農林水産委員会 第16号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1993/05/19
会議録
○平沼委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、農業機械化促進法の一部を改正する法律案及び特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案の各条を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前島秀行君。
○前島委員 今度の三法案もかなり質疑を積み重ねてきて、いよいよ最終段階に来たと思いますし、また、我々を含めまして修正の議論もいろいろとしておりますので、その辺の修正に絡む項目についていろいろ整理をさせてもらったり要望を入れたりというところを最初にやりたいと思っているところであります。 まず最初に、経営基盤強化の方の関連の問題でありますけれども、私たちは、今回いろいろ議論する過程あるいは修正の意見を出していく過程で、第一に重視をしたのは、いわゆるこれからの農業というのは、地域の特性といいましょうか、地域のそれぞれの条件、あるいは地域の農家の人たち等々の意向というものを大事にしていく時代ではないだろうか。もちろん、中央の政府がいろいろな政策を立案し、いろいろな形で、予算等々をつけて指導していくのも当然であろうと思いますけれども、同時にやはり、これからは地域の特性、地域の主体性ということを生かして、地域も責任を持ってこれからの農業を現場で担ってもらう、こういう体制が非常に重要ではないか、私たちはこういう観点を持っているわけであります。 そういう意味で、私たちは、単に効率的なということだけではなくして、同時に、これとの絡み合いの中で、効率を追うと同時に地域の特性も配慮してほしいということで、地域の特性の配慮という項をまず目的のところで入れてほしいな。そして、特に効率性という観点がありますから、それとの連動の中で、それぞれのところにやはり地域の特性を生かすということを加味させていきたいということであったわけでありますけれども、一方の意見として、五条のところの県レベルの基本方針の作成の過程において、地域の特性を生かすということがそれぞれの市町村段階等々でも生きるのではないか、こういう意見もあるわけであります。 そういう面で、今度の修正のいろいろ今議論している過程の中で、私たちは、五条の中で、基本方針でやるということはいいんでありますけれども、同時に、地域の特性を配慮する、地域の特性を生かすというのは、市町村段階での構想をつくる過程、同時にまた、新農政なり、これからの構造政策なり、あるいは中山間地域の対策をやる過程でも、地域の特性を生かすということを運営の基本的な構えとして、原則としてやっていきたいし、また、やっていくべきではないか、こういうふうに思っているわけであります。 そこで、五条での地域特性と同時に、そのことは市町村段階でも、あるいはさまざまなこれからの農政の展開の中でもこの地域の特性を生かすんだ、こういうふうに私たちは理解をしたいと思うし、また、そうあるべきだと思うのです。その点についてまず第一点、基本的な考え方として確認をしていきたいと思います。
○入澤政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、私どももこの法案をつくるに当たりまして、上からの押しつけであってはいけない、北海道から沖縄まで、地域特性がかなり異なりますから、地域の実態に即した農政を展開しなければいけないということで、国が基本方針を定めるという通常のスタイルを捨てまして、都道府県の基本方針、市町村の基本構想というふうな構成にしたわけでございます。 今回、ただいま修正案を見せていただいたのですけれども、第五条第二項に、その基本方針のところに、「地域の特性に即し」ということが加えられまして、一層その意味が明確になったと思います。このことは、当然のことながら市町村の基本構想におきましても十分に配慮して、地域実態を十分踏まえた農政が展開されるようにしなければならないというふうに考えております。
○前島委員 さまざまなこれからの農政の基本的な姿勢として、基本的な構えとして、この地域の配慮ということをぜひお願いをしたいと思います。 それから二点目は、私たちの今回さまざまな議論の中で、いわゆる後継者対策ということが私は大きな議論であり、柱だったろうと思うのであります。そういう意味で、私たちもさらにその後継者対策の充実ということを大きな柱にしているわけであります。そういう面で、四条二項四号の農地保有合理化法人の研修事業にかかわることでありますけれども、私たちは当然、これからの農業を担っていただく人は、後継者もあるだろうし、また、新規に就農する人もあるだろうと思うわけであります。そういう面で、これからの農業を担っていく人たちがさらにこの新しい条件の中で、新しい状況の中で非常に活動していくための研修というのは、この新規の就農者と、当然農業後継者というものが含まれて、やはり合理化法人のやる研修事業に入るべきではないだろうか、こういうふうに思っているわけであります。 そういう面で、私たちはここに後継者もという点を強調したいな、こういうふうに思っていたところでありますけれども、この法文の中の「営もうとする者」というのは当然農業後継者も新規就農者も入っているんだ、こういうふうに解釈を改めてするとするのならば、確認をするとならばあえてと、こういう気持ちがあるのであります。 そういう面で、新規就農者と同時に農業後継者も、この「営もうとする者」という中に含まれて、同じように、平等にといいましょうか、やるのが当然だと私たちは思っているわけでありまして、その点をここで明らかに、確認をしておきたいと思っています。
○入澤政府委員 農地保有合理化事業の研修等事業の対象者は、法律上、今御指摘のありましたとおり「新たに農業経営を営もうとする者」と規定されておりますが、これには他産業から農業に参入する新規就農者とともに、条文解釈上、農業後継者も含まれるものであります。これは内閣法制局にもそのとおり確認しております。
○前島委員 今回の一連の新農政あるいは今度の構造法案の議論の中で、大きな焦点がこの認定制度ということではなかったかなというふうに私は思います。私たちの中にも、そもそも認定制度というものがいろいろな問題点を含んでいるという議論もあります。また、過日の参考人の御意見の中にも、ここのところをまかり間違うと選別という形に陥る危険性があるよということは、現場の実際に苦労しておる皆さんの意見として、声として、この委員会での参考人陳述の中で意見として出されてきたのだろう、私はこういうふうに思います。 そしてまた、過日、十四、十五と農林水産委員会として現地に、静岡袋井等々に赴いたときの現場の経験の声として、やはり地域の合意というものが非常に大事なんだということも、やってこられている、苦労されている実感としても出てきた、私はこういうふうに思っているわけであります。 だから、この認定農家制度をやっていく過程ではぜひ選別につながらないように、選別ではなくて選定になるようにという意味でやらなければいかぬではないか、こういうふうに思っているわけであります。また、出だしのところでやはりこの合意というものがうまくいかないと、これからの構造政策にせよ、都市の農地の集約にせよ、あるいはその地域における集約された農家がうまくやっていくためにも、この地域の合意というのがもう絶対的な条件ではないだろうかな、やはり農業のそれぞれの地域における特性とか条件から考えると、この合意というのが私は非常に大事だろう、こういうふうに思っているわけであります。 その点で、いろいろ今修正で議論をしているところでありますけれども、今出されている意見は、十二条の四項の中で、そこに一項をつけ加えることになって、いわゆる「承認市町村は、農業経営改善計画の認定について、その趣旨の普及を図るとともに、農用地を保有し、又は利用する者その他の地域の関係者の理解と協力を得るように努めるものとする。」こういうふうなところが今いろいろな議論としてなされているわけであります。 私は、その趣旨の普及を図るということは当たり前だろうと思うのです。もちろんそのことも大事だろうけれども、やはりこれをやっていく過程でその承認市町村がやるべき大切なことは、この文章からいくと、この地域の関係者の理解と協力を得るということに大きなウエートがあるべきであろうと思うのです。 そういう面で、これを具体的にやっていく、実施していく段階で、その市町村の果たすべき役割、任務というのは、この普及も当然だけれども、関係者の理解と協力を得る、ある意味ではもう絶対的条件としてそれは努めなければならない。私たちの方からいえば、それを義務規定的に位置づけるべきではないだろうか。このことが今度の構造政策等々の、あるいは、ひいては新農政に基づいてこれからやっていく農政の決定的な成否の分かれ道になるのではないだろうか、私はこういうふうに思っているわけでございます。 私たちは、この認定制度の運営の過程における承認市町村の位置づけ、役割というものを、この文章で言うならば、理解と協力を求めるというところに大きなウエートを置いて、それをまず第一にやるということに市町村の役割を規定すべきではないか、任務を規定すべきではないか、こういうふうに実は思っているところでございまして、その辺の理解とこれからの指導について、ちょっと明らかにしていただきたいな、こういうふうに思っています。
○入澤政府委員 今回のたくさんの御質疑の中で、特に私ども、この認定制度が間違っても選別政策にならないように重々心得て行政をしなければいけないということを改めて認識しているわけでございます。 この制度は、地域の将来の担い手を確保しようとしていくものでございますから、地域の農業者等の十分な理解と協力を得ながら円滑に進めていくことが最も重要であるというふうに考えております。このため、市町村は、まずこの制度の趣旨につきまして、地域の農業者、関係団体に十分普及徹底を図る、その上に立って、本制度に対する地域の関係者の理解と協力のもとに、将来の地域農業の担い手が認定農業者として育成されるように進めていくことが重要であると考えておりまして、そのような趣旨のもとに、これからきちんと指導してまいりたいと思います。
○前島委員 それから、中山間対策活性化法案の関係でありますが、私たちは、この中山間地域においていろいろな地域の活性化を図る、あるいは住民の定着、それがまた集落、市町村の維持という形につながらせなくちゃいかぬと思っているわけであります。 それで、まず第一に、私たちが今回いろいろな議論をしていく中で、さまざまな事業をやっていく過程で、いわゆる就業の機会を増大させていく努力ということが非常に必要ではないだろうか、こういうふうに思っているわけであります。 今度の中山間法の中の二条の定義規定の中に入っているのでありますけれども、もちろんそれはそれでいいのでありますが、私たちは、具体的にこの四条の中で、特定農山村地域においていわゆる基盤整備を定め、そして、具体的に実施をしていく過程で、地方公共団体がこの雇用機会の創出ということに積極的に留意をしてやっていく、具体的な措置をとっていくということが非常に重要ではないだろうか。その二条のところで、基盤整備事業とはということを三項のところでイからホという形で言っているわけでありまして、その基盤整備事業を具体的に四条二項のところで策定をし、実施をしていく過程で、改めて地方公共団体が積極的に就業の機会を創出していくということが重要な観点ではないだろうかと実は私は思っているところであります。 確かに、この二条の定義規定の中にそういう言葉は入っているのでありますが、その具体的な基盤整備をやる事業の過程の中で、四条のところで規定している具体的な作業を計画する段階で、地方公共団体が雇用機会をつくっていくということを改めて確認をしていく、改めてその事業をやっていく過程で雇用機会をつくることを運営の中で、実施の中で留意していくということが大事ではないか、私はこういうふうに思っているわけであります。 条文上の問題はさておきまして、このことがこれからの地域の維持ということ、集落の維持ということ、あるいは農山村の活性化として非常に重要な一つではないか、こういうふうに思いますから、このいわゆる基盤整備事業をやっていく過程で地方公共団体が雇用機会の創出に努力するということを改めて強調したいし、確認をしておきたい、こういうふうに思うわけでありますが、その辺のところの見解を求めておきたいと思います。
○入澤政府委員 御指摘のとおり、中山間地域の活性化を図るためには、地域の創意工夫を生かしながら農林業の活性化を図ると同時に、農林地の効率的かつ総合的な利用だとか他産業の振興等を進めることが必要でございまして、これによりまして、地域における就業機会の増大を図ることが急務であるというふうに認識しております。 このため、この法案を作成する過程におきましても、自治省、国土庁、私どもの三省庁で研究会を続けながらまとめ上げたわけでございますけれども、その検討過程の中で、他省庁にも呼びかけて就業機会の確保について協力を仰がなければいけないということで、主務大臣には建設省と通産省も入ってもらったわけでございます。 私ども農林省としましても、従来から中山間地域対策といたしまして、農村地域工業導入等促進制度による工場等の立地促進とか山村振興法に基づくさまざまな事業をやっておりますけれども、この特定農山村法案におきましても、中山間地域の条件に即応した新規作物の導入等だけではなくて、就業機会の増大に寄与する措置を市町村の作成する基盤整備計画の計画事項として明確に位置づけるということにいたしまして、その場合には、所要の税制措置、地方財政措置等を含めて、関係省庁が連携協力して地域の活性化のために総合的な就業機会の増大のための措置を講ずることにしているわけでございます。 やはり農林業だけでは生活できないということも十分考えられますので、関係省庁一致協力して就業機会の増大を図ると同時に、所得の確保の機会を広範につくっていかなければならぬというふうに考えております。
○前島委員 私たちは、この中山間の対策の最大の課題として、いわゆる日本型デカップリングについて議論をしてきました。同僚議員の数々の質問に対しても、政府の答弁は一貫して否定的、こう言っていいと思うのですね。 その理由として、いわゆるばらまきにつながりはせぬかとか、同じ地域の他産業に従事している人とのバランスの問題がどうだとか、中山間といえども直接所得補償をしていくということはしょせん国民の税金を使っていくことであるから、果たしてこの段階で国民的合意が得られるだろうかとか、あるいは農業者の積極的な農業への意欲をこういう形で刺激することが果たしていいだろうかとか、さまざまな意見を出されて、現時点ではいわゆるデカップリングということはなじまない、こういう一貫した答弁だというふうに思っていいと私は思うのです。 そこで私は、ぜひ考えてもらいたいのは、いわゆる中山間地域というのは条件不利地域だ、こういう説明になっているわけです。このことの意味は、いわゆる生産者、農家がどんな努力をしても、生産技術上の問題で生産性を上げるという生産者側の努力をしても、あるいは中央の政府を含めて政策的努力、例えば構造改善等々のいろいろな政策的努力をしても、しょせん地理的条件、その他の条件で平地とは違うのだ、だから条件不利地域、こういうわけですね。 同時にまた、政策的努力をしても、あるいは生産者が生産技術においてどんなに努力をしてもなおかつ条件が不利というところに、平場と同じような概念といいましょうか、同じものをしたら、ここに農業がなくなってしまう、農業をやる人がいなくなりますよ。しかも、片方で要求として効率性を求めているということになれば、条件不利地域では農業をやる人が余計いなくなってしまう、こういうことですね。 同時にまた、この地域で農業を営んでもらわないと、農業のもう一つの機能である多面的な機能が維持できないのだということですね。どんな努力をしても生産性その他において不利な地域で、なおかつ、ここで農業を営んでもらわないと、農業の持っている生産とは別の多面的機能が維持できないのだということですね。同時にこのことは、農業を営まないと集落がつぶれてしまうのだ。そして、今や一年か二年に一つぐらいの単位でどんどん村がなくなっていくという現実に追い込まれているということも厳然たる事実なのですね。 そういう条件不利地域に、効率主義だけじゃない手だてをするということがいわゆるデカップリングであり、日本の条件に合ったデカップリングをしなければ今やどうしょうもないところへ来ていると私たちは認識しているわけです。したがって、この中山間地対策の最大のポイントは、こういう日本型デカップリングをやることではないかということを私たちは終始言っているわけです。しかし、これについては、先ほど言ったような理由でなじまないと。こういうことを永久に続けていて、果たして集落は維持できるだろうか、中山間地は維持できるだろうか、日本の農業は維持できるだろうかと思うのです。 改めてこの辺について、いわゆる日本型デカップリングの推進について御意見を伺っておきたいと思っております。
○上野(博)政府委員 我が国のいわゆる中山間地域が非常に厳しい状況にある、これを何とかしなければならないという考えは、こういう仕事に携わっている者皆の共通の認識だと考えているわけでございまして、そういう気持ちのもとに、今回のこの中山間地域の法律も考えてみたわけでございます。私どもといたしましては、非常に厳しい条件のもとにありながら、なおかつ、この法律案の中にいろいろ書いてありますような、こういう考え方をとって活性化を図っていくことが可能であるというふうに考えて御審議をお願いしているということでございます。 この中山間地域の問題を解決するもう一つの手だてとして、今委員の挙げられましたようないわゆるデカップリングの考え方が一つの検討素材としてあるということは我々もわかっているわけでございますが、この点につきましては、今委員がおっしゃいましたように、私どもの今までの検討でいいますと、もう繰り返しませんけれども、いろいろお挙げになられましたような問題があるということでございまして、現在の段階でこのデカップリングを取り上げていくということについては、私どもも踏み切れない問題があると考えているわけでございます。 しかしながら、ECにおきましても現実にとられているわけでございますが、これについて、我々の知る限り、それはそれでいろいろと問題も抱えているわけでございまして、そういう先進的な事例の検討であるとか、そういうものを踏まえた上で、我が国に一体どういうものが考えられるのか、我が国がとるとすればどういう問題があるのか、先ほど来おっしゃっておられるような問題を、どういう考え方であればクリアできるのかということについて、今後さらに幅広く分析を進めていきたいと考えているわけでございます。
○前島委員 確認したいのですけれども、こういうデカップリング的発想といいましょうか、これは必要なんだということは認めていますね。まあ、今のところはさまざまな合意等々、その他もあってできないのだが、こういうものは必要なんだ、ここはよろしゅうございますね。
○上野(博)政府委員 中山間地域の活性化を図るという意味で、そこに住んでおられる方々の所得を確保し、上げていかなければならない、そういう問題があるのだということは十分に認識をしているわけでございまして、それをいかなる方法によってやっていくのがいいかというところで考え方が分かれてくるのだろうと思うわけでございますが、直接に所得を付与するというのも一つの考え方であるということはそのとおりだと思います。 ただ、それに対しましては、先ほど先生みずからお挙げになられましたようないろいろな問題があって、現在の段階では踏み切れないのではないかというふうに私どもとしては考えている、こういうことでございます。
○前島委員 私が言っているのではなくて、同僚議員の質問にあなたが答えているのを、時間がもったいないから僕は箇条書きに言っただけであります。 そこで、直接一挙に所得補償までいかないにしても、私は、さまざまな段階が実はあっていいと思っているのです。 そこで、私たちは今度の法案の中でぜひこれぐらいはせめて確認をして、条文の中に明確にしたいなと思っていたのは、この事業を具体的に実施する過程で、自治体に対して、直接じゃないですけれども、この二条三項一号のイからホ、この法律で言う整備事業とはというところからずっと並んでいる、こういうものを具体的にやるのですよ。だから、一般的にばらまけ、こう言っているのじゃないですよ。しかも、それを直接農民じゃなくて、それを実施する自治体に対して国の財政的支援を明確にすべきではないか。これがいわゆる直接補償、デカップリングにつながる、現時点での日本的な一つの段階のワンステップとして、今度の法案の中で、今度の具体的な事業を実施する中で、国の財政的支援というものを明確にすべきではないか、こういうふうに要求をしてきたし、こういうふうに主張をしてきたわけです。ある意味だったら直接所得じゃない、これがデカップリングと言えるか、こういう意見もありますけれども、一つのステップとして、ばらまきではない、具体的にこの法に規定した事業を自治体がやっていく段階で、その自治体に対して国の財政支援を明確にすべきではないか、こういう要求をしてきたわけですけれども、なかなか一挙にそこまではいかないという形で、今修正についてさまざまな議論をしているわけですね。その結果として、今出されている議論がいわゆる、文章全部読みませんけれども、豊かで住みよい特定農山村地域の育成を図るために必要な方途について検討する、検討を加えて必要に応じて所要の措置を講ずるというふうなところが精いっぱいです、こういうふうな形になっている。私たちは、この表現では非常に不満なんです。やるのかやらぬのかわからぬ。検討した結果、やらぬという結論も出るだろうし、やるという結論も出るかもしれません。検討した結果、財政的支援をしよう、しないということになるかもしれません。非常に不満であるし不十分である、こういうふうに思っているのであります。 そこで、せめて私たちはここで改めて質疑を通じて明らかにしておきたい。この必要な方途あるいは必要に応じた所要の措置ということは、当然国の財政支援というものを意味しているんだな、含まれているんだな、これが将来のいわゆる直接補償につながる現段階のワンステップとしてそういうふうに理解をしたいし、またすべきだ、こういうふうに思いますけれども、この必要な方途と必要に応じた所要の措置という言葉の中に、その財政的支援も含まれているというふうに理解していいかどうか。
○入澤政府委員 ただいま修正案を見せていただきまして、御質問の「必要な方途」や「所要の措置」ということには財政上の支援も含まれるというふうに理解しております。
○前島委員 ともかく、この中山間地域における補償というものが決定的に重要な段階であります。このままほっておいたら本当に、二年と言ったけれども、二日に一度の割合で農村集落がなくなっていくというこの現実の中で、融資で我慢してくれとかいう段階にはないということだけは状況認識としてぜひ確認をしていただいて、この文言の中にも、国の財政的責任、財政支援ということは明確に含まれているのだということを改めて私たちも理解をしたい、こういうふうに思っています。 それからもう一点は、企業参入の問題であります。それぞれの委員からそれぞれの意見が出されてきました。私は、この企業参入の問題と同時に、農地との関係の問題をぜひ確認をしていきたいと実は思っているのです。 今回の新政策並びに構造法案等々、出された三案で、正直言って、みんなすとんと落ちていないと思うのですね。また、地方の皆さんの意見を聞いても、よしこれでやってみよう、これを実施することによって日本の農業は再建できるな、二十一世紀を担っていくことができるなというふうに、地方の農家の皆さんも何かすとんと落ちていない、何か迫力を感じないというのが、十四、十五の現地の実態でもそうだと思うのですね、かなり先進的な地域ですけれども。 何でだろうかというふうにさまざま考えると、確かに今回新農政に基づいて構造政策とか山間対策の部分で出てきたけれども、それの前提になる基本的な問題について何ら新政策でも具体的になっていないし、法案としてどう対応していくかということがなかなか見えてこないというものがあって、なかなかすとんと落ちない部分があるのではないだろうか。 そのうちの一つに、田中先生が質問した自給率の問題、生産の見通しの問題、きのうも山口先生がそういう観点で、国の責任、決議の責任との関係を言われたと思うのですね。この自給率の問題は、田中先生はまたこれから当委員会でいろいろ詰めていくので、そのことは今触れませんけれども、もう一つ、この自給率、生産ということと同時に、その前提になる農地というのは一体どうしていくのだろうかというものがぴしっと見通しかないと、構造政策をやっていく上でも、あるいは全体を理解する上でも、私はなかなか説得力がないと思うのですね。 そこで、一%議論を田中先生がしたときに、私が疑問に思っているのは、例の長期政策との兼ね合いの問題が議論になってくるので、いわゆる長期見通しは、自給率のことも一定の見通しを立て、農地の確保のことについても一定の方向を出しているわけですね。今度新農政になってきたり、あるいはこの議論になってくると、そこが答弁の段階ででもあいまいになってしまうということだろうと思うのです。 それでまず第一に、長期見通しと新農政、これを具体的に実施する段階の、この長期見通しの農地の確保の問題等々との関係は一切関係ないのかどうなのか。私は当然新農政をやっていく段階で、この長期見通しというのはそのレールであるというふうに理解をしたいと思うのでありますけれども、この長期見通しと新農政の具体的な実施との関係は一体どういうふうに理解をしているのか。
○上野(博)政府委員 新農政、いろいろ御説明を申し上げております際に、我が国の農業の置かれております環境条件、その中には消費の動向もございますれば、例えば生産面での就業構造の脆弱化というようなこともあるわけでございますけれども、当面取り巻いております。そういう環境条件なり、あるいは将来それがますます厳しくなっていくのではないか、そういうことの認識の基本に、今委員のおっしゃいました長期見通しのフレームというものがあるわけでございまして、この作業で出てまいりました将来の需給の長期的な見通しのもとに新政策の考え方が打ち立てられているということでございまして、我々、全くこれはこれで別物だということでは決してないということでございます。
○前島委員 当然そういうことになると思うのですが、それでは、この新農政、とりわけ十年間にこれだけの農地を動かしたいという目標が十年間単位であるわけでありまして、いろいろな説明で、いわゆる現在、九〇年の農地面積が五百二十四万ヘクタールだとか言っていますね。しかし、年々一万ヘクタール以上の耕作放棄地ができているし、農地そのものが、年々四万ヘクタール以上農地から消えていっているという現実があるわけです。そしてまた、後継者がなくて困っている農家の経営面積というのは四十一万七千ヘクタールだ、これは政府の方の資料でも言っているわけですね。そうすると、もう既に現時点で五百万ヘクタールは切っているのではないか、現実的にはそうだという見方もあると私は思うわけであります。片一方で、担い手を育成して、これからの、二十一世紀の農業を目指すのだ。この担い手の育成ということと農地の確保というのは一体でなければできないと私は思うわけですね。 したがって、参考人の中で示されたように、せめて五百万ヘクタールというのは農地として今後も永久に確保してほしい、こういう要望も出されているわけであります。トータルの意味で、この新政策が実現し、構造政策をやって流動化を図っていく中で、これからも五百万ヘクタールという農地確保は至上命題としてやっていく、こういうふうに確認していいのか。
○入澤政府委員 第四次の土地改良長期計画をこの前御説明いたしましたけれども、その土地改良長期計画の目標年における農地面積等を試算してみますと、四年度末で田畑合計で五百十六万ヘクタールございますが、この十年後の見通しの前に、現在の需給長期見通しの目標年、平成十二年、これでは五百万ヘクタールというふうになっております。これを達成するためには、壊廃が当然ありますし、それから田畑転換等がございますが、特に造成もしなければいけないということで、畑を中心にこの十年間に約十万ヘクタールは造成していこうと思っております。このような努力によりまして、何とかして五百万ヘクタールを維持したいというふうに考えております。
○前島委員 何とかとか、いろいろな条件がついて、つい最後になってくると、結論になってくると、トーンがダウンするのですね。あの自給率、生産見通しのところもそうだし、農地のところもそうなのですよ。 日本の食糧を確保するという意味では、この新政策をやっていく段階でも最低五百万ヘクタールの農地を確保していくのだ、そのための諸施策を推進していく、こういうふうにならないとやはり不安だろう、こういうふうに私は思います。 自給率の問題でも、田中先生の方は、長期見通しに基づいて三一%にするためには、その一%を上げるためにはどういう方策をとろうとしているのか、その財政措置は何かと問うているわけですね。その生産目標と同時に、その土台になる農地も五百万ヘクタールを永久に確保します、そのことをいわゆる今度の新農政並びに構造政策推進の中の基本的前提条件とする、こういうふうに明確にすべきだと私は思っているのですけれども、それほどはっきり言えませんか。言わないと、余計疑問を感じてしまうのですけれどもね。
○入澤政府委員 農地転用の状況だとかいろいろなことがございますけれども、最大限努力をいたしまして、その需給見通しの面積は確保したいと思っていますし、同時に、農地の利用率も高めていきたいというふうに考えております。
○前島委員 この五百万ヘクタールの確保ということを重要な柱として、これからもぜひやっていっていただきたいと思うのです。 ちょっと具体的に、農用地の転用規制ですね。特に企業参入の関係の中で、企業支配の問題もさまざまな議論がされてきました。企業による農地の転用というこの辺の問題をちょっと具体的に想定をして、可能かどうか、できるかどうかということをひとつ。 というのは、一番問題になるのは、生産法人が行き詰まってといいましょうか、解散になったとき、その処理をめぐって農地がどうなっていくのだろうかということが現実に起こってくるし、心配事だろうと思うのですね。そういう意味で、生産法人があった、行き詰まって解散しようとしている、そういう状況のときに、別の有限会社をつくって、その有限会社が解散しようとしているその生産法人の農地を一括買い取ることは、現行法上可能ですか。
○入澤政府委員 今ある農業生産法人が農地法上のすべての要件を満たすものとして農地法第三条の許可を得て農地を取得した後、何らかの必要性が生じた場合、その所有農地を他に譲渡するということは、一般的には可能であります。この場合におきましても、一般の農地の権利移動と同様に、農地法第三条の規定によりまして、農業委員会または都道府県知事の許可を受ける必要がございます。 この許可を受けるためには、農地法の耕作者主義、もう何度も申し上げておりますけれども、耕作者主義に基づき定められている各種の要件、例えばすべての農地を耕作しない場合の権利取得の禁止、必要な農作業に常時従事しない場合の権利取得の禁止、効率的に利用しない場合の権利取得の禁止等、これらが耕作者主義の各種の要件でございますが、これを満たす必要がございます。農地を取得しようとする者が法人の場合には、法律で定められたこれらの要件を満たす農業生産法人でない限り、農地を取得することはできないわけであります。 ですから、新しく有限会社が農地を取得する場合であっても、その有限会社がこの農業生産法人の要件を具備していなければいけないという条件があるわけでございます。
○前島委員 法的に農地法第三条の要件を満たしている。ただし、問題は実態なんですね。 その買い取ろうとしている有限会社の法人は、ある株式会社の企業から派遣されている人間が有限会社の社長になっている。しかし、それは有限会社の社長として出向してきていますから、いわゆる従事しているという理解になると私は思うのですね。しかし、実態は、その買い取ろうとしている有限会社の社長というのはある民間企業から派遣されている人である。間違いない、事実なんです。しかし、現実には、買い取って、そこで一定の法律的条件を満たして専従していますから、二百七十日ですか、農業を経営していますから、しょうがないことだ、ある意味で農地法三条を満たしているので。しかし、実態はそういう実態なんです。 それから先がまた問題でして、その有限会社が、一定の期間が来るとそれを部分的に農地転用をしているのですね。そして、農地転用する中で、それが住宅開発だとか別荘開発とか等々をしているのですね。このことは、現行法上、違反ですか、しょうがないことなんですか。
○入澤政府委員 まず、有限会社が実態面におきましても農業生産法人の要件を充足しなければ、農業生産法人として農業を行うことはできないわけであります。 これは繰り返しになりますが、事業要件のほかに、法人の構成員のすべてが当該法人に農地または採草放牧地を提供した個人、当該法人の事業に常時従事する個人のいずれかであるということのほかに、法人の経営責任者の数の過半をその法人の事業に必要な農作業に主として従事する常時従事者で占めるということ、この条件を充足していれば、仮に派遣されてきたとしても、それは農業生産法人として農業を営むことができるわけであります。 この有限会社が買い取った農地を転用することができるかどうかということにつきましては、農地法四条または五条の規定によりまして、都道府県知事または農林水産大臣の許可を受ける必要がございます。この場合の許可の判断は、農地転用許可基準それから市街化調整区域における農地転用許可基準によって具体的なケースごとに判断がなされるわけでありまして、一般的には、許可を受ければ転用が可能だということでございます。
○前島委員 現実に私の知るところでそれが転用されているのですね。県も国も許可しているのですよ。その過程にはいろいろな経過があるのですけれども、結果的には、バックに民間企業がいて、言葉は悪いですが、ダミー的な有限会社になって、それが部分的に積み重なっていって、その農地が宅地その他になって転用されている、これが現実にたくさんあるということなんですね。これが、ではこの法律で、ということはなかなか言いにくいのですよね、それなりの条件を満たしているから。しかし、結果としては、企業が農地を獲得してその企業の目的である住宅開発その他に転用されているということがあちこちにいっぱいあるのではないだろうかなということだろうと私は思うのですね。 そして、今回の法改正の中で、いわゆる企業参入というものがかなり緩められてきた。要するに、企業の農業の支配と同時に、私は農地転用ということがさらに進むのではないだろうかということがどうしても心配になる。確かに、四分の一条項だとか十分の一条項を入れて入り口のところ、途中のところ、出口のところでちゃんとチェックするよ、私は、過去においても役所その他の皆さんが法律に基づいてそれなりのチェックをしてきたと思うけれども、現実にはなってきている。そのスピードがどんどん進んでいるというのが私は現実だろうと思うのですね。さらに、今度の法改正で企業の参入が入ってくれば、さらに当然そのスピードが進むではないか、やはりこの心配はぬぐい去れないわけなんですよ。 そうすると、やはりトータル、グローバルな意味でのこの五百万というのは絶対確保するのだ、そして農林省は特に、この農地転用は最終的には農林省と県が認めるか認めないかによって私はチェックもできるだろうと思うけれども、その姿勢というものがぴしっとないとだめだろうし、法律的にもさらに強化が必要ではないかというのが、どうしてもぬぐい去れない心配としてあると私は思うのですね。現実に、私たちのところでたくさん見てきているというのが、私の方の伊豆半島の方はそういう過疎地域でありますから、いろいろな事情があるのですよ。事情を聞いてみると、そうだな、なかなかだなというところがあるので、また片方で心配する現実でもあるのですが、そういう面で、この企業参入、農地の転用規制強化ということは、さらに私は強めていかなくてはいかぬではないか、こういうふうに思うわけであります。 私たちの方は、今度の追加部分の削除を求めてきたわけでありますけれども、そこはともかくとして、この農地転用はそう簡単にさせない、この基本的な姿勢と五百万ヘクタールの確保という関係で、改めて基本的な姿勢といいましょうか、考え方を承っておきたい、こういうふうに思います。
○入澤政府委員 私ども、優良農地を守るということにつきましては人後に落ちません。それは、私どもの一つの使命であるというふうに確信しております。認識しております。 農地を守るということは大事なことでありまして、現行の農地転用基準を適切に運用するという運動をきちんと起こさなければいかぬと思っています。農業委員会等、農業会議にも、定期的に会議を開きながら、農地を守るために転用基準を厳格に、適切に運用しなければいけないということで、研修を行ったり指導を行ったりしておりますが、その態度を今後とも堅持し、また、この法律がまかり間違っても、優良農地の確保という観点からあるいは農地転用を促進するのじゃないかという御心配になるような事態に至らないように、指導を厳格にやっていきたいというふうに考えております。
○前島委員 その農地転用が、今度の法律を機会にさらに進んだというふうにならぬように、ぜひこれからも監督その他指導をお願いをしたい、こういうふうに思います。 それからもう一つ、今度の法案の中で、これからの中で重要なことは、農地がどれだけ集積できるのかということだと思うのですね。これが今度の法案あるいは今後のあれにかかっていると思うのでありますが、そういう面で僕は、地域の皆さんの意見というのがやはりすとんと落ちない要因の一つに、今度唯一示された構造政策の中で、本当に十ヘクタール、二十ヘクタールの集積なんかできるのだろうかということがまず走るのですね。それはなぜかというと、要するに、構造改善事業の受益者負担というものが大きくて、もうこれ以上借金できないよということだろうと思うのですね。 今度の新農政の決定的なポイントは、どれだけ土地が集積できるのか、団地化できるのかということだと思う。その基礎は基盤整備ができるかできないかだ、こういうことだと思うのです。そういう面で、国は本当に金をそこにつき込もうとしているのか、受益者負担を減らそうとしているのかという観点で、いわゆる長期の土地改良事業を一、二、三とやってきましたね。一、二は非常に達成率がいい。三ときたらどたんと五六%ですか、六〇%いってない達成率に落ちてしまった。一体何で達成率が落ちてしまったのか、それはどういう原因なのか、そして、来年から始まる第四次の長期計画はどれだけの予算で、どういう見通しでやろうとしているのか、そして出発点のことしはどれだけ予算を組んでやるのか、そこのところを一括してちょっと説明していただけませんか。
○入澤政府委員 まず、三次長計の達成率が低かったじゃないかというその理由でございますが、第三次土地改良長期計画は年率一二%という伸び率で事業量がふえていくのだということを前提に作成したわけでございます。ところが、昭和五十八年度から平成四年度までの公共事業の平均伸び率が一・三%だったということで、その差が目標達成率の低い理由となったわけでございます。他の長期計画とのバランスにおきましても、やはりこういう事情でそれぞれ波があったということでございます。 それから、今回閣議決定されました第四次長計の概要はどうなっているかということでございますが、今回の長期計画は、新政策の方向に即しまして、二十一世紀の我が国農業、農村の基盤を築くという観点から、三つの視点に着目して事業を仕組んだわけでございます。魅力ある農業を実現するための生産基盤の整備、快適で美しい田園空間を形成するための農村地域の総合的整備、それから安全な国土を維持形成するための整備、この三つめ課題を達成するために、計画総額で四十一兆円ということで、先般四月九日に閣議決定されたものでございます。 これらを駆使することによりまして、具体的には水田では三十アール程度以上に整備された割合を五〇%から七五%にふやしていく。それから一ヘクタール程度以上の大区画に整備された割合を三%から三〇%に引き上げるということを目標にしております。畑では、農道が整備された割合を五六%から七五%に、畑地かんがい施設が整備された割合を一五%から三〇%に引き上げることとしております。(前島委員「トータル幾らか」と呼ぶ)四十一兆円でございます。
○前島委員 第三次長期計画が達成率が悪かったのは、要するに金がなかった、財政的裏づけができなかったというところがこの五六%の達成率でとどまっちゃったということの最大の要因だということですね。これはいろいろ言っていますけれども、ここが最大の要因であることは間違いない。これは間違いない事実だろうと思うのですね。そうすると、第四次の四十一兆円というものが果たしてこれから確保されていくのだろうか。そして、具体的に今年度の予算の中で、これからの農政、これからの構造政策を決定づけるであろう土地改良経費というのは、言うほどふえてないですね。特に、農家負担の軽減になるような、例えば二十一世紀型水田モデルの整備事業などというのは、今までとは実質何も変わらないで、ふえてはいない。 そういう面で、これだけの事業を十年間で百七十五万ヘクタールを動かして、そして優良農地を中心としてこの集積を図ろうというときに、全然財政的な裏づけというものがない、伸びてないということなのですよ。そうすると、全く第三次と同じように、この四次の結果もなりはせぬのか。ここが全然裏づけがない。きのう同僚の山口先生もその辺のところをやっていると思うのですけれども、私は、やはりこれからの構造政策を含めたこの土地改良における農家負担の軽減ということが決定的に叫ばれているし、ここが勝負だろうと思っているわけですね。それに対する財政的な裏づけというのが正直言って非常に薄いし、伸びてないというふうに私は見ていいと思うのです。具体的な項目を平成五年度のを見ても、決定的に農家負担の軽減になるような土地改良の方は全然ふえてない。現実に第三次のときには、後半にいったらほとんど財政的な裏づけがないので五六%に落ちてしまったというふうに私は聞いているわけですね。ここが心配なんです。この辺のところの財政的責任。だから、私たちは、デカップリング等の議論のところで国の財政支援ということをもっと明確にしたいというのはそういうことも含めているわけなんで、その財政的裏づけの努力について、ひとつお聞かせいただきたい。
○入澤政府委員 土地改良事業の関係予算につきまして、私どもも一生懸命努力をしまして、可能な限り予算額をふやすと同時に、農家負担の軽減を図るためのいろいろな工夫を凝らしてきているわけでございます。平成五年度の国費ベースで見ますと、一兆一千五百四十三億円を計上いたしました。これは四%ぐらいの伸び率でございますが、毎年厳しい予算状況の中で、六十三年度以降は着実に前年度当初予算を上回るというように努力をしているということは御理解していただきたいと思います。 特に、ことしはこの法案の中に無利子の融資制度というものを設けましたけれども、担い生育成の基盤整備事業ということで、圃場整備事業をやる一定の条件に該当する場合には、農家の事業費のうち相当額を無利子で融資する制度を仕組んだわけでございますが、今までも事業費単価の抑制であるとか計画償還制度であるとか、あるいは一千億円の基金を積んでそこから利子補給するとか、いろいろな努力をして農家負担の軽減に努めてきたわけでございますが、これからはまた、この法案の成立を待ちまして、この無利子融資制度も十分に、フルに使いまして、農家負担の軽減対策をさらに充実させていきたいというふうに考えております。
○前島委員 もう時間もありませんので、この具体的な数字でどれだけふえたのかどうかということをあれしたいと思うのですが、時間がありませんものですから。 最後に大臣、この前現地調査で、私は数々の非常に参考になる意見が出されたと実は思っているのですね。その中で出てきた意見が、十九ヘクタールやっているある農家の人たちの現実の声でしたけれども、若者は一体どんな認識で求めているだろうかという言葉の中に、最近の若者は金、金とは言いませんよ、生きがい、農業をやっていくプライドみたいなもの、それを求めているのです、同時に自由を求めています、こういうことが言われていたわけですね。私は、非常にここは意味がある言葉だなと思って、その人は自分もみずからやっているけれども、私はこれからは行政がやらないもので若者を育てることに将来努力したい、こう言っている人の意見でした。若者にはいわゆる感性で訴えないとだめなんだという意見もありました。 特に、自由を求めている中に、私は二つの意味があるのじゃないか。やはり一つは、農村社会特有のさまざまな制約に対する自由という表現と、もう一つ、やはりおれたちは自由に百姓をやりたい、農業をやってみたい、自分の努力と自分の工夫が精いっぱい果たせるような形で農業をやってみたいなというのが、若者が自由を求めていますという言葉の中に私は入っているような気がしてきたわけです。その人も、三十ヘクタールぐらいやると採算できるけれども、もうそこまでは追っかけません、これからは若者の指導に、後継者育成に努力をしたいということでありました。 そこで、これからの農業の柱、もちろん中央が政策を立案し、いろいろな手だてをするということは当然必要だと思いますが、同時に地域における主体性と地域の特性を生かしてひとつ積極的にやってみろ、こういういわゆる地域農政というものがこれからの柱になることは、私、間違いないと思うのです。だから、これからの農政の柱をいわゆる地域農政に置くということを積極的に訴えて、おまえらやってみろ、好きなようにやってみろ、金はおれらが責任持つからとかというふうな、そういう意味での姿勢が問われているんではないかということが一つと、それから、いわゆるこれからの農村を維持し、条件不利地域でなおかつ生産活動を維持していくためのさまざまな財政的支援がないと、やはりできないと思うのですね。 そのためには、私は合意というものを、やはり大臣、積極的になって努力をしないと、これからなかなかできない。それはまず政府の中での合意、ここから始まるだろうと思うのです。そういう面で、うちの部会長が連絡閣僚会議をどうだという提案もしていたり、あるいはそういう面で、今度の中山間地域で五省庁が出てきたということの意義は私は大いに評価をするし、農林省が中心になって地域政策的なものに踏み込んでいったということについては、大きな前進だろうと評価します。 そういうことを含めて、いわゆる地域農政でいくんだという今後の農政の柱と、それを推進していくために農林省が中心になって国民的合意、とりわけ政府内の合意をするために努力するということが、これからの新農政の推進に大きなポイントになるんではないか、その辺のところを一括して大臣の意見を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
○田名部国務大臣 この農林水産委員会でしばしば私らも答弁いたしておりますように、地域の実情を無視しては農業というものは成り立たないということで何回もお答えをしておるわけでありますが、その中でいろいろ十から二十ヘクタール、いろいろ言っておりますが、これは一つの目安であって、どうやるかは、例えば八百万の所得を上げるためにはそこの地域でどういうことが可能なのかということは、地域でよく相談してください。 私も、随分もう相当の県を回りました。いろいろな事例も見ましたし、何といってもやはり意識改革といいますか、先ほど入澤局長も運動論ということを言っていますが、これが大事なんですね。本当にそういうことで迷っている人もおるんです。例えば、自分の農地は人にやりたくないが、もう年老いてどうしようか、このままにするともう農業をやれなくなるということで、私もいろいろ話をするので、まあそれはそのとおりだ、そうせざるを得なくなるだろうというお話で、しかし子供が帰ってきてやるというときにはまたその道があるわけですから、とりあえず土地の規模を拡大をする。 何といっても経営の安定を、確かにおっしゃるとおり、北海道なんかでは補助金なんか出すな、自由にやらせろ、こういう若い人たちもおりました。おりましたけれども、何といってもこの中山間地、こういうものはおりますから、中山間地も都市に近いところは割合多様に就労の場があって、ちゃんと農山村というものは維持されておるところもありますし、ないところもあるわけですね。そういうところには企業を――何とか生産したものを確保するいろいろな努力をこれからしていって、村を守っていきたいということでこれをやるわけでありますから、それをやるためには、やはり農家の方々が直接やるわけですから、この人たちの意識を変えて、今よりいい方向は何なのかということでやっていただくということは大事でありますから、運動は、これからも国民の合意というものは必要です。何といっても国民に一定の負担をお願いしなければならぬ、こういうことでありますから、そういうこともありますので、合意を得るように努力をしていきたい、こう思います。
○前島委員 終わります。
○平沼委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 私に与えられている時間は二十分ですから、局長、できるだけ答弁を簡潔にしてください。 農業経営基盤強化のための関係法の整備に関する法律案ですが、この法律案の柱の一つは、農業経営改善計画の認定制度の創設と、認定農業者に対する支援措置の仕組みであります。その前提として、都道府県基本方針と市町村の基本構想がつくられるわけでありますけれども、その問題の一つは、市町村基本構想は集落の話し合いの中でつくられる、こういうふうにおっしゃっておいでですけれども、実際は県の基本方針の押しつけ、上からの決定として農民に市町村構想が押しつけられるのじゃないか、もしそうでないとするなら、そうならない保証がどこにあるのか明らかにしていただきたいわけです。 もう一点、さらに市町村が、経営規模の拡大を図ろうとする農業者の作成した農業経営改善計画を認定し、その認定農業者に対して課税の特例や資金の貸し付け、研修などの実施を行って支援措置を組んでいくわけでありますが、しかしこうなれば、農村の集落としての温かい相互信頼の環境は崩されてしまうのじゃありませんか。そして、規模は拡大しないが経営を続けていきたいとする農家はますます肩身の狭い思いをしなければならないし、このことは多くの農家の農業意欲を失わせて、逆に農業の担い手を減らしていくということになりはしませんか。明確にお答えください。
○入澤政府委員 では端的にお答え申し上げます。 まず、都道府県の基本方針を定めるに当たりましては、都道府県農業会議あるいは都道府県農協中央会の意見も聞くことになっておりまして、関係者の意向を十分聞いて定めることになっております。さらに一市町村の基本構想を定めるに当たりましては、今先生の御指摘にありましたように、集落レベルでの関係者の話し合いを通じて明確化される地域の農業の将来像を十分に踏まえるとともに、農業委員会、農協、土地改良区等の関係機関、団体で構成される構造政策推進会議におきましても十分な議論が行われるよう指導してまいりたいと思います。そのようにして、上からの押しつけでないようにきちんと措置していきたいと考えております。 それから、認定農業者に施策を集中することによって集落の和が、相互信頼が壊れるんじゃないかということでございますが、そういうことのないように十分に集落の中で話し合いをして、地域全体としてコミュニティーが維持され、さらに地域全体として生産が増大していくというふうに指導してまいりたいと考えております。
○藤田(ス)委員 私は、いかにもこの法案が上意下達の仕組みになっているという点を重ねて申し上げておきたいわけです。 それから、皆さんからいただいた資料の「地域農業の姿」というのを見ると、例えば佐賀県のS市M集落というのでそのイメージ例を出していらっしゃいます。ここは農家が四十戸あるのです。中核農家と呼ばれるところが現在十四戸、中核農家以外の二十六の販売農家があります。合わせて四十戸です。ところが将来はどうなるかというと、組織経営体、これが一つできて、そこに四戸が吸収される。個別経営体が五個できる。でも結局九戸ですから、せっかく今中核農家と呼ばれている人たちのうちの五戸は、まあいわば転落組になるわけです。中核農家以外の販売農家の方もやはり土地持ち非農家という方に流れていきまして、これは十四戸。だから結局、せっかく今農業を営んでいる人たちが明らかに減少するということを、皆さんの資料そのものが示している。これは日本の農業の弱体化につながるものだということを申し上げておきたいと思います。 もう一つの問題は、前回も私は具体的な例を示して、企業による農業生産法人の支配、コントロールの可能性について質問をしました。そして、あなた方の答弁も具体的な事例の問題に終始していましたので、私はここで改めてお尋ねをしたいと思います。 あなた方は、企業の出資制限があれば農業生産法人に対する企業の影響力はない、農業生産法人の自主性は守られるという立場ですが、しかし企業の資本力は農民の比ではありません。さまざまな便宜供与や融資などによって農業生産法人の構成員に対し影響力を行使して、事実上農業生産法人を支配することができるのじゃありませんか。もしそうでないとしたら、ここで具体的な歯どめを示してください。
○入澤政府委員 今回、企業による農業生産法人への参加ということで、農業生産法人の要件を改正したわけでございますが、その歯どめということでございます。 そこに焦点を絞って申し上げますと、参入する企業は、農業生産法人の事業に係る特許の供与とか、新商品または新技術の開発及び提供等の契約を締結する者という、真にその法人の事業の円滑化に寄与する者に限定されているということ。それから、企業の有する議決権は四分の一以下であり、かつ一企業で有する議決権は十分の一以下に規制される。さらに、ここが大事なんですけれども、業務執行役員の過半が農作業に主として従事する構成員でなければならないという要件、業務執行役員要件と言っていますが、これは引き続き維持することとしております。 このほか、許可処分時の要件審査とかその後の実態把握、報告徴収、立入調査、さらには要件を欠いた場合の是正措置、それから国の買収という一連の対応措置が整備されて、十分な監督体制がとられることになっておりますので、御心配はないように十分に指導してまいりたいと考えております。
○藤田(ス)委員 そういう答弁はこれまでも何遍も聞かされておりますから、納得ができないわけです。出資制限についても、経年的にチェックできますか。 私はここで五つお尋ねしますから、具体的に聞きますから具体的に答えてください。 経年的に出資制限についてもチェックできますか。これが一つです。 また、出資制限についてどこまで許容しているのか、明確でないわけです。外資系の企業でも参入を認めるということになるのでしょうか。 また、一つの企業が一つの農業生産法人だけに出資するだけでなく、関係さえあれば、多くの農業生産法人に対して出資することもできるわけであります。違いますか。 さらに、農業生産法人である農事組合法人に出資した企業が、その農事組合法人の他の出資者である農業者をその社員にしてしまうことも何の制約もありませんね。 以上、具体的に答えてください。
○入澤政府委員 今度は、農業生産法人の経営状況を毎年報告をとってチェックすることに指導することにしておりますので、まず経年的なチェックは可能だと思います。 それから、ただいま外資系の企業の参入だとか、あるいは多くの農業生産法人への出資が可能かどうかということは、法律上は限定されていないわけでございます。しかし、それによっての、既存の農業生産法人の要件が十分に法律の要件を充足しているかどうかにつきましては、今申し上げましたように、経年的にきちんと状況を報告させましてチェックしていきますので、御心配はないと思います。
○藤田(ス)委員 まだ二つ残っています。
○入澤政府委員 一つの企業が多くの生産法人に出資することは可能であります。 それからもう一つ、社員が農事組合法人に重複するということでございますか。これも可能でございます。ただ、常時従事するという要件からすると、疑問のある面もあるかと思います。
○藤田(ス)委員 これは本当に、全く驚くべきことなんです。企業による農業生産法人に対する融資や、さまざまな便宜供与による事実上の支配を排除するということも、私はなされていないというふうに思います。 さらに、許容範囲も明確ではありません。そこで具体的に聞いたわけですが、農事組合法人の出資者をその出資企業の社員にしてしまうことも不可能じゃない、外資一〇〇%でもいい、こういうことになりますれば、外国企業による農地支配を認めるということにもなるじゃありませんか。 また、一つの企業から多くの農業生産法人に対する出資を認めるということになれば、農業生産法人の企業による系列化も考えられ、農業、農地に対する企業支配が一気に進むのじゃありませんか。そういうふうにならないというなら、具体的にもう一度お答えください。私は、これだけの大幅な要件緩和がなされているのに、農地法に新たな監督規定がない、毎年報告を求めて指導するとおっしゃっても、実際に監督の規定はないじゃありませんか。
○入澤政府委員 いろいろな制限のもとに企業が参入するとしても、農地法に定められております農業生産法人の要件は常に充足していなければいけませんので、それを経年的に報告させてチェックをするということで十分ではないかというふうに考えております。
○藤田(ス)委員 いかにものんきだ、私は本当にそう思うのです。 これは、財界が言っていることに目を向けて、その流れを見る方が明確ですよ。昨年、「二十一世紀に向けての農業政策のあり方」というのを、経団連は意見書でまとめています。ここの中には、農地法の見直し、改正、それを非常に強調していらっしゃる。そして、これをまとめられた部会長は何と言っているか。資本が農業生産に乗り出してもうからなければ農地転換に走るもよし、こういうふうに明確に言っているのです。 これはエコノミストの記事ですが、要するに「巨大株式会社及びそのダミーの参入は、農業における経営赤字を当該企業全体のコストとして計算して規制緩和の時機を待つ」、そういうことなんだということを言っているわけです。非常に話の筋がよくわかるわけです。そうじゃないですか。結局企業の進出は、農業生産ではなく投機や資産保有目的の農地取得に道を開くことになるのは、いかにも明らかであります。 それでは、次の問題に参ります。 私は、前回四月二十日に質問した問題で調査を食糧庁が約束されておりますので、その三点についてお伺いいたします。 まず、全糧連の事前承認なしの政府米取引の問題でありますが、これは五月十五日の朝のNHKニュースでも報道されておりますが、食糧庁の調査によれば、政府米と特に記された米の中で事前承認をとっていたのは、平成三年米穀年度で二千百二十一トンのうち一千八十一トンで、半数が事前承認をとっていなかったことが明らかになりました。極めて問題があり、関係者に対する厳しい対処が必要であると思います。 さらに、カドミ米の問題でありますが、これは食糧庁は検査をしたとおっしゃっておいでですが、現地では、その検査に疑問がある、サンプルが県の農業総合試験場に持ち込まれた日が食糧事務所側と県の間で十一日間も食い違っている。食糧庁は、サンプルからは問題になるような濃度のカドミウムは検出されなかったというふうにおっしゃっておられますけれども、そうした疑問の中で、現に問題の米の取引が全くできていない状況であります。私は、ぜひとももう一度、サンプルに基づく検査を行うべきだということを申し上げたいわけであります。 さらに、政府米運送業者である北陸通運についても、私の質問に基づく食糧庁の調査によって、やみ米輸送に携わっていたことが判明したわけでありますが、政府米運送業者がやみ米輸送に携わること自身が極めて遺憾なことでありまして、その詳細な内容の公表と、一罰百戒となるような関係者の処置について明らかにしてください。
○鶴岡政府委員 まず、全糧連の仲介による政府米の県間卸商売買でございます。 これにつきましては、私どもさらに全糧連あるいは食糧事務所を通じまして調査いたしました。制度始まって以来三年間で約千八百トン弱の米が全糧連の仲介によって行われています。ちなみに、それ以外のものを含めますと、全体ですが三千四百トンでございます。 この全体の量自身は、政府米の販売から見まして、各年度ともわずかな数量でございます。供給計画と実行との販売の見込み違いを事後的に微調整するというのがこの県間卸商売買の趣旨でございまして、その範囲内の数量にとどまっているというように我々は理解しております。 ただ、今御指摘のありましたように、事前承認を受けていないものが多くあるというのも残念ながら事実でございまして、今後、通達の定めるところによりまして事前承認を的確に受けるよう、関係団体及び卸売業者を厳しく指導していきたいというふうに考えております。 それからまた、席上で使用されました資料につきまして、残念ながら表示が適切を欠いているということも事実でございまして、今後そういう誤解を招くような記載をしないよう、もう既に申してありますので、ないと思いますけれども、指導しているところでございます。 それから、株式会社米屋の不正規流通関係の問題でございます。 四月二十日の本委員会で委員が示されました写真につきまして、県、食糧事務所の職員を四月二十七日に派遣しまして現物調査を行わせたところでございます。中身については、あのような袋に入っていますのはモチの粉であるということが確認されましたので、御報告したいと思います。 それから、未検査米の安全性の確認問題でございますけれども、米屋の未検査米につきましては、石川食糧事務所長の方から北陸中央食糧卸に対する有償譲渡を指示し、当事者の間で話し合いが行われているところでございますが、その際に北陸中央食糧卸から安全性の分析を実施してほしいとの要請を受けまして、米屋側から石川食糧事務所に対して分析の協力の依頼があったわけでございます。 今年二月四日、サンプル採取につきまして、食糧事務所の職員が同行して採取をいたしておるところでございます。テレビで報道されました、二月四日に試験場に持っていった、それが受理が十五日だ、これは単に、持っていきましたのは食糧事務所の職員も立ち会って行っていますので、二月四日に持っていったことはこれはもう間違いありません。ただ、その際に証紙が貼付されなかったとかそういう検査依頼についての手続に瑕疵があったということで、県の証紙を張って正式に試験場として受理したのは十五日でございます。その間時間がかかり過ぎたではないかというあれはあるかもわかりませんけれども、試料は渡してあります。後の補正でございます。 私ども、なぜそのようなことになったのか聞いてみますと、得意先に不幸があったというようなこともございますし、間に日曜とか休みが入ったというようなこともございまして、そのおくれがこの調査の信憑性に問題があるというようなことではありません。私は、あの報道自身ももう少し事実を確かめて報道してもらえればよかったのではないかと思っております。 それからもう一つは、サンプルの採取につきましては、従来から食品、添加物等の規格基準の一部改正によりまして、これは厚生省の環境衛生局長通達でございます、それに示されました方法によりまして、検査ロットごと、またそのロットにつきましては示された方式によりまして必要な数量を抽出し、それを均等となるように十分混和する方法によってやっているものでございます。分析の結果につきましては、石川県の農業総合試験場が公文書によって、問題はないというようなことでございますので、私どもとしましても、その調査の信憑性というのはあるわけでございますので、再度検査をするという必要はないのではないかというように承知しておるところでございます。 それから、北陸通運につきましては、従来の私どもあるいは県も入れました調査によりまして、残念ながら不正規流通米を運送したという事実があるわけでございます。ただ、それについてただしましたところ、それが不正規米であるということを知らなかったというようなことを抗弁しておるわけでございます。 しかし、私どもとしましては、その場で責任者に対しまして、正規の米穀以外の運送は厳に行わないこと、それから正規の米穀か否か疑問がある場合には、事前に食糧事務所に連絡してチェックを受けるようなことにつきまして、とりあえず口頭で指導したところでございますけれども、なお、米屋の不正規流通に関する全期間におきまして、いろいろな資料に基づいて調査いたしておるところでございます。その調査の結果によりまして、適切な措置を講じていきたいというふうに考えております。
○藤田(ス)委員 もう一問だけお許しをいただきたいと思います。 私は、このカドミ米の問題については、何もNHKのニュースをうのみにして言っているんじゃないのです。現に米が動いてないじゃありませんか。未検査米の方が、検査をしたと言っているのに米が動いていない。そして、あなた方の説明では、四日の日に門の中まで入っていきました、こういうふうにおっしゃっておいでですけれども、実際には受け取ったその日は、ずれが十一日間もあるというようなことはゆゆしき問題です。これはぜひとも再検査を行うべきです。 私はこの問題にこだわりますのは、やはりこういうふうにして食管法がなし崩しにされていく、そうして結局、大規模農家の育成だなんて将来展望を幾ら描いても、こういうふうになし崩しにされていって、そして結局育成されるべき大規模農家が最も大きな打撃を受けながらつぶれていくとしたら大変な問題だと思うから、食管法はきちっと守るべきだという点で、この問題にこだわるわけであります。 そして同時に、やはり新政策の関連法案の背後にある最大の問題は、米の輸入自由化問題であります。私たちは、この新政策が発表されたときから、それは米の輸入自由化を大前提にしたものであるという点を厳しく指摘せざるを得ませんでした。その指摘を裏づけるように、農水省は、米の輸入自由化によってその改廃が想定される食管法、食管法の改廃によって予想される食糧事務所の人員の配置転換に、食糧事務所の人員を農政局に統合するなどとして取り組むことを明らかにしているではありませんか。 ウルグアイ・ラウンドは四極通商会議をきっかけに動き始めており、東京サミットに向けて米輸入自由化問題は極めて厳しい事態を迎えようとしているわけですが、最後に大臣、大臣は、政府として米輸入自由化をしない、そして食管法の改廃もやらない、明確に言明していただきたいわけであります。
○鶴岡政府委員 再度お答えさせていただきますけれども、私申し上げたいのは、我々自身、やはりまじめな生産者、まじめな流通業者、一般の国民というようなことがございますので、我々としては全力を挙げて食管制度の適切な運用に努めていきたいと思っています。そういう意味で、米屋の問題につきましても、そういう姿勢で取り組んでいるところでございます。 それが動かないというのは、値段が折り合っていない。相手方が一社だけであるというところにあるわけでございまして、それにつきましても、私どもとしましても、梅雨を迎えますので、何とかあの米を正常に乗せていきたいというように思っています。 それから、先ほど言いましたように、四日と十五日のずれというのは、これは実際それなりの理由があるわけでございまして、私どもは、むしろああいう報道は、ちゃんとした形で確認せずに報道した、そういうことが食管に対する不信感を招くのでないかと思っています。もう少し、我々は非難を受けるところは受けますけれども、いわれなき非難というのは、やはり私は避けてもらいたい。それがまた、食管を守っていく道だと思いますので、もう一度答弁させていただきました。
○田名部国務大臣 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、従来の基本方針にのっとって一生懸命頑張ります。
○藤田(ス)委員 時間が参りましたから、終わります。
○平沼委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三分休憩 午後一時一分開議 ――――◇―――――
○平沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。宮地正介君。
○宮地委員 いよいよ農業三法案の審議も大詰めになってまいりました。 そこで最初に、この三法案に対しまして、今回、自社公民の共同提案によりまして、三項目にわたり、修正がほぼ行われることが決まってまいりました。そこで、まずこの修正案について農林水産省の見解を確認をしておきたいと思います。 初めに、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案の、いわゆる第五条第二項中に、新たに「地域の特性に即し」、これを加えることになりましたが、この意味するところについて御説明いただきたいと思います。
○入澤政府委員 今回の法律につきましては、いわゆるトップダウンではなくてボトムアップ方式で、下からの積み重ねを尊重する、地域の実情を十分に踏まえて農政を展開するのだということで、国の基本方針というのは定めなかったわけでございます。都道府県が基本方針を定め、さらにそれに則しまして市町村が基本構想を定めるということでございますが、その場合におきまして、日本国は亜熱帯から亜寒帯まで幅広く広がる地域でございますので、各地域の状況を十分に踏まえて基本方針をつくり、さらに市町村ごとに基本構想をつくるということでございます。
○宮地委員 さらに、四項を加えたことにつきまして、この「承認市町村は、農業経営改善計画の認定について、その趣旨の普及を図るとともに、農用地を保有し、又は利用する者その他の地域の関係者の理解と協力を得るように努めるものとする。」新たに項目を立てたわけでございますが、この点について御説明をいただきたいと思います。
○入澤政府委員 農業経営改善計画を認定する場合の手続でございますが、市町村が基本構想をつくります。その基本構想をつくります場合に、私どもは予算措置で全国の市町村に構造政策推進会議というものを設けておりまして、そこには農業委員会、農協、土地改良区等々、農業関係者、地域の関係者が集まりまして会議体を構成しているわけでございますが、そこの意見を十分に踏まえて基本構想をつくる、そして認定基準をつくるということにしたわけでございます。 今回、このような追加の規定が入りまして、私どもが考え、また実行しようとしていることがさらに明確になるというふうに理解しております。
○宮地委員 この二つの修正案によりまして、当初の構造改善事業あるいは農業基盤の活性化、この前進について具体的にどのように展開がされていくのか、原案との違いはどういうふうに国民に説明をされるのか、この点について簡単に御報告いただきたいと思います。
○入澤政府委員 その具体的な施策の推進に当たりまして、私どもは各地域の、都道府県段階であれば都道府県の構造政策推進会議がございますし、それから市町村段階では、市町村の構造政策推進会議がございます。そのほか、個別に農業団体等の意見も聞いておりますけれども、この二つの修正がなされたことによりまして、そういうことの重要性が一層増したというふうに考えられます。 したがいまして、具体的な施策の展開に当たりまして、そういう旨をきちんと通達いたしまして、各地域の意見のくみ上げにつきまして万遺漏なきようにということで指導してまいりたいと考えております。
○宮地委員 次に、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に対する修正案につきまして、附則の第二条、ここが今回修正をされたわけでございます。 修正内容と、この修正に関しまして、今後どのように中山間地域における農林業の活性化あるいは振興にプラスになるのか、この点について御説明いただきたいと思います。
○入澤政府委員 今回、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案につきまして、附則第二条といたしまして、「検討」ということで次のような条文がつけ加えられたわけでございます。「政府は、特定農山村地域について、この法律の施行後における農林業従事者その他の地域住民の生活の状況、農林業の振興並びに農用地及び森林の保全を通じた国土及び環境の保全等の状況等を勘案し、豊かで住みよい農山村の育成を図るために必要な方途について検討を加え、必要に応じ所要の措置を講ずるものとする。」 今までこの委員会におきまして、中山間地域の農業従事者の生活の安定、国土保全等につきまして、各般の施策を講ずるべきであるという御議論があったわけでございます。私どもさまざまな答弁をやってきたわけでございますけれども、特にその中で、デカップリングをやるという議論がございました。私どもは、今直ちにデカップリングをやるということはなかなか難しい、実施要領、要綱をつくることができない、各地域、非常に千差万別でございまして、どういう地域でどういうような農業をやって、どういう経営をやったらどのくらい所得が上がるかということが明確に算定できないというふうなことを申し上げまして、なかなか難しいということを申し上げたわけでございます。 しかし、中山間地域における生活の安定、農業の振興ということはこの法律の目的でもありますし、私どもも最も意図するところでございます。そういう意味におきまして、この「検討」の規定が入りましたことによって、これからの私どもの政策の展開に当たりまして一つの道筋がつけられたのじゃないかというふうに理解しております。 豊かで住みよい特定農山村地域の育成を図るために必要な方法につきまして、十分に勉強し、検討し、具体的な政策を編み出して展開していきたいというふうに考えております。
○宮地委員 これについては財政的な措置も含まれる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○入澤政府委員 「所要の措置」の中には、当然のことながら財政的な措置も含まれるというふうに私どもも理解しております。
○宮地委員 特に、特定農山村地域の活性化の問題につきましては、さきの静岡県の視察にも見られましたように、私は、日本型デカップリングとかあるいは新しい形のデカップリングということが言われておりますけれども、今後森林の環境保全とか水田の保全とか、そうした環境保全にその村地域が貢献をした場合、あるいは村おこし、地域の活性化をするために特定農産物の振興、バイオとか技術、研究開発、こういうものに貢献をされた場合、そういう点においては、いわゆる農家の直接所得補償方式という方式でなくて、やはりその地域なり村全体に対して、新しい農業のあり方、新しい環境保全のあり方、新しい時代のニーズに貢献をされていくわけですから、まさにここにある「必要に応じ所要の措置」、財政的な措置を含むというのであれば、そういう意味合いからも大いに今後は検討をして、前向きに財政援助をやっていくべきではなかろうか、まさにこれが新時代の新しい財政の補てんのあり方ではないか、こう私は個人的に考えているわけですが、この点について農水省の見解を確認しておきたいと思います。
○入澤政府委員 私どもも、ただいま先生御指摘のとおり、中山間地域におきます農用地の適正な保全管理であるとかあるいはバイオ、新しい技術等を使いまして、地域特産物の開発を推進するということが、中山間地域の活性化を図る上からも重要であるというふうに認識しております。 従来から、耕作放棄地などの適正な保全管理とか、あるいは地域食品の高付加価値化のための諸施策を展開しておりますけれども、平成五年度からは、土地改良施設の機能を良好に発揮させるための集落共同活動の強化を目的とした中山間ふるさと水と土保全対策を創設したところであります。これは、今まさに先生が御指摘のような趣旨に沿った対策ではないかと私ども考えております。 ただいま御提案の、農用地の保全管理や地域特産物の開発に取り組む集落や地域を対象として、所得補償的助成を行うということより、むしろその地域の自然環境や国土の保全、地域の活性化を図る観点から新しい工夫ができないかということにつきましては、私どもも全くそのとおり考えておりますので、必要な工夫をこれから勉強いたしまして、工夫を凝らしましてやっていきたいというふうに考えております。
○宮地委員 ぜひ、この自社公民四党による修正案が今後の新農政の活性化、発展に大いに貢献できるよう、また、寄与できるように、本委員会の趣旨を踏まえて、農水省は積極的に努力をしていただきたい、こう思いますので、この点について、農林水産大臣の決意を確認しておきたいと思います。
○田名部国務大臣 今局長から答弁ありましたとおりでありまして、私ども、本当に農山村集落をどうして維持していくかという観点で、いろいろ検討してまいりました。今お話しのように、これからもそういう委員の御提案を十分検討して、いろいろなことを手を打っていかなければならぬ問題がまだまだある、こう考えておりますので、精力的にやっていきたい、こう考えております。
○宮地委員 ぜひよろしくお願いしたいと思いますし、期待を申し上げたいと思います。 次に、先日の静岡県の視察を踏まえて、生産農家の皆さんからいろいろ御意見もありましたので、代表的なものを確認の上、農水省に見解を伺っておきたいと思います。 一つは、これからの農業の活性化をしていく場合に、まさに今回の法律案でも、新農政におきましても法人化あるいは大規模化、こういうことを目指しているわけであります。特に、法人化を進めていく中において、経営の中に占める大変な負担として異口同音に生産農家の皆さんから言われましたことは、機械の導入は大変に結構だ、農業機械の導入をすると大変に近代化の中で作業もはかどる、反面、この新規農業機械の導入が経営の大変大きな負担になっておりますということが非常に多くの生産農家から発言がございました。 そこで、私が、今回の農業機械の近代化促進法の中で、いわゆる生研機構などによる資本の投資などで新会社をつくって、そして基礎的な研究開発に国が助成の中で努力をする、そして実用化メーカーにそのノウハウを提供して、結果として生産農家の皆さんの購入負担あるいはリース負担というものを軽減するようにしております、そういう中で、いわゆる法人の場合には特別償却として二〇%、個人の場合には所得税法の中で五%の税額控除という特例措置をしております、このような特例措置について、今後経営を進めていく上においてどの程度有効でございましょうか、こういう率直な御質問を現地でさしていただきました。 そうしましたら、現地の乗松精二さんでございますか、大変にユニークなこの方は、工務店の経営者でありましたが、今では二人で一日に労働時間も五時間くらいに切り上げて努力をしております、しかし、今私が申し上げたような特例的な措置に対しては、率直に言ってこれは焼け石に水なのです、こういう回答が返ってまいりました。もう一つは、できればリースで対応できないでしょうか、これをもう少し強く打ち出してもらいたい、この二点の強い要請がありました。 確かに私も考えてみますと、二〇%の特別償却では五年かかるわけですね。五年間経営の中で大きな比重になっておる。これは私は三年くらいで償却できるように特別償却三〇%なり三五%くらいに引き上げてもいいのではないか、あるいは個人で購入あるいはリースした場合にも、税額控除五%を倍くらい、一〇%くらいに特例措置を思い切ってやるべきではないか、こう考えておりますが、この二点について、平成六年度以降、来年度の概算要求あるいは予算折衝の中で、大蔵当局とちょうちょうはっし、農林省は胸突き八丁で強く要求をしていく、そういう考えがあるのかどうか。 もう一点のリースの問題については、確かに田植えの時期とかあるいは集中して農家が生産活動に入った場合には、実際にリースの機械が集中をするとなかなか難しいのではないか。そういう意味で、負担はあるけれども各生産農家あるいはグループで農業機械を購入せざるを得ない、こういうような状況にある。その辺の状況を今後十分に勘案して、あるいはこの実用化メーカーから購入して販売代理店的な立場あるいはリース事業を行う農協などのそういうところにおいては、こういう集中的な生産活動が行われたときにもリースが十分行われるような体制を検討できるかどうか、この二点についてお伺いをしておきたいと思います。
○高橋(政)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、今回税制上の特例措置によりまして、農家が機械を購入した場合には取得価額の二〇%の特別償却かあるいは五%の特別税額控除のどちらかを選択できる。それから、農家が農機具を購入したときだけに限らず、リースをした場合でございますが、その場合にはリースに要する一定の費用の五%の特別税額控除を設ける、こういうふうにしたわけでございます。 それで、この税制措置をとりましたこのときのねらいといたしましては、やはり何とか機械化を進めて生産性の向上あるいは農家の労働軽減というものを図っていかなければいけない、そういうことで高性能農業機械を積極的に導入をする、いわゆる導入を積極的に促していくということにねらいがあったわけでございまして、ある意味では農業の方では本邦初演ともいうべきもので、我々も非常に関係団体そのほかの皆さん方の御協力を得て、何とか税制制度にのせたところでございます。 ねらいは、今申し上げましたような導入の促進というところにございますが、当然この税制措置によりまして、農家の農機具費の負担軽減というものには役立つわけでございますが、基本的にはどういうことを考えていかなければいけないかといいますと、やはり基盤整備をしっかりして、作業単位の大きなものにして団地化していくというようなことをやりませんと、作業能率が向上いたしませんので機械がむだ遣いになるというわけですから、そういうことがまず必要だろうと思っております。それから、導入に当たりましても、むだのない導入をしてもらうということで、計画的、利用規模に応じた適切な導入を図るように指導をしていかなければいけないと思っております。 それから、これを取得した場合に当然お金が要るわけですから、その場合の金融措置といたしましても、農林公庫資金とかあるいは農業近代化資金あるいは農業改良資金というようなものを低利、長期な資金として用意しておりますので、こういうものをうまく活用していくというようなことで、全体としていかに農家負担を軽減するかという方法で対応すべきことではなかろうか、このように思っております。 それで、特に今お話がございましたリース、レンタル方式も今回は大いに活用していかなければいけないというふうに思っておりまして、その場合の問題点は、まさに先生がおっしゃったとおりのことだと思っております。したがいまして、この点につきましては、まず我々、それぞれの都道府県に機械商系の方、あるいは農協系の方、あるいは普及の方とか、そういうような人たちを集めまして、農家のリースに対する希望というようなものも聴取し、一体全体、地域としてどういうような営農、お米でいいますればわせからおくてまでいろいろなものがありますし、あるいは作物としてもどういうような組み合わせにするのが最も機械の効率的な利用としていいかということを考えていきませんと、リース事業そのものも円滑に動かないというふうに考えておりますので、予算としても、若干でございますがそういった推進費を用意しておりますので、そういうものを活用いたしまして、今まさに先生がおっしゃったような点が円滑に進むように対応していきたい、このように思っております。
○宮地委員 税制改正については、来年度以降については今後行っていく考えがあるのかどうか、大蔵省当局と折衝していく考えがあるのかどうか、この点について御報告をいただきたいと思います。
○高橋(政)政府委員 農家の経営負担ということについては、全体の中で考えていきたいと思っております。 それから税金の点につきましては、またこれは我々としては初年度で、ことしから、それから機械が出てくるのも恐らく来年からというようなことになりますので、そういった実施状況も見ながら検討してまいりたい、こう思っております。
○宮地委員 特に法人化とか大規模化ということを大きなテーマにして、いわゆる年間労働時間も千八百時間ぐらいに抑えるとか、生涯所得を二億円から二億五千万ぐらいの所得にする、若い人たちに魅力のある農業づくりをする、こういうことなんですから、やはり実際の経営の中身もしっかり精査して、チェックをして、そのネックに対してはやはり農水省はしっかりと分析をしてスピーディーに対応していくべきだ。この機械の購入あるいはリース、これがやはり経営の中に占める大きな負担になっているわけですから、この点について、ことしから導入したから様子を見てこれから対応します、これは理解はできますが、私は、やはり五年間で償却というのを三年ぐらいにできるようにすることも非常に大事な問題であります。ぜひ、この点については、時間がありませんが、今後弾力的に、適切な判断を誤らないようにしっかりと対応してもらいたい。 もう一つの大きな問題は、やはり小作料が非常に大きなウエートを占めているということであります。この小作料の借地料というのが大体十アール当たり一万一千円から一万五千円、通常一万八千円ぐらい、非常に幅があるわけですね。これがやはり、だんだん農地を借りて、それで大規模化して経営をしていく。一つは、機械化を進めるというのは結構、その機械化に対する負担。問題は、今度は土地の借地料、これに対する経営負担、やはりこれがまた大きな問題になっている。この借地料の問題についてどう今後フォローしていくか、これも非常に重要な経営の問題です。 もう一つは、やはり金利負担です。この金利負担に対して、どう今後利子負担などの利子補給をしていくか、この辺の問題が非常に大きな問題です。 もう一点は、前回御質問のとき申し上げたように、いよいよこうした大規模化や法人化をしていく場合においては、経営的な感覚、経営手腕、そういう経営者づくりの人づくり、これをどうやっていくか。今回の大変にすばらしいこの乗松さんという方は四十七歳の方でございますが、建設工務店に勤務した後、昭和四十四年から就農された。そして、現在では農業経営士というこういう資格も取っておられまして、大変すばらしい経営能力をお持ちでありまして、そしてその経営能力を持っていると同時に、みずからが田畑に入りまして近代的な農機具を使って、労働時間も年間一千時間で約千五百俵の収穫を得ているということですから、所得もさっと二千万近い所得を上げておられる。こういう方は、私は全国でもトップレベルの方だと思う。そういう一つの経営というものをやっていく場合にはポイントがあるわけですね、重要なポイントが。そのポイントをしっかり精査をして、農水省がそれをどうフォローしていくか、こういう点であろうかと思います。 時間もありませんが、まず小作料の借地料に対しての今後のフォローの問題、人材育成の問題、利子補給の問題、こうした問題について、現在どう考えておられ、また今後どう対応されようとするか、お伺いしておきたい。
○入澤政府委員 小作料の実態を見ますと、最近の土地価格の低下傾向を反映いたしまして、実勢小作料は下がる傾向にございます。その実勢小作料の根拠となりますのが標準小作料でございますが、これにつきましても、農業経営の状況等を踏まえて適切に設定するようにと各農業委員会を指導しているところでございますが、具体的に小作料が高いという問題は私ども認識しておりまして、このために、例えば農業改良資金制度の中に小作料一括前払い資金を無利子で融資する制度等を設けております。このような制度を活用して、少しでも小作料負担が低くなるように努めてまいりたいと考えております。 それから、人づくりにつきまして、これは農政の基本でございます。再々御答弁申し上げておりますように、この間の現地調査でも、二十一世紀村づくり塾運動の静岡県の掛川支部の方がリーダーの役割を果たしておるというふうに聞きましたけれども、このような運動をさらに全国的にバックアップして人づくり対策をきちんとやっていきたいと思っております。 それからさらに、金利負担の軽減でございますが、土地改良事業関係の金利負担の軽減につきましては、再々申し上げておりますように、事業費単価の抑制であるとか、あるいは計画償還制度であるとか、あるいは一千億円の基金を設けて利子補給して、実質的な負担が軽減するような措置を講じておりますし、それからまた、農地取得資金につきましても、無利子の農地保有合理化事業にかかわる資金と農林公庫の三分五厘資金とを組み合わせて、実質上の金利を低くするように措置しているところでございますが、今後とも農業経営の実態を十分分析し、フォローしながら、きちんと対応をしていきたいというふうに考えております。
○宮地委員 そうした御努力についてはぜひ頑張っていただきたいと思います。 今後十年間で、この土地改良事業の問題についても四十一兆円かけてやろう、こういうことで大変大きな目標があるわけでございますが、本年度の予算等では一兆円超、こんな感じのようでございまして、初年度から三兆円近く、十年をならせば四兆円でございますから、非常に落ち込んでおるわけですね。これはやはりこれからの大規模化をしていく上において重要な大事業だと私は思うのですね。この予算措置をどうするかということも非常に大事な問題であろうかと思います。日米構造協議などによりまして、これからの日本の社会資本投資四百兆円をやろうということで、大変な事業を政府としても考えておられるわけでございますが、やはり農業改革の中における土地改良事業というのは非常に大きな柱であろう、こう私は思っております。現実にこの目標の達成ができるのか、具体的に達成をするためにどういう努力をされようとしているのか、この点においてお伺いしておきたいと思います。
○入澤政府委員 やはり今御指摘がありましたように、農業経営の改善、農業の近代化のためには、何といっても基盤整備が重要であることは言うをまちません。私どもは、その意味におきまして、今回第四次土地改良長期計画を閣議決定していただいたわけでございますけれども、この計画に則しまして適切に予算要求をし、また、十分な予算をとって対応していきたいというふうに考えております。
○宮地委員 農林水産大臣、最後の質問になります。 最初に私がこの質問に入ったときに申し上げましたが、新農政が始まる第一歩の改革が、この農業三法案を初めとする法律案の審議であろうかと思います。こうした法律の審議の中で、生産農家と農水省の考えているそうした目標との間に、実態面で相当な乖離があるという声は偽らざる国民の、実際の現場の声であります。どうか、この農業三法が、きょう通るわけでございますが、いわゆる絵にかいたもちに終わらないために最大限の努力を、大臣を先頭に頑張っていただきたい、こう思っておりますが、この点についての御見解を伺って終わりにしたいと思います。
○田名部国務大臣 これからも精力的に農村地帯を回りまして、本当に農家自身がやらなければならぬなということを持ってもらうことは大事なことでありますから、十分理解をして、そして意欲的に取り組んでもらえるように、私ももう暇があれば回って理解を得たい、こういうふうに考えております。
○宮地委員 終わります。
○平沼委員長 石橋大吉君。
○石橋(大)委員 私が最後の質問になるわけですが、御承知のとおり、私たち日本の農業、特に基幹作物であり、二千年の伝統を持つ、そしてまた、この国の固有の文化をはぐくんでまいりました土地利用型農業、米づくりを中心にした農業は、非常に深刻な担い手問題や耕作放棄地の激増問題などに象徴されるように、今や崩壊寸前ではないか、こういう危機的な状況に直面をしていると私は考えています。 なぜそうなったかについては、一九六一年以来三十年の農業基本法下の農政に重大な原因と責任がある、こういうふうに考えられるわけです。どこに原因があってこういう危機的な状況を招いたか。新農政の成否にかかわって、この基本法農政の功罪を明らかにし、引き継ぐべきものと引き継ぐべからざるものを取捨選択しつつ新農政を推進することが、特に新農政の具体的な出発点に当たって最も重要な問題点であろう、こういうふうに思われます。 四月二十日以降の本委員会における質疑を通じて、いろいろな不満や不安の念が繰り返し表明されている大きな原因の一つは、この三法案というよりは、この三法案のベースとなっている基本法農政や新農政についての突っ込んだ議論がないままに事態がどんどん進んでいくことに対する不満やいら立ち、あるいはあきらめや絶望もあるかもしれませんが、そういう問題があると思われるわけであります。また、三法案については、既に我が党の十二人の委員を初めとして各位からいろいろな角度から質問もありましたので、私の最後の総括質問は、主として基本法農政と新農政をめぐる基本的な問題点に絞って質問を行うことにしたいと思います。 初めに念のため申し上げておきますが、農政当局の責任はもちろん最も重大であると思いますが、この責任はただ単に農政当局のみならず、歴代の政府・自民党、また我々野党も一半の責任を負わなければならないという自戒も含めて、深刻な危機的状況から日本農業を救い出し、再建の軌道に乗せるためにはどうあらねばならないのかという立場に立ってのものであることを明確にし、政府、農政当局としてもそういう観点から御答弁をいただきたい、こういうことをお願いをしておきたいと思います。 そういう立場に立って、まず最初に、基本法農政の最大の目標であった自立経営農家はなぜ実現できなかったのか、新経営体形成の可能性はあるのかどうか、こういうことについて政府の見解をただしたいと思うのです。 御承知のように農業基本法第一条に目的が明らかにされていますが、「国の農業に関する政策の目標は、農業及び農業従事者が産業、経済及び社会において果たすべき重要な使命にかんがみて、国民経済の成長発展及び社会生活の進歩向上に即応し、農業の自然的経済的社会的制約による不利を補正し、他産業との生産性の格差が是正されるように農業の生産性が向上すること及び農業従事者が所得を増大して他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、農業の発展と農業従事者の地位の向上を図ることにあるものとする。」こうなっています。 第十五条には、さらに、「国は、家族農業経営を近代化してその健全な発展を図るとともに、できるだけ多くの家族農業経営が自立経営(正常な構成の家族のうちの農業従事者が正常な能率を発揮しながらほぼ完全に就業することができる規模の家族農業経営で、当該農業従事者が他産業従事者と均衡する生活を営むことができるような所得を確保することが可能なものをいう。以下同じ。)になるように育成するため必要な施策を講ずるものとする。」こういうふうに規定をしているわけであります。 具体的に、当時の技術水準や所得水準を踏まえながら、二ないし三ヘクタール規模の自立経営農家をつくって、この自立経営農家によって総生産額の七〇%から八〇%が担われる、こういう構想のもとに基本法農政が進められてきた。そういう意味で、その後三十年の基本法農政の展開の中で、自立経営の育成がどの程度達成されたがは、基本法農政の評価にかかわる重要な問題点でありますし、新農政が構想している新しい経営体の将来を占う意味でも極めて私は重要だと考えるわけであります。 しかし、この点についての成果は既に明らかであります。自立経営はほとんど成長しなかったし、最近ではますます影が薄くなっている。この点に関して、厳しく言えば、三十年の基本法農政の歴史は全く不もの歴史であったなどという厳しい評価もあるわけであります。 事実、農基法に基づいて、一九六一年以降毎年国会に報告するとともに国民にも公表されてきた農業白書によって、総農家数に占める自立経営農家の割合を見ると、次のようになっているわけであります。農基法出発の前年の六〇年、全国で八・六%。その後五年たった一九六五年は九・一%。以後、七〇年は六・六%、七五年は九・二%、八〇年は五・二%、八五年は五・三%、八九年は六・三%となっているわけであります。 つまり、この三十年間、自立経営は、だんだん増加しているのではなくて、概して言えば漸減している。これは、絶対数でいえば、六〇年の約五十二万戸が八九年には二十六万戸にちょうど半減している。しかも、この比率はこの三十年間、一九六七年に例外的に一二・九%になっているのみで、あとは四ないし九%の間にとどまっているわけであります。こういう事実に照らしてみると、自立経営なるものは、この間、終始一貫、点の存在にとどまっており、とても「できるだけ多くの家族農業経営が自立経営になる」、農基法第十五条などという状況にはないわけであります。 なぜこういう結果になったのか。また、こういう延長線上に新しい経営体、大規模個別経営体や組織経営体が構想されているわけでありますが、再び自立経営農家形成の失敗の轍を踏まないという保証があるのかどうか。私は、二度の失敗はもう許されない、こう思っているわけであります。 そういう意味で、自立経営形成失敗の現実を踏まえながら、それにもかかわらず新経営体の形成は可能、こう判断されている根拠、背景について、まずお伺いしたいと思います。
○上野(博)政府委員 今委員からるる御説明がございましたように、基本法成立以来の流れを見ますと、土地利用型の農業におきます自立経営農家の育成という点については、非常に達成が低いという事実があるわけでございます。しかしながら一方で、酪農であるとか養豚、採卵鶏という畜産、あるいは施設園芸というような部門につきましては、かなり自立経営農家というもの」が一般的、普遍的に成立をしているというふうに考えるわけでございまして、そういう面では基本法農政の目的が達せられている面もあるというふうに考えております。 今度の新政策におきまして経営体という考え方を出しまして、規模の大きい効率的な経営体をつくり上げるということをねらいとしておるわけでございますけれども、これを考える背景といたしまして、現在六十歳以上で農業の後継ぎのいない高齢農家の保有農地というものが四十三万ヘクタールもある、あるいは第二種兼業農家のうちで世帯主が恒常的な勤務や自営業の安定兼業農家の保有農地というものが百三万ヘクタールというふうにあるわけでございまして、言うなれば、ほっておいたらなかなか農業の面に使われないような農地というものが出てきておる。これをうまく農業の担い手、経営体につなげて利用していかなければならないということこそ当面の急務ということで考えているわけでございまして、大きな規模の経営体というものをつくり上げていく十分な条件があるというふうに我々は考えているわけでございます。 それに加えまして、だんだんいわゆる農地の貸し付けに対するアレルギーというものも低くなってきておる。十分まだ残っておると思いますけれども、農用地利用増進事業というようなことがだんだん進展をしてまいっておる、こういう事態に対応いたしまして、このアレルギーも解消してきているというふうに考えるわけでございまして、農地の利用権の流動化というものが十分に可能だというふうに考えているわけでございます。
○石橋(大)委員 果たしてそういうふうにうまくいくのかどうかということについては、後で具体的な問題を通じてさらにお尋ねをしたいと思いますから、一応これは今の段階はこれで置いておきます。 次に、この三十年間の価格政策のあり方、特に米価の関係のあり方というものが自立経営形成の一つの障害になったり、日本の農業を大きくゆがめたのではないか、こういう点についてお尋ねをしておきたいと思います。 自立経営農家の形成が失敗に終わった原因については、一つは、その後の田植え機の発明など農業機械の革命的な技術進歩とそれがもたらした農作業の省力化。二つ目には、我が国経済の急速な高度成長に伴う他産業従事者の所得の急上昇と農業所得との格差の拡大。三つ目に、労働力需要が新規学卒者など若年労働者に集中し、中年以上に安定的な雇用が容易に保障されないといった、我が国独特の労働市場の構造に十分な注意が払われてこなかったこと。 結果的に毎年八十万から百万人の若い人たちがどんどん農村から都市に流出をした。農業従事者は高齢化と兼業を著しくするとともに、それが農地の流動化を阻害した。そういう意味では当初の見通しの甘さが反省されなければいけない、こういうふうにも思いますが、しかし、政策上の問題として非常に重要なのは、さっき言った価格政策、そういうことだと思うのですね。この三十年間にわたって展開された農政が、実は多くの点で農業基本法あるいはその思想や構想というものに忠実にやられてきたかどうかということになると、必ずしもそうは言えないような問題が幾つかあるのではないか。その一つが、今言いました農産物の価格政策、米価政策であります。 農基法が掲げる所得の均衡をどういう手段で達成するかについては、農業基本法制定に至る直前の農林漁業基本問題調査会の段階でも非常に鋭い意見の対立があったと言われています。すなわち、所得の均衡を達成するためには、価格政策を通じて農産物価格を市場価格より高い水準に維持し、農業所得の引き上げを図る必要がある、こういった意見と、所得均衡は構造政策イコール生産性の上昇によって達成されるべきで、価格政策は安定政策にとどめるべきだ、こういう意見の対立があったと言われていますのでき上がった農基法は、明確に価格政策を安定政策に限定した。 しかし、その後の農政は、まさにそれとは逆のことがやられたのではないか。特に、価格政策の基軸に据えられ、食管法のためあらゆる政治的圧力がそこに集中することとなった米価政策においてそれが顕著であった。一九六〇年代後半に入るころから生産者米価の引き上げが次第に大幅になる反面、折からの物価問題絡みで消費者米価は据え置かれ、その結果として、一九六三年度からは米価体系はいわゆる末端逆ざやを生ずるようになり、一九七〇年代になるとそれは大幅に膨れ上がった。末端逆ざやというおよそ市場経済では考えられないような奇妙な価格体系が解消したのはようやく一九七九年のことであり、売買逆ざやがなくなったのは八六年のことであります。こうした著しい無理をした価格政策のもとで、急増した兼業所得の増大もあって、所得均衡はある程度達成されました。 しかし、このことは自立経営の育成に多くの障害をつくり出した。一時は一兆円にも上った食管赤字解消のため、構造政策の展開が阻まれたばかりでなく、米単作傾向が著しく強められ、選択的拡大は、麦、大豆を初め土地利用型作物の大部分を切り捨てつつ米のみが増産されるという形になった。その結果が自給率の急激な低下の中における米の過剰となったことは言うまでもありません。また、それは零細兼業農家の米作への執着を強め、農地の流動性を著しく低下をさせ、構造改善を一層難しくする方向に作用した。 本来ならば価格政策は構造政策を誘導するように、価格体系の均衡的な構成を考慮しつつ運用さるべきであった、農基法第十一条が「生産事情、需給事情、物価その他の経済事情を考慮して、その価格の安定を図る」、こう言っているのはその趣旨ではないかと思われるわけであります。米価だけの突出した、しかも市場価格法則に完全に逆らったつり上げが農業のゆがみを拡大する、こういう帰結になったのではないか、こう言われているわけであります。 しかも、さらに悪いことには、米過剰のもとに一九七一年以降長期にわたって大幅な減反政策、生産調整が継続されたこと、さらには八〇年代に至って、中曽根内閣の登場下、臨調行政改革や前川リポートなどを契機として、市場開放政策や農産物価格抑制政策のもとで農民の生産意欲は著しく阻害され、結果的に土地利用型農業に対する失望感の拡大、担い手の激減、こういう深刻な危機を招くに至ったのではないか、こういうふうにも考えられるわけであります。 この三十年間の価格政策のたどった変遷と帰結について思いをはせるとき、これもまた今日の我が国農業の危機を招いた大きな原因の一つではなかったか、こういうふうに考えられるわけであります。この点について、農政当局の答弁をいただきます。
○上野(博)政府委員 やや質問の趣旨を受け取りにくいところがございまして、必ずしも要を得ていない答弁になるかもしれないと思うわけでございますが、農産物価格政策の運用の問題というふうに考えますと、農産物価格政策というのは、価格の安定、需給の調整、再生産の確保という機能を持っているわけでございまして、それぞれの農産物の特性に応じて価格安定制度が設けられているわけでございます。 これまでの農産物価格政策の運用につきましては、お話にもございましたように、経済の高度成長期におきましては、食糧需要の増大が続く中で生産資材価格や他産業賃金の上昇を反映をいたしまして、大幅な価格の引き上げが行われました。近年は、農産物需給の緩和あるいは内外価格差の拡大というようなことから、どちらかといえば抑制的な価格となっているわけでございますけれども、いずれも、関係の法律によりまして当該農産物の直近の生産費であるとかあるいは需給事情というようなものを参酌して毎年度決められてまいっているわけでございます。 経営体の育成の問題との関係で申し上げますと、農地の利用の集積であるとかあるいは生産基盤の整備等の構造政策、そういう面を主体といたしました総合的な対策がどうしても必要なわけでございます。一方で、経営体の育成の阻害要因といたしましては、経済の高度成長を背景にいたしまして、農地価格の高騰というような農業を取り巻く環境が非常に激変をしたということもあるわけでございます。 価格政策がこういう経営体の育成ということに非常に大きな意味を持つということは、これはそのとおりなわけでございますけれども、価格政策には一方で需給の調整であるとか消費者家計の安定という役割もあるわけでございまして、この価格政策ですべての対応をしていくということについては限界があるのではないかというふうに考えております。
○石橋(大)委員 次に、基本法農政は御承知のとおり選択的拡大ということを大きな柱にして進められてきたわけであります。しかし、この選択的拡大というものも、さっきもちょっと言いましたが、農基法農政の健全な発展、そういうことを妨げるような結果になったのではないか、こういうことが指摘をされるわけであります。選択的拡大に関する政策は、需要が増加する農産物の生産の増進、需要が減少する農産物の生産の転換、大体こういうことを意味するものとして考えられてきたわけです。しかし、それは現実には我が国農業における専門化イコール単作化を促進し、自立経営の存立の基盤を掘り崩してしまったのではないか、こういうことです。 もともと農基法は、さっきもちょっと申し上げましたように、家族農業経営の近代化と健全な発展を目指しているのだから、単作化ではなくていわゆる複合経営の中でそれを促進すべきものであることは自明の理として前提されていたものと思われるわけであります。単作型の経営は、御承知のとおり、家族労働力の季節配分や平準化を困難にし、そのほぼ完全な就業を不可能ならしめるし、豊凶作や価格変動によるリスクを大きくして経営を不安定にする、その上で生態循環を破壊するからかえって経費の増高をも招く結果になる。そういう意味でそれは家族経営に最もふさわしくない生産構造であった、こういうことになるわけです。 ところが、今申し上げましたように、農基法後の農政においては、非常に専門化信仰に取りつかれたといいますか、専門化こそが生産性を高めるゆえんだという信念のもとに政策が推進された。さっきもちょっと官房長言われましたが、畜産だとか野菜だとか果樹だとか、需要が増加する農産物の増産について地域的にも団地化を進め、個別経営についても専門化を進めたのはそのあらわれだ、こういうことになりますが、米についてさえ、裏作の強化を図るのではなくて、単作化が進められたわけであります。 それは、短期的には選択的拡大に役立った、こういうふうに言えるかもしれませんが、畜産は専ら輸入飼料に依存をしつつ、いわば加工産業の形をとったし、野菜は、そして一部は果実までもが施設型に重点を置く形になったが、ともかくそれらの伸びは相当目覚ましかったことも事実であります。しかし、長い目で見れば、こうした誤った専門化は、農業生産の基盤を破壊するとともに、農業をも公害産業たらしめるような結果を招いた。また、健全な担い手の発展を阻害することにもなった。 申し上げるまでもなく、そういう専門化イコール単作化は、農業内部の生態循環を破壊し、地方維持を困難にするとともに、他方では、処理し切れないほど大量の排せつ物や残滓を生み出した。その上連作障害や病虫害の多発を招き、大量の農業を必要とするに至った。有機物の不足を補うための化学肥料の多用と相まって、これらが水質汚濁や大気汚染といった公害源になっていることは言うまでもありません。その上、単作化は、前述したとおり経営のリスクを大きくするとともに、自家労働の完全燃焼を困難にし、自立経営の存立難を拡大した。 こういう農政のあり方は、今日根本的な転換を必要としているのではないかと考えますが、どうでしょうか。
○上野(博)政府委員 この選択的拡大の考え方につきましては、これはやはり需要のあるところに生産を誘導していくということでございまして、基本的には私は、そういうことで考えていくべきものではないかというふうに思うわけでございます。その結果、今委員のお話にもございましたように、畜産であるとか果樹であるとか施設園芸というような分野については、非常に望ましい形での生産の発展が見られたということもあるわけでございます。 この選択的拡大と複合経営との関係の問題につきましては、選択的拡大を進めた結果、これが単一化を促したんだというふうに言い切れるのかどうか、そこについてはもう少しデータ等に基づいて検討しなければ判断ができないのではないかと思うわけでございますけれども、あいにくそういう判断をするだけのデータを持ち合わせていないわけでございます。 ただ、全体としての単一経営、複合経営の問題で考えますと、基本的にはやはりそれぞれの農業の行われている地域の実情というものが、複合が可能であるかどうかという点に非常に関係があるというふうに思いますし、それから、政策的な問題として言いますれば、転作の運営の過程におきまして、いろいろな転作を取り入れていくということが複合経営という形にかなり導いていった面はあるのではないかというふうに考えるわけでございます。 いずれにいたしましても、農業経営の安定という面につきましては、委員お話がございましたように、複合経営というものが抵抗力があるということはそのとおりでございまして、地域の条件に留意をしながら、そういう形での農業の育成を図っていくということも非常に大事なことだというふうに考えております。
○石橋(大)委員 次に、農地政策についてちょっとお伺いしたいと思います。 農基法では、構造政策の重要な柱となるべき農地政策について余り多くのことを言っていないわけであります。第二条で、第三号ですが、農業経営の規模の拡大、農地の集団化を図ることと、一般的な方向づけをしておりますが、それを受けて第四章では、相続に伴う農地分割の抑制、第十六条をうたい、また、第十七条の「協業の助長」の一環として、協業経営体への農地の出資を円滑化する、こう言っているわけであります。さらに第十八条では、「農地についての権利の設定又は移転が農業構造の改善に資することとなるように、農業協同組合が農地の貸付け又は売渡しに係る信託を引き受けることができるようにするとともに、その信託に係る事業の円滑化を図る」、こういう規定をしているわけであります。 このように、農基法は、農地法を主たる根拠として運用されてきた農地政策について具体的に余り踏み込んではいないわけですが、それが、構造改善イコール規模拡大のために農地の流動性を高めること、その場合には農地の所有権移転と貸し付けイコール小作権の設定と、両方の円滑化を図ることが必要だ、こういう認識があったことは明らかではないか、こういうふうに言われるわけです。ただ、これらの規定が抽象的、一般的に過ぎて、具体的な踏み込みが弱いうらみがあった。 こういうこともありましてかどうか知りませんが、農基法の趣旨からいえば、農基法農政における農地政策は、基本的には農地の転用を禁止的に厳しく抑制をする方向を目指すべきではなかったか。農地の転用が簡単に認められるということになれば、当然のこととして何よりも地価の暴騰を引き起こしますし、また、農地所有者の地価上昇への期待から資産保有意識が強められ、農地の流動化を妨げることになるからであります。また、農地が虫食い的に転用されることによって、集団化も困難になるし、工場、自動車などによる大気や水の汚染は農業にとって有害な作用を及ぼすことにもなるからであります。 もう一つは、借地による規模拡大、すなわち、経営の方からいえば自小作前進、自作を中心にして小作で少しずつ耕地をふやし、それをさらに自作地として買い足して規模を拡大していく、こういう自立経営化をできる限り促進することである。もちろん規模拡大は農地の購入イコール自作前進でも可能であるし、本来、小農にとって自作であることの方が望ましい形ではありましょう。しかし、農地売買による規模拡大は時間と手間がかかりますし、集団化まで含めて考えれば、その障害は一層大きくなる。その上、一度に相当面積の農地を購入するということになりますと、相当巨額の資金が必要となりますから、仮にその調達は可能だとしても、そのために必要な生産的投資が削減されることにもなるわけです。 こういう意味で、農地の流動化政策は、まず借地関係の拡大を優先的に取り上げ、それを阻むような諸条件を取り除くことに重点が置かれるべきであった。しかし、農基法農政の名のもとに展開された現実の農地政策は、それと完全に逆であったのではないか。 最近になりまして、その後徐々に軌道修正が行われ出して、縮小修正は行われたわけですけれども、しかし、どうもそれはもう手おくれだったんじゃないか。農地法の運用において、特に田中内閣が列島改造計画を始めたころから農地の転用規制が大幅に緩和をされて、折からの過剰流動性圧力の強い経済環境の中で起こった土地投機の盛行と結びついて、農地価格を暴騰させる結果がつくり出された。その後の農振法や利用増進法はその修正を目指したものであったけれども、著しく不徹底であったばかりでなくて、これは非常に手おくれだった、こういう厳しい評価もあるわけですが、こういういわば農基法に忠実でない農地政策のあり方が、農業基本法農政を非常に無力化した大きな原因であったのではないか、こう言われているわけであります。 この点は今後の農地政策の展開や新しい経営体の形成にまで尾を引く問題だと思いますので、そういう意味で、この一連の農地政策について政府としてどういうふうに受けとめ、反省をされているのかどうか知りませんが、この点についての見解をお伺いしたいと思います。
○入澤政府委員 今先生御指摘のとおり、我が国経済の高度成長の過程におきまして、農外からの著しい土地需要が発生し、このことが農地価格に反映いたしまして、宅地価格高騰の影響等によりまして、転用含み価格として農地価格が高水準で形成されて推移してきたということ。こういうことの反面、このような事態を農家がどういうふうに受けとめたかといいますと、農地を家産として認識する傾向が強まった。このために、農業基本法でもくろんできました売買による規模拡大というのはなかなか進まなかった。これが構造政策が期待したとおり進まなかった最大の原因じゃないかと私は思っております。 農業基本法が制定されましたときに、農地制度につきましてはこの中に入っていなかったわけでございますが、その後、農林省内で、構造政策について抜本的な規制緩和、それから農地法の改正等を行うべきじゃないかということで、昨日も申し上げましたけれども、昭和四十二年に、事務次官を本部長といたしまして構造政策推進会議というのが設けられまして、そこで構造政策の基本方針というのが検討され、発表されたわけでございます。 その構造政策の基本方針に基づきまして、昭和四十四年には農業振興地域の整備に関する法律が制定され、さらに昭和四十五年には農地法が改正されまして、賃貸借規制の緩和であるとかあるいは小作料規制の緩和、農業生産法人の要件の緩和、それから経営規模拡大のための農地保有合理化法人による農地等の売買、貸借等の促進、農協による経営受委託事業の創設、さらには草地利用権の創設などがなされたわけでございます。昭和五十五年には農用地利用増進法が制定されまして、農地の規模拡大を図っていくためには農地の売買によるのではなくて農地の賃貸借によることが大事であるということで、その後は農地法、農業振興地域整備法、さらにそれが発展した農用地利用増進法によりまして、賃貸借と並行して規模拡大が進められたということでございます。 現在では、どちらかというと所有権移転による農地の流動化が進展しがたい地域におきましては、利用権の設定による農地の貸借や、さらに最近時点におきましては、農作業の受委託を中心として経営規模の拡大が進められているところでございます。 私は、今後ともこのような利用権の設定による規模の拡大、農作業受委託を中心とした規模の拡大が構造政策の中心的な流れになっていくのじゃないかと思いまして、そこら辺につきまして政策を強化していきたいということで、今回法案を提案しているわけでございます。
○石橋(大)委員 次に、農産物の自由化、市場開放、これが農基法農政そのものを非常に無力化したといいますか、のではないか、この辺についてどう考えておられるかということをお尋ねをしておきたいと思うのです。 農基法の第十三条「国は、農産物(加工農産物を含む。以下同じ。)につき、輸入に係る農産物に対する競争力を強化するため必要な施策を講ずるほか、農産物の輸入によってこれと競争関係にある農産物の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあり、その結果、」「その農産物につき、第十一条第一項の施策をもってしてもその事態を克服することが困難であると認められるとき又は緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。」こういうふうに第十二条は規定をしているわけであります。 第十一条の関係は、これも御承知のように、「国は、重要な農産物について、農業の生産条件、交易条件等に関する不利を補正する施策の重要な一環として、生産事情、需給事情、物価その他の経済事情を考慮して、その価格の安定を図るため必要な施策を講ずる」、こういう施策を講じてもなおかつ問題があるときには、さっき言いましたように十三条によって関税率の調整、輸入の制限その他必要な措置をとる、こういうことになっているわけであります。 しかし、一九六〇年代以降農産物の輸入が次々と自由化されまして、今日最後に残された米の問題が、私たちは米は断固輸入自由化反対ということでずっとやってきておるわけですが、いろいろな内外の圧力の中で厳しい状況に直面をしておる、こういうことになっておるわけです。 そういう意味で、この三十年間の農産物の輸入自由化、市場開放の問題などを考えたときに、農基法十三条の規定に忠実に農業政策、農政が進められてきたのかどうか、こういうことになりますと、かなり私は疑問があるように思うわけであります。麦、大豆、飼料作物からレモン、オレンジ、牛肉に至るまで、無限定な輸入自由化がその生産に重大な支障を与えてきた、こう言ってよいのではないか。ちょっと厳しいかもしれませんが、事実、生産農家の立場からいえばそういう受けとめ方がされておると思うのです。こうした輸入の利益イコール大企業の利益を優先させた無制限の自由化政策のもとでは、初めから構造政策をやろうったってやれない、こういう状態があったのではないかと思うわけです。 この点、今後の新政策の展開に当たっても極めて重要な問題であり、ゆるがせにできない問題です。二月十八日の本委員会における大臣所信に対する質問においても、新農政は農基法の延長線上のものであり、農基法はいささかも変更する考えがない、こういう答弁もいただいているところですから、ぜひひとつこの点は基本法十二条に忠実に、今後の市場開放、市場自由化に対する対応でちゃんとやってほしいと思いますが、農政当局の御見解を承りたいと思います。
○上野(博)政府委員 基本法制定以降の我が国の農業の変化と自由化政策との関係についての御質問でございますけれども、土地利用型の農業を中心としてその規模拡大等も余り進んでいない状況があるわけでございますが、そういうことの原因といたしましては、農業外の就業の機会が非常に経済の成長とともにふえてまいった、その結果、若い人を中心にしまして非農業部門への人口の流出があった、あるいは農家の兼業化が進んできたということが第一に挙げられるだろうと思います。 それから、二番目といたしましては、都市化あるいは非農業部門の土地需要の増大というようなことがございまして、農家の非農業部門への転換、農家自身が変わっていったという問題と、農地価格が高くなったということで土地利用型農業の規模拡大が非常に困難になったということが二番目に言えるのではないかと思っております。 それからもう一つは、第一番目に申し上げましたことと、あるいは第一番目、二番目と密接に関連をしている話でございますけれども、他産業の生産性の向上が農業の生産性の向上を上回ってまいっております結果、農業所得によります農業従事者と他産業従事者との所得均衡が難しくなってきたというようなことが背景にあって現在のような状況が起こってきていると考えているところでございます。
○石橋(大)委員 今の官房長の答弁は答えになっていないと私は思いますよ。輸入農産物の影響で深刻な影響があったときに、関税率の調整や輸入の制限その他必要な施策を講ずるということについて、今までは非常に甘過ぎたのではないか、今後ちゃんとやるということになるのかどうか、この辺をどういうふうに考えておられるかという質問ですから、今の答弁は答弁になっていないと思いますよ。
○上野(博)政府委員 まことに恐縮でございます。要するに、十三条の運用の問題について申し上げますと、十三条自身は外国からの農産物の流入によって価格が急激に下がるという事態が起こる場合の対応を書いているわけでございます。それに対しまして、農業の構造といいますか、農業の実態の変化ということは、必ずしもそういう急激な価格の低下があったからということではないのではないかと私は申し上げたわけでございまして、外国からの農産物の急激な輸入が起こって所要の措置を講じなければならないという事態につきましては、ガットという国際的な約束事があるわけでございますけれども、今後もそういうルールに従って必要な措置をとるということは十分に考えてまいらなければならないと考えております。
○石橋(大)委員 ぜひそういう意味では厳格に対処をしていただきたいと思います。 次に、農業生産者の生産意欲を、私の言葉で言えば破壊して、農業に対する情熱を奪った、その大きな原因は、極めて効率主義的な、私の言葉で言えば効率至上主義的な政策運営にあったのではないかと思うわけであります。 この点について、新政策の冒頭で「政策展開の考え方」の中で、「我が国は現在、労働力の減少や高齢化の進行、労働時間短縮の促進、環境・資源・エネルギーの制約などから、効率性追求一辺倒への反省の気運が高まっており、地球社会との共存を図りつつ、豊かさとゆとりを実感できる、持続的、安定的発展を目指す新たな経済社会の枠組みを模索するに至っている。」と、効率至上主義の政策運営についてはそれなりの反省をしているように見られるわけであります。 しかし、規模の拡大といい、価格政策についての考え方といい、現実には依然として効率主義の貫徹だけがまかり通っていくのではないか、そういう意味では我が国農政の基調にはいささかの変化もないというふうに思える節もまた非常に強いわけであります。 私も効率主義を全面的には否定しませんが、しかし、八〇年代半ば以降我が国農政の基調となってきた効率至上主義には根本的に非常に大きな問題があったのではないか、こういうふうに思います。それは、合理化だとか効率化だとか、そういう余り抵抗できないスローガンのもとに、規模の拡大やコストの削減、価格の抑制や引き下げが推し進められた結果として、効率化の成果が生産者である農家、農民の利益にほとんどはね返らないか全くはね返らなかったことに大きな問題があったのじゃないか、こういうことであります。 企業が効率化を必死に追求するのは、その結果がみずからのもうけ、利益にはね返ってくるからだと思います。しかし、我が国の農政、特に土地利用型農政の展開に当たっては、その効率化の成果はすべて国際農産物市場に吸収されるか流通業者や消費者の利益となっても、農民の手には借金以外何も残らなかった。こういう効率主義の構造にこそ非常に問題があったのではないか、こういうふうに思われるわけであります。断っておきますが、土地利用型農業についてであります。 したがって、新政策が成功し、我が国農業の再建のためには、何としてもこのような効率至上主義的な物の考え方、政策運営のあり方、価格政策のあり方はやはり改められなければならないのではないか。そういう意味で、この効率主義のもたらした結果についてどういうふうに反省をし、また今後運用されようとしているのか、新農政の展開に関連して、この点も承っておきたいと思います。
○上野(博)政府委員 土地利用型農産物については行政的な価格政策があるものが多いわけでございますけれども、価格政策を運用する場合には、毎年度、生産費その他の生産事情、需給事情、物価その他の経済事情を参酌して定めるということが基本的にあるわけでございます。急激な変化を避けてできるだけ安定的に運用していくというのも実態的な考え方としてあるというふうに考えるわけでございまして、通常の物の価格よりもはるかに安定的に運営をされてきているのではないかと考えるわけでございます。 したがいまして、例えば稲作なら稲作で効率的な農業経営を営むということで努力をされますと、それに伴いますコストの低減、これはやはり農家の所得という形で還元されるところが多いと思うわけでございまして、効率化をした結果、それが土地利用型農業の衰退につながるというふうに言うのはどうだろうかなと私は思うわけでございます。むしろ、土地利用型農業についての問題点は、先ほど来申し上げておりますように、他産業との関係あるいは地価の問題等々の要因の方が大きいのではないかと考えるわけでございます。
○石橋(大)委員 今のことについては、先般二月十八日の大臣所信に対する質疑の中でも言いましたが、新農政の中でも、例えば価格政策については、規模拡大をしてコストを下げる、そういう合理化努力に対してタイムラグがないように価格政策を運用する、こういうことがあるわけですね。幾ら頑張っても、すぐその端から生産物の価格が下がるということになれば、当然農家、生産者の手には何の利益も残らない、こういうことになるわけですから、そういうことではだめだ、こう申し上げたわけです。そういう意味ですから、そういうことがないように配慮をして、ひとつこれからの農政を進めていただきたい、そのことをお願いして、次に進みます。 もう一つ、効率主義に関連をして、効率一点張りのいわば農業の近代化政策、路線というものは、大きな目で見ればもう破綻しているのじゃないか、これからはやはり環境保全型農業に農政の基調を切りかえていかなければいかぬところに来ているのではないか、こういうことについて伺いたいと思うのです。 効率至上主義的農業近代化路線のもう一つの問題点、さっき引用しました新政策の冒頭部分の後半にこう書いてあります。「地球社会との共存を図りつつ、豊かさとゆとりを実感できる、持続的、安定的発展を目指す新たな経済社会の枠組み」を目指す、こういう部分があります。これに関する問題です。 一九九〇年代に入って、我が国を含めて先進国の農業は大きな転機を迎えていることは御承知のとおりです。それは、農業そのものの持続可能性あるいは資源保全にかかわる問題、すなわち農業における環境問題の表面化であります。 それは具体的には、第一に、土地や水といった農業資源の量的及び質的な維持、保全、動植物その他の生態系の保全と調和、エネルギー等の物質循環のメカニズムにかかわる問題、地球の温暖化、砂漠化、森林伐採などの地球環境問題からの視点。二つ目に、食品の安全性に代表される視点、つまり消費者にとっての食の安全性、農業従事者と地域生活者にとっての健康、こういう多面的な安全性が問われるに至っているわけであります。第三に、農業、農村の持つ景観保全及び活用という地域生活者、都市サイドから見た広義のアメニティーの視点であります。 こういう観点からいえば、ECの共通農業政策の新たな目標は、過剰生産の防止、農産物の安全性向上、自然環境の保全、こういう三つの柱から組み立てられておりますし、これを一体的に達成する方向に政策転換がされつつあると言われています。またアメリカでも、低投入、持続的農業、こういうことで資源の再生産と再利用を可能にし、農業、化学肥料の投入量を必要最小限に抑えることによって地域資源と環境を保全しつつ、一定の収益性と生産力を確保し、しかも、より安全な食糧生産に寄与する、そういう方向が目指されつつあるわけです。 我が国においても、この三十年間の農基法農政、すなわち規模拡大と低コスト生産を目指す近代化路線が追求された結果、環境汚染や食品の安全性、また農山村からの膨大な人口流出によってもたらされた国土、地域資源の保全の危機が深刻になっているわけであります。この際、世界の新世紀に向けての農業政策の転換の流れをにらみながら、今後の農政は、何よりも環境保全型農業を基調とする方向に転換すべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、この点についてどういうふうにお考えになっていますか。
○上野(博)政府委員 世界の各国におきます農業にかかわる環境問題について、委員からいろいろ御説明がございました。 確かにECもアメリカも、環境面により配慮した、環境に優しい農業をつくっていかなければならないと言っておるわけでございまして、これはアメリカやECの農業が持っております特性、畑作地で、しかも、割に乾燥した地域での農業であるというところからくる問題があるわけでございます。そういう面では我が国の農業というのは割に恵まれておりまして、アメリカやECが直面しているほどの深刻な問題はないと言ってもよろしいのではないかと思うわけでございます。 しかしながら、今委員御指摘のとおり、地球環境の問題あるいは食品の安全性の問題等々から見まして、環境保全型の農業と我々呼んでいるわけでございますが、環境に優しい農業をつくり上げていかなければならないということにつきましては、まさにそのとおりだと考えております。 ただ、今委員の御指摘の中にございました、規模の大きい農業は環境に厳しいのだという理解については、私は必ずしもそうは思わないということを前にも申し上げたわけでございますけれども、現在の我が国の農業を直視いたしますと、規模の小さい農業も規模の大きい農業も、やはり農業なり肥料なり、そういうものに依存をして行われているわけでございまして、大小を問わず、こういう人工的な物質の投入というようなことをできるだけ減らしていく努力をしなければならない。 規模の小さい農業で環境に優しいというと、思い出されますのは、有機農業というようなものは確かにあるわけでございますけれども、しかし、有機農業というのはやはりまだ現在のところ我が国でそう一般的にあるものではございません。我が国の現在の農業生産の総体をおおむね維持しながら環境に優しい農業をつくるという意味においては、これからいろいろと努力をしていかなければならない、有機農業自身もこれからいろいろ解決していかなければならない問題があるというふうに考える次第でございます。
○石橋(大)委員 大体以上で農基法農政三十年をめぐる問題点については終わりたいと思いますが、最後に大臣に、農業基本法を変える必要はない、こう言っているわけですが、今私が指摘したような問題についても、農政当局の立場では全面的に必ずしもお認めになっていない。しかし、農家、生産者レベルの立場からいえば非常に問題があったことも否定し切れない、こう私は思うのです。ちょっと官僚の人には失礼かもしれませんが、官僚の辞書に反省なし、こういう言葉があるのですね。なかなかいろいろとあって反省がないのですよ。反省しなくてもいいような、二年、三年でかわっちゃうわけだから、ある意味では全面的に責任を負おうにも負いようがないというような面も否定し切れないと私は思いますよ。思いますが、どうも余り、率直なところ反省がない。こういうところに大きな問題があると私は思う。 そういうことでありますが、とにかくこの三十年の基本法農政を振り返って、やはりマイナスになったところはこの際反省をして変える、そして新しい新農政の確立を目指す、こういうことでなければいかぬと思うのですが、その点、最後のところで、基本法農政三十年をめぐって、大臣にひとつちゃんとした納得できる回答をいただきたい。
○田名部国務大臣 反省というかどうか、結果としては御指摘のようなことはあると思うのです。しかし、やっていることは一生懸命ですから、なかなか一生懸命やっても報われるものというのは農業の場合には非常に少ない。それは、自分の都合で何でもかんでもできる状況ではなくて、いろいろな周囲の条件に合わせていく、そこがなかなか小回りがきかないといいますか、改善をするというか、作物一つとってみても、消費者はこれは余り必要でないからさっとかえるかというと、なかなか農家はそうまいりません。 そういうことで、先ほど来からいろいろと答弁しておるとおりでありますけれども、ただ、私ども、これからの若い人たちにどういう農業をしてもらうかということを考えると、何といっても所得が安定しないと、精神論だけではいきませんので、生産性を上げながら所得の均衡、他産業との均衡を図っていくということが一つ大事だし、これは農業基本法にもあるわけでして、この制定後、いろいろなことをやってまいりました中で、畜産とか施設園芸の分野を中心に生産性が向上したものもあります。あるいは農家の総所得で見れば勤労者を上回っておる一方、問題は稲作、土地利用型の農業の分においては一向に勤労者を上回るような所得にはならないということもありまして、先ほど来ずっと説明いたしましたが、生産性の向上がおくれておる。 そのことはもう申し上げませんが、新政策は、このような状況に対処して、若い人たちにとって魅力ある農業をどう構築するかということをいろいろ考えながら、労働時間の短縮でありますとか、所得においても実現できるような、一戸でできなければ経営体をつくって何とか努力をしてもらおうというようなことで、これを育成したいというものであって、農業基本法の政策目標について、基本的にはその考え方を引き継ぎながらも、今日的な視点に立って新たな具体化を図ったものであります。 今後、新政策の方向に沿った、今までずっとお答えしてきたようなことを精力的に進めることによって、何とか次の世代の人たちが農業に誇りを持つ、喜んで国民の食糧を安定的に供給している、この誇りを持てるような形の農業にしていきたいということで考えておるわけでありまして、いろいろ時代の変化があったことについては、それがいかぬということであれば、これは反省しながら、その上に立って新たな方向というものを常にこれからも見出していかなければならぬということで御理解をいただきたい、こう思います。
○石橋(大)委員 次に、新政策をめぐる幾つかの問題点について質問をしたいと思って、そういう順序で申し上げていますが、ちょっと順序を入れかえまして、三番目の中山間地対策をこの段階で申し上げておきたいと思います。最後のところにしておきますと、言いたいことが言えなくなる危険性がありますから、ここでちょっと申し上げます。 まず最初に、質問ですが、中山間地の人々が非常に切実に求めている問題について、今度の法律では市町村などがいろいろな計画を立てたりしていく、そういう意味では間接的な提起ですが、直接もっと中山間地に住んでいる人たちの琴線に響くような、こたえるような政策を一日も早く具体化をしなければいかぬ。そういう意味で申し上げたいと思います。 九〇年センサスの農業集落調査によりますと、三つに分かれていますね。山村・過疎地域以外の地域に対比して中山間地域にかかわるものとしては山村・過疎重複地域、山村地域及び過疎地域、こういう三つの類型が示されているわけです。それによって山村・過疎地域の状況を見ると、総農家数三百七十八万九千戸に占める山村関係、今申し上げた三つの類型の農家数百十二万八千戸、二九・七%、耕地面積では総面積四百三十三万ヘクタールに対して山村三類型の耕地面積は百六十三万一千ヘクタール、三七・六%、四割を占めているわけであります。したがって、中山間地域の問題は、農家の三割、耕地の四割にかかわる問題であります。 このことは、国土保全や環境維持、さらには一極集中是正という次元とは別にしても、新農政が言うところの食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけていくこと、そういう観点に立っても非常に重要な大問題である、こういうことが言えると思うのであります。そういう意味で、新農政は山村の耕地を維持する、こういうことを声を大にして宣言することが必要じゃないか、こういうふうに思われるぐらいであります。 後でも申し上げますが、これから優良農地はどちらかといえば平場よりも中山間地の農地、つくり手がいなくなって耕作放棄地が拡大をしていく、値段が安くなっているわけですから、ある意味では管理のしようによっては中山間地の農地こそ優良農地として保全することができる、こういう面も率直に言ってあるように私は思うのです。どっちにしても、中山間地問題を考えるに当たっては、さっき申し上げました山村の耕地を維持する、こういうことについて政府、農政当局はちゃんとした見解を持って、信念を持ってやはり対処してほしい、このことについてどういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思うのです。 この間、参考人を呼んで意見を聞いたときに、青森から来てもらいました大規模経営をやっている人は、平場の方はこれから新政策の規模拡大の対象だけれども中山間地は国土保全の対象だ、こう言っていましたが、それでは困ると思うのです。やはり農業地帯としても、自給率を確保する、農地を維持するために非常に大事だ、そういう意味であえてこの点をまず最初にきちっと伺っておきたい、私はこう思います。 第二に、中山間地関係の集落や農家の内情に立ち入っていろいろ見ますと、例えば年齢構成、世帯構成、こういうのを見ますと、これらの地域は農家率が五〇%近くを示しておりまして、農家が多数派を占めている純農村的な集落群をなしている。しかし、農家人口の六十五歳以上の比率はいずれも二〇%以上と、非常に高いわけです。問題は、家族構成が異常であるということです。世帯主夫婦と同居の後継ぎのいる世帯及び単身世帯と同居後継ぎのいる世帯、つまり二世代世帯は、山村関係三類型でそのウエートが非常に低い、その他世帯として示されている一世代世帯がいずれも五〇%以上になっているわけです。これが非常に問題です。特に、山村・過疎重複地域と過疎地域は、一世代世帯が六〇%前後の高さとなっているわけです。このその他世帯というのは、高齢者夫婦あるいは高齢単身者世帯、こういうのが実態だろうと思うのですが、そういう世帯が中山間地の農村集落では多数派を占めている、こういうところに非常に問題があるわけですね。 こういう状況に対して、新農政は余り多くのことを言っていないのです。「立地条件を生かした労働集約型、高付加価値型、複合型の農業や有機農業、林業、農林産物を素材とした加工業、観光などを振興する。」こういうふうに述べているわけです。それに続けて、「農林地を一体的に経営・管理するため、農協と森林組合の業務の相互乗入れや、農業と林業に係る事業を併せ行う新たな組織の設立」、こういうことを言っているだけであります。 今日の中山間地域の問題点は、一つは、さきに挙げました過疎化、高齢化の進行という問題であり、二つ目に就業機会の不足が挙げられ、三つ目に耕作放棄地の増加や森林の維持管理の停滞が挙げられているわけです。今回の特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案、これはさっき言いましたように、農林業活性化基盤整備計画の作成など、今言った中山間地域に住んでいる人たちが抱えている深刻な悩みに直ちにこたえるような問題にはなっていないわけであります。 そういう意味で、そういう中山間地域に住む人々が切望している深刻な諸問題を解決するための適切な方策、どういうものを考えたらいいか。 一つには、高齢者や単身者世帯の消滅、集落の崩壊を阻止するために、農山村地域の若者が積極的に地域にとどまるように、また地域外から若者が農林業に新規参入できるように条件を整えること、二つ目に、不在村所有者の激増に伴ってますます深刻になっている山林の管理、整備の方法、仕組みを考えることであり、第三に、これまた激増する耕作放棄地を優良農地として管理保全するための、市町村や公社等の単に一時的な管理ではない、農業生産や加工も含めた新しいシステムを確立することであります。こういう問題点について、政府、農政当局としてどうこたえようとされているのか、お答えをいただきたいと思います。 もう一つ、簡単に追加をしますが、特定農山村の対象地域の問題について、中山間地だけではなくて平場の条件不利地域も含める必要があるのではないか。平場の条件不利地域とは、人口密度の低いところ、湿地だとか湖沼の周辺、この周辺では酪農家などが農業をやっておりまして、今度のラムサール条約で公害規制などが厳しくなる、そうなったときには個人負担ではなかなか対処できない。そういう点について農政当局、国の財政措置が非常に強く求められているわけですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっているか、あわせてお伺いをしたいと思います。
○入澤政府委員 御質問が多岐にわたりますので、可能な限りお答えいたしますけれども、もし欠落がありましたら御指摘ください。 まず、今回の中山間地域法の最大の目的は何かということでございまして、私ども、中山間地域の実態をかなり調査いたしました。土地利用がやはり一番問題であるということで、最適農業的土地利用計画をつくって最適農業経営改善計画というのを追求すべきでないかということで、今回、この計画の中にも、農用地の利用の確保ということを明記させていただいたわけでございます。 今御指摘のとおり、中山間地域は、農業従事者、農家戸数、それから耕地面積、いずれも約四割近い水準を持っております。したがいまして、我が国農業を振興するためには、中山間地域の農業を振興することが必要不可欠であります。また、中山間地域について過疎対策をきちんとやるということであれば、そこの中山間地域の基幹的な産業は農林業でございますから、農林業の振興が不可欠である。二重の意味におきまして中山間地域対策をやるということが必要だということで、構造立法と並べまして中山間地域の対策法を今回提案させていただいているわけでございます。 その意味におきまして、現在我が国農業が抱えているいろいろな問題がある意味では集約的に中山間地域にあらわれている、その一つ一つにつきまして改善策を講じていかなければいけないというふうに考えているわけであります。 まず耕地問題につきましては、きちんとした土地利用計画をつくって、そこできもんと農業を行うような計画、あるいは事業実施手段を考えていくということでございますし、耕作放棄地があれば、これは農地保有合理化事業であるとか、あるいは新しく所有権移転等事業で、一括して最適土地利用計画に誘導する、あるいは場合によっては林地に誘導するような政策をもって、耕作放棄地をまず農地に復元する、復元できないところは林地に還元するというふうなことで、耕作放棄地の解消策を考えていきたいと考えております。 さらに、二番目の問題でございますが、就業機会の増大、これは農業だけではとても生活できないということもまた事実でございまして、兼業機会を、就業の機会をやはり広範につくっていかなければいけない、あるいはある意味では兼業所得、兼業農家というものを大事にしなくてはいかぬ一つの象徴的な地域になるかと思いますけれども、その意味におきまして、先ほど申しましたけれども、私ども、自治省、国土庁ともいろいろな研究会をやったわけでございます。ずっと長くやりました。かなりかんかんがくがくやりました。この法案ができましたら、また引き続いて過疎化対策につきまして、抜本的に研究会をやって対策を練るうじゃないかということまで申し合わせております。その研究会の過程で、まず建設省とか通産省とか関係各省庁に呼びかけて、就業機会の増大のためのいろいろな各省の持っている手段、例えば採択要件を緩和するとか、あるいは補助要件を改善するとかして、導入するように依頼しようじゃないかということで、主務官庁にもなっていただいたわけでございます。 それから、耕作放棄地の対策としまして、後で林野庁から答弁があると思いますけれども、不在村山林地主の問題はともかくとしまして、耕作放棄地を具体的に解消する一つの方法として、第三セクター等を使って代行施業的なものをやることはできないかということも私ども考えました。なかなかこれは法律的に問題があるということで、今回はあきらめたわけでございます。 遊休地の解消対策等につきまして、農振法にも規定がございますし、それからまた特定利用権の制度というのもあります。それらを援用いたしまして耕作放棄地を解消しようということも考えたのですけれども、それ以上に有効なのが第三セクターによる代行的な耕作、代行耕作を制度化することじゃないかと思って考えたのですけれども、なかなかこれは私権の制限とかいうことの調整が難しくて、今回は農地保有合理化事業等、既存の事業を活用して解消するというふうに努めたわけでございます。 それから、対象地域として湿地とか湖沼を含めるべきではないかということでございますが、今回の中山間地の対象地域は、政令で定める要件を満たす地域につきましては市町村単位または旧市町村単位で指定することになっておりますので、これらの地域内に湿地とか湖沼がある場合に、当然特定農山村地域に含まれます。しかし、湿地とか湖沼の面積が対象地域の要件の一つとしてカウントされるかというと、それはこの特定農山村法案が、耕地の傾斜度等農業の生産条件の不利性に着目して、当該地域の農林業を核とした業の活性化を図ることを目的としたものであるということ、それから、湿地や湖沼の維持保存のためには、既に環境保護的観点から行う別の仕組み、ラムサール条約という指摘がございましたけれども、ラムサール条約などがありまして、それによるべきものと考えられますので、カウントするということは適当ではないというふうに考えております。
○石橋(大)委員 今構造改善局長から、私がこれから申し上げようとすることに対して少しばかり答えがあったような感じもしないこともないのですが、きょうは私は、後々の対策も含めて、ここで中山間地における農林業従事者の所得確保に関する法律(仮称)の立法構想について提起をしておきたいと思うのです。 私はかねてから本委員会において、今日の我が国の農業、農村問題は、主管庁である農林水産省だけではもう手に負えなくなっている、さっき局長の答弁の中にもありましたように、農水省の枠を超えた対処が必要になっている。そういう意味で、この立法構想も農水省、自治省、国土庁、環境庁、もっと建設省だとか運輸省だとかもあるかもしれませんが、どっちにしても各省庁にわたる構想ですから、農林水産省一省だけの判断でようございますとか憩うございますとかなかなか言えないと思いますが、ちょっと提起をしておきたいと思います。 この構想は、私はサブタイトルをつけておりますが、簡単に言うと、「農業・林業複合の現代化政策による所得確保策」であります。少し長くなって恐縮ですが、読み上げて提案をしておきたいと思うのです。 一、趣旨 「新政策」の展開およびその第一段階である今次通常国会における新農政三法案一農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、農業機械化促進法の一部を改正する法律案、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案一の審議にあたって農山村地域の活性化、農林業の維持、国土保全等の観点から、日本型デカップリシグ(所得保証)の具体化を要望する声が非常に強く求められるに至った。 しかし、政府・農水省側では、生活保護的・社会政策的な所得保証を中山間地の農林業従事者だけを対象として実施することについては、①国民的理解を得られない、②わが国の風土になじまず、社会主義諸国における農業政策の失敗をくりかえすことになる、③対象を限定することが難しい等々、根強い反対論があり、当面、これを実現することについては、かなりの困難が予想される。 しかし、中山間地帯における農林業の維持や国土保全のためには、中山間地に相当数の人口や農林業従事者が定住することが不可欠であり、そのために条件不利地である中山間地において、農林業従事者が安心して暮らせる所得の確保策を考えなければならない。 本構想はそのような観点から、「中山間地における農林業従事者の所得確保に関する法律案(仮称)」の立法化により社会政策的な所得保証でない、国民的にも納得を得られる所得確保政策を具体化しようとするものである。 すなわち、わが国の中山間地においては、伝統的に農業と林業の複合経営によって生活を営んできた歴史がある。しかし、一九六〇年代のエネルギー革命と急激な外材輸入の増加などによって伝統の農業と林業の複合経営は崩壊し、森林や国土の保全という観点からも、きわめて憂慮すべき事態に直面している。このような歴史的経験と現実をふまえながら「農業・林業複合」の現代化を政府の政策として具体化しつつ中山間地における農林業従事者の所得の確保を図り安定的な定住化をめざそうとするものである。 二、中山間地農林業従事者に所得確保を図るべき積極的理由と論拠 地球的環境保全や国土保全、水資源の涵養その他の理由から、森林の果たしている機能については、世界的にも国内的にもほぼ合意形成ができ上がっている。しかも、その保全のために一定の人口定住が必要であり、そのための経費負担をすべきことについてもそれなりのコンセンサスが得られるものと思われる。 農政審議会は、本年一月十四日の「今後の中山間地対策の方向(中間とりまとめ)の概要」において、「農協、森林組合、第三セクター等による農林地等の保全・管理の推進をとりあげ、利用管理が適切に行われない農林地等の保全・管理について、農協、森林組合、第三セクター等かこれを行いやすくなるよう施策を充実。また、土地改良施設の機能を適切に発揮させるための集落共同活動の強化に対する支援措置を充実」させるとしているが、具体的に何をどうするのかは明らかにしていない。本構想はこの農政審の報告の提起をもう一歩進めて、その具体化を図ろうとするものでもある。 また、以下にみるように森林や農山村の果たしている公益的機能を考えるときこれを維持するためそれ相当の国民的負担を行うことは当然であろうと思われる。 森林の公益的機能の評価額(年間) 機能の種類 評価額 水資源涵養 四兆二千六百億円 土砂流出防止 七兆九千八百億円 土砂崩壊防止 千八百億円 保健休養 七兆六千七百億円 野生鳥獣保護 六千九百億円 酸素供給・大気浄化 十八兆四千二百億円 合計 三十九兆二千億円 (昭和四十七年林野庁試算による評価額を平成三年価格で見直したもの) いわば、公益的機能を金額的に評価するとそういうことがある。林野庁の「日本の森林と林業-そこが知りたい」、こういう資料に載っている評価額であります。これぐらいあるわけですから、一兆や二兆出しても一つもおかしくないんじゃないか、こういうことになるわけであります。 三、実施主体 ①市町村、農協又は森林組合等で設置する「第三セクター」または「公社」=「農山村活性化事業公社(仮称)」 ②市町村は上記団体の業務の計画的実施、有効な運用な図るため指導監督の責任を負う。 ③一九九一年の森林法改正により、不在村所有者の山林に対する市町村や森林組合の「代行施業制度」が設けられている。 ④農地についても、中山間地における耕作放棄地の激増など地域資源の荒廃に対処し、優良耕地を維持するため、市町村や農協の「代行耕作制度」を導入する。 さっき局長がちょっとこの辺触れたわけですが、こういうことをちゃんとやろうじゃないかということです。 四、所得確保の方法 ①以下の業務に従事することをもって、その労働の対価に対し、一定の賃金、社会保険等の負担に関する支払いを行う。 ②所得保証の額=一人一日約一万円の標準賃金、年間百~百五十日の稼働により百万~百五十万の所得を確保する方向を目指す。 ③従事者に対する技術研修、専門的知識の付与等について (1)前記業務は、比較的単純労務に近いものから、かなり高度な知識・経験を要するものまでを含むので、そのレベルに対応した研修制度を具体化する。 (2)また、業務内容の難易度や専門的知識の必要度に応じ、若干の業務内容のランク付(二~三段階程度)を行うとともに、一定の試験あるいは経験によって上位のランクに引き上げることとし、それにふさわしい賃金を保証するものとする。 (3)研修参加のための費用(教材費、旅費、宿泊費等)は、当該事業体の負担によることとするが、これに対しても全額国費によって補填することとする。 五、業務内容 ①営林署・森林組合等が行う森林施策に関する業務 詳細はここでは省略します。 ②保安林等の維持管理に関する業務 これは、国土保全のために非常に重要な役割をいろいろな保安林が持っているわけですが、そういうことを踏まえながら業務化をする、そういうことにしていったらいいじゃないか、こういうふうに思っております。 それから、 ③土地改良施設の機能を適正に発揮させるための集落共同活動の強化に関する業務 (1)農林道の改良・補修 (2)給排水溝の整備、浚渫 (3)圃場整備、圃場法面の草刈等 草刈りというのは、このごろ、圃場整備をやってきた中山間地では非常に深刻な問題ですからね。これは単に草刈りだからと軽く考えてもらっちゃ困るのです。物すごくのり面が大きくなって大変なんですよ。 それから、 (4)耕作放棄農地の保全管理、代行耕作 (5)溜池の維持管理 (6)採草放牧地の維持管理 ④教育・レクリエーション等に関する業務 (1)林間学校、山村留学等の施設の経営管理 (2)自然休養村の施設の経営管理 六、国の負担 ①この制度の趣旨に照らし、国は必要な財源の全額を負担し、市町村を通じ事業主体に支出するものとする。 ②関係業務か正確に実施されているかどうかについては、適切な監査制度等を具体化する。 まあ非常に大急ぎで申し上げましたが、最初に申しましたように、何省がにわたる共管に値する構想ですから、そう簡単なお答えはできないと思っておりますが、遅かれ早かれこういう問題は非常に重要になってくると私は思っておりますから、そういう意味で、今後の農政を、中山間地対策を協議されるときにはぜひひとつ参考にして議論をしていただきたいと思いますし、できるだけ早くこういう政策を政府の手でもって政策化をし、具体化をしていただきたい、こういうふうに考えているわけですが、この際、問題の提起とともに農林水産省のお考えを承っておきたいと思います。この点については当局、また大臣にも一言お答えいただきたい。
○田名部国務大臣 広範な、格調の高いお考え方を十分拝聴いたしました。 実態に即してどうするかというのはこれからの問題だと私は思うのですが、四割が中山間地でありますから、それも場所によってまた大分違う。私の青森県も僻地と言われるところが随分あります。選挙で回りますと、山の谷合いに四、五軒で生活をしている農家もあります。これは、親はもう最初からそこに住んでおったわけでありますけれども、しかし子供がそこで生活をするには所得がないということで、親と子供が全然違うのですね、選択の仕方が。私も僻地に行ってみましたけれども、何かこの僻地、あちこちに散在しているものがどこか一緒になって生活基盤を整備しながら教育だとかあるいは医療のサービスを受けられるとか高齢者の施設をつくるとか、そういうことができぬのかなと思って回るところもあります。 結局、都市に近い中山間地、これは結構道路さえ整備しておるところはそこへ行って働く。もともと中山間地というのは、規模拡大といってそれだけでなかなか生活できないものですから、そういう二種兼業といいますか、そういうところができるところがあるわけですね。ですから、全部中山間地はだめなんだという発想ではなくて、しかしそうでないところを一体どうするかという問題は、私は確かにあろうと思います。 そういうことを考えますと、今までも、平成三年の山村振興法の改正によって、農林地の保全等の事業を行う第三セクターに対する税制上の特例措置、あるいは市町村の出資についての特別交付税措置、こういうものは講じられておるわけでありますけれども、今申し上げたようなところに対して、いろいろと今お話にありましたように農業振興ができないと環境保全にならぬのですから、やはり農業をいかに振興するかということは大変私は大事だと思いますので、農作業の受委託もあるでしょうし、そこは地域の実情に応じて創意と工夫の中でどうすれば今より本当によくなるかという実態の中でやっていただきたいということであります。 御指摘のような考え方もございますので、今後どういうふうにするかというのを十分検討したい。本当に何ともならぬといいますか、そういうところをどういうふうにすれば若い人たちも残れるようなことになるのだろうかということをやはり検討しなければいかぬというふうに考えております。ですから、多様に就労の場を確保するということを考えないと、農業だけでということになるとなかなか難しい条件があります。林業も含めて、そうして公共的なことで何ができるかということを検討していきたい、こう考えております。
○石橋(大)委員 さっきもちょっと言いましたが、森林や山林の環境保全の面からの評価などいろいろ強調されるけれども、幾ら強調しても銭にならぬわけですから、かすみを食って生きるわけにいかぬ、やはり銭になることを考えなければいかぬ。 今大臣言われるように、私の島根県だって、例えば出雲地方の山奥の横田町なんというところがありますが、ここでは工場誘致政策をかなりうまくやっておりまして、工場勤務と農家の兼業で非常にうまくやっている。こういうところもあるところはあるのですね。しかし、中山間地全体を見ると、そういうところよりもやはり今言ったように厳しいところが多いわけですね。 去年の十一月でしたか、福井県の池田町へちょっと視察に行ったときに、あそこの町長さんは、人口が減って過疎になるものだから、十軒ばかり町で家を建てて全国から募集している、都会に比べたら比較的広い家がありますから、若い人たちがそれに入居するためにちゃんとすぐいっぱいになった、こう言っておりました。何をやっているかというと、山の仕事をやっている、こういう話ですね。結構条件によっては山仕事をやってくれる人がおるわけですよ。 それから、私のところの島根県に隠岐島という島があります。島が三つあるけれども、その中で一番不便な知夫里島という島があるのですよ。知夫村という小さい村が、人口三百人ぐらいですかな。去年、とにかく漁船一隻やるから来て漁業をやるか、何頭だったかちょっと覚えてないが、牛を何頭かやるから来て百姓をしてくれぬか、こういうことで全国から募集したのです。結構応募者はありましたが、結局最後は何が問題だったかというと、例えば牛を二十頭ぐらい町から借りて飼おうと思っても、三年は自分でやはり自活しなければならぬわけです。そうすると、一千万円ぐらいかかるわけですよ。若い人は貯金がないですから、それができないためにあきらめる、こういう状況もあったりしました。 やり方はいろいろあると思います。私が今言った、全面的にやれというふうに聞こえたかもしれませんが、深刻なところから少しずつやる方法もありますし、そういう点で工夫はあると思いますから、ぜひひとつ今後検討いただきたい、こういうことで、きょうは提起をしてお願いをしておきます。 中山間地問題はそれぐらいにしまして、次にかわりまして、新政策について若干の御質問をしたい、かように思います。 まず一つは、非常にすぐれた効率的、安定的な経営体、経営感覚にすぐれた担い手、こういうことが非常に強調されています。しかし、一方で、その経営原理はやはり小農的な経営原理に立っておられる。その関係で言うと、本当に新しい、期待されている効率的な経営体が実現できるかなどうかな、こういう感じがちょっとしているわけです。 新政策において、個別経営体については、次のように農林水産省の解説資料を読むと書いてあります。「「個別経営体」とは、個人又は一世帯によって農業が営まれている経営体であって、他産業並みの労働時間と地域の他産業従事者と遜色ない水準の生涯所得を確保できる経営を行い得るものである。」、こうされているわけです。また、組織経営体については、「複数の個人又は世帯が、共同で農業を営むか、これと併せて農作業を行う経営体であって、その主たる従事者が他産業並みの労働時間と地域の他産業従事者と遜色ない水準の生涯所得を確保できる経営を行い得るもののことである(例えば、農事組合法人、有限会社の他、農業生産組織のうち経営の一体性及び独立性を有するもの)。」としているわけであります。 簡単に言いまして、どっちも労働所得中心の所得原理もしくは労働所得原理に基づく経営体、こういうことだと思うのです。そういう考え方は、やはり自作農主義の名残ではないか、こういうふうに言われているわけですが、家族の生活が貯えれば再生産を続ける、こういういわば自作農主義的、小農主義的な経営原理、こういうことを前提にしておるのではないか、こう思うわけです。 基本法農政の自立経営や協業経営も、やはり農工間所得格差是正、こういう考え方でこういう原理、考え方が継承されていったわけですが、新農政でも、他産業並みの労働時間、地域の他産業従事者と遜色のない生涯所得、こういう言葉で、やはり今言った、働いて家族の生活が何とか貯えればいいんじゃないか、こういう原理を基本的にまだ継承されているんじゃないか。しかし、自作地だけでは到底実現しないので、大幅な借地増加や作業受託の拡大、こういう方針が打ち出されているわけです。 しかし、自作方式は、さっき農業基本法三十年の農地政策のところでも申しましたように、基本的には破綻をしている、こういう状況にあると思うのですね。「経営感覚に優れた効率的・安定的な経営体」、あるいは「経営管理能力、資金調達力、取引信用力及び雇用労働関係の明確化と労災保険などの適用による雇用労働者の福祉の増進や新規就農者の確保」等のために「法人化を推進する。」こういうことが強調されているわけです。 しかし、このような法人経営は、当然のことながら賃金と利潤と地代の分化した機能別の所得の実現を目標とせずには実現できないのではないか。そういう意味でいうと、賃金部分を主体とした三位一体、所有、経費労働の混合所得の実現を目標とする小農的な経営原理とは異なる経営範疇に属するものだ、こういうことが言えるわけであります。新農政は、この辺を連続したものとして扱おうとしているのではないか、こういうふうにも考えるわけですが、市場原理や競争条件の一層の導入、こういうことになると、それでは問題があるのではないか、そういうふうにも考えられるわけであります。 また、組織経営体については後で触れますが、個別経営体が、さきの定義のとおり、個人または一世帯によって農業経営が営まれる経営体であることの最大のネックは、経営者が病気で倒れたり亡くなったりしたときの経営の維持、継承をどうするか、こういう問題だと思うのです。個人である場合には、たちまち経営の解体につながっていきますし、一世帯の場合でも、必ずしも確かな担い手があるわけではない。親子間の血縁相続は崩壊している。機能的な経営の継承を制度として考えておかねば、せっかくの個別経営体も一代限りの浮沈を繰り返すことになるのではないか、こういうふうに心配をしていますが、どうですか。 〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕
○上野(博)政府委員 今委員の御質問の中にございましたように、新政策の考え方といいますのは、主要な農業の担い手として主たる従事者が他産業と遜色のない就労条件や所得条件を享受できるような経営体、これによって日本の農業が主として担われていくというふうに考えているわけでございまして、このときに、所有、経営、労働の関係につきましては、やはり経営感覚に富んだということは、農業経営と家計というものがしっかり分離をされて、コスト意識というものが明確に意識をされるような経営でなければならぬだろうというふうに考えるわけでございます。 しかし、そのほかに、そういう経営体は所有地のほかに利用権の設定によりまして相当規模の耕作地をも持っておる、自作地だけに必ずしもとどまらないだろう。しかも、就労条件とでもいいますか、働く条件というのは、日が出てから日が沈むまで働くというようなことではなくて、やはり一日の労働時間なりあるいは一週間のうちに何日か休むなりということについては、ほかの産業に従事する場合と同じような条件が与えられなければならないだろう。そういうことが満たされなければ、これから若い人が農業を継いでいく上いうことは非常に難しいのではないかということで提示をしているわけでございます。 具体的に、そういう経営感覚に富んだ経営体という場合には、今御質問にもございましたように、いわゆる家族経営から発展をしてまいります経営体もある、これが相当大きな部分を占めるだろうということも我々期待もいたしております。そういうものもあると思いますし、それから、今お話がございましたように、集落単位の組織経営体、中核になるような主たる農業従事者というような者がおられて、それに老齢な方とかあるいは兼業農家とかが全体として仕事の分担をしながらうまく地域全体としての農業を続けていく、そういう組織経営体的なもの、あるいは農業生産法人という形で行われるものもあるというふうに考えているわけでございます。 〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕
○石橋(大)委員 次に、新経営体の前提条件の整備は実現できるかどうか、こういうことについて聞いておきたいと思うのです。 新しい経営体は、十ないし二十ヘクタールの個別経営体の形成は、現在の技術水準、中型機械化体系のもとで、集団化された圃場の利用を前提としているわけでありまして、すなわち、分散錯圃の克服や大区画圃場の集団化などが考えられているわけであります。つまり、五十アール区画程度以上に整形された圃場の集団化などが考えられていますが、平成二年現在で、水田面積二百八十四・六万ヘクタールのうち、標準区画程度に整備をされている面積は百三十六・八万ヘクタール、四八・一%、大区画程度、五十アール以上に整備されている面積は七・三万ヘクタール、わずかに二・六%にすぎない。これが前提という意味ですから、個別経営体等に先行してこういう整備がなければ新しい経営体の形成もできないのではないか。そういうことを意味している、こういうふうに私は思うのですが、そういう意味で、この前提条件は、個別経営農家の形成に伴ってある程度並行的に進むところもあるのですが、どっちにしても先行的にこれはちゃんと整備をされなければいかぬ。その見通し、確信についてお伺いをしておきたいと思います。
○入澤政府委員 御指摘のとおり、新経営体形成のためには、その前提といたしまして圃場条件の整備が必要でございます。土地利用型農業部門におきましては、大規模経営による効率的な農業を展開し得る平地農業地帯を中心にいたしまして、規模拡大と農地の集団化、さらには農地利用の集積によりまして、経営感覚にすぐれた経営体の育成ということを図っていくということで、今回法律を提案しているわけでございますけれども、その基礎となる一番大事なことは、今先生御指摘のとおり、大区画の圃場整備の推進であるというふうに考えております。 このような観点から、平成元年度から、おおむね一ヘクタール以上の高能率な大区画圃場を整備する低コスト化水田農業大区画圃場整備事業、名前は長ったらしいのですが、このような圃場整備事業を実施しているところでございます。 今回、第四次土地改良長期計画に基づきましてこの大区画の圃場整備をどのくらい進めていくかということでございますが、ただいま先生御指摘のとおり、平成十四年度における水田の整備水準を、現在のところは通常の区画は五〇%でございますが、これを七五%に引き上げる、そのために約九十万ヘクタールの面積を整備するというふうに見込んでおりますし、このうち大区画の水田につきましては、先ほど御指摘がありましたとおり整備率が現在のところだった三%でございます。これを十年間で約三〇%に引き上げることを目標としておりまして、その対象面積は七十一万ヘクタールというふうに見込んでおります。
○石橋(大)委員 次に、組織経営体は予定されているような集落農場制の担い手だり得るのかどうか、この問題についてお聞きをしておきたいと思うのです。 新しい政策においては一ないし数集落にわたっての組織経営体二万を目標にしているわけですが、そういう組織経営体は今後も安定的に発展し、集落農場の中心的な担い手たり得るのかどうか、私はちょっと心配をしているわけであります。 なぜかといいますと、組織経営体のよって立つべき農村集落が崩壊しつつあるからであります。新政策研究会編「新しい食料・農業・農村政策を考える」、資料集が出ていますが、三百六ページ掲載の「農業集落の状況」を見ますと、昭和四十五年、一九七〇年、約十四万三千四百の集落があったものが、平成二年、一九九〇年、約十四万に減っています。この二十年間に約三千の集落が消滅をしているわけであります。 また、全国農業会議所が全国の農業委員会に対して集落単位に見た農業の担い手確保状況について調査したものがありますが、それを見ると次のようになっています。集落単位で見て、農業の担い手が十分確保されているか育ちつつある集落を合わせたものの割合は、さすがに北海道は五一%で過半数を占めていますが、都府県では、東北二八%、九州一八%、北陸一七%、関東一五%と続き、東海では一一%、近畿、中国ではわずか一〇%、こういう低い水準にあるわけであります。 これに対して、担い手が不十分並びに担い手が減少し、将来農業生産が維持できない、こういう集落を合わせたものの割合は、四国で五四%、関東で五三%、東海で五一%、九州で五〇%、近畿で四九%、中国で四六%と、軒並みに半数を超えているかそれに近い状況にあるし、東北、北海道でさえ四割を超えているわけであります。全国平均は四七%です。 すなわち、全国の半数近い農業集落が、一九九〇年八月現在、農業の担い手不足で将来の展望を見失っている現実が明らかになっているわけであります。だからこそ組織経営体であり、その数も十四万集落の七分の一、二万集団だ、それは結構可能だ、恐らくこういう説明があろうかなと思ったりもしていますが、集落の現状を思うとそう簡単ではないのじゃないか、こう私は思うのですけれども、どうか。 また、こういうことを考えてくると、個別経営体もやはりかなり集落をわたって規模拡大をしなければいかぬというようなことも出てくると思いますから、個別経営体と組織経営体を分ける意味も余りないのじゃないかなという感じもちょっとするのですが、この点、どうでしょうか。
○入澤政府委員 御指摘のとおり、中山間地域の活性化のためには集落機能の再評価が必要であるというふうに私ども考えております。 大体、この中山間地域の法律制度の検討に入りましたときに、私ども最初に着目したのは、今御指摘にあったように集落の減少が非常に顕著である、どうやったらそういうふうなところの町村の活性化を図ることができるかということで、中心的な集落に集落機能を再編するべきではないかということを中心にして、いろいろな検討を進めてきたわけでございます。一極集中を排除するためには、地方中核都市が意欲を持ってそこに産業と人が定着しなければいけない。地方中核都市がさらに活性化して機能を果たすためには、その周辺の市町村が活性化されなくてはいけない。では、その周辺の市町村が活性化するためには一番何が問題かというと、その周辺の市町村の中にある集落がそれぞれに役割分担をして機能を発揮しなくてはいけないということで、中心的な集落を中心として、そこを地場として集落再編整備をすべきではないかというふうに考えたわけでございまして、そのために予算としても特別な予算をとっております。 この集落の再編整備ということを前提といたしまして、農業振興を図るためにはいろいろな方法があると思いますけれども、その地域の中でやる気のある農家がいる場合には個別経営体の育成方策をとることもありますし、それから、全員でひとつ農協にその利用を任せようじゃないかということで、農協が土地利用計画をつくり、農協が機械を共同管理して集落営農をやって成功しているところもございます。地域の実情に合わせましてどういう方法をとるべきかということをきめ細かく指導していきたいというふうに考えております。
○石橋(大)委員 次に、新しい経営体の形成と担い手の確保について伺いたいと思います。 今も申し上げましたように、新政策では、個別経営体のうち稲作生産で十ないし二十ヘクタールの単一経営五万、五ないし十ヘクタールの複合経営十万、これを目標にしているわけですね。合計十五万の経営体で稲作の五割強のシェアを占める、こういう目標でありますが、その母体として、一九九〇年時点に存在した稲作中心の中核農家九万、稲作プラス集約作物等の複合経営の中核農家十九万、これが新しい経営体の担い手に想定をされている、どうもこういうシナリオではないか。九万と十九万、その半分に数を減らしながら個別経営体の規模拡大をしていく、こういうことだと思うのです。 問題のかぎは、一つは、新しい経営体を担うべき若い経営能力にすぐれた人材が確保できるかどうかということであり、もう一つは、予想されている経営体に十年程度に百七十五万ヘクタールという農地の集積が可能かどうか、これが最大のかぎだと思うのですね。 農地の問題は時間があれば後で触れますが、ここでは担い手問題についてちょっと触れておきたいと思うのです。 平成二年時点で土地利用型農業において合計二十八万戸の中核農家が存在するからといって、そのすべてに若い農業経営者たるべき後継者がいるわけではありませんし、また、その時点での経営者が自然成長的に新しい経営体の担い手になるわけでもない。むしろ、大部分は兼業農家にとどまったり農業経営をあきらめるかもしれない。それも見込んでその半数の十五万戸ということでありますが、一方で、同時点での五ヘクタール以上の経営農家は二万六千戸、全農家三百八十二万戸のわずか一%にすぎないわけですから、組織経営体を含めて十七万人の担い手を新規に確保するぐらいの対応が必要であろう、こういうふうに思われるわけです。しかし、これも考えてみると土地利用型農業だけに限っての話ですね。 新政策が描いている三十五万から四十万の個別経営と二万の組織経営を前提として、就農者のほぼ均等な年齢分布などを考えると、年々一万人以上の新規就農者が必要だ。配偶者も必要ですから、年に二万から三万人の男女が必要、こういうことになってくるわけですね。しかし、平成三年度の新規学卒の就農者は全国でわずか千七百人、三十四歳以下の離職就農者は二千三百人、非常に厳しい実態。しかも、こういう経営体の担い手だけではなくて、地域社会のリーダーたる役割を担う技術力、経営力、人間的徳望にすぐれた人材も必要でありますし、農協や市町村農業改良普及員など、外部から新経営体を育成し、援助するリーダーも必要になってきます。相当な政策的な努力なしにはこれを確保することは至難のわざではないか、こう心配をしているわけであります。 もう一つ、加えて、今後の労働力の需給の長期展望を見ると、担い手確保の問題は非常に深刻だ、こう言わざるを得ない状況があるわけですね。 労働省の雇用政策研究会報告、労働力需給の長期展望によると、労働力人口は、全体としては、一九八〇年代における七百三十四万人増加から、一九九〇年代から二〇〇〇年にかけては三百十三万人と増加幅が縮小する、四百万余り減る、さらに二〇〇〇年から二〇一〇年にかけては絶対数そのものが二百十万人もの減少に向かう、こういうふうに見られているわけですね。その中で、第一次産業は従来から就業者の減少が続いており、今後とも他産業への流出や高齢化による引退が進み、一九九〇年の四百五十一万人から、二〇〇〇年三百十三万人、二〇一〇年二百三十九万人へと大きく減少する、こういう見込みがあるわけです。 こういう諸般の事情を考えると、かなり集中的、重点的な担い手の育成政策を考えないと、新政策は担い手問題で暗礁に乗り上げてしまうことになるのではないか、こういうふうに思っておるわけです。再々本委員会でも、フランスの青年就農者助成制度などに学んで、少なくとも毎年一万人前後の青年就農者を確保できるような画期的な政策を具体化する必要があるのじゃないか、改めてそういう思いを強くしているわけですが、この点についてどういうふうにお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。
○高橋(政)政府委員 ただいま先生お話がございましたように、我々といたしましても、今後こういった経営体をどう確保して育成していくかということは、農政にとって非常に重要な問題であるというふうに考えております。いずれにいたしましても、意欲と能力のある人が、農家子弟以外の人も含めまして、幅広く円滑に就農できる、そういった体制をつくっていかなければいけないというふうに思っております。 具体的に申し上げますと、まず就農相談といいますか、就農の面につきましては特にこの点に力を入れまして、平成五年度には、新規の就農ガイドセンターというものを通じまして、円滑な就農相談ができますような情報の収集、提供をやる、一般紙にもいろいろな広告、求人募集などもするような体制もとっていかなければいけない、あるいは就農相談、研修をどうしたもいいかというような相談、そういうものにも乗っていけるような体制整備をまずしたいと思っております。 それから、特にこれからは経営感覚にすぐれたということでございますから、技術習得の対策といたしましては、今までも県の農業大学校などにおきまして実践的な研修教育をやっておりますが、これをさらに充実するとか、国内あるいは国外の先進農家、そういったところに派遣をいたしまして、そういうところで研修をしていただくというような道を設ける、あるいは新しく就農する人に対して、無利子の農業改良資金を貸し付けまして研修教育をできる資金手当てをしてあげるとか、平成五年度におきましても、さらにこういったところの充実を図ってまいりたいと思っております。 また、そのほか、就農を円滑にしていくための金融上の措置といたしましては、農業改良資金、これをもちまして農業経営を開始するために必要な資金を無利子で貸し付けるとか、農業近代化資金なり農地取得資金などの融資を円滑に借りられるようにするとか、あるいは税制上におきましても、機械等の割り増し償却の道を開くとか、そんなことを考えているところでございます。 さらに、今回御審議を願っております経営基盤強化法案におきましても、農業経営改善計画の認定農業者に対しましては各種の施策を集中的に、重点的に実施するということでございますから、このような措置を通じましても、若い農業者の就農意欲の増進、就農後の経営の発展につながるというふうに期待をしているところでございます。
○石橋(大)委員 そろそろ時間が来ましたが、やはり担い手確保の問題に関連して、もう一つ重要なことをお話ししておきたい。 私は、他産業並みプラスアルファの労働時間短縮、所得(賃金)なしに新経営体の担い手も農業労働者の確保も不可能である、この面で画期的な対策が求められている、こういうふうに思っているわけですが、さっき申し上げましたように、労働力が減少に転ずる、産業間の労働力争奪戦が激化をする、当然の結果として、労働条件のいいところへ人は流れていく、今のまま放置をしておけば、若い担い手はますます農業から姿を消す、こういうことになるわけですね。 そこで、結論はそういうことですが、ちょっと申し上げますが、農業経営の担い手、あるいは畜産経営や施設型農業経営を中心にして最近は急速な増加傾向を見せている農業労働者の確保、こういう問題を考えたときに、労働時間、所得、その他の面でますます厳しくなることが予想されるわけです、今言ったようなことから。 大臣、ちょっと聞いておってほしいのですが、現状の農業、農村を直視をして、無休、給与不明、ボーナスなし、労災、雇用保険なし、退職金なし、福利厚生施設ももちろんなし、こういう求人広告を出したら、人が集まると思いますか。残念ながら、農業と農村は今までずっとこういうことでやってきたわけですね。それは家族経営が中心にあって、どういう労働条件であれ家業として農業を受け継ぐ、こういう状態があったからそれは許されたわけです。しかし、今や家族経営の血縁的な相続というものは崩壊してしまった。ここに非常に問題があるわけですよ。いまだに賃金価ばかわからぬし、休みがあるのかどうかわからぬし、もちろん退職金も年金もない、こういう状態ですな。これじゃ、やはりなかなか新しい担い手を確保することはできないわけですよ。 そういう意味で言うと、農業分野は、労働市場で戦う前にもう負けてしまっているわけですよ。今の状態は、競争条件ないですよ。新規学卒者への求人は、余りひど過ぎてこれはもうできない。こういう厳しい現実を改革せずして人手不足の解消を図ろうというのは、どだい無理な話だし、非常に虫のよ過ぎる話だ、こうなるわけです。したがって、新しい経営体がその目標として、他産業並みの労働時間と地域の他産業従事者と遜色ない生涯所得の確保、こういう打ち出し方をされたことは、私は非常に評価する。しかし問題は、そういうことが果たして実現できるかどうか。私は率直に言って非常に難しい問題がある、仮に私が担当しても非常に難しい問題だ、こう思うのですね。 それで、我が国の労働市場における農業、二つの点で非常に大きな特徴を持っています。 一つは、農業は出口が広くて入り口の狭い産業である、こういうことですね。出口が広いというのは、農業から農外へ出る、これは非常に間口が広い。ところが、農業に参入する間口は非常に狭い。農家独占的な状態が長い間続いてきたわけですから、農家の後継ぎでなければ農業に参入できない。また、農地法なんかも、長い間耕作者主義というか、そういうこともあってなかなか参入できない。そういう入り口が狭い産業。 そういう意味で、これまでの農業労働力の主たる給源は農家の世帯員であった。換言すれば、農業は、参入障壁の高い、農家の独占的産業であった。つまり、農外から農家、農業者になるための入り口は狭く閉ざされてきた。しかしながら、農家世帯員にとって農外への出口、労働市場は大きく開かれている。すなわち、流出が容易でかつ流入が困難。そもそもこういう産業は、労働市場に対して流出弁でしかつながっていないわけですから、担い手が少なくなるのは、これは当たり前だ。出口も入り日もどっちも大きく開いているか、どっちも閉まっていれば余り問題ないのですが、残念ながら片っ方しか開いていない。こういう労働市場と農業との関係、構造的な問題があるわけですね。そういう問題について一体どうするのかということを真剣に考えていく。 二つ目は、今言ったことからも明らかなように、農業分野は労働法規の適用しないブラックボックスになっているということですね。そもそも同居の親族だけを使用する事業、労働基準法の対象外となっていますね。農家は農地の所有者であり、経営者であり、農業労働者であり、いわば三位一体の性格を有している。しかし、権利を主張する労働者はなく、労働者の権利を世間並みに認めようと努力する経営者も少なかった。こういう状況から脱却せずして担い手確保は不可能であるから、そのために家族経営という伝統の言葉遣いをやめて個別経営体などという言葉を使っている意味も私はわかるような気がする。 どっちにしても、普通のサラリーマンや労働者と同じ労働時間を保障し、賃金や所得、社会保障サービスも受けられる、ごく平凡なことだけれども、こういう近代化から長い間取り残されてきただけに、農業にとってこれはまたとてつもなく大きな課題になるわけです。政府、業界挙げての画期的な集中的な政策対応が必要ではないかと思っていますが、この点だけ念のためにお伺いして、これで終わりたいと思います。
○田名部国務大臣 お話しのように、日本の農業は農家自身が土地を持って、そして主として長男が後継者としてやってきた。しかし、その間規模がふえたかというと、失礼ですが、百年たっても従来の規模ということであったと思うのですね。ですから、入り口が少ないというのは、ほかの人に農業経営をさせようという発想が全然なかったわけですね。ですから、今回御提案申し上げておるのは、もうそういうことではなかなかやっていけないということで規模拡大であるとか経営体を育成しよう。 ところが、この経営体も、私の親戚は全部農家ですから、いろいろ見ておるのですが、なかなかなじまない。なぜなじまないかというと、経理がはっきりしていないものですから、何かに使われているのではないかという気持ちになるものですから、なかなかうまくいかないのですね。ですから、農業での経営内容が明らかになって、みんなで相談して、その使途についてもこうしょう、ああしようということになっていかないとなかなか難しいと思います。 ですから、今回我々も何とかそういうことを実態的に指導をして、こういうふうにすればうまくいくであろうというようなことで一生懸命取り組みます。各地方農政局も率先して集落ごとに入り込んで、あるいは農協とかいろいろな団体の方々と一緒になってその理解を求める、その気にさえなってくれれば十分対応していけると私は考えております。ただ、将来のこと、日本の経済はこのままいくのかどうかということとも絡んで後継者は決まってくるのだろうと思いまして、いずれにしてもしっかり対応していきたいと考えております。
○石橋(大)委員 これで終わりますが、私は、できれば大臣も各局長も十年くらいそのままとどまって、十年後どうなるか見たいものだと思ったりもしておりますが、どっちにしても非常に期待も大きいし、深刻な問題も抱えておりますから、ぜひ農政当局で遺憾なきを期してひとつ頑張っていただきたい。 以上、申し上げて終わります。
○平沼委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○平沼委員長 ただいま議題となっております各集中、まず、農業機械化促進法の一部を改正する法律案について議事を進めます。 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 農業機械化促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○平沼委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○平沼委員長 この際、本案に対し、金子徳之介君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。遠藤登君。
○遠藤(登)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表して、農業機械化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 農業機械化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 我が国農業と農村をめぐる状況は、農業就業者の減少、高齢化の進行等厳しい情勢にあり、今後、農業を職業として選択し得る魅力あるものとしていくためには、農業の機械化を一層促進することが急務となっている。 よって政府は、農作業の効率化と労働負担の軽減を図り、もって農業経営の改善に資するため、生物系特定産業技術研究推進機構における試験研究の一層の充実を図るとともに、左記事項の実現に努め、本制度の適切な運用に遺憾なきを期すべきである。 記 一 高性能農業機械等の試験研究、実用化の促進及び導入に関する基本方針については、「新政策」との整合性に留意しつつ、その内容が農業機械化の促進を通じて、農業経営の改善に資することを旨として適切に策定すること。 二 高性能農業機械実用化促進事業の実施に当たっては、同機構の出資事業という性格にもかんがみ、事業の実施主体となる実用化促進会社の適切な運営の確保、同会社が行う標準的機械化栽培様式の策定や金型の製造・貸付け等の事業の円滑な推進及びこれら事業の成果の利活用に際しての公益性の確保を図るため、技術的支援等を行うとともに的確な指導に努めること。 三 農業機械の導入による農家負担を軽減し、高性能農業機械の円滑な普及とその効率的利用を促進する観点から、金融並びに税制上の措置の充実及び助成措置の効果的活用を図るとともに、農業機械銀行の積極的活用やリース・レンタル方式の推進等利用形態の合理化に努めること。 また、導入後の維持経費の低減を図る観点から、大型トラクターにおける車検期間の延長等についての検討に努めること。 四 農業機械による農作業事故を防止するため、同機構による検査・鑑定、使用者に対する安全対策に関する啓発等の一層の充実を図るとともに、都道府県における導入計画の策定に当たっても、農作業の安全確保に十分配慮した内容となるよう適切な指導に努めること。 五 農業機械の開発、実用化、普及を効果的に推進するため、実用化促進事業における地方公共団体、農業団体、試験研究機関等の参画、協力はもとより関係機関の一層の連携強化に努めること。 右決議する。 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程におきまして各委員の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げまして提案にかえます。(拍手)
○平沼委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 金子徳之介君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○平沼委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣。
○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。 ―――――――――――――
○平沼委員長 次に、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案及び特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案について議事を進めます。 この際、両案に対し、金子徳之介君外三名から、修正案がそれぞれ提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。佐々木秀典君。 ――――――――――――― 農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に 関する法律案に対する修正案 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○佐々木委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表して、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案及び特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。 修正案は、それぞれお手元に配付したとおりでありますので、ごらんをいただきたいと存じます。 最初に、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案について申し上げます。 修正の第一点は、都道府県知事が農業経営基盤強化促進基本方針において定める事項は、地域の特性に即したものとすることとしたことであります。 修正の第二点は、農業経営改善計画に関する条文に「承認市町村は、農業経営改善計画の認定について、その趣旨の普及を図るとともに、農用地を保有し、又は利用する者その他の地域の関係者の理解と協力を得るように努めるものとする。」との規定を加えることであります。 次に、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に対する修正案について申し上げます。 修正の内容は、法律案の附則に「政府は、特定農山村地域について、この法律の施行後における農林業従事者その他の地域住民の生活の状況、農林業の振興並びに農用地及び森林の保全を通じた国土及び環境の保全等の状況等を勘案し、豊かで住みよい農山村の育成を図るために必要な方途について検討を加え、必要に応じ所要の措置を講ずるものとする。」との条文を加えることであります。 以上が、修正の趣旨及び内容であります。何とぞ全委員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○平沼委員長 以上で両修正案について趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○平沼委員長 これより農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する修正案並びに特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、農業経営基盤強化のための関係法律の整備に関する法律案に対して反対の討論を行います。 反対の第一の理由は、この法案が、昨年六月に農水省が発表した新政策が目指す、大規模な望ましい担い手、経営体に農地を集め、その法人化を進めるために、都道府県と市町村に育成すべき担い手を認定させ、補助事業や融資、税制上の優遇措置などを集中できるようにするものであり、これによって農家を徹底的に選別して中小農民を切り捨てるこうした構造政策を認めることはできません。特に、行政主導で行われ、上意下達型で進められる認定農業者制度の導入は、多数の農家に営農継続を断念させるような状況がつくり出される危険が極めて大きいこと、さらに、農村集落としての温かい相互信頼の環境が崩され、農村集落の機能を失わせ、地域の荒廃、日本農業の弱体化を一層推し進めるものと言わざるを得ないわけであります。 第二に、戦後、我が国の民主化の中で実施された農地改革は、土地を農民へという戦前からの不屈の闘いを引き継いで、寄生地主制を解体し創設されたのが自作農主義であり、みずから耕作しない者の農地取得は、個人であれ法人であれ認めないことを大原則として、我が国農業の発展の基礎となってきました。今回、農地法の原則を破り、農業生産法人及び農事組合法人の事業と構成員の要件を大幅に緩和し、企業の農業と農地への参入を容認することは、家族労働を基本にした農家経営と、その共同組織を農業生産の担い手としてきた農政のあり方を転換するものであり、到底認めることはできません。農業への企業参入は、たとえ一定の制限措置が講じられていても、農機具や種苗などを握る独占的大企業による農業生産法人の系列化、農産物の流通支配等の強化につながり、資本力のある企業が農業生産法人を事実上支配することは火を見るよりも明らかであると指摘せざるを得ないのであります。 なお、修正案は、以上指摘した問題点を何ら変えるものではなく、賛成できません。 次に、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案についてであります。 反対の第一の理由は、本法案が、農地法、農振法、都市計画法に風穴をあけ、中山間地域の乱開発を推進するものであるからであります。 この法案の基本的性格は、市町村が農林業等活性化基盤整備計画を立て、それに基づく所有権移転等促進計画を公告した場合は、それにかかわる土地及び施設は農地法、都市計画法などの開発行為制限の例外規定の適用を受け、開発規制を解き放すとともに、さらに、国及び都道府県知事が農地法などの許可その他の処分に当たって施設設置の促進が図れるよう適切な配慮をすることまで規定している規制緩和・開発促進法であります。これは、中山間地域における民間企業の誘致、開発のために、リゾート法並みの税制措置と起債制度の導入や、国、都道府県、市町村を総動員する仕組みと言わなければなりません。 しかも、市町村に基盤整備計画や所有権移転等促進計画の策定や事業計画の認定実務などの責任を負わせていますが、実際に開発の対象になるのは都市に近い中山間地であり、開発のめどのない山間過疎地域の市町村にとっては計画策定の負担だけが残るものであります。 反対の第二の理由は、この法案が中山間地域の農業者が望んでいる所得補償をせず、農民に借金を負わせる融資事業に終始している、ほとんど実効性のない中山間地農林業対策法案である点であります。 この法案の農林業振興の具体的措置は、農協が農業経営の改善の措置などの計画を立て、それを市町村が認定したときは、実際の収入が目標収入を下回った場合、経営費を低利で融通する中山間地域経営改善・安定資金融通促進事業を行うものでありますが、農民からすれば、新たな借金制度を創設しただけの全くお粗末なものであり、EC諸国並みの所得補償制度の導入を望んでいる中山間地関係者の期待に反するものであると言わざるを得ません。 なお、修正案は、以上指摘した問題点を何ら変えるものではありません。 以上、反対の理由を述べて、討論を終わります。
○平沼委員長 これにて討論は終局いたしました。 ―――――――――――――
○平沼委員長 これより採決に入ります。 農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する金子徳之介君外三名提出の修正案について採決いたします。 まず、金子徳之介君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○平沼委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○平沼委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○平沼委員長 この際、本案に対し、金子徳之介君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石橋大吉君。
○石橋(大)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表して、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案) 最近の我が国農業・農村は、先進国に例を見ない食料自給率の低下、農業労働力の減少と高齢化、耕作放棄地の増大等その健全な発展を図る上で極めて憂慮すべき事態に直面している。 このため、今後の農政の推進に当たっては、新たな視点に立って食料自給力の維持・強化を図るとともに、効率性のみでなく、農業・農村の有する多面的な役割を明確に位置付け、農業者が自信と誇りをもって農業と農村の活性化に取り組める施策の展開を図ることが喫緊の課題となっている。 よって政府は、新農政推進に必要な施策を早急に整備するとともに、本法の運用に当たっては、左記事項の実現に努め、農業構造の改善等の促進に遺憾なきを期すべきである。 記 一 本法等の推進に当たっては、新政策で示された望ましい経営体における主たる従事者が他産業並みの労働時間で他産業従事者と遜色のない所得の確保ができるよう、構造政策の促進とともに価格政策の適正な運用を図ること。 二 望ましい経営体の着実な実現に向け、農業後継者等の青年農業者の育成とその安定的確保を図るため、これらの者の就農に当たっては、金融支援等の助成措置、営農指導の充実、研修体制の整備、情報提供に係る施策を一層強化すること。 三 農地流動化施策の推進に当たっては、規模拡大志向農家に対する支援措置と併せ、高齢農家や安定的兼業農家等の位置付けを明確にし、これら農家を含め地域全体としてメリットを享受できるような措置を講ずること。 四 構造政策の推進に当たっては、転用許可制度の厳正な運用や土地利用区分の明確化等による優良農地の確保と併せ、適正な農地価格の形成に努めるとともに、耕作放棄地の解消を図る施策の充実を図ること。 五 環境に配慮した持続可能な農業の展開が世界的な課題となっていることにかんがみ、環境保全型農業の推進に必要な各種施策を充実すること。 六 市町村が農業経営基盤の強化の促進に関する基本構想を策定するに当たっては、関係者の意見を幅広く聴取し、地域の特性に即した農業構造・経営目標等が設定されるよう指導すること。 七 農業経営改善計画の認定制度の運用に当たっては、地域関係者の自主的な取組みを基本とするとともに、農業委員会、農業協同組合、農業改良普及所等の協力体制の確立を図ること。 八 農地保有合理化法人の業務が適切かつ円滑に実施されるよう、農地銀行活動事業等との連携強化を図ること。 九 農業経営の法人化を促進するため、法人の設立、その法人の従事者による段階的な持分の取得を含む運営等について、助言、指導その他の支援措置を整備すること。 十 法人化や規模拡大等の推進に当たり必要となる雇用労働力については、雇用労働者に対する福祉の増進を図る等その安定的確保に資する所要の指導を行うこと。 十一 農業生産法人の事業及び構成員に係る要件の緩和については、これが農外資本による実質的な経営支配や農地取得等を招来することのないよう適切な指導を行うとともに、農業委員会等による監視体制の強化を図ること。 また、新たに構成員として参入し得る企業の範囲については、真に農業生産法人の事業の円滑化に寄与するものに限定すること。 十二 農地の流動化の促進とその集団化を図る基礎的条件を整備するため、農業基盤整備事業の円滑な推進に努めること。 また、第四次土地改良長期計画の推進に当たっては、農地利用の集積に資するような事業展開に努めること。 右決議する。 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。 以上。(拍手)
○平沼委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 金子徳之介君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○平沼委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣。
○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。 ―――――――――――――
○平沼委員長 次に、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案及びこれに対する金子徳之介君外三名提出の修正案について採決いたします。 まず、金子徳之介君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○平沼委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○平沼委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○平沼委員長 この際、本案に対し、金子徳之介君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野坂浩賢君。
○野坂委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表して、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明を申し上げます。 きょうは全員おそろいでございますので、この際、一言お願いを申し上げておきたい。 御案内のとおり、農業は危機だと二十四時間三十分にわたって皆さんから御論議がありました。傍聴席は常に満杯であります。それほど農民の諸君たちはこの法律案に注目をしておった、そういうことが端的に言えるだろうと思っております。柳沢筆頭理事を初め自民党の皆さん方がきょうは全員おそろいでございますが、どうぞ農民の期待にこたえて今後十分な審議をしていただくようにお願いを申し上げておきたい、そういうふうに思うのであります。 まず、案文を朗読します。 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に対する附帯決議(案) 近年、我が国農業、農村が大きく変貌している中にあって、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な中山間地域は、過疎化、高齢化の進行、就業機会の不足、耕作放棄地の増大、生産基盤整備、生活環境整備の遅れ等今後早急に解決を要する多くの問題に直面している。こうした事態に対応し、当該地域の活性化を図るためには、農林業を中心とした産業の振興等を通して定住条件を整備するとともに、農林地等の地域資源の適切な維持管理のための積極的な取組みが喫緊の課題となっている。 よって政府は、本法の運用等に当たっては、左記事項の実現に努め、中山間地域の農林業の活性化と豊かで住みよい農山村の育成に遺憾なきを期すべきである。 記 一 特定農山村地域における農林業が国土・自然環境の保全等に果たしている役割の重要性にかんがみ、適切な農林業活動を通じてその機能が維持増進されるよう各種施策の一層の充実に努めるとともに、いわゆる直接所得補償方式については、構造政策の達成状況、国民的コンセンサス等も踏まえ、引き続き検討を深めること。 二 本法の運用をはじめ中山間地域の活性化を図る各種施策が総合的に実施されるよう、関係各省庁間の連携・協力を一層強化すること。 また、今後の多極分散型国土形成を図る各種施策の実施に当たっては、中山間地域の果たす役割に対する国民的コンセンサスを確立し、これに基づき当該地域に対する重点的な投資に努めること。 三 特定農山村地域を定めるに当たっては、本法に基づく施策の効果が十分に発揮されるよう既存の地域振興立法等との関係に留意するとともに、旧市町村単位でも指定するなどきめ細かい配慮をすること。 四 市町村が農林業等活性化基盤整備計画の策定をするに当たっては、地域住民の声を反映するとともに、これが地域の特性を生かした実現可能な計画として位置付けられるように指導すること。 これと併せ、事業の推進に必要な地域リーダーについては、研修等の充実、市町村相互の交流、異業種との交流等を通じてその育成、確保ができるよう、支援の充実に努めること。 五 国及び都道府県は、特定農山村地域において新規作物の導入や生産方式の改善が円滑に行われるよう、農業試験場や農業改良普及所等を活用し、営農・経営指導の充実、モデル団地の設置、先進優良事例の紹介等所要の措置を講ずること。 六 中山間地域経営改善・安定資金については、その活用状況等を見定めつつ、必要に応じその運用の改善につき検討すること。 七 農林地所有権移転等促進事業の実施に当たっては、利用権設定等促進事業との整合性に配慮するとともに、優良農地の確保と耕作放棄地の有効活用等に留意したきめ細かい運用が行われるよう指導すること。 なお、本事業の実施に伴う登記等諸行政手続きについては、関係各機関相互の協力により円滑に遂行されるよう配慮すること。 八 地域住民の要請に応えた特定農山村地域の活性化が図られるよう、本法による措置に加え、地方財政措置を含む適切な措置を講ずるよう努めること。 右決議する。 以上の附帯決議の趣旨につきましては、質疑の過程等を通して委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜りますようにお願いを申し上げるとともに、これから農水大臣の所信の表明がありますが、常に検討の上という言葉をお使いになります。したがって、我々は、理事会で十分論議をして検討の余地もなく、直ちに善処されるように強く要望して、終わります。
○平沼委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 金子徳之介君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○平沼委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣。
○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。 ―――――――――――――
○平沼委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました三法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ――――◇―――――
○平沼委員長 次に、内閣提出、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。田名部農林水産大臣。 ――――――――――――― 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関す る法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○田名部国務大臣 農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 日本農林規格制度及び品質表示基準制度につきましては、従来主として加工食品等を対象に、適正かつ合理的な規格を制定し、その普及に努めるとともに、その品質表示の適正化を図ることにより、農林物資の品質の改善、一般消費者の保護等に重要な役割を果たしてまいりました。 しかしながら、近年、食生活において健康・安全志向、本物志向等の消費者ニーズの変化が見られる中で、従来、日本農林規格の対象になじみにくかった生鮮食料品など日もちのしない食品分野について、有機農産物、地鶏等特別な生産方法であることを表示した食品が多く出回るようになっておりますが、その内容にはさまざまなものが見られます。 一方、この分野においても原材料等食品についての基本的な情報の提供を求める声が高まってきております。 このため、政府といたしましては、この分野での規格・表示の適正化を図り、消費者の適切な食品選択等に資する観点から、日本農林規格制度及び品質表示基準制度について所要の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、日本農林規格制度の改善であります。 生産の方法に特色があり、これにより価値が高まると認められる農林物資につきまして、生産の方法についての基準を内容とする日本農林規格を制定できるようにすることとしております。また、この日本農林規格による格付のための検査等が、生産実態に即し、円滑に行われるようにするための措置として、農林物資の生産行程を管理する者を活用する制度等を整備することとしております。 第二に、品質表示基準制度の改善であります。 製造業者等に品質に関する適正な表示を行わせることができる農林物資の対象範囲を拡大し、日もちのしない食品等その特性から見て日本農林規格の制定が困難な食品についても品質表示基準を定めることができるようにすることとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○平沼委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十分散会