これは海外からも含めてそうなんでありますが、要するに一体どれだけ効果があるのか、それが知りたい。こういう気持ちがいろんな批判となって、どうもあれは見せかけばっかりが多いんじゃないか、真水というのはどこまでを言うのか定義をという話がありましたが、真水の水増しが行われておるんじゃないかというような話まで実は出ておるわけであります。  ここのところはやっぱり明確にといいますか、政府の立場は立場としてわかりますよ。だから政府の立場として、これとこれを積み上げていってこれに乗数を掛ければこういうことになりますから、今年度の実質見込み額四百七十二兆円に対して二・六%になるんですよということをきちっと示していかないと、私は、定義は難しい、これは余り意味がない、混乱をもたらすだけだというようなことだけで終わったんでは、じゃ一体どういうことになるんだということになりますので、この辺はしっかり明らかにして、そして今度のこの対策に全力を挙げるということで理解を得る努力をするべきであるというふうに私は考えております。  そういった意味でその点についてお伺いをしたわけでありまして、先ほどの話じゃありませんが、今回、これを通じて三・三%の実質成長達成可能という判断になっておられると思うんでありますが、去年来の十兆七千億円の場合の波及効果二・四、そして今回の二・六、これと、向こう一年間の話でありますが、実質三・三%達成可能と言われるいわゆる背景といいますか、その基本的な認識、これについて、可能と言われる自信の背景をひとつ御説明いただきたいと思います。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 先ほど経済企画庁から御説明がありましたように、二・六%というのは、この対策が実行に移されてから今後一年間のいわばGNPを押し上げる効果がこれだけあるではないかという試算でございます。  それで、まず一点最初に申し上げておきたいのは、実は先ほど主計局から御答弁がありましたけれども、昨年の十兆七千億円のいわば経済対策の実行を実際移す補正予算が十二月になってから成立させていただいたということで、実際に昨年の公共投資の流れを見てみますと、例えば公共工事請負金額の統計で見てみますと、昨年の十一月、十二月ごろというのは実は公共工事の進捗状況は若干中だるみの状況があったことは否めないわけであります。それがこの統計で見ましても、一月以降は前年に比べて二割あるいは三割の勢いで伸びているということになるわけでございます。したがいまして、昨年の十兆七千億円のいわば経済対策の効果というものは、かなりの部分が本年一月以降にずれ込んで出てきているということも言えるわけでございます。  そのほかに、先ほど申し上げたように、景気に配慮した今年度の予算を年度内に成立させていただいて、これは現実にもう動き出している。さらに、今回の経済対策による効果というものが、これができるだけ早く効果が出てくるように、特に今回の経済対策は、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、いわば予算成立直後の極めて異例な姿ではございますが、現在の景気の流れから見まして、現在いわば割合横ばい状態を続けているような景気をさらに年度後半に向けて押し上げていく。  そういう意味では今回の経済対策の一番の目的といいますのは、早期に決定し早期に実施をする、それによってその効果が年度後半に向けての回復を確かなものにし、いわば先般の経済見通しに沿った、想定をした成長路線というものをその後盛り上げていくだろうというふうに考えているわけであります。いわばそういう意味で切れ目のない公共投資の執行というものが可能になってきているということが非常に大きなインパクトを与えるだろうというふうに考えているわけでございます。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 今くしくもおっしゃいましたが、ここのところずっと政府は、我が国経済を内需を中心とするインフレなき持続可能な成長路線へ円滑に移行させていく、これが一つの大目標になっているわけでありまして、三・三%成長、そのこともそこに置かれて出てきているんだろうし、何とか切れ目のない執行をやっていく中で達成をしたい、こういう気持ちだというふうに今受けとめさせていただきます。  ただ、仮に三・三%を達成するにしても、これはことしの初めに政府の見通しを出されたわけでありますが、政府見通しで三・三%仮に達成するとしても、いわゆる内需で三・四、外需がマイナス〇・一、したがって三・三、こういうことに実はなっているんですね。  つい先般、経企庁の方からいわゆるQE、これは宮澤さんもよく使われるわけでありますが、去年の第三・四半期、十-十二月、これが出ております。これは前期比で確かに〇・一ふえておるんですが、問題は外需が〇・六伸びております。内需はマイナス〇・五、それで差し引き〇・一六プラス、こういうことになっております。ずっとこれはいろいろ貿易摩擦等々指摘をされておるわけでありますが、外需がやっぱり主導して引っ張っていくというパターンがいみじくもここにも出ているわけであります。  これでずっと平成五年度いきますと、ことしに入ってまた少し状況が変わってくるのかもしれませんけれども、これでは本当に内需主導型の経済で三・三%達成、確かに三・三%を達成できるかもしらぬけれども、今の少なくとも現状でいけば、どうもこれは外需主導型、そのまた指標がいみじくも示されておるというふうに私自身は受けとめているわけであります。  この点について、外需主導でやったんじゃこれまた大変な問題になりますし、とりわけ内需が不振を極めておる。これはもう言うまでもなく、今までいろいろ例の所得税減税の問題も議論されてまいりました。消費が非常に落ち込んで、まだ依然として厳しい状況が続いております。ここのところは、やはり内需を拡大をしていくという基本原則をしっかり章ちっと頭に入れた対策というものが改めて今求められているんではないか。  何か百貨店売り上げも三月は過去最悪、前年同月比一一・四%減、こういうこともつい先般報道されております。内需が振るわない。このままいくと、今回も公共投資、公共事業中心に組まれているわけでありますが、そこの最終需要といいますか、民間設備投資を含めてこういった内需がなかなか盛り上がってこない。しかも、加えて円高の最近の動き等々出てきた場合に、場合によっては本当に予断を許さない状況だというふうに思います。  したがって、内需を中心にしたこれからのいわゆる経済の運営、これについて、三・三%成長は確かに見通しとして掲げておられますが、問題は中身がどういう形でこの成長が続けていけるのかということでありますから、そういった内需を中心にした政策に向けての今後の考え方というものをお示しをいただきたい、こう思っております。

柳沢勝経済企画庁調整局審議官

○政府委員(柳沢勝君) 先生御指摘のように、当面日本経済の内需が低迷いたしておりまして、外需がプラスということで、見かけ上外需が日本経済を引っ張っておるという状況にあることは、残念ながらそのとおりだと存じます。しかしながら、国内需要の中身を見ますと、公的需要というものがかなりプラスに寄与しておりまして、先生御指摘のとおり、個人消費支出に代表されます国内民間需要というものが極めて低迷しているということが、現在の実情でございます。  このような状況の中におきまして、当面、一部には例えば新車登録台数の動きでございますとか、あるいは住宅着工戸数の動きでございますとか等に一部明るい動きも見えてきているわけでございます。また、マネーサプライ等におきましても、長い間低迷を続けておりましたけれども、どうやら底を打ってきたという兆候が見えてきていると思います。しかしながら、個人消費支出につきましては、先生御指摘のとおり、百貨店販売額に代表されますように、依然として低迷を続けているというのが残念ながら実情でございます。  しかしながら、こういった一部に明るい足取りが見られるものを踏まえまして、こうした景気の足取りをより確実なものにする、そして内需を中心としたインフレなき持続可能な成長過程に移行させるということのために、今般新しい総合経済対策をとったわけでございます。この結果、内需主導型の経済成長に移行していくということを私どもは強く確信しておるわけでございますけれども、ややその移行過程につきましての見解を申し述べさせていただきたいと存じます。  当面、先ほど大蔵省の方から御説明ございましたように、昨年度の総合経済対策というものが今年度に持ち越されているというものも含めまして、今回の新しい総合経済対策の効果と相まちまして、年度前半というものはかなり公共事業及び住宅投資というものによって景気が下支えされるということが続くと存じます。こうした経済対策の効果というものが徐々に浸透していくということを通じまして、個人消費支出あるいは民間設備投資というものも年度後半には緩やかながら回復を示すものというふうに考えております。  先生御指摘のとおり、個人消費支出につきましては、さまざまな要因がこの低迷の原因になっております。例えば長期にわたる生産調整、在庫調整によります所得額の低迷でございますとか、あるいは家計におきます耐久消費財のストック調整といったものがございます。なお、それに加えまして、いわゆる資産価格の低下によりますデフレ効果といったようなものとか、あるいは先行きの雇用不安というものが消費性向を引き下げ、消費態度を抑制的にしているといったことがあったわけでございます。しかしながら、今般政府がとりました新しい総合経済対策の効果によりまして雇用不安というものが払拭され、先行きの不透明感がなくなりますことによりまして家計の消費に対する態度も徐々に明るいものに変わってくるだろうということが考えられるわけでございます。  こうしたことと相まちまして、先ほど御説明いたしましたように、年度後半には個人消費支出あるいは民間設備投資等国内の民間需要につきましても徐々に緩やかながら回復を示すものということが考えられまして、結果といたしまして政府の経済見通し三・三%は達成可能なものであるというふうに考えている次第でございます。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 そういうことで、見通しが示されたということで承りたいと思います。  先ほども申し上げましたが、ここに来て大変な円高がもう一つ心配材料として出てきております。クリントン発言を契機に、言ったとか言わないとかいろいろ言われておりますが、いずれにしても現実に円高が急激に進行しておるということはもう間違いがないわけであります。大臣も適時適切に対処したい、こういうことを新聞等報道で述べておられるようでありますが、これからまた四月末のG7、蔵相・中央銀行総裁会議、これも行われる。  いろんな報道等によれば、欧米諸国はむしろ円高歓迎というような雰囲気、空気がマスコミ等によって伝えられておるわけであります。こうした中で、協調介入に向けて何とかやっていきたいというようなことも述べておられるようでありますが、この円高の影響をどう受けとめられて、これからどのように対処されようとしておるのか、これについてお尋ねをしたいと思います。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 山田委員御指摘のように、クリントン発言が日米首脳会談後の記者会見で突然に出たわけでございまして、これを材料にいたしまして思惑的に円が買い進まれているということも事実であります。  我々といたしましては、そもそも為替相場というのはファンダメンタルズを反映して安定的に推移していくことが望ましい、こう考えておるところでありまして、こうした考え方というのは私はG7各国の共通認識に今までなってきたところだと思っているんです。為替相場が思惑によりまして短期間のうちに大きく変動するということは、また不安定な形で動いていくというのは決して好ましいことじゃありません。これはもちろん日本の景気に対してこうした急激な変動が輸出を中心にして悪影響を及ぼすということがあることは事実でありますけれども、単に日本だけの問題じゃなくて、世界全体の経済の運営のためにも私はよろしくないことだ、こう思っておりますし、私どもといたしましては適時適切に対処していかなければならない、為替相場め安定を図っていくことが一番必要だ、こう申し上げておるところであります。  もちろん、G7各国ともいろいろな話し合いはそれぞれやっておりますけれども、私がここで介入しましょうとかなんとかと言うことは、大変市場が敏感になっておりますから、そういったことを私の口から言うのはこの際ぜひ控えさせていただきたい。いたずらなる刺激を与えていたずらなる変化を起こすというのは好ましくないことだと私は思っているわけでありまして、先ほど申し上げましたような形でぜひやっていきたい。また、今後のG7各国に対する対応もそういうふうな形でやっていかなければならない、こう思っているところでございます。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 G7を控えて非常に微妙な段階、しかも円高。せっかくの内需拡大、景気回復に下手すれば水をかけられることになるし、今いろいろ御説明いただいたけれども、この総合経済対策の効果を打ち消しかねないという状況だってあるわけですから、これ以上私もこの点については申し上げようとは思いませんが、全体の状況をにらみながらしっかり誤りのない対応をぜひお願いを申し上げておきたい、こう思っております。  もう一点、実は今度の対策の中で「社会資本整備の新たな展開」ということで、新社会資本整備ということでいろいろこれまでも新聞等でにぎやかに打ち出されておりまして、先般もそのことについて若干ここでも議論をした経過があるわけでありますが、今回こういう形で新しい一つのコンセプトといいますか、そういうものが盛り込まれることになった。  それはそれでわかるんでありますが、私が申し上げたかったのは、こういう問題は、今景気対策という一つの時期をつかまえて、それはそれでもやむを得ぬと思うのでありますが、今回の対策を打つにしても、やはり中長期的な視点に立って、そういったことも一方で視野に入れながら日本の経済構造全体をこれから内需主導型に転換をさせていく、こういう観点からの社会資本整備のあり方というものを我々は考えていくべきではないだろうかという問題で実はこの前も若干提起をさせていただいたわけであります。どうも今回はそうじゃなしに、何とか赤字国債の発行を避けたい、建設国債の事業対象を何とか拡大をしたいというようなところから出てきたような経過があるわけであります。  いずれにしても、今回こういう形で新しいコンセプトが入ってきた。しかも総理は、自民党が総合経済対策をまとめられたときに、こういったことについても十分重要視してこれから対処していきたい、九四年度、来年度の予算編成に当たっても重視をして対処していきたい、こういうことが述べられておるようであります。  そういうことになりますと、いろんな方法は考えられると思うのでありますが、そのことに対する一つは大臣の見解と、それからもう一つは、具体的に九四年度予算で重視をしていくということになれば、今までいろいろ公共事業等々含めて事業配分が分野別に固定化してきてなかなか弾力化してこないというようなことで、改めてそういった事業分野の見直しをしながらこういう問題を取り入れていこうとされるのか。あるいはまた、今生活関連重点化枠みたいな形で別枠で措置をするというような方法も出てきております。別枠で対処していくという方法だってあると思うのでありますが、これから重視をして対処していくという前提に立つならば、どういった方向が考えられるのか、大臣の見解と、それからいわゆる新社会資本整備といいますか、そういうものに対する予算上の対応のあり方についての見解をお願いをいたします。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 私から山田議員の御質問につきまして基本的な物の考え方をお話し申し上げ、あと予算編成上の技術的な話とかどういうふうなものが出てくるとかといったような話につきましては事務当局の方からお答えをさせたい、こう思います。  今お話がございましたように、中長期的な観点というのは私は必要なことだと思いますし、まさにこれをやっていかなければならない。日本が来るであろう高齢化社会に対してどう備えていくか、社会経済情勢の変化というものがありますから、それがゆえにこそ生活大国五カ年計画というものをつくったわけでもあります。そうした生活大国の実現を目指すという観点から今までも社会資本整備の推進には取り組んできたところでございますが、今後もそういったことを中心といたしまして、また今までありました公共投資基本計画等に示された考え方等がございますので、そういった中で適切に社会資本の整備充実を図ってまいりたい、こういうふうに思っているところであります。  基本的に申しまして、社会資本整備というものは非常に固定的な話ではないと思うんです。かつての時代には、社会資本の整備というと道路をつくることである、あるいは港湾をつくるということである。もう一つ言いますと、山田さん御記憶にあるかどうか知りませんけれども、石炭山をやることだとかいうような話も昔はあったわけですね。もう今やそんなものは何もなくなった。時代の変遷に応じまして私は変わってきているところだろうと思っています。そうした中でどういうふうにしてやっていくかというのは、すぐれてこれから我々が考えていかなければならない話だ、こう思っております。  新社会資本整備というようなことがいろいろと言われておりますけれども、これは、新社会資本整備というのがあったら、それじゃそれ以外は旧社会資本整備なのかねと、こういうふうな議論にもなるわけでありまして、必ずしもそういったところが具体的な内容として固まっているわけではありません。そういった正確な定義もありませんが、物の考え方としては、今私が申し上げましたように、将来へ向かっての中長期的な展望を抱きながら、そうした中で社会資本の整備を図っていかなければならない。しかも、その原則というのはやはり財政法四条に基づくところのいろんな物の考え方、この考え方を基本に置きましてやっていかなければならないものだろうと思っておるところであります。  具体的な話は事務当局の方から説明させます。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) 新社会資本という言葉の定義がいかに難しいかということにつきまして、今大臣からお話があったとおりでございます。要は、情報化とか高齢化とかいったような社会経済情勢の変化に対応してこれからの社会資本を整備していくという考え方が重要であろう。したがいまして、新社会資本というその対象物が何かというような話は余り意味はないのではないかというふうに考えるわけでございます。  そういうことで、今回の補正の際には、景気対策ということでございますので、そういう新しい方向に向かって考えつつも、やはり効果が直接的かつ速効的に及ぶようなものというのが景気対策としてやる場合には必要になるだろうというふうに考えまして、今回の追加対策を行ったわけでございます。御承知のとおり、生活大国五カ年計画等でもそういう方向性が出されておりますので、その基本的考え方に立って取り進めたわけでございます。  さらに、お尋ねの点は、来年度予算編成等に当たりましてこういう考え方をどのように生かしていくのかというような趣旨のお尋ねがございました。  ただいま申し上げましたとおり、新社会資本というものの具体的内容が明確とは言いがたいわけでございますので、また正確な定義も行うことができませんので、例えば六年度のシーリングにおいてどういうふうに扱うのかといったようなことを考えた場合には、私どもは概算要求基準というものを決める場合、各省の要求というのはその総枠の中で最も緊要性のある施策を、優先度の高いものを要求していただくということでございますので、そういうものが当然入ってくるとは思いますけれども、新社会資本整備だからといって特別な枠を設けるといったようなことはできないであろうというふうに考えておるわけでございます。  もちろん、今申し上げましたようなそういう社会資本整備に重点的に対応していく、これは必要であろうということを考えておるわけでございます。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 時間が余りありませんので、対ロシア支援の関係について次にお尋ねをしたいと思います。  この前の十四、十五日に外相・蔵相会議が開催をされ、大蔵大臣もその重要な責任を果たされたところでありまして、これから月末のまたG7の会議、七月のサミットに向けてこの対日支援が一つの大きな課題に実はなっているわけであります。  どうも、いろいろ新聞等を見ていますと、つい先般の追加支援を決めて以降、いや政経不可分はもうやめた、いや拡大均衡でいくんだというようなことで外務大臣と官房長官の談話がくるくる変わったり、全く一体どうなっているんだろうというような状況が出ております。  おとといですか、政府が統一見解を出して、政経不可分の延長としての拡大均衡と、わけのわからぬような話でありますが、ということで、とにかく政経不可分とも拡大均衡とも言わないというような一連のこういった対日支援をめぐる腰がきちっと据わっていない政府の今の対応の仕方、これはもう冷戦が終わったこの時代に、まさにこれからの対日支援のあり方についての基本的な理念といいますか政府としてのスタンスといいますか、こういうものが背景にきちっとないからこういう状況を招いているんだというふうに私は思うわけであります。  特に欧米各国、かなり積極的に対日支援やれというような声も高まってきておる。日本は、そうは言いながらも確かについこの前まではソ連脅威論というのがあったわけですし、それから北方領土の問題、去年はエリツィンさんが来ると言っておって来ぬようになったというようなこともこれあり、決していい感情でないというのも理解はできる。ただ、今世界が大きく動いていこうというときに、感情論でこういう問題を取り扱っていくということには私はならぬ。アメリカあたりも、クリントン氏は明確にロシア支援はそのままアメリカの将来に対する投資だ、こうきちっと割り切ってやるんだと。アメリカの中でもかなりロシア支援に対しては異論があるやに実は聞いていたわけでありますが、それはそれとして、ぴしっと対日支援の基本方針というものを示している。  日本にとって一体じゃ対日支援はどういう意味を持つのか、対日支援というものをどう位置づけていくのか、これはやっぱりきちっと位置づけをして、これから新しい冷戦後の時代、しかもロシアがいろんな意味で苦労しながら今日市場経済に向けて動き出そうという、苦難のまさに真っただ中にあるわけであります。こういったところで支援の問題が出ている。その中で日本はどう対処していくのか、これは大臣としても先般重要な会議を取り仕切ってこられたわけでありまして、その意味でまず大臣の基本認識をお尋ねいたしたい、こう思います。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) G7でこの前ロシアを呼びましていろいろ話をいたしました。昨年のミュンヘン・サミットでもいろいろ対日支援というものがあったわけでありますが、私は、ロシアというのが市場経済へ移行する。これはロシア革命から七十年たっているわけですね。新しい時代になってきた。冷戦が終わったというよりも、ロシアにおきましても私は大革命だろう、こう思うんです。  山田さんも山口県でありますから申し上げますが、明治維新とかそういったときに匹敵するぐらいのロシアの国内においては大革命だったんだろうと思うんです。明治維新のときはうまくいった。  もう一つ言いますと、戦後日本が敗戦から立ち上がるときの状況に私は似ていたんじゃないかなと思うんです。  今までの既存の価値体系を全部ひっくり返して新しい価値体系にしていかなければならない。会社がないのに、今から市場経済に持っていくというのは並み大抵の話じゃないんですね。去年の暮れにはなかったですけれども、場合によったら飢餓がでるかもしれない、物がなくなってどうなるかわからないというようなことが言われた事態です。しかも、インフレーションは物すごく進んできた。そういった中でロシアが自由主義体制の中の国の一つに入っていって体制をつくっていくということは、私は基本的に必要なことである。  ほっておいたら、またおかしな国になったら非常に困る。これは私は西側の国がみんな考えてやらなければならないことでありまして、日本とロシアとの関係はまず置いておいて、そういった物の考え方で、人道的な立場においても私はやっていかなければならない。医薬品を出しましたり、食糧援助をいたしましたり、そういったようなことはまずやっていかなくちゃならぬでしょう。また、新しい体制をつくるわけでありますから、経営というのはわからぬから、中小企業もどんなことをやってよろしいか、人道援助もやっていかなくちゃならないでしょう、技術交流もやっていかなくちゃなりませんでしょう。  そういった形で、基本的なところをまずやっていこう、こういうのが今回の援助であったわけでありまして、私はそういった基本的な体制をまずロシア側がつくり上げていくということをやって、それからあといろんなロシアとの関係、これから拡大をしていかなくちゃなりません。政経不可分ということもあるでしょう。そういったようなことをこれからいろいろ考えてやる。  まず大前提を私はつくる。それがアメリカにとりましてもヨーロッパの諸国にとりましても必要なことだろう、こういうふうな形で私は会議に取り組んだところでありますし、また大体ヨーロッパ諸国もそういったことについての共通な認識は持ってもらったところだろうと思っております。  そうした意味で、包括的なロシア支援策をG7各国が協調してやったということは私は大変な成果ではなかったかな。自画自賛するようでありますけれども、そういうことを思っていますし、これがロシアのこれからの経済改革に大いに役立ってもらうものだと確信をしておるところでございます。  日本も及ばずながらの二国間の援助というものをいたしました。しかしながら、大きなところは多国間でIMFや世銀を中心にしてまとめていったというところが一番大きなところでありますし、これは大体の基本枠をつくったわけでございますから、七月に行われる東京のサミットにおきましてさらに具体的な方向づけをやっていくものだろう、こういうふうに考えておるところでございます。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 外務省の方。  今回、十八億二千万ドルですか、追加支援策がとられておるようでありますが、その中でも十一億ドルがエネルギー産業再建向け貿易保険、こういうことになっておるんですね。貿易保険は結局貿易なり事業が動いて初めて金がついてくるということなんですが、実際には、これだけの支援策が効果をもたらしめる、そのためにはやはりそれを可能にするロシアの自助努力というものがもちろん大前提でなければいかぬ、こういうふうには思いますが、同時にそれを生かしていく、いろんな中小企業の話もありました、金融あるいは経済運営、こういった面でのいわゆる実務者ベースでのかなり連携のとれた人材交流といいますか、そういうものもやはり求められているんではないか。かなり積極的に欧米の方は実際にもう現地で支援に取り組んでいるというようなことも伝えられておりますが、なかなか日本の場合はそういう体制ができ上がっていない、これは事実だろうというふうに思っております。  今までが今まででありましただけに、特に極東なんかで言えば、今までナホトカにあった領事館を今度はウラジオとハバロフスクですか、ここに設置をしていくということがついこの前決まったというふうに記憶しておりますが、いずれにしても、今のロシアの状況を見てもいろいろ大統領と議会あるいは地方、それぞれが対立をしておるというような状況もかなり出ておりまして、それぞれの地方が独自に、例えばソ連崩壊、十五独立共和国それぞれの国がそれぞれのみずからの対外政策みたいなものを展開しながらやっていくというような動きも今出ておる。  一体こういう状況をきちっと日本として本当に把握できているんだろうか。今までややもすればモスクワを中心にかなりいろんなチャンネルがつくり上げられてきた。今これだけ動いておる。ああいう状況の中で実情が本当に把握でき、しかもいろんな情報なり、人材、人的な交流の基盤というものができ上がっているんだろうか。そういうものがあって初めて金の効果が生きてくるんではないかなという気が実はしておるわけでありまして、そういった点について一体どういう実情になっていて、これからの支援、そういうものに当たるに当たってそういう交流を深めての対応をどうされようとしておるのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。

小町恭士外務省欧亜局ロシア課長

○説明員(小町恭士君) ただいま先生の方から御指摘いただいた点につきましてお答えしたいと思います。  今回の大蔵大臣から御発表いただきました十八・二億ドルの二国間支援の中には、今先生御指摘の十一億ドルの貿易保険等も入っております。ただ、こういった支援策をまとめるに当たりまして、総理が開会式の演説で申されましたとおり、かつまた先生が今御指摘になりましたように、あくまでロシアの改革というのはロシア自身の自助努力がまず第一にあるということは、総理自身も明確におっしゃいましたし、今回の閣僚会議の参加者全体の共通の認識でございました。  それを踏まえまして、ロシアが改革に向かって進んでいくための今先生御指摘の実務者レベルのいろんな人の動きというものを拡大していかなくてはいけないということで、今回の日本側が発表しました支援策の中にも、技術支援ということで一・二億ドルの項目があるわけでございます。  実務者レベルの交流ということに関しましては、例えば今ロシアで大変大きく不足しております財政金融分野での専門家の交流等につきましては、大蔵省等の御協力を得まして、例えば平成四年度で二十名近くの人を受け入れて研修等に励んでもらっておりますし、そういった分野の協力を拡大してきております。平成五年度予算におきましても、この種予算は、外務省につきましては四億四千万ございますけれども、これは平成三年度に比べまして大幅な増額を認めていただいているわけでございます。  それから、今先生御指摘の大使館及び総領事館の実施体制でございます。御指摘のとおり、今までソ連時代には閉鎖地域であったために、例えば極東におきましてはナホトカにしか総領事館が設置できておりませんでした。ただ、今般の、最近のロシアの開放化に伴いまして、今年度予算の中で、ことしの夏ぐらいをめどにナホトカからウラジオストクに総領事館を移し、かつまたハバロフスクというもう一つの極東の拠点に総領事館を開くべく今準備中でございます。  また、モスクワの大使館だけではなくて、旧ソ連邦の加盟国が独立しました関係で、補正予算によって認められましたウクライナ、カザフスタン、ウズベキスタンに大使館を一月の末に開設いたしましたし、またベラルーシには駐在官事務所を開設するなど、鋭意そういった体制を整えてきておりますし、これからも努力していきたいと思っております。  先生御指摘の大統領と議会の対立の中、これは今度の日曜日の国民投票によってある程度結果は出てくると思いますけれども、ロシアの中で地方の自主性が拡大している、そういう状況も踏まえまして、今の総領事館の設置等を通じまして、極東の地方との交流拡大もさらに充実していきたいというふうに思っております。  最後に、ロシアの改革に当たっては、とにかく先生御指摘のように自助努力がまず第一でございますし、そのための実務者ベースの交流ということにこれからも努力していきたいと思います。

山田健一日本社会党・護憲民主連合

○山田健一君 もう二分ですから、最後に私の方から要望を申し上げておきたいと思います。  今極東の話も出ましたが、支援のあり方として、特に地理的にも非常に日本と近接し、歴史的にも因縁深い極東ですね、サハリンまで含んでもいいかと思いますが、今国内においても日本海を中心にしたいわゆる環日本海構想というようなものがいろいろ自治体あるいは民間、何か経企庁も去年調査報告をまとめられたようでありますが、そういう形で一体となって日本海を平和の海にしていこう、こういう構想が練られております。そういった意味では、極東を中心に、そういう民間なり地方自治体が場合によっては積極的にこれを支援をしていくという体制が私はあってもいいんじゃないかな、こういう気がします。  特にそういった場合に、先般から出ておりますようないわゆる放射性廃棄物の海洋投棄の問題、これは時間がありませんから聞きませんが、外務省も毅然として対処していく。こういうものをきちっとやりながら、今回も核兵器廃棄の協力一億ドルが含まれております。被爆国日本として、こういったものに積極的に協力していくというのは大変意義があることだと思いますが、やはりその大前提は、本当に恐ろしいことでありますが、そういった今日まで海洋投棄がずっと続けられて行われてきた。どうもまだ続くような話もいろいろ 聞いておりますが、これはぴしっと対応してもらわなければいけない。その上に立ってそういう支援をしていくという基本姿勢を確認をぜひお願いしたい。  以上で終わります。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 今の核の海洋投棄の問題につきましては、共同声明の中でもはっきりとその問題を書いておりまして、ロシア側にも十分言っております。また、コズィレフ外相が武藤外務大臣に来られたときにも武藤さんからその話はされたと、こういうことでやっておりますし、金の問題も、そういった金をつけてありますから、ロシア側とこれから事務的に話をして、ぜひやっていかなくちゃならない。  そういった意味で、私はいろんな関係でこれを基礎にしまして、さっき話がありました環日本海というような話、単に政府だけの交渉ではなくて、民間的なつながり合いというのをロシアと持っていくということは、将来のお互いの発展のためには非常に大切なことだろう、こう思いますし、いろんな角度から日ロの関係の改善に努めていかなければならない、こう思っておるところでございます。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 私も今回の新総合経済対策を取り上げて御質問してまいりたいと思いますが、私は、景気対策としての効果だけでなしに、中長期的視点に立って今後の経済、財政運営にどういう影響を与えるのか、こういった点も取り上げて私の意見を述べさせていただきながら大臣のお考えをお聞きしてまいりたい、こういうふうに思っております。  ただ、午前中楢崎委員、志苫委員、そして今山田委員がそれぞれこの問題について御質問になりましたので、質問の内容が若干重複するところがございますけれども、御了承いただきたい、こういうふうに思います。  最初にお聞きしたいのは、三月に入りましてから、先ほどからいろいろお話が出ておりますように、幾つかの経済指標について新しい動きが見られるようになりました。多分、この動きを評価されながら今回の新総合経済対策をおつくりになったと思うんです。  ただ、その動きの中には、プラスの面だけじゃなくてマイナスもあるわけでございます。プラスとしては、株価の上昇、それからマネーサプライのこれまでのマイナスの伸びがようやくとまったというふうなこともございます。また、自動車の販売台数も少し伸びてきている、こういったこともあるわけでございます。しかし、マイナス面としては円高の進行がある。それから、先ほど山田委員もおっしゃいましたように百貨店の売上高の低下もまだ続いている。そして、在庫調整がかなり進んだというふうに言われておるんですけれども、なかなかそれが新しい投資につながってこない、そういった面もあるわけです。  いわば、景気の回復を占う場合に、こういった指標というのは非常にまだらな模様絵をなしているわけでございますが、どちらかというと、先ほどのいろいろな御意見を聞いておりますと、プラス面にかなりの評価をされたような、そういった上で対策を立てられたように思うのでございますけれども、改めて、こういった動きに対してどのような評価をなされ、そしてそれが対策を立てられるときにどういうふうに使われていったのか、まずお聞きしたいと思います。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 委員御指摘のとおり、経済状況、指標面で見ますといろいろ千差万別でございます。ただ、私ども、先ほど大臣が申し上げましたとおり、基本的には確かに明るい兆しはいろいろ見られてはおりますけれども、全体として眺めた場合に、まだまだ予断を許さない状況であるという基本認識のもとに今回の経済対策を策定いたしたわけでございます。  もう少し敷衍して申し上げますと、例えば私どもの認識といたしまして、経済の道筋を一つ考えてみましたときに、先ほど経済企画庁からもお話がございましたが、少なくともGNPの大宗を占める個人消費なりあるいは設備投資がかつての高度成長期のようにぐいぐいと景気を引っ張り上げていく、そういう状況にないことはこれはどなたもお認めになるような状況ではなかろうかと思います。  したがいまして、そういう意味では年度の前半は個人消費なり設備投資に期待できない以上、公共投資なりあるいは最近回復の兆しが見えます住宅投資にウエイトを置いて、そういった観点からの景気の下支えというものをお願いせざるを得ないということで、昨年の景気対策もそうでございましたし、本年度、五年度の当初予算もそういう観点から作成されたわけでございます。  今回の景気対策の一つの眼目は、後半のいわば景気の回復の足取りを確かなものにつなげていく必要があるわけでございますから、そういう意味で今回異例なことではありましたけれども、予算成立後直ちに経済対策を策定させていただいた。しかも、後半につなげるためには実行も早くしていかなければならないという意味で、先ほど御議論ございましたように、必要な補正予算についてもできるだけ早く提出をさせていただくということになっているわけでございます。  そうした前回の景気対策あるいは五年度の当初予算、今回の景気対策、そういったそれぞれの中身に盛り込まれた公共投資等が切れ目なく年度を通じて執行されることによって、例えば住宅がしっかりしてくれば住宅関連消費もふえてくるだろうと思いますし、設備投資についても全体の流れが少し変わってくれば、現在のような低金利の状態のもとでは少しづつ期待ができるだろうということで、年度の後半に向けて個人消費なり設備投資の回復につながっていくだろうというふうに期待をしている。そういう感じでございます。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 ここで問題になりますのは、先ほども御議論がありましたように、今回の総合経済対策がどれぐらいGNP成長率を押し上げるかということです。それにつきまして、二・六%という数字が出てまいりました。その中には、乗数効果が含まれているというお話でございます。  御承知のように、乗数効果、乗数値を決める場合には消費の動向が問題です。そうだとしますと、この数字の中には後半消費需要が、緩やかかどうか知りませんけれども、一応伸びていくということが織り込まれているんじゃないかというふうに思うんです。  ですから、むしろ私は、公共投資だけでどれくらいGNPの成長率を押し上げるかということを見た方がいいんではないか、そして、別に消費需要の方をまた見る、民間の設備投資を見ていく、こういった方が効果をより正確に予測できるんじゃないかというふうに思うわけであります。  それじゃ、十兆六千二百億円の公共投資、公共事業がどれぐらいGNPを押し上げるのかと。これは先ほど真水論の問題が出てまいりましたけれども、私は私なりに個々の事業項目を吟味いたしまして、例えば地方の単独事業について前回の総合経済対策の一兆八千億の実施状況などを勘案しながら、一応名目でGNP成長率は一・五から一・六%ぐらい押し上げる、こういう計算をいたしました。  先ほどは乗数効果を含めた数字を出されたわけですが、今私が出しましたように公共事業だけでどれだけ押し上げるかということについて、もし計算されておられましたらその数字をお示しいただきたいと思います。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 対策の経済効果につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおり、なかなかまだ具体的な細目が詰まっていない段階でございますから、定量的具体的に申し上げるのは非常に難しいということは申し上げましたけれども、仮に、直接最終需要に結びつくようなものをということで、これが実行された場合に今後一年間にどれだけの名目GNPを押し上げるかということで申し上げたわけでございます。  最終需要のベースで申し上げますと、確かに乗数効果というものは今委員御指摘のとおりいろいろな波及効果を入れたものでございますが、その計算の根拠を簡単に申し上げますと、先ほど申し上げたとおり、これは昨年と同じベースで計算をいたしましたいわばベースになる対策の規模、ここでは十三兆五百億円というふうにしてございますが、そこから用地費なり運転資金等いわば最終需要に結びつかないもの、これをその対策の規模から控除するということで、これがおおむねトータル四兆二千億円ぐらいございます。これに乗数一・三九を掛けて十二兆二千億円ということでございますので、今おっしゃられました乗数を掛ける前のいわば金額といいますか規模を申し上げますと、十三兆五百から四兆二千を引いたものでございますので、約九兆円足らずということになるだろうと思います。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 そうしますと、地方の単独事業というのはこれは完全に実施されるという一応前提で計算をされているというふうに私お伺いしたのですが、それでよろしゅうございますか。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 地方単独事業につきましては、これは自治省とも御相談をして、どれだけ積み上げられるかということで計上させていただいておるわけでございますが、一応全額実行されるという前提で私ども考えております。ただし、今申し上げたとおり、経済対策の経済効果を算定する上では、いわば地方単独事業の中の大体今までの例に従った用地費の割合の分は控除させていただいている、そういうことでございます。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 いずれにしましても、私の計算では、この新総合経済対策だけで経済見通しでお立てになっている名目四・九%というのはなかなか難しいというふうに思っております。ですから、その中で見通されておりますように、実質成長率三・三あるいは名目成長率四・九%を実現していくためには、いずれにしましても個人消費支出それから企業の設備投資の動向がかぎになってくると考えていいのではないかと思いますが、これにつきましてはどういうふうにお考えでございましょうか。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) 公共投資を行いました場合に、個人消費なり民間の設備投資なりにどういうインパクトを与えるかということになりますと、もちろん最終的には個人消費なり民間設備投資に行き着くというふうに考えておるわけでございますが、ただ、個人消費そのものを直接的にふやすというようなことになるのかどうかということになれば、そこは間接的な面がどうしてもあるわけでございます。  そこで、今回の対策におきましても、公共投資の拡大のほかに、住宅取得促進税制の拡充とか設備投資減税など、さらには政府関係金融機関の活用というようなことで、実効性のある内需拡大策を盛り込むというのがまず第一点。それからもう一つは、今までも議論がございました社会資本整備というようなことで、社会情勢の変化、将来の展望を踏まえましてさまざまな分野に幅広く投資を行うということによりまして、景気に対する効果がより広範かつ直接的かつ速効的に及ぶといったようなそういう展開を図るということにしておるわけでございます。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 いずれにしましても、この景気対策あるいは経済対策によりまして経済見通しで立てておられるような消費需要あるいは設備投資というものがプラスに伸びてくれなければ困るわけです。私の計算ては、個人消費需要が見通しどおり四・九%伸びる、そして民間企業設備が二・九%伸びるといたしますと、実質成長率は三・三ではなくてむしろ三・五%ぐらいまでいくという計算になります。  ただ、この見通しがそのとおりいくのかということです。昨年は民間最終消費需要は伸びは三・五%でございました。そして民間設備投資はマイナスの三・七%であったわけです。今仮に民間の企業設備がプラス・マイナス・ゼロであったと仮定いたしますと、この三・三%の実質成長率を実現するためには民間最終消費支出は五・三%伸びなければならないわけです。果たしてこれが可能かどうかということです。もう少し民間企業の設備投資が伸びてくれて、例えば見通しどおり二・九%伸びてくれますと、民間最終消費支出は四・四%ぐらいでもいいわけであります。  いずれにしましても、民間の個人消費需要は四%以上伸びなければならない、そして民間設備投資もやっぱりプラスに転じなきゃいけない、こうでないと今回の経済対策も政府がお考えになっているような実効が出てこないのではないかと思っておりますけれども、この考え方に対してはどういうふうにお考えですか。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 今御指摘がございましたように、政府の経済見通し、これは実質で申し上げますと三・三でございますが、その三・三%の成長のいわば内訳として政府が想定している数字というのは、設備投資につきましても個人消費につきましても当然のことながらプラスを想定しているわけでございますから、設備投資がもしマイナスになるとすれば、それを上回って消費なりあるいは政府投資がプラスにならなければ政府見通しの姿になってこないというのはそれは御指摘のとおりだと思います。  ただ、私ども、先ほど主計局からちょっと申し上げましたけれども、例えば設備投資につきまして今回の対策では実はいろいろな手段を講じております。例えば税制面でも投資減税というものを行っておりますし、それから歳出面におきましても、最近のいわば企業の時短等の取り組み等に対応するために、あるいはそういった省力化投資、合理化投資を支援するために高度省力化投資促進税制というものも創設をした、あるいは中小企業の関係で言えば、政府関係金融機関のいわば低利融資制度を新しく創設するといったようなことをいろいろ講じているわけでございますけれども、先ほどちょっと申し上げました経済効果の算定の上では実はその分は織り込んでおりません。  それはなぜ織り込んでいないかといえば、一つには昨年の経済対策十兆七千億円と同じベースで、昨年の場合には名目GNPを二・四%一年間に引き上げるという説明をさせていただきましたが、誤解のないようにするために同じベースで計算をすれば二・六%であるという説明を、特にアメリカ等に対しては説明をしなければならないといったこともございまして、そういったいわば説明の技術的な問題が一つございました。  それからもう一つ、中身として実は私どもが判定が非常に難しい面がございますのは、例えば政府関係金融機関による中小企業対策で融資を膨らませていく、低利融資をやっていく。そういったものについては当然その対策の、先ほど申し上げた十三兆五百億円の中に入っているわけでございますけれども、それと例えば投資減税とがどういうふうに効果として相殺し合ってというか、どういうふうにカウントされていくのか、場合によれば投資減税の効果もカウントしてしまいますと二重に計算される可能性があるということもございます。  例えば住宅について言えば、住宅金融公庫に対する拡充、追加額が一兆八千億予定しておりますけれども、それと同時に住宅促進税制というものも今回は講じているわけであります。ただし、住宅促進税制によって住宅を新しく建てられる方は恐らく住宅金融公庫を使われるだろうということで、両面から経済対策の効果としてカウントいたしますと少し二重に計算する可能性があるということもございまして、先ほど申し上げたような公共投資等の面からの効果に限定して説明をさせていただいたということになるわけであります。  したがって、るる申し上げましたけれども、私が申し上げたかったのは、例えば設備投資一つとりましてもそういった各種施策の効果というものも期待できるということでございますので、今かなり低迷をしている設備投資につきましても、業種によってはいわゆるストック調整の流れというものもだんだんとまってきているという分野もございますので、年度を通じて、特に年度の後半以降私どもとしては設備投資についても動意が見られてくるだろうというふうに考えているわけでございます。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 かなり私から見ますと楽観的な見通しのように聞こえるんですけれども、私はもうちょっと悲観的な見通しを持っております。果たして個人消費需要が四%伸びるだろうかということ、それからまた民間設備投資がプラスに転じるだろうかということについても少し悲観的でございます。その理由を三つ挙げさせていただきたいと思います。  一つは、昨年の総合経済対策、それから平成五年度の景気対策を盛り込んだ予算、そして今回の新総合経済対策、規模は違いますけれども、私はいずれも内容といいますかパターンは同じではないかというふうに思うんです。やっぱり公共事業あるいは公共投資中心の経済対策である。だとしますと、なるほど内需の中でかなりの部分を占めております公共投資、これは膨らみますけれども、先ほどからおっしゃっておられますように、他の内需項目、消費あるいは投資、民間の企業投資に対してどれほどのインパクトを与えるだろうか。余りにも景気対策の内容が同じパターンであるために、そういった量的に膨らませるだけでは効果というのはそれほど期待できないんではないかというのが一つの理由でございます。  それからもう一つの理由は、これは常々申し上げておりますが、私は日本の経済の構造がバブル経済発生以前から少しずつ構造を変えてきているんではないかというふうに思っております。それはいつごろからかということですが、これは徐々に変わっていくわけでいつということは言えませんが、仮に、政府が行政改革をお進めになり、そしてまた財政運営におきまして増税なき財政再建を打ち出された昭和五十七年というのが一つの起点ではないかというふうに思っておりまして、その前後でいろいろな内需の主な項目の動きというものを比較いたしますと、幾つかの大きな変化を見出すわけでございます。  そのうち、個人消費需要に関しましては、この前も申し上げましたようにその前後で大体四、五%の平均消費性向、それから限界消費性向の減少が見られます。もちろん昭和五十八年以降の方が低くなっているわけであります。そして、民間の設備投資もその昭和五十七年を起点にいたしまして前半、製造業は平均で八・一%の伸びを示しているのに対して、それ以降は五・一%の伸びにダウンしております。非製造業の方はそれほどダウンはありませんが、それでも前半が、すなわち昭和五十七年以前が一一・一%、以降が一〇・五%でございます。  さらに、非製造業の中で電力、ガスの投資動向、これが非常に産業の大きな構造の変化みたいなものをよく示しているというふうに思いまして、電力、ガスの投資関数を算定させていただきました。五十七年以前はGNPを説明変数にいたしますとGNPにかかる係数が〇・〇一五八でございます。それが五十八年以降はGNPにかかる係数は〇・〇〇五五、三分の一に下がっております。  このように見てまいりますと、図式で書いても非常によくわかるんですが、五十七年が一つの転換点であるということがよくわかります。これごらんいただけますかしら。(資料を示す)ここまでが五十七年以前、横軸がGNP、縦軸が電力、ガスの産業の投資額です。こういう勾配。これが五十八年以降は緩やかになっていますね。それから、政府支出、財政支出の方も、財政支出関数と申しますか、GNPであらわしますと五十七年以前がGNPにかかる係数が〇・二二八、それが五十八年以降は〇・一三七でございます。大体三分の二。これは御承知のようにシーリング方式、ゼロシーリングとかマイナスシーリングをおやりになったわけで、それが出てきているわけでございます。  こういうふうに見てまいりますと、内需の重要な項目であります個人消費需要にいたしましても、設備投資にしても、それからまた財政支出にいたしましても、全部五十七年でキンクしているわけです。こういった変化をとらえて、それ以前は我が国の経済というのは需要先導型経済であったけれども、このあたりから需要不足型経済に移行したのではないかというふうに私はとらえているわけでございます。  そうだといたしますと、今回景気が回復いたしましても、そういった経済構造の変化があるわけでありますから、果たして三・三あるいは三・五といった実質成長率を期待することができるか、こういう点で二つ目の理由を挙げさせていただくわけでございます。  ですから、先ほどもケインズ論が議論されました。私は需要先導型の経済の場合はそんなにケインズの理論に基づかなくてよかったと思うんですが、むしろこういうふうに需要不足型経済に移ってきたときこそケインズ理論というものが非常に重要な意味を持ってくるというふうに思っております。  三番目の理由でございますけれども、私は今の企業の投資意欲の停滞、沈滞というのは、バブル経済の崩壊によって民間企業がその投資目標といいますか経営方針を見失っているんではないかというふうに思っているわけでございます。  これまでは、昭和二十年代の経済復興期以来、国の目指している経済政策の目標とそれから民間企業の投資目標というのは私は一致してきたんではないかと思います。ですから、国がとりあえず貿易立国として国際市場において競争力をつけなきゃいけない、それに従って民間企業も省力化のための大変な投資を行ってきたわけでございます。それが成熟社会に移ってきて、価値観の多様化によって少しずつその両者に乖離が見られてきた。  私はその典型が政府が今度お立てになった生活大国づくりではないか。この生活大国づくりと企業の経営方針がどう結びつくのかというふうに考えますと、これまでは民間企業の経営方針というのはシェア拡大主義でありまして、これがバブルの崩壊によって挫折してしまったわけです。まさに私は企業の投資目標というのは今や本当に見失われているんではないか。これが続く限りは投資意欲というのは沈滞が続くんではないかと思っておりまして、これが私は最も重要な点ではないかというふうに思うわけでございます。  ですから、ここでこういった総合経済対策を打ち出される場合には、今国が目指しておられる地球社会に共存する生活大国、これを実現していくに当たって企業がそこでどういうふうな役割を果たし得るのかということをもう一度お互い確認し合う必要があるのではないか。そうなりますと、何も税制で優遇措置しなくても、環境のための投資、省エネのための投資などがやられていくんではないかと思うわけでございます。  こういうふうに考えていきますと、やはり先ほど申しましたように、個人消費需要の方がある程度回復しても、民間の設備投資の回復というのは少し時間がかかるのではないか、こういう今見解を持っております。これにつきまして政府側のお考えをお聞きしたいと思います。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) 大変詳細な分析をしていただいて、実は私の理解が十分及んでいるのかどうか自信がないんでございますけれども、まず第一点、先ほどのいわば五十七年以降の構造変化に対応して政策をどのように考えていくかという点については、これは御指摘になられました数字はともかくといたしまして、考え方としてはそのときどきの状況に応じてやっていかなきゃいかぬ、いろいろ適切な対策を講じていかなければならないだろう。したがって、例えば状況に応じではいわゆる公共投資中心型のものだけでは済まないのではないかというような考え方というのは十分成り立っていくだろうとは思います。  ただ、私ども政策を実際に実行に移していく場合に、与えられた条件、例えば財源状況等を考え、なおかつそのときどきの経済状況のもとで実行可能性といいますか即効性のあるもの、効果のあるものという条件を満たすものを優先的に考えていかなければならない。  例えば、今の状況で申し上げますと、確かに先ほど一部の分野におきましてはストック調整の流れが少しずつ消えてきているということは申し上げましたけれども、まだまだそういう状況、過去バブル時代の設備投資の高い伸び率を受けてまだまだ設備の過剰感というものが現実に残っている。そういう状況のもとでは、先ほど申し上げましたけれども、例えばそういった設備投資が景気を引っ張り上げる力が弱いという状況のもとにおいては公共投資を中心とした政策運営というものも必要になってくるだろうということで、そのときどきのいわば経済状況に応じた、あるいは財政状況なり国の力、あるいは地方公共団体の力もあるかもしれませんが、そういったものを総合的に考えて、一番しかるべき政策が何であるかという点について議論をし、固めていかなければならないんだろうというふうに思うわけでございます。  それからもう一点、企業の行動に対してどういうふうな考え方でいるかということでありますけれども、確かに高度成長時代は企業の、民間の設備投資を中心としたいわば成長力といいますか、それに引っ張られていったわけでありますけれども、これは今御指摘になられましたけれども、いわゆるバブル時代の経験といいますか、そういったことから少し設備投資そのものについての意識といいますか、経営者の意識というものが変わってきているというふうな感じを私どもも持ってはおります。  実際問題として、前年に比べて二けたの伸びを示すような設備投資が三年間も行われてきたということで、しかも当時はいわゆるコストが限りなくゼロに近いような形で資金調達が可能であったということもあり、過去、高度成長時代に重点的に行われておりました設備増強、能力増強投資だけでなしに、いわば研究開発投資とかあるいは福利厚生施設といったような、そういった当面経済に大きなインパクトを与えないような形での投資も随分行われてきた。その後のそういったものの反動が現在来ているという状況で、恐らく企業はそういった今までの投資のためのいわゆる減価償却コストにこれから悩まされていくということは否めないだろうと思います。  そういう意味で、損益分岐点の引き下げなど収益力の改善を図るということを考えていかざるを得ないわけでございますから、そういったことから考えますと、今委員御指摘になられましたように、市場におけるシェア拡大をひたすら追い求めるという経営がこれからなかなか難しい。しかも高度成長時代ではなくて、いわば安定成長期に入った我が国の経済のもとで、余計そういう考え方が恐らく経営者の中にも当然意識の中に大きなウエートを占めてきているのではないだろうかというふうに思います。  そういう意味で、私ども政策運営を行う立場から見ますと、そういった企業経営者のいろいろな意識の変革といったものも十分つかまえて判断をして政策運営をしていかなければならないというふうに思ってはおりますけれども、なかなか目に見えないものでございますから、政策判断をする上で非常に難しい点があろうかとは思います。  今回、先ほどちょっと申し上げた、いわば中小企業を中心にいろいろな形での設備関係の税制を少し手直しをさせていただいたものも、そういった問題意識が背景にあったということだけ申し上げておきたいと思います。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 いずれにしましても、そういう投資減税などを打ち出していただいて、回復はしていくと私は思いますけれども、以前のような伸び率というのはもう期待できないだろう、こういうことです。  そうなりますと、民間部門での貯蓄・投資のギャップ、これは相当開いていくだろうというふうに思うんです。その貯蓄・投資のギャップを何で埋めるかというと、結局は公共投資で埋めざるを得ないわけです。ですから、私は民間部門の均衡、民間部門だけで貯蓄・投資をイコールにする、均衡を図る、それから政府部門では歳出と歳入の均衡を図る、税収の均衡を図るというんじゃなくて、民間部門と公共部門、政府部門を一緒に考えて、そこで均衡させる。そして、今私が申しました貯蓄・投資のギャップを公共投資で埋めていく。こういうふうなマクロ的需要構造に変わっていくんじゃないかと思うんです。  今のお答えでは、これは一時的だとおっしゃいましたけれども、私は今後こういう形になっていくんではないか、これが私の言っている需要不足型の構造なんです。だとすると、もうそれに合った財政運営を、あるいは経済運営をやっていかなきゃいけないというふうに私は思っております。  こういう構造になった場合、二つの点ですぐにこれまで立ててこられた経済政策を修正しなきゃいけないと思っております。  一つは、やっぱり成長を推し進めていく原動力というのは民間設備投資です。これまでは民間設備投資と公共投資の比率は三対一でした。これが今回のこの対策でもって二対一になりました。だとすると、その分だけ私はGNPを押し上げる力は弱まるというふうに考えなければならないと思います。恐らく実質成長率三・五%を想定されたときは、今私が申しました民間設備投資と公共投資の比率を三対一でお考えになっていたと思います。しかし、今や二対一になって、これが続こうとしているわけですから、私はその点では成長率はある程度修正せざるを得ないんではないかと思っております。  それから、もう一つは財政運営です。五カ年計画の中で財政改革を推し進めるというふうにおっしゃっておられるわけですが、そこで立てられている目標、例えば国債依存度五%そして国債の累積額百七十兆円程度、私はこの目標は今申しましたマクロ的需要構造に変わっていきますと達成できないというふうに思いますので、もう一度その財政運営の基本的な方向みたいなものを見直していかなければならないのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、これについて大臣のお考えを少しお聞きしたいと思います。

日高壮平大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(日高壮平君) まず、前半の御質問に対するお答えをさせていただきたいと思います。  確かに設備投資のいわばGNPに占めるウエートというのは、これは先ほど委員が御指摘になられた昭和五十七年度ぐらいでございますとGNPに占める民間設備投資のウエートというのは一四、五%でございましたけれども、それがいわゆるバブル時代の旺盛な設備投資によりまして当時は二割を超えるようになったわけであります。しかし、その後四年度になりまして以降若干そのウエートが下がってきておりまして、現在では例えば四年度の第三・四半期、十-十二月期で見ますと、これが二〇%を割っている状況にございます。恐らくこれからも、特に四年度あるいは五年度、設備投資の力がそうぐいぐいと景気を引っ張るような状況にないことは御指摘になられたとおりでございますから、このウエートというものは少し下がっていく可能性は非常に強いだろうと思います。  そういう意味で、かつてと比べて設備投資のウエートがそういった形で低下していく過程においては、いわば成長に対するインパクトというのが当然のことながら下がってきていることは否めないわけでありますけれども、実際それが高度成長からいわゆる安定成長へという一つの過程の中の、消費がどうであるとか政府投資がどうであるか、ほかの要因がありますから一概には言えませんけれども、概して申し上げれば、従来のような一つの需要項目に大きく依存するような形での成長というものがだんだん難しくなってきているという一つのあらわれではないだろうかというふうに思っているわけでございます。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) 第二点目に、委員の方から財政運営そのもののあり方が今おっしゃったような経済情勢の変化に伴って変わってくるべきではないかという御指摘がございました。  今、私どもは「財政の中期展望」ということで全体で五年間の財政運営の展望を持っているわけでございますけれども、これは御承知のように、非常に経済情勢が流動的な中で財政だけ将来の展望を持つということは非常に難しいことでございまして、実はかなり機械的な想定で将来を推計しておる、こういうものでございます。したがって、そう現実がなるかどうかというよりは、そう いう前提を置けばこういうことになるということでございまして、生きた経済を本当に反映した財政の姿かどうかというのはこれはまた別問題であろうと思います。  そこで今後、例えば財政支出というものがだんだんGNPに占めるウエートが少なくなってきておるのは御承知のとおりでございまして、景気対策等のたびに公共投資重視の対策というものを仮に続けてまいりますと、それなりに財政というものが例えば公債残高の増大というような形で負担をしょうことになるわけでございます。現状のような状況のもとで景気対策ということになりますとそれなりにやはり公共投資というものも必要なわけでございますけれども、その兼ね合いが難しくなってくるわけでございまして、私どもとしましては、公共投資等の拡大だけにとらわれずに、先ほどもちょっと触れましたけれども、政府関係金融機関の活用とか政策税制の活用とかあるいは金融システムの安定性確保のための諸施策といったようなことで広くさまざまな施策を盛り込む必要があるであろうというふうに考えるわけでございます。  御承知のとおり、我が国の財政が百八十兆を超える公債残高のもとで、国債費が歳出の二割を超えるというような状況でございますから、構造的に大変財政状況が厳しいということでございまして、私どもとしましては、社会経済情勢の変化に弾力的に対応していくと同時に、あるいはそういうことを確保するためにも財政改革が非常に重要なことになってくるだろうというふうに考えておりまして、今後とも制度、施策の見直しといったような今まで以上の厳しい財政改革を推進する必要があるのではないかというふうに考えております。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 財政改革のお話が出ましたが、その比率は別としまして、今後公共投資が占める割合がふえてくることはこれは避けられないと思うんです。そうだとしますと、公共投資を行うに当たって、資源配分の観点から効率的な投資ということが要求されてくると思うんです。  ところが、従来はどちらかといいますとやっぱり実績主義といいますか増し分主義といいますか、そういった方式に基づいて配分されてこられたわけです。こういうことを取り続けておれば、今私が言いました効率的な資源配分の観点からはこれはどうにもならないと思うんですね。ですから、新しい財源配分の方式といいますか、どういう形のものか、これは検討していただかなきゃなりませんけれども、それが要求されているんではないか。むしろ私は財政改革はここにポイントを置くべきだと思っておりますけれども、これについていかがでございましょうか。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) いわゆる公共事業におきます配分といいますものは、御指摘のとおりなかなか短期的には変化しないというのは私どもも問題意識として常に持っておるわけでございます。  不十分だというふうに御指摘を受けるかもしれませんけれども、ただ、最近そのような問題意識を非常に強く財政当局も持っているところでございまして、例えば住宅、下水道、環境衛生等の分野につきましては、五年度予算で前年度伸び率七・一%増という形にしております。住宅、下水道、環境衛生等以外の分野は四・一%の伸びということでございますので、かなりめり張りをつけているつもりでございます。下水道等ということになりますと八%ぐらいの伸びになる。今までから見ますとかなりそこは重点配分をしておるわけでございます。  こういうことで、ここ数年間そういう観点から配分に努力してきました結果、いわゆる生活関連重点化枠を導入する前の平成二年度予算と今回の五年度予算を比べますと、住宅、下水道、環境衛生等の分野はこの二年度から五年度までの三年間で二二・二%増という形になっております。その他の分野は一三・一%増ということでございまして、こういう形で、少しずつではございますが、着実に生活関連の方に重点配分しておるということでございます。

野末陳平自由民主党

○委員長(野末陳平君) 牛嶋君、時間ですから最後にしてください。

牛嶋正公明党・国民会議

○牛嶋正君 はい。  今はいわば公共投資を行う場合の計画段階だと思いますが、効率的な公共投資をやるためにはやっぱり実施段階も非常に重要だと思います。できるだけ実施段階で私は競争原理を導入すべきだと思うんです。そういう観点から入札制などをもう一度見直していただきたい。そしてまた、そういう競争原理をゆがめるような今回の金丸事件なども、そういった要因をできるだけ排除しでやってもらいたい。これを最後お願いいたしまして私の質問を終わらせていただきます。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) いろいろとお話をしていただきまして、牛嶋さん学者ですから、いろんな点で私も聞かせていただきましてありがとうございました。  新しい経済計画、新しい社会資本の整備、こういうことで言っておりますけれども、我々といたしましても既存のものでいいとは考えていませんし、社会経済の状況に応じましてやっていかなければならない。また、国の金でやりますから、税金で集める、または国民からの借金でやっている、こういうふうな話でありますから、それを本当に効率的に使っていくということは常々私たちは考えていかなければならないことだと思います。  ただ、先生御指摘の中にありましたが、需要不足型、こういうふうな話でありますが、私思いますのに、これからの高齢化社会の時代にどうこたえていくかというのが一つの大きな問題だろうと思います。高齢化社会になりますと、どうしても活力はその分だけなくなってくることは否めない。そのときに新しい技術開発をどういうふうな形でやっていくかという問題。それからもう一つは、日本が置かれたところの国際的な状況においていろんな支出を考えるということをどうやっていくのかねというのが、私はこれからの与えられたところの問題のように思っているわけでございます。  先生からいろいろと貯蓄・投資バランスであるとかその他につきまして御指摘ありました。よく勉強させていただきたいと思っております。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 夏から税制改革の本格的論議が開始されると総理もこの間会見で語っておられます。税制改革を本格的にこれからやろうというからには、私は、シャウプ以来の改革と言われました前回の税制改革が国民各階層にどういう影響を与えているかということを調査し、それを踏まえて税制論議をやっていくことが必要だと思います。そういう調査というのは、私の見る限りでは、厚生省の所得再分配調査結果というふうなものがありますけれども、それ以外大蔵省ではやられていないように思います。  やられておれば、どういうものがあるかということを教えていただきたいと同時に、こういうものが必要であり、そういう調査をやるということについてはどのようにお考えになるか。私はぜひやっていただきたいということで質問しますけれども、どうでしょうか。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) 税制の見直しの論議が行われますときには、これはそのときどきの社会経済情勢の変化に即応した新しい税制というものをどう組み立てていただくかという角度からの御議論になるわけでございまして、その時局時局におきます着眼のポイントというのは少しずつはそのときどきによって変わるかと存じますけれども、論議が始まります段階あるいはその準備の段階におきまして必要な資料の収集ということをいたします。あるいは論議が始まりました後、その論議に即応いたしまして資料の充実を図っていくということをいたします。その中には、政府の各部門で既にまとめられております資料というものを活用する局面もございますれば、新たにいろいろなものを調査するということもございまして、ときどきの対応ということでやらしていただいておるわけでございます。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 私は、前回の委員会でも、厚生省の所得再分配調査結果によると貧富の差が拡大しているということを申し上げました。要するに税の所得再分配効果が弱まっていると思います。そういうことを、大蔵省もさらに調査を踏まえて新しい税制論議に我々が臨めるようにしていただきたいということを申し上げますが、時間の関係がありますから幾つか絞ってお伺いします。  まず、この税制論議で直間比率の見直しということが論議になるということ、これ当然のこととして言われていますが、これは消費税の税率引き上げということも当然検討の対象になる、そう受け取って構いませんね。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 直間比率の話というのは、いろいろと議論しておられますが、私は税の基本問題をどうするかということで議論されるべき中の一つだろう、こう思っているところであります。たびたびこの委員会でも申し上げておりますが、税制というものは所得、消費、資産等につきましてどういうふうなことでやっていくか。基本的な目標は公平、中立、簡素といったような税制に求められるところの理念をどう追求してやっていくかということではないかな、こう思っているところでございまして、税制をどうやっていくかこうやっていくかというのは今からむしろ考えていかなければならないと思っているところであります。  たびたびお話を申し上げておりますけれども、日本が来るであろう高齢化社会に対してどういうふうなことを考えていくのか。また、国際社会におきましてどんなことをやっていくのか。そうしたことの中で財政の果たすべき役割は何か。また、それを支えるところの税制のあり方というのはどんなものかということにつきましてやっていかなければならない、こういうふうに考えておりまして、直間比率の見直しであるからすぐに消費税の引き上げたというふうな短絡的なことは私の方はまだ考えていないところでございます。  いずれにいたしましても、税制の見直しには少し長い観点から私たちは取り組んでいかなければならないものだろう、こういうふうに考えているところでございます。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 税の基本的あり方、私はかつてここでも近代的な民主主義的な税制の基本についてお伺いしたことがありますけれども、抽象的な議論だとしばしば国民がごまかされる場合がある。  そのごまかした例が高齢化社会対策なんですね。政府税調の加藤寛会長、この人が、ある雑誌で消費税についてこう話っているんです。「消費税を導入したとき、高齢化社会に備えるためと言われ、我々税調もそう説明しましたが、本当はあれは、ああ言えば一般の人に分かりやすいから、ということでした。消費税の本来の意義はそういうものではないんです。」とこう言って、政府税調は大蔵省、政府と一緒になってうまく国民をたぶらかしたということを自慢してある雑誌でお書きになっているんです。  だから、一般的なそういう税制の基本理念を論議することを私は必要でないとは申し上げませんけれども、事は具体的に論議しておかないと、国民から見て何が問題になっているかわからないので具体的にお伺いしたわけです。直間比率の見直しと言えば、間接税を引き上げるということが目的の論議ですから、私は答えが今出ているとは言いませんけれども、当然消費税もその論議の対象の一つだと言わざるを得ないし、否定はなされませんでした。  もう一つ、この前の委員会でも私質問しましたけれども、現行の五段階を二段階か三段階に改めるという問題ですね。きょう午前の論議の中では、最高税率引き下げ問題ということでの質問もありました。この五段階を二段階か三段階にという、段階というのでは、上を下げるのか下を上げるのか真ん中を二つほど取るのかよくわかりませんので、五段階を三段階ないし二段階にというのは何が想定されているか。  この前濱本局長は、所得三千万円ぐらいの人には重税感が強いという答弁がありました。三千万円というとこれは最高税率ですから、私は五段階から二段階ないし三段階というのはどうやら最高税率をもうちょっと下げようということが考えられているのかなという気がして答弁この前開きましたけれども、ここら辺は、五段階を改めるということはどういうことか。上を下げれば下の税率は当然上げなくちゃいかぬか、あるいは間接税をうんとふやすということにもなるかもしれませんけれども、そこらはどういうことが想定されておりますか。

濱本英輔大蔵省主税局長

○政府委員(濱本英輔君) 所得税の税率構造でございますけれども、前回の税制改革におきまして最低税率を一〇・五から一〇%に引き下げました上で、この最低税率が適用されます課税所得の範囲をそれまでの五十万円から三百万円に拡大をした。それから、最高税率の方は引き下げが行われまして、また税率の刻みの簡素化も行われまして、それまでの一〇・五から七〇までの十五段階の課税体系を一〇から五〇までの五段階に改められたということでございました。  その改められた姿を諸外国と比較しました場合に、やはりなお課税最低限は日本は比較的高くて、所得税と住民税を合わせた最高税率の水準、これはよその国に比べると非常に高い、最高のレベルのものになっておるという形になっておりまして、その限りにおきましては依然としてかなりの累進性、相当の累進性を有しているということは事実だと思います。  そこで、この間、三千万円というのはあえてやや極端な例としてお引きしたつもりでおりまして、三千万円どうこうにこだわっているわけでは全くないわけでございますけれども、そういうかなり強い累進体系のもとで生じます現象といたしまして、国民全体の所得水準がどんどん上がっていきます段階でいずれそれぞれに累進の強いカーブにかかっていく、その直面した層の受けます負担感というものはいかばかりのものであるかということを十分酌み取らなければいけない、そういう問題がここにあるであろうということを常にこの累進の問題につきましては意識するわけでございます。税制調査会におきましても、そういう議論が従来からございました。  と申しまして、今の吉岡先生のお尋ねは、しからばどういうイメージ、つまり例えば最高税率を下げるつもりなのか、あとどこか最低の方を上げるつもりなのか、そのイメージを述べるという御趣旨かと存じますけれども、累進構造のあり方が今のようなあり方であるために今申し上げましたような問題が起こるであろうということははっきり認識されておりますけれども、どのグループについてどういう配慮をしていくのか、どのあたりが問題として一番大きいのかということは相当分析を要する問題でございまして、したがいまして、具体的に何をどうこうするという方向性、方向といいますか具体的な腹づもりというようなものが今存在しているわけではございません。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 今答えが出ているとは私も思わないでの質問ですけれども、やっぱり最高税率が諸外国に比べて高いということが最大の関心になっているということはよくわかりました。  税制の問題は、私先ほど読み上げました政府税調の会長の言葉で、よほどまゆつばでかからないと国民をたぶらかすということを念頭に置きながら今後も論議をしていきたいと思います。  いろいろたくさんお伺いしたいことがありますので、テーマを移しますけれども、次は公債の問題です。  赤字公債はもう出さないという従来の政府の態度は変わらないと思います。間違っていたらそう確認されては困るとおっしゃっていただけばいいんですが、そう確認した上で、建設公債、これは今度の補正でも出されるかどうなのか。出されるとすればどれぐらいな規模をお考えになっているかということと、マスコミの報道では建設公債の対象を拡大するということが決まったように書かれたり、いや拡大しないことになったと書かれたりしております。ここらは、拡大というのは従来と違って特に今度問題になっている新社会資本ですか、コンピューターとかいろいろなものにも適用するということになっておりますけれども、これはどうなっているか、一括して簡潔にお答え願います。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) まず、赤字公債を発行するつもりがあるかどうかということでございますが、赤字公債につきましては、歳出が経常的な収入で賄われるべきであるという財政の基本原則に反すること、それから、御承知のとおり後の世代に資産を残さずに利払い費等の負担だけを残すという意味で世代間の負担の公平という観点に反すること、それから、一たび特例公債を発行いたしますと、歳出増加圧力に対する歯どめがなくなりまして、財政状況の急速な悪化への道を開くことになりかねないということで、これは発行しないという方針でございます。  御承知のとおり、特例公債脱却に我が国では十五年間の年月と多大な努力を要したわけでございまして、現在でも我が国財政の硬直化要因になっているのは御承知のとおりでございます。今後の急速な高齢化の進展等を考慮いたしますと、赤字公債の発行は厳に回避すべきであるというふうに考えております。  それから、第二点の、今回の総合経済対策の補正予算にそれを具体化するに当たりまして建設公債発行の規模がどうなるかというような御質問があったと思いますが、補正の編成作業は現在鋭意やっておる最中でございまして、建設公債が発行されるということについてはもうそういうことになるだろうと思いますが、規模についてはまだ具体的に申し上げる段階でございません。  それから、第三番目に、公債発行対象を拡大するかどうかということについていろいろな報道があるが真実はどういうことかということでございました。  いろいろな施設、文教施設、研究施設あるいは社会福祉施設という施設費につきまして、今回の総合経済対策でこれを相当実施することにしておるわけでございますが、これらの施設費につきましては従来から建設公債の発行対象とされております。したがいまして、その方針どおり変更するつもりはございません。財政法を改正してはどうかというようなお話もあったわけでございますけれども、あるいはその解釈を変更して今まで公債対象とされていなかった設備等の経費を公債対象としてはどうかというような議論もございましたが、これは事実上建設公債原則というものを放棄して、名を変えた特例公債を発行するということにほかならないと考えられますので、そういう方針はとらない、従来どおりの考え方を堅持するというふうに考えておるところでございます。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 その点はわかりました。  それからもう一点、この際ですから、建設公債なら合法的だから無制限だというお考えに立っているとは私思いませんけれども、その点、補足的にもう一問お伺いしておきたいと思います。  というのは、九〇年ですか、十五年ぶりに赤字公債の発行がゼロになったときに、第二の財政再建計画として、毎年建設公債も減らして五%に依存度をしていくということが公約されましたけれども、これはまだ減るどころかふえている状況でして、建設公債なら無制限だということでは、こういう政府の示されたことからも反すると思いますけれども、その点いかがでしょうか。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) 御承知のとおり、建設公債も借金という意味におきましては特例公債と変わるところはございません回したがいまして、公債依存体質というものをできるだけ引き下げまして財政の健全化を図るというのは、先ほども申し上げましたとおり、これからの高齢化社会におきます財政の役割というようなことを考えた場合にぜひともそういう方向で持っていくべきではないかというふうに考えているわけでございます。  今、委員の方から御指摘のありました「財政の中期展望」でいわゆる公債依存度引き下げの方針、あれは一応ああいうことで仮定を置けばということではございますけれども、そういう方針を一応あそこに示したものというふうに考えております。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 時間でいろいろ質問したいことがなかなかできませんが、その次に、景気対策の問題です。  新社会資本整備の中に織り込まれているいろいろなものがあるわけですけれども、アメリカ側からこれについて日本に強い要求があったということが報道されております。報道によれば、アメリカ側は、政府調達に外国製品を優先的に購入する特別枠を設けるように通産相に要請したということまで発表しているわけです。  それで、九四年度までに合計三十万台と言われる教育用パソコンを小中学校に配備するとかいろいろな計画が打ち上げられておりますけれども、この調達対象は日本の製品なのか、外国の製品も含まれるのか、あるいはアメリカから枠まで要請があったのかどうなのか。もちろん、どこから買うかということが今決まっているとは思いませんけれども、考え方として、これは景気対策だから、日本の今電子機器産業が大変なのに対する救済策だから、これに関して言えば外国製品は一応対象にしないとかどうとか、そういう考え方は述べられると思いますので、通産省お願いいたします。

林良造通商産業省機械情報産業局電子政策課長

○説明員(林良造君) 今御指摘のございましたいわゆる「社会資本整備の新たな展開」の中で、高齢化と並びまして情報化の視点というものが入れられたのは事実でございます。またその中で、我々といたしまして、国際的な水準からおくれております情報化関連に重点を置くべきだというふうに考えておったわけでございます。  外国製品との関連でございますが、先日大臣が訪米いたしました折に、外国製品の政府調達が含まれるべきなどの期待が表明されたことは事実でございますが、本来、特にコンピューターにつきましては従来の政府調達の一般的なルールあるいは措置等に従いまして内外無差別かつ透明に行うこととしてございます。  したがいまして、アメリカ側がどういう意図でおっしゃったかはもちろん定かでございませんけれども、我々といたしましては、そういう政府調達の一般的なルール等に従いましてこれに対して特別枠をつくるという考えはございません。むしろアメリカ側にもビジネスチャンスはあるわけでございますから、このような内外無差別かつ透明な手続の中で営業努力をされることを期待しているところでございます。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 特別枠は設けないということですけれども、内外無差別だということだと、私はこれは日本の景気対策として打ち出されたものであると思っておるし、新聞等でも、新社会資本にはもともと不振にあえぐ国内電機業界をてこ入れしたいというところから出発したというような報道があるわけですが、そうではなくて、これは日本の業界だけでなくアメリカの業界の景気対策ということも含まれた景気対策なのかなというふうに受け取らざるを得ないわけです。そういうことであると言うしかありませんね。  時間が来ましたので、もう一問お伺いしておきたいと思いますが、今度の景気対策で、「中小企業に対する信用保証の充実等」ということが挙げられております。「担保不足等により、資金繰りが悪化している中小企業を支援するため、中小企業信用保険法の保険限度額が倍額となる」云々と述べられておりますね。  これについて私が読んだり、またお会いした人の中に、この信用保証協会の保証つきの融資というのには限度があってなかなかもらえないんだ、特に都市銀行が大きくここへシェアを広げたために、中小企業、とりわけ体力の弱い中小企業金融がなかなか適用できないんだというようなお話や、現場でいろいろ行って交渉したときに適用してもらえなかったという事例、そういう話を聞きました。  この点、大蔵省事務当局に聞いたら、いや、そういう限度があってのじゃないんだと、今でも既にまだ利用できる枠は残っているんだという説明でした。そうだとすると、この制度について非常に広い誤解がありまして、まだいろいろ利用する余地があるものが利用できないであきらめているということにもなると思いますので、ここら辺正確にしておいていただくようにお願いいたします。

寺村信行大蔵省銀行局長

○政府委員(寺村信行君) ただいま委員から御指摘がございましたように、信用保証協会の保証債務残高と保証枠との関係から申し上げますと、保証枠は五年三月末で四十一兆九百六十億円でございますが、保証債務残高は二十三兆八千百六億円でございまして、保証枠に対します保証債務残高の比率は五七・九%ということになっておりますから、相当程度の枠があるということでございます。  最近、都銀によります利用シェアが増加しているという御指摘、それはそのとおりでございます。都銀が中小企業に対する融資を行う場合に、やはり信用保証協会の保証を利用しているということで、むしろ積極的にそこがふえているということは事実でございますが、枠は余裕がございます。かつ四年度の保証の実績を申し上げますと、前年度対比一六・三%増という二けた以上の伸びを示しておりますので、この辺につきましても積極的な対応が行われていると私どもは考えておるところでございます。

吉岡吉典日本共産党

○吉岡吉典君 最後に一問。  中小企業に対する金融上の措置というのは、今の不況下最も望まれている点の一つであります。その点で大蔵省はこれまでも中小企業融資について通達を繰り返し出してこられました。特にことしの二月の通達では、金利の引き下げというようなことまで繰り込んだ通達でありました。この通達が実行されて実を上げるということで、そういう指導の強化を望むものでありますが、これは通達が出しっ放しになっているのか、それとも通達が実行されているかどうか点検指導、こういうことをやられているかどうかということを最後にお伺いします。  というのは、私ども、私だけじゃなくて我々のところにときどき融資を受けられないという苦情が来ます。私どもがどういうわけかということでちょっと大蔵省あるいはそのほかに相談等すると、支店長がすぐ飛んできて、すぐ融資いたしますというようになる事例もたくさんございます。そういう点で、必ずしも大蔵省通達が本当に末端にまで守られているかどうかということについての疑問を持ちましたので、その点指導強化をお願いすると同時に、どういうふうになっているかということもお答え願います。

寺村信行大蔵省銀行局長

○政府委員(寺村信行君) まず、金利面からの状況を申し上げますと、この一月、今回の公定歩合の引き下げ前の状況でございますが、公定歩合の二・七五%の引き下げに対応いたしまして、新規貸し出しの約定平均金利はピーク時から三・二%低下をいたしております。二月に公定歩合の引き下げがございましたけれども、その結果、二月の新規約定平均金利は三・四と、〇・二下がっております。なおこれも低下を続けていくものと考えているところでございます。  それから、ただいま御指摘の融資体制の問題でございます。  二月に通達を出しましたとき、大蔵大臣から別途「所見」を公表いたしました。その中で、金融機関が不良資産の処理にかなり忙殺されているということと、過去の過剰貸し付けの反省からリスク管理を強化しているというような事情があるわけでございますが、一方で必要な資金供給はやっていく必要があるということで、融資体制の強化を図るべきであるということを大蔵大臣から「所見」として公表いたしました。  現実の問題といたしまして、御案内のとおり、金融機関は大量の不良資産を抱えておりまして、その処理に追われていることも事実でございます。各営業店の段階で、融資担当者は新規の貸し出しよりもむしろ既存の不良債権の処理に追われているというようなことが現実問題としてございますので、既存の融資の処理以外に新規の貸し出しの担当者を分けるとか、あるいは支店から既存の不良資産の処理を本部に引き揚げるとか、そういった対応をして必要な資金供給に十分対応できるようにというような趣旨で「所見」を公表したところでございまして、それらの効果もこれから出てぐるのではないかと考えているところでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 私は株の問題を取り上げてみたいと思っております。    〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕  ここ二、三年間株価は低迷を続けてまいりましたが、ことしの二月ごろからじりじりと上昇を始めまして、三月ではかなり上昇して二万円を超えるという時期もあったり、また最近は二万円を割ったり、こういう株価の変動をしております。  株価が上昇しているころには、経済界はもとより個人投資家も非常に喜んでおりましたけれども、ここ四月の中旬に入ってまた足踏み状態となりまして個人投資家も経済界も一抹の先行きの不安を感じておるのが現状でございますが、大蔵省としてはこの株価の動向というのをどう受けとめて評価されておりますか。総論的なところで結構でございますから、お答え願えませんか。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 池田委員からの御指摘でございますが、今手元に入った数字では、きょうの大引けは一万九千五百九十一円三十一銭、こういうことでございます。  私たちも株価の動向についてはいろいろと関心を持って見ているところでございますが、私は、今申しましたような金額の問題もさることながら、取引高が非常に上がってきているということはやはり株式市場に対する信頼性というものが回復をしてきたんではないかな、こう思っておるところでございます。そういった意味で、今私たちの方でこの株価の水準がいいとか悪いとか、そういったことは申しませんけれども、やはり株式市場があるべき姿として、一般の国民から資金を集めて資本に対して資金を供給していくというその役割は果たしてきている、またそういった役割を回復してきているものだ、こういうふうな認識を持っているところでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 一般に言われておりますのは、この株価の上昇は、外国人の投資家が日本の株価が低いことと、円高を見越して為替差益を得てもうけようということでかなりの額の投資をしたことが一つの要因ではないか、こう言われておりますが、外国人投資家が果たして本当に株価が上がる程度の多額の投資をしたかどうか、こういうのは大蔵では把握しておられますか。

小川是大蔵省証券局長

○政府委員(小川是君) 東京、大阪、名古屋の三市場における部門別の株式売買動向というのがございまして、私どもがそれを集計いたしてみますと、本年の一月から三月にかけましては、いわゆる外人セクター、外人部門の買い越しは約五千億、四千八百六十億というふうに承知をいたしております。

池田治民主改革連合

○池田治君 果たして四千八百六十億の買い越しで株価が動くほどの、日本全体の株の上昇が見込めるという数字であろうか。どうでしょうか。

小川是大蔵省証券局長

○政府委員(小川是君) 全体の中に占めます外国人投資家の売買のウエートというのは、ウエートといたしましては大変小さなものでございます。むしろ、外国人投資家が売りにあるいは買いに全体として転じているのではないかというような、あるいは転じているというデータが発表されますと、それが他のさまざまなニュースの一つとなってそれ以外の投資家にもまた影響を及ぼすという性格のものでございます。  ちなみに申し上げますと、平成三年も平成四年も外国人投資家は我が国の下げの相場の中で買い越しの投資家のセクターでございました。この一-三月もただいま申し上げたような形で買い越しの状況にある、こういうことでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 そこでわかってまいりましたが、ことしの四月五日の日経金融新聞によりますと、「今年に入って外国証券の買い手口が一層目立つが、「中心は外国人買いではなく、外国証券を経由した公的資金など国内の資金」」が大量に投資されたから株が上がった、こういう評論もございます。これは質問通告しておりませんけれども、こういうのも事実でございましょうか。

小川是大蔵省証券局長

○政府委員(小川是君) この外国人投資家というのは、外からの注文と委託を受けて国内に取り次いだというものでございますから、その向こうにある投資家が具体的にどうであるかというところまではわからないわけでございます。  いずれにいたしましても、ただいま御指摘がありましたような報道につきましても、どうしても株式市場での動向というものは各種の情報、また参加する人々の各種の思惑で形成されていくものでございますから、今おっしゃられるような見方もあれば、そうでない見方もあり得るということであると存じます。

池田治民主改革連合

○池田治君 そうしますと、外国証券会社の向こうにある者が外国人投資家の場合もあれば、日本の場合もある、こういうことであろうと理解をしてよろしゅうございますか。    〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕

小川是大蔵省証券局長

○政府委員(小川是君) 残念ながら、外国から注文がおった分のもとがどういう投資家であるかということはわかりませんので、今のような御推測が成り立つではないかという点につきましては何とも御返事のしょうがないわけでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 昨年の八月十八日に発表されました「金融行政の当面の運営方針」の中で、「株価低迷への当面の対応」というところで、金融機関による決算対策のための益出しの株式の放出を抑制せよというような通達か何かを出されたと思います。実際に金融機関はこの通達を受けて益出しを抑制した、かなりの株式の売りを抑制した、そのために株価が上昇したと。こういう効果はあったのでございましょうか、どうでしょうか。

小川是大蔵省証券局長

○政府委員(小川是君) 株価が具体的に上昇しあるいは下降いたしましたときに、いかなる要因によるものかというところは何とも分析のしょうがないと申しましょうか、申し上げにくいわけでございます。  ただ、御指摘の昨年の「金融行政の当面の運営方針」で言っておりますのは、「決算対策のための益出しは、株式市場が低迷を続ける中で、益出し-株価下落-益出しの悪循環に陥るおそれがあるとともにこというくだりがございます。したがいまして、こうした金融機関の決算に臨む対応が株価にどう影響したかということを確と申し上げることはできないわけでございますけれども、いたずらな下落を招くということについては一定の金融機関の判断による影響があったというふうに見られても、それは一つの考え方であろうというふうに思うわけでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 確かにいろいろな要素がかみ合って株価上昇ということがあるわけですから、一つだけの要因で云々することはできないと思います。  しかし、益出しにつきましては、これは決算対策の益出しをやめろと大蔵省はおっしゃって、かなり金融機関はそれに従って益出し売却を二月ごろまではやめようとしていたが、三月になりまして今度は株価がどんどん上がって、むしろ益出しをすれば含み損は抹消されてしまうので、かえって益出しの株式放出の方が決算対策になるという皮肉な結果が出たように思います。この点はいかがでございますか。

小川是大蔵省証券局長

○政府委員(小川是君) もとより、金融機関であれ他の事業法人であれ、三月決算を控えましてこれにどういう対応をするかというのは、かなり早い段階から業績等を見ながら考えてまいります。したがいまして、一月、二月の状況のもとにおきましては、期末の株式市況というものがかなり低迷したままであろうかという想定のもとに決算に対するいろいろの対応をしてこられていたであろう。これは私の推測でございます。  そういう意味では、三月の上旬から株式市況が大きく回復をいたしましたから、その過程において、想定していた状況よりは決算を組む側にとっては好転した状況でいろいろな選択肢の幅が広がったであろうということは想像されるわけでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 そうしますと、大蔵省は益出しのための株式放出を抑制せよ、こう言ったことと、その後にとられた益出しも可能であるというようなこととは一見矛盾したような通達になってきたということはございませんか。

小川是大蔵省証券局長

○政府委員(小川是君) もとより、「金融行政の当面の運営方針」に書かれておりました考え方は、当時の金融機関の置かれている状況あるいは市場の状況からすれば、経営者として自分の体力をいたずらに落とすことのないようという、ある意味では当然の考え方が示されたにすぎないのではないかという感じがいたします。  したがいまして、市場環境の変化に伴って、個別の金融機関がこうした考え方は当然念頭に置きながら自行にとってベストの対応を図られているものというふうに想像をするものでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 僕は、金融機関がそれぞれのベターな道を選んで決算対策を練られたということはよくわかりますけれども、大蔵省として、以前に益出しの株式の放出を抑制したらどうかと言っておきながら、また後では益出しの方法もよいと、こう言われたことについていかがかとお尋ねしているわけです。

寺村信行大蔵省銀行局長

○政府委員(寺村信行君) ただいまの証券局長の御答弁を補足いたしますと、昨年の八月十八日にあの方針を公表いたしました段階で私どもの説明は、これは金融機関の自由な投資判断に基づく株式の売却を抑制するつもりは全くございませんと。ただ、株式の評価損の増大を処理するために決算対策のための株式含み益の安易な益出しを抑制するということでございます。  したがって、金融機関はこの三月におきましてもそういう対応をなさったものと思います。ただ、その後、二月に通達を出しまして大蔵大臣の「所見」を出しましたときに、評価損償却のための益出しは基本的にはいたずらに金融機関の体力を消耗させるだけでありますけれども、そもそも株式の含み益というのはやはり不良資産の償却の原資に、すぐということではございませんが、長い目で見て充てるのが必要であろうという考え方を示しまして、それで今後とも引き続き決算対策のための安易な益出し、いわゆる株式評価損の増大によって発生したその益出しは引き続き抑制していくという考えでございますので、基本的な考え方は従来とも変わっていない、こういうことでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 そこで、昨年八月二十八日の総合経済対策で、証券市場の活性化策として、公的資金、郵貯とか簡保の公的資金、厚年とか国民年金、これによる簡易保険福祉事業団、年金福祉事業団を通じた単独運用指定金銭信託、指定単と言われておりますが、これへの運用についてということで、株式組み入れ比率の制限を設けない新たな指定単を設けることによって株式を買い支える役割を担ってきたのではないかと言われております。  また、ことしの四月十三日に出された「総合的な経済対策の推進について」の報告書でも、「株式の組入れ比率の制限を設けない新たな指定単については、その円滑な運用を引き続き推進する。」、こうして公的資金投入を引き続いて行うことが表明されております。  そこで、既存分の振りかえ額を調べてみましたら、郵貯で三千五百億、年金で三千五百億、簡保で一兆円、合計一兆七千億。これに総合経済対策の新規追加分が郵貯が六千五百億、年金が二千五百億、簡保が二千七百億、合計して一兆一千二百億、両方合わせますと二兆八千二百億。こういうのが昨年じゅうに投資をなさっていると思うんです。  その投資もいきなり大蔵省がなさったわけではなくて、年金とか郵貯は大蔵省資金運用部が一時預かって年金福祉事業団へ入れ、事業団が信託銀行く預け入れ、それで指定単となるということになります。そしてまた、郵便貯金の方も、大蔵省資金運用部から金融自由化対策資金として簡保事業団に行き、それが信託銀行く行く。保険の方は直接簡保事業団に行く、そして信託銀行経由で投資される、こうなっておりますので、大蔵省に幾ら今から投資するかと聞いてみたところでどうも答えられないということでございましたので、そこまでは聞きません。  本年度の財政投融資計画においても郵貯で五千億、年金で三千億、簡保で二兆円、合計二兆八千億の株式組み入れ比率の制限を設けない指定単を予定されていると伺っていますが、これは事実でございますか。

藤井威大蔵省理財局長

○政府委員(藤井威君) 今先生がおっしゃいました数字等はそのとおりでございます。  去年八月の総合経済対策におきまして、従来から指定単という仕組みのもとで資金運用事業が行われておりましたが、その指定単の仕組みのうち一部を変えまして、株式の組み入れ比率の制限がないという形での新しい指定単を設けました。先生もおっしゃるように去年は二兆八千二百億円という枠で実行いたしました。  ことしの平成五年度の財政投融資計画を編成しております段階、つまり去年の十二月の段階でこれをどうするかということを考えたわけでございますが、株式市場の現状からいいますとなお活性化あるいは健全化のための新指定単の枠組みを引き続き維持する方が適当であるという判断を持ちまして、現在の平成五年度の財政投融資計画の中の資金運用事業の中に、先生がおっしゃいましたような二兆八千億円の新指定単の運用枠を設けたわけでございます。  先日の新しい総合経済対策におきまして、引き続き適切な運用を図るとされましたこの新指定単というのは、当初の財政投融資計画に組み込まれた二兆八千億円について適切な運用をこれからやっていこう、こういう趣旨のものでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 低迷する株価を引き上げて経済界を活性化するためにはこれもやむを得ない措置だということも言えますし、また一般投資家や財界人を喜ばせるということにも通じるものがあろうかと思って、引き続き投資されることについては私はあえて反対とは申しませんが、あえて大賛成ともちょっと言いにくい点もございます。  なぜかといいますと、今までは、一昨年の証券不祥事前は大体大手証券会社が株価決定に大きな影響力を持っている、こう言われておりました。このまま財政投融資計画でどんどん公的資金をつぎ込みますと、今度は大手証券会社にかわって公的資金が株価決定に大きな原因を持つと。こうなってしまうことは、これは自由主義経済において株価決定の自由競争、そしてまた競争のみならず透明性、この問題にも影響してくるんじゃなかろうか。こういう不安を抱いておりますが、大蔵省としてはこの点はどうお考えでしょうか。

小川是大蔵省証券局長

○政府委員(小川是君) 先ほど御説明をしましたような仕組みでお金が株式市場に流れ込んでいくわけでございます。株式市場の方から見ますと、やはり国民経済全体の中で生まれました貯蓄が、その一部は預貯金に回り、債券に回り、あるいは株式市場を通じて今度は資金の需要家の方へ流れていくわけでございますから、そうした一つのセクターとしてこうした新指定単というものが市場に流れてくるということは、市場における価格形成が現在の透明性を持った市場で行われる、その中へ流れ込んでくるということはそれなりに評価されることであります。  一番のポイントは、さまざまな仕組みを通じて、市場におけるリスクを担った資金として損益を担う勘定で市場に投入されてきている。それも一つの株価形成のワンセクターであるという立場でございますから、それはそれとして我が国の市場のあり方として適切なものではないかというふうに考えているわけでございます。

池田治民主改革連合

○池田治君 時間になりましたので、最後に余談でございますが、NTT株は最初百二十万ぐらいで放出されたと思っております。その後どんどんどんどん上昇して三百万を超えるという時期もございました。ところが、ここ二、三年、だんだんと下落してまいりまして、五十万円台になったと記憶しております。それがことしの二月、三月にはまた急上昇を始めまして、今は百万円を切ったり百万円を超えたりというところまで回復してまいりました。  これは結構なことだと思っておりますが、今政府はNTT株の保有はどの程度あって、これは年内に放出する予定があるのかどうかお尋ねしたいのでございますが、回答できますか。

藤井威大蔵省理財局長

○政府委員(藤井威君) 現在、NTT株式のうち売却可能な部分は国債整理基金特別会計で保有しておりまして、そのうちの一部は放出済みであり、まだ一部が放出されないで残っているという状況でございます。ちょっと計数は今手元にございませんので、また後で先生の方にお知らせしたいと思います。  現在、国債整理基金で保有しておりますNTT株式をどうするかという点につきまして、昨年八月の総合経済対策におきまして、二年間これを凍結するというふうに決定をしております。したがいまして、去年は予算で売却の授権枠をいただきましたが、それを使用しませんでした。平成五年度におきましては予算上売却の授権枠をいただいておりません。したがいまして、NTT株式を今年度中に売却するという予定は現在持っておりません。

池田治民主改革連合

○池田治君 もしNTT株が三百万ぐらいに上がったとしても、ことしは放出しませんか。

藤井威大蔵省理財局長

○政府委員(藤井威君) いわゆる二年間凍結という方針を貫きたいというふうに今現在思っております。

島袋宗康二院クラブ

○島袋宗康君 総合景気対策について各委員の方から多くの質疑が交わされましたけれども、私も総合景気対策から入っていきたいと思います。多少の重複もございましょうけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  長引く不況の打開策として総額十三兆二千億円の総合景気対策を決定したわけでありますけれども、今回の不況は政策不況とも言われているように、その最大の原因は八〇年代後半の超金融緩和策や金余りが招いたバブル時代の反動であると指摘されております。そして、日銀にその超金融緩和政策を押しつけたのが当時の大蔵大臣であり現総理の宮澤さんであるということも言われておりますし、また大蔵省もその問題に手をかしてきたというふうなことがよく言われています。  そうした指摘を踏まえて、今度の総合景気対策が我が国の景気動向に及ぼす影響、特に政府の期待する実質経済成長率の見通しとその根拠についてお伺いしたいと思います。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) まず、平成五年度の予算編成で、大変厳しい税収状況等でございましたけれども、内需中心の持続的な成長を図るために経済情勢等を勘案いたしまして景気に十分配慮するなどの最善の施策を盛り込んだわけでございます。  ただ、最近の景気の現状を見ますと、回復の兆しを示す動きが徐々にあらわれてきてはいるものの、前回の対策において財政面の柱となります四年度補正予算の成立が昨年暮れとおくれたこともありまして、景気の先行きはいまだ予断を許さない状況にございます。こういうことから、政府といたしましては今後の景気の足取りを一層確かなものとするために、今般予算成立直後という極めて異例な時期ではございますけれども、総合的な経済対策を策定する必要があるというふうに判断しておるわけでございます。  今回のこの総合経済対策によりまして、政府が五年度の実質成長率を予定しております三・三%、これが前回の補正、四年度の補正及び五年度の予算と相まちましてそれを実現することになるだろうというふうに考えておるわけでございます。

島袋宗康二院クラブ

○島袋宗康君 政府は、当初予算成立前から大型景気対策の必要性を指摘されていたわけです。なかなか具体策を講じてきませんでしたけれども、九三年度当初予算成立直後に大型補正予算を行おうとしているということについて、いわゆる当初予算の作成の見通しが甘かったんではないかと言われても仕方がないんじゃないかと思うわけです。それとも、今回の補正予算というのは、大幅な対米黒字の問題、そしてクリントン大統領との会見によってのものの原因によるのか、あるいはまた、東京サミット、G7の問題、あるいはまた六月の東京都議選に向けてのいわゆる政治的な配慮なのか、いろいろ細かくございますけれども、その面について政府はどういう御見解でありますか。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 予算の内容等につきましては先ほど事務当局から御説明したとおりでありますけれども、平成五年度の予算の編成をしましたのが昨年の十二月であります。一月に予算案の提出をいたしまして、国会でいろいろと御議論をいただいたところでありますが、最初は正直申しましてあれでやれば、景気に配慮した予算で、一〇・何%の政府投資というのもありますから相当いけるんだろう、こう思っておったんです。また、そういった気持ちで私たちも組んで、また国会でもいやこれでベストな予算だ、こういうことで申し上げてきたのは事実でございます。  しかし、経済の動きを見ますと、私たちが思ったよりはなかなか景気の回復がはかばかしくない。昨年の八月に組みました総合経済対策がもう少し出てくるのかな、こう思っておったんです、正直に申しますと。なかなか出てこない、こういうふうな形もありまして、予算の編成、予算の審議をお願いしている間で、自民党の中では各地でいろいろなヒアリングをやったりなんかをしたわけであります。たしか沖縄にも行ったんじゃなかったかと思いますが、いろんな話を聞いておりまして、やっぱり状況に応じたものを考えていかなくちゃならぬだろうというのが率直なところだろう、こう思うんです。  したがって、野党の皆さん方の御協力もいただいて三月三十一日に二十二年ぶりという年度内成立というのもできましたし、皆さん景気の問題については配慮しておられるということもある。それを今もう一つ、一つにも二つにも確実なものにしていくということはやらなくちゃいかぬ。本当は一つの国会の中で予算二遍やるというのは大体おかしな話ですよ、正直申したら。しかしながら、そういったことにとらわれずに果断な判断をして景気対策を打っていくことの方が本当にいいことではないか。また、これは皆さん方もそういうふうな御期待を持っておられるものだろう、こういうふうに思いまして、あえてそういった手段をとったような次第でございます。  そういった意味で、別にアメリカへお土産を持っていくとかなんとかというような話じゃ一つもございません。また、日本の景気がよくなっていくということは、日本だけではなくて、もちろん日本に一番大きな影響がありますけれども、世界に対して私はいい影響をもたらすものだろう、こう思っているところであります。  G7なんかで聞きますと、フランスも三百万の失業が出ている、ドイツは東ドイツを抱えてどうにもならぬ、イギリスだってだめだ、みんな余りよろしくない話でありまして、アメリカが少しよくなってきたけれども、まだまだアメリカもやったといったところで大したことをやっているとかどうということはない。この前やりましたのは、日本は今度千百六十億ドル出しました。金額に比較したら七分の一とか六分の一ぐらいの話でありますからそう大きな話じゃないんですよ。だから、世界経済の中でやっぱり日本が占める地位というのは大変私は大きな役割だろう、こう思っています。そうした意味で、私たちもこれからやるべきことはやっていかなくちゃならない、そんな気持ちでございます。

島袋宗康二院クラブ

○島袋宗康君 よくわかりましたけれども、景気の現状は、新車の販売台数や住宅の新規着工数が上昇しているというふうなことが言われ、実体経済の自律的な反転に加え、株価の上昇や住宅金融専門会社の不良債権問題が解決方向に向かっているというふうなこと、それから金融システムの不安が払拭されるというふうな状況にあると。そこで、景気は既に底固めの状態になっているんではないかと言われているわけでありますけれども、最近の急激な円高問題という不確定な要素はありますが、政府の政策対応いかんによってはバブルの再燃という危惧もいろいろと聞かされるわけでありますけれども、今後のそういった見通しについて、具体的な対応策がありましたら御見解を伺いたいと思います。

筑紫勝麿経済企画庁調整局財政金融課長

○説明員(筑紫勝麿君) お答え申し上げます。  バブルの再燃の懸念があるのではないかという御質問と承りました。先ほど経済の現状につきまして大蔵省の方から御答弁がございましたが、確かにただいま先生から御指摘ございましたように、回復の兆しというものが一部に出てきておりますが、基本的にはまだ依然として経済は低迷していていまだ予断を許さない状況にあるというふうに認識しております。これは先ほどの経済対策の前文にもそのような認識をお示ししておるところでございます。  バブルの再燃の懸念につきまして、このような経済情勢と前回六十一、二年ごろの経済情勢を比較してみますと、まずマネーサプライや地価、株価の動向といったものはこれはかなり異なっております。  例えば、当時のマネーサプライというのは二けたに近い伸びをしておりましたが、現在ようやく前年比でプラスに転じるかどうかというような状況でございます。それから二番目に、これも予断を許さない状況の一つの具体例だと思うわけでございますが、民間需要の自律回復力というのがまだまだ楽観できるような状況ではないということがございます。それから三番目に、バブルの時期には地価高騰が非常なものであったわけですが、それを教訓といたしましてその後土地税制の活用、それから監視区域制度の的確な運用等の各般の施策を講じたところでございまして、これらを総合的に考えますと、バブルの再燃を懸念するような状況ではないというふうに考えているところでございます。  しかしながら、今回の経済対策の推進に当たりましては、今後の景気の足取りに細心の注意を払いつつ適切かつ機動的な実施を図るということが不可欠であるというふうに考えておるところでございます。

島袋宗康二院クラブ

○島袋宗康君 今自信のほどを示していただきまして、バブルの再燃はないというふうなことをお聞きして安心をしております。  次に、所得税減税の実施についての問題であります。  いわゆる所得税減税は現実の問題としては見送られた形になっておりますけれども、現在、税制のあり方から見て当然景気の浮揚効果というものは所得税減税がまさるということがよく言われているわけであります。その要求も非常に根強いものがあるわけでありますけれども、所得税減税の本年度内の実施は全く考えていらっしゃらないのか、それとも政治的配慮で再浮上というものが出てくるのかどうか、その辺の見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。

林義郎自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(林義郎君) 所得税減税の問題につきましては、私は当委員会におきましてもたびたび御説明をしているところでございますが、この問題そのものにつきましては、景気対策の効果として一体効果がどうか、特に公共事業を行う場合に比較いたしまして乗数効果その他の問題で劣っているのではないかという問題がございます。それから、いろいろと言われておりますけれども、言われているところの所得税減税、相当巨額なことをやるならばその財源をどうするのか、赤字国債を発行するということになれば後世代に負担を残すことになる。そんなことを一体どういうふうに考えていくのか、これは極めて疑問である。  もう一つは、所得税体系の中におきましてどういうふうな形でやっていくのかというような問題がありまして、幅広い検討をすることが必要ではないか、こういうことでございます。現在のところ、新経済対策の中では、景気対策として実効性の高い住宅取得促進税制の拡充と設備投資減税などの措置を税制上の対策としては行ってきておるところでございます。  もう私からくどくど申すまでもありませんが、四月八日の不況対策に関する各党協議会におきまして自民、社会、公明、民社の四党間で話し合いが続けられ、今会期中に引き続いて協議をする、こういうふうなお話になっていることは承知しておりますが、そういったことの中でいろいろと考えていく、私たちの方としてはそれを見守っていくということでございますが、今申し上げましたような問題がある。  この問題があるということは、与野党協議は抜きにしまして、理論として、また本当のあるべき姿として私は問題があるということを改めて申し上げておきたい、こう思っておるところでございます。

島袋宗康二院クラブ

○島袋宗康君 我々としては、どうしても所得税減税を実現していただきたいというふうな気持ちに変わりはありませんので、大蔵大臣もその面をひとつ御理解いただきたいというふうに思います。  それから、最近の円高傾向にある状況の中で、いわゆる財政面からの景気対策の効果減殺というものが出てくるだろうと思います。したがって、景気対策に及ぼす円高の影響とその対策についての御見解を伺いたいと思います。

筑紫勝麿経済企画庁調整局財政金融課長

○説明員(筑紫勝麿君) お答え申し上げます。  円高の影響につきましては、一般論で恐縮でございますが、プラス、マイナスの両面にわたるさまざまな側面があるというふうに考えております。  すなわち、円高によりまして輸出数量が減少、また輸入数量が増加するということになりますので、国内の生産が縮小し、企業の収益や所得も減少するというようなことになります。これはいわゆる円高のデフレ効果と言われているものでございます。  他方、円高によりまして輸入価格が低下し物価の安定に資するということになりますので、これが実質所得の増加に寄与し、消費者マインドに好影響を与える。このほかに原材料コストの低下がございますので、企業収益を改善するというさまざまないい面もございまして、こちらの方はいわゆる交易条件改善効果というふうに言われておるものでございます。  問題は、そのプラス、マイナスの効果というものがどの程度に働くのかということでございますが、これはそのときどきの経済の状況によってさまざまであるということで、一般論としてはそういうことになるわけでございますが、どちらかといいますと、マイナスの効果の方は輸出産業を中心に目に見える形ですぐにあらわれやすいというのに対しまして、プラスの効果の方は目に見えない形で、かつ時間をかけてあらわれてくるというような傾向がございます。  最近の動きを見ますと、確かに急激な円高という感じがございまして、このような場合には先ほどのマイナスの面が強く出てまいりまして、我が国の内需拡大のための努力を阻害する懸念があるということであろうと思います。  お尋ねの趣旨は、この円高によって先般の対策の効果が減殺されるのではないかということでございますが、この点につきましては、今回の対策は総規模十三兆二千億円という、GNP比で二・八%に相当する大変大きな規模のものでございまして、この波及効果も考えますとこれは相当なGNP上の効果が出てくるであろうというふうに考えております。この効果自体は対策を着実に実施することによりまして為替レートのいかんにかかわらず確実に発現してくるものでございます。定量的な比較というのはなかなか困難でございますけれども、今後さらに急激な円高というようなものを想定しなければ、円高のマイナス効果によって対策のかなりの部分が減殺されるというようなことはないのではないかというふうに考えます。  いずれにしましても、為替相場につきましては、これは思惑等によって短期間のうちに大きく変動することは好ましくないというふうに考えておるところでございます。

島袋宗康二院クラブ

○島袋宗康君 景気浮揚対策には余り関係ないというふうな御指摘でありますので、ひとつその面の対策を十分とっていただくように要望しておきたいと思います。  それから、新社会資本ということがよく言われるわけでありますけれども、従来、不況対策といったような形で政府が対応してきたのは、道路や港湾あるいはまた農地整備とかといったような、いわゆる土木事業を中心としたものが社会資本と言われたわけでありますけれども、よく言われます新社会資本について、今度の補正予算あるいはまたこれから組もうとしていられる皆さん方の新社会資本というものはどういうふうなとらえ方でもって対応していくのか。その辺について、今このことが非常によく新聞等で言われておる関係で、ちょっとその辺を整理してみたいなという気持ちでお尋ねいたしたいと思います。

筑紫勝麿経済企画庁調整局財政金融課長

○説明員(筑紫勝麿君) 経済対策を取りまとめました経済企画庁の立場から御答弁申し上げたいと思います。  いわゆる新社会資本につきましては、今度の経済対策の第三項におきまして「社会資本整備の新たな展開」という形でまとめております。  その考え方でございますが、今回の対策におきまして、社会資本の整備に当たりましては、情報化、高齢化等の社会経済情勢の変化、それと生活大国五カ年計画に示されました将来への展望といったようなものを踏まえまして、景気の現状に的確に対応していくという観点から、さまざまな分野に幅広く投資を行うことによりまして、対策の効果がより広範にかつ直接的速効的に及ぶよう新たな展開を図るというふうにしたものでございます。  具体的には、公共事業、施設整備、地方単独事業、それから民間が行います社会資本整備、それぞれの分野について新たな展開を図るというふうにしておりまして、例えば、公共事業につきましては、景気浮揚効果の高い都市再開発事業、それから電線類の地中化等の事業や生活関連施設等につきまして特に配慮するというふうにしております。  それから、各種施設につきましては、大学、研究所等の老朽化施設等の改善、教育、研究等の高度化、情報化に対応した各種施設、システム等の整備、医療、社会福祉のための施設や混雑緩和を目指した都市鉄道の整備等でございます。  三番目に、地方単独事業につきましても、地方債等を活用しつつ、国と同じような考え方で事業を進めていただくということを要請することにしております。  四番目に、民間におきます社会資本整備につきましても、開銀等を通じた財政投融資資金を積極的に活用していく。このような考え方で新社会資本の新たな展開を図っていこうというふうにしておるものでございます。

島袋宗康二院クラブ

○島袋宗康君 今御答弁の中に、いわゆる都市再開発事業というものがありましたけれども、これは私どもの地域を紹介するのはなにかと思いますけれども、戦後のいわゆるどさくさ紛れの中で、スプロール現象といいますか虫食い状態の中での都市計画が進んでおります。したがって、一方では区画整理が非常に進んできれいになっているところもありますけれども、また一方では、道幅一メートルもないといったような状況があります。  今おっしゃったような都市再開発事業というのは非常にこれからの日本にとって重要な課題ではないか、そのことによっていろんな面の波及効果が出てくるというふうに思いますので、今おっしゃったような、一点でもいいですから、都市再開発事業というものを本気になってぜひ取り組んでいただきたいなと思っておりますので、御要望申し上げまして、もし御答弁があれば承りたいと思います。よろしくお願いします。

武藤敏郎大蔵省主計局次長

○政府委員(武藤敏郎君) 都市再開発事業、これは一般的に申し上げまして民間投資を誘発するという効果が非常に高い事業でございまして、景気浮揚効果がそれだけ高いものというふうに考えるわけでございます。また、国民生活あるいは地域活性化といったような観点からも大変望ましい事業でございまして、いわゆる社会資本整備の新たな展開としては中心的なものの一つとして位置づけられているというふうに考えております。

島袋宗康二院クラブ

○島袋宗康君 終わります。

野末陳平自由民主党

○委員長(野末陳平君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗