外務委員会 第4号
- 発言数
- 294 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1993/04/20
会議録
○委員長(野沢太三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 去る四月八日、カンボジア総選挙の監視員として活躍してこられました国連ボランティア中田厚仁氏が凶弾に倒れ、亡くなられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。 本委員会といたしまして、この際、議事に入るに先立ちまして、中田氏の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと思います。 御起立を願います。黙祷。 〔総員起立、黙祷〕
○委員長(野沢太三君) 黙祷を終わります。御着席を願います。
○委員長(野沢太三君) 委員の異動について御報告いたします。 去る六日、藁科滿治君が委員を辞任され、その補欠として松前達郎君が選任されました。 また、去る七日、松谷蒼一郎君が委員を辞任され、その補欠として北修二君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(野沢太三君) この際、武藤外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武藤外務大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今般、外務大臣を拝命いたしました。ごあいさつを申し上げる機会をいただき光栄に存じます。 まず何よりも、渡辺前外務大臣の一日も早い回復をお祈りいたしております。 国際社会は今日、東西冷戦を克服し、自由と平和と繁栄のための新しい枠組みの構築を模索しております。先般の米ロ首脳会談や、先週東京で開かれたロシア支援についてのG7閣僚合同会合は、このような観点から主要国の間に新しい協力関係を築くための努力の一環であります。 しかしながら、国際社会の新しい枠組みづくりはなかなか思うように進んでいないのが実情であります。ロシアは、膨大な核兵器や多数の原発を抱えた状態で、深刻な経済問題や政治体制の混乱に直面しております。また、北朝鮮が核不拡散条約からの脱退を表明したことは、大量破壊兵器の拡散問題への取り組みの重要性を我々に改めて痛感させるものであります。さらに、旧ユーゴスラビアを初めとする地域紛争、そしてまた地球環境問題、難民問題といった国境を越えた取り組みを必要とする問題や、貧困や累積債務など開発途上国の抱える問題も依然として深刻であります。 世界は今、歴史の転換期にあり、それだけに従来にも増してさまざまな課題を抱えておりますが、国際社会は協調を一層強化して、一日も早く平和で世界じゅうの人たちが幸せに暮らせるような時代をつくっていかなければなりません。国際社会の中での今日の日本の重みを考えますと、我が国としては、冷戦後の世界が直面している問題を解決し新しい国際社会の枠組みをつくっていくために、日米欧の一層緊密な協力を初めとする重層的な国際協調のもとで積極的な役割を果たしていかなければなりません。 このような考え方に基づき、日本はカンボジアにおいて和平の実現のために人的協力を含めた貢献を行っておりますが、今月八日、国連ボランティアとしてカンボジアの再建に貢献してこられた中田厚仁氏の悲報に接しました。ここに改めて哀悼の意を表するとともに、制憲議会選挙に向けた中立的な政治環境を乱すあらゆる暴力行為を厳しく非難するものであります。 本年は七月に東京サミットを控えていることもあり、外務大臣の重責に身が引き締まる思いでありますが、さきのG7閣僚合同会合の成果をも踏まえ、東京サミットの成功に向けて最大限努力してまいりたいと思っております。 本委員会の委員の皆様のよき御指導によりまして、我が国の外交に誤りなきよう努力してまいりたいと思っておりますので、よろしく御指導のほどお願い申し上げ、ごあいさつにかえさせていただきます。 ―――――――――――――
○委員長(野沢太三君) 商業及び事務所における衛生に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑を行います。 なお、ただいまの外務大臣の御発言も踏まえ、質疑のある方は順次御発言を願います。
○田英夫君 本日はILO百二十号条約が議題でありますが、委員長の御発言もありましたように、武藤新外務大臣の所信表明を伺いましたので、そのことにも触れで御質問をしたいと思います。 最初にILO条約の問題ですけれども、日本はILO条約については先進国の中では最も批准がおくれているということはもう周知の事実でありますが、その中で一つILO百六号条約、商業及び事務所における週休に関する条約というのがあります。これも非常に古い条約であるにもかかわらず批准が行われておりませんけれども、国内法及び実態的な点でなぜ批准ができないのか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(河合正男君) ただいま田先生から御指摘がございましたこの条約は、一九五七年に採択されたものでございます。内容としましては、商業及び事務所に使用される労働者は一週間七日間の各期間の中に一日二十四時間以上の中断されない週休を受けるべき権利を有すべきだ、またこの週休はすべての関係者に対してできる限り同時に与えなければならないという規定になっております。 この条約の基本的な内容につきましては我が国におきましても実現されておりますが、なお例えば我が国の労働基準法におきましては、週休制、七日間で一日というほかに、四週間で四日間の休日も認められております。また、休日をすべての関係者に対してできる限り同時に与えること、そういう規定はございません。こういうふうに我が国の国内法の規定と若干違うところがございまして、現状では批准が困難な状況になっております。
○田英夫君 これは商店だとかデパート、スーパー、こういうところで働いている人たちにとっては非常に重要な条約であって大変深い関心を持っておられるのですけれども、今お答えのように、日本の社会の現状では週一回休むことすらなかなか難しい。法律では週一は決まっているわけですけれども、特に正月のデパートなどはほとんど一日二日ぐらいしか休まない。 こういうことはこの条約の精神に全く反するわけでありまして、社会全体の慣習ともかかわる問題ですからなかなか問題は多いと思いますけれども、ぜひ政府はこの条約の方向に進むようにさまざまな手だてを構じていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 次に、宮澤総理大臣が先日ワシントンを訪問されて日米首脳会談が行われました。この問題について外務大臣にお尋ねしたいと思いますが、この際、委員長にもお願いをしておきたいのは、通常国会では総理大臣に一度は外務委員会に出席をしていただくというのが私の知る限り慣例になっていると思います。特に今回、日米首脳会談、しかもクリントン大統領と一対一で話されたという場面もあったようでありますので、ぜひこの通常国会中に宮澤総理御自身に当委員会においでいただいてお答えをいただきたいということをお願いしておきたいと思います。 そこで、今回の日米首脳会談で特に注目されますのは、クリントン大統領が円高を容認するという発言をされた。このことは大統領という最高の立場にある人が、円高をむしろ歓迎するというふうな受け取り方もあるようですが、そういう発言をされるということは極めて異例のことであると言わざるを得ないと思います。現に昨日は欧米では百十円という円高になってしまっている。 この問題について、外務大臣、日本政府として基本的にクリントン大統領の姿勢をどう考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今の円高容認の発言に関連してのお話でございますが、それぞれの国の立場がございますので、クリントン大統領としては貿易収支の改善に役立つという観点から御発言になったのではないかと私は推察をいたしております。 いずれにしても、今回の日米首脳会談においては貿易収支の改善の問題が非常に強く向こうから出されたことは事実でございまして、こちらからはしかし管理貿易になるようなことは絶対にいけない、あくまで自由貿易を堅持しようということで宮澤総理からお答えがあったと承知をいたしております。 そういう中でございますのでそれに対してどうこう私が、これはクリントン大統領自身のそういう貿易収支の改善に対しての考え方だろうと思いますから、それがいいとか悪いとか私がコメントすべき問題ではなかろうと思いますが、しかしながら日本側としてはこの急激な円高というものはやはり好ましいことではございませんので、これは大蔵省あるいは日銀、そういうところができるだけ介入をしてでも極力円高を防止していく。なだらかな円高はこれはやむを得ないと思うのでございます、実態に応じて。しかし、急激な形での円高というのは好ましいことではございませんので、できるだけ金融関係が介入をしてでも緩やかな、もし円高になるにしても緩やかな円高になっていくというのが私は望ましい姿だと思っております。
○田英夫君 今の外務大臣の御発言も従来に比べますと、従来は外務大臣、大蔵大臣あるいは総理大臣も日銀の介入というようなことについては表向きは日銀にお任せするというのが原則であったと思いますが、昨日も総理大臣が記者団の質問に対してやはり日銀の介入も必要じゃないかというようなことで、しかも協調介入ができないという状況ですから日本独自でやらなきゃいかぬ、こういうところに来てしまっていると思います。 そこで今の御発言になったと思うのですけれども、きょうの朝刊などはみんな宮澤訪米は失敗だったのではないかというような論調も見られるわけでありまして、事実、私の印象では、クリントン大統領にそうした円高歓迎の発言をされあるいは日米経済問題についても非常に強い姿勢を示されてそれに対して日本政府の反応が非常に弱いという、そういう印象を持たざるを得ないのでありますが、外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私は今、宮澤内閣の一員でございますので、その最高責任者である宮澤総理がせっかくアメリカまで出かけていかれて首脳会談をお開きになった、それが失敗であると言われましても私は、いや、そうではございませんと申し上げざるを得ないわけでございます。 今回の日米首脳会談、最初行かれるときのお話でも私ども申し上げておったのですけれども、要は初めて会うわけでございますから個人的な信頼関係を打ち立てるというのが目的だということで私どもは承知をいたしておったわけでございます。しかし、アメリカ側は結果重視というふうな形でございまして、常に結果を強く求めていこうという今の姿勢、クリントン政権の姿勢から出てきたと思うのでございますけれども、私どもはあくまで自由貿易体制を堅持していく、お互いに自由主義経済体制を維持していこうじゃないかということで主張できたということは、いろいろ批判はあろうかと思いますが、私は評価すべきことである、こういうふうに思っております。
○田英夫君 これも私の印象ですけれども、総理大臣、最高責任者の訪米ということは当然外務省がおぜん立てをする。準備をする。そういう意味からすると外務省の準備がまずかったのではないか、そういう感じがいたします。 一対一の大統領との会談も予定よりもはるかに短かったと。そして、国務長官その他が入ってきて一斉に経済問題についての厳しい雰囲気になったという報道を見るにつけても、一方的に押しまくられたという、しかもクリントン大統領という人物、そしてそれを取り巻く人たちの雰囲気というものについての研究も不足していたのじゃないか。若いクリントンさんはまさにアメリカ人的アメリカ人であって極めて率直に物を言うということについての準備が不足だったのじゃないだろうかという感じもいたします。 四つの問題点を挙げたようでありますけれども、円高容認歓迎ということに続いて、日本の内需拡大による景気刺激策、あるいは四つのうち一つだけアメリカの問題が入っていて、アメリカの生産性向上、これは非常によく進んでいるということでありますからむしろ自画自賛であります。そして四つ目に、業種別の日米協議をもっと進めるべきだと。これはMOSS協議以来実は続いてきた問題でありますけれども、また挙げてきている。 四つのうち三つは日本に対して要求をしているという、こういうところからしても非常に高姿勢という感じがいたしますし、これに対して宮澤総理初め政府の対応は弱いというのが一般的な受け取り方じゃないでしょうか。この際、これに対してもっと言うべきことは言うという姿勢をおとりになった方がいいのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(小倉和夫君) 事実関係を中心に二、三ちょっとお答えさせていただきます。 まず先生の御指摘になりました出席者の問題でございますが、アメリカの大統領と日本の首相が一対一で話をしたと。その後いろいろな人が入ってきたのは事実でございますが、これはゴア副大統領がもともと昼食会に出る予定でございましたのがたまたま不幸な若干の事情がございまして急に出られなくなったと、そのために参加したというようなこと。あるいは国務長官や財務長官につきましては、たまたま対日支援の問題で日本に両方そろって参りましてすぐ取って返したということで、その問題につきましてやはり二人の同席がその場合必要だったというようなことで特別な事情で急遽途中から入ったということでございますので、必ずしもいわゆる二人の間の時間が短くなったということでもないというふうに理解しております。 それから先生がおっしゃいました日本側も率直に言うべきことを言ったかという点でございますが、これはむしろアメリカのプレスの報道などを見ましても日本がかつてないほど率直に物を言ったというふうに伝えられております。現に私どもの方も、単にアメリカ側が貿易収支の問題を中心に言ってきましたことに対して、むしろ環境とかエネルギーとか日米関係、経済関係の積極面を取り上げるべきだというようなことも非常に申しました。 また同時に、日本の問題だけではなくてアメリカの問題もこれから取り上げていくのだといういわゆる双務性なり両方通行の問題、さらには数量的な目標を掲げることとか保護主義的なこと、あるいは一方的な措置はいけないというようなことも相当はっきり申しまして、例えば宮澤総理の現地のテレビにおけるインタビューなどを見ましてもかつてないほど我が日本の立場というものを強く言われているということでございまして、むしろ非常に率直な話し合いを行うことに成功したのではないか。 しかし、ただその過程で両国の違いというものが浮き彫りにされたためにあるいは先生のおっしゃるような点が出てきたかと思いますが、こちら側の主張というものは相当率直に述べているというふうに感じております。
○田英夫君 この問題は言うまでもなく非常に重要なことでありますから、ぜひ政府は外務大臣を中心に対応をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 もう一つはカンボジアの問題なのですけれども、外務大臣に就任をされて一つの大きな課題を背負われたと思います。このカンボジア問題というのは、中田さんのこともあり非常に重要な状況になっておりますが、外務大臣として、今のこの状況に対して日本として何をやれるのだろうかと、これは当然お考えだと思うのです。 例えばパリ和平会議に出席をした日本を含む国々、議長国もフランスとインドネシアということで決まっていることでもありますし、インドネシアの外務大臣はそれをやったらどうかということも言い始めているわけですが、ぜひ日本がこれを推進をして何とかいい方向へ持っていく努力をしなければならないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) これは私もこのようにだんだん治安が悪くなってきているという状況は本当に憂慮しておるわけでございます。せっかくパリ和平協定ができ、そして一応曲がりなりにもSNCで合意にも達していたわけでございますから、カンボジアで民主的な平和な選挙が行われ、そして平和で民主的な国家がもう一回あそこにしっかりでき上がるということ、これはやはりカンボジアのためだけではなくアジアの平和のためでもあり世界の平和のためでもあると思います。 そういう面においてその方向が進められてきたことを私どもは非常に喜んでおったのでございますが、それからいうと最近の状況というのは非常に憂慮されますので、日本といたしましては、今お話がちょうどございましたけれども、インドネシアとフランスが議長国でございますし、この議長国と現在協議をしながら私としてはできるだけ早く国際的な会合を開いて、日本だけではなかなかできませんので、いい方向に持っていけないかということで何らかの国際的な会議が開けるように今、いろいろ事務的に進めておるというのが現状でございます。
○田英夫君 それは具体的には例えばどこでやったらいいのか、時期はいつごろがいいのか、そして当然四派、クメール・ルージュいわゆるポル・ポト派を含めた四派ということになると思いますが、その辺はどういうふうに考えておられますか。
○政府委員(池田維君) ただいま御質問の、どこで、あるいは時期、関係各派との関係等につきましては、現在のところ事務的に話し合いは進めておりますけれども、最終的な結論を得るには至っておりません。しかしながら、関係諸国それから関係各派とも十分に話し合いを続けていきたいと思っております。
○田英夫君 しかし、五月末には選挙があるわけでありまして、その選挙に向けてクメール・ルージュが選挙妨害というようなことに出る可能性があるという非常に緊迫した状況でありますから急がなくちゃいけないのじゃないですか。そういう意味ではもちろん早急にということですか。
○政府委員(池田維君) できるだけ早急にということで、選挙の始まります前には何とか国際会議を開きたいというように考えているわけでございます。
○田英夫君 いわゆるSNCを北京でというシアヌークさんの呼びかけに対してプノンペン政権はこれを拒否するというようなことになりまして、SNCが開けないということになりますとこれはまたカンボジア内部が全く分裂状態になってしまうという事態でありますから、これも何とか側面からできないものかなと。 例えばシアヌークさんは御自身が北京におられるということで北京と言われたのかもしれませんが、その他の国ということも含めて考えられないものでしょうか。
○政府委員(池田維君) 先生の御指摘のとおりでございまして、プノンペンで開くことができないとかあるいは北京で開くことができないというような事情であればその他の適当な場所がないかどうか、これは両議長国を中心にして話をまとめていくということでございますので、日本としては両議長国と十分に相談しながら協力していきたいというように考えております。
○田英夫君 カンボジアのことでは問題点がたくさんあるのですけれども、一方的に申し上げれば、今、SNCの話が出ましたけれども、SNCには下部の機構がない。つまり四派が集まって頭だけは十二人でできていても下部に行政機構というものを持たないということが実際問題としては全く機能しない一つの原因であり、UNTACもそういう意味では占領軍のような形になっていながら軍事面と選挙監視面、管理面では要員があってもいわゆる行政面については機構を持っていない。行政機構らしきものを持っているのはカンボジア四派の中のプノンペン政権だけであるというところにも一つの問題点があるというふうに私は思っております。 そういうことでやるべきことがたくさんあるのじゃないか。国連がせっかく乗り込みながら、実はUNTACのやっていることはほとんど失敗であると断定せざるを得ない状況にあると言わざるを得ないと思うのです。 そこで、日本とのかかわりで一つ大変気になることは、四月五日にクメール・ルージュいわゆるポル・ポト派の放送が、日本は新たな敵になったという表現で日本攻撃の放送をしたという事実があります。プノンペンにいる人に確認をいたしましたところが、最初はバンコクで傍受したということでありますが、プノンペンでも聞いた人がおりまして内容はほぼわかってきましたが、外務省はこれを把握しておられますか。
○政府委員(池田維君) ポル・ポト派は地下放送を持っておりまして、いろいろな公式、非公式、あるいは撹乱的な情報も含めまして情報を流しております。したがいまして、どれをもって正式な見解と見るかということは難しい点がございますし、この点につきましてはカンボジア問題に造詣の深い田先生、十分御承知でございます。 四月五日のただいま御指摘のポル・ポト派の地下放送につきましては、私どももそういう放送があったということは一応聞いておりますが、内容は詳細には存じておりません。しかしながら、正式な見解を示したものというようには理解していないわけでございます。例えばその後、四月十六日にポル・ポト派が最新の公式見解を示すものということでキュー・サムファン議長の声明なるものを放送しておりますが、この中においては今のような非難というものはございません。
○田英夫君 実は私も同感なのでありまして、放送の内容は、日本がベトナムに対して支援を強化している、経団連の代表団が行かれたりあるいはベトナムの首相が訪日して宮澤総理と支援の約束を取りつけたとか、そのことを挙げて日本がベトナムを支援することは我々にとってはこれは敵対行為であるという言い方でありますから、いささかキュー・サムファン氏などが従来言っていたことと違っているという印象はあります。したがってまた、三月ですけれどもキュー・サムファン氏に会ったときには、日本に対してはむしろ友好的である、将来平和が来たときにはぜひ経済的な支援を期待しているのだという発言すらあったわけでありまして、その点は私も今のアジア局長のお話と同感なのであります。 しかし客観情勢は、大体ごとしに入りましてからさまざまな戦闘が断続的に起きていて、二月、三月にかけては逆にプノンペン政権軍が大規模な乾季攻勢をやった、戦車、大砲を動員して。大体乾季はプノンペン政権、雨季はポル・ポト派というのが十三年間続いた内戦当時からの一つの常識になっていたようでありますが、それが再現をされたという点でもはや内戦、つまり停戦合意というのは破れていると言わざるを得ないと思うのですね。 たまたま新聞でことしに入りましてからの大小の戦闘あるいは停戦監視要員の拉致とかそういう事件を表にしたものを拝見すると、もはやこれは完全な戦闘状態、双方とも戦闘状態にある、停戦の合意は崩れていると言わざるを得ないと思うのです。停戦の合意が崩れたということになりますとPKO法五原則の一角が崩れたということになって自衛隊は引き揚げなければならない、あるいは選挙監視要員も派遣できないということになると思うのですけれども、政府の見解を伺っておきたいと思います。
○政府委員(池田維君) 私どもも最近の全体の事態が治安の悪化の方向に向かっているということで憂慮しているわけでございます。特にテロ的な活動であるとかあるいは武装集団による暴行事件というものがふえているということは事実でございます。ただ、それではカンボジア全体が軍事的に非常に大きな緊張状況に入ってきたのかといいますと、その面ではそれほど大きな全面的な戦闘ということではないのではないかというように見ております。 ことしの二月ぐらいにプノンペン政権軍とポル・ポト派軍の対峙というものが北の方あるいは西の方でちょっとございました。しかし、こういう軍事面でのことはその後、鎮静化しておりますが、先ほど申しましたそういう個々のテロ的な活動はふえているということは事実でございます。しかしながら、基本的には曲がりなりにもパリ和平協定の枠組みというものは守られているというように見ております。
○田英夫君 実際の状況というのは、プノンペン政権軍は大規模に部隊として軍事行動をとるわけですけれども、いわゆるポル・ポト派はゲリラで十人単位ぐらいの行動をとるわけでありますから、ポル・ポト派の方の行動を見ている限りこれは小規模と言わざるを得ないのです。それをもってまだ停戦合意は崩れていないということを主張していると、実はゲリラが多発してくるという形の中でこれから選挙に向けて取り返しのつかない状況になってしまうのじゃないかということを危惧いたします。 今、パリ和平協定は守られているというアジア局長の御答弁がありましたけれども、パリ和平協定が守られているかどうかということを判断するのはだれですか。
○政府委員(池田維君) パリ和平協定が守られているかどうかというのは関係各国それから関係各派の総意でございますが、しかし基本的にはその総意を踏まえてUNTACが第一義的に判断をするというように考えております。
○田英夫君 そのとおり、最終的にはUNTACだと思うのです。 しかし、日本のPKO法五原則というのがあるわけでありまして、これの一番最初の柱が停戦の合意ということ、もう一つの大きな柱が関係者の同意、つまりPKO派遣の同意ということだと思います。五原則のうちの大きな柱はこの二つだと思います。この中の停戦の合意が破られているかどうかを判断するのは一体だれですか。
○政府委員(池田維君) 停戦の合意が破られたかどうかも、ただいま申し上げましたように、最終的にはUNTACが判断するというように考えております。
○田英夫君 それは私は違うと思うのですよ。これはパリ和平協定はおっしゃるとおりUNTAC、国連ということにならざるを得ないと思いますけれども、PKO法五原則というのは日本の国 内法でありますから、これに関連した判断というのは当然日本政府、その最高責任者である総理大臣ということになるのじゃないでしょうか。
○政府委員(丹波實君) ただいまのアジア局長の御説明でございますけれども、パリ和平協定上の停戦の判断の問題というのは一つのメルクマールであろうかと思います。アジア局長の答弁はそういう趣旨だと思いますが、しかし最終的に国内法上の停戦の問題を判断するのはだれかという御趣旨の御質問であるとすれば、ただいま田先生がおっしゃったとおり、それは日本政府が最終的には判断する問題ということでございます。
○田英夫君 ということですから、ぜひ政府はこのカンボジアの現状というものを冷厳に見詰めていただきたい。中田さんという痛ましい事件もあったことでありこれは戦闘にかかわる問題でありますから、メンツとか日本だけが引き揚げるわけにいかないとかそういうことではなくて冷厳に見詰めていただきたい。 同時に、PKO法案の審議の段階では、PKOというのは戦闘のないところ、平和がよみがえったところに行く、武器など使わないのだということを繰り返して政府は答弁をされた。速記録を全部調べ上げれば本当に至るところでそういう発言が出ていた。しかし今、平和の中でPKOが活動しているというところはむしろないのである、ボスニアその他、アフリカでも現在のところはないと言ってもいいぐらい、そういう中で政府が判断をするわけですから、ぜひこれは冷厳に見詰めていただきたい。 同時に、もっと積極的にさっきの国際会議あるいはSNC開催についての側面からの協力とか、あるいは場合によってはしかるべき政府の方が、外務大臣なりが、今、北京があるいはそのままピョンヤンかにおられるシアヌークさんと会談をして、アジアの一国として日本もその意味で協力をして、何とか平和のうちにカンボジアが選挙できるようにというふうなことに対して積極的な日本の行動をとるというようなことを考えていただきたい。 最後に外務大臣にその点を伺いたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど来お話のありましたことは、私も先ほど申し上げたとおりで、何らかの形で国際的な会合を開きましてこの事態を打開をしていかなきゃならないと思っております。 実は今、ESCAPの会議がバンコクで開かれておりますので、きのうでしたか柿澤政務次官が出張いたしました。私は彼に、とにかくいろいろな方に向こうで会うだろうからこのカンボジアの問題についてできるだけ意見交換をし何らかの形で平和の方向に向け、そしてこの選挙が中立的な雰囲気の中で行われ得るように話し合ってほしい、場合によったらカンボジアヘ入ってきてもいいのだということを指示をいたしてございます。それを見て私はまた判断をしたいと思います。
○田英夫君 終わります。
○久保田真苗君 社会党の久保田真苗です。 私、ILO条約の問題を主にやらせていただきますが、ILO条約は去年障害者そしてことしはこの商業及びオフィスにおける衛生、環境、こういったものを二年続けて取り上げていただいていることは大変結構なことだと思います。しかし、その前がずっと休業でございましたので、全体としてみますとこの百二十号、本日の条約は日本にとって四十一本日のILO条約の批准となるわけでございます。 これを資料で見ますと、OECDの平均では六十五本、ヨーロッパ諸国で見ますと、イギリスが八十本、フランスが百十四本、ドイツが七十本、イタリーが百二本と日本に大分水をあけておりまして、日本の場合は四十一本目というのではやはり今後ILO条約の問題を少し真剣に促進していかなければならないのではないかという考えを持っております。 特に宮澤内閣では生活大国プランというのがございましで、この中に労働時間を含むところの労働条件の問題あるいは居住環境の問題といったようなことが柱として取り上げられております折から、このILO条約の批准というのは日本みずからのプラン進展の一つの指標になっていくものだろうと私は考えておりますので、きょうはILO条約百二十号をまず取り上げ、その後、他の条約についても取り上げさせていただきます。 百二十号条約でございますけれども、この条約は国内法令としてはどのように実施されていくというふうに考えておられますか。
○説明員(河合正男君) この条約の内容につきましては、国内的には労働安全衛生法、国家公務員法等の法律、さらにこれらに基づきます政省令等により実施されております。
○久保田真苗君 条約五条の「協議」ですね、これはどういう形で行われ、またこれからも行われていくのか、伺います。
○説明員(河合正男君) この条約を実施するための主要な国内法令でございます労働安全衛生法の施行及び改正に関する事項を審議するために、労働基準法第九十八条によりまして労働省に中央労働基準審議会が置かれております。この中央労働基準審議会は、労働者を代表する者、使用者を代表する者及び公益を代表する者によって構成されております。 労働安全衛生法及びこれに基づきます命令の制定及び改廃に際しましては、労働大臣がこの審議会に諮問することとされているところでございまして、右の審議会の場におきましてこの五条にいいます「協議」が行われております。
○久保田真苗君 六条では、監督、制裁についての事柄を決めておるわけでございますけれども、六条まず一項ですが、「適切な監督その他の手段により、適当な措置をとる」となっていましてややわかりにくいのでございますね。日本においてはどういう実施状況になっておるか、御説明願いたいと思います。
○説明員(河合正男君) この六条の一項におきましては、ある機関による監督等に基づく権限行使が図られるべきことが規定されております。 先ほど申しました労働安全衛生法につきましては、労働基準法が定めます労働基準監督署長及び労働基準監督官がこの法律の施行に関する事務をつかさどることとされております。 さらに労働安全衛生法第九十一条によりまして、労働基準監督官は事業所への立入検査等を行い、法令違反の事実があれば事業者等に必要な事項を命令するほか、法律の規定に違反する罪につきまして刑事訴訟法の規定による司法警察員の職務を行うこととされております。 また、労働安全衛生法が適用されず国家公務員法が適用されます非現業の一般職の国家公務員につきましては、法令違反の事実があれば人事院が各省庁に対しましてその是正を指示することとなっております。
○久保田真苗君 今、制度的な法令そのものを御説明になったのですが、私が伺いたいのは商業とそれから事務所ですね、その数は零細なものをも含めて非常に多いと思うのですけれども、今言われたところの労働省の監督体制を通じて一体どのくらいの立ち入りが行われ、それについて是正ないしそういった措置がとられたのか。ちょっと気の遠くなるような話だと思うのですが、またそれにかわるような手法として今現在どういうことを実施しておられるのか、その辺についてお伺いしたいと思うのです。
○説明員(木村富美雄君) 大変恐縮でございますが、現在、先生御指摘の点にかかわる資料、具体的な数字を持っておりませんが、私どもとしては、たくさんの企業、事業所を対象にしての監督ということでございますが、災害なり法令違反が多いような業種、企業等につきましてはそれらを中心にして大体ローテーション方式で監督をすると同時に、またその法律違反に対し、あるいは法の適正な執行を担保するということから、事業主を集めてのいろいろな指導とかあるいは講習会とかそういったようなことも通じて法律の適正な執行のための確保を図っておるということでございます。
○久保田真苗君 基準局の方はきょう来ていらっしゃらないのですか。きのうこの実施状況を質問に出していたはずですがね。 では、もう一つ伺いますけれども、この六条の二項の方で「前条に規定する法令の実施を確保するため、制裁の形で必要な措置をとる」とあるわけでしょう。そうするとこの二項の「制裁の形で必要な措置」、これは非常にはっきりしていますね。どれだけその制裁という名に含まれるところの措置がとられたのか、この業種に関連してですよ。それはどうなのでしょうか。この条約をこうやってお出しになるからにはそれは御説明いただいて当然だと思うのですが、どんなものでしょうか。
○説明員(木村富美雄君) 大変恐縮でございますが、現在、手元に数字がございませんので若干お時間をいただければと思います。
○久保田真苗君 それじゃ、私の質問が終わるまでにお答えいただけますね。つまり、きょうこれは承認するのです。ですから基本的な数字なのです。この条約を担保するための国内体制で実効ある措置がどれだけとられたかという御質問、当然じゃないですか。しないで済ますことできませんのでお願いいたしますのでは、これは後に回します。 次の御質問ですが、勧告との関係なのです。同じく百二十号の同じ問題に関する勧告というのがございますね。この勧告との関係なのです。 この勧告については、条約の中で勧告の内容についても触れておりましてそれも努力していくという趣旨だと思うのですけれども、日本の場合この勧告についても十分にこれを満たしていくそういう状況にあるのかどうか、その辺の御判断を伺いたいと思うのです。
○説明員(河合正男君) 四条二号に言及されております第百二十号の勧告は、このILO百二十号条約と同時に採択されたものでございます。 この勧告は、商業事務所及び労働者が主として事務作業に従事します事務所等の建物及び設備の清潔、換気、照明、温度等の衛生基準につきまして条約に比べてより具体的かつ詳細に規定しているものでございます。また、本条約に規定がございません食堂とか休憩室、建築物の計画及び構造、疾病の予防等に関します衛生基準について規定しております。 この勧告につきましてはできるだけその実現に努めておりますが、詳細な規定、そこまで現行法において実施のための規定がされるにはまだ至っておりません。
○久保田真苗君 労働省も今のお答えでよろしいですか。
○説明員(木村富美雄君) そのとおりでございます。
○久保田真苗君 大臣にお伺いしたいのですけれども、この条約は一九六四年に採択されております。約三十年前になるのでございます。日本におきましても昭和四十七年、一九七二年に労働安全衛生法が成立しまして、この条約の環境はほぼここの時点で整備されたと思っておりましたけれども、その後、七二年からちょうど二十年間、国会提出が今日まで延びているということ、お出しいただいたのは結構だけれども、二十年かかったということについてはなかなか理解しがたいものがございます。 去年、ことしと続けてお出しいただいているのですけれども、このペースでございますとなかなか将来が思いやられるという意味合いで、ひとつ今回やっと出したという理由と、それから今後ILO条約に関してもう少し何らかの積極性をお持ちになれるものかどうか、お伺いしたいと思うのでございます。
○外務大臣(武藤嘉文君) ILO条約につきましては、その条約の内容をよく吟味いたしましてそして批准するということが適当だと思っております。また一方、国内法との関係につきましでも問題がないかどうかということを十分きちんと結論づけてからやらなきゃならないと思います。そういう点の二つの問題が担保できましたときにはできるだけ早く批准のための手続を進めるのが当然だと思っております。 きょうお願いをいたしております本条約につきましては、最近の日本人の職場環境についても非常に内外から関心が高まってきておる状況でございますし、職場環境の改善に関するILO条約を批准することが適当と、こう判断をいたしたわけでございます。このような判断に基づきまして、国内法規との整合性について慎重に検討を行い、今般、本条約を締結することが適当かつ可能であるという結論を得ましたので国会に提出させていただいたといういきさつでございます。
○久保田真苗君 さっき百六号条約の問題も出ました。そして、私も幾つかのILO条約を今、出してみたいと思うのです。 これはほかにこの類似の条約でまだございますね。例えば百四十八号条約、百五十五号条約。百四十八号は空気の汚染とか騒音振動に起因する作業環境また職業性の危害からの保護ですし、百五十五号条約というのは職業上の安全、健康並びに作業環境に関する条約、これは検討の対象になったのか、それともなぜ批准できないのか、御説明をいただけますか。
○説明員(河合正男君) 久保田先生御指摘のように、この二条約につきましては国会の批准承認をいただくことを検討いたしました。検討いたしましたが、なお国内法制との整合性から一層の検討が必要であると見られますので今国会への提出には至らなかったものでございます。 百四十八号条約、つまり空気汚染、騒音及び振動に起因する作業環境における職業性の危害からの労働者の保護に関する条約につきましては、今申しました危害の定義というものが労働安全衛生関係法令で基準が定められていないという問題等がございます。また、この条約では権限のある機関への届け出を義務づけておりますが、我が国におきましては特定の事業所につきまして建設物、機械等の設置、移転、変更等の届け出制度が設けられているにとどまっておりまして、すべての空気汚染、騒音または振動に起因する危害に関する届け出制というところまでは至っておらない状況でございます。 百五十五号条約、つまり職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約につきましては、二つ以上の企業が同一作業場で同時に活動する場合、互いに協力するとされておりますが、現在の労働安全衛生法ではこのような協力は建設業とか造船業等の特定業種及びその請負関係にあります企業にしか義務づけられていない限定的なものになっているという問題がなおございます。
○久保田真苗君 わかりました。 それでは、そういったものが国内の体制として必要なものかどうか、私、労働省の方にこれはぜひ御検討をお願いしたいと思います。 次が長時間労働に関するものなのですが、職場環境につきましては、日本の場合やはり何といっても国際的な注目を浴びているのは長時間労働の問題だろうと思っております。労働時間の短縮というテーマにつきましてはお取り組みいただいておることは承知しておるのでございますけれども、やはりこれが一つの日本のイメージをつくっていくという意味から非常に重要だと思いますので、ILO条約で週四十時間労働の原則を定めた四十七号条約というのがございますし、今現在、労働基準法改正案が審議中でございます。そういった関連から、この条約についての取り組み姿勢ないしこの条約の重要性に対する評価、見通しといったようなものについて大臣にお伺いしたいと思うのでございます。いかがでしょうか。 その前に、それでは一つ問題提起をしておきましょう。 ごらんになったと思うのです。これはILOから出ました世界労働報告という九三年版のものでございます。この中で、仕事のストレスという章がございまして、そこで日本の過労死という言葉が国際的な用語になりまして、かなりのスペースをもって取り上げられているわけでございます。こうした取り上げにつきまして、報道によりますと、政府の中には反発もあるとかというふうに伺うのでございますけれども、どんなものでしょうか。 こうしたいろいろな国が取り上げの対象にはなっておりますけれども、日本のこの問題で、長時間労働、過労死、そしてそれに対する補償が余り活発に行われていないというこの三点セットですね。これについて外務省なり労働省なりどういう御見解か承りました上、大臣に四十七号条約を含めましての御所感を承りたいと思います。
○説明員(河合正男君) まず事実関係について御説明させていただきます。 久保田先生がおっしゃられましたように、商業及び事務所における衛生に関する条約と同じく、労働時間につきましても国際的なイメージ等々のために重要な問題であると考えております。 この労働時間関係に関します国内法制につきましては、四十七号条約、つまり労働時間を週四十時間に短縮するという条約の水準をおおむね満たしているものと考えておりますが、細部で一致しない点がございますので現在のところ批准には至っていないわけでございます。今国会に提出されております労働基準法の改正案が成立いたしますと、週四十時間労働制が平成六年四月から原則として適用されることとなりますが、この条約批准につきましては、労働基準法の改正について批准のために問題がないか、さらに細部にわたり慎重な検討が必要だと考えております。
○久保田真苗君 労働省はいかがですか。
○説明員(木村富美雄君) 先生御指摘のILOが先般発表いたしました世界労働報告の関係でございますが、御指摘のように、三月二十三日にこの世界労働報告は発表されました。 その第五章の仕事でのストレスという章におきまして、特に先進工業国において最近労働者のストレスの問題が大きな課題になっておるという観点から特別のテーマとして取り上げられたところでございます。その中では幾つかの国の具体的な事例も引用しつつ問題点を指摘したわけでございますが、その中に日本におけるいわゆる過労死という問題も取り上げられたという経過になったということについても承知しております。 いずれにいたしましても、いわゆる過労死と言われているような事態、あるいはそういう問題はその労働者にとっても不幸なことでもございますし、そういったようなことがないようにという観点から、労働省としてはメンタルな部分も含めた労働者の安全衛生の確保という点については従来から企業に対する十分な指導等も行ってまいっているつもりですし、また労災の認定に当たっても専門の医師等の判断も受けつつその認定に適正に対処してきたというふうに考えております。 この世界労働報告につきましては、私どもとしては、その報告の内容の中で一部出所が不明確なデータが使われておる、あるいはまた引用したデータの引用の仕方においてやや誤解を生ずるような引用をしているところがあるのではないか、そういう点については我々日本としての見解を十分にILOに伝えることも日本の実情を正確に世界に理解していただくという観点からは重要ではないかなというふうには考えております。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今回の条約の職場環境の改善につきましても、今、御指摘のございました四十七号のいわゆる労働時間の短縮の問題につきましても、やはり政府も生活大国ということの実行を発表しているわけでございまして、そういう意味からいたしましてもこれは大変大切な課題だと承知をいたしております。また、国際的な各国との関係におきましても、日本がこれだけ経済大国になってまいりました以上やはりそのバランスから考えて、日本がよりよい方向に行くというのは当然だと思っております。 いずれにいたしましても、政府といたしましては積極的にこのような問題には取り組んでいかなきゃならない、こう考えております。
○久保田真苗君 そういう意味から、この労働時間条約というのはぜひ早く一つの国際基準を尊重していくというあかしにおいて実現していただきたいものだということを要望しておきます。 それから労働省に申し上げたいのは、データの出所とかその使われ方、そういうことをおっしゃるのは結構ですよ、それはおっしゃったらいいけれども非常に細かいお話になりまして、日本の誠意というよりはむしろ不誠意だというふうに見られかねないわけでございますので、私はむしろ今、何に取り組んでいるのかという工とを実行をもって示していくということの方が重要じゃないかというふうに思いますね。老婆心でございますけれども。 それから次に、女性関係の条約なのでございますけれども、条約を批准するということは大変結構なのですが、批准後、条約の趣旨に沿って国内政策が進められているかということもそれに劣らず重要なのでございます。 日本は昭和四十二年に百号条約というのを批准しているのでございます。私も当時は労働省におりましたから、男女労働者に対する同一報酬に関するこの条約というのが批准になりましたときにはもう非常な感激を持ってこれを受けとめたのですけれども、現在この実施状況がILOの場で問題になっているというふうに聞くのでございます。 それは日本の男女の賃金格差が極めて大きいということが直接の原因であろうとは思いますけれども、このILOで問題になっている事実関係を伺いたいし、それから次には男女の賃金格差の是正について今どういう努力をしていらっしゃるのか、今後どう進めていくか、それについて例えればと思います。
○説明員(岩田喜美枝君) ILOの百号条約につきましては、先生今おっしゃいましたように、昭和四十二年に我が国は批准いたしまして、この条約の要請をいたしておりますところは労働基準法の第四条等で国内的には担保ができているというふうに考えております。 男女同一労働同一賃金につきましては、この労働基準法第四条に基づきまして従来から監督指導に努めてまいったところでございますので、今後ともこういった観点からの監督指導は進めてまいりたいというふうに思っております。 最近、ILOでこの問題に関しまして日本が話題になりましたのは、私が承知いたします限りでは、昨年の三月に開かれました条約勧告適用専門家委員会のレポートの中でだというふうに承知いたしておりますが、その専門家委員会のレポートの中で日本についてオブザベーションがございまして、日本の男子女子の平均賃金の格差が依然として大きいということの指摘がございました。 この問題については私どもは、ILO百号条約が要請しておりますのは男女が同一の労働に従事しているのに性による不合理な差別的な取り扱いが賃金においてなされるということをなくそうという趣旨の条約であろうかというふうに思いますが、このILOのオブザベーションの中身はこの問題をさらに少し越えまして、男子の全体の平均賃金、女子の全体の平均賃金の格差を論じているというふうに理解をいたしております。したがいまして、この百号条約の直接の規定の問題ではないというふうに考えているところでございます。 しかしながら、その男女の平均賃金で見た格差が現にあるということは事実でございまして、これは男女の就業する分野が違うということですとか、あるいは終身雇用慣行下の日本で男女の平均の勤続年数が違うといったような就業実態の差をあらわしているというふうに思っております。 そういうようなことから、平均賃金で見た賃金格差を是正する観点からも職場で男女平等を進めるということで男女雇用機会均等法の推進に向けましてまたさらに努力したいというふうに思っておりますし、女性の勤続年数を延ばす方向での支援策といたしまして、家庭生活と職業生活が両立できるように育児休業法の定着ですとか介護休業の普及などに引き続き努めてまいりたいというふうに思っております。
○久保田真苗君 この問題についてどうして育休や介護休暇が出てくるのですか。
○説明員(岩田喜美枝君) 男子の平均賃金と女子の平均賃金に格差があるというのは事実でございまして、この格差を生んでいる要因は何かというふうに分析いたしますと、その要因の一つに年功的な要素のまだ強い我が国の賃金慣行の中では勤続年数に男女差があるということが平均賃金で見た男女の賃金格差の大きな要因の一つであろうかというふうに思われるところでございます。 したがって、女性が家庭生活と職業生活の両立ができないということで不本意ながら退職をするということがないように、そういう意味では家庭生活との両立支援をしていくということが女性の勤続年数を伸ばし、ひいては男女間の賃金格差、平均賃金で見た賃金格差の縮小にも寄与するものであるというふうに考えているからでございます。
○久保田真苗君 私、今その賃金格差論をやる時間はありません。ですけれども、その施策として育児休業や介護休暇しか挙げられないというのはやはり問題があると思うのです。基準法四条でこれが裏づけられているということではあるけれども、実際に均等法の中では昇進とか昇給、そういうものについての担保はないわけです、現行法では。女子労働者は判例によって再びそれを積み上げようという大変な苦労をしてやっているわけです。 ですから、これは基準法にあるから均等法になくていいのだというような問題ではなくて、努力義務はもちろんございますけれども、いよいよ見直しの時期が来たな、さもなければこのILOの批判もとまらないのじゃないかと、そんなふうに私は思っているということだけ承知していただいて、育休や介護休暇の問題には次の条約で入りたいと思います。 これは大臣にもひとつ御承知おきいただきたい問題で質問をしてまいります。 ILO条約のうち百五十六号条約というのがございます。これは男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約という大変長ったらしい名前なのですけれども、一口に言ってみれば、男女労働者が仕事においても家庭においても社会生活においてもそのような活動が調和されていくようなそうした企業のあり方、そうした国の施策、そういうものを求める条約であると、一口に言えばそういうことだろうと思いまして、私ども女性の議員は国連の女子に対するあらゆる形態の差別撤廃条約を一九八五年、つまり今から八年前に批准していただきましたときに強い関心を持ってこの条約の批准をお願いしたところでございます。 そして、衆参両院の決議の中でも、外務委員会の決議でございますけれども、この条約を含むところの婦人関係ILO条約を特筆して決議をさせていただいたところでございます。そしてまた、当時は安倍外務大臣でございましたけれども、非常に好意的な御見解もいただいているところでございますのですけれども、その後、私どもも忙しくそして皆様もお忙しかったせいか、ついにことしになりました。 再来年は北京で第四回目の世界婦人会議というのが催されます。つまり、メキシコ、コペンハーゲン、ナイロビと三回やりましてこの間に相当な国内法の整備が見られたことは私も評価しておるのでございます。しかし、残っている問題はまだたくさんございます。それは均等法の整備が不十分であるということ、それから育児休業制度はこの間めでたく法律を通していただきました。しかし、介護休暇というようなものにつきましてはまだこれからであろうというふうに思うわけでございます。 このような背景をしょっているのがこの百五十六号条約でして、私はぜひ北京の世界婦人会議、これはアジアで行われる初めての婦人の世界会議ですから、このときまでに何とか成果を見たいというのが私の念願なのでございます。ぜひ武藤外務大臣にはここのところをよく覚えておいていただいてよろしくお願いしたいというのがこれを取り上げます趣旨でございます。 まず労働省に伺ってまいりますけれども、百五十六号条約に盛られているような国内体制の整備、それはどの程度に進んで、この条約を今すぐ批准できないという問題があるとすればそれは何なのかということをおっしゃっていただきたい。
○説明員(平野由美子君) ILOの百五十六号条約の関係につきましては、先生おっしゃられましたように、昨年、育児休業法が施行されまして、その育児休業法では男女に対して育児休業をとるということを認めておりましてこの条約の趣旨に沿ったものになっていると思いますが、そのほかにこの条約の中には例えば八条の中に「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない」というような趣旨の規定がございます。これは我が国の例えは男女雇用機会均等法だとかあるいは労働基準法の中に明確に規定したものがございませんので、条約の中身を満たしたものとなっているのかどうかとか、またさらに検討を要する点があるというふうに考えております。
○久保田真苗君 今、この条約は、扶養責任を持つ子への責任だけじゃなくて保護を要することが明らかな近親者まで含んでいるわけですね。そこの面につきましては私は労働省が介護休暇をどの程度にお進めになるかということが一つのメルクマールになるような気がするのですけれども、その辺の御判断を外務省と労働省と両方に伺っておきたいと思うのです。
○説明員(平野由美子君) 介護休業制度につきましては、これは平成三年二月の時点で行いました女子雇用管理基本調査というのがございますが、この調査ではその普及率が一三・七%になっておりまして、それで今後の我が国の高齢化あるいは核家族化の一層の進展ということを考えますと介護休業制度の必要性というのは非常に高くなるのではないかというふうに考えております。 このために昨年の七月に介護休業制度等に関するガイドラインというものを策定しまして、こういうガイドラインに沿った制度が多くの企業に導入されるようにということでその啓発指導を行っているところでございますし、また平成五年度におきましても従来から行っておりますシンポジウムであるとかあるいは使用者に対する説明会だとかそういうものに加えまして、これから介護休業制度の導入について検討したいというふうに考えているような企業を集めまして介護休業制度等導入研究会というようなものも開催してその普及促進に努めたいと思っております。 ただ、この介護休業制度の普及促進を図るということとILO百五十六号条約の関係につきましては、まだ今の段階では明確に答えられる状況ではないというふうに考えております。
○説明員(河合正男君) ただいま労働省から御説明がありましたとおりでございまして、介護休業制度を促進するということはこの条約の趣旨に沿ったものだと考えておりますが、この制度を確立すれば本条約が批准できるようになるかどうかということにつきましてはさらに検討していく必要があると考えております。
○久保田真苗君 つまり、さっき課長の方が均等法や基準法の中の規定の仕方、それを言っておられましたですね。もしそこに問題があるという認識なら何をどうしなければいけないとお考えになるのか、もう少し具体的に説明していただけますか。
○説明員(平野由美子君) 先ほど申し上げましたのは、この条約の中に「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない」というふうに規定がされているわけでございますが、例えば男女雇用機会均等法では、結婚、妊娠、出産等を理由として解雇してはならないというふうな規定になっているわけでございますし、そういうような規定でもってこの条約の条文を満たしていると言えるかどうかということは検討を要するということでございまして、またこれは満たしていないとも満たしているとも結論が出ているわけではございません。
○久保田真苗君 外務省の方はそういたしますと、例えば今、近親者のための介護の制度、そういったものは行政指導としてだけ行われているわけですね。その場合、外務省としてはそれが何らかの形で立法化されることが必要だとお考えになりますか。労働省でも結構ですけれども。
○説明員(河合正男君) 介護休業制度を立法化することが第百五十六号条約批准のために必要かという御質問だと思いますが、この点につきましては現在なお労働省さんとも検討を進めているところでございまして、確定的にこうだということは申し上げられない状況でございます。
○久保田真苗君 済みませんけれども、要するに女子条約批准のときにもそれよりももう少し前向きのお返事だったのです。だけれども、その間まだ検討が進められている状況で結論を得ていないということになるわけですね。別に条約の方が変化したり成長するわけじゃないのですね。もう決まっているのですよ、条約は。でございますから、もうこんな検討は一年ぐらいでぜひお願いしたいものだと思うのです。 幾つか私もお答えとして吹っ切れないものがありますけれども、先へ進みまして、この百五十六号条約の中で百十一号条約というものを引用しているのですね。それは雇用及び職業における差別待遇を禁止する、そういう条約なのです。百十一号条約は日本はまだ批准していません。これは批准できるべきものだと思うのですけれども、なぜかしていません。 そして、その百十一号条約に出てくるところの差別待遇の定義がこの百五十六号条約で使われるという意味合いから、百十一号条約を批准しなければ百五十六号条約も批准できないというそういう関係にあるのかないのかということなのですけれども。
○説明員(河合正男君) 確かに久保田先生おっしゃられましたように、この百五十六号条約でいう差別待遇の定義は百十一号条約の雇用及び職業における差別待遇という規定を踏まえたものでございます。 しかしながら、これはあくまでも百五十六号条約の内容を実施するためには百十一号条約の規定を踏まえる必要がある、その実施上そういう別な条約の規定を踏まえるということでございまして、百五十六号条約を批准するためにはまず百十一号条約を批准しておかなければそれができないということではないと考えております。
○久保田真苗君 百五十六号はこの程度にしておきますけれども、最後に私、今までの進みぐあいで大体御理解いただけたと思うのですけれども、これは私どもが非常に関心を持っている条約でして、そして生活大国を建設するためにはこのような内容のものが国内的な施策の整備としてなされる必要がある、それを端的にあらわしているというふうに思うわけでございます。したがいまして、この生活大国への道を歩むために、日本では所帯の七割八割を占めている勤労者所帯にとってこれが非常に有効な措置だと思いますので、私は百五十六号条約のレベルに一日も早く日本が達するようにこの批准を優先的に進めることを提唱したいと、こう思うわけでございます。 そこで、大臣にぜひこの条約に取り組んでいただきたいというお願いなのでございますが、どうぞお返事をお願いいたします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど来、事務当局からお話を申し上げているとおりでありまして、どうもまだ正直、詰まっていない点が私はあるような感じがいたしました。 いずれにしても、しかしこのような問題については、御指摘のとおり、将来の問題としてはやはり前向きに検討していく必要が十分あると思っております。国内法の整備が必要であればできるだけ国内法を整備しながら批准の方向に向かっていく、こういうのが私は望ましい姿であろうと思っております。
○久保田真苗君 将来といっても近い将来の方にお願いしたいのです。ひとつ北京までの間にめどをつけていただく、そのくらいのことはお約束いただいてよろしいのじゃないでしょうか。どうでしょうか。もう一度お願いいたします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 北京の一九九五年の会議のことはよく承知をいたしております。外務省だけの話ではございませんので、国内法となれば労働省もありますし、また他の省庁も私は関係してくると思うのでございます。その辺を十分関係省庁間で前向きに検討するような方向で私も努力をしたいと思っております。
○久保田真苗君 それでは次に、PKOの一部をお願いしたいと思います。 今、私が取り上げるのはこの間の続きのような状態でして、モザンビークのPKOの進展状況について伺っておきたいと思うのです。 今回、二度目の調査団をお出しになりましたですね。それはどういう性格の調査団で何を目的とし、どういう調査項目について結果を持ってくることになっているわけでございますか。
○説明員(川口雄君) モザンビークの調査団につきましては、去る三月二十六日の閣議におきまして、国連モザンビーク活動への要員派遣にかかわる準備を開始する、そういったことで、この一環といたしまして総理府国際平和協力本部の事務局次長を団長にいたしまして総勢二十二名のモザンビーク専門調査団を派遣したところでございます。今月の九日から約二週間の予定でございます。 この調査団につきましては、国連モザンビーク活動の輸送調整部隊の具体的業務内容とかあるいは生活、勤務環境などに関する実務的、技術的調査、それからモザンビーク及び周辺国における政府の支援体制整備のための調査などを行っているところでございます。
○久保田真苗君 輸送調整というのは国連の言葉で言いますと、例えば英語だと何と言うのでしょう。どういうことになっていますか。
○政府委員(澁谷治彦君) ムーブメント・コントロール・カンパニーと申します。
○久保田真苗君 その仕事の内容ですが、この間第一次が報告はしておられるのだけれども、仕事の内容をもう少し具体的に説明をお願いできますか。その後いろいろおわかりになっていることもあると思いますので。
○説明員(川口雄君) 国連モザンビーク活動に参加する我が国の要員でございますけれども、輸送調整の分野と言われております。一言で言えば輸送の調整ということになるわけでございますけれども、具体的には、主要な港湾ですとかあるいは空港に到着する人員、物資の受け入れ、それから輸送機関の調整、輸送手段の割り当て等そういった輸送の段取りを行うということになっております。 現在、その業務の詳細につきましては専門調査団が調査しているところでございます。
○久保田真苗君 でも、第一次で大体のことはわかってらっしゃるわけでしょう。 そうするとムーブメント・コントロール、輸送調整というその一種の基地があるわけですか。何カ所に基地があるわけですか。
○説明員(川口雄君) ただいままで聞いているところによりますと、三カ所くらい地方司令部があるように聞いております。それから首都には一カ所本部があって、全体で四カ所程度というふうに聞いております。
○久保田真苗君 それを全部日本の自衛隊が引き受けるわけですか。
○説明員(川口雄君) 現在、我々が聞いているところによりますと、よその国にも国連が派遣の要請を行っていると聞いておりまして、日本がどこを受け持つかということはまだ最終的に決まっていないように聞いております。
○久保田真苗君 現在でも既にそういう輸送調整の基地があるわけですか。
○説明員(川口雄君) 現在、国連モザンビーク活動につきましてはまだ展開が完了してないようで、現在ではまだ基地はないように聞いております。
○久保田真苗君 そうすると、行った先で基地をこしらえるわけですね。
○説明員(川口雄君) 日本の部隊が派遣された段階でそういったところをつくるということになると思います。
○久保田真苗君 おっしゃるように、四カ所のうちを他の国の輸送調整部隊と共同してやるとかあるいは受け持ちを決めてやるとか、そういう状態になることは御承知なのですね。
○説明員(川口雄君) 現在、我々は国連の方から正式に聞いておりませんけれども、恐らく共同ということはないと思います。場合によっては地域割りとかそういったことになるのではないかと思っております。
○久保田真苗君 例えば保管したりそれから管理したりするもの、機材、物資ですが、それには例えば自動車は入りますか。それをちょっとリストアップしていただけませんか。どういうものを保管したり管理したり、あるいはもしあれだったら修理もするのかどうか。つまり私どもにどうもイメージがはっきりしないのでわかるように、絵にかいたように具体的に説明していただきたいのですが。
○説明員(川口雄君) 今回、国連から打診のあります輸送調整部隊というのは実際に物を運んだりするわけではございませんで、輸送につきましては別な部隊が行うということになります。そして、いろいろな物資だとか人員だとかがあろうかと思いますけれども、具体的な輸送を担当するわけではなくて、輸送の段取り、何月何日にどこの港からどこの港に運ぶといった場合についての輸送手段をどうしたらいいかとか、そういったことを担当する部隊でございます。
○久保田真苗君 でも、この前どこかの委員会で質問しましたときは、物資とかいろいろな部隊に届けるべきそういう品物を維持保管すると。維持管理するですか、そういうことも言っていらっしゃった。そうすると、その仕事というのはやはり輸送調整の仕事の一部なのですね。どうなのですか。
○説明員(川口雄君) 具体的な詳細はわかりませんが、基本的には保管ということではなくて、トラックなんか使ってほかのいろいろな部隊に輸送するわけでございますけれども、その辺のスケジュール調整とかそういったことがメーンになるというふうに聞いております。保管も場合によってはあり得るのかもしれませんけれども、そこはメーンの仕事ではないと思っております。
○久保田真苗君 そうすると紙の上の仕事が多くて、実際に物資を扱ったり倉庫へ保管したり、それから例えば輸送調整なのだけれども車はどうですか。例えばヘリとか車ですね。車なんかを維持管理するという仕事は入らないわけですか、この中には。
○説明員(川口雄君) 国連の場合、車を何台か持ってきてくれというふうな話がありますけれども、それは自分たちの運搬手段ということで、基本的には国連モザンビーク活動の全体の輸送のためのトラックというのは今回持っていきません。それは各部隊が行うことになります。
○久保田真苗君 そうすると、例えば車の修理とか部品の補給とかそういうことはこの部隊がやるのじゃなくて、どこか違うところで別の国の部隊がやるわけですね。それは歩兵部隊ではなくて、輸送に関するそういった基地はどこかよその部隊がやると、そういうことなのですか。 つまり全体の何というのですか、モザンビークのPKOの中における位置づけみたいなものを教えていただきたいのです。
○説明員(川口雄君) 先生がただいまおっしゃるとおりでございまして、ほかにも歩兵部隊だとかあるいは停戦監視とかまだそういった部門もございまして、あくまでも輸送調整はそういった格好で、みずからが輸送するわけではなくてあくまでも調整、段取りづけといいますか、そういったことを行うことになっております。
○久保田真苗君 調査団が帰ってこないと具体的にわからないのかどうかなのですが、今の御説明では車も余り扱わないと。 それから例えば燃料補給みたいなことはどうなるのですか。そこへ行けばいつでも燃料が補給されるというそういう状況になるのでしょうか。その点はどうなのですか。それは別のところが受け持つのでしょうか。
○説明員(川口雄君) そういった給油につきましては別なところが受け持つと思われます。
○久保田真苗君 それから車の修理もそうですか。修理とかそういうのも別のところが受け持つのですか。
○説明員(川口雄君) そういうことになると思います。あくまでも輸送の調整ということでございまして、輸送をやる部隊は別にございますから、そういったことは行われないことになります。
○久保田真苗君 でも、そうすると輸送調整という言葉は随分誤解を生じますね。ムーブメント・コントロールというのと別に輸送を他の国が受け持っている、よそで受け持っているのだ、そういう輸送に関する補給基地は別にあるのだということであると随分これは誤解を生んでいる御説明だったなと。きょうのあなたのが正しいのであれば前のはそうじゃなかったのかなというふうに思うのです。そんなこと長々言ってもしようがありませんけれども。 でも、例えばPKOのいろいろな国の部隊に届けられるまでの間の貨物の保管などということは第一次調査団のリポートには書いてあることですよ、物資の保管、管理、維持というのは。そうじゃございませんか。
○説明員(川口雄君) 報告には確かに書いてございますけれども、基本的な業務というのは、先ほど言いましたように、いろいろな輸送手段のスケジュール調整をしたり、そういったことで一時的には物資の保管等もあり得るかと思いますけれども、あくまでメーンというのは輸送のためのスケジュール調整とかいろいろな手段の確保とか、そういったことになります。
○久保田真苗君 そうすると、一つのスケジュール調整というか、私はこの間から手配師と呼んでいるのだけれども、その手配師がいなくなるということは非常に困ることなのじゃないかと私は思うのだけれども、それは余り困らないというそういう御理解のように私には思えるのですね。 それで、国連との間にあらかじめ口上書ないしは口約束、そういうものがあれば、そこの一種の基地ですね、いざそこが脅かされたときに中断、撤収はいとも簡単であるというそういう御理解の上でお返事をしていらっしゃるのだなと。私はどうもこのモザンビークというのはそういう意味からいってなかなかすっきり納得し切れないものがあるのですよね。 それで、そういう意味からして、各国に全部がかわりが出てくるようなムーブメントのコントロールですから、そういう仕事というものが日本独自の五原則を持っているこのPKO協力法のもとでふさわしい仕事かどうかということについて私の疑問がどうも晴れないのですね。それは五原則は守るのだ、はいさようならと、そういうふうになるから大丈夫なのだというお返事なのですよ、この間から。だけれども、本当にそうなのでしょうか。 それから仮に物資を相当扱う、ここへ物資をためて保管しておいて、はい次、はい次と、こうやっていくということになりますとその物資なんかをどれだけ自衛隊は防護するのかという問題が出てくると思うのですよ。つまり日本の五原則に従った場合に物を扱う仕事というのがどこまで正当性が持てるかという問題が私はあると思うのです。おわかりですよね。 つまり日本の武器使用の範囲というのは、自己または日本の隊員の生命、身体にかかわりがある場合のみ実効ある武器使用を許されている。物を守るための武器使用は許されていないと私は思うのです。どうですか。その辺どういうふうに御理解ですか。
○説明員(川口雄君) 先生おっしゃるとおり、武器の使用につきましては国際平和協力法二十四条で、自己の生命、身体あるいは他の隊員の生命、身体を守るということで五原則の一つになっているわけでございまして、仮にモザンビークに輸送調整部隊を派遣するとした場合につきましてもその原則というのは守らなければいけない原則だと思っているわけでございます。 それから輸送が日本に適さないのではないかというふうな御指摘と私は受けとめましたけれども、輸送につきましては国際平和協力法の中に各号列挙に輸送という言葉が書いてございます。今回の場合は輸送そのものではなくて、繰り返しになりますけれども、輸送の調整という分野でございますけれども、国際平和協力法にも輸送というようなことがありまして、ある程度はそういった業務を法律自体が想定しているところだと考えております。
○久保田真苗君 輸送の問題を私は今、問題にしていないのです。輸送じゃないとおっしゃるからモブコンで言っているわけですよ、私は。だけど、輸送の問題だったらまた輸送の問題でございますけれども。 おっしゃるとおりです。輸送はPKO協力法の中に入っております。ただ、その輸送を行うのに五原則がある、こういうことなのです。 私は、要するに輸送をやらないのだと、つまり人を輸送したり物を輸送したりそういうことはやらないのだ、そうした物を保管することもやらないのだ、そしてそのための燃料を大量に保管することもないのだと、そういう条件のもとだというふうに理解しておきますよ、それじゃ。そういった基地を武器を使用して守る義務はないのだ、そういう業務なのだというふうに私は理解しておきます。そうじゃないと、いろいろなことが出てきたときにまた一々こういうことをやらなきゃならない。 だから、そうじゃないのであるのかないのか、きょうはどなたに担保していただけるのでしょうか。
○説明員(川口雄君) ただいま冒頭に申し上げましたように、現在、専門調査団が行っておりますのでその調査の結果で具体的にこういう業務、ここまでだとか、そういった結果が出てまいるかと思います。 それから五原則につきましては、先ほども申し上げたとおり、そういうことになっても日本の法律でございますので五原則を守っていくということになりますので、武器使用の問題につきましても国内法、国際平和協力法二十四条を守っていくということになります。
○久保田真苗君 東京にいてそうおっしゃることはたやすいのですよ。でも現場に行きましで、保管していたあるいは預かっていたいろいろな物資、食糧だとかを手配していく、そういう物資が仮にあったとしますね。そういうものに対する強盗なんていうことはもしそういうものを保管するのだったら十分あり得ると思うし、車の部品だってねらわれるだろうし、車そのものもねらわれるだろうし、だけど、この前のPKO協力法のときの政府の御答弁では、そこの車に日本人が乗っている場合にはそれは武器使用ができるけれども、空の車がとられる場合に武器使用なんてできないのだと、こういうお話だったと私は理解しているのです。 ですから、そういう意味で非常にこれは吟味が必要だし、調査団の結果によりましては考え直すという余地が十分あると思うのです。しかも、各国の部隊に全部影響が出てくるようなそういうかなめのポイントにいるということ、これも非常に難しい立場になりやすいということ、そういうことだけは今、私は申し上げておきまして、また調査団がどういう報告をなさるのか、それによって私どももお考え直しをお願いする場合があるかというふうに思うわけです。 外務大臣、どうも非常に細かいことをいろいろ申し上げましたけれども、これは本当に三国会にわたりPKOに対する日本の態度を決めていく上でさんざん論議された問題なので、そうしたものをここでもってアフリカの隅だからというので軽くひっくり返されるようなそういう極楽トンボみたいな行動があっては困るという、これも老婆心でございます。ひとつ大臣に御所感があれば伺っておきたいと思うわけです。
○国務大臣(武藤嘉文君) PKO協力法が大変な時間をかけていろいろな論議の中で成立したことはよく承知をいたしております。五原則を踏まえまして厳正に法律に従って対処していくというのが政府の姿勢でございます。
○久保田真苗君 それでは対日支援の問題。 この間は御苦労さまでございました。G7でいろいろ結果が出されたようで、私も何とか正しく理解したいと思っているのでございますけれども、非常に複雑でして、私などにはとでもわかりにくいのです。 つまり対日支援が決まって、IMFだの世銀だの欧州復興開発銀行でございますか、これが何か二百八十四億ドル、債務繰り延べが百五十億ドル、そして計四百三十四億ドルという数字がぽんと出たわけでございます。そのほかにアメリカとか日本とかECが二国間援助を表明している。そして日本は、前に二十八億二千万ドルと言っていたものに十八億二千万ドルが上乗せになって追加になった、こういう状況でございますね。もし間違っていたらぜひ訂正していただきたいのですが。 それで、世銀の輸出の信用枠は百五億ドル、IMFのルーブル安定化基金というのが六十億ドル、これは何か重複して計上されているという話もございまして、世間の中には数字そのもので見ることは余り意味がないというような意見もあるのでございますね。 まずG7とか国際機関でこれまでに累積で幾ら支援してきたのか、またこれから幾ら支援しようとしているのか。そのことをちょっと外務省の方から整理してお聞かせいただけますか。
○政府委員(津守滋君) 御指摘のように、多国間の支援それからG7の二国間の支援、かなり複雑でございます。 まず先週十四日、十五日に東京で行われました外務大臣、大蔵大臣の合同会議の前と後に分けまして、そして我が国がロシアに対してコミットいたしました数字を申し上げたいと思います。 閣僚合同会議の前の時点におきましては、我が国はロシアに対しまして約二十七億ドルの支援をコミットいたしております。この中には人道緊急無償支援、技術支援、さらには貿易保険、輸銀融資等の有償支援が含まれております。 それに加えまして多国間の枠組みにおきます支援といたしまして、IMF、世銀等の国際機関を通ずる支援のほか、国際科学技術センター、これは核関連の技術者、学者のロシアからの流出を防止するためにつくられたセンターでございますが、これに二千万ドル、それからEBRD、欧州復興開発銀行を通じまして原子力施設の安全のために今後三年間で一千二百万ドルをコミットいたしております。 さらに先般、公的債務を扱いますパリ・クラブでロシアに対する債務繰り延べが合意を見ましたが、そのうち我が国がどの程度負担をするかということにつきましては今後、二国間ベースすなわち日ロ間で数字の突き合わせ作業を行っていくということでございます。 次に、先般の閣僚合同会議で宮澤総理から十八・二億ドル相当の無償有償支援のコミットを行いました。これをトータルいたしますと約四十六億ドルということになるわけでございます。 それからG7のほかの国の二国間のコミットメントベースでの支援額につきましては、これはドルベースでの比較表はございません。これはコミットした時点におきます為替レートがどうであったかということを踏まえて計算する必要がありますが、そういう意味でのドルベースでの比較表はございませんが、それぞれの国の通貨単位で申し上げますと、ドイツにつきましては八百十八億マルク、これは約五百億ドルに相当いたします。アメリカは、バンクーバーでの今月初めの首脳会談でコミットいたしました十六億ドルを含めますと約百十億ドル強ということになります。イタリアは七万二千二百七十五億リラでございます。フランスは百六十二億フランでございます。カナダは十七億米ドルプラス約八億カナダドルでございます。イギリスは五億ポンドでございま す。このほかにECは三十億ECUの支援をコミットいたしております。 それから今御指摘のいわゆるダブルカウントにつきましては、今回の合同会議で決まりました多国間の支援額の中に、例えばルーブル安定化基金六十億ドルは昨年のミュンヘン・サミットの際にコミットいたしました二百四十億ドルの中に含まれておりますが、これは全く使われておりませんので、今後ロシアの経済改革状況あるいはマクロ経済の動向を見て使っていくという数字でございます。 ちなみに今回、合同会議でコミットいたしました数字は、御案内のことと存じますが、これは中身が質の違うものでございますので必ずしもこれを全体トータルすることは余り意味はございませんが、支援総額は四百三十四億ドルということになっております。
○久保田真苗君 非常に大きい金額であるということはODA総額と比べてもかなりそれに近いようなものだということだと思うので、大臣、私たちとしては領土問題につきましてはともかくとしまして、やはりそれなりのメリットが上がるということを期待するのは当然だと思うのです。 それで、私たちが今回強くお願いしましたことは、要するに核廃棄物の海洋投棄を盛大におやりになって今後もやるというような発言をやってきた。これはもうこの前の委員会でほかの委員の方が皆さん取り上げていらっしゃる。そういうことで非常に難しいのですね。大臣も今回、大分、一肌脱いでくださったというふうに思っておりますけれども、それらのこともございますし、また政府要人の方の対日支援政策については少しずつ少しずつぶれがあるような感じも受けるのです。 ここで武藤外務大臣に、対日支援の基本的な姿勢、そういうものにつきまして一度きちっと整理して聞かせておいていただきたい、これからの問題もございますし、お願いします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもこの対日支援の問題につきましては、一つの方向といたしまして、ロシアという国がいわゆる全体主義から新しく政治の面では民主的な国家になろう、それから経済の面では我々と同じ市場経済原理といいますか競争原理といいますかこういうものを導入していこう、こういう観点から今、改革を進めておられるわけでありまして、これはやはり大きく言えば世界の平和から見ましてもまた我々西側陣営にとりましても非常にいい方向だと思うのでございます。日本にとっても大変いい方向だと思うのでございます。 そういうものを支援していこうという国際的な協調の中で、日本だけが一方に領土問題があるからといって全くそれに参加をしないという形では世界的に孤立をいたしますし、またもしそれによって本当にもう一回この方向が逆戻りしてしまいましてあの地域がまた全体主義の国家になってしまうというようなことになっては日本の国際的な責任は果たせない。そういう意味においていわゆる国際的協調の中においては、領土問題はあるけれども可能な範囲の協力はしていかなきゃならない。 しかし、領土問題というのがあることはこれは厳然たる事実でございますし、日本の今日まで主張してまいりましたことは正しい主張でございますので、できるだけ早くこの領土問題を解決をし、そして平和条約を締結をし、二国間の関係が完全な形での正常な形になりますように努力をしていくというのが私の考え方でございます。
○久保田真苗君 拡大均衡という言葉について改めて御説明があったようですけれども、拡大均衡というのはどういう意味なのでございますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) これはいろいろ誤解もあるようでございますので、大体統一見解をつくってみました。ちょっと読ませていただきます。 これは要は、従来言ってまいりました政経不可分の原則と拡大均衡の原則とどう関連づけてこれを考えているかということでございます。 私どもといたしましては、いずれの国との関係においても政治面での関係と経済面での関係は不可分な形で関連しており、その意味で政経不可分は一般的な原則であると言えます。ソ連と日本の間の関係においては、かつて領土問題の存在すらソ連邦に否定された時代が長く続き、その中で領土問題で全く動きがないのに経済問題だけが進展するというのは国と国の関係としておかしいという意味で政経不可分の原則が強調されてきたという経緯があります。 しかるに、ゴルバチョフ時代以降、ソ連邦側が領土問題の存在を認めるようになってまいりまして、それ以来この考え方の延長として、いわゆる政経不可分という今までの考え方の延長として、政治、経済両面での動きが相互によい影響を与えながらともに前進していくという意味合いで拡大均衡という言葉を使うようになったのでございます。 いずれにせよ、この考え方を今後とも堅持をしてまいりたいと思っております。
○久保田真苗君 それでは最後に、さっき後に回しましたILO百二十号条約についての六条の関係の国内の実施体制を御説明願います。
○説明員(木村富美雄君) 先ほど先生の方からお尋ねのございました条約六条関係の数字でございますが、私ども統計をとっておりますのが日本標準産業分類に基づく分類になっておりますので、本条約の対象としております商業ということと概念が若干違っておるという点がございますので、おおむね本条約が対象としておる事業場をカバーするであろう業種について一言申し上げ御説明にかえたいと思います。 まず監督状況でございますが、定期監督等の実施事業場数、平成三年の暦年でございますが、産業分類におきます商業におきまして七千三百五十七件、それから金融広告業におきまして六百五十六件でございました。このうちで労働基準法あるいは労働安全衛生法等に違反している事案、事業場数で申し上げますと、商業において三千六百七件、金融広告業におきましては二百九十一件でございました。この違反事業場のうちで送検をされた事件数でございますが、商業におきまして四十五件、金融広告業において四件ということでございました。 ただ、この実績のうちで違反の内容について見てみますと、賃金の支払いに係る部分が一番多くございました。次に多い事案としては労働時間について、女子労働者についての就業制限とかありますが、こういった労働時間に係る違反事案が多かったというような状況でございました。
○久保田真苗君 それじゃ、ひとつこの実施状況、そして必要な適当な措置、非常に緩い書き方になっておるのですけれども、日本の国情に照らして特に手抜き、何といいますか、商業事務所についてはどうしても製造業それから鉱山のようにはなかなかいかないということでございますけれども、その辺をひとつ条約の批准を契機に十分に遺漏のないようにお願いして、私の質問を終わります。 どうも長い時間ありがとうございました。
○委員長(野沢太三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時四十分まで休憩いたします。 午後零時二十分休憩 ――――◇――――― 午後二時四十五分開会
○委員長(野沢太三君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○黒柳明君 大臣、今五分十秒遅刻、さっきは三分十二秒遅刻。委員長は国鉄で時間に厳しいですから、この委員会はパンクチュアルな委員会ですからね。お供が悪いのだよ、取り巻きが。もうちょっと大臣が時間に間に合うようにお連れしなきゃ。申しわけありません。私の意思じゃない。委員長が言えと言ったから。 午前中もちょっとありましたけれども、百十円台になりました。先ほど大臣は、私も宮澤政権の閣僚の一人だから失敗とは言えないと。私も総理の訪米は全面的に失敗じゃないと思います。当然成果はあったと思いますが、今のせっかく株が上がって景気も上り坂になるかなというときに急速な、協調介入もできないほどの、日銀介入もきのうは全く焼け石に水、きょうもまた引き続きと。先ほどのテレビで経済評論家がこの円高は当分続くだろうと、こういうことでありますが、これは大臣、当然この傾向よしと思わないと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 為替レートというのはやはりその国の経済的基礎条件が反映するということが正しいといいますか適切な為替レートの変動だと私は思うのでございますが、今回はどうもそういう面からまいりますと少し何か非常な勢いで円が高くなってきておりまして、これは決して私はそういう基礎条件に合った形であるとだけはどうも思えない。そんな感じがいたしまして、先ほども申し上げましたが、日銀が積極的に介入をして何とか円高を少しでもそのスピードを抑えていくというかスピードダウンさせる必要があると思っております。
○黒柳明君 きのうも介入して阻止できない。きょうも同じ傾向みたいなのですね。ですから、基礎条件に合わないような現象が出現したということは、訪米は全体的にはそれなりの成果があったけれども、このことだけにつきましてはやっぱり失敗と言えるのじゃないかな、こういうふうな感じが私はします。 大臣、クリントン大統領の会見で冒頭、四つの中の一番初めに円高容認。英語だと二言しか出てこないのですよね。だから容認したとは言っていないのですけれども、容認という受けとめられ方が今日の現象になっているわけです。こういう発言が飛び出すということは予想していましたですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 宮澤総理はどうか存じませんが、私はこのような発言がしょっぱなに飛び出しでくるというような感じは持っておりませんでした。
○黒柳明君 今も衆議院で環境の問題で、大臣御存じのように、大臣は衆議院からいらっしゃったのですね、冒頭、総理の訪米について議員さんがお聞きになっていました。それに対して答えて、当然経済問題もそのうちの一つであった、テーマの一つであったと。本会議の答弁ですから円高まで触れていませんでしたけれども。事前の九十分が三十分になった、四十分になった、こんな活字も出ておりましたけれども、その中で経済問題はそれは話したでしょうね、当然テーマの一つとして。日本の円高の問題については話の中に入っていたのじゃないのじゃないか。 共同声明、共同会見というのは、やっぱり前段の首脳なら首脳の話を踏まえてその集約したもの、おのおのの立場から合意したものあるいは相違点などを発言するのが通常だと思うのです。今回の場合は何かそれと全く違ったということはありませんけれども、それに準じているとは言うものの、今、大臣がおっしゃったように、冒頭から円高発言。しかも、両首脳の間でわずか短い中でそんなに往復の論議がされない問題がぱっと出てきた。こういうことは非常に、何か宮澤さんは人柄がいいのではめられちゃったのじゃないか。 こんなような感じすらするぐらいな今のきょう、きのうの、あしたはどうなるかわかりません、生き物ですからね。どうなるかわかりませんが、評論家の意見によるとこの傾向は若干続くだろう、こういうことでありますので、やっぱり総理大臣の、あるいは先ほど田先生がおっしゃったように、外務省の根回しといいますかそういうものにちょっとのうかつ、あるいは欠如があったのかなと。一つ反省材料が与えられたのじゃないかな。 向こうは若いですよ。ぴちぴちしていますよ。富澤さんも若くてぴちぴちしていないとは言いませんけれども、やっぱり二回り年が違う。それなり疲れていらっしゃるというようなこともあります。公明党が一生懸命支えているのですけれども、なかなかどうして公明党だけ支えたってだめですね。疲れていらっしゃる。 そういう面で、クリントンがぱっと冒頭からそういうものを出してきた。真っ向から切られたということはないですけれども、相当切り傷を負ったのじゃないか。このまま日米外交をあれすると、三月以内にセクションセクションのあの市場開放のグループをつくるのでしょう。きのうも次官が管理貿易反対と。当然、管理貿易がいいわけありません。クリントンだって管理貿易にするなんてことを言っているわけではありませんが、三月以内に協議グループをつくったところで何ができるのか。さんざんそんなことはやって協議しているわけですよ。それを今さら新大統領になってそういう機関をつくろうと。 まさかそこでいろいろな量的規制の数字が真っ向から出るなんということは向こうも期待していないと思う。こちらはそんなものはもう当然出しちゃいけない。 一斉にきのうマスコミは書き立てておりますね。だけど、ちょっと今の雰囲気ですと、三〇一条のこともこれあり、あるいはもう大統領も議会筋も民主党ということもこれあり、非常にこの点は留意しないと、緒戦の戦いからもう一太刀切り込まれたというような感じがしますのでひとつ、通産の方も相当の関係があるのですが、外交の主体である大臣が、失礼ですけれども、きのう何か発言にぶれがあって不安なんてことが出てましたね、読売さんの囲みで。だけど私、安堵したのは、あの漫画の似顔が非常にハンサムにできた。普通は漫画というのは何かいびつな顔になるものですよ、漫画ですから。ところが大臣の顔は、非常にハンサムだな、これはよかったなと、私は人ごとながら安堵したのです。 いろいろなぶれもあったと思うのですけれども、日米関係だけはひとつぜひくれぐれも、これからの戦いは大変な厳しさの戦いがあると思いますので、どうぞぜひお願いしたいと同時に、もう一回今の反省を含めた発言をしてください。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今度の問題にとらわれなくて一般論から申しますれば、為替レートで例えば円が上がっていったらそれで貿易収支が大変改善するという、ストレートに経済問題として考えた場合、私は必ずしも正しくないと思うのです。結局、為替レートが上がれば余計貿易収支は場合によれば黒字が日本はふえる可能性も出てくるわけでございまして、そういう一般論からいたしまして私も多少奇異に感じている点があるのでございますけれども、多分アメリカはアメリカ側の一つの考え方でそういう発言があったのだろうと思うのでございます。 いずれにいたしましても、私どもは日米関係というのは非常に大切でございます。しかしながら、やはり言うべきことは言わなきゃいけませんし、間違ったことに日本は従うわけにはまいりません。あくまで管理貿易は排除し、自由貿易、自由主義経済体制の中で両国が経済活動をしていくというのが私は当然の姿だと思います。 そういう考え方で、特にクリントン大統領が民主党の大統領としては大変いいことを言っていただいているのは、国際競争力をアメリカの企業が持たなきゃいけない、こういうことを言っておられる点を私は評価したいと思っているわけでございまして、そういう考え方でお互いに競争力をつけて自由な中で貿易が行われるという方向に行くように努力をしてまいりたいと思っております。
○黒柳明君 ロシア問題ですけれども、十五日、コズイレフ外相とお話しになって、活字によりますと、領土問題は日ロの正常化に非常に重要な問題であると向こうの大臣も発言していました。読みました。ただ、エリツィン大統領の十四日の記者会見、要するに日本に行くと。これはあくまでも、大臣御存じのように、四月一日の宮澤発言を踏まえてもう領土問題の激突はない、だから行くのだ、めどは五月下旬だとはっきり会見で言っているわけですよね。ですから、もしかすると領土問題に対して日本から発言はない、経済支援だけの問題だろうと。加えて大臣も、超越してと、こ んなことがありました。 ただ、外相会議では、それはもう当然向こうのコズイレフさんらはそんなことはないのだと、こういうふうには認識されたかと思いますが、それには今、活字を読みましたように、あの領土問題の解決が日ロの問題では大切だと、こう発言が出ていました。活字になりました。 ただ、どうですか。大統領が五月末ごろ来るであろう、そのときに領土問題を話し合いましょうという話をしたのですか、大臣は。そういう話はあったのですか、外相会議では。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私の方からは、やはり日ロの二国間においては少なくとも領土問題があります、この領土問題を解決し、そして平和条約を一日も早く結び、二国間の国交を完全な形での正常化に持っていくということが必要であるということははっきり申し上げてあります。
○黒柳明君 それはだから私が言ったように、新聞に書いてありましたから、向こうも重要であると言ったと。これは書いてありました。だからそれをさらに踏まえて大臣の方から、大統領が五月に来るであろう、そのときには領土問題で話し合いましょうとコズイレフ外務大臣にはっきり発言したのでしょうかと、こう聞いているわけです。
○国務大臣(武藤嘉文君) 首脳会談の今後の議題についてはこれから外交ルートで詰めていくわけでございまして、まだ今のところ決まっておりません。 ただ、私の方としては、領土問題というのは二国間の問題としてはあるわけでございますから、これは当然議題としてのっけていかなきゃならないと思っております。
○黒柳明君 今の発言ですと、話し合ってはいないというようなニュアンスで私は聞きました。外務大臣の間では、エリツィン大統領が来日するときに領土問題で話し合いましょうという両大臣の話し合いはなかったというふうなニュアンス、それでいいのですか。なかったと。 大臣は当然言った。向こうも言っていますよね、活字に出ていました。だけど、大統領が来たときに首脳会談で相互に話し合いましょうと、そういう合意というかそういう話し合い、対話はされなかったのですか、されたのですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほども申し上げましたように、正式の議題としてはこれから外交ルートで詰めていくわけでございますからあれでございますが、当然、話の中で私はそういう領土問題というのはあるということを言ってあるわけでございますから、また向こうもそれは受けとめているわけでございますから、議題をどうこう、議題にのっけるかのっけていかないかという話まではしておりませんけれども、当然のことと私は承知をいたしておるわけであります。
○黒柳明君 ただ、大臣、言うまでもなく当然のことが当然じゃない国ですから何か私は不安なのですよ。 それは今言いましたように、十四日のエリツィン大統領の記者会見で急に言い出した発言が、宮澤総理がもう二国間の問題はないと、いわゆる領土問題は話にしないと、だから訪日するのだ、五月下旬めど、こういう発言をしたわけでしょう。それは四月一日の宮澤総理の発言を踏まえてです。だから、要するに外務大臣がこちらへ来て、しかも外務大臣はそれを踏まえて日本に行かせるのだと、こういうふうに言っているわけですから。 そうすると、こちらへ来ました、いや、そうじゃない、領土問題は話し合いになるはずである、話し合いになったらこれはうまくないぞ、また行くのはよそうと。またぞろこんな話になると、今度はもうロシア側のエリツィン大統領の云々じゃなくて日本の方もこれどうなっちゃうのかなと、こういう心配をするのですが、そんなことは絶対ないですかな。 局長、もうPKOじゃなくなったのだから、欧亜局長になったのだから答えて結構ですよ。
○国務大臣(武藤嘉文君) 当然、私どもこれから外交ルートで詰めてまいりますけれども、議題にするという方向で進めてまいります。
○黒柳明君 わかりました。 局長、そうすると今、私が言ったようなことも取り越し苦労だよと、一度あったことは二度起こるという日本のことわざがあるが、二度はないのだよと、もう領土問題で話し合うということはわかっているのだからそれを前提で来るよ、間違いないから心配するな黒柳と、これでいいでしょうか、局長。
○政府委員(野村一成君) 領土問題が日ロ二国間の最大の重要な懸案であるということについては、基本的には認識は相互間で一致いたしております。 その点、先ほど大臣からもございましたけれども、コズイレフ自身が、先生御引用にありましたように、法と正義の原則に基づいて領土問題の解決を含めて平和条約の締結により両国の関係の完全な正常化のために努力するということを言っておるわけでございまして、したがいまして大統領訪日の際に領土問題の討議がない二国間の討議というのはあり得ないという前提で臨みます。
○黒柳明君 そうすると、十四日のエリツィン大統領のモスコーにおける記者会見は、何回も言いますようにこれは活字になっていますが、ちょっとずれていますね。 四月一日の宮澤総理の、もうサミットで二カ国の話し合いをするわけないよと、これは私はそのとおりだと思うのです。だけれどもロシア側が、それはサミットに行ったってあるいは五月に行ったってその問題で詰められることはないと。早とちりというようなことですな。日本政府にしたら野村さんが今おっしゃったことがこれはもう原則ですから、そんなことは今さらロシアだって言うまでもないことですよ。 ただ問題は、この出発というのは四月一日の宮澤発言を踏まえてのエリツィン発言になっているわけですから、そうすると今度は外務大臣同士でそれをどうしていくか、これから事務レベルで詰めるわけ。その過程においてわかるし、五月下旬といったらもうすぐですから、それこそ国会があるかどうかわかりませんな、そのころは。政界がどうなっているかわかりませんな。いずれにせよ、あるということを前提。外務省は残るわけですから、いつまでもね。それを前提であれしまして、ひとつ私の気持ちが取り越し苦労だと。 私、あっちこっち聞きますと、やっぱりどうも東京のロシア大使館もこんなはずじゃなかったということを言う人がいるわけですよ。こんなはずじゃなかった、それじゃまたこの前と同じじゃないかと、こういうことを言う人がいる。その人に、そんなことないよ、錯覚だよ、領土問題を棚上げにして経済支援なんていうことはないよ、それは拡大均衡だよと、私は外務省を代弁して一生懸命言ってきましたよ。ですけれども、そういう錯覚を与えるような言質があったことは、大臣、間違いありませんよ。 ひとつ事務レベルで、五月末に必ず来る、来れば当然領土問題は話し合われるのだと、そういう前提で精力的に、野村さんはPKOが終わってその次の第二の仕事で、ここで成果を出すか出さないかですから、その次のポストが待っていますから頑張ってください。 それでもう一つ、総理が十四日ですかG7の冒頭において一億ドルの核兵器の廃棄やなんかについての無償、これ効果ありますかね。マスコミは一斉に、防衛庁筋は反発していると。私は防衛庁に問い合わせたわけじゃありませんけれども、核兵器を廃棄する技術だって知らない、そんなものに無償で一億やってどうなるのか、これはもう核大国に踊らされた援助だなどと書かれておりましたけれども、これもこれから作業グループをつくると、こういうふうに書いてありました。 ただ問題は、それと並行した極東の近海への放射性物質の投棄、これはロシア政府としてまだ絶対やらないとは言わない。ましてウラジオストクの作戦部長ですか、この人はまだ四年間続けるというのでしょう。そうなりますと、これは非常に今のソ連内な情勢であり、それを踏まえての何かわかったようなわからないような拡大均衡であり政経不可分であるというような感じの一つだと思うのですよ。 片方では要するに投棄はやめないとその責任者が言っている。政府はそれに対してやめると明言していない。だけど、日本政府はそれに対して莫大な援助をする。その援助というものがどういうふうに使われるか非常に不安である。何かこれは私は矛盾があるなど、こんな感じがするのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 実は、一億ドルはいわゆる核兵器の廃棄のための処理に充てるだけじゃございませんので、私どもが主張しております放射性廃棄物の海洋投棄を即刻やめてもらいたいということに関しての調査であるとか、海洋投棄をやめた場合には今度は陸上に貯蔵しなければなりませんので、そういう面における技術面あるいは資金面といいますか、そういうものも含めて私どもは一億ドルと、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。
○黒柳明君 わかりました。要するに海洋投棄を早くやめさせるためにはやっぱり資金援助もしなきゃならないのだ、そこから援助させると。わかりました。私の誤解で申しわけありません。 カンボジアの問題ですけれども、中田さんの弔慰金、これは活字になって、総理府ですか検討しているみたいですが、大臣、やっぱり例外はつくるわけにいかないと思います。JICAの若い人も体を張って、そしてしかも犠牲になられる方もいらっしゃるわけでありまして、ただボランティアという非常に制約されたところでの身分保障というか保険金の裏づけというか、こういうものがあるわけですよ。 逆に言うと、だからこそ本当に五千万の、死ぬことを前提で行っているわけじゃありませんけれども、五千万の弔慰金だ労災だあるいは年金だと、こういう裏づけがあるから死んでもいいのだと、そんなことはもう口が裂けても言えません。そうすると、全くそういう裏づけがなくて本当にわずかの保険金だけで文字どおりボランティアで体を張ってやる、であるからこそなおさら政府が手を伸ばして面倒を見てやらなきゃならない、こういうふうに思うのです。 検討しているということだけは活字になって知っておりますから、ひとつ総理府ですか、やっぱり外務大臣が外交の責任者でありますので何とか可及的速やかに、何らかの便法なり法的処置を講じて弔慰金も速やかに出るようにひとつ骨を折ってくれませんか。
○国務大臣(武藤嘉文君) ボランティア活動に従事しておられる方は崇高な使命感に燃えてやっておられますので、自分の生命の危険というようなことも考えないでありましょうし、あるいは自分が不幸にして命を絶たれた場合にそれで補償金が幾らもらえるだろうかということを当てにしておられるような方もないと思うのです。 しかし、現実の問題としてあのような不幸な形でお亡くなりになった方に対して、国連は国連でいろいろの、今お話のありましたように、保険その他があるようでございますけれども、日本政府といたしましても、何らかの形で措置を考えていくということは私はやらなきゃいけないと思っておりまして、おっしゃったとおり、事務的に今、詰めておりますが、できるだけ早いうちに結論を出すように努力をしたいと思います。
○黒柳明君 検察制度というのか官というのか、要するに明石代表がことしの一月ですかね、UNTACの中からいわゆる逮捕権、調査権あるいは訴追権も持っているような人を任命しまして、そして事件が起こったとき取り調べる。こういうことのその中に日本の文民警察は入ってないということなので、なぜ入れないかというと、やっぱり国会でつくったあの国際協力法の中でそういう任務の明記がないからだと、こういうふうなことを承りましたが、これはこれでいいのでしょうかな。
○政府委員(澁谷治彦君) 国際平和協力法で定めております業務は、助言、指導、監視に限定されております。UNTACの指令書に見られるような逮捕、勾留はできません。
○黒柳明君 別に日本だけで調査して、日本だけで逮捕して、日本だけで訴追するということはないと思うのですよ。 ただ問題は、日本の方も八百人ぐらい行っていらっしゃる。こういう事故があった。それに対して日本の文民警察が行ってただ現地の警察を指導するだけだと、これもどうかなと。何も逮捕するために行くのじゃないのです。事件があったときに、しかもUNTACという中立な国連の機関の一員として、しかもそれは日本を除いて各国がみんな明石代表によって任命されるわけです、その場その場の事件事件において。それが日本が国会でつくった法律の中に任務規定としてないから、だから調査するサポートしかできない。調査はできますわね、いろいろな。ただしサポートして、特別検察官というのですかな、その人をサポートするだけであって、こういうことで果たしてどうなのかなと、こういう感じがするのですがね。 これは国会でつくった法律ですから、だから幾らもそれに対しての、現地に行って初めてのケースですから、要するに改善すべき点があったら見直しということはつくったときから提言したのであって、こういうことが起こることも想定しない、安全だということが前提ですからね。しかも日本人がと、これだって全く想像しない。しかも、明石さんもことしの一月からそういう制度をつくって任命したということですよ、事件が次々に発生するから。 そうすると警察官が行って、各国より優秀でしょう、そういうことにかけで。それが行ってそういうことが全く権限がないということも果たしてどんなものかなと思うのですが、大臣、どうですか、こういうことについて。子細はわかりませんな。
○政府委員(澁谷治彦君) まず国連との関係につきましては、従来から我が国の国内法上の限界についてはるる説明しておりまして、この点についても説明をいたしましてUNTAC側の理解は得ております。その上での派遣ということでございます。
○黒柳明君 僕に、そういうことを言っちゃおまえいけないよとたしなめているわけだ、今それじゃ。日本の任務規定というのは現地のお巡りさんの指導だけだから、要するにそんな特別検察制度の中に日本の文民警察を入れる必要はないよと。おまえそんなことをやるともう自民党のタカ派よりタカ派になっちゃうよと、こういうおたしなめの言葉ですか。そうでもないのですか。そうしちゃいけないと。いや了解得ているから行っているわけでしょう、日本がつくった法律のもとにおいて。 そうじゃなくて、要するにそういうことをやることに対して何かマイナスありますか。やっちゃいけないことですか、そういうことは。やってもいいのだけれども、法律に明記ないからできないのか。
○政府委員(澁谷治彦君) 現在の法律からすればそれはできないと思います。
○黒柳明君 だからそれはわかっている。
○政府委員(澁谷治彦君) これは先生がおっしゃいましたことはよくわかりましたので、今後の……
○黒柳明君 先生おっしゃったことはわかりましたと言ったって、僕は澁谷さんの方から聞いてわかったのだから。澁谷さんから問いで僕はわかったのだから。 どうですか、大臣。今言った要するに法律じゃできません、任務規定に明記されておりませんから。だけど、要するにこれだけの日本人がいて日本人の犠牲者を出して、そして日本人の、まあ日本人じゃない、国連の職員、次長ですけれども、明石さんが任命するわけですよ、事件事件でね。我が方は非常に優秀ですよ、日本の文民警察官は。ほかも優秀でしょうけれども。それが調査して、要するに調査権も逮捕権も訴追権も、しかも日本人だけでやるのじゃないわけですよ。国連という中立機関の中で各国の人たちが選ばれてやる わけですからね。何も日本人が憎まれたり日本人の特異性ということもないのじゃないかなというような感じがするのですが、やっぱりそういう使命を帯びない方がいいと思いますか、大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) これはPKO協力法の現在の法律では私は、今、澁谷局長が答弁いたしておりますようなことで現実の問題として無理だと思うのでございますね。ですから、法律を曲げてというわけにもまいりませんので、これは現時点では、黒柳議員のお話ではございますけれども、私はできないと言うより仕方がないのじゃないかと思います
○黒柳明君 それはもう私も同意見。
○国務大臣(武藤嘉文君) これは三年後の見直しという条項が入っておりますので、PKO協力法の三年後の見直しのときには今のような御意見もひとつ参考として私はやはり検討する箇所ではないかというふうに思っております。
○黒柳明君 必ずしも三年後じゃなくてもいいわけですよね。もう必要ならば今でもいいわけです、国会が合意していればいいわけですから。ただ、こういう何か日本には初めてのケースですから見直し条項というものも当然入れたわけであって、それがだめだったら改正するもいいし、それからよかったら入れるもいいし、そんなことはもう国会で合意すれば、国民の支持が、理解があればそれでできるわけであります。 どうもこの点、私は何かちょっと行き過ぎかなという嫌いも思いつつ、将来含めて、何もカンボジアだけじゃなくてほかのところも含めて、ほかのところでこういう検察制度ができるかどうかこれはわかりませんよ。わかりませんけれども、当面このカンボジアで今後の中期的将来のことを考えると、果たして文民の今の現地警察を指導するだけでいいのかなと、こういうことを非常に強く感ずる。これは澁谷さん、国連局のことになるのですけれども、私たちも検討しますので、ひとつ政府でも澁谷さんも考えてみてくださいよ。 何か言いっ放しじゃおかしいね、こういう委員会。やはり何かこう一言返事もらわないと。
○政府委員(澁谷治彦君) 先生の御指摘の点はよくわかりました。大臣が答弁されたように、今後の検討の材料の一つにさせていただきたいと思います。
○黒柳明君 もしかすると私が言っていること間違いかわかりませんから、直観的に中田さんの問題とそういう問題と、それから国連局から聞いたらそういう制度があるということでひっつけて考えてみただけですから、間違ったら間違いでひとつまた後で訂正してください。 最後、一分しかありませんので。 オーストラリアですか、カンボジアからのPKOの撤兵、大規模それから計画的、組織的な攻撃をやったら撤兵すると。日本の場合は当然五原則ですね、五原則が崩れたら。ただ、五原則が崩れるというのはカンボジアを含めてPKO全体ですね。ソマリアもそうだし、これからもそうです。ただ、カンボジアというのはポル・ポトの武力行使ということは特異なものがあるわけですよ。五原則が崩れる、だから中立性が崩れているとかいないとかこういう論議が活字になって評論家の口から出るわけだ。当然私はこれは論議になってしかるべき問題点だと思うのです。 ですからそういうポル・ポトの武力行使、こういうものは現実ですから、これは犠牲者も出でいますから、文民警察だって強盗に遭っているわけですから、第二の被害者があったときに考えるのか、わかりません、そんなものは。ただし一つの国が、大規模で全土的にポル・ポトの攻撃があった、あるいはそれが組織的だ、散発的じゃないのでしょうな、あるいは計画的、意図的なのでしょうな、要するにゲリラ的なものじゃないのでしょうな、そういうものがあったときはPKOは退くとオーストラリアの外務大臣の発言があった。 何か日本も五原則五原則だけじゃなくて、SNCからポル・ポトが抜けていないからいいのだ、崩れていないのだと、これだけの理論じゃなくて、ポル・ポトの武力行使というものを踏まえた、要するにそういう上に立った何かそういうものを考えなきゃいけないのかなと、私はこう思うのですが、大臣どうでしょう。
○国務大臣(武藤嘉文君) いろいろ御意見はありましょうとも、今、日本政府といたしましては、やはりポル・ポト派がSNCから脱退をしない、それからパリ和平協定は遵守する、こう言っている以上私どもは、それから全面的な戦争にはなっておりませんし、そういう面において五原則は守られている、こういう判断に立っております。 ただ、治安がだんだん悪くなってきておることも事実でございますので、今、各国、特にパリ和平協定の議長国であるインドネシア、フランスに対し、またその他の国々にも働きかけながら、ぜひひとつ何らかの形で国際的な会議を持ってこれらの問題に対処していこうじゃないか、こういうアクションを実は起こしておるのが現状でございます。
○荒木清寛君 まずILO条約の批准状況について一つ御質問いたします。 日本はILOの常任理事になっておりまして、またILOに対する分担金の拠出額は現在約三十三億五千万円、分担率は約一一%ということで大変に重要な役割を占めているわけでございます。 一方、昨年の七十九総会までに採択されましたILO関係の条約が百七十三条約ですけれども、そのうち現在までに日本が批准をしているのは四十本にすぎない。一方、OECD各国の平均が約六十五条約の締結ですのでこれに比べますといかにも日本が締結をしている条約が少ないわけでありますけれども、今後のILO条約の積極的な批准の推進につきましで政府の姿勢といいますか決意をお伺いをしたいと思います。
○説明員(河合正男君) ただいま荒木先生が御指摘のように、きょうお諮りしている百二十号条約で四十一本目でございますが、政府といたしましては、それぞれのILO条約が国内法制との関係で問題がないかどうか十分吟味いたしまして、批准することが適当であるという結論が得られたものからできるだけ早く批准のための手続を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。 また、国内法制との関係で問題があるものにつきましては関係の省庁における積極的な検討を要請してまいりたい、こういうふうに考えております。
○荒木清寛君 ぜひ積極的にお願いをしたいと思います 次に、今もありましたけれども、カンボジア情勢につきまして若干お尋ねをしたいと思います 中田さんの殺害ということにつきましては私も大変痛恨のきわみでございます。やはりこうしたことが二度と起きないようにするために、真相の究明、それに基づく再発防止の対策ということが大変大事になってくると思いますが、この殺害の犯人につきましてどの程度捜査といいますか割り出しが進んでいるか、お聞きをしたいと思います。
○政府委員(澁谷治彦君) まだUNTACの方で調査中でございますので、その内容については私どもは承知いたしておりません。
○荒木清寛君 あの事件が起きました直後ですけれども、明石代表がポル・ポト派を非難する声明といいますか発言をされましたが、この犯人像といいますか、ポル・ポト派のしわざであるということははっきりしているのでしょうか。
○政府委員(澁谷治彦君) これはUNTACのスポークスマンが、明石代表がキュー・サムファン議長に対してポル・ポト派が事件にかかわっているかもしれないという表現で発言されたというぐあいに説明いたしております。本当にそうであったかどうか、私どもは確認いたしておりません。
○荒木清寛君 そういう意味では、明石代表も確たる根拠があったわけではないと思いますが、若干軽率な発言であったのではないかというふうに私は考えております。 もしも犯人が逮捕されたという場合におきまして、どういう法律によって処罰をされるのでしょうか。あるいはその法定刑はどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(澁谷治彦君) これはUNTACが処理するということになると思います。
○荒木清寛君 そうでしょうけれども、処罰根拠になる日本で言います殺人罪ですとかそういう刑罰法規がきちんと存在しているのでしょうか。
○政府委員(澁谷治彦君) 万一犯人が明らかになった場合には、カンボジアの国内法に基づいて処理されるということになります。
○荒木清寛君 真相究明、犯人逮捕、また厳正な処罰ということにつきまして我が政府も大いに関心を持ってかかわっていただきたいというふうに考えております。 あと、午前中もお話がありましたが、ポル・ポト派が孤立をし、またUNTACに対して若干敵対的な関係になりつつあるということですけれども、日本政府としまして中国政府を通じてポル・ポト派に対する説得といいますか、そういった外交努力はしていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(池田維君) 私ども今までカンボジア和平を進めます過程でいろいろなレベルでいろいろな機会に中国側の協力を求めてきておりまして、そういった意味では中国がポル・ポト派に対して十分な働きかけをやってきてくれたというように評価しておりますし、今後ともやってくれることを期待しているわけでございます。
○荒木清寛君 現在においで日本政府として、中国政府を通してのそういった説得といいますか外交活動はしていらっしゃるのですか。
○政府委員(池田維君) 現在も折に触れて中国政府とは連絡をとっております。 具体的な接触ぶり等については控えさせていただきますけれども、先週も北京で我が方の大使館を通じて先方の外交部とも連絡をとるようにしております。そして、今の事態を踏まえて何ができるのかということを話し合いました。
○荒木清寛君 今月の二十八日に参議院の本会議がございましてPKOの中間報告があるわけですけれども、これは中間報告ですから当然カンボジアPKOについての報告が中心になりますか。
○政府委員(澁谷治彦君) これは国際平和協力法に基づく報告でございます。今のところPKOの要員を派遣しておりますのはカンボジアだけでございますので、カンボジアが中心になるということだと思います。
○荒木清寛君 了解いたしました。 次に、ボスニア・ヘルツェゴビナ情勢につきまして数点お伺いをしたいと思います。 十七日の深夜に国連安保理におきまして八百二十号という決議がありまして、いわゆる新ユーゴの制裁強化決議、制裁強化に関する決議が議決されたわけでございます。これはボスニア内のセルビア人勢力が九日以内に和平案をのまない場合には制裁を強化する。その強化する制裁の内容の一つとしまして新ユーゴの国外資産を国連加盟国が全面的に凍結をしていく、そういうことが報じられておりますけれども、これは制裁の内容に含まれておりますでしょうか。
○政府委員(野村一成君) ただいま御指摘の制裁強化決議の中には、ユーゴの在外資産の凍結というのが含まれております。
○荒木清寛君 我が国に新ユーゴの国外資産というのはどの程度ございますか。
○政府委員(野村一成君) 資産と申しますと金融とそれから非金融のものがあろうかと思いますけれども、にわかに私、頭に浮かびますのは在京の大使館というのがあるわけでございますけれども、具体的なぞれ以外の資産の内容とか額ということについては承知いたしておりません。
○荒木清寛君 これは全面凍結になる可能性があるわけですが、財産の現況調査等は今、されているのでしょうか。
○政府委員(野村一成君) 今回の決議の採択に伴い、当然その実態の把握という調査を行っておるところでございます。ただ、まだ中身はつかめていないというのが実態でございます。
○荒木清寛君 今、局長は在日大使館のお話をされましたが、昔のユーゴがいわゆる五つの国に分かれているわけですが、あの大使館というのはどこの国のものになるのでしょうか。
○政府委員(野村一成君) 御案内のとおり、五つの国に分断されておるわけでございますけれども、私どもの理解するところでは、あの大使館の資産と申しますのほかってのユーゴスラビア社会主義連邦共和国、つまり旧ユーゴの資産である、そういうふうに認識いたしております。
○荒木清寛君 そうしますと凍結の対象になるわけですか。ほかの四つの国との関係で若干問題があるような気がしますけれども。
○政府委員(野村一成君) 今回、ユーゴの在外資産凍結ということでございますので、しかもその旧ユーゴスラビアの資産の中にはセルビア、モンテネグロも含まれておりますので、当然その対象にはなるというふうに理解しております。
○荒木清寛君 凍結の対象は新ユーゴの国外資産ということではないのでしょうか。
○政府委員(野村一成君) 新ユーゴの制裁決議でございますけれども、先ほど申しましたような旧ユーゴの資産が含まれておるわけでございますので、当然、資産凍結という場合にはその対象として考える必要があろうかというふうに思っております。
○荒木清寛君 これは大臣にお聞きしたいのですけれども、この八百二十号の制裁強化決議だけでは不十分である、場合によっては空爆等による武力介入をするべきだという声が高まっているというふうに報じられておりまして、きょうもクリストファー氏がそのような発言をしたという報道もございました。そうなりますと安保理の決議で武力行使という議題にもなりかねないわけでありますが、そういう決議が議題になった場合には日本としては賛成をしますでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) この間の決議はまだなされただけでございまして、その決議がどういう形で実効があらわれてくるかという点をよく踏まえて日本政府としては対処をしていきたいと思っております。
○荒木清寛君 ボスニアのセルビア人勢力に対する武力介入ということになった場合には介入する側にも大変犠牲が出るのではないかということも指摘されておりますので、ぜひ慎重に考えていただきたいというふうに思っております。 それで、日本としましてはこのボスニア・ヘルツェゴビナのモスレムとセルビア人の和平実現のために何か外交努力はしておりますか、あるいは今後していきますか。
○政府委員(野村一成君) 一般に、先生御案内のとおり、ユーゴスラビアの問題というのは二つの側面があります。一つはボスニア・ヘルツェゴビナの和平の政治的解決の問題、それからもう一つは民族間の対決に伴いまして非常に非人道的な行為が行われている、要するに人道的な側面からする支援と、そういう二つの側面がございます。 我が国といたしましては、特に最初のボスニア和平につきましては、現在、日本は国連安保理の非常任理事国の立場でございまして、やはり国連がこの問題について果たすべき役割というのは非常に大きいわけでございますので、そういう安保理のメンバーの一つとしまして積極的にその審議に参画するというのが一つでございます。また、紛争の当事者に対しましても平和的解決に努力するよう直接働きかけておるわけでございます。 それから人道的な側面というのもあわせてユーゴ問題を考える場合には非常に重要でございますので、これは特にUNHCR等の人道援助機関を通じましてこれまでに三千万ドルを超える拠出を行ってきておりますし、また先生御案内のとおり、CSCE、欧州安保会議の長期ミッションというのが少数民族保護を目的としまして大体三十人ばかり派遣されておるわけでございますが、その中に我が国から一人参加していると、そういう形でございます。
○荒木清寛君 日本はボスニア・ヘルツェゴビナにつきましては国家としてまだ承認をしていないわけですけれども、それはどういう理由によりますでしょうか。あるいは欧米諸国は承認をしてお りますか。
○政府委員(野村一成君) 承認の問題につきましては、いろいろな何と申しますか、基準となる考慮すべき点がございます。政府がきちっとその領域を統治しているかどうかとかもろもろのことがございまして、いま一つ我が国の場合には事態を見守っているというのが実情でございます。
○荒木清寛君 そういう意味では、日本はモスレムともセルビア人ともどっちかというと中立的な立場にあるわけですので、そういう立場に立ってぜひとも日本政府としても直接当事者に働きかけての和平の努力ということに一層頑張っていただきたいというふうにお願いをしておきます。 次に、先般行われました第三回の国連軍縮京都会議につきましでお尋ねをしたいと思います。 前回の京都軍縮会議におきましては当時の海部首相みずからが活発に会議をリードしたという事情があったわけですが、今回の会議については首相、外相ともに姿を見せなかったということで、内外に対してどちらかというと腰が引けているという印象を与えたのではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
○政府委員(澁谷治彦君) 我が国で開かれました国連の軍縮会議におきましては、例えば九〇年に石井政務次官、九二年には堂ノ脇大使が政府代表演説を行っております。そういった意味で今回、柿澤政務次官が政府代表演説を行ったということについては特段の問題があったというぐあいには一般的に見られでおりません。 この演説の中でも我が方の軍縮姿勢、特に国連軍備登録制度、ODA大綱等につき柿澤政務次官より説明して我が国の軍縮へのイニシアチブを強調いたしております。
○荒木清寛君 この会議におきまして日本政府は、極端な軍事増強に走る国に対してはODAの再検討もあり得ると、そういう方針を提示したというふうに言われておりますが、今後その再検討といいますか見直しをどのように進めていきますでしょうか。
○政府委員(澁谷治彦君) まことに申しわけございませんけれども、援助につきましては経協局主管でございますので私どもの方から確たることを申し上げられませんけれども、まず軍備の登録制度に基づく第一回の登録が四月三十日までに行われますので、その成果を見ながら今後どういう形で大綱に沿った対応をしていくか部内で検討してまいりたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) これは経協局長がいませんので、私、直接答弁をさせていただきますけれども、この間うちからODAのあり方を政府部内でも見直しをやっておりまして、その一つに、やはり軍備を拡張していこうという国であるとか武器を輸出をしようという国であるとかこういうところへは、ODAのたとえそれがいわゆる対象国であってもODAの対象にすべきではないという方向を今、検討を進めておるわけでございます。 それから先ほどの京都の会議でございますけれども、私も出られれば出たかったのでございますが、御承知のとおり、G7外相・蔵相会議の前日から始まりましてちょうど終わったのが、私がコズイレフ外務大臣と会談をしたその明くる日にもう終わっているわけでございまして、そんなことで物理的にこれは出席できなかったので、決して新聞が言われているような逃げ腰ではございませんので、物理的に正直あの段階では行けなかったということでございます。
○荒木清寛君 終わります。
○猪木寛至君 大臣に就任されまして初めての外務委員会ということで、今後ともよろしくお願いいたします。 きょうは、ILO条約に関連いたしましてちょっとスポーツ関係についての質問をまず最初にさせていただきます。 オリンピックあるいは最近はサッカーということでワールドカップというのが今、予備選をやっておりますが、そういうことで大変日本の選手が目覚ましい活躍をしております。こうした競技スポーツの発展していくということは大いに評価すべきことだと思うのです。そこで、やはり健全な肉体に健全な精神がというか、その増進に大いに役立つスポーツをますます職場の中で積極的に推進していただきたいという気がするわけです。日本の経済を戦後発展させてきた中にもやはり健康であるという、それはスポーツによってですね。 これはちょっと医療とも関係しますが、私もきょう朝ジョギングをしてまいりました。八十歳のおじいさんが、おじいさんと言っていいのか、棒高跳びの練習をしている姿を見まして、走る姿なんというのはまさに我々よりもはるかにスムーズに走っている姿を見まして、とにかく健康であるということはすばらしい。それには多少努力をしなきゃいけないし、また医療の力もかりなきゃいけません。 そういう中で日本がこれからますます世界のために貢献していく、そういうことでこのILO百二十号条約の国内法、労働安全衛生法、この法律を読んでいきますと七十条に事業主の努力義務ということがあります。これは「前条第一項に定めるもののほか、労働者の健康の保持増進を図るため、体育活動、レクリエーションその他の活動についての便宜を供与する等必要な措置を講ずるように努めなければならない」というのがあるのですが、この七十条の規定の趣旨というのか、これについてちょっと説明をしていただきたいと思います。
○説明員(田中喜代史君) 労働安全衛生法第七十条におきましては、労働者の体育活動を積極的に推進し労働者の健康の保持増進を図ることによりまして労働災害の防止という労働安全衛生法の目的が達成できるということから、事業者に対して体育活動でありますとかレクリエーション等の活動の推進について努力するようにというふうに規定したものでございます。
○猪木寛至君 この労働安全衛生法のほかに、働く人々のスポーツを通じての健康づくりのために例えば国はどのような考えを持っておられるか、聞かせてください。
○説明員(田中喜代史君) この七十条におきましても、職場体操でございますとか職場内スポーツ競技大会の実施とか職場内スポーツクラブ、同好会の設置等いろいろな援助等を定めておるわけでございます。 具体的に勤労者にかかわりますスポーツ対策というようなものの内容についてでございますけれども、労働省におきましては、中小企業の勤労者に対しましてスポーツ、レクリエーション等の活動の場を提供するために、雇用促進事業団を通じまして体育館、テニスコート、多目的グラウンド等を施設内容といたします勤労者の体育施設あるいは勤労者の野外活動施設、勤労者総合福祉センター等のスポーツ活動に関連いたします各種勤労者福祉施設を設置運営しているところでございます。 また、働く若者を中心といたします勤労者のスポーツ活動の振興につきまして、勤労者の健康の保持増進、勤労者のレクリエーションの促進に資するために働く若者のためのスポーツ教室の開催でございますとか全国勤労者ぶるさと交流会の開催というような事業を推進しているところでございます。
○猪木寛至君 今回の条約の批准を契機にさらに対策を充実させていただきたいと思うのですが、今後の方針について。
○説明員(田中喜代史君) 今回の条約の批准に際しまして労働安全衛生法にも七十条でいろいろと措置を講ずるようにいたしておりますのでこれらの強化を図っていきたいというように思っておりますし、さらにすべての労働者を対象といたしました健康づくり対策というようなものも進めておりますので、こういったものを積極的に推進してまいりたいというように考えているところでございます。
○猪木寛至君 最後に、大臣にちょっとお伺いしたい。 日本の経済は世界一流となりましたが、さらに国際社会の中で信頼を得ていくために、今後、働く人々のスポーツに親しめる環境づくりは最も重 要ではないかと思うのですが、その点について大臣の御見解をお伺いしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 当然のことでありましで、経済が発展をしていくためにもやはり国民の皆さんが健康でなければいけないことは当然でございますので、そういう面でスポーツがより振興されていくということはぜひ政府としてもやっていかなきゃならぬことだと思っております。
○猪木寛至君 この条約の中をさらに見ていきますと、移民労働者に関する条約九十七号というのがあるのですが、かつて私も十四歳のときにブラジルに移民をいたしまして、大変な長旅というか四十五日間、船に乗りまして入ったところがコーヒー園と。この移民に対する条約というのがちょっとわからないので説明をだれかしていただけますか。
○説明員(河合正男君) ただいま先生がお取り上げになられました移民労働者に関する条約、ILO第九十七号条約は一九四九年に採択されたものでございます。たまたまこの期間は日本はILOのメンバー国ではございませんでした。 ただ、本条約は移民労働者を援助する施設及び医療施設の維持、移民労働者の受け入れ等の促進、労働条件、社会保障その他に関します均等待遇を確保するということ等について規定しております。
○猪木寛至君 もう一つ百三十八号、就業の最低年齢に関する条約というので、日本はその当時まだILOに入っていなかったということですが、現実に今、世界を見ますと、私も実際には十四歳でそういう労働に入ったわけなのですが、いろいろなところを回りますと現実に子供たちの労働力が一家を支えている。あるいはその国の大変な収入源というか、農作物をつくりそれが輸出に回る。我々の口にも入っているのかもしれませんが、そういうような年齢に関する条約に関して日本と外国との違いというのは。
○説明員(河合正男君) 就業の最低年齢に関する条約すなわちILO百三十八号条約では、今、御指摘がございましたように、労働の就業年齢についで規定しております。この条約は、義務教育の終了年齢及びどのような場合でも十五歳に達しない者は原則としてどのような職業にも就業させてはならないというふうに規定しております。また、十八歳に達しない者につきましては、原則として健康、安全または道徳を損なうおそれのある業務につかせることはできない、こういうふうな内容を規定したものでございます。 この条約の内容につきましては、我が国では労働基準法等の国内法令でおおむね実現されているというふうに考えております。ただ、細部につきましては労働基準法等関係法令と一部一致していないところもございますので、現状ではこの条約の批准は困難であるというふうに考えております。
○猪木寛至君 ちょっと一つの記事があるのです。 スーダンでは、内戦で困窮した親が、我が子を 七十ドル(約八千円)で売り飛ばしている。イ ンドやパキスタンでは、親に現金を渡し、子供 にその借金分を返すまで働かせる年季奉公が広 く行われているし、タイでは、業者が農村を回 り、子供を狩り集めている。ハイチでは、十万 人以上の農村の子供が町の裕福な家庭に召し使 いとして売られている。その結果、世界中で毎 日何万という子供たちが労働による事故や病気 で死んでいるという記事があるのですが、ことしは児童労働撲滅年というか、これについてちょっと。わかりませんか、具体的にはどういうことか。
○説明員(河合正男君) 児童労働年につきまして私、今、詳細を承知しておりません。後ほど御説明させていただきたいと思います。
○猪木寛至君 ILOに関しては終わります。 何回か各議員の方ももう質問をされたり私も何回か当委員会あるいは本会議におきまして敵国条項の問題について取り上げたことがあるのですが、きょうの新聞にロシアからの記事で、「ロシアが無効化提案 対日友好姿勢示す狙い」ということで敵国条項の撤廃ということが出ております。これは「意図測りかねる外務省」という記事も出ているのですが、この辺のことについて、急に今なぜロシアが敵国条項についてこういう案を出してきたか。わかりませんか。
○政府委員(澁谷治彦君) これは現実にはロシアからの提案はございません。ですから、それ以上のものは持っておりません。
○猪木寛至君 この記事はそうすると、でたらめということですかね。朝日新聞のきょうの記事ですがね。
○政府委員(澁谷治彦君) これはロシアが五月一日より安保理の議長国になります、輪番制でございますけれども。その脈絡で、場合によっては閣僚レベルの会議を招集したいという意図を非公式に表明してきているということでございます。その関連であるいはそういう誤解があったかと思いますけれども、ロシアは旧敵国条項につきまして具体的な提案はまだ行っていないというのが現状でございます。
○猪木寛至君 大変これは不愉快というか、私もIPUとかの会議に出たときにこれを議題に出したのですが、知らない人が大変多かったということで、渡辺元外務大臣も積極的にこれは呼びかけでいくという答弁が何回かあったと思います。 これについてロシア政府に確認する意思はありますか。
○政府委員(澁谷治彦君) 一般論になって申しわけないのでございますけれども、私どもの立場としては、この旧敵国条項が無効であるということが確認されたということだけでは私どもの立場とは一致しない。つまりこれは憲章から削除される、憲章改正という形で削除される必要があるという立場でございます。 現実にこういう提案が行われた場合にどうするかという点につきましては、関係国と協議しながらその取り扱いについて対応を決めたいと思っております。
○猪木寛至君 この件に関してちょっと大臣にお考えを聞かせてもらっていいでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今のロシアの国連大使の発言というのは私ども正確な情報は得ておりませんし、どうも発言の中にはなかったのじゃないかというような情報もあるわけであります。 ですから、今の新聞記事は別といたしまして、いわゆる敵国条項をなくしていくというのは当然今日まで日本政府が主張してきておるところでございまして、それに対してはそういうどこかの国で言われでどうこうということじゃなくて、日本国として敵国条項は早くなくなるという方向で行くように努力をしていくのは当然のことだと思っております。
○猪木寛至君 もう一つロシアに関連しますが、二十五日に予定されている代議員大会、エリツィン大統領の信任投票ということなのですが、私もロシア関係の方でちょっと電話やなんかで情報をもらったのですが、今、エリツィン側に非常に有利に状況が変わりつつあると。もう一つは、やはり今回、日本の対日支援という形でロシアの国民も前とは大分雰囲気が違ってきているということを聞いたわけです。 この二十五日に行われますのは四つの点があると思うのですが、エリツィン大統領を支持するか、それからもう一つはその政策を支持するか、そして大統領選を早めるという議題と国会議員選挙を早めるということ。これは終わってみなきゃわかりませんが、今の状況でいうとどうもエリツィン派が有利であるという情報が入ってきております。 今後の対日支援という問題も含めて非常に不透明な、あるいは先ほど同僚議員からも出ていますが、いろいろなことを約束してもすぐそれが覆されてしまうというようなことも含めてその辺の情報はどうでしょう。十分頑張ってとられているとは思いますが、改めてひとつお聞きしたいと思います。
○政府委員(野村一成君) まことに難しい御質問でございます。 私ども、大使館、総領事館全力を挙げて、この御指摘の四月二十五日の投票というのは今後のロシアの内政一般を占う上におきましても非常に重要な出来事であるということで、情報収集に努めております。 難しい点は、特に都会だけじゃなくてあの非常に広範な領域の地方がどういうふうな状況になっているのかというような点もございます。したがいまして、現実に幾つかの論点、例えば投票そのものが成立するためには全体の有権者の半分以上の投票が必要であるとか、あるいはそれ以外に現実に信任の投票にいたしましてもどれだけのパーセンテージがとれるかといったそういう点が幾つかのポイントとしてあるのですが、非常にこれは大きな関心を持って見守っておりますけれども、私、この公の場できちんとはっきりとした見通しということで申し上げるのは若干勇気を要するような感じでございまして、その辺少し情勢のさらに情報収集に努めてまいりたいというふうに思っております。
○猪木寛至君 一年ぐらい前にロシアの情勢がどうなるかということである人たちと話し合ったことがあって、その中で出た意見がちょうど今のシナリオどおりに動いているというか、多少時間的なずれはあるのですけれども、非常にそのときに予測された、将来を予測するというは大変難しいのですが、ロシアに大変詳しい人間がある意味で予測してくれたとおりに動いてきている。 その中で、ここのところまた中央アジアが非常に混乱してきた。特にタジキスタンですが、ナビエフ大統領が亡くなられた。現実には今、内戦状態にもう置かれているというニュースも入ってきておりますが、その辺の情報がありましたらちょっと聞かせてください。
○政府委員(野村一成君) 御指摘のとおり、タジキスタンだけじゃなくて、一部やはり中央アジアはいろいろな問題を抱えておりまして、それなりに私ども、何分、出先がその辺弱いというか、情報収集の面で今後さらに拡充しないといけないと率直に思っております。ごく一般的な形でしか情報は入手できていないのが実情でございます。
○猪木寛至君 もういつも情報の話になりますが、やはり今、ロシアの日本大使館の状況は非常に激動というか、そういう意味で情報収集、新聞やテレビの情報をとるあるいは新聞の解読という、そういう意味で大変苦労されているという情報も私は聞いております。もう本当に寝る時間もないというようなことです。 そういうような激動している中、一方で中央アジアが大きく変わっていく。トルクメニスタン、あるいは今、タジキスタンの内戦が飛び火してウズベクに発展するというこの辺も非常に危惧されているわけですが、その辺を含めて今の人員では大変無理なのかもしれません。私から申し上げるのはあれかもしれませんが、いろいろ外国を回ってくる中で、今も本当に一部忙しいところは本当に寝る間もないというような状況で頑張っておられる大使館の人たちに大変敬意を表する次第ですが、そういうことでロシア情勢というのは新聞で聞く問題と、また現地で私自身いろいろ歩いたりしたときに得た情報と、そこの情報のずれがいつもあると思うのですね。 その辺は十分承知されているとは思いますが、ひとつ今後、日本が対ソ支援という国際社会におけるおつき合いということも大事かもしれませんが、一方で日本の姿勢、本当にロシアに対してどういう姿勢で臨むかというプリンシプルというか、そういう一つの姿勢をつくっていただきたい。私もロシアをよく知っているわけではありませんけれども、幾つかの契約め段階でロシア人とけんかをしまして、けんかの仕方というか、そういうこともやっぱり向こうの人にわからせる意味で大事な部分かなと。 特にこの前、渡辺外務大臣が行かれたときにあのような失礼な態度をとったロシアというのは、もう我々通常見ていてもロシアというのは嫌いになってしまう。それでなくても嫌いな国であると。私どもがやったのはスポーツ交流ということでボクシングとかプロレスとかいろいろな選手を連れてきて何とかそういう交流を図ろうと。その辺をぜひ向こうの人たちにもっともっと日本という国が、あるいは西側の市場経済を幾ら導入しようといったってそれをやっていた人がいないわけですから、我々は今、市場経済に移行するから協力するのだということを言うわけですけれども、あの人たち自体がその市場経済を知らない。これをどうやったら彼らにわかってもらえるのか。 そういう意味では本当にもっと交流を深めていくしかないのかなと思いますし、前にも申し上げましたが、TQCシステムというか、何が今、問題になっているかということをソ連に逆に言えばこちらから人を送ってでも、向こうが受け入れるかどうかわかりませんけれども、そういうことをぜひ将来というか今後やっていただきたいと思います。 最後に、中東問題というよりは、オザル大統領というのは大変親日家であって日本にも何遍も来られ、また大喪の礼にも来ておられましたが、日曜日の新聞でしたか、心臓発作で亡くなられたということです。中東におけるトルコというのは今、大変重要な国じゃないかなと。その中で権力闘争、オザル大統領とそれからデミレル首相との権力争いみたいなものがあったように聞いておりますけれども、その中で大統領が倒れて、逆によかったと言う人もいますし、混乱が起きると言う人もいますが、この辺、最後に中東に関する今後の展開というのを聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(小原武君) ただいま先生御指摘のとおりに、オザル大統領がこの十七日に亡くなられました。大変な知日家、親日家として知られた方でございまして、首相それから大統領の時期を通じまして約二十回ぐらい訪日されたということで両国関係の増進に大変貢献された方でありましで、六十五歳で亡くなったということは両国にとって非常に惜しむべきことであろうと考えております。 このオザル大統領、しかし八九年十一月から大統領になっておられたわけでありまして、大統領は憲法上国家元首としての儀礼的な権限にとどまるという仕組みでございまして政治の実権はすべて内閣に属する。その内閣が九一年の十月から前の野党の正道党、それと社会民主党の連立政権でデミレル首相のもとに内閣が組織されてきております。 そういう意味で、非常に偉大な政治家であられましたけれども、九一年後半以降いわば政治の実権から離れておられたということで、今回の大統領の死去がトルコの内政外交に直接影響することはなかろうと、また両国関係に影響することもないのではないかというふうに考えております。 政府としましては、新しく登場されたデミレル首相を昨年の十二月に公式実務の賓客としてお招きしておりまして、この両国関係の増進のためにいろいろ努力をしてまいっているところでございまして、今後もその方向で努力してまいりたいと考えております。
○立木洋君 大臣、初めての機会ですから、きょう午前中に述べられた所信に関連して若干お尋ねしたいと思います。 一つはカンボジアの問題なのですが、去る九日の日に大臣が衆議院の外務委員会でカンボジアの情勢問題に関連して、五原則が崩れているかどうかという問題については事実関係を確認してから判断したいとお述べになっているというふうに聞きました。それからわずか十日ぐらいしかたっていないのですけれども、事態は好転するどころかだんだん余計悪くなってきているというふうなのが実情じゃないかという気がするのです。 四月十日に開かれたSNCの会議では、明石代表がポル・ポト派に対して名指しで非難した。その虐殺なんかの事態についての責任を追及したらキュー・サムファン議長は、こうした非難を続けるということは極めて危険であると反論しているというふうなことがありました。その後、御承知のように、プノンペンの事務所も安全が保たれないということで閉鎖し、混成軍事件業グループも代表がすべて引き揚げた。SNCに参加するかどうかという問題で今度は北京で開催するとされたけれども、北京でのSNCの会議にもポル・ポト派は参加することを拒否するという状況にまでなってきているのですね。 今日のこうした事態について、つまり五原則とのかかわりでカンボジアの情勢をどのように判断されるのか、まず最初にそのことをお尋ねします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私の承知しているのは、北京でのはポル・ポト派じゃなくて逆にプノンペン政権側じゃないかというふうに聞いているのでございますが、ポル・ポト派の方が北京でのSNCの開催に反対じゃないと私は思うのでございますね。
○立木洋君 失礼、言い違えましたか、私。プノンペンです。
○国務大臣(武藤嘉文君) その辺はそういうことであればあれでございますが、いずれにいたしましても、きょう答弁をいたしましたとおりで、治安は悪くはなっておりますけれども、ポル・ポト派がSNCからは脱退をしない、またパリ和平協定は遵守する、そして全面的な戦争が行われていない、こういう現実においてはやはりPKO五原則は守られておる、こういう判断に立っておるわけであります。
○立木洋君 日本は法治国家ですから、この基本は、我々は反対しましたけれども、いずれにしろ五原則に基づくPKOだという協力法によって行われている。ですから、これに照らしてどうかということで問題になるだろうと思うのですね。 PKO協力法の第三条の一号では、「当該活動が行われる地域の属する国及び紛争当事者の当該活動が行われることについての同意がある場合」、つまり紛争関係者の同意があるという場合に参加できるというのが一つの条件になっております。今の状態を見てみますと、カンボジアの紛争当事者四派が日本のPKOの活動参加にすべて同意を与えているという状況だと言えるのかどうかという問題があると思うのです。 これは四月八日にキュー・サムファン議長が今度の選挙についてはポル・ポト派の排除をねらった西側諸国の陰謀であるというふうに述べて、西側諸国と言うときは日本も含んでいると明確に指摘しているのですね。つまり今の選挙というのはポル・ポト派にとっては好ましくない、だから絶対反対だ、何としてでも阻止したい、そういう立場をとっている。それを積極的に進めようとする形の日本に対しては、これはいいか悪いかは別として、はっきりと望ましくないという考え方をとっているということは明確だと思うのですね。 そうすると、紛争当事者が日本のこの活動への参加に同意するということを前提として参加が成り立っているわけですから、この同意が現在、存在すると言えるのかどうなのかという問題については、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(澁谷治彦君) 我が国の要員のUNTAC参加についての同意は、明石代表を通じてSNCのシアヌーク議長より伝えられております。それ以後この件に関しては変化がございませんので、私どもとしては同意は依然として成立しているというぐあいに理解いたしております。
○立木洋君 大臣、私は当初SNCを通じて同意が得られていたという政府の答弁を知っているのですよ。しかし、現実に動いている今日の状態から見ると、そういう選挙を進めようとすることに対して全く敵対的な関係をとり始めてきているわけです。それを阻止する、武力まで使うという事態が起こってきているわけですね、現実に。 だからそういう現実に対して、つまり大臣が衆議院の委員会で述べられた指摘、五原則が崩れたかどうかについては事実関係を確認してから判断したいと言われた発言を私は重視したのです。何も向こうはもうあなた方に来てもらっては困ると言って反対の態度を表明しないからいまだにSNCの同意が存在しているのだというのは、私はそういう言い方では本当に法治国家として事実関係を確認する正確な根拠ではないだろう。 だから、今の事実関係を本当に同意しているというふうにお考えになるのかどうか。今でも同意しているというならば、今でも同意しているということに現時点でどういう根拠を挙げることができるのだろうということをお尋ねしたいのです、大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) 事実関係は国連局長から答弁をしてもらいます。
○政府委員(澁谷治彦君) 先ほども御答弁申し上げましたように……
○立木洋君 さっきと同じでしょう。
○政府委員(澁谷治彦君) 同意が与えられて、それ以後それについての修正の動きがないということですので……
○立木洋君 だから、同意が得られているという確証が今の時点でどこにあるのですか。それを聞きたいのです。 大臣が事実関係を重視すると言われたことを私は重視している。だから、今の時点で事実関係でどこに確証があるのでしょうか、同意しているという。
○国務大臣(武藤嘉文君) 事実関係というのはやっぱり事務当局がしっかりつかんでおると思うので……
○立木洋君 つかんでいないのですよ。だから困っているのです。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私はそれで答弁をさせているわけでございます。
○立木洋君 じゃ結局、現時点で、四派紛争当事者が同意しているという確証は今の時点で得ていないというふうに私は言わざるを得ない。そうすると、大臣、反論せざるを得ないでしょう。いかがですか。
○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、同意は、先ほど国連局長もその意を込めて申し上げたと思うのですけれども、SNCを通じてUNTACの方に来ておる。ポル・ポト派はいろいろな行動をしておりますけれども、依然としてSNCにはとどまるということは明言しているわけでございまして、そういう関係からいたしますとその同意の枠組みというのは存在している、そういう論理でございます。
○立木洋君 私は、今、丹波さんが言われた内容でも現時点でなおかついわゆる同意しているという確証があるという答弁にはなっていないということだけは述べておきます。過去のことを引用して現時点でもそれは取り消されていないからということにとどまっている。現時点の確証にはなっていないということだけは述べておきたいと思います。 もう一つ、大臣、これは中立の問題があるのですよ。先ほど同僚議員も言いましたけれども、PKOの協力法に基づいて日本がこのPKOに協力する、国連の平和維持活動に。いずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されるものと、つまり中立が完全に保証されないとならないということになっているのです。 そうすると、今の時点でいいますと選挙の問題についていえば明確に二極分解しているのですよ。片一方がこの選挙を進める、そしてそれについては武力で防衛してでも選挙を進めるという立場なのです。もう一方の側は、この選挙は我々を排除するものだ、この選挙は我々としては阻止するという立場を表明しているのです。選挙を進めようとする側と選挙を阻止しようとする側とこの間での中立というのはないのです。だけれども、パリ協定の十二条にはこの選挙の問題については、先ほど午前中の所信の中で言われましたように、中立的な政治環境において実施されないとならないと。私は、今やもうカンボジアの事態というのは中立的な政治環境というのは破壊されていると思うのです。 そうすると、この事態の中でどうして中立的な環境が存在し得ると言えるのだろうか。片一方では選挙を武力でもっても防衛する、片一方は武力をもってでもそれを阻止しようとするという事態、この中立の政治的な環境というのは現在でも存在するというふうに現在のカンボジアの情勢を判断なさるのかどうか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 中立の事態がまだ私は崩れていないというふうに判断をいたしております。 ただ、午前中にも申し上げたかと思いますけれども、非常に治安も悪くなり中立の状態で選挙が行われないというようなことにならないようにできるだけ、これはもう日本だけの力ではどうにもなりませんので、国際社会の中で今とりあえずは議長国を通じて話を進めておりますけれども、何らかの形の国際会議でも開いて一日も早く中立の状態でしかも選挙が民主的に行われるように努力をしておるということを私は申し上げたわけであります。
○立木洋君 中立的な政治環境というのは現在どういう事態として確認できるのかという問題があると思うのです。 キュー・サムファン議長が八日の日に述べている内容でいえば、今度の選挙は流血の選挙になるだろうと言われているのです。それで、もしかこれで血が流れるような事態になってから、ああ遅かったでは困るのですね。破壊というのはぼかっとある日突如としてという形であらわれますけれども、しかしそれは積み重ねられた上での事態なのです。 だから、今の政治的な環境で中立が存在し得るという根拠は、大臣、どこにお求めになられますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 根拠というか、現実の事態として私はそういうふうに判断をしておるということを申し上げているわけです。
○立木洋君 その大臣の判断には私は同意できませんけれども、これはよく事実関係を確認してから判断したいと衆議院でお述べになったように、やっぱり法治国家として事実に忠実であっていただきたいということを強調しておきたいと思うのです。 もう一つ、停戦の合意の問題があります。これはもうこの間、澁谷さんや丹波さんといろいろここで議論しました。それで、あのパリ協定の九条に基づくいわゆる停戦の合意、これが附属文書の第二の第一条で六項目にわたって述べられているわけです。その六項目のどれ一つでも守られているかどうかということをお尋ねしたけれども、どれ一つも守られているという答弁をいただくことができませんでした。丹波さんはなかなか頭がいい方ですからね。だから結局、何と言ったかというと、そういうふうに一項目一項目見ていきますとそれに合わない現実があるということは事実でしょうが、しかし程度の問題ですと、こう述べられて逃げましたけれども、いわゆる停戦の合意というものも私は崩れていると思うのです。 そこで、きょうは防衛庁と本部の方に来ていただいていますが、今、文民警察それから自衛隊が新しい補修工事に入る体制のもとでいわゆる武器の携帯をどうするかということが問題になっているというふうに聞いておりますけれども、それぞれ文民警察と自衛隊が武器の携帯についてどういうふうな問題が検討されているのか、現状どうなっているのか、簡潔に説明していただきたい。
○説明員(貞岡義幸君) 御説明申し上げます。 文民警察の銃器の携帯につきましては明石代表よりそのような指示が出されておりますが、現在、UNTACの文民警察部門内部におきまして銃器携帯の要否について検討中であると承知しております。 したがいまして、我が国の文民警察要員に対して具体的に銃器を携帯しろという指示が出されているという事実はございません。
○説明員(伊藤康成君) 自衛隊の部隊派遣の関係につきまして私の方からお答えをさせていただきます。 御承知のとおり、自衛隊は小銃及び拳銃を部隊に持たせておりますが、従来ともこれは基本的には一括して保管する、ただ必要の都度、大隊長等の判断によって持ち出させると、こういうことをやっておったわけでございます。その大隊長の判断において必要の都度ということにおいては現在も変わりないわけでございますが、夜間出る場合ですとか、あるいは駐屯地と申しますかタケオに駐屯地風のものを築いておりますが、その警備に当たる場合、その他それぞれ現地の必要に応じて持たせるというようにしております。 その使用に当たりましては、御承知のとおり、二十四条に定めるところに従うということはもちろんのことでございます。
○立木洋君 武器を持たなければならないような状況になってきている、検討の問題も含めてですね。だから先ほど大臣おっしゃったように、停戦の合意の問題にしろ、いわゆる紛争当事者の同意の問題にしろ、それから中立が厳然と存在しているのかどうかという問題にしろ、私はやっぱり法治国家として、私たちはもちろんこれはそもそも憲法違反だという考え方を持っていますけれども、しかし少なくともここで決まっている以上、いわゆる五原則というのが本当にどうなっているのかということについては事実関係をよくごらんになって判断することが非常に重要だと思うのです。 これは日本の国際関係にかかわるあり方の問題として、今の事態ではもう明確にこの五原則は崩れておると私は指摘せざるを得ないと思うので、ぜひその点を改めて申し述べておきたいと思うのです。大臣、よく御検討いただきたい。 何か一言ございましたら、その件について。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私ども日本政府としては、現時点では五原則は守られているという姿勢でいるということを申し上げておきます。
○立木洋君 それからもう一つ対日支援の問題について、これも同僚議員がいろいろ聞きましたけれども、私は今の対日支援の問題について先ほど大臣がお述べになったことは非常に重要だと思うのです。 それは何かといいますと、いわゆる軍事大国になるような国あるいは外国に武器輸出を進めているような国、そういう国に対しては我々は援助をしないというのが日本政府の立場だと述べられたということはそのとおりだと私も思うのです。ところが現在、見てみますと、御承知のように、湾岸戦争が起こってあれに対して超大国が武器をどんどん輸出して大変な事態になって、極めて短期間の間にイラクが軍事大国になってクウエートに侵略した。ああいうことは二度と繰り返してはならないということが国際的な教訓として示されたと思うのですね。 確かに今、ソ連が解体してロシアになってから外国に対する武器の輸出量というのは減りましたよ。しかし見てみますと、去年エリツィン大統領が述べたのでは、年間五十億ドルの武器輸出を毎年続けるというのが去年の十一月エリツィン大統領によって提起されて、そしてエリツィン大統領の顧問であるマレイ氏は、少なくとも年間五十億ドルから七十億ドルの金を稼がなければならない、兵器の取引というのは三〇〇%から八〇○%の利益をもたらす実りのよい事業である、世界の兵器市場で自分の地位を確保すべきであり拡大さえしなければならないと明確に述べているのですね。そして、もう既に中国、インド、イランあるいはトルコなどに対する契約がなされていまして、潜水艦だとかそれから攻撃用のスホイ27、艦船、戦車、さまざまなものが輸出されている。 こういうようなところに、四十七億ドルとかいった話が先ほどありましたけれども援助するということについて、この武器の輸出を今後強力に進めようとする問題、これについては何らかの検討があったのかどうなのか、またこういうところに援助をするという問題についてどのようにお考えになるのか、大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(野村一成君) 今、立木先生御指摘の点というのは現実の国際政治の問題として非常に重要な点だろうとは思います。 他方、私ども対日支援を考えるに当たりまして、まずロシアがかつてのソ連のような全体主義の軍事大国ということにならない、それを少なくとも要するに政治の民主化あるいは経済面での市場経済の導入、外交面でのスターリン拡張主義の残滓からの脱却という改革の路線を考えますと、これは非常にそういう意味では重要な視点であろうというところに着目いたしております。 そこで、これは本委員会でも何回か論議になったと思うのですけれども、私ども重点的に支援に最初から乗り出しておるのは軍民転換でございます。つまり軍需産業ができるだけ円滑に通常の民間企業に転換するということができればいいということでやっておるわけでございます。この点はG7の間でも一致している認識でございまして、現実の国際政治の状況の中で私ども引き続いてやはりこういう軍民転換を促進するための技術支援というところにもあわせて着目して支援を行っていきたいと思っておるわけでございます。
○立木洋君 野村さん、それはちょっと違いますよ、あなた。マレイ氏というのは民需転換の顧問なのですよ。彼が何と言っていますか。民需転換は採算がとれない。金がかかる。武器の市場は現在も存在し、これからも存在し続けるだろう。ほかの国がやるのになぜ重大な危機にある我々が同じことをやってはいかぬのか。武器の輸出をどんどんふやすのをなぜ我々はやったらいかぬのかと民需転換のマレイ氏が言っているのですよ。私、ここに持ってきていますよ、ちゃんと。 これは市場経済が云々だとかそれから民主化云々だとか主義主張の問題については、ここでまた議論し出すとこれは長くなりますからその問題は別として、どのように主義主張があろうとも、武器をふやして外国にどんどんどんどん輸出するそういうやり方でやることを結構だというふうなことは、少なくとも先ほど大臣がおっしゃった見地からは私は出てこないだろうと思うのですね。 そうすると、こういう問題のある国に日本が援助する場合、私は何も援助したらいかぬだとかなんとかいうことを一概に言っているわけじゃないのです。援助のあり方の問題として考える場合に、大臣がお述べになっているのですから、こういう問題は当然念頭に置いて判断しなければならない重要な問題ではないだろうか。大臣も武器を輸出するような国に対しては援助すべきではないと述べられたのですから、そういう点を私は明確に押さえておく必要があるのだろうと思っております。 野村さんは結構ですよ。大臣、もうあと時間がないので、あと四、五分しかないので。
○政府委員(野村一成君) 一言だけ。簡単に終わらせます。 我が国の支援の実態をごらんになっていただきますれば、緊急人道支援に一億ドルあるいは技術支援その他一・二億ドル、それから大量破壊兵器等の関係の協力一億ドルでございまして、あといかなるコンテクストから見ましても私どもの支援が今、先生御指摘のような軍需産業云々に直接に関連するものではございません。
○立木洋君 一言、大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど申し上げたのは今後の日本のODAのあり方の一般論で申し上げたわけで、ロシアを私は念頭に置いて申し上げたわけではございません。ODAのあり方として申し上げたわけでございまして、ロシアはODAの対象にはなっておりません。 ただ、今お話を聞いておると、当然同じような論理があってしかるべきではないか、こういう御意見かと思いますので、これは今後ロシアとの間で話し合いをするときに私は十分対処してまいりたいと思っております。
○立木洋君 野村さん、紙幣にはこれが何に使われるなんて全部区分けがないのだから、入ってきたお金というのはどこにでも入るようになっていくわけだから、そういう問題についてはその国の経済の問題についてのかかわり方というのをよく判断しなければならぬ。今、大臣がおっしゃったとおり、今後よく考えていただきたいということ、ロシアという国については今までもいろいろ同僚議員が言っていますから、よく対応していただきたいということだけ述べておいて次の問題に移りますけれども、領土の問題ですね、千島の問題。 この問題に関しては、何もその千島問題が進まないからもう一切援助をするのがいかぬなどというふうなことを申し上げるつもりは毛頭ございませんけれども、私は領土の問題というのはやはり日本とロシアの間における最重要な問題だろうと思うのです。 それで、先ほど来の同僚議員の質疑の中で、当然その問題については検討することにしたいということで、次の機会にエリツィン大統領が来られた場合には当然その問題も提起をして、そしてそれですべて解決するというようなことにはなかなか難しいでしょうけれども、多少なりとも軌道に乗せて話が進むような方向に常に努力をしていく。この問題の重要性をあらゆる角度を通じて相手側にも喚起をし、我々がこの問題をあいまいにしていないのだということを示すことが私は非常に大切だろうと思うのです。 その内容の問題については私はまた別の意見がありますけれども、しかしいずれにしろ、この問題は日ロ間の問題として重視していただきたい。ですから、何か棚上げになったというふうなことが多少なりとも影響するようなことにならない対応が常に必要ではないだろうかというふうに考えるのです。 そういう意味では、私はこの援助のあり方の問題については、武器の輸出の問題あるいは領土問題、それから先ほど来出ている核廃棄物の投棄の問題も含め日本としては重視しなければならない幾つかの問題があるわけですから、そういう何かブロックを組んで対日支援を行うというふうなことよりも、日本とロシアとの関係は平等互恵の関係でどういう援助のあり方が本当にそれぞれの国の真の将来の役に立つのかという見地を貫くことが私は大切だろうと思うのです。 そうしないと、こういう重要な問題があるのだけれども外国からいろいう言われるからということで、何かロシアに対する援助のあり方が外圧に影響されているかのようにとられるということになるとこれは好ましくないので、援助のあり方というのは二国間の問題としてさまざまの問題があるわけですから、そういう中での位置づけということを私は明確にしていただきたいと思うのですが、大臣、お考えはいかがでしょうか、
○国務大臣(武藤嘉文君) 対日支援の問題は私は二国間の問題とは考えておりません。あくまで国際協調の中で日本は今度の問題を決めたわけでございますから、私はやはりG7などの場でももう少しそういうロシアが実際に武器をどんどん輸出をするというようなこと、あるいは私、この間もロシアには強く申し上げましたが、放射性廃棄物を海洋投棄をするというようなことはこれはもう世界の平和からいっても人道上からいってもあるいは地球環境の問題からいっても決してあるべき姿ではないわけでございますから、そういうことは今後ともロシアに対して指摘をしていきたいと、先ほど私はそういうつもりで申し上げたわけでございます。 領土問題は、これはもう日本とロシアとの二国間にあって私どもにとっては最大の重要懸案だと理解をいたしておりますので、今回エリツィン大統領の訪日があって二国間の首脳会談が行われるときには、領土問題というのは当然そこで取り上げていかなきゃならない、こういうふうに考えております。
○磯村修君 外務大臣が就任されましたので、これを機会にこれまでの大臣の答弁についてちょっともう少しお伺いしたいことがありますのでお願いいたしたいと思います。 一つは今の領土問題の件ですけれども、もちろん対日支援ということは国際協調の中で進めていく、北方領土の問題については二国間の中では大変重要な問題であるということなのですけれども、先ほどの答弁の中で正式な話し合いは外交ルートで詰めているというふうな答えもありましたですね。 そういうことからその点をもう少しお伺いしたいのですが、やはり日本にとっては北方領土を早く返してほしいというのが国民世論でもあるわけですね。しかし、向こうには国内事情というものもあるようでして話もなかなか進まないというのが現状であろうかと思うのです。経済的な支援という一方、早く領土問題も促進していく必要があるという意味において、これからの外交交渉のスケジュールというものを相手側とできるだけ早く具体的に詰めて軌道に乗せていくということも必要であろうかと思うのです。 そういういわゆる最初のスタートとなるスケジュールの問題につきまして、大統領がこちらへ見えられたときそれを機会に進めていくべきではなかろうかと思うのですけれども、大臣のお考えをその辺からまずお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(武藤嘉文君) 大統領が訪日されるということになった場合には二国間の首脳会談において領土問題は議題としていくようにということは、それは私はそう思っております。ただ、外交ルートを通じて正式の議題とするように私どもとし七は主張してまいりたいと思っているわけであります。
○磯村修君 やはりエリツィンさんがこちらへお見えになるのを機会に、できるだけ早くそうした交渉を促進していく意味においてもスケジュールというのは大変重要な意味を持つものであるだけにそういう相手側との話し合いを詰めてほしいというわけでございまして、スケジュールというのを外交ルートを通じて詰めていくということについてもそういうスケジュールの問題も含めての詰め方であろうと私は受け取るのですが、その込もう一度お伺いしておきます。
○国務大臣(武藤嘉文君) なるべく早くということで今、両国間で詰めております。
○磯村修君 それから対日支援につきまして、エリツィンさんもその内容を評価しているのですけれども、その一方でいわゆるココムの問題もございますね。早く規制を解いてほしいというふうな期待もあるようでありますけれども、このココムの問題、規制を解いてほしいということにつきまして外務省としてはどういうお考えでございましょうか。
○政府委員(小倉和夫君) 先生も御案内のとおり、いわば冷戦の終えんと申しますか、そういう事態を受けまして対話と協調の時代に入ったわけでございますので、ココムの問題につきましてもおのずからそれをいろいろ考え直さなくちゃならないという点が出できているのは事実だと思います。また、そういう認識はココムの参加国の十七カ国の間でも広がっていると申しますか、出てきているのは事実でございます。 ただ、まだ現在は一応過渡期というふうに認識されておりまして、不確実性と申しますか不安定性もあるわけでございます。したがって、ココムの役割が完全に終了したという認識はココムのメンバーの中でも樹立しておりません。 ただ、こういう変化がございますので、申し上げれば三つぐらいの面で新しく動きが出ていると思います。その一つは対象品目と申しますか対象範囲と申しますか、いわゆるココムの大幅な緩和という点。もう一つはココムの対象国でございますが、例えばハンガリーは対象国から外れました。これはたしか九二年の五月だったと思いますが、ハンガリーがココムの体制から外れております。つまりココムの対象国から外れでおります。 それからもう一つ非常に意味のある動きとしましては、先生の御質問のロシアに関して直接申し上げれば、昨年からココムにココム協力フォーラムというものをつくろうということで、いわば今までココムの対象国であった例えばロシアとかあるいは東欧でございますけれども、そういう国をむしろココムとの対立国というふうに考えないで一緒にこれからいろいろ考えていく、協力していく国にしようじゃないかと。ただ、そうするためにはそれらの国がいろいろな武器やその他のものについての輸出管理体制をしっかりしてもらう必要がございますので、そういう国に対して輸出管理体制の整備をすることについて協力していくということの見合いにココムの規制を緩和していこうというような動きがあるわけでございます。 したがって、そういう意味におきまして日本もそういったココム協力フォーラムと申しますか新しい考え方、これには基本的には賛成であると。ただ、そのためにはロシア側なり向こう側、従来のココムの対象国の方も輸出管理体制の整備をしていただくとかそういうことをしなくちゃいけない、こういうような方針で臨んでおります。
○磯村修君 そうしたことで基本的には我が国としても賛成であると、今のフォーラムの問題については賛成であるということなのですね。 賛成なのですけれども、今のロシア側の成り行きというか動きを見ていて、ココムの問題はかなり協力できるところまでいけるというふうなお見通しを持っておられますか。
○政府委員(小倉和夫君) 今申し上げましたように、実は冷戦が終わったという表現がいいかどうか別でございますが、まだ依然として現在の国際情勢が不確実性といいますか不安定性をはらんでいるというのがココム参加国の一般の認識でございますのと、それからココムというのは従来、政治的なことよりもむしろその戦略的な評価と申しますかそういうことでいろいろ品目の輸出規制をしておりましたので、いわゆる政治論議というのは、例えばある国が民主化されているからどうしましょう、ああしましょうといったようなことは本来はココムの討論外であるという形でまいってきております。 したがいまして、あくまで専門家のそういった戦略的な話でございますので、ロシアの要請というものをどのように受けとめるかというときも、やはりその政治的な受けとめ方よりもそういう万一の場合といったことを想定した戦略的な考え方から受けとめておるわけでございます。したがいまして、いまだにいきなりココムの中から全くロシアを例えば対象から外してしまうというようなことはちょっと今、ココムの参加国の中で想定されていないと思います。 ただ、先生おっしゃいますように、しからば何もしないのかといいますとそうじゃございませんので、ロシア側の努力、つまり一応協力、今までは言ってみれば敵対的だったものがもう少し協力の体制に行きましょうと。その協力の体制に行くことは日本も賛成であるしロシア側もそうであると言っております。 ただ、今のところ残念ながら、正直申し上げますとその輸出管理体制の整備といったようなことについでは、御案内のようなロシア情勢でございますのでなかなか向こうも手が回らないという点がございますのでちょっと足踏みしているという状況でございますが、方向としてはそのような協力の方向に持っていこうということで各国ともやっております。
○磯村修君 わかりました。 それから次に、朝鮮民主主義人民共和国、ここでは北朝鮮と呼ばせていただきますが、従来から核拡散防止条約の脱退問題が非常に論議されております。我が国としてもこの撤回をするように外交努力をしていくというふうなことはこの委員会でも述べられてきたわけですけれども、これまでの外交努力、それからこれからのそれへの努力目標と申しましょうか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(池田維君) 私ども、本件につきましては二国間及び多国間の場を通じまして説得努力を続けていきたいということで努力を続けているわけでございます。 まず一つはIAEAを通ずる努力でございまして、これはIAEAが何とか北朝鮮の決定を撤回させるということでこれまでも何度か接触をいたしました。日本もその中で努力をいたしました。 それからもう一つは、韓国、アメリカと日本と協議をいたしまして北朝鮮側に対して撤回を求めていくという基本的な姿勢を確認いたしまして、それに基づきましてアメリカ・北朝鮮それから韓国・北朝鮮、日本・北朝鮮それぞれの関係をどういうように進めていくべきかというようなことについで意見交換をいたしました。そして政策協調を図っております。 それから本件について非常に重要な立場にあります中国との連絡というものを緊密に図っておりまして、いろいろなレベルで中国側と本件についての協議を行っております。 そして二国間では、北朝鮮側が今回の決定を行いました直後に大臣談話を出しまして、本件がNPTからの脱退ということでNPT体制に対する挑戦であって、これはこの地域の安全保障に対する大変重大な事態をもたらし得る可能性があるということを談話で発表したわけでございますが、その後、先般、在北京の我が方の大使館を通じまして直接我が方のこういう考え方を北朝鮮側に伝えるということで接触の試みを行いました。行いましたけれども、本件につきましては北側が必ずしも現在その条件が整っていないということで日本側と会うことを拒否したという事実はございます。 しかし、いずれにしましても、日本側としては今後とも二国間及び多国間の場を通じまして北朝鮮側に決定の撤回を求めていくという努力を続けていきたいというように考えております。
○磯村修君 北朝鮮側の文書をちょっと読んでみますと、やはり韓国側にあるアメリカの軍の核撤去、核兵器の撤去とかそういうことがまず先決だというふうな表現もあるのですね。そうしてみると、本当に双方とも早く話し合ってやればというふうに一般的に解釈できるのですけれども、なかなかその辺が難しくてできないのが外交であろうと思うのです。 この韓国側の方、おまえたちの方が先に撤去すればいいじゃないかというふうな言い分ですね。そういう面の問題につきましてもこれまでの話し合いといいましょうか、アメリカ側とのそういう面の話し合いというものは具体的になされているのでしょうか。
○政府委員(池田維君) ただいま御指摘の韓国にあります米軍基地に対する査察の問題等につきましては、これは基本的に北朝鮮側と韓国の間の南北の相互査察の問題でございまして、この問題につきましては双方が朝鮮半島において非核化を達成するという宣言をもう既に出しております。この宣言に基づきましてお互いに相互の査察を進めていこうということで話し合いは続けておりますけれども、特に実質的な進展が最近あったというようには聞いておりません。 それからアメリカと北朝鮮側につきましても既に在北京のアメリカ大使館と北朝鮮側の大使館との間で接触がございました。しかしながら、これも実質的な進展があったというようには聞いていないわけでございます。
○磯村修君 それからカンボジアの問題について幾つか聞きたいのですけれども、大変今、憂慮される情勢が続いているということは先ほど来お話が出ているのですが、早くこういう事態が解決して本当の意味の和平というふうに私たちは念願しているわけです。 そこで、カンボジアの総選挙が無事に終わって新しい政府ができて本当に平和的なカンボジアの国がつくられていくということに大きな期待を持つわけですけれども、中立性ということが一つの問題としてあるのですね。 例えばこういう不安定な状態が続いている中で選挙を無事に行わせるためのいわば警備といいましょうか、そういうものにプノンペン政権等、ポル・ポト派を除く三派の軍なりあるいは警察なりの行政の力をかりてやっていこうということが進められているようなのですけれども、こういう面から果たしていわゆる協定に基づくところの公正な選挙が期待できるのかというふうな疑問も出てくるわけです。なぜその疑問が出るかというと、やはり中立性の問題が出てくるのです。紛争当事者がそういうことに力をかすことによって逆にポル・ポト派の反発を強めるというふうな結果にもなって、選挙が無事に終了できるということがなかなか難しいのじゃないかというふうなことで、その中立性ということをいかに守っていくかということが大事な点じゃないかと思うのですね。 今、UNTACがそういう三派の力をかりて何とか選挙を乗り越えようというふうな考え方自体、UNTACの中立性に反するのじゃなかろうかという疑問もあるのですけれども、外務省としてはその辺どういうふうな見解をお持ちですか。
○政府委員(池田維君) この中立性の問題というのは大変重要な問題でございますが、私どもが承知しておりますところでは、現在、UNTACが中心になりまして警備を強化しながら、同時にぎりぎりのところで中立的な政治環境というものを維持していくためにどういう方針があり得るのかということで、目下具体的にいろいろな措置を検討しつつあるというように考えております。 私どもも、中立性を守りながら警備を強化するということでUNTACに対してそういった私たちの関心というものを伝えてきておりますけれども、もう少し待ちますと恐らくUNTACの検討結果というのも出てくるのではないかという感じがするわけでございます。 それからもう少し広い意味でカンボジアにおいて中立的な条件というのは整っていないのではないかという御指摘でございます。 これは確かに選挙にポル・ポト派が参加しなかったということ自体が既にそういう一つの懸念材料になってきたわけでございます。しかしながら、一つの派が選挙に参加しないからといってこれですべての和平へのプロセスをとめるわけにいかないという合意があったものですから、ことしの一月にSNCの会合で選挙を行う、それから同時にことしの三月には安保理でも選挙を行うということを決めたわけでございます。そのときには一応形としましてはあくまでもポル・ポト派がこの選挙に参加していくためにドアをあけておくということでございまして、理論的には今でもポル・ポト派が入ってくるという余地はあるわけでございます。残念ながらポル・ポト派が入ってこなかったということによってポル・ポト派が参加しないような形というものをやらざるを得なくなってきている、これが現状でございます。 しかしながら、実際のカンボジア国民の多数を含みます有権者の大体九割程度というのはもう既に登録も終えておりますので、そういう意味では何とかぎりぎり政治的な環境というものを中立的に保ちながら選挙をやり抜くということで現在、UNTACは努力しているというように理解しております。
○磯村修君 自衛隊も施設部隊の第二次隊が行っているのですけれども、新たに道路整備等の任務に加えまして投票箱の管理とか輸送とかいうふうな任務も加わるようです。さらに最近は移動をするとか、先ほどもちょっとお話ありましたけれども、武器の携行というふうなこともあるわけですね。 例えば投票箱の管理あるいは輸送というこの面で仮に、これは仮定の問題だから答えにくいかもわかりませんが、そういうことも十分あり得るのじゃないかということが心配されるのですけれども、いわゆる襲撃された場合、どうしてもこれは襲撃されれば反撃に出るというのが常道なわけですね。そうした場合に武力行使につながっていく大変な危険性というものもあり得ることなのですね。想像できることなのですね。実際に今のカンボジアの情勢から判断してもそういうことは十分に考えられる。 そうすると、我々がPKO問題を論議してきた過程の中での武力行使というふうなおそれが多分にあるということを考えた場合、自衛隊が襲撃されたという時点で業務の中断とかあるいは撤退とか、もうそういう判断材料となるのではなかろうかと思うのですが、そういう事態が仮に起こった場合にどのような判断をお持ちになりますか。大臣、いかがですか。
○政府委員(丹波實君) 今の問題につきましては、基本的にPKO法の二十四条の対応では対応し切れないような事態ということを先生おっしゃっていると思いますけれども、そういうときには当然、休止あるいは中断というようなこちら側の対応に発展していく。そういう先生のおっしゃるような事態にもかかわらず二十四条を越えて対応しようとすれば、それはまさに武力行使の問題に発展していくわけでございますので、そういう状況の中に発展していかないために休止とか中断という考え方があるわけでございますので、当然そういうことになろうかというふうに考えられます。
○磯村修君 それからそうした大変心配される事態に備えまして我が国として派遣諸国との協議というものは行っているのでしょうか、そういう場合に備えるための。
○政府委員(澁谷治彦君) もちろん治安情勢一般も含めて随時主要関係国とは協議を行っております。しかしながら、今まで撤退の可能性について言及いたしました主要関係国はございません。
○磯村修君 こういう今のカンボジア情勢というものを見ておれば、これはもう十分にそういう事態の発生が予想されるというふうに我々は考えるのですけれども、やはりそういう意味からも、我が国だけ撤退するということはできないということはこれまでの政府側の方の答弁であるだけに十分な協議、派遣国との協議というものを積み重ねていって直ちにそれが判断実行できるような体制づくりというものが必要であろうかと思うのです。そういう意味からもう一度御答弁願いたいのです。
○政府委員(澁谷治彦君) 中断、撤退につきましてはその都度総合的に情勢を判断して決めるということでございますので、その判断の材料といたしまして主要関係諸国の見方、考え方ということにつきましても常時協議を通じて知っておく必要があるかと思います。今後ともその点については留意したいと思います。
○磯村修君 いろいろな事態を想定してそれに直ちに対応できる体制というものは今の情勢からいってももう十分にやっていく必要があると私は思いますので、そのようないろいろな事態を想定した対策というものを考えておいてほしい、このように私は思うのです。 それから先ほど大臣が、いわゆる今のカンボジア情勢につきまして憂慮すべき事態が非常に深まってきているので関係国といろいろな協議をしていきたいと考えているというのでありますけれども、このカンボジアの問題については我が国は最初に東京会談をして和平への道を切り開いたわけですから、そういう意味合いにおいても日本の国というものが中心になってできるだけ早い時期にパリ協定にかかわった国々との話し合いをして、そしてこれからの事態に対応できるような考え方を私は早く固めてほしいと思います。 と同時に今の情勢の中で、先ほどもちょっと触れましたけれども、もうボランティアでさえも危険な地域から引き揚げているという事態なわけですから、本当に民主的な公正な選挙というものは、まず最初に関係国が予想しておった事態ではなくて、民主的な選挙が果たして一〇〇%できるかというとなかなかそれは期待できない状況にあるわけですから、そういう関係国との話し合いの中では選挙の日程というものも、五月二十三日だったですか、それ以降行われる予定になっているのですけれども、その日程も含めまして十分に安定した選挙ができるような状況の中で行えるような日程を再度考える、そのくらいのことを含めた関係国との協議をすべきではなかろうかと思うのですが、大臣、その辺いかがお考えになりましょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どももカンボジアが本当に平和で民主的な国家になっていただきたいわけですから、総選挙が中立的な環境の中で行われることを望んでいるわけであります。しかしながら、現実は非常に治安が悪くなってきている。 先ほども私は答弁したかと思いますが、そういう面で日本側からESCAPに行っております柿澤政務次官には、ちょうど関係国たくさん集まっておりますので、バンコクで行われておりますし、ひとつ会議の合間を縫ってこのカンボジアの問題についてよくみんなと話し合ってくるように、そして場合によれば柿澤君自身カンボジアヘ訪問して実情も把握をし何らかのいい対策がとれないだろうか、それも検討してくるようにと、こう指示をいたしてございますので、これはもうすぐ帰ってくるわけでございますから、場合によればカンボジアに入ればそれだけちょっと時間がかかりますけれども、いずれにしても私どもは、まだ五月二十三日でございますからいろいろな手が打てるのではないかというふうに思っております。
○磯村修君 終わります。
○武田邦太郎君 私は、ウルグアイ・ラウンドについての所見を若干申し述べて、大臣あるいは外務省の幹部の方のお考えを聞きたい、こう思います。 大臣は、外務大臣になられる前にも何回かウルグアイ・ラウンドに前向きに取り組むべきという発言をなさったことがございました。農政に造詣が深くあられる大臣は、まず米の輸入の自由化をしても悠々とやっていけるような農業をつくれと、その条件は十分熟しているが、そうでなければ能力の高い若い世代が喜びと誇りを持って農業をやるはずがないと、こういう意味のことを述べられたわけでありますけれども、どうもそのことが新聞には小さく出ることは出たのですが、世論に大きく響かないし、農水省、農協を納得させるに至っていない。 まことに残念だと思うのでありますけれども、これは一つは外務省のウルグアイ・ラウンドへの取り組み方で日本の外交を正しく強く推進する一つの大きな要素が充足されるわけでありますので、大臣一人じゃなくて外務省の幹部が一つに燃えて日本の農業を正しく誘導する、こういう意気込みを支えるということが非常に大事じゃないかと思うのです。 外務省の方は皆、アメリカとかオーストラリアの見る目はるかな水田を見てこれではかなうわけはないと、こういうふうに思われるかもしれませんけれども、農業の強さというものは国土の広さとは必ずしも関係がありません。一人の農業者がどれだけの面積を完全にこなして高品質の農産物を低コストで生産していかに付加価値を余計生産するかということで勝負は決まるのでありまして、輸入自由化ぐらい十分に悠々といけるぐらいの面積は、私どもの計算では大体一人当たり都府県で三十ヘクですね。青森までは裏作ができますから延べにすれば五十ヘクはやれます。アメリカのカリフォルニアで第一の稲作農場の国府田さんのところでも従事者一人当たりの面積は四十ヘクです。それぐらいのものは今日の農業、日本では十分確保することができます。 これは今まではできなかったのでありますけれども、高度成長の結果、二次、三次産業に高所得の就業機会が増加して、御承知のように、農村の労働力、特に若い労働力が減った結果、全国的に言えば今、八十戸に一人ぐらいしか後継者がおりません。一戸当たり一・四ヘクでありますから百十ヘクに拡大する方向に日本の農業構造は急傾斜している。しかも、お米をつくるところほど後継者はおりません。横綱のコシヒカリの新潟県は二百五十戸に一人であります。 したがって、三百数十ヘクに拡大する方向に農業構造が崩壊状況にあるということでありまして、こういう状況をもっと、マスコミなんかも非常に怠慢だと思いますけれども、十分に国民、特に農家の一戸一戸に熟知させて、少なくともこの自由化ぐらいは悠々と乗り切るだけの農業構造は三十ヘクなのですから、百ヘク、三百数十ヘクに広がるほど若い人間が減っておるのになぜアメリカに打ち勝つような農業を立てようとしないのか。 これはもうロボットでもコンピューターでもアメリカに勝っておるのですから、日本人の能力があることはもう証明されております。しかも日本の農業条件は、今お話ししましたように、土地は十分にあるわけです。五百二十万ヘクの中で平野部は四百万ヘク近くありましで、水田は平野部が二百万ヘクあります。二百万ヘクあれば、現在の七割が素人百姓であっても平均五百キロの収量を上げておるのでありますから、二百万ヘクあればもう十分一億三千万の国民の米だけは足りるわけです。 でありますから、そういうような土地は十分にあるのだ、アメリカに負けないだけの規模拡大はできるのだと。それをまた一人の農業者が奥さんを酷使しないで悠々とこなすだけの基盤整備、これは日本は世界一ですからね。これはもう外務省の方よく心にとめていただきたい。田んぼ、畑、果樹園のつくり方というのは、工業、製造業においては工場の設備をいかに高度化するかということに匹敵するわけでありまして、日本の田んぼ、畑、果樹園をつくる基盤整備技術というものは世界でトップであります。私どもの友人が各地にそれをつくっておりますからこれは現実なのですね。理想でも何でもありません。 しかも、そういうことをやろうとする予算を農水省は今後、五年度から十年間に四十一兆円の事業費を予算とする、こういうことになっておりますけれども、実際は四十一兆円あれば十年どころじゃありません。日本の農地全体を世界で第一級の田んぼ、畑、果樹園につくり直してまだおつりが出るほどのお金であります。 これだけお金はあるのです。自然条件もいいのです。太陽はよく照るし雨はよく降るし、農業者の能力は高いし、肥料、農業あるいは農機具、十年後にはロボット農業が一般化すると思いますけれども、そういうものをつくる製造業は能力が非常に高いのです。しかも、国内に一億二千四百万のレベルの高い食生活をやる国民の食糧マーケットが展開しているわけです。こういうような農業条件に恵まれている国というのは世界じゅうにありません。これを十分に国民にもよく知ってもらう、農業者にはもちろんでありますけれども。 農水省は知っているのです。知っているけれども、必ずしも自信がないのですね。でありますから、どうかこの日本の農業条件がいかにすぐれているかということを外務省が世界の情報を集めて農水省に提供する、日本が本当は一番いいのだよと。米だけに限定すれば二百万ヘクを基盤整備するのは五年かかりません。十年間に四十一兆円使うというのですから一年には四兆円以上の仕事をやる能力があるわけです。その半分の二兆円としてもこの二百万町歩の田んぼを世界一にするのに十年です。 だから、ガットのウルグアイ・ラウンドなんかに行って、日本は、急げば五年、悠々とやって十年すれば自由化に対応するだけの方策がある、アメリカやECは輸出補助金を完全になくして自由化するのに何年かかるのかと、そういう前向きの交渉をやってもらいたいと思うのです。いつも自信がないものだから受け身に立って逃げ回るというようなことをやっているのでは外交交渉になりません。どうか農業に関しては十分の自信を持って交渉していただくように。 大臣、それはもうもちろんよく御承知だから孤軍奮闘されるわけでありますけれども、幸いにも外務大臣になられたのでありますから、外務省の皆さんに十分に農政を、これは農政論理は簡単でありましてそう何日もかかりはしないのです。数時間でちゃんとわかるのです。だからそういう勉強をなさって、閣議のたびに農水大臣に、農水大臣はまじめな人ですし、総理大臣はこれはもうわかっているのですよ、基本的に。だけれども、この間クリントン大統領に会っても、やらないと言ってきたのでしょう。それは世論がついてこないことを知っているからやるとは言えないわけです。だから世論の誘導はやはり何といったって農水省がやると言わなきゃできませんから、それは外務省にお願いしたい。 それからもう一つは、こういうことは研究と教育が一番大事でありますから、文部大臣に十分外務大臣からお話しいただきたい。日本の大学は外国の農業に勝つ農業の研究というのは全くやっておりません。設備もありません。これは農水大臣のお仕事ですから、農水大臣と文部大臣を十分説得してくださるようにお願いしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 武田議員のお話は私はもう前からよく存じ上げておりまして、日本の農業の今後のあり方というものに対して大変立派な理論を展開しておられることはよく承知をいたしております。 御激励をいただいているのか、私はちょっとあれでございますが、いずれにしても、純粋の経済問題というふうになかなか考えられないのは、御承知のとおり、やはり国会決議というものがあるわけでございまして、私ども政府側といたしましてはこの国会決議の趣旨を尊重していかなきゃならないという立場に立っておりますので、なかなか今のポストに来る前と今このポストにいるとの間ではおのずから発言は慎重にならざるを得ないわけでございます。 ただ、今の御趣旨を体して、本当に幸い農水省も今回は新しい農業を目指して思い切った政策転換を始めたと私は思うのでございますが、こういう機会に本当に日本の今後の農業のあり方はどうあるべきなのかということをみんなで議論をし、国民の中に日本の今後の農業のあり方というものを十分理解をしていただく。決して何も自給率が減るのじゃなくて、逆に今、武田議員おっしゃるように、私は自給力は高まると思うのでございます。そういうような本当に日本の農業政策というものが国民の中に理解されるように政府としても努力をしていかなきゃならないと思っております。
○武田邦太郎君 国会決議は私もよく承知しておりますけれども、国境を閉ざしておれば米は自給できるという考えそのものが間違っているのです。国境を閉ざしておりましても、もう既に政府米が足りないから生産制限を緩和して増産してくれと言っても増産しないのが現実でありまして、今のような生産性では、去年の米はわかりませんが、おととしの米でいいますと全国平均日当は七千円なのですね。東南アジアの人が日本に来て働いて、技術も何もなくて一万円から一万二千円です。そういう日本の国民経済で日当七千円にしかならない稲作が持続できるわけがありません。 だから日本のような国では都会並みといえば、賞与を突っ込んで年間所得五百万か六百万でしょう。すると日当は二万円から二万四千円ですね、都会では。それを農村で米をつくったら七千円というのでは、幾ら国境を閉ざしましても、農業が負けておるのは外国の農業ではなくて都会の産業に負けているのです。それで労働力はどんどん吸い上げられてしまって必要な労働力もない。こういう状況になっているのでありますから、過去の国会決議は決議された当時は若干の合理性があったと思いますけれども、今日では全く合理性がありません。国境を閉ざしても依然として米は食えなくなる、自給は不可能だと、こういうことを明確にすることが国会の任務であります。 それで、農水省は十ヘクから二十ヘクの稲作をやるというのでありますから、これは大化の改新以来の大改革で非常に喜んでおるわけでありますけれども、この面積では輸入の自由化には耐え得ないし、米価が下がれば都会の産業には勝てません。さっき申し上げたように、三十へク、裏表で計五十ヘク。北海道の単作地帯では五十ヘクから七十ヘクありませんと都会の産業とはバランスしませんし、したがって輸入の自由化に耐えることはできません。しかし、そこまで農水省は腰を上げたのですからそれ以上の拡大はそう難しくないと思うのです。 それでも非常に喜んでおるわけでありますけれども、これをプッシュする力は、やはり各地の大学が主体になりまして、こういうふうにすれば都会には負けないよと。今申しました目標は経済成長十年後の都会の産業とバランスする目標でありますが、そういうモデルを少なくとも全国で十カ所ぐらい、五軒か六軒の設備をちゃんとしてその地方で腕前の高い農家に手を挙げてもらって、よしやるという農家にやってもらう。それを眼前に見ながら、もちろん教授はそれを縦から横から検討してアドバイスするし、学生はそれを検討して、よしと、これぐらいいけるならおれも農業やろうと、こういう意思の持てるような研究と教育を、これは私の独創でも何でもありません、ニュージーランドなんかそれをちゃんとやっておりますから。 そういうような教育機関が各地にできませんと、もう東京大学の先生みたいに自由化したら日本の農業はつぶれてしまうというようなことを言うような先生ではこれは日本の農業は発展するはずがありません。 それはそういう人の意見も反省材料として絶対いけないとは申しませんけれども、日本の農業を立派な農業にして国民経済を健康にすると同時に、日本の主張が正しく強く外交面にあらわれるような重要な一環はここでつくることができるわけでありますから、何とか今後、孤軍奮闘にはさせませんから、ひとつお願いします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 国会決議は私ども政府側に今おりますのでどうこう言えませんので、どうかひとつ国会の中で、また武田議員あたりがいろいろとおっしゃっていただいたらいいのじゃないかと思います。
○武田邦太郎君 終わります。
○委員長(野沢太三君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(野沢太三君) この際、国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認を求めるの件、国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件、両件を一括して議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。武藤外務大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) ただいま議題となりました国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この通告の書簡は、我が国が、遭難警報及び遭難の位置の情報を提供するコスパス・サーサット衛星制度に地上部分提供国として参加することを目的として、我が国の義務、我が国の責任に関する事項等を定めるものであります。 我が国がこの通告の書簡を締結することは、同制度の発展に寄与し、もって捜索及び救助の分野における国際協力に資するとともに、我が国において一層効率的な捜索救助活動を実施するとの見地から有意義であると認められます。 よって、ここにこの通告の書簡の締結について御承認を求める次第であります。 次に、国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この憲章は、昭和二十八年十月十九日にベネチアで採択されたものであり、移民、難民等について、輸送その他移住サービスの提供等を専門的に行う世界規模の国際機関である国際移住機関を設立すること及びその運営について定めることを目的とするものであります。 我が国がこの憲章を締結し、同機関の加盟国となることは、同機関を通じて移住、難民等の問題に関する国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。 よって、ここにこの憲章の締結について御承認を求める次第であります。 以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願いいたします。
○委員長(野沢太三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 次回は来る二十二日午前九時三十分に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十一分散会 ――――◇―――――