労働委員会 第14号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1993/06/03
会議録
○岡田委員長 これより会議を開きます。 第百二十三回国会、永井孝信君外六名提出、短時間労働者の通常の労働者との均等待遇及び適正な就業条件の確保に関する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案につきましては、第百二十三回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 短時間労働者の通常の労働者との均等待遇及び 適正な就業条件の確保に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○岡田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君。
○長勢委員 本日は、日ごろ御指導いただいておる、また敬愛をいたしております野党の先生方に質問をさせていただくというすばらしい機会を与えていただきまして、光栄に存じております。 今般パート労働者に関する法案を御提案していただいておるわけでございますが、近年パート労働者が大変に増加をし、これからもまた、女性の職場進出、高齢者の就業意欲の増大といったような観点から、ますますその傾向は強まると思います。また、人手不足の中でパート労働者の労働市場に占める役割というものも大変大きくなるというふうに私も理解をいたしておりますし、そのためにパート問題についてのいろいろな対策の充実強化ということが必要であると思っております。 我が委員会でも、先般からパートタイム労働に関する小委員会というものを何度か開催をいたし、論議を進め、そういう中で何らかの法的整備が必要であるということで、諸先生方とも合意に達しておるわけでございます。 そういう意味で、このパート問題についての認識、問題点等についての評価といいますか、考え方はそれなりに私も一致をしておると思っておりますし、特に充実強化を図っていかなければならないということについては、大いに進めなければならないという気持ちでいっぱいであります。 ただ一点違うのは、今政府からも提案がなされておりますが、政府提案の法案はパート対策について相談援助機能の体制を強化していこうという方向である。一方、今般野党の先生方から提案をされているものは刑罰をもって規制を強化することによってパート対策を進めていこう、この一点にかかっておるというふうに思います。 こういう違いが何で出てくるのかなと思いますと、これはいわば法的な制度についての考え方、スタンスというものについての違いというものがここ如実にあらわれておる、そういうことに起因しているものだと思うわけであります。 そういうことでございますので、まず、この法案にかかわらず、一般的に法律というか制度、こういうものについての野党の方々の認識を一遍伺ってみたいな、こう思うわけであります。 私ごとで恐縮でございますが、私自身、労働省時代に幾つかの法案の立法作業に携わらせていただいて、国会審議の際には永井先生を初めたくさんの方々に御指導いただいたわけでございますが、そのときも感じており、今回の法案を見てまだ同じ思いを感じておるわけでありますので、今後お互いに責任政党としていろいろな政策を議論する上でこの溝というものを少しでも埋めておくことが有意義だと私は思うのであります。 そこで、私の考えをまず述べさせていただきたいと思います。 今般はパートの問題が議論になっておりますが、あらゆる社会事象、人間関係というものは、それぞれ個別の数多くの状況を踏まえ、そしてそれぞれの価値体系を踏まえて、それらの集合、調整の結果として現実に目に見えるという形であらわれるということになるわけでありまして、そのたびに何らかの一定の固定的な価値基準で照らしますと、形態的には全く違ったものであっても同じ評価をすべきだという場合も出てきますし、また、全く同じ事象であっても同じ評価をすることはおかしいということも出てくるわけでございまして、この観点を見誤りますと、制度の対象者の方、当事者からすると、何でこれだけ一生懸命やっているのにこんなことを言われなければならないんだといったようなことが起こる。そういう混乱、当惑、ひいては不幸というものをもたらす。個人の自由なり自立というものを暴力的に侵害をするということになるわけでございまして、こういうことは特に強力な制度である法律、まして刑罰つき法律ということになりますと、いわゆる多くの背景や価値基準の総合的結果としての、調整の結果としての事象を一つの価値基準で形式的に割り切ってしまうということになりますから、そういう混乱、不幸というものをもたらす危険をはらんでおるということにいつも注意を払っていなければならぬ、私はこう思っております。 いかにその価値基準が大事なものであっても、その価値基準、評価、制度というものは別のものを侵害するということになるわけでありますから、こういうものを権力をもって強行しようという場合には、相当の決断と覚悟がなければならない。そういう意味で、個人や社会で自立的に自由に形成されておる事象に対して制度というものは常に謙虚でなければならないし、また抑制的な理性というものを持っていかなければ、そういう感覚を持たなければ独裁的と言われてもやむを得ない、こういうふうに私は思うわけであります。そ ういう観点から、皆さん方はどういう認識でこの制度、法律というものについて考えておいでになるのか、お伺いしたいなと思っております。 繰り返し申し上げるようですが、こういう法律制度の創設に当たっては、一定の政策目的を貫徹しさえすればいいんだというものではないのであって、千差万別に生ずる社会事象を強制的に変えようというものでありますから、相応の謙虚さと抑制の理性というものを持って当たるべきである、これが立法に当たってのスタンスだ、このように思いますが、これについて御所見をぜひ伺わせていただきたいと思います。ぜひ御三方から、三党と申し上げるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○永井議員 長勢先生にお答え申し上げますが、かなり細かく所見を述べられたわけでありますけれども、確かに今の日本の社会は多種多様な社会構造であり、価値観もそれぞれによって大変大きく異なった部面を持っているわけでありますが、その中で、先生の御指摘は、権力による抑制措置といいますか、そういうものについては謙虚さと理性を持たなくてはいけない、こういう趣旨だと私は受けとめました。そのことは十分理解できるわけであります。 しかし、現状のパート労働者と言われている労働者の人たちが、きのうの議論でも明らかになっておりますように、八百万人を超えているのですね。労働者の中に占める数からいっても、あるいは社会に対する価値観からいきましても、大変な数に上っているわけであります。言えばパート労働者なくして日本の社会は成り立っていかないというところまで来ているという事実であります。そういう中で、そのパートで働く人たちの労働条件というものはきちっと守っていかなければいかぬという立場で実は私ども立法に当たってきたわけであります。 その場合に、今御指摘になりましたように、例えば罰則規定、こういうことが問題になってくるわけでありますが、当然慎重でなければならぬということは御指摘のとおりであります。しかし、この慎重さが憶病になってしまっては元も子もないと私は思うのですね。現実に定着している社会事象でありましても、国民の権利の保護に十分でない場合などには、その事象に大胆に切り込んでいくということも立法としては時には必要になると私は考えるわけであります。 例えば六年前に、週四十時間制を目標に掲げつつ、週法定労働時間の段階的な短縮を図るための労働基準法の改正が行われました。本国会におきましても、我が国において週四十労働時間制を実現するための労働基準法等の改正案が審議されて、昨日成立をしたところであります。これも、政府・自民党や財界は、労働憲法である労働基準法によって労働時間の短縮を図ろうとするのは欧米諸国には見られないことであって非常に疑問である、労使の自主的努力に任せるべきだという主張が長い間続いてまいりました。結局、我が国の労働時間の短縮はそのことによって進むことができなかったということで、その内容というものは明らかになってきているわけであります。そこで、やはり労働基準法の改正という手段をとる必要性が広く認識されるようになりまして、改正が行われたわけでありますね。 短時間労働者の場合もそうでありますが、短時間労働者の雇用、労働条件の改善問題にしましても、私は同様の事情が見られると思うのであります。短時間労働者が我が国の経済社会に果たす役割の重要性は今も申し上げたとおりでありますが、短時間労働者が置かれた労働条件等が、それに見合うレベルに至っていないところか、むしろ悪化してきていることは御承知のとおりであります。 例えば、女子一般労働者と女子パートタイム労働者の一時間当たりの賃金格差の推移を見てみますと、昭和五十一年には一般労働者を一〇〇といたしますと、パートタイム労働者は、当時八〇・六%でありました。ここにその統計資料がございますが、これは賃金構造基本統計調査による資料であります。平成三年になりますとこれが七一・八%と低落をしてまいりました。格差は毎年のように拡大する一方であります。 このような実情を踏まえれば、やはり行政指導ということだけで対応するには限界がある、したがって、法的措置を講ずる必要があることはだれが見ても明らかだと私は思うのであります。 今回我々の提出しました法律案は、そういう立場でぜひとも実現をして、今パート労働者の置かれている労働条件というものをしっかり守っていきたい、保護していきたい、それが私は国会における当然の責務だと思っているわけであります。 以上、御答弁申し上げます。
○長勢委員 質問者がなれていないものですから、正直言いまして、パート問題についての議論は後からゆっくりさせてもらおうと思っておりましたが、それについても大分お答えいただきましたが、その前に私が聞きたかったのは、法律というものをつくるときのスタンスという一般論を聞きたかったのであります。 確かに大胆な決断が必要でありまして、より大きな価値基準のために小さな価値基準が無視されるということはやむを得ない場合がある、これはやむを得ないわけであります。ただ、そのことについて痛みを覚えなければならぬと私は思っております。 私はかつて、先生方にもお世話になりましたが、定年延長法案の立案に携わったことがございます。そのときに、働いておられる方々のグループの、幾つかのグループの方々から、何とか五十五歳以上に定年を延ばさないでほしい、自分は会社に五十五歳以上まではいたくないんだ、しかし延長されるとやめるわけにいかなくなるんだ、これは非常に困るんだという話を聞かされまして、仏とすれば、労働者の方々は定年延長をお喜びになるものと思っておったわけでありますから、大変驚いた経験がございます。先生方もそんなばかなことがと思われるかもしれませんが、その理由はややプライバシーにも属することですからここで申し上げるわけにいきませんけれども、私から見ても極めて合理的な理由であった、それだけに驚いたわけであります。 で、何でこんなことを申し上げるかということを申し上げますと、個人的な事情とか背景あるいは考え方というものは、なかなか一律に一定の基準では律し切れない。当てはめるということは、ある意味ではその人、そのグループ、そのケースについてはむしろ罪悪に近いことも起こり得るんだ、たくさんの人を喜ばせたとしても、そういう人たちには大変な不幸な目に遭わせるんだということを、私はおぼろげながらわかっておったような気ではありましたが、実感として思ったわけであります。 また、雇用保険業務の立案に携わったこともございましたが、そのときも非常に私は悩むことが多うございました。制度上どうしても給付を差し上げられない人がおられる。私が聞いてもこれは大変気の毒な人だ、給付を差し上げたい、こう思う人がおられる。ところが、一方で、これはどう見たって給付を差し上げるのは不公正だ、しかし制度上は何としてでも給付せざるを得ない、こういうケースもたくさん遭遇いたしたわけであります。 こういうことは法律であれその他の制度であれ、私は制度というものは形式的に判断せざるを得ない以上、また、形式的にあらわれる事象の背景というものはいろいろな事情があって、その中には表に言えない、例えば裁判であれどこであれ主張もできないといったようなことも多々あるわけでありまして、そういう意味における不公正といったらいいのか不合理といったものは、制度というものが持っておる宿命だろうと思うわけであります。かわいそうな人のために制度を変えると、逆に、全然かわいそうでないのにもかかわらずその要件に合った人はみんなもらってしまう。簡単に言うと、表現は適当ではありませんが、悪い人がもうかってしまうということになるのも実に困ったことで、少しいやらしく言うと、一人の 不幸を救うために九十九人の悪い人と言ったらいいのでしょうか、給付でいいますと乱給を許すことにするのか、あるいは九十九人の乱給を防止するために一人の不幸な人を切り捨てるのかということ、そういう選択というものは、我々というか、こういう行政に携わっている者にとってはいつも抱えておる悩みだと私は思います。 今回野党の方々がこういうパート労働者の方々のために法案を検討され提出された御努力に対しては心から敬意を払うものでありますし、その方向については私も全く同じ考えでありますけれども、恐らく先生方におかれても、ここに至りますまで選択に伴う苦しみ、悩みというものを感じられたのではないかと私は想像するのであります。この法案を提出されるに至る過程において、今私が申し上げましたような観点から、どのような苦しみを感じられたか、ぜひお聞かせをいただきたい。 また、今雇用保険の例、一人と九十九人の例を挙げましたが、一人の不幸を救うのか、九十九人の悪を容認するのかという選択を迫られた場合に、先生方はどのようにお考えになるのか。これは私見で結構でありますから、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
○永井議員 法律の制定ということについての基本的な視点を今申し述べられているわけでありますが、例示を幾つかされました。例えば、定年制の問題も実は出されたわけであります。先生の御指摘は極端な事例かもしれませんけれども、五十五歳の延長定年制をしいたけれどもおれはそれでは困るのだ、早くやめたかったのだ、五十五歳の延長定年制が施行されたために自分の意思が通らない、そういうときにはどうするのかという一つの例示だったと思うのであります。 法律というものは、可能な最大限対象となる人がその法律によって権利が守られ、労働者の立場からすると、生活が守られるということが大多数の人に及ぶということが前提であることは私は当然なことだと思うのであります。また、それぞれの法律の中身にもよりますけれども、法律を運用する場合に、可能量大限、個々のケースに合わせてできるだけ有利に取り扱っていくことも必要なことかもしれません。しかし、それが事象によってはできる法律とできない法律があります。これはその対象となるべき事柄によって違ってくるわけでありますから、一概にそのことをどうこうということはできないと思うのであります。 例えば、今回このパート労働法というものを我々が提案をいたしました。これはこの前小委員会でも先生から御指摘があったのですが、何もパートで賃金を上げてほしいと思っていない、あるいは自分の好きな時間だけ働くのだから、要らぬことはつくってもらいたくないという意見もあるという現場の声をお聞かせいただいたこともございました。確かに、そういうケースもあろうと思うのです。 しかし、例えば今回のこの法律案でいいますと、八百万人を超えるパート労働者の大多数の人が、フルタイマーや正規の社員や職員の皆さんと比べて不当に差別を受けていると言わざるを得ない事象に置かれている。このことは、パート労働は経営者にとっては非常に都合のよいものであるけれども、働く側にとっては大変苛酷な条件で業務を無理強いさせられていると言っても過言ではないと私は思うのであります。したがって、八百万を超える労働者の大多数が、自分たちの思いに十分に対応してもらうことができる、そういうものになるという確信のもとに私どもはこの法律案を提案してまいったわけであります。 今先生言われましたように、つくる過程ではいろいろな団体からも意見を聞き、あるいはこのことによってどういう問題が経営者の側に及ぶだろうか。後でまた御質問があったらお答えいたしますけれども、罰則規定の関係でいいますと、単純にいきなり罰則規定をかけるような仕組みになっておりませんで、きちっと段階的に踏んで、最終的にどうにもならぬ場合には罰則をかけることもやむを得ないという前提でこの法律を立法化したわけであります。 したがって、一般論として先生言われましたけれども、その一般論で言われている法律の適用あるいは立法の問題については、法律が規定する対象の中身によって弾力性を持たせられる、その運用ができるものもあれば絶対にできないというものもあるだろう。それは今の多種多様な社会状況の中で一定の制約があってもやむを得ない問題であって、もともと法律とはそういうものではないか、私はこう思っています。
○長勢委員 一人と九十九人はどうですか。
○永井議員 再度お答えしますけれども、やはり百人なら百人すべてが、同じ要件のもとで同じようにその法律によって救済されるということになり得ない場合もあります。しかし、その場合は大多数の人々に対してその法律が有効に適用できるということを選択していくのはこれは当然なことでありまして、一〇〇%としたいのでありますが、そうならない場合もあります。まあ最大公約数といいますか、国民の皆さんの持っていらっしゃる要望の最大公約数が満たされるということが法律をつくる場合の最低の基準であろう、そう私は思っています。
○長勢委員 一人の不幸を救うために九十九人の悪を容認するということについての感想をぜひ聞かせていただきたいと思います、河上先生。
○河上議員 長勢先生から一般論としてのお尋ねがございました。その前提として、永井先生が先ほど申し上げられたように、罰則規定を伴う以上、立法に当たっては慎重の上にも慎重を期さなければならない、基本的にはこういう立場をとらなくてはならないと思います。 私どももいろいろと実態調査等も行ってまいりましたし、一人一人の議員が公平を期するために聞き取り調査等もやったデータ等もございまして、この法律案を作成する上でいろいろな努力もしてまいりました。その上に立ちまして、今八百万人を超えるという、そして今後ますます拡大するであろうと思われるパート労働者、この量的な側面、さらに、それが質的にも基幹的労働力になるであろう、こういう立場の上から一言御質問の前段として回答させていただきたいと思っているわけでございます。 その上に立ちまして、一人を救うために九十九人の悪い人を補完するのではないのか、この実態のとらえ方そのものをそのままここで取り入れていいかどうか。このような実態は端的に申し上げましてよろしいことではない、こう思います。むしろ反対に、九十九人を救うために一人の悪い人、これはきちっとしなければならないのではないか。しかし、法律は罰則規定を設ける以上、その実態、さまざまな状況を勘案しながら、しっかりとした考えに基づいて慎重の上に慎重を重ねていく必然性はこれは否定できない、こう思っております。
○伊藤(英)議員 今長勢委員から物の考え方といいましょうか、そういう意味でいろいろな規制の問題についての話がありましたけれども、私は幾つかのことについてこんな感情を持つのです。 例えば、先ほど定年延長の話から始まりました。私は、まずはできるだけ機会を拡大しよう、いろいろな働きたいという人がいたらその機会をできるだけ与えられるような制度にしようという意味で機会均等、そしてまた、その機会をできるだけ働きたい人には働けるような制度にしよう、これは例えば男女雇用均等法なども皆同じだと思います。働きたい人がいたらできるだけ機会を与えられるようにしようと考える。同時に、労働問題で考えれば、労働者を保護することはいつも考えなければならぬ、これは大前提として考えなければなりません。そういうふうにまず物を考える。 そして、多くの人を対象にしてやるわけでありますから、そこでもう一本の原則として考えなければならぬのは、公平さ、公正さということはいつも考慮しなければいけませんよということだと私は思うのです。そして、先ほど形式論の話が出たりいたしました。これは文字どおり形式に流れ たのではその目的とする意味をゆがめてしまうかもしれません。そういう意味で形式に流れてはいかぬよというふうに考えるべきだと思っております。 それから、先ほど九十九人と一人の話が出ました。私は厳密には覚えておりませんが、アダム・スミスが「道徳感情の理論」という論文を出しておりました。要するにそこで議論をしているのは、常識、コモンセンスということについて論じていたはずであります。そのコモンセンスというのは何かというと、自分が相手の立場に立ってどれだけ物を考えられるかというのが実はコモンセンスなんですね。常識というのはそういう意味です。 九十九人と一人の話が出ましたけれども、どれだけ九十九人の人が一人の人のことを思うことができるかどうか、お互いがそういう意味で本当に思いやりを持って、どういう社会にした方がいいんだろうか、どういう人間と人間の関係をつくり上げた方がいいんだろうかというふうに考えて諸制度はつくるべきものであると思っております。
○長勢委員 先生方の御卓見、御識見は私も何ら異存はございません。全くそのとおりだと思います。おっしゃるようにケースによって違うわけで、一概に議論はできませんし、それから、大多数が救われるとか、最もたくさんの方々がみんなうまくいくようにする方向を目指すべきだということもそのとおりでありますし、私には全く異存がないのでございます。 それから、繰り返し申しておりますが、今回の法案について私は今言及しているつもりはなかったわけでありますので、私がそういう目で物を言っているというふうに御理解いただいたのであれば誤解でありますので、お許しをいただきたいと思います。 それからもう一つ、一人と九十九人の話についても、これ以上詳しく説明ができませんので、十分御理解をいただいた上で御答弁いただいたような気が実はしないのでありますが、私が申し上げたかったのは、一人の不幸な方を救いたい、そのための制度をつくった場合に、制度の宿命上、九十九人の救わなくてもいいと言ったらいいのか、全く無縁の方々に格段の利益を与えることになってしまう、九十九人がそういう格段の特権を得る、社会的にそれは不公正である、そういうことが私が経験をした中にあった。そういうことは私はたくさんあると思うのですね。そういうときに大変に悩みを持ったものですが、こういうことは感じられたことがありますかということを聞いたわけでありましたので、私はこの件はこれで終わりにいたします。先生方の意見と何かすれ違っているわけでございますが、先生方の御答弁に対して私は全く異存がございませんので、申し添えます。 そこで、以後具体的に法案の問題についてお伺いさせていただきたいと思います。 永井先生から、あるいは河上先生、伊藤先生から、今回の法案については、大多数のパート労働者にとってここはやってやらなければならないことだという確信に基づいて御提案になっておられるということについては、それはそうだろうと、先生方はそうお考えになっているのだろうということは理解をするわけであります。 ただ、実際私はいろいろな場で当然このパートの方々ともおつき合いをさせていただいているわけでございますが、どうも先生方がおっしゃっておられるほどパート労働者というのは大変気の毒な存在だというほどの話なんだろうかな、それなりにいろいろな事情の中で、いろいろな話の中でそれなりにうまくやっているんじゃないかなという印象を持っているわけでございます。 大分先走って答弁していただいているような気もしますが、パート労働者の現状について、どう言ったらいいのですか、とにかく大変ひどい状況だという認識を前提にされているとしか思えないのでありますが、もう大分答弁いただきましたから簡単で結構でございますが、どれほどひどい状況にあるという認識でおられるのか、お伺いをしたいと思います。
○伊藤(英)議員 先ほどの御質問にも関連して言えば、パートの方たちというのはいろいろなバリエーション、いろいろな形がありますよね。そしてまた、いろいろな意図といいましょうか、目的意識を持って働いていらっしゃる方もいろいろあるのですね。だから、そういう中で、ではどういうふうにするといいのかなという意味で考え、提案したと私は思っております。 今のお話の部分について言えば、これは私どもの法案の提案理由について御説明したとおりでありますけれども、いわゆるパートの四分の三が時間給ですが、その水準は男子一般労働者の半分にも及びませんし、女子一般労働者と比較してもその六、七割程度でしかありません。また、定期昇給がある事業所は半数程度、ベースアップがある事業所は四割程度、賞与がある事業所は六割ないし八割くらいとなっておりまして、退職金制度がある事業所はわずか一割にすぎません。年次有給休暇があるところになりますと六割程度にとどまっておりますし、そもそもパートに適用される就業規則がない事業所が四割にも上っているのですね。それから採用時の労働条件の明示方法も、主に口頭で説明するという事業所が六割程度にも上っておりまして、トラブルも絶えない状況にあるわけであります。こういう状況にあるいわゆるパートタイマーのうち、一般正社員化を希望している労働者もこれまた少なくないのですね。 こういうようにパートタイム労働者は、いわゆるパートタイマーも含め今日八百万を超えるとも言われておりまして、日本経済を支える基幹的な労働力となるに至っているにもかかわらず、賃金その他の労働条件を見ますと、通常の労働者と著しい格差がある、そして労働契約の内容も非常に不明確であってトラブルも絶えない、こういう状況にあるわけですね。また、例えば十三年間継続勤務のパートタイム労働者が新入社員の指導に当たっているにもかかわらず、相変わらずその人は安い時間給で、一時金もわずかしかない、こういう事例も多々見られるわけですね。 そういうことでありますので、労働条件等の改善確保を図ることが求められているわけでありまして、現行法制のもとにおいてはそれが困難であるということでありまして、特別立法措置が必要である、こういうふうに考えて今回はこの法案を提案したわけであります。御理解をいただきたいと思います。
○長勢委員 パート労働者はいろいろなバラエティーがあるということは先生もお認めのとおりでありますし、いろいろなケースがあると思うのですね。今賃金その他について、こんなに格差があるということをおっしゃっていただいたわけでありますし、また、働く方々に御不満の点もあるということもおっしゃっていただいたわけであります。恐らくそれは統計的にそのとおりであろうと思いますが、やはり問題は、そのよって来る原因が合理的なものかどうかということも精査をしなきゃならないわけであろうと思いますし、それから、特にアンケート調査等の結果がどうか私はわかりませんが、アンケート調査等の結果だとすれば、何か不満がありませんかということになれば、択一的であれマルチアンサーであれ、どうしても何か書かなきゃならぬというケースも相当あるわけですね。 ところが、こういう問題がありましたから、現実にパートで働いておる方々、いろいろな方々に私も会って話題として提供したこともありますが、意外と、賃金は安いことは安い、しかしまあそんなものでしょうねとか、まあこういうことでうまくやっていますわといったような雰囲気の話も相当あって、今先生方がおっしゃられたような数字について、大変な不満を持っていて許しがたいといったような雰囲気とは大分違うような場面にも遭遇をしておるわけであります。当然高ければ高いにこしたことはないので、もっと高い方がいいですかと聞けば、それは高い方がいいわね、こういう話になるに決まっておる。恐らく先生の言われていることと私が言っていることの真ん中ぐらいが一番いいところなのかもしれませんが、 ただ当然不満もおありでしょうし、それがなくなればいいに決まっておるわけであります。 一方、使っておられる方々は中小零細の方々も多いわけでありまして、そういう方々はそういう方々でまた大変な御不満もあるわけですね。例えば、とにかくパートの方々は正社員の方々と違って一方的に簡単にどこかへ行ってしまうとか、それから富山のことですが、田植えだ、祭りだ、学校だといって無断で休まれて困ってしまうといったような、そういう事業所の側の方々の御不満もよく聞く話であります。先生方も恐らく耳にされたことがあるだろうと思う。こういうことは、お互いにそこら辺をある程度わかり合って、そして我慢し合って、まあこんな程度だろうということでやっておられる。 だからこそ、皆さん方と感覚が違うようですが、個々のケースについて言えば、その積み重ねが総体でありますが、もちろん許しがたいケースもあることは私もわかりますが、総体的にいえば、もう許しがたいという話まではいかないで済んでいるというか、そこでうまく調整をしておるという部分が相当あるのじゃないか。事業主の方でもこの人手不足の中で、まあ何というか、痛めつけてやろうとか労働者を搾取してやろうという発想ではもうとても経営自体がやっていけない時代でありますし、むしろ、何とかしてやれるものならしてやりたいという気持ちの方がほとんどだろうと私は思っております。 そういう中で、一律に一定の、しかも強力な規制をするということが本当にうまくいくのだろうか。逆に、一律に規制することによって、かえって家庭婦人の方々や高齢者の方々が困ることになるということも起こり得るんじゃないか、そういうことも念頭に置いてこの法案を考えるべきだろうと思うのでございますが、この法案によってかえって困る、働きにくくなるとか、仕事がきつくなるとかというケースというものが起こる−まあそれは必ず全部に起こるとは私も申し上げるわけではないのでありますが、相当程度に起きたり、かえってパート労働市場が不健全になったり窮屈なものになったりという心配があるんじゃないかと心配するものでございますが、この辺についてどのようにお考えでしょうか。
○岩田議員 今長勢委員の方からるるパートの現状を前提にしてお尋ねがございました。パートの就業状況というのは全くおっしゃるとおりで、極めて多様性に富むというか、いろいろなケースがございます。 私どもの認識でも、一時間のパートもおられれば四時間のパートもおられるし、それから一週間の時間帯で見ればまたそれぞれ違うとか、さらには、八百万を超えるパート労働者の八割以上が女性であるという特性も現状あるわけでございまして、その大部分がまた主婦である。主婦だからといって短時間労働で甘んじているという状況でもないだろう。各種調査によりましても、また先ほど伊藤議員からも御答弁申し上げましたが、かなりの部分、正規の正社員に就業したいという状況があることも私どもは承知をしているわけであります。 本法律案は、パートタイム労働者の多様性を否定するものでは毛頭ございません。法律の第三章に定める特別の措置を講じながら、むしろその特性を尊重する、こういう趣旨でございます。パート労働者の多様性という言葉でもって、労働時間以外のあらゆる労働条件の側面でパート労働者を一律に不利益に取り扱うようなことが容認されてはならない、こういうことも考えておるわけであります。そのような考え方があるとすれば、千差万別なパート労働者の実態を無視してこれを一律に扱おうとするものである、こういうふうにも考えておるところでございます。労働者が能力や実情に応じて処遇される、これは当然のことでありまして、その点では通常の労働者と短時間労働者との間には特に区別すべき理由はないものだというふうに考えております。 なお、先生おっしゃいましたように、この法律をつくることによって困るだとか不健全な状況が生まれてくるという御心配がございますが、私どもとしてはそういう心配はないものだというふうに考えておるところでございます。
○長勢委員 心配がないという確信のもとに御提案をされておるということは、おっしゃっておられることはわかりました。しかし、多様性を認める以上、均等待遇をしなきゃならない、もちろんそれは均等待遇という言葉の定義にもよるのでしょうが、これを形式的に議論することは非常に難しくなるということも、先生方御理解されておられるところだろうと思うわけであります。 しかし、本法律案では差別取り扱いの基準というのは労働大臣が定める、そして、その基準というのは、結局最終的には刑罰にかかわるわけでございますから、法律的には不正確ではございますが、実質的には犯罪の構成要件に等しいという性格を持っておると言わざるを得ないわけであります。 そういうものをつくるにはやはり相当きちっとした厳格な類型分けをして、こういうケースについては当然差別があってはならない、こういうケースについてはまあ不公正というほどの話ではない、形式的に大きな差異があったとしてもそれはそれなりのものと評価すべきケースも多々ある。しかも、それはパート労働者の就労形態、就業場所、そこに至る就労の経過等がまだまだ定型化をされていない今のパート労働市場でありますから、これを類型化するということは大変困難を伴う。困難を伴うものを一律にある程度のところでやってしまうということになれば非常に混乱というか困ったことが生ずるのではないか。だれが見てもこれはやはり差別だ、これはやはり正さなきゃならぬとわかり、かつ納得できるというものが刑罰を背景にした中でつくり得るのかな。 調査室からいただいた資料によりますと、事例案といったようなものも提示をされておりますが、あれが労働大臣の定める基準となるということを主張されておられないような表現のようでありますけれども、しかし、あれから類推をしても、これはどういう基準をつくるのかな。大臣がつくるというか、審議会の意見を聞いて大臣がおつくりになるということですが、本当につくれるのかな、世間が納得し、みんながそうだなといったようなものがつくれるのかな、もしつくるとしたら相当限定されたものしかつくれないのじゃないかなという気がしてならないのであります。 それは、賃金が四分の三がいいのか二分の一がいいのか、五分の四でも差別なのかというのは、ケースによって千差万別ですから、このケースについてはこれが差別、このケースについてはこれが差別というのはどういうことになるのかなということを大変疑問に思うわけでございますが、これについてひとつ明確なお考えを聞かせていただきたいと思います。
○伊東(秀)議員 お答え申し上げます。 確かに、何が差別であるかということは、この法案をつくるときでも我々の一番苦労したところでございました。パートタイマーの労働条件は時間比例に基づいて行うべきであると言いながらも、やはりなかなかそうではない要素というものが入ってくるというのは、委員がおっしゃるとおりではなかろうかと思います。 しかし、現状を見ますと、その時間比例から考えて、ある程度のアローアンスを考えても、余りに格差がひど過ぎる、これでは合理的な理由を欠くとしか言いようのない差別の実態、例えば、労働時間においてはフルタイマーとほとんど違わないくらいに働かされながら、残業もしながら、賞与も格段に低い、日常的な賃金の差別の上に賞与、さらには退職金に至っては約一割しかもらえてないというような実態、これはやはり放置できないということで、今回そういうものについては差別の基準をつくらなければいけないということで踏み切ったわけでございます。 それで、差別の基準をつくる、しかも差別を禁止するための担保として罰則をつけるということになっておりまして、確かに犯罪の構成要件としては不明確じゃないか、構成要件の中身を大臣の 裁量に任せるのはやはり問題じゃないかという御指摘もございましたが、だからこそ我々は直罰方式をとらず、あくまでも使用者、労働者それから公益委員、この三者で構成される審議会の審議を得ながら、何が差別であるかという基準をつくり、その基準に基づいて行政において是正命令を出していく、その是正命令に違反した者に対して罰則をかけるという形の罰則の規定の仕方でありまして、いきなり、差別、はい事業主には直罰を科しますよというような法形式をとらなかったのはそういうところに工夫したわけでございます。 付言させていただけますれば、労働基準法の三条というのは「均等待遇」を明記しているわけでございますが、これは百十九条の一項において直罰、つまり均等待遇とは何かということは示せないまま、これに違反すれば六カ月以下の懲役または十万円以内の罰金というような形での直罰方式もとっておりまして、法体系からも殊さらに今回の我々の法案がとっぴなものにはなっていないというふうに考えられるのではなかろうかと思っております。
○長勢委員 法案作成の過程で大変苦労されたということはよくわかりますので、それに対しては敬意を表したいと思います。 そうすると、格差の基準は、想定をされておるのは、例えば賃金について言うと、最低、数字的に例えば二分の一とか三分の一とかということが明示をされることが皆さん方の想定にあると理解をしていいのでしょうか。しかし、まあ私はそういうことが本当にうまくできるのかなという気が正直言ってしないわけではありません。 そしてまた、直罰方式をとらないという御苦労についても、その点についてはよく理解はしますが、しかし制度では審査官に請求があったときに、当然事業主その他が是正命令の対象として調査を受けることになるわけでありますから、そのときに罰則があることが事実上相当な重みとして、役所はこわいところだという印象をますます強めるということは事実でありまして、多様なパート労働市場の中で、今基準法の例を挙げられましたが、社会通念としてそれなりに定着をしたケースと若干違うんじゃないか、このケースは。少し無理があるんじゃないかなという思いを私としては否定はできないということを申し上げたいと思います。 私ら会っていると、やはりいろいろなケースがあるわけで、特にパートの方々は近隣にお働きになっておられるわけですから、非常に地域社会とのつながりも強いわけですね。ですから、雇ってくれ雇ってくれと言われて、もう拝み倒されて、合意の上で条件を決めて、それが長くなったらボーナスよこせと言われたらびっくりする事業主もおるでしょうし、それから、何とか来てくれと言って拝み倒してやっと働いてもらっているにもかかわらず、都合が悪くなったら、おまえやめてくれと言われれば、労働者の方は、それはこんなばかなことがあってたまるかと思われる、いろいろなケースがあるんですね。 そういうことを考えると、余りにも多様性がある以上、直罰方式でないとかいろいろ御苦労されている点はわかりますけれども、それはまた逆に役所の弊害を招くことが起きてみたり、いろいろな心配が私はぬぐい切れないのでありますが、もう一度御苦労の一端を御説明いただけたらありがたいと思います。
○永井議員 お答え申し上げますが、長勢委員の御質問の趣旨は、我々がこの法律をつくろうという提案の中身に対して、いわばこれになじまない幾つかの例も挙げられまして、そういう場合は果たしてこの法律で規制をするのがいいのかどうなのか、そういう御議論の部分もかなりあるように私は思うわけであります。 ただ、答弁がちょっと直接的でないかもしれませんけれども、例えばこのパート労働の問題が大変な社会的な問題になってまいりまして、御承知のように平成元年の六月にパート指針が出されたわけですね。それで、個々のケースは別にいたしまして、経営者のとるべき、事業主のとるべき義務として、パート指針が幾つか問題点を提起をして指針の中に盛り込んでいるわけでありますが、その指針が仮に遵守されておったらまたパートで働く皆さんの労働条件はかなり変わってくると思うんですが、統計資料で見ますと、これは総務庁の統計資料でありますが、例えば雇入通知書の交付という問題一つとりましても、守られていないところが極めて多い。あるいはこの数字を挙げてもいいのでありますが、健康診断も実施されていないとか、年次有給休暇の与えられているところも極めて少ないとか、幾つかの指針がなかなか守られていないという現実が存在するわけですね。 そして、今長勢委員が言われますように、一つの具体例ですよ、何とか私を雇ってほしいと事業主に頼み込む、じゃ、こういう条件でということで雇い入れた、都合が悪くなったらぱっぱとやめられてしまったら事業主が困る、確かにそういうケースも八百万人からのパート労働者がいるんですから、ないと私は言い切ることはできないと思うのです。 しかし、今全体のパート労働者の皆さんが非常に困っていらっしゃるのは、バブル経済のときにはどんどん人を雇い入れる、しかし、正規の職員や社員で雇い入れると、日本の雇用慣行からいきまして、長期雇用いわゆる終身雇用制というのがやはり基本にありますから、これじゃ経営上困るというのでパートの皆さんを雇い入れる、そして今のようにバブルがはじけると、ある日突然におまえやめてくれということになってくる、むしろ長勢委員の指摘されている問題点よりも逆のケースが、全体的に、圧倒的に多いのではないかとさえ私は思うわけであります。 そういう不安定な状況で働かされているパートの皆さんが安心して働けるようにすること、あるいは正規の社員や正規の職員とすべて同じようにということは、均等待遇というのは、働く内容も違う、働く時間も違うのに、金額面においても、例えば賃金の面においても同じ金額でなければいけないということを言っておるんじゃないのです。短時間労働者であるけれども、例えば時間給で例をとれば、その時間給が、同じ仕事をしている場合に正規の社員や職員に著しく劣ることがあってはならない、あるいはその就業規則というものがきちっと本人に示されなければいけないとか、たくさん差別的取り扱いの事象がございますけれども、幾つか私ども聞きました。たくさん聞きました。毎年春闘で賃金の引き上げがあるけれども、パートは対象外だといって賃金の引き上げもしてもらえないというところもある。今伊東議員も答えましたけれども、退職金制度がその企業にはあるけれども、パートの皆さんは別ですよということで退職金の支給対象になっていかない、あるいは解雇予告という期間も設けられないし、予告手当ももちろんない。ある日突然、事務所へ上がってきてください、上がっていったら、ちょっと今仕事が暇になったからあしたからもう来ないでいいからと、それほど不安定な中で働くパートの皆さんがほとんどではないのか。今の事業主にすれば、そういうパートの皆さんの状況の中で、いつでも自由に雇える、いつでも自由に解雇することができる、労働条件だって一般の社員や職員のように厳格に労働基準法に基づいて云々、あるいは労働組合との話し合いに基づいて云々ということで心配することはないということが現実にかなり事業主の頭の中を占めていると私は見ざるを得ないのですね。 だから、そういう面で幾つがその差別事象というものを具体的に提起をして、それをいきなり法律で決めるのではなくて、今申し上げましたように、三者構成のところでそういう問題を全部、可能量大限の基準をつくってもらって、その基準に基づいて大臣が指針として定める。それを守らないときには勧告をする、勧告しても従わない場合は初めて罰則が適用されますよ、そういう方式をとっているわけでありまして、いわゆる直罰主義ではない、ここに私どもの苦心の中身が存在をするわけであります。 いわばこの指針だけで律し切れない、指針だけ ではなかなか実効を上げることができない、ましてやこの指針そのものの存在することさえ知らないたくさんの事業主もいるという状況でありますから、ここはパート労働者の皆さんの生活を維持するために、生活基盤を確立するために働いていらっしゃるわけでありますから、個々のそれぞれの働く人の理由は違うかもしれませんけれども、やはりその労働したことに対して的確に労働条件としておこたえできるようなことが事業主の責務であろうし、そのことができるように、法治国家でありますから、法律上きちっと規制をしていくことが最低限必要だ、こういうふうに私は考えているところであります。
○長勢委員 十分答弁もいただきましたし、時間も来ましたので、お答えは特に必要がなければ結構でありますが、今の先生方がおっしゃられるような問題は私も十分理解はできますし、周知徹底が行われないことによって不公正なままに取り残されておられる方々がおられることは、何としてでも早く解消しなければならぬという思いは一緒であります。最初に申しましたように、この問題についての認識は先生方と全く違っていないわけでございまして、目指すべき方向も私は私なりに同じだと思っておるわけであります。 しかし、事業主はなるべく安く使いたい、働く方々はなるべく高い給料にしたいというのはだれが考えたって当たり前のことでありますが、今ちょっと先生おっしゃったように、何が何でも安くこき使ってやろうという、わかりやすく言えば悪い事業主というのは、今この人手不足時代になってそんなにおられるのかなという思いは、私もそういう方々とつき合っている中で、ちょっと先生とは感覚が違うのかな。いずれにしても、どうも量が多いか少ないかといったようなことも食い違いの一つになっているのかなという気もします。 最前からお話も聞いておりますが、いろいろな苦労はするにしても、どうしても制度的には一律の形にならざるを得ないところがパート労働市場、個々のケース、非常に定型化をしておりませんので、先般内定取り消しなんかが問題になりましたが、そういうようなケースと違って、一般的にこうだからこうなってという話がまだまだ定着をしていない現状では、弾力的に事情に応じた相談援助という形でやっていくことがよりこの問題の解決に現実には資するのではないか、こういう思いがしてならないわけであります。当然、許しがたい社会事象に対してはきちっとやりたいというのは私どもも全く同じ思いでありますが、だからといって法律万能主義のような弊に陥ることはやはり非常に慎重でなければならぬというか、抑制的であるべきではないかという思いがしております。 先生方のまことに御丁寧な御答弁に感謝を申し上げ、また、大変御苦労されたことに敬意を表しまして、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○岡田委員長 次に、石橋大吉君。
○石橋(大)委員 今や基幹労働力になりながら、賞金、労働条件、身分、いろいろな面で不利な待遇を受けているパート労働者の皆さんの処遇を改善するために、四党共同で法律案を提起をされました。大変な努力にまず最初に敬意を表しておきたいと思います。 限られた時間ですから、ずばり本題に入りますが、まず最初に、平成四年の労働力調査によりますと、週三十五時間未満であった短時間雇用者は八百六十八万人を数えまして、雇用者総数の一七%に達しているわけであります。また、平均勤続年数も長期化しておりまして、平成三年には、四・六年になっているわけであります。 こういうようにパート労働は我が国の重要な就業形態の一つとして重要な位置を占めるに至っているわけですが、労働契約の不明確さ、労働条件の格差など多くの問題点が指摘されているわけであります。 提案者は、現在のパートタイム労働の問題点についてどういうふうに認識をされ、お考えになっておるのか、最初に伺いたいと思います。
○伊東(秀)議員 お答え申し上げます。 委員御指摘のように、近年大変パート労働がふえているわけでございますが、それは、労働者側のニーズとしては、家庭責任と仕事を両立させたいという女性の側の要求、あるいは自分の好きな時間に働きたいというニーズ、こういったものとサービス経済化の進展による弾力的な労働時間管理を望む企業側のニーズが一致した結果、このような形で近年、それから今後もパートの増加が見込まれる状況に至っているのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。 このような大変重要な就業形態の一つとなっていながら、実態を見ますとやはり大変ゆゆしい問題が生じており、それが何ら解決されないまま今日に至っているということでございます。 例えばどういう問題があるかといいますと、やはり通常の労働者との著しい格差の問題でございまして、パート労働者の四分の三が時間給でありますが、その水準は、女子の一般労働者と比較しましてもその六、七割程度しかもらっていない、また、定期昇給がある事業所は半数程度である、退職金制度があるのも一二%というような、賃金の面での格差が大変大きいという問題がございます。 さらには、労働省がこれまでも苦労されて、平成元年に指針を出しておりますが、そこには就業規則を整備するようにというふうに義務づけているにもかかわらず、就業規則のない事業所が四割にも達しておりますし、雇入通知書の交付義務、これも指針ではっきりうたっているわけでございますが、口頭で説明している、書面で交付していないという事業所が現在でも六割ある。こういった状況で、労使間の労働契約をめぐるトラブルが絶えないというのが現実でありまして、このことにつきましては、さきの平成四年十二月に出ました研究会報告にもうたっているものでございます。 さらに、連合に寄せられた相談事例でも、やはり昇給とか一時金とか退職金がない、あるいは、賃金規定がなくて勤続年数や経験が正当に評価されていない、有給休暇の制度そのものがないとかパートには適用されていないとか、こういったような不満や問題の相談事例が圧倒的に多いという状況にございます。 このような実態を踏まえまして、今後パート労働がますますふえていくであろう状態を考え、今回余りにも大きな労働条件面での格差、もう合理性の範囲をはるかに超えているというような観点から、我々は昭和四十五年に労働省が出しました通達、つまり、パートタイマーは時間が短いという以外にはフルタイマーとは全く異ならない労働者であるという原点をもう一度きちんと実現していかなければいけないという立場から、今回名実ともに我が国の重要な就業形態になっておりますこのパートタイマーのより一層の均等待遇の確保という点から、このような法案をつくったということでございます。
○石橋(大)委員 今の御答弁にもありましたように、今まで行政の側もこういうパート労働の問題点を認識をされまして、パートタイム労働指針を定め、そしてまた行政指導でその是正を目指してきているわけです。それで十分じゃないか、こういうような意見もあるわけですが、そういう中であえて提案者が今回の立法措置が必要だ、こういうふうにお考えになった理由をひとつ承りたいと思います。
○河上議員 石橋先生御指摘のように、そうした議論があるということを承知しております。 私どもの基本認識は、現在のパートタイム労働指針は平成元年に定められたものでありますけれども、この間約五年を経過いたしました現在でもなお多くの問題が存在しているため、その有効性というものが厳しく問われている、このように認識いたしております。 また、平成三年に実施されました総務庁行政監察局の「婦人就業対策等の現状と課題」におきまして、パートタイム労働指針についてはその周知及び遵守の一層の徹底を図る必要がある、このよう に指摘されているわけでございますが、指針に定められた事項が遵守されていないのが実態でございます。 そこで、パート労働者の増大あるいは基幹的労働力化を踏まえまして、抜本的な労働条件の向上を図る観点からは、現行法制ではもはや不可能であることは明らかでありまして、パート労働者を対象とした特別の立法措置が必要であると考え、提案をいたした次第でございます。 また、これにあわせまして、国際的視点からも、ILO百六十五号勧告、あるいは自発的パートタイム労働に関するEC改正指令案では、パートタイム労働に関しまして、時間比例を考慮した均等待遇原則が打ち出されております。加盟各国において必要な法的な整備が図られていること、さらに現在ジュネーブで開催されておりますILOの総会では、パートタイム労働に関する条約・勧告についての第一次討議が行われておりまして、パートタイム労働立法は国際的に見ましてもその必要性が認識されてきていることをあえて強調しておきたいと思います。
○石橋(大)委員 次に、パート労働者の定義についてちょっと伺いますが、法案では「一日、一週間又は一月の所定労働時間が、同一事業場における通常の労働者の所定労働時間より短い労働者」、こういうふうにされていますが、相当程度短い、例えば二割以上短いと限定して定義し、この範囲に入らない者は通常の労働者として処遇すべきだという議論がありますが、この点について提案者の皆さんはどういうふうにお考えになっておるのか、伺いたいと思います。
○河上議員 その議論もあることは承知しております。我が国の現状では、相当程度短くはない短時間労働者が通常の労働者として処遇される保障はありません。結果的にこれらのいわばグレーゾーンのパートタイム労働者を法律の保護対象外に放置してしまうことになりかねません。時間比例の観点も含めた均等待遇を実現しようとする場合には、その対象をわざわざ相当程度短い労働者に限定する必要はないのではないか、こう考えております。 この法律では、パート労働者に時間比例を考慮した均等待遇を実現しようとするものでありまして、時間の短い程度に応じた待遇が実現されるのでありまして、法律の対象はできる限り広くすることが妥当である、このように考えております。 なお、西欧諸国の場合を見ましても、一般労働者と比べて短いとする国がほとんどでありまして、ECの自発的パートタイム労働に関する指令案における定義においても、通常の労働者よりも短い労働時間とされている、こうした側面を踏まえてのことでございます。
○石橋(大)委員 次に、パートタイム労働者の雇用・労働条件の改善を考える場合に、差別的取り扱いの禁止、すなわち均等待遇の実現、これは基本的な思想または取り組み姿勢の問題としては恐らく大方の意見が一致をするところだろう、こういうふうに考えられるわけであります。 しかし、先ほども問題となりましたように、最大の焦点は、具体的に何が差別的取り扱いに当たるのか、何が均等待遇であるのか、そういうことでありまして、この問題については、現在の日本の場合には社会的に確立された基準が残念ながらないのではないか、こういうふうに思われるわけであります。 この法案ではその点で非常に工夫されているわけでありますが、均等待遇に関する基本的考え方、その実効性確保の方策について伺いたいと思います。
○岩田議員 パートタイム労働者が置かれております労働条件の状況というものにつきましては、先ほども伊東議員の方からお答えをしましたように、賃金、ボーナスはもとよりでありますけれども、退職金それから定期昇給等々を見ましても、相当劣悪な状況に置かれているというような実態でございます。そこで、質問者が言われておりますように、差別的取り扱いの基準というのは一体何なのか、それは最大の問題だろうというふうに考えております。 まず、この法律案におきましては、短時間労働者であるということを理由として賃金、休暇その他の労働条件について通常の労働者と差別的取り扱いをすることを禁止するという原則を明らかにいたしております。労働大臣は、中央労働基準審議会の意見を聞いて差別的取り扱いの判断基準を定めることにしている、こういうことが基本であります。 差別的取り扱いという場合、同一の事業場の同種の労働者である通常の労働者と比較するわけでありますけれども、従来の行政解釈では、同種の労働者はかなり厳密に考えられておるために、我が国の実情では同一事業場に比較対象がない場合がほとんどであろうというふうに考えられます。特に賃金に関する禁止規定は、結果的に単に規定を設けただけでは実効性がないおそれがあるというふうに考えます。 そこで、我々としては、七年前の男女雇用平等立法問題の際に野党四党が対案として衆議院に提出をいたしました男女雇用平等法案の考え方や労使紛争の仲裁に当たる労働委員会の制度の考え方、これらを援用して差別的取り扱いの判断基準を労働大臣が公労使三者構成の中央労働基準審議会の意見を十分に聞いた上で定め、この基準に基づいて行政庁が差別的取り扱いの是正に積極的に取り組みができるよう指導、さらには勧告はもちろんでありますけれども、是正命令の権限を与え、均等待遇の実現に向けて現実に即した柔軟な枠組みをつくったということでございます。さらに、差別的取り扱いをされた短時間労働者は是正措置をとるよう申請することが当然できます。また、すべての労働者はこの法律の規定に違反する事実について申告して是正措置を求めることができること、及び使用者は申請または申告したことを理由として不利益な取り扱いをしてはならない、こういうふうにしているわけであります。 このように、差別的取り扱いに関する判断基準策定に当たっての労使の意見の聴取、判断基準に基づく指導、勧告、是正命令、命令違反に対する罰則、さらに申告、申請というように、二重三重の枠組みをつくることによって、我が国の経済社会の実態及び短時間労働者の就業の実態に応じて時間比例の観点に立った均等待遇の実現を図るという方法をとっていることを強調させていただきたいと思います。 以上であります。
○石橋(大)委員 次に、法案では、是正命令または申請にかかわる決定に不服のある者は、短時間労働審査官に審査請求をして、その裁決に不服のある者は、短時間労働審査会に再審査請求をすることができる、こういう不服審査機関の制度を設けているわけでありますが、その理由について少し詳しくお話をいただきたいと思います。
○岩田議員 お答えをいたします。 判断基準がはっきり確定をして、監督官の是正命令がちゅうちょなく出されるような場合には、行政処分に対する不服審査請求は行政不服審査法によることが普通であろうというふうに考えます。 しかしながら、短時間労働の実態が言われますように多様な状況でございまして、判断基準にないような事態も予測をされます。個別処理を中央の判断基準に反映させていくという機能を組み込み、判断基準をより妥当性の高いものにしていくことが必要だろうというふうに考えます。 また、パート差別に対しまして不服審査機関を独自に設置することに対する異論もあるわけでありますが、ふえ続けるパート労働者に対する差別待遇の禁止は早急に取り組まなければならない課題だろうというふうに考えております。 以上のことをもちまして、不服審査機関を設置をするというふうにした次第でございます。
○石橋(大)委員 けさからの質問を聞いたりしておりますと、どうも今度のパートの労働法を制定するに当たっては、この法律に強制力を持たせるか持たせないか、そういうところに根本的な意見の対立というか考え方の違いといいますか、そう いうものがあるように見られるわけです。 先ほどから、パート労働者が現に受けているいろいろな処遇からいって、私もある程度強制力を持たせないといけない、そうしないとやはり実効性は確保できない、こういうふうに思っているわけであります。 また、さっきも説明がありましたように、この法案では罰則は設けているものの、その前段に指導、勧告という段階があり、我が国の実態からすればその段階で何らか適切な措置がとられる、こういうことを前提にしながら是正命令に違反した場合に罰則を適用する、そういう意味では直罰主義はとっていないんだ、こういう説明がされていますから、私はこれで十分じゃないかというふうに思っているわけですが、あえてこの段階でもう一つ念のために、どうしても今度のパート労働法の制定に当たって強制力を持たせることは不可欠だ、こういうふうにお考えになっている提案者側のお考え方を承っておきたいと思います。
○永井議員 今も委員が御指摘のように、私どもの提案しておりますこの法律案は直罰主義はとっていないのであります。それは今も御指摘がございましたけれども、最前の長勢委員からの質問もございましたけれども、やはり罰則規定を設ける限りはより慎重でなければならぬ、私はそう思うのであります。しかし、その慎重さにかまけてしまって実際にこの法律が効果を発揮しないということがあってはいけない。 その最たる事例が、最前も私は長勢委員の質問に対して御答弁申し上げたわけでありますが、このパート労働者の問題に関して申し上げますと、既に指針がございます。これは大臣の命令で定めた指針でありますから、行政指導によってその問題点を是正させるという大きな目的を持っているわけでありますが、その指針が策定されて以来のいろいろな実例を調査しますと、その指針のあること自体も承知をしていない事業者がかなりある。承知はしているけれども、指針で盛り込まれて求められている内容について、そのことを実行していない事業者、事業所数がかなり多い。 こういう実態でありますから、私たちは直罰主義はとりませんけれども、このパート労働法で言いますと、パートで働く労働者の権利や労働条件を守ろうとすれば、最低限必要な罰則を設けて強制力を持たせるようにしないとなかなかこの法律が求めていることが担保しにくいということから、直罰主義は避けましたけれども、慎重な上に慎重な取り扱いを踏みながらこの罰則を設けたということでありまして、私はそういう面で強制力は最低限必要だと考えているわけであります。
○石橋(大)委員 少し時間が残っていますが、予定をした質問を以上で終わります。 どうもありがとうございました。
○岡田委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 私も時間が限られておりますので、幾つか端的にお伺いをしたいと思います。 いわゆるパートタイマーと言われている方々の中には、通常の労働者と労働時間がほとんど同じかあるいは若干少ないという方がいらっしゃるわけですけれども、パートであるということだけを理由にして労働条件が常用の労働者と非常に差別をされる、いわゆる疑似パートの方の問題があると思いますけれども、四党案ではこの方々に対してどういうふうな形で処遇をされようとしているのか、まずお伺いをしたいと思います。
○永井議員 御答弁申し上げます。 私どもが野党四党で共同提案をいたしましたこの法律案では、労働時間が短いことを理由といたしまして身分的あるいは差別的な扱いを禁止するとともに、時間比例の考え方を援用しているわけでありまして、均等な待遇の確保をそういう立場から目指しているわけであります。 先ほど定義の問題でも若干質疑がございましたけれども、本法案では通常の労働者より所定労働時間の短い労働者を「短時間労働者」と定義をいたしているわけであります。通常労働者と所定労働時間が全く同じ労働者は通常の労働者と同一に扱うべきであるという考え方から、本法律案による保護の対象外としてきたわけであります。 ただし、この法律案が成立し施行される状況になりました場合は、それ以前に、おおむね通常の労働者の所定労働時間に準ずる労働時間を所定労働時間とする特定の短時間労働者となっていた方々の中には、通常の労働者になりたかったにもかかわらずなれなかったケースがあることを考慮いたしまして、経過措置といたしまして、附則の中に使用者が通常の労働者として採用する努力をするように実は規定をいたしたわけであります。
○石田(祝)委員 続いてお伺いをしますが、いわゆるパートタイマーと言われている方とは若干異なるとは思いますけれども、あらかじめ事業の期間が決まっている有期的な事業に雇用される方々もいらっしゃると思いますけれども、そういう方々に対して雇いどめというのですか、そういう問題が生じていると聞いております。若干私の勉強不足かもわかりませんが、野党案ではこれに触れられていないと思いますが、この件についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか、
○永井議員 ただいま御指摘の問題でありますが、この期間雇用契約の制限ということにつきましては、短時間労働者の雇用安定にとって欠かせない措置であると私は思っているわけでありますが、この問題は、短時間労働者のみならずフルタイム労働者も含めた全労働者の問題でもあると私は考えるわけであります。したがって、労働基準法第十四条のいわゆる契約期間の改正または期間雇用者保護法、これは仮の呼び方でありますが、期間雇用者保護法の制定を目指し、この法律案には盛り込まないことにいたしたわけであります。したがって、これは別途にそういう法の制定を求めていきたいと考えているわけであります。
○石田(祝)委員 続いてお伺いしますけれども、先ほどからもいろいろな委員の御質問の中で、パートタイムの労働者の方々が現在八百六十八万人、いずれ一千万人になるだろう、そのように数的にも言われておりますし、一つの基幹的な労働者の方々である、こういうふうな位置づけになってきていると思うのですね。 しかし、残念ながら事業主の方々の中には、もちろん立派な理解のある方もいらっしゃいますけれども、そうではなくて、単にそういう方々を、不況になれば簡単に雇用契約を解消できる、また安価で雇える、安い労働力だと考えている方もいらっしゃると私は思います。それがいろいろな問題、トラブルの大きな原因にもなっていると考えております。 そういう中で、従来のパート労働指針、これは平成元年の指針でありますけれども、その中にはちゃんと雇用条件の明示とか雇用条件を明示したものを渡さなくてはならないとかいろいろありますけれども、残念ながら守られていないのじゃないか。また、永井議員の御答弁の中でもそういうものがあることすら知らない事業主がいるというふうな問題も指摘をされておりましたけれども、野党案ではそれはどのように定められておりますか。
○永井議員 今御指摘になりましたように、パート労働指針には、労働条件の明確化といたしまして雇入通知書の交付と就業規則の整備を示しているわけですね。これは今までの、きょうの議論でもそのことは私からも何回か触れました。私どもの提案しておりますこの法律案の第十条で、短時間労働者になろうとする者に係る労働条件だけではなくて、当該事業場のすべての短時間労働者の労働条件を書面で明示させることとしているわけであります。 また、短時間労働者に係る就業規則の作成または変更につきましては、労働基準法第九十条の規定に加えまして、この提起しております法律案の第十三条で短時間労働者の過半数を代表する者の意見聴取を義務づけているわけであります。 このことによって、今委員御指摘のトラブルという問題も解消できると私は確信をするわけであります。
○石田(祝)委員 この件は非常に大事な問題でありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思いま す。 続きまして、今までの審議もそうでありますけれども、昨日の政府案に対する審議の中でもパートタイムの方と通常の労働者、いわゆる常用労働者の方との時間の違いを超えたそれ以上の区別というのでしょうか、パートだから、本雇いだからというふうな時間に基づかない差別的な取り扱いがまだまだ存在をしているのじゃないかと私は思いますけれども、この差別的取り扱いの禁止に関する判断基準を明確にする必要があると私は思うのです。 オブラートで包んだように、わかったようなわからないような一般的な話ではなくて、ある意味で言えば、こういうものはだめですよ、こういうものはだめですよという明示的な基準が必要ではないかと私は思いますが、何百あるものを全部採り上げるわけにはいかないと思いますけれども、わかりやすい事例で、これこれこういうものが代表的な例だというものを簡単にお示しいただければありがたいと思います。
○永井議員 差別的取り扱いが明白であるものについては是正をすべきであるという基準を設けるための判断事例ということを今御質問になったと思うのでありますが、これは本当に数が多いのですね。パート一一〇番をつくりましても、幾つも幾つものケースが寄せられているわけであります。その中で普遍的にこういうものはパート労働者全体の問題としてどこにでも問題になっているということなどを中心にちょっと例示してみたいと思うのでありますが、具体的な例ということでお尋ねでありますから、よりわかりやすく、具体的に寄せられた事例から申し上げてみたいと思うのであります。 賃金の水準は、最前も伊東議員からお答えいたしましたけれども、女子労働者でいいますと、時間給で比較すると、実は平均的に七〇%ぐらいしか賃金を与えられていないわけであります。 勤続七年の人を例にとりますと、通常の労働者と全く同じ仕事を行っている、長年ずっと常用的にパートとして働いている人でありますが、その人の場合、正規に雇われている勤続三年から四年という若い労働者、その人たちと何とか賃金の水準が同じだという事例が寄せられました。片方はもう非常に熟練をして、勤続三年、四年の人に仕事を指導している、仕事の内容を教えている。教えている側が、その三年、四年の若い労働者と時間給でいうとようやく同じ賃金の水準だということも具体的に把握いたしました。 あるいは賃金の引き上げ問題でありますが、寄せられました中の一つの特徴的な事例に、パートで長年、六年も七年も働いているけれども、その間に、一般の職員はたとえ何%でも毎年賃金の引き上げがあるのに、自分たちの場合は全く賃金の引き上げはない。あなた方はパートだから別だ、こう言って全く賃金の引き上げの対象にしてもらえなかったという事例もあります。 あるいは期末手当、いわゆる賞与ですね。これについては、一般の人はそれぞれ何カ月分とかもらっているけれども、パートにはそういう制度がないからといって全くないところ、あるいはあっても、一般の職員、社員がもらう十分の一以下、まさにお涙金ぐらいで、必ずそこに出てくるのは、あなたはパートだからなということで事業主に言われる。そういうことも実は出てきているわけであります。 あるいは退職金が全くない。解雇する場合でも、ある日突然に言われて、解雇予告手当もなければ、なぜ解雇するのか、納得のいく理由の説明もしてもらえない、こういう状態にあります。 あるいは、職場にもよりますけれども、パートの皆さんがほとんどで、例えば一つの大きなレストランを例にとりますと、店長だけが社員であとは全員パートだ。しかし、その店長は正規の職員だから店長になっているのであって、その中における仕事については、やはり職務によってそれぞれ任務分担されているわけであります。そこでいわゆる指導的な立場にある者でも、それについては全くそのための賃金の考慮がされていないとか、あるいは同じ職場で同じ仕事をしているのに、片一方の一般の社員は昇職という制度があるけれども、片方には未来永劫昇職の制度がないとか、そういういろいろな事例が次から次へ実は出てきているわけであります。 あるいは福利厚生の関係でいいますと、社員食堂であるとか社内の理髪店であるとかいう施設について、あなたはパートだからこれを利用する権利はないといって社員食堂を使わせてもらえないとか、これは数え上げれば切りがないわけであります。 しかし、その中で、最低限ここだけは一般の職員や社員と同じようにすべきだということを一つ選び出して、それを普遍的に適用できるようなもので判断基準を設けてもらおう。それは容易なことではありませんから、審査会をつくって、その審査会で、幾つかの事例の中からそういうものを適正に判断基準として設けられるものを決めていただこうということで第三者機関を設けたというのがこの法律の趣旨であります。
○石田(祝)委員 時間がございませんので、私、きのう、きょうと政府案、野党案に質問をさせていただきましたので、最後に感想だけ、今感じるところを述べたいと思うのです。 やはり法案のタイトルにありますように、政府案は雇用管理の改善という名前になっておりますし、野党案は差別的な取り扱いの禁止、これが端的に内容をあらわしているのじゃないか、私はそういう気がいたします。ともかく、これから審議を進められていくと思いますけれども、パートタイム労働者の方々の悩みというものをまず第一義的に考えるような法案でなければならないのじゃないか、それが私の思いでございます。 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
○岡田委員長 次に、金子満広君。
○金子(満)委員 幾つかの点について、率直に質問をしたいと思います。 提案されている四党のパート法案は、政府案と違って、パート労働者とフルタイム労働者との関係について均等に扱うべきだということを原則にしている、これは根本的な違いだと思うのですね。この均等待遇ということは、パート労働者にとっては共通の要求であり、切実な願いだ、これはもう当然のことだと思うのです。ところが、政府原案にはこれが欠落している、このことがはっきりしています。 こういう中で、先日、この委員会の小委員会で参考人を呼んでいろいろ内容をお聞きしました。その中で、連合の加藤さんも出席されて、均等待遇ということを政府案に明記させるように、これが一番大事な点だということを強調されました。私もそのとおりだと思うのです。 そこで、現行の八九年のパート指針では、賃金について、均等でなくて均衡という用語を使って、均等待遇を否定する方向がはっきり打ち出されている。これはきのう政府に対する私の質問の中で、去年ILO事務局がパート労働について各国政府に質問を出した、その質問に対する日本政府の答えの中で、パート労働について、パート労働者とフルタイム労働者との待遇を、一律に平等な取り扱いを規定することは適当ではないと。適当でないということは差別してよろしいということなのですね、これを出したということがきのうはっきりしたわけです。 そこで、今政府が出しているパート法でこの均衡という用語に法的な基礎が与えられるようになれば、今度は差別していいということになるわけですから、これは重大な問題だと思うのです。こういう点について提案者はどう考えているかというのがまず一つ。 もう一つは、四党案にある均等待遇が政府案に入らないままもし政府案が成立するということになれば、パート労働者にとっては重大なことになる、これははっきりしていることだと思うのです。しかも、最も基本的な賃金の分野における差別があってもいいということになるわけですから、こういう重大な、否定的な方向が出ないよう にしなければならぬのは当然のことだと思います。そういう点についてどう考えているか。 まず二点について伺っておきたいと思います。
○永井議員 お答えを申し上げます。 現行のパートタイム労働指針の内容をどう評価するかという問題が絡んでくるわけでありますが、我々は、このパート労働指針に法的な根拠を与えることについては、一定の評価ができると考えています。 ところで、パート労働指針におきましては、「通常の労働者との均衡」という表現が今御指摘のように使われているわけでありまして、この均衡という言葉は、異質なもの、同じでないものについて同様の扱いを求める場合に使われているものと私どもは理解しているわけであります。 例えば、地方公務員災害補償法第六十九条を例にとりますと、その第一項で 地方公共団体は、条例で、職員以外の地方公務員のうち法律による公務上の災害又は通勤による災害に対する補償の制度が定められていないものに対する補償の制度を定めなければならない。 として、第二項で 前項の条例で定める補償の制度は、この法律及び労働者災害補償保険法で定める補償の制度と均衡を失したものであってはならない。こういうふうに定めているわけです。 このように均衡という言葉を使うことが、金子委員のお話しのように均等待遇を否定する、あるいは差別待遇に法的な基礎が与えられるというふうに理解することは、必ずしも適切ではないと私は考えるわけであります。 したがって、政府案の成立によって、賃金の分野であれ他の分野であれ、パートタイム労働者の労働条件等の改善を一体どの程度期待できるのかについては疑問であるといたしましても、現状がより悪化するというふうには私は断定できないし、考えていないわけであります。 ただし、我々の提出しましたこの法案の基本的な立場、主張というものは、パートタイム労働者の通常労働者との均等待遇を求めることであることについては、金子委員御承知のとおりであります。
○金子(満)委員 今最後に言われたところが一番大事なみそなのですよ。そこのところが基本ですから、あといろいろ解釈してごちゃごちゃやってみても、何か迷宮入りみたいな結論になっちゃうのです。だから、均等待遇という問題を明確に位置づけるのが四党案の精神だし、連合もそのことを強く要求していたということはそのとおりで、現行のパート指針について、これは考え方は違いますけれども……。 そこで次に、皆さん四党の方は政府が提出しているパート法に対して修正案を準備しているという話も聞いているわけですが、もし修正案ということでそれを出すとすれば、少なくとも均等待遇という原則を明記する、そういうように修正を求めることがパート労働者の最も強い要求にこたえる道ではないかというように私は思います。この問題は、八百万、八百万ということが言われますが、パート労働者が一番関心を持っている分岐なんですね。そういうポイントですから、ひとつ明確にそこはこたえてほしいと思うのです。
○河上議員 金子先生御指摘でございますが、若干経過も踏まえまして回答させていただきたいと思っております。 昨年二月六日に、社公民連そして民主改革連合で共同法案を衆議院に提出いたしましたことは御承知のとおりでございます。私どもは、この共同法案を基本とするパート労働立法の実現を目指しまして、政府・自民党に対して、まずパートタイム労働者の労働条件等を改善するための法的措置の必要性を強く促すとともに、共同法案に対する意見または独自の法律案を示すよう強く求めてきたところであります。これに対します回答といたしまして、政府・自民党は今国会に短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律案、これを提出したもの、こう理解をいたしております。 そこで、政府・自民党が私どもの要求に応じて、ともかくパート労働立法の必要性を認めまして政府案の提出に踏み切ったこと自体は評価するものでございますが、しかし、その内容につきましては、私どもが期待していましたものとはほど遠く、到底納得することができない。 なぜなら、私どもの共同法案が通常の労働者との均等待遇及び適正な就業条件の確保、この視点から立案されたものであるのに対しまして、提出されました政府案というものは適正な労働条件の確保及び雇用管理の改善等、これらの観点から立案されたものになっております。両法案の内容は、そのような立法の観点を初め、具体的な措置につきましても大きく隔たるもの、こう言わざるを得ず、したがいまして、政府案ではパートタイム労働者の労働条件等の改善を一体どの程度期待できるのか、この点につきましても疑問があると言わざるを得ない、このような感想を持っているわけでございます。 しかしながら、パートタイム労働者の現状を見ますと、このまま放置できる実態ではない、こう考えております。現状のまま放置すれば、通常労働者との賃金格差が拡大するなど、どんどん悪くなってしまうのではないか、こう思っておりまして、早急にパートタイム労働者の労働条件等の改善を図るための立法措置を講ずる必要がある、このように認識をしております。 このような立場から、私ども四党は、昨日、政府・自民党に対しまして共同法案の考え方や内容を踏まえた共同要求を提出いたしました。そして、これらに積極的に対応するよう求めたところでございます。 共同要求では、例えば均等待遇の確保について、適正な労働条件とは通常の労働者との均等待遇であることを法文上明らかにすること、少なくとも適正な労働条件確保には通常の労働者との均等待遇の確保の観点も十分考慮されるべきであることを法文上明らかにするとともに、指針を策定するに当たっても、通常の労働者との均等待遇の確保の観点も十分考慮されるべきであることを法文上明らかにすることを求めております。 現時点では、私どもの要求に対して政府・自民党がどのような対応を行うのかを注目しておるところであるとお答えさせていただきます。
○金子(満)委員 修正でなくて共同要求ということで、きのう、第一回目かどうか知らぬけれども交渉してみた。その中には、今答弁にもありましたが、均等待遇ということを法文上も、また今度の政府原案にある新しい基本方針をつくる場合にも入れるということを言われたわけですね。 そのことについてどういう答えが出るかというのは、これは皆さんの方じゃなくて政府の方が答える番ですから、それが皆さんの要求に対して答えが出なかった場合、これは非常に重大な問題になると私は思うのです、いわば分岐になるわけですから。 今言われるように、確かに四党が先に出して後で政府案が出てきた。これはもう耐えられなくなって、このままうやむやにできないから政府はこれでやる、そういう点で政府がパートタイム労働法を提出した。それ自身はいい。ところが、おっしゃるように期待していたものとは全く違う、これではどうか、こういうことになっているという話も聞きました。これは今後の問題があるわけですから、今後といってももう時間の問題ですから……。そういう点で均等待遇というものが法文の中に明確にならない、指針の中にも明確にならないということになったら、これはそのとき皆さんが判断されることだと思いますけれども、私は非常に大事な問題だと思うのは、主張はする、そして立場は表明する、しかし実際にそうならなかったときにはそれでもやむを得ないということになるのか、そこの点は懸念はありますけれども、これはきょうのことじゃありませんから、後にしたいと思います。 それから、もう一つ質問したいのは、四党案では、第二章の「均等待遇」というところで、均等に扱うべき事項として賃金を挙げている。これはそ のとおりだと思うのですね。そういう中で、先ほどからボーナスの問題や退職金の問題が随分出ていますね。もちろん賃金の中にそういうことが含まれるのだといえば法的にはそうなんだけれども、特にパート労働者の場合には退職金、ボーナスというものが実際どうかというのは、もうさっき説明がありましたが、とにかくひどいものだ、それがないところだってあるのだから。そういう中で、ボーナスでも自分の給与に対してどういう形で出るか、そんなのはもう全然なかったり、それからまたフルタイムの労働者と比べたって比べようにならなくなってしまうのですね。フルタイムの労働者がボーナスとして賃金の何カ月分かというときに、パートの方は、その企業、会社でつくっている製品で、これでひとつどうやみたいなところもよく聞くわけですね。ですから、ボーナスの日にはパートの労働者は職場に行くのが嫌だ、こんな惨めな、こんな差別をされたという気持ちを率直に訴えていると思うのですね。 そういうこともありますから、皆さんの中の第二章の「均等待遇」というところにボーナス、賞与とか退職金ということも、賃金の中に法的には包括されるということではなくて、明確に出していくことが、パート労働者に対しても親切だけじゃなくて、使用者側に対してもそれを義務づけるということで大事なことではないかなと私は思いますが、その点どうでしょう。
○永井議員 幾つが御指摘があったわけでありますが、例えばこの「均等待遇」の中の賃金だけではなくて、いわゆるボーナスとかいろいろなことが今出てまいりました。 これについて、例えば退職金の関係で申し上げますと、労働協約や就業規則等において支給要件が明確に定められている。そして、その支給が使用者の義務とされている退職金につきましてもそうでありますが、解釈例規や最高裁判例にもあるわけですね。労働基準法第十一条に言う「賃金」というものの中に、実はボーナスであるとか退職金というものも含まれているというふうに解されているわけですね。今委員が言われたとおりであります。 これは、例えば最高裁の判例で言いますと、昭和四十三年三月十二日の小倉電話局事件でもそういう判例が最高裁で示されているわけです。また、労働省の基発第十七号、これは古い話でありますが、昭和二十二年九月十三日の通達でもそのことが規定されているわけでありまして、賃金についての「均等待遇」を定める第四条は、当然に退職金についての均等待遇をも規定していると私は考えているわけであります。 また、「差別的取扱いとなる行為の基準」がいろいろ言われているわけでありますが、そういうものも含めて判断基準として明記するように私どもはこの法律の中で規定をして求めているわけでありまして、その中で言われているような問題については全部網羅して入るような、そういうことを実は想定をしているわけであります。
○金子(満)委員 おっしゃるとおりだと思うのです。労基法にあるのですよね。だから、別に言わなくたってそれは済みますと言えばそのとおりなんですね。しかし、パートの置かれた実態の中から、これは本当に明記しておいた方がいいと私が言ったのは、労基法にあるということを知らない人がパート労働者の中でまず多い。それから、経営者の場合は知っていても知らないふりをしている人が非常に多いと思うのですね。ですから、そこのところは念には念を入れじゃないけれども、四党がこういう点にまで気を配っているのです、退職金やボーナスについては全くひどいですというのをやることがいいのじゃないか。それは私もそう思うから言っているわけで、その点は今後の問題でもありますが、はっきりさせておいた方がいいと思うのです。 それから、最後になりますけれども、今、国会に出されているのは政府案と四党案という二つしかないわけですね。そういう中で、どちらの案がいいかというのは、問わなくとも、パート労働者というのは意識している人は考えると思うのですね、政府案でいいという人は八百万人のうちどのくらいいるか。それは、ゼロとは言わぬけれども、ごく少数だと私は思いますよ。どちらかといえば、大多数の人は四党案が成立してくれることを望むのではないか。これは私の推測ですよ。今までのパートの人たちの請願や陳情、そして私たちが行った実態調査を見るとそういう気はするのです。 そこで、衆議院で仮に四党案が否決された場合でも、参議院で四党案の内容をさらに充実させて賛成者が多くなるという可能性はあるわけです。可能性はある。こういうことを考えたときに、参議院でそういう方向を追求していくことがパート労働者全体、社会全体に対して大きく問題を発展させる上で大事ではないかなとも思いますが、その点は提案者の方はどのように考えますか。
○永井議員 今の御指摘の問題ですが、これは今の二院制のもとでその実態というものを十分御承知の上での御指摘だと私は思うのでありますが、憲法第五十九条によりまして、失礼ですが申し上げますが、法律案は原則として、両議院で可決したときに法律となることはもう御承知のとおりであります。仮に参議院で可決されましても衆議院で否決されれば成立しないわけですね。また、その逆もあるわけですね。したがって、私どもとしては、むしろ参議院の勢力状況を踏まえた柔軟な対応というものをぜひこの際政府・自民党に求めていきたい、そして現状を少しでも前進させていきたいと実は考えるわけであります。 委員の御指摘のように、私ども提案しました立場から言いますと、私ども四党共同提案の法律案がこの委員会で可決をされて、参議院で可決をされる、成立する、これが最も望ましいのでありますが、今言われたように、そうならない場合に、再度申し上げますが、参議院では、実は与野党逆転しておりますので、そういう勢力状況を踏まえて、むしろ政府・自民党に柔軟な対応を求めて、一つでも二つでも前進させていきたい、こう考えているわけであります。
○金子(満)委員 終わります。
○岡田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時七分散会