商工委員会 第8号
- 発言数
- 142 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1993/04/27
会議録
○委員長(斎藤文夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 まず、議案の撤回についてお諮りいたします。 平成四年十二月九日に趣旨説明を聴取いたしました高度医療福祉機器の研究開発等の促進に関する法律案について、昨二十六日、発議者和田教美君外二名から撤回の請求がありました。 本案の撤回を許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認めます。よって、高度医療福祉機器の研究開発等の促進に関する法律案は撤回を許可することに決定いたしました。 ―――――――――――――
○委員長(斎藤文夫君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事竹之内一哲君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(斎藤文夫君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○峰崎直樹君 三月二十六日の日にたしか予算委員会の委嘱審査がありまして、そのときにも特に日米の通商問題について私の方から質問をいたしました。そのときは、あいにく森通産大臣はちょうどアメリカへ大変重要な公務で出張されていましたので、そのときにお伺いすることはできませんでした。実は、そのときに聞いたこと以上に、四月の十六日でしょうか日米首脳会議が行われました、それ以降大変私たちにとってこれは憂慮すべき事態と言っていいんでしょうか大きな変化が起きているんじゃないか。 私どもが新聞等で、四月十六日の日米首脳会談の結果、クリントン大統領の方から対日貿易収支の改善に向けて次の四つの条件、すなわち一つは円高を容認するような発言、あるいは日本の景気刺激策がとられるということ、それからアメリカの生産性の向上を図るということ、そして分野別の協議を図る、こういうことを通じてこれからの日米貿易収支の改善を図っていこう。それに応じないときは、私も三月二十六日のこの会議の中でもそういう危険性があるのじゃないかということ を指摘していたんですが、スーパー三〇一条を復活し一方的な報復措置をとる、こういうことすら言明されたように聞いたわけでございます。 森通産大臣の方から、まだ政府の考え方といいますか決まっていないのかもしれませんが、たしか二十二日の日にはブラウン商務長官も日本にお見えになったというふうに聞いておりますので、そういった点についての御見解、お話し合いがあったのかどうか、この点についてまずお聞き申し上げたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 先日の日米首脳会談におきまして、クリントン大統領から日本の内需拡大等のマクロの問題、それからセクター問題及び構造問題の解決が重要であるという指摘をされたわけでございます。 具体的な対日政策というのはまだ明らかになったわけではございませんが、大統領と総理とのお話し合いの後のそれぞれ記者会見で、従来でございますと両首脳が会って大体共同の発表ぶりを決めて、両方がそれを発表するというのが従来の形だったと私なりには承知しておりますが、今回はそれぞれの立場で記者会見をするという形をとられたわけです。 その記者会見の中で、クリントン大統領が、今委員が御指摘になりました日本とアメリカとの貿易のインバランスについてどうしたら解決するかということについての考え方を四項目ぐらい挙げられた、このように私どもは承知をしております。その中の一つに、あたかも円高を容認するような発言があったということもその後の円の急伸等に反映をしてきているわけでございます。いずれにいたしましても、今申し上げましたように対日政策をどうすべきかという部分については、まだ明らかに具体的に示されているものではないということでございます。 ただし、同時にアメリカの生産性向上の必要性というものも当然指摘しておられたわけでございます。これは、その前に私がアメリカへ参りましたときもゴア副大統領が、やはり財政赤字の削減もあるし、産業も国際競争に勝てるように向上していかなきゃならぬとか、教育問題だとか、そうしたものへの投資が必要だとかということはゴア副大統領も私に率直に述べておられまして、日本がやってきた施策をむしろアメリカが参考にしていかなきゃならぬというようなお話も私との間では出ておりました。そういう意味で、アメリカの首脳としてもそうしたアメリカの現状というものを十分やはり踏まえて、いろんな角度からお話をされているものだろう、こんなふうに私どもも承知をしているわけです。 我が国といたしましては、この両国間の協力を一層強化するということが重要でございまして、総合経済対策をこのたびとらせていただきましたことも、内需拡大の努力をする、そしてそのことが輸入促進を推進していくことになる。たびたび私もこの委員会で申し上げたと思いますが、諸外国のそうした日本への輸出に対するビジネスの機会を与えるということがやはり大事だというふうに考えてそうした施策をとったところでございます。そういうことを図りつつ日米間の諸問題の円滑な解決を図っていきたい、このように考えております。 また、総理からも指摘されましたように、両国の経済的な繁栄のためには自由貿易の原則に基づいた協力が重要であるということでございまして、管理貿易でありますとか一方的な措置ということは絶対に反対であるという旨は総理からも申し上げておられます。また私も、先回渡米いたしましたときもそれぞれの方々にもそのことは強く申し上げでございます。今後とも、アメリカ側によくそのことを説明しながら理解を得たいと考えております。 なお、ブラウン商務長官が今回の東西経済・産業・貿易大臣会議にも御出席なさいまして、私も個別にお目にもかかりました。また、会議中前日から入れまして約二日半ぐらい随所で御一緒することにもなりましたので、その都度懇談の形で申し上げたりしてまいりました。今度のこの東西会議でブラウン長官とは私にとりまして訪米時のときから二回目の会談でございまして、日米の協力関係につきまして率直な意見交換も行いました。 具体的には、ロシア、東欧支援というこの東西会議にお見えになりましたので、会議の重要性とぜひ会議が成功するための御協力もお願いを申し上げたということで、主にはこうしたロシア、東欧支援のミクロの問題というものの話し合いが中心でございまして、これらの積み重ねが重要であるという観点から、日米両国が協力してこうした国々に対しての経済改革のバックアップをしていこうではないかということで一致をいたしました。 なお、長くなって済みませんが、ブラウン長官には立ち話とかいろんな機会がございましたので、総理に率直にあなたはおっしゃったようだし、総理も日本側の立場をきちんと説明されましてそれはわかっておられますねと言ったら、よくわかっておると。私も総理と意見は違うわけでもないですよ、そのことは私はアメリカであなたにもよく申し上げてあります、ここはせっかく今東西間のこの会議を成功させようとしているんだからあなたも不愉快なことを言ってもおかしい、私も不愉快なことを言わないでおこうと、そのことはお互いによく踏まえて今後とも協力していきましょうよというようなお話は申し上げたところでございます。
○峰崎直樹君 また、恐らく今後ともサミット前までかなりいろいろなやりとりが続くんだろうと思います。私は野党の一員でございますけれども、私自身も日米関係というのは本当に重要な関係だと思っていますので、できればアメリカに行っていろいろ通商問題などもお互いに論議できるような場を個人的にもつくっていきたいな、こう思っておりますので、また改めて大臣などに情報などもお聞きしたいと思っています。 さて、宮澤総理はこの日米首脳会談の中で、日米間の貿易投資の流れを促進するための新たな枠組みを三カ月以内に設置することで合意をしたと、こういうふうに言われているんですが、内容がまだちょっとこれだけでは明確ではないんでありますが、これはどなたにお聞きしたらいいんでしょうか。日米構造協議がございましたが、これと大体性格的には同じものなんだろうかな、あるいはそれよりも一歩進んだものなんだろうかな、この点いかがなものでしょうか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 今回合意されました枠組みというものは、日米間での経済の新たなパートナーシップを促進させるために主要産業における貿易投資の流れを促進しようということで、両国の構造的な、及びそのセクター間の協議をしようということと、それから総理から提言されまして、そういう対立型のものじゃなくて一緒に協力してやるという分野も取り上げようじゃないかということから、環境、技術、人的資源の開発というものも取り上げようということ、これを新たな枠組みとして進めていこうということが合意されました。 先生御指摘の具体的な中身はどうか、SIIとの関係いかんということでございますが、具体的にはどういうメカニズムにするか、またそのセクターといいましても、あるいは構造的といいましても、どういうテーマを取り上げるかということはまだ結論を得ておりませんで、今後七月のサミットのときにまたお会いになるわけでございますが、それまでにとりあえず枠組みだけを決めようではないかということが両首脳間で合意されたことというふうに心得ております。
○峰崎直樹君 外務省の方もお見えになっていると思いますが、今の点とも関連するんですが、日米構造協議は一体これは何だったんだろうかな。そして、たしか日米構造協議についてアメリカ側が一九九〇年三月二十日にUSTRが発表した一九九〇年版外国貿易障壁報告の中で、SIIは日米貿易不均衡の改善が極めて遅いことに対処するため開始をしたんだ、こういうふうに言っております。そうすると、また貿易不均衡がどんどん拡大をしてきていますから、同じようにまた似たよ うな形でやってくるのではないか。 あの日米構造協議の大変長い、しかも熱い戦いだったものは一体何だったんだろうかなといった点について、現段階における評価があればお聞きしておきたいと思います。
○説明員(佐々江賢一郎君) 先生が今御指摘になられましたとおり、日米構造問題協議と申すものは、基本的には対外不均衡の是正に向けまして両国が経済政策の協調努力を補完するということで、日米それぞれが相手国の構造問題を指摘し合って、それぞれがその指摘も踏まえまして自分が必要と考える構造改革を進めていくということを主な目的として始められたものであるわけです。 長年にわたりましてこの協議を行ったわけでありますけれども、この協議の中では、率直に申しましてかなり突っ込んで双方の経済構造について議論を行いました。お互いにビジネスのやり方についてどうなのかということについて議論をしましたし、基本的にはお互いの長所をどうしたら学べるかということも議論したわけでございます。その中で、また意見が必ずしも一致しない点もございましたけれども、基本的にはこの議論を通じまして両国の経済構造の改善に前進があった、有意義な議論が行われたというふうに考えておるわけでございます。 御承知のとおり、この結果両国政府におきまして九一年五月に第一回の年次報告を取りまとめました。それから、九二年七月には第二回の年次報告を取りまとめているわけであります。そして、三年目のフォローアップということで、実はことしこれをどうするかということが一応議論されるということになっておるわけでございますが、この点に関連しまして既にこの間の、先ほど来お話がありましたような新しい日米のフレームワーク、協議のメカニズムをどうするのかということに話の焦点が移ってきておりますので、その中で構造問題もどのように話していくかということについて今後政府部内、さらには日米間で調整をしていくということになるだろうというふうに考えております。
○峰崎直樹君 実は、三月二十六日に私が質問したとき、日米が手を取り合って、そして特にアメリカがEFTAあるいはNAFTAをさらにEAIまで広め、かなり地域的なローカリズムといいますか、地域に閉じこもろうとする傾向をやはり広げていかなきゃいかぬというような主張をしたわけでございます。 実は、そのときの前提として私の考えていたのは、アメリカというものもやはり自由貿易というものを求めているんだ、私自身もこういう考え方を持っていたわけですが、どうも最近のクリントン氏の貿易政策といいますか、アファーマティブアクションというふうにいいますか、結果重視という方向にどうやら考え方を変えているんじゃないのか。自分たちの得意な分野では自由貿易、そして自分たちが保護しなきゃいけないところでは公正な貿易をという形へと、どうも従来のブッシュ時代といいますか、共和党政権時代までのこれまでの政策を少し変えてきているんじゃないだろうかというふうに思っているんですが、この点はいかがなものでしょうか。
○政府委員(岡松壯三郎君) ただいま御指摘の点でございますが、クリントン政権もやはり基本は自由貿易主義にベースを置いているというふうに私どもはまだ見ておくべきだというふうに思っております。 ただ、御指摘のように現在いろんな機会に、政府によります発言の中に結果重視型の発言が見られるわけでございます。これは、政府の一員として入りましたローラ・タイソンの著作の中にありますように、ハイテク分野についてはやはり何か数量的な目標を設けてアプローチしていくことが必要だということが指摘されているわけでございまして、その成功事例と先方は言うのでございますが、例の半導体協定において二〇%のシェアを設定し、両国努力した結果、これはたまたまと申し上げた方が正確なんでございますが、昨年の第四・四半期に二〇%を超えたというのを例にとりまして、やはりこのアプローチしかないんだというようなことを強く感じておるというのではないかと思われるわけでございます。 そのような考え方を広げてまいりますと、先ほど大臣から申し上げましたように、管理貿易的な手法でマネージしない限りそのようなことを次々に達成していくことはできないわけでございます。私どもはそういう数字を置いた目標、それに向かって進んでいくということは避けるべきで、やはり両国産業が協力しながら世界の貿易を発展させるような間柄で世界の経済を発展させるような方向に持っていくというのが世界の四〇%を占める両国経済政策のあり方ではないかというふうに考えておりまして、この辺の基本は首脳会談におきまして冒頭交わされた両首脳の会談の中にも理解が得られているというふうに私どもは考えている次第でございます。
○峰崎直樹君 今の局長の答弁は、私もそういうふうに思いたいわけです。クリントンさんあるいはゴアさんが選挙のときの公約の文書、私は前回もその中身を御紹介申し上げたんですが、貿易についての空疎な約束は聞き飽きた、我々に必要なのは成果だ、そしてスーパー三〇一条は外国市場を開放するのに役立った。もちろん、ガットを推進しなきゃいけないとかそういうことも一面言っているわけでございます。そういう意味でも、どうもそのように思わせる背景というのは、過去の日米半導体協定、これは一九八五年でしょうか、こういった政治対応を続けてきた結果がどうもやはりスーパー三〇一条のようにその結果を重視させていくためにはこういうおどしが必要なんだ、こういうふうに思わしめているんではないだろうかな。 そういう意味で、これから予想される日米の経済摩擦の問題あるいは世界の貿易の問題については二国間協議で管理貿易だと、こういうものになっていく危険性があるときにはやはり毅然たる態度でガット違反があればそれを提訴する、こういうふうに私は基本的な態度を考えるべきだというふうに思うんですが、この点は大臣、ひとつ見解がおありかと思いますので、お伺いします。
○国務大臣(森喜朗君) 私は、この間ブラウン長官といろんなお話をしましたときに、ブラウンさんは御承知のように今度の民主党の選挙キャンペーンで大変主力な役割をしておられた。全国委員長というのはどういうお立場か知りませんが、とにかくそれは私が聞いた話を彼に確認しました。どうやって十二年間の共和党から民主党が政権を獲得したのか、私が聞いた話を三つお聞きしました。これで間違いないかと言ったら、そうだと言っていました。 そのうちの一つは、共和党の支持へ走ったいわゆる中小企業、産業界というものを民主党に変える、取り返すというためにあなたは大変な役割を果たしましたねと言ったら、それはそのとおりだということを言っておられました。我々はお互いに選挙を受ける立場ですから、恐らく民主党としてはこの選挙を進めていく中でかなりの産業界の要望や要求、陳情というものがあったということは十二分に予想されるわけですね。特に、先ほど申し上げたような中小企業等は、私どもの調査によれば、当初は民主党だったのがいわゆる当時レーガノミックスといいまして共和党へ走ったんですね。レーガンの支持に回ったんです。それをまた取り返すためにブラウンさんはかなりの努力をしたというふうに聞いておりまして、そのお話は、私はこの間東京に見えたとき食事をともにしておりましたのでそういうフランクな話もしましたら、いやそのとおりだとおっしゃいました。 そういうことから推測すると、かなりのいろんな要求がある。クリントン大統領も、自由貿易ということと、それから日米協調していかなきゃならぬということについては認識は一致しているわけですから、業界などの要望、要求と自由貿易、日米協調していこうということとのその相克の中でかなりホワイトハウスは苦労をしておられるなという感じは、私はいろんな話を総合すると感じ られます。 そのことが、例えばブラウンさんが日本におられたときに記者会見で述べられておることや、あるいはどこかでたしか講演をされたことやら、そういうものを皆寄せ集めてみますとかなり話がぶれております。円高なんか期待していないという言い方の表現もありましたし、あるいはむしろ容認論みたいなことも言っておられたり、そういう中にかなりブラウン長官としても非常に考え方はぶれておられるなという感じは、つまり政治家として行政の立場で相当やはり悩みを持っておられるなということを私は推測をしてあげなきゃいかぬなと思いました。 ですから、私はお別れのときにも、今回はそうしたお話はしませんが、総理から日本側の立場はきちっと言いましたよ、だからブラウンさん、あなたもあなたのことを総理におっしゃいましたね、私どもはそれは容認しませんよということを申し上げました。今の新しい枠組みの機関の問題も、SIIというものをどうするのかねと言ったら、それよりもさらに一歩、さらに次のステップですよと、こういうふうに彼は言っていましたから、それじゃ次のステップなら我が総理が申し上げたようにもっと広範囲に環境とかあるいは投資の問題とか教育の問題とか産業力のそういう技術協力だとか、そういうもう少し一つ上の段階のフレームにしていくべきではないだろうか。もちろん、まだこれから事務ベースで進めていかれることでもあるわけだけれども、そういう形で私はぜひ御指導もアメリカ政府内でお願いをしたいということを申し上げておきました。 そういう意味で、今回松局長が申し上げましたように、あるいは外務省も申し上げましたように日米はより協調して世界的な課題を克服していこうということについて、宮澤、クリントン、何らそこにそごはないというふうに私どもは考えておりますので、今御指摘ございましたように今後とも十分そのことを踏まえながら、日米間のよりよい関係を構築していくことに政府としては最大の努力をしていかなきゃならぬ、このように考えます。
○峰崎直樹君 実は、日米構造協議の問題が出ましたので、特に日本側に多くの課題が投げかけられている中で、公正取引委員会の方にお聞きしたいと思います。 六項目のうち、四項目まで排他的取引価格だとかあるいは系列だとか流通問題、価格メカニズム、こういった面で非常に独禁法の機能を強化すべきだと、こういう主張が日米構造協議の中で展開をされたと思うんです。その後、指摘をされた独禁法の機能強化、そういった点についての改善が具体的に進められつつあると思うんですが、特に基準が非常にあいまいだと、こういうふうにされてきた例えば系列の問題とかいろいろ出てきていると思うんですが、そういった点についてどのような取り組みをされているか、余り時間もありませんので簡潔に伺いたいと思います。
○政府委員(小粥正巳君) ただいまお尋ねの日米構造問題協議におきまして、公正取引委員会関係の指摘事項でございますけれども、これは基本的には我が国の市場における公正かつ自由な競争を一層促進するために独占禁止法それから運用を強化する、そういう大きな筋道の中での事項と理解をしております。 簡潔にということですのでごく簡単に申し上げますけれども、これを受けまして、一つは独占禁止法自体の強化でございますけれども、一昨年国会で成立をさせていただきました価格カルテルに課せられます課徴金算定率の大幅な引き上げ、これは平成三年七月に施行されました。それから、事業者等に対する刑事罰の場合の罰金額の上限の引き上げでありますけれども、これは昨年の十二月に国会で成立をさせていただきました。従来の五百万円から一億円へと大幅に引き上げたのがその内容でありますけれども、このような法律制度の改正によりまして独占禁止法違反行為に対するいわば総合的な抑止力の強化が図られた。このほかにも、公正取引委員会自体の定員、機構の充実等さまざまな面がございます。いずれにいたしましても、法改正を含む制度の改革、機構、定員等の充実を含む違反行為に対する総合的抑止力の強化、日米構造協議で指摘された事項につきましても当面ほぼこれを充足する体制強化ができたように私どもは考えております。 それから、このような体制を背景といたしまして、独占禁止法違反行為についての厳正かつ積極的な排除、これに従来にも増して私ども力を入れて取り組んでいるつもりでございます。これも例えば、簡単に具体的に申し上げれば、公正取引委員会が行います最も厳しい措置であります違反行為に対する排除措置、勧告件数もこのところ年々増加をしておりまして、平成四年度の集計では勧告件数は三十四件に上っているところでございます。 それから刑事告発について、これは平成二年の六月に刑事告発に関する方針を公表したところでありますけれども、その後平成三年十一月、十二月、いわゆるラップ事件、それから本年に入りまして本年二月の社会保険庁発注のシールに係ります事案、この両件について検察庁に対して告発を行ったところでございます。 また、日米構造協議におきましては、法運用の透明性ということが強く指摘をされたところでございます。私どもといたしましては、流通取引慣行ガイドラインの公表あるいは企業の独占禁止法遵守体制の整備に私どもとしましても極力支援を行うなど、あわせまして違反行為の未然防止という点でもできるだけの努力を払ったところでございます。 簡単でございますけれども、とりあえずお尋ねのSIIについての公正取引委員会の活動の強化、独占禁止法違反行為に対する抑止力の強化という面につきましての取り組み方をお答えさせていただきました。
○峰崎直樹君 今指摘されたように、独禁法の機能アップのために努力をされている、そのことについては本当に評価をしたいと思うんです。私はかねて、これはリビジョニストといいますかそういう人たちの主張に全面的に私も賛成するものではないんですが、日本の法律といいますかあるいは裁判制度といいますか司法制度といいますか、非常に時間がかかる。あるいは裁判であれば結審がなくてすぐ和解をしてしまうということですね。ある意味では非常にわかりにくいというふうに思うんです。 今お話しになりました非常に告発が多くなったとか、勧告審決もふえたとか、あるいはさらにガイドラインを示されたというんですが、むしろ公正取引委員会の持っている準司法的な機能というものをもっとやはり機能アップして、そして正式審決に持っていく、そして不服ならば裁判所に行く。そういう判例や基準というものをきちんきちんと積み上げていくという方が、私はいわゆる行政指導的なやり方よりも日本の独禁法の機能アップにはつながっていくんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。 この点については、いろんな訴訟が多過ぎるアメリカが果たしていいのかどうなのかという別の問題ももちろんあるんですけれども、私自身はもっと独禁法の正式審決をきちっと繰り返して、そして判例なりそういうものを積み上げていくというようなことを進めることがもっと求められているんじゃないかなというふうに考えているんですが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、公正取引委員会の機能の一つでありますいわゆる準司法的な機能、これをもっと活用せよ、こういう御指摘かと存じます。 ただ、ただいまの御指摘の点は、私どもが先ほど申しました独占禁止法違反行為に対する最も厳しい排除措置としての勧告をいたしまして、これに対して相手方が応諾をいたしますと、これは御存じのとおり審判を経ないで勧告審決という形でいわば決着をするわけでございます。これによって、例えばその結果排除が具体的に行われる、あるいはもし価格カルテルでありましたらさらに課 徴金の命令を課す、こういう手続が進行されるわけでございます。 ですから、準司法的機能をもし狭く審判ということに限りますと、勧告を行いました相手方がこれを応諾しない場合、これは審判手続に移行いたしますが、その審判の途中で同意という形で審決が行われる場合もある、あるいは審判自体一種の裁判類似制度と言ってよろしいかと思いますが、この審判の結果審決が行われる、こういうケース、いろいろあるわけでございます。 ただ、あえて申せば審判が最終段階まで参りまして、審判の結果審決が行われるというケースが前二者に比べて比較的少ない。今までの実績は確かにそうでございますけれども、それは格別私どもの意識としまして、公取の機能の一つであります一種の準司法的機能が働いていないということでは別にないように思います。 それからさらに、審決が行われまして、その後今度は訴訟そのものに移行するかどうか。これもいわば相手方の考え方、私どもの行いました措置に対する信認の対応いかんによることでございます。それからまた広い意味で違反行為に対する損害賠償請求、これについての公正取引委員会としての支援措置、具体的には資料の提供等でございますけれども、私ども詳しくは省略させていただきますけれども、これはこれで一定のルールを公表いたしまして、例えば裁判所から送付嘱託があればこれに積極的に応ずるという態度も既に表明しているところでございます。 お答えとしてはやや不十分かと思いますが、とりあえず。
○峰崎直樹君 またガットといいますか国際関係の方に戻したいと思っているんですが、日米構造協議でのやりとり、たしかNHKの「日米衝突」というところで、あれは本当かどうかわかりませんが、いずれにしても資料がありましていただいたんですが、その中で独禁法をめぐってアメリカの反トラスト法だとかそういうものと日本とのやりとりを見たら、私が見ていて日本のそれまでの独禁法の運用というのはやはり十分ではなかったのかな、こんな印象を持ったんです。 そのことは別にして、また日米で新しい枠組みで貿易摩擦が拡大をしている、こうなってきたときに再び独禁法をめぐる日米間の問題というものが論議の俎上にのってくる。そのときに、私は二国間でやるとどうもアメリカの独禁政策というんですか、そういうものと日本とのやりとりだけに終わっちゃって、果たしてそれでいわゆる言葉として公正という言葉を使っていいかどうかわかりませんが、むしろ多国間で国際的な独禁法のあり方について協議というものは進められるべき問題もあるんじゃないか、こう思うんですが、この点についてはどのような状況になっていますか。
○政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねでございますけれども、先ほどお答えいたしました日米構造協議が先ほどからの御議論で、アメリカの新政権のもとに、あるいは新しい枠組みの中にこれが吸収されるのかどうかわかりませんけれども、いずれにしても新しい日米間の構造問題を協議する場ができるといたしますと、せんだっての日米首脳会談の際の、これは新聞等でしか私存じませんが、大統領の記者会見の中では幾つかのアメリカ側の関心項目の中に独占禁止法が指摘をされていたということはございましたが、具体的にこれがどのような形で取り上げられるのか、この点については今のところそれ以上の情報を私どもは承知しておりません。 ただ、ただいまの御質問のように日米間で従来の日米構造協議にいわば引き続いて独占禁止法の問題が議論になるということは、これはあり得ることだと思っております。先ほど、旧日米構造協議について私どもとして、日本政府の判断として体制、運用の強化に努めてきたことは申し上げましたから、私どもとしてはその路線を着実に進んでいくということに尽きると考えております。 ただ、国際的にそれでは独占禁止法の今後の展開についてどのような議論が行われるかを考えてみますと、これは確かに日米だけの問題ではございませんで、実は当然ECを含むOECDの場で従来から積極的な議論が行われております。 OECDの閣僚理事会の勧告に従いまして、OECDの競争政策委員会で各国における独占禁止法の、これは収れんという言葉を使っているようでございますけれども、あるいはハーモナイゼーションと申してもよろしいかもしれません。もちろん、それぞれ独占禁止法は各主権国によって内容も違っておりますけれども、それぞれの市場において公正かつ自由な競争が一層推進されるようにという基本的な考え方はもとより共通でございますから、その上に立ってハーモナイズさせていく、あるいはどのように収れんをさせていけるか、それについての議論がただいま申し上げました委員会の場でかなり活発に行われているところでございます。私どもも従来からこの委員会に参加をいたしまして、日本の考え方あるいはまた国際的なハーモナイゼーションの立場で発言をし、また貢献をしてきているつもりでございます。 それからまた、日米間はもとよりでございますが、日本とEC間、あるいはECの構成国でありますフランスとの間、あるいはアジアでは韓国との間で二国間のバイの独禁当局における話し合いというものも従来から積み重ねております。したがいまして、御指摘の問題は決して日米間だけではありませんで、マルチのあるいはバイのいろいろな場で私ども多角的な議論に従来から参加をしておるところでございます。
○峰崎直樹君 大分時間もなくなってまいりましたので、もっと国際的な問題についてもお聞きしたいなと思ったんですが、最後に公取の方に。 この間、本当に公正取引委員会の機能アップのために努力をされていると思うのです。実は、私は先ほどちょっと申し上げましたように公取の機能というのをもっとアップしていくために、今内部的にももちろん努力されているんだろうと思うのですが、先ほど申し上げましたようにもっと準司法的な機能というものをアップしていくためにも、法律分野あるいは経済、この両方に絡むわけでございますけれども、公取委事務局職員の専門家をふやしていくという問題と、もう一つやはり裁判所あるいは検察庁、こういったところとの人事交流というものをもっと強めてはいかがなものか、こういうふうに考えているんですが、この点についていかがでございましょうか。
○政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねでございますけれども、具体的に検察あるいは裁判所からというお尋ねでございますが、検察庁からの出向者につきましては、これはいわゆる検察事務官のレベルでございますけれども、最近かなり増加をしてきておりまして、現在八名の検察事務官を私ども出向者として受け入れ、仕事をしていただいております。それから、私どもから検察庁には実はことしから出向者を一名出しておりまして、検察庁からの出向者の方が多いんですけれども、人事交流も今後とも積極的に進めていきたいと思っております。それから、従来から検察庁から身分的には併任という形で検事を私ども迎え入れております。これも平成二年に一名増加をいたしまして、現在二名の検事の資格を持つ職員に公取で仕事をしてもらっております。 それから裁判所につきましては、平成三年四月から現職の裁判官を私どもの審判官として一名受け入れております。検察庁、裁判所との人事交流の現状は以上のようなことでございます。 さらにつけ加えさせていただきますと、それ以外に私ども中央、地方全体で実は二十一省庁等から五十四人の出向者を受け入れております。これは、私ども全体の人数が五百人足らずの小さな世帯でございますから、全職員の実は一一%は外部からの出向者でございます。私どもから外へは十二省庁に二十六人の職員の出向がございまして、これでごらんいただけますように検察庁、裁判所を含めてこの小さな世帯としては外部との人事交流はそれなりにかなり積極的に行っているつもりでございますが、これは職員の資質の向上あるいは研修等の意味も含めまして私どもとしては非常に意義のあることだと考えておりますし、さらに 積極的に進めてまいりたいと存じます。
○峰崎直樹君 冒頭申し上げましたように、もっとやはり公取の持っている機能をアップするためにも、そういう相互の連携をしながら能力を引き上げていくということが必要だという趣旨でございますので、これからもひとつよろしくお願いしたいと思います。 さて、今公取だけが持っている告発権の問題であります。いいものは諸外国から学んでもいいんだろうと思うんですが、だれにでも検察庁に告発できるようにするといったようなそういう機能アップというようなことについて、これはもちろん制度改正とか法改正も必要なんだろうと思うんです。あるいは私訴制度というか、アメリカなんかは逆に多過ぎてたしか三倍賠償問題などがあって、かえって訴訟のマイナス面が出ていると私も思いますので、そういった点については十分注意をする必要があるんだろうと思うんです。 特に、日本の場合、先ほどの日米構造協議以降大分改善はされているんだろうと思うんですが、こういった私訴制度がもっと活発になるようにといいますか、そういうふうにしていかないと、今の日本の市場機構の透明性といったものをやはりきちっとしていくためにもそういうものが求められるというふうに思うんです。この点についてもし御見解があれば、公取については最後にお聞きしたいと思います。
○政府委員(小粥正巳君) ただいま、特に独禁法違反行為に関します損害賠償請求、いわゆる私訴についてのお尋ねがございました。私どもといたしますと、独禁法二十五条に損害賠償請求制度に関しての規定がございますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、平成二年六月にこの制度の運用のあり方等につきまして研究会の報告をいただきまして、平成三年五月には同制度に基づく損害額の算定方法についての研究会報告をさらにいただきまして、違反行為の損害等に関する資料提供基準というものの公表を既にしております。これに基づいて、訴訟制度の活性化につきまして私どもとしていわば対応の準備をしているわけでございます。 この基準の公表以後、例えば課徴金納付命令を行った横須賀米軍発注に係る事案がございましたが、これについて裁判所からの文書の送付嘱託がございまして、平成三年十月にはその事件に関する資料の提供をしたところでございます。 確かに、御指摘のように我が国におきましては、現在までのところ、独禁法違反事件に関するいわゆる私訴の件数はアメリカなどと比べれば確かに少のうございますけれども、これは今後独禁法違反問題についてのいわば社会の認識、理解が深まるにつれてこの傾向はあるいは変わってくることもあろうと思います。私どもといたしましてはこれに対してただいまお答え申し上げましたように制度的な対応の取り組み方をそれなりに整理しておるところでございますから、十分その対応をしてまいりたい。そして、このことがまた、つまり私訴についての認識が深まることあるいは私どものそれに対する対応が着実に行われることが、実は独占禁止法違反行為の未然防止にも、先ほどお答え申し上げました課徴金の算定率の引き上げや刑事罰の上限の引き上げというようなああいう制度の強化と相まって、全体的な抑止力の強化にもつながるものと理解をしております。
○峰崎直樹君 外国から見ても、日本の独禁法の運用がやはり不十分だから参入障壁だと言われないように、ひとつ私自身もこれからも独禁法問題についても引き続き勉強もしていきたいし、提言もしていきたいと思いますので、今後よろしくお願いしたいと思います。 最後になります。 経済企画庁長官にお見えいただいているわけですが、今回の総合経済対策、恐らく連休明けの五月中旬以降には補正予算の審議が始まるやに聞いているわけでございます。景気対策が中心に出てきているわけでございますけれども、マスコミ紙上でリアルウオーター、真水は幾らぐらいなんだと、こういうふうによく言われるわけです。私も真水とかなんとか、余り表現としていいかどうかはわからないんですが、これは本当に今景気を引き上げるための効果といいますか、そういった点について簡単でよろしいんですが、どのようにごらんになっているのか。これは、今後の論議の前提となりますので、ひとつお聞きしたいと思います。
○国務大臣(船田元君) お答えをいたします。 先ほど、峰崎先生からもお話がありましたように今回の新総合経済対策の総規模といたしましては十三兆円を超える財政措置を講ずるということにいたした次第でございます。この補正予算で手当てをしなければいけない部分も当然これはあるわけでございまして、現在鋭意その編成作業というものを財政当局においてしていただいているわけでありますが、もちろんそれ以外にも補正予算にかかわらずに実行できる部分というのもあるわけでございますので、それを逐次実行に移す必要があるというような状況でございます。 この真水という議論がいつも議論になるわけでございますが、私どもとして真水とは一体何ぞやという明確な定義というものは持ち合わせておりません。それぞれ真水とおっしゃる方の人数と同じぐらいの定義がある、こういうふうに言われておることも一部では聞いておるわけでございます。私どもとしては常識的に考えまして、例えばこれは大体の感じでございますけれども、昨年の八月では十兆七千億円という総規模でございました。今回が十三兆円を超えるということであります。真水という考え方の中で、前回の真水の割合を大幅に減じてあるというようなことは決してなくて、少なくとも前回の総合経済対策、第二次目でございましたけれども、そこと遜色のない内容ということになっているだろうというふうに私どもは感じております。 真水が幾らか、あるいはどのぐらいかという詳しいことはそれぞれの基準がありますから申し上げにくいわけでありますが、大体の感じとしましては遜色のない程度の経済効果あるいはそれを上回る経済効果がありますということをあえて申し上げさせていただきたいと思います。
○峰崎直樹君 もう同僚の時間にも食い込みましたので、最後にしたいと思うんです。 実は、バブルの発生という問題と今回の景気対策の問題について、一九八五年のあのプラザ合意以降の歴史の流れの中で、あのときも円高の問題、それから株価が高くなって、そういう意味で景気もある程度上昇し始めた。何か、最近の状況を見ると円高になってきている、そして日銀が協調介入する等当然また過剰流動性という問題が心配される。そうすると景気は、ほぼ多くの経済学者あるいはエコノミストはどうやら底入れを一―三月期にやったんじゃないか。これはいろいろ意見が分かれるわけですけれども、そうなってくると逆に景気を刺激するよりもバブルの心配をしなきゃいけないんじゃないか。 産業界にはミニバブルを期待する声もあるというふうによく言われておるわけですが、こういうときに我々が一般的に言うのもなかなか大変なんですが、どういう段階でこのバブルの発生、これは大変だというように判断をされるのか。そういった点について、もしわかればお聞きしたいというふうに思っているわけでございます。 実は、館龍一郎さんたちが中心になってバブルがどうして発生したのかという報告書なども読ましていただいたんですが、そこに大蔵省の研究会としてはなかなか思い切って、やはり金融に余りにも過剰に負わせ過ぎたなということを述べられているわけなんですが、そういった点も含めてもし御見解があればお伺いして、最後の質問にしたいと思います。
○国務大臣(船田元君) お答えをいたします。 景気の現状認識、底入れをしたとかしないとかいう話でございますけれども、私どもまだ正式に今回の局面での底入れをしたという認識は持つには至っておりません。ただ、御指摘のようにさまざまな特に先行的な指標については若干上向きの数字ということも最近ではかなり出てきておりま して、正式には認められない状況は続いておりますけれども、しかし底入れの事態、あるいは時期というのはそう遠くない時期であろう、このように理解をしておるわけでございます。そういう中で、この新たな十三兆円を超える対策を組ませていただいたわけでございますけれども、このことが将来においてバブルの発生再燃ということにならないかという御指摘がある、このことも私も十分理解をしているわけでございます。 ただ現状としては、先ほどもちょっといろいろ申し上げましたけれども、特に個人消費あるいは設備投資、これは経済で言えば横綱格でございますが、この数字がやはりまだなかなか上向いてこないという非常に厳しい現状もあるわけであります。 それから、この前の円高になってそしてその対策をやろうと、こういうときの局面においてのさまざまな指標を見ておりますと、あの当時は一九八七年当時でございましたが、例えばマネーサプライが非常に高い水準で推移をしていたということ、あるいは地価もあの当時ではかなりもう上昇に転じていたというような傾向もあったわけでございまして、その当時と比べると現在のその二つの指標についてはかなり大きな差があるのではないか、このようなことも考えております。したがいまして、この十三兆円を超える対策を実施するということによって、にわかにそれがバブルの再燃であるとか、あるいはミニバブルが発生するということは、ちょっとこれは考えにくいなというふうに思っております。 ただしかし、我が国の経済はやはり民間部門というのが非常に大きな役割を果たしております。年度の後半、特に年度の終わりごろになって、あるいは民間の最終需要というものが非常に高まるというような予測も全くできないわけではありません。そういうことを考えますと、年度の終わりごろになって若干ではありますけれども過熱をするという部門もあるいは出てくるかもしれない。そのことを念頭に入れながら機動的な運営をしていくべきじゃないかなというふうに思っております。現状としては、バブルの再燃はないとは思うけれどもできるだけ気をつけながらその運営をやっていきたい、こういう気持ちでございます。
○峰崎直樹君 終わります。
○吉田達男君 通産大臣にお尋ねします。 私たちは、原子力の平和利用について今日果たしている実情を直視いたしまして、閉鎖的にならずに必要な施策を展開しようと、こういう考えで今進めておりますが、それだけにまたその安全性、公開性の確保については格別に政府に強く求めてその施行を願いたいと思うものであります。 そこで、大臣は一昨日ロシアの貿易大臣に会議を通して会見をされ、また通産省や科学技術庁や動燃もロシアのトムスクの原子力施設の事故についての調査団を派遣されておられたりして、格別にこの時期に関心の高いところであります。今問題になっておりますのは、ロシアの原子力発電所の重ねての事故であり、また老朽原子力潜水艦の廃棄や、あるいは放射性廃棄物を詰めたコンテナを七千個海洋投棄したとか、あるいはそれを積載した船舶を三十八隻海に沈めた、こういうようなことでロンドン条約の違反に当たるものではないかと強い懸念を持つものであります。 原子力行政を推進される森大臣とされて時事的に、またこの問題と直面して要人に会われたり代表を派遣されておられる担当とされまして、これらの問題にどう対処されるのか、方針と見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 吉田委員から今御指摘をいただきました点は、世界で唯一の被爆国家といたしましても、また逆の立場から申し上げれば、いわゆる一番安全性の高い、そして非化石燃料ということで私どもとしては原子力産業というものを進めていかなきゃならぬ、そういう立場から見る我が国の国民の感情というものはやはり極めて複雑でもございますし、また今委員御指摘のように極めて心配をしておられるということは、これはまず間違いのないところだと私は思います。 ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄及び西シベリアのトムスクにおきまして発生した再処理施設の爆発につきましては、我が国の国民には多大な不安を与えておりまして、極めて遺憾なことだと私は思っております。また、ロシアの原子力発電所の安全性、核兵器解体の問題にも重大な懸念と関心を持っておるところでございます。 これらの問題への対応は、基本的にはロシアの自助努力にあることは原則だろうと私は思いますが、しかし同時にこれは国際的に取り組んでまいります課題でもあろうというふうに認識をいたしております。我が国といたしましても、このような考え方のもとで、ロシアの原子力問題に対しましてはできる限りの協力を行っていきたい、そういう必要があるというふうに認識をいたしております。 通産省といたしましては、例えば原子力発電所の安全確保につきましては、国際協調のもとで研修生の受け入れもやっております。大体一年間に百人ばかりの方々を受け入れ、延べにして約千人の研修生の受け入れ事業もいたしておるところでございますし、また運転訓練用のシミュレーターの整備等にも取り組んでいるところでございます。 今派遣をされましたと委員がおっしゃいましたが、一応今担当員をロシアに出張させまして、まずその調査をいたしております。ただ、残念ながら現場へ行くとかそういうところまでまだいっておりませんけれども、どういうことになっているのか、実情をよく調査をするようにということで、今担当員をそういう意味で出張させておるというところでございます。 通産省といたしましては、今後ともロシアの原子力発電所の安全確保、あるいは海洋投棄、核兵器解体等の問題に対しましては適切に対応してまいりたい。また、委員から御指摘ございましたことなども十分踏まえて、これは大事な課題として行政の中で進めていかなきゃならぬ問題であろうというふうに認識をいたしております。
○吉田達男君 それでは、具体的に海洋投棄の影響について、特に大臣も日本海に面していらっしゃいますが、私どもも漁師によく会う地域におりまして、魚をピョートル大帝湾の辺まで、沿海州沖へ出かけてやりたいというような強い願望も含めながらロシアと経済交流等々を展開しようとしております折から、その汚染状況の影響といいますかどういう掌握をしておられますでしょうか、担当の方から。
○説明員(折田義彦君) 我が国における海洋環境放射能調査につきましては、一九五九年から海上保安庁等におきまして、我が国周辺水域の海水、海底土、海産生物について実施しているところでございますが、一九八六年のチェルノブイリ原子力発電所事故の影響が見られる以外は特段の異常は認められておりません。しかしながら、旧ソ連、ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄について国民の関心が非常に高いことにもかんがみまして、これまで二度にわたって政府の放射能対策本部幹事会を開催いたしまして、海上保安庁、水産庁等による海洋調査の実施を決定したところでございまして、これを受けまして早速調査を一部開始したところでございます。 また、投棄された放射性廃棄物による影響につきましては、既存の海洋環境放射能調査結果並びに今回の調査結果等を踏まえまして、科学技術庁において設置いたしました専門家から成る検討会の中で評価を行いまして、必要な対策を検討していくこととしたいというふうに考えております。
○吉田達男君 その調査の方法については伺いましたが、現在汚染はどの程度あり得るのか、実情をお知らせいただきたい。
○説明員(折田義彦君) 先ほども申し上げましたとおり、現在の環境モニタリングデータにつきましては、我が国周辺水域の海水、海底土、海産生物について調査しておりますが、特段の異常は認められておりません。
○吉田達男君 現在の海洋投棄について懸念を表明したところ、エリツィン大統領の環境顧問のヤ ブロコフ氏からの書簡等々を見ると、さらに二十隻ある老朽原子力潜水艦を処理すると、そういうことについてはまた支援を願えればありがたいなどということで、さらなる心配も内在しておるわけであります。 現在、汚染されているという事実がデータの上でないということは一応はほっとするものの、将来にわたって投棄の内容、方法について大きい懸念があれば、ロシアに対してはこれらの処理について厳しくロンドン条約等々の趣旨から海洋投棄などはやめてもらわぬといけませんし、また重大な海洋汚染という事態をもし起こすようなことがあれば、その対策についても技術的な支援をされなければならぬと思うのでありますが、これについて対処されるかどうか、考え方をお伺いいたしたい。
○政府委員(黒田直樹君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように大変この海洋投棄は遺憾なことでございまして、政府といたしましても、昨年の十二月ぐらいにこういう報道がなされまして以来、繰り返し海洋投棄の即時停止というのを求めてきているところでございます。 また、この間四月二日に白書が発表されたわけでございますけれども、そのときにも在ロシア大使からコズイレフ外相に対しまして投棄の即時中止を申し入れております。さらに、四月の中旬に行われました日ロ外相会談におきまして、重ねてこの点について投棄の中止を申し入れると同時に、本件に関しましてロシアと日本との間で共同の作業部会を設けて情報の提供なり交換なり、あるいは何をすべきかといったような点も含めまして議論していきたいという申し入れを行いまして、この点については合意を見ていると聞いております。現在、そのロシアと日本との間の作業部会の早期開催について、ロシア側に申し入れをいたしているところでございまして、日程を調整中と私ども聞いているところでございます。 この問題、いろいろ私ども原子力発電を所掌する立場から、先ほど大臣から申し上げましたように重大な関心を持っているわけでございますけれども、関係省庁とも協力しながらこの日ロ作業部会を通じていろいろ情報交換、そして今先生が御指摘になりましたような何ができるかというようなことも含めまして早急に議論を開始していきたい、このように考えておるところでございます。
○吉田達男君 しっかりやっていただきたい。 日本海を取り巻く環境の中には、ロシア以外にも例えば韓国に九基とか、あるいは北朝鮮にも発電所があるとか、あるいは東海、まあ東シナ海と言うと古い言葉ですが、あちらの方にもまた上海や広東省の方にも中国が原子力発電所を設置すると、こういうことで進めております。日本が原子力発電所を設置した初期のころから、特に対岸側においてその事故の懸念等についての表明もあった経過もありまして、いわば危険についての立場はお互いであります。 これらの対岸側の原子力施設等についてどのように掌握をされ、またもしものときの連絡、対応等々についてはどのようなシステムが設置されているのか、お伺いをいたします。
○政府委員(黒田直樹君) 原子力開発、原子力発電を進めていく上で、安全性の問題が大前提であるということは先生御指摘のとおりでございます。かつ、原子力発電所の場合にどこかで大きなトラブルあるいは事故というのがありますと非常に影響するところが多いということで、国際的にも安全性の確保というのをやっていくことが大事だというふうに考えているところでございます。 特に、今先生御指摘の日本の近くのアジア諸国、御指摘のように今韓国で九基の原子力発電所が運転中でございますし、また建設中のものも五基ほどあったかと思います。それから、中国におきましても初めての原子力であります秦山の第一号機というのが三十万キロぐらいの規模でございますけれども、試運転中に入っているというふうに承知いたしております。また、その後に九十万キロクラスのものが二基、フランスとの協力で建設中であるというふうに承知をいたしているわけでございます。 原子力発電の開発意欲というのもそういう意味でアジア諸国でも出てきているわけでございますし、また現に韓国の場合は、例えば電力の半分近くは原子力発電で賄われているという現状でございます。何と申しましても、日本の場合には原子力発電のある意味では先進国でございまして、我が国に対する協力要請というのも大きいと思いますし、また先ほど申し上げましたような国際的に安全性を絶対確保していくんだという意味での日本の役割というのもまた大きいのではないかというふうに考えております。 今おっしゃいました、国際的な何か話があった場合のネットワークという意味では、国際原子力機関、IAEAに加盟している国の情報というのはすべて収集され、かつそれが各国にまたフィードバックされるというような体制になっているわけでございます。 そうした多国間のネットワークと同時に、我が国の場合、先ほどのような安全性の一層の向上という必要性にかんがみまして、従来から国際協力事業団、JICAを通じました研修生の受け入れなどを行ってきているわけでございます。通産省といたしましても昨年度から、先ほどちょっと大臣から旧ソ連関係あるいは東欧関係の十年間で千人研修しようという計画を申し上げたわけでございますが、この中にはもちろんそういった近隣のアジア諸国なども対象にもちろん入れて研修事業を実施していきたいというふうに考えているところでございます。 また個別には、例えば韓国の場合には、私ども通産省と韓国の科学技術処との間で、原子力発電安全分野における協力の実施のための取り決めを結んでおりまして、定期的な会合、規制のあり方あるいは審査のあり方等々についての情報交換を定期的に開催してやったり、あるいは専門家の派遣といったようなことも双方でやっているところでございます。 また民間ベースでも、例えば先ほど中国の秦山の第一号機が今試運転中と申し上げたわけでございますが、同じタイプを扱っております日本の電力会社何社かが指導に出かけていったりいたしているわけでございますし、また電力会社ベースでもそういった外国の原子力発電所からの研修生の研修を行うということも実施しているわけでございます。 そういう意味で、いろんな角度から私どももそういった安全面の協力に今後とも積極的に対応してまいりたいと考えているところでございます。
○吉田達男君 答弁の中にありましたが、日本は原子力発電所についての技術は進んでいると自負をしていらっしゃるようでありますが、四十三基というこの狭い日本の中における発電所の数については、安全の問題について特にその集積度、あるいは処理場を新しく設置されようとする青森等についても技術的な未解明な点がありはしないか。受け入れの住民側の意識についてどうか。あるいは、日本がかつて核廃棄物を太平洋諸島に投棄しようとして、また反対も国際的に起こって撤回をしたような経過もあって、日本の原子力技術に対する自負はありながらも、また事故としてはピンホールなどのような施設の老朽を懸念させるような、大きい事故につながるような事故もある。幸いにして、小さくおさまっている事故も次々にあるわけでありまして、それらについて懸念する向きもあります。 安全の問題について、これらの懸念にどのように責任者としてこたえられるか、見解をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(黒田直樹君) 先ほどから申し上げておりますように、原子力発電の安全の確保というのは大前提に進めなければならないというふうに思っております。このため、原子炉等規制法あるいは電気事業法に基づきまして、原子力発電所の設計、建設、運転の各段階におきまして厳重な安全規制を実施いたしているところでございます。 最近、平成四年度の原子力発電所における故障、トラブル等についてのデータを取りまとめたわけ でございますけれども、平成四年度で二十件のトラブル等がございました。一基当たりの報告件数〇・五件ということでございまして、そういう意味で我々としてはもちろんこれをできるだけ少なくしていくというのは必要でございますけれども、世界的に見ればやはり非常に低い件数であるというふうに思っております。 しかし、安全の問題は先ほどから申し上げておりますようにこれは大前提でございますから、一層心を引き締めまして原子力発電所の安全性の向上のために安全対策の一層の充実を図ると同時に、自主保安の強化など電気事業者に対しましても厳しく指導監督いたしまして安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
○吉田達男君 安全について万全を期していくという姿勢でなければ、私どもが原子力行政についてさらに展開をしようという政策の問題に及んでまた後退をしてしまうということに相なります。そこで、重ねて聞いたわけであります。 日本の原子力開発の原点となっていますのが、人形峠というところの岡山県と鳥取県の背中合わせの地域でありますが、四十年前にウランを掘って、そこで精製をして原子力の仕事に入ったという過程があります。この原子力のもとになったウランを掘った後の残土が、四十年になるけれどもまだ野積みになっている。その当時は、国際的な基準に対応する日本の基準においても放射能レベルでクリアをしておったが、世界的に五回にわたるより厳格なレベルの更新から日本の中の対応もまた行われてきたわけであります。一日も早くこの残土を撤去してもらいたいということは、三年前に地元の人たちとその当時原子燃料公社の後を引き継いだ動燃が契約をされたところでありますが、なおその事業がなされずにおる。まことに残念なことであります。 世界に対して日本が、ロシアはどうだ、日本の技術は自信がある、こう言っておる日本の国の原点でそのようなことではまことに困るんであります。この問題の処理について担当される動燃の当局としては、速やかなる撤去をどのようにいつ実現されようとするのか、お尋ねをいたしたい。
○参考人(竹之内一哲君) 先生御指摘の鳥取県の特に方面堆積場の措置につきまして、先生御自身からもいろいろ御心配いただいておりますが、動燃といたしましてもいろいろな状況の中で誠意を持ってこれに対処しております。 特に、御指摘の早期撤去につきましては、当時の地元の方々とのお約束等もございまして、関係諸機関の了解を得てその上で撤去を進めるということを前提としておりますが、いまだ関係諸機関等いろいろ関係がございますので十分なお話し合いがついていないという状況でございます。しかしながら、事業団といたしましても、この撤去問題、地元の方々の不安を何とか解消していくというためにできることから手をつけていこうということで、本問題についていろいろな流動化の状況の中で対応がしやすいようにこれまで地元の皆様方といろいろお話し合いを続け、防災工事あるいは搬入のための道路工事等を進めてまいりました。 また、平成五年度現在でございますが、早期に特に貯鉱場、鉱石レベルのものがある場所でございますが、そこについては早急に着工すべく現在地元の方々とお話を進めておるところでございます。
○吉田達男君 ことしの予算については、早く施行するという別な意味で景気対策ということもあって速やかに通しておるわけです。その予算を通した中には撤去の費用も入っているわけであります。今時節が、地方のことであれば農作業が進んでいくというようなことに対して心理的なインパクトもあり得るものですから、一日も早くしなければなりません。 答弁によりますと、全体的な構想はあるけれども、できる貯鉱場をやり、さらには鉱体部分というものについても約束のとおり展開をできるところからやろう、こういう答弁であります。別に遠慮することはありませんから、明日からでも早速かかってもらいたいと思うんです。それは、連休の間というのは相談に乗る関係者にとっては適切な時期でもありますし、また動燃のそのような意欲がなければ受け身の人は動きませんですから、誠意を持ってやってもらいたい。 そこで、まず二百四十立米の貯鉱場については具体的にはどうやってやるのか。その辺については異議はないと思うんだけれども、異議のないところはやればいいと思うのにやらない。どういうことになっているか、そこをもうちょっと明確におっしゃっていただきたい。
○参考人(竹之内一哲君) 先生御指摘の予算につきましてもちょっと難しい点がございますが、撤去というのはその堆積場から外へ持ち出すということでございまして、ここがなかなか話がつかない。しかし、我々は撤去に至るまでの間にいろいろ先生がおっしゃいました貯鉱場跡等についても措置をいたします。ただ、その措置も土を掘ったり安定しているところをいじるわけでございますから、いろいろ安全対策工事等をいたします。現在のお話し合いの点は、それを入れ物に入れまして仮置きする、そしていろいろ受け入れ先とのお話がついた時点で速やかに運べるようにまずは貯鉱場に手をつけて仮置きして保管しておく、そのためのいろいろな工事の方法あるいは安全対策ということで適切な措置をしていきたい、こういうことで現在地元の方を中心にお話を進めておるところでございます。
○吉田達男君 撤去というのは動燃側の責任においての撤去ですから、動燃の敷地の中に持っていけば本来は問題がないんだと思います。低レベルの放射能廃棄物というようなのは、原子力発電所であろうが動燃に関係するところであろうが中に置いておるのであります。同じようなものでありますから置けばいいと思うのでありますが、そこが行政的に岡山県という地域の中にあるために、またそこの自治体、地域とのショートがあって事実上ストップになっておるんですね。それは鳥取県の方についてはいわば迷惑な話でありますが、克服をしてもらわなきゃならぬ。それがわかるから、いわば仮置きもやむを得ずというところまでなっておるんです。 もう一つひっかかっているのは、三千立米の鉱体部分であります。これも撤去する、こういうことでありますが、これについてはどのような方法を考えておりますか。
○参考人(竹之内一哲君) 初めの貯鉱場部分につきましては先生おっしゃるとおりでございまして、その辺でまず手をつけていきたい。予算もその措置工事ということでついております。いろいろ地元の方々とのお約束等で御指摘の三千立米ということもございます。ただ、貯鉱場跡の量とそれから後の鉱体部分の量とは、鉱体部分の量が相当多うございますので、これはやはり撤去という見通しがつかない限り全体を触っていくということは非常に難しい。 ただし、我々はあくまでも関係機関等の御了解のもとでございますが、貯鉱場部分だけでなく次についても御了解さえ得られれば撤去していきたいということは、お約束でございますので誠意を持って対応したいと思います。そのために、実際にはいろいろ今までの話がございますが、鉱体部分がどういう実態になっているか、その辺についてまず貯鉱場の措置工事の次の段階として試験的な選別をしていく、どういう分布状況になっているかこういうところについて手をつけていきたい、こういうふうにお話を進めているところでございます。
○吉田達男君 そうすると、端的に言いますと、撤去するんだけれども当面関係間の合意を速やかに求めながら仮置きする、これは貯鉱部分である。鉱体部分については引き続いて撤去を目指してやる。しかし、若干の技術的な選別的な試験等々が必要で、それを克服しながら撤去に向けて続けてやる、こういうことでおるわけですね。確認をいたします。
○参考人(竹之内一哲君) 基本的には先生おっしゃるとおりでございます。ただ、貯鉱場部分の 次の鉱体部分につきましてどういう方法でまずどのような試験をして実態を把握していくか、この辺についてはなかなか地元あるいは動燃の提案等にまだ双方の考えの違いといいますかまだすり合わせが済んでおりませんのでこの辺が大事だと思いますが、基本的に進めるという意味では先生のおっしゃるとおりでございます。
○吉田達男君 これは、お互いの協力もしなければなりませんが、技術的には動燃の方が専門家でありますから、それは説得力を持って誠意を持って提示してやらなきゃならぬ。基本的に撤去するんだ、こういうことがはっきりすればお互いの説得力が誠意として通ずるのでありますから、これについては一方的に言ってもいけませんが、先ほどからの答弁を受けてもうあすからでも早速地元と詰めにかかって、せっかく早く通した予算を執行してもらいたい。執行残を残すようなことは許されぬことで、足りなければまた大臣に願って補正をしてでも鉱体部分が多ければ対処いたしたい、努力しなければならぬと思っております。 よろしゅうございますか。早速向かってもらえますか。
○参考人(竹之内一哲君) 先生のおっしゃるとおりで、我々としても若干の内部的あるいは官庁的な手続等はございますが、先生おっしゃいました貯鉱場跡等につきましての措置工事については我々としても一日も手を早くつけたい、こう思っております。 ただ、そういう意味で地元とのいろいろお話し合いというものがございますので、先生おっしゃいますように早目に手をつけるために、先生からも御指導をよろしくお願いしたいと思います。
○吉田達男君 決意を聞きましたので終えたいと思いますが、現地については、先ほど質問に先立って国際的なことを申し上げましたが、例えばアメリカのウラン鉱の採掘の犠牲になったホピ族ですか、ああいうところも来ます。それから、イギリスの方からはセラフィールドの核施設の周辺の住民も来ます。国際的な問題としての視点で見られる。早く解決しなければ、原子力発電については日本は技術が相当あるんだと言っても、やっぱりそれは批判になってしまう。速やかに願いたいと思います。これは要望しておきます。 それでは、次に経済企画庁にお尋ねいたしますが、景気は依然として赤信号のまま、希望をわずかににおわせる程度のものが散見されるかなという情勢で低迷をしております。去年八月二十八日に総合経済対策を立てて、何度も何度ももうこれでもかこれでもかと経済対策をやるのに今日の状況で、そこで新しい経済対策を立てるに当たって今まで施行をしてきた経済対策を振り返ってみなきゃならぬ。八月二十八日の総合経済対策の施行はどういう実績になっており、それが所期の経済浮揚のインパクトにどの程度実績を持っているのか、その評価についてお尋ねをいたします。
○政府委員(長瀬要石君) 昨年八月の先生御指摘の総規模十兆七千億円に上ります財政措置を中心といたします総合経済対策につきましては、その後フォローアップをいたしているところでございまして、先般四月十三日に新たな総合経済対策を決定いただきます経済対策閣僚会議におきましてその実施状況について取りまとめたところでございます。 その主な点について一、二申し上げさせていただきますと、公共投資の拡大、こういう点につきましては、例えば建設省所管の公共事業等の契約発注が四年度内におおむね一〇〇%行われる、このようなことで最大限の努力がなされているというような状況でございます。あるいはまた、八月の対策におきまして、特に雇用面に配慮をいたしまして雇用調整助成金の業種指定の基準を時限的に改正する、このような措置がとられたところでございますが、四月一日時点におきまして新たに百十七業種が指定され、この適用がなされているというような状況でございます。 このようにいたしまして、本年年初以来補正予算の成立を受けまして八月の対策の効果が実体経済に逐次浸透してきているものと考えておりまして、先般成立をいたしました平成五年度予算と相まちましてこれからの経済をさらに下支えしていく、このようなものだと考えております。
○吉田達男君 少し計量的に御検討のところをお願いいたしたいんですが、その当時十兆七千億の総合経済対策をやったわけですね。それでもって二・四%の経済浮揚、所得向上を図ったわけですね、そのことの効果について現在の評価はどうなっていますか。
○政府委員(長瀬要石君) 八月の総合経済対策策定時点におきまして、ただいま先生から御指摘いただきましたようにこのGNPに与える経済効果は一つの目安といたしまして、名目で二・四%程度であるというようなことを申し上げているところでございます。これが実体経済の中でどうかということになってまいりますと、そのような対策自体を実体経済の指標の中から取り出してお示しをするということはなかなか困難でございますが、しかし一、二の点について申し上げることができると思います。 一つは、昨年の八月の対策がとられました結果、金融証券市場も含めましてかなり下振れの危険性がありましたところが、対策の効果がありまして徐々にその安定性というものを確保してきた、こういうことがあろうかと思います。同時にまた、民間内需が相当低迷をする、このような状況でございまして、先ほども大臣から申し上げましたような個人消費なりあるいは民間設備投資がかなり低迷をする状況にはございますけれども、そのようなものを対策が心理的にもまた実態的にも支え、これからもまた支えていくというそういう効果を持っているというふうに思うわけであります。 そういう中にありまして、対策の大きな柱でございます公共投資に着目をいたしますと、これは昨年の秋の時点でやや息切れというような状況も見られはいたしました。しかし、昨年の十―十二月期におきまして、公共投資の公的固定資本形成の前年同期比は一二%台、こういう実質の高い伸びを示していたわけでございます。 本年に入りましてからそのような効果というものが実体経済の各面にわたって浸透していく、このように考えているところでございます。本年に入りましてからのマクロ経済に与える影響という点につきましては、まだ統計が出ていないわけでございますけれども、公共投資に関連いたします契約状況というようなところにつきましてはかなり着実な高い伸びを示している、このような現況かと考えております。
○吉田達男君 昨年、公共事業を中心にした補正予算を国会で可決いたしました。ことしの当初予算は、また七十三兆という中で公共事業を相当織り込みました。そしてまた、我が党は十二兆五千億でありますが緊急経済対策と言っておりますが、政府・自民党は十三兆ということで新たに総合経済対策を立てております。 答弁の中にありましたことを伺うと、公共事業を中心ということであります。公共事業をやるということについて、景気を何としても浮揚させようという世論にこたえる国会といたしましては、これを受けてきたのであります。しかし、昨年からこのように公共事業を施行し、あるいは前倒ししてやってきたけれども、その成果がなお明確に計数的に出ていない。こういうことになると、私どもは一般的に公共事業を投入すれば景気がよくなる、そうだそうだ国民も早くやれと、こういうことにこたえるということでは、大事な税金の効率の高い使用を求められている私どもとしてはなお不十分ではないかと思うんです。 例えば病人がいる。これはその医者が腹を切らぬといかぬと言ってもそこの家族に、レントゲンを通したらどうなっている、白血球がふえてどうだ、分泌液がウロビリノゲンとかなんとかそういうものが出てきてこれは血液検査をしたらどうだ、検査データを示してそれならば腹を切りましょうということの判断ができるわけですね。 大事な税金を公共事業だったら何でもやってもいいというような大ざっぱなことだけでは、提案 にしても金額にしても私は不十分だと思うんです。もっと各論的に、公共事業でもその内容にわたってこういう事業であればどういうインパクトがあるということを可能な限り提示して、説明して国民に納得を求めなければならぬのじゃないかと思うんでありますが、これについてはいかがですか。
○政府委員(長瀬要石君) まず、八月の対策につきまして、金額的に公共投資が大きなウエートを占めるということは申し上げたとおりでございますけれども、同時にまた住宅投資の促進でありますとか民間設備投資の促進でありますとか、さらには雇用面の対策でありますとか、中小企業対策でありますとか、さらには証券、金融面の対策、各般にわたりますいわばパッケージとしての対策であるということは申し上げさせていただくべき一つの点かと思います。 それから公共投資でございますけれども、この効果につきましては、確かに先生から御指摘を賜りましたように公共投資の種類に応じましてそれぞれどのような波及効果を持つかということは重要な論点かと思いますけれども、私どもの計量的なそういう手段でございます世界モデルというようなものの中には公共投資一本で計算されているということがございますので、そういう意味で公共投資の乗数というものを一つで使っている、こういうことがあるわけでございますので、大変重要な御指摘とは思いますけれども、乗数としてお示しするという点につきましてはなかなか難しい面もあろうかと思います。 しかしながら、御指摘のような点に配慮をいたしまして、今般の新総合経済対策におきましては速効性というような点にも十分配慮しながら、そしてまた広範囲にその投資が行われ、そして直接的かつ幅広い効果が期待できるようなそういう観点から、新社会資本という議論が広くなされてまいりましたけれどもそれを社会資本整備の新たな展開、こういうような形におきまして単に土木系のみならず、建築、設備、情報システム等そのような分野にわたってより重点を置いた投資の配分を行うということが今般の新たな対策の大きな眼目ではないかと思っているところでございます。それはまた、中期的に見ましても生活大国五カ年計画が示します生活の質の向上につながっていく、このようなものだと考えております。 計量的にお示しをする点についてはなかなか難しい面もございますけれども、御指摘のような視点というものを踏まえて今般の新たな対策がつくられているのではないか、このように理解をいたしております。
○吉田達男君 どうも経済企画庁の方は、世界経済モデルの中で公共投資乗数で概括的にマクロのつかみ方をしているということであります。通産大臣もかねておっしゃいましたけれども、現場を預かっておる者は具体的な施策の展開をしなきゃならぬ。こういうことになると、産業連関表を使っての対応、対策を分析されなければならぬではないかと思うんであります。 通産省の方では、この点について実績があると思われますけれども、例えば在来の公共投資で例示的に言って建築であれば所得にどのくらいはね返る、道路工事だったらどのくらいだ、一二〇ぐらいだ、雇用がどのくらい創出できるのか。それは投入係数でやれば出るし、また逆行列表を使えば出るわけでありますから、そういうようなことのシミュレーションをやらなければならぬのじゃないかと思うんでありますが、このたびの新しい社会資本等々の投資にわたってそのようなシミュレーションはやっているのかどうか。試みにやっておられればまたお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(熊野英昭君) いわゆる新社会資本の整備についての中長期的考え方あるいは当面の景気の現状に的確に対応していくという観点から、今企画庁からも御説明申し上げましたようにその効果が広範かつ直接的、速効的というような観点から新たな展開を図るということが議論されてきたわけであります。 ただいま先生御指摘の経済効果を計量的に把握しているかどうか、あるいはシミュレーションをやっているかどうかでありますけれども、一般的に計量モデルのアプローチ、それから産業連関表によるアプローチもあるわけであります。モデルでは直接間接の所得が経済の中で回ってきまして、それを乗数効果という格好であらわします。他方、産業連関表というのは、ある産業に一単位の需要増があったときに、その生産に必要ないろいろな原材料その他の中間財があるわけでありますけれども、そういう生産を通じまして他の産業に直接間接に誘発される生産額がどのぐらいになるかというのをあらわしたのが今先生がおっしゃいました逆行列係数でございます。 そこで、例えばそういうものを利用して雇用の誘発についてどうかということを比較してみますと、土木関係と例えば設備関係のコンピューターのようなものを比較いたしますと、実は雇用の誘発係数というのは土木関係の方が多うございます。ただし、これはもう御案内のようにすぐ常識的にも理解できるわけでありますけれども、建設事業そのもので非常に雇用係数が高うございますから、めぐりめぐって十億円当たり百八十六人の雇用係数がございますけれども、そのうち百十九人が建設事業でございます。コンピューターのようなものについて申し上げますと、同じ十億円で百二十六人でございますけれども、製造業でそのうちの九十二人というふうに製造業への波及効果が大きいということが言えるわけであります。 それから、さらにその生産額について申し上げますと、新社会資本整備といいましてもいろいろなものがありますので、例示的に情報化の促進に必要なコンピューターを取り上げて見ますと、これが一単位増加した場合の誘発効果は産業連関表によりますと二・二〇であります。つまり一の需要増がありましたら二・二倍の生産増でございます。そのうち製造業が一・七二でございます。他方、土木について申し上げますと、土木関係の公共事業が一単位増加した場合には全体の波及効果は二・〇一ということで、その全体の波及効果から比べても当然設備の方が高いわけでありますけれども、なかんずく製造業への波及効果は〇・五六ということで、製造業だけを比較いたしますと一・七二対O・五六ということで大変波及効果に差があるわけです。 そういうふうにまさに直接的あるいは広範というふうなことがいわゆる新社会資本整備については言えるのではないかというふうに思います。
○吉田達男君 時間が来ましたからなんですが、そういう生産誘発効果というものを出してかなり詰めてやってもらえば業界の方も一つの目標値としてとらえて対応しやすい、そういうことが現場が詰めていく一つの手法ではなかろうかと思う。 新社会資本という概念については、新しいものでありますから在来の公共事業と違うと、私どももちょっと同様な概念を持って提起しておりますが、財源的になお建設国債、財政法の四条のただし書きでいくのか、特例公債でいくのか、その辺が政府の中でも検討があろうと思いますが、私どもは特別な整備債をやろうとしております。 そのようなことで、今後に処して期待をするならば、幾つかのそういうシミュレーションはできるだけ公開してもらいたい。今わかれば例示があったように願いたいのは、例えば円高の問題です。さきも質問がありましたが、円高で百二十円が百十円になった、この調子でいくと百円になる、そうすれば所得にどういうふうに変化が起こってくるのか、雇用がどれだけ減ってしまうのか、あるいは輸入が連関表の附表によってどのくらいふえるか、こういうようなことは連関表をやっていただければできるんじゃないかと思う。新社会資本もですが、また私どもの言っておる減税についても、これもまた試してもらえばありがたいと思うんであります。 私は、そういうようなことを今後やっていかなければならぬと思う。今は誤差率もある程度ありますから、予測と結果と突合すれば間違っていた ということで逆にしかられたりするものですからもごもごとされるところはありますが、そういうことを繰り返しながら実績を集積していけば真実に近づいていくと思うんです。NHKの天気予報だって、当たらぬものは何かといえば大根とNHKの天気予報と言われておったのが、あれだけの集積をしてくると確率は何割ですと言いながらもほとんど当たるようになってきた。この産業連関表等々経済予測、分析等についても、データを蓄積していけはこれはだんだんと正しいものに数値が近づいていく手法が定着してくると思うのであります。 時間も来ましたからやめますが、新社会資本の投入については同様に期待しながら、そういう手法で説得力のある、在来の公共事業だけで土建業者だけがもうかっておるんだというような、さっき答弁がありましたから事実は違いますよ、しかしそういうようなことを短絡的に言われているんじゃなくて、ちゃんとそういうデータをもとに提示してもらいたい。一般在来公共事業だったら、インプットするのを金丸マシンに入れておけば効果があると見る者もあったかわからぬけれども、これからは産業連関表にきちっとインプットして、客観的に国民の納得のいく税金の使い方とその効果を求めるべきである。それについては、また産業連関表等も設定したときのタイムラグといいますか時間の進行による不安定性等々ありますが、またそれも成熟をするように努力されなければならぬと思うのであります。 時間が参りましたので、以上につきましてどのようにお答えいただけますか、考えを聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(熊野英昭君) ただいま先生御指摘のように、政策決定に当たりましていろいろな統計を整備し、またその統計を活用いたしまして計量モデルあるいは産業連関分析、IO分析等々を活用していくということは当然のことでございます。 政府におきましても、それぞれ経済企画庁においてもいろいろやっておられますし、私どももいろんな分析にそういうものは活用しているわけであります。そういう格好で経済活動の分析とかあるいは予測とか行っているわけでありますけれども、また民間においてもいろいろそういうことはやっておられるわけであります。しかしながら、他方またこういうものにはそれなりの限界と申しますかいろいろございまして、単にその数字だけがひとり歩きするような危険もございますので、その扱い方については慎重な対応も必要でございます。したがって、そういうモデルの活用、現実の調査等々全部を組み合わせてやはり経済の分析をやったり予測をやっていく必要があるのではないかというふうに思うわけであります。 例えば、今先生のお話の中にございました円高差益のようなものについて申し上げますと、円高差益というのはどういうふうに為替予約が行われているか、例えばこれは調べてまいりますと同じ産業の中にあっても企業でまちまちであります。それから、原材料価格がそれぞれどういうふうに動いていくか。その場合も、為替レートだけではなくて個々の例えば原油の価格がどうなるか、LNGの価格がどうなるかといったふうなそれぞれの動きにもいろいろ影響しできます。あるいはどういう契約で行われているか、円建てで行われているのかドル建てで行われているのか、あるいはその他の例えばマルク建てで行われているのか、そういうことにもよります。それから、そのときの経済的な背景、例えば同じ自動車をとりましても、数年前のアメリカの自動車産業と日本産業の競争力と、現在の競争力には全く違いが出てきているわけであります。 そういうことを必ずしも十分に、モデル的なアプローチというのはフォローし切れないわけであります。等々ございますので、いろんなものをやっていくことは御指摘のように私ども努力をしてまいりたいと思いますけれども、それにはまた一方で限界がある、あるいはまだ経済学的にも十分詰められてない面もあるというようなことも御理解を賜れば幸いだと思います。
○委員長(斎藤文夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十七分休憩 ――――◇――――― 午後一時一分開会
○委員長(斎藤文夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田教美君 まず、去る十六日の日米首脳会談、宮澤・クリントン会談に関連してお伺いしたいと思います。 クリントン米大統領は、冷戦時代の日米パートナーシップは既に時代おくれになったと言い切って、新しい日米間のパートナーシップの必要性を説いております。宮澤総理も首脳会談の後の記者会見で、日米間の新たなパートナーシップが新たな時代の要請にこたえることができるだろうというふうに答えております。 そこで、森通産大臣にお尋ねしたいんですけれども、このクリントン発言では、新しいパートナーシップの三本の柱の一つとして経済の問題が取り上げられておるわけですけれども、特に経済関係について新しいパートナーシップを確立するために今何が一番必要かという点でございます。さきに通産大臣はみずから訪米されて各方面にも接触をされたわけでございますけれども、その感触も含めてひとつお考えを述べていただきたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 日米間の新たなパートナーシップ確立のためには、まず日米間で種々の問題に関しましてさまざまなレベルで従来にも増して率直な意見交換を行う、そうした意見交換を通じながら問題の円滑な解決を図っていくことが重要であろうと考えております。 私もしばしば予算委員会あるいはこの委員会でも申し上げておりますが、日米間というのは深まれば深まるほど、いろんな問題で協力し合えばし合うほどいろんな問題がまた逆に出てくる。例えば余りよくないかもしれませんが、夫婦間みたいなところもある、あるいは兄弟みたいなところもある。本当に親しくて一緒にいかなきゃならぬことは言うまでもないんだけれども、そうなるとかえっていろんな問題が出てくるというようなことを私はちょっと例え話でこの間アメリカのテレビのインタビューにも答えたことがあるんです。 いずれにいたしましても、日米関係というのは、世界経済にとってもまた世界全体の繁栄のためにも、これはもう本当に仲よくしっかりやっていかなきゃならぬというこのことについては、大統領もまた宮澤総理もまさに意見の一致を見ているところでございます。 また、貿易問題の発生を未然に防止するためにも、両国の民間部門同士の結びつきを一層深めていくということもこれまた必要でございまして、両国の産業間及び企業間の協力関係を強化していくことも重要であろう、こう考えています。さらに、日米間の協力の幅を広げ、日米間のきずなを強化していくためには、冷戦後の世界が直面しております環境あるいはエネルギーあるいは技術開発等の共通の課題に日米両国が協力して取り組んでいく、このことも極めて大事だと思います。 私、先般アメリカに参りましたときもゴア副大統領にお目にかかりましたが、彼も御承知のように環境問題については大変熱心な方でございまして、科学技術でありますとかそうした新しい社会の対応に協力していきましょうよというお話を申し上げておきましたが、彼もそれについては非常に積極的な対応を見せておりました。 いずれにしても、私は午前中にもちょっと御答弁申し上げましたが、日本の国の方が環境問題でありますとか教育投資でありますとか産業間の競争に対しての対応はアメリカよりやや早かったな、逆に言えば、ゴア副大統領の言葉をかりればこれからアメリカがやっていかなきゃならぬ、少 し日本の後を追うような形になったなというようなことを言っておられました。まさにそういう意味でお互いに相協力しながら進んでいく段階に入ってきている、私はそのような認識をしているわけです。 先般の首脳会談では、日米間に構造問題やセクター問題や協力問題を協議する新たな協議の枠組みを設けることに合意をされているわけでございますが、そうした協議の場において率直な意見交換と協力の強化について協議し日米関係の一層の強化を図っていくということでございます。後ほど必要がございましたらいわゆる新しい協議機関の枠組み等については事務当局からお答えをさせますが、まだ具体的にそういう段階に入っておりませんが、まずはそれぞれ両国首脳の話をもとにした、どんなようなことをやったらいいかという枠組み、フレームを恐らく今検討しておるところだろう、こう思います。 恐らくアメリカから見れば、記者会見といいますか、ところどころで今出ておりますように、新しい枠組みをつくれだとか目標値をつくってこうした結果を見ていこうというような意見もないわけではない。あたかもそういうもののための構造協議をつくるんではないかということの懸念が、先生初め我々にもあるわけです。 宮澤総理は、そういう問題はもちろんあるのかもしれないが、自由貿易という前提からいえば余りいいことじゃありませんね、逆に言えば管理貿易になるじゃありませんかと。私も常々言っているのは、じゃ日米間でそんなことをやったら日本とEC間はどうなるんですか、ASEANだってそんなことが出てくるじゃないですか、だから私ども日本はそんなばかげたことは絶対とれませんよと。これは今度ブラウンさんが見えているときも、私は何回も申し上げております。それは総理からあなたもお聞きでしょうということを申し上げております。 そこで、そういう経済問題、貿易問題もあるけれども、もう一歩大きな枠で環境とか技術だとか人的資源の開発だとか、そうした問題でやはり一つの構造協議を続けて次の段階へ入るべきではないだろうか、こういうことを総理としてはお話をされたんだというふうに私どもも伺っておりまして、いずれにいたしましてもどういう枠組みで進めていくのか。二、三日前のときの立ち話でございましたが、ブラウン長官に私は、SIIはもう崩壊するのかね、あなたはどういう考えをしているんですかということを聞いたときも、新たな次のステップヘ移る段階でしょうねというような意味のこともおっしゃっておりましたが、アメリカ政府もどんなものにするかということの話はもちろんまだ検討している段階ではないかなと思います。 いずれにしても、まず両国政府の事務レベルがそうしたことをよく協議して、本当に日米のために、そして世界のためになるそういう協議機関であるべきだろうというふうに私は思っておりますし、それが日米のため、またさらにそれは自由貿易を促進していくことであるということを、やっぱり大事な哲学として進めていくということを私は認識として持っておかなきゃならぬ、こんなふうに思っておるところでございます。
○和田教美君 今の引き続きの答えは後で結構です。 質問に移ります。 日米首脳会談では、今お話がございましたように、七月ごろをめどに日米経済協議機関というものを新しくつくるということで合意したわけですけれども、日米間のこの種の協議は八〇年代の半ばに市場分野別協議、MOSS協議が始まったわけで、またブッシュ政権のときには、このMOSS協議では日本市場の抜本的な開放は図れないということで構造問題協議ということになったわけです。そして今回、また新しい経済協議機関をつくるということになったわけなんです。 そこでお聞きしたいんですけれども、MOSSあるいはSII、構造問題協議、これらはどこがうまくいったのか、うまくいかなかったのか、それから何が問題として残ったのか。それから今回の新協議機関、今性格はまだよく固まってないということでございましたけれども、MOSS及びSIIとどこがどのようにかかわっておるのか、また協議の内容がどう違ってくるであろうか。 まず、そういった点について、現在わかっているところで結構でございますから、お答え願いたいと思います。
○政府委員(岡松壯三郎君) まず、MOSS協議、SII、過去に行われた成果、残された課題は何かという点でございます。 MOSSにおきましては、御高承のとおり四分野について議論が行われました。コンピューター関係につきましては関税の撤廃がこの協議の成果として出てきましたし、林産物につきましては関税の引き下げが行われた。医薬品につきましては基準・認証等の改善が図られだというのが我が方がとった措置でございます。 また、SIIについて申し上げますならば、御高承のとおりいわゆる大店法の改正を行ったこと、それから総額四百三十兆円といったような公共投資の基本計画を決めたというのもここから起こってきているわけでございまして、そのラインに沿って財政が計画されていることは御高承のとおりでございます。これらの協議は、我が国市場へのアクセスの一層の改善、また我が国の構造的問題の解決を図っていく上で大きな成果を上げたというふうに考えております。 他方、アメリカ側はどうかということでございますが、SIIで取り上げられました財政赤字の削減、競争力強化といったようなのが二大テーマであるわけでございますが、正直申し上げまして、これはブッシュ政権下においては必ずしも進展したとは言えなかったかと存じます。新たに政権をとられましたクリントン政権におきましては、これが重要政策課題として取り上げられ、既に財政赤字の削減に向けて政策が展開しつつあるということでございます。また競争力強化の点につきましても、教育でございますとかRアンドDについての投資であるとか訓練であるとか、さまざまな構想が出てきておりまして、この方向に向かって動きつつあるというふうに見ておるわけでございます。 今後、このSIIで指摘された米国側の措置の着実な実施を私どもとして期待しておりますと同時に、我が方といたしましても、引き続き輸入促進でございますとか対日投資の円滑化等の措置を着実に進めてまいりたいというふうに思っております。 第二の御質問の点は、今回ワシントンで首脳会談の際に議論になりましたフレームワークと今まで進めてきたMOSSあるいはSIIの関係でございます。 まず、そのフレームワークにつきましては、首脳間で決まりましたことは、主要産業における貿易投資の流れを促進するために両国の構造、セクター問題について協議しようということと、それから環境、技術、人的資源の開発の分野における協力についても話し合おうということで、しかも両国の課題について話し合うというその意味で新しいフレームワークをつくるというところまでが決まったわけでございますが、どのようなものであるかということは今後議論をしてサミットで両首脳が出会いますまでにまとめようということになっております。 考えますに、今までとられてきたSIIの手法あるいはMOSSの手法というものが私どもとしては一つの参考になるのではないかというふうに思っておりますけれども、これは日本政府部内でもまだ意見の調整が図られておりませんし、また先方との出会いはまだないわけでございまして、今後七月に向けてこの辺を踏まえながら議論が進んでいくというふうに考えておるところでございます。
○和田教美君 個別の産業分野の協議についてクリントン大統領は、日米半導体協議を成功例として挙げて、同協定と同様に目標を設定した個別分野での交渉を提案しました。宮澤さんは、目標設 定型の協議は管理貿易につながるということでこれに同意しなかったということでございます。 しかし、その後の米側の動きを見ておりますと、例えば最近来日したブラウン米商務長官は、計測できる目標設定の重要性ということを改めて強調いたしております。米政府のこのような結果重視の方式に対して、日本側は個別分野ごとの目標設定などには絶対応じられないとしていますけれども、しかし、例えば政府調達の部門などでは、一定の努力目標などを設定してある程度明確にしていくという方式もとらざるを得なくなるのではないかというふうに僕は思うわけです。 そこでお聞きしたいんですけれども、こういう目標設定方式というものについては、もうとにかく一切のものを例外なしに絶対に認めないという強硬方針で行くのか、その辺のところをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) アメリカにおきます数量目標の設定の考え方は、基本的にはこれは市場原理に反しているわけでございますし、またこれがさまざまな憶測を呼んだりいたしますし、誤解を受けることにもなります。そのことは結果的に管理貿易になる。そのことが到達されないということになれば、それに対しまた報復をするというようなことになる。それはまた、先ほどもちょっと私が委員の御質問に申し上げたように、仮に日米間でそういうことになればじゃ日欧間はどうだろうかというようなことにもなります。 私、一月に欧州に参りましたときも、具体的なことはおっしゃらなかったけれども、日本のやっていることはやはり米偏重ではないかという声は随所に出てきておりました。そういうことも考えますと、やはり、この数量目標を満たすというようなことについては、これは日本としては絶対に受け入れてはならないことだというふうに思います。 また、日本市場は企業の自由な活動をベースとするものでございまして、自由競争の結果を保証するということは、これは政府のなし得ることを超えている、このような認識を持っております。したがいまして、目標設定の考え方は日本自身としては到底受け入れがたい、このように重ねて申し上げておきますし、総理もそのように申されているわけでございます。 日米貿易不均衡問題の解決につきましては、日米双方による地道かつ継続的な努力が必要でございまして、このような努力を通じて信頼関係を醸成していくということが重要であろう、このように考えておるところでございます。
○和田教美君 それじゃ念を押すようですけれども、政府調達の部門なんかも含めてですか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 政府調達につきましても、ガットの一定の基準に基づきまして内外無差別の原則ができておるわけでござまして、それに従って行われるというのが筋であるというふうに考えております。したがいまして、政府調達であるからといって一定枠を輸入のために分け与えるといった考え方はないわけでございまして、オープンな市場の競争の中でよくて安いものは調達されるという原則がここにも適用されるべきであるというふうに考えておるところでございます。
○和田教美君 カンター米通商代表が去る二十一日、日本に対して市場開放を求める優先項目として自動車、スパコンなど七分野を挙げてきました。日本はこの新しい経済協議機関を発足させることには同意しているけれども、分野別の目標設定については今のお話しのように絶対に認められないという態度でございます。 しかし、もしそうだとすれば、この協議機関というのは一体どういう形のものになっていくのか、何をするのかということで、どうもイメージが僕にはわいてこないんです。頭が悪いのかもしれませんけれども、もう一度ちょっと教えてください。
○政府委員(岡松壯三郎君) 具体的にはこれから両国政府間で話し合って決めていくものでございますけれども、先方の意図として特定の分野あるいは構造的な問題ということが言われておりまして、それについて会見の中でそれらしき分野の名前が出たりあるいは構造分野について指摘されたりしておるわけでございますが、ワシントンにおける事務的なやりとりといたしましては、あくまでもあれは今回の構想を提言するに当たっての背景説明であるということになっております。したがいまして、まずどの分野を取り上げるかということについては全く白紙であるということでございます。 しからばどういうふうに進んでいくのかということでございますが、私どもとしては、数量的な目標を掲げてそういうものを求めて協議するということには応じられないというのが首脳間で申し上げていることでございますので、それ以外の方法で、例えばでございますけれども半導体について申し上げますと、あたかも九二年第四・四半期二〇%というだけがあの半導体協定の目標のように考えられがちでございますけれども、実はそうではございません。あれは米業界の期待値として一つの数字を向こうが設定してきているわけでございますが、その裏に両国産業間の協力が多く述べられているわけでございます。 したがいまして、先ほど大臣の答弁の中にもございましたが、やはり両国政府間でさまざまな話し合いをすると同時に、両国の関係産業間でさまざまな協力関係ができ上がってくるということが長い目で見て両国の産業並びに世界経済の発展につながってくるのではないかというふうに考えておりまして、そういう方向でこの協議が行われることを私どもは期待いたしておるところでございます。
○和田教美君 これに関連してもう一つお聞きしたいんですけれども、この新協議機関というものでは、九二年一月にブッシュ前大統領が来日した際に日本が挙げた米国製自動車部品の購入額目標、九四年度には百九十億ドルにふやすという目標ですね、とりあえずこれをめぐる問題がまた再燃するんではないか、第一の争点になるんではないかというような報道もございます。 この問題はさきに通産大臣がアメリカに行かれた際にアメリカ側が強く要求したけれども、通産大臣は、日本側としては業界の努力目標であるというふうに考えていると突っぱねたということでございますけれども、今のお考えはそれにお変わりはございませんか。
○国務大臣(森喜朗君) 業界側がお互いに努力し合っていくということは大事だろうと思いますが、先ほど申し上げたように、その数字なりを政府が認めるということになりますと、結果的にそれが政府の容認した数字ということになってさまざまな誤解を生むということになります。 今度の半導体の問題は午前中にも答弁を申し上げましたように、結果的に半導体はああいう形になりましたが、総体的に見まして無用な誤解を生んでしまった、あたかも政府間で約束した数字のようになってしまったということも、これは私は反省材料としてとうといものとして考えておかなきゃならぬだろうと思っております。 したがいまして、今委員から御指摘のように、数量目標ということだけは政府としては絶対に容認するべきものではない、このように申し上げたその考え方は今も全く変わっておりません。
○和田教美君 日米半導体協定についても、見方によってはああいうやり方も一つの管理貿易的なやり方ではないかというふうな批判もあるわけです。ですから、この問題についてアメリカ側の主張は相当しつこいだろうと思うんですけれども、ただ管理貿易だから反対だということだけでは余り説得力を持たないんではないか、おまえさんの方もそんなことをいろいろの形でやっておるじゃないかというふうに切り返されるんではないかというふうにも思うわけですね。その辺のところはどうお考えになっているのか。 要するに、米案に対して、具体的に日本の対案というふうなものを考えていかなきゃいかぬのじゃないかと思うんですけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(岡松壯三郎君) 半導体協定に数字が出ておりますのは九二年第四・四半期で二〇%ということなんでございますが、その協定の文章の中に、これは米産業の期待値であるということで、これは保証でもなければ最低水準を決めるものでもないということが明記されておるわけでございます。 にもかかわらず、一たびああいう数字が決まりますとまさに数字のひとり歩きというのが始まりまして、あたかも日本政府が約束したというふうにとられ、それが守られなければ制裁だといったような話になってきたわけでございまして、このような過ちを二度と犯したくない、この轍を踏みたくないというのが私どもの考え方でございます。あそこに書かれていることは決して管理貿易的なアプローチではなかったのでございますが、一たびああいうことになりますとそういう誤解を生んでいったというところから、私どもとしては今後の対応に当たってはそのような過ちを犯さないようにしたいというふうに考えているわけでございます。 しからば具体的にどうするのかというのが第二の御質問の点でございますが、これにつきましては、先方との話し合いの中で決まっていくことではございますけれども、私どもといたしましては、先ほど一つの考え方として述べさせていただきましたように両国産業間の協力関係というもの、あるいは協力して新しい技術開発に取り組んでいくといったような同じ方向を向いて歩んでいくような姿勢をとっていくことができないものか、こんなふうに考えているところでございます。
○和田教美君 対米貿易黒字の削減の問題については、政府は必ず内需拡大、市場開放などお決まりの文句を並べるわけなんですけれども、もちろんそういうマクロ経済的な政策というものは非常に重要だと思います。しかし、一般論でそれを繰り返しているだけではとてもこの問題は解決しないだろう、結果重視という点もあってかなり深刻な問題だろうと私は思うんです。今や日米関係は、ごまかしのきかない日米新時代なんという表現も登場するぐらいでございますから、そういういろいろな修辞だけで解決するような問題ではないと思うんです。それで、単にグローバルなマクロ的な経済政策だけでなくて、ミクロ的にもかなり思い切った手を打たなければならないのではないかというふうに思うわけです。 もちろん輸入拡大策についても、例えば米国自動車部品調達目標の設定等、目に見えた輸入促進策をとるとか、消費者が輸入品を買う場合に例えば税制上の優遇措置をとるとか、そういう通常の状態ならとても政策として採用できないようなものもかなり考えていかなきゃならない状況ではないかというふうに思うんですけれども、その辺についてお考えを聞かせてください。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。 現在我が国が抱えております膨大な貿易黒字を解消する方策として、マクロ経済対策のみならず、各種の具体的なミクロの施策の積み上げが必要ではないかという御指摘でございます。 我々全く同感でございまして、基本的には、先ほど来大臣も御答弁申し上げておりますように、累次にわたる総合経済対策でもまずマクロで対策を行う、これがウエートからいうと圧倒的な大きな基本的な施策になると思いますけれども、それに加えまして各種のミクロの積み上げを実は逐次やってきておるわけでございます。先ほど例示いただきました輸入に関する税制面で例えば何かないかというお話でございましたが、これは平成元年度から輸入促進税制というのを適用いたしてきております。今年度、平成五年度からこれを大幅に拡充いたしまして、基準年次に対して輸入者が二%以上輸入を増加させましたときは一定比率で税額控除制度を適用できるようにするとかあるいは各種の手厚い改正をしたわけでございます。 さらに、今回、先々週でございますか、総合経済対策の中に高度省力化投資促進税制という新たな税制度を創設することを決めました。これは、例えば時短の促進だとかあるいは各種の合理化のために設備投資をする場合にそれらについて税制上のインセンティブを与えるという考え方ですが、その中に例えば、各種の高度の医療施設だとかあるいはエックス線装置とかいったような輸入が圧倒的に比率の高い品物についてもこれを精力的に掲示、特掲いたしまして、こういうものを輸入した人に対しては税制上の投資税額控除制度が適用されるようにする、こういったような施策も拡充してきておるわけでございます。 あわせて、先ほど先生から例示がございましたが、政府調達における透明性の確保、これはガットのルールがございますが、これを日本独自にさらに対象品目を拡大するとか、あるいは適用すべき政府関係機関を拡大していくとか、そういったような政府調達、基準・認証等々の面で既に八〇年代後半から積極的に施策を展開しておるわけでございまして、これからも輸入協議会の開設も含めましてそういった細かな手続面の簡素化、基準・認証の簡素化等々についても全力を挙げて対処していきたいと考えております。
○和田教美君 この問題についてのアメリカ議会の動きも非常に重要なんですけれども、時間が大分たってきましたのでそれは割愛することにしまして、次に円高の問題について二、三お伺いしたいと思います。 日米首脳会談におけるクリントン大統領の記者会見での発言が円高容認発言だということで、そういうことがきっかけになって為替相場はついに一ドル百十円台を迎えております。 これは結局、日本に本格的な景気刺激策や輸入拡大に真剣に取り組ませるためにはこういう方法が一番いいんだ、意地悪く考えれば円高容認もそういうふうに考えているんではないかというふうにさえ受け取れることであって、そういう考え方は欧米にはかなりあるわけです。それだけに例えば、円高措置に対する協調介入にはなかなか応じてこない、単独介入せざるを得ないというふうな状態になっておると私は思うんです。しかし、急激な円高はとにかく景気に悪影響を及ぼすものであるだけに、経済界では、この点に関する限りは宮澤訪米というのは失敗だったというふうな厳しい声も私は聞くわけです。 そこで通産大臣は、この円・ドル問題についての最近の米側の動きについて、どこが真意なのか、どういう感触で受け取られておるか。経済企画庁長官も、もし御感想があったらその辺ついでにお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 四月十六日の日米首脳会談後の記者会見におきましてクリントン大統領から、貿易不均衡の是正については円高、日本の景気刺激策、米製造業の生産性向上及びセクターごとのコミットメント、この四点が結果をもたらしてくれる、このような発言があったことは御承知のとおりでございまして、このことによって為替市場で円が急伸してきたわけでございます。 基本的には、円のレートというのは、市場原理が反映するわけでございまして、政治的なものでレートをどう動かしていくかということは避けるべきであって、それぞれの国の持っておる基本的な経済的な要件、つまりファンダメンタルズが反映をしていくものであろうというふうに我々は考えているわけでございます。 しかしながら、通産省といたしましては、この発言は日米首脳会談後の記者会見で述べられているものでございまして、必ずしもアメリカ政府の明確な政策の方針を示したものではないという認識をいたしております。 事実、先般来日しましたブラウン商務長官も、クリントン大統領はより円高になることを望んでいるわけではないということも述べておられますし、これも午前中峰崎先生のときに申し上げたと思いますが、記者会見のときの新聞の報道ぶり、あるいはどこかで講演されたときの報道ぶり、我々とお茶飲み話でするときの報道ぶりにかなりぶれがございます。 ですから、恐らく大統領も一般的な考え方として四点ほど挙げられた、その中で円高をトップに された、それが市場をいろんなことで動かしてしまったんだと思いますが、それなりにアメリカもこのことについてはかなり反省するとかしないとかということは別として、恐らくこの問題は大変な問題だなということの認識は私はあると思うんです。そのことがブラウン長官の御発言や講演にも必ずしも一貫した発言ぶりがないなという感じを、私は率直にそんな感じで受けとめているわけでございまして、あくまでもアメリカ政府が円高でこういうふうに持っていくんだということを正式な考え方として述べたものでないというふうに私ども承知をいたしております。 ただ、近くまたG7、蔵相会議等があるようでございますから、そういうことで何か政治的な意図があるのではないかということの思惑が現時点で走っている面もあると思っておりますが、通産省といたしましても、対外不均衡の是正に当たってはあくまでも内需拡大を基本としながら効果的な輸入促進策による輸入拡大を図っていくことが重要だというふうに考えておりまして、円高のみで対外不均衡是正に対処するということについては無理があるのみならず、むしろ私はマイナス効果の方が大きいというふうに考えておるところでございます。
○国務大臣(船田元君) 既に通産大臣からもお話がありましたけれども、クリントン大統領の首脳会談の後の記者会見における御発言、私もその場にいたわけではありませんけれども、通産大臣と同様な考え方を私ども持っておりまして、特に大統領自身がより一層の円高を望んでいるというような意図で発言されたのではないということは少なくとも言えると思っております。 それ以上のコメントを申し上げることは、その場におりませんでしたので差し控えたいと思いますが、いずれにしましても急激な円高ということは、これは今通産大臣からもお話がありましたように景気に悪い影響を与えるということでございまして、これは私どもとしても好ましくないことであると考えております。 今後なお一層この円高あるいは為替相場の動向に十分注意をして、適切な経済運営を行っていきたいというふうに思っております。
○和田教美君 経済企画庁にお尋ねしたいんですけれども、企画庁の試算では一〇%の円高が続いた場合、最初の一年間で名目GNPを〇・四%引き下げる影響が出るというふうに言っております。政府の新総合経済対策の名目GNP押し上げ効果を二・六%とはじいておりましたけれども、現在の円高が定着すると押し上げ効果は二・二%程度に削減され、景気浮揚効果に水を差すことになります。 結果的に今年度の政府経済見通し、実質成長率三・三%というのも達成はかなり困難ではないかという推論が当然できるわけなんですけれども、その辺について企画庁としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
○国務大臣(船田元君) 我が国の経済、いまだ予断を許さない状況にあるということは御承知のとおりでございます。政府としては、こういう状況を踏まえまして昨年三月の緊急経済対策、八月の総合経済対策、そして景気に配慮した五年度の予算を編成いたしました。また、景気の足取りをより確実なものにするということで、今般総合的な新総合経済対策を講ずるということを決定したわけでございます。こういう対策を着実に実施するということによりまして、我が国経済の内需を中心とするインフレなき持続的な成長経路への移行というものがより確実なものとなりまして、政府の経済見通しでお示しをした三・三%という実質経済成長率は達成可能であるというふうに考えております。 なお、急激な円高につきましては、輸出企業の円建て手取りを減少させる、そして企業収益を圧迫するなど企業活動に悪い影響を与え、我が国の内需拡大のための努力を阻害するおそれがあるということでございます。こうした認識に立って、特に今回の新総合経済対策においては、円高等の影響をこうむっている中小企業に対して低利な融資の特別枠を創設するなどの措置を盛り込んでいるところでございます。 また、円高の影響についてはプラスの側面も考えられるわけでありまして、本対策においても円高効果の物価面への浸透状況を的確に把握する手だてを講じていきたいというふうに考えております。 さらに先生今御指摘のように、この新総合経済対策の景気押し上げ効果として二・六%という数字にお触れになりました。また、今回円高が一〇%進んだ場合に、それを一年間の効果ということで考えた場合にGNPを〇・四%程度押し下げるのではないかというお話でございました。もちろん、この二つの数字を単純に差し引きをするということは余りなじまないことかなというふうに思っておりますけれども、しかしいずれにしましても、今回の対策の持つプラスの経済効果は最近の円高が与えるマイナス効果よりもはるかに大きいものであるということは言えるのではないかというふうに考えております。 いずれにしても、一日も早く、この新総合経済対策が予算を伴って着実に実行されることが極めて大事な局面に来ているというふうに思っております。
○和田教美君 次に、円高差益の還元問題ということについてお聞きしたい。 きょうのある新聞の緊急アンケート調査によりますと、企業は全体として円高差益還元には消極的であるというふうな記事が出ております。 そこで、企画庁にお聞きしたいんですけれども、確かに一部のデパートだとかスーパーなどではブランド商品あるいは食料品などで「差益還元しますセール」などが始まっております。しかし、これはごく一部のものであって、実際には、例えばブランド商品なんかは在庫がふえた分を吐き出すための目玉に円高差益還元なんということを使っているんじゃないかと思われるような節もあるわけです。この動きがどんどん輸入商品に広がっていってコストに見合う円高差益の還元ということが全体的に行われるかどうか、その辺のところはまだ疑問だと思うんです。 もしそういうことでないとすれば一体どういう指導をされるのか、その点について経企庁は近く全国調査をやるとおっしゃっておるけれども、その辺についての御見解をお聞かせ願いたい。
○政府委員(小林惇君) 経済企画庁では、委員御指摘のとおり、最近の円高傾向の進展にかんがみまして、円高メリットの還元状況に関する種々の調査の実施に着手したところでございます。 委員御指摘のように、小売段階にこの円高効果が波及するまでには若干の時間を要するわけでございまして、企画庁といたしましては、こういった調査の結果をできるだけ早く取りまとめまして速やかに公表することによって、円高の効果が国内の種々の販売価格に反映されやすい環境の整備に役に立ててまいりたいというふうに考えております。
○和田教美君 時間がもう来たようですから、最後に電気、ガスの円高差益還元問題についてお尋ねいたします。 電気事業連合会は、前回値下げをした八九年ですか、基準価格である一ドル百二十四円、それから原油一バレル十六・五ドルをもとに計算すると、原油価格がその後上昇したために円高でも約五百億円の差損が今の円高の状況でも出る、したがって値下げなんかはとてもできないということを言っております。そして、通産省も大体それと同じような考え方で、今まだ差益還元と言うべき時期ではないというふうに言っておられる。また、ガスについても業界では大体同じような考え方を述べておられるというふうに思うんです。ちょっと電気事業連合会に聞いてみましたが、単純な計算ですけれども百十円の現在の段階でも差し引きまだ五百億円ぐらい差損が出る、ですから百五円ぐらいまで円が上がったらやっととんとんぐらいになる、こういうような計算を言っておりました。 いずれにしても、通産省の今の判断は大体そういうことだろうと思うんです。 その場合に、しかしこれから円高がさらに進むということもあり得るわけで、少額であってもどうしても円高差益を還元しなきゃいかぬというふうな事態があるいは来るかもしれない。その場合に、考え方として二つあると思うんです。とにかく一家庭に四十円とか五十円をばらまくよりも例えば最近の新経済政策に取り上げられている電線の地中化、地中に埋めるというふうな問題をもっと推進するとかそういうものに金を使う、そういう選択も私は一つの有力な考え方だと思うんです。その辺について通産省としては一体どういうふうにこれから考えていかれるのか、お伺いしたい。
○国務大臣(森喜朗君) 円高差益が発生いたしますためには、これはある程度の期間にわたって円高が継続していくということが必要でございまして、現時点では先行きが不透明な状況にございます。それから、今の時点でこのような論議を私自身がいたしますれば、今の円高を容認してしまうということになるわけでございまして、そういう意味で慎重に今後の動向を見ていくべきだろうと考えております。 今委員から御指摘ございましたように、電力、ガスにかかわる差益還元の問題を考えるといたしましても、為替レートだけではなくて、委員の方がお調べになりました数字をおっしゃったとおり原油価格の動向も当然勘案しなければならぬわけでありますし、またどの時点との比較で差益を考えるべきなのか、これもまた問題であろうというふうに思います。したがって、ある程度の期間を見ておかなきゃならぬというのはそこにあるんだろうと思います。今回の円高局面におきましては、どのような基準で差益をとらえるのが適当かについては、やはり今後の事態の推移を見ながら検討してまいりたい、このように思っております。 いずれにいたしましても、今後大幅な差益が生じるに至った場合は、委員の御指摘のとおり、電力、ガス事業の特性をよく考えながら適切な対応をしていくということが大事だろうと考えておりまして、先ほど申し上げましたように為替のレートと原油価格の動向を十分通産省としては注視してまいりたいと思っております。 ちなみに、今委員からもちょっと例示として挙げられましたように、昭和五十二年のときに一戸当たり大体月二百七十円の還元だったわけでして、コーヒー一杯かという話が出た当時のことを思い出すわけでございますが、そういう意味ではそのお金を還元することがいいのか。そのお金をむしろある意味で誘発効果のあるような経済成長、経済に生かしていくことがいいのか。これは、やはりこうした国会での先生方のいろいろな御意見なども踏まえまたいろいろな環境も見ながら、通産省としてはその時点になれば考えていかなきゃならぬことだ、このように考えております。
○和田教美君 ありがとうございました。
○井上計君 先ほどから円高問題についての質疑が交わされております。若干重複しますが、重要なことでありますからお伺いをいたしたい、かように思います。 最近の急激な円高についての原因は、これまた先ほどいろいろと御答弁もございまして承知をいたしております。しかし、いずれにしてもこの急激な円高ということについては、せっかく景気の回復の兆しが見え始めたときにかなり足を引っ張るんではなかろうかというのは、先ほども経企庁長官からもまた通産大臣からも御答弁がありました。非常に憂慮すべき問題だと考えます。 そこで、私、先日来思い出しておるのでありますけれども、八年前でありますが、八五年の秋のプラザ合意のときに、当時二百五十円前後であったかと思いますけれども急激な円高になりました。二百十円ぐらいになったときには日本の輸出産業、特に中小企業の輸出業者はもうつぶれるんではないかと実は大変な悲鳴が聞こえてまいりました。当委員会でも随分と論議がございましたし、また我々も輸出産地に何カ所か実際に事情調査ということでいろいろな業者との話し合いにも出張してまいりました。 どこへ参りましても言われたことは、政府はけしからぬではないか、我々のことを考えないで勝手にプラザ合意によって円高に持っていったのを一体どうするんだというふうなおしかりを随分と受けた記憶があるわけであります。その当時言われておりましたのは、何とか努力して体質改善をすることによって二百十円ぐらいなら、あるいは中には二百円ぐらいまでなら何とかやっていけるけれども、二百円を切ったらもう壊滅だ、百八十円を切ったら日本の輸出産業は全滅するんだ、こんなことも随分言われたことを記憶しておるわけであります。 しかし、その後見事に円高を乗り切って、若干の変動がありましたが百四十円前後でずっと推移をしてきた。そこで、百四十円前後のときにもますます輸出がふえて膨大な貿易黒字を生み出すようなことになっておるということであります。 それらの過去を考えますと、今後円相場がどの程度で定着するかわかりませんが、私は、日本の輸出産業の体質はさらに努力することによって言えばこの円高のメリットを活用することができるんではなかろうか、それほど懸念することはないんではないかなという気持ちもするわけでありますが、これらのことについてどのように認識しておられますか、あるいはどういう見通しを持っておられますか。できればまず冒頭これをお伺いしたい、こう思います。
○国務大臣(森喜朗君) 先ほども和田委員のときにもちょっと触れさせていただきましたけれども、基本的には円のレートというのは市場原理が反映するものだというふうに、私どもはそういう認識でおります。したがいまして、これが思惑的なことで動かされていくということにつきましては、極めて私どもは懸念をせざるを得ない。 私は先週の記者会見でも、正直申し上げてやっと今景気の回復をここまで持ってき、そろそろという段階にも来ておる。また、与野党の先生方に大変な御協力をいただいて二十二年ぶりに年度内に予算も通してもらった。これなどまさに景気に対して国会としての権威を示したものだと私は大変大きく評価されるべきものだと思う。なおかつ、当初予算を審議している中でもう追加的な予算のことまで私は当時閣僚として発言しても、与野党としてそのこともある意味では理解をしていただいた。こういうふうにせっかくみんなで協力をしてここまで景気の回復に努力してきているのに何を今さらと正直言いたい気持ちで私は言葉を選びながら話しておりましたが、むしろ記者会見ではもう憤りを感ずるという、これはだれに対してぶつけていい言葉かわかりませんけれども、正直言って本当にそんな気持ちであったということは今も私は変わっておりません。 しかし、現在まだ産業界がこうした景気低迷の中で苦しんでいる状況において為替レートが政治的な思惑等で動く、しかも二カ月半で十四円程度という急激な変動をするということは、これは経済界、産業界の設備投資の減退を招くし、あるいは産業界へのさらなる深刻な影響を与えるということで懸念をしておりまして、まさに景気に対して冷や水を浴びせるようなものであるというふうに私は認識をいたしております。 しかし、井上委員がおっしゃいましたように、日本の経済、産業というのは確かにそうしたいろんな苦難に対応してそれを乗り切っていく力というものを潜在的には持ち合わせておる、ただそれが急激な形で来るということについてはやはり十分注意をしなきゃならないし、それに対して私どもの官庁の立場はその環境を十分見てあげなければならぬというふうに思っております。長い将来を見れば、緩やかな形で円高に持っていくということは、これは先生が先ほどおっしゃったように、日本の経済にとってはむしろプラス面が多いのではないかというふうに私は見ております。 そういう中でいろいろと御心配の向きもございますので、先般主要産業あるいは輸出型の産地を調べましたけれども、さらにまた事務当局に命じまして主要産業八業種、輸出型産地土地域を対象に今聞き取り調査なども行っているところでござ います。
○井上計君 大臣の御所見についてはもう十二分に理解できますし、また大いに期待をしております。 ただ、中小輸出産業の中には円高を、十分理解がなくてこんなことでは困るんだという、円高による言えば日本経済の将来の有利な点等についての理解がない人もあるようでありますから、今後、いろんな景気対策の中での輸出産業に対する施策と同時に、このようなことについての言えば円高を活用する円高のメリットについても十分ひとつ指導を、またPRをしていただきたい。これは特に中小企業庁長官にお願いをしておきます。 次に、これまた先ほど来話が出ておりますが、去る四月十三日に経済対策閣僚会議で決定された「総合的な経済対策の推進」でありますが、この中で一、二お伺いします。 これも先ほどちょっと御質問に出ましたけれども、「民間設備投資の推進」という中で中小企業者の機械の特別償却率の引き上げ対象範囲を拡大する、そのために中小企業機械投資促進税制(仮称)をまあ制定するとはありませんがつくるというふうなこと、同時に時短あるいは環境保全、輸入促進等に配慮した省力化、合理化等を支援するために新しい制度をつくる、これについても高度省力化投資促進税制ですか、そのようなものを創設する、こうありますけれども、どのような内容のものを考えておられますのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(熊野英昭君) ただいまの井上委員御指摘の設備投資を促進するための税制上の措置、いわゆる投資促進税制でございますけれども、二つございます。 一つは、特に中小企業の全般を対象といたしまして、現行の中小企業者等の機械の特別償却制度で一般的に一四%の特別償却を認めている制度がございますけれども、これを抜本的に拡充しようとするものでございます。 中身といたしましては、二百万円以上の機械でありますとか装置に対する特別償却を現行の一四%から一年間に限りまして三〇%に拡充する、同時に七%の税額控除も選択適用できる、税額控除を選びたい方は税額控除を選んでいただいてもいいという内容でございます。さらに対象設備につきまして、従来は機械装置だけであったわけでありますけれども、今回、中小企業の経営の体質の改善に資するようないろいろないわば備品的なものでございまして、典型的に申し上げますとパソコンのようなものでございますけれども、これらも複数台数買いまして合計が百万円を超えれば対象にするということで、中小企業の方にとって大変使いやすい制度にしたわけであります。 それからもう一つの方は、時短とか就業環境改善あるいは環境保全、輸入促進といった現下の経済情勢にかんがみましていろいろ配慮する事項があるわけでありますけれども、これらのための省力化あるいは合理化の投資を支援するために制度をつくったわけでありまして、これを総称して高度省力化投資促進税制と言っているわけであります。 それで、これは今申し上げましたようなものでございますから、内容的には例えば大変環境の悪いところで作業をするためのロボットでありますとか介護リフトでありますとかLPガスの集中監視システムといったふうなものを選びまして、多分百十ぐらいのものになると思いますけれども、そういうものを対象としてやはり三〇%の特別償却と七%の税額控除を認めようというものでございます。特に中小企業に対しましては、その七%、三〇%につきまして二割アップをいたしまして、いわば中小企業についてはさらに深掘りをした制度にしているところでございます。
○井上計君 もう時間がきょうはありませんから、細かい点についてはさらに希望あるいはお伺いしたいことがあるんですが、この中小企業に対する新しい制度の拡充等については大変期待できるものがあります。 細かくいいますと、今ちょっと局長の御答弁の中にありましたが、現在、例の損金算入できる設備の限度がたしか二十万円でしたね。これを三十万円ぐらい引き上げるとかなりまたいろいろな意味での少額投資が促進されるんではなかろうかな、こう思っております。これは大蔵省との関係もあるでありましょうが、これらの点でさらに言えば、そのような投資を促進するというのは部品等々の投資は随分とこれからふえてまいりますので、その辺についてもまた御配慮をいただきたい、このように考えております。 それからその次に、下請中小企業対策並びに官公需対策というのがやはり景気総合政策の中に盛られておるわけであります。特に、労働時間の短縮、今度また労基法改正等によりまして四十時間、平成九年度までですか、これは特殊な小企業について四十四時間というような猶予期間がありますけれども、今、中小企業、下請企業にとって一番の問題は、週休二日になる、そうすると実際の発注が金曜日になされて月曜日に持ってこいという発注が非常に多いんですね。そのためにせっかくの週休二日制、労働時間の短縮が実はできない。所定時間は減りますけれども実際には実働時間が減らないという原因の一つは、それなんですね。 それから今度は、所定外労働時間の割り増し率が当然のこと上がると思います。したがって、非常にコストが高くなっていく。しかし、競争が激しい中でそのようなことではなかなか採算がとれないというふうな問題が労働時間短縮に伴ってさらにまた一層激化するんではなかろうか、こう思うんです。 したがって、これについては親企業、大企業等に対する指導の面で発注システムの改善といいますか、そのようなことについて特に中小企業庁に御配慮いただきたい、こう思うんですが、何かお考えがございますか。
○政府委員(関收君) 先生御指摘のとおり、下請中小企業におきます時間短縮を進めます上で特に発注元との関係というのは極めて重要なものだと私ども考えております。 下請中小企業振興法という法律がございまして、これに基づく振興基準をかねてから定めておるわけでございます。今申し上げましたような視点から、平成三年二月にこの振興基準を改めまして、今先生御指摘のような週末発注・週初納入でありますとか、あるいは就業後発注・翌朝納入でありますとか、あるいは非常に頻繁な発注の変更でありますとか、そういうことを極力避けていただくように基準を決めたところでございます。 問題はこれをいかにして守っていただくかということではないかと思うわけでございますが、まず第一に私ども大事だと思っておりますのは、発注側、受注側双方の担当者がこの基準をよく理解していただいて守っていただくということが非常に大事だと考えておりますので、実はかねてからいろいろな形で講習会などをし、担当者の方にこの振興基準についても御説明し理解を求めてまいりました。あるいはまた、時間の制約から講習会に出られない場合もございますので、そういう場合には都合のよろしい時期に都合のよろしい場所で御理解いただくためのビデオをつくりますとか、そういうような形をやらしていただいておるわけでございます。こういった施策は、これからもさらに強化してまいりたいと思っております。 それから、今回の景気対策の中で一つ、この下請という観点から実は平成五年度の予算で創設を計画していたものでございますけれども、五年度より下請取引相談事業というのを設けようということにいたしております。これは全国におよそ六百人ほどの、現に下請中小企業を経営しておられる方にお願いをいたしまして、個々の取引におきます関係下請企業の皆様方からの御相談に応じ、場合によってはそれを私どもの方につないでいただくというような制度を、平成五年度予算で措置をさせていただいたわけでございます。これを早急に発足させたいと考えておりまして、今人選を進めておりますので五月末ぐらいにはスタートさせていただいて、きめ細かく下請企業の皆様のいろいろな問題点、御苦労を承って、我々としてで きることをやるという体制を整えていきたいと考えているところであります。
○井上計君 大いに期待しておりますから、ひとつ長官ぜひよろしくお願いをいたします。 時間が余りありませんので、最後に通産大臣並びに貿易局長にもお伺いすべき点だと思いますが、対米黒字が非常に大きな問題になっております。当然のことこの対米黒字をどうするかということは、今後の日米関係をさらに良好に持っていくために必要なことであることは当然であります。同時に、余り公の問題として論議されませんけれども、対台湾の黒字が非常にふえていることはもう御承知のとおりであるわけであります。 対米黒字は十年前と比べると約四倍弱、しかし五年前と比べると実は減っておるわけであります。ところが、台湾との貿易収支は十年前二十四億ドルであったのが五年前には三十七億ドルにふえて、ついに昨年は百二十九億ドル強、実はインバランスがますますひどくなっておるわけであります。この原因はいろいろありますし、またやむを得ぬ点もありますけれども、これを何とか日本政府は考えていかなくちゃいけないということを私は再三この委員会でも今までお願いをし、また提言したことがあるわけでありますが、そこでどうするかは非常に難しい問題であります。 一方では中国という相手方がありますから、特に外務省は顔色をうかがっておりますからなかなか容易なことではないということもありますが、しかし大臣御承知のように、二十一年前に中国と国交を回復し、そこで台湾と国交を断絶しましたときに交流協会と亜東関係協会との間の取り決めがあります。 この取り決めを最近また改めて見ますと、十四項目の取り決めの中に「双方間の貿易を円滑に発展させるため、関係当局との連絡、あっせん等必要な便宜をはかる」、「双方間の貿易の均衡的発展をはかるため、相手方の経済、貿易、観光等の事項に関する調査及び自国の上記事項に関する紹介を行なう」、同時にまた「貿易、投資、技術協力等に関し、民間諸取決めを締結し、」云々というふうなことがあるわけです。 したがって、外交問題でなければ、政府間レベルの、言えば政府高官の台湾との間の交流がもっと盛んになってもいいんではないか、このように強く感じておるわけであります。事実最近では、日本との貿易収支アンバランスによって、それがまた拡大することによっていわば台湾自体に、台湾の民間人の中にも日本が大変冷たいというふうな声があるんですね。その冷たいという声をいろいろと聞いてみますと、その一番大きなものは、現在日本では公用旅券で台湾に来る人は中央官庁の課長クラスまでだと。最近通産省からの審議官が一人、審議官は公用旅券が出なかったんですね、課長は出ましたけれども。 ところが、国交がないアメリカあるいはヨーロッパ各国は、最近頻繁に元首も閣僚も台湾を訪問しているんですね。昨年でありましたか、アメリカの通商代表、ヒルズ代表も行きました。それからフランスの工業大臣等々も盛んに台湾へ行っておる。それは台湾の経済発展、台湾がさらにこれから考えておりますところの国家建設六カ年計画等の膨大ないわば投資に対して、アメリカもフランスもその他のEC各国も大変な色気があるわけですね。約四十一兆円のこれからの六カ年計画というプロジェクトを組んでおりますが、日本政府のもっと積極的な高官の訪問があれば台湾としても日本に発注したい、日本に参加してほしいという要望があるわけですね。 特に新幹線計画なんかは、台湾に私の親しい要人がいますけれども、森通産大臣が来ていただければそれこそもう感情一遍に好転して、日本の新幹線の技術を入れてほしいんだと言っているわけですね。今のままでは、やはりフランスの新幹線技術を入れざるを得ないと、こんなふうな声も聞いております。 それからもう一つは、時間がなくて恐縮でありますが、ガットヘの台湾の加盟についてもぜひ協力をしていただきたい。幸い一昨年APECには台湾は加盟ができました。今度はガットに台湾が加盟することが、台湾は当面はそのプラスはない、逆にマイナスだと思いますが、日本の経済界にとっては、台湾がガットに加盟をすることによって台湾の国際入札にもどんどん積極的に参加できるわけであります。 それらの面で大臣にもまた通産省にも、台湾との今後のそのような交流について格段にひとつ御努力とまた御検討をいただきたい。このことを最後にお願いし質問をして、時間がありませんから私の質問を終わることにしますので、よろしくお願いします。
○国務大臣(森喜朗君) 私が訪台することは、通産大臣として来ることを希望されたのか、もしかしたら日本の整備新幹線促進議員連盟の会長をしておるものですから、ひょっとしたらそのことで期待をされておるのかもしれませんが、私自身もこの問題はやはり井上委員同様大変大きな関心を持っております。通産省といたしましても、日台経済関係の緊密化、重要性にかんがみまして、台湾との経済面での人的交流については近年は前向きに対応いたしております。 例えば、昨年九月には第四回APEC閣僚会議の場を利用いたしまして、当時の通産大臣ですから渡部大臣と台湾経済部長とのバイ会談を実施いたしておりますし、昨年三月及び本年の二月には、APEC等に関する打ち合わせのために通産省の経済協力部長を訪台させております。今委員から御指摘があったのは、その件だろうと思います。また、台湾で開催されております各種セミナー、例えば産業政策セミナー等には先方からの求めに応じまして通産省の職員を、大体課長クラスが中心でございますが、講師等として積極的に派遣をいたしております。 さらに、私が大臣に就任いたしましてから、本年二月には、訪日されました台湾商工団体ミッションの団長でございました辜振甫・工商協進会の理事長、日本の経団連会長に当たられる方でございますが、またその顧問で来られました政府の江丙坤・経済部政務次長、現在経済部長に昇格をされているそうでありますが、お二人がお見えになりましたとき、私はもう喜んで通産大臣室においでをいただきまして役所で積極的なお話し合いをさせていただきました。 したがいまして、当省としては、今後とも日中共同声明等における諸原則に留意しつつも、段階的に台湾側との経済面での人的交流の一層の促進に努めてまいりたいと思っております。 けさたまたま七時、委員ごらんになられましたでしょうか、この辜振甫さんが大陸の方のたしか要人と何かいろんな交流の提携の署名をしておられました。ああいうのを見ておりましても、日本だけが取り残されるようなことになってはいかぬなというような感じを私はいたします。現に、昨年はメレマン・ドイツ経済担当相あるいはアメリカのヒルズ通商代表自身も台湾を訪れておられるわけでございますから、また日本だけが何かよその方を見ているうちにということにならないようなことをやはりしっかりやっていくことが大事だと思っております。 それからガットに対しましても、これだけ国際貿易の中で大きな役割を占めております台湾が自由貿易のルールの中に入っていただくということは、やっぱりこれは大事なことだというふうに私ども考えておりまして、そういう意味で今ガットの作業部会におきまして台湾の加盟につきまして議論をしておるところでございまして、我が省としても積極的にこれに参加をいたしておるところでございます。
○井上計君 ありがとうございます。 大臣から大変前向きといいますか、心強いお話をいただきました。今お話の中にありました、辜振甫さんもそれから今度経済部長に昇格した江さんも、大臣にお目にかかれて大変喜んでおります。 ただしかし、森通産大臣や船田経企庁長官も日華議員連盟のメンバーでいらっしゃるわけですか ら、正式に日本から両大臣のどなたかお一人でも来ていただければ、先ほど申し上げた国家建設六カ年計画の日本円にして四十一兆円幾らと思いますが、その大きなプロジェクトの中にぜひ日本の企業に入ってもらいたい、入ってもらうためにはやはり大臣に来てもらって風穴をあげてもらいたい、こういう要望が特に最近強うございますので、さらにひとつ御一考いただきますように再度要望して、質問を終わります。 ありがとうございました。
○市川正一君 森通産大臣はさきの所信表明演説で「総合製品安全対策についても、消費者の視点を重視した施策を講じてまいります。」と述べられ、また船田経企庁長官も、ここにございますが、「製造物責任制度を中心とした総合的な消費者被害の防止や救済のあり方につきましては、」「精力的に検討を進めてまいります。」、こうおっしゃいました。そこで私、国民生活にかかわる当面の重要課題の一つであるPL法の導入問題で両大臣にお伺いいたします。 私がここで問題にするPL法ないしPL制度というのは、製造販売された製品の欠陥によってその製品の購入者や使用者及びその他の第三者が生命、身体、財産に対する損害をこうむった場合、製造業者などの過失の有無にかかわらず損害賠償責任を負わせる、つまり無過失賠償責任を主な内容としたもののことであります。 最初に経企庁長官に伺いますが、国民生活審議会消費者保護部会は、さかのぼると一九七五年、七六年、八一年にもPL法に言及した報告を行っております。そして、第十三次国民生活審議会の消費者政策部会は、一昨年、九一年十月に中間報告を、さらに昨年十月には最終報告を提出しております。最初の報告から数えますと既に十八年も経過しております。 なぜこのPL法の導入がこんなにおくれているのか、何が原因なのか、一体だれの責任なのか、消費者行政を預かる経企庁はどのように責任を感じていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○政府委員(加藤雅君) お答えいたします。 御指摘のとおり、国民生活審議会は、一九七〇年以降、製造物責任を含む消費者被害救済のあり方についての提言ということで、必ずしも立法だけではございませんで、危害情報収集制度の整備あるいは地方における消費生活センターの設置、医薬品副作用被害救済制度などの消費者被害救済制度の整備、企業における消費者相談窓口の整備などの提言を行ったところでございまして、これらの制度等についてはそれぞれ充実が図られてきたところでございます。 製造物責任制度につきましては、企画庁といたしまして、諸外国の動向についても十分把握しながら、企業の意識、製造物責任の履行確保の方策、判例の分析等にかかわる各種調査等を実施してきたところでございまして、それらの検討を踏まえ第十三次国民生活審議会において調査審議をお願いし、昨年十一月には総理に答申をなされたところでございます。
○市川正一君 経過はええのや。どこに責任があるのかと聞いている、原因は何やと。
○政府委員(加藤雅君) 第十三次国民生活審議会におきまして最終報告で法を導入すべきだという結論が出なかった事情につきましては、一昨年十月に中間報告を一度出しまして、その後中間報告と比べて製造物責任の法的な論点、同制度導入の経済社会に対する影響、欧米諸国を中心とした国際的な動向、賠償履行確保措置のあり方等について詳細に検討いたしましたが、民事責任ルールの変更につきましてはその必要性、経済社会に対する影響等に委員の中で疑問や懸念があり、なお委員の合意が十分に形成されていなかったわけでございます。 したがいまして、この製品にかかわる総合的な被害者救済策については、製品ごとにその特性、苦情の実態等を踏まえなお検討することが必要であるという結論を出した次第でございます。
○市川正一君 今の答弁の中に、委員の中にいろいろ異論もあったというふうに申されたんですが、端的に言えば、PL法の中心課題である責任要件を過失から結果に転換する問題について産業界から執拗な反対があったと、そういうことじゃないんですか。
○政府委員(加藤雅君) 民事責任ルールの変更についてその必要性、経済社会に対する影響等に疑問や懸念があり、なお合意が十分形成されておらず、産業界等では製品に係る総合的な消費者被害防止救済策について製品ごとに十分検討すべきだという声が強かった次第でございます。
○市川正一君 要するに反対したんですよ。 わしの質問を聞いて、わしの顔を見て答えてください、いいですか。 国民生活審議会の消費者政策部会長である森嶌昭夫、名古屋大学の教授です、この部会長が日経ビジネスでこう言っております。今回の結論、PL法導入の先送りは産業界の反対に押し切られた結果やと、こう言っているんです。 そこで通産省に伺いたいんですが、通産省は産構審の中に総合製品安全部会や紛争解決ルール専門委員会を設けて検討していると聞いておりますが、PL法の導入問題はどのように論議されているのか、簡潔に伺いたい。
○政府委員(細川恒君) お答え申し上げます。 私どものポジションでございますが、製品事故から消費者を守るということはもとより重要な問題でございます。したがいまして、製品事故に関しましては、消費者の実質的な利益を図るために、まず第一に製品事故が起こっちゃならないという意味での未然の防止、それから一たん起こった場合に再び起こさないようにする再発の防止、さらには不幸にして起こった被害というものを迅速かつ確実に救済する、こういった幅広い総合的な対策を講じなければならないと思っております。これが私どもの基本的なポジションでございます。 それに基づきまして、今御質問の点でございますが、昨年の一月に産業構造審議会の中に新たに総合製品安全部会を設けまして、製品事故と被害救済の実態、製品特性、業種、業態、現行関連諸制度、さらには海外の動向などなどを踏まえまして、今申し上げました総合製品安全対策について幅広く検討をいただいておるところでございます。 また加えまして、紛争解決ルール専門委員会の話がございましたが、これは専門的な検討が必要でございますので、法曹関係者によって検討を行っております。つまり、消費者団体とかじゃなくて、学識経験者といいますか弁護士及び法学部の専門の先生による専門の検討を行っておるわけでございます。
○市川正一君 私そんなこと聞いてへん。私が聞いているのは、どういう審議をやっているのかということで聞いているんであって、今の細川答弁によると結局こういうことですよ。 通産省の資料、ここにありますけれども、我が国の国情に合った総合的な製品安全対策ということ。今やPL法の導入は世界の常識になっているんですよ、もう大勢になっているんです。そのものを検討するのやなしに、今答弁があったじゃないですか、現行法で対応できるのではないか、どう手直しすればいいのか。ありていに言えば、PL法を制定しない、そういう枠内での対策の検討というのが実態じゃないですか。 そこで、私聞きたいんですが、九一年六月の日本産業協会の製品安全対策研究会報告書が両論併記の形はとっておりますが、結局PL法の導入に消極的態度を明らかにいたしております。御承知のとおりです。昨年七月の関西経済連合会の提言、また九月の中部経済連合会の見解、十二月の経団連の考え方、結局のところPL法の導入に消極的ないし反対の意思表示をしております。 そこで、通産省の姿勢、あなたの表現を借りればポジションでもよろしい、こういう経済界の見解と合致するんですか合致しないんですか、どうですか。
○政府委員(細川恒君) 産業界にもあるいは消費者団体にも、その他関係者におきましてPLをめぐります議論にはいろいろな意見がございます。 それは御承知のとおりでございます。今PLにつきまして、何かPLを導入しないということを前提にしながら検討しているやの印象を受けたわけでございますが、先ほど総合的安全対策と申し上げましたが、私どもその一環としてPL問題についても検討を行っておるわけでございます。 続きまして、産業界の主張のお話がございましたのでその点に移りたいと思いますが、産業界からの主張の中には、例えば次のようなものがございます。第一には、我が国には既に厳しい安全規制、充実した被害救済制度があり、既存の諸制度をできるだけ活用すべきじゃないか。あるいは第二には、現在の裁判におきます過失の判断は高度な注意義務を既に要求いたしておりまして、欠陥の判定と区別できないレベルに既に達しておるというふうな意見もございます。さらに、中小企業を初めとします経済的、社会的影響につきましても十分な検討が必要だと。加えまして、先ほど来話の出ておりますように欧米の経験や実情からも学ぶことが重要だと、こういったことが産業界の主張でございまして、こういったことの論点につきましても、他の主張とあわせまして解明するために、先ほど申し上げました場において検討いたしておるわけでございます。
○市川正一君 細川答弁はまさしく産業界の代弁を今やっておるんですよ。 さきに紹介した国民生活審議会の森嶌部会長、彼はこう言っております。PL法導入の結論先送りを決めたのは九二年の九月、「通産省からは「産業構造審議会でもPL法について検討中なので結論を急がないでほしい」という声が内々聞こえてきました。」。結局通産省からそういう内々の声、圧力がかかってきたことを彼は明らかにしています。 私は大臣にお伺いしたい。大臣が所信表明演説の中で言われた「消費者の視点を重視した」というそういうやり方にこれは通ずるんですか。どうでしょうか。
○国務大臣(森喜朗君) 製造物責任制度につきましては、今委員からも御指摘ございましたように、消費者保護の充実に資するものである、こういう認識を持っております。 しかし、他方また、我々は産業政策というものも所管をいたしておるわけでございますから、そうした影響する範囲というものも十分考えておかなければなりません。そのことは、これやめなさいとか、やらない方がいいということを言っているんじゃないんです。そういう極端な判断を私どもは申し上げているわけじゃございませんで、十分そのことの範囲も考えておかなければならぬということで、我が国の充実を踏まえた十分な検討が必要であろう、こういうふうに申し上げておるわけでございます。 先ほど細川政府委員から答弁をいたしましたように、現在そういうことも踏まえて産構審で精力的に議論をいただいておるわけでございます。いろいろと幅広く検討をしていただいておるわけでございますから、私どもといたしましては、二十一世紀を展望した総合製品安全対策について精力的な検討を行っているというその皆様方のまじめな真摯な意見を踏まえて、この問題についてその対応をしていかなければならぬだろう、このように考えておるところでございます。
○市川正一君 事は急を要すると思うんです。先ほどの細川答弁などとも関連しますが、通産省は消費生活用製品安全法やSGマーク制度があるじゃないかということをよく言います。さっきもちょっとそこへ、僕は質問してないのに入りかけたんですがね。 さっき話が出てきたから僕の方も言わしてもらいますけれども、法律に基づくSマーク制度というのは対象品目が限られてますのや。SGマークの制度も、関係業界の団体である製品安全協会が行うものであって、結局業界の利益を守る組織ではあっても消費者サイドから被害の救済措置をとるものじゃないんです。例えば、製品安全協会と被害者との間で取り交わす示談書を見ましても、協会は加害者である欠陥商品の製造会社と一体になって被害者と対立する立場に立っていることからしても、SGマーク制度というのはその内容がわかるんです。 そういうことではもう事は済まぬようになってきているということを両大臣に改めて御認識をいただきたいんです。だから私、大きい声を出してますんです。 そこで続けて伺いますが、国民生活審議会の審議の中で産業界がPL法の導入に反対した理由の一つに、メーカーは消費者に相対交渉で被害救済をしており、立法化は時期尚早であるということがあります。今そのことでSGマークのことなどに触れました。細川さんもそれに近いようなことをにおわされました。 そこで森嶌部会長は、じゃ具体的な内容を公表してくれということを要請したところ、それはできないが日本の消費者は満足していると認識していると、こう言ってらちが明きませんのですわ。さすがに温厚な森嶌部会長もたまりかねて、企業努力で十分被害者救済をしていると言われてもその内容をきちっとディスクローズ、公開してもらわぬと説得力がない、十分安全性に配慮しており被害者救済も手厚ければ、PL法が導入されても慌てる必要はないはずやないか、日本の産業界というのは口では格好いいこと言うけれどもいざとなると見苦しい姿になってしまう、こうまで言い切っておられるんです。もう本当に我慢に我慢の緒が切れたという感じです。 私は、今森通産大臣におっしゃっていただきましたけれども、消費者の視点重視という立場から見ると、事はもうほっておけぬと思うのですが、重ねていかがでございましょうか。
○国務大臣(森喜朗君) 市川委員は大変御関心を持ってこのことについて御熱心にお考えになっておられますので、ついつい関西弁も強くなってえらいきついお話になります。 そのことは私自身もよくわかりますが、この産構審というのは、これはもう先生も御承知のように、専門的な立場の委員の皆さんがそのことで今一生懸命検討しておられるわけですからやはりこの検討を待ってあげるということが、審議をお願いした私どもの立場からはできるだけそれは早い方がいいに決まっておりますけれども、私どもとしてはこの審議会の結論をお待ちする、それまでの間に私どもとしてはとやかく立場上申し上げるというようなことはいかがなものかなと、こう思っておるところでございます。 同時に、冒頭に委員から御指摘のように、この製造物責任制度というのは消費者保護の充実に資するものですよというこの考え方は、全然スタンスは変わっておりませんのでどうぞいましばらくお待ちいただければと、こう思う次第であります。
○市川正一君 そうしますと、船田経企庁長官にもお伺いいたしたいのでありますが、ことしじゅうに出されるであろう国民生活審議会の答申で第十三次国民生活審議会の最終答申が求めた産業界の合意形成が整ってPL法導入の結論が出るというふうに考えていらっしゃるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(船田元君) 先ほど来、るるこれまでのPL制度に関するいろんな御議論を展開していただきましたけれども、私自身もその動向について常日ごろから大変注意をして見てまいっております。 かなり煮詰まってきたかなという感じは私としてはしておるのでございますが、ただこの製品特性の問題、いわゆる工業製品ということもあるでしょうし、それから農産物のことも考えなければいけない、あるいは医薬品等の厚生省管轄の製品特性のこともあるわけです。そういうことでその製品の特性が非常に幅広いものをどうやって包括的に扱っていくのかという問題点がある。 あるいは、特に諸外国の動向ということの話もございました。確かにアメリカにおけるいわゆる訴訟社会の特性といいましょうかそういったことで、このPL制度あるいはPL法をめぐっての法廷でのいろんな問題点、そういったことも確かに指摘をされている。また一方で、ECの諸国にお いては、かつてのEC指令に従って各国でいろいろなPL制度の制定を見ておりますけれども、それもいろいろと参考になるものがいっぱいある、こういうことでございます。 そういう状況を考えてみますと、なおまた詳細において検討する点が多々あるのではないかというふうに私も理解をしております。しかしながら、ことしじゅうには何とかその取りまとめをいただきたいということで、第十四次の国生審において今真剣に検討をやっていただいている。私は、その結果が得られ次第適切な措置をとっていきたいと思いますし、またその審議が促進されることを切に願っているという状況でございます。
○市川正一君 よくわかりました。かなり煮詰まってきたという認識、ことしじゅうに出てくれば適切な措置をしたいという基本的お立場、非常によくわかりました。 そこで、今の御答弁は、たとえ産構審がどんな意見を出してきても、国民生活審議会としては消費者の視点を重視する立場から適切に独自に判断なさるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(船田元君) 先ほど私が、適切な対応をしていきたいというその適切の言葉の中には、その産構審を初めとして、もちろん通産だけではありませんで農林水産省あるいは厚生省におけるそれぞれの検討ということも現在並行して行っております、そういったものとの整合性をとりながら対応を決めていきたい、こういうことで適切という中には関係省庁との十分なすり合わせということが入っておると理解してください。
○市川正一君 毅然として最初におっしゃった立場を貫いていただきたいということを強く要請いたします。 私、先ほどから事は急を要するというふうに言っておりますけれども、御存じだと思いますけれどもそのことを私は具体的に申したいんです。 PL法があるかないかということで消費者被害の救済に決定的な違いが出てまいります。典型的な例の一つとして、昭和電工がつくった機能性食品であるLトリプトファンによる健康被害が出てまいりました。被害者救済への対応は、PL制度のあるアメリカと制度のない我が国とでまさに天と地の違いなんですね。 Lトリプトファンによる健康被害は、八九年十月以降アメリカでは社会問題になって、PL法を背景に相次いで訴訟が起こりました。長官はさっき訴訟社会とおっしゃいましたが、単純にそういうことじゃなしに、事件が起こったんです。昭和電工は、健康被害の原因究明が進むに従って、訴訟で争っては不利と見て積極的に和解に応じているんです。そのため和解金だけでも数十億円、弁護士費用や製品の回収費用、調査費用、昨年末には五百億円を超える特別損失を計上したとも言われております。 ところが日本ではどうですか。被害者が昭和電工に交渉しようとしても、相手にされぬのです。むしろ言いがかりではないかと言わぬばっかりの対応で、いまだにほったらかしです。救済されておりません。同じ被害をこうむりながら、アメリカでは救済され、日本では救われてない。 なぜか。それは、アメリカにはPL法があって、被害者はLトリプトファンを普通に食べたら健康被害を生じたことを証明すればよく、昭和電工が自社の責任でないことを証明しない限り損害賠償に応じなければならぬのです。 ですから、日本の国民が置かれている条件というのはこういう点でまさに事は急を要す。責任要件の過失から欠陥への転換、欠陥と因果関係の存在の推定、無過失賠償責任、開発危険の抗弁を認めないこと、情報の開示などを定めたそういう製造物責任法の早期制定がどうしても必要なんだということを私は事実に基づいて力説いたしたいんです。 ちょうど時間になりましたので、最後に重ねて経企庁長官の決意を承って、本日の質問を結びたいと思います。
○国務大臣(船田元君) 市川先生の最初のLトリプトファンの御指摘でございますが、聞くところによりますと、アメリカではかなり広範にこのLトリプトファンの販売が行われ、その中での問題点が指摘をされた、ところが日本の場合にはまだサンプルの販売といいましょうか、配付ということでございまして、アメリカのときの状況のように幅広く展開されたというのとはやや違う、そういう状況があるということをまず御指摘だけしておきたいと思います。 この姿勢をどうかということでございますが、先ほどもお話し申し上げましたように、もちろん関係する省庁でかなり真剣に内部で議論していただいているというふうには承知をしておりまして、その動向ということも注目をしていかなければなりません。ただ私としては、最初に申し上げましたように、諸外国の動向なりあるいは消費者被害の防止あるいはその救済の制度をより国民の側に立ってといいますか、あるいは消費者の側に立った立場で進めていくということは極めて大事なことでございますので、その立場というものを十分に認識しつつ、この問題については関係省庁と十分連絡をとりながら全力を尽くして対応していきたい、このように思っております。
○市川正一君 終わります。
○古川太三郎君 けさ方から貿易黒字、円高、こういった問題が議論されております。一番今日本が考えていかなきゃならないのは、円高をどう切り抜けるかという問題ではなくて、むしろ黒字をどう減らすべきかということだろう、私はそう思うんです。そのことを真剣に今考えなきゃならないときだと思うんですね。 もともと、日本の黒字体質というのは、もう二十年か三十年前にそういう経済構想ができ上がっていたと私は見ているんです。あの中東戦争で石油がぼっと上がった。石油が上がったために輸入が相当ふえた。だから均衡して黒字の目立ちが少なかった。そのときに本当は気づくべきなのを、いまだにそれを気づかずに黒字体質でそのまま来た。 こういうところに来てしまってからアメリカから非常に文句を言われる。もう繊維だけの問題ではなく、鉄だけの問題でもない、自動車だけの問題でもない、半導体だけの問題でもない。いろいろ一つ一つ文句を言われてくる。そして、それがやはり均衡するような貿易でなければならないというようにも迫られてきているわけなんですね。宮澤さんではないですけれども、そういうことをすれば自由貿易に違反するものだ、むしろ管理貿易につながるものだというような文句を言っても、世界はそれをもう許さないところに来たんではないでしょうか。 そういう中で、じゃ黒字を減らすためにはどうしたらいいのか。これは輸出を減らすか、内需をふやすか、これしかないわけなんですね。日本で日本人が消費に使う以上のものを生産した。こういった生産の大きな設備投資が既にされているわけなんです。そういう中でも、後で時間があったら話をしたいと思いますけれども、公共投資なんかにはいまだに設備投資を考えている。さらにまた、先ほど通商政策局長の話を聞いておりますと、アメリカと半導体について約束した、こういったことは非常に過ちであったから二度と起こしたくないというようなことも言われておりますけれども、このまま続けばまだまだそういった問題は出てくるだろう、こう思っているんです。 日本の経済構造を、輸出構造をどう変えていくか、このことについて大臣の御所見をお聞きしたい、こう思います。
○国務大臣(森喜朗君) 先ほどから委員の皆様の御質問を通じまして申し上げておりますが、基本的にはやはり内需を拡大して、そして輸入の促進を図っていくということが基本的なことだと考えております。 〔委員長退席、理事松尾官平君着席〕 それぞれの国に個別的にあるいは数量的に黒字の幅をどう減らしていくのかということは、結果的にそれは管理的な貿易になっていくおそれもある。あるいはまた、そうした政府が額を示すある いは数字を示すということは、結果的にそれを果たし得なかったときにはどうしてくれるのかということになる。そして、そのことが報復的な問題に流れていくというようなこともございますので、基本的にはやはり内需を拡大して外国の製品が日本に入りやすい環境を整えるということが基本的な政策でなきゃいけないというふうに私どもは考えております。 さはさりながら、技術的な問題あるいは産業の面、それぞれ時代とともに、アメリカが大変強いときもございます。恐らく委員もそうですが、私どもも同じような世代で我々が子供のころに、戦争に負けたときに、学校の先生にアメリカには四人に一台車があるのですよと教えられた。福井県や石川県なんて十人に一台リヤカーがあったかどうかという時代だったですから。 ですから、そういう時代から考えてみると、私は文部大臣をいたしておりましたときにアメリカへ行ってアメリカの高等学校で講演をしたことがあるんです。そのときに、アメリカの高校生に、君らは日本というのをどう見ているのかと言ったら、ジャパン・イズ・ソニー、ジャパン・イズ・パナソニックと言うんです。車やテレビや電気製品というものが日本の象徴だと思っている。我々はちょうどあのころ、クライスラー、フォード、車といえばアメリカだというふうに思っていた。ドイツといえばライカのカメラだと思っていた。今は逆にいえばミノルタが、結果的に日本のカメラというものが世界の代表的なものになるというふうに、これはさまざまな努力によって時代の変化というものがこうした貿易の上にもあらわれていくんだろう、こう思っております。 さはさりながら、今日の日本がこういう形で数字であらわれているとするならば、やはりアメリカに、諸外国に対していろんな意味で輸入が拡大できやすいようにいろんな措置をしてお手伝いをしてあげることも私は二国間の友好な環境を保つためには大事だと思います。 たしかこの委員会で申し上げたような気がするんですが、ジェトロというのがある。このジェトロは、どちらかというと昔は日本の輸出や資本を投資するためにいろんなところをサポートしてアプローチするための機関だったわけです。今はジェトロは、逆に外国に行って、日本にこういうものがありますよ、どうぞここへ投資しませんかとか、こういうところに売りませんかというようなことに変わっていくというふうに、また先ほど貿易局長も言っておりましたが輸入が促進されやすい税制をつくり上げるとか、そういうような環境を整えていくことも政府の大事な姿勢でなければならない、私はこんなふうに考えているところでございます。
○古川太三郎君 確かに、輸入をふやすということ、今ではそれしかとるべき道はないだろう。生産を少なくするというようなことはなかなか難しいだろう。これは非常に不景気になりますから余計にまた輸入が少なくなってしまう、こういう構造になっているだろうと思うんです。 しかし、輸入をふやすといっても企業体が輸入をふやすだけでは、またそれは生産財になるか、何かまた付加価値をつけて外国へ持っていかなきゃ消費できないんですから、やはり日本人があるいは日本で消費しなきゃならぬ、こういう構造をつくらなきゃならぬ。言えば、今までは確かにお金持ちになる、豊かになる、このための構造であったかもしれませんけれども、本当に今実際豊かになるための経済といいますか、人間一人一人が本当に豊かにならなきゃ消費なんてふえないんですよ。そういう構造に経済というものを変えていかなきゃならない、また税制も変えていかなきゃならぬだろう、こう思うんです。 〔理事松尾官平君退席、委員長着席〕 企画庁の長官にお尋ねしますけれども、今日本は大変不景気だ、こう言われております。今度も新しい予算を組まれるというようなことも聞いておりますけれども、もう三十年も四十年も同じく公共事業のお金ばかりふやしている。確かに二、三十年前の日本であれば、公共事業をふやせばそれは三倍にもあるいは三倍半にも乗数効果があったかもしれない。今公共事業をふやしても、鉄やセメント、そういったものの設備をもっとふやさなきゃならぬという必然性はないんですね。余っている設備を若干稼働するぐらいなものでしょう。そういったときに乗数効果なんというのは一つもないんです。一兆円投資すれば二、三千億ぐらいがふえるぐらいなものでしょう。しかも、それは国民の税金をそこに持っていって使ってしまう。これは非常にむだなことをしているわけですね。 本来ならばそういったものでなく、一人一人が豊かになれるような形のものをつくりながら景気が浮揚できる、そういうことをやっぱり考えないと、二、三十年前と同じようなことを考えて同じようなことをしていたらまたまた日本の生産力はふえて、また黒字がふえるじゃないですか。だから、そういうことの繰り返しはもうやらない方がいいんじゃないかと思うので、どういうような経済構造に変化していけば日本の黒字も減り、国民も豊かになり、景気も浮揚する、そういうようなうまい方法をお考えなのかどうかお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(船田元君) 大変難しい御質問でございますが、本当に今おっしゃったような方策があればぜひ教えていただきたいわけでありますけれども、一つは公共投資関係で、従来の形というのはどうも乗数効果の面から見ても、あるいは国民生活をよくしていくという面から見てもいかがなものかというお話がございました。それについては、もちろん若干そうかなと思う部分もないわけではないんですけれども、ただこれまで公共投資をずっと国の政策としてあるいは追加的な政策の中でも対応してきた、そういう中では乗数効果というのはそう簡単に減っていくというものでもないとは思っております。 私どもとしては、この公共投資の乗数効果、世界経済モデルでは一・三九というふうにお示しをしておるわけであります。これは過去においてはもう少し高い数字のときもあったわけでありますが、産業構造なりあるいは国民生活の構造の変化ということに伴って若干ずつその乗数効果というものを下げてきているという状況でありますが、それが影響がほとんどないとか、そういう状況にまで極端に下がるとはちょっと考えにくいことでございます。ある程度の効果というものは依然として持っているというふうに理解するのが妥当ではないかと思います。 ただ、そうはいいましても公共事業の中で、例えばこれは通産大臣も大変お力を尽くされたわけでありますけれどもいわゆる新社会資本、政府の言葉としては「社会資本整備の新たな展開」、こういうことで追加対策の中に盛り込ませていただいたわけでありますが、箱物といいますか建設をして建物をつくる、あるいは施設をつくるということにやや重点を置く、あるいは生活関連の公共投資という方向に重点をかなり移しかえる、こういうこともやらせていただきたい。こういうことでこの追加の対策の中でも十分配慮したいな、このように思っているわけでございます。 そういう人々の生活により密着をした公共事業あるいは公共投資という部分も当然考えてしかるべきでありますし、またその中で、どうやったらより多くの景気浮揚、あるいは国民生活をより豊かにするためにどういう方法があるかということについてもさらに検討を続けていく必要があろうと思っています。 そういうことで、十分なお答えにならなかったかもしれませんけれども、少なくとも公共投資という部分において私どもとしてはかなり配慮させていただいて、今後のより豊かな生活大国の実現のために資するようにという観点も十分に配慮していることを御理解願いたいと思います。
○古川太三郎君 まあ長官のお話で仕方ないだろうとは思いますけれども、とにかく日本の企業は、バブルのときにファイナンスで、ただ同然のお金で人がやるから我も我もということで設備投資をたくさんしたことは事実ですね。去年もそうです が、ことしも設備投資をしようという企業なんてほとんどないんです。余っているんですね、生産する機械が。そして、そこで公共投資をおやりになれば、休業しているものが少々稼働するだろうというぐらいのもので、失業はなくなるかもわからないけれども、お金がたくさんもうかってもっとじゃんじゃん使おうというような雰囲気でもない。したがって今までのような乗数効果は期待できない、これはもう事実だと思うんです。 この日本のように黒字がたくさんできたときにサウジなんというのは、石油が上がって同じように相当黒字がたまったとき物すごく資本の還元をした。自分のところには外国からの労働者もたくさん入れて、そしてまたその人たちの母国への送金なんかもたくさんした、こういうような形で減らしていった。やっぱりこういうようなことを考えないと外国から袋だたきに遭うだろうと、私はその危機を感じているんです。 そこで、これはそんなに大きな金額にならないだろうとは思いますけれども、企業に対して国が援助するならば、少なくとも個人に対しても少しぐらいは考えてもいいだろうという意味で一つの例をとりたいと思うんです。 外国旅行へ行きまして個人がお土産を買ってきます。いろいろ買いますけれども、二十万円以上になればそれは一〇%の関税を取られますね。まあ今確かに二十万円といえば日本では少ない。外国ではこれほど大きな無税の範囲をつくっているところはないだろうと。これもよくわかるんですけれども、しかし日本だけが大きな黒字を持っているんですから、外国と比較するんじゃなくて、独自に考えてこれを五十万円ぐらいまではもう無税でいいじゃないかと。もう税金を払うためにわざわざ並ぶ必要はない、素通りで行きなさいと。しかも、一生に一回外国に行こうとおじいさんおばあさんが行った場合、もう今は大体百万円ぐらいみんな持っていきますよ。しかも、それで帰りしなに二十万円にならないようにと、わからないのに計算しているのは本当にかわいそうですよね。五十万ぐらいは私は無税にしてもいいんじゃないかな、こう思うんですけれども、いかがですか。
○説明員(角崎利夫君) 先生今御指摘の免税枠でございますが、確かに現在二十万円ということでございます。これを拡大するということにつきましては、今先生からも幾つが御指摘がございましたけれども、やはり一つは税負担の公平という問題があろうかと思います。確かに現在一千万人以上の方々が海外に旅行に行くような状況ではございますが、旅行に行けないような方々と行く者との間に余り大きな税負担の不公平が生じるのもどうかなというのが一点でございます。 もう一点でございますが、諸外国との比較で申しますと、例えばアメリカは免税枠が約五万円、EC諸国は約六千円ということで、日本が大変大きくなっているということは……
○古川太三郎君 よその国は聞いていません。もうさっき言ったでしょう。
○説明員(角崎利夫君) もう一つ指摘させていただきたいのはある新聞の調査でございますが、海外旅行者のお土産品に支出します額でございますが、平均しますと十二万円程度ということで、年々減少傾向にあるということで、免税枠の二十万円はまだ下回っているというような調査もございます。したがいまして、免税枠の拡大がどれぐらい輸入促進につながるのかということがあろうかと思います。
○古川太三郎君 その統計は私は随分実際を見てない統計じゃないかな、こう思うんです。なぜならば、一緒に外国から帰る人の中をうろうろしてみればよくわかると思うんですが、これはちょっと出すのは嫌だなとか、そういう会話というのは帰りの飛行機なんかではたくさんあるんですよ。そんな十二万ぐらいのお土産、それは何回も行っている人なら確かにそうかもしれないですけれども、本当にわずかしか行かない人、こういった人は恐らく何十万か買っているはずだと思います。 そしてまた、外国ではそれはないと。外国に例をとっちゃいけないんで、日本だけが今黒字なんですよ。それをどうするかということを考えた場合、外国とは関係なく日本独自で物を考えた方がいいでしょう。だから外国との比較は要らないんです。 そういうことを考えた場合、この二十万円以上は一〇%の税金を取られる。本来ならば、申告して自分はこの簡易税率ではなくて普通の関税をかけてほしいと、こういう人は一〇%の税率よりか低い場合があるんですよね。そういうことを法律を知っているか知らないかによってえらい差が出る。えらいといったってわずかな金額でしょうけれども差がある。そしてまたそれを申告しなきゃならぬ。要するに普通の関税にしてほしいと言った人だけ安くなる。それは周知徹底はされているようだけれども、非常に法律の目から見れば不公平な部分がある。事実、日本は関税をだんだん安くしていって、もう七%以下の関税というのはざらにあるんですよ。これは消費税を入れて一〇%だと思うんですけれども。 例えばお皿を買うとしますね、陶器のお皿。これは三・四の関税しかかからないわけですね。そうすれば消費税入れても六・四なんです。それを一〇%も取るというのはこれはやっぱりおかしいんじゃないか。こういったおかしな部分があるにもかかわらず直さない。しかも、今は輸入をどんどん入れなさいと言っている時期ですから、全部一律五十万円ぐらいまでを五%ぐらいにする、このようなことをやっぱり考える時期ではないかと、私はこう思うんですがいかがですか。
○説明員(角崎利夫君) ただいまの簡易税率制度のことでございますが、確かにその仕組みを知っている者と知らない者との間で適用される税率が少し異なるケースが生じるという御指摘の点はそのとおりだと思うのでございます。ただ、この簡易税率制度というのは、海外旅行者の迅速な通関を行うためにはやはり非常に便利な不可欠な制度であろうというふうに思っております。また、税率でございますが、これは平均的な関税率等の水準を若干下回って設定されておりまして、簡易税率が一般の税率を上回るケースというのは、先ほど陶器という一例を出していただきましたけれども、案外少ないのではないかというふうに思っております。 もう一つは、やはり主要国もこの簡易税率制度において同じように納税者の申し出により一般の税率を適用するという仕組みをとってございます。したがいまして、こういった事情を考えますとやむを得ないのかなというふうに考えております。ただ、税関といたしましても、海外旅行者に配布いたしております通関案内にはその旨記載をいたしまして、そういう制度があるということの周知には努めておるところでございます。
○古川太三郎君 とにかく関税を下げていくんだという努力をされていることはよくわかるんですけれども、一般の国民の人たちを一人ずつの場合、そういう面で非常に見落としている。業者ばかりを皆さん方がよく考え過ぎているんじゃないか。何もお皿だけじゃなくて、ナイフなんかでも同じなんです。ネクタイなんかでもこれは絹の場合は若干高くなるけれども、恐らく絹でない場合にはもっと安いだろう、こう思うんですよね。 とにかく、こういう時代ですから一〇%の関税というのは高いのでまあ五%ぐらいにして、もう少し金額を五十万ぐらいに上げてしまえば、そうすると楽しく海外旅行もできるし、楽しく帰ってこられるんです。人間の自由とか豊かさというのは、どこでいつ買っても、あるいはどこで何をしても同じだということと、選択がいろいろできるということで初めて豊かさを感じられるんですね。日本じゃ高いから外国へ行って、珍しいものがあったから友だちに上げようと思って買ってきたらえらい高かった、これじゃやっぱり不公平なんで、外国で買っても消費税プラスアルファぐらいの五%ぐらいで十分ではないか。また、そうすることによって国民も少しずつでも、これは一つの例ですけれどもこういったところでも考えてほしいなというように思いますが、最後にお答えだ け聞いて終わります。
○説明員(角崎利夫君) 税率を少し考えたらどうかという御指摘でございましたので、この点につきましては先生の貴重な御意見があったものということで承らせていただきます。
○小池百合子君 毎度おなじみでございますけれども、為替レートに関連いたしましての最近のもしくは将来の日本の貿易、そして産業構造についてどういう青写真があるのか、これを伺いたいと思っております。 このところ一ドル百十円台を割り込むような局面がありまして、そのたびに最近輸出メーカーからの悲鳴が聞こえてくるようでございます。よく言われる数字として、為替差損、一円円高になるたびにトヨタですと六十億円の差損、そしてソニーが五十億、日立が二十八億というような数字が出るということでございますけれども、そのたびに現地生産を進めるとか、それから最近は国内的な不況も重なりまして、ボールペンを最後まで使いましょうとか、出張費を削りましょうとか、そういう企業努力はしているわけですけれども、どうもここへきて来るところまで来たんじゃないか。 つまり、そういったこれまでの旧来の発想ではなくて、企業としてももっと新しい、全く違った発想をせざるを得ないような状況に来ているのではないかというふうに思っております。現在の円高、これはよく大臣もおっしゃいますように、為替というのは市場原理に基づいて上がったり下がったりするものでございますから、これからのさまざまな状況に応じてこれは変わってくるものである。ですから、今たまたま円高にあるのであって、嵐の過ぎるのを待っていようということも、これも企業経営陣等の考え方なのかもしれない。だけど、そうではないところまでも来ているのではないかというふうに私など考えるわけなんです。 そこで、きょうの円相場が幾らだ、あしたはどうなるかということだけでなくて、やはり日本の産業、守るべき産業があるとするならば、最悪のシナリオということをいつも念頭に置いておくべきではないかな。一ドル百円になったときにどうするのか、それから逆の立場になったときにはどうするのか。そこでできることとできないこと、これをはっきり分けて、そしてあらゆるケースに備えておくというのが当然の一種の危機管理と申しますか、もしくは産業構造の大きなこれからの青写真と申しましょうか、こういったことなしにはいけないのではないかと思うわけでございまして、この青写真、本質的な産業構造の変化について大臣から御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 午前中から各党の皆様方から大変御熱心な、またこの円高傾向について懸念を皆様それぞれ踏まえての御質問をいただいております。基本的には最悪のシナリオを考えておくようにということもあわせておっしゃったわけですが、私どもの立場からそのようなことを今申し上げるわけにはいかないわけでございますし、基本的にやはり企業が外的条件等によってどういうふうな対応をしていくかということは、これは企業自身が判断することであります。 しかし政府としましては、特に通産省としては、やはり産業政策あるいは通商問題の所管官庁でございますから、そうした問題をできるだけ回避させる努力もしなきゃなりませんし、それから今小池委員がおっしゃるように、ある程度産業がみずからいろんな形で脱皮をしていくということであるならば、その環境を一生懸命通産省としては整えてあげるということが、やはり基本的にとるべき態度だと私は思っております。 そんなことで、八〇年代半ばの円高局面以降、御承知のように前川レポートが出ました。それを踏まえましていわゆる輸出志向型の経済構造の転換を進めてきたわけでございますが、我が国の輸出入は、製品輸入比率の上昇や海外直接投資の進展等によりまして、以前の輸出がふえやすく輸入がふえにくいと言われたそういう構造はかなり変化をしてきた、このように私どもは考えておるわけです。また、昨年六月に閣議決定いたしました生活大国五カ年計画、これも国際的に調和のとれた内需主導型経済構造を定着させるところに政策運営の基本的な方向を持ってきているところでもございます。 ただ先ほどから、各委員会からも、新しい社会資本を中心にした追加的な景気対策を私どもまとめ上げましたことも御指摘いただきましたけれども、これも当面は景気に対応するということもございますが、基本的にはやはり生活大国五カ年計画にのっとって足らざるところの新しい社会資本を整備しておく。そのことによって、先ほども船田長官が建物の方に少し公共投資を移動しましたとこうおっしゃっていましたが、それは単に建物を建てるだけではなくて、それに伴う設備、機械というのが必要になる。病院であれば医療機械というものが必要になってくる。そういう面で外国が日本にビジネスチャンスを求めやすくする、そういう場所をつくり上げていく、輸入が拡大をしていくようなそういう政策をとっているということでございます。 今小池委員からいえば、ある程度腹を決めてそしてこのくらいの対応のシナリオをちゃんとしておいた方がいいよということでしょうし、それは大変ありがたい御注意でありますが、私どもが今そのような対応をすれば今の円高を認めてしまうことになるわけでございまして、そんなことは思っても言ってはいけないことだ、私はそのように承知をして基本的には内需拡大政策をとり、貿易のインバランスを解消することに全力を挙げている、こういうことであります。 こういうときに逆にこういう円高になっていくのは、せっかくそういうことをとろうとしておるのにまさに冷や水をかけられるようなことにもなるし、委員もよく国際的に動いておられた方ですからよくおわかりのとおり、例えばこんなことをやればアメリカの輸入品物価が逆に上昇するというようなことで、アメリカだってインフレを招く可能性もあるわけであって、結果的にはアメリカ経済にとっても決していいことばかりではないんだということも、次第次第にアメリカの国民の中にもわかりつつあるというのも最近我々に伝わっているところでもございます。なお一層十分に注視をしてまいりたい、こう考えております。
○小池百合子君 まさにこの貿易のインバランスということが大変大きな問題となっているわけで、今も大臣がおっしゃいましたように輸入がしやすくなるような政策をとっていく必要がある。内需拡大、輸入の拡大ということをおっしゃったと思うのでございますけれども、先月の二十六日でしたでしょうか、行われましたこの商工委員会の中で私は、輸入を拡大するためにも、また数字をとにかく重視する特に対米でございますけれども、その中から規制の緩和といいますか、許認可権の件数を通産省の方から真っ先に減らしたらどうかということも指摘させていただいたわけなんです。 合計すると一万九百件というふうに言われている許認可の数、そして二番目に通産省が多いと言われている、千九百件でしたでしょうか、件数だけでございますけれどもそこを一気に一割削減なさる。言えばできるじゃないかということも思ったりするのでございますが、数だけではなくてやはり今度は質の問題も問われてくると思います。 今回一割削減ということを表明なさったようでございますけれども、その中身というのを教えていただきたいと思います。
○政府委員(江崎格君) 通産省関係の許認可の数でございますけれども、平成四年の三月末の時点で千九百十五件でございます。これを対象にしまして、今回当面の作業目標として一割程度削減したいということで作業をしたいと思っております。この考え方ですけれども、今申し上げた千九百十五件全部を対象にしまして、必要性について見直しをしようと思っております。 見直しの考え方としましては、従来からそうなんですけれども、そうした規制を導入したときからその後の社会経済情勢がどのように変化してい るのかとか、あるいは技術の進歩状況がどうなっているのかというようなことを勘案しまして、こうした観点から必要性を見直しまして削減を考えていく、このように考えております。
○小池百合子君 その削減で許認可を取っ払うと逆に新たな許認可が出てくるというケースなどもございますので、そのあたり消費者の立場ということ、そして輸入の拡大がしやすいといったような点を踏まえてぜひそれを実行していただきたいというふうに思っておりますし、また通産省が模範を示すことによってほかの省庁にまでそれの効果があらわれることを期待いたしております。 それから、日本の一種、トウモロコシを買ってきてそして全く物は違いますけれども付加価値をつけて自動車を売るというようなことをずっと行ってきて、これで黒字がたまるのは当たり前ということでございますけれども、文部大臣を御経験なさいました通産大臣に伺いたいと思うんですが、私の子供のころなどを振り返ってみますと、学校の教科書でも日本はとにかく少資源国なんだ、そしてとにかく働くことだけが日本を保っていくことなんだ、そしてできるだけ付加価値をつけてそれをどんどん外国に輸出することによって初めて日本が生きていけるんだというような、非常に強迫観念的なそういった教育を受けたのを覚えているわけなんですね。 そのときに、教科書にどのような文言で書いてあったのかということは別にいたしましても、学校で実際に教わることはとにかく働けそして輸出しろというようなことが、私個人にもそういう記憶として残っており、それがいつの間にかインプリントされてしまっている。多分そういう日本人がほとんどではなかろうかと思うんです。ですからこそ、ゆとりなども苦にせずに、そして過労死などもいとわずにこれまでやってきたのではないかというふうにも思うわけです。 ですから、こういった産業構造をこれからゆとりあるいわゆる生活大国に変えていくという点では、非常に教育の面というのはこれからの新しい日本人をつくっていく上に本当は一番重要なことではないかなと考えるわけなんですが、大臣いかがお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(森喜朗君) 先ほど古川委員のときに私は大変失礼な答弁を申し上げたんですが、我々の子供の時代のことを比較しながら御答弁をさせていただきました。国の発展していく過程というのはやっぱりあるんだろうと思います。 この間、東西経済・貿易大臣会合をやっておりまして、そしてその中で、旧ソ連だとかポーランドとかカザフだとかウクライナ、これは改革国八カ国と我々言ったんです。一方、G7の我々の方は西側G7、支援国とい立場になるわけです。そういう言葉のやりとりの中で、こういう会場で議論しておりますと我々についつい改革国、改革国と言って八カ国のことを呼称するわけです。ハンガリーの対外経済大臣が、改革国、改革国と言われるのはちょっと耳ざわりで、全部改革国と言うのはいささかちょっと困りますよというような発言がありまして、なるほどなと思いました。 つまり、それは例示として非常によくないんですけれども、私はきのう一日かかりまして各大臣と個別にずっと朝から夜まで全部お会いしました。お話を聞いておりますと、これは名前は言いませんが、旧ソビエト連邦の中におられたそれぞれの国と、過去の長い西洋の歴史を持ってある時期政治的にソビエト連邦にくみしていたような国、これはハンガリーとかポーランドとかチェコとかスロバキアでしょうね、そういう国とはやっぱり本質的に違うんですね。同じソビエト連邦におられた例えば白ロシア、今はベラルーシ、またこれとカザフやウクライナは違うんです。 これは、今委員もおっしゃったように、国の成長過程においてそれぞれ教育観念というものも、哲学というものもやはり変わっていくことだと思います。しかし、基本的にはやはり人間は働くことがとうといというこの考え方は、私は捨てちゃいけないと思う。それからもう一つは、日本にはどんなことを言ったって資源がないんですから、金もウランもガソリンも鉄鉱石も何もないんですから、あるのは人間だけということ、これは事実でしょう。だから、その人間がまじめに働いてそして勉強して価値観をつくり上げるということは、これはどんな時代においても子供に通ずる理念でなきゃならぬ、哲学でなきゃならぬ。 問題は、時代の変遷と日本の国際社会における立場によって、自分たちの国のために働くという時代もあるでしょうけれども今のように世界のために働いていく、そして改革をしていかなきゃならぬ国に対して失礼のないように支援をしていくという、世界のために働いていくという考え方も出てくるだろうと私は思うんです。 今度のこの経済構造の問題を見ても、私は余り詳しくないので、局長の皆さんというのはよく勉強しておられますし、長い間この道を歩いておられますからいつも教えてもらっておるんですが、例えば航空機産業なんかを見ますと、もう完全にこういう冷戦構造から新しい時代へ入りますと防衛産業の飛行機なんというのは要らなくなってくるんですね。だんだん削減をされていく。そうすると、それじゃその力をどこへ持っていくかといえば、やはり宇宙工学であるとか、あるいはもっと民間の航空に転じていかなきゃならない。そうなるともうアメリカだけで、ドイツだけでやっていくという時代じゃなくなる。お互いに国際間の協力で一つの飛行機を開発していくといういう時代にもう既に入っているわけですね、航空機産業などは。 そういうふうに考えますと、例えば半導体の問題なども、長期的な協力関係を結んで、お互いにいい品物を一緒になってつくり上げて、お互いの方向へ歩んでいこうということをさっきたしか渡辺局長が申し上げたと思うのでありますが、そういう時代にやっぱりだんだん入っていく。そういう時代の変遷とともに経済も変わる、しかし基本的な哲学や理念は私は変えるべきではないというふうに思っております。 元文部大臣だから言えと言いますから、大変失礼なことをいろいろ申し上げたかもしれませんが、私はよくこういうことを言うんです。働くという言葉を例えてみると、働くというのは何だろう。昔は、働くというのははたの日に楽をしよう、一生懸命働いて貯金して今に楽をしようという考え方。しかし、今は給与も上がっておりますし、そういうことから考えると、働くというのははたの人のために働いていくということなんではないかなというようなことも私は最近考えながらおるわけでございますが、余計なことを申し上げました。
○小池百合子君 もちろん日本人は働くなとは言っておりませんけれども、やはり限度があるということで、バランスのとれた教育というのはこれから必要ではないかと私は思っております。 それから、ついついこの場でも対米関係ばかりが重視といいますか偏重されているようでございまして、もちろんこれが大変重要な関係であるということを踏まえてのお話でございますが、対ECでございます。 ECの統一の市場ができ、フランスであるとかイタリア、それに統一ドイツ、またここへ来ましていろんな新しい問題も出てきているかと思います。日本の規制緩和云々を言うのと同時に、EC側の方もいろんな制限なども実際にはつくっているわけで、九三年のモニタリンクレベルですと車の場合には百八万九千台ということで二年連続削減といったような形を、むしろアメリカよりもきつい形で言ってくるとか、このあたりで欧州の現状、そして対日関係、この辺をおまとめいただければと思います。お願いいたします。
○国務大臣(森喜朗君) 日本とECの関係を言いますと、昨年、九二年では我が国の貿易黒字が三百十二億ドルでございまして、貿易不均衡の改善がやはり急務でございます。先般ECへ参りましてもやはりそのことが指摘をされているわけでございます。しかし他方、EC委員会及び英仏独などの各国におきましても対日関係を強化していこうという、こういう動きもやはり顕著でございま して、我が国といたしましては、こうしたインバランスがありながらむしろドイツもイギリスもフランスも日本と協調していこうという、そういう姿勢が非常に見えるということについては我々は高く評価もいたしておるところでございます。 ECとしては、やはり個別的な国の問題ともう一つはEC全体の問題がありまして、EC全体では日本とのそうした、今例えば車の例を申されましたが、車の輸出をとめるとかカットする、そういう考え方は全くないわけです。しかしそれぞれの国になりますと、EC全体としてまとまっていくためへの過渡的な中にいろいろ困った問題も出てきておるようでございまして、そういうところは自主的に私どもとしてはそれぞれの国の立場も考えてあげなければいかぬだろうというふうに思っておるところでございます。 我が国としましては、これまで内需拡大及び官民挙げて輸入拡大に努めて貿易収支の不均衡の是正に取り組んできたところでございますけれども、今後とも内需中心の持続的成長を図るとともに一層の輸入拡大策の推進に努めてまいるなど、適切な政策運営に努めてまいりたいと考えております。先ほどもちょっと触れましたように、新しい十三兆円を超える総合経済対策も、先ほど申し上げたように、これはアメリカだけではなくてヨーロッパに対しましても当然ビジネスの機会を与えると言うと大変生意気なようですが、そういうふうに売り込んでいただく努力はぜひしていただきたいというふうに思っておるところです。 また、この一月訪欧いたしましたときに私は、日欧協力拡大のために貿易・投資協力と産業協力、第三国協力の三つを軸としました日欧協力パッケージというのをEC委員会に提示いたしまして欧州各国から大変高い評価を、ちょっと手前みそでありますけれども、私がつくったんじゃありませんので政府がつくったわけですが、非常に評価を受けております。 この中の第三国協力というところがございますが、これは例えばヨーロッパはアジアの方の技術的指導や産業協力をやってくれませんか、私どもは逆に中欧とか東欧をやらせていただきます、お互いにそのために資料を交換しましょうよと。日本がアジア、アジアとやりますと、またアジア全体のことに日本が余りにも深く入り込んでいくというそういう目で見られる面もあるわけです。逆にヨーロッパも、かつてはイギリスやフランスはASEAN地域に対するいろんな関係を持ったわけですから、そういうこともいろいろ考えて、そんなふうにお互いにクロスをして、そしてこれからの中進国あるいは後進国をお手伝いしていったらどうだろう、こういう案も提示をしまして大変ヨーロッパの皆様にも実は喜んでいただいたわけでございます。 先ほど申し上げたような産業同士の協力の行き方もあるでしょうし、国同士でお互いに助け合って世界全体が早く平和と安定した地球社会というものにまさになり得るように我々日本としても最大の努力をしていかなきゃならぬだろう、このように思っておるところでございます。
○小池百合子君 ありがとうございました。
○委員長(斎藤文夫君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時二十八分散会 ――――◇―――――