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126回国会衆議院1993/04/13

法務委員会 第5号

発言数
108
登壇者
11
会派数
2
開催日
1993/04/13

会議録

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木喜久子君。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 商法の改正の趣旨の一番大きいところは、究極的には企業が社会的責任をどういうふうに果たしていくべきかというところにくるだろうと私は思います。そのことからいいますと、現在、企業の中での不正行為、非行という言葉で言っていいのか、そういった面が社会的にも大変多くなっている点について、そこから質問を始めていきたいと思います。私、本会議でも質疑をいたしましたけれども、つまるところは同じ趣旨のことをもう少し細かく、さまざまな角度からお聞きしていきたいと思います。  まず、現在社会的にも大変問題になっております談合についてですが、建築の請負等についての企業の指名競争入札から出てくることだろうと思います。談合罪について、法務で起訴するときには談合罪と言わずに競売入札妨害事件と言っているけれども、同じ条文のところであろうと思いますが、この五年間ぐらいについて起訴事件はどのぐらいありますか。また、既に出ている判決があればお知らせいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  今委員も御指摘になられましたように、刑法九十六条ノ三の競売入札妨害罪につきましては、内訳として談合罪と競売入札妨害罪を特定した統計がないものでございますから、全体での起訴件数をお答えさせていただきたいと思います。  過去五年間の起訴件数は、昭和六十二年が四十件、六十三年が十九件、平成元年が五件、平成二年が十件、平成三年が十三件、五年間で合計八十七件という実情でございます。それから、後段でお尋ねのございました点は把握しておりませんので、御了承いただきたいと思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 伺っていますと、六十二年に四十件、六十三年に十九件と、六十二年、六十三年に集中的に多く出ていますけれども、これについては何か事情があるのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 個々のケースについて細かい分析はしておりませんけれども、競売入札妨害罪につきましては、先ほど申し上げましたように刑法九十六条ノ三全体で統計をとっておりまして、例えば暴力団等が介在したいわゆる競売入札妨害罪の件数も入っているものですから、そういう関係で六十二年あたりは事件が多かったのではなかろうかと思うわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 それでは、公取に伺いたいと思うのでございますが、公正取引委員会で独禁法の三条または八条違反ということで取り締まりをした過去五年間ぐらいの状況について、細かくでなくても結構ですが、一応教えていただきたいと思います。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 御説明申し上げます。  昭和六十三年から現在までの五年間で合計三十件の入札談合事件、私どもは受注予定者の決定に係る事件をそう呼んでおりますけれども、こういうものについて法的措置をとっております。この内訳は、いわゆる私どもの勧告という形で行ったものは二十八件ですが、勧告を行わないで課徴金納付を命ずるという処分を行ったもの二件を加えた合計三十件ということでございます。なお、勧告を行った二十八件のうちの一件については刑事告発を行ったところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 刑事告発という形と今の課徴金とか勧告を行うということの区別は、どういう場合に刑事告発という手段に出るのでしょうか。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 御説明申し上げます。  御案内のとおり昭和五十二年に課徴金制度が導入されておりまして、公正取引委員会では課徴金の納付という形で独占禁止法違反の抑止に努めることで対応してきたわけですけれども、違反行為に対する抑止力強化という観点から、平成二年六月に告発に係る方針を公表いたしております。  その方針の中では、一定の取引分野における競争を実質的に制限する、独禁法に違反するようなという意味ですが、価格カルテル等の中の類似行為の中に入札談合行為が例示されておりまして、そういう違反行為であって国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案、違反行為を反復して行っている事業者、業界、それから排除措置に従わない事業者等に係る違反行為のうち公正取引委員会の行う行政処分によっては独占禁止法の目的が達成できないと考えられる事案、こういうものについては積極的に刑事処罰を求めて告発を行うという方針を明らかにしております。個々の入札談合事件についてこういう観点から検討いたしまして、これに該当すると考えられるものについて告発を行っているということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 刑事告発を行うための一つの基準が平成二年六月に出されたということですけれども、例えば平成二年六月より前に犯された談合がその後に判明した場合でも、その基準に合致すれば告発をするということになるのでしょうか、ならないのでしょうか。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 私ども平成二年六月二十日にこの方針を公表しておりまして、その後の事実関係について評価して、その方針に該当するものについて告発するということで、その前の行為への対応については明らかにしていないわけでございます。しかし、この方針については新しく打ち出したということで、刑事告発ということであれば関係事業者の活動に多大の影響を及ぼすことになりますので、それ以前に行われた行為を対象として行うことは妥当ではないという判断を行いまして、その旨、国会における答弁等で公正取引委員会委員長からも明らかにしているところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 しかし、告発ということは何も刑罰を決めることではありませんから、それよりもっと前に犯されたことだって、それについて告発をするという行為そのもの、それによってどんな刑が科せられるということであれば事後的な法の制定というのはおかしいというのは、これはそのとおりだと思いますけれども、告発ということ自体、基準をあらわすことがその犯した人たちにとって不利益になるからということで前後を分けるというのは非常に私はおかしなことだと思うのですよね。この基準というものが一つの確かに威嚇的な効果というものもあって、これ以上やれば告発されるぞということをもって、そのために予防的な効果というものもあろうと思いますけれども、やはり実際に犯された行為について告発すべき内容を持つものであればさかのぼって厳然として告発をしなければならないと思うのですが、もう一度いかがですか。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 御説明申し上げます。  我が国では独占禁止法違反事件に対する抑止力という観点から、排除措置のほかに課徴金制度それから告発という二つの抑止力のための措置があるわけですけれども、これも御説明申し上げましたとおり、課徴金制度の導入以降、その制度の定着を図るという観点からも課徴金の納付ということで違反行為の抑止に努めてきたわけでございますけれども、平成二年に新たな方針を出したということでございまして、その新たな方針というのは、今まで何もなかったわけではなくて、課徴金制度ということで抑止を図ってきたことに加えた措置でございますので、ただいま申し上げましたような方針で公正取引委員会としては臨んでいるということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 この刑事告発の件数ですけれども、そういう今のようなお話を私は納得できませんけれども、今の平成二年六月以降の告発と以前の告発の件数、それから具体的にはどのようなものがあったのか、ちょっと教えてください。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 御説明申し上げます。  公正取引委員会がこれまで告発した件数の中でカルテル事件ということに限って見ますと、石油カルテル事件が昭和四十九年に二件ございました。それから、告発方針の公表後二件の告発を行っておりますが、これは、塩化ビニール製業務用ストレッチフィルムの製造業者、八社ございましたけれども、共同して同製品の販売価格の引き上げを決定し実施していたということで、平成三年十一月六日及び十二月十九日に八社及び各社の営業担当責任者十五名を告発した事件がございました。さらに、社会保険庁発注の支払い通知書等貼付用シールの供給業者四社が、社会保険庁が指名競争入札の方法によって発注するシールにつきましていわゆる入札談合行為を行っていたということで、これら四社を刑事告発したものがございました。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 この告発基準というものの前にももちろん刑事告発はあるわけで、その基準が公表されたかどうかということだけしか違いがないわけですよね、その前後で。それで、その前にも告発をもちろんそういうふうにされているわけだし、それから公表後ということで考えても、このストレッチフィルムの場合の期間というのはすれすれではありますけれども、平成二年五月ごろとか九月、一つは九月だから後と言えますけれども、片一方は五月ごろから七月ごろまでの間ということですから、何というか日にちというのはそんなに厳密に考える必要もないし、基準が出たから云々ということでその前の方を大目に見るという必要もそういう面からいってもなさそうな気がします。これからも、例えばもっと後の、平成二年六月よりももっと前の時期に犯されたそうした問題についても、それが告発基準云々ということで全部もうこれからは告発されないよということであれば、この基準を発表したということが、それよりも前のことにはもうさかのぼらない、要するに告発に関して一つの免罪符を与えてしまったよ、そういうふうなことになりはしないのですか。その点はいかがでしょうか。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 御説明申し上げます。  私ども刑事告発を行う場合には、審査の過程で違反行為に係る具体的な個人の特定をある程度行った上で行う必要があると考えておりますけれども、その検討というのを告発方針を公表した後の行為について行い、それが見られた場合に告発を行うという方針で臨んでおりまして、この点は再三公正取引委員会の方針として述べさせていただいているところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 済みません、今おっしゃったことは私の問いに対して答えておられないと思うのです。私が今理解できなかったので、同じせりふでも結構ですから、もう一度おっしゃってみてください。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 私どもが違反行為を調べていく中で、その違反行為というのは、別に平成二年六月以前に起こったことでも行政処分の対象にはなるわけでございます。しかしながら、私どもがある事案につきまして刑事告発を行うべきか否かということにつきましては、その行為を具体的に特定していく対象として、平成二年六月以降における具体的な行為について検討の上、告発の方針に該当すれば告発をするという方針だということを申し上げさせていただいたわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 具体的な行為について、その対象となる具体的な行為が平成二年六月よりも後の行為について対象にする、そうおっしゃったのですよね。そうおっしゃったとすると、結局私の疑問についてはイエスだと言っているのと同じですよね。要するに、そのことについて具体的な行為を特定するに当たって、平成二年六月より前に具体的な行為があったものはもう対象としないということをおっしゃったのと同じですよね。ちょっと確認したいと思います。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 説明が不十分であったかもしれませんけれども、私どもが刑事告発を行うか否かという判断は、この方針を公表した後における行為について検討した上判断するということを申し上げたわけでございまして、それ以前の行為については全く問題にしないとか、そういうことを申し上げたわけではございません。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 全く問題にしないと言ったって、その後の行為だけを対象にすると言っていながら、それは全く問題にしないというわけではありません、余地は残っておりますとおっしゃったって、現実にはその後の行為だけを問題にするということでは、結局これはただ単に言い抜けをしているとしか私には考えられません。  では、平成二年六月よりももっと昔の行為について、どういう場合だったら公取は問題にし告発するということがこれから先あり得るのですか。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 私どもは具体的な事案に応じて判断をしていくわけでございますので、どのような事態があれば告発をするのかということは申し上げかねるところでございます。  一般論として考えましても、再三申し上げましたとおり、具体的な事件の審査の過程で、特定された事実につきまして平成二年六月以降の行為をその観点から検討するという方針で臨むということしか申し上げられないわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今おっしゃったようなことがそのまま議事録に残り、それを国民の目の前に出した場合に、公取は、これは平成二年六月よりも以前の行為についてはもう告発はしないよということを言ったのだととらざるを得ないと思いますよ。それはそうじゃありませんということを幾ら言われても、これでほっとしているというふうな人たちがたくさんいるんじゃないでしょうか。具体的にどうやって取り上げるか。結局公取委では何の手も打っておられないということを言っているわけですから。これについては、問題が出てくるか出てこないかわかりませんけれども、こういう際に、刑事告発そのものについても、この六月に出したことがかえってそういう意味で刑事告発ということをそこから以前についてしなくなってしまうというようなことでとられてしまうのであれば、非常に問題が多いと思います。  ここばかりにこだわっていられませんので、次の問題に行きますけれども、もう一つだけ公取委の方に伺いますけれども、過去五年間で課徴金の納付命令、一体どれくらいの課徴金が課せられたのでしょうか、そしてそれが実行されたのでしょうか。

上杉秋則公正取引委員会審査部管理企画課長

○上杉説明員 御説明申し上げます。  昭和六十三年から現在までの五年間の数字でございますけれども、四十七件の事件につきまして延べ五百四十九名の事業者に対しまして課徴金納付を命じておりますが、その納付を命じた課徴金の総額は百八十四億三千七百八十八万円となっております。そのうち、入札談合事件ということで見ますと、十三件の事件がございまして、延べ二百九十三事業者に対しまして総額二十一億六千七百六十七万円の納付を命じたところでございます。  なお、この数字は、課徴金として課される率の大幅引き上げを行う以前の行為がほとんどでございますので、原則四倍に引き上げられた課徴金の対象がどんどんふえていくわけでございますので、それが適用されてくればもっと大きな金額になるような数字でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 わかりました。  それでは、その次の問題に移ります。  次に、こうした談合その他、またやみ政治献金の温床にもなります企業の使途不明金について伺いたいと思います。  この使途不明金の問題については、前に昭和五十六年五月の法務委員会で、社会党の小林委員の方からかなりたくさんの質問や追及、それに対するお答えがあったようでございます。その昭和五十六年というのは多分商法改正が行われたときであったと思いますけれども、多分監査役か会計監査かどちらかの改正だろう、強化されたという部分のあるところの時期だと思いますけれども、ここで使途不明金というものが随分追及されました。  それから十二年たったわけですけれども、結局この使途不明金というものが全く改善されないで、まだ今もそれがこうしたやみ政治献金ですとか談合とか、こういった問題の一番の温床になっていると言われている現状があるわけですから、一体その十二年間何をどうしてきたんだろう。今回もそれについていろいろ監査役等々の改正ということが、これから私も問題にしていくわけですが、ここで具体的になされたわけですけれども、これによってまた何も効果がなかったじゃないかということになってしまうのでは、何のためにこういったことをやっているのかわからないと思うのです。  その十二年前の議事録をちょっと見てみますと、その中で、どうしてこうなってしまったのか、使途不明金について聞いた部分で、どうなのかと言ったらば、こういう方策がとられるかどうかということについての政府の方のお答えがあるわけです。  証券取引法上の公認会計士監査で使途不明金というものが出た場合にはこれはちゃんとチェックができるんだ、そして使途不明金の中で種々監査手続を尽くしてもなおよくわからないような場合には、こういうことが会社の財務内容を適正にあらわしているかどうか公認会計士としてそこで意見を留保したりなんかすることができるんだ、だからちゃんとこういうことが監査報告書の中に出てくるので、多額の使途不明金があるというようなことについてはここで意見を差し控えるというようなことが出てくるはずなんで、だからこそここで使途不明金というのは随分少なくなるはずであるというような答弁がされているわけですけれども、現在それが機能しているかどうかということが一番の問題になるわけですね。できれば一番いいわけなんですけれどもね。こんなふうになっているかどうかが現在問題だし、そのときの法改正があったのにそうなっていないのが現状だろうと思うんです。  今、ここ五年間ぐらいですけれども、調査の結果使途不明金というふうな形でされた額、そしてその中で調査の結果使途が明らかになった分、そのうち政治献金はどのぐらいの分が明らかになったのだろうかということ、金額と割合について大蔵省、国税の方ですか、お知らせいただきたいと思います。

藤井保憲国税庁調査査察部調査課長

○藤井説明員 お答え申し上げます。  使途不明金につきましては、原則として資本金一億円以上のいわゆる大法人のうち実地調査を行ったものについて計数を把握しておるところでございまして、この計数に基づいて申し上げますと、過去五年間ということでございますので、昭和六十二事務年度から平成三事務年度までの五年間、合計で申し上げますと、使途不明金の総額は二千六百十八億円でございます。年平均にしますと五百二十四億円。そのうち使途が判明いたしましたのは、二一・九%に当たります五百七十三億円、年平均にしますと百十五億円でございます。使途が判明した五百七十三億円のうち、政治資金と見られるものは八十五億円、年平均にしますと十七億円でございます。この八十五億円を五百七十三億円で割りますと一四・八%、こういうことになるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 使途不明金という欄が帳簿の中にあるわけじゃなくて、交際費だとか何とかかんとか、仮払金だとかいろいろ書いてあって、一体これは何ですか。何ですかと聞いていったところがどうもこれは説明がつかないという分を税務上で調査したときに使途不明金とするだけで、使途不明という欄があるわけじゃないですから、調べなければわからないわけですよね。  調べないときには帳簿上はきれいに整理されていて、企業の支出が幾らあって、収入が幾ら、経費が幾らかかってという形でずっと申告をしてある。その段階では何もそこにそごがあるわけじゃないし、その帳簿を見たからといって使途不明金というのがすっと浮かび上がってくるものではなくて、非常に御苦労された調査の結果わかってくる。使途不明金であることすら、この五百二十四億、年間にわかるとしても、それの中でそこがわかることすら大変だろうと思うんです。全体の金額の中から、その中のまたこれはどうだどうだと追及していく分が二割ぐらいしか明らかになっていかない。そこで捕捉していかなければならないという、非常に大変なことだろうと思うんですが、これは任意の調査をしてそれでわかってきた数字であろうと思うんですが、一体この調査というのは全企業の中のどのぐらいの企業を調査されることなんでしょうか。

藤井保憲国税庁調査査察部調査課長

○藤井説明員 お答え申し上げます。  いわゆる大法人、原則として資本金一億円以上の法人でございますが、その実地調査の状況で申し上げますと、過去三年間で、実地調査の割合は二八・四%、一五・六%、一四・〇%、こういうふうになってございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 一六%が多い方で一四%まで下がってきている、だから百社あればその中の十四社しか調べない、十四社を一生懸命調べて、そのうちだけでも一年間に大体五百二十四億円ぐらいがそういった形であぶり出されてくる、そしてそこで捕捉する数がそのまた二割ぐらい、百億ぐらいになってしまう。そうすると、企業の中のあとの部分は結局調査を受けないわけだから、受けない分については全く使途不明金なんてものは出てこないわけですよね。  すると、国民から見た場合には、一四%しか調べてもらえない、あとの八六%はぬくぬくと使途不明金ということにもならずにそのまま経費として落ちたりなんかしているという状況なんですけれども、ここらあたりについて国税はそれでいいのかというのは、私はこの使途不明金そのものの存在もおかしいけれども、その把握の仕方そのものがこのままではどうしようもないのではないかと思うのです。その中の一つとして例えば使途不明金が出た場合の処理の仕方ですけれども、どのような形で処分というか、課税をされるとかそういうことをしておられるのかも含めてお知らせいただきたいと思います。

藤井保憲国税庁調査査察部調査課長

○藤井説明員 お答え申し上げます。  ただいまその実地調査の割合が低いではないか、それでは使途不明金が把握できないではないか、こういう御質問とその扱い、こういう御質問をいただきました。  まず最初の御質問にお答えいたしますと、実地調査の状況は先ほど申し上げたとおりでございますが、そうした法人のうち大法人につきましては重点的に調査を行う、こういうことをやっておりまして、実地調査の割合、調査日数等の面で大法人に傾斜をつけた密度の高い調査を実施している、こういうことでございます。また、法人が申告に当たりまして使途不明金を損金に算入している、そういうケースにつきましては調査によりその事実を把握する必要があるわけでございますが、そうした場合は支出の過程において仮装・隠ぺい、そういった悪質な行為がある場合が一般的でございますので、通常三年間の除斥期間ではなくて七年間さかのぼって課税する、こういうことをやっておるわけでございます。  委員御指摘のとおり、すべての法人を調査することはできませんが、ただいま申し上げましたように、調査必要度の高い法人に対する十分な調査と、その年度に実地調査を行わない法人も含めまして指導を徹底する、こういうことを通じまして使途不明金に対する課税の充実を図っておるところでございます。  また、その使途不明金ということになりました場合は、その使途を追及していくということでございまして、最終的には真実の所得者に課税するということでやっておるわけでございますが、最終的にどうしても使途がわからない、こういうことがあることもまた事実でございまして、そういう場合にはやむを得ず損金に算入しないということで扱っておるところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 まず、大法人については今の調査の密度を濃くするというお話ですけれども、具体的にはどのくらい濃くしておられるのでしょうか。それから、大法人でなくても、今回の場合でもどういった業種がその使途不明金を多く出すかということについても、これもお調べいただいている部分ですけれども、建設業が全く圧倒的多数を占めているわけですよね。だから、その大法人、今回もいわゆるゼネコン、ゼネコンと言われますけれども、そういった問題ばかりでなくても、もっとそれよりは小規模な会社であったとしても、そういうところに対しての密度というものもあるはずなんですが、大企業と今おっしゃいましたから、大企業についてはどのくらいの密度でもってされているのか、またそういう定型があるのかないのかということ等も伺いたいと思います。  それからもう一つ、今の課税方法なんですけれども、国税当局としたら、今ここで使途がどうしても不明である、約八割がわからないわけですよね。結局、やっても、先ほどのお話だと二割くらいしか最後まで捕捉できない。正しい所得者に正しい課税をするというその国税の方針は、それによってその二割分については正しく所得した人から受け取るということはできますけれども、使途不明金全体の八〇%については正しいか正しくないかわからないけれども、会社がこれを損金として扱わないということだから、その扱わないということで、そこから、それは会社にそもそもあるべきお金なのだということから通常の課税をされるということですね。まあ国税としたら、どこで取ったって結局同じだけ取れるのだったらそれほど捕捉ということにも熱意が入らないだろうし、そのあたりについてもう少し使途不明金をなくすための課税なり徴税なりの方法、そういったものも講じられる余地があるのかないのか、これは国税ばかりでなく大蔵省にも伺いたいと思います。

藤井保憲国税庁調査査察部調査課長

○藤井説明員 ただいま委員の御質問の前段の部分についてお答えをさせていただきます。  大法人についてどの程度調査をしておるかということでございます。これは私ども、あらゆる資料情報を収集いたしまして、調査の必要度を判断いたしまして、その調査をしておるわけでございまして、幾らの法人が幾らということは固定した数字を持っておるわけではございません。例えば国税局の特別国税調査官が調査を分掌している法人、これはいわゆる超大法人ということで御理解いただきたいわけでございますが、そうした法人につきましては、必要に応じまして毎年のように実地調査を行っております。また、一回の調査に延べ二百日から三百日の調査日数を投入する、そういう極めて徹底した調査を実施しておるということで、大法人課税の調査の実態を御理解いただきたいと思います。  また、使途不明金につきまして、課税をすればいいというふうに考えておるわけではございませんで、委員御指摘のとおり、私どもは真実の所得者に課税するという役割を担っておると考えておるところでございまして、徹底した調査を通じまして、その使途の解明に当たっておる、こういうことでございます。

清水治大蔵省大臣官房企画官

○清水説明員 委員の御指摘の第二点でございますが、この使途不明金につきまして制度的に何らかの手当てをすべきではないかという御指摘かと存じます。ただいまも国税庁の方から御答弁申し上げましたように、使途不明金、すなわち会社が経費として支出いたしましてその使途が明らかでないというものにつきましては、やはり税制といたしましては、その真実の所得者についてできるだけその使途を解明して真実の所得者を見出して、その支出先に対して適正の課税を行うということが基本だと思っております。そして、どうしてもそうした中で使途が明らかでない場合、不明の場合にはこれを損金不算入とする、経費として認めないということによって結果として課税するということになっているわけでございます。  法人税、これは法人の所得に課税をするということで、益金から損金を控除いたしましてその結果算出されます所得に課税する、こういう税でございます。したがいまして、会社が経費として支出したと称しているものについてその経費としての損金算入を認めない、これによって結果としてその使途不明金について全額が課税されているということになっておりますのは、法人税制の枠内の措置といたしましてはできる限りの措置を講じているもの、こういうふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 大蔵省はそのあたりではちょっとなまぬるいのじゃないかと私は思うのですけれども、ここで企業が何のためにこの使途不明金を出すかといったら、多分大体のものについては何らかの企業の利益を上げるための、それは余り正しい手段ではないけれども、人には言えない手段ではあるけれども、企業の利益を上げるために使うわけですよ。例えばここで一億の使途不明金をやるために、会社として十億なり百億なりという利潤を上げたいためにそのままにしておいてもいいやというふうに考える、そういうためのものじゃないのですか。  そうでなければその使途不明金そのものがあるわけがないわけで、取締役が勝手に使い込んでしまったという分ばかりだということであるならば、使途不明金の内容はそうではないはずなんですね。そうすると、例えば政治献金に使われた分などというのが出ておりますけれども、平成三年の使途不明金の使い道の判明した三十七億円のうちの二十四億円が政治献金に使われているというような現状を見ますと、こういうようなものについてはただ単に損金としては認めないというだけではなまぬる過ぎるのじゃないですか。ここについてはもっと大きな重課税を課すというような方向で、もし見つかった場合、さっきの捕捉率というかあぶり出し率でいけば二割だし、一四%の企業しか調べられないということで、するすると抜けていっても、もう万が一何年に一遍かのことではれてしまった場合には、物すごい課税がされるんだよということになれば、使途不明金というのは、ただ単に損金不算入ということだけを犠牲にすればそれでもまだ採算が合うなというような企業の計算はできなくなると思うのですが、この点、大蔵省はいかがお考えですか。

清水治大蔵省大臣官房企画官

○清水説明員 今御指摘の点でございますが、先ほど申し上げましたように、使途不明、その支出先がわからないということでございますので、やはり税制のあり方といたしましては、真の所得者がだれであるかということを解明してそこに負担を求めるということが基本だと思います。したがいまして、損金不算入ということがいかがかという御指摘かと思いますけれども、法人税の中で会社が仮に使途がわかった場合に経費として扱われるようなものについて、その経費としての性格が確認できないわけでございますから、これについて経費としての処理を否認するということによってその部分について課税するということは、最大限の措置、枠内では限界ぎりぎりのところではないかと思います。  この点につきましては、税制調査会におきましても、「本来、何らかの経費としての性格を持つ支出を損金不算入として全額を結果的に課税することは、法人税制の枠内の措置としては限界である」というように答申にも述べられているところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 過去に重課税を使途不明金には課すべきではないかという議論があって、それが今おっしゃったような理由からそこで否定された、そういった経緯はあると思いますけれども、現在の使途不明金というものの跳梁ばっこぶりを見ますと、ここら辺で大勇断を奮ってこれを撲滅するという方向を大蔵省も何らかの形で考えていっていただきたいというふうに思います。  それで、こういったことから、また先ほどの私の話に戻るわけなんですが、監査役とか公認会計士、企業監査法人、そういったものによっていく、会社の中から今度はこういった使途不明金というものをなくする方向での自浄作用というのがどのくらい期待できるかということで、先ほど十二年前の答弁を見て、そういうことが本来なされれば理想的であったんだろうと思うのですけれども、現在使途不明金その他のことについて、例えば国税が査察なり調査なりを始めようとされるとき、そういうときには一体どういう端緒によって、ここはどうも使途不明金がありそうだ、会計がおかしいんじゃないかとかそういうふうなこと、どういう端緒からされるのですか。  先ほど超大法人においては一年間二百日、一年間の半分ぐらいが調査にかかって、毎年といったら、大体毎年毎年ずっとかかり切りみたいな感じになるようなイメージもありましたけれども、そういうところでない部分、また大法人でもない一般の中でどういうふうな形でこういった捜査や査察の端緒を持たれるのでしょうか。

藤井保憲国税庁調査査察部調査課長

○藤井説明員 お答え申し上げます。  私ども国税当局といたしましては、あらゆる機会を通じまして有効な資料情報の収集に努めておりまして、その端緒というのを、個々のケースで異なるわけでございますのでここで具体的に申し上げることはできませんが、そうした資料情報の収集の結果、分析等をいたしまして、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行う、こういうことで対応をいたしておるところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 具体的に言ってしまったら手のうちを見せちゃって、またつるりと逃げられるということがあるかもしれませんから、なかなかそう言えないというのはよくわかりますけれども、例えば監査報告書というのが出ているのですが、こういった監査報告書の記載などというものもその中の一つの資料にしておられるのでしょうか。

藤井保憲国税庁調査査察部調査課長

○藤井説明員 監査報告書という具体的な御指摘でございます。そういった資料につきまして具体的にどのようなケースで端緒としたかについては答弁を差し控えさせていただきますが、先ほど申し上げましたように、私どもとしてはあらゆる機会を通じ、課税上有効な資料情報の収集に努めておるところでございまして、監査報告書もそうした資料情報の一部というふうに考えておるところでございます。    〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 私も幾つかの会社、ここのところで名前が出てきた有名会社の監査報告書というのを見せてもらいましたけれども、そんなことのにおいも何も感じられないような報告書だけですよね。そこから端緒なんか出てくるのだったらこんないいことないと思うのですけれども、全然そんなものは出てこない、気もない報告書。そういった形式的なものがあるからというようなことでは、使途不明金を撲滅しようというようなことはとてもできない状況だし、そういうところに端緒があるというふうには多分ならないのじゃないかというふうに思うのです。  今回もいろいろな、金丸事件に象徴されるような談合事件が出てきた、そのときに国税がかなり活躍をされたということと、やっと検察も立ち上がってくれたなという感覚を私たち国民が持ったと思うのです。その検察と国税当局との連携といいますか、どういうときにどのような形で、例えば国税の方でどこまでこういうことがあったら検察の方と連絡をとって検察の方が入るとか、または検察が何かで犯罪、脱税行為ありと思料して入るときに国税と連携をとるのか、そのあたりを両方の担当の方から伺いたいと思います。

藤井保憲国税庁調査査察部調査課長

○藤井説明員 お答え申し上げます。  今委員、査察調査についてのお尋ねではなかったかと思いますが、一般の税務調査と査察調査それぞれに分けまして、私ども調査の過程で知り得た事実について、例えば検察庁との連携はどうしているか、こういうお話かと思います。  御案内のとおり、税務職員には所得税法等によりまして守秘義務が課せられておるところでございますが、そうした守秘義務を考える上で重要なことは、守秘義務を守ることによって、私ども、税務行政を進めていく上で一般納税者との信頼関係が培われでいる、こういうふうに考えておるところでございまして、守秘義務を破ることによってそうした信頼関係が崩れてしまうということは避けたいと考えておるところでございます。さらに、税法上の質問検査権の行使につきましては「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という規定があることも考慮しなければならない。こういうふうに考えてまいりますと、税務調査によって知り得た事実等を関係当局に通報することにつきましては、おのずから消極的にならざるを得ない、こういった点を御理解いただきたいと思います。  また査察調査につきましては、これは国税犯則取締法に基づいて行われるものでございまして、一般の税法上の質問検査権を行使して行う税務調査とは性格を異にするわけでございます。  ただ、査察調査のうち、許可状を得て強制的に調査を行いますのは、臨検、捜索、差し押さえに限られておるところでございまして、調査の主要部分をなします嫌疑者及び参考人に対する質問調査、あるいは参考人の帳簿書類の検査等につきましては、一般の税務調査同様任意で行われるものでございますので、相手側の協力が不可欠と考えておるところでございます。  脱税事件につきましては、査察調査を行った場合、国税犯則取締法に基づきまして告発を行うということになるわけでございますが、脱税以外の犯罪について関係当局に通報あるいは告発を行うことはおのずから消極的にならざるを得ない、そういったことを御理解いただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 検察庁の方の関係についてお答えを申し上げたいと存じます。  改めて申し上げるまでもないわけでございますが、所得税その他の直接国税の通脱事犯につきましては、法律上は国税当局からの告発は訴訟条件とはされておらないわけでございます。その限りでは刑事事件一般の捜査処理と変わるところはないわけでございます。しかしながら、委員御案内のとおり現実問題として見てまいりますと、通脱事犯の摘発におきましては、複雑な資金の流れを解明して、それに租税関係法令等を当てはめて犯罪の成否を判断することが必要になるわけでございまして、そのためには経理実務や租税法令等に関する専門的知識が強く要請されるところでございますし、また脱税事犯について刑事罰の適用を行いますことの当否ということは、国の租税政策全体の中で判断すべき性格を持つものでございます。  したがいまして、この種事犯、直接国税通脱事犯の取り扱いは一次的には国税当局にゆだねられた事柄である。国税犯則取締法等の調査手法によりまして事案の真相を解明することが困難である場合などには、検察当局が必要に応じて国税当局と協力して告発前に捜査を行うこともございますけれども、原則的には国税当局からの告発を受けて検察当局が捜査処理を行うのが通例であるというふうに承知しておるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 原則、告発を受けてからというのはすごくよくわかるし、そのまま何となく、本にも書いてあるような気がするのですけれども、実際にはそうじゃなくて、もっと緊密に連絡をとってされているのだろうと思うのですね。先ほど刑事局長が言われましたけれども、それではちょっと困難だ、国税だけではやり切れない部分があるときには、やはりそこでは強制的な捜査というものを検察としてもするのだというふうにおっしゃったのですが、やり切れないかな、やり切れるかなというのはだれがどのように判断するのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほど国税御当局の方からもお答えございましたように、もともとこの直接国税通脱事犯の調査あるいは査察、捜査等の面で検察当局と国税当局はできる限り協力して職務を行うということで仕事をしているわけでございます。  先ほど国税御当局からもお答えございましたように、国税犯則取締法等の調査手法でどうしても事案の解明が難しい、例えば罪証隠滅の防止のために人的強制捜査手段としての逮捕等が認められていない、そういうことで国税当局が端緒をつかまれた事案について、今申しましたように国税犯則取締法等の手続では事案の解明が難しいというような場合には、人的に時宜に応じて国税当局の方から検察当局の方に協力方の協議がございまして、検察当局と国税当局の方で協議をするということは、一等最初に申し上げました協力関係の上で適宜行われているということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 わかりました。  それでは次に、今回、金丸事件においてのゼネコンという問題が、随分言葉が出てきました。たくさんの大手の総合的な建設会社の名前が、私たちが大変よく知っているような名前が幾つも幾つも出てきました。そこについて強制捜査がなされたり、また事情聴取が行われたり、いろいろしたわけです。新聞の中に出てきた名前をさっと拾ってみましても、清水建設、西松建設、大成建設、飛島建設、東急建設、前田建設工業それから鹿島建設、またそのほかにも戸田建設だとか大林組だとかハザマだとか奥村組だとか、もういっぱい出てきました。  こういったところについて、今法務の強制捜査、事情聴取ということは検察が行われているのであろうと思いますけれども、それぞれ国税についてもまた法務についても、そこでの捜査というもの、お答えは大体想像がついてしまうのですけれども、しかしきちんともう一度お答えいただきたいと思います。現在こういったところについて脱税その他についての調査ということが、その他についても行われているのでしょうか。まず法務から。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員御指摘になられましたように、検察当局においていわゆるゼネコン等から多くの証拠物等を押収するなどしたことは御案内のとおりでございますけれども、検察当局がどのような観点からどのような具体的事実関係について捜査を行ったかということは、これは捜査の内容にかかわることでございますので、お答えは御遠慮させていただきたいと思うわけでございます。  金丸前議員らに対する脱税事件の捜査はおおむね終了したものと聞いているわけでございますが、検察当局におきましては、今回の捜査におきまして今申しました多くの証拠物等を押収するなどしておるわけでございまして、今後公訴維持等の観点から必要に応じましてこれらの証拠物等の分析、検討を行うものと思うわけでございます。  委員のお尋ねは、今後どういう捜査をするのかということをも含めてお尋ねになっておられると思うわけでございますけれども、今後検察当局がどういうことについてどういう捜査をするかということも、そういう捜査の見通し等につきましてもお答えはいたしかねるわけでございますけれども、一般論として申し上げますれば、検察当局としては刑事事件として取り上げるべきものがあれば適宜適正に対処するものと思うということでお許しをいただきたいと思うわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 国税はいかがですか。

藤井保憲国税庁調査査察部調査課長

○藤井説明員 お答え申し上げます。  東京国税局が告発いたしました現在検察庁で公判請求中の事件につきましては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。  委員お尋ねの中で、マスコミで報道されましたゼネコン各社につきまして一般的に調査をどうしているのか、こういうことがあったかと思いますので、これについて御答弁させていただきます。  調査の事実等につきましての具体的な答弁はやはりここでも差し控えさせていただきたいわけでございますが、一般論といたしまして、先ほどから申し上げておりますように、国税当局としてはあらゆる資料情報を収集いたしまして、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなどによりまして適正課税に努めておるところでございます。特に、大法人の場合に重点的に調査を行っているというところは先ほど申し上げたとおりでございます。そういった調査に当たりまして、使途不明金はもちろん政治献金につきましても、その支出先及び支出目的等を検討いたしまして、適正な経理処理が行われているかどうかを確認しているところでございます。また、そうした調査が終了いたしまして、その後で新たな資料情報を把握するという場合もございますが、そういった場合には再調査を行うなど常に納税者の適正な課税の実現に努めておるところでございます。  私どもは、このような考え方に基づきまして、さらには今国会で種々御議論もございます、そういったことも踏まえまして、適正な課税の実現に向けて最大限の努力を尽くしてまいりたい、かように考えておるところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 ぜひとも国税もそれから検察当局も、今回は、やはりこの問題はただ単に脱税がどうしたというだけでなく、政治不信にまでつながる大きな国民の、政治家だけではない、もっとずっと広い意味での仕組みの政治全般にわたっての不信感というものが今大きく出ている時期だと思います。そういった意味で、ぜひ今後、先ほど刑事局長からも言われました、そこから出てくるものがあれば、そこで犯罪というものが出てくるならば、きちんと厳正な処置をされる、このことに私は絶大な信頼と期待を持ってこれからもよろしくお願いしたいというふうに申し上げたいと思います。  それで次に、今回の改正点の監査役の強化について、今私が考えているのは、こういった法改正をされる法務当局の御苦労もいろいろあったと思うのですが、監査役を強化しなければならないというのは、先ほどからも言われているような会社の社会的な責任を果たす意味で、会社の一番内部にありながら、もっと社会的な分までの利益または公益というところまででしょうか、そういった公共的な意味までも含めた代表としての性格を持つ監査役という特殊な日本の制度の強化、これはぜひとも実効性のあるものにしてほしいと私も思っている一人です。企業の中で利潤の追求をし、その企業の株主とか従業員とか、その企業の債権者であるとか、そういう人たちの利益だけを守るものとして監査役を考えるのかどうか。私は、もう少しそれを広い意味で、先ほども言いましたような企業の社会的な責任の担保、企業の良心と言ってもいいのかな、そういうものとして監査役を位置づけたいと思っているわけです。  ところが、今回の改正について、監査役会をつくった、ある大きい企業では社外の監査役も入れることにしましょう、任期も長くしましょう。そういった一つ一つを見るのですけれども、これによって本当に監査役の強化になるのかということが問題になると思うのです。まず人事権が、たとえこれが株主総会で決まるものだとしても、実際的にはこの人事の実権を持っているのは企業の経営のトップの人たちである。ですから、任命権者は全く別のところに置くとか、この任免について、例えば物をずばずばと言うことができるようにするためには、もともと経歴をどのようにするかということで、今度はかなり社外監査役を入れたとしても構成員の中のほんの一人分ですから、それでは非常に足りないのではないか。  それからもう一つ、ここで抜けているのですが、監査役のところに情報が流れ込んでくるようなシステムになっていない。この点については今回も何ら手当てがなされていない。また、監査役に十分なスタッフをつけるようなことになっていない。だから、監査役が独自に何かを調査しようと思っても、スタッフもいないしできない。それじゃ独自に調査しなくても情報がすっと入り込んでくるようなシステムになっているかというと、そうでもない。また、大きな会社は私たちの想像を絶するような情報量でしょうから、それをさばくということはなかなかできない。  こういったことについて根本的に考えなければ、監査役の強化と一口に言いますけれども、これでこのぐらいになりますというような、一つ一つ個別のちょこちょこした手当てをしても何にもならないのではないかという気がして仕方がないのです。だからしなくていいということにはもちろんならないわけですけれども、根本的な改革に手をつけない限りはこういうことをやっていても仕方がないのじゃないか。これは会計監査法人の場合でも、先ほどもちょっと申しましたけれども、監査報告書の中にだって出てこないのは、当然今のシステムではこれ以上のものは会計監査法人としてやりようがないと思うのですね。だから、それに手をつけてどうなっているかということを見ない限りは問題は解決しないと思うのですけれども、この点、法務省はどういうふうにお考えでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 会社の業務の執行の適正を図る、これは会社の計算のみならず、業務執行について法令等に違反することがないようにきちんとしたチェックをするための組織といたしまして監査制度が非常に重要な位置づけを持っているということは、御指摘のとおりでございます。  実は、この監査制度の抜本的な改善と申しますかそういうものがなされたのは昭和四十九年改正でございます。それまでの監査役というのは会計監査だけでございました。しかし、御承知のように、昭和三十年代の後半から四十年代にかけまして山陽特殊綱の倒産とか大きな企業が相次いで倒産したわけでございますけれども、その原因の多くにいわゆる粉飾決算が背後にあったというようなことがございました。  そこで、四十九年改正におきまして、単純な会計監査からさらに職務執行も監査をする、つまり取締役の日常の業務執行についても法令、定款に違反することがないように監査役が監視するシステムに改めるとともに、取締役会に出席して意見を述べるとか、会社の営業状況について取締役から報告を求めるとか、株主総会に対する提出議案の調査権、あるいは監査役の任期も二年に伸長するというような大々的な改革がされたわけでございます。と同時に、商法特例法が制定されまして、大会社の計算書類及び附属明細書については監査役の監査のほかに会計監査人、これは公認会計士あるいは監査法人でございますけれども、そういう専門的な監査も受けなければならないというようにいたしたことはよく委員御存じのとおりだと思います。  さらに、昭和五十六年に至りまして、いわゆるロッキード事件等が起きたというようなことがございまして、さらに徹底した監査制度の充実強化を図る必要があるということから、監査役が取締役の法令、定款違反行為を報告するために取締役会の招集権まで監査役に認めるとか、報酬についてもその独立性を保持するために監査役の報酬は別に定めるとか、さらには取締役に対して営業状況の調査、報告を求めるというにとどまらず、使用人に対してもそういう請求をすることができる、いわば使用人を使って会社の状況を調査することができる、こういうふうに改めたわけでございます。  そういう意味で、監査役の権限は数次にわたる商法の改正によりまして非常に強化されてきたということが間違いなく言えるわけでございまして、それなりの成果を相当に上げていると私どもは考えております。しかしながら、依然としていろいろな不祥事が絶えないというようなことがございまして、一体それはどういうところに原因があるのだろうかということでいろいろな研究、検討がされたわけでございますけれども、結局、権限を与えてもそれがうまく行使されていないということにも一つの問題があるのではないか。  今回の改正におきましては、そういうような観点から監査役の権限を行使しやすくする、そのためには、例えば任期も二年というような不安定な期間ではなくて、三年に延ばしてあげれば少し監査役も物を言いやすくなるであろう。さらに、大会社につきましては、監査役は一種の独任制の機関でございますので、ひとりでいろいろ会社に対して注文をつけるというのじゃなくて、監査役会というような組織をつくって、監査役会としていろいろな報告をするということにすれば物も言いやすくなるのではないか。さらには、社外監査役というような制度も導入いたしまして、より第三者的な立場から公正な意見を述べてもらうことも必要であるというようなもろもろの、要するに既に法律によって与えられている権限を適切に行使し得るような場面をつくってあげることが大事なのではないか、こういうことで今回の改正がされているわけでございます。  もちろん、この監査役につきましては、こういう制度的な改善をいたしましても、委員御指摘のように、現実にいろいろな不祥事が起きております。中には監査役みずから率先して法令、定款に違反する行為をしたというようなケースも最近あるわけでございますが、私どもといたしましては、このような制度改善によりまして、例えば監査役協会というような監査役の集団があるわけでございますが、そういうところで本当に会社の正しい監査制度のあり方はどうあったらいいかというような研究、検討が非常に熱心に続けられている。そういうものがだんだん会社の監査の中にも成果としてあらわれてきているというようなこともあるわけでございまして、今回の改正がどの程度まで監査制度の充実改善に寄与するかということについてはいろいろな考え方があろうかと思いますけれども、大いに期待をいたしたいというふうに思っているところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今のお答えで、またこれが議事録に載りますね。後日見たら、やはりこのとおりになっていなくてまただめだったということにならないように、ぜひ、改正したらしたなりの効果を生み出すために、ただつくってしまえばいいということでもなくて、その運用そのものについて常時いろいろな意味でのチェックを入れながらやっていかなければならない問題だと思いますし、その点も含めてお願いをしたいと思うのです。  こういう監査役についてだけではない、企業そのものは一体何のためにあるのだろうかという非常に根本的な問題に、いろいろ調べたり考えたりしている間に、どうしても私そこに突き当たってしまうわけです。一体会社というのは何なのだろう、企業というのは何なのだろうか、そういった問題にもだんだん突き当たってきます。きょうはもう時間がありませんから、代表訴訟以下については次の機会にまたいろいろと問題提起等をさせていただきたいと思うので、きょうは監査役の問題までをさせていただきたいと思うのです。  監査役が、株主とか従業員とか会社債権者とか、そういう人の利益のためだけではないのではないかと先ほども申しましたけれども、この点、例えば使途不明金という問題があったときに、使途不明金といっても、取締役が自分で懐に入れて私腹を肥やしたということならば、だれが見てもこれはだめだ、監査役はこういうものを監視しなければいけないとわかる。粉飾決算をするということは、もうかってもいないのにもうかったような形や何かをとっていて、そのうちにどんとつぶれて従業員たちが非常に苦しみ、社会全体が連鎖的に非常に苦しむ。これもよくわかるのですね、こういう意味で監視するのは。  しかし、会社はもうけるために使途不明金ということが出てきてしまい、そういった現象によって会社が利潤を上げていく。それなら監査役はそれでいいのか、それは監査の対象にしなくていいのか否か。私は、こういう場合にも社会的責任で、会社はやはり合法的な正しい手順を踏んだ利益でなければいけない。特に公共事業の受注などについては、結局国民の税金をいわば利益の対象としてくるような企業の仕事なわけですから、こういうものについてはあってはならないリベートの問題であるとか政治献金の問題であるとかを含んでくるわけですけれども、こういったところで、企業も含めて、監査役はだれのどのような利益を守るものであろうと大臣はお考えであるか、法務省はどうお考えであるか、この点お聞きしたいと思います。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 大臣がお答えになる前に私の方から一言お答えさせていただきたいと思います。  監査役はだれのどのような利益を守るために置かれている機関かというお尋ねでございますけれども、これは株主及び会社債権者の利益を図るというような観点から取締役の職務の執行の監査に当たるということで、株主総会で選ばれる会社の必置の機関だということになっておるわけでございます。  会社というのはもちろん営利を目的とする社団法人でございますけれども、会社法はそういう社団法人の内部組織として取締役会とか株主総会とか監査役というような制度を定めているわけですが、帰するところは、結局会社と株主との関係、それから会社と第三者との関係、特に会社の債権者との関係、そういうものを合理的に調整するというのがこの会社法の目的であるというふうに思われるわけでございます。  そういう中で監査役は、会社が法令、定款に違反することがないようチェックする、そのような行為を取締役が行うということになりますとそれについて差止請求をするし、あるいは結果的にそのようなことが行われた場合には、監査の結果としてそれを指摘するというようなことがその職責として与えられているわけでございます。だれのための機関かというと、法律的にはちょっと不正確になるかもしれませんけれども、やはり会社の業務の適正な執行を図るということが最大の職責だと思います。  会社の社会的責任というのは一体何なのかという問題もあるわけでございますが、私どもは、やはり会社として各種の法令を的確に遵守して社会的な非難を浴びないように行動することが社会的責任を果たすゆえんであるというふうに思っているわけでございますが、監査役はまさにそういう会社の行動の違法、不当な点を正すという意味において非常に重要な地位を占めているものであるというふうに考えておる次第でございます。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 会社も社会的な重要な存在でございますから、会社自身が企業倫理を守らなければならないのは当然の責務であろう、私はこう思います。それがためには、やはり会社というものが法令の範囲内で適正な企業活動をやって、そして利潤を上げ、そうすることによって、まずは株主の権利を守らなければいかぬと思います。そして同時に、何百人、何千人の従業員の生活というものを支えなければいけない。したがって、そういう面についても会社としては十分な責任を果たすような経営をやっておらなければならない。そういったような会社の基本的な責任が適正に守られているのかどうかということで、やはり監査役というものがそれなりの十分な役割を果たす、これが私は一番大事なことではなかろうかなと。  そういう意味合いにおいて、従来からもたびたび制度改正をしておるようでございますが、今回もそういう物の考え方の基本の上に立って、まずは年限を延ばしてみたり、社外監査役を置いてみたり、各般の施策をとって、そして企業の法令の範囲内における活動ということは当然のことでございますが、同時に企業自身の果たさなければならない社会的な責任も適正に果たしていこう、こういう意味合いにおいての改正であろう、私はかように理解をいたしております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 時間が来ましたのでここで終わらせていただきますけれども、今大臣が言われたことでもちょっとまだ私には不満足といいますか、もう少しお考えいただいて、この次のときには御答弁いただきたいと思うのです。  だから、従業員や会社債権者や株主、そういう人の利益だったら、法令に違反しない限りは、もうければもうけたでいいのだ、使途不明金が出たところで、これは法令に違反することではなく課税されればそれで済む、ですから、そうなってしまうということでいいのかということについて、監査役がもう少し積極的な意味合いを持った地位にあるのではないかということについてぜひお考えいただき、そういった意味での積極的な改正ということで今回も位置づけ、また次のステップにしていくというようなお考えを持っていただきたいということをお願いして、終わらせていただきます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員長代理 伊東秀子君。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 まず、監査役の問題からお尋ねします。  平成四年四月、日本監査役協会実施の監査役の実態調査によりますと、監査役の在職年数は、一年未満が二五・六%、一年が一八・六%という形で、一年以内が四四・二%という大変多い数を占めておりますが、なぜこういうふうに監査役が短い在職年数しか現実には在職していないのか、いかようにお考えでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 お尋ねの監査役の実態調査でございますけれども、これは調査時点において監査役として勤務していた年限がちょうど一年未満である、そういう方が二五・六%おられるということでございまして、一年未満で監査役を退任した、つまり就任から退任までの期間が一年未満である、こういう趣旨のものではないというふうに承知いたしております。平均的な監査役の在任期間というのは大体三年六ケ月という統計も他方では出ているわけでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 今回三年に延長したわけですが、それはどういう趣旨からでございますでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 監査役の権限につきましては数次の商法の改正によりまして非常に強化されているわけでございますが、せっかくその与えられている権限がうまく行使されていない、こういう認識が私どもにあるわけでございます。その一つの原因といたしまして、任期が二年ごとである、二年ごとに任期が満了する、株主総会で再任されれば四年ということになるわけでございますけれども、任期が二年であるがためにどうも落ちついて十分に監査をすることができないというような意見が一部にあったわけでございます。  そこで、監査役の地位の安定強化を図りまして、その権限をもっと積極的に行使することができるようにするという意味におきまして、任期を延長しようということでいろいろと議論をしていただいたわけでございます。中には四年という任期にすべきであるというような意見もございましたし、現行上の任期は二年でよいけれども必ず一回は再任させるべきであるというような意見、いろいろな意見がございました。しかし、再任させるべきだと申しましても、これは株主総会で決めることでございますから、法律上それを強制するわけにはまいらないというような面がございます。そこで、いろいろ関係団体あるいはいろいろな方面の意見を私どもも聞きまして、最終的に現行の二年を三年に延長する程度で今回は監査役の地位の安定強化を図るということにしよう、こういうことで三年ということにいたした次第でございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 監査役の強化ということは私も賛成なんですけれども、監査役の業務が取締役の業務執行の監査及び会計監査人の監査という大変重要な役割を担っている。ところが、現実にはなかなか公認会計士の会計報告書に印鑑を押すだけというようなことがまかり通っていることが多いわけですけれども、それは結局監査人に十分なる能力、経験を得る人を得るか否かということが重要な問題になるのではなかろうかと思うわけで、昭和三十一年十二月二十五日、大蔵省企業会計審議会中間報告というところに「監査基準の設定について」というのがございまして、ここに「監査は、何人にも容易に行いうる簡単なものではなく、相当の専門的能力と実務上の経験とを備えた監査人にして初めて、有効適切にこれを行うことが可能である。」というふうに書いてございます。  公認会計士の会計監査報告をチェックする役割というと相当の、ここで言ういわゆる「専門的能力と実務上の経験」というものが必要とされると思うのですが、数をふやしたり年限を長くしただけではこれは実質的に強化にならないわけで、その辺はどのように現実にお考えでいらっしゃいますでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 委員、昭和三十一年とおっしゃいましたけれども、これは要するに証券取引法等に根拠を置く企業会計基準の方のお話だろうと思います。この点、商法の監査制度とはちょっと視点が違うものでございますが、商法の中に公認会計士等による会計監査人という制度が導入されましたのは昭和四十九年でございます。初めて基本法である商法の中に会計監査人という形で公認会計士あるいは監査法人が登場をしたわけでございます。  そういった会計監査の本当の意味での専門家を商法上大会社について必置の機関といたしましたのは、結局そういう会計、経理、監査というものについての専門家であるそういう者を積極的に活用する必要があるということからこのような制度が導入されたことはもとよりでございますけれども、監査役というのは、そういう公認会計士の監査対象である会社の会計のほかに取締役の日常の業務執行も監査をする、こういう職責が与えられているわけでございます。したがいまして、事会計監査という場面だけに限定いたしますと、恐らく監査役より公認会計士あるいは公認会計士によって構成される監査法人の方がはるかに専門的な水準が高いということは、通常の場合、当然のことながら言えるわけでございます。  そういうことから、会計監査につきましては、特段の事情がない限り、監査役の方でも公認会計士監査の結果を尊重して、それをそのまま自分たちの監査報告の中身にするというようなことも認めているわけでございますけれども、会計監査というものに限定いたしてそれだけについて考えてみましても、専門家の見た会計監査というものと、いろいろな会社の業務等について長い経験を積んできた監査役が見る会計監査というのにはまたおのずから視点の違いというようなものも期待できるわけでございまして、そういう意味で公認会計士等による会計監査人のほかにそういう専門家ではない監査役の存在理由も十分にあるというふうに思うわけでございます。  監査役が公認会計士以上の会計監査についての知識、能力を備えることが望ましいという意見もあるかもしれませんけれども、そういう会計の専門家とは離れた別な観点からの会計監査というものもむしろ有効に機能し得るのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 大変率直にお伺いいたしますけれども、三人になって監査役会というものの設置が義務づけられたということで、そうしますと会計監査に関するエキスパート、取締役の業務執行に関してチェックができるような監査役というような、そういうパートを分けて監査役会を構成せよということをこの法は想定しているのか。通常は社長さんがやめてから監査役になるとか、そういうことが今まで多いわけですけれども、その辺、法の想定するというか、どういう方向を目指そうということでこのような監査役の強化をお考えになられたのか、お伺いいたしたいと思います。    〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 今回、大会社につきまして監査役の員数を三人以上ということにいたしました。と申しますのは、監査役会というものを組織するためには二人では監査役会は組織はできない、多数決という問題もございますので、どうしても最低三人以上ということもあるわけでございます。  こういうような員数増というのは、監査役自体の数をふやすことによって監査の実効性というか質を上げる、こういう点が一つございます。特に大企業については、日常業務は膨大な量に上がっておりますので、人数が少ない監査役では十分な監査ができない、こういう点が当然のことながら指摘されているわけでございます。と同時に、先ほど申しましたような監査役会というものを組織して、個人ではなかなか会社の社長さんに物が言えないけれども、監査役という一つの組織体で物を言うということであればこれまた言いやすい、こういうようなことから、監査役会という制度を導入するにはやはり員数をふやさなければならない、こういうふうになるわけでございます。  そして、ではこの員数を三人以上にすれば、その三人がみんな同じような監査をするのかということになりますと、大会社のいろいろな非常に広い業務範囲というものを考えますと、これまたかえって非効率ということになろうかと思います。そこで、監査役会を組織いたしまして、監査役会の中で事実上の負担を決めると申しますか、それぞれの得意な分野というものがあろうかと思いますけれども、そういうような分担を決め合って合理的かつ効率的な監査もできるようにするというふうにしたわけでございます。  もとより、それぞれの監査役は会社業務全般についての監査権を持っておりますので、全部をやるということであればそれはそれでも構わないわけでございますけれども、個人の能力にはおのずから限界があるということもありますので、監査役会でその辺を調整して有効な監査をすることが期待できる、こういうふうに考えた次第でございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 社外監査役に関しては経済界からかなりの反対がずっと従前から伝えられておりました。それが今回入ったわけですけれども、対象となる商法の特例法上の大会社と言われるのは現在八千社ぐらいあるだろうと言われている中で、社外監査役、現実に適任者を得られるのかというのは大変問題じゃなかろうかと思うのですが、この辺はどのようにお考えなんでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 いわゆる社外監査役という議論は、実は昭和五十六年商法の改正のときにも随分議論されました。当時の議論といたしましては、この商法特例法の大会社は八千社あって、それについてすべて社外監査役というものを強制されるということになりますと、現実の問題としてはなかなかそういう人を得がたいという問題もあるのではないか、逆にそれを強行しますと形だけの社外監査役というものが生まれてきて、実は会社の内情はさっぱりわからない、本当に名目だけの社外監査役ということになってしまうのではないかというような議論も実はあったわけでございます。  しかしながら、その後、経済界をめぐるいろいろな不祥事の発生とかあるいはいろいろな動きというものが出てまいりまして、ある程度社外監査役の要件を緩和するということであれば、このような制度もやはり導入してみる必要があるということに大体経済界の動きもなってきたわけでございます。  この改正案では、監査役のうち「一人以上は、その就任の前五年間会社又はその子会社の取締役又は支配人その他の使用人でなかった者でなければならない。」というふうにいたしておりますが、例えばこの五年について三年程度にしてほしいとか、そういうような意見も実は経済界の中になかったわけではございません。しかし、いろいろな意見を調整しまして、五年間程度の要件であれば大会社の多くはそういった資格を備えた監査役を選任することができるのではないか、こういうことから最終的にはそこに落ちついたわけでございます。もとより、既に大会社の中にはこういった意味での社外監査役の方を相当数選任しておるところもあるわけでございますが、法律で最低限の要件として強制をする、これは強制するわけでございますから、そういうことになりますと五年間程度ということで最終的な結論になった、こういう次第でございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 この十八条が監査役についてなのですけれども、三人以上でなければいけない、そして一人以上は社外監査役でなければいけないという規定に反している場合の監査の効力、その監査は瑕疵を帯びることになるのか否か。過料の制裁についてはございますけれども、監査それ自体の効力に関してはいかがなものでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 特例法十八条第一項でそういったいわゆる社外監査役を最低一人選任しなければならないということになっているわけでございます。これは強行規定でございます。ですから、たまたまある会社がこの要件に該当するいわゆる社外監査役を二人以上選任していて、そのうちの一人だけにそういういわば要件違反があったというようなことでございますと、その場合の監査役会が作成した監査報告書の効力はどうなのかというようなことは別の問題としてあろうかと思いますけれども、法律の要求する一人について社外監査役を選任したところ、実はその社外監査役が、非常に極端なことを申しますと四年間しかまだ要件を満たしてない、こういうようなこともあり得るわけでございます。  今回のこの社外監査役の制度というのは、そういう社外監査役の選任を強制しまして、第三者的な立場からの見識を活用するという意味で監査の実効性を高めよう、こういった趣旨でございますので、もしそういう要件欠缺の監査役によって構成された監査役会が作成した監査報告書ということになりますと、これは違法な監査報告書ということになるものと私どもは考えています。  例えば、特例法の十六条で、監査役会の作成した監査報告書に計算書類を適法とする会計監査人の監査意見を相当でないと認めた旨の記載がないとき、つまり監査役会としては会計監査人の監査意見が相当であると、監査役会の意見と会計監査人の意見が一致している、こういうような場合には、株主総会でこの計算書類についての承認の決議を求めることなく計算書類は確定するという規定があるわけでございますけれども、こういった特例規定というものも、監査報告書というものが適式適法に作成されていることを前提とする規定でございますので、先ほどのように要件欠缺の監査役が参加した監査役会の監査報告書ということになりますと、これは適法なものではございませんから、この十六条の規定によって会社の計算書類の確定の効力が生ずるということにはならない、こういうふうに思うわけでございます。  したがいまして、例えば実際は確定してないにもかかわらずそれを前提として利益配当の決議をするというようなことになりますと、その決議については瑕疵がある、決議の方法あるいは手続に瑕疵があるものとして株主総会の決議が取り消しの対象になり得る、こういうふうに考えるわけでございまして、そういう意味では非常に重要な規定だというふうに私どもは認識しているわけでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 はい、よくわかりました。  次に、特例法の十四条三項の関係なのですけれども、監査役会が取締役に提出する監査報告書の件なんですが、「監査役の報告に基づき、次に掲げる事項を記載しなければならない。」さらに、この場合に各監査役と違うような意見を持っているような、少数意見者というんでしょうか、そういう監査役は「意見を付記することができる。」というふうに書いてありまして、監査役の連帯責任から逃れ得るような場合を定めているのだと思うのですけれども、その次のところに、第一号に「会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたとき」という記載があるのですね。それと、監査役の損害賠償責任を定めた特例法の十八条の四というところの第二項ですけれども、「監査役が第十四条第二項の監査報告書に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載をした場合について準用する。」というふうに書いてありますが、この損害賠償責任が発生する虚偽の記載という部分と方法または結果を相当でないというふうに認めたときに提出する意見、これとの関係といえばいいんでしょうか、どの程度の調査を尽くせば、たとえそれが客観的に相当でなかったとしても虚偽記載にならないというふうに、損害賠償責任までは発生しないというふうに想定しておられるのか、その辺の関係をお願いいたします。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 まず、監査特例法の十四条の三項でございます。  監査役会の監査報告書には第三項の一号から三号に掲げる事項を記載しなければならない。その際に監査役がもし異なっている意見を持っていればその「意見を付記することができる。」こういう規定になっているわけでございます。  この規定の趣旨は、基本的に商法における監査というのは監査役会ではなくて監査役がする、基本的な監査機関は監査役である。ただ、大会社については、監査役の人数が多いということもありまして、一応監査役会というようなものを組織して、そして監査の方法等について調整をする。さらに、最終的な監査報告書も各監査役がばらばらにするのではなくて、監査役会において監査報告書を作成する、こういうことにいたしたわけでございます。  しかし、その前提にはやはり各監査役が監査をするという基本的な骨組みがありますので、そのことを考慮して、各監査役の個人意見というものがそれなりにもしあればこれを「付記することができる。」こういうふうにいたしたのが十四条の三項の趣旨でございます。  そこで、さらに十八条の四の第二項の虚偽記載の問題でございますけれども、この十八条の四で「商法第二百六十六条ノ三第二項及び第三項の規定は、監査役が第十四条第二項の監査報告書に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載をした場合について準用する。」ということになっているわけでございます。  この商法二百六十六条ノ三第二項という規定は、これは取締役が株式申込証等に虚偽の記載をした場合における責任規定でございます。この二項のただし書きに「取締役が其ノ記載、登記又ハ公告ヲ為スニ付注意ヲ怠ラザリシコトヲ証明シタルトキハ此ノ限二在ラズ」ということになっているわけでございますが、十八条の四の第二項の規定におきましては二百六十六条ノ三の第二項を準用しておりますので、「重要な事項につき虚偽の記載をした」という場合については、監査役がそのような記載をするについて注意を怠らなかったということを自分の方で証明しないと責任は免れないという意味で監査役の責任を重くしておる、こういう趣旨の規定でございます。  もとより監査役というのは、一般に、善良な管理者の注意義務をもってその職務を行わなければならない。会計監査人がした監査報告について、これが適切であるかどうかというようなことについては十分に調査をする、つまり善良な管理者の注意義務を尽くす、そういう意味での義務が当然課せられているわけでございまして、それを怠るということになりますと、監査役としてはこの責任を問われ、善管注意義務違反ということでその損害賠償責任等が生ずるというようなことになっているわけでございますが、この虚偽記載につきましては、みずから十分に注意を尽くしたということを自分の方で証明しなければならない。第三者が監査役に損害賠償を請求する場合は、あなたは善管注意義務を尽くさなかったということを第三者の方で証明する必要があるわけでございますが、この虚偽記載については、監査役の方で自分は注意を十分に尽くしたということを証明しなければならない、こういう意味になるわけでございます。  もちろん、何が重要な事項であるか、また虚偽の記載というのは、これは客観的に虚偽かどうかというのは決まるわけでございますけれども、そういうことを前提といたしましてそのような責任規定を明らかにしたもの、こういうふうに私どもは理解しているわけでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 今の御答弁ですと、虚偽記載においては、みずから善管注意義務を尽くした、つまり自分は虚偽の認識がなかったということを証明しなければならないという趣旨と受けとめてよろしいのでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 御指摘のとおりであろうというふうに考えております。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 そうしますと、十八条の損害賠償責任が発生する場合に至らなくても、虚偽の認識はなかったが客観的に相当ではなかった、例えば意見を付記したないしは付記しない、客観的に見れば会計監査人の監査の方法、結果が相当でないにもかかわらず相当であったというふうに監査役会が認定したとか、そういう場合には損害賠償責任は発生しないというふうに考えるということでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 二百六十六条ノ三の二項が準用されるわけでございまして、そのために第三者にどういう損害が生じたかということが問題になろうかと思いますけれども、そういう損害が発生したという前提でのお話というふうに考えますが、要するに虚偽の記載を意図的にしたということであれば、これは問題なく損害賠償責任は生じます。さらに、虚偽の記載という認識はなかったんだけれども、ちょっと注意すれば、つまり注意を怠らなかったならばそれが直ちに虚偽の記載だということを知り得たということになりますとこれはやはり損害賠償責任が生ずる、こういうふうに言って差し支えないというふうに思うわけでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 ただし、損害賠償責任は重過失になっていると思うのですよね。そうすると、今のは重過失の程度の怠りというふうに考えるべきなんですか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 二百六十六条ノ三の一項の方は、これは「取締役が其ノ職務ヲ行フニ付悪意又ハ重大ナル過失アリタルトキハ其ノ取締役ハ第三者二対シテモ亦連帯シテ損害賠償ノ責二任ズ」こういう規定があるわけでございます。これはいわゆる重過失というふうに言われております。しかし、二項の方の虚偽記載につきましては、これは注意を怠ってはいなかったということを証明すればその責めが免れるという意味におきまして一項とは違う、一種の軽過失である、こういうふうに言っていいかと思います。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 次に、特例法十八条の二の二項なんですけれども、「監査役会は、この法律に定める権限を有するほか、その決議をもつて、監査の方針、会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項を定めることができる。」というようなことになっておりまして、この法律で定めている監査役会で定めること以外に、監査役の独任権と言えばいいのでしょうか、個々の監査役が持つ権限に関しても決定でもってその「監査役の職務の執行に関する事項を定めることができる。」ことになっていると思うのですが、この本文の定めであれば、そういった監査役個々が本来持つべき、先ほども局長さんがお答えになったような権限との関係はどうなるのか。  つまり、監査役個人が当然持つさまざまな権限を決定でもって狭めたりするようなことになるとこれはやはり問題じゃなかろうかということが出てくるわけで、その辺の関係が第一点と、このただし書きがあるということは、そうじゃないよ、個々の権限は、あくまでも権限の行使はできるんだよということを定めていると思うのですけれども、そうしたらこの本文が意味がないじゃないかということになるのじゃないかと思うのですが、その辺の関係はどういうふうになっているのでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 十八条の二という規定がございまして、「会社にあっては、監査役の全員で監査役会を組織する。」ということが第一項にございますが、第二項で「監査役会は、この法律に定める権限を有するほか、この決議をもつて、監査の方針、会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項を定めることができる。」ということになっております。「ただし、監査役の権限の行使を妨げることはできない。」こういうふうに御指摘のとおりなっているわけでございます。  このようにした趣旨は、先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、複数監査役制をとる大会社において、その組織的な監査を実現するということのためには監査役の役割分担というようなものを決めることが合理的ではないか、そういう意味におきまして、監査役会においてそういうことを決めることができるようにしようということでございます。ただ、大会社におきましてこういう監査役会の組織というものができましても、個々の監査役がこの監査権限を有するということには変わりがないわけでございまして、商法の二百七十四条第一項、これが基本の規定でございますが、これについては一切の修正を施していないわけでございます。そういう意味では、監査役会は基本的には複数の監査役による監査が組織的かつ円滑に行われるようにするための一種の調整機関としての性格を有するものだというふうに見てよいかと思います。  したがって、御指摘のこの特例法十八条の二の第二項のただし書きというのは、監査役会が監査役の職務の執行に関する事項を定める場合においても本来の監査役の監査権限を縛るというようなことはできない、こういうふうにしたわけでございます。ただ、そういった意味での職務分担の決議というようなものを監査役会で定めたような場合に、その分担決議自体が、それぞれの監査役が善良な管理者の注意義務をもって十分に注意をした上でそういうような分担決議をしたということでございますと、これはやはり個々の監査役はその定めに拘束されるということになるのではないか。  したがって、例えば、本来監査役は会社の業務全般について監査権限を有するわけでございますけれども、そのように適法適式にされた分担決議があるというような場合には、それに従って監査役としての行為をすれば任務懈怠の責任は問われない、全部について監査をしなければならないというのは大変なことでございますから、ある特定の分野について監査分担決議に基づいて監査をしたという場合であれば、ほかの部分について監査役としての監査をしなかったから責任を負うということにはならないのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、本来監査役としての独自の監査権限を持っているという前提の上で、いわば多数人の監査役の職務について調整をするという意味での監査役会というものの機能があるということで御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 そうしましたら、例えば自分の分担ではない部分の監査役の分担の部分に相当でない部分があった、そういうようなときに、その相当でないということについての意見をここの分担でない監査役が書かなかったというような場合には責任を問われない、本文との関係ではそのように考えていいのでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 通常の場合であれば、分担決議に従ってその分担を誠実に遂行すればいいということになるわけでございますけれども、しかし他の監査役の調査の結果の相当性について自分の立場から見ても疑問がある、こういうようなことがある、疑問の余地がないということであれば問題がないのでございますけれども、疑問があるというような場合には、これはもともと監査役についてそれぞれ全般についての調査権というか監査権があるわけでございますから、そういうものに基づいて調査をすることができるし、また調査をする義務もあるということになろうかと思います。  具体的にそういうような事例が、つまり自分の分担区域外の区域についての他の監査役の監査について疑問が生ずるという場合が具体的にどういう場合なのか、ちょっと私具体的な事例は思いつきませんけれども、もし観念論としてそういうものがあるということであれば、やはり調査をしなければならない、場合によっては、それを怠りますと責任を問われるということもそれは考えられるということになろうかと思います。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 次に、社債に進みたいのですが、その前に、先ほど鈴木委員が質問いたしました使途不明金につきまして、私も企業の使途不明金の問題についてちょっと質問をいたしたいと思います。  まず、刑事局にお尋ねいたしますが、金丸氏の脱税の関係で何社から使途不明金関係のブツを押収しておられますでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 金丸前議員の所得税法違反事件において、検察当局がその捜査の過程で押収した箇所についてのお尋ねかと思うわけでございます。総合建設会社や山梨県内の建設業者など九十四カ所から証拠物等を押収したというふうに報告を受けております。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 相当数の箇所から押収しておられるようですけれども、現在もそれに基づいて新しい立件のために捜査を進めているというふうに考えてよろしいのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほど鈴木委員のお尋ねもございましてお答え申し上げたわけでございますけれども、金丸前議員らに対する所得税法違反事件の捜査はおおむね終了したというふうに聞いているわけでございます。先ほどお尋ねを受けました捜査の過程で押収した証拠物等をも含めまして、今後、既に公訴提起をいたしました所得税法違反事件の公訴維持等の観点から、必要に応じましてこれらの証拠物等の分析、検討を行うというふうに理解しているわけでございます。  それ以上に検察当局がどういう捜査を行っているか、あるいは今後どういう捜査を行うかということについては、お答えを差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 大蔵省にお尋ねいたします。  先ほどの御答弁では、使途不明金ということで企業から出てきた場合にもできる限り真実の所得者に課税するために調査を行っているというようなことでございましたが、その辺の具体的なやり方、どの程度までやっているのか、もう少し詳しく御答弁いただけますでしょうか。

藤井保憲国税庁調査査察部調査課長

○藤井説明員 お答え申し上げます。  私ども国税当局といたしましては、真実の所得者に課税するというのが税務行政に課せられた課題である、このように認識をいたしておりまして、その趣旨からも使途不明金は課税上問題があるということで、その使途の解明に特段の努力を払っておるところでございます。  どの程度かということでございますが、これは徹底して使途の解明に努力しておるというふうに御理解いただきたいと思います。  この扱いでございまして、そういう解明のために最大限の努力をいたしましてもなお法人がその使途を明らかにしない場合がある、そうしたことも事実でございまして、そうした場合には、やむを得ざる措置といたしまして、法人が使途を明らかにすれば損金となるべきものでございましても損金算入を認めず、支出法人に対して法人税を課しておるというところでございます。  なお、つけ加えますと、調査によりこうした使途不明金を把握するということがございます。その支出の過程におきまして仮装・隠ぺいなどの悪質な行為がある場合が一般的でございまして、そうした場合には重加算税を課しているというのが通常でございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 使途不明金という概念そのものが、会社にとっては使途不明ということはあり得ないわけで、税務上の処理の問題だというふうに考えられるわけですけれども、これは立法政策の問題になりますが、大蔵省としまして、社会的に使途不明金が一昨年から問題になっておりました証券会社における損失補てんの問題あるいは今非常に国民の不信を買っている、政治不信の元凶になっている政治家への裏献金になっている、一種の社会悪を生み出しているということを考えますれば、あるいは脱税の温床となっているということであれば犯罪につながっているということで、こういったものは法治国家、民主主義国家としてなくしていくという方向が必要なわけでございますけれども、大蔵省の方から見て、どういうことを行えばこの使途不明金の使途をより明確にしていくというか、ディスクローズしていくといえばいいのでしょうか、なくしていくという方向に考えられるか、その辺はいかがお考えでしょうか。

清水治大蔵省大臣官房企画官

○清水説明員 使途不明金につきまして、税制の制度として何らかの対応をとるべきではないかという御指摘、税金の制度の問題としてお答え申し上げますが、国税庁の方から御答弁申し上げましたように、使途不明金、経費として支出したけれども使途がわからないというものにつきましては、税の世界におきましては、真実の所得、だれが受けているか、これを解明いたしまして、その支出先に対して適正な課税を行うということが基本であるかと思います。そのために国税当局におきましても最大限の努力をしているということでございますが、どうしても使途がわからない場合、この場合にはその使途不明金に当たる部分について経費として認めない、損金不算入とするということによってそういう形で負担を求める、課税をしているということになるわけでございます。法人税制、法人の所得、益金から損金を控除しまして算出されます所得に対して負担を求める法人税制ということからは、その損金算入を否定する、経費性を認めないということが法人税制の枠内の措置としてはぎりぎりの対応かというふうに考えております。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 フランス等ではペナルティー税を課しているということもあるわけでございますが、それについてはどういうふうに考えるかということが第一点。それから、企業財務課の方にお伺いしますが、これは企業の財務としても非常に問題である、これをいかにしてディスクローズさせられるかというような点についてのお考えはいかがでしょうか。

清水治大蔵省大臣官房企画官

○清水説明員 今フランスの制度についての関連の御質問でございますが、確かにフランスにおきましては、支出の受領者の氏名等が明らかでない場合に損金算入を否認するほかに、一定の課税をするという方式がとられていると承知しておりますが、翻って我が国の税制の中で考えますと、使途がわからないものについてその支出先を解明してそこに負担を求めるというのが基本になるかと思います。一方で、どうしても使途が解明できない場合に法人税制としてどういう対応ができるかという点につきましては、その経費としての損金算入を認めないという点が制度の枠内としてぎりぎりのところかと思います。  ちなみにアメリカ、イギリス等諸外国におきましても、我が国と同様にいわゆる使途不明金につきましては損金への算入は認めないという対応をしているというのが一般的かと承知しております。

松谷明彦大蔵省証券局企業財務課長

○松谷説明員 お尋ねの使途不明金でございますけれども、私どもの所管しております証券取引法におきましては、使途不明金という概念はございません。証取法におきますところの有価証券報告書におきましては、すべての支出はその支出の性格に応じて、例えばそれが費用であるとか交際費であるとか寄附金であるとかというように、適切に経理区分されているものと承知しております。もちろん、その支出の性格を確認した上で分類するわけでございますが、その確認の際には、会社の経理担当者であるとかその支出に当たった責任者であるとか、そうした者から意見等を十分聴取して、そしてその資金の性格を確認、決定した上で経理されているもの、このように承知しております。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 今のは実情ですけれども、立法政策として、企業財務課としてどう考えるかということを伺ったわけでございます。

松谷明彦大蔵省証券局企業財務課長

○松谷説明員 先ほど申し上げましたように、使途不明金という概念はございません。したがいまして、私どもとしては、有価証券報告書におきまして、その資金が現実に会社から出されて、それが適切に、出されたとおりに経理されているかどうかということが問題なわけでございます。また、その支出がどのような性格でなされたかということが問題なわけでございます。したがって、その経理が、現実に行われた支出どおりに適切に経理、計上され、そしてその資金の性格に沿ってきちんと分類、経理されていれば、有価証券報告書としては問題がない、このように考えております。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 企業財務課としては、この問題については何らする必要はないとお考えになっているというふうに受けとめられますが、それでよろしいのですか。

松谷明彦大蔵省証券局企業財務課長

○松谷説明員 先ほどから申し上げておりますように、有価証券報告書が公衆の縦覧に供されて、企業の実態が投資家に明確にされるということが重要なわけでございます。したがって、資金の流れが正確に計上され、そしてそれが資金の性格に沿って分類されていれば、投資家に対する情報提供としてはそれで十分ではないか、私どもはこのように考えております。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 大蔵省の企業財務課としては、今問題になっている社会的な問題に対する姿勢としては、非常にクリエーティブでないというか、無責任というか、消極的というか、私はそういう印象を受けました。  次に、法務省の方に伺います。  一九八三年に政府税調が、使途不明金に関しまして、もはやこれは法人税制の枠内の措置としては限界がある、商法、刑法との関連で検討されるべきであるというような意見を出しておられます。  使途不明金の存在がこのように毎回毎回公共事業の問題に絡みますと、国民の税金の一部を還流させているといえばいいのでしょうか、国民にとって、納税者にとって背信行為であるというような怒りが非常に上がってきているわけですね。今のような、企業財務課のような、それはいいのだというような態度であれば、本当にどうしようもない国民の絶望感と不信感と怒りが高まっていくであろう。そういう意味でも税調が、やはり商法、刑法上の問題、ある意味では行き先不明の金というのは相手方の脱税幇助につながっているわけで、政府としてはいかにすべきかということを真剣に考えるべきではなかろうかと思うわけです。  その辺について、商法、刑法等の関連で検討されるべき問題であるということをいかにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 先に商法の観点からのお答えを申し上げたいと思います。  先ほど来御説明がございますように、使途不明金という概念は商法上はないわけでございます。寄附金だとか諸会費だとか雑費というような形で計算書類上は分類されておるということになっているわけでございます。そういう前提で、税法の面で、例えば費用の支払い先を明確にしたくないということから、いわゆる使途不明金として、それは損金ではなく益金として税金の対象とするというような形で使途不明金という言葉が生まれているというふうに私ども承知しているわけでございます。したがいまして、商法の面では使途不明金というものはどこにもあらわれてきていないということになるわけでございます。  実際、商法の面におきましては、会社の財産状態とか経営成績を把握するために、計算書類等において会社の財産及び損益の状況を明確にすることが根本的な重要な問題として要請されているわけでございますが、いわゆる使途不明金の関係で申しますと、もしその支出に関して不正経理が行われておる、つまり計算書類等に虚偽の記載がされておるということになりますと、これはもう既に現行法上、商法の禁止するところでございます。商法の四百九十八条第一項第十九号にそういうような禁止規定があるわけでございます。  さらに、その結果会社等に対して損害を与えるということになりますと、その不正経理に関与した取締役の責任の問題がございますし、民事上の損害賠償責任ということもあるわけでございます。また、刑事罰という面でも、不正経理に関与した取締役が場合によっては特別背任罪に問われるということにもなろうかと思います。  そしてさらに、このような粉飾の経理、不正、不実の記載をチェックするシステムといたしまして、先ほどから問題になっておりますような監査制度、あるいは公認会計士、監査法人等による会計のチェックというようなシステムが、システムとしては成り立っているわけでございます。  したがいまして、現行法にさらに加えて、使途不明金というものをターゲットにした法改正ということはちょっと考えにくいのではないかな、こういうふうに私どもは現在考えているところでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 使途不明金というものが何に使われているかわからない、しかも脱税、裏献金あるいは損失補てんの元金になっているということであれば、株主に対する背信でもあるわけですね。証券会社の損失補てんの問題のときに訴訟になっている、損害賠償請求が出ていると思うのですが、そういったことを今回きちっとやっていくということが一つの先鞭になる。  商法で今規定されていることが眠ってしまって全然機能していないために、ことし一年間で一億円以上の資本金の企業に限っても三百九十六億円ですか、使途不明金が出てきているというような状況であるわけです。商法の規定があるからいいというだけではなしに、規定が全然機能していないからこそこういうことになっているわけで、現に訴訟が出ているということもありますので、その辺、民事局としてももう少し関心を払い、意欲的になっていただきたいと思うのです。  刑事罰の関係、刑法との関連で、政府税調が今後の措置として検討されるべきであるというふうに提言している、答申していることに関しまして、特に脱税幇助等との関係でどうお考えなのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  先ほど来たびたびお話が出ておりますように、使途不明金という概念自体は決算処理においては生じないものでございまして、税務申告に際して、決算処理ではいずれかの勘定科目で処理していた支出を、企業側が自己否認したり、あるいは税務当局側が形成の裏づけがないという理由で否認することによって生じるものというふうに理解しているわけでございます。そういうような税務申告という特殊な局面においてあらわれる現象でございますからして、これを刑罰法令の一般法である刑法において処罰の対象とするということは問題があると思うわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、この使途不明金問題に関しましては刑法に処罰規定を置くこと自体は法体系上の問題があるということは今申したとおりでございますが、それでは、この使途不明金の問題について法規制の必要があるとして、その目的がどういう目的であるのか、あるいはその目的達成のためにはどういうような法令でどういうような規制を設けていくのが最も効果的であり、あるいは整合性を持ち得るのかというような観点から慎重に検討する必要があるものというふうに思うわけでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 具体的にはお考えになっていらっしゃらないのでしょうか。今おっしゃったことの中身でございますが。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは、先ほど大蔵御当局の方ですか、お答えがございましたように、証券取引法等におきましては上場会社等に有価証券報告書の作成、提出が義務づけられておって、その分野については、例えば重要事項に関して虚偽の記載があるものを提出した場合には処罰の対象にされているというような規定があるわけでございますけれども、これを一つ考えましても、要するにそういう一つの目的があって会計帳簿的な処理に対する虚偽の文書作成、行使に対する刑事罰則を設けるというような形のものを置いているわけでございまして、結局、そういう特定の目的を超えて企業財務一般に関する虚偽報告というようなものを処罰の対象とする必要はないという趣旨を、逆に、そういう個別の法律で罰則を置いていることから見ますと、そういうふうな趣旨にも理解できるのではないかというふうにも思うわけでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 ちょっと今のは理解不能だったのですが、最後に、この使途不明金について法務大臣としてはいかがお考えでしょうか。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 大変厄介な問題でございます。  今民事局長から御答弁申し上げましたように、商法上はそういうものはないわけですから、商法の世界では私は無理だと思いますね。商法の上で不正経理ということであれば、これは問題なしに現行規定できちんとやれるわけですね。  問題は、今度は刑法上どうかということにならざるを得ぬわけですが、これも私は、詳しくは税法上の問題は知りませんけれども、税法上だって収入、支出の関係のどこかの帳じりが合わぬということはない、きちんとそれは合っているはずですね。ただ、問題は、税法上、これは何にお使いになったのですかといったときに説明ができるものとできないものがあるだろう。できないものというのはおかしいじゃないか。これは常識論としてあり得ますね。だから、そういう使途不明金なんというものはできるだけ少なくするようにできる限りは税務当局もきちんと説明を求めていると思いますが、しかし仮にこれを建設関係の問題に仮定して考えた場合に、今世の中が大変やかましいものですから、例えば一つのビルを建てるとなるといろいろな日照権の問題その他でやかましい問題がある、あるいは道路をつくろうとすれば、土地所有者がなかなか一軒、二軒が頑張っちゃうといったようなことで、実際その業務を進めようとするならば、そこに何らかの、いい悪いは別としまして、会社としても処理せざるを得ぬ面が私はあると思いますね。  それを一々、税法上で言えば、それは当然正当に取得した方に対して税をかけるというのは当たり前でしょうけれども、しかしそこは実際問題としてはなかなか難しい問題があるので、やはり税法上の問題としてどうしてもそういう使途不明というものはゼロにしろということは、現実問題としては難しい面がある。だから、ある意味においては、言葉は悪いけれども、目をつぶらなければならぬのかなということも私はあり得ると思いますね。  問題は、伊東先生のお話は、これが政治の場でおかしいことになっておるとそれはいかにも説明がつかぬではないか、こういうことであろうと思うのです。そうなってくると政治資金規正法上の問題だと私は思いますね。  実はこれは自由民主党の中で、四年前に私が政治改革大綱をつくったときも、今の熊本の知事の、何とおっしゃったかな、福島君が、これは専門家ですから、大変な熱意を込めてこれを何とかしようといったようなことであったのですが、政治に対する献金、個人献金についてはいろいろ議論も私はあると思います。しかし、政党に対する献金ということになると、政党というものが御案内のように統治権行使の一翼を担っている。人格なき社団ですね、現在は。しかしながら、統治権行使の一翼を担っているということになると、それに対して献金をするということ自身を、果たしてそれを税務の対象にしていいんだろうかというようなまた問題が出てきたわけです。  いろいろなそういう厄介な問題がございまして、どちらかというといわゆる政治献金に対する課税は私は必ずしも賛成でない。問題は、そこで公私の経済の別ということをどう考えるか、それをどのように明らかにするか、ここが一番の肝心のところではないのか。こういうのが私自身の、これは個人の見解ですけれども、個人的な私の見解でございます。  ところが、これがまた非常に難しいのです。それは、言葉はこれまた誤解を受けるといけませんが、政治家の活動の場合に、確かに、抽象的には公私経済の区別というのははっきりしなければいけません、これは。しかしながら、グレーゾーンというところがあるのですよ。そこらを一体どのように区分けをすればいいんだろうかというような厄介な問題が残っておるな、こう私は思います。  こういう立場に立って、今せっかく与野党間で政治改革の問題の中でいろいろな、選挙法のことだけでありません、いろいろな問題がありますから、そういった中で政治資金規正法についても我が党は我が党としての考え方を出しておりますけれども、野党の皆さん方は野党の皆さん方のお話もあるのでしょうから、そこらはお互いに立場を乗り越えながら、一体どうすればいいんだろうかといったようなことを整理すべき時期に来ておるのではないかな。これは私の率直な考え方でございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 一応使途不明金につきましてはこれで終わりまして、あとちょっと時間がございますので、社債の問題に、簡単なことだけに入らせていただきますが、今回社債の発行限度額を撤廃した、そのかわりに社債管理会社の設置を強制するというような法規制になったわけでございますけれども、管理会社を設置しないで発行された社債の効力についてはどう扱うかということなのです。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 今回の社債の発行限度撤廃のいわば一つのキーポイントが社債管理会社の設置を原則として強制するということでございます。この社債管理会社というのは、いわば社債権者の代理人でございまして、社債権者のためにその権利を保全するための諸行為をする、そういうことになっているわけでございます。そういう意味で非常に重要な位置づけになるわけでございますが、これは大蔵省にも聞いてみたのですけれども、およそ社債を発行する場合に社債管理会社を定めずしてこれを募集するということは考えられないというのが結論でございます。  これは、社債申込証に社債管理会社の商号を記載しなければならないし、それからもっと厳しい証券取引法上の規制があるわけでございまして、有価証券届出書にこれを記載しなければならない、したがって、社債管理会社を設置すべき場合にこれを設置しないまま、大蔵省もそれを見逃して有価証券届出書を受理して社債の募集を許すということはまず絶対的に考えられない、こういうようなことを言っているわけでございます。  ですから、ある意味においては仮定の問題だということになるわけでございますが、仮にどういう場面が考えられるのか。非常に悪い発行会社が意図的にこの社債管理会社があるように仮装して社債券を発行するというような極めて例外中の例外みたいな現象があるいは起こるのかなというような感じがするわけでございますけれども、基本的に考えますと、設置強制をしている社債管理会社が置かれなかった、あるいは置いたんだけれども委託契約が無効であった、こういうことなんだろうと思いますけれども、そういう場合に社債管理会社の原則設置の趣旨からしてこれを設置しないで発行した社債というのは無効である、こう考える考え方もあり得ることかと思います。  しかし、もともと社債管理会社というのは社債権者を保護するためのいわばエージェントとしてその設置を義務づけられたものでございますから、そういうものがたまたまない状況になった、しかも現実には社債券が発行されて転々と流通しておる、こういう事態が仮にあるといたしますと、これがもし無効だということになりますと、社債券が転々流通してもこれは有価証券ではないことになりますから権利も移らないというような問題が生じてくる、こういうことになろうかと思います。つまり、権利関係が錯綜して社債の譲受代金も回収できないし、会社の方でも社債を償還してくれないというような問題が出てくる可能性があります。  そういうことを考えますと、もともと社債権者のために設置を強制している会社でございますので、非常に異常な事態だとは思いますけれども、原則的にはやはり社債は有効というふうに考えざるを得ない。しかし、この場合には、発行会社は遅滞なく社債管理会社を設置すべき義務を負うし、あるいは、場合によっては、商法三百十四条に規定があるわけでございますけれども、社債管理会社の設置を裁判所に請求するというようなことも考えられる。しかし、それもしないということになりますと期限の利益を喪失して直ちに社債の全額を償還しなければならない、こういうことになっていくのではないかというふうに私どもは考えております。  ですから、社債が有効、無効というよりか、社債権者の権利を保護するという観点から、権利保護の必要性の限度においてその社債の有効性を認める、こういうことでないと不当な結果が生ずるおそれがあると考えているところでございます。

伊東秀子日本社会党・護憲民主連合

○伊東(秀)委員 きょうはこれで終わります。

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、来る十六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十五分散会

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