予算委員会 第9号
- 発言数
- 222 件
- 登壇者
- 40 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1993/02/16
会議録
○粕谷委員長 これより会議を開きます。 平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算、平成五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。
○中西(績)委員 私は、佐川問題等たくさんの討論がなされておりますので、その間、文教予算等について欠けておる点を一、二補足をしながら討論してみたいと思います。 ロッキード疑獄以来、相次ぐ政界トップクラスを巻き込む不祥事が後を絶たず、その間の、金さえもらえば何でもする、あるいはバブル経済に見られるように金をもうけるためには何でもするというように、人心の荒廃相まって教育と子供たちをむしばんでいるのが現状であります。 資源の少ない我が国におきましては、すぐれた真の人間教育、国際的に信頼されるすぐれた人材養成が緊急、最重要課題であることは異論のないものと思いますが、総理大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 政治でこのような不祥事が後を絶ちませんということは、それ自身で非常な問題でございますけれども、もとより、育っていきます青少年に対しましてははかり知れない大きな影響を与える、現在における問題であると同じくらい、あるいはそれよりもっと将来に向かって大きな影響を与えるおそれがありまして、そのことは深刻な教育の上での問題であるというふうに考えております。
○中西(績)委員 総理に十分な御理解をいただかないままの答弁であったと思いますけれども、いずれにしましても、極めて今我が国にとってこの文教問題というのは問われておる大きな課題であろうと私は思っています。 そこで、文部省のこの概算要求、昨年出した際に何が重要かということを指摘をいたしましたところ、第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画あるいは国立大学施設設備、科学研究、私学助成、公立学校施設設備、文化庁予算などを挙げておりましたけれども、平成五年度文部省予算は、一般会計五兆四千二百六十四億七千二百万、国立学校特別会計二兆三千五百十七億六千三百万を提示いたしております。しかし私は、一般会計文部省予算の中におきまして占める人件費の割合というのは八〇%近くになっておると思いますが、この点、果たして八〇%近くになっておるかどうか さらに、法務省の場合を申しますと五三・〇%、裁判所の場合が六三・〇%、会計検査院で六〇・一%と言われるように、最も高いところでもこのように六〇%前後になっていますが、文部省予算だけが突出をしておる状況にあるわけでありますけれども、このことについてどのようにお考えなのか、文部大臣、お答えください。
○森山国務大臣 お答えいたします。 教育は人であり、人が教育の根幹をなすものであるということを考えますと、その結果、予算の中に占める人件費が文部省に関しましては相当の割合になるということはある意味でやむを得ないことではないかというふうに考えますが、さらにそれに必要なさまざまなほかの予算もついてこなければ十分な効果が上がらないということもまた考えられることでございまして、その面についてもこれからさらに努力をしていきたいと考えております。
○中西(績)委員 答弁になってないと思うんですが、文部省のこの予算の中に占める人件費の割合がどれだけになっておるかを詳細に言ってくれということを言ったんですが、これになっておるということを言う人がおるんですが、頭どうかしているんじゃないですか、お答えください。
○吉田(茂)政府委員 文部省の予算の中で占める人件費の割合でございますが、平成四年度予算におきましては七八・〇%でございます。五年度の予算案におきましては七七・二%という数字に相なっております。
○中西(績)委員 先ほどからありますように、重要視しなくてはならぬという割合にこの人件費の占める割合というのが極めて高いというところに文部省、文教予算の特徴があるわけですね。しかし、これでは今騒がれておる科学研究だとか高等教育だとかいうふうな問題等については到底解決し得るような状況にないというのはだれしもが考えることなんですね。したがって、こうした問題等について一、二例を挙げながら指摘をし、文部省予算についての問題点を明らかにしていきたいと思います。 そこで、義務教育費国庫負担による第六次義務教育諸学校教職員配置改善計画では、六年間で三万四百人配置されるようになっております。ところが、自然減で余剰人員として出てくる者が六万四千人あったわけでありますから、これを全部当て込めば私はさらにこうした配置改善が進められていくと思うのでありますけれども、こうした点が非常に私は問題視されなくてはならぬ点ではないかと思っています。 というのは、第五次の配置改善におきましては、自然減が五万七千九百三十二人なのに七万九千三百八十人配置されておりますから、これは二万一千四百四十八人上積みをしておるわけであります。ところが、先ほども申し上げるように、第六次におきましては逆に三万三千六百人残して配置されておるわけでありますから、こうした五次案と六次案の差が出てきております。したがって、この三万三千六百人を生かしてやるとすると、三十五人学級編制を取り込んでいくことができたのではないか、こう私は思います。ところが、残念ながら、これを三万三千六百人残しておりますから、それができなかったということになります。 それでは、なぜこれを放棄してしまったのか、この理由を明らかにしていただきたい。これが一つと、それから三十五人学級を組み込んだ場合に、これに必要な改善数は何人必要であったかということとあわせお答えをいただきたいと思います。
○井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。 まず前回の第五次教職員定数改善計画では、四十人学級に要する教職員定数が約四万人、それから配置改善が約四万人でございまして、先生がおっしゃるとおり約八万人を十二年計画で実施したところでございます。これに対しまして、今回の第六次の教職員配置改善計画におきましては、改善数では三万四百人でございまして、計画期間の差異を勘案いたしますと、改善数では前回とさほど遜色のないものというように考えておるわけでございます。 なお、前回の第五次改善計画におきましては、計画期間が十二年間と長期に及んだため、結果といたしましては約六万人の自然減が生じたところでございますが、今回の改善計画におきましては、現下の国の厳しい財政事情も勘案いたしまして、改善期間中の教職員定数の自然減約六万人を活用して所要の計画を策定したところでございます。 また、第二点目といたしまして、三十五人学級へ移行しなかった理由につきましてお尋ねがございましたが、第六次の義務教育諸学校教職員配置改善計画は、新しい学習指導要領の目指す基礎・基本の徹底と個性を生かす教育を実現することを目的としているところでございます。 このため、今回の改善計画におきましては、一学級当たりの児童生徒数の全国平均の現状を踏まえまして、現行の学級編制の標準を一律に下げるよりは、学習集団を固定化せず、より弾力的に個に応じた多様で柔軟な指導方法が工夫できるような教職員配置を行うことを主眼といたしたこと。さらには、今後、児童生徒数が大幅に減少することに伴いまして、学級規模もある程度縮小していくこと等を勘案いたしまして、小中学校の普通学級の学級編制の標準を変更することはしなかったものでございます。 〔委員長退席、中川委員長代理着席〕
○中西(績)委員 今お答えいただきましたのは、この三十五人学級編制をなぜ放棄したかというその理由は今言われました。しかし、私は、このことについては大変なまだ問題があると思いますから後に残しますが、質問をいたしました三十五人学級を組み込んだ場合に何人必要になるかということについては一切触れておりません。もう少し私の質問を十分認識をした上でお答えいただきたいと思います。
○井上(孝)政府委員 お答えいたします。 先ほどお尋ねがございました三十五人学級に改善する場合に所要の教職員定数は何人かということでございましたが、これにつきましては児童生徒数を算定の基礎に学級編制が行われるわけでございまして、現在、私どもといたしましては、全体としての学級数あるいは児童生徒数の実態調査というものをいたしておりますが、三十五人学級にした場合の必要な教職員定数については個別に各学校ごとの児童生徒数あるいは学級編制の構成、そういうものを積み上げて計算するということから、私ども単純にそれらを計算することはできないということで、そういう実態調査をいたしておりませんので、私どもとしてただいまそういう数につきまして申し上げることはできないわけでございます。
○中西(績)委員 私は、このことはごまかしてはないかということを指摘をしたいと思いますね。 当初から、三十五人学級を編制した場合の人員が幾ら要るかということを最初からもう放棄してあるのですよ。そして、むしろ今言うように、基礎・基本だとか個性を尊重するために云々というようなことを言いましたけれども、そうしたことを事前に、この方向に持っていこうということが事前にあって、まさにこのことについては手を触れていない。このことが今の答弁を聞けば私は明らかになってきたと思うのです。私は、その点が問題があるということを今指摘をしているわけであります。 それじゃ、もう一つ聞きますけれども、平成三年の小学校一学級の全平均が二十九・一、中学校は三十三・九人と言われておりますけれども、小学校二万四千五百五十七校、中学校一万五百九十五校あるわけでありますが、三十五人学級数以上、学級に三十五人以上のところの学級数は幾らになっていますか。
○井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。 平成三年五月一日現在で、先ほどお話がございましたように、学校数が小学校二万四千五百五十七校で、学級数は三十一万六百二学級、中学校は一万五百九十五校で、学級数が十四万五千九百二十二学級ございまして、そのうち三十六人以上の学級数は、小学校で全体の二五・二%、中学校では六一・四%という数字になっております。 〔中川委員長代理退席、委員長着席〕
○中西(績)委員 今言われますように、二五%内外ということになっておるわけでありますけれども、こうした点についても、例えば今度の場合、こうしたことをやるために、外国にも調査団を派遣したりなんかして調査をしてきているはずですね。 そうしますと、小学校の場合には、西欧の場合だけ今申し上げるといたしますと、二十五人から二十一人くらいですね、イギリス、フランス、ドイツなどを初めといたしまして。これが小学校です。それから、中学校の場合はやはり同じように二十五人から二十人程度になっています。これも全部また英、仏、独などを初めとする西欧の場合、大体これに近い。日本の場合には、このように平均からいたしましても高いし、依然としてこの三十五人学級以上が四分の一以上残っておるわけであります。 ですから、これからいたしますと、今言うように、学校数、学級数等からするとどれくらいのことが出るかというのは大体出てくるじゃありませんか、今の答弁によって。そういうことを全くやらずに今先ほどの答弁になってくるわけですから、まず三十五人学級を最初から放棄をしておいてやっていったというところに私は今度の問題があろうと思います。 そこでお聞きをしたいと思うのですけれども、六年間で三万四百人増員をするわけでありますけれども、この概算要求時におきましては三万五千二百九人を要求をしたわけです。したがって、これは数からいきますとマイナス五千人になるわけです。そこで、今局長が言いました個性あるいは能力把握を十分いたしまして、この伸ばす教育をすることだ、あるいは一斉指導中心から個に応じた多様性を目標にした、目指した教育を目指すんだというようなことを言いますけれども、この五千人というものを削ったときに、当初文部省が三十五人学級でなしにこのような配置基準をするこ とによって達成できると言ったこの目標は達成できるのかどうか、この点を明らかにしてください。
○井上(孝)政府委員 お答えいたします。 予算編成の過程におきまして、当初の改善計画案と比べて約五千人弱の縮減があったわけでございますが、第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画が平成五年度から六年計画で当初計画どおり実施することが認められたこと、また教育の個性化推進のためにチームティーチングなどの新しい指導方法を実施するための教職員配置が新たに認められ、六年計画全体で三万人台を確保できたことによりまして、多様な指導方法を導入し、教育の個性化を推進する上で十分効果を上げ得る計画数であると考えております。
○中西(績)委員 私は、決してそうとは受け取れないんですね。 と申しますのは、概算要求で行いました三万五千二百九人というこの数におきましても、私は三十五人学級を実施をし、そしてそれに伴うその他の、今言われたようないろいろな配置基準をやった場合、ある程度の効果は上がるといたしますけれども、三十五人学級、切っています。これはもう四十人学級はそのまま残しておいて、そういうところに今度はこういう人々を、人員を配置するわけですから、最初の三万五千二百九人をもう十分な人員だとは言い得ないと私は思っています。それなのに、また五千人を削減をするということになってまいりますと、これは必ずどこかにひずみが出てくるのではないか、こうしたことを指摘をしたいと思うのです。 なぜ私がそういうことを申し上げるかといいますと、今もう一つお聞きしたいと思いますけれども、四十人の一律学級を三十五人の編制基準、標準引き下げと、学級指導集団の弾力的編制で四十人以下におけるそうしたやり方の中でどれだけ差が出るかということについては、いまだに私は研究したことはないんじゃないかと思うのですね。あるいは、してあっても、そのことは文部省に集約をされていないのじゃないかと思うのです。 ですから、こうしたことを考え合わせてまいりますと、四十人学級のところで具体的にこの三万四百人というのは一学級にどのように配置をされていくかということをもう一度明らかにしていただくとそのことが明らかになると思うのですが、この点についてお答えください。
○井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。 一学級当たりの児童生徒数の全国平均は、平成三年五月一日現在で、小学校で二十九・一人、中学校で三十二・九人となっているわけでございます。そして、小学校につきましては十二学級以上の学校、中学校については九学級以上の学校で、一学級当たりの児童生徒数の平均値がこの全国平均を上回っているという調査結果が出ております。また、全国の学級数のうち、一学級当たりの児童生徒数が三十六人以上の学級数の割合は、先ほども申し上げましたが、小学校で二五・二%、中学校で六一・四%でございまして、小学校については二十五学級以上の学校、中学校については十二学級以上の学校で、一学級当たりの児童生徒数の平均が三十六人以上となっているという結果になっております。 そこで、今回の改善計画のうち、チームティーチングの導入、選択履修の拡大にかかわる改善数は、小学校総数の約三分の一の三四・四%に当たり、仮に規模の大きい学校から各学校に一人ずつ配置したといたしますと、十五学級程度の学校まで配置が可能となります。また、中学校につきましては、学校総数の約七割の七〇・七%に当たりまして、同様に各学校に一人ずつ配置したと仮定しますと、九学級程度の学校まで配置が可能となるというように計算しております。
○中西(績)委員 今説明ございましたけれども、小学校で十五学級以上の学校で一人だけ配置をするのですね、いろいろなこの配置をいたしたといたしましても。それから、中学校で九学級以上、ですから一学年が三学級以上について一人配置をするということになっているわけです。ですから、私が言う三十五人学級の場合には、すべての学級が三十五人になるわけですね。今度は三十六人学級以上があるところであっても、このように十五学級に一人あるいは九学級に一人ということになるわけですから、どちらが効果があるかということの判断に立たなくてはならぬと私は思います。 そこで、私はかつて高校の教師をしておりましたから、皆さんに御理解をいただきたいと思うんだけれども、高校であの四十人学級のとき、職業高校に私おりまして、そのときに余りにも学力が低いという子が多いものですから、自分たちで、教員の定数配置もしないのに、一つのクラスを二つに分けました。ですから、二十人学級をつくりまして、そして英数国という基本のものだけを、基本学科だけを中心にして、一年の一学期には小学校、これがマスターできるように一生懸命勉強させました。それから二学期に中学校の、そして三学期になって高等学校の指導要領に従う内容についてある程度やっていくという方式をとりました。 ところが、隣の学校と、これは点数で言うことはよくないと思いますけれども、一応基準としてとりました同じ隣の学校と二、三十点開いておった平均点が、低かったその学校でやったのですけれども、その結果、今度は逆転を、一年するとするのですよ、二十人にして我々が一生懸命やった結果が。私はこうした経験を持っているのです。 それはなぜかというと、外国のように二十人から二十五人程度ということになると、それに近いわけですよ。本当に一人一人の子たちの個性だとか特徴というものを十分認識をした上で、私たちがそこで何をこの子たちに、個性を引き出し、本当にその子たちを伸ばしてやるということをやったときにどのような結果が出るかということを私は私なりに経験をしてきています。ですから、三十六人学級で、小学校の場合に十五学級以上あるところにたった一人おるよりも、五人なら五人を引き下げた方が、一人の教師がそのクラスの生徒に十分な対策なり対応ができるということを私は言いたかったわけであります。 ですから、このようにしていろいろ弁解がましいことあるいは何を目標にしてやったかということを言いますけれども、私は、このことは決して三十五人学級を否定するのでなしに、むしろ鳩山文部大臣が昨年の臨時国会のときに、乱そうした問題等について追及をした結果、三十五人学級編制は財政との絡みで見送ったのではないかということを発言をいたしたわけであります。ですから、むしろその実績が上がるか上がらないかということよりも、そういう理由づけをしながら、三十五人学級そのものを、むしろ財政的な問題が裏に隠されてこれが実施できなかったということをこのことは示しておるのではないかと私は思っています。 ですから、この点は率直に、いろいろな理由、聞けばいろいろ答弁はいたしますけれども、そうでなしに、私たちが外国に行っていろいろ話をしますと、四十人学級などと言ったって理解できないのですよ、外国の人たちは。四十人学級というのは何ですかということをむしろこちらに聞かれるわけでありますから。 こうしたことを考え合わせていきますと、真の教育のあり方をいかに追求するかということを考えてまいりますと、義務教育費国庫負担について、基本的な考えについて、私は、こうした点でぜひまだ必要だし、このような三十五人学級を放棄するものでないということをぜひ文部大臣の口から私は聞きたいと思うのでありますけれども、文部大臣、どうでしょうか。
○森山国務大臣 中西先生の貴重な御経験をお聞かせいただきまして、大変参考になったと思います。 これからの教育の方向として、個性化、多様化、柔軟化というようなことが求められておりますが、その目的のためになすべきことはいろいろ方法があると存じます。当面平成五年度の予算におきましては、先ほど来御説明申し上げておりますようなことで、チームティーチング初めいろいろな工夫をまずしよう、そのための人員を確保しようということで始めておりますが、先生の御指摘もございますことでございますし、今後検討させていただきたいというふうに考えております。
○中西(績)委員 私、検討させてくれということでごまかしてはいけないと思うのですね。とにかく財源がなかったから今度は三十五人学級を見送ったということを言われればまだしも、そうでなくて、へ理屈をつけて、三十五人学級、言いかえますと一律学級編制、このことよりもそちらの方が効果があるというような言い方をしまして、そして聞きますと、今さっき、何回も私繰り返しますけれども、十五学級に一人だとか九学級に一人程度でこれをごまかすということはいけないということを私は言いたいのです。ですから、少なくともやはり、財源がなかったから今度はこうだけれども、これから後どのようにこれを回復措置を求めていくかということを検討していきたいならいきたいということを答弁してくださるならまだしも、こうしたごまかしだけでは私はいけない、こう考えます。 そこで、私は、今問題になっている点をもう一つ申し上げますけれども、義務教育費国庫負担の問題でありますけれども、平成五年度予算では、共済費追加費用、三年で九分の一ずつずっと削って一般財源化していったわけでありますけれども、今度前倒しでやっています。ですから、今までは教員数をある程度義務教育費国庫負担で確保するということになっておったのですけれども、それが今度は、それに当たる財源をこの共済費追加費用を充てておったのですけれども、一般財源化することによってこれを今度は一挙にもうなくしてしまうことになります、平成五年度で。もう一年大体はあるはずなんですけれども、こうしたことになっていくということになりますと、これは私、大変なことになると思っています。 特に、例を挙げて指摘をいたしたいと思うのでありますけれども、かつて、教材費だとか教員の旅費だとかいうものを一般財源化いたしました。そのために、確かに自治省は財源が多くなっていくでありましょうけれども、交付税でこれを消化するわけでありますから、富裕な都道府県だとか市町村の場合には、今度は枠がなくなったわけでありますから、例えば教材費をうんと引き上げるということだって裕福であればできます。また、実際やっています。 ところが今度は、本当に困っておる、財政窮迫しておる市町村におきましては、これを全額充てるということができないところだって出てくるわけですね、他の財源に流用できますから。そのために、裕福な都道府県だとかあるいは市町村に比べて財政の逼迫しておるそういう自治体の場合との格差が義務教育の中におきましてうんと広がってきておるという実態があるわけです。 この点、文部省は調べておるかどうかひとつ聞きたいと思うのでありますけれども、何としても、そうした経験を実際に私たちは持っておるわけですが、こうしたことが出てこないようにするためにも、私は、この財源措置というのは、大変今文部省の予算の中におきましては大きな課題を投げかけておるのではないかと思っています。したがって、文部省でその格差が広がっておるということを認めるかどうか、お答えいただければと思っています。
○井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。 六十年度予算におきまして一般財源化いたしました教材費についてのお尋ねでございますが、六十年度におきまして、教材の整備につきまして、既に地方公共団体の事務事業として定着しているという観点から、地方財政当局とも十分御相談して所要の財政措置を講じた上で地方一般財源化を行ったところでございますが、平成三年度の教材費の地方公共団体におきます予算措置状況は全国総額約六百三十二億円でございまして、平成二年度に比較して約三十四億円増額をしているところでございまして、都道府県単位で見た場合、四十一都道府県が前年度を上回り六県が前年度を若干下回る結果となっております。市町村が整備する教材の予算額は、学級数の増減等さまざまな要因によりまして変動するものでありますが、昭和六十年度の教材費の一般財源化の措置が教育水準の低下を招くものとは考えていないところでございます。 教育条件の整備は、先生がおっしゃるとおり、文教行政の重要な課題と考えているところでございまして、文部省といたしましては、各地方公共団体において地域や学校の実態に応じて所要の教材費が確保され、これによりまして教材の整備が図られるよう今後とも指導に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。 なお、教材費につきまして、先ほど平成三年度の実態について申し上げましたが、全国平均で申しますと、都道府県の予算額累計で先ほど六百三十二億円ということでございまして、基準財政需要額が五百十五億円でございますから、地方財政計画による地方交付税措置を二二・七%ほど上回った措置が講じられているというように私どもは調査結果を得ておるところでございます。
○中西(績)委員 答弁の中にありましたように、都道府県においても昨年度を上回っているところは四十都道府県程度あって、それ以外のところは落ちている、昨年よりも落ち込んでいると言っているのですよ。そこを追跡してみればどうなっておるかが明らかになるのですよ。だから、ごまかすような答弁ばかりやるのですよね。私たちが聞いておることについては答えないというのが大体傾向ですね。このことはやはり改めぬと、黙って聞いておるとごまかされてしまいます。こういうことにならぬようにしないといかぬと思うのですよ。 先ほどから答弁しているのを聞きますと、要らぬことをたくさん言っていますけれども、昨年より落ちているところはあるわけです。昨年よりうんと伸びたところがあるわけです。伸びたのはうんと伸びています。ですから、その格差が私は開いておるのじゃないか、そのことについてどうですか、こう聞いておるわけですから、格差は開いていますと言えばもう終わりなんです。ですから、こうした点で、中身をごまかしみたいな答弁でやられることに対しては大変私は不満でありますけれども、この点について十分これから答弁を慎んでいただきたい、こう思います。 それでは次に入りますけれども、こうした実態が、義務教育問題一つを取り上げてみても、やはり同じように多くの問題があるということをお気づきいただきたいと思います。 そこで、今度は第五次公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画、これは三年ないし六年で実施計画案を各県ごとから作成し、そしてこれが提出をされることになっています。そうなってまいりますと、平成五年、一定の人員が最終確定したと思うのでありますけれども、この点がどうなっておるかということと、もう一つは、なぜ職業高校が四十人学級から三十五人学級に移行できなかったのか、この点についてお答えください。
○井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。 第五次の公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画でございますが、これは平成五年度から十年度までの六年計画で、四十人学級の実施につきましては一万二千六百四十人、配置改善につきましては一万一千六十人の教職員の配置を計画しておりまして、全体としては改善増は二万三千七百人でございます。 このうち、平成五年度の所要の教職員定数につきましては、四十人学級の実施につきましては各都道府県ごとで四十人学級の実施計画を策定しておりますので、それらを勘案いたしまして必要改善数を文部省として算定いたしまして、それを掲上させていただいているわけでございますが、平成五年度の改善数は、四十人学級で二千九百二十三人、配置改善には二千四百九十七人、合わせますと五千四百二十人を平成五年度の改善数というように予定をしているところでございます。 それからもう一点、今回特に職業高校での三十五人学級への移行についてのお尋ねでございます が、高等学校につきましては、今回の改善計画におきまして、現在四十五人学級とされている普通科等につきまして職業科と同様に四十人学級を実施することといたしたところでございます。現在四十人学級とされております職業学科におきましては、実習を伴う教科・科目の授業につきまして、そのために必要な実習助手等の教職員配置を行っているところであり、これによりまして、実際には教科・科目の特性に応じて弾力的な学習集団を編制して授業が行われていることなどを勘案いたしまして、学級編制の標準を変更することとはしなかったものでございます。
○中西(績)委員 先ほども申し上げましたけれども、この職業高校を四十人から三十五人学級にしなかったのは、実習助手がいるということ、そしてこの四十人の集団で幾グループかに分けて授業をすることができるということを理由にして三十五人学級に移行しなかったという、こういう理由づけをしていますね。 しかしこれは、将来に向けて高等学校を現在本当に授業が納得でき、そして、その一時間、時間数の中で十分生徒が集中できるという体制に果たしてなっておるだろうかということを考えるときに、この四十人学級でも不十分だと私は思っています。特に、進学校だとか普通高校のそういうところにおきましては余り問題がないにいたしましても、大学に進学できないような子たちの多いような普通高校だとか職業高校等におきましては、指導要領どおりに実施できないようなところがたくさんあるのです。こういう学校等におきましては、やはり一学級の生徒数を現状のままだとか、あるいは普通高校で五人程度これを切り下げるということだけで終わらせてはならない。そうしないと、七〇%以上の子たちが高等学校を完全にマスターできないという、履修できないという実態があるわけであります。 こうしたことを考え合わせてまいりました際に、何としてもこの三十五人学級移行というものを果たすようにしなくちゃいかぬと私は思っています。ですから、今のような答弁では不服であります。不満であります。そういうことで満たされるような現状ではないということを文部省の大臣を初めとする多くの担当者は十分認識をする必要があると思うのですけれども、この点文部大臣、どうでしょう。
○森山国務大臣 ただいま政府委員から御説明申し上げましたような事情で、実際には職業学科におきましても実習その他の場面で細かいグループに分けて学習することも多いわけでございますし、そのようなことを勘案いたしまして特に学級編制の標準を変更することはしなかったわけでございますが、このような考え方に立ちまして、自治省とも協議を行いまして、第五次改善計画を策定したというところを御理解いただきたいと存じます。
○中西(績)委員 私は、今これを担当している局長以下各課長を初めとする皆さん、大臣もそうでありますけれども、あるいは政務次官もそうでありましょうが、実際に自分たちで経験がないわけでしょう。クラスを持ち、実際に授業をした経験がない人が強弁をなぜするだろうかと私は不思議でならぬわけですよ。私は農学校の教師ですから、実際にそれをやってきたんです。従前より進学率が高まっておりますから、今の高等学校の生徒たちが本当に理解をしておるかどうかということを知らずに、私はこういうことを平気で立案しておるんじゃないかということを感じるわけですよね。 この点、一回現場に出向いてもらって、そしてどうなのかということの検証を一回していただきたいと思うんですけれども、これは私が強制してもなかなかうんとは言わぬと思いますけれども、このことに対しての、検討するかどうかについてお答えください。
○森山国務大臣 先生の御指摘のとおり、私自身クラスを持って授業をしたという経験はございませんが、この文部大臣の仕事をいただきましてから、まだ日も浅いのでございますけれども、今現場に一生懸命出向きまして、現実の状況を勉強したり、また現場の先生方の御意見を伺ったりという努力を精いっぱいやっているつもりでございます。先般も、小学校、幼稚園、また大学、養護学校その他幾つかの、また高校につきましてもいろいろなタイプの高校がございますが、それを精いっぱい視察いたしまして、意見を聞き、新しい方向を探っていきたいということで努力いたしております。 これからもそのような努力を続けて、できるだけ現実の御意見をよく取り入れ、多くの方に納得していただけるような政策をつくっていきたいというふうに考えております。
○中西(績)委員 ですから、もう一度その内容について特にお願いを申し上げたいと思うのは、多くの学校の中でも、例えば公立高校の場合には学区制というのがございますね。以前は小学区であったものが中学区になり、大学区になって、現在では三十校前後の高校を擁する学区制になっています。その中で選択をしていくわけでありますから、もうランクづけをアチーブによってされていきますので、あるいは今問題になっている点数、これで規制をしていくわけでありますから、こうした点で考えていきますと、もう本当に層が薄くなって、その学校の生徒の層になっています。それの一番下の方に来ますと、想像できないような状況にまで立ち至っているわけですよ。 ですから、そうしたことも含めて、そうした学校があるということも認識をした上で、私は十分現場を知っていただくことを特に要請をしておきたいと思います。 では、次に移ります。 高等教育関係についてでありますけれども、国立学校特別会計、一定の増額を見ましたけれども、深刻な状況に今立ち至っています。教育環境の悪化は、教育研究活動の内容を大きく変質させるところまでに達しておるわけであります。特に病院等におきましては、国立大学の病院等におきましては、かつては研究機関的な性格を持つことができたんですけれども、現在は営利的な病院にならざるを得ないという状況にまでなっています。 まさに我が国の高等教育あるいは学術研究にとって危機に立ち至っておるわけでありまして、重大であり、社会的損失が極めて大であると思いますけれども、この点に関してどのようにお考えですか、文部大臣。
○森山国務大臣 国立大学の教育環境あるいは研究環境というものが大変劣悪になりつつあるということは、私も実は参議院の文教委員会に属しておりましたとき視察いたしまして、大変びっくりしたようなことでございます。 学術研究の推進と有為な人材育成の担い手であります大学の教育研究条件の改善充実ということは、将来にわたる我が国の発展の上でも、また国際貢献の上でも極めて重要な課題でございまして、国立大学の教育条件、研究条件の改善は緊急の課題だと考えております。
○中西(績)委員 認識が一致したということで、質問を続けていきたいと思います。 そこで、一九七三年までの特別会計中、一般会計繰り入れについては大体八〇%台であったと思います。ところが一九七〇年を境にいたしまして人件費と物件費が逆転しました。そして、一九八三年以降になりますと、これが六〇%台に繰り入れ率がなってきたわけであります。八〇から六〇ですね。これはなぜなったかといいますと、一九八三年以降ずっと据え置きが続いたわけです。増額されずに据え置きのまま、それが経過をしました。ところが、一九八九年に至りますと、いよいよ六〇%台を割ったわけです。 では、一九九〇年から九一年にかけましては何とか六〇%台を回復をしたんですけれども、七〇%台くらいないと、この国立学校特別会計、もう手をつけられないような状況にまで立ち至るわけですね。ですから、七〇%台に九三年、平成五年度予算、もし回復をさせるということになれば、金額にして幾ら増額をすればよろしいのか、 この点をお答え下さい。
○吉田(茂)政府委員 現在正確な数字を持っておりませんが、一般会計よりの受け入れを七〇%台ということになりますれば、やはり一兆五千億程度の繰入額になろうかと思います。仮の試算でございます。
○中西(績)委員 ことしの増額が一千三百四十五億ですね。ですから、それにプラスの、少なくとも二千億あるいは三千億程度これをやらないと、七〇%台には到底達しないわけですよ。従前から私が言っておるのは、五千億から六千億程度国立学校特別会計に繰り入れないとにっちもさっちもいかないというのが実態ではないかということを指摘をしてきたわけですね。 ですから、何としてもこの点については、そうしたやはり年次計画的なものを立てて、ごまかし程度の予算増でなしに、その場当たりのものでなしに、年次計画的なものを立ててでもこれを回復させるということにならないと、私は、高等教育関係予算というものは十分な体制に立ち返ることの基盤すらもできない、こういうことになってくるんじゃないかということを強く感ずるわけであります。したがって、ぜひこの点を総理大臣初め関係大臣、十分認識をしていただいて、今後の課題として取り組んでいただきたいと思うわけであります。 そこで、私は、時間の関係もありますけれども、たくさん文部省には例として挙げておりましたけれども、今ここに「国立大学財政基盤調査研究委員会中間報告」というのがございます。これはいろいろ調査を、教官の五万三千二百四十八人中三万四千三百二十五人、六五%の回答率になっておりますけれども、その人たちのいろいろな点についての調査がなされています。これ全部やるわけにいきませんので、私は、研究環境と研究水準がどのように教官の人たちに認識されておるかということを調査した結果が出ています。 民間の企業あるいは研究所と比べてどうなのかということを聞いてみましたところ、設備については八四%が劣ると言っています。五八%の人が大きく劣ると言っています。それから建物については八五%が劣ると言っています。そして、大きく劣るのが六一%、少し劣るのが二四%。それから、給与の面で見ますと、九七%の人が劣ると言っています。大きく劣ると言う人は七九%、少し劣ると言う人が一八%になっておる。これは「研究環境と研究水準」の中の一つ、ある一部だけを今取り上げてまいりました。 それから、もう一つ例を挙げたいと思いますが、財政の逼迫状況がどのように影響しておるかというやつがございます。これを見ますと、国立大学の教官の能力が生かされてない、経常的な研究費だとか設備の制約によって生かされてないというのが八一%に及んでいます。それから、待遇、研究条件が悪いため優秀な教官が国立大学に集まらなくなっておるというのが五八%です。それから、先端的な研究で大学が企業等に立ちおくれをしておるために国内、国際的な学術交流に支障が生じておるというのが五四%。授業料の値上げ、建物の老朽化などで優秀な学生が国立大学に魅力を感じなくなっておるというのが五七%です。そのため教育の機会均等、地方の活性化などの点で悪影響が生じておるというのが約五〇%というように、すべてがもう五〇%以上という結果になっています。 私は、そのほか、もう挙げていきますと、研究設備がどうかとか、助成金あるいは教育研究費、特に問題になりますのが校費の関係でありますけれども、こういうようないろいろな問題を挙げてまいりますと、もうどうすることもできないというようなところまで落ち込んでおるのじゃないかというのがこの調査の結果出ています。この点についての御認識を文部大臣に聞きたいと思います。
○森山国務大臣 ただいま中西先生が引用されました「教官の直面する教育研究費の現状」、全国調査の結果というのが、私持っておりますこれかと思いますが、これは平成二年の十二月一日に実行されたというふうに書いてございますが、その後このような深刻な状況にかんがみまして、そしてその中で国立学校が我が国の学術研究及び高等教育に果たしている役割の重要性というようなことにかんがみまして、大変厳しい財政事情のもとではございますが、一般会計からの繰り入れ、先ほどお話がございました繰り入れについても、厳しい財政事情の中努力を続けてまいったところでございまして、平成五年度の予算におきましては、国の一般歳出の伸びが三・一%であるのに対しまして、国立学校特別会計予算の伸びは六・一%というものを確保させていただきました。 平成五年度における一般会計からの繰り入れは、対前年度八百二十四億円増の一兆四千六百二十億円というものを計上させていただいております。繰り入れ率は、先ほど御指摘のとおり平成元年に五九・七と、六〇%を割ったのでございましたけれども、平成二年度から毎年少しずつ増加してまいりまして、平成五年度におきましては、対前年度比〇・四%増の六三・二%というところまで少し盛り返してきたところでございます。 今後とも、国の財政事情などを踏まえつつ、国立学校の教育研究条件の整備充実を図りますために、引き続き国立学校特別会計の充実に適切に対処してまいりたいと考えております。
○中西(績)委員 今言われました点、考えますと、もう全般的に落ち込んでおるわけ。ですからね、何もかもが。ですから、それからいたしますと、これでは若手研究者の育成だとかいうことはもう不可能になってくるのですね、全部よそに逃げるわけですから。したがって、短期間で、今大臣が答弁されたような回復措置では焼け石に水で、到底私は追いつかないだろう。 したがって、先ほどから申し上げておるように、人的国際貢献、自衛隊でない貢献だってこういうところでうんとできるわけでありますから、ぜひ先進国あるいは途上国ともに日本がリードできるような体制というのをつくっていくのが今一番問われておるんじゃないかと思うのですね。そういうことになってまいりますと、今のようなお答えではわずかの、こう薬張りみたいなことでありますから、根本的にどうするという一つの計画を示していただければと思います。この点は要求しておりますから、後日またどうなったかをお聞きしますので、検討していただきたいと思います。 特に、わかりやすく言うなら、今死亡者の欄にいろいろたくさんの有名な人だとか、いろんな人たちの名前が出るじゃないですか。東大の病院で亡くなったという方はいらっしゃいますか。あれにはほとんど出てこないでしょう。以前は東大病院で亡くなったと書かれておったのですよ。ところが近ごろは、東大病院に入院して亡くなったという、あれは社会面ですか、下に出ているのを見ますと、全くと言っていいほどそれはなくなってきたのですね。ですから、私はそうした点で、今度はいろいろな機器類すべてがやはり劣っておるということをそのことは示しておると思う。ですからこの点は、ぜひ大臣の皆さんが全部これから後、東大病院に入院したいという希望を持つようにすることが大事じゃないかなと私は思うのですね。 次に、そこで私は、その財源について回復させるためには、先ほどからるる申し上げるように、そうした研究などを中心として、やはり計画をびしっと皆さんに示すようにしていかないと、将来人材をと言っても、なかなか国立には集まらなくなってくる、こういうことになるんではないかと思います。 ところが、これに一番大きな制約をしているのはシーリングです。シーリングがありますと、もうまず第一、例えば文部省から予算要求をしようたってできないわけでしょう、枠を決められてしまっているわけですから。その範囲内でどうやりくりするかということだけを考えなくちゃならないわけですから。ですからこうした点を、例えば新しい大学を設置するという、移転をするなどということが出てまいりますと、土地を購入すればもうその金額は不足するとか、いろいろなことが出てくるわけでありますから、こうした点はもう待てないところまで来ておるということになるわけですから。 そこで総理大臣、今までの、私学の問題はまだ出ておりませんけれども、そのほかの問題たくさんあります。文化庁の予算がもう世界で比類のないような低い予算であるとか、こういうところあたりを考えてまいりますと、本当に私はシーリングというものが今文教政策に制約を加えておるということがもうはっきりしてきたのではないか、こう思います。この点をどのようにお考えになっておるかということを私はお聞きしたいのです。 その前に、森通産大臣が、先般、学校、病院の施設を公共事業に入れるべきだというようなことをどこかで発表したということが新聞に出ておりました。この点の真意はどういうことでしょうか。先にお聞きします。
○森国務大臣 お答えをいたします。 私は、所管でございますそれぞれ幅の広い産業分野がございまして、今やはり景気の問題を論じてまいりますと、個人消費、民間設備投資といったいわゆる民間需要が低迷をいたしておるわけです。そういう現状を考えてまいりますと、やはり景気浮揚のためには公共事業を積極的に、そしてしかもそれを継続的に行っていかなければならぬというふうに考えております。 それで、今御指摘ございましたように、私、先般秋田県に参りました。知事さんを初め、市長さん、いろいろな方々との景気、地方の景気の状況でございますとか、あるいは公共事業の執行の状況などはどんなふうになっておるだろうか、そんなお話を伺った中で、地方の方では公共事業がかなり行き渡って、仕事によってはかなり目いっぱいあるというような表現をされている方もございました。ただ、どちらかというと公共事業は土木事業が中心になっていくので、すそ野の広い景気浮揚といいましょうか、需要喚起にどうもつながっていかないというような声も聞きました。 私どもとしましては、この予算委員会始まりましても、総理を初め各閣僚、これからの景気対策については適宜適切な経済対策をとっていかなければならぬという認識はどなたも持っておられるわけでございまして、そういう中でこれからまた引き続き公共事業を考えるとするならば、今言ったような意見も各地にあるわけでございまして、もう少し建築部門の公共事業というのはふえないものかな。なぜ建築部門の公共事業というのはふえないかというと、やはりこれは建物を建てれば人件費がかかってくる、あるいは今先生がお話しになっておりましたような病院でありますとか教育施設になりますと、これはどうしても設備機械というものが必要になってまいります。 財政当局も、補正予算を組みましたとき、総合経済対策をやりましたときも、随分いろいろな意味で配慮はしてくださっておりますけれども、まだまだそういう面での、やはり今先生がおっしゃっておりました、一番先生のおっしゃりたいことは、シーリングによって一番影響を受ける役所、つまり文部省とか厚生省とか法務省とかいろいろ人件費が非常に多いところは、シーリングがかかって、一律にかかっておれば当然政策経費はここ十数年の間にどんどん減っていったわけですから、そういうことが、研究施設や病院というものが非常に劣悪な状況になったと、今文部大臣もおっしゃったとおりだと思います。 私はそういう意味で、これは所管外のことで余計なことを申し上げてはいかぬのかもしれませんが、まあ公共事業をこれから考えていく上において、もう少しそういう建物の中に入る施設整備、機械類にもいわゆる建設国債の対象になるようなことがまあできないものなんだろうかな、こういうことを私は、政調会長がおりましたので党でも十分検討してもらいたいなと。私自身も昨年政調会長をいたしておりましたときに、何とかそういう新たな公共事業というものをやはり創出をしていくべきではないだろうか。今通産の事務方にも新しい社会資本のあり方、あるいは新しい社会基盤というようなもので需要を創出をしていけるようなそうした公共事業が効果的に経済全体に、産業界全体に及んでいけるようなことをぜひ考えてみるべきではないかというようなことを、私見としてスピーチで申し上げたわけでございます。
○中西(績)委員 私も公共事業問題、もう時間がありませんから、きょう用意しておりましたけれども、討論する余裕がありませんから後日に回すといたしまして、あり方について、やはりある程度この国会の場の中で、国民の見えるところで徹底討論をしていく必要があるのではないかということを痛感をいたしております。 確かに、先ほど森通産大臣が言っておりましたように、この平成五年度の概算要求を論議した際に閣議了解しておる中に幾つかの措置はされておりますよね。臨時特別の措置として総額二千億するとか、あるいは予算編成過程において総額二千五百億円、公共事業関係費が二千百九十億、そしてその他の経費三百十億、その中に文部省が九十八億だけ入っておるというようなこともありますわね。あるけれども、その一番もとにあるのは、何といってもやはり私はシーリング、そのことの矛盾と問題点、これをある程度徹底討論していく必要があると思うのですけれども、この点総理、どのようにお考えですか。
○宮澤内閣総理大臣 先ほどから御質問を承っておりまして、殊に学術研究、文化等々につきましての御所論には大変共感するところが多うございまして、そう思って承っておりました。 そして、現状が、片方で文部省のように非常に人件費の比率の多い役所において、他方で長いことシーリング、概算要求基準というものをやってきた結果としてそのような状況が起こりつつあるということは、実は私も非常に心配をいたしております。 シーリング自身は、これは過去において今日まで、各省庁において、その省庁の施策の中で優先度を省庁の責任においてつけるという意味、あるいは、新しいことを考えるときにはいわゆるスクラップ・アンド・ビルドをしてもらいたいといったような、そういう行政のあり方については、私は非常に大きな功績を残してきたと思いますし、我が国の財政がこのような状況であります限りこれを放棄してはならないと思いますけれども、しかしこれだけ長いことやってまいりますと、メリットも多うございますがデメリットというものもおのずから出てくる、これは関係者もみんな認めておるところでございます。 それで、実は平成四年度の予算編成におきまして、私就任間もなくであったものでございますから、当時の大蔵大臣、文部大臣に、何か緊急の措置をとれないものかということをお願いをいたしまして、何がしかのことをやっていただきましたが、平成五年度の予算編成につきましては、多少私にも時間的な余裕がございましたので、先ほどお話しのように、概算要求基準の中で生活・学術研究臨時特別措置というような、いわば概算要求基準の中での、まあ例外と申してはなんですけれども、適宜な処置をとったわけでございます。そういうことをいたしませんと、将来に向かって大きな悔いを残すようなことになりかねないということを、私も強く心配をいたしております。 それらの新しいそういう自覚によりまして、事態は多少下げどまったということは申し上げられると思うのですけれども、長い間のおくれを取り戻さなければならないということは、相当、先ほど御指摘のように、これからも大きな努力の要ることであります。それは今後、文部当局あるいは関係省庁、財政当局の間で、やはり相当大きな努力を今後していかなければならない。私もそのことは強く感じておりますので、内閣一体になりまして、そういう自覚と努力を続けてまいらなければならないと思っております。
○中西(績)委員 総理が今言われましたように、内閣一体になってこれについて取り組んでいかれるということについては、これから関心を持って見守りたいと思っています。 特に、私は私学問題についてきょうやっていきたいと思っておりましたけれども、これができなかったわけでありますけれども、私学の場合もやはり全く同じなんですね。もう私がここで申し上げるまでもありません。あの私学の白書、こんな厚いやつをつくっていますね。それをずっと検証してまいりますと、今やはり文部省、文教予算が問われておることが、国立大学とまた同様に、ここにも集約されているような感じがいたします。したがって、これらの問題についてもぜひ、これはまた後、一般質問のときにでも明らかにしていくつもりでありますけれども、いずれにしても、これらの問題については十分な検討が、再検討が必要であろうと思いますので、ぜひ何かの機関ぐらいをつくっていただいて、そして取り組みを強化をしていただければと思います。この点要望を申し上げておきます。 そこで、次に私は、我が国のODA関係についての援助政策について、時間のある限り申し上げたいと思います。 そこで、ぜひお聞きしておきたいと思いますのは、援助政策がこの十年間、実態的に、段階的に、あえて区分をすればどのようになっておるかということをお聞きしたいわけであります。 私は、八五年七月にフィリピンヘ調査に参りまして、主にフィリピンの政治、経済、社会状況と、それからナブオタス漁港、それからバターンの輸出加工区、ミンダナオ川崎製鉄などなどを初めとする援助をし、そして事業として今完成しておるところ、あるいは事業中であるものを調査をしてまいりました。さらにまた、ミンダナオ・カガヤンデオロ市、ここにも参りましていろいろ調査をしたわけでありますけれども、ここで私が感じたことは、他の国の援助があるためにさらにその地域が悪化しておる、そして民衆の苦しみは増大をしておるという実態が明らかになってきました。 それから、ある日突然土地を奪われ、立ち退き強制されて、使途が明確にされないまま海岸から、例えば先ほどの漁港の場合でありますけれども、漁民が海岸から八十キロも離れた辺地に追いやられて、無償のまま追いやられておるというような状況、それから人権が奪われて、人間の自由、平等、民主主義などというものは無視されている、こういう状況等がたくさん出ていました。ですから、今から八年ぐらい前ですから、私が十年というのをお聞きするのは、そうした意味であります。したがって、大ざっぱで結構ですから、どのようになっておるかこの十年間、お答えください。
○川上政府委員 お答え申し上げます。 最近の十年間ということの御質問でございますが、とりわけ一九八〇年代に入りましてから、政府開発援助、ODAを政府は我が国の国際貢献の柱というふうに位置づけてございまして、従来から、いわゆる人道的な配慮及び南北間の相互依存関係の認識というものを基本的な理念として、援助を実施してまいったわけでございますが、昨年の六月に政府開発援助大綱を策定いたしました。 これは、今先生から御指摘がございました環境問題等につきまして、とりわけいろいろな議論、最近の議論を踏まえまして、環境の保全及び開発途上国の自助努力を支援するということを新たな援助の基本理念に加えるべきではないかということで、二点加えた、掲げたわけでございます。環境の保全ということは、先進国と途上国とが共同で取り組むべき全人類的な課題というふうに最近もちろんなってきておりますし、援助される側の経済的離陸に向けての自助努力というものも途上国の健全な発展には不可欠である、こういう認識で、その二点が加わったということでございます。 さらに今、人権あるいは自由の保障ということについて先生から御指摘がございましたが、援助大綱の「原則」の項におきまして、冷戦の終了後、開発途上国において顕著な動きが見られております民主化や市場指向型経済の導入といったものの改革努力を我が国としても積極的に支援するということ、それから援助の実施に当たりまして、途上国の軍事支出等の動向に十分注意を払うという考えをこの原則の中で明確にしておるところでございます。 今後ともそういうことでODAの大綱を基礎としながら、踏まえながら、効果的な実施に努めてまいりたいというふうに思っております。
○中西(績)委員 特に、大綱決定をいたしまして、これでもって大きく今までの援助政策と異なった、大衆の理解できるようなということを言いたいんだと思いますけれども、これらについて、特に私はお聞きしておきたいと思いますのは、絶えず言われておりますのは、実績からいたしましても世界一位と言われるところまで来ておるわけでありますけれども、顔がないとか理念がないとかあるいはひもつきだとか言われたことをこれによってクリアしようとしておるものと私は思うわけでありますけれども、実際にまだまだそうした問題点が残っておるようであります。 そこで、私は、その残っておる点について一つだけ、たくさんありますけれども、一つだけ挙げてお答えをいただきたいと思います。 それはインドなんですけれども、インドのサルダル・サロバル・ダムという、このダム建設に当たりまして、ここは非常に広い範囲で事業を行っておるようでありますけれども、一番の私は問題は、この地域において物すごく反対運動が起こっております。しかもこれの場合には、わざわざ問題があるといたしまして環境調査を行うようになりまして、一九八五年の十二月三十一日までに環境的影響作業計画というやつをつくりまして、いろいろここで示されたわけであります。特にその中で、モースという人が委員長になりまして報告書をつくったわけでありますけれども、この報告書の中の重要な内容というのは、法的要件の無視、それからデッドラインの不遵守、そしてその延長、それからすべてが事後になっていろいろ、指摘をされると事後になって決定をしていくという、こういういろんな中身を持っておるようであります。 先ほど申し上げた八五年でなしに、九一年の六月にモース調査団が報告書をプレストン世界銀行総裁にあてて出されております。 で、このような根本的な欠陥を持つということでありますけれども、世銀がプロジェクトについて手引きをし、新たな視点から検討するとかいろいろ言われておりますけれども、ただ、私が驚いておるのは、このプレストン世界銀行総裁が声明を発しまして、プロジェクト実施状況、満たされておらないということを言いつつも、しかし、世界銀行がナルマダ・プロジェクトへの支援を続けることについては正当なことだと言って今なおこれを続けておるわけであります。これに加えて今度、インドの水資源相チターレという方が声明いたしまして、モース報告書に影響されることなく計画どおりに進めることができるだろうということを言っております。 このようにいたしまして、わざわざモース調査団というものをつくって、設置をいたしまして、この皆さんが調査をした結果をこうして報告をし、問題があるということを指摘をしておるわけでありますけれども、それに対する対応というものは全くなされておらないといってもいいわけであります。 ここでは二百四十五カ町村、水没十万人、それから運河とかんがい網によって立ち退きを命ぜられる者十四万人というような非常に広い範囲で多数の者を巻き込んでおるという実態であります。 ところが、インド政府あるいは世銀の態度は今申し上げたとおりであります。国際的にも大変問題になっておるわけでありますけれども、このときに世銀の理事会におきまして、九二年の九月ですから昨年の九月ですね、このナルマダ融資が問題になったときに、日本側の理事は沈黙を守り続けたというのですね。これはアメリカ、オランダは最初からこれに対して批判的、それからスウェーデン、ノルウェーそれから北欧諸国は融資を中止すべきだと言っている。それから欧州議会は反対の決議を採択をしておる。そのときに日本は、二国間の融資についてはストップを今しています、これについては。ところが、世界銀行の理事会におきましては残念ながら沈黙を守り続けておるということです。 こうした矛盾した二元外交的なことをやっておるのでありますけれども、この分についてはどのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
○中平政府委員 本件かんがい発電用ダム建設のプロジェクトにつきましては、ただいま先生から御指摘のありましたように、住民移住問題及び環境問題につきまして、世銀の総裁のイニシアチブによりまして独立委員会、今お話のありましたモース委員会に検討を依頼いたしまして、昨年の六月にその報告書が出されました。 この報告書を受けまして、今先生のお話にありました、昨年九月と言っておられましたが、昨年十月に世銀の理事会が開かれたわけでございます。その理事会におきまして我が国の理事は、本件プロジェクトの進捗には住民の相当数が移転に関し同意すること及び包括的な環境行動計画の策定が完了することという条件が満たされるべきであるということを主張いたしまして、それに向けた一層の改善努力を要請したところでございます。先生おっしゃいましたように沈黙を守ったということではございませんので、御理解をいただきたいと思います。
○中西(績)委員 それじゃ、この沈黙を守ったという私の入手した資料については誤りだということを指摘をしたと思いますが、これ以外に私は、スリランカのサマナラウェア・ダム、この問題についても問題がございますし、さらにフィリピンのマシンロック石炭火力発電所二号機の建設、一号機は建設されて今稼働中なんですけれども、これに対する公害措置などが全然なされないために、二号機に対する反対運動が起こっている。それから、同じくカラカの石炭火力発電所も、全く同じように反対運動が起こって、これ手がつかなくなってまいっておる。というように、挙げていきますと、幾つかのそうした問題が出てきているわけですね。 ということになってまいりますと、先ほど答弁がありましたように、大綱設定以降、そうした点について十分考えていくということになっておりますけれども、そうした点がまだまだ不十分だと思います。 そこで大蔵大臣に聞きますけれども、これから後、世銀等の対応の仕方等につきまして、もしそうした問題があったときには直ちにチェックをしていただく、そしてこれを指摘をし改善をさせていくという、こうした点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○中平政府委員 ただいますルマダ・ダムにつきまして私どもの対応ぶりを申し上げましたとおりでありまして、今後とも環境問題等について十分配慮し、私どもの考え方が反映されるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○中西(績)委員 あと一点、大綱を運用するに当たっていろいろ多くの問題が出てくるんじゃないかと思います。これは今年に入りましてからか、一月二十三日に新たな総合開発援助政策を策定するとかいうようなこともありますけれども、いずれにしても、この点だけはひとつ、どのように考えるのか、お答えいただきたいと思います。 例えば、ハイチの場合には、民主化に逆行することを理由にいたしまして停止をしてます。それから、ペルーの場合には、憲法停止などがあって、後で選挙が行われましたけれども、こういう状況の中でも停止をしてません。タイの場合には、軍事クーデターがあったにもかかわらず、停止してませんね。それから、中国などにおけるいろいろな問題等をどう考えるかというのは、これから後の大きな課題に私はなってくるんじゃないかと思います。 こういうことを考えていきますと、百カ国以上、二国間援助対象国がございますが、この大綱に示される四点、厳密に言えば援助を行える国というのは相当制限されてくる可能性があるわけですね。特に、上位五カ国を見てもいろいろ問題があるわけであります。 そこで、私はお聞きするわけでありますけれども、今依然として援助は続けられておるわけでありますから、この点を内外ともに理解、支持を求めなくてはならぬということになります。そのためには、援助の実態をやはり国民に多く知らして、今までは隠そう隠そうとしてきた傾向がありますから、この点を明らかにして、大綱の中にもありますように情報公開を促進をいたしまして、とにかく国民合意のこうした援助政策にならなくてはならないと私は思うわけであります。細かい点申し上げることできませんけれども、何としてもこうした点を、これからこの大綱に沿ってどのように国民の皆さんに明らかにしていくのか。この具体的な問題、お答えをいただきたい。このことが一つです。 それから、二つ目が、非常にチェック機能が弱いということが指摘されるわけですね。国会等におけるこうした論議はもちろんでありますけれども、問題は、事業団の人員を見ましても、九〇年の数でありますが、九百五十一人、それから海外経済協力基金でありますと二百八十人、各省庁加えても千六百六十三人。一人当たりの事業量というのは、一九七七年が百四十万ドルであったものが、一九九〇年には五百六十二万ドルになっています。事業量からしますと、四倍になっていますね。だのに、こういう各国に派遣したりいろいろチェックする能力というのは本当に劣っています。 例えば、私たちが八五年にフィリピンに行ったときも、ミンダナオに行ったときに、帰ってくると、大使館の方がお会いしてくれということを言うわけです。その理由がわかったのは、実際に援助しておるんだけれども、それがどうなったかの点検ができない、だから、行かれた皆さんの目で見た実態を知らしてほしいということを言うわけですよ。これでは私は十分なチェックなどということはでき得ないだろう、こう思います。 したがって、こうした点を考えてまいりますと、いかに情報公開、明らかにし、しかもこうしたチェック機能をどうしていくのか。そして最後に、これをすべて一本化して、十分国民の皆さんに、そうしたことがこのように行われておるということが皆さらけ出されていく、公開されていくという体制をつくるべきではないか、こう思うわけでありますけれども、この点についてのお考え、お答えください。
○宮澤内閣総理大臣 今御提起になりました問題は、実は私どもが大変に悩んでいる問題でございますので、そのとおり素直に実はお答えを申し上げたいと思いますが、我が国は、かつては援助を受ける国でございましたが、今援助をする立場になりまして、本当に援助をしながら感謝されるということは容易なことでない、難しいことだということを痛感をいたしております。 先ほどお話になられましたのは、まずインドのケースは、開発と環境という問題でございました。開発と環境との関連で、どちらかといえば、先進国にとっては環境というものが大事でございますし、そうでない国にとってはまだまだ開発が大事だという一般的なことはあると思いますけれども、しかしそのような当該政府の考え方についてまいりますと、住民の敵になるということはしばしばございます。ただいまの例などもその一つのケースであるわけでございます。 それから、その国の政治が十分に民主的でない、人権が重んじられていないというようなことも、これもその国の政治的経済的発展の段階によって物差しは一つでないであろうとは思いますけれども、しかしこのことを指摘することによって、当該政府を非常に困難な立場に陥れるということもまた残念ながらしばしばございます。 それから、当該国が武器を持っておるということについて、我々はこういう戦後の経験からこのような哲学を持って進んでまいりましたけれども、国が武器を持つ、武器を購入するということ自身は、これは防衛のためであるというそういう 理屈は確かに存在するわけであって、その辺のところが、国民全体のための武器であるのか、あるいは特定の政権維持のための武器であるかということは実際には難しいことがございますけれども、そこまではなかなか外から立ち入ることができないといったようないろいろな事情がございまして、政府開発援助計画の四原則というのは、私はそれで間違っていないと思いますけれども、それをそのまましゃくし定規に実際には適用することについて、やはりケース・バイ・ケースで十分考えていかなければならないんではないかというのが私どもが悩みながら感じていることでございます。 それに関しまして、その情報公開というお話がございまして、その点はおっしゃっていることはわかりますけれども、情報を公開することによって相手側政府を非常に困難な立場に陥れたり、あるいは政府と民衆との間の抗争に、どちらかに加担をするというようなことになりかねない場合もございますので、この点は十分に気をつけながら、国民にも援助の実態を知っていただかなきゃならないと思いますが、いずれにいたしましても、おっしゃいましたように、我々として十分な事情の調査、情報というものは十分に持っておって、その上で慎重に事を進めていかなければならない、大変実は政府全体としても難しい問題だと考えておりますものですから、素直に実はお答えを申し上げるわけでございます。
○中西(績)委員 時間が参りましたけれども、私は今総理がお答えになった点ですね、まだまだ具体的に討論をここでやはりやった上で国民の皆さんに御納得いただくという、こうした体制をとるのが至当であろうと思っております。しかしきょうはできませんでしたので、また改めてこれらの問題については指摘をしながら論議を続けていきたいと思います。 特に日本のこのODA世界一、あるいは防衛費、GNP比一%以内だとかなんとかいうことを背景にしながら、てこにして、また私たちが政治大国になるなどということにならぬようにしていかなくちゃならぬわけですから、こうした問題等を含みまして、まだまだ私たちは十分ここでの討論が必要だと思いますので、今後の課題として残して終わります。
○粕谷委員長 これにて中西君の質疑は終了いたしました。 午後一時十五分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 —————◇————— 午後一時十八分開議
○粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。水田稔君。
○水田委員 私は、戦後約半世紀を経た今日、アジアの各国からいろいろな問題で戦後未処理の問題についての要求が出されてくるわけであります、この戦後補償問題についてまずお伺いをしたいと思うわけでございます。 今、日本が大きな経済力を持って各国から国際貢献ということを要求される、そしてアジアヘ自衛隊まで出す、こういうことになっておるわけでありますが、第二次世界大戦で各国に与えた被害というのは大変大きなものがありました。国交回復で平和条約が結ばれ、あるいは戦後処理の問題が賠償として終わっておる、こういう問題もあるわけでございますけれども、実際には今なお、例えば日本人として、日本の軍人として戦死をした、あるいは大けがをして体が不自由になっておる、しかしそれに対する補償は全くない、そういった問題や、あるいはまた、今政府が調査しておるけれども、従軍慰安婦の問題であるとかあるいは軍票の問題等々がアジアの各国から要求されておるわけです。 宮澤内閣のある大臣は、悪かったことはごめんなさいと謝るのが当たり前ではないか、こういう話があったのですが、国際貢献をするにしても、やはりこの第二次世界大戦でアジアの各国に与えた、日本のやってきたことに対して、悪かったことはきちっとごめんなさいと言うべきではないか。それは言葉だけで言うのではなくて実際の行為としても示さなければならぬと思うわけでございます。 そこで、宮澤総理は一月十六日、東南アジアをずっと歴訪されてバンコクで演説をしておるわけであります。その中で、「日本が、二度と軍事大国になることはないということであります。」そう言われて、「これは日本国民の過去の反省に基づく強い意思であり、今後もこの道を踏み外すことはありません。」そして最後のところで、「歴史の教訓が活かされていくよう、わが国における教育の充実に一層意を用いて参る所存であります。」こう言われておるわけであります。 ただ、これと、一九九一年に海部元総理がASEANを訪問されてそこでお話ししておるのと、大分トーンがダウンしておるわけですね。 海部総理のときには、その部分について言いますと、 今世紀前半の歴史を振り返り、多くのアジア・太平洋地域の人々に、耐えがたい苦しみと悲しみをもたらした我が国の行為を厳しく反省するものであります。我が国民はそのような悲劇をもたらした行動を二度と繰り返してはならないと固く決意し、戦後四十数年に亘り、平和国家の理念と決意を政策に反映する努力をしてきました。日本の国際的貢献への期待が高まっている今日、我が国民一人一人がアジア地域ひいては国際社会の平和と繁栄のために如何なる貢献ができるかを考えるに当たって、何よりも先ず日本国民すべてが過去の我が国の行動についての深い反省にたって、正しい歴史認識を持つことが不可欠であると信じます。私は、我が国の次代を担う若者達が学校教育や社会教育を通じて我が国の近現代にわたる歴史を正確に理解することを重視して、その面での努力を一段と強化することと致しました。 こう述べておるわけですね。それに比べますと、極めて要約されたといいますか、内容的に、ありきたりなお話でしかないと思えるわけですね。 今、先ほど申し上げましたいわゆる軍人として戦死したあるいは戦傷された、あるいはまた従軍慰安婦の問題、あるいは強制連行で労働させられたそういう人たちに対する、あるいはまた日本の歴史教育のあり方について、どういうぐあいに、国際社会の中における日本の第二次世界大戦の残された問題の処理についての宮澤総理の基本的なスタンスといいますか、取り組みの心構えをまず冒頭お伺いしておきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 海部、当時の総理大臣が、今御引用になられました演説は、一九九一年の五月にシンガポールにおいてなされたものでございます。私が今回バンコクにおいて演説をいたしましたときも、もとより、我が国を代表して前総理がされましたこの所信につきまして、十分それを私存じました上で、さらにその上で申しましたわけでございまして、私の過去における我が国の行動についての遺憾の意の表明が決してそのゆえに薄かったという意味ではございません。十分、総理大臣が、過去において海部総理がなされましたことの上に、さらに今日的な意味で、立場で申したことでございます。 それで、そのようなことが我が国の基本的な態度でございますが、法律的には、連合国あるいは我が国から分離した国々との間で、いわゆる請求権の問題等々、法律的な処理は一応終わっておるわけでございますが、なおその後、慰安婦という問題が出てまいりまして、我が国も実情について調査をいたしつつございますが、どのようなことをすれば苦しみを受けられた方々への我々の陳謝の表現になるかということを、各方面の御意見を伺いつつあるところでございます。 それらのことは我々の過去の行いに対するいわば償いということでございますけれども、同時に大切なことは、将来に向かつて同じ過ちを繰り返さないということであると思います。それは一つは、やはり我々のしたことを正しく我々あるいは後に継ぐ世代に認識をしておいてもらうということでありまして、それは一つはやはり教科書、教育の問題であると思います。 先般、私の私的諮問機関として、アジア問題についての懇談会を有識者によって昨年かなり長いことかけてお願いをいたしましたが、その中で一つ言われておりますことは、教科書の記述というものは実はかなり今や正確に客観的になっておる。ただ、学校の教科の運びにおいて、一番近代に近いところに関することでありますために、そこまで授業が行かないうちに学期が終了してしまうということが非常にしばしばあることだそうでございまして、したがって、せっかく教科書に正しい記述を、必要な記述をしていながら、学童生徒がそれを読む機会がないままに学期が終了しておるそうでございます。これはやはりひとつ何か工夫をしてもらわなければならない問題だというふうに感じます。 それからもう一つは、同じくアジア懇談会において、将来に向けて我々にとって大事なことは、やはりこの過去の行為の反省の上に立って憲法をつくり、そして戦後の日本がこういう道を歩んできた、この道を踏み誤らないことが我々として過去についての反省の一番大切なあかしであるという種類の指摘がございまして、これはまさに私どもが大切にしておかなければならない指摘であるというふうに考えております。
○水田委員 以下、個別の問題についてお伺いしたいと思うのです。 これは厚生省になりますか、植民地だった朝鮮、台湾の人が、当時日本人ということで、日本の軍人軍属あるいは準軍属といいますか、強制、いわゆる徴用のような形で引っ張られた。そういう人たちが、軍務とかあるいはそういう徴用で仕事についた人が、それぞれどのくらいおられたのか。そして、その中で戦死とかあるいは戦傷者というのはどれだけおると把握しておられるのか。まず伺いたいと思います。
○佐々木(典)政府委員 まずお尋ねの中で、さきの大戦での戦没者でございますが、全体の中で、軍人軍属、さきの大戦全体で邦人約三百十万人亡くなっております。しかしながら、その中で朝鮮半島出身の方というのは二十四万人程度というふうに承知をいたしてございます。
○水田委員 戦死者が朝鮮の人で二十四万ですか。朝鮮だけじゃなくて台湾もありますからね。台湾も相当行っていますから。
○佐々木(典)政府委員 御説明を申し上げます。 全体で先ほど申しました二十四万人というのを朝鮮半島出身の軍人軍属ということで理解をしておりますが、その中で亡くなった方につきましては二万二千人というふうな数字で私ども把握をいたしてございます。
○水田委員 私の持っておる資料では、朝鮮でいわゆる軍務に服した者が二十四万二千、戦死者が二万二千。台湾が、徴集された者が二十万七千で、戦死者が三万人。間違いないですか。もう何遍もそこから来ても、時間とりますから。 それでこの人たちにどういうような補償を日本はしたのか。法律上の問題はいいですから、何をしたかだけを答えてください。今の人数の確認と補償をした事実を答えてください。
○佐々木(典)政府委員 まず、台湾の関係について申し上げます。 台湾の関係につきましては、全体で軍人軍属二十万人を召集いたしてございますが、その中で亡くなった方は三万人強というふうに承知をいたしてございます。 それから、具体的に、朝鮮半島出身の方、台湾出身の方々、軍人軍属として軍務につかれた方にどういうふうな対応があったかということでございますが、この点につきましては、我が国の、私ども厚生省の所管をいたしております戦傷病者戦没者遺族等援護法で申しますと、基本的に、この法律につきましては国籍要件を設けて、それから……(水田委員「そんなこと聞いてない。どういう補償をしたかと。してなければしてないでいいんです。台湾にはどういうぐあいにした、朝鮮はどうしたかというのを」と呼ぶ)わかりました。 いわゆる分離独立国、分離独立地域の方々の問題でございます。この問題につきましては、ちょうどサンフランシスコ平和条約に基づきまして、国家間の取り決め、外交上の取り扱いにゆだねるというふうな扱いにされておりますので、これにつきましてはそれぞれ国家間の外交上の取り扱いにゆだねるということでございます。 それで、韓国との関係につきましては、御承知のとおり、昭和四十年の日韓協定によりまして法的な解決がなされて今日に至っているというふうなことでございます。 なお、台湾につきましては御案内のとおりで、国交がない状況でございます。これにつきましては、昭和六十二年度において特別弔慰金という制度が国会においてお決めいただき、二百万円の弔慰金がこれまで交付をされてきたという経過があることは御承知のとおりでございます。
○水田委員 外務省、まあ大臣おられませんから。諸外国で、いわゆる例えば植民地で、それが独立した、しかしその本国の軍人として戦死したあるいは戦傷を負った人、外国ではどういうぐあいに扱われておりますか。
○丹波政府委員 諸外国の例につきましては、その統合の経緯あるいは併合の経緯と申しますか、あるいは分離の経緯、いろいろ違いがございますのでケース・バイ・ケースでございまして、一つの規則としてこうであるということを申し上げることはなかなか困難であろうかと存じます。 今問題になっておりますところの朝鮮地域、これは二つに分かれておりますけれども、それから台湾との関係につきましては、日本とこれらの国または地域との特殊な関係でそれぞれの処理が行われ、あるいは一定の処理が今後の将来に任されておるという状況になっておることは先生御承知のとおりでございます。
○水田委員 外務省の調査結果で、負傷または戦死した外国人に対する欧米各国の措置概要というのが一九八二年の六月に出されておるわけですね。これによりますと、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、当時の西ドイツ、いずれも外国人元兵士等に対し自国民とほぼ同様の一時金または年金を支給している、こういうぐあいに外務省の調査であるわけですね。具体的にそういうふうにはっきり答えてくださいよ。これは外務省の出した報告でありますから。
○野村(一)政府委員 恐縮ですが、私はドイツの例についてちょっと説明させていただきたいと思うのでございますけれども、ドイツの場合には主としてナチスによる被害者に対する補償ということでなされておりまして、三つに大きく分けていいかと思います。 第三国に対して行った補償としまして、イスラエルには五二年の補償協定によりまして三十四・五億マルク、フランスほか西欧十二カ国につきましては総額九・八六億マルク、ポーランドほか東欧四カ国については一・二億マルクということでございます。 そのほかに国際的な措置としましてUNHCRとの協定もございますけれども、特にドイツの場合、国内法の制定によりまして、ドイツ国民であろうがあるいは第三国人を問わずに、かつてのドイツ地域に居住しておりましたナチスによる被害者に対して補償を行うという措置をとっておりまして、その総額は九一年一月までで合計七百億マルク、そういったことを承知しております。
○水田委員 野村局長、まだそこまで質問いってないのですよ。後でそれは出るところです。 実際外務省が出しておるのでは、兵士として、その国の兵士として働いて戦死したりけがをしたら、当然それは独立して外国になろうとも全部出す、そういうことをやっておるわけですね。 ですから、今お聞きになって、総理大臣、それから厚生大臣、外務大臣おられませんが、当時日本人として日本のために命を捨てたんです。何もしないのです。ですから、法律とか条約とかそんなのは関係ないですよ。関係ないです。人間として、日本人として。それで、我々は経済力をもってこれからおたくの国に貢献しますというようなことを言って、心の底から、いや、ありがたいと思いますか。これは人間として、日本民族としてですね。 ですから、法律や条約の問題でなくて、そのことが今問われておるのじゃないでしょうか。どこの国も、自分の国のために働いて戦死した、けがをした人に対しては、どうあろうともそれにちゃんと面倒を見るというのは、これは国際的にも世界的な人間の情、人情じゃないでしょうか。そのことが今問われている。 私は、そのことについて総理大臣なり、これからどうするかは別の問題ですよ、だけれども、厚生大臣に、そのことをどう思われるか。日本のために、当時は日本人としてやった。今は国際的な条件で国が分かれて別の国になった。しかし、現実に死んだ人の遺族がおるわけですね。あるいはけがをして苦労をしておる。その人たちに何も日本はしないのです。それでその国と友好をやろうと言ったところで、人間の倍としてそういうものがわいてくるかどうか。それが今戦後処理の問題として問われておるのではないでしょうか。 総理と厚生大臣にお答えいただきたいと思います。
○丹波政府委員 総理あるいは関係の大臣から御答弁になる前に、申しわけありませんけれども私から、先生が今論じておられますこの三つの国または地域との関係で戦後いかなる処理が行われてきたかという問題について簡単に御説明させていただきたいと思います。(水田委員「委員長、全く聞いておりません。私は、法律、条約の問題じゃなくて、日本人として、人間としての情として聞いておるのですから」と呼ぶ)
○粕谷委員長 議事をちょっと整理します。 条約局長、質問者は大臣に答弁を求めていますから、私から厚生大臣を指名しますから、答弁を中止してください。 厚生大臣。
○丹羽国務大臣 お答えをいたします。 援護法のあり方については、もう先生に御指摘するまでもないわけでございますが、この日本国民に限定をしておるというのは、御案内のように援護法そのものが国籍要件を有する恩給法に準拠しておる、まずこれが第一でございます。 それから、先ほどちょっと政府委員の方から言いかけましたけれども、サンフランシスコ平和条約において朝鮮半島や台湾などのいわゆる分離独立地域の方々に対する財産や請求権の問題は、国との取り決めによって決める、こういうことでございますので、私は援護年金を適用することは適当でない、こう考えておりますけれども、先ほど政府委員の方から申し上げました韓国であるとか、あるいは台湾の方に二百万円の弔慰金を出したというのは、人情というか人道的な立場からこういうようなことを行った、こういうことでございます。あとは北朝鮮についてのみ残されておる、こういうことで御認識をいただきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 今厚生大臣がお答えを申し。上げたとおりでありますけれども、韓国との関連で申しますならば、日韓協定がございまして、この関連は韓国政府において処理をされるという、そういう前提のもとに日韓の間で御承知のように無償、有償の協定が結ばれたということと承知をいたしております。 台湾につきましては、これは日中の国交正常化という問題がございましたために、台湾との間にそのような了解に達することができない状態のものになりましたこともありまして、法律が出されまして、我が国から一定の金額の支払いをしたというふうに承知をいたしております。
○水田委員 条約とか法律上にはそのとおりで、私も否定しません。私がお伺いしたのは、これは国民、日本の国民全体を含めて、同じ日本国民として国籍を持たして、植民地として、そして戦争へ参加さして死なせた。それに対して何にも現実にはしないんですね、してない。向こう、本人にとってみれば、あるいは遺族にとってみれば何もしてくれない。その日本というものを信用しろといったって信用するわけがない。そのことが今問われておるんじゃないですか。どう解決するかというのはこれから知恵を出したらいいと思うんですね。 例えば台湾でも二百万、今一人の命が、まあ貨幣価値が違います、台湾と日本では違うけれども、二百万で終わりか。日本人で二百万出すと言うたら怒るでしょう、恐らく、戦死した人に。私は昨年五月行って、烏来で三人の子供を死なせた人、だから六百万もらった、お父さんが。子供のために記念碑をつくる、それでカンパしてくれと言って、やっていましたよ。本当にああ、あの戦争で三人も息子を死なせたんだと、しみじみ思ったです、私は。 ですから、本当は台湾でもあれで済んだとは私は思いませんがね。例えば、朝鮮民主主義人民共和国はまだやっていませんからこれからやればいいんでしょうね。しかし、韓国は日韓条約によって済んだと言うけれども、韓国で現実に、あるいは国内で、日本の国内で、在日の韓国の人たちですね、そういう人たち、いっぱいおるわけですね。 私が聞いたのでは、昭和二十年の六月に戦死をした、そして公報をもらった、しかし現実には日韓条約が結ばれて、もらえなくなった。それで帰化すればもらえるといって一生懸命帰化の手続をして帰化したんです。そうしたら、それは日韓条約が結ばれる前に帰化してなければもらえぬというので、もらえない。遺族の中では、実際もらっておるとみんな思っておるんです。本人は何にも言わない。そういう思いで暮らしておる遺族もおるわけですね。ですから、日本の中でも韓国でもそういう問題がある。 私はそのことを法律とか条約じゃなくて、そういう人たちに対して日本人として、日本の国民として、日本国として、そういう形で使った人たち、あるいは亡くなった人たちに対してきちっとした補償をするという、どういう形でするかは別として、することがアジアの国々から日本が信頼される国になる。国際貢献をするのでもそれを清算した上でするのと、それをそのままにして、それはもう法律上済んだんだ、あるいは条約上済んだんだということで済ますのがアジアの中の日本としていいのかどうか、そのことが今問われておる。そのことを私は申し上げておるので、総理、厚生大臣、それは法律上、条約上で、私もそのとおり全部読んでいます。ただ、外国では国が変わってもちゃんと補償しておる事実がある。 それから、日本がこれまで国籍条項でやってこられなかった中で、一九七九年に国際人権条約に、八〇年に難民条約にそれぞれ加入した、それによって社会保障関係、国民年金とか児童手当あるいは公共住宅へ外国人が入る、そういう門戸開放をしてきたわけですね。やってないのはここのところだけなんです。ここの、いわゆる軍人恩給にかかわる、いわゆる遺族補償のところだけが今残ってきておるのですね。だから、日本が国際社会の中で生きていく場合に、ほかの問題はだんだんだんだん、国連との関係もあり、国際社会の中でやはり当たり前のことをするようになってきておるのですね。そこのところだけかたくなに頑張っておるわけですね。 ですから、これは人権条約に加入したという中で社会保障関係全部をやって、そして例えば同じものでも被爆二法がありますね。原爆医療法とそれから特別措置法、これは国籍条項がないのですね。だから、そういうぐあいに日本の考え方を変えていけば、国内だけの問題、いわゆる条約とかそういうものは関係ないわけですね。やろうと思えばできるのです。そのことを今考えるべきじゃないかと申し上げておるわけです。 例えば国連の中で、人権委員会で、これはフランス兵として使われたセネガルの兵隊が、フランスが途中でフランス人と値上げする分を差をつけたのです。これはけしからぬというので、これは訴えて、申し立てをして、一九八九年の四月に国際人権規約二十六条に違反しているという結論を国連が出しておるわけですね。ですから、外国になったからといって、そういうことで見捨てることが、条約とか、お互いの条約によってとか、清算したとか、それで一切が済む問題じゃなくて、現実にそういう処理を次々やっておるわけです。 これは直接関係はありませんが、御承知のとおり、アメリカとカナダが日系人を戦争中に強制収容した。これも四十数年たって、それはよからぬことであったということでちゃんと補償をしておりますね。ですから、これはその国の物の考え方で私はできることじゃないかと思うわけです。 そこで、私は、例えば日本が冷たいのは、総理、これは考えてほしいのは、台湾の日本兵として戦死した人たちに対してどういうものを、お金は二百万出したのですが、どういう文書をつけたかというと、これ一枚なんです。これはどういうことが書いてあるかというと、日本赤十字社が出しておるのですね。「下記のとおり裁定したので通知します。」と、こう書いてある。日本人でシベリアへ抑留された人には銀杯と、「あなたの戦後強制抑留中の御苦労に対し銀杯を贈り、衷心より慰労します。」と、日本人に対してこう。台湾の人、戦死した人に対して、たったこれだけなんですよ。日本のために命を落として大変御苦労だった、あるいは相済まぬと、そういうあれは全くないのです。これは日本のあり方というのが、先ほどから言いますように、日本人として日本のために死んだ人に一体何をしたのかということが問われておるのじゃないでしょうか。 アメリカ、カナダは、ちゃんと日本の人たちを強制収容したことは相済まぬと、そういう文書をつけて、もう今世界のどこにおるかもわからない、日本なら日本へ帰っておる人でも、国籍が日本になっておる人でも、全部それは出しておるのですね。そういうことが国際的な、戦争によるいろんな問題を起こしたことの戦後処理の大事なあり方ではないんだろうか、そういうぐあいに思うのですね。 ですから、そのことについて、私は法律上の問題じゃないのです。それは確かに総理大臣が、いや、考えると言うたら、それはもう大変、まあすぐ何かをしなきゃならぬということでしょうが、そういう問題意識、問題をそういうぐあいに受けとめてほしいのです、私は。その点はいかがでしょうか。 厚生大臣、法律の問題じゃないのです。本当に考えてください。隣の人が命が危なくなったときに助けに行って死んだと、そのときにどう言いますか、みんな、いや済まなんだな、できるだけのことはその人にするでしょう。しかも自分の意思じゃなくて、日本の国籍を持たされて、そして日本の軍人として日本を守るために働いて死んだ。それに対して、いろんな条約やあれはある。しかし、現実に日本は何もしない。日本の国も、日本の国民はそれは当たり前だと思っておる。そういう国を、相手の人たちが日本を信用するかという、そういうことが今問われておるのです。もしお答えいただけるのであればお答えいただきたいと思います。
○丹羽国務大臣 まず原爆二法でございますけれども、これは健康手当であるとか医療手当であるとか、こういう観点から行っておるわけでございます。 それで、補償の問題につきましては、先ほどから申し上げでおりますように、いわゆる請求権の中でこの問題はきちんと処理する。ですから、包括的に補償の問題というのは処理しておる、こういうふうに私ども受けとめております。 先ほどから申し上げて、繰り返しになって恐縮でございますが、先ほどから先生御指摘の問題につきましては、人道的な立場から処理する、こういうことで御理解をいただきたいと思っております。
○水田委員 人道的な立場から処理すると言うなら、何らかのことをするということですね。もう一遍正確に答えてください。
○丹羽国務大臣 ですから、処理をするというのは、先ほど総理からもお話がございましたように、韓国とは昭和四十年に日韓協定が締結されまして、このとき韓国人に対する補償は法的にすべて解決されておるわけであります。 それから、北朝鮮、台湾出身者については未処理でございますが、台湾出身者につきましては、先ほど政府委員からお答えを申し上げましたように特別弔慰金として二百万円を差し上げておる、こういうことでございます。
○水田委員 さっきの答弁は、人道的に処理をするということですから、これからの問題なのです。今答えたのは、今までこういう人道的に処理をしましたということで、先はないわけですよ。 だから私が申し上げておるのは、あなた、日本人なら、それは現実に二万何千人あるいは三万人が、死んだ人たちが住んでいるのですよ。朝鮮半島へ行き、あるいは日本の国内でも在日韓国人ではそういう人がおられます。そこへ行って、日本のために戦死した人には何もしていない、何もしていない。それで当たり前だと、日本人としてそう思いますか、厚生大臣。私は相済まぬと思いますね。それはできるだけのことはすべきだろうと思いますよ。そのことを聞いておるのですよ。法的なことは私は、それは難しいことはわかるし、どうするかは皆さんで知恵を出したらいいと思うのです。 そこで、これは総理も聞いていただきたいのです。これは貨幣価値も違いますが、戦後日本が賠償とか準賠償とか、いろいろな在外資産の喪失等足しますと、その時期によってこれは違うので、換算が、一ドルを幾らにするか、ちょっと古い時代のもありますから若干は違うのですが、全体で一兆百十九億七千三百十一万円を賠償その他で支払ったあるいは無償供与をした、そういう数字があるわけです。これは、外国に対してあの戦争であれだけの被害を与えてそれだけのことをやっておるのです。 日本の国内では、いわゆる戦傷病者の援護法やあるいは被爆者の分も入れて、あるいは軍人恩給も一九五三年から復活しておりますから、それらを足して、一九五二年から九〇年までに累計で約三十一兆円払っておるわけですね。単純な金額の比較はできませんが、被害を与えた日本が、さっき言いましたように、朝鮮の人には一銭も払わぬ、台湾の人は死んで二百万。そのトータルがこの一兆百十九億。日本の戦死その他被害を受けたのには三十一兆円で、なお毎年毎年これから二兆円払っていくのですね。だから、これは、被害を与えた方に対してはそれほどしないで、自分たちがいわゆる戦争で負った傷については、お互い仲間としての思いやりがけた違いなのですね。国際的にそれが通用するのだろうか。 さっき野村局長から、これはもっと後に言おうと思ったのですが、先に答弁の方が出ましたが、例えばドイツの場合、これは御承知のとおり、今までに、九一年一月までに、これはもちろんユダヤ人に対する大変な弾圧をやっておりますから、八百六十四億マルク、約六兆九千億円を払っておるわけですね。二〇三〇年までにはさらに千二百億マルク、ですから九兆六千億で、まだまだこれは払い続けていくわけですね。ユダヤの人たちに対しては、例えばイスラエルに今四割住んでいる、あるいはアメリカに四割住んでいる、あるいはドイツの中に、それ全部、どこに住んでおろうとこれは支払いをするわけですね。このうち一時金が二割で年金が八割ですから、たくさんな額がまだ年々こういうぐあいに送られておるわけですね。 ですから、こういうことを考えると、これは総理大臣、総理大臣の立場ではなかなかお答えにくいのかもしれませんけれども、いわゆる国籍条項ということだけで、それはもう仕方がないんだということにはならぬのじゃないか。これは、日本が犯してきたいろいろな過ちをアジアの国々できちっと清算をするという点からいえば、何らかの検討をして解決のための努力をするということは必要ではないだろうかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 先ほど来、日韓の協定のお話が出ておりまして、私はそのころのことをかなりよく知っておりますので、一九六五年であったと思います。大変な経緯がありまして、ともかく有償、無償ということで妥結をしたわけですが、あのときの率直な感じで申しますと、我が国が韓国の人々で我が国の軍務に服した人々に何かを払うというような、お互いにそういう関係でなかったと申しますか、もっとある意味で、今日とは違ったややとげとげしい関係と申しますか、そういうことで、そういうことも含めまして韓国政府が自分の方でと、こちらもそれじゃそういうことでという、基本的にはそういう関係であった。 きょうになってみますと、もっと長い年月が流れましたので、水田委員の言われますような我々のそういう法律問題を超えた、いろいろな済まないことをした、御苦労をかけたという感情がありますことは私は事実だと思います。が、それから先はどうしても法律的なお答えになってしまうわけですが、戦後、我々は我々でかなり戦後の苦しい中からそういう各国に対する約束、あるいは条約上の義務はとにかく履行いたしましたということ、法律的にはそれはもうそういうことであろうと思いますので。 今になってだんだん、お互い歴史として当時を振り返るだけの余裕ができてまいりました。いかにもお気の毒なことをした、こういうことはもう一遍してはならぬなという思いは強うございますけれども、実際それを具体的な何かの形であらわすということになりますと、これはまたいろいろ新しい問題になってまいるのではないか。せめても我々がそういう気持ちを持ち、そうしてそういう過ちを二度と起こさないということ、まずそういう気持ちをいろいろな形で両国あるいはお互いの間の親善関係ということで大切にしていくということではないかというふうに、お気に召さない答えかもしれませんけれども、考えます。
○水田委員 条約、法律を盾に言われるわけですが、私が言いましたように日本民族がやはりアジアで生きていくために大事なことですから、人権規約とかあるいはまた難民条約に入りますと、国内でいえば法律的には国籍条項というのがあるわけですね。それもだんだん取っ払っていっておるわけですから、そういう点では、一つ決まればそれが金科玉条ではなくて、そこからやはり現実に置かれておる日本のアジアにおける状況ということも考えながら、これからも私はぜひ検討してもらいたい、やれる方法を考えてもらいたい。これはそういう要望で、この問題については終わりにしたいと思います。というのは、後にまだ従軍慰安婦の問題も同じような問題がありますから。 続いて従軍慰安婦の問題について。これは、政府は当初、全く関与してない、軍は関与してない、そして民間の業者が従軍慰安婦を連れ歩いたんだと、そういうことを言われたのでありますが、資料が出てまいりまして、軍がこれを管理し関与しておったということが明らかになったわけです。 今問題は、強制連行ということかどうか、この点についてまだ確たるものがない、こういう言われ方をしておるわけでありますが、私は小学校をソウルで卒業いたしまして、あの国を知っておりますし、ここ数年も何回か参りました。例えば、私がいわゆる日本人だとわかっても、電車の中で若い子は席を立ってちゃんと譲ってくれます。非常に儒教の教えの色濃く残った国でありますから、そういう国で男女の関係等は日本とはけた違いに厳しいものが今でもある。当時もそうだったわけです。 私は、また戦争中、上海、青島をずっと見てまいりました。上海、青島で、朝鮮の人たちだけのそういう慰安所が現実にあった。そこでは十代から二十になるかならぬか、そういう女性だった。ですから、その韓国の人たちが自発的な意思で——日本では当時昭和三十三年までですか、遊郭があって、そういうことが存在していましたからね。そういう人たちが外地へも行っておったことは事実です。しかし、朝鮮の若い娘さんたちがそういうところへ自発的に行くということはあり得ぬという、あの国の教えからして。そういう点から、私はそこには強制力が働いたであろうということを想像するわけです。 ただ、日本での調べで、まだ第二回の調査結果を御報告になるようでありますけれども、私は日本の中にもそういう資料はないことはないんじゃないか。あるいは韓国の、戦争で焼けたのもあるかもしれませんけれども、あそこの昔でいう府それから面というような、市とかこちらでは町ですね、そういうところを探してみれば、あるいは本当にそこへ行って聞き取り調査をすれば、そういうことはわかるんじゃないか。 私は、そういう努力を日本政府が積極的に韓国に働きかける。そういうことがなければ、これは本当に日本が誠意を持ってこの事実を、一番問題になっておるのは強制連行の実証ということが一番韓国も疑問に思っておるし、日本が本気でやっておるのかどうか。そういうことですから、その点はそういうことをやるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 それから、調査がどこまで進んでいるかということをお聞かせいただきたいと思います。
○谷野政府委員 調査の点をお話しいたしたいと思いますが、とりあえず私どもの外政審議室というところで各省庁にお願いして取りまとめておりますので、そのことをお話ししたいと思います。 お話がございましたように、昨年の七月に一応の結果を発表させていただきました。そして、その後さらに若干の資料が見つかっておりますので、そんなこともあって、引き続き調査を私どもの内閣から関係の省庁にお願いしております。 ただ、ただいま先生のお話の強制的なことであったかどうかということに関しましては、ただいままでのところ、日本側の資料に関する限り、これを裏づけるものは発見されておらないということでございます。 それから、韓国に渡って調査をしたらどうだというお話がございましたけれども、これは若干外国のことでございますし、私どもというよりむしろ韓国政府で、韓国政府の自主的な努力でこの従軍慰安婦の問題は調査をしておりますので、とりあえずは韓国政府側の作業にまちたいと思っております。
○水田委員 強制連行の事実はないというような言い方は、僕はこれは間違いだと思うのですね。調査した結果、またそれが明確にわからぬということでしょうね。 私が申し上げたように、日本で考える以上にあの国では女性の身持ちというのは厳しい国です。現実に、ここにおられる人でも外地へ行かれた人で目にされた方はあると思うのです。朝鮮の若い娘さんがそういう慰安所におったことは事実ですからね。それが自発的なあれで行くということは、ほとんど考えられない国柄なんですね。今でもそういう儒教の教えが色濃く残っておる社会ですからね。 それを、こちらの調べが十分でなくて、そんなことはないということを言えば、それは韓国は一番そのことを言っておるのでしょう。強制連行の実証ということを韓国は言っておるし、そしてそのために韓国政府は従軍慰安婦問題で、国内に居住している被害者に対する補償金を支給する方針を決めた。そして、日韓請求権協定で完全かつ最終的な解決を見た諸問題には従軍慰安婦問題は含まれていないというのが、韓国の公式的な立場でしょう。 そういう中で解決をするために、日本で各省庁にお願いして出してもらったぐらいでは出てこぬでしょう。それは余りいいあれじゃないですからね、実際出てくれば。恥ずかしいことを日本がしたという、そういうあれですから。ですから、それは例えば特別なチームを官房長官のもとへでもつくってやるぐらいのことを、わからぬでもやるぐらいのことは、韓国に対して、あるいは従軍慰安婦として苦労された人たちに対する誠意として日本はすべきじゃないんですか。 それからもう一つは、今申し上げましたように、これは日韓請求権協定で最終的な解決を見た諸問題には含まれないという韓国の見解については、どういうぐあいにお考えか。 それからもう一つは、今特別なチームをつくってでも積極的な調査をするという姿勢を示すべきじゃないかと思うのですが、その二点についてお答えいただきたいと思います。
○谷野政府委員 ただいまのお尋ねのうち請求権絡みの話につきましては、条約解釈の絡む問題でございますから外務省から御答弁いただいた方がよろしいと思いますが、私が先ほど申し上げましたのは、強制的なことはなかったというふうに日本政府の判断として断定的に言っておるわけではございません。そういう資料が今日までのところ、そういうものを裏づける資料が各省庁の作業にもかかわらず日本側の資料として発見されておらないということを申し上げたわけでございます。 それから、チームを内閣のもとにつくってはどうかということも再三国会でも御議論がございますけれども、ただいまのところ、むしろ各省庁の現在の陣容の中で、外務省は外務省、防衛庁は防衛庁で非常に一生懸命なさっておりまして、かつ、かなりいろいろな資料が出てきておるわけでございまして、とりあえずは当面はただいまのような形で作業を継続させていただきたいと思っております。
○水田委員 官房長官が九〇年の六月の二十三日に毎日新聞でこういうことをおっしゃってますね。「ODAももちろん大事だが、こうした歴史への贖罪に関する部分にも、旧来の発想を飛躍させ十分な光を当てなければならない。それが近隣諸国に対して「日本の平和への意思」を客観的に担保することになり、窮極の「日本の平和と安全」へと結実するからだ。」こう書いている。私、全く同感なんですね。 そういう点で、先ほど申し上げました軍人として戦死した者に対する補償の問題なりこの従軍慰安婦の問題というのは、そういう面を含んでいると思いますね。官房長官に就任されたわけですから、そういう点では、このときは単に衆議院議員としておられたわけですが、申し上げますように、どこのセクションがやるといっても、厚生省でまあやってくれというのを出しても、そのためにもう血眼になってなかなかやれないだろうと思うのです。ですから、そこを進めるためにひとつ何らかの知恵を出して、こたえられる——恐らく私よりもっと年の上の人をずっと聞き取りやっても大分の事実がわかると思うのですね。私は、戦争に負けたとき二十ですから、そのときで今申し上げたような朝鮮での経験や上海、青島での経験を申し上げることができるのですが、そういう人たち、まだまだ元気で生きておられますから、やる気なら私は出ると思うのですね。単に各省庁から、あれば出してくれというようなことでこれははっきりするわけはないわけであります。 もう一つは、そういう事実がもし明らかになった場合どうされるのか。これは総理大臣、まさに人権侵害の問題で、これは賠償の問題とは全然別の問題だろうと思うのですね。ですから、そういうことがあった場合には、実際にそれを認めた上できちっと謝罪、補償すべきだろうと思いますし、それから、これは単に朝鮮半島の問題だけじゃなくて、今や中国大陸あるいは台湾、フィリピン、インドネシア、あるいはまたインドネシアにおられたオランダの人たちにもあるわけです。そういう点に対しての調査も進めておられるのかどうかですね。 台湾は今国交がありませんが、私昨年参りましたら、台湾も、他国にきちっとするのであれば同様のことを我が国のそういう人たちにもするようにと、こういうことも、今はやめられましたが、カク行政院長からのお話がありました。ですから、そういう国々はどういう調査をしておるのか。あるいはもしそういう点が明らかになった場合、私は本気でやればそういう点は明らかになると思うのですが、どういう補償をされようと考えるのか、お伺いしたいと思います。
○谷野政府委員 朝鮮半島以外にもあるではないかというお話でございましたけれども、既に国会でも御報告しておりますけれども、これまで発見された資料の中にも、例えばフィリピン等にその種の施設があったというような資料が発見されております。何も対象を朝鮮半島に限っておるということではございません。 それから、どのような措置をとるかということでございますが、韓国は、とりあえずはごの真相究明を尽くしてくれと言っておりまして、私どもはそういう韓国側の気持ちを受けて先ほど御説明したような作業を各省庁にお願いしておるわけでございますけれども、それを受けてどういうふうに対応するかということにつきましては、先ほど総理からも御答弁あったかと存じますけれども、このことについて日本としてどういうふうに日本としての気持ちをあらわすかということを考えてみたいということは、総理、官房長官等が国会等でも申し上げておるところでございます。 とりあえずは、繰り返しになりますけれども、韓国政府の最も関心の強い、真相をとにかくきわめるというところに私どもの努力を傾注しておるというのが現状でございます。
○水田委員 これは総理に、私申し上げましたように、厚生省ですか、外務省ですか、これをやっておるのは。(宮澤内閣総理大臣「外政審議室」と呼ぶ)失礼しました。体制を強化して、一日も早い実態解明というのが、これは誠意を示すことになると思いますので、その努力をお願いしておきたいと思います。 時間がもう大分経過しましたので、教科書問題。先ほど総理から御答弁の中で、大分進んできておる、こういう言われ方をしたわけです。あの言われ方の中に、あれは本当は教えはそこまで行かないのです。試験、今のいわゆる入試問題が事実を教えない。そこまで試験に出ぬからその前でとまってしまって、書いてあっても行かぬというのです。そこは、ひとつそういうぐあいに御理解をいただきたいと思います。 そこで、言われましたが、実は私はこのくらい日本の高等学校ですか、大体九〇%から九五%、三冊の教科書を使っておる。それと、日本語で書いてある分で日本で手に入る中国とか韓国全部の本の比較をしたもの、こんな厚いものを中国、韓国がつくったわけです。 その中の一部を申し上げます。これが韓国の三・一事件のあれ。日本ではこれだけ書いてあります。韓国ではこれだけのことが書いてありますね、ということです。それから、これはちょっとクラスが違うのかもしれませんけれども、日本の、シンガポールについてはこれだけ書いてあるのです。「日本軍に抵抗するとみなした六千人以上もの中国系住民の生命を奪ったのを初めここう書いてある。シンガポールの教科書ではもう具体的にそのことが、どういうぐあいに拷問されて、あるいはその後また献金五千万ドル出すとか、そういうようなのが全部書いてあるんですね。ですから、やはり書き方が違うわけです。もちろん日本だけが悪いんじゃなくて、中には、ああそこまで日本のことを書かぬでもというのも日本から見ればあるわけですね。 ですから私は、教科書、アジアの国々が将来に向かってお互い信頼関係を打ち立てるためには、共同でひとつここのところは、例えば豊臣秀吉が朝鮮出兵したときにどういうことをやったのか、それはどうだったのかというのは、それは同じような、やはり向こうが、日本がけしからぬだけではなくて、逆にそこらを書き方を変えるというようなこともあるかもしれません、それは。あるいは植民地支配のときの状況とか、そういうことを共同でやるということも一つ必要じゃないか。 ヨーロッパではそういうことを既にやられておるわけです。それは、長い期間にわたってそれぞれの国々の友好関係を保つためにはそのことが大事なので、教科書では書き方が悪いと文句を言うだけでそのときそのとき感情的なことになるんじゃなくて、あるいは仲のいいところまで悪くなるんじゃなくて、こういう歴史を経て今こういう関係にあるということがお互いが理解できる、そういう教科書の編成をやるべきではないかと思うのですが、この点についての、総理に先ほど教科書を御答弁いただいたので、御答弁いただきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 お互いの間の歴史を専門家たちが共同で研究し合うということは、私は非常に大事なことであると思いますし、たしかそういう試みが、この問題につきまして我が国と韓国の間であったと思いますけれども、両国の学者の間でなされているように私は理解をいたしております。 ただそれは、我が国は国定教科書をつくっておりませんので、いわば民間の間のと申しますか、学者の間の共同研究になる。それによって教科書がつくられていくということになりますれば国民の理解を助けることになりますけれども、国がやるということではございません。しかし、そういうことは有意義なことと思います。
○水田委員 これはひとつ簡単に答えていただきたいのですが、台湾へ行きますと軍事郵便貯金、通帳を持っておる人がたくさんおられます。香港へ行ったら、軍票をたくさん持って、けしからぬと、こういう話ですね。ここらあたりはどういうぐあいに処理をされるお考えか、お答えいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 台湾の方の軍事郵便貯金については、我が国の国内法上支払い義務を有しているものであり、政府として何らかの形で契約上の債務を履行しなければならない立場にあると思っております。 しかし、まず日台間の全般的な請求権問題との関連をも考慮する必要があること、また、いかなる形での債務履行が実際的かは慎重に見きわめる必要があること等の問題があり、関係省庁と調整を図り、早期解決に向けて取り組んでいるところであります。 郵政省としても、引き続き関係各省庁間で意見の調整が図られ、早期に解決されるよう努力していきたいと思っております。
○水田委員 大蔵大臣、今おられませんから、軍票の問題は後で。 時間がもう大分経過しましたから、ひとつ軽油引取税は飛ばしていきまして、財形貯蓄の問題について簡単にお伺いしておきたいと思うのですが、実は、財形貯蓄の非課税限度額の引き上げが、老人マル優を五十万上げて、これはいろいろあったようですが五十万、その横並びで五十万ですね。これは制度が全然違う、意味が全然違うわけですね。一体その老人マル優と横並びにしたというのは、全く政策的なというか、つまみというのか、何かわけがわからぬわけですが、それは整合性はあるんでしょうかね。これはどこになりますかね、大蔵省ですね。
○濱本政府委員 お答え申し上げます。 御指摘の財形貯蓄につきましての非課税制度でございますけれども、たまたまこの利子課税制度、同じ利子課税制度の中で非課税措置をとっておりますという意味におきましては、老人マル優、マル老と称されるものと扱いが同じような形になっております。そういう意味におきまして、この例外措置としての一つのめどを合わせて検討される、これまでの検討経緯から申し上げますと、そういうことであったかと存じます。 〔委員長退席、鴻池委員長代理着席〕
○水田委員 全くそういう理由づけも何もないですね。考えてみてもらいたいのです。 この制度ができたのが昭和四十七年で、四十九年に今の五百万に引き上げたわけですね。それからの物価の値上がりを見れば大体二倍ですね。それから、地価の上昇を見ると三倍なんですね。これは住宅を建てるための貯蓄ですから、そのための貯蓄に魅力がなければやらぬわけですよね。五百万ではとてもどうにもならぬということでしょう、今新しくマンション買うにしても、家を建てるにしても。 ですから、これは普通、物価の値上がりとかあるいは地価の上昇、住宅を手に入れるためにその基礎になる金を幾らくらい優遇するかということで考えれば、今だれが考えても、制度ができたときから比べれば一千万くらいにして全くおかしくないわけですね。それじゃなくて、これは郵政のはどうなったか知りませんけれども、老人のマル優枠は七百かなんとかというのが五十万で決まったら、横並びで五百が五百五十になった、全くこれはもうだれが考えても理解できぬと思うのですが、これは一千万くらいにして当然だと思います。 今、それは予算出してすぐここで、しますとは言えないかもわかりませんが、当然それは検討課題になるという、そのくらいの答弁は、これはちょっと大臣おらぬときに入りましたけれども、財形貯蓄ですね、何もあの老人のマル優枠に並んでやらなきゃならぬというあれはありませんから、郵政省の方には遠慮せずに、ひとつ大蔵省の方で御判断いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○濱本政府委員 この予算委員会におきましても、しばしば御議論賜っておるわけでございますけれども、所得税と申します税は、特定の所得を課税ベースから除外するということにつきましては、当然のことでございますけれども、慎重でなければならない。その意味におきまして、この利子課税制度におきます非課税制度の扱いも、当然のことながら慎重を要する問題だというふうにまず考えておりまして、今回いろいろ御議論がありました際に、今御指摘のこの財移住宅につきましてもいろいろ点検が行われたわけでございます。 その結果をちょっと申し上げてみますと、一人の契約者、一契約者の平均貯蓄残高というのは幾らぐらいかということを見てみますと、五百万の今までの枠に対しまして、百三十八万でございます。利用者の頭数を見ましても、常時雇用者数が四千五百万人くらいございます中で、この財移住宅契約者数というのはその六、七%というレベルでございます。 こういった実態、あるいは現に減収額が相当大きな規模に達しておりますようなことから考えまして、ここにさらにメリットを付加する、今先生御指摘のような形で付加するということは、ごく特定の方にそのメリットが生ずる、それを全体がその負担をするという形を生ずるわけでございまして、例外措置としてやはり限界があるというふうに私どもも思いましたし、御議論の流れとしてそうでございました。ただし、いろいろな要請から、先ほど御指摘ございましたように、今回この時点で五十万円の追加枠を認めるという議論になったわけでございますが、背後の事情として、そういう事情がございましたことだけ申し上げておきたいと存じます。
○水田委員 さっきも申し上げましたように、制度として生かすのなら、その制度ができたときと同じくらい皆がメリットを感ずるものでなければ、実際制度としては生きぬわけですから、それは物価の値上がりや地価の値上がりを考えれば、その五十万円ふやすというのは、私から見ると非常識と思うのです。(発言する者あり)いや、いや、もっとふやせばいいわけで。そうじゃなくて、メリットがあればやるわけですね。ですから、そういうぐあいにぜひ御検討をいただきたいということを申し上げて、これは終わりたいと思います。 それから、時間がもう経過しまして、佐川の問題、一問一答でやろうと思ってもできませんから、まとめて申し上げますが、一つは、佐川問題というのは、どうも佐川が悪い、それから金をもらった人が悪いという話。しかし、これができたというのは、一体何だろうかと思うと、やはり運輸省がこれに大変な協力をしたのじゃないか。そうでなければできるわけがない。 営業所をどういうぐあいに設置したのかと資料をもらってみたら、一つは、その日出してその日許可があった、こう言ったら、それは間違いですといって慌ててまた資料を持ってこられたのですが、いずれにいたしましても、通常の認可というのは、営業所をつくるときにはいろいろな検討を しなければならぬわけです。そこで許可条件の中には、輸送需要に適切であることとか、あるいは適切な計画を有しておることとか、あるいは遂行できる能力を有しておるとか、そういう条件をずっとクリアしなければならぬわけですね。 それで見てみますと、中核になる六社の営業所の新設を見てみますと、これは業者にも私聞いてみましたが、こういう営業所の新設は、大体普通二カ月ないし五カ月の期間を要する。確かにそういう点は、いろいろ調べればそうなると思うのですね。これは、そんなのもありますが、大抵一週間とか二週間で全部許可になっています、ほとんど。佐川があれだけ急成長する中で、営業所がそういう形でどんどんできた。 それからもう一つは、後で委員長、資料要求で、弘前の営業所の新設に関して、これは市街化調整区域で、それに対して佐川の方が自分で、これは一切都市計画法違反していませんというのを自分で判を押して出した。それを見て陸運事務所が許可の判を押す、そういうものがあります。それを事前に出してもらいたいと言ったら、これは出せませんと、こう言ったので、来ていません。それで私が言いましたら、委員会で委員長に要求していただければ後で届けますというのですね。これは、そういうことがこの中では行われておるわけですね。 ですから、例えば東京佐川の場合、城東営業所というのは、六十三年四月十四日に出すと二十八日には許可になっておる。荒川は、十月十七日に出すと三十一日には許可になっておる。品川営業所も、十月十七日に出せば十月三十一日、全部そうなんですね。業界に聞いてみたら、普通はそんなわけにはなかなかいきませんと。もちろん早い場合もあるのです、あるけれども、それが一つ。 それから、自動車がふえるわけですね。これも認可が要るわけでございます。これは営業所の認可と同じような条件で、当然、自動車をふやす場合の車庫が実際あるのかどうかというようなことも調べるのですね。どういうふえ方をしておるか、これも業界に聞いたら、もう異常と言うんですね。一番多いときは一年間に、昭和六十二年には二千台一年間でふえる。そんなことを、それは仕事とか、いろいろなことを検討した上でこれは陸運事務所が許可を与えるんでしょうが、一年間に二千台ということになるんですね。 一体これは、運輸大臣、ほかの業者もみんなそういうぐあいに、全部そうやっておったら、とてもじゃない、業界はもうまとまりがつかぬようになると思うんですが、それは普通の運輸行政として常態なんでしょうかどうか、お伺いしたいと思います。
○越智国務大臣 運輸行政につきましては、特別に佐川をということではなしに、やはり公正、妥当にやっておる、こういうふうに思っております。 今お話にございましたように、申請したその日とか、そういうことについては特異な例であろうと思いますし、また年間二千台の許可、これも異常であると思いますが、これ二千台とは私は聞いておりませんので、この事実関係は政府委員に答弁をさせます。 いずれにいたしましても、運輸行政としてはどの業者にも公平にとり行う、このことが大事でございますので、今やっておりますが、さらに注意をして進めてまいりたい、かように思っておる次第であります。
○土坂政府委員 営業所と増車のことでお尋ねがありましたので、まず許可基準のところから申し上げますと、先生仰せになりましたように、法律上は確かに需要に対して供給が不均衡にならないようにというようなことが定められておりますが、運用上別の通達がありまして、営業所については、例えば最低の車両台数が確保されていれば直ちに認可をしなさい、増車については、車庫の収容能力に問題がなければ直ちに認可をしなさい、こういうようなことで運用をしておりまして、その結果、実際の処理期間、これはそのときの事案の中身とかそのときのほかの申請事案との競合関係とかいろいろありまして、一概に申し上げられないのですが、大体の目安で申し上げますと、営業所についてはほぼ二カ月程度が平均でございます。ただ、仰せになりましたように、十日以内というのもございます。また、増車については大体一カ月ぐらいが平均でございますが、早いものは一週間以内というものもございます。そのときの情勢なりあるいはその事案の中身によって判断が違ってくるわけでございますが、いずれも今申し上げましたような基準に照らして処理をしてきたということでございます。 なお、自認書につきましても、先ほど仰せになりましたが、後ほど提出させていただくようにいたしたいと思います。
○水田委員 後で出していただきますけれども、弘前の営業所については、都市計画法上何ら違反してない、佐川がそれ判を押して出しています。それで認可をしておるわけですね。 それから、これはこの前十一月の委員会で私が申し上げました、これですね。松山市長、都市計画法上何ら意味をなさない文書。しかも高松の今の運輸局ですか、ここではその二年前にそれはだめと、これは市街化調整区域へは区域業者は入れません、ノーと言って断ったのを、二年後にこれを持ってこいというようになっていますね。これを持ってきてちゃんと判を押しておる。聞いたら、都市計画法に対して不勉強であった。 この弘前もそうなんでしょうね。こんなのを持ってこいということは、知っとるということですよ。これは、都市計画法上それは許可できない。そこで、何らかの形式をつける。それは佐川に責任を負わすことになるんですよね、自認書。そんなものは法的に何らの意味をなさぬわけですね。それがやられておるんです。 それから、この前も申し上げましたように、私どもが調査に行った各県のトラックターミナル、みんなその都市計画法違反をやっておるわけですね。これは運輸大臣、運輸省のお役人というのはそれほど法律に疎い人ばかりを配置しておるんですか、どうなんですか。いや、そういう答弁をこの前されたわけですよ。今申し上げたように、この弘前もそういうことをやっておるわけです。後で資料出してもらいますがね。 それから、一方言えば、普通なら二カ月から五カ月かかるという営業所の審査を、一週間から十日でほとんどやっておるわけです。極めて優秀ですよ。優秀でなければこんなことはできぬですよね。それから二千台、トラック業界に聞いてみた。一年に二千台というのはべらぼうなことだなと思った。それをまた言うとる人がおるんですよ、二千台なんてとてもできぬよというのを。ですから、こういうことをとっととっとやれる能力を持った極めて有能な職員がいっぱいおるわけですね。片一方では、全くこの都市計画法知りませんでした。どうなっておるんですか、本当は職員はどうなんですか。
○土坂政府委員 営業所の設置の認可に際しまして、都市計画法等に抵触しないことを確認するようにということを決めておったわけでございますが、具体的なそのやり方として、通常は建築確認の写しをいただく、それによって間接的に都市計画法に抵触していないことを確認をするというやり方をしておったわけでございますが、中にはそのかわりに自認書をとって認可をしたという例が御指摘のようにございまして、これは適切なことではございません。問題があると思います。その点は深く反省しなければいけないと思っております。 ただ、それではどうしたらいいのかということでございますけれども、やはり都市計画法に抵触しているかどうかというのは、運輸省の職員が資質がどうのということでなくて、やはりその責任ある所管の官庁にお尋ねをして、これは問題があるかどうかをお聞きをする。問題があるといって教えていただければ、それに従って、あなたは都市計画の手続をとりなさいという指導をする、そういう順番で物事を進めなければいけないと思います。そういうところの仕組みがきちんとできていなかった、ここに問題があるということを反省をいたしまして、昨年の九月以来、そこのところを一つ一つ確認をするような仕組みをつくって、今問題がないようにやっておる、こういうことでございます。
○水田委員 運輸省の職員がちゃんと知っておるわけですよ。だから高松では、二年前に申請を持ってきたときに、これはだめですと言って断っておるんですよ。二年後にこの変な文書を持ってきたら認めておるんです。私ども調べました。市長周辺を大分調べたんですが、特定の名前は出てきませんが、どうやら東京の方からの要請があったようです。ただ、断定的に申し上げられません、名前は確定できませんから、まあ聞いた人に迷惑がかかるものですからね。そういう動きがあったと思われるんですよ。 あなたは今、これは建設省でしょう、建設省がちゃんと言わぬのが悪い。建設省、どういうことを運輸省に指導したんですか、今まで。だから、それはよそへ責任を押しかぶせてはいけません。運輸省の役人が、だめだということをちゃんと法律を知って言っておるんですから、ここでは。それなのに、二年後にはこんなインチキ書類で許可を与えておるわけですよ。おかしいと思うのが当たり前でしょう。
○土坂政府委員 松山の例を御指摘でございますが、松山の例についても、運輸省の陸運支局でやったことが適切だとは私どもはやはり思いません。その場合でも、やはり本当に都市計画法上問題がないかどうかについては、きちんと都市計画の担当部局にお尋ねをして教えていただく、それに従って指導をするというのが正しかったと思います。ここのところは、さっき申し上げましたように、今回是正の措置をとったということでございまして、よその省のせいにするというようなことはみじんも考えたことはございません。 それから、あと一つ。先生申しわけございませんが、先ほど二千台というようなお言葉がございましたけれども、二千台の増車というのを一遍にやったことはございません。
○水田委員 一遍に二千台の増車なんかやったら、その会社はどうにもならぬですよ。一年間でそのグループで、佐川グループで二千台というんです。 そこで、もう時間がありませんから、実は、二月の五日に東京地裁で、これはある新聞社が書いたことに対する訴訟がありまして、その裁判で、お名前は申し上げませんが、その中でこういうことを言っておるんですね。ある亡くなった方ですが、その人が運輸省の担当課長に増車をお願いした、そうしたら二千台の増車はむちゃと断った、それに対して、某議員の方ですが、おれが話をつけるからさわらなくていい。この年と、佐川グループが二千台ふえておる、その前の年は三百台ですが、二千台、六十二年にふえておる。この話があったところは昭和五十九年ですから、この五十九年、六十年、ここらあたりでそういう話があるんですね。 ということは、佐川が物すごい急成長をするのに政治家が絡んでおった。役所がそれに、さっき申し上げました松山の問題や弘前の問題や、あるいは各営業所が極めて短時日に認可されておるというようなことなどを見ると、どうも運輸省が片棒を担いでおったんじゃないか、それぞれのね。ですからそれをぎちっとしないと、例えばだれそれさんが金をもらったのが悪いとか、だれそれは辞職しろということと佐川が悪いだけでは済まない問題で、運輸省が内部の綱紀粛正をきちっとやる、この事実を、実態を徹底的に調べていくということを僕はすべきだと思うのですが、運輸大臣。 それから、もう時間がありませんから警察と検察庁にもお伺いしますが、佐川というのは、労働基準法違反あるいは道交法違反、いろいろ問題があって国会でも問題になった、そして昨年来でもこういった都市計画法違反とかいろいろな問題が出てきておる。そこへさらに七百億とか八百億の政治献金がされておるというのですね。それはおかしいと思う。国民から見たらみんなおかしいと思うのですね。でも、警察や検察庁がお調べになったということは余り聞かぬわけですが、そこらあたりはどういうぐあいにこれまでお調べになったかどうか。 警察、検察庁、それから運輸大臣には運輸省の中をきちっと、そのときだれが責任を持ってしたのか、おかしいことがいっぱいあるのですから、そのことをお答えいただきたいと思います。
○越智国務大臣 お答えいたします。 都市計画法あるいは建築基準法、道路運送法あるいは消防法、これはそれぞれの役所になっております。これを運輸省がつかさどる、これは確認はいいですけれども、そのことはよくない、こういうことで調査をいたしましたところ、もう既に前大臣からこのことはきちっと通達を出し、きちっとしておるそうであります。今後、我が道路運送法については運輸省でやりますが、その他の法律、これにつきましては、各省あるいは各県、市町村等でやっていただき、それを確認してやっていきたい、こういうふうに思っております。 それから、二千台ということでありますけれども、これは調べましたところ、一番多い年で千六百五十一台でありますから、二千台というものはございません。 以上、御回答を申し上げます。
○濱政府委員 検察庁の捜査の関係についてお答えいたします。 今委員が御指摘になられましたような問題に関する国会質問等につきましては、これはもちろん検察当局も十分承知していると思うわけでございます。ただ、この点につきまして、これまでのところ、検察当局が捜査を開始したあるいは犯罪の嫌疑が認められたとの報告には接していないわけでございます。 ただ、一般論としてお答えさせていただきますれば、もちろん検察当局におきましては、犯罪に当たる事実があると思料いたしますれば、これは厳正に捜査を行うということでございます。
○廣瀬政府委員 警察におきましては、佐川急便グループに関する事件といたしまして、昨年、警視庁におきまして東京佐川急便前社長らによる稲川会系企業に対する債務保証等の事件を特別背任事件として検挙いたしましたが、そのほか福島、兵庫、福岡等の各県警察におきまして、国土利用計画法違反、貨物自動車運送事業法違反、道路運送法違反等の事件を検挙しているところでございます。 現在まで刑罰法令の適用につきましては厳正に対処するよう努めてきたところでございますが、今後ともこの姿勢を堅持してまいりたいと思っております。
○水田委員 運輸大臣、私が申し上げたようにこれほどの急成長が、しかも相当な、いかにタニマチといえども何の見返りもなしに七百億も八百億もばらまく人はおらぬと思うのですね。そういうことが今日、トラック業界に聞いてごらんなさいよ、あんなむちゃなことはあり得ぬと、あるいは営業所の問題でも。そうすると、役所の中がたるんどるか、あるいは何らかの強い圧力でそういうことをやったことは明らかなんですね。 ですから、そういうことが再び起きぬようにするために、あったことは一体何だったんだということを調べるのは、まあ前の大臣のときかもしれませんよ。しかし現職の大臣として、今明らかになった以上それをきちっと調べて、それはそういうことをやった人が偉い人になっておるのかもしれませんからね、そこらはきちっとおきゅうを据えるところは据えるということをやらなければ、運輸省は関係ない、悪いのは佐川と金もらっただれか政治家だというような、そんな話じゃないです。ですから、きちっとそれをしてもらいたいということを要求しておきたいと思います。 それから最後に、大蔵大臣おられぬで申しわけなかったんですけれども、答弁を大臣帰られたらということで、香港の軍票をどうされるんですかということを質問しておりましたので、お答えいただきたいと思います。
○林(義)国務大臣 水田議員におわび申します。ちょっと失礼しておりまして、御質問のときにいなくて申しわけなかったと思いますが、法令上、国に履行すべき債務があると認められる場合には、法令に基づき処理することを基本としているところでありますが、軍票につきましては、昭和二十年、連合国最高司令官が発表した法貨に関する覚書及び昭和二十年、日本帝国大蔵省声明、大変昔の話でございますが、それによりまして無効、無価値となっており、今のところでは難しいのではないかというのが公的な見解でございます。
○水田委員 終わります。
○鴻池委員長代理 これにて水田君の質疑は終了いたしました。 次に、山原健二郎君。
○山原委員 佐川急便問題について最初に伺います。 国民の怒りは本当に頂点に達しておる、いら立ち、何とも言えない焦りといいますか、これは総理もよくおわかりのことと思います。今、地方自治体で真相を解明しなさいという決議を上げた自治体が八〇%です。ちなみに、総理の御出身地である広島県ですね、これを見てみますと、現在八十その市町村の中で七十その市町村が議会で議決をしております。これは八八・五%、非常に高いですね。地方議会が決議を上げるということは、政権与党を含めて決議をするのが大半ですから大変な苦労が要るわけですけれども、この数字を見ましても、今度の佐川疑惑については、解明をしなさいという声はこれはまさに国民の声であるということをお考えいただきたいと思います。 そして、もとより暴力団が内閣成立に当たって介入したことに対する怒りももちろんでありますけれども、今わかっているのは、金丸氏、生原氏の証言によりまして、五億円という金を金丸氏が受け取って、それを六十数名の竹下派の議員に前の九〇年総選挙の前後において配付したということがわかって、これだけの人数の人たちが、政治家が関連しているこの政治疑惑、そこから先が暗やみの中にある、全くわからない、これが国民のいら立ちというものの大きな原因になっていることは間違いありません。 そこで、まず最初に伺いたいのですが、第二次宮澤内閣が誕生しました昨年十二月に、閣僚の任命に当たりまして宮澤首相としてはどういう判断の基準を持ってやられたのか、あるいは御本人にお聞きになったのか、あるいは党を通じてお調べになったのか。そういう点で、任命された判断の基準をまずお聞かせいただきたいのです。
○宮澤内閣総理大臣 国務大臣たるにふさわしい適材を適所に御就任を願ったと考えております。
○山原委員 では、個々の方に対して、特に竹下派とこう書かれておりますから、この方たちを任命する場合に、こういう金丸資金との関係はなかったのかというようなことはお尋ねになってやられたのでございましょうか。
○宮澤内閣総理大臣 ただいまのお尋ねは、金丸前代議士から金をもらったことはあるかないかということをお尋ねしたかどうかと、そういう御質問でございますか。(山原委員「はい」と呼ぶ)そういうことをいたしておりません。
○山原委員 これは率直に言いまして、九〇年選挙のときに、前後に、金丸氏あるいは新国土開発研究会、政治団体でありますから、そこから出たということになっているわけですが、では、個々にちょっとお聞きして恐縮でございますけれども、当時の竹下派に所属しておった方で現在答弁席に座っておられる閣僚は、中村建設大臣、中山防衛庁長官、船田経企庁長官、中島科学技術庁長官、そして参議院の御出身でありますけれども井上国土庁長官、五名がおいでになるわけです。この五名の方に、この金丸氏の入金があったのか、あったとすればいっであったか、あるいは金額は幾らであったか、このことを最初にお尋ねしたいのですが、それぞれお答えをいただきたいのです。
○中村国務大臣 お答えいたします。 全くございません。
○中山国務大臣 御質問のようなことはございません。
○船田国務大臣 お答えいたします。 そのような資金の提供をいただいたことはありません。
○中島国務大臣 ありません。
○井上国務大臣 全然ございません。
○山原委員 自治省にお伺いしますが、この総選挙前後、この間に自治省への政治資金規正法あるいは保有金あるいは公職選挙法に基づく報告書について伺いたいのですが、この五名の閣僚の方々からの報告はどうなっていますか。
○佐野(徹)政府委員 政治資金の収支報告書の関係のお尋ねであると思いますけれども、お尋ねのございました五人の大臣の方の平成二年分の指定団体及び保有金の収支報告書を確認いたしましたところ、いずれも、寄附者の欄には金丸前議員並びに新国土開発研究会の記載はございません。
○山原委員 今、ないという御発言でございます。 そこで、宮澤首相にお伺いしたいのですけれども、ちょうど第二次内閣を組閣されたときは、この問題が最大の国民の関心のさなかでございました。前の海部内閣のとき、御承知のようにリクルート事件が起こりまして、そのときには、海部内閣第二次内閣を組閣しましたときには、一定の党のけじめを基準にして、そして一定の判断の基準を発表されておりますね。それから考えまして宮澤首相の場合は、まことにこういう大事件について、閣僚の任命に当たって姿勢としては消極的、真相を究明しようという姿勢が見られないという感じがするわけでございますが、この点はどのようにお考えでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 冒頭に申し上げましたように、閣僚たるにふさわしい適材を適所に御就任を願った、それが私の選考の基準でございます。
○山原委員 あれだけの大事件、今なお続いている問題ですからね。 海部さんの場合はこう言っているのです。これは国会答弁持ってきておりますけれども、「組閣に際し、閣僚候補者から自主的に申告をしてもらって、自民党のリクルート問題における政治献金等に関する見解及び、いわゆるけじめ案に照らし、閣僚任命に対処してきておる次第であります。」と、かなり明確に組閣に当たっての基準をつくっておられるわけですね。 このリクルート事件よりもはるかに規模の大きい、しかも、六十数名の竹下派の政治家に配ったというそういう事実に基づいて閣僚を任命する場合に、これは当然それだけの手だてが講じられないというのは私はおかしいと思うのですが、もう一回お伺いしておきたいのです。
○宮澤内閣総理大臣 先ほど申しましたような基準で選考をいたしました。その基準に適応しておられると考えた方々に入閣をお願いいたしております。
○山原委員 いわゆる御調査あるいは御本人について聴取されるとかいうようなこともなく、まあ信頼されて任命されたとおっしゃると思いますが、その点ではやっぱり国民の今日的課題に対してこたえておるとは私は思えないのです。 それで、例えば中島科学技術庁長官のことをちょっと見てみますと、これは新聞あるいは雑誌等でありますから誤りがあれば指摘をしていただいて結構ですが、長官になってからも、信濃毎日を見ますと、五億円について配分を受けたかの質問に対して、派閥から金を受け取ったことはあるが、それが五億円の一部なのかどうかは証明しょうがないし記憶がないとお答えになっております。それで、長官になられる前に南信州新聞のインタビューに、これは十月十八日付でありますが、金丸さんから選挙のときに資金手当てを受けていたのは事実だが、どういう金だかわからない、金丸さんが早晩はっきりさせてくれると思うと述べておられます。また週刊ポスト、十一月六日ですが、これも、「同じ派閥にいて、金丸さんが会長なのだから、資金援助を受けているのは事実。しかしその受け取った金が佐川のものかどうかはわからない。」「印がついているわけでもないんだから。だいたい、二年も三年も前のことはわからない」、こういうふうに述べておられるのです。 これは新聞情報ですから、御発言の中で否定されるなら否定されてもいいのですが、しかしこの言葉は、金丸さんから受け取ったということは、どれを見てもこの三つとも出ているのですね。しかも、金丸氏の発言とこれが一致するということを考えますと、お受け取りになったのではないかと想像せざるを得ませんが、金丸氏個人からか、あるいは政治団体からか、あるいは派閥からか、どれだけの金額がお渡りになったのか、その点はぜひお伺いしたいと思いますが、中島長官の御答弁をいただきます。
○中島国務大臣 私の発言でいろいろ御心配をかけたり誤解を受けたりしたことにつきましては、おわびを申し上げたいと思います。 そこで、事実関係をはっきりさせるために、その九〇年の選挙どき、九〇年一月、二月に金丸先生から金を受け取ったかどうか調べましたけれども、そのような事実はありませんので、先ほど、ありませんという御返事を差し上げたわけでございます。
○山原委員 それであれば、幾つか私は新聞の例を挙げましたけれども、そういう事実がない、それをこういうふうに書き立てることに対して何らかの措置をとるとか、あるいは抗議をするとか、あるいは名誉棄損で訴えるとかいうことがこの重大な時期に必要ではなかったかと思います。 同時に、受け取ったとおっしゃっておるものですからいろいろあなたの政治団体に問い合わせてみますと、例えば衛友会あるいは飯田市にある審政クラブにも選挙運動に関する収支は記載されていないわけでございまして、だからこの辺がわからないところです。もちろん政治資金規正法、報告を怠れば規正法に基づいて禁錮とか罰金とか、あるいは公職選挙法違反の場合にいたしましても、禁錮、罰金というようなかなり厳しい刑罰もあるという、こういう情勢の中でございますから、そういう意味で、この私が今取り上げた新聞等について明確な態度をとられるかどうか、これは必要なことだと申し上げておきたいと思います。 それからもう一つは、これは信濃毎日でありますけれども、「検察から出頭要請もまだない。国会で私の名前が出たから要請があるかもしれない。そのときは私は拒まない。」というふうに出ているわけでございます。要するに、検察から出頭せよとかあるいは調査が申し込まれたら中島長官としては、私は拒まない、出ていって話をするというふうにきっぱり言っておられるわけですね。 ところが、検察はどうでしょうか。中島長官についてそういう意味での出頭要請とかそういうことがあったんでしょうか。そのことを最初に検察の方へ伺っておきます。
○濱政府委員 お答えいたします。 今委員が御指摘になっておられますところの五億円の使途につきましては、これはもう委員も十分御案内のとおり、検察当局が政治資金規正法上の収支報告書不記載罪あるいは所得税法違反等の告発事件を現在なお捜査中でございます。その被告発人が約六十名の氏名不詳者とされていることでもありますことから、検察当局では現在幅広く捜査を継続しているところでございます。今特定の人物について取り調べを行ったかどうかというようなお尋ねでございますけれども、そういう事柄につきましては、捜査の秘密に属することでございますのでお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○山原委員 これは政治倫理綱領ですね、これには「疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」こういうふうに出ておりますし、それから、去るこの予算委員会で私の党の不破委員長が総理に対して質問したわけですが、そのとき総理は、党員である者に、法を犯した、あるいはその疑いがあるという問題があると、自民党としても、自民党の責任において調べるということは大事なことだというふうに答えておられるわけでございます。 そういう点から見ますと、やはり少なくとも中島長官については、これはみずから再度お調べになって、この点の疑惑を晴らすかあるいは真実を明らかにするかということをしていただく必要があるのではないかということが第一点です。この点についてお答えをいただきたいと思います。 それから、この最大の疑問点、国民が一番知りたい点は、五億と六十数名の事実に基づいて、それが今やみの中にあるわけですけれども、これをどう明らかにするか、これは国権の最高機関としての国会に課せられた任務でもあります。そういう意味で、今一番肝心の方は何といっても金丸氏であり、生原氏である。今野党が六名の方を証人喚問して、今継続審議中であるというふうにお伺いしておるわけですが、明日は証人喚問も行われるわけですけれども、肝心かなめであるこの金丸さんと生原氏についてはどうしてもこの予算委員会の場に証人として出ていただいて問題を明らかにすることが、今、国会に課せられた最大の任務であり、そして予算委員長である粕谷茂、今ちょっと席を立たれておりますけれども、やはりかじ取りとして、このお二人を喚問をして事態を明らかにするという決意を持って臨んでいただきたい、こういうふうに思いますので、そういう意味でもう一度中島さんと、それから予算委員長から理事会において諮るなり明確な御答弁をいただきたいと思います。
○中島国務大臣 先ほど申し上げたとおりであります。予算委員会というこういう公の場で、私が調べた事実関係で、ありませんということを言っておるわけですから、それ以上のものはないわけでございます。
○山原委員 委員長、証人喚問について。
○鴻池委員長代理 山原委員の御発言につきましては、理事会において協議をいたします。
○山原委員 PKO問題について伺いたいと思います。 現在、ポル・ポト派とプノンペン政府との間で戦闘が展開しておることは事実です。二月十日のカンボジア最高国民評議会、SNCでも、これはプノンペン政権党のフン・セン首相でありますが、ポル・ポト派がなお攻撃をやめなければパイリンを攻撃することもできる、こういうふうに言っております。これに対してポル・ポト派が反撃の宣言をいたしました。すなわち戦闘状態の応酬が続いているわけでございます。 そこで、PKO法の審議をしました昨年のPKO国会ですが、ここで問題になりましたのは、この停戦合意についてでありますけれども、「武力紛争が現実に停止されているということ、それをまた維持するという当事者間の合意、はっきりとした合意というのを前提にいたしております。」これが、議事録も持ってまいりましたけれども、政府側の答弁ですね。これは九一年十一月十八日の、これは野村PKO準備室長が答えているわけです。そして、法律にもこのことが明記されているわけですね。 ところが、このような国会における説明は、既に停戦も合意もこれはないですね、今の状態は。これは、今日の情勢を見ますと、政府の判断基準に照らしましても、現在これはパンクしておるといいますか、そういう状態にはないということが言明できると思いますが、この点について、現在の情勢をどうお考えになっているでしょうか。
○柳井政府委員 ただいま御指摘のごとく、国際平和協力法案の審議におきまして、いわゆる五原則に関する論議がいろいろと行われたわけでございます。そして、御指摘のごとく、五原則の第一原則でございます停戦の合意というものがこのPKOの前提であり、また我が国の派遣の前提であるということが確認され、またこの法案にも反映されているわけでございます。我が国の派遣は、この五原則を慎重に検討して、カンボジアの情勢を見ました上で、五原則に合致しているという判断のもとにカンボジアのUNTACへの要員の派遣、部隊の派遣を行ったわけでございます。 まあ、最近一部の地域におきまして、武装集団による襲撃事件でございますとか、あるいは停戦違反事件というものが発生しておるのは事実でございます。これは残念なことでございますけれども、こういう事件はあるわけでございます。しかしながら、現在カンボジアにおきましては、全面的に戦闘が再開されているというわけではございませんで、パリ協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは維持されている、そして、いわゆる五原則は今も満たされているというふうに考えております。また、UNTACによりますれば、プノンペン政権及びポル・ポト派の両派ともパリ和平協定を守る旨表明していると承知しておりまして、UNTACといたしましても、和平プロセスの基本的枠組みは維持されているとの同様の立場であるというふうに理解しております。 若干繰り返しになりますけれども、武装集団による襲撃事件でございますとか、あるいは停戦違反事件というものはございますけれども、和平の基礎である停戦の合意そのものは維持されているというふうに認識しているわけでございます。 通常、PKOが設置されまして、各国の参加のもとにこれが実施されるという場合におきまして、伝統的なPKOの前提といたしましては停戦の合意があるわけでございます。これが完全に守られれば理想的でございますけれども、停戦違反というものはしばしばございまして、できたての和平というものは脆弱でございますので、これを国連が手伝って、PKOを出して、確固たる和平に導くというのがまさにPKOの役割であろうというふうに考えます。 カンボジアにおける情勢につきましては、以上申し上げたように認識しておる次第でございます。
○山原委員 これは、まあ本当に、去年の国会のことを考えてみてくださいよ。そんなこと言ってましたか、おくびにも出してないじゃないですか。武力紛争が現実に停止、それを維持する当事者間の合意でしょう。これしか言ってないんです、あの法律ができましたときの国会ではですね。 それに今度あなた方はここへカンボジアPKO実施要領、これを出していますね。業務の中断に関して、大規模な武力紛争が発生しているかどうかを判断基準として盛り込んでいる。国会審議と全く別のものが出てきているわけです。全く言葉の端にも出なかったでしょう。 そうして、あの去年の参議院選挙のときはどういうふうに言ったかといいますと、これは自民党の法定ビラに出ておりますように、紛争の終わった後、国の立て直しを手伝いに行くんです、こう言って選挙のときには国民に宣伝をしましたね。これが国民の知らされた公式の文書です。 こんな実施要領なんて初めて、恐らく国民のだれも知らない。国会も知らない。その中には、このいわゆる武力紛争ですね、これが大規模な武力紛争、これが出たときにこれを判断基準とする。国会の審議にもないことがどうして出てくるんですか。しかも今柳井さんおっしゃいましたけれども、あなたは今度、全面的衝突が生じているかどうかが判断基準だとおっしゃる。今も全面的衝突という言葉が出てきましたね。法律が成立するとき、そんなことはこの議場でもどこでも出ていないんです。どうしてこういうことが出てくるんですか。 だから、軍事問題というのは、一つ許せば次々、次々とエスカレートしていく。私ども戦争中それを経験したから、あの苦い思いがあったから、あの法案審議のときに徹底的に反対したわけでありますけれども、早くも国会にも相談なしに、法律にも書いてあることと別のことが出てくる。こんなことで国会の権威が保てるか。しかも、憲法上の問題が抵触するということで大討論のあったこの問題ですよ。こういうふうに実施要領などというものによって、国会でも答弁もしていない新たな事実が出てくるなどということは、何としても了承することはできません。 これは総理、お答えいただきたいと思います。どういうお考えでこういうものが出てきたか、伺っておきたいです。
○宮澤内閣総理大臣 何分にも、十三年ここで戦争しておったわけでございますから、パリで和平の協定を結んだといっても、何にももう全くなくなっちゃうというようなものでないかもしれません。多少は小競り合いがあったり、武装解除も全部どうも思ったようにはいかないというようなことは残念なことではございますけれども、しかし、実際にはSNCの会議をやりますと、ちゃんとキュー・サムファンも出てきているわけでございますね、最近も。ですから、絶対のその和平の枠組みというのを破るつもりじゃない。やはり自分には自分のその中における主張があって、それをいろんな形で表現しようとクメール・ルージュはしておるんだと思いますけれども、全体の会議が、みんな入ってきてやっておるんでございますから、そういう意味では、パリ協定で考えられましたことが、まあ一〇〇%じゃございませんけれども、まあまあ大筋では一生懸命守られようとしている、みんながそういう努力をしつつある状況だというふうに考えて私はいいんじゃないかと思います。
○山原委員 国連事務総長も、ポル・ポト派が協定の実施義務を拒否していることで停戦の第二段階を実施できない、こう指摘しております。現に総選挙にもポル・ポト派は抜きでしょう。それから、ECの顧問のラウル・ジュオール氏でありますけれども、パリ協定は今や死んだ、これは十一回も現地を調査した後でこの方はそういう発言をいたしているわけです。 私どもは、パリ協定自体、ポル・ポト派に市民権を与え、カンボジアの自決権とのかかわりで問題があるというふうに指摘してきたわけでありますけれども、パリ協定も守られていないというのが実態じゃないでしょうか。 しかも、今首相が言われたことは、あの国会審議のときには、まあまあ十三年戦っているんだから、後はまだやっているかもしれぬとか、そんなあいまいなことはこの議場では言ってないんです。そんなことで法律が通って、後からこれが加わってきて、全面戦争にまだなっていないんだなどと言われて、だれが納得できます。私は、この点本当に深刻にお考えいただきたいと思うんですよ。そういう意味で、今のお答えに納得できないんですが、もう一回その点について御説明いただきたい。私にはどうしても理解できない。
○宮澤内閣総理大臣 せんだって来申し上げておりますように、十分状況の推移は注意をして見ておりますけれども、ただいままでのところ、大筋においてパリ協定というものは遵守されつつある、こういう判断に変わりはございません。
○山原委員 大筋において守られているというようなことが本当に前の国会で論議されたかという点がありますが、時間の関係もあります。 今度ガリ事務総長が来日しておりますが、このPKOにつきまして、重装備の平和強制部隊に日本が参加することを期待するという表明をされて、それに対して総理は消極的な態度をお示しになられたというふうにたしか新聞で見たわけですが、これはこのガリ事務総長の発言に対して、総理としては憲法上それは許されないことだと、こういうお考えでおられるのかどうか、伺っておきたいんです。
○宮澤内閣総理大臣 ブトロス・ガリ事務総長とは今晩会談をいたしますので、まだ話しておりませんですけれども、平和についての提言の中で、おっしゃいますように平和執行部隊というような構想を出しておられますが、これは国連としては今までなかった新しい考え方でございますから、当然国連の中において、我が国もその一員でございますけれども、メンバーの間でいろいろこれから議論をすべき問題である、そういうふうに考えておりまして、何もそういうものが今実現したとかいうことではございませんので、そういう提言があって、それについて国連の中でこれから議論をする、こういうものとして私は考えております。
○山原委員 私は、かつて戦争を経験した者の一人で、宮澤首相と、失礼ですけれども年がほぼ似ています。私は、このPKO国会の議場で、あの議場は戦争を鼓舞した東条が演説をして、そして戦争へ戦争へとの道を歩んでいった議場でもあるわけです。本当に、言えば三百万、三百十万ときょうも言われております日本の国民の今、二千万と言われるアジア諸民族の今、そして私の友人はほとんど死んでしもうた。それを考えますと、初めは一歩、それが次々とエスカレートしてとどまるところを知らない。 今度だってそうですよ。自衛隊員が行っている。もう既に、この間の法律によって、停戦協定が合意されて、それも継続しているというその平和なところへ行って、国土立て直したということで行っているのです。ところが最近の発言では、たしか松浦さんに対する答弁だったと思いますが、死者が出ても撤退はしませんとか、あるいは日本だけが先にさようならしますなんということはできないんだとか、そういうふうになっていくわけでしょう。だから、ここのところは本当にきっちりとした論議をしておかなければなりません。青年たちが派遣されて、そうして次第にエスカレートしていく。帰ることもできなければ、あるいは全面戦争になってそこで判断基準が出てくるんだなどと言われたのでは、これはもう本当にたまったものじゃありませんね。 そういうことを考えますと、私は今撤退すべきであるということを考えますよ。それは今そういうさまざまた言いわけをつけて、法律ができるときに決めた、しかも法律第三条に書かれているあの一番肝心なことが崩れるようなことがあっても、なおかつずるずると青年たちを送り込んでいく。しかも行動範囲は広くなってくる、科目もふえてくる。こうなってきますと、このままエスカレートしていったら大変なことになる。私は、かつての経験からこのことを総理に心の底から申し上げたいのです。この点について、撤退しなさい。お答えいただきたい。
○宮澤内閣総理大臣 十分注意は毎日いたしておりますし、また情報も毎日わかっておるわけでございますから、よく注意をいたしまして、法律の趣旨が守られるようにいたします。
○山原委員 時間の関係で、私はもっときっぱりした態度をぜひとっていただくように要請を申し上げまして、次の問題へ入りたいと思います。 昨年十二月に、内閣改造後の記者会見で宮澤総理は、我が国がウルグアイ・ラウンドを壊したと言われるようなことがあっては決してならない、こういう発言をされております。これは一問一答で記者との会見で出た御発言だと思いますが、この発言はアメリカとEC間の農業分野での合意を意識した上で包括関税化受け入れを強く示唆したものとして、国内はもとよりウルグアイ・ラウンド交渉が行われていたジュネーブなど海外にも報道されて大きな波紋を呼びました。総理は関税化受け入れを示唆したものなどではないと否定をされるのでありますけれども、あの発言はそう受け取らざるを得ないような内容を包含しておったのではないでしょうか。だから大きな衝撃を与えたのではないかと思います。 一国の総理による発言の重みというものは、これは大変なものでございまして、米の輸入自由化はしないという決議をいたしましたこの国会としても、これは明らかにする必要があると思うわけでございます。その意味で、誤解されるようなこういう発言に対しては、これはまずその御発言を撤回をすべきであるというふうに思いますが、総理の御見解を伺います。
○宮澤内閣総理大臣 おっしゃいますように、日本はウルグアイ・ラウンドを破壊するつもりはないということはジュネーブその他に伝えられました。私はまさにそれを伝えてほしかったのでございまして、それで結構だったと思っておるわけでございます。
○山原委員 大体ウルグアイ・ラウンドというのは壊すとか壊れるとかいうものじゃないのです。これは裁判所でも何でもないのです。そこで何か決まると、直ちに一斉に決断のときだ、いつでも向こうが何かあると、こっちが決断をしなければ、追い詰められた、冗談じゃないです。そういう意味でも、誤解とか、あるいはそうでない、真意が伝わっていないとおっしゃるならば、やっぱりそのことをはっきりすべきだと思います。 今度、御病気になられている渡辺外相、おいでになりませんが、訪米した際にクリントン大統領が、日本の出方次第ではスーパー三〇一条の発動もあり得るとして日本に一層の市場開放を迫り、クリストファー国務長官は、米問題は日本の市場閉鎖性のシンボルだというふうに言っているわけでございます。私は、こういう発言発言で、本当になぜこんなことが次から次へ起こるのか。米は日本の二千年来の主食ですよ。アメリカにとっては野菜の一部でもない。それを日本人に押しつけるということ自体、しかも国会が三度も決議しているいわば国是とも言うべきもの、それを狂わせと。日本がアメリカの憲法を変えろなんて言ったら人ごとでしょう。そうしてその都度日本の方が追い詰められて、決断が迫られる、決断が迫られる、何とかしなくちゃならぬ、そんな主権国家があるかと私は言いたいのですが、こういう圧力がこれから、今ウルグアイ・ラウンドの交渉は延長することは必至となっておりますけれども、例えば今後二国間協議とかあるいは先進国首脳会議の場で一層強まる可能性があるとも言われています。 総理は間もなく訪米されるということも伝えられておりますし、またこの夏のサミットは議長国としての役割を果たすことになっておりますが、そうした節目節目に、今後とも自由化は拒否しますという毅然たる態度をとっていただきたい。これが国会の決議です。そのことに対してはっきりしたお答えをこの場でいただきたいのです。
○田名部国務大臣 お答え申し上げますが、もうかねてから何回も同じことを申し上げておりますけれども、米というのは日本国民の主食でもありますし、我が国農業の基幹をなすものである、あるいは水田稲作というものは国土や自然環境の保全、あるいは農業そのものが地域経済上不可欠の役割を今日まで果たしてきておる、言ってみれば格別の重要性を有しておるわけでありまして、また国会決議等の趣旨を体して国内産で自給するとの基本方針のもとで今までも全力を挙げて努力をいたしてまいりました。今後ともその趣旨を体して政府挙げて努力をしてまいりたい、こう考えております。
○山原委員 今の農水大臣の御発言と総理も御一緒ですか。
○宮澤内閣総理大臣 それで結構でございます。
○山原委員 この間の食糧自給率の問題についてお伺いしたいと思うのですが、米は市場閉鎖性のシンボルなどと言われていますけれども、日本は世界最大の農産物輸入国ですね。我が国農業は、相次ぐ農産物市場開放によりまして、いわば存亡の危機に立っておると思います。自給率がカロリーベースで四六%、穀物自給率で二九%、低落の一途をたどっています。これは主要先進国を見ますと、アメリカが一一三、フランス一四三、西ドイツ、当時ですが九四%、イギリス七三%、我が国より山国のスイスでさえ六五%を保っているのです。こういう先進国と比較しまして自給率が著しく低いという状態になっているわけでございまして、これは放置できない問題だと宮澤総理もお考えになっておると思います。 政府は二〇〇〇年までにカロリー自給率を五〇%まで持っていくと目標を掲げていまして、そしてこの目標達成を目指し努力を傾けると国会でも繰り返して述べておられます。しかも、米を自由化すれば食糧自給率低下に拍車をかけることは自明のことでございまして、この点からしましても米輸入自由化はできないはずなんです。政府の自給率政策からいってもできないはずです。 ところで、自給率に関しまして最近さまざまなことが起こっています。例えば、これは農水大臣にお伺いしたいのですが、本年の四月から使われる教育出版の中学社会「公民」の教科書に関するものでございますけれども、このようになっています。これは教科書がこういうふうに検定前は書かれておったのです。「現在わが国の自給率は、先進諸国のなかではいちじるしく低い水準にある。もちろん、すべての食料を自給することは不可能であるが、主要な食料をできるだけ国内の生産によって確保していくことが、国民生活と経済の安定化のためにもたいせつであろう。」こういう記述が、検定を受けて変わってくるのです。 どういうふうに変わるかというと、「いちじるしく低い」の「いちじるしく」が削られる。そして「自由貿易の利点をいかすことが重要である。それと同時に、生産性の向上につとめ、主要な食料をできるだけ国内の生産によって確保していくことも考慮すべきである。」著しく低いという事実を消して、そしてもう一つは、自給体制を向上させていくことが大切であるという言葉が「考慮すべきである。」というふうに、すごく記述がダウンするのですね。これはまさに米自由化を前提とした物の考え方による教科書の検定ではないのか。 そういう点を考えまして、これは農水省としましては、新農政の中でも「異例に低い」と農水省自体がそういうことを言っている。これと比較しまして、やはりこんなところまで米自由化の路線がもう徐々に入ってきておるという感じを受けたものですから、この点については農水大臣から御見解を伺っておきたいのです。
○田名部国務大臣 閉鎖性のシンボルのお話がまずございましたが、私は、農産物全体で見ますとおっしゃるとおり相当の輸入をいたしておるわけでありまして、米だけをとらえていかにも閉鎖性ということは当たらないんではないか、こう考えております。 また、自給率の問題と教科書の検定のことのお尋ねがありましたが、教科書の検定の具体的な内容については、私のところで別に関知しているわけではありませんのでお答え申し上げるわけにはまいりませんが、いずれにしても農産物の需要と生産の長期見通しは、文部省も含めて各省庁合意のもとに閣議で決定したものでありまして、確かに御案内のように、自給、カロリーベースで見て四六%というのは非常に低いことはおっしゃるとおりでありますけれども、これはいろいろ事情がありまして、何とか五〇%まで二〇〇〇年までに高めるということで、新しい食料・農業・農村、この政策の中でいろいろと組み込んでございます。限られた土地の中で自給率を高めるということは非常に至難のわざでありますけれども、何とか努力をしていかなければならないというふうに考えております。 いずれにしても、おっしゃるようにカロリーベースで何十%上げるべきだというお話はしょっちゅういただくわけでありますけれども、膨大な農地というのが必要になってくるわけですね。それをどうするか。特に酪農、畜産、そのためのえさですね、これの輸入が非常に多いわけでして、これを自前で賄うということになると、大体五〇%まで穀物の自給率を上げるとすれば四百万ヘクタールの土地が必要になってきます。今五百二十万しかございませんので、この四百万というのをどこに見出すかということがありまして、なかなかおっしゃるとおりまいりませんので、たった五〇%かということかもしれませんが、それを上げるために全力を挙げて努力をしていきたいというふうに考えております。
○山原委員 私が教科書問題を取り上げましたのは、やはり米市場開放の動きを視野に入れてこの検定が行われたのではないかという意味で、そういう意味で取り上げたわけです。第一、最近財界等を中心にしまして米の自由化を迫る声明が出されたりしておりますけれども、実際に対米貿易黒字が三百八十二億ドルでしょう。これはその中の自動車、電気製品、これが六百九億ドルですからね。そういう黒字を米に転嫁するということは、これは本当に不都合な話だと思います。そういう意味で指摘をさせていただいたわけでございます。 それから今、国内対策をとれば米も自由化しても大丈夫だという意見が出始めているわけでございますけれども、これは総理の御出身地の広島県の瀬戸田町ですが、御承知のように、写真ごらんになったらおわかりのとおり、瀬戸田町には「レモン谷」というのがあるのですね。これは日本のレモン生産の七割を生産した、レモンの最も大きなシェアを持っておったところですが、これが、前の話ですけれども、池田内閣のときにレモンの自由化をしたのですね。これは、地元の人たちはしばしば首相官邸へも参りまして、池田さんも広島の御出身ですから、ぜひとめていただきたい、レモンが入ってきたら全滅するんだということを何遍も陳情したのですけれども、つまり自由化しまして、サンキストレモンが入ってきました。そこでこれは壊滅するわけですね。そのときに生産者の皆さんが建てた鳥居のような建物でありますが、これはこの立て札に、どれほど、並み大抵の労苦ではなかったというふうに書いてありまして、そして二度とこんな誤りを繰り返してはならぬということがこの中に書かれているのです。 これは私は写真を撮ってもらって送ってもらったのですけれども、だんだん字が薄れておりますけれども、町の観光案内にもこの場面が出てまいります。自由化というものは、手当てをすればいいのだとか、あるいは国が補助を出せば大丈夫だとかおっしゃるけれども、結果はこういう悲惨な姿になるわけです。ただ、今、アメリカレモンに対して残留農薬の問題が出てきたりしまして、この地域のレモンが少し復活をしておりますから、明るい希望も持てると思いますけれども、自由化なんというのは簡単にしてはならぬことですね。そういう点で、この写真をぜひ総理にも見ていただきたいと思いまして、持ってきたわけでございます。 大豆はどうかというと、大豆は自給率四%に下がっていますね。もともと大豆というのは、御承知のように、私たち、田んぼのあぜに大豆をいっぱい植えて、そこでつくったのです。今、もうそんなことはできなくなってきた。大豆が、アメリカが不作になったときにニクソン大統領のときに日本向けの大豆をとめて、その数日後には豆腐の値段がばっと上がった。大豆だから飢えかつえることはないが、米だったら大変なことですね。 それから、二年前に牛肉自由化が行われまして、畜産、酪農農民が今どれほど深刻な事態に陥っているかということは、これはもう私が申し上げなくとも御承知のことと思います。国内対策としてつくられた各都道府県の肉用子牛価格安定基金はもう底をついてしまいました。だから、既に自殺者も出ておりまして、これは北海道の鶴居村ですが、「酪農に夢がはばたくつるの町」という標語を掲げて酪農をやっておったわけですけれども、ここは青年の方が二人命を絶っておられます。昨年の十一月には北海道の浜頓別町でも、四十歳の酪農家の方が自殺をされております。赤字を埋めるための借金の保証人を探しても、もうだれも保証人になる人がいないというような状態まで来ているわけでございますから、そのことを考えますと、あの牛肉・オレンジの自由化のときは、国内対策をとればいいのだとおっしゃったけれども、実際にやってみるとこういう影響が出ておるわけです。 まして米の場合は、二千年来続いてまいりました、言うならば日本の歴史と文化の源泉というべきものでありますし、今度私はびっくりしたのですけれども、三菱総合研究所が水田の公益的機能をお金に換算しています。何と、日本の水田は年に十二兆円近くに上る公益的機能を果たしている、こういうふうに書いているわけですね。ただ食糧というだけでなくて、国土を保全し、そして安全な食糧を国民に与えていく、しかも防災の役割を果たす水田、そういうものを考えますと、これは、生産者だけの問題ではなくて、日本国民全体のものです。私は、米の自由化というのは亡国 の道だと思っている。そういう歴史的大罪は決して犯してはならないということを強調したいと思いますが、今、米の自由化をすれば九九%の農家がつぶれるという数字まで出ているわけですね。そうするならば、どのような圧力があっても、毅然として我が国の食糧と我が国の農業を守るという、そういう立場に立って今後対処していただきたい、このことを要請したいと思いますが、御意見をお伺いしたいのです。
○田名部国務大臣 今いろいろと拝聴いたしまして、おっしゃるとおりのことで交渉をいたしておりまして、先ほど申し上げましたように、これからもそのことを十分説明しながら、我が国の食糧、わけても米はやはり何としても理解を得るための努力が必要だという考え方に変わりがありません。 ただ、米が主食であるという説明が世界の各国になかなか理解してもらえないというもどかしさはそれはあります、各国とも生活環境や土地の条件、いろいろ全部違うわけですから。そういう中で、しかし、困難な問題を理解してもらうように努力をいたしておるところでありますし、今後とも努力をしてまいりたい、こう考えております。
○山原委員 最後に、教育に関係しますが、これは、ASEANを訪問されましたときに、一月十六日にバンコクで総理が日本外交の基本指針を明らかにしておられます。いわゆる宮澤ドクトリンと呼ばれるものでありますが、その中で「日本の基本姿勢」で「日本が、二度と軍事大国になることはない」ということ、それからもう一つは「日本国民の日々の行動の中にも歴史の教訓が活かされていくよう、わが国における教育の充実に一層意を用いて参る」、こういうふうに述べておりまして、また、去るこの国会が始まった当初の施政方針演説の中でも、「過去の歴史に対する反省の上に立って、誠実かつ謙虚な態度でこれら各国に捜すべきことは申すまでもない」、こういうふうに述べておられます。 そこで、この御発言についてお伺いしたいのですが、「歴史の教訓」とは何か、「過去の歴史に対する反省」とは何かということでございますけれども、この点について総理はどのようにお考えでございましょうか。
○宮澤内閣総理大臣 過去におきまして、第二次大戦がその一番最近の例でございますが、我が国が戦争を通じて近隣諸国等の国民に対して重大な損害を与えたということは、これは否定できない事実でございますから、そういうことを我々は事実として認識をし、また、そういう耐えがたい苦痛を受けられた人々に対して我々の心からの謝罪の気持ちを持たなければならない、こういう意味でございます。
○山原委員 総理は、この前の戦争、すなわち十五年戦争と呼ばれたり、普通そういうふうに呼ばれておりますが、太平洋戦争を含むあの十五年戦争というものが侵略戦争であるというふうにお考えになっているかどうか、この点を伺っておきたいのです。
○宮澤内閣総理大臣 それにつきましては、歴代の総理、私も、昨年でございますか、お答えをいたしましたが、我が国が過去において戦争を通じて近隣諸国の国民に対して重大な損害を与えたことは事実であります。このような我が国の過去の行為について、侵略的事実を否定することはできないというふうに考えております。 〔鴻池委員長代理退席、委員長着席〕
○山原委員 侵略戦争であったというふうにまではお考えにならないでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 そういうふうには申しておりません。
○山原委員 先ほどもちょっと教科書の問題が出ましたけれども、反省とそれから教育を通じてというお話が総理の発言にもあるわけですが、私はここに幾つか、重いですから二、三しか持っておりませんけれども、東南アジア諸国における教育で子供たちにどういうことが教えられているかというのは、これはやはり学ぶ必要があると思いますが、マレーシアの教科書では「日本、満州と中国を侵略」「日本が東南アジアを侵略した理由」「日本によるマラヤ支配」「日本占領時代」、こういうふうに非常にページ数を使って書いておりますね。 それからブルネイの教科書は「日本のブルネイ占領」、タイの教科書は「ファシスト日本の支配」、ベトナムは「日本の侵略と抗日運動」、ラオスは「東アジア大陸における日本ファシストに対する解放闘争」、カンボジアは「フランスと日本の二重支配のくびき」、フィリピンの場合は「日本の侵略始まる」「マニラ占領」「バターン陥落」「死の行進」。この国では「東南アジア諸国の中で、フィリピン人が一番激しく、長く戦ったので、フィリピンが戦争によって最も破壊された。フィリピン全体で百十一万千九百三十八人が戦死した、この中には、戦場や日本の捕虜収容所で死亡した兵士たち、また日本軍によって虐殺された市民(男性・女性・子供たち)が含まれている」というふうに記述をいたしまして、あの過去の戦争についての記述というのは非常に綿密に教えられているわけでございます。 そこで、私たちが本当に歴史の反省の上に立って国際友好、国際貢献の道を開こうとするならば、この認識をどういうふうにすることが正しいかということを考えてみますと、この前の戦争は、今総理がおっしゃったように、幾つかの行為があったわけですね。侵略的行為があったのですが、やはりあれは侵略戦争であったという立場に立って、その歴史の教訓のもとに東南アジア諸地域との真の友好関係を結んでいけるのではないか。ところが、日本の場合はそういうことが教えられておりませんから、最近、御承知のように、日本の企業進出その他で不評を買うような事態も起こっているわけでございます。 そういう立場からしますと、本当に歴史の教訓を教育に生かしていくという点では、日本の憲法の平和原則に立って、過去の戦争というものを正しく評価する、言うならば正確に評価することが必要ではないかというふうに私は考えておるわけですが、この点はいかがでしょうか。
○森山国務大臣 アジア諸国の教科書におきまして、戦争に関する記述につきましては、それぞれの国の歴史的な状況の相違もございまして、一概に申し上げることは難しい面もございますが、総じて、我が国の行為によりましてそれぞれの国民が受けた損害などについて具体的な事例を取り上げ、その内容についても、先生御指摘のように、相当詳しく記述しているものもございます。 我が国の教科書、また小中高等学校の歴史学習におきましては、従来から、第二次世界大戦は現代日本の歩みを学習する上におきまして欠かすことのできない歴史的事象であるとの認識に立ちまして、児童生徒の発達段階に応じて指導しているところでございます。 今回の学習指導要領の改訂におきましては、国際社会に生きる日本人を育成するという観点を一層重視いたしまして、歴史学習の改善を図り、その趣旨については文部省が作成いたしました指導書において示したところでございます。 今後新学習指導要領の趣旨に沿いまして、児童生徒が我が国とアジアの近隣諸国との近現代の歴史を正しく理解し、これらの諸国との友好親善を深めるように、学校において一層適切な指導が行われますようにする必要があると考えております。その際、特に児童生徒一人一人が歴史的な事象の持つ意味を考えるようにしていくということが大切かと思われます。 文部省といたしましては、これまでも教育課程講習会、都道府県の教育長や指導担当部課長の会議などにおきましてその趣旨の徹底に努めてまいったところでございますが、先般の都道府県指導担当部課長の会議におきましても、総理の御発言を踏まえて、指導したところでございます。 今後とも、学校教育におきまして、児童生徒が我が国とアジア諸国との間の近現代史を正しく理解し、これらの諸国との友好親善を一層深めますよう努めてまいる所存でございます。
○山原委員 アジアの場合もそうですが、ヨーロッパの場合も教科書、やはり支配者あるいは占領者に対する闘い、ファシズムに対する闘いというのは相当綿密に書いているのですね。東南アジア、ヨーロッパの教科書の場合でも、抗日運動、すなわち侵略戦争に反対し独立の道を開いたことを大きく描いています。イタリアの場合にもそうですが、「忘れてはならない、もし人々が忘れてしまうなら、すべてがまた始まる」というふうに、ドイツ・ナチスの行った残虐な実態を載せるとともに、「反ファシズムの契機と人物」等について書かれているわけですね。 そういう点から見ますと、日本の場合は、特にあの戦前の侵略戦争に反対して闘った日本の良心というようなものはほとんど書かれていないのが特徴でございます。だから、日本人といえば、これはフィリピンの平和運動家でありますが、シスター・シアツさんが日本に来まして、日本人といえば大変戦争好きだというふうに思っておったけれども、やはりあの戦時中においてもあの戦争に反対した勢力があったと、私は日本人の中にも良心のある人がいたことを知ったというような発言もありますように、そういう意味で、歴史の記述というものはやはり正確にすべきだと思います。 例えば、今度の中学校社会科教科書があの大政翼賛会の問題につきまして、「すべての政党が解党して大政翼賛会が設立された」あるいは「諸政党はつぎつぎと解党して新体制運動にくわわり」とか「新体制の名のもとに、各党は解散して、同年一〇月に大政翼賛会をつくり」とかいうふうに書いております。けれども、事実はそうばかりではなかったわけですね。これは、例えば日本共産党は大政翼賛会には加わらなかったのです。そして、あの侵略戦争に反対をした歴史を持っているわけですね。そういう点では、史実というものは明確にすることが必要だと私は考えております。 それからもう一つ、今度四月から使用される中学校社会科教科書では、明治憲法につきまして「天皇には実質的な権力はなく、じょじょに民主主義が進展(大正デモクラシー)していった」などという記述になっておりますけれども、これは、どんな歴史的な事実を見ましても、明治憲法においては天皇は統治権を総携をし、陸海軍を統帥し、立法権を行い、法律にかわる勅令を発し、戒厳を宣告するなどの絶対的な権力を持ち行使してきたことは否定できない事実である。これは、内閣そのものが戦前においても記述をしておるところでございますし、また、あの憲法のもとで徐々に民主主義が進展したと言っておりますけれども、例えば大正デモクラシーの時期にしましても、治安維持法は、戦争反対や国民主権を唱えるだけで死刑という極刑まで定めて、運動を弾圧するという、いわゆる世界に類のない希代の悪法と呼ばれたものもありまして、十数万の人々が逮捕されたり、また多くの者が虐殺されたり、そういう点があったわけですね。 そういう歴史上の事実というものは正しく私は子供たちにも教えていくことが今必要だということを指摘しておきたいと思いますが、文部大臣、この点について何かお考えがあればお聞きしておきたいのです。
○森山国務大臣 我が国の教科書の検定制度のもとにおきましては、個々の具体的なケースについてどのように書くとかどの程度に触れるとかいうことを文部省として決めるということはできない仕組みになっております。筆者あるいはその教科書をつくられる方の考えによって書かれました教科書の案を、さらにそれを検定するという立場でございますので、個々の事案についてこれを書きなさいとか書いてはいけないとかいうことを申すような立場にはございません。先生の御意見は御意見として拝聴させていただきました。
○山原委員 私は検定をこうせい、こうせいということを言っているのではなくて、やはり歴史の事実は子供たちに教えていくという立場で教科書も見ていく必要があるという点で、その点は時間の関係で指摘をしておきたいと思いますが、最後に、これは最近起こりました、山形県の新庄市明倫中学校における一年生の児玉有平君がいじめによって死亡したという痛ましい事件が起こりました。これは詳しいことを申し上げるのは差し控えますけれども、いわゆるいじめの中で一発芸といいますか、芸をさせられるわけですね。それを拒否したために巻いたマットの中に頭から押し込まれて、そして放置されたものですから窒息死をしたわけでございますが、私はこういう事件、あるいは最近愛媛の松山市でも中学校三年生がいじめを苦にして自殺をしておるという事件も起こっておりまして、場合によってはこれは氷山の一角ではないかという声も出ております。いじめ、不登校、登校拒否、中途退学というのが随分数が多いわけでございます。 学校というところはもともと楽しくてたまらぬところでなければならぬとバーナード・ショーは言っておりますけれども、一国の総理として、こういう事態は学校教育の中であってはならないことでございますから、こういう衝撃的な事件を考えましたときに、日本の教育をどうするかということもまた大きな課題だというふうにお考えいただきたいと思うのです。 そこで、こういう事件の背景にはいろいろな問題がありますけれども、今偏差値問題というのがあります。私も山形へ行っていろいろお聞きしたわけですが、もちろん山形だけではありません。ここには学力対策委員会というのが設置されまして、学力競争がだ人たんエスカレートしていくわけですね。そして業者テストが一斉に行われて、そしてそれが中学校校長会で配付される。そうすると、学校の偏差値、学校の順位、クラスにおける子供たちの順位、こういうものが出てまいります。 それから、一例でありますけれども、高等学校では高校普通科高校活性事業というのがございまして、Aランクの実績を上げた学校には三百万円、Bランクの学校には百二十万円とかあるいはCランクには二十五万円とかいうふうに、進学上位校から順に助成金が出るというシステムもあるということを聞きまして、聞いてみると、今の情勢はもちろん山形だけではないということを伺ったわけでございます。 また、ある地域では、学力を向上させた先生に十万円の奨励金が出るなどということも聞きまして、これまた教師の優劣を競わせるようなことがあるのではないか、そういうことが本当に人間として育っていく子供たちに対して目を向けることをだんだんなくしていくということが背景にあるのではなかろうかというふうに思うわけです。競争原理、それから偏差値、そして管理主義ですね。先日も一つの高等学校に百六個の監視ビデオがついておったということが発表されまして、私は本当に暗然たる思いがするわけでございますけれども、こんなものはアリ地獄みたいなものなんですね。 際限なくこういう事態が続いていくわけでございますから、私は、このアリ地獄から子供たちを今救うのにはどうすればいいか。文部省は今度業者テストを廃止するということを出されました。これは一つの前進だろうと思います。けれども、依然として入試があるわけですから、そうしますと根本解決にはほど遠いものがある。これはNHKなども言っておりますが、塾が進路指導を行うことになりはしないか。それから、受験がある限り偏差値は存在する、こういう意見が日本の教育界から出ているわけです。 そこで私は、時間の関係で一言申し上げたいのですけれども、今高等学校への進学率は九六%近くなっています。現状では、希望する子供たちを高等学校へ全員受け入れることは可能ではないかと思うのです。これはやろうとすればできます。 私は、戦後、県の教育委員をしておりましたときに、学校も焼かれ、あるいはあのような敗戦後の騒々しい状態でありましたが、高等学校全員入学制度を確立をすることができました。さまざまな努力が加えられ、これに対して行政が手をとるならば、これは決して不可能ではない。本当に今の子供たちを、十五の春は泣かせないという言葉がありますけれども、それを実現しようとするな らば、競争原理、偏差値教育、そうではなくて、やはり今ほとんどの子供たちを高校へ行かすことのできる情勢があるわけですから、希望者に対しては全員入学、これをやることが根本的に問題を解決する道ではなかろうかというふうに思うわけです。 今の子供たちは、学校差によって、学校へ行くときにも帽子を隠したりあるいは記章を隠したりする、そんなみじめな思いをしなければならないという状態が続いておるわけでございますが、これは何としても解決をしていかなければならない問題でございまして、私は、希望者全員入学制度というもの、これを本当に検討し、それに対して手だてを加えるならばできる、そして子供たちの今の苦しみを解消することができるのではないかというふうに考えておりまして、新たな気持ちで提起を申し上げたいわけでございますが、これについて文部大臣並びにこのいじめを契機にして宮澤総理の御見解を伺っておきたいのであります。
○森山国務大臣 山形県におきます今回の男子生徒の死亡事故は、いじめがエスカレートしてついに亡くなるという極めて痛ましい事件でありまして、まことに心の痛む遺憾なことでございます。 このような事件が学校管理下に発生したということにかんがみまして、特に教育委員会や学校関係者はこれを重大な問題として受けとめ、この際改めて児童生徒の人命や人権を尊重した指導が大切であるということを銘記しなければならないというふうに考えております。日ごろから校長のリーダーシップのもとに全教職員が一致協力して取り組む体制を確立いたしまして、児童生徒の生活実態のきめの細かい把握に努め、心を込めた指導をしてもらいたいというふうに考えております。 いわゆる業者テストのことでございますが、これはもともと腕試しとか進学先を決めるときの判断材料として使われていたものでありますが、最近一部の私立高校で、中学校から提供された業者テストの偏差値によって事実上の合否の決定を行いましたり、中学校が業者テストの偏差値によって生徒の志望する高校を受験させないような指導をするというようなことも出てまいりまして、問題になってまいりました。 このような問題に対処するために、去る一月二十六日に文部省の高校教育改革推進会議において出されました報告がございますが、これは平成六年度の入学者選抜から中学校は業者テストの結果を高校に提供しないこと、また同様に高校は業者テストの結果の提供を求めないこと、授業時間中や教員の勤務時間中に業者テストを行ったり、教員がその費用の徴収や監督に携わったりしないことなど、学校が業者テストの実施に関与することを厳に慎むべきであるという提案が行われたところでございます。 文部省といたしましては、この報告を踏まえまして、業者テストの偏差値を用いた入学者選抜が行われないようにするとともに、中学校における進路指導の改善について、指導の充実に努めてまいりたいと考えております。 この報告書におきましてはさらに、高校入学者選抜において生徒の多面的な能力、適性等が評価されるように、選抜方法の多様化、選抜尺度の多元化などの観点に立ちまして、学校、学科等の特色に応じた多様な選抜、受験機会の複数化や推薦入学の活用などを実施すること、また、各高等学校が特色ある個性的な教育を一層推進するべきことなどについても提言がなされておりまして、文部省といたしましては、あわせてこれらの点についても指導の充実に努めていきたいと考えております。 また、最後に触れられました高校全入、義務教育化ということに関してでございますが、仰せのとおり、平成三年度において高校進学率は九五・四%を数えておりまして、高校進学の希望者がほとんど進学しているという状況でございます。この段階の青少年の能力、適性、興味、関心、進路希望などは極めて多様化しておりまして、高校においてこれらの青少年にその能力、適性等に応じた効果的な教育を施していくためには、やはり入学者の選抜を行うということが必要ではないかと思われます。したがって、高校への進学希望者を選抜なしにすべて入学させるということは適切ではないのではないでしょうか。それぞれの能力、適性、興味、関心などにふさわしい進路選択が行われることが大切であると考えておりまして、一律に高等学校への就学義務を課すということも適切ではないと思われております。
○山原委員 今おっしゃったのですけれども、それでは基本的な解決に私はならぬと思う。今まで多様化の問題、随分文部省はやってきたんです。でも、それをやるたびに問題がだんだん出てくるわけですね。そして、多様化すればするほど、今度は入学試験からもう既に子供たちがさまざまな形に分けられていくという問題も出てまいりますから、だからその点も考えて私は、今九六%まで来た、ところが、東京などでも何%か抑える、神奈川でも何%に抑える。わざわざ入学試験をせざるを得ない状態に置いている面もありますから、そういう意味で、希望者です、希望者全員入学制度をとることが、この問題のむしろ本当の意味の解決になるのではないかという意味で申し上げたのですけれども、時間の関係がありますからこれ以上意見を申し上げることはおきますが、もし総理に御意見がいじめの問題でありましたら伺って、菅野議員にかわりたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 せんだっての山形の出来事はまことに痛わしいことだと思います。これは恐らく氷山の一角のようなもので、きっと非常にいろんな原因があの中にあるに違いない。それは偏差値でもあるかもしれませんし、あるいはもっとずっと言えば学歴偏重社会であるとかいろんなこと、今文部大臣がたくさんの複合的なことを言われましたが、そういうことである。そのことがああいう事件に象徴的にきっとあらわれたのであろうと思いますから、事は大変に重大なことで、一刻も猶予のならぬことだと思います。文部大臣があれだけおっしゃっていらっしゃいますので、行政においてもいろんな問題を抜本的に考え直していただいて、ああいうことは散発的な事件ではない、何かそこにはやっぱりそこに行くだけのいろんな複合的な要因があるんだということを、そこをやはり直していかなければならないんではないかというふうに思っております。
○山原委員 終わります。
○粕谷委員長 この際、菅野悦子君から関連質疑の申し出があります。山原君の持ち時間の範囲内でこれを許します。菅野悦子君。
○菅野委員 私は、不況の問題で、とりわけ中小企業に対する金融、この問題で質問をしたいと思います。 今、長引く不況の中で最も苦境に立たされているのが中小企業の皆さんであります。この時期に政府がどのような対策をとるか、このことで中小企業に対する政府の姿勢が明らかになる、こう言っても過言ではありません。私どもが今中小企業の皆さんから訴えられるその切実な願いというのは、仕事と資金に尽きる、こう言ってもいいんです。この不況を乗り切るために、私は、低利で長期の融資という点についてお伺いをしたいと思うのです。 最初に、昨年末の補正予算でつくられました緊急経営支援貸付制度、これがございます。この制度は、国が二百九十三億円、都道府県が同額を支出して、それを預託金にして二千億円の融資枠をつくって中小企業に貸し出す、こういうことになっております。金利は、国の基準でほ四・一%、プラス・マイナス一%の範囲で都道府県が設定するということになっておりまして、相対的には低利であります。だから、そういう点では不況に苦しむ中小企業の皆さんにとっては非常に求められておりますし、経営安定の資金としては非常に有効だというものなのです。 そこで、都道府県では同じような仕組みで融資制度が国に先行して実施されておるということでありまして、その申し込みも非常に多いというふうに聞いております。 そこで、まず現状について伺いたいのですが、政府がつくりましたこの緊急経営支援貸付制度、これに対応する自治体の融資制度、既に三十一の都道府県で動き出しているというふうに聞いておりますが、その全体の融資枠、この総額が幾らになっているか、そしてその各都道府県の融資申し込み、これはそれぞれの県の単独事業、これも含めてどれぐらいになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
○関政府委員 お答え申し上げます。 中小企業は現下極めて厳しい状況にあることは私ども同様の認識をいたしております。 先生御指摘の総合経済対策におきます中小企業関係の金融面での支援でございますが、さまざまな制度がございますが、その一つとして、先ほど先生御指摘のございました緊急経営支援貸付制度というものがございます。これは私から申し上げるまでもございませんけれども、地域の実情に応じまして都道府県等が金利、償還条件等の融資条件について柔軟に対応できるように今措置されているというところが特色でございます。 実は、この制度を実施いたしますためには補正予算の成立が必要でございまして、御案内のとおり、補正予算が成立いたしましたのが昨年の十二月十日と承知をいたしております。私ども、翌週の月曜日、十二月の十四日以降これが実施が可能なような体制をいたしましたけれども、都道府県の段階におきましては、十二月中に二十四の都道府県、それから一月中に六の都道府県、今月に入りまして一の都道府県ということで、現在この制度を活用して融資を行おうという体制にございますのが、御指摘のとおり三十一の都道府県でございます。 ただ、今申し上げましたように、順次スタートいたしておりまして、また各都道府県におきましては、先ほど申し上げました自主性を生かすという観点から、受付の窓口も、県庁でありましたり、あるいは信用保証協会でありましたり、あるいは銀行でありましたり、さまざまなところにまたがっているということもございまして、現段階でまだ正確な融資の実績を申し上げる正確な統計を持つに至りていないことを御理解いただきたいと思っております。 なお、先生御指摘の、各都道府県がこれとは別に、それぞれの県の単独事業としていろいろ融資をしておられる例もあることは我々承知をいたしております。私どもが知っている限りでは、大体二十四の都道府県または市においてこの制度が行われているというふうに承知をいたしておりますが、詳細について私ども、これは県あるいは市の独自の制度でございますので、必ずしも掌握をしていないということを御理解いただきたいと思います。
○菅野委員 今、中小企業の不況の深刻さということは御理解いただいているようなんですけれども、その中で、都道府県を含めて一生懸命それに対応して頑張っておられる、その単独事業の実態をつかんでいただけてないというのは非常に残念であります。 これは、融資枠でいいますと約七千億円、そして申し込みの方は、東京、大阪、京都、兵庫、福岡という五つの都府県だけでも七千億を突破している。これが一月の下旬での新聞報道であるわけです。ですから、そういう点では、やっぱりもっともっとこの実情をぜひ早急につかんでいただきたいというふうに思います。 大阪府は昨年十月からこれを、受け付けておりまして、緊急経営対策特別融資制度ということで、バイタル七〇〇〇という名前でスタートしておりますが、融資枠は二千億円であります。当初三百億でスタートしたんですけれども、申し込みが殺到いたしまして、急速二千億円に拡大したというものであります。だから枠が二千億になっているわけです。しかもこれはことし三月末までという状況です。四月以降は新たに追加をしているという状況です。ですから大阪府、今二千億円なんですけれども、四月またそれを追加するということです。 東京都の方ですけれども、これは十日に第三次分の受け付けを発表いたしました。昨年からの二次分までで申し込みは三千億を突破しているという状況なんです。 ところが、国の方ですけれども、東京も大阪も含めた日本全国で、しかも期限といたしましてはことしの十二月までの期間で二千億円という状況、こういう融資枠しか確保していないという状況であります。都道府県に申し込まれている中小業者の実情を見れば、この制度の融資枠、たった二千億円ということでは余りにも少ないのではないかというふうに思うんです。中小業者から見れば、都道府県の今単独でやっておりますこの融資枠でさえ不足しているんです。大阪府でも申し込みに対する承認率は七五%、四分の一は切り捨てられているわけです。また、申し込みをした額、これが削られることも非常に多いんです。 そこで、私、総理にぜひお伺いをしたいんですけれども、参議院の本会議におきまして、この点で我が党の立木議員が質問をいたしました。このとき総理、あなたは、この緊急経営支援貸付制度、これにつきまして、中小企業の経営には非常によい制度だということで、経営支援のために万全を期したい、こういうふうに答弁をされているわけであります。 しかし実情は、そういう私が今説明したような状況でありまして、万全どころか大変不安であります。融資枠の追加というのはぜひ必要だと思いますけれども、例えばあと数カ月で今の景気が回復するかということでいいますと、なかなかそういう楽観的な見通しはありません。もし途中でこの二千億の枠が、国がスタートするこの枠がいっぱいになったときには、この融資制度というのはもう終わりだということになるんでしょうか。そういうことになりますと、率直に言いまして、中小企業を見捨てるということになりかねないんですけれども、万全というのは、年度途中で枠がいっぱいになれば当然国として追加されるというふうに受けとめていいんでしょうか。お答えをお願いいたします。
○関政府委員 その前に一言申し上げておきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、昨年秋の総合経済対策におきまして中小企業対策に配慮するためのさまざまな制度ができておりまして、先ほど先生御指摘の制度はその一つの柱でございます。 御案内のとおり、具体的な中小企業金融公庫、国民金融公庫の貸付限度枠につきましても、これまで中小公庫でございますと四億円が限度でございましたが、五〇%アップの六億円、それから国民金融公庫は四千万円が上限でございましたが、特別に二千万円、六千万円までというようなことで枠の別枠が設けられております。それからマル経の制度、これにつきましても、これまでは五百万円が上限でございましたが、六百万円に引き上げる。そのほか時短でありますとか環境問題、あるいは流通問題等々に対応いたします設備投資につきましても、現在の金利水準で四%台の安い金利の制度が設けられております。 さらに、平成五年度予算におきましても、景気対策に対する配慮というものはいろいろなされておるわけでございまして、一例を申し上げますと、中小企業金融公庫の貸付枠が来年度は二兆六千億円、それから国民金融公庫が二兆九千五百億円で、それぞれ前年に比べて六%増という形になっておりますし、また、先ほど申し上げました四億円を六億円にいたしますといった制度も、これは本年三月末までの計画でございましたが、九月末まで延ばしております。また、マル経資金につきましても、貸付返済期間を、これまで設備投資は五年でございましたが六年に延ばす、運転資金も、三年であったものを四年に延ばすというようなこと。さらにまた、債務保証をいたします場合の保険限度の引き上げといったようなことも予定されておりまして、これらのさまざまな施策の柱を、それぞれ中小企業の方、いろんな御事情あるいはシチュエーションにおありになろうかと思いますが、そのときどきの状況に応じて御活用いただきながら、ぜひこの苦しい時期を乗り越えていただきたいというのが私どもの考え方であることをまず申し上げておきたいと存じます。
○菅野委員 存じております。ただし、その点後で述べようと思っていたんですけれども、例えば今の時間短縮とかあるいはいろんな意味での環境対応とかいうことでの設備投資、これ今でも、不況の中ですから、なかなか大企業でも設備投資なんてできないんですよ。まして、中小企業がそういう設備投資の融資を準備していただいても残念ながら使えません。そして、いろいろるるおっしゃいました。財投を使ってのいろんな国金とか中金とかいうものですけれども、これについては、率直に申し上げまして、利率などは平時の問題なのです。 だから、私が先ほどから強調しております緊急経営対策、この特別の融資制度というのは、低利で、しかも一定長期ということで、今の不況にとって中小企業に一番望まれているこの部分をだから言っているんです。だから、私が今質問をいたしましたけれども、総理にお答えいただきたいんです。 万全とおっしゃいました。この二千億円がなくなったときには、粋がいっぱいになったときには当然追加するというふうに理解していいのか。その万全の中身をしっかり総理から答弁をいただきたいと思います。
○森国務大臣 今先生からいろいろとお話しくださったものは補正予算の中でこれを制度として取り入れたものでございます。これが大変人気があるといいましょうか、人気があるということは喜んでいいのかどうか、逆に言えば極めて中小企業の経営も非常に不安定だということにも通ずるわけでございまして、そういう中できめ細かい施策をとっていかなきゃならぬと考えております。 ただ、今さらに追加があるかどうかということでございますが、平成五年度の予算はまた、これらのことも今長官からも細々申し上げましたことも含めていろんな施策を講じてございますので、まずはこの平成五年の今御審議をいただいている予算案をぜひ成立をさしていただく、そのことによってまたこれが補てんをされていく、このように考えております。
○菅野委員 いろいろと自治体が努力しているんですけれども、限界なんですね、本当に。今大阪でもこれもう原資七百億出しているんですよ、国は二百九十三億ですけれどもね。そして、こういう努力をしている。 例えば、自治体の努力の方ですけれども、埼玉県の川口市では第三次の分を緊急融資、これを行っているんです。一月二十六日に二十億円の融資枠つくりました。ところが、受け付けを開始する以前から、七時半から中小企業の皆さん並んでいらっしゃるんです。そして、八時半から受け付けを開始して十時半にはもういっぱい。そして、二十何人の皆さん方は、その申し込みに来たけれども、朝早くから並んだけれども、結局その融資を受け付けてもらえなかった。川口市だけで、これで百九億なんですけれども、もうあとはできないと言っているんです。 ですから私は、今もお話がありましたけれども、この緊急融資の問題、いろいろと、いろんな都道府県、頑張っています。大阪の場合は、(発言する者あり)今だれがやっているんだと言いましたけれども、今の場合は単独事業で頑張っているという状況ですが、こういう状況があるわけですから、この部分ですね、いろいろこの予算の中でとおっしゃいました。この緊急貸付制度の問題で枠がいっぱいになればさらに追加をするということがあるのかどうか、この点を明確にお聞きをしておきたいと思います。
○関政府委員 お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、この制度は昨年の十二月スタートいたしたばかりでございます。都道府県によりましては、実は昨日からスタートしたといったような状況でございまして、二千億のこの計画を平成四年度とそれから平成五年度、一年間の計画でございますので、十二月まで期間がございますので、その間にこれからの景気の状況、それから使用状況などを見守る必要があると私どもは考えておる次第でございます。
○菅野委員 ぜひ中小企業を泣かせないように、万全と言われた総理の本会議での公約ですから、ぜひ守っていただきたいということを強調しておきたいと思います。 続いてですが、大蔵省は八日に、「中小企業金融の円滑化について」という通達を出されました。同時に、「金融機関の融資対応について」という所見を出していらっしゃるわけなんですけれども、これを見ますと、「公定歩合引下げを機に、金利引下げなど中小企業金融の円滑化について一層の配慮を」というふうに書いていらっしゃいます。 そういう点で、お聞きしたいんですが、大蔵省の中小企業金融の現状認識ですね。こうした通達や所見を出すということは、現在中小企業、借りたいと思ってもなかなか貸してくれないという状況がある、そして公定歩合引き下げたが、それだけでは単純に中小企業への融資が円滑になって金利も下がるというふうには言い切れない、だからこういうふうな通達を出したということなのではないかどうか、質問いたします。
○林(義)国務大臣 中小企業の置かれている状況はこの不況の中で大変厳しいものがあるという認識を私も持っているところでありまして、先生御指摘のような認識と私は同じだと考えていただいて結構でございます。 そうした中で、言われておりますところの金融機関の貸し渋りであるとかあるいはBIS規制がどうだとかというような話が言われておりますから、私はそういうことはないと思っておりますけれども、やはり中小企業の置かれた立場に留意しまして、特に金融機関が、当然のことでありますけれども、その円滑化に対していろいろとやっていくようなために銀行局長通達でお願いをしたところでございます。 公定歩合も下げたわけでございますから、その下がったものがやはりそういったところに浸透していくようなことというのは当然に考えていかなければならないものだというふうに思っていろところでございます。
○菅野委員 実は、大蔵省が中小企業金融で通達を出したのは三回目なんです。昨年三月、十一月に出しておりますから、だから、やはり二回の通達ではそれほど効果を発揮しなかったということをみずからお認めになっていらっしゃって二月の八日付の通達ということになったのかなというふうに思うわけです。 問題は、通達を出すだけで実際に中小企業への低利融資が実現するだろうかということなんですね。といいますのは、この通達を出したということを報道しております新聞、これ自身が、通達は出した、しかし実効性は疑問だというふうに書いているわけなんです。そんな状況もあるわけです。だから私は、ここで本当に強調したいんですけれども、通達を出すよりもやはり政府自身がお金を出す、中小企業のために低利融資の施策を充実させるということこそ必要ではないか、それと通達と相まってこそ中小企業に対する金融の円滑化を図られるということをぜひ強調しておきたいというふうに思うんです。 ところで、私がなぜそういうふうに言いますかといいますと、政府は、一般会計とか特別会計から支出をされまして、利子補給をいたしまして、そういう予算措置をとって金利を引き下げるという政策的措置というのはたくさんとっていらっしゃるんですよ。例えば、石油会社とLPG会社の備蓄には百六十二億円の利子補給をしていらっしゃる。結局それで財投金利保よりも二%ほど下がっているということですね。そういうふうなものがありますし、またいろいろとございます。例えば郵政省と通産省が共管いたします基盤技術研究センター、これを経由して、国の財政から毎年二百六十億円、これが出融資されているという制度もあるわけです。これは制度発足以来七年間たっておりまして、千五百億以上の資金が約三百のプロジェクトに出融資されているという状況でございます。 そこで、お聞きしたいのですけれども、この基盤技術研究促進センターの融資の部分ですね、これの据置期間、償還期間それから貸付利率、こういうものを簡潔に御答弁をお願いします。
○松藤政府委員 お答え申し上げます。 本制度は、昭和六十年に、民間の基盤技術の研究促進を目的といたしまして設けられた制度でございまして、貸付金の限度額は試験研究費の七割でございます。 それから、試験研究期間中、最大五年でございますが、これは据置期間といたしております。 償還期限は、試験研究終了後十年以内ということになっております。 それから、金利につきましては、貸し付け時に定めた利率に当該研究の成功度を乗じて利率を算出することになっております。この貸し付け時の利率というのは、通常、資金運用部の預託金利相当でございますが、成功度というのは、ゼロから一まで○・二五ずつ刻みで五段階に分かれてございまして、この成功度が一番高いものは一、成功しなかったケースはゼロということで金利をいただくわけでございますけれども、現在までの実績を見てみますと、大体、融資案件二百三十件、そのうち終了したもの百四十九件ございますけれども、成功度は〇・七ということでございまして、貸付金の償還も順調にいっているところでございます。 それから、この成功度の判定が恣意的なものになってはいけないものでございますから、これは大学の教授の方々八十一人ばかりを技術評価委員として委嘱しておりまして、専門の大学の先生方にこの成功度の判定をしていただくことにしております。 以上でございます。
○菅野委員 この出資総額は千百五十億円以上ということになっておりまして、こちらは返す必要がないわけであります。 今御説明いただきました融資の方なんですけれども、今御説明がありましたが、試験中は無利子で据え置きです。つまり、試験をやっている間は返済しなくていい、そして試験終了後に返済する金利は、今申し上げました成功率に財投金利を乗じたもの、そして据え置き後、償還期間は十年ということになっております。成功率は、だからゼロであれば無利子になるわけです。 成功率は、五段階ということで今も御答弁ありましたが、私が御説明いただいたのでは、平均六割程度だということのようであります。そうすると、金利は平均三%という非常に低利融資になるわけであります。 このほかにも生物系特定産業技術研究推進機構、こういうところからも同じような仕組みで農機具メーカーに国のお金が出ているというふうなことがありまして、こうした融資制度はたくさんあるわけであります。これらについて立ち入って議論する時間はありませんが、いずれにしろ強調したいのは、政府がその気になって政策的判断をすれば、非常に有利で低金利、長期の融資ができているということなわけであります。とりわけ大企業向けにはこういうものがたくさん存在しているという状況があるわけですけれども、だから、ここで私たちは言っておりますけれども、財投原資を活用して政府が利子補給を五百億円すれば、二兆円規模の融資を三%の激甚災害並みの低利でできるということなんですね。その気になればできるということなんです。 政府は、御説明先ほどありましたが、昨年の総合経済対策で、財投原資を使う中小企業金融公庫、国民金融公庫それから商工中金など、貸付規模の拡大を行っております。しかし、この一般貸し付けの金利は特別の措置をとられておりません。だからいわば平時と同じなんです。だから、なかなか借りられないんです。 例えばこれを全部一般貸し付けに振り向けて、そして政府から九十五億円の利子補給をすれば、金利は四・一%になります。二百億円すれば、三%の文字どおり激甚災害並み、この融資ができるわけであります。 そこで私、総理、本当に申し述べたいのですけれども、不破委員長も指摘いたしましたけれども、中小企業というのは企業数で九九%になるんですね、全企業の。雇用者数では全体の八割なんです。生産量でも製造業の半分以上、小売の販売額では七八%を占めているわけです。文字どおり日本経済を支えている多数派なんです。この中小企業がどうなるか。これは本当に大変だと思います。この中小企業を助けることができるかどうかというのは、国の経済にとって非常に重要な課題であります。とりわけ雇用者全体の八割がこの中小企業に就業しているわけですから、文字どおり、ここへの施策というのは国民の消費に直結します。政府として、不況を打開するために中小企業への低利融資など手厚い支援を行う、そういうふうな政策的判断、ぜひ踏み切るべきではないかと思いますけれども、総理の決断を求めたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 おっしゃいますとおり、中小企業というのは我が国の本当に企業の大部分でございますし、非常に、殊に今経営難しゅうございますから、できるだけ大切にしなければならないと思っております。 ただ、それとの関連で、先ほどの技術基盤の金利の話をおっしゃって、大企業だから云々とおっしゃいましたが、そこのところがまた違うんですね。そうじゃないんで、これは新しい技術をやっていこうというんですから、それにはいろいろ危険があります。だから、そういうときには金利を低くしなければ、そういう危険の多い基盤技術というのがなかなか育たない。これは大きいとか小さいとかいう問題じゃありませんので、何か大企業には大変安い金利をやって中小企業はそうでないというような御所論のところは、私は違っていると思います。
○菅野委員 ですから、私は時間がございませんから、そのことでいろいろ総理と論争する時間ありませんけれども、私は、そういうものもある、大企業向けには多い、だから、政策的な、皆さん方の決意さえあれば、政策的判断でやれているわけですから、今の中小企業の位置づけから見たらそういうふうなときではないかということを総理に述べたということでありますので、その点をぜひ引き続き決断をお願いしておきたいというふうに思います。 続きまして、障害者問題、とりわけ共同作業所などの問題につきましてお伺いをしてまいりたいと思います。 今、国連障害者の十年が終わりまして、その到達を踏まえて新たな目標と政策、計画をどうするかということが問われています。当然すべての障害者が一人の人間として尊重されて、親の負担に頼ることなく自立して生活していける、そのための社会的環境整備、そして制度の充実ということが今非常に求められていると思うわけであります。 先日出されました、この「「国連・障害者の十年」以降の障害者対策の在り方について」という意見具申、これも出されましたけれども、ここでは、障害者を含むすべての人々が持てる能力を十分に発揮し、有意義な人生を歩むことができる社会づくり、これが、昨年六月政府が決定し、目指すところの生活大国の基盤、基礎的な条件である、ここに書いていらっしゃるのです。 そこで、障害者のための共同作業所について伺いたいと思いますけれども、さきの衆議院の本会議におきまして、我が党の金子議員がこの点で質問いたしました。そのとき総理は答えて、この作業所の問題、共同作業所の補助対象施設の増加を盛り込んでおり、八億八千万円から十億八百万円に増額しているというふうに答弁をされました。まあ、このお金が十分と考えておられるのかどうかはその点ではわからなかったのですけれども、この補助金というのは一カ所年間九十万円、補助対象は千百二十カ所であります。 そこで、厚生大臣に伺いたいと思いますけれども、全国の共同作業所の数、そこに通っている障害者の人数、職員の数など、厚生省として独自につかんだことがあるかどうか、お聞きをしたいと思います。
○土井政府委員 いわゆる障害者の小規模作業所の数等の実態の問題でございますけれども、これらの施設は自由に新設されたり廃止されたりしている状況にあることから、その全体像というものを私どもが把握することは困難であると考えております。 関係団体の調査によりますと、地方自治体が助成を行っている小規模作業所の数は約三千カ所というふうに聞いているところでございます。
○菅野委員 今の答弁にありましたように、国連障害者の十年が過ぎている現在、作業所の正確な実態も厚生省として独自にはつかんでいただけていないという状況なんです。私、この質問に当たりまして担当者からお話を聞きまして、本当にびっくりいたしました。今の答弁にもありましたように、共同作業所に関する基礎的なデータというのは、みずからの調査ではなくて共同作業所全国連絡会、ここのものだったのであります。全国で約三千カ所、四万五千人の障害者がここに通っている。しかも、強調したいのは、実はこの共同作業所の役割が、今ますます大きくなっているということであります。 そこで、文部大臣にお尋ねをしたいのですが、東京、大阪だけでも結構でございます、養護学校高等部の卒業生が昨年何人この授産施設、作業所、これは認可、無認可合わせてでも別々でも結構ですけれども、ここを進路先としているか、この数、御掌握かどうか、お聞きいたします。
○野崎政府委員 お答えを申し上げます。 全国で申しますと、平成三年三月の盲聾養護学校の高等部卒業者が一万九百三十八人ございますが、そのうち授産施設、作業所を含みます社会福祉施設あるいは医療機関への入所者が三〇・六%、こういうことでございます。それから、東京、大阪でございますが、東京都が五九・二%、大阪府が五〇・三%という数字でございまして、全国平均より割合がかなり高くなっている、こういう状況でございます。
○菅野委員 今の大まかな数字ではなかなかわからなかったのですが、例えば九一年度、東京では千三百十三人卒業いたしまして、そのうちの六百三十九人が無認可作業所など法定外施設に進んでいるわけです。大阪ではどうか。昨年追跡調査、五月一日現在の数字ですけれども、九百八十七人中四百四十一人、うち無認可が二百六十二人でありまして、認可が百七十九人。これにつきましても、大阪の場合五年ぐらいの期限がついておりますから、五年後はまたほとんどがこの無認可の共同作業所へ行く、こういう状況にあるわけでございます。まあ卒業式も近づいておりますけれども、本来喜びに胸を膨らませるのが卒業式でしょう。ところが、この養護高等部の卒業生、本当に行く先がないわけですから、親子ともども、もう卒業式できるだけ来なければいい、こういうふうに本当に思っている、こんな状況にあるわけです。ですから、そういう点で、現状では養護学校の卒業後の進路先、これがほとんど共同作業所というところになっているというところ、ぜひ私はここへ光を当てていただきたいというふうに思うわけであります。 結局、今の実態ではどんどんどんどんこの共同作業所が必要になってきています。最近、この十年間で見ますと、全国的に見まして大体二百カ所から二百五十カ所共同作業所が必要になり、つくられているわけであります。しかも、それもほとんど親の血のにじむような努力に任されているというのが実態であります。法定施設として認可をする場合に、まず一定の土地、これを確保しなさい、これが条件ですね。ところが、これが大変なんですよ。私も大阪でお母さんやお父さん方の話を聞いてまいりましたけれども、養護学校を卒業する子供を抱えて、行く先がないから作業所つくらぬとあかん、こういうことで一生懸命場所探しから始まるわけです。しかし、なかなか貸してもらえない。市に泣きついても、らちが明かない。そんなときに、橋の下ならあるよ、こういう話があったそうです。でも、たまに行く橋の下ならともかく、毎日毎日この子供を橋の下にはやれない、お母さんたちは泣いていました。そして、探して探して見つかったのが物置の倉庫であります。そこを、お金を何とか工面して、八百万かけて改装いたしました。ところが、家賃だけでも月三十万です。ですからその後、年じゅうバザーだ、物品販売だと、そういうお父さんやお母さんたちが走り回って、そして指導員の職員の先生方が本当にもうわずかな給料で運営しているというのが実態なんです。ところが、政府はこの作業所の実態すら把握していない、こういう状況であります。 総理、わずかにこの九十万のお金、しかもふやしたとおっしゃいましたけれども、三分の一の作業所にしか届いておりません。ぜひお願いしたいのは、まず実態調査をしていただきたいということです。そして、今自治体では一千万程度、またそれ以上の援助をしているところがたくさんあります。せめてこの自治体の努力に学んでいただいて、国としても温かい援助ができないものかどうか、そのことを総理として、推進本部長として決断していただきたい、このことをお伺いいたします。
○土井政府委員 先ほど申しましたように、無認可の施設でございますので私ども実態を正確に把握してないと申し上げた次第でございますが、ただ、地方自治体におきましては、地方交付税上こういった事業に対するきめ細かな配慮を行うべく一定の経費が算入されているというふうに伺っておりまして、きめ細かな地域の実情に応じた福祉対策の一環としてそのような助成が行われているというふうに聞いており、私どもも高く評価しているところでございます。 なお、私どもといたしましては、先ほどお話がございましたけれども、できるだけ法定施設をつくりやすくするということを考えておりまして、例えば福祉施設の授産施設であるそういったものの分場というような分場方式を推進したい。それから新年度におきましては、小規模デイサービス事業というふうに人数が少なくても取り組めるような事業を新しくスタートをさせたい。そのような形で国としての責任を果たしてまいりたいと考えているところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
○菅野委員 そのことも説明の中でお伺いいたしました。分場方式で昨年一年間でできたのは五カ所だそうであります。そういう点では、やはりもっともっと政治の光を当てぬといかぬということがおわかりいただけるんではなかろうかと思うわけです。 それから続いて、先ほどから強調しております意見具申の問題につきましてあわせてお伺いしたいと思うのですけれども、この意見具申の中では文部省、厚生省、労働省など関係省庁の十分な連携、これが強調されております。例えば、障害者の雇用促進法に触れまして、「一般雇用に就くことが困難な者については、雇用対策及び福祉対策の連携のもとに各種授産施設の充実を図る」必要がある、こういうふうに書いているわけであります。 私は、東京と大阪、幾つかの作業所を回ってまいりました。そこではコピー機の部品の下請とか米ぬかでつくる石けんとかクリップがたくさんついているハンガーをつくっているとか、不自由な体で一生懸命仕事を、作業をしておりました。ですから、そこはまさに労働の場であり、職業訓練の場であり、教育の場であり、まさに生きがいを求める大切な場になっているな、このことを痛感したところでございます。実際、企業から職業訓練に来てまだ企業に戻るという人がいらっしゃいますし、軽度の障害で普通高校を出たにもかかわらず一般の企業に採用されずに作業所に来ている、こういう方もいるわけでありまして、作業所がいろいろな意味での役割を担っているというのが現状であります。 そこで、労働大臣にお聞きしたいのですけれども、同じ障害者でも職業訓練施設に通えば十二万五千六百九十円、こういう援助が受けられます。ところが、この作業所ですけれども、労働法のすべての対象から外されておりまして、全く援助が受けられないんですね。ですから運用上の見直し、こういうものをやっていただけないか、こういうことをぜひ提起したいのです。 例えば今、障害者の雇用促進法というのがありまして、それに基づく納付金がプールされています。そこでは、雇用率以上に雇っているところには調整金とか報奨金が支払われる、あるいは職業訓練施設にも拠出される、こういうことがあるわけですけれども、このお金が今二百九十億円、剰余金としてあるわけでございます。ですから、今までだったら、これは雇用でないから、作業所は雇用でないから対象外だというふうにいつもおっしゃっておられたわけなんですけれども、意見具申にもありますけれども、ぜひ従来の姿勢を見直していただいて、この障害者の自立てきる環境整備のために柔軟な対応を労働省としてもやれないのかどうか、このことをぜひ伺いたいと思います。
○村上国務大臣 十分御承知の上で御質問をなさっておられることと思います。身体障害者雇用納付金は、おっしゃるように障害者の雇用に伴う事業主の経済的負担の調整を行うために集め、助成金は、これを原資として障害者の雇用の促進及び継続を図るため支給しているものであります。このような納付金の趣旨から、共同作業所については、原則的に、今おっしゃられましたように、雇用関係が認められない、よって助成金の対象とすることが難しいということになっております。 御質問を受けるということで事務当局とも、私も、全く委員の今のお話のとおりに何とかできないものか、その工夫をしたらどうだということを今申し上げていたところでございまして、就職の困難な重度障害者の雇用促進については、この意見具申にございますように、福祉対策との連携を図っていくことが重要であろうかと、大いにそれはやってまいりたい。そしてまた、おっしゃいますように、そのような観点から障害者の雇用促進に役立つ作業所についてどのような援助ができるのか、十分今後検討課題としていきたい、こう思っております。
○菅野委員 最後に総理にお伺いしたいと思うんですけれども、この意見具申でも、国連の十年の到達を踏まえて、さらにアジア太平洋障害者の十年、この決議に基づいて国内長期行動計画をつくるべきとしています。もちろんこの決議の共同提案国でもあるわけですから、そしてしかも総理は障害者対策推進本部長ということでもございますので、ぜひ実態を踏まえて関係者の要望などもよく聞いていただいて、制度見直しなども含めた新しい行動計画を当然策定されるべきだと思いますけれども、簡単でも結構です、総理の決意を伺っておきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 その点は、ご指摘のように、先般意見書が出ましたので、それを踏まえまして新しい行動計画をつくったらどうだというふうに考えておりまして、そのような方向でやってまいりたいと思っています。
○菅野委員 続いてエイズの問題について質問いたします。もうお願いしております資料を配付していただけたら……。 七月に予定されておりますサミットでもエイズの問題を議題として提案するということで準備が進められているようですけれども、私もこの問題でお伺いしたいと思います。 総理ももう当然御承知と思いますけれども、日本の場合は、このHIV感染者二千五百五十一名のうちの千六百八十五名、実に六六%がこの血液凝固因子製剤を投与された血友病患者の感染者だということでありまして、しかも子供が圧倒的に多いということであるわけです。だから、そういう点ではこの血友病患者のHIV感染、これは全く個人には過失責任はないわけなんですけれども、本当に大変な状況であります。 そこで、私、お伺いしたいのですけれども、この感染につきまして血友病患者の皆さん方が八三年当時から大変不安を持っていらっしゃった。そして九月には厚生省へも陳情していらっしゃる。エイズ感染の危険のあるアメリカからの血液製剤の輸入、これを禁止してほしい、このFDAというアメリカからの警告、八三年三月ですけれども、この勧告前の製剤を回収してほしい、献血に基づく国内血による製剤で供給してほしい、要請しているわけですね。今考えたら本当にこれがやられていたらなあということを痛切に思うわけですけれども、しかし当時厚生省は、心配ない、大丈夫だということで、何ら有効な対策をとろうといたしませんでした。 ところで、八三年三月前後にはCDC、これは米国の国立防疫センターですけれども、あるいはFDAとか公衆衛生局、それぞれアメリカの相当トップレベルの重要な組織などから警告や勧告が無数に出ております。そういうふうな中で、血液製剤とエイズの因果関係、これを懸念するものであったわけですね。 ところが、このときに日本はどうだったかということなんですけれども、八三年三月、この時点でアメリカでは加熱処理、これの認可に踏み切った。そして同じ五月にはフランスでは、フランスの政府はアメリカからの血液の輸入禁止、こういう措置をとっているわけであります。ところが、さっきも言いましたように、血友病の皆さん方がいろいろ陳情したり要請したにもかかわらず、関係ない、関係ないということで、大丈夫だということで何ら日本は対応をとらなかったわけですけれども、日本が実はアメリカから九〇%の大量の血液を輸入していたわけなんですけれども、この日本に対してアメリカから当時何らの警告とか連絡などがなかったのかどうか、そして、厚生省は、この当時これらのいろいろな情報がいっぱい出ているわけですが、つかんでいなかったのかどうか、このことをお尋ねしたいと思います。
○岡光政府委員 エイズという疾病に対する知見というのは非常に長い期間かかって積み上げられてきた経緯がございます。 それで、先生も御指摘の一九八三年、昭和五十八年当時どうであったかということでございますが、一九八三年の五月にウイルスが分離をされまして、そういう原因の生物というのがわかってき始めたわけでございます。 おっしゃいますように、一九八三年、昭和五十八年の三月にアメリカでは確かに加熱処理の製剤が承認をされておりますが、これはその当時は肝炎の対策ということで、それが肝炎対策用の製剤として承認をされたわけでございます。 アメリカでの事実関係を申し上げますと、翌年の一九八四年の二月に、昭和五十九年二月でございますが、そのときに加熱製剤がこれは承認されているわけでございまして、そういう意味ではいろいろな知見が積み重ねられていったという経緯があるわけでございます。 一方、我が国はどうしたかということでございますが、一九八三年、昭和五十八年の六月でございますが、厚生省にエイズ研究班を発足させました。それから、血液製剤協会という血液製剤をつくっている業者の団体がございますが、そこでエイズ対策が提出されました。こういったことを受けまして、一九八三年の七月、昭和五十八年の七月に輸入血液製剤につきまして、エイズ感染のおそれのない供血者から採取した旨の証明書を添付しなさい、そういうことを輸入業者に指示をしたわけでございます。そういう意味では、アメリカ側のいろいろなこういう病気をめぐります情報を我が国なりに把握をいたしまして、そのときそのときの安全対策を講じていったというつもりでございます。
○菅野委員 今のお話では、日本としてもいろいろとそれぞれの情報については知っていたということのようでありますので、向こうから入ってくる血液がハイリスク者でないというふうなことのレッテルを張れとかいうふうなことはやったようでございますが、はっきり言ってそれだけではなかったのかということを私指摘したいわけであります。 そして、今も申し上げましたが、八三年三月にアメリカでは加熱処理が踏み切られて認可されました。おくれること二年四カ月です。日本でその加熱処理が承認されたのが、一括認可されたのが八五年七月と十二月、ここになってようやく承認されたわけであります。しかも、そのときにその承認時期、調整をした。とりわけ、いろいろな製剤の会社があるわけですけれども、ミドリ十字社の加熱技術の開発がおくれたために承認時期の調整をしたというふうなことが言われております。それは当時、血液行政、厚生行政にかかわっていた関係者の方が言っているわけです。もし、そういうことがあったとすれば、これ自体大変なことであります。あってはならないことであります。 そして、私はもう一つお聞きしたいのは、この一括認可をした当時に、一方で直ちに未処理製剤の回収、これを指示したのかどうか。アメリカの血液が危険だという認識を多分、この時点では相当おくれておりますけれども持ったのかなあと思うのですけれども、そのときに緊急命令権とか何らかの監督権限、国として、厚生省として発動されたかどうか、このことをお伺いしたいと思います。
○岡光政府委員 ただいま申し上げましたが、アメリカにおきまして承認をされましたのが一九八四年二月、昭和五十九年二月でございまして、我が国でも早速いわゆる治験を開始したわけでございます。 それで、特に血液が材料になっておるものですから、熱を加えますとたんぱく質が変質をするのではないか、そのようなものを体の中に加えると非常に危ないのではないかというので、この安全性に関する治験データが必要だというふうに関係学者の指摘があったわけでございまして、その点に焦点を合わせて臨床試験を早速開始をしてもらったわけでございます、これが約一年余りかかりまして、一九八五年、昭和六十年の四月から五月にかけまして、その治験を行いました各社から製剤として承認をしてくれという申請が上がってまいりまして、私どもとしましては同年の七月、約三カ月あるいは二カ月で非常に簡単に、期間を短縮をするなり、あるいは治験のやり方も非常に簡単でよろしい、こういう指示をしまして早急にその承認をしたところでございます。 で、先ほど、ある企業に対して特別の配慮をしたのじゃないかというふうな御指摘がありましたが、そのような事実はございません。 それから、このような非加熱の、加熱処理をしていない血液製剤について回収がおくれたのではないかと、こういうふうな御指摘もございましたが、私どもは一方でちゃんとエイズ抗体検査を行った、そういう検査実施済みの証明書を加熱処理をしていない製剤については添付するように、こういう指示をしておりまして、加熱処理をしたものとうまく、要するに血友病の患者の治療に支障を来さないように供給をしていったわけでございまして、七月に承認をされましてからだんだんとその切りかえをしまして、この加熱処理をされていないものにつきましては、おおむね十一月末までには回収は完了したというふうに私ども報告を受けておるところでございます。
○菅野委員 私がなぜそのことをお聞きするかといいますと、フランスで、今も言いましたが、八三年の段階でもう既に、五月の段階ですか、これはアメリカからの輸入を禁止したわけです。しかし、そのときにまだ残っていたわけですね、輸入したものが。それを使ったということで、実はフランスでは大変なことになっているわけです。国立輸血センターのギャレッタ所長が懲役四年の実刑を受けています。厚生省担当局長ほか一名が、濃縮凝固血液製剤の加熱処理を放棄したという責任で有罪判決を受けている。同様に、ファビウス元首相、デュフォワ元社会相、エルベ元保健担当相らがそれぞれ改めて殺人罪で議会から告発されようとしているわけです。 それと比べたら、日本の場合はどうだろうかということがあるわけです。まさに行政や製薬会社の過失責任が国際的にも明確になりつつある中で、日本がその当時どういう対応をとったのかということを私はぜひ問題にしたいというふうに思うわけなんです。薬事法、これについても実際、相当これ抵触するんではないか。厚生省として、厚生大臣としての管理監督、指導の権限、これをないがしろにしたんではないかということを私は指摘したいわけであります。 例えば、製薬会社に対する管理監督の責任の問題で具体的にお伺いしたいと思いますけれども、それは今もちょっとお話が出ましたミドリ十字社の件であります。血漿分画製剤のトップメーカーでシェアが四〇%というところですけれども、このミドリ十字社で二つの文書が出ているんですね。 一つは、一九八三年八月です。各支店長ら七十名にあてて文書を出している。その文書の中には、日本は血漿分画製剤及び原料血漿の多くを、八割、九割を米国からの輸入に依存しているけれども、しかしそれによるエイズの日本上陸、発症の可能性は皆無に近い、ほとんど考えられないということで、販売を促進をさしている文書であります。 ところが逆に、さかのぼる五月三十日付の文書では、エイズの感染経路は男女間のセクシュアルコンタクトやエイズ患者からの血液及び製剤によるものである。このことを明確にここには書いております。そして、「米国政府の対処」というところには、「注射しない製品の製造のみに使用すること」、こういうふうに書いておりまして、当時の血液製剤の注入がエイズ感染という大変な危険があるということを書いているわけです。ところが、こちらの方の文書は内部資料としてたった七部だけしか配付していない。こういう状況があるわけです。 明らかに全く違うこの二つ例文書、これは一体どういう企業姿勢なんだということで、この点で我が党の沓脱前参議院議員がただしておりますけれども、昨年も厚生委員会でいろいろやりとりしておりますけれども、厚生省担当の答弁は非常に無責任であります。そういう状況があるわけです。 私どもは最近、この八二年当時ミドリ十字社の米国子会社であるアルファー社の社長をしていたトーマス・ドリーズ氏、この方の話を聞くことができました。彼の話では、CDCからエイズの危険を初めて聞いたのは八二年の九月だ。すぐさまスクリーニング強化措置をとった。同年十一月には米国血液銀行協会の関係各社会議があり、招集された。そのときCDCからエイズの危険が警告された。それらは、当時、新聞メディア、特に医療保健関係メディアではトップ見出しがついた衝撃的ニュースだったので、関係者は日本政府を含めてすべてが危険を知り得たはずだ。私も、テレックスや手紙、いろいろな方法で本社のミドリ十字に報告した。我々のスクリーニング強化措置についてはコストがかかるなどいろいろ批判された。ミドリ十字を含め、外国ではこのころエイズがアメリカの問題だとして軽視していたのは奇妙なことだったというふうに語っているわけであります。 私は、きょう一部だけ皆さん方のお手元に資料を配付いたしましたけれども、これだけあります。八二年から八三年にかけて、エイズの危険を、特に血液との関連とか、それをいろいろ報道した、警告をした文書とか、あるいは重要な会議、血友病患者における重要な会議だからということで会議招集した文書とか、あるいはいろいろなマスコミ報道、こういうものも全部これだけあるわけです、アメリカでは。だから、ここでも言われておりますように、日本政府を含めて全部がこの危険を知り得たはずだというふうにこの方も言っていらっしゃるわけです。ですから、この人の話では、ミドリ十字はこの米国血液製剤の危険性をリアルタイムで承知していたはずだということなんです。 だから、私はその点で、もし知っていながら、ミドリ十字だけではありません、ほかのバイエルとかバクスターとか化血研とか日本臓器、全部含めてですけれども、薬事法違反の可能性があるのではないかということと、知っていたとしたら、例えば日本の国、政府、厚生省の対応はどうだったのかということが非常に問題でありますけれども、この時点で、このころ、八二年、八三年、厚生省の認識はどうだったのか、そして、こういう状況が現実にあるわけですけれども、いろいろな薬品会社、この実態を調査をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○岡光政府委員 まず事実関係について御説明いたしますが、フランスの判決の関係でございますが、これは輸入を禁止したという事実、それとは全然かかわっておりません。それから、この事件は一九八五年中ごろ以降の問題でございまして、その時点では我が国はもう既にこの加熱製剤の承認という段階に至っていたわけでございまして、そういう意味ではフランスの状況とは基本的に違うというふうに認識をしております。 もちろん企業の社会的責任というのは重大でございますので、私どもはそれをちゃんと踏んまえて企業活動をしてもらうように常に要請をしているところでございますし、また、企業もその自覚があるというふうに認識をしております。 この点につきましては、この血液製剤も同じでございまして、繰り返しになりますが、その時点その時点で我々が得られた最高の知識に基づいて安全性を追求してきた、そういうふうに私どもは考えております。
○菅野委員 非常にいろいろと問題がある中ですから、私は再度調査をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 それから、私ども、同じようにアメリカのヘモフィリア団体のピア協会のローゼンバーグ会長さんのお話を伺ったのですけれども、このアメリカの加熱処理認可からおくれる二年四カ月の問題、これが非常に重要なわけですけれども、この問何が起こったかということで、実は危険な未処理の高度濃縮血液が大量に日本へ輸入されたということが言われております。このローゼンバーグ会長のお話では、危険を知らされ、もはやアメリカでは売れなくなった製品を日本市場にダンピングした可能性がある、こういうことを指摘しているわけなんですね。この人たちは、このピア協会として調査を要求している、アメリカの議会に調査を要求しているということであります。 そして、アメリカの裁判の中では、このカッター社ですけれども、バイエル薬品のカッター社ですけれども……
○粕谷委員長 菅野委員に申し上げます。 既に時刻は経過しております。委員長はできるだけ質問者の立場に立ってと思っておりますが、限界でありますので、はしょって御質問を願います。
○菅野委員 わかりました。 そういうことで、このカッター社、これがダンピングをしたというふうな報道がアメリカでされているわけです。ですから、この辺につきましてもぜひ調査をしていただきたいというふうに思います。 それで、最後ですけれども、このHIV感染者が今本当に祈るような思いで毎日を過ごしているのは、AZT、ddIという発症抑制剤の問題です。これを今健康保険を適用されているということですので、なかなかこれ今買えないという状況があるわけです。健康保険を使ったらみずから血友病のそういう患者であるということがわかるわけですから、なかなか使えないということで今嘆いております。そういう段階で私はぜひお願いしたいのは、この発症抑制剤について何らかの方法を検討していただいて、全額これを国が措置するという形で現物支給、これをぜひお願いをしたいということと、それから今この人たちが国と製薬会社を相手取って裁判をやっておりますが、ぜひこの裁判をやめていただくということをお願いいたします。
○粕谷委員長 菅野委員に申し上げます。 発言は中止をいたします。 これにて山原君、菅野君の質疑は終了いたしました。(「横暴だよ」と呼ぶ者あり)横暴ではありません。ほかの方は全部時間を厳守していただいております。既に五分以上経過いたしております。 次に、塚本三郎君。
○塚本委員 八年ぶりでこの席に立つことになりました。しかし、与えられた時間が少のうございますので、私は景気回復の一点に絞って私見を述べながら質問をいたします。 今日の不況は極めて深刻であります。株式の時価総額の落差は四百二十兆円、土地などの再生産不可能の落差は三百七十九兆円で、総計約八百兆円の喪失であります。第二次世界大戦の折、失った資産は今日の価格に換算すると約三十三兆円であり、当時と比較して約二十六倍の大きさになります。これをGNPで比較すると、さきの大戦が三六・八%、今回は何と一七三%で、これを放置すれば大恐慌を招来すると心配する人もあります。 政府の今年度予算は、景気回復のための苦労の跡を認めます。また、公定歩合を二・五%に下げたことも評価いたしましょう。しかし、それにしても、これだけでは到底今日の危機的不況克服には及びもつきません。政府の施策はいつも余りにも遅過ぎる、そして余りにも小さ過ぎる。 日曜のテレビで自民党の責任者の方は、予算を通してください、その後で思い切った施策をいたしますと言っておられました。政府は、予算編成時と比べて今日では不況の深刻さが異常に大きいことを知っておられるはずであります。今の予算では不十分だと内心では思っておられるはずであります。 一昨日、報道によりますると、渡辺副総理も、サミット前にはさらに追加をしたいと漏らしておられました。それならば野党の意見も入れて一緒になって景気回復に取り組むべきだと考えまするが、どうでしょうか。これはおれたちだけが先にやって、後から、いかなければ追加するじゃなくして、見通しを立てるとこれでは小さ過ぎるということを野党の私たちはいろいろ提言しておるんです。ならば一緒になって修正をして、後からなんて遅過ぎるから、今のうちに一緒になって修正をして景気回復に臨もうではございませんか。総理、いかがでしょう。
○林(義)国務大臣 塚本議員の御質問にお答えいたします。 今数字を挙げていろいろなお話がございました。私も、今回のこの不況は並み大抵のものではない、そういうふうな認識を持っていることは事実でありますし、この委員会におきましても複雑骨折のような事態だろうというようなお話も申し上げたことがあります。 なかなか大変な事態でありますが、昨年来、総合経済対策を実施しまして、十兆七千億に関するところの対策を組み、また、平成五年度に関するところの予算におきましても不況に配慮した大変な予算を組んだところであります。税収はなかなか上がらない、そういった中におきまして、建設国債を中心としたところの公共事業をやっていくということであるとか、財政投融資の話であるとか、あるいは地方単独債の話であるとか、いろいろな手段を講じまして経済の回復を目指してやったところであります。そうした形で予算を今お願いをしておるところでございまして、私どもは、この予算を成立させていただけたならば、立派な安定的な成長軌道に返るものだろうと考えております。 もちろん予算だけじゃありません。先ほどお話がありましたように、いろいろな問題があります。金融界におきましてもいろいろな問題がありますし、私は、そういったものにつきましてもやっていかなければならない。銀行の間におけるところの買い取り会社をつくっていく話であるとか、また、言われているところの銀行の不良債権につきましてその処理をしていくことであるとか、さらには、先般やりましたような公定歩合のような問題、こうした諸問題を総合的にやっていかなければならない。そういった形によりまして、新しい方策が出てくるものだろう保と思います。 そうした意味で、いろいろなことを言われておりますけれども、私は、この委員会でいろいろと野党の方々からもお話がありました。そのときそのときで丁寧にお答えはしておるつもりでありますが、いろいろな点につきまして、私どもの方は、現在のところではこの予算を上げていただくというのが一番大切なことじゃないか、そういうふうに考えていることを改めて申し上げておきます。
○塚本委員 大蔵大臣のおっしゃっておることを一つも否定していないんです。結構なんです。もっと頑張ってください。しかし、おれたちの意見もなぜ聞かないんだと我々はみんな思っているんです。野党には言いたいこと言わしておけばいい、結局は自民党と政府だけが国家を動かしておるんだ、そして足らなかったならば後で追加すればいい、これは野党に対してばかにした話じゃありませんか。 我々は邪魔しているんじゃないんですよ。これをしたらどうだ、これをしたらどうだとみんな建設的な意見を、私はじっとこの国会見ておりまして、本当に野党の皆様方だって、補正予算だってそうでしょう。野党のほとんどの政党が賛成をしてあげて、そして景気回復のためにとやっているときに、しかも足りないことがわかっておるから、テレビでだって、通してください、その後から追加でやります。追加でなさるぐらいならば、ツーレートですよ、余りにも遅過ぎる。だから一緒になってやろうと言っているじゃありませんか。邪魔しているんじゃないんですよ。それを、おれたちだけが天下を握っておるんだ、こんな形は、野党の不名誉であるとともに、あなたたち無責任じゃありませんか。 これで総理、三・三%の成長が達成できると思いますか。いかがですか。
○宮澤内閣総理大臣 塚本委員のおっしゃっていらっしゃることは私どもよくわかっております。そこで、問題は、冒頭に株と土地のことについてお話しになられましたのは、今度の経済がただ在庫を中心とする循環的な問題ではないという御指摘であったと思います。 それについては私ども、今も大蔵大臣が言われましたが、例えば不良債権の買い取り機関であるとか、あるいは証券市場の活性化であるとか、いずれも日本経済の循環、血液でいえば循環というようなことに関する部分の手当てをいたしておるわけですが、これには恐らく残念ながらかなりの時間がかかるだろう。しかし、これをやらないとどうしても今度の不況の一つの大きな原因が除去できないというふうに考えておるわけです。 他方で一般会計そのものは、そういうことを背景にいたしまして、やはり公共事業を中心にしてこの経済の不況というものを何とかその面から脱出を図りたいと考えておるわけで、昨年の十兆七千億円を初めとする、このたびの平成五年度の予算もそうでございますが、これはやはりそういう面からの経済の回復を図ろうとしているわけであって、不足と言われますけれども、公共投資でいえば恐らく消化には私はかなりの、実はもう限度いっぱいのところに来ているのではないかという感じがいたします、昨年から持ち越しておるものがございますから。したがいまして、その面の不足というものは今私は当面ないのではないか。住宅建設もかなり順調でございますから、当面その面の不足はないのではないか。 ということになりますと、恐らく塚本委員の御指摘は、そうではなくて、消費者の消費意識の問題、限界消費性向の問題だというふうに御指摘になっていられるのではないかと思います。その点は私どもは、何としても雇用の不安というものを防ぐためにはやはり最初に大事なのは公共投資だろう、こう思っておりますものですから、そこから先へまず手を打っておる、こういうのが今の現状でして、いつも申しますように、まずこの予算を成立させていただくことによってそれだけの手はずを整えたい。決して自民党あるいは政府だけでこの難局を打開できると思いませんし、また、従来この委員会におきまして幾多の建設的な御意見があって、私はそれは謙虚に今日まで承っておるつもりでございます。
○塚本委員 公共投資、私は賛成しておるのです。そして、この予算も立派な予算です。赤字国債は出さないにこしたことはない、当然のことなんです。 しかし、経団連の諸君は赤字国債を出してでも所得の減税によって景気回復を図れと叫んでおられることも事実なんです。私は、それならば逆に経団連の諸君に、政府の立場から、それじゃ景気回復のために政府も頑張るけれども、労働組合が要求しておるところのベースアップも素直にお受けになったらいかがでしょうか、そして夏のボーナスを繰り上げで支給なさって、そのかわり利子補給だけは政府がいたしましょうと、腹をくくって申し上げたらどうでしょうか、総理。
○宮澤内閣総理大臣 一種の比喩的な意味で言われたのだと思います。 やはりそれは賃金決定というのは、申すまでもない、これはもうよく御存じのことですが、労使の話し合いでしてほしい。ただその際、労使とも国民経済的な観点というのは持っていただきたいと思っています。確かにそうですが、しかし基本的には、これは政府がかれこれ申すことではないし、まあ正直を申しまして、今日の日本がありますのは、実際労働側も非常に国全体のことについて考えてくれてまいりましたし、資本側もある意味で、アメリカのようなレイオフというようなことは考えずに、いろいろな意味で労使協調というものを考えてきている。そのことは私は大事なことだと思っておりますので、それにつきましては私はあれこれ余り注文をいたしたくないという気持ちがいたします。
○塚本委員 それじゃ、総理、何にもできないということで、予算を通した後、またツーレートで、遅駆けになったから、またツーリトルで、また少しずつやって、そして国民は、だんだんと社会は荒廃させてしまってというような形になることを私は心配しておるのですよ。 赤字国債は出さないにこしたことはないですよ。しかしながら、経済界がそこまでおっしゃるなら、総理の立場、大蔵大臣の立場、労働大臣の立場から、君たちもベースアップを受けたらどうなんだとおっしゃったらどうでしょうか。いや、政府もまた赤字国債出しましょう、社会が荒廃し、そしてまた会社が倒産してしまってからではいかんともすることができぬ、だから出しましょう、しかし三年後には特例法人税、湾岸貢献税をもう一遍いただきますよ、そう言って、景気回復をしたからその分だけ戻してください、腹をくくっておやりになったらどうでしょう、総理。
○宮澤内閣総理大臣 ただいまのお話は、仮に減税なら減税、あるいは何かの特別な施策をするときに財源がないだろう、その財源としては、恐らく今言外に言われましたのは、短期の特例債でも出して、そしてその償還というものと見合いで、これは湾岸のときにいたしましたのは、御記憶のように、特例債の発行とそれから増税とを一本の法律で御審議を願いましたが、そういったようなことでもやれ、あるいはそういう御示唆かと思いますが、今こういう経済状況のときに、近い将来における増税というものを具体的に提示することが果たして賢明なのかどうか、それがどういう影響を与えるかというようなこともやはり考えておかなければならないと思いますので、しかし、これはいろいろなことをお考えになられましての御示唆であると思いますから、しかと受けとめさせていただきますけれども、ただいまのところ、そういう条件のもとに一つの特例債を出すということにつきましては、やはりもう少し事態の推移を見ていくことが大事ではないか、まずこの予算の成立が大事ではないかというふうに私はとりあえず考えております。
○塚本委員 政府も犠牲を払うべきだ。企業も犠牲を払うべきだ。私は初めてここで口をききますけれども、私たちが期待しておりました、来年の一月から三番目の秘書を実はつけていただけるような雲行きになってきております。世間の皆様方からは随分我ら政治家に対して非難がこうこうと出ておることも承知しております。私は個人的に十五名の秘書を抱えておりますが、公費は二人しかいただいておりません。一名ふやしていただくことは涙が出るほどうれしい。しかしながら、国が赤字国債を出しなさい、企業もまたボーナスをふやしなさい、あるいはベースアップで犠牲を払いなさいと言うならば、我ら国会もまた一名増員するまでの間に徹底した行政改革を行おうではないか。十七億円の金ぐらいは我々が節約をして、そして政治改革と行政改革を一緒にやろうじゃないか。そして、もし来年の一月までにできなかったならば、できるまで我々は一名の増員を返上しようではないか。だから、企業も腹を切りなさい、あるいは政府もまた犠牲を伴って、みんなが一緒になって景気回復をしないと、企業が倒産をし社会が荒廃してからでは政治の責任は果たせない。腹をくくってやろうじゃありませんか。総理、いかがでしょう。
○宮澤内閣総理大臣 おっしゃることがわからないわけではありませんけれども、私は、政府と企業というようなものを、この際お互いに犠牲をというような、そういう対立的な考え方で私自身は余りとらえたくないという思いがいたしております。 政府が仮に特例債を出しましても、それは政府の負担というよりは国民の負担でございますから、そういう意味で、政府が何も得をして国民が損をするという性格のものではないし、企業にいたしましても、少し無理をして給与をこの際と言いましても、それはやはり企業には企業の論理もありましょうし、経営の方針もありましょうし、まお、国のために、とおっしゃいませんでしたが、ちょっと賃金をふやしてやったらというようなことは、私はやはりできるならば言わずに済ましたいというふうに思います。
○塚本委員 おっしゃるとおりなんですよ、それは。そんなことはわかっておって私が申し上げるのは、経済団体の諸君に言わせると、もはや今は不況で、百万人の人を実は、アメリカと違って終身雇用だから仕事がないのに抱えておるのですよ。年五百万として、百万は五兆円をおれたちは既に犠牲を払っているんだ、だから政府も五兆円、とにかく腹をくくって減税で景気回復をやってくれ、ここまで彼らは叫んでおるのです。もちろん政府と企業と対立するわけじゃない。でも、努力をすることによって金は生み出せる。努力をすることによって金は幾らでも節約できる。 私は、ここで十年にわたって国鉄の合理化を叫び続けました。新幹線に乗っておっても国鉄殺しと何遍言われたかわからぬ。年間三兆円の赤字をつくってきたけれども、JRになってから一年間で四千億の黒字を出してくれたじゃありませんか。政治の努力というものは金をつくることができるのです。だからこそ私が叫びたいのは、おれたちも、一人のいわゆる秘書は欲しい、ですけれども腹をくくろうじゃありませんか。そして、金を生み出そうじゃありませんか。企業、おまえたちもこの国が崩壊したら大変ですよ。あの太平洋戦争に比べて三十六倍の損失をこの二年間で失ってしまったのですよ。深刻な事態だと考えて、遅過ぎる、小さ過ぎる、それをきっちりと総理が自覚をして取り組むべきだと申し上げておるのです。大蔵大臣、いかがですか。
○林(義)国務大臣 塚本議員の質問でございますが、私も考え方として非常によくわかるような気持ちもいたします。しかしながら、それぞれの立場においてやはり考えていかなければならない。企業は企業の立場の問題もありますし、また国、財政を預かっている者というものは何かといえば、国民の税金をいただいてそれでやっている話でございますから、その立場における議論もございます。 先ほど来お話がありましたように、短期の国債を出して云々、こういうような話でありますが、そのときに一体どういうふうな形でやるのか、それがやはり将来にわたるようなことになるのではないかな、こういうふうな心配もあるわけでございます。たびたびこの席におきまして私は申し上げておりますけれども、赤字国債を出しましたときには、最初には何とか解決できるというものが、結局それをなくすのに十五年もかかっているという私たちは経験を持っているわけであります。今の時代の大人がお互いが努力をして頑張っていかなければならない、そして子供や孫の時代に負担を残すようなことをしてはならないんだ、こういうふうな私は気持ちを持って、この厳しい中での財政運営を考えていかなければならないように思っているところであります。 そうした意味で、私はいろいろな点、先ほど議員秘書の問題もお話ありました、先生のお気持ちもよくわかりますけれども、私は、それぞれの立場においてもう少し議論をしていかなければならない問題があるんだろう、こういうふうに思っております。
○塚本委員 私は、今ここで御答弁なんかいただけるような立場に総理も大臣もないということも承知しておりますのですけれども、議論をさせていただきたいという林さんの言葉、ぜひ忘れずに。本当にまじめになって、我々も景気回復のために、野党はけちつけているんじゃないんです、今は。何としてでも、与党も野党も政府も一丸となってこの国難のような不況を乗り切らなければいけない、こういう立場で申し上げておると素直に受けとめていただきたいと思います。 そこで、具体的な問題とおっしゃったので、私は、政策減税について提案を申し上げてみたいと思います。 最も大きないわゆる経済的波及効果は、やはり住宅と教育だというふうに言われております。そこで、私は申し上げたいのは、一番住宅というのはお金がかかる。お金がかかるということは、経済的に大きな力を持っておるということだと思います。したがって、住宅ローンを抱えておるところの庶民大衆の立場からは、おかげで、そのローンの利息に対しては二十五万円まではいわゆる税額控除、これはありがたい制度だと思います。 しかし、この際、これを倍にして五十万円にすれば、四万円ずつの、実は月々の利息に対しては、これはもう利子補給していただいたと同じ結果になる。試算してみまするとこれで二千億円だそうです。二十五万円の税額控除を五十万円まで伸ばしていただくと二千億円。これでGNPは○・一%押し上げることができる。これは最もいわゆる政策効果のある減税だと思いますので、この際今までのルールを、いわゆる時限でいいです、二年なら二年、三年でいいから、今こういうふうにするから、みんな住宅に対して力を入れて、そしてゆとりのある生活に向かおうじゃないか、幸いに今相当に安くなってきたからという形で、利子を今までのいわゆる二十五万を五十万に上げたらどうか。 第二点は、いわゆる市街化区域の中におけるところの農地を宅地化するということについての希望地主さんは七〇%から八〇%に及んでおるということだと思います。しかし、ほとんど売る人がない。なぜならば、売ったときに三九%の税を政府が取り上げる。私も、選挙が近いといって恐れおののいて、女房の持っている土地を売らされました。五千万円で手に入ったのは、三十年前に買った土地は二千四百万円しか手に残りませんよ。半分になるんですよ、三九%税を取りますと、手続等で。これじゃ、先祖代々からの財産を半減させるなんて、農家の皆様方はおやりになるはずがない。だから、幾らこんな法律つくってみたって、税でもって扉をしているんです。この際、せっかくですから、国税一〇%あるいは地方税四、五%という、今までの長期保有の特別持っておった一四%ぐらいに下げたら、だあっと土地は出てくる。私は、そうしていわゆる広い土地でもって、今までよりも広い住宅をつくることができるのではないか。 もう一つ、一億円の買いかえの枠を決めたけれども買いかえをお認めいただきました。ところが、ここにはトリックがあるんですね。三千万円控除のときには、その上に一四%といういわゆる税しかつけていなかったんです。今度は、買いかえて残ったいわゆる金に対して三九%という税をかけてきているんです。これじゃ前の方がよかったじゃないか。それだから、選択税制になっておりますから、ほとんどこれは利用する人がない。もっとどうっと一億五千万円ぐらい買えば別ですよ。 しかし、こんなことはやる必要がないとおっしゃる。それはそのとおりだ。それならば、一億ぎりぎりで売って、一億ぎりぎりで買う人にとったはいいかもしれないけれども、せっかく買いかえるんだったら、一千万円ぐらいは残しておかなければ、引っ越し料から、家具からみんな新しくせざるを得ないでしょう。八千万円で売って七千万円で買ってみなさい。前は一四%ですけれども、今度は三九%で、一千万円残ったら三百九十万円税金を取るのですよ。これでは、さきの一四%の方が得だということになるじゃありませんか。 だから、せっかく買いかえの特例一億円まで認めたならば、買いかえた残りの残った金で、新しい家具を買うとか寝具を買うとか、いろいろなことができるようにするためには、その残ったいわゆる金に対しては、税を三九%をやめて、前の居住用の資産のときの売買価格の一四%適用に戻すことを考えたらどうか。まだ正式にきちっと決まっているわけではないと思うから、そういうふうに変えるべきだと提案申し上げます。 第一は、申し上げたように二十五万を五十万にする。第二は、いわゆる農家の皆様方の土地を開放してくださるときは三九%取りなさるな、一四、五%にしなさい。それから、今度の一億円の買いかえ特例については、もっと生きたいわゆるやり方をするためには、その買いかえた後の残った金に対しては三九ではなくて一四%、以前と同じ長期保有の税制にしなさい。以上の三点、いかがでしょう。
○林(義)国務大臣 住宅税制につきましての御提言ございましたが、この問題につきましては、住宅建設促進というのは、公共事業の推進と相並びまして、私たちが非常に考えているところであります。委員御指摘の所得税減税のほかにもいろいろな税制の問題でやってきておるところでありまして、勤労者の財産形成住宅貯蓄非課税制度であるとか、新築貸し家住宅の割り増し償却制度であるとか、住宅取得資金の贈与の特例であるとか、いろいろなことをやってきておるところであります。 それで、今のお話の所得税の税額控除二十五万円を五十万円に上げたらどうか、こういうふうな話でございますが、これは税というのはやはりある程度までの公平という考え方をとっていかなければならない、こう思うのです。長い間の制度でございますから、今どうだという話ではない。私は、そういった点から考えますと、税につきまして、二十五万円というのはどのくらいになるかというと、大体六百三十万円ぐらいのサラリーマンの収入の方が納めている年間の税金と同じぐらいのものをやるということでございまして、それじゃそこで一般の人と、全然自分たちの納める税金と同じものを全部まけられるというのは、果たしてバランスの問題としてどうかという議論がある、こう思います。そうした点で、今のところ私たちの方は、そこまでやるのは一体どんなものかなというのが最初の問題でございます。 次に、土地の問題。これも塚本委員御指摘のような問題が私はあると思いますけれども、土地の譲渡益課税につきましては、今まで土地対策という形で、私も党の税制調査会におりましていろいろとやってまいりましたけれども、長い間においていろいろな制度の変革がありました。上げたり下げたり、土地対策をやるからどうだというような形で変革がありました。そうした制度をそのときそのときにいじっていくと、どうしても土地に対する思惑というのが出てくるのはこれはやむを得ないことだろう、こう思うのです。そうしたことがありまして、また、それをいつやめるかということになると、その辺の問題がまた出てくるのではないか、こういうふうに思っておりますし、また、そういった形で二年とかなんとかというと、かえって土地の売り惜しみが出てくるのじゃないかなというような問題もあるところでございます。 そうした意味で、一般的に軽課をするということにつきましては、さきの税制調査会におきましても、いろいろな点で考えていかなければならないというお話がございましたし、特に税負担の公平性という観点からすると、この辺については問題がある。特に、勤労性所得についてのバランスをどう考えていくかというのが、私は問題だろうと思っておるところでございます。 それから、居住用財産の買いかえの話でございます。 この問題も、実は、随分前には制度としては非常にルーズな形になっておったというか、非常に広い居住用財産の買いかえの特例というのがございました。しかしながら、このバブルの段階におきましてそこまでやると、これがバブルの原因になって、土地高騰の原因になっているのじゃないかというような形で、いわばそこを少し制限をしたところでありまして、その制限をいたしましたときに、三千万円あるいは六千万円というような軽減税率を入れたわけであります。今回入れましたのは、今やろうとお願いをしておりますのは、一億円未満のところの譲渡であるということと、そのほかいろいろな制約、土地対策基本法に基づくところのチェックを受けていないようなところであるとかいうようなこと等々の議論をいたしまして、その上であの制度をつくり上げてきたところでございます。 詳しくは、何でございましたら政府委員から話をさせますが、今それぞれやはり問題があるということを私は御指摘申し上げておきたいと思います。
○塚本委員 大臣よりは、私もそういう点では苦労をして、立場はわかる。しかし、やがては予算が済んでからおめおめとおやりになることはみっともないよ。やらざるを得なくなると僕は見通しを立てておるのです。だから早くおやりなさい。余りにも小さく、余りにも遅いということが日本政府の最大の欠点。御立派なお方で、見通しが立たないはずはない。ましてや、すばらしい官僚がずらっとそろっておいでになる。だけれども、決断力が鈍いことがみんな手おくれになっておる。だから私は、今ここで予告申し上げておるのは、後から済みませんでしたとおっしゃらぬように、今逃げ道だけつくっておいて、直ちにやるという形にはならぬにしても、道を開いておきなさいということが申し上げたかったわけです。 ですからここは、もうバランスの点もわかります、いろいろな点があることも、我々だって国会に三十年おりましたからそれぐらいのことは承知いたしております。しかし、今は非常の事態であり、そしてこの景気回復のためには、すべての学者、評論家がおっしゃるには、やはり土地、住宅の問題を、日本でおくれているのはこれだけですから、また一番大きな経済効果なのだから、やらざるを得ないことは自民党首脳部の諸君だってわかっておいでになるはずだ。だから私はそう申し上げるのです。 総理、いかがでしょう。
○宮澤内閣総理大臣 一つ一つ、三つの税制の問題についてお話がありまして、それは、それ自身お答えを申し上げれば今大蔵大臣の申し上げたようなことになりますけれども、恐らくおっしゃいました趣旨は、こういうときだから、それは税制には税制の理屈もあるだろうしいろいろだろうけれども、やはり今、日本で大事なのは住宅であるしするんだから、そこは今までの税制のバランス論ばかりに拘泥していることはどうなんだろうかということを多分おっしゃっておられるのだと思います。ですから、それに今すぐお答えを申し上げるというよりは、そういう示唆をしておられるということを、私は大事に受けとめさせていただきます。 問題は、ツーリトルの方はあり得るかもしれませんが、そのツーレートという方が、やはり日本経済がこれだけの一種の不況に入っているということはそれなりに理由があってのことでございますから、あるものをいっときに集中したらそれだけ早く事態が解決するかといいますと、やはりそれには一つ一つ手順があるし、順序もあるのであろう。ある程度の時間がかかるということは、残念なことでありますけれども、考えておかなければならないのではないか。そういう意味では、何と申しますか、私どもも一つ一つ順序というものは考えながらやっておるつもりでございますが、今言われましたようなことも、しかし、これから経済が展開をしていくに従いまして十分考えておけよという御示唆として大事に承っておきます。
○塚本委員 早く結論を出していただくことを御期待申し上げます。 景気回復のまた一つの大きな柱は、株価がこういう状態になっておって、銀行の資産がどすんと減ってしまって、貸し出しに対して、土地に対する塩漬けとともに株価の問題が大変な事態になっておる。もう国民は証券業界から手を引いてしまっておる。銀行さえも危ないといううわさがあるから、国民の持っている金はとんと郵便局に入ってしまって、郵便貯金は予定よりも二十二兆もふえてしまっておる。これが異常な日本のいわゆる経済の実態であることは御承知のとおりです。ならば、もう一遍その金をある程度金融機関と銀行と証券業界に戻して、正しい資本主義体制に戻すべきだ。 その証券業界を震え上がらせておるのは、一番問題はNTTの株です。おわかりでしょう。最初は百十九万円、二回目が二百五十五万円ですか、三回目が百九十何万円、今五十九万円に下がってしまっておる。私は、もちろん株の損失は買った人に一〇〇%責任がある、それは当然です。ですけれども、バブルにあぶって、大蔵省が犯人だとは言わないけれども、六十万円が適当だと思ったにかかわらず百十九万円までしてしまった。庶民はそれに飛びついて三百万円まで上げてしまった。 だから、今この状態で考えるとき、既に三分の一を売っただけで十兆円という、全NTTの資産は政府が回収してしまったはずなんです。ならば、三分の一は政府が持っておっても、これから売り出そうとする三分の一に対して、信用回復のために、額面で一株ずつその旧株主に売り渡すか、あるいは、どれだけかは今申し上げませんけれども、いわゆる無償でもって渡してあげて、そして少なくとも、政府が三倍につり上げたんだから、そうして今や三分の一に、いわゆる国民がそして怒っているんでしょう。だからこれは、現株主に対して、額面か、あるいは一株に対して一つか、二株に対して一つか、それは我々はそこまで言及するつもりはありませんが、何らかの形で、いわゆるNTTの株、政府がやったことは必ず責任をとってくださる、この慣例をおつくりになったらどうでしょうか。損じませんよ。この次には東日本の、JRの株を売るのでしょう。そのときに、今ここで政府が損をしておいて証券業界に対する信頼を回復させたならば、私は、その次に売るときに何倍かの金になって戻ってくると思う。だから、この際は腹をくくって、いわゆる金融界を助けるためにもこのことをお考えになったらいかがでしょうか。
○林(義)国務大臣 いろいろとお話がございますが、NTTの株の無償をやれ、こういうふうなお話だろうと、こう思います。 金融界、証券界、それぞれ大変なことはもう御指摘のとおりでありますから、私もあえてくどくど申しませんが、NTTの株をやはり無償でやるということにつきましては、財政法の九条に規定がございまして、政府が勝手にそういうことをやってはならないという話になっております。また、NTTの株式の売却収入は御承知のとおり国債の償還に充てられることになっていますから、その分だけ国債の償還分がなくなるというようなこともございますので、またその辺をやはりどうするかということになれば、国民の資産、財産というものがなくなるのだ、こういうことだろうと、こう思っています。 だから、NTTの株をどうするかというのは、私は大問題だ。やはり最初に政府が出しました値段、それから非常に上がった、それからまた非常に落ちてきてしまった、こういうことでありますから、そこは、上がった、下がった、これはしょうがないといえばしょうがない話かもしれません。しれませんが、やはり出したところが何らかのギルティーというか考え方を持っていなければいかぬ話なのかもしれないと思っています。 せっかくの塚本委員の御指摘でございますから、私も、今申し上げましたようなことでありますけれども、いろいろな問題があるということだけ御指摘をして、御意見は御意見として受けとめさせていただきたいと思います。
○塚本委員 恐らくこの株が、政府でなくてNTTが持っておったらやるだろうと思うのです、NTTが持っておったら。ところが、NTTは持っていないのですよ。 だから、そうかといって私は、分割を避けるために競争相手をつくりなさいと、今は亡き田中六助幹事長とやらせていただきました。そして、競争相手である、一番もうかるところの、第二電電とテレコムと高速通信と、競争相手をつくることによって分割を避けさせたことを、真藤さんとの話でここでやったことを思い出しております。それがために、もうかるところの六割は全部この三社にとられてしまったのです。もうNTTでは、それをいわゆる増資をしようとしても、いや、配当をふやそうとしても、手がないのです。本当に自分たちが持っておったらやりたい、それが実はNTTの幹部の腹の底であることを私は見ております。 それならば、全資産の三分の一売っただけで、バブルに乗って三倍に売りつけたのだから、この際、済みませんと言えとは申し上げませんけれども、ただで上げることがいけなければ、額面でその人たちに分けてあげるということぐらい考えたらいかがでしょう。もう一遍御答弁を。
○林(義)国務大臣 先ほど申しましたような財政法上の制約もございますし、この財産は国債を償還するということになっておるわけでございますから、なかなかそういったところまでやるということになればいろいろな問題も出てくる、私はそういうふうにお答え申し上げたところでございます。
○塚本委員 問題があるからといって、景気回復に手をこまぬいておってはいけません。それもひとつよく考えて、私は何としてでも、いわゆるこの金融界、証券業界、不動産業界、これがバブル崩壊と、いわゆる不況の一番大きな雪崩なんですよ。それを十分に自覚してやっていただかぬと、いわゆる社会が荒廃し、そして企業だって百万人の失業者を実は抱えておると、経団連がおっしゃるとおりなんですね。それを我々が手をこまぬいておってはいけないと申し上げるんです。 最後に、私は、不動産の問題を申し上げてみたい。 投資された不動産がバブルの崩壊によって窮地に立っております。自分の投資に対する苦境を政府に転嫁すべきではない。だが、政府の責任も決して小さくはないと私は申し上げたいんです。 今回の不動産業界の崩壊の歴史を顧みると、総理、第一には、竹下総理のふるさと創生による一億円ずつの、ばらまきとは言いませんけれども、実は支給。第二には、一極集中を排除しなさい。第三には、これからゆとりなんだ、余暇利用だ、しかし行くところがないから余暇利用のための設備をつくりなさいと不動産業界に随分叱咤勉励をなさった。最後には、いわゆる前川レポートでもって、ドルの集中を排除するために還流をさせなさい、海外に投資をやりなさい。そして、内需の拡大をレーガンから言われでやります、その裏打ちのために実はやってきたじゃありませんか。最後のそのきわめつきは、リゾート法によるところの地方の開発であります。国有地、公有地を出すから行って施設をつくりなさい。みんな政府の指導でやったんでしょう。 今不動産業界が、泣いておるのはだれですか。海外に投資したのとリゾートに投資したところは、みんなつぶれておるじゃありませんか。一体つぶしたのはだれだとは私は言いませんよ。ですけれども、こうやって地方に出かけていって、そして一生懸命に開発しようとしたけれども、地方の行政機関は御承知のとおり手が足りないし、素人だから、洪水のごとき許可申請をこなすことができず、二年も三年もかかってしまったじゃありませんか。やっと許可がおりて、土地を買って整地をして、がたいだけ建てたら総量規制で融資打ち切り、これが今の状態じゃありませんか。日本じゅうごらんください。立派な景色のところに幽霊のごとくみんな、がたいが建って、あと二割金をつぎ込んだならば、御承知のように内装ができる、配電ができたらお客様に売ることができる、お客様を入れて貸すことができる。その直前になって、しかも銀行をだましたわけじゃないんですよ。段階的に融資の計画を立てておいて、あと二割のところで打ち切って立ち行く不動産業界がありましょうか。前川さんが言ったのも、三重野さんが言ったのも、同じ日銀の政策じゃありませんか。こういう不動産だとか住宅というのは、最低五年から人年という長いスパンがなければやれるはずないじゃありませんか。途中なかで政策変更しておいて、やれるはずないじゃありませんか。彼らは本当に怒っておるんですよ。 自民党の皆さん、冷静に考えてください。それで、金が返せないからといって個人的な担保まで召し上げようとして、銀行はきゅうきゅうとしておいでになる。あと一〇%や二〇%つぎ込めば生き返るところの不動産ぐらい助けてあげたらどうでしょうか。それが国のためだと思いますが、どうでしょうか。戦争のときに途中で作戦変更せられたら、大軍は混乱になって、負けるに決まっておりますよ。今の住宅産業の諸君は、どんなに自民党政府に対して愚痴をこぼしておるか。私は、自民党さんのことよりも、やはり証券業界とともに不動産業界のこの声。 今だってリゾート法、生きているんでしょう。担当大臣、答えてください。
○中村国務大臣 お答えいたします。 先生御指摘をいただきましたように、不動産業界は、住宅宅地あるいはビル建設、こうしたものに対して、国民の生活に非常に重要な密接なかかわりを持っている業界でございますので、建設省といたしましても、不動産業界とは緊密な連携を日ごろからとりながら対応を協議しているわけでありますが、ただいま御指摘をいただきましたように業界が非常に深刻な不況の状況にあるということは私たちも認識しておりますが、住宅の一次取得が少しずつ回復してまいりましたし、また昨年八月の総合経済対策十兆七千億円、これもやはり効果が出てきて、不動産業界全体に少しずつ復調の兆しを期待しているものでありますが、今後、先生御指摘をいただきましたように、不動産業界に対する金融の供給に対しましては大蔵省と連携のもとで進めてまいりたいと思いますし、また必要があればそのような対応を今後検討させていただきたい、このように考えております。
○塚本委員 時間が少なくなりましたけれども、不動産の不良資産の買い取り機関ができるようであります。共同債権買取機構、これは一歩前進であります。貸し付けたいわゆる不動産に対して同じ銀行が自分のところから買い取るということは、これは損金として認めるという意味で金融機関の救済には相当に効果があります。 しかし、買い取られてしまった不動産の持ち主はどうなるんでしょうか。例えば、百億のものが六十億で買い取られた、しかし、それでは自分たちは六十億という借金で利息払えばいいんでしょうか。そんなわけにいかないでしょう。どうせ処分されてしまうのに、固定資産税が払えましょうか、利息が払えましょうか。全部幽霊になってしまうんですよ。 しかし、それでも仕方のない、地上げでやったようなところはそうせざるを得ない。私は、相当数崩壊することもやむを得ないと思います。しかし、先ほど申し上げたように、もう一割か二割、実は銀行との話し合いによって計画的に進んでおるやつまで総量規制で打ち切られてしまったみたいなものは、もう一遍生き返らせてあげなければ、住宅産業の三十年間の経験の社長さんたちあるいは不動産業の皆様方が生涯かけて我が子のごとくに育ててきたのを途中で打ち切られて、全部銀行く持っていかれて、足りないから、利息が払えないから自分の自宅まで持ってこいというやり方は許せない。だから、そういう人たちも、政府と、そしていわゆる金融機関と、そして不動産業界の代表と三者が話し合って、もうこれは到底だめですよと打ち切るやつ、少し力を入れたならば生き返るやつ、選別をさせて、そして業者の悪いやつはみんな切ってよろしい。切ってほしいと言っている、彼らも。だけれども、そういうふうに途中なかで変更されたがためにつぶれかけておる、そういう諸君はもう一遍中に入れて選別をして、そうしてこれから生き返らせるようにやらせるべきだと私は思っております。 そういうような買取機構は結構。しかし、全部そんなことを言ったって、実際できやせぬのです。わずかしかできない。六十兆と言われるところ、塩漬けになっているところ、六千億から一兆円ぐらいが関の山でしょう。これじゃ六十分の一しか動かないじゃありませんか。総理も先ほど、御無礼ですけれども、得々とおっしゃったけれども、こんなものは天井から涙みたいなことしか動きません。 それよりも、もう少し計画どおりにしておるところの、リゾート法やそういうことにのっとってやったものに対しては、もう一〇%か二〇%つぎ込んだら生きるというものは、政府が中に入ればよろしい。銀行に入れてあげて、そこへ業者も中に入れてあげて、三者で話し合って、生かすものとあるいはまた自然死をさせるものと区別をすべきだと思うが、建設大臣、いかがでしょう。
○中村国務大臣 ただいまお話を申し上げましたように、今後必要があれば大蔵省に要求していきたいと思いますが、ただいま御指摘をいただきました点につきましては、不動産業界全体のコンセンサスというものも含めまして、今後業界の動きに対しても私たちも関心を持ちながら対応していきたい、このように考えております。
○塚本委員 最後に、もう一分しかありませんから。 建設大臣、その考え方を大蔵省に、大蔵省は、僕がぎゃんぎゃんそれを申し上げると、建設省から言ってこないのをこっちは動きようないじゃないかと言っておる。大臣、建設省から言ってきたら、素直に受けてやってください。私は、総合的に、この際は、政府のおやりになっていることの努力と目標は間違っていない、だけれども、これは、後からやるということはもう、おたくの党の幹部は承知しているからおっしゃるんだから、後からと言わず、時を移さずにやってください。 その決意のほどだけ伺って、質問を終わります。
○宮澤内閣総理大臣 最後のお話も大切なお話だと思います。バブルがありまして、その裏が出ましたので品物が全く動かなくなってしまいました。それは墓場のような状況ですが、これでは市場経済ではありません。こんな事態が長く続いていいとは思いませんので、やはり市場経済の原則というものが徐々に返ってこなければならないし、またそういうふうにしなければならないと思っております。 なお、全体の問題について、今の状況の分析、それから将来に向けて何をなすべきかといったようなことにつきましては、長年の御経験から大変有益な意見を承ることができました。私ども十分検討させていただきます。
○塚本委員 終わります。
○粕谷委員長 これにて塚本君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして総括質疑は終了いたしました。 次回は、明十七日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十一分散会