外務委員会 第6号
- 発言数
- 315 件
- 登壇者
- 30 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1993/05/13
会議録
○委員長(野沢太三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 去る五月四日、カンボジアにおいて、文民警察官として国際平和協力業務に従事してこられました岡山県警警視高田晴行君が凶弾に倒れ、亡くなられました。まことに痛惜哀悼のきわみでございます。 また、負傷された方々には、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。 本委員会といたしましては、御遺族に衷心よりお悔やみ申し上げるとともに、ここに高田君の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。 御起立を願います。黙祷。 〔総員起立、黙祷〕
○委員長(野沢太三君) 黙祷を終わります。御着席を願います。 ―――――――――――――
○委員長(野沢太三君) 委員の異動について御報告いたします。 去る四月二十二日、加藤紀文君が委員を辞任され、その補欠として矢野哲朗君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(野沢太三君) 気候変動に関する国際連合枠組条約の締結について承認を求めるの件、生物の多様性に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。武藤外務大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) ただいま議題となりました気候変動に関する国際連合枠組条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、平成四年五月九日にニューヨークで作成されたものであり、大気中の温室効果ガス の濃度の増加によってもたらされ、自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼすおそれのある気候変動に対処するための国際的な枠組みを定めることを内容とするものであります。 我が国がこの条約を締結することは、地球環境問題に関する国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、生物の多様性に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、平成四年六月五日にリオデジャネイロで作成されたものであり、地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全し、生物資源を持続可能であるように利用し、及び遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分することを目的とするものであります。 我が国がこの条約を締結することは、地球環境問題に関する国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。 以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願いいたします。
○委員長(野沢太三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 ―――――――――――――
○委員長(野沢太三君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とトルコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とイスラエル国との間の条約の締結について承認を求めるの件、気候変動に関する国際連合枠組条約の締結について承認を求めるの件、生物の多様性に関する条約の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題とし、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○久保田真苗君 大変重要な条約が出ておりまして、皆様御苦労になったものでございますけれども、四件一括とは大変情けないと思っております。しかし、まず私は気候変動に関する国連枠組条約について若干の御質問をしたいと思います。 この条約はUNCEDが行われる以前から大変物議を醸していた問題でございまして私どもも成り行きを注目しておりましたけれども、特に二酸化炭素の削減についての目標値を設定するという問題についていろいろとございました。私の理解では、これについては将来、議定書がつくれるということを想定してその辺で折り合ったということなのかなと思っておりますけれども、この議定書についての内容、見通しなどをまず伺いたいと思います。
○政府委員(河合正男君) この議定書の作成でございますが、現在までのところこの議定書の具体的な内容をどうするかという議論は行われておりません。 この条約、確かに第十七条におきまして、締約国会議はその通常会合において議定書を採択することができるというふうに規定しております。したがいまして、この条約の発生の後に締約国会議において、条約の実施状況等を踏まえまして議定書の作成の必要性またその内容等について検討が行われていくものと考えております。
○久保田真苗君 この二酸化炭素の排出規制の目標値設定につきましては、ECや日本が一九九〇年レベルで二〇〇〇年以降の安定化を図ることを先進国共通の目標としたいと、そういうことを言ったというふうに聞いております。 つまり日本は目標値の設定について積極的であったというふうに理解しておりますけれども、この目標値を設定する必要があるという外務省の見解をこの際もう一度確認しておきたいと思います。
○政府委員(河合正男君) 確かに先生おっしゃられましたとおり、この条約の作成過程におきまして具体的な温室効果ガスの排出抑制目標を設定すべきだという主張を日本それからEC諸国等が行いました。それに対してアメリカはこれに反対するという立場をとったわけでございます。 今後の見通しということでございますが、この条約はまだ発効いたしておりませんので、条約を早期に締結し発効させる、そこで的確に実施していくというのがまず重要であるというふうに考えております。その上で、条約の発生後に締約国会議におきまして、この条約の実施状況等を踏まえまして、議定書においてCO2の排出について一九九〇年レベルまで温室効果ガスを安定化するという先進国共通の目標を規定するかどうかということも含めまして検討が行われていくものと、このように考えております。
○久保田真苗君 行われていくものと、非常に客観的におっしゃるのですが、外務大臣にお伺いしたいと思います。 つまり日本の主張でもあった目標値の設定、それを一九九〇年レベルに抑えていくということは条約の上には実現しなかったわけでございますから、その日本の主張を踏まえて今後、議定書の中でこれを実現していくという努力がなければならないはずだと思います。 そこで、今まだ発効を待つ段階ではございますけれども、つまり一九九〇年レベルというのは既に過去のレベルなのでございますね。そのレベルをこれから維持していくためには実際問題として大変大きい努力が必要でございます。それをグローバルにやるというところに眼目があるわけでございまして、外務大臣とされましては、ぜひアメリカなどを説得していただいて議定書の実現に一日も早く取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 我が国が目標としております。その数値について今後、御指摘のとおり、他の先進国などともよく協議をしながら、やはりこれは地球環境をよくするということにおいては大変大切なことでございますのでぜひ実現の方向で我が国として努力をしてまいりたい、こう考えております。
○久保田真苗君 目標値の設定が実現しなかった背景には結局、科学的知見によるところの確実性がないからというような理由が挙げられたと伺っているのです。 ところで、この条約の三条三項のところで科学的知見の問題が出ております。これは条約では、気候変動の原因予測、防止また最小限の予防措置をとるために、もし科学的確実性が十分にないとしても、深刻なまたは回復不可能な損害、そういうおそれがある場合に科学的に確実性がないからということでもって予防措置をとることを延期してはならないということが書いてあるわけでございます。私はこれは大変に重要な条文だと思っております。 まず環境庁にお伺いしたいのは、日本では大変水俣病で長年苦しんでまいりました。この水俣病がかくも政府の排水規制というような対策がとられずまた被害者の認定それから補償措置がおくれにおくれて何十年という間、その間に犠牲者がふえたという事実があるわけでございます。そのときの理由が、科学的な知見が十分に立証できない、だから対策がとれないのだ、こういうことであったわけでございます。そういたしますと、これは気象変動の問題ですけれども趣旨は同じでございまして、実害が顕著である場合にはそういった科学的知見の確実性にかかわらず対策はとるべきなのだという、そこに一歩進んでいるのです。 ところで今度、環境基本法をお出しになっていますけれども、まだこれがどういうふうになるかわかりませんが、この環境基本法の中にこの条約のこの条文を受けて立つところの条文があるのでしょうか。御説明いただきたい。
○説明員(西尾哲茂君) 今、先生、水俣病の苦い経験という御指摘がございました。環境行政は、言うまでもなく、予見的、予防的に対策を講じて重大なそして取り返しのつかないような結果を生じないようにということを基本とすべきものであ ろうと思っております。そのためにも科学的な知見の充実をやっていくことは重要でありますけれども、他方、環境問題、確かに自然の微妙な生態系のバランスの中で複雑なメカニズムを扱っておるあるいは非常に長期にわたって低濃度の問題を扱っておるということで多かれ少なかれ不確実な要素がつきまとうわけでございます。 その不確実性を理由に対策をおくらせてはならないということを今、先生御指摘の気候変動枠組条約にも規定されておりますし、より一般的には昨年のリオ宣言の原則の十五にもうたわれているところでございまして、これを踏まえまして基本法のあり方につきましての答申におきましても、「不確実性を減ずるような科学的知見の充実を図りつつ、予見的アプローチをも用い、環境に深刻又は不可逆的な影響を及ぼさないよう積極的な施策を講じることが重要」と指摘されておるところでございます。 基本法におきましては、その趣旨を踏まえまして第四条の基本理念のところにおきまして、「科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨」としなければいかぬ、未然に防止をするということを規定しておるところでございまして、これは御指摘のような予防的なアプローチ、予防的な方策ということの考え方を位置づけたものというふうに考えておるところでございます。
○久保田真苗君 私、随分ひねくれた読み方をするのかもしれませんけれども、これが同一のものだとはどうも思えないのです。 念のためにもう一回言いますと、条約の方は「深刻な又は回復不可能な損害のおそれがある場合には、科学的な確実性が十分にないことをもって、このような予防措置をとることを延期する理由とすべきではない」と、こう言っているのです。環境基本法の四条の方は「科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれることを旨として、行われなければならない」、こう言っているのです。つまり片っ方は科学的な確実性がない場合も実害がある場合は対策必要ですよと、こう言っているわけです、予防措置が。こちらの基本法の方は「科学的知見の充実の下に」、だからそういうものを充実させて未然に防がれるようにするのだ、こういうことなのです。 そういたしますと条約の方が明らかに、ということは科学的知見というのは一〇〇%完全だなどということはないのです、日進月歩ですから。一〇〇%確実だというようなことはあり得ないことでございますよ。そこのところを十分に理解したものだと私は思うのです。でも、この環境基本法の方では科学的知見をまず充実させるというふうに読めます。 そうしますと水俣のときの態度、対応と余り変わっていないのじゃないかと私は思いますけれども、もしそうでないのならはっきりとこの条文を受けて確実性が十分でない場合も予防措置をとる、そういう答弁をしていただきたいのです。さもなければこれどうして批准するのですか。
○説明員(西尾哲茂君) お答えします。 先生御指摘のところでございますが、科学的知見の充実というのはすべての事柄が完全に明らかにされるという意味ではございません。したがいまして、気候変動枠組条約に至る過程におきましてもやはりそれはそれなりにIPCC、気候変動に関する政府間パネルで世界じゅうの知見を集めて議論をいたしました。どこまでが確実なこと、どこからが不確実なことというようなことを議論をし、その上に立って政策判断をしていくという態度をとったわけでございます。 私ども、この四条の「科学的知見の充実の下に環境の保全上の支障が未然に防がれる」という意味はそのような意味において規定したものでございまして、御指摘のとおり、この規定の意味といたしましては環境に深刻または不可逆な支障を及ぼすことのないようにと、それは科学的な不確実性ということをもってその対策を遅滞するということではなくて、科学的な知見の収集を進めながらも未然の防止ということで予見的なアプローチをやっていくという考えてこの基本法のもとにおいて進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
○久保田真苗君 環境庁は今まで科学的知見が十分でないということを隠れみのにしてきたと私は見ているのです。ですから今しつこく伺うのですけれども、それでは科学的な確実性が十分でない、それを理由として予防措置をとることを延期するということはないのですね。どうなのですか。ないのですね、そういうことは。
○説明員(西尾哲茂君) 御指摘のように、まず環境行政は、あるいは環境対策を講じていくに当たりましては、もちろんそのメカニズムを解明しなければいけませんし、それから効果的な対策を打つためには科学的な知見を充実しなければなりません。しかしながら、先ほど申し上げましたように、いずれにしても何らかの不確実性という問題はつきまどうものでございますので、それらが完全にできるまでは手をつかねていて対策を打たないというような態度で臨むということはないというふうにお答えいたしたいと思います。
○久保田真苗君 外務省、外務大臣にも伺っておきたいのですけれども、この条約の批准そのものについては外務省に御責任がございます。その場合、今、私が指摘しました国内法との関連で何ら矛盾はないと、この条約を満たすものだということをお認めになった上で国会の承認を求めていらっしゃるわけでございますね。確実に御答弁いただきたいのです。
○政府委員(河合正男君) この条約は、久保田先生御理解いただいているかと思いますが、旧今、環境基本法の御質問がございましたが、いわば基本法でございましてそのために枠組条約ということになっているわけでございます。 枠組条約といいますのは一般的な義務を規定するにとどまっておりまして、その履行に当たっての具体的な国内措置は各国にゆだねる、このような形となっております。したがいまして、この義務の履行につきましては関係省庁の権限の範囲内で実施することが可能である、このように考えております。したがいまして、現行の法制がこの条約実施の上で矛盾するものになる、この条約との関係で矛盾するものになるということにはならないものと解釈しております。
○久保田真苗君 今申し上げているのは第三条の「原則」というところなのですよ。これ自体が原則であり指針であるのです。でも、原則である限りはこの原則を満たしているような、そういった考え方そのものが違ったのでは私は批准は無理だと思いますよ。具体的な措置が各省あるいは各国に任されるというのはわかります。だけれども、考え方そのものが違っているのだとすればそれは問題だと思うのです。 それで私、大臣に御答弁いただきたいのですが、国内法とこの条約の原則との間には乖離がなく、そしてつまりそごがない、そういう御答弁がおできになるのでしょうか。
○政府委員(小池寛治君) 条約の解釈の問題でございますので私から御答弁いたします。 久保田先生の御指摘のとおり、先生が御指摘になった科学的な確実性の十分でないことを理由に予防措置をとることを延期する理由とすべきではないというのは第三条「原則」の中の第三項に規定されております。それは気候変動の原因を予測しあるいは防止し、その予防措置をとるための一環として規定されております。 その第三条「原則」の頭書きには次のとおり規定されております。読みますと、「締約国は、この条約の目的を達成し及びこの条約を実施するための措置をとるに当たり、特に、次に掲げるところを指針とする」ということで、この第三条「原則」の規定は締約国が条約の目的を達成し実施するための措置をとるに当たって指針とすべきところを掲げたものでございまして、締約国の義務を定めたものではなく、締約国が本条約に基づいて措置をとる際に留意すべき一般的原則を列挙しているものの一環でございます。すなわち、これは長い交渉の経緯を経まして法的拘束力を持たない 規定として条約本文中ここ第三条に置かれたという経緯がございます。 したがいまして我が国は、この条約を批准するに当たりまして第三条「原則」に規定されましたこの一般的な原則、指針というものを踏まえて国内法との整合性というものについて十分検討した上でこの条約の締結について批准を求めたものでございます。
○久保田真苗君 だから整合性はあるとごらんになるのですか、ないとごらんになるのですか。今おっしゃったのは非常にあいまいでわかりにくいのです。
○政府委員(小池寛治君) この条約と現行国内法との間に完全に整合性がございます。
○久保田真苗君 では大臣も、そういう意味で国会の承認をお出しになっているのだと思いますけれども、それでよろしいわけですね。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今、政府委員が答弁した方向でいいと私も思っております。
○久保田真苗君 では次に行きます。 少し飛ばしまして、GEF、環境基金でございますか、環境基金に供与する義務的経費の問題なのですけれども、このあたりの進捗状況について実態を御説明いただきたいのです。
○政府委員(河合正男君) GEF、地球環境基金につきましては、この条約におきまして開発途上国に対する資金供与の暫定的な機関とするということが定められております。 この条約に基づいてGEFの基金をどのように使っていくのかということにつきましては、条約の発効後、締約国会議におきまして審議していくということになっておりますので、発効前の現段階におきまして具体的な構想というものはまだまとまっていない状況でございます。
○久保田真苗君 GEFに日本はどのくらい拠出しているわけですか。
○政府委員(河合正男君) GEFはこの条約と関係なく既に存在しておりますが、日本からは三千四百万ドルの拠出を行っております。
○久保田真苗君 実は、UNCEDのころに非常に日本がリーダーシップを持って、こうした財政的措置についても期待が大きかった。わけですね。アジェンダ21というのがございますけれども、ここで年間千二百五十億ドルですか、それだけ必要だという数字も出ていたと思いますけれども、間違いないでしょうか。
○政府委員(河合正男君) アジェンダ21にそのような数字が出ているのは事実でございます。
○久保田真苗君 日本でも賢人会議で竹下元首相などがリーダーシップを持っておやりになるということになっていたのですが、何かその後どうもちょっと影が薄い感じがいたしますけれども、どうなっておりますか。
○政府委員(河合正男君) この資金面の協力につきましては、昨年のUNCEDにおきまして宮澤総理より、先生も御案内のとおり、一九九二年から五年間で九千億から一兆円の環境分野でのODAを使って協力をするというコミットメントをしております。これはUNCEDでの資金面の声明としては最大のものだということで高い評価を受けたものでございます。
○久保田真苗君 確かにこのアジェンダ21の千二百五十億ドルといったような金額、これは今、DAC総額、ODAでもって五百八十三億ドルですから倍以上ということになって大変な金額なのですけれども、環境問題を本当にやっていくためには確かに相当なお金が要るし、GEFの金額は今のところ比較的少ないのですが、既存のODAを使っても資金供与ができるわけですね。 これについて、外務大臣はODAの使い方について何か御所信がおありでしたら伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(川上隆朗君) 先生御案内のとおり、環境分野でのODAについては今、河合参事官からもお話がありましたが、UNCEDでも非常に積極的に日本はこの分野でODAを使って支援するという基本方針を打ち出しておりますし、昨年の政府開発援助大綱におきましても環境と開発というものをその理念あるいは原則できちっと位置づけているということでございます。 したがいまして、我々が有しておりますODAのいろいろなスキームを通じまして環境分野を重点として今後、援助を拡充してまいりたいという基本姿勢でございます。
○久保田真苗君 もう一つ気になることがございます。それは環境税の問題なのです。これはややもしますと広く薄く消費税のような形の税をこうした環境問題に使うために取っていくのだという議論があるのですね。 今、気象変動に関する枠組条約をやっているのですけれども、こうした二酸化炭素の規制といったような問題につきましては政策的な意味からいっても原因者負担という原則、これは環境基本法の中にもその原則は出ていると思いますけれども、さらに重要なことはそういった負担は原因者負担の原則の方を重視すべきだということではないかと、私個人の考えですけれども、そう思っているのです。 この点について、環境庁、外務省、そして最後に外務大臣の全体的な所信をこの問題を含めて伺って、この条約の問題を終わりたいと思います。
○説明員(西尾哲茂君) 今、環境税、炭素税ということがございました。環境税、炭素税といったような経済手法は、広く環境保全のための自主的な取り組みを促す、その場合に市場のメカニズムを生かしていくという点で長所があると言われておるわけでございまして、既に先進各国においても導入例がふえてきておるわけでございます。 特に温暖化の問題のように非常に幅広い経済社会活動に原因するような複雑な環境問題への対処としてはその有用性が期待されるものというふうに認識しているところでございまして、北欧におきましても炭素税は導入をされておりますし、ECの提案もございます。また先般、米国におきましても環境への負荷を減らすということを加味したエネルギー税の提案がなされたというようなことでございます。 具体的な設計内容、どのような形でそういうものを考えていくかにつきましてはその効果や影響等に対する調査研究を大いに行っていかなければならないことでございますし、また国民的な合意という議論も大いに行っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。 今後とも、そういう経済手法の有効性ということを念頭に置きました上で内外の研究成果や政策の実例などを参考に検討してまいりたいというのが環境庁の立場でございます。
○久保田真苗君 大臣、広く薄く消費税的なものでやるといったらばこれは何ら政策的な意味がない。私どももうこれ以上そういった国民全体に負担を押し広げるというようなことには反対せざるを得ないのですが、大臣の御所見をお願いいたします。
○国務大臣(武藤嘉文君) この環境税につきましては、まだ国際的にも国内的にもいろいろの意見があることは御承知のとおりだと思います。 今のお話は、いわゆる薄く広くというのじゃなくてCO2を排出する原因になっているところから取るべきだという御指摘かと思うのでございますが、これに対しては逆に産油国その他を初め相当な反対が強いことも事実、御承知のとおりでございます。この環境税については、もう少しこれは国際的にも国内的にも議論を詰めていくべき問題ではなかろうか。 ただ、何らかの形で環境対策をやっていく財源を確保するということはこれは大変必要なことでございますからその方向は当然でございますけれども、その財源をどういう形で確保するかというのはもう少しいろいろと内外でそれぞれ検討していくのを踏まえながら決めていくべきものでありまして、現時点でどういう形で決めるべきだというのは少し早いのではないかなと私は思っております。
○久保田真苗君 消費税的なものにするということは筋違いであるということだけ申し上げておき たいと思います。 次に、PKOの問題です。今、非常に問題が大きくなっております。きょうから衆参両院の本会議でもってこの問題が審議されることになっておりますが、私も若干の気になる事実関係について主に伺いたい、こう思っているのです。 初めはモザンビークなのです。モザンビークにつきましては、まず、モザンビーク政府と国連との間の地位協定はまだ結ばれていないと聞いたのですが、それは事実でしょうか。
○政府委員(澁谷治彦君) 目下まだ結ばれておりません。
○久保田真苗君 モザンビークでも選挙が実施される予定だと伺いますが、その実施時期はいつごろに定められているのでしょうか。
○説明員(野上義二君) 昨年の十月にモザンビーク政府とモザンビーク民族抵抗運動、通称RENAMOといっておりますが、との間で調印されました包括和平協定、その第三議定書に、和平プロセスの最終段階として協定署名後一年以内に総選挙及び大統領選挙を実施することが規定されております。 したがいまして、本年の十月が大体この一年以内ということに当たります。しかしながら、いろいろな手続、PKOの展開がおくれておりまして実際のところは来年の雨季明け、六月、七月ぐらいになるかと思いますけれども、来年の雨季明けごろが実施される時期であろうかと思っております。
○久保田真苗君 地位協定も結んでいないところ。大臣、私、抗議せざるを得ないのです。地位協定も結んでいない。 つまりモザンビークと国連の間の協定ですよ。それは相手国がどんな条件で国連からの派遣を受け入れるかというその基礎になるものですね。その地位協定が結ばれていないということは明示的に受け入れ国の同意がないということになるのじゃないのですか。そういうところへ軍隊を派遣していくなんてもってのほかじゃないでしょうか。これは考えようによっては侵略になりかねないのじゃないかと思うのですけれども、御見解はいかがでしょうか。
○政府委員(澁谷治彦君) モザンビークと国連との間では目下折衝が行われております。おくれた理由は定かではございませんけれども、モザンビーク政府内の協議、手続がおくれているというぐあいに承知いたしております。
○久保田真苗君 地位協定もまだできていない。そうしますと派遣する国というのは一体どういうことになるのですか。国連との間の地位協定もないのにそこへ自国の自衛官なり文民なりなんなりを派遣していくということは、一体その人たちの安全とかその人たちが行う任務についての保障というのはどういうことになるのでしょうか。それを結びつつある、まだ結ばれていないというようなときに何で急ぐ理由があるのでしょうか。
○政府委員(澁谷治彦君) これは基本的には受け入れ国の合意があればPKO要員は派遣されるということでございます。UNTACの場合にもUNTACが成立した後に地位協定は正式に締結されております。 通常、国連ではこの地位協定に関してはモデル地位協定を持っておりますので、大体それに沿った処理が協定がない期間においては行われるということになると思います。
○久保田真苗君 でも、どういう条件で日本の派遣員が受け入れられるのかというその証拠もないわけです。そんな状態の中で派遣を決めていただいたら本当に困るわけですね。 特に私どもは、憲法の問題もございますし、人一倍注目をして十分にこれを吟味する立場にあるわけでございまして、なぜ地位協定が結ばれていないのに自衛隊を出すのか、大臣、お答えいただきたいのです。しかも、選挙はことしもできないで来年になるだろうと。選挙も一年後にしか行われないのに何をそんな緊急に自衛隊を出していく必要があったのか。こんなあやふやなことで軍隊を出すなんてことはもってのほかだと思うのですよ。大臣のお答えをいただきたいのです。局長のおっしゃることはもうわかりました。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今、局長からの説明にありますように、モザンビーク自身は受け入れを合意しているわけでありまして、モザンビークの国内の手続がおくれているというふうに私は承知をいたしております。 そういう中でありますから、これは何も日本だけが出しているわけではなくて各国が国連の要請に基づいて出しているわけでございますから、その辺は私は国内的な手続の問題だというふうに判断をいたしております。
○久保田真苗君 私は、国内的な問題だといって看過するわけにいかないと思うのです。これは国際協力でございましてたくさんの国がかかわることなのです。はっきりした協定も結ばないで、それは日本は派遣する場合にノートバーバルでやっていますよ、国連との間に。だけれども、これは受け入れ国の問題ですから、受け入れ国の領土をどれだけ武装した兵隊が歩いていいのかあるいは赤いちゃいけないのか、どんな施設をそこにつくれるのか、また交通や通信を引けるのか、発電の設備はできるのか、そういった一切のことがこれに係るべきものなのです。 私は今後、少なくとも日本は地位協定も結ばれていないところへ要員を派遣するなどということは絶対にやめていただきたい。そして、受け入れ国の地位協定というものを国会の前にさらしていただきたい。このことをお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今もお答えいたしましたように、モザンビークという国はもう受け入れに同意をしているわけでありまして、ですから国連が各国に対してモザンビークの平和維持のために要請をした、こういうことであり、それを受けて各国がそれぞれ派遣を決めたわけでありまして、問題はモザンビークの手続的なおくれと、こういうふうに私は判断をいたしておるわけであります。
○久保田真苗君 これは手続問題じゃないのです。いずれにしても、PKOが出るところは紛争地だったのですよ。当事者が争っていたところなのです。紛争地で武力闘争も行われていたという過去があるわけですね。その当事者間の合意とかそういった受け入れとか、それからいろいろな国が出していく場合のその間の共通の認識というものははっきりすべきだと思うのです。 大体、近ごろ国連は非常にこういう手続がおろそかだと思うのです。私は、外務省はこういった問題をきちんと申し入れていただきたいし、それまで、少なくともそれまで、要員の派遣などということは見合わせていただきたいと思うのです。
○政府委員(澁谷治彦君) モザンビークに関して申し上げますと、反対派も停戦合意に基づく武装解除につきましては国連のPKOが早く展開してくれないと武装解除に応じることはできない、早く展開してくれということをしきりに申しておりましたこともありまして、我が方の要員を派遣しても問題はないというぐあいに判断した次第でございます。 もちろん手続面については今後、国連に整合性を整えるよう申し入れます。
○久保田真苗君 済みませんが、反省していただきたいのです、この点は。 次に行きます。カンボジアです。 これはUNTACが三派の武装解除をしたところの武器を一部返すことを考えたけれども、国連本部がそれを拒否したと私は聞くのですが、その事実関係について御説明ください。
○政府委員(澁谷治彦君) 現在はまだ決定が下されていないという状況でございます。 三派のうちラナリット派だけが書面でそういった要請を出しております。そのほかの二派に対してもUNTACの方ではもしそういう要望があるのであれば書面によって要望を出すべしということを言い渡しておりますが、他の二派はいまだそういった書面を出しておりません。もしこの三派の書面がそろえば、UNTACとしてはこれをど うするかにつきまして意見を付して国連本部つまり事務総長の判断を仰ぐということになると思います。
○久保田真苗君 事務総長は既に武器は返さないという判断をなさったのじゃないのですか。
○政府委員(澁谷治彦君) 手続的に申し上げますと、まだUNTACからそういう書類が提出されていないということで、まだ判断は下されていないということでございます。
○久保田真苗君 外務大臣はこのことについてどうお考えですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) これは私は、確かに非常に不安定な地域が出てまいりますといわゆるポル・ポト派からの攻撃を防ぐためということもあってそのような要望が出たとは思いますけれども、そしてそれに対してUNTACもある程度理解をしたのかしていないのかよくわかりませんが、ある程度の理解をしたというような情報も得ておりますが、これは正確な情報ではございません。 しかし、私の考え方としては、パリ協定で武装解除をしてそして平和な国家を築き上げる、そういう和平プロセスをせっかく決めたにもかかわらず、それが逆に武器を戻すということは武装解除はまたなくなっちゃうわけでございますから、今後のことを考えればそれこそ内戦につながりかねないようなことは防ぐべきだという考え方で、そのような武器を返還するということは好ましいことではないというふうに私は思っており、できるだけそういう方向で努力をしたいと思っておるわけであります。
○久保田真苗君 停戦監視員ですけれども、停戦監視員をUNTACが選挙監視に使うということを日本にも要請してきたと聞きます。それはお断りになったというふうに報道されていますけれども、事実はどうなのでしょうか。
○説明員(川口雄君) 先生御指摘のとおり、本年四月の末でございますけれども、国連はカンボジアでの選挙要員が不足するということにかんがみまして停戦監視要員、軍事要員を暫定的に選挙要員として活用したいと、そういった旨を関係各国に打診いたしました。この一環といたしまして日本に対しても、日本の停戦監視要員を選挙要員として活用できないかという打診がございました。 日本といたしましてはその当時、近々選挙要員を派遣するということが決定していたと、そんな事情もございましてこの要請については応じておりません。
○久保田真苗君 これも軍人を軍服を脱がせて私服を着せて選挙監視要員に出すというような、そういう体制にあること自体が問題だということだけ指摘しておきたいと思うのです。 それからもう一つ事実関係を伺いたいのは、中田さんです。大変お気の毒なことでございましたけれども、このUNボランティアの中田さんはローカルスタッフの採用でトラブルがあったとも聞きますね。私が今、問題にしたいのは、ローカルスタッフであっても選挙監視のための採用とか配置とかということは、これはボランティアにはボランティアの一つの性格があるわけなのですけれども、こういう仕事をUNTACはボランティアの人にやらせているのでしょうか。また、やらせるということが条件になっているのでしょうか。その辺お聞かせください。
○政府委員(澁谷治彦君) 選挙監視につきましては補助要員としてボランティアに働いてもらっております。基本的には、UNVとUNTACとの間で大枠の合意をつくりましてそれに基づいてボランティアを出しているということでございます。
○久保田真苗君 そのUNVとUNTACの間の契約というようなことはあるのでしょうけれども、私はUNTACつまりPKOがこういったローカルスタッフの採用、配置までボランティアに頼らなきゃならないというこの体制そのものがそもそも問題だと思う。報酬を幾らにするとかその人はどこのあれにつけるとか、こんなそもそも国連の正規の職員がやるべきことをボランティアがやっていたというその大きい背景があるのじゃないかということ、私はそれを非常に懸念するものでございますので一応指摘させていただきます。 それで、時間の関係で最後の質問です。 あと十日で選挙になるのですけれども、どうも全土での全派参加の選挙はもう到底不可能になりました。八五%の地域でできるであろうというのもどうも甘いのじゃないか。そして、きょうあたりの報道によりますと、もうタケオの近く、プノンペンの西、コンポンスプー州などにこういう不穏な何というのですか、ポト派の軍が来ていると。そして何よりも心配なのは、中部のオラル部投票所の設置をUNTACが断念することを決定したというのです。そうしますと、結構これは心臓部の首都に近いところでUNTACが投票所を断念せざるを得ないという、そういう状況だと。 これらを見ますと、私、日本政府が今までこのカンボジア問題の解決に非常に力を尽くされたことは多とするのですけれども、状況は変わってきて、今やあと十日だからといって日本政府が今までやってきたことをむきになってやるというところに非常に危険があると思うのですね。こういう状況を踏まえますと、確かにお二人の方の犠牲、これは私ども国民にとって大変な衝撃でございました。しかし、事はそれだけで済んでいるかという問題が次にあると思うのです。 特にカンボジアの有権者、投票者の問題なのです。ここで大量の流血事故でもありましたら、もう本当にこのPKOというのは惨たんたるものになると思うのです。政府は選挙をぜひ実施したいと。私、選挙でカンボジア人の主権が確立されるということは基本としては非常に大事なことだと思うのです。しかし、それはいかなる犠牲を払ってでもということにはなかなかなりにくいと思うのですよ。カンボジア人の犠牲が出ないというようなそういう確信を日本の政府は持って事を進めていらっしゃるのかどうか、その辺を伺いたいのです。 どうなるのでしょう。大丈夫なのでしょうか、本当に。文民警察や選挙監視員の危険を心配するのもさることながら、そのときには投票者はみんな危険にさらされると、そういう事態になってやしないかということを私は懸念するものなのです。 これについて、ですからもう言ってしまいますけれども、それならばもうパリ協定の枠組みが大きく変わってきてしまっているわけですから、パリ協定の参加国が集まって、日本政府だけが突出するので青くてパリ協定の参加国でこれは協議してどうするかということをやるべき段階に立ち至っているのじゃないかと思いますけれども、その辺について特に外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(澁谷治彦君) もちろん、安全確保の対策につきましては、一〇〇%の措置ということは考えられませんけれども、UNTACは全力を挙げて選挙のための安全対策に努力をいたしております。これは三派間の合意それからUNTAC自身の措置、例えば投票所の削減等の措置によって安全を確保しているということでございます。 それから主要国につきましては、私どももいろいろ意見交換をしておりますけれども、UNTACの措置を信頼するというのが各国の一般的な態度でございます。
○久保田真苗君 大臣、私は本当に無事に選挙ができればいいと思っていますのでも、流血の惨事を方々で巻き起こすようなことがあったら、それと引きかえにならないような後々の後遺症が残るかもしれない。大臣はこの点について確信を持っておいでになるのでしょうか。私はもう本当に心配なのです。
○国務大臣(武藤嘉文君) 正直、治安状況が悪化してきていることはこれは否めない事実だと思います。しかし私は、カンボジアの国民の大多数は、やはり一日も早く十三年も続いた内戦から脱却をしてそして平和な民主的な国家になりたい、こういう強い気持ちを持っていることは疑いのな い事実だと思うのです。 そういうことからUNTACもそのようなパリ和平協定に基づいていろいろの和平プロセスを進めてきたわけでありまして、今度の制憲議会の選挙というのは一つの大変重要な過程だと私は思っております。それが実現されることが引き続いて制憲議会ができ、そしてそれによって憲法が制定され新しい民主的な政府ができ上がっていく、こういうことだと思いますので、ぜひともこれは実施をしていかなければならないと思っております。 そのためにしかし、今申し上げましたように、治安が悪くなっていることは事実でございますので、私どもとしては日本としてできる範囲の外交努力はやっておるつもりでございまして、先日、北京に今川大使そして池田局長を派遣して、シアヌーク殿下にももう少しイニシアチブをとってもらいたいということを要請したこともその一つのあらわれでございますし、あるいは北京にいるポル・ポト派の代表にも会って、できるだけひとつその辺のところを十分理解をして余り過激なことをしないようにということをこちらから要望したことも事実でございますし、また私の方からそれぞれ、私だけではございませんけれども、各派の代表に対して、とにかくこの選挙をできるだけ平和なうちに行えるように努力をしてもらいたいという要請を今、親書を出してしておるところであります。
○黒柳明君 カンボジア問題です。 きょうの外務委員会から、補正が十四日かに衆議院で行われるのじゃないでしょうか、その補正終わるまでやっぱりPKO一色になると思うのですよ。政治改革も一応、裏での折衝になりますし、景気対策もさることながら。 昨年、私たちは五原則を作成することを含めて相当私たちなりに国際貢献に力を入れなきゃならない、こういう意欲を現実的に結果として反映した。ただ、法律ができれば私たちはしよせん野党ですから運用する立場にありません。これは政府・自民党が運用する立場であります。 ただ、先週までは私たちは一応政府の立場を見守る姿勢をとってまいりました。大きくはパリ和平協定、停戦合意も崩れていない、そういう政府の見解を見守っていこうと。ところが、閣内からいろいろな意見が出てくる。法務大臣、自治大臣あるいは郵政大臣、あるいは自民党の中、総務会も真っ二つに割れた。こんなことになりますし、しかも文民警察のこともありますし、現地からはいろいろ問題がマスコミを通じて報道されておる。私たちも運用の仕方まで責任持って、それで自民党と、宮澤政権と心中する必要はない。もう正直に言うことは言わなきゃならない。民社党さんは、御存じのように、五原則見直せということもおっしゃっていますし、見直し規定というものもちゃんと入っているわけです。 そこで、私たちはもうちょっとはっきり物を言った方がいいのじゃないかという立場できょうから我が党は、補正予算も当然行われるでありましょう、また終わるまで論議を展開していきたい、こう思っているのですけれども、きのうも総理が臨時の記者会見をやりました。もう言うまでもなく、停戦合意は守られている、その条件としては、全面攻撃はない、この前は欠席したけれどもSNCの枠にも入っている、それからポル・ポトみずから破棄を言っていない、こんなことなのですが、河野官房長官も朝晩の記者会見で最近は同じようなことを二回か三回言っております。 外務大臣はそのことをはっきりまだ、きのう外務委員会が衆議院でありましたので、それはまだ聞いておりませんが、衆議院ではきちっとおっしゃったのかと思いますが、改めてひとつ合意が守られているという理由を大臣の口からもう一回はっきり言っていただけませんか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私も、同じような答弁になるかと思うのでございますが、やはり局地的な何というか違反行為が行われている回数が多くなってきていることは間違いのない事実で、先ほど申し上げましたが、治安が乱れてきていることも事実だと思います。 しかしながら、全面的な戦争になっているわけではございませんし、またポル・ポト派自体も、SNCからは脱退をしない、パリ和平協定は遵守する、こういうことを言っておるわけでもございますので、私どもとしては、現在の時点ではパリ和平協定の基本的な枠組みは崩されていない、こういう観点に現在立っているわけでございます。
○黒柳明君 きのうも総理大臣は、当初期待した以上のことが起こっている、それから悪化しているという発言、今も大臣は同じような答弁をしました。ほかのある党あるいは国民の相当数は、もう破られている、停戦合意はない、だから撤退しようと、日本のPKOは。あるいは業務一時休止、中断せよと。私どもはそこまでは余り極論をしたくない。政府の姿勢を見守りたい。もうちょっと見守りたい。 ただ、要するに総理大臣のきのうの、当初の期待より、この期待という言葉はおかしいと思うのですよ。何を期待しているのかわかりません。当初の考えよりもちょっと逸脱した、まあ悪化しているということでしょうね、事態は非常に憂慮すべきだ、こういうことだと思います。それと、私たちが言う一部合意が崩れているのじゃなかろうか、あるいはもっと言うと崩れつつあるのじゃなかろうか、あるいはもうちょっとやわらかく言うとそういう懸念があるのじゃないか、危惧があるのじゃないか。それと同意義じゃないでしょうか。同じことじゃないでしょうか。どうでしょう。
○国務大臣(武藤嘉文君) 北京で今川大使と池田局長がシアヌーク殿下に会って、イニシアチブをもっととっていただくようにという要請をいたしましたときに、幸いたまたまポル・ポト派の北京にいる代表とも会うことができました。そういう点でポル・ポト派にも自制を求めたわけでございますが、ポル・ポト派の方はポル・ポト派の方としてその辺は自分の方はそういうむちゃくちゃなことをやるというようなことはないという、彼らは彼らの一つの何というか、論拠があるようでございます。 いずれにしても、そういうことで私は停戦の合意はまだ今のところ破られてはいないというふうに判断をいたしております。
○黒柳明君 破られていない、ただ破られつつある、その懸念がある、危惧があるというのはどうでしょう。破られつつある、破られる危惧がある、こういう表現はどうでしょう。
○国務大臣(武藤嘉文君) 現時点では私は停戦の枠組みは守られておると、こういうふうに判断をしております。
○黒柳明君 今、局長が、公明党にのっかっちゃだめだなんというようなことをささやいたのじゃないですか。 要するに危惧もないですね。停戦が破られつつあるという判断はないですね。あるいは破られる可能性がある、危惧があるという判断も今現在はないですね。
○国務大臣(武藤嘉文君) 停戦の合意が今後とも守られるように、私ども外交ルートで努力をいたしておるわけでございます。
○黒柳明君 そんなことはもうわかっていますよ。私たちもだからそれを前提にして政府の姿勢、現場を見守る、この大枠は崩れていないのですよ。ただし停戦合意が、政府だって今も言った、同じことだから、時間がありませんから、悪化しつつあるというのでしょう。それから現にもうことしに入って何件ですか、四十八件、それからUNTAC関係の死者が十五名、あるいは八州、もう二十一のうちに半分ぐらいにわたって事故があるわけでしょう。これはもう悪化していないというのはおかしいのですよ。また、これは局部的と言えるかどうか。 逆にそれじゃ全面攻撃というのはどういう定義がありますか。大臣、全面的に攻撃がないからと、こういうことですね。だから破られていないのだ、合意がまだ守られていると。それじゃ全面ということはどういう定義があるのですか、定義 を言ってください。
○国務大臣(武藤嘉文君) 定義になったら局長の方から答弁していただいた方が正確かと思うのですけれども、私は、全面戦争というのは国内全体でそのような形が戦争の状態になってくるというのがやっぱり全面戦争だと思っております。
○黒柳明君 国内全体というのは、二十一の州があるのです、その二十一の州で全部。そうすると二十一カ所で一時に蜂起するということですか。あるいは二十一カ所、きょう一州、あした一州、二十一日かけて一回ずつか。その点もう一度ちょっと言ってくださいよ。全面的、全部というのはどういうことですか。
○政府委員(丹波實君) これは法律第三条の一号にございますけれども、「武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意」、これが存在しているかどうかということをいかに判断するかというのが黒柳先生の御質問と思いますけれども、これを地理的に例えば三〇%であれば云々、六〇%なら云々という議論はなかなか難しいことは先生御理解いただけると思うのです。 全体としてそういう停戦の合意が崩れたかどうかという判断は、戦闘の態様あるいは当事者がこの合意に対してどういう態度をとるかというようなそういういろいろな全般の状況から判断する問題でございまして地理的に何割というようなことが難しいことはこれはもう先生御理解いただけるのではないか、こういうふうに考えております。
○黒柳明君 局長、国際的なPKOに対する認識、政治的な判断、それと国内的な日本の、これはもう天地雲泥の差があるのですよ。人の命はもう地球より重いのだ、日本の人はやっぱりそれの方が優先なのですよ。だから国際貢献は当然やらなきゃならないという人も、岡山県を除いてはもうこの次は出しちゃいけない、犠牲者はとんでもない話だ、こういうことに傾いている。大体一対五じゃないですか、マスコミの世論調査ですと。だからそれを今時点に踏まえなきゃならないと思う。 PKOをつくった、出した、国際貢献やるのだ、これはこれでいいのですよ。ただし、日本の政党、日本の国の行政は自民党ですから、政府ですから、国民の意思というものも無視はできません。迎合しろとは言いませんよ。ですけれども、今現在はやっぱり命はと、こういうものが優先なのですよ。 ですから今おっしゃったこと、非常に漠然としていますね。要するに数字ではあらわせない、何かそのときの態様なのだ、両者間の姿勢なのだと言ったって全くそれはだれが判断するのか。だれが判断しますか。現にUNTACと日本と文民の対応だったって安全のやり方だったって若干食い違いがあるでしょう。認識の食い違いがあるでしょう。であるのに、合意が守られたか破られたか全く漠然としたこと。全面戦争が起こらないから、攻撃が起こらないから合意は守られているのだ。それに対して局長の判断は非常にあいまいじゃないですか。 そのあいまいなものを判断するのはやっぱり国連ですかな。国連が判断したときに日本もイエスと、こう言わざるを得ないのですかな。
○政府委員(丹波實君) これは先ほど大臣からも申し上げたところですけれども、問題になっておるポル・ポト派もパリ和平協定は遵守すると、SNCにもたまたま北京には出席しませんでしたけれども依然として入っているのだということを言っておるような状況、それから国連の当事者も現在のところその和平協定が崩れたという判断はしておりませんし、カンボジア保のPKO活動に軍を派遣しておる各国もそういう判断はいたしておりませんし、それから全般的な戦闘の態様、そういう全体の状況を勘案して判断するということが従来から私たちが御説明申し上げてきたところでございます。
○黒柳明君 だからその全体のというのが問題なのです。前段についてはもう河野官房長官が言い、きのう総理が言っているところです。しかし、今言ったように、政治家は要するに現状を見て判断して、そしてそれにこだわっていない発言をどんどんしていくべきじゃないですか、これから質問しますけれども、法務大臣にしたって防衛庁長官にしたって。だからもうこれは政治判断がある程度優先しないと。 官房長官はもうあれほど我々都の西北と、何も都の西北を出す必要ないのですけれどもツーカーで、ハト派の人がもう硬直しているのです。記者会見でも硬直している。その裏にだれがいるかというと、もうそこらあたりにいるのじゃないですか、眼鏡かけた人。かけない人もいるのかな。何かもう後ろでぎゅっと手綱を引いているのですよ。だからあれだけハト派の人が、要するに現状を踏まえてもう形式的、実質的に合意は守られていますと。形式的はいいけれども実質的なんと言ったらおかしいぞと言うと、いやいやなんというようなことで、非常に何かもう今回に限っては硬直。 これはしょうがないのでしょう。だけれども、私たち公明党はいつまでもしょうがないというわけにいきませんよ。もうある時点においては国民の世論、支持者の意向というものを無視するわけにいきませんよ。この次に起こったら、もう起こったらこれは爆発です。起こらないまでもそんな硬直した、失礼だけれども役人の答弁を繰り返していたら。 全面というのはもう非常にあいまいだということはわかりました。それでは、全面ということが全く何だかわからない中でポル・ポトの意図というのは、大臣、政治家の話をしましょう、問題あったらこっちへ行くから。ポル・ポトの意図は、大臣、どこにあるのですか。選挙の妨害でしょう。どうでしょう。それともプノンペン政権を倒して全土制圧ですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) ポル・ポト派は聞くところによれば選挙ボイコットと言っているようでございます。私どもはポル・ポト派に対しても選挙をボイコットしないようにということを繰り返し機会あるごとに言ってきたわけでございますけれども、彼らは今のところまだ選挙ボイコットの姿勢は変えておりません。 そういうところから考えますと、やはり選挙を妨害することが自分たちの何といいますか、デモンストレーションといいますか、自分たちの国内においてポル・ポト派あり、こういうところを見せたいというのがポル・ポト派の真意ではなかろうかなと。そして、あわよくばシアヌークの例の、シアヌークは撤回されたようでございますけれども救国国民戦線ですか、あの構想を支持するということは、あわよくば後の政府ができるときに自分たちも入れろよと、選挙はボイコットしたけれども入れろよというためのデモンストレーションかなというふうに私は推測をいたしております。
○黒柳明君 ボイコットはもう決定だから、妨害を含めてじゃないですか。ボイコットはもう基本的なことで今から選挙に乗るなどということはちょっと考えられないから、だからそれは妨害でしょう。それで少なくとも民主的な選挙が行われなかったと宣伝したいわけですな、ポル・ポトは。選挙妨害。 局長、選挙妨害が当面の短期的、中長期的はわかりません、短期的な大きな目標でしょうな、ポル・ポト派の。
○説明員(河村悦孝君) 現在起こっている襲撃事件等を見ましても、ポル・ポト派によって、真意はわかりませんけれども、恐らくは選挙妨害であるということで考えております。
○黒柳明君 これはもう常識でしょう。 そうすると選挙を妨害して、今、局長おっしゃったように、ポル・ポトここにありと。民主的なものは行われなかったと。そうすると、現に選挙が千八百カ所から千五百六十一に収縮された。それから選挙監視員も現場から六十名既成の者がいなくなった。新しい者が千名から九百になった。どんどんその実が上がっているのじゃないですか。そうでしょう、現実に。だから選挙を 妨害することです、当面は。それはもうそれだけの武力も持っていませんし武器も旧式だと伺っていますから。 そうすると全土で攻撃、蜂起する必要はないのじゃないですか、選挙妨害ならば。プノンペン政権を倒して全土制圧じゃないのですからテロ活動でいいのじゃないですか。また、テロ活動しかできないような装備しかないのじゃないですか。意図はわかりません。あるいは私は意図もそこにあるのじゃないか、一〇〇%近く。こう常識的に判断するよりほかないのじゃないですか。 政府は握手されても、あるいは現場の今川大使とも意思疎通をして情報を持っていますと官房長官が盛んに記者会見で言っても、情報なんかないのですよ、そんなもの。ましてポル・ポトの腹の中なんか見えるわけじゃないです。だから今までのいろいろな対応を見て推測しなきゃならない部分が当然あるのじゃないでしょうかな。そうすると今までの対応というのは、全面交戦なんか、かけられればかけたのかもわからないが、かけやしない。あと十日ですよ。この十日間、全面交戦なんかないと思いますよ、そういう意味では。SNCの枠なんか出る必要ないですよ。パリ協定破棄なんて言う必要ないですよ、テロをやっていればいいのですから。実は上がっているのですから。 どうですか。過去の状況がそうじゃないですか。そうすると意図もそうであろうと判断はできるのじゃないでしょうか。だからこれから十日間、全面攻勢で全面的な攻撃があったからそれだから撤退するなんて局面は絶対あらわれない。ただしテロ、今までと同じょうなことはあらわれるしもっと過激になる可能性がある。どうですか、この判断。大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) やはり見ておれば不安定な要因、不安定な状況というのが高まっていることは私も認めざるを得ません。しかし私どもは、できるだけ今後はそのようなテロ行為が少しでもおさまるようにという形でいろいろのルートを通じてポル・ポト派に対しても呼びかけていく努力をしてきているわけでございます。
○黒柳明君 いろいろのとか、何となく漠然として、もう私たちはそんな漠然とした政府にはくっついていけませんよ、一緒にくっついていく必要もないのですから。そうなるともうPKO問題は破棄になっちゃいますよ、民社党さんも見直せって言うのですから。いいですか、そんな漠然として。現実じゃないですから、今は。この次起こったら爆発しちゃいますよ、事件が起こったら。起こるということを私は前提に言っているのじゃないのですよ。 それじゃ大臣、ちょっと細かくなるかな。コンポンチャム州というプノンペンの隣にある州、この治安については、大臣、御存じですか。報告を受けていますか、コンポンチャム。
○国務大臣(武藤嘉文君) 以前と比べれば治安も悪くなっておるし、物資についてもある程度以前と比べれば不足状態になっているということを報告を受けております。
○黒柳明君 どのくらい治安が悪くなっているという報告を受けていますか。以前というのはいつごろですか。いつごろはどうであって今はどうであるか。いや、隣を見なくたっていいのよ、受けているって言うから聞いているので。
○国務大臣(武藤嘉文君) それは以前とという報告だけでございますから、一遍それを事務当局から……
○黒柳明君 ちょっと待って。以前と比べれば治安が悪くなっているという報告を聞いていると、これだけ。促そうしたら大臣、以前というのはいつごろでどう悪くなっているか、小学校二年の生徒だってそのぐらい聞きますよ、一年生じゃちょっと無理にしても。小学校二年生の子だって、それじゃいつごろからどういうふうになったのか教えてくれと。そのくらいのこと聞かないとうまくないのじゃないですか。どうですか。
○説明員(河村悦孝君) 最近のケースでございますが、コンポンチャム州におきましては五月の一日にコロンビア人文民警察一名が走行中襲撃されて死亡しておるというケースがございます。
○黒柳明君 何号線が通っているのか、あの道路は。国道。
○説明員(河村悦孝君) 国道七号線でございます。
○黒柳明君 大臣、なかなか組織は巨大ですからね、我が政府、外務省も。なかなか下請下請孫請で結構なことですけれども。 コンポンチャムです。コンポントムじゃないですから。北西四州、これはもう北の方はポル・ポト支配下であった。支配下でなかったはずのラナリット派のところのアンビルだってあれだけの攻撃があったわけですからね。ましてコンポンチャムというのはプノンペンからすぐ隣ですよ、東側。全く今現在でも北西四州に入っていない、そこの治安、これは物すごく悪い。この実態。 警察庁、来ていますな。済みません、御苦労さま。警察庁、御苦労さまですね。もう外務省や何か、自民党政府、宮澤政権もあれだけれども、警察庁は本当に御苦労されて敬意を表します。わざわざ御苦労さまでした。 どうですか、このコンポンチャムあたりの文民警察官の報告を受けていませんか。
○説明員(櫻井勝君) コンポンチャムにつきましては、ただいまございましたとおり、最近とみに治安情勢が悪くなっているというふうに承知をしております。
○黒柳明君 とみにって、それをもうちょっと具体的に。とみにって言ったってね。 その一つが、大臣、笑っているときじゃないな、今これは真剣なのだから。きのうのNHK、大臣は見たかな、生の画面。名前が出ているからこれはしょうがないが、田代という文民警察。コンポンチャムは十名配置になっているのです。この人がNHKのインタビュー、ここでこう言っているのです。今でも私はすぐ撤退したい。ここでは文民活動ができない。それからここにいたら死ぬだけだ。我々の活動とは反している。 ところが、ここは今マスコミや政府が言っている北西部四州とは違うのです。プノンペンのすぐ際なのです。そこでも現実に文民の警察官は画面を通して、これは生だからきのうの自治大臣の話と違うのね、失礼だけれども。あれだっておかしいですよ。各社の特派員が書いているのに自治大臣が、あんなの非公式だからそんなこと聞かない、言わないなんて、そんなことおかしい。それはいざ知らず、これは画面通して生で言っているわけです。 警察庁、あなた聞かなかった、きのう。きのう奥さんと食事でテレビは見なかった。
○説明員(櫻井勝君) 昨日、対策室で業務をしておりましたときにそのテレビがあったことは承知しておりますが。
○黒柳明君 あったことじゃないよ。見たか見ないか。
○説明員(櫻井勝君) 田代警部という名前が出ていたことは承知しております。
○黒柳明君 内容を見なかった、聞かなかったのね。
○説明員(櫻井勝君) ええ。
○黒柳明君 今言ったことを言ったのです。また後でビデオをよく見ておいてください。もう警察は苦労されていますから、ひとつ御苦労さまですが一遍。 こういうことです。こういう事態。もう我々は撤退したいのだと、今すぐ。どう判断しますか。ここにいたら死ぬだけだ。これは言った言わないの問題じゃない。NHKのテレビを通して生で言っているのだから。それを何だか、全面攻撃にならなきゃ撤退しない、ポル・ポトがSNCの枠の中あるいは合意を破棄すると言わなければと。それから全面というところはそのときの態様を見てと。そんな生ぬるいことを言っているから文民警察が怒るのじゃないですか、地元の。自衛隊は何もないからいい。タケオは治安がいいと。治安がいいとだけ言っていられませんよ。私たちの調査じゃ、現にあちら方面にもポル・ポトの方が出入りしている、集結しているという報告もあるの です。まあこれはいいでしょう、文民警察中心で。 大臣、治安が最近ちょっと悪くなりつつある、こういうところの文民警察だって生の声で撤退したいと、すぐに。これを踏まえないとだめ。これをきのうみんな聞いてます、国民の皆さんも。それと政府は余りにもギャップがひど過ぎるのじゃないですか。だから私は言うの。形式的、実質的にも合意は守られていると、そんなこと言っちゃだめだ、こう言わざるを得ない。 だから私たちは今、現に被害があった文民の人、しかもその文民の人も各国チームを組んでいますから、危険なところ、そこだけでも一時業務の休止を言わざるを得ないのじゃないですか。まともじゃないですか、これが。撤退、まともじゃないでしょうか、国民感情から見て。国際的に見ると日本だけかとか、明石さんから見るととんでもないと。だけれども、これは日本は運用面において撤退よしということを書いてあるのじゃないですか、崩れたら。崩れたらという条件ですけれども、それの判断はそれこそ関係ない、日本が判断すればいいのです。政府が判断すればいいのじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもはUNTACに対しても、文民警察のことに関しましては例えばそういう治安の悪くなったところについては一時的に業務を休止したりあるいは一時的に配置転換をしたりすることもやってほしいという申し入れはいたしたわけでございます。 これはしかし、日本の国の文民警察だけというわけにもいかないと思うのです、国際的な立場でUNTACのもとでやっている話でございますから。しかし私は、そういう治安の悪くなったところはUNTACもよく判断をして、そして日本の文民警察を含みある程度そういうところから一時的には業務を休止して移動するということは私はあり得ていいのではないかというふうには思っております。
○黒柳明君 甘い、大臣。そんなことやったら選挙めちゃめちゃになっちゃいます。コンポンチャムですよ、コンポントムじゃないのです。プノンペンのすぐ隣の州です。今だって公平が保たれるかどうかわかりませんよ。ポル・ポト派はそれを妨害しようとするのですから。監視員だって少なくなっているのですから。投票所も少なくなっていますから。 それを要望しているからと。安全をUNTACに頼んだってできませんよ。限度がありますよ。幾ら戦車を持っていったってテロですから、言うならばベトナムのゲリラですから、できませんよ、安全確保なんか。我が国は五人ならいい十人ならいいということじゃないのですから、一人の命がとうとい国なのですから、国民世論としては。それを、頼みました、配置がえするでしょうと。する可能性はゼロじゃありませんよ、今度の選挙では。ただし、ここまでは手が伸びません。こんなところまでやったらそれこそ選挙が全面的におかしくなっちゃいます。本当の危険なところというのは北西部や何かのところだけですよ、危険なところは。 まあこれからのことだから私は断定しませんよ。断定しないけれども、断定に近いのじゃないですか。ここまで手は伸ばしません。こういうところなんといったって生の声じゃないですか。すぐ撤退したいと言うのです。それほど危険なのです。皆さん方は危険かどうかわからない。 大臣、話があっちこっちへ行って恐縮ですけれども、中間報告、先月の二十八日ですかな。モザンビークのことそれからカンボジアのこと、現状。あそこに文民警察のブの字もなかったね。あれは有馬さんかだれかが行って調査しましたな。現状を政府は二回調査したのかな。それについて、どうですか。文民警察と接触はしたのでしょうな。いろいろなことは聞いたのでしょうな。ネグっちゃったのかあるいは危険なところは話を聞かなかったのか、あの報告には文民警察のブの字もなかった。そういう点一つもなかった。文民警察の面が無視されちゃった。警察庁、ここで怒らなきゃ。 大臣、どうですか。なぜあそこに文民警察のことは入れなかったのですか。
○政府委員(澁谷治彦君) UNTACへの要員の派遣につきましては、文民警察は後ほど正式に決定を見たわけです。ですから調査団が出た時点では主として施設部隊が念頭にあったということだと思います。
○黒柳明君 もうちょっとしっかりしなきゃ。そんないろいろあったと思いますなんて、一番の最高責任者の当事者じゃないですか。二十八日だよ。調査に行ったずっと後だよ。二回ですね、たしか調査団を派遣したのは。一回だったか二回だったと思いますね。そうでしょう。税金を使って調査して、それで二十八日、中間報告を要請されて出したのに、一番危険なところ、そのときだって状態は変わらないですよ、二十八日にはそうじゃなくて今急にということはありませんから。全く何も触れていない。後ろの話を聞きなさいよ。
○政府委員(澁谷治彦君) 失礼いたしました。 モザンビークの場合はもともと……
○黒柳明君 いや、だから今言ったのは、モザンビークの報告とカンボジアの状態の変更と、それから最後の三分の一がカンボジアの情勢が出ていた。そこには一言も触れていない。危険で悪化しているとかなんとか触れていた。中間報告ですよ。文民のことは何にも触れていません。その調査に行ったのでしょう。モザンビークは今、先遣隊が行っているのじゃないですか。カンボジアの方は調査に二回行っているのですよ。カンボジアのことは後段の三分の一触れているのですよ。何にも言っていない。一番問題じゃないですか。 自衛隊はいいのですよ、道路を直して。大林組の方ではおれが行けばよかったなんて言っていますよ、自衛隊は何にもないから。国会もうかつといえばうかつだったですね。何にも触れていませんよ、大臣。触れていません。あれはモザンビークだけの報告ですか。違いますよ、半分はカンボジア報告ですから。そうだろう、後ろの眼鏡の人。それじゃそれに対してあなた答弁して。いいよいいよ、構わない構わない。もうざっくばらんな委員会だから。 どうですか。半分カンボジアでしょう。それから三分の一はカンボジアの現状でしょう。一番今、憂えなきゃならない問題になっている文民警察の苦境なんか一言も報告していないじゃないか。触れていないじゃないか。ネグったのかあるいは調査団がそこまで行って報告を受けていないのか、あるいは何、今言ったのは後で報告するというの。
○政府委員(澁谷治彦君) 私、モザンビークの件と誤解しておりましたもので、申しわけありませんでした。
○黒柳明君 いや、申しわけないなんて、澁谷さんと私の間だからそんなことを言う必要ないですよ、申しわけないなんて。 どうですか、大臣、おかしいじゃないですか。なぜ文民警察に触れないのですか、中間報告で。今、自衛隊のことより文民警察じゃないですか。理由は。 おれはわからないというのが聞こえたよ、今。おれはわからないなんてもうちょっと小さく言いなさいよ、言うなら。
○政府委員(澁谷治彦君) 報告書を出した時点では、確かに今回のアンビルのような事件が起こるということは予想していなかったというのが実態でございます。
○黒柳明君 私、澁谷さんを責めたくないの。非常に人がいい人だから、この人をずっと長く見ていて。外務省にも悪い人といい人といるのだ、これは人間ですからいるの。 冗談は別にして、くしくも今、澁谷さんが言ったことがさっき私が言ったことです。大臣、想定していなかったのじゃないですか、文民のことなんか。起こったじゃないですか。そうでしょう。それを言っているのです。想定していなかったのですよ。文民警察は怒る。 ただ、想定していなかったのだけれども、現状が危険だということは変わらなかったのでしょう。 一年前とは言いませんよ、三月前、一月前と変わらないのでしょう。きのうすぐ危険になったのじゃないでしょう。おととい危険になってそして高田さんが不幸に遭ったというわけじゃないでしょう。その状態が、言うならば四月一日の選挙公示だ、一つの時点は。そうでしょう。一つの時点といったらもう四月一日の選挙公示じゃないですか。それを二十八日。何回も行って、これほど重大問題。一番の今になれば焦点。 国会もうかつだったですよ、その審議をやらなかったことは今になってみると反省します、私たちも。だけれども、これはしょうがない、公明党だって仏様神様じゃないのだからしょうがない。だけれども、その中間報告に何も入れない。それからわずか十日しかたたないうちに大問題になっている。国際的にもこれが揺れている。それで今、担当の局長は起こることがわからなかったと。だれがわかりますか、そんなこと。わからないことが起こっているのじゃないですか。だから私たち国民は心配しているのです。 政府が硬直姿勢をとって、崩れていない崩れていないと。起こったときどうしますか。百歩譲って、全面攻撃と国連が判断しオーストラリアが引き揚げだといったら政府はどうしますか。そのときは、はあわかりましたと。さらに全面と言わなくたって第二第三の被害が起こったときどうしますか。まだ全面じゃないと言うのですか。いやそれもわからなかったと。わかるわけないじゃないですか。調査したってわかるものじゃないです。現場の声といったって生の声がどれだけ聞こえるか。 警察庁、自治大臣がいらっしゃったとき、何か個人個人が非常に業務規定以上のことをやらされている、VIPの警護とか政党の守りとかやらされていると。だから本人の意思をあれして帰ることもということが、いつの間にか本人の意思を聞かない、こんなことになっちゃったのだけれども、本人の帰りたいとか帰りたくないとかという意思は聞くつもりはないのですか、警察庁としては。
○説明員(櫻井勝君) 現地へ派遣されております文民警察隊員の生の声をというお話でございますが……
○黒柳明君 いや、そうじゃない。帰りたいか帰りたくないかという意思を。
○説明員(櫻井勝君) 現在、文民警察隊員は、派適当時と比べまして生活環境、治安情勢はやはり悪化してきている、こういうことで、帰りたいということではなくて現在は、地域によりますけれども、本来の文民警察業務が遂行できない、それならば遂行できる場所に再配置をしていただきたい、こういうことを要望しているという声を聞いております。
○黒柳明君 そうすると、撤退したい、業務はここでは遂行できないということは、コンポンチャムの今言った田代さんのいるところじゃできないからほかに行きたい、こういうことですな。日本に帰りたい、こういう意味じゃないと。
○説明員(櫻井勝君) そのとおりでございます。
○黒柳明君 そのとおりであるかはわからないよ、見ていないのだから。そんな調子のいいことを言って、私が言ったからそのとおりと言ったのじゃないか。 私はそれでいいと思いますよ。ここじゃできない、だからほかのところへ行かせてくれと。だけれども、それについて要望に一〇〇%こたえられるかどうかわかりません。と同時に私は、一〇〇%なんかとてもこたえられるような状態じゃない、こう判断せざるを得ない。それでもUNTACを信用するという大臣の答弁に返るのですか。それはUNTACに頼んだのだからUNTACがどうやってくれるか期待するよりほかありませんよ。だけれども、こういう生の声も聞いてやしないのだし、言いません、当人は。言いません、使命感があって行っているのですから。みんな各地を聞いたわけじゃないでしょう、偶然テレビに出たから聞こえたのですよ。こういう声があるのですよ。そうでしょう。 だからUNTACに配置がえを頼むと頼んでいるわけですよ。リクエストしている。それに対してどうこたえるか。全面的にという声は、声のとおりには出ないと思いますよ。これは当然出ない。安全確保だって無理です。再配置だって確保のこともこれあり、日本の希望のとおり各国も含めてこれは無理ですよ。選挙がめちゃめちゃになっちゃう。こういう状況です。 だからこそ私は、せめてもうちょっと現実を直視して、形式的、実質的に崩れていないなんていう硬直姿勢をとるのは役人で結構、政治家はもうちょっと、内閣はもうちょっと現状というものを分析して、そして役人の答弁に縛られないようにいかないと、この問題は緊急な問題ですから、今の問題ですから、あるいは国際的PKOが足元から崩れる問題ですよ、もしかすると。 大臣、選挙は公平にできますか。できると言うでしょうね、何にも根拠ないからできないなんて言うわけないのだから。選挙は公平にできますか、できるでしょうと。だって監視員が少ないじゃないですか、施設が少ないじゃないですか。いやできると思います、そういうふうに努力する。そんな答弁の時代じゃない。 私は大臣ではないからこんなこと言っちゃいけないのですけれども、公平にできるかできないか問題、どうですか、大臣の判断。さらに選挙ができたとしたってその後どうなりますか、ポル・ポトは。内戦じゃないでしょうか。どうですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどの話でまず一つ申し上げますと、文民警察に対しては本当に私どもはこのような事態が起きるというどうも想定がなかったようでございますけれども、もう少しその辺は認識が私は甘かったことは事実だと反省をいたしております。 それから選挙でございますけれども、これは私どもはできるかどうかということじゃなくて、公平な選挙が民主的に行われるように努力をお互いにしていくということだと思うのです。
○黒柳明君 非常に抽象的、私の言っているのは具体的。これを抽象的と具体的と。 きのう総理大臣が、私は本部長だから高田さんの死に対しては責任を感ずると。一番最後に、この次に起こったらばと。これは責任問題じゃないかな、そうなると。大臣だってやっぱり国際的な責任者だから、この次、日本人に万が一の不慮があったら外務大臣はどうしますか。もう辞任だね。総理大臣をやめさせるわけにいかないのだから、政治改革があるから。外務大臣は政治改革は関係ないから、申しわけないけれども大丈夫ですよ、かわったって。責任とらなきゃならないですから。だれが責任とるのです、ほかにいないじゃないですか。総理は本部長、国際的には大臣が責任者だ。この次の事件が起こったとき、総理は言わなかった、はぐらかしちゃった、きのうの最後の質問に対して。冒頭で言った。私は本部長だから高田さんの死については責任がある。最後ははぐらかしちゃった。 どうですか。この次もし万が一とういうことがあれ、他国はいい、いいと言うと怒られちゃいますけれども、しょうがないでしょう、日本の国会ですからね。もし日本人の被害者が出たならばこれは責任問題です。本当なら本部長の総理だけれども、ここにいないじゃないか、総理大臣。外務大臣しかいない。外交の責任者は大臣だから、責任ですね、これ。これだけの現実を具体的に指摘してそれでもなおかつ抽象的なことで糊塗するのだったも、責任とりますね、そのときは間違いなく。
○国務大臣(武藤嘉文君) そういう犠牲者が起きないように私どもは努力をしているわけでございます。
○黒柳明君 当然そう言う。局長だってそう言う。だけれども、起きちゃったじゃないか。この次に起きたときには責任をとらざるを得ない、こう思いますけれども、大臣、どうですか。 私たちも一生懸命ですよ、五原則を崩さないた めに。起こる可能性が非常にひたひたと迫っている。現に局長だって考えないようなことが起こっちゃったから、だから起こる。あと十日間。十日後がどうでもいいということじゃないですけれども、一応選挙、これは大切なことですよ。イベントでしょう、行事でしょう、そこまで。起こったら、大臣、責任とりなさいよ。それしかないじゃないですか、総理大臣いないから。予算は予算でまたあれするから。外務大臣が外交の責任者ですから、そこくらいはもう言ったって罰は当たらない。どうですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 犠牲者が出ないように努力をいたしております。
○黒柳明君 そんなに自民党の大臣というのは一つ物を言うのにここからここまででこっちは言っちゃいけないという不文律があるのかね。結構。 それでは、警察庁の方に来ていただいたのだからもうちょっと具体的に、食糧や水が不足している、あるいは今言ったように、VIPあるいは政党の建物の業務規定以外のこと、もうちょっと現地の苦情を本庁でつかんでいることがあったら言っていただけますか。
○説明員(櫻井勝君) 水や食糧につきましては、基本的には水の入手が困難なところにつきましてはUNTACにより補給されるということになっておりましたが、絶対量が少なくなってきているという状況が出てきております。それから食糧につきましては、国境沿いに配置されましたところは買い出しが以前は可能でございましたが、最近になりまして治安情勢の悪化によりタイ側に買い出しに行けないという状況が出てきております。 それから勤務の状況についてでございますが、ただいま御指摘のございました政党事務所の警備業務あるいは要人の警護業務というような、私どもが考えております法に定められた警察行政事務に関する助言、指導、監視とは必ずしもなっていない、その対応によっては逸脱しているのではないかという業務が出てきていることは事実でございます。
○黒柳明君 あと時間がありません。 後藤田法務大臣が、要するにPKOはもともと危険と隣り合わせの厳しい活動である、犠牲者が起こってもやむを得ない。これは十一日の閣議の後の記者会見、犠牲者が起こってもやむを得ないと。それから同じく都内の防衛懇話会で中山長官も、日本だけが血を流さないわけにはいかない、世界のリーダーとして信頼を失う、こう言っている。犠牲者が出てもしょうがないと。 外務大臣も同じ意見ですか。犠牲者が出てもしょうがないという意見ですか。法務大臣と防衛庁長官はそういう意見。外務大臣、犠牲者が出てもしょうがないという意見ですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどから申し上げておりますように、確かに危険な状態というのは増加していることは事実でございますが、今、私どもは犠牲者が出ないように極力UNTACにも要望をいたしておるわけであります。
○黒柳明君 両大臣とも出てもしょうがないと言っているのですよ。血を流さなかったらリーダーになれない、犠牲が伴うのは当たり前と。だからそうですかと。予防策とか希望とか、それは何度も聞いてわかっています。大臣の見解、犠牲者が出てもいい、国際貢献が大切なのだ、どうかと。それはもう簡単なことじゃないですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 犠牲者が出ないように懸命の努力をするというのが私の立場でございます。
○黒柳明君 そういう答弁ばっかりやっていますと私たちは国際貢献から手を引かざるを得ませんよ、残念ながら。政府、宮澤政権、自民党の国際貢献と、国内の世論あるいは人間の生命のとうとさ、これと取り違えている。 こういうことで私たちはPKOをせっかくつくって、運営の仕方が悪いゆえをもって現状把握が十分じゃない。それに対して政府が本当に今、どこに気兼ねしているのかわからないけれども、硬直姿勢で現状に基づいた判断というものを的確にできない。こういうことになると私たちはそれなりの判断をせざるを得ない。そうなるとせっかく二年三年かかってやった我が国の国際貢献が足元から崩れていきますよ。それだけ言っておきます。
○立木洋君 私も最初にカンボジア問題についてお尋ねしたいと思います。 最初に大臣に聞きたいのですが、去る五月三日、UNTACに関するガリ事務総長の第四次経過報告というのが出されましたが、御承知でしょうか。 大臣が御承知でしょうかと聞いている。大臣が知っているか知っていないかをほかの人に聞くわけにいかぬから、大臣はそのことを御承知でしょうかと。
○国務大臣(武藤嘉文君) ちょうど私は外国におりましたが、日本の新聞を通じて承知をいたしました。
○立木洋君 その内容はまだごらんになっていないのでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 正式の文書は、私はまだ全部は読んでおりません。
○立木洋君 これは今日の時点において国連がカンボジア問題をどう判断しているかという重要な文書なのですね。文書をまだ責任者の大臣がごらんになっていないというのは私はいささか、ほかのことがあってもこれほど重大な問題になっているカンボジアに関する国連の今日の時点における判断、認識、これはぜひ至急読んでいただかなきゃならないと思うのです。 澁谷さん、総理大臣はお読みになっているでしょうか。あなたの方から提出しなければ読むことはないでしょうけれども。
○政府委員(澁谷治彦君) こういう国連関係の重要な文書は、出るたびには御報告しております。
○立木洋君 読んだか読んでいないかは確認できないですか。
○政府委員(澁谷治彦君) 私は伺っておりません。
○立木洋君 私はここに持っているのです。この中身は、いわゆる総論から始まりまして、今日の時点における結論的所見として百四十一項目にわたって書いてあるのですよ。比較的長文なものです。今のカンボジア問題に対する国連の判断が記されている。だけど、この問題について、遺憾ながら日本のマスコミでこの重要な結論的所見についての部分を報道した新聞を私は知らないのですよ。全部ないというふうに断定はできない。全部の新聞を私は見ていないからそう言えません。だけど、少なくとも私が見た新聞の範囲内ではこの結論的所見について報道している新聞はないですよ。 それで、私はここに書いてある内容をちょっと紹介したいと思うのですが、この報告の結論的所見というところは百三十項以降になっております。十一項目にわたってこれは書かれてあります。ここに書いてある内容を見ますと次のようなことが書いてあるのです。 一つはこう書いてあるのですよ。協定調印によって負った義務を果たすように、PDK、これはポル・ポトですね、ポル・ポト一派を説得するという安保理それからUNTACその他のすべての努力はむだであったと結論づけているのですよ。もう説得をやってもだめなのだ。安保理もやった、UNTACもやった、その他あらゆる努力をした、そのすべての努力はむだであったと。これが一つの結論で出ております。もう一つは、PDKが和平プロセスと総選挙に対してますます敵対しているというのが二つ目の結論として出ています。三つ目の結論は、選挙は政治的に中立な環境のもとでは行われないことは明らかだという結論が出ています。これがUNTACに関する五月三日に出たガリ事務総長の報告なのです。 結論部分の最初のところを今、紹介したのですが、このガリ事務総長の報告の今述べた三つの点の結論に対して、大臣はこれは同意ですか。私は違うという見解をお持ちなのか、大臣自身の御見解をお聞きしたい。この結論に同意されるのか反対なのか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 情勢の悪化していることは私は先ほどから認めておるわけでございますが、実は私も今の結論のところは読んでおりませんので、早速読みまして私は私なりに判断したいと思います。きょうのところは読んでいないので、今お聞きしただけでございますから、私はゆっくり読んでぜひ判断をしたいと思っております。
○立木洋君 ここで出されている結論は、これから一生懸命説得してみますという状況ではないのだというのが国連の結論なのです。そして、敵対がますます激しくなっている。敵対が激しくなるというのは和平プロセスと総選挙に対する敵対。ますます敵対している。だからもう中立的な環境で選挙が行われないことは明らかだと。そしてその結果出されている結論は、今の時期にそれでも選挙をやるのか、それとも公正で自由な選挙ができないと宣言して選挙をやめるのか、二つに一つを選ばなければならないと、こういう結論なのです。そして最後に、それでもなおかつ選挙はやりますというのが国連の結論なのです。 一番最初のところに戻りますと、結局説得してもだめだと。和平プロセスと総選挙に対して敵対している。中立的な選挙は行われない。こういう結論になってきますと、日本政府が当初述べていたように、これはまさにもう同意なんか得られているという状況じゃないのですよ。つまりUNTACにしろ日本にしろポル・ポト派によって同意が得られているという存在でもうなくなっている。それから中立的な環境で選挙はやれない。そういう結論を出している。 日本政府はPKOのときに、いずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されるもの、これが崩れるならば直ちに撤退すると。そして同時に、危険になったら日本独自の判断で撤収するということも言われてきた。今の時点におけるこのガリ事務総長の情勢判断、結論を見るならば、日本の五項目というのは完全にもう崩れているのですよ、国連自身の判断で言うならば。そうすると日本政府がこれまで五項目のうち一項目でも崩れたならば直ちに撤収すると言ってきた責任はどうなさるおつもりでしょうか。大臣にお聞きします。
○国務大臣(武藤嘉文君) いずれにいたしましても、私は読んでから判断をしたいと思います。きょうのところは、大変恐縮でございますが正直その結論を読んでおりませんので、私は私なりによく理解をしてから判断をしたいと思います。
○立木洋君 お読みになって、それで委員会はしばらくの間、開かれないのですよ。カンボジアの選挙は終わっちゃうのですよ。選挙が終わってから、いや実はあのときは私は読んでいなかったからといって、責任がそれでは済まないと私は思うのです。今の時期、日本政府がどうするかという重要な判断にかかわることで、今までお読みになっていないことが極めていいかげんだと言いたいのです。 今からでもお読みになるということは大切なのですが、これは一刻を争う問題なのです。いつ判断をお聞かせいただけるでしょうか、大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) いずれにしても、きょう事務当局から早速私の方へ出させまして読ませていただきます。
○立木洋君 その判断をいつ公になさるのでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 早急に判断をしたいと思います。
○立木洋君 まさかお読みになっていないとは私は思わなかったから、ここで明確な答弁がいただけるのかと思ったけれども、同僚議員が言ったように、今までのような枠組みが崩れていないなどというような言い方は通らないのです。 ガリ事務総長の報告はお読みになっていない。私はうそを言っているわけじゃありませんから、私の言った範囲内からいえば、やはりその根本問題を判断しなければならない問題にかかわるという御認識はお持ちでしょうか。その点だけはちょっとお聞かせいただきたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) UNTACは国連から派遣されているわけでございますし、国連の判断とUNTACの判断にそごがあるとは考えられません。しかし、UNTACからは私どもは、先ほどの話のように、守られておると、こういう判断をしているというふうに報告を受けておりますので、その辺に私は少し何かそごがあるように感じましたので、今の事務総長の報告をしっかりとひとつ読んで判断をしたいと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○立木洋君 では、この点については改めて読む重要性をお感じになったと。そして、私はうそを言っているつもりは毛頭ございませんから、お読みになって検討する必要性をお感じになったと、そういう重要性を受けとめられたということだけはここで私も確認させておいていただきたいと思うのです。
○国務大臣(武藤嘉文君) 当然、事務総長の報告でございますからそれはそれなりに重く受けとめて読ませていただいて、そして判断をしたいと思っております。
○立木洋君 それで、先ほど同僚議員も提起されましたけれども、もう既にこの問題については敵対がますます激しくなって、この中に書かれていますけれども、今までわずかの期間の間にいわゆる敵対行動によってUNTACの要員及び軍事要員が十一名死亡している。これはまだ高田さん以前です。高田さんの事件が起こったのは五月の四日ですから、その以前、五月三日までの間に十一人。その他の原因でUNTACの要員及び軍事要員は三十九名死亡しているというふうに報告されているのです。既に十一名と三十九名ですから五十名のUNTAC要員と軍事要員が五月の三日までの極めて短い期間に死亡しているというのがこの中に出ています。 ですから私は、今後、死亡者が今の状態では起こらないというふうには考えられないと思うのです。これはまさにガリ事務総長も言っているように、完全に安全が保証される状態ではないというふうに述べているわけですから、完全に安全を保証することはできないと述べているわけですから、その点について、先ほど来の同僚議員の質問の繰り返しになるかもしれませんけれども、いわゆるこういう問題についてはもう既に説得してもだめだという結論があるのです。これからも努力しますとあなたは先ほど同僚議員に言われた。努力してもだめだというのがUNTACの結論なのです。説得してもむだだと、むだであったと言っているのですから。 もしか何ぼ説得しても再びそういう事態が起こったらどうされますか、大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私としては、今いろいろな手を尽くしているわけでございまして、とにかく今、現時点においては犠牲者が出ないように、また選挙が少しでも平和なうちに行われるようにという方向でいろいろと努力をいたしておるわけでございます。
○立木洋君 外務大臣としての責任ある立場でおられる方の今述べられていることが、あとわずかの期間で現状ではっきりしちゃうのです、もう選挙がやられますから。 大変な事態になった場合、ならないという保証がないということもガリ事務総長が言っている、完全に安全は保証されないと言われているわけですから。そういうふうになった場合についてのことまで十分に考えて今、もう最終的な決断を出すという状況にあるのじゃないでしょうか。これからも安全のために努力します努力しますといって結局はだめでしたと、それで済むという状況では全くないと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) これは正直、日本だけの問題じゃないわけでございまして、国連が中心となってやっているわけでございますから、日本としては日本なりの努力をしていく、国連はUNTACというものが出ていってやっているわけでございますから、それはそれなりに努力をしていくというのが私は本当だろうと思っております。
○立木洋君 ガリ事務総長はUNTACと安保理だけの努力と言っていないのですよ。その他すべ ての努力がむだだと言っているのです。 これ以上もう言っても押し問答になるから、ひとつぜひ御検討をいただきたい。しかるべく速やかに手を打たないと、重大な事態になった場合には大臣がおやめになるぐらいの事態では済まない。日本のこれからの進路にかかわる。私たちはもう最初から言ってきた問題についてはここで繰り返そうとは思いませんけれども、やっぱり重大な問題にならざるを得ない。ましてやこの問題に関しては日本の独自の判断で撤収することもあるということを明言してきたそういう政府の立場があるわけですから、その点も含めて真剣に速やかに御検討いただきたいということを重ねて要望しておきますが、よろしいでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いずれにしても、早急に読みましてそして判断をしたいと思っております。
○立木洋君 それでは租税条約の問題についてちょっとお尋ねしますけれども、現在の時点で、去年ということになるのでしょうか、外国税額控除が幾らになっているのか、それから資本金百億円以上の大企業に対する控除はどのぐらいになっているのか、わかりましたら数字を教えていただきたいのです。
○説明員(岡田至康君) お尋ねの数字につきまして税務統計から見た法人企業の実態という報告により申し上げますと、一九九一年分でございますが、一九九一年二月一日から一九九二年一月三十一日の間に事業年度を終了した法人に係る外国税額控除額でございますが、これは四千六百十四億円でございます。 それから資本金百億円以上の法人に対します外国税額控除額は、同じ一九九一年分で三千七百四十九億円となっているところでございます。
○立木洋君 これは外国税額控除がずっと四千億円以上という推移になって、そのうち資本金百億円以上の大企業が占める割合というのは常に八割以上という推移に大体なっているだろうと思うのです。九一年度の場合でも八一%というふうな数字にたしかなるかと思うのですけれども、そうするとやっぱり外国税額控除というのは結局は大企業の優遇になっているというふうに言わざるを得ないと思うのです。 この点で、宮澤総理が大蔵大臣をなさっておられるとき、昭和六十二年に税制問題に関する調査特別委員会が十月十三日に開かれているわけですが、そこでこの問題が大きな議論になりまして宮澤大蔵大臣が当時答弁なさっているのでは、一般的に外国課税の控除、海外課税の控除の問題は我が国がちょっとずつ甘目なところが私はやはりあると思いますから、国際並み、国際水準並みということにだんだんやはりしていかなければならないというふうに考えておりますというふうに答弁なさっているわけです。つまり日本の税額控除というのは非常に甘過ぎるという指摘に対して大蔵大臣自身も当時そのことを認められたわけです。 今度のトルコの内容を見ましても、最も優遇策として私は繰り返しこれまでも強調してきて、中山さんが外務大臣のときもそれは考えなければならない問題だと言っているのですが、やはりこのみなし控除の問題ですね。これを国際的な水準にしていくのだというふうな宮澤さんのお答えや、中山外務大臣が先般この問題については考えなければならない問題点だと言ったのですけれども、トルコの内容を見てもその問題については依然としてみなし控除というのが入っている。 こういうことについてはもう繰り返し議論になっているにもかかわらずそれを改めようとされないのはどういうことになるのか、その点についてどういうお考えなのか、お聞かせください。
○説明員(竹内洋君) まず最初に、御指摘の外国税額控除制度の話でございますけれども、これにつきましては昭和六十三年十二月の税制改正において抜本的な見直しを行っております。
○立木洋君 簡単で結構です。私、この税額控除の話は何回も言っていますからもうわかっている。
○説明員(竹内洋君) それからみなし外国税額控除制度の問題でございますけれども、これはほとんどの先進国も同様のものを認めておりまして、先生に詳しく御説明する必要はないかと思いますけれども、みなし外国税額控除というのはむしろ開発途上国にある条約相手国から自国の租税減免措置の効果が減殺されないことを確保したいという強い要望がなされているわけでございます。 こうした場合、その相手国が経済発展を目的として採用しております租税減免措置の効果を全く無視し去ることは必ずしも妥当ではないということでございまして、したがいまして我が国としては、開発途上国に対する経済協力という政策的配慮から、相手国からの強い要望があれば合理的な範囲のものについてみなし外国税額控除を規定しているということでございます。
○立木洋君 つまり規制を強めると海外に進出していくうまみがなくなるから、だから一定のみなし控除なんかがあって利潤が多く出るのだよということになると、海外進出する相手の受け入れ国としてもそういうふうなことを提供してできるだけ多くの投資をしてもらいたいというふうなことがあるということはそれはわかっているのです。だけれども、なおかつその上でもみなし控除についてはやはり問題があるのだから検討しましょうというのがこれまでの政府の答弁なのです。宮澤さんにしても中山さんにしてもそうだったのです。 それが大臣が約束されても全く、宮澤さんが述べられてからもう五年たっているのだけれども、それでも依然として直されない。そういうあなたがおっしゃったことを認めた上でなおかつ検討しなければならないというのが大臣の判断だったのに五年間たっても直らないということは、私は基本的に問題点が正されていないということをあえて指摘をせざるを得ないと思うのです。答弁は要りません。 それで、トルコの問題ではなくて今度はイスラエルの問題についてちょっとお聞きしたいのですが、イスラエルとの間で日本政府が国会に審議をしてもらう、つまり国会で承認してもらう条約というのは今回が初めてですよね。間違いありませんね。
○政府委員(小池寛治君) 今国会に提出いたしましたこのイスラエルとの租税条約が初めての条約でございます。
○立木洋君 違うかそうかだけでいいのですよ。
○政府委員(小池寛治君) 先生のおっしゃるとおりです。
○立木洋君 結局、国会で承認をするという条約、イスラエルとの間の条約は今回が初めてです。 それで問題は、今まで政府自身がイスラエル問題に対する対策として出されてきた点というのは何か。これはもう出される外交青書に毎年出ていますから読み上げなくてもいいでしょうけれども、イスラエルが全占領地から撤退するということ、それから独立国家樹立の権利を含むパレスチナ人の民族自決権が承認されるということ、イスラエルの生存権が承認されるということ、このことによって公正、永続的かつ包括的な和平が達成されるべきであるというのが日本政府の基本的な立場であるということは繰り返しこれは述べてきている。これはもうここに持ってきているからそのとおりだと思うのです。 今度の場合この問題に関して、イスラエルと初めてこういう国会承認を求める条約が締結されるに際して占領地の問題というのはあいまいにならないのかどうなのかということが懸念として残るわけですが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(小池寛治君) 本条約三条におきましてイスラエルの国の定義で明らかにしておりますけれども、この条約を適用するに当たって地理的意味で用いる場合のイスラエルに含まれるイスラエルの領域とは、国際法及びイスラエルの法令に従ってイスラエルが主権を行使できる領域というふうに定義されております。 したがいまして、東エルサレム、西岸、ガザ及びゴラン高原という六七年戦争によっての占領地 が国際法上イスラエルの領土とは認められておりませんので、この条約の適用上こういう占領地はイスラエルの領域からは当然に除かれております。
○立木洋君 この第三条の(b)項ですか、こういうのは小池さんおっしゃったように書かれてあります。だけれども、ここで述べられている国際法というのはこれは一般的な国際法であって、国連における安保理の決議や国連の決議というのは基本的にはこれは国際法とはみなされないのですね。もちろん国際法を再確認するという意味での決議があるということは私は承知しておりますけれども、しかし国連における決議そのものが国際法だというふうには基本的にはみなされておりません。国際法一般ということを言うならば、これは解釈がどうとでも成り立ち得るわけです。 現に今までのリクードの政権が占領地に対してどういう見解をとっていたか。これは領土である、自分たちの主権の及ぶ領土であるとリクードは主張してきました。今日の労働党の政権のもとでもこれは施政権下に入るというふうに述べられております。 そうすると、この国際法というあいまいな一般的な表現だけでいわゆる占領地が含まれないということが本当に担保されるのかどうなのか。それは明確に占領地は含まれないという公文書かなんかあるのでしょうか。どういうことになっているのでしょうか。
○政府委員(小池寛治君) 一般国際法ですけれども、一般国際法ではっきりしておりますのは、武力による領土の取得は認められないということは国際法上の原則として確立しております。 先生が御指摘になられました安保理決議、具体的には二四二あるいは三三八でございますけれども、これも今の一般国際法の原則を明確に確認してその上に基づいて決議されたものでございます。したがいまして、この条約においてもそういう一般国際法上確立している原則、それから二つの安保理決議と軌を一にするものでございます。
○立木洋君 もう時間がないので最後に、大臣によく考えておいていただきたいのですが、このイスラエルに関する条約を承認するのは今回が初めてなのです。イスラエルに対する政策が本当にこれで変わってしまうのじゃないかというふうな懸念があってはいけないので、今、現に占領地の問題がありますからこの条約は占領地まで適用するのかというふうな問題が問題になりかねない。 今の労働党の政権はこの占領地を施政権下にあるというふうに言っているわけです。だから主権が及ぶ範囲内だと言っているのです。ここでは一般的な国際法だけしか問題にされていない。これで解釈の違いが出てきますと、イスラエルの方は占領地まで我々は含めているのだというふうな問題になるとこれは異なった問題になってくるのです。 日本の政府のこれまでの方針が、イスラエルに対するあり方がなし崩し的に変わっていくという懸念を持たざるを得ないので、このあたりのけじめを私は明確にしておいていただきたいということを最後に大臣に要望しておきたいのです。その点の御見解と、今後そういうことにならないように、あいまいにならないようにきちっとするということを御確認いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) これはもう条約は相互条約でございますから、その辺はきちんとイスラエルとの間に話がついて条約が締結されるものと私は判断をいたしております。
○猪木寛至君 大臣がお忙しいということでいつもスケジュールが変更になりますので、多少不満を言わせてもらいます。 今、政府が大変今回のカンボジア問題の対応に苦慮されているというか、先ほど同僚議員からの意見もありましたとおり、私も同じような考え方で質問をしたいと思いましたが、もう既に出ております。 去年、一年前に国会が国民を巻き込んで徹夜国会までやった結果としてこういうことが予測できたかどうかということは大変難しい問題ですが、私も去年六月と九月に向こうに参りました。モザンビークの話も先ほども出ておりますが、どうもいつもどちらかというと国連サイドからの見方だけで、もう一方の考え方も聞く必要があるのじゃないか。 今回の状況というのは、これは語弊があってはまずいのですが、予測ができたというか、水先案内人というか報道陣が随分向こうに行っています。去年の一番最初にカンボジアの和平の話が起きたときに、非常に事情通で詳しい人、我々もその人たちとともに中へ入りましてシエムレアプからずっと国境線まで走ったのです。そのときにいろいろな部隊が応援をしてくれたということがありまして、今回選挙までの一週間というか、もし妨害をするとすればそういう行動がもっと激しくなってくるのではないかということで、きのうもちょっと電話を向こうからもらったのです。 そういう部分でこれから絶対に事故があってはいけないし、ないことを祈るわけですが、しかしそれは祈ったとしても不測の事態が起きるということはだれも予測できません。先ほどから言っているように、我々が常識的に見て今までの五原則はもう崩れてきているという気がします。そして、日本としても今、ここまで突っ込んで引けるかという状況の中で今後、選挙に向けて妨害工作が起きて不幸な事故が仮に起きたとした場合、そういうガイドラインというか、政府としてはどういう対応をするかということは考えておられるのですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 大変恐縮でございますけれども、私どもとしてはUNTACにもより一層の安全確保を要望いたしておりますし、場合によっては、特に文民警察の場合には危険が高まっているところについては業務を一時休止したりあるいは一時移動したりするようなこともUNTACに要望いたしておるわけでございまして、何とか犠牲が出ないようにということで懸命な努力を続けておるつもりでございまして、もし出たらというような仮定のことではなくて、出ないように今、一生懸命努力をしておるということでございます。
○猪木寛至君 大変時間がないものですから、今のお答えはいいと思うのですが、最初、法案の成立のときに、要するに半年後というか一年というか見直しをすると。今、このPKOに関していろいろな我々が予測しなかった事態になってきている。選挙後にPKOに対する見直しをする考えがあるのかないのか、お聞かせください。そこだけでいいです。
○国務大臣(武藤嘉文君) これは外務省だけの所管ではございませんので、PKOは内閣の総理大臣が本部長でその下に官房長官があり、私どもももちろん共管でございますけれども。ですから私から今、その見直しをするかどうかということは申し上げられませんが、一応三年たったら見直しをするということになっておりますので、これは当然そのときには見直しがあると思いますけれども、その見直しをさかのぼってするかどうかについては今、私からまだコメントするだけのものは持っておりません。
○猪木寛至君 条約について質問をしたいと思いますが、一つは生物多様性に関する条約ということでラムサール条約。 私は、ブラジルとのかかわり合いというか子供のときにブラジルにいたことから、大きな湿原について、釧路湿原あるいは石垣にある網張とか、いろいろアフリカの状況も見たことがあるのです。一つは、余りパンタナールというのは知られていないと思うのですが、アマゾンの方が大変有名である意味ではブラジルではパンダテールの方が今、はるかに観光地として脚光を浴びているわけです。人が入り込むことによって必ずそういうところが破壊されていくあるいは汚染が生じる。私が入ったのは二十二年前ですが、乾季になりまして沼が干上がって水たまりができますと五百とか千とかというワニが集まりまして、当然水鳥がそこに集まってくる。 そういうことについて政府としては、例えばチェナ川、サンパウロのチェナですね、それからグアナバラ湾の水の浄化ということが検討されているわけですが、その保護という部分についての考え方があるかないか、ちょっとお聞かせください。パン夕ナールに対してです。
○政府委員(寺田輝介君) ただいま委員の方から御指摘にございましたパンタナールの件でございます。確かに日本におきましては余り知られていない地域だということは事実でございます。ただし、私どもといたしましてはブラジルにおける環境問題ということで常にフォローしておりまして、ちなみに最近も、今パンタナールの地域といいますのはサンパウロの総領事館の所管地域になっておりまして、先月でございますけれども報告がございました。 私どもの認識としまして、やはり状況が少しずつ悪くなっているということでございまして、委員におかれましては観光開発というのが一つの自然環境を壊す要因という御指摘がございました。確かに一つの要因でございます。しかし、近来問題になっておりますのは、例えば私どもが受けました報告から見ますと水銀汚染の問題も一つの悪い要素になっているということでございます。御案内のとおり、アマゾンの支流でカリンペイロスが砂金取りをやっている。規模は違いますけれども、同じような事態がこのパンタナールの大湿原の一部の河川において行われている。その結果やはり水銀の問題が出ている。こういう状況になっております。 私どもとしては鋭意サンパウロの総領事館を通じまして事態の把握に努めている、こういう状況でございます。
○猪木寛至君 今、水銀の話が出ましたが、アメリカと日本の合同調査ということを新聞でこの前拝見いたしましたが、その状況については調査のあれは上がってきているのですか、それともまだ何も作成されていないのでしょうか。
○政府委員(寺田輝介君) 委員におかれて今、御指摘のございましたアメリカとの共同調査という点については、必ずしも私どもは承知しておりません。 他方、私どもも情報を得ておりますのは、我が国におきまして環境庁が現地の研究機関との共同研究をアマゾン地域を対象にして開始したという報道が現地の新聞にも出ておりまして、そのような情報を私ども入手しております。ただし、アメリカとの件については残念ながら承知しておりません。
○猪木寛至君 これはきょう時間がなくて、もうちょっと一つのものにまとめて質問をしたいのですが、リオとそれからチエテの川の問題について既に日本は決定されてもう援助を出されたのでしょうか。出されたとすればその後の状況というものを聞かせてもらいたいと思います。
○政府委員(川上隆朗君) ちょっと正確に今、資料がございませんが、御指摘の二つの案件は円借款を供与するということで、三月だったと思いますけれども、交換公文に署名いたしております。しかしながら、借款の実際の契約、借款契約、ローンアグリーメントと呼んでおりますけれども、これがまだ締結されていない段階でございます。したがって、今おっしゃったような意味での実施はまだやっていない、今、準備段階にあるということでございます。
○猪木寛至君 きょうのラムサール条約にしても、本当にブラジルの現状というのはますます悪くなってきている、そういう意味で実際に支援をしたらそのお金がどこへ行ってしまうかというのが非常に不安の材料ということで、私ども本当はこれからそういう援助の場合は追跡調査というか、できるのかどうか別としても本当ならばそこまでを確認していただきたいなという気がいたします。恐らくこの前、リオ宣言でも宣言されたいろいろ約束ができていると思いますので、これからその実行に当たって本当に援助が有効であるようにお願いしたいと思います。 最後に、トルコとの租税条約、イスラエルとの租税条約に関して。 この前もこの委員会で質問させてもらいましたが、オザル大統領が亡くなられた後、デミレル首相が実権を握るというか、そういう権力争いというのが起きていると。あの時期はそういうことは大丈夫でしょうと言われたのですが、その後がなり状況が悪くなってきているということを聞いておりますが、いかがなものでしょうか。
○政府委員(小原武君) お答え申し上げます。 オザル大統領が亡くなりまして、トルコの議会は現在、憲法の規定に従いまして新大統領の選出を行っている段階でございます。トルコにおきましては、大統領は国家元首としての憲法上の権限はありますけれども、政治行為は専ら内閣に属すということになっております。大統領の選出手続はこれまでのところ混乱もなく行われております。 この大統領選挙をめぐって与党内あるいは与野党間でいろいろの動きが活発化しているのは事実のようでありますけれども、このオザル大統領の死去によってトルコの内政が混乱するというような可能性は少ないのではないかというふうに判断しております。
○猪木寛至君 イスラエルに関しては、ちょっと一月に我々も向こうへ参りました。今回の条約を締結するに当たりましての領土問題というか占領地問題、先ほどもう既にお答えがありましたので省略したいと思います。 きょうは大変大臣が時間に制限があるということで、私はこれで終わります。
○磯村修君 大臣の御都合もあるようですので、ちょっと順序が不同になりますけれども、私もカンボジア問題からお伺いしてまいりたいと思っております。 先ほど来ずっと、カンボジアでのPKO活動につきまして非常に治安が悪化しているという状況の中で、ポル・ポト派もパリ協定の枠にある、それから五原則には今のところ反しないというふうなことが繰り返し言われているのですけれども、そこでどうしても私は疑問がありますのでお伺いしたいのです。 パリ協定では、停戦は即時戦闘行為をやめるとかあるいは敵対行為はやめるとかと第九条にその定めがあるわけですけれども、いわゆる停戦あるいは敵対行為ということが書かれているパリ協定の趣旨、いかにその趣旨を外務大臣として理解しているのか、その辺をまずお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今、御指摘のとおりで、パリ協定は、カンボジアの和平を実現するために各派が協力をし、それに関係国が協力をしてできたわけであることはそのとおりと私は判断をいたしております。その中で、停戦の合意、武装解除、それによって民主的な国家をつくるための和平プロセスを展開をしていく、そしてカンボジアのいわゆる主権が独立され、中立が保たれ、そして平和な民主的国家をつくっていく、こういう形のものがパリ和平協定であったと私は思います。 それで、それに対して現在の時点で治安が悪化してきていることはそのとおりでございまして、これは私どもの認識も甘かった点はあると反省をいたしております。しかしながら、その枠組みの中で少なくとも現時点においては基本的なものは保たれておる、こう判断をいたしておるわけでございます。
○磯村修君 協定では直ちに戦闘行為をやめるという趣旨のことも書かれていますね。しかし現実には、すべてがポル・ポト派のしわざではないわけなのですけれども、ともかくUNTACを標的にした敵対行為あるいは戦闘行為もあるわけです。これはポル・ポト派だけではなくてプノンペン政権軍も戦闘行為をしているあるいは敵対行為をしているわけですね。現実にそういうことがカンボジアで起きている。 そうしますと、その行為自体がもう既に協定に違反しているのだ、こう受け取るのが素直じゃないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもといたしましてはあくまでそれは、先ほど来申し上げておりますけれども、局地的な一つのテロ的行為であると。多少この間うち政府軍とやったことは事実でございますけれども、それも本当に一部でございまして全般的にはやはり局地的なテロ行為であるという判断から、まだ一応停戦の合意は守られておるというふうに判断をいたしておるわけであります。
○磯村修君 その御答弁もなかなか理解しにくいのですけれども、何か正確に協定なりあるいは五原則というものそれから現実に起きている状況というものを見比べていきますと、やはり政府の見解というのは非常にこれはメンツにとらわれた無理な解釈、無理な説明をしているというふうに、私はそのようにしか受け取れないのですね。 やはり現実に戦闘行為があり敵対行為があるわけですからもう当然自然な形として、いやこれは彼らはパリ協定は守っているのだ、枠にいるのだと言っても言葉だけであって現実行為としてはそれを犯しているわけですから、それはおかしいのじゃないかという大きな疑問を大方の人は持っているわけなのです。ですから多くの方たちの解釈というものは、やっぱりそれは協定違反だあるいは五原則に反している、こう素直にみんな解釈しているのですね。 しかし、それを政府はあくまでもそうじゃないのだ、五原則は守られているのだ、バリ協定の範囲にあるのだというふうな強弁を繰り返すのですけれども、ともかくこれからのPKOというものに参加していくためには、余り無理な解釈というものはこれからのPKOをいかに考えたらよいのかという上において大変私は障害になる答弁だと思うのです。どうでしょう、これは。
○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに日本でPKO協力法が審議されましたころに考えていたよりはカンボジア情勢についての認識は、先ほども私は申し上げましたが、甘かったという反省はすべきだと思っております。しかしながら、わかりませんけれども、テロ行為を続けているのが一応ポル・ポト派だといたしますと、ポル・ポト派もこのパリ和平協定を遵守するのだ、こうまだ明言しているわけでございますので、私どもとしては一応パリ和平協定の基本的枠組みは崩されていない、こういう立場をとっておるわけでございます。
○磯村修君 これからのPKOということを考えていくためにも素直な解釈の仕方、物の見方というものを政府自身も受け入れて、協定の理解とかあるいは五原則のあり方というものを十分に私は考えてほしい、こういうふうに要求しておきます。 それからやはりカンボジアの問題ですけれども、モザンビークに行く自衛官を送っている奥さんの声がテレビの画面に出てまいりました。そのときに、行かせるのに心から行っていらっしゃいというのはうそになる、私は今、政府しか信頼できないのだと、こういうことを言われておりました。実際にカンボジアの実情を見ましても今まで本当に予想もしなかったことが次から次へと起きている。状況が非常に悪化している中でもって皆さん活動しているのです。政府も安全対策云々と言っておりますけれども、果たして家族の皆さんの政府を信頼していますからというふうな言葉にこたえられますか。いかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) PKOというのはあくまで戦争が終わってその後の平和の維持回復をしていくための協力でございますから、そこが全く危険がないとか全く安全でございますということは私はあり得ないのじゃないだろうかと。戦争が終わってそれは確かに平和の回復の過程にあるわけでございますけれども、やっぱり戦争があったわけでございますから多少の危険というのは正直伴うのではないか。しかし、極力それを排除しながら平和の実現のために協力をしていくというあり方が私はあるべき姿ではないかと思っております。
○磯村修君 大臣は山に登ったことがございますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私は旧制富山高等学校ですから、立山とか劔とかというのは登りました。
○磯村修君 私も学生時代にアルプスによく登ったのですけれども、そこでこのPKOの問題が起きたときに私ちょっと頭に幾つか浮かんできたのです。やはり山を甘く見るなと。頂上を目指す、しかしガスがかかってきて危険な状況になったら勇気ある撤退をせよということを教えられましたね。 私はまさしく今のカンボジアの状況というものがそこにあるのじゃないかと思うのです。目標はすぐそこに見えるのです。選挙という目標がある。しかし今の状況は、非常に見通しのきかない、先が見えない、ガスがかかってきた状況だと思うのですね。そうしたときには、やはり危険を感じてそして勇気ある撤退をして改めてそのPKOを見直していく、今こういう時期に私はあると思うのです。どうでしょう。とにかく何か人命の犠牲を乗り越えてとよく言うのですけれども、私はその言葉は余り好まないのです。かつての戦争中のことを思い出すのですね。 今、政府に必要なことは、本当のPKOというものを完成させていくためにはあるいは本当に国民から納得されるようなPKOに参加していくためには今ここでもって勇気ある撤退という、そういう気持ちを政府が持つことが必要じゃないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私は、どうも今のお話といささか考え方を異にして、何か戦争中に言った言葉じゃないかと言われるかもしれませんけれども、あのような不幸な犠牲におなりになった中田君にいたしましても高田警視にいたしましてもお二人ともカンボジアが一日も早く平和な民主的な国家になるためにということで努力をされておられて犠牲になられたわけでございます。私は、そのお二人の死を考えても、やはり平和な民主的な国家があのカンボジアに再生できる、そしてそれはカンボジアの大多数の国民が望んでおられることであり、また国際的にも世界の人たちも望んでおることだと思うのです。 そういうことを考えれば犠牲者が今後出ないようにできるだけ私ども外交ルートを通じても努力をしていかなきゃならないのは当然でございまして、それはそれなりに努力をしておるつもりでございますけれども、今、カンボジアには日本だけじゃない、各国、多くの国からPKOに派遣されておるわけでございまして、そういう人たちと協調しながら今申し上げたような理想に向かって努力をしていただくというのが私は今、日本のPKOで行っていらっしゃる方々にお願いをしたいことでございます。
○磯村修君 もう一つ大臣にお伺いしておきます。条約の方の関係に移りますけれども、カンボジアPKOの問題は別に機会がありましたらまたお話をお伺いしたいと思っております。 地球環境の問題ですけれども、CO2の排出量が増加してきて非常に地球環境の問題が論議されてきているのですけれども、その責任の多くは先進国にあるということが指摘されているのです。そこで、こういう条約がつくられて我が国も参加していくということになったのですけれども、この地球温暖化の問題につきましてはやはり抑制策というものは大変大事で、早く各国が意見を交わして決めていかなければならない問題だろうと思います。七月にサミットがあるのですけれども、こういう機会をとらえながら地球温暖化の問題につきまして意見交換をすべきではなかろうかと思うのですが、そのようなお考えがあるかないか、ひとつお伺いしておきます。
○国務大臣(武藤嘉文君) これは本当に私どもの地球というのはもっともっと大切にしなきゃならないと思っております。先進国も過去においては非常にその点の配慮が足りなかったと思います。しかし最近は、先進国も十分理解をいたしまして努力をしておると思いますし、開発途上国も正直これからは努力をしていただかなきゃならない。そういう点で昨年のリオでの地球環境会議があっ たと私は承知をいたしております。 そういう意味においては当然今度の東京サミットにおいても、この環境問題というのは非常に大切でございますので、私どもはぜひ東京サミットで環境問題は取り上げていきたいと、こういうふうに考えております。
○磯村修君 大臣、どうもありがとうございました。何か時間がないようですので。 私の方の質問時間も余りありませんので、アジア局長にお伺いしたいのですが、北京でシアヌーク議長とお話し合いをしたそうですけれども、そのときの内容と、それからカンボジアでの選挙後はどうなるのか、どうするのかということにつきまして、その辺のお話も出たと思いますのでお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(池田維君) 今月の八日でございますけれども、外務大臣の命を受けまして私、北京に参りまして今川大使とともにシアヌーク殿下と会見する機会を持ちました。そのときに宮澤総理からシアヌーク殿下あての親書を先方に手交いたしました。 そのメッセージの主要なところは二つでございまして、一つは、カンボジア和平のために日本政府としては今後ともシアヌーク殿下が果たされる役割に期待している、そしてシアヌーク殿下が現段階においても各派に対して自制を呼びかけられるというそういうことを強く期待していますということを伝えました。これが一つ。もう一つは、総選挙を予定どおりかつ安全裏にやり抜くことが日本政府としては重要ではないかというように考えているということでございまして、その面で選挙実施に当たって主導的役割を果たしているUNTACを全面的に支持しているということでございます。 つまり日本政府としては、従来の基本的な方針であるシアヌーク殿下の立場の支持とUNTACの支持ということを明瞭に述べたわけでございます。 そのときシアヌーク殿下の方からは、カンボジア情勢につきまして幾つかの点が述べられました。 まず一つはポル・ポト派についてでございますけれども、ポル・ポト派はパリ協定を離脱していない、そして彼らとしてはパリ協定を忠実に実施すべきであるということを言って、忠実でない理由として三つを挙げている。つまりベトナム軍の撤退、それからSNCへの全面的な権限の移譲、あるいは三番目のプノンペン政権の五つの省庁に対する監督の強化。しかし、この三つの点についてのポル・ポト派の主張には根拠がないと自分は考えるということで、その点について詳しく殿下の説明がありました。 それからシアヌーク殿下の方から、自分は一貫してパリ協定を支持してきた、そして最近の治安情勢の悪化というものは懸念され、ポル・ポト派も不参加であるということになって、パリ協定が当初予定されていた姿から見ると残念ながら不完全な面があるということは否定できないけれども、しかしパリ協定履行のためにも予定どおり選挙が実施されるということを自分としては強く期待しております、そういう面から自分としては各派に対して協力を呼びかけていきたいということを言っておりました。 それからさらに民族和解政権いわゆる救国構想というシアヌーク殿下の構想がありますが、この点についてこちらから質問しましたのに対しましては、現在プノンペン政権がそのような構想については受け入れることはできないと言っていることもあって自分としてはこの構想は撤回した、そういった意味では白紙であるということを言っておりました。そして、選挙の結果次第によって、またその状況でカンボジア国民がどういうように判断するかによって、自分が果たすべき役割があれば自分としては喜んでそういう役割を果たしたい。しかし、いずれにしても、現段階においては将来のそういう問題よりも選挙をやり抜く、そしてパリ協定を何とか実施することが重要であるというように考えている。こういうのがシアヌーク殿下の大体の意見でございました。
○磯村修君 ありがとうございました。終わります。
○武田邦太郎君 ここに提案されました四つの法律案すべて賛成であります。ただ、対イスラエル条約に関しての立木委員のコメント、非常に重大問題でありまして十分に検討すべき理由があると思いますので、これについても賛意を表したいと思います。 主としてカンボジアについて私も申し上げたいのでありますけれども、既に同僚議員が極めて的確具体的に意見を出しておりますので賛成するところがほとんどでありますが、そこでやや視点を変えまして申し上げたいことは、十三年にわたる戦乱に苦しんできたカンボジア民衆のことを思えばそう簡単にあきらめてしまうとかなんとかということはできかねる面があるわけであります。日本として最善を尽くすということの中に、例えば中国のポル・ポト派に対する影響力を考えた方がいいではないかという気がするのです。 中国も国内問題で必死でありますから、北朝鮮の核装備問題についても非常に影響力に限りがあるように見えますのでポル・ポト派に対してどの程度力があるか私などにはわかりませんけれども、ともかくポル・ポト派の持っている武器の大部分は中国から供給されたものだそうでありまして、その他ベトナムに対する態度からいっても歴史的にポル・ポト派に対する影響力は相当あると見ておかしくないと思うのですね。一方、シアヌーク殿下も北京に屋敷を構えておられるそうで、今度の会議も北京でやったわけでありますから中国に対しては相当コネクションがある、こう思います。 そこで、一番現段階で欠けておりますのは、カンボジア民衆の非常な要望と言いますか期待といいますかを持っているシアヌーク殿下とポル・ポト派の最高人物ポル・ポトさんですか、直接会って話してはいないわけです。私などはその最高の権力を持っている人物の意思を直接確かめることが現段階において極めて大事である、こういうふうに思います。 こういう問題につきましては、歴史的に中国流なのですよ。中国は事の大事をはかるときに身を捨てて相手の最も大事なところに身を投ずる、こういうことは最も中国の得意とするところでありまた好むところだと思うのですが、そういうことを日本の政治の立場からも中国の要人に訴えて、カンボジアの現状の打開に一肌脱いでくれということを心から頼むことは可能性が全然ないのか。 新聞報道でありますけれども、ポル・ポト派の最も強硬に主張する参謀総長が精鋭を率いて南に下がっておる、こういう状況ですよね。でもUNTACはプノンペン派その他三派に武器を返すと。こういう状況を見ますときに、ポル・ポト派の真に意図するところはただ当面の選挙妨害であるのか、もっとひどい状況になる危険性をはらんではいないのか。このあたりの読みになりますと私は全くわかりませんけれども、しかしこういう問題と取り組む場合は最悪の事態を予想して、最悪の事態が起こっても慌てないで対処する準備だけは整えておく、起こらなければ幸いだと、こういう姿勢もあってよろしいのではないかと思うのです。 それを防ぐ力は何といっても中国ではないかと思います。中国のポル・ポト派に対する影響力などあるいはその可能性などについてどういうふうにお考えでしょうか。次官でもどなたでも結構です。
○政府委員(池田維君) ただいま先生の御質問ございましたポル・ポト派に対する影響力ということから中国の協力をいかに求めていくかということが重要であろうという点につきまして、私どももこれまで同じ認識を持ってまいりました。そういう意味から、いろいろな機会にいろいろなレベルで中国側と突っ込んだ意見交換もいたしましたし協力を求めてまいりまして、中国側もほぼ全面的にと言っていいぐらい我が方の立場を理解し協力してくれたというように考えております。 ただ、中国の立場自体はパリ和平協定の前とそれからそれ以降と相当違っていると思います。パリ和平協定の前には、ただいま御指摘のありましたように、事実上ポル・ポト派に対しては武器を含めて援助をしておりました。そういう意味で特別な関係がございました。このときの影響力というのは事実上絶大なものがあったと思います。しかし、パリ和平協定が結ばれてから中国はこの協定を遵守しまして武器供与その他一切の支援はやめておりまして、今、中国が行っていることは四つの派に対する等距離外交ということでございます。 そして、最近はますますポル・ポト派に対する影響力は少なくなっているということも申し上げてもいいかと思いますが、同時に中国は、最近のポル・ポト派がパリ協定を遵守していないということに対してかなりの不快な感じを持っているのではないかという印象さえ私は受けました。これは私の印象でございますから中国がこう言っているという形では申し上げることができませんが、五月六日に北京に参りましたときに向こうの次官とも話をいたしましたけれども、中国側はパリ協定を遵守しないものはカンボジア大多数の国民から見放されるであろうということを言っておりましたし、選挙はとにかく予定どおり行わなければいけないということも言っておりました。 そういう意味からいいまして、現在のポル・ポト派に対しては中国は私は距離を置いているという感じがいたします。しかしながら、昔の関係がございますから依然として中国との話し合い等を通じて何とかポル・ポト派に対して影響力を及ぼしていくということは必要なことであろうというように考えておるわけでございます。
○政府委員(柿澤弘治君) 今、アジア局長から答弁を申し上げたとおりでございますが、私も四月の中旬にバンコクで開かれましたESCAP総会に出席した折に中国の銭其深副首相・外務大臣が出席をされておられましたので二国間会談をやりまして、武田先生御指摘のようなお話を中国ともいたしました。 中国としては、今、局長から御報告のように、パリ和平協定を遵守すべきであると自分たちは思っているし選挙は予定どおりやるべきだと思っていると。ただ、ポル・ポト派に対する影響力ということでいえば我々は彼らの行動を左右する力は持っていないという趣旨のことをおっしゃっておられましたので、それなりの努力はしてくれていると思いますが、今のポル・ポト派は中国の影響力下にあるとか支配下にあるという状況ではないという判断を私どももしております。
○武田邦太郎君 それは大体、私に言わせれば国家間の表面的な折衝なのですね。だからカンボジアの十三年にわたる戦乱の中で苦しんだ民衆の運命を考えてもう一歩踏み込めないかということを申し上げているわけです。 例えばポル・ポト派の最高人物とシアヌーク殿下の直接的な会談ですね、これも一回や二回ですっといくはずはないのです。ですから中国の要人、鄧小平さんはちょっと無理でしょうが、できれば最高幹部級の人たちと懇談をしまして、今申しますような両方の最高人物が塗炭の苦しみをなめつつある大衆のために今までよりもさらに腹を割って最悪の事態を避けようではないか、こういう話し合いができるかどうかということを申し上げているわけですね。 ですから今お話しのありましたことはことごとくそのとおりだろうと思いますし私も十分了解するのでありますけれども、それでは苦しんでおる民衆の運命はどうなるのか。選挙が妨害される以上の全面的な闘争状態が仮にあらわれたとしたら、これは私はやはり平和に努力している国々の責任もありますし、まだこれからの世界で平和の中枢組織になるべき国連の信も問われるわけですね。これはもうだめだとガリさんのように言ってしまえばそれまででありますけれども、それでは割り切れないものを私などは持たざるを得ない。 どこまでも苦しんでいる民衆を少しでも早く救いとるために隣人としてどれだけの努力をするのかという角度から、これはお尋ねではなくて大臣の代理の次官にもお願いしたいのですが、もう一歩踏み込んだ、特に東洋的あるいは中国流の身命を賭して大衆のために努力すると。それは今の国家間の折衝とか先日ありました北京の会議よりもはるかに深いところへ踏み込んでいかなければ今日の状況は回避できないではないか。 これから先、カンボジアほど深刻なことはないかもしれませんけれども、やはり米ソの冷戦が終結した後における世界では、民族問題、宗教問題で非常に混乱が予想されるわけで、その都度、例えばボスニア・ヘルツェゴビナのように、中国を除く国連の安全保障常任理事国が挙げて軍隊を出す、こういうようなことを仮にやったとしてもあの地域が真に平和を回復して民衆が心からな平和をエンジョイするという状況にはなかなかなりにくいではないかと思うのですね。 ですから私は、やはり根本的な平和を探求して民衆の幸福ということを最大のものとして、単なる権力者間の折衝にとどまらないものがこれから必要とされるではないか。その第一の試金石がこのカンボジアにあるじゃないかという気がするのですね。これは質問じゃなくてお願いであります。
○政府委員(柿澤弘治君) 一言だけ申し上げますが、今、武田先生から御指摘のように、カンボジアの内戦、内紛で最も苦しんでいるのはカンボジアの人民、国民である、そういう観点に立って国際社会も和平のための手を差し伸べ、日本もその仲間として協力をしているわけでございます。その意味では、日本人UNTAC要員にとうとい犠牲者が出ましたけれども、その悲しみを乗り越えて協力を続けていきたいと思っているのもその趣旨でございまして、さらに外交的な努力も含めて一生懸命やるつもりでございます。 ただ、ポル・ポトという指導者については、なぞの人物でございましてここ数年だれも会ったという人がいないわけでございます。シアヌーク殿下もお会いはしていないと聞いております。それからタイの外務大臣にもポル・ポトと接触する方法はないかということを昨年、私、九月に尋ねたことがありますが、自分たちもポル・ポトには会っていない、会ったことはないということを言っておりまして、そういう意味では、ポル・ポトと直接接触をするというのはこれは今のところ非常に、鄧小平さんが出てきてもなかなか難しいことなので、その点がもう一つ私どもとしてポル・ポト派に対する接触の可能性を見出し得ないでいるという状況であることをぜひ御理解をいただきたいと思います。
○武田邦太郎君 それはよくわかるのですけれども、唯一、命がけで接触すれば可能性があるのはシアヌーク殿下だけだろうと思うのですね。苦しんでいるシアヌーク殿下にそういう要求を突きつけるというのはまことに心ないことでありますけれども、どうも殿下の姿勢にはまだ殿下らしい弱さがありますよね。それに命をかけてくれという要望をする方もまた命がけでなきゃなりませんし、この種のことは中国は最も理解ができる歴史、伝統を持っていると思うのです。だからこれまでもベストを尽くしてこられたのでありますけれども、一段とそういう角度からも御努力をお願いしたいと、こういうふうに思います。 終わります。
○委員長(野沢太三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。 午後一時五分休憩 ――――◇――――― 午後二時三十分開会
○委員長(野沢太三君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○北村哲男君 社会党の北村でございます。 私は、イスラエルとの間の租税条約とトルコ共和国との間の租税条約の二つの条約についての質疑、質問を行っていきたいと思います。 まず初めの質問ですが、我が国とトルコとの間では昨年投資保護協定が結ばれて今般は租税条約を締結することとなるわけです。条約の内容について見ますと、OECDモデル条約と比べ源泉地国側の課税権がより広く認められ、またいわゆるみなし外国税額控除制度、タックス・スペアリングと言うようですけれども、この制度が採用されるなどトルコ側の主張がかなり反映されたものになっているように思われます。一方、イスラエルとの間の条約ではこのタックス・スペアリングは認められていないという二つの形になっておるわけですけれども、そこでこの関係について三つに分けて簡単な質問をしたいと思います。 まず一つは、トルコとの租税条約締結の合意に至る経緯はどのようなものであったかということ。二つ目は、条約締結は今後の両国の経済関係にどのような影響を与えるのかという点。三つ目に、タックス・スペアリングを供与する相手国について我が国はどのように考えておるのか、どういう基準でそのようなことをしているのかということを含めて、外務省並びに大蔵省の交渉担当者の方々というかあるいは関係者の方にお伺いしたいと思います。
○政府委員(小原武君) お答え申し上げます。 まず経緯でございますけれども、八〇年代の半ば以降、トルコ側は我が国との経済的、人的交流度を一層促進するために租税協定を締結したいという希望を表明いたしまして、特に昭和六十年五月にオザル首相が訪日した際にこの協定締結のための交渉を開始したいという提案がなされまして、これを受けて立つことにしたわけでございます。その後、六十一年五月、六十二年五月、六十三年十一月、平成四年十一月と四回の交渉を経まして両国間で案文について最終的合意を見るに至りましたので、ことしの三月八日にアンカラにおきまして我が山口大使とトルコ側のオラル大蔵関税大臣の間で署名が行われたところでございます。 この協定の締結によりまして両国間の二重課税回避の制度が整備されるわけでございますので、今後一層、経済交流、文化交流が促進されることが期待されるところでございます。
○政府委員(小池寛治君) 北村先生の第三番の御質問にお答えいたします。 先生御指摘のとおり、この協定におきましては源泉地国課税については、例えば恒久的施設の範囲あるいは投資所得に関する限度税率などOECDのモデル条約に比べ若干幅広い源泉地国課税を規定しております。先生の御指摘のとおりでございます。 それからまた、みなし外国税額控除についても規定されておりますけれども、こういう規定ぶりはトルコ側の主張、それから我が国がほかの国と類似の取り決めを結んでおりますけれども、そういう租税条約の例などを総合的に判断の上、合意したものでございます。
○北村哲男君 タックス・スペアリングを供与する相手国について我が国はどのように考えておるかという点については、イスラエルについては認めていない、トルコについては認めたということは、どういうふうな方針でトルコについてこういう控除制度を認めたのかという点についてもう少し詳しくというか、どういう事情でそういうことになったのかを御説明願えますか。
○政府委員(小池寛治君) このみなし外国税額控除の制度というのは、開発途上国への投資を促進しようということで経済発展を助けるという配慮から認められているものでございます。 それで、みなし外国税額控除を認めるか否かというのは総合的に判断することになりますけれども、その一つの基準としましては、そういう判断の基準といいますか判断をする際の我々が考慮する一つの重要なものとして、いろいろな尺度の中におきましてそういう投資の促進、経済発展を助けるに値するような開発途上国であるかどうかというのが大きなメルクマールになっております。その際、世銀による融資の卒業基準というのが国際的に知られておりますし、また客観的なものでもあるということでこれを参照しております。 ちなみに、トルコの一人当たりGNPは一九九一年におきまして千八百二十ドルでございます。それで、同じ年の世銀による融資の卒業基準は四千四百六十五ドルということで、これを大きく下回っておるというのがトルコに対してみなし外国税額控除の規定を認めるにふさわしいと判断をした大きな理由でございます。
○北村哲男君 ついでにそれではイスラエルとちょうど二つ条約が来ていますので、イスラエルはそうすると途上国とは言わないでしょうけれども、どれくらいの差があるわけですか。
○政府委員(小池寛治君) 手元に正確な資料がございませんけれども、約一万一千ドルというふうに認識しております。
○北村哲男君 それでは次に、やはりトルコの関係ですが、その前にちょっと形式的なことなのですが、お話に出てきた条約が片やイスラエルに関するものは条約とあり片やトルコとの関係では協定とあります。国際的な意味は同じとは思うのですけれども、あえて違うという意味があるのでしょうか。
○政府委員(小池寛治君) 結論から先に申し上げますと違いはございません。 イスラエルとの間の条約、英語でコンベンションの訳ですけれども、むしろ我が国が結んでいる租税条約ないし協定においては条約という言葉を使っております。他方、トルコの方は協定、アグリーメントというのに対応する日本語ですけれども、トルコは二国間でこの二重課税に関する協定を結ぶ際にはアグリーメントという言葉を用いているのでぜひその文言を使いたいというのがトルコの要望でございました。協定ないし条約の実質にかかわることではありませんでしたので日本としてはそのトルコの主張を入れて、この協定のもとのアグリーメントということで合意したものでございます。しかし、内容的には全くその差はございません。
○北村哲男君 内容的に確かに違いがないことはよくわかっておるのですが、言葉の重みからいっても条約と協定というと協定の方が軽いような感じがするのです。しかも、これはトルコ側からの要望であるならばいいのですけれども、今言ったふうに、これが例えばイスラエルとは対等の条約である、対等の国である、トルコは途上国だということは関係ないのでしょうね。
○政府委員(小池寛治君) そういうことは全くございません。トルコとの関係においてもイスラエルとの関係においても全く対等な二つの主権国家として結んでおります。全く差異はございません。
○北村哲男君 次ですが、トルコとの協力による中央アジア支援の可能性についてお伺いしますけれども、昨年十二月にデミレル首相が来日されましたが、その際トルコ側から我が国と共同して旧ソ連の中央アジア諸国に対する支援を行いたいという提案があったというふうに聞いております。 中央アジア諸国はタジキスタン共和国以外はほとんどトルコ系民族で占められておるということで、トルコと協力しての支援は非常に有効なものになるのではないかというふうに思われます。特にことし一月、宮澤総理が東南アジア歴訪の際に我が国の援助の幅を広げるものとして連携型援助という考えを表明しておりますけれども、トルコとの協力による中央アジア諸国支援については政府はどのように検討をしておられるのでしょうか。
○政府委員(川上隆朗君) 御指摘の点でございますけれども、一般論といたしまして、開発途上国の多様な発展段階、需要に適合してきめ細かい援助を行うに当たりましてほかの途上国の有する知識や技術を活用するということは有益であるという認識でございます。先般の総理のASEAN訪問の際もそのような基本的な考え方に基づきまして、インドネシアとかタイ等におきまして総理からいわゆる第三国研修といったようなものを中心として南南協力支援の考え方を表明された経緯がございます。 他方、中央アジアにつきましては、これら諸国の民主化、市場経済への移行を中心とします経済改革の努力にかんがみまして我が方がイニシアチブをとってDACの途上国リストに載せる努力をしまして、それが入りましてODAによる経済協力をちょうど開始したばかりという段階でございます。したがって、当面は我々といたしましては二国間ベースの支援というものを基本にして、可能な範囲でこれらの諸国を積極的に支援してまいりたいという考えでございます。 しかし、御指摘のとおり、中央アジアの諸国についてはトルコは深い知見を持っているわけでございますので、トルコとの密接な情報交換というものは当然有益であるという判断でございますので、これら諸国を支援していく過程で先方といろいろな話し合いを続けてまいりたいというふうに考えております。
○北村哲男君 それでは、イスラエルの関係についてお伺いしたいと思います。 これは今、なぜイスラエルと結ぶのかということになるのですが、従来は輸入原油の大半はアラブ諸国に依存しておったという我が国の政策があるのです。その関係でイスラエルとの関係については非常に慎重な対応をしてきたということ、それが今まで租税条約がおくれてきた理由がどうかちょっと私もわからないのですが、その辺を含めてお聞きしたいのです。 今回、イスラエルとの租税条約の締結はイスラエルとの関係を深めていくことについてそれはもちろんいいことであるし第一歩と考えていいのでしょうが、今まで日本の国も日本の企業もイスラエルとの関係を深めることは逆にアラブボイコットを適用されるおそれがあるとして慎重な態度を示してきた、対応してきたのではないかというふうに思うわけです。 今後、イスラエルに進出した我が国企業に対してアラブ諸国から取引停止等の制裁措置がとられるおそれなんかはないのだろうかという点についてはどういう考えというか、どのような見解をお持ちでしょうか。
○政府委員(小原武君) 我が国は、中近東におきましてアラブ諸国ともイスラエルとも双方と正常な外交関係を維持してきておりまして、それぞれの間で関係を発展させるというのが政府の政策でございます。 なぜ今回イスラエルとこの条約を結ぶかという点につきましては、近年順調に発展してまいりましたイスラエルとの経済関係、人的交流などがこの条約を必要とするという程度まで発展してきましたために二国間の課税権を調整するという目的で締結することにしたわけでございまして、これは日本、イスラエル間の関係の健全な発展を反映するものというふうに考えております。 他方で、我が国とアラブ諸国の関係も順調に発展しております。現在、中東和平のプロセスが前進しておりますけれども、中東和平のプロセスにおきまして日本も積極的に参加し貢献しているところでございますが、これが可能なようになったのは日本がアラブ、イスラエル双方との関係を進展させてきて率直な政治的対話ができるという状況が出てきたことに負うところが大きいと考えております。 御指摘のアラブボイコットでございますが、従来から政府としましてはこれは自由貿易を阻害するものであって望ましくないという態度をとってきておりまして、昨年十一月末から十二月にかけてこの旨アラブ諸国に申し入れを行ってきているところでございます。今回の条約がイスラエルとの経済関係を持つ我が国の民間企業に及ぼす直接の影響はないというふうに判断しております。
○北村哲男君 今までそれぞれと対等な関係でやってきたと言っておられますけれども、やはり相当アラブに遠慮をしてイスラエルに対しては消極的な態度であったのではないかと思うのです。それはその関係がなくなって両方並行していけるようになったというふうに、そういう条件が整ったというふうに理解をしていいかと思うのです。 それはそれでいいのですけれども、この条約の中で三条の関係ですが、イスラエルは第三次中東戦争によってヨルダン川の西岸あるいはゴラン高原そしてガザ地区といった地域を占領したまま現在に至っておるわけです。これらの占領地問題ではイスラエルの占領地からの撤退についてたび重なる国連決議がなされ、我が国もかなりその辺については強く言っておるという関係があるわけです。 まず一つの質問は、租税条約では適用地域の問題が出てくるけれども、占領地については条約上どのように整理されているのかという点です。二つ目に、この点についてイスラエルとの間で解釈が異なっているようなことはないのかという点ですね。それからもう一つは、この条約の際に占領地問題について触れて国際決議あるいは我が国の態度をはっきり表明されたのか、あるいはそんなことは一応棚上げにしてお互いに知らぬ顔をしてやりましょうというふうな態度でやったのか、その点についてはどうなのでしょうか。
○政府委員(小池寛治君) 先生の御質問の第一点でございますけれども、この条約上、先生御指摘のとおり、第三条にイスラエルの国の定義を置いております。イスラエルの領域というのは国際法及びイスラエルの法令の双方に従ってイスラエルが主権を行使できる領域というふうに定義しております。国際法あるいはイスラエルの法令のいずれか一方によってイスラエルが主権を行使できないような領域についてはこれは含まれないことになります。 繰り返しますと、国際法及びイスラエルの法令の二つともが適用されるに従って主権を行使できるような領域という定義でございます。すなわち国際法に従って主権を行使できない地域についてはこの条約は適用されないということになっております。したがいまして、この点極めて明白でございます。武力によって領土の取得が認められないという一般国際法を念頭に、それを背景として規定したものでございます。 したがいまして、この点極めて明白でございますので、改めてイスラエルとの間で何らかの解釈あるいは意見の表明をするということは全く必要としなかったということでございます。それは先生の第二点、第三点の御質問に対する回答になります。
○北村哲男君 そうすると、イスラエルは自分たちの国の主張をこの条約に関しては引き下げたということになるのでしょうか。イスラエルは国際的な取り決めとか国際法上の問題についてはそれを無視して現実の占領を行っておるわけですけれども、それをこの条約の適用に関しては国際法を認めるよということを認めたということになるのでしょうか。 あるいはこの条約を結ぶための苦肉の策としてこういう表現をあえて使って、法律が国際法と国内法と二重のところだけは適用して一つの国際法が抜けたところは適用しないというふうに何か条約上のテクニックとしてこういうふうにしたのでしょうか。
○政府委員(小池寛治君) イスラエルとの交渉の際におきましてその交渉の席上我が方から、この条約についての解釈というのが一般国際法に基づいての領域、国際法という我が方の認識というのは極めて明白に表明しており、イスラエルの方はそういう我が国の立場をその場でテークノートしております。 それでイスラエルとしては、今まで国連の安保理決議二四二あるいは三三八で一般国際法に基づいてその西岸、ガザ、ゴラン高原について国連安保理を含め世界の大多数の国が日本と全く同じような立場に立っているということについては十分承知しております。
○北村哲男君 それではあと一、二点質問していきたいと思います。 イスラエル地区あるいは中近東から離れまして我が国とアジアとの関係に少し移ってみたいと思うのですけれども、地理的、経済的関係が密接なアジアの諸国で今後我が国との経済関係が深まる見込みの高い国との租税条約に積極的に取り組ん でいくべきではないかという考えもあります。 例えば租税条約がいまだない国としてベトナムがあるというふうに聞いておりますが、こうした国との租税条約締結の可能性についてはどのように考えておられるのか。あるいはもう既にASEAN諸国についてはすべて結んであるようですけれども、そのほかアジアについてミャンマーあるいはラオスというふうな未締結の国があるというふうに聞いておるのです。そういうところに対する戦略というか今後の問題についてはどのようにお考えでしょうか。
○説明員(河村悦孝君) 我が国は、相手国の税制それから相手国の経済関係、人的交流の実績、相手国の要望等の要素を勘案の上、租税条約を締結することを基本としております。このような方針に基づきまして我が国としましては、中国、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア等との間で租税条約を締結しております。 他方、我が国が条約を締結していない近隣アジア国といたしましては、ブルネイ、ラオス、ネパール、ベトナム等の国がございます。こうした諸国の中で、ただいま先生の御指摘のとおり、ベトナムなどは今後我が国との経済関係の緊密化が見込まれる国というふうに十分認識しております。
○北村哲男君 時間がないからもう一点だけ質問しますが、この点については、ともかくベトナムについては近々もう結ぶ可能性が出てきているというふうにお伺いしてよろしいわけでしょうか。
○説明員(河村悦孝君) 現在、ベトナムの税制調査等も実施しておりまして、その国の税制、条約締結状況について勉強しておるところでございます。
○北村哲男君 それからもう一つ、今回の租税条約は日本と世界各国の間で四十番と四十一番目の租税条約というふうに聞いておるのですけれども、締結以来相当期間が過ぎた条約もあると思うのです。これは必要に応じて特にタックス・スペアリングの問題なんかはそのまま企業保護というか、保護を認めていいものかどうか、見直しが必要ではないだろうかということもあるのですが、世界的にとにかく途上国相手に控除制度を認めておったものが途上国がある程度一定の水準になったらこういう控除制度をやめるとか、そういうふうな大きな戦略的なものは政府としてないのですか。
○政府委員(小池寛治君) 先生御指摘のとおり、我が国はこれまでに三十九カ国と租税条約を締結してきておりますけれども、これらの中には昭和三十年代あるいは四十年代というかなり前に締結された租税条約もございます。最近、我が国は租税条約の締結に当たって最近のOECDにおける議論などを踏まえてこういうものを改善し、あるいは条約の改正などの見直しを検討してきております。 先生御指摘のみなし外国税額控除を認めるかどうかということについては、先ほどの御質問の際にお答えいたしましたけれども、相手国の経済発展を助けるという配慮あるいは税負担の公平などといったことをも総合的に判断して関係各国と協議していっております。
○北村哲男君 それでは私は時間来ましたので終わります。
○堂本暁子君 きょう、生物多様性条約とそれから気候変動枠組条約の審議がなされるわけですけれども、私は一日で四つの条約の審議というのは余りにも審議の時間がないということに関してまず疑問を抱かざるを得ません。衆議院の傍聴にも参りましたけれども、土井たか子さんが、これはもう審議が終わってからでも、たとえ採決してから後でも審議を続けるべきだと盛んにおっしゃっていましたけれども、私も同感でございます。 どの程度軽く考えていらっしゃるのかということで、まずそのことから、私は政務次官が決して嫌いなのではないのですけれども、本当は大臣に、そういった個別のことよりも、UNCEDで非常に国際的にも重視されるこういった条約を一体どのように日本が、特に外務省が考えていらっしゃるのか、非常に抜本的なことから伺いたいと思っているわけです。 大臣は見えないのでしょうか。
○政府委員(柿澤弘治君) 武藤大臣、現在、衆議院の本会議のPKOの特別審議に大臣として出席をしておりまして終了次第こちらへ参ることになっておりますが、当面、私が代理でお答えをさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
○委員長(野沢太三君) はい。
○政府委員(柿澤弘治君) 気候変動枠組条約、生物多様性条約、これは今、堂本先生御指摘のように、UNCEDで決められた非常にこれからの地球環境問題の……
○堂本暁子君 ちょっと失礼します。 外務省とのお約束では大臣が見えるまで審議に入らないというお約束だったので、速記をとめていただきたいと思いますが、委員長。
○委員長(野沢太三君) 先ほど理事会でその点については整理ができたものとして進めております。ですから当面、政府委員並びに次官の出席で質問を続けていただきたいと思いますが、速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(野沢太三君) それでは、速記を起こして。
○堂本暁子君 お待たせいたしました。 初めて大臣に質問させていただきますが、私もきのうまでワシントンで生物の方ではなくて気候変動枠組条約の方の日米会議というのに出ておりました。けさ、さっきロンドンから着いたところですけれども、どうしても大臣にきちっと伺いたいということで今までお待ちしていたところです。 その理由と申しますのは、質疑の時間の少なさもさることながら、外務省として一体この二つの条約をどの程度きちっと受けとめておられるのか。日本が環境ということで世界のリーダーシップをとるのであればきちんと責任を持った対応をすべきだと思っておりますが、その点についてどういう姿勢で外務省は臨んでいらっしゃるのか、一番基本的なことから伺いたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 昨年、御承知のとおり、ブラジルで行われました地球環境保全会議にも積極的に参加をいたしまして、日本としては今、政府といたしましてこの地球環境の保全ということに対しては先進国の中でもリーダーシップをとっていかなきゃいけないと。日本も今日までいろいろな問題がございまして苦労してまいりました。しかし最近では、幸いいろいろの公害に対する防止の技術、大変私は進んできたと思っております。 例えば今の条約でございます大気汚染のCO2の問題にいたしましても、世界の先進国と比べて非常に私は積極的に技術の開発に取り組んでいると思うのです。
○堂本暁子君 大臣、申しわけございません、私は多様性条約だけなのです。生物多様性条約の基本姿勢を伺いたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) わかりました。 生物の多様性の保全につきましては、私どもやはり大変重要な環境問題と受けとめております。そういう面においては、幸いアメリカも今度署名をするようでございますし、ぜひひとつ世界的な枠組みの中で日本はできるだけリーダーシップをとって頑張っていきたいと、こう思っております。
○堂本暁子君 リーダーシップをとられるからには、至るところに「可能な限り」とかいろいろ書いてあるのですけれども、日本としては積極的にこの条約を担保していくということですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) もちろん積極的に取り組んでまいる所存でございます。
○堂本暁子君 大臣、そういたしますと生物多様性と申しますもしかしたら大臣余り御存じないかもしれませんけれども非常にわかりにくい日本語の言葉は、理念みたいなものをどのようにお受け取りになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 我々は正直、素人でございますのであれでございますが、生物種の保護とかいうようなものは従来からあったと思うのでございまして、最近は遺伝子の問題であるとかいろいろな問題が出てきておるわけでございますけれども、この遺伝子も含めて地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全していくという新しい理念、これは私は重要な分野だと受けとめております。
○堂本暁子君 二条には生物の多様性とはと書いてあるわけですが、地球上、海洋それから水界、干潟やなんかだと思いますが、そういったところの生物の間での変異性で、今おっしゃった遺伝子それから生物種、生態系の多様性を含むということが条約に書かれています。 そして、その中で特に大事だと思いますのは、生態系とは、植物、動物及び微生物の群集とこれらを取り巻く非生物、土とか空気とか水とかなのですが、そういった環境が相互に作用し合ってそして一つの機能、動的なものの複合体、そういったことが今おっしゃったような今までの生態系、確かに木もあるということではなくて動的なというところが一番大事なコンセプトだと思いますけれども、条約にそのように書いてあるので、この条約の一番の革新的なこと、今までの自然保護と違うところはそういった理解だというふうにして先へ進んでよろしゅうございますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) そのとおりでございます。
○堂本暁子君 そういたしますと、次にもう一つ伺いたいのですけれども、「生物の多様性に関する条約の説明書」というのをきょういただきました。私、これをさっき拝見したのですが、条約にもありますし、この説明書の中の三番目に条約の締結による我が国の義務というのが書いてございます。その義務の第一が、生物の多様性の保全及び持続可能な利用のためこの条約が定めるところの措置をとるということなのですね。 生物というのは日本にもありますし、それこそパプアニューギニアからアマゾンからどこもありますけれども、地球上をモザイクのように、モネの絵ではありませんが、モザイクのように印象派の絵のように覆っている。そうするとどこが大事でどこが大事じゃないということはないわけなのです。 それで、一番先にこの条約でやりなさいと言っているのは、日本国の生物を守りなさい、生態系を守りなさいということだと私は思いますが、ここの認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私は、日本を含めて世界だと思うのでございますが、第一義的には、世界のことまでなかなか手が届かない場合やはり日本が一番中心になるだろうと思います。
○堂本暁子君 六条に「締結国は、その個々の状況及び能力に応じ、次のことを行う」ということが書いてありまして、そこでそれぞれの国で国家的な戦略あるいは計画を生物多様性を守るためにつくりなさいということが書かれております。英語ではここはシャルという言葉で書いてあるのですが、条約局の方に伺わなければいけませんけれども、法律用語ではシャルというのはもっと強い言葉で、次のことを行うよりも行うべきであるというようなことのようです。 こういった国家的な目的あるいは戦略、そして計画を立てなさいということをきちっと今、大臣の御答弁の文脈で申しますと担保してくださるわけでございますね。
○政府委員(小池寛治君) 先生御質問の第六条の方に入る前に、条約全体の義務がどういう形になっているかというのをちょっと御説明させていただき……
○堂本暁子君 いえ、結構でございます。ずばりあとたくさん伺いたいことがあるので、義務は重々読んでおりましてこの御説明にも書いてありますので、そうではなくて今、質問させていただいていることは六条の戦略と計画、これに対してどう日本国としては対応するのかということを伺いたいのです。
○政府委員(小池寛治君) 第六条の「次のことを行う」という意味は、先生御指摘のとおり、シャルの訳でございます。それはそういうこととして義務を負うということでございます。 ただしその六条、その前に書いてありますように、「締約国は、その個々の状況及び能力に応じ、次のことを行う」ということで、能力に従って行えばその結果については条約として何らかの法的拘束を一定のものを行わなければいけない、ということまで求めているものではございません。
○堂本暁子君 多分そうおっしゃるだろうと思っていました。 そのことでいいますと、積極的にと大臣はおっしゃいますけれども、この条約は何にもしなくていいということなのです。どこにでも書いてあるのです、「可能な限り」、「適当な場合には」と。 私も一年半この条約は、御存じのとおり、それこそ小池さんには国連でお会いしたぐらいからずっとフォローしましたからよくそこのところの経過は存じておりますけれども、途上国がそれぞれこれは決められては困るということで入れてくれといって入れた文言でしょう。それは小池さんは一番よく御存じのはずですよ。それを国連からここへ移られたときにどうしてそういう答弁をなさるのですか。非常に形式的ですね。信じられない。同じところにいたからどういう議論がなされていたか私はよく知っています。そして、日本がもし世界の環境のリーダーとして地球環境に貢献していくのであれば、さっき大臣がおっしゃったように積極的であるとすれば、可能な限りとか適当とかいうことで済ませるはずではないでしょう。 一番最初に、日本はこれを早く批准したいからきょう一日で上げてくださいというふうにるるおっしゃる。それならもっと本当に徹底的に審議して、次の国会だって次の国会だっていいはずなのです。それをなぜそんなにお急ぎになるのか。それは日本がイニシアチブをとって早く批准したいからなのだと。そうだとすれば、そんな適当とか可能な限りなどという途上国が使う言葉をここでは使っていただきたくないと私は思いますし、今、大臣がおっしゃった積極的にやるということのあれとしては、日本はやるべき義務を一番先に、適当なんかじゃなくきちっとやって途上国に、自分たちはやったのだから途上国もやってください、アメリカもやってくださいと。 大体、国連では日本政府は盛んにアメリカにそう言ったじゃないですか。アメリカだってちゃんとやってくれと言ったのは日本政府でしょう。どうして今度日本国へ来るとそこががらっと変わるのですか。信じられない。おかしいじゃないですか。 私は、六条というのはこの条約の中の一番の根幹だと思っています。それに対して日本は、これをきっかけにきちんとそのことを担保する環境保全を当然やらなきゃいけないのです。ですから国内法との整合性とかそういうことは伺う必要も全くないので、どうしてきちんとそのことをやらないのかということをまず伺いたいと思います。
○政府委員(小池寛治君) 若干の個人的な感傷も踏まえてお答えしますと、「可能な限り、かつ、適当な場合には」というのは、交渉の過程の一番最終段階において主として開発途上国の方からの主張に基づき挿入された文言であるというのは先生の御指摘のとおりでございます。 なぜそうなったのか、私の個人的な理解としましては、この生物多様性に関する条約というのはいわば枠組条約としてその義務の程度はある程度薄くなってもやむを得ない。しかし、できるだけ多くの国を途上国をも含めて普遍的な条約にするその第一歩として、恐らく各国とも妥協をすべきである、せざるを得ないというふうに判断したものかと解釈しております。 そして、条約に基づきまして締約国会議が開かれ、その締約国会議においてこの条約の運用、さらには改正あるいは新たなる議定書の作成という形で国際的な取り組みをさらに一歩でも先に進めていこうという第一歩としてこの条約が作成され たというふうに理解しております。 それで、私が先ほど申し上げましたのは、この第六条を含めてでございますけれども、条約上の義務としてではございませんが、この条約の対象となっている各種の国内措置については我が国としてもいろいろ種々の、例えば自然環境保全法、あるいは種の保存に関する法律等々ございます。そういうものについて果たしてそのままで適当なのか、条約上の義務としてではありませんけれども、さらに見直していく必要性というのはあるかというふうに考えております。
○堂本暁子君 それでは、どのようにいつ見直されるわけですか。
○政府委員(河合正男君) 堂本先生、この生物の多様性条約では大変なエキスパートでいらっしゃいますので、非常に御説明が難しいのでございますが……
○堂本暁子君 ごまかされません。
○政府委員(河合正男君) その具体的な施策につきましては外務省以外に環境庁等に御説明いただくのが適当かと思いますが、六条につきましては、まさに先生がおっしゃられるとおり、この条約の基本の出発点でございます。 先生、先ほどこの条約を締結することによって何もしないでいいのかというふうにおっしゃられましたが、政府といたしましてはもう既に種々の分野におきまして措置をとってきております。これは先生も御存じのとおり……
○堂本暁子君 ちょっと先へ行かせてください、時間がございませんので。 もうそういうことはるるわかっていることで、私もたまたま環境委員会とダブっているものですから今おっしゃった野生生物の方の審議もちょうどいたしました。環境庁の方でのお答えはそのときも、生態系というものが絶滅に瀕した野生生物の保護という法律に入っているかということを伺ったときに、これは生物の種の法律であって生態系については入っていないという御答弁をちゃんと国会でいただいております。ですからどんなにここでおっしゃっても、最初に確認させていただいた動的な部分については担保していないということは、これは環境庁の自然保護局長の答弁でございます。ですからそこのところはそのことを申し上げておきたい。 それから生態系の部分については保全という形で自然を守っていく必要があるということで、その視点では二十年前にやったと。それは自環法ですけれども、それではその自環法は十分に担保していますかというと十分とは言えない、原生自然環境保全地域は五カ所しかないのだと。これも環境庁の御答弁で不十分であるということなのです。 そういうふうに言ってきますと、今、日本にある法律でこの条約で言っているところの生物の多様性というコンセプトをきちっと担保できる法律はないのです。そのことははっきりしています。ですからそのことの議論をしていると時間がたってしまうのでそのことはあえて申しませんけれども、もう一つ言わせていただくと、この説明書なるものは「早期国会承認が求められる理由」に国内のことについては一行も書いてない。そして、「地球環境の保全のための国際協力に貢献するため」というふうに書いてある。これは私は一つのずれだと思います。日本のことをまずやること、その上で国際貢献をするという順番でなければいけないというふうに思います。 そういった中で今、国内法が大変不十分である。どのぐらいそれが不十分かということは、まずここの中でも言っていることは、計画を立ててきちんと日本の生物や動物やれからもう魚から何から微生物に至るまで全部やりなさいということを言っているのですけれども、日本の緑の国勢調査と言われている自然環境保全基礎調査、これは大臣、御存じないと思いますが、大体どのくらいの予算だと思われますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 残念ながら承知をいたしておりません。
○堂本暁子君 私もびっくりいたしました。今年度、平成五年、二億六千九百二十四万円です。それで北海道から沖縄までどれだけのことができるか。 アメリカは、さっきおっしゃったように、今度サインするということをクリントン大統領は言いました。そして、その言った同じ日にどういう発表をしたか。八百五十人の生物学者と、それからドルで言いますと一億七千八百万ドル、日本のお金にして百九十五億八千万円の予算を投入してアメリカ全土の生物調査を行うように指示した。こういうことが条約をサインするとか批准するとかいったときにその国が担保することの意味だと私は思うのですね、政策をとるということの。我が国は何もしなくていいなどということはおよそナンセンスだと思っております。ですからきょうは何が何でもこのままでは済まされない。なぜならば、そういった問題だけではなくて、研究者もいなければ、環境庁はもちろん事業官庁として一番やるべき官庁なのですが、そういった予算すらない。手もない、人もいない、何もない。 例えば昆虫の標本、これは今どんどんアメリカとか大英博物館に流れている。例えばスミソニアンには三千万のタイプ標本というのがあるそうです。日本の国立科学博物館は幾つか。三千しかない。研究者はどうなのか。そういった標本の数では世界の中で日本は四十一位、後進国中の後進国です。さっき大臣は公害防止先進国とおっしゃいましたが、その領域では先進国かもしれません。しかし、自然の保護ということでいえば、二十一世紀に私たちは自分たちのこの貴重な財産を残せるかどうか非常に危機的な状況なのです。 ですからこの条約を批准するということは、これに対してちゃんと担保する新法、それから不十分だとすればちゃんと国内法を整備した上で私は批准すべきだと思います。本当ならきょうは賛成したくないし、たった一時間ぐらいの質疑でこれを通すということには非常に不満を持っています。クリントンさんは大変若くて大してなれていない人だということですけれども、それでもこれだけのことを言っている。我が国は何もやらない。 環境庁に伺いたいのですが、そういった標本を責任を持って収容できる、例えばスミソニアンのように三千万収容して、例えば英国博物館みたいに二百人ぐらいの研究者をきちっと置いて研究している、そういった国立の施設は日本にございますか。
○説明員(菊地邦雄君) ただいまの御質問の前提が自然環境保全基礎調査でございますので、ごく簡単にどんなことをやってきているかということを御説明させていただきたいと思います。
○堂本暁子君 いや、ちょっとその時間がないのです。ですからもうあれだけで結構です。
○説明員(菊地邦雄君) 御指摘の例えはそういった昆虫の標本を国の機関で大量に集めているのがあるかという点に関しましては、恐らく保全という観点で総合的に集積しておるところはないと思います。 大学でございますとか博物館でございますとかあるいは国の研究機関等でそれぞれの目的で御専門に応じてそれなりの集積があるということは承知いたしておりますが、例えばスミソニアンとおっしゃられましたが、そういった形で全体を網羅しているという国の機関は現在のところ私どもも承知いたしておりません。
○堂本暁子君 大学とおっしゃいましたけれども、調べましたら例えば九州大学でも三百とかそれから帯広畜産大学でも三十五とか、そういったけたです。 それから微生物の培養保存、こういったことも非常に大事です。それから動植物の生物多様性の継続的なモニタリング、そういったことをやる例えばフィールドステーションとかそういうのはありますか。フィールドステーションですとか微生物の培養、そういったものを保存する国立の施設です。
○説明員(菊地邦雄君) 私どもは必ずしも全省庁のそういった機関の状況を承知いたしておるわけ ではございませんが、すべての動物、植物を含めて網羅的にそういったモニタリングをやるという感じての機関というのは現在のところまだ設立はされていないと思います。
○堂本暁子君 大臣、お聞きのように、予算もありません。施設もない。結局、標本を外国に持っていかれてしまったので分類学者は非常に困るそうです。そういった分類学者の問題ではなくてこれは日本の自然の問題でございまして、ツルも絶滅種ならフジバカマも絶滅種、クロウサギも絶滅種、みんな絶滅種なのですね。大ざっぱな言い方をすると動物の四分の一と言われたり一七%と言われたり、植物の四分の一と言う先生もいらっしゃいます。それほど今や日本の植物や動物は追いやられているのです。 ですから道路をつくるのに一年に十五兆ぐらいあるし公共投資にだって十三兆ある、しかし北海道から沖縄まで二億七千万の調査費しかないというのはこれは余りにもバランスがひど過ぎる。そういう中で、ここにはそういったものを担保する法律がないのです、大体。法律をつくってそれだけのきちんとした予算をつけない限り日本は、この生物多様性条約に対してよその国は手伝っても、それこそ、後で伺いますが、援助という形だったら何百億という援助をよその国にはしている。よその国の自然は守っている。よその国の生物、動物のための補助にはむしろ何十億というお金を出している。我が日本国のためには二億数千万しかない。たとえ鳥類とか野生生物のための予算を入れても全部で五億数千万。六億に足りない。それで日本国の自然を守るということをここでどうやって担保できるのか。 これは私は外務省の責任だと思うのです。どう読むかということです。外務省は、援助、援助、援助という方に神経がいって日本国は緑がいっぱいあるのだと思っていらっしゃる。実はそうではないのです。水俣のときは患者さんたちがみんな言いました。四日市ぜんそくだって言ったのです。だけれども今、日本じゅうで絶滅したり殺されている動物たちは何もなすすべがない。植物だって同じです。ブナの木がどんどん切られている。ブナは泣けないのです。国会まで陳情に来られないのです。でも私たちの文化は、そういった自然の上に私たちは文化を、ツルにしろフジバカマにしろ万葉の時代からある動植物を今、私たちは失っている。物すごい無責任なことです。 とすれば、この条約にはそのためにどうしなさいということが書いてある。その条約の中のことをきちんと担保してからこれは私は批准すべきなのではないか。条約局に、きょうは局長がいらっしゃいませんけれども、私は法律家ではありませんが、本来、条約の方が国内法よりは上位法でしょう。とすればそれはそうすべきなのではないでしょうか。 そういうことを言い出すともう切りがないので次に移りますが、例えばアセスメントについてもきちんとやりなさいということが書いてあります。アセスメントをやらないと動植物が守れない。この点については、環境庁、いかがでしょうか。
○説明員(菊地邦雄君) アセスメントの条文につきましては、ただいま私どもは国会に御提案申し上げまして御審議いただいておりますが、環境基本法案というところでそれなりの位置づけをいたしまして今後とも一層の推進をしていくという方針を政府の方針として打ち出しております。その点に関しましてはこの生物の多様性を保全するためのアセスメントということと同一の目的というふうに考えております。
○堂本暁子君 環境基本法でも一番の問題は、アセスメントの法制化がうたえなかったことなのですね。それは環境庁も前にもお出しになったし法制化したいのはよく知っています。元通産大臣でいらっしゃった外務大臣は御存じだと思いますけれども、やっぱりそういうところでどうしてもアセスメントがつくれない。それもこの中の約束には「可能な限り」という中に入って、日本は後進国でございます。 それからもう言い出したら切りがないのですけれども、そういった意味であらゆることについてなされていない。とすれば、例えば国立の生物多様性研究所、そういったものをきちんとつくって、そして例えば北海道から沖縄までちゃんと調査をしない限り何が絶滅しそうなのかわからない。それからほかの官庁に対して環境庁がそのことを説得することもできないわけです、資料がないのですから。私が聞く限りではもう推定しか日本はできない。カモシカが何頭いるか、それからツキノワグマが何頭いるか、ミミズクが何頭いるか、みんな絶滅しかけている、そういった動物の推定しかできない。だけれども、いなくなっていることは事実。それでどんどん道路とか何かはつくられてその中で生物は絶えていってしまう。 ですからぜひこれを担保するために大臣にお願いをしたいのです。大臣は外務大臣でいらっしゃるけれども、閣僚の中でお考えいただいて、ぜひとも国立の生物多様性研究所のようなものをつくっていただきたい。そして、今申し上げた調査機能、それから保存機能。 そして、外国へ今度何か関係を持つときに、外国と関係を持つということを環境庁以外のどこの省庁もできない。なぜ公害防止があんなに進んだかと言えばそれは通産省が一生懸命やったからです。私もアメリカではその宣伝をさんざんやってきました。ですけれども、通産省はそういった事業官庁には絶対ならないわけです。建設省だってなれない。なれるのは唯一環境庁なのです。だから環境庁が事業官庁になって、そして国立の自然環境研究所なり生物多様性研究所なりをつくって、そういった設置法をつくってから本当はこれは批准すべきものだと思います。そうしなかったらこの条約の約束は日本は、さっき参事官がいみじくも言われた、その何とかに応じてと。日本は途上国じゃないのです。イニシアチブをとると言った日本が二億数千万、恥ずかしいと思いませんか、本当に。もう信じられない話なのです、これは。 というわけで、公害防止では日本は確かに先進国でございます。しかし、自然の保全ということに関しては今の例えは十三光何ぼの公共予算から比べればゼロに等しい。ないに等しい。このことを大臣にどうしてもわかっていただきたい。だからロンドンからも何が何でもすっ飛んで帰ってきました。 そして、この中でもう少し大事なことというのは、例えば国立の国土地理院というのがございます、地図をつくっています。そこの予算は大体どのくらいか見当がおつきになりますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) たしかこれよりは多いはずだと私は承知しております。
○堂本暁子君 そうですよね。だれが考えたって多いですよね。およそ百億です。 そして、クリントンさんが八百五十人の生物学者をあれしましたけれども、日本の国土地理院は八百五十八人、環境庁で緑の調査をやっているところは五人だそうです。あとはみんな県レベルに下ろしてやってもらう。先生たちのボランティアでやってもらう。これではちゃんとした調査はできないのです。ですから環境庁が九州から北海道までそれぞれそういったフィールドワークをする拠点を持って、国土地理院は十二ぐらい持っていますが、そしてそこできちんと専門家を置いて仕事を展開しない限り日本は自然も文化も失ってしまう。子孫に残せない。 そのことを宮澤総理もるるリオでは演説なさったわけです。次の世代に残す。国会でも耳にタコができるほど私は政府から伺っております、次の世代にと。だけれども、私たちは次の世代にタヌキもカモシカもタンチョウも恐らく残せないかもしれない。トキはもう危ないです。どんなに技術が発達したって一度絶滅した種をどうやってつくるのですか。三十億年かかってできてきた生命なのです。三十億年かかって生物の多様性というのはできてきた。私はそういう演説をワシントンでやらせてもらった。その結果としてオゾン層ができてやっと生物が海中から陸に上がれた。三十億 年かかってこの日本列島の中にできた美しくて豊かで私たちの生活をずっと慈しんできたその自然を今、日本人は壊そうとしている、そう言って過言ではない。少なくとも政治家にも私自身にも大臣にも行政の皆様にも、そして恐らく市民にも産業界にも責任があります。 ですからこの条約は、そんな簡単に国内法は直さなくていいとか新法は要らないということで通していただいては困る条約なのです。なのに、きょう一日で審議を終えて何としてもと。なぜか。それはここに書いてあるように、国際貢献がしたいからです。これはおかしいのじゃないかと思うのです。 自分ばかりがしゃべっていては本当はまずいのですが、もう言いたいことが多過ぎて困ります。 インドネシアのバイオダイバーシティー・センターについて伺いたいと思います。 これは日米でやっているフィールドワークなのですけれども、こちらについてもぜひ短期的なものではなくて長期的なプロジェクトを立案していただきたいと思います。これは局長に伺いたいのですが、可能でしょうか。
○政府委員(川上隆朗君) 日米間の協力ということで昨年のブッシュ大統領の訪日の際に宮澤総理との間でアクションプログラムを結んだ際に本件の協力が入ってきて、それをインドネシアで行うということで話が進捗しているわけでございますけれども、インドネシアは、先生御承知のとおり、バイオダイバーシティーの観点からは非常に重要な国だという認識でございまして、生物多様性の保全、研究、利用ということで広範な協力をできればやってまいりたいということで現在、日本、インドネシアそれからアメリカという三者間での協議を行っているところでございます。 主として我々は機材を供与し設備施設を整備して、さらには専門家の派遣等、技術移転ということを行う。アメリカ側は基金への拠出というふうなことでNGOを援助するといったようなことも含めてやっていくというような方式ではどうかということで、先生おっしゃるとおり、今後、息の長い協力案件としてこの種の生物全体をとらえた保存、我々も植物の遺伝子等々についてはやっている例もございますが、全体を取り上げるプロジェクトは初めてと存じますのでしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
○堂本暁子君 環境庁、ぜひ研究者やそれから環境庁のスタッフの方も持続的に派遣していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(加藤久和君) お答えいたします。 ただいま外務省の方からも御答弁ございましたように、インドネシアは熱帯の海から山岳地帯までさまざまなタイプの生態系とそこに生息する動植物の多様性が非常に豊かでございまして、その保全のために国際協力を推進するということは地球全体の生物多様性の保全の上でも極めて有意義なことと私どもでは認識しております。 そこで、先ほど来引用がございましたが、環境庁といたしましても自然環境保全基礎調査等を含む各種調査研究等で培ってきました我が国の経験、技術、ノウハウ等を生かして、外務省その他関係省庁とも緊密な連携を取りつつ、専門家の派遣を含めインドネシアの生物多様性の保全が効果的に行われるように努力してまいりたいと考えております。
○堂本暁子君 文部省、お越しいただいていると思いますが、お願いいたします。 コスタリカにも同じようなこういったバイオダイバーシティー、生物多様性研究所がありますけれども、アメリカの大学五十ぐらいから毎年大勢の研究者がそこへ行って研究しています。そのことが大変にアメリカの生物多様性研究の幅を、幅と申しますか厚さをつくっているというふうに思うのですけれども、日本の場合には大変に研究者が減ってきてしまっている。動物の分類は特に少ないというふうに聞いています。 インドネシア、コスタリカでの研究に科研費の補助等を積極的に展開していただけるそういったお考えがあるかどうか、伺わせてください。
○説明員(井上正幸君) 文部省では従来から、大学の研究者が海外における学術研究をする場合にその重要性にかんがみまして科研費の中で国際学術研究という分野を設けまして研究活動を支援しております。特に近年、非常に学術研究の進展、国際化の中でこういった海外での研究調査が重要であるということで、その予算も対前年度五億増の三十九億円を措置しておりましてその充実を図っているところでございます。 そういうことで、先生も御案内のように、科研費は基本的に研究者とかあるいは研究者グループが計画し申請するということでございますが、今、先生の御提案のインドネシアあるいはコスタリカというそういったところの植物学、動物学といったような分野についても実は既に実績もございまして、今後こうした分野について申請がある場合には適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○堂本暁子君 文部省に続けて伺いますが、日本の大学の中で基礎研究、分類学などの専門の人がやはり減っている。これは科研費が短期的であるためになかなか長期的な研究ができないということで事業費の枠をつくってほしいという要望が多いようですが、これはいかがですか。
○説明員(工藤智規君) 生物学の中でも、御承知のように近年、細胞レベルですとか分子レベルの研究が多うございまして、先生おっしゃったような分野でございますとか系統学関係あるいは分類学関係の研究というのはなかなか地味なものでございますから研究者がだんだん少なくなってきている部分がございますし、私どもは憂慮しているわけでございます。 そういう中でも東大植物園などを中心にしまして幾つかの大学の植物園の関係者、さらには先ほどちょっとお話がありましたが、国立科学博物館の研究者でございますとか、そのあたりは随分努力していただいていることについては私ども多としているところでございまして、他方で御案内のような国の財政事情もございますので、厳しい中ではございますが、関係者の御申請を待ちましてよく御相談をしてまいりたい、かように考えております。
○堂本暁子君 今、お話の出た東大、東北大、それから北大なども大変植物園は予算が少なくて四千万ぐらいだそうです。京都植物園とかそういうのは十億ぐらいあるのですね。 ですからいわゆる本当に研究者が育つところは予算がない。イギリスのキュー植物園とかそれから大英博物館は二百人規模の人がいるけれども、東京の場合は五人ぐらいしかいない。そういうようなもう本当に月とスッポンというのはこういうときにあると思うぐらいに、アメリカと比べてもドイツと比べてもフランスと比べても日本のこういった分野での担保、人的にも技術的にも予算的にも国のレベルで非常にレベルが低いということをどうしても申し上げておきたいと思うので、それは文部省にもぜひよろしくお願いをいたします。 そして、あともう一つ文部省に伺いたいのですけれども、保全生物学というような分野にどうしても予算がつかないということを伺っていますが、そういうところはどうでしょうか。
○説明員(工藤智規君) 先ほどお話ししたような状況でございまして、ただ他方で最近になりまして、研究者が日本国内でも各地の大学あるいは博物館等に分散している嫌いがございますので、その関係の研究者を結集して何か新しい仕組みの大学という構想などもございまして、そういう新しい試みにつきましても私どもいろいろ事情を聞きながら、かつ可能な限り応じてまいりたいと思っています。
○堂本暁子君 ぜひ文部省には、長期的なものですから、単年度ですと一回しか見られない、本当に猿だろうが何だろうが長いこと観察しなければならないことですから長期的な予算のつけ方も工夫していただきたいというお願いをしたいと思います。 あと外務省に伺いたいのですけれども、インド ネシアで、アメリカの方はNGOの基金をつくってインドネシアのNGOをどんどん支援していくということのようですけれども、ぜひとも日本からもやはりNGOやそれから研究者をどんどん送り込んで一緒に研究するということが大事だと思いますけれども、小規模無償で日本のNGOも参加できるような方策をお考えいただけますでしょうか。
○政府委員(川上隆朗君) 御指摘のとおり、NGO、特にこの生物多様性の分野では地域住民の啓蒙とか共同作業といったような点が重要になってくると思いますし、保護区の管理保全といったような点、NGOの知見を必要とするというようなことが多々あろうかと思います。 日本のNGOはいろいろな欧米に比べての特色、財政基盤が弱いといったようなことがあるわけでございますけれども、我々としては、政府が持っております御指摘の小規模無償、NGOの事業の補助金、それからこれは外務省ではなくて郵政省でございますけれども、ボランティア貯金といったようなことでその活動の支援を一般的に図っているところでございます。
○堂本暁子君 もう時間がないので結論だけお願いいたします。 インドネシアに小規模無償でNGOを送っていただけるかどうかということについて。
○政府委員(川上隆朗君) 小規模無償で渡航の費用を持つといったような形での支援というのは今の段階ではまだ行われておりません。しかしながら、インドネシアで活動しているNGOが現地で行う事業に対してその事業ベースで、これは必ずしも日本のNGOじゃなくてもいいのですが、今言ったようなスキームで政府が援助するということは可能であります。
○堂本暁子君 私がお願いしたいのは、やはりそういうところでいつも日本はお金を出してよそのNGOを支援しているのですけれども、そこに日本人がいない。だから結局、日本のNGOの中でもこういった生物多様性をやるようなところが育たないわけです。ワシントンに行きましたら、バイオダイバーシティー・アクション・ネットワークというのができていまして、もう非常に大きなNGOが全部、WRIからそれこそありとあらゆるNGOがネットワークをつくっている。日本はこれを専門にやっているNGOなんて恐らくほとんどない。ですからNGOを育てることが大事なのです。 インドネシアのNGOにお金を出すことも大事かもしれないけれども、ああいうところの人はむしろこういうところに参加するわけです、ワシントンへでもどこへでも。日本人は行かないのです。なぜかと言ったら日本は日本のNGOを育てないから。だから日本のNGOをぜひとも考慮していただきたいというお願いをいたします。 そして環境庁にも、環境基金でもぜひ今度のバイオダイバーシティー・センターに研究者を継続的に送り込んでいただきたい、そういうお願いをしておきます。いかがでしょうか。
○説明員(加藤久和君) お答えいたします。 ただいま先生御指摘のとおり、さきに本院で御可決いただきました環境事業団法の一部改正に基づきまして間もなく地球環境基金が設置されることになっております。 具体的にインドネシアの生物多様性センターに対して地球環境基金からもNGO補助金、NGOの支援策を行うかどうかにつきましては、この日米それからインドネシア、関係国の間で最終的に合意されます協力の全体の枠組みあるいは実施体制等がどうなるかということを見きわめつつ、また地球環境基金に対する具体的な我が国のNGOからの助成の要望等を見ながら検討して、できるだけ前向きに検討してまいりたいと思っております。
○堂本暁子君 ありがとうございました。 大臣、るるお聞きくださったように、どんなに日本が自然の領域で弱いか。結局、技術なのですね、日本にあるのは。ですからワシントンでも技術の話はたくさん出ました。今度、生物多様性のもしああいう会議が持たれたら、日本はNGOもいない、恐らく学者も非常に少ない、そして実績もない。世界で標本は四十一番目ですね。予算は、環境庁から私がいただいたのですが、自然保護の調査、自然保護局の調査の予算、ことしは随分ふえていて六十三年から比べると三四%もふえているのですけれども、それでも何と全部合わせても五億七千六百万。五億ですよ。もう日本の国家予算から比べて、日本の生態系を守るのにこれでは無理です。 だからフジバカマが絶滅しようがトキが絶滅しょうがそれは当然なのですね。もっと本当に名もない昆虫。昆虫の学者はもう日本で六人ぐらいしかいない。もうじき定年だということも読みました。そんな状況で今、世界で一番注目されているのは昆虫なのですね。だけれども、そういったことすらない。 そういう状況の中で、この条約はきちっと本当にそれをつくり上げるチャンスだったと思うのです。にもかかわらず、まさにさっき参事官がいみじくもおっしゃった、そして参事官も現場のニューヨークにおられた四回目の準備会議のときに、最後にこういったことはどんどん入ってきました。でもそれまでは、先進国は可能な限りとか、ここの特に六条のところのそれをまさにお使いになった。私はすごく残念だと思うのですが、個々の能力に応じてと。日本は世界で今や経済力はトップです。経済大国だと言われている。その日本に能力がなかったらどこに能力があるのですか。 ですから私は、きちっと予算のついた国立の自然環境研究所なり生物多様性研究所なりをこれを批准するに当たっては、事後的になりますけれどもお約束いただきたい。いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いろいろお聞きしておりまして、大変予算も少ない、人も少ないというのは私、よくわからせていただきました。この条約の締結の承認をお願いする以上は私は私の立場で、所管は違いますけれども、できる限り環境庁の予算その他につきまして、来年度の予算の中でできるだけの努力を思い切ってさせていただくということをお約束させていただきます。
○堂本暁子君 本当にありがとうございました。 しかし予算というと、御存じのとおり、私も予算委員だからあれなのですけれども、シーリングというのがございます。シーリングではこの五億が国立地理研究所の百億には一気にどんなことをしてもならないということはそれはいやというほど知っている。大臣もよく御存じです。ですから新法をつくっていただいて、クリントンでさえ今、赤字だ赤字だ生言いながらぽんと二百億と八百五十人の生物学者を投入した。そのくらいの大胆なことをやっていただきたい。 それは環境庁が自分でそういうことを主張してもなかなか実現しないのが日本なのです。ですからこれをもしきょう採決するのであれば、大臣が大変強いお立場にいらっしゃるわけですから閣議の場でそれを考えていただいて、この条約に見合う新法の制定と今まである法律の修正と申しますかアメントメントをしていただいて、そしてそれに予算をつけていただいて、堂々と日本がクリントンの向こうを張って、あなたの方もサインするのなら私の方もあなたより早く批准したと。そして予算だってクリントンに負けず劣らずつけた、法律もつくったと。これから日本の植物も動物も守る、そしてインドネシアなりアフリカなりコスタリカなりのところを手伝うのだと。よそを手伝って灯台もと暗しで自分のところに何もない。これはおかしいです。 大臣、次の世代にタンチョウもいなくなる、日航にくっついていますけれども、ツルのマークが。でもあれば昔、日本にいた鳥だというようなことになるわけです。フジバカマというのがあったそうだと。秋の七草というのが六草になっちゃうわけです。それはやはり私たち今、こういう責任のある場にいる者として物すごく大きな責任だと思います。地球環境に責任があると同時に日本人として、いつからか知りませんが、何千年前か らか知りませんが受け継いできた自然と文化を今、ここで壊してはいけないのじゃないか。 ですから大臣、時間がかかってもぜひ新しい法律を、この条約に見合う法律をつくってください。もう一つお願いでございますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 法律はやはり国会のこともありますし、担当の環境庁が考えなきゃいけないことでございますから、私がここでそれをやりますとは申し上げられません。保 ただ、先ほど申し上げましたように、予算については確かにシーリングもございますけれども、シーリングの枠外というのはあるわけでございますから、私は先ほど来から聞いておりまして大変大切だという認識を持ちましたので、私は私なりに環境庁をバックアップいたしまして、場合によればシーリング以外の予算をひとつつけるように努力をさせていただきます。
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。終わります。L1
○委員長(野沢太三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、北修二君が委員を辞任され、その補欠として松谷蒼一郎君が選任されました。L1
○委員長(野沢太三君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、日本とトルコ及びイスラエルとの間の二租税条約に反対の討論を行います。 租税条約は二国間の課税権の調整を行うものでありますが、この主な対象は国際的な事業活動を行う多国籍企業であります。こうした企業は、国内より一層利潤の上がる海外での事業で収益を得ることが経営の基本となるものであります。そのためこの条約は、主として多国籍企業の利益につき国内での税制上の優遇措置を実施するものとなります。 特にトルコとの協定に見られるようなみなし控除の規定については、これまでも政府自身、問題があると認めているものであります。トルコに進出した日本企業は控除された分がもうけとなり、税収はない。全く企業に補助金を出して海外に進出させるようなものとなります。また、みなし控除は国内産業の空洞化を進めることにもなり、産業政策上も問題を生むものであります。 さらにイスラエルとの条約締結については、これまで政府がイスラエルに対してとってきた態度とのかかわりで問題点を指摘しておきたいと思います。 これまで政府は、占領地からの撤退をイスラエルとの交流開始促進の内容として主張してきましたけれども、イスラエルが占領地から撤退しない現状のまま、直接投資がわずか二千万ドル程度の段階で条約を結ぶというようなことは異常に思われます。基本的な見地から、政府は中東和平のために国際的な道義を貫く立場を堅持すべきであります。 以上の理由で、提案された二条約に反対の態度を表明し、討論を終わります。
○委員長(野沢太三君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とトルコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(野沢太三君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とイスラエル国との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(野沢太三君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、気候変動に関する国際連合枠組条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(野沢太三君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、生物の多様性に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(野沢太三君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、四件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。L1
○委員長(野沢太三君) 国際情勢等に関する調査を議題といたします。 この際、便宜私から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党、民主改革連合及び日本新党の共同提案に係る気候変動に関する国際連合枠組条約及び生物の多様性に関する条約に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 気候変動に関する国際連合枠組条約及び生物の多様性に関する条約に関する決議(案) 地球温暖化の防止、オゾン層の保護、生物の多様性の保全、熱帯林の保全など地球環境問題は、国際社会が緊急に取り組むべき課題である。 気候変動枠組条約及び生物多様性条約の締結に当たり、政府は、地球環境保全のため、先進国としての責務が問われているとの認識の下、次の事項について特段の努力を払うべきである。 一、地球温暖化の防止、生物の多様性の保全など、地球環境保全のための各般にわたる施策の拡充強化に取り組むこと。特に、自然環境保全のため、全国規模での基礎調査の推進、調査に当たる人材の養成、研究体制の強化なとに努めること。 二、地球環境保全に向けてのより充実した国際的な取決めの実現を含む国際協力を積極的に推進する役割を果たすため、国際場裡において、イニシアティブをとり、関連する諸問題の解決に最大限の努力を払うこと。 三、開発途上国における地球環境保全のための努力を支援するため、経済協力、技術移転のより一層の推進を図ること。 右決議する。 以上でございます。 本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野沢太三君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 ただいまの決議に対し、武藤外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武藤外務大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) 政府といたしまして は、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分尊重いたしまして、両条約を誠実に履行するとともに、今後とも地球環境保全に向けて努力をしてまいります。
○委員長(野沢太三君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時一分散会 ――――◇―――――