厚生委員会 第2号
- 発言数
- 249 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1993/03/02
会議録
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。 社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大浜方栄君 私は、まず丹羽新厚生大臣の御就任を心から喜ぶものであります。その理由は、丹羽厚生大臣は厚生政務次官、自民党の社会部会長、衆議院の社労委員長等を歴任なさった医療保障、社会保障のエキスパートでございますから、非常に心から喜んでおります。また、その分深く御期待を申し上げるところでございます。 本日、私に与えられた時間は二十五分でありますけれども、まず、今全国で特にマスコミが取り上げて問題になっているMRSA、いわゆるメチシリン耐性黄色ブドウ状球菌の院内感染の問題について質問させていただきます。 御存じのとおり、このMRSA感染は日本の老人ホームから国立病院、大学病院に至るまで広がっております。北海道から沖縄まで全国に広がっているというのが現状でありまして、しかも訴訟問題にまで発展をしているということをぜひ御認識いただきたい。また、これはある面から言わせていただくならば、エイズ以上に緊急かつ重要のテーマである、こう思っております。 既に、厚生省及び医療団体では院内感染に対するマニュアルづくりをやっておりまして、私ども実際に現場からいろんな質問や要望を受けるわけです。それはどういうことかというと、このマニュアルの実施に当たってどうしてもコストの問題で困っている、こういうことであります。 御存じのとおり、このマニュアルによりますと、我々医療界が反省すべきものはいわゆる抗生物質の乱用でございますから、これは当然論をまたないところでありますが、何といっても手洗いを励行するということ、いわゆるノンタッチ型の手洗い器を設置しなきゃいかぬ。それから使い捨てのぺーパータオルの問題がある。あるいはまた、どうしても患者さんを個室に入れて隔離しなきゃいけないということ。それから使い捨てガウン、使い捨てキャップ、使い捨てのマスク、ゴム手袋等、それから消毒キャビネットを設置しなきゃいかぬ。それから病室の壁とかカーペットとかの問題、患者さんのリネン、排せつ物の滅菌作業とか、あるいはそれらの業務量の増大に伴うマンパワーの確保等がありますけれども、問題はこれに要する費用でございます。 都内のある病院から私の手元に届いている資料によりますと、まず、W液一瓶が四千五百円、一日当たり三百三十六円から八百十円、年間に十二万二千六百四十円から二十九万五千六百五十円。消耗品として、マスクが一枚七十円、手袋が一枚七十円、ガウンが一枚七百五十円、シーツが一枚一千円。そのほか、専用の回診車を購入しなきゃいかぬ、つくらにゃいかぬ。それが二万円から三万円。先ほど申し上げたように除菌ロッカー、これは長野の老人ホームでも既に問題になっておりますけれども、これ一つで四百万円する、こういうような状態であります。 さらにまた、帝京大学病院の医事課の資料によりますと、MRSA検出の患者さんの一カ月当たりの医療費がそうでない患者さんに比べて二十万円高い。内科病棟でさえ一人当たり約五万円のコスト増になっているんだと。さらにまた、日本医師会の資料によりますと、医薬品材料が一日四千八百円、食器、廃棄物処理が一日七千三百三十二円、一カ月二十一万九千九百六十九円でございます。いみじくも帝京大学病院、東京都内の病院、日本医師会、この三者の資料が一カ月二十万円という一致した数字になっております。こういうものが社会保険診療で手当てをされていない、こういうことでございます。 それで、私は、こういう問題に関して、入院管理料にこの院内感染対策コストを手当てすべきじゃないか、こういうことを思っておるので、ぜひひとつその点に関して厚生大臣の御見解を拝聴したい。特に、大臣も御高承のとおり、今公的病院、私的病院を問わず赤字経営に悩んでいるところが非常に多うございますから、私はそういう点でも社会保険診療報酬にあるいは何らかの方法でこの院内感染対策コスト増しを考えていただきたい、こう思うわけであります。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、医療の専門家であり、尊敬する大浜先生から御激励を賜りましてまことに恐縮でございます。 MRSAの問題は、いわゆる国民の医療機関に対する信頼を根幹から崩しかねない大変大きな問題と受けとめておるわけでございます。そこで、先生御案内のように、厚生省といたしましても感染防止のための総合対策を取りまとめたわけであります。 具体的に申し上げさせていただきますならば、抗生物質の適切な使用あるいは病院内感染防止に関する教育や研修、さらに自動消毒器など施設の改善、さらに専門職員を配置したモデル的な研究の実施、こういうようなことを柱といたしましていわゆる総合対策を取りまとめたわけでございます。 問題は、MRSAを中心とする院内感染の防止のために多大な費用がかかる、こういうような御指摘でございます。率直に申し上げまして、こういう問題はこれまでのいわゆる診療報酬のあり方からいうと、必ずしもこれがすぐに結びつくかというと、先生も十分に御理解いただけると思いますけれども、ある面ではなじみにくい面もあるわけでございます。しかし、この問題は医療機関の存続にかかわる大変大きな問題でもございます。そういう観点に立ちまして、例えば感染防止のための施設、設備あるいは人的な配置などを中心といたしまして、特に環境面の評価、こういうものができないかどうか、こういうような観点に立ちましてひとつ前向きに勉強させていただきたい、このように考えているような次第でございます。
○大浜方栄君 特に今の問題に関して、根本的に施設の改造等を要するものがありますので、例えば病院等の空調ダクト、この空調ダクトは雑菌の吹き出し口とも言われておって、この吹き出し口の微小じんあいろ過装置、何かヘパフィルターとか言われているらしいんですが、微小じんあいろ過装置が必要である。さらにまた、いわゆる普通のクリーナーとは違って病院は中央真空集じん装置を設置すべきである。あるいはまた抗菌カーペットを使うべきである。これが諸外国では当たり前のことでございますけれども、ぜひそういうことに関しましても施設改善費への低利融資あるいは入院施設基準加算等を考えていただきたい、こう思うわけであります。
○政府委員(寺松尚君) 先生の御質問にお答えいたします。 今いろいろと施設整備のことについてお話がございましたけれども、二点について総括的にお話ししたいと思います。 病院の施設の設備や整備につきましては、基本的にはその資産の帰属主体であります事業者において整備するべきものである、こう考えているわけでありますけれども、患者の療養環境の改善のための施設整備のうち一定の要件を満たすものについては患者環境改善施設整備事業によりましてその一部を補助することにいたしたいと思います。その結果としてMRSAの防止ができればと、このように考えております。これは国庫補助事業を適切に活用することによってやりたい、こう考えております。 それからもう一つは、従来から実施しておるものでございますけれども、社会福祉・医療事業団の低利融資がございます。それにつきましても必要な施設設備の整備について適切な運用に努めてまいりたい、このように考えております。
○大浜方栄君 私は、重ねて大臣にお伺いし、またお願いをするところでありますけれども、大臣も先ほどお話があったように、このMRSA問題は非常に重要な問題である、こういう御見解をちょうだいしましたが、考えてみなければいけないのは、大学病院でも発生している、訴訟問題にまで発展しているということでございます。大阪大学病院、東京大学病院、それから東京女子医大、和歌山県立医大病院、日赤の赤十字医療センターですか、こういうところで発生している。病気を治すために病院に行って、逆に治すどころか病気をもらって、病気がうつって死に至るということがこの日本で起こっている。しかもこれが北海道から沖縄まで起こっているんだと。私はこの問題は非常に重要だと思う。 せんだって医療法の改正があったけれども、医療法の改正の目的とするところは質の高い医療を国民に提供するということである。国民に質の高い医療を提供する大学病院でMRSAをもらうということは何たることかと私は憤慨にたえない。ぜひこの点もひとつ考えていただきたい。 それで、アメリカではいわゆるJACHO、医療の質を評価する第三者の団体がありますけれども、ここでは二年以内にMRSA対策を基準項目の中に入れる、こういうことになっております。 私は、特に厚生省に申し上げたいことは、もちろん一般歳出の三割を厚生省予算で占めている、その中の八割を年金と医療で占めているから、財政主導的になって医療費の効率化、抑制化を図るのも大事だけれども、しかし国民医療を守るためにはあるいは医療の質を高めるためには出すべきものは出すという転換をやらなきゃいけない、私はこう思っておるんです。ぜひひとつ丹羽大臣にはその点を御勘案いただきたい。 それで、重ねて申し上げますけれども、社会保険診療報酬等でもこれを研究していただきたい、こう思うわけでございます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 反省を含めて申し上げさせていただきますならば、確かに我が国の医療というのは世界の中でも大変高い水準にあるわけでございます。医療サービス、医療技術、そういう面においては大変高い水準にあるわけでございますけれども、肝心なおひざ元のそういったいわゆる病院内の衛生管理の問題、こういうものが必ずしもこれまで私どもも含めまして十分な認識があったかどうか、こういう点を深く反省いたしまして、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたようにこの問題は医療機関と患者とのいわゆる信頼関係を根底から覆しかねない大変大きな問題でございますので、診療報酬の評価の問題につきまして勉強させていただきたい、このように考えております。
○大浜方栄君 次に、病院倒産の問題ですけれども、私は、せんだってNHKスペシャル、一月十三日の「病院再建の内幕」、同じく一月三十一日の「病院買収」のルポを見ました。そして、特に病院買収の問題では、これは今の民間中小病院の経営危機の生々しさを訴えている。拡大再生産もできないような医療費抑制策の行き過ぎ、それから看護婦不足、医師の高齢化、地価の高騰、公的病院と私的病院の格差の問題等、こういうのが絡んで民間病院が経営危機に陥って、そのすきをついてといいますか暴力団と悪徳金融の食い物にされている実態でございまして、これは地域においては医療の荒廃につながるということを私は実感したわけでございます。 それで、昭和六十年十二月の医療法改正のたしか附則第四条には、医療機関の経営基盤の安定を図るために必要な措置を講ずるとうたっている。うたっているのにかかわらずこういうような実態が出てくる。 特に私はっきり申し上げたいことは、私は農林水産政務次官もやっておったしそれからいろんな部会にも出ておりますけれども、例えば中小企業を守るために通産省はあらゆる施策を講じて中小企業の育成強化に努めている。さらに最近においては、大臣も御高承のとおり、農林省はいわゆる米の自由化の問題等いろんな農業の危機の叫ばれている中で新農政プランを立てて農業の育成強化に努めている。そういうようなものに比べると、私は、厚生省は民間医療機関に対して余りにも思いやりがないんじゃなかろうかということを考えているわけでございます。 御高承のとおり、実際に日本の中小企業は、オイルショックあるいは円高危機等に際して、自分の知恵を絞りに絞って今まで乗り越えてきているわけでございますけれども、日本の民間中小病院も同じように今本当に厚生省のいわゆる低医療費政策、これはもちろんある面では医療費を効率化し能率化していくということは先ほども申し上げたように財源確保の問題で必要ではありますけれども、拡大再生産もできないような行き過ぎは私はどうかと思う。 こういうような状況の中で、もう私は統計的な数字は申し上げないけれども、平成三年六月の中医協の調査とか厚生省自身の病院経営収支調査あるいは自治省の平成三年度の地方公営企業決算の概況によると、公的病院といえども八割以上が赤字になっている。こういうような実態の中で、私は、先ほど申し上げた暴力団によって日本の地域医療を守る中小病院が乗っ取られようとしている、そういうことに対する対策をどう考えているのか。本日のサンデー毎日を見ますと、それにも同じような暴力団がいろんな企業に入り込んでいるということを報道しております。 それで、今申し上げたような暴力団問題に関して厚生省はどういうような対策をとっておられるのか、ひとつお聞かせを願いたい。
○政府委員(寺松尚君) 国民に良質な医療を安定的かつ継続的に提供していくために、医療機関の経営の健全化を図ることは非常に重要だと考えております。と申しますのは、民間医療が我が国の国民の医療の確保において大きな役割を果たしておる、こういうことでございます。 そこで、私どもは、平成三年六月の中医協の調査や公的病院を対象とした病院経営収支調査によりますと、最近の病院の中には経営状況が厳しくなってきているものもあるということは感じておるわけでございます。そこで、病院経営全般の状況を把握するために民間病院についての詳細な調査、分析が必要と考えておりまして、その準備を進めております。 それから、もう一つ申し上げたいことは、都道府県と連携のもとに、病院の開設許可あるいは医療法人の会計報告等の機会を活用いたしまして経営面の指導を強化する、あるいは人的な問題というのが非常に医療機関にとって経営の問題で苦労されておりますので、私どもは看護婦等の医療関係者の養成、確保を図る。それから、患者給食や検体検査等の業務を支援する医療関連サービスの健全な育成によりまして病院の経営の合理化といいますか、そういうふうなものに資したいというようなことで施策を推進しているところでございます。 さらに、民間病院の経営状況や経営に影響を及ぼす病院の動向等につきましては、早急に調査するとともに、先ほども申し上げましたように、来年度、医療機関経営健全化総合対策として医療機関の経営の現状等を分析いたしまして経営の健全化のための具体策の検討に入りたい、このように考えております。
○大浜方栄君 最後の質問でございますけれども、看護婦問題について質問をさせていただきます。 私は議員になって十年になりますけれども、議員になった当時から看護婦不足を強調してまいりまして、自民党の社会部会あるいは当委員会あるいは決算委員会等でも看護婦倍増論を訴えてまいりました。先ほどの病院倒産の大きな原因、経営危機の大きな原因は、看護婦不足に由来するものであります。私は、この十年間訴えてきたにもかかわらず、厚生省の看護婦対策は後手後手に回ってきて現在のような大きな社会問題にもなっている、こう思っております。 それで、その看護婦不足対策の一助として、私は五、六年前からいわゆる看護婦二年課程の問題についても早急に考慮するように厚生省に訴えてまいりました。ぜひこのことに対しても、今から先若年者の人口、いわゆる十八歳人口が減少していくということ、それから若手の人手不足はほかの産業との間のいわゆる人手確保の競争になっていく、こういうようなことも考えられて、早急に看護婦二年課程の問題に関しても実のあることをやっていただきたい、こう思うわけでございますけれども、このことに関してはぜひ丹羽厚生大臣から御答弁をちょうだいしたい、こう思っております。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいまの大浜先生の御指摘に全く私も同感でございます。 看護婦問題というのは大変大きな問題でございます。特に処遇改善の問題であるとか、昨年の診療報酬におきまして初めて看護の面につきまして目を向けまして、評価をしたわけでございます。いろんな角度からこの問題について取り組んでおるわけでございます。 先生から御指摘がございましたように、今後いかにして人材を確保していくか、こういうことでございますけれども、私どもは、人材確保法、これの趣旨に基づきまして着実にその成果を上げていかなければならない、こう考えておるわけでございます。特に大きな問題といたしましては、准看護婦の方々が向学心に燃えていらっしゃる、こういう方に対して正看への道を拡大、広げていく、これが大変大きな問題になるのではないか、このように私は認識をいたしておるわけであります。 現在、この問題につきましては、二年課程の問題につきまして検討会において検討をいたしておるわけでございますけれども、私個人といたしましては、例えば准看護婦の方々で医療の現場において三年間とか四年間とか実績を積んだ方に対しまして、これを何らかの形で評価したい。准看の資格を持っていてもさらに二年間養成学校に行かなければ実際問題として正看への道はないということでありますけれども、やはりこういう実績を何らかの形で評価をして、病院に勤務する傍らにおいても現実に正看の資格を取得できるような道がとれるような環境づくりというものをこれから十分に私どもは検討していかなければならない、このように考えているような次第であります。 いずれにいたしましても、いろいろこれ関係者の皆さん方の御理解をいただかなければならないわけでございますけれども、この問題については先生の御協力も得ましてひとつ前向きに検討していきたい、このように考えております。
○木暮山人君 厚生大臣、御就任まことにおめでとうございます。 先日、豊富な識見と御経験あふれる所信表明を拝聴いたしました。どれもこれも我が国の厚生行政に欠かすことのできない問題ばかりでございましたが、今世紀末、厚生行政の正念場を迎えるに当たりまして、この中で最重要施策として取り上げるとしたらどの問題が重要であり、そしてまた、それに対応するところの御決意をひとつ簡単に御披瀝をお願いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) もう今さら申し上げるまでもなく、厚生行政は国民の生活に直接関連する大変大きな課題を抱えておるわけでございます。私は、大臣の就任に当たりまして、とにかく国民の皆様方にとってぬくもりのある厚生行政、こういうものを目指していきたい、こういう決意を披瀝させていただいたわけでございます。 今後の具体的な問題といたしましては、高齢化社会における社会保障の基盤の整備として、まず厚生年金の支給開始の引き上げ問題、さらに公的年金の一元化を中心とした年金制度の改革へ向けて取り組んでいきたい、これがまず第一点でございます。 それから、給付と負担の公平化などを含めたいわゆる医療保険制度改革への取り組み、さらに高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプラン、これを平成二年からスタートいたしておるわけでございますけれども、着実にこれも整備していかなければならない、このように考えております。 そのほか、次代を担う子供たちが健やかに生まれ育つような環境づくり、こういった面のほか、先生も大変御関心がおありと思いますけれども、最近エイズ問題が大変大きな問題となっております。おかげさまで、今衆議院段階で御審議をいただいております予算の中で、エイズにつきましても前年より五倍の百一億の予算が計上されておるわけでございます。このエイズ問題につきましても、ひとつ私は先頭に立って取り組んでいきたい、このように考えているような次第でございます。 そのほか、いわゆるごみ処理の問題も大変大きな問題でございます。一人の人間が一日一キログラム当たりのごみを排出するという、生活雑排水の問題、それから企業などが出しますいわゆる産業廃棄物の問題、こういった問題につきまして、いずれにいたしましても、国民の皆さん方が本当に生活大国にふさわしいいわゆる豊かな国民生活を享受できるような厚生行政の推進のためにひとつ全力で取り組んでいく決意でございます。
○木暮山人君 どうもありがとうございました。 御決意のほど御立派でございまして、今後やはり日本の不平等の中で、そしてまた規格的に厚生行政が進められている姿というものは立派であるけれども、長年の間にそこを生じた部分についてはどこかで是正していかなければいけない問題につきましても、ひとつぜひお心を添えていただきたいと思います。 また、今世界的に猛威を振るっておりますエイズ、これの感染防止策等につきましてはいろいろ厚生省でも指導をなさっております。また、国際条約でバーゼル条約というごみの問題を取り上げる条約が締結されて、それの国内法が今施行されております。これによりますところの廃棄物の処理、そしてまた特に医療廃棄物等の処理、こういう問題を一つずつ取り上げてみますと、まずそれがいずれもコストが相当かかっておることでございまして、先ほどの大浜先生の御質問にもありましたように、行政担当の方々に、ただ言葉だけ、そしてまた指示だけじゃなくて、財政の裏づけ等の中に処理コストを評価して保険の点数の中にちゃんと出していっていただかなければ、その負担をこうむり犠牲をこうむるのは担当させられている立場の者だけに限られていくと思います。こういう点、即国民の期待に反することなくやれるような医療保険の整備をひとつ考えていただきたい。 時間がございませんもので質問を全般的にやっていきたいと思いますけれども、後でまとめてひとつ御返答のほどをお願いしたいと思います。 第二点といたしましては、我が国の医療制度の医療行為の中に相当不平等な点があるのではないか、そしてまたいわゆる医療担当者の置かれている立場、これが大変束縛された中に置いておかれますもので、何か余り強い発言ができなくなっている。がんじがらめの医療機関の中に立たされているわけでありまして、私はそういう意味で医療というものが行政そのものの方向にどんどん推移、移行させられていく。そのために、かつてインフォームド・コンセントということは、いわゆる町の名医という評判、この中に生きていたわけでありましたが、昭和二十三年に基金法ができ、三十四年に国民皆保険になりますと、もう医は算術になってしまいまして、どんどん厚生省の指導の方向に進まなければ経営が成り立たないという現状に追いやられてきております。 いろんな問題がまだあるわけでありますが、その中の一つを私は歯科医の立場で申し上げます。 歯科医は医療行為を法的にすることはできません。しかし、医師は歯科医の行為を準じてやることが可能であります。違法にはなりません。 簡単に言いますと、歯を一つ抜く問題を考えますと、医師でも歯を抜くことはできます。しかし、医師が歯を抜いた場合と歯を抜く専門医の歯科医が歯を抜いた場合どれぐらい違うかということです。一番簡単な歯を抜く場合大体一本千二百円ぐらいで抜けます。そして一番高い歯は約九千円ぐらいになって、平均二千七、八百円から三千円ぐらいであります。こういう歯が年間二千三百万本ぐらい歯科医及び医師によって抜歯されております。しかし、医師と歯科医の歯を抜いたときの格差というものが約千六百二十円あります。 この千六百二十円という金額の格差というもの、専門医が安くて専門医じゃない方が高いというのはこれはやはり不平等なんじゃないか。これを年間に計算しますと、お金のことを言って恐縮なんでございますけれども、約三百七十二億円ぐらい収入減になっているわけであります。それが今まで三十五年も是正されずにきていますから、約一兆円ぐらい歯科界に来るべきお金が来ていない。それだけ歯科界というのは医師の世界で不平等に取り扱われております。 そういうことがあってはいけないと思うのでありますが、同じ口の中の手術をした場合、扁桃腺の摘出手術というのがございます。これは歯科と医科の境界の治療でございますけれども、扁桃腺、肉の塊みたいなものを切除するわけであります。これを切除すると、医科の方では二千三百点、要するに二万三千円の評価を受けております。しかし、皆さんも御存じのように親知らずというまだ生えてこない痛い歯があります。どこにあるかわからないような歯を歯科医が汗を流して一生懸命抜歯してもこれは九百点、九千円であります。こんなところに、私は、技術的にいろんな評価をまだまだ考えてもらわなければいけないんではないか。 まだ次に挙げますと、例えば歯科医が皮下注射、筋肉注射を打ちますと、これは込みでただであります。しかし医師が注射をすると十五点、百五十円です。また検査料もそのとおり、いろんな格差があります。また、抜歯後の洗浄、これを洗浄しましても歯医者の方は歯を抜いた中に含まれておりますが、医師が抜いた後これを洗浄しますと、約二百円、三百円、四百五十円、七百円ぐらいを傷口の大小により支給されております。これなどもひとつ考えていただきたい。 それともう一つは、麻酔というのは今、無痛抜歯といいましてなるべく全身麻酔で抜くような傾向になっております。しかし、これがなかなかうまく考えられておりません。麻酔によって事故を起こした場合、心電図とか肺機能検査とかいろんなことをします。これが約五千円ぐらいになりますが、なかなかこれがうまく評価されないで給付されないような現況にあります。こんなような現況をぜひ考えていただきたいということでございます。 もう一つ加えまするに、歯科で使われている材料、この材料というものはもう五十年も前に認定されたような材料を使っているわけであります。しかし、一番大事なこと、もうここのところ十年ぐらい衆議院でも方々で論ぜられておりますが、みんな最後の結論を出しておりません。私は、それにつきましてしっかりした結論をひとつお願いしたいと思いまして、参考までにここに披瀝させていただきたい問題があります。 歯科の入れ歯に使っておりますプラスチック、これは学名メチルメタクリレートと申しております。このメチルメタクリレートというのは、粉と液を二つまぜてそれで熱をかけてかたいプラスチックにするわけであります。これは学問的に言いますとラジカル重合反応といいまして、その定数によって計算してみますと、過酸化ベンゾイル十のマイナス四乗モル濃度とメチルメタクリレートモノマーが一モル濃度によって重合して一つの物体になるわけであります。しかし、そういう物体になりましてもこれが完全に一つのものになっているかといいますと、学問的に計算しますと九三%から九五%しか結合できないと言われております。それを一〇〇%近く重合させるには、その後熱処理を行い完全重合に向かっての努力をするわけでありますが、歯科の入れ歯を熱処理しますと収縮して変形してしまいます。そのためにこれは不可能であります。 そうしますと、九三%から九五%ぐらいの関係で今の入れ歯というものができていますと、その後の残された、いわゆる口の中に入れて流れ出る残留モノマー、これはがんの発生素因になる物質でありますが、これがどんどん流れ出る。その流れ出た後には水が吸収されて劣化して入れ歯が壊れてしまう。しかし、食品衛生法では、残留モノマーが大体一五ppm以上のものをあのサンドイッチ等を入れる器に使ってはいけないと言われています。また眼内レンズ、これは〇・一ppmないしは〇・〇〇一ppm以上の残留モノマーがあったら使ってはいけないと自主規制されています。しかし、歯科の入れ歯はどうやっても二〇ppm、大きい場合は二〇〇ppmという残留モノマーがある。 これにつきまして、厚生省は正確にこれの安全性を確認しておいでになるのか、また学会ではそういうことを安全だと言っているのか、そこら辺をひとつ加えてお話ししていただきたいと思います。 持ち時間の関係で、以下の質問は次回にさせていただきまして、大体そんなところで厚生省の御答弁を拝聴したいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) たくさん御質問をいただきましたが、一つは医療廃棄物等の処理コストの問題、それからもう一つは医科、歯科の診療報酬体系の格差の問題、その二つにつきまして私の方から御説明を申し上げたいと思います。 まず第一点でありますけれども、御案内のとおり、診療報酬につきましては、人件費とか物件費の動向とかあるいは医業収入の動向等を総合的に勘案いたしまして、全体として医療機関の経営が確保されるように改定しているところでございます。 そこで、お尋ねの医療廃棄物の処理に必要な費用につきましては、これは医業経営に必要なコストであるということで、こういった医業経営に必要なコストについては全体として医療経済実態調査によりこれを把握いたしまして、中医協の御議論を踏まえまして診療報酬上適切な措置を講じてまいりたい、かように考えております。 なお、MRSA対策に必要な経費につきましても基本的には同じでございますけれども、この問題については先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり、診療報酬上の対応について勉強してまいりたい、かように考えておるところでございます。 それから第二点の医科、歯科の診療報酬体系に格差があるのではないか、こういったお尋ねでございますけれども、医科と歯科におきましては診療の対象となる傷病の性質とかあるいは診療行為の内容等が異なるために、医療の特性を踏まえて医科、歯科それぞれの診療行為全体を勘案しつつ個別の点数を決めているものでございまして、共通の技術につきましては基本的に同一の評価を行っている、こういう実情にございます。 このような趣旨から、例えば初診時基本診療料とかあるいは再診時基本診療料につきましては、初診、再診行為の違いというようなことで医科、歯科で異なっている。また、お話の筋肉内注射につきましては、歯科医療上は基本的な医療行為として基本診療料に含まれておるわけでございますが、医科においては独立して評価されている。これは、いわゆる基本診療料の評価の違いということからこうなっているわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、共通の技術につきましては基本的に同一の評価と、こう申し上げたわけですが、先生御指摘の事例のうちで、抜歯とか麻酔とか検査につきましては医科、歯科同一の点数になっている、こういう実情でございまして、そういったそれぞれの評価の違いからそういう扱いになっているということを御理解賜りたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 義歯床用のアクリル樹脂の安全性の問題でございますが、これは御指摘がありましたように、開発以来五十数年にわたって世界各国で使用されているものでございまして、その安全性につきましては特段の問題はないというふうに認識をいたしております。しかし、残留モノマーの実態を的確に把握することは必要でございますので、厚生科学研究によりましてその面につきましての研究を現在進めているところでございます。
○木暮山人君 どうもありがとうございました。またいずれ続きをやらせていただきます。
○日下部禧代子君 丹羽厚生大臣、御就任早々、これからの厚生行政はぬくもりのある厚生行政を進めたいというお言葉でございました。大変感動的なお言葉でございましたが、これから具体的にどのような形でそのぬくもりのある厚生行政が進められていくのか、大変に期待しております。 そこで、今厚生行政の重要な課題ということをお挙げになりましたその第一番に、年金問題を大臣お挙げになりました。先週、衆議院で被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案の審議が行われまして、参議院でも近々審議がなされると思います。そこで、緊急の課題と今大臣もおっしゃいました年金問題についてまず質問をさせていただきたいと思います。詳しくは次回の法案の審議のときにいろいろとお尋ねをさせていただきたいと思いますので、このたびは簡潔にお答えいただきたいというふうに思います。 まず、厚生大臣にお伺いいたしますが、現在、我が国の年金の課題には一体どのようなものがあるのか、そしてそれをどのように改革しようとなさっていらっしゃるのか、政府の考え方を大臣のお言葉から明らかにしていただきたいと存じます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先生も御案内のように、今大変な勢いで高齢化の波が押し寄せておるわけでございます。年金の分野では一人のお年寄りを六人で支えておるわけでございますが、これが三十年後の二〇二〇年には一人のお年寄りを二・一人で支えなければならない、こういうような超高齢化社会を迎えるわけでございますけれども、私どもはこういう超高齢化社会に向けて今準備を進めておるわけでございます。 当面の問題といたしましては、いわゆる六十五歳の支給問題がございます。これは、来年に予定されております財政再計算時において、年金の支給開始引き上げの問題につきまして御議論をいただくことになっておるわけでございます。 現在、保険料率が一四・五%であります。これがこのままでいきますると、六十歳支給の場合には平成元年度の推計時におきまして三一・五%になるわけでございますけれども、私どもはこれをなるべく低く抑えたい、二六%前後に抑えることができないか、こういうことを平成元年度の推計時において私どもは明らかにしてきたわけでございますが、その後、御案内のように出生率も私どもが想像していた以上に大変低下しておるわけでございますので、このことすらも率直に申し上げましてなかなか難しい状態になってきておるわけでございます。やはり年金というのは、現役世代と年金をいただく方とのいわゆる支え合いでございまして、長期的に安定的な制度というものを確立しなければならない、そういう観点に立ちましてこの年金問題に取り組んでいきたいと思います。 問題は、率直に申し上げまして、六十歳定年というのは大分定着しつつあるわけでございますけれども、六十歳から六十五歳までの間、この間が実際問題として、この実施は平成十年以降でございますが、今の段階においてはなかなか働きたくても働く職がない方、あるいは働いても十分な賃金を確保することができない方、こういう方に対してどのような救済策を講じていくか、これが私は大きな課題ではないか、このように考えておるわけでございます。 それから、もう一点御指摘がございましたいわゆる公的年金の一元化でございます。平成五年度、六年度におきまして制度間調整というのをお願いしておるわけでございますけれども、私は、基本的には年金というのはどの職業についていてもひとしく年金の負担と給付を受けられる、こういうような哲学のもとに、いわゆる産業構造あるいは就業構造の変化に影響されないようなしっかりとした年金制度というものを確立していかなければならない、こういうふうに考えております。 そういう観点に立ちまして、現在、年金審議会において御検討いただいておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、平成七年を目途にいたしまして年金の一元化を図っていきたい、このように御理解を賜りたいと思っております。
○日下部禧代子君 どうもありがとうございました。 先日でございますが、社会保険審査会で、厚生年金加入者で加入期間が六カ月未満の方、二十歳前に障害を受けて厚生年金が出ないというそのケースにつきまして、無年金なのはやはりおかしいので国民年金が出るようにしなさいという裁決があったというふうに聞いております。 このようなケース以外にも、障害者の無年金問題で障害者団体の方々からいろいろと私はお声を承っております。現在、せっかく年金審議会で次期年金法改正に向けて審議をしていらっしゃるわけでございます。障害者のケースを初めといたしまして、さまざまな無年金者対策について現在の制度を徹底的に洗い直していくということが必要なのではないかなというふうに思うわけでございます。少なくとも、同じ厚生省の審査会でさえおかしいというふうなケースは正していかなきゃならない、それがやはりぬくもりのある行政だというふうに私は思うのでございますが、そういう厚生大臣のお気持ちをお酌みになって山口年金局長お答えをいただけますでしょうか。
○政府委員(山口剛彦君) 御指摘をいただきましたように、一月下旬に社会保険審査会から、二十前の厚生年金期間加入中に障害になった方で期間が足りなかったために厚生年金が支給されないというケースにつきまして、従来、法律の規定、解釈でございますと、二十前障害の障害基礎年金も支給されないという扱いをしておったのでございますけれども、審査会の裁決によりましてそういうケースにつきましては、厚生年金の方から年金が出ないということは確実なケースなんで基礎年金の方で救済をすべきであるという裁決をいただきました。私どもはこの裁決を受けとめまして、こういったケースあるいは同様のケースにつきましては適切に対応していきたいと考えております。 先生御指摘のように、このほかにも事故に遭われて無年金になっておられる方が大勢おられるじゃないかという御指摘でございますが、いろいろ御指摘もございます。ちょうど制度改正の時期でございますので、今審議会等でも御議論をいただいているところでございますので、私どもも真剣に受けとめさせていただきたいと思います。 ただ、御案内のとおり、我が国の年金制度は社会保険方式を原則にいたしておりますので、事故が起きてしまった後に、さかのぼってそのケースを救済するというのは保険制度の原則にかかわります大変難しい問題がございます。その点は十分御理解をいただかなければならないかと思いますけれども、我が国の年金制度がとっております社会保険方式の原則を崩さない中で、ぎりぎりどこまで御要請にこたえていけるか真剣に検討させていただきたいと思っております。
○日下部禧代子君 そこで、委員長にお願いしたいわけでございますが、確かにこの年金問題というのは大変重要な大きな問題でございます。法案が参議院に来てから審議を、勉強を始めるというのでは遅いのではないかというふうに思います。今のうちから委員会といたしまして、超党派でいわゆる小委員会というふうなものを設けられまして、この年金問題を徹底的に勉強すべきではないかというふうに私は提案させていただきたいと思います。 この取り扱いにつきましては委員長に御一任いたしますので、どうぞ理事会においてお取り決めいただきますようにお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○委員長(細谷昭雄君) ただいまの日下部委員の提案につきましては、委員長が預かり、後ほど理事会にお諮りいたしたいと思います。
○日下部禧代子君 じゃ、次の質問に移ります。 ところで、平成二年に老人福祉八法の改正がなされたわけでございますが、いよいよこの平成五年四月から実施されることになっております。老人福祉施設などの入所事務手続、いわゆる措置権が都道府県から町村へと移譲されます。また、都道府県、市町村の老人保健福祉計画の策定事務、そういったことがこれからなされていくわけでございますが、私は参院本会議で初めて代表質問させていただいたのがこの法案に関してでございました。この法案に深くかかわった者の一人といたしまして、この法改正の最近の実施状況について少しお尋ねさせていただきたいというふうに思います。 新しい業務がふえるわけでございますから、地方公共団体の職員もやはり増加されなければならないと思いますし、経費もかかってくるのではないかというふうに思います。そういう職員の増加とか経費の確保について、厚生省はどのように把握なさっていらっしゃるのでしょうか。これ自治省にお聞きしなきゃわからないというのでございますとちょっと困りますけれども、その点お知らせいただきたいというふうに思います。 また、最近私は、別件でございますが幾つかの自治体を視察する機会がございまして、いろいろとこの件に関しましてもお聞きしたことがございますけれども、それぞれ対応はかなりさまざまであるなというふうな実感を受けてまいりました。職員研修もなさらなければならないだろうと思いますし、市町村長さんに対するさまざまな意識改革ということも、これ失礼でございますが、そういうことも対応としてかなり必要なことではないかと思いますが、そういう点につきまして今どのような進捗状況になっておりますでしょうか、あわせてお聞かせいただければというふうに思います。
○政府委員(土井豊君) ただいまのお尋ねでございますが、まず第一点目の福祉八法関係の施行の準備の問題でございます。 お話がありましたとおり、市町村における担当職員の増加というものが必要であると私どもも考えておりまして、既に平成三年度から地方財政計画上の手当てがなされて今日に至っているという状況でございます。 具体的に申し上げますと、措置権移譲、在宅福祉サービスの拡充に対応するという観点から、平成三年度は六百二十人、それから平成四年度は千百六十四人の増員が市町村の担当職員として地財計画に盛り込まれております。平成五年度の地財計画におきましても千四百四十六人という人数が盛り込まれておりまして、三年間の累計で三千二百三十人の増員が図られるという内容になっているところでございます。 また、福祉関係八法の施行に伴う費用の問題でございますけれども、これは平成五年度の地財計画におきまして、措置権移譲に伴って新たに町村が四分の一の経費を負担する、都道府県は二分の一から四分の一に下がるという関係の経費といたしまして、地財計画上六百六十四億というものが都道府県の計上から町村の計上に移行するというような手当てがなされております。 それと同時に、私どもの在宅福祉サービスに関する予算措置の状況でございますけれども、老人、身体障害者分を合わせまして、平成五年度の予算で千八百五十億円程度、二七%強の伸びの予算を在宅福祉サービス関係として確保しているところでございます。 次に、二点目の職員の研修、特に市町村長さんなんかの意識の問題等のお話がございましたが、私ども、平成二年度から各種の研修事業を実施して今日に至っております。 具体的に申し上げますと、平成二年度には老人それから障害者の担当職員を対象とした研修、平成四年度には町村の幹部職員を対象とした研修、この幹部職員の中には町村長さんであるとか助役さんであるとかいったような方々を含めてやる計画になっております。それから、老人保健福祉計画の担当職員を対象にした研修事業等をこれは平成三年度から行っておるところでございます。さらに平成五年度におきましても、実務に即応した研修を実施するというようなことで、私どもなりに努力をして今日に至っているところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
○日下部禧代子君 この法改正の趣旨というのは私は評価すべきものが非常にあると思うわけでございます。いわゆる地方分権ということ、自治ということでございます。事務、つまり業務、責任、そういったものが地方に非常に重くなる。しかしながら、自治の点、例えば財政の自主性というふうなこと、そういったことは果たして同時に進められているのかどうか。そういった課題もかなり多く残っておると思いますけれども、その点も含めましてこの法改正をこれからどのように、法改正の実績でございますね、それをどのように盛り上げていくのか、そういった矛盾点をどのように解決しながら実行なさっていこうとされているのか、その辺の御決意を大臣に承りたいと存じます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 福祉関係八法の改正の施行につきましては、これまで都道府県、市町村の御協力を得まして着実に進めてまいったところでございます。実は、去る一月にも全国民生主管部局長会議というものを開催いたしまして、この席で私から直接都道府県に対しましてその取り組みを指示したところでございます。したがいまして、今先生から御指摘がございましたように、いよいよ本年から全面的な施行に当たるわけでございます。特に社会福祉施設のいわゆる措置権の町村移譲、こういうものが行われるわけでございますけれども、事務的にはこれが円滑に行われなければならない、こう考えております。 また、一番大きな問題といたしましては、いわゆるゴールドプランの地域版とも言えます老人福祉計画というものがございます。これは、各市町村がそれぞれの地域の実情に応じてこれからのいわゆる老人福祉施設のあり方であるとか、そういった全般的なものについてひとつ計画を策定していただこう、こういうことでございまして、順調に推移をいたしておるわけでございます。 いずれにいたしましても、お年寄りが安心して老後を過ごせるような体制づくりのために、厚生省は全力で取り組んでいく決意でございます。
○日下部禧代子君 そこで、今大臣もおっしゃいましたように、福祉八法の改正によりまして強力に進められていくのが在宅福祉だろうというふうに思うわけでございますが、いわゆる高齢者の地域、家庭での生活を充実させていく、豊かにしていくためにも、ホームヘルパー、ショートステイ、そういった各種の在宅福祉サービスのメニューというものがそろい、そして充実されていかなければならないと思います。 中でも、とりわけデイサービスというのが果たす役割は大きいのではないかというふうに思います。高齢者のデイサービスというのは、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランの中でも非常に積極的に推進させるというふうに位置づけられているところでございますが、平成五年度予算では八百五十カ所増の四千三百三十カ所になるというふうに説明されております。そこで、この四千三百三十カ所という数字は十カ年戦略目標の半分弱だというふうに思いますが、この数字自体がいわゆる地域住民にとってどのような意味を持つのか。本当に希望すればだれでもデイサービスを受けることができるのか、具体的に住民レベルでどのようにそれが実感できるのか、この数字の持つ具体的な意味を御説明いただければと思います。 それから同時に、積極的にデイサービスを推進するために市町村からどのような要望が出ているのか、それに対して厚生省はどのような方策を考えていらっしゃるのか、あわせてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) まず、デイサービスの四千三百三十カ所の持つ意味合いについてお答えを申し上げます。 デイサービスセンターの平成十一年度までの整備目標は一万カ所としております。この一万カ所の意味合いは、自宅からバス等で通える程度の距離として中学校区を前提として考えて一万カ所というふうに想定をしたところでございます。したがいまして、一万カ所が実現いたしますれば、身近なところで利用が可能な体制が確立できるわけでございます。この平成五年度におきます四千三百三十カ所ということは、約四割に当たる中学校区で利用が可能になるものと考えております。 次に、デイサービスを進めるために市町村からの要望がどのようなものかという点でございますが、ややなじみのない施策でありましたので、自治体でも試行錯誤を踏んでいるというのが実情でございますが、御要望の趣旨は、地域の実情あるいは地域にいらっしゃる高齢者のニーズに応じた弾力的な施策を可能にするようにしてほしいというのが要旨でございます。そうした御要請を受けまして、このデイサービスの運営の方法として、大変重い方を主力にした重介護型、あるいは標準型、比較的軽い方を対象としたものというようなもののほかに、規模の小さいもの、あるいは特に痴呆性老人のように毎日通所をしていただくことが可能になるようなものなど、AからEまでの五種類のメニューをそろえて地域の実情に合った運営をしていただけるように準備を進めているところであります。
○日下部禧代子君 ところで、現在のデイサービスを実施する場合の補助単価というのはどのくらいでございましょうか。もっと増額すべきではないかなというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) 補助単価は、先ほど申し上げました施設の類型別に異にしておりますが、標準的なB型で申し上げますと、平成四年度で二千百二十九万円でございます。これを五年度で二千二百四十四万円にアップを図っておりますが、特に事業の円滑な実施という点で、従来定額制でございましたけれども、特に例えば毎日二十一人以上というような比較的大人数の方々にサービスを提供する場合には加算制度を設けるなど工夫をしているところでございます。
○日下部禧代子君 特に、大都市部におきましては次第にコミュニティー形成というものが困難になっている昨今だというふうに思います。そういう中でこそやはりこういったデイサービスも必要性を増してくるのではないかというふうに思うわけでございますが、そういったいわゆる大都市部に焦点を当てて具体的に何かデイサービス推進の方策をとっていらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) 大都市部の問題といたしましては、やはり用地の取得がなかなか困難で事業の開始が行えないというような問題がございます。そのための対策といたしまして、第一には他の社会福祉施設との合築の推進ということを考えております。例えば保育所、若干児童数が減っておりますようなところもございますので、こうした保育所との合築を進めるような施策を講じております。また、高層化を行う場合には、国庫補助基準面積の割り増しを行うというような手当てを講ずること。そのほか、先ほど申し上げました事業の類型で申し上げますと、小規模のデイサービスセンターということで比較的小さな土地でも開始をすることができるように努めているところでございます。 さらに、平成五年度予算案におきましては、ちょうど各地の公営住宅の建てかえの時期に差しかかっておりますので、こういった公営住宅の建てかえ時にデイサービスセンター等をあわせて改築を行っていただけるような、都市型複合デイサービスセンターという考え方を盛り込んでいるところでございます。
○日下部禧代子君 その都市型複合デイセンターというのは、これは創設されるということで承っていいと思うんですが、もう少しそれを詳しくお話をいただけますか。
○政府委員(横尾和子君) これは公営住宅の建てかえ等にあわせまして新たに福祉的な施設の整備を図るものでございますが、機能といたしまして、従来のデイサービスセンターに加え、地域交流スペース、ホームヘルパーの拠点となるヘルパーステーション、給食サービスを実施するための給食サービスステーション、こういった機能を一体的に整備をすることができるようにするものであります。
○日下部禧代子君 デイサービスというのは、日本では大体ほとんどと言ってもいいと思うんですが、特養、特別養護老人ホームなどに併設されているのが非常に一般的でございますね。ところが、欧米の場合ですと、デイセンターというのは単独事業というのが非常に多いわけでございます。 特別養護老人ホームというのは最近では町中にできておりますけれども、従来のものは大体郊外に設置されているわけでございます。そういたしますと、これからはもう本当に町の中でデイサービスが単独事業で行われるということも大変に重要なことではないか。人々と触れ合いがある、施設というふうな感じがなく気軽にそこへ出入りができるというふうな、そういう町の中に溶け込んだ、施設のにおいのないようなそういうデイサービスというものがこれから私は町の中に幾つかできていくということが理想的ではないかというふうに思っております。 そういうことを考えますと、先ほど弾力的なというふうな言葉がございましたけれども、やはり設置主体ということにつきましてももっと柔軟性を持たせることが必要なんじゃないかなというふうに思うんです。 私などいろいろと現場の御苦労というものをお聞きする機会が多いのでございますが、例えば生活協同組合などが実施しているデイセンターが幾つかございます。ところが、これはいわゆる会員外の利用制限ということで非常に費用に関して困難をしていらっしゃるというお言葉をよく聞くわけでございます。実際にデイセンターを利用なさっている方々は会員外の方でいらっしゃるんですね。しかしながら、会員に一応なっていただかないとそれはできない。ところが会員になっていただくと補助金がもらえない。そういうふうな多くの矛盾を抱えながら、それでも地域の方々のニーズに何とか自分たちが対応しようという、そういう御努力の日々を私よく存じ上げているものですから、この際、デイサービスの実施主体について限定しないでもう少し柔軟性を持たせるような、そういうふうな運用の改善ということを心からお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。 次に、輸入食品の安全対策について質問させていただきたいと思います。 毎日私たちの口に入ります食品というのは、その安全性が最も優先されなければならないわけでございます。以前、私はジャガイモの放射線照射の問題など幾つか御質問させていただきましたけれども、最近、消費者団体のみならず生産者団体の間からも問題が提起されております輸入食品の残留農薬対策についてお伺いさせていただきたいというふうに思います。 特に問題になっておりますのはポストハーベストの問題でございます。いわゆるポストハーベストに関しては、もっともっと情報をオープンにして国民の疑問というものに答えるという、そういう形での行政を進めていかなければならないんじゃないか。これは、もうどなたがお考えになっても当然だと思うわけでございます。その食品の安全基準の切り下げに対しまして、国民の反応は今どのようになっているのか。 例えば私が聞き及んでいるところでございますと、厚生省または厚生大臣に対して、食品添加物やあるいは農薬について意見書とか要望書というものが来ているというふうに私は承っておりますが、一体それはどのようなものが何通ぐらい届いているんでしょうか。私の存じ上げている範囲だけでも、神奈川県、横浜市あるいは川崎市などの県議会や市町村議会から食品の安全を守るための多くの意見書が出ていると聞いております。また、四十万人を超える市民の方々からの署名も届いているというふうに聞いているわけでございますが、厚生省は一体どのくらいそういった要望書、意見書というものをお受け取りになっていらっしゃるのか、そしてそれにどのように対応なさってきたのか、またなさろうとなさっていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(柳沢健一郎君) 今先生の方から厚生省に寄せられた意見書、要望書等についてのお話があったわけでございますけれども、残留農薬基準設定の手続を厚生省で進めていることに関しまして、神奈川県議会あるいは横浜市議会及び川崎市議会より、科学的根拠に基づき我が国の食生活の特性等を考慮した安全性の高い残留農薬基準を迅速に設定すべきという趣旨の意見書が出されておるところでございます。それからまた、幾つかの市民団体からは残留農薬基準の取り消し等を求める、そういう要望書も提出されているところでございます。 この要望書等の数でございますけれども、地方自治体の数にいたしまして十五の自治体から、それから市民団体の数にいたしまして二十一件寄せられているということでございまして、市民団体の一つである「NO!ハーモニゼーション実行委員会」というのがあるわけでございますけれども、そこからの要望書には四十四万八千余名の署名が添付されているところでございます。 厚生省としては、食品の安全性を確保するために農薬の使用時期を問わず、先ほど先生からポストハーベストというお話がございましたけれども、プレハーベストあるいはポストハーベストのそういう使用時期を問わず、食品中に残留する農薬の許容基準、すなわち残留農薬基準を順次設定するとともに、輸入食品の入り口でございます検疫所等におきまして必要な監視、これを行っていくことにしているところでございます。
○日下部禧代子君 昨年の十一月には、厚生大臣を相手取りまして農薬の残留基準十品目の設定の取り消しを求める裁判が起こされております。この食の安全を求める市民の声というのは本当に次第次第に強まっていっているわけでございますが、このような市民の声をどのように受けとめていらっしゃるんでしょうか、もう一度お聞きしたいと思います。
○政府委員(柳沢健一郎君) この裁判のことに関しましては、昨年の十一月に百三十五人の消費者が国及び厚生大臣を相手取りまして提起したものでございまして、原告は、先ほど先生お話がございましたように、厚生省が平成四年の十月に告示いたしました残留農薬基準等の取り消し、それから原告一人当たり五十万円の慰謝料、これを請求しているところでございます。 これに対しましては、裁判の中で国として必要な主張を行ってまいりたいと考えておるところでございますけれども、取り消し請求につきましては、原告が取り消し請求を行う法律上の資格、それを有しないということを主張するとともに、慰謝料の請求の根拠につきましても、原告に今現在説明を求めているというような段階でございます。 しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、厚生省といたしましては食品の安全性の確保のために今後とも努力を続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○日下部禧代子君 次に、経済企画庁にお尋ねいたしますが、昭和五十七年に外国からの貿易に関する苦情処理の窓口といたしまして、オフィス・オブ・トレード・オンブズマン、OTOという機関が設置されたというふうに聞いております。市場開放問題苦情処理推進本部が設置されたというふうに伺っておりますけれども、そこに寄せられました食品の衛生に関する苦情は何件ぐらいで、そしてその平均処理期間というのはどのくらいでございましょうか。
○説明員(佐久間隆君) 市場開放問題苦情処理推進本部と申しますOTOが昭和五十七年に設立されまして、以来十年余りたっておるわけでございます。この間に、食品に限らず全体の苦情として受け付けましたのは四百八十七件でございます。このうち、四百四十六件につきましては既に処理を済ませておりますが、それ以外については現在まだ処理を行っているところでございます。 お尋ねの食品に関するものでございますが、法律上食品衛生法に関係するものということでお答えいたしますと、これまでに九十六件受け付けております。また、そのうち八十七件については既に処理済みという状況でございます。また、苦情の処理の期間でございますが、原則としまして、苦情の申し立てがありましたら十日以内にその苦情の申し立て者に対しましてどういう処理をしようと思っているかという説明を行った後、できる限り速やかに最終的な処理結果をお知らせするということでやっております。 そういう意味で、できるだけの迅速な処理を心がけておるわけでございますが、問題によっては非常に複雑な内容を含んでいるとか、あるいは御説明に納得をいただけないというような場合にはやや時間がかかるということはございますが、めどとしては三カ月というのを一応一つの目安としてやっております。 以上でございます。
○日下部禧代子君 このOTOは外国の業者に対しての対応でございますけれども、かなりできるだけ速やかに処理が行われているのに対しまして、我が日本国の市民からのさまざまな問題提起、そういったものに対しましては、たくさんの署名が集められ、裁判が起こされていてもなかなか遅々として進まないというふうな、そういう状況がございます。 こういうふうにこれ私今感じたわけでございますけれども、この問題に関しまして市民の声がこれほど出ている。そして、食品衛生、食品の安全ということに対して本当に不安を皆さんが持っていらっしゃるにもかかわらず、いわゆる貿易を進めるということに関してはかなりきちっと対応なさっていらっしゃるにもかかわらず、日本の国内の市民の方々の苦情処理の機関というものがきちんとしていない。 したがって、陳情だとか意見書を出すとか、あるいは裁判に訴えるとか、そういう形でしか市民のさまざまな問題を解決していただく、あるいは苦情を申し上げるところがないということは非常におかしいのではないかというふうに私思うわけでございますが、大臣、この点に関してどのように受けとめ、どのように対応なさろうとしていらっしゃるのか、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 残留農薬につきまして、大変国民の皆さん方の間で関心が高まり、また一部の消費者団体の間でこの問題に対する不安をお持ちの方が大勢いらっしゃるということも私は十分に認識をいたしておるわけでございます。 先ほどから局長がお話を申し上げておるわけでございますけれども、残留農薬につきましては、一日の摂取許容量、ADI、これを超えない範囲であくまでも決めておるわけでございます。また、そういう中で国際的なハーモナイゼーションを図る、こういう方針でございますけれども、私どもといたしましては、これまでもいわゆるハーモナイゼーションを図りながら我が国は我が国なりの主張を貫いてきた、こういうことでございます。 率直に申し上げまして、残留農薬の基準をさらに厳しくするべきである、こういうようなお考え方がまさに先生の御指摘ではないかと思いますが、こういうことを申し上げることが適当かどうかわかりませんけれども、我が国の食糧というのは、カロリーベースで言いましても五〇%をはるかに超えるものを実は外国から輸入をしておるわけでございますが、これもすべてあくまでもADIの中でおさまっておるわけでございます。 そういう中で、いろいろな問題を抱えておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、いずれにいたしましても我が国のこういうような声というものをいろいろな機会に諸外国にも訴えていく。そしてまた、できるだけ残留農薬を使わないで済むような方向で努力するということについてはやぶさかではない、こういうようなことで御理解を賜りたい、このようにお願いを申し上げます。
○日下部禧代子君 私が御質問いたしましたのは、外国からの業者に関する苦情処理の窓口というのはきちんとあるにもかかわらず、市民からのそういった問題に対する苦情処理の機関が、陳情とか裁判とかに訴えなきゃならない、そういったことに関して市民からの苦情処理を受けとめる機関が必要ではないかというのが私が申し上げたいことでございます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) この問題につきましては、公衆衛生の第一線の機関でございます保健所で承っておるわけでございますけれども、なお今後周知徹底を行っていきたいと思っております。
○日下部禧代子君 先ほど大浜委員からも御質問がございましたので、少しだけ触れさせていただきますが、いわゆるMRSAの対策に関してでございます。 手術は成功したけれども院内感染で死亡したという、そういうふうなお話を大変よく聞きますし、また実際に御遺族の手記などを私読みまして、本当に何とも言いようのない悲しい気持ちになってしまいます。悲しいだけではなく怒りさえ感じるわけでございますが、それだけでは済まされないわけでございます。 対策というものがもちろん五年度予算でも対策費が計上されておりますが、それによってどの程度被害をなくすことができていくのか。そしてまた、これは医療施設だけではなく、高齢者の老人ホームなどの福祉施設などでもMRSAは問題になっているわけでございますが、それらの対策を含めましてこれは本当に緊急課題だと思います。そして、そういったMRSAを防止するためのチェックする専門のスタッフ、これも日本にはほとんど皆無に等しいわけでございます。 そういったすべてを含めまして、これからのMRSA対策につきまして、どのように取り組んでいらっしゃろうとしているのか、大臣の御所見をいただきたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) お答えいたします。 今先生御指摘のように、病院は病気を治しに行くところでございます。そこで感染するようなことがあっては問題なのでございます。そういうことは私どもこれから良質なかつまた適切な医療を提供するための前提でございまして、そういうことがないようにしなければならぬ、こういうことではないかと存じます。 そこで、MRSAの防止のため、院内の感染の防止のための決め手と申しますのは三つか四つかあるかと存じます。一つは、医療関係者みんなが手洗いというものを励行するというようなこと、あるいは病院の中の清掃といいますか、そういうふうな環境を整備するということ、それから関係のいろんな医療従事者への教育を徹底する、すなわちMRSAとは何かとか、あるいはそれを防止するためにはどういう方法があるかというふうな教育、そういうようなものが重要ではないかと思います。 そこで、そういうようなことを基本にやることが必要なわけで、今先生も御指摘の、そういう何か院内に専門の委員会みたいなものをつくりまして、しかもその中心になる者はリーダーシップを持った責任者、医師だとか看護婦さんもございましょう、それから検査をやっている専門家もいらっしゃると思いますが、そういうような方々を中心に専門委員会をつくって対応するということが必要ではないかと思って、そのような線で指導いたしておるわけでございます。 さらに先般、社会的にいろいろとこのMRSAの問題が出てきましたので、私どもも全省を挙げまして総合的な対策として取り組むことにいたしました。 その要点は五つばかりございます。一つはいわゆる抗生物質の適正な使用、それから医療関係者への教育研修の充実、あるいは施設設備の整備事業の推進、あるいは院内感染対策の指導の徹底、それからもう一つは調査研究の推進ではないかと思います。そういうようなことに対しまして、各都道府県あるいは関係の医療団体というところを通じまして今指導をやっておるところでございます。 今ちょっと平成五年度の予算のことで御指摘になりましたけれども、私どももそのようなことを背景にいたしまして、五年度予算の中に、医療機関に勤務いたします医師、看護婦、こういう感染防止対策をやります中心的な職種につきまして、それを対象とした院内感染対策講習会を実施いたしたいということで予算を盛り込んでおります。それからまた、国立病院・療養所への自動手指消毒器の設置やあるいは患者環境の改善のための施設整備事業、こういうようなものをやるための補助をやることにいたしておるわけでございます。 このようなことによりまして、現在いろいろと御心配をかけておりますMRSAの感染防止対策が効果的に進むのではないか、このように考えておるわけでございます。
○日下部禧代子君 時間が迫ってまいりましたので、精神保健法の改正について少しお尋ねしたいと思います。 昨年は「国連・障害者の十年」の最終年でございました。しかしながら、ことしから新たに「アジア太平洋障害者の十年」が始まっております。中央心身障害者対策協議会からの報告も出されるなど、障害を持つ方々の社会参加のための各種の対策の推進が強く望まれているところでございますが、残念ながら精神障害者の対策というのは進んでいるとは言えないというふうに思うわけでございます。 精神保健法の改正につきましては、六十三年改正に際しまして法附則で施行後五年を目途に必要があるときは改正を行うというふうにされており、ことしがその期限でございます。この検討状況はどうなっているのでございましょうか。そして、改正法はいつごろ国会に出されるのでございましょうか。
○政府委員(谷修一君) 精神保健法の見直しにつきましては、ただいま先生お触れになりました附則九条のいわゆる検討規定を踏まえまして、現在公衆衛生審議会において議論をしていただいております。 具体的な検討の内容でございますが、前回の法改正の際の積み残しになりましたいわゆる宿題、一つは大都市への権限の移譲と申しますか、それから精神障害者の定義の問題、それから保護義務者制度についての検討ということがございます。それからいわゆる精神障害者の人権に配慮した医療の確保ということをどういうふうに考えるのか、あるいは社会復帰の促進、それから家族会あるいは医療関係団体を初めといたしまして多くの団体からいただいた御意見なり要望、そういうようなことを含めまして検討をいただいております。 現在のところでは、おおむね三月中を目途にこの審議会での意見の取りまとめを行っていただきたいということで御検討をしていただいておりますので、私どもといたしましては、その検討結果をいただいた後にどのようなことで対応していくかということを厚生省として決めていきたい、このように考えております。
○日下部禧代子君 それでは最後に、エイズの問題でございます。 エイズの対策は、予算の中でも五年度予算は前年度の五倍にもなっているわけでございますが、それは単に金額的に大きくなっただけなのか、質的にどのように変わったことがあるのか、そういうことも含めまして、あるいはまたこのエイズ対策というのは予防も大切ということはもちろんでございます。 と同時に、感染した方とか発症した方々に対するケアとか相談、そういった対策も本当に必要なんじゃないか。どれだけ不安に震えていらっしゃるのかというふうな、これはもうさまざまな形で報道もされていると思いますけれども、報道されない部分で本当に悩んでいらっしゃる方々、もう生きていくのに対する大変な不安を持っていらっしゃると思います。そういうふうな方々の相談を受ける能力のあるスタッフの養成あるいは窓口の増設というふうなことが、感染者やあるいは発症者の残された人生、あるいはこれからの人生というものを充実したものにしていくのに非常に大切なことだというふうに思います。 大臣は、ぬくもりのある厚生行政をというふうにおっしゃっておりますが、このエイズに関する対策ということも含めまして、私が今五十分の間質問させていただきましたことを全体的に含めまして、最後に、大臣のこれからの厚生行政に対する御決意をあわせてお聞かせいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○委員長(細谷昭雄君) 大変恐れ入りますが、時間になりましたので手短にお願いします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私自身、エイズの感染者の方とお会いをいたしましてお話をお聞かせいただきました。一番大きな問題は、やはり死を見詰めながら生き抜いていくということにおいてボランティア活動の支えというものが大変大きいことだ、こういうふうに痛感をいたしたわけでございます。 そこで、今度の予算におきまして都道府県におけるエイズ対策の推進会議というものを各都道府県に、啓発運動を行っていただくとか、こういうことを今度の予算に計上させていただいておるわけでございますけれども、いわゆる県と共同でこういうボランティア活動を行う方に対しましてはひとつ補助金も認めてもよろしいんではないか、こういうような方針を打ち出していきたい。 いずれにいたしましても、大変大きな問題でございます。差別と偏見を持たずにこの問題に全力で取り組んでいく決意でございます。
○委員長(細谷昭雄君) 資料を配りますので、ちょっとお待ちください。 〔資料配付〕
○今井澄君 丹羽厚生大臣には、御就任おめでとうございます。いろいろ保険、医療、福祉の分野については大変ベテランの方でいらっしゃるので、私といたしましても、今社会保障制度、年金あるいは医療保険制度が大きく変わろうとしているときに大変ありがたいことだと思っております。そういった観点から、大臣を含めていろいろお尋ねをしたいと思います。 今、資料を配らせていただきましたのは、若干問題が具体的なところに及びますし、時間を節約するためにも共通の認識のためにこの資料を参考にしていただければというふうに思っております。 最初に、先ほどMRSAについてお二人の委員の方から御質問や要望がございましたが、私もMRSAの問題について一言だけ要望をしておきたいと思います。 今度の平成五年度の厚生省予算の中には、全国の国立病院・療養所に手洗い器を設置するという予算がつけられている。これは大変いいことだと思うんですが、先ほどの大浜委員の御質問にもあったように、その他の病院はお金の点でつけるのに大変苦労するわけです。融資制度等もあるでしょうが、ここでは考え方を大きく変えて、今後は民間病院にもそういう施設をつくるのを補助できるような方向もあわせて中長期的には考えていただきたいことを要望して、私の質問を始めさせていただきます。 きょうは、医療法改正とそれから医療費問題に関連しての御質問をさせていただきたいと思います。特にそういう点で、中医協の基本問題小委員会がこの夏に基本的なあり方について答申を出すということをお聞きしておりますし、また医療保険審議会が一年以内に今後の医療保険の方向を出されるということをお聞きしております。大きな転換点に当たって私が大変危惧する問題がありますので端的に申しますと、公的保障あるいは給付を減らして、減らしてというか、の方に力を入れることが弱くなって、保険外自己負担の方にだんだんシフトしていくんではないかという懸念を持っておりますので、そういう点を最初に申し上げておいて質問に入りたいと思います。 昨年の通常国会で医療法が改正されまして、ここで特定機能病院と療養型病床群という病院の機能分担が病院の中の一部についてはっきり規定されたところであり、これ自身については、いろいろ問題はあるにしても基本的な方向としては私もいいのではないだろうかというふうに思っております。今度の二月三日には政省令が出され、五日には中医協で診療報酬の答申が行われ、先月十五日、二十二日と相次いで各局長や課長さんの通知が出されたところでありますが、そういうものを見ますと、特定機能病院とか療養型病床群というものを広告していい、あるいは掲示していいというふうな規定があると思います。申請された病院は、多分もうこういうものを患者さんにわかりやすく掲示したりすることもあるんだろうと思います。 私はここで考えてみますに、こういう名称がつくに至る過程でいろいろな議論があったということはよく承知しております。ですから、その経過は結構なんですが、結果的に特定機能病院、これは全国の八十の医科大学の附属本院プラス二つのナショナルセンターが想定されているというふうにお聞きしますが、この特定機能病院という名称、これが一体何を意味するのか、それから療養型病床群というのが一体どんな病院をイメージできるのか、こういう点について国民にはわかりにくい。むしろ本来の趣旨は、国民にわかりやすいように、サービスの質を向上するように機能分化を図るために医療法を改正したと思うんですが、結果的にはこういう名称が非常に国民にわかりにくくなっているということがあると思うんです。ここに、やはり私どもがこれからの厚生行政なり医療政策を考える場合に、大いに反省しなければならない点があるというふうに思っております。 そういう意味で、国民にわかりやすい医療政策を行うあるいは医療をサービスするということに関して、厚生大臣の名称に関しての御所見をちょっとお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の医療施設の体系化におきます特定機能病院及び療養型病床群、こういう名称につきましては、法案の提出に先立ちまして医療審議会の御意見を聞き、また国会での承認もいただいたものでございます。 まず、特定機能病院につきましては、もう専門家の大先輩の先生よく御存じだと思いますけれども、高度医療の提供、また高度医療技術の開発評価、高度医療の研修などを通じて一般の通常の病院とは異なる機能を備えていることを要件といたしております。そういうことから特定機能病院という名称となったわけでございます。 また、療養型病床群でございますが、これは主に長期にわたる療養を必要とする患者のための病床であることから療養型病床群という名称を使わせていただいたわけでございます。 いずれにいたしましても、これらの新しい名称につきましては、その内容とともに国民に十分に理解されますよう今後周知徹底に努めていきたいと思っております。
○今井澄君 今の問題につきましては、こういった医療という極めて国民生活に関係の深い問題がとかく行政関係者と医療関係者だけで議論されてきた結果の弊害がこういう病院名あるいは療養型病床群という名称にあらわれているんではないか。私も実はこの一年以内に住民の皆さんからの御意見を伺って気がついたような次第ですが、これを今後心してやっぱり住民にわかりやすい、国民にわかりやすいという名称も含めてやっていくべきだろうという意見を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 時間の関係で、特定機能病院についてもお聞きしたいことがたくさんあるんですが、最後に時間がありましたらお聞きすることといたしまして、療養型病床群の方に入っていきたいというふうに思います。 きょうの資料の中に、最初につけました資料が朝日新聞の二月十一日号です。そこでも、例えば右下に病院の分類がありますが、特定機能病院、一般病院、療養型病床群、老人病院と、このほかに精神病院とか結核病院とかいろいろあるわけですが、そういう特殊の病院を除いてもこんなふうに分かれたという、この名称自身が非常にわかりにくいということはおわかりだろうと思います。 次の②という三枚とじの資料につけましたのは、これは二月五日の中医協の答申の概要でありますけれども、この二ページ、三ページ目の前半を見ましても、療養型病床群というのが、看護婦さんや看護補助者やその他のそういう人たちの患者に対する比率だとか老人の収容比率によって非常にたくさんに分けられている。しかも、それが定額制と出来高払い制の二通りあるということで、今後これが日本の病院の中で幾つの病院がこういう病院になるのかわかりませんが、非常に複雑になっているということ自身も含めて、ますます複雑化しているようなことがあると思いますが、これについてはまだ後ほど述べます。 療養型病床群、名前にこだわるわけではありませんが、群となった理由は審議の経過でそうなってきたことはよくわかるんですが、結果的に見ますと、この診療報酬点数表を見ても看護婦さんが患者さんに対して何人とかいうことになりますと、どうしても一つの看護単位として運営されざるを得ない。十五床とか二十床とかでは運営できないということがわかると思います。そうすると、三十なり四十なり五十なりということになれば、これはもともと病棟というふうに言って差し支えないものだろうと思うんですね。そういう点でも、名称が群となった審議の経過はわかりますが、やっぱりおかしいと思います。 さてそこで、一つの病院の中に療養型病床群の基準の違うもの、看護や介護の基準の違うものが併存してもいいのかどうか。あるいは一つの病院の中に療養型病床群で出来高払いの病床群と定額制の病床群が併存してもいいのか。あるいはまた、療養型の病床群と老人病棟との区別がまた非常に難しくなっているわけですけれども、一つの病院の中に老人病棟と療養型病床群が並列して、並行して存在していいのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 一つの病院内に老人病棟と療養病棟が併存してもいいかどうかという問題については、結論を申し上げますと、これは併設は可能でございます。 それからもう一つは、同一病院内におきまして出来高制と定額制の療養病棟が併設できるかどうか、こういったことでございますが、これは同一病院内におきまして幾つかの病棟があるときに、例えばA病棟は出来高払い、それからB病棟は定額制、こういうようなことは認められておりませんで、出来高制と定額制の療養病棟は併設できないことといたしておるわけでございます。
○今井澄君 わかりました。 看護や介護の基準の違う一類とか二類とか三類とか、そういうものが複数併存してもよろしいんでしょうか。
○政府委員(古川貞二郎君) 結論を申し上げますと、併存できません。
○今井澄君 わかりました。 ところで、こういう療養型病床群は、新しいイメージで療養環境をよくして長期の療養のための病床群をつくるということなわけですが、既存の病院、病棟からの転換も認められているわけですね。要するに、古い施設基準の悪いものからのものも認められているわけですが、その場合に幾つかの問題点があると思います。 まず第一に、新しくつくる療養型病床群は談話室や食堂や浴室がなければいけない。もちろん、リハビリ室も四十平米以上と決まっているわけです。ところが転換型については、リハ室の広さは問わないけれどもあればいい、その他の食堂や談話室や浴室についてはなくてもいいというふうになっているわけです。確かに、食堂が病院にあるというのは日本の病院の常識ではありませんでしたので、急に食堂をつくれと言っても難しいかもしれない。談話室については、これは何らかの名目であるのが普通なのではないかと思うんです。廊下の隅でも何でも談話室といえばそうなんですが、これはなくてもいいとすることにも疑問があるんです。特に長期療養を行う病床群に風呂がなくてもいいというのは、これは私はちょっとおかしいのではないだろうかというふうに思います。 逆に言いますと、今ある老人病院には風呂のない病院がそんなにたくさんあるのか。とすると、まことに私も医者をやってきて無知というか、申しわけないんですが、この驚くべき事実についてどう考えたらいいのか迷うわけですが、風呂がなくてもいい理由をお聞きしたい。 もう一つは、病床を一〇%以上減らして転換を行う、百床の病棟を九十にして病室の広さを広げて療養型病床群に転換する場合は補助金を出す。例えば百床について約一億円ぐらい出る計算になるわけですが、これだけの補助金を出すわけですから、風呂はつけなさいよというのは当然あってもいいだろうと思いますが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生いろいろ御指摘になりましたが、私のところのデータによりますと、談話室がない病院というのは大体二九%ぐらいのようでございますし、お風呂がないというのは五%ぐらいというふうな数字がございます。 そういうことでございますけれども、風呂がなくてもいいというようなことはどうしてだろうかというお話でございますけれども、これはちょっと私の勝手なあれで、急な御質問なものですから十分学問的とかそういうのはございませんけれども、医療法で言いますいろいろな医療施設は、急性期の患者というのをある程度対象としているのではないでしょうか。したがいまして、なかなか風呂に入るということはできなくて、むしろベッドの上で清拭してもらうとか、そういうふうなことなのではないかと思います。 それから、既存病床を転換して療養型病床群を設ける場合に談話室、食堂、浴室の設置が義務づけられていない理由というようなことにつきまして御質問がございました。 これにつきましては、構造設備の要件につきまして医療審議会において十分に御議論をされたのであります。いろんな御意見がございました。その結果で定められたところであるということをまず御了解いただきたいのであります。 既存の病床を転換して療養型病床群を設ける場合につきまして、談話室、食堂、浴室を設けなければならないということとしますと、既存の場合には、なかなか実態から見まして現実的には転換が困難な場合が多いのではないかというような御意見もございました。特にそういう御意見が強くて、今回これを要件としなかったわけでございます。 しかし、私どもとしましては、できるだけこの療養型病床群をつくりますときに、いわゆる生活を重視しました長期の療養に適するような病床といいますか、患者の環境を改善してほしい、こういうふうなことでございますので、私どもは、既存のものにつきましては弾力的な経過措置を設けたのでありますけれども、本来のものにつきましては病院の整備が進みますように国費でありますとか融資等の面で条件整備に配慮してまいった、こういうことでございます。
○今井澄君 先ほども言いましたように、補助金を出すのだったらせめて風呂ぐらいはつけるように指導していただきたいと思います。 さらにもう一つ、今度の診療報酬点数で特徴的なことは、いわゆる特定療養費制度が大幅に適用されてきたということだろうと思います。これは端的に言いますと、保険外の自己負担をどんどん広げてきたということだろうと思います。 この療養型病床群にかかわる特定療養費の問題なんですが、これは資料②の三枚とじのものの三ページ目の一番下にありますけれども、療養型病床群については、「特別の療養環境に係る特定療養費制度の新設」、つまりこれは転換型であれ新設型であれ、一人当たりの病床面積が六・四平米以上で、かつプライバシーに配慮し生活の快適性を保障するということで、具体的にはベッドの間をカーテンで仕切る、あるいは個人ごとに照明をつける、あるいは机といすのセットを置く、あるいはロッカーを入れる、こういうことを条件として自己負担を取ってもいいと。簡単に言えば、四人部屋以上でも室料を取っていい。これ自身が、厚生省のこれまで一人部屋、二人部屋に限ると言ってきたことの大きな転換にもなると思うんです。 こういうことがありますが、私もこれを見てまだ大変びっくりしたんです。例えば、カーテンでベッドを仕切るというのはこれは当たり前のことだと思うんです。昼間はどこの病院に行ってもカーテンを上げるなりなんなりして広く明るく病室を使うのが常識ですが、夜とか処置をするときには必ずカーテンで仕切るというのがこれは医療上の原則であるはずなんです。カーテンで仕切ればいいということがここに書いてあるということは、逆に言うと、今の病院にはカーテンのない病院があるという実態を示しているというふうに考えざるを得ないと思うわけです。 それにしましても、さっきの浴室と同じですが、カーテンをつけるのはこの療養型病床群をつくる場合にはおやりなさいと指導するのはいいんですが、その他の条件もありますが、カーテンをつけることによってこれが特別の療養環境だと。私は、全然特別の療養環境ではなくて常識的な当たり前の療養環境にすぎないと思うんですが、そういうふうに言って四人部屋でも差額を取れるというふうにしてあることについては大変問題だと思います。それで、これを特別の療養環境と言う理由をお尋ねしたいと思います。 さらに、そういうふうに言う場合のロッカーとはどの程度のものを指すのか。よく病院にありますベッドの上にぽんと押し込んで引っ張り出すと腰かけにもなるような衣装入れの箱でもロッカーなのかどうか。それから机というのは、床頭台程度のものでも机なのか。いすは折り畳みのスチールパイプのいすでもいいのか。その辺をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 今回の診療報酬の改定におきましては、長期療養のもとで生活関連サービスに対するニーズが高まってくることに対応いたしまして、より一層好ましい療養環境を提供する病床といたしまして、先生先ほどおっしゃいましたような四つの条件、一病室の病床数は四床以下である、一人当たりの病床面積は六・四平方メートル以上である、プライバシーの確保を図るための設備を有する、それから少なくとも個人用の私物の収納設備、個人用の照明並びに小机及びいすを有する、こういった四つの条件のすべてを満たすという場合には、その病院の療養型病床群の病床数の二割まで特別の環境に係る特定療養費制度を適用するということとしたものでございます。 具体的なお話でございますが、患者のプライバシーの確保ということにつきましては、もう当然のことながら患者同士が直接視線を合わせることのないようにすることができることとか、あるいは視覚的に個々の患者の病床を他の病床から遮ることができることが大変重要であるわけでございます。一方におきましては、二人部屋とか三人部屋あるいは四人部屋で病室内の個々の病床の間に固定式の間仕切りなどを設置するということになりますと、患者さん方の移動とか処置などに支障を来す可能性もある。こういったことをいろいろと勘案いたしまして、特別の療養環境の要件として間仕切りに準じた効果を持つカーテンなどで仕切ることを要件の一つとしたということでございます。プライバシーの保護ということと同時に、一方ではそういった療養上のいろいろ移動とか処置等に支障を来さないようにという兼ね合いということでございます。 それから、個人ごとの照明という問題でございますが、大部屋では消灯後に読書などに適切な光量を有するような照明が必ずしもつられていないというような現状にございますので、特に長期療養の患者の生活環境を配慮するという上で必要性の高い設備の一つであるというふうに判断されまして、特別な療養環境の要件ということで個人ごとの照明が要件の一つとされたものでございます。 さらに、机といすのセットにつきましては、長期療養にふさわしい快適なものであるということとともに、患者さんが病室内で給食をとる場合に十分に広さを持つ必要がある。さらに、患者さん個人の私物の収納設備も長期入院患者の個人の私物を十分に収納できるスペースを有している必要がある。こういったようなすべての条件を満たした場合に、特別の療養環境ということで私どもはそういった特別の負担を求める、患者さんの希望によりまして、しかもそれはその病床の二割にとどめる。こういうようなことで私どもは患者のニーズにもおこたえできることになるのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。
○今井澄君 私は、今局長がお答えになったようなことが何ら特別な療養環境に当たらないのではないかということで、当たり前の環境ではないかという趣旨で先ほどお尋ねしたつもりでございますが、それについてはもうさらにお尋ねはしないことにいたします。 さて、そういったことで特定療養費としていわゆる室料差額と言ってもいいものを徴収できることになるわけですが、これについては上限をどの程度に考えているのか、あるいはどのぐらいが適当な額と考えておられるのか、もしお考えがありましたら簡潔にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) お答えでございますが、これは特別の療養環境に係る病室の料金につきましては、特に上限を設けることはございません。ただ、あらかじめ患者さんに対しましてその内容とか費用に関して十分に説明をいたしまして同意を得るということにしておりますので、妥当な範囲になるものと考えております。
○今井澄君 資料でお配りしました朝日新聞のコピーの二段目の一番後ろから一行目を見ますと、「差額の目安は一日二千円程度とされているから、月に約六万円になる。民間病院で結成する全日本病院協会が要求していた「月六万円程度のお世話料」が形を変えて認められた。」、こういう解説があるわけで、私はこれは極めて正しい表現だというふうに思っているわけです。まさに、何ら特別でない療養環境、当たり前の療養環境を整備することによって四人部屋でも室料差額が取れるということは、お世話料の合法化、これまで厚生省として取ってはならないとして指導してきたものの合法化ではないかというふうに私は考えるわけです。 さて、このお世話料の問題については、厚生省が二万円台の数字を発表しておりまして、かつて平成二年には一人当たり月二万二千五百円、そのぐらいということだったわけです。第百二十国会では衆議院で岡崎宏美議員から疑義が出されました。厚生省の調査は病院の調査ではないか、病院側の調査をしたってこれは高く書くはずがないではないか、患者側の調査をすべきだという要望が出まして、当時の老人保健福祉部長が患者側の調査が確かに必要であるというふうにお答えになられて、その後、一九九一年三月の時点での調査を厚生省がされ、その結果、ことしのこの通常国会の衆議院の厚生委員会での外口委員の質問に対して、厚生省側では二万四千六百二十円というふうに答えておられます。この細かい内訳とかなんかも答えておられます。 一方で、このことについては二木立という日本福祉大学教授の報告があるわけです。そして、この方の報告によれば、これは厚生省もよく御存じだと思いますが、厚生省調査の約三倍に当たる六万五千七百四十四円、東京あたりではもう十万円を超すのはざらだということを出しておられます。厚生省の調査、病院側の調査あるいは患者側に立った調査に比べても大変差があるんですね。このことについて厚生省としてはどのようにお考えになっておられるんでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) この二木氏の調査と私どもの調査は調査方法が異なっておりますので、簡単な比較はできないというふうに考えております。一つは、御指摘のように厚生省調査が患者の側に伺ったものであるということと、二木調査が調査対象病院の単純な平均値であるということでございます。 したがって、どちらがどうというわけにはまいりませんが、私どもは二木調査がやや高目に出ている可能性があると考えておりますのは、二木調査の対象病院が首都圏であるとか近畿圏であるとか、お世話料等が比較的高く出るようなところにウエートが大きいのではないかというような点がありますこと。それから、それぞれの病院にいろんなお世話の程度の方が入院されていらっしゃるわけですが、その中の一番お世話を必要とする患者さんのお世話料を集計していらっしゃるという点で高目に出る可能性のある調査ではないか、こういうふうに考えております。
○今井澄君 今のお答え、確かに二木氏の調査は自分の知り合いとか医師の側、ケースワーカーの側、MSWの側から調べたという意味で偏る可能性があるわけですが、しかし彼がこの報告の中で言っているのは、十一ブロックに分けて見ていると。それで、北九州や南九州もかなり母数というか調査対象として集まってきたものが多いわけです。この十一ブロックごとに厚生省のブロックを当てはめて計算してみると、どのブロックでも厚生省との比率が大体三倍前後、相関係数は〇・八九二ということで、一%の危険率で有意であるということをちゃんと統計的にも証明しておられるので、必ずしも今のお答えは当たらないのではないかというふうに思います。 さらに、私は厚生省に引き続いて調査をお願いしたいんですが、このアンケート調査の用紙を拝見したわけですが、こういうものを郵送で送って患者さんなり家族の方に書いて返送してもらうということでは正確な調査はできない。というより落ちが多くなるということですね。これはやっぱり大変面倒くさいんですよね。三、四カ月も前に入院したものの領収書をとってあるなんということは余りないわけで、こういうものではむしろ低く出るんじゃないかと私は思いますので、できればまた調査費をしっかりかけて聞き取り調査か何か、数はこんなに二万五千人も多くなくていいですからやっていただいたらいいかと思います。 さらに、最近朝日新聞でシリーズ「あなたの老後は」が始まっていますが、この二十五日のナンバー③の「保険外負担」の中でも、これは東京近郊で十万円以上、十万円以上、そしてとうとう預けられなくなって家へ引き取ったなんという例が幾つも出ているわけです。そういう意味でも、厚生省の方としては、調査の結果が低かったことに安心せずに、引き続き御調査なり御指導なりをお願いしたいと思います。 そういう点で、これはお答えは多分いただけないだろうと思いますのであれですが、やはりお世話料として今まで非合法下で黙認されていたものが今度公認されたような感じがいたしまして、私はこの特定療養費制度の導入というものは非常に問題だと思うんです。 そもそも、この特定療養費制度というのは、かつて一九八四年に健康保険本人の一割負担を内容とする健康保険法の改正が行われた国会、百一国会であわせて導入された制度だったと思います。そのときの理由は、日本の医療保険制度は最初から最後まで保険でやるか、それとも最初から最後まで自費でやるか、要するにどっちかでしかできない、途中に自費分を狭めない、その矛盾があるのを解消するため、特に、まだ実験段階の高度医療を受けるときに入院費まで全部自費じゃかわいそうじゃないかという論理で出されたと思います。あわせて、そのときに黙認されていた室料差額と金歯の材料費、これも一応法的に認めようということだったと思いますし、議事録を読んでみますとそういうことが書かれております。 そして、委員の側から、ひょっとしてこういう制度がどんどん拡大されると保険制度自身がおかしくなるんじゃないか、自己負担がふえるんじゃないかという質問に対して、当時の吉村局長はこういうふうに答えておられますね。 自由診療の範囲を拡大しようとかあるいは将来にわたりまして保険給付の範囲を縮減しよう、こういうようなことを考えておるわけではございません。保険医療としては従来どおり必要かつ適切な医療は全部保険で給付する、保険医療としては給付したいと明快に答弁しておられるわけですね。 そうすると、先ほどの差額を取っていい部屋というのが、カーテンがついているとか衣服を入れるロッカーがあるとかというのが、これが必要かつ適切な医療として保険給付されるべき問題のものではないかと私には思えてならないわけです。 さてそこで、次に進んでいきたいと思いますけれども、確かにこういうことが言われる背景には、後ほどアメニティーのことをちょっと論じたいと思いますが、ニーズが多様化したと先ほどのお答えにもあったと思いますけれども、しかしカーテンがあるかないかというのはこれはニーズの問題ではなくて、本当に必要最小限の問題だと思います。だから、そういう意味ではこの特定療養費制度、これがどんどん拡大するということに対して非常に大きな危惧がある。これにはどこかで歯どめをかけなければならない。これがこういう国会の審議の場ではなく中医協というところで、しかも国民も知らないところで行われていくことに非常に大きな問題があるということを言っておかざるを得ないと思います。 それでさらに、今度の診療報酬は、資料の②の三枚とじのものでもお示ししましたが、さっき言いましたように大変複雑になってきている。この複雑になった理由にはいろいろあると思いますけれども、中医協でもこの答申を行ったときに、健保連の副会長である八木さんが複雑怪奇であるという感想を述べられたということを報道で知りました。まさに複雑怪奇であって、医療関係者にすらわかりにくい点数表というのが現実にあります。確かに機能分化を進めなければいけないことは一方であると同時に、お金の計算の方法がやたらに複雑になるということはこれはいかがなものか。これは、医療関係者にわからないだけではなく、受益者である患者さんや家族にますますわかりにくくなって、一体何の金を取られているのかということがわかりにくくなるという意味では、簡素化を進めるべきではないだろうかなというふうに思います。 さらに、簡素化を進める上でのコンピューター化について、昨年の暮れに日本医師会と厚生省との間で委員会ができて前向きに進められる方向にきたというのは、非常に喜ばしいことだと思います。しかし厚生省の中には、診療報酬制度を簡素化したりあるいはコンピューター化をしたりすることに対しては、保険局の一部の方を除くと非常に対応が冷たいということを私は現場の方からも伺っているわけですし、自分自身も医療情報システムをやってきて感じているわけです。やはりこういった情報化の時代ですから、保険なんというのは学問でもないし医学でもないわけで、要するにお金の支払い方の問題ですから、みんなにわかりやすい簡単な方向に今後やっていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。 そして、申しわけありません、幾つかお答えいただきたいんですが、時間の関係があって先へ進めます。 さて、そういう診療報酬の問題でありますけれども、今回の二月五日の中医協の診療報酬の改定では、今度の医療法にかかわる特定機能病院と療養型病床群にかかわる以外のものには一切手がつけられませんでした。ところが、医師会からも病院団体からもその他の各種の医療団体からも、昨年四月の診療報酬改定ではやっていけない、緊急に是正してほしいという要望が随分厚生省の方にも行っていると思います。また、この参議院におきましても、昨年の八月と十一月の二回にわたって紀平悌子氏から質問書が出ております。 そういうふうなことで、非常に今診療報酬改定の要望が強いわけですが、これを二年に一回しか改定しない、この前の四月に改定したから今回の二月には最小限の改定しか、医療法関係しかやらないというふうにお答えになりましたが、この二年に一度しか改定しないというのは、一体どこで決められたどういうルールで、今後も守っていくつもりなのかどうかお尋ねしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 通常の診療報酬改定は、医療を取り巻く諸状況を総合的に勘案して二年に一回ということで、二年に一回行われる医療経済実態調査とか薬価の全面改定を踏まえるとともに、中医協の御議論に基づきまして二年に一回と、こういうことになっている次第でございます。 毎年改定を行うかどうかにつきましては、改定ルールの基本にかかわる問題だということで、現在中医協に設置されております診療報酬基本問題小委員会の議論の対象にもなってございまして、こういった議論を踏まえまして適切に対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○今井澄君 そのことに関しましては、昨年の改定のときにも資料とされた前回の医療経済実態調査では病院の経営が苦しくなっているということが如実にあらわれていたと思いますし、さらに四月の改定で病院の経営が苦しくなったということを幾つものところが出しております。公私病院連盟では約九百の病院を調査して、入院はプラスになったけれども外来がマイナスになって全体としては大変伸びが少ないということも出ておりますし、私も地元の医師会の調査などをやってみても大変厳しいという現状が出ております。 そしてまた、公私病院連盟の発表では、七三・一%が赤字で、その中で特に自治体病院、県立、市町村立病院は八六・二%が赤字。先ほど大浜委員の方が御紹介になりましたこの間のNHKのテレビなんかでも、民間病院の六五%が赤字ということがありますし、病院経営コンサルタントの脇隆治氏は、約四〇%の民間病院が滞在的倒産病院であると言っている。この間、病院の経営が非常に悪化してきていることは事実だと思いますので、やはり二年に一回という法律として決まったわけではありませんので、柔軟に対応していただきたいと思います。 先ほどの大浜委員の御質問に対しましても、さらに衆議院の予算委員会での公明党の市川委員の質問に対しましても、厚生省は、民間病院、特に中小病院の経営を調査するというふうに言われました。それは一体いつどういう形で調査するのかお聞きしたいと思います。 と申しますのは、さっきのお世話料の調査も、結局のところはやむを得ないのかもしれませんが、次の年度の厚生科学研究費か何か研究費をお取りになってからやられて大分時間がたっているわけなんですね。ところが経営の問題というのはそう待っていられないということがありますので、いつごろどういう形でおやりになるのか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生おっしゃいましたように、医療機関の経営の問題につきましては、悪化しておるというふうなことがいろんな調査からうかがい知ることができます。もちろん黒字の病院もあるわけでございますが、一般的にはそのようなことが言われております。 しかし、民間病院自身の数字というのはなかなか正確にございませんで、私どもは民間病院、特に先生がおっしゃいました中小病院とか開業医の先生方のその辺の経営状況につきましては、やはり民間病院をやらなきゃならぬということで、民間病院の経営状況について詳細な調査分析をやりたい、このように考えておるわけでございます。 そこで、そのために民間病院にはやはり協力を得なければなりませんので、いろいろと今関係団体とお話し合いをしておるわけでございます。民間病院の経営状況やあるいは民間病院の経営に影響を及ぼす要因の動向、例えば看護婦等の人件費の動向でございますとかあるいは医療機器の整備の状況あるいは医薬品の購入状況、こういうようなものあらゆるものにつきまして早急に調査していきたいと思っておりまして、先ほど申し上げましたように、今関係団体とお話し合いをしておるところでございます。できれば夏までには結果を得たい、このように考えております。
○今井澄君 できるだけ速やかに調べていただいてお願いをしたいと思います。また、民間病院ができるだけ経理を公開して、公益性の上に立って協力していただけることを期待したいと思います。 さて、昨年の四月の医療費改定については、これは看護料を上げる、それを看護婦さんの給料の方に待遇改善に回してほしいということで大幅に上がってきて、そのことを含めて大いに評価すべき点が大変にあるわけですが、一方でいろいろな問題点があると思います。 一番大きな問題点は、入院を上げるために、医療費のパイが決まっているものですから、どこを削るかというので薬価を下げるという常套手段と同時に、外来の点数を下げてそれを入院に回したというところに大きな問題があるんではないかと私は思っております。そういった点で、外来の点数が非常に下がることによっていろいろな問題点が生じてきていると思いますが、この点についてちょっと時間がなくなりましたので一つだけ。 また、この診療報酬改定も、これは公の審議事項でなく一日か二日で中医協であっという間に分厚い診療報酬改定の答申が行われちゃうんで、見逃されることもあるしちゃんと議論されないんですが、大変おかしな改定が一つあります。それはお薬を十以上出した場合には薬代を一〇%カットするというものなんです。何で十剤で切ったかというのは、これは恐らく医学的根拠はないと思うんです。一般論として薬の使い過ぎが多いと、そんなに一人の人間に十剤も薬を出したら多かろうと、言ってみれば素人判断といいますか、世の中のそういう考えでやったんだろうと思いますが、これは非常におかしな混乱を招いているんです。実際これで節減できている医療費なんて微々たるものです。 逆に、お薬の面だけ取り上げるんだったら、C型肝炎のインターフェロンが年間二千億、それから高脂血症、コレステロールのメバロチンが年間一千億円、これだけのお薬が出ているんでこっちの対策を考えた方がいいのに、本当にわずかしかお薬を減らすことにつながらないこういう十割以上は一割カットするなんて変な改定は、私は今後は注意してやらないでいただきたいと思うんです。 このことに関しては多くを要しませんが、昨年の第三十回の全国病院管理学会でしたか、そこで東海大学の病院管理学教室の吉岡恵美子さんという人が発表しておりまして、やっぱりどうしても医学的に必要な投薬も結構あるんだという実態と、こういうことが、薬剤の種類と量をコントロールすることによって確かに医療費の減少にはつながるが、医療の自由度が制限され、本来あるべき医療の姿から外れることが危惧されたという結論で報告を結んでいますので、こういう点についても御注意いただきたいと思います。 むしろ、こういう細かい問題は厚生省がみずからやるんじゃなくて、各都道府県にある社保、国保の審査会をもうちょっと活用してやっていくことが私はいいんではないかと思います。その審査会の機能について、厚生省は大きく期待をしているのか余り期待していないのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 時間の関係で多剤投与のことについては申し上げませんが、審査会につきましては、私どもはやはり大切な医療費をいい医療のために使わなければいかぬ、したがいまして診療報酬の請求の適正化というのは大変重要である、その適正化についての審査委員会の果たす役割は大変重要であるというふうに十分に認識しておりまして、こういった点で、医療費の適正化についてはそういった審査会等を通じまして総合的に対応してまいりたい。十分に認識しているところでございます。
○今井澄君 確かに医療費がどんどんふえるということが何も好ましいわけではなくて、適正な医療費というのがありますので、医療費を適正化するということ自身には私も反対いたしませんが、それが行き過ぎますと医療の中身をゆがめてしまうということがあると思います。 先ほど大浜委員の方からお話のあったNHKスペシャル「病院再建の内幕」なんかもその一つの問題点を浮き彫りにしていると思いますけれども、一つだけ例を御紹介したいと思います。 長野県の佐久市にある国保浅間総合病院、これは昔から国保地域医療で非常に有名な全国の模範になっている病院であります。私もそこで二年間外科医として研修して、現在の院長である倉沢先生から、例えば盲腸の手術をやった後抗生物質を使うと怒られたんですね。それは、要するに抗生物質を使わなければならないような汚い手術をするのか、きれいな手術をしたらよほどでない限り抗生物質は要らないだろうということで使わせてもらえなかった。この病院は現在でも長野県内で薬剤の医療費収入に占める比率が最も低いわけです。また、この病院は在宅医療を盛んにやっておりますし、平均在院日数は十七・七日というふうに非常に低くなっている。佐久総合病院と隣り合って競争しながらやっている、非常に高度医療もやるし在宅医療もやる病院ですが、その院長がこういうことを言っているんです。 これまで黒字を続けてきた医業利益が平成二年度に赤字に転じ、三年度には約一億四千五百万円になった。さらに、本年はこのままでは経常利益も赤字に転ずる可能性も出てきた。平均在院日数を十九日程度にするだけで簡単に少なくとも三億円や四億円の増収になることは院長としてよく知っている。しかし、そのようなやりくりを迫る診療報酬制度はどこか間違っているということを病院新聞にも最近書いておられます。二日間長く入院させてちょこっと何かをふやせば三億円や四億円病院は黒字になってくるわけです。 こういう現場でいい医療のために一生懸命頑張っている病院がなぜこうなったかというと、昨年の診療報酬改定で病院の外来収入が五割以上も点数がカットされるような例えば慢性疾患指導料というものの改定があったためです。そこで、私はそういった点で、やはり医療費の適正化が行き過ぎないようにすることを希望したいわけです。 一方で、出来高払いがいけないということで定額制がだんだん導入されて、定額制が非常にいいと。確かにいい面も非常にあるわけです、薬が減ってかえって患者さんが元気になったということもありますが、一方、昨年の十一月二十七日号と十二月四日号の週刊ポストに、病院が老人転がしを始めたということが載っていました。そして、最近の朝日新聞にもそういう定額制の問題点というので、天本病院の院長さんがこの制度が崩壊するおそれがあるというふうなことを言っているんですね。 定額制が出来高払い制にかわるいい点があると同時に、この問題の持つ危険性についてはどういうふうに認識しておられるのか、厚生省のお考え方。要するに定額制になるとやるべきこともやらなくなって手を抜く、あるいは重い患者は敬遠して軽い患者ばかりを入れるようになって重い患者は家族の負担になるという、このことをどう考えるのか。さらにもう一つは、老人の長期入院をなくしていくのはいいことですが、余りにもひどい逓減制、長いほど安くなるということのために老人が早く退院させられて、ピンポンと言われる病院間をやりとりされたり、病院転がし、この週刊ポストにあるようなことをやられている。こういう問題について、厚生省としてはこれの是正策あるいは評価をどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) 定額制については、全般としては私どもは非常に大切なよい結果を生じているというふうに考えております。 退院が促される事例が幾つかのマスコミで報道されておりますけれども、そのある部分は実際に医療的なケアよりは介護的なケアが必要になって、いわゆる社会的入院の方が退院を求められているという事例が多いのではないかと思っております。そのことについては、医療機関にとどまる方策を講ずるよりはきちんと介護のお世話ができるような施策を進める、こういったことがあるべきではなかろうかというふうに思っております。 もう一つの御指摘の軽い患者だけを集めるのではないかというようなことは、その危険性は承知をしております。そこは、医療関係者の自覚がなくなるとすれば、こういったよい制度もやはりその存在を揺るがすことになるのではないかと思っております。
○今井澄君 今の御回答を伺って安心いたしましたが、出来高払い制にも定額制にもそれぞれの利点と欠点があるわけで、そういう中でお年寄りやお年寄りを抱える家族の方が惨めな思いをしないように、ぜひ厚生省の御努力もまたお願いしたいと思います。特に、在宅ケアを進めることについては私も賛成でございます。 ところで、今度の療養型病床群をつくったり老人病院をつくったりして、看護婦の基準を従来の患者四人に一人という基準よりさらに下げて、定額制を導入したりして認めてきているということは、言ってみれば社会的入院を認めたことになるんではないかというふうなことを私は考えます。これは現実には行きどころがない以上しょうがないわけですけれども、しかし医療の中に社会的入院、つまり福祉を抱え込んでいっているということが果たしていいのかどうか。これは、やっぱり福祉の方で手当てするように抜本的に考え方を改めていくべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(横尾和子君) 私ども、定額制の病院等を整備しておりますが、それは社会的入院を病院で受け入れるという哲学といいますか考え方ではなくて、医療を行う場合でもかなりの部分介護をあわせ行う必要のある患者さんがこれからはふえていくという考え方のもとで整理をしていきたいと思います。福祉としてすべきことについては、ゴールドプランとの関係で大幅な整理を進めていきたいと考えております。
○今井澄君 どこまでが福祉でどこまでが医療か難しい問題だと思いますが、今は医療あるいは病院という中でかなりそういう福祉的なものを見ているのが現実ではないか、これを整理すべきだともう一度御意見具申し上げておきたいと思います。 いずれにいたしましても、やはり医療費は適正化しなければならない。しかし、それが行き過ぎるといろんな矛盾を生み出す。経営の問題にしろ医の倫理の荒廃にしろ、矛盾を生み出すということについて幾つが御指摘をしたわけですが、結局こういうことの根本というのはどこにあるかということを考えてみなければいけないと思うんです。 この資料でお配りしました四枚目の左下にあるのを見ていただければおわかりですし、これはもう常識とされていることですが、確かに単純な比較はできないにしろ、先進諸国の中では日本の国民総医療費の国民所得に占める比率は大変に低いということ。そういうことは言われておりますし、特に社会保障給付費として政府の支出になっているものが、日本は先進諸国の中で非常に低いということも明らかです。 それから五枚目の資料は、これは平成二年度の国民医療費の概況という厚生省の統計情報部から出されたものの七ページ目ですが、その一番最後の数表なんですが、それを見ますと、医療費に対して国庫から出しているお金が、左から三番目のところにあるように、昭和五十八年の三〇・六%をピークにしてどんどん下がってきているということですね。こういう事実に見られるように、どうも日本の医療保険制度においては国がだんだん手を引きつつあるのではないか。そして、どうしてもかかる医療費については個人負担にだんだん持っていっているんではないかということを危惧せざるを得ませんし、それが今回の診療報酬改定の特定療養費でもあるということを先ほど申し上げたわけですが、その辺についてもう少し日本は公費での、要するに国が責任を持って財源的にも医療や福祉について力を注ぐべきではないだろうか。もちろん苦しい財政事情があるんですが、一般論としてその辺考えるんですが、大臣いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 高齢化社会を迎えまして、福祉であるとか医療のあり方、これに対するいわゆる高福祉高負担がいいとかあるいは中福祉中負担がいいとか、いろんな議論がなされておるわけでございます。 平成五年度の社会保障の負担というのは一二・五%でございます。租税負担率を含めますと、三八・六%であります。これは臨調でも前に取り上げられたわけでございますが、いわゆるピーク時には五〇%近くまでいってしまう、こういうことでございまして、これはちょっと私は国民に耐えられる数字ではないのではないかと思っております。 そういう中で、今後、まさに先生の御指摘がありました医療あるいは年金、こういう問題につきましていわゆる負担と給付のあり方、それから国庫負担のあり方、こういうものを総合的に検討していって高齢化社会を乗り切っていかなければならない、こう考えております。 私は、個人的には、これからの時代は自分たちでできることは自分たちでやる、つまり自立というか自助というか、こういうような国民一人一人が気持ちを持って臨んでいただかなければならない。 それから第二番目といたしまして、先ほどからいろんな分野の指摘がありますけれども、企業であるとか地域であるとか、そういうところを通じてお互いに助け合う、いわゆる互助の精神というものを持っていかなければならない。そして、私どもが最終的には国民生活を営んでいく上にこれだけはきちんと守っていかなければならぬ、こういうものについてはきちんといわゆる公的な部分で保障しなければならない。公助、つまり自助と互助と公助、こういうものを有機的に絡め合いながらいわゆる高齢化社会を乗り切っていかなければならない、こう考えている次第でございます。
○今井澄君 私も、今の大臣のお答えのように自助と互助と公助と、どういう言い方の順番にするか別としまして、こういうものを組み合わせていかなければならないことは事実だろうと思いますし、何でも公に頼るということ、これがいいことではないと思います。 しかしながら、今の日本の医療や福祉の現状を見ますと、先ほどからもちょっと指摘しましたけれども、風呂がない病院、あるいは一人当たり四・三平米ということは二・六畳ということですね、これベットを置けばもういっぱいで何もできない。たまたま昨日、私は、医者で骨折をして自分の大学病院に入院して、MRSAになって七回手術してやっと生き返ってきた人と話をしました。それで、とにかく狭いということは不潔なことに関係しているということも言っておりましたし、日本の病院はひどいということを患者として入院してみて初めてわかったということも言っておりました。カーテンをつければ特別の環境だなんという、今そういう低い環境にあるわけです。そういう現状をまず認識する必要があると私は思います。 そうしますと、今盛んにマメニティーサービスについてはそれは自己負担でと、非常に通りやすい議論がされていますが、このアメニティーにもいろんな議論があることを今後整理していかないといけないと思うんです。狭い意味の診断、治療以外の生活部分はアメニティーだよという議論もありますけれども、じゃ本当に部屋代や食事代は全部自己負担でいいのかというと、これだってそうはいかない面があります。 それから、標準的なもの以上はアメニティーだという場合に、その標準は何かと。カーテンがない、風呂がない病院が標準で、それ以上を自己負担にするということを一体それをアメニティーという言葉で言っていいのか。それから、ビフテキを自分は一つ余分につけたいというのはこれはぜいたくなんで、そういうぜいたくという意味のアメニティー、いろいろな意味があるわけです。 こういうのを区別していかなければいけないんで、今日本はこういう低いレベルの医療環境の中でやっているということ、福祉の受け入れ態勢が少ないということ。それから、決してまだ貧困者もなくなってはいない、先ほどありましたが、無年金者もなくなってはいない状況の中で、いきなりここで自己負担だけを広げることは問題だろうと思うんです。 そうしますと、今財政が苦しい中で公的にどうするかということになると、私は、ピーク時に五〇%の国民負担を超えてはいけないという行革審の神話にも化している絶対原則を見直すべきじゃないかというふうに思います。見直すべき時期に来ているのではないかと思います。 というのは、租税、社会保障費負担が五〇%を超えなくても、現にさっきのように室料差額が六万円なり十万円なりというように自己負担でどんどん取られる時代になっているんですから、負担はふえているんです。そうしますと、私はやはりそういう時代に来ているだろう。そういう議論をもう一度国民に投げかけるべきだろう。非常に閉鎖的な審議会や何かの中で、一方的に限られた財源から考えるべきではないだろうと思います。 そういった点で、今後いろいろな審議会を公開して、国民をもう一度議論の中に巻き込んでいっていただきたいと思いますが、大臣のお考え、御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) いずれにいたしましても、ただいま先生から御指摘がありましたような問題は、国民の皆様方の御理解とコンセンサスが得られなければならないわけでございますので、これから社会保障のあり方等につきまして情報をどんどん公開をいたしまして、その中で国民の皆さん方の御意見を聞きながらいわゆる世論の形成というものを図っていきたい、こういう考え方に立っております。
○今井澄君 時間が来たので終わります。 どうもありがとうございました。
○委員長(細谷昭雄君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。 午後零時四十分休憩 ―――――・――――― 午後一時四十二分開会
○委員長(細谷昭雄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○栗原君子君 栗原君子でございます。私は、今回の一般質問におきまして厚生大臣に、障害者の社会参加さらにはそのさまざまな施設等々についてお伺いを申し上げたいと存じます。 さきの大臣の所信表明の中で、ぬくもりのある厚生行政とおっしゃっていただきまして、大変私たちも意を強くしたところでございます。大臣の考えていらっしゃるぬくもりのある厚生行政とはどういうことを具体的にお考えでいらっしゃるのか、私はお伺いをしたいと思っております。 まず、障害者の完全参加と平等を視点に繰り広げられました「国連・障害者の十年」が終わりまして、ことしより「アジア太平洋障害者の十年」が始まったわけでございます。これからの障害者の生活とさらには人権、そういったことを基点にいたしました施策展開がさらに私は求められていると思うのでございます。「国連・障害者の十年以降の障害者対策の在り方について」という、そういったものが公表されましたけれども、ここで障害者福祉についてどのような基本的な考えをお持ちでいらっしゃるのか、私は大臣にお伺いをいたしたいと存じます。お願いいたします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私は厚生大臣に就任いたして以来、ぬくもりのある厚生行政ということを一つの柱として掲げさせていただいておるわけでございます。先生御理解いただけると思いますけれども、私どもは自由社会の中で公正な社会の実現を図っていかなければならない。これは言わずもがなのことでございますけれども、しかしハンディのある方に対しては公正な社会というものに対して真の意味での光を当てていかなければならない、こういう認識に立ってこれからの厚生行政に取り組んでいくまず決意でございます。 障害者の問題につきましては、本年の一月に中央心身障害者対策協議会の意見具申をいただきまして、現在政府の障害者対策本部において障害者対策に関する新たな長期計画の策定について検討が行われているところでございます。 これらを踏まえて施策の推進に当たっていきますけれども、私は、まず自立と参加、これを基本的な原点として、障害者の皆さん方の真の意味でのノーマリゼーションが実現できるような社会のために最善の努力を尽くしていく決意でございます。
○栗原君子君 ここに社会保障将来像委員会第一次報告、こういったものが今回出されておりますけれども、この報告の基調とするところは、今後着実に到来をする高齢化社会に向けてのものである、私はこのようにまた考えているわけでございます。そしてまた、これは経済とかそれから家族構成の変化をも考えられたものであると思うわけでございます。 とりわけ、私は考えますに、いつの時代でも公的サービスを当然受けるべき障害者に関してのことがこの中に欠けているように思うわけでございます。これは担当なさったところは総理府の方が担当なさったということを私は聞かせていただきましたけれども、障害者の福祉についてこの中に十分に述べられていない、いわゆる今までからずっと公的サービスを受けるとされた障害者、そういった人の福祉について述べられていないと、私はこのように思うわけでございますが、これが落とされているというのは、どういうことがあって落とされたのであろうかお伺いをいたします。
○政府委員(佐野利昭君) ただいま先生の御指摘でございますけれども、社会保障制度審議会の中に設置されております社会保障将来像委員会、この将来像委員会で御審議いただきました内容につきまして、当然のことながら私自身が解説をしたりなんかすることはちょっと権限を越えておるかとは思いますが、ただ、書かれている内容につきまして御説明させていただきますと、将来像委員会におきましては、障害者の問題は、ほかの傷病あるいは老齢、失業といった社会保障の一番ベースとなる問題と同格の扱いになっておりまして、「社会保障の基本理念」のところでその対策の必要性が述べられているところでございます。また、公的責任の必要性という社会保障の公的責任で制度を整備しなければならないというところにおきましても、傷病あるいは老齢、失業といった一番ベースとなる社会保障の公的責任を果たすべき分野の中で同様に障害の問題も取り上げられているところでございます。 それからまた、今回の将来像委員会におきましては、いわゆるこれからの社会保障のあるべき姿を議論するためのベースとなる議論を、みんなで共通認識を持とうということで御議論いただいたところでございます。したがいまして、非常に個別各論的な問題につきましては余り議論がされていないところでございますけれども、障害の問題につきましては、例えば雇用、住宅といったような問題につきましては、老人と同様に障害者に対しましても特別な対策を講じるように、あるいは障害者が地域の中で生活できるような配慮をするようにというようなことについても触れられているところでございまして、一応ベースとして障害の問題は極めて重要な問題として位置づけられているというふうに御理解いただければと思います。
○栗原君子君 さて、ここで私は、障害者福祉三法に基づく適所授産施設、こういったことについて少し触れてみたいと思いますし、それからまた法外の小規模の作業所、こういったことについて少し御質問を申し上げたいと思うわけでございます。 今、大体全国に、詳しい数はよくわかりませんけれども、少し前の資料でございましたら約三千カ所の小規模作業所があるように聞いているわけでございます。この中で都道府県別の全国の実態調査が出されておりまして、私が持っておりますのは八九年の十月のものでございますが、その中で、全国二千二百五十カ所の作業所に働く適所者の平均の工賃、これについて私はいろいろ調べてみました。 私のおります広島でございますと、平均月に五千三百十四円という人、あるいはまた月に約九千円、六千円、そんな人が結構いらっしゃいまして、そしてまた、中には一カ月働きに行っても千五百円しかもらえない人、工賃すらもらえない人、そういった状況があるように伺うわけでございます。そして、その作業所はどういう形で支えられているかと申しますと、地域のボランティアの人とかあるいはそこに通わせる家族、とりわけ母親、そういった人たちによってこれが成り立っているように私は思うわけでございます。 ここで、法外の小規模作業所の実態を厚生省としてはどのように認識をしていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと存じます。
○政府委員(土井豊君) ただいまお話がありました法外の小規模作業所、いわゆる無認可の施設であると思いますけれども、それにつきましては、各地域におきまして障害者の社会参加等のために自主的な活動として運営されているというふうに承知をしているところでございます。その設置主体、運営形態等々はさまざまでございまして、私どもとしましては一定の要件を具備するものにつきまして補助制度を設けて助成を行っている、そういうものでございます。
○栗原君子君 そこで私は、それでは一九八七年、昭和六十二年からスタートいたしました小規模作業所に対する補助金制度のやっぱり一層の充実というのが私は必要になってくるように思うわけでございます。 そして、今度は法外の作業所についてでございますけれども、この場合補助金が大体年額九十万円、このように伺っているわけでございます。 そして二つ目には、この補助金の交付方式、これが都道府県ではなく特定の障害者団体を通じたものになっていると、こうなっております。なぜ都道府県を通じてその補助金をおろすことができないのかどうか、私はこれをお伺いしたいと思います。 それから三点目には、その補助件数が、全国の自治体で単独で補助をしている小規模作業所というのは、その補助件数の半数にも満たないわけでございます。だから、とにかく地域の人たちに支えられて、自分たちで金を出し合って細々とやっているのが実態なんです。 それから、先ほど言いました都道府県を通じてなぜおりないのか、これを私は指摘いたしますが、障害者のそういった団体に対しておりるわけでございまして、例えば在宅の重度の障害者通所援護事業は全国に、少し古い資料がもわかりませんけれども、四百六十二カ所ありまして、これは日身連というところを通じておりているように伺っております。それから、精神薄弱者の適所援護事業、これにつきましては手をつなぐ親の会を通じて補助金がおりている。さらには、精神障害者の小規模作業所につきましては、その家族の会であります全家連と言っておりますけれども、そういったところを通じておりているわけでございます。 ですから、それに全く入っていない、どの団体にも属していないという人については、私はこの恩恵を受けることができないと思うわけでございますが、なぜ都道府県を通じてこれをおろすことができないのかどうかお伺いをいたします。
○政府委員(土井豊君) ただいまお話がありましたとおり、現在小規模作業所、これは法外の小規模作業所でございますが、年九十万円の助成を行っております。 そして、助成の仕方でございますけれども、今具体的にお話がございましたような団体に対して国が補助をする。団体が個々の作業所に対して助成を行うという形をとっておりまして、都道府県を通ずる補助制度にはなっていないというのはそのとおりでございます。 なぜそのように都道府県を通さないかということでございますけれども、この小規模作業所は無認可の施設でございまして、したがってこれは行政が直接その運営に関与していない、そのような施設であるということから、行政が補助をするという仕組みにはなじまないと考えている次第のものでございます。 したがって、私どもむしろ何らかの形で御支援申し上げたいという気持ちを具現するために、身体障害者につきましては日本身体障害者団体連合会、それから精神薄弱者につきましては全日本精神薄弱者育成会、それから精神障害者につきましては全国精神障害者家族会連合会、それぞれの団体に助成を行い、それぞれの団体が国が示す要件に該当すると思われるものに対して助成をするというような間接的な仕組みをとらざるを得ない次第でございますので、御理解を賜りたいと存じます。
○栗原君子君 聞くところによりますと、北欧などでは個人に対してその補助金がといいますか、そういった助成金がおりているように伺うわけでございます。ですから、そのいただいた金の中で、自分はデイサービスを選ぼうかとか、それから在宅を選ぼうかとか、いろんなメニューを選択することができるように伺っているわけでございますが、先ほど申しましたようにいずれの会にも属さない人が地域には結構いらっしゃるわけでございまして、何とかその人たちにも恩恵を受けていただけるようなそういうことをお考えいただきたい、このように思うわけでございます。 さて次に、私はそういった小規模作業所に働く人たちのことを少し取り上げてみたいと思います。私が訪問をいたしました無認可の小規模作業所、幾つか訪問した中でのことでございますけれども、ここは十九人の適所者の方がいらっしゃいまして、そこに三人の女性の職員がいらっしゃいます。そして、そこの所長さんと言われる人の給与が月に十三万円なんです。そしてその次にいらっしゃる方が月十二万円、あとのお一方が月十一万円。こういう状況での働き方でございます。 ですから、この金額に対しては、三人とも既婚者でいらっしゃるものですから、もちろん配偶者の控除からも外されていますし、あるいはまた国民年金もそれから国民健康保険税も全部それを自分で払っていらっしゃるわけでございます。 例えばパートタイマーで働いている人に対してのことでございますと、それは限度を超えそうになれば調整して働くこともできますけれども、そういった作業所で働く人たちには、きょうは休むということはならないわけでございます。作業所に来る人に対しても、一人休めばあとの二人で全部それを賄わなければいけませんので、大変な作業量があとの二人に来ると、そういう状況になるわけでございます。 そこで、私がお伺いをしたいのは、九二年、平成四年度からヘルパーさんへの、これは特に高齢化社会に向かっていくからということで厚生省としても積極的に取り組んでいただいた私はたまものと思うわけでございますが、そのヘルパーさんに対しての給料が、手当といいますか給料といいますか、三百十八万円になっているわけでございます。人手の確保をする必要は十分わかるわけでございますが、もう少しそういった作業所に働く人たちの行政の手だてをしていただくことはできないものであろうか、これをお伺いさせていただきたいわけでございます。 当面、すぐヘルパーさん並みにしろと言っても大変難しいものもあろうと思うわけでございますが、すぐできないものであれば、社会保険料分ぐらいは行政の方で賄ってもらってもいいんじゃなかろうか、このように思うわけでございますが、このことについてお伺いを申し上げます。
○政府委員(土井豊君) ただいまお話がありましたとおり、小規模作業所における実際に働いている方々の勤務条件は大変だろうと私どもも拝察をしております。と申しますのは、通常、認可施設でございますれば、その勤務条件がどうであるか、そこで働く方々の人数、賃金等々につきましては、国の方で一定の基準を示してそれでもって運営をしていくというルールができますけれども、これは無認可の施設でございますので、そういったものがないというようなところに基本的な事情はあるんではないかというふうに考えている次第でございます。 したがって、私どもも、果たしてその雇用形態がどうなっているかといったようなことも把握できませんし、それからまた、社会保険料と申しましたけれども、恐らく国民年金に入られている方々が多いのではないか、あるいは雇用形態によれば厚生年金ということもあり得るんだろうと思います。そういった実態面につきまして、これはあくまで自主的に運営されている施設でございますので、私どもの方としては、それについて今御提案がございましたような援助を申し上げるということは無理であると考えているところでございます。 ただ、先ほど来お話もございましたが、国の制度になじまないものというものにつきましては、地域の実情に即した地方自治体における対応といったようなものが福祉の面ではきめ細かな形で実施されているという側面もございますので、例えばこの問題につきましても、地方交付税上必要な手当ても若干なされていると伺っておりますので、そういう形で実情に即した対応というものが若干は可能なのではないかというふうに思っている次第でございます。
○栗原君子君 無認可であるからできない、こういうお話でございます。後ほど申し上げますけれども、認可をされたいんだけれども物すごい大変な基準がありまして、例えば財産を持たなければいけない、そしてそこの土地もないとかそういうことも含めて、認可基準までいきたいと努力をしていらっしゃるけれどもなかなかその努力ができていないのがこのミニ作業所の実態であろうと私は思うのでございます。 それから、地方交付税上の負担ということをおっしゃってくださいました。よくこういうことがあるわけでございますが、国の方からは地方自治体に対して地方交付税の中に算定をすると、これは厚生省関係で、いろんな省庁がそういうことを言っているわけでございます。私も十七年間地方議会にいまして、じゃ、あの分が地方交付税に算定しているであろうから、その分でこの事業をやってくれということを随分私は自治体の中で言ってきたわけでございます。それで、いざあけてみますと、どれがどの分だか全く地方交付税という言葉に濁されてしまって、それだけの金というのは使えないというのが地方で実際にあるわけでございますけれども、こういうことについて御存じでいらっしゃるのかどうかお伺いをいたします。
○政府委員(土井豊君) 栗原先生、非常に地方自治にお詳しいというふうに伺っております用地方自治体に対して地方交付税という形で交付されている財源は一般財源である、したがって、その使い道は地方団体におきまして議会とよく相談をされて自主的な使い方ができる、そういう性格のお金であろうと私どもは理解をしているところでございます。
○栗原君子君 さて、それじゃちょっと話をまたもとに戻してまいりたいと存じます。 先ほど言いましたように、無認可の場合、月額十三万円、十二万円、十一万円とか、そういった賃金でございますと、余りにも賃金が低いから男性の人は来てくれないわけでございます。だから、地域の奥さん方の中でそういう福祉に御関心を持っていらっしゃる方が本当にボランティア的にやってくださっている、こういったことが実態でございます。 しかし、私はそういった作業所を見ておりまして、男手が当然必要なわけなんです。成人をした障害者の方がトイレヘ行くことも一人ではできないという状況、その男性トイレの中に介助して行くわけなんですけれども、女性の職員が行くことは大変難しい。そして、ズボンの上げおろしを手伝ってあげることも、どちらかというとやっぱり男性の適所者に対しては男性の職員といいますか、そこに働く人がいてほしいんだと、そういう声を何度か私は伺ってきました。やっぱり障害者の人権ということを考えた場合には、私は当然女性の人には女性、体のいろんな仕組みも男性と女性は違いますから、女性に対しては女性のそういった介助してくださる方がついていてくださる方が私はうれしいと思うし、男性のそうした成人なさった方には当然男性の介助してくださる方がついていてくださる、障害者の当事者のお気持ちとなれば、その方がよろしいんじゃないか、私はこういうことを考えるわけでございます。 だけれども、ほとんどのそういった施設では男性の職員の姿は見られない、そういうことが実態でございます。もちろん、男性の人に来ていただこうとすればそれだけまた経費もかかりますし、そういったミニ作業所にしてはわずかばかりの収入では男性職員に来てもらうことはできないということになっております。こんな実態がたくさんあるわけでございますが、これでもまだ地域のミニ作業所に対して国からの手厚い保護というのは難しいのでございましょうか。どうすれば一番やりやすい方向になるのかお尋ねをいたします。
○政府委員(土井豊君) いろいろお話をお聞きしまして、その間の事情はよく理解できるわけでございますが、ただ制度の基本に立ち返って申しますと、この小規模作業所というのは無認可の施設でありまして、自分たちの考え方でつくるというものでございまして、国の立場からその運営についてどこまで責任を持つかという点についてはいろいろ議論があるんではないかと思います。 私どもとしては、むしろきちっとしたと申しますと語弊がありますけれども、認可施設あるいは補助制度に乗っかるような施設、そういう施設にできるだけ早く移行できるような、そういう条件整備をしたいということで努力しているわけでございます。例えば、障害者のための授産施設というのがございますけれども、授産施設の人数は二十人というのが原則でございますが、その分場という形であれば五人入所者がいれば分場ができるというような、非常に少人数でも可能な道を開いております。 さらに、これは新年度からの新しい事業でございますけれども、人口五万人以下ぐらいの中小の市町村におきまして小規模のデイサービス事業というものを新しくスタートさせたい。従来のデイサービス事業は十五人程度という人数を対象に考えておりましたけれども、半分の八人程度でこの事業ができるというように、小規模作業所が移行しやすいようなそういういろんな方途を講じているわけでございまして、そしてそのような形できちっとしたといいましょうか、国の制度に乗る形で小規模作業所が変わりますれば、これにつきましては運営上の責任をきちっと果たせるというような仕組みを考えてまいりたいと思っている次第でございます。 したがいまして、そういう意味では小規模作業所のままでは私どもの手はおのずから限度があると。私どもの手を、お力を添えるというものにはおのずから限界があるというふうに考えておりますし、地域の実情に応じた地方自治体の対応というものについては私ども高く評価をしているわけでございますけれども、これは先ほどお話がございましたような地方自治の本旨に従った対応ということになろうかと存ずる次第でございます。
○栗原君子君 今、分場であれば五人でもよいというお答えをいただいているわけで、これはこれからこういったことを利用なさる人も大変多いであろうと思うわけでございます。 例えば、一応その小規模作業所が認可されようとすれば定員は大体十名以上でございましょうか、小規模であれば。そうしますと、東京都の場合は六人以上でもいいんだということを私は伺っておるわけでございます。何で、国の場合十人という数字が出てくるのでしょうか。七人とか八人ではどうしていけないのでありましょうか、分場でない場合なんですけれども。 例えば十人集まってこようとすれば、地方に行きますと、人口の少ない町あたりですと、十人というのはその町だけでは集まれないわけです。隣町も隣町も集まってやっとそれで十人、十二人という人数になるわけでございます。そうした場合は、私は障害者が地域でともに生きるということにはならないと思うんです。隣町も隣町も行かなければいけない。そして、その適所の手段だって自分では行けないからボランティアの人たちに車に乗せていってもらうとかそういった実態の中で、地域でともに生きるということに今の御答弁でつながるのかどうか、お伺いをいたします。
○政府委員(土井豊君) 今先生お話しの件は、現在における私どもの助成制度の要件といたしまして十名程度という基準を示しております。それに該当するような小規模作業所に助成をしてくださいということで、先ほど言いましたような全国団体を通じて助成をするという仕組みにおきましては、十名とかあるいは十名以上二十名未満とか十五名程度とか、三つの対応がちょっとずつ違いますけれども、大体十名ぐらいから上という基準を設けている次第でございます。 もう一つの要件といたしましては、週五日間程度開いているという要件をそれに付加しておりますが、そのような形で団体から個々の小規模作業所に対する助成を行う場合の基準を国としてはお願いしているというところでございます。 一方、私が先ほど来申しましたのは、法定施設の入所定員が多いために法定施設になろうと思ってもできないというような実際の事情もございます。そういうものを克服するために、先ほど言いましたように、授産施設の本体は二十名でございますけれども、分場ということになりますと、本体と一体として運営できるという意味で人数を少なくしているということを申し上げたわけでございますし、それからまた小規模デイサービス事業につきましても、新年度から規模の小さいものを実施できるようにスタートをしたい。そういう形で小規模化を図ることによりまして、できるだけ小規模作業所がそのような法定施設なり補助施設に移行できるようにそういう条件整備を整えつつあるということを申し上げた次第でございます。
○栗原君子君 それでは、先ほどの分場という制度でございますけれども、例えば県庁所在地に一カ所あって、それからあとその近辺で分場というのを幾つつくってもいいと、このように解釈をしてもよろしいものかどうかお伺いいたします。それは数が制限されているものでございましょうか。例えば五人なら分場になるのか、そういうことになりますと。
○政府委員(土井豊君) 分場をつくる場合に、その分場でお世話をする人数が五人という条件に該当いたしますれば例えば二つ分場をつくるということも可能でございます。
○栗原君子君 二つをだんだん拡大いたしまして十も二十もという分場もあるわけですか、考え方とすれば。
○政府委員(土井豊君) 実際問題としてそのようなケースがあるかどうかは私も存じませんけれども、これまでには少なくともございませんが、考え方としては一カ所五人の入所者がいる場合に、十も二十もとおっしゃいましたけれども、複数の分場を一つの授産施設が持つというような形態というものは考えられると思います。
○栗原君子君 それでは、続いて私は、そこに通わせている親の立場、このことについて少し触れてみたいと思うわけでございます。 障害者をお持ちの親御さんは、養護学校に行っているうちは何とかよかったんだ、だけれども卒業してからが大変なんだと、こういうことをよくおっしゃいます。そして二言目には、自分よりも一日でもいいから先に死んでくれることを願っていますと、こういうことを私は何人もの親御さんから聞かされてきました。なぜだかおわかりでございましょうか。自分が死んだらこの子をだれが世話してくれるのか。考えるだけで私は、親御さんの気持ちとすれば大変御心配でそういう言葉になって出るんであろうと思うのです。 親が安心をして障害を持つ子供を残して生涯が終えられる、私はそういう制度こそぬくもりのある厚生行政じゃないかと思うのですけれども、社会保障というのはこのような不安にこたえられることこそ私は大切だと考えておりますが、いかがお考えでございましょうか。
○政府委員(土井豊君) 現実にどこまでできるかということは別にいたしまして、お気持ち、お考えというものは私どもも同感でございます。
○栗原君子君 厚生行政は私はここが基本だと思うんですよね。そういった不安を持つことがない、そういった行政を私はぜひ進めていただきたいと要望しておきます。 そして、身辺の世話をしてくれる例えば家族、とりわけ母親たちがやむを得ず冠婚葬祭で出かける場合とか、あるいはまた長期入院をする場合、この子を預かってくれるところがないんですよとどれだけの私は母親たちから言われたことでございましょうか。預かってもらえる、制度とすればあるわけなんです。だけれども、身の回りのお世話が一人でできない、身辺が自立していないから預かることはできないといって現実にははねつけられているわけなんです。そして、家に置いておきますと、例えば精薄の場合、火事でも起こされたら困るからといって御近所の方が苦情を言ってくるとか、そういったことがあるわけでございます。こういうショートスティ、デイサービスについてどのようにお考えでいらっしゃるものか、御見解をお伺いいたします。
○政府委員(土井豊君) ただいまお話がありましたように、家族の方が常日ごろは介護をされていて、その介護をしている方に事故があったり、あるいはやむを得ない用件があるという場合のショートスティの問題でございますけれども、私どもも非常に重要な事柄であると考えておりまして、この進展に努力してまいりたいと考えております。 一週間程度のお世話をするショートステイでございますが、身体障害者療護施設等のそういう人的にも条件の整ったところでお世話をするということになろうかと思いますけれども、平成五年度予算におきましては五千八百二十四人という分を計上しておりまして、前年度に比べて三百六十五人の増員ということを図っているところでございます。今後とも、この点につきましてはその推進に努力してまいりたいと考えているところでございます。
○栗原君子君 私は、このように施設の方が断る理由は、一つにはやっぱり窓口での姿勢の問題もあると思います。そしてまた、施設が不足しているということも、これ絶対数が私は不足をしていると思います。それから、そこの人手不足、こういった問題もあると思うわけなんです。要するに、そういった障害者を預かろうとしている今ある施設でさえ余裕がないと、こういうことからそういう言葉になって私は出ているように思うわけでございます。 在宅福祉の推進というのは私は高齢化対策だけじゃない、このように思います。障害者の対策では、在宅福祉というのをどのように進めようとしていらっしゃるのかお伺いをいたします。
○政府委員(土井豊君) 地域の中で障害を持つ方も持たない方も一緒に生活をして社会的な参加を行うということは非常に大切なことだと思っておりまして、私ども、デイサービスあるいはショートステイ等々の諸事業につきましては従来から力を注いでまいりましたし、今後とも格段の努力をしてまいりたいと考えております。 先ほど小規模デイサービス事業の創設を新年度からやりたいということを申しましたけれども、こういったことも別に小規模作業所をそういうふうに移ってほしいというような側面もありますけれども、やはり基本はデイサービス事業を進展させたいということであろうと考えております。
○栗原君子君 デイサービス事業をちゃんとやりたいと、このようにおっしゃってくださいましてありがとうございます。だけれども、現実にはとてもお粗末でございまして、ここに私は広島県の中の自治体でいただいた資料を持っておりますけれども、介護型、要するに普通型と言われているんですが、これが広島県内でたったの四カ所なんです。そしてまた、重点型と言いますけれどもこれが三カ所、合わせて七カ所しかない状況でございます。 例えば、少ないところといえば大分県、大分県になりますとたったの一カ所ということにこの資料ではなっておりますけれども、現実にそんなに少ないものでございましょうか。自治体によっては二カ所とか三カ所、四カ所、そういった数なんです。二けたのそういったものを持っているというところになりますと、東京都が二十二、これは介護型でございますけれども、あと二けたといいますと大阪府が二十一ということになっておりまして、あと都道府県でも七カ所、二カ所、一カ所とかいうところが結構あるわけでございますが、これで障害者のデイサービス事業がちゃんとできるということをお考えでいらっしゃるのかどうかお伺いいたします。
○政府委員(土井豊君) 私どもの予算で全国の数字を申しますと、平成四年度は三百四十一カ所のデイサービス事業、それが平成五年度は四十九カ所ふやしまして三百九十カ所という予算を計上しております。これを四十七都道府県で割っていただきますとおわかりのとおり、平均すると一県当たり十カ所までいっていないというような数字でございます。 ただ、これは国が無理やりつくれということを命令する性格のものではございませんで、むしろ自治体なり社会福祉法人なりがいろんな地域の実情に即した対応ということの結果として、現にあるデイサービスはこれだけだということでございます。今後とも私ども自治体と力を合わせてこれが伸びるように努力をしてまいりたいと考えます。
○栗原君子君 高齢者のためのデイサービス事業、ショートステイ、そういったことは今かなりできつつあるようでございますけれども、障害者の場合も、私はこのことをぜひ御努力いただきたいとお願いを申し上げます。 さて次に、来年度、平成五年度の予算の中では精神薄弱者の施設と身体障害者の施設が相互利用できるようになっていると書いてあるように思ったわけでございますが、このようにしていただいた理由というのをちょっと御説明をお願い申し上げます。
○政府委員(土井豊君) 授産施設につきまして、今お話がありましたように、身体障害者、精神薄弱者、相互乗り入れができるというような形で改善措置を講じようという方針で臨んでおるところでございます。 これは、地域の実情に応じていろんな運営の形態があると思いますけれども、それぞれの人数が片一方だけでは少ないといったようなものもあろうと思いますので、そこら辺はできるだけ運営の幅を広げて地方団体あるいは社会福祉法人がいろんな選択ができるような、そういうメニューを多くしようという考え方に基づくものであると考えております。
○栗原君子君 それでは、これを少し幅を広くこれから考えていただくことはできないのかどうか、これをお伺いしたいと思います。 実は、高齢者のためのデイサービスの施設が私の町にありまして、私はそこにボランティアの一員としてこの間ずっとかかわってまいりました。そして、そこに近所の無認可の小規模作業所の人が来ておられまして一緒に楽しくやっていたわけなんですが、ある日のことぴたっと来なくなっちゃいました、その作業所の人が。それで、何で来なくなったのと私が聞いてまいりますと、この施設は高齢者のためにつくったものであるから、精神障害者の人のためにつくったものじゃないし、あなた方はここは来るべきところじゃないんだと、そういう物の言い方をされたそうでございます。 現実に障害者のためのそういったデイサービスの施設がない。そして、地域には高齢者の施設はできつつある。そういう状況の中で、相互乗り入れとして利用させてもらうことができるのかどうかお伺いをいたします。同じ厚生省の管轄の予算でできたもので、これを分けなければいけないという理由があるなら教えてください。
○政府委員(横尾和子君) 中央心身障害者対策協議会の御意見の中に、特に今議員御指摘の在宅福祉サービスの提供という部分で、障害者対策と高齢者対策が重複する分野も多いからなるべく相互乗り入れをするようにという御意見をいただいております。それによりまして、平成三年から身体障害者のデイサービス事業と老人のデイサービス事業が相互乗り入れをして構わないと、こういうことを認めているところでございます。
○栗原君子君 それをまだ地域では十分御存じない職員の人たちも結構いらっしゃるわけでございまして、それからその地域の作業所に行っている人たち、それから障害者の人たちも御存じない方がたくさんあるわけでございまして、少し啓発の方も考えていただけたらと思うわけでございます。要望しておきます。 それで、その施設を利用する場合に、これは障害者のお母さんから私は御相談を受けたわけでございますけれども、当然お年寄りの方たちが利用していらっしゃる時間帯というのは御遠慮をしなきゃいけないというのはよくわかる。だけれども、利用していらっしゃらない時間、土曜日あたりはあいているように思うんだけれども、そういうところは大いに利用させていただいてもいいんであろうかと、このように伺ったんですが、これはよろしいわけですよね。
○政府委員(横尾和子君) これは、恐らく一体的な運営というよりは施設の有効な利用ということであろうと思いますから、施設の管理上問題がなければ構わないことであろうと思います。
○栗原君子君 管理上問題がなければよろしかろうと、こう言っていただいたんですけれども、そう言っていただいても、先ほど申しましたように、実際には使おうとすればていよく断られる、管理云々と言われる、管理をしてくれる人がいないとか、そんなことがあってていよく断られると、こういう可能性があるように私は思うわけでございます。それは、各自治体あたりでこれから取り組んでいただければ私は十分可能になってくると思いますので、またこれからもぜひ御指導のほどをよろしくお願い申し上げます。 さてもう一つ、私は、小規模作業所を建設しようとする場合に、一般的に福祉の施設もそうなんですけれども、地方に行きますとまだ土地があったりいたしましてやりやすいわけでございますが、都市部になりますととてももう土地がなくてできない、これが実態のように思うわけでございます。それで、建設をしようとする場合にその複合化がよく言われるわけでございますが、こういった作業所の場合にも複合化が可能なのかどうかお尋ねをいたしたいと思います。 最近の例では小学校に特別養護の老人ホームを建設する例とかあるいはまた郵便局に併設する案も出されているやに聞くわけでございますが、障害者施設もそのように私は建設することも可能なのであろう、このように思うんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(土井豊君) 基本的に、今先生お話がありましたように、施設の複合化ということは私どももそういう方向で進めるべきであろうと考えているところでございまして、部長会議、課長会議等でも地方団体にもそのようなお話をしているところでございます。 ただ、今具体的にお話がありました、先ほど来お話しの無認可の小規模作業所を認可のいろんな他の福祉施設と一緒にできるかという点については、私どもはそれはできないだろうというふうに考えているところでございまして、あくまで認可している施設の複合化というふうに私ども指導しているところでございます。
○栗原君子君 実際にはこれは大変なんですよね。おわかりなのかどうか私伺いたいと思うんですけれども、例えばそういった障害者の施設が地域に来るということになりますと地域を挙げて反対される、これが実態なんですよね。そういうことで、何か土地をちょっと貸してくださる方があればそこでプレハブの作業所をつくって、全くわからないように看板も上げないようにして、そして何人かがそこで作業をぼちぼちと始めていって、既成事実をつくってやっと地域に認めさせていくという、これが現実なんです。なかなか私は地域で受け入れてもらえるような今の状況じゃないと思うんですが、ここをどのように認識していらっしゃるのかお伺いいたします。
○政府委員(土井豊君) 大変難しい問題だと思います。私ども、昨年で終わりました「国連・障害者の十年」という中におきましても、完全参加と平等という理念が少しでも多く国民一人一人の中に定着するようにということで努力してきたつもりでございますが、今先生お話しのようなお話が実情であるとするならば、これはまだまだ今後努力をしていかなければならないと決意を新たにしているところでございます。
○栗原君子君 それでは、私は少し話を初めに戻していきたいと思いますけれども、例えば法人化しようと思いますといろんな財産が、土地とか建物を持っていなきゃいけないとか、それからお金も何千万とか集めなきゃいけないとか、そういったいろんなことがあるわけでございますが、都市部では用地を購入するためのお金が本当になくてみんな困っているわけなんですね。 そして、用地を購入する場合、その用地を売った人に対して所得税を今までかけていたわけでございまして、そういった福祉の施設をつくる場合には所得税はかけない、それから土地を無償で貸与させてくれるような地域の協力が得られるようなそういった方策を厚生省として考えることができるのかどうか。それから、たとえ土地を買うにしても補助単価で安く買うことはできるのかどうか。土地一つ得ようとしてもそんなさまざまな問題があるわけでございますが、これらについてはどのようにお考えでいらっしゃるのかちょっとお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(土井豊君) 土地の問題は大変難しい問題でございまして、社会福祉法人が新しく社会福祉事業を行おうとする場合に一番真っ先に当面する重大な問題が土地問題であろうというふうに私どもも認識しております。 ただ、社会福祉事業だから土地というものは税制的な問題においてもあるいは地方団体との関係においても今先生お話しのような形で利用できるのかどうかということになりますと、これは非常に条件が整った場合にそのような形で動くということは大変ありがたいことではございますけれども、なかなか行政としてそういうふうにするというところまではいかないのではないかというふうに思います。
○栗原君子君 法人化されたいと思っている作業所というのは結構あるわけなんですけれども、そういった財産のこととかお金のこととかあってこれができないわけでございますから、法人化させるための基準を緩めてもらうことはどうなのか、お伺いをしたいと思うんですけれども、できるでしょうか。
○政府委員(土井豊君) 社会福祉法人になるための問題としての土地の関係でございますけれども、社会福祉法人が土地を所有している、あるいは地方公共団体から無償で土地を借りられるといったような条件を付与しております。そのような条件を満たす場合に社会福祉法人として認めるというような認可の基準を示しているところでございまして、私どもは、社会福祉法人が社会的な存在として将来にわたって社会福祉事業をきちんと行うというためには必要な条件であると考えているところでございます。
○栗原君子君 福祉に関しては地域の理解は大分得られるようになったと思うわけですけれども、これから高齢化社会も含めてまだまだ私は地域の人たちに理解をしていただくということは大切なことであろうと思うわけでございまして、何とかここらあたりを、福祉に関してのさまざまな施設については租税の特別措置を講じていただくとか、少し基準を緩める方法を考えられるものなら考えてほしい、このように思うわけでございます。 さて、もう時間も大分参りましたけれども、いろんな厚生省あたりとかそれから専門家から出されております資料などに目を通しておりますと、地域でそういった福祉の事業を進めていこうとか施設をひとつつくっていこうと、こういうことになりますと、やっぱり国の地方自治体と地域とこの三者が一体とならなければならないということをよくいろいろ目にするわけでございます。 例えば地域の場合、そういった作業所を支えている人たちというのはどういうことをしているかといいますと、例えば香典返しをその作業所の方にカンパするとか、あるいは年末に地域の人たちが年末カンパをしたのを作業所に幾らかお分けをするとか、そしてまた、廃品回収をしていらっしゃれば自分たちから出た空き缶とか古新聞とかそういったものを持っていって差し上げるとか、そういったさまざまな私は地域は地域なりに努力をしていると思うんです。 それから、私自身も地方自治体におりまして、地方自治体の中でこの問題を取り出しましても一気にはなかなか解決をいたしません。国の制度がそうであるからと言ってはねつけられることも何度もあるわけでございます。 そして、補助金をどういった自治体で出しているかという資料を取り寄せてみましたら、半数の自治体しかまだそういったミニ作業所に対して、あるいはまた法定内の作業所に対して助成金を出していないわけでございます。それでも地域からのさまざまな声とか障害者の団体の声によって少しずつこれは拡大しつつはあるわけでございますが、何といっても私は国の責任は大きいと思うわけでございます。 これから高齢化社会も迎えるし、そして、当然私は、お年寄りになって障害者になるか、障害者になってお年寄りになっていくか、どちらにしても私たち一人一人はみんな障害者の予備軍であると私は思うんです。これは人ごとじゃなくて、私たち自身の問題であろうと思うわけでございます。 ここに、ことしの一月十七日に出されました「朝日歌壇」というのがあります。ひとつ紹介をさせていただきたいと思います。「氷雨にも汝はいでゆく金にならぬ障害者作業所コトブキの辺の」、「氷雨の中を、障害者作業所というところに吾が子は働きにいく。金にならない、ゴキブリのいる作業所」に行くと、こういったことをこれを書かれたお母さんが言っておられるわけなんです。ぜひ、これからぬくもりのある厚生行政、私は大臣に大きな期待を抱いているわけでございますが、最後に、大臣のこういった福祉行政に対しての、底辺の福祉に対しての御決意のほどをよろしくお聞かせください。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから、栗原先生の障害者に対する取り組み方、いろいろの大変御勉強なさっていらっしゃるお話をお聞きいたしておりまして、心から敬意を表する次第であります。 御案内のように、国におきましては「国連・障害者の十年」が昨年終了いたしました。そして、ことしから「アジア太平洋障害者の十年」、いわゆるESCAPというのがスタートいたしております。中心協の意見具申や現在検討中の障害者対策についての新たな長期的計画を踏まえまして、今後一層充実に努めてまいりたいと思います。 また、障害者の小規模作業所の問題につきまして、私自身も地元でいろいろなお話をお聞きいたしておるわけでございますけれども、その設置主体あるいは経営実態等がさまざまでございます。国としてどのような支援を行っていくかということにつきましては大変難しい点もあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほどからの先生のお話というものを十分に参考にしながら、障害者の自立と社会参加のために今後最善の努力を尽くしていく決意でございます。
○栗原君子君 ありがとうございました。
○横尾和伸君 私からは水道の問題を中心に質問させていただきます。厚生省のOBです。よろしくお願いいたします。 政府は生活大国という大きな看板を掲げております。また厚生省は、水道の分野ではいわゆる「ふれっしゅ水道計画」を掲げて、全国的に二十一世紀を目指した質、量ともに安心のできる水道をつくろうということで御指導なさっていると認識しております。この観点からすると、現実には正反対の方向に、いわゆる逆行をするという大変大きな問題を幾つか抱えているわけであります。 その一つの代表的な例でございますけれども、きょうはひとつ福岡都市圏の水問題についてお尋ねしたいと思います。 現在福岡市を中心とする福岡都市圏、関係市町村で言いますと二十二市町村になりますが、筑後川からの取水制限が現在実施されておりまして、このまま推移すれば間もなく給水制限まで実施されることになり、各家庭の蛇口に直接影響が出る、こういうことが懸念される状態になっております。福岡都市圏の人口は、今や二百万人を超えてさらに増加をし続けております。人口では福岡県内の四割以上を占めます。また、社会経済的な面から見ても、九州の中心だというだけではなくて、全国的に見ても五大都市圏あるいは六大都市圏の中の一つとして西日本の中心都市圏の一つとなっております。また、韓国、中国を初め東南アジアヘの玄関口としての役割もますます大きなものになっているわけであります。 この福岡都市圏が、今も着々と発展を続けておりますけれども、実は大変大きな矛盾といいますか爆弾といいますか、言葉が適切じゃないかもしれませんが、大きな矛盾を抱えているわけです。それは一言で言いますと、水の準備がないのに二百万というこの規模で、またさらに人口がふえ、都市として膨張をし続けているということであります。人の生活や都市の活動には水が不可欠であるということは言うまでもありません。このような福岡都市圏に慢性的な水不足によるパニックが起きれば、都市機能は麻痺して、その影響はローカルな出来事だけでは済まない、将来の二百数十万人になるであろう住民の生活のみならず、九州の経済、日本の社会経済に与える影響も小さなものだけではとどまらなくなるわけであります。 この前提としては、水資源開発というものが、今や五年や十年ではとてもできない、二十年はかかるとこう言われております。こういうことを考えますと、もう既にパンクの状態になっているのではないか、これを早く専門家の目では見抜けるわけですから、それを前提にした対策が必要であるということを申し上げたいわけであります。今起こっている渇水の問題の底流には、実は今だけの問題ではなくて、構造的は欠陥とも言うべきずさんな水需給計画があります。この是正のために、国、県、関係市町村、こういった関係諸団体が全力で取り組まなければならない、いわば非常事態といいますか異常事態といいますか、そういう状態になっているわけであります。こういった観点からお尋ねいたします。 まず、福岡都市圏の現在の渇水状況について、これは当面の状況でございますが、御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 福岡都市圏の現在の渇水状況についてお尋ねでございますが、福岡都市圏の主な水源でございます筑後川の水源地域における降雨状況を見てみ裏すと、平年に比べまして、例えば九月は三一%、十月は二四%というふうに非常に少ないわけであります。したがって、ダムの貯水量の大幅な減少が見られます。水道用水供給事業であります福岡地区水道企業団から各受水団体への送水量が削減されまして、受水団体では節水の呼びかけなどが実施されてきておるところでございます。その後、ことしに入りまして二月中旬ごろにまとまった降雨がありまして、河川の流況が改善されましたので、送水量の削減は解除されておりますが、まだダムの貯水量という点で考えますと十分に回復していないという状況で、依然として厳しい状況が続いていると、このように認識いたしております。
○横尾和伸君 福岡では昭和五十三年に大渇水を経験しているわけであります。給水制限が二百八十七日という途方もない事件だったわけですが、水洗トイレが長期的に使えなかったり、かなり深刻な影響があったと聞いておりますけれども、ここで改めて五十三年のときの渇水の被害状況とその影響人口について手短に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 昭和五十三年度に福岡都市圏で発生しました渇水は、最も影響の厳しかった福岡市におきましては、制限給水期間が五月二十日から三月二十四日までという、二百八十七日間に及びました。その間に、最大で四五%の制限給水が十日間にわたって実施されたといったような、市民生活や都市活動に極めて重大な影響を与えたものでございました。
○横尾和伸君 そういった深刻な水不足、実は現在はもう既に同じような、あるいはもっとひどい渇水状況に向かって事態は進んでいると私には見えるわけですけれども、その深刻な水不足はもう既に十分顕在化しております。 それは福岡市の周辺の市町村なんですが、周辺の市町村では、例えば志免町とか大野城市などでは水道水の不足を理由に何らかの立地規制を既に行っております。裁判ざたにもなっているわけですけれども、こういった市町村の実態について、またその異常な事態を厚生省はどのように受けとめているのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 福岡都市圏におきましては、給水人口の増加によりまして水需要が増加いたしております。そして、この水需要の増加に供給が追いつかないというような状況が幾つかの町で見られます。志免町や宇美町などでは新規のマンション等への給水を拒否する要綱等がそういう観点から制定されたりもしております。 宇美町などがこのような要綱等を制定せざるを得ない状況に追い込まれた背景には、水需給が逼迫しているという事情があるわけでございまして、このような問題を抜本的に解決するためには、多面的な水源開発、広域的な給水体制の整備の推進によりまして、安定的な給水が行える状況をつくり出していかなければいけない、これが一番重要なことではないか、このように考えておるわけでございます。
○横尾和伸君 五十三年の渇水のときは専ら福岡市だけだったわけで、その影響は人口に直すと約八十万人ぐらいではないかと思いますが、あれがあれだけ大変だったわけですが、しかし今進行している渇水問題の根っこにある慢性的な水不足の進行といいますか、この問題は福岡市周辺も含めた福岡都市圏全体の問題になってきております。 これは人口にすると、先ほど申し上げましたが二百万人、将来的には二百数十万人ということになりますので、人口規模で約三倍。また、こういう人口規模で三倍となった地域で慢性的な水不足が起きれば、その影響は三倍どころでは済まないということは言うまでもありません。長期間にわたれば住民の生活パターンが変わる、あるいは住むことができない、あるいは企業も移転を強いられる、こういったことまでも強制的に変更せざるを得ないという状況が予想されるわけです。 そこで、福岡都市圏全体についての長期的水需給計画についてお伺いしたいんですが、まず、筑後川フルプランを御担当されている国土庁のお立場からその実態について御説明いただきたいと思います。
○説明員(芳田誠一君) 横尾先生も国土庁でお仕事されていらっしゃいましたので、よく御承知と思います。福岡市を中心とする都市圏を含む北部の九州地域は、全国的に見ても今お話がございましたように水需給は逼迫著しい、そういう地域でございます。 その必要な水資源のうちの一部を主要水源である筑後川水系に依存しておる。こういうところにつきましては、水資源開発促進法に基づきまして水系指定をしているということで、三十九年に水系指定をして、その指定された水系につきまして、今お話がございましたようにフルプランといいますか、水資源開発基本計画というものを策定するということで、初めて策定いたしましたのが四十一年でございます。その後、逐次変更しながらきまして、五十三年の後、五十六年には全面的な変更を行い、さらにそれでも足りないということでまた平成元年の一月に全部変更している、こういう状況です。 今の計画によりますと、平成十二年度までの間に新たな水需要としては、水道用水が毎秒約五立方メートル、工業用水は毎秒約二・七立方メートル、農業用水は毎秒約十立方メートルで、合計で毎秒約十七・七立方メートル必要だということになっております。これに対しまして、とりあえずいろいろダムをつくるにも時間がかかりますので、福岡導水事業あるいは大山ダムの建設事業等で毎秒約十四・四立方メートルの確保を目途として事業の促進を図っております。 今後とも関係省庁と連携をとりながら、水資源の開発と利用の合理化のために、必要な調査を行いながら、筑後川水系の水資源開発の促進を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○横尾和伸君 概況で漠然としてちょっととらえにくいんですけれども、福岡都市圏ということに絞って、厚生省の立場から、水道行政所管という立場から、もう少し具体的に長期的な水需給の関係がどのようになっているのか御説明いただきたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 福岡都市圏の水需給計画につきまして、まず現在はどうなっておるかということをお答え申し上げたいと思いますが、福岡都市圏の平成二年度における給水量は一日最大七十七万五千トンでございます。これに対しまして供給可能量は一日百八十三万三千トンということになっております。こういうことでございますので、差し引き五万八千トンというのは計画上は供給余裕と、こういうふうなことに現在の時点ではなっております。 将来についてはどうかというお尋ねでございましたが、平成十二年の時点でどういうふうになるかというふうなことでいろいろ推定されておりますが、平成十二年の時点の福岡都市圏の人口が二百十二万五千人というふうな推定でございまして、そして、この人口に対して供給しなければいけない一日最大給水量というのは九十七万三千トンというふうに予想されております。 これに対しましてどれだけの給水が可能かということでありますが、現時点で計画されております大山ダム等の開発水量を加えましても合計で九十六万五千トンというのが供給可能ということでございまして、そうしますとこの両者の差、つまり十二年度におきましては八千トンの水道用水の不足が見込まれるということになるわけでございます。 また、平成十二年度以降におきましても、人口が伸びたりしまして給水量の増加が予想されるわけでありまして、そういう観点からいたしまして、今後引き続き水源の開発等が必要というふうに思われるわけでございます。
○横尾和伸君 今後も引き続き水源の開発が必要だということを少しく量的にお伺いしたいんですが、特に福岡都市圏内の人口というのは、これまでの十年も伸び続けて、またさらに今後も伸び続ける勢いで、地元ではいろいろな開発が進んでいるわけですが、人口の動態についての過去十年間、またさらに今後十年後と二十年後についての人口の増加を前提とした不足水量はどのくらいと推定されているのでしょうか。
○政府委員(藤原正弘君) 平成十二年度以降においての給水量の増加がどの程度になるかということにつきましては、確たる推計が現在行われておりませんので、厚生省としましても具体的な数値は持ち合わせておりません。 しかしながら、先ほども御答弁をいたしましたように、人口の伸びは当然見込まれますし、また一人当たり利用する水の量というのもふえてまいりますので、かなり十二年時点でも不足ぎみでございますので、当然のことながら十二年度以降につきましてはさらに不足が予想されるというところでございます。
○横尾和伸君 私がいただいた資料によりますと、実は問題なのは、平成十二年までは御説明のとおりなんですが、重ねて申し上げますと、平成二年あるいは平成十二年という時点を瞬時的にとらえると、水需給は供給が需要を上回っているということになっておりますが、その途中の段階では開発が間に合わないということで、不足を生ずる時期が相当あります。 その問題もさることながら、私がどうしても申し上げたいのはそれから先の話なんです。平成十二年あるいは十二年までに開発されたものが、予想される人口の増加による需要量の増加、それとバランスがとれるのはほぼ平成十四年ごろだと。つまり、今から十年後ぐらいになります。それから先、今の福岡県の現地での開発の勢いというのは十年では済まないという勢いで進んでおりますけれども、実はその十年から以降の水の手当てが何もないんです。現状でもこんな状況である。また、何とか十年間もったとしても、十年から先は全く水源手当ての計画がない。 しかも、人口は伸びている。規模としては、今の二百万人が二百二十万人、二百三十万人になろうとしている。雑な言い方ですけれども、現在確保され、将来も確保されるであろうというものが大体二百万人分の水です。二十万人、三十万人分の水を、あるいは開発のために必要な二十年程度の時間を考えると、三十年後のためにあるいは五十年後のためにはやはり五十万人分ぐらいの水は確保しなければいけないのではないか。あるいは、そのために現在その計画が動いていないと間に合わないはずなんです。 そういうことで、今仮にダム開発による新規の水資源開発を計画したとしても間に合わないということですが、言いかえれば福岡都市圏は、水の準備もないままに慢性的、根幹的な水不足というパニックに向けて猛スピードで膨張し続け、見かけ上の発展を続けていることになります。いわば断崖絶壁に向かって猛スピードで突進していて、急ブレーキをかけてももう間に合わない、こういう異常事態、非常事態になっているわけであります。 そこで厚生省に伺いたいんですが、厚生省では、冒頭にも申し上げましたが「ふれっしゅ水道計画」という二十一世紀に向けての質、量ともに安心して水が、水道が使えるという構想をお持ちです。この構想に照らして、なぜこんな大きな規模でこんな矛盾に満ちた開発あるいは都市の発展が許されているのか、こういった点について厚生省のお考えをお伺いしたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 都市の発展と水の供給というのは、大変表裏一体といいますか、重要な要素であるわけでございます。厚生省では、委員も御指摘のように平成三年度にこの「ふれっしゅ水道計画」という計画を打ち出しまして、いつでもどこでも安全でおいしい水道が飲めるようにという観点から、この施策を進めておるところでございます。この福岡市の件につきましても、同じように「ふれっしゅ水道計画」の理念に基づいて、安定的で安全な水が供給できるようにという観点で、厚生省としても幾つかの施策を打ち出しておるところでございます。 委員が御質問の福岡都市圏の将来の大きさの点について、水道側からどうあるべきかというふうなことをお答えするのはなかなか難しい点がございます。私どもといたしましては、この都市の人口が一定の規模想定されるのであるとしますと、それにできるだけ問題のないような形で水道の水が供給できるように最大限の努力をしてまいりたいということで考えておるわけでございます。平成十二年の近辺までは、このような観点から水資源の確保、また水質の点についての安全な水道の確保というふうなことにつきまして、完全ということになりますと少し問題があるかもしれませんが、一応のめどがついておるというような状況ではないかと思っております。
○横尾和伸君 ダムをつくるのに二十年かかるとすると、既にもう手おくれの状態になっている。これはこのまま進めば、今の開発あるいは発展を瞬時にしてとめるか、あるいは水の開発を何としても十年後以降の需要の増加に対して追いつくように特別な対応をするか、私はどちらかしかないと思うわけであります。とはいえ、具体的にできる方法、考えられる方策が何点がありますので、お伺いしたいと思います。 一つは節水ですけれども、これはあらゆる水開発の前提になるものですが、この節水に福岡都市圏では特に頑張ってきたと思います。その実績と、今後節水をさらに努力するとするとどの程度の福岡都市圏全体として、あるいはパーセントでも結構ですが、どの程度の量を節水量として見込めるか、この点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) できるだけ需要を抑えるという観点から、節水対策というのを進めるというのが大変重要なことかと思います。 この福岡都市圏におきましては雑用水道というのを進めておりますが、雑用水道という観点からいたしますと、福岡都市圏は全国でも一番進んでおる地域の一つだというふうに認識いたしておりますが、平成三年実績で二百二十五件の雑用水道がございます。使用水量は一日当たり三千六百トンという量に上っております。こういう雑用水道を今後も普及させていくということが一つのポイントかと思います。これからの将来のことを推計いたしますと、平成十二年ごろまでにさらにこの使用水量が三千三百トン程度増加するような見込みが立つわけでございます。こういうふうに、雑用水道をさらに積極的に進めるということが一つの施策として考えられるわけでございます。
○横尾和伸君 確かに、雑用水道は貴重な手段の一つだと思います。ただ、先ほど申し上げました二十万人分、三十万人分の水ということからしますと、量的にはけたが少し違うようでございます。 そこで、もう一つ考えられることが、農業用水あるいは工業用水等の既存水利のうちで不用になったもの、今使われていないもの、今後も使う見込みがないものあるいは薄いもの、こういうものの上水道への転換について、これまでこの地域での実績と今後の見込みについてお尋ねしたいと思います。建設省いかがですか。
○説明員(藤巻捷春君) 水の資源は限られた資源でございますので、水利用の合理化を図りまして余剰水を有効に使っていくというのは、水利行政上最も重要な課題の一つだというふうに認識いたしております。 特に、都市用水が逼迫いたしております一方で、農地の宅地化あるいは農業の構造の変更等によりまして、農業用水に余剰が生じているのではないかというのが我が国の一般的な見方でございます。建設省といたしましては、これらの状況を踏まえまして水利用合理化策の一環といたしまして、農業用水等の実態調査や転用に関する指導調整に取り組んでいるところでございます。 しかしながら、既存水利使用の見直しや転用につきましては、転用可能量の把握とかあるいは利水者間の調整などさまざまな困難な問題がございまして、一級河川の転用の実績といたしましては、全国で昭和四十六年度から平成三年度までの二十一年間で六十九件にとどまっている状況でございます。今後とも努力してまいりたいと思っておりますが、この中で福岡都市圏での転換の実績はございません。 それから、水を確保することにつきましては、広域的に水源を求めていくということも大切だと思いますけれども、何よりもまず自己圏域内で最大限の努力をしていただくということも重要であると考えております。 そこで、私どもといたしましては、福岡都市圏を流れております河川、これは二級河川でございますけれども、この河川にも相当の農業水利権が張りついてございます。建設省としては、これらの農業水利から上水道への転用が可能かどうか積極的に調査するよう、福岡県を指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○横尾和伸君 少なくとも、水を必要とする農業用地は、この二十年間ぐらいだけを見ても相当な量が消滅しているわけです。今の言葉、今の御説明が今後具体化されることを期待するものであります。 水の確保のために、あらゆる手だてを考えなければならない非常事態を迎えているということを申し上げているわけですが、そこでもう一つ考えられる方策として海水の淡水化という方法があるわけです。もともと、水のない離島などでは小規模ながら相当数の海水の淡水化が実用化されております。ただ、大規模なものはまだ多くは例がないという状況に聞いておりますが、大規模な海水淡水化施設の整備に対して、厚生省はどのような施策をおとりになっているのか御説明いただきたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 海水淡水化施設に対する国庫補助についてでございますが、厚生省では、従来から離島などの簡易水道ではこの海水淡水化プラントの国庫補助をやってきていたわけでございますが、平成四年度から、上水道のような大規模な水道が海水淡水化プラントを設ける場合にも国庫補助対象にしようということで、こういう制度をスタートさせることになりました。 補助内容といたしましては、水需給の逼迫により早急な水源確保が必要とされ、かつダム建設による水道水源の確保が困難な地域等において補助をするというものでございまして、国庫補助の率は二分の一、または三分の一の補助である、こういう制度でございます。
○横尾和伸君 次に、海水淡水化の技術の進歩を推進してこられたのは通産省のお立場だと思いますが、海水淡水化の大規模な実用化について、コストが高くて時期尚早だという声もありますけれども、その辺のことも踏まえて技術の現状、コスト面からの現状について御説明いただきたいと思います。
○説明員(加藤裕之君) 海水淡水化の方法といたしましては、大きく大別をいたしますと蒸発法、逆浸透法、それに透過気化法といったような方法、方式がございます。 このうち、蒸発法及び逆浸透法につきましては既に実用に供されておりまして、先生のお言葉にもございましたとおり、我が国では離島用水源などの小規模なものに随分導入をされておりますし、それから中近東など外国では我が国のメーカーが製作をいたしましたプラント、数万トン規模の大規模なものも実用化をされておるというような現状にございます。 それで、コストについてでございますが、このコストにつきましては、装置の規模でございますとか、あるいは海水の状況でございますとか、あるいはそのプラントの稼働率でございますとかそういったさまざまな要因によって左右をされますので、なかなか数値をきちんとはじくということは難しゅうございますけれども、仮に現在日本に存在しております小さなプラントのコストから試みに計算をしてみますと、例えばそのプラントの規模が一日当たり十万トンといったようなものの場合には、水をつくるコストはトン当たり二百二十円から二百六、七十円ぐらいではないか、こういうふうに考えております。
○横尾和伸君 福岡都市圏に関連するダム等の開発コストですけれども、実績について厚生省にお伺いします。
○政府委員(藤原正弘君) 福岡都市圏の水道に関連する主なダムの開発水量当たりの単価というのを調べてみますと、例えば平成二年度完成の合所ダムでは、毎秒〇・四七八トンという開発水量が得られるわけでありますが、事業費水道負担分というのがそれに対しまして百八億円ということでございます。したがって、これはトン当たりというように計算しますと、毎秒一トン当たりの開発単価は二百二十六億円、こういう計算になるわけでございます。
○横尾和伸君 計算のベースが必ずしも統一されておりませんので単純な比較はできませんが、今のお話から、海水淡水化はコスト高と言われている面もありますけれども、福岡都市圏に限っては、相対的に必ずしも極端に高いということではないということだけはわかりました。 今後は、この福岡都市圏が非常事態、異常事態であるということを前提にして、あらゆる可能性を追求して、先ほど言いました十年後以降の手当てのないものについて大急ぎで間に合わせなければいけない。そういう検討の中で、その選択肢の一つとして海水淡水化も考えるべきだと申し上げておきたいと思います。 そこで、この問題でもう一度厚生省に総括的に御意見をいただきたいんですけれども、本来この問題は主体である地元の福岡県あるいは関係市町村の問題である。その主体がしっかりしなければいけないということは十分承知をしておりますが、現状の問題として、きつい言い方ですが、当事者能力を失っていると思われる節があります。この二百数十万人という大きな都市圏の問題ですので、どうしてもひとつ厚生省から強力な御指導をいただきたいと思うわけですが、そういう観点から厚生省の福岡都市圏の水問題の抜本対策についての方向性、お考えをお伺いしたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 厚生省といたしましては、福岡都市圏というのは地理的に水資源に恵まれない、そして安定的な水源の確保が極めて厳しい地域だ、こういうふうに認識いたしております。 〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕 こういう状況に対しまして、供給面からの対応、また需要面からの対応、総合的に対応を考えていく必要があると思うわけでございます。水の供給面からの対応といたしましては、水資源開発基本計画等に基づく水資源開発施設の計画的な建設を引き続き実施するとともに、先ほど委員御指摘のような海水淡水化を導入するといったようなことも一つでありますし、また既存の水利の見直しなど多様な対応が必要だというふうに考えております。また、需要面の点で申しますと、引き続き水の有効利用、節水努力というものを図っていくことが必要であろうと思います。 今後は、水資源の状況も十分踏まえ、福岡都市圏の整備のあり方について検討する必要があるのではないか、このように考えておるところでございます。
○横尾和伸君 最後に、大臣にお伺いしたいんですが、政府としても生活大国という大きな旗印を掲げているわけですが、大臣はお人柄も生活大国そのものを目指されるというそういう雰囲気をいつもお持ちでいらっしゃいます。ですから、私も言うまでもないと言われればそれまでなんですが、この「ふれっしゅ水道」の考え方に基づいて、今申し上げた福岡都市圏のこういうひどい問題もあるんだ、個別の福岡だけの問題でなくて結構ですが、この「ふれっしゅ水道」の考え方を現実のものとして生活大国づくりの基礎とするんだ、そういう方向での大臣のお考えをいただければと思うんですが、いかがでしょうか。 〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
○国務大臣(丹羽雄哉君) 長年にわたってその道一筋の先生に私のような者が申し上げるにいささか戸惑いを感ずるわけでございますけれども、今この水道水源の問題というのは大変大きな問題でございます。国土、建設、両省ともよく御相談を申し上げまして、特に平成十二年以降の水資源の供給のあり方というのは大変大きな問題でございますので、この問題につきましても、福岡都市圏のみならずこれは大都市すべてが抱える大きな問題だと思っておりますので、そういう認識に立ちまして早急にひとつ抜本的な対策について講じていく決意でございます。
○横尾和伸君 ありがとうございました。 次に、水道水源の保全についてお尋ねいたします。 水道水の安全性の問題について、たびたび出てきて恐縮ですが、生活大国、これを目指す我が国の大きな課題の一つとなっているわけですが、アンケート調査等によりますと、国民の相当数が、これはもう半端な数ではないと思いますけれども、相当数が不安を抱いているということを示す傾向がうかがえます。 公明党が昨年、福岡県内で行ったアンケート調査によりますと、対象が一万一千人になりますが、何と九二%の人たちが水道水に何らかの不安を抱いているという結果が出ております。これは福岡の特殊性があるのかもしれませんけれども、そこで東京や大阪を対象とした調査もあると聞いておりますので、いわゆる水道水の安全性に関する調査ですが、そういった調査があればその結果を伺いたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 水道水に関するアンケート調査といたしましては、東京都が平成四年度に行ったものがございますが、これによりますと、安心あるいはどちらかといえば安心という回答が五一・七%、不安あるいはどちらかといえば不安という回答が四八・二%になっております。また、大阪府が平成元年度に行いましたもので見ますと、不安を感じたことがあるという回答が七〇・一%でありまして、不安を感じたことがない、こういう回答が二二・三%というふうになっております。 これらのアンケート結果から見ますと、大都市圏におきましては、水道水に対する不安を持っている人の割合が高いということが言えます。これは水道水に対する国民の信頼の低下を示すものではないかというふうに憂慮しておるところでございます。
○横尾和伸君 水道水に不安を持っているのが五〇%あるいは七〇%というのは大変異常な数字だと思います。特に生活大国を目指す日本の実情としては、大変背筋の寒い思いがするわけであります。 それに関連しますけれども、家庭用の浄水器やボトルウオーターが最近我が国では大変な勢いで普及をしているやに聞いておりますが、この状況について御説明いただきたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 委員御指摘のとおり、家庭用浄水器やミネラルウオーターというふうなものがここ数年急速に普及してきております。平成二年、三年、四年と、こういうまあごく最近でございますが、急速に売上高が増加してきておるわけでございます。これは水道水の異臭味被害などによる信頼性の低下、国民がおいしい飲料水を求めるようになってきたというニーズの変化によるものではないかというふうに考えております。
○横尾和伸君 そういった普及も恐らく水道水に対する不安、不信があるというのが私の解釈ですが、少なからずそういったものがあると思います。同じ不安、不信の原因として異臭味の問題があります。 異臭味水の問題、これは時間の都合もあるので、私はいただいた資料から申し上げますけれども、毎年二千万人程度の人たちが異臭味で困っている。異臭味と一言で言いますけれども、私も実は利根川の下流域の水を千葉市内に住んでいるときに飲ませていただいたことがありまして、異臭味水を一カ月間やむを得ず続いてしまったということがあるんですが、その一カ月間で本当にほとほと参ったという経験があります。みそ汁も飲めない、コーヒーも飲めない、レストランに行っても逃げられない、こういう大変な状況です。これが二千万人の人たちが毎年継続的にこういった状況にあるかと思うと、大変厳しい、そう思うわけであります。 水道水の水質問題の基本は、何といっても水源の問題に帰着するわけですけれども、その水道水源の水質の汚濁の状況について御説明をいただきたいと思います。
○説明員(鈴木繁君) 平成三年度の公共用水域の水質測定結果によりますと、いわゆる健康項目につきましては不適合率が〇・〇二%とほぼ環境基準を満足している状況にあります。 また、有機汚濁の代表的な指標でありますBODあるいはCODで見ますと、水域全体の達成率は七五%となっておりまして、その内訳としまして、河川では七五・四%、湖沼は四二・三%となっております。河川の達成率につきましては徐々に改善の傾向が見られますが、湖沼については依然として低い達成状況で推移しているといった状況でございます。
○横尾和伸君 今パーセンテージでお答えいただきましたけれども、水道を所管する厚生省としては水源の状態をどのように把握しておられるのでしょうか。
○政府委員(藤原正弘君) この水道水源の状況というのは、過去から現在まで余り顕著に水質改善がされていない、むしろところによりましては以前よりも悪化の傾向があるんではないかというふうな感じでおります。 また、汚染物を垂れ流したり、事故によりまして汚染物が出てしまうといったようなことも毎年大体百件ぐらいずつ起こっておりまして、こういうふうなことによります水道の被害というのもかなり深刻なものがございます。そういうふうな事故によります水質汚濁に伴いまして取水停止にまで至ったようなことも何件かございまして、水道水源の水質汚濁ということにつきましては、水道行政を所管しております私どもの立場といたしましては非常に重要な問題だというふうに認識いたしております。
○横尾和伸君 現在といいますか、これまでずっと多数の化学物質が生産され、使用され、その傾向も数も膨大なものになっていると思いますが、そのうちでも、また環境としての水の中にも微量化学物質としていろんな種類のものが検出されるようになっております。 そこで、一つの化学物質の例として農薬について、その種類、数といいますか、どのくらい許可をされ、また使用されているのか、大ざっぱで結構ですが、御説明いただきたいと思います。
○説明員(咲花茂樹君) 現在、登録されております農薬の銘柄の数は合計で六千三十七ございます。 なお、これには同じ成分のものが異なる銘柄で登録されているものも含まれておりますので、有効成分の数で見ますと四百五十一の化合物ということになります。 また、実際に使用されております農薬の銘柄の数は、先ほど申し上げました六千三十七銘柄のうちのおよそ三千五百でございます。
○横尾和伸君 大変気の遠くなるような数字でして、そういった化学化合物としても四百幾つ、あるいは製品でいくと六千幾つということですが、環境に排出された以降これらを一つ一つ除去する、あるいは確認をするための水質検査をするというようなことを考えると、本当に気の遠くなるような思いがするわけです。 先日、二月四日に、水道水源の水質保全に関する有識者懇談会によりまして「水道水源の水質保全対策の推進について」と題する報告書が発表されました。恐らく、先ほど来の御説明にあるような水道水源の惨状を前提としたものだと思います。私は読ませていただいて感じたことは、良識ある水道関係者の切実なる悲鳴と受けとめました。縦割り行政の体制下で水道行政が、国民の生命と生活を預かるべきこの水道がこのままではその使命、役割を果たすことができないという最後の悲鳴に聞こえました。この報告書を真っ正面から受けとめて対策を講じなければいけない、こう思います。 そこで、まず、厚生省にこの有識者懇談会の報告の趣旨をここでもう一度御説明いただきたいと思います。
○政府委員(藤原正弘君) 水道水源の水質保全に関する有識者懇談会という学者グループから成ります研究会を厚生省で設けまして検討していただいておりましたのですが、去る二月四日に報告書をいただいたところでございます。 この懇談会の報告書におきましては、水道水源の水質を保全するための対策の方向としまして、工場排水、農薬、生活排水に関する規制的措置や、生活排水処理施設の整備などの事業の一体的かつ計画的な実施、水質汚染事故発生時の対応等の幅広い内容にわたる貴重な政策提言が盛り込まれておるところでございます。 厚生省といたしましては、関係各省庁の理解と協力を得まして、この懇談会報告の提言に沿った総合的な対策の確立に向けてできる限りの努力をしてまいりたい、このように考えております。
○横尾和伸君 最後に、厚生大臣にお伺いしたいんですが、今申し上げたとおり、私には、この報告が切実なる悲鳴であり最後の悲鳴である、こう聞こえるわけですけれども、厚生大臣はこの報告書をどのようにお受けとめなさっているのかお伺いいたします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 安全でおいしい水を供給することが今国民の最大の課題となっておるわけであります。 そういう観点に立ちまして、昨年の十二月には、先生御承知のとおり、水質基準の拡充強化を行ったわけであります。そして、平成五年度の予算におきましても、高度浄水施設事業といたしまして三十四億円を計上いたしておるわけでございますけれども、この提言にも御指摘がありますように、やはり最近は化学物質などいわゆる有害物質、さらにゴルフ場の開発等に伴いまして水質の汚染が指摘されておるわけでございます。その水道水の根っこの部分をやはりきちんと規制しなければおいしい水というものはなかなか供給できないのではないか、抜本的な対策である、このように考えています。長い間の懸案でございますし、大変貴重な御意見と受けとめておりまして、各省庁とも連絡をとりまして、早急にその実現に向けて努力していく決意でございます。
○横尾和伸君 ありがとうございました。
○勝木健司君 それでは、お伺いいたしたいと思います。 年金制度についてお伺いしたいと思いますが、年金制度の改正について平成六年に予定をされておるわけでありますけれども、現在の検討状況、また今後のスケジュールについてまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先生御承知のとおり、年金制度につきましては、少なくとも五年に一度、経済諸情勢等を反映いたしまして財政再計算をいたしまして、あわせて諸般の事情を考慮して制度改正を行うということになっております。 前回、平成元年に再計算をいたしまして制度改正をお願いいたしましたので、次回は平成六年に財政再計算を予定いたしております。それに備えまして、現在既に年金審議会で具体的な検討を始めていただいておりまして、私どもの心づもりとしては、この秋ぐらいには審議会から御意見をいただきまして、来年の通常国会には制度改正案をお願いいたしたいというふうに考えております。そのときに、元年改正の宿題として国会からもいただいております支給開始年齢の問題、そのほか大変な高齢化社会を迎えるということでございますので、そういう高齢化社会になりましても、安定した運営のできる年金制度を目指して諸般の改革をぜひ制度改正に盛り込みたいというふうに考えております。 それからもう一つ、年金制度の課題といたしまして、平成七年を目途に年金制度の一元化を完了するというスケジュールがございます。その点につきましても、経済、社会の変動に耐え得る安定した年金制度ということになりますとどうしても保険集団をできるだけ大きなものにしていく、それから公平な年金制度ということが必要でございますので、平成七年を目途にした一元化の実現ということにつきましても並行して検討いたしまして、できるだけ早く改正案をまとめて、平成六年の財政再計算に引き続きその面での改革もぜひ実現をしたいということで、今鋭意検討しているところでございます。
○勝木健司君 制度改正について国民の関心も大変高まってきておるわけでありますけれども、どういう基本的な考え方でこの改正に厚生省として臨まれるのか。特に大きな関心事は、先ほどもありましたように、支給開始年齢の問題と考えておるわけでありますけれども、この方針につきましてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先ほど申し上げましたように、現在、年金制度は国民の皆様の御協力もいただいて老後の生活の支柱としてなくてはならない存在になってきていると思いますが、御承知のようにこれから二十一世紀に本格的な高齢化社会を迎えますので、その時期になりましても本当に年金が国民の皆さんに信頼をしていただいて十分に機能を発揮できるような、そういう制度にしなければならない。そのことは、そういう時代になりましても制度が長期的に安定して運営ができるということが第一だと思います。 それからもう一つは、大変な高齢化社会を迎えるわけですけれども、その高齢化社会を活力あるものとするというのが国を挙げての課題だと思いますので、年金制度におきましても活力のある高齢化社会にふさわしい年金制度にしていくということであろうかと思います。 それから、何よりも年金制度は世代と世代の支え合いの制度でございますので、年金を受給する世代と、それからそれを負担していただく現役の世代とのバランスがほどほどのところでとれているということが極めて重要なことだと基本的に考えております。 そういう観点から考えますと、やはり適切な給付水準を確保しながら、後代に過重な負担を残さない、そういう年金制度にしていかなければならない。そういう観点からいたしますと、支給開始年齢の問題というのは今後取り組むべき大変大きな課題であろうかと思いますし、また支給開始年齢問題にかかわりませず、給付の水準のあり方、あるいは午前中にもいろいろ御指摘がございましたけれども、現在の年金制度をめぐりましていろいろな改善の御要請等がございますので、幅広く検討いたしましてできるだけの対応をしていきたいというふうに考えております。
○勝木健司君 二十一世紀を展望いたしますと、高齢者層が増大をしていく、そして反面、若年者層の減少が予想されるわけでありますので、しかし我が国におきましては、特に高齢者の勤労意欲というのは高いわけであります。このような状況から、高齢者雇用の促進についても進めていく必要があるんじゃないかと思います。 そういった意味での高齢者雇用の状況、今後の対策について、労働省、お願いしたいというふうに思います。
○説明員(北浦正行君) 高齢者の雇用の状況についてお答えいたします。 高齢者の雇用の状況でございますが、高齢化が進展していく中におきまして、高齢者雇用問題に対する関心もとみに高まっているところでございます。 そこで、企業におきます定年の状況を見てまいりますと、六十歳定年、これは昨年度の数字でございますが、現在六十歳以上の定年を採用している企業は全体の七六・六%というところまで高まっておりますが、さらに今後の改定を予定している企業も入れますと、九割以上の企業で六十歳以上の定年を採用する段階になっているわけでございます。 そういった意味で、六十歳定年はおおむね定着しつつある、こういうふうに私ども見ておりまして、徐々に六十歳以上の雇用の問題にこれからは重点を置かなければならない状況になってきているというふうに考えている次第でございます。ただ、最近におきましては、御案内のように非常に景気情勢を反映いたしまして雇用情勢も厳しい状況があらわれているわけでございます。 本日も、有効求人倍率〇・九三倍ということで発表したわけでございますが、特に年齢別に見てみますと、高齢者の有効求人倍率というのが大変低い状況にございます。昨年十月の数字でございますが、その当時の年齢計の求人倍率が一・〇二倍ということに対しまして、五十五歳以上の高齢者の方は〇・二七倍ということでございますので、四人に大体一人分ぐらいの雇用機会しかないという大変厳しい状況になっているわけでございます。 したがいまして、私ども、一たん離職をいたしますとこのように大変再就職が厳しいという状況の中で、企業でできる限り継続して雇用する、こういう形で雇用を進めることが重要であろうと考えておる次第でございます。 今後、高齢化社会が進展する中で、高齢者の方の知識、経験、技能を生かすような形の社会というのが重要なわけでございますが、そういった観点からも高齢者の雇用対策について、私どもといたしましては、今ほど申し上げたような六十歳以上、とりわけ六十五歳までを目標といたしまして、企業における継続雇用の推進、あるいはそういった雇用関係によらない多様な形での就業の促進ということで、具体的にはシルバー人材センターという事業がございますが、そういったものを通じて多様な形での雇用就業の場の確保に全力を挙げてまいっているところでございます。
○勝木健司君 六十歳を過ぎますと、労働能力あるいは健康面でもそれぞれ個人差が大きくなってくるわけでありまして、就労する場合でも、常勤的雇用よりはむしろパート的な就労とか、あるいは社会参加、ボランティア的なものを望む声も少なくないと言われておるわけであります。 そこで、ヨーロッパ諸国でもさまざまな形で部分年金あるいは部分就労が取り入れられておるわけでありますので、我が国でも日本型の部分年金、部分就労が必要になってくるという考え方が出てくるわけでありますけれども、それについての考え方をお伺いしたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先生に御指摘をいただきましたように、六十歳前半層の方々の個人的な状況というのは非常に多様なものがあるので、支給開始年齢問題等を検討する際に、そういった状況に十分対応できるような工夫が必要ではないかというのが一つの大きな議論でございます。 その工夫の一つとして、部分年金、部分就労、年金と雇用の関係を、特に六十歳前半の時代にどういうふうに考えていくかという問題が大変大きな問題であろうかと思います。我が国には部分年金、部分就労という考え方はないわけでございますけれども、諸外国にもそれぞれの国の事情に応じて工夫がされているというようなことでございますので、これからの支給開始年齢問題の検討の中で、そういうものについても十分議論をしていこうということで年金審議会の中でも議論になっておりますので、私どもも十分そういった議論に耳を傾けながら対応をしてまいりたいというふうに考えております。
○勝木健司君 そこで、現行の在職老齢年金につきましては、賃金が高くなると逆に賃金と年金を合わせた手取り額が低くなるという形で高齢者の就労に逆のマイナスのインセンティブを与えるという問題、あるいは事業主が手取り額を考慮に入れて、結果として高齢労働者の賃金を低く抑えることとなっているという苦情とかあるいは指摘が数多くなされておるわけであります。 このような問題の改善に向けて、賃金がふえても手取り額がある程度増大するような仕組みということも今後考えられないのかお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(山口剛彦君) 御指摘をいただきました点も、現在の在職老齢年金制度の抱えている一つの問題点でございます。 賃金と年金との調整をどういうふうにしていくかというのは、なかなか技術的にも難しい問題もございますし、個々の賃金形態もいろいろ区々でございますので、いろいろ解決しなければならない難しい問題がございます。先生御指摘のように、そういう被保険者なり年金受給者の労働意欲、就労意欲を年金制度が阻害しているというようなことがあれば、これは先ほど申し上げましたような活力のある高齢化社会を目指すという点からも問題でございますので、御指摘の点は、従来からも指摘されている大変難しい問題ではございますけれども、これも審議会の中で何とか知恵が出ないのかという検討の課題になっておりますので、そういう方向で知恵を出す努力をいたしたいと思っております。
○勝木健司君 それとまた、現行制度におきましても、六十歳を過ぎて民間の会社を退職した者につきましては、老齢厚生年金を受給するとともに失業給付も最大三百日間受給できることとなっておるわけであります。この間、就労についてのインセンティブが働きにくいという指摘もなされておるわけであります。 このような問題を是正するために、労働省、厚生省それぞれ両制度間の役割分担の見直しも今後の検討課題として検討することも必要ではないかというふうに思われるわけでありますが、労働省、厚生省それぞれの見解をお伺いしたい。
○政府委員(山口剛彦君) 年金と雇用保険の関係につきましても、現在のところ、退職をいたしますと年金が出る、またその退職をされた方が就労したいということで職を希望いたしますと雇用保険の方から失業給付も出る、両方が調整をされないという現状は御指摘のとおりでございます。そういったことになっていることにつきましては、社会保障の給付としては少しそれは過剰ではないかという御指摘と、またこれも御指摘をいただきましたように、そういうことであると高齢者の就労意欲をかえって阻害するようなことになってしまうのではないかという御指摘もございます。 私どもも、労働省とよく協議をいたしまして、年金、雇用保険のそれぞれの給付の性格、役割をどういうふうに考えるか、あるいは具体的に調整をするということになりますとこれはかなり技術的にも非常に難しい問題があるようでございますけれども、その点も含めまして、御指摘の点は労働省とも十分協議をして調整をする方向で知恵を出していかなければならない課題だというふうに受けとめております。
○説明員(北浦正行君) 雇用保険制度につきましても、昨年法改正をいたしました際に、やはり高齢者の雇用の促進に寄与する、こういう観点から再検討を加え、いろいろ法改正をしたところでございます。 具体的には、六十歳の定年でおやめになった方が再雇用されて六十五歳まで継続雇用される場合が多いわけでございますが、その場合、六十歳定年の時点よりも継続雇用の時点の方が賃金が下がりますものですから、直前の賃金をもって雇用保険の計算をいたします関係上、六十五歳まで勤めるとかえって雇用保険上不利になる、そういうことでかえって就業意欲を阻害する、こういうようなことが指摘されたわけでございます。昨年の法改正においては、それらの点につきまして、まずそういう場合には六十歳定年時の賃金で六十五歳まで継続雇用しても雇用保険の給付額を算定できるように改める、こういう改正をしたわけでございます。 ただいま御指摘のあった点は、そういうことに加えて、さらにもっと大きく年金制度との関係など全体的な観点からの検討をせよというお話でございます。 私ども、そういった意味において現在、今後の高齢者対策のあり方をどう進めていくのかいろいろ内部的にも検討してございまして、その中におきます雇用保険の持つ役割というもの、そういったものも念頭に置きながら検討を進めているわけでございます。その際、年金制度との関係ということも十分考慮に入れつつ、先ほどお話がございましたように、厚生省とも綿密に連絡をとりながら検討を進めてまいりたいと思っております。
○勝木健司君 それから次に、高齢労働者を雇用しない企業に比べて高齢者を活用しようとする企業の費用負担を小さくするような仕組みを導入することも一つの考えじゃないかというふうに思います。個別の企業にとっても社会全体にとっても、高齢者の雇用が進めば進むほど年金の費用負担が小さくなるような効果を生むことが必要じゃないかという考え方も成り立つわけであります。費用負担面においても、年金が雇用を促進する役割を担うようなそういう工夫も期待されるわけでありますが、これについての考え方をお伺いしたいと思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先生御提案の趣旨はよく理解できるところでございますので、先ほど来御議論があります支給開始年齢問題をめぐる、あるいは雇用と年金との関係をめぐる諸問題を解決していく中の一つの御提案として受けとめさせていただきたいと思います。
○勝木健司君 経済成長の成果というものを広く国民に再分配することが年金制度の基本的役割の一つであるということを考えますと、現役の賃金の一定割合を基準としている現行の厚生年金等の水準を設定する場合に、現役被保険者の保険料負担等も考慮していくこともこれから必要になってくるんじゃないかというふうに思われます。そういう観点から、最近、給付水準について現役世代の手取り収入との対比で考えるべきじゃないかという議論もあるわけでありますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先ほど申し上げましたように、年金制度におきましては、年金を受給する世代とその費用を負担していただく現役の世代とバランスをとるということが何よりも重要なことだと思います。 そのときに、先生御指摘のように現役の方々とのバランスという面で、従来、どちらかといえば現役の人の定期給与というものをベースにして年金の水準等を考えてきておるわけでございますけれども、御指摘のように現役の場合は、その定期給与の中から保険料、税金といったものが引かれるではないか。一方、年金受給者の方は、税制上の配慮もありほとんど税金もかからない、あるいはいろんな社会保険等の負担も少ない、あるいはないというようなことで、バランスをとるという観点からすると、現役の世代の負っておる社会保険料あるいは税金といったものを考慮してバランスをとる、年金の水準を考えるということも必要ではないかという御議論が年金審議会等でも各方面から指摘をされております。 これは、年金の水準のあり方にかかわる、また年金の評価をどのようにしていくかという問題にもかかわる大変重要な問題でございますので、そういう観点からの検討も必要だという御指摘と受けとめまして、審議会等で十分御議論をいただかなければならない課題だというふうに受けとめております。
○勝木健司君 現在百兆円を超える公的年金の積立金についてでありますが、将来の年金給付に備えた準備金でありますとともに、効率的あるいは効果的な運用を通じて現役の被保険者等の福祉の向上を図るためにも活用されておるわけでありますが、この還元融資が引き続きその機能を発揮できるような必要な資金量を確保していただきたい。そして、生活大国五カ年計画などにも示されておりますような住宅の確保促進、あるいは育児とか教育とか介護など、今日国民のニーズが高まっておる分野に対しても適切な資金が提供できるような、そういう必要な見直しも今後行われるべきであるというふうに考えますが、御意見をお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(山口剛彦君) 先生御指摘のようなことで、年金の積立金につきましても、被保険者等にそれを還元していくということで、現在は主として住宅資金の貸し付けに相当ウエートを置いた制度を設けておりまして、これにつきましては昨今のいろんな状況も考慮しつつ補正予算等でも追加をするというような措置を講じまして、国民の皆さん、被保険者の皆さんの御要請にこたえるように、額的にも十分配慮をし、また条件の改善等も行ってきておるところでございます。 ただ、御指摘をいただきましたように、教育あるいは介護といった今融資をしておりません分野につきましても、年金資金を使って被保険者の御要請にこたえられるような工夫をすべきだということで私どももトライをしておるわけでございますけれども、いまだ実現をしていない部分がございます。今後とも、その実現、充実に向けて努力をしてまいりたいと思っております。
○勝木健司君 平成七年を目途に一元化を完了するということでありますけれども、これに向けての取り組みについて大臣に見解をお伺いしたいと思います。 ことしは、先ほどもありましたように、財政再計算へ向けての準備の年であるということで、さらに平成七年の一元化へ向けて本格的な年金改革の議論が展開されていくのではないかというふうに思います。高齢化社会を迎える二十一世紀に向けて、我が国の社会保障制度の根幹にかかわる重要な課題であるわけでありますので、揺るぎない年金制度の構築というものが求められておるわけであります。 しかしながら、最近では、社会保障離れ、自助努力志向の風潮が特に若い層、若年層において強まる一方だとも言われておるわけであります。また、国民年金におきましても、未加入者や滞納者による空洞化も指摘をされておるところであります。つまり、今我が国では社会制度に対する国民の信頼というのが低下をしてきておるのではないか、制度に対する展望が持てなくなってきているのではないかとも思われる節もあるわけであります。 私は、この年金の改革論議を契機に、もっと国民に開かれた議論、それとそれを前提とした情報の公開を当然すべきではないか、そのよい機会ではないかと思うのであります。現在のこの福祉を将来にわたって維持していくためにも、各制度間の公平化を当然図っていかなければならない。同時に、今後統合なり一本化していく場合にどういう問題があるのか。また、このまま高齢化社会を迎えては社会保障関係の負担がだんだんふえていかざるを得ない、そのためにはどういう選択肢があるのか等を含めて、開かれた議論のもとに国民の合意形成を図るべきではないかと思うわけであります。平成元年改正時の反省点を踏まえまして、これから始まります年金改革論議には、今指摘をいたしましたことを十分配慮して進めていただきたいと思うのでありますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年金制度に関しましては、国民の皆さん方の意識も年々高まってきております。そういう中において、ただいま先生から御指摘がございましたように、より広く国民の皆さん方に情報を提供して、そして必要な制度改正については国民の皆さん方の合意を得ながら進めていかなければならない、このように考えているような次第であります。また、今後の制度改正の検討に当たりましてもこの点を十分に配慮して行っていきたい、このように考えているような次第でございます。 それから、年金の一元化の問題点といたしましては、先ほど年金局長からもお話はございましたけれども、やはりより大きな保険団をつくらなければならない。じゃないと、これからの高齢化社会を支えていく長期的、安定的な年金制度確立の上で大変大きな支障が出てくる。まず、こういうような観点に立ってこの問題に取り組んでいきたいと思います。 そういう中におきまして、当面の問題といたしましていわゆる鉄道共済の問題も大変大きな問題でございます。この問題につきましても、いわゆる調整をお願いするわけでございますけれども、こういうものを進めていく中において、平成七年度におきましては公的年金の一元化をお願いするわけでございます。その中において当然問題となってまいりますのは、官民の格差をよりなくして国民の間にひとしく公平感をもたらす、こういうことを考えながらこの問題に取り組んでいきたい、このように考えているような次第であります。
○勝木健司君 最後になりましたけれども、高齢化が着実に進展する中で、国民の社会保障ニーズというのも明らかに変化をしてきておるんじゃないかというふうに思います。この変化に対応して、そして二十一世紀を展望した制度体系というものをこれから再構築していただきたいと思うわけであります。そのことがこの年金の信頼というものを高めることにもつながるんじゃないかというふうに思います。 そういった意味で、例えば出産給付あるいは介護給付というものも年金給付に組み込むなど、これからますます大切になってまいります育児とかあるいは介護とか高齢者雇用の対策なども踏まえた、総合的な魅力ある年金制度というものをぜひ検討していっていただきたいと思うわけでありますが、これにつきましてもあわせて大臣に見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま幾つかの御提案があったわけでございますが、現在、年金審議会でこういった問題も含んでいただきながら御検討いただいておるわけでございますけれども、要はやはり給付と負担のあり方でございます。そういう観点に立って、いかにして高齢化社会において国民の皆さん方が安心して老後を過ごせるか、こういった観点に立って取り組んでいきたい、このように考えているような次第でございます。
○勝木健司君 時間が来ましたので、終わります。 ありがとうございました。
○西山登紀子君 私は、看護婦の養成問題について、いわゆる看護婦さんのお礼奉公問題に触れて質問をいたします。 お礼奉公という言葉は、前近代的な封建時代の徒弟制度の名残のような言葉で、私は実態的には死語になっていると思っておりました。ところが、看護婦さんの世界では現在もまだ使われている言葉であって、生きている制度であるということを知ってびっくりいたしました。 お礼奉公の定義というのは、日本医療労働組合連合会の記者会見の資料によりますと、看護婦のお礼奉公とは、病院や診療所の経営者が学生に奨学金、これは貸付金とか立てかえ金などと呼ぶ場合もあるそうですけれども、これを出して准看護婦、看護婦養成所に通わせ、学生が免許を取得後一定の期間をその病院や診療所で働くことを義務づけるというものだと定義づけております。 そして、問題になるのは、学生が准看護婦、看護婦養成所に入学する際に、特定の病院や診療所への就労を条件としたり、奨学金を受けることを義務づけたり、また労働の対価として正当な賃金を支払わずに、その一部を奨学金という名目で学生に貸し付け、約束の期間働かなかった場合、奨学金の返済を求めたり、お礼奉公を終了するまでは他の医療機関への就職や転職や上級の看護婦養成所への進学を許さないなどのケースであると指摘しております。また、奨学金の一括返済に加えて、多額の違約金まで取るという事例も見られ、これらは、経営者と学生、准看護婦、看護婦や身元保証人などの間で労働契約や奨学金約定、誓約書、念書や口頭で確認され、准看護婦、看護婦を将来にわたって特定の医療機関に拘束するものになっているとしております。 このお礼奉公について朝日新聞の天声人語などは、「日本の准看護婦の多くは独特の慣習に縛られる。医院や病院で見習い看護婦として働きながら二年制の准看学校に通い、知事免許を得る。卒後、その医師のもとで二、三年間、お礼奉公する。病院や医院は、合わせて四、五年間は安上がりに人手を確保できる」として、「医療界の常識は、世間の非常識」と指摘しているところです。 そこで、厚生省にお聞きしますが、こういう慣習、制度、仕組みがあるということを御存じでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 先生今医労連の御定義をお話しなさいましたけれども、それがお礼奉公というのかどうかその辺は私どももよくわかりませんが、ちょっと私どもの方といたしましては、民間医療施設におきまして看護婦等の確保の一方法といたしまして看護婦等養成所の学生、生徒に対し修学資金を貸与して、看護婦等の資格取得後当該医療施設に一定期間勤務するということを義務づけるというんでしょうか、そういうふうな形で行われているということが一部にはあるということは、マスコミ等あるいはいろんな形で私どもも聞いております。
○西山登紀子君 こういう仕組みは、看護婦養成の過程で全国的にしかもかなり普遍的に行われていると私は思うんですけれども、もう一度お答えください。
○政府委員(寺松尚君) 今先生が言われたようなお礼奉公ということにつきましては、個人と医療施設との暗黙の了解というんでございましょうか、そういうような形でやられておるという面もございまして、実態を正確に把握することは非常に難しいのではないかと思います。したがいまして、全国的にこのようなことが行われているかどうかにつきましては、私どもよく承知しておりません。
○西山登紀子君 私が調べてみましたところでも、このお礼奉公の問題は最近マスコミの各誌やテレビでも取り上げられておりまして、労働組合などの調査やアンケートの結果も発表されているところです。 私きょう持ってまいりましたけれども、こういう女性誌ですね、(資料を示す)コスモポリタン三月二十日号、こういうどちらかいうと非常にやわらかいといいますかそういう女性雑誌にも、「平成・看護婦哀史」と題してこの問題を、いわゆるお礼奉公問題を国民の医療にはね返る問題として大きく取り上げているわけです。 また、もっと専門的には、こういう日本看護協会が発行しております月刊誌の「看護」、これには林千冬さんという看護問題の研究者の准看学生の就労実態についての調査報告が、昨年ですけれども、ずっと連載をされておりまして私も大変勉強になりました。 そこでは、お礼奉公という言葉が准看学生の間で広く使われている俗称であり、准看学生が用いるお礼奉公には卒業後も現在の勤務先に一定期間残って勤務する決まりという意味があると説明しております。林さんの御報告では、准看学生の二百八十九名を調べたところ、七六・一%がそうしたお礼奉公が「ある」と答えており、その期間は「二年」が八〇・五%で圧倒的に多く、お礼奉公のある理由は「貸し付け金を借りているから」だと回答したのが九三・二%になっています。さらに注目されますのは、この「貸し付け金を返済すれば、お礼奉公は免除されますか」という問いに対して、「問題なく免除される」と答えたのはわずか三五・一%であるのに対して、六三・四%の人が「免除されることにはなっているが、苦情を言われるなどして実際は難しい」と回答していることです。林さんは、このお礼奉公が純然たる契約関係とは言いがたいものだと指摘しています。 私の地元の京都でも、京都医療労働組合連合会がまとめた実態調査がございますけれども、それによりますと、准看学生四十二名と看護学生百十七名がアンケートに回答してきておるんですけれども、卒業後一定期間その病院で勤務を強要されるお礼奉公は約九割があると答えています。その期間は二年から三年ですね。卒業後職場を変わろうとすればほとんどの場合一括返還が求められております。また、就労の実態はといいますと、夜勤は無資格者の准看学生の二三・八%、看護学生の八〇・三%がしておりまして、准看学生の夜勤回数は月平均八・八回、最高は何と二十回に及んでおります。そういう中で、勉強時間がないと答えたのが准看学生の五七・一%、看護学生の五五・九%で、多くが睡眠不足を訴えていて、八一%が今の職場をできたら今すぐにもやめたいと答えているわけです。 こうした実態をお聞きになって、先ほど厚生省は非常に部分的だとか個人的な契約、そういうふうな認識というふうに言われましたけれども、今のような林さんの調査だとか私の地元の京都の実態調査あるいはマスコミの報道、こういうものをお聞きになりまして、こういうお礼奉公と言われる実態が全国的に広くあって、しかもいわば制度的に定着しているというふうにお考えにはなりませんでしょうか、いかがでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 何度も申し上げておりますけれども、私ども、先生が今御指摘のようないわゆるお礼奉公というようなものについてはその実態を正確には把握していないわけでありまして、もしもそれが実態的にあるとすれば望ましくないだろうと思いますが、全国的に制度的あるいは慣行的に行われておる、あるいは定着しておるとは思っていないわけであります。したがいまして、私どもは、こういうようなものにつきましては基本的には民事契約におきます当事者同士の問題とこういうことでありまして、契約内容が明確でそれを十分理解した上で契約されることが適切ではないか、このように思うわけでございます。
○西山登紀子君 こうしたお礼奉公をめぐりましては、全国各地で裁判になったり法律違反として指導されたという例が広がっております。 例えば高知県、二件ございました。病院に勤めながら准看護婦養成学校に通う学生が、仕事がきつくて、二年勤めた後の残りの二年、いわゆるお礼奉公をせずに退職したところ、百八十八万円もの奨学金全額と利息の返済を病院から要求されたという例が一つです。さらに、退職を申し入れたところ百二十八万円もの返済を求められたという例がもう一つございます。両方とも高知の労働基準監督署に相談がありまして、監督署は、奨学金については労働基準法上の賃金であるから学生は病院に返還する必要はない。それだけでなく、病院が学生に奨学金の返済を求めた理由が、看護学校の入学案内に病院からは学生に賃金が支給されるがその半分が奨学金であると記載されてあったためで、この記載は誤解を招くとして労働基準監督署は指導をしてやめさせております。 労働省に来ていただいておりますが、労働省はそのような指導をなさいましたでしょうか。
○説明員(戸苅利和君) 今先生がお話しのように、高知県の病院の事案でございますが、昨年の二月、それから三月に、半日病院で勤務し半日は学校に通っているという方から相談がございまして、今まで勤めていた病院で必要な期間勤務しなかったので支払った奨学金に相当する金額の返還を求められているがどうしたものかという相談でございます。 これについて所轄の高知労働基準監督署で監督を行いましたところ、今お話しのように、奨学金は賃金の性格を持っているということでございまして、そういったもので病院への返還を要しないということでございまして、それぞれの病院に対しましてその旨の是正の指導を行っております。それで、病院の方では、これを受けて奨学金の返還要求を取りやめ、あるいは既に労働者の方から返還されていた額を労働者の方に返したということでございます。 それからあわせて、今お話しのように、入学案内が大変紛らわしいものですから、奨学金の記載を入学案内から削るようにということで指導いたしました。指導どおり入学案内から奨学金の記載は削除されたという状況でございます。
○西山登紀子君 ありがとうございました。 次に、裁判で争っている例もあるわけですが、昨年、神奈川県の川崎市の病院で、石川由美子さんという准看護婦が卒業後その病院に就職しなかったことを理由に、病院側が石川さんに支払った奨学金、入学金などを立てかえ金だとして百五十七万円を返還請求していた事件で、横浜地裁川崎支部は、奨学金、奨学手当は賃金の一部であり入学金も返還の義務はないと、七月三十一日に病院側の訴えを退けました。この判決では訴えた病院側に対して逆に超過勤務手当の不足分十六万円の支払いさえ命じていますが、このような判決があったことを労働省は御存じでしょうか。
○説明員(戸苅利和君) 昨年の七月にそのような判決があったことは承知いたしております。
○西山登紀子君 もっとひどい例もあるんですが、ことしの二月三日の北海道新聞でも報道されておりますけれども、室蘭市の病院の推薦で医師会立准看学校に入学して地元の病院に勤務しながら通学していた四人の学生が、卒業後は最低三年間勤務し、この条件を守れない場合には二百万円の違約金を支払うという内容の誓約書を交わしていたというものです。 私はこの誓約書の写しですが持ってきておりますけれども、そういう誓約書に対しまして昨年十一月に結婚などのために退職したいが二百万円を支払わなければならないのでしょうかと、この誓約書に疑問を持った学生さんが日本医労連の看護婦一一〇番に電話をして事態が明るみに出ました。一一〇番ですから、事態は大変切迫しております。この学生の側の担当弁護士が病院側に出した通知書には、職業選択の自由を否定するものであり、逆に民法第九十条の公序良俗に違反するだけでなく、憲法で保障された基本的人権を侵害するものだと厳しく指摘しておりますが、労働省にお聞きしますけれども、この室蘭の例のように違約金を取るというような契約は労働基準法第十六条違反ではないでしょうか。労働省はどのように指導なさいましたでしょうか。
○説明員(戸苅利和君) 労働基準法十六条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」というふうに規定されております。労働契約あるいはその他の契約でどういったことを契約するかということは、契約の中身それぞれ個別の事案ごとに判断するということになるわけでございまして、一律にどういう契約であれば基準法の十六条違反がということは、今申し上げたように個別に判断せざるを得ないわけです。 今お話しの室蘭の病院の件に関しまして申し上げますと、ことしの一月に室蘭の労働基準監督署に対しまして、室蘭の病院で働いていた看護婦の方から、看護学校卒業後三年間の勤務をしなかった、これは病院の方で三年間という契約があるようでございますが、として二百万円の違約金の支払いを求められているという申告がございました。これについて室蘭の監督署で当該病院に監督を実施いたしましたところ、これは労働基準法十六条の違反であると違反が認められましたので、病院に対して是正勧告を行っております。病院の方からは、今後、そういった看護学校卒業後三年間の勤務をしなかった場合に、違約金の支払いを求めるというふうな誓約書の提出等は行いませんというふうな旨の是正報告をいただいております。
○西山登紀子君 京都の例ですけれども、京都市のある病院に勤めながら准看学校に通っていた十八歳の方のお話を私は直接伺ってまいりました。 A子さんは、朝六時半からの早出勤務や学校終了後の夜九時までの勤務、一日に四十人ものおむつかえやトイレの掃除、重い配ぜん車の運搬など苦しくてやりきれなくなって、三年間勤めて二年のお礼奉公を前に退職を申し出たところ、損害賠償のように百四十五万円もの奨学金の一括返済を要求されました。Aさんは、やめたい一心でこれを工面して返してやめたというのです。退職届を出してからはさまざまな嫌がらせを受けて、そんなにやめるというお前はかたわだと差別用語まで使って罵倒されたと伺いました。 A子さんに同じ病院に勤めていらっしゃる学生仲間の気持ちを聞きますと、入学金や授業料など十代では払えない金額を貸し付けて、まるで人買いだ、人身売買のようなものだ、長時間拘束され学校に行く以外はおりの中にいるようで、みんなやめたいと思っている、我慢をしている。お礼奉公はむしろ看護婦確保の足かせになっている。お礼奉公を終えるとほとんどがやめていく。これがなければもっと看護婦もふえると思うと当時を振り返って、暗くかたい表情が私はとても気になりました。 中学卒業生や高校卒業生といえば、私も二人娘がおりますからよくわかりますけれども、まだ社会に目を向け始めたばかりでございます。暗たんたる気持ちでいつかよい看護婦になろうと思って過ごしている多くの准看護婦及び看護婦の悩みを解決して、近代的な明るい看護婦養成制度を実現することは、国民の命と健康を守る上で避けて通ることはできません。 そこで、厚生大臣にお聞きしますけれども、先ほど来例を引いてまいりましたケースのように、若い人たちがいわゆるお礼奉公を前提とした看護婦養成の過程の中で看護婦になる意欲を失っていく、職場をやめていく、こうしたことが大変残念なことだとはお思いになりませんでしょうか。御感想をお聞かせください。
○国務大臣(丹羽雄哉君) お礼奉公という言葉をお聞きしますと、何かいかにも前近代的なようなイメージが浮かぶわけでございますけれども、よくお話を聞いておりますと一面でやはり労働と賃金、こういった側面もまたあることも否定できない事実ではないかと思っております。 いずれにいたしましても、これは先ほど局長の方から御答弁を申し上げましたが、医療機関といわゆる看護婦及び准看護婦さんを希望する方々の個人的な問題でございますけれども、社会通念に照らしまして常軌を逸したような先ほど御指摘のあったような事実はこれはもう全く論外の話でございますので、常軌を逸した契約につきましては今後適切に対処していきたい、このように考えておるような次第でございます。
○西山登紀子君 私も看護婦のお礼奉公と言われる問題について調べてみましたが、非常に残念なことですけれども、確かに現代版のお礼奉公だとか、戦前の女工哀史をもじってこういう女性雑誌に平成看護婦哀史だとかマスコミで次々に話題にされる要素、つまり非常に前近代的で行き過ぎた場合には、先ほど言いましたような違法性を指摘されるような内容を含む制度であるということがわかりました。 先ほど大臣もおっしゃったように、厳しい就労を条件とする、そして多額の貸付金を条件とする、こういう二つのくびきによる身分の拘束制度、こう言っても私は言い過ぎではないと思うんです。厚生大臣にお聞きしますが、このようないかにも時代おくれの制度を改善する必要があると思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども申し上げましたように、個々人の当事者の問題でございましてなかなかつかみにくい問題もございますけれども、奨学金制度、こういうものを通じまして国民の皆さん方の間に誤解がないように今後努力をしていきたいと思っております。
○西山登紀子君 看護婦確保法に基づく大臣指針、その中には「資質の高い看護婦等の養成」という柱を一つ起こしまして、その点が非常に強調されているわけです。 その中には、「教育制度の見直し」の問題に加えまして、「看護婦等をめざす学生の確保」の問題という項目が一つ挙げられておりますが、そこでは、「十八歳人口の減少が確実に予測されている時期において、意欲のある若年層の志願者を得るためには、看護の魅力を積極的に若年層に伝える対策が必要であり、国、地方公共団体等による啓発活動も重要である。また、各教育機関自らがそれぞれの特色に応じた方法で、こうした若者を看護の世界にひきつけることに取り組み、あるいは看護婦等自身又は職能団体自身が若年層への啓発を行うべきである。」、こういうふうに大臣指針は述べております。 そこで、大臣にお聞きいたしますが、こういうやはりお礼奉公と言われるような、常軌を逸したと言われましたけれども、前近代的な制度を残したままで若い人たちにとって魅力がある本当にやりがいのある看護婦養成はできるはずはないと思いますので、一度いわゆるお礼奉公を前提とした看護婦養成の実態について、それが少ないか多いかそういうこともまだわからないわけですから、そういう点についても厚生省の方が調査をしていただけないかどうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私の持論でございますけれども、いわゆる看護であるとか福祉であるとかそういった面の人材確保というのは、やはり医療で働くとうとさであるとか福祉の現場で働くとうとさ、こういうものを要するに幼いときからいろいろな機会を通じて教えていくということが大切なことではないか、このように考えているような次第であります。 先ほど局長の方から実態調査についてはなかなかつかみにくいというようなお話がございましたけれども、個々のケースにつきまして、もしそういうような可能性があればこの問題についても一度調べてみる用意がございます。
○西山登紀子君 さほど難しい調査ではないと思うんですね。現に民間の方々もいろんな方法でやり始めていらっしゃるわけですから、こういう問題についてやはり放置しておくことはできないというふうに思いますので、そういう点での実態調査ということを始めていただきたいということで、もう一度御答弁をお願いいたします。
○政府委員(寺松尚君) 今、大臣から御答弁されましたけれども、何といってもプライベートなこと、個人的なことでございますとなかなか難しい、これはもう西山先生もよく御承知のことでございましょうから、私どもとしましては、全国実態調査というような形ではなくていろんな形で個々のケース等を集めてみたい、そしていろいろと検討してみたいと思います。一応私どもの方は、御承知のようにナースセンターとか看護協会の支部とかもございますので、いろいろそういうようなところに御相談になることもあると思いますので、その辺も含めていろいろと聞いてみたい、このように思います。
○西山登紀子君 ありがとうございます。 いわゆるお礼奉公をめぐる問題は、その背景に非常に深刻な看護婦不足だとか、看護婦の養成課程が准看護婦と看護婦の二本立てになっている問題だとかさまざまな問題が多くございますので、この問題の根本的な解決につきましては私は改めて議論したいと思っておりますけれども、きょうは最後に二つの方向性についてだけ御質問させていただきたいと思います。 一つは、公的奨学金制度の充実です。これだけ看護婦不足が社会問題になっている中では、中心的対策の一つである看護婦の養成に対する公的奨学金制度の充実、これはもうほとんどの学生に普及されるぐらいの政策方針が必要だと私は思っておりますが、現状では平成四年度八%程度の学生にしか普及していないということです。ここに問題の多い私的な奨学金制度を設けざるを得ない一つの根拠があるのではないかと思うのですけれども、国の看護婦奨学金制度はどうなっているか、厚生省の方でお答えいただけますか。
○政府委員(寺松尚君) 国におきます修学資金制度でございますけれども、看護婦等養成施設に在学する者の修学を容易にするためにこれらの者に修学資金を貸与するという事業でございます。スタートいたしましたのが昭和三十七年ということでございます。これはもう先生御承知でございますが、本事業の実施主体は都道府県でありまして、国としましてもこれに対して所要の国庫補助を、二分の一でございますが、やっておるわけでございます。一定の要件を満たした場合には、この当該貸与金の返還の免除を行うということもそれに加えてやっておるわけでございます。 それで、ちょっと概要を申し上げますと、平成四年度で今一万二千三十五人に貸与いたしておるわけでございまして、平成五年度には一万五千三百八十五人に拡大いたしたい、このように考えております。金額等につきましては、平成三年度、たしか三年度だったと思いますが、そこで増額いたしまして、今民間の医療機関に行く方々の場合には三万六千円、自治体立の場合は三万二千円差し上げておるわけでございます。
○西山登紀子君 より一層の公的奨学金制度の充実ということの努力をしていただくように要望しておきたいと思います。 二つ目の問題は看護婦養成所の運営費の補助の増額ですけれども、京都の医師会立准看護婦養成学校では、国の補助金はわずか一〇%というようなことなので、必要な補助が多くあれば学生やあるいは医療機関に多大な負担をかけずに済みますので、この補助金の増額を強く要望したいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(寺松尚君) 看護婦等の養成施設に対しましては、従来より専任教員経費等その運営に要する経費の一部を補助いたしておるところでございます。 厚生省といたしましても、看護職員の確保対策の一環といたしまして本補助制度の充実を図る必要があるとこういうふうに考えておりまして、平成五年度予算案におきましても、専任教員の経費あるいは授業用教材費等の単価の引き上げ等を行ったわけでございます。ちなみに申し上げますと、平成五年度予算案の中に計上いたしておりますのは六十一億円でございます。
○委員長(細谷昭雄君) 時間になりましたので、手短にお願いします。
○西山登紀子君 どうもありがとうございます。 午前中の答弁の中で厚生大臣は、准看学生の向学心を生かすということの重要性を述べられておりましたので、准看学生の向学心を阻んでいるこういうお礼奉公の問題の解決に積極的に努力をいただきますように御要望いたしまして、質問を終わります。
○粟森喬君 私は、障害者問題に関する基本的なことと具体的なことを幾つかお尋ね申し上げたいと思います。 先ほど同僚議員からも同趣旨の質問がございましたが、できるだけ重複を避けながら、大事なところはいま一度お尋ねをしたいと思います。 まず、「国連・障害者の十年」の問題ですが、一九九二年末で完全参加と平等を目指したスローガンを持ったこれは終わっているはずでございます。その後の十年は、一九九二年の四月ですから今から十カ月前に国連アジア太平洋経済社会委員会、いわゆるESCAPで「アジア太平洋障害者の十年」として継続をすることを確認しました。同時にこの際、各国の十年間の国内行動計画を定めることが決議されています。ところが、一九九三年に入ったんですが、日本国内でまだ行動計画が策定されていません。ことしの四月ごろという話も聞いておりますが、たとえ短期間といえども継続しない期間があることと、その理由はなぜなのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(土井豊君) ただいま御指摘がありました「国連・障害者の十年」でございますけれども、その期間は一九八三年から一九九二年という十年でございます。したがいまして、これが終了をいたしましたのは昨年でございまして、そういう意味ではことしになりましてから何カ月間か切れているではないかという御指摘はあるいは当たると思います。ただ、もう一つ「アジア太平洋障害者の十年」の御指摘がございましたが、昨年の四月、北京で行われましたESCAP第四十八回総会におきまして決議がなされておりまして、その決議の内容といたしましては、一九九三年から二〇〇二年までの十年間、この十年間を「アジア太平洋障害者の十年」という決議の内容になっております。現在、我が国としてもこの決議の内容に沿ったような形で新しい長期計画というものを策定すべく検討中であるというのが今日の状況でございます。
○粟森喬君 なぜなのかという理由がはっきりしないのでもう一度お尋ねをしますが、一九九三年の一月一日から、ただいま九三年でしょう、これがないということを置いておくというのは、このESCAPで決めた決議を軽視しているんではないか。国内行動計画がなくてもできるとか、宣言は一九九三年からと言うから一九九三年の十二月でもいいという意味なのか。そういう意味ではないと思います。やはり国連障害者年の始まった十年からの継続性という意味で、数カ月間であってもこういうことが起きているというのは決していいことではない、こういう立場でここは申し上げておきます。 もう一つ、ぜひともお考え願いたいんですが、国内行動計画というのは、過去の分を見て私が思うんですが、国連の十年のときの中身をもう少し充実して、見直しをしていただきたいと思うんです。国内行動計画というのは、あくまでもある種の抽象的な概念が中心でございまして、財政的な裏づけもその都度結果がそこに裏づけされているだけでございまして、このようなあり方は一つの問題ではないか。 それから、国の予算は四月一日から始まって三月三十一日に終わるということと、年の始まりというのは非常に難しいことがあるんだろうと思いますが、やはり私は、財政的な裏づけをその年その年にきちんとけじめをつけていく、こういうことをきちんとやらなければいけないんではないか。ことしの場合、新しいそういうものがなかったということと、予算のことについては改めて委嘱審査の際にお聞きをしたいと思いますが、どうも財政措置が不十分だ。財政が苦しい事情もわかりますが、こういうことについて今後改めるべき点として、御意見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(土井豊君) まず、若干の期間であっても空白があるではないかという点でございますが、確かに暦年と年度の違いがあるいは御指摘の内容かと存じます。私ども、先般の意見具申におきましても、平成五年度から平成十四年度までの十年を想定した新しい長期行動計画をつくれというような意見具申をちょうだいしておりまして、そこのところは確かに先生おっしゃるとおり、若干のずれがあるいはあるのかもわからない。これは、国際的ないろんな決議におきましては暦年を中心とした物の考え方でございますけれども、政府なりあるいは地方自治体の具体的ないろんな施策というものが年度ベースになっているというような問題点かと思います。 それと同時に、内容についてでございますけれども、私どもといたしましては、関係諸団体の代表者も入っていただいた中心協、その意見具申をベースに置きまして、現在政府部内で年度内にできるようにという目標で準備をしているところでございます。
○粟森喬君 国際的な一つの暦年でやっているんですから、やっぱり暦年を重視するという立場でこれからもお願いをしたいと思います。 そこで、厚生大臣に幾つかのことをお尋ねしたいと思います。 恐らくこの四月につくられるという国内の十年計画は、「「国連・障害者の十年」以降の障害者対策の在り方について」ということしの一月二十一日に作成をされました中央心身障害者対策協議会の文書がベースになるんだろうと思います。 この文書の中に、こういう記述が幾つかあるわけです。いろいろ評価するところもある、前進もあった。その中で、「各種施策の基盤の整備や市民意識の高揚という観点からは、かなりの成果を上げているといえるが、施策の中にはモデル的に行われているものも多く、」、これは制度として完全になっていないという意味だと思いますが、「その厚みと広がりはなお不十分であり、「完全参加と平等」に向けての緒についたばかりとの意見もある。」、「こうした現状を見れば、障害者の「完全参加と平等」を目指すとの観点からは、十分な状態が達成されているとは言えず、今後も一層施策の推進を図っていく必要がある。」、こういう表現があります。 この部分は、厚生大臣として、いわゆるその基本的な認識に対立点はないのか、全くこのとおりだというふうに言えるのかどうか、そこをまずお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 「国連・障害者の十年」が昨年終わりまして、今後の障害者対策のあり方につきましては、ただいま先生から御指摘がありましたような中心協で意見の具申をちょうだいしたわけでございます。 この中で、障害者の自立と社会参加の促進、こういうようなことが強く訴えられておるわけでございますけれども、今御指摘の点につきましては謙虚に受けとめまして、今後の施策の中で十分にその解決策について努力をしていく決意でございます。
○粟森喬君 厚生大臣に重ねてお尋ねをしたいと思います。 この報告書の中でもう一つ、「なお、米国においては、雇用、公共サービス、輸送、公共施設、通信の分野における障害者に対する差別を禁止するアメリカ障害者法が制定され注目を集めている。」、非常に客観的な報告になっているわけです。 私が大臣にあえてここで聞くのは、日本でも法律上これに類似をするというか、日本の国内法を何らか改正をする必要があるのではないかというふうに私は思っております。そういう立場で厚生大臣にまずお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 我が国におきましては、昭和四十五年に制定されました心身障害者対策基本法におきまして、障害者対策に関する国、地方公共団体の責務を明らかにするとともに、障害者の個人の尊厳について規定をしていく、さらに障害者施策の基本的事項を定め、これを柱として障害者対策が進められているところでございます。 こうした考え方に立ちまして、厚生省といたしましても、政府全体の取り組みの中で、ただいま御指摘のあったような障害者の完全参加と平等実現のために積極的に取り組んでいるところでございますけれども、法制化云々の問題につきましては、今私のこの場における明確な答弁については差し控えさせていただきたいと思っています。
○粟森喬君 大体ここまでは、毎年の厚生大臣になった方と同じ答弁だったわけです。 私はここから先が問題だと思います。それで、幾つかのことを私は御指摘申し上げたいと思います。 一つは、心身障害者対策基本法、四十五年に策定したのを見て、「国及び地方公共団体の責務」、「国及び地方公共団体は、心身障害の発生を予防し、及び心身障害者の福祉を増進する責務を有する。」、国の責務というのはここまでなんです。ここが、私は障害者差別を禁止するということが適当なのかどうかというのは、これから立法をもしするとすれば、多少そこは論議をしながら本質をきわめればいいところだと思います、これはどう考えたって、国や地方公共団体の責務と、この文章の中で不十分だというふうに指摘をされたことと、かなり差がある。 それから「国民の責務」もそうです。「国民は、社会連帯の理念に基づき、心身障害者の福祉の増進に協力するよう努めなければならない。」。いわゆる完全参加と平等というのは、一つは、障害者といえども。一人の人権としての立場を尊重し、そしてここにも幾つかの制度的な例えば不完全なところがあるとか、現状にも心の壁があるというような表現もあえてこの報告書は触れておるのです。 だとすれば、今私が読んだところだけで全部を規定することは不可能かと思いますが、今の対策基本法ではやっぱり律し切れないんではないか、そこを越えていかなければならないんではないか、こういうふうに私は思うのでございますが、厚生大臣、ここでお答えできなくても心境の一部ぐらいはきちんと言っていただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま申し上げましたように、今中心協の意見具申を受けまして新たな長期計画を策定中であります。先ほどから各委員の先生方からも御質問がありましたように、大変障害者に対するまだまだ社会の偏見と差別のようなものがあるわけでございますけれども、私どもといたしましては一歩一歩前進を図っていきたい、こういう決意を持っておるわけでございますので、何とぞ御了解を賜りたいと思っています。
○粟森喬君 大臣が決意と言ったときに、私は具体的に言っておるんです。今の法と、これから国内行動計画をつくるときに、それは矛盾が起きませんかと。少なくとも今の法で事足れるということにならない段階にもう来ているんじゃないかと。少なくとも、国連の十年を始めるときにはそれで事足りるというふうに厚生大臣も厚生省も繰り返し言ってきた。ところが、この十年の集積を見ると、結果として幾つかの前進面はあったけれども、まだ全体のものにならない。例えば、モデルはできるけれども制度化はできないということや、いわゆる基本的な人権として障害者の問題を考えるという視点がやっぱりこれはないんではないか。ですから、きょう変えるなんということを大臣が簡単に言える問題ではないけれども、少なくとも国内行動計画を、十カ年計画をつくるときにこの法の問題について何らかの対応をすべきだ。 また、ここでなおかつアメリカのこの法のことを客観的に述べているというのは、やっぱりアジア・太平洋ですから、太平洋というのはアメリカも入りますが、アジアにおける先進国の日本、これは少なくとも経済的には先進国でありますから、今後のいわゆる障害者対策のあるべき姿としてもここはやっぱり大きなポイントだというふうに私は認識をしています。したがって、厚生大臣として、今後の検討の仕方ぐらいについてどうするか回答を願いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先生の大変貴重な御意見として謹んで承っておきます。
○粟森喬君 それでは次に、先ほど同僚議員も質問をしていたところでございますが、小規模作業所の補助のあり方について質問をしたいと思います。 厚生省が大変苦労をして前進させていることも私は十分承知をしているつもりです。それから、地方公共団体も上乗せ援助をやっていることも私は承知しているつもりであります。ところが、実態を見ますと、社会福祉法人、福祉法人になっているかなっていないかということでいわゆる行政的な措置が格段にかけ離れてしまう。 端的に申し上げますと、これは老人福祉のデイサービスセンターですから、まあほとんどこの水準と障害者のデイサービスセンターも同じ水準だというふうにもし理解をするとすると、いわゆるお年寄りのデイサービスセンターでは年間一人百万円の補助になります。ところが、小規模作業所、さっき三つのケースを言いましたが、これ十人というふうに仮定をしますと、九十万が頭打ちの補助でございますから、仮に八人のケースも考えて、一人年間十万円でございます。それだけ一概に比較をすることは必ずしも適当ではないと思う。 それから、皆さんは法定外だとか無認可だと言っているけれども、認可するか法定外かというのは、これは皆さんが勝手に決めたと言ったら申しわけないけれども、そういう基準なんで、現実にそこで障害者が何らかの格好で授産をする、デイサービスを受ける、そういう状態を受けとめるということとは、これはかなり矛盾をしている。そうだとすると、やる方法は、法人をつくる基準をかなり緩和するか、ある種のみなし的な基準をつくってそれに対応した財政措置あるいは措置基準を考えるか、どっちかだと思うのでございますが、この問題について見解をまずお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(土井豊君) 先ほども本件につきましては御質問がございましたが、私どもといたしましては、法定外の施設であるということで、それに対する援助にはおのずから限度があるという考え方は変わりません。 と申しますのは、今先生無認可ということをおっしゃいましたけれども、認可された施設につきましては最低基準という形で守っていただくべき基準というものを定めると同時に、その最低基準の運営という点について私どもが責任を持つというような形で御案内のとおり実施をしているところでございます。そういった基本的な施設のあり方の性格の違いというものがあると私どもは考えているところでございます。 なお一方、それでは社会福祉法人、これの設立の問題についてのお話がございましたが、社会福祉法人につきましては適正な事業の運営あるいは事業の安定性、継続性という観点をよく考えまして、私どもとしては一定の社会福祉法人になるべき基準というものは守っていかなくてはならないというふうに考えているところでございます。
○粟森喬君 法定外なら法を変えなきゃならぬわけでしょう。皆さんの言うのは、責任を持つから法定の外か内というふうに決めると言いますが、基本的には障害を持った人には個人的責任は一切ないわけです。自分たちが運営をするときに、これは責任を持てないから法定内だとか外だということで、その論争を仮にたとえ横へ置いたとしても、結果的に実際に補助を受ける額にかなり格差があるという現状については、これは認めるんでしょうか。
○政府委員(土井豊君) 法定施設といいましょうか認可施設と申しましょうか、その施設については運営費は基本的に公で責任を持つという考え方でございますので、それが十分かどうかは別として、最低基準で定められている内容のものは公的な資金で全部お金を持つという性格のものでございます。 一方、今お話しの問題については、これは任意につくられる施設ということでございますので、一定の範囲内で助成をするという考え方で対応しているところでございます。
○粟森喬君 局長とやりとりしていてもこれ以上進まないので、大臣にひとつここはお尋ねしたいと思います。 というのは、福祉問題、障害者問題のときにノーマライゼーションとリハビリテーションと二つ言われる。地域コミュニティーをどのくらいの単位で見るかというと、今の法に定められたものというのは非常に数も少のうございます。結果的に地域コミュニティーを考えると、私は市の単位というのは限度があるだろう。もう少し細分化されたところだと思う。例えば、現実に障害者がどこかへ行きたいと言ったら、あんたはそこへ行きなさいというので、うんと遠いところだとか、市という単位であったらそういうことが当然あるわけです。できるだけ近いところで地域社会の中の一員としてかかわっていこうというのがノーマライゼーションでしょう。そうすると、任意というのは勝手にやっているのではなく、むしろそういう必然性に迫られてつくっているわけです。 ところが、今の局長の答弁を聞いておったら、これは勝手にやっておるんだと、そんなことをやらないでもほかのところへ行けばいいじゃないか、こういうふうに聞こえるわけです。私は、ノーマライゼーションの概念からいったら、もう少し今の現状の無認可と言われる小規模なものに対してやっぱり公的な援助を、全く同じとは言わなくてもいい、少なくともこれに近づけていく何らかの努力、結果としてほぼ同じにしていかなかったら、新しい障害者の十年をつくるといってもこれはもう内実としてはかなりかけ離れたものになるのではないかと思うわけでございます。 したがって、小規模のいわゆる無認可と言われるものに対して、今後厚生大臣としてこの部分について、私が言うような問題提起に対してもし反論がありましたらどうぞ反論をいただきたいと思います。局長は反論するということはなかなか難しいかと思いますので、そのことも具体的にやっていく方向を示してもらいたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 我が国は法治国家でございますのでそういう中において、勝手にやっているという言葉は大変ぞんざいな言葉でありますけれども、ボランティア的な色彩が大変強くて、大変御苦労なさって地域において一生懸命こういう問題について取り組んでいる方々に対して私も本当に待遇改善ということは真剣に考えなければならない、こういう点においては先生とも認識は全く同様ではないか、こう思っておるわけでございます。 ただ、共同作業所は、先ほどから局長が再三にわたって御答弁を申し上げておるわけでございますけれども、十人から十五人程度でございますので、いわゆる補助の対象というのは現行においては二十人となっておるわけでございまして、これは単にこの問題だけではなくてすべての福祉の分野にかかわってくる。じゃ、五人、六人でやっている方に対してみんな国の方で補助金を出すことが適当かどうか、こういうことも含めてこの問題について考えていかなければならない。そういう観点から率直に申し上げて、私は現行においてはやはりその独立したままの五人とか十人においてはおのずと限界がある。先ほど局長から申し上げましたように、授産施設のいわゆる分場方式、こういうようなことをとることによりまして法的な位置づけをはっきりして、そういう中においてひとつ待遇改善等を図っていきたい。 いずれにいたしましても、私どもは先生と同じように、各関係団体を通じてこういう方に対しましても御援助を申し上げておるわけでございますので、その点を十分に御理解を賜るようお願いを申し上げる次第でございます。
○粟森喬君 分場方式は、一つの福祉法人なら法人があって、そこの中で財政も一緒にやっていくわけです。分場方式がつくられたことは承知をしていますが、実際に今やっている小規模作業所にその基準を全部当てはめるということはかなり難しいわけです。現実に私も幾つかのケースを知っています。 したがって、今の大臣の答弁で非常に気になったところは、小さくなっているものを大きいものにしていくというのは果たして適当なのかどうか、ここも大事なところなんです。やっぱりそれぞれ自立したそういう作業所なり授産所を育成していくようにしていかないと、地域社会の中でそういうものが根づいていくというノーマライゼーションにここはやっぱり逆行するのではないか、こういうふうに私は思います。したがって、今の答弁で今はそういう方式であるんだと言うんですが、現状にやっぱり問題点があり過ぎる。 平たく申し上げれば、ちゃんと法定内のところとそうじゃないところは、そこへもし仮に全部入れてくれと言ったら恐らく収拾つかないほどの状況になりますよ。やっぱりそれぞれの任意に自主的に始めたものを育成していくという、これはいわゆる行政と行政以外の任意の民間団体のあり方、行政とNGOというんですか、そういうような意味合いも含めてここは見直していかないと、何もかも金をよこせと言っているんじゃない、やっぱりいろんなボランティアも参加してもらわなかったら、厚生行政全部これ金でやったらとんでもないことになりますよ。 ですから、しかし現状は余りにも格差があって、これを解消せずにあとは皆さん勝手にやってくださいというのはやっぱり突き放してはないかと私は思うのでございまして、そのことについてさらに答弁を求めたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 現状においては大変そういう厳しいどうしても限られた限界があるわけでございますけれども、先生と私どもが目的とするところはそう違いがないわけでございますので、今後の検討課題にさせていただきたいと思っております。
○粟森喬君 全く別の質問で一問だけお願いをしたいと思います。 一般廃棄物の問題で、特にこれからのあり方でぜひともやっていただきたいのでございますが、今一般廃棄物が総量がいろいろと新しい法をつくって改善をされて分類などを始めたんです。今一番の問題は、古紙、古い紙を集める業者が採算が合わなくなって、だんだんやめていっているわけです。やめていくとその分はどこへ行くかというと、一般のごみとしてこれは出すわけです。 今、経済的にかなり不況と言われる状況などもあって、ごみの総量がふえているという情報を断定的に言うような状況ではないんですが、この問題をある程度処理をしておかないと、実はこの法律をつくるときにも厚生省なのか通産省なのかという省庁間の問題もあったんでしょうが、いわゆる古紙の回収をちゃんとやっていく。今パルプもこれ下がっています。そうすると、古紙を使って新しい紙をつくるというのはいわゆるコストからも高くなっているわけです。ですから、再生紙の利用も必ずしも十分じゃない、こういう状況にございます。 したがって、この問題を解決するためにはいろんな方法があると思います。業者に補助を行うとか公社をつくるとか、あるいは原料購入者に引き取り義務を負わせるとか、少なくともそういう場所を確保してしばらく保管をしておいてやるとか、いろんな方法があると思うのでございます。少なくとも、これは通産省の問題というだけでなく、ごみとして出された瞬間からもう厚生省の所管なんですから、厚生省としても何らかの問題意識を持って改善をすべきではないかと思いますが、大臣に答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ごみの減量化を推進していく立場の厚生省にとりまして大変憂慮すべき事態であると、このように受けとめております。 このような状況を解決するため、各製造業者における再生資源の利用促進が進められるよう、ただいま先生からもお話がございましたように通産省と十分連絡をとりながら、関係業界の方に対して一層の利用促進をお願いしていきたい、まずこれが第一点でございます。 それから、いろいろな機会を通じまして再生資源を原料とする製品の消費の拡大、こういうものを図っていきたい、このように考えているような次第でございます。
○政府委員(藤原正弘君) 大臣から答弁されましたとおりでございますが、委員御指摘のように、最近は景気の後退によるというせいもあるでしょうが、古紙がなかなかスムーズに引き取られないと、業者が引き取りを拒否するといったようなこととか、また逆有償化というふうに我々呼んでおりますが、逆に金をつけないと持っていってもらえないといったようなことが起こっておりまして、これは廃棄物処理という観点でも大変憂慮すべき状況だというふうに認識しておるわけでございます。 このような状況の中で、古紙等の再生資源がスムーズに社会流通するようにするためには、大ざっぱに言いまして三つの観点から我々施策を講じていかなければいけないのじゃないかと思います。 一つは、やはり再生資源を利用した製品というのが消費者に好かれて、どんどんそれが買われていくというような社会体制を構築していく必要があるというのが一つであります。それから二つ目は、製紙、パルプの製造メーカーで再生資源をできるだけたくさん使ってもらう、バージンパルプにかわって再生資源をたくさん使ってもらうというふうなことを進めていく必要があるということでございます。もう一つ、三点目は、これは私ども厚生省の行政に一番近いわけでございますが、回収体制を今以上に整備していく必要があるということでございます。 この三点目の件につきましては、厚生省でもいろいろな施策を講じておるわけでございますが、例えば再生事業者に対しまして税制上の優遇措置を講ずるとか、その他再生事業者が一時古紙等を保管しておくためのスペース、これを市町村が事業者に対して保管用地を貸与するといったような支援措置、こういうふうなことを進めておるところでございます。 いずれにしましても、この問題は経済情勢と大変関係が深いわけでございまして、通産省等関係省庁と十分協力しながら施策を進めてまいりたい、かように考えております。
○委員長(細谷昭雄君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。
○委員長(細谷昭雄君) 次に、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。丹羽厚生大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま議題となりました被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 制度間調整事業は、公的年金制度の一元化が完了するまでの間の当面の措置として、厚生年金及び共済年金に関して費用負担の調整を行うためのものであり、平成二年度から実施されているところであります。 この事業につきましては、平成元年の法律制定時において、平成四年度までの間に、見直しを行うものとする旨が規定されたところであり、今回、この規定に基づいて、制度間調整事業の運営の状況等を踏まえ、見直しを行い、本改正案を提出した次第であります。 以下、この法律案の主な内容について御説明を申し上げます。 制度間調整事業におきましては、平成二年度から平成四年度までの間、政府が日本鉄道共済組合に対して交付する調整交付金について特例的に減額措置が講じられてきたところでありますが、この特例減額措置を、当分の間、継続することとしております。 これに伴い、制度間調整事業において実質的に拠出することとなる保険者の調整拠出金を特例的に減額する措置につきましても、当分の間、継続することとしております。 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。 なお、この法律の施行期日は、平成五年四月一日としております。 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(細谷昭雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十九分散会 ―――――・―――――