法務委員会 第1号
- 発言数
- 245 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1993/02/23
会議録
○浜野委員長 これより会議を開きます。 この際、一言、委員長としてごあいさつを申し上げます。 このたび、法務委員長に就任いたしました浜野剛でございます。 委員各位の格別な御理解、御協力を賜りまして、公正かつ円満な委員会の運営を図ってまいりたいと存じます。 どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○浜野委員長 理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に 太田 誠一郎 亀井 善之君を指名いたします。 ————◇—————
○浜野委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 裁判所の司法行政に関する事項 法務行政及び検察行政に関する事項 国内治安に関する事項 人権擁護に関する事項の各事項につきまして、本会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ————◇—————
○浜野委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、法務行政等の当面する諸問題について、法務大臣から説明を聴取いたします。後藤田法務大臣。
○後藤田国務大臣 さきの内閣改造で法務大臣を命ぜられました後藤田正晴でございます。 内外にわたって極めて困難な問題が山積しておりますこの時期に法務行政を担当することに相なりまして、その職責の重大であることを痛感いたしております。 法務行政に課せられました使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあります。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民の権利がよく保たれていることが極めて重要でございます。 私は、こうした認識のもとに、法務行政の各分野にわたって適切な方策を講ずるよう全力を尽くしたいと考えております。 以上、簡単でありますが、就任のごあいさつといたします。 次に、当面する法務行政の重要施策につきまして所信の一端を申し述べ、委員の皆様方の御理解と御協力を賜りたいと存じます。 第一は、治安の確保及び法秩序の維持についてでございます。 最近における犯罪情勢を概観いたしますと、全般的にはおおむね平穏に推移しているところと認められますが、けん銃等を用いた凶悪事犯、暴力団関係事犯、薬物事犯、大型の財政経済事犯、過激派や右翼によるテロ・ゲリラ事犯等が相次いで発生をしております。また、来日外国人による犯罪が増加・凶悪化するとともに、諸外国との間において犯罪人引き渡しや捜査共助等を要する事件等が増加をするなど、国際化の傾向が依然として顕著でございます。 私は、このような情勢のもとで、各種犯罪事象に的確に対処するため、検察態勢の一層の整備充実を図り、さらに、刑事司法に関する国際協力を促進していくことにより、良好な治安の確保と法秩序の維持に努めてまいりたいと考えております。 加えて、こうした内外の犯罪情勢等の変化に対しては、刑罰法規の改正等により適宜対応してきたところでございますが、時代の趨勢に応じ、刑法の現代用語化を初め、刑事法制のあり方等について、引き続き検討を加えてまいりたいと考えております。 第二は、出入国管理行政の充実強化についてであります。 出入国管理行政においては、業務量の急速な増大に迅速かつ円滑に対処するとともに、「我が国社会の健全な発展の確保」及び「国際協調と国際交流の増進への寄与」という基本理念のもとに、この理念に沿った外国人の受け入れの促進と不法就労外国人問題に対しての効果的な対策を推進していく必要がございます。これらの諸問題に関しては、個別かつびほう的な施策では、今後一層激しい変化の予測される行政環境に適切に対応し得ないので、法務省におきましては、将来を見越した抜本的な対応のあり方を検討しつつ、入国管理局の体制整備等に取り組んでいるところでございますが、引き続き要員及び施設の確保に努め、業務体制の整備を図ることといたしております。 また、技能実習制度については、より実践的な技能を習得させることによって、効果的に開発途上国等への技術等の移転を図り、それらの国の発展に協力するという観点から、昨年来鋭意検討を行い、関係省庁との調整を進めてまいりましたが、法務省では、平成五年度予算成立後、その速やかな実施を図りたいと考えております。 第三は、一般民事関係事務の効率化と訟務事件の処理についてであります。 一般民事関係事務は、登記事務を初めとして事務量が逐年増大するとともに、社会経済活動の多様化・国際化を反映して年々複雑困難の度を強めてきております。特に、登記事件は、公共事業の活発化等を背景に依然として高水準で推移しており、今後ともこの傾向は続くものと考えられます。そこで、このような現状に対処し、あわせて窓口サービスの抜本的改善を図るため、引き続き登記事務のコンピューター化を鋭意推進してまいりたいと考えております。 民事関係の立法につきましては、法制審議会の各部会において調査検討を進めているところでありますが、商法部会における社債制度の改善を中心とする商法の改正につきましては、近く答申が得られる見通しでございます。この答申が得られ次第、改正法案を今国会に提出させていただきたいと考えております。 また、婚姻及び離婚制度の見直しについては、昨年十二月に民法部会で問題点を取りまとめた中間的な報告が公表せられ、今後、これに対する意見を踏まえて検討を加えてまいりたいと考えております。 なお、そのほかに民法の第一編ないし第三編並びに民事訴訟法及び商法の現代用語化についても引き続き検討を行っているところであります。 次に、訟務事件の処理についてでありますが、最近の訟務事件は、国際化の進展を反映したものや、最先端の知識・技術、あるいは新たな法制度に関連するものなど、複雑困難なものが増加する傾向にあります。また、これらの訴訟は、集団化・大型化して、全国各地の裁判所に提起される傾向にあり、訴訟の結果いかんが国の政治、行政、国民生活等に重大な影響を及ぼすものも少なくありませんので、訟務事務処理体制の一層の充実強化を図り、適正円滑な事件処理に努めてまいりたいと考えております。 第四は、人権擁護行政についてであります。 人権の擁護は、憲法の重要な柱であり、民主政治の基本でもあります。人権の擁護については、国民のすべてが人権について正しい認識を持ち、お互いに他人の人権を尊重し合いながら幸福を追求するという態度が必要であると考えております。 人権擁護行政におきましては、各種の広報活動によって国民の間に広く人権尊重の思想が普及高揚するよう努めるとともに、具体的な人権に関する相談や人権侵犯事件の調査・処理を通じて関係者に人権尊重の思想を啓発し、被害者の救済にも努めてまいりたいと考えております。 中でも我が国社会の国際化に伴う外国人の人権問題、部落差別を初めとするもろもろの差別問題、子供をめぐるいじめ・体罰の問題等につきましては、関係省庁とも緊密な連絡をとりながら、一層活発な啓発活動を行ってまいりたいと考えております。 また、法律扶助制度は、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために極めて重要なものであり、今後ともその充実に努めてまいりたいと考えております。 第五は、犯罪者に対する矯正処遇と更生保護についてであります。 犯罪者の矯正処遇につきましては、対象者に暴力団関係者、覚せい剤事犯者のほか、施設への入出所を繰り返している累入者等の改善困難な者の占める割合がだんだん増加をしておるのに加え、高齢化傾向が顕著であるなど処遇の複雑困難化が著しくなっておりまするので、これらの者の年齢、犯罪傾向、刑期その他の特性等を考慮した適切な処遇の推進を図りたいと考えております。また、これらの者の社会復帰・再犯防止につきましては、犯罪のない明るい社会の実現のために多大な貢献をしておる民間篤志家あるいは団体等との緊密な連携を保って社会内処遇の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。 第六は、外国弁護士規制緩和問題についてであります。 我が国における外国弁護士の受け入れ制度は、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法施行後、円滑に運用されてまいりましたが、同制度に関する近時の内外の動向を踏まえ、先般、日弁連と共催で、外国弁護士問題研究会を発足させました。今後も日弁連とともに責任を持ってこの研究会を運営し、その研究成果を踏まえて問題の解決に当たりたいと考えております。 最後に、これら法務行政の適正円滑な推進の確保等のため本国会において御審議をお願いすることを予定しております法務省関係の法律案は、不動産登記法の一部を改正する法律案、商法等の一部を改正する法律案等四件でございます。このほか、前国会から引き続き御審議をお願いしております刑事施設法案外一件がございます。 何とぞ、十分な御審議をいただき、速やかに成立に至るようよろしくお願いを申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)
○浜野委員長 平成五年度法務省関係予算及び平成五年度裁判所関係予算につきましては、お手元に配付いたしております関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承をお願いします。 この際、志村法務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。志村法務政務次官。
○志村政府委員 このたび法務政務次官を命ぜられました志村哲良でございます。 時局柄、大任ではございますが、後藤田法務大臣の御指導を仰ぎます中で、大臣を補佐して、時代に即応いたした法務行政の推進のため、微力ではありますが誠心誠意努力をいたす所存でございます。何とぞよろしく先生方の御指導、御支援を賜りますようお願いを申し上げます。 簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。(拍手) —————————————
○浜野委員長 この際、お諮りいたします。 本日、最高裁判所今井民事局長、島田刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 —————————————
○浜野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木喜久子君。
○鈴木(喜)委員 社会党の鈴木です。 まず、法務大臣にいろいろと御所信を伺いたいと思うのですけれども、ただいまの御説明を伺っておりましても、今現在大変国民の関心となっております佐川問題に象徴されるところの政界におけるさまざまな疑惑、そうしたものの徹底解明ということについては何らお触れになっている部分がなかったわけでございますけれども、私は法務大臣の日ごろのお言葉その他についても非常に共感する部分もあり、法務行政、これからということで非常に期待をしている一人ではございますけれども、この点について大臣はどのようにお考えなのでしょうか。 聞くところというか新聞報道でございますけれども、法務大臣になるということは後藤田さん自身のたっての御希望があったようにも聞いておりますので、その点も含めてまずお伺いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 特別志願したわけではございません。 御質問の佐川事件の処理をめぐってどう一体大臣は考えているのか、こういう御質疑でございますが、私はこの事件の発生して以来の社会一般の皆さん方、大変政治に対する不信感というよりはむしろ怒りのような厳しい批判があることは重々正面から受けとめておるつもりでございます。 そこで、まずやはりこういう問題については、法律違反の事実があるということになれば、それはそれなりに、法律の定めるところの範囲の中で、法律の定める手続に従って厳正な捜査を遂げるべき筋合いのものである、私はかように考えておりますが、この事件はまだ検察等では残った犯罪の疑いについて捜査をしているさなかでございますので、これ以上の内容については触れることを差し控えさせていただきたいと思います。 同時に、こういう問題はやはり事件の捜査と並んで、こういう事件については国会等で十分な解明に当たられる、そして政治的な責任の有無等についても御論議なさることを私は当然のことであろう、こう考えます。そういった国会の御活動に対しては、国会がさようなお取り扱いをなさる以上は、それに対して政府としては十分な御協力を申し上げなければならぬ、こういう基本的な考え方を持っております。 そして三番目に、やはりこういう問題について一番大事なことは、事件の解明をしそれぞれ責任について追及すると同時に、何といってもこういう事件の繰り返しがないようにどうするのかという意味合いにおいて、私は、政治と金にまつわるいろいろな問題、つまりは政治改革というようなことについて政治家としてやっていかなければならぬのではないかな、かように考えているわけでございます。
○鈴木(喜)委員 おっしゃる意味はそのとおりよくわかるのですけれども、前の国会のときの予算委員会で、たしか大臣は予算委員の一人であったのだろうと思いますけれども、私も割とそばのところに座らせていただきまして、そのとき後藤田委員がおっしゃっている不規則発言もおのずから耳に入りまして、私自身の耳でお聞きした言葉そのままとは申しませんけれども、皇民党事件その他についての各野党の質問のときに、もうこういうものはやめだ、こんなことはここでいろいろと取りざたしたり質問したりすることはやめにしろ、いいかげんにしろというような、ちょっと言葉は悪いのですがそういった形の御発言がかなりあったように私は聞いたわけでございますけれども、もうこの問題についてはおしまいにしようというふうに思っておられるのかどうか。その皇民党事件にかかわる佐川の問題、まつわるいろいろな問題がありますけれども、もうそろそろここは終結にした方がいいのではないかというふうに、この個別の問題については思っておられるのでしょうか。
○後藤田国務大臣 さて、その予算委員会のときにどういう不規則発言をしたのか私は記憶がございませんが、私は今申し上げましたように、犯罪の嫌疑があるということであるならば、それはきちんと捜査当局が解明すべきものだし、それからまた政治的ないろいろな問題について十分な解明ができていないということであれば、これは当然国会において論議せられるのがしかるべきである、私自身はさように考えておるわけでございます。
○鈴木(喜)委員 検察当局、私たち国民が一番頼りにしておりまして、そこが安全に、安心に暮らせる一つの大きなよりどころだというふうに思っている検察なんですが、法律違反があるというふうに思料される場合には、極力事実の解明に向かって進んでもらうのが当然のことだと思うし、それによって私たちが非常に安心していられるということになると思いますけれども、仮に法律違反があった、しかしそこで検察がそこまでの取り調べをしなかった、既に現在の問題として法律違反があったかなかったかという問題ではなく、過去においてそういうことを、取り調べをあるところまでしがなかった、こういった問題については、これからでも検察行政のあり方ということについて当委員会でいろいろと事実を調べていくというのが最も適当であると思うのですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
○後藤田国務大臣 私は、先生が今何を頭に置いて御質問なさっているのかわかりかねるのですが、一般論として言いますと、日本の検察というのは犯罪があれば法の命ずるところに従って厳正な取り扱いをしておるものと、その点については私はいささかの疑念も持っておりません。ただ、国民の立場ということから考えますと、やはり、何といいますか、検察の仕事といいますか、こういうものはなかなか性格が一般にはわかりにくいわけですね。 だから、検察としては法に照らして証拠を集め、そして法に照らして処罰すべきものは処罰をする、こういうことをやるわけですが、国民の立場に立つと、けしからぬ、こういう空気があるわけですね。そこらのギャップというものはある。しかし、ここはやはりきちんと線を引いて考えませんと、けしからぬということによって法の枠を踏み出す、踏み入れるということになるとまた別の問題が出てくるわけでございますから、そこはやはり慎重に考えながら、しかし事犯罪の容疑があるということになった場合には徹底してやるべきものと、私はかように考えております。
○鈴木(喜)委員 一般的な意味で、この国民のけしからぬ、どうしてそういうふうになってくるのかというと、その捜査の過程、またどうしてそういうふうな判断、例えばこれは犯罪がなかったと思料するに至ったということ、その事由やら過程というものが余りにもべールに囲まれてしまっていて国民の目にさらされていない、国民が納得しようにもできない、そしてまたいろいろさまざまな形での憶測が飛び交う、こういったことが非常に多くあるからだというふうに思います。 そのためには、例えばこういった委員会の中で、いろいろな過程、また判断に至った理由、そういったものについて、捜査中でございますとか、何かこっちにひっかかりますとか、プライバシーでございますとか、そういうことで本質的な部分について余りお答えをいただけないというようなことでなく、本当にこれは真摯にいろいろと御答弁をいただき、国民の前にそうした事実を明らかにしていただくことが一番必要だというふうに思いますけれども、これまでのいろいろな事実を見ますと、なかなかそれが果たされていなくて、何回も同じ押し問答をこの場で私も繰り返しました。そういうところについて、もっとはっきりした国民にわかりやすい御答弁をいただけるようにというふうに思いますけれども、この点は大臣も同意していただけるでしょうか。
○後藤田国務大臣 私は、あなたの御疑問、それはよくわかるのです。それは私どもも、捜査の結果等について詳しく御説明すればわかっていただけるということはあるのですけれども、しかし、やはり私どもは、法令の定める範囲の中以外には、一般にそれを発表するとか答弁の形で説明するとかいうことが許されない仕事なんですね。やはり私どもとしては、法令の許す限度においてできるだけ明らかにしたい、それ以上のことは、本当に残念だな、こう思いながらも説明ができない。それは今おっしゃった人権の問題その他大変厄介な別の問題がありますから、そこらはぜひひとつ、先生は御専門の方ですから、御理解を願いたい、こう思います。
○鈴木(喜)委員 もう一点だけ大臣に伺って次に移りたいと思いますけれども、法令の範囲内とおっしゃいますけれども、かなりその法令の範囲を狭く狭く解釈をしまして、非常に殻の中に閉じこもろうとする傾向がある。このくらいは大丈夫ではないかと思うその見解の相違が、国民とそれから検察、そういった当局との間にどうしてもギャップがある部分が不信を招くことになる原因になっていると思いますので、ぜひそこの部分をなるべく開くという形で、何も法令を破ってまでとかプライバシーを侵害してまでというような無謀なことを言っているわけではありません、それをぎりぎり限度まで、やはり国民の知る権利というものについてもわかっていただいて、その範囲で御協力をいただきたいと思うのです。 先般、この金丸氏の、五億円もらって上申書で済ませて罰金二十万円で済んだという一口ではっぱっぱと言える三点セットの問題がございましたとき、検察審査会に対して申し立てをした。その前から言いますと、たくさんの告発人が出た、そして、一度検察が捜査をもうこの辺で終わらせるというところが継続的にまたこれを捜査をした、しかし不起訴であったということから、検察審査会への申し立てということにしまして、私も申立人の一人になったわけなんですけれども、審査会でのその中身を、審査の議決というものの通知を読んでみますと、まあここに書いてあることをずっと読み上げるというのも時間の制約がありますので要点だけ言いますと、ここでは、まず検察審査会が、五億円の寄附というもの自身については、どの証拠から見ても、金丸氏の指定団体である新国土開発研究会を経由せず、被疑者金丸個人から直接他の候補者に分配されたのではないかという疑いについてのさらなる捜査をまたなければならない。よって、結論として、右疑いについての捜査は厳正かつ十分に尽くされたとは言えず、検察官のした裁定は不当である、こういった判断がまず第一点あります。 それからもう一つ、いろいろな人に配られたとする不特定な配付先の人たちに対する問題、その嫌疑についても、やはり本件の捜査は厳正かつ十分に尽くされたとは言えず、検察官のした裁定は不当であるという不起訴不当というこの議決がなされたわけです。そして、経過からいいますと、これもまたその段階でやはり調べましたけれども、これは不起訴とせざるを得ませんという形になったと思うのです。 ここまでやってきて資料を出して、そして検察審査会は強制力はない、これによってどうこうすることはできないことははっきりしていますけれども、ここまで検察審査会のものが出た場合に、これについてただこれは不起訴でございました、またはがきが一通来ただけで、申立人をした私のところにも来ましたけれども、それだけで済まされたのでは幾ら何でも、ここまでのところでは足りないのではないか。検察審査会という制度を活性化することも含めて、大臣に、こういった国民の一つの目、一つの大きな声になっている検察審査会というものについての尊重の仕方について一言伺いたいと思います。
○後藤田国務大臣 私は、やはりこの検察審査会というのは、戦後の国政全般の民主化の中で準司法の仕事とでもいいますか、検察等の仕事についても一般の方の意見を尊重しなければならぬということでこの制度は設けられたと思います。それだけに私は、こういう制度については、検察当局としては十分そういう制度の趣旨を考えまして、そして今度の事件についても、量的制限違反についての事柄については、検察としてはそれなりの十分な調べをした上でああいった結果が出てきたもの、かように考えておるわけでございますが、制度の尊重については、私はあなたの御主張と全く同じでございます。
○鈴木(喜)委員 それでは、法務省の方に伺いたいと思いますけれども、刑事局長に伺います。 今法務大臣に私がお尋ねしました検察審査会、告発についても審査会の裁定についてもどちらについても結局不起訴になったという経過でございますけれども、その経緯等について、簡単で結構です、後で書面ででも詳しくいただければ一番いいのですけれども、お答えをいただきたいと思います。
○濱政府委員 今委員お尋ねになっておられます検察審査会の議決に対して検察がどういう判断をしたかということをかいつまんでと申しますか、余り長くなるとまたあれでございますから、重ねてお尋ねがあればさらに詳しくお答えするということでお許しをいただきたいと思います。 検察当局におきましては、検察審査会の議決を受けまして、指摘された事項につきまして再検討をするとともに必要と認められる捜査を行ったわけでございます。 本件五億円がその後指定団体を経由して分配されたかどうかということが争点になったわけでございますが、収支報告書に記載があるかどうかということによって決められるべき問題ではない、その取り扱いの実態に即して判断すべき事柄であろうということから、この点に関する金丸前議員やあるいは生原元秘書の供述等も検討したわけでございますが、金丸前議員サイドにおける政治資金の従来からの取り扱いの実情、これは一口で申しますと、金丸前議員が受領した政治資金は指定団体に集中して管理、支出していたという取り扱いの実情があるということなどを考慮いたしますると、先ほど申し上げました金丸前議員や生原元秘書の供述は信用性がないとは言えない。 他方、その供述を覆して、本件の五億円が金丸前議員個人の裏金として保有されたまま直接にほかに分配されたということを認定するに足る証拠、もう少し申しますと、合理的な疑いを入れない程度にそのことを証明し得るに足る証拠はないということから再度不起訴処分を行ったというように理解しているわけでございます。
○鈴木(喜)委員 今のお話で私が知らないところが一つありました。金丸氏自身また生原氏自身の供述の中でも、取り扱いの実態から見ると、そのときの五億円でなくても政治献金というものは一たん指定団体に入れている実情があったということなんですが、それは供述なんですか、それともそういった申告書その他について指定団体の書類の中にそういうことが書かれていたということなんでしょうか。
○濱政府委員 余り証拠の内容に立ち入ったお答えは差し控えさせていただきますけれども、今の御指摘の点について端的にお答え申し上げますれば、そういう点について供述もございますし、例えば収支報告書の記載等も勘案したというふうに御理解いただきたいと思っております。
○鈴木(喜)委員 その収支報告書の当年度でない部分、もう少し過去にさかのぼっての部分ではかなりそういった意味で書かれていたということ、私今伺ったところでは、供述とともにそうした書証もあるのだというふうに伺ったわけでございます。そうしますと、そこは書いてあって、そして今回のこの収支報告書は、私も写しを手にしたことがございます。その写しの中で見ますと、そこには全く影も形もない。これについて、だからこれも入れたのだろうと思うのか、それともこれはやはり入れなかったのではなかろうかと思うのと、解釈の問題としては二通りできると思うのですよ。 これをどちらに解釈するか。いつも書いてあるのにそこだけ書いてないから、ここは書くのを忘れたのだろうと思うのか、そうじゃなくて、ここだけ書かなかったのは、やはり入れなかったのだろうと解釈するかということは、どちらをとるかは裁判所の判断でも仰がない限りはわからないところではないでしょうか。それを今検察ではこうではないというふうにやったのには、多分もう一つ二つそれを補強するための何かがあったのかもしれないと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○濱政府委員 まず初めに、その前提としてちょっと考え方をお答え申し上げたいと思うわけでございますけれども、検察官は、御承知のとおり、犯罪の捜査をして合理的な疑いを入れない程度に証拠上犯罪を証明できるという行動の見込みがある場合に初めて公訴を提起することができるわけでございます。 今委員が御指摘になっておられる本件の告発事実、もう少し申しますと、金丸前議員が寄附を受領した五億円、これが告発事実によりますと金丸議員から直接約六十名の者に分配されたという告発事実になっているわけでございます。したがって、検察官が告発事実について証拠を収集して判断をする場合には、告発事実について合理的な疑いを入れない程度に証拠が十分集まっているかどうかという判断をしなければならないわけでございます。 端的に申しますと、この量的制限違反の事実につきましては、ちょっと大ざっぱな言い方をしますと、金丸前議員の指定団体に一たん入った後約六十名の者に分配されたという点について合理的な疑いが残る限りは、告発事実について犯罪の証明が十分であったということで公訴を提起することができないということは御理解いただけると思うわけでございます。告発事実について合理的な疑いを入れない程度に犯罪の証明ができるという場合に初めて公訴を提起することができるわけでございますから、仮に、一たん指定団体に入って約六十名に分配されたということについて合理的な疑いが残る限りは、告発事実について、結論的には証拠上嫌疑が不十分であるという判断に到達せざるを得ないということになるわけでございます。 委員が今おっしゃっておられますように、過去数年間の政治資金の取り扱い状況というものについて、収支報告書の記載というものも一つの状況証拠として考えられることはもちろん申すまでもないことでございますけれども、収支報告書に記載されていないものはすべて政治活動に関する寄附ではないというふうには必ずしも言えないわけでございますから、結局指定団体に入れるか入れないかというのは、いろいろな事情、言葉が誤解を受けるといけませんが、指定団体に入れたとしても収支報告書に記載するかどうかというのは、それはいろいろな事情があって、記載される場合もされない場合もあると思われるわけです。端的に申しますと、指定団体に入った寄附であっても、表に出るものと裏金として処理されるものがあるであろうということは、一応考えなければならないであろうということでございます。 したがいまして、現行の政治資金規正法の建前は、これはもう委員も十分御案内のとおり、特定公職の候補者が個人として受けた寄附は、できるだけ指定団体として届け出た指定団体に入れてそこに集中させて管理するという、政治資金の公明性というか透明性を図ろうとしているものだと思うわけでございますから、そういうことも考え合わせますと、指定団体を届け出ている場合には指定団体に集中させるというのが政治資金規正法の建前でもございますし、仮に特定の公職の候補者について指定団体を届け出ている場合には、そういう指定団体に入れるということも想定されなければいけないわけでございます。 ただ、今委員御指摘になられましたように、それでは五億円というのは収支報告書に記載がないではないかという仰せだと思うわけでございます。それは、記載しなかった理由はいろいろあるかもしれませんけれども、要するに指定団体の裏金として扱われたということも考えざるを得ないではないかということを申し上げたわけでございます。
○鈴木(喜)委員 何だか私にはなかなかわからない、禅問答に近いような感じがしてきました。今ので伺いますと、透明性と言いますけれども、指定団体を通れば、五億円であろうが十億円であろうが、本当に透明に、だれにも姿も影も見られずにすっと通り過ぎてしまって、それで検察もよろしいんでございますと言われてしまうと、私のところにはだれも五億も十億もくれないけれども、一遍指定団体に入れました、どこかにすうすう行ってしまいました、それは私は入れましたというふうに言えば、それで検察はもうそのまま素通りで何のおとがめもなしたということをおっしゃっているような、過去において収支報告書にそれなりに記載がしてあれば、それによっていいのだということになってしまうような、そんなことで、私たちが一生懸命透明性を守らなければいけないということでやっている、政治家の一人一人の清潔な政治というふうに言っていることが、検察みずからが、いいんだ、ここに一遍入れたよ、それですっといっちゃったら、何も残らなければこれでいいんだよとおっしゃるのでは、これは法的安定性も害するし、また国民の不信感をますます増すことになってしまうのではないか。 私は、別に局長の言われたことについて曲解をしようと思って言っているわけではないのですが、どうしても、聞いていると、この次私がもらったならば、そうした方がすっといくのかなというような気がしてしまいます。これは非常にゆゆしき問題であると思いますが、長くなりますと時間がありませんので、一言でいいですからお答えいただきたいと思います。
○濱政府委員 一言でお答えいたしますと、要するに政治資金規正法上、例えば収支報告書に記載がない場合にはそれは政治活動に関する寄附とは認めないんだというようなことが、そういう規定が仮にあるといたしますと、収支報告書に記載がないものはすべてそれは政治活動に関する寄附とは考えないということになるだろうと思うわけでございますが、そこが現行の政治資金規正法はなっていないというところが一つの、問題点と申していいかどうかわかりませんが、ということではなかろうかと思うわけでございます。
○鈴木(喜)委員 今のお話を伺いまして、一つは、確かに政治資金規正法そのものがまだまだ不十分であるところがあり過ぎる法律であることも間違いありませんけれども、どなたかがおっしゃっておりましたが、検察は、やはりここに今ある法律、与えられた法律の中で、その法律をどのように運営していくかということがまず必要なことでありまして、包丁の切れ味が悪いからといって、料理がまずくなった原因をそこに持っていくということ自身、するべきというか言うべきことではないのではないかというようなことを私どこかで読んだことがありますけれども、そういったことも考えなければならないと私は思うのです。 不備な法律でも、要はやる気の問題であり、今のようなお答えになるか、または私の言ったようなお答えを、どこかで主客が転倒した場合には逆に答弁されることになるか、これは要は検察のやる気ではないかというふうに思います。ぜひこの点も、これから今後の捜査ということについても、気を入れてやっていただきたいと思います。 次の問題に移りますけれども、この金丸信氏のことに関しましては、もう既に刑が確定しているわけですけれども、この裁判の確定記録の閲覧についてですけれども、まだ一部これが閲覧を許可されていない部分があるのではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○濱政府委員 今委員が御指摘になっておられます確定記録につきましては、これは検察当局が関連事件の捜査中であって、これを閲覧させた場合にはその捜査に影響を及ぼすおそれがあるということで、閲覧を拒否したことは御案内のとおりでございます。その判断が最高裁判所でも支持されたものと承知しているわけでございます。 政治資金規正法上の量的制限違反事件につきましては、先般検察当局が不起訴の終局処分を行ったところでございますが、検察当局におきましては、現在もなお、政治資金規正法上の収支報告書不記載罪や所得税法違反等の残りの告発事件の捜査を続けているところであることも、これは委員御案内のとおりだと思います。検察当局におきましては、そういう捜査中の事件との関係をもにらんで、閲覧請求があった時点において、刑事確定訴訟記録法の規定に従いまして適正に対処するものと思うわけでございます。
○鈴木(喜)委員 この記録については、やはり国民の疑惑というものの一番中心点にある部分が今まだそういう他の事件ということの関連において閲覧ができないという状況にあるわけですけれども、私たちはやはり国政に携わる者として、ぜひとも疑惑の真相の解明という点からいうと、これは必要なものだと思うのです。 私は国会法の百四条に基づきまして、これは国政調査権を行使して、この記録についてはこれを提出するということで、国会法百四条に基づきまして提出を求めたいと思いますけれども、これを委員長、よろしくお願いをしたいと思います。
○浜野委員長 検討してからお答えします。
○濱政府委員 ちょっと一点念のために申し上げさしていただきたいのですが、先ほど委員から御質疑があって私がお答えいたしましたのは、確定記録の閲覧と申しますか、御案内のとおり、刑事訴訟法五十三条一項及び刑事確定訴訟記録法の規定に基づく閲覧のことについて申し上げたわけでございます。 今委員がお尋ねになられましたのは、ちょっと視点、観点を変えられて、国会法百四条に基づく確定記録自体の提出要求ということをおっしゃられたと思うのでございますけれども、これは先ほどの確定記録の閲覧の問題とは若干違うわけでございまして、議院あるいは委員会から国政調査権に基づいて確定訴訟記録の提出要求があった場合におきまして、これに応ずるということになりますと、これは特定の被告事件の審理及び裁判を国政調査の対象とする事態を生じさせる結果となるわけでございまして、司法権の独立を侵すおそれがあるということで、訴訟記録それ自体につきましては、その全部である場合はもちろんのこと、その一部を構成する証拠書類に係る場合でありましても、これを提出することは差し控えるべきものではないかというふうに考えているということだけを一点、そういう法律的な問題があるということだけを申し上げたかったわけでございます。
○鈴木(喜)委員 そういうふうにおっしゃるから、ここで出てこないから疑惑が増すわけですよ。別にだれかもう一つ刑事訴訟をこれによって訴追をしようとか言っているわけではなくて、今確定してしまったことについて、その中身についてだけ見たいと言っているわけですからね。これは国政調査権としたって重大な国民全体の関心があるところの部分について解明をしようということで、何もこれを全部に公表することではないけれども、私たち代表の権利のある者がこれについてこれを見せてください、これを国政の問題として、国政調査権としてということで申し上げましたのですから、議論をするつもりはございませんけれども、後ほど、委員長、またこれはよろしくお願いを申し上げたいと思います。 それで、この問題は金丸さんの五億円の問題でございますけれども、今非常にホットな話題になってきていますのは、八年前に起こった事件ですけれども、いわゆる金屏風事件というものがありまして、平和相互銀行の関連した住友との合併前後に生じた事件でございます。この金扉風事件は、要するに不起訴になって、別に起訴された事件でも何でもないわけでございますけれども、この事件に関連しての問題でまた一つ同様に、私たち今考えなければならない問題があると思います。 これは大変細かい問題になって申しわけないのですけれども、平和相互銀行の事件で伊坂という平和相互銀行の元監査役だった人の幾つかの事件、この金屏風も含み、またもう一つの屏風と言われている扉風の土地の問題、それから馬毛島の問題、こうした問題をひっくるめた形でいろいろな証拠物を検察が押収された。ところが、その証拠物の押収をされたけれども、金屏風に関するもの、また馬毛島に関するものは起訴をされなかったということでございますから、当然その証拠物については、私たちこの国会で、国政調査権に基づく合理的な理由があるものであるならば、これはまたここで提出をするということを私は求めたいと思うものがあるわけでございます。 これはその伊坂氏の関係する「押収品目録」の中なのですが、その事件番号が昭和六十一年三〇三四号というところまでわかるのですが、その真ん中のワとかケとか書いてある番号のところがちょっとわからないのですけれども、そこの中にある符号三一九二、それから番号が三六番というところに「真部氏関係資料」というものがございます。 この「真部氏関係資料」の真部というのは、この金屏風事件において、時価数億円の金屏風を四十億円で売った画廊の社長でございますけれども、この「真部氏関係資料」というこの資料一式はどこにあったかといいますと、これが平和相互銀行のそのころの会長でありました田代さんという方の秘書のその人の机から、秘書をやっておられたと思うのですが、間瀬次長さんという方がいらっしゃる。その間瀬次長さんの机から押収をされたというふうに「押収品目録」の中に記録をされております。 この「真部氏関係資料」というものは、人的な問題として真部氏その他これにかかわる者がたくさんいらっしゃる事件ではありますけれども、物証の中では大変重要な部分。いずれにせよ、この事件、金屏風を立件するかしないかということのためにやはり判断に役立ったものであろうというふうに思われるわけですが、これがまだ還付されないまま検察のところに現在もあるということでございますけれども、あるということはまずそのとおりでよろしいでしょうか。
○濱政府委員 具体的証拠の内容にわたることについては、これはお答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。 ただ、一般的に申しまして、今委員がおっしゃっておられるのは、証拠物と申します証拠品、押収品のことをおっしゃっておられるのかもしれませんけれども、押収品を含めまして、この捜査資料と申しますのは、これは改めて申し上げるまでもございませんけれども、検察当局、捜査機関一般はそうでございますけれども、捜査機関が刑事責任を追及するあるいは刑事責任の有無あるいはその程度を明らかにする目的で収集したものでございます。 したがいまして、その証拠物を含めた捜査資料を刑事手続以外の目的に利用するとか、国政調査権の行使をも含めて刑事手続以外の目的に利用しあるいは公にするということになりますと、これは先ほど捜査資料のことについて大臣からもお答えございましたように、関係者の人権、名誉、人権の保護はもちろんのこと、国民の信頼と協力のもとに円滑に遂行しなければならないところの今後の捜査、公判に重大な支障を生ずることになるわけでございますので、そういうものを提出するということはいたしかねるわけでございます。 ただ、もう一点、今の、一般論として押収物について申し上げますと、刑事事件の終結後における証拠品の扱いというものは、これは没取の裁判が確定したものを除きまして、速やかに被押収者に還付すべきものとされているわけでございます。先ほど申しましたように、押収されたものについては、これは国政調査活動の一環として国会に提出させるということはいたしかねると思うわけでございます。ただ、今の委員がお触れになっておられます具体的事件でございますね。これは、伊坂重昭被告人に対する特別背任等被告事件については、現在東京高裁に係属中でございまして、近くその第一回の公判が行われると承知しているわけでございますが、その第一回の公判の準備の関係で、東京高等検察庁の検察官において証拠品の検討もその公判準備のためにしていると思われるわけでございますから、そういう観点から、先ほど申しましたように、没取の裁判が確定したものを除いては速やかに被押収者に還付すべきものとされている法の規定に従って適正な処理をするものというふうに考えているわけでございます。
○鈴木(喜)委員 いや、それは非常に事実と違うと私は思います。というのは、この問題については、この伊坂氏の問題で、金屏風に関する問題については全くこれはもう今立件しないということで、これは何もこの資料だけじゃないのですよ。ほかにも金屏風の売買契約書でありますとか、それからそのほかこれに関連する問題についてのさまざまな、株式を佐藤という人がたくさんあちこちから買って、三十数%というものを、株式を持った、その売買の株式の譲渡契約書であるとか領収書類であるとか、そういうものもこの金屏風の事件にまさに関係がある。 特にこの金屏風の売買契約書なんていうのはそのものずばりの問題ですし、また小切手ですとか手形ですとかそういうものも当然あるわけです。これはみんなもう返ってきているのですよ。返ってきているわけで、これだけ自身が、何も捜査の必要で高等裁判所に係属している伊坂氏の現在のその問題に、これにかかわっているというふうな問題ではあり得ないわけですよ、刑事事件としては。 ですから、それを還付請求があって返すということ自体にはまさに問題はない、還付請求には応すべきものだろうと思うのですが、そういったもの、これ自身は、その還付請求権者であるところの会社がありますよね。これは今は平相銀と合併した住友銀行だと思いますけれども、この住友銀行が還付請求権者ではありますけれども、そのところの所有に属するものであって、そういうものではあるけれども、これを今所持しておられるのは、領置しておられるのは検察であり、そしてこの証拠というものが、私たちが今ここで、検察行政というものが、この八年前にあった事件について検察はきちんと十分な捜査をしたのかどうかということを見ることのために必要だというならば、これを国政調査権を行使してこの場に提出してもらうということが、何でそれが一々そんな拒否すべき理由になるんですか。 もしそういうふうにおっしゃるのであれば、検察行政を、こういった、例えば検察が本当にしっかりとしたのであろうかということを後から調べるときは絶対何も出てこないということになっちゃいますよ。そうしたら調べられないということでしょう、国政では。そんなふうに思っていいのですか。検察というのは、そういう国政調査権にも何も服することなく、そういうことがあってもこれはもうしっかりと私たちはこれでやりますから安心しておやりなさいということだけを国民に言えばそれで済むものだと今のような状況でも検察は思っておられるのですか。
○濱政府委員 ちょっと私先ほど申し上げた点にあるいは舌足らずの点があったかもしれませんが、冒頭にお断り申し上げましたように、今委員が具体的に指摘しておられる特定の証拠物があるかどうかということをも含めて、ちょっとそれはお答えを差し控えさせていただきたい。 証拠物をも含めた捜査資料の国会への提出等につきましては、先ほど一般論としてお答えしたとおりでございます。
○鈴木(喜)委員 ですから、私はここでやはり国会法の百四条に基づきまして、今申し上げました記録、関係資料一式について、これを提出してもらうように求めたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
○浜野委員長 検討いたします。
○鈴木(喜)委員 次の問題に行きますけれども、このいわゆる金屏風事件に関しまして、八年前ですから、捜査が始まりまして七年くらいたちますが、そのころですけれども、この問題について一番先にだれでもがおかしいな、どういうふうになっているんだろうなと思うのは、五億円くらいのものだ、数億だと言われている金屏風を四十億円で売った、その売った代金の差額、この差額というのは、これはもうけといえばもうけになるのかもしれないけれども、このお金は一体どこへどのように流れたのかということだろうと思います。 この点について、例えば税法上の問題等もあると思うのですが、このあたりについては過去において、このころ検察としたら非常にきちんと取り調べをされたと思うのですけれども、このあたりについて、支払い代金がどのような形でどこへ流れていったのかということについてはきちんともうお調べになっていたのかどうか。そこまででまず一つお聞きします。
○濱政府委員 この平和相互銀行に関する特別背任事件の捜査の過程におきまして、今委員が御指摘になられました金屏風に関する疑惑について、これは当時国会でも取り上げられまして、またいろいろな報道がなされたことはもちろん承知しておるわけでございまして、検察当局もこれらの報道を念頭に置いて捜査を行ったわけでございます。 御指摘の金屏風の取引に関しましては犯罪となるような事実は認められなかったというふうに聞いておるわけでございまして、起訴されなかった事実関係につきましてはお答えを差し控えさせていただきたい。特に、今委員がお尋ねになっておられますように、その捜査の過程でどのような事実を把握したかというようなことは、これは捜査の中身にかかわることでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいわけでございます。
○鈴木(喜)委員 なかなか答えてはいただけないと思います。これは検察からお聞きしてもなかなかできないものであれば、他の方法でいろいろと伺っていかなければいけないと思います。これからの質問をまたずっと続けていく中で明らかにしていきたいというふうに思います。 もう一つ、この平和相互銀行の問題の中で、既に還付請求をされまして、そして返ってきたいろいろな証拠物の中におきまして、旧平和相互銀行が金屏風を買い取る、伊坂氏、その関係の会社、コンサルティング・フォーラムという会社があるわけですけれども、そこへ貸し付けをしているわけですね。昭和六十年というのはもう今から八年も前ですけれども、億というお金が物すごい単位だったころだと思いますけれども、四十億という貸し付けをするということになりますと、これは銀行で、たとえ大きな担保があるところだって貸し付けなどはそう一朝一夕に簡単にいくものではないと思うのです。 その書類の中に、融資稟議書それからまた融資稟議書に伴って取引状況の調べだとか、それから貸付稟議書その他、銀行の内部にいろいろ書類があるわけですけれども、ここのどこを見ましても、お金の額と、何に使うかというと運転資金だ、二十億、二十億で運転資金である、それで返済は売上金である一期目に一括して返済する。それだけで、担保は二億しかない。担保というのは、これは普通の担保ではないらしいのですけれども、何かちょっと不動産は書いてあるということで、あとはもう何も書いてない。ただ判こだけぺたぺたといろいろな人の判こが押してある。こういうようなことで、私たちが銀行に、貸し付けに行ったら、その何百分の一であったってなかなかこうはいかないだろうと思うくらいきれいさっぱりとした稟議書です。 これで担保もなしにお金を貸しているということになったら、この平和相互銀行というのはそのときには非常に経営の困難に陥っている時期ですから、これはひとつここで特別背任とか背任の問題は、その判こをぺたぺた押した、最終的に判断をした人たちに起こらないということはないと思うのですけれども、これも全く不問に付されたのかどうかというのは私は非常に単純に疑問に思うわけなんですけれども、この点はいかがでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○濱政府委員 具体的な事実関係、特に起訴されてない事実関係につきまして立ち入ったお答えはいたしかねるわけでございます。 一般論として、一般的に申し上げることでお許しをいただきたいと思うわけでございますが、商法上の特別背任罪が成立するためには、会社の取締役、監査役等がその任務に違背して会社に損害を与えたということに加えて、いわゆる図利加害の目的、すなわち自己もしくは第三者の利益を図る目的があったということ、あるいは会社に損害を加える目的があったことが必要である、専ら会社の利益を図る目的から出た場合にはその罪は成立しないというふうにされている、これはもう委員御案内のとおりでございます。本件におきましても、もちろんそのような図利加害の目的を含めて、特別背任罪の構成要件を充足するような事実は認められなかったというふうに聞いているわけでございます。
○鈴木(喜)委員 いや、図利加害目的がこれでなかったというのは、この真っ白けの紙に判こだけぺたぺた押して、そしてだれか第三者の利益に供するためでなくて四十億ものお金をばっばかばっぱか融資をしてしまうというのは、どう考えたってやはりおかしいですよ。ただ、ここで幾ら言っても、今、捜査の問題をここであれこれ言っても仕方がありませんからまたこの次の機会に、もう少し日を改めましてこの問題について、またこれの関係する先ほど要求をしました二つの物との関連とか、また関係者とかいうこととのいろいろな調査を含めまして、またこの次にしたいと思います。 あとの時間をちょっとほかの問題に移らせていただきたいと思います。 実は、法務省の入管局に伺いたいと思うのですけれども、法務省の入管局で扱われることなんだろうと思うのですが、実は難民の認定の問題がございます。もちろん、認定そのものの当否ということについては今回触れようと思っているわけではないのですけれども、これから先、法務省の入管局、また先ほど大臣からもお話がありました法務局の登記業務その他に関して人員というものが非常に必要になり、国民の生活、また入管の場合には外国人それぞれの人たちの人権も守り、その懇切な対応ということがどうしても必要になる、そのためには、機械化ばかりでなく、人の配置ということもぜひとも必要になってくることだと思うのです。 パレスチナの難民の方なんですが、その方が難民申請をしたときに、言葉の問題の障害が非常に大きくクローズアップをされた。その方はクウェート生まれのクウェート育ち、言語はアラビア語であるわけなんですけれども、ところが入管局では、この人を扱うのにペルシャ語の堪能な方をおつけになった。私は語学が非常にわからないのですけれども、ペルシャ語とアラビア語というのは、字なんかを見ると私なんかどこが違うのかよくわからない字でございますけれども、違うのだそうで、わからないのだそうです。それで、結局対応するときにはそれじゃ英語でやりましょうということになった。英語でやるというときに、そのペルシャ語に堪能な方はそんなに英語が堪能ではなかった。そして、こちらのその難民の方も英語はある程度使える方であったから、何とかそこで通じさせてやったというのですけれども、それでは事実の確定その他がはっきりといくことはない。せめて英語が堪能な方に今度は切りかえていただければまだ意思の疎通といいますか、言いたいことが言えたかもしれないのに、このあたりに入管局の、お忙しいのもよくわかる、大変なのもよくわかるのですけれども、人材の配置、その点にきめ細かさが足りないのではないか。このあたりの改善方を私は要求したいと思うのですけれども、御答弁をいただきたいと思います。
○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。 難民認定を含めまして外国人が入管局と接触いたします場合には、正確にいろいろ事情を把握する必要がございますので、特に難民認定の場合は通訳を配置する、雇うということを原則としてやっております。特に難民の場合は、難民条約の規定に合致しているかどうかということを判断するというのがキーポイントでございますので、本人の言い分等を正確に把握するということが必要であることは御指摘のとおりでございまして、またその審査の段階に当たりましては、本人の人権とか、特に難民条約の趣旨を体しまして本人の人権にも十分配慮してやっていかなければならないということは、常日ごろ我々も十分認識しているところでございます。 今先生が御指摘になられたケースにつきましては、聞いてみましたところ、本人は非常に英語が上手だということだったものですから、本来ならばアラビア語の通訳をつけるのが一番よかったのかもしれませんが、なかなか入管局においても、いろいろ通訳をふだんから手配はしておりますが、必ずしも本国語を話す信頼のできる通訳が得られないこともございまして、この場合はイラン人でありますけれども英語に堪能だということで、ほかのケースにも使いまして特段苦情がなかったということで、非常に英語も上手だということで使ったようでございます。 ただ、ペルシャ語とアラビア語は文字は全く同じでございますけれども、言語が違うので、若干ペルシャ語の通訳を使ったかのごとき、それをペルシャ語の通訳で間に合わせたかのごとき印象を与えたとしたら、これはそういうことではございませんので、英語もできるということで使ったわけでございます。しかしながら、今先生がおっしゃったように、もし本人におきまして自分の言い分が十分伝えられなかったということがあるとすれば、この辺はもう一回よくチェックしてみたいと思います。 ただ、東京入管におきましても、昨年はいろいろな言語、もちろんアラビア語も含めましてウルドゥー語とかいろいろな通訳を手配したわけでございますが、常にその瞬間におきまして優秀な通訳が手配できるということでもないという事情があることは御理解していただきたいと思います。
○鈴木(喜)委員 今の局長のお話で大体わかるのですけれども、ぜひこれからは気をつけていただきたいのですが、そういうことでありながら、便宜的にペルシャ語のわかる通訳さんを使われたということではないんだとおっしゃるのですが、出頭通知書、ここに書いてある、通知書に書かれているこのアラビア語のようなペルシャ語のような文字ですけれども、これは全部ちゃんと読める人に読んでもらいますと、やはりペルシャ語で書かれている。これでは、今おっしゃったのはそうかもしれないと思いつつも、この通知書のところに書かれているのがペルシャ語であるということになると、やはりこれはその方を使ってしまったんじゃないかというようなふうに受け取られても仕方のない部分があると思うのです。少しでも読めればもうちょっと何か言いようがあるのですけれども、本当にわからなくてあれなんですけれども、こういうことはこれからもたくさんあることだと思いますので、ぜひ入管としてもいろいろと御留意いただきたいと思います。 この点は裁判所においても同じような問題が、裁判において外国人が被告人になる場合等々あると思われます。時間が余りありませんけれども、この点についての御配慮ということで裁判所の方はどうされているのか、御答弁を伺いたいと思います。
○島田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、裁判所においても年々そういう通訳を要する事件がふえておりますし、特に今問題になりましたペルシャ、アラビア、そちらの方のいわゆる少数言語の被告人がふえておるわけでございます。 裁判所といたしましては、それらの事件に対応するために、まず第一番に有能な通訳人の確保ということを考えております。これにつきましては、施策としては、全国八高裁、各高裁単位で通訳人名簿を作成しまして全国の地家裁に備えつけております。また、全国の地家裁でも通訳人に困った場合、その名簿にもないような場合には私ども最高裁の刑事局へ連絡をとるようにいたしまして、私どもとしては、外務省等のお助けもかりまして、在日外国公館あるいは大学とか専門学校などにも問い合わせ、場合によってはNHKとか諸団体、華僑総会、ベトナム協会等、そういう諸団体にも問い合わせて通訳人の確保に努めておる状況でございます。 その他幾つか施策をとっておりますが、時間の関係、よろしいですか。
○鈴木(喜)委員 また後日伺います。
○島田最高裁判所長官代理者 じゃ、ただいまのところは、とっておる幾つかの施策のうちの一つとして、通訳人の確保、名簿の作成という点にとどめてお答えさせていただきます。
○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。 終わります。
○浜野委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○浜野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。伊東秀子君。
○伊東(秀)委員 平和相互銀行と住友銀行の合併にかかわる当時の事柄についてお尋ねいたします。 まず、昭和五十九年、六十年、このころにおける平和相互銀行の実情について、大蔵省はどのように把握しておられたのでしょうか。
○墳崎説明員 昭和六十年当時の平和相互銀行の状況でございますが、預金量は約一兆二千億円、経常利益約五十億円、職員の数は三千五百人程度でございます。相互銀行業界では、六十九行中六位に位置しておりました。 なお、当時の有価証券報告書によりますと、これは昭和六十年三月期の報告書でございますが、一つは、当時の常務取締役でございました小宮山英一氏が、六十年三月常務の役を解かれ取締役になった。それから、四月三十日には平和相互銀行が、関係会社でございます総武通商株式会社に対しまして会社更生法の手続開始の申し立てを東京地裁に行った一そういったことで関係会社との間で幾つかの訴訟事件が生じていた、そういうような状況にあったと承知しております。
○伊東(秀)委員 当時の状況、今伺いますと、一兆二千億円の預金があり、六十九行中六位である。ということであれば、大変業績がよかったかのように聞こえるんですが、債権の中身とか銀行全体の状況についてはどういうふうに把握しておられたのでしょうか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 一般的に金融機関の資産の状況につきましては、私ども、ただいま申し上げたような有価証券報告書、それから金融検査等によりましてその状況を把握しておりますが、先生、申しわけございませんが、個別金融機関の検査の中身、その状況につきましては、信用秩序維持、そういった観点からも答弁を差し控えさせていただきたいと存じております。
○伊東(秀)委員 では、事実を特定してお尋ねいたします。 昭和五十四年の大蔵省の検査により、平和相互銀行は約四百億円以上の簿外保証が発覚した。正確には四百三十五億円、五十四年の三月期でございます。そして、関連企業への無担保融資等がかなり多いというような状況を大蔵省が検査で認識した。有価証券訂正報告書などを大蔵省へ出しているということを私の方でつかんでいるんですが、そのとおりでございますでしょうか。
○小林説明員 旧平和相互銀行に対する検査でございますけれども、昭和五十四年におきましては、昭和五十四年十一月二十四日を検査基準日といたしまして、十一月二十六日から十二月十九日まで検査を行っております。 しかしながら、この平和相互銀行に対する検査結果の内容につきましては、従来から内容についての公表は差し控えさせていただいておるので、申しわけございませんけれども御理解願いたいと思います。
○伊東(秀)委員 詳しい内容を報告してもらいたいということを言っているんじゃございませんで、当時相互銀行全体が、倒産が出るところもあり、金融自由化の波を受けて非常に苦しい状況にあった、その中で平和相互銀行はどうだったのかということを伺っているわけでございます。何も細かい債務が幾らで不良債権が幾らでという数字を並べてもらいたいということではございません。
○墳崎説明員 先生御指摘のとおり、五十年代から金融の自由化が始まっております。特に、金融新商品、例えば中期国債ファンドですとかそういうものは五十年代から既に始まっておりますし、またちょうど六十年ころから金利の自由化が始まっております。六十年には市場金利連動型の商品、いわゆるMMC、こういったものもできましたし、それから大口定期預金の金利自由化、こういうものもスタートしております。こういった金融の自由化が、先生御指摘のとおり、確かに金融機関に対しては金融機関間の競争の激化、こういう面でなかなか経営的には厳しい影響を及ぼしているということは一般的には言えるんじゃないか、こう思っております。
○伊東(秀)委員 この五十四年の検査の後、今おっしゃった中身によりますと、十一月二十六日から十二月十九日の間に大蔵省の検査を行った後に、監視体制を強化するということで大蔵省、日銀合わせて部長クラスの方三名が平和相互銀行へ派遣されておりますが、事実に間違いないですか。
○墳崎説明員 先生、申しわけありませんが、ちょっと資料が今手元にございませんので、至急調べましてお答えさせていただきます。
○伊東(秀)委員 大蔵省の検査は二年ごとに行っていると思うのですが、五十六年、五十八年にも調査をやっているかと思います。その五十八年なんですが、五十八年の六月の平相銀の取締役会で、大蔵省の銀行局総務課長、かつて総務課長でありました田代一正さんが平相銀の役員としておいでになっておられます。 この田代さんの経歴は、私が調べたところによりますと、大蔵省銀行局総務課長を経て、このころ山一証券の救済融資で大変敏腕を振るわれたということのようですが、その後、防衛事務次官になられて、日銀の理事を二期四年おやりになり、日本証券金融株式会社におられたときに、大蔵省から、もっと大所高所から物事を見られる人を、指導できる人を入れなさいということで平和相銀の方へ要請があり、五十八年六月の取締役会で役員として迎えたということのようでございますが、これは事実でございますか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 先生が今概略おっしゃいました田代一正氏の経歴はそのとおりでございます。ただ、最後の点でございますが、大蔵省の方からどうかということを申し述べたかどうかについては、ちょっと申しわけございませんが、今事実が確認できません。
○伊東(秀)委員 今の事実もあわせて確認して、後でお知らせ願います。 それから、この田代さんは五十八年の十二月には代表権のある会長へ就任しておられます。そして、田代さんが就任するころは、もちろん銀行の収支は当然のこととして、役員の大事についても、さらには株式の譲渡、要するにだれに売った、買ったというようなはめ込みについても大蔵省の決裁が必要な決算承認銀行になっていたと平相銀の当時の役員の人が語っておられますが、それに間違いございませんか。
○墳崎説明員 お答えを申し上げます。 決算承認制度というのは確かにございます。ただ、その中身といたしまして、例えば株式の移動とかあるいは役員の異動につきまして、これを特にその承認にかからしめるというような制度にはなっておりません。
○伊東(秀)委員 今言った決算承認銀行というのはどういう銀行に対して行うのでしょうか。それから、通常、各年度、例えば五十九年度、六十年度、幾つぐらいの決算承認銀行がおありだったのでしょうか。——昨日、質問通告しておきましたが、決算承認についても詳しく調べておいてほしいと。
○小林説明員 申しわけございませんけれども、今手元に詳しい基準がありませんので、後刻調査の上、回答させていただきたいと思います。
○伊東(秀)委員 そちらの方で、銀行局として通常把握しているところで結構ですので、詳しいことはこの質問中でも、きょうじゅうでも結構でございますが、今把握しているところでお答えください。どういうような銀行に対して、何を把握したいために決算承認銀行に指定するのかが第一点と、平相銀が当時決算承認銀行であったか否かについてお答えください。
○小林説明員 一般的に、検査の結果当該銀行の資産内容とかそれから収益状況等々、その銀行の運営が健全になされてないというところを見て、あと総合的な見地から、当該銀行を決算承認にするかどうかということを行政的に判断しております。
○伊東(秀)委員 といたしますと、当然運営が健全になされていないということであれば、大事に関しても大蔵省としては注意を払い、指導を行うというのが当然かと思いますが、そのようなことを平相銀に行っていたかどうか、それから平相銀が当時決算承認銀行だったかどうかについても答弁漏れでございますので、お答えください。
○墳崎説明員 まず一番目の平和相互銀行が決算承認銀行であったかどうかにつきましては、先生ぜひ御理解いただきたいのですが、そういうことが、承認銀行であったか否かということ自身が公になりますと当該銀行の信用にもかかわるということでございますので、具体的にそういうことについては一切公表しないということでございます。その点を御理解いただきたいと思います。 それから、先ほども申し上げましたが、この決算承認制度の中で人事そのものについて指導すべきだ、こういうことでございますが、銀行法にも書いてございますように、もし具体的に大事について指導する場合には銀行法に基づく指示ということになろうかと思います。ですから、承認制度であるから直ちに何かそういうものをやるという制度ではないということを御理解いただきたいと思います。
○伊東(秀)委員 私が独自に調査したところによりますと、田代一正氏が大蔵省から下って、当時は日証金に移っておられたわけですが、大蔵、日銀を体験された方が下ってから、六十年の二月の末に内容証明で小宮山一族及び小宮山氏の関連企業に対して、約百社くらいあったと言われておりますが、抵当権の設定登記がなされてないから設定登記をするように、さらに関連企業に対しては、これは通常ですけれども、代表者は個人保証をするように、また小宮山英蔵氏、彼は五十四年の六月に死亡しておりますが、それ以前のヂーゼルに関する投機の失敗その他でかなりの損失を平和相互銀行にかけていた、その株式投機の損失を埋めるために私財を提供するので必要に応じて処分をしてもらいたいという内容の念書が平相銀にあったがためにこういった平相銀の株を提出せよ、この三点について内容証明を出した。ところが、三月七日付で二千百六十三万株ですか、当時の持ち株の三三・五%に当たる株を小宮山一族が売却したということになっております。 この二つの事実について、大蔵省は当時把握しておられましたでしょうか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 第一点目の関係でございますが、これは今、特定の金融機関と特定の企業間の具体的な取引にかかわる問題でございますので、答弁を差し控えさせていただければと思っております。 第二点目の株の関係でございますが、私どもが資料を調べましたところ、当時の有価証券報告書によりまして、昭和六十年三月末において御指摘の株が佐藤茂氏の名義になっているということは承知しておったようでございます。
○伊東(秀)委員 大蔵省としては、その佐藤茂氏への株の売却はいつ知ったのでしょうか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 ただいまちょっと資料がございませんので、いつ知ったかはつまびらかではございませんが、先ほど申し上げましたように有価証券報告書で、六十年三月末において佐藤茂氏の名義になっているということでございますので、通常であれば大体三カ月たてばそれが明らかになるということであったかと存じます。
○伊東(秀)委員 としますと、最終的には三カ月後には明らかになる有価証券報告書で当然把握していた。としますと、佐藤茂氏への株の移転が六十年の三月二十九日でございます。とすれば、六月二十九日には遅くとも当然知っていたということになると思いますが、それ以前に大蔵省の銀行局の方で把握していたかどうか。 私はきのう、この一年間の平相銀に関する細かいことを調べておいてほしいというふうに政府委員を通して、三名ないし四名もおいでになっていましたのでそのことを申し上げているのですが、きょうは余りに知らない、調べてないが多いような気がいたしますので、これでは国会の審議としてちょっと、余りに不誠実じゃないかと思うのです。
○墳崎説明員 先生、まことに申しわけございません。ちょっと私どもの事務方との連絡が悪くてそういうことになりまして……。 繰り返しになりますが、有価証券報告書の提出期日は六月二十九日になっております。やや制度的な問題を説明さしていただきますと、実は日本の銀行法におきましては、銀行の株式の移動につきましては特段大蔵省に届け出る、こういう制度にはなっておりません。例えばイギリスであれば、例えば五%以上の取得を行う、そういうような場合には事後の届け出とかそういう制度になっておりますが、日本はなっておりませんので、必ずしもその報告書以前に届け出があったかどうかにつきましては、ちょっと私どもとして今わからないということでございます。
○伊東(秀)委員 佐藤茂氏本人は、毎日新聞のインタビューに応じまして、三月二十九日に名義書きかえをした後の三月、だから三十日か三十一日しかないわけですけれども、時の竹下大蔵大臣を訪ねて、自分が三三・五%に当たる株式を取得した、当時から合併云々が問題にされていたからかとは思いますが、そのために平相銀の巨額の不良債権を考えると、体力のある都市銀行による吸収合併しかないと考えていたから、わざわざこちらから出向いて、株式を取得したことを説明し、よろしくとお願いしたというふうに答えておられます。 有価証券報告書以前、つまり六月二十九日以前に、少なくとも時の大蔵大臣竹下さんはこういう形で株の移動を存じ上げていらしたんじゃないかと思いますが、大蔵省としては六月二十九日以前は全く知らなかったと確実に言えるのかどうか、その辺をお答え願います。
○墳崎説明員 先生、再三で恐縮でございますが、ちょっときのうの連絡の段階で、その点を調べろという御指摘があったにもかかわらず、私どもの方でその辺の調査が行き届いておりません。現在、ですからその点、知っていたかどうかにつきましてお答えできないことをお許しいただきたいと思うわけでございます。
○伊東(秀)委員 知っていた可能性はあるかどうかについてはいかがでしょうか、そのほかのいろいろな事実から。
○墳崎説明員 何分にも六十年当時のことでございますので、ちょっと今即答しかねるところでございます。
○伊東(秀)委員 六十年の八月二十日から六十一年の一月二十八日まで、大蔵省は平和相互銀行に対して検査を行っております。 まず、質問の第一点目。この検査は通常の検査の長さから比べて長いか、通常の検査はどれぐらいの日程で普通なら行うかということが第一点。 それから、当時平和相互銀行でその検査を迎え撃つと言えばいいのでしょうか、大蔵省の検査に対して平相銀から応対してそれにお答えする人が中源三さんという方であったと私の調査ではなっておりますが、それに間違いがないかどうか。取締役検査部長だった方です。この二点についてお願いします。
○小林説明員 六十年に検査に入りました検査期間は、六十年八月二十日から六十一年一月二十八日ということで、全体で百四十三日検査を行っております。通常の大体の都市銀行等に対する検査は大体六、七週間ということでございます。このときの平和相互銀行に対する検査は通豊から比べますと若干長いわけですけれども、それは検査の中におきまして、調べるところはすべて調べるという観点で厳正に行ったということで、このような期間になったというふうに考えられます。
○伊東(秀)委員 厳正に調べなければいけない通常の期間が六、七週間といいますと、約三、四十日ということになると思うのです。その三倍から四倍の期間をかけているということですが、当然それはそれだけの検査しなければいけない中身が、内容があったということだと思うのです。細かいディテールはもちろん個別企業のことにかかわりますので結構でございますが、銀行の検査という、検査の存在意義といいますか趣旨から見て、どういうところが問題だということでこのように長期に及んだのでしょうか。
○小林説明員 個別の銀行の内容については答弁を差し控えさしていただきたいと思うのですけれども、この銀行の検査の場合、調べるべきところはすべて調べるということで、その調べるべきところが多方面にわたったということでこのような期間になったというふうに考えられます。
○伊東(秀)委員 それから、もう一つの質問についてお答えになってないのですが、中源三さんの件です。
○墳崎説明員 先生御指摘のとおり、当時の取締役検査部長は中源三さんでございます。
○伊東(秀)委員 この中源三さんについて私が調べました。それによりますと、昭和五十二年、当時、平和相互銀行に対して大蔵省の銀行局が入った検査の主任検査官であったということになっております。間違いございませんか。
○小林説明員 昭和五十二年六月二十日から昭和五十二年七月十七日に検査に入っておりますが、そのときの主任検査官が中源三でございます。
○伊東(秀)委員 その中源三さんは、その後、昭和五十五年、平和相互銀行の小宮山関係の関連会社である総武流山電鉄の顧問になっておられます。そして、五十七年の六月に、今おっしゃいました平和相互銀行の取締役検査部長に就任しておられます。この事実にも間違いございませんか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 私どもが承知しているところではそのとおりでございます。
○伊東(秀)委員 五十二年の検査が約一カ月だというふうに今おっしゃいました、六月二十日から七月の二十日。それからその前、五十四年のことを私が伺いましたのに対しては、約一カ月半ということで、十一月二十六日から十二月十九日ですから一カ月かかってないわけですけれども、こういうような平和相互銀行の過去二回の検査においては通常の一カ月弱の検査で終わっている。 ところが、六十年の八月に始まった検査では百四十三日、つまり四カ月に余る、過去の二回の四倍に余る検査を行っている。とすれば、大変いろいろな、さまざまな銀行経営、それこそ先ほどおっしゃいました資産、収支、運営に関しての問題点が山積していたというふうに思うわけでございますが、当然それは推測されるわけでございますが、そのときの応対する人間がかつての大蔵省の主任検査官であった、こういうことは通常あることなんでしょうか。
○小林説明員 検査におきまして応対をされる方、検査部長というふうにおっしゃいますが、私どもの検査では銀行の業務の全範囲にわたって検査をしておりまして、検査部だけの検査ではございませんで、ほかの国際部門とか国内の融資部門、そこにはすべて担当の部長さんがいらっしゃるわけです。全体を検査しているわけで、そういうときにほかの国際部とか融資部、そういうところに大蔵省から行っていただいた方が担当されている場合もありまして、それは検査に行く場合の相手方の金融機関の個別のケースでさまざまでございます。
○伊東(秀)委員 この中源三さんは、取締役であり、平和相互銀行の百四十三日にも余る検査の平相銀側の責任者だったんですよね。大蔵省は、さまざまな不正ないしは疑惑があるということで百四十三日にも余る検査をした。そして、それを提供し、検査を受ける側の総責任者がかつての大蔵省の検査官であった、こういったことが通常よく見られることか、これはまれなるケースか、この二つ、イエスかノーかについて端的にお答えください。
○小林説明員 私どもの先輩が銀行に行く場合、私どもの検査部において得ました知識を生かすということから、銀行等の金融機関等の検査部に所属している場合は、ケース・バイ・ケースでございますけれども、あります。ただ、それが、すべての銀行に私どもの先輩が行っているわけではございませんで、まさに相手の金融機関によりまして、そういう場合もありますし、そうでない場合もあるということでございます。
○伊東(秀)委員 この中さんのケースの場合では、五十二年の検査を担当し、平相銀の問題、乱脈経営に関しては、五十二年から五十三年にかけてはヂーゼル機器の株式投機の失敗の問題、岡本の問題、いろいろマスコミ等でも取りざたされている時期でございます。そのころの検査官が五十五年にその検査した会社の関連企業の顧問になって行っている、流山電鉄ですけれども。そしてさらには、迎え撃つ会社の本社の取締役検査部長に座っているということは、大蔵省としては異常なことではないのか、どうですか。
○小林説明員 ケース・バイ・ケースでございまして、この方が、流山電鉄にしても、この平相銀行にしても、その方の持っていらっしゃる深い知識と経験を生かせる場所、そこが適切だということでそこにいらっしゃったということでございます。
○伊東(秀)委員 じゃ、大蔵省としても中源三さんという、当時五十二年から三年、ヂーゼル機器の株式投機が問題になっていたところの検査官がその後顧問に行き、検査部長に座るということは適切だと判断していたというふうに今の回答では受けとめられますので、その点についてはそのように私は受けとめます。異議があったらまた後ほどおっしゃってください。 さらに、大蔵省としては、住友銀行との合併がいいのではないのかというような判断をお持ちになったのはいつごろなのでしょうか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 平和相互銀行と住友銀行の合併でございますが、ちょうど六十一年の二月十五日に平和相互銀行が住友銀行に対しまして合併の申し入れを行っております。その当日、住友銀行が平和相互銀行の合併申し入れを了解するということで、二月二十一日には合併覚書が調印されたところでございます。御承知のように、このような合併でございますが、これは基本的には金融機関の自主的な判断に基づき行われるものでございまして、大蔵省としては一般的にはこのような動きを見守っていたというものでございます。 なお、当時の大蔵省の考え方でございますが、大蔵省としましては、この合併につきましては、平和相互銀行が預金者の保護及び従業員の生活の安定等の見地から住友銀行との合併を決意した、それに基づきまして、住友銀行に対してこの旨を申し入れ、住友銀行もそのような平和相互銀行の申し入れの趣旨を了解して、両行が協議の上合併の合意をした、こう承知をしております。また、両方の合意につきましては、大蔵省としましては、当時、預金者の保護、信用秩序の維持に資するとともに、金融の効率化にも役立つ、こう考えていたと承知しております。
○伊東(秀)委員 大蔵省の検査が終了したのが六十一年一月二十八日でございます。それで、二月三日に役員の二人、滝田さんと稲井田さんが降格を発表され、二月七日に当時の取締役、つまり稲井田、滝田、伊坂そして鶴岡、この四人の方々が解任をさせられております。解任に至った経緯は、当時の田代社長が解任を、つまり、辞職を勧告したからということです。このような動きの中で、二月十二日に平和相互銀行の当時の社長の田代氏は、全国百一支店の支店長を集めて、住友銀行との合併を発表しております。それまで全く、それは自主的な、両行がやることだと、大蔵省としては中立的に何ら関与せずにそのままに任せていたということなのでしょうか。
○墳崎説明員 金融機関の再建といいますか、経営内容を改善していくという場合に、自主的に再建をしていくか、あるいは合併なり他の行との提携とか、そういったいろいろな手法があろうかと思います。ただ、それらのどういう方法をとるか、これにつきましてはあくまでも金融機関の自主的な判断で行われるもの、こう承知しておりま す。
○伊東(秀)委員 私は事実を伺っているわけでございまして、今は一般論かと思いますが、住友銀行と平和相互銀行は検査が終わったもう二週間後に合併を発表しているわけですよね。こんな唐突なことは通常ないわけで、大蔵省は合併発表まで全く知らぬ存ぜぬ、何ら関与しなかった、指導もしなかった、住友と平和相互銀行のやるがままに任せていたか否かの事実を伺っております。いかがでしょうか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 繰り返しになりますが、確かに金融機関が経営危機に直面しました場合に合併というのが有効な手段であるということもございます。ただ、私どもとしては、合併するか否かということにつきましては、これはあくまでも自主的な判断である、本件、御指摘の平和相互銀行並びに住友銀行との合併につきましても、これはあくまでも両行の自主的な判断に基づいて協議し合意したものである、こう承知しております。
○伊東(秀)委員 合併の当時には中曽根内閣であり、今法務大臣をなさっておられる後藤田先生は官房長官でいらっしゃいました。それで、後藤田先生にお伺いしますけれども、突然で恐れ入ります。 当時、平和相互銀行をどうするかというものが、金融再編成、金融自由化、相互銀行の苦境という状況の中で大変重要な大蔵省のマターであった。そして、当時日本の銀行がアメリカへの進出を図ろうとしており、その後かなり進出している。そして、アメリカの大手のシティバンクが平和相互銀行を買収したいというような意向を伝えてきていたというのは、私は当時の新聞をあさってみたが、いろいろなところに出てきております。こういう事実がございましたでしょうか。
○後藤田国務大臣 私は全く承知をいたしておりません。
○伊東(秀)委員 大手のシティコープが平和相互銀行を合併して買い入れたいという希望を出していたということは、後藤田さんは全然耳にしたことはございませんでしょうか。
○後藤田国務大臣 平和相互が相当経理が乱脈であるとかあるいは銀行内部にいろいろな対立があるといったようなことは、うわさとしては知っておりましたけれども、政府の中でそういうことが論議せられたとか、そういうことは一切私は承知をいたしておりません。
○伊東(秀)委員 今おっしゃいました乱脈な経営とか告訴、裁判合戦、こういうことがあったということは御存じであった。すると、政府としても平和相互銀行をどうするかということは重要なマターであった。金融問題というのは経済の根幹でございますので、預金者の保護という問題もございますので、そんなどうでもいいことじゃないと思うのです。そういう意味では、この平相銀問題というのはいろいろと大臣の耳にも入っておられたというふうなことでございましょうか。
○後藤田国務大臣 官房長官としての仕事の面で、公の仕事としては私はそういうことは聞いておりませんし、問題になったということは承知をいたしておりません。ただ、一般に世間でそういう風評が非常に流れておったということは事実ですし、それからまた、先ほど来ちょっと御質問の中に出ておりましたが、大変長い期間監査を受けておるといったようなことは承知をいたしておりました一それ以外のことは耳にいたしたことはございません。
○伊東(秀)委員 つまり、このような長い期間の監査をするということは大蔵大臣も、大蔵省の最高責任者でございますので、当然そこに問題があるということを掌握してのことであるというふうに考えてよろしゅうございますでしょうか。
○後藤田国務大臣 そこは必ずしも伊東さんのおっしゃるようなことであったというふうには私は考えておりません。ただ、一般的にそういうことがマスコミとかいろいろなところでの風評として流れておって、そして、それとの関連があるのかどうかわかりませんが、大蔵省の監査を、厳しい監査を受けておったといったようなことだけを承知をしておる、こういうことでございます。
○伊東(秀)委員 では、今度は大蔵省の方に伺いますけれども、こんな長期にわたる検査の結果というのは、中間報告も含めて逐次大蔵大臣の方に報告するという体制になっているのでしょうか。
○小林説明員 検査を行っております中間時点におきましては、まだ検査中で検査の中身につきまして確定したことがわかりませんものですから、中間報告といったようなことは従来からやっておりませんが、終了した時点におきましては、必要があれば必要な、重要な情報につきまして大蔵省の幹部の方に情報を入れるということは逐次やっております。
○伊東(秀)委員 この平相銀問題については、先ほど申し上げたシティバンクが買収の意向を持っていたというようなこと、それから、住友銀行もその意向を持っていた、三和銀行、日本興業銀行も持っていたというような情報が当時のマスコミによると伝えられておりますし、当時の山口次官がこういった合併の意向を持つ銀行の会長、住友の磯田会長、それから日本興業銀行の池浦さんにお会いしたということが新聞に載っておりますけれども、そのような事実がございましたでしょうか。
○墳崎説明員 ただいま御指摘の三和銀行、日本興業銀行、住友銀行それからシティバンク、こういったところが意向を持っていたというマスコミの報道は、私ども承知をしております。ただ、それが大蔵省に正式に表明されたかと言われれば、必ずしもそういうものではなかったのではないか、こう思っております。
○伊東(秀)委員 そうすると、この四行からの大蔵省に対する申し入れば全くなかったというふうにこちらで言い切れますでしょうか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 先ほども御答弁させていただきましたように、合併はあくまでも両行の協議に基づく合意でございます。そういう意味では、私どもその結果を、合意した後では結果を御報告いだだくことはございますが、事前に私どもに御報告があるというようなものではないのではないかと思っております。
○伊東(秀)委員 では、もう一回重ねて伺いますが、六十年のその合併直前、検査が入ったころは、平和相互銀行が決算承認銀行であったか否か、これはいかがでしょうか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 私どもの銀行の指導の方式といたしまして決算承認制度があることは事実でございますが、これが具体的にどういう銀行であったかということにつきましては、預金者への影響、信用秩序の維持、こういう観点から一切公表しないということでやってきております。その点、御了承いただければと思います。
○伊東(秀)委員 それは今銀行が動いている場合、そちらがおっしゃったように預金者の不安をあおるというようなことからそういうことだと思うのですが、現在平和相互銀行は存在せず、住友銀行に合併されている。そして、大きい政界のスキャンダル、一つの疑惑として国民の注目を浴びているという状況の中で、あくまでも大蔵省はこのときに決算承認銀行であったか否かも国民に明らかにできないということなのか、その辺はいかがですか。
○墳崎説明員 お答えいたします。 繰り返しになって恐縮でございますが、決算承認制度は、これはあくまでも私どもの検査に基づく金融機関の指導の一つの手法でございます。したがいまして、これ自身私どもあえて公表するということは考えていないということでございます。
○伊東(秀)委員 そうしたら、大蔵省が合併について動きをしっかりと認識するようになったのは二月十五日以降ということになりますか。はっきり、いつ、どのような形で両行の合併の動きを知ったのか、最初に知ったのはいつかということをお答えください。
○墳崎説明員 私どもの記録を調べます限りでは、六十一年二月十五日に住友銀行の小松頭取と当時の平和相互銀行の田代社長から、両行の合併の方向につきまして基本的に合意した、こういう報告を受けた、その時点が、正式に御報告いだだいたのは初めてだと思っております。
○伊東(秀)委員 非公式にはいつごろつかんでいたのでしょうか。
○墳崎説明員 こういう合併の報告が非公式になされるものかどうか、ちょっと私存じ上げておりません。通常の場合には、両行の中で意思決定をなさいまして、合意をなさってから御報告がある、こういうように承知しております。
○伊東(秀)委員 それから、平和相互銀行が検査に入って後に、六十年八月十七日に決済された小切手二十億円、それから九月十七日に決済された小切手二十億円は、大蔵省の検査官に対して、これは双方とも株の売却を前提にした絵の、つまり金屏風の売買代金であるということを平和相互銀行側が報告した。六人の検査官はそれを聞いて、その後の四十億円の金の流れについて調べたということを言っておりますし、国税庁も、これは真部氏の代理人である河合弁護士が記者会見で述べたのですが、五人がかりで数十日に及ぶ調査をして、四十億円の絵の原価も調べ、利益が幾らであったかというようなことも把握しているというふうに伝えているわけです。この事実があったかどうか、いかがでしょうか。
○小林説明員 先生がおっしゃられました資金の流れについてでございますが、申しわけございませんけれども、個別の取引の関係なものですから、この場での答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○伊東(秀)委員 それは、個別の事件のプライバシーを守られるべき人がみずから公表しているわけだから、調べたか否かについてお答えできないのでしょうか、これが今いろいろな政治家への疑惑につながっているわけですけれども。——時間がないのでちょっと急いでください。
○小林説明員 銀行検査の調査の内容につきましては、先ほどから申し上げておりますように、個別の内容につきましては従来から公表を差し控えさせていただいているところでございます。
○伊東(秀)委員 次は法務省の方にお伺いいたします。 この金屏風の売り手である真部氏が弁護士を通じて、六十一年三月から六十一年八月まで何度も何度も、毎日とは言わないけれどもそれに近いぐらい金屏風事件についての取り調べを受けたというようなことを言っておられますし、さらに別なところでは、この金屏風の取り調べの端緒は、小宮山英一氏が伊坂氏を告訴告発したからだというふうに伝えられております。これが事実かどうかお答えください。
○濱政府委員 今委員がお尋ねになっておられます、特定の事実について調べたかどうか、あるいは特定の人を捜査したかどうかということにつきましては、これはいつもお答え申し上げておりますとおり、お答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。 ただ、一般的にと申しますか、今委員がお触れになっておられます金屏風をめぐる疑惑については、これは当時いろいろな報道がなされておりましたし、また国会でも御議論がなされたことはもちろん承知しておるわけでございまして、検察当局におきましては、これらのことをも十分念頭に置いていわゆる平和相互銀行事件の捜査を行ったというふうに承知しているわけでございます。
○伊東(秀)委員 昭和六十一年八月十二日付の起訴状によりますと、検察庁は、滝田文雄、鶴岡隆二、伊坂重昭、大野伸幸、この四名に対して特別背任罪で訴えております。その公訴事実等を読みますと、要するに、貸付金の回収に万全の措置を講ずべき任務にあるのにこれを十分に講じないままに貸し付けをしたという、つまり貸し付けをする際の十分なる担保をとらなかったというようなことで起訴しているわけでございます。その六十年の十月当時、もはや平和相互銀行には当時から融資部に対して東京地検特捜部の捜査が入っていたということが先日の、伊坂重昭氏の二月十六日の法廷証言で明らかになっております。 とすれば、この金屏風の事件については、時価が五億円であったとも、あるいは高く見積もっても十億円であったとも言われておりますし、それを四十億で購入したという事実を知ったと。しかも、たとえ時価どおりに買ったにしても、このような銀行が、もはや合併寸前の、不良債権を五千億近く抱えている、一月二十八日の大蔵省の検査結果の発表によりましても一千八百億のもはや回収不能な不良債権があるということが発表されておりますが、そういう状況の中で、銀行業務に関係ない金屏風を買うということは、当然特別背任罪に該当するような容疑事実に当たるわけでございます。 これについて、何らそういうような疑問を持たなかったのかどうか、いかがでしょうか。
○濱政府委員 今委員のお尋ねの中で最初にお触れになられましたように、昭和六十一年七月から八月までの間に、平和相互銀行代表取締役社長稲井田隆及び同銀行監査役の伊坂重昭ほか四名につきまして、逮捕、勾留等の手続をとった上で、商法違反、特別背任の罪によって公判請求したことは事実そのとおりでございます。 今委員が御指摘になっておられます、金屏風をめぐる疑惑について捜査をしたのか、あるいは特別背任罪との関係でどうかというお尋ねかと思うわけでございます。 検察当局におきましては、お尋ねの金屏風をめぐる疑惑に関するいろいろな報道がなされておりましたし、また国会で御論議もあったわけでございまして、そういうものも十分念頭に置いた上で先ほど申しましたいわゆる平和相互銀行事件の捜査を行った、その結果、必要な捜査を行ったけれども、公訴を提起した事実以外には犯罪となるような事実は認められなかったというふうに聞いているわけでございます。
○伊東(秀)委員 今の御答弁を伺いますと、これは犯罪に該当しないと検察当局が判断したというふうに受けとめていいわけですね。 それからもう一つ伺いますが、八月十二日にこの金屏風事件についての捜査が打ち切りになって、これを除いた事件が起訴されているわけでございますけれども、八月十日前後に、伊坂重昭氏は東京拘置所で牛尾主任検事に対して、金屏風をめぐる一連の問題をすべて語って調書をつくってもらった。そしてこの事実は、どう考えても自分がだまされたので、これを事件として何としてでも立件してもらいたいから、刑事訴訟法二百四十一条に基づく調書をつくってくれというふうにはっきり告訴告発の意思を告げた。それについて検察庁は全くその後不問に付してしまった。 二百四十一条は告発調書をつくらなければいけないというふうになっているわけですが、そのままになっている。これは大変な問題ではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○濱政府委員 まず、委員の前段のお尋ねの関係でございますけれども、捜査の過程で検察官と取り調べを受けた者との間でどのようなやりとりが行われたか、あるいはどのような供述があったかというようなことは、これは捜査の秘密に属することでございますので申し上げられないわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、検察当局といたしましては、いわゆる金屏風問題につきましても特別背任あるいは詐欺等の犯罪の成否の観点から必要な捜査を行っておるわけでございまして、その結果、先ほどお答え申し上げましたように、これらの犯罪を認められるような事実は認められなかったということでございます。
○伊東(秀)委員 そうする場合、告発調書は、告発を受けて、告発というのは平相銀が損害をこうむったということなので告発と言っているのだと思うのですけれども、告訴告発の意思表示を受ければ必ず調書をつくらなければいけないと刑事訴訟法上義務になっているわけですね。それを、捜査をしたからもうしなくていいのだというような手続をしていいのかどうか。それは別個の事件じゃないか、詐欺罪の事件としての捜査じゃないのじゃないかと思うわけですが、そういうふうに検察庁は、告訴告発の意思表示に対して、いいんだというふうにこれまでもネグってきている事件が多いというふうに推測されますが、そういうことになるのでしょうか。
○濱政府委員 今委員のお尋ねは、おっしゃっておられる伊坂重昭氏がどういうことを言ったかということを仮定しての御質問かと思うわけでございますのでちょっとお答えは御遠慮させていただきたいと思いますが、先ほどからお答え申し上げておりますとおり、いわゆる金屏風の取引に関しましては、伊坂被告人から正式に詐欺罪による告訴の意思表示がされたという報告には接しておらないわけでございます。 これは委員も御案内のとおり、一般論を申し上げますれば、刑事訴訟法二百四十一条の二項によりますと、「検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。」と規定していることはそのとおりでございます。したがって、検察官は、口頭による告訴または告発を受けたときは調書を作成しなければならないものであるということはそのとおりでございます。
○伊東(秀)委員 最後になりますが、これは大変重要な問題で、この八月十日前後に、牛尾検事に基づく調書が存在しているというふうに、とられた本人が申しております。そこで、平相銀の金屏風にかかわる、これは自分が詐欺にかかったことであるというこの事実経過をしゃべっているということですので、検察の処理にかかわる重要な問題なんですね。ここから、やはり金丸さんの処理に対しても検察批判を国民が今非常に持っている、検察不信を持っているということでもございますので、この調書、本人がとって押印もしたと言っておりますので、法務委員会としてはぜひこれを取り寄せていただきたい、そのことを申し上げまして、あとは理事の方にそのお話をお任せいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○浜野委員長 小森龍邦君。
○小森委員 先ほど法務大臣の方から就任のあいさつ並びに所信表明を聞かせていただきまして、私は、なるべくこの所信表明の中身に沿って何点かを尋ねてみたい、こういうふうに思います。 そこで、まず最初に、治安の確保及び法秩序の維持ということに関してでございますが、その中に次のような言葉が使われております。「大型の財政経済事犯」という言葉がございまして、例えば、具体的にはそれはどういうものを指すのであろうか。最近銀行絡みのいろいろな問題が起きているのを経済的なものと思いますが、財政ということになりますとかなり国家権力というものと深い関係にあるところの、そういう概念ではないかと思うのでありますが、法務大臣はどういうお気持ちでこの大型財政経済事犯という言葉をお使いになったのでしょうか。
○後藤田国務大臣 私が申し上げたのは、最近の、御質問の中にありましたような証券の関係とかあるいは銀行のいろいろな不正融資、さらにはまた大型の脱税、これはまた財政に関係をしておる、こういったことを頭に描きながら申し上げたわけでございます。 〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
○小森委員 そこで、さらにそのことに関連をして申し上げたいと思いますが、かかる大型の財政経済事犯などというものは、深く日本の経済、今日の社会経済といいますか、そういうものの乱れのようなものと深く関係をしておるように思いますが、法務大臣は、この大型の財政経済事犯というものが相次いでおるということに関係して、今日の日本の社会の乱れというものをどういうふうに把握をされておられますか。
○後藤田国務大臣 やはり私は、最近の一連のバブル経済の現象の中で起きたいろいろな先ほど言ったような事件のことを考えますと、基本はやはり金銭感覚とでもいいますか、そういうものについての国民全般の物の考え方が、やや金銭万能とでもいいますか、しかしながら金銭とて大事なものであることは言うまでもありませんが、それを獲得する、入手するについてはそれなりのやはり筋道の立ったといいますか、経済活動でいいますれば、企業を経営していらっしゃる方も社会責任というのをきちんと守って、その上でそういった経済活動をやって必要な利益を得るということであれば何もありませんけれども、仮にも、例えば一例を挙げますと、本来産業金融といったようなことを使命としておるような代表的な金融機関が一料理店の婦人に数千億だ云々だといったようなことは、やはりそういう根本のところに考え方がやや乱れてきておるのではないかな、こういうことを私は心配しておる、こういうことでございます。
○小森委員 そこで、そういう事態が生まれてくるのは自然発生的になるというような見方なのか、あるいは政治のコントロールといいますか、政治的な手の打ち方がまずいから次第に社会がそういうことになってくるのか、この点についてはいかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 そこは人によって鶏と卵のような議論をなさる方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり基本は、国の基本は政治にあるというふうに私は考えておるわけです。したがって、こういうような風潮に対して一番責任を感じ、そしてまたきちんとしなければならぬのは政治であろう、かように私は考えております。
○小森委員 そういう感覚でひとつ法務大臣、法務行政を通じてしっかりと社会の手綱を締めるといいますか、政治的にリードしなければならぬところをリードしてもらいたい、こういうふうに思います。 少し観点を変えまして、やはり同じ治安維持の問題につきまして、けん銃等を用いた凶悪事犯あるいは暴力団関係事犯ということも指摘をされておられるわけでありますので、この際に法務大臣として、先般施行されてかなりな動きがテレビや新聞等でも報じられておりますいわゆる暴対法との関係、このことについて、成果が着々と上がりつつあると法務大臣としては見ておられるか、余り大きな効果がないと見ておられるか、その辺はいかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 私は、この日本の治安というものを考えた場合に、やはり日本は昔から銃砲等の所持そのものが犯罪であるといったようなことで、これを禁止しておるということが治安維持の大きな役割を果たしておるという認識は持っておるわけでございますが、御質問の暴対法、この成果はどうだということになりますと、これはたしか昨年の三月に施行になったばかりであろうと思います。したがって、まだ一年間の成果を見てこれで十分評価にたえるような成績が上がっておるかどうかということになると、もう少し時間をかしていただきたい、こう考えておるわけでございますが、しかし少なくとも、あの暴力団の指定等を通じて、その後の活動を見ると、それなりの成果は上げつつあるのではないか。しかし、これで果たして十分かということになると、先ほど言ったようにもう少し時間をかしていただきたい、かように考えます。
○小森委員 この問題も、実は一般の国民が暴力団が民事に介入をしてくることで戦々恐々としておる事実がございますし、本当は暴力団だが外見上は右翼、政治団体のごとき装いを凝らして言いがかりをつけられるというようなこともございますので、なお一層この種の取り組みについては努力をしていただきたい、こういうふうに思います。 そこで、次の問題は来日外国人の問題に関係をしてでありますが、テレビあるいはラジオなどから聞いておりますと、報道の仕方も外国人の犯罪だというようなことをよく言いますので、そういう放送の仕方が妥当かどうかということはまたよく考えなければいかぬと思いますけれども、事実外国人の犯罪というものがあることも見過ごすわけにはいかないと思います。 そこで、法務大臣が言われるところの外国人の犯罪というものについて、所信表明では取り締まりの方面のことを考えておられるのだろうと思いますけれども、それは法務大臣、閣僚の一員として、国務大臣としてはそれだけでは済まないと私は思うのでありまして、これからますます国際化の時代ということになって外国人の出入りが多い、また日本人も外国へよく出ていくというようなことがありまして、これは相互の問題なんですが、この外国人の犯罪というのはこの人たちの生活不安を反映しておると私は思います。そういう意味で、その点についてのお考えはどうでしょうか。取り締まりとはまた別の、国務大臣として、閣僚の一員として、本当にそれをそんな状態からもっと秩序のある安定したものに持っていこうとすればどうすればよいか、この点についてのお考えを賜りたいと思います。
○後藤田国務大臣 仰せのとおり、私は、外国人の犯罪が非常にふえておりますから、それに対してはきちんとした対応をしなきゃならぬということは当然考えておりますけれども、それだけで済む問題とは考えておりません。やはり外国人が日本へ入ってくるということになると、風俗、習慣、言語、それらが全部違った日本へ来るわけですから、日本の社会で安定した生活をしようという人あるいは通過の人にしても、日本という国はよかったなという印象を与えることも当然必要なのであって、外国人の取り扱いの問題は取り締まりだけではありません。 むしろ大きく言えば外国人の人権とでもいいますか、あるいは外国人の管理という言葉も実は私は余り好きではないのですが、外国人入国管理なんという言葉を使いますけれども、私はむしろ外国人の日本の国内における生活というものを頭に置きながらこれを日本の社会に受け入れる、そういったような立場での処遇、取り扱いといったような点に注意をしていかなければいけない時代に入ってきたな、かような認識でございます。
○小森委員 法務大臣のお考えと私の考えておりますことはほぼ一致をいたしておるように聞かせていただきました。しかし、それはまた具体論とすればなかなか難しい問題で、きょうここで多少の時間、私が質問したり法務大臣に答えてもらったりして片づくものではないと思います。しかし、ぜひひとつ努力をしていただきまして、せっかく縁あって日本に来た人、たとえわずかな期間の滞在者であったとしても、日本という国はまことに外国人に対して冷たい国だという印象にならないように、具体的な政策を立案して進めていただくようにお願いをしておきたいと思います。 それに関連しまして、出入国管理行政と非常に深くかかわっておると私は思うのでありますが、それはどういうことかというと、日本に外国人が非常に入りにくいという問題が一方にあって、そして一方では日本の経済というものが、今数多くの矛盾を持っているとはいうものの、東南アジア諸国の仕事のない、低収入のところと比べるとかなり希望が持てるというか、人生の展望を開こうと思って日本にやってくるわけであります。そういうこととの関係で、一たん入ってくると姿をくらますといいますかどこへ行っているかわからない、言われるところの不法滞在者、あるいはそのことと関係して不法就労者が相当数おるように思いますが、出入国管理行政の立場からその点ひとつお答えをいただきたいと思います。高橋局長にお願いをしたいと思います。
○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。 出入国管理行政の根本的理念は、大臣の所信表明演説にございましたように日本の健全な社会をつくることに貢献することと国際社会への貢献の二つでございまして、そういう観点から入管行政を運営しなければならないと思っております。 それで、一つには日本に来る外国人についての政策といたしましては、技術、技能等を持っている人は歓迎する、できるだけ幅広く入れよう、しかしながら日本の健全な社会の発達に有害となるような分子は極力排除するという基本的な方針でやっておるわけでございます。この両方をうまくバランスをとるのは非常に難しゅうございますが、入管としても、これをバランスをとってやっていくことが世界における日本の貢献の一つではないかと考えておるところでございます。 それで、不法に日本で働くこと、あるいは不法に滞在し不法に働くことは、低所得の国から来ます彼らにとっては一見非常にいいように思えますが、こういう人たちは人権を侵害されているケースが多うございますし、また日本の国にとっても健全な社会の発展を害するものである、公正な競争を阻害し社会の発展に害を与える、それから二国間にとりましても必ずしも関係の増進に役立つものではないということで、不法な就労に対する対策というのは厳格に対処していかなければならないと考えております。 その際、相手は不法滞在者であろうと、人格を持ちそれぞれの文化を持ちいろいろな背景を持っている一個の人間でございますので、人権という点についてはもちろん十分配慮して実施していかなければならないと考えているところでございます。
○小森委員 私の知っておるところで、日本語学校で日本語を学ぶということで五十人ほど来日いたしました。これは中国人でありますが、わずか数カ月の間にみんないなくなったのです。全寮制度でやっておったのですけれども、一人もその学校にいなくなった。それで、パスポートは学校側が預かっているのです。それも出入国管理の一つの指導方針かと私は思うのですけれども、第一パスポートを取り上げること自体が大変な人権問題だと私は思うのです。しかし、それとても手が届かなければ、パスポートでも預かってもらって落ちついてもらおうということになるのではないかと思いますが、五十人全部いなくなったのです。しかし、パスポートを与えていないから、絶対日本におるのです。 そうなりますと、先ほど来管理局長がお話しのように、不法に滞在をして不法の就労をすればそこにまた新たな人権問題が生まれてくるということは私もよくわかります。したがって、私が思うのは、入国管理局の仕事の手が少し足りないということで、日本の国に入ってきた外国人の、管理というとおこがましいけれども、行政的に把握しておらなければならぬすべてのことが把握しにくい。だから、日本の社会はとにかく入っていきさえずればどこへでも隠れて何かできるという感じではないかと私は思うのです。 その学校の関係者に聞いてみたら、それは後ろで手引きをする者がおっておびき出すのだと。また、途中で一度、二十人ばかり帰ってきたのです。二十人が定着するのかと思ったら、また十日ほどしたらいなくなったのです。入国管理行政が手が足りないというか職員が足りないというか、そういうことも深くかかわっておると思うのですが、これはひとつ法務大臣、どうお考えでしょうか。どういうふうに手を打たれるかということです。
○後藤田国務大臣 私もまだ就任二カ月少々でございます。したがって、まだなかなかわかりにくい面もあるのです。ただしかし、今日までの短い期間でありますが、それぞれの局長の方々から所管行政の説明を聞き、そしてまたいわば見本的なところ、そういうような場所であったと思いますけれども、所管の現場の仕事ぶりというものを見せてもらったわけです。いかにも法務省というのはみんな一生懸命やっている、非常に歴史のあるきちんとした役所だなというのが私の率直な感じでございますが、あれだけの仕事を担当しておって一体十分できるのかなといったような疑問をまず私は持ちました。 その中の典型的なものが今御質問の入国管理局系統の仕事であろうと思います。これは、まさに人が足りない、同時にまた施設が足りない、同時にまた施設のあり方が、もう少し処遇上間違いのないような施設に改善しなきゃならぬのではないかなといったような感じを私は持っておるわけでございます。 事務当局に聞いてみますと、施設にしろ人にしろ、重点を法務省としてはそこへ置いて、予算等も十分大蔵当局の理解を得てふやしておるのだ、こういうような説明を聞いておりまするのでその点心配はしておりませんけれども、しかし率直に言いますと、もう少し思い切って、重点のところに向かっては人にしろ施設にしろ予算にしろ充実をさせる必要があるな、私はさように考えております。 そこで、いつまでこれはやっておるかわかりませんけれども、次の予算を編成するというような立場におれば、私はそういった考え方のもとに法務行政をやっていきたい、かように考えております。
○小森委員 ぜひひとつ法務大臣に努力をしていただいて、少しでも改善の方向に向かっていただくようにお願いをしておきたいと思います。 そこで、もう一度入国管理局長の方にお尋ねをいたしますが、日本にいて、例えば東京、私の感ずるところでありますが、日本じゅういろいろなところを歩いてみて、東京が一番よく電車の中なんかでも外国人の顔を見るわけですね。しかし、それは、見るといってもそんなに電車の中に三割も五割もおるわけじゃないのでありまして、数は知れたものだと思うのですね。 ところが、例えばイギリスへ行きましてもあるいはフランスへ行きましても、ドイツへ行きましても、欧米の先進国と言われる国々においては相当程度外国人が入ってきておる。これは私が進めておりますマイノリティーの運動との関係で、それらの国々を訪ねたときに聞いてみますけれども、数字的にも、大体イギリスなどはインドとかバングラデシュあたりから人口にして一割、フランスも北アフリカ諸国から人口にして約一割、ドイツもトルコ系の人などがおよそその程度の割合で入ってきておる。それだけ国が出入りの窓口を広げていて、それなりにやっておるわけですね。それを思うと、それらの国は自分の国のことばかり考えるのじゃなくて、門戸を広げて、まことに寛容な国だなと私は思うのですね。 日本は、先ほどの議論の中にも、秩序を維持するために万全を期すということは、一面では入りにくくする。入りにくくするというのは、単純労働者はだめだ、技能労働者ならまあよいというようなところへ、私はこれはあずりふんべつでそこらに線を入れておると思うのですけれども、日本が国際化だとか国際貢献だとか言うということになれば、可能な限り入国管理行政というものを、人的にうまく管理ができるように配置して、その上で、諸外国との交流がもっと激しく行われても国の床柱は揺るがない、国のおおだたいな基盤は揺るがないというようなところに持っていかにやならぬと思うのですが、大臣は次の予算編成のときにいろいろやらにゃならぬというお気持ちを表示されましたが、正味のところ、管理局長として、人間が足りないということについては、言いづらいかもわかりませんけれども、どれくらい足りないのですか。
○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。 どのぐらい足りないかという御質問でございますけれども、私たちとしては幾ら言っても切りがございませんので、やはり実現可能な範囲でできるだけ人員を手当てしていただきたいということでございます。 ちなみに来年度、今御審議いただいております予算案の中では、法務省内部の部門間転換を含めまして百八十二名の増員をお願いしておりまして、これは法務省の中における人員の要求枠全部入管に回していただいたということでございまして、一年に実現するものとしては入管局の定員のほぼ一割近くふえるわけでございますので、これは相当な力が、応援団、応援といいますか増軍になるという感じはいたしております。 ただいま、今外国では一割近くの外国人がいるというお話でございまして、日本はまだ平成三年の末で外国人登録が約百二十一万でございますので、登録だけで見ますと大体一%ぐらいでございます。 それから、この現下の情勢を見ますと、日本の国際化というものがますます進んでくるということは当然予想されることでございまして、その中にありまして、日本の基盤が揺るがないようにきちっとした入管行政をやらなければならないということは我々も十分認識しておるところでございまして、この許された範囲の中でできるだけ人的あるいは物的な手当てをして期待に沿うようにやっていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○小森委員 ひとつ大いに努力をしていただいて、この問題が、スムーズな形で行政が進むようにお願いをしておきたいと思います。 続きまして、これは法務大臣にお尋ねをすることなのですが、法務大臣が就任直後、私はこれは新聞で見たのですけれども、どの程度この新聞が真意を伝えておるかどうかわかりませんが、朝日新聞の昨年の十二月十三日でございましたが、見出しは「当面は執行」、執行というのは実際に行うということ、「当面は執行 死刑制度で法相」という見出しがついているわけです。その中に、死刑が「確定している者の執行は、法務の仕事に携わる者として大事にしないと、法秩序そのものがおかしくなる」ということを述べられておるようであります。 そこで、こんな大きな問題をわずかな時間に議論することもなかなか難しいのでありますが、御承知のとおり、既に我が国は、三年を少々過ぎたのかと思いますけれども、死刑の執行が行われていない。それで、諸外国の例を見ると、死刑制度廃止の条約に加盟をしておる国は、ある日突然死刑の執行をやめるというようなことでいったのではなくて、死刑というものの法的制度は存在しながらも執行というものを延ばしてきたというか、事実はやらずに来て、そして次第に死刑制度廃止の方向に向かってきておる。 世界の状況はそうだと思いますが、ただ私が一つだけ法務大臣の言葉として希望が持てるのは、同じ記事の中に「今後の対応については、国民意識の変化を見ながら議論すべきだとの考えを明らかにした。」こうなっておるわけでありまして、後者の方にアクセントが強いならば非常に結構なことだと思うのですけれども、私の言わんとすることもおわかりいただけると思うのですが、法務大臣の考えをこの際ひとつ改めてお聞かせいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 私は、昨年の暮れの十二日に突然法務大臣という重たいお役目を引き受けることになったわけですが、その当時、やはり法務行政全般についての知識も余りないままに新聞のインタビュー等に応じたわけですが、突然、死刑をどう思うんだ、こういうような御質問があり、私は私の考えているままをお答えをした記憶がございます。 私はやはり、死刑制度というものが存在をし、そして慎重な裁判の結果、極悪非道な犯人に対しては死刑を宣告するということがある以上、そしてまた、それが今日我が国では行われておるという以上は、やはり現在の建前で死刑の執行は法務大臣の命令によるということがある以上、それは法務大臣の職責として守っていかなければ国の秩序が守られないではないか、私はさような考え方でございます。 ただしかし、死刑制度をどう考えるんだということになりますと、これは私は、あの当時申し上げたのは、やはりまだ日本の国内では死刑制度については存続論が圧倒的に多いといったような統計の資料も承知をしておったわけでございますが、しかし、同時にまた、欧米先進各国が大体は死刑は制度としては廃止をしておる、アメリカはちょっと別ですけれども。そういうような国際的な情勢も一方にある。それからまた、国内も、私の郷里なんかでは、去年かおととしでしたか、何か世論調査みたいなことを街頭で四国四県の県庁所在地でやったように聞いてもおるんですが、やはり何といいますか、若い世代の人にどちらかというと廃止の意見がふえつつあるといったようなことを考えますと、制度としてこの問題をどう考えるかということになると、現時点では死刑存続 論が多いけれども、各国の状況なり国内の若い人の気持ち、こういうものがあるわけでございますから、そこらはよほど慎重に考えてこの問題には対処しなければならぬ、こういうことを申し上げたわけでございます。 これで、小森さんと私との考え方の中には、あるいは食い違っているところがあるかもしれませんが、私はさような考え方で法務大臣としての職責を果たしたい、かように考えております。 〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕
○小森委員 前の前の法務大臣でしたか、左藤さんが何かの書き物によって、死刑制度あるいは死刑執行というようなことについて、左藤さんとしてはちょっと私はやりたくないということで、現にそれは法務大臣の時期に死刑の執行に判を押していないわけであります。それで、これは法務大臣と私と、それぞれお互いに名前も違い顔も違えば考え方も多少ずつ違っておると思うのでありますが、左藤法務大臣の考え方に私は深く引かれるものがあるわけですね。 それはなぜかというと、一つは、人間のやる判決ですから、万一迷った場合に、何千万円かの国家賠償をしたらそれで済むというものじゃないので、そこが非常に危険だという問題と、もう一つは、確かに極悪非道なことをやった人間ではあるけれども、五年とか七年とか十年とか死刑執行を待つ日々、いろいろなことをその人は考えて、心の中はきれいに、白地のようになっているのではないか、大概の人はそういうコースをたどるのではないかというふうに思いますので、実際の死刑をやるときには本当は殺さなくてもよいような人間になっている、こういう場合が多いと思うのです。 それで、しかももう一つ私が考えるのは、そういう悪いことをやる連中、やった人というのは、どういいますか、そのときのさまざまな条件、悪い条件が重なってそんなことになったんであろうと思われるわけでありまして、親鸞のことを書いた歎異抄の中に、弟子の唯円が書いたということになっておるんですけれども、唯円を親鸞が呼んで、おまえ、わしの言うこと何でも聞くか言うたら、それは師匠の言うことですから何でも聞きます、こう言うたのですね。そうしたら、おまえ、人を殺せ言うたら殺せるかと言うたら、それは要するに、殺そうと思ってもたった一人の人をも殺すことができないかもわからないし、縁というか業というものが、つまり一般的な言葉を使えば条件ですな、条件が整えば殺すな言っても千人殺すことができるかもしれない、こういう有名なくだりがありますわね。 そのことを思うときに、やはりこの死刑制度というのは、取り返しのつかないことでもあるし、世界の動いている方向は既に事実上廃止をしている国を含めて八十三カ国もあるそうです。したがって、慎重にひとつ構えていただきたいということをつけ加えさせていただきます。 そして、これは矯正局長にお尋ねしますけれども、死刑執行というものがここ数年間行われていないわけですが、どういう状況で、例えば、よく聞くのは、朝十時にお迎えが来て連れて出る、大変暴れる者もおるが、従容としてついていく者もおる、歩きよる間に排せつ物も出てしまうとか、さまざまなことを雑音として聞かせてもらっておるのです。 一つのポイントは、どういうふうに執行するのかということについて、死刑の執行官みたいな人がおられるんだろうと思うけれども、私の読んだ書物によると、もちろん死刑執行官もいろいろ関与されるんだろうけれども、死体の後片づけとかあるいは、いよいよ絶命しているかどうかを見るとかいうようなことについては、その拘置所におるところの古い受刑者、そういう者も使っておるんだというようなことも書いてあるのを読んだことがありますが、その辺の事情はどうなっているんでしょうか。
○飛田政府委員 先ほどの御質問の中で、死刑の執行官というのがいるんであろうというふうなお尋ねですが、死刑の執行だけをする人を死刑執行官というとすれば、そういう人はおりません。死刑の執行はだれがするかといいますと、行刑施設の職員の中から行刑施設の長が指定してその職員が行うことになっております。 受刑者の古手が死体の後片づけをするんだろうというふうなお言葉がございましたが、そういうことはありません。死体の後始末も全部行刑施設の職員、つまり矯正職員が行っております。かつて、ある市販された本におっしゃるようなことが載せられて書かれたことがありますが、そこに書いてあるものが全部間違いとは申しませんが、事実と違うものがかなりあるということは、この国会でもかつて何回か御質問があり、矯正局長が答えているところでございます。 それで、死刑の執行をどういうふうにやるかということは、余り細かいことは事柄の性質上申し上げるのは適当ではないと思いますが、死刑の執行をするときは、その執行の当日にこれを本人に告知いたしまして、それで希望があれば宗教教護を行いまして、それで関係法令に基づいて検察官等の立ち会いのもとに死刑の執行をする、こういうことになっております。
○小森委員 時間が相当経過をしましたので、論点をほかの問題に移したいと思います。 法務大臣の所信表明の中で人権の問題についても触れられておるわけでありまして、この人権尊重の思想の普及高揚ということに意を配っていただいておるようでございまして、心強い気持ちをいたしております。 そこで、法務大臣御存じかどうかわかりませんけれども、我が国の人権擁護行政の本当の人的配置というのは、私の立場から、あれもふやさなければいけん、これもふやさなければいけん、どうするのかということになるかもしれませんけれども、これは人権擁護行政も実に手薄だと私も思います。 それで、御承知のとおりの地域改善対策協議会の総会に私呼び出されまして、八六年でございましたが、もう六、七年前の話でありますが、人権擁護行政がなっておらぬという意味のことを私は言ったのです。そうしたら、その委員の中で人権擁護の連合会の代表格で出ておられる人が、いや、それは法務省と話をして、要るだけは幾らでも手をふやすんだから、何千人だって手をふやすんだからというようなことを軽々しく言われておりました。 それで、その後私は広島県内の最寄りの法務局二、三、出張所とか支局とかへ参りまして聞いてみたら、人間の数をふやしたといったら併任辞令を出してふやしておるんだ、実際は業務はできないんだ、こういうようなことなんでありまして、先般九一年の地対協の意見具申の中にも人権擁護行政はもっと充実しなければならぬということが書いてありますし、また、それ以前の地対協の意見具申にも人権擁護行政というものをもう少し整備しなければならぬ、こういうことが出ておりますので、これについてもやはり法務大臣、具体的に手を打ってもらわないとこれはうまくいかないのではないか。 対政府ということで、私は若干自分の気持ちをぶちまけてみますと、今さまざまな部落差別の事件が起きておるし、それに類似してアイヌ人に対する差別も起きておりますし、また、外国人に対する差別も起きておるわけですね。障害者に対する差別もある。それで、私らは、差別事件が起きたときにはどうしても本人さんを責めたいですね。なぜ、君はそんなことを言うのか。責めにかかるわけですね。この責めにかかるのが通常「糾弾」という言葉で言われておるわけです。それは口で注意をするというような責め方もあれば、本当に反省したのか文書を出せと迫る場合もあるし、いろいろあるのですが、八六年の段階で、御存じだと思いますけれども、地対協の意見具申が出る前段で部会報告というのが出たのです、これは中間報告のことなんですね。 その部会報告に、我が国には整備された人権擁護行政の機関があるんだから、差別されたら君らは黙っておけ、わしらがどうにでもしてやるという流れになっておりまして、私はそれに猛烈に異論を唱えたのです。そのときに、いや、何千人でも手をふやす、こういうことがありまして、まことに変な理論になっているのですね。そこらの経過は私が知っておりますから、したがって、人権擁護行政というものをもう少し充実するためにはどうしたらいいのかといったあたりのところをひとつ法務大臣のお考えを聞きたいと思います。
○後藤田国務大臣 お話しのように、やはりいわゆる差別の問題、これは部落の問題もあればウタリの問題もありますね。最近であれば、また外国人に対する差別の問題もある。遺憾ながら、そういうことが存在することは認めなければならぬと思います。そういうものを認めた上に立ってこれを一体どう改善するのだということになるわけでございますが、これまた小森さんに申し上げるまでもありません。 何といいますか、生活環境改善といった外の、物の面といいますか、その面は四十三年以来今日まで二十数年改善が行われておるわけで、それなりの成果を上げておる、私はかように思いますけれども、差別の問題というのは、実はそういうところも大切ですけれども、やはり国民一人一人の意識の問題に由来するわけでございますから、残念ながらなかなか現実には一朝一夕で右から左によくなるといったような筋合いのものでもないと私は思います。ここはやはり粘り強く、日本の教育の面からだんだん、差別問題というものがいかに人権上許されないことであるかといったような認識を新たにしてもらうといった精神面の教育から粘り強くやっていく必要がある。 今小森さんのお話にもありましたが、残念ながら依然として御指摘のような点がある。じゃ、一体どのようにして直すんだ、人はどうするのだといったようなことになりますと、これは社会全体がそれに取り組まないと、一つの行政機関をつくってそれによってどうこうといったような幅の狭い攻め方ではよくならないのではないかな、私はさように思います。社会のあらゆる面にわたって、日本の社会の中に牢固として抜けがたい国民の気持ちの中、そういった点から辛抱強くやる以外方法はないのではないかな。しかし、施設その他の外的な面については、これはお金をかけてやればできることですから、こういう面は私は、まだまだ残っておるというのであるならば残っておる面をおやりになればいいのではないかな、かように考えておるわけでございます。
○小森委員 お話しのように、この問題は同対審も言っておりますが、人の心の奥深いひだにまつわりついておる長い間の歴史的な過程の中で形成をされておるものでございますから、そういう意味で息の長い取り組みをしなければならぬ、それはもちろん当事者の私が覚悟してやっておるわけであります。 しかし、私が今申し上げておるのは、もちろん行政機関にお任せをするというようなことではないのですけれども、せっかくある人権擁護行政機関、これはやはりそれなりに的確な機能をしてもらうことによって、国民が努力すること、当事者が努力すること、みんながいろいろ努力することが一つのまとまった、結集した成果の方向に向かうことができると思うのですね。 ところが、事実はどうなっておるかというと、広島県尾道市で起きた、ある女性の起こした差別事件ですけれども、これは何を思ってそういうことをしたのかちょっと私らも感覚をはかり知れないと思っておるのですけれども、尾道市の教育委員会に電話を突然かけてきて、私はどう言われたってうちの子に部落の者と結婚するなということを教えますからねということを、何の関係があってそういうことをぱっと言ってきたのかわからぬのですが、みんながよく相談して考えた結果、あんなことをよくPTAの会合で言っている女性が一人おるよというようなことから突きとめて、だれということが特定できたのです。 それで、確信犯的なところがありますから、私らが面会に行ってももちろん拒絶するし、行政が行っても面会を拒絶するし、それで尾道市もとうとう往生して、尾道市長、尾道教育長などの名前で、法務局の尾道の支局へ、かかる事件が起きておるのでひとつ人権擁護行政の取り組みをお願いしたい、こういうことを申し入れたのです。そうしたところが、結論的に申しますと、実は七年たって——そのころ町じゅう大騒ぎだったのです、その問題で。だからぱしっと、それはいけないことならいけない、そんなことはいかぬと。別に、法務省の人権擁護行政機関がさほど効果を上げないにしても、政府の機関としても、それは尾道市が言っておるとおり、けしからぬことだという意思表示をしただけでもかなり効果がありますよということを、私は尾道の法務局で言うたことがあるのです。 ところが、ぐずぐずして、たったこの間なんですよ、七年目にやっと説示処分にしましたということが我々の耳に入ってきた。これはもちろん焼香の間に合いませんわな。全然、それはもう、それこそ生きておる間には間に合わぬことになると思うのですね。法務大臣、現実はそういう形の人権擁護行政だということを、私は大臣にぜひひとつわかっていてもらいたいと思うのです。 それからもう一つ、これは愛媛県での出来事なんですけれども、愛媛県の法務局に勤めておる男子職員が部落出身の女性と恋愛になった。二人の間では結婚の話がどんどん進んでいきまして、そして結婚式場まで二人で探しに行っておる、いよいよ結納も近くおさめなきゃならぬのでちょっと親にあいさつをするかということになりまして、娘さんの方が親の方へあいさつに行ったのです。そうすると親はびっくりして、うちにはそんぎゃあな結婚の話なんかあらへんよというようなことでびっくり仰天したことがあるのですね。よく調べていったら、急に心変わりをしたのは、相手の娘さんが部落の出身者ということがわかったということで急に心変わりをしておるわけですね。 実はその問題も、愛媛の法務局はもちろんでありますけれども、中央政府の法務省人権擁護局とも何回もがんがん言い合いをしておるのです、もう少してきぱきとできないかということを。そうしたら、結局今のところどうなっておるかというと、やっておることはやっております、こういう答弁なんですね。やっておることはやっておりますと言ったところで、それで被害を受ける社会的な立場の者は納得いかないじゃないか、どうなっておるのかいと言うたら、今調査中です、それ以上のことを言えばプライバシーですと。プライバシーのことは百も承知の上でこれはどうなるのかということを尋ねておるのに、いや、それはプライバシーですと。こういう一種の、将棋で言うたら千日手みたいになっておるのですよ。 これはひとつ、ぜひ有力閣僚の一員としての後藤田法務大臣に私は期待したいと思うので、何かかみ合うような行政の進め方というものはないものだろうかということを申し上げたいのですが、きょう、とっぴに法務大臣にこういうことをどうかと言って答弁もなかなか難しいのじゃないかと思いますが、もしそれに対する感想のようなものでもあればお聞かせいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 あなたの今のお話を十分心得た上で、私どもの役所がまさに人権擁護の担当の役所になっておるわけでございますから、仰せのようなことが第一線であるいはあるかとも思いますけれども、そういう点については十分戒心をして、人権の擁護といいますか、差別問題に適切に対応するといったような指導をいたしたいと思いますが、御案内のように、この仕事は今総理府が中心になってやっておりまするので、総理府等とも話し合いをしながら、御指摘のような、何といいますか、千日手のようなことにならないように、適時適切な処理をするように、今後一層の指導をやってまいりたい、かように思います。
○小森委員 それでは、時間が残り少なくなりましたので……。 私の方からすれば法務大臣に認識を深めてもらいたいと思って今から申し上げるのでありますが、これもすぐにと言って、政府の全体の方針にかかわる問題でありますから、私に満足のいくような答弁をいただけるとは思っておりませんが、実はこの部落問題というのは、これを直していく手法とすれば、みんなが努力するということに尽きると思うのです。しかしながら、物的な条件を整えるということも条件を一つ取り除くことになりますから、効果が出てくるわけですね。それで、今から二十数年前に同和対策事業特別措置法というものができまして、それから地対法となり、今のような地対財特法となっておる。いつか、法務大臣が官房長官のときでしたか、どこか視察に行っていただいたというのも私新聞で見て承知しております。 それで、約六千部落、今存在をしているのですけれども、残念ながら、これまでの法律に基づいて事業をする場合に、あらかじめ地区を指定してかかる。行政だから何らかのそういう手続をとらなきゃならぬのも無理からぬと思うのでありますが、そうなりまして、今が、到達しておるところは四千六百三部落、事業をしておるのはまだそれよりも少ないと思いますけれども、一応それが指定をされておるわけですね。だから、今の地対財特法が効果がある間は、今ごろからでも、うちはもと指定を申し出ておるのだから、こういう同和対策事業をやってくれと言えば、法律の条項にかなえばできるということになるのですね。 ところが、昔から六千部落、三百万、こう言っておって、今は六千部落、数を六千あるとは私は思いませんが、都市化現象でわからなくなったところもあるし、ほかのところへ一緒になったところもありますから、六千あるとは思わないけれども、しかし、そういうことで二百とか三百の部落が消えておったとしても、五千数百はあるものと思うのです。これがいつも言われております、去年あたりから国会の各委員会で問題になっております、いわゆる未指定地域千カ所、千部落の問題なんですね。 それで、今私はまことに残念に思うのは、いよいよこれから政府は実態調査をして今までの事業の効果の測定をする、これはまことに結構なことなんです、結構なことなんですけれども、日本社会における部落問題を解決しようと思ったら、今までのいきさつ上、地域が指定されてないからといってそれを抜きにして実態調査をしたところで本当の実態は出ないですわね。今、実はそういう問題に直面しておるのです。 それで、新潟県の神林村の部落のように、裁判をやって、それは確かにそこは部落だし事業をすべきではないかという判決が出ておっても、何もしないのです。あれは村と県に対して言っておることであって国に対して言っておることじゃない、こういうことを言うのですね。しかし、一つの社会的事実が一つの政策に基づいて行われるのに、それは国には関係がない、県と村の問題じゃというようなことでは言い逃れはできないと思うのですけれども、そういう矛盾があるのですね。 それはもちろん総務庁の所管なんですけれども、人権擁護行政ということで深いかかわりを持っておることでもありますし、また、何といっても後藤田法務大臣の閣内における発言力、大きいですからね。ひとつ、せっかくそこらのところも効果的に使ってもらって、もし今までの方針が変えられないというならば、じゃ、千部落はどうやって実態を把握するのかというぐらいの議論というものは次に出なきゃならぬと思いますので、そういう現状にあるということを法務大臣に申し上げておきたいと思います。できればこれも何かコメントをいただければ……。
○後藤田国務大臣 今の小森さんの御指摘のこの問題、未指定部落の問題、あることは十分承知をいたしておりますが、政府としましては、過去二十数年間、ともかく地域を指定をしてその指定地域の中の事業を一日も早く完成をするという建前で行政が進んでおりますので、小森さんの御意見は御意見として承らしていただきたい、かように思うわけでございます。
○小森委員 きょうは、それはそれで私も仕方がないと思いますけれども、しかし、日本の部落問題を解決するというのが本来政府の大きな意図ですよね。大前提としては日本の部落問題を解決するのであって、この二十何年間にうちに事業をしてくれと言って手を挙げたものだけを対象にするというのでは、それでは全体の問題は解決がつかない。また機会があると思いますが、法務大臣にこの問題について私の方から質問等を通じてさらに深い理解を持っていただくような機会があると思いますが、結局、今我が国政府が考え違いをしておるところは、二十何年間も門戸をあけておったのに手を挙げてこなかったではないか、それはだから行政側の欠点というより君らの側の問題じゃないか、それを無理に君ら手を挙げなさいと言っていけばそこで差別事件が起きるかもわからない、これが以前の佐々木総務庁長官の答弁で、私もその後聞いてそれは長官に文句を言って、訂正はしてもろうたのですけれどもね。 なぜこういう千部落のようなものができるのか。ここまでの解放運動があるのになぜ千部落のような残された問題が起きるかというと、それは明治以後ずっと融和行政とかいろいろなことで政府が呼びかけてきたことがあるけれども、一度だって根本的に問題の解決がつくという希望を持つことができなかった。その希望を持つことができなかったことが、あえて部落問題というのを前に出してやることはないじゃないか、肩をすぼめて物事を静かにおとなしくして知らぬ顔をしていて、一生自分がそういうことから逃げるような方向で生活すればいいじゃないかという、いわゆる寝た子を起こすなという考え方が生まれてくるのです。 そこを政府はよくわかってないと私は思うのです。つまり、手を挙げなんだ方が悪いということだけで、手を挙げない客観的条件、手を挙げられない客観的条件というのはどこにあったかということまで目の届くような施策をしなければこの問題は解決がつかない、私はこういうように思いますので、そのこともつけ加えさせておいていただきたいと思います。 最後にもう一つだけ申し上げたいと思いますが、それは人種差別撤廃条約の問題です。既に世界百三十数カ国やっております。 それで、この前の予算委員会の分科会でも渡辺外務大臣と多少この点についてはやり合ったのですけれども、外務大臣の口ぶりを聞いておると、外務省はやってもいいよというような感じなんですね、外務大臣の言い分は。そのときに、さっきの鈴木喜久子委員の話じゃないけれども、私はその外務大臣の顔をじっと見ておったのです。そうしたら、法務省の人権擁護局長のおる方へすっと顔を向けたのです。私はこれはやはり法務省がネックになっておるのかなとこう思ったのですね。正味のところ、法務大臣どうなんでしょうか、この人種差別撤廃条約の批准ということについて。それを最後にお尋ねします。
○後藤田国務大臣 この条約の趣旨とか目的はよくわかっておるのです。ただ、この条約の中には、人種的な優越に基づく思想の流布、人種的差別の扇動、差別団体への参加等に関して処罰立法を求める、こういうことになっておるわけでございます。 そうしますと、これを処罰立法をするということになると、余りにもこの書き方が漠然としていますね。具体的でない。したがって、これを処罰立法にするということになると、やはり憲法上の思想あるいは表現の自由、こういうような問題とのぶつかりが出てくるといったようなことで、刑事法上どのように対応すべきかということについては、この条約の目的としておる人種差別の解消方法全体、そのあり方とあわせてやはり慎重な検討が必要ではないのかなということで、我々としてはこの条約に今直ちに踏み切るということが困難であるということで今日に至っておる、かように私は承知をしておるわけでございます。
○小森委員 最後にもう一言だけつけ加えたいと思います。答弁はもういただきません。 そういう議論になりますと、では、世界の百三十三カ国は、日本がそういうふうなことを憂慮しておることを平然と、平気で非民主的なあるいは非人権的な方向で批准をしておるのかということになります。だから、ひとつぜひ早い目に検討していただいて、しかるべく進めていただきたいと思います。 終わります。
○浜野委員長 冬柴鐵三君。
○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三でございます。 後藤田法務大臣の所信を伺って初めての質疑の機会でありますので、私が委員として一貫して取り上げさせていただいてきた法律扶助に対する御認識なり決意なりを伺うことから始めさせていただきたいと思います。 先ほど後藤田法務大臣の所信表明の中で、私の知る限り歴代法務大臣の所信の中で初めて法律扶助制度に言及をしていただきまして、「その充実に努めてまいりたいと考えております。」このように明確に述べられたくだりは、我が意を得たりという気持ちで、感動を持って伺ったところでございます。 私はまだ当選二期生でございまして、衆議院在籍六年半ということでございますけれども、この間、法務委員会及び予算委員会に在籍をさせていただいてきました。中曽根、竹下、宇野、海部そして宮澤と五人の総理大臣に対して質問の機会をいただいたわけでございますが、法務大臣を調べてみますと、遠藤要法務大臣から後藤田正晴法務大臣まで実に十一人の更迭があったということでございます。そのように機会を与えていただいた節には、総理または法務大臣に対して必ずこの問題をテーマにさせていただきまして、質疑をさせていただいてまいりました。 思い起こしますと、当選直後のときでございましたが、中曽根内閣当時でございました。遠藤要法務大臣に私から、貧困者のためにする法律扶助は、憲法に由来する国の厳粛な義務であると考えますが、いかがお考えでありますか、このようなことを聞きました。これに対してえんきょくに、国の義務とは認めないという、こういう答弁を繰り返されたのでございまして、重ねて、法律扶助基本法というものを各国持っているけれども、我が国においてもその制定の意思ありや否や、このようなことをお尋ねいたしますと一遠藤法務大臣、「私からそんな話をしてはどうかと思いますけれども消極的です。」このように取りつく島もないような答弁をいただいたことを記憶しております。 しかしながら、また予算委員会でやったものですから、このようなことも言われました。しかし、先生から何回もそのようなお話を承りまして、私としても改めて省内において検討させてみたいと考えます、こういう答弁をいただきました。重ねて中曽根総理大臣からも「よく検討をさせます。」こういう明快な答弁をいただいたことを記憶します。そのとき後藤田法務大臣は官房長官として、その内閣の中枢にあられたと思います。このような中曽根内閣の検討結果というものを踏まえてでありましょう、竹下内閣時代に法律扶助の制度が画期的に進展を見たと思います。 昭和六十三年十二月、林田悠紀夫法務大臣は、私に対して、法律扶助事業に対する国の補助金を五年間で倍増する予定であります、このように答弁をいただきました。昭和六十三年度の当該補助金の額は七千二百万円でございました。これを次の年度から千五百万円ずつ五年間累増をさせまして、五年後にはその約倍の一億五千万のオーダーに持っていく、このような答弁、政策を明らかにされたわけでございまして、顧みますと、この補助金というものが七千万円になったのが実に昭和四十二年、そして七千二百万円になったのが昭和四十八年でございました。そういうことに照らしますと、林田法務大臣の昭和六十三年の答弁は、実に二十年ぶりに本格的にこのものを増額するという画期的な政策であったわけでございます。 その年の十二月三十日ぎりぎりに高辻正己法務大臣が就任されました。翌平成元年三月二十四日の法務委員会における私の質疑の中で、また法務省は画期的な答弁をしてくださいました。それは、遠藤要法務大臣の先ほどの答弁を御披露申し上げましたけれども、このときはこのように申されました。貧困者に対する訴訟援助というものは、憲法で定められた裁判を受ける権利を保障するための重要な制度であると受けとめております。いわゆる憲法に由来する国の義務である、このような明快な答弁をされたわけでございまして、まさに我が国の法律扶助制度の新しい幕あけを感ずる答弁であったと思います。自来、法務大臣がおかわりになる都度この点について確認をいただいてきたわけでありますけれども、田原前法務大臣も、また左藤、後藤法務大臣も、その前の大臣も、ひとしく憲法上の、憲法に由来する国の義務だということをお認めいただいてきたわけであります。 本日の所信表明では、法律扶助制度は国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために極めて重要なものであり、今後もその充実に努めてまいりたいと考えております、こういうふうに述べていただいたわけでありますけれども、これが憲法に由来するものかどうか、歴代大臣はそうであるとお答えいただいているのですが、その点が言及されませんでしたので、確認をいただきたい、このように思います。
○後藤田国務大臣 お答えするまでもなく、憲法三十二条、国民はひとしく裁判を受ける権利があるわけでございます。ところが、それが貧困なるがゆえに空洞化するといったようなことは、私は許されないと思います。そういうような意味合いで、冬柴議員が毎回ここで御質疑あるやに聞いておるのですが、そういった成果でないかな、かように思っておるのですが、扶助制度ではありましても、毎年充実をしておりまして、今お出ししてある予算にも増額をするといったようなことになっておるのです。これも先生の頑張りの結果であろう、こう思っております。 ただ、問題はこれを予算補助とした形で置くのか、それとも法律上の制度として置くのかといったような問題があろうかと思いますが、今日の段階では、まだ予算補助でどの程度までこういった裁判を受ける権利が空洞化しないような処置ができるかどうか、もう少し見させていただきまして、その上で検討すべき、勉強すべき課題ではなかろうかな、かように考えておるわけでございます。
○冬柴委員 丁寧な御答弁をいただきました。三十二条あるいは言外に十四条にまで言及をいただきまして、私もそのように思っておりますので頑張っていただきたいと思いますし、言及されましたように、今年度の今審議中の予算の中で、いわゆる倍額、増額を完了した後、なお増額を要求していただいたこと、それからまた法的助言援助制度、すなわち無料法律相談について今まで全くなかったわけですけれども、財団法人の法律扶助協会が行う東京、大阪の二支部分としてではありますけれども、新規計上いただいたということは、法務大臣及び関係部局の方々の御決断、御努力に対し心から敬意を表したい、このように思うわけであります。 ちなみに、大臣もお読みになったと思いますが、読売新聞の二月八日付の夕刊紙がトップでこの問題を取り扱っておりまして、「民事法律扶助に対する補助の「メニュー」に関する限りは欧米並みに完備されることになる。」大変高い評価をしておりました。 そこで、平成五年度の予算についてこのようにしていただいているわけでありますけれども、この実績を踏まえてのことだと思いますけれども、この無料法律相談、それについて六年度以降についても、今二支部分ですけれども、五十支部全国にありますが、順次拡大されるべきだと思いますけれども、その点についての御決意なり所信を伺いたい、このように思うわけであります。
○後藤田国務大臣 先ほどお答えしましたように、補助制度そのもののさらなる充実、そしてまた範囲の地域の拡大、こういうことは努力をしたい、かように思います。
○冬柴委員 さてそこで、今年度初めて計上されましたこの無料法律相談という問題であります。この部分も、憲法三十二条の「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」この規定の延長線上にあって、これに由来する基本的人権の一内容である重要な制度である、無料法律相談も訴訟費用の立てかえとともに大事なその内容をなしておる、このように私は解釈しているわけであります。この三十二条の背景は、いわゆる正義へのアクセス、その普遍化という遠大な理想が含まれている、包含されているというふうに私は解するからであります。 なぜなら、紛争の解決というものは裁判という場面だけで行われているわけではありません。特に我が国の伝統的な国民性、争い事を裁判所に持ち出すという、そういうことは控え目であります。裏返せば、紛争が裁判外における示談解決ということで終局する場合が非常に多いわけでありますが、そのような示談の内容というものも、法の精神あるいは正義にかなったものでなければならない。強い者勝ちという、例えば相手がやくざであればその人が言うことをのまざるを得ない、正義には反するけれどものまざるを得ない、こういうことでは許されないというふうに思うわけであります。そういう意味で、この法的助言制度、言いかえれば日本では無料法律相談、ちょっと範囲が違うのですが、まさにそのような示談解決の中で正義が実現するためのアクセスを保障する機能というものが期待されていると私は思うわけであります。 このような考え方について、法務大臣の所感をお伺いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 お尋ねの法律相談、この問題も法律扶助制度の一部である、私はかような考え方で検討していきたいと思います。
○冬柴委員 さて、こういうことで、額はともかくとしまして、そういう面に新しい補助金交付という形で乗り出されたことを先ほど申しましたように高く評価しているわけでありますが、憲法論に立ってこの法律扶助制度を考えましたときに、憲法というのは、特に第三章の規定というのは、国と国民との権利義務を規定するという構造になっております。先ほど法務大臣が挙げられました三十二条もその第三章の中の一カ条でありますから、国と国民との権利義務の関係にあるわけであります。したがいまして、そこで言う権利者とはだれか。これはここで「何人も、」と書いてありますから、日本国民及び日本に現在する外国人というふうに私は読むわけでありますが、そういう人たちが権利者であります。義務者はだれかと言えば、日本国家であり、もっと具体的には日本国政府だと思うわけであります。したがって、私的な団体である弁護士会あるいは財団法人法律扶助協会が国民らに対して義務を負っていない、負っているということがないことは明瞭であります。 そういうふうに考えていたときに、今法務大臣が最初の答弁で、今日、補助金というものが、行政というものが相当な実効をおさめてきているから、いましばらくこれで推移をし、将来の問題としてもっと違う方法も考えるというお話をされました。だけれども、ここで法律扶助の現実を見てみましたときに、外国、これは制度とか法意識も全然違うわけですからなかなか比較はできませんけれども、その金額におきましても、例えば法律相談の件数においてもあるいは扶助された事件の件数においても、人口比等も考えても、非常に格段に日本の場合その数が劣っているということは客観的事実でございます。 それは、日本弁護士連合会が百万円の資本金で昭和二十七年に設立した財団法人法律扶助協会という私的団体が、運営費の調達についてはそれこそ「草を食み石に爪を立てる」ような闘いをして四十年間やってきて、ようやく今日に至っているように思われるわけでございます。それは、運営費に対しては国は一切補助をしていないわけでございます。これは、私的団体が行うものに対して政府が公的資金を使うということは困難なことはよくわかるわけですけれども、じゃどうして運営してきたのかということになりますと、日本の弁護士は一万四千人ぐらいしか登録されていませんが、毎年弁護士会から一億数千万円が補助金として財団法人法律扶助協会に拠出されている。また、法律扶助事件を担当した弁護士が、その地域によって拠出割合は違うのですけれども、いただいた報酬の一部を寄附する。大阪弁護士会では一五%。こういうものの累計額が約一億弱あります。それからまた、弁護士が事件の依頼者に慫慂して、例えば贖罪寄附とか、そういうものを法律扶助協会に寄附をしてください、あるいは寄附金に非課税の扱いを受ける団体の指定を受けているからこちらへ寄附してください、こういうことで集める金が実に数億円。四億、五億という金をそういうところから集めてきてようやくこの法律扶助協会の運営が成り立っているという事実があるわけでございます。 これ以上これをふやすということはとても困難でありますし、無料法律相談も今までは日本船舶振興会から寄附金によってようやく行われていたという事実があるわけで、毎年四千数百万円日本船舶振興会からいただいた寄附金によって初めて無料法律相談が行われてきた。今回政府からいただくことになるわけですけれども、そういう姿があるわけでございます。これが果たして大臣のおっしゃる、補助金によって進められた法律扶助事業が相当な実績を上げつつあるから、いましばらくこれを見守るというのは、私としては不満足なのでございます。 昨年十月、個人視察でお隣の、韓国へ一泊二日で行ってきました。そのときのことを、調査の結果を十二月八日の法務委員会で、私がここで申し上げたわけでございますけれども、その大韓民国は一九八六年、つい最近ですが、大韓法律救助法という基本法を制定いたしました。そして、我が国の人口と比較しますと、向こうは人口は約三分の一です。約四千万人。予算規模では、予算書もいただいてきたのですが、日本の約十三分の一でございます。この国が今執行されている九二年度予算で三十九億ウォン、すなわち邦貨に直して六億五千万円を法律扶助事業に拠出をしているわけでございます。私はこういう見聞きしてきたことをここで報告をいたしました。 また、基本法を文献で持っている国は数限りなくあるわけでして、日本を除くG7はもちろん全部持っていますし、北欧の三国あるいは旧英領の国々、オランダ、シンガポール、スリランカ、ザンビア等々、数え上げたら切りがないほど基本法を制定して国民の裁判を受ける権利を保障しているわけでございまして、イギリスやドイツの例はここで挙げませんけれども、大変な金額を拠出してこういうものを保障しているわけでございます。 それで、法務大臣はさきにいましばらくはこのままでいきたいという趣旨をおっしゃいましたけれども、私は我が国においても法律扶助基本法を制定するための調査くらいは着手ざれたらどうだろう。この調査もあるべき仕組みについて例えば法務大臣の諮問機関に諮問をする、あるいは諸外国の立法例等も政府自身が調査をされるということで調査費を計上される、少なくとも平成六年度の概算要求で、ことしの八月になりますが、この金額は別としまして、調査費を要求していただいてはどうか、私は強くそのように考えるわけですが、その点について法務大臣の御意見を伺いたい。
○筧政府委員 委員の方から少し細かい数字の開陳がございましたので、事務当局の方から説明させていただきます。 先ほど大臣がお答えいたしましたように、現在はいわゆる予算補助方式によってこの法律扶助制度を運用しているわけでございます。若干この制度が特色がございますのは、この扶助がいわゆる立てかえ制を原則としておる関係上、そのお金が、全部ではございませんけれども、償還金という形で返還がされるということになってまいっております。国といたしましては、この補助事業に昭和三十三年から補助金を交付いたしまして、その総額は約二十二億になっておるわけでございますが、その償還金が毎年、最近では六億程度に上っておるという状態になっております。 この補助金も毎年交付額をふやしていく、あるいは今度の相談業務についても、いわゆる示談型といいまして、示談についての法律相談で、実際また、勝訴と同じような結果の得られるものについては償還金という形で戻ってくるというようなことがあり得ると考えておりますが、そういうことで、順次この償還額もふえているということで、順次、何というのですか、一種の基金的なものがここの中に積み重ねられて制度が拡張していくということで充実を図っていくのがいいのではないかと、さしあたってはそのように考えておるわけでございます。 その基本法についての制定というのは、冬柴議員の方からしばしば御指摘もございまして、私どももその問題は頭の中に置いておるわけでございますが、さしあたっては、これも議員御存じのとおり、この法律扶助制度について、法務省、これは私どもだけじゃなしに、人権擁護局と司法法制調査部それから法律扶助協会、弁護士会の四者が集まって勉強会を続けているわけでございます。 そこでは、諸外国の制度あるいは現在の制度の問題点というものを検討してまいったわけでございますが、さらにこの作業を、現在の制度あるいは将来も見越しての扶助に対する国民の需要といいますか、そういうものがどの程度あるのか、あるいはそういうことによる資金需要がどの程度要するのかということについても調査の手を、あるいは勉強の手を広げていくというようなことをしてまいれば、これは決して、将来の立法を検討する際には、その作業が断絶したり中断するわけではございませんので、そういう作業を発展さしていくことによって、将来の立法化のための準備にもなっていくのではないかと考えておるわけでございます。 またこれは、来年度の予算について御審議の状態でございますので、その次の予算についてどういう方針をとるかということまでまだ事務局としても考えが及んでいないところでございますので、現在、立法の調査費について、平成六年度要求に出すかどうかということまでは決めかねておるという状況でございます。
○冬柴委員 今法務大臣がいられないのでちょっと残念なんですけれども、ただ私が言っているのは、二十二億円ぐらいの、確かに昭和三十三年以降の補助金の累計額は二十二億円程度にその総額が及ぶということは十分承知しているところでありますし、これが貸し付けで、また返還されて還流をして、その一つの基金を形成しつつある、いわゆるストックとしては相当な額になりつつあるということは私は十分承知しているわけですけれども、先ほど法務大臣に金額を挙げてるる申し上げたのは、そのストックだけでは法律扶助という事業は運営できませんよということを申し上げているわけで、その運営をするためには、この二十二億円というのは、運営費には、例えばこの事件を法律扶助の対象として扱っていいかどうかということは、その事件が勝訴の見込みがあるのか、それからまたその扶助を求める人の財政状況はどういうことなのかということの審査その他手続が要りますし、五十支部の事務費も要るわけでして、そういうものが毎年数億以上、七、八億の金がかかっているわけでして、それに対しては国は一切、補助金も何も出してないわけです。 したがいまして、ここを解決してもらわないと、補助金を毎年ふやしていけばそれでいいんじゃないかという考え方は、私的団体である財団法人法律扶助協会とか、その後ろにいる日本弁護士連合会が、フローじゃなしにストックの方の金の調達のために、私が先ほど岩に爪を立てて頑張ってきたと言うのは、その点を言っているわけでして、今日現在は本当に限界に来ているんじゃないか。 そういう贖罪寄附金を集めてきて、そしてそれでようやく運営ができているという実態は、基本法を制定して、国がこういうものに乗り出さなければ、これは国の義務でしょう、法律扶助協会の義務じゃないわけです。そういうことを考えますと、私は、今のやり方をしばらく見守りつつ将来基本法制定については考えていくという考え方は、そこに思い違いがあるんじゃないかということを申し上げたいわけでございます。 昨年の一月六日付の朝日新聞「飛躍させたい法律扶助制度」、一月二十四日付毎日新聞は「法律扶助の飛躍のためには」という社説をそれぞれ載せていただきました。こんなことはかつてなかったことです。そして、ことし一月二十四日には毎日新聞が社説「「法律扶助の日」に考える」、また同じ日には読売新聞は「裁判を受ける権利 費用立て替えで後押し」という囲み記事を非常に好意的に書いていられますし、朝日新聞も「扶助の日」という論説委員による署名記事を載せた。こういうように、マスコミはこういうものを飛躍させなければいかぬのだと。その方向も、やはり基本法の制定が必要だということでは、ほぼ国民の間にも非常にそういう機が熟しつつあると私は思うわけでございます。 ですから、今の扶助制度で額だけふやしていけば、努力しているんだからこれでいいんじゃないかというお考えは、そっちはストックの方でございまして、運営費の方は多分一銭も見てないわけですから、そこが問題なんでして、そういうものを抜本的に包摂して考える一つの基本法というものを各国が持っているわけです。 イギリスも、そういうものについてはもちろんストックもフローも全部国が補助をしております。ドイツは裁判所が運営をしていますから、そういう運営費を心配する必要はないわけです。韓国は、先ほども申しましたように、ストックもフローも国家がきちっと面倒を見た公団というのが成立しているわけでして、だからちょっとそういうことを法務大臣に認識をしていただきたいのですが、それに対する感想で結構ですから伺って、この問題を終わります。次の問題に移りたいと思いますので、感想をひとつお願いしたいと思います。
○筧政府委員 まず、最近、この問題について国民の関心が非常に高まりつつある、マスコミの論調にも取り上げられているということにつきましては、これはもちろん、先ほど申し上げましたように、この法律扶助制度に対してどういう制度をもって対応するのか、あるいは国費をどれだけ費やすかということは、最終的には国民の理解と協力を得なければならないわけでございますので、そういうことの関心を持っていただくということは大変ありがたいことであると思っております。 ただ、先ほど来申し上げております憲法上の制度によって由来するものであるといたしましても、それを具体的にどのような形で実現していくかについてはいろいろな方法があるわけでございまして、現在の財団法人を使っての扶助の方式というのもこれもまた一つの方法ではなかろうか、こういうようにも思っておりますので、それをも含めて検討していかなければいけないのじゃないかと思っております。
○後藤田国務大臣 法務省としましては、勉強させてもらいます。
○冬柴委員 法務省として勉強する、その答弁で結構でございますので、ただ、調査費用ぐらいつけていただきたい、このように追加して申し上げておきます。 次の問題でありますが、自己破産の申立事件が爆発的に増加をしております。まず最高裁判所から、その実態を明らかにするために過去五年間、昭和六十三年から昨年までの五年間でいいですが、自己破産申立件数の推移について御報告をいただきたいと思います。
○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 今御指摘ございましたように、最近自己破産の件数は非常に増加をしておるわけでございます。この個人の自己破産につきまして、昭和六十三年から五年間の件数を申し上げたいと思いますが、昭和六十三年は九千四百十五件でございます。それが平成元年度には九千百九十件、やや減少したわけであります。次の平成二年一万一千二百七十三件、前年に比べまして二二・七%の増であります。それから平成三年、これは二万三千二百八十八件、前年に比べまして一〇六・六%の増。それから平成四年、昨年度でございますが、これはまだ統計が確定はしておりませんので、現時点の数字ということでお聞きいただきたいのでございますが、四万三千百四十四件、前年に比べまして八五・三%の増という数字になっております。
○冬柴委員 私も弁護士をずっと、ことし何か登録三十年のようですけれども、こういう破産申立というのは債務者にとっては究極の選択ですね。ですから、申し立てをした件数が倍々でふえているわけですが、平成二年が一万件、平成三年が二万件、平成四年が四万件、こう倍々にふえているということは、その背後に数十倍の予備軍がいるだろうと私は思います。こういう人はやはり、日々いつ逃げようかな、失踪とかあるいは自殺を考えています。そういうことが原因で一家離散とか家庭破壊がなされるわけですし、これは債務者側、自分が借りた人です。その外に保証した人がいるのです。その人が責められているわけですから、日本国民の中で、この倍々にふえている事件というものの背後にいかに多くの悲劇が隠されているかということを感じると、私はほっておくわけにいかぬという感じがするわけです。法務大臣の所見を伺っても、これはしようがない、そのとおりだと思うのです。 そこで、なぜこんなに激増の傾向にあるのだろうということで、しかも若年層が多い、これは一人で何枚もクレジットカードを持って前後の見境なく金を借りたり物を買ったりしている、いわゆる多重債務者というものが増加しているということがあるというふうに言われているし、私もそう思います。 これをチェックするにはどうしたらいいのかということで、アメリカ等にもその先例はありますけれども、過剰与信をなくするというためには、月収何ぼの人には何ぼぐらいしか貸せないなという与信を設けて、それ以上は貸し出ししないというようなシステムができなければしようがないと思うのですね。これが個人信用情報のネットワークのシステム化ということになると思うわけです。 今、大蔵とかあるいは通産所管になるわけですけれども、各業界でそういうものをいっぱいつくっています。カードをもらうためには、自分の家族から収入から全部書いた信用情報というものを出してそしてカードを受け取っているわけですから、そういうものの集積があります。これを企業界、大蔵とか通産とかいう垣根を取り払ってこういうものを一括して、この人に対しては幾らしか貸せないのにもう今は幾ら借りている、そういう情報がわかるようなシステムをつくらざるを得ないわけでして、その方向にあると思います。 しかし、そこには非常に大きな問題が隠されていると思います。それは、個人信用情報が目的外に利用されるということでございます。例えば就職、結婚、そういうときにこういうものが使われる可能性がありますし、そういうことに使われては大変であります。 そこで、ちょっと刑事局に聞きたいのですけれども、こういう信用情報を保管しているところで、原本を持ち出すのじゃなしに、今コピーというのが物すごく普及していますから、その原本から必要な箇所をコピーをとってそれを持ち出した場合に何罪が成立するのですか。それをちょっと教えてください。
○濱政府委員 今委員がお尋ねになっておられます個人情報をコピーして持ち出した場合、これはいろいろなケースが考えられるかと思うわけでございます。そういう意味では、どういう犯罪が成立するかということはそれぞれの事案ごとの事実関係いかんによって変わってくるのだろうと思いますので、一概にどういう罪が成立するかということを明確にお答えすることは非常に難しいかと思うわけでございます。 ただ、これまでの判例にあらわれた事例を見てみますると、そういう情報をコピーして持ち出した場合の案件について、例えば窃盗罪あるいは横領罪、背任罪、それから信書開披罪、秘密漏泄罪というような罪に問うことができる場合があるのではないかというふうに承知しているわけでございます。
○冬柴委員 ただこれは、信書開披罪とかそういうものは別として、財産犯として扱った場合に、どうもコピー用紙の窃盗、一枚一円か二円の窃盗というふうに構成するのが一番やりやすいのですけれども、実情に合いませんね。その上の黒いカーボンが問題でして、その内容が問題で、それが高く売れるわけですから、私はこういうものについて、いろいろ判例が扱った罪名をたくさん挙げられたのはみんな実務家が物すごく苦労しているからそんなことになってくると思うので、疑いなくこの罪だということがばしっと出てくるようなものを立法する必要があるのじゃないかというふうに思うわけでございます。 情報のネットワークシステム化というのは大変な作業ですし、きょう言ってあしたとか、そんなものでできるとは思えませんので、それに先立っても何か情報利用規制法といいますか、あるいはそういうものを漏泄した場合の刑事罰といいますか、そういうものを法務省としてお考えになるつもりはないのですか。立法ですね、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○濱政府委員 今委員お尋ねになっておられますように、個人情報のネットワーク化と申しますかシステム化というものを前提とした場合に、刑事法的に対処する方法はどうかというお尋ねかと思うわけでございます。 これはどういう処罰規定が必要かということになりますと、やはり個人信用情報のネットワークというものの形態と申しますか個人信用情報の管理形態、あるいはこれを利用する形態等と密接に関連する事柄であることは申すまでもないわけでございまして、今後どのようなネットワーク化あるいはネットワークが構築されていくのかというようなことについてそういう状況も見守らなければならないと思いますし、そういうネットワーク化の態様等を見守りながら、それに即応した新しい立法措置が必要かどうかというようなこと、現行法によって対処できるのかできないのかということも含めて慎重に検討を進めていかなければならないというふうに思うわけでございます。
○冬柴委員 これは本当に慎重にやらなければいけませんけれども、現実にそういう告訴状を持っていっても、紙の値段で、財物の価格としては非常に微々たるものだということで告訴を受け付けてもらえないという事例もあるわけでして、やはり法務省の所管として、これは信用情報のことを私取り上げましたけれども、そういう大事な原本をそのまま置いてコピーだけを持ち出すというものに対する対応策というのは必要だろうと思いますので、御検討いただきたいと思います。 話が変わりますけれども、個人破産の申し立ての急増というものが、先ほど言いました法律扶助協会の財政を圧迫しているわけです。こういうものがどんどんふえてきますとやはり駆け込んでくるのは法律扶助協会でして、そこで自己破産の申し立てをした方がいいだろう。お金がないわけでして、どうなるのか、扶助の案件になる場合が多いわけでございます。 そういうことを考えてみますと、最高裁に伺いたいのですけれども、前にもちょっと聞いたことがあるのですが、破産法百四十条に「破産申立人カ債権者ニ非サルトキハ破産手続ノ費用ハ仮ニ国庫ヨリ之ヲ支弁ス」という規定がありますが、平成三年度の予算額及び執行額、それから平成四年度の、この百四十条に対する国の支弁という事態が生じたときに対応すべき予算額と現時点までの執行額というものはどんなことになったのか、ちょっと報告いただきたいと思います。
○今井最高裁判所長官代理者 破産法百四十条の仮支弁の関係でございますが、平成三年度の予算額でございますが、この予算は五千百三十万円ということになっております。これに対しまして実際に仮支弁がされた件数でございますが、二件でございます。金額は一万三千円ということでございます。 それから、平成四年度でございますが、予算額は同じく五千百三十万、これはまだ年度中でございますが、現在までに支出された金額は、二件ございまして、合計五十万ということでございます。
○冬柴委員 最高裁の予算というのは特殊な扱いがあって、各省庁の予算とはまた違う、二重構造があるようです。ところが最高裁、どうも予算要求控え目のような感じがしてしようがないわけですね。五千百三十万という金額、ことし途中で四万三千件もあって、そのうち、百四十条という規定があるのに、これが全部するとは言っておるわけじゃありませんけれども、二件、去年に至っては一万三千円しかこの中から仮支弁していないということは、規定があってなきに等しい扱いになっているのじゃないかと思いますね。 じゃ、そのしわ寄せばどこかに行っているわけですよ。法律扶助協会にも相当部分来ておるわけですから、こういう規定がある以上、最高裁も実際にこの規定による仮支弁という制度が活性化されるようなことを考えていただいて、各地裁担当官に通達もしてもらわなければいけないでしょうし、またそういう予算要求があったときは、法務大臣、ひとつそういう問題があることの理解をして、閣議決定の際には、たくさん数字が入っていますからあれですけれども、ひとつ最高裁のこういう点も気をつけておいていただきたいと思うのですが、一言。
○後藤田国務大臣 裁判所の予算、国会の予算、これは三権分立で、別々でやっておるわけですから、法務大臣として口を挟む余地はないわけです。 ただ、仰せのように、閣議等の際、いろいろな、正規の話じゃなくて、裁判所の予算も少しちまちまし過ぎておるのと違うかといったような意味合いにおいてならお話ができると思いますけれども、そこらでひとつお許しいただきたいと思います。
○冬柴委員 時間も迫ってきましたが、私の党は、平成二年二月に製造物責任法案要綱を公表いたしまして、百二十三国会で当院に対して製造物の欠陥による損害の賠償に関する法律案を提出したわけでございますけれども、残念ながら百二十四、百二十五国会とも審議に入ることができずに継続になっているわけでございます。 ところで、製造物責任法制定に対する国民各層の関心は非常に高いと思うわけでございます。私法学会とか弁護士会はもとよりですが、各政党からの要綱や試案というものが提出されて、論点もおおむね整理をされてきているというふうに私は思うわけでございます。政府の対応、これは、こういうものは閣法として政府の姿勢を明確にするためにも出される、そういう準備をきちっと遅滞なくやられるべきだと思うわけですけれども、審議会の答申等でおくれていることはわかるのですが、なぜおくれているのかということに思いをいたすときに、やはり政府がもっと主導的にこういうものに対してやるべきじゃないか。ECではEC指令というものがありまして、加盟各国、立法化が順次進んでいるわけでございますし、法務大臣の、このような製造物責任法の制定に関する一つの所見というものをお伺いしたい、このように思います。
○後藤田国務大臣 この製造物責任法の制定、これは私は重要な当面の政治課題だと思います。国民生活審議会で今せっかく勉強しておるようですから、そういった審議の結果等も見ながら対応してまいりたい、重要な施策である、かような受けとめをいたしております。
○冬柴委員 それじゃ法務大臣、ひとつ頑張っていただきたいと思います。 さて、最後の問題に入りますが、同僚議員からも佐川急便の問題についてずっと質疑が重ねられましたけれども、これに対する検察の対応について私もお伺いをしたいと思うわけでございます。 この問題が、的を射ているのかどうかは別として、国民の検察に対する不信と言ってもいい段階にまで来ているように思われるわけでございます。こういうものを払拭しなければ、法務大臣の所信表明にもありましたように、検察行政というのは国の基盤をなすものでありますから、そこに対して国民の信というものが揺らいだときに国家の存立すら危なくなるわけでございますから、大変大事な問題だと思うわけでございます。 そこで、なぜ不信が生ずるのかということを考えたときに、これはもう法制度の仕組みとかそういうものがありますから、刑事局長が予算委員会あるいは法務委員会のところへ出てこられまして、まずこの点については答弁を控えさせていただきますという言葉が必ず入るということは、やむを得ないところはあるのですけれども、何か国民から見ますと非常に隔靴掻痒といいますか、何で、それは隠しているのじゃないかというような、そういうことにまで思いがいくわけでございまして、例えば金丸信さんに対する略式命令は確定しているわけで、その刑事事件の一件記録、私は検察はこういう事件だからということでいいころかげんな処理をしたとは思っていませんし、思いたくもありません。十分やられたのだろうと思うのですが、そのやってきた跡というものは記録の中にあらわれているはずであります。 前回ここでどれぐらいの厚さだということをお聞きしました。二十五センチぐらいあるということを答弁いただきまして、二十五センチあれば随分これはいろいろ調べたことがわかるのだろうな、これを見れば国民が抱くいろいろな疑問にも答えられるのじゃないか、そういうふうに私は思っているわけですけれども、一体いっこの一件記録を全部が閲覧可能な状態になるのか、その点について刑事局の御答弁をいただきたいと思います。
○濱政府委員 お答えいたします。 この委員が御指摘になっておられます確定記録につきましては、これはもう十分委員御案内のとおり、検察当局が関連事件の捜査中であって、これを閲覧させた場合には捜査に影響を及ぼすおそれがあるということで閲覧を拒否したところでございまして、その判断が最高裁判所でも支持されたものと承知しているわけでございます。 この政治資金規正法上の量的制限違反事件につきましては、検察当局が既に不起訴の終局処分を行ったところでございますが、検察当局におきましては、現在もなお政治資金規正法上の収支報告書不記載罪や所得税法違反事件等、残りの告発事件の捜査を続けているところでございます。検察当局におきましては、そのような事態をも踏まえて、閲覧請求があった時点におきまして、刑事確定訴訟記録法の規定に従いまして、適正に対処するものというふうに考えているわけでございます。
○冬柴委員 法務大臣がこれにくちばしを入れると、どうも法務大臣の指揮というようなことになってきて非常に問題は大きいわけですけれども、ただ、いつまでも捜査中、捜査中ということで、もう予算委員会も終わり、この国会が終わってしまって、そういうときに何か不起訴裁定があったということになりますと、どうも私は、検察全体の威信を回復する上においても、起訴あるいは不起訴というものの最終判断を一日も早く、そのために人的なものの投入が必要であればそれに投入して、この問題に対する結論を国民の前に明らかにすべきだろう、こういうふうに思うわけでございます。 いろいろ聞きたいことはあるのですけれども、私の持ち時間は当初の予定では十四分までですからあと残っていますけれども、この程度で私は終わりますが、検察の威信の回復のために、法務省挙げて、法務大臣が先頭に立って御努力をいただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わりたいと思います。
○浜野委員長 木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。 大臣の所信を伺って最初の質問でありますから、本来であれば法務行政全般についての大臣の御所見をさらに具体的にお伺いしたいと思っているわけでありますが、私に与えられた時間はわずか二十五分でありますから割愛をさせていただきたい。 ただ、先ほど来所信をお伺いいたしまして、率直な私の印象は、今日の法務・検察行政の最大の問題は東京佐川急便の捜査に見られる国民の批判、不信、これをいかに回復するかというところにあるのではないかと思うわけであります。ところが、その問題については一言も言及がなされていないという大臣所信でありまして、これはいささか画竜点睛を欠く大臣所信ではないかと思わざるを得ないということを冒頭申し述べまして、東京佐川急便の事件、とりわけ金丸前代議士に対する渡邉廣康からの五億円の献金事件の問題についてのみお伺いをしたいと思うわけであります。 最初でありますが、金丸氏に対する五億円の献金問題について、政治資金規正法量的制限違反に基づいて罰金二十万円の略式裁判が確定をした前後から、膨大な告発が検察当局になされているやでございます。昨年十一月三十日の法務省の予算委員会に対する中間報告によりますと、その告発の具体的な中身の要旨が述べられております。 そこで、最初に告発の全容をお伺いしたい。被疑者だれに対してどういう被疑事実、被疑罪名が告発の対象になっているのかをお伺いしたい。被疑事実の要旨を答弁いただきますとそれだけで時間がなくなってしまいますから、被疑罪名ぐらいで結構です。
○濱政府委員 お答えいたします。 これは、今委員が御指摘になられました昨年十一月三十日のいわゆる中間結果、捜査処理に関する中間報告でも申し上げたかと思うわけでございますけれども、金丸前議員及びその使途先生言われている約六十名の国会議員に対する量的制限違反寄附の供与または受領の事実、これが一つ。それから、金丸前議員及び前記約六十名の国会議員に対する所得税法違反の事実、これが二つ。金丸前議員及び前記六十名の国会議員に対する収支報告書の不記載または虚偽記入の事実ということでございます。 念のためでございますが、一番最初に申し上げた告発事件については、さきに不起訴処分が行われたということでございます。
○木島委員 その中間報告によりますと、今述べられた量的制限違反、所得税法違反、収支報告書の不記載または虚偽記入の「事実等により告発がなされた」と報告されているので、その「等」というのは何なのかを聞きたいのです。
○濱政府委員 これは、金丸前議員に対する公職選挙法違反事件の告発が含まれておりますのを先ほどちょっと申し落としました。
○木島委員 渡邉廣康から金丸信前代議士に対する五億円の供与につきましては既に罰金刑が確定しておりまして、その具体的な中身は、九〇年の一月中旬、総選挙前ということになっているわけであります。 さんざん論議がされてきた問題でありますが、この被疑事実、既に今日では犯罪事実でありますが、その捜査の端緒は、渡邉廣康の供述調書であったのではないかと思われます。その供述調書によりますと、受領の時期は八九年の六月上旬、参議院選挙の直前であっなどのようでございます。その事実については朝日新聞の昨年八月二十二日の報道でも報じられているところでございます。八九年六月上旬に五億円が授受されたのではないかというこの嫌疑につきましては、告発の対象にはなっていないのでしょうか。
○濱政府委員 今委員御指摘の点についての告発があったという報告は受けておりません。
○木島委員 それでは、私が今述べたその被疑事実についての東京地検としてのいわゆる立件手続あるいは捜査あるいは起訴、不起訴の処分、これらはどのような状況になっておるのでしょうか。
○濱政府委員 今お答え申し上げましたように、委員が御指摘になっておられる一九八九年の六月ごろの時期を献金時期として事件を立件したという報告は受けておりませんし、その時期における渡邉元社長から金丸前議員に対する献金を問題とした告発がなされたという報告も、先ほど申しましたように受けていないわけでございます。
○木島委員 東京地検特捜部は、いろいろ別件で捜査中に、例えば政治家にかかわる政治資金規正法とか濱職とかいろいろな被疑事実の捜査の端緒をつかむことがあるわけでありまして、そこから捜査が入っていくわけであります。警察とか他の検察庁からのいわゆる事件の送致とか、そういうことなしに別件捜査中に捜査の端緒をつかむわけでありますね。そういうことが多いわけですね。そういう場合に、いわゆる立件手続ということはなされるのでしょうか。
○濱政府委員 検察庁における立件手続というものの実務的な慣行と申しますか一般的な取り扱いをお尋ねだと思うわけでございますが、通常必ずしも明確に、いつの時点でいわゆる検察官認知、立件という手続を行うかということについては、決まった定めはないわけでございますけれども、通常は、証拠上、例えば起訴することが確実になったというような時点において、部内処理の問題として認知して立件手続をするというのが通例というふうに申し上げてよろしいかと思うわけでございます。
○木島委員 例えば強制捜査、裁判所に対して令状をとるような場合には、別件で捜査検察官が事件を認知したり捜査の端緒をつかんだ場合でも、立件手続が内部手続としてきちっととられる、そのようにお聞きをしているわけでありますが、そうしますと、質問を変えますが、八九年六月上旬に五億円が供与され受領されたのではないかという嫌疑については、処分はどうなったのでしょうか。起訴とか不起訴、その時期を特定した問題についての不起訴とか起訴の処分、そういう処分は法的に検察庁はなされたのでしょうか。
○濱政府委員 先ほどお尋ねのような点について立件をしたという報告は受けていないということは申し上げましたけれども、昨年の中間報告でもお答え申し上げた、あの中で御説明申し上げているわけでございますが、公訴提起をした事実以外には、犯罪の嫌疑ありとして確認された事実はなかったということで御説明申し上げたかと思うわけでございます。
○木島委員 それは結構なんですが、だからそれを前提にして、八九年六月の五億円の授受については嫌疑なしで不起訴なんだ、そういうはっきりとした処分というものはやられているのですか、それとも処分せずですか。
○濱政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、立件手続をとっておりませんので、委員がお尋ねになっておられるのは、不起訴裁定というようなものをしたかどうかということだと思いますけれども、特にそれは行われていないというふうに承知しております。
○木島委員 大分はっきりしてきました。八九年六月五億円授受の問題については、正規の立件手続もなければ、不起訴裁定などの処分手続も正規になし。 それでは、この問題につきましては、現在もう捜査の対象ではなくなっておるというふうに聞いてよろしいですか。
○濱政府委員 建前を申し上げますと、検察庁が、検察当局が現在どういうことを捜査しているかということについてお答えは、これはいたしかねるわけでございます。 ただ、御理解いただきたいのは、昨年十一月三十日の中間報告で申し上げましたように、公訴を提起したもの以外には犯罪の嫌疑を認められるものはなかったということでございますし、今委員のお尋ねをちょっと聞いておりますと、これは私の方の誤解であればお許しいただきたいと思いますが、既に略式裁判で確定した平成二年一月中旬ごろの金丸前議員の五億円の寄附受領の事実と、ほかに事実があるのではないかという前提でお尋ねになっておられるのかと思いますけれども、そういう点につきましても、先ほど中間報告で御説明したと申し上げましたように、既に公訴提起をした事実以外には嫌疑のある事実は認め得なかったということで御理解いただきたいと思います。
○木島委員 私は、必ずしも八九年六月に五億円授受があり、九〇年一月に五億円授受があり、十億円の授受があったという前提に立って質問しているわけではありません。 大体わかりましたので、次の質問に移ります。 それでは次に、告発に係る他の嫌疑事実について、金丸氏が指定団体とする政治団体新国土開発研究会から六十名の政治家に五億円が配分されたのではないかという量的制限違反の嫌疑については、嫌疑不十分で不起訴裁定が行われたということですね。そのほかの政治資金規正法上の収支報告書の不記載、虚偽報告の嫌疑については捜査中ということでしょうか。
○濱政府委員 先ほどお答えいたしましたように、量的制限違反の告発事実については不起訴処分にしましたけれども、そのほかの、今委員が御指摘になっておられます政治資金規正法上の収支報告書不記載等の罪、それから所得税法違反の罪の告発事件については現在、検察当局においてなお捜査をしているということでございます。
○木島委員 量的制限違反についてのみ切り離して、不記載の嫌疑と別途、一足早く不起訴の裁定をした理由は何ですか。
○濱政府委員 これは、もう委員が十分御案内のとおりだと思いますが、今申し上げた告発事実のうち、量的制限違反事件につきましては、これは公訴時効が切迫している、しかもその成否につきましては、授受に係る寄附が金丸前議員個人からの寄附か、それとも指定団体に対する寄附あるいは政治団体がする寄附であるかどうかという認定いかんが決定的な事項であるわけでございまして、この金丸前議員個人からの寄附であることが合理的な疑いを入れない程度に証拠上認定ができない以上、必ずしも五億円の分配を受けた約六十名の者を特定する捜査を遂げなくても違反の成否を判断し得るものであるということで、量的制限違反の罪については、先に不起訴処分が行われたというふうに理解しているわけでございます。
○木島委員 時効が切迫しているので、量的制限違反事実についてのみ切り離して先に裁定をした。その裁定の理由が、今述べられたとおりであります。 そうしますと、検察当局は、生原、金丸両氏の供述内容にある、一たん金丸氏が五億円を受領したが、それは一たん新国土開発研究会に入れて、それから配分した、それを否定できなかった、だから量的制限違反については嫌疑不十分だという裁定を下したようですね。そういう認定を前提にいたしますと、そうしますと、これは一見明らかに、新国土開発研究会の政治資金収支報告書の記載は、収入の上で五億円の収入がないことはもう一見明白ですから。私、手元に持っております。それからまた、支出についても、五億円の支出がないことは、一見明白であります。 ちなみに、平成二年の新国土開発研究会の収支報告書の状況を見ますと、その年の収入全額が一億八千八百万余です。そのうち、個人からの寄附は、わずかに三千三百九十五万円であります。とても五億円なんかという数字、かけ離れた数字。支出の方も、支出総額は一億二千六百七十五万余であります。その中で政治活動費の支出、特に寄附、交付金の支出は、わずか五千九百八十万足らずであります。 これはもう一見明白にして、検察当局がそのような理由で、時効を理由にして量的制限違反についてのみ切り離して不起訴裁定処分をしたのであれば、同時に新国土開発研究会に関する収支報告書の不記載、虚偽記入、もう事件を処分するに十分機が熟していたのではないか。なぜそれをやらなかったのか、答弁を願いたい。
○濱政府委員 まずこれは、御理解をいただきたいと思いますのは、検察庁における事件処理の際の判断の経過をまず御理解いただかないといけないと思うわけでございます。 まず、量的制限違反の告発に係る量的制限違反の事実が認められるかどうか。これは先ほども申し上げましたように、金丸前議員から直接約六十名の候補者に分配されたという告発事実が、合理的に疑いのない程度に証拠上明確であるということでなければ、言葉をかえて申しますと、金丸前議員の指定団体である新国土開発研究会に一たん入ったという合理的な疑いが残る限りは、量的制限違反の告発事実について公訴を提起することはできない。証拠上嫌疑不十分という判断にならざるを得ないことは、十分委員御存じのとおりでございます。 それでは、今委員がお尋ねになっておられるのは、収支報告書に記載がないんだから、指定団体に入ったということであれば不記載罪は当然明らかではないかという御趣旨のお尋ねかと思うわけでございますが、まず一つ申し上げなければならないのは、収支報告書の不記載罪というのは、これは会計責任者の身分犯でございます。したがいまして、会計責任者について不記載罪の犯罪が成立するということがまず前提になるわけで、会計責任者について犯罪が成立した場合に、その共犯者の犯罪が成立するかどうかという判断の経過になるかと思うわけでございます。 したがいまして、それ以上立ち入ったことを申し上げますと、現在検察当局で捜査中の収支報告書不記載事件についての捜査の内容に立ち入ることになりますので御遠慮させていただきますけれども、証拠関係あるいは法律適用上の問題としてはそういうふうな判断の経過をたどるわけでございまして、そういう意味では、収支報告書不記載罪についてもなお捜査を続けなければならない点があるということでございます。
○木島委員 どうも合理的な説得にはならぬと思うのですね。新国土開発研究会の収支報告書の、確かに会計責任者は芦沢浩であります。しかし、代表者、事務担当者は生原正久であります。 おっしゃるとおり、不記載罪は会計責任者の犯罪であります。しかし、現行政治資金規正法によりますと、不記載罪があったときの代表者生原正久にも監督責任があるわけであります。その罰則の時効は三年であります。会計責任者の不記載罪の時効は五年であります。 私は、検察庁が先ほど来おっしゃっているような理屈で量的制限違反について不起訴裁定書を変えたわけでありますから、そうしますと量的制限違反の犯罪事実、犯罪嫌疑と、本件についての収支報告書の不記載罪、虚偽記入の嫌疑事実とは、もう不可分一体だと思わざるを得ないわけであります。当然そこまで突っ込んだ捜査が完了しなければ裁定はできないはずであると思うわけであります。 その両者が不可分一体である事実は、私は今手元に衆議院議員三塚博氏の政治団体、大阪博友会の政治資金規正法違反事件についての資料を持っているわけであります。 三年間にわたって合計一千二十万円の寄附を収支報告書に記載しなかったこと、そして同時に、量的制限違反があったことを併合罪として一つの事件として立件し、罰金五十万円の裁判が確定をしているわけであります。この事件は、平成元年は三百万円不記載、平成二年はわずかに三百六十万円の不記載、平成三年はわずかに三百六十万円の不記載、不記載合計三年間で一千二十万円足らずであります。量的制限違反については、平成元年二百十万円、平成二年二百十万円、平成三年わずかに九十万円、これの量的制限違反で罰金五十万円の事件が確定しているわけですね。 こういうことを一緒にやっているわけですよ。これは、やはり検察の常道です。こういうことをやらずに、殊さらに収支報告書に対する不記載とか虚偽記入、これは生原正久に対する監督責任も問われる、あるいは共犯として虚偽報告等の罪も問われる。その事件の処分を殊さらに延ばしているというのは、生原正久氏が国会に証人喚問されるときのそうした場合に、いまだ捜査中であるから証言を拒否する、議院証言法に基づく証言拒否の理由づくりを法務・検察当局がつくってやって いることにすぎない。同時に、決裁済みでいいはずのものを殊さらに延ばしている、それに法務省、検察当局が手をかしているんではないか。この捜査のあり方から見て思わざるを得ないわけであります。 最後に、時間が来ましたから終わりますが、法務大臣の所見を求めたいと思うのであります。 今、法務・検察当局に一番大事なことは、国民の不信を晴らすこと、徹底した、法に基づいて捜査を強めて、起訴、不起訴の裁定をきちっとするということではなかろうかと思うのですが、いかがでしょう。
○後藤田国務大臣 佐川事件以来、検察に対する国民の不信感があることは、私は承知をいたしております。そういう国民の批判を正面から受けとめながら、検察としては、当然のことですが、現行法に基づいて誠心誠意調べを行っておる、かように私自身は確信をいたしております。
○木島委員 時間が来ましたから、終わります。
○浜野委員長 中野寛成君。
○中野委員 先ほど来ずっと、検察のやり方について国民の不信が募っている、そのことについていろいろ事例を挙げながらの質問がありました。 私は、昨年は国民の政治不信が極度に高まった年、同時にまた一方で、検察不信というものも国民の間に大変高まりました。これは未曾有の状況だったのではないかという気がいたします。しかし、これは一方、その原因を尋ねるといろいろな原因があるだろう。それは、もともと法律が十分整備されていないということがあるだろう、また一方で国民の誤解もあるかもしれません。また、検察が謙虚に反省をし、そして十分今後体制を立て直さなければいけないこともあるかもしれません。いろいろな要素が絡み合って検察不信ということが生まれてきたと思います。まして、検察審査会であのような結論が出されたこともそう多くはないと思うのであります。これを逆に検察の立場から考えるならば、検察受難の年だったというふうに言えるかもしれません。これをどういうふうにとらえて認識をしておられますか。まず、お伺いいたしたいと思います。
○濱政府委員 委員、今御指摘になられましたように、昨年来、いわゆる東京佐川急便事件の捜査処理をめぐりまして、検察当局の捜査処理についていろいろな御批判、御叱正があったことは十分検察当局も承知しておりますし、またそれを真剣に受けとめて反省をしなければならない点は反省していくということは、もちろん必要だと思うわけでございます。 また、これはいつも御議論があるわけでございますけれども、検察の捜査処理につきましてなかなか公の場ではお話しできないような事柄も、これはいろいろな、例えば検察あるいは司法の作用を妨げてはならないという観点からのいろいろな法令上の制約があることもございまして、なかなか十分な説明をできない点もあるわけでございます。 また他方、法律手続あるいは法律問題についてもなかなかわかりにくい点もあるわけでございます。後者の法律手続あるいは法律問題につきましては、これはできるだけそういう点に、誤解がありますれば、そういう誤解を解いていただくように、正確に理解していただくように努力をしていかなければならないと思うわけでございます。 ただ、前者の、事実関係あるいは証拠関係等について若干の御説明をすればあるいは御理解いただけるのではないかと思うような点につきましても、これは先ほど申し上げましたように、いろいろな法令上の制約がありまして御説明が十分できない面もあることは、ひとつ十分御理解をいただきたいというふうに思っているわけでございます。
○中野委員 法務大臣にお伺いをいたしますが、いろいろなケースがありました。例えば、これは刑事訴訟法上の不備と指摘をされた方もおりますが、裁判において通常、検事調書が読み上げられることがないケースで、今回は裁判官の指揮のもとで検事調書が読み上げさせられた。しかし、それは読み上げられるのが本来の制度だけれども、それは省略をされておって慣例化しておった。しかし、読み上げたがために七人の政治家の名前が出てきた。これは自民党の中で大騒ぎになりましたですな。 これは本当は法制度、刑事訴訟法の欠陥なのか、またはそれを読み上げない慣例をそのまま踏襲をしていく中で、検察のある意味では油断と言ってはあれですが、まあこんなもんかいなという気持ちがあったのか、しかしこれは読み上げられて当然だったのだ、文句を言う方がおかしいのだということなのか、しかし同時に、読み上げられた人たちは人権問題だと言ってこれまた騒いでいるわけであります。 こういうふうに、結局、法律的に決められていることをそのまま実行して後で問題になる、大騒ぎになる、これはやはりどこかがおかしいのか、それをむしろ耐えるべきなのか、またはそれに対する抗弁の機会がきちっと保証されるようにするべきなのか、政治家後藤田正晴としてどうお考えですか。
○後藤田国務大臣 御質問の件は、裁判所なりあるいは検察当局としては、法律の定めるところに従って適正に処理をした、法律的に言えば私はそう考えるわけでございますけれども、七名の国会議員について、事実に反する、裏をとってないといったような事柄が法廷において読み上げられる。ほかに手段はなかったのかと言えば、ほかに手段がないとも言い得ないのではないかということを考えますと、いずれにしても、このような問題は、私は慎重の上にも慎重に配慮すべき事柄である、かように考えます。
○中野委員 慎重の上にも慎重を期すべし。それは裁判官の行き過ぎだと考えるのか、検察がそのときに裁判官に訴え出て、やはりそれは人権上問題が起こるかもしれないから別の措置をとってほしいと要求すべきだったのか、どうあるべきだったのでしょうか、今回のケースは。
○後藤田国務大臣 全体としての運びの上において、慎重の上にも慎重を期すべき事柄であるにかかわらず、それが欠けておったのではないか、かように考えます。
○中野委員 これ以上、法務大臣に聞くのは酷なのかもしれませんが、それは裁判官ですか、検事ですか。
○後藤田国務大臣 全体として私は判断をいたしております。
○中野委員 わかりました。ただ、法律上の問題は感じませんか。
○後藤田国務大臣 私は、裁判所も検察も、法律的には、一応法律上の扱いとしては、それなりの釈明のできる事柄であったのではないかな、こう思いますけれども、あくまでも個々人の名誉、人権ということを考えますと、ああいうやり方で果たして批判にたえ得るのかどうかということになると、慎重にやるべき筋合いのことではなかったのかな、かような考え方を私は持っております。
○中野委員 法務大臣のお立場としての限界の答弁だろうと思いますから、その意味も含めて受けとめておきたいと思います。 さて、もう一つお伺いいたしますが、例えばこの平和相銀事件に関連をして、大蔵省銀行局が所管の行政を遂行する上で収集した資料を、どういう形かは別にして提供をした、そして不当な情報の流用あるいは目的外使用となるのではないかという指摘が一部あるわけであります。検察が大蔵省の銀行局から平和相銀の内部資料の提供を受けたことがあるのではないかというふうなことについていろいろと取りざたもされておりますし、また、例えば、以前も申し上げましたが、この東京佐川事件で松沢被告が拘置所内で六法全書にいろいろ書き込んでおった。随分と詳しい内容ですから、まんざらすべてがでたらめとは言いにくいと私は思うのでありますが、そういうことについての不信が出る。また、先般来金丸氏の、先ほども指摘がありましたけれども、略式起訴となったことについての不信感がある。そういうふうに次から次に検察批判の形、また不信の形で、この半年、一年ほど、次から次にいろいろなケースが指摘をされているわけであります。 検察というのは、確かに法律上の制約等もありますから、そう一々説明、言いわけをしておれない。むしろ時に歯ぎしりをかむことはあっても、男は黙って何とかみたいに、後で結果が証明するさと言って頑張らなければいけないのかもしれませんが、しかし少々注意をしてきちっとした説明をすることによって、そのかなりの部分が、不信感が払拭できるということはあり得るのではないか。 検察としての基本方針があると思いますが、同時にまた検察内部で、北海道の方からはこれはやはりおかしかったと批判的な投書が出てみたり、また内部でいろいろな批判をする人がほかにもあったりということで、少々もたついた印象を与えた経緯もあったと思うのです。これらのことについて、やはり一度検察としてきちっとした態度を示していく、そういうものが必要なのだろう。何か原則がそういう中でなし崩しにされていないのかしら、こういう気持ちも大変するのであります。 ちなみに、私が出た大学の建学の祖と言われる児島惟謙、昔の大審院長でございますが、例の大津事件、ロシア皇太子を津田三蔵巡査が襲ったときの裁判、あれについては、皇室に対する行為を罰する法律を適用しろという時の政府からの猛烈な圧力に対して、あくまでもこれは皇室ではなくて、ロシア皇太子といえども刑法上はあくまでも一般の傷害罪であるということで処理をした。そのときに彼が言った言葉は、正義を権力から守れという言葉であったわけですね。その本来のあるべき姿、その原則は裁判所のみならず検察にも言えるだろう、当てはまるだろう。この気持ちを国民が持っていて、そしてこの一連の動きの中で、東京佐川の中で検察、本当に権力から正義を守り得たのかという不信感を持つがゆえに今日までいろいろな尾を引いてきているわけですね。このことにつきまして、私は、もう検察当局というよりも、やはりこれもまた政治家としての法務大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○後藤田国務大臣 私は、今度の佐川事件の経過の中でいろいろな厳しい批判があるわけでございますが、少なくとも検察の面では、今先生おっしゃった権力から正義を守った、こういうお言葉でございましたが、検察は権力によって曲げたといったようなことは一切ない、これだけは明確にお答えできるのではないかな。 ただ、いろいろな捜査の過程で国民の皆様方のマスコミ等から受ける印象と、やはり法律の中で法の手続に従って処理しなければならない検察のあり方、それから出てくる検察の処理の仕方、これとの間に遺憾ながらギャップがあったのではないかな。これはやむを得ざるギャップであるかもしれません。検察としては、本来捜査の結果等については、本当を言えば全部、かくかくでございましたと言えば、国民もああなるほどなと、こう言ってくれる場面があると思いますね。検察官とてそれを言いたいという気持ちも僕はあり得るなと思うのですが、しかしながら検察というものの仕事の性格からそれは許されないということがあるわけでございますから、そこらはひとつ、一般の国民の皆様方の受けとめ方と検察の仕事のやり方の中でどうしても越すことのできないギャップが生ずるのはやむを得ないな。 しかし、そのギャップをやむを得ないでほっておくのではなくて、何とかこれを、そうではなかったということを明らかにするといったようなことも必要なことではないかなと私は思いますけれども、現在私が言い得るのは、そういった両者のギャップが残念ながらあって、これが検察の批判に向いておる。しかし、検察は検察として権力におもねるといったようなことなしに、きちんと法律に従って処理をしたものである、私はかように考えておるわけでございます。
○中野委員 その際にもう一つ、これは憶測の域を出ないかもしれませんが、よくマスコミで言われますことは、検察筋のリークなどという言葉が使われます。そして、これは恐らくいろいろな報道陣が今日までの体験に基づいて憶測で書く記事もあるかもしれません、または推測で書く記事があるかもしれません。しかしながら、ある意味では陰に陽に、時の政治家の行動やまたは犯罪者の行動に対する検察の正義感のほとばしりといいますか、それがにじみ出てしまう。それが結局リークとして書かれることにつながる。 しかじ、そのことは結果的に検察の首を絞める、自分で自分の首を絞めることにつながっているんだけれども、それらのことについて単に、きちっと秘密は保持されているという建前の御答弁ではなくて、そういうことについてもやはり検察陣としてきちっと一人一人が襟を正すということは、もう一度みんなで戒め合うことが必要なのではないか、私はこういう気持ちもっとにするわけでありますが、どうお考えですか。
○後藤田国務大臣 リークの問題はしょっちゅういろいろな面で言われるわけでございますが、検察官が積極的に、意図的にリークするといったようなことは、それはあり得ない。やればやるだけにこれは捜査が難しくなることですしね。だから私は、リークはない、こう言いたいと思います。また言い得ると思うのです。しかし、今日大変なマスコミの発達した時代に、大変な多くの手数をかけて、そして捜査官と同じようなとでもいいますか、それ以上に取材活動をなさっておる。そういった中で、それなりのベテランの記者であるならばある程度のことは推定ができるのではないかな、それをあちらこちらで確かめながら一つの記事にする、こういうようなことが行われておるのであって、マスコミはマスコミの立場で私はそれなりの役割を果たしておると思います。それが即それでは検察官からリークしているということかどうかということになると、幾ら何でも意図的に検察官がリークしているなんということは、私は全く信じておりません。その点は間違いがないのではなかろうかな、かように思います。
○中野委員 意図的に言葉にあらわしてリークするということはまず考えられないであろう、私もそう信じたいと思います。しかしながら、間接話法や表情はいろいろありますし、またそのことは取材記者の手腕との闘いでもあろうと思います。やはり十分心構えの中でなお戒めていく必要があるのではないか。これはもちろん我々政治家とても同じことでございます。 最後に、ちょっと話が変わりますが、間もなく商法改正案が出されるようでありますが、別のことで一つだけお聞きしておきたいと思います。 これにつきましては、今度は大きな会社の会計のあり方等についての法改正でございますが、中小会社を含めまして、今日本の会計制度と会計人のあり方、そういうものが問われていると思うのですね。これは本筋は大蔵省でしょうし、また経済的視点から考えますと通産省の意見も聞かなければならないでしょうが、やはり基本的に商法改正となりますと、法制審議会、法務省、こうなってまいります。 今後、中小企業の体質強化のためにも、会計制度、会計基準、そういうものを一度全部洗い直して、しかも国際社会に通用する、国際化という視点で日本のシステムを変えていく必要があるのではないか、こう思っているわけです。またそれに沿った新たな会計人のシステムづくりと人材育成も図っていく必要があるのではないか、こう思うのであります。何か大福帳的な会計制度の中で、日本のその分野についてのディスクロージャーが十分でなかったり、また諸外国から不審の目を向けられたりするということは避けなければいけないと思います。そのことを取り巻く今後の商法改正についての考え方、スケジュールを御説明いただきたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。 今回提出を予定しております商法の改正案におきましては、監査制度のあり方に関係いたしまして、まず、会社一般について監査役の任期を二年から三年に延長するということがございます。しかし、主たる内容は大会社に関するものでございまして、監査役の員数を二人から三人にふやす、監査役の一部につきまして資格要件を厳格にする、あるいは監査役会というようなものをつくることを内容とするものでございまして、御指摘の中小会社についてのものはほとんど含まれていないという状況にあるわけでございます。 この点につきましては、特に中小会社の計算の近代化と申しますか、適正化と申しますか、そういうものを確保する方法といたしまして、いわゆる会計調査人という制度を、監査ではございませんけれども、会計調査人による調査という形での制度を導入しようということで検討を続けてきたわけでございます。 これは、中小会社につきまして、一定の資格を有する者に、会社の計算書類が、きちんと作成されているかどうか、適正な会計基準にのっとって作成されているかどうかというようなことを調査させて報告をさせるものでございましたけれども、この調査という概念と公認会計士等による監査という概念が一体どういうふうに違って、どういうふうな効果を持つのかという、調査と監査という概念の対立の問題、それから対象会社をどうするかという問題、あるいは会計調査人となり得る者の資格をどういうふうにするかということをめぐりまして関係者の間の意見がまとまらないという状況に現在もなっているわけでございます。具体的には、税理士さんあるいは公認会計士さんとが関係者として非常にいろいろな見解を述べておられるという状況でございます。 そこで、今回の改正案におきましてはこの点についての内容を盛り込むことができないという状況になっているわけでございますが、法制審議会におきましては、引き続き今後とも商法の改正作業を続けることにいたしておるわけでございまして、このような問題につきましても、さらに内容の検討を進めるとともに、関係者の理解が得られるように私どもといたしましては努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○中野委員 時間が参りましたので終わりますが、問題は、公認会計士、税理士の立場からではなくて、日本の中小企業の体質をいかに正常化していくか、日本の経済活動をいかに正していくか、そのことが基本的に問われる問題になるだろうと思うわけでありまして、これからも注目したいと思いますが、あるべき姿の判断の基準を正しく持ちながら御検討をいただきたいと思います。 終わります。 ————◇—————
○浜野委員長 この際、内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。後藤田法務大臣。 —————————————裁判所職員定員法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○後藤田国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件の適正迅速な処理を図るため、判事補の員数を七人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、一方において、地方裁判所における民事訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件及び破産事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判官以外の裁判所の職員を五十六人増員するとともに、他方において、裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化すること等に伴い、裁判官以外の裁判所の職員を三十二人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を二十四人増加しようとするものであります。 以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○浜野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時九分散会 ————◇—————