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126回国会衆議院1993/04/02

法務委員会 第3号

発言数
63
登壇者
6
会派数
2
開催日
1993/04/02

会議録

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、不動産登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。鈴木喜久子君。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 鈴木から質問をさせていただきます。  まず最初に、この法律の文体とそれから文字の使い方についての問題なんですけれども、私も弁護士をしておりまして、三年前までは仮名文字も文体もさほど苦にもならずに読んでおりましたけれども、三年間遠ざかっておりまして、今回この条文についていろいろと読ませていただいて、最後のころになって引用条文などがたくさん出てきたりしますと、大変読みにくい、理解しにくいということを切実に今回勉強しながら感じました。  それで、この条文は枝番もかなり多いということで、条文数にすると二百幾つかあるということですけれども、今回も幾つかの改正があるわけですが、全体の法律の文体がああいう文語調であるということ、そちらよりも仮名文字ということ、片仮名でなく平仮名まじりのものにするという、そういった全体的な改正については法務省はどのようにお考えなのか、お願いいたします。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 お答えいたします。  今回御審議をお願いしております法律は不動産登記法で、これは明治三十二年の法律でございます。この法律は、非常に難しいと申しますか、明治流の、簡にして要は得ておりますけれども、漢字片仮名まじりで非常にいかめしく書かれておる、こういう条文でございます。このような法律を現代語化して、しかも内容的にももう少しわかりやすいものにしよう。非常に条文が簡潔でございますために、いわゆる通達とか回答とかという行政解釈によって取り扱いを明らかにするというような場面もかなりあるわけでございます。したがいまして、そういうようなものを含めまして不動産登記手続全体を、この法制を現代語化してわかりやすくしたいということで、現在この作業を進めているところでございます。  実は私どもの所管する法律で、民法も現在そういった状況でございますし、それから商法、これは会社法はもちろんでございますが、商行為法、保険法、海商法といったようなもの、破産法、和議法といったようなもの、あるいは民事訴訟法についても現在そういう状況でございます。  これらの法律につきましては、民事訴訟法については既に全面改正作業の中で口語化の検討作業を進めておりますし、民法についても口語化研究会をつくりましてもう二年にわたって検討を進めておる、会社法を含む商法についてはことしから検討を開始した、特別の委員会をつくりまして検討を開始いたしておるわけでございますが、不動産登記法につきましても、そういった観点から、現代語化と同時にもう少しわかりやすいものに改めるということで現在研究をしているところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 かなり技術的な不動産登記法という法律ではありますけれども、やはり国民の権利保全その他についても非常にかかわりがあって、国民一般の人も読んで理解をするということがかなり必要とされる法律の分野だろうと私は思いますので、今までこれは見るのも嫌だという人 がたくさんいると思いますから、ぜひなるべく早い時期に、民法や海商法、商法の部分になりますと、非常に条文も多く膨大なものですから大変だとは思いますけれども、これはかなり一固まりで、刑法の場合も私はそう思うのですけれども、ああいうものはなるべく早くに国民一般の人が見てわかる条文に変えていただきたいというふうに思います。  それで、今回の改正に関しまして次の問題に行きますと、昭和六十三年、第百十二国会で、このときはコンピューターを使うというか電子情報処理組織を用いて登記を行う制度の導入がされたことでこの登記法の一部の改正があったのだと思いますが、そこでの附帯決議が七項目にわたってついています。この項目の中では、コンピューターのシステムを入れるからこれをどうするかというような問題の部分と、それから登記一般の部分でもどのようにしなければならないかという目標を書いた、かなり詳細な附帯決議であろうと思います。  この中で、今回は、この附帯決議で言われています、第五項ですけれども「登記の真正を確保するため、保証書制度の見直し等制度・手続の改善、審査事務の充実、専門家の能力の活用等の諸施策を推進するとともに、登記申請の代理の制度の整備について検討すること。」という部分、それから「前項の諸施策の実施に当たっては、日本司法書士会連合会・日本土地家屋調査士会連合会等関係諸団体の意見を十分聴取すること。」という六項、そして七項の「地図整備の諸方策を更に積極的に推進すること。」という、このあたりの項目に非常にかかわりのある今回の改正ではないかと思われますけれども、この点、関連性はどのように考えておられますでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 お答えいたします。  基本的にはこの昭和六十三年の不動産登記法等の一部改正の際の当院における附帯決議、委員会における附帯決議というものを私どもまず踏まえまして法改正案の作成に着手をした、こういうことになるわけでございます。  ただ、この第五項、六項、七項で取り上げております問題は、見方によっては非常に広く、非常に重要な問題を含んでおるわけでございます。そのいずれもが、五項については、登記の真正を確保するというまさに登記制度の生命ともいうべきことを掲げて、それを実現するための諸方策を検討せよということをおっしゃっているわけでございまして、私ども常々そういう観点から登記手続の合理化とかあるいは充実ということを図ってまいったわけでございます。また、地図の整備にっきましても、これは法律改正の問題と同時に予算を伴う問題でございますので、予算の獲得に努力をしてその施策を推進するという面で相当の努力をこれまでも重ねてまいりました。  そういった面で必ずしも法律に直結するというわけではございませんけれども、今回の改正法がこの附帯決議の趣旨を一〇〇%すべて実現しておるということではございませんで、今後さらに努力をしなければならない問題というのはあるわけでございます。しかし、例えば登記申請代理権の不消滅に関する規定とかあるいは保証書制度の改善に関する規定というのは、これは第五項の附帯決議に関連するものであり、さらに、地図を作製する際における登記官の職権分合筆の規定というのは、現実にこれは登記所が地図を整備するために十七条の地図のモデル作業を現に行っているわけでございますが、そういうものを少しでもやりやすくするというような観点から設けられた規定でございます。  これらの点についてはいずれも、附帯決議の六項で言っておりますように、日本司法書士会連合会、日本土地家屋調査士会連合会等の関係諸団体と十分に事前の協議をした上で今回の最終的な法案というものになったわけでございます。恐らく、不動産登記法の改正という形で対応すべき問題であるのか、あるいは司法書士法、土地家屋調査士法の改正という形で取り組まなければならない問題も多々あろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても今回の改正案はこの附帯決議に即したものである、一〇〇%これにこたえるものであるかどうかという点はさておきまして、これを十分に踏まえて私どもはこの改正案を作成しておるということは申し上げて差し支えないというふうに思う次第でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 後で、今回の改正が一〇〇%でないにしても、項目について一体どのくらいまでの点数を自己評価されるかどうか、お聞きしたいと私は思うのです。  今、局長言われましたように、この附帯決議の中の五項というのは、前提としてここに一番初めに書かれているように、「登記の真正を確保する」ということが大問題であろうと思います。登記というものについて国民の権利というものをこれによって確保し、その真正をきちんと公証業務の中でしていかなければ、よって立つ私たちの財産権の確保ということの一番のもとのところが崩れてしまうような気がします。ですから、この登記の真正の確保ということが何としてもどの言葉にも、単なるまくら言葉でなく、やはり頭に実質的にくっつかなければならない問題で、どの改正とかこれからの整備ということも、その観点を抜きにしてただ技術的な改正ということはできないのではないかというふうに思われるのですね。その点から、私は幾つかこの問題をこれからいろいろお聞きしていきたいと思うのです。  この登記の真正の確保という、登記制度の中での真正な確保をして国民の権利義務をきっちりと確定しようという、このことについては、局長もう一度、今私の言ったような理解で全く一致しているかどうか、教えていただきたいと思います。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 正しい登記をする、つまり実体上の権利関係というものを登記簿に正確に反映するということが登記制度のまさに生命であると言って差し支えないわけでございます。それを担保する手段としていろいろな手続というものを考える、あるいは制度の運用面における改善方策を考えるということがあろうかと思います。  そういうような観点から、明治以来、不動産手続法は、間違った登記を防ぐという趣旨から、場合によっては国民にとっては面倒くさいというほど厳しい、いろいろな書面の提出を要求するとかいろいろな手続の遵守を要求するという形で登記の真正を確保する、さらにはそういう登記手続のための専門業者である司法書士制度、土地家屋調査士制度というようなものの充実強化、あるいは司法書士、土地家屋調査士の能力のアップというようなことをまた制度的にも考えるというようなこと、さらには行政運用面におきましては、登記所の職員の増員とかあるいはその審査能力の水準アップを図る、こういうような面での努力を明治以来延々と続けてきたというふうに私どもは考えております。  ただしかし、最近不動産の価格が非常に高騰しておるということ、それから、ほとんどの国民が一世帯ごとに何らかの形で土地建物の権利に関係するようになってきた。戦前と違いまして、一部の人たちが土地を所有するという状況ではなくなりましたので、そういう意味で登記の大衆化と申しますか、登記が一般国民に利用されるというような現象が生ずる中で、一部の悪質な者たちがそういう間隙をついて不実の登記をする、偽造の登記をするというようなことをしておるという現象は残念ながらあるわけでございます。そういうものをどうやって防ぐかということについて私どもまさに腐心しているわけでございまして、いろいろな手続の改善の試行錯誤とか制度の運用の改善、そういうものに向けて努力をしておるということについては御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 よくわかりました。その観点からいろいろとお聞きをしていきたいと思います。  まず第一に、地図の問題について伺いたいと思います。  今度の改正で新しく入るところですけれども、二十四条ノ三というところに入ってくるわけです が、「登記所ニ第十七条ノ規定二依リ地図が備ヘラルル迄ノ間之二代ヘテ地図二準ズル図面ヲ備フ」ということがあるわけなんですけれども、この点について、まず「登記所二第十七条ノ規定二依リ地図が備ヘラルル迄ノ間」というところについて伺いたいと思うのですが、十七条の規定の地図というものですが、ここの地図というのはどのようなものを指しているのでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 地図ということについての一般的な定義についてはいろいろなお考えがあろうかと思いますけれども、基本的にはいわゆる国家基準点というものと結びついた形での図面というものが地図であるというふうに私どもは考えているわけでございます。と申しますのは、例えば現状が大水で流されるとかあるいは地震等によって壊滅する状況になって境界の標とか道路とか、つまり土地の区画を示し得るような地物が滅失してしまう、そういうようなことが起こり得るわけでございます。  そういう場合に、昔の土地はどこの範囲のものであるかということを一センチ、一ミリ違いなく再現するということは不可能でございますけれども、ほぼこの範囲にあったものだということを常識的な範囲内で復元することができる地図というのは、やはり国家基準点との接合関係が明らかなものでなければならない。そういう意味で、不動産登記法が求めているこの十七条に規定する地図というのはそういったたぐいの国家基準点、国家基準点には一等三角点とか三等三角点までいろいろな点がございますけれども、そういうものとの位置関係が明らかになった図面、そういうものが十七条の地図であるというふうに私ども考えているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 この十七条の地図の整備状況について伺いたいのです。  十七条の中で、地図として取り扱われているものの中でかなり大きな部分を占めているのが国土庁の地籍調査による地図、それによって作製された地図が大きなウエートを占めているということでございますけれども、国土庁の方に伺いますが、今この十七条の地図というものが、整備をしなければならない日本国全体の土地の中でどのくらい進んでいるかどうかということを伺いたいと思います。

段本幸男国土庁土地局国土調査課長

○段本説明員 お答えいたします。  国土庁におきましては、昭和二十六年にできました国土調査法に基づきまして、一筆ごとの土地の所有者、地目、地番、境界、地積等の明確化を図る地籍調査というのを実施いたしておりますけれども、この調査図につきましては、先生御指摘のように不動産登記法十七条に定める地図として備えつけられるほか、公共事業の執行の円滑化とかあるいは固定資産税の適正化、あるいは最近では土地利用計画の策定などの基礎資料として使われるというふうな状況になっております。  また、これらをより円滑に進めるというふうな観点から、昭和三十七年からは国土調査促進特別措置法というのを設けまして、十カ年方式の推進方式をとりまして、現在は平成二年度を初年度といたします第四次国土調査十カ年計画というものに基づいて実施しているわけでございますが、現在までのところ、平成四年度末におきまして進捗率は三七%ということでございまして、全般的にはおくれている状況にございます。わけても、都市地域関係がおくれておりまして、国土庁ではこれらの推進に現在いろいろ策を練っているというふうな段階でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今約三七%というお話があったのですけれども、この十七条の規定でもってやりましょうと言われ始めたのが三十七年といいますから、三十年以上たっているわけですね。三十年たって、いろいろほかにもあったものも利用しながら、初めはがばっと進むと思うのですけれども、その後は、やっていくのを見ていますと、三十年たって約三七%。私がちょっと雑誌の中で見た文によりますと、平成元年で三五%。そうすると、ことしが五年ですから、その三年間には約二%の伸びというところです。そうしますと、今度の二十四条ノ三の規定のように十七条の規定によって地図が備えられるまでの間ということになりますと、この調子でいけばあと六十数年はどうしてもかかってしまうというような実情になると思うのですけれども、予算の関係はいかがでしょうか。  もう一度国土庁の方に伺いたいと思うのですが、この十年くらいの間に地籍調査のための予算というのは毎年どのくらいかけられているのかということなんです。一応調べていただいてお知らせいただいたのでは、五十七年から平成五年まで少し下がってきつつあって、五十七年のときが約九十億で、そしてその後七十億まで下がってしまって、それから今やっと八十五億まで持ち直してきた、この十年間そういう状況であるのですけれども、こういう百億足らずの予算ということで一体どのくらいの地籍調査の成果というのが上がってくるのでしょうか。

段本幸男国土庁土地局国土調査課長

○段本説明員 お答えいたします。  地籍調査の最近の予算の推移につきましては先生御指摘のとおりでございまして、昭和五十七年に約九十・四億という予算をいただいておりましたけれども、その後は国の歳出の抑制というふうな大きな観点からの影響を地籍調査につきましても受けまして減ってきたところでございますが、ごく最近につきましては、不動産登記の地図を整備せねばいかぬ、あるいは最近の土地対策の観点からは土地情報が非常に重要である、したがってこれらの観点から一筆情報をきちんと整備しておかなければいけないというふうなこともございまして、ごく最近では、特に平成四年度及び平成五年度の予算につきましては、予算額が公共事業以上の伸びをいただきまして、八十五・三億円というところまで回復してきたわけでございます。  なお、地籍調査につきましては、これら予算に負うところも多いのですけれども、さらにその基本となりますところは一筆調査関係でございますので、先ほど都市部関係がおくれていると言いましたが、これは一筆境界の確認が最近のそれぞれの土地所有者の土地に対する権利意識の強まりとともに非常に難しくなっているというふうな状況にございますが、今後は、諸方策を検討しながら一層推進できるように努力してまいりたいというふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 この法律ができて三十年たって、やっと今ごろになってこの法律の重要性をもう一度認識して、そして四億ふえました五億ふえましたということを言って、お金の問題じゃない、それだけじゃないのかもしれませんけれども、それで何か国民の一番の根幹、よって立つところの地図というものの作製をしていくというのは、国土庁だけに言うのも悪いけれども、非常にお寒い感じがするのです。  なおもっとたくさんの、こういうことにこそ、こういうきっちりとした財産権の確保の部分にかかわる問題なのですから、都市部についてのトラブル云々があるにしても、やろうと思えば、これは実例として私もお聞きしたばかりなのですが、沖縄県についてはかなりいろいろな問題があったにもかかわらず、その調査というのは、トラブルもたくさんありながら、大変御苦労をされながらですけれども、やろうと思えばやれないことはない部分で、都市部は権利が十センチや一センチ違ったってその分で非常に大きなお金になるから大変なんだ、大変なんだというのは一種逃げ口上に聞こえないこともないわけです。やはりやる気になっていただくということが大変重要だと思いますので、予算の獲得も、及ばずながら社会党だって応援いたしますので、しっかりとっていただいてやっていただきたいと思います。  この点については法務省はどういった形で認識をしておられ、十七条の地図の整備ということについて考えておられますでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 現在、法務局に地図あるいは今回御審議をお願いしております「地図ニ準ズル図面」、これは図面であって地図ではないという考え方なのでございますけれども、そういうも のが総計で約五百二十万枚ございます。そのうちいわゆる不動産登記法十七条の地図として取り扱い得るものが二百二十六万枚、全体の四三%でございます。この十七条の地図以外の地図、これはいわゆる明治以来のいわゆる公図等が主体でございますけれども、これが約三百万枚、こういう状況になっております。  十七条の地図の主要な給源は、先ほど国土庁の方からもお答えになりましたけれども、国土調査法に基づく地籍図というものによってこの整備を図るということが必要でございますけれども、それをいつまでも待っているわけにもいかないという面がございます。そういうことから、法務省としても、地図の整備ということにつきましては、各般の施策を講じてその充実を図っていかなければならないというふうに実は考えているわけでございます。  具体的に例えばどういうことをしているかと申しますと、まず一つは、国土調査の結果として地籍図が登記所に送られてくるのでございますけれども、この地籍図自体がつくられた時点から長期間を経過しておりますために、その後に土地の分合筆等がされた結果、送られてきた時点における登記所の登記簿の現状と合わないものもある。そういうものは修正をしなければならないというような問題が一つございまして、そのために相当額の予算を使っておるという問題が一つございます。平成五年度予算で申しますと、五億四千七百九十万円ほどそのための経費が計上されております。  さらに、先ほど国土庁の方でもちょっとお触れになりましたけれども、登記行政の面で私どもが非常に欲しい図面というのは都市あるいは都市近郊の開発地域でございます。ところが、そういうところについて地図をつくろうとすると、地権者の権利関係が非常に先鋭化しておりまして境界がなかなか決められない、したがってまた地図もつくれないというようなことで、地図の整備が遅々として進まないというところでございますけれども、一方、登記行政の面から申しますとそういうところの地図が実は一番欲しいということもございまして、法務局独自で地図づくりをするというようなことを試みているわけでございます。俗に法十七条の地図、新規地図作製と申しまして、毎年一ないし二平方キロ程度でございますけれども、このための経費を確保しておる。平成五年度予算では、わずかでございますけれども、一千七百万くらいの予算をそのために計上していただいておる、こういうことでございます。  そのほか、やはり一番大口は、いわゆる今回の「地図ニ準ズル図面」の整備でございまして、三百万枚のいわゆる台帳附属地図、公図等の図面が非常に老朽化をしておる、ぼろぼろになっている。中には明治以来つくられた図面で六畳敷きとか八畳敷きというような大きな図面がある。そういうようなものを現代流のポリエステルフィルムに書き写して、規格も六十センチ・四十センチ程度の大きさで取り扱いやすいものに書き改めていく。これは大変な作業でございます。  さらには、分合筆の経過等が必ずしもはっきり台帳附属地図の上に反映されていないような地域もあるわけでございまして、大体そういうところは権利関係が非常に複雑にふくそうして利害関係の対立があるところでございますけれども、そういうようなものも整備していかなければならない。これが平成五年度予算で申しますと八億五千万円程度の金を投ずるということになっております。  それから、非常に乱開発が進んで、地図と現状が全く一致しなくなっておるというような、特に都市近郊のかつては原野山林であった地域についての宅地造成というものが行われた地域がございまして、現状と地図が全く合わないというような地域も、これは数は多くありませんけれどもぽつんぽつんありまして、登記行政を悩ましているというような問題がございます。そういうようなためにも相当な経費をつぎ込まなければならない。  さらには、登記簿と地図との照合関係がどうもずれているようなところもないわけではないということで、登記簿と地図の、これは私どもは一筆対査と言っていますけれども、そういう対査もしなければならない。そのために相当金が必要だということで五億円程度の予算を平成五年度予算では考えております。二十億程度の予算を法務局に現にある地図の整備経費として緊急につぎ込む。今回、地図について、公図についての法的な位置づけが明らかになるということになりまして、ある程度の収入が確保されるということになりますと、当然のことながらこういった面での経費も相当ふやしていかなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 わかりましたけれども、それではもう一度伺いますが、この十七条の地図が備えつけられるまでの間というこの「間」ですが、先ほどの国土庁のお話と、それから法務省の方でも御努力いただいている部分を合わせても、単純にこのままの調子でいけば、やはり六十年以上かかるということですよね。そうなると、この法律、これまでの間地図に準ずるものとして使うといっても、法律は何か半永久的にこのままで公図が地図に準ずるものとしてやられてしまう、そういった形になってしまうのではないかという危惧感を私は持つわけですけれども、この点はいかがでしょうか。  だから、もっと早くにするとか、または手数料を徴収してやるという、その問題が私には一番大きいのですが、手数料の問題、後で言いますけれども、こういった形で半永久的に公図が、今おっしゃったように随分現実とはそごしていたり、真実性も担保されていない。本来の正確な計測をされているわけでもないものがひとり歩きをして、不備なまま、しかしこの二十四条ノ三という項目によって地図に準ずるものとして動いてしまう、半永久的にそれが固定化してしまうのではないか、そういった危惧感を持つわけですが、この点はいかがでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 これは国土庁の方で国土調査を現在御担当になっておりますので、あるいはそちらの方からのお答えの方が適当なのかもしれませんけれども、私ども承知しておりますところでは、国土庁の大変な御努力によりまして、人口集中地域以外の平地つまり田畑の部分とか林野の部分、つまり人間が通常の生活で利用するというような地域については、既に十万平方キロの部分について国土調査が進んでおる。我が国の国土は三十七万平方キロだと言われておりますので、かなりの部分は国調によってカバーされたというふうに言っていいのではないかと思います。  ただ、問題は、国土庁も先ほど指摘しておりましたし、私どもも考えているわけでございますが、人口集中地域あるいはその周辺の地域、この整備が、単に金だけの問題ではなくて非常に難しい問題をはらんでいるというのが現実の姿でございます。例えば東京の二十三区で申しますと、国調の地籍図が一枚もございません。しかし、一方では、東京都では関東大震災における震災復興事業とか戦後の復興事業等によりましてかなり区画整理等が進みまして、現状が変わらない限り境界を大体正確に認定し得るいわゆる公図的なものが備わっているというようなところもあるわけでございます。  そういう意味におきまして、私どもの気持ちというか本当の希望として、できるだけ早くこういった地域にも正しい国調の地図が欲しいというふうに思うわけでございますけれども、さしあたってはそういう、これまで明治以来登記所なりあるいはその前身である税務署が大事に保存管理していた図面を維持管理して、整備してそれを活用していくということで当面は臨まざるを得ない。六十年ということは私ども考えておりませんけれども、とにかくできるだけ早い時期に都市周辺部も都市部も、国土調査の地籍図によってカバーされることを期待したい。  また、先ほど申しましたように、私どもの方でも独自に土地家屋調査士会連合会等の協力を得て 積極的に地図づぐりに入っていきたいと考えているところでございます。具体的にどうするということはなかなか現段階では申し上げることはできませんけれども、そういう強い意欲を持っておるということだけは御理解いただきたいというふうに思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 強い意欲はわかりますけれども、やはりできるだけ早い時期というのでは非常に具体性がないんですね。例えばこれは六十年は長いから、じゃ三十年なんですか、二十年なんですかという、だけれども、それまでにできるかどうかわかりませんということになると思うのですよ。これは法務省だけでなく国土庁の御努力も必要なことですから、なかなか言えないと思うのですが、例えばこれはあと十年これでやってみました、どのぐらい進捗いたしましたということがあったときに、これは十七条ということで「準ズル図面」だ、「準ズル図面」だということでずるずるとこのままいってしまうというのは、不正確な地図をそのままの形でいつまでもそれに認知を与えたような形で、永久的な認知を与えたような形でいくということ自身に私としては非常に危惧感を持つわけですから、例えば十年とか五年たったときにどのぐらい御努力の結果が実って、今三七%と言われているものが五〇%にふえましたとか、そういう形でいって、見通しが六十何年じゃなく、そうすると二十年になりますとか出てくるわけですが、そういう時期に例えば五年なら五年区切りとか十年区切りとかいうことで、その見通しによってまたこれを見直すというようなことがあり得るのですか、ないのでしょうか。

段本幸男国土庁土地局国土調査課長

○段本説明員 お答えいたします。  地籍調査につきましては、先ほどお答えしましたとおり、昭和三十七年に国土調査促進特別措置法というのができまして、十カ年計画方式に基づいて実施いたしております。現在も、平成二年度を初年度といたします第四次十カ年計画というものに基づいてやっておりますけれども、これらにつきましては、現在まで十カ年ごとに押さえているのでは、先生おっしゃるようになかなか事業進捗が図れないというふうなこともございまして、今回第四次十カ年計画からは五カ年ごとに中間年に見直していって、それをきちんと評価しながら進めていくというふうな国会での附帯決議もいただいておりまして、我々もそれに基づいて平成六年度中にはこれらの評価をしながら、さらに後年度の進め方をやっていきたいというふうに考えております。  それから、ちょっと附帯的に都市部の事業促進について我々とっている対策についてお答えいたしますと、この四次十カ年計画を始める段階で、やはり都市部の促進がなかなか進まないというふうなこともございまして、これにつきましては予算もございますが、先ほど法務省の局長さんからお答えのあったように、一筆一筆地の確認が、筆数が多い、あるいは権利意識が強いために、その一つ一つに行政が入っていくのに非常に時間がかかるというふうなこともありまして、なかなか進まないという面もございます。したがって、余り一筆一筆にこだわらずにまず街区だけ、道路に挟まれた街区内だけを押さえていくような方式をとるような調査とか、そういうことをもっとやっていこうということでございまして、都市部促進事業と我々呼んでおりますけれども、こういった対策も進めながら、できるだけ都市部を早く進めるような工夫を今後も引き継ぎ努力してまいりたいというふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今はその御努力の方を聞きたかったのじゃなくて、この法律の見直しのことを聞いているのですけれども、この法律が、例えば今一生懸命やっていただくと五年間の見直し、中間的には見直しも含めながら早く進めようとおっしゃっている、それはわかりますが、この法律自体が、これでずっといくというのじゃなくて、なかなか進まなかった場合なんかにはもう一度考えるのかどうか、そのあたりをお聞きしたがったのですが、一言で結構です。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 これまでも毎年十七条の地図というのは増加を続けているところでございまして、国土庁も大変な御努力をしていただいておりますので、今後とも十七条の地図の備えつけの割合、現在は全体の本局の図面の中で四三%という数字でございますけれども、それをさらに増加させていくということに期待するとともに、どうしてもそれが整備できないところにつきましては、やはり地図に準ずる図面というものを次善的なものとして我々は整備保存、維持管理を図っていく必要がある、こういうふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 次善的に維持管理していく、それはわかるのです。これはこの次の質問にかかわるわけですけれども、それが今まではそういう次善的なものとして使われてきた事実は現実にあると思うのです。たくさん使われていますから、後でこれまでにも一体どのくらい利用されていたかという数字もちょっと伺いたいと思いますが、この利用状況があるのにここで今さら二十四条ノ三をくっつけて、そしてそれについて有料化していこう、今までは結局この図面は「準ずる図面」として扱われる部分もあるかもしれないけれども、それは一つの内部的な通達云々によって公図も使われる、これもごらんに入れましょう、しかしそこまでの公証的な意味はないのだから、コピーのお金だけ払えばいいですよという形で運用されてきたと思うのですよ。ところが、この法律を与えるということは、公証とまではいかないけれども、一つの認知を与えるということになる。同じ図面が、今まで公図というものは十七条の地図とは違うのだという形でされていたものが、ここでこういった認知を与えるということがどうなのかということを一番心配をしているわけです。ですから、この点について、何にも地図上が変わってないのに国民は今度はお金を取られるのですから、具体的に幾らになるかということも含めて、有料化してしまうということ。  それからもう一つつけ加えますと、この公図の中にも、非常に現地の実情に合った公図もあれば、そうでない公図というのもあって、非常に混乱している地域もある。また、公図というものがほとんど機能を果たしていない地域もある。ずっと昔のものがそのままあるような公図だとかそういう混乱地域の公図だとか、そういうものも全部一緒くたに、今回はこの十七条に準ずる図面として、こういった形で二十四条ノ三の中の図面として認知的なものを与えるということになるのでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 御指摘のように、いわゆるここで言う「地図ニ準ズル図面」の中には、その精度等に問題のあるものもないわけではないと思います。現実にその典型的な土地台帳附属地図、いわゆる公図と言われているものの作製経過を見ますと、明治五年でしたか、地租改正条例で地租を取るということを目的として全国的に明治政府が地図をつくった、これがかなり恣意的な基準でつくられたということもございましたために、明治二十二、三年ごろでしたか、全国的な統一基準をつくりましてもう一度地図づくりをやり直すということをいたしまして、それが今日のいわゆる土地台帳附属地図の原型になっておるというふうに言われております。  当時都市化していた地域についてはかなり正確な測量がされたと言われておりますけれども、測量の技術自体がかなり低かったこともございまして、山林原野の部分については余りきちんとした測量がされていない。その結果として不正確な図面がつくられたというようなことも言われております。  さらには、そもそも地租を取る、つまり税金を取るということのためにこの図面をつくるという作業がされましたために、どうしても実際の面積よりか少なく面積を公簿に登載するということが意図的に行われたというようなことも言われているわけでございまして、そのためにいわゆる縄延び現象というものが起こる。地域によりましては実測面積の方が公簿面積よりか非常に多いというところがございます。全国的に区々ばらばらでご ざいますけれども、そういうような精度の差というものはございますけれども、隣地との関係だとか土地の配列関係だとか、形は図面と現地は違っていても、土地の配列関係、地番の配列関係等についてはおおむねと申しますかほぼ合っている、こういうようなものに大分なっているわけでございます。  したがいまして、その地図に準ずる図面をもとにして境界を画定するなんということはなかなか難しゅうございますけれども、隣地関係者を知るとか土地の位置関係を知るというような面においては非常に有効でございまして、そのために法的な裏づけがないまま、昭和三十五年以降法的な裏づけを失ったわけでございますけれども、法的な裏づけがないまま、現実には登記所におきましてもまた関係権利者におきましても、これが唯一の公的な資料として登記所に多数の方々がその閲覧に見えておられた。それ自体だけで統計はとっておりませんけれども、年間千二百万件ぐらいの閲覧者が登記所を訪れているという状況になっているわけでございます。  結局、多数の者がそういう図面を閲覧することがございますために、登記所としてもできるだけ現状をフォローすることができるような形で、地図に分筆があれば分筆線を入れるという形で訂正をしていかなければならないし、それから、明治時代につくられた紙質、和紙でございまして、これが何年もたつうちにぼろぼろになるというようなことでポリエステルフィルムに書きかえていく、こういうこともしなければならない。実は、その維持管理経費が膨大な額に上ってきたということでございまして、昭和三十五年当時、登記簿と台帳の一元化をする際には、そんなに長期にわたって十七条の地図が整備されないというような状況ではないのではないかというふうに考えていたわけでございますけれども、結果的には、非常に経費がかかるということと、権利意識が非常に高揚しまして地図づくりというものが非常に難しくなってきたということがございまして、現実にはこの「地図ニ準ズル図面」という形で、きちんとした法的な位置づけを明らかにするということがやはり必要ではないか。  同時に、御承知のように登記特別会計のもとにおきまして、そういう閲覧手数料の収入をもってこの地図のマイラー化、再製化をするというようなことになってまいりましたので、そういう費用を公平に負担していただくということのためにも、これはやはり位置づけを明らかにするとともに、有料化してそういう登記簿の閲覧者、地図の閲覧者の費用負担の公平を図る必要もある。  こういうような観点から、この際やはりこのことをきちんと明らかにした方がよろしかろうということで、今回の御審議をお願いしているわけでございます。公簿、公図の閲覧の実態等を踏まえて考えますと、これは十分御理解をいただけるところではないかと私どもは考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今のお話ではわからないのですね。だから、余り信頼のおけない公図と信頼のおけてよくできる公図との振り分けはしないで一律だということなんですか。それがまず一つ。それを聞きたいということ。  それから、費用は要するに閲覧だけですよね。謄写がないのですね。謄写はしないで閲覧だけ。十七条の地図については閲覧謄写ができるわけですね。十七条の閲覧謄写の値段と今回の閲覧だけの値段とは違うのかどうか、ちょっと具体的な金額を言ってください。その二つを簡単にお願いいたします。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 先ほど申しましたように、いわゆる「地図二準ズル図面」の作製の経緯等によりまして精度の区分は地域によってばらつきはございますけれども、おおむね土地の位置、配列等については正確だ、こう申しました。  ただ、この中にも、私も先ほど申し上げたと思いますが、いわゆる地図混乱地域というものがございまして、現状と地図が全く食い違ってしまっている、こういうのは私ども地図混乱地域と特定しまして、むしろ地図のつくり直しが必要であるということを考えております。そういうような図面はもう除かざるを得ません。そういうことで、そもそも「地図ニ準ズル図面」とは言えないものがあり得るわけでございます。その振り分けはしなければならないというふうに考えております。  それから、十七条の地図でございますと閲覧もできますし、登記官が認証した写しのコピー、認証謄本とも呼ぶべきそういう写しを交付することができますけれども、この「地図ニ準ズル図面」につきましては、従来の扱いどおり閲覧だけは認める。御本人がそこへ来てトレースをしていくのは禁止いたしませんけれども、登記所が証明文を付して、これはこういう地図の写しであるというような写しの交付はいたさない、事実上御本人が写すのは防止しない、こういうことで対応することにいたしております。  それから、手数料でございますけれども、いわゆる十七条の地図につきましては、現在閲覧手数料が四百円、地図の写しの証明手数料は別途一筆について四百円、こういうことになっております。この準ずる図面についての手数料をどうするかということでございますけれども、精度が十七条の地図に比較して低いのだから手数料も安くていいのではないかということをおっしゃる方がおられるわけでございますけれども、この手数料というのは、基本的には地図を維持したり管理したり、そういうことをするために必要な実費を勘案して決めるということになっているわけでございまして、そういう意味におきましては、対象物の内容の精粗はございましてもそれに要する経費等は変わらないというふうに考えられますので、この閲覧手数料に関する限りは、私どもといたしましては、最終的には政令で決めるところでございますけれども、十七条の地図についても「地図ニ準ズル図面」についてもむしろ同額というふうにせざるを得ないのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 そうして、そういうお金が手数料として支払われることになると、これは今局長言われたように、そのお金は全部今の地図の整備だ保存だ維持だ、そのほかのことに使われる。予算として別にあるとしても、従来いろいろな意味でとられた予算とは別に、それにプラスして、そのことだけに使われるものということになるんでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 先ほど申しましたように、今度手数料が新たに入ってまいりますので、これをできるだけ多く地図整備の方に振り向けたいというふうに考えております。  ただしかし、地図関係の手数料収入額をすべて地図に振り向けるというわけではございませんで、御承知のように、登記簿の閲覧手数料その他の手数料につきましても、コンピューター化経費を賄うという意味で手数料の額を考えるということになっております。したがいまして、地図の閲覧手数料も、登記簿の閲覧手数料と同じようにその一部は登記全体のコンピューター化計画のために使用される、こういうことになるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 コンピューター化経費、それは法務省は一生懸命進めておられるのですけれども、この問題についてはまだコンピューターまでいくもっともっと前の段階のお話でしょう、この公図というものについて考えると。その費用を少しぐらい精度に差があるにしても一律に、しかも十七条の地図と同じような形での手数料を払う。払わされて、それが今度、きれいな精度のいいものにするということに全部使われないで、法務省の進めておられるコンピューター化ということの方に向けられるということは、利用者としてみれば、コンピューター化に何も異議を唱えるわけではありませんけれども、非常にそれはつじつまの合わない問題だというふうにとられると思うのですよ。ここでぜひ、できるだけとか、そういう表現ではなくて、もう少しこれはきっちりと地図整備に充てるということをしていただきたいと思います。  それからもう一つは、国土庁の方もそれから法務省もおっしゃっていたのですけれども、進まない原因が何か国民の権利意識の高揚というところにあるような形で、都市部に進まないということを言われて、何か進まないのは国民のせいだ、しかもお上の言うことにへいへいごもっともでございますと言わなくなったということに原因があるかのような発言が二、三あったと私は思うのです。国民がきっちりと自分の権利というものを主張すること、それは望ましいことといいますか、国民の権利意識が伸びるということについて、それをお上の言うとおりにならないから困るんだというようなことはあってはならないことだと私は思うのです。  ぜひこの点も踏まえて、国民はそれなりに自分の権利というものは主張するものであるという前提に立っていただいて、そう甘く、ぱっとなるものだという前提に立ってさっさとこの地図はできるものだなどということではなくて、そういう権利主張をする中で、それをどのように調整しきっちりしていくかという、その点をちゃんと踏まえられて、困難性は予測されながら、しかしきっちりとしたものをつくっていくという意味でのもくろみを立てていただきたいと心から思うわけです。ほかの問題がありますのでお願いをして、次の問題に移らせていただきます。  三十六条に、登記についての代理権が消滅しない場合があるんだよ、その規定がまた新設されるというふうになっているのですが、この場合に、本人の死亡、本人たる法人の合併による消滅、本人たる受託者の信託の任務の終了、それから法定代理人の死亡もしくは代理権の変更、消滅によっては消滅しないというふうになっているわけなんですが、これについて、代理権がこういう場合消滅しないというのは、民法の原則からいうと違うわけですよね。特にこの場合には消滅しないという、実務的にさまざま理由がおありなんでしょうけれども、これを簡単にお聞かせいただきたいのと、具体的に言いまして、例えば法人の破産、それから代表権が会社で喪失したり変更した場合、また代理権が喪失した場合、こういった場合には同様に不消滅ということになるのかどうかもお聞かせいただきたいと思います。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 御指摘のように、登記申請のための代理権につきましては、民法の規定によりまして、委任したる本人の死亡等の場合には代理権は消滅するというのが本来の解釈ということになるわけでございますけれども、本人が死亡したから登記手続をそれ以降進めることができないというようなことになりますと、当該委任を受けた司法書士さんの方から見ましても、登記所の方から見ましても、登記手続の円滑な進行が非常に阻害される、こういうことになるわけでございます。  もともと司法書士の方が、あるいは土地家屋調査士の方も含めてでございますけれども、登記の申請を受ける場合には、その前提となる実体上の権利関係、売買があったかどうか、抵当権の設定があったかどうかというようなことについて司法書士の職務の範囲内において確認をした上で、それを今度は登記簿に反映するために登記の申請手続をするということになるわけでございます。そういう段階で考えてみますと、実体上の権利関係というのは既に確定しておる。したがって、それについて当事者の利害が対立するという余地はないわけでございます。ということでございますと、残された道は登記手続が円滑に進んで完了するということであるのではないか、こういうことになろうかと思います。  例えば、登記権利者の方が亡くなる場合もございましょうし、登記義務者が亡くなる場合もございますけれども、それぞれに応じて、死んだからもう一回委任状を交付しなければだめですよというようなことになりますと、実体関係は決まっていながら、本来そういうものを正確に反映するべき登記制度の理想にも反するような結果が生じてくる、こういうことになろうかと思います。そういう意味で、今回の代理権の不消滅の規定を設けたということになるわけでございます。  問題は、例えば本人が破産をする、法人が破産をしたという場合にはどうかということでございますが、これについては今回は規定を置いておりません。これは弁護士の場合もたしかそうだったと思いますけれども、この場合には委任契約の終了によって消滅することになります。恐らくこれは、破産の場合には、実体関係についての破産手続上の処理も行われると同時に、いわゆる登記についても登記の否認という現象がございます。そういう意味で、その場合にはやはり登記もストップすべきであるというようなことが破産制度の趣旨から考えられておるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。  それから、法人の代表者が代表権を喪失した場合にはこれは消滅はしない、こういうことになるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 ですから、この不消滅の規定というのは、厳格に一応条文上で考えるけれども、代表権の喪失・変更というのは、この場合には消滅しない方に入る。それから、個人の代理人の代理権の喪失も変更もやはり消滅しないということでいいわけですね。それでよろしいですね。  そして、代理権不消滅というのは民事訴訟法でも、先ほどちょっと触れられましたけれども、弁護士に対しての訴訟委任の場合にやはり代理権の不消滅、同様の趣旨だと私は思うのですけれども、民訴法上で同様の規定があるのですが、これは趣旨としては今回のこの立法とほとんど同じだと考えていいでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 結論的に申しますと、そういう手続の安定と申しますか円滑化ということで、趣旨は同じであるというふうに言っていいと思いますけれども、その内容を細かく見てまいりますと、司法書士の場合には、司法書士がそういう受任をする段階において、確定した権利関係というものを前提としておるということがございます。  ところが、訴訟代理人の場合には、本来なら訴訟手続が中断するはずでございますけれども、弁護士あるいは裁判所の許可を受けた代理人も入ると思いますが、そういう専門家が訴訟手続を遂行しておるということから、少なくとも中断が表面化する時期を後の方にずらすという形で訴訟手続の円滑な推進を図る。訴訟手続というのは、先生も御存じのように、いろいろ通知をやったり、通知を受けたり、申し立てをしたりというような細かい訴訟行為の積み重ねでございますので、それについて一々ストップということになりますと手続の安定が害される、円滑化が害されるということになると思います。そういうようなことから、訴訟法についてはそういう規定が置かれた。  しかし、いずれにいたしましても、いずれかの時点で中断が表面化して確定は阻止される、こういうことになろうかと思います。司法書士と弁護士さんの場合で、若干、説明の仕方に違いが出てくるのかなという程度でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今の局長のお話でわかるのですけれども、やはり局長の頭の中にも登記の代理人として司法書士というふうに主としてお考えになっている部分というのは出てくると思うのですよ。  私は、訴訟委任の場合も、訴訟を遂行するという一つの専門的な業務として、こういった場合に不消滅ということで弁護士がやるということでこれは理解できるのですけれども、今回の新設の規定はそういうことがないわけで、司法書士とかまたはそれに並ぶ弁護士または表示登記のような場合の土地家屋調査士とか、そういった形での資格というものですか、そういうものの関係ある資格を持っている専門家と思われる者でなくてもいいということになるわけですよね。この点はどうなのでしょう。やはりこれは代理権不消滅という一つの原則を外すものとして例外的にこういうものを民法的につけるわけですから、このあたりについてはある程度それに精通した専門家ということに限るというようなことも考えられないのでしょうか。     〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 今回の改正で、条文上は、司法書士とかそういう専門家が代理人である場合だけに限って不消滅の規定が適用されるというふうには書いておりません。一般の人が個別の事件で代理人になるということもあり得ると思います。ただしかし、私どもの念頭には、現実のそういう登記申請代理の手続は司法書士という専門家が行っておる、個人がやる場合でも、これは非常に例外的にそれぞれのまた専門家がやっておるということになるのだろうと思いますけれども、司法書士が念頭にあってこのような条文が置かれたというふうに御理解をしていただきたいと思います。  ただ、ではなぜ司法書士だけというふうに書かなかったということになりますと、先ほど申しましたように、結局、実体関係というものはもう事前にチェックされておる、委任を受ける段階でチェックをされて確定したということがもう確認されておるという状態でのということを理由にいたしますと、形式論でございますけれども、司法書士だけに限定する形式的な理由がないということにもなろうかと思います。ただしかし、念頭には司法書士というものを置いてこの条文は書かれておる、土地家屋調査士というものが念頭に置かれてこの条文は書かれておるというふうに御理解をしていただきたいというふうに思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 例えば、私、一番そこで考えられるのは日付の問題なんです。日付をどうさかのぼらせるかというようなことについてやはりある程度、その受任をした日にちはどうでしょうか、登記、提出してしまった後は、もちろんそういう日付を書いて登記所に出すわけですけれども、その前の段階で、私たちも日付の部分を書かずに委任状をもらっておくというようなことだってなきにしもあらずだと思うのです。特に一般の人だったらば、そういう形で委任状をもらうということができてしまうのではないでしょうか。そういう場合に、その委任を受けた日付ということが、実体法上で、確かに権利の関係は売買契約があったりなかったりするかもしれないけれども、それとのかかわりでいきますと大変難しい問題というか、トラブルが起こるのじゃないかなという気がするのですよ。  それは例えば司法書士であり、弁護士である者は、そういう部分についてきちんと受任日をそこの場で書き入れさせ、そしてそれを委任状として使うということで、その運用ということはある程度信頼をしてもらって、そしてそれにおいてやっていくと思うのです。専門的な知識のある者であればあるほどそれはきちんと守っていくという、だからこそこれからもそういった専門家の養成ということも法務省でお考えなんでしょうけれども、それが一般の人が、そうでない場合に、権利関係のごたごたの中に巻き込まれてしまうというおそれがないだろうかということを私はちょっと考えるのですが、その点、いかがでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 例えば甲が乙に土地を売った、甲が登記義務者である、それでその司法書士さんが、丙が甲から登記の委任を受け、乙から登記の委任を受けた、ところがその後甲が死亡してしまったということが一つの例として考えられると思います。  それで、甲から乙に所有権が移転する事実は実体上の権利関係として既に確定をしておるということになるわけでございまして、委任を受ける際には、委任状の名義は当然甲でなければならないし、甲の印鑑証明書も添付されていなければならない、こういうことで、必要な書類はすべて甲名義のもとに作成されるということになりますので、委任状の日付が空欄だからそのためにトラブルが起きるというようなことはないのではないかというふうに思いますけれども、意図的にそこを空欄にしておいて、実際上は亡くなっているのに息子さんを通じて甲の印鑑証明書を持ってくるとか、それはあり得ることかもしれないというふうには思います。  しかし、そこは司法書士であれば、これも登記についての法律専門家でございますので、そこはきちっとした対応をするというふうに私どもは考えますし、個人がやる場合でもそこまでやるかどうかということについてはちょっと何とも申し上げることはできませんが、いずれにいたしましても、不法不当な手段でそれを潜脱するということは、これは許されないことだというふうに考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 いや、私が言っているのは、ですからこそ専門家に、そういうことについてしっかりとした認識、遵法意識を持っている専門家にだったら不消滅という規定があってもそれはいいと思うのですよ。主として登記の業務ですから司法書士さんだと思います。そういう人たちがその自覚を持って、そういうことがあってはならないものだということを思って、それできっちりやってもらうのですから、それはそれで任せれば私はいいと思うのです。だから、この条文のそういった実質的な意味合いというものも意義もわかるのです。  しかし、これが一般の人となった場合に、ちょっとさかのぼられれば、生前の何カ月か前にとってあった印鑑証明とかがありさえずればそれでできてしまうような、そういう可能性というのは、私たちは、トラブルが起こったときにいつもそれで出てくる弁護士の業務ですから、そういった可能性というものがふえるのではないか、危険性がふえるのではないかということを心配して、ぜひこれは専門家にという部分を何らかの形で考えていただかないといけないのではないかなということなのです。何とも言えないという今のお答えですが、ぜひこのあたりも御配慮をいただきたいというふうに思います。お答えをいただけるなら一言だけお答えいただいて……。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 登記の専門家である司法書士、土地家屋調査士制度の育成を図っていくという観点から私どもはこれからも対応してまいりたいと思っております。  具体的にどうするか、条文の上でかっちりと限定するかどうかという問題はまたそういったいろいろな場面場面で検討させていただきたいというふうに思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 その辺の御配慮もよろしくお願いいたしたいと思います。この法律の運用ということについて、そういったところを幾つか私たちも考えなければならない部分がありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  その次、保証書制度についての問題があると思うのです。  この保証書の制度というのも非常に大変な問題で、六十三年のときの附帯決議の中にも、登記の真正を確保するため保証書制度の見直しということについてかなり大きく出ているのですが、今回の保証書の問題というのは、ただ保証人を今までのようにその登記所の管内で登記をした人を同一性の確認の保証として保証人とするというよりは、もっと広い、全国的にどこでもいいから登記をしてある人であれば同一性の確認ができるという意味で広く保証人というものを使われることになっているわけです。しかし、そういうふうにした場合に、今まででも私たちは虚偽保証という問題でかなりいろいろなトラブルがあったのを承知しています。  一番は、権利証はだれか正当な権利者であるAがちゃんと持っている場合に、権利者でないBが、保証書がありません、なくしてしまいましたとか、どこかに行ってしまいましたとかいうことで登記所に行く。そのときに保証人を連れて行って、この人たちがAに間違いありませんということを保証して登記をする。その確認というのは、あなたはこういうふうになりましたけれども、間違いありませんねという通知の郵便が戻ってくる。郵便を見てAという人は、こんなことはあるはずがないということで慌てて出ていってこれはおかしいというのが普通なんですけれども、郵便が来る日にちは大体わかりますから、郵便受けの前でBという人が待ち構えていてそのはがきを持っていってしまいさえずれば、これによって保 証書ができ上がり、権利証と同じ扱いをされる、そういった虚偽保証ということがトラブルとしてよくあるわけです。  そうすると、今回保証人の範囲を広くするということは、ますますそういった虚偽保証としてのトラブルを多くしてしまうのではないか。だから、この四十四条のような規定でいいのかどうかが私たちの一番疑問視するところです。そのフォローはどういうふうに考えておられるのかということが一つです。保証人資格にしても、ただ日本全国だれでもというよりは、そのことによって保証人になる人の資格を何かもっと別の形で、この人だったら同一性ということについてもっとしっかりとした保証ができるということを考えるならばともかく、ただ広げるだけというのはどうなのだろうかということを一つ伺いたいと思います。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 おっしゃるように、いわゆる地面師グループがおりますけれども、他人の土地を勝手に売り飛ばす連中でございます。これは当然のことながら、本来の所有者ではありませんから、いわゆる権利証を持っていない。ではどうするかというと、まさに先生がおっしゃったように、適当な人間を保証人に仕立てて、こういう保証書をつけて土地の売買の登記の申請がしてあるけれども、間違いなくそういう申請をしていますかということを登記所が御本人の住所にあてて郵便で出すのでありますけれども、その郵便を途中でカットしてしまう、御本人のところへ届かないような工夫をするということで現実に他人の土地を売り飛ばしてしまうグループが時々新聞にも出ておりまして、私ども、そういうものについては直ちに告発する等の手段を講じているところでございます。どんな制度でも悪用しようと思えば悪用できるということになるのかもしれませんけれども、虚偽保証とか保証制度を悪用した他人の土地の勝手な売買というようなものを防止しなければならないのは当然でございます。  今回の保証制度の改善は、現行法ではその登記所で登記を受けた成人二人以上の証人ということになっているわけでございます。しかしながら、現在におきましては人の移動が非常に増加しておりまして、例えば地方から出てきて東京のある区なら区に住んでいる。そこでいろいろな不動産を買ったり、場合によっては売らなければならないときに、何らかの理由でいわゆる権利証、登記済証を紛失してしまったということが起こり得るわけでございます。そのときに、だれか保証人になってもらおうといたしましても、知り合いがいない。むしろ、だれか知らない人に保証料を払って保証人になってもらって、不確かなまま登記所に書類を出して間違った登記をされてしまうこともないわけではないということもございます。  その際に、例えば郷里には親兄弟が住んでいる。そういう人たちはそれぞれ不動産を持っていて、登記というものも経験しておる、登記の何たるかを知っている。そして、東京に住んでいるその人間が間違いなくその土地の所有者であるということも知っている。こういうような関係が出てくるわけでございまして、現在のような一種の地域社会というものが崩壊した時代におきましては、そういった意味での保証人の資格の範囲を広めないと、かえって不自然な保証人を依頼することになっていきかねないということもあるわけでございます。  それから、現実の問題といたしましては、保証人になる方は、その依頼者と信頼関係のある、あるいは長年のつき合い関係のある司法書士さんあるいは司法書士さんの関係者という例が多うございますけれども、その司法書士さんがたまたまその登記所では登記を受けていない、ほかの登記所では登記を受けているという例もあるわけでございます。そういう場合に現行法では非常に窮屈であるということもございまして、このような制度にいたしたわけでございます。  さらに、保証人になる者の資格について、専門的な知識を有する者に限定せよという御意見もあることは私ども承知をいたしております。確かにそういう現実的な背景を受けて、先ほど申しましたように司法書士さんあるいはその関係者が保証人になっているという実態が多数でございますので意味あることかと思いますけれども、法律制度としてそういうことを現段階において強制することは、まだそこまで時機は熟していないということなので今回のような改正にとどめた。これについては日本司法書士会連合会等におきましても十分な話し合いをして定めた内容でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 それでは、一つだけ実務的にですけれども、先ほどの郵便が届かないようにしてしまうということで、今、何も申し出がない限りは、権利者に返送される保証書の手続の紙は、書留郵便とか特別送達とかしないで普通の郵便で投函されるのだそうです。そうすると、郵便受けの前で待ち構えていてとることができる。初めに申請をするときに実費を払って書留にしてくださいと言えば書留にしてもらえるということですけれども、実費を払って書留にするということでは、悪い人はそんなものを払うわけはない、簡単に手に入れられる方法をとると思うのです。この点は、例えば最初から実費を徴収して全部書留にするという実務的な取り計らいというのはできないのでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 いわゆる地面師グループのようなものの犯罪を防止するためには、恐らくそういうやり方が有効適切な手段だと思います。ただ、私ども現実に全国の登記所で所有権に関する登記についてだけでも、こういった保証書で登記がされている事件は相当膨大な数に上ると思います。その大部分が間違いなく登記がされておるという状況でございます。たまたま意図的に悪いことをしようというグループがあって、そういうようなものが新聞に大きく報道されておりますけれども、大部分は、まさにこれは大体司法書士さんが代理人についておりますし、司法書士さんの段階でかなり真剣にチェックされておりますからそういうことにはほとんどならない。間違いなくまた本人にもはがきが届き、それが登記所に返送されてくるというのが実態でございます。  だから、そういうようなほとんど九九・九九%は正常に現状でも動いているという実情を踏まえて、なおかつそういう本人負担で書留、配達証明というようなことまで要求するのがポリシーとして適切であるかどうかというようなことは、これは少し考えさせていただきたいというふうに思います。  重要な問題の指摘であるということは私ども承知しておりますけれども、さてそれを実行するということになりますと、一般の普通の人たちからまた苦情が出てくるのではないかというような心配も実はあるわけでございまして、その辺は今後の課題として研究、検討させていただきたいというふうに思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 確かに登記というのは、緊急を要するというのは、早くしてほしいほしいという一般の要請もありますので、その一つのものをとったときに、書留にすることによって何日か、一日とか二日ですけれどもそれが延びるということが重大問題になる人たちもいることも事実です。だから、その一握りとおっしゃる不正を防ぐ方を重んじるのか、緊急性の方の要請を重んじるのかということの選択だとは思いますけれども、ぜひその辺は考えていただきたいと思います。  保証書に関しては、もう一つ再使用といいますか、一遍権利証になってしまうわけですから、そのできてしまったものは権利証と同様に使われてしまうということで、次にまたそれを売ったりまたは抵当権をがばっと大きくっけたりということに初めに保証した人がどんどんかかわっていく、同一人の保証したという責任がどんどんかかわっていくということになるわけですね。これは判例などでもそういう意味で責任があるという判例が出ているようですけれども、これは司法書士さんの場合であればそういうことを認識している。判例の中にもそういった理由づけがされていると思うのですよ。  これは一遍こういうふうにしてしまったらば権利証と同様に次々といくんだから、そのために一番初めに同一人の確認をするということはすごく重要な意義があるんだということを認識して、いいよということでやるわけですから、そこでも、先ほどの問題じゃないですけれども、ある一定の知識と専門家であればこれはいたし方ないと思うのですが、一般の人でも、これはどんどんとやられてしまうと、非常に大きな責任をかぶる場合も出てくる。  この再使用という問題については今回は何も触れられていないと思いますけれども、もう時間が、ほかのがあるものですから、大臣に聞きたいこともいっぱいあるものですから、もうちょっとですけれども、簡単にお願いいたします。     〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 これについては大変長い議論の歴史がある問題でございまして、実は重要な問題だと私ども考えております。  現在は、所有権に関する登記についての保証書の再利用ということは、これはもう問題にならないわけでございます。所有権以外の権利に関する登記、例えば抵当権の設定の登記の際に、登記義務者が所有者であるということを証するために保証書を出す、それが今度は別な銀行から金を借りる場合の抵当権の設定の登記の際に利用されるという問題だろうと思います。  これは、昭和三十九年の改正の際に、そういった再利用というか登記済証として利用することができないという方針を一たん決めたのでございますけれども、実はそういうふうにいたしますと、再度抵当権を設定する際にまた保証人を頼んで、また保証人の印鑑証明書をもらってきてまた保証料を払わなければならないという、普通一般の方々から見ますと二重、三重の手間が生ずるという問題が出てまいりまして、当時の司法書士会等の非常に強い要請がございまして当時の民事局が速やかにまた見解を変更してしまって、現在のようにいわゆる再利用を認めるような形になって落ちついておるという状況でございます。  しかし、その結果として、当初の保証人の意に反して損害賠償責任を負わされるというようなケースが、判例の上では一例でございますけれども出てまいりました。この点について司法書士会でも相当関心を持っておりますので、この保証書による登記制度の実際の運用の実情等も私どもこれから聞きながら的確な対応をしてまいりたいと考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今後の重要な課題としてよろしくお願いを申し上げます。  それからもう一つ、登記の申請ということで、今回の問題の中で出てきたわけじゃないのですけれども、権利を移転してこの人の権利だということにするというときに、そこに添付する書類の中に原因証書がどうなっているかという問題があると思うのです。私は、中間省略登記ということを含めて、中間省略登記がなされているということは、実際問題として、A−B−Cと移った場合に、Bを抜かしてA−Cのような形で登記をする、そのBの部分にあるというのはかなりの程度不動産の仲介業者の場合などが多い場合であろうと思うのですね。  普通に考えれば、AからBが買って、しばらく持っていてBがCに売るわけですから何の問題はないのですけれども、中間省略ということになりますと、大きな会社が自分の所有権に一遍移転して、それをまたいろいろ個別に、少しずつ小口にといいますか、利用者に分けていく。この場合に大抵中間省略登記が行われることが多くて、この場合の税務上の処理ということも、きょうここまで問題にしようと思っていませんけれども、あるんだろうと思うのです。しかし、そういう実体と本当は違う中間省略登記をするということは、原因証書の添付ということがきちんと今義務づけられていないというところにあるんじゃないかと思うのですね。  この点、登記簿というのは、何も現在の所有者ということを明らかにするばかりでなくて、過去にずっとさかのぼっての経過というものも公示するということが一つの大きな目的になっているものですから、原因証書の義務についてはどのようにお考えか、ちょっと今度の問題点ということで。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 大変重要な問題でございます。私どもの考えといたしましては、登記制度は、現在の権利状態ばかりでなく、権利変動の過程をも正確に公示するのが登記制度の理想であるというふうに考えております。そういうふうな観点から、登記手続法上は中間省略の登記を許しておりません。申請書類から中間省略の登記であるということがわかればこれは却下をする、こういうことになっております。  しかしながら一方、先生既に御存じのように、最高裁判所の判例等によりまして、現在の権利状態に合っていれば中間省略の登記も有効である、しかし中間者の利益がそれによって害されるということであれば、中間者は中間省略の登記の抹消請求をすることができる、その利益が害されない限り抹消請求をすることができないということで、中間省略の原則的な有効性を認めているわけでございます。  そういうような判例理論との絡みをどうするかというのが一つの問題であるとともに、既に御存じのように、日本の民法はいわゆる意思主義をとっているわけでございまして、売買契約の際に契約書を締結することを義務づけてはおりません。契約書がなくても、売った買ったの意思表示が合致すれば所有権は有効に移転するということになっておりまして、そういう意味では、いわゆる原因証書が当初から存在しないという場合も法律自体が想定をしておるということでございます。  そういうことから、原因証書の添付を強制することができない、その結果として、現在の不動産登記は申請書副本というような制度を導入しているわけでございます。これは不動産登記法だけではなく民法全体に絡む問題でございますので、大変重要な問題ではございますけれども、また相当基本にかかわる厄介な問題だというふうに思っております。  しかし、中間省略の登記をできるだけ防ぐというような手だてとして何かいい知恵がないかというようなことにつきましては、司法書士制度、司法書士の職域の問題等も含めまして、将来の問題として真剣に検討すべき課題ではあるというふうに思っております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今の問題は、本当に私は、中間省略登記をするということによって、今、譲渡税というような問題だとかなんかの潜脱ということも含めて非常に大きな問題を抱えていると思うのです。厄介な問題ではございますけれども、民法上も含めての問題ではございますけれども、ぜひ手をつけていただいて、この中間省略登記ということによって不正な利益を上げる人たちが出てこないような形というものをとる意味で、真剣な議論と、なるべく早い、何も原因証書を添付するということだけが手段ではないかもしれませんけれども、それも含めてぜひ御検討をいただきたいと思います。  この公示の原則、先ほど言われましたけれども、コンピューターの制度が導入されたことによって、公示の原則といっても、そのコンピューター用の紙になったときで、その前までのところは全部一応閉鎖された登記簿ということになってしまって、以前の経過というものが通常では見えない。コンピューターになった後は、これからの経過は見えていくんでしょうけれども、過去の経過が見えてこない。どうしてもそういうものが必要な場合も非常に多いと思うのですが、一々これをとり直さなければならない。  昔ももちろん、私たちがなじみのある登記簿謄本も、縦書きのもののときも、閉鎖された前は確かに見えなかったことは同じことだと思うのですけれども、コンピューター化されたのが現在ですから、現在よりも直近の、すぐ前のところも見えなくなってしまうということになると、公示の原 則の一部が非常に阻害されることになると思うのです。このあたりの対策を一言伺って、それからもう一つ、一緒に言ってしまわないと次の問題にいかないので。一番最初の問題で一つ伺うのを抜かしたところがあるので、ともに伺いたいと思います。  十七条の地図に準じてこの公図等の図面というものを使われるということになった場合、今までは、そこでは登記官というものはこの公図に対して訂正したり墨を入れたり、そういうことを申し立てがあった場合に、してもしなくてもこれはある程度準則ということによってちゃんとしなさいよということが内部的な命令規定で決まっていたのだ。ところが、今回こうでなくなった場合には、法律上こう認められたということは、登記官が一応そういった義務づけをされるのかどうか、この問題。それから、準則の二十九条にも同様に「地図に準ずる図面」という言葉が出てくるんですけれども、これも同じ解釈の意味でいいのかどうか、この二つ、非常に細かい問題、大きい問題も一緒ですが、お願いいたします。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 第一問でございますけれども、コンピューター化をいたします際には、現に効力を有する登記だけをコンピューターに移すということにいたしております。そういたしますと、それ以前のいわゆるブックの形式を持っております登記簿は、いわゆる閉鎖登記簿ということになります。私どもの気持ちといたしましては、閉鎖登記簿というのは膨大な面積、床面積を占めますので、できるだけこれはどこかにしまい込みたいわけでございますが、まさに先生御指摘のように、現在の権利関係だけではなく、過去の権利関係を調べたいという方がたくさんおられるわけでございます。したがいまして、現状におきましてもそういう閉鎖登記簿の閲覧というのはかなり数多く行われております。そういうものについては従来どおり円滑に閲覧ができるように配慮いたしているところでございます。ただ、時がたつに従いまして、こういった昔の登記簿を見るということはおのずから少なくなっていくのではないかというふうに考えております。  それから、「地図に準ずる図面」ということで従来も、実は準則と申しますが、これは民事局長通達ということで、内部規則で十七条地図と同じようにきちんとした保存管理、変更訂正をせよということを命じておりました。これは内部規則といえども登記官、当然これに従って事務処理をしていたわけでございます。今回、これが法律の中に取り込まれましたので、当然法律上の義務としてこのような十七条の地図と同様の保存管理、変更訂正等をしていく義務が生ずるものと考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 それでは最後に、ちょっとこの登記法の改正について大臣に伺います。  地図というのは国土の有効利用とかそういうことに非常に大きな密接な関係がありまして、国家の基本政策の基本の基本であろうというふうに思います。こういった点について、地図の整備ということについて、今のような遅々たる進捗状況というものを踏まえて、今後、こういうことについてどのくらい熱心にしていただけるかという決意のほどを示していただきたいのと、もう一つ、この登記業務、国民に権利関係をきちんと明らかに知らしめるという登記の公証的な義務というものについての大臣の御所信を伺いたいと思います。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 やはり不動産の所有権の確保といいますか、これは大変重要な基礎的な関係でございますから、今まだ図面等が、必ずしも正確なものが全部終わっているわけではありません。一日も早くこういった正確な図面を整備するという仕事に対しては、本省としてはできるだけ、建設省ですか、ここらとも協力しながらやっていきたい、かように考えておるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 それでは、次の問題に移ります。死刑の執行の問題について大臣に伺いたいと思います。  死刑の執行が、三月二十五日と二十六日に計三名の人の執行がなされた。これまで法務大臣が四代にわたって三年四カ月の間、死刑の執行ということが事実上なされなかった。これを法務大臣が署名捺印をされたということによって今回死刑執行が行われたわけでございますけれども、まずこれについてどういうお考えでされたのか、大臣に伺いたいと思います。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 死刑の執行につきましては、具体的に決裁をしたとかしないとかといったようなことは、従来から法務省の基本的な考え方として、遺族に対するお気持ちの問題を考えなければならぬ、あるいはまた、死刑判決を受けながら現在まだ拘置中の人たちに与える影響といったようなことで一般的にはコメントをしない、毎年のあの統計ですか、あれをごらんになっておよそのことを知っていただくことはできるのじゃないかと思いますが、具体的には申し上げないということになっておりますので、この点はひとつぜひ御理解をしておいていただきまして、一般的な考え方として申し上げてみたいと思います。  私は、前任者のことについては、これはとかくの批判を申し上げるつもりはいささかもございませんので、それもまたお許しをいただきたい、こう思います。  実は、法務大臣に就任をしましたときの最初の記者会見で、突然死刑の問題についてどう考えるかといったような御質問がありまして、そのときに私は、確定判決の執行ができないといったようなことであっては、法秩序そのものに対する揺るぎが出てくるのではないのかな、大きく言えば、そこまで言葉では言いませんでしたけれども、国の秩序そのものがだんだん揺らいでくるおそれがありはしないのか、といったようなことを考えまして、やはりそういう点については確定判決の執行という、死刑というのは大変重い刑罰でございますから、それだけに慎重の上にも慎重でなければならぬのは当たり前ですし、大変率直に言いまして、法務大臣としては気持ちの重い問題でございますが、やはり就任する以上はこれは自分の重大な職責としてやらなければならないことである、かように考えたわけでございます。  しかし、同時に、そういう確定判決の執行という面ではなくて、死刑制度そのものの存廃という議論になりますと、これはやはり世界各国の最近の動向も考えなければなりませんし、それからまた国民の中の気持ちの動きというものもよく考えなければならぬ、そういう意味合いから、これは論議することは当然あってしかるべきであろう。しかし、現実はどうかということになりますと、まだ国民の気持ちの中には、圧倒的多数の人が死刑制度というものは制度として置くべきであるといったようなこともございますから、そこらは十分考えなければならないな。しかし、議論としては、私は、死刑存廃問題についていろいろな御意見があって、それを国民の中で論議せられることは結構なことではないのかな。これは私の基本的な考え方でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 ことしの二月二十三日のやはりこの法務委員会で、同僚議員の小森委員の方から同様に、死刑の執行また死刑制度そのものについての法務大臣の御所信を伺っていると思うのですけれども、その中で、若い人の中にはかなり死刑廃止という機運というか声もたくさん出ているので慎重に対処していかなければならないというお話をされて、それからまたすぐに今度は執行の問題というのをなさったのですけれども、大臣としては、今までに確定している刑罰については、慎重にする必要もなく、たまってきた案件をきちんとしなければ法の規律が保てないといいますか法秩序の維持ができないというふうに、何というのですか、そこの中では、死刑廃止論が高まってきていつつあるとか国民の中にもそういった声も大きくなってきてこれからも議論をすべき大きな課題であるということとは、もう截然とというのですか分けられているわけですか、大臣の意識の中では。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 私は、そういう死刑執行の命 令に判を押す、押したか押さぬかはこれは言明はできませんけれども、押すということに決断をする場合に、あなたがおっしゃるほど簡単に私は考えてはおりません。これは非常に重い問題だな、こう考えておりますけれども、法務大臣として、この制度があって、裁判官だって死刑の判決をするというのは大変な重い問題だと私は思いますね。  しかしながら、残酷な、非道な、また情の上からも認められないといったような凶悪な事犯に対して、裁判官も現在の制度のもとで死刑の判決をしておるのですね、これは司法として。その裁判の結果を、これは執行の面については全部判決は検事の側に返ってきますね、その中でも死刑についてだけは、さらに慎重の上にも慎重に、別の眼で見る必要があるといったようなことで死刑についてだけは法務大臣の命令書が要る、こうなっていると私は思うのですね。  そのときに、そういう判断を裁判官にさせておいて、我々もまた別の目で慎重に精査をしますけれども、一点の疑問の余地がないといったときに、法務大臣の個人的な感情あるいは物の考え方等でちょっと待ったというわけには私はいかぬのではないのか。これはやはり、慎重にやらなければならぬけれども、法務大臣としての立場はそれを凍結してしまうといったようなことは許されないと私は思います。  それで、今御質問の中に、小森さんの御質問のときに若い者云々というのは、私も実は法務大臣就任以来、書物も読ませてもらいますし、それからまたいろいろな人の意見も聞きました。若い者というのは、私どもは大勢の子供がおるわけですから、これらに、十分もう判断のできる年齢でございますから、四十前後、三十何歳というところでございますから、おまえら一体どう考えるかといったようなところまで聞きまして、おまえらだけの意見ではだめだよ、友達もおるだろう、一体どういう考え方の者が多いかといったようなところまで私自身としては十分、今日でもそれは私は勉強しているのです。  そういうようなことをやりながら、私はこういう問題については、やはり法務大臣としては三権分立の上からもそう簡単に、おれの気持ちがそれは許さぬといったようなことで処理すべきではないのではないのかな、それならば法務大臣を辞任をすべきが建前ではないかというのが私の考え方でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 私は日ごろ後藤田法務大臣に対して、その考え方というものについて、非常にはっきりとしたこともおっしゃっていただけるし、非常にいろいろな意味で共感するところも尊敬するところもありますけれども、今大臣が、法務大臣の職責の一つとして重い意味を持ちながら、やはりこれはしなくちゃならない職責なんだという意味のことをおっしゃったのですが、そこでは私は意見が少し違うと思うのです。私は法務大臣になる可能性はありませんけれども、もしなった場合、やはりちょっと違った意見を持つのではないかなというふうに思いますので、もう少し伺わせていただきたいと思うのです。  そういう職責があれ何であれ、事実上三年四カ月の間死刑が執行されなかった、このされなかったという一つの法的な安定した秩序、これもあったわけでしょう。裁判官が裁判を宣告した時点、刑が確定した時点というものは、確かにその人に対して本当に悩んだ末の極刑を言い渡すことになり、確定したわけです。しかし、それがあってから後三年四カ月の重みというのは、これは法務大臣としての職責の重さというものと比べた場合に、私は非常に大きな一つの重みを既に持ってきているものではないかというふうに思うわけです。これを覆すというのは、今度は逆に一つの法秩序を法務大臣がここで、でき上がってきた一つのものをまたぱっと崩してしまわれたのではないか、こういった感覚をどうしてもぬぐい去るわけにいかない部分があるのです。この点をひとつお聞きしたい。  それからもう一つ、日本が今批准をしております国際人権B規約という人権規約、国際規約がございます。これは日本も批准をしているわけですが、このB規約の中の六条六項というところに、「この条のいかなる規定も、この規約の締約国により死刑の廃止を遅らせ又は妨げるために援用されてはならない。」死刑の廃止をおくらせたり妨げたりするために援用されてはならないという条文がございます。  これを日本も批准しているということになりますと、要するに今の三年四カ月死刑が執行されなかったという一つの社会的事象、これはどう考えても、例えばこれがもし十年ずっと執行されずに死刑囚がたまっていってしまうような状況があった場合、これは次に今度は死刑の廃止とかまたは死刑一時停止とか凍結、そういったことに一つの事実上の論拠を与えるものになると思うのです。これを今ここで執行されてしまったということになりますと、これはやはり死刑執行の廃止とか停止とか延期とかいうことについてこれを妨げることとしてなさったことになるのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 私は、ここ三年数カ月間法務大臣の職にあった方がどういうお考えで決裁をせられなかったのか、これは私はつまびらかにはしておりません。しかし、それが法秩序でできておったと私は理解しません。それは法秩序の上から、そういうことは法務大臣としては、私自身は認めるわけにはまいらないと思います。やはり、非常に重い責任でありますけれども、執行すべき判決は執行しなければならぬ、これが私は現在の法秩序であろう。それで、制度そのものを廃止するといったようなことになればこれまたおのずから別の問題になる、こう考えます。  それから人権条約ですか、これについては、あの条約は私は中立の考え方の規定だと思いますが、詳しくは刑事局長から答弁させます。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  これは十分委員御案内のとおりでございますけれども、いわゆる国際人権B規約六条六項は、その規約の六条四項と五項が死刑の存在を前提とした規定である、そういうことを踏まえまして、これらの規定によってあたかも死刑の存在を積極的に容認しているかのような印象を避けるために、この規約の六条六項の規定は「死刑の廃止を遅らせ又は妨げるために援用されてはならない。」旨を確認的に規定したものであるというふうに理解しているわけでございます。したがって、もちろん言うまでもなく、死刑の執行そのものについては言及はしておらないものというふうに理解しているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 もう一つ、大臣が言及することは避けたいとおっしゃいましたその死刑の執行の名前を言うことは私も避けたいと思いますけれども、事実上何人か、三人の執行がされた。今現在、死刑の確定している人たちというのがたくさんいるわけですけれども、今の大臣のお考えというのも、やはりそれは一つの信念に基づいておやりになったことであり、別にそのことが、今の人権B規約云々を除けば法律に触れるとかいう問題でももちろんないし、大臣の職責を果たされたものだというお話なのです。  ただ、もしそうであるならば、どんな形ででも来た人の中のピックアップというのは、この人はどう考えても死刑に値するのだという意味でやっている人と、それからいまだに再審請求をしたり無罪であることを主張している人という、まずどうかなというか、いろいろな方が死刑囚の中にもあるわけですけれども、裁判所がもし大臣のお考えをそのとおりということでいくんだったら、裁判所が本当にそれこそ悩みに悩んでしっかりとこれは死刑に値するということをその責任において決めたことであるならば、これをどんなに大臣の中で重かろうと、どんなに悩まれようと、それをやるというときにピックアップをするということは、もう一つ裁判しているというかもう一回やっているというか、そういった意味合いが出てくるんじゃないか。  乱暴な言い方になって大変語弊があるかもしれ ませんけれども、もし大臣のお考えというものを貫くのならば、それは、もう確定していればある一つのルールに基づいてこういう形でやるべきであろうとかいう形で捺印をされるという方がまだ筋が通るのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 私がやることは、それぞれの段階ごとにそれぞれの担当者がおりますから、そういった担当者が十分に精査の上精査をして、そして大臣としてこれは決断をしてもらいたいといったときに、さらに私自身がそういった担当者に、どういう理由でこの人がここへ選定されてきたのか、この事件についてはどうだと疑問があれば、私も当然そういう点については十分聞きながら裁断をしていく、こういうことでございますが、それぞれのピックアップのやり方その他については、これはひとつ事務当局からお答えをさせていきたい、こう思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  ピックアップと言うとちょっと言葉が不適当かと思いますけれども、要するに、私どもの方から死刑執行命令が発せられるまでにどういう手続がとられるかということを御説明して御理解を賜りたいというふうに一つは思うわけでございます。  死刑の判決確定後、これは各関係の検察庁の長からの死刑執行に関する上申を待ちまして、確定記録の取り寄せ、それから省内関係各部局をして判決及び確定記録の内容を十分精査させるわけでございます。また、必要に応じましてみずからこれを精読いたしまして、刑の執行停止の事由がないかどうか、それから再審、非常上告の事由がないかどうか、あるいは恩赦を相当とする情状がないかどうかというようなことを慎重に検討いたしまして、これらの事由あるいは情状が存在しないことが確認された場合に初めて死刑執行命令が発せられるということになるわけでございます。  なお、その検討の過程におきましては、再審の申し立て、恩赦の出願等がなされております場合にはそれらの当否についても十分勘案をするということは申すまでもないわけでございます。  恐らく委員がお尋ねになっておられる御趣旨は、判決確定者の中でも判決確定から執行までの期間に違いがあるのはどうしてかという御疑問も一つお持ちになっておられてのお尋ねだと思うわけでございます。これは今申し上げた判決確定から執行に至るまでの手続を御理解いただきますればある程度御理解いただけることと思うわけでございますが、裁判確定から死刑執行までの期間につきましては、確かに事案によって差異が生じております。おりますけれども、これは、死刑の執行につきましては、今申しました刑事訴訟法自体が再審の請求、恩赦の出願等がなされている場合にその推移を参酌して慎重に対処すべきものとしている、刑事訴訟法の四百七十五条二項の規定でございますけれども、こういうような法の趣旨からいたしまして、個々の事案について慎重に検討して適正に対応してきているということもひとつ御理解をいただきたいということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 まだこの問題に私が心から納得したわけではありませんけれども、死刑廃止という問題と別個の問題でございますから、そこでは大臣のお考えを伺って、またこれはこれとして、死刑廃止について、先ほど議論することはいいじゃないか、慎重にだけれどもいろいろと議論していくことはいいじゃないかというお話だったのですが、大臣そのものは日本国においては死刑はまだ存置すべきである、先進国においては死刑が存続しているところは随分少なくなっているわけですけれども、これについて大臣御自身はどういうふうにお考えかということを最後に伺っておきたい。  もう一つ、これは死刑の問題ではありません、現在生きている人たちみんなの問題でございますけれども、今明らかになってきている金丸事件、脱税事件その他の、談合の可能性の出てくるかもしれないさまざまな事象についても、今ここで終わりという、幕引きがどこかであるとか金丸氏自身だけの問題であるとかいうことではなく、先ほど法務大臣も言われたような形で、あるものについては冷静、厳正に、何のしんしゃくもなくしっかりとしたお調べとまた対処をしていただきたいと思いますので、その御所信をあわせて伺いまして、私の質問を終わらせてもらいたいと思います。

後藤田正晴自由民主党法務大臣

○後藤田国務大臣 制度論としては、死刑の問題は私自身はまだ結論を出しておりません。しかし、何といいますか、日本の場合には、刑罰についていえば応報刑論とでもいいますか、そういったような考え方がまだ国民の中に強いのではないか。やはり被害者の立場、被害者の親族の立場、こういったようなことに対して、世論調査なんかの結果、国民の多くの人が、死刑制度というものは置いておいた方がよかろうといったような気持ちが強いのではないか、そう考えておるのではないかと思いますが、私自身は、制度そのものについて結論は今出してはおりません。  なお、法秩序を乱す者に対する適正な法の執行、これは申すまでもございません。あくまでも秩序維持ということは国にとっては一番大事なことでございますから、もちろんその間に情けがなければいかぬことは当然でございますけれども、やはり私は、秩序はきちんと守るべきものであろう、かように考えます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 終わらせていただきますが、最後に、団藤重光元最高裁判事、刑法では私たちも一生懸命その本で、教科書で勉強した世代ですけれども、この団藤さんが判事になられたら、そこで死刑廃止論者に変わったということを言われています。ぜひこの問題について、死刑廃止ということに、今回大臣が提起された問題の一つでもあると思いますので、このことについての議論それから御検討、廃止へ向けての議論をこれからも大きくしていきたいと思いますし、法務省の中でもそういった観点からのこれからの御検討をよろしくお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

浜野剛自由民主党

○浜野委員長 次回は、来る六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三分散会

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