厚生委員会 第4号
- 発言数
- 352 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1993/03/29
会議録
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○糸久八重子君 まず、本改正案が日切れ扱いで短時間の審議でしかできないことを大変不満に思っておりまして、問題があるということを最初に申し上げておきたいと思います。 恐らく厚生省は、この改正案を出さないと現行制度が三月三十一日で切れてしまって、何も手当てをしないと本則に戻ってしまってJR共済に対しての歯どめがなくなるからだ、そうおっしゃりたいのだろうと思いますが、しかし、現行の措置が三月三十一日で切れるということは本法が成立をした時点でわかっていたわけであります。 つまり、衆議院では、JR共済への調整交付金の減額措置と並んで、一九九二年度までの間に公的年金一元化を展望しながら運営状況を勘案して見直しをという修正がなされたわけでございます。このことは、本年度末までに一元化の姿も明らかになっているだろうから、その上で制度間調整事業のあり方そのものを論議していこうという趣旨であったのではないでしょうか。ところが、今回の法改正は、単なる減額措置の継続だけで、一元化問題は意図的に避けようとしたのではと思わざるを得ないわけです。一九八九年の国年法等の一部改正に対して、衆議院、参議院両院で一九九五年を目途とする公的年金一元化の全体像を可及的速やかに明らかにすることという附帯決議もつけてあるわけです。 これに対しましてどのような措置をとってきたのでしょうか。その経過について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先生、今回の法案の性格等も含めて御説明がございましたように、まず、私どもはそういう答えをするだろうとおっしゃられたわけですが、まさに今回お願いをしております法案は日本鉄道共済組合に交付する交付金の特例減額措置の延長をお願いするものでございます。 この制度間調整事業は、御指摘がございましたように四年度までの間の時限的な措置でございますので、このまま措置を講じませんと四年度末をもって期限切れになってしまいます。それはわかっていたことではないかということでございますが、そのとおりでございまして、この制度間事業の見直しにつきましては、国会での御議論の末、見直しをするように、また、その見直しをする場合には関係者が参加して十分に議論をしてほしいという御要請もございました。 したがいまして、昨年の五月に被用者年金制度間調整事業に関する懇談会を設けまして、この問題についての御議論をいただいたわけでございます。その結果、この制度間調整事業につきましては、一元化が完了するまでの当面の措置であることを踏まえ、維持されるべきだという結論をいただきましたので、この御報告の趣旨に沿いまして、しかも現在時限的に行われておるこの措置と間断なく特例措置が続く、継続をさせるということがどうしても必要ではないかということでこの法案を提出させていただいたわけでございます。 もう先生十分御承知のことだと思いますけれども、この措置は、いわば拠出する側と支援を受ける側の関係者の微妙な利害調整の上に立った制度でございます。仮にこの措置が短期間といえども切れる、その結果、その限度額の上限が外れまして制度的には相当の拠出を関係者にお願いをしなければならないということになりますと、この制度の基本的な考え方、精神にも触れるような事態 になってまいります。ぜひそういう事態は避けまして、関係者の調整をうまく懇談会等においてしていただきましたので、その精神をスムーズにこの法案においても反映させていただきたいということで、ぜひとも三月三十一日の期限切れまでに御審査をお願いしたいということを私どもとしては強く希望をしているわけでございます。 また、この措置の見直しに当たって、一元化について展望することも含めて十分に議論をするということが宿題になっていたではないかということでございます。 この懇談会におきましてもそういう御議論がありまして、結論的には私ども政府としてはおしかりを受けることになったわけですが、平成七年に一元化の完了を目途とするということであれば少し政府部内のこの一元化に向けての検討がおくれているんではないかということで、その検討を急ぐようにということで御指摘をいただきました。また、一元化についての議論をするために、その議論の場もないのではないかということで、直ちにそういう場を設けて政府としての方針を明らかにすべきだという御議論もございました。 現実、この一元化の問題は各制度それぞれの経緯、歴史等もございますので、現時点でこの一元化に向けて、厚生省ばかりではなく、共済を所管している各省におきましても、一元化についての方向が現時点ではまだ出ていない。そういう段階で関係者が集まってもなかなか議論が集約をしないのではないかということで、この懇談会におきましても、まず厚生年金、国民年金は厚生省において、それから共済組合についてはそれぞれの制度でこの一元化問題についてどういうふうな対応をしていくべきかということを早急に検討した上で、政府全体としてこの一元化の方向づけをする検討の場を設けよという御示唆をいただきました。 現時点では、私どもその懇談会の御報告に沿いまして、具体的には各省あるいは各審議会等の検討をこの秋を目途にやりまして、そしてその検討の推移を見つつ政府全体としての検討の場を設けよう、そして平成七年を目途としている一元化に向けての方向づけをしようという、こんな段取りを考えております。 確かに、御指摘をいただきましたように、この一元化問題についての議論が現時点で詰まっていないということは大変申しわけないことだと思いますが、今申し上げましたようなスケジュールで、大変難しい問題を含んでおりますけれども、政府全体として鋭意取り組みたいということでやっておりますので、御理解を賜りたいと思います。
○糸久八重子君 それでは、一元化問題について少々触れていきたいと思います。 昨年の九月に、社会保障制度審の年金数理部会から第三次の報告書が発表されました。その中で、一元化のモデル案として三つの案が示されたわけです。 A案としては「全被用者年金制度の統合一本化を行う案」、そしてB案としては「複数の制度に集約する案」、それからC案として「恒常的に費用負担の調整を行う案」、この三つが示されたわけですけれども、この三つの案に対してそれぞれどのような見解を持っていらっしゃるのか、それぞれの案の長所、短所等を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 総理府の制度審の数理部会から御指摘のような報告がございまして、一元化についてもA、B、C、三案が報告をされております。 まず基本的には、私どもはこの年金制度を何のために一元化するのかということでございますが、一つは、分立をしたままですと産業構造、就業構造の変化に対応していけないということで、長期にわたって制度の全体の安定化を確保するということでこの一元化が必要ではないかというのがまず第一点でございます。 それから給付と負担、これは国民全体が両面にわたってできるだけ公平なものでなくてはならないということが一元化の第二の目標だと思います。 それから第三には、国民の皆様にとっても年金にかかわるサービスがより効率的に行われる、それから業務といたしましても合理的な業務処理ができる、そういうことが一元化の必要性なり目的であろうかというふうに考えております。 したがいまして、そういう一元化の目的なり理念なりに照らして、このA、B、C三案がどういう長所なり短所なりを持っているかということだと思います。年金数理部会も、これをたたき台にしていろいろ議論をしてもらいたいということでございますので、ここで断定的に余りこの長所、短所を私どもの立場から申し上げるのはどうかと思いますけれども、これからの議論の中でその長所、短所を含めて御議論をいただきたい、私どももその中で方向を見出したいというのが基本的な立場でございます。 ただ、御指摘でございますので、単純化して三案につきまして短所、長所と思われる点を簡単に申し上げます。 A案の、制度を統合し財政運営を一本化していく、このA案につきましては、被用者年金制度全体を統合して一本化する、共通の制度を新たに設けるということでございますので、先ほど申し上げました一元化の理念等からいきましても、保険集団が完全に一本化されるということでございますので、理念、目的に沿った案で、国民の皆さんにとっても比較的わかりやすい構想ではなかろうかと思います。それから、それに伴いまして業務等も一元化をされますので、先ほど申し上げました国民サービスあるいは事務処理の効率化という点につきましても、この体系の中でうまく機能していけば理想に近い案であろうと思います。 ただ、この一元化の問題の一番難しいところでございますけれども、各制度ともこれまでの経緯、歴史を背負っておりますので、例えば積立金あるいはそれぞれの制度がやっておりますいろんな業務処理あるいは施設等、これは一本化をするということであれば各制度から新制度に移管をしていただく、筋としてはそういうことになろうかと思います。今までそれぞれの集団の中でそういうことをやり、また一定の努力をしてきている保険集団から見ますと、一つに統合をされるということについてなかなかその合意形成を図るというのは難しい、そういう問題が、これは現実問題としては大変大きな問題だと思いますけれども、問題点としては指摘されるのではないかと思います。 それからB案の、制度を統合整理し複数の制度に集約をしていく方式。これは例えばということで、被用者年金制度のうち民間の方を対象にした制度とそれから公務員を対象にした制度と、例えばそういうふうな二つの制度に分けるということも考えられるのではないかという御提案だと思います。この二つに分けるということで、当然でございますけれども分立している制度の数は二つ少なくはなりますけれども、制度としては依然として分立をしているということでございますので、一元化の姿としてはそれが完成型なのかという点については問題があろうかと思います。 また、とりわけ官民で別建てにするということになりますと、これは関係者の合意形成が得られやすいという面もあろうかと思いますけれども、より多くより広く国民全体の立場から見たときに、官民を別建てにしていくということについては、合意形成といいますか、そうすることについての国民の皆さんの納得をどうやって得ていくかという点については問題が残るかと思います。また、二つの制度が分かれますので、その二つの保険集団の間の調整というようなものも場合によっては必要になってくるのではないかということで、完全に一元化をするというよりは、制度としてもやや複雑なものになるということだと思います。 それからC案の、制度は分立をしたまま財政面において制度間で費用負担の調整を行っていくという方式でございますが、これは分立をしたまま 費用負担の調整を行っていけばいいのではないかということで、今御提案をしておりますこの制度間調整事業の拡大をする、あるいは恒久化をするというようなイメージの案でございます。この案につきましては制度が分立をしたままでいこうということでございますので、先ほど申し上げましたそれぞれの事情を背負った各制度がそれぞれ分立をしたままでいくということですから、関係者の合意形成は比較的得られやすい案であろうかと思いますが、各制度がそれぞれの責任で財政運営をしていくということを認める制度でございます。 例えば、保険料等、同一負担、同一給付というような一元化の精神からいたしますと、そういう意味では同一にならない。あるいは、分立をしたまま各制度の責任で財政運営をやっていくということだと思いますので、やはりその分立した保険集団の中では、長期的な安定という観点からしたときに不安の材料を残すということだろうと思いますし、業務処理の一元化、国民サービスという観点から見ましても、一元化をするという制度から見ますと制度的にはやや問題を残しておる。ただ現実問題としては、この制度間調整事業も先ほど申し上げましたように関係者の調整の末に成り立っておるというような経緯もございますので、このC案は比較的そういう意味では関係者の納得が得られやすい、そういう利点はあるのではないかと思います。 以上、簡単に申し上げましたけれども、まだまだこの三案をめぐりましては議論があろうかと思いますし、三案も必ずしもぎりぎりのところまで詰めた案でもございませんし、そのほかのバラエティーもいろいろあろうかと思います。私どももこの案を参考にさせていただきまして、また、国民年金、厚生年金の立場からいたしますと、今年金審議会でこの一元化の問題についてどう考えるかというのを議論していこうということで検討項目にも挙げていただいていますので、この三案を参考にさせていただきながら今後の一元化の方向に向けての議論を深めてまいりたいと考えております。
○糸久八重子君 前回の改正の際に、一元化について、一つの制度に一本化するのではなく、被用者年金のそれぞれの歴史、沿革等を存置したまま、いわゆる二階部分に相当する第二の基礎年金的なものに二重加入することによって、同一保険料、同一給付の新しい制度を創設すると答弁していらっしゃるんですね。そうすると、この答弁の内容からすると、今のA、B、Cのどの案にこれが一番近いものと思われますでしょうか。
○政府委員(山口剛彦君) 平成元年の改正のときに当時の年金局長から今御紹介がありましたような答弁があったかと思いますけれども、この答弁の背景といたしましては、元年改正のときに、それに先駆けまして年金審議会で意見書が提出をされております。 その意見書によりますと、「被用者年金制度の一元化の姿については、それぞれ歴史・沿革等を異にする被用者年金各制度は存置したまま、一階部分の一元化の姿との整合性にも十分配慮しつつ、同一給付・同一保険料率による各制度共通の給付を保障する「新たな単一の被用者年金制度」を創設すべきである。」という御指摘をいただきまして、年金局長もそういう趣旨に沿った方向を考えておるということを御説明されたんだと思います。 この年金審議会が言っている一元化の姿というのはA、B、C案に照らしてどうかということでございますが、今御紹介をいたしましたように、これも先ほどのような表現をしておりますけれども、必ずしも具体的に一本化の方式を明らかにしたというところまでいっておりませんで、例えば新たな単一の被用者年金制度をつくる、しかも同一給付・同一負担率による共通の給付を保障する制度だということでございますから、先ほどのパターンで分けますと、むしろA案に近い案がとも思います。その前提といたしまして、「歴史・沿革等を異にする被用者年金各制度は存置したまま、」ということでございますので、そういたしますと、その部分についてはむしろC案に近いというようなことでございまして、必ずしもこのA、B、C案のどれにおさまるというようなことではなかろうと思います。ただ、同一給付・同一保険料率による新たな制度ということでございますので、統合一本化をする方向を目指しているということは言えるかと思います。 ただ、そんなことでございますので、これからの議論の中で、この六十二年にいただきました年金審議会の御意見も新たに年金審議会でまた現時点での状況を踏まえて御議論がされると思いますので、私どもも先ほどのA、B、C案等も御紹介をしながら、現時点でどういう方向を目指したらいいかという点についてはまだ改めて御審議をいただきたいと思っております。
○糸久八重子君 この公的年金一元化につきましては、一九九五年を目途に完了させるというその閣議決定というのは一九八四年になされているわけですね。しかしながら、今回の法案では一元化の時期は大変あいまいにするような表現が見られるわけです。それは、JR共済組合に係る調整交付金の特例減額措置及び実質拠出保険者に係る調整拠出金の特別措置というのが「当分の間」とされていることでございます。 どうして一九九三年から九五年としなかったのか。一元化は一九九五年を目途に完了させるわけですね。これはとりようによっては、一九九五年を目途の公的年金一元化はあくまでも目途であって、一元化がずれ込めば半永久的にこの措置が続くのではないかということになるわけです。 法律の中にもよく「当分の間」という文言がありますけれども、これが十年も二十年も続いている実態が実はあるわけですね。「当分の間」のその趣旨というのは一体どういうことなのか、はっきりここで御説明を願いたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先生の御指摘がございましたように、政府としてのこの一元化のスケジュールにつきましては、昭和五十九年に閣議決定をして、十年先の平成七年には全体の一元化を完了させることを目途にするという計画を立てたわけです。 御指摘がありましたように、その大計画に基づきまして、六十年の改正では、制度の一階部分である基礎年金というものを導入いたしましたし、また二階の部分につきましては被用者年金各制度の給付についてはほぼ一線にそろえるということをこのスケジュールに従ってやってきているわけです。 それからまた、元年改正におきましては、今御審議をいただいております残された負担面の公平ということに対応するために、一元化に向けての地ならし措置という趣旨も踏まえましてこの制度間調整事業が行われているということで、五十九年に十年先の目標を立てさせていただいたわけですけれども、その方向に従って私どもはそれぞれに着実に対応をしてきたというふうに考えております。 ただ、最終目標の一元化につきましては、先ほど来御指摘をいただいておりますようにまだ展望が開けていないということでございますので、その点については鋭意努力をさせていただきたいということでございます。 それで、制度間事業の見直しに当たりましても、この制度間調整事業が一元化の完了するまでの措置ということで法律上も制度化されているものでございますけれども、そういう法律の中で特例的に減額措置を講じている日本鉄道共済の特例減額措置につきましては、その法律の建前であります調整事業が一元化完了までの当面の措置だということを踏まえた上で維持されるべきだ、基本的な枠組みを変える必要はないという御結論をいただきました。その趣旨に沿いまして、一元化完了までの当面の措置ということで、いつまでということは法律的に書いてございませんので、その間の一定期間を延長するということで当分の間継続をするという法律上の措置をさせていただいたわけでございます。 ただ、御指摘をいただきましたように、そのことは一元化を先にずるずる延ばすということではないかということでございますけれども、これはたびたび答弁をさせていただいておりますように、閣議決定の、平成七年を目途に一元化させる、完了するということについては、政府としても先ほど申し上げましたようなスケジュールに従って最大限の努力をさせていただきたいと思います。 ただ、これは仮にの話でありますけれども、平成七年に向けて一元化の完了を目途にするといいましても、仮にうまくいって一元化の展望が開けたということになりましても、先ほど来申し上げておりますように、大変それぞれの制度の経緯も含めた複雑な制度になっておりますのを一元化していくということでございますので、直ちに平成七年の四月一日から新しい制度が完璧な形でスタートするということにはならない、いろいろ経過措置あるいはある程度時間をかけて対応しなければならない、そういったような問題が出てくる可能性もございます。 そういったような場合にも、制度的にはこの一元化に向けての当分の間の措置が、これはその場でそういう事態になりましたらまた御議論をいただかなければならないところでございますが、法律的には一元化が完了するまでの間はこのような措置が続けられる。仮に上限が外れて、例えば厚生年金グループから今予想されているような額を相当超えるような金が自動的にずっと出ていってしまうというような、そういう事態には制度的には少なくともならないようにしておくべきではないかというような御議論が懇談会の中でも強くございました。 私どもは、平成七年の一元化の完了ということを目標にしているわけでございますし、また、今回の法案の制定に当たってそれを変えるというようなことは一切ないわけでございますけれども、法律的には一元化完了までの当分の間その上限を設けるという制度は続けるということで法案を整理して御提案をさせていただいたという経緯でございます。
○糸久八重子君 ただいまの御説明で、当分の間の趣旨というのは、一九九五年中には一元化は実現するけれども、実施の時期が四月ではなくて数カ月間おくれるかもしれない、その数カ月の間のタイムラグのために設けられた規定だと私は解釈をいたしました。 いずれにいたしましても、次回の年金改正というのは、次期財政再計算、そして一元化とともに一九八五年改正を上回る大改正となるわけであります。それにもかかわらず、政府の対応は余りにも遅いということをもう一度申し上げておきたいと思います。 一九八六年の基礎年金導入に関しては、十年に及ぶ審議会、懇談会等で論議があり、法案も施行日よりも二年早く提出をされました。国会でもそれなりの審議時間を費やしまして精力的に幅広い観点から論議が行われたわけでございます。それと比べると、現在の検討状況というのは大変心もとない。政府がおっしゃるように本当に一九九五年に公的年金一元化を実現しようと考えているのならば、もう既に成案として今国会に提出をされていても当たり前だと思うのですが、政府の及び腰が本法案の当分の間ということになったのじゃないかなという気がするわけでございます。 私は、前回の改正の際にも、一元化の制度改革はじっくりと時間をかけて審議することが必要であると強く申し上げた経過がございます。これは答弁は結構でございますが、そこで委員長にお願いを申し上げたいと思いますけれども、先般、日下部議員からも要請をされました小委員会設置についてでございます。 次期財政再計算や一元化をめぐる公的年金の改正というのは、国会においても拙速を避けて十分な審議を尽くす必要があること、また公的年金制度について広く情報を提供し、国民の理解、合意形成を求めていくという立場から年金問題については論議を深め、煮詰めていく必要があろうと考えるわけでございます。その意味からいえば、年金小委員会は本委員会のものだけでなくて、国民皆年金の時代なわけですから国民全体の議論にしなければならない。そういうことから考えますと、例えば前に育児休業の法制化をする際にも国民生活に関する調査会でもこの問題が論議されたという経過がありますから、そういう調査会でもできるのではないかというような気がいたします。いずれにしましても、幅広い論議の場ができますようにお取り計らいくださいますようにお願いを申し上げます。
○委員長(細谷昭雄君) ただいまの糸久君の提案につきましては、これを委員長が預かり、後ほど理事会において協議をいたします。
○糸久八重子君 公的年金制度の一元化に際しては、先ほども答弁の中にございましたけれども、年金業務の一元化を図る必要があると思います。一九八四年の閣議決定におきましても、給付と負担の両面における制度間調整の進展に対応して年金現業業務の一元化の整備を推進するものとされておりますが、年金業務の一元化の状況がどうなっておりますのか、お伺いをさせてください。
○政府委員(佐藤隆三君) ただいま御指摘のとおり、年金業務の一元化につきましては、昭和五十九年の閣議決定におきまして、年金業務の一元化の整備を推進するとされているところでございます。その後、昭和六十年に、全年金制度共通の基礎年金が導入されたわけでございまして、一階部分は制度的に一元化されましたが、事務処理面についての一元化はいまだその一部、裁定の事務、支払いの事務、受給者の記録管理、こういうところにとどまっているわけでございます。また、いわゆる二階部分につきましては、制度あるいは事務処理体制両方の面におきまして、分立したままでございます。 このため、年金業務の一元化に向けまして、私どもといたしましては、その重要な要素でございます年金番号の一本化を含めまして現在その検討を進めているところでございます。
○糸久八重子君 現在の年金業務は、加入者からの申請に基づいて制度ごとにばらばらでありますために、被保険者や年金加入者にとってみれば、複数の制度に届け出や請求を行い、別々に支給を受けなければならなくて、極めて煩雑で不便でございます。そればかりか、個々の制度ではそれぞれの被保険者期間しか把握しておりませんから、複数の制度を移動したものについての年金加入の全体像をどこでも把握ができないという実態があるわけです。また、適用漏れの把握も困難でありまして、第三号被保険者を初めとして、届け出がおくれたために、これは前にも日下部委員からもお話がございましたけれども、無年金者となる可能性も否定できないわけでございます。 こうした状況は、国民皆年金制度の根底を揺るがすことにもなりかねませんで、年金業務体制の一本化を早急に進めるとともに、業務の実施に当たっても、単に加入者からの届け出を待つというこれまでの待ちの態勢から、積極的に適用漏れがないように働きかける態勢に転じていくという必要があろうかと思います。 今も御答弁の中にございましたけれども、こうした前提として、個人単位の年金情報管理、つまり年金番号の統一も不可欠な問題であろうかと思いますが、もう一度その辺のところを確認したいのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(佐藤隆三君) 御指摘のとおり、現行の年金制度の運営につきましては、制度の加入などの手続につきましては加入者が届け出をする、加入者に届け出を課していると、それで届け出がございませんと、保険者サイドで情報を把握することができない仕組みとなっております。また、加入者に個々の制度ごとの年金番号をつけて記録管理を行っておりまして、各制度を通じた記録管理というものが行われていない現状にございます。そのため、国民年金の適用漏れの問題、それから制度間の移動をしたものにつきましての把握の問題、さらには年金相談、あるいは年金の裁定に時間がかかる、いろいろな問題がございまし て、円滑な事務処理がなかなか難しい面もあるわけでございます。 したがいまして、制度運営の一層の適正化と加入者に対するサービスの向上を図るために、先ほども申し上げました、年金現業業務の一元化の重要な要素でございます年金番号の一本化を図るということで、全制度共通の基礎年金番号を設定いたしまして、この基礎年金番号をキーといたしまして、各制度間で情報交換を行える体制を整備する必要があると考えておりまして、現在その検討を進めているところでございます。
○糸久八重子君 年金情報管理とか業務体制の一元化というのは、制度一元化の前提でございます。これは、制度改正に先駆けて行わなければならない課題だと思いますし、その意味では時間は非常に差し迫っているのではないかと思います。 大臣にお伺いいたしますけれども、社会保険庁の拡充強化も含めて、年金情報管理の一元化そして業務体制の一元化に向けての今後の具体的手順を、まあ手順まではいいと思いますけれども、これらについての御決意を大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、先ほどから年金局長、運営部長から御答弁を申し上げておるわけでございますけれども、公的年金制度はまず世代間の扶養の仕組みをとっておるわけでございます。現在一人のお年寄りを六人で支えておるわけでございますけれども、これが三十年後の二〇二〇年には一人のお年寄りを二・一人で支えなければならない、こういうような超高齢化社会になってくる、こういう認識のもとにまずこの問題を考えていただかなければならない、このように考えているような次第でございます。 また、その一方で、我が国の年金制度は職域ごとに分立しておるわけでございますので、産業構造や就業構造の変化を受けやすく、いわゆる財政基盤の不安定化や制度間の負担の不均衡が生じてきておるわけでございます。 こうした状況のもとで、本格的な高齢化社会に向けてどういうような年金制度のあり方がいいか、こういうことで先ほどから三つのモデル案を示しながら、長所、欠点についていろいろ御議論もいただいておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、産業構造、就業構造の変化に対応できる長期的に安定した年金制度を確立することをまず第一の条件としたい。それから、第二点といたしましては、給付と負担の両面にわたる公平を確保するという一元化の理念に沿って、これまで既に基礎年金の導入、被用者年金制度間調整事業の実施などの措置を行ってきたところでございます。一元化につきましては、あくまで平成七年を目途にいたしまして、いろいろ検討すべき問題も山積しておるわけでございますけれども、今御指摘のありましたいわゆる年金情報管理の一元化、業務体制の一元化を進めるに当たっては、まず全年金制度共通の番号を設定し、この番号をキーとして制度間で情報交換を行えるようにする。 こういうようなことも十分に踏まえながら、基本的には、いずれにいたしましても年金制度というのは国民の皆さん方の御理解をいただかなければならないわけでございますので、小委員会の設置も御提案のようでございますけれども、できるだけ私どもは、国民の皆さん方そして国会の皆さん方に情報を公開いたしまして、ひとつ納得のいくような形での一元化を図っていく決意でございます。
○糸久八重子君 次に、年金財政に関する調査権とか勧告権を持つ行政委員会の設置が必要であるということを、私は前回の法案審議の際に申し上げた経過がございます。そのとき、当時の水田年金局長が、制度間調整法を出すまでに関係各省の合意ができなかったので、来る一元化に先立って、粘り強く政府内の調整を図って、社会保障制度審議会設置法の改正を行う方向で進めたい、そのようにおっしゃったわけですけれども、その後、厚生省はどう働きかけて、どういう結果になっておりますでしょうか。
○政府委員(山口剛彦君) 先生が御指摘のような経緯があって、年金財政に関する行政委員会を設けるというような具体的な御提案もあって、私どもも厚生省として大変重要な問題だということで努力もさせていただいたわけでございますけれども、これは現実にはまだ実現をいたしておりません。 これも各制度、各省の権限等にもかかわる問題でございますので、なかなか難しい問題がございますけれども、先ほどの一元化の問題等の議論の中でも、また年金についてのいろんな情報公開をしていくべきだという議論もますます高まっているような状況でございます。私どもも、そういう努力をして実現をしていないという点については大変申しわけないことではございますけれども、いろいろ問題もございますので大変重要な課題だということで認識をさせていただきまして、今後ともこの実現、過去のそのとおりの提案で果たして実現するかどうかという点についてはまだ見通しが立っておりませんが、こういう精神でこの問題に取り組んでいくということは今でも大変大きな課題だと思っておりますので、真剣に取り組んでいきたいと思います。
○糸久八重子君 イギリスには政府アクチェアリー院と呼ばれる独立機関が古くから設置されておりまして、公的年金並びに企業年金の数理に関する調査、勧告を行うとともに、民間保険の数理面の監督をも行っていると伺っておるわけでございます。一元化に向けましては、その必要性、及び考え得る複数の政策案を試算結果とともに国民に示して合意を得ることが必要ではないかということも加えて申し上げておきたいと思います。 それでは続きまして、鉄道年金の問題に入りたいと思います。 それでは最初に、鉄道年金崩壊の原因は何であったと考えていらっしゃいますか。
○説明員(五味廣文君) 鉄道共済年金は大蔵省が担当しておりますので、私の方からお答えをさせていただきます。 今御審議をいただいております制度間調整事業が導入をされますに先立ちまして、鉄道共済年金の大変な状況というものをどうするのかということを有職者の方に御議論をいただいたものがございます。鉄道共済年金問題懇談会というものでございますが、この懇談会が昭和六十三年の十月に報告書を出しておりまして、その報告書に鉄道共済年金が崩壊した原因ということにも触れられております。 私どももこの分析のとおりであろうと思いますが、二つの側面があろうということでございまして、第一の側面は、旧国鉄共済年金時代の制度、運営に起因して生じているもの。これは報告書にございますが、旧国鉄共済年金は制度面において他の年金制度よりも給付内容が有利である、あるいは運営面においても、給付が最終俸給を基準としております関係で、退職時特別昇給をそのまま年金額に反映させるというようなほかの制度には見られない非常に特異な有利な運営がなされている一方で、財政面については成熟度に見合った保険料の引き上げなど十分な財政措置がとられてきていなかった、これが第一の側面であろうと。 それからもう一つの側面は、産業構造の変化あるいは人口の高齢化等、必ずしも個別の共済年金にその責めを帰することのできない事由によるもの、すなわちモータリゼーションの進行等によりまして現役の組合員数が著しく減少をいたしまして、ほかの制度に比べて成熟度が著しく高まった。こちらが主な原因であるというふうに私ども考えておりますけれども、こういった二つの要因により、年金制度として立ち行かない状況になったというふうに考えております。
○糸久八重子君 鉄道共済年金の財政破綻というのは、旧国鉄の要員事情が唯一最大の原因だと私は思い続けてまいりましたし、現在もそう思っております。つまり、政府の運輸交通政策の欠如から国鉄要員政策の誤りを指摘していきたいと思うわけですけれども、戦中は多くの職員が軍人、軍属等で海外に派遣をされまして、軍需輸送は増大 をいたしました。そして、私も子供のころを覚えておりますけれども、私のいる町にも大変女子を含めて必要要員が確保されてきたわけでございます。終戦で大勢が復員をして、その上復員業務等のためと政府の失業対策の政策等もあって大量の採用が行われた。 数字で見ますと、鉄道職員というのは、戦中で四十五万、戦後は六十一万にも達しているわけでして、その後十万人の首切りが行われまして、一九七五年ぐらいまでは徐々に減っていって四十五万。その後の二十年間で二十万人を上回る削減が行われたわけでございます。このように、戦中、戦後の国策として大量に膨らんだ要員が、一九七〇年代後半から退職期に入る時期に大量の人減らしが行われたわけですから、共済組合の赤字は当然過ぎるほど当然ではないかと思います。この国家政策要員の生存中の年金は国が責任を持つことは当然ではないのでしょうか。いかがでしょうか。
○説明員(五味廣文君) ただいまお話がございましたように、鉄道共済の長期の組合員の数、最大を記録いたしましたのが昭和二十三年の六十一万三千人ということでございます。 ところで、こういったいわゆる戦後の、今御指摘のような国策というようなことで大量の引揚者等の再就職が鉄道共済年金の財政にどういう影響をもたらしているかという点は、若干技術的なことで恐縮でございますが、御説明をさせていただきたいと思います。 問題は二つに分けられると思いますが、一つは、鉄道共済年金が発足をいたしました昭和三十一年前後の問題、それからもう一つは、民営化を控えまして非常に合理化が進んだ時代、この二つの状況があるというふうに存じます。 まず第一の、いわゆる引揚者なり旧満鉄の職員の方を大量に採用した関係でございますけれども、六十一万三千人を昭和二十三年に記録いたしました後、今おっしゃいましたように人員の適正化が行われまして、鉄道共済が発足をいたしました昭和三十一年の七月の時点では四十六万人程度の体制になっておる。この人員体制が適切であったかどうか、適正規模であったかどうか私には判定する能力はないわけでございますが、少なくとも昭和二十年代後半から昭和四十年代いっぱいにかけましての約四半世紀にわたりましてこの人員で推移をしております。したがって、企業としてはそういう人員が必要であるということで企業活動を続けておったのであろうと思います。 ところで、そうなりますと、この六十一万人を四十六万人体制まで削りました結果生じております昭和三十一年の鉄道共済発足以前の皆さんの恩給の給付なり年金の給付なりはどういう財源から行われているかということでございますが、恩給対象につきましては、御承知のとおりこれは恩給で処理をしておりますので、鉄道共済の財政とは全く関係がございません。 それから、いわゆる旧法、旧令、現在の共済組合の法律の前の制度で年金の受給権がおありになる方、この方につきましては現在も清算事業団の共済事務局、鉄道共済から年金の給付が行われておりますが、これに必要な財源は全額事業主負担ということでございまして、旧国鉄がございました時代は旧国鉄がその財源のすべてを負担し、また現在におきましては、国鉄清算事業団がその債務を継承いたしましてやはり全額を負担しております。したがいまして、この方たちに対する年金給付が現在の鉄道共済年金の財政の悪化の直接の原因ではないというふうに申せると存じます。 また、昭和三十一年を挟みまして在職なさっていらっしゃった方の昭和三十一年六月以前、制度発足以前の年金の必要額につきましても、それに相当いたします部分は全額事業主負担ということで、現在であれば清算事業団本体が負担をしておりますので、この点につきましてもやはり制度の財政悪化の直接の要因ではないというふうに考えております。まあ裏返して申しますれば、この部分につきましては、現在も長期債務ということで清算事業団がその処理を将来にわたっていたすべく保有しておりますので、これは清算事業団の長期債務でございますから、最終的には国において処理する債務ということになります。国策であったから負担をしておるということではございませんが、文脈がちょっと違いますが、結果といたしましては、事業主の責任として現在の鉄道共済年金の財政に影響を及ぼさないような形での負担というものが制度的にできておるということであろうと思います。 次に、いわゆる民営化の方にも御言及がございましたが、経済情勢、社会情勢が変化をいたしまして企業として必要な要員が減少をする、それに伴いまして企業といたしましては余剰な人員を整理しあるいは新規の採用を行わないということは世の中いろいろな場面で行われておりますし、またそういったことが国策という言葉に適するかどうかはわかりませんが、国の関与のもとに行われる例というのはあるわけでございます。例えば、石炭産業しかりでございます。 石炭産業におきましては、坑内員の方の現役の数というのは、昭和四十年とその二十五年後でございます平成二年を比べますと九五%減少しております。国鉄の場合にはこの減少が六〇%でございます。いずれの場合も、もし単独の年金制度を運営しておりますならば当然立ち行かないことになるわけでございますが、幸いにして坑内員の皆様につきましては、厚生年金という非常に大きな母体の中の一部門として年金を運営しておられましたので、これが年金の支給に特別の支障もございませんし、また格別の高い保険料率等の自助努力を行うということもなしに支給が確保されている。 国鉄の場合には、これを単独の年金制度として運用をしておりました結果、この六割という人員の減がそのまま響いてきた。石炭産業の減員が国策だということが言えるかどうかはわかりませんが、公的に非常に深い関与、例えば関係地方自治体への手厚い交付金など、こうした公的な深い関与のもとに円滑に行われた経緯を考えますと、国鉄におきましてやはり同じようなことが起こりましたが、これが年金財政の破綻ということに結びついたにつきましては、そのために国がなすべきことと申しますのは、やはりこのような一つの企業で一つの年金制度を運営しているというような、公的年金の原則から申しますと非常に危険なこういう仕組みを一刻も早くもっと安定したものに改めるということが国の責任であろうかというふうに考えまして、関係のお役所の皆様、あるいは関係者の皆様ともよくお話をさせていただきながら、公的年金一元化ということのお願いをしておるわけでございます。
○糸久八重子君 運輸省にお伺いいたしますが、国鉄再建の対象になった長期債務がどのくらいで、そのうち年金分はどのぐらいでしょうか。
○説明員(鶴野泰孝君) 御説明申し上げます。 国鉄再建、昭和六十二年四月の国鉄改革当時に処理すべき長期債務等とされたものは約三十七・一兆円でございます。そのうち清算事業団へ約二十五・五兆円、それからJRの本州旅客三社等へ約五・九兆円、それから新幹線保有機構、現在は形を変えておりまして鉄道整備基金と言っておりますが、ここへ約五・七兆円が承継されたところでございます。 この清算事業団が引き継ぎました二十五・五兆円の中に、年金負担金として約五兆円が含まれているところでございます。
○糸久八重子君 約五兆円というのは追加費用だけを計上したものですね。
○説明員(鶴野泰孝君) 大宗は追加費用でございまして、今の五兆円のうちの約四・八兆円でございます。そのほかに公経済負担と、それからただいま私が年金負担等と申し上げました恩給負担金も加算をいたして、合計で五兆円と申し上げました。
○糸久八重子君 この追加費用分四兆八千億円という数字が本当に正確なものかどうかちょっと疑問があるわけです。追加費用は、鉄道年金が赤字に転落した翌々年の一九七八年から前年度追加費 用発生類繰り入れ方式が取り入れられましたね。 もう時間も余りございませんから私の方で申し上げますけれども、どうもこれは赤字になったから繰り入れるようにしたのではないかと思われる節もあるわけです。一九七六年の国鉄共済が赤字になった年度で、このときの追加費用が六兆十一億円、その年の繰り入れというのが九百五十二億円だったわけですけれども、全くこれは利子にも満たない額だと思います。国鉄共済が発足した一九五六年に、政府がこの追加費用を清算して積立金として利子運営を図っていればこの財政危機というのはかなり先延ばしになったのではないか、そう思います。 先ほどの御答弁の中にも鉄道年金問題懇談会の報告書のお話がございましたが、「必ずしも個別の共済年金にその責を帰すことのできない事由により、年金財政が悪化した」、そう述べられておるわけですけれども、これは追加費用のほかに国鉄の企業運営のために年金が利用されてきたのではないか。そしてまた、交通政策と社会問題等、年金自体では避け切れない構造的な赤字要因を指摘したものだと判断されます。 こうした問題が国鉄再建論議の中で行われなかったということは大変残念でありますけれども、先ほども申し上げましたが、終戦から戦後処理、さらに復興から高度経済成長へ、そして産業構造の変化というのは国が行ったものであり、これに伴う二十万人分の年金問題というのは、国家政策として国鉄再建の中で追加費用とは別個に措置をすべきだろうということを再度申し上げておきたいと思います。答弁は結構でございます。 それから次に、JR共済の自助努力の問題に入ります。 現在、JR共済の自助努力等の名のもとに年金給付の見直しや保険料の引き上げ措置がされておりますね。そして改正案では、年金の見直しが二百七十億円、保険料引き上げが百七十億円、合計して四百四十億円となっております。前回改正の年金給付見直し二百億円、保険料引き上げ百五十億円と比べると九十億円も拡大されようとしております。この九十億円は、国家公務員等共済連合会の財政調整と運用収入からマイナスされておりまして、何か数字だけを見ますと、自助努力というのはますます増大していくのではないかと大変心配になるわけであります。その中身はどうなっておりますか。新たな給付の見直しとか保険料の引き上げがなされるのでしょうか。その辺のところの御説明をしてください。
○説明員(五味廣文君) ただいまお話がございましたように、今回見直しをいたしまして、鉄道共済は、年平均約三千億円の赤字が出ると見通しておりましたものが二千八百二十億円というところまでどうも圧縮ができそうであるということでございます。自助努力につきましては、このうち千八百五十億円を自助努力等から捻出するというこの水準は維持をさせていただきまして、その中身の組合員それから受給者の皆様の負担に係る部分、年金給付の見直しと保険料率の引き上げの財政効果が上がっておるという、こういう数字をお示ししたわけでございます。 この年金給付の見直しによる財政効果は、制度を発足いたさせますときに二百億円というふうに想定されていたものが七十億円ほど効果が上がるということになっておりますが、これは新たないわゆる給付の抑制措置、見直し措置を今回とろうということではございません。平成二年度以降続けてまいりました三種類の給付の見直し措置がございます。これをそのまま向こう平成五、六年度においても継続をするということでございますが、ただその財政効果が当初の見通しよりも大きくなった。 保険料見直しにつきましても同様でございまして、この機会に保険料率を引き上げるということではございませんで、これまでの保険料率そのままでございますが、平成二年度に厚生年金と同じ幅で引き上げるという自助努力をいたしましたその財政効果がやはりその当時見通したよりも大きく出るという、こういうことでございます。 保険料率の引き上げの効果が大きく出ます原因は、この当初の対策を立てましたときには導入されておりませんでしたJRの六十歳定年制というものが導入をされました。これは後で申し上げます給付の見直しの方で、支給開始年齢の特例を廃して、一気に六十歳まで引き上げたこととの見合いによるわけでございますが、これを実施したことに伴いまして、対策を策定いたしましたときに想定いたしましたよりも現役の組合員の数がふえているということがございまして、その結果人数が、現役がふえました関係で、財政効果が当初の見通しより大きく出たということでございます。 給付の見直しにつきましては三種類ございまして、いわゆる退職時特昇分、既裁定年金からこの退職時特昇分については削減をさせていただく。それから、六十歳未満の退職年金支給は、原則として廃止をする。これは支給開始年齢引き上げの途上にございましたので、まだ六十歳未満で満額の年金がもらえる権利があったわけでございますが、これを一気に否定をいたしまして、厚生年金並みに六十歳にならなければ支給をしないということに変えたもの。それから平成元年度の標準報酬の再評価、これを繰り延べた、この三つのことをやったわけでございます。このうち効果額が大きく上がりました要因は、標準報酬の再評価の繰り延べでございます。 この標準報酬の再評価を繰り延べますと、財政効果は、これも技術的なことで恐縮でございますが、いわゆる従前額保障を受けておられる方につきましては、再評価を繰り延べましても従前額、高い年金額が保障されておりますので財政効果としてあらわれてまいりませんが、この従前額を超えてスライドが進み始めましたところで再評価を繰り延べている効果が財政効果としてあらわれてくる。実際に従前額保障を超えて、何年に何人ぐらいの方がどういう水準であらわれるかというのは推計が大変困難でございまして、この推計の結果が、当初の推計に比べ今回の推計では、そういう方がより多くあるということで財政効果が当初の見通しより大きく出た、こんなことでございます。
○糸久八重子君 私は考えたんですけれども、この九十億ですね、これは運用収入二百億を百五十億に減らさないで、二百億そのままにしておいて、そして清算事業団が千四十億、つまり四十億上積みをして、そういう形で厳し過ぎる自助努力、つまり年金の見直しとか保険料の引き上げというものの緩和ができないものだろうか。その辺についてはいかがでしょうか。
○説明員(五味廣文君) まず二つ御指摘がございましたが、初めのいわゆる運用収入等百五十億円を見込んでおるわけでございますが、運用収入それから制度間調整事業なり他の自助努力をいたしましてもなお決算が赤字になります場合には、積立金を取り崩すということを前提といたしまして、これらで合わせまして百五十億円というのを運用収入等で賄おうということで、実は我が身を削るというのが前提になった百五十億円でございます。 この積立金を取り崩すと申しますのは、今御指摘ございましたように、仮にそれをさらに上積みをいたしますれば、それだけ余分に積立金を崩すという前提で対策を組むことになるわけでございます。公的年金の一元化というのを平成七年度に控えまして、我が身を削るというこの積立金の取り崩し、これは大きな意味で申しますれば、現在給付を受けておられる方あるいは払っておられる方、それぞれが自助努力でこれを賄うということと、将来の受給者なり保険料を支払う現役の負担を積立金を崩してしまうことで後送りをする、つまり長期的に国鉄共済の財政をより悪くする形でそれを後世代へ振りかえていくのか、あるいは現在の組合員と受給者が関係者の御納得の得られる水準で自助努力をするのかという、こういう選択になるわけでございます。 先ほど来お話に出てまいりました、今回この仕組みを検討していただきました懇談会におきましては、いろいろ見直すべき点もあろうけれども、 とにかくこうした自助努力はこの制度間調整事業を継続する前提でもあるし、また関係者の皆様の御理解をいただくためにも、しばらくの間はこれは相応の措置で続けていくということであろうという御意見でございましたので、今回につきましては、この自助努力の組合員並びにその受給者に係る部分につきましても、引き続き同じ措置をとりまして、積立金の取り崩しというような我が身を細らすようなやり方はできるだけ小さな幅にとどめたい、こういうことでございます。 それからもう一つ、清算事業団負担をふやしてはどうかというお話でございますが、この清算事業団負担、特別負担年一千億の話でございます。けれども、これはちょっと性格の違う話でございまして、先ほど鉄道共済年金問題懇談会の報告書で述べられた運営上の問題点、ここに関連をいたすものでございまして、保険料率の引き上げが給付の設計なり運営と必ずしもマッチしていない、十分に行われていなかったという指摘も踏まえまして、こうした十分でなかった保険料率の引き上げに伴う負担不足分、こういうもの、これはいろんな計算の仕方がありますので、きっちり幾らというやり方は出てまいりませんが、これはおおよそこのくらいになるはずだという、こういうぎりぎりの水準を算定いたしまして、年一千億を負担していただいているという、こういう根拠によるものでございます。 こうした現役のあるいは現在の受給者の方の自助努力の効果がたまたま上がるということに伴ってこれを増減させられるという性格のものではございませんし、またこれも繰り返しになりますが、懇談会の御報告では、この清算事業団負担につきましても相応の負担をということでございますので、従来と同額、全体としての対策額は減りましたけれども、清算事業団の負担については減らさないということでぎりぎり拠出をさせておるわけでございますので、ここはなかなか難しいかなということでございます。
○糸久八重子君 鉄道年金の切り下げは、一九八四年四月施行の国家公務員等共済組合法のときからと記憶しておるわけですけれども、それから始まりまして、二回目が一九八六年、三回目が一九八九年と、この十年間に大変過酷な切り下げが行われてきておるわけです。一九八四年度以来、スライド一〇%停止の給付制限がありまして、その後百十分の百で支給をされているということで、共済年金の中では最も低い実態となっておるわけでございます。 この百十分の百の支給制限というのは一体いつまで続けるおつもりなのか。一律に一〇%となっていて、少額年金受給者の一〇%というのは非常に酷だと思うんですね。年金受給者にとってみれば年金というのは生活給なわけですから、どうしてもというのならば一定額までは保障するぐらい考えられないものなのでしょうか。この辺はいかがですか。
○説明員(五味廣文君) お話のございました一〇%スライド停止は、昭和五十九年度に鉄道共済、当時の国鉄共済を国家公務員共済に統合するという際にとられたものでございます。このとき行われましたのは、国鉄共済は既にこの時点で非常な財政困難に陥っておりましたので、国家公務員共済、それから旧専売公社の共済、それから旧電電公社の共済、この三つの共済組合から昭和六十年以降毎年四百五十億円を財政支援として支出をする、いわゆる第一次財政調整事業が行われたわけでございます。 これは、現在の制度間調整事業のような成熟度調整の側面は持っておりませんで、現実に専売公社でも既に自分の年金制度が倒れかかっているところからも、これは毎年十億円でございましたけれども財政支援をしたという全くの赤字補てんのための支援策だったわけでございます。これを行いますときに当時の鉄道共済年金の給付の水準というものを見てみますと、国鉄共済年金の年金額を国家公務員の共済の手法に従いまして裁定がえをいたしましてもなおどうも高いということから、やはり国家公務員共済の場合は年三百五十億円の援助を行ったわけでございますが、援助をする側よりも高い年金額が保障されている制度にこれを援助していくということで、真に皆さんの御理解が得られるだろうかということがございまして、そこでこういった水準を適正化していただくということで、いわゆる一〇%スライド停止ということを行ったということでございます。 したがいまして、これは非常に特例的な措置でございまして、昭和六十一年度から年金の大改正がございまして、共済年金制度も改革がされました。この国鉄の年金は、このときの改正でいわゆる三階職域部分を設計しないということにいたしますとともに、当然二階部分までの計算の方法も設計も厚生年金と同じものになったということがございますので、昭和六十一年の四月以降に新規に年金を裁定されます旧国鉄の職員の皆様にはこの一〇%スライド停止というものは適用されておりません。 現に適用されております皆様につきましてはどうするかということでございますけれども、給付の見直しなどにかかります全体としての自助努力につきましては、先般の懇談会の報告で、五、六年度においては引き続きやってもらうけれども、いずれこれは早期に見直す必要があるのではないかというお話がございました。 したがいまして、自助努力全般につきましては、今後、次期財政再計算及び公的年金一元化、この検討の際に見直しは検討することになろうかと思いますが、この一〇%スライド停止につきましては給付水準の適正化という意味合いを持ってなされたものでございます。また、低額の年金の方にも平等にそういう仕組みは適用されておりますけれども、低額の年金の方はもともと掛金も低かったわけでございますし、年金制度全体としての公平性の中での適正化ということでとられた措置でございますから、見直しと申しましてもこの一〇%のスライド停止に関しましては考慮すべき点が非常に多くて、慎重に対応しないといけないのではないかなというふうには思っております。
○糸久八重子君 三回目の一九八九年十二月の改正で、財政再計算による年金見直し三・六%のスライドは五年間凍結ということになりました。このうち新法裁定者は、職域年金が加算されておらないわけですから厚生年金と全く同額である上に、一九九〇年実施の再計算を行わないために厚生年金よりも低額になっているわけですね。このことは、厚生年金よりも低くしないという国会答弁、つまり当時の竹下大蔵大臣それから中曽根首相が厚生年金水準は確保する、それから厚生年金水準は維持をするという国会答弁、これに反するのではないでしょうか、その辺はいかがですか。
○説明員(五味廣文君) ただいまお話のございました平成元年の財政再計算に伴います再評価の繰り延べ、この部分は、おっしゃいますように設計が既に新しい形になっております方につきましてはこの部分について厚生年金よりも設計上、設計上といいますか計算の結果上不利な扱いがなされているというのは、これは事実でございます。 この点につきましては、もちろんそれより以前に裁定をされておられます方はこれと同列に論じられないわけでございますけれども、新規裁定の方については確かに不利な扱いになっているのは事実でございますので、この辺は懇談会でも御議論がございまして、少しその部分の御報告を申し上げますと、受給者及び組合員にかかわる措置について長期的に維持することは望ましくないので再検討される必要がある、ただ、当面、平成五年度及び六年度において引き続き継続をすることはやむを得ないという、こういう御指摘をいただいております。 この制度間調整事業というものを継続していただきませんと、鉄道共済自体が年金の支給そのものができなくなるという大変危機的な状況にございます。そういった状況の中で、この制度間調整実施の前提として自助努力として平成二年度からこれが導入をされ、また関係者の御理解を得るためにも当面はこれを継続する必要があるという御指摘でございますので、これは継続をさせていた だくということにしておりますが、このような御指摘がございますので、私どもこの再評価の繰り延べ措置に関しましては、やはり公的年金一元化の検討の際にはこれを再検討する必要があるというふうに考えておるところでございます。
○糸久八重子君 先ほどの御答弁の中に鉄道年金が高いというようなこともありましたが、学歴とか勤続とも大体同じで給料は自分の方が高かったけれども、年金は十万も低いというそういう方たちの話を方々で聞くわけです。 実際に、個々の年金の例をちょっと拾ってみましたので御参考までに申し上げますと、北九州の百名程度の駅の運転係、駅長から大体二十番目ぐらいの位置にある方だそうですけれども、旧制中学卒業以来勤続が三十八年、一九八四年に退職をした方ですが、一九九〇年度の年金が年額百八十四万二千円でございます。それから、東京の九十名程度の駅の営業管理係、駅長から大体やはり二十番目ぐらいの方で一九八七年に退職をして、勤続年数が四十一年、その方は加給年金が二人ついておりまして、年額百八十四万二千二百円。それから東京駅、これは大きいですから九百五十名の営業係の中堅の方でございますが、三十五年勤続、そして一九八八年に退職をして百七十三万一千八百円。そういうことを見ますと、そんなに鉄道年金が高い高いというような状況ではないと思うのですね。 それで、今の三・六%の問題も御答弁いただいたわけですけれども、さらにいろいろ問題があると考えますのは、現在の組合員の保険料の引き上げなんですね。今JRに採用されて入社してくる若い方たちは、自分たちが受け取る年金額としてはほぼ厚生年金並びのものしか期待できない。それにもかかわらず、保険料だけが一九・〇九%、厚生年金の保険料というのは一四・五%で、三割も高い保険料負担を余儀なくされておるわけです。たまたまJRに就職したためにそれだけの高い負担を強いられるという状況は余りにも不合理でありまして、もはや納得を得がたい事態であると考えられるわけです。 保険料引き上げが一元化までの当面の措置であるとしても、それならなおさらその間だけでも本人負担分については厚生年金保険料並みとして、それを上回る差額分については事業主負担とするような方策はとれないものなのでしょうか。
○説明員(五味廣文君) おっしゃいますとおり、この一九・〇九%という保険料は、ほかの制度と比べましても大変に高いものでございます。たまたま私ども大蔵省が担当しております国家公務員と旧三公社、四つの年金制度を成熱度が高い順に並べますとワーストフォーが私のところでございまして、みんな保険料率が高いということでこれは大変なことだなと思っておるんですけれども、ただ、今御指摘がございました事業主の方でというお話になりますと、ちょっと私これはいかがかなと思うのでございます。 現在の公的年金制度は、それぞれ分立はしておりますけれども、もちろん厚生年金よりうんと低いところもあるわけでございますが、それぞれにこれは労使折半負担ということを大原則にいたしまして財政のいろいろな運営をしてきている。事業主がつらいからといって値切るわけにもいきませんし、もうかっているからといって余分に出させることもしない。組合員においてもしかりということでございまして、やはり労使折半で負担をして、労使話し合って将来の年金制度を議論していくのが大原則でございますので、このような原則のもとでほかより高い分については事業主が見てやってというようなことになりますと、これは負担の公平を目指していこうということで昭和五十九年度に閣議決定をいたしまして以来関係者がそれぞれ大変な努力をしてきておる、そういう中で必ずしもこれはそういった方向になじまないことなんではなかろうかなというふうに思います。 また、一九・〇九%は、当然でございますが労使折半でございますから、JR各社にしてみますれば、厚生年金加入のほかの会社に比べて自分のところもやっぱり高い保険料を負担しているというのも、これもまた事実でございます。また、御質問の趣旨とはちょっと別でございますけれども、JRの負担ということだけに着目をいたしますれば、先ほど出ました自助努力等千八百五十億円の中に、広く鉄道共済年金問題の一方の当事者であるという立場からJR各社も特別負担ということで年二百二十億円を負担してくれているというような、こういう事情もございます。 したがいまして、当面、このようなやり方で平成五年度、六年度はやらせていただきたいというふうに考えております。
○糸久八重子君 時間がなくなりましたが、いずれにいたしましても、組合員や受給者の自助努力というのはもう限界に近づいている。そして、こうした受給者及び組合員にかかわる措置については新年度からでも早急に改善を行うべきであると考えますが、それが直ちに困難であるとするならば、懇談会報告の趣旨を踏まえましてこれらの不利益は遅くとも一九九四年限りとすべきと考えるわけでございます。また、現在一九九四年九月まで繰り延べされているとしている標準報酬月額等の再評価についても、その延長は行うべきではなく、九四年十月以降は再評価を行うということについてこの場で確認をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○説明員(五味廣文君) 今お話にございましたように、制度間調整懇談会の報告におきまして、当面、平成五、六年度において引き続きこれを維持することはやむを得ないということで、受給者及び組合員にかかわる自助努力の継続はやむを得ないというお話をいただいております。ただ、長期的に維持することは望ましくないということもあわせてお話をいただいておりますので、お話の再評価の繰り延べなども含めまして受給者及び組合員にかかわります自助努力につきましては、次期の財政再計算時及び公的年金一元化の検討の時期、こういう時期に関係者の方と十分協議しながらこの見直しについて検討してまいりたいというふうに考えております。
○糸久八重子君 委員長、もう一言。 私は一元化に向けて、この前の改正のときに積み残しをいたしました基礎年金勘定の問題とか、それから第三号被保険者の負担の問題だとか、いろいろ論議されております六十五歳定年の問題とかたくさん用意をしてまいりましたけれども、大変御丁寧な御答弁をいただいたものですから時間がなくなってしまいました。したがって、これらの問題はこの公的年金一元化に向けての広く論議の場があるだろうということを期待いたしまして、それに譲っていきたいと思います。 ありがとうございました。
○横尾和伸君 これから我が国は世界にも類を見ないスピードで高齢化が進行し、今まで諸外国も経験したことのないような超高齢化社会を迎えるわけであります。このような高齢化社会においてこそ年金制度が安定して充実したものとなり、世界一の長寿国である我が国の国民が安心して老後の生活を送れるようにすべきだと考えております。 一方、選挙区に帰りましても年金の話をよく聞くわけでありますが、その中には将来の年金制度への不安の声が圧倒的に多いわけであります。このようなことを踏まえて、まず厚生大臣に、年金制度に関する理念なり哲学なり基本的な考え方についてお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先生御指摘のように、今我が国の高齢化の波は欧米に比べまして三倍ないし四倍のスピードで進んでおる、このように言われておるわけでございます。かつてない超高齢化社会を迎えるわけでございますけれども、このような中においても、いわゆる公的年金制度が国民の老後の基本部分を確実に支えるという役割を十分に果たし、その真価を発揮できるようにまず制度の長期的な安定を図っていくことが何よりも大切である、このように認識をいたしておるような次第でございます。 あわせて年金は、先生御案内のように、これは現役世代と年金をいただく世代とのいわゆるバラ ンスの上に制度間の公平というものが成り立っておるわけでございますので、こういった点を踏まえながら抜本的な改革に取り組んでいきたい。しかも、一番大切なことは、何と申しましてもやはり働けるときは働く、そして体が不自由になって働けなくなった場合には年金をいただく、つまり雇用と年金というものは常に連動して考えていかなきゃならない、このような考え方に立つものでございます。
○横尾和伸君 次に、制度間調整事業についてお尋ねしたいと思います。 制度間調整事業は、日本鉄道共済組合、日本たばこ産業共済組合といった個別の年金制度を救済するための仕組みのようにも見受けられますけれども、この制度間調整事業を一元化の過程の中でどのように位置づけているか簡潔に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先生御指摘になりましたような状況のもとで、我が国の年金制度を高齢化社会になっても現実に安定した運営ができるようにしなければならない。その場合に、たびたび申し上げておりますように、就業構造だとか産業構造の変化に対応できるような制度にしなければならない、それから給付と負担の両面にわたる公平を確保していかなければならないということで、平成七年を目標にいたしまして、そのためには公的年金制度を一元化していくということが必要ではないかという目標を立てさせていただきまして、六十年の改正で基礎年金を導入する、そして一階部分については全国民が支え合っていけるような安定した保険集団をつくるということにいたしたわけです。そのときにあわせまして、二階の部分についても給付面について厚生年金をベースにしてバランスをとった、将来に向かって公平化が図られたということだと思います。 残された問題は、その二階の部分の負担面をどういうふうに調整をしていくかということであろうかと思いますが、平成七年を目標としております一元化に向けて、今お諮りをしております被用者年金制度間の調整事業は、この一元化が完了するまでの当面の措置、いわば一元化への地ならし措置の一環として位置づけてお願いをしているようなことでございます。 したがいまして、大きな目標である平成七年への一元化に向けて私どもとしては既定方針どおり鋭意努力をさせていただきたいと思っております。
○横尾和伸君 内容になりますけれども、日本鉄道共済にかかわる調整交付金の額が一千百五十億円から九百七十億円に減額するということになっておりますが、それぞれの額の数字的な根拠を教えていただきたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) この制度を行うに当たりまして先ほど来御議論がございますけれども、このままでは日本鉄道共済の年金の支払いにも支障を生ずるような事態になるということで、三千億円の対策額が必要ではないかということで、当初この法案を提出させていただいたときの構想といたしましては、そのうち千五百五十億につきましては自助努力等によって賄う、残りの千四百五十億につきまして各制度から支援を仰ぎたい、こういう前提でお諮りをいたしたわけでございます。国会での御審議によりまして、日本鉄道共済組合についての自助努力をもう少しできないかということが強く要請されまして、この交付金については上限を設けるという議論がございまして、結果的には自助努力分を三百億円増額したらどうかということで千八百五十億、当初千五百五十億と言っておりました自助努力分を千八百五十億円に増額するということになりまして、残りの千百五十億について各制度から支援をしていくということで結論をいただきまして、平成二年度から四年度までこのような措置をとってきたわけでございます。 今後の見通しといたしまして、その三千億円の要対策額について改めて見直しをいたしました結果、先ほど御紹介いたしておりますような給付面、負担面で二つの要素がございまして、この要対策額が百八十億ほど減りまして、二千八百二十億円になるという見通しが立ちました。したがいまして、二千八百二十億円のうち、自助努力についてはこの制度の前提になっていることでもございますので、引き続きその千八百五十億の自助努力を続けてほしい。残りの九百七十億、千百五十億円からこの要対策額の減少分百八十億を引きました九百七十億について各制度から支援をしていくというようなことで、今後の二年間をお願いしていくという経緯でございます。
○横尾和伸君 次に、特別措置法の附則の六条に関連するんですけれども、六条によりますと、政府は平成四年度までに制度間調整事業について見直しを行うとされておりますけれども、これは鉄道共済ということですが、この共済と並んで交付保険者となっているたばこ共済、こちらの方については見直しについてどういう状況になっているのか。また、今後どういう考えなのかお尋ねしたいと思います。
○説明員(五味廣文君) たばこ共済につきましては、鉄道共済と異なりまして、この制度間調整法におきまして特例減額措置が講ぜられておりません。御指摘のとおりでございます。 したがいまして、本則上の適用でずっとこれが継続するわけでございます。たばこ共済の実情を申し上げますと、当初この制度間調整法を仕組んでいただきます段階で試算をいたしましたものは、対策を何ら講じないといたしますと、平成二年度から六年度の五年間の平均で年平均二百十億円の赤字が生ずると、こういう想定がなされておりました。 そこで、これにつきまして自助努力等で百七十億円を捻出し、なお足らざる四十億円につきまして制度間調整事業がこれを手当てするという、こういうことでございました。これは鉄道共済のいわゆる自助努力がもう少しできるとかできないとかいう議論ではございませんで、制度間調整法の本則の規定に従いまして成熟度調整のための計算をしてみますと、制度間調整でネットもらい額、交付額になるのは四十億円ということが出てまいりましたので、それをそのまま適用し、制度間調整で貯えない部分について自助努力が百七十億必要だと、こういう車の両輪で運営をするということになったわけでございます。 したがいまして、そういうことでございますから、制度間調整の今回の法律の見直しに当たりまして、特段たばこ共済組合に対します制度間調整事業としてのかかわりには何ら変更はございません。 また、自助努力の方でございますけれども、この百七十億円の自助努力ということは今後ともこれを継続するということにいたしております。平成二年度及び平成三年度、この対策を講じていただきました二カ年度のたばこ共済年金の決算が各年とも一億円の赤字ということで、制度間調整事業と自助努力が予定どおり行われることでほぼ収支が均衡するという状況にもなっておりますので、自助努力、制度間調整ともに特段の見直しは今回は行わないということにしております。
○横尾和伸君 今お話しの自助努力百七十億円、この自助努力の内容についてもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
○説明員(五味廣文君) 主に四つの項目からできておりまして、一つは年金給付の見直しでございます。これは平成二年度以降の新規裁定年金につきまして、いわゆる三階部分、職域年金部分、これを廃止する。それから、新規裁定年金についてみなし従前額保障、これについては適用をしない。それから、既裁定の年金につきましては、職域年金部分いわゆる三階部分についてスライドを停止する。それから、先ほど鉄道共済でも話が出ましたが、六十歳未満の退職年金支給は新規発生を原則として廃止する。これは国家公務員同様にまだ支給開始年齢引き上げの途上でございましたけれども、一気にこれを経過措置をなくしまして、六十歳というところまで引き上げる。 以上でございまして、この年金給付の見直しによる効果額がおおむね三十億円というふうに見込 まれております。 それから、保険料率の引き上げでございますが、これは国家公務員共済と同じ幅の引き上げをする。すなわち、平成元年の十月からそれまで一三・二七%でございました保険料率を一七・〇七%にする、これは鉄道共済に次ぐ高い水準でございますが、国共済と同じ水準上げてもらうということで引き上げをいたしました。この効果額が一およそ五十億円というふうに見込まれております。 それから、もう一つ大きな柱が日本たばこ産業株式会社による特別負担でございまして、これが年七十二億円でございます。いわゆる労使折半負担とは別のものといたしまして、会社負担七十二億を別途入れていただくということでございます。 その他、こういった措置を講じます結果、積立金の水準が維持されますので、何も講じなかった場合に比べまして運用収入が出てまいります。こうした運用収入などで約二十億円という効果が見込まれまして、以上で百七十億円の自助努力という、こういう形になっております。
○横尾和伸君 それでは、鉄道共済の話に戻りますけれども、特別措置法の附則において現行では、特例的な措置という位置づけでまさに特例的なるゆえにあえて平成二年度から平成四年度までと、こうなっていると思います。それに対しまして今回、「当分の間」というふうに直されるわけですけれども、先ほど「当分の間」についての御質問も既にありましたが、一元化完了までの当面の措置というお答えだけでちょっと不十分だったと思います。 重ねてお尋ねしますが、特例の意味がこの「当分の間」という改正によって薄れるのではないか、特例の意味に今回の改正についても変わりはないと思うのでありますけれども、その「当分の間」とあえてする理由をさらにお尋ねしたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 御指摘がございましたように、もともとこの被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法というのは、公的年金制度の一元化が完了するまでの間の当面の措置と、本則上もそういう位置づけでございます。そして、御紹介をしておりますような経緯を踏まえまして、さらに特例的に日本鉄道共済組合についての特例減額措置を設けて、本則上は一元化が完了するまでということになっているわけですけれども、とりあえず三年度間それでやってみたらどうかと、そして三年度やったところでこの措置全体について一元化との関連で見直しをしてその後のところを考えたらどうかというのが、この法案を提出して国会で御審議をいただいた結論であったかと思います。 その御趣旨を踏まえまして、その見直しのための懇談会を設けて今後どうするかという議論をしていただいたわけですが、その結論としては、とりあえずこの三年度間やりまして、先ほど来御報告がありますように、その制度の目的に従って効果を上げていると、基本的にはこの一元化までの当面の措置であるということを踏まえて行われておるこの措置というのは、基本的な枠組みを変えないで続けていっていいじゃないかという御指摘でございました。 この一元化完了までという抽象的な表現で、何年度ということになっていないわけですけれども、政府としてはたびたび申し上げておりますように平成七年度を目途にこの問題に取り組んでおるということでございます。いつまで延ばすかということについては、具体的な数字としては政府がそういう努力をするということで目標に掲げておりますので、残された平成五年度、六年度の数字、先ほど申し上げましたようなことで日本鉄道共済への上限措置も講じまして、数字もこの法案が通りますと政令で決めさせていただくというような段取りになっておるわけでございますけれども、その先につきましては一元化が完了するまでの措置ということでございます。 制度的には、平成七年と一元化というのが必ずしも論理的に結びついた表現になっておりませんけれども、この一元化が完了するまでという枠組みの中で「当分の間」ということにさせていただきますと、平成七年度にそれが実現をすればうまいぐあいに五年、六年の措置で済む。先ほど申し上げましたように、仮に一元化がうまくいかない、あるいは施行が先に延びるというようなことになりましても、制度的には、五年、六年ということで決めますと、その場合にはまた直ちに上限の外れた厚生年金グループ等に費用負担が相当かぶってくるような仕組みに戻ってしまいますので、そういう仕組みというのはできるだけ避けるべきだという懇談会での御要請も強くございましたので、法律上は一元化までの「当分の間」という措置をすることによって仮にそういう事態になりましても対応できるような表現にさせていただいた。 こういうことでございまして、「当分の間」とすることによってこの平成七年度までを目標にしている一元化のための検討のスケジュールを延ばすとかそういうことは一切ございませんで、既定方針どおり私どもとしては平成七年の一元化に向けて鋭意努力をさせていただいて、うまくこの特例措置と接続ができますように最大の努力をさせていただきたいと思っております。
○横尾和伸君 それでは、平成七年度というのは一元化の目途である、法律で定められている数字ではないということで、若干の前後はあるかもしれないというお話だったんですが、そのことによって「当分の間」という表現にすることは一応理解できました。 ただ、前後するということがあるということまで踏まえますと、見直しを内容とする附則六条そのものを今回の改正で削ってしまうわけですけれども、見直しは節々で必要ではないかと思うんです。つまり今の例でいきますと、七年度目標が若干ずれ込んだ場合とか状況が変わった場合には見直しが必要ではないかと思うんです。そういうことを考えると、なぜここで第六条を削除するのか、逆にこれは条文として残しておくべきではないかと思うのですが、あえてこれを削る理由を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 御指摘の附則六条の規定が、先ほど申し上げましたような国会での議論の末、修正で規定をされたわけでございますが、この特例減額措置を平成四年度までとりあえずそういうことでやってみたらどうかということで、その際には、この措置が切れる平成四年度までに事業についてしっかり見直しをした上でその先を考えるべきだということで、訓示規定として設けられたというふうに理解をいたしております。 そして、この附則六条の規定の趣旨を踏まえまして先ほど来申し上げておりますような事業の見直しを行いまして、今御審議をしていただいている法案を作成したということでございますので、国会でこの附則六条の規定が設けられた趣旨というのは、それを踏まえて私どもも対応させていただいておりますので、ここで六条の規定の役割というのは一応終わったのではないかというふうに考えております。 ただ、その一元化との関連でいろいろ措置等を検討する、そういうような事態もあり得るのではないかということは御指摘のとおりでございますし、また一元化そのものにつきましては特段規定をしていただかなくても、私どもとしては先ほど来申し上げておりますように、平成七年に向けて一元化についての議論をずっと続けていこうということでございますので、その関連につきましてはこの規定のあるなしにかかわらず十分検討をしてまいりたいと思っております。
○横尾和伸君 それでは少し角度を変えまして、先日公表されました年金財政の暫定試算、これは昨年九月の新人口推計等に基づいて行われたということですけれども、これに関連しましてお聞きしたいと思います。一つは、暫定試算によると元年推計のときよりも最終保険料率がはね上がるということになっておりますけれども、その理由を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 数字の御説明をする前に、今回公表させていただきました暫定試算につきまして若干この性格も含めまして御説明させていただきたいと思うんですが、本来年金の財政計算は、制度の内容ですとか、将来推計人口あるいは雇用構造、賃金の上昇率、あるいは年金がこれからどういうような経緯で受給権となっていくかというような要素も踏まえまして財政計画をつくる、少なくとも五年に一度は行うようにというのが法律上の要請でございます。 したがいまして、直近の財政計算は元年の制度改正のときにやらせていただきましたので、次の財政再計算は平成六年、今私どもが次の制度改正の準備をしているその内容等がかたまった時点で将来見通しを出させていただくというのが従来の経緯でございまして、また財政再計算をきちっとするということになりますと、今申し上げましたような制度内容その他もきちっと決まった段階でお示しをするというのが本来の姿でございます。 ただ、今回あえてこの時期に公表をさせていただきましたのは、今先生の御指摘がございましたように将来推計人口につきましては既に公表されましたが、この将来推計人口が出生率の低下あるいは平均寿命の伸びというようなことで、大変前回の財政計算の前提にさせていただいた将来推計人口とかなり見通しが変わってきておりますので、これから年金制度をどういうふうに仕組んでいくかというその議論をするときに、まずその内容はこれから詰めていくにしても、この人口推計がこれだけ変わったということで現時点の試算がどういうふうになるのか、その点だけでも変えて計算をしてみて、とりあえずの推計を出してほしい。それをベースにしてこれから給付なり負担なりをどういうふうにしていったらいいかということを議論したい、そういう資料は大いに公表してほしいということで、そういう御要請ももっともでございますので、今回初めての試みでございますけれども暫定試算という形で公表をさせていただいて、これをベースに年金審議会でも今後の制度改正についての御議論をいただきたい。もうそういう前提で出させていただいた数字でございます。 そういう前提で眺めていただきましても、先生御指摘のとおり、まず基礎となる将来推計人口のうち、一つは高齢化の速度が従来のものより高齢化が非常に深刻になる、例えば二十歳から六十四歳までの人口に対する六十五歳以上人口の比率は、前回の再計算のときには四三・〇%ということでございましたが、今回の推計ではさらに上がりまして四七・八%ということで、高齢者の比重がますます高まってくるということが一つございます。 それから、どれくらいの期間生きられるかという意味で平均寿命がございますが、例えば男子につきましては、将来の平成三十七年、二〇二五年の平均寿命ということで前回の推計では七十七・八七と推計をしておりましたが、これが七十八・二七、女子については八十三・八五から八十九・〇六というふうに従来の推計よりもさらに長生きをされるということがございます。 それから、何よりも大きな要素といたしまして、出生率、合計特殊出生率が前回の推計では、今一・五三というようなことが言われておりますが、この出生率が将来平成三十七年ぐらいには二・〇ぐらいには回復するであろうという見通しのもとに推計しておりましたけれども、今回の推計ではそこまでは戻らないのではないか、一・八程度ではないかということでございます。 こういった要素を主といたしまして、出生率の低下によって若年人口が減少する、一方で平均寿命の伸びによりまして高齢者人口が増大をしていくという年金制度につきましては大変厳しい状況ということで、保険料率におきましても大まかに言いまして、制度をこのままにしておいて計算をいたしますと前回の推計の一割程度負担が重くなるという数字を公表させていただいたということでございます。
○横尾和伸君 終わります。
○委員長(細谷昭雄君) お願いしますが、今後、大変質問時間が短いわけでございますので、政府委員の答弁は簡潔にお願いしたいと思います。
○勝木健司君 最初に、厚生大臣にお伺いしたいというふうに思います。 厚生大臣、国民にぬくもりのある厚生行政を推進していくということで進められておりますので、最近の人口推計、あるいは二十一世紀の超高齢化社会に向けての公的年金の給付と負担につきましての基本的な御認識を承りたいというふうに思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいまも御質問の中でこの問題が取り上げられておったわけでございますけれども、高齢化がさらに進展することを予測いたしておるわけでございます。これに基づきます年金財政の暫定試算に見られますように、将来の保険料率が一層重くなるということが見込まれておるわけでございますけれども、特にこの中で私どもは、現役世代と年金世代のバランス、さらに公平性の確保というものを図っていくことがますます重要である、このように認識をいたしておるような次第でございます。 こういった考え方に立ちまして、適切な給付、現在の給付を維持できるような体制というものを確立していきたい、このように考えているような次第でございます。また、そのためにも、厚生年金の支給開始年齢の六十歳から六十五歳への引き上げは避けて通れない問題である、このように考えているような次第でございます。
○勝木健司君 次にお伺いしますが、本法律の改正内容につきましては平成六年度までの時限的措置ではないかということで、平成七年には一元化を完了するとしますと、本法から年金制度の抜本改革へ移行されるわけでありますので、どうしてこの本則の改正をしなかったのかということ。また、この附則改正の内容でも、先ほどからありますように、「当分の間」としたのはなぜなのかということで、平成七年度以降この調整が必要な状況、平成七年度の一元化の完了が難しいのかということについて、端的に御答弁をお願いしたいというふうに思います。 〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
○政府委員(山口剛彦君) 先ほども御説明申し上げましたように、この措置自体が一元化完了までの当面の措置ということでございますし、また、今回の見直しの中でその大枠については変える必要がないのではないかということでございましたので、本則についての改正はしない、附則で「当分の間」という措置をさせていただきました。 ただ、先生御指摘のように、私ども平成七年に向けて一元化のための努力をしておりますので、それを鋭意詰めまして、この法律の精神にしております一元化が完了するという時期にこの特別の措置がうまく結びついていくように、これ大変難しい問題でございますけれども、私どもも鋭意努力をさせていただきたいと思います。
○勝木健司君 この被用者年金制度間調整事業に関する懇談会の報告書では、鉄道共済組合の決算状況を見てみますと、平成二年度は四十四億円の赤字でありましたが、三年度は百九十八億円の黒字となって、繰り上げ支給の請求が少ないとの実績から、特例減額措置の一千百五十億円を減額する方向で見直すということになっておるわけでありますけれども、今後、この繰り上げ支給の請求が増加するなどのマイナス要因が生じる可能性はないのかどうか、もし予見しがたい状況の変化のあった場合にはさらに見直しを行うお考えがあるのかどうか、お伺いをしたいというふうに思います。 〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕 それともう一点は、この制度一元化を考えていく上で、一つの制度に一本化する場合を考えますと、成熟度の進んでいる国家公務員等共済組合連合会の年金財政の状況が大変重要になってくるんじゃないかというふうに思います。国家公務員等共済組合連合会は、本来財政支援を受ける立場であるわけでありますが、本法案では交付保険者となっておらないわけでありますが、交付を受ける とすると、その額はどのくらいで、厚生年金保険等からの実質拠出はどの程度増額が予想されるのかお伺いをしたいというふうに思います。
○政府委員(山口剛彦君) 最初の点でございますが、これも先ほど御説明がございましたように、日本鉄道共済の決算が見通しよりも好転をしたというのは二つ要素がございまして、一つは国鉄改革に伴う退職者の繰り上げ減額年金の請求、これが予想を下回ったということで給付費が予想より減少したということと、六十歳定年制の実施によりまして組合員数が予定より上回ったということで保険料が増加をした、こういう経緯でございます。 懇談会におきましてもそういった状況を踏まえまして、先生御指摘のような、請求がどうなるかというような不安定な要素もあるわけでございますけれども、大体構造的にこの五、六年度というのは黒字が見込まれるんではないかという推計のもとに、今回の数字でほぼうまくいくだろうという見通しを立てております。ただ、仮に先生御指摘のような不測の事態が生じましたときには、平成三年度の黒字分百九十八億もございますし、そういった積立金等で十分これは対応ができるのではないかというふうに見込んでおります。 それから、二番目の国家公務員連合会に対する財政支援、これは本来、この法律の趣旨からいたしますと確かに交付を受ける、形式的にはそういうことになるわけでございますけれども、特にこの制度間調整の緊急に必要だというところは日本鉄道共済とたばこ共済だということで、緊急度の高い制度に集中的に、効率的にこの事業を機能するようにしたいということで、国共済につきましては交付額はゼロということでいわば我慢をしていただくということになったわけです。仮に国公共済にどれくらいの額が行くかと計算をしてみますと、約四百六十億円を交付することになります。その場合には、例えば厚生年金におきましては現在のものより三百五十億円ほど支出額がふえてくる、こんな計算になります。
○勝木健司君 昨年末の年金審議会の論点整理メモの中にもありますように、今後の超高齢化社会に向かって年金財政を安定化させていく、また保険料給付等の緩和のためにいわゆる基礎年金の国庫補助を増額すべきなどの意見も出ておったようでありますが、この基礎年金の国庫補助の増額についての厚生省の見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 年金制度におきましては給付と負担の均衡を図っていくということが極めて重要なことでございますので、この負担のあり方につきましてもいろんな角度からの検討が必要ですけれども、御指摘のように、今、年金審議会で次期改正に向かって御議論をいただいている中に、国庫負担の問題も検討項目に挙げられております。 御案内のとおり、国庫負担につきましては、基礎年金に集中をするということで、現在基礎年金の三分の一ということになっているわけですが、現在でも既にこの額は三兆円を超えております。先ほど申し上げましたような、高齢化が進むと給付改善をしていかなければならないという中で、国庫負担がかなりのスピードで上がっていくということも予想されるわけでございます。そういう中で財源をどう確保するかという大きな問題がございます。仮に、国庫負担を引き上げるべきだということになりますと、どうして将来に向かって急増していくであろう年金の国庫負担の額を賄っていくかというのが大変大きな問題であろうと思います。 これは、審議会でも御議論がございますけれども、税との関係も含めて大いに議論をしなければならない問題だということで、これからの議論でございますが、審議会でも十分御議論をいただきまして、大変重要な、しかし難しい問題でありますので、中長期的な観点に立って慎重に審議をしていただきたいと希望しております。
○勝木健司君 次に、年金に関します情報公開についてお伺いをいたしたいというふうに思います。 この公的年金制度に関する情報につきましては、国民が老後の生活設計を行う上でも、また費用負担に関する被保険者の理解を求めるという観点からも欠くことのできない基本的なものじゃないかというふうに思います。そのため、現在年金の財政再計算ごとに国民に公表している内容あるいはその時期をお伺いしたいということ、そして、この年金財政の報告が国民に知らされておるのは年金法案成立後、それも広報のための予算が十分じゃないんじゃないかということで、解説された冊子は極めて限られた部数となっているのが現状じゃないかというふうに思います。 そこで、この制度改正についての国民的な合意の形成を図るためには、やはり給付と負担の割合についての財政試算を示していくとか、あるいは国民に積極的に情報を提供して議論を行っていく場を設けていかなければいけないというふうに思うわけであります。厚生省のそれについての考え方を伺いたいわけであります。 年金に関しては有識者アンケートを行うというふうに聞いておるわけでありますけれども、私は、一般国民の声を直接聞く方法としてどのようなことを厚生省として考えられておるのかということもあわせて教えていただきたいというふうに思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先生から御指摘をいただきました点は、私どもも年金制度改正あるいはこれを運用していく場合に大変大事なことだと基本的に認識をしております。 まず財政再計算の結果でございますが、これは先ほど申し上げましたように、制度改正が内容も決まってきちっとできた段階で、きちっとした計算をして五年ごとに、これは大分大部のものになりますけれども、きちっと公表をさせていただいております。 それから、その制度改正に向けて議論をする中でも合意形成を図るための努力が必要でないかという御指摘につきましては、私どももそれに心がけておるつもりでございまして、先ほど申し上げました、今回初めて行った暫定的な数字をお示ししたということもそのことでございますし、また有識者調査も、現在対象者が二千名ほどでございますけれども、各界の方に支給開始年齢の問題や一元化の問題についてどういうふうに考えるかということでアンケートをお願いいたしております。これは有識者調査ということで表題をつけておりますけれども、一般の青年層あるいは婦人層なども含めて幅広く御意見をお伺いするということで心がけております。 それから、今後の問題といたしましても、審議会でも内容が詰まっていく過程でいろんなモデルを設けて計算をしてみたりということが必要じゃないかという御議論も大変強くございますので、できるだけそういう声にこたえるような努力をいたしまして、年金問題について広く御議論をいただくという努力は今後とも続けてまいりたいと思っております。
○勝木健司君 ぜひ、一般の国民の生の声も直接聞いていただきたいというふうに思います。 さらに、昨年九月に発表されております社会保障制度審議会の年金数理部会の第三次報告書におきましても、アメリカ、イギリス、ドイツ等において財政再計算結果の国会報告が法定されている例を踏まえて、我が国でもすべての公的年金制度について国会を含めて広く公表していく必要があるんではないかというふうにされておるわけでありますけれども、年金制度を広く国民に理解を求める上からも、国会に報告するようなそういう関係法律を改正する考えはないのかどうかお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(山口剛彦君) 御指摘の点につきましても大変大事なことであろうかと思いますが、我が国ではまだそこまで準備等も整っていないというようなこともございます。先生御指摘の諸外国の例なども参考にさせていただきまして、研究課題にさせていただきたいと思います。
○勝木健司君 次に進ませていただきたいと思い ます。 大蔵省にお伺いいたしますけれども、この自主運用の拡大についてであります。従来から大蔵省は、年金財政基盤の強化の要請は十分認識しておる、十分配慮している、また、十分財政投融資に対する需要あるいは年金財政への配慮についても、勘案して厚生省と相談をするということでありますが、この平成五年度の予算を例にとりましても、概算要求五兆五千九百億円に対しまして半分以下の二兆二千四百二十五億円に削減するなど、年金財政への配慮がどうもこの面からは感じられないわけでありますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
○説明員(中川雅治君) 今後の高齢化社会の進展に備え、公的年金の財政基盤の強化に資するため、六十二年度より年金福祉事業団が資金運用部から融資を受けましてこれを運用し、その運用益を公的年金の特別会計に納付する年金財源強化事業が開始されまして、大蔵省といたしましてもその充実に配慮してきたところでございます。また、年金の特殊性に配慮し、その前年の六十一年度から、年金財源強化事業と同様に、年金福祉事業団が資金運用部から融資を受け、その運用益を事業団の行っている被保険者住宅資金貸し付け等の事業の財源として活用できる資金確保事業が開始されているところでございます。 他方、年金積立金は財政投融資の重要な原資となっておりまして、社会資本整備、住宅対策、地域の活性化、中小企業対策といった政策的要請への対処にも大きな役割を果たしてきているわけでございます。今後とも、こうした国民のニーズに対して適切に対応していく必要があると考えております。 こうした事情の中で、財源強化事業及び資金確保事業に年金福祉事業団が従来から年金加入者のために行っている住宅貸し付け等の還元融資を加えました、いわゆる広い意味での還元融資の総額は、六十二年度以降、年金積立金増加額の約八割に達しております。 五年度について申し上げますと、財源強化事業及び資金確保事業の趣旨、目的、財政投融資に対する各般の資金需要等を勘案しつつ、予算編成過程において厚生省と十分相談いたしました結果、財源強化事業に対前年度三百五十億円増の二兆四千二百五十億円を、また資金確保事業に対前年度千五百五十億円増の一兆二千六百億円を計上いたしまして、合計三兆六千八百五十億円と、対前年度五・四%増の新規運用資金を計上したところでございます。この結果、平成五年度におけるこの二つの事業に年金福祉事業団等の還元融資を加えました広義の還元融資の総額は、年金積立金増加額の八七%にも達しておりまして、前年度の七六%からさらに大幅にその割合を高めている状況にございます。年金資金のかなりの部分は年金加入者に還元されているのが実情でございます。
○勝木健司君 もう時間がなくなりましたけれども、企業年金について、せっかく労働省にお越しいただいておりますので、大蔵省も含めてお伺いしたいというふうに思います。 今後、やはり公的年金の充実とともに、この企業年金、個人年金も含めて普及させていかなければいけないわけでありますけれども、これについて、労働省、大蔵省、厚生省も含めまして、具体的にどのような施策を講じようとされておるのかお伺いをしたい。 特に、労働省では昭和六十三年度から社外積立型退職金制度研究会を設置して、適格退職年金制度に重点を置いた高齢化社会に対応する退職金制度のあり方等について具体的な改善に向けて研究を行っておるということでありますので、もう時間も来ておりますけれども、簡単にその内容、今後の施策も含めてそれぞれお伺いをしたいというふうに思います。
○説明員(細野孝雄君) お答え申し上げます。 労働省としましては、勤労者の福祉の増進及び労働条件の確保向上の観点から退職年金の導入の機運の醸成に努めてきたところでございます。 特に平成元年度からは、退職一時金制度を有しながら退職年金制度を有しない中小企業等を対象としまして退職年金セミナーを全国で開催することにより、適格退職年金を中心とする退職年金の普及拡大を図ってきたところでございます。今後とも実施する予定にしております。 また、退職金制度の一層の普及拡大を図るため、制度上改善すべき問題点につきまして検討することを目的として昭和六十三年から社外積立型退職金制度研究会を設置しまして、中小企業が活用しやすい適格退職年金制度に重点を置きまして、勤労者が転職した場合においても年金受給が継続できるような制度等について研究を行っているところでございます。
○説明員(清水治君) 税制上の措置に関係してお答えいたします。 企業年金の関係でございますが、これにつきましては、御案内のように企業年金制度の中核といたしまして厚生年金基金制度がございます。また、広く民間におきます社外拠出方式による退職年金につきまして、税制上の取り扱いを整備するという観点から、適格退職年金制度もこれも措置されております。これらの企業年金制度につきましては、税制上の観点では事業主が拠出いたします掛金についての損金算入、あるいは従業員が負担いたします掛金についての社会保険料控除、または生命保険料控除の適用といったことによりまして配慮をさせていただいてきているところでございます。さらに、平成五年度の税制改正におきましては、退職年金の積立金につきまして特別法人税の制度がございますが、特に一定の適格退職年金につきまして特別措置を講ずることとしております。 具体的には、厚生年金基金契約の場合との均衡等を考慮いたしまして、現行の適格退職年金契約のうちで年金の実質が相当程度確保されているもの、すなわち原則として終身年金であるということ、あるいは給付の受け取りの段階で一時金の受け取りより年金で受け取ることを優遇していると、そういった一定の年金の実質が確保されております適格退職年金であって、かつ厚生年金基金制度を利用することによっては対応しがたい従業員、使用人の数が少数である事業主などに係ります適格退職年金、これを特例適格退職年金と称しておりますが、これにつきましては厚生年金基金制度を補完、代替するものといたしまして特例的に厚生年金基金の場合に準じた非課税措置を講ずることをもって、税法の方において御提案させていただいているところでございます。これらによりまして、企業年金につきましても一層の普及が図られることを期待しております。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 最後に、厚生省の方から申し上げさせていただきます。 企業年金についてのお尋ねでございますが、本格的な高齢化社会を迎えるに当たりまして、老後の所得保障というのは、言うまでもなくまず一義的に公的年金制度がその支柱としての役割を果たさなければならない、こういうことでございますが、企業年金及び個人年金は、老後生活における多様なニーズにこたえ、サラリーマンのより豊かな老後生活を保障していく上において大変重要なものである、こういう認識に立っておるわけでございます。 厚生省といたしましても、厚生年金基金につきましては、設立認可要件というものを緩和いたしまして、既に基金数が千七百でございます。それから加入者数は一千二百万人で、民間のサラリーマンの三分の一をカバーしておるわけでございますけれども、今後とも一層の普及促進に努力をしていく決意でございます。
○委員長(細谷昭雄君) 再度お願いいたします。時間が二十分ずつに限られておりますので、政府委員の答弁は手短に簡潔にお願いしたいと思います。
○西山登紀子君 まず、改正案についてですけれども、この改正案は主な面として鉄道共済年金の救済を国とJRの責任で行うのでなく、国民の連帯と相互援助にすりかえたものだと思います。一九八九年第百十六国会において成立した本法の本 質は何ら変わっておりません。私は、せめてJRの負担増などの方向が出てくるのかと思いましたけれども、据え置きということで非常に残念に思っております。まず最初にこのことを指摘して、質問に移ります。 厚生年金にかかわりまして、男女の年金格差についてお伺いいたします。 閣議決定されました生活大国五カ年計画には、「不安のない老後生活の確立」として「(高齢者の保健福祉施策の推進)」と「(年金制度の改革)」がうたわれております。年金制度の改革については、公的年金に関して、国民の老後生活を保障する主柱として必要な年金給付水準の確保を図るとしております。やはり、公的年金は不安のない老後保障の柱の一つであって大きな柱だと思います。 そこで、年金局長にお伺いしますけれども、不安のない老後に関して厚生年金の男女格差が非常に問題だと思うわけですが、九一年度、平成三年度ですね、老齢年金を受給できることになった人、新規裁定者で厚生年金の加入期間が二十年以上の男女別年金額がどうなっているか。階級別の人数と平均年金月額を教えてください。
○政府委員(佐藤隆三君) 平成三年度の新規裁定者のうち、二十年以上加入された方の平均年金月額でございますが、男子が十九万七千円、女子が十一万六千円でございます。五万円刻みの年金の月額階級別受給者数でございますが、男子で見ますと、十五万円未満が三万人、十五万円以上が十四万人、それから女子につきましては、十五万円未満が三万人、十五万円以上が八千人となっております。
○西山登紀子君 平均年金月額が男子で十九万七千円、女子で十一万六千円ということです。そうしますと、女子は男子の五八・八%の水準の年金しか支給されない、こういうことになるわけですけれども、同年度の女子の年金額階級別受給者数の比率を見てみますと、女子の場合、二十年以上厚生年金に加入して受け取ります年金額は、月額が十万円未満が四四%、十五万円以下が実に八〇%です。 そこで、女性が障害者になった場合、障害年金が支給されるわけですが、障害年金は老齢年金を基礎として算定されますから、基本的には女子は男子よりも低い障害年金しか支給されないことになるわけです。仮に、同じ程度の障害でも支給される障害年金は結果として大きく男女格差のある年金額になる、基本的にはこういうことになるわけですね。厚生省、お伺いいたします。
○政府委員(佐藤隆三君) 障害年金についてのお尋ねでございますが、平成三年度末現在で、障害厚生年金の平均年金月額は男子が十万円、女子が七万三千円ということで、女子は男子の七三%となっております。
○西山登紀子君 やはり結果としてですが、女性の障害年金というのは男性よりも低い、七三%と、こういうことになると思います。九一年度の女子の新規裁定者の四四%が月額十万円以下。その前年度の九〇年度も四四%ということだったわけです。老齢年金といいますと、生活大国五カ年計画も言いますように、老後の生活の最大の支えだと。二十年以上も民間企業で営々と働いてきた女性の年金が月わずか十万円、十万円以下が四四%、これでこの先を生きていかなければならないわけです。同じ程度の障害でも、障害年金は男女で大きな格差が起きている、これが現状なわけです。 私は、女性の年金受給者と京都で懇談をしてまいりまして、その年金生活者の実態を聞いてまいりました。七十三歳の女性の方ですが、この方は年金額が万八万円です。息子さん夫婦とは近所で別居しているわけですけれども、家賃が三万円、したがって生活費は五万円になります。日常的には、近所の息子さん夫婦の家に朝行って、掃除などのお手伝いをして、朝食をそこでいただいて、昼食は抜くというんですね。夜は自宅で食べる。銭湯にもおふろにも毎日行きたいけれども、行けない。家賃の手当てにと七十銭の内職をやって月二万円を稼いでいる、こういう方がいらっしゃいました。 また、四十一年間あるデパートに勤められて退職された女性は、現在、年金十三万円、それに加えて月四万円の企業年金なわけですけれども、男性と比較して非常に格差が高いわけです。それは、十等級まで給料表があるわけですけれども、女性は大体五、六等級どまりということで年金が低くなっているわけなんですね。 そこで、厚生大臣にお聞きしたいわけですが、こういうふうに日本の女性の年金というのは、生活大国五カ年計画が言う不安のない老後生活からはほど遠いという状況だと私は思いますけれども、大臣どうでしょうか。二十年以上も営々として働いてきた女性の決算が、これでは余りにも低いというふうにお感じになりませんでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、厚生年金の給付額は、基本的には現役時代の報酬及び加入期間に比例して定まる仕組みになっておるわけでございまして、これについて男女間の差別はないわけでございます。 厚生年金の、今先生が御指摘になっております給付額に男女の差があるということは、これはまさに現役時代の報酬及び加入期間の差の問題でありまして、私は年金制度の問題ではなくて、むしろ賃金制度のあり方ではないかと、こういうふうに考えております。 いずれにいたしましても、同じ仕事を行って、そして賃金に差があるということは極めて遺憾なことだ、このように考えておるような次第であります。
○西山登紀子君 大臣もおっしゃいましたように、給料の差が年金の差に、結果としてはそういうふうになるということなんですが、そこで、なぜこんなにも大きな格差ができるかということにつきまして、厚生省、どういうふうにお考えか、ちょっと。
○政府委員(佐藤隆三君) 男女の年金の平均額の格差でございますが、これは主に標準報酬月額の差と、それから加入年数の差によるものであると考えております。 ちなみに、平成三年度の新規裁定者のうち、二十年以上の老齢退職年金受給権者について見ますと、平均標準報酬月額、男子が二十八万五千円、女子が十七万円ということで、この十七万円というのは男子の六〇%でございます。それから平均加入期間につきましては、男子が三十四年四カ月、それから女子が二十六年四カ月で、これは男子の七七%ということでございます。
○西山登紀子君 加入年数が短い問題で言いますと、我が国の現状では、女性に育児だとか介護などの負担が大きくかかっているわけです。実態的には結婚・出産退職制などの要因もございますし、また七七年ごろまでは、結婚や出産のために退職する場合に脱退手当金を支給する制度があって、加入期間の資格を失った女性も非常に多いわけです。加入期間の短い問題を一つとりましても、やはり社会的な要因が背景にあると思いますけれども、年金の主要な男女格差が生じる原因というのは、給与や賃金の格差だと思うわけです。 そこで、社会保険庁からいただきました厚生年金の標準報酬月額の平均を見てみますと、女子の標準報酬は一九八九年度で男子の五六・三%、九〇年度で五六・九%、九一年度で五七・七%、九二年度の一月から三月期も五七・七%という、こういう状況になっているわけです。九一年度の厚生年金、女子の全加入者のうち、標準報酬月額が二十万円を境にして、それ以上の者は二七・二八%。逆に言いますと、二十万円以下の者が七二・七二%も占める現状なわけです。ですから、これでは年金に大きな男女格差が生ずる、女性の年金が低くなるということも当然なわけです。 そこで、先ほどもお伺いいたしましたけれども、女子の標準報酬月額が非常に低いという問題がこういう男女の年金格差を生んでいる、そういうことではないかと思います。繰り返しお伺いいたします。
○政府委員(佐藤隆三君) 先ほども申し上げまし たように、標準報酬月額の差というものが年金額の男女差の主な要因の一つであると考えております。
○西山登紀子君 そこで、大臣に要望したいわけですが、いろんな角度から検討してまいりましたけれども、男女の年金格差があって、しかも非常に現状では大きな格差があります。女性の年金額が低くて、安心した老後の生活が十分できない、こういう現状があります。その大きな要因に賃金の男女格差がある、こういうことがおわかりいただけたと思うわけですけれども、これはやはり政策的、政治的に是正の努力を要する課題ではないでしょうか。生活大国五カ年計画に言う不安のない老後、女性が不安のない老後を送るためにも、厚生大臣、ひとつ御努力いただけませんでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどもずっとお話を申し上げたわけでございますけれども、今先生からも御指摘がございましたように、厚生年金の年金額に男女の差があるということは、まさに年金制度の問題ではなくていわゆる賃金の問題であります。ですから、私がこの問題について直接言及することはいかがかなと、こう思っておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、同じ仕事をして同じ能力のある人間が、男女がゆえに差別されるということは全くの不平等でございますので、機会がございましたならば、いわゆる経営者団体であるとかこういうようなときに、私の私見として述べることについてはやぶさかではありません。
○西山登紀子君 年金の制度の問題ではなくて賃金の問題だと、こうおっしゃったわけですが、やはり結果としては女性が十分な年金を受けることができない、こういうことが現状ですから、年金の担当大臣の立場からも、経営者団体だけではなくて、閣内でも問題を提起していただきたい、そして特に格段の努力を厚生大臣に行っていただきますように再度お願いしたいんですけれども、どうですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 貴重な御意見として承っておきます。
○西山登紀子君 この問題は、やはり女性の自立、そして女性が社会的に進出をしていくという上からも、これからの大きな問題だと思います。女性の労働者は確実に増加していくわけですから、結果として女性の年金受給者というのは当然ふえていくということになります。大きな格差を残したまま、しかも低い年金額、こういうものを残したままでは、将来、日本の女性政策ということについては非常に問題なのではないかというふうに思っております。政策的な解決が今後求められている課題ではないかと思いますので、やはり厚生大臣の努力をぜひ要望しておきたいと思います。 最後に、労働省来ていただいていると思いますので、お伺いいたします。 男子一〇〇に対して女子は、我が国の男女間賃金格差は五七・五%ということで、先ほど来言っておりますように、当然社会保険庁の標準報酬月額の男女間格差と対応しているわけです。我が国の賃金の男女間格差は、フランスの八一・八%、旧西ドイツの七三・二%、オーストラリアの八八・一%、デンマークの八二・六%など、西欧の先進国と比べまして格差が大きいということはよく言われていることです。しかも、この格差が年金格差の大きな要因であるということですね。 男女間のこの格差、あるいは差別的な取り扱いを反映して、各地方の婦人少年室に相談がある事案も非常に多いというふうに聞いております。こういう実態を是正するために労働省はぜひ本気になってそういう問題を御検討いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○説明員(岩田喜美枝君) お答えいたします。 男女間賃金格差には二つの側面があると思います。一つには、男女が同じ仕事につき、賃金決定要因である条件のすべてが同じであるにもかかわらず、女子であるというだけの理由で賃金に差別的な取り扱いを受けるという、こういう側面でございますが、これにつきましては労働基準法で男女同一労働同一賃金が規定されておりまして、これに基づきまして監督指導を従前から行っているところでございます。 賃金格差のもう一つの側面は、そもそも男女が同じ仕事についていない、あるいは賃金決定の主要な要因であります年齢あるいは勤続年数、学歴、こういうものが男女でその構成が違っているということから、結果といたしまして男子の平均賃金と女子の平均賃金に差が出ているという、こういう面もあるわけでございます。この後者の賃金格差の是正につきましては、女子についても男性と同じように責任のある仕事につけるような機会を得る、あるいは昇進昇格する機会が得られるように、男女雇用機会均等法に基づきまして指導をしているところでございます。 また、特に勤続年数が男性と比べて女性は短いということも、我が国の場合には賃金格差の大きな要因の一つになっているところでございます。これにつきましては、家庭生活との両立が難しいということで継続就業をあきらめないといけないという方もおられるということは事実でございますから、本年度から法律に基づきまして育児休業法の定着を図っておりますし、またガイドラインに基づいた介護休業制度の普及なども行っているところでございまして、こういった家庭生活との両立支援対策も結果として女性の勤続を延ばし、男女間の賃金格差を是正する方向に寄与するものと期待しておるところでございます。
○西山登紀子君 やはり現実の労働形態というのが将来の女性の年金の格差に非常に影響をしていくということも念頭に置いていただきまして、努力をお願いして、終わります。
○粟森喬君 幾つかのことをお尋ね申し上げたいと思います。 まず最初に、三年前にこの法律がつくられたときに、私どもは、この法律の趣旨の中で各年金、いわゆる支援をするあり方の中で公費の負担をふやすべきだ、こういうことをかなり強調してきたと思うのでございます。ところが、この法律の性格は、国庫負担というのは制度間調整の事務の執行にかかわる問題の費用だけを負担するということで、本来的に今の被用者年金制度で救済をする国鉄であるとかたばこに対する公費負担というのはないわけでございます。 今回の法律で私どもが期待をしていたのは、この部分の改正をするのか、こういうふうに思っていたところ、とにかくそれぞれ負担をしていただいたところの分を減額して、とりあえず二年間これでやる、こういうことでございます。このようなやり方については極めて残念でございますが、多少暫定的、二年間ということで私どもも何とか認めざるを得ないかと思いますが、その前提に立つとしても幾つかの問題点がございますので、まずお尋ねを申し上げたいと思います。 一つは、そのときもそうでございましたが、国庫負担をやらないという前提でございますから、それぞれの年金の拠出の側からできるだけ負担を減らしたいという立場で意見が出されました。出せば出すほどその分が、いわゆる旧国鉄の自助努力という中身で負担がふえ、そこにしわ寄せがいく、こういう相関関係になっていたんではないかと思います。 今回、私は、それぞれ減額をされたということについて、量と質もいわゆる自助努力の部分に対して、一つは保険料の問題を含めそのことを論議として、政府は何らここは手はつけずに、とにかく減額することだけで済ませたという、その理由についていま一度お尋ねをしたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 年金制度に対する国庫負担の考え方につきましては、私どもといたしましては、六十年改正のときに基礎年金に集中をするという考え方がいいのではないかということで、いわゆる二階部分につきましては労使の間でやっていただくということで、今回の問題も基本的にはこの二階部分の問題でございますので、先生とは見解を異にするかもしれませんが、国庫負担でこの問題を考えるというのは、特段のまたあ れがあれば別ですけれども、基本的には私どもは考えていないということが一点ございます。 それから、今回要対策額が百八十億ほど減になったわけですけれども、これにつきましては関係者も自助努力というのを精いっぱいやっていただいた上でこの制度が成り立っておるんだということで、従来の千八百五十億という自助努力は続けるべきである。その要対策額の減少分については支援をする側の負担を下げるという方向で考えるべきだということで、それはこの制度の性格からいっても納得のできる方向ではないかと私どもは考えております。
○粟森喬君 厚生大臣にこの際お尋ねをしておきたいと思います。 今のところに関係するんですが、いわゆる旧国鉄の人たちが、現役の人たちが厚生年金より高い保険料率を払っている。政府の立場、厚生省の立場というのは厚生年金をあくまでも基準として考えるとするならば、いわゆる閣法として決めた法律でございますが、今局長も言われたように、自助努力は当然すべきだと言うけれども、この部分が高くていいという合理的な理由というのをきちんと持っておられてこの法律を提案されたのかどうか、高いことについてやむなしとした理由は何なのか明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) まず、私からですけれども、日本鉄道共済の保険料が高いということでございますけれども、もともと年金については各制度で負担と給付については均衡がとれているというのが原則でございますので、国鉄共済の給付の見通しがこういうことであれば、それを保険料で負担をしていただくということであろうかと思います。国鉄は、それだけでは三千億円あるいは二千八百二十億円の赤字が出てしまうということで各制度から支援をしてもらって、そのもらった上で一九・〇一の保険料で辛うじて済んでいるということでございますので、もしこの支援がなければ年金制度としては保険料なり事業主負担なりでつじつまを合わせていただかなければならない、そういう性格のものだと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の法律でございますけれども、いわば平成七年の一元化に向けての暫定的な措置としてお願いをいたしておるわけでございますが、今回の法案も五年度、六年度の暫定措置として、鉄道共済に対しましてはいわゆる厚生年金などから九百七十億円の支援をしておると、こういうことであります。 今、先生が保険料率が高いじゃないかという御指摘でございますけれども、今申し上げましたような経緯であるとか、それから制度間調整を創設した際にも、平成元年に国会の修正によって鉄道共済の自助努力を増額して決定したというような経過もあるわけでございますので、私どもといたしましては、今回も引き続き鉄道共済に対しまして自助努力をお願いしたいと、このように考えているような次第でございます。
○粟森喬君 私は、負担の原則で今回減額したわけでしょう。それが、三年前に決めたときも自助努力ではね返って減額する財源が、現実にこれあったから減額したんですね。そのときに全くこの鉄道共済の側の負担を減らさないで、ここだけ減らしたというのは問題です。いわゆるそれぞれ自助努力をしている側から見れば、自分たちが努力をすれば仕方ないという立場で意見を言っているわけでございますが、いまひとつこの辺のところは因果関係を含めてやっぱり問題を残している大きなところだと思います。 といいますのは、旧国鉄というのは、いわゆる分割と民営を両方やったわけでございますが、現行のJR各社の定員を見ても、その定員がかなり変わっていると、現在人員が。それを自助努力ができないからやったのでございますが、やっぱりこの部分について何らかの、いわゆる年金の一元化がならないときどうするのかという問題もありますが、二階建ではもう皆さんのところでやってくれということだけで果たして問題が進むのかどうかということになると、やっぱりここは問題が私は残っているところだと思います。私流に言えば、百八十億円減ったからというだけではなく、やはりこの部分に対していまひとつ私はやってほしかったというふうに思います。 したがって、これからの問題を申し上げるわけでございますが、特例減額をするということで二年後に、今の政府の答弁は年金の一元化ということとの間でつないでいくと言うけれども、私はそのことの見通しを含めていろんな問題があると思うんです。これからの問題で言うならば、いわゆる自助努力をしている側にも配慮した対応というのを、私は年金がなかったときまた法律が二年後ですから出てくるんでしょう、出てくるはずでございますから、そういう部分を十分考えていただきたいということをここで思っているわけでございますが、そこはいかがでございますか。
○政府委員(山口剛彦君) 国鉄共済がこういう事態になったことについては、先生御指摘のような事情もあるわけでございます。しかし、その問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、一元化のときに、年金制度全体の長期的な安定を図っていくという観点から今御指摘のような問題にどう対応していくかという課題であろうかと思います。それまでの当分の間とこの懇談会でも言っておりますように、日本鉄道共済の給付の見直しとか保険料の大幅な引き上げなどの措置は、長期的に維持することは好ましくないという御指摘もいただいておりますので、この点については今申し上げました大きな一元化の課題の中で検討をさせていただくべき問題だと思っております。 当面のこの二年間、要対策額が減ったという点については支援をする側の軽減に充てるというのは、関係者の合意でもあったわけですけれども、私どもとしてもそれはもっともだなという感じを持っております。
○粟森喬君 終わります。
○委員長(細谷昭雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法め一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。 今回の改正は、一九九〇年度から一九九二年度までの間の措置とされている日本鉄道共済組合に係る調整交付金及び調整拠出金の特例減額措置を当分の間の措置とするもので、厚生年金等の拠出額を少し減らすだけです。鉄道共済年金の救済を国とJR各社の責任で行うのではなく、国民の連帯と相互援助にすりかえ、厚生年金等の労働者に負担を押しつけるものであるという法案の本質は変わりません。 日本鉄道共済の財政破綻は、国鉄が戦前、戦中の国策で、五十八万人にも及ぶ大量の新規採用を行い、戦後の混乱期にも大量採用を続け、一転して臨調答申に基づく大量人減らし、合理化を行った結果であり、その責任は国とJR当局にあることは明らかであります。 JR全体の利益は、一九八七年度千五百三十八億円でしたが、一九九一年度には総経常利益は三千六十六億円に伸ばしています。にもかかわらず、本改正では国とJR各社負担はそのまま据え置きというのでは、国民の信頼を得られるものではありません。 一九九五年度に予定されている被用者年金一元化は、厚生年金に負担を押しつけ、給付を低位平準化するものであってはなりません。 年金制度について、政府は場当たり的な改正を重ねる今のやり方を改めて、最低保障年金を基礎にする制度確立のため、抜本的に再検討すべきであるということを強く主張して、反対討論を終わります。
○委員長(細谷昭雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(細谷昭雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
○菅野壽君 私は、ただいま可決されました被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、民主改革連合各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 以下、案文を朗読いたします。 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案 に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。 一、日本鉄道共済組合の受給者及び組合員に関わる措置については、次期財政再計算及 び公的年金一元化の検討の際に、日本鉄道共済年金に係る全体の自助努力等との関連に おいて、見直しを検討すること。 二、公的年金に対する国民の理解を得るとともに、年金財政の長期的安定を図るため、 的確な情報を広く公開するための報告書の作成等を検討すること。また、各年金制度の 現状及び年金財政の将来展望に関する一元的調査の権限を有する機構の設置につき、検 討すること。 三、平成七年を目途としている公的年金一元化の全体像を可及的速やかに明らかにする とともに、併せて被用者年金各制度の関係者及び学識経験者から構成される審議の場を 設けること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(細谷昭雄君) ただいま菅野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(細谷昭雄君) 多数と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
○委員長(細谷昭雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。 午後零時四十五分休憩 ―――――・――――― 午後二時一分開会
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。 国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○今井澄君 今井澄でございます。 これから、国民健康保険法の一部を改正する法律案について質疑を行わせていただきます。 まず最初に大臣にお伺いしたいのですが、本改正案は昨年の秋の段階ではまだ全く話題にも上っていなかったと思うわけでございますが、平成五年度の予算作成の段階も押し迫ってから急激に浮上してきて、二月十九日の三大臣折衝でほぼ確定されたと聞いております。その経緯、理由について御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の制度改正は、国の厳しい財政状況を背景にいたしまして予算編成の過程で浮上してきたことは事実でございます。 しかし、今回の措置は極めて厳しい国保財政の現状などを十分に考慮いたしまして、例えば財政安定化支援事業を一千億円から二百五十億円増額いたしまして一千二百五十億円として国保財政の安定化を図ったり、あるいは大変大きな問題となっております市町村の間の保険料の格差、最高七倍まであると言われておるわけでございますが、こういった格差の是正、つまり保険料負担の平準化などを図るために当面緊急に必要な措置を講ずるものとして、単なる予算編成上の財源対策でないということは十分に御理解を賜りたいと思っております。
○今井澄君 さて、それに関連いたしまして今回の趣旨説明にもございましたが、その第一の問題は国民健康保険財政安定化支援事業の制度化ということだと思います。これにつきましては、いただきました書類の中に附則として十二項目めをつけ加えるということであります。市町村の一般会計から国保特別会計に繰り入れることができるというふうな条文をつくっての制度化だろうと思いますが、この制度化の目的は何でしょうか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) お答えいたします。 お尋ねの安定化支援事業でございますが、この事業は、市町村一般会計からの繰り入れによりまして、低所得の被保険者の方々が多いことなど、いわゆる保険者の責めに帰することができない特別の事由により生じている保険者間の保険料負担の格差を是正するとともに、国保財政の安定化に資するというようなことでございまして、地方財政計画上の措置といたしまして交付税財源を用いてこれは平成四年度から行われているものでございます。 今回の制度改正は、この国保事業に対する一般会計からの財政支援が円滑かつ適切に行われるようにするために、国民健康保険事業に対する市町村一般会計からの繰り入れにつきまして法律上の根拠規定を設けまして、この国保財政安定化支援事業を国民健康保険法上の制度とする、こういうような趣旨でございます。
○今井澄君 私も、この財政措置が一千億から一千二百五十億に増額ということやこの制度化ということは、大変賛成でございまして、前向きで大変いいことではないかと思っているわけです。本文の第七十二条の二には、これはもちろん当然のことながら「特別会計に繰り入れなければならない。」という、こういう文言があるわけですが、今度の制度化の附則十二項の最後は「繰り入れることができる。」となっているわけです。この「できる。」ということと「繰り入れなければならない。」あるいは繰り入れてほしいという、その辺の制度上あるいは厚生省としての御指導の考え方をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 国保財政の安定化等を図るという本措置の趣旨にかんがみまして、必要かつ適切な繰り入れが行われるということが望ましいわけでございます。 現在、国保におきましては、国と地方の役割分担あるいは費用負担のあり方等、国保制度の基本問題について医療保険審議会でいろいろと御論議を行っているような状況があるということが一つと、今回の措置は暫定措置として実施するというような、そういった医療保険審議会の審議を一方で見ながら、平成五年度、六年度の暫定措置とするというようなことから繰り入れを義務づけることはしないこととしたところでございますけれども、私どもとしては、当然そういった国保の状況 から繰り入れが行われるものと確信している次第でございます。
○今井澄君 そうしますと、これは一般財源で一千二百五十億が措置されるわけでございますが、その措置された側で、今度は市町村の側が国保特別会計に繰り入れるという保証を厚生省としてはどのように考えておられるのか。また、もし措置されていながら繰り入れない場合にはそのお金は一体どこへ行くんだろうか、使われるんだろうかということについてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 私どもといたしましては、こういった制度の創設の趣旨にかんがみまして、各保険者におきまして国保財政安定化支援事業の制度化の趣旨に沿いまして、円滑かつ適切な繰り入れがなされるものと確信しているわけでございまして、そういった趣旨から各保険者に対しましてそういった指導に努めてまいりたい、かように考えております。
○今井澄君 そうしますと、後ほどまた繰り入れていない市町村のことをお尋ねしたいと思いますが、繰り入れていないところで当然繰り入れるべきところは繰り入れなさいという趣旨の通知なりなんなりをお出しになる御予定でしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) そういった制度が成立いたしましたならば、そういった趣旨に沿って十分指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○今井澄君 ぜひ、厚生省の御趣旨が行き渡るようにしていただきたいと思います。 ところで、現在、一般会計から国保特別会計に繰り入れていない市町村は一体どのぐらいあるんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) まず状況を申し上げますと、平成三年度における市町村国保の一般会計からの繰り入れ状況でございますが、これは保険基盤安定負担金などの法律に基づくものを除きまして申し上げますと、三千二百五十八保険者中千九百三十七保険者、約六割が繰り入れを行っているところでございます。繰り入れを行っていない保険者は千三百二十一保険者となっております。
○今井澄君 これは保険料の平準化措置という、平準化というその目的に沿った繰り入れだと思いますが、この繰り入れていない市町村が千三百二十一あるということですが、ここは保険料が高くない、保険者の負担がそう高くないところなんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 繰り入れにつきましてはそれぞれその市町村国保の実情ということでございますので、御指摘のようなお話もあろうかと思いますけれども、医療費の状況とかあるいは財政の状況等々、市町村の事情によって繰り入れを行っていく、あるいは繰り入れを行わない、そういった状況にあろうかと思います。
○今井澄君 実は、私の隣におられます栗原委員の方から具体的に御質問した方が本当はよろしいかと思いますが、私から質問を申し上げます。 この保険料の地域格差につきまして、先ほども局長さんのお答えにありましたように、最高と最低で七倍の違いがある。その例として、平成二年度については、最高のところは広島県の本郷町であって九万五百円ということが資料に示されておりますが、お聞きしてみますと、この本郷町というところは全く繰り入れをしていないようであります。そうしますと、本来の趣旨からしまして、保険者の負担を軽くするためにこの繰り入れという制度があるのに繰り入れていない、それで保険者には非常に高い保険料が賦課されている、こういうことについて厚生省としてはどのようにお考えになりますでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 本来のあるべき姿からいいますと、この国民健康保険の保険料負担が各保険者でできるだけ等しいといいましょうか、水準が合っているということが望ましいと思うんです。ただ、先ほど申し上げましたように、保険料なりあるいは繰り入れの状況というのは、医療費の状況なりそれぞれの市町村の状況に応じてそういう状況になっているわけでございますので、私どもとしては、強制的なことはできませんけれども、そういったできるだけ平準化が行われるようにということを指導してまいりたい。また大臣も申し上げましたように、今回の法改正、制度改正によりまして、そういった平準化にも資するものだと、こういうふうに考えているわけでございます。
○今井澄君 これは余分なことかもしれませんが、お聞きしますと、一切繰り入れをもらわないで健全に国保を経営しているということで当該町はさるところから表彰されたそうですが、それはそれとして一つの考え方かもしれませんが、しかし給付と負担の公平、保険料の平準化、格差の是正ということを考えますと、私としては必ずしも好ましいことではないのかと思いますので、今後とも厚生省のそういうことについての御指導をお願いしていきたいと思います。 さて、先ほどお答えいただきました繰り入れている市町村は千九百三十七ということでございますが、この繰り入れにも、保険料の平準化のための繰り入れもございましょうし、そのほかにもいろいろな繰り入れがあると思うんですが、この約二千のうちで保険料の平準化のための繰り入れを行っているところはどのぐらいになりますでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) お答え申し上げます。 直ちに平準化ということになるかどうかということはあろうかと思うんですが、市町村がどういう理由で繰り入れを行っているのか、その一般会計繰り入れの状況を事由別に申し上げますと、大別しますと、保険料の賦課総額を減額する、少なくするということ、あるいは累積赤字補てんなどいわゆる保険料の軽減のためというのが一つあるわけでございます。これがこの総額の二千九百二十三億の中の千五百億を占めているということでございます。そのほかに、地方単独の公費負担医療等による医療費の波及増補てんのためとか、あるいは保健施設や直診の施設の運営費に充てるためとか、そういったものがございますが、お尋ねの件は、先ほど申し上げた保険料負担の軽減のためというのが大きな一つの要素になっているのではなかろうか、かように思っております。
○今井澄君 今お答えいただきました中に数字がございましたが、そうしますと、この二千近くの市町村が国保特別会計に繰り入れている金額は二千九百二十三億円、約三千億近くというふうに理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 総額はそのとおりでございます。
○今井澄君 ところで、その保険料の平準化の問題でございますが、一番高いのが先ほども申し上げました本郷町の九万五百円、それから一番低いのが鹿児島県の十島村の一万二千九百円ですか、七倍の差があるということですが、これは全国平均あるいはその分布でどんな状況になっているんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) お尋ねの分布状況でございますが、平成二年度におきます一人当たりの保険料の分布を都道府県別に見ますと、最も高いのは富山県で七万八千七百円、最も低いのが沖縄県で三万五千九百円というふうなこととなっておりまして、最高と最低の格差は二・三倍になっております。 先ほど来お話があるように、市町村で見ますと広島県の本郷町が最高、低いのは鹿児島県の十島村ということで、最高の本郷町では九万五百円、鹿児島県の十島村、一番低いところでは一万二千九百円というような状況で、最高と最低の格差は七倍というようなこととなっております。
○今井澄君 ところで、保険税あるいは保険料の賦課は応能割と応益割ということになっておりますし、またそれをさらに細分して四万式、三万式、二万式あるようでございますが、その応能割と応益割とは大体半々なんでしょうか。市町村によってどのような徴収の仕方をしているのか、その辺をお教えいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 応益割合が五〇%以 上である保険者は、平成二年度で見ますと三千二百六十二の市町村国保のうちの五百六十二保険者で、全体の一七%ということになっております。また、応益割合が五〇%未満という保険者が二千七百ということで、全体の八三%。応益、応能の構成割合がほぼフィフティー・フィフティーに該当する保険者といたしまして、応益割合が四五%以上五五%未満というようなところで保険者を見ますと、その数は約九百七十一保険者ということで三〇%程度、こういうことになっておりまして、全国平均で言えば、応益割合が三五・六、応能割合が六四・四、こういうふうな状況でございます。
○今井澄君 それからもう一つ、この国保安定化支援事業の制度化に関しましては、病床数が特に多いということで医療費が多い、そういう影響を受けているところへの繰り入れをするということなわけですが、この病床数が特に多い、全国平均の一・二倍以上ということですが、これはどのくらいの市町村保険者があるのでしょうか。また、その分布は、日本の中に散らばっているのか、それともどこか一定の地域に集中しているのか、その辺をお聞かせいただきたい。
○政府委員(古川貞二郎君) 平成四年度におきましてこの対象となった保険者数は、全市町村国保の三千二百五十八のうちの六百十六保険者、約一九%に相当いたすわけでございまして、平成四年度の本事業の総額は一千億でございましたが、このうちの二百八十五億円がこの病床の関係で措置されている、こういうふうに承知しております。 なお、地域別の内訳ということでございますけれども、概して申し上げますと、主に高医療費地域の保険者が多いということで、例えば北海道、これは二百十二保険者中百三十四保険者が該当するということ、それから福岡県が九十六保険者中六十一保険者、大阪府が四十四保険者中十保険者、高知県が五十三保険者中二十六保険者、さらに徳島県が五十保険者中二十九、そういう状況になってございます。
○今井澄君 そうしますと、今のお答えの中にも、平成四年度ですか、その一千億のうちの二百八十五億円が病床が特に多い地域へということになりますと、残りの七百十五億は低所得者が多いという理由で一般会計から国保特会へ繰り入れられているんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) そのとおりでございます。
○今井澄君 先ほどお聞きしますと、二千九百二十三億円が繰り入れられているというお話でしたし、今平成四年度の一千億の内訳がわかったわけでございますが、平成四年度の一千億、そして今度の平成五年度は二百五十億増額するというこの根拠を、足してもまだ二千九百二十三億にははるかに及ばないわけでございますが、その辺について理由あるいは目的、お考えを御説明いただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) お答え申し上げます。 国保の安定支援、国保の財政の安定に資するとか、あるいは保険料負担の格差の是正に、つまり平準化に資するというようなことからいえば、多々ますます非ずというようなことかと思うのでございますけれども、平成四年に一千億、それから今度は制度化によりまして関係省庁等の御協力も得まして二百五十億を増額したということでございまして、私どもとしては、こういう厳しい全体的な財政状況の中で御協力いただき対応ができたものと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○今井澄君 これはいわゆる地方交付税としての一般地方財政措置だと思うんですが、そうしますと、不交付団体でこの対象になる繰り入れをせざるを得ない保険者も随分あると思うんですが、それに対してはどういうふうに考えておられるんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 具体的には、交付団体につきましては地方交付税上の特例加算を行う。それから、不交付団体につきましては調整債によって対応するというような措置がとられるものと考えております。
○今井澄君 額はどのくらいが適当かということは、これなかなか決めがたいことだと思うんですが、これだけの額を出して平準化を図るわけですが、その平準化の目標をどういうところに置いて今まで進めてこられたのか、またこれから進められるのか。 例えば、先ほどのお話のように都道府県での最高と最低の格差が二・三倍、市町村になると今度は七倍という格差があるわけですね。そういうことについて平準化の目標をどう考えて進めておられるのか。また、平準化策としてこういうふうに一般財源として措置をされるのはわかるわけですが、先ほども指摘いたしましたように、非常に保険料が高いのに一般会計から繰り入れていない、そういう保険者もあるという現状の中で、では具体的にその平準化策をどのように進めていこうとしておられるのか。その辺をまとめてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 保険料負担の平準化というのは、私ども保険者間の保険料負担の格差の是正を通じまして負担の公平を図っていこう、こういう趣旨でございます。こういったところにねらいがあるわけでございます。保険料負担の水準というのは、基本的には私どもその市町村の医療費の水準によって決まるのではないか。まあほかにもいろいろ要因はありますが、基本的にはそういった市町村の医療費の水準によって定まるものであろう、こう考えておるわけでございまして、医療費の地域間格差というものは保険料負担の格差の大きな要因となっている。こういったことから、私どもといたしましてはこれまでも高医療費地域における医療費安定化対策の推進を図ること等によりまして、医療費の地域格差是正に努めてきたというのが一つあるわけでございます。 それからまた、先ほどちょっと申し上げましたが、応能の関係が全国平均で見ると六四・四というふうに現行の大勢は応能割に非常に偏っているわけでございますが、こういった保険料賦課が中間所得層に非常に重い保険料負担となっている。つまり、高いところと低いところの真ん中あたりに非常にしわ寄せが来ているというような状況がございますので、応益保険料と応能保険料の割合を均衡させまして、受益と所得に応じた公平な負担を実現できるよう、そういったことが非常に私どもとしては望ましいわけでございますので、保険料算定に関する標準算定マニュアルを作成し、これに基づいた適正賦課の指導を行うなどさまざまな努力を重ねているところでございます。 さらに、今回の制度改正におきまして、地方の実情に応じた地方財源による国保財政の支援措置が制度化されること、それからもう一つは賦課限度額の引き上げをする、こういうふうなこと等によりまして保険料の地域間格差の縮小とか、あるいは中間所得層に非常に偏っていた負担の緩和が図られるというようなことから保険料負担の平準化に資するものと考えておるわけでございます。 ただ、これは制度的な非常に基本的な根本的な議論でもございます。いずれにしましても、この保険料負担の平準化の問題というのは、私ども国保制度の基本にかかわる問題だというふうに考えておるわけでございまして、現在医療保険審議会で国保制度を含めました医療保険全体についての改革の御論議をお願いしているところでございますが、こういった医療保険審議会における制度全体の見直しを進めていく中で引き続き検討していく問題であろう、かように考えているわけでございます。
○今井澄君 医療費の地域格差の問題につきましては、また後ほどちょっと触れたいと思いますが、とりあえず被保険者の保険料負担を平準化する、軽減する、あるいは全国的に高いところについてはこれを低くしていくということは、これはどうしても大事なことだと思いますし、そのためにこの制度化というのは非常に大きな意味を持つと思いますので、ぜひその趣旨に沿って保険者、市町村の御指導をお願いしたいと思います。 次に移りたいと思いますが、次は保険基盤安定制度の方の問題ですが、これが今回の予算編成上やむを得ざる事情があってということで、定率から定額へという項目です。まずここで、保険料の軽減世帯の問題についてちょっとお尋ねいたしますが、六割軽減あるいは四割軽減というのは現在とのぐらいあるのか、またそれが保険者によってかなり違いがあるのかないのか、その辺をお尋ねいたします。
○政府委員(古川貞二郎君) お答え申し上げます。 平成三年度におきます保険料ないしは保険税の軽減対象世帯総数の全世帯数に占める割合を申し上げますと、市町村国保全体で六割軽減世帯が二〇・八二%、二〇・八%、それから四割軽減世帯が三・六六、まあ三・七%と、こういう状況でございまして、計で申し上げますと二四・四八、大体二四・五%というような状況でございます。 それから、保険料軽減対象世帯数の市町村における差異があるのかどうかというようなお尋ねが二点目でございますが、保険料軽減世帯数が全加入世帯数に占める割合、つまり軽減世帯割合を見ますと、やっぱり保険者によりましてかなりばらつきがあるということが指摘されるわけでございます。申し上げますと、軽減世帯割合が二〇%未満というのが六百六十保険者、大体二〇・三%、それから二〇%以上二五%未満というのが六百五十一保険者で、これは二〇%、それから軽減世帯の割合が二五%以上というのが千九百四十二保険者で、五九・七%というふうになっておるわけでございます。そういった状況でございます。
○今井澄君 軽減されているものが二五%以上が六割の保険者ということになるわけですが、この保険者はやっぱり比較的規模の小さい町村とか、高齢化の進んでいるところに多いのでしょうか、その辺はどうなんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) ちょっと例を申し上げますと、先ほど市町村国保全体で軽減世帯割合が二五%というふうに申し上げたわけでございますが、保険者ごとの軽減世帯該当割合を見ますと、二五%を超える保険者が全体の六割と申し上げたわけですが、やはり相対的に見て御指摘のように、保険者規模の小さい保険者の方が軽減該当世帯割合が大きいということがうかがえるわけでございます。 ちなみに、個別保険者ごとの軽減世帯割合を見ますと、最大で八一・一四%となっておりますが、これは沖縄県の与那国町でございます。都道府県で見ますと最高が四六・六二ということで、沖縄県ということになっているわけでございます。
○今井澄君 それで、やはりこの国保の抱えている構造的な問題は低所得層が多いということ、これが大変な問題であるわけですけれども、したがって、ここで六割、四割の軽減世帯というものも規定されていると思いますが、やはりかなり数が多いということ、しかも弱小町村に多いわけです。この今の六割と四割という二段階の軽減方法ですが、これは今後何らか改善あるいは改革、変えていくお考えはないのか。ということは、やはり六割でもまだ苦しい、もっと軽減してほしいという世帯が当然あると思いますので、例えば八割軽減とか、まあまるっきり免除するということがこの趣旨に沿うのかどうかわかりませんが、そういうことをいかがお考えでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 国民健康保険制度も御案内のとおり社会保険制度であるわけでございますから、社会保険制度である以上、被保険者には一定の保険料負担が求められるということが基本である、私どもこういうふうに考えているわけでございます。 しかしながら、国保制度におきましては、高齢の方々とか低所得の方々が非常に多いというようなことも事実でございまして、国民健康保険制度の保険料というのは受益に応じて賦課される応益割と負担能力に応じて賦課される応能割という二つの部分から構成することといたしまして、しかもこの応益割の部分につきましては、ただいまも御質問のありますような低所得者に対する保険料の軽減制度を設けているということでございます。 軽減の基準につきましては、所得に応じまして六割軽減と四割軽減の二種類ということでございまして、御指摘のように、国保の被保険者の中にはさまざまな所得階層の方々がおられることは当然御指摘のとおりでございますけれども、私どもは、ただいま申し上げているような、基本的にはこの社会保険制度としての問題等々の要請からすれば現在の六割、四割の軽減基準というのは適当なものではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。 ただ、この軽減制度の問題というのは、基本的には保険料の公平な賦課という観点から保険料負担の平準化の問題と非常に大きなかかわり合いを持っているものでございます。先ほど来申し上げておりますように、今後こういった問題につきまして、医療保険審議会における制度全体の見直しの議論を進める中で保険料負担平準化の問題との関連に留意しつつ、必要に応じた検討を行っていく必要があるものと、こういうふうに考えているわけでございます。
○今井澄君 お答えの趣旨はわかりましたが、やはり低所得者にとりましては大変国保の保険料の負担が大きいということでいろいろ御意見や陳情もありますので、ぜひ六割、四割というこの二段階だけにこだわることなく、今後実情に応じて低所得者に対してはさらに軽減をする方策等をぜひまたお考えいただきたいと思います。 さて、今回二分の一の定率国庫負担を百億円の定額国庫負担というふうにされたわけですが、一般財源化したということについていろいろ問題もあろうかと思いますが、百億円の定額国庫負担としたその辺の額の設定について何か理由がありますでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 国保における国と地方の役割分担あるいは費用負担のあり方等、国保制度の基本問題については、先ほど来申し上げておりますように、現在医療保険審議会において議論が進められているところであるわけでございます。 そこで、今回の基盤安定制度で国庫負担の見直しをしたというのは、厳しい国の財政の現状にかんがみまして、また基本的には同じような趣旨の事業でありますところの国保財政安定化支援事業が法制化されまして、各保険者の実情に応じた財政安定の措置が地方財政措置によって行われるというようなこと等も踏まえまして、平成五年度と六年度の暫定的な措置として行ったと、こういうことでございます。 一方で、先ほど来申し上げております医療保険の基本的なあり方について検討する、そういうことの中で暫定的な措置として平成五年度、六年度として今回措置をしたということでございまして、その暫定期間中のいわば国の責任を示すというようなことの趣旨から私どもは定額百億円の国庫負担を計上した、こういうことでございます。
○今井澄君 今の二年間の暫定措置というお話ですが、そうしますとこれはまた定率負担に戻すお考えも一応置いてあるということなんでしょうか、その辺をお聞きしたいんです。なぜ二年間という暫定措置なのか、その点をお尋ねいたします。
○政府委員(古川貞二郎君) 国保問題は非常に財政状況の厳しい中での対応でございますし、また国保についてはいろんな基本的な問題を抱えているということで、鋭意これは検討していかなければいかぬと。 そこで、お尋ねでございますけれども、仮にその国保制度の改正が行われないままに平成五年度と六年度が経過したということを考えてみますと、これは当然、今回の制度改正をお願いしている改正は附則事項でございますから、本則に基づきまして国二分の一負担と、定率負担ということになるわけでございます。ただ、私どもは、国保の現状等からしまして医療保険審議会等の審議を踏まえて制度改革を行ってまいりたい、こういう 気持ちを持っておりますので、その辺の状況でございますが、端的に何にも起こらなければもとに戻る、こういうことでございます。
○今井澄君 一元化の問題はまた後ほどお尋ねしたいと思いますが、ここでも地方財政措置が四百六十億円行われるわけですけれども、これは先ほどの国保安定化支援事業の場合には繰り入れていない市町村もかなりの数あったわけですが、こちらの方の保険基盤安定制度については確実に繰り入れるという保証があるのでしょうか。そしてまた、不交付団体についてはどういう地方財政措置をとるのでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 私どもは、制度の趣旨から確実に繰り入れられるものと確信をいたしております。そこで、今回の制度改正に伴う市町村一般会計の負担増につきましては、これは全額について地方財政措置が講じられるということはそのとおりでございます。 具体的に申し上げますと、今回の制度改正に伴う市町村一般会計の負担増につきましては、その全額につきまして地方財政計画上の基準財政需要額に算入するとともに、この交付団体は、今回の一般会計の負担増が五百六十億から国の百億を引きまして四百六十億でございますが、その交付団体分が三百九十億円になるわけでございますけれども、その交付団体分につきましては地方交付税上の特例加算を行うということで対応する。それから、不交付団体分が七十億に相当するわけでございますけれども、これにつきましては調整債によりまして対応する、こういうこととなります。
○今井澄君 それでは次に、老人加入率二〇%超保険者に対する財政支援措置、国保特別調整交付金による措置についてお尋ねをいたしますが、これは今加入者按分率による繰り入れで上限が二〇%ということに抑えられているわけだと思いますが、現在、老人加入率が二〇%を超える保険者は大変多くなっているんではないかと思います。現在幾つあるんでしょうか、お願いします。
○政府委員(古川貞二郎君) 老人加入率が二〇%を超える市町村国保保険者の数でございますが、平成三年度で千五百二十一保険者、全保険者数の約四七%となってございます。
○今井澄君 もう二〇%を超える保険者が全保険者の半分近くになっているという段階においても、まだ二〇%の上限というかがあるわけで問題だと思うんですが、そうしますと、千五百二十一の保険者が加入者按分率による繰り入れをもらえないで市町村が負担している分はどのぐらいあるんでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) お尋ねの負担額でございますが、平成三年度で約四百億円となっております。
○今井澄君 そうしますと、平成五年度で百四十億円繰り入れてもなお二百六十億円を市町村が負担していかなければならないわけですが、当然のことながら、老人加入率が二〇%を超えるところというのはいわゆる弱小町村と言われるところだろうと思います。総額としては、二百六十億というと見方によってはそんなに大きくないとはいっても、弱小町村にとっては大変重い負担ではないかと思いますが、その点実情はいかがでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) 市町村、特に御指摘のような地方団体からはそういうふうな御指摘を強くいただいております。
○今井澄君 そうしますと、このように高齢化が急速に進んできている状況では、老人医療の拠出金にかかわるその老人加入率の上限枠を二〇%にいつまでも設定しておくというのは非常に時代にも合わないし、また弱小町村にも気の毒なことなので、上限枠を上げるとかあるいは撤廃するとか、上げるというのもこれもおかしな話で、上げたところをさらに超えている町村となりますと非常に高齢化が進んでいるまさに苦しいところだと思うので、むしろ上げるというよりは撤廃した方がいいと思うんですが、その点についてのお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) 老人保健拠出金の算定に関しまして、今御指摘の二〇%の上限を設けておりますが、これと同時に一%の下限をあわせて設けているわけでございます。 これは、老人保健制度が保険者の共同事業であるという性格に由来いたしまして、各保険者が極端に大幅な調整を避けるということ、若人の加入率の高い保険者と老人加入率の高い保険者との両者のバランスを配慮しながら設けられた制度であるということでございます。したがいまして、二〇%上限措置の見直しについては、それぞれ保険者のお立場によりまして賛否両論ございますので、申し上げましたような制度の趣旨であるとか、あるいは各保険者の運営状況の推移であるとか、あるいはもうちょっと大きく老人保健制度の費用負担の状況等も考えながら、制度全体の中で考えていくべきことと承知をしております。
○今井澄君 確かに、保険制度間の調整のいろいろ難しい問題もあるかと思いますが、後ほどまたちょっと質疑をしたいと思いますが、この国民健康保険制度というのは、ただ被用者でない人の保険というそういう補完的な意味ではなくて、もっと大事な地域保険としての意味があると思いますし、特に高齢化社会の中においてはむしろこちらの方が主体であるというふうな大きな意味もあると思います。 そしてまた、先ほどの低所得者の問題なんかをいろいろ考えますと、単なる保険論理だけで割り切っていけないという問題があるだろうと思うんですね、負担の問題で。そういう点ではぜひ、先ほどのお話で約四百億ほど弱小町村の負担になっている部分がある、そして平成五年度は百四十億ということですが、さらにこれを増額するように要望して、次の質問に移りたいと思います。 それで、先ほども保険料の平準化の問題のときに、保険料負担が公平でない一番大きな理由に医療費の格差があるという御答弁をいただいたわけでありますけれども、ここでまたもう一つは、医療保険制度相互間の負担やあるいは給付も含めて格差もあると思いますので、まずそこで、一世帯当たりの保険料負担あるいは保険税負担の制度別の違いがどのようになっているのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 平成二年度におきます制度別一世帯当たりの保険料徴定額でございますが、国民健康保険が十四万五千円、それから政府管掌健康保険が十二万五千円、組合健康保険が十二万六千円、こういう状況でございます。
○今井澄君 やはり国民健康保険の被保険者の負担が高いということになるわけで、また一方で給付の内容も大分差があることになるわけですけれども、そこで医療費の問題についてちょっとお尋ねをいたします。 先ほど国保の財政状況が発表されまして、全体としては黒字だというふうな報告をお聞きしておりますが、これは一つ一つの保険者をとってみると、またそれは赤字、黒字いろいろあると思いますが、その保険者による赤字、黒字の分布あるいはその額についてお教えいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 分布の状況で申し上げますと、国民健康保険におきます平成二年度のこれは一人当たりの診療費を都道府県別に見ますと、高い県は北海道それから山口県、広島県、富山県、高知県、こういったところが高い県となっております。逆に、低い県は沖縄県、千葉県、埼玉県、栃木県、茨城県、こういった状況でございます。 これによりますと、北海道と沖縄を除けば、高い県は中国、四国など西日本の県が多い、また低い県は関東など東日本の県が多い、こういう状況でございます。
○今井澄君 北海道を例外として西高東低ということがよく言われますが、その原因はどういうところにあると厚生省ではお考えでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 医療費に地域差が生ずる原因というのはいろいろなものが考えられると思いますが、例えば人口の年齢構成の違い、あるいは病床数などの医療供給の状況というもの、 医療機関側の診療パターンの差というもの、あるいは住民に対する保健事業、ヘルス事業の実施状況、住民の生活習慣あるいは健康に対する意識あるいは受診行動の違い、こういったもろもろの要因が考えられるわけでございます。この地域差というのは、私ども、これらの要因が相互に影響し合った結果そういった地域差が生じているのではないか、こういうふうに分析しているわけでございます。
○今井澄君 それで、医療費が高いところは当然市町村の国保会計も苦しいことになってくると思いますが、国保会計が赤字の市町村は固定化傾向にあるというふうにお聞きしておりますが、そのような事実はあるのかないのか、またあるとすればどのような市町村が赤字の市町村として固定化されているのか、それをお示しいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 固定化傾向にあることは事実でございます。市町村国保の平成三年度の決算によりますと、この市町村国保の赤字保険者数が百六十八保険者、赤字総額は九百四十二億円、こういう状況でございます。 そこで、この赤字保険者というのは統計的に、データ的に見ますと特定の地域に集中する傾向にございまして、特に北海道それから大阪で赤字保険者数の四八%、大体半分が北海道と大阪の保険者ということになっております。赤字総額で申し上げますと八一%を占めている、こういう状況でございます。
○今井澄君 赤字保険者が北海道と大阪に集中するということですが、固定化している赤字保険者の医療費以外による赤字の理由というのがあったらまず明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 赤字の要因といいましょうか、赤字保険者につきましては、総じて医療費が高いということが挙げられるわけですけれども、片や保険料収納率あるいは財政力とかというのもございます。保険料収納率が低いというような事業運営に問題がある面もあろうかと思うわけでございまして、高医療費の地域でありましても適正な事業運営に努力をされている、そして健全に運営されている保険者もあるわけでございますので、医療費が高いとかあるいは保険料の問題とか、もろもろでございますので、赤字の要因というものは一概には言えない面があるんではないかと、こういうふうに考えております。
○今井澄君 確かに、医療費が高い、地域によって差があると、また今の赤字保険者の問題も一概に理由は言えないと思いますけれども、しかし、個々にはその理由はかなりはっきりしてくるんではないかというふうに思います。 例えば、今赤字保険者が北海道、大阪に集中している。北海道の例で見ますと、北海道は医療費が高いわけですね。そういうことが第一の原因ではないかと思うんですが、収納率は北海道の赤字保険者についてはどうでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 概して申し上げますと、収納率は低うございます。
○今井澄君 北海道の保険者で収納率が低いというのはどういう理由でしょうか。また、北海道にある市町村といっても、もちろん札幌と函館とでは事情が違うと思いますけれども、一般に地方都市というのは収納率は比較的そんなに低くない、あるいは上げようと思えば十分上げられると思います、大都市でなければ。その辺いかがでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 収納率が低いとか高いとかという問題、いろいろな要因がございます。低所得の方々が非常に多いというようなことが一つとか、あるいは人口の流動といいましょうか、あるいは保険者の経営努力とか、収納のいわゆる仕組みといいましょうか、そういったこととか、あるいは国民健康保険に対する被保険者、住民の方々の、これは自分たちの医療保険である、保険であるというふうな意識の問題とか、いろいろな要因が重なり合っているかと思うわけでございます。
○今井澄君 やはりこれが国民的な制度であり、相互扶助のシステムでもあるわけですから、保険者の意識が、その方が余り熱心でないとか、あるいは住民の意識が低いということでは済まされない問題だと思うので、これは少なくとも固定化の要因としてはおかしいと思うんですね。時間をかけて必ず解決しなければならない問題です。 それ以外の問題がいろいろあると思うんですが、例えば北海道においても大都会ということになりますと、それは東京圏、大阪圏と同じょうに人口の流動化が非常に激しいところはなかなか取れないという事情はよくわかるんですけれども、それ以外の地方都市ですとそんなに人口の流動化があったりなんかするようには思えないんですが、どうなんでしょうか。一つは、例えば出稼ぎとかなんかそういうことが要因としてあるのかどうか。 それから、先ほどの低所得ということが一つ挙げられましたが、低所得で取れないんだとすれば、これは制度の、保険料あるいは保険税の徴収の仕方をやっぱり考えていかなければならない。先ほど申し上げましたように、六割軽減でも足りなければ八割軽減する、それで納めてもらうとか、そういうさまざまな方策をとらなければならないと思うんですが、その辺は北海道についてはいかがでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 北海道は、一つは非常に医療費が高い、しかも入院が非常に多い、あるいは七十歳以上の方々で言えば入院の期間が非常に長いとか、いろいろな要素がございます。北海道の保険者もそれぞれそれなりに努力はされておるわけでございますけれども、私どもは、やはり先ほど来申し上げた軽減の基準とかいうのもあるわけでございますから、ある程度これは保険料が納められるような方々というふうに思うわけでございます。したがいまして、この制度の趣旨を十分徹底するとか、あるいは保険料が納めやすいようにするとか、いろんな工夫を凝らしながら努力してもらいたい、かように考えておりますし、そういう指導を強めていきたい、かように考えております、
○今井澄君 北海道については医療費が高いということで大分わかりますが、収納率が低いというのは、今もお話にありましたように、人が逃げちゃうわけじゃありませんので、取れない人がいるんだったら、それなりにやっぱり保険税の類やなんかの減免等をぜひ考えて、結果として収納率が悪いというと非常にこれは全国的な士気にもかかわることになってまいりますので、ぜひ改善をお願いしたいと思います。 一方、大阪に多いということについては、これはやはり医療費が最大の原因ではないかと私は思いますが、収納率はどうでしょうか。 〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
○政府委員(古川貞二郎君) やはり収納率は非常に低うございます。
○今井澄君 大阪のような大都会になると、なかなか人口の流動化が激しいとかいうことがあるんですが、理解できないわけではないんですが、低所得という問題もやっぱり収納率が低いことと大阪の場合も関係ありますでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 具体的に大阪の例で言いますと、保険者名を挙げますと、東大阪市が収納率が八五・八とか、あるいは大阪市は九三・玉とかいうような状態でございます。そういった状態でございますが、やはり低所得者が多いかどうか、あるいは人口の流動とかいろんなものがミックスしたものではないかと思っております。
○今井澄君 それぞれの市町村、保険者においてそれぞれの事情があるようですが、その収納率についてちょっと関連してお尋ねしたいんです。保険料または保険税という、税、料、両方式があるわけで、たしか今は税方式が九割というふうにお聞きしていますし、これは歴史的になぜ税方式がということの経緯も、税の方が納めてもらいやすいというふうなこともあったというふうに聞いておりますが、現時点においては、税方式をとるか保険料方式をとるかによって収納率に違いがあるというふうなことはありますでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 基本的にはその差はございません。
○今井澄君 医療費の適正化というのが一つの問題で、私もやはり現場で医療をやってきた人間といたしましても、同じ日本の中で医療費が大変違うということには矛盾を感じざるを得ない面があるわけで、これはやはり全国的な視野で、どうしても医療費が地域によって余り大きな格差のないようにしていかなければならないと思います。そういう意味では、医療費の格差が余りないようにしていくために、厚生省としては具体的にどういう考え方、そして方策をお考えなのか、またとっておられるのか、それをお聞きいたします。
○政府委員(古川貞二郎君) できるだけ医療費の格差が是正される、あるいは保険料の負担の格差が解消されていくということは望ましいことでございます。 そこで、私どもとしては、特に高医療費の保険者に対しましては、一つは財政の安定化計画というものをつくっていただきまして、そこで対応していく。それに対して集中的にいろんな施策を講じて、医療費を適正なものにしてもらう。全体的には、この医療費の適正化対策、審査支払い、あるいはそういったことを含めましてレセプトの点検とかそういったことを強化していく。あるいは健康管理といいましょうか、そういった面でみずからの健康を自分であれしてもらうというようなこととか、あるいは入院が多いというようなこと等からいきますと福祉費との関係とかいろんな面で対応してもらうとか、いろんなことで私どもとしては医療費の適正化といいましょうかそういったことについて努めてまいっている次第でございます。
○今井澄君 今幾つかお考えや方策をお伺いしたわけですが、それで実際にその安定化計画で効果が上がっているのかどうか、また、上がっているとすればどういう手法が一番有効だったとお考えになっておられるのか、その辺をお尋ねいたします。
○政府委員(古川貞二郎君) 結論的に申し上げますと、安定化計画で効果は大いに上がっているところでございます。 何といいましても、こういった問題の一番のかなめはやはり保険者といいましょうか経営努力ということ、そしてその制度の趣旨を十分に理解してもらうとかそういった姿勢もあろうかと思うわけでございまして、安定化計画をつくるということは、その保険者が、市長さんを初めとしてその問題について重要な関心を持ってもらい、また住民にもそういう理解をしてもらうということが非常に強く進められるということの結果、そういった効果が上がってくるものだというふうに考えているわけでございます。
○今井澄君 ちょっと資料を見せていただきますと、その安定化計画の指定された市町村の数もここ数年は年々少しずつ減ってきているように見えますので、確かに効果が上がっているのかなとも思います。それが、ただ、この収納率を上げることももちろん大事なわけですけれども、要するに被保険者から保険料を取るということだけで収入の方がふえて安定化をするだけでは、やっぱりこれは一方的に被保険者に負担をかけて、あるいはその責任においてやっているということになると思うんですが、医療費の方の、高医療費地域におけるその医療費の適正化については効果が上がってきているんでしょうか、いかがでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) お尋ねの件でございますが、昨年度、安定化計画による医療費適正化に及ぼす効果を分析するために実は調査を実施したところでございますが、医療費を構成する要素別に見ますと、入院の受診率、病院に行くとかいうそういう受診率、あるいは入院外の一日当たり診療費につきまして特に効果が認められたというデータがございます。
○今井澄君 今の入院の問題ですが、それがまた一方で、受け皿を考えることなしに入院点数の抑制ということになると、今度はまた追い出しという問題も出てくるわけで、そこでやはり総合的な施策が必要になってくるだろうというふうに思います。またその問題は後で、いわゆるゴールドプランのことについてお尋ねをしていきたいと思います。 いずれにいたしましても、今の国民健康保険制度は、他の制度は被保険者からの保険金のほかに事業主負担というのがあるわけで、政府管掌保険には国庫からも入っているわけですが、国民健康保険制度になりますと、被保険者のもう一方はこれは公の金ということになるわけで、これが事業主負担にかわることになってくると思います。しかし、他の制度に比べて非常に困難な問題があるという中で今の安定化計画やいろいろなことが行われていると思いますが、やはり低所得層が多いということでそこに負担がかかることと、上限を設けるということの結果、中堅所得層にも非常に重い負担がかかっているというのがもう一つの特徴として挙げられていると思います。それで、これが国保のある意味で言ったら構造的な問題ということで、単に赤字とか黒字とかいうことだけではなくて、構造的に抱える問題として問題になっているだろうというふうに思います。 先ほども幾つか申し上げたわけですけれども、確かにインシュアランスとしての保険という考え方に徹する限りにおいて、この構造的な問題についてはなかなか解決が困難だという面があるだろうというふうに思います。しかし一方で、その国民健康保険制度は、高齢化社会が来る前、人生五十年時代は、勤めている人の保険とそれからお勤めしていない人の保険という分け方ができたわけですが、今はだれしもが年をとって職を失っていくという時代に、受け皿としての保険ということになりますと、これを単に被保険者の受益による保険制度ということだけでどうしても律し切れないものがあるんではないだろうかというふうに思います。 そこから出てくることは、一つは、年金の問題もそうですけれども、各制度を一本化して、国保に出てくる赤字と申しますか不足する分をほかの保険制度から流すという考え方が一つだろうと思いますし、もう一つの問題は、やはり国民健康保険制度については、ただインシュアランスとしての保険の原則だけに終始することなく、もう少し公的な負担、世代間負担も含めて公的な負担を入れていくということも考えざるを得ないんではないだろうか。私は、特に後者の考え方にどちらかというと傾いているわけですけれども、その辺も含めまして、国保の抱えている構造的な問題の解決の方策について厚生省としてはどう考えておられるのか。また、医療保険制度の一元化についてはどのように考えており、タイムスケジュールとしてはどのように今考えておられるのか、その辺についてお考えを伺いたいと思います。もしできましたら、まず大臣に基本的なお考えを。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど、先生からも、国民健康保険制度のいわゆる高齢者が大変多いという問題であるとかあるいは保険料負担能力の低い低所得者が全体の四分の一を占めておる、こういう問題について御指摘がございました。 財政基盤が脆弱であるということから大変大きな構造的な問題を抱えておるわけでございますけれども、給付費の二分の一、平成五年度におきましては二兆三千億円という巨額の国庫負担を行っておるところでございます。 先生は先ほどからこの国庫負担をもっとふやせ、こういうような御主張のように承っておるわけでございますけれども、国庫負担のあり方を含めまして医療保険における財源や負担のあり方、さらに医療費の規模につきましては現在医療保険審議会において制度全般の中で議論をいただいておるわけでございますので、その点は御理解を賜りたいと思っております。
○今井澄君 一元化についての考え方と、その具体的なタイムスケジュールについてはどうお考えか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、何と申しましても一元化というのはもう本当に古くて新しい問題であるわけでございますけれども、私どもは一元 化の前にますこの国保制度の安定性を図っていかなきゃならない、こういう観点に立ちまして、実は率直に申し上げまして一元化に向けてのこの国保制度の安定化というのは周辺整備である、このように御理解を賜れば幸いだと思っております。
○今井澄君 そこのところなんですけれども、確かに構造的な問題を抱えているわけで、ある程度周辺整備をしないと一元化というのは難しいという事情もよくわかるんですが、逆に、根本的な解決が国保だけでは図れないから一元化をしていかなければならないということもありますので、その辺についてはいかがでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 大臣がただいま申し上げましたように、私ども、基本的には本格的な高齢社会におきましてもすべての国民が安心して医療を受けることができるような医療保険制度の長期安定ということがどうしても必要である、こういうふうなことで基本的に思っているわけでございます。 〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕 御指摘の医療保険制度の一元化については、全国民を通じて給付と負担の公平化が図られる、こういうふうに私どもは理解しているわけでございまして、先生も御案内のように、今日までもそういった趣旨から、例えば退職者医療制度とか老人保健制度の創設あるいは改正、あるいは健康保険制度の改正といったようなことで努めてきているわけでございます。 そこで、そういう状況でございますが、今日、この医療保険をめぐる状況というのは、人口の高齢化とか生活水準、あるいは国民のニーズの多様化とか、もろもろ大きく変化をしてきているわけでございまして、また一方で、給付と負担の公平化のあり方を初めとして医療保険制度の将来構想というものについては、ただいまも先生からいろいろな御意見を賜っているわけでございますが、関係者の間にいろいろな考え方がある、さまざまな考え方がある。こういったことから私ども昨年医療保険審議会を創設しまして、国保を含めて制度全般について、公的医療保険の守備範囲とか、あるいは保険給付の範囲、内容、給付と負担の公平など、幅広い観点から審議が進められているということでございまして、私どもとしてはこうした議論とか、あるいは国民の医療ニーズが高度化、多様化してきているというような状況を踏まえながら給付と負担の公平が図られるように努力してまいりたい、かような方針でございます。
○今井澄君 周辺整備をしてだんだん進めていくというお話はわかるのですが、どの程度進んできているのか、先は明るいと、それともまだまだ先は見えないということでしょうか。その辺の基本的な……。
○政府委員(古川貞二郎君) なかなか直ちにお答えするというのは難しい問題でございますが、私どもは、基本的には日本が世界に誇れる制度として医療保険制度がある、この国民皆保険体制、これはもう非常に崩すことのできない制度である。その中で、国民健康保険というのはその国民皆保険体制を支える重要な柱である。しかも、被用者とかいろんなそういったところに属さない方々、地域住民のすべての方々を包括した制度であるというようなこと、これを堅持していくということから、私は、これは皆保険を支えていく日本で非常にすばらしいこういう制度を、いろいろ問題はありますけれども、支えていく、こういうことについては広く国民に御理解がいただけるのではないか、そのための努力をすべきであるというふうに考えておりまして、現在医療保険審議会でそこを中心にして一生懸命議論をしていただいている、こういうところでございます。
○今井澄君 なかなか先が見えてこないというふうな印象を受けましたが、そこで今度は、国民健康保険制度と地域保健活動、さらにゴールドプランとの関係についてお尋ねをしていきたいと思います。 先ほどからも申し上げておりますように、国民健康保険制度というのは、確かに歴史的に見ますと、被用者保険が次々と整備されてきたのを補完する形でできてきたということは歴史的な事実として一つあるわけですし、またこれは発足の当初から構造的に非常に困難な問題を抱えた保険であったことも事実だろうと思います。 特に、かつては加入者の四〇%を超える人々が農民であって、大変現金収入は少ないと、一方で健康を害する確率が非常に高いということから、発足当初から大体財政的に非常に厳しい保険であったと思います。しかし、そういう特徴を持っていたがゆえに、国民健康保険法の第六章「保健施設」、第八十二条に、これは途中で変わった条文ですけれども、「保険者は、健康教育、健康相談、健康診査その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な施設、保険給付のために必要な施設、被保険者の療養のための費用に係る資金の貸付けその他の必要な施設をすることができる。」ということで、単に医療給付だけではなく、健康の保持増進ということに発足当時から大変力を注いできた保険制度としては非常に見るべきものがあるだろうと思います。 世の中ではお金のある方がとかく立派に強く本家のように見られますが、確かに組合健保やその他の皆さんも健康の保持増進のためにいろんな施策をなさってきてはおられますけれども、やはり国民健康保険制度ほど、医療給付だけではなく、地域の住民を対象に保健施設活動として健康の保持増進のための活動をしてきた保険はないというふうに歴史的にまず位置づけなければならないだろうと思います。今高齢化が進んで、地域にお年寄りが帰っていく、地域でお年寄りを見るというときに、やはり国民健康保険制度の中での保健施設活動が大きな役割を果たしているということも私たちは今考えなければならないときに来ているんではないだろうかというふうに思います。 例えば、寝たきり老人ゼロ作戦などで、厚生省からもモデル的に取り上げられております広島県の御調町のみつぎ病院などは、まさに国保の直診の病院でありますし、つい最近も、結果としていいことか悪いことか、好ましいことかどうかは別としましても、在宅ケアを進めて国保料が軽減したというふうにして例の挙げられた新潟県の大和町のゆきぐに大和総合病院も国保直診病院でありまして、こういったことで、国保直診の病院、診療所は、国保の保健施設の最大の柱である国保保健婦とともに活動をやってきた。それが今日の地域福祉、地域医療、地域保健活動にもつながっているのではないだろうかというふうに思っております。 そういった意味で、今度の平成五年度の予算の中でも国保特別対策費補助金というのが国庫補助として百八十億、百億円の上に八十億円積み増しされているのはこういった活動に関する国保としての財政措置なんだろうと思いますが、その点はどうでしょうか。具体的に、そうであるのかないのか、あるとすればどういう項目があるのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 端的に申し上げますと、財政状況の厳しい中で、平成四年度百億だったのを倍近くの八十億ふやしたと、特別対策事業。それは、私どもその中で総合保健施設活動といいましょうかそういったことを積極的に進めていきたい、そのための大きな柱である、こういうふうに考えているわけでございます。 具体的に申し上げますと、今度百億を百八十億に増額させていただいたわけでございますが、新たな補助対象事業といたしましては、保健施設事業の一層の充実を図るために、老健施設を含めた保健、医療、福祉の連携を目指した特別総合保健施設事業を実施したい。 それからもう一つは、市町村が行う特別対策事業の指導充実対策事業等を実施するというようなことで、国民健康保険事業の安定的運営に資する事業に対する助成を拡充したい、こういうふうに考えておるわけでございます。 特に、特別総合保健施設事業というのは、国保の直営診療施設を有する市町村が地域における保健福祉サービスを総合的に行う拠点施設として、国保直営診療施設と連携をとりつつ、老健施設を 含むゴールドプラン関連施設を一体的に整備する場合に、その施設の整備及び運営にかかわる経費について補助を行おうと、こういうものでございまして、国保サイドにおけるゴールドプラン施策を一層充実強化する、こういう観点から新たに創設したものでございまして、これを積極的に私どもは進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
○今井澄君 その中で、特に国保の保健施設活動にかかわって国保直診の果たす役割、この地域における役割というのは非常に大きいと考えますが、その点については、この特別総合保健施設事業の中で何か新しいものが盛られておりますでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 先生御自身が大変な御活動をされてきたわけでございますが、国民健康保険は地域住民の相扶共済といいましょうか、互いに助け合う地域保険ということから、予防から治療までの保健医療サービスを一体として提供する包括医療の理念のもとで、直営診療施設とか保健活動を中心にして活動を行ってきたということでございまして、繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げたこの特別総合保健施設事業を推進していくというのが、ただいまの御質問に対するお答えになろうかと思うわけでございます。
○今井澄君 具体的な内容についてはまだ別途お尋ねするといたしまして、今のことからちょっと外れるかもしれませんが、この国保特別対策費補助金を出しての事業というのは、これまで言われてきているいわゆる国保三%運動、これの補助金でしょうか、直接は関係ないんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 別のものでございます。
○今井澄君 そこで、ゴールドプランを進めるに当たって国保にどういうことを期待されるか、老人保健福祉局長さんにお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) 平成五年度の先ほどのプラス八十億円の予算に、老人保健福祉担当局としても大変期待を寄せているわけでございますが、特にその理由は、これまで国保の直診が、いわゆるヘルス事業と医療というものを結びつけて地域の方々の健康と命を守ってきたという歴史を持っておられるわけでございます。これから老人について、ヘルスと医療と福祉という、第三の福祉という柱を国保、直診があわせ持つことによって、地域の高齢者の方々の健康と命のみならず安心というものにも大きな役割を果たしていただけるんではないかと考えている次第でございます。
○今井澄君 高齢化社会の中で、年をとるとやはり体が弱くなります。弱くなればすぐ医者へという考え方は、これはどうかとは思いますけれども、やはり医療の側からのバックアップがないとなかなか安心して進められないという点で、ぜひまた、直診に対する国保側からも力を入れていただきたいと思います。 同時に、この間の長い日本の戦後の保健あるいは福祉の歴史を見てみますと、地域における活動の一番のキーパーソンは保健婦だと私は思っております。もちろん、PT、OTとかヘルパーさん、みんな必要ですし、もちろん医者もいなければとても進まないわけですけれども、地域の活動の中心は保健婦ではないかと思っております。現在、市町村の保健婦と言われている保健婦は、これは昭和五十三年までは国保の保健婦であったわけで、国保の保健施設活動の中心メンバーであったわけですね。それが、当然のことながら、国保の保健婦であろうと市町村に勤務する以上、市町村の住民に対しひとしくサービスをするものだという観点から、市町村保健婦に身分が移管されたものだと思います。 ところで、この保健婦についてちょっとお尋ねしたいんですが、この間の第一次計画、第二次計画のそれぞれの五カ年計画で保健婦の増員が図られていると思いますけれども、その充足状況はどうでしょうか。また、特に今急速な高齢化社会を迎えて、今後保健婦についてさらに増員をしていく計画が厚生省の方におありかどうかお尋ねをいたします。
○政府委員(横尾和子君) 老人保健事業、いわゆるヘルス事業でございますが、第二次の五カ年計画が先般終了いたしました。この間の保健婦の増員状況でございますが、平成二年の時点で計画が一万二千六百人でございましたが、それに対しまして一万二千九百三十八人ということで、おおむね計画どおりの増員が図られたというふうに考えております。 ただ、その内容、例えば新規採用職員と非常勤職員という内容で考えてみますと、新規採用職員は、目標といたしますところが五千百四十六人でございましたが、実際の数字は四千五百五十四人にとどまっております。この新規採用が貯えなかった部分を非常勤職員の予定以上の増員でカバーをしてきたというのが実情でございます。 また、平成四年度よりスタートいたしました第三次計画におきましても、保健婦の計画的な増員をより一層図ることとしております。
○今井澄君 その保健婦の新規採用計画が目的を達成できなかった理由というのは何でしょうか。例えば養成計画が追いつかなかったのか、それとも卒業者が学校の養護教諭とかほかの職場に逃れてしまったのか、その辺いかがでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) その要因について具体的に精査をした理由を持ち合わせておりませんが、地域によってかなり理由は区々でございまして、ただいま先生がおっしゃったような理由を挙げる自治体が多いように存じます。
○今井澄君 全国的に見ましても、定数が余りふえてはいないんではないかというふうに思います。長野県におきましても五十名のままずっときておりますし、高齢化社会に対応して、その学校をふやすなり定数をふやすということにちょっと消極的なんではないかなという危惧を持ちます。 それと、二番目にやはり待遇の問題がありまして、保健婦の待遇が十分でないというか、特に市町村に行きますと一般職並みに扱われていて、十分に評価されていないという面があると思います。 また、保健婦の仕事というのは、これは大変時間外の仕事が多くなりまして、夜も地域に出かけるとか、あるいは休日などでもいろんなイベントにつき合うとかいうことが多くなったりすることがあるんですが、やはり残業の、超過勤務の頭打ちとか、そういうことが非常な障害になっていて保健婦活動を妨げているという面があるのではないかというふうにも思います。 それからもう一つは、やはり保健婦というのは非常に幅広くいろいろなことをやらなければならないんで、場合によってはやり過ぎということもあると思います。かつて昭和五十八年、老人保健法が施行されて、機能訓練をやらなきゃならないときに、PT、OTが間に合わないので、それっというので保健婦を集めてにわか仕立ての機能訓練士にさせられたりして、ちょっとこれは行き過ぎだと思いますが。それにしても、幅広く活動するためにはやっぱりかなり研修なんかに出かけなければならないんですが、その研修会、勉強会なんかもほかの一般職の人たちと同じように回数制限をされるということなんかもあると思いますが、そういう点について、改善はいかがでしょうか。厚生省としてはどんなふうにお考えでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生おっしゃっています保健婦の待遇の問題でございますが、私どもまだ全国的に調査したことはないのでありますけれども、私どもがそれぞれ聞いておりますところを若干御披露してみます。県の本庁の保健婦の待遇の問題でございますが、どちらかといいますとポストの話でございますが、全国的に次長級という部長の次でございますね、そういう方が四人ぐらい、それから課長クラスが三人、あるいは補佐級が三十人、係長が十人ぐらいというようなことで、それぞれそれなりに処遇はされておるようでございますが、まだまだ数が少ないというのは言えるのではないかと思います。 それから、これはある県の調査でございますけれども、やはり保健婦の管理、監督のポジションというのは少ないというようなこともございますので、私どもこの平成五年に先駆的な保健婦活動交流推進事業というのをお願いしてございますが、それによりまして少し全国的に調査してみようかなと思っております。 なお、念のためでございますが、私どもの方から市町村におきます保健婦活動についての通知を出しておりまして、これは前にもお答えしたことがございますが、保健婦の処遇の向上、あるいは管理職職務を行うような保健婦の地位を設けるとか、そういうふうなことを指導しておりますし、また、実際のいろいろ地域保健計画なんかにも参画をするようにとか、そういうふうなことの指導をしておりますし、また、研修の問題につきましても十分配慮するようにという通知は出してございます。そのほか、主管部局長会議あるいは課長会議におきましてそれぞれ指示はいたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたような状況でございます。
○今井澄君 また一つは、保健婦の教育制度の問題ですが、確かに最近、保健婦学院を出てから学校の養護教諭やなんかになる人がふえてきたりしている傾向もあるようで、聞いてみますと、そういう人は実際は少ないのかもしれませんけれども、資格として、看護婦は三年制の資格ですね、その上に保健婦の資格を取る。いわゆる資格を取っておくというふうな気持ちで、試験の成績のいい人が進学するとか、それで後は楽な仕事につくとかという傾向も一部にあるやに聞いているので、私はやっぱり地域の保健活動を考える場合には非常に残念なことだと思っております。 これはもちろん医者の場合にも今の養成制度は非常に問題がありまして、偏差値が高いということで医者になる。これがいい医者になれるかというと、全くそうではありませんで、やっぱり病んでいる人の苦しみを何とかしたいという気持ちを持っていない人間は医者になってほしくないと私は思うんです。保健婦に関してもある程度やはりそういう面があると思うので、保健婦学院の入学をただ単にぺーパーテストでやるという、試験の成績がいい者を採るということよりも、やはり地域の活動をやっていきたいという情熱を持っている人間を保健婦にしていくようなことについても、何らかの方策があればお考えいただきたいと思います。 これはちょっとお答えいただくことも無理かと思いますが、ぜひまたこれは、特にこれから医師を初め対人サービスをする人間が、学業成績だけではそういういいスタッフになれないということで、保健婦についてもお考えをいただきたいというふうに思います。 ところで、その保健婦の活動に関連しまして、先ほどちょっとお聞きしました三%運動についてお尋ねしますが、これは国保三%運動というのがかねてから行われておりまして、一%は医療費を下げるために使う、国保会計のですね。それからもう一%は収納率を上げるために使う。もう一%が保健施設活動、つまり健康を守ったり、お年寄りのお世話をしたりすることも含めて使うということになっていると思いますが、この一%はきちっと目的どおり使われておりますでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 国保三%運動の中での保健施設の関係でございますが、市町村国保に計上しますところの保健施設費の総額というのは年々拡充されてきておりまして、平成三年度で申し上げますと、総額で二百五十一億円、保険料収入総額の一・〇三%と、初めて一%を上回ることとなったわけでございます。 具体的な施設事業の内容としては、被保険者の健康保持、増進に関する教育指導事業、パンフレットとか小冊子の作成とか、あるいは被保険者の健康管理の促進に関する事業、訪問指導サービスとか健康相談、健康教室の開催等、あるいは被保険者の健康診査等、疾病予防あるいは重症化予防に関する事業、それからコンピューターによる健康診査事業等々がございまして、市町村一般会計において負担している部分も合わせますと、市町村全体での事業規模は平成三年度において総額約千五百二十七億円というような状況になっておりまして、各市町村、私どもも含めまして力を入れているところでございます。
○今井澄君 確かに、三%運動の中で一%を超える額が保健施設活動に計上されたということは非常に好ましいことです。 今も御説明の中にありました、やはり最初に啓蒙のためのパンフレットとかいうことですが、現場で見ておりますと、この保健施設活動、どうも国保の担当がやっておりますと、要するに何かパンフレットをつくったりして勝手に配るというふうなことが多いんじゃないだろうか。また、コンピューター診断ということで診断用紙を会社と契約してはっと勝手にまいて、それを集めてコンピューターで採点するという、どちらかというとそういうことにほとんどが使われていて、実際に一人一人の健康管理をする、訪問指導をする、あるいは寝たきりにならないような指導をする、そういう対人保健サービス、マン・ツー・マンのサービス、本来の保健施設活動というのはそういうものだと思うんですが、そっちの方に余り使われていないように思うんです。 もし数字がわかりましたら、そういうマン・ツー・マンの対人保健サービスにどの程度使われているのか、その一%のうちのどのぐらいかをお教えいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 保健施設活動のうちで、訪問指導サービス等直接に被保険者に対して行われるいわゆる対人サービスの御質問でございますが、平成三年度で申し上げますと、訪問サービスが四百三十七保険者、約三億六千万でございます。それから、健康相談とか健康教育等が千六十保険者で五億八千万、それから高齢者に対する健康相談が百九十一保険者ということで九千万、全体として約十億三千万ということでございます。
○今井澄君 やはり本当の意味でのマン・ツー・マンの対人保健サービスというのには十分まだお金が使われていない、パンフレットをつくってばらまくというふうなことに流れているというふうに考えざるを得ないんです。そういう点がどうして出てきたかといいますと、国保の保健婦としての活動をしてきた保健婦を市町村の保健婦に身分移管したのはいいんですが、保健部局と国保とが分離してしまったところに、せっかくの国保の保健施設活動が生かされていない面があるんじゃないかと思います。 例えば長野県の例ですと、市町村保健婦に対して国保の側からも国保保健婦としての兼務辞令を出すということが行われておりまして、そういう意味では国保の諸活動と、それから保健サイドの活動と、そして今の高齢化社会に向けた寝たきり老人ゼロ作戦とかが非常にうまくいっているように思うんですが、この辺国保の側としては、別に保健婦をまた取り返せという意味とは全然違うんですけれども、市町村の保健婦さんに国保の保健婦としての兼務辞令を出すというふうなことはお考えになっておられませんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 先ほど来のお話のように、国保の保健婦が市町村に移管したのは昭和五十三年でございまして、身分移管が昭和五十二年に行われている。その意味で、対人保健サービスに関しましては基本的には市町村一般会計によるサービスに一元化されたということでございます。 そこで、先生のお話でございますが、国保のサイドから見ますと、予防から治療までの保健医療サービスを一体として提供するという国民健康保険の保健施設活動の充実強化というような観点からは、お話しのようにいま一度市町村保健婦に国保の保健施設活動への参加を求めるべきじゃないか、こういうふうな意見、また御提案でございますが、御提案といいましょうか兼務辞令ということでございますが、私どもその気持ちはよく理解できるわけでございますけれども、やはり国保事業も市町村の事業でありまして、現行体制下でも 国保の事業は市町村保健婦の協力、支援のもとに実施するということとされているところでございまして、私どもは、身分上の問題というよりはむしろ現場での対応の問題ではないかというふうに考えているわけでございます。 したがいまして、あえて国保保健婦兼務辞令というふうなことを出すことはなくても、国保の保健施設事業と市町村保健婦活動との間の連携強化を密にしていくということが大変重要ではないかと考えております。いずれにいたしましても、基本的には全体としての市町村における保健サービスを一層充実強化していくということがまず何よりも重要な課題でありまして、現在公衆衛生審議会で検討されております地域保健の総合的見直しにおきましても、市町村の役割を重視した保健サービスのあり方が議論されているという状況でございます。 なお、おっしゃるように、私自身もあることですが、パンフレットをつくってPRすれば、もうそれで十分仕事をやったというような気持ちは捨てまして、できるだけ実のある、効果のあることでやっていくということに努めてまいりたいと考えております。
○今井澄君 国保が構造的に抱えている問題はまさに高齢化の問題でありまして、高齢化対策は、国保だけに限るものではもちろんなく、日本全体の問題であり、あるいは世界的な問題だと思いますが、さて、その中で厚生省としては平成二年度以来ゴールドプランを進めてきておられるわけですけれども、そのゴールドプランの進捗状況について、在宅福祉の四項目、在宅介護支援センターも含めて四項目、それから施設の緊急整備三項目ぐらいについて進捗状況を御説明いただきたい。
○政府委員(横尾和子君) 平成三年度の実績で申し上げます。 まず、在宅関係でございますが、これは目標に対するパーセンテージで申し上げさせていただきたいと思いますが、ホームヘルパーが一二〇%、ショートステイが一一五%、デイサービスが八五%、在宅介護支援センターが六〇%、以上丸い数字で申し上げました。 施設関係でございますが、特別養護老人ホームが一〇〇%を若干上回っております。老人保健施設が八〇%、ケアハウスが五〇%、高齢者生活福祉センターが九〇%でございます。
○今井澄君 平成五年度で第四年度目に入るわけでございますが、これまでのところでは、政府の各年次の予算計画についてはでこぼこはありますが、ほぼ達成されつつあるというふうにこれまでもお伺いしておりましたし、今パーセントで聞いてみますと大体のところがわかるんです。 ところで、例えばデイサービスが八五%とか老健が八〇%とかこれは結構大きく力を入れてこられたところだと思うんですが、これの達成率がちょっと低いのはどういうことだとお考えでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) デイサービスにつきましては、施設の側のケアハウス等々とやや似たところがございまして、関係者の間においての御認識がまだ十分行き届いていないということが出おくれた理由になると思います。 老人保健施設でございますが、これにつきましてはやや都市における整備がおくれておりまして、これは都市における土地問題等が影響してきたのではないかというふうに考えております。
○今井澄君 デイサービスについては、確かに厚生省の方で監修された「老人福祉のてびき」なんかを見ますと、平成四年度ですから、つい最近の総務庁の調査でも、六十歳台とそれから三十から四十歳台の若い方と二つに分けて質問しても、デイサービスに対する希望というのは一〇%内外と低いんですよね。ところが実際に現場を歩いてみますと、保健婦さんなり市町村なりあるいはそういう方たちと話してみたり家族の人と話してみると、デイサービスが一番喜ばれているんではないかという感じを私は持つわけなんです。 そういう意味から言いますと、このデイサービスがまだ予算目標の八五%しかいっていないということ、あるいはその予算の目標自身が、例えば平成五年度ですともう四年目になりますから十年計画一万カ所のうちの四〇%が予算計画に上ってもいいと思うんですが、予算計画では四千三百三十カ所ですから三二・八%ですね、年次均等割にしますと。目標自身が低い、そしてその低い目標も達成されていない。私としては大変残念だなと思うんですが、その辺デイサービスが大変喜ばれているんではないかという実感については、厚生省としてはそういう実感をお持ちかどうか、またこれを早急に加速して充実させなければならないと思うんですが、そうだとすればその方策をどう考えておられるのかお聞きしたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) 地域によりまして高齢者のニーズが多様でありますので、地域によって喜ばれるものが多少違っているわけでございますが、もう一つ、御指摘のように、そのサービスというものが住民の方に知られているかどうかということも御要望が強い弱いに影響しているというふうに思っております。 感じで恐縮ですが、あえて感じを申し上げますと、その中でデイサービスというのは、実際に設置されますと利用希望が多くなりまして、非常に喜ばれているというふうに聞いております。これは、ホームヘルパーがそれぞれの御家庭に入り込むということが日本の風土の中で、やや家の中に入ってきてもらいたくないというお気持ちがあるのに対しまして、デイサービスの方は出かけていくわけでございますから、そうした御遠慮なしに利用していただけるという意味で、私どもも、デイサービスはこれからの在宅サービスの主流にしていきたい、あるいはそうなり得るのではないかというふうに考えているところでございます。 次に、おくれています理由でございますが、第一は、今まで申し上げましたように、全体として住民の方もあるいは自治体の担当者の認識もややおくれぎみだったということもあります。それ以外にも、従来の補助金の条件といいますものが十五大規模のものを事業として認めるというようなことにしておりましたのが、やや都会のようなところではもっと小さいところの方がいいとか、これは同様に僻地でもそうでございますが、毎日十五人は来ないというような、条件が厳し過ぎたということも出おくれの一つの要因であったかと思います。この点につきましては、八大規模というような小さなものも認めるということにいたしました。 またもう一つの問題で、運営費の問題の御指摘がありまして、平均の事業規模を十五人としておりましたので、毎日三十人お世話をするというような非常に積極的な施設ほど運営が苦しいというような実情もございましたので、これも規模に応じて加算を講ずるなどの措置を講じたところでございます。こうした施策で、喜ばれておりますデイサービスが進展することを望んでおります。
○今井澄君 確かにデイサービスに限らず、その他の諸施策についてもいろいろな問題があってうまく進んでいないこともあるだろうと思いますが、いろいろな理由の中で私はやっぱり最も大きなものの一つが財政的な問題ではないかというふうに思います。いわゆる地方の超過負担ということだと思います。すべての施策についてメニューはそろい、補助金や補助要綱はそろったわけですけれども、実際に市町村が超過負担をしなければならないということがありますね。 昨年の「厚生福祉」の六月二十日号から四回にわたって奈良女子大助教授の木村陽子さんという方も、その超過負担の問題を論じておられる。特に小さな町村は、年間財政規模が十億とか二十億とか三十億とかそういう町村になりますと、デイサービスセンター一つつくるのも大変である。大体、建設費の厚生省の基準で平米単価が実際の建築費の半分ぐらいしか来ない。人件費も、ホームヘルパーについて確かに厚生省としても思い切って昨年は年収で百万もアップされたわけですけれども、それでもまだ実際の収入には百万ないし二百万追いつかないという現状がある。それから、運営費の方も二分の一から三分の一、そういうこ とになってきますと、物をつくり人を雇い運営をしていく、それにすべて市町村の超過負担がついてくる。この辺を解決していかないと、財政力のある大きな市はよろしいですけれども、もともとが絶対規模が少なくて余裕のない町村は非常に苦しいだろうと思いますが、その辺いかがお考えでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) ホームヘルパーについてお話がございましたが、私ども調べてみますと、人件費の実態は実にさまざまでございます。御指摘のように、大幅な改善をいたしまして、なお足りないとおっしゃるところもあると承知しておりますけれども、かなりの自治体あるいは委託をしている社協の人件費の実態は、前回の改善によりましておおむね実態に即したものになってきたように考えております。 また、先生、施設整備費についての超過負担をおっしゃられました。これも各自治体で標準以上の面積での建築をされたり、標準以上の仕様で建築をするというようなこともございまして、実際の費用が国庫補助基準額を上回ることもありまして、必ずしもそれらをひっくるめて超過負担というふうには言えないと考えておりますけれども、しかしながら積極的に整備を進めるべき施設でございますので、この国庫補助単価につきましても毎年改善を図っております。平成五年度におきましても、特に問題が指摘されておりました都市部の施設については、一〇%以内で単価の割り増しを行うようなことを考えております。 今後とも、適切に対応してまいりたいと存じます。
○今井澄君 今の御答弁ですが、例えば建築単価についてくどいようですけれども、補助金は大体平米十数万から十七、八万というところですね。実際にはその倍かかることは常識ですので、面積を国の基準より広くつくらなくてももう既に超過負担がある。これもくどいようですが、大きな市にとりましては全体の財政規模が大きいですし、何とかその中でのやりくりとかつくわけですけれども、財政規模が小さくて貧しい町村にとっては非常に厳しいということをぜひよく御認識なさって、今後、毎年改善されてきたことはわかるんですが、お願いをしたいと思います。 さて、時間がなくなってきましたので、先ほどのデイサービスセンターですけれども、それに限らずちょっとここで私が計算してみますと、平成五年度の予算に盛られた人数とか箇所数、病床数が、十年間のゴールドプランの最終目標の何%が盛られているかということを計算してみました。先ほども言いましたように、来年度は四年度目ですから均等割すると四〇%になるはずです。ホームヘルパーの五年度の目標は三〇・六%なんですね、予算上。ショートステイは三三・七%、デイサービスが三二・八%、在宅介護支援センターに至っては一八%と低い。特養だけが五〇%とはるかに早く達成できそうなペースです。老健が三四%、ケアハウスが一六%、そして生活福祉センターが四〇%。したがって、先ほど挙げていただいた数字、ホームヘルパーやショートステイは一〇〇%を超えているようですけれども、そもそもの予算目標額が、均等割したという仮定ですけれども、少ないと思うんですね。この点で厚生省側の取り組み姿勢が、いろいろな困難もあるでしょうが、ちょっと及び腰ではないかというふうに思われてなりません。 その点ぜひ、予算目標だけでも少なくとも早まって達成できるぐらいに組んでいただきたいと思いますし、特にその中でのデイサービスが、先ほど申し上げたようなことですが、現実にやってみると大変喜ばれるということで力を入れていただきたいんです。そのデイサービスの十年後の目標なんですが、一万カ所ということで、中学校区に一つの考え方、つまり歩いて行ける箇所につくるというふうに厚生省としては説明しておられると思うんですが、私は歩いて行かれる距離だったら、やっぱり小学校区に一つつくるというのが目標でなければならないと思うんです、すぐその目標にするかどうかは別としまして。あるいは、保育園の数は恐らく小学校の数より多いと思うんですけれども、ベビーブーム時代に保育園をつくった、今度はお年寄りがふえたときにデイサービスセンターをつくるという考えでいけば、小学校の数よりももっと多くつくるということの方が本来あるべき姿ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) 最初に、先生が御指摘になりました、五年度予算案までの平成十一年度の目標値に対する進行の比率についてでございますが、私ども予算を組みますときは、自治体等々が用意ができる、事業の実施ができるような範囲内で現実的な対応をしていくつもりでございます。したがいまして、従来ややなじみの薄いものについては慎重な予算を組んでまいりましたが、今後、自治体の取り組みが順調にいきますれば、それに相応した予算枠をそれぞれについてふやしていくという考え方に立っております。 また、デイサービスセンターの増設でございますが、お年寄りが歩いて行ける距離が保育園児の足と同じぐらいではないかという点では、そうかもしれないというふうに思っておりますが、まさに今計画を立案中でございますので、当面この計画で進めさせていただきまして、とは申しましても、御指摘のように保育所にデイサービスセンターを併設するあるいは転用するということは大変結構なことだと思っております。それぞれのところがそういうふうに御活用になるというようなことがあれば、例えば中学校区に一カ所のデイサービスセンターの出張所としてもいいのではないかと思いますが、全体の粋の中でいろいろな工夫の範囲として御指摘のようなことも考えていきたいと思っております。
○今井澄君 時間がなくなってきましたので、あとちょっと特養についてお尋ねしたいと思います。 確かに今御説明のように、現実的にやっていかなければならないわけですから、できる範囲内からやっていくのはいいんですが、しり上がりに政府目標を上げていって、できれば当初掲げた目標をはるかに超える、例えばデイサービスセンターについては小学校区なり保育園の数なりにいくように今後ますますしり上がりにお願いしたいと思います。 この中で、目標がはるかに先んじて達成されているのが特養なんですが、この辺またちょっと危惧を感じざるを得ない面もあるわけで、相変わらず収容福祉が主流になっては大変困ると思うんですけれども、この特養につきまして二つお尋ねしたいと思います。 一つは、人員の配置基準なんですが、確かに痴呆性老人加算ということも努力されているのはわかります。しかし、特養に今収容されている人たちは、そう言ってはなんですけれども、本当に一番最後の行きどころになっていて、大変手もかかるわけですし、そのほとんど一〇〇%近くがぼけも一緒に持っているわけです。職員の苦労というのは大変なもので、厚生省の方にも随分陳情もあるだろうと思いますけれども、この配置基準を早急に見直すべきではないだろうか。今看護婦とそれから寮母さんを合わせて入所者三・八ないし四あるいは四以上に対して一人ということなんですが、せめて三ないし三・五ぐらいのところまでやっていかないと、これはほかの老健とかその他と比べてもそんなに遜色のある、仕事の内容が劣るということではありませんので、この配置基準を早急に見直してもらいたいと思いますが、どうかということ。 もう一つ、最近MRSAのことで、これは日下部委員の方からも過日御質問があったことなんですが、実はどっちが正しいかは別としましても、医療側と福祉側とで随分この問題では考え方を異にしているわけで、例えば長野県は、県は受け入れろと言い、施設協会の方は受け入れないと言う、非常に混乱が起こっているわけです。それをやはり実際に、ただ指導するだけではなく、MRSAの感染が広がるのを防止するような施設を厚生省が積極的に補助するとか、例えば自動手洗い 器とかそういうものについて補助金をつけてやるということになれば、それもお互い話し合ってうまい方向に進むのではないかと思います。 その点二つ、最後にちょっと御質問したいと思います。配置基準の問題と、MRSAの老人特養施設への補助金の問題。
○政府委員(横尾和子君) 人員の配置基準でございますが、私どもも、これまで勤務条件の改善費とか年休代替要員の確保等の措置を講じております。また、痴呆性老人加算の措置も講じているわけでございますが、特養自身が非常に古い施設でございますので、入所者の状況というのは必ずしも一律ではございませんので、全体の動きを見ながら逐年の改善に今後とも努めてまいりたいと存じております。 MRSAの問題は、基本的なスタンスは、私どもは特養に入所されるような方であれば、感染をしていても発症をしていない限りは入所をすべきであるというスタンスでございまして、おっしゃるような環境の改善については積極的に取り組んでいきたいと存じております。
○今井澄君 できればゴールドプランを前倒しして、加速して進めていただくことを希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○石井道子君 石井道子でございます。持ち時間が二十分しかないものですから、御答弁は簡明によろしくお願いをいたします。 我が国は、世界一の長寿国となっております。そして、西暦二〇二〇年には一人のお年寄りを二・五人で支えるという超高齢化社会を迎えることになっているわけでございますから、我が国にとって安定した社会保障制度の確立ということは大変重要な課題でございます。政府も、長年にわたりまして制度の見直しを続けてこられまして、日本型福祉社会の実現を目指して努力をされてきたと思うのでございます。特に、人間の命にかかわる医療の問題の対策の一つといたしまして、昭和三十六年に国民皆保険制度が達成されたわけでございまして、国民の健康を守り、そして安心して暮らせるための大きなよりどころとして世界に誇るべき制度として国民生活に定着をしているわけでございます。 しかしながら、高齢化を迎えまして、また医療技術の高度化もありまして、国民医療費は増加の一途をたどっております。平成四年度は二十三兆円を超えるような事態になったわけでございまして、このたび改正されます国民健康保険制度は国民の三一・三%が加入をしておりますので、国民皆保険制度を支えている大きな柱でございます。 しかしながら、高齢者や所得の低い方の加入率が高くて、地域格差も大変大きいわけでございますので、その運営基盤が大変脆弱になっているわけでございまして、この国民健康保険制度が抱える問題点についてどのように認識をされておりますでしょうか。そして、今回の国民健康保険制度の改正案の意義についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 御指摘のとおり、国民健康保険制度は、我が国の国民皆保険体制の基盤をなす制度といたしまして大変重要な役割を果たしているところでございます。 しかしながら、御指摘がございましたように、保険料を負担する能力の低い低所得者の方々とか、あるいは医療費が相対的にかかる高齢者の方々の加入割合が高い、そういったことなど制度の構造的な問題によりまして運営の基盤が大変脆弱なものとなっている、御指摘のとおりでございます。また、医療費や保険料の地域間格差が非常に大きいといった問題を抱えているわけでございます。 こういったことから、当面緊急に講ずべき措置といたしまして、平成五年度及び六年度におきまして、国保財政安定化支援事業の制度化等を行うことにしたというような趣旨でございます。今回の改正によりまして、国保全体として見ますと、国及び地方を通じまして公費負担の拡大が図られることになるわけでございますし、また国保財政安定化支援事業の制度化によりまして、市町村の一般会計からの適切かつ円滑な財政支援が行われる、こういったことから国保財政の安定化と保険料負担の平準化に資するものである、こういうふうに考えているわけでございます。
○石井道子君 既に老人福祉法が改正をされまして、地方自治体における取り組みが大変重要となってきておりますが、高齢化社会におきましては、保健と医療と福祉というものが有機的に連携をして、総合的な対策を進めることが重要ではないかと思います。平成五年度には、全市町村におきまして老人保健福祉計画が作成されると聞いているわけでございまして、ゴールドプランを推進する上で国民健康保険の立場からも協力をすることが必要であると存じます。 先ほど、今井議員の御質問にもありまして、今度特別総合保健施設事業を創設されたと聞いているわけでございまして、この事業に対します箇所数とか予算額について、できましたらお教えいただきたいと思います。また、このような具体的な施策につきましての問題についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) まず、ゴールドプランの推進というのは、高齢被保険者を多数抱える国保制度にとりましても大変意義のあるものであると考えておりまして、国保サイドとしても可能な限りゴールドプランを支援していきたい、かように考えております。 具体的には、高齢者健康教育とか介護講習会の実施など高齢者に重点を置いた保健施設事業の推進とか、あるいは国保直営診療施設を用いたゴールドプラン関連施設の整備促進、あるいは老人に関する保健医療データの提供などを通じまして市町村老人福祉計画策定への積極的な協力等、こういった市町村における高齢者保健福祉施策を支援するための施策を講じてきたところでもあり、またさらに推進していきたい、かように考えておるわけであります。 それから御指摘の、平成五年度におきましていわゆる特別総合保健施設事業として、国保直営診療施設を有する市町村が、地域における保健福祉サービスを総合的に行う拠点施設として国保直営診療施設と連携をとりつつ、この老健施設を含むゴールドプラン関連施設を一体的に整備する場合に、こういった施設の整備、運営にかかる経費についても補助を行う、こういうことで考えておるわけでございますが、具体的な箇所等につきましては早急にこれから詰める問題でございまして、今日そういった箇所数を持ち合わせておりません。
○石井道子君 国保の場合には、市町村単位で運営をされておりますので、財政力が極めて弱い印とか村においては国保の運営が大変困難でございます。このような小規模の保険者対策を強化するためにも、国保の運営主体を広域化する必要性があるのではないかというふうに感じるわけでございますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。 また、このような問題と関係いたしまして、都道府県の関与のあり方については、どのような形でか検討すべきではないかと思いますが、その点についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 国保につきまして、近年、社会経済情勢の変化等によりまして小規模保険者が増加してきておりまして、事業運営基盤が大変脆弱化してきている。そういう意味で、小規模保険者対策の強化が大変重要なこととなっていることは御指摘のとおりでございます。 こういったことから、小規模保険者対策といたしまして、例えば都道府県国保連合会が行う高額医療費共同事業の推進を図ること等によりまして、その運営の安定化に努めてまいっているところでございます。 もう一つ、国保事業の広域化という問題を御指摘でございますが、これにつきましては従来からさまざまな御議論がございまして、現在は運営の効率化とか、あるいは市町村の保健活動とのきめ細かなこういった関連、保健活動との関連等から、市町村に基礎を置いた事業運営が行われてき ているというのが現状でございます。 ところで、この保険者運営のあり方とか都道府県の関与のあり方につきましては、市町村の今後の動向、構造的ないろんな問題がさらに強まってくる、そういったこと等を考えますと、私ども極めて重要な問題であると認識しているわけでございます。この問題につきましては、現在、医療保険審議会の検討項目の一つとして掲げられておりまして、今後、審議会の御議論等を踏まえながら私ども検討してまいりたい、かように考えております。重要な問題であると認識いたしております。
○石井道子君 次に、厚生大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、このたびの国保の改正につきましては二年間にわたる暫定措置であるということでございます。多くの問題を抱えております国保でございますので、二十一世紀の高齢化社会において安定的に運営するために抜本的な改革をする必要があるのではないかと思うわけでございまして、国保の改革に対します厚生大臣のお考えと御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 国民健康保険制度は、ほかの医療保険制度に比べまして高齢者が大変多いわけでございます。これは先生御案内のように、産業構造の変化に伴いまして、自営業者であるとかあるいは最近では農林漁業の被保険者が年間五十万から百万ぐらい減ってきておるわけでございます。 それからもう一つは、先ほどから御指摘のとおり、低所得者が全体の四分の一を占めておる、こういうようなことがございまして財政基盤が極めて脆弱であることであります。また、そのほかいわゆる医療費や保険料の地域格差、先ほどから地域間の格差が七倍という話が出ておるわけでございますが、こういうような構造的な問題を多く抱えておるわけでございます。 国民保険制度は御案内のように、地域におきます国民皆保険体制を支える大きな柱でございまして、その長期的安定を図っていくことが極めて重要である、このように考えているような次第でございます。 こういった観点に立ちまして、現在厚生省といたしましては、国民健康保険制度が抱える構造的な問題に向けて、医療保険制度審議会における議論を十分に踏まえながら、これからの医療保険制度全体的なあり方の中において国保の問題についても取り組んでいく決意でございます。特にその中におきましては、国と地方の役割分担であるとか、先ほどから御指摘を申し上げました保険料格差の問題あるいは医療費格差の問題、こういったような問題について鋭意御検討をお願い申し上げたい、このような考え方に立つものでございます。
○石井道子君 医療保険制度の適正な運営とか財源問題につきましては、大変古くから検討をされまして制度改正が続いているわけでございますが、その中で特に薬づけ医療を是正するというための対策もしばしば行われてまいりました。 特に国保の場合には、加入者が大変高齢者であるということがありまして、そういう点で医薬品使用については大変関心の高いところでございます。医療の充実、向上にとっては医薬品は欠かすことができませんが、薬価基準に収載をされております医薬品が今一万四千六百品目余りでございまして、このたくさんの医薬品の持つ情報というものを医師や患者さんに伝えるということによって副作用を防止したり、また医薬品が安心して正しく使われるようにするためには、やはり薬剤師の専門的な知識を生かすことが必要ではないかと思うわけでございます。 既に、昭和六十年の第一次医療法改正におきまして地域医療計画が策定をされましたし、また昨年の第二次医療法改正においても医療の担い手として薬剤師が明記をされたということがありまして、これから特にそういう面での薬剤師の責任も重くなってくるということではないかと思います。特に、お年寄りの方々の高受診とか、あるいは服薬指導についてはその必要性が非常に高いというふうに感じるわけでございます。このような地域医療におきます薬局の役割とか薬剤師の位置づけ、こういうものを明確にすべきではないかと思いますが、その点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のとおり、医薬品は適正に使用して、その有効性と安全性の確保を図る必要がございます。特にお年寄りは、使う場合に非常に戸惑うとか、場合によっては間違って用いるとかということもございますし、多数の診療科目を同時に受けるということもございまして、そういう意味では薬の内容をわかりやすく説明をして、正しく服用してもらうということが特に必要でございます。そういう意味で、薬剤師さんの役割、特に地域の中での薬局の役割というのは、そういったことを担うものとして大切なものだろうというふうに考えておりまして、地域医療の世界において医薬品につきまして適切な指導を行って、病室で適切な医療に貢献する拠点として活躍をしていただきたいというふうに考えているわけでございます。 具体的には、地域医療計画の中に記載事項といたしまして、病院、診療所、薬局その他の相互の機能及び業務の連携に関する事項を定めることにしておりまして、そういった手段を用いながら薬局が今申し上げましたような役割を果たせるように、そういうことを具体的に盛り込んでいき、かつそれが実践されるように指導していきたいと考えております。
○石井道子君 医薬分業が最近大変推進をされているわけでございますが、これはあくまでも患者のために適正に薬が使われるようより質の高い医療を目指して取り組んでいることではないかと思いますが、その進捗状況というものは大変地域によって差がございます。平均的には一二・八%ぐらいでございますが、高い県では三二%前後、低い県では〇・六%というところがありまして、非常に差があるわけでございまして、こういう面での後進地区に対しましての医薬分業の推進対策について、対策がございましたらお教えいただきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のとおり、余り分業が進んでいない地域もございますので、まず先進地域と後進地域との情報交換をしていただこう、あるいは分業を進めるに当たりましては、医師会と薬剤師会のほかにこれに関係します地域の関係者にこれを理解していただかなければなりませんので、その協議会を持つようにしようということにしております。 それから、受け入れ側の薬剤師さんにつきまして、やはりその役割なり具体的な分業の仕方につきまして研修が要りますので、そういう研修を実施する、それから自分の薬局では持てないような備品もございますので、そういった医薬品の備蓄体制の整備を図る、こういうふうなことを施策として進めているところでございます。
○石井道子君 最近、医療機関で院外処方せんを出したいというところが大変ふえてきているわけでございますが、その受け皿として面分業を推進しているというところでございますけれども、中には営利を優先する薬局とか、あるいは地域医療を進める意思のない薬局もあるとか、実態はさまざまでございます。特に、医療機関との結びつきが優先されて地域住民とのつながりを軽視してしまうというような医療の質の向上に結びつかないケースもあるわけでございまして、こういう点で、より質の高い医薬分業を推進するために薬局の業務とか運営について適切な指導を行っていくべきではないかと思いますが、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 形式的な分業は避けなければならないと思っております。 それで、分業のそもそものねらいは医薬品の適正使用でございます。そういう意味では、患者本位にこの分業を進めていかなければならないというふうに考えておりまして、個人個人の薬を飲んでいった薬歴を管理する、それからその都度その都度薬を飲むわけでございますが、それにつきま して、過去のそういう薬歴を振り返りながら、お医者さんの指示に従った適切な服薬がなされるようにその指導を行う、こういうことが基本ではないだろうかと思っておるわけでございます。 そういう意味で、こういった基本的な事柄が分業の世界でちゃんと実施されますように、私どもガイドラインをぜひともつくりたいと思っております。今作業を進めておりますが、四月中にはガイドラインが作成できると思いますので、そういったものも皆さん方にお示ししながらぜひとも適切な、適正な医薬分業を推進していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○石井道子君 医薬品を使う場合の情報というものが大変重要になってまいりますので、その面についてのネットワークをつくる必要があるかとも思います。 それからまた、医薬品の適正使用を進める上においても、厚生大臣にお伺いいたしますが、医薬分業を進めることに対しましての御決意を最後にお伺いさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、長年にわたりまして、医薬分業問題に大変熱心に取り組んでいらっしゃいます石井先生に心から敬意を表したいと思います。 先ほどから、この問題につきましていろいろな角度から取り上げられておるわけでございますけれども、医薬分業は薬剤師による副作用のチェックを果たすことができる、あるいは患者が複数の医療機関を受診した場合、薬局で重複投薬が防止できる、さらに薬の待ち時間の解消ができる、こういったような観点から今後とも積極的に進めていかなければならない、このような考え方に立つものでございます。 現在は、先ほど平成三年の調べでございますが、一二・一%がいわゆる医薬分業の進捗率でございます。今後とも、医師会あるいは薬剤師会など関係者の協議の場を設けるとともに、薬局を支援するため医薬品の備蓄を行う医薬分業推進支援センターの整備などを進めまして、一層の医薬分業の推進を図っていく決意でございます。
○石井道子君 ありがとうございました。
○木庭健太郎君 国民健康保険法改正案について質問をさせていただきます。 この改正案が年末の予算編成時期になって急速浮上してまいったわけでございますが、この点について大臣は率直なお考えを先ほどお述べになっておりまして、一つはやはり国の厳しい財政状況を勘案してと、局長なら言えないような言葉でございますけれども、大臣としてそういうことをおっしゃっている。もう一つ、平準化の問題があり安定化の問題があるということをおっしゃっておりまして、私も今回の改正案を見たときに、一つやはり疑問を抱かざるを得ない。国保の問題というのは財政が非常に脆弱なわけですから、抜本的な改革をしなくてはいけないということが言われながら、何回も何回も改正していくうちに小手先小手先にという形になってはいないかという危惧を抱かざるを得ないというのが正直な感想でございます。特に、今回の措置の中で、保険財政基盤の安定化措置にかかわる国庫負担の変更については、やっぱり財源捻国策じゃないかなと思わざるを得ない面がございます。 まず最初にお伺いしたいのは、今回、保険基盤安定制度に対する国の負担を定額負担とされましたけれども、その理由をお伺いしたい。特に、今回の改正については、先ほどから御論議があっておりますように、厚生省の方は運営の安定化と負担の公平とを図るためと説明をされておりますが、この国庫負担の変更というのが、運営の安定化そして負担の平準化にどうかかわってくるかという点を含めて明快な答弁を求めたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) お答えいたします。 今回の保険基盤安定制度にかかわる国庫負担の変更は、大臣からも先ほど話がございましたように、厳しい国保の財政の状況、現状にかんがみまして、また同じような趣旨で国保財政安定化支援事業というのが法制化されまして、各保険者の実情に応じた財政安定化措置が地方財源によって行われるということ等の経過も踏まえまして、一方で医療保険審議会で国保を含めた医療制度のあり方、そういったものを審議中でございますので、平成五年度、六年度の暫定措置といたしまして今回改正をお願いしている次第でございます。 それから、国庫負担の変更は国保事業の安定化、保険料の平準化にどうかかわるのかと、こういうふうなお尋ねでございますけれども、保険基盤安定制度にかかわる国庫負担の変更が直ちに国保事業の安定化とかあるいは保険料負担の平準化にかかわってくるものではないわけでございますが、国庫負担の縮減分が全額地方財政措置で補てんされ、さらに国保財政安定化支援事業は平成四年度一千億が二百五十億円を拡充しまして千二百五十億円、こういうふうに拡充したことによりまして、国保全体として見ると国、地方を通じまして公費負担の拡充が図られることとなるわけでございます。 また、国保財政安定化支援事業の制度化によりまして、市町村一般会計からの適切かつ円滑な財政支援措置が行われる、こういったこと、さらには今回の制度改正とあわせまして国民健康保険特別対策費補助金、これを従来百億円を八十億円増額して百八十億円に増額する、また老人加入率二〇%を超える保険者にかかわる老人保健拠出金負担の軽減措置を講ずる、こういったこと等から、私ども、全体といたしまして財政の安定化と保険料負担の平準化が図られるものと、こういうふうに考えているわけでございます。
○木庭健太郎君 全体構造を挙げられてわかりにくくされたような気はいたしますけれども、それでしたら一つお尋ねしておきたいんです。この保険基盤安定制度にかかわる国庫負担の問題でございますが、たしか前回、平成二年度の改正におきましてはこれを拡充したわけでございますけれども、じゃ、何であのとき拡充して今度またばっと減らさなければいけないのか。当時と現在とでどう状況が変化したと認識されているのかをお尋ねしたい。 そして、私が一つ感じているのは、国庫負担の変更のあり方を見ておりますと、厚生省としては国保に対する保険料負担を、国が二分の一、保険料二分の一という何か原則みたいなものを持っていらっしゃるような感じもいたしますが、その点も含めて御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) まず、保険基盤制度の国庫負担を前回改正で、これは平成二年度でございますが、拡充した趣旨等でございますが、前回の改正時には御案内のように国庫負担を拡充しているわけでございますけれども、これは前々回、昭和六十二年でございますが、その改正におきまして暫定措置として創設されましたところの保険基盤安定制度を恒久化した際に、療養給付に対する国庫負担の中で支弁しておりました保険基盤安定制度にかかわる国庫負担の仕組みを改めまして、別枠で国庫負担支弁ということとした経過があるわけでございます。 保険基盤安定制度創設の当時におきまして、保険基盤安定制度に対する国庫負担を二分の一といたしましたのは、この保険基盤安定制度が低所得者の方々に対する対策である、それから福祉政策的な要素があるというようなことから、福祉の諸制度に倣いまして地方にも応分の負担を求めることが適当であるというようなことが考えられたということ、それから保険基盤安定制度が創設される前でございますが、これは保険料の軽減部分にかかわる補てんはその全額について財政調整交付金の枠の中で行っている、そのことが財政調整交付金の調整機能を相当程度低下させていたこと、こういった理由から国の負担部分を二分の一としたという経緯があるわけでございます。 今回、この二分の一の定率負担を見直しまして定額百億円というふうにしておりますのは、先ほど来申し上げております国保の財政が非常に厳しいという中からそういったお願いをしているわけでございまして、これは附則の事項でございます から、例えば制度の改正というものが行われないままにこの五年度、六年度が経過いたしますと本則の二分の一に返るわけでございまして、基本的な考え方として二分の一という考え方は変わっていないわけでございます。 ただ、その間に私どもは医療保険審議会でいろいろと制度改正をお願いしておるわけでございまして、そういったことで一方でいろいろと進め、その結果によってまたいろいろな対応が出てくるのかというふうに思うわけでございますが、物事の考え方としては、本則事項として二分の一というものがあるということでございます。
○木庭健太郎君 今の局長の答弁を聞いておりましたら、そうすると保険基盤安定制度はこれを恒久化した平成二年の措置が本筋であると。だから、今回百億円という定額措置になったのは、やむを得ない状況の中から削減したというふうにとらえればいいのか、どうも最終的には経過的に残したという意味で終わってしまうのか、そのどちらであるのかというのをもう一回はっきりお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 現在、国保におきますところの国と地方の役割分担あるいは費用負担のあり方等、いわゆる国保の基本問題につきましては医療保険審議会で御議論をお願いしているというふうなところから、今回費用負担の変更については二年間の暫定措置として行うということとともに、この暫定期間中の国の責任といいましょうか国の関与責任を示す趣旨から定額百億円の国庫負担を残すと、削減というか百億円の国庫負担を残すということとしたものでございます。 今後の対応については、先ほど来申し上げておりますように、医療保険審議会における国保の基本問題の審議状況等を十分踏まえながら考えていくことでございますが、国庫負担をそういった趣旨で残すということでございます。
○木庭健太郎君 今局長が国と地方の問題もおっしゃいましたけれども、私が一つ今回感じておりますのは、この平成五年度の予算編成全体を見ましても、国の財政状況が厳しいということでどうしても地方への負担の振りかえが目立っているように思えてならないわけでございます。 今回、厚生省予算を見ますと、国庫負担の定額化それから国保事務費を初めとする多くの一般財源化が図られたわけでございます。それから、今回実現に至りませんでしたけれども、公立保育所の保母の人件費の一般財源化の問題もまだ残していると聞いております。もとより、地方へ財政をシフトすること自体は本来望ましいとは思っておるんですけれども、何か一連の措置は、局長がおっしゃるように国と地方の役割分担についてきちんと論議した上でなされたものとはなかなか思えない。突然出てきて突然変わっていくというような感じを受けてならないわけでございまして、今回の国保法改正の究極の目的は、公立保育所の人件費の一般財源化が見送られたかわりじゃないかというようなことを指摘されている方も実際いらっしゃるわけでございます。そういう批判を受けないためにも、やはり国と地方、さらには都道府県と市町村の役割分担、財政負担のあり方についてもっと厚生省の方からきちんとこうこうこういう点で論議したい、論議するということをはっきり言っていただかないと、なし崩しにやられているとしか思えないのでございますけれども、その点についての見解を局長から伺っておきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 繰り返してございますけれども、国保におきます国と地方の関係などいわゆる国保制度の基本問題につきましては、現在医療保険審議会で幅広い観点から御審議をいただいているということでございます。 今回の国保制度の改正は、先ほど来申し上げておりますように、極めて厳しい状況にある国保財政の現状等にかんがみまして、この制度の基本的な枠組みというものに変更を生じない範囲内で、国保財政の安定化と保険料負担の平準化等を図るために当面緊急に必要な措置として平成五年度、六年度の措置として実施するということでございまして、基本的なあり方、ありよう等については私ども医療保険審議会できちっと御議論を今お願いしているところでございまして、その基本的な枠組みといいましょうかそういったものに変更を生じない範囲でお願いをする、こういうふうな考え方でございます。
○木庭健太郎君 何回も何回も五、六年度は暫定的な措置だとおっしゃっているわけでございますから、それで大臣にお伺いしておきたいんですけれども、国保の問題はいろんな難問を抱えていると大臣もさっきおっしゃっていました。産業構造の変化の中でやっぱり低所得者が多いとか財政基盤の脆弱さ、地域格差、構造的問題を抱えているというようないろんな問題点を大臣も指摘されていたわけでございますけれども、そうすると五、六年が暫定的措置ならば、平成七年度にはこうした問題を含め国保の抜本的改革を大臣としてやっていこう、そういう決意で臨んでいらっしゃるのかどうか、それについての見解をまず大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどからこの質問がなされておりまして、大変歯切れが悪くて申しわけなく思っておるわけでございます。 まず、私があえてここで申し上げさせていただきたいのはいわゆる保険制度の一元化ということでございますが、私は、高額療養費を含めた今の給付率というのが、国保が七九・五%、それから政管が八四・四%、組合健保が八六・一%であるわけでございますけれども、まず基本的には給付と負担、この公平化を図っていくということがある意味における一元化ではないかと思っております。 数年前という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、すべての保険集団をガラガラポンとして一本化するということは、現実問題として今いろんな問題を抱えておるわけでございます。我が国の医療制度というのは非常にすぐれておるわけでございますし、あるいは医療サービスというものも世界に冠たるものがあるわけでございますので、私どもは、今問題となっております国保制度のいろいろな問題を一つ一つ解決していく、今法案の審議をお願いいたしておりますのもその一つでございますけれども、そういう中において問題の解決を図っていかなければならない、このように考えておるわけでございますが、基本的には現在医療保険審議会におきまして御審議を賜っておるわけでございます。その中において将来のビジョン等につきましても十分な方向づけを出していただければ大変ありがたいかな、このように思っておるような次第でございます。
○木庭健太郎君 私は、一元化のことはこの後に聞こうと思って、まず国保をどう考えるか、その後の一元化の進め方はどうなのか、じゃ、一元化と国保の抜本的改正というのは一体どうリンクしてくるのか、そういう問題が出てくるんだろうと思うんです。 さっき、大臣は国保の問題について、一元化の前の調整的役割の中で国保の問題を解決しなくてはいけないというような御認識を示されておりましたけれども、その言葉だけ聞くと、まず国保の抜本的改正を大臣としては先に進めるお考えなのかなと。それが多分平成七年度ぐらいを目途に強い決意でまず臨まれるのかなと。その後にいわゆる一元化という問題、いつがめどになりますかということを聞くとなかなかお答えしにくいとおっしゃるかもしれませんけれども、まず国保の問題について元なら、その国保についての一つの大きな見直しを今審議会でお願いしているわけですけれども、それを経て大体七年ぐらいを目途にやられるんではなかろうかなと思うんです。 まず、国保と一元化の関係でいくとどういうお考えで全体像を、大臣として今後医療制度をもう抜本的に見直さなければいけないわけですから、給付と負担の問題は確かにありますが、その流れの中で、まず一番財政的にもいろいろ問題を抱えている国保についてどうめどをつけながら、その中で一元化をどう考えていくかということになるんだろうと思いますけれども、そういう立て分け で答えていただけると非常にありがたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先生御案内のように、国保の問題につきましては、これまでも例えば国保の安定化のために七十歳以上のお年寄りを対象にいたしまして老人保健施設というものをつくりました。各保険者の皆さん方からの御協力をいただいてつくっておるわけでございます。それから、被用者保険の適用を受けているのを卒業なさったOBの方々に対しましては、退職者医療制度というものをつくりまして、高齢化であるとかあるいは低所得者であるとか非常に財政的に脆弱な部分をいろんな形において創設をしていく中において身軽にしておるわけでございます。 ですから、まず最初に、一番今大きな問題でございます国保制度というものの安定化を図っていくことが何よりも先決である、こういう認識に立ちまして今国保の改革をお願いいたしておるわけでございます。最終的には、医療保険審議会のお考え方を十分に私どもお聞きいたしましてこの問題に着手したいと思っておりますけれども、まず最初に一番大きな問題でございます国保制度の改革に手をつけておる、こういうことでございまして、その延長線上にあって今度は一元化の問題が出てくるのではないか、このように認識をいたしておるような次第でございます。
○木庭健太郎君 なかなか時期の話になると逃げられてしまうんですが、ひとつ五、六年、国保の抜本については七年度できるかどうかわかりませんけれども、七年度が一つのめどであるのかどうかというのをお答えできるならやはりちょっと聞いておきたいんですね。さっきからずっと論議しているんですけれども、大臣には、一元化への意欲はあるんだろうと思います。もちろんそれはやらなくてはいけないだろうと思うんですけれども、どこまで本気なのかというのが見えてこないんですよね、今までの御答弁だと。そこの部分をきちんと明確にしないと。国保も安定化のために努力する、一元化も努力いたしますと、それはよくわかります。大臣の決意としてひとつ方向性を見るならば、せめて国保についてはこうだということが言えるのかどうか、それがやっぱり決意だと思うんですけれども。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから御答弁を申し上げておるわけでございますが、現在医療保険審議会に御検討をお願いしている段階において、私が余り予見めいたことを申し上げることは大変僭越でございますけれども、私どもといたしましてはできることならば平成七年度を目途にして抜本的な改革をまとめていっていただきたい、このような考え方に立つものでございまして、これはあくまでも医療保険審議会の答申を得てから私どもの態度を決めていきたい、このような考え方に立つものでございます。
○木庭健太郎君 それだけ言うのでも非常につらい立場だろうと思いますから、大臣としては非常にこの問題についても。一方の年金の一元化の問題は七年度目途というきちんと設計図が出ているのに対して、医療の方は出ていないんですよね。その辺が国民が見たときに、年金はわかるけれども医療はどうなんだろうというところなんだろうと思います。そういう意味では、大臣、御決意を持ってやるつもりだろうと思いますから、そこはひとつ審議会の方にもできるだけ早くということも御要請をしながら進めていただきたい、そう考えております。 それはそこまでにいたしまして、今回の改正に伴って保険料の平準化というのは一体どうなるかという問題。たしか厚生省は、前回改正の際には、保険料の平準化というのは平成三年度を目途に進めるとおっしゃっておったはずだと思うんですけれども、その後この問題は一応どうなったかという基本的なことをお聞きしたいし、また今後の見通しについてもお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) お尋ねの保険料負担の平準化につきましては、経過的に申し上げますと、平成元年の十二月の大蔵、厚生、自治三大臣合意を踏まえまして、関係省庁と幅広い角度から詳細に検討を行ってきたわけでございますけれども、いろいろな問題がございまして、例えば市町村ごとの医療費の格差が依然として大きいとか、あるいは個々の市町村によりまして保険料賦課の方式、これは応益保険料あるいは応能保険料との割合、そういった保険料賦課の方式が大きく分散している。こういったこと等の状況の中で、率直に申し上げまして、実施に移せる形での結論を得ることができずに現在に至っているというのが現状でございます。 今回の制度改正につきましては、先ほど来申し上げておりますように、全体としての国保制度に対する財政支援措置が強化されたということ、それから国保財政安定化支援事業の制度化によりまして市町村一般会計からの適切な支援が行われるということ、また別途予算措置として国保特別対策費補助金を八十億円増額して総額百八十億円とするとともに、老人加入率二〇%を超える保険者に対する特別調整交付金による財政支援措置を実施すること、さらには、保険料の賦課限度額の引き上げによりまして中間所得者層に偏っていた保険料負担の平準化が図られるというようなこと等によりまして、全体として国保財政の安定化と保険料負担の平準化に資するものである、こういうふうに考えているわけでございます。
○木庭健太郎君 もう一つ保険料という問題でお聞きしておきたいんですけれども、結局、今回の改正で国民が最も関心を抱くのは何かというと、実はどれだけ保険料が安くなるかなと、このことに国民が一番関心を持っていると思うんです。これは、国保の保険料がもちろん他の社会保険の本人負担分に比べても平均して高いということがあるわけですから、関心を抱いて当然だと思うんですけれども、今回改正が一世帯当たりの保険料に与える軽減効果についてお伺いしたい。 同時に、今回の見直しによって財政支援事業の拡充と特別対策費補助金の拡充部分というのがあるわけですけれども、これはストレートに保険料の軽減に反映されるというふうに考えておいていいのか、これについてお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 一つは、国保財政支援事業の拡充とか、特別対策費補助金等の拡充がストレートに保険料に反映されるかどうかということでございますが、個別の保険者によりまして財政状況がさまざまでございますので、また医療費とか保険料賦課の状況もいろいろ異なっている、こういったことから個別的に見た場合の影響は、私ども、さまざまであって必ずしもストレートに保険料に反映されるというものではないと思っておるわけでございます。 しかしながら、今回の見直しによりまして、国保全体として見ると、先ほど来お話を申し上げておりますように、国、地方を通じまして公費負担の拡大が図られることになる、あるいは安定化支援事業の制度化によりまして、市町村一般会計からの円滑な財政支援措置が行われるというようなこと等から、全体として国保財政の安定化と保険料負担の平準化が図られることは間違いないところでございます。
○木庭健太郎君 国保の改正のときの新聞の見出し、局長も大臣もごらんになったと思うんですけれども、改正の中身より一番頭についてきたのは何かというと、「国保の保険料負担軽く 一世帯、年二千円減額」と、金額がはっきり出ている。各新聞社がそれぞれやったのかどうかわかりませんけれども、同じ見出しなんですよね。厚生省として、こういうことを言ったのか、言ったとは言わないでしょうから、それなら大体これくらいを目標に軽くなっていくというふうな見通しを持っているのか、その点をはっきりさせてもらいたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 直接そういうことを申し上げたわけではありませんが、例えば財政の支援事業によりまして千二百五十億というものが計上される。それが財政支援に資する、例えばそれが一つ。あるいは特別対策事業等もございま す。国保の保険料というのは、例えば現在全く医療費等の動きがなくて、仮定として今のままであるならば、それを単純に計算すれば一世帯当たりの保険料がこれこれになるというような計算はできるわけでございます。 そういう意味におきましては一つの計算であろうかと思うのでございますが、ただ問題は、三千何百の市町村の保険者それぞれの事情の中で、つまり医療費の増高もあるわけでございますから、それが直ちに保険料の軽減だということではない。そういう意味におきまして、全体としては財政の大きな支援になるということは間違いないところでございますが、個々の保険者にとってどうなるか、また個々の被保険者にとって保険料がどう影響するかということはまた別である、こういうことでございます。
○木庭健太郎君 もちろん、厚生省としてはいろいろ事情はあると思いますが、しかしそういう保険料が下がっていく方向になるために今改正をしたというふうにおっしゃっているわけですから、その点は厚生省としてもきちんと指導していくというふうにとらえておいていいわけですね。
○政府委員(古川貞二郎君) 国民健康保険の特別会計に一般会計から繰り入れるというようなことについては、確実にそれが行われるものというふうに理解しておりますし、そういう指導を十分にしていきたい。そういうことを通じまして、これから大変厳しい医療費の増高等も高齢化とか医療の高度化等でも考えられるわけでございますが、そういった中でできるだけ財政の安定化あるいは保険料の安定というか、そういった負担の公平というようなことに資していきたい、かように考えているわけであります。
○木庭健太郎君 少し話を変えまして、一元化の方向へ向けて一つ努力していただきたいことがございます。何かというと、分娩費、助産費の現物給付の問題でございます。 ようやく平成四年度におきまして、政管健保の分娩費の最低保障額、配偶者分娩費の金額が引き上げられまして、さらに国保の助産費につきましても、その地方財政上の基準額が政管並びの二十四万円に引き上げられました。私もこの問題をずっと主張し続けておるんですけれども、やはり今後の課題は現物給付化であると考えます。 この前、もう今次官になられましたけれども、黒木局長にもこの問題でお尋ねをした経過もございます。ぜひ再度この問題の検討状況について厚生省にお伺いしたいし、とりわけ来年は国際家族年、再来年は国際婦人年から十年に当たり、世界婦人会議の開催も伝えられておるわけでございます。重要な年でございます。そういう一つの大きなイベントがあるときに、こういう時期までに分娩費、助産費の現物支給化の問題にぜひ結論を得ていただきたいと思っておるんですけれども、見解を求めたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 先生から、こういった分娩費の調査とかそういった実態とかいうことについて、これまで御質問、御審議を承ったことは承知いたしておるわけであります。 負傷、疾病の場合には、御案内のとおりですが、その診療に必要な費用につきまして、あらかじめ準備することが困難であるというようなことから、医療保険制度につきましては原則その給付は現物給付とする。これに対して分娩の場合には、妊娠した後に出産のための費用につきましてあらかじめ準備することが可能である、そういったこと等のために健康保険制度は創設以来出産後に一定額を支給する現金給付というか、そういった考え方で来ているわけでございます。 こういった方式というのは定着をしておるわけでございまして、それを現物給付化するということについてはいろいろ問題があるわけでございますけれども、この問題については、私どももやっぱり現在医療保険審議会でいろいろ御議論いただいておりますが、その検討項目、現金給付のあり方というようなことの一つとして、今後幅広い観点から医療保険審議会で進められていく審議も踏まえながら私どもは検討していきたい、かように考えているところでございます。
○木庭健太郎君 もう一つ別の問題でございますけれども、これは外国人の医療保障の問題でございます。この問題については以前から大きな社会問題となって、このまま放置すれば国際的な批判も招くのではないかという指摘もありましたけれども、それ以上に困っておるのは実際の医療の現場でございます。医療の現場、お医者さんというのは、何人であろうと医療を受けたいという方があればそれを拒むことができないわけでございます。 そういう現状の中で、こういう問題が起きている。不法就労者の治療費未払い問題というふうに言われておりますけれども、これは年々深刻化していると言わざるを得ないと思います。関係団体の調査を少し聞きましたら、既に全国でこの医療費の未払い額は二億円近くに達しているという話もあります。つい最近でございましたが、神奈川県ではこれに対して、支払い不能な外国人の救急医療費については自治体が全額を負担する制度を新年度から発足させるというようなことも既に出ておりました。 この問題も一回論議したことがございます。前の厚生大臣であります山下徳夫さんから私はおしかりを受けました。日本は法治国家だ、不法就労者なんか我々の枠外だと、厳しく指摘をされました。私は、そうではないんじゃないか、やっぱり人道上の問題もあるんじゃないかと。それ以上に、実際にその治療に当たっている医療現場はこれはたまらないわけでございまして、その辺を厚生省としても考えなくてはいけないんじゃないかと思っております。 やっぱり、自治体の臨時的措置に任せるだけではいけないんじゃないか。国としても、不法就労者というそのものの問題をどう解決するかという、政府全体が考えなくてはいけない問題がもちろんございます。しかしやはりこういう人道上にかかわる問題について、厚生省を含めて国の抜本的対策が求められていることに変わりはないと思います、一番声を上げなくてはいけないのは、本当に大変な目に遭っている病院を抱えている厚生省であると私は考えておるんですけれども、これについてどのような考えでいらっしゃるのか、再度見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(瀬田公和君) 前国会から先生の御指摘を受けまして、その後いろいろと検討を続けているわけでございます。ただ、先生御承知でございますけれども、日本の国内に今合法的に居住する者につきましては、これは内外人平等の原則に立ちまして、国籍を問わず健康保険、国民健康保険その他の医療保障の制度で必要な医療が受けられるような仕組みがとられているわけでございます。 ただ、我が国に不法に滞在する外国人につきましては、前国会でも御説明をさせていただいたわけでございますけれども、不法滞在が判明するとこれは強制退去等の取り扱いの対象にもなりますし、また医療保障を行うことそのことが不法滞在を容認助長するおそれがあるということによりまして、不法滞在を前提として医療保障を行うということは、政府の統一的な入国管理政策の方針もございまして、現時点では極めて困難であるというふうに考えております。 ただし、一方におきまして、先生のただいまのお話もあったわけでございますが、不法滞在、不法就労という外国人の数は年々ふえ続けておりまして、現在、法務省の統計によりますと約三十万人に達しているという状況でございます。また、こうした不法滞在の外国人の医療費の未払いの状況を見ると、先生からも今御指摘がございましたけれども、平成三年度におきましては、全国の地方公共団体立の病院におきまして約一億円弱、また日本赤十字病院というふうなところでは約三千万円強というふうな報告も私たちに対してございます。 先生御指摘のように、医療機関というものは正当な理由がなければ患者からの診療の求めを拒むことができないわけでございまして、したがって 医療費の支払いが不確実だということをもって診療を拒否することはできないわけでございますので、こういう事態が続けば病院経営の危機を招くおそれもあるということは私たちとしても十分に承知をしているわけでございます。このため、不法滞在の外国人の診療費の未払いによる医療機関の負担問題の解決のために、現在内閣審議室その他関係省庁で打合会を持ちまして検討に入っておりまして、できるだけ早く結論を得たいと考えておるのが現状でございます。 なお、神奈川県等のお話もございましたけれども、神奈川県等の条例におきまして未払いの診療費について医療機関に助成を行うための制度を考えているようでございます。これにつきましては、まだ細部を検討中であると聞いておりますので、当面その推移を見守っていきたいというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、できるだけ早く何らかの結論を得たいというふうに考えて、検討を続けているというのが現状でございます。
○木庭健太郎君 要するに検討しているわけでしょう。
○政府委員(瀬田公和君) はい。
○木庭健太郎君 長く説明いただきましたけれども、いろいろ立場が違うと思うんですよ。私は、人道的な面からやってくれ、それから医療機関の面からやってくれということを言っているわけですが、立場が違っても取り組みに向けて検討していただくことが大事なんですから、その一言をいただきたかったんですけれども、長く御説明をいただきましてありがとうございました。 最後に一つ、国民健康カードの実用化に向けての実施状況、今後の目途についてちょっとお尋ねしておきたいと思います。 特に、今年度政管健保において導入されたモデル事業の内容、それがこれまでの施策とどう関連するのかをお聞きしたいと思います。その点について最後にお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(佐藤隆三君) ただいま御質問の政管健保のモデル事業といたしましてのカード化でございますが、政管健保におきましては、成人病予防検診の対象人員を拡大するなど健康管理事業を積極的に推進しているところでございます。今後はその政管健保の検診事業におきまして、健康情報を収録したカード化を導入いたしまして、被保険者等の健康管理に対する関心を高め、また検診後の日常生活の改善指導に活用するなど健康管理事業の充実強化を図ってまいりたい、こういう考え方でございます。 この健康情報のカード化の具体的な内容につきましては、実施方法等の調査研究を行う必要がございますので、当面はテスト的に実施したいと考えておりますが、この調査研究に当たりまして、他分野でのいろいろなシステムの動向あるいは他の施策等につきましても十分に配慮してまいりたいと考えております。
○勝木健司君 今回の国保法の改正案の眼目は、平成四年に創設をされました国保財政安定化支援事業を国保法上の制度として明確に位置づけて、そして国保財政の安定化と保険料負担の平準化を図るものであるとのことでありますが、まず第一に、この国保財政安定化支援事業を制度化するということは、一体どのような意義を有するのかということであります。 平成四年度に、国保財政安定化支援事業は地方財政計画上措置をされておるわけであります。これをなぜ平成五年度より法制化をするのかということで、今回この事業が国保法上位置づけられることにより一体何が変わるのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 今お話しございましたように、今回の制度改正というのは、国民健康保険法にこの事業を規定することによりまして、従来は国民健康保険法上規定がなかったことについて今回それを制度化することによりまして、市町村一般会計の繰り入れについて法的な根拠を与えると同時に、これによりまして国民健康保険事業に対する一般会計からの財政支援の円滑かつ適切な実施が図られる、こういうことを私ども期待しているわけでございまして、そのことによりまして国保財政の安定化と保険料負担の平準化を図ろう、こういうものでございます。
○勝木健司君 今回のこの国民健康保険法の見直しについては、厳しい国の財政状況のもとにゴールドプランあるいはエイズ対策、厚生省予算に必要な枠の確保を図らなければならなかったということで、予算編成の大詰めの段階で浮上したものであるというふうに聞いておるわけであります。したがって、今回のこの改正案は、国保制度の基本論議が行われ結論が得られるまでの平成五年度、六年度の二年間にわたる暫定措置となっておるわけであります。 いずれにしても、二年間の暫定的な措置とはいえ新たに市町村一般会計からの繰り入れが制度化されることになるわけでありますが、この国保の厳しい財政状況や保険料負担が過重となっている現状を考えますと、国保制度の抜本的見直しは当然避けて通れないというふうに思うわけであります。昨年の健保法の改正においても、社会保険審議会は国保事業が審議の対象外となっておるので、これを発展的に改組して医療保険審議会を創設し、そこでその審議会を母体に国保の問題が検討されることとなるということでありますが、この二年以内に国保制度の抜本的な見直しが当然図られると考えてよろしいのかどうか。また、この国保の問題にとどまらず、医療保険制度をめぐる状況は、高齢化、疾病構造の変化、国民の医療ニーズの多様化、高度化など変化いたしておりますので、当然医療保険制度にとっても大きな変革期を迎えておるわけであります。この医療保険制度のビジョン、またスケジュールは一体どうなっておるのか。そして、そのスケジュールの全体の中での国保の位置づけは一体どうなっておるのかということを厚生大臣にお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、医療保険を取り巻く状況というのは極めて厳しいものがあるわけでございます。高齢化の進展、疾病構造の変化、さらに国民の医療ニーズの高度化、多様化など大きく変化しておるわけであります。 こうした状況を踏まえながら、将来にわたって良質な医療を効率的かつ安定的に供給できるような医療保険制度のあり方全般について検討を行う必要があるわけでございます。 そういう観点に立ちまして、昨年の九月医療保険審議会を新たに設けまして、ただいま公的医療保険の役割、保険給付の範囲と内容、さらに給付と負担の公平、医療費の規模及びその財源負担のあり方、医療保険制度の枠組みなどについて御検討をいただいておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもは平成七年度を目途にして、この一つの方向づけというものを打ち出していただきたい。その中において、ただいま先生から御指摘ありましたが、いわゆる国保というものが高齢化であるとかあるいは低所得者をたくさん抱えておりまして、財政基盤が極めて脆弱化しておりますので、この国保制度の改革というものが大変重要な課題である、このように認識をいたしておるような次第でございます。 公的医療保険の役割、保険給付の範囲と内容を中心にして、今検討を進めていただいておるわけでございますが、今後のスケジュールといたしましては、ことしの夏ごろを目途にして中間的な取りまとめをいただくことになっておりまして、この中間的な取りまとめの内容等によって、要するにこれがまとまって、国民の皆さん方の合意が得られれば平成六年度にも制度改正を行う、こういうようなスケジュールを立てているような次第でございます。
○勝木健司君 先日、国保の平成三年度の決算が発表されたわけでありますが、赤字保険者が固定化をしており、特定地域に集中する傾向が見られております。このように赤字保険者が固定化し、また特定地域に集中する要因につきまして、厚生省はどのように分析をされておるのか。また、こ の件につきまして、国保制度に内在する構造的なものなのか、あるいは保険者の経営姿勢等に問題があるのか。あわせて、これら赤字保険者の収支改善に向けて今後厚生省としてどのような対策を講じて保険者を指導していかれるのか、説明をお願いしたいというふうに思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 赤字保険者の傾向を見ますと、御指摘のように固定化してきている、また特定の地域に集中する傾向にある。特に、北海道とか大阪府で赤字保険者数の全体の四八%、赤字総額の八一%というような状況でございます。 こういった保険者が赤字を出すに至った原因には、さまざまなものがあるわけでございますが、総じて言いますと医療費が高いあるいは保険料収納率が低いというような事業運営に改善すべき点がある、こういったことが指摘できるわけでございます。したがいまして、こういったことを踏まえましてこれらの赤字保険者に対しましては、私どもといたしましては、医療費の適正化対策の一層の強化とか、あるいは適正賦課の実施とか、収納率向上対策の推進、こういった保険者の経営努力の充実強化について指導を行っているわけでございます。特に、継続して赤字を計上している保険者に対しましては、赤字解消基本計画を策定させ、中長期的にわたって着実な赤字解消を指導している、こういうような状況でございます。
○勝木健司君 国保の問題として、この厳しい財政状況と並んで大きな問題なのが、先ほどの国保の医療費あるいは保険料の地域格差が著しいことであろうかというふうに思います。市町村間で最大七倍もの保険料格差があるというのは、被保険者の負担の公平の視点からもゆゆしき問題であると言わざるを得ません。 なぜこのように医療費や保険料格差が大きいのか、また格差是正に向けたこれまでの取り組み及び今後の方向についてどういう方策でこれを解消されていくのか、お伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 地域格差が生ずる原因といたしましてはいろいろと考えられるわけでございますけれども、基本的には、保険料の水準というのはその市町村の医療費の水準で決まるというようなことから、保険料格差の最大の要因は一つは医療費の地域間格差である、こういうふうに考えているわけでございます。 そこで、医療費につきましては、これもさまざまな要因に影響されるわけでございますが、一つは人口の年齢構成の違いとかあるいは病床数など医療供給の状況とか、医療機関側の診療パターンの差とか、住民に対する保健事業つまりヘルス事業の実施の状況、住民の生活慣習あるいは健康に対する意識、受診行動の違い、こういったさまざまな要因が考えられておりまして、これらの要素が相互に影響し合って医療費の地域差が生じているんではないか、こういうふうに我々は分析しているところでございます。 そこで、こういった地域間格差を是正していくための政策でございますが、そのためには医療費の格差を是正していく、特に高医療費の地域における医療費適正化対策を強力に推進していく必要がある、こう考えておるわけであります。 高医療費地域対策といたしましては、昭和六十三年の国保の改正によりまして、年齢構成の相違とか地域の特別事情等を勘案してもおおむね全国平均より著しく医療費が高い、こういった市町村につきまして国保運営の安定化計画を作成いたしまして、医療給付費の適正化等安定化対策を講ずるということといたしておるわけであります。さらに、平成五年度におきましては、国保医療費適正化特別対策基金を国保中央会に設置し、高医療費地域の保険者等に対する医療費適正化対策の充実強化を図るというふうなことといたしておるわけでございます。 私どもとしては、こういったことのほかにも、地域の実情に応じて医療費適正化のもろもろの対策、経営者の努力なり医療機関に対する協力なりいろいろございますが、そういったことを総合的に推進して、医療費ひいては保険料の地域間格差の是正に努めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
○勝木健司君 ただいまありました国保医療費適正化特別対策基金の設置でありますけれども、国保中央会に設置されるということでありますが、この基金が予定している事業と、そして厚生省がこれまで行ってきた一連の医療費適正化対策との関係について御説明を願いたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) お尋ねの国保医療費適正化特別対策基金、これは仮称でございますけれども、これは基金としては五十億でございます。平成五年度五十億を予定して、その果実によっていろんな施策、適正化対策を進めていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。 その中身でございますけれども、医療費の地域格差、先ほどお話し申し上げた格差是正の観点から、高医療費地域の保険者とか単独では十分な医療費適正化対策を講ずるということが困難な小規模保険者等を対象といたしまして、レセプト点検体制の強化など国保連合会が保険者の共同事業として行う医療費適正化対策を充実強化していきまして、国保財政の安定化を図ることを目的としているものでございます。
○勝木健司君 保険料の平準化の施策についてお伺いしますが、国保については制度存立の基盤である保険料についてさまざまな問題を生じておるわけでありますが、国保中央会とともに適正な保険料算定のあり方とかあるいは実際の保険料の算定状況を分析するための方法などについて検討を重ねておられるということで、昨年の十一月ですか、保険料適正算定マニュアルとして取りまとめられておるわけでありますが、この保険料の平準化についての今後の施策についてお伺いをしたい。特に地域間格差の是正が当然前提にならなければいけないと思うわけでありますけれども、この点も含めてお願いしたいというふうに思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 御指摘のように、この地域間格差の是正というのは大変重要な施策だと私どもは認識しておるわけでございまして、医療費の地域間格差が保険料負担の格差の大きな要因となっているというようなことから、これまでも、高医療費地域における医療費安定化対策の推進、こういったことを図ること等によりまして格差の是正に努めてきているわけでございます。 また、一つは、現行の保険料賦課が応能割に偏っているというようなことで、中間所得者層に非常に重い保険料負担となっている。こういったことから、応益保険料と応能保険料の割合を均衡させて受益と所得に応じた公平な負担を実現できるように、先ほどお話がございました保険料算定に関する標準算定マニュアルを作成いたしまして、これに基づいた適正賦課の指導を行う等努力を重ねてきているところでございます。 さらに、今回の制度改正におきまして、地方の実情に応じた地方財源による国保財政の支援措置が制度化されることとか、あるいは賦課限度額が引き上げられるというようなことによりまして、保険料の地域格差の縮小とか、中間所得層の負担に偏っておるそういった問題が緩和されるというようなことで、保険料負担の平準化に資するものというふうに考えているわけでございます。 ただ、基本的な問題については、この格差の是正という問題、保険料負担の平準化の問題、これはもう基本的な国保制度のあり方に関する問題の一つでございまして、今後、医療保険審議会において制度全体の見直しを進めていく中でこの問題は引き続き検討してまいりたいと考えております。
○勝木健司君 昨年の健康保険法の改正で、政府管掌健康保険におきましては、事業運営安定資金をもって短期的な景気変動あるいは医療費の増加等による影響を吸収して保険料水準を平準化するという中期的な財政運営方式を導入されたわけであります。こうした考え方が国保あるいは組合健保についてもとれるのか否かという検討会を設け られておるということでありますが、その検討状況、特にこの中期的財政運営への移行をするとした場合に必要となる安定的な基金の規模についての中間報告も今現在取りまとめておられるとも伺っておるわけでありますが、それについての御報告をお願いしたいというふうに思います。
○政府委員(古川貞二郎君) お尋ねの件でございますが、まず、国民健康保険につきましては、平成四年、昨年の九月に国民健康保険の財政運営のあり力に関する検討会を設置いたしまして、中期的財政運営の導入の可能性とか導入に必要な基金の規模などについて検討を行ってきたところでございます。 中期的な財政運営の導入に当たりましては、いわゆる保険者たる市町村の規模とか、保険料あるいは保険税の算定方法がさまざまであるというようなことなど検討すべき点が多々あるわけでございまして、まだ最終的な結論を出すに至っていない。現在、導入に必要な基金の規模を中心に検討を行い、中間報告に向けた作業に入っているという状況でございます。 それから、一方、健康保険組合でございますけれども、これにつきましては平成四年、昨年の七月に健康保険組合財政運営検討会を設置いたしまして、健保組合の現状を踏まえて中期財政運営の導入に向けての課題などを検討し、これは報告書を取りまとめたところでございまして、その結果、平成五年度以降可能な健保組合から順次導入することとしている次第でございます。 健保組合の中期財政運営における資産規模につきましては、これはいろいろ健保組合の状況がさまざまでございますので、一律に定めるということは難しいわけでございますけれども、保険給付費等の三カ月分に相当する準備金に各健保組合の規模とか母体企業とかあるいは業界などの個別事情を加味して必要と判断される規模の額を合わせた額が妥当ではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○勝木健司君 最後に、もう時間もなくなりましたので、国民健康保険制度は、これまで国民皆保険の中核として、問題はありますけれども、地域住民に対する保健医療の向上に多大な貢献をしてきたわけであります。 今後、本格的な高齢化社会を控えておりますので、ますますこの国保制度が重要な役割を当然果たしてくることになるわけでありますが、先ほども厚生大臣からスケジュール等々についてお話をいただいたわけでありますが、特に国保制度の一層の安定に向けての大臣の決意をお伺いして、質問を終わりたいというふうに思うわけであります。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどからお話を申し上げておるわけでございますけれども、今国保というものが財政的に極めて脆弱な中で、また地域保険制度の中でも国保制度のあり方というものが大変重要なわけであります。 そういう中において、今回暫定的な措置として二年間こういうような財政安定化支援というものをお願いしたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今度のこの法案を通じまして、一歩一歩課題となっておりますいわゆる平準化の問題であるとかそのほかの財政支援の問題につきまして問題の解消に努め、そして基本的には、いわゆる審議会の場におきまして一定の方向づけをいただく上において、長期的、安定的に揺るぎない保険、国保制度の体制の確立に尽くしていく決意でございます。
○西山登紀子君 九二年度に国民健康保険を引き下げた市町村は、昨年度の三百二十三団体から四百五十九団体、一・五倍にふえているという報道がございます。これは全国の地方公共団体の一四%に当たるわけです。 国保引き下げを求めた直接請求の運動も各地で起こっているわけですが、私の地元の京都市でも行われております。京都市では、四人家族で二百七十万円の年間所得で、最高額は四十四万円もの保険料になっております。高過ぎて払えない、何とか下げてほしいと署名を集める人が日に日にふえている状況でございます。単身年金生活者で、年金額が月額約十一万九千円に対して、国保料は月額八千五百円、それに昨年度の滞納額を返済しているわけで、千五百円上乗せをすると月額生活費の八・四%が年金で消えていく、こういうふうな深刻なケースもあるわけです。 本改正案では、保険基盤安定制度への国庫負担を定額にしたり、今年度に続いて事務費のうち外注費用を人件費とみなして国庫負担を削減しておりますが、一九五八年に国民健康保険法が制定されましたときには国民の医療保障は国の責務であるとしたわけで、この趣旨に反するのではないでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 今回の制度改正というのは、繰り返して申し上げておりますが、国保財政が非常に厳しいということを踏まえまして、全体として国保財政の安定に資するとともに、この保険料の負担の格差がある、そういったことを解消し負担の公平を図ろうと、こういう趣旨でございます。 国民健康保険も社会保険であるというようなことでございますが、御指摘の構造的に大変厳しいという状況の中で、給付費の二分の一を負担する、あるいはその他いろいろな支援をやっておりまして、国民皆保険体制を支える一つの重要な柱として私どもはその円滑な運営に腐心をしている、こういう状況でございます。 今回の改正も、そういった大きな全体としての国。支援の一環ということで、私どもは取り組んでいる次第でございます。
○西山登紀子君 国は、保険基盤安定制度への国庫負担を四百六十億円減らし、法定減免制度から撤退するという、そういうことになると思うんですね。事務費につきましても、京都市の例を見ますと、七五年度には五五・二%であった国庫負担の充足率が九一年度には三八・一%にしか達しておりません。それだけ自治体の超過負担がふえているということになるわけです。 厚生省は、毎年国保の予算編成に対する保険局長通知を出して、基金の取り崩しなどを安易な保険料の引き下げには充てないこととしておりますけれども、これは地方自治体が大変な中でも住民の声を受けとめて国保の引き下げをしていることを妨害することになるのではないでしょうか。私は、国庫負担を削減する一方で、地方自治体の努力を逆なでするような指導は改めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 先ほども申し上げましたように、国民健康保険も相扶共済、いわゆるお互いに助け合うといったことを基本とする社会保険制度でございまして、原則的には、一般租税と比較いたしまして受益と負担の関係がより明確な保険料財源によって運営されるというのが基本的だと考えているわけでございます。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、国保には、構造的に非常に財政基盤が脆弱であるというようなことから、給付費の二分の一負担、その他いろいろな支援を行っている、こういうのが現状でございます。 ところで、お尋ねの保険料の設定の議論でございますが、各市町村国保の保険料の設定というのは、最終的にはそれぞれの保険者自身の判断によるというものでございますけれども、人口の高齢化等の進展によりまして構造的な財政不安定の要因を抱えている国保におきましては、将来の明確な財政見通しがないままに安易に保険料の引き下げを行うということは私ども適当ではないというふうに考えているわけでございます。 したがいまして、私どもとしては、本当に国保の被保険者のために十分努力をしているわけでございますけれども、国保財政の運営が健全に行われる、そのことによって国保の被保険者が安心して医療を受けられる、こういうようなことが大事でございますので、そういった観点から安易な保険料の引き下げを行う、将来の明確な財政の見通しのないままに行うということは適当ではない。そういった点で、国保財政の運営が健全に行われるように必要な指導を行っていく所存でございま す。
○西山登紀子君 決して安易に引き下げを行っているような自治体はないと思います。高過ぎて払えない人がどんどんふえている、こういう現状を見ての地方自治体の努力だということをぜひお考えいただきたいと思いますし、国民皆保険制度の運営に国が責任を持つという観点からも、八四年に国庫負担を四五%から三八・五%に切り下げたことなどはもとに戻すべきだということを強く要求しておきたいと思います。 そこで、次の質問ですが、安心して医療を受けられるという点からも無視できないMRSAの問題について質問いたします。この問題は、この委員会でもたびたび取り上げられているわけですけれども、国民の関心事でもありますので、私も質問いたします。 私は、MRSAの不安を不必要にかき立てようとするものではございません。むしろ、現状については正しく把握して、科学的な対策を講ずる必要があると思っているわけです。 厚生省は、九二年の七月に課長通知で、初めてMRSA対策として医療従事者の教育や手洗いの徹底を求められたと思います。私が調べてみますと、八六年に創設されました日本環境感染学会の学会誌「環境感染」の創刊号の特別講演の中では、既にMRSAによる院内感染問題についての報告がされておりまして、以後、毎号この問題で研究者が注意を喚起しております。八八年の日本化学療法学会の三十六回総会では、国立療養所東京病院の宍戸教授がシンポジウムヘの基調報告の中で、ブドウ球菌感染のうちのMRSA感染は、八六年九月から八七年五月には過去四年前に比較して九ポイント増加し四三%になり、とりわけ日本に特徴的な老人病院では六八%と高率になっていることを報告しているわけです。 私は、厚生省がこうしたMRSAに対する認識が甘くて、院内感染に対する対策について十分な対応をしてこなかったのではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 今MRSAのお話でございますが、MRSA等の耐性菌によります院内感染を防止するに当たりまして、抗生物質製剤が適切に使用されるということが前提であり、また重要でございます。この抗生物質製剤は感染者の治療におきまして大変すばらしい効果を上げたわけでございますが、この抗生物質に抵抗性を示す耐性菌の出現が一方で出てまいりました。抗生物質が普及した当初から医学界において調査されており、先生がいろいろおっしゃっておりましたが、そのようなことで、それを受けまして医師等の間ではその症状に応じた治療方法等がなされてきたものと考えておるわけであります。 MRSAにつきまして、厚生省としましても、従来より医療監視というものを通じましてMRSAも含めた院内感染予防対策の徹底については指導してきたわけでありますけれども、昭和六十年には院内感染の予防に関する研究に取り組みまして、それによりまして平成三年には従来よりも詳しいいろいろなマニュアル等もつくりまして、従来の感染予防対策をさらに強化いたしまして指導をしてまいったところでございます。 それから最近のことでございますけれども、この問題がいろいろ新聞紙上等で非常に騒がれてきていることもございまして、私ども、先般厚生省全省を挙げまして施設内感染総合対策というものを取りまとめまして、それによりまして院内感染対策を総合的かつ強力に推進をいたしておるところでございます。
○西山登紀子君 次に、幾つかの具体的な問題について質問したいんです。 一つは、厚生省はMRSAの感染調査を平成三年度の特別研究事業として五百床以上の病院で実施し、昨年七月には三百床以上の病院で行いました。この二つの調査の結果はどうだったのか、またどのように対比して考えればいいか説明をしてください。
○政府委員(寺松尚君) 今先生がおっしゃいました調査は二つございまして、平成三年から四年にかけてやりました調査と、もう一つは四年度に行いました調査がございます。それらを両方比較してのことでございますけれども、調査方法に若干の違いがございます。 例えば、対象といたしましたベッドのサイズが五百以上と三百以上というようなことがございますけれども、黄色ブドウ球菌中に占められますMRSAの割合はおおむね六〇から七〇%ぐらいでございまして、ほぼ同様な結果を示しているものと考えております。
○西山登紀子君 ほぼ同様ということですが、私が見ますと、やはり三百床の検出率というのは五〇%以下と率は低いんですけれども、施設の数では広がっているように読み取れるわけです。最近問題化しました千葉の富里病院は三百床未満、老人病院は百六十床程度が平均なわけですので、ぜひ三百床未満の医療機関についても調査することが必要ではないかと思っております。 そしてまた、抵抗力が非常に弱くて治療も必要な高齢者の多い特別養護老人ホームなどの施設でもMRSA感染状況を調査する必要があるのではないか。この点はいかがでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) MRSAを含みます薬剤耐性菌の実態調査でございますけれども、これは医療施設の規模というよりもむしろ患者の病状や治療行為の内容というふうなものによって異なるものではないかと、このように考えておりまして、今回の調査によりまして、おおむね医療機関の全体の傾向は把握されているものと考えておりますし、今後これをさらに年次的に追求してまいりたいと思っております。 そこで、今先生御指摘のような小さな病院あるいは特殊な病院につきましては、これは県の方でもそれぞれ独自にいろいろ調査をいたしておりまして、今私どものところに調査を始めておるという報告をいただいておりますのは十六都道府県ぐらいでございまして、いろいろ施設の状態に応じまして調査をやっておるところと聞いております。
○政府委員(横尾和子君) 特別養護老人ホームについてのMRSAの保菌感染についてでございますが、特別養護老人ホームでは、抗菌薬の使用あるいは留置カテーテル、IVHの使用頻度が病院に比して少なく、入所者の病状も安定しておりますので、病院の場合とは異なり、施設内での感染の可能性は比較的低いというふうに聞いております。 そのため、一律な調査を行う考えはただいまのところ持っておりません。
○西山登紀子君 長野などでも問題は起こっているわけですから、ぜひ厚生省は問題意識を持って今後とも追求をしていただきたいと思います。 次に、結核患者などの組織であります日本患者同盟への会員からの相談によりますと、MRSAの感染者が退院を強要されているらしいというのです。厚生省にも申し入れを行ったと聞いておりますけれども、MRSAの感染を理由にして入院を拒否したり退院を強要すべきでないと思いますし、また特別養護老人ホームヘの入所、退所についても同様の指導をぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 医療を必要といたします患者が単にMRSAに感染しているという理由から入院を拒否されたり、あるいは病院から退院を迫られたりするということはあってはならないことだと考えております。 したがいまして、そのような事例がもしもあれば、都道府県を通じまして私ども個別に病院等を指導してまいりたい、このように考えております。
○政府委員(横尾和子君) 特別養護老人ホームの入所についてでございますが、MRSA保菌者であっても健康状態が安定している場合には入所拒否を行うことは適切でないと考えておりまして、こうしたことにつきましては、全国の主管課長会議においても指導を図ったところでございます。
○西山登紀子君 次に、厚生省は老人養護施設向けのMRSA対策マニュアルを作成中だといいま すけれども、ぜひ完成を急いでいただきたいことと、その中に在宅介護に従事する場合のマニュアルを含めていただきたいということですが、どうですか。
○政府委員(横尾和子君) 御指摘のマニュアルでございますが、今その作成を急いでいるところでございます。でき得れば、来月にも関係先に配付を行いたいと考えておりまして、また、在宅福祉の場における対応についても盛り込んでいきたいと考えております。
○西山登紀子君 MRSAはまだ正体が十分把握できていないと思いますので、このMRSAについての科学的な評価や分析、特効薬と言われる抗生物質に対する耐性などについて国の責任で研究する、もっと研究していく、こういう必要があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 大学の研究者の間でMRSAの毒性に関する研究が行われておりまして、その研究成果については私どもも報告を受けておるわけでありますが、私ども耐性菌対策というのは大変困難な問題である、このように認識しておりまして、こういうふうな研究の成果を参考にしながら、私どもも検討会を設置してございますので、その辺にデータもお示ししたりしながら必要な対策を進めてまいりたい、このように考えております。
○西山登紀子君 九一年十月号の医薬ジャーナルで院内感染の特集をしておりますが、そこでは、医学や医療では欧米に日本はおくれはとっていない、むしろ進んでいる場合もあるわけだけれども、しかし院内感染防止の点では明らかにおくれをとっていると指摘をしております。 例えば、感染症対策を専門に行う看護婦でありますインフェクション・コントロール・ナースの設置にしても、厚生省はまだ必要かどうか検討する段階であると言っていますけれども、イギリスでは一九六〇年から、アメリカでは六七年から専門教育を受けたICNが養成され、二百五十床程度に一人の割合で配置されていると言われておりますが、こういう院内感染に関する世界の到達点と比べて日本が大変おくれていると思いますので、日本になじむ方向でこういったICNシステムなどを一歩進めるお考えはありませんか。
○政府委員(寺松尚君) 先ほど御説明いたしましたように、六十年度からいろいろ研究を進めておりまして、その成果によりまして、私ども先ほどこれも申し上げましたが、平成三年に指導通知を出したわけでございます。その中身は、医療機関におります全職員がこの感染症対策、院内感染症防止のために努力をするということが必要でありまして、そのためには院内に専門の委員会をつくる。そして、その院内で使われますためのマニュアルを作成するというようなことも言ってございまして、そのような方針で指導をしてまいったわけでございます。来年度のことでございますけれども、医療機関で院内感染対策に主として取り組んでおります医師、看護婦を対象としました院内感染対策講習会を実施したい、このように考えております。 またそれとともに、実は今先生御指摘になりましたそういう専門の対策を行うICNと申しますか、そういうふうな人たちを含めて実際設置しております施設もあるやに聞いておりますので、そのような施設の内容あるいはその成果というものにつきましても、私ども調査をしてモデル的にそれを検討してみたい、このように考えております。
○西山登紀子君 ぜひ研究を進めていただきたいと思います。 最後に、厚生大臣にお伺いしたいんですが、今回のMRSA問題を契機といたしまして院内感染防止策を大いに進める必要があると考えますけれども、御所見をお聞かせください。
○国務大臣(丹羽雄哉君) MRSAを含む院内感染の問題は、患者の医療機関に対する信頼を根底から覆しかねない大変大きな問題であると認識をいたしておるような次第であります。そういう観点に立ちまして、先ほど健康政策局長の方から総合対策について答弁があったわけでございますけれども、今後とも院内感染対策につきまして総合的、強力に推進していく決意でございます。 この院内感染、MRSA対策を進めていく上におきまして、いわゆる医療機関の運営コストの問題がかかってくるわけでございます。これが診療報酬になじむかどうかにわかに判断がつきかねるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、施設の整備であるとか人員配置であるとか、こういった運営コストの問題もございますので、ひとつ公的な助成を含めて今後勉強させていただきたい、こういうような決意でございます。
○粟森喬君 今回のいわゆる制度改正の中で、国保財政安定化支援事業が制度化されました。念のために数字も確認しておきたいんですが、これまで一千億の財政措置だったのが、今回二百五十億円ふえて、しかもそれを二年間に限ってではございますが、数字として入れて制度化したということは一つの意味があろうかと思います。 しかし、同時にこの間、同僚議員からもいろんな角度で質問が出ているわけですが、保険基盤安定制度が定額化された、定額化されたときに本来なら五百六十億円相当分のうち百億円だけ定額措置をしてあとの分はいわゆるその地方財政措置にした、こういうふうに経過としてお聞きをしています。 まず、地方財政措置としてこのような数字が入っているということについてはそれでよろしいのかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) そのとおりでございます。
○粟森喬君 そこで、多少私はお尋ねをする前に、率直に申し上げまして今回の制度改正というものが、厚生省のいわゆる国民健康保険にかかわる助成費の総枠がかなり厳しい中で、地方財政措置に回る分とこの際制度改正をする分と両方の側面があるかと私は思いますが、一番重要なのは何といっても保険基盤安定制度のここに国の定額制度を導入してしまうということでございます。これが二年間になるのかどうかというのは、この間の厚生大臣の答弁でも抜本的な改革をしなきゃならぬということでございますが、これも市町村が四分の一を持っていたのが今回は地財措置としてこの金額が確認できたわけでございますが、じゃ、来年はどうなるのかということを含めまして、率で決めずにこのようにするというのはやっぱり一つの問題を残しているんではないか。 すなわち、私の立場から見ると、保険基盤安定制度はまだまだ必要だし、そこに一定の国のいわゆる負担のあり方がきちんとしていないと、この平準化というのはまだまだ達成をしないんではないか。そういう意味で、平準化が達成をある程度進められたとすればどういうぐあいにその部分が進められているのか、まず質問を申し上げたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 保険基盤安定制度についてのお尋ねでございますけれども、この制度は国保財政の基盤の安定を図るということのために、保険料負担能力が低い被保険者にかかわる保険料の軽減相当分について公費によって補てんを行う、こういう制度でございます。 そこで、その効果というかそういったことのお尋ねでございますけれども、これは昭和六十二年に創設されたものであるわけでございますが、この制度に基づく市町村一般会計からの繰入額というのは、昭和六十三年が九百四十七億でございまして、逐年増加いたしまして、平成三年では千二十四億円、四年には千七十七億円というふうに着実に増加しておりまして、国保財政の基盤の安定に寄与しているものと、こういうふうに私ども理解しております。 なお、その基盤安定制度に基づく公費の投入による平準化の効果はどうだ、具体的にというようなお話でございますが、この平準化の効果を定量的に試算するということは難しいわけでございますけれども、低所得者が多く財政力の弱い保険者ほど保険料軽減世帯が多くなっている、保険基盤安定制度に基づく一般会計繰入額も多額になると いうようなことから見まして、国保制度全体として見た場合には保険者間の財政力の差異に起因す係る保険料負担の格差の是正に効果があるものと、こういうふうに理解しているところでございます。
○粟森喬君 保険基盤安定制度がつくられて、一方で国保財政安定化支援事業が始まるという二つのことが多少問題を複雑にしたことは、私なりに理解をしております。しかし、やはりこの種の制度でございますから、この間の、私が懸念をするのは、いわゆる制度で率で決まっているものが額に変わる、ある一定の時期までは地財計画なりいろんなことでそれが保障されているように見えながら、結果的にこれは財政措置全般のことでございますから、変動要素をかなり持つと、これはやっぱり国保制度の問題としても大きな問題を私は残しているのではないかと思います。したがって、今回定額制にした意味というものをもう一度ここでお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 繰り返しになりますが、本制度は国保財政の安定化と保険料負担の平準化に資するものであるわけでございますけれども、厳しい国の財政の現状にかんがみまして、また一方、国保財政安定化支援事業が法制化されまして、各保険者の実情に応じた財政安定化措置が地方財政措置によって行われるというようなこと等も踏まえまして、保険基盤安定制度にかかわる国庫負担の見直しを行った、定率負担から定額ということでございます。 なぜそれでは定額にしたのかというようなことでございますけれども、これにつきましては、国保における国と地方の役割分担とか費用負担のあり方等、国保制度の基本問題につきまして現在医療保険審議会において議論が進められている、こういったことからこの費用負担の変更については平成五年度と六年度の暫定措置にする、そういったことと同時に、この暫定期間中の国の責任を示すというような趣旨からこの定額百億円の国庫負担を残すと、こういうことになったわけでございます。 したがいまして、今回の制度改正は二年間の暫定措置でございますので、法律の規定上、何にもしないで平成五年、六年度が経過いたしますと本則に戻るというようなことでございます。
○粟森喬君 本則に戻るからいいんではないかというふうに私は納得するわけにまいりません。と申しますのは、過渡的に二年間をこうせざるを得なかった背景について多少お尋ねをしなければならぬと思います。 先ほどから大臣の答弁にもあるわけでございますが、いわゆる国保財政が全体にもう大変だと、何とかしなければならない。私がこの法案の財政的な裏づけを見たときに、これほどややこしいといいますか、金額の問題も予算書のどこにどう出ておるのかということが、少なくとも事務局からの説明をいただかなかったら絶対わからないわけでございます。 こんなやり方にせざるを得ない状況になったのは、一つにはそういう財政的な事情や厚生省のさまざまな行政の中で、いろんなやりくりと地方財政に対する、地方公共団体に対するいろんな通達などを出しているんだろうと思います。やはり基本的には国保をどうするかということについて、先ほどから大臣は、あるいは局長も言われているわけですが、医療保険審議会にこのことは御審議をいただくというふうに言っていますが、何をどう、どういう立場で審議をしていただくのか。 実は、過日も私、中医協のことも申し上げたわけですが、諮問のあり方とかそれから基本的な姿勢というのが、私どもはこの法案の改正の中でもう二年間で次のことを考えるんだろうということはわかるわけですが、先ほどからの論議の中で基本的にどういう立場で、私はあくまでも諮問でございますからこれは行政としての厚生省のある種の根底となる見解があってここにくるんだろうと思いますが、基本的な考え方についてまずお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 医療保険制度は、御案内のように国民生活の安定にとって欠かせない大切な制度である、こういうふうに認識しておりまして、二十一世紀の本格的な高齢化社会においても国民の多様なニーズというものに的確にこたえて役割を適切に果たしていく、そして国民の安心の源となるようにしていく、こういうことが重要である。これはもう当然のことであるわけであります。 そこで今日、医療保険を取り巻く状況というのは、高齢化の進展とか疾病構造の変化とか、国民の医療ニーズの高度化、多様化、こういったことで大きく変化してきているわけでございまして、こういった状況を踏まえながら、将来にわたって良質な医療を効率的かつ安定的に供給できるような医療保険制度のあり方全般についての検討が問われているわけでございます。 そこで、昨年の九月に医療保険審議会を、これは国民健康保険制度には従来審議会がなかったわけでございますが、国保制度を含めた医療保険制度のあり方について検討をしよう、こういった背景を踏まえて医療保険審議会を新たに設けまして、公的医療保険の役割とか、保険給付の範囲とか内容、給付と負担の公平、医療費の規模、財源負担のあり方、あるいは医療保険制度の枠組みなどの検討項目につきまして幅広い観点から御審議をいただいている、こういったことでございます。国民健康保険というものも医療保険制度の国民皆保険体制を支える一つの重要な柱でございまして、私ども、そういった観点から国民健康保険制度のあり方も含めて検討をお願いしているということでございます。 なお、先ほどちょっと私の舌足らずでございましたが、本則に戻ると申し上げたんですが、私どもは本則に戻ればいいと思っているわけではなくて、その間、この医療保険審議会で国民健康保険のあり方について考え方をまとめて、制度改正の必要があれば制度改正にもつなげていきたい、こういう考えであることを申し添えたいと思います。
○粟森喬君 二年間でほぼこの今のやり方は終わりだと、こういうふうに今言われたんです。問題は、今審議をお願いしておると言っていますが、何をどういうぐあいに-もう何か厚生省は、原案はございません、フリーディスカッションでやっていくみたいな話をしていますが、行政の立場からしたらそういうことはあり得ないと私は思うんです。例えば一つの例で、一元化と言われたときに、少なくとも全体の保険制度にかかわるという論議もある種必要でしょう。しかし、基本的には、国民健康保険制度そのものをどの視点とどの視点で持つぐらいはやっぱりこの際明らかにしておくべきではないかと私は思うんです。 といいますのは、何となくそこにお任せ、お任せということで、後で法案が出たときに審議するだけでなく、少なくとも国会の場で厚生省が基本的な方向ぐらい示すということなしにやるというのは適当ではないと、こういうふうに私は思いますので、これは厚生大臣の見解と局長の答弁と、両方求めたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 医療保険審議会におきます検討でございますけれども、御案内のように審議会というところは、それは最終的に厚生大臣の諮問に応じて答申をし、あるいは建議をするというようなことでございますが、現時点におきましてはそういった医療保険のあり方について検討する場で、検討項目というのが整理されておりまして、公的医療保険の役割とか、保険給付の範囲、内容とか、給付と負担の公平、先ほど申し上げたようなこと、それから特に国保にかかわる問題としては、医療保険制度の枠組みとか、特に保険者運営のあり方、こういった広域的な問題、いろいろとそういった問題を含めて今検討しているところでございます。 しかし、これは二年間で終わるとか一年で終わるというものではなくて、医療保険のあり方についてはやはりいろいろと引き続き検討しなければいかぬ、中長期的な見地から検討すべきものと、当面の問題として検討すべきものといろいろ分か れておるわけでございますが、現在はそういった医療保険審議会で当面の問題、つまり公的医療保険の役割とか給付の範囲等々について御検討いただいておりまして、議論を深める中で、医療保険の像といいましょうか将来のあり方が明らかになってくる。私どもとしても、そういったことでいろいろと検討しておりますが、医療保険審議会の御議論の中でそういったありようというものが定められてくるのではないか、そういうふうに思っているわけでございます。
○粟森喬君 大臣に答弁をいただく前に、はっきりしてほしいんです。 まず、二年後に国民健康保険制度について何らかの見直しというか抜本的な改革をせないかぬ。そのときに、今項目を全部言われましたが、それについて全部ある種の答申をもらうというか諮問をしていくのか、この部分に限ってやるのか。もちろん、そこは、関係のあるところが幾つかあるということは認識しています。しかし、全体にやる前に、私は国民健康保険にかかわる問題というのは喫緊の課題を幾つか持っている。本来、二分の一負担から横出しといいますか、多少保険基盤安定制度だとか財政安定化支援事業をやらざるを得なくなったというのは、二分の一原則ではもう限界に来ている。 このことについては、どこかでやっぱり論をちゃんと押さえてやっていかないと私はいけないのではないかと思うんですが、何か今の話を聞いていると全体の審議の中にお任せをする印象でございますが、これは大臣の方から明確な答弁をお願い申し上げたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) その前に一言申し上げますが、医療保険審議会で検討しておりますが、御案内のような医療保険全体についてはやはりいろんな問題があるということで、基本的な問題に関する小委員会というものを設けまして検討している。それから御指摘の国保の問題、これはまた医療保険全体にかかわる部分と国保固有の問題といろいろございますので、国保部会というものを設けましてそこの国保部会の中で国民健康保険の問題を集中的に御検討いただいていると、こういうふうな医療保険審議会の今の進め方でございます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいまの局長の答弁と重複する部分もあるわけで恐縮でございますけれども、国保を含めた医療保険のあり方につきまして現在医療保険審議会において御検討をいただいておるわけでございます。私といたしましては、公的負担の役割、保険給付の範囲と内容、こういったほかに、特に国保問題というのは大変大きな問題でございますし、先ほどから御説明を申し上げておりますように、今回のはあくまでも暫定的な措置でございますので、平成七年度に向けて何とか抜本的な方向づけを出していただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。 特にその中で私が重要と考えておりますことは、国と地方の役割分担、それから今先生からも御指摘がございましたいわゆる公的負担のあり方、さらに先ほどから御指摘が再三にわたってございました保険料の平準化、こういった問題を中心にしてひとつ方向づけを出していただければ幸いだと、このように考えているような次第でございます。
○粟森喬君 いずれにせよ、今の国民健康保険制度というものは、負担の平準化もいろいろ努力をしていただいたわけでございますが、まだまだでございます。私は、市町村健康保険ではないかと思うほどいろいろアンバラがあるわけですが、ぜひともこれは何らかの格好で、これまでの経過との間で余り矛盾を起こさないようにどうやるかということについてお互いに真剣な論議をする意味で、中間的には私どもも何らかの格好で意見を言う機会をつくるべきだと、こういうふうに申し上げておきたいと思います。 そこで、その際にぜひともやってほしいのは、なぜ平準化できないかというときにこういう問題がございます。例えば過疎地へ行きますと、お年寄りが多いということや収入の問題もあるわけでございますが、いい病院といいますか大病院がその地域にないとか、交通費だけ考えたりあるいは時間だけ考えても大変なロスがあるわけでございます。そうすると、そういうところでは一元化といいますか費用の負担の平準化をしようとするときにそんな条件ではなかなかできない。そうすると、ここにどうするかということも当然考えて財政措置がなかったら私はできないことだと思うんです。したがって、今あるいわゆる財政としてどうするのかという問題と、そういう環境といいますか附帯的な地域的な条件をやっぱり完成をすることなしには私は平準化の道というのは非常に難しいのではないか、こういうふうに思いますので、ぜひともこの部分についてこれからどうしていくのか見解を承っておきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 先生御指摘の点は、恐らく医療費の保障システム、つまり医療保険制度の議論と医療供給の面、そのことを御指摘されていると思います。医療費と医療供給の面は私どもは車の両輪である、こういうふうに考えておるわけでございますが、医療費の保障システムである医療保険制度については長期的な安定した仕組みとする、全国民を通じた給付と負担の公平化を図るということとあわせまして、御指摘のような医療供給の面においても必要な医療が適切に受けられる体制の整備を図るということが必要である。そのためのいろんな供給整備について、地域医療計画等に基づいた対応をしているという状況でございます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま局長からもお話がございましたけれども、私どもは地域医療計画というものを策定いたしまして、そしてひとしく国民が医療サービスを受けられるような環境づくりに努めてきておるわけでございます。 特に、先生が御指摘の点は、いわゆる山村であるとか僻地であるとかそういう分野の医療体制だと思いますけれども、従来より、僻地中核病院等の整備あるいは巡回診療などの実施によって僻地医療対策の推進を図ってきたところでございます。さらに、来年度からは自治省と協力をいたしまして、いわゆる地方公共団体が行う僻地医療の充実に係る費用につきましては必要な財政措置を導入する、こういうことを既に決めておるわけでございます。 また、先ほどから再三にわたりまして、いわゆる国民健康保険における直営の問題が出ておりますけれども、僻地等の医療機関が不足している地域において国保の直営診療施設を開設し、地域医療の確保のために努めていきたい、こういうような決意でございます。
○委員長(細谷昭雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、国民健康保険法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 政府は、九三年度の予算編成の段階で財源不足が生じたため、社会保障関係費四千億円の削減を目指し、その一環として国保の国庫負担金を地方交付税化しました。 現行の国民健康保険法は、国民の医療保障を行うことを国の責務とし、これを市町村に団体委任するという考え方を基本にして発足しました。その結果、国庫補助金に比べて国の責任がより重い国庫負担金という位置づけがされてきたものです。保険基盤安定制度もこの立場から、保険基盤安定等負担金としていたものであります。今回、保険基盤安定制度に関する国庫負担の見直しは、法案提出の経緯からして、国庫の財源不足を補うための措置であり、安易に地方交付税化することは、国の責務をなし崩しに放棄し、その負担を市町村に押しつけるものであります。 また、国保財政安定化支援事業は、一般財源から国保への繰り入れは三千億円に達しているにもかかわらず、そのうち千二百五十億円を措置する だけてあります。この法制化は、国保に対する地方自治体の負担を固定化するものです。このような事業は地方交付税で手当てするのではなく、国保の国庫負担率を四五%に戻す、あるいは国庫負担金で措置すべきものであります。 国民は高い保険料に苦しみ、市町村は国保財政の赤字解消のため必死の努力をしているとき、国の負担だけを軽減するということは到底許されません。 本法案に反対であるという意思を表明して、討論を終わります。
○委員長(細谷昭雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 国民健康保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(細谷昭雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
○菅野壽君 私は、ただいま可決されました国民健康保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、民主改革連合各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 以下、案文を朗読いたします。 国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。 一、今回の措置によって、地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、所要の地方財政措置を遺漏なく講じること。 二、国保安定化支援事業の制度化の趣旨にかんがみ、保険料負担の平準化を一層推進するよう、保険者の指導の徹底に努めること。 三、医療費の地域間格差を是正するため、医療費の適正化を総合的に推進すること。 四、構造的問題を抱える国民健康保険制度について、国と地方の役割の在り方を含め、抜本的見直しを図るとともに、医療保険制度全体を通じた給付と負担の公平化を図るための一元化に向けた取組みを進めること。 五、地域保険としての国民健康保険制度の特性にかんがみ、市町村における保健・医療・福祉の総合的推進を図る観点から、高齢者保健福祉推進十か年戦略の積極的支援等保健施設事業の充実強化に努めること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(細谷昭雄君) ただいま菅野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(細谷昭雄君) 多数と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
○委員長(細谷昭雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(細谷昭雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(細谷昭雄君) 次に、社会福祉・医療事業団法及び沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。丹羽厚生大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま議題となりました社会福祉・医療事業団法及び沖縄振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。 本格的な高齢社会に向けて、国民が健やかで安心して老後の生活を送ることができるよう、お年寄りの保健・医療・福祉全般にわたる施策の充実を図っていくことが重要な課題となっております。 このため、要介護老人に対して在宅ケアを提供する指定老人訪問看護事業の普及を図るため、同事業に対する低利融資制度を創設することとし、この法律案を提出した次第であります。 改正の内容は、社会福祉・医療事業団及び沖縄振興開発金融公庫が、指定老人訪問看護事業を行う医療法人その他政令で定める者に対し、施設・設備や運営に要する資金を貸し付けることとするものであります。 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概略であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(細谷昭雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時十五分散会 ―――――・―――――