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126回国会衆議院1993/06/02

法務委員会 第11号

発言数
252
登壇者
32
会派数
5
開催日
1993/06/02

会議録

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 これより会議を開きます。  理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に冬柴鐵三君を指名いたします。      ————◇—————

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所今井民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政、人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 以前の法務委員会でも、また、答弁される立場が同じでありますから御記憶になっておられると思いますが、決算委員会でも、私は、今回の死刑執行の問題をめぐりまして幾つかの観点で質問を申し上げました。そこで、この死刑執行の問題をめぐりまして、私が質問をいたしました内容について、なお引き続き法務当局の見解をたださなければならぬ点がございますので、本日若干その事柄について御質問を継続させていただきたいと思います。  それは、三月の段階で死刑執行された三名のうちの一人、Kという人物でございますが、再三にわたり弁護士から、彼を拘置しておりました大阪拘置所に対しまして、健康上の問題を伺っておるわけであります。その健康上の問題を疑っておる中に、回答が寄せられておるその文書を読んでみますと、これは昭和五十七年の回答でございますが、「精神科医師の診察を受け、幻覚、妄想状態(分裂病の疑い)と診断され、以後現在までほぼ六カ月の間隔で定期的な精神科診察を受けている。」こういうことが回答として寄せられております。自後、多少の文言の違いはありますけれども、何回も何回も担当の弁護士の方が拘置所の方に、大阪弁護士会の会長を通じて照会をされております。この点については、どういうふうな御理解を法務当局は持っておられたのかということについてお尋ねしておきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  特定の死刑確定者につきまして死刑の執行が行われたかどうかについては、従来からこれを公表していないところでございますので、その点については立ち入った答弁を差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  一般的に申しまして、どういう病気でありましても、矯正施設内に収容されている者につきまして、病気があるかどうか、あるいはその病気がどの程度のものであり、それに対してどういう治療が必要であるかということは、常に矯正施設の側において医師の診断、治療等を受けているもの、一般的にはそういうふうに申し上げられると思うわけでございます。  委員のお尋ねは、要するに刑事訴訟法四百七十九条との関係でお尋ねになっておられると思うわけでございます。刑事訴訟法四百七十九条一項には、これは委員十分御案内のとおり「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によって執行を停止する。」というふうに規定されているわけでございます。したがいまして、死刑確定者が心神喪失の状態にあるか否かということにつきましても当然に考慮されるところでございまして、心神喪失の状態にある者に対して死刑が執行されることはないということを申し上げたいと思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 この前も申し上げましたが、この国会の正式の委員会の場で名前を挙げるということについては私も遠慮しましょう、こういうことを申し上げておるわけですが、あなたの答弁を聞いておると、要するにだれが死刑執行されたかということはこういうところでは俎上にのせないのであるから、一般論として答える、こういう話でありますけれども、前回の決算委員会でありましたか法務委員会でありましたか、議事録を見なければわかりませんが、広く国民が知っておることなんです。新聞が名前を出しておるのです。そういう新聞が名前を出しておる人物の死刑執行について、ここだけで、いや、そういう事実に絡んでの話はできないんだ、一般論としてなんだということでは、国会が国民の知りたいことを議論によって解明するという機能は発揮できないことになるでしょう。  だから、あえて言うならば、あなたと私とか法務大臣と私との間でKといったらだれかということが頭にあって、この議論をするわけじゃないのですか。法律で禁止されておるから、心神喪失者は死刑執行をしてはいかぬということで法律で禁止されておるからするはずはない、この議論はちょっと、いかなる論理学か知りませんけれども、私が下手なりに青年時代に勉強した三段論法であれ演繹法であれあるいは帰納法であれ、私はそういう理屈は私の頭の中では理解できないのですが、そういう法律があるから、事実の執行状態がそれに合っているかどうかということを質問しているのですよ。その点どうですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員お尋ねの点につきましては、先般の決算委員会におきましても、委員からお尋ねを受けましてお答えを申し上げたところでございますが、要するに新聞が報道をして、死刑の執行云々について報道していること自体につきましては、これは法務当局から御意見を申し上げることはいたしかねるわけでございます。  私が先ほど刑事訴訟法四百七十九条を引いてお答え申し上げましたのは、要するに刑事訴訟法四百七十九条には、先ほども申し上げましたように「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によって執行を停止する。」というふうに規定されているわけでございます。したがいまして、死刑確定者が心神喪失の状態にあるかどうかということも、これは当然に考慮される。逆に申しますと、心神喪失の状態にある者に対して死刑が執行されることはないということを申し上げているわけでございまして、そういうことで御理解をいただきたいというふうに申し上げているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 法務省当局並びに最高責任者である法務大臣の立場は、自分が法律を破ったなどというようなことは公言しないですな。つまり、それは、我々はちゃんと法律どおりやっているというのは一応の答弁としては当然出てくることなんです。その当然出てくることに対して、大阪弁護士会長を通じて、このKなる人物の担当の弁護士というかその受任をしておる弁護士が尋ねたところが、要するにその疑いがあるという意味の照会があるわけでしょう。皆さん方が、それは古い古いことなんだ、もう十年もその辺もたっておるんだということであれば、その後治癒したんだというようなことも聞かせていただければ、それは筋が通ったことになります。しかし、とにかく法律で禁止されているんだからするわけはない。それなら、私が交通違反をして、それは法律で禁止されているんだから私はするわけはないと言って警察官は通しますか。立場が違ったら、物を尋ねる立場とか疑問を持つ立場というのは、それでは通らないでしょう。そういう意味で尋ねているんですよ。  さっきのは昭和で言うところの五十七年ですから、もう今から十年も前のことでしょうね。そこで、今度は一九八九年、平成元年にまたこれを尋ねていますよ、弁護士が。弁護士会長を通じて大阪拘置所へ出しましたところが、大阪拘置所長の方からまた回答が来ていますね。その回答を見ますと、「健康状態」について「意識は清明、見当識は良好、態度は普通、話し方は多弁であるが内容にまとまりを欠き、焦燥感を訴える。」  なるほど表向き「意識は清明、見当識は良好、」などと書いておるけれども、「話し方は多弁であるが内容にまとまりを欠き、焦燥感を訴える。本人はストレスがたまったときは自分で安定するよう努めているが、時々夜半に大声を発することがある。」そして、「健康維持について留意していること」については、「精神安定剤、睡眠剤を投与、経過を観察している。」こうなっていますよ。法務大臣が一点だに曇りのないことについて決裁をするんだという意味のことを言われておるので、これはよく調べてみろとかどうなのかということをやるべきことではないでしょうかね。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 特定の死刑確定者につきまして今委員がお尋ねになっておられるようなことについてお答えを申し上げることは、これは先ほど申し上げましたような理由からお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  ただ、一般的に申し上げまして、矯正施設に収容されている死刑確定者をも含めまして収容者につきましては、その健康状態等につきまして常に矯正施設の医師等が健康診断をし、その健康状態に応じて、治療が必要な場合には治療するという体制になっているわけでございます。  同じ答えの繰り返しになるようなことかもしれませんけれども、要するに、死刑確定者が心神喪失の状態にあるかどうかということも、これは当然、死刑を執行するかどうかという場合には考慮の対象になるというか考慮されなければならない、されているということを申し上げているわけでございますから、そういうことでひとつ御理解をいただきたいと思っているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 おかしな議論になりますね、それでは。やった方が、わしが考慮しておるんだからそれで考慮しておるんだ、それでは疑問を持つ者に対しては説得力のある説明にならぬでしょう。私は差し控えてKというイニシアルで言っておるわけですね。新聞でも出ておることなんですから、私がKと言うたらどの人のことを言っておるなということはわかるよ。しかし、死刑の問題についてそういう疑念を国会議員が抱いた場合に、そのやりとりの中で、そういう議論はしない、抽象論だけだということになると、それはちょっと国民の疑念を晴らす重大な手段を放棄することになるんじゃないですか。  今私は一九八九年のことを申しましたが、弁護士がまた尋ねているんですよ、やはり気になるから。これは私がいっか読み上げましたね。この人の最終段階のころに弁護士に出した手紙が支離滅裂で何を書いているかわからぬでしようということを私が皆さんにわかってもらうために読み上げましたね。何か彼は電波探知機で常に自分の動静というか挙動を探知されておるとか、また犬がワンワンほえるとか、そういう精神錯乱状態というか、私も私の知った人でそういう状態になった人を病院へ入れたり、また病院から抜けて出たり、薬を飲めばいいのに薬を飲まぬでみたりして騒動したことに何年も何年もかかわっておるから私も実感としてわかるのです。  壁に傷があればそれを鬼がおるとか、鬼が壁をかきむしって顔をのぞけておる、ちょっとそれは角がここにあるように見えるけれどもこれは鬼じゃないんだということを説明してみたり、家の中の折り合いをとったことがありますが、こういう質問をしておるんですよ。「「電波探知機」、「飼い犬」等に関する心配事の申し出がありましたか。」弁護士に対してそういう手紙が来るから、錯乱状態で、それを調べてくれという意味ではなくて、もう私は飼い犬にほえられて困っているんだというようなことが来るから、この弁護士は弁護士会長を通じて拘置所長に対して「「電波探知機」、「飼い犬」等に関する心配事の申し出がありましたか。」こう質問しておるのですよ。  そうしたら、次のような回答が来ておるわけですね。「「電波探知機」、「飼い犬」等に関する心配事の申し出があったか。」については、「質問のような申し出はない。」これは一番目の回答です。二番目にどういうことがあるかというと、「健康状態、精神状態を含む食事、睡眠はとれているか。」について、「健康状態は良好で、精神状態もおおむね安定している。」最初はそういう書き出しになっているのですね。「現在、幻覚、幻聴等の病的体験は訴えていないが、対話に対して疎通を欠く傾向がある。」管理をしておる拘置所側はなるべく軽く書くというのが常識だと思うけれどもね。「なお、食事はその都度喫食し、睡眠については睡眠薬を投薬している。」三番目「健康維持については、三カ月に一回健康診断を実施し、また、本人からの体調不良等の申し出があれば、その都度診療している。なお、作業はしていない。」ちょっと心にかかることを書いておるでしょう。  それで、私がこんなことが一点の曇りもないのですかともし尋ねたら、あなたの方は、いや具体的な事実についてはここでは議論できぬという意味のことを言われるわけでしょう。やはりこういうような重大な問題は、法務大臣も言われておるようにこれは非常に重い問題なので、あらゆる角度からの批判にたえられなきゃいかぬですな。ところが、その批判にたえられるということのかなり重要な位置を占める国会の論議で、今のような回答とか今のような対応では、私は納得いきません、疑念はますます深くなるばかりですがね。疑念が深くなるということについてあなたはどう思われますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 委員のお尋ねは、要するにKという、委員はKとおっしゃっておられるわけでございますが、特定の死刑確定者について死刑の執行があったという前提でのお尋ねだと思うわけでございます。  先ほどからお答え申し上げておりますとおり、特定の死刑確定者につきまして死刑の執行があったかどうかということにつきましては、これは従来から公表を差し控えさせていただいているということでお許しをいただきたいと思うわけでございます。委員のお尋ねにも関連するわけですけれども、死刑の執行状況についてどうして公表しないのかというようなことを当委員会でも御議論があったわけでございますけれども、例えば死刑の判決が確定した経緯等はすべて公開の裁判によって国民の前に明白になっているわけでございますし、刑罰権行使の適正を図るという見地に立ちましても、死刑の執行状況まで公にする必要はないのではないかというふうに考えているわけでございます。  もちろん、検察統計年報あるいは矯正統計年報という資料によりまして一定の限度で死刑の執行状況についても公にしているわけでございますから、その限度で、特定の死刑確定者について死刑の執行があったかどうかということを含めまして、ひとつそれ以上の点についてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  委員のお尋ねの中にありましたように、死刑確定者を含めて矯正施設に収容されている者の心身の健康状態につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、矯正施設の御当局において、矯正施設の担当医等が常に注意を払って、健康診断をし、治療の必要な者については治療を行うという体制で万全を期しているというふうに思うわけでございます。結論的に申し上げまして、死刑確定者が心身喪失の状態にあるか否かということは当然十分に吟味されるわけでございまして、先ほどもお答え申し上げましたとおり、そういう吟味の結果、心身喪失の状態にある者に対して死刑が執行されるということはないということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 だれが死刑の執行を受けたかということについては知らさない。知らさないことをみんな知っているわけです。しかも、これはいわば密室、塀の中でしたことですから、あなた方の関係者がばらさぬ以外はわからない。一方ではばらしておいて、集約的な議論をする国会の場では、何も名前をばんばんふれ回ることがよいということではないから、私は議論に必要な限度のことでだれだという意味で便宜上イニシャルを使っておるけれども、あなた方がばらさなかったらばれないことがばれていて、そして国権の最高機関でその問題についてのお尋ねをした場合に、ばれていないことを前提に話をするという、それはちょっと無理じゃないですか。そこが一つあります。  それが非常に無理だということと、それからもう一つあなたの言われておる議論の無理は、法律に心身喪失状態の者は処刑しないということになっておるのだから処刑するはずがない、これもちょっと無理な議論じゃないですか。その二つの無理な議論、これは国会議員の一人としてなるべく公正なことをやってもらいたいということで、チェック機能というような意味もあって尋ねておるわけです。それは心理的には影響すると思いますよ、心理的にはチェック機能はあると思いますけれども、それでは全然論理にならぬのじゃないですか。私らが一般の人と話をして何か自分の挙動に対して疑問を投げかけられたときに、言い方としてよくあるじゃないですか、わしのような良識のある人間がやるわけないじゃないかと言うたって、向こうは納得しないですからな。だから、もう少し国会の議論がかみ合うような答弁の姿勢というものはできぬものですかね。  私はきょう、死刑制度が是か非かを言っておるのじゃないのですよ。死刑制度は、これは何様であるにしろ、私人間でも殺してはいけんし、国家の名においても殺してはいけないと私は思っている、これは私の哲学だ。私人は恨みで、いいとか悪いとかの善悪の判断なしにいくのでしょうけれども、国家権力はそこに一つの価値判断が加わるから、その価値判断をする場合に、決定的な相手の命を奪うというようなことについては、万一迷うとったときに神ならぬ身だからどうなるのかという問題がある。だから、人間が死に至るということは自然死以外にそこにいろいろな動作が加わってはいけない、社会的に物を解決するためにはほかに幾らでもやり方がある、私はこう思っておるのです。しかし、それはここで押しつけの議論になってもいけないし、そういうものが多くなれば、恐らく法務大臣もそういう状況でいろいろ判断をされると思うから。  要は、法律で決められておることについて、この弁護士の尋ねておることと多少言葉は違うけれども、ずっと状況が続いておることを拘置所長の回答書で私は感ずるのですよ。  それから、手紙も読んでみましたけれども、割合最初のころの照会文に対しては、具体的にちょっとこれはきついんじゃないかな、精神状態が非常に崩れておるんじゃないかなと思われるときの方が随分まともで通用する手紙を書いているのです。こっちの方で、いや大丈夫だというようなにおいを出しながら、しかし私が疑念を抱くに足りるぐらいのところはちょろちょろと書いていますね。拘置所の方の回答はだんだんよくなっているかのごときにおいを出しているんだけれども、手紙はだんだん悪くなっていく。字もだんだんむちゃくちゃになっていく。何を言っておるかわからぬ。これは議事録をまた見てもらえば、私が一度読み上げたことがありますから。そうなると私の疑念は晴れないですよ。私の疑念が晴れないということは、国民の間でこれに関心を持つ者の疑念は、なかなか晴れない人がたくさんいるんじゃないかと思う。  一番手近なところで、平成三年というから今から二年前でしょう、この一九九一年の段階で弁護士がまた尋ねているのですね。「健康状態はどうですか。」「日常生活において時に興奮することがある。意識は清明で見当識及び接触性は良好であるが、とぼけたようなかつ横柄な表情、態度をとることがある。」そして引き続いて「眠前に睡眠薬を投薬している。」これは一九九一年ですね。  そしてもう一つ、彼から来ておる手紙の中に、グリコ・森永事件というのがあったことは御承知だと思いますけれども、グリコ・森永の事件に関係をして、非常に妄想状態になっておるから弁護士に対していろいろなことを言っておるので、弁護士はこういう質問をしておるのですね。「一九九一年四月八日大阪拘置所よりKが発送したグリコ森永事件について不審な点が多く、自分の空想の金額が奪取金額と一致しており、自分は重要参考人である旨の書面が貴職に届いておりますでしょうか。」貴職というのは拘置所長に対してということですが、こういう手紙が行っているのです。  たくさん書類があるからこれに対する回答書は今すぐ見当たりませんが、いずれにしてもこれは常識的にいわゆる刑事訴訟法が言っておるところの病気に該当するんじゃないですか。Kから離れて、もしほかの人だったらどうですか。これならそういうふうに見るのが普通じゃないですか。どうでしょうか、それは。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 重ねてのお尋ねでございますけれども、要するに、特定の死刑確定者について立ち入ってお答えができないものでございますからその点は差し控えさせていただいて、一般論としてお答えをお許しいただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、先ほど新聞に情報をばらしておいて国会で情報提供しないのはおかしいのではないかという趣旨のお尋ねがあったかと思うわけでございますけれども、これは前回の決算委員会でも私及び矯正局長の方からもるる御説明申し上げたかと思うわけでございますが、死刑の執行に関する情報について、法務省の方からそういう情報を公にしたというようなことは毛頭ない、そういうことはなかったということはるる御説明申し上げて御理解をいただいたというふうに承知しているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 この問題については私のきょうの質問の時間配分の関係があるから余り続けることはできないのですけれども、例えばある犯罪捜査をやっておるときに警察なり検察で、犯人でなければ知り得ない情報、犯人でなければ供述できない供述というのがあります。かなり決め手になりますね。本人でなければ知らないことを本人が言うた。おたくの方の役所でなければ知り得ないことが出るということはそこから出たということじゃないんですか、幾らやってないやってないと言ったって。それはどうなんですか。納得いかぬことがあったら局長、答えてみてください。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 具体的に死刑の執行が行われたかどうかは公表しておりませんが、仮に死刑の執行が行われたことがあったと想定した場合に、そのことを知っているのは死刑の執行に携わった矯正当局だけだという前提のお尋ねであれば確かにそうかもしれませんが、死刑の執行が行われたということを知り得るのは矯正当局の関係者ばかりでなく、戸籍法にはっきりと規定があるわけでございますが、死刑の執行をした場合には当該施設の所在する市町村長に必ず届け出なければならない。その場合の届け出は刑死ということで届け出なければならないということが書かれているわけでございます。ですから、それはその日のうちに矯正当局以外の人も知り得るわけでございます。  また、死刑の執行をした場合にはその遺体の処理ということがございまして、遺族に遺体を引き取ってもらうために遺族にも連絡いたしますし、また遺族が引き取らないでその遺体を処理してくれということであれば遺体を火葬にするといういろいろな手続をするわけでございますから、死刑が行われたことはあなた方だけが知っていることだということでお尋ねであれば、それはちょっと私どもとしては納得できないところがあるわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 なるほど、それは地方自治体へ連絡されるのでしょう。しかし、新聞記者が死刑囚の五十人とか六十人の戸籍のある地方自治体をいつも見張っておるわけじゃないでしょう。直ちにそれがニュースとなるというところが私らの常識からいったら、局長、あなたが言うことはちょっと聞こえにくい話なんです。なるほど、そこに若干の余地があるということはわかりますよ。しかし、直ちにそれがニュースとなるということは、やはり一番疑わしき出所はそこじゃないですか、私はそう思います。  それで、どうであるにせよ、世間周知の事実となっておることを国会ではみんなは知らないという前提で、ここで議論することによってそれが知れ渡ることはちょっと遠慮しよう、こういうことになると、これは重大な問題であるだけに議論とすれば当局の得手勝手な理屈だ、私はこう思います。それは将棋の千日手みたいなところへ逃げておられるわけです。こっちを押せばこっちへ逃げる、こっちへ隠れてはこっちへ逃げる。どうしてもそれは詰めようがない。今のような理屈の言い合いをしたらもう千日手なんです。しかし、人々の気持ちは千日手というわけにいきません。やはり逃げよると思いますよ。.そういうことで、今も政治改革をやかましく言われておりますが、国会の答弁のスタイルというようなものも、都合がよいからこの手で答弁したらもう千日手に入っていくというようなやり方ではなくて、もう少し明快な、わかるような答弁をされる、真相に近づくような答弁をされる。例えば私が指摘をしたような再三にわたる弁護士の照会に対して、それはこうなんだと。死刑囚の名前を言っておるわけではないのですからね。そういう照会文に対してそういう回答があるときにはこうなので、異常はないのですというようなことがあるならば、それはまた手を回して異常があったかなかったかをさらに突きとめるというほかの方法があるいは残っているかもしれないですね。  法務大臣、先ほどの議論をお聞きになって、最終的には法務大臣が判を押されたということなのであって、これは重大な問題として受けとめておられると思うので、弁護士が照会状を何遍も出しておるようなことについて精査をしてやられるべきだということが一つ。  それからもう一つ、これは雑誌が書いておることだから真偽のほどはわからぬけれども、えてして雑誌とか新聞が書くことによって世論をある一定のところへ操作するという役割は果たせる、そういう機能があると思うのです。「アサヒ芸能」という雑誌に、法務大臣の顔写真が入って、中身はよく読んでいないが、この間の警察官の事件に関係してのことだと思うのです。二人殺したら即死刑、単純明快にそう決めたらいい、それは私は法務大臣がこう言ったと断定しているのではないのですよ。だけれども、こんなことも出ておるし、ひとつこの際、先ほど来のやりとりもお聞きになっての法務大臣の現在なりのお考えを聞かせていただきたいと思います。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 お答えする前に、今の「アサヒ芸能」ですか、一切そういう取材に会ったことはございません。無責任きわまる記事である、私はこう思います。  そこで、死刑の問題につきましては、私はかねがね申しておりますように、刑の中でも命を奪うという大変な極刑でございますね。それだけに、裁判所の最終判断が下っておってもなおかつ死刑の執行についてはさらに法務大臣の命令書が必要であるという、慎重の上にも慎重な手続を決めてある、こう考えるわけでございます。それだけに、今御質問の具体的な問題についてはこれは答弁を差し控えさせていただきますけれども、法務大臣たるものが死刑執行の命令に決裁をするというときには、精査の上にも精査をし、慎重の上にも慎重な配慮をして、その上で私は決裁をすべきもの、したがって死刑執行の停止を定めてある事由に該当しているかしていないかといったような点は、これは当然のことながら十分に精査をした上で私は決裁をすべきもの、かように考えておるわけでございます。  具体的な事件については差し控えるという従来からのこの問題についての考え方でございますので、確かに何といいますか、質問なさる小森さんのお立場に立てば、何かしらそこに、靴の上からかくとでもいいますか明確でないではないかといったような御疑念を持たれるかもしれませんが、私が死刑執行の命令書に決裁をするという場面に際しましては、ただいまお答えをしたようにあらゆる角度から慎重の上に、納得をしなければ決裁はしないというのが私の考えでございますから、私の決裁をしたという前提でお答えをするとするならば、私は一点の疑念もないということである、かように御理解を願いたい、こう思います。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 質問の中身を変えようと思っているのですが、要するに死刑を執行された当の本人の状況を拘置所内でほかの部屋から若干の情勢のわかるところの者は、例えばふろへ入ったばかりなのにまた戻ってきて石けんをばんばん使って一生懸命頭ばかり洗っている。そうしていたらまたがやがや叫び出した。だから、結局そういう人たちは、何であの人がつるされるか、こういう気持ちを持つのです。それは現にそういう気持ちを持たれた方が、やはり外とそういう交信をしておられますから私らにわかるのです。ずっと手を回していけばわかるのです。  したがって、私は一点だに曇りがないということは、言葉として非常に大事なことだけれども、法務大臣がわかっておってそんなもの判を押すわけはないと私は思うから、やはり事務当局がその辺のところは本当に状況を報告していないのではないか。ちょっと言いっ放しのようになるけれども、事がこういう深刻な問題だから私は筒ぎり私の感じておることを申し上げるのですが、今のところまだ残念ながら私はきちっと頭の中で、そうかそれならばやむを得ないとか、万全の策を講じておるなということにはちょっと私の理解はいかないのです。きょうは死刑の問題はその程度にしておきたいと思います。  それでは、質問を変えます。根拠があるのかないのか、やはり週刊誌でおもしろ半分に書くという点もあるからどうかと思いますけれども、物の片りんを知るために、多少事のきっかけ、議論のきっかけになると思うのですが、山科の京都刑務所の中の懲役刑の囚人たちに対する管理という問題をめぐって、右翼団体が何回もやってきて大きくボリュームを上げて中のことを再三にわたって文句を言うというような事件が、今も続いているのかどうか知りませんけれども、三月ごろにあったということを週刊誌で知りました。それから、ついこの間の東京新聞のわずかな小さな記事ですけれども、元受刑者が刑務官を告訴した、それはやはり京都の刑務所のようです。  そういう問題がありますので、以下ちょっと、京都刑務所に限らず一般的なことも聞かしてもらうし、また私の心にぐっさりくる京都刑務所にかかわる問題についてもお尋ねをしますが、法務当局は、この京都刑務所の問題については、そういう報道などがあるが、ぴしっとうまくいっておると思われるのか、それとも注意すべきところは注意するというような感じで指導されておるのか、その点はいかがでしょうか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 ことしの二月末ごろから五月の二十三日ごろまでだったと思いますが、右翼団体が京都刑務所にほとんど連日のように街頭宣伝活動をして、マイクのボリュームを上げて、京都刑務所の受刑者に対する処遇が厳しいということを盛んに宣伝活動していたことは事実であります。現在は、もう十日ぐらいになると思いますが、それがやんでおりまして平穏であります。  そういうことがありましたものですから、私どもは一体その原因が何だろうということをいろいろ探ってみたのですが、私どもとしては、暴力団あるいは右翼団体と直接折衝することは好ましくないと思っておりますので、そういう折衝をせずに内々でいろいろ検討いたしましたが、京都刑務所においていろいろなことを言われているようなことが実際にあったというふうなことは全く思っておりません。きちっとした処遇を行っている、それがその街頭宣伝活動で言う処遇が厳しい、そういうふうな内容だろうと思います。京都刑務所には、暴力団といたしましてはいわゆる会津小鉄会という系統の暴力団員が非常に多く入っておりますが、その暴力団員が厳しいと言う処遇は、私どもとしてはきちっとした処遇をやっているというふうなことだというふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 後ほどまた具体的なことはお尋ねをしますが、そこで刑務所内の規律ということについてお尋ねをしたいと思うのです。  便宜上、食事、食事は私なんかもよく視察に行ったときにケースに入れておるのを見せてもらっていますから、これは事によると我々が急いで国会で食べるものよりもバランスなんか整っておるんじゃないかなと思いますが、これは私も余り気にはしていないのですけれども、食事の時間ですね。時間をどれくらい与えておるのかという問題。  それから入浴の問題、これは時間とかあるいはどういう動作で入らすかとかいうようなことも知らしていただきたいと思うのです。  それから就寝、つまり寝るということについて、これも時間の問題あるいは途中どういうように見回りをするのか、寝ておるところをどういうように見回るのかというようなことをまずお聞かせいただきたいと思うのです。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 食事の時間は、ほとんどの刑務所で、朝は二十五分、昼は昼休みを含めて四十分、夕食は三十分ぐらいを食事の時間に充てていると思います。  それから、入浴は十五分であります。  それから、被収容者が就寝した後の見回りでございますが、多くの施設では大体十五分に一遍ぐらい担当看守が徹夜でかわりばんこにずっと舎房を見回っている。それから、問題が多い、自殺のおそれがあるようなところでは五分に一遍ぐらいずつ見回りをして異状がないかどうか確かめております。受刑者が夜寝ている間に例えば病気になったらどうしようとかいろいろな不安があるのは、そういうふうにきめ細かく担当が見回ることによってまた受刑者の心情の安定にも寄与している、こういうふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 まず、食事の問題についてもう少し具体的に細かくお尋ねをしたいと思うんですが、昼の食事は休憩を含めて四十分ということでございますが、それはどうなんですか、例えばこの四十分のうち幾ら幾らは整然と整列して外へ出なきゃならぬとか、どういいますか、本当にはしを持って食べる時間というのはどれぐらい許しているんですか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 昼休みの四十分というのは、大体一般の受刑者を中心にお話し申し上げますと、受刑者は昼間は工場に出役しております。ですから、大部分の刑務所はその工場の横の方に食堂を設けておりまして、工場に出役している受刑者はその食堂で一緒に食事をさせておりまして、この四十分間食事をし、あるいはその間に手洗いに行ったりいろいろなことをやって、次の午後からの作業のために待機するというか作業を待っている、そういうふうな状況であります。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 京都刑務所のことを私はまだよくわからないんですけれども、ある刑務所のこれは例ですけれども、十二時から十二時四十分まで食事時間というから、今局長が答弁されるのと相符合してそうだなと思うんですね。  ただし、その四十分間の休憩時間のうち二十分は運動時間に、他に振り充てている。そうすると結局食事時間は二十分。二十分でもそれは常識上食べられないことはないですよ、二十分で。ところが、昼の作業が終わったときに、その二十分の範囲内でごちゃごちゃとした道具類も片づけてきちっと整理しなきゃならない。実際に服役した人のいろいろな記録を読んでみると、これが四分ぐらいかかる。そして食堂へ行く。これも、服役した人がそう言っているわけじゃないが、ちょっと移動するといったって一分くらいはかかりますわな。そうするとあと十五分。それから、ちゃんと座って、だれがどういうふうにやるのか知らぬけれども、本当にはしをとって食べられる時間というのはさらにもう少し時間がかかったところだ。  そして、まだ飯を食べよる段階で、ある刑務所によると、その食事中に何か通達みたいなことをやります。よく言うじゃないですか、飯を食べるのにいろいろなことをがたがた言ってくれたらのどを越さぬというのがあるじゃないですか。一々覚えられぬという問題もあろうし。  それで、私はここへ、受刑者からある弁護士が聞き取った中身を持っていますが、飯を食べる時間は五分ないし六分。これは京都のことを私言っているのじゃないのですよ。京都のことは今知らないが、そういうこともあるわけで、一般的にはどうなんでしょうか、そこらは。  四十分と決められておるけれども、運動時間があるから、二十分運動時間に天引きされて、だらだらできる時間ならそれもいいかもしれませんよ。しかし、運動時間といっても、ある程度規律のある運動時間ということになると相当制約されるわけでしょう。それで、ひどい人は、結局出たものが全部食べ切れないので、だんだん栄養バランスとか摂取カロリー量とかいうものが崩れていって、目の中に黒点ができたという者もおるようですよ。そういう点は、飯を食べる時間というものを本当はどれだけ実質上保障できているのでしょうかね。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 私も直接刑務所の運営をやったことはないものですから、余り詳しい、細かいことを聞かれるとすぐには答えられない状態ではあるのですけれども、四十分のうち、確かに二十分ほど運動に割く、一週間に二回ぐらい割くことはあるようでございます。そのほかにまた、入浴を一週間に二回ないし三回いたしますから、食事に使う時間が二十分ぐらいになることは、御指摘のようなことが多いというふうなことのようでございます。  ただ、食事をするのに五、六分というのは、それはいかに何でもそういうことはないようでありまして、最低十分ぐらいの余裕はある。その間にいろいろな達示事項を仮に伝達するようなことがあったとしても、それは食事をしながらの話でございますから、大体十数分ぐらいの食事の時間はあるというふうに考えられます。  私どももしょっちゅう昼なんかは十分かからないぐらいで食事をしているわけでございますから、特に受刑者の立場にある者に対する取り扱いが不当だとは考えておりません。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 これは非常に大事なことですから、要するに人権上の、食べるというようなことは人間とすれば本当に初歩的な動作というか大事なことですから、どこの刑務所とかどこの拘置所とかということを言わずに実情を、これはある一つの刑務所と思ってもらえばいいですよ。  全部がこうなのかどうかということはわかりませんが、「正午、十二時〇〇分」だから、ちょうど十二時「作業やめの号令の後、器具点検」、自分らが作業しておった器具を点検する、これは当然のことですよね。「排尿」、便所へ行く。「手洗い。人員点呼の後」、刑務所では食事のことを喫食というそうですが、「喫食開始」「十二時十九分三十秒ごろ、喫食止め。十二時二十分作業開始のため整列の号令がかかります。」だから、それを細かくやっていくと、結局「号令がかかって、器具回収及び点検は休息のときと全く同じで、時間も平均四分間程度かかります。」作業やめがあってから器具の回収なんかしてやっていくと四分ぐらいかかる。そして「食事前の排尿となります。」そうすると、実際に食卓につくということになると、もう少し時間がおくれる。  それで、ここの刑務所は、その工場で働いておる人が、この時点、この記録が書かれている時点では八十五名ほどおるそうですが、大便器が二個と小便器が七個、計九個、そうすると八十五名が並んでずっと待ちよるわけですわ。よくあるじゃないですか。大きな集会なんかで便所へ行ったらみんな待ちよるから、駅なんかでも、空港なんかでも、おりたとき、よく待たなきゃできぬことがあるじゃないですか。ここでは日常待たなければできぬような状況があるから、当人らは飯を食う時間が五分ぐらいだ、こういうことを言っているんだろうと私は思う。  休憩四十分というけれども、十二時二十分には作業開始ということになっている。その後の二十分はほかの時間に休憩をするところへ、運動時間か何かに割り当てておるということらしいんですね。それじゃちょっと無理じゃないでしょうかね。  人間として、やはり食べるときにはおいしいという気持ちを持って、胃液がたっぷり出て、味わいながら食べるということでなければならぬと思いますけれども、これはいかに言っても私は酷なんじゃないかと思いますね。  しかし、今私が例として出しておるところが特に条件の悪い刑務所だろうか、それとも全体としてそうなんだろうかということが私にとっては問題なんです、心配事なんです。どうでしょうか。現場を余り知らないと局長は言われるのですが、特に突出して悪い例でしょうかね、これは。その点はどうでしょうか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 恐らく各刑務所でやっていることはそれまでの刑務所の運営の実績を踏まえてやっているんだと思います。ですから、到底食事が全部食べ終われないような時間しか食事に与えてないということはやっていないと思います。十分程度というようでございますけれども、少なくとも食事が食べ切れない、多くの受刑者が食事が食べ切れないような、そういうふうなことはやっていないはずでございまして、これまでの刑務所の運営上、大体このぐらいの時間で受刑者は食べ終わる、そういうふうなこれまでの実績を見て現在やっているんだと思います。ですから、多くの刑務所が恐らく今御指摘のような状況かもしれませんが、それであったとしても、必ずしもそれが悪いというふうに決めつけることはできないと考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 これがまた議論として難しいのは、自分らがやっていることですから、悪いと言ってなかなかそういう答弁ができないのが答弁する側からすれば当然といえば当然かもしらぬけれども、あれこれ時間を差し引いたら五分くらいしか残らぬようなところで、本当に元気でぴんぴんしておる者はそれは三分でも食べられるかもしれませんよ。しかし、多少体調が悪いとか年をとって動作が鈍いとかというようなことになると、栄養のバランスが、カロリーの摂取量も少なくなって、号令がかかったときには立たなきゃいかぬようなこともあって、食べるものも食べずにだんだん体が病魔に侵されて目に黒点ができて、つまり視力障害が起きたというようなこともあり得る話じゃないかと思います。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 刑務所での食生活が非常に短時間で行わなきゃならないような状態なために、栄養が行き届かなくて健康を害する者が出ているというふうな趣旨の御質問のように承ったのでございますが、私どもといたしましては、むしろ刑務所でちゃんと服役すると大体健康体になって帰っていく方が多いんではないかと思っているわけでございます。ですから、刑務所での食事によって栄養失調になったというふうに、それだけで決めつけられるとちょっと私どもとしては心外でございまして、むしろその人は刑務所の食事とは余り関係ない、御自身の何か体の疾患とかそういうふうな問題で目が悪くなった、そういうことがあるんじゃないかというふうに考えておりまして、大部分の受刑者が御指摘のようなことになるとは考えておりません。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 もちろん大部分の受刑者がそうなるようなことを私は言っておるんじゃなくて、やはり体のコンディションの悪い人は、食事をとろうと思っても胸につかえるということがあって、少しゆっくり食べればそれだけのものが食べられるのに、急がされると食べられない、よって、今私が言いよるその人のケースは目に黒点ができたということを言っているんです、私は記録で読んでみたら。だから、刑務所へ入って健康になって戻る、それは健康になる人もおるでしょう。今までぶくぶく肥えておった人がスリムになったという人も私は知っております。しかし、今私が議論しておるのは、最低のところを、最低というか最大公約数というか、そこらのところが要するにクリアできないと、私は人権を考慮に入れた刑務所の管理のあり方とは言えないのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。  それから、入浴時のことですけれども、ふろへ入れというからふろへ入って、石けんをつけて洗いよったら石けんの粒が浴槽へ飛んだ。そうしたら、もちろん注意をされますが、その注意が要するに言葉の上での注意というならよいけれども、何しよるか、立っておけというようなことで、ついに十五分の入浴時間を棒に振らなければいかぬこともあるということのようですが、何人も何人もから私はそれが耳に入っているんです。それで、ちょっと何か言いわけでもしょうものなら、抗弁と言うんだそうですが、抗弁をするとかなりまたきついことになるらしいですね。  その洗い場は、それぞれの刑務所によって違うと思いますけれども、私が見た限りでは、ちょっと間隔のあるところを見せてもらいましたけれども、古い施設なんかだったら、浴槽と近寄っているところだったら私らでもやったら石けんの泡がよく飛びます。そういうようなことはもう少し人情あふるる態度でできないものだろうか。もちろん、そういうことはないと言って否定されればそれまでですよ。我々から言えば密室のことですからね。そういった入浴時における問題なんかについては何か矯正局長は耳に挟まれていることはありますか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 お答えする前提として、まず、受刑者がこう言っているからそれが本当だろうという前提で私どもに追及されることは非常に心外でございまして、受刑者が自分の服役した刑務所がとてもよかったということはまあめったにないわけでございまして、大体はっらかったとかひどかったとかいうのが普通であります。でありますから、受刑者がそう言ったから必ずしもそうだという前提でおっしゃられると非常に困るわけでございます。  また、浴槽というのは、その刑務所に服役している受刑者の数とかそういうもので大体の規格というのが決まっておりますが、手ぬぐいに石けんをつけて背中を洗っているときにその泡が浴槽まで飛ぶというような洗い方というのは、かなり普通の人の洗い方ではないような洗い方をしていたのではないかと思います。そのために注意を受けた。  私どもとすれば、やはり集団生活をしているわけでございますから自分だけではありません、また刑務所は温泉ではないのでありますから、やはり厳しい規制があることは当然であるわけでありまして、その規制の根本は受刑者同士がお互いに迷惑をかけないようにやるということが原則でありますが、自分だけ元気よく洗って人のところに石けんの泡が飛んでもいいというようなことではやはり好ましくないから、そういうふうな場合には注意するのは当然だと思います。その注意に対して抗弁すれば、それなりの懲罰がかかるということも当然だと考えております。    〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 受刑者というかそういう刑務所へ行った人の意見を正しいという前提に立って物を言ってもらっては困るという、それはあなたの立場はそうでしょう。しかし、いつも見ておる立場の者なら、それはおまえちょっと違うんじゃないかということも言えるだろうし、あれは刑務官が無理だろうということも言えるだろうが、やはり人権問題というのは、最低のところで心配事項があったらそれは心配事項としてここで私なんか話さなければいかぬと思うのです。だから、何も全部外へ出てきた者が言うことが正しいとは思っていませんよ。  ある人は、私はちょっとさっき言いましたけれども、ぶくっと肥えた人だったが物すごくスリムになって、おまえどうだったと言ったら、親切にしてもらったと言っておりますよ。親切にしてもらったおかげでこうスリムになった。本当にスリムになっておった。そう言いよったら一年ほどしたら死にましたがね。年が私よりちょっと上なんですけれども、それは恐らく、いわゆるきちっとしたカロリー計算で食べよった者が、外へ出て食事のとり方が変わったんだろうと思うのです。それで結局死んだんだと思います。だから、私はいろいろなことを聞きますから、あなたが邪推されるように、言うことを全部本当にして一〇〇%がんじがらめにその人たちの言うことを代弁する、こうとってはいけませんよ。やはりお互い、これは日本の人権水準を高めるための議論、こういうようにとっていただきたいと思うのです。  それで、就寝時間十五分ずつで回るというのですね。腹痛なんかを訴えるとか下痢をしょるとかいうようなときにはどういう処置になるのですか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 担当の看守が絶えず舎房内を巡回しておりますから、もし受刑者が就寝中に御質問のような腹痛を起こした場合には、担当看守にその旨を申し出ることになります。それで、担当看守がその症状をまず聞きまして、必要に応じて医師のところに連れていく、あるいは看護衛生士と申しましたか、そういう担当が必ず当直しておりますから、その者が、まず家庭で備えているような常備薬でちょっと様子を見てもいいというような症状のものについてはそういう処置をする、そして翌日医師に診せる。それはその症状によっていろいろ変わってきますから、必ずしも常に同じ対応をするわけではございません。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 いろいろ記録を読むと、就寝時にどうも腹ぐあいがおかしいとか、ちょっと風邪薬を飲んでおけば風邪が進行せずに済むんじゃないかというようなときに、必ずしもうまい対応ができていないのではないか。まあ我慢せいと、人間だからそういうことになり得る場合があるんじゃないでしょうかね。そういうことが想定をされるから、刑務官の教育というか、刑務所に入っておる懲役囚と接触する場合の人間的態度というものはきちっとしておかなきゃならぬのじゃないかと思いますがね。やはり薬なんかもなかなかそう簡単にはもらえない、こう訴える人がいますよ。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 先ほど看護士とか申しましたが、あれは保健助手ということでございますから、ここで正確にさせていただきます。  私どもが刑務所において被収容者、受刑者を処遇する基本となっておりますのは、これは外国と非常に違うところでございますが、日本の場合には担当制ということをしいております。それで、舎房の担当を決めておりまして、その担当の看守が自分の担当の受刑者のことについては責任を持って問題ないように見るということになっております。ですから、担当は受刑者の健康状態などについては十分常日ごろから留意しておりまして、そのために受刑者から刑務官が信頼を受けている、それが信頼を受けることに非常に寄与していることになっているわけでございます。  外国ではそのような制度がありませんから、刑務官は受刑者をどちらかというと逃げないように見張っているという立場ですが、日本の刑務官は受刑者を処遇するということを原則としてやっておりますから、非常に受刑者の健康状態には気を使っております。  それで、夜中に腹が痛いというような場合には、すぐ保健助手に連絡をとり、その保健助手がとりあえず様子を見て、家庭常備薬程度の投薬でしばらく様子を見たらいいのか、それともこれは盲腸なんかで手術が必要なのか、そういうふうなものを見分けて医師に連絡をとり、必要があればすぐ医師に登庁してもらって医師の診断を受けるし、また家庭常備薬であしたまで様子を見てもいい場合にはそういうふうな処置をとるということにしているわけでありまして、担当にはそういうふうな処遇ということを常に念頭に置いてきちんとした仕事をするようにということを常日ごろ言っているところでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 そういうふうなことを私が申し上げるのは、やはり通常、薬を飲まなくたって下痢なんか治る場合も我々しばしば経験をしますね。ただ、その人の体の状況によっては、それがきっかけで非常に悪くなって、ほかの病気も併発するというか進行するというようなことがありますね。だから、これは万全を期さなきゃいかぬ。要するに、要求もしもしない者、申し出もしもしない者に、おまえどうもせきをしておるから飲めというような、そこまでの配慮はできないと思うけれども、申し出があったらそれはしっかりと対応をしてもらうということにならなきゃならぬと思うのですね。  それで、こういう国会での議論の場ですから、余り具体的な名前を出してやるのはどうかと思いますし、議事録に残ることですからね。だから、私がこれから言う節々を聞いていただけば概略のことをわかっていただけると思うのですが、一九九一年ごろに京都の刑務所に服役した人物で、あそこへ入る者は一般世間のことをしゃばと言いますね、しゃばでは糖尿病の関係があるからインシュリンを打っておったというのです。ところが、わしはインシュリン打ってもらわなきゃ糖尿病が進行するんだと言ったら、そんなことはない、それは食事で治せ。確かに食事で治すという初期的な方法もあるのですね。  私もこの間ちょっと胆のうをやって一カ月足らず入院しておって、どういうことなのか血糖値が非常に高く出て、びっくりしてテレビでその療法を研究したり、いろいろなことを医者に教えてもらって、恐れて私も一カ月くらい食事について非常に気にしておりましたが、どういうものか、それは薬か何かの作用でそうなったんでしょう、一カ月後に診たらびっくりするくらいよくなっておって、それでこれは医者のわしがうそを言うたようになりましたなと言ったという笑い話みたいなものがあるのですけれども、結局、食事療法というのは大事なことですけれども、食事療法で治すのはごく初期のことですね。薬を服用するという場合もあろうし、最後は自分で注射器を持ってやるような段階がありますね。  とうとうその人は、刑務所の中でそのくらいならわしはもう死ぬ、自殺するというようなことも言い出して、そういうそぶりもしたんですかな、刑務官が事は大事だと思って医務室へ連れていってくれたらしい。医務室へ連れていってくれたのですけれども、医務の担当と医者が、これはおまえ食事で治せ、そういうことは自分で治せと言って取り合ってくれなかった。とうとう、その人は自分の糖尿病による病気がすごくきつくなっておるということを自覚するものですから、さらにそういうことを言いましたら、医者がちょっと診てくれたんでしょう。そうすると、目がほとんどだめになっておったんですね。私はここを言うのですよ。私が言っておることがうそか本当か、あるいは何でも受刑者の立場に立ってばかり物を言うというふうにとられるかもしらぬが、これは非常に大事な人権上の問題ですから言うのです。  その人は、そこの京都の刑務所から刑務所の外の音羽病院というところへ連れていってくれたということを言っておるのです。その音羽病院へ行ったら、これはもういけない、これ以上のことにならぬように電気で焼かないといけないということで、電気で焼いたというのです。それで、刑期が済んで出てから目がさっぱりだめだ。そういう一つの事例を私は聞いているのです。  これはここでうそか本当かというような水かけ論をしなくても、おおよそ年限も九一年ごろだそうですから、それで連れていったかいかぬかという記録もあろうし、それからさらに本当に目があがってしまったかどうかということもあろうし、そういうふうにせぬでも目があがるんだろうと言ってしまえば、それはそれまでのものですよ。しかし、薬を、注射を打ってなくてそうなったということも事実のようですからね。だから、それは矯正局長とすれば、全国各地の刑務所がきちっとしたことをやっておるということを信じておられるんだろうけれども、人間のすることですから、いろいろ私は問題があろうと思うんですね。  そういう事実があるんですが、ごく抽象的にそれをどう思いますかというのもちょっとおかしいが、やはりこんなことは調べられて、後々の刑務所運営に大事な一つの事実として、改めるところを改めるというようなことにされたらどうですか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 実は、昨日の夕刻、質問の通告がございましたので、これに該当するような者がいるのかどうかということを京都刑務所に調べさせました。  京都刑務所では、ずっと受刑した者のカルテが全部とってあるわけでございますから、念のために過去十年ぐらいにさかのぼって全部カルテを見てくれということで調べましたところが、確かに今御指摘の眼科のお医者さんは、京都刑務所から十分ぐらいで連れていけるところで、京都刑務所には眼科の診察をする医者がおりませんので、目に関係するときは京都刑務所がそのお医者さんのところへ連れていっているようでございますけれども、そういうふうなことで、糖尿病によって外部のそのお医者さんのところに連れていった事例は、過去十年間で七名いるということでございました。しかしながら、御質問のような、施設内で糖尿病で、連れていっても失明してしまった、目が見えなくなってしまったというような事例はないわけでございまして、私どもも、それを全部調べるのに十一時過ぎまでかかったわけでございますが、そういう事例はどうも現在までカルテを全部見てもわからない、そういうふうな状況でございます。  ただ、一点だけ、インシュリンをどんどん打つように改善しろというふうにもとれる御発言でございましたけれども、私どもといたしましては、医療の問題は専門の医者に全幅の信頼を置いて任せざるを得ないわけでございまして、お医者さんが親切にその治療に当たるというふうなことの方向で従来もやってきておりましたが、今後もこれまで以上にそういうふうなことをお医者さんにお願いしていきたい、こういうふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 何しろ密室で行われることなんですからね。だから、一般世間だったら、だれが目撃したとか、そのときの状況はだれが知っておるとかというような議論もできますが、全体の雰囲気として、やはり管理ということだけを頭に置くような状況で運営をしておるところは、今のようなことだって、私はそれをまたさらに追及してみよう、追及というかずっと後を追うてその事実を探ってみようと思いますけれども、医者を信頼するとか、しかしその医者も刑務所内の雰囲気というものに影響されずにはおらないんですよ。医務担当者なんかが粗雑な扱いをしてみなさいよ。それを連れていって、おまえ、食べ物で治せと言っておろうがというようなことにもなると、それはお医者さんだって、いやいや、これは大ごとじゃと、それはよほど死にかけておるとかいうことになれば、それは大ごとじゃということになろうけれども、糖尿なんかは、そこで一時間や二時間でどうなるものでもないんですから。  しかし、病院へ連れていけというようなことになると、それは私は相当の中身があってのことじゃないかと思うんですね。私が今情報をキャッチしておるその人が、本当に音羽へ行ったかどうかも、これはわかりませんよ。わかりませんが、それは調べてみますけれども、やはり私が言っておることは、その辺の健康上の問題というのは、世間からいえば、刑務所へ入っていって、さっきも温泉とは違うんじゃというような話があったでしょう。それは温泉とは違うので、刑務所は刑務所なんですからね。だけれども、既に世間から隔離をされて、そして一日の時間を決められて懲役に服するということは、それで刑に服しておるわけですから、ほかの健康上の問題なんかについてはやはり人権ということを考えてやるべきである、こういう趣旨ですから、そこをよく御理解いただきたいと思うのです。  それで、懲罰のための革バンドというのがありますわな。私は見たことはないのですが、これは大体どういうような仕掛けになるものですか。例えば手を後ろへ革のバンドで締めるとか、どういうふうになっておるのかわかりませんけれども、そこの概要を知らせてくれませんか、私が入れておる情報との関係をここでちょっと議論を通じてすり合わせしてみますから。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 革バンドとおっしゃいましたが、これは私どもで通称革手錠といっているものだろうと思います。これは監獄法第十九条及び監獄法施行規則第四十八条に定める戒具の中の手錠の一種でございまして、革製のベルトがありまして、そのベルトに両手首を固定する革製の円筒形のバンドがついている構造になっております。その二つの円筒形のバンドは、いろいろ前にも後ろにも動く、移動させてその場所で固定できる、そういうような状況になっております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 そうすると、それは締めようと思えば何ぼでも締められるのですか。可能性を言うのですよ、私は。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 何ぼでもというのはどういう趣旨かわかりませんが、革のバンドのところに円筒形の革のバンドがついているということでございますから、締めるといっても、何ぼでもというのは、バンドを一生懸命締めても、腹のところがきつくなる。それは締めようと思えば締められるかもしれませんが、革手錠はバンドに円筒形のものがついている構造ですから、そういうふうな構造のものとして使うようなことであれば、その締め方というのは恐らく限度があると思います。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 例えば私らが使っておるこのバンド、自分では腹が痛うなるほど締めないけれども、人が悪気を持って締めようと思ったら、それは苦しくなるまで締められますわな。そういう可能性を持ったものなんですか、どうなんですか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 むしろその革バンドの趣旨というのは、本人が非常に暴れてしようがないときにそれを制圧するためのものでございますから、きつく締めて苦しい思いをさせるというよりは、手の自由がきかないようにするというのが趣旨でございます。ですから、バンドに円筒形の革バンドがついている、そこのところに手を入れさせるわけでございますから、手を入れて固定するわけでございますから、その固定の仕方が、前で固定する場合とかそれから前後ろで固定する場合とかによって、その暴れぐあいによって体の自由を制圧する、そういうふうなものでございますので、腹に食い込むほど締めるということによって制圧しようというわけではございません。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 それはそうでしょう、もともとのつくった目的というのは。しかし、例えば昔私らが使いよったバンドで、穴へぽんと差すようなものは、一番狭くなったところ以上には穴がないんだから、それ以上締めることはできませんわな。しかし、人間のやることですから、こんなやつ一丁やったろかということになれば、それは、それがまた体の自由を来さぬというだけでなくて、腹を圧迫するということにも使われる可能性があるでしょう。それはどうですか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 そんなふうに、今の御質問に出てきたように、故意に意地悪をするために締めるということは全く予定しておりませんのて、バンドの構造は、先ほど委員がお示しになったバンドのように穴があいて、とめ金が穴に入ってそこで固定するような状況になっておりますので、その穴がどこまであいているか、どこまで人間の腹を圧迫するまで狭くなるようにあいているかと申しますと、普通のやせた人でも使える程度のところまでしかあいておりませんから、極端に太った人にとっては穴の一番突端までやればそれは苦しいかもしれませんが、そういうふうな趣旨でやっているわけでございませんので、普通の人が固定できる程度のものだというふうに御理解いただきたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 物を執行するというか実際に自分らが運営している者はそういう説明でもいいんですよ。しかし、信じられることと信じられないことがあるでしょう。信じられないというのは、各人が信じられないというより人間が何かの動作をする場合の可能性ということも考えなきゃいかぬでしょう。そういう意味で尋ねておるわけですから、これは文献で調べてもわかることかもわからぬし、また別に聞かせてもらってもわかることかもわからぬから、この革バンドのことはこれで打ち切りますが、どうなんですか、食事をするときには手は外すんですか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 まず、革バンドをつけて食事をしなければならない人というのはどういう人かと申しますと、革手錠をつける目的といいますか、革手錠をつけるのはどういうときかと申しますと、被収容者に暴行、逃走及び自殺のおそれがある、そういうふうな場合にその目前急迫の危険を防止し、または制止するために使用するわけでございます。ですから、かなり被収容者が暴れていて通常の舎房には置いておけない、そういうふうな場合でございます。  そういうふうな状況で革手錠を使用して食事の時間に食事を出すわけでございますが、その食事を給与する場合におきましては、一時的に革手錠を外すことが可能な状態になっているときには革手錠を解除して食事をさせる、また精神的に不安定な状態で一時的にも解除することが適当でないという場合には、革手錠を緩めるなどして両手を使用できる状態にしてみずから食事をさせているのが一般的な方法でございます。ただ、被収容者が興奮状態にあってこれらの方法をとることができないときには、革手錠をしたまま職員がスプーンなどで食べさせるなどの配慮をしているということでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 多少緩めて手が使われる程度ということになれば、私がイメージしていることよりは少し状況がよいのではないかと思いますが、手を外さずにやるということは、例えば食器を前に置いて犬や猫に物を食べさせるように、そういう状況があるんじゃないかということが私ちょっと心配ですからお尋ねをしたわけです。  それで、法務委員会なんかで刑務所とか拘置所を視察に参りました際に、渡り廊下とか通路を通るときに受刑者が壁の方向へ向かってばっと壁とにらめっこして私らの方に背中を向けますな。あれはどういう意味を持っておるんですか。    〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 国会議員の視察等が行われるに当たりましてすべての受刑者を議員と顔を合わせないように壁の方へ向けさせているというわけではございませんで、現に工場で作業中の受刑者にはそのまま作業を続けさせていることは委員も御承知のことと思います。ただ、舎房衛生夫とか所内を連行中の受刑者を立ちどまらせて壁の方を向かせることがあることは事実でございます。これは外部の人と直接顔を合わせないようにして受刑者の名誉心を保護しようとする配慮のほかに、受刑者が外部の人に対して粗暴な言動、行動に及ぶといった不測の事態を防止するために行われているものということでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 それはかなり合理性があるように、私も答弁を聞いて思います。  それで、そのこととの関係といえば少し違うかもわかりませんけれども、受刑者が作業中にわき見をするというか、ちょっと隣を見るとかいうようなことはかたく禁じられておるように聞くのですが、もう時間がありませんから、もう一つ聞くメーンがございますので、簡単に答えてもらいたいのだが、なかなかそれは、ちょっとこうやったりして、ここの道具をとるとかの関係で顔をちょっと振るとかいうようなこともあると思うのだが、そこらがうまくいくのですか。見ておる者が、つまり刑務官の恣意にわたるようなことになりはしないですかね。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 作業中にわき見をさせないというのは、危険な作業をやらせておりますから、わき見することを許すとけがをしたり、危険なところに手を突っ込んで指をなくしてしまったり、いろいろな事故が起こるからわき見をさせないわけでございます。わき見というのは、自分の作業をするために首を振ることについてはわき見と申しておりませんで、顔を上げてきょろきょろあたりを見回すとか、それから外部の者が来たときにその方をじろじろ見るとか、そういうことをわき見と言っているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 それならばそれは合理性がありますね。  これもある刑務所のことなんですが、同じ舎房というか房の中で、雑居房ですから六人とか七人とか八人とかいる場合に、受刑者によれば碁や将棋をすることを許可されている者がいますね。それをほかの同じ部屋の中におる者がちょっとでも見ようものなら、囲碁観戦というのだそうですな、囲碁をしておるのを見る、戦いぶりを見る、その囲碁観戦は、何というか表みたいなものがあって、それをおまえは見た、見た者は一点つけられるのか何点っけられるのか知らぬけれども、それを三回ぐらいやったら懲罰というような仕組みのものもあるようですが、実際問題として、私はちょっとそれは合理性がないと思うのですよ。わずか二十平米ぐらいのところに七人も八人もおって、隅でやっているのか真ん中でやっているのか知らぬけれども、碁を打っているところを、何か自分の動作、立ち居振る舞いで、便所から出たときにちょっとその方向へ体が向いたら囲碁観戦をやったといってやられたという人がいるんです。そういうのはどうなんですか。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 まず、雑居房に囲碁をすることを許している者と許さない者とを一緒に入れているということはございません。大体こういうのは分類と申しまして、同じような処遇をしていい者をまとめて処遇しておりますから、そういうことはないと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 時間が大分迫ってきたが、では、囲碁観戦というようなこと、そもそもその概念はあり得ぬわけね、それだったら。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 ただ、例えば五人いるところで、囲碁ができるのは二人でございますから、あと三人は囲碁の道具がなければ観戦するほかないわけでございます。その場合に、そこで思わずわっと声を上げたり、やったと言ったり、そういうふうな大声を出す可能性が観戦しているとついついあるわけでございます。ですから、そういうふうなことがないようにという配慮はさせておりますけれども、その観戦をしたからといって懲罰にかけるということは現在ではやっていないはずでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 多少含みがあるような答弁だったが、現在ではやっていないという。分類によって観戦のできないような者は一つの雑居房に入れていない、こう受けとめていいですね。  それでは、これから私が申し上げますことはかなり深刻な問題なのですが、私の杞憂に過ぎればよいわけですけれども。  京都刑務所で一九九〇年ごろ、何か注意をされて抗弁でもしたのでしょうか、保安へ連れてあげられて、そしてしばらくして舎房へ戻ってきた。そうしてその晩、頭が痛いと言い出した。それは結局、やはり肉体的な制裁を、簡単に言ったら暴力を受けるという事例をいろいろ聞くのですが、倉庫なんかへ連れて入って五人も七人もかかってめった打ちにやられるというようなことが報告されるのですわ。私はそういうことも聞いておるから、保安課へ連れていかれて時間がたって戻ってきたら、今度は頭が痛いと言い出して、夜中だから医者に見せるわけにもいかぬしというようなことでとうとう朝が来て、もうその人は一人で歩くこともできぬようになって、刑務官が許可したのでしょうか同じ房の人が背中へ負うたような格好をして医務室へ連れていった、そこから先とうとう戻ってこなかった。後から聞いたら、あれは死んだのだそうなということを聞いておる人がいるのです。  これは最低必要限度なことだから私は申し上げるのですけれども、その人物は、死んだと言われる人はキモトという人なのです。それで、いろいろな情報がまじっておって、これは大変だということで即日仮出獄の手続をとったという情報もある。仮出獄の手続をとったが、実際に体が外へ出るまでに死んでおった。しかし、こういうことがもし情報どおりにあるとすれば、刑務所とすればこれは大変な問題です。だから、きのうちょっと私はそんなこともレクチャーの際に言っておるので、調べられておる限度のことをちょっと言っていただきたいと思うのです。

飛田清弘法務省矯正局長

○飛田政府委員 これも昨日の夕刻の質問通告の中で触れられておりましたものですから全部調べましたけれども、キモトとおっしゃるのは、通称キモトという人だと思います。本名は別にあります。差しさわりがあるものですから申し上げませんが、本名は別です。  この人は覚せい剤等で刑を二つ持っておりまして、懲役一年二月と懲役三年六月と二つの刑を持って入ってきている人でありまして、昭和六十三年十一月二十四日に京都刑務所に入ったわけですが、平成二年八月四日に尿路結石によって休養と申しますか医者にかからせている以外は比較的健康な状況でありました。  ところが、保安課に行ったその晩ということは私ども承知していないのですが、平成三年一月五日の午前二時三十分ごろ、当時四十九歳でありましたが、その受刑者が頭痛と左手足のしびれを担当に訴えまして、医師による診察の結果、意識はしっかりしておりましたが脳内出血の疑いがあるということで、すぐ休養患者として病舎に収容いたしまして、医師が懸命の手当てを行ったわけですが、翌六日午前十一時二十五分ごろ、突然呼吸障害と徐脈、脈が遅くなることを徐脈というようでございますが徐脈を来し、四十分には症状が悪化して昏睡状態になったために心マッサージを実施したが、午後零時五分、脳内出血により死亡する、そういうふうな事情でありまして、刑の執行停止の手続はする暇がなかったということですから、しておりません。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 時間が参りましたのでこれで私の質問は終わらせていただきますが、最悪の場合を考慮に入れての質問をさせてもらいました。拘置所とか刑務所においては、外界と触れる機会が非常に少ないわけですから、要は刑務官とか所長とか課長さん方がどれだけ人間的な対応を事実やられるかということにかかっておるわけですから、その点は政府として最善の方策を講じていただいて、今申しました悪く考えればいろいろ悪い思いがわいてくるようなことが現実の問題でないということにこれからかっちりやっていただければ、こう思いますので、よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時開議

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沢田広君。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 最初に大蔵省の方に地代問題で若干の見解を聞いて、それからまた法務省の方に聞きたいと思います。  例えば東京あたりの、関東地方ですが、固定資産のいわゆる評価が毎年だんだん高くなっていますから、おのずから固定資産税が高くなっております。私の知っているところでも、これは大宮あたりでありますが、年間の固定資産税が大体三百八十万ぐらい、これは都市計画税は別ですが、納める人がおります。その人の地代は二百三十万ぐらいしか上がっていません。毎年幾らかずつ上がるわけですが、といってそう毎年上げるわけにいかないということで、坪当たり二百円とか三百円とかという数字が続くということになって、その場合に大蔵省としては、固定資産税、都市計画税、これは所得税と地方税が両方かかってくるわけですが、最低ですよ、その分については、収入が税より少なくなった場合は損金として、一般の、他に所得があった場合は所得の分を損金として計上できる、こういうふうに解釈することはできるのかどうか、この点回答してくれませんか。

古出哲彦国税庁課税部所得税課長

○古出説明員 地代よりも固定資産税が多い場合にどうなるのかというお尋ねでございます。  まず、所得税の関係でございますけれども、個人が受けます地代や家賃の所得は、これは御承知のとおり不動産所得となりまして、その不動産所得の金額はその総収入金額から固定資産税などの必要経費を差し引いて計算することになっております。この場合に、不動産所得が赤字となります場合には、原則として、例えばほかに給与所得などがございましたら、他の所得の黒字から差し引くことができる、このような考え方でございます。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 それは差額だけですか。全額引くことが可能ですか。

古出哲彦国税庁課税部所得税課長

○古出説明員 今差額と言われる意味は、まず賃料が入りました場合には、これは例えば個人でございますと、それが総収入金額の一部を構成するわけでございます。したがって、それをまずその収入金額として計算する、次に固定資産税の場合には、これがその総収入金額に対する必要経費ということになりますのでその部分を差し引く、順番としてはそのような考え方になっております。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 もう一つ。それは個人であっても法人であっても青色申告であっても同様の扱いと理解していいですか。

古出哲彦国税庁課税部所得税課長

○古出説明員 個人の場合でも法人の場合でも、この考え方は基本的には同じという理解でございます。ただ、現実には、法人なんかの場合でございますと、権利金を授受している場合、権利金を授受していない場合、それから、地代が一体相当な地代であるかどうかといったことで、ケースによっては非常に複雑に分かれる場合がございますが、今委員がお尋ねの個人と法人とで先ほどの考え方の原則はどうだということでございましたら、基本的には同じということになっております。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 大蔵省の見解はわかりましたが、それでも、総合所得でいきますと、その低い地代にさらに、極端に言えば五〇%税金がかかってくるわけでありますから、四百万のところで二百万入ったと仮定して、二百万は一般所得から控除してくれても、二百万の地代の五〇%、百万は所得税として納入する、こういうことになるわけですね。

古出哲彦国税庁課税部所得税課長

○古出説明員 個人の場合で、今委員が御指摘のようなケースで不動産所得が生じ、そしてそれが赤字となっているということであり、かつ他の所得が黒字の場合には、結局総合課税として税率を掛け、そしてまたその税額を計算することになりますので、今言っておられるようなことになると思います。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 そこで、法務の方にお伺いしたいのですが、今の一般的な地代、これは民法ですからいろいろな話し合いになりますが、一般的には固定資産税額の三倍、あるいは五倍ということもありますが、それをもって大体賃貸の金額を決めているというのが多いようです。今後、公示価格といいますか、それの七割なら七割ということになればまた条件は変わるとしましても、現状ではそういう金額になっているというのが今までの、言うならば裁判所を通じて出てきた、話し合いで決めた金額あるいは話し合いを勧められて決めた率というものはそういうふうに聞いておりますけれども、その点は法務省としてはどうでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 土地の地代をどういう基準で決めるかということでございますけれども、借地借家法の十一条によりますと、「地代又は土地の借賃が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。」つまり、土地に対する公租公課とかあるいは経済事情の変化あるいは近傍類地との比較というようなことがございますと増減請求をすることができる、こういうことになっております。これは一方的な請求権でございまして、その請求によりまして客観的に相当な価格が形成される、こういうことになっております。  そういう規定がございますために、例えば実際の話し合い等で地代を決めるというような場合におきましても、このような借地借家法十一条の規定というものを考慮いたしまして、先生御指摘のように、例えば固定資産税額の何倍程度とか、あるいは地価税なんというものがございますのでそういうものについてどういうような評価をするかということで、話し合いの場合においてもそういった決め方がされておるというふうに承知しておるわけでございます。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 これだけでも時間がかかりそうですからあと一問だけにしますが、一つは賃貸契約を結んでいる場合の立ち退き料、これはどちらから求めるか、いろいろありますが、その場合に、例えば公共事業であったような場合でも、立ち退きをしてもらう場合に、あるいは相続であっても最低二分の一は提供するようになりますね。それは地代に影響するのかしないのか、してはいけないのかしていいのか、その点が一つ。それだけ分離して伺っておきましょう。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 土地から立ち退く場合の立ち退き料と地代との関係ということでございますけれども、まず前提として、そもそも立ち退くということは話し合いによる立ち退きということになるんだろうと思うのでございます。例えば地代を払わない、家賃を払わない、あるいは、契約期間が満了して更新を拒絶する正当な事由があるというようなことになりますと立ち退き料ということは問題なしに立ち退かせることができるわけでございます、法律上。  ただしかし、そういう請求権があるかないかはっきりしないというようなときに、トラブルを避けるということで話し合いで立ち退きをするということがございます。その際に立ち退き料をどういう基準で決めるかということは、これはそれぞれケース・バイ・ケースで、当事者間の話し合いということになろうかと思いますけれども、その場合でも、例えば従来非常に高額の地代を払っていたというようなこととか従来比較的低い地代で土地を貸していたというようなことがやはり一つの要素として考慮されるということは、これはあり得ることだというふうに私どもは考えております。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 きょうはこの点で大蔵省にも、いいですが、要するに税を所得税法で一本の総合所得でやった場合には、どうしてもその貸付側の所得の大きさによって変化が出てくるということを私は今言いたかったわけですよ。その人がそれだけしかない人であれば割合それは少なくても済むが、五〇%の税金を納める人になれば、その価格はいや応なしに、その倍を取らなければ税金にも及ばない、こういうことになっていくという仕組みがこの土地という問題にありますよ。  また、皆さんの方の二分の一とか立ち退きとかという問題についても同じようなことが、たくさん持っている方から借りていれば負担は、所得があると言った方がいいですね、所得のある人から借りているときの方が結果的には税金が重くなるわけです、平均的に重くなるわけですから、その分だけ高くならないとバランスはとれていかない。こういう平均運動が総合所得になればなるほど起きてくる、こういう事実関係を認めてもらえば私の論理はこれでいいんですよ、それがどうであるかないかの問題で。大蔵省もそういうことですね。だから、分離課税にすればそれはなくなるが、総合所得でやる限りは、その総合所得の、給料によって、所得によって、五割の人と三割の人と一〇%の人と課税が変わってくる、それだけ変化を与えている、こういうことだということを確認すればいいです。  ほかに質問したいですから、きょうはそれだけ質問しておきます。  それから、これは大臣に聞いておいてもらいたいのでありますが、これはいろいろな判例が出てきて、学校の中で起こったときには学校の責任者、幼稚園で起こると幼稚園の責任者、公民館で起これば公民館の責任者、プールで起きればプールの責任者、そういうふうにそれぞれが、今までの判例をずっと見ていきますと、管理責任というものが皆そこで問われている。だから、それを守るためには、皆使わせないこと以外にないのですね。使わせて責任をとらされたのでは、これはかなわない。学校の校長もしかりなんです、きょうは文部省だけを呼んでいるわけですが。  だから、昔はキャッチボールもできたし自転車も乗れたし、いろいろできたのです。ところが、今はもう絶対立入禁止ですね。そういうふうに社会の公共施設というものが皆閉鎖的になって、常に管理者の責任を追及するから、どこも、埼玉も含め、東京を含めて、個人の空間というのはゼロですよ。一歩表へ出れば自動車。どこかにいれば私有地。いわゆる遊ぶ場所というのはほとんど皆無なんですね。前は、学校の庭であるとか公民館の庭であるとか、皆開放的になっていた。  こういう結果になったのは、いわゆる管理責任を判決でどんどん出してきたから、結果的には、管理責任が問われるんじゃかなわないから、それはもう使わせない。このごろは病院だって、下手に注射すると病院の責任だということになりますから、そういう患者さんはお断りします、こういうことに、だんだん今我々の生活の範囲というのは縮まってきて閉鎖的になって、行くところがなくなってきつつあるというのが現状なんですね。  これは何かといったら、それはそういうふうに判決が出たから。そういう危険を冒してまでやりたくはない。やはり、裁判で負けるというのは商業的にはイメージが悪いですからね、どんなことであろうと。何の職業であろうと、裁判にあの人は負けたそうだといったら、次は前科者みたいに扱われますから。大臣で急にこれは直るものではないのでしょうけれども、文部省と建設省それから法務省から、こういうだんだんと閉鎖的になり、お互いがオフリミットで立入禁止をつくってきた結果、今日遊び場一つもなくなってくる。  サッカーブームになっていますが、南方なんかへ行けば、小さな路地でもどこでも皆子供がやっていますね。いろいろな遊びもやっている。ところが、日本にはそういう場所がなくなってしまった、ゼロになってしまった。これは何でかというと、やはり、これもだめ、これもだめ、これもだめ、こう判決が出た結果なんですよ。結果的にはそういうことだから、この前も質問したが、ボランティア活動もだんだんと消極的になった、ついていってけがをさせたら責任になるから。そういうことが果たして日本のためだったのか、個人の人権を守るという立場で正しかったのだろうか。社会的に沈没してしまえば何もなくなってしまうのではないですか。そういう大所高所の見方というものが欠落していたのではないのかというふうに私は考えられるわけですね。もっと個人のたくましさあるいは個人の挑戦する力、そういうものを尊重していくという判決が望みたかったのではないのかと思うのですが、これは文部省から現状と、それから建設省、公園が少ない、遊び場が少ないという問題を含めて、あと法務省からお答えください。

小野元之文部省生涯学習局生涯学習振興課長

○小野説明員 お答え申し上げます。  今先生御指摘の、学校等で事故が起きた場合の管理責任の問題でございますが、実は、私どもは、学校は子供たちのための教育機関という性格を持っておりますけれども、地域の生涯学習のための、地域の人々にいろいろ使ってもらうための機関に変えていく必要があるのではないかという考え方を基本的に持っておるわけでございます。昨年九月十二日から学校週五日制も一部実施をされておりまして、学校開放をもっともっと進めようということで、今指導しておるところでございます。  御質問のございました、学校でもし外の人が入ってきて事故が起きた場合に、校長さんに責任を問われるということだと学校開放しにくいということがございますので、文部省では、学校の体育施設の開放を行いました場合には、それを所管しております教育委員会が管理責任を負う、校長には学校開放の場合には直接の責任はないということで、開放を進めておるわけでございます。  今、公立学校につきましては、平成元年度の数字でございますが、体育館につきましては八四・七%が地域に開放されております。それから、学校のグラウンドにつきましても八二・一%が開放されております。私どもとしては、学校を地域の人々の生涯学習やスポーツや文化活動にもっと使っていただくために、今後とも開放を進めるよう指導してまいりたいというふうに考えております。

浅野宏建設省住宅局市街地建築課長

○浅野説明員 先生の御指摘の関係で申し上げますと、私どもで所管しております建築基準法の中で道路の幅員を義務づけているところがございまして、基本的には、四メーターの道路幅員をとるように、そうでなければ建築の確認ができないというような規定を設けておる……

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 それは次の質問の答えなんだ。それじゃいいです。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 先生御指摘のように、例えば学校の運動場とかあるいは幼稚園のブランコ等で遊んでいるときにけがをした、あるいは学校のプールでけがをする、あるいはボランティア活動の一環として引率されていった子供が途中でいろいろな、死亡、事故を起こすというようなことに関連いたしまして、裁判所が損害賠償を命じているという事例、数多くあるように思います。ただ、この場合に、裁判所といたしましては、個々の事案について私ども申し上げることはできませんけれども、民法の規定に基づきまして、故意過失に基づいていわば他人の権利を侵害する、こういう場合にはこれは不法行為が成立するということになっているわけでございますし、あるいは国家賠償法にも同じような規定があるわけでございます。  問題は、そういうものの施設の管理をする人あるいは引率をする人に、例えば子供が傷害を受けるあるいは死に至るというようなことについて過失があるかどうか、その過失と死亡あるいは傷害との間に因果関係があるかどうかということについて、裁判所は個別の事案ごとにそれぞれの事実を調査して判断をしているというふうに考えられるわけでございまして、そのことが直ちに学校の運動場とかそういったものの開放、何と申しますか、そういうものの障害になるというふうには必ずしも結びついていくものではないのではないかとは考えているわけでございます。あくまでも個別の事案として過失があったかどうかという点が争点であろうというふうに思うわけでございます。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 今、文部省が教育委員会がと言ったけれども、それは教育委員会であろうと校長であろうと、判決では皆何千万かの損害賠償を払っているのですよ。だから、なるべく、校長であろうと何であろうと、教育委員会は申請をして許可を与える、野球をやるとかサッカーをやるとかというものにだけ認める、開放するのであって、一般の親子がキャッチボールをやったり何かすることを認めているものではないのですね。だから、今言った答弁は、一般の市民がそういう形でできるような仕組みにしなければ閉鎖環境は変わらないということを今言っているわけです、私の言っているのは。だから、一般の市民が、あるいはお父さんやお母さんと一緒になって遊べる場所というものを提供しなければ何にもならないですよということを言っているので、答弁になっていないのですよ。  きょうはいいですよ。これは大臣も、幾らか頭のどこかへ残しておいてもらいたいのです。これは、日本の首都圏関係あるいは大阪圏全部均一の課題です。子供がだんだん、うちの中で遊ぶしか道がなくなってきて追い詰められてきてしまっているという、限界に来ていると私は今思っているのですよ。そういう状況をつくり出してきた今日までの元凶の一つは裁判所にも原因がある。自分がそうだからはたもそうだと思われたのでは困るので、もっと開放的に、いわゆる国民の財産、国民の土地であり社会の施設である、そういう前提で物を解釈していくことが極めて必要だということを、もう後は意見の交換はしませんが、局長の方もそういうことを考えて各省に、公園、いわゆるだれもいない、監督者もいなくて遊べる場所、そういう広場の提供を、大蔵省だって、財産、物納がうんと多いのですから、そういう場所を、物納の場所をどんどんそういうものに使うように、大蔵省いなくなってしまったけれども、大臣からちょっと言って、とにかくそういう遊ぶ場所をつくってやる。サッカーがこれだけはやったって、ボールをける場所は一つもありませんよ。全然ないですよ。道路でやれば危ないし、球はどこへ飛んでいくかわからないですし。だから、ぜひそういうものが開放されることを期待します。  次に、もう四メートル道路の問題は簡単に言います。  今まで、四メートル道路になったという理由は、私も分科会で質問しまして、昔、昔といっても戦後すぐなんですが、北海道かどこかで裁判があって、後退二メートルというのは受忍限度である、こういうことでいわゆる建築確認のときに二メートル後退が判決されて、それがその後慣行的に、日本じゅうそういうことが建設省の方針になってきたわけです。それで、二メートル後退は建築確認をとるときの要件。ただ、一平米六百万も八百万もするような東京あたりへきてこの二メートル後退というのは極めて重いのですね。十メートルあると実に二十平米、七坪ぐらいになるのですね。それが八百万もすれば五千万以上の金になってしまうのですから、そういうことが果たしてこれから可能なのかということが一つ。  それから、六メートル道路に今度なるわけですね、この前の都市計画法が変わりまして。六メートルになった場合に、これも、自治体もそうですが、どこかが裁判でも望んでいて、負けてくれれば六メートル後退になるか、三メートル後退になるかと期待しているのかもしれませんが、その辺を建設省と自治省、法務省は六メートル道路になった場合にどう対応するのか、お答えいただきたいと思います。

浅野宏建設省住宅局市街地建築課長

○浅野説明員 ただいま先生の方から御指摘いただきましたように、現行の建築基準法の中では原則として四メーター以上の道路に接しないと建物が建てられないという形になってございますが、ただ、特殊建築物でありますとか大規模な建築物につきましては別途公共団体の条例によりまして強化することができるということもされております。  ただ、昨年の六月の都市計画法及び建築基準法の改正によりまして、この道路の幅員基準につきまして改正がされてございます。それは、建築物の今申し上げました。途でありますとか規模の大きさという点だけではなくて、地域の特性でありますとか土地の利用状況に応じましてその幅員を強化する必要性があるのではないかというような御指摘がされておりました。例えば積雪が非常に著しい地域でありますとか、あるいは開発許可でいろいろな開発ができますと、原則的には六メーター以上の道路……(沢田委員「結論だけ言ってください、六メートルの。ほかのことを言っているんじゃないんだ」と呼ぶ)はい。  そういう場所につきましては、四メーターではなくて、特定行政庁が都市計画審議会の議を経まして六メーターの道路というものを求めることができるような改正がされております。一沢田委員「買うのか寄附させるのか、どっちかと聞いているんだ」と呼ぶ)これにつきましては、義務づけでございますので特段補償というようなことは考えずに幅員を求めるという措置でございまして、昭和二十五年の基準法の施行以来とっておるものでございます。

中川浩明自治省行政局行政課長

○中川説明員 お答え申し上げます。  地方公共団体が行っております行政につきましては、基本的には法令の規定に従って適正に行われることがまず第一でございます。しかしながら、行政事件あるいは民事訴訟等の訴訟に発展する場合もないとは言えないと思います。そのような場合には、地方公共団体におきましては、弁護士等に相談、依頼するなど適切な対策をとった上で主張すべきところは主張するという考え方で、必要な対応を図るべきものだと考えているところでございます。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 結局今の建設省の方針ではいわゆる中心より三メートル後退でやっていこうということのようなんですが、やはり価値判断をもう少ししてもらって、バブルであろうとなかろうとこれだけ土地が上がってしまっているのですから。しかも、それでも傾斜的な、建ぺい率からいってもそれから日照の問題からいっても相当な制限がほかにも加わるわけなのであって、さらに何千万かの土地を三メートルも後退させていくという——全部買収するならしたらいいじゃないですか。それをただ、どういう理由をつけるかわからぬが、これも四メートルと同じように後退しろなんて言ったら恨みつらみを買うだけですよ。建設省も自治省もこれは話し合って、やはり買っていく。今の都市計画だってそうじゃないですか。都市計画をつくられたときは皆買っているんじゃないですか。それが個人が家をつくるときだけは没収。  これは大臣にも言っておきますが、区画整理法だって土地を今二割五分とられるといったら、三十坪のところで七坪とられるのですよ。今の価格で区画整理法がこんな法律で成立するかというんですよ。こんな無謀な、泥棒よりひどいじゃないですか、国がやることは。二割五分とられるということでどれだけ国民が痛みを感ずるか。ようやく家を建てた中から七坪もとられたらどうにもならないですよ。百坪もあれば二十五坪ぐらいとられてもいいかもしれませんが、しかしそれだって大変なものだ。金で換算してもっと下げてやるとか、何か方法を区画整理法でも考える必要がある。  これは余計なあれだったですが、以上でこれは終わります、終わりますけれども、この六メートル道路、強制でとっていくという政府の方針は、これは改めてもらう必要があると思います。  次に、今出ている法律ですから、これは大臣聞いておいて、行政手続法の法律なんですが、これには、不服審査法で皆やるのですが、行政指導だけはないのですよ、救済措置が。だから、行政指導は幾らここで規制してみても、これこれしなければ認めないぞといって、認めないで事が済んでしまう。罰則がない。法律では全部行政手続法、罰則がないのですよ。あとは不服審査法でやりなさい。それ以外に行政指導の部分については何も罰則がない、精神文章。いわゆる飲み屋さんでお酒を飲ませてはならないという交通法規と同じなんですね。これでは何にもならないだろうと思うのです。これは念のため頭に入れておいていただいて、この行政手続法の行政指導にかかわる部分は何もチェック機能、公務員法違反で訴える以外にない。それは不許可になることを前提で片方はやらなくてはならない、いろいろなものを。ですから、これはつくってみても、なかなかそこの部分では効果を上げないんじゃないかという気がします。これはもうこれで。  それから恩赦について。いよいよ迫ってきました。いろいろ関係者は心配している人たちも多いと思うのであります。細かい点はもちろん発表できないだろうと思うのでありますが、おおむねの方向程度のものはいろいろ報道では我々も知っているわけでありますが、どういう形になっていくのか。これもいろいろの反響があると思いますので、この際、大体法務委員会も終わりらしいですから、一応お聞きしておきたいと思います。    〔委員長退席、田辺一広)委員長代理着席〕

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 かねてお答えをいたしておりますように、恩赦は実施する方向で、もう事務的には最後の段階でございます。六月九日に恩赦を実施する。  恩赦については、今さら釈迦に説法ですけれども、政令の恩赦と個別恩赦があって、政令恩赦は大赦、それから減刑ですか、それと復権、この三つですね。あとの個別恩赦の中には、基準を内閣が決めまして、その基準に合致している人について申請を受けて、そして中央の保護審査会、ここで審査をして、それでよかろうということになると法務大臣を経て閣議で決定をしていくという、この基準を決める恩赦と、もう一つは、これは毎日、日常個別恩赦をやる、この二つの制度がありますね。そして、それは、対象は、特赦、減刑それから刑の執行免除、復権、これだけあるわけですが、今回は基準を決めて恩赦でやりたい。したがって政令恩赦はやらない。したがって、先ほど言った五つのうちの四つについて恩赦を申請によってやっていく。その対象となる罪については、これはこの基準の中で決めていきたい。  その際、何といいますか、国会等でやかましいのは、選挙違反についてどうするんだ。こういう時期だから選挙違反を恩赦の対象にするのはけしからぬという御主張と、逆に、それはおかしいじゃないか、選挙違反だけなぜ特別扱いにするんだ。しかも、その特別扱いの中に、選挙違反をむしろ恩赦の範囲を広げてやるべきじゃないか、こういったような相反する要求がある。私は、基準恩赦の中にはすべての罪種を入れますが、しかし選挙違反について特別に広げる意思もなければ狭める意思もありません。これは他の犯罪の罪種と同じように、該当するものはよかろうし、該当しないものはだめだ。個別に申請を受けて基準に従って実施する、こういう考え方が大きな今日までの私の考え方でございます。  それで、事務的には詰めておりますが、いずれにせよ、これは閣議で決めなければなりませんので、最終の段階、どうなりますか、何ともまだ確言をいたしかねる、これが実態でございます。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 残された時間で、簡単でありますが、この前質問しました世帯主というのは、今の憲法からきて、あるいは民法あるいはまた国保法等がありますが、その意味する法律の解釈はどうなのか、これは簡単に。それから、筆頭者というのがありますが、この筆頭者というのは法律上の地位と社会的地位を含めてどういう役割を持っているのか。それからもう一つは、住民票というものはどういう性格と役割を持っているのか。以上三つについて、それぞれお答えを、これは定義ですから余り長々言わなくていい、こういう意味ですと言ってくれれば、書いてあるのを読んでくれればいいですから。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 まず戸籍の筆頭者の意味でございますけれども、戸籍法によりますと、戸籍は本籍と戸籍の筆頭に記載したる者の氏名によって特定をする、こういう表現があるわけでございまして、要するに戸籍を特定するための手段である、こういうことでございます。  私どもは、戸籍を請求する場合に、本籍というのがまずありますけれども、本籍には、何人もの人が同じ本籍を持っているということがございます。そこで、本籍の表示だけでは戸籍を特定することができない。そこで、それを特定する手段として戸籍の筆頭に記載した者の氏名を特定する手段として使う、こういう意味でございます。  したがいまして、それだけの意味しかないということでございまして、そのほかに特別に身分的な地位とかあるいは戸籍の中における特別な地位というものはない、こういう意味でございまして、言うならば戸籍の索引をするための技術的な概念である、こういうふうに申し上げていいかと思います。  世帯主の方は、これは住民基本台帳、自治省の所管でございまして、私ども自治省と関係がございますので、私どもの方で理解している世帯主の概念というのは、まず、世帯というのは居住と生計をともにする社会生活上の単位である、そういうことを前提といたしまして、世帯を構成する者のうちでその世帯を主宰する者が世帯主である、こういうふうにされております。  この世帯を主宰するということの意味は、主として世帯の生計を維持する者である、そういう者として社会通念上妥当とされる者、こういうことでございます。  したがいまして、戸籍の筆頭に記載した者であるから世帯王であるとか、あるいは世帯主が常に戸籍の筆頭者であるとかそういう関係にはございません。同じ世帯に属している者でも戸籍の筆頭に記載された者がいるということもございますし、あるいは学生などが都会に出てまいりまして住居を移しますと単独で世帯主になる、こういうようなこともあるわけでございまして、両者は法律的な関係はない、こういうふうに理解しております。  それから、住民票は住所を証明するための手段である、こういうふうに言っていいかと思います。

石本宏昭厚生省保険局国民健康保険課長

○石本説明員 簡単にお答え申し上げます。  先ほどの法務省の解釈と同様、私ども国民健康保険におきましても、世帯主とは、四十二年十月の五省庁共同通知によります「「主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当とみとめられる者」と解する。」ということで運用をしております。

沢田広日本社会党・護憲民主連合

○沢田委員 筆頭者は、これは索引のためだということですから、これはわかりました。世帯主は非常に誤解をしやすいですね。今の厚生省でも、主として生計を維持する者といったら、奥さんが弁護士なんかで収入が多くてだんなさんがサラリーマンだなんていうと、ではどっちが世帯主になるのかということも出てきますし、これは非常にあいまいな表現ですから、適宜考えて直してもらいたいと思いますね。それから、住民票もいろいろと表現の方法に問題があるようですね。だから、住民票がもし住所を表示するだけだったら、住所を表示するだけにとどめる。間柄関係であるとか、そういうものを表示してまで内容を世間に発表するとか採用者側に発表するとかいう必要性はないと思いますので、御考慮いただきたいと思います。  残念ですが、時間がなくなりました。以上で終わりますから、後に続いてやっていただきます。  終わります。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員長代理 鈴木喜久子君。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 まず最初に、裁判所の方に伺います。  ことしの四月二十七日に、東京地裁の裁判所内で警備員の方が刺し殺されるという事件が発生しております。まず、この刺殺事件の概況をお知らせいただきたいと思います。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 今御指摘の事件の概況を申し上げたいと思います。  事件が起こりましたのは、ことしの四月二十七日、午前十時ごろのことでございます。東京地裁に係属しておりました婚姻無効確認請求訴訟の第一回口頭弁論期日、これが十時に指定されておったのですが、その前に、その事件に出頭のために法廷に来ましたこの事件の原告である女性、これは二十四歳の方でございますが、それからこの事件の被告の男性、これが四十四歳の方でありますが、この二人が開廷の直前に傍聴席で顔を合わせたわけであります。その際に、被告の男性が隠し持っておりました刃物を取り出しまして、原告を法廷付近の廊下に連れ出したということであります。  そこで、廷吏がそのことを連絡いたしまして、裁判所の警備の担当者でございますが、警備係長ほか数名の警備員がそこに駆けつけた。女性の方はその男性から逃げようとしたということで、それを男性の方が追いかけようとした。それに対して警備係長等が制止しようとしてもみ合いになったということであります。その際に被告の方が、係長それから原告の女性、この二人を刃物で刺したわけでございます。これによりまして、原告の女性は傷害を負い、係長は死亡したということでございます。  このような事件、裁判所で裁判所の職員が職務執行中に殺害されるという事件でございまして、これは裁判所で初めての事件でございます。まことに残念でございますし、痛惜の念にたえないと考えておるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今、裁判所の職員の警備の方が亡くなった、こういう形で殺人が行われたことは初めてだというふうにおっしゃいましたけれども、一般の当事者が同じように裁判所内で、しかもやはり事件のもつれといいますか、感情のもつれから、民事ないし人事的な、家事的な事件、そういった事件での殺傷というのは三年前にも神戸で発生しておりますね。私は、第百十八国会でそういった問題について、そのときにも、大変危険であるから、こういうことは二度と発生しないようにぜひ気をつけてほしいという意味でここで質問をしたわけでございます。  今回の事件と中身は違いますけれども、同じように感情のもつれから非常に思い詰めた人がそういう行動をとる、または会った途端に憎しみやそういうものが爆発してくるというようなことは、実際裁判に携わっておりますと、私たちも何回も経験することがあります。百十八国会のときにも私はそのことを申し上げましたけれども、私も東京家裁で非常に恐ろしい目に遭いました。  調停ですからそれぞれの当事者の控室が分かれていますけれども、その控室の片方の側に私の依頼者の相手方、要するに夫が来まして、そしてその女性のところにぱっと来て、刃物はそのときには持っていなかったのですけれども、つかみかかりスカートをぱっとめくるというような、何といいますか、男女の問題のもつれですから、公衆の面前では非常にひどい仕打ちがありました。そして、顔面蒼白だし、どこに刃物を持っているかわからないということで、そのときもたくさんの警備の方に守られて、私とその依頼者である女性は一緒に、裁判所の車を後ろに用意していただいて、そこからさっと逃げることができたわけですけれども、そういった経験は、弁護士ならばだれでも何回か持っていると思います。  もう一回も、私はそれも刃物を持っているだろうと思って、自分では刃物をよけるチョッキなどは持っていませんから、何枚も何枚もすごくたくさんの洋服を着まして、オーバーを着たままどんなに暑くても脱がないで、これなら心臓までいかないだろうと思って対峙するというようなことも実際問題あるわけで、後で考えるとおかしくてしようがないのですけれども、そのときは真剣にそういうことをやったりする。そのぐらいのことが行われる可能性というのは家事事件では当然あると思うのです。  今回の事件は、第一回の口頭弁論だと言われました。そして、新聞などを見ますと、そのときの訴状ではそういったことが予想されるようなことが載っていなかったというお話が載っておりましたけれども、本当にそうなのでしょうか。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 今御指摘のように、家事事件あるいは家事絡みの人事事件におきましては、当事者の間で感情の対立が非常に激しいということがございまして、そういう危険性があることは御指摘のとおりだろうと思います。  今回の事件におきましては、当事者は裁判所が予想もしなかったような行動に出たということでございました。ただ、こういう事件が発生した後から考えてみますと、実はこの事件は、訴訟の前に家裁で調停がありまして、調停が不調になったので訴訟になったということであります。訴状によりますと、その家裁の調停におきまして被告の男性の方に粗暴な行動があったというような記載があったわけでございます。ただしかし、このように刃物を持って相手を傷つけるということまでは予想できなかったということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 新聞の報道がすべて正しいとは思いませんけれども、しかし談話として、所長代行が、訴状の中にはそういうことを予測させるような記述は全くなかったということをはっきりおっしゃっている。複数の新聞にそれが出ています。こういうことは訴状を読めばわかるわけですから、もちろん後から見ての話ですけれども。それも一つ私たちは非常に不安になるし、裁判所に対して不信感を持つことになりますので、そういった談話も気をつけていただきたいと思います。  そういった、訴状を見ても、粗暴な振る舞いが調停のときにもあったということがわかっている者に対して、そういうことがあったら、例えば訴状の中からとか、そのほか、例えば代理人がちょっと事前に注意をするとか、そういうことがあった場合には裁判所はどういった心遣いをされることになるのですか。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 今御指摘のように、訴状等を見まして、あるいは当事者が事件受け付けの際の言動等によりまして危険が予想されるというようなことになりますと、それに応じた対策を立てなければいけないだろうというふうに思います。そのためにはまず情報収集といいましょうか、人事事件の場合ですと家裁の調停等を経ておる事件がかなりあろうかと思われますので、家裁に連絡をして、家裁の調停の際にどういうことがあったのかというようなこと、あるいは原告には代理人がついている場合がかなりあろうと思いますから、原告代理人の弁護士さんにも御連絡を差し上げて、こういうふうに書いてあるけれども果たして大丈夫だろうか、あるいはどの程度の危険性が考えられるだろうかというようなことを十分情報を集めまして、それに応じた対策をとらなければいけないだろう。例えば原告本人が出てくるというような場合には、被告と接触を避けるといいましょうか、そういう事態にならないようないろいろな配慮が必要であろうというふうに思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 配慮が必要だというのは私だってだれだってわかりますよ。実際にやっておられるかということが問題だと思うのですけれども、今回の事件においてもそういった形での問い合わせなり、原告の女性には代理人がついていた、代理人の方もそのことを一言言ったかどうかということもありますけれども、その代理人に対しての連絡をするなり家裁への問い合わせをするなり、第一回の口頭弁論が開かれるまでにそういうことはされたのでしょうか。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 結果から申しますと、本件におきましてはそのような連絡はしておりません。  これはあるいは弁解になるかもしれませんけれども、訴状にいろいろなことがいろいろな事件で書いてあるわけでございまして、具体的な措置をとる程度の必要性があるのか、あるいはこういう離婚あるいは婚姻無効に至ります経過におきまして相手からいろいろなことがあったという記載がよくございますから、その記載を見まして、どの程度の危険があって、相当厳重な警備が必要な事件であるか、あるいはそれほどでもない事件であるか、いろいろなことを考えなければいけないわけですが、本件では不幸にして、訴状の記載からそのような非常に危険な事件だということまではうかがえなかったというようなことでございます。先ほど言われました所長代行の談話というものも恐らくそういう趣旨で発言されたのではなかろうかというふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 私、民事局長に三年前の百十八国会のときにも同様の御答弁をいただいているわけですね。そのときにおっしゃっているのでは「今後、おっしゃるような本人訴訟も確かにございます」、本人訴訟というのもそういう意味で代理人がついていない分だけ危険が大きい、生でぶつかるわけですから危険が大きいわけですけれども、そのことをちょっと私も申し上げたときだと思うのですが、「本人訴訟も確かにございますので、例えば訴状の内容であるとか訴状を持ってきたときの当事者の態度あるいは答弁書の内容というものを十分配慮をして、きめ細かくこういう事件が発生するおそれのあるような状況については把握をして、それを裁判部それから警備に当たります事務局に徹底させたいと考えている」、そういう御答弁があったのですけれども、一体、三年前にこういう御答弁をいただいてから、それより前とそれから今までの過去三年の間というものとでは体制が変わったのでしょうか。  ここで質問するというのは、私は、ただ質問してお答えをいただくのではなくて、実行をしていただきたいと思って質問をしているわけですけれども、こういう御答弁をいただきながらまた同様の事件が起こるということについてどのようにお考えかもあわせてお答えをいただきたいと思います。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 ちょうど三年前でございますが、鈴木委員から今のような御質問があり、私の方がそのようにお答えした、私も非常によく覚えておるわけでございます。  その後、神戸の事件につきましては、各裁判所にこういう事件が起きたということを連絡いたしまして、特に人事事件等については今お読み上げになりましたような配慮が必要だということを各裁判所に連絡をして、各裁判所は各裁判所なりにそれぞれ対応してほしい、こういう連絡をしたわけであります。その後、各裁判所におきましては十分の警備体制の見直しというようなことを御検討いただいたということでありますけれども、残念ながら今回の事故が起きたということでございまして、これはまことに残念なことだというふうに思っております。  私の方としましては、今回またこういう事件が残念ながら起きたわけでございますので、早速翌日、四月二十八日でございますけれども、全国の高裁、地裁、家裁に対しまして、今回の事件はこういう事件であるという概要をお知らせいたしまして、さらに細かな警備体制を再検討するということを各地にお願いをしたわけでございます。  また、私どもの方でも、現在どのような点にもっと細かく配慮をすべきかという注目点というようなものを今検討しておりまして、その点についても全国の裁判所にこれからお願いしていきたいと考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 私も三年前に同様のことを質問し、きちんとお答えをいただいていながら、具体的には今のように、こういう事件があったから各裁判所でちゃんとしっかりやりなさいよというような通知を出されただけで、それでどこの裁判所もやってもらっていると思うというようなことでは済まないのではないかと思うのですよ。本当に、もう少し具体的にお答えがいただけないのかなと思うのです。  こういった事件について、だれでも考えつくことだろうとは思いますけれども、こういう事件が起こらないようにするための予防的な措置というものが一つ。起こってしまった場合に被害を最小限に食いとめるという措置が一つ。それから、もしそういったことを行った者がいれば速やかにそういう者を逮捕して、その後のほかの利用者、裁判所の庁内にいるような一般の人たちの恐怖というものを早く逃れさせてやる。この三つはどうしてもそれぞれ必要なことだと思うのですね。今おっしゃった内容、さらに一層の警備体制を厳重にというのは、一体そこのどこの部分について何をおっしゃったのか、もう少し具体的な指示をされた方がいいと思うのですが、その点で何か考えていらっしゃいますか。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 今御指摘の点は、そのとおりだろうと思います。  今ちょっと抽象的に申し上げましたが、現在考えておりますのは、一つは予防の問題でございます。予防といいますのは、危険性の予知といいましょうか情報収集ということでございますが、人事事件におきましては家事調停を経由している場合が多いわけでございまして、その場合に地裁と家裁との間で警備の必要性に関する情報を交換する、そういう体制をつくることが必要じゃないかということが一つであります。  それからもう一つは、原告あるいは被告の代理人である弁護士に対しまして、事故防止のための情報提供の依頼、あるいはそういうことについて御協力いただく、これもそういう体制をつくることが必要ではなかろうか。  それから三つ目といたしましては、各裁判所におきましていろいろな形で、こういう危険な事件につきましては警備体制といいましょうか警備要領というものをつくっておりますけれども、そういうものをもう一度見直す必要があるのじゃないかということであります。  それから、第二の、そういうことであっても具体的な危害が生じたということに対する対策でございますけれども、今回の事件を教訓にいたしまして、例えば法廷警備員に対しましては、こういう危険が及ばないような防御用の装備といいましょうか、具体的に考えていますのは、防刃チョッキといいましょうか、そういうようなものを着用できるように配付をしたいというようなことで今検討しておるということでございます。  それから、最後の、こういう犯人といいましょうか逮捕ということになりますが、これは犯人の逮捕ということになりますと警察当局の担当ということになろうかと思いますけれども、裁判所としましても、こういう事件が発生しました際には、その連絡体制でございますが、今回は比較的早く、連絡はすぐできたようでありますけれども、そういう連絡が怠りなく行われるようにしなければいけない。あるいは裁判所の出入り口といいましょうか、犯人が外に出ないようにというようなことをやらなければいかぬわけですが、このためには連絡体制が十分できておらなければいけませんので、そういう点も十分考えなければいけないだろうということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 まず第一のところから伺いますけれども、情報交換ということについては、確かに出てくるものがいろいろな、例えば前の地裁の調停段階での情報とか関係当事者それぞれからの情報というふうなことをおっしゃいましたけれども、例えば訴状を出すときに小さい紙でも用意して、家事事件とか人事事件の場合だけでもいいのですけれども、まあ全部やったってそれほどではないけれども、この場合には何か特別に警備について要望がありますかみたいなことを書いた紙を一枚当事者に渡して書いてもらう、そのぐらいのことはできないですか。  例えばそういうものがあって、それにいろいろなことを書かれたら大変だというような、事務が煩瑣になるということもあるでしょうけれども、それはわかりますけれども、しかしその中でそれがどうかということについてやはり当事者からの申し出が、何もなくて、ただ言ってこられたときだけやりますよというのではなくて、ありますかと裁判所の方から聞くぐらいの、そういったものをひとつ訴状提出のときにでもするというような、または後から送ってくださいという形で、受け取った人にはそういう紙を渡すとか、そういうようなことを何か考えていただきたいと思うのですよ。  ただただ情報を、訴状を全部読んでから中からっかまえてというと、先ほどのようにそごがあるというふうなお答えにもなりかねないわけですね。ほかのこともいっぱい書いてあるからそこの部分を余り重大に考えなかったというようなお答えになるのではこれは困るので、そういうことをぜひひとつお考えいただきたい。これが第一点です。  それから第二点で、防刃用のチョッキというものも多分要ると思うのですが、その警備の人たちに対する訓練というのは日ごろどのように行っておられるのですか。それと両方、まずお答えいただきたいと思います。    〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 第一点の、訴状受け付け時に警備要請が必要かどうかというような照会のような書面でもとったらどうか、こういうことでございます。  実は、今ちょっと観点は異にいたしますけれども、民事訴訟におきましては訴状を提出いただく際にいろいろな、これは警備の関係ではございませんけれども、事件の処理との関係でいろいろ照会をしております。そのようなものの一環としてあるいはそういう警備の要請というものも、これは事件を限って、あらゆる事件というわけにはいかないと思いますけれども、危険性の高いような事件についてはそういうことをやるということも十分検討に値するのではないかと思います。せっかくの御指摘でございますので、十分そのあたりは検討させていただきたいというふうに思います。  それから、二番目の点でございますが、法廷警備員の訓練でございますが、法廷警備員につきましては私どもは直接の所管ではございませんけれども、警備員につきましては今まで、通常予想されるような裁判所での出来事に対する訓練、一般的な訓練というようなものはやっておるということでありますけれども、果たしてそれが今回のような事故を防ぐのに適当であったかどうかというようなことは問題でございますので、この点も、どういうようなことをやればいいかということについては現在も検討しておるところでございます。ぜひそういう点も、こういう事故がないように、あるいは事故が起こった場合に被害を最小限に食いとめるというためにはどういうことができるかということもあわせて十分検討していきたいと思っております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今のお答えのところで、この警備についてはどこが責任の所在を持っておられるのですか。裁判所じゃないのですか。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 どうもちょっと舌足らずで申しわけありません。もちろん警備員の警備あるいは訓練ということにつきましては裁判所でございます。直接の我が民事局の所管ではないという意味でちょっと申し上げたので、どうも申しわけございませんでした。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 民事局の所管ではないとすると、どこの局の所管になるのですか。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 法廷警備員の執務につきましては直接には総務局ということになっておりますが、ただ、もちろん民事事件、私が来ておりますのは、民事事件に関連して発生したものですから民事局、それから刑事についてですと刑事局、それから家裁事件につきましては家庭局、それぞれが総務局と協力しながらやるという趣旨でございます。また、先ほど申しました法廷警備員に対しいろいろなものを給付するということになりますとこれは経理局ということになりますが、いずれにしましても、最高裁判所、裁判所当局全体としてこういう対策を立てなきゃいけないということは当然のことでございますし、私どももそのように考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 その所管というのはよくわかりませんけれども、今民事局が裁判所の特に民事の問題については、そこで国民もそれからその他の人たちの安全ということについてもその任を負っておられるということで、総務というところでその全体があるとしても、訓練にしても、そういうこともすべてどこか一つのところでやられるのではなくて、民事は民事、刑事は刑事という形でやられているということであれば、今の民事局長さんの範囲でやられているというふうに考えていいわけでしょう。そうじゃないのですか。  それとも、総務もありますし、私どもの所管ではございませんからというふうに言われてしまいますと、一体どこから私はきっちりとしたお答えをいただけばいいのか。例えば警備員の訓練をするときには一体だれのところにどのように私は質問をし、お願いをしたらいいのかということをもう一回はっきりと教えてください。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 法廷警備の関係は私どもももちろん責任を持って答弁しておるわけでございます。先ほど申しましたのは、警備員の訓練ということがございましたので、その訓練のやり方等につきましては一応私どもの所管ではないと申し上げたのでございますけれども、法廷警備体制をどうするかとかいうことは、これは裁判所全体にかかわる問題でございますし、具体的な事件との関係を離れて抽象的に言うわけにもいかない問題でありますので、裁判所事務当局としましては、裁判所事務総局全体として対応をしていくということを申し上げたわけでございます。私がきょうこちらへ来ておりますのも、その関係各局とも連絡をとった上で来ておるわけでございまして、最高裁判所事務総局として御答弁申し上げているというふうに御理解をいただきたいと思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 では、今ここで今井局長が言われていることが、最高裁判所の中の警備に関しては全部裁判所としてやりますとか、これからもきちんとやる覚悟ですということと受け取ってよろしいわけですね。  それで、訓練のことについては結局よくわからなかったのですけれども、今まではどういうふうに訓練をしているかということはおわかりにならないのか。例えばこういう民事の場合には、公安事件のように大挙して押しかける人をどのように整理し、安全を保つかという問題とはおのずから別個の問題でありまして、恨みは深いけれども広くはないですよね。ですから、そういうようなときの体制というのはどのようにするかということについて、もうやっておられるのか、これからやるつもりがあるのか、これをまずお聞かせいただきたい。  それからもう一つ、逮捕の問題が三番目で残っているので一緒にお聞きしますけれども、今回の問題では六階の六一五号法廷というところで起こったということですよね。その裁判所の中で六一五号法廷というのはちょうどビルの真ん中辺のところの部分にある法廷の一つだろうと私は思うのですけれども、そのところからガラス戸を押しあけて中央に通っている大きな廊下に出る、そうすると、ちょっと行ったところにエレベーターホールが両方にずっとあるような形になっていると思うのですね。  裁判所というのは階段がどこにあるかというのを見るのはすごく難しくて、どこに階段があるのか一見してわからないし、それからエレベーターも今何階まで来ているかということが私たち一般にはほとんど見ることができないすごく不親切な建物であると思うのですけれども、どこに行けば一番早く乗れるかということは直前にならないとわからないような、ボタンを押してもならないようになっていて、そんなにすぐおいそれと、ぱっといい調子でエレベーターに飛び乗って一階におりるということもできないのじゃないか。階段も見つけるのが大変、非常階段とは書いてあるのだけれども、非常に小さく書いてあって、そう一般の人がわかるようなあれになっていないと思うのですよ。  にもかかわらず、今回のこの犯人はその中でとうとう逃げおおせてしまったわけですよね。結局は、まだこの庁舎の中のどこかにいるかもしれないということで一時パニック状態があったというふうに報道されていますけれども、いたかいないかわからないけれども、返り血を浴びながら、その後、要するにその建物からもう出ていってしまっていたわけですよね。その後の捜査は別としても、裁判所のその建物内においてそういった犯人を、今刺した、刺し殺しているその犯人を取り逃がすというような形でのあり方というのは非常にずさんだし、なまぬるいし、国民にとったら危険で危険てしようがないということになってしまうと私は思うのですが、この点、いかがでしょうか。

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 第一番目の警備体制の問題でございますが、これにつきましてはもう既に現在検討を始めております。ただ、結論といいましょうか、それはまだ時間がかかるということであります。  それから、第二点でございますが、あの庁舎は非常に大きゅうございまして、私も何年か勤務したことがございますが、エレベーターの数も非常に多いし、階段の数も非常に多いという建物でございます。エレベーターの問題につきましては、先ほど御指摘ありましたように、今どこにいるかわからないというところが確かにあるわけでございますけれども、どうも建築的にはそちらの方がいいのだというような説もあってああいうことになったというふうに聞いております。  ただ、それはそれとしまして、エレベーターの数が、数えたことはありませんが、恐らく何十という数があるのじゃないかと思います。また、階段も非常にわかりにくいというのはおっしゃるとおりでございますが、あの庁舎自体はその階段の使用ということを非常階段という取り扱いをしておるようでありまして、上が十八階の建物ですから、階段を使ってずっと行かれるという方はほとんどおられない、非常に勝手を知った人でないとわからないというような構造で、非常時にはランプがつきましてよくわかるようにはなっております。私も訓練をしたことがありますので知っておりますけれども、そういうようなことでございまして、そういう非常に複雑な構造になっておるわけであります。  それはそれとしまして、この事件で犯人を取り逃がしたではないかということでございます。結果的にはそのようになりまして、後から見ますと、警察の方にも来ていただいて館内をくまなく捜査したようでありますけれども、もうそのときには犯人は外に出ておった、結果的にはそういうことになったわけであります。  今も申しましたように、この事件は裁判所の職員が職務執行中にほとんど即死に近いような状態で殺害をされるという全く異常な事件でございまして、恐らくそういうようなことで関係者も茫然自失といいましょうか、そういうようなことがあったのではなかろうか、これは推測でございますが、そのようなふうに考えております。取り逃がしたということはまことに遺憾なことでございますが、事実上はそういうことじゃなかっただろうかというふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 私たちが裁判所に行くときには公正公平な審判を求めて行くわけですね。まさかそこで命を落とすようなことになるということを考えて行くわけでは通常はないわけですよね。国民一般の人の裁判を受ける権利というものはきちんと保障されていなければならないと思うのですね。その安全を保つということは裁判所にとってもやはり絶対に必要だと思うのです。  この間のその質問のときにも申しました。公安事件には非常に神経質になられて、たくさんそういった形で金属探知機を使ったりなんかしながらお調べになるし、入るときにも非常に厳しいチェックをされる。たくさん階段があるとおっしゃいました、エレベーターも隠しのエレベーターみたいなのがあって、裁判官は危なくなったらするっと逃げるところがちゃんとおありなのに、国民の方はその逃げるところが余りない。それでいながら犯人だけはどういうわけか、どういうふうにどこを伝わったかわからないけれども逃げていってしまうという、こんなことでは私たち安心して裁判所に出かけることもできなくなってしまいます。  ぜひここでもう一度、私、この間のときの質問で失敗したと思うのは、ここでお願いしますと言ってお答えをいただかずに次に移ってしまった、これがやはりいけないところだと思いますので、この際はきちんとお答えをいただき、これから先裁判所がどういった形でどのような姿勢でやるかということをきちんとお約束をいただきたい、そしてまたやったことについて、この国会の委員会でなくても個別にでもぜひ御報告をいただきたいと思いますので、その点も含めまして、最後に裁判所の方からもお聞きしたいし、それから大臣にも御感想を、これは御決意でなくて結構です、御感想で結構でございますから、よろしくお願いします。     〔委員長退席、星野委員長代理着席〕

今井功最高裁判所民事局長

○今井最高裁判所長官代理者 今も御指摘がございましたように、裁判所は国民が紛争解決を求めて、あるいは自分の権利の擁護を求めて来られるところでありまして、そこに来られた方が裁判所で被害に遭うというようなことがあってはならない、これは御指摘のとおりでございます。私どもも重々そういうふうに考えております。  ただ、裁判所は一方では公開の原則、一般国民に開かれたという面もございます。ですから、警備という点につきましてもそれが全部、例えば金属探知機であるとか身体検査というようなことをやればそれは事件は起こらないかもしれませんけれども、それは公開とか国民に開かれたというようなことから見ていかがなものかという気もいたします。  したがいまして、裁判所としましては、やはり重点的にといいましょうか、そういう危険が予想されるような情報を集めてそういうことに対処する、そういうことが起こらないようにいろいろ体制を整えるということが大事なことだと思いますので、私どももさらにその体制の整備ということに十分意を用いていきたいと思います。  それから、今委員の方で言われましたように、その結果、どういうふうになったのかということは、何らかの形で委員の方に御報告できるように配慮したいというふうに考えております。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 裁判所の問題でございますから私からの意見は差し控えたいと思います。ただ、何といいますか、不意をつかれたとでもいいますか、そういう気の毒な事件であったな、こう思うのですが、やはりああいった突発、予期しない事件を防ぐということは非常に難しいわけでございますが、私は裁判所のことはよくわからないのです、一遍も裁判をやったことがないものですからね。ただ、所持品検査というのはできないのかな、お話のやりとりを聞いていましてそういう感じがいたしますが、いずれにせよ、こういう事件が再び起こらないように当局においても十分の対応策を講ぜられるであろう、またそれを期待いたしたい、かように思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 ありがとうございました。  では、次の問題にいきますけれども、くれぐれも裁判所、よろしくお願いします。今具体的なお答えではなかったような気がしますけれども、ぜひ具体的にこれこれのことがあったということで、私たち待っていますので。開かれた裁判所であり、そこについて制限するような方法は余りない、その面も非常によくわかっています。ですから、御苦労だと思いますけれども、御苦労だからといってほっておくわけにはいかない問題なので、ぜひよろしくお願いをいたします。どうぞ、裁判所はもうお帰りいただいても結構でございます。それで、その次の問題にいきます。  行政手続法について伺いたいと思うのですが、この行政手続法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案がこれから出るようなのですが、行政手続法そのものは法務の管轄の問題ではないのですが、ちょっとその立法趣旨を総務庁の方に教えていただきたいと思います。

関有一総務庁行政監察局監察官

○関説明員 お答え申し上げます。  行政庁が国民に対しまして処分をいたしましたときにこれに対して不服申立てをする手続につきましては、昭和三十七年に行政不服審査法という一般法が制定されております。一方、行政処分を行います前に相手方に通知をいたしまして弁明の機会を与える、こういういわば処分前の手続につきましてはこれまで一般法がございませんで、個別の法律の定めるところに任せられてきたということでございます。この点につきまして整備を図る必要があるのではないかという指摘が従来なされてきておりました。また、行政の運営面につきましても、例えば申請についての審査や処理の基準が明確化されていない、あるいは行政運営におきまして行政指導が多用されておるということが指摘されてきたわけでございます。  このような状況に対しまして、国内また国外からも、公正で透明な行政手続、行政運営の確保を求める声が高まってきていると思います。このため、個別の行政分野における手直しということではなくて、共通的、横断的な一般法を制定いたしまして、公正、透明な行政手続を確立しようということが今回の立法趣旨でございます。  なお、これにつきましては、第三次臨時行政改革推進審議会におきまして部会が設けられ、そこで検討されまして、平成三年十二月に行革審から、公正・透明な行政手続法制の整備に関する答申が出されておりますが、それに沿いまして今回立案をしたというものでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 行政手続法というものがそういった意図のもとに今でき上がり、これからその一歩が始まっていくということについては、まだまだこれからいろいろなことはあるだろうけれども、非常に評価できる部分であろうと私も思います。それに伴ってさまざまな法律の中の整理がされてきたというのが、今回法務にも関係のあるものが幾つか出てくるようなので、その点について伺いたいと思うのです。  本体の大きな趣旨の方はその議論に任せるとして、行政処分前の手続の部分について、これまで個別にそれぞれの法律の中にあった分で重複的な部分については、今回はこの行政手続法に全部網をかけるというか同じものになるから、その分は削除するなりなんなりして、それからどうしても残さなければならない分は、今回の手続法よりは権利の保護に厚いという分については残すのだというふうに一般的に私は伺ったように思うのですが、この点はいかがでしょうか。法務省に伺います。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 民事局関係でお答え申しますと、先生まさに御指摘のとおり、関係法律の整理についての基本的な方針といたしまして、特定の行政分野において独自の手続体系を既に有しているということなどによりまして、行政手続法の手続の除外措置を講ずるというのが一つございます。例えば戸籍についての市町村長の処分、あるいは登記などにつきましてはそれ自体の独自の体系がございますので、行政手続法の適用を除外いたしております。さらに、一方におきましては個別法が規定している手続で行政手続法と重複する規定を削り、または行政手続法より手厚い手続を現在規定しているものを存置する、こういうようなことが原則として打ち立てられているわけでございます。  例えば司法書士法などではそういった趣旨の改正がされております。具体的に申しますと、例えば現在の司法書士法の中で行政手続法と重複する部分は司法書士法を改めております。しかしながら、一方、この行政手続法案より手厚い保護を現在司法書士法がしている部分がございます。例えば、公開による聴聞というようなことがございまして、この行政手続法では公開ということが一般原則にはなっておりませんので公開の部分だけは残す必要がある。あるいは、通知に関する規定などにつきましても、聴聞期日までに相当な期間を置いて通知をしろと行政手続法ではなっているのでございますけれども、司法書士法では一週間前に通知をしなさいとなっておりますので、この一週間の規定は改正法においても残す、こういうようなことが整理法の中でされていることでございます。  このような整理の結果、行政手続法より手厚い保護がされているものはそのまま維持されておるということにもなるわけでございまして、現行法以上に関係者が不利益を受けるということにはなっていないと私どもは理解しているわけでございます。その他、民事局関係では民法施行法とか土地家屋調査士法について既存の条項を削除する部分がございますけれども、いずれも同じように考えることができると思っております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今法務関係について民事局長からお話がありましたけれども、行政手続法全体から見ても、今のような趣旨と考えてよろしいでしょうか。

関有一総務庁行政監察局監察官

○関説明員 私どもも今のような理解に立っております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 全部を見て精査しているということではありませんが、幾つか気になったところを伺っていきたいと思うのです。  弁護士法の十二条、十三条あたりの部分について、どういうふうに今度削除されたりまたは変わったりするかということですが、登録とか登録がえの請求を進達したけれども拒絶があったようなときには、その理由を書面でやるようにしなければならないと新しい法律にはなっているわけです。それで、そういう書面で理由を言うという部分については、弁護士法の中にはありませんけれども、事実上そういうふうにして現在も既にやっておる。これを行政手続法の中にひっくるめるということの意味合いが、私にはひとつまだわかっていないところがあります。弁護士会というのは独立のものでありまして、そこでは自主的な運営がされているもので、これは国家の行政手続法の範疇にひっくるめて網をかけるというふうに考えるということ自体がちょっとわからないので、この点をお聞かせいただきたいと思います。総務庁でも法務省でもどちらでも結構でございます。

濱崎恭生法務省大臣官房司法法制調査部長

○濱崎政府委員 まず御指摘の十二条、十三条の関係の改正の趣旨から申し上げますと、これは委員御承知のとおり、現在でも法律レベルでは「すみやかに、この旨を通知しなければならない。」という規定だけになっておりますが、会則で実質は改正法案の内容と同じような手続が行われておる。ただ、この点は重要なことでありますので、法律レベルで明確にしておいた方がいいだろうということでこういう改正をしたわけでございます。  後段の方の、なぜ弁護士会あるいは日弁連が行う処分がこの行政手続法の適用の対象になるのかということでございますが、この行政手続法というのは、処分というものを中心にいたしましてそれに関する手続を定めておりますけれども、この「処分」というものの定義といたしまして、この法案では「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」であるというふうに定義しておりますが、日弁連あるいは弁護士会がその権限として行ういろいろな事務の本質は、これは国の行政作用の一部をなすものというふうに考えられております。これは学説上も判例上も一致した考え方でございまして、これについては異論を見ない。例えば同じように行政庁の行為というものを対象としております行政不服審査法でございますとか行政事件訴訟法、こういった規定におきましても行政庁の行為を対象にしておりますが、そこに言う行政庁には弁護士会あるいは日弁連が弁護士法等に基づいて行う行為、処分が含まれるというのが定着した考え方でございます。  なお、日弁連の自治権との関係で申し上げますと、現在の弁護士法の考え方というのは、弁護士の果たすべき職務の特殊性にかんがみまして、そういう国が行う行政作用の一部をその自治権を与えられた日弁連あるいは弁護士会が行使するという考え方で制度ができているわけでございまして、そういうことで自治権に基づいて国の行政作用の一部を弁護士会あるいは日弁連が行使する。したがって、対国民の関係において行政庁の処分等の行為が問題になるときには、そういう弁護士会、日弁連の行為もその適用の対象になるということであると考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 それではその次にいきます。  司法書士法は、先ほどもちょっと言われましたけれども、書士法の十三条の三項に当たるのでしょうか、このあたりが、本当に権利の保護の部分が、これで保護しないことがないというかちゃんと保護されているかということについて、重複するから削除したということになるのかどうか、改正案と現行法とをちょっと比べてみたいと思うのです。  三項が特に私にはよくわからないところなんですが、改正案によりますと、聴聞、これは公開の聴聞ですから、公開性を担保するということは非常にいいことだと思うのですけれども、その聴聞というのは、当該司法書士から請求があったときはやらなければならない。請求があったときということ。原則はやらないで、司法書士から請求があったときにやるということになっているのですね、聴聞の期日における審理。しかも、それが公開の請求があって公開になるわけですね。現行法はどうなっていますかというと、公開による聴聞を行わなければならなくて、そしてその当該司法書士が正当な理由がなくて期日に出頭しないときは聴聞なしでもよろしいよ。これは同じですか、ちょっとそれを伺いたいと思います。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 お答えいたします。  現行法でこの十三条で聴聞に関する規定があるわけでございますけれども、現行法の十三条は「当該司法書士の請求により、その出頭を求めて公開による聴聞を行わなければならない。」こうなっております。今回の行政手続法では、請求の有無にかかわらず聴聞をするという規定になっておりますので、この際請求がなくても司法書士については聴聞手続を行う。そういう意味では現行法より手当てが厚くなった、こういう面が一つあるわけでございます。  ただしかし、現行法でもう一つ言っております請求により公開による聴聞という点につきましては、これは行政手続法が公開聴聞というものを原則にいたしておりませんので、もしこれをそのまま行政手続法に任せるということになりますと、公開聴聞というものが後退をすることになります。そこで、その点を明らかにするために三項で、つまり改正案の三項で、請求があれば公開による聴聞をしなければならない、こういう規定を置いた、こういうことになるわけでございます。  現行法の三項は、これは行政手続法の二十三条でございましたか、同種の規定がございますのでこれは存続させる必要がない、こういう形になるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 わかりました。  それでは、その次の問題にいこうと思います。国籍の取得ということについて伺いたいと思います。  国籍法においては、日本国籍を取得するというのは、出生時において父または母が日本国民であることということで日本国籍を取得するということになっている。これはそのとおりの国籍法の規定なんですけれども、そのことについて幾つか、それだけではなかなか解釈が難しいというような問題が、国際結婚やら国際的な交流が出てくることによって起こってくると思うのです。  日本人が夫で外国人が妻という場合で内縁関係がある、子供ができたという場合に、この子供さんの国籍の取得ということについては、内縁ですから日本国籍が取得できるかどうかということにはどうしても認知ということが日本の法律上は必要だ、これはそれでいいと思うのです。その認知がなければその夫の子ということがわからないわけですからそれはいいのですが、その認知というのが一体いつなされなければいけないかということについて問題が現在起こっているというふうに聞いています。これが胎児でいる間に認知をしなければ日本国籍を取得しないというのが法務当局の考えだというふうに言われているのですが、それで間違いありませんか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 お答えいたします。  これは国籍法二条一号の規定でございますけれども、これによりますと、出生のときに父または母が日本国民であるときには子供は出生により日本国籍を取得するというふうに規定しているわけでございます。ここで言う出生のときに父が日本国民であるということの意味は、その父が明確であるということあるいは法的安定性を図るという趣旨からいわゆる法律上の父を言うというふうに解釈されているわけでございます。そして、子が出生のときに法律上の父があるという場合といたしましては、原則的には両親が婚姻をしておるというのが典型的な場合でございますけれども、胎児認知をしておりますと、出生のときに法律上の父が日本人であるということになる。こういうことから、胎児認知がされている場合には出生と同時にその子供は日本国籍を取得する、こういうことになるわけでございます。  じゃ、なぜ出生後の認知によって日本国籍を認めることとしないのかという問題が恐らくその背後にはあるのだろうと思いますけれども、胎児認知をするということになりますと、これは母の承諾が必要でございまして、父の方から勝手に認知をすることができないという一つの縛りがかかります。それからまた、成人になった後に子供を認知するという場合には、子供である成人の承諾が必要である。ところが、出生後の普通の子供の認知については父親の方から一方的に認知をすることができる。これは事実に反する認知であれば無効でございますけれども、そういう認知をすることができるということになっております。  そういう出生後の認知によって、いわば母親とか子供の意思にかかわりなく国籍の変動が生ずるということがまた一つの問題として出てくるということがあるわけでございまして、そういうことは相当ではないという考えに現在の国籍法二条一号というのは立っておるというふうに私どもは理解しているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 認知そのものの効力としては、胎児であろうが生後何年たとうが、いずれにせよ出生のときにさかのぼって、そのときからその人の子供ということになるわけでしょう。  そして、今言われたのは、認知の要件の中で、父親が一方的に言うのではなくて、そういうただれかの承諾がもう一つあると要件がかさむから、だからそれだと縛りがかかるので、それで出生後の認知というものは認めないということであるならば、もしそれが認めない理由であるならば、そのときに例えば母親なりがオーケーということを言えばそれで済むことじゃないですか。認知は生まれてしまってからであれば父親だけの意思によってできるとしても、そういう場合に、じゃ母のそこでの承諾というものがあればそれで済むことじゃないのですか。その認知そのものはどっちにしても有効な認知ではあるけれども、もしそれが入管ということで何かの縛りをかけるということであれば、事後的に母親の承諾というものを得るという手続さえとればそれで済むということに聞こえますけれども、その点いかがでしょう。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 現行法の解釈といたしましては、出生のときに父が既に法律上の父でなければならないということになっている、この点については私ども疑問の余地がないと思っているわけでございます。  ただしかし、その場合、じゃ、出生後の認知だって、その認知の効力は出生のときまでさかのぼるのだから母親さえ承諾すればいいんじゃないかという一つの立法論と申しますか疑念と申しますか、そういう解釈論があるということも理解できるわけでございます。  しかしながら、もう一つの問題は、これは先生御承知のことだと思いますが、そういう認知をした子が、母親が婚姻をいたしまして、婚姻準正という形で嫡出子の身分を取得しますと、その子供は今度は「届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。」という規定が一方ではあるわけでございます。  その規定の一つの考え方というのは、やはり両親が結婚して嫡出子の身分を取得するということは、同時にそれは夫婦親子一体の共同生活という実態が日本の中にできてきておる、こういうことをも意味する。一方で、単純に認知をしただけではまだ生活実態が父親と必ずしも同一であるということにはならない、なっている場合もあると思いますけれども、一般論としてはそういうことが言えないということから、やはり認知だけで、あるいは母親の意思だけで、出生後の認知による日本国籍の取得を認めるというのはやはりまだ適当ではない、こういうのが立法の趣旨だというふうに私どもは考えているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 非常におかしな説明を伺ったような気がします。  先ほどの問題は、認知ということに母の承諾という縛りがあるかないかという問題を言われたわけですね。その次のときには、家族の実態というか生計の実態というものが、同居をして一緒に暮らしているかどうかということで言われた。それだったらば胎児認知だって同じことでありまして、そんなことを言うんだったら、胎児認知だってやはり一緒に暮らしているかどうかという実態についてはあるかないかわからない。そうなったら、嫡出子でなければ、要するに嫡出準正が働いて嫡出子にならなければ認知があったってだめだということになってしまいますよね。  法務省は、嫡出子でなければ子と認めないというような意味合いをおっしゃっているのですか。それとも日本国籍をめったやたらに取得されちゃとても困るというようなことをおっしゃっているんですか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 国籍の取得というのは、憲法で「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」こういうことになっておりますから、現在の国籍法の規定に基づいて正確に解釈をするということに尽きるわけでございます。  現在の法律の制定の趣旨が、出生のときに父母が日本国民である、父または母が日本国民であるということが要件であり、しかも国籍法の解釈上、胎児認知の場合には、これは出生のときに父が日本国民であることが明らかでありますけれども、そうでない、出生後認知の場合にはそういうことではないということになるわけでございますから、それはそういうふうに厳格に解釈をしなければならない。  ただ、そういうふうにされている立法理由と申しますか、その背景で考慮された事情としてはそういうこともあるであろう。例えば出生後の認知により子が日本国籍を取得しないというのは、これはやはり、本人または母親の意思にかかわらず、国籍の変動が本人が生まれた後に父親の一方的意思において生ずるということは適当ではない、こういう配慮であり、また嫡出準正がされればそこに届け出による日本国籍の取得を認めるというのは、やはりそこに夫婦親子一体の生活実態が出てくるということがその背後の実情として考慮されたものであろうというふうに考えるわけでございます。  あくまでも法律の厳格な解釈、正しい解釈に従って国籍の取得を認定するということでございまして、私どもの方で積極的に日本国籍を取得させたいとかあるいはさせたくないということは一切ございませんので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 立法というのは、認知ということとそれから日本国籍を取得するということと、この二つの法律が今あるわけで、ほかに何か法律があっておっしゃっているということじゃないと思うんですよね。厳格な解釈と運用だとおっしゃる。でも、厳格な解釈の中に胎児認知であるとか出生後認知であるとか、そういうふうなことで区別するなどということは、法務省の今の解釈でそれはおっしゃっているだけであって、これが正しい解釈であり、厳格な解釈であるというような、そんなことはないんじゃないですか。それはそれなりの理屈をつけて、後から理由をつけておっしゃっているだけである。  ちょっとその前に失礼します。総務庁の方、もうお帰りいただいても結構でございます。済みません。  それで、今の問題にいきますけれども、日本の男性の中にそういう人がいなければいいんですが、けしからぬ人だっておられるわけでありまして、もしこういうことがありますと、内縁関係を結んでいる外国人の妻が妊娠した、そして認知をするとかしないとか言っている間にどんどんおなかが大きくなって赤ちゃんが生まれちゃう、そうなっちゃったら今度はもうこれで外国籍しかないということになって、退去しかないわけでしょう。退去命令されちゃうわけですね。妻も、もしそのときに期限が切れていたり何かすれば、それでそのまま強制退去ですよね。そうしたら、その男の人の、日本人の男性ですけれども、この男性は、何か言われるというときに、もう外国へ皆追いやっちゃうわけですから、いわゆる逃げ得ということだってあり得るんじゃないかということになりかねない。  これはやはり国際問題になってくるんじゃないんですか。それは日本人の男性、無責任に過ぎるんじゃないか。それを法務省がそういう解釈、厳格な解釈、厳格な解釈とおっしゃっている中で助長しているんじゃないかと言われちゃうんじゃないですか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 私の説明が、このような法律になった背後の考え方等をちょっと説明しましたために若干混乱が生じたのかもしれませんけれども、要するに二条一号の言っているのは「出生の時に父又は母が日本国民である」ということにもう決まっているわけでございます。それで、この出生のときの父というのは出生のときに法律上の父であるという解釈、なぜそういう解釈をするかと申しますと、先ほどもちょっと触れましたけれども、例えば国籍法三条が、出生後認知をした子供について、その後準正子つまり婚姻準正等があれば、そういう子供は届け出によって日本国籍を取得することができるということになっているわけですが、この規定は、少なくとも認知だけでは当然には日本国籍を取得しないという解釈を前提にしてのみ理解できる規定であるということになるわけでございます。  そういうふうなことから申しますと、厳格な解釈と申しますか、法律の正しい解釈といたしましては、出生後の認知によって日本国籍が当然に付与されるということにはならない、こういうふうに言わざるを得ないということでございまして、何もそこに非常に政策的な解釈とか配慮というものは全く入っていないということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 その準正の場合の解釈というのは、それとの整合性ということで、出生後の認知ということについては日本国籍を取得するのには足りないのだと言われますが、これはまた違った解釈も当然できるわけですよ。重なるところで整合するということでなくても、解釈そのものは準正の場合をただ決めただけなんだということもできるわけでございまして、別にそれによって、だからここで準正子、本来の嫡出子になったという準正の問題を言う必要だけではないかと思うのです。その部分で、さかのぼって出生時という問題ですね。さかのぼらない、厳格に出生時というふうにそこだけは遡及効がなくなるということは、民法の七百八十四条の規定の、認知によってその認知の効力は出生までさかのぼるという部分を国籍法で曲げたというふうにまず考えられるかどうか、その点を伺いたい。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 この規定は、決して民法の認知の遡及効を否定したものではございません。認知の効力がさかのぼるかどうかという問題は、いわば身分法の問題で、私法上の問題でございます。しかしながら、国籍を取得するかどうかというのは、これは公法的な問題でございまして、国籍法は国籍法の体系で国籍を取得したかどうかということを判断する、こういうことでございまして、民法の解釈を曲げるということはあり得ないわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 曲げないということで今の問題を考えますと、国籍法のプロパーの問題として考えた場合には、そこで整合性ということを考えるだけでその二条の問題がなくなる。ここでは、時には認知ということによって子であるということがありさえずれば、そこでもって認めるということだって可能な解釈ではあるわけでしょう。正しいとか厳格とか、それしか解釈がないということではないですよ。一番認めにくい解釈を法務省がとられているということですね。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 この解釈は、国籍法が全面改正をされましたのはたしか昭和五十九年だったと思いますけれども、そのときにもそういった解釈でございますし、また、その前の国籍法の解釈についても、私が先ほど申し上げましたような解釈でずっと一貫してきておるという事実があるわけでございます。したがいまして、今解釈を変えるということはできませんし、そもそも先ほど申しました認知後に準正子になった子についての規定、国籍法全体の体系から見ましても私どもの解釈が正しい解釈であるということは、確信しているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 この問題、まだこの次の機会にもさせていただきたいと思います。  その次にいきます。あと五分しかなくなってしまって、大臣にお話を伺おうと思ったのですけれども、やはりちょっと時間がないのでここで割愛させていただいて、都市計画法についての問題を建設省の方から伺いたいと思うのです。  都市計画法における用途地域の指定ということについて、これは小さな自治体のところの問題、東京都で考えてみたいと思うのですけれども、二十三区内の区部で考えた場合に、用途地域を指定してあるものをまた変更するというときの手順について簡単に御説明ください。

板倉英則建設省都市局都市計画課長

○板倉説明員 用途地域の指定の手続を東京都区部に例をとって申し上げますと、まず区が区の審議会の議を経まして原案を作成し、東京都知事が案の縦覧及び意見書の提出等の住民参加の手続をとりまして、都の都市計画審議会の議を経、かつ建設大臣の認可を経て決定するということでございます。  これが手続でございますが、今お話のありました変更というものにつきましては、これは用途地域の変更につきましては、都市計画決定権者がおおむね五年ごとに行うこととされております都市計画に関する基礎調査等を踏まえまして適宜必要な見直しを行うということになりますが、それぞれの土地の都市構造上の位置づけあるいは土地利用の現況及び動向さらには将来の見通し、公共施設の整備の状況等の事情を考慮いたしまして、その必要性を判断して変更を行うということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今ちょっと確認しますが、初めの用途地域指定の場合には、区が原案を作成してという先ほどおっしゃった手続をとっていくということですね。そうじゃなくて、一遍できているものを変更するときには、そのあたりは要らなくて、決定権者であるところの都知事が建設大臣の認可も要らずにやるということになるのですか。

板倉英則建設省都市局都市計画課長

○板倉説明員 都市計画の決定、変更、いずれも同じ手続を経ることになっております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 そこで、建設大臣の認可ということが最終的にはかかってくるわけで、用途地域で第一種住専とか商業地域とかそういった地域の指定がなされているところに、一番最後のところに、一応おっしゃったのですけれども、建設大臣の認可がある、この意味はどういうところにあるのでしょうか。

板倉英則建設省都市局都市計画課長

○板倉説明員 先ほど申しましたように、用途地域は東京都の場合、知事が決定するということでございますが、その際、建設大臣の認可に係らしめておりますのは、大都市部等、国土政策上非常に重要な地域におきまして定めます都市計画あるいは国の利害に重大な関係のある都市計画というものにつきましては、やはり国の施策との整合、さらに一つの都道府県をまたがって、区域をまたがって広域の見地から必要な調整をする必要があるということがございまして、建設大臣の認可に係らしめているものでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 そうすると、その建設大臣の認可というのは、そういった大きな幾つかの自治体にまたがった場合とか全体的な整合性というもののときだけに認可が要るということではないわけですね。どんな場合でも一応認可は必要だけれども、そのときに全体的なことも見るために必要だ、意義としてはそういうところにあるんだというお答えだと思うのですが、その基準は今伺いました。時期それから効力、この点について伺いたいと思います。

板倉英則建設省都市局都市計画課長

○板倉説明員 時期、効力についてでございますが、都道府県知事が都市計画地方審議会の議を経た後に建設大臣に認可申請がございまして、その認可申請を受けた上で、その際法令に定める手続あるいは都市計画基準等に適合しているかどうかを審査いたしまして認可をする。  それから、効力でございますが、当該認可は都市計画の決定あるいは変更の効力要件ということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 これはまた次の機会等にその後のことを聞きたいと思うのですが、この用途地域の指定が変更になるということによって私たち一般の国民が一番気になりますのは、固定資産税の評価額に変わりがあるのか、また相続の場合の路線価の評価にどのような影響があるのかということが非常に大きな問題になると思います。もう一つは、それは売るときの実際の価格がすごく高くなるのかどうかということもありますが、そちらはそういう目的のある人で、住んでいる者にとっては直接そういうことは余り関係ないのですが、この税金の評価額、固定資産の評価額と路線価、それぞれの省庁に伺いたいと思います。自治省と大蔵省、国税ですか、よろしくお願いします。

篠原靖宏国税庁課税部資産評価企画官

○篠原説明員 相続税における路線価ですが、これはまずあらかじめ定めました標準地というものにつきまして、地価公示価格、売買実例価額、それから不動産鑑定士などの地価事情精通者の意見価格、そういったことをもとにいたしまして、地価公示価格水準の八〇%程度ということで路線価を算定します。次に、その標準地の路線価を柱にいたしまして、その他の各路線ごとの地価のバランス等を調査することにより各路線ごとの路線価を決定している、こういうところでございます。  そこで、御質問の用途地域指定が変更になった場合には、その変更に伴いまして建物の用途制限だとか容積率、建ぺい率等の変更が考えられるわけでございますが、これらの変更によりまして地価に変動が認められるというときには、先ほど申し上げました地価公示価格だとか売買実例価額だとか地価事情精通者の意見価格がその変動に応じたものとなりまして、その結果、用途地域指定の変更に基づく地価の変動が路線価に反映されるということになります。また、路線価の決定に当たりましては、用途地域指定の変更状況等を的確に把握し、適正な評価に努めてまいりたいと思っております。

宮田勝美自治省税務局固定資産税課資産評価室長

○宮田説明員 お答え申し上げます。  都市計画の用途地域の変更に伴いまして、当然土地の利用等の制限が変わってまいります。したがいまして、通常でありますと土地の価格状況に影響が出てまいりますものですから、固定資産税評価におきましても、三年に一遍ではございますけれども見直しを行っております。  ただ、先生御存じかと思いますけれども、固定資産税の評価といいますのは、あくまでも現実の使用状態で評価を行っているというようなことなものですから、現実に住宅用地として、住宅用途として使用されている場合には、あくまでも住宅用地としての、住宅用途としての評価を行っているというようなことをやっているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。  これで終わります。

星野行男自由民主党

○星野委員長代理 木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 金丸前議員と生原元秘書に対する所得税法違反事件についてお聞きしたいと思います。  法務省が去る四月二日、参議院予算委員会におきまして行った報告によりますと、三月六日に押収した隠匿資産は、金丸前議員に帰属するものとしてワリシン、ワリコー等割引金融債約三十五億円、生原元秘書に帰属すると認められるワリシン約六億円分とのことであります。それに続く捜査で約七千点の証拠物を押収したとあります。報道等によりましても、見つかった隠匿物資は約七十億円とも百億円とも、それ以上とも言われております。しかし、今回起訴された通脱所得額は、金丸前代議士については総額十八億四千八百四十二万円、生原元秘書については六億五千二百二十万円だけであります。摘発された隠匿資産の大きさに比べて通脱所得額が小さ過ぎると思われますが、この金額だけしか起訴しなかった理由は何でしょう。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員御指摘になられましたように、先般参議院の予算委員会において行いました御報告の中に、今委員が御指摘になられましたような部分があることは事実でございます。検察当局は、押収したワリコ一等約三十五億円分その他の関係証拠を総合勘案した結果、起訴に係る各年における金丸前議員の通脱所得総額が二十億円弱であるとの認定をしたものと理解しているわけでございます。  ただ、そのような認定をするに至りました判断の過程等は、これは今後の公判における立証とも関係する事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 摘発された隠匿資産の大きさが、即通脱所得額になるものでないことは、私もそんなことは承知をしております。しかし、余りにもその金額の大きさに乖離があり過ぎるということで質問をしたわけであります。合理的な理由を述べられない法務省の態度は、まことに遺憾だと思わざるを得ません。  それでは、この間一連の捜査で把握できた金丸前代議士と生原元秘書に帰属する隠匿蓄財資産は、実際、総額大体幾らだったのか、そのくらいは明らかにしてほしいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今のお尋ねに対しまして、先ほどお答えした以上のことについて、起訴されていない事実関係をも含めまして具体的にお答えすることはいたしかねるわけでございます。  ただ、先ほどのお答えあるいは今のお答えとの関連で、委員のお尋ねで申しますと要するに通脱所得額が少ないではないかという御趣旨かと思うわけでございます。その点について若干一般的な御説明をさせていただくわけでございますけれども、所得税あるいは法人税の通脱事件の捜査におきましては、被疑者が通脱した所得の額、それから算出される通脱税額が当然問題となるわけでございます。  通脱所得の立証につきましては、これはもう委員も十分御案内のとおり、損益計算法と財産増減法の二つの方法があるわけでございますが、財産増減法によって被疑者の期首あるいは期末の純資産の立証を行う場合あるいは損益計算法による場合のいずれにおきましても、その裏づけとして、収支の計算から認定される所得の額に見合うだけの資産が存在するかどうかということが重要な証拠となるところでございまして、このような観点から、通脱事件の捜査におきましては、被疑者の資産捜査が重要と考えられているところでございます。  ある時点における被疑者の資産の全容を把握した場合でございましても、それが真に被疑者に帰属する収入を原資とするものかどうか、またそのような収入がいずれの年に帰属するものか等の点についての解明が当然必要になるところでございまして、これらの点についての解明の結果、証拠上起訴対象年に帰属すると認められない収入を原資とする資産につきましては、これは起訴すべき通脱所得額からは除く、通脱所得額には加えられないということになるわけでございます。したがいまして、その結果把握された被疑者の資産より起訴に係る通脱所得額の方が少なくなることもあり得るということは、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 次に、さきの報告によりますと、金丸前代議士の昭和六十二年の通脱所得二億円と平成元年の通脱所得六億五千万についてのみ生原元秘書と共謀の上、所得税を脱税したとあります。それ以外の分は、いずれもそれぞれ単独犯であるという報告になっております。金丸前代議士にかかわる昭和六十二年と平成元年の分だけを共謀とした理由は何でしょう。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 金丸前議員らに係る所得税法違反事件のうちの昭和六十二年分と平成元年分については、今委員御指摘のとおり、金丸前議員と生原元秘書の共謀による事犯である、共犯事件であるということで公訴提起がされたことはそのとおりでございます。  それ以上の共犯関係の具体的事実関係についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、さらに、今委員が御指摘になられましたように、昭和六十三年分の脱税については、これも今御指摘になられましたとおり、生原につきましては、金丸前議員の共犯としての刑事責任を認めた訴因にはなっていないことはそのとおりでございます。  これは、もう少し申し上げますと、結局「偽りその他不正の行為」によって所得税を免れたという所得税法違反の公訴事実につきまして、昭和六十三年分につきましては、金丸前議員の単独犯として公訴を提起したということになるわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 よく説明になっておりませんが、要するに、昭和六十二年の二億円と平成元年の六億五千万円については、金丸前代議士の雑所得に関するものであるが、隠匿、通脱した実行行為者が生原なんだという意味なんでしょうか。そして、単独犯とした昭和六十三年の通脱所得九億九千八百四十二万円については、もちろん金丸前代議士の雑所得となるべき収入に関する脱税事件なんですが、実行行為者そのものが金丸本人なんだ、そう聞いてよろしいですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 公訴を提起した事実につきまして、だれが、何びとが実行行為者であるかどうかということについて、これは具体的事実関係に立ち入ったお答えになりますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  先ほど私がお答え申し上げましたのは、要するに所得税通脱犯の構成要件と申しますのは、申すまでもなく「偽りその他不正の行為」によって所得税を免れたという事実でございます。その公訴事実について、六十三年分については、生原について共犯としての刑事責任を認めた訴因にはなっていないということをお答えしたつもりでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 金丸前代議士の雑収入について、金丸前代議士が脱税犯に問われるのはわかるんですよ。なぜ生原は、自分の金じゃない部分について、金丸の昭和六十二年と平成元年についてのみ共犯にされたのか。生原の金じゃないわけですから、だから実行行為者が生原だったのかと聞いているんですよ。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 結局、委員のお尋ねは、六十二年分、平成元年分について、金丸前議員と生原元秘書の共謀による所得税通脱ということで公訴が提起されている、その点についての共犯の具体的な事実関係をお尋ねになっておられることになるのだろうと思うわけでございますけれども、そこは今後の公判における立証との関係もあるわけでございまして、そういう具体的な事実関係に立ち入ったお答えは差し控えさせていただきたいということを申したわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 もう時間がないからこれでやめますが、実は、その共謀に係る金丸前代議士の昭和六十二年の二億円と平成元年の六億五千万円については、いずれも日本債券信用銀行の無記名割引債であり、それぞれその年のうちに購入された事実、先ほど答弁があったとおりでありますが、それを基礎として立件されたものであることは明らかであります。  我々の調べによりましても、昭和六十二年については、その年の十月三十日に五千万円二口と三千万円で合計一億三千万円、十一月二日に五千万円と二千万円の合計七千万円、平成元年については、その年の九月十一日に六億五千万円日債銀のワリシンを購入している。それを基礎にして本件公訴が組み立てられておるということだと思うのですが、そのとおり相違ありませんか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 結局、その捜査内容の詳細あるいは捜査の結果として把握した金丸前議員の資産内容あるいはその収支状況等についてお尋ねだと思うわけでございまして、その点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 では、次に移りましょう。  起訴された通脱所得の原資の問題についてお伺いいたします。  原資の特定の問題でありますが、さきの参議院予算委員会に対して行った報告によりますと、金丸前代議士については、大手建設業者、ゼネコンとか山梨県の建設業者等から供与される資金の一部が原資とされた旨報告されています。一方、生原元秘書の分については「金丸前議員の支援者からの陳情等の際に供与された資金等を原資とし」たと報告されております。金丸については「供与される資金の一部を原資とし」た、生原については「資金の一部」という記述はありませんでした。大変細かい、微妙なところでありますが、重要な言葉遣いを変えて報告したんだと私は思うわけでありますが、金丸についての方の原資を一部とし、生原については一部としなかった理由は何でしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 まず、金丸前議員の原資の関係でございますが、先般の御報告の中での御指摘の部分は、いわゆるゼネコン等から供与された資金のうち、金丸前議員における債券購入に充てられたものはその一部であるということでございますが、それ以上のお尋ねの点につきましては、これはお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  それから、生原元秘書におきましては「金丸前議員の支援者からの陳情等の際に供与された資金等を原資として、」というふうに御報告したと思うわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私の質問は、なぜ金丸の方についてだけ原資を、大きなプールの中の一部が原資なんだというふうに報告し、生原の方はそういう大きなプールの中の一部という言い方をしなかった理由を聞いておるわけでありますが、説明になっていないわけであります。恐らく、金丸についての原資の問題の記述が「建設業者等から供与される資金の一部」と「一部」という言葉をわざわざ入れたのは、例えば昭和六十三年あるいは平成元年等、立件された通脱所得をはるかに上回る収入がやはり検察当局において把握できたんだろう、その大きな収入の中のほんの一部だけを使ってワリシン購入がなされた、それがワリシンの方から把握できたということで「一部」という言葉を殊さらにこの国会に対して報告したのだと思うわけであります。  そこで、一つだけ聞いておきます。  金丸に関する方ですが、「大手の総合建設会社や山梨県内の建設業者等から供与される資金の一部」とありますが、その「等」について、個々の会社名を明らかにせよとは言いません、せめて大手建設会社あるいは山梨県内の建設業者と同じような範疇での具体的な中身を明らかにしていただきたい、その「等」について。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今御指摘のとおり、その部分は大手の総合建設会社や山梨県内の建設業者等から供与される資金というふうに御報告申し上げました。その「等」が何かということは、今ここでお答えすることは差し控えさせていただきたい。これはいずれ公判の立証等で明らかにされるものであるというふうに考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 まことに不満であります。  それでは、この「等」の中に東京佐川急便渡邉廣康元社長から金丸に対して供与された資金は入るのか入らないのか、それは答えてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員が御指摘の東京佐川急便との関係はないものというふうに聞いております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 そういうふうな立場が検察当局の態度のようであります。  しかし、この点については、本年三月十九日の読売新聞が一面トップで報道しているわけであります。平成元年分の六億五千万円についてはその原資として東京佐川の渡邉元社長から金丸に贈り届けられた五億円が入っているのではないかという記述があります。  本年三月十八日のNHKもその旨報道いたしました。三月十八日夜のNHKニュースによりますと、東京国税局査察部の調べとして、東京佐川が平成元年夏ごろ金丸に数億円の資金提供をしていた疑いがあり、この資金の一部が雑所得の同年九月の六億円、実際は六億五千万が正確なんですが、ワリシン購入に充てられていたと見られると報道しております。私は、この方がむしろ真実だったのではないかと思うわけであります。  ところが、検察当局は、これは事実でないということでこの事実をつぶしました。これも私の推測でつぶしたと言っておるわけですが、興味深い記事が三月十四日の東京新聞に出ております。金丸代議士の平成元年の六億五千万に関しては、その年の夏のいわゆる東京佐川渡邉からの五億円流用説もあるという見出しでありまして、検察当局は、昨年来私が再三質問したわけですが、平成二年の一月の総選挙直前に五億円が授受されたのだということで略式確定してしまっているわけであります。もし平成元年の夏の五億円流用説が真実だとすれば、五億円二回になるわけですね。そうしますと、「「仮に金丸被告が東京佐川急便から五億円とは別の献金を受けていたなどと供述したら、これまでの検察側主張が崩れることになる」と、ある検察幹部は複雑な表情を見せる。」という記述が本年三月十四日の東京新聞にあるわけであります。  これに絡んでは、朝日新聞の記者座談会がおもしろいことを言っているのですね。本年三月三十日、第二回目の起訴が終わった後の朝日新聞社会部取材班の座談会であります。「情報不足のためか「誤報」といえる報道もかなり目についた。ある新聞は、一面のトップで、読者が関心を持っていた割引金融債の購入原資について、「東京地検特捜部の調べで明らかになった」などと報じたが、これは検察当局によって明確に否定された。」と書いてあります。名前も伏せています。内容も伏せていますが、結局これは三月十九日付の読売新聞のトップニュース、例の東京佐川の金が平成元年の六億五千万の原資ではないかということを書いた記事を暗に指しています。  そしてまた、その記者座談会は「特捜部からの出入り禁止といった「制裁」は今回もあったか。」という論議がありまして、「何社かが出入り禁止となったが、それは誤報を掲載した場合に限られた。」別の記者が「これまでは事件の核心で捜査上、触れられたくない事実を報道したとき、出入り禁止が連発されたが、今回、記事が正確であれば、そうした「制裁」はなかったのではないか。」  要するに、朝日新聞の記者の座談会は、朝日新聞としては、東京佐川からの金が原資になったという記事は書かなかった、だからおれたちは出入り禁止にならなかった、しかし暗に、読売はそれを報道したがために検察のげきりんに触れて出入り禁止になったかのごとく記者座談会で書いているわけであります。これが本当だったのではないでしょうか。  真実は、平成元年夏の東京佐川渡邉からの金丸の五億円が原資になって、その年の秋の九月の六億五千万のワリシンの購入資金に充てられた。しかし、それが表に本当に出てしまうと昨年行った検察の略式確定が空中分解してしまう、あるいは五億円二回説が浮上してしまうというので、それは困るということでそちらを握りつぶしてしまったのではないか、それを報道した読売に対してこういう形で出入り禁止にしたのではないか、それが真実ではないかと思うのですが、これは答弁求めても、大体答弁はわかっていますので、短く。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 まず、新聞等の報道あるいはそれを根拠にいろいろ御推測なさることにつきまして、法務当局から御意見を申し上げることは、もちろんいたしかねるわけでございます。  それから、今委員が御指摘になっておられます東京佐川急便から金丸前議員に授受されたという五億円、これは既に確定いたしました略式命令におきまして、平成二年一月中旬ごろに授受が行われたというふうに認定されているわけでございます。  それと、もう一つ申し上げたいのは、先ほど申し上げましたように、金丸前議員らに係る所得税法違反として公訴を提起しております事実は、昭和六十二年、六十三年それから平成元年ということでございますので、先ほどの五億円とは関係がないということは御理解いただけるのではないかと思うわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 もう時間がないから進みますけれども、法務省の参議院予算委員会に対する報告によりますと、生原元秘書の分についての原資については、先ほど指摘しましたように「金丸前議員の支援者からの陳情等の際に供与された資金等を原資として、」とあります。これは非常に重要な言葉ですね。陳情の際に供与された資金ということは、これはわいろ性を帯びた金ということを意味するわけであります。もしこの陳情内容と金丸、生原の当時の職務権限があれば、これは立派に贈収賄になる、贈収賄の疑いが非常に高いということを示唆している文章だと思うわけであります。  もし、陳情内容と、職務権限が金丸、生原になければ、いわゆる灰色の資金ということになるわけであります。それだけに限らず、金丸の方の分につきましても、あるいは今回所得税法違反として立件されなかったいわゆる原資なるものについても、検察は金の流れをつかんだわけですから、少なくとも七千点にわたる証拠物をとったわけですから、それが本当にどういう趣旨の金であったのか、収賄罪が成立しないのか、あるいはあっせん収賄罪が成立しないのか、そういう観点から徹底した捜査が行われなければならないと思いますが、これは捜査の基本方向の問題です。後藤田法務大臣の所見を。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 一般論としまして、検察というのはやはり、犯罪の容疑があれば徹底的に調べる、そして証拠の上からこれは起訴をすべき事件であるということになれば起訴をして裁判所の判断を求める、こういったようなことで的確な事件処理をやっておる、私はこう考えておるわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 贈収賄の立件というのは非常に大変な作業であることは私も承知をしておりますので、そこはしっかりこれからやっていただきたい。  もう一つだけ。実は大手ゼネコンからの金の流れについては、いわゆるやみ献金、使途不明金の問題が指摘されているわけですが、本年三月二十六日に毎日新聞では、清水建設が献金リストを持っておって、五十七人の政治家にランクをつけまして、SAランクは金丸、竹下、これは一千万盆暮れに届ける、Aランクは宮澤喜一総理ほか六人、これは五百万、Bランクのところに法務大臣の名前も出てきて、三百万円、Cランクには二百万円、Dランク百万円と説明しているようであります。  もしこのランクづけされたように清水建設がこれらの政治家にこうした金額を渡したとするならば、現行政治資金規正法の量的制限は、政治家に対しては年間百五十万円であります。規正法二十二条の二によって「何人も、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の者に対しては、」百五十万円以上寄附してはならぬ。何人もこの寄附を受けてはならぬ。罰則は規正法二十六条にありまして、これに「違反して寄附をした者」も「違反して寄附を受けた者」も「一年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金」であります。時効は五年であります。  これはもう証拠を検察庁は握っていると思います。清水建設のこういうリストも出てきた。恐らく清水建設の会計帳簿、裏金帳簿もつかんでいると思います。問題はそういう政治家に現実に金が流れたかどうかだけでありまして、恐らく政治家たちは、ほとんどこれはやみ献金ですから、政治資金の届け出をしてないと思うのですが、もう一見明らかにこれは量的制限違反になる。政治資金規正法違反として、時効でもありませんから、徹底してこれらの捜査がやられなければいかぬ、当然やるであろうと私は思うわけでありますが、これは法務大臣、御答弁をお願いします。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 新聞の記事によっての御質問でございますから、その内容については、私はここでは何とも申しません。  ただ、先ほど言いましたように、犯罪の容疑があれば証拠に従ってきちんとこれは起訴すべきであるとかいうようなことであれば、的確に捜査するであろう。ただし、うわさで検察の捜査というものはやるべき筋合いのものではない、ここだけはきっちり守ってもらわなければならぬ、こう思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 終わりますが、私は、うわさではなくて現に清水建設の献金リストがあることがもう既に捜査の過程で明らかになっていると思われるわけであります。また一方、清水建設につきましては、使途不明金として一九九〇年度が三十四億二千万円、九一年度が二十八億二千万円出たということも明らかになっております。この使途不明金の幾らかが政治家に渡ったと考えるには全く合理的な推測であろうと思いますし、私は推測で言っているわけではない。何しろ今検察は七千点に及ぶ証拠を握っているわけです。その証拠の中に清水建設の金の流れについてもあることはもう明らかでありますから、そういう事実があったら、これは相手が政治家であろうときちっと政治資金規正法を発動して捜査が行われなければならないと思うわけです。それを言っているのです。  刑事局長のそういう決意をお聞きして、終わります。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 まず、押収されている物について、こういうものがあるのは明らかであるというような御指摘があったわけでございますけれども、その点は、いつどこでどういうものが押収されているというようなことは、これはもちろん法務当局から公にしたことはございませんし、新聞報道だけでおっしゃられてもお答えのしようがないわけでございます。  それから、これは先ほど大臣もお答えになりましたように、いかなる事案でありましても刑事事件として立件するに足る犯罪の嫌疑が認められますれば検察当局としては適切に対処するというふうに考えているわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 終わります。

星野行男自由民主党

○星野委員長代理 中野寛成君。

中野寛成民社党

○中野委員 平成二年六月一日に出入国管理法を在留資格の要件について改正をいたしましてから昨日でちょうど丸三年になりました。その間、不法残留外国人の数もふえているという状況もありますし、また日本の場合には、あらゆる国から信頼され、そしてまたあこがれられる国になりたいと思いますし、同時にしかし、我が国の法律や秩序が外から壊されることも何としても防がなければいけないと思います。この微妙な問題は、ある意味では日本の国際化に向かっての試練なのかもしれません。そういう気持ちで若干の質問をしたいと思います。  日本に就労を目的として入国している外国人の数は現在どれくらいでしょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 先生御案内のように、平成元年の入管法の改正によりまして在留資格を整理したわけでございますが、その中で、就労してもいいという資格がございます。  最近、平成四年における就労目的で新規に日本に入ってきました外国人について統計が出ましたので、その数を申し上げますと、十万八千百四十三人でございまして、前年、平成三年の十一万三千五百九十九人に比べまして四・八%の減、五千四百五十六人の減となっております。前年に比べ伸びを示しているものは、企業内転勤が四千六百三十九人、教授八百四十三人、研究八百六十人、技能二千四百四十一人、こういうことで、この四つのカテゴリーについては前年に比べて増加しておる、しかし全体としては若干減っている、こういう状況でございます。

中野寛成民社党

○中野委員 なお、不法に就労しているのはどのくらいあるのでしょうか。その摘発した人数、それから大体そういうものの温床になりがちな職種というのもある程度偏ってあるのではないかという気がするのですが、どうでしょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。  不法に就労しているという者の数でございますが、不法就労者というものは潜伏しておりますもので、その実数を正確に把握するというのは困難でございますので、私どもといたしましては、法務省にございます電算機の統計に基づいて、不法に残留している者を計算しております。その推計によりますと、平成四年十一月一日現在、二十九万二千七百九十一名が不法に残留しているということでございまして、これは単に不法に残留しているだけじゃなくてほとんどが不法に働いている、不法就労者と推定されるところでございます。  それで、その摘発といいますか、退去強制手続になった者について申しますと、平成四年におきましては、入管法違反として退去強制手続をとった者は六万七千八百二十四名でございます。不法に就労していたという者はそのうちの約九割の六万二千百六十一名でございます。  その態様を見てみますと、男は建設作業員と工員というのが全体の約八割、女性はホステスが約三割、それから工員が約二割弱、こういうようなことになっているのが現状でございます。

中野寛成民社党

○中野委員 今の御答弁で、昨年一年間に入管法違反で強制退去させられた外国人が約六万八千人、一昨年に比べまして大幅に増加した。これは報道でもそういう報道があるのですけれども、その理由は何でしょうか。取り締まりが厳しくなったのでしょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 一昨年に比べまして約八八%増加したということは、今先生がおっしゃったとおりでございます。その理由は、実は不法就労案件、入管法違反案件というのは非常に複雑化して巧妙になってきておりますので、その中で摘発に積極的に努力したということもございますが、他方、景気が非常に低迷しておりまして、景気が悪くなったものですから、違反者で自主的に帰る、出頭してきたという者がふえてきたということも考えられるところでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 そのような背景の中で、今後のあり方についていろいろと工夫もし、また整理もしていかなければいけないと思うのであります。  そこで、技能実習制度について新しい施策が講ぜられておりますので、若干お尋ねをいたします。  最近の研修資格での入国者数はどのくらいで、どういう職種、どういう分野か、その実態を教えてください。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。  最近の研修生、日本で技術等を修得し、これを磨くということで研修生として日本に入国した者につきましては、昭和六十三年に二万三千四百三十二名ございました。これが毎年非常な勢いでふえてまいりまして、平成三年には四万三千六百四十九名となりました。平成四年は四万三千六百二十七名で、これまでふえてきたのが、昨年は前年に比べてほぼ横ばい、実際は二十二名減ということでございます。これも先ほど申し上げましたけれども、景気の低迷を反映したものではないかというふうに推測しております。  職種別分野につきましては不明ではございますけれども、研修受け入れ機関の業種について申し上げますと、機械、電機、自動車等の製造業が圧倒的に多うございまして、その他比較的多いものといたしましてはコンピューター関係、建設関係、医療関係、運輸通信関係などがございます。

中野寛成民社党

○中野委員 もう一つ、この四月五日に「技能実習制度に係る出入国管理上の取扱いに関する指針」を定める告示というのが出されました。これは各省庁にまたがります外国人労働者問題関係省庁連絡会議の申し合わせとか、いろいろ背景にあると思いますが、外国人の技能実習制度がいよいよスタートしたわけであります。いろいろと苦労し、工夫をされた結果だと思いますが、その概要及び制度創設の背景についてお聞きをいたしたいと思います。また、この研修と実習を合わせて滞在期間を二年間としているわけでありますが、その理由もあわせてお願いします。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。  本年の四月に発足いたしました技能実習制度について若干御説明をさせていただきます。  まず経緯から申し上げますと、平成三年十二月の行革審におきまして、開発途上国から来日する外国人が一定の条件のもとに日本人と同様の待遇を受けつつ、帰国後は本人の就業及び母国の経済開発、社会開発に役立つ技術、技能を修得できる制度を創設すべきという提言がなされました。それを受けました平成四年度の行革大綱におきまして、新たな研修制度の創設について検討されることが決定されまして、法務省を初めといたします関係省庁で検討をいたしました結果、より実践的な技術、技能または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力するという広義の研修制度として本年四月この制度が創設されたものでございます。  この制度の概要は、これは開発途上国からの人たちですが、本邦におきまして一定期間研修を受けていただきまして、その研修成果等の評価を行いまして、一定水準以上の技術、技能または知識を修得したということ等の要件を満たした者については、研修を受けた機関、企業等がございますけれども、それと同じところで今度は雇用関係のもとにおきまして技能実習を認める、こういうものでございまして、滞在期間は研修と技能実習を合わせて二年以内ということにしているものでございます。  さて、なぜ研修、実習を合わせて滞在期間を二年としたのかというお尋ねでございますが、滞在期間について二年ということに制限しました理由は、先ほど申しましたように、この技能実習制度というものが広い意味での研修制度というふうに位置づけられておりますことから、余り長い間研修をしてその後実習するということは研修制度になじまない、その人は一定の研修、実習で技術を磨いたらお国に帰ってそこで生かすという、それが趣旨でございます。  それから、帰国担保を確保する観点からいいますと、余り日本に長くいるということは帰国担保の点からもいろいろ問題が生じてきますので二年間ということにしたわけでございます。  この二年間という期間は行革審第二次答申などの内容、それからまた現行の研修のほとんどが一年以内の研修でございますので、それと実習を合わせて二年が妥当と考えたわけでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 前に東京商工会議所がこれらのことについていろいろ研究をして、そして一つの提案をされたのを思い出すのですけれども、その説明を聞いたときに、余り高度な技術を日本で教えられても困るのだ。というのは、自分の国へ帰って役に立たない、だから言うならば自動車のつくり方を教えてもらうよりリヤカーのつくり方を教えてもらう方がいい、そしてリヤカーをつくる工場を自分の国に帰ってつくった方が役に立つ、または自動車より自転車が役に立つとか、だからそういう基礎的な割と単純なものの方がかえって日本に実習、研修にいらっしゃる方には役に立つ場合があるというふうなことを言われたことがあります。ですから、高度な技術から比較的平易な技術にまで枠を広げられているわけですけれども、やはり今後ともそういう工夫というのは必要なのだろうと思うのですね。  そこで、結局、技術実習の対象となる職種として今後そういう職種の拡大を含めていろいろな工夫がなされてしかるべきだろうと思います。どのようにお考えでしょうか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、日本のコンピューターを使った非常にハイテクの技術、確かにこれも必要ではございますけれども、それのみならず、あるいはそれよりも国によっては本当に基本的なものの方が、そういう技能者といいますか、そういう者の育成の方が重要だという指摘も十分我々承知しておりまして、この技能実習制度の対象となるものにつきましても、基本的には開発途上国のニーズに合ったものをというものを念頭に置いて選んでいきたいというふうに考えているところでございます。  それで、そのレベルにいたしましても、日本におけるような非常な高い、あるものについては高いものがございますが、あるいは日本独特、日本の風土に合ったものをそのまま適用するのではなくて、これらの開発途上国の現状に合ったものに変えていくといいますか、そういうものにアダプトさせていく、そういうようなものにしていく必要があるというふうにも考えております。  それで、この技能実習の対象となる技能等につきましては、財団法人国際研修協力機構におきまして研修成果の評価が可能となるものであり、この評価は検定とか資格試験等を実施している公益法人等の評価制度を踏まえた仕組みによる客観的かつ公正な評価に基づき行われるものとしております。  それで、参考までに今どんなものが行われているかといいますと、例えば労働省所管の技能検定に係る職種、鋳造及び機械加工等十七職種を初めといたしまして、関係省庁において開発途上国のニーズに合ったものを今いろいろ検討中でございます。また、将来の職種の拡大につきましては、技能実習制度の実施状況等を踏まえまして積極的に検討していきたい、こういうふうに考えているところでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 現在、国際研修協力機構等がいろいろ工夫をしておられますが、今の御答弁にありましたけれども、今後日本としてもしっかりとした、めり張りのきいた行政というのがこの問題についてもなお一層必要だろうと思います。  我が国が、技能または知識の開発途上国へのスムーズな移転を図るためには、外国人労働者の秩序ある受け入れ態勢が必要だろう。例えばよく悪い例として挙げられますのがヨーロッパのケースで、ドイツにおいては外国人労働者をめぐって大きな社会問題が起こったということは数年前からよく言われていることであります。そこで、我が国としては、送り出し国との間で身元保証、資格、人数等の受け入れに関する条件についての二国間協定を結ぶなどして外国人の保護を図るとともに、不法残留者等に対しては毅然とした取り締まりをする必要がある、こう思うわけであります。このことについて、高橋局長の御答弁をお願いすると同時に、最後に、大変民情に詳しい法務大臣にお尋ねしたいと思います。  単に技術移転とか知識の移転とかだけではなくて、実際に日本の中小企業とかそういう企業がコストの低い労働力を欲しいという気持ちもある。バブル経済華やかなりしころはまさにそれでいい。言うならば、早く早くということで我々大変要請も受けたりいたしました。しかし、バブルがはじけた後もそう変わっていない部分もあります。ですから、欲しいという時期、今は不景気でそれどころではないという企業もある。しかし、不景気だけれども、だからこそ欲しいという企業もあるのです。ですから、そういう日本の国内の企業等のニーズ、それから相手国の国民の技術の修得等、また技術移転、知識移転等に貢献をするという意味、これはきれいごとではなくて、実際上はいろいろな経済上の理由から欲求が渦巻いていると思うのです。  日本国内としてもやはり欲しい、また相手国の労働者も日本で稼ぎたい、しかしそれは秩序立ったものでなければいかぬし、日本で秩序や風紀が乱されるということでも困る。このバランスを法務当局としてどうとるのか。また、これは労働省とか通産省とかそういうところとの調整を政府の中で図っておられるようですけれども、その中核、真ん中にあって一番バランスを考えるという役所は法務省なのだろうと思うのです。そういう意味で、最近の在留外国人の実態、そして今後どうあるべきかについて、法務大臣の御所見を改めてお伺いして、終わりたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 外国人労働者の秩序ある受け入れ方についてでございますが、入管法の建前といいますか原則は、技術、技能、知識等を持っている者につきましては積極的に幅広く受け入れる、しかしそういうものを持っていない単純労働者については慎重に検討するということで、今のところ認めておらないわけでございます。  秩序あるということでございますが、問題点は、もし外国人の方が今のルールを守って入ってきていただく限りにおきましては、外国人の保護の問題につきましてもほぼ問題はないと考えております。問題があるのは、ルールに合わないで入ってくるあるいはルールを破る、そういう外国人でございまして、先ほどから問題になっております不法就労者というカテゴリーにつきましては、人権とかいろいろ問題が生じてきているわけでございます。  この問題については多くの国で非常に悩んでおるわけでございます。二国間協定なども結んで労働者を入れた国もございます。各国の経験を見ますと、二国間協定を結ぶことによっていろいろ生ずる問題が解決できるかということについてはまだいろいろな意見がございますので、この点につきましては我々も検討していきたいと思いますが、今のところは二国間協定がいろいろな問題を解決するには役に立つという認識にまだ至っていないのは事実でございます。  いずれにいたしましても、単純労働者の受け入れというのが一番の問題でございますので、これは引き続き関係省庁で国際的な視野、長期的な観点から検討していきたいと考えているところでございます。     〔星野委員長代理退席、委員長着席〕

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 数年前から、おっしゃるようなことが政府の中で、また自民党の中でも大問題になりまして、やはり何といいますか、現在の我が国の態度としては専門的なといいますか、技能労務者とでもいいますか、それは国際貢献といったような面も考え、積極的に受け入れたらどうだろうか。しかしながら、単純労働者についてはよほど考えませんと、日本の国内的に見ましても、経済的なあるいは社会的な面から見て将来に大変な禍根を残すおそれもあるだろう。  それからまた、諸外国の先例を見まして、やはりヨーロッパの関係、殊に私自身のあれは、オランダからいつでしたか野党のリーダーが来まして、若い人でしたが、あなたのところで一番困っているのは何ですかと言ったら、やはり外国人の労働者の問題だ、こう言っていました。最近のドイツの例は御承知のとおり。殊に、日本の場合は外国人との接触が多くはなったとはいってもヨーロッパの人間とはまるきり違う、こういったところにうっかりすると日本の社会に大変な禍根を残すおそれもあるのではないかといったようなことを考えまして、今高橋君がお話ししたようなやり方が現時点においては一番適当であろう、こういうことでやったわけです。  私も今のところはこれでよかろう、こう思っているのですが、私は実は先生の場合と逆の心配をしているのです。それは日本に外国人労働者を積極的に受け入れたい業界といいますか業者がたくさんある、ニーズがある、こういうお話です。しかし、そのニーズの中には安く使ってやろうということが考えられています。これは私は、日本の国内に差別を持ち込むことですからぐあいが悪いということを一方で考えながら、むしろ最近のような日本の為替相場が仮に百円前後というようなことになる場合も一応頭の中に置かなければいけません。  むしろ、私は、これから先は日本の国内が空洞化する方の面が心配ではないのか、こういうことをやはりこういう問題についても考えておかなければならない。安く使おうとする面についてはこれは平等に扱わなければなりませんが、どんどん入れておいて日本の中が空洞化したときに一体だれに一番最初しわ寄せするのだということになればおのずから明らかですね。こういうようなことはできるだけ避けた方がよかろうということで、やはり党と政府でこれ二年間か三年間ぐらい勉強したのですね。それで現在のような制度が今のところは安全ではなかろうかな、こう基本的に私は考えておるわけでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 終わります。

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 冬柴鐵三君。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三でございます。  私は、我が国における法律扶助制度の飛躍的な拡充、これを要請する資料を得るために一昨年はイギリスヘ、昨年は韓国を訪問し、その視察結果に基づきまして予算委員会及び当法務委員会で質疑を行ってまいりました。  かつて三十年以上も前に司法試験の勉強中に読んだ「註解日本国憲法」こういう本の中で憲法三十二条の中の解説に、フィリピン憲法には貧困者に対する法律扶助は国の責務がある、こういうことを明定しているということが書かれていたことを記憶いたしておりました。  そこで、現在におきましては我が国の最大の被援助国でもあり、発展途上にあるフィリピンがどんな沿革のもとにこのようなすばらしい思想というものを導入することができたのだろうか、憲法には書かれているけれども、現実の厳しい財政事情のもとでフィリピンはどんな政策努力をして法律扶助を具体化しているのだろうか、ぜひ自分の目で確かめたい、このような考えのもとに、ことしは連休前の四月二十七日、日本を立ちまして、八、九日の二日間フィリピンを訪問をいたしました。  続けて翌三十日と五月一日には、近いですからシンガポールへっいでに参りまして、同国の法律扶助についても勉強をしてまいりました。法務省と外務省には非常にきめの細かい便宜供与をいただきましたので、非常に短い期間ではありましたけれども、大変多くを学ぶことができました。もちろん概括的な上滑りな調査ではありますけれども、非常に勉強させていただきましたことを関係の方々に心から感謝の意を表しておきたい、このように思うわけでございます。  そういうことで、甚だ質疑としては異例なやり方でございますけれども、昨年の十二月八日の当委員会で韓国へ行ったときの報告をいたしまして、法務大臣、人権擁護局長にそれぞれ所見や所感を伺うという形をとりました。きょうもこのような異例なやり方ですけれども、フィリピン及びシンガポールへ参ったときの両国の法律扶助制度のアウトラインについて御報告を申し上げて、法務大臣の所感なり所見なりを伺ってまいりたい、このように思っております。  まず、外務省に来ていただいておりますので最初に伺っておきたいと思います。  フィリピンが我が国の最大の被援助国である、このように私、認識しているのでありますけれども、我が国がフィリピンに供与する政府開発援助、ODAの内訳についてでございますが、もちろん統計結果が出ている最新年度のもので、一年間で結構です。無償資金供与あるいは技術協力及び円借款、それぞれに一年間の額と、それからそれまでの累計額についてお示しをいただきたい、このように思います。

長井忠外務省経済協力局評価室長

○長井説明員 お答えいたします。  一九九一年、平成三年の暦年で支出純額ベースでお答えいたします。  一九九一年の無償資金協力が一億一千十九万ドル、技術協力が六千三百四十三万ドル、有償資金協力が二億八千五百三十万ドルでございました。  それぞれ九一年までの累計額でございますが、無償資金協力は九億四千百九十万ドル、技術協力は五億五千六十九万ドル、有償資金協力は三十一億六百九万ドルでございました。  以上でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 ドルベースで言われると、しかも金額が物すごく大きいものですからちょっとわかりにくいのですが、この九一年の無償資金供与は、日本円に直しますと百四十億円、それでその累計は千三百十億円に達する、こういう理解です。それから技術協力は六十一億円、累計が七百七十四億円、それから円借款が三百六十八億円で、累計が一兆八百九十九億円、このように私は換算しているのですが、大体そんなことでいいですか。確認だけ。

長井忠外務省経済協力局評価室長

○長井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生が出されました数字は、九一年度のコミットメントのベース、こちらは年度でございます。先ほどはほかとの比較で暦年で申し上げましたけれども、今の数字はコミットメントベースでかつ九一年度ということで、そのとおりでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 いずれにしましても、大変な援助をしている国だということはわかると思います。  続けて、その国のアウトラインを知るために外務省にお尋ねしたいのですが、フィリピンの昨年度の一般会計予算、日本では九二年になりますが、総額、恐縮ですが邦貨に換算して幾らになるのか。それから、これは計算すればわかるのですが、我が国の一般会計予算はたしか七十二兆二千百八十億円だったと思うのですが、比較すると何分の一になるのか、人口はどれぐらいか、その点について順次教えていただきたいと思います。

林景一外務省アジア局南東アジア第二課長

○林説明員 お答えいたします。  九二年度のフィリピンの予算額でございますが、三千八十四億ペソという金額でございまして、これを邦貨に換算いたしますと、いわゆる支出官レートに基づいて換算いたしますと、約一兆五千六百五億円ということに相なります。このベースで比較いたしますと、我が国の当該年度の一般会計予算の約五十分の一強と申しますか、四十六分の一程度ということでございます。  それから、人口についてのお尋ねでございますが、フィリピンの人口でございますが、九〇年五月現在の数字といたしまして六千六十八万五千人という数字がございまして、我が国の人口の約半分といったところでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 ついでにちょっと、シンガポールは私の選挙区の中の一つである淡路島と同じ面積というふうによく聞く、人口も二百七十万人のきれいな都市国家だ、こういうことは知っているのですけれども、二百七十万人で合っているのか。それから、九二年度の一般会計予算、邦貨に直してどれくらいの規模になっているのか、何分の一か、お示しいただきたいと思います。

林景一外務省アジア局南東アジア第二課長

○林説明員 シンガポールについてでございますけれども、人口については御指摘のございました約二百七十万人、九〇年五月の統計で二百六十八万五千人、我が国の人口の約四十六分の一という数字がございます。  それから、予算につきましては、厳密な意味で日本の一般会計とそのまま対応するかどうかちょっとあれですけれども、いわゆる予算総額といたしまして、シンガポール・ドルで九二年度について百四十二億ドル、これは支出官レートで邦貨換算いたしまして約一兆六百五十九億円、我が国の当該年度の一般会計予算に比較いたしまして一対六十七・五、約六十八分の一といった規模でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 外務省、今の関係の方はもうお帰りいただいて結構です。どうも本当にありがとうございました。  さて、アウトライン、人口それから予算規模等は今伺ったわけですけれども、そういう国が、まずフィリピンですが、どういうことをやっているか調べてみました。  フィリピンの法律扶助制度というのは、司法省、日本でいえば法務省の直轄事業としてやられているようでございます。公設法律事務所と訳していいのでしょうか、パブリック・アトーニーズ・オフィス、これを略してPA〇(パオ)というふうに呼んでおります。そこが行っている非常に組織的な法律扶助活動と、それ以外にフィリピン統合法曹会といいますか、インテグレーテッド・バー・オブ・ザ・フィリピンズ、IBPというふうに言っておりますが、そこの法律扶助委員会というところが行っているものが主流をなしているようでございます。しかし、それ以外にも、例えばフィリピン大学法学部の行う法律相談とか、あるいはフリー・リーガル・アシスタンス・グループ、FLAG(フラッグ)というような愛称で呼ばれている、弁護士約三百人による援助団体等の活躍も見過ごすことはできないと思いました。そういうそれぞれについて視察をさせていただきました。  まず、政府が行う法律扶助制度でありますが、このパブリック・アトーニーズ・オフィス、PAOというのは、やはり私が記憶していたように憲法に根拠を持っております。フィリピン憲法の第三条第十一節というところに「何人も貧困の故に裁判所及び準司法機関に救済を求め、適切な法的扶助を得る権利を害されることはない。」このような規定に基づいて行われているものでございます。  このような思想は、お尋ねいたしますと、一九〇一年に、アメリカによる植民地支配が始まったときに持ち込まれた権利章典、ビル・オブ・ライトに淵源をしているのだということをお聞きしましたが、こういう規定を含む憲法というのは非常に早くて、アメリカ統治下のもとの自治を開始した一九三五年(昭和十年)、ケソン大統領時代にこのようなものが規定されたということでございました。  しかしながら、これはプログラムとしてあっただけで、法制度として具体化されたのは、憲法発布より実に数十年も後のアキノ大統領時代の大統領令第一号というものによるザ・シチズンズ・リーガル・アシスタンス・オフィス、これはCLAO(クラオ)というふうに愛称されておりましたが、このCLAOという組織で政府直轄で行われるようになったようでございます。このCLAOは、民事、刑事、行政の各事件につきまして、貧困者に対し無償で弁護士をつけるという制度でございまして、もちろん無料法律相談事業も行っていたわけでございます。  なお、弁護士だけをつけるわけでして、弁護士費用以外の訴訟費用の立てかえというのはCLAOは行っていなかったようでございまして、ただし民事訴訟法、刑事訴訟法の訴訟救助の規定が活用されまして、実際には訴訟費用の負担ができないから法律扶助を受けられない、こういうようなことはなかったようでございます。そのように言われておりました。  その後一九八七年、日本では昭和六十二年、新しいことですが、大統領令によりまして、先ほど言いましたように、このCLAOはPAOという名前に改称されまして、内容も一段と拡充されて今日に至っているということでございました。  それで、PAO、政府直轄の事業でございますが、本部はマニラの司法省内にありました。私は、この四月二十八日に秘書と二人でこの司法省に参りまして、レイノルド・ファハルド公設法律事務所、PAO所長を訪ねまして、現時点における活動などについて詳細な説明等を受け、また資料もたくさんちょうだいしてまいりました。  御説明によりますと、全国に十五の上級地方事務所があるそうです。そして、二百の下級地方事務所が置かれておりました。私が訪ねた四月二十八日現在で、何と一千四十六名の公務員である弁護士と七百九十四名の職員、合計千八百四十名がこの法律扶助事業を担当していらっしゃる。これは恐らく東洋一の規模であろうと思います。  一九九三年、今執行されつつある予算についてお尋ねしますと、二億六千二百三十四万三千ペソ、一ペソは大体五円と換算をいたしますと、日本円で十三億一千百七十一万円五千円の予算を組んでいるわけでございまして、この金額によって職員の人件費とか行政費のすべてが賄われておりました。こんな一千八百四十人もの役所がわずか十三億円でと思いましていろいろしつこく聞きましたら、うちの国は人件費が安いんだ、何だったら全部名前と給料を書いた一覧表を差し上げましょうと言って、こんなごつい、日本の役所じゃとてもこんなもの出せませんけれども、そういうものもちょうだいして帰りました。  それによりますと、サラリーグレードは三十級に別れておりまして、最高のチーフ・パブリック・アト二ーという職責にあるレイノルド・ファハルド所長さんの給料は三十級で、年俸、日本円で百十三万八千五百円でありました。最低の一級のユーティリティーワーカー、雑役をやられる方の年俸は十二万円、月給が一万円。運転手さんは高いんだろうということで聞いたら、いや四級だ、年俸で十三万五千円ということですから、これは確かに安いですね。それでこの十三億円はすごいですねということも話したわけですが、ラモス大統領の年俸が三十万ペソ、百五十万円ですか、そして国会議員さんも、二十万ペソで百万円です。年俸です、月給と違います。そういうことですから、非常に人件費の安いところでそれだけのものを大変頑張っているということでございまして、絶対額だけでは比較はできないなという感じは受けました。  それで、PAOにおいて無料法律相談とか訴訟援助を受けられる資力要件をお尋ねしたわけですが、それは無収入の人はもちろんのこと、家族全体の月間の収入が首都マニラに居住している方は五千ペソで二万五千円以内、家族全員の足した月収が二万五千円以内の人は受けられる。それから、マニラ市以外の市に居住しておらる方は二万二千五百円以下、その他の地域にあっては、二万円以下であれば、フィリピン人それから三年以上住んだ外国人あるいは非居住のフィリピン人、それぞれこれは法律扶助を受けられます。そういうことを教えていただきまして、これは約六千三百万人の国民中八三%をカバーしています。八三%の方が無料でこのリーガル・エイド・サービスを受けることができるということをおっしゃっていました。  そして、それじゃ実績はどうだということで、一九九二年の実績表をいただきましたけれども、受理件数が二百二十六万七千八百七十七件、膨大なものでございました。そのうち訴訟、これは準訴訟事件、行政事件のようなものだと思うのですけれども、裁判所における訴訟だけじゃなしに、それが三十五万二千件に及んでいる。それから、非訴訟事件というふうに分類されている無料法律相談を含む法的助言・援助が実に百九十一万五千八百七十七件、膨大なものでございます。法律扶助協会が九一年に処理をした無料法律相談が三万七千二十八件だったわけですから、百九十一万というのは大変な数であるということがわかると思います。訴訟事件は、シビルケース(民事事件)も二万八千六百六十四件処理をしておりまして、控訴、上告事件も三千二十四件含んでいるということで、相当な規模でやっておられるということがわかるわけでございます。  この無料法律相談というのは、家族、不動産、少年、老人、労働、そういう民事に関する相談がほとんどを占めているということですが、百九十一万件というのは英国をしのぐような実績だなという感想も持ちました。余り詳しくやると時間があれですけれども、このうち大部分は即決の口頭による相談、インスタントサービスと言っておられましたが、それ以外に、外へ出かけて行って、そして弁護士が現場で法的助言を与えているという事件もたくさんあるということでございまして、二十万件近くもそういうものをやっている。このPAOに対する措置というものは年々拡充をしていってくれているということでございました。  先ほどCLAOというのを言いましたけれども、CLAO当時についての日本の文献で紹介されているのには、弁護士数は四百八十三名、年間予算は三千六百万ペソ、こういうふうに書かれているのですが、このわずかな間に、人数においても弁護士の数が倍以上の一千四十六人になるとか、予算規模も数倍にふえているということを考え合わせますと、こういうものに対するフィリピンの国全体の取り組みというものが非常に熱心だということがわかったわけでございます。  ここまでのところで、一言、局長で結構ですからコメントをいただければ次に進ませていただきます。

筧康生法務省人権擁護局長

○筧政府委員 ただいまフィリピンの法律扶助制度について非常に詳細な御報告をいただきまして、私ども、日本にあります文献では知り得ない貴重な情報をお知らせいただきまして、大変ありがとうございました。  お話を承っておりますと、フィリピンの国の規模という点から考えまして、かなり多額の国費が投入されておる、制度的にもかなり充実したものがあるということがうかがえるわけでございます。しかし、他方におきまして、フィリピンの制度においては刑事扶助も含めた扶助制度が設けられているようでございまして、我が国の現在の制度と比べましてかなり異なっているというところもあるようでございます。これも、この法律扶助制度というのは、単にその制度一つを取り上げるのでなくて、いろいろな司法制度全体の中での位置づけがなされなければいけないのではないかということを感じた次第でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 的確なコメントをいただきました。そのとおりでございまして、刑事もこれには含まれておりますけれども、先ほど説明の中で順次申し上げましたように、純粋民事事件ですね、シビルケースについても日本の法律扶助協会が処理した件数の約六倍を処理しているということ、あるいは無料法律相談においては、百九十一万件のほとんどが民事の相談であるということを考え合わせますと、非常な差があるなということを感じるわけでございます。ただし、日本には法律扶助だけではなしに、いろいろな制度があることも御指摘のとおりでございます。  さて、今説明したのは、フィリピンの政府が行う扶助でございますけれども、民間団体である統合法曹協会といいますか、そういうところも非常に頑張っておられるということでございます。それは先ほど言いましたIBPの法律扶助委員会による法律扶助でございます。  IBPは、フィリピン統合弁護士会と邦訳されている文献があるのですけれども、実態を私、聞きますと、現職の判事、検事、弁護士、官僚、日本でいえば司法試験を通った法曹資格がある人は全部入らなければならない、強制加入の団体だそうでございます。日本には法曹会というのはありますけれども。そういう会のようでございまして、そこで懲戒を受ける、例えば会費が未納だとか、まあそんなことはないと思うのですけれども、IBPで除名処分を受けるということになりますと、その判事さんは判事の資格も喪失をしてやめなければならない、そういう非常に強烈な自治組織を持った大きな団体でございます。  ですから、その会長さんというのは大変な権威のある方だと伺ったのですが、四月二十八日に、ヌメリアノ・タノポという会長さんとIBPの法律扶助委員長さんとか随行の人たちと会見をさせていただきまして、その活躍ぶりをお聞きすることができました。IBPの現在の会員数というのは三万六千名もいらっしゃるそうです。うち、判事、検事がそれぞれ三千名ずつで残りが弁護士なのだけれども、その弁護士業を専業でやっているというよりは、例えば代議士になったり官僚になったり会社役員についたりという人が非常に多いということを説明をしておられました。現にフィリピン上院というのは定数が二十四名ということだそうでございますけれども、うち二十名までが法曹資格を持った弁護士だということで、現在の上院議長さんももちろん弁護士でIBPの前会長だ、私の前任者が今上院の議長をやっているということを言っていらっしゃいました。  そこの法律扶助委員会、リーガル・エイド・コミッティー・オブ・ザ・IBP、これはIBPの会長が当然にその委員長、チェアマンを務める、そしてそのほかに弁護士の二名の委員、三名で構成をされておる。そして、その法律扶助事業というのは、先ほどの憲法の精神に基づいて行うものであるということで、詳細なガイダンスを定めたものをいただいてまいりましたけれども、その冒頭に「法律扶助は、慈善事業ではない。法曹に課せられた公的義務である。」こういうような思想を明確に規定をしておりました。  この委員会に対して国はやはり助成をしておられまして、国民議会費の中から助成しているようです。今までずっと年間五百万ペソ、大体二千五百万円ということで据え置かれてきたのだけれども、今年度から倍額にしてもらったということで千万ペソになりました。すなわち五千万円をいただくことになった。これはIBPの前の会長であり、現在の上院議長の非常な努力によって倍増してもらったんだということを言っていました。そのお金で支部組織の事務職員四十五名を法律扶助だけのために雇ってやっているんだということです。  詳細なガイダンス、みんな英語で書いてあってちょっとわからないのですけれども、ミーンズテスト、資力要件あるいは勝訴の可能性といいますかメリットテストというような規定、非常に詳細なものが書かれているんですが、これはどうするんですかと聞いたら、これはPAOとは違うのだから我々は余り厳密にやっていません、言ってきた人は全部やっています、そういうラフなお話でございました。ただ、出張等で必要な実費が要った場合には我々の方で担当の弁護士に支払っているけれども、弁護士報酬は一切無料でやっているということで、その種類は法的助言、書類の作成、代理交渉、訴訟手続ということを民事、刑事の別なく行っておりますということを言っておられました。  大体何件やったんですかと言ったら、これは非常にラフでした。一九七四年から九〇年までの十七年間に一万九千件より多い訴訟事件の処理をしたということでありまして、それ以上の詳しい情報は残念ながら得ることはできませんでした。  そのほかの法律扶助の活動ですけれども、先ほど言いましたFLAGという組織につきましても、四月二十九日にケソン市まで出かけまして、そこで会長さん、アーノ・サニダド弁護士という方と、ミラベル・クリストバル弁護士、女性の闘士という感じの人でしたけれども、この人とお会いして伺うことができました。  このFLAGというのは、どちらかと言えばPAOとかCLAOというのは政府の資金でやっているから政府に対する事件というものに対してはやはりニーズに合わないという点があるのでしょうか、彼らはそれを埋めるために、マルコスの強権政治から国民の自由や民主主義を守るために、三百名の会員を結集してやってきたんだ、労働者や学生、貧困層の人々の団結を指導して今日に至った。マルコス時代のみならず、アキノ時代においてもFLAGの会員弁護士が逮捕されたり勾留されたりすることは日常茶飯事だったし、政府によって十名殺されましたということを平然とおっしゃっていました。  これに対しては資金はどうするのですかと言ったところ、いろいろな善意の拠出をいただいたり、スウェーデン政府あるいはカソリック教会、そういうところからいただいている、ただし政府からは一切もらっていない、こういう、むしろそれを拒絶するような姿勢がうかがえました。  余り詳しくやっても、これは政府がやっていることとは違いますけれども、FLAGに行きましても、啓発書とか、わかりやすい法律相談の書籍とか、いただいて帰りましたけれども、実にたくさんそこに置いてありまして、多くの市民が自由に出入りすることのできる割合美しい事務所を持っておられました。  これは我々政府だけに言うのではなく、この法律扶助というのは、政府ももちろん主体的にやってもらわなければならないけれども、弁護士、法曹が、慈善事業ではない、法曹に課せられた公的義務である、こういう自覚でやらなきゃいけないし、ほかの国はやっているなということを感じたわけでございます。  いずれにしましても、フィリピンの予算は九三年度で十三億一千百七十一万円、九三年度我が国は一億九千二百万円にしていただいたわけですから、絶対額で比較しますと六・八倍向こうが頑張っている。人口は約二分の一、そして予算規模では約四十七分の一の国が我が国よりも六・八倍の予算を計上しているということは、この国が、先ほど冒頭外務省からお伺いしたように我が国からの最大の援助を受けている国、被援助国の国民が我が国の国民よりも、まあこんなこと言えるかどうかわかりませんが、一人当たり三百二十倍の利益を、こういうサービスを国から受けているのじゃないかというふうに私は思います。  こういう比較は余り好きじゃないのですけれども、そういう意味で、今後大臣に頑張っていただくわけですが、大臣から、こういう発展途上の国であり、被援助国が我が国よりも頑張っているという事態について一言コメントをちょうだいできたらと思います。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 ただいま先生から、フィリピンそれからシンガポール両国のリーガル・エイド・システムについて御視察の結果に基づいた詳しいお話を伺いました。それからまた、視察報告のパンフレットもちょうだいいたしまして、大変ありがとうございました。  言うまでもありませんけれども、国民としては裁判を受ける権利、これは実質的に保障せられなきゃいかぬと私は思いますね。そういうことを考えますと、今刑事の方は国選弁護がありますけれども、民事の方はわずかばかりの間接的な補助金で済ませておる、こういうことですから、お金がないということで裁判を受ける実質的な権利の保障がないというのは、私は余り好ましいことであるとは思いません。また、弁護士連合会からもかねてからいろいろお話も承っております。  それでまた、今のフィリピンの状況と日本のこの間接的な補助金の額を見れば、ただ金額の開きだけでなくて、購買力平価の面から見ますとこれは大変な開きがある。もちろん、両国は背景も違いますから一律には言えませんけれども、こういう点を考えまして、法務省としましては、法律扶助制度、これについて日弁連の皆さん方とも勉強しながら今後充実をしていかなきゃならぬ、かように考えておりますので、その点はひとつこれからの勉強課題である、こういうことで御理解を願いたい、こう思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 ちょっと私の言い方が悪かったのですが、今法務大臣、フィリピンとシンガポールと言われましたけれども、シンガポールは今から言おうと思うのです。  フィリピンだけの報告を今るる申し上げたわけですが、あと時間もわずかですが、シンガポールの法律扶助も調査しているので、せっかくですから若干説明させていただきますと、シンガポールの法律扶助事業というのは、一九五六年に公布され、五八年に施行された法律扶助並びに法的助言援助法、リーガル・エイド・アンド・アドバイス・アクトというものに基づいて、司法省直轄の法律扶助局、リーガル・エイド・ビューローというところが一九五八年以降ずっと組織的に行ってきております。  法律扶助局の場所ですけれども、裁判所の筋向かいにあるんですが、この裁判所は旧イギリス統治時代の総督府が置かれていたすばらしい建物が中心街にありますが、それと道を隔ててある民営のビルの三階の一角を賃借りをしてやっておられます。ところが、それは非常におもしろいなと思ったのですけれども、一、二階は物品販売所とか喫茶店とかいっぱい入っていまして、その三階に役所があるわけですが、非常に入りやすいといいますか、役所というかた苦しさが全然なくて、そういう配慮がされているのかなという感じも受けました。  そこで、タン・ペック・チェンという女史、この人はもちろん御婦人、ミセスですけれども、局長さんでございまして、この人、それから次長さんも、それから広報担当官といいますか、三人の方にいろいろ説明をいただいたんですが、すてきな中年の女性ばかりでございました。局で忙しく立ち働いている職員の方も、八割ぐらいまで女性の方でした。また、相談に来られている方にも女性の姿が多かったというのがシンガポールにおける法律扶助局の印象でした。  局には、定員九名の弁護士、一名は病欠中で実働は八名だとおっしゃっていましたが、それと三十三名の職員が働いていられました。  扱う事件は、民事事件の法的助言、文書作成、裁判外交渉代理、裁判手続でありまして、刑事事件は扱っていないということでございました。リーガル・エイド・アンド・アドバイス・アクト・パート2というところには、リーガル・エイド・イン・クリミナル・ケーシズ、刑事事件の法律扶助という規定があるんですね。ところが、この局長さんの説明によると、脚注に書いてあるように、ノット・イン・オペレーション、まだ施行されていない、こういうことが書かれているんですが、この部分はやっていません、民事だけしかやっていませんということをおっしゃっていました。日本の解説書では刑事もやっているようなことを書いてありますけれども、法律扶助局では一回も刑事事件は扱わずに、民事事件だけをやっておりますという説明をしてくださいました。  局の予算というのは、人件費と、民営のビルの三階の一角を借りている、一万フィートスクエアというふうに言われましたけれども、事務所の賃借に関する経費を主とする経費が計上されておりますが、一九九二年度は日本円で一億八千二百二十二万四千円、九三年度は一億九千五百三十七万円、シンガポール・ドルの一ドル七十円で換算して日本円で表示をいたしましたが、いずれにしましても、日本の扶助協会に対する補助額とほぼ同じぐらいの額が支出されているなという感じを受けました。  このシンガポールの九二年度の額は我が国の額の一・二倍ということになりますし、九三年度はほぼ同じ額が計上されているなというふうに思いました。先ほど外務省から説明していただきましたように、人口二百七十万人、当方は一億二千三百五十八万人と比較しますと、これは四十六分の一ですから、その四十六分の一の人口に対して同じ金額がやられている。予算規模ばかり比較する必要はないと思うのですけれども、我が国の六十七分の一ですね。そういう国がそれぐらいのことをやっているということでございました。  それから、局が受理した事件数というのは、一九八三年から九二年までの九年間で七万九百二十件、年間平均で七千八百八十件であったということでございました。ただ、これは訴訟事件ではなくて、法的助言あるいは文書作成というものが主体になっています。  ただ、裁判手続の大部分は、二百五十名の登録された弁護士、外部の弁護士に順次依頼して、いわゆるジュディケア方式というふうに言われるのですけれども、日本の法律扶助協会がやっているように、開業した弁護士に手数料を払ってやってもらう、こういう形でございます。  この弁護士は実費請求しかしていないということで、報酬請求はしていないというようなこともおっしゃっていましたし、注目すべきは、リーガル・エイド・ファンドというもの、法律扶助基金というものが一九七八年六月二日に設立された。それで、この現在の基金残高は、日本円に直しますと三億三千六百万円あります。そこから、その基金果実とかいろいろなものでそういうものを、実費を払うようにしています。  それから、注目すべきは訴訟費用ですけれども、リーガル・エイド・ビューローで扶助決定をした事件は、印紙代とか郵便切手代とか、一切訴訟費用は要らぬようになるそうです。そういう法律上の規定があって、被扶助者は訴訟費用は一切負担しなくてもいいように我が国ではなっていますというようなことをおっしゃっていました。  それで、事件が解決して、そして扶助者が受ける利益というものがあれば、応分の報酬を請求して、それを基金に入れさせます。勝ちますと、訴訟の相手方から弁護士費用を含む費用を敗訴者負担ということで取り立てることができるそうですが、それも基金に入れます。国が負けたらどうするんですかと言ったら、これがまたおもしろくて、その場合は国は払わなくてもいいというおもしろい規定がある。その扶助事件の相手方というのは大変ですねということも言っていたのですけれども、そのようになっておりますという説明でございました。  資力要件ですけれども、非常に幅があるようですが、扶助委員会での裁定で、年間の個人の可処分資本といいますか、ディスポーザルキャピタルというものは、日本円で二十四万五千円までということを言っておられました。しかし、そこから子供一人について例えば二百シンガポール・ドルを減らすとか、借家の場合には三百六十シンガポール・ドル以内の実額を引くとか、減額していくいろいろなシステムがあるようでございまして、相当な範囲の人が、フィリピンでは八三%と言われまして、ここでは何%かと聞いたのですけれども、そこまではわからないと言われましたが、相当な範囲の国民がこの法律扶助を受けられるようになっているようでございました。実績もいろいろ聞いてきたわけでございますけれども、いずれにしましても、政府がこういうものに非常に力を入れているということを感じました。  刑事事件はだれがやっているのかということになりますと、シンガポール・ロー・ソサエティー、シンガポール弁護士会が行っておりますということを言っていました。残念ながら、私はこれを日程の中に入れなかったので、その詳細を調べることはできなかったのですが、これはまた宿題だろうと思います。  シンガポールの婦人弁護士団体というのがありまして、アナマ・タン会長ほかスタッフ三名の方とお会いすることができました。有志四十名で結成をして、中核は十四名だと言っておりましたけれども、大体一万世帯に一つ公設のコミュニティーセンターというのがあるそうですが、そこへ出向いて、夕方七時から夜の十一時ごろまで法律相談をやっている。もちろん無料、奉仕です、日曜、祭日以外の毎日やっていますということで、頑張っているなと思いました。したがいまして、国だけじゃなしに弁護士も頑張っているということをここでも勉強してまいりました。  これも後でコメントをいただきますが、一つだけ、きょうは外務省に来ていただいているので、私、フィリピンの大使館にお伺いしまして、いろいろ見せてもらったのです。その中で異様な一角があるのですね、物すごく忙しい一角。これは日本への入国希望者がビザ申請に来ているわけです。一日千件あるというのですよ。写真を撮ってきたのですが、暑いところを外務省の周りにずっと早朝から並んでいるのですね。上に日よけまでつくってありました。それで、出店が出ているのです。ちょっと写真を撮ってきましたけれども、もう部屋じゅうが記録です。  その中で働いておられる方は、十二人が定員だけれども、一人病気で、今十一人でやっているのです。フィリピンの人にやってもらうわけにいかぬので八時半から夜の十時半、十一時まで連日やっている。うち七時間ぐらい、一日に七時間ぐらい停電があるそうです。そうするともう蒸しぶろになるということで、これはきついな、過労死になるのじゃないかなという感じがしました。  外務省、来ておられると思うのですけれども、そういう実態を十分知っておられると思いますが、何か改善策は考えておられるのですか。  それで、これは賃借ビルの一角ですが、どこへ行くにも、拘置所か刑務所へ行ったようにジャラジャラとかぎを持って、爆破があると困るからどの部屋も全部かぎがかかっている。そういう厳しい中で働いておられる、こういう方ですね。  これは外務省と法務省入管局と非常に近接した部分だと思うので法務委員会でちょっと聞いたわけですけれども、お聞きすると、何か新庁舎の敷地は手当てしてある、いっ建つかわからぬ、アメリカの大使館のその部分と比べるとまことに恥ずかしい状況がある、こういう話でしたが、まずひとつ確認していただいて、副総理でもあられる法務大臣にやはりこういう事情をよく知っていただいて、ほかの国もそうでしょうけれども、特にフィリピンのこれはひどいというふうに思いますので改善をしてやってほしい、こう思うのですが、まず外務省。

岩田達明外務大臣官房領事移住部領事移住政策課長

○岩田説明員 お答えいたします。  今御指摘いただきましたような報告は、私ども、在フィリピンの大使館から受けております。私どもも、大使館員あるいはビザの申請に来られるフィリピンの方に非常に負担をかけているのじゃないかと思って、対策を鋭意考えているところでございます。  フィリピンにおきましての領事査証事務を見てみますと、近年飛躍的に増加しております。今おっしゃいました査証はもちろんふえておりますし、それ以外の、例えば国籍でありますとか旅券事務も五年間で倍増しているような状況です。  私どもは、こういう状況を踏まえて、またフィリピンの大使館からいろいろな要請を受けまして、最近に至りまして、定員は相当、例えば五年間で九名から十二名にふやしましたし、それから領事部の施設も改善をいたしました。他方、まだまだ課題がございまして、やはりこれからの問題としては、より定員をふやしていくことを考えないといけないと思っています。  それから、御指摘のありましたフィリピンの大使館の増改築計画もありますが、その中で、領事部の施設を抜本的に改善することも考えていかなければいけないと思っています。ただ、増改築になりますと時間もかかりますので、当面の措置といたしましては、現状のままでの施設の改善、例えば大きな容量の発電機を据えつけるとか、そういうことをやろうと思っております。  それから、多くの方が待っておられるということでございますけれども、領事査証事務の合理化を図って、待っていただかなくてもいいようなこと、例えば整理券を発給するとかいうことを考えたいと思っています。  それから最後の、どういう増改築計画なのかということにつきましては、私は残念ながら細目は存じておりませんので、もし必要であれば、別途お答えしたいと思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 入管局長もせっかく来ていただいていますので、一言コメントをいただきたい。  日本の東京入管も大変な状況なことも知っています。ここの人員状況も大変ですけれども、外国でも本当に大変な書類の山の中で、この赤色で書いてある箱は何ですかと言ったら、これはみんなペケなんですと。ペケがこれだけあるのですかと言ったら、これ全部、フィリピン大学の卒業証明書も全然わからぬぐらい巧妙にきちっとつくってこられるので大変なんです、あらゆる書類がばちっとできてくるのです、それを短時間で見破ることもやらなければいけないし、本当に大変だということを窪田領事がおっしゃっていました。そういうことは御存じですね。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。  フィリピンのみならず、不法就労者の多い国におきましては、ビザの申請に当たって、現地大使館において非常な苦労をしているのは事実でございます。今先生御指摘のように、これは行列する人のみならず、大使館員にとっても非常に不健康な、健康上非常に問題のあるところでございますので、外務省におかれましてもぜひそういう改善をしていただきたいと我々も希望しているところでございます。  また、私たちといたしましても、不法就労者をふやさないためには、この増加傾向を食いとめ削減していくためには、日本の国内での水際で押さえるのにも努力いたしますけれども、やはり現地で押さえていただくというのが非常に重要であると思います。  他方、この国際化の時代におきまして、やはり善意の旅行者というか日本に来る人にとっては、非常にスムーズにビザが発給され、交流を円滑に進めるということは非常に重要なことでございますので、こういうことにつきましても、入管と外務省と協力して、車の車輪がうまく動くようにやっていきたい、こう思っております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 時間が参りました。今全然違うことも聞いたんですが、法務大臣、入管行政それから法律扶助についての決意をひとつ伺って、私の質疑を終わりたいと思うのです。ひとつよろしくお願いします。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 二つの件とも大変重要な、大きな課題についての御質疑だったと思いますが、政府としましては、御質疑のような点については、予算なり人なりあるいは仕事のやり方なり、十分参考にさせていただきまして充実をしてまいりたい、こう考えます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 では、終わります。ありがとうございました。

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 田辺広雄君。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 自民党の田辺広雄でございます。お許しをいただきまして、私から質問をさせていただきます。  まず最初に、あと一週間で皇太子殿下の御成婚という日に当たるわけでございまして、私ども、皇太子殿下の御成婚を心からお喜び申し上げます。と同時に、そこで大臣にお尋ねでございますが、先ほど恩赦の話が出ました。恩赦が実施をされるように聞いていますが、どのような考え方で臨んでみえますか、そのことをまず所見を伺いたいと思います。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 恩赦の問題は、これは三権分立の建前の中で、裁判の結果を行政権によって変更するあるいは国の刑罰権を消滅させるといったような極めて重要な業務である、私はこういう認識をいたしております。しかし、同時にまた、これは憲法上の制度でもございますし、それからまた法律の固定性といいますか、画一性といいますか、そういう面からくる避けがたいマイナス面もあるわけですから、それを是正するという刑事政策的な観点からも、恩赦制度というものについて必要な制度である、こう私は考えておるわけでございます。そこで、あくまでもこれは慎重に扱わなければならない重要な仕事である、かような認識のもとに、終戦後の今日までの過去の事例等をも参照しながら私は今回の御成婚に当たっては恩赦を実施をする、こういう方針で、今もう最後の最後の詰めの段階に入っているわけでございます。  ただ、平成に入りまして、それに過去二回、御大葬と即位との二回恩赦をやっておりますから、そういったことも頭に置きながら、今回の処理に当たりましては、今のところ私どもの考え方としては政令恩赦はやらないということで、個別恩赦の中の基準恩赦の処理ですべての罪種について申請を受けて個々的に処理をしていく、かような対応で恩赦を実施したい、かように考えているわけでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 ただいま大臣から御答弁をいただきましたが、その恩赦の実施の詳細な内容というのはまだ答弁ができないと思われますが、およその内容がどういうものかというような基本的な考え方を法務当局にお尋ねしたいと思います。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 お答えをいたします。  大臣が先ほど御答弁なさいましたとおり、今回の皇太子殿下の御成婚恩赦に際しましては、政令恩赦は実施せずに特別基準恩赦のみを実施するとの方針のもとに現在事務手続を進めているところでございますが、この特別恩赦基準案につきましてはまだ閣議決定を経ておりませんので、まことに申しわけございませんが、その内容の詳細について申し上げることはできません。しかし、今回の特別基準恩赦の内容につきましては、平成二年に行われました今上天皇の御即位の際の特別基準恩赦のそれとさほど変わりのないものになるのではないかと予想いたしておりまして、その特別基準恩赦の具体的な種類は、特赦、減刑、刑の執行免除及び復権、この四種類となる予定でございます。  ただ、前回の御即位恩赦の際には罰金刑の対象者についての復権令が政令恩赦の一つとして実施されておりますけれども、今回は、今大臣がお話しになりましたように、このような復権令を実施しないという方針になっておりますために、今回の特別基準恩赦の復権、いわゆる特別復権の対象者に罰金刑により処罰された者をも含めるということで検討をしているということが前回の御即位恩赦の特別基準恩赦との主な相違点ということになろうかと思います。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 よく新聞などでこういう場合は、簡単に言えば選挙違反ですが、こういうものはできるだけ恩赦にしないでその他のものでやろうというような一般的な世論があるようであります。そういうものは一切区別をしないで、同じような対象であるというようなことを先ほど大臣がおっしゃったのですが、そのように理解をしてよろしゅうございますか。

杉原弘泰法務省保護局長

○杉原政府委員 お答えいたします。  先ほど大臣が御答弁されましたように、現在検討しております基準案の中身に関する限り、特別基準恩赦というのは、最初から特定の罪種を除外して扱うということではなくて、すべての罪名について一件一件個別に審査をして、個別の情状、犯情等を総合考慮して恩赦の当否を決めていくというのが個別恩赦の趣旨でございますから、その個別恩赦の趣旨にかんがみますと、当初から特定の罪名を除外する、特別扱いするというような方針は必ずしも合理的な理由がないというふうに考えておりまして、今回も多分そのような取り扱いになるだろうというふうに考えております。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 ありがとうございました。  きょうは大蔵省の方は来てみえますね。——それじゃ、実は登録税また免許税の軽減の問題でお尋ねを申し上げますが、先回私どもの塩崎先生から登録税また免許税の軽減についてお話がありました。同じような質問になりますが、明治二十九年に創設されたと聞いていますが、その税制をつくった当時のいきさつというか目的というのは、ただ財源がほしいからつくったのか、それともこういうものをつくることによって財産管理、また登録制度の充実のためにつくったのか、そこらのところはどういう考え方ですか。

細見真大蔵省大臣官房企画官

○細見説明員 登録免許税の課税をするというその根拠ということについての御質問というふうに理解させていただきますが、登録免許税といいますものは、財産権の創設でありますとか移転あるいは人的資格の取得といったような登記、登録、免許等を受けるということにつきまして、その行為の背後にはある程度の担税力があるだろうということに着目いたしまして、例えば不動産ということにお話をさせていただきますと、不動産に関する財産権その他の権利を設定いたしますと、そのことによりまして例えば第三者に対する対抗要件ができるというようなことで、権利関係が明確になって権利が保護されるということがあるわけでございます。その意味で、背後になるそういう保護される権利があるということに着目いたしまして課税をさせていただいている、こういう考え方になっているというふうに理解をいたしております。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 今お話がございましたが、当時は不動産取得税というのはありましたか、どうですか。

細見真大蔵省大臣官房企画官

○細見説明員 申しわけございません。不動産取得税は地方税の世界でございまして、ちょっと私、勉強不足で今直ちにお答えできませんが、必要であれば後でお答えいたします。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 これは登録税が今回固定資産税の評価がえというような問題から公示価格の七〇%に対して千分の五十をかけるんだということで、大変皆さん方もこれについては苦慮してみえます。同時に、先回の委員会でも、これと直接関係ございませんが、そうした附帯決議の中にもろもろの負担をひとつ上げないようにというようなことで見えますが、何か司法書士のところへ参りますと、手数料をもらうのはわずかですが、税金がうんと高いので司法書士がお金を取っておるような感じがしてならないということで、大変不都合だと言ってみえますが、これが平成六年一月一日からまた三倍だとか十倍だとか上がるわけなのですね。そうなりますと、このことによって私は——固定資産税が上がりましても、これは平成六年から徐々に緩和措置というものが講じられておりまして、そんなに税負担にならない。しかも、対象者が多いのですから、どこかから声が出ましてその批判が出ると思う。  ところが、登録免許税というのはそう関係がないものですから、さあ土地を買った、ようやく買えたと思っておりましたら、不動産取得税もやはりこの固定資産税の評価額に対する税率がかかる、登録税は千分の五十かかる、千分の五十というのは五%なのですね、そうなると不動産屋さんに払った手数料以上のものを払わなきゃいかぬ、こういうことになるわけです。したがって、登録をすることについてはやめておいたらどうだという、世にいう登記の中間省略ですか、そういうようなことが行われますし、また相続をしてもしばらくの間登記をしないでおいて次の段階にまた登記をするというようなことが行われて、実際は財産を管理する、財産を保全する経緯というものが非常にわかりにくいというのがこれからの大きな課題であろうと私は思います。  そこで、先回の塩崎先生の質問に対する答弁がありまして、その中に「固定資産税評価の適正化が六年度に実施されますので、その数字を見た段階で、どのようなことが必要なのか、あるいはどのような措置をとるかということはこれから検討する必要があるのではないかという認識は我が方としても持っているわけでございまして、」こういうことを渡邊説明員が言われております。  私はそれをいつやっていただけるかなと思うのですが、平成六年一月一日には地価公示価格の七〇%ということが決まっていますから、もう既にその計算基礎は出てくると思うのです。平成六年一月一日にそれが決まってその数字を見てから考えるのでは、その間非常に不公平な面が出てくるのじゃないかということを心配するので、既にもう今から、十分な検討ができる時期ですから、検討をされてみえるかどうか、また値下げをされる考え方があるかどうかを私は聞きたいなと思ってきょうは質問をしておるわけでございますが、その考え方についてお聞き申し上げておきます。

細見真大蔵省大臣官房企画官

○細見説明員 前回、渡邊説明員からもお話をいたしたと思いますが、この引き上げが行われるのは平成六年からということで、今自治省におきましていろいろな作業を進めているところかと思います。また、先ほど御指摘いただきました不動産取得税につきましても同様に固定資産税評価額を基準に決めているということでございますので、それにつきましてもあわせて自治省において検討が進められていることと思いますが、私どもといたしましては、通常、税制改正といいますものは秋から年末にかけていろいろ検討が進むということでございますので、六年から実施ということであるとすれば、そこにはできるだけ間に合うように、六年度の税制改正、この作業はことしの末まで行われるものでございますから、その過程の中で検討すべきものは検討するということにさせていただきたいと考えているところでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 それから、こういうことを心配しておるのですが、一つは、住宅用家屋の所有権の保存登記、これについては登録税が千分の三に軽減をされております。これは新しい家をつくった場合、そしてまた住宅用家屋を一年ぐらいほっておいてその間に住む人がなかったのを買って使った場合にはそういう軽減措置をとるということ、それからまたそれの所有権の移転登記についても軽減が千分の六に認められております。もう一つは、その住宅を取得する資金を借りた場合の担保設定についての登録税もやはり軽減措置が設けられておる、こういうことになります。これは法七十二条、七十三条、七十四条なんですが、そうなると今度、言えることは、住宅用家屋についてはそれは認められる、それじゃ土地を買った場合にはどうなんだろうということなんですが、それについてはどうお考えですか。

細見真大蔵省大臣官房企画官

○細見説明員 ただいま委員の方から御指摘をいただきましたとおり、今御引用いただきましたのは登録免許税法というよりは租税特別措置法の方で、持ち家の促進という観点から特別の措置をとってそれぞれ税率の軽減というのを、例えば住宅用家屋の所有権の保存登記とか移転登記について実施しているということでございます。  ただ、この住宅用の家屋に加えて土地まで対象にしては、敷地を対象にしてはどうかという御議論があるということは私どもも承知しておるわけでございますが、土地といいますものは将来何にでも使える一つの恒久資産という形であるわけでございまして、そこを購入する個人に対しまして税金を使ってこれを補助するということになりますと、言ってみれば税金をまけるということはどこかでその分の税金を取らなければいけないということであるとしますと、事実上、土地の取得に対して補助金を出すということになりかねないのではないか。  その点では、御存じのとおり住宅取得促進税制というのをあわせて租税特別措置法の中でやっておりますが、これは制度といたしましては最高二十五万円まで、租税特別措置法の改正で三十万円までという修正案を今、国会に提出してございますが、これにつきましても家屋だけを対象にしておりまして、土地は対象にしてないということでございます。それはいずれも土地の取得に対して事実上援助となるようなものはまずいのではないかという考え方に基づきましてやっていることでございまして、そこは何とか御理解をいただけないものだろうかと思っているところでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 最近、宮澤総理、とにかく五年間一生懸命働きなさいよ、働いたら必ず家を買えるようにしてあげるから、こう言ってみえるので大変喜んでおるわけですね。そうしますと、家は買えたが、土地を買うといったらそれは補助もない、しかも今の登録税はどさっとくる、不動産取得税はまたがさつとくる。これではせっかく苦労してお金をためて買っても何にもならないということですから、せめて固定資産税のように、二百平米以下については七〇%減免だとかそういう方法だってあるのではないか。しかもそれが後何に使われるかわからないというのは考え方であって、それを担保する方法を考えて、その場合にはこういうふうにしましょうということも考えに入れていいのではないだろうか、こういうことを私は思うわけなんで、これはぜひひとつお願いしたい、検討していただきたい。  それからまた、今の御答弁の中で登録税は値下げがあるのだということを認識してもいいですか。

細見真大蔵省大臣官房企画官

○細見説明員 いろいろな勉強をさせていただきたいと思いますが、最後の、値下げがあると認識していいかと聞かれますと、これから検討すべきものでありまして、私どもだけで、事務方として私ども働きますが、これからいろいろな場におきまして、政府税調ないしは自由民主党の税調とかいろいろな場で検討されることになると思いますので、この場で予断を持った御発言をさせていただくのは控えさせていただきたいと思います。  ただ、特に前段の方の話につきましては、私どもとしても十分問題意識は持っているということは申し上げられると思います。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 それでは、次の議題に入りますので、大蔵省の方、ありがとうございました。  実は、外国人の不法就労者の問題で前に御質問を申し上げたことがあると思います。そのときの一番の問題点というのは、田原法務大臣も言ってみえましたが、不景気になったら一体その人たちはどうなるだろうということですね。同時にまた、工場なんかの機械設備もどんどん省力化されてきて、その労働者が果たしてどうなるだろうか、こういうような問題などを将来考えなければいけないというお話を聞きました。  同時にまた、今法務大臣からも、一ドル百円になったらどうなるのだ、それは国内が空洞化するのじゃないだろうかというようないろいろな問題が出ておるわけなんで、今現在不法就労者というのは悪いという面と同時に、現実には七十六カ国から二十九万人という方々が来ておって、しかも仕事をしておる。私は、今の労働力の中身、質の問題でこれから考えなければいかぬことが出てくるのではないかなと思うのです。  それはなぜかというと、教育がどんどん上がってまいりますと、日本の労働者の質がうんと向上しまして、単純労働というのは日本人はなかなかできなくなってくる。だから、これを外国労務者によってやるのだとは言えませんが、どこか必要な状態になってくるときがあるのではないか。そういうことを将来考えながら、やはり正規な、できるだけ、やみばかりでやらないで、建前と本音を一新するような状態に持っていって、将来は外国人の皆さん方にも日本の産業のために貢献をしていただくというような考え方も必要ではないだろうか、私はこう思います。  これからのそうした不法労務者、外国人労働者に対してどういうようなことを考えてみえるかと聞きたいのですが、今の実態は一体どうなっていますか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 不法就労者の実態について御説明いたします。  不法就労者というものはそもそも潜伏しているわけでございますので、その実態といいますか実数を把握するのは困難でございますが、当省といたしましては、電算統計に基づく推計で、平成四年十一月一日現在二十九万二千七百九十一人が不法に残留しております。この不法に残留している人たちはほとんどが不法就労しているものと推計しておるところでございます。  この実態、一体どういうような実態かということについて、次に御説明いたしたいと思います。  平成四年に、摘発などによりまして入管法違反として退去強制手続をとった者の数は六万七千八百二十四人でございますが、そのうち不法就労していた者は六万二千百六十一人、八八・九%でございます。  その内容を見てみますと、国籍別で申しますと、マレーシア、イラン、韓国、タイ、中国、フィリピンと、アジアの国が非常に多くございます。  それから、職種としては、男性は建設作業員、工員というものが七八・九%、女性はホステスが三四・四%、こういう状況でございます。  稼働地について申し上げますと、東京都が一番多くて全体の二八・七%、次いで埼玉県が一〇・九%、神奈川県一〇・六%、千葉県九・二%ということで、首都圏が非常に多うございます。それから大阪府六・七%ということになっておりまして、いわゆる東海ベルト地帯というところに集中しておりますが、他方、全国的に拡散している状況も見られます。  それから、ブローカーが絡んでおるケースについて見てみますと、本邦の外において、本邦に入国するための偽造旅券の取得など、ブローカーの介在を受けたとする者は五千七百十四名おりまして、その国籍はタイが一番多いという現状でございます。次いでフィリピン、韓国、こういうような順でございます。それから、本邦内、日本の国内において稼働先のあっせんなどブローカーの介在を受けたとする者は六千四百五十四人で、ブローカーの国籍としてはタイが一番多い、こういう現状でございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 その際、今のこの不景気になったために外国人労務者がどういう状態、失業したのかまた国へ帰ったのか、その後の動きはどうなんですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 この入管法違反で退去強制になった者は昨年六万七千というふうに今申し上げましたけれども、これは一昨年に比べますと八十数%、九割近い増加でございます。これは摘発もございますけれども、不景気で職がなくなって、長くいてもお金ばかりかかるから帰るということで出頭してきたという者が多く見られます。しかし、これが全体としてそうかと申しますと、不景気で職がなくなったがゆえにもっと頑張るという者もいるのではないか、こういうふうに考えております。  具体的に、不景気がどの程度不法残留、不法就労の数の趨勢に影響を与えておるのかについてはもう少し分析してみなければいけないと思っておりますが、ただ不法残留者のふえ方が昨年非常に落ちてきております。実数としてはふえておりますが、ふえ方の率は落ちてきておりますので、これは就業の機会が減ってきたということが大きな原因ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 そこで、今お話がありましたが、これは難しいことですが、その不法就労者、労働者をどういうふうに取り締まって、どういうふうにそれをまた摘発していくかということだと思いますが、先日も、何か代々木公園でイラン人初めたくさんの方々が物を売ったり、また麻薬の取引までしたりなんかしておりまして、東京都が大変力を入れてそれを除去したというニュースを聞いたわけでございます。  今外国人の犯罪というのがどんどんふえておるように思うのです。凶悪犯につきましても、何かお聞きしましたら百六十一件で百八十五人、二七・八%も増加している。そしてまた軽犯罪、こういうものも非常に多くふえておるということを聞いておりますが、そういうような対策、この取り締まりと摘発体制がどうなっているか、一遍お聞かせをいただきたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。  不法就労外国人の対策でございますが、不法就労している者は入管法で認められている資格に沿わないで法に違反して稼働しているわけでございまして、これは入管法の基本でございます在留資格制度を損なうというものでございまして、入管法秩序を乱すものでございます。これは単に法秩序を乱すのみならず、不法就労者を雇うこと自体がほかに正当な労働者を雇っている企業、雇用主と比べて有利な立場に立つということになりまして、我が国の社会経済の基本的な基盤をなしております自由で公正な競争というものを乱すものでございますので、この不法就労というものはなくしていかなければならないと考えている次第でございます。  また、不法就労している外国人は、不法であるがゆえに雇用主から不当に搾取される、非常に安い賃金で労働法規も守らないような条件で働く、こういう状況にも相なるわけでございまして、本人にとっても非常に悲惨な状況にあるという可能性が非常に強いわけでございます。また、不景気になりますと、不法就労者はまず真っ先に職を失う、解雇される状況にございまして非常に弱い立場にある。そうして、不況になりますと解雇され、この人たちは職がないということでつい犯罪に走るということも出てくるということかと思います。そういうことで、不法就労については厳しく摘発していかなければならない、こういうふうに考えております。  その対策といたしましては、法務省といたしまして、労働省それから警察というような関係機関とも十分相談して協力体制を構築いたしまして、連係プレーをとりながら不法就労の増加傾向を食いとめまして、この定着化を阻止して漸次減らしていく、こういうふうにやっていきたいということで、今鋭意取り組んでいるところでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 お話はよくわかりましたが、実際は、私どもが見ておりますと、私の近くの町内にもみえるのです。その方が、田辺さん黙っとってくれよと言うから、はいと言って黙っておるのですが、一番よく知っておるのは、町内の人が実態を全部知っているんじゃないですか。その実態を警察に聞けば、不法就労者がどこに何名勤めておってどういう生活をしておるかということは全部わかると思うのですね。わかったらこれをどうするかということになるとまた困るので、わかったなりに見て見ぬふりをしておることもあるのですが、そんなような、悪く言っちゃいけませんが、そのことがまた中小企業が助かっていく面でもあろうかと私は思うのです。  特に、難しい話ですが、私もそのことを前から申し上げておったのですけれども、例えば零細企業をとってみると、五人以下の従業員を持ってみえるところで外国人労務者が働いているのは大体四一%だというのですね。三十人以下がトータルでいきますと八三%。だから、本当の零細企業がほとんど不法就労の労務者を雇っておるんだという実態からいきますと、これは将来特に大きな課題があるのじゃないかなというふうに思います。  私は、あくまで不法であるからこれは絶対許すべきじゃない、こう思います。しかし、現実はそういうような状況で、日本の零細企業を支えておる一面を持っておるというその存在も我々は忘れちゃいけないのじゃないかということも思っております。それからまた、そういうような建前論ばかりでなしに、人道的な立場に立って、その人たちの健康も守らなければいかぬし、生活も守ってあげなければならぬだろうし、それは一つの国際貢献の一面でもあろうかというように私は思うのです。  きのうもテレビをちょうど見ておりましたら、ドイツのゾーリンゲン市においてトルコ人が暴動を起こすようなああいう、トルコ人の親子が三名か四名だれかに放火されてその中で亡くなった、それに対する抗議集会というようなことでわっと騒いできておるのですね。今、日本は非常にうまくいっておりますが、これがもし万が一間違いますと、そういうことだって起きないことはないというふうに思うわけなんです。ですから、これは、不法就労者だということで罰することも大事ですが、現在おる方々の生活を守ってやらなければいかぬ、こういう大きな矛盾を抱えておりますが、大臣、それについて、物は言いにくいでしょうけれども、何か将来のこともあわせながらこの方たちの存在もひとつ守ってやることも考えなければいかぬのじゃないかと思いますが、どうですか。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 おっしゃるように、この不法労働者の立場というものは本当に考えてやらなければならない課題だと思いますけれども、私は、この問題は、中長期に日本の経済あるいは社会の安定といったような点を考えますと、いわゆる不法労働者についてはきちんとした対応をしておかないと、今日のドイツの状況それから先ほどちょっとオランダの話もしましたが、これは私は、日本はまだ全体少ないですからね。ドイツなんというのは、例のナチスに対する反省もありまして人口の一割以上の外国人が入ってきているわけですね。これは、むしろ積極的に入れたのでしょう。ところが、今日のような経済情勢になるとああいうことになるわけですね。  だから、日本もそこらはよほど考えてやりませんと、なるほど中小企業の方もよくわかります、それは。それからまた、このいわゆる不法労働者と言われる人たちは確かに気の毒な立場に立っているのですね。それだけに、それに対する我々の温かい気持ちは持っていなければならぬけれども、ここは、私は中長期に考えて、いわゆる不法労働者については的確に取り扱いをして、軌道に乗せるべきものがあるならば軌道に乗せたらいいではないか。乗らないものは乗らないで、厳正に処理をしないと大変な問題になるな、こういう大体の、現時点における私の認識でございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 そこで、軌道に乗せる方法の問題、それから現在二十九万何千人という不法就労者を撤去させる、果たしてどれだけの間にそのことが可能かどうかということを一遍お答えいただきたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。  まず、今二十九万人いる不法残留者、これはほとんどが不法に働いておる者と思われますが、これをどうするかという問題でございます。  これにつきましては、あと何年ということはちょっとここで言いにくいわけでございますけれども、とにかく今までふえてきている増加傾向をここ一、二年中に食いとめまして、その増加の傾向を削減していく、こういうふうに努めていきたいと思います。そのためには、先ほど申しましたように、昨年以来、警察、労働省、法務省との三省庁で協議体制、協力体制を構築いたしましたので、これのもとに積極的な摘発活動を行う。それと同時に、やはり企業の方々についても、こういうものについてはよくないことであるということをよく自覚していただきたい。こういう広報活動を行うとか、それから外国から来る人についても、どうも日本に行けば就職の機会がごろごろ転がっていて、ジパング、黄金の島のような幻想を抱いて、あるいは抱かされて来る人もいるので、そういう間違ったことで来られないように広報活動もきちっとやる。  そのほか、先ほどの御質問にもございましたけれども、入る前に大使館においてビザの発給については厳正にするとか、それから入国の際におきましては厳格な在留、入国、上陸審査を行う、一たん入った者については在留期間の更新のときには厳格に、厳正な調査を行う、こういうようなことを総合的にやりまして、増加傾向を食いとめ減少させていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 今随分御努力されておりますから、私もわかるのです。しかし、いかに努力してみえましてもやはり数の上でははっきり出てきておりまして、平成三年十一月と平成四年十一月を比べただけでも七万六千人ふえている、しかも平成四年五月から十一月の半年間で一万三千八百人ふえている。こういう増加傾向を食いとめるといっても、なかなか食いとめ得ないのじゃないか。  同時にまた、その方たちを退去させるのに、取り調べたり摘発したりする職員の方々の数も聞いてみますと非常に不足しているのじゃないかというふうに思いますし、不法就労してみえる方がことしは現在の二十九万なら二十九万で終わるということがまず大成功だと私は思うのです。大臣のおっしゃるようにけじめをきちっとつけるといいましても、これはどんどんふえてくるのですよ。そして、片方では、今の話のように、私は、これから教育しなければならぬですから、日本人とは違って実質的には大分質が低下しておりますからかえって単価は高いのじゃないかと思うのですけれども、中小企業はその単純労務者が欲しいというところが一つの穴場じゃないかなと思うのです。  ですから、大臣のおっしゃるとおりに私も考えておりますが、できるだけ早くそのような増加傾向に一遍しっかりと歯どめをかける。今は歯どめがかかっております。半年間に一万何千人というのは、一つは不景気ということ。先ほどお話があったように不景気だから歯どめがかかった、そういう面ではいい環境なのです、不景気はいい環境じゃないですが。そういうことでもう一息頑張る方法はないだろうか、よく御検討いただきたいと思います。  次に、厚生省の方が来てみえると思いますが、お尋ねを申し上げたいと思います。  ちょうど、たまさかきょうの朝、宿舎におりまして、することがないものですからテレビを見ておりましたら、スリランカのマニルさんという方が交通事故でガードレールへ単車でぶつかって、そして入院をしてしまった。その入院の費用が、一カ月おって百万円かかるであろうと言われた。その百万円をだれが払うかという問題で、本人は全然貯金もないしお金がないから仕方がない、お医者さんはただで置くわけにはいかない、困ったということで話がありまして、そのときに、群馬県なのですが、群馬県が年間二千万円の予算を組んで、その費用のうちの七〇%を県が持って三〇%を医療機関が持つ、こういうことで話をして、本人は非常に喜んでおるというようなことを言っておりました。  そのときに医療機関の方にマイクを渡しましたら、医療機関の方がおっしゃるのには、私どもでやれる範囲というのはこれまでですよ、負担が全部医療機関にきてしまうのだから何か国でも早急に考えてもらう必要があるのではないか、こういうことを言ってみえまして、私もなるほどそうだなと。一面においては追い出しをかけなければいけないが、一面においては、国内において働いて、しかも異国の地でけがをした、病気になった、その方たちをどうやって救うかといったら、やはり国が手を出すより方法はないなというふうに私は思うのです。地方自治体では群馬県のほかにどこがありますか。

伊原正躬厚生省健康政策局総務課長

○伊原説明員 お答え申し上げます。  群馬県におきましては、ただいま先生の御指摘になりましたような事業を実施しております。これと類似の事業を実施するものとして神奈川県がございまして、これにつきましては、本年度から救急患者を対象といたしまして、県の方で、外国人の救急患者で医療費を払えない人、それによって医療機関がこうむった負担につきまして補てんするというふうな制度が神奈川県において実施されることになっておると聞いております。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 今神奈川県のお話が出たのですが、ついでに、神奈川県の場合にはどういうような支払い方でされるのですか、医療機関と神奈川県との医療費の持ち方というのはどういう割合になっていますか。

伊原正躬厚生省健康政策局総務課長

○伊原説明員 神奈川県におきまして支払われます未収医療費を対象とした負担割合でございますが、基本的には、県が二分の一、市町村が二分の一というふうな形で実施されます。ただ、これにつきましては補助の負担の限度額がございまして、通常、一次、二次の救急医療機関ですと一件当たり百万、より高度の三次の医療機関ですと一件当たり二百万、これが頭打ちとなっております。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 今の不法就労者を稼働場所別で見ますと、東京都は実に一万七千八百七十人みえるわけなのです。それが一番で、群馬県はどうかといいますと、千八百二十五人で九番目なのです。それから神奈川県はどうかというと、三番目で六千五百八十二人です。私の方の愛知県は、七番目で三千二百十二人です。そう考えてくると、東京都はもっと早くやらなれけばならぬのじゃないかなというふうに思うのです。  それは別にして、やはりみんなで考えるということで、法務大臣にこんなことをお願いはできませんが、一度この医療費の負担について政府としても対策をしっかり考えるべきじゃないかと思います。どうですか。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 まず、私の方からお答えさせていただきたいと思います。  外国人の在留に係ります問題がいろいろございますが、今先生の御指摘になった医療費の問題というのは、外国人がふえるにつれて非常に今大きな問題になっております。これは不法就労、不法残留の人について一番問題が大きいわけでございます。合法的に来ている人は、働いている場合は雇用保険とかそういうことでカバーされますので大体それで問題はないわけでございますが、しかし旅行で来て今みたいに事故に遭って、それで病院に入ったけれども払えないということもあり得ますし、私たち外国へ行くときは、合法的に行く場合でも万が一のことを考えて保険を掛けていくわけですけれども、掛けないで行って事故に遭ったりすると大変な目に遭うというケースも多々ございます。  そういうこともございまして、主に不法就労、不法残留者のケースを念頭に置いておりますが、やはりどういうふうにしたらいいのかということを政府としても検討しなければいけないということで、今関係省庁で、局長レベルでこの外国人問題の検討をする連絡会議がございまして、その中で医療費の問題につきましても、厚生省を中心といたしまして、直接この問題に関係のある省庁が今検討している、こういうところでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 勝手な言い分ですが、私は、一つは外国人労務者救済協会とか、そういう仮称のものをつくりまして、政府から一定の基金を出して、その基金の果実の中から地方自治体と政府とが分担をして面倒を見たらどうかというふうに思うわけなんです。結局幾ら考えても、金を出す人がなかったら、幾ら研究してもだめですよ、これは。協議会を開いて毎日毎日やったって、金を出す人がなかったらだめです。やはり政府から基金を出していただく、これが一番大事なことではないかなというふうに思います。あらゆるものを地方自治体に責任を持たせてただ眺めておるわけにいきませんからね。しかし、政府は、不法就労だという立場からいくとそれを公に認めるわけにはいかない。では、どこでそれを面倒見るかといったら、外郭団体をつくってそれで面倒を見るというより方法はないのじゃないかな、こういうことも私は思っておりますが、重ねて厚生省、それも一遍検討の中に入れていただけるかどうか、最後ですから。

伊原正躬厚生省健康政策局総務課長

○伊原説明員 お答え申し上げます。  先ほど法務省の方から答弁されましたように、関係省庁の連絡会議というのを設けまして、関係省庁間でこの問題を鋭意検討しておるところでございます。ただいま先生から一つの貴重な御指摘をいただきましたが、なかなかこの問題は難しい問題がございまして、そのあたり鋭意引き続き各省間で検討を続けていく、こういうことでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 いろいろ御答弁いただきまして、本当にありがとうございました。今の御答弁の中から将来の希望の持てるような、私は希望を持って質問を終わりたいと思います。大臣、どうもありがとうございました。     —————————————

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 この際、本日の理事会において、次のとおり法律扶助に関する申合せを行いましたので、委員長から御報告申し上げます。     法律扶助に関する申合せ   法律扶助制度は、資力に乏しい人々に対し、憲法に定められた国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために欠くことのできない重要な制度であり、その充実、発展が望まれるところである。   政府は、近年、財団法人法律扶助協会による民事法律扶助(訴訟援助)について補助金の大幅な増額を図るとともに、平成五年度から無料法律相談についても補助金を交付するなど積極的な取組を行っているが、法律扶助制度の一層の充実、発展を図るため、我が国及び諸外国における法律扶助制度の現状と問題点、我が国の司法制度に適合した望ましい法律扶助の在り方等について、本格的な調査、研究に取り組むこととし、そのために必要な予算措置を講ぜられたい。 以上でございます。  本申合せに対し、後藤田法務大臣より政府の所信を承りたいと存じます。後藤田法務大臣。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 ただいまの申合せ事項につきましては、御趣旨を尊重して、誠意を持って対処してまいりたいと存じます。

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会

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