労働委員会 第16号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1993/06/07
会議録
○岡田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
○永井委員 労働大臣に、まず基本的に、ぜひともお答えいただきたいという問題について、確認のための質問に入る前に若干お聞きをしておきたいと思うのであります。 パート労働法をめぐりまして、随分ときめ細かな、具体的な職場の実態なども挙げてこの委員会で質問がなされてまいりました。この質疑を通しまして、いかに日本のパートの抱えている問題が複雑で非常に大変な問題であるかということは、もう十分御承知おきを願ったと思うのでありますが、一口に言いまして、日本独特のパートタイム労働者の問題を考えますと、考えれば考えるほど否定的な実情というものを痛感せざるを得ないわけであります。パートタイム労働者は、言いかえれば、この審議の過程でも明らかになりましたけれども、安上がりの雇用調整弁として実は活用されてきているのであります。ここが大事なんですね。私は、パート労働者の問題につきましては、いわば日本の労働者の問題の縮図であるというような思いが非常に強いわけでありまして、そういう立場から労働大臣に冒頭お聞きをしたいと思うわけであります。 労働条件ということがよく言われますが、労働条件の柱は、言うまでもなく賃金と労働時間だと思うのであります。そのほかにも福祉とかいろいろな関係がありますけれども、主たる柱は賃金と労働時間。しかし、このパートタイム労働者の場合は、一時金や退職金を含む賃金こそが最大の労働条件だということになると思うのですね。 そこで、パートタイム労働者の賃金について考えてみますと、いわばフルタイマーと比較した場合、労働時間に比例して賃金が少ないのは、これは当然なんですね、働く時間が短いのでありますから。しかし、時間当たりの賃金につきましては、フルタイム労働者と同等にすべきだというのが国際的に確立した考え方であると私は思うのであります。日本でもそうしたいのでありますし、そうしようと思いますと、なかなか現実からそれが簡単にいかない。それは、日本では同一労働同一賃金がいまだに確立しておらないからであります。むしろ年功的な賃金制度が根強く残っているからでありまして、つまり、どのフルタイマーと比較したらよいのかがはっきりしないからだと私は思うのであります。 ちょっと古い話で恐縮でありますが、労働基準法の審議のときにも私は若干触れたのでありますが、戦後、労働基準法制定の当時の経過を確かめてみますと、労務法制審議会というのがございまして、そこの小委員会に提出されました当時の事務局原案、こういうものがございます。それを見ますと、男女同一価値労働同一賃金、こういうものが規定されていたのでありますが、この同一価値労働同一賃金の原則を、性別だけではなくて年齢別にも適用するかなどの議論まで実は行われた結果、労務法制審議会の答申では、これは古い話で恐縮でありますが、労働基準法をつくるときですからね、昭和二十一年十二月二十四日付でありますが、その答申では、ほぼ現行法どおりの男女同一賃金の規定になっているわけであります。いわば同一労働同一賃金になっていないのであります。 この点について、当時の労働基準監督課長であった寺本さんという方がいらっしゃいますが、その方が「労働基準法解説」というのを出していらっしゃけます。これは一九四八年に刊行されているわけでありますが、それを見ますと、当時の実情をこのように触れているわけであります。「この条文は」いわゆる男女同一賃金ということですね。ちょっと参考までに言いますと、 使用者は、労働者が女子であることを理由として、賃金について、男子と差別的取扱をしてはならない。 こうなっているのでありますが、 この条文は国際労働憲章の如く男女同一価値の労働に対して同一賃金を支払うべきことを表現してはゐないが、女子であることを理由として賃金について男子との差別的取扱いをすることを禁止してゐるのは矢張り男女が同一価値の労働をすることを前提としてみるのである。唯現在我が国に於ける給与形態が著しく複雑化し生活給の色彩を強くして来て居って男子同志の間でも同一価値労働に対して同一賃金が支払はれない場合が多い時、男女の賃金比較に於てのみ同一価値労働を表面に持ち出すことが不適当であるためかかる表現を避けた迄のことである。従って具体的の場合において生産高、技能、能率等に差異がある場合これが理由となつて個々の男女労働者の賃金に差別がつくことは本条違反ではない。しかし従来一般的に行はれて 来たように学歴その他の経歴が同一であり能力も同程度であると認められる場合に於て、女子労働者の一般的特性を理由として初任給その他の賃金に差等をつけるのは明かにこの条文の規定に抵触する。 こう言っておる。ここは非常に大事なところなんですね。 さらに、この寺本さんは、この条文の解説の末尾でこのようにも触れています。 尚本条の規定については草案当時、労務法制審議会の労働者側委員より単に性別の差別撤廃だけでなく年齢別の差別もこれを撤廃すべきであると主張された。我が国の劣悪労働条件が女子と年少者によって象徴されてゐた事実に鑑み傾聴すべき意見であったが採択されなかった。燃しその後に於ける労働運動がこの主張とは反対に年齢給を要求する方向へ発展して打つたことは注目に値するところである。 このように末尾で触れているわけであります。これが今の現状の、とりわけこのパートの皆さんの劣悪な労働条件になってしまったという、そこに大きな原因がある、ここに起因していると私は思うのです。 あるいは、解説書ばかり紹介して恐縮でありますが、大事なところだと思いますのであえて触れますが、労働省の出しました解説書によりますと、 国際労働機関憲章の前文では、男女同一価値の労働に対して同一賃金を支払うべきことを明らかにしているのに反し、本条〔労働基準法第四条〕では男女同一賃金の原則を掲げるだけで、その基礎となる労働の価値についてはなにもいっていませんので、どのような範囲について、この原則が適用されるかは、はっきりしていませんが、本条は、国際労働機関憲章と同様、男女同一価値の労働に対して同一賃金を支払うべきことを最終の目的としているのです。こう解説しているのですね。さらに、ただ現実の問題として、我が国の企業においてはまだ職務給を主体とする合理的給与体系が整備されていないため、男子労働者の間においてさえ、この原則は実現されておりません。したがって、男女同一賃金の原則も現段階においては、学歴その他の経歴が同一であり、能力も同程度であるとみとめられる場合においては、女子労働者であることだけを理由として初任給その他の賃金について差別的取扱いが禁止されるという点で、意義があるわけです。 こういうふうにこの労働省の解説書にも書いているわけであります。これは一九九二年の十一月の発刊であります。 つまり、パートタイム労働者の問題を通じて学歴別の年功序列賃金という日本の賃金制度のあり方が問われているのではないかと実は考えるわけであります。 こういう労働基準法の立法経過からいって、なぜ私どもが四党で共同提案の法案を出したかということも、このことを通して考えていただきますと十分に御理解をいただけると思うのでありますが、ひとつ大臣の御答弁を、基本的な考え方としてお伺いしたいと思うのであります。
○村上国務大臣 永井先生の同一労働同一賃金の原則の実現に向けた高い見識と情熱あふれる御高説をお伺いし、私といたしましても深い感銘を受けたところであります。 しかしながら、我が国の賃金制度は長い間の歴史を経て今日の形になっているものであり、いろいろと難しい問題もあると思われます。 御高説は十分に拝聴させていただきましたので、労働省といたしましても今後とも勉強していきたいと考えております。
○永井委員 これからずっと労働大臣が政治家として活動される以上、こういう問題についても、さらにすばらしい労働行政の実現をさせるという目標に向かってひとつ歩み続けていただきたい、こう思うわけであります。 次に、期間雇用の問題についてちょっとお伺いしておきたいと思うのでありますが、この期間雇用の問題につきましても、似たようなこと、つまり、日本ではフルタイムの労働者自体が問題を抱えているという事情を指摘できると思うのであります。 例えば、欧米諸国のパートタイム労働対策の状況に関する調査研究会の「諸外国のパートタイム労働対策の概要」、これは一九八八年十一月にまとめられているわけでありますが、それをちょっと参考までに申し上げてみたいと思うのであります。 まず、フランスでありますが、 パートタイム労働契約は、期間の定めのある契約とすることも可能である。そして、期間の定めのあるパートタイム労働契約について、その期間制限などの特別な規制は一切定められていない。 しかしながら、パートタイム労働との規制とは別個に、フランス法においては、フルタイムの場合も含めて、期間の定めのある労働契約の締結そのものにかなり強度の法的規制が加えられていることに注意する必要がある。すなわち、第一に、期間の定めのある労働契約を締結するに当たっては、その事由が限定されており、原則として、特定され永続的でない業務についての労働であることを要する。例えば、病気などにより労働契約が停止された労働者の代行者としての業務、企業活動の例外的・一時的増大に対処することを目的とする業務、臨時的な緊急業務などが対象とされる。 これはフランスですね。 その次に、イタリアについて見ますと、 そもそも一年以下の短期雇用については、上述した一九六二年法一条で 一九六二年法にそういう法律規制がされているわけでありますが、 季節産業、休業中の労働者の代替、例外的な一時的事業に対する雇用などに限定されており、これ以外は、期間の定めがないものとみなされる。 というふうに法第五条でイタリアでは規定をしているわけであります。 また、旧西ドイツについて見ますと、 民法上の契約自由の原則から労働契約に期限を付することも自由であるが、連邦労働裁判所の判例はこれに制限を加えてきた。すなわち、期限付労働契約は労働者から解雇制限法等の保護を奪うものであるから、期限を付することとその長さには客観的な理由がなければならない。客観的な理由は、試用労働契約、病気等で欠勤している労働者の代替労働契約、季節的労働契約あるいは芸術家との契約等においてのみ認められる。 と西ドイツでは定めているわけであります。 このように、欧米諸国の場合には、フルタイムであるとパートタイムであるとを問わずに、労働者全体について期間雇用契約の制限が行われているのであります。 これに対して、日本では、期間雇用契約を反復更新した場合に、一定の条件が整っておれば、「あたかも期間の定めのない契約として実質的に存在していたもの」、これは東芝柳町工場事件で最高裁の判決が昭和四十九年に出された内容であります、あるいは「一種の期間の定めのない契約」、これは旭硝子事件でありまして千葉地裁の判決が昭和五十五年四月九日に出されていますが、そういう形で解雇制限を認める判例もあるにはありますけれども、期間雇用契約はほとんど野放し状態になっているのであります。そのようなところにパートタイム労働者が参入するわけでありますから、まさに雇用の調整弁として大いに活用されることになってきた。 つまりは、フルタイム労働者も含めて欧米諸国のような期間雇用の制限に関する立法を日本も早急に実現しなければならないのではないか、そういう時期に来ていると私は思うのでありますが、これについてお答えをいただきたいと思うのであります。
○征矢政府委員 労働省といたしましては、労働 契約法制の問題につきまして、平成二年一月から労働基準法研究会におきまして、労働契約等法制部会を設け調査研究を行ってきたところでございますが、先般、今後の労働契約法制のあり方につきまして、研究結果がまとめられているところでございます。 この報告におきましては、労働契約の期間の問題につきまして、労働契約の期間に関しては、 短期の労働契約を更新する形態が見られるが、雇入れ時に事業の将来の見通しが不確定である場合や労働者の側が長期勤続を予定しない場合等短期の労働契約を更新していく形態をとることが特に必要な場合も当然あると考えられ、そのこと自体について労働契約の観点から規制を行うことは適切ではない。しかしながら、長期間の雇用を予定しているにもかかわらず有期の労働契約を締結しこれを繰り返し更新する場合、短い期間を安易に設定する場合等当初の労働契約の期間の設定に問題のあるものもみられ、これらについては、労働契約の締結に際し合理的に期間設定がなされることが望ましい。 とされ、また、いわゆる雇いどめの問題につきましては、 有期の労働契約の終了に関しては、解釈上有期の労働契約を更新することにより実態上期間の定めのない労働契約と評価される場合には解雇予告が必要とされている。しかし、更新回数、更新の態様等がいかなる場合に解雇予告が必要となるかについては明確でない。そこで、有期の労働契約を更新した場合であって、当該更新した労働契約の終了により、引き続き労働契約を締結しないこととするときは、解雇予告の場合と同様の予告等を行うこととすることが適当である。 とされているところでございます。 このように、期間雇用の制限に関しましては、労働契約の設定自体は具体的には労使両当事者の自主的話し合いにゆだねられており、労働契約に期間の定めが行われる事情、態様はさまざまであることから、これを一律に規制することは困難であると考えられるところでございます。 なお、労働省といたしましては、今後、労働基準法研究会のこのような考え方を踏まえまして、中央労働基準審議会において検討されるものと考えておるところでございます。
○永井委員 私の指摘したことと今審議官が答弁をされたことと、かなり違うのですね。かなりの隔たりがあります。しかし、私が指摘しましたように、やはり期間雇用の制限というものを一日も早く立法化しなくてはいけないという状況に立ち至っているという事実は、どのように答弁されようとも私は変わっていないと思うのであります。まして経済大国日本であり、この七月にはサミットを主催する日本でもありますから、国際的にも指弾されることのないような、そういう労働市場というものを確立しなくてはいけない、こういう観点で私はあえてつけ加えて申し上げますが、私の今申し上げましたことを十分に検討していただいて、これから積極的な対応をしてもらうように重ねて要望しておきたいと思うわけであります。 さて、その次でありますが、ドイツでは週三十七時間から三十八時間制というのが実現をしてきておりまして、三十五時間制を目指しているわけでありますが、日本ではようやく、先般週四十時間労働制を実現するための労働基準法の改正が行われたところであります。そして、ドイツのフルタイム労働者と余り変わらない労働者が、日本ではパートタイム労働者として差別的な取り扱いを受けているわけであります、働く時間からいいまして。 ILO百六十五号勧告に示されておりますように、一日当たりの労働時間の短縮や時間外労働の制限が行われれば、あるいはまた転勤がなければ、あるいは看護・介護休暇などがあれば、パートタイム労働者とならずにフルタイム労働者として働けたのにという労働者も非常に多いわけであります。 私は、フルタイム労働者の雇用・労働条件の劣悪さがパートタイム労働者をつくり出している側面をだれもが否定できないと思いますし、また、パートタイム労働者が抱える問題を通じて、フルタイム労働者の抱えている問題が前面に引き出されてくると思うのであります。 折しも、この六月二日から開催されておりますILO総会でもパートタイム労働が議題となっておりまして、そのような面につきましてもじっくりと取り上げたいところでありますが、なかなかきょうの定められた時間ではその時間がございません。 そこで、私は、社会、公明、民社、社民連、この四党を代表する立場で、四党共同要求を踏まえて、別途修正案を提出することを前提として、その修正案以外の部分について労働大臣に確認的に質問をしていきたいと思うのであります。 まず、その一つでありますが、現行のパートタイム労働指針におきましては、「所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者のうち通常の労働者と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、処遇又は労働条件等について通常の労働者と区別して取り扱われている者については、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。」とされておりますが、これについて、本法に基づく指針においてどのように取り扱っていくのか、お伺いをいたしたいと思います。
○村上国務大臣 本法に基づく指針は、法律成立後関係審議会の意見を聞いて定めることとなりますが、「所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者のうち通常の労働者と同様の就業の実態にあるにもかかわらず、処遇又は労働条件等について通常の労働者と区別して取り扱われている者については、通常の労働者としてふさわしい処遇をするように努めるものとする。」という現行のパートタイム労働指針の規定については、本法に基づく指針においても、基本的にこれを踏襲していきたいと考えております。
○永井委員 その次に、事業主は、その雇用している短時間労働者が従事している業務と同種の業務について通常の労働者の募集をする場合には、短時間労働者が募集に応ずる旨の申し出をしたときは、その短時間労働者を優先して通常の労働者として採用するように努めなければならないようにすることについて本法において規定することについて、お伺いをしておきたいと思います。
○村上国務大臣 現行のパートタイム労働指針においては、「使用者は、通常の労働者を募集しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事するパートタイム労働者であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、これに応募する機会を優先的に与えるように努めるものとする。」とされており、本法に基づく指針については、法律成立後関係審議会の意見を聞いて定めることとなりますが、その策定に当たっては、基本的にこれを踏襲したいと考えます。
○永井委員 その次、三つ目でありますが、事業主は短時間労働者を、その意に反して当該短時間労働者の所定労働時間を超えて労働させたり、または所定労働日以外の日に労働させてはならない、あるいはさせないように努めなければならないようにする、そのことについて本法に規定することについてお伺いしておきたいと思います。
○村上国務大臣 現行のパートタイム労働指針においては、「使用者は、パートタイム労働者について、できるだけ所定労働時間を超えて、又は所定労働日以外の日に労働させないように努めるものとする。」とされており、本法に基づく指針については、法律成立後関係審議会の意見を聞いて定めることとなりますが、その策定に当たっては、基本的にこれを踏襲したいと考えます。
○永井委員 次に、本法の実効ある運営を確保するため、行政体制の拡充強化を図ることについてお伺いをしておきたいと思います。
○村上国務大臣 先生御指摘のとおり、本法の実効ある運営を確保するため、行政体制の充実を図ることは重要なことであるので、努力してまいりたいと考えます。
○永井委員 次に、労働者派遣法の労働者派遣事業適正運営協力員制度と同じように、例えばパートタイム労働適正化指導員といった制度を設けるとともに、不適正な労働条件及び雇用管理のもとに置かれているパートタイム労働者について、速やかにその是正を図ることができるように救済措置を求めることができる機関の設置などについて検討することについてお伺いします。 また、短時間労働援助センターの運営に労働者代表が参加できるような措置を講ずることについてお伺いをしておきたいと思います。
○村上国務大臣 救済措置を求めることができる機関の設置といった措置は困難ですが、短時間労働援助センターの事業に労働者の意見が反映されるようにするための方策については検討いたしたいと考えます。
○永井委員 次に、解雇や定年退職等につきましても、パートタイム労働者に対する差別的取り扱いをなくすように措置するとともに、フルタイム労働者にも共通する期間雇用の問題については、労働者の保護、雇用の安定の観点から、早急に労働契約法制上の措置を講ずるため、必要な検討に着手することについてお伺いをいたします。
○村上国務大臣 期間の定めのある労働契約についての問題を初め労働契約法制についての問題については、労働基準法研究会の報告を踏まえ、今後検討を行ってまいりたいと考えます。
○永井委員 次に、現行のパートタイム労働指針では、パートタイム労働者の意義は、「一日、一週間又は一箇月の所定労働時間」が相当程度短い労働者とされているのに対し、本法では「一週間の所定労働時間」が短い労働者とされていますが、これによって、現行のパートタイム労働指針において施策の対象となっていたパートタイム労働者がその対象から除外されるなどの施策の後退がないこと、または後退させないことについて確認をしておきたいと思います。
○村上国務大臣 現行のパートタイム労働指針では、パートタイム労働者とは、「一日、一週間又は一箇月の所定労働時間」が相当程度短い労働者とされていることに対し、本法では「一週間の所定労働時間」が短い労働者とされていますが、これによって、従来は施策の対象となっていた短時間労働者を本法による施策の対象から除外することはないものであります。
○永井委員 今幾つか確認をさせていただきましたけれども、検討するということがかなりこの中に入っているわけであります。検討は検討でありますから、その検討の成果というものが一日も早く出されてよりよいものになっていくように、パート労働者と言われている人たちが期待しあるいは多くの方々がこうあってほしいと願っている、そういう問題が的確に解消できるように、その検討の中身については、本当に精いっぱいの努力をしていただきたいことを重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。 さて、その次に、これは今申し上げた条文上の確認の質問ではございませんけれども、パートタイム労働者を保護するための立法問題については、冒頭から申し上げましたように、昭和二十一年以来長い経緯が存在をしています。 十年前の一九八三年十月に初めて私ども社会党がパート等保護法案を出しました。翌年三月には公明党もパート保護法案を提出いたしました。その後民社党も法案要綱を発表いたしました。また、解散などによってその出しました法律案が廃案になった後、改めてパート保護法案あるいは短時間労働者に対する法律という、名称は多少変わっておりますが、何回か法律案を提出してきたわけであります。その法律案では、常に私はその提出者として趣旨説明をしてまいった経過がございます。 この間、政府・労働省におきましてもパート労働立法が検討されたと承知しているわけであります。さらに、労働団体から四党共同法案の作成、これは今申し上げましたように、社会党、公明党、民社党、社民連、この四党共同法案の作成、提出の要請が強くありましたことを受けまして、四党と、さらに参議院での審議を考慮して当時の連合参議院、現在は民主改革連合ですか、会派名が変わっておりますが、そこと十分慎重に検討を重ねまして、昨年の二月六日に共同法案を提出したのであります。先日はその法案に対して自民党以下各党から質問もお受けをいたしました。そして、政府・自民党に対して、共同法案に対する意見あるいは独自案の提示を強く求めてきた経過がございます。その結果、今国会に政府案が提出されるに至ったわけでありますが、いよいよ本日はその結論を出さなくてはならないときになりました。 パートタイム労働者の就業の実態は、いろいろ定義されましたように、確かに多様であります。先日はパートタイム労働者が取締役に抜てきされたという新聞報道もありました。 きょうその新聞報道をちょっと参考までに持ってきたわけでありますが、ごらんになった方もならなかった方もいらっしゃると思うのでありますけれども、この五月二十一日に朝日新聞に出ておりました。これは特別な例だと思うのですよ。ざらにそういうことがあるわけじゃない、全く特別な例でありますが、ステーキレストランのチェーン店「あさくま」というところで、パートタイマーの女性二人がこの六月から取締役に抜てきをされるというニュースであります。それは、パート勤務はこれまでと同じように続けながら、役員会に出席し、月二十万円前後の役員手当を別に受けるというのであります。このことは、ある意味ではパートの皆さんにとっては一つの明るいニュースかもしれません。しかし、パート労働者は八百万、九百万とも言われている実情でありまして、すべての方がこういうことになるということはまあ考えられないわけであります。 そして、その「あさくま」というのはどういう会社かなと思ってこの記事を読んでみますと、「あさくま」は正社員が百五十八人、パートと言われる労働者が四千人ですね。正社員百五十八人で、四千人のパートの人たちが働いてこの企業を支えているのですね。これが実態なんですね。私の承知しておるところでも、店長は社員だけれどもあと八十何人の店員が全部パート労働者というところもございます。そういう実態でありますから、パートの皆さんがいろいろな面でパートの労働条件の確保、身分の保障、こういうものを求められるのは私は当然だと思うのであります。 全体として見た場合に、パートタイム労働者の労働条件というものは、女子の一般労働者と女子パートタイム労働者の一時間当たりの賃金格差の推移を見ましても、私がこの前申し上げたことがございますが、十年前よりも悪くなってきているのですね。 また、先ほども強調しましたように、私は、フルタイム労働者の雇用・労働条件の劣悪さというものがパートタイム労働者をつくり出している側面をだれしもが否定できないと思うのであります。また、パートタイム労働者が抱える問題を通してフルタイム労働者の抱えている問題が前面に引き出されてくる、私はそう思うのです。冒頭にもそのことは申し上げました。 パートタイム労働者の雇用の安定、労働条件の改善、そしてまたフルタイム労働者の労働条件の改善に向けた労働大臣の決意というものをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○村上国務大臣 繰り返し申し上げてきましたように、パートタイム労働はますます重要になるものと考えております。 労働省といたしましては、これまで、パートタイム労働者の労働条件の改善、雇用の安定等を図るため、平成元年に定めたパートタイム労働指針の周知徹底を図るなどの対策を進めてきたところでありますが、さらに対策の充実を図るため、パートタイム労働者の雇用管理の改善等のための指導を行うとともに、パートタイム労働者及び事業主等の抱える諸問題を解消するための相談援助を行う体制を整備することを内容とする本法案を提出したところであります。 本法が成立いたしますならば、その円滑な施行 を図り、パートタイム労働を魅力ある良好な就業形態として確立し、パートタイム労働者が安心して能力を発揮できるようにし、パートタイム労働者の皆様から心からよかったと言ってもらえるようにしたいと考えております。また、フルタイム労働者も含めた労働者全体の雇用の安定、労働条件の改善に従来にも増して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○永井委員 これで終わりますが、今も大臣から最後に御答弁いただきましたように、パートタイム労働者の皆さんが本当によかったなと言ってもらえるような、そういう日が一日も早く来るように、今回の法律は十分なものでありませんからさらに検討を加えてもらって、ひとつ積極的に見直しも進めてもらって成果が上がるように、重ねて私の方から強く要望して、終わりたいと思います。
○岡田委員長 次に、金子満広君。
○金子(満)委員 パート労働者の基本問題、それから法案に対する基本的な点でありますけれども、二、三の点についてただしておきたいと思います。 きょうまでの審議を通じてはっきりしたことは、八九年のあのパート指針で初めて文章化し登場した内容でありますが、パート労働者の賃金については次の指摘があります。「その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定める」こういう規定があります。これが新しく入ったことは御承知のとおりです。こういう点から考えますと、これまでのいろいろの積み上げ、到達点、それから見てやはり過去の労働行政からの明確な後退だなということはこれまで私も指摘してまいりました。 御承知のように、七〇年の婦発五の通達では、パート労働者も労働時間以外は通常の労働者と変わらないのだ、こういう規定があったことは明白であります。ところが、八九年の指針では、労働時間以外にもというので就業の実態が違うということを挙げて、その内容というのは質疑の中でも明らかになりましたが、通常の労働者と責任が違うとか、あるいは転勤、配転というようなものがあるので、この違いというのは賃金の面でも違ってもよろしい、ですから一律に平等にするというのは適当ではないという意味の答弁をされてきましたけれども、これはそのとおりだと思いますが、よろしいですね。
○征矢政府委員 婦人局長からお答えしたとおりでございます。
○金子(満)委員 そこで、さらにもう一点確かめておきたいと思います。 同時に、職安局長通達というのがこれまで三回出ておりますよね。六九年と八一年と八六年です。その通達の中では、パート労働者の賃金について明確に触れたところがあります。これは余り誤解を生む余地のあるようなものではありません。そのものずばり言っているわけですが、次の内容です。 「当該事業所に勤務する同職種、同作業、同経験で、かつ勤務時間帯が同じである一般従業員の時間当たり賃金と比べて低い額でないこと。」というのが文章ではっきりされているわけですね。この規定、三回やったこの規定というのは、これはだれが考えてもわかるわけですが、既に職場で何年も働いている労働者にも適用されるのかどうなのか。それとも、採用時にはそういうこととして、つまり、同一労働同一賃金だというように言っておき、採用された後は、八九年指針にあるように、就業の実態を考慮して賃金は平等でなくともいい、均等でなくともいいということになるのかどうなのか、この点です。どうですか。
○征矢政府委員 昭和五十六年九月二十四日付職発第四百九十一号通達におきましては、「時間当たりの賃金は、当該事業所に勤務する同職種、同作業、同経験で、かつ勤務時間帯が同じである一般従業員の時間当たり賃金と比べて低い額でないこと。」と規定しておりますが、この趣旨につきましては、パートタイム労働者の職業紹介を行うに当たって円滑な求人の充足を推進することを目的としているものでございまして、求人受理の際に求人者に対し助言、指導を行う考え方を示しているものでございます。
○金子(満)委員 それがひどいというのですよね。これは、言葉は悪いけれども、インチキなんですよ。つまり、職業紹介の場合にはそうする、そういう看板を掲げます。しかし、採用してしまうと実態は就業のそれに合わせてやります……。ですから、責任とかなんとか、ごちゃごちゃいろいろ出てきて、差があってもいい。だったら、通達で何でそう奥まで書かないのですか。書かないというところに、表看板だけはきれいにしておくという職業紹介、今おっしゃるとおりですよ。そういう点が結局八九年のパート労働指針ではああいう形になって、今までから後退する。私は、そういう意味で労働行政の大きな後退であり、あるいはその中をもう一歩突っ込んでいくと変質になるというように思うわけですね。 そこで、第三点目の質問、これもただしておきたいと思います。 今回の審議を通じて労働省側はいろいろ答弁しておりましたが、つまり、均等ということと均衡ということについて、いろいろ解釈とか何かあいまいさとかがあったと思うのですね。しかし、そういう点について非常にはっきりさせたという点でいえば、均等というのは差別をなくすという意味だというようには答えているわけです。けれども、そのことはまた日本では社会的合意になっていない。パート労働者と通常労働者をこういうように均等にするという意味では社会的合意がまだできていない。しかし、今度は均衡ですね。均衡ということならば合意があるんだというようにも答弁をされてきました。 それでは、今度法律に均衡という言葉が入るということになるわけですね。修正が通ればなるわけですけれども、この法律に明記されてくる均衡というのは、差別をなくすということを意味しないというようにとれますよ。だから、差別を縮めるとかなんとかは別として、差別をなくすんだというように解釈はできない。ですから、均衡という言葉が法律に明記されても、これは差別はなくならないんだというように解釈できると思いますが、どうなんですか。
○征矢政府委員 法案の修正問題は別といたしまして、現在提案いたしております法案におきます「適正な労働条件の確保」、この適正な労働条件という中には、現在指針で、先生御指摘のように、賃金等につきまして「その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定める」というふうに定められておりますが、この就業実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるという考え方は含まれるものでございます。 均衡につきまして、これはどういう意味がという点につきましては、繰り返し婦人局長からお答えしたとおりであります。
○金子(満)委員 やはり今度のパート法、それから審議を通じてはっきりしてきたこと、だんだん、もやもやしていたものがぴしっと意見が分かれて、明確に分岐が出たのは均等、均衡の問題なんですよ。 これは労働省の側はうんと苦慮していることは私はわかりますよ。だが、言葉でやっても実態が伴わないからだめなんで、その点については、これも質問の中で指摘をいたしましたが、昨年ILOの事務局からパート労働について三十三項目の質問が各国政府に出された。そして、日本政府がそれに回答を与えたというその回答の中に、一律に平等にすることは適当でないということを明記して、その同じ項目に対して、適当でない、なぜなら日本ではこういう項目をつくってやっていますというのがその就業の実態、通常の労働者との均衡を図るということであります。ですから、法律で決めないで、賃金は労使間で決めますということを繰り返し書いてあるので、これじゃ何か精神訓話をやっているようなもので、法的な拘束力が全然ないのですね。努力するとか言っていても、そこには罰則の規定もないわけなんですから、こういう点から見て、今まで政府答弁でやら れたことというのは本当に明確な後退だ、変質だということを私は述べて、質問を終わります。 以上です。
○村上国務大臣 質問はございませんが、金子委員の先ほどのインチキだということについてのお言葉については、ちょっと過ぎるのではないか。私どもは誠心誠意御提示申し上げておるわけでありまして、その誠意はぜひ買っていただきたい。 インチキという言葉についてはお取り消しを願いたい、このことを労働大臣として申し上げておきます。
○金子(満)委員 大臣、取り消すという言葉でありますけれども、私はその前に汚い言葉だからとわざわざ前置きをして言いました。そういう点で、余り目くじらを立てたら自由な討議ができませんから、その点は大臣の方もひとつ了解してもらいたいと思います。
○村上国務大臣 やはりインチキという言葉は、お断りいたしていただくならば、もう少し社会通念上のお言葉でひとつ御議論を賜ればありがたい。先輩に対して大変生意気なことを申しますが、今後よろしくそういう意味でお願いを申しておきたい、こう思う次第であります。
○岡田委員長 ただいまの件については、後刻議事録を調査の上、委員長の方でしかるべく処置をいたします。 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○岡田委員長 この際、本案に対し、長勢甚遠君外三名及び金子満広君から、それぞれ修正案が提出されております。 提出者より順次趣旨の説明を求めます。長勢甚遠君。 ————————————— 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○長勢委員 ただいま議題となりました短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、 第一に、目的規定における「雇用管理の改善等」の内容が「適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善」であることを明確にすること、 第二に、事業主の責務に関する規定において、事業主は、短時間労働者の適正な労働条件の確保及び雇用管理の改善を図るために必要な措置を講ずるに当たり、就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮すべきことを明確にすること、 第三に、事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、労働時間その他の労働条件に関する事項を明らかにした文書を交付するように努めるものとすること、 第四に、事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、または変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聞くように努めるものとすること、 第五に、労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるときは、短時間労働者を雇用する事業主に対し、指導及び助言に加えて勧告をすることができることとするとともに、報告の徴収についての規定を整備すること、 第六に、政府は、この法律の施行三年後に、この法律の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○岡田委員長 次に、金子満広君。 ————————————— 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○金子(満)委員 ただいま議題となりました短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案に対する修正案について、日本共産党を代表して、その趣旨を御説明いたします。 言うまでもなく、八百万人を超えるパート労働者は極めて劣悪な労働条件のもとに置かれており、平等待遇の確保、権利の保護を強く求めております。 ところが、政府提出法案は、パート労働者とフルタイム労働者では労働時間以外は何も変わらないという基本的な原則を欠落させているばかりか、労働条件の均等待遇を定める規定も全くありません。しかも、この法律に基づいて作成される指針に法的な基礎を与えるとされていますが、その指針は現行指針を踏襲するものであり、それはパート労働者の賃金をフルタイム労働者と一律に平等に取り扱うと規定することは適当でないという見地に立つものであり、これに法的な基礎を与えることは有害であります。 したがって、我が党は、パート労働者の要求にこたえ、次の点を基本とする修正案を提出するものであります。 第一は、法律の目的を、パート労働者が労働時間が短いことによって不平等な扱いを受けることなく、通常労働者との均等な待遇を確保することであります。 第二は、法律の中に明文によって均等待遇の基準を具体的に定めたことであります。その中には退職金、手当等を含む賃金、昇給、年次有給休暇、休憩等が含まれています。 第三は、これらの基準に違反した場合は、行政指導を行い、それに従わない企業には罰則を与えるということを明確にしております。 第四は、行政責任の放棄につながりかねない短時間労働援助センターの項は全文を削除し、行政責任の明確化に努めたこと、その他であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いし、提案の趣旨説明といたします。 以上です。
○岡田委員長 以上で両修正案についての趣旨の説明は終わりました。 この際、金子満広君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。村上労働大臣。
○村上国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府といたしましては反対でございます。 —————————————
○岡田委員長 これより本案及び両修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。河上覃雄君。
○河上委員 私は、日本社会党・保護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表して、内閣提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成し、日本共産党提出の修正案に反対の立場で討論を行います。 パートタイム労働者の雇用の安定、労働条件の改善が叫ばれるようになってから既に久しいことは、御承知のとおりであります。 パートタイムの労働契約も契約でありますから、労使両当事者の合意によることは当然です。しかし、労働契約の場合、労働側が弱い立場にあることから、いずれの国においても労働者保護法制を設けているところであって、特にパートタイム労働契約については、従来パートタイム労働者にも一般的には労働法の適用があるとされてきたにもかかわらず、実際にはなかなか有効な保護がなされてこなかったことを直視すれば明らかなように、なおさら保護法が必要なのであります。 パートタイム労働者の雇用形態、就業形態は実 に多種多様であり、その要求にも比重や程度に大きな個人差があったりしますから、パートタイム労働者の中には恵まれて全く満足している者もあることを、我々も否定はしません。また、短時間労働者に対する年次有給休暇の比例付与制度の導入、雇用保険における短時間労働被保険者制度の導入、中小企業退職金共済制度における短時間労働被共済者制度の創設などの前進があったことも事実であります。しかし、全体として見た場合には、相変わらず安上がりの雇用調整弁として活用されていることは明らかです。 社会党は一九八三年の十月に、公明党はその半年後の一九八四年三月に、それぞれ独自のパート法案を提出し、民社党もその後法案要綱を発表しました。そして、社会、公明、民社、社民連の四党と連合参議院、現在の民主改革連合でありますが、これら四党・一会派は労働団体の要請を受けて共同法案の作成に取りかかり、昨年二月六日に本院に提出するとともに、政府・自民党に対し、四党共同法案に対する意見あるいは独自の法案を提出するよう強く求めてきたのであります。政府案は、このような経過を踏まえて提出されたものであり、いわば共同法案への対案であります。 我々は、政府・自民党がパート労働立法に踏み切ったことについては、もちろん評価するものでありますが、問題はその内容でありました。共同法案が、通常の労働者との均等待遇及び適正な就業条件の確保を目的とし、その考え方、具体的な措置内容も明快に示されているのに対し、政府案は、適正な労働条件の確保及び雇用管理の改善を目的とし、その適正な労働条件等の内容や労働大臣が定める指針の内容は、少なくとも法文上は全く不明なのでありました。 社公両党が独自法案を提出して以来既に十年もの歳月が経過するにもかかわらず、この間、パートタイム労働者の雇用・労働条件がほとんど改善されていないところか悪化していること、そして、このまま放置すれば一層悪化するであろうことを考慮し、我々は、共同法案と政府案の間でパートタイム労働者の雇用・労働条件について一定の改善が期待できるようなものを生み出す必要があると判断し、参議院の状況、意向なども考慮しつつ、政府・自民党と真剣に協議を重ねました。その結果、ただいま御説明のあった六点の修正について合意を見るとともに、この法律の施行に当たる政府・労働省の見解、特に通常の労働者との均衡を図る必要があるという考え方も、本委員会の審議の中で明確に示されるに至ったのであります。私は、この問題の取り扱い方として、三年後の見直し検討を明確にしたことは適切なことと考えます。 さて、パートタイム労働者の問題が、これによってすべて解決するものではもちろんありません。特に雇いどめの問題、つまり、フルタイム労働者にも共通する期間雇用、有期雇用の問題も解決を迫っております。我々は、三年後の見直し検討を念頭に置きつつこの法律の施行状況を監視するとともに、引き続き、期間雇用など残された問題の解決のために一致結束して取り組んでいく決意でありますし、政府・自民党においても、これで済んだとするのではなく、この法律を積極的に運用しつつ、期間雇用問題などについても引き続き鋭意検討されるよう期待して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○岡田委員長 金子満広君。
○金子(満)委員 私は、日本共産党を代表して、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案及び自社公民の共同修正案に反対、日本共産党提出の修正菜に賛成の討論を行います。 政府提出法案及び自社公民の共同修正案に反対する理由は、 第一に、パート労働者について、労働時間以外は通常の労働者と変わらないという均等待遇の原則が明記されず、労働条件についても、通常労働者との平等という規定が欠落していることであります。 第二は、それどころか、この法律で明記される重大な問題は、パート労働者の基本的な、しかも最大の要求である均等待遇の原則が放棄されているだけでなく「その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して」を法文化していることであります。これは、パート労働者の賃金を通常労働者と平等にすることは適切でないということに初めて法的な基礎を与えることであります。明白な労働行政の後退、変質であります。 第三に、これまでパート労働者の定義について、通常の労働者より労働時間が「相当程度短い」としていたものを、今回の法律では、ただ「短い」というだけにしており、このことによって、通常の労働者と労働時間が変わらないようないわゆる疑似パートについても、差別を固定化することになりかねないからであります。 第四に、短時間労働援助センターの設置は、本来労働省が行う業務を民間に肩がわりさせるものであり、しかも、このセンターの役員はすべて財界人と労働省OBであります。これでは、労働省高級官僚の新たな天下り先の確保、財界の意向に沿ったパート行政の推進といってこになりかねません。 このような法律では、八百万を超えるパート労働者の願いにこたえることはできないと考えます。 このことを強く指摘し、政府案に対する反対及び自社公民の共同修正案に反対の討論を終わります。 以上です。
○岡田委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○岡田委員長 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。 まず、金子満広君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○岡田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。 次に、長勢甚遠君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○岡田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○岡田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○岡田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十三分散会