労働委員会 第7号
- 発言数
- 177 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1993/04/16
会議録
○岡田委員長 これより会議を開きます。 労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野功統君。
○大野(功)委員 自由民主党の大野功統でございます。 桜前線の訪れに歩調を合わすように、景気の底入れ感が出てまいりました。マネーサプライもマイナスを続けておりましたが、プラスになってきた、とりわけ株価が回復してきた、これは非常に大きな心理的効果を持っているのではないかと思います。そういう明るさが見え始めた時期でありますけれども、雇用関係だけはまだまだ問題が残っているのではないか。新聞紙上をにぎわしております、例えば新規就職者の内定取り消し問題あるいはいわゆるホワイトカラーの中高年齢者の肩たたき問題、こういう問題が今問題になっているところであります。こういう二つの問題だけを取り上げてみても、日本型雇用システムに変化の兆しが出てきたのではないか。 御存じのとおり、言うまでもないことですけれども、日本型雇用制度というのは終身雇用、そしてまた年功序列の賃金制度であります。まさに使用者と被使用者の間に暗黙の了解があって、とにかくこの会社に勤めれば一生勤められるんだ、一生面倒を見てくれるんだ。若いうちは、学校で勉強したことは余り問われなくて、企業の中で新たに教育訓練を受けて、そして賃金は安い、労働者の貢献度に比べれば賃金は安いんだけれども、それで辛抱する。年をとると、賃金以下の働きではあるけれども、ずっと終わりまで面倒を会社が見てくれる、いわば一生同じ企業で人生設計がきちっとできる、こういう状態がやや変化が見え始めてきているのではないか。 いわばこれまでの景気は、バブル経済が起こって、バブルが崩壊して、そしてその崩壊したときに、余りにも大きな設備投資、余りにも高い人件費、これが企業経営を極めて圧迫してきているのではないか。その結果、いわば収支の合わない高齢者の方にしわ寄せが来ているのではないか。そういう問題が肩たたきあるいは希望退職、勧奨退職、こういう問題になってきているのではなかろうか。若年労働者の方は、日本の場合は大体において若年労働者を使う、その方が企業としては安い賃金で使えるから当然のことでありますけれども、そちらの方にも新たな兆しが出てきた。とすれば、これはやはりこういう傾向を十分注意して、しかも、今我々が議論をするのは時短法でありますから、時短と割り増し賃金、なかんずく割り増し賃金という問題がこの日本型就業形態にどのように影響していくのか、これを十分見きわめていく必要があるのではないかと思うわけであります。 ちょっと数字で考えてみますと、終身雇用制の問題でありますが、高校を卒業して企業に就職した場合、就職後三年間で大体半分近い人が転職をしているわけですね。これが十年前ですと三七%といいますから、この十年間で一〇%ぐらいの転職率、就職をして三年間で転職をする人がふえてきた。それから年功序列制にいたしましても、大卒二十二歳の人と五十五歳の人の月給を比べてみますと、昭和六十二年には三・五倍であったものが最近は三・三倍になってきている。ホワイトカラー化という傾向を見ましても、四十年前にはホワイトカラーというのは全就業者の四分の一であったものが今は二分の一になってきている。特にこの数年間をとってみますと、この数年間で新規就業者は五百二十万人あるわけでありますが、そのうち五百万人がホワイトカラーである。 こういうふうに非常にホワイトカラー化が進んでいる、年功序列がやや崩れかけている、終身雇用制も崩れかけている、こういう状態になりまして、時短をどんどん進めていく。そうすると、私たちの給料というのは一体今までどおり終身雇用制 度に基づいて年功序列でどんどん上がっていくのか。 例えば、年功序列でどんどん上がっていくとすれば、人生設計がきちんとできるのであります。言ってみれば、四十代後半で子供を大学にやって、田舎から東京の大学へ就学させるというのは親として大変でありますが、五十代の半ばぐらいで子供を結婚させる、こういう人生設計が今の日本型社会、日本型賃金制度ではきちっとできるわけでありますが、一体この制度というのが今後どのように変わっていくのか、その兆しがもう見えているわけですからね。 その変化のスピードを、今度の時短なり割り増し賃金がどんどん後押ししていくのではなかろうか。もし十年たって、ああ、十年前は終身雇用制、年功序列制でよかったなと反省しないように、今から私たちは将来を見通して、そしてその将来のために手を打つべきではなかろうか。政治家というのはやはり責任があるとすれば、将来に対して責任があるわけですから、その将来を見通してきちっと手を打っていかなければいけない。 私がまず第一にお尋ねしたいのは、いわば今申し上げたようないろいろな現象のもとで、裁量労働というのは一体どうなるのだろうか、職能給制度というのはどうなるのだろうか、年俸制というのはもっともっとふえていくのじゃないか、それから、景気調整というのが今のように残業で調整するのじゃなくて、もっともっと厳しくなって、パート労働で景気調整をしていくのじゃないか、そうすると、パートの役割というのは非常にふえできますよ、こういうことを今から、もしそういう方向に進むのであれば、警鐘を乱打してそれに備えていかなければならない、こういうふうに思うのでありますが、労働省、その見通しを聞かせてください。
○伊藤(庄)政府委員 先生からお話がございましたように、我が国の雇用慣行は長期的な視点に立って人を育成し処遇していくというのが最大の特徴でございますけれども、最近の傾向を見ますと、景気の低迷に伴いまして雇用調整が中高年のホワイトカラーのところまで及んでいることとか、あるいは若年者の労働移動といいますか流動化が非常に進んできていることなど、そういった我が国の雇用慣行の特徴にいろいろ変容の兆しが見えているのではないかという指摘があることは事実でございます。 私どもはそういった傾向を注意深く見守っているところでございますが、一方、事業主の方あるいは労働者の方のいろいろな意識調査その他を見てまいりますと、事業主の方も、能力主義的な評価といった傾向を強めつつも、やはり雇用の維持を重視していきたいというような意識を持っている企業がまだ非常に多い。また、労働者の側でも、一つの会社に勤めていきたいという比率がまだ非常に高い。こういうことから、現段階で、雇用の維持を非常に大事にしていくという我が国の雇用慣行の軸はまだ変わってきてはいないのではないかというふうにとらえております。 ただ、今後、能力主義的な評価がやはり傾向として強まっていくかと思いますし、若年者の労働移動も増加していく、就業形態の多様化も、パートタイマーの問題等、御指摘があったように進んでまいる。そういった傾向の中で、我が国の雇用慣行がどう変わっていくか、これは労働政策とのかかわり方を十分念頭に置いて注意深くこれから見守っていきたい。また、賃金慣行等への影響についても全く御指摘のとおりでございまして、その辺も注意深く動向を見守っていきたいというふうに思っておるところでございます。
○大野(功)委員 日本民族は農耕民族でありますから、余り移動しない方が幸せだ、同じ企業でずっといた方が幸せだという説もあるわけでございます。その日本型雇用システムのいいところは、世の中が変わっていこうともできる限り残していくべきではないか。余り急激に、ドラスチックに変えていきますと、摩擦が起こってくるのじゃないか。そういう点で、割り増し賃金等も十分注意していかなければいけないと思っているのであります。 日本型のいいところは、まず、自分で余り勉強しなくても会社が全部教育訓練をしてくれる。ですから、自己開発の努力を全くしなくても、全部会社で面倒を見てくれるわけですね。ところが、今からそういう傾向が崩れて、しかも、初期の投資、教育投資というのをしても長期的に投下コストが回収できないとすれば、会社での教育訓練が減ってくる可能性がある、少なくなってくる可能性がある。だとすれば、学校教育というのは物すごく大事になってくるのです。企業内教育じゃなくて、企業外の教育が非常に大事になってくるのであります。十年先もしそういうことになるのであれば、今から日本の教育というものも考えておかなければいけないし、それから、労働省が大変熱意を込めてやっておられます職業訓練、これもこれから本当に大事になってくると思うのであります。 まず、労働省の現在の職業訓練のあり方、今後の方針、ごく簡単で結構ですから説明してください。
○伊藤(欣)政府委員 御指摘のように、我が国の職業能力開発、職業訓練というのは、今まで企業内におきまして就職から定年までという職業生涯を通じまして、大企業を中心に、いわゆるOJTを中心に行われてきたわけでございますけれども、今後の技術革新その他の経済社会の変化あるいは働く方々の価値観が多様化する中で、先生御指摘のような形で日本的雇用慣行の変化などによりまして労働者の流動化が進むということになれば、今まで以上に、企業内訓練のみならず、企業外における教育訓練がより重要になってくると考えておるわけでございます。 私たちは、これまでも生涯職業能力開発の基本理念、すなわち、職業生涯のすべての期間にわたりまして、だれでも、いつでも、どこでも職業能力開発の機会が得られるように、企業外の訓練を含めまして努力をしてきたところでございます。 特に、御指摘の企業外におきます具体的な対策といたしまして、従来から、全国に三百八十カ所ほどございます公共職業訓練施設におきまして、従来はグリーンボーイが中心であったわけでございますけれども、在職者あるいは転職希望者、求職者のニーズに応じた弾力的な形での訓練をやりたいということで、昨年、この趣旨を踏まえて法律を改正していただいたところでございます。 そのほか、中小企業の認定職業訓練、個別の企業ではなくて団体でやっているものに対する財政的あるいは指導的な援助、それから、民間等にございます専修学校等への委託訓練というようなシステムで、本人のニーズに合った形、それから視点を変えまして、それぞれ企業ないし自分たちが自己啓発をやる、そういうことをお手伝いするための職業能力開発給付金制度というような財政的な援助制度もございます。 そのほか、法律改正のとき御説明申し上げましたように、従来企業にお任せしていたものを、個人あるいは企業から相談を受ける、御指導申し上げる、援助する、いろいろな形で総合的な能力開発を進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○大野(功)委員 文部省の方がお見えになっていらっしゃれば、今の日本の教育というのはどうしても、職業教育というよりも普通科の教育、普通の教育ということに力点が置かれて、だんだん普通教育の方にウエートが置かれてきておりますけれども、今私が申し上げましたようにこれから本当に企業内教育がなくなってくれば、企業外教育、つまり学校教育が社会に出てから役立つということになってくる可能性だってある、その傾向、今までの傾向と今後の方針、もし方針というのがあればお聞かせいただきたい。簡単にお願いします。
○寺脇説明員 先生御指摘のとおり、高等学校におきます普通科と職業科の割合は、昭和四十年代の半ばまでは普通科が六割で職業科が四割という比率であったわけでございますが、今日では職業科が二四・六%程度でございまして、四分の一程度になってきておるわけでございます。 しかしながら、御指摘のとおり、学校でそういった職業に役立つ勉強をしていくというのは現在でも非常に重要なことでございますので、来年の四月から高等学校の新しい学習指導要領が実施されるわけでございますが、その中でも、各職業分野において卒業後すぐ役立てるような実学を重視していくという考え方をさらに強めますとともに、普通科の高校でも、普通科卒業後就職する子供たちも大勢おりますので、職業教育を充実してまいるように努めてまいりたいと思っております。
○大野(功)委員 このほか、我々将来を見通してぜひとも考えておかなければいけない問題として、例えばフリンジベネフィットの問題ですね。福利厚生施設、社宅なんかどうなんでしょうね。ILOなどは社宅に反対しているようでありますが、いまだに日本は社宅住まいが多い。住宅事情の問題もあるかもしれませんが、社宅制度というのは相互監視制度みたいなこともありまして、いろいろ問題なところもあるようであります。 こういうフリンジベネフィット、これも大変おかしな話ですけれども、大企業と中小企業では全然違うのですね。そういう問題を考えながら、今後企業間の労働移動が起こってくるとすれば、会社の方もそういう福祉施設にコストをかけなくなるかもしれない。この問題をどうやっていくんだというようなこともあると思います。 それから、会社人間はできる限りつくらないようにというのが生活大国、生活者向けの政策だと思うのでありますが、例えば今度の総合景気対策にいたしましても、社員旅行の三泊四日を四泊五日にしていく。ますます会社人間をつくっていくような傾向にある。こういう点、我々大いに反省しなければいけない。 それから、女性の労働力についてであります。 これまでの女性の労働力というのは全く景気調整の安全弁みたいなところに使われているおそれがありまして、大変残念な気がしているのでありますけれども、女性労働力ぐらい資本投下している労働力はないと思うのですね。大学を卒業して、大変な教育のための資金をつぎ込んでおりながら、卒業して会社へ三、四年勤めますと、結婚してしまわれる、おやめになる、これは本当に経済効率全体から考えましてむだな話であります。 こういうふうに、一遍就職された女性の方の復職をもっともっと考えて、その個人の方だけじゃなくて経済全体のために考えていかなきゃいけない、こういう再雇用の問題、それから、パート労働法をきちっとつくっていかなきゃいけない問題、いっぱいありますけれども、私はその点は、きょうはお答えいただきませんけれども、十分労働省に考えていただいて、我々もそういう未来に対して責任があるわけですから、一生懸命将来を見据えながらやっていきたいと思っております。 きょうはせっかく大臣にお忙しい中お見えいただいております。いや、お忙しいと申し上げたのは、時短の審議をする大臣としてはどうも忙し過ぎるんじゃないか、余り時短のモデルにならないんじゃないか、こういう気がするのであります。いつも御指導いただいておりますが、時短という問題、一時景気のいいときは人手不足で時短なんてとんでもない……。ところが、バブル経済が崩れて景気が悪くなると同時に、どうも企業内失業を就業状態に変えるのが時短ではないか、こういうふうに言われる。時短にはもっともっといわば崇高なる使命があるんじゃないかと私は思うのでありまして、一時的なそういう現象面の問題じゃなくて、崇高なる目的があるんじゃないか。 私がこれまで申し上げましたように、日本の社会というのはどうしても企業中心社会でございます。遊ぶのも会社の人と一緒に遊ぶ、こういう企業中心社会、いわば会社社会でございまして、社会主義は滅びても会社主義はなかなか滅びないというのが日本の現状でありますけれども、これはやはりおかしいんじゃないか。もっともっと今の企業中心社会を生活重視の社会、人間尊重の社会に変えていかなきゃいけない。時短というものが我々の使命、我々に課せられた人間尊重の社会へ変えていくのに大きな役割を果たしていくのではないか、こういう点で、私は大臣に時短という問題を積極的に評価していただいて、この取り組みについての決意を聞かせていただきたいと思います。
○村上国務大臣 けさは参議院の方で本会議がございまして、頭だけ出てまいりまして、大変失礼をいたしました。 今大野委員のおっしゃいますように、時短というのは、ただ現象だけをとらえるということじゃなくして、やはりそこには理念、理想、哲学というものがなければならないという御意見に対しましては、私はまことにそのとおりである、こう思っております。 そこで、時短と人間尊重ということでございますが、人間が時間に追われた生活ということからやはり解放されなきゃならない、そして、逆に人間が自由に時間を使うということが大事なのかな、このように思います。やはり究極、人間尊重というのは人間本来のあり方を追求していく、そうしたことを実現していくのが我々政治家の務めだ、こう思っております。 人間の究極の姿というのはどういう姿かというと、まず、貧しさから解放されるということ、それから、病の恐怖をなくしていくということ、そして、争いのない世界をつくるということ、私はこれが人間本来の目的の追求だと思います。 そうした中で、時短というのがどうしてそういう理想につながっていくのか。病にしても、貧しさということからいたしましても、争いということからいたしましても、やはりそこに時間を人間が自由に、征服したときに、そういうよりよき発想が生まれてくる、これが基本だ、私はこう思ってこの時短の理想というものをとらえております。 そして、宮澤内閣の閣僚といたしまして、所管の労働行政の中において生活大国ということの実現のための大きな柱ということに位置づけられておる、その所管大臣としてこの時短を推進してまいりたい、こう思っておる次第でございます。 忙しい大臣ということでございますが、おかげさまで、ゆうべは久方ぶりにミュージカルを私も見に参りまして、やはり時間的ゆとりというのは大事だなということを実感して帰ってまいった次第であります。
○大野(功)委員 時短の大臣のモデルにはなりにくいんじゃないかと申し上げたのでありますが、昨夜ミュージカルを御鑑賞、楽しまれたということを伺いまして、これこそ時短のモデルになる大臣であると感じた次第でございます。 日本経済のこれまでの発展というのは、言うまでもないことでありますけれども、日本人の勤勉さによって支えられた、こういう神話があるわけであります。 私はこの点、勤勉さということは、よく考えてみますと、労働の生産性ということで考えてみますと、これはどうもアメリカに負けるんですね。アメリカより日本人の労働生産性の方が低い。ドイツ人も非常に勤勉だということを言われますけれども、ドイツの労働時間はどうかということになりますと、ドイツの労働時間というのは日本人の労働時間に比べまして四百時間、五百時間少ない。 そうすると、日本人の勤勉というのは一体何だろうな、こういうふうに思うわけであります。労働生産性で見て低い。勤勉と言われるドイツ、西ドイツの方でありますが、西ドイツの労働者の労働時間に比べて四百時間も多く働いている、五百時間も多く働いている。じゃ、勤勉というのは一体何だろうな。日本経済を支えてきた勤勉というのは一体何だったんだろうなという気がするのであります。 こういう反省に立ちますと、やはり日本人の勤勉さというのは、いわば企業に対する忠誠心と言いかえていいんじゃないか。この忠誠心から猛烈社員とか企業戦士あるいは過労死なんという大変な言葉が生まれてきたわけでありますけれども、この猛烈社員は、一生懸命働いて、結局同僚より は少しばかり高いボーナスはもらったかもしれないけれども、バブル経済になってみますと、バブル経済の間にはいわゆる資産家、マネーゲームをやる者に負けてしまう。それから、バブルが消えてしまうと、今度はホワイトカラーの雇用調整が始まってしまう。一生懸命サービス残業までして働くということは一体何だったのだろうなという反省が今生まれてきているような気がするのであります。 こういう時期に、まさに時短の問題を十分考えなければいけない。時短というのは、一言で言いますと、私の解釈では、労働を合理化し労働生産性を上げるものではないか。勤勉というものは労働生産性を上げていくに一番ふさわしい概念としてとらえるべきではないか。労働時間が余りにも長過ぎますと、労働の効率が落ちて、生産性が大変落ちてまいります。しかし、仕事が余りないとまた効率が悪くなってくる。ちょうどいい、一番高い効率で働けるというのは、調査によりますと、月に百五十時間ちょっとぐらいだ、こういう話でありまして、そうすると、今我々が働いているよりも二〇%ぐらい少ない時間でありますけれども、やはり作業効率を最大にしていく、これが一番じゃないか。 村上労働大臣は勤勉の精神を重視されて、二宮金次郎、これがモデルじゃないか、こういうこともおっしゃっておられます。まきを背負って本を読んでいるわけですから、使用者側から見ますと、どうもこれは内職をしているんじゃないか、こういうふうに思う使用者もあるかもしれませんけれども、効率よく、かといって手でまきを運んでもそう労働生産性は上がらないだろう、だとすれば、同時に二つの仕事をやっていくというのは大変合理的な姿勢ではないか、こういうふうに思うわけでありまして、時短というのは合理的に仕事をするんだ、そして余暇をミュージカルを鑑賞するようなことで楽しんでいくんだ、まさに二宮金次郎の本質は合理性にあるんじゃないかとも思えるのでありますが、大臣、これからの労働者のあり方について一言御所見をいただければと思います。
○村上国務大臣 最近、あちこちへ行きますと、二宮尊徳大臣と紹介を受けるのですが、私が申し上げる勤勉性と申しますのは、自分の仕事に実直である、誠実である、そして自分の仕事に誇りを持って、自分の魂を入れて仕事をしていくことだ、私はこう思っています。これが勤勉性だ。そして、なおかつ、おっしゃるように、やはり合理化ということから、合理化という言葉は言葉の語源は古くからあるんでしょうけれども、単に長く働くことではなくして、やはりむだだとか無理だとかそういうものを排除して、早く楽に働くことであるのかな、これを合理化というんでしょう。そうしたことを相加味していく、そうしたことが望ましいのではないのかな、このように思っております。 また、労働時間の短縮は、業務の遂行方法の効率化や士気の高揚などを通じた生産性の向上の契機となっていくであろう、こう思っておるところであります。
○大野(功)委員 今国会に内閣提出法案は七十本余ありますけれども、私は、今回我々が審議しているこの法案が一番重要なんじゃないか、こういうふうに思っております。と申しますのは、これから日本的な制度が改まっていく、そのエネルギーになる法律だと思っておるわけであります。ただ、先ほども申し上げましたように、政治家というのは将来のことを考え、将来について責任を持つのが本来の姿でありますから、ぜひともこれから先を見通して、今大臣おっしゃったような精神で、これから大臣初め労働省、皆さんこの問題に取り組んでいただきたい。 ただ、急激な変化といっても、やはり日本型雇用制度のいいところも残していかなければいけないわけですから、いいところといいますと、例えば使用者も労働者も情報をお互いにシェアしている、同じ情報を持っている。一方だけが情報を持って一方は情報を持たないというのは日本の場合ありませんので、お互いに同じ目的で、会社人間とかなんとか言われながら、同じ情報を持ちながら仕事をしている、これは非常にいいところでありますので、どうぞひとつ、いいところは残しながら、新しい世界へ向けて頑張ってくださいますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○岡田委員長 次に、石橋大吉君。
○石橋(大)委員 雇用失業情勢などについては先般の大臣の所信に対する質問である程度行いましたので、私は、ずばり労働基準法改正問題に入って質問をさせていただきたいと思います。 まず冒頭、大臣に、今後のこともありますのでしかと所見を承っておきたいと思っております。 御承知のとおり、週法定四十六時間の猶予措置についてはことしの三月末期限、こういうことでしたが、一年間延長されました。 この経過をめぐりまして、労働現場では、労働省の指導、第一線の監督官の督励などもありまして、企業や労働組合ではことし三月末から四十六時間制は四十四時間になる、こういうことで真剣な努力をしてきた。ところが、ぎりぎりになって一年間期間が延長される、こういうことになりました。真剣に努力をしてきた結果がそういうことになりましたから、結果的に非常な不信感を醸成をすることになった。労働省の指導にまじめにこたえてきたところほどばかを見た、こういうような結果になって、今後の労働行政についてもまた再び同じことが繰り返されるのじゃないか、こういう疑心暗鬼を生んでいるわけであります。全く予想もしていない、ひたすら労働行政、労働省の指導を信用して一心不乱に時間短縮に努力をしてきた、間際になってきれいに一本背負いで投げられた。投げた方は爽快だったかもしらぬけれども、投げられた方は、不意打ちであればあるだけ悔しさはやはり残るわけですね。 そういう意味で、またまた今後においても猶予期間が再び延ばされたり、あるいは週四十時間制がまた延期をされたり、そういうようなことになりかねないのではないかという心配を非常に持っているわけです。何としても今後の時間短縮を進めるためにそういう不信感はこの際しっかりと払拭をしておくことが非常に大事だ、こう思います。 そういう意味で、これからの時間短縮に向けての大臣の不退転の決意をまず最初に承りたいと思います。
○村上国務大臣 石橋委員のおっしゃるような一本背負いで投げた、そういう爽快さは全然持ち合わせはございません。やはり苦悩、苦渋に満ちた一つの決断をさせていただいたということです。 おっしゃいますように、この社会というものは個々人、また会社と、企業とそこに勤めている労使の関係、行政、政治というものは何といっても信頼というものが大事であります。そういうことからいきまして、いささかなりとも政治、行政にあって国民にそういう不信感を持たせるということはあってはならないことだと思っております。 そうした意味からいきまして、この一年間の猶予につきまして、第一線にある監督官、こうした皆さん方とも十分理解を深めながら今回こうした一つの方向を出させていただいているわけでございます。 どうかそうした事柄に御理解を賜って、特に今回、中小企業の方々の実態というものは本当に厳しい局面に追い込まれている、こういうことを見ましたときに、私は、弾力性を持っていかなければならないな、こういう思いでおります。しかしながら、時短の流れに水を差すようなことがあっては断じてならない。この決意だけは持っておりますことを御理解をいただきたいと思う次第であります。
○石橋(大)委員 ぜひひとつ、一たん労使で話し合って決めたことについては、今表明されましたように、最高責任者のところでしっかり守って、時間短縮に邁進していただきますようにお願いをしておきたいと思います。 次に、日経連の時間短縮に対する見解、態度について労働省がどういうふうに考えておられるか、このことについて伺いたいと思うのです。 日経連が一月に発表したことしの労働問題研究委員会報告「新しい国際化時代における日本と労使の選択」、こういう報告書が出されているわけですが、この中にこういう見解が展開されております。 昨年六月発表の政府の「生活大国五か年計画」では、 ゆとりの第一に計画期間中に年間総労働時間千八百時間の達成を掲げている。 しかし、これらを整合的に達成するためには、日本国民が従来にまして効率的な生産性の高い経済・社会を建設する努力が必要になる。 政府はとくに五年後の総労働時間千八百時間の達成に力を入れているが、経済の均衡ある発展、労働力供給の展望を度外視して、時短のみを重点的に追求することについては問題が多い。 こう言って、 政府の五か年計画に掲げる目標の達成のためには、過去十五年間に日本があげてきた時間当たりの実質生産性上昇率を五割方引き上げなければならないという点を銘記する必要があろう。 これは私のとり過ぎかもしれませんが、実事上の時間短縮の拒否宣言ではないか、そう言ってもいいような見解が展開されているわけであります。ここには、労働時間の短縮も賃金も依然として経済成長の従属変数だ、こういう日経連の牢固たる信念が吐露されている、こういうふうに見ることもできると思うのであります。 そして、付録1の「日経連「分配率問題等検討プロジェクト報告」」、こういう文書によりますと、 政府の新経済計画は、今後五年間に、年率実質三・五%の経済成長と年間総労働時間千八百時間の達成を目標に掲げているが、もし日本経済の時間当たり労働生産性の上昇が従来どおりであるとすれば、千八百時間の労働時間を実現するためにはこの間の成長率は二%を割る程度に低まろう。また、三・五%の成長を維持するためには、労働時間は二千時間をやや下回る程度にとどまろう。さらに、三・五%成長と千八百時間を実現させるには、九六年に約六百万人の労働力が不足すると予測される。したがって、三・五%成長と千八百時間を両立させるためには、かなりの無理があると考えられる。労働力供給が減少する中で、相応の経済成長と労働時間短縮を達成するためには、従来の延長線上での生産性向上に努力するだけでは対処できないことは明らかである。 こう言って、政府の労働時間短縮政策についての非常に厳しい牽制をしているわけであります。 これに対する労働省の見解を承っておきたいと思います。
○石岡政府委員 先生御指摘のように、日経連は去る一月にそのような見解を発表しております。この見解で一番中心的なところは、「生活大国五か年計画」の計画期間中に千八百時間という目標を達成しようとする場合には、従来に増して相当に高い労働生産性の上昇を見込まなければならない、それは無理ではなかろうかという点などにあろうかと思っています。 しかしながら、三・五%の経済成長がありまして、その中で労使が生産性の向上に積極的に取り組み、労働時間の短縮にいそしみ、そしてまた、政府側が労働基準法の改正、あるいはまた労使の時短に対する援助などの政策努力を進めていけば、この「生活大国五か年計画」の目標達成は決して不可能なものではない、そういうふうに考えておりまして、今後とも全力を挙げてこの目標達成に努力をしてまいりたいと考えるわけでございます。
○石橋(大)委員 いずれにしましても、日経連の論理でいけば、いつまでたっても時間短縮はできない、こういうことになりかねないと思いますから、ぜひひとつそういうことがないように、時間短縮についての一層の取り組みを要望しておきたいと思います。 三番目に、時間短縮に関連して、中小零細企業における労働組合の組織率向上のための労働省の政策いかん、こういうことについてちょっと聞きたいと思うのです。 本来いえば、これは労働組合の自主的な活動分野に関することですけれども、我が国の雇用構造や労働組合の組織構造を念頭に置きながら、こういうことについてあえて労働省の見解を聞きたいと思うのです。 今申し上げました日経連の労働問題研究委員会報告では、さっき言いましたことに加えまして、さらに、第4章の「今次春季労使交渉に対する考え方」第3節「労働時間問題への対応」の中でこう言っているわけです。 当面は、まず、年間千九百時間台半ばが定着することを目標に、各産業・企業労使の一段の努力が要請されるところである。 各産業・企業の実態を軽視した法改正や行政指導の強化による時間短縮には反対せざるをえない。また、中央労働基準審議会で論議のあった時間外労働賃金の割増率を法律により引き上げることについては反対である。労働時間短縮は企業経営のなかで企業労使が協力して進めるものである。こう言っているわけです。 各産業・企業の実態を無視した法改正や行政指導の強化による時間短縮にも反対だ、時間外労働賃金の割り増し率の法律による引き上げにも反対する、こう言い切っていることも非常に問題ですが、ここで私がより重視をしたいのは、多くの産業・企業、特に中小零細企業の多くには、労使協議の相手方たる労働組合の不在を百も承知の上で、労使協議や労使の協力による時間短縮、こう言っていることであります。 労働省の資料を見ましても、企業規模二十九人以下の労働者は、雇用者総数約五千万のうち千六百万、三割を占めていますが、推定組織率が〇・二四%。三十人から九十九人の規模で三・八一%。この九十九人以下のところまでいけば雇用労働者全体の約半数に達する数になるわけですが、非常に組織率が低い。 御承知のとおり、時間短縮にしろ賃金にしろ、労使が対等の場で交渉して自主的に決めていくというのが本来の姿だろうと思うのですが、残念ながら、相手方たる労働者、労働組合の組織が、今言ったように中小零細企業のところでは非常に微々たる組織率、こういう状態を放置しておったのではいけないと思うのです。 そういう意味で、あえて労働行政の場においても、もう少しこの中小零細企業のところの組織化などについても積極的な指導をすべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、この点についてどういうふうにお考えになっておるか、伺いたいと思います。
○若林政府委員 平成四年度の労働組合の基礎調査によりますと、民間の関係の推定組織率は、千人以上でございますと五七・二%でございますけれども、百人未満になりますと、ただいま先生御指摘のように大変に低い数字でございまして、一・八%となっておるわけでございます。大変に低い組織率でございます。 この労働組合の組織化の問題は、これはもう先生御専門でいらっしゃいまして、ただいま御指摘のようにいろいろとお考えの上での御質問でございましてお答えしにくいのでございますけれども、やはり労働組合の組織化という問題は行政が関与するものではございませんで、何と申しましても労働者の自主的な設立の活動にゆだねるべき分野である、それが基本であるというふうに考えているわけでございます。 ただ、ただいま御指摘のように、自主的な労使交渉を通じてのシステムがうまく機能していない中小零細企業の分野というのはあるわけでございます。この分野につきましては、やはり行政による指導、支援措置というものによりまして労働条件の向上を図っていくべきである、そういった形でこれまでも私どもは進めてまいったわけでございますけれども、そういった分野につきましてはこれからもやはり行政指導の措置を通じて中小零細企業の労働条件の向上を図っていきたい、それ に全力を注いでいくべきであるというふうに考えているわけでございます。
○石橋(大)委員 労働組合の側でも懸命な努力をしなければなりませんが、今お答えをいただきましたように、やはり中小零細のところは行政の側でも一定のバックアップをしてもらうことが不可欠だと思いますから、ぜひひとつよろしくお願いをしたいと思います。 次に、いよいよ時間短縮の話に移ります。 まず、週四十時間制への移行の時期について。 一九九四年ですか、とにかく週四十時間制の移行の時期については、どうも今の考え方では、経済大国である我が日本の置かれている実情からして少し、少しではなくて非常に遅過ぎるのではないか、こういう感じがするわけです。 法案は、週四十時間制への移行を来年、一九九四年の四月一日から、こういうふうにしているわけですが、御承知のとおり、政府は、一九八八年に経済運営五カ年計画を策定した際に、同計画期間中の一九九二年までに週四十時間制を実現し、年間総労働時間千八百時間を達成する、こういうふうに公約していた経過があります。しかも、この週四十時間制は、先進資本主義国では既に達成されている水準であります。 これも労働省の資料を見ますと、「週当たり実労働時間(製造業、生産労働者、男女計)」推計値ですが、アメリカでは一九七〇年に三十六・八時間、西ドイツは三十五・八時間、イギリスは三十八・六時間、フランスは三十七・八時間、こうなっている。「主要国の過所定労働時間」これは全体だと思いますが、これを見ますと、アメリカは、労働協約ですけれども、一九五六年に三十七・六時間、イタリアは一九七三年に同じく労働協約で四十時間、イギリスは七一年に労働協約で四十時間、フランスは、これは一九五五年ですかに四十時間、西ドイツは労働協約でやはり一九七〇年に四十・七時間、スウェーデンは七三年に四十時間、こうなっているわけですよ。 もう二十年以上も前に西欧先進諸国では週四十時間制ないしはそれを下回る労働時間が実現をしている。世界に冠たる経済大国我が日本の週四十時間労働制の実現が、来年四月一日からだ、どう考えてみても非常に遅過ぎる、こういう感を持たざるを得ないわけでありますが、この点について、もっと早くすべきではないか、労働大臣の見解と週四十時間制実現に向けての決意をもう一遍ここで改めて伺いたいと思います。
○村上国務大臣 諸外国では一九七〇年代に四十時間を達成しているじゃないか、それに比べて我が国は遅い、経済大国と言われながら、こういう御質問でございますが、今日は日本も経済大国と言われておりますものの、やはり今日まで、経済大国と言われるまでになったこの道程を見ますときに、資源の乏しい我が国がなぜこれほどの経済大国になったのか、それはやはり私どもの御祖先また先人、先輩、日本人の多くの国民の皆さん方の努力の、とにかく汗して働いて働いて働いて今日の経済大国という豊かな日本の国になったわけであります。 そこで、そうした意味において、これからやはりそういう努力の果実というものの中に週休二日制を定着させて、四十時間への移行という目標を掲げて今日やってきておるわけでございまして、この週四十時間制への移行を図ることにこれからはやはり最善の努力をしていかなければならない、こう思っております。
○石橋(大)委員 まさに前半は二宮金次郎大臣にふさわしいような答弁でしたが、そうはいっても、もう五年も十年も前から世界第二位の経済大国になっているわけでありますし、さっき申し上げましたように、それでもなおかつ日経連など経営者団体はまだまだあくせく、果実を分けるよりも先にもっと果実を大きくすることばかり追求しているように見えるわけですから、そういう意味で、今申し上げましたようなことも踏まえて、一日も早くひとつ週四十時間制の確立を初めとした時間短縮を進めていただきますようにお願いをしておきたいと思います。 次に、今度の法律改正による時短効果は、全体として余り大きな効果はないんじゃないか、こういう意見もあるわけです。このことについてどういうふうに考えるかお聞きをしたいのです。 御承知のように、本法案では週四十時間制の実施について、現行制度と同様、政令による猶予措置を前提にしているわけです。この猶予措置によって現行の週四十時間制の対象外に置かれている労働者は全体の五〇%に及ぶ、こう言われているわけです。したがって、この猶予措置を前提にする限り、週四十時間制が実施されても、同じく全体の五〇%が週四十時間制の対象外に置かれる。一方で、週四十時間制の適用対象となるのは、大企業を中心に既に所定労働時間が週四十時間以下のところがほとんどである。したがって、本法案による時間短縮の効果は微々たるものではないのか、こういう意見もあるわけです。労働省の見解はどうか。 あるいは、こういう実態を踏まえながら、今回の法改正に当たって、この猶予措置の対象となる業種や事業の規模について対象をさらに限定しようとしているのかどうか、その辺の考え方について承りたいと思います。
○石岡政府委員 今回の基準法の改正によりまして、平成六年四月から原則四十時間労働制に移行するということを考えているわけでございます。ただ、中小企業などを考えますと、一挙に四十時間制に移行できないいろいろな問題を抱えておりますので、平成八年度までそれら中小企業に時間的な猶予を与えまして、平成九年度から中小企業も四十時間制に移行していただくということを考えているわけでございます。 先ほど、猶予される中小企業を中心とした適用労働者が五〇%に近いとおっしゃいましたけれども、確かにそのとおりではありますが、この適用労働者がすべて例えば週四十六時間であるというわけではございませんでして、実態を見ますと、そういう中小企業におきましても四十四時間とか四十時間にしているところがございますので、適用労働者五〇%がすべて四十六時間に置かれているわけではございません。中にはそうではないのもたくさん入っております。 いずれにいたしましても、今年度詳しい労働時間の実態調査を行ってみたいと思います。業種別にもきめ細かく調べてみまして、そういう実態も十分踏まえて審議会でも十分御議論をいただきまして、どういう企業、どういう規模の業種を猶予対象にするか検討してまいりたいと思っています。
○石橋(大)委員 できるだけ時短の効果が上がるように、対象は限定的にひとつやっていただきますようにお願いをしておきたいと思います。 次に、十人未満の商業・サービス業等に関する週四十八時間の特例措置の継続、これについても必要やむを得ない最小限のものにすべきではないか、こういうことについて伺いたいと思うのです。 本法案においては、週四十時間制の実施について、十人未満の商業・サービス業等に関する週四十八時間の特例措置を前提にしている。この特例措置は、「公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要ある」事業について、「必要避くべからざる限度で、」労働時間及び休憩について別の規定を設けてよいとする労基法第四十条に基づくものであり、猶予措置と異なり永続的なものとされている。 しかしながら、現行の特例措置の対象となっている十人未満の商業・サービス業等が直ちにこの労基法四十条の要件を満たすかどうかもかなり疑問であるし、週四十八時間もの長時間労働を認める必要があるかどうかも疑問であります。したがって、この特例措置は一たん廃止をした上で、必要やむを得ない最小限度の範囲で猶予措置の一つとして取り扱っていくべきではないか、こういう考え方もあるわけですが、この点について労働省の御見解を承りたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今お話のございました商業・サービス業の十人未満の労働時間の特例措置でございますが、現在四十八時間という時間でこ の特例措置を行っているわけでございます。 今回の労働基準法の改正案の取りまとめに当たりまして、そのもとになりました中央労働基準審議会の建議、これでもこの点に触れておるわけでございますが、その中では、この特例措置につきまして、制度としては基本的に継続する、ただし、その四十八時間という水準につきましては、これを週四十時間労働制への移行スケジュール等も勘案して短縮の方向で検討する、また、対象業種でございますが、これも最新の実態を踏まえて検討していく、こういうことがその建議の中で指摘をされておるわけでございます。 これらはいずれも労働省令で最終的に決めることになりますので、本法案を成立さしていただいたならば、その段階で、中央労働基準審議会におきまして、先ほどの建議の趣旨に沿った労使の方々の御意見を聞きながら最終的に決定をしていきたいというふうに私ども思っておるところでございます。
○石橋(大)委員 よろしくお願いをしたいと思います。 次に、変形労働時間制の拡大について伺いたいのですが、結論を先に言うと、変形労働時間制を最長一年とすることは、一日八時間の労働時間の原則を骨抜きにして形骸化をしてしまうのじゃないか、こういうことであります。 昭和六十二年の法改正によりまして労働時間の弾力化に重点が置かれまして、結果的に一カ月単位あるいはフレックスタイム制、三カ月単位、一週間単位、こういう変形労働時間制がとられるようになりました。この変形労働時間制はいずれも労働時間を短縮するためのもの、こう言われてきたわけであります。そういう意味では、この四つの制度の普及状況あるいはそれが時短にどれだけ役に立ったか、こういうことを具体的に明らかにしていただく必要があると思いますが、この点については別の同僚議員の質問に譲りたいと思います。 法案では、変形期間を最長一年とする。現行三カ月単位の変形労働時間制においては、少なくとも通達で対象事業が、季節などにより業務の繁閑の差のある事業等、こういう形で限定をされ、変形期間も三カ月であることからその適用事業はおのずと限定されるのに対して、法案では業種の限定は全くないし、変形期間が一年にわたることから、広範囲の事業において変形労働時間制が導入されるおそれがあるのではないか。これでは変形労働時間制は例外的な労働時間制度ではなくなって、一日八時間労働の原則をさっき言ったように骨抜きにしてしまうのではないか、こういう心配がされているわけでありますが、この点について労働省の見解をお伺いします。
○伊藤(庄)政府委員 まず、最長一年の変形労働時間制が一日八時間の制度を形骸化するのではないかという点でございます。 この最長一年の変形制でございますが、これは週四十時間労働制、週休二日制に相当するわけでございますが、これをどんな企業でも最終的には取り入れていっていただく。その際には、やはりどんな企業でも年間を通じて操業度の波動性がある、また業務の繁閑もある、そういう中で、この週休二日制あるいはそれ以上の休日を年間単位をとらえた休日管理の中でやっていっていただこうと、そういうことのために設けることでございまして、実質的にはその週四十時間労働制の導入を円滑ならしめる方策として私ども法案の中に盛り込んだわけでございます。 したがいまして、そういった趣旨から、この一年の変形制を用いる場合にも、一日あるいは一週の労働時間の限度時間については、例えば現在三カ月の変形制につきまして設けられております一日十時間、一週五十二時間という上限時間を縮小する方向で検討するという審議会の御意見もいただいているところでございます。これが将来的に縮小された方向で労働省令で決定されれば、むしろ現行の三カ月制よりは一日あるいは一週にしても労働時間の変動幅はかえって小さくなる、安定した労働時間管理が行われることにつながってくるのではないかというふうに思っております。 また、業種の限定の問題でございますが、この最長一年の変形制が適用の対象になる労働者といたしまして、この変形期間よりも短い雇用期間の労働者は、この変形制の対象にはできない、こういう仕組みになっておりまして、したがいまして、実質的に雇用期間の短い労働者を使っているような場合とか、事業の事業期間が短い場合とかは使えないわけでございまして、そういった意味では先生から御指摘のあった業務の繁閑、業種等によって制限しなくてもいいかという点については、その点から十分対応が可能ではないかというふうに思っているところでございます。
○石橋(大)委員 さらに細部は別に後から時間をかけて詳しくやっていただくことにしまして、次に進みたいと思います。 次に、時間外と休日労働の削減についてちょっとお聞きしたいのですが、質問を二つ予定しておりますけれども、時間の関係がありますから一緒にお尋ねをします。 まず一つは、時間外労働削減のために時間外労働の上限を定めるべきだと思うが、どうかということであります。 時間外と休日労働については、御承知のとおり、平成三年八月一日の通達によりまして、所定外労働時間を三年間で毎年一〇%ずつ削減する、サービス残業をなくす、休日労働をやめる、こういった面期的な通達が出されているわけですが、文字どおり効果が上がっているのかどうかということも非常に問題ですけれども、やはりこの時間外や休日労働を削減をしていくためには上限をはっきり法律の中で明確にする、そういうことが非常に大事ではないか、こういうふうに、かねがねあちこちからも言われているわけですが、考えられるわけですね。 ILO条約など世界的な労働基準もそのことを当然のこととしているわけであります。一九一九年のILO第一号条約は、工業的企業の労働者について時間外労働を一日一時間を限度とし、一九三〇年のILO第三十号条約では、商業・事務所の労働者について時間外労働は一日二時間を限度としているわけであります。学者の論文によりますと、四十数年前の昭和二十一年当時、多くの労働組合は既に時間外労働については一日一時間以内、年間百時間ないし百十時間を要求する、こういう経過があるわけですが、四十年もたっているわけであります。この辺についてまず労働大臣の見解を伺いたいと思います。 あわせて、割り増し賃金率の引き上げについて、時間外・休日労働の関係について、御承知のとおり、時間外五〇%、休日一〇〇%、こういう労働者側の要求に対していろいろありまして、少し暫定的な決め方になっているわけですが、四党要求では三五%と五〇%、こういう要求も出ているわけですが、この辺あわせまして二つ同時に伺いたいと思います。
○村上国務大臣 時間外労働につきましては、日本的雇用慣行のもとで景気変動に対する雇用調整機能を有している面もあり、法律に基づき一律に上限を規制することはなかなか困難な面が多いのではないかな、このように考えているところでございます。 残余については基準局長からお答えさせます。
○石岡政府委員 法定割り増し賃金につきまして、労働組合側から、時間外につきましては五〇%、休日につきましては一〇〇%を法律上明記すべきではないかという御要望をいただいているところでございます。しかしながら、我が国の割り増し賃金率の実態を見ますと、大部分の企業におきまして、時間外そして休日ともにこれが二五%にとどまっている状況でございます。したがいまして、直ちに法律で労働組合側の御要望の線に大幅な引き上げをすることはいかがかであろうかなと思っている次第でございます。 しかしながら、労働省といたしましては、やはり恒常的な時間外労働あるいはまた休日労働を削減していくために、割り増し賃金率を引き上げていく必要があると考えております。そのため、今 回の法律では五〇%まで引き上げるということを目標にいたしておりまして、具体的には、今後日本の企業における時間外労働、休日労働の実態あるいはまた労使の取り組みの状況などなどを把握しながら、的確にその段階的な引き上げを図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○石橋(大)委員 御承知のとおり、最近の労働時間短縮の状況を見ると、所定内労働時間の短縮はある程度進んでいる。しかし、どうも所定外労働時間の短縮が非常に遅々として進まない、こういうところに最大の問題があることは御承知のとおりですから、この辺に対する歯どめをかけるためにも上限設定の問題は非常に重要でありますので、御検討をいただきたい、こう思います。 次に、裁量労働の時間制についてちょっと承りたいと思います。 裁量労働制は不払い残業を制度的に容認するものであり、長時間労働を助長する結果を招くことになるのではないか、廃止すべきではないか、こういうようなことから伺いたいわけです。 現行の裁量労働制は、その対象業務が「研究開発の業務その他の業務」、当該業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的な指示をしない業務として労使協定に定めた業務、こういうふうにされているわけであります。 具体的には、通達で ①新商品又は新技術の研究開発等の業務 ②情報処理システムの分析又は設計の業務 ③記事の取材又は編集の業務 ④デザイナーの業務 ①プロデューサー又はディレクターの業務 こういうふうに例示をされているわけであります。 ところが、今回の法案ではこの対象業務の定義から「研究開発の業務」という例示を削除して、新たな定義を「業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的な指示をすることが困難なものとして命令で定める業務」こうしているわけであります。 裁量労働制の対象業務について新たな定義を行うことによって裁量労働制の適用範囲をより拡大しよう、これが目的であると考えられるわけですが、しかしながら、裁量労働制は、対象業務について、労使協定で、労使協定に定める時間労働したものとみなすと定めればその定めた労働時間に対応する賃金しか払わない、こういうことであるわけです。 これら対象業務の労働者は、業務遂行の時間配分をその裁量にゆだねられた者とされているわけですが、業務遂行の時間配分については裁量の余地があっても、仕事量そのものについては裁量の余地がない、これが普通ですから、結局与えられた仕事をこなすために、協定に定める時間を超えて労働に従事する結果になりかねない。したがって、裁量労働制は不払い残業を制度的に容認するものになってしまう、こういうことになるわけです。確かに統計上の労働時間は短縮されるかもしれませんが、実際にはそうならない、こういう問題があるように見られるわけです。 こういう大きな問題をはらむ裁量労働制については、拡大をすべきではなくて、現行の裁量労働時間制も含めて廃止ないしは縮小の方向で検討すべき問題ではないか、こう考えますが、いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 裁量労働制の問題でございますが、今回の改正内容が対象業務の拡大という形になっているのではないかという御指摘でございます。 この裁量労働制は昭和六十二年の改正の際に設けられて、内容は先生からお話のあったとおりでございますが、今回改正の際に審議会で御議論のありましたのは、今まで例示されていた業務のほかに、例えばホワイトカラー、サラリーマンの方々等で、例えば本社で非常に高度な経営上の企画、戦略づくり、そういった部門を担当する者の中にかなり仕事の遂行方法、時間配分等について裁量にゆだねられている人たちがいるので、そういう人たちの労働時間管理が極めて困難である、そういうことに対して一定のルールの設定ができないかという議論がございました。ただ、この点につきましては、早急に具体的な線引きを行い、法制化することについていろいろ技術的な問題もございましたので、これはいずれ研究会等をつくって、ホワイトカラーの方々のそういったものの時間管理はどうあるべきかということを実務的に十分検証した上でやっていこう、こういう結論でございました。 ただ、今回裁量労働制について一定の改正を行いましたのは、現在の取り扱いが通達で例示、列挙されていて、いわゆる研究開発職その他のスペシャリストの方々についてはどこまで使えるのかという限定がない。したがいまして、今度の改正におきましては、そこは命令で決める、いわゆる労働省令で決める、こういう形にいたしまして、むしろこの裁量労働制が対象業務を明確にして安定的な利用を行っていただくことにつながるのではないか、こういった観点から改正を行った次第でございます。
○石橋(大)委員 いろいろ検討されたようですが、今申し上げましたように、長時間労働やサービス労働につながらないように、ひとつしっかりとした歯どめをかけていただきますようにお願いをしておきたいと思います。 次に、年次有給休暇の取得促進について伺いたいと思うのです。 これに関しては、年次有給休暇の取得促進のために有給の病気休暇制度が法定されるべきだと考えられるかどうか、これが私の質問の焦点です。 法案は、有給休暇取得促進の方策として継続勤務要件を六カ月に緩和しているわけですが、これ自体は有給休暇取得可能者を拡大することにつながるものでそれなりに評価をできるわけです。しかしながら、我が国においては有給休暇があってもその消化率が著しく低い点に大きな問題がある。これは労働省もよくよく御承知のとおりです。この点について法案は何らの改正も提起をしていない。 我が国において有給休暇の消化率が著しく低い原因の一つは、病気休暇の制度が法定されておらず、有給休暇を病気による休業のために確保しておこうとする心理が労働者に働くことが非常に大きな障害になっているわけであります。 労働省でつくられた「こうして進める年次有給休暇、連続休暇」なるパンフレットに掲載されている「年次有給休暇の取得率の低い理由」というアンケート調査によりますと、有給休暇をとらない理由の第一は「後で多忙になるし、同僚にも迷惑になる」これが二五・七%、二番目に「病気や急な用事のために残しておく」これが一七・八%、三番目が「職場の雰囲気が、年次休暇を取りにくい」一五・七%、こういうことになっているわけであります。 そういう意味で、ILO百三十二号条約が傷病による欠勤を有給休暇に振りかえることなどを禁止していることからしても、我が国においても有給の病気休暇の制度が法定されるべきではないか、こう考えるわけですが、どうか。 それから、これも二つ一緒にしますが、年次有給休暇の付与日数はILO百三十二号条約の水準まで引き上げるべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。 御承知のとおり、ILO百三十二号条約は、最低三労働週の休暇と二労働週の連続休暇を定めているわけであります。我が国の有給休暇の日数はかかる国際的な水準から見て非常に立ちおくれている、こう言わざるを得ないわけです。少なくともILO百三十二号条約の水準までは早急に引き上げを図るべきではないか、こう考えますが、この点についての労働省の御見解を伺いたいと思います。
○石岡政府委員 最初に、有給の病気休暇制度を法定すべきではないかという御質問にお答え申し 上げますけれども、労働省で調べてみますと、二四・九%の企業が年休制度とは別に病気休暇制度を設けております。そこで、これらの企業において年休の取得率はどうであったかということをさらに調べますと、病気休暇制度がある企業においてもない企業においても、年休の取得率はそう大きな差はないという調査結果が出ております。したがいまして、病気休暇制度の導入がありますと直ちに年休の取得率が高まるかどうか、いささか問題があるところではありますけれども、中央労働基準審議会の中には御指摘のような制度を設けるべきだという意見もこれあり、この問題につきましては今後の検討課題にさせていただきたいと思っております。 それから年休につきましては、今度、取得の条件を六カ月以上勤務した者から与えるということで改善することを考えているわけでございますが、御指摘のとおり年休の日数自体につきましてはその引き上げを法案では考えておりません。 これは、審議会でもいろいろ審議をした結果こういう方向になったのでございますけれども、若干審議会の議論を御紹介いたしますと、中小企業につきましては、さきの基準法改正で年休を十日に引き上げなければいけない……、一挙にできないものですから、猶予期間を設けながら中小企業に対応してきていただいております。そしてその結果、平成六年の四月から中小企業はようやく十日年休を付与するという事態になるわけでございます。こういう十日になった途端に年休をさらに十五日などに引き上げるというのは、やはりいろいろ議論があったところでございますが、この引き上げにつきましては、審議会でも今後の重要な検討課題の一つになっておりますので、真剣に今後検討させていただきたいと考えております。
○石橋(大)委員 今病気休暇制度をつくっているところも二四・九%あるが、それだからといって有給休暇の取得率が上昇したという形跡は見られない、こういう御答弁でしたが、何にしても、制度を変えたらすぐ一挙に一〇〇%実現をするということになかなかなりにくい面もあると思うので、時間をかけてPRをしたりすることによって徐々にそういう病気休暇が利用されることにもなろうと思っていますので、ぜひひとつ、今病気休暇制度をつくっているところで有給休暇の取得率が少ないからといって、病気休暇制度を設けることをあきらめないようにしていただきたい、こう思います。 次に、もう時間がありませんので、最後に、二つほど予定しておった問題を一くくりにちょっと質問をしたいと思うのです。 一つは、農林水産業への労働時間法制の適用についてであります。 去年の十二月十八日の中央労働基準審議会の報告によりますと、「農林水産業への労働時間法制の適用 農林水産業については条件整備のなされたところから順次労働時間に係る規定の適用対象に加えることができるよう所要の整備を行うこととする。」こういうふうに報告されているわけであります。 私は、長年農林水産委員会で、今でもそうですが、農林水産業の問題に携わっているわけですが、若手の後継者、担い手不足のために我が国の一次産業は崩壊の危機に立っている、こういう状況もありますので、労働時間法制や社会保障制度の適用をどうするかということは非常に深刻な問題ですが、この際、労働省が「条件整備のなされた」と言われる「条件整備」とはどういうことを具体的に考えているのか、参考に承っておきたいと思います。 それからもう一つは、過度の長時間休憩による長時間拘束に対するガイドラインの作成について、この際伺っておきたいと思うのです。 さっき申し上げました中央労働基準審議会の報告によりますと、「8 その他」の項において、「過度の長時間休憩による長時間拘束については何らかのガイドラインの作成を含め政府は適切な指導を行うこととすべきである。」こういうふうにされているわけです。 そこで、まず第一に伺いたいのは、過度の長時間休憩によって労働者を長時間拘束することにいかなる問題があると認識しているのか、このことが一つ。 二つ目は、旅館業のある業種においては、例えば客のチェックアウトからチェックインまでの数時間、回ないし五時間の休憩時間として取り扱われていると聞いている。このような長時間の休憩時間は無賃金のまま拘束されるということから、何らかの是正措置が必要と思われる、そのためにガイドラインを作成する、こういうことになっていると思うのですが、このようなことは旅館業だけではなくてほかの業種にもいろいろ見られるのではないか。そういう意味で、全産業・業種にわたる長時間休憩による長時間拘束についての調査が必要ではないか、こう思いますが、労働省の御見解を承って質問を終わりたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 最初に、今回労働基準法の適用を新たにすることといたしました林業につきまして、その必要な条件整備とは何かという点でございます。 林業につきましては、これまで国会におきましても労働時間法制の適用をすべきではないかという決議もございました。また、林業労働につきましては、後継者の確保等の問題もあり、林野庁が就業構造の改善事業を積み重ねてきた経過もございます。私どもとしても、その実態等についてしばしば調査等をしてその把握に努めておったわけでございますが、私どもの把握した限りにおきましても、就業規則の整備あるいは休日の管理、そういったところにつきまして労働基準法を全面的に適用し得る実態ができ上がりつつある、こういう認識に至りまして、今回労働基準法の適用に踏み切らせていただいたわけでございます。 御指摘の農業等の問題につきましても、引き続き農林水産省と協議は続けてまいりたいというふうに思っております。 それから、長時間休憩の長時間拘束による問題でございますが、これは直接は、今回審議会で議論になった経緯は、旅館、ホテル業界等から、長時間の休憩によって労働時間以外の部分でこんな非常に長い間労働者を拘束してしまうことの問題点が出たわけでございます。以前はトラック等の自動車運転手についてやはりその長時間拘束の問題がございまして、これについては既に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」これをつくりまして、労働大臣の告示に基づいて関係業界の指導に入っているところでございますが、ホテル業界等、その他どういったところで具体的にこの長時間拘束の問題があるか、関係業界からこの法案成立後いろいろ話を聞きまして、さらには実態等深く踏み込んで調べまして、必要なガイドラインの作成等の検討作業に入ってまいりたいというふうに思っております。
○石橋(大)委員 時間がないかと思ってかなりはしょりましたから、あと一、二分時間は残っておりますが、一応以上で私の質問を終わりたいと思います。ぜひひとつ時間短縮、週四十時間制の実現に向けて、大臣以下労働省の皆さんのさらなる御健闘を祈りまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○岡田委員長 午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時三十二分休憩 ――――◇――――― 午後零時三十三分開議
○岡田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岩田順介君。
○岩田委員 六十二年に四十年ぶりの労働基準法改正が行われておりますが、自来六年間経過をいたしました。四十年ぶりというのも大改正であったのでありますけれども、この六年間を見ましても、日本における社会構造、産業構造の変化というのは非常に著しいものがあります。それは単に国内的な問題だけではなくて、国際環境も変わってまいりましたし、その国際的な状況の変化が日本に与える影響というのもかつてないほど大き な比重が出てきているというふうに思うわけであります。 後ほどもこの点につきましては幾つかお尋ねをしてまいりたいというふうに思いますが、先ほど大臣の答弁をお聞きをいたしておりまして、私は、やはり豊かさだとかゆとりだとかというのは家族を中心とした時間空間、余暇空間をどれほど持ち得るかということでもあるであろう、高齢化社会である、こういうことを考えますと、当然そういうことが問題になってくる。それから、過労死の問題も、これは後日我が党の専門家が御質問しますけれども、労働時間の問題と関係なくはないという、まさに労働時間の問題が日本人の生活の豊かさに到達するためにも大変大きな比重を占めている、こういうことだと思いますね。 先ほど大臣の答弁の中で、私も感心をいたしましたが、まず、貧しさからの解放であろう、病気からの解放であろう、そして、争いのない社会をどう実現するかというのが労働大臣の世界観といいますか人生観とすれば、これはまさにすばらしいというふうに私は思います。人間が自由に時間を征服したときにそれが到達されるという意味のことを言われましたが、大変遠大な理想でもあろうというふうに思います。御答弁を聞いておりましたが、ああいうふうに理想を掲げたけれども現実はなかなか難しいというような御答弁も後ほど私はあったやに思いますが、まさに労働省が果たさなければならない役割というのは極めて遠大であるというふうに実感をした次第であります。 そこで、労働時間問題に対する認識、それから労働時間の長さというのはもう言われて久しくなりますね。一体国民的なコンセンサスというのができ上がっているかどうかという判断は、極めて重要であろうというふうに思います。宮澤総理も常々欧米並みの労働時間ということをおっしゃっていますし、「生活大国五か年計画」の計画期間中にはおおよその産業でこれを到達をしたい、こういうこともおっしゃっていますから、認識をされているというふうに思いますけれども、例えば、中央労働基準審議会の花見会長は「我が国は、経済的地位では世界のトップクラスに達しているにもかかわらず、勤労者一人一人がそれにふさわしい豊かさやゆとりを実感できない実情にある。」その原因はまさにこの長時間労働である、「生活大国への前進を図る上で是非とも達成しなければならない国民的課題」だ、こう言い切っておられます。これは昨年の一月の三十日に発表されました建議の中の冒頭にある文章なわけですね。それから日経連も、「我が国の名目賃金水準は世界のトップレベルなのに、サラリーマンや労働者が豊かさとゆとりを感じられないのは、個人が自由にできる時間的な余裕がないことと、国際的に割高な消費者物価水準のためである」こういうことも公式に見解を明らかにされております。 もうこの国民的コンセンサスはどこにも間隙のないほどにでき上がっているというふうに思いますけれども、改めて、労働基準法を中心とする労働時間の問題に対する積極的な決意も含めまして、大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。
○村上国務大臣 私も同様に、多くの国民が勤労時間の短縮は時代の大きな流れと意識していらっしゃると考えております。一つの国民的合意というものができつつある、こう思っておりますが、さらにこれを進めていく上には意識革命が私は必要だ、こう思って、今後さらに国民各層の御理解を得ながら労働時間の短縮のために全力を挙げてまいりたい、このように思っております。
○岩田委員 だれの意識を変えるのか、どういうところの意識を改革するのか、革命ということをおっしゃいましたけれども、私もそれは当然そうだと思いますね。働く側の意識も改革しなきゃならぬでしょう、それから企業における使用者の改革は去年あたりからどんと問題になってきていますけれども、これは時短の問題だけじゃなくて、日本経済の国際競争力をつけるためにも、新しい展開をするためにも必要だということは、これは新たな課題になっております。 そういう意味だというふうに理解をしておきたいと思いますけれども、労働時間の実態について、近々の状況をお知らせいただけませんか。
○伊藤(庄)政府委員 労働時間の最近の状況でございますが、まず、労働者一人当たりの年間総実労働時間、これで見てまいりますと、六十二年の改正労働基準法が施行されましてから着実に減少してきておりまして、平成四年の年間総実労働時間は千九百七十二時間ということで、前年度に比べて四十四時間減りまして、初めて二千時間を割った、こういう状況でございます。特に、景気の低迷等の影響もございまして、平成四年の数字では所定外の労働時間が前年に比べて二十六時間の減少というようなことで、大幅な減少になっております。 また、週四十時間労働制と密接に関連します週休二日制の普及状況、これを取り上げてみますと、平成三年には何らかの週休二日制の適用を受ける労働者の割合が九一・六%、完全週休二日制の適用を受ける労働者で見ますと、中小企業等の普及状況はまだまだでございますが、全体としては四五・九%という状況になっております。
○岩田委員 大臣を初めこの間の労働行政に対する、とりわけ時短に対する問題意識の集中とそれに伴う積極的な行政展開というのは、我々もよく評価をしているところであります。 今部長からも御報告がありましたように、平成四年で見ると千九百七十二時間というふうに縮まっているという御報告がありました。その内容は、週休の普及が何らかの形で九一・六%になっている、中小も四五・九%、やがて半分くらいに週休も到達しようという状況になっているという御報告でしたけれども、努力の一定の成果があることを私も認めるわけであります。しかし、ここ数年来の時短の減少傾向というのは、大きな要因として景気低迷による残業時間が減少したということが指摘をされるのではないか、かように思うわけですね。労働省の努力というものを私は否定するわけでは全くないわけでありますが、逆でありますけれども、それだけではない要因が景気低迷による残業の削減で出てきているというふうに一つは押さえておかなければならないのではないかというふうに思います。 例えば、これは平成五年一月の対前年比でありますけれども、所定内労働時間はマイナス一・二、減っております。所定外労働時間に至っては二一・四%減少している、こういう数字が出ております。当然これは労働者の実入りも少なくなっているわけですよ。所定外給与にいたしましては、約二万円減っていますね。二万円減っているという状況があります。今申し上げましたのは事業所規模が五人以上のところですね。三十人以上の事業所規模で見ましても、大体この数値は同じような傾向で出ておりますね。残業問題を含めてきちんと押さえなければ、単純に労働時間が減少したということは言えないというふうに考えるわけでありますが、この辺はどういうふうにお考えですか。
○石岡政府委員 平成四年の労働時間が、前年と比較いたしまして、先ほど部長が申し上げましたように大幅な減少を示しました。その一つの要因は、先生御指摘のとおり、不況の影響で所定外労働時間が減少したというところにあろうかと思います。その結果、これまた御指摘のとおり、確かに労働者の残業手当が減りまして、所得の低下も招いている事実があろうかと思います。 こういう事態は必ずしも私は望ましい事態だと考えておりません。やはり労働時間の短縮を円滑に進めていくためには、基本的には、生産性の向上を図りまして、それによって所得の低下を招かないようにしていかなければならない。また、それを踏まえながら残業に余りにも依存する賃金体系、賃金制度も労使間で見直しが図られていかなければならないんじゃないか、そういうふうに考えております。
○岩田委員 局長おっしゃいましたように、労働時間短縮という政策からして必ずしも望ましい状況ではないということは、そのとおりだと思いますね。先ほども申し上げましたように、三十人、五 大規模のところを申し上げましたが、やはり労働者の実態というのは非常に苦しいわけですよ。まず、住宅ローンの支払いにどんと壁が来ていることは事実でしょうね。それから、自動車のローンにも来ているでしょうね。それから、最も圧迫を受けているのは教育費かもわかりませんね。こういうことを考えると、今局長がおっしゃいましたように、時短の問題を賃金制度の問題として考えていく、検討していくということは非常に重要な問題だというふうに思うわけです。このことをきょう議論する時間がありませんが、ぜひ早急な検討というか具体的な検討をする必要があるということは申し上げておきたいというふうに思います。 我が国はレイオフをしないから、生首を飛ばさないから多少残業の幅があることはいいじゃないかという議論があることは、率直に言ってそれはあります。それは全く否定できないものとしてあることを私も承知をしておりますけれども、こうも経済の波によってどんと、つまり中小企業の皆さん、中小企業に働く従業員の皆さんがいち早くもろに波をかぶるというのは、これはどういうものかというふうに思う次第であります。 したがって、これは何らかの検討を加えなければならないし、そのうち景気がよくなってもらわなければ困りますけれども、来年か、来年の夏くらいにはまあまあという景気になることを、我々は一日も早くなることを期待しますけれども、なり始めるとこの時短問題というのがどこかへ飛んでいってしまって、またもとのもくあみに返るんじゃないかというのは、これは古くて新しい問題じゃないでしょうかね。これはやはり肝に銘じていく必要があるというふうに思います。 そういう実態というのは、これは例えば、午前中の質問でも石橋委員が、労働組合の組織率が低い、したがって対等にこれは企業とは交渉できないではないか、こういう問題提起もしておりましたけれども、まさにそれはそのとおりでありまして、そこにこの労働基準法というのが存在をしているんだと思いますね。経済の波、ちょっとした波によって大きな変動と犠牲を勤労者に及ぼす、そういうことがないように労働基準法があって、労働時間問題についても、局長がおっしゃったように賃金を考慮しながら法的な対応が必要である、法的な規制が必要である、こういうふうに思うわけでありますが、その点は一体どうでしょう。
○石岡政府委員 我が国の時間外労働制度は、先生も御指摘なさいましたように、景気の変動に対しまして雇用をできるだけ守るといった機能を果たしているのは事実でございます。そういった機能はこれからも基本的には残していかなければならないのではないかと私思いますけれども、御指摘のように、景気の下降期に時間外労働が減りまして所得の減少が起こる、あるいはまた、景気が上昇しますと残業時間が極めて長くなってしまうといったところは問題だと思います。 したがいまして、妥当な時間外労働の水準というものがどの辺にあるかは必ずしもわかりませんけれども、できるだけ今申しましたような不測の事態が起きませんように、妥当な水準を念頭に置きながら、労働省といたしましても、時間外労働協定の適正化指針を定めまして、過度な残業がないように、あるいはまたその他の問題がないように、是正をしてきているところでございます。 その中で、残業の問題を考えますと、一番問題なのは御指摘のように中小企業ではないかと思います。三六協定は確かに結べないことはありませんけれども、中小企業の実態を見ますと、労働組合もできていないといったところが多いわけでございまして、それらを背景にいたしまして、時間外労働でいろいろ問題があったり、あるいはまた、所定内労働時間そのものも長いという問題があったりするところでございます。 我が国の労働時間の短縮を進めていくときには、何といいましても、一番大事なのは中小企業の労働時間の短縮をどう進めるかでございます。そのためには、やはり基準法による所定労働時間の改正も必要であろうと思います。また、そればかりではなく、中小企業の時短が進まない理由には、親企業と下請企業というような関係で取引条件が非常に厳しい、したがって中小企業がなかなか時短ができないという取引条件の問題もございます。あるいは、中小企業は生産性をなかなか上げにくいという構造的な問題もございます。 それらにも重要な問題意識を持ち、関係省庁と協力しながら、あるいは時短促進法などの適切な運用を図りながら、これらの問題の解決にも努力をしなければ中小企業の時短が進まないと考えている次第でございます。 いずれにいたしましても、中小企業の時短を進めることこそが日本の時短を進めることになりますので、そういう意識を持って、あらゆる施策を動員しまして、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
○岩田委員 ぜひ決意のほどを新たにしていただきたいと思います。 執拗に思われるかもしれませんが、その点について重ねて御質問をさせていただきたいと思います。 午前中の石橋委員の質問にも関連するわけでありますけれども、昨年十二月十八日の日経連の永野会長の中基審建議についての談話と、それから、いわゆる報告が発表されておりますけれども、言わんとすることは、経済成長と生産性、労働力供給の展望を度外視して労働時間を短縮するというのは無理がある、これはこのとおりなのですよ。これはそうでしょう。それから、いわゆる欧米というけれども、日本の労働時間は、平均的には現在のアメリカ、イギリスの水準にほぼ近づいている、余り無理をしないでいいのではないか。そうして、ここで言われていることは、「中長期的には千八百時間台への到達も射程距離に入ろう。したがって、当面はまず、年間千九百時間台半ば」というのをきちんと方向として出してあります。 この時期から考えますと、いわゆる中基審の答申に対する一つの牽制とも読めるわけですが――牽制が悪いとは言いませんよ、当然経営者団体の考えに基づかれた方針が出てくるわけですから、これはこれでいいでしょう。しかし、午前中の議論にもありましたように、例えば猶予措置の問題一つとってみましても、コンセンサスはでき上がっているとはおっしゃいましたけれども、やはり経営者団体との乖離は相当あるわけです。政府の方針との乖離もあるわけです。それを念頭に置いて質問をいたしましたら、局長は午前中も、政策の展開をやっていけばこれは縮まるのではないか、各省庁との協議も努力するというふうに言っておられます。中小零細などは、三六協定を結べなくはないのだけれども、しかし、実情は特殊な状況に置かれていて、これも視野に入れて行政指導をやるということだっただろうと思いますけれども、そういう程度で果たして進むかどうかということを懸念するので再度聞くわけであります。 いわゆる乖離があるというふうに思うのですが、よほど早めて、縮めて走らないと、計画期間中の千八百時間はなかなか困難であると思います。これは後退させられないのです。悠長ではいけない。こっちの言うこともあっちの言うことも聞こうでは、労働省は絶えずふらふらしていかなければならぬようになるわけであります。 あえて聞くわけですけれども、乖離は大きいと思いますが、その推進の決意のほどをもう一度聞きたいと思います。
○石岡政府委員 御指摘のとおり、日経連は「生活大国五か年計画」の千八百時間という総労働時間の達成にはかなり無理があるのではないかといった見解をいろいろな機会に表明されておられるところでございます。確かにこの千八百時間達成には、マクロで見まして、相当高い労働生産性の向上がなければ達成できない面もございまして、使用者団体のおっしゃる点には確かに一理はあると私自身は思っております。 しかしながら、この千八百時間の目標は、やはり労使が生産性の向上などに真摯に取り組む、また、政府も基準法の改正あるいはまた民間企業の生産性向上のための助成措置などを講じて政策努 力をすれば、決してこの「生活大国五か年計画」の目標達成は不可能なものではない、そういうふうに考えているわけでございます。 しかしながら、その中で一番問題となりますのは、やはり中小企業の時短ではないかと思います。 このためには、今回基準法の改正をいたしますけれども、猶予措置を設けながら週四十時間制への道筋を法律によってつけていかなければならないのじゃないかとも思いますし、あるいは、先ほど申しましたように、中小企業の生産性向上だとか取引条件の改善には法律ではなかなかできない面がいろいろございますけれども、関係省庁と強力な体制を組んで取り組んでいく。さらには、経営者側の労働時間の短縮に対する理解にはまだ不十分なところが確かにございます。これを一層求めながら「生活大国五か年計画」の目標に向かって懸命に努力をしてまいりたいと思っております。
○岩田委員 今局長は、本当に重要な点を御答弁いただいたと思います。なかなか困難であるけれども、これはやはり下げることはできないという決意が私には非常に強く伝わってきました。経営者側のいわゆる取り組みも不十分だという点は、私はそこだけを強調して共通の立場に立とうと言っているわけじゃ決してありません。労働組合も問題でしょう。もう少し頑張ってもらわなければいかぬと思います。そして、やはり国民全体が時短問題についてのいろいろな立場からのこの重要性の共通感を持っていくことが必要だろうというふうに思います。労働組合だけではよくない、会社だけではよくない。つまり、例えば休日をとるにも気兼ねが要る、人事考課にはね返るんじゃないかということ、これはみんながやはり共通の目的でもって意識の革新をしなければ進まない問題だろうと思います。 そこでもう一つ、意識革命の問題にこだわるわけじゃありませんけれども、先日、我が党の岡崎委員がドイツの与野党の女性議員の来日の際に懇談をされておりますが、その話を聞くと、日本の男性はもう少し頑張らぬといかぬというのが共通な話題だったそうですね。それは、もう少し主人が家庭に帰る時間を持つように、しっかりするように、あなた方女性議員は何とかしなさいということだったと思うのですよ。 昨年の夏だったと思いますが、ECのあれは労働委員会委員長ですか、女性でしたよね、お見えになっていました。最後は我々に対して非常に厳しい言葉を残して席を立たれましたが、日本のお父さんたちというのはそんなに家庭に帰りたくないのか、こういうことをおっしゃっていました。それまでして労働時間が長いのに、あなた方国会議員は何をしておるのかという痛烈な御指摘がありました。これは、やがてそういう合唱になるかどうかは別にしましても、国際議論の一つに日本の長時間労働が問題になることは、これは避けて通れないんじゃないかというふうにも思います。 今クリントン政権の労働省長官に就任をされましたロバート・ライシュという人が書いた本の日本訳があります。これは「ザ・ワーク・オブ・ザ・ネーション」という本だったと思いますけれども、その日本語版のいわゆる序文に当たるところでいろいろ書いております。日本を意識して書いていると思います。 例えば、一つは、アメリカの教育を見ると、非常に程度が低いと言われている。しかし、アメリカでは、日本に比べて十七歳のいわゆる学生のうちに読み書きできない人が二〇%近くおるというふうに書いています。日本ではそんなことはない。もうテストさせると世界一になるような子供ばかりなんだけれども、しかし、アメリカにはシンボリックアナリストというのが自然に少年少女の時代に二〇%以上備わっていると言っています。 午前中、大野委員の御質問の中に文部省への質問がありましたが、私もそういう問題意識を持っておりますけれども、日本の場合は比較的というか農業がこれほど大問題になっている、後継者が少ない、日本の文化であるというふうに言いながらも、教科書には農業というのは比較的出てこないのです。職業全体をどう理解させるかということでは出てこないですね。この差がやはり出てきているんじゃないかというふうに思います。これは、将来日本も大変ですね。 それからもう一つ、いわゆるこれからの経済というのはグローバルになっていく。地域主義の萌芽もあるし、ナショナリズムの新たな結束もある。しかし、これから先に「各国はまず第一に、自国の国民が世界経済により多くの価値を付加できる能力を増大させることに責任を持つべきだということである。そうした努力は、他国の犠牲によって推進されるということはない。」こういうことも書いておりますけれども、やはり今国際的な環境の上からも、日本の労働時間問題というのは不退転な決意であることは言うまでもないわけであります。 そういった意味で、この意識革命というのは本当にそのとおりだというふうに思っていることを、これはもうあえて御答弁は要りませんけれども、そういう気持ちで私は答弁を聞いたということを申し上げておきたいというふうに思います。 後先になりましたけれども、労働時間の国際比較をちょっとお知らせいただけませんか。
○伊藤(庄)政府委員 各国の統計を比較する場合に、ちょっととり方が違うものですから、年間総実労働時間の比較を行う場合に、私どもは製造業の生産労働者を比べまして比較しやすい形に直して推計いたしておりますが、その方法によりまして、一九九一年時点の製造業の生産労働者について比較をいたしますと、日本が二千八十時間ということになります。これに対しまして、アメリカ、イギリス、これは千九百時間台、それからフランスが千六百時間台、旧西ドイツでございますが、これが千六百時間を少し切るところの程度、大体こんな水準になっております。
○岩田委員 午前中の御答弁にもありましたけれども、いわゆる一人当たりの国民総生産と労働時間の問題という点で今の数字を見ていきましても、国民総生産でいきますと日本が一番高いわけでして、日本、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、こういうふうになっていますが、大した差はないのですよ。しかし、やはり労働時間の長さだけを見ると飛び抜けて日本は高くなっているというのが目につきますね。労働時間と引き直してみますと、ぐっとやはりグラフは変わってきますね。これが変わってくるわけですね。ここにもやはり国際経済というか、経済競争力の原理みたいなものではいろいろ問題が出てき始めるのではないかというふうに思っているわけであります。 この辺の配慮というのはどういうふうにお考えでしょう。
○村上国務大臣 先ほど、岩田委員のお話を承っておりまして、私のまず意識改革と申しましょうか革命と申しましょうか、全くそのような考えで私も申し上げたということを申し上げておきたいと思います。 そこで、御指摘のような状況は、我が国が生産性の向上を図りながら労働時間の短縮を進めることの必要性を端的に物語っているものと受けとめております。経済的には先進国の有力な一員となった現在、国際的な批判を招かないような社会をつくり上げる必要がある、このために、真の豊かさやゆとりを持つための時のゆとりを目指して、労働時間の短縮により一層積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○岩田委員 次の質問は、ちょっと変えまして、今G7、蔵相外相会議が終わりましたが、やがて東京でさらにサミットが開催をされるわけです。日本の高い貿易黒字というのが一つの注目になって、日本の経済政策はどうなるのかというのが注目されるところだと思いますね。対日支援問題とかかわってくると思いますけれども、日本の経済対策につきましても、十三兆を超える予算を組むことになっておりますが、果たして真水がどれぐらいあるかなんということが米議会でも問題になったというのをちらっと私新聞で拝見をいたしましたが、つまり国際公約ですからね。時短も、これは経済五カ年計画では国際公約ですから、本当 に今度は達成できるのかというような質問を大臣も受けるかもしれませんね。一体どういうふうにお答えになるのか。今言われたように断固達成するというふうに言わざるを得ないのでありましょうが、何回も国際公約というのは破ってはいかぬと思いますね。 それから、日本の場合、政府はゆとり、豊かさということをたくさん言われておりますけれども、千八百時間の達成目標も欧米並みというふうに言っておられますけれども、欧州とアメリカは違いますよね。これは、永井委員が過日六日の本会議でも質問の中に言われておったと思うのでありますが、千八百時間が最終到達目標じゃないですね。当面は千八百時間でしょう。欧米という場合に欧州とアメリカは違いますね。これはどういうふうに理解をすればよろしいのか、お伺いをしておきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 まず、千八百時間という政府の計画に織り込まれたもの、対外的にも一つの公約になっておるのではないか、それの実現に向けての考え方でございますが、確かにこの千八百時間は経済計画の大きな柱になってきております。私どもそれに向けて年間総実労働時間の減少に取り組んでおるわけでございますが、前回の労働基準法の改正以後着実に減少しつつあります。現在御審議をお願いしておりますこの週四十時間労働制への移行、これを軸にいたしました今回の改正法案、これを成立をさせていただければ、この千八百時間の目標達成に向けて一つの大きなはずみになってくるのではないかというふうに考えております。 もとよりこの千八百時間という目標の達成は、法定労働時間という法的整備は重要な要素でございますが、それだけでなくて、例えば年次有給休暇の取得率の向上あるいは時間外労働について一定水準までその削減を図ってくること、そういったことに向けての労使の取り組みも重要な不可欠の要素でございますので、私ども、こういった法改正に向けて努力していること、また、そういう有給休暇の取得、時間外労働の削減、そういったことに対する労使の取り組みについても、政府も一体となってそれを促進していること、その辺を対外的にも十分御理解をいただきながら、また対内的には一層のそういった施策の推進を図って、この千八百時間に向けて努力をしていきたいというふうに思っておるところでございます。 それからもう一つ、欧米並みというふうに私ども労働時間の短縮の目標を申し上げる場合が多いわけですが、この欧米並みという労働時間について具体的に例えばどこを一つのモデルとして考えているのかというような観点かと存じますが、私どもこの千八百時間という目標を掲げた基礎になる考え方は、必ずしも諸外国、欧米との比較だけではございませんで、一つは、週四十時間労働制、完全週休二日が我が国の社会に定着している姿、また年次有給休暇について申し上げますと二十日、これを完全に取得される姿、また所定外労働時間で申し上げますと、大体百五十時間を少し切る水準まで時間外労働が削減されてきている姿、こういったものを積み上げまして約千八百時間というものを一つの行政目標として掲げておるわけでございます。 それら一つ一つの施策が果たしてどの辺まで私ども到達可能かを積み上げながらこの千八百時間という目標を達成しようとしておりまして、たまたまこれがヨーロッパタイプの千六百時間台あるいはそれを切るフランス、ドイツの姿と、アメリカ、イギリスの千九百時間台という姿のちょうど中間のあたりに位置していたということでございます。
○岩田委員 千八百時間というのは、御説明ありましたけれども、前川レポートにも千八百時間というのが欧米とのかかわりで出てきていますね。出てきたと思います。あれは八六年か七年かでしたが、私がこれをあえて聞きましたのは、今伊藤部長から御報告ありましたように、イギリス、アメリカが千九百時間、西ドイツ、フランスが千六百時間をちょっと切っている、そういうことですね。一番時短が進んでいるドイツを目標にして千八百時間を早く到達して、次は千六百時間にいけというふうに言っているわけではないのです。そういうことで言っているというわけではないのですね。その国その国でそれぞれ歴史があるわけですよ。時間短縮にも歴史があるわけです。これは時間短縮の歴史というよりも、例えば労働組合の歴史でしょうし、労使の歴史でしょうし、第二次世界大戦後のいわゆる復興の歴史だろうと思いますけれども、いろいろそれは歴史があって今日の時間があるわけですから、千九百時間であるアメリカ、イギリスがドイツやフランスよりもいいとか悪いとかという単純な議論は当然成り立つわけじゃないのです。 ただ、これらの先進資本主義国と言われている国々は、いわゆる自由経済圏なのです。自由経済市場主義ということで共通をしているわけです。しかし、それでもそれぞれの国のやり方は違うのですね。民族性としては比較的ドイツに似ているのじゃないか、私はそういう関心をちょっと持っていたわけです。 例えば、ドイツの場合、農業をしておられる両親が引退をする、隠居をする、そのときは子供のうちの一人が家督を継ぐわけです。農業をするということであれば全部家督を継ぐわけですね。そして、隠居する場合に隠居契約などというものがあるらしいのですが、余った財産は他の子供たちで分与して、お墓も守っていく、日本もそうですよね。少し変わってきました、核家族化になってきましたけれども、百姓の長男は百姓を継いで田地田畑と仏壇を守っていくという点ではよく似ているわけですよ。アメリカとは違うのです。自由経済のあり方が違うと思うのですね。 それからもう一つは、日本の場合、敗戦国として戦後スタートしたという意味ではよく似ているわけでありますから、どうもやはりドイツに目が向いていくということで、欧米というのは一体どちらなのかというのをちょっとお聞きしたかったのでお尋ねをしたわけであります。 話は変わりますが、千八百時間というのは、当面千八百時間であって、未来永劫千八百時間というわけではないことは、これは聞くまでもない質問ですね。
○伊藤(庄)政府委員 年間の総実労働時間で見てまいりますこの千八百時間という目標は、目下、私どもそれに向けてこの基準法改正の御審議もお願いし、また、労使の取り組み等を促進していく施策を精いっぱい進めておりまして、千八百時間という目標が頭の一〇〇%を占めておる段階ではございますが、また、現在そういうことで千八百時間ということの達成に向けて全力を挙げてまいりたい。 そういうものが先が見えてきましたなら、次にどう進むのかということについてはまたいろいろな広範な関係者の御議論もお願いしながら、次の段階にどう進むかということを検討していかなくちゃならぬ段階に移るかもしれませんが、目下、千八百時間に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
○岩田委員 そういう時期が早く来ることを念願をしておきたいと思いますけれども、いわゆるドイツやフランスではもっと進みますよね。進む傾向にあるんじゃないでしょうかね。 これは去年の二月の新聞ですけれども、フォルクスワーゲン社、これは九五年に千二百時間まで減らすというふうに言っていますね。千二百時間まで減らしたい、こう言っております。それから、いわゆるドイツのIGメタルは、これは九〇年の交渉ですから随分前ですけれども、九五年十月から週三十五時間労働に移行することを経営側と取り決めたというふうになっていますね。 ところが、ここにやはりいろいろ矛盾があるのですね。これは昨年の労働委員会で私もちょっと触れさせていただきましたけれども、コール首相がある会議で、日本の労働慣行はいい慣行であると、つまり、長時間労働の勧めを提起をしたことがありますね。翌日、エングホルム社民党の党首 はとんでもないという反論を一斉にやっております。 それはやはり我々もよくわかるのです。国際競争の激化、国際摩擦という問題もありますけれども、先ほどのように長時間労働で一人当たりの国民生産性が上がることは当然なんですね。国民総生産を減らさずに短時間労働を一生懸命やっている外国から見れば、コール首相から見れば、とにかく安い商品がどっと日本から押し寄せてこられたら大変だ、何とかしなきゃならぬということでつい言われたか計画的に言われたか、日本の労働慣行を導入しようという意図でそういう発言をされたと思うのですね。エングホルムはそれに対して、とんでもない、我々は五十年や三十年じゃなくて、長年かかって築き上げてきた労働者の条件である、こういう反論をしているわけですよ。 そこで、先ほどの質問とも関連をするわけですけれども、大臣、日本のいわゆる長時間労働は、今一生懸命苦労しているんだけれども、外国から見ればやはりいろいろあると思いますよ。少なくとも、何百年もかけてそのいわゆる汗の結晶としてつくり上げた諸外国の労働慣行や生活様式を、日本の長時間労働という慣行が向こうに輸出されて外国に迷惑をかけるということだけはやはり絶対してはならぬという決意は必要と思いますが、いかがでしょう。
○村上国務大臣 コール首相がお見えになられての発言については、私もお聞きいたしております。とにかく千八百時間を切って千七百何十時間、ドイツの国民は働いてないと思われているのか知らないが、実態はそうじゃないんだよ、アルバイトをやっているよ、働いているよ、こういう発言の中からそうしたいろいろなコール首相の発言についての憶測が出ているようでありますが、そのようなことではなかったのかな、こう思います。 いずれにいたしましても、今おっしゃるように、それぞれその国の労働組合の歴史というもの、また、それぞれその国々のそこまで到達した歴史というものがあろうかと思いますが、私は、この時短ということは、日本は時短後進国だと言われるようなことではいかぬ、こう思っておりますので、そうした考え方を諸外国へ押しつけていくというような考えはさらさら持ってはならない、こう思っております。 時々私が申し上げておりますように、昔は衣食足りて礼節を知る、こう言われたわけでありますが、それぞれの国民のそれぞれの食にしても衣類にいたしましても、もう満足するところまではほぼいっている。そうした中で、時のゆとり、そしてまた住の空間、ここらあたりが一番満足感の得られない、ゆとりだとか豊かさだとか感じられない大きな要因だ、こう思っておりますので、そうしたことについて、これから私どもはそうした面において十分ゆとりを感じていただけるような施策を進めていかなければならない、そうした一環としての今回の労基法の改正である、このように認識をいたしておりますので、どうぞひとつよろしくお願いを申し上げる次第であります。 〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
○岩田委員 労働時間の短縮がなかなか進まないということ、それに対する決意をるるお伺いをしてきたわけであります。 次に、具体的に幾つかお伺いをしたいと思います。 同業者間の過当競争というか横並び意識というものが一つはあるのだろうというふうに思いますし、指摘をされているところでありますけれども、随分以前に、これは戦前、東京商工会議所が政府に陳情をしてできたということを聞いたことがありますが、商店法というのですか、昭和十何年でしょうかちょっと記憶ないのですが、つまり、八時以降店をあけていても三%の客しか来ない、三%の売り上げでは電気代が出ない、しかし、隣があけるし隣の商店街があけるからあけざるを得ないということで、地域や業種や地区によっていろいろ細かく商店法の中で電気を消す、閉店をする時間が制定されたということを聞いております。我が福岡の中洲では何時から何時であるとか、新宿では何時である、そういうふうに決められたのだそうですよ。いまだにいわゆる横並び意識というのは大小、業種間を問わずやはりありますね。 これは一体どうなのでしょう。これは日本人の生活様式と関係しできますけれども、夜中まで便利がいいああいう二十四時間営業のコンビニエンスストアがあった方がいいのかどうなのかということまで問題になってくると思いますが、あれがあるために近所の商店街の小さな小売業はあけてなければならぬという弊害もあるのですよ。まさに十人以下の業種が特例になって措置をされておりますけれども、最後はここに行き着くわけですよ。 じゃ、日本の中小企業、零細企業なんというのは多過ぎるので八割方、七割方は淘汰をしてもいいということではいかぬわけですから、大小にかかわらず横並び意識、業者間の過当競争というものがありますが、一体どういうふうにして時短問題と関連をして問題意識を持っておられるか、お尋ねをしておきたいと思います。
○石岡政府委員 御指摘のとおり、同業他社との過当競争やあるいはまた横並び意識が労働時間の短縮を妨げているというケースが我が国では非常に多いと思います。かねてから労働省もこの問題に意識を寄せておりまして、それもございまして、先国会で労働時間短縮促進法を成立させていただいたところでございます。この法律は、同業の会社が一丸となりまして逆の、いい意味での横並びで労働時間を短縮していこう、それを行政側も援助しようというものでございます。 この法律は昨年九月に施行になりまして、そういう業界ぐるみで時短計画を立てていただくことを推奨してまいりまして、最近、報告を受けますと、平成四年度末では約五十近い計画を地方の労働基準局やあるいはまた関係省庁の出先が承認したということでございます。こういう業界ぐるみで時短を進めていく時短促進法のやり方をこれからも、平成五年度以降積極的に展開いたしまして、過当競争や横並び意識によって時短の妨げがないように努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。 さらにまた、特例措置を現在設けているところでございますが、これも先ほどからたびたび政府側からお答えしておりますように、これも中央労働基準審議会では、今現在四十八時間でございますが、これを縮める方向で今後審議会で検討することになっておりますので、審議会の場でいろいろ御議論をいただきまして、この特例企業の時間の見直しもやってまいりたいと考えている次第でございます。
○岩田委員 次に、これまた石橋委員の質問の中で御答弁がございましたが、日本の労働組合の組織率というのは二四・四%ですね。前年を〇・一%下がった。これは九二年十二月末の発表であります。雇用労働者は全体的に七十七万人ふえたんだけれども組織化が追いつかない。これはこれでいろいろ問題はありますね。大変問題があります。これは若林局長から御答弁いただきました。 確かに、政府や行政がこれに介入することは、何ほどもそれはできぬわけですよ。しかし、ああいう御答弁がありましたから私の意見を申し上げておきたいと思いますが、これは皆無じゃないと思いますよ、介入することは皆無ではないのじゃないかというふうに思いますね。例えば、あれは組織法というのか設置法というのか知りませんが、労政事務所の所掌事務の中には、労働組合というか従業員に対する教育というのがありますね。いまだにあると思いますよ。戦前はあれでやっていったわけですから、労働組合をつくるときにずっとやっていったわけですから。労政事務所がやっていったわけですから労働省自身が指導されてきたわけですが、今は皆無ですよ。当時に比べると、今産業の数というのは何十倍か膨れていると思います。手がつかぬのも、そうでしょう。労政事務所には余り人がいませんね。一生懸命やっていますけれども人がいない。そういうところまで余裕がないのだと思うけれども、しかし、そういうことも考えて労政の仕事の内容をひとつ 検討していただいたらどうかなと先ほどから感じておりますので、一言申し上げておきたいと思います。 いずれにしても、百人未満というのは二%を切っている、こういうところでありますから、例えばいい労働協約が同業の企業、労使で成立をしても、これはなかなか普遍化しませんよ。企業主が率先してやろうじゃないかというふうに言った例は聞いたことがありませんね。したがって、例えば労組法十七条では、一つの工場事業場に常時使用される労働者の四分の三の労働者に一つの労働協約を適用するときには全部に適用する、そういうのがあります。それからまた、「地域的の一般的拘束力」という十八条がございますね。これは、同じ地域の産業労働者が一定以上の労働協約を持ったときには同一地域の労働者に適用する、簡単に言えばそういう条文なんです。これも要件は四分の三ですね。要件はこういうことだと思います。 こういう法律があって、日本の場合中小企業がすべて労働条件が悪いとは決まっていないわけですから、いいところは普遍化すべきなんですが、なぜしないかという問題意識を私常々持っているのであります。 それは労働組合の組織率も大きな影響があると思いますが、ほかにどういうことが考えられますか。これが意外と適用されていない。されているとすればゼンセン同盟の皆さんが一部されていますね。それから、地域包括という意味では最低賃金がありますけれども、これは最低賃金法が別にありますからね。一般的な労働条件がこの法律が適用されて普遍化しないのは一体どういうことか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○若林政府委員 まず、第一点としておっしゃいました労政事務所の問題でございますけれども、先生御指摘のとおり、現在におきましても、労政事務所でそういったような組合組織などについての御相談等がございましたときに、先生おっしゃいましたような労働教育という観点からいろいろな意味での支援をしていく、現在でも同じでございます。ただ、全体的に各層における労働組合に対する理解というものは大変深まってきておるわけでございますので、往時とはそういう点では違っておりますけれども、労政事務所としての役割は従来と同じでございますし、働きも同じでございます。 それから、ただいまおっしゃいました一般的拘束力の問題でございますが、十七条の問題につきましては、例えば一つの事業場で相当数の労働者をカバーするような労働協約ができている場合には、就業規則というものを通しまして、大体それはその事業場のすべての労働者に適用されるような格好になっておるわけでございます。ですから、実態としてその労働条件がカバーするような格好になっておるわけでございますが、先生御指摘の、御関心の点は地域的な拘束力の問題だろうと思います。これは、ただいまおっしゃいました四分の三という要件でございます。それで、これまでにこの地域的な拘束力によりまして労働協約が拡張されておりますのは七件でございます。ですから、大変数は少ないというのは御指摘のとおりでございます。 それではなぜこの制度が大いに活用されないのかといったようなことについての分析はこれまでございませんけれども、当然のことながら、この要件をうんと引き下げればそれが活用されるという数はふえてくるだろうと思うのでございますが、そこは、これまでも実は学者の方々にも、この制度についてのいろいろな実情でございますとか、あるいは制度のあり方というものについて御議論をいただいてまいったわけでございますけれども、やはり一番基本的に、労使関係法制の中で国がどこまで保護介入するかというところにかかわってくるだろうと思うわけでございます。そこが一番基本でございます。そこのところにつきましてこの法制は非常に慎重な考え方をとっているということであろうかと存じます。 そういうことで、この制度というものは、やはり労使関係法制の中で非常に基本的な問題を含んでいると申しますか、ただいま申しましたように、国がどこまで保護介入すべきか、個々の自主的な労使関係は当然でございますけれども、個々の自主的な労使関係以外のところにその個々の自主的な労使関係を通してどこまで国が介入していくか、こういう基本的な問題を含んでいるというふうに考えております。
○岩田委員 わかりましたが、国がどこまで関与するかというのは大変重要な問題ですね。 しかし、私が申し上げたいのは、金融機関も土曜閉庁になりました。学校も、試行ですけれども一歩進みました。やはりもう一つ進めるために、私は、こういう労組法十七条、十八条に言う一般的拘束力、地域的拘束力につきましても要件は少し緩和した方がいいのではないか、そういうことは検討できないかということを一つ申し上げたいわけであります。 それからもう一つは、私どもは、今回の労働基準法改正に当たりまして各種関係団体の御意見をちょうだいいたしました。労働団体もそうでありますが、さらに、日本商工会議所の皆さんの御意見も賜りました。冒頭のところで御質問を申し上げましたように、千八百時間への拙速というか急速な展開というのは中小企業は無理である、だからその辺は考慮して慎重に対応してくれ、なおかつ労働基準法という強制力をもってこれはなすべきものではない、あくまでも経営計画に基づくその中で労使が自主的にやる問題であるので、政府の介入というのは、政策というか法の介入というのは勘弁してくれと盛んにおっしゃっていました。その際に、ドイツなどではこういう法の介入というのはないのだというふうに盛んにおっしゃっていましたけれども、私は素人なので調べてみましたら、そうではないのですね。ドイツは日本よりもきちんとやっているのじゃないかというふうに思います。 例えば、労働協約法が一つあります。これでも「労働協約の適用範囲に該当する被用者の百分の五十以上を雇用しており、且つ」なんというのがありますが、これでは二分の一という要件をきちんと決めていますね。それから「一般的拘束力宣言が公共の福祉のために必要と考えられる場合」などは、これは度外視をして適用するというふうになるのですか、こういうふうに理解していいと思います。さらに、「社会的緊急事態を除去するために必要と認められるときはこれを度外視することができる。」ちゃんと労働協約法は二分の一要件があるのですね。さらには、重ねて、最低労働条件決定法というのがありますね。これはめったに効力を発揮しないというか発動されないということではありますけれども、例えば労働組合がないとかいうような状況のときにはこの法律が適用されるということで、言ってみれば二重に労働者保護という観点からなされているのではないかと私は思います。 この二つの法律はめったに適用されないということも聞いておりますけれども、それほど労使関係がしっかりしている。日本の場合は二四%、百人以下は一・数%、しかもドイツの産業別労働組合に比べて企業別労働組合であること、戦後労働組合の分立と分裂の歴史があったということは不幸だったでしょう。今状況はすべて変わってきました。ですから、この点については一考してもいい時期ではないかというふうに思います。 また、商工会議所の皆さんがおっしゃっているように、労使が何者にも支配されずにやっていけるという環境があれば、これは一番いいのですよ。ないからこそ労働基準法が働くわけでしょう。これは議論になっている。しかし、この労働基準法は度を超えて、一定程度を超えていたずらに制限をすればいいというものでないこともそのとおりだろうというふうに思いますが、もう少し法的規制をする部分があってもいいのではないか。先ほど御答弁がありました例えば残業時間についてもそうですよ。三百六十時間ということを決めて一生懸命指導なさっているのだけれども、法的規制力というか根拠がないでしょう。ですから、それ は進まないのですよ。私は、言いたくないのだけれども、使用者にもいい使用者、汗を流してやっている人とそうでない人とたくさんおると思います。 これは一定程度進むまでは、労働基準法というこの罰則のきつい法律を発するわけですから、きちんとした慎重な対応が必要なことは当然でありますが、二分の一の要件その他、私が今申し上げますことは、時代の変化に伴って検討してもいいのではないかというふうに申し上げているのですけれども、一体いかがでしょう。 〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
○若林政府委員 ドイツにおきましては、ただいま先生御指摘のようにドイツの労働協約法というのがございまして、二分の一要件、一般的拘束力がございます。それぞれの国の労使関係というものもございますから簡単に比較できるものではございませんけれども、事実としてはそのとおりでございます。 先ほどもお答え申し上げましたように、やはりこういった問題はその国々の労使関係のいわばかなり基本的な枠組みにかかわることでございまして、労使関係法の基本的な部分でございます。したがいまして、事柄として慎重を期していろいろ論議をしなければならない問題であるわけでございます。 いずれにいたしましても、こういったようないろいろな問題、そういったものは今後幅広い視点から勉強していかなければならない問題であるというふうに思っております。ただいま先生御指摘いただいたような点も含めて、今後勉強を続けていきたいというふうに思っております。
○岩田委員 時間がございませんので次に移ってまいりたいと思いますが、林業問題について、先ほど石橋委員が基本的なことについては質問いたしましたが、関連をして幾つかお尋ねしておきたいというふうに思います。 彼も申し上げましたように、林業労働者というか林業の雇用者数というのは、平成二年で七万五千人というふうになっているわけであります。後継者ができないという現実は御想像のとおりです。新規採用者がゼロに等しい。従業員、雇用者の平均年齢が、五十歳以上が六八%を占める、こういう実態であります。林業の重要性、そして環境の上からもこの林業の育成ということが重要なことは、もう私が言うまでもないことだろうというふうに思います。したがって、今回こういう形で関係労働者が労基法適用になったことは私は非常に進歩だと思いますし、先ほどの御答弁の中でも、農林関係については積極的に検討していきたいということはぜひお願いをしておきたいというふうに思っている次第であります。 そこで、林業労働者の労働条件改善というのは、これまた緊急を要しておるわけでありますけれども、御承知だろうと思いますが、事業体の体質改善の問題というのが一つあるんじゃないでしょうか。雇用形態があるかないかよくわからない。私も福岡で経験をしておりますが、大臣の御出身の田川の添田というところは、林業ですよね。英彦山の山懐に抱かれたところですよ。例えば三十戸の集落があるとすると、庄屋さんみたいな山主が三十戸全体の生活を見ているようなものですから、それがずっと引き継がれて雇用関係として存続をしているという古い慣行も残っているわけですよ。そういう実態をひとつ考えておいていただかないといかぬと思います。 つまり、事業主の体質改善の問題、まさに意識改革の問題、これが当面する大きな問題、課題ではないかというふうに思います。それから、各種社会保障制度の加入率も悪いんですね。こういう実態です。あわせて、行政指導の強化というのが必要だと思いますけれども、いかがでしょう。
○齋藤(邦)政府委員 先生御指摘のように、林業労働は経営基盤が弱体だということ、あるいは非常に自然の制約を受けやすい、こういうようなことを背景にしているとは思いますが、少なくとも現在の状況を見てみますと、雇用関係では非常に不明確な場合がある、あるいは雇用が非常に不安定である、こういうような問題点が指摘できるだろうというふうに思います。 したがって、その労働条件ですとかあるいは労働者の福祉の推進というのも、他の産業に比べれば非常に立ちおくれているということもまた指摘できるだろうと思いますし、そういうようなことを背景にいたしまして、労働者が非常に不足している、あるいはそれに従事しておられる労働者が極めて高齢化している、こういうふうなことが言われております。 こういうような状況の中で林業労働者を確保していくということのためには、林業自体をいかに魅力ある職場にしていくかということが基本的に大事だろうというふうに思っております。今年度から関係各省、農水省、自治省それから私ども、それぞれ三者三様の立場ではございますけれども、この辺の問題意識を持ちながら、いかに林業自体を魅力ある職場にしていくか、林業自体の近代化をどのように図っていくかという観点から、それぞれの施策を考えておる次第でございます。 ちなみに、私どもでやろうとしておりますことは、やはり林業におきます雇用関係の明確化あるいは雇用の安定ということを目指しまして、林業の雇用改善促進事業というものを今年度から、約一億でございますけれども、予算を確保いたしまして進めていきたい、このように思っておる次第でございます。
○岩田委員 最も林業関係の労働者が心配をされているところであります。引き続きあと二点ほどお尋ねをして、お答えをいただきたいと思います。 予算のことも御答弁いただきました。民間の林業労働者に社会保障制度が適用されていないという実態があるわけでありますけれども、これは雇用が継続されないという問題があるのですね。ぶつ切りになっていく、こういう問題もあります。したがって、これにつきまして林野庁は、共同請負システム、長期協定システム、こういうことで雇用安定のために事業発注の改善を図るというふうに言っておりますけれども、これはどうもうまくいっていないというふうに、個々のことは申し上げませんが、指摘をせざるを得ないと思います。 これをどういうふうにしていくかという、これは労働省だけにお願いしてもままならぬところでありますが、やはり先ほどの答弁と同じように、他の農林漁業というふうに全体的にどういうふうに広がっていくかというのは今想像はつきませんけれども、やがて課題になる問題ですね。したがって、御答弁の中にもちょっと出てきますけれども、やはり特殊な問題でありますから、例えば林野庁と労働省、それから農林省と労働省、いわゆる関係省庁会議みたいなものを個別につくって、この検討会、研究会などというものが必要ではないかということも思いますが、あわせてお尋ねをしていきたいと思います。
○齋藤(邦)政府委員 先生御指摘のように、林業労働者の方に対する社会保障制度の適用というのには、いろいろ問題点がございます。その問題点は多々あろうと思いますが、一つは雇用関係が不明確であるということもありますし、先ほど申し上げましたように、雇用関係が非常に不安定であるということもいろいろあろうかというふうに思います。 私ども、先ほども申し上げましたけれども、そういうようなことを少し改善するための努力をしなければならないということで、新たに雇用改善促進事業のための経費をとりましたけれども、当然のことながら、関係各省十分打ち合わせをした上でやっていかなければならない、こういうふうに思っております。 この予算を財政当局に要求するに当たりましても、関係各省十分相談した上で要求をいたしましたし、この執行に当たりましても、農水省あるいは自治省も今年度から新たに地方交付税の関係で拡充をいたしておりますので、そういうような関係各省とも十分打ち合わせをしながら事業を進めてまいりたい、このように考えております。
○岩田委員 林業は、先ほども言いますように、人手で木を育てるという非常に大変な作業なので すね。環境の観点からも申し上げましたが、一たん中断をすると日本の資源に取り返しのつかない結果になるのじゃないかということは私が言うまでもないことだと思います。そういった意味でも、齋藤局長御答弁になりましたが、ぜひ労働省、新しい分野でありますけれども、より一層の、どういいますか、思想どお力を傾注していただきたいというふうに思います。 もう一点だけ林業問題でお尋ねをしておきたいと思います。 したがって、森林林業を守るという観点からは労働力の確保が不可欠だということであります。早急に労働条件の改善を図らなければならないということでありますけれども、林業技術というのはかなり時間を要するらしいですね。きのうも、NHKでしたでしょうか、何か特集をやっておりましたけれども、林業労働の技術のマスターというのは大体三、四年かかるのだそうです。しかも、若い人が来てくれないという悩みもあるのでありますけれども、少なくともやはりここ一、二年で他産業並みの労働条件を確保する、実現をすることが喫緊な課題になっていることは御承知のとおりであろうというふうに思います。改めて労働条件の抜本改善、福祉の促進等を図るために、各省庁は申し上げましたが、国、県、それから林業関係者のいわゆる意見をまとめていただく、もしくは、できるならば新たな法律の制定ということが望ましいと思うのでありますが、これは強く今後に期待をするわけでありますけれども、この点についての御答弁を、ありましたらお伺いしたいわけであります。
○齋藤(邦)政府委員 ただいま御指摘のように、林業労働対策というのは極めて重要なことだというふうに認識しております。そのために、関係各省十分相談をしてこれからも進めていきたいと思いますし、また、先生御指摘のように都道府県、市町村というところとの連携も極めて重要な課題だろうと思います。 実は、正直に申し上げまして、平成四年度予算では林業労働対策は、お恥ずかしいことでございますけれども、わずか百万円でございました。今年度はそれを飛躍的に拡充をしたつもりでございますが、いかんせん今まで私ども余りにも未知な分野が多々ございまして、今後この新しい改善事業を積極的に進めていくことによって、とりあえず、どのようなところに問題点があるのか、もう少し拡充をしなければいけないとすればどういうような方向でやっていったらいいのか、いろいろ見定めをする必要がある分野が多々あろうか、このように思っております。したがいまして、当面は関係各省一生懸命今年度からやろう、こういうことでございますので、その辺の効果を見定めた上で、必要に応じまして立法の問題も検討していきたい、このように思っております。
○岩田委員 何度も申し上げますが、自然というのは我々現役が将来に残さなければならない遺産というよりも、やはり未来の後輩から預かっている財産だという認識も必要だと思います。予算が飛躍的に伸びたということでありますが、これに満足せずに一層の御努力をぜひひとつお願いをしておきたいと思います。 さて、変形労働時間について二、三点お伺いをしておきたいと思います。 一カ月単位の変形労働時間制では、変形期間の各日、各週の労働時間を特定することを要し、また、変形期間に入ってから特定された労働時間を変更できないものである、こういうふうにされております。また、三カ月単位の変形労働時間制では労使協定で合意しても変形期間の途中で変形制の一部を変更することはできない、こういうふうに行政解釈はしているわけであります。 このように変形労働時間制は変形期間に入ってからの労働時間の変更を強く規制をしているわけでありますが、もし使用者が任意に労働時間を変更できるような制度であった場合、一カ月単位や三カ月単位の変形労働時間制に当たらないものと思われますけれども、この点は、ちょっと確認をしておきますが、いかがでありましょう。
○伊藤(庄)政府委員 今のお話のございましたケース、一カ月、三カ月単位の変形労働時間制に照らしてみますと、これらの制度はあらかじめ各労働日の労働時間を特定してその定めに従って運営していく、こういう制度でございますので、使用者が業務の都合で任意にその労働時間を変更するような制度であれば、これは労働基準法に基づく一カ月、三カ月の変形労働時間制には当たらない、こういうことになります。
○岩田委員 わかりました。 次に、労働時間の長さというのは始業・終業時刻が決まればおのずから決定されるわけですね。つまり、使用者が任意に労働時間を変更できないというのは、労働時間の長さだけでなくて始業・終業時刻も変更できない、こういうふうに解釈するのでありますが、この辺はどうでしょう。
○伊藤(庄)政府委員 就業規則で始業・終業の時間を定めた場合、これは基本的にはその変更ができないというふうに私どもも運営をしておりますが、ただ、これはもし業務の都合等で変更する場合に、合理的な理由があって、その合理性が認められるようなケースでその始業・終業時間を変更する、こういうことであれば、その変更はあり得る場合がある、こういうことでございます。
○岩田委員 じゃ、合理的というのはいろいろあるのでしょうけれども、本人や労働組合といいますか、それに事前にそのことを了解というか合意する、これは当然のことですよね。
○伊藤(庄)政府委員 説明が足りなくて恐縮でございますが、あらかじめ始業時間あるいは終業時間の繰り上げ、繰り下げがあり得る旨の規定があって、それが合理的な理由で認められるケースであれば、そういう変更があり得るということでございます。
○岩田委員 もう一つお伺いをしておきたいと思います。 三カ月単位の変形労働時間制では労使協定の締結を要件としておりますね。フレックスタイム制、一週間単位の非定型的変形労働時間制、裁量労働時間制も同様に労使協定の締結を要件としておりますけれども、この労使協定は労基法三十六条のいわゆる「書面による協定」と同じ意味ととってよろしいかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 先生おっしゃったとおりでございまして、三カ月あるいはフレックスタイム、一週間単位の問題、それら労使協定の締結を要件としているもの、これは労働基準法三十六条の「書面による協定」と同じ意味でございます。
○岩田委員 次に、いわゆる待合時間といいますか会社管理下の待合時間の問題について、一点質問をしておきたいと思うのです。 過日、私は三井三池炭鉱の坑内に入る機会がございまして、立て坑でざっと三百二、三十メーター下がっていくわけです。それから約六キロ先の採炭現場まで到着をするのに約一時間近くかかるのです、一時間。往復二時間かかるのですよ。立て坑のエレベーターに乗る前にボディーチェックして、カードでチェックするのですけれども、それからが、帰るときのチェックまでが労働時間なのですよね。余計なことですけれども、石炭は時間もかかるのだけれども、やはりコストがかかるはずだというふうに思ったのですが、これが労働時間です。 産業内における職場ごとにいろいろな就業形態がありまして、なかなかこれが問題になることがあるのですけれども、いわゆる会社側の管理のもとにきちんと置かれているこの待合時間だとかというものについては、当然これは労働時間というふうになるのだろうというふうに私は理解をしておりますが、ややもすればこれが混線をする場合もあるのだろうと思うのですけれども、この辺一体いかがでしょう。
○伊藤(庄)政府委員 さっきの炭鉱のケースについては、先生おっしゃるとおりの労働基準法の規定になってございます。 一般的に労働基準法上の労働時間であるかないかという点でございますが、この労働基準法の労 働時間であるかどうかにつきましては、その状態が使用者の指揮命令のもとにある時間であるかどうか、あるいは逆に言えば、使用者の指揮命令のもとになくて労働者の自由な利用時間になっているかどうか、後者の場合であれば、労働時間として取り扱わなくても直ちに労働基準法上の問題はない、こういう扱いをしております。 それで、使用者の指揮命令のもとにあるかどうかということについては、現実に精神または肉体を活動させている、使用者の指揮命令のもとにそういう精神的あるいは肉体的な活動をさせているということを必ずしも要件にはしておりませんで、例えば昼食の休憩時間中に来客の当番を充てられた、こういうことでいつでも作業にかかわれるように待機している時間については、これは労働時間になるということでございます。 そういうふうに、労働時間であるかどうかについては、やはり実態と非常に密接な関係で、個々に判断をしていく、こういうことになろうかと思っております。
○岩田委員 個々の判断になるとこれはまたいろいろあるのですが、私が一般的にお尋ねしたのは、仕事のための待ち合わせ時間というようなものや会社の管理のもとに置かれた待合時間などというのは、今部長のおっしゃった労働時間、いわゆる指揮命令のもとにあるというふうに僕は理解をしてお尋ねをしたのですけれども、会社側の指揮命令下にある待ち合わせ時間というものであればこれは労働時間というものであろうというふうにお尋ねをしているのですが、そういう理解でいいのですか。
○伊藤(庄)政府委員 今先生おっしゃいました待ち合わせ時間について、一般的に、これを直ちに使用者の指揮命令下にあるというふうに常に言えるかどうかについては、やはり実態を見て判断していく、こういうことにならざるを得ないというふうに思っております。
○岩田委員 時間を見てやっておりますので、脈絡が途中で切れましたので、またもとに戻りたいと思います。 政府の千八百時間のモデルというのがありますけれども、これによりますと、千八百時間の場合は、所定内が大体千六百五十四時間程度である、一日の所定時間も七時間二十五分、所定外は百四十七時間、それから有給休暇は二十日、あとたくさんありますけれども、こういうものが出されております。 もう一度聞きますけれども、これには問題がすべて提起をされているわけですよね。所定労働日もありますし、休日・休暇日数が幾らでなければならない、週休が幾ら、こういうふうにありますが、どれだと私は申し上げませんけれども、現実との乖離が大き過ぎますよね。先ほどは千八百時間にするための御努力をいろいろ幾つか聞きました、我が党の石橋さんも聞きましたけれども、モデルからいきますと、やはりこれは全体的に各項目ごとに乖離が大きいことで改めて大丈夫かなと思うのですが、この辺は一体どういうふうにお考えですか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のとおり、千八百時間に向けてのモデルケース、私ども一定のものを示していろいろな関係方面への周知、またそれに沿った労働時間の短縮への取り組みを促しておるわけでございますが、一つは、所定労働時間については、御指摘ございましたように七時間二十五分を基礎として計算する。この点につきましてやはり乖離等の問題があるかと思いますが、これは統計的な平均的な数字に近づけてつくっておるわけでございますが、今度御審議をお願いしている労働基準法の改正によって週四十時間労働制へのスケジュールが決まり、これに沿って動き出していけば、所定労働時間の関係につきましてはかなり近づいていけるのではないかというふうに私どもは思っております。 それから、もう一つ乖離が出てまいりますのは年次有給休暇でございまして、モデルケースでは二十日という年次有給休暇を完全に取得する、こういう前提にしておりまして、実際はまだ平均十五・七日、それの約半分ぐらいの取得率の状況でございますから、今後連続休暇、あるいは労働基準法に定められております年休の計画的な取得、こういう制度の活用を進めまして取得率の向上に一層努めていかないといけないだろうというふうに私どもは思っております。 それから、もう一つ重要な要素が残業、時間外労働でございます。百四十七時間という数字を基礎にモデルケースを組み立てておりますが、現在の水準でいいますと、景気の低迷の中で時間外労働がうんと減ってきておりまして、その乖離が実際上かなり埋まってきた状況にございますけれども、これが景気の低迷による一時的な現象で、景気が回復したならば急速に時間外労働がまた膨らむというようなことになってはならない。やはりこれを恒常的にまた構造的な時間外労働の削減として結びつけていかなければいかぬものですから、先ほど来出ておりますような時間外労働に関する上限の目安の徹底その他の労使の取り組みをいろいろ呼びかけながら、この時間外労働についてもこういった現象が傾向として定着していくような努力を引き続き行っていきたい。そういうことを通じて、千八百時間のモデルケースにできるだけ多くの企業、労働者の方が近づいていけるような道筋を見出していきたいというふうに思っております。
○岩田委員 これは適当な質問でないかもしれませんが、最も基本的なことであるだけに……。来年から四十時間制になるのをことしから四十時間というふうになぜできなかったのか、これは逆にすべきじゃなかったかと私は思いますが、いかがでしょう。
○石岡政府委員 さきに労働基準法を改正させていただきましたが、その際には附則で、六十三年以降、法施行後三年を経過した後にいろいろ見直しの検討をするということになっておりました。 そういうことで、平成三年四月からいろいろ基準法の検討をしてきたわけでございます。実態調査も行いました。また、審議会で鋭意検討もいたしまして、その結果、一年では改革の報告がまとまりませんでして、二年近く審議会で御議論をいただきまして今回の基準法の改正の方向を出していただいたわけでございます。 それに基づきまして今国会に法案を提出しているわけですが、これを施行する場合には、やはり一つの問題としまして、平成六年四月から四十時間制が原則になりますけれども、中小企業などにはこれを猶予するという措置を盛り込んでおりますので、どういう規模、業種の企業を猶予するか審議会で決める必要がございます。そして、その上で政令で決めていく必要がありますが、そのためには実態調査を行わなければならないので、そういう時間が必要でございます。 もう一つは、いきなり週四十時間なりあるいは週四十四時間といたしましても、企業の方では準備もございますので、法定労働時間が決まったら決まったで、政府側としましては企業に対してそれを周知する一定の期間も必要とされているところでございます。 そういう事情がございまして、平成五年四月からではなく、平成六年四月から週四十時間労働制に移行したいというふうに考えまして、法案を出している次第でございます。
○岩田委員 取り急ぎお尋ねをしますが、「生活大国五か年計画」の中で書かれているのですが、「実態として、計画期間中に大部分の業種において週四十時間労働制を実現する。」こういうふうに示されておるわけです。大部分の業種を週四十時間制にするということはどういうことなのか、また、今回の労働基準法改正との関係ではどういうふうに理解をすればよろしいのか。つまり、特例の業種がございますね。十人未満の商業というのがありますが、これらを頭に置いて考えてみますと、今言ったようなことにちょっとお尋ねしておきたい意味がありますので、御答弁をいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 「生活大国五か年計画」では、「計画期間中に大部分の業種において週四十時間 労働制を実現する。」こういうことがうたわれておるわけでございます。私ども、大部分の業種といいますか、逆に言えば大部分の業種以外の残る業種は何かという点につきましては、今お話もございました労働基準法の四十条に基づきます十人未満の小規模の商業、サービス業について設けられている特例措置、これの対象になる業種というふうに理解をして、法案作成に当たっての議論、また法案の取りまとめ等を行ってきているところでございます。
○岩田委員 もう一つ関連することを聞いておきたいと思います。 今回の法律改正はまさに中小企業対策と見てよろしいですよね。中小企業の時短をいかにするかということですね。猶予措置のこともおっしゃいましたが、中小企業の実態を考慮して猶予措置を一年延長したということもるる質疑の中でございました。 一年延ばしたのですけれども、そのことも含めて考えあわせますと、ある意味では一気に四十時間制にするということになりはしないか、四十時間制を来年なぜできなかったのかということと、短絡的過ぎますけれども、そういうことで聞いておったのですが、苦しければ苦しいほど、後に迫ってくると四十時間にするのはスムーズにいかぬのじゃないかと非常に心配をしているわけです。 いかにスムーズに四十時間制に移行するのか、それについてどうお考えなのか、もう一度お尋ねしたいと思います。
○石岡政府委員 中小企業の労働時間の短縮がやはりこれから一番難しい問題でありますし、また一番大切な問題でもあると考えております。 今回猶予措置は一年延ばしましたけれども、これは先ほどから申し上げておりますように、中小企業が生きるか死ぬかという経営状況になっておりますので、緊急避難措置としてやったわけでございます。しかし、これによって労働時間の短縮の流れが中小企業で変わってはいけないということで、この猶予しました中小企業に対しまして、本年度もいろいろ対策を講じていくつもりでございます。 そこで、今回出しております基準法の改正案でございますが、もう御承知のとおり、平成六年四月から週四十時間制を原則にいたします。しかし、中小企業につきましては、やはり一挙にできない経営上のいろいろな状況が見られますので、実態調査をした上で、また審議会でよく検討した上で政令で猶予対象企業を定めますけれども、その猶予対象企業も、法律で明記されておりますように、平成九年四月から週四十時間制に移行していただくということになっているわけでございます。 もとよりこれは易しいことであるとは思いません。したがいまして、平成九年三月末までの間に、中小企業の労働時間の短縮につきましては、先ほどから申しております取引慣行の是正、時短促進法の一層の活用、あるいはまた今回基準法改正法案にのせておりますけれども、省力化投資などをして労働時間を短縮した中小企業への援助措置の実施など、労働省としましては、円滑に中小企業が週四十時間労働制へ移行できるように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○岩田委員 私は別な質問に移ろうと思っていましたけれども、生きるか死ぬか、そんな表現のような状況ですか、全体は。私は違うと思いますよ。それは苦しいことは現実ですよ。中小企業が苦しいと同時に、中小企業に働いている勤労者、従業員の皆さんの苦しみは、やはり同時にわかってもらわぬといかぬのじゃないですか。 冒頭質問をしたときに、残業が減る、給与の問題も当然考えていかなければならぬというふうに局長はおっしゃって、僕はそのとおりだ、そこで質問は次に移ってまいりましたけれども、生きるか死ぬかというようなことを本当に考えていくならば、勤労者のことも真剣に考えてください。 戦後、労基法ができて四十六年、これまで日本の国民はすべからく額に汗して営々と、日本復興のためというその一点をもって頑張ってきたわけでしょう。そしてお年寄りになられて、東京を見てくださいよ、そのお年寄りたちが、老人ホームさえ入るところがないような現状に置かれている。こういうことが一方にあると同時に、いまだに中小零細の従業員の皆さんはこんなに格差が多い現状のまま置かれっ放しでいいのかという問題を私は問題にしているわけですよ。憲法によってこの労働基準法が制定をされましたね。しかし、日本の敗戦のあの荒廃の状況を復興させなきゃならぬというので、ある意味では四十六年間放置されてきたじゃないですか。放置されっ放し。そして、四十時間ができる、四十二時間ができる、四十四時間ができる、四十六時間ができる、四十八時間ができる、労働時間のいわゆる格差というのはこんなにもついているわけですよ。にもかかわらず、その上に賃金もついていますよ。超勤もついていますよ。残業だって格差がついていますよ。二重に三重に四重についていますよ。基本給の問題でいえば年金だって格差はつきますよ。そういう意味でも、労働時間の問題というのは一日も早く憲法のもとに、法のもとに平等にするということが問われているのではないでしょうか。 中小企業に同情的であることは、私はこれはそのとおりであっていいと思いますが、一方、勤労者がこんなに格差をつけられて置かれているというところに、労働大臣どうでしょうか、あなたの理想からいけば、中小企業も少しぐずぐずする企業主はしりをたたいてでも頑張らせるように、そして長年苦労している従業員、労働者、勤労者をもう少しやはり平等のために一歩――相当苦労しても平等にはなりませんよ。千人以上の企業と十人以下というのは一挙にはいかないと思うのです。これを埋めるのが当面労働時間の問題であって、この法律改正じゃないですか。大臣、決意はどうですか。
○村上国務大臣 中小企業が死ぬか生きるか、その認識の問題を問われておりますが、中小企業を一つの体に例えますと、非常に弱り切っている。そこで、やはり体力を回復させていくためには重湯から徐々に正常な食生活に戻していってやらなければならない。いきなりそういう状況の中で赤飯を食べさせますと、これまた下痢を起こしましてなかなかまた回復が遅くなる、そういう状況ではないのかな、こう思います。 一日も早く正常な体質に戻して、そして、おっしゃるように千八百時間、問題はやはりこれがやれるという出発点に立つのか、難しいという出発点に立つのかだと私は思っております。 労働省といたしましては、難しいということではなくて、これはできる、やれるというスタンスというもので取り組んでいきたい、こう思っております。
○岩田委員 時間が参りましたので、残余の質問は同僚議員にゆだねて終わりといたしますけれども、猶予時間の問題に入りかけて終わりますから、最後に一言だけ大臣に要請を申し上げたいと思います。 幾つかお尋ねをしてまいりましたように、労働時間問題というのが与党の内部事情でもって急速変更されたことによって、単に労働行政の信頼を失うだけではなくて、審議会のあり方にも大きな波紋と問題を提起したこと、これは事実です。そのはざまに立って労働大臣が苦汁をなめられているという発言だったというふうに僕は理解をいたしますが、猶予の再延長も含めて中小企業のことを考えるならば、大きな格差のもとで営々として我慢している勤労者のことも考えて、かかる事態が今後二度と起こらないように、そのことだけひとつ御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。
○村上国務大臣 岩田委員の今おっしゃられましたことは、そこに働く立場に立って一日も早くその実現に向かえ、こういう御趣旨だと思いますので、十分そうした立場に立って進めてまいりたい。この問題は、やれ自民党だとかそうした一部団体だとか、そういうものの利益を守るという次元の問題ではない、こういうふうに私は認識をいたしております。
○岩田委員 終わります。
○岡田委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 まず初めに、今回の労働基準法改正の目的と改正の中身の柱、これは一体何なのかという基本的なことをお伺いしたいと思います。 「生活大国五か年計画」の柱にもなっておりますし、どういうふうなお考えのもとで今回この法案を出されておるのか、まず最初にお伺いをしたいと思います。
○村上国務大臣 申すまでもなく、労働時間の短縮は宮澤内閣が目指します生活大国を実現する上で重要な柱である、昨年、労働大臣就任に当たりまして総理から特にそのことについて言及をいただいたところでございます。 この改正の目的、これはけさほども申し上げましたが、経済大国にふさわしい生活のゆとりと豊かさを実感ができる、そうした方向を目指すということでございます。 しかし、ただ時短ということではなく、そこには理念があるだろう、理想があるだろうと大野委員のけさのお話もございましたが、それはやはり人間尊重、政治の究極である貧しさからの解放、そしてまた病の恐怖感から脱却していく、そして争いのない世界をつくる、そうした理想の大きな一環である、私はこのようなとらえ方をさせていただいておりまして、時間ということの拘束から、逆にそれを自由に使う、使い得る、そうした目標を持って今回のこの法案に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
○石田(祝)委員 その改正の中身の柱は何かという質問です。
○石岡政府委員 今回の労働基準法改正の内容の柱でございますが、第一は、法定労働時間を平成六年四月から四十時間にするということでございます。ただし、中小企業など一定の企業につきましては、平成六年四月から平成九年三月までの三年間猶予いたしまして、平成九年四月から四十時間にするということでございます。 それから第二の柱は、時間外労働及び休日労働の割り増し率につきましては二五%から五〇%の範囲内で、当面休日労働からではございますが、段階的に引き上げていくということでございます。 それから第三の柱は、年休制度でございまして、今まで一年間勤続しなければ年休が付与されなかったわけでございますけれども、入社後六カ月勤続すれば、それから一年の間に十日間の年休を付与するということでございます。 その他、最長一年の変形労働時間制の創設、林業に対する労働時間法制の適用などもございます。
○石田(祝)委員 この中身については、また後でお聞きをします。 大臣も、労働時間の短縮ということは非常に大事だ、こういうふうなお話でございましたけれども、私は率直にお伺いをしますが、「生活大国五か年計画」に千八百時間を達成をする、こういうことがうたわれておりますけれども、これは間違いなくこの期間中にやる、できる、こういうふうな御決意なのでしょうか。そのときまで大臣が大臣でいらっしゃるかどうかはもちろんわからないわけでありますけれども、現時点において、労働省としては間違いなく実現をする、こういう確信がありましたらぜひ披露をいただきたいと思います。
○村上国務大臣 行政の一貫性ということからいきますれば、私が大臣であろうとなかろうと、そういう一つの方向が打ち出された以上は、そういう目的に向かっていく。先ほども言いましたように、その出発点において難しいという考え方といややれるんだという、私はあくまでもこれだけ時間をかけて御審議いただいてやるわけですから、やれるという、そうした確信を持って進めていきたいと思っております。
○石田(祝)委員 これはぜひとも、そういう約束でございますから、この期間中に千八百時間を見事やった、こういう実績を残していただきたいと思います。 それで、続いてお聞きをしたいのですが、この改正案で本則である週四十時間にする、そういう中で、この法律案が通ったら、来年の四月一日から動き出したら、では実際どのくらい労働時間が減るのだろうか、こういう素朴な疑問が私ございます。これは、極端に言ってどのくらいこの法律によって労働時間が短縮できるというふうにお考えですか。
○伊藤(庄)政府委員 今回の労働基準法の改正内容、労働時間の短縮に結びつく事項を幾つか改正の柱として盛り込んでおるわけでございます。 まず第一に、平成六年四月から原則として週四十時間労働制に移行いたしまして、その後中小企業等については猶予措置を講じながらも、平成九年四月からは全体に週四十時間労働制の移行を図る。まずこれによる労働時間の減少があるわけでございますが、その辺具体的に、例えば現在千九百七十二時間となっております年間の総実労働時間のベースでどのくらい減るかという計算は、正直申し上げまして、現段階では推定することが極めて困難でございます。 これは来年の四月から原則として四十時間制を導入いたしますが、同時に、中小企業等の一部につきましては四十四時間で猶予するという措置もございます。この猶予をどういう範囲でやるかということにつきましては、実態調査を行いまして、四十四時間をクリアしているところの実情等も調べながら、もしこの法律を成立させていただいた段階で、その施行業務の一環として審議会で議論しながら決定していく、こういう手順をとってまいりますもので、その辺が決まらないと、なかなか正確な、何時間減少するというふうな数字として申し上げることが現状困難であるということを御理解をいただきたいと思います。 それから、もちろんこの法定労働時間の問題のほかに割り増し賃金率、法律におきましては二五%から五〇%の間で政令で決めるということにいたしておりまして、私ども休日労働についてまずその第一段階として割り増し率の引き上げを行っていきたいというふうに考えております。 そういうことによる休日労働の削減、あるいは年次有給休暇につきましても継続勤務要件を一年から六カ月にいたしまして、六カ月で十日の年次有給休暇がとれるような仕組みを改正案に盛り込んでおります。こういうことによる年次有給休暇の取得率の向上、こういった点も労働時間の削減につながってくると思います。 また、今回の改正法案のもう一つの柱であります労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法、これも改正をあわせて行っておりまして、この改正を通じまして、中小企業等の事業主が省力化投資などを行いながら労働時間を短縮する場合の助成措置、これも一つの柱として盛り込んでございます。こういったことによる中小企業における労働時間短縮の促進、こういうこともやはり労働時間の削減につながってくると思います。 ただ、現時点で具体的に何時間の減少をもたらすかというお話ができるためのきちっとした推計を行うことは、まだ、いろいろな関係政省令等決まってまいりませんと正直推定が困難でございますので、御理解をいただきたいと思っております。
○石田(祝)委員 部長、長々と御説明いただきましたけれども、どうなんでしょうね、時短を促進する、労働時間を短縮するという法律ですよ、そういうことで御審議をぜひ願っております、では、どのくらい実際縮まるのですかと言うと、具体的に今後の審議会を待たなければわかりません……。そうすると、我々はここで何を審議するのでしょうか。その枠組みだけ決めて、中身は法律が通った後でゆっくり私たち考えますからと。では、国会は何のためにあるのでしょうかね。法律を通過させるための場所でしょうか。ですから、確かにそういう審議会等もありましょうから、事細かに何十何時間ということはわからないかもしれませんけれども、おおよその目安として、この法律を施行させていただいたら千八百時間に向けてこれだけ短縮できます、おおよそこれだけの時間は労 働時間として短くなるのですよ、こういうものがわからなくて、いやここでは数字はわかりません、こういうことではちょっと私も質問していて何となく納得できない。なぜ自分がここに座って質問させてもらっているのだろう、こういう気持ちになるのですけれども、そういうシミュレーションみたいなことも全然やっていないのですか。
○伊藤(庄)政府委員 先ほども御説明申し上げたとおりでございますが、労働時間の短縮に一番大きな直接的な効果を及ぼしますのは、法定労働時間の短縮、週四十時間労働制への移行でございます。ただ、これにつきまして、平成六年四月から施行する際に猶予業種等をどう設定するかという新しい実態調査に基づいて審議会で御議論を願って決める重要なファクターが残っておりますので、正直なかなか何時間というふうに申し上げにくいということで御理解をいただきたいと思っているのでございます。 強いて挙げれば、そういう猶予業種をどう設定するかということを抜きにして、平成九年四月から特例業種等を除きまして四十時間になる。したがって、四十時間を超える所定労働時間を持っている事業所がその段階で四十時間になったとしたら、大ざっぱにそれぞれの事業所の割合をもって私ども単純な推計をいたしますと、労働者一人平均では、その時点では所定労働時間が一週につき約二時間弱の減少になっていくであろう。したがって、年間の総実労働時間ベースで見ますと、それだけでも約百時間の減少につながるのではないかというような推計はいたしております。ただ、これも本来なら猶予業種の範囲等をきちっと詰めてみないと正確な数字としては申し上げる自信の持てる数字ではございませんけれども、大体その辺が一つの労働時間短縮につながる私どものめどとしての数字としては、心づもりとしては持っております。
○石田(祝)委員 このことはまた法律、政令のところで私も聞きたいと思っていたのです。 そうすると、申しわけないのですが、確認ですけれども、総労働時間は、現在、平成三年でたしか二千八時間ですね、私の記憶ではそうなんです。千九百何時間というお話も先ほどありましたが、そこから百時間引くと、あと約百時間近くは上回るわけですね。そうすると、それは年休、会社の休み、また所定外労働時間を減らす、こういうことで千八百にするということでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のとおりでございます。 私ども、千八百時間という経済計画の目標、これを達成するには、三つの要素、一番大きいのが所定労働時間の短縮でございます。同時に、年次有給休暇の完全取得、それから時間外労働の削減でございますので、この所定労働時間の削減が非常に千八百時間に近づいていくための大きな要素でございますが、そのほかにもそういった年次有給休暇の取得促進、時間外労働の削減といった労使の方にも一生懸命取り組んでいただかなければいかぬ課題ももちろんあわせて千八百時間ということを目指していきたいと思っています。
○石田(祝)委員 この件と重なるかもしれませんが、今回、来年の四月一日から週四十時間にする、そこの週四十時間の本則の適用になる事業所は、いわゆる所定内労働時間というのはもう既に四十時間を割っているんじゃないか。ですから、本来今回の法施行で大変恩恵を受けるといったらおかしいのですけれども、今までの労働時間がこの法律にのっとって短くなる、いわゆるいい意味での影響を受けるそういう事業所じゃなくて、そういう事業所は余り多くなくて、四十時間の適用を受けるような事業所はもう既に四十時間になっている。こういうふうな話も一部あるのですけれども、そういうことではなしに、間違いなく今回の、来年の四月一日から四十時間になったら現実に実態として労働時間が減る事業所も業種もたくさんあるんだ、こういう理解でいいんでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 法律を成立させていただいた段階では、来年の四月一日からの週四十時間制への移行に備えて実態調査を行い、来年四月から週四十時間労働制へ移行する業種、規模、逆に言えば猶予される業種と規模を決めることになるわけでございますが、決めるわけでございます。 これは、もちろん週四十時間をクリアしているところ以外は全部猶予するというような考えではございませんで、やはり実態に応じて、まだ移行できていない規模、業種の事業所であってもかなりの程度で四十時間制の方へシフトする、また猶予されるものとに振り分けされてくることになるわけでございますので、現実に四十時間制をクリアしているところだけが形だけでも四十時間に移行するというようなものではございません。御理解いただきたいと思います。
○石田(祝)委員 続きまして、お伺いをしたいことがございます。 実は、先ほども局長の方から今回の改正の中身の柱を教えていただきましたけれども、いろいろなところで、先ほどの伊藤部長のお話の中でもありましたけれども、今後の審議会とかそういうものを経ないと中身がわからない部分がございます。ですから、私、申し上げましたように、法律を通過させるだけの役割に国会がなっているのではないか、こういうことも申し上げたわけでありますけれども、法律と命令の関係、これについてちょっと質問をさせていただきたいのです。 特に、今回の改正案、いろいろな御意見がございますが、そういう中で言われていることは、重要な部分をいわゆる政省令に任せ過ぎているのではないか、こういう一つの批判もございます。私もそういう点も確かにある、そういうふうに思いますが、一般的に、日本の労働基準法というのはいわゆる刑罰法規、非常に違反したら刑罰での罰則がある、そういうことも言われております。そういう中で、法律で枠だけを決めて中身がはっきりしない、そういう法のもとで違反をしたらある意味ではまた罰がある、そういう体系というのはどうなんだろうか。これは国会での立法府としての役割、また、もうちょっと言うと、罪刑法定主義というところからもちょっとこれは抵触するのではないかな、私はこういうふうな思いがあるのですが、特に今回この法律の改正で、法律が通った後で命令で中身を決めていくというのは具体的にどういうものがありますか。
○石岡政府委員 今回基準法改正法案が成立いたしますと、命令で定めるものといたしましては、幾つかございます。例えば、割り増し賃金率を二五%から五〇%の範囲内で命令で定めるということになっておりますが、これが該当いたします。その他、先ほど言いましたように、平成六年四月から平年九年三月まで、法定労働時間が四十時間になることにつきまして一定の規模、業種の企業につきましてはこれを命令で定めまして猶予することにいたしております。 次に、労働基準法は御指摘のとおり刑罰法規としての性格を一面持っております。したがいまして、そういう観点からいいますと、刑罰法定主義のもとで、安易にといいますか、包括的、無制限な命令への委任、罪になるべき行為を命令に委任するということは問題ではないかという御趣旨だと思いますが、それは全くそのとおりだと私も思います。やはり罪刑法定主義のもとでは原則的にはそれは法律で内容が定められなければならないと思いますけれども、ただ、これは最高裁判所の類似の判例においても確認されておるわけですが、その一部につきまして委任の程度を個別的、具体的なものに限って命令に落としていくということであれば、これは問題はないということでございます。 今回の改正法案におきましても、先ほどお答えいたしましたように、例えば割り増し賃金率などにつきましては命令で率を定めることになっておりますけれども、この例で申し上げますと、二五%から五〇%以内ということで範囲を限定しております。それからまた、割り増し賃金率をその範囲で決めるときには、労働者の福祉だとかいろいろ考慮しなければならない、政府側が考慮しなければならない事項も条件としてくっつけられております。さらには、これを決めるときには公聴会で意見を聞くということ、あるいはまた中央労働基準審議会で意見を聞くことが予定されております。そういうことで行政の恣意的な運用で命令の内容が決まるという仕組みにはなっていないというふうに考えております。 いずれにいたしましても、今後これらの命令を制定する場合には、御指摘の点はごもっともでございますので、行政側が恣意的にこれを運用することのないように十分配慮してまいりたいと考えております。
○石田(祝)委員 今回命令で定める部分が、非常に大事なこの改正案の柱となっている部分、まさしくこの委員会で内容を審議しなくてはならない部分が、命令ということで後ほど決めます、簡単に言えばこういう話ですね。ですから、私は何回も申し上げますけれども、枠組みだけ決めて、とにかく通してください、通したら後で審議会にかけて決めます、また白紙委任ではない、ちゃんと一つの枠をはめて、たがをはめてやっております……。私も団藤重光さんという人の本を若干読みましたが、委任が許される範囲というのは合理的な理由があって、しかも特定の事項、これは合憲であろう、こういうふうなお説のようであります。そういう中で、割り増し率二五から五〇というふうに決めている、また公聴会も開く、こういうことでありますけれども、私は今まで国会でいろいろ所属させていただいて、もちろん委員会で質疑をさせていただく、そういう中で非常に命令が多いな、また政省令が非常に多いのではないか、こういうことは若干自分の率直な疑問として抱いております。ですから、さっきこれは乱用にならないようにというお話もございましたが、それは一つの御見識としてぜひお願いをしたいのです。 例えば、法律と委任の命令、この関係でイギリスではこういうふうにやっているというのがあるのですね。これはちょっと御紹介をさせていただきますと、要するにいわゆる委任立法、こういうものを草案の段階において議会へ提出をする、こういう方法がある。「これは委任立法の作成過程において議会の意思を反映させるために考案されたものである。」ですから、具体的に何十何%ということ、そこまであれば本当はいいのでしょうけれども、その草案というものを審議をしている間に議会に提出をする、こういうふうなやり方をイギリスはしている。 ですから、その法律と委任立法、いわゆる政令、命令、そういうものを端的に枠を決めているからもういいじゃないか、そういうことじゃなくて、特に今回の法律の改正案は命令、まさしくその部分が非常に大事な柱の中身なのですね。ですから、私はきょう言ってすぐにいかないと思いますけれども、ぜひこの審議をしている間に命令の中身を、大体どんなものになるのか。二五から五〇といったら、これは物すごい広いですね、幅が。私もきのう労働省の方に来ていただいていろいろと話を聞きながら、また家に帰って考えたりしましたが、例えば自分が預金をおろすときに、払い出しの請求書に判こだけ押して、じゃ二十五万から五十万私の方で借りておきますから、これはなかなかそうですかというわけにはいかないのじゃないかと思うのですね。これは例えが悪いかもしれませんけれども、そういう意味でイギリスもそういうふうな形でやっている、これは一つの例でありますけれども、おおよその中身をこの審議の最中に出すお考えはないのかどうか、これをちょっとお聞きをしたいと思います。
○石岡政府委員 労働基準法は刑罰法規でございますので、法律でその内容を定めるのが原則でございます。したがいまして、命令で委任しているケースは非常に少ないと御理解いただきたいと思います。 ただし、今回の割り増し率のような問題とか、あるいはまた法定労働時間週四十時間の猶予などの問題につきましては、まさに実態を踏まえてこれを規定していくことが望ましいわけでございまして、そういう意味では法律そのものに規定できない特殊な例に当たろうかと思います。 それで、お尋ねでございますが、英国の例のように国会に割り増し賃金率の草案を示せ、御趣旨は非常によくわかります。ただ、我が方といたしましては、まだ現在、大枠はとにかく国会にお示しして御議論いただきましてお決めいただきたいと思っておりますが、具体的にそういう大枠の中で今後政令でこれを定めていく場合には、まず実態をよく調べてみたいと思っておりますし、それからまた中央労働基準審議会とか公聴会で御意見もよく聞いた上で決定したいと思っておりますので、今その草案を示せと言われましても、率直に言いまして示せないのがむしろ実態でございますので、今回の割り増し賃金率などにつきましては、その辺の事情を御賢察いただきまして、こういう大枠を決めて法令に委任するやり方でいいのかどうか、御議論を賜りたいと思います。
○石田(祝)委員 大臣、私、今局長の答弁をお聞きをしておりまして、ちょっと逆じゃないかなと思うことがあります。法律が通って実態を調べてみるというのは、これは逆じゃないですか。実態がこういうことになっている、ですから法律を変えてやりましょうというのが本当じゃないでしょうか。法律が通ってから実態を調べますというのは、これはちょっと私は違うのじゃないかな、御答弁を聞いていましてね。そういう大変になっている、そうしたら、ある法律を変えてちゃんとした方向にやっていこうというのが私は筋じゃないかと思うのですよ、どうでしょうか。
○石岡政府委員 今回基準法改正法案に盛り込んでおります政令に委任する事項、割り増し賃金率の問題あるいはまた法定労働時間四十時間への移行の問題につきましては、言うまでもないことですが、政府側としては白紙で御議論をお願いしているわけではございませんでして、一定の方向をお示しして、その具体的なパーセンテージなどは政令で決めさせていただきたいと申し上げているわけでございます。 割り増し率について具体的に申し上げますと、政府側といたしましては、現在二五%でございますが、これを五〇%まで引き上げるということを政策目標にしているわけでございます。その上で、これも法定していただきたいと思って提案しておりますけれども、審議会などに諮って実態調査もいたしました上で、いろいろな考慮事項を考慮させていただきまして具体的なパーセンテージを決めさせていただく、こういうことでございまして、全く白紙で命令に委任をさせてくださいと言っているわけではございません。方向を持ってお願いをしている、そういうふうに御理解を賜りたいのでございます。
○石田(祝)委員 続きまして、変形労働時間制についてお伺いをしたいと思うのです。 今回変形労働時間の単位を三カ月から一年にした、これの理由です。建議などを見ると休日増を担保する、休日増を考えてということになっておりますが、どうやってこの休日増を確実なものとする、担保するのか、このことについてまずお伺いしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 変形労働時間制について、三カ月から一年に変形期間を延ばしまして新しい制度といたしましたねらいは、年間を通しての休日管理を行う中で、操業度のいろいろな波動性あるいは業務の繁閑、そういったものをうまく使いながら年間を通じて実質的な完全週休二日あるいはそれ以上の休日を確保してもらおう、こういうねらいでございます。 現実にかなりの工場あるいは事業場におきまして、年間の休日カレンダーを年の初めあるいは年度の初めに従業員に配りまして、かなり年間を通じた休日管理を行っている例がございます。そういう実情を見ますと、大体週休二日を取り入れているというところでも、工場の操業度が高まるある時期につきましては、例えば完全に土日きちっと休むわけじゃなくて一時的には土曜日出てくる週がある、しかしほかのところで、操業度が下がる時期に三連休、金土日と休みになっていたり、あるいは夏休み等の連続休暇等に活用していたり、いろいろな形で休日をふやすことによって、年間を平均していきますと完全週休二日あるいはそ れ以上の休日が確保されていて、一週当たりの所定労働時間にいたしますと四十時間をクリアする、こういう姿がいろいろな工場でもとられている例がございます。そういったモデルを想定しながら、今回の改正の中で一年の変形労働時間制を入れたわけでございます。 したがいまして、この一年の変形制の中で第一にうたっていることは、年間を通して、その変形期間全体を通して労使協定によって休日を決めなくてはいけませんということをまず要件にいたしております。 そういうことで、この変形時間制の中では休日確保という意味合いが非常に大きいんだということを、法律上も仕組みとして明らかな形で規定をいたしているところでございます。
○石田(祝)委員 そうすると、休日が確実にふえていない限りこの一年の変形労働制というのはその事業場では認められないということですか。
○伊藤(庄)政府委員 一年の変形制につきましては、労使協定で年間通しての休日を特定するという作業がまず必要でございます。その次に、変形制を使う場合には一日、一週の上限の限度時間がございます。(石田(祝)委員「ふえるかどうかだけちょっと教えてください」と呼ぶ) これは仕組みとして必ずふえる仕組みになっていますので、そこを今御説明させていただきたいと思うのですが、まず休日を労使で決めなくてはいかぬということでございます。二番目に、年間を通して過当なりの平均が四十時間以下になっていなければいけないということでございますから、休日等をかなりふやしていない限り過当なり平均で年間を通して四十時間以下になることはかなり難しい基準でございます。それからもう一つ、一日及び一週についての上限の限度時間を決めます。これは現在三カ月につき決めてある一日十時間、それから一週につき五十二時間というよりも縮小する方向で労働省令で決めることになっております。したがって、一日の変動幅、一週間の変動幅というのはそんなにないわけでございますから、それで平均して四十時間をクリアするためには、休日をふやしていかない限り法律上セットしている基準を満たして変形制を使うことはかなり難しい、実質的に休日確保につながっていく制度ではないかというふうに私ども考えております。
○石田(祝)委員 必ず休日が増す、こういうことですね。 この制度は、三カ月の変形制が八七年制定されて以降余り利用がなかったようでありますけれども、六十三年の通達ですか、そのとき「季節等によって業務の繁閑の差が生じないものについての適用は考えられない」、こういう通達が出ていると思うのですが、これはそのまま生かされるわけでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 一年の変形制を利用するところは、年間を通して季節的な業務の繁閑、これも一つの大きな要素だろうと思いますが、必ずしも季節的というより、一般の製造業の工場等でもその操業度に時期的な波動性がある場合なんかにも使うケースはあるかと思いますが、やはり年間を通してのそういう業務の繁閑あるいは操業度についての波動性を利用した形で年間単位でうまく休日を確保していくために使われる、そういう意味で今までの考え方と全く趣旨は同じでございます。
○石田(祝)委員 これは一年に延びたら非常に使いやすい、こういうふうな業種も出てくると私は思います。 建議を読みましても、いわゆる乱用防止の歯どめが必要だ、「濫用防止の観点から一定の歯止めについて検討する必要があり、現行の三カ月単位の変形制について規定されている限度時間を最長一年までの変形制に対応するよう縮少の方向で見直し、」こういうふうな文章があります。 実は、いわゆる建設業界で出している新聞が私のところにも参りまして、地元の労働基準局長にいわゆる一年間の変形労働制をやってくれ、こういうふうな陳情が出ておるのです。新聞にそのまま出ておりますから、それを私も見まして、ああ、こういう建設業界もやはり一年になったら利用するのかな、こういうふうなことも率直に思ったのです。 そうすると、これは企業の側から陳情するぐらいですからもちろんやる予定だと思うのですけれども、この乱用について、一年の変形制が三カ月よりも非常に使いやすい、そうなったときに企業の側の論理からいってどんどん広く使われるおそれがないのか。建議で言うような一定の歯どめを例えば通達とか何かで出す必要はないのか、私は出して明確にした方がいいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 一年の変形制については、一年の幅で労働時間の変形的な利用を認めるというものでございますから、当然乱用にわならないような一定の歯どめを設けておくことは必要だと思っております。 今回御審議をお願いしている法案の中でも、一つは、まず労使協定の締結が前提だということを入れております。また、事前に一年単位での休日設定で全部を決めて、それも労使協定の中で特定をしなければいけないということ。それから一日、一週の労働時間の上限につきまして、現行の三カ月よりもさらに縮小した形でその上限を労働省令で決めますという仕組み。それから、今先生が御指摘になりました労働基準法研究会の際にも出ていた一定の歯どめという際に、労働基準法研究会でイメージされていた問題点といいますのは、季節労働的な人たちがこの変形制の対象に入ってくるのかという問題でございます。この点につきましては、法律上、この変形制の対象になる労働者の雇用期間は変形期間以上、具体的には一年以上ということになりますが、変形期間を超えて雇用されている人でなければこの変形制の対象にはならない。したがいまして、どこか忙しい時期だけその労働者を使って多くの労働時間でやっておいて、暇になったときに例えば解雇してしまうなんというところとか、そういう雇用期間の短い人についてはこの変形制は利用できない、こういう仕組みを入れております。 そういうことで、先生御指摘の乱用にわならないような歯止めにつきましては、私ども種々工夫して法律上も措置しているというふうに考えております。
○石田(祝)委員 もうちょっと詳しくお伺いしたいのですが、先ほど確認の中で、いわゆる業務の繁閑というもの、そういう事業以外は基本的には認めない、こういう通達は今でも生きている、こういうお話をされました。例えば、いわゆる商売をやっていると二・八なんという暇なときがあるのですね。一年ずっと同じレベルで忙しいということはないわけです。ですから、繁閑がある、忙しいときと暇なときがあるといえば、全部の業種がそうなんですね。そうすると、例えば部長がおっしゃったように労使協定を結んでああだこうだということではなくて、業種自体である意味でいえば一定の枠をはめる必要があるのではないか、私はこういう考え方なんですわ。部長のお考えは、労使協定を結んで一日、一週、そういうのをちゃんと決めていきます、休日も一年間からっと決めます、そういう中身のお話なんですわ、やるとなった場合の話なんです。しかし、そのやるという前提で、いわゆる六十三年の通達ですかにあったように季節等の業務の繁閑の差が生じないものについては適用は考えられない、こういうものは生きている、この考え方であるということですから、そうすると、これは業種である一定の例示と申しましょうかそういうもので明確にしていく必要があるのではないかと思うのです。これはいかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 ただいま、業務の繁閑がある程度明らかにあるような業種に限ってこの変形制を使わせるようにしてはどうかという御指摘と理解いたしますけれども、この一年の変形制は、やはり多くの企業である程度の業務の繁閑は年間で抱えるわけでございますので、その繁閑をうまく利用して年間単位で休日をふやして、完全週休二日制あるいはそれ以上の休日を確保してほし い、こういう趣旨でございますので、これは特にどの業種についてというような限定をあえてつけない形でよろしいのかというふうに私ども考えたわけでございます。 ただ、言えますことは、計画的にある程度事業が行われるものでないと、年間を通して休日を設定してしまいますから、事業を始めていく途中で、受注産業等の場合にはあり得るかもしれませんが、業務の計画がかなり大幅に狂ってきて休日等も変更しなくてはいかぬような形になる、こういう業種は一年の変形制が非常に使いにくい形は出てくるのではなかろうかというふうに思っております。そういう形で、自然に、休日管理等がしにくい業種は結果として除かれていくのではないかという気がいたしております。 それからもう一つ、やはり業種で限る場合にいたしましても、通常余り業務的な繁閑がはたからないように思われるものであっても、例えば、同じ電気機器のメーカーにいたしましても、ある工場で扱っているものによりましては、名前あるいは夏前にその操業度のピークが来て、時期によっては操業度をかなり落として休みをふやしてもいいんだ、こういうこともございまして、それを一定の業種で絞ってしまうというわけにはなかなか技術的にもいかない。むしろ、そういう業務の繁閑を利用して休日管理を徹底して年間休日をふやしていっていただければありがたいというふうなことも考えておりまして、そういう意味で業種を特別のものに限定して使うことは、私ども考えないで法律は規定いたしました。
○石田(祝)委員 私は、この一年にしたということは、やはり業種によってはやりたいというところが出てくると思うのですね。ですから、業種の指定はしなくてもいいじゃないかというお考えのようですけれども、これはやはり何らかのことを考えておかれた方がいいのではないか、正直、私はこういうふうに思います。 それから、一日、一週、また休日のことでお伺いしますが、三カ月の変形制の場合は一日十時間、一週五十二時間、休日は一週間に一日、こういうふうになっておりますが、建議を見ますと、要するに一年制にした場合は縮小の方向での見直しをすべきだとあります。これは具体的にどういう時間をお考えになっておりますか。
○伊藤(庄)政府委員 これは一日及び一週の限度時間につきましては、この改正基準法におきましては、そこは労働省令で決める、こういう仕組みになっております。したがって、これは法案をまとめる際に労働基準審議会で御議論いただいたときもそうでございますが、法案を成立させていただいたその段階で、中央労働基準審議会で現行の三カ月よりも縮小の方向でひとつ労使で検討をして具体的に決めていこう、こういうことが約束されている点でございます。したがいまして、私ども、そういう段階で労使の方の御議論を経て具体的に決定をしていきたいというふうに思っております。 ただ、言えますことは、一日については現在の三カ月制が十時間、それから一週については五十二時間でございます。それより縮小いたしますので、割合狭い幅の中で御議論が行われていくことになるのだろうというふうに受けとめております。
○石田(祝)委員 物理的に、数字的に考えても十時間、五十二時間よりも短く縮小するのですから、切りのいいところで考えれば九時間がな、また八時間がな、こういうところになると思うのですね。一週だと五十時間とか、いろいろなそういう数字になってくると思うのですが、ぜひこういうところも、先ほど申し上げましたように、非常に大事な部分が全部命令、そういうものに委任をされている。ですから、ここのところは私も今後もう一回質問に立つ予定をしておりますので、ぜひもうちょっと突っ込んでそのときにお伺いをしたいのです。 それで、休日についての定めですね、これはどうなんでしょうか。今は一週に一日ということになっておりますが、一週に一日をふやすということになると一週に二日ということにもちろんなるわけでありますけれども、ここのところ、休日についてはどういうふうにお考えになっていますか。
○伊藤(庄)政府委員 労働基準法上いわゆる法定休日というのがございまして、四週に四回休みを与えなければいけないというのが労働基準法の法定休日でございます。これは通常の場合でございます。それから、この一年の変形制を使う場合、これは現在の三カ月の変形制の場合でも同じでございますが、四週に四回というよりも厳しく、毎週一回ずつ休ませなければならない、こういうふうに枠を法律上はめていく、こういうことになっております。
○石田(祝)委員 そうすると、この休日の場合ですが、さっき一日、一週は三カ月より縮小の方向だと、この休日についてはそのまま三カ月の変形制の場合と同じ、一週間に一日、こういうことでいくというふうなお考えなのでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、法定休日というのは四週に四回と定められているその分でございまして、それを四週に四回というのじゃなくて、毎週一回ずつきちんと与えなければならないというふうに一定の規制をこの変形制の場合にはかけるということでございまして、これは法定休日をふやしていくということとはまた別の問題でございますが、労働基準法上、法定休日をふやしていくというのはまたこれは非常に大きい別の観点の御議論になってくるかと思いますが、その点は今回の改正法では踏み込んでおりません。
○石田(祝)委員 この問題については、私も数字的に妙な考え方をしまして、例えば一週に一日だとすると、今週の日曜日を休み、そしてずっと仕事をして、翌週の土曜日を休み、日曜日を休み、これをやると、ある意味でいえば、一週間に一日の休みでなおかつ十二日間連続の勤務というのもこれは労使協定の中で考え得るのですね。ですから、同じ、週に一日という休みであっても、なおかつ連続した労働日をある意味ではもうちょっと厳しく、そんな十二日なんて理論的にできるわけですから、そういうことをさせないとか、日数だけは同じ日数であっても六日以上は続けて仕事をさせないとか、そういうふうなことも考えられませんか。
○伊藤(庄)政府委員 確かに毎週一回は休ませなければならないというふうに、この変形制の場合に通常の場合よりも強い規制をかけたといたしましても、理論的には先生御指摘のように端と端に休みをとると、間、十二日連続勤務という計算が確かに理論としてはあり得るわけでございますが、そういったケースが出ないように一年の変形制を設ける、休日確保というものを主眼にした趣旨なんだということは十分踏まえて、私ども行政指導等を行っていかなければならないと思いますし、それから、まず第一に労使協定を前提といたした制度でございますので、そういう非常に極端なケースについてはまず労使協定の段階で必要なチェックが入るかと思いますし、また、労使協定等を私どもが届け出を受けた場合には、余りそういう極端にわたる利用例の場合には、やはり趣旨に照らしていろいろ必要な助言なり指導というものは申し上げていかなくちゃいかぬことになるのではないかというふうに思っております。
○石田(祝)委員 それはぜひそういう私が心配したことのないようにお願いをしたいと思います。 この変形労働制で、ちょっと時間がありませんので、要望だけを申し上げますと、特に女性の労働者の方、また年少の労働者の方、また御家族で介護等を要する人を抱えている人への配慮についてもぜひこれは十二分な配慮をしてもらいたい、そういうことを私は変形労働制の中での要望ということでお願いをしたいと思います。 それで、運輸省に来ていただいていると思いますので、ちょっと現状をお伺いしたいのですが、いわゆるみなし労働時間というのでしょうか、その中で特に新聞等で私拝見しますと、JRのいわゆる折り返し運転のときの待ち時間が今まで労働 時間の中に入っておったのが新しく入らなくなったというようなことを新聞で散見をいたしますけれども、これはJRまた関西の私鉄等を含めて現状はどうなのか、ちょっと御説明いただきます。
○村上説明員 今議員御指摘のありましたように、JR西日本におきましては、本年の三月から新しい勤務制度に移っているところでございます。 他のJRあるいは私鉄というお尋ねでございますけれども、JR東日本はちょうど一年前になりますけれども、JR西日本と基本的に同じような勤務制度に昨年の三月から移行しておるところでございます。要すれば、残業実態に応じた時間を労働時間とするという制度でございます。また、JR九州につきましては、本年、組合側に対して、同じような制度を実施したいということで提案し、労使で話し合い中、こう聞いております。 それから、JR以外の大手私鉄、関西、関東の大手私鉄でございますけれども、各社の状況はいろいろでございまして、労働時間としている場合あるいは労働時間としていない場合、それぞれございます。それぞれ労使間で自主的に決めているという状況でございます。 若干具体的に申し上げれば、電車の出入庫といったような時間は労働時間にカウントするというのがあるようでございまして、逆に、夜間の仮眠時間というのは、私鉄においても労働時間に含めていないという状況がございます。また、朝夕のラッシュ時にピークがあるわけでございますけれども、昼間の時間というのはダイヤが少なくなる、そういった昼間の中休みというのは労働時間としていない会社もある。要すれば、いろいろ各社の事情がございまして、それぞれ労使関係で自主的に決めているというのが現状でございます。
○石田(祝)委員 業務課長、例えばJR西日本で、今まで労働時間に入れていた分を入れなくなった、そのかわりお金は出しますよ、こういうふうなことで、労使協定というのでしょうか、まだお互いに納得がいかずに、はっきりしないまま仕事に入っているというふうに聞いておりますけれども、これはどういうふうに認識されておりますか。このままでいいのでしょうか。
○村上説明員 JR西日本は、昨年の九月に今の勤務制度を提案しております。JR西日本の場合、四つの組合がございます。JR西労組というのが最大組合でございますが、こことは昨年の十二月に妥結し、本年の二月に国労、三月には全勤労と妥結しております。ただ、先生御指摘のように、JR西労という組合がございまして、こことは妥結に至っておりません。 私どもといたしましては、本件は労使の労働条件にかかわる問題でございますので、今後とも労使間で協議し解決していくことが望ましいというふうに考えております。
○石田(祝)委員 今運輸省の方から実態をお聞きをしたわけです。では、労働省の方にお伺いしたいのですけれども、先ほども御質問が出たと思いますが、いわゆる仕事のための待ち合わせ時間とか会社管理下の待ち合わせ時間、これをどういうふうにするのか、これは今後大きな問題になってくると私は思うのです。 この建議を私も勉強させていただきましたが、その最後のところの「その他」というところで、「過度の長時間休憩による長時間拘束については何らかのガイドラインの作成を含め政府は適切な指導を行うこととすべきである。」とあります。これは若干趣旨が違うかもしれませんが、こういう形で、例えば電車の折り返しで、あなたはここで二時間あいていますよ、何をしても自由ですよ、そう言われても、実際どこにも行けないわけです。散歩に行ったりすることはできるのでしょうけれども、またその場に帰ってこなければならない。いわゆる拘束されている、また、ある意味では会社の管理のもとの時間です。こういうものを長時間休憩ですよという形で入れられて、本人から見れば拘束されている、そういうことについてガイドラインが必要じゃないかということも出ております。 会社管理下の待ち合わせ時間とか仕事のための待ち合わせ時間、これは今度とういうふうに考えていくべきなのか。私は、ある意味でいえば、これは労働時間として見ていってもいいのではないか、こういうふうに思いますけれども、労働省として御見解はいかがでございましょう。
○伊藤(庄)政府委員 ただいま先生から御指摘のあったケースにつきましては、労働基準審議会の建議等にあるいわゆる長時間休憩による拘束時間の問題のガイドライン、この問題として考える前に、まず、いわゆる待ち合わせ時間等が労働時間であるかどうかという問題があるのだろうと思います。 労働時間であるかどうかにつきましては、私ども、労働基準法の解釈といたしましても、使用者の指揮命令下にある時間、これは労働時間でございますが、使用者の指揮命令下になくて労働者が自由に利用できる時間については労働時間ではないという考え方でやってきております。 もちろん、指揮命令下にあるか否かにつきましては、どういう状況が指揮命令下であるか否かを判断しなければいけません。例えば昼食休憩の時間に来客の当番を命ぜられた時間、これは労働時間であるというようなこともございますし、そういう実情、関係も調べて、全く自由な時間であれば労働時間ではない、こういう判断もしなければいけません。 いずれにしても、御指摘の待ち合わせ時間の問題につきましては、実態を十分精査いたしまして判断をしていかなければいかぬケースだろうと思っております。
○石田(祝)委員 この問題は働く者の側から見たら、会社は管理していませんよ、あなたはこの時間に何をしてもいいのですよと言われても、例えば折り返しの待ち合わせのときに、そんなにむちゃくちゃな、自分勝手な、ふだん自分が休みのときみたいなことはできないのじゃないかと私は思うのです。ですから、それは一律にああだこうだとぴしぴし切れるものでもないと思うのですね。ですから、そこのところは見る角度が違うのかなという気もしますけれども、やはりある意味では、働く人の立場に立って考えたときにどうかな、こういう視点は、こういう微妙な問題、機微な問題ではぜひ持っていただきたい。これは率直な疑問でございます。 時間になりましたので終わります。きょうはいろいろと質疑通告をいたしておりましたけれども、できない部分がございました。また日を改めてやらせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 ありがとうございました。
○岡田委員長 委員長として政府に申し上げますが、変形労働時間の問題について今いろいろ質疑のやりとりが行われたのですが、審議がスムーズにいくために説明資料として出されたらどうかと思うのですね。その点どうぞよろしくお願いします。 次に、金子満広君。
○金子(満)委員 本国会における労基法の審議というのは、その経過、そして結果は、単に労使間の関係だけではなく、国民生活、社会生活に大きな影響を及ぼす、これは自明のことですね。同時に、この結果がどうなるかというのは国際的に注目されている。 経済大国とも言われ、そしてまた生活大国という言葉もあちこちで見えるわけです。ところが、そちらの方は大国だが労働条件はどうかという点が今度は厳しく問われると思うのです。私は、そういう意味でいえば、我が国の労働条件、特に長時間過密労働、その結果が過労死だと言われるほど国際的にも厳しい指摘がされているというのは、もう繰り返すことはいたしません。 今度の労基法の改正の中で、結果はどういうことになるだろう。単純に言いますと、長時間過密労働は若干の改善はあっても基本はまだ変わっていない。少ない休日はそのままだ。残業の上限規制はありません。それから、いろいろこれからやるということはありますけれども、きょうこの段階では、では残業の割り増し率はどうか、まだこ こで言うことはできないと思うのです。こういうのが低いことは、もう国際的に見て天下周知の事実なんですね。 ですから、大臣もよく言われますけれども、ゆとりのある生活という、そのゆとりを分解すれば何か。八時間眠らせてくれ、八時間は働きます、あとの八時間はそれぞれ自由な時間にしてくれ、これが完全に保障されなければ、ゆとりなんというのは言葉だけで、空回りするだけなんですね。 そこで、限定された時間ですから、労働時間の短縮、時短の問題と変形労働時間制の問題の一部をきょうは質問し、あとは後日に譲りたいと思います。 まず、時短の問題です。 考えてみれば、政府が数字を挙げて時短の問題を取り上げたのは十三年前なんですよ。一九八〇年十二月に、八五年までには年間労働時間が二千時間を割るようにする、割るのですよ、週休二日制を実施すると言った。 そして、翌年の通常国会の予算委員会で何を言ったかというと、当時労働大臣は藤尾さんでしたけれども、なかなか元気のいいことを言っていますよ。「遅くとも昭和六十年までに、」一九八五年ですね、「週休二日を含めて、ヨーロッパの標準労働時間でございます大体二千時間程度のところへわれわれの労働時間を短縮をいたしたい、そのためにできるだけのことをしてもらいたいという通達でございます。」「余裕を置いて六十年」これは八五年ですね、「ということを申し上げておるわけで、必ずそれより前にそのような実績を達成をいたしたいということを、私自身も性根を据えて考えております。」「六十年に二千時間と申しまするのは、いまどのような状況の悪い、たとえば小売業でございますとかサービス業でございますとかいうような中小企業におきましても、二千時間というところはどうしても達成をしていただかなければならぬという指標でございます。」八一年二月十七日の予算委員会で大見えを切ったわけですね。 そして、五年たちました。どうだったか。八五年までに二千時間を割るところの話ではないですよ。八五年になっても二千百十時間、これは三十人以上の規模の事業所の平均ですね。そこで八五年に、今度は九〇年までには二千時間でやります、目標をまた先送りをしたわけですね。そして、これも九〇年になってもできなかったわけです。これは二千五十時間で、割るところの話ではない。これで十年たってだめですね。 それで、その途中経過の中で、前回労基法の改正をやったのが八七年ですが、その翌年に今度は、できないのを、千八百時間を挙げたわけです。その計画どおりにいけば、これはことしの三月末に、もう今は千八百時間になっておるわけです。三回やって、十三年かかってできないのですね。 そこのところで、なぜこれができなかったか、現在は何時間になっているか、これは政治的な問題ですから、大臣に最初にお伺いしておきたいと思うのです。
○村上国務大臣 労働時間は近年着実に減少しておるということはお認めいただけると思いますが、これまで掲げてきた労働時間の短縮の目標はいずれも達成するに至ってはおりません。 その原因は何だ、こういうことになるわけでありますが、中小企業では完全週休二日制の普及がおくれていること、残業が高水準で推移していること、年次有給休暇の取得が五割程度と進まなかったことが挙げられます。このような原因の背景には、中小企業における生産性の向上の難しさ、労働時間の短縮を妨げるような取引慣行の存在、企業内における労使の取り組み体制の未調整などの問題があったと考えております。 労働省といたしましては、この目標達成に向け、現在御審議願っている週四十時間労働制への移行を内容としたこの労働基準法の改正を目指すとともに、ただいま申しました原因を解消していくため、労使の取り組みに対し積極的な支援を行っていきたい、そしてまた、繰り返し申しますように、労使、政府の意識改革というもの、そのことは非常に大切だ、私はこう思っております。 現在は千九百七十二時間ということでございます。
○金子(満)委員 率直に言ってひどいと私は思うのですよ。一つは、中小企業のせいにしちゃうのです、それで労使間のせいにしちゃうわけです。政府、労働省の責任はあったのかなかったのかということですよ。掲げた計画が間違っておったのか、まるで夢みたいなことを書いてしまったのか。これは国民を愚弄することになるわけですね。これは、村上さんが大臣じゃないときですから、愚弄することになりますよ。掲げた目標が正しいなら指導に間違いがあったと思うのです。中小企業はどうかというのはそのとき、十三年前にわかっておるわけです。 こういう点で、また今度、さあ改正してどうか、こういう問題になってくるけれども、私は、千八百時間、これは次の機会に質問したいと思いますけれども、このままで断固できると思っている人はいないと思うのです。決意だけは幾らでものぼり上げますよ。だけど、実際できないんだもの。そういう点で、休日の問題についてもそうだ。それから、所定労働時間をどうするかということを中小企業に徹底するためにもどうかという点は出てくるわけですね。 そこで、もう一つ伺いたいのは、そういう問題の中で中小企業問題が出ましたけれども、中小企業に適用するのは週四十時間も週休二日もうんと困難だ、それは初めからわかっているのです。そういうときに、中小企業に対する助成という言葉はあるのです。何を助成するのです。設備投資でどのように金融関係で補助する、援助するかということもある。時短、時間短縮をするんだったら時短減税ぐらいやったっていいと思うのですよ、大企業はどんどんやっているのですから。そういうこととか、挙げれば切りがないと思います、官公需を恒常的に、定期的に中小企業に発注するとか、こういうふうなこともありますよ。それから、特に大企業と中小企業の下請関係ですね。大企業の方は四十時間で週休二日、下請の方はとんでもない話で、残業残業で過密労働だ、これはざらですよ。そういうところをどうするかという点で、下請いじめを規制するような法律をつくらなければとてもではないが、一定の時期がたったらまた、中小企業において非常に困難であった、援助が必要です、これがうたわれるわけですから、ここのところの援助はぜひやっていかなければならない。 それは、ただ単に中小企業という狭い意味でなくて、きつい、汚い、危険だという三K職場、ここのところを改善しないで、さらに今度、中小企業に対して猶予猶予と言うけれども、四十時間はすぐやらないわけでしょう。そうしたら、三Kの上に労働時間が長いんだから労働者は来ないですよ。労働力の不足というのは当たり前なんです。もしそこを外国人労働者で何とかカバーしようというような魂胆だったら、これは重大な誤りを政府が犯すことになるのですね。その点をひとつ簡潔に答えてくださいよ、中小企業に対して何を援助するのだと。
○石岡政府委員 中小企業に対する助成措置でございますが、従来からもいろいろ助成措置を講じてまいりました。例えば今、三K職場が改善されないと中小企業に労働者が来ないということをおっしゃいましたけれども、まさにそのとおりでございまして、中小企業の労働力確保法案というのを先般成立させていただきまして、これに基づきまして、中小企業が労働力を確保するために時短などをやる場合には助成金を出したり減税をやったりしているところでございます。また、中小企業が時短のための省力化投資をやる場合に減税も行っておるところでございます。 その他いろいろございますが、今般、やはり中小企業の時短が非常に大事でございますので、基準法等の改正法案にのせておりますように、新たに中小企業が省力化投資をして時短をする場合には、五十万、百五十万、三百万と規模によって違いますけれども、時短の奨励金も平成五年度から出 してまいりたいというふうに考えております。
○金子(満)委員 そういう中小企業に対する助成というのは具体的にきめ細かくやらなければ、とてもではないが週四十時間、そして週休二日なんてできるものじゃないのですね。これは政治がやらなければできない、労使に任せておったらできっこないのですから、こういう点は考えなければならぬ。 十三年というこの同じ期間にヨーロッパ、特にサミットの国々においても随分改善改良がどんどんやられているのですね。そういう点でいえば、ヨーロッパでは既に、フランスは三十九時間労働になっているわけです。ドイツは今二十五時間を目指してやっているわけですね。こういう中で、有給休暇についても、ドイツ二十九日、フランス二十六日、イギリス二十四日、そして現在では、ECでは全体として休日を二十八日、四労働週にしようという方向で今どんどん進めているのですね。これを、もうすべての国に最低として義務づける、ここまでいっておる。なお、ECでは、最大の労働時間を、残業を含めて最大でも週四十八時間を超えないこと、もちろん上限は時間外は決まっているのですから、そういうところまで、週四十八時間以上はだめというところまで今やっている。こういうことですから、ヨーロッパに比べてこんなに違うわけですよ。これはもう、何も外国に行ってみなくたって、労働省は資料でみんなとってわかっているのですから、こういう点は、厳しくやはり我々は考えていかなければならぬし、指摘しておきたいと思うのです。 そこで、変形労働時間制の問題です。 もともと変形労働時間制は八時間労働制の原則を崩すという点は、もう各方面から指摘をされている。それから同時に、企業にとっては残業手当の節約になるのです。これも、手品のようだという言葉が生まれるくらいの状況だ。それからもう一つは、所定内労働時間を企業の都合で伸縮、伸び縮みさせるということが可能になるわけです。それは労働組合がだめだと言えばとあるけれども、制度としてはそれを置いちゃうわけですから、ですから、企業にとってはうってつけの制度なんです、これは。端的に言えば、企業中心の労働力活用制度だと思うのです。もっとずばり言えば、企業保護制度じゃないかと言われるぐらいのものだと私は思うのです。 そういう中でぜひ明らかにしていかなければならぬという問題は、どういうように適用されるかということですけれども、ここで労働省に伺いたいのですが、昨年一年間に日本の労働者に支払われた残業手当の総額は、推定で結構ですから、どのくらいになっていますか。
○伊藤(庄)政府委員 今手元に正確なデータ、恐らく推計をしないと出ないのであろうと思われますが、これはことしの一月分の毎月勤労統計調査で見ますと、これで……(金子(満)委員「後で結構ですから」と呼ぶ)もう少しデータ、調査いたしましてお配りしたいと思います。
○金子(満)委員 毎月勤労統計で、去年の一月から十二月までで約十兆なんですよ。私は労働省も担当の方は知っていると思ったのですが、約十兆。その十兆の中で、恒常的な残業の部分が約八割なんです。だから、八兆円が恒常的な残業なんです。具体的に私もちょっと計算したり傾向を見ました。そうすると、一年で見ると、残業がどの月に多いかとかどの時期に多いとかいうのが大体波が出るのです。 こういう状態を考えたときに、ここで変形労働制の問題なんです、一年に延長するということになりますと、この残業が、今のところは残業手当は出しているんですが、そこのところに変形が入ると、いや後で休ませるよ、まあここは我慢してくれという、手品のようにそこで残業代がカットされるような仕掛けになるんですよ。だから、こういう点で、さあ、これを一年の変形労働制に延長するということは、企業にとってはまたとないんです。のどから手が出るほど欲しいんです。先ほどの質問にもありましたが、陳情するぐらい欲しいんだから。それにまんまと乗ったと言うと言葉は悪いけれども、それを制度化したらどういうことになるだろうか。 これは、労働問題の専門家で、日大の牧野富夫という教授ですけれども、この三月に「日本型企業社会の神話」という本を出版しました。その中に、既に八七年の法改正のときに変形一年問題が出ておったんですね、学者の中にも出ておった。そこで、こういう文章があります。「すでに八七年段階に財界の一部で主張されていた(当時、筆者が関西経営者協会で聞き取り調査をおこなったさい、もっとも有力な理事がくりかえし「一年単位の変形労働時間制」の必要を主張していた)が、その段階では、かれらも「(資本にとって)理想的過ぎて」実現できるとは思っていなかったようだ。それがいまや、「労基研報告」にもりこまれ、それが中央労働基準審議会の建議として「公式な見解」となり、いまや法案になろうとしているのである。」このように指摘しているのです。ですから、八七年の段階ではとてもとても一年なんていうのは理想的過ぎて実現できるとは思っていなかったのが今度実現するのですから、笑いがとまらないぐらいだと私は思うのですね。 そこで、これは適用するとすれば、制限なく拡大は理論上できますね、いろいろの産業、企業に。どうですか。
○伊藤(庄)政府委員 この一年の変形制につきましては、週四十時間労働制、これは週休二日に相当するものですが、これが平成六年四月からはまず相当数の企業で原則として実施され、平成九年からは押しなべて実施される、そういった完全週休二日制を実施する、どんな企業でもやっていくために、やはり年間の業務の繁閑というものも考えながらこういったものをこなしていくための措置として導入されているわけでございまして、先生おっしゃるように残業の問題という点は、ある程度の問題は確かに数字として出てくるかと思いますが、限度時間等がなり縮小した形で決めていく、そういう形で利用されていくかと思います。 本来の趣旨である完全週休二日制に相当するものを年間単位で実質確保していく、そういうねらいでございますので、そういった観点からは特に業種を限定するような考え方は出てこないのではないかというふうに思っております。
○金子(満)委員 そのとおりなんですよ。だから、今の三カ月では適用できないようなところも、一年ということになると今度は盆暮れ勘定でできるのですよ。だから、経営者が歓迎するのです。 例えば、ボーナスは年二回ですね、夏期、年末とあるのです。この時期は金融機関は一番書き入れどきなんです。ですから、この時期にぐっと時間を上げるんです、暇なときに下げればいいのですから。これで変形ができます。それから、ボーナスということになりますと、各家庭でそうですけれども、電気製品をデパートで、集中的にこの時期が売れるのです。これはどこを見たって統計はそうなるのですから。そうしたデパートがこの変形労働制を入れるというのはだれが見てもわかる。それから、印刷、製本、出版関係。例えば四月から新学期が始まります。その前の準備というのは、教科書から参考書から山のように仕事が出るわけです。そこのところも年で変形になるのです。こういうのを挙げていったら、もう切りがないほどありますね。では、デパートで売ったら、今度はそれを運ぶ、配達をする流通部門、ここだってみんな来る、運送関係も来るのですから、そういうように無限に拡大をするということになる。これはもうどこでもだれでも指摘をしているところなんですね。だから、除外するものはないのですから、こういう点を無制限に入れると大変なことになるだろう。それに歯どめができないのです。 現在は三カ月の変形で、週は五十二で一日は十だ。これを幾らか下げる気持ちはあると思うのですよ。いろいろこれから関係者で、委員会で御審議する。それは五十二で十でいくなんということは絶対通りっこない。そんなあほみたいなことをやったら、国際的にもう袋だたきですからね。これは四十八になるか九になるか知りませんよ、だけれども、下げるということだけはわかっている。 しかし、それで合理化できるものではない。労働者にとってはどうだろう。手取り賃金がぐっと減るのですよ。そこまで来ている。 私は、そういう点を考えてみたときに、変形一年が持っている意味、これは大臣の言われるゆとりなんというものじゃないのですよ。過密労働が集中するのですから。例えば健康を害したら、いや後でゆっくり休めと言ったって、休むときが病気を治すようになったらとんでもないことになるのですね。 私は、そういう意味で、この変形問題についてはもっともっと議論をすべきだ。もういいかげんで審議はさっさと上げてこれでいくなんていったら、とんでもない。次回には外国の変形労働の問題についてもやりますけれども、日本のこんなようなものはないのですよ。非常に過酷です。ですから、最初も言いましたけれども、経済は大国で、そして千八百時間にするのが生活大国だというけれども、小さいのは、世界で一番小さいと言われるのは労働条件で、しかも、今度の労基法の改正というのは、部分的には改善はあります、しかし容認できないような大改悪というのがこういう点にある。 あとは今後の問題で、裁量労働の問題とかあるいは残業のいろいろな規制の問題は次回にやりますけれども、ぜひこの点は労働省としても、内外ともに注目しているのですから、いいかげんなことで済まないようにしてほしいと思うのですね。せっかく労働大臣は大いに張り切っているのですから、村上さんのときに、何だ、下手なものが入っちゃったなということのないように、ひとつゆとりを実際に生かしてほしい、このことを申し上げて私の質問を終わります。答えだけしてください、時間が少しありますから。
○村上国務大臣 制度の悪用の実例を挙げていただいたわけでありますが、そういう悪用をされないように、されないようにと言ったってこれは知恵比べになるのかもしれません、しかしそれは労使でぴちっとした話し合い、締結をするわけですから、そこらあたりを信じていきたい、こう思っておりますが、いずれにしても、できるだけそういう危惧のないようなことはぴちっとしていかなければならない、こう思います。
○岡田委員長 次に、伊藤英成君。
○伊藤(英)委員 きょうから極めて重要な労働基準法の改正の審議に入るわけでありますけれども、その第一回の委員会審議であります。この労基法の改正案につきましては、私は本当にたくさんの問題点があると思うのですね。本日は、したがって、基本的な問題並びにその多くの問題のうちの一部について質問をしたいと思っております。 まず初めに、前回の経済計画「世界とともに生きる日本」で掲げられた労働時間の目標が達成できなかったその原因と政府の責任について、先般我が党の代表が本会議で質問をいたしました。労働大臣の答弁は、労働時間短縮が進まなかった一般的な理由を述べたということかな、こういうふうに思っております。 政府としての責任、特に労働省の責任についてどのように考えているか改めてここでまず伺います。
○村上国務大臣 やはり、いやしくも政府が約束したことがそのとおりに実現できなかった、こういうことについてはその責任は当然負わなければならない。そうした意味で、経済計画の目標の達成には至らなかったことについては、遺憾であると申し上げさせていただきます。 そこで、私は、その責任ということについて、むしろこれからどう取り組んでいくかという積極的な姿勢が重要であろうと考えます。今回の目標については、その早期達成に向け決意を新たにいたしているところでございます。 達成できなかった理由については、先ほど金子委員からのどういうことが挙げられるのかということについてお答え申し上げました。また、本会議場でも、それは一般論だと決めつけられているわけでありますが、そういうことが考えられると申し上げたところであります。
○伊藤(英)委員 繰り返して聞きますけれども、先ほど申し上げたように前回の経済計画の表現の仕方があった。そして「生活大国五か年計画」では、「計画期間中に年間総労働時間千八百時間を達成することを目標とする。」「計画期間中に大部分の業種において週四十時間労働制を実現する。」と極めて明確な表現で書かれているわけです。 そして、ではこの計画期間の中でどういうふうに推移しているかというと、既に二年目に入っている、今度の労基法の改正案が施行されると三年目の平成六年度というふうになるわけです。よっぽど考えなければ実際の目標達成というのは不可能ですね。 さっき大臣はこれからどう取り組んでいくかが問題だよと言われたのですが、まさにこれからどう取り組んでいくかが問題なのですけれども、それは、どう考えたって、今までの状況から見ればそんなに簡単ではなかろう、こういうふうになりますね。いかがですか。
○村上国務大臣 最大の努力を傾けてまいりますということしか、私としてはここで申し上げられる言葉はありません。 そこで、中身につきましては、事務的なあれでございますので部長の方から答弁させます。
○伊藤(庄)政府委員 千八百時間達成に向けての所定労働時間あるいは完全週休二日、時間外労働、いろいろな問題を積み重ねてこの千八百時間に向かっていくわけでございますが、先生御指摘の点は、その際のいろいろなモデルとして組み込んでいる目標に、それぞれの項目がかなり達成状況が悪いのではなかろうか、その辺これからどうやっていくのかという御指摘なのだろうかと思います。 まず、千八百時間に向けて、私ども所定労働時間については全体の平均値を使っているわけでございますが、もう一つ大きいのは、完全週休二日制が完全に定着していること、これを前提といたしております。それから、時間外労働が百五十時間を切りまして百四十七時間、こういう前提で計算をいたしております。それから、年次有給休暇につきましては二十日、これを完全取得する、こういう前提にいたしております。 まず、完全週休二日の問題につきましては、今御審議をお願いしているこの労働基準法の改正案によりまして、週四十時間労働制、週休二日制に相当するものが原則として平成六年からで、あと中小企業等も含めまして残ったものも平成九年の四月からこの状態に移行していく、こういうことで、かなり千八百時間に向けての足がかりができてくるのではないかと思います。 時間外労働につきましては、現在、景気の低迷もありまして、かなりこれに近づいてきておりますけれども、また今後景気の拡大や何かとともにこれが急激にふえていくようなことにならないように、時間外労働の削減というものが恒常的な姿として定着していくような形に持っていかなくちゃいかぬ。この点につきましては、私ども時間外労働について上限時間を定めました目安、制度等を利用しまして、なお行政指導またはそれに基づく労使の取り組みを促していきたいというふうに思っております。 それから、年次有給休暇の問題でございますが、完全取得ということを前提にしておりますが、実際の取得状況を見ますと、五割を少し超えた程度の取得率の状況でございます。これも完全取得の促進に向けていろいろ本当に使用者、労働者の意識の点も含めて、さらに具体的な、技術的な方法といたしましては、夏あるいはゴールデンウイークの連続休暇の拡大なりあるいは労働基準法に定めております計画的な年次有給休暇の付与制度、こういうものをうまく活用していただくことの促進とか、そういうものをあわせて利用率をさらに上げて、労働基準法の改正によりまして週四十時間労働制が全体に適用される時点を目がけて、こういったものの促進を図っていきたいというふうに思っております。
○伊藤(英)委員 今いろいろなことを言われまし たけれども、千八百時間のモデルケースと比べて、じゃ、実情はどうなっているかという意味で、今部長がそれぞれについての状況も若干言われたりいたしましたが、その乖離は本当に大きいですよ。それは今それぞれの、例えば有給休暇をどうする、連続休暇をどうする云々というふうに言われたし、そしてそのために努力します、こう言うんですが、なかなかそれぞれの実績は上がっていない。もちろん部分的には、不況のゆえに、この面についてだけ言えば幸いにというふうに言った方がいいのかもしれませんが、要するに、本当に千八百時間を達成するために努力してなったのかどうかという意味からすれば、極めてあいまいだ、私はこういう気がするんですよ。それは労働省並びに政府の、本当にどうやってやるかという熱意が足りないと私は思うのですね。それは今回の労基法の改正案の中にもその姿勢があらわれていると私は思うのですよ。どうしたら本当に千八百時間達成できるんだろうかという意味でのやり方の問題があると思うのですね。 そこで、例えばこうした規制の仕方の問題について考えてみても、これもよく言われていることでありますが、憲法の第二十七条第二項には何と書いてあるかというと、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」と明確に規定をしております。そういうふうに考えたときに、労働時間の規定の問題もある、さらに今回の改正で割り増し賃金率の規定も命令に委任をするということなど、こうした重要な労働条件の規定が次々と命令に委任されている。一体これは何を意味するんだろうとこれは考えなきゃなりませんね。 こんな形の、どんどんと命令に委任するというようなやり方は、これは労働省は国会軽視をしているんじゃないかと思いますよ。あるいは憲法との関係でいえば憲法違反ではないか、あるいはひょっとして憲法違反にはならないというふうに思ったとしても、憲法の理念に反することをやっているんじゃないかと思いますね。私、こんなことやっているからなかなか進まないのだと思うのですね。いかがですか。
○石岡政府委員 憲法第二十七条第二項では、先生御指摘のような規定が置かれております。しかしながら、この規定は、労働条件の最低基準をすべて法律で規定しなければならないという趣旨ではなくて、合理的な範囲内であり、かつ、個別具体的な委任であれば政省令に委任することも許す、そういう趣旨であると考えられております。 その例といたしまして、昭和六十二年に労働基準法を御改正いただきましたけれども、その結果、労働基準法三十二条本則では、法定労働時間は週四十時間とさせていただきました。しかしながら、附則第百三十一条では、法定労働時間を命令で定めていくということになりまして、現在週四十四時間が原則となっているところは御承知のとおりでございます。 こういうふうに法定労働時間も前回の基準法改正で命令で定めることにされましたのは、一定の週四十時間という目標を達成する、その政策目標を掲げながら、いろいろな労働時間をめぐる実情を踏まえながら段階的にそれに近づけていくという必要があったから、こういう命令で定める措置がとられたものでありますし、また、その際にもいろいろ個別具体的な条件が付されております。 今回の場合も、割り増し賃金とかあるいはまた法定労働時間の問題につきましては、同様の命令委任をしているわけでございますが、それは先回の法定労働時間の場合と同じように、やはり段階的にこれを決めていかざるを得ない、そういう事情があるからでございます。決して国会をこれがゆえに軽視しているわけではございません。その辺をぜひ御理解を賜りたいと思います。
○伊藤(英)委員 今回の時間外割り増し率なり休日の割り増し率の最低の基準を設定するのに、二五%から五〇%というような幅で云々、しかもそれをこれから政令で云々とかいうようなやり方が、憲法の趣旨を酌んで、あるいはその理念に合致しているというような話は、私はそんなふうにはとても思えないことだと思っております。 きょうは、この委員会も第一回でありますからこの問題はまた改めてやりますが、真剣にこの問題について考えていただいて、検討をしてください。 次に、猶予措置の延長の問題でありますが、先般、一定規模以下または一定の業種の事業について緊急避難措置として猶予措置の一年間延長を行いましたね。その理由は何なんだろうか、何をもって緊急事態と認識したんだろうか、その基準はどういうことですか。
○村上国務大臣 最近の景気の低迷、特に先ほども中小企業で逃げた、こうおっしゃいましたが、日本の経済構造は八〇%が中小企業で成り立っている、こういう現状からいたしまして、中小企業の売上高だとか収益の悪化だとか取引条件の悪化などということを十分注目していかなきゃならない。 そうしたときに、生きるか死ぬかということを申し上げたわけでありますが、私どもは、現状の中小企業が抱えているさまざまなそうした環境は、先ほども言いましたような、そういうところまで追い込まれてきている、そうした厳しい経営環境にあるという認識に立ちまして、やはりここはそうした意味において緊急避難という言葉しか申し上げる言葉はないのかなと、私はそう思っております。そうした実態に即した措置をとることが、行政の、また政治のあるべき姿である、こういうことで緊急避難的と申し上げたわけであります。
○伊藤(英)委員 今のお話なんか聞いていますと、ある明確な基準というようなものはとても感じられませんよね。こんなことをしていて本当に週四十時間制移行というのがちゃんとできるかなというふうにやはり私は思います。 そしてまた、今回の問題について言えば、既に以前にも申し上げたりいたしましたけれども、本当にこのために一生懸命に努力した企業やあるいはそういう人たちから見れば、何だ、おれたちは一生懸命やったのにというふうな不公平感も持つことにもなるでしょう。そしてまた、実際に今度は労働省の地方の基準局の人たちもこのために一生懸命に指導してこられたと思うのです。そういう人たちもやはり困ってしまうということになるんだと思うのです。どう思いますか。
○石岡政府委員 今回、週四十六時間の法定労働時間の猶予措置を一年間延長したわけでございます。その結果、まじめに努力した企業が損をする結果となったではないかということでございますが、この四十六時間の法定労働時間の猶予措置、これはあくまでも最低労働基準を決めたものでございまして、週四十六時間の適用対象企業の中でも、週四十四時間とかに改善して努力をしているところはたくさんあるわけでございます。平成五年度におきましては、労働省としましても、この四十六時間で猶予された企業には集中的な行政指導を加えまして、できるところから四十四時間にしてまいりたい、そういうように考えております。 それからまた、第一線の職員が週四十四時間に来年度からなるよう一生懸命努力したのも事実でございます。しかし、やむを得ない経済情勢の変化などによりましてこういう措置をとらざるを得なかった点につきましては、第一線の職員もよく理解してくれているところでございます。しかしながら、先ほど言いましたように、時短を猶予するわけにはいきません。平成五年度、第一線の職員とともども一緒になりまして、四十六時間の猶予企業を重点的な対象といたしまして行政指導を展開し、できるところから四十四時間に移行させていく努力を最大限とらせていただきたいと思っております。
○伊藤(英)委員 来年の四月以降の猶予措置のあり方について伺うのですが、審議会の建議でも、「猶予対象事業についての法定労働時間の水準については、当面、週四十四時間とし、実態の進展によっては、猶予期間中に週四十二時間とすることも検討」とされておりますね。 来年四月以降の猶予対象事業の法定労働時間の 水準について、どういうふうに考えるのか。そしてまた、平成八年度まで週四十四時間に猶予しているけれども、平成九年度には間違いなく週四十時間制に移行できますか。
○村上国務大臣 このお答えをいたします前に、前段の、まじめにやっている者はばかを見るじゃないかというこういう御趣旨につきましては、中小企業の事業主その人自体がふまじめに、取り組んでいなかったからということであるならば、先生の御指摘もでございますが、事業主の努力の及ばない社会的な大きな変化、変動、こういうこともございますし、そこらあたりはやはり理解を示しておいていただきたいな、こう思います。 そこで、今のお答えでございますが、来年四月以降の猶予対象事業の法定労働時間の水準につきましては、まず週四十四時間からスタートいたしますが、週四十二時間をどのような範囲でいつから行うかという問題については、その都度中央労働基準審議会に検討をお願いしていくことといたしております。 ここらあたり、何でもかんでも審議会審議会と、ちょっと逃げが多いなと私自身も思っておりますが、そういうあれになっているものですから、結局勢いそういうことでお答えをしていかなければならないと思っております。 それから、猶予措置の延長により逆に中小企業において週四十時間労働制に向けての自覚が高まると孝之ますが、いずれにいたしましても、猶予措置は平成八年度末までと明記されており、中小企業においてもできるだけ早期に週四十時間労働制への移行をすることが求められますので、労働省といたしましても、そのために必要な指導や支援措置の実施には万全を期してまいりたいと考えております。
○伊藤(英)委員 平成九年度には間違いなくできるように、四十時間に移行できるように万全を期したいということでありますから、それを本当に信用するといいましょうか確実に実行していただきたい、そういうふうにぜひよろしくお願いをいたします。 特に、現在週四十四時間未達成の事業所の第二号の鉱業あるいは四号の運輸交通業、十五号の清掃・屠殺業等は非常に私は心配もされるのですね。そこで、猶予措置の対象をできる限りこれから縮小していただきたい。 それから同時に、この第八条の事業のくくりが、これは昭和二十二年に設定をされたままになっておりますけれども、今のいろいろなサービス化あるいは国際化というような産業構造の変化ということを考えれば、これも見直しをしなければならぬ、こういうふうに思っております。 そういう意味で、この猶予対象の減少並びに業種区分のあり方の見直し、これについてぜひ実行していただきたいと思いますが、いかがですか。
○村上国務大臣 私が常々申し上げておりますことは、労働省としては労働行政の本旨はやはりかゆいところに手の届くきめ細かな行政、これが我々の本旨だ、こういうことを常々申し上げております。今回の猶予措置の延長もそうしたきめ細かな対応の一つである、こう理解を賜ればありがたい。 今後の猶予措置の対象の決定に際しましても、御指摘の点を踏まえたきめ細かな対応が可能となるように配慮していく必要があると考えます。 そのため、その前提として、法案成立後に実施予定の労働時間に関する実態調査においては、関係労使の意向に沿って、従来の調査よりもきめ細かな区分でデータを集計いたしたい、このように思っております。その上で猶予対象事業の範囲を決定したい、このように考えておるところであります。
○伊藤(英)委員 今のは、その上で決定するわけですが、あくまでこれはその対象をできる限り縮小するという方向で実行されるわけですね。
○村上国務大臣 御指摘の点を踏まえてということを申し上げたつもりでおります。
○伊藤(英)委員 ぜひそれは実行してください。 それから、特例措置についてでありますが、この特例措置に関しまして、法定労働時間の短縮に伴い、当然これは段階的に短縮をしていくべきものであると考えます。これまでも、一日十時間・一週六十時間制あるいは一日九時間・一週五十四時間制などの特例措置も漸次廃止されてきていますね。 今回の改正では特例措置事業の時短をなぜしなかったのか、伺います。
○伊藤(庄)政府委員 労働基準法の四十条に基づきます十人未満の商業・サービス業についての特例措置の取り扱いでございますが、これは労働基準法上も、こういった事業の業務の実態、性格からいたしまして、経過措置としてではなく、恒久措置として本則に織り込んである制度でございます。 法案をまとめるに当たりまして、そのもとになりました中央労働基準審議会の建議におきましては、そういう業務の性格にかんがみまして、基本的には継続するという御意見をいただきました。ただ、それに当たりまして、この特例措置について定めております現行四十八時間という労働時間につきましては、週四十時間労働制への移行のスケジュール等も勘案して縮小の方向で検討する、また、対象業種の範囲につきましても最新の実態に基づいて検討していく、こういうことが審議会から出された御意見でございました。 私どもは、この法案が成立した後、具体的な施行関連の政省令を定める段階におきまして、労働省令におきましてこの四十八時間を次のステップとしてどうしていくのかというようなことを、審議会の場でいろいろ御議論いただいて最終的に決定していきたいというふうに思っているところでございます。
○伊藤(英)委員 今のお話は、この審議会の建議の中にも、労働時間について短縮する方向で検討する、そしてまた業種の範囲についても最新の実態を踏まえて検討するというふうになっていることに関して、その方向で、すなわち時間短縮の方向で、そしてまた業種の範囲についても検討をするということでこれからやっていきますということになるわけですね。 それは本当にそうするのですねということと、具体的にいつその検討の時期に入るのか、御答弁願います。
○伊藤(庄)政府委員 検討の方向については先生おっしゃるとおりでございます。 それから、具体的にそういった四十八時間という労働時間を縮小する方向で検討すること、また、業種の範囲等につきまして最新の実態に基づいて検討すること、これらはいずれも法律上労働省令で具体的にその辺を定めておりますので、この法案につきまして成立させていただきましたならば、この法律の施行に備えて関係政省令を関係審議会で御議論願う中で、その一環としてこの問題も……(伊藤(英)委員「いつごろ」と呼ぶ)大体時期といたしましては、後の周知期間を考えますと、秋から冬口あたりがその辺の検討に入る時期かなというふうに考えてございます。
○伊藤(英)委員 先ほど申し上げたその方向でぜひこれも実行してください。 実は、もう時間になってしまいましたので、きょうはここで終わりますが、次回は、予告編でありますが、時間外割り増し率の問題やら休日出勤の割り増し率等について厳しく審議をしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 本日は終わります。ありがとうございました。
○岡田委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十四分散会