農林水産委員会 第13号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1993/05/11
会議録
○平沼委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、農業機械化促進法の一部を改正する法律案及び特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案の各案を一括して議題といたします。 本日は、各案審査のため、参考人五名の方々に御出席をいただき、御意見を承った後、質疑を行うことになっております。 ただいま御出席いただいております参考人は、全国農業会議所専務理事池田昭雄君、全国農業協同組合中央会常務理事石倉皓哉君の両名であります。 この祭、参考人各位に一言あいさつを申し上げます。 両参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。両参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 池田参考人、石倉参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、念のために申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。 それでは、池田参考人にお願いをいたしたいと存じます。
○池田参考人 ただいま御紹介にあずかりました全国農業会議所の専務理事の池田でございます。 本日は、参考人の一人といたしまして御指名をいただきまして、意見を述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。 まず、我が国農業にとりまして最大の懸案でありますガット農業交渉におきます米の市場開放問題につきましては、三度にわたります国会決議をいただき、当委員会並びに諸先生方に心から感謝申し上げます。引き続きまして、この国会決議の実現が図られますよう、特段の御尽力を賜りたいと考えております。 さて、時間が大変限られておりますので、早速、現在当委員会で御審議をいただいております新政策関連の三法案につきまして、意見を申し述べたいというふうに考えております。 まず、基本認識でございますけれども、御案内のとおり、農業、農村の現状は、担い手の高齢化と若者の農業離れ、さらには遊休、荒廃農地の増大、また過疎化の進行など、極めて深刻な事態に直面いたしております。 私は、現在の状況は二つの側面をもっているというふうに考えております。一つは、政策努力によりましては、我が国農業の宿命とも言われました零細、分散錯圃の農業構造を改革するチャンスであるという認識であります。しかし他方では、このまま放置しますと、我が国農業は、外圧を待つまでもなく、内部から崩壊しかねない状況にあるという認識であります。したがいまして、私は、こうした現状を打開し、二十一世紀に向けました我が国農業、農村の展望を切り開くためには、抜本的かつ総合的な構造政策と農村政策の確立が不可欠と考えております。今回の三法案は、これで十分とは申せませんけれども、こうした施策を展開する第一歩といたしまして評価いたすものであります。 次に、農業経営基盤の強化のための法律案についてでありますけれども、この法案につきましては、経営体の育成に焦点を当てた構造政策という考え方、規模拡大計画の認定制度から経営改善計画の認定制度への発展、法人化の促進とこのための条件整備、さらには農地保有合理化法人の機能強化など、農業委員会系統が昨年三月農林水産大臣の諮問に対しまして答申いたしました、提言した内容が相当程度取り入れられております。したがいまして、評価をしております。しかし、三、四点につきまして意見、要望を申し上げたいと思います。 第一点目は、推進組織の再編整備の問題であります。 御案内のとおり、農林水産省が昨年六月に打ち出しました新政策の方向を実現するためには、担い手の育成や農地の流動化など、地域の農業と土地利用の大胆な再編成の推進と再構築が不可欠だと考えます。新たな政策展開が実効を上げるためには、それにふさわしい推進組織の整備が必要であることは歴史の教訓であります。この点が今後に残されております。私は、このことがこれからの最大の課題であり、農地対策と経営確立対策を結びつけた構造政策の強力な推進組織の整備を急ぐ必要があると考えます。このために、農業委員会系統組織のあり方も含めまして、新政策の推進体制の整備について御検討を賜りたいというふうに存じております。 第二点目は、経営改善計画認定制度の円滑な運用についてであります。 私は、これまでの規模拡大計画の認定制度から経営改善計画の認定制度への拡充はもちろん賛成するものでありますが、この制度を円滑に進めるためには運用上の工夫が必要ではないかというふうに考えております。といいますのは、農村社会の慣習あるいは実態、さらには認定をする側の市町村長の立場というものを考えますと、この制度を推進しづらい面があるのではないかというふうに思うのであります。 例えば、市町村段階に農業者の公的な代表機関として農業委員会があるわけでございますから、市町村長と農業委員会の連携のもとに、まず農業委員会が推薦いたしまして、これを市町村長が認定するという形の方が円滑に進むのではないかと考えるわけでございます。 第三点目は、農業生産法人に対します農外資本による農業経営支配が生じないようチェックシステムの整備の問題であります。 この点は、現在も通達で市町村の農業委員会が行うことになっているわけでございます。これまでの農業生産法人は、構成員が農地か労働の提供者に限られておりましたから、いわば顔が見える関係と申しますかでありました。しかし、要件が緩和されますと、知らない間に農外資本の支配になっていたという事態が起きないように、どうしても行政指導、予算、体制の整備を含めまして農業委員会におきますチェックシステムの充実強化を図っていただく必要があるというふうに考えております。 第四点目は、農業生産法人の持ち分の取得や譲渡に対する金融なり税制などの支援措置について、今後御検討をお願いしたいということであります。 農業生産法人の構成員といえども自然人でございますから、高齢化あるいは死亡などによりまして農業生産法人から脱退するということが起こってまいります。こうした場合に、新たな構成員を加えなければその法人の経営の継続が困難になるという事態も当然考えられます。ところが、現行制度では、農業生産法人の持ち分の取得や譲渡に対します金融なり税制上の支援措置がございません。この問題は、今後一層重要になると思われますので、法人化の推進とあわせまして今後ぜひとも御検討を賜りたいというふうに思います。 次に、農業機械化促進法の一部改正案につきましては、本法案の成立によりまして農業労働の負担軽減が実現しますとともに経営の確立、つまりコスト低減に結びつきました機械化の促進が図られますよう要望いたしまして、特定農山村における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律案に移りたいと思います。 私は、この法案の対象といたしております山村あるいは過疎地域は今日極めて深刻な事態にありますことから、各省庁が一体となった思い切った支援施策を講ずる必要があると考えております。今回の法案は、その第一歩として受けとめ、評価いたしておるものでございますが、なお、以下の点につきまして特別な配慮や検討をお願いしたいということでございます。 第一点目は、秩序ある土地利用と優良農地の確保であります。 我が国の農地面積の四割が中山間地域に存在すると言われており、私はこれら地域の活性化の基本は農林業の振興にあると考えます。こうした観点から、土地利用秩序を確保いたしまして優良農地を守るためには、新法がいたずらに農地の転用促進の手段とならないように措置するとともに、地域指定等に当たりましても十分配慮いただくことが大切だと考えております。 第二点目は、法案に「農林業その他の事業の活性化」とありますが、その「その他の事業」についてであります。 現段階では、この範囲等が明確になっていないわけでございますけれども、私は、この「その他の事業」につきましては、バブル経済崩壊の反省なり、あるいはリゾート法の教訓等を踏まえまして、農村地域及び農林業との調和がとれますことを希望いたしております。また、そのことが必要だと考えております。 最後の三点目は、今後検討をお願いしたい点であります。 私は、これら中山間地域におきましても、地域の資源を生かした地域産業の自立という考え方がまず大切であるというふうに考えるものでありますが、地域の自然条件等によりまして限度というものがございます。したがいまして、今後本格的な中山間地域対策の確立に向けまして、中山間地域の状況やその役割、機能について国民全体の合意づくりを進めながら、定住のための一層強力な制度的な支援について御検討をお願いしたいと考えるものであります。 以上で私の意見開陳を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。 以上でございます。(拍手)
○平沼委員長 ありがとうございました。 次に、石倉参考人にお願いいたします。
○石倉参考人 ただいま御紹介を賜りました全国農協中央会の石倉でございます。 日ごろ、農政、農協、諸問題につきまして、先生方から格別の御指導、御鞭撻を賜っておりますことをこの機会をかりまして厚く御礼を申し上げたいと思います。 本委員会におきまして意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたことを大変光栄に存じ、感謝申し上げたいと思います。以下、全中の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。 農林水産省が平成四年六月に発表しました新政策の認識や方向づけの中には、私ども大いに共感することが多く記述されております。例えば、「国民のコンセンサスを得て、食料の持つ意味、農業・農村の役割を明確に位置付ける」、「農業の有する多面的機能は、広く国民に利益をもたらすものであり、経済効率性の視点からだけでは律しきれない」、「国内供給力を確保するためには、一定の国境調整措置と国内農業政策が必要」というようなことであります。すなわち、新政策全体の約三分の一を費やしまして食料、農業、農村の意義、役割、今後の政策展開の基本的考え方を詳しく論述し、広く国民各層の理解を求めようとする姿勢を鮮明に示したことは評価することができると思います。 しかし一方、このような認識や方向づけを具体化するための新たな政策手段の記述は、率直に言って説得力を欠く面があることを指摘せざるを得ないと思います。農業の担い手を確保して国内生産の振興を図り、自給率の低下に歯どめをかけるためには、効率的、安定的な望ましい経営体像の提示と、それを育成するための構造政策の展開に加えて、適切な国境調整措置や安定的な価格、所得政策を含めた施策の総合的な展開が不可欠であると考えます。また、農業の生産条件等が不利なため、高齢化や人口減少に直面している中山間地域等の活性化を支援する財政措置等の対策はいまだ十分とは言えず、農林水産省はもとより、関係省庁が協力し、政府を挙げた本格的な中山間地域政策の展開が必要だというふうに考えております。 そこで、私どもは、少なくとも次の六つの事項について政府として積極的かつ具体的な対策を講ずることが必要であり、そのことによって初めて自給率の低下に歯どめをかけることや、農村地域社会の活性化が可能になると考えるわけであります。 第一に、国境調整措置の強化のために、一九九〇年二月、ジュネーブで開催されたガット民間人会議のジュネーブ宣言の趣旨に沿った新たな農産物貿易ルールの確立を目指した外交交渉を展開することが必要であります。 第二に、食糧安全保障政策の確立のため、主要穀物等の備蓄対策を実施することであります。 第三に、当面達成すべき政策目標といたしまして、カロリー自給率五〇%の確保及び国民一人当たり二千キロカロリーを供給し得る五百万ヘクタールの農地の維持を明示し、これを実現するために必要な政策及び財政措置について国民の理解を促進することであります。 第四に、農業者が中期的な経営計画が描けるようにするため、おおむね五年程度を期間とする、仮称でございますが農業法を制定し、価格、所得政策や生産計画、生産調整対策等の基本的枠組みを定め、政策展開を図ることであります。 第五に、地域の自主性、創意工夫を遺憾なく発揮するため、地方自治体の農林関係予算の充実及び行政権限の強化を図ることであります。 第六に、食料、農業、農村の意義、役割あるいは今後の政策展開の方向につきまして政府広報機能の動員や学校教育等を通じ、国民的合意の形成を進めることであります。 私どもJAグループは、日本の国土・環境を守り、農業を発展させる農業市民会議への参加等を通じ、国民の皆さんの理解を得ながら、今申し上げましたような政策展開を政府に働きかけていきたいと考えております。 しかし、政府に政策的支援を要請するだけでは、危機的状況にある我が国農業、農村の展望を切り開くことはできません。JAグループといたしましても、担い手及び経営体の育成対策や地域の活性化対策等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 担い手及び経営体の育成に関しましては、一つは、担い手や農業法人等を指導できる人づくりであります。二つ目は、農地の集積等、農業経営の基盤づくりであり、さらにはこれらを推進するための農業者インターン制度や農用地利用調整委員会の組織化等の仕組みつくり、この三つの三づくりを進める考えであります。 また、地域の活性化に関しましては、中山間地域を中心に、第一に、複合経営を基本とした特産物を含む畜産、園芸等の生産振興、農産加工や通信販売、オーナー制度や観光農業等、農林業の積極的振興、第二に、米の発酵エキスから化粧品、トウモロコシから包装用緩衝材等、生物系新素材の開発あるいは小水力、風力、地熱発電の普及等、農村地域の自然の恵みを活用した地域内発型産業の振興、第三に、下水施設、道路網、高齢者介護施設等の生活環境の整備等に政府、自治体の適切な支援を得ながら取り組みたいと考えております。 私どもJA、全中といたしましては、以上のような取り組みの考え方を取りまとめました新政策の展開とJAグループの対策を本年の一月から三月にかけまして組織討議にかけ、JAの役職員はもとより組合員農家の皆さんにも検討していただいてまいりました。そして、今月十三日の全中理事会でこれを正式にJAグループの方針として決定する予定でございます。今後この方針の実現に全力を挙げて取り組む考えております。 さて、農林水産省においては、新政策発表後、昨年の秋から農政審議会を開催し、新政策の具体化のための諸施策が検討されてきております。そして、平成五年度の国家予算や税制改正にその結果が反映されるとともに、農業経営基盤の強化や特定農山村の活性化等のための法律改正が現在国会に提案されており、このような努力に対しまして深甚なる敬意を表しますとともに、私どもも感謝をしております。 特にこのたびの法律改正では、例えば農協及び連合会が、一定の条件のもとで新規就農者の研修のための農業経営等が行えるとか、農事組合法人や農業生産法人に出資し、構成員になることによって生産者のお手伝いができるよう措置されていることであります。 また、中山間地域等条件の悪い地域で、標高差や温度差を利用し、新規作物を導入した場合、収入に応じて低利資金が融通されるとか、地域の活性化のための施設整備に地方財政上の特例が利用できるよう措置されていることであります。 もちろん、これらの措置だけで地域農業の担い手が確保されたり、中山間地域が活性化するとは考えられませんが、一歩前進であると受けとめております。 こうしたことから、私どもは、本日の本委員会の案件となっております三法案に基本的に賛成であり、今後、このような法律改正、制度を活用しまして、積極果敢に農業、農村活性化の具体的政策展開に取り組むことこそ緊急かつ重要な課題だと認識をしております。 以上をもちまして、私の意見開陳といたします。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○平沼委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○平沼委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗瀬進君。
○簗瀬委員 まず冒頭に、お二人の参考人の大変真摯な、そして危機感あふれる、しかもその中で、積極的、前向きな姿勢の中での意見陳述に大変感銘を受けた次第でございます。 今、放置をすると内部的な崩壊の危機にある、だからこそ改革をする絶好なチャンスである、このようなお話であったように思うわけでありますが、もとより現在の農業をめぐる状況、大変厳しいものがあるわけであります。その中で、担い手を確保するあるいは中山間地域の活性化を図っていく、これが大きなポイントになってくるわけでありますけれども、そのためには、現在審議されている三法案を初めとする新政策の着実な実施がぜひとも必要とされるところであります。猫の目農政などと批判されないような、本当の意味での基本の筋がばっと通ったそういう法案をつくっていかなければならないと私どもも努力をしているわけでありますが、この新政策の実施については、行政そして団体、この一体的な取り組みが必要であります。まさに全国農業会議所それから全国農協中央会それぞれが新政策の推進について大変自主的な取り組みを展開されようとしていることに敬意を表して質問を始めたいと思います。 現在の農業をめぐる状況の厳しさについてはお話のとおりでありますが、農業を職業として選択をし得る魅力あるいは農業を一生のやりがいのあるものとしていくこと、これが肝要であります。このために、新政策ではこの一つの一番の筋に当たるものとして、まず他産業並みの労働時間水準としなければならない、あるいは生涯所得も他産業従事者と遜色のないものにしなければならない、こういう意味で、効率的、安定的な農業経営の展望を示したところであります。 具体的に言いますと、労働時間の水準としては一千八百時間から二千時間。生涯所得水準は、もちろんこれは地域によってばらつきがある話でありますけれども、二億円から二億五千万円という水準。こういう展望のもとに、これを踏まえて、農業経営の姿としては、例えば稲作中心の農家にあっては十ヘクタールから二十ヘクタール、この程度の規模を目標にすべきではないかとか、あるいは複合経営の場合は五町歩から十町歩、こういう規模を展望として示しているところであります。 そこで、池田、石倉両参考人に対して、それぞれのお立場で望ましい農業経営の姿としてどのようなものを考えているのか、冒頭にお伺いをしたいと思います。
○池田参考人 新政策で他産業並みの労働時間なり生涯所得を上げるということで、稲作中心で十から二十ヘク程度の規模で考えられるじゃないか、こういうこと、団体として望ましい経営体の姿というのはどんなことか、こういう御趣旨だろうというふうに考えておるわけでございますけれども、まず第一は、私ども、昨年農林大臣の諮問に対しまして答申を行いましたけれども、担い手像といいますか、そういうものをどう考えるかということにつきまして私どもはこの見解を出したわけでございますけれども、それはやはり家族経営、その延長線にあります農業生産法人であろう、こういうものが農業経営体として考えられるということを申し上げました。それがやはり第一の基礎ではないか、いかなる場合もですね。というのが私どもの基本認識でございます、第一点が。 そして第二点目といたしまして、今先生おっしゃいました、他産業並みの労働時間で生涯所得を上げるようなこと、具体的には十ヘクから二十、複合で五から十程度、こういうふうに書いてありますし、確かに、一つの形をつくり上げてみますと、こういうことで農林省がお出しになったとおりだというふうに考えますけれども、私は、やはりこのことは地域、地帯によって違っできますから、十ヘク、二十ヘクという言葉だけがひとり歩きするということではないんじゃないか。おっしゃいましたように、やはり複合でやった方がよろしいという地帯、地域があるわけです、それは経営者の考え方もあるわけでございますし。したがって、稲作プラス野菜とか稲作プラス畜産とか、あるいは単品で稲作でやるということになりますれば十ヘクから二十ヘクということになろうかと思いますけれども、そういうことでやはり基本的には、望ましい経営像というものを、経営体というものをどうつくり上げるかということが基本だという認識を私は持っております。その視点に立って、やはり魅力とやりがいのある農業経営体を確立しようではないか、こういう点が二つ目の問題認識でございます。 それから最後に、経営規模の問題でございますけれども、今第二点目で申し上げましたけれども、これは地域の条件や経営者の考え方によって違いますが、稲作中心で考えますと新政策で打ち出しました経営規模程度ではないか、こんなように考えております。それをどういうふうに、考え方、目的に向かってこれから具体的な積み上げをするかということは、行政もそうでございますけれども、私ども団体の方も努力しなければいかぬ問題だ、ほっておけない問題だ、こういう認識を実は持っております。 以上でございます。
○石倉参考人 まず規模論でございますが、新政策で示されました十ないし二十ヘクタールの個別経営体、これにつきましては、率直に言いまして、この規模では小さ過ぎるのではないかという意見もあれば、現実から見て大き過ぎる、こういう意見もあることも事実であります。それから、農政審の企画部会でも議論を展開してまいりましたが、西日本の地帯では、これは実現不可能に近いあるいは不可能である、こういう意見もありました。また、東日本についても、これはなかなか容易ならざることだな、こういう意見もあったことも事実であります。 そこで私は、結論的に言いますと、この新政策で示したこの経営体が実現するとこれは大変結構なことでございますが、このことを否定するわけではありませんが、要は、どれだけのスピードと広がりを持ってこれが実現していくかが問われているというふうに思います。 そこで、私ども大事な点は、やはり一つは、耕地の分散性をどう克服していくか、あるいは農地の連担性をどう進めていくかという問題のほかに、農用地の利用集積をどう図っていくか。そういうためには私は最低限三つの必要条件があると思うわけです。 一つは、地域といいますか、集落にやはり意欲のある担い手が存在する、あるいは組織でもいいのですが、そういう生産機能がまず一つあるということ。それから二番目は、農用地の利用調整をするそういう機能、例えばそういう団体ですね。そういう機能が二つ目に必要。三番目には、そういうものを強力に指導、推進していく体制。その三つの機能は最低不可欠じゃないかというふうに思うわけです。そういう体制の整備が前提だ。 いずれにしましても、こういう経営体が実現するそういう地域というのは、土地条件の制約等あるいは機械投資の制約等もありましておのずから限定されてくるというふうに思っております。したがって、全中といたしましては、先ほど冒頭に申し上げましたように、やはり特産物を含めた畜産、園芸等の複合経営、これを基本として進めるべきじゃないかというふうに思っております。
○簗瀬委員 もう持ち時間があと五分しかないというふうなことでございます。今のお答えも大変示唆に富むものがたくさんございました。例えば連担の問題、規模だけトータルとして多くても、それがつながっていないと効率的な利用ができないわけでありますから、まさにその辺に本当の問題のポイントがあるんではないかなと思っておりますが、これについてはひとつ御努力を、私どもももちろんあれしますし、皆さんにもお願いをしたいと思う次第でございます。 そこで、簡単に用意した質問にお答えをいただいていきたいと思っておるのですが、一つには、いわゆる農業生産法人が総数としてなかなかふえてこない、活性化はしたいが、先ほど申し上げたように農外者の農業支配というようなものに対する一つの懸念というようなものがあるわけでありまして、バランスをとって農業を発展させていく上においてのポイントなんだけれども、非常に難しい問題がここに潜んでいるわけであります。今回、それについても構成員要件の見直しということで農地法の一部改正によりまして、議決権、あるいは参入し得る企業についての制限、こういうようなものについてもある程度のものを設けながら、しかも農業生産法人を活用していく姿勢を強くしているわけでありますが、その辺についての両参考人の御意見をお伺いしたいと思うわけです。簡単で結構でございます。
○池田参考人 簡単に申し上げます。 農業法人に対しますチェック体制の問題でございますけれども、このことにつきましては、やはり制度の悪用を来さないようなチェック体制が非常に大切だということが一つ原則だと思っております。 それから今までも、私ども組織にかかわる問題なんですけれども、この仕組みにつきましては農業委員会がやってまいりました。これは農地を権利取得する時点で農業生産法人台帳を整備してやってきたわけでございますけれども、問題は、先ほど冒頭陳述で申し上げましたとおり、今までは農地そのもの、それから労働力そのものということで顔が見えましたけれども、出資問題になりますといわば顔が見えない部分が出てまいりますから、これからは許可時点だけじゃなくて、フォローするのが大事だ、つまり状況はどうなっているかという点検を逐次していく。それから、毎年そのことについての報告をさせるとか、許可の時点との情勢がどういうふうに変わったのか、そういう問題をきちんと点検していくということがやはりこの制度を有効にさせるのではないかというふうに考えております。 いずれにいたしましても、私どもの組織の農業委員会のチェックシステムの問題につきましては、しっかりやっていかなければいかぬ、こういう問題でございますので、行政の方にも頼みたいし、私ども組織の中でも、これはやはり強化対策を組織として考えていかなければいけない問題だろう、こういうふうに実は受けとめておるわけでございます。そんなことでございます。
○石倉参考人 私どもは今回の新政策の中で、法人の特に事業要件の緩和、あるいは構成員要件の緩和につきましては基本的に賛成なわけでありますが、ただ無条件に賛成というわけじゃなくて、相当歯どめ措置が必要であるというようなことで、政府や先生方にもいろいろ御要請をしてまいったという経過がございます。 特に私どもは構成員要件の緩和の問題で、今回の政府提案の中では、企業等の出資につきまして議決権の四分の一未満の範囲内で認めることとなっておりまして、議決権の上では企業等による生産法人のシュアはないということになっておりますが、実際には出資を通じましてつながりを持った企業等が、融資等を通じまして農業生産法人の意思決定を左右することは大いにあり得るわけでありまして、全く心配ないとかあるいはその懸念なしというふうに断言できないことは率直に認めざるを得ない。 そこで私どもは、法律上の要件のチェックを厳しくすることはもちろんのことでありますが、企業等の性格を制限するなど、運用面での何らかの措置を講ずる必要がある、また農業生産法人の要件のチェックにつきましては、農業委員会法の規定に沿って農業委員会が行うことが必要でありまして、農業委員会における農業生産法人台帳の備置等のチェックシステムの整備が必要であろうというふうに思っております。政府が責任を持ってその実効性を確保する必要がある。 と同時に、私どもは積極的な面では、JAによります法人への事業対応を検討するとともに、JAがより高度な機能を発揮しまして農業法人のニーズにこたえていくことが最も重要である、同時に、農協連合会の農業法人への出資及び農業経営の道が開かれたことから、この機能を最大限活用した積極的な対応、そういう積極面を非常に大事にしてまいりたい、そういう責務があるというふうに考えております。
○簗瀬委員 終わります。
○平沼委員長 野坂浩賢君。
○野坂委員 池田参考人、石倉参考人には、御多忙のところありがとうございました。わずか十五分間でございますので、ごく簡潔にお尋ねをしたいと思っております。 今度の農業三法案については、経営基盤の強化法案、これは大規模で効率的、安定的な経営体を創出する、そういう構造政策を再編するものだ、明らかにいわゆる経済合理性の追求だ、こういうふうに考えております。特定農山村の法案は、条件の不利な地域をどのようにして活性化させるかという法案に分かれておるというふうに理解しております。 新農政のあり方について、お二人ともなかなか微妙な言い回しで、まあ積極的に賛成ではないが、賛成せざるを得ぬだろうというように私には聞こえるのです。不十分であるが賛成はやむを得ぬだろう、農林省にお世話になっていることだし、こういうことではなかろうかと思うのですが、そういう点は除いて、歯にきぬを着せないでずばり物を言っていただきたい。 例えば農林省は、他の産業と同じような所得を得なければならぬ、年間の所得を八百万円、生涯所得は二億五千万、そのためには十ヘクタールから二十ヘクタールあるいは五ヘクタールから十ヘクタールの複合経営農家、二万の農業法人、こういうものをつくっていくのですよ、いずれも八百万円という中身は目安であります、推定であります、こう言っております。ここにおります田中君が、これからカロリーベースでいけば四六%を五〇%にする、穀物自給率は三一%、幾らかかりますか、わかりません、推定で考えています、農林省はこう言っています。極めて具体性がない。石倉さんの場合は非常に具体性がありますね。自給率は五〇%で五百万ヘクタールは確保します、こう言っています。 そこで、御両所に聞きたいのは、この認定農家というもの、地域の経済に混乱はない、地域の団結に混乱はない、そういうことを責任を持って農業会議所なり農協はやっていけますかということが一点。 時間がありませんからみんな言ってしまいますが、二点目は、例えば合理化法人が農地を取得します、それを貸します、新規に就農する人あるいは後継者の研修をする、その場合は指導者がなければならぬと思いますね、指導者が。田んぼを貸してやるから勝手にやれ、何でもつくれ、好きなようにせいということでなしに、将来のプロの農家をつくるためにはやはり指導者が必要だ。この指導者が必要であるかないか、法文には明確になっておりません。それは農協でも農業会議所でも、国からの委託を受けてやりますかということが聞きたい。 それから三番目は、中山間地帯の農政は、規模拡大ということは私たちは否定はしませんが、平地のように、基盤強化法案のようにできないのですね。できない場合は、いわゆる環境保全型農業という意味において所得の格差というものを是正していかなければならぬ。そのためにはデカップリングが必要じゃないか、直接所得を差し上げるということが必要ではないのかということを私たちは考えておるのです。あなた方の発言の中にも格差のないように、所得が増大するように日本型デカップリングが必要だということを強調されております。そのとおりだと思っておりますが、そのようなことは具体的にお考えですかということが三点目。 四点目は、農業会議所に聞きます。 これから企業が農業に参入しますね。有限会社や合名会社、合資会社が入ってくる。株式会社は何をするかわからぬからこれはストップだぞ、こういうことを農林省は言う。しかし、今や経済は極めて厳しい情勢です。有限会社が株式会社に編入をされる場合がある、統合される場合がある、合併される場合がある。合併をした場合には農業法人にちゃんと位置づけをする。この場合はどのようにお考えになっておるのか。そして、農地の移転等は、今お話があったように市町村と、町村長だけではなしに農業委員会というものの制度を活用する、私もそう思う。農業委員会があるものを活用して、そして市町村長に進言をしてやらせる、このことが必要だろうと思う。この農地の移転も非常に緩和されておりますが、農業委員会の仕事が少なくなるというか、手当がこの十年間一緒ですから農林省は遠慮したかもしれませんが、そういう点についてはやはりどのようにお考えなのか。この点、四点目。 五点目は、機械の問題。農協及び農業会議所はこれに出資はしませんか。この機械化の株式会社には全然出資はしないという考え方ですか、出資はしますか、その点をお伺いしておきたい。 以上です。
○池田参考人 時間がありませんので十分なお答えができるかどうかわかりませんけれども、五点いただきました。さっさと記録をとったわけですけれども、そう敏感にお答えできるかどうかわかりませんが、第一点目の認定農業者制度についてどう考えるか、こういうことでございますけれども、今の農村の実態を考えてみますと、地域によって相当違いがあるのじゃないかということでございます。農地の出し手がいるけれども受け手がない地域が広がっているという反面、まだまだ受け手があるというようなところもあります。認定制度につきましては、こうした状況に即して合意を図りながらやるというのが原則だろうというふうに考えております。 そして、この運用でございますけれども、私自身はこう考えております。最近、農村現場におきましては、およそ将来にわたります担い手農家というものが、だれかについてどなたかということがある程度浮き彫りになってきているといいますか、集落の中で共通認識が、前はそういうことはなかったのです、だんだんと生まれつつあるのじゃないかというのが私の認識でございます。つまり、あのうちはもう後継者がいるので農業中心でしっかり現在もやっているし、これからもやっていく、またはサラリーマンになって大分忙しくなってきた、勤めの方が忙しいから預けたい、あるいはまた、年をとってきて自家菜園中心になりがちだから預けたい、集落の中で何とかしてくれ、あるいは個別経営で何とかしてくれということで、私も田舎の生まれですから、大体の目安といいますか見当といいますか、そういうのが最近少しずつ浮き彫りになってきていやしないかというのが私の考え方です。 そういたしますと、やはり従来の経験からしまして、私どもは、農用地の規模拡大の認定制度をやりまして、一千町村ぐらい今までやってきたわけでございますけれども、その経験からいいますと、ある程度これは大丈夫、いけるという認識を持っております。そういたしますと、先ほど冒頭で意見開陳のとき申し上げましたとおり、やはり認定については町村長がこれで決めたというのじゃなくて、やはり集落の中、段取りが必要なんじゃないか。どういうふうに段取りを積み上げるかという問題は、私どもの方としては、農業委員会が今までもやってきましたし、これからもほうり投げてやらないわけにはいきませんからしっかりやらなければいかぬのかな、こういうふうに考えておるわけなんです。そうかといったってそんな力があるわけじゃございませんが、しかしやはりここまで来ればしっかりやらなければいかぬのかな、こういうふうに私個人は考えております。これは認定の問題でございます。 それから、二点目の問題の保有合理化の問題につきましては、確かに新規就農の研修を行うということでございます。今まで保有合理化は農用地の売買なり貸借事業をやっておったわけでございますけれども、これからは信託事業とかあるいは出資育成事業ですか、そういうものをやるということでございますので、ぜひしっかりやってほしいというふうに考えておるのです。 ただ、今先生おっしゃったように、新規就農者の研修の問題は私はこう考えます。つまり、県段階の組織でございますから、市町村の現場の問題に絡む問題でございますから、やはり農協なり農業委員会なり、今まで農政なり農地の流動化をやってきたそういう機関の連係プレーをとるということが大原則だろうと思っています。そして、特に私どもの組織は法人問題、例の愛媛、徳島、鳥取あたりの法人問題から経営者運動を農業会議がやってまいりましたけれども、そういうことの連係プレーを合理化法人の方でやはりとってもらうということが必要なんじゃないか。 それからもう一つは、研修、指導というのは、私は経営管理という問題が非常に大事なことだと思っておりますから、経営管理指導が大事なことだと思っておりますから、それに精通した人はだれかということになりますと、やはりこれは農業経営者の運動を現にやっている経営者がいらっしゃいますから、そういう人たちを講師にして対応したらどうだろうか、こういうふうに考えている。いずれにいたしましても、余り断定的じゃなくて、そういうふさわしい人を養成しておくといいますか、一緒に頑張りましょうということが必要なんじゃないかというふうに二点目は考えます。 それから、デカップリングの問題でございますが、このことにつきましては、もう前段の話は申し上げません。いずれにいたしましても、ヨーロッパで行われておりますデカップリングにつきましては、我が国におきます条件の中でどう受けとめるかということは大いに検討しなければいかぬ問題だというふうに正直に考えます。やはり長期的には農業を産業として自立させる、そういうことを目指すことが一番大事な観点だと思いますから、この上に立ちまして国民なりあるいはその地域の皆さんとの合意をどう取りつけていくかということが大変必要なのじゃないか。したがって、ヨーロッパタイプがふさわしい、そのものだということじゃなくて、日本の条件に合ったものをこれから検討し、詰めていく必要があるのじゃないか、こういうふうに私は考えております。 それからもう一つは、機械の出資につきましては、私どもの方は機関といたしましてそういうことはできません。したがいまして、そういう問題は農協の方にお願いするというふうに考えるわけでございます。いずれにいたしましても、今回の法案の中では、やはり生研機構を活用しながら、都道府県知事さんが一定の考え方を持って、方針を持たれて、国としてああいう機械活用の問題につきまして新政策の一環として考えるということは大変いいことだと思っております。ただ、出資をするということは私ども系統はできませんので、これは農協の方に譲りたいというふうに考えております。 株式会社ですが、これは地区の問題とも関係するわけでございますけれども、これはもう農地法のときに、今度の新法の中でも株式会社の話をそのままのせるということはないわけでございますから、いわゆる株式会社そのものを新しい法人の問題にのせるということでもございませんで、もう長々となりますから省略しますけれども、農産物との連係プレーをとっている法人だとか、関係の深い連係プレーの中で生協組織とかそういう方の、消費者の参入というふうに考えておりまして、株式会社そのものは、もうこれは入り口のときに、三条許可の問題になりますからできないというふうに考えております。そんなことでございます。 時間がありませんで、少し手短過ぎたかもわかりませんけれども、以上でございます。
○石倉参考人 まず第一点は、認定農家制度が地域に混乱を起こさないか、こういう御質問だと思いますが、私どもは、今日のような担い手が非常に不足をする、労働力が非常に深刻化する、こういう状況の中で、やはり意欲のある担い手が力を発揮できるように土地や資金の面で支援を行うことは必要である、こういうふうに思っております。と同時に、担い手不足のため、また、地域社会の維持にとって小規模な農家や兼業農家の持つ役割も大変大きいと思っておりまして、こうした農家も施策の上で適切に位置づける必要があるというふうに考えております。 そういうことでございまして、認定制度は小規模農家や兼業農家の切り捨てにつながり、地域にとって地域社会を維持することが困難だ、そういうことが懸念されるのではないかということでありますが、今後も営農を続けていく気持ちのある小規模農家や兼業農家の営農の条件を強引に奪うようなことがあれば、これは地域社会の維持を困難にし、担い手にとっても望ましいことではないというふうに考えておりまして、したがいまして、当事者間の合意に基づく適切な役割分担が行われる必要がある。その場合に、地域において役割分担がうまくいくためには農家が納得することが必要でありまして、個々の農家の意向が十分反映されるような仕組み、そういう配慮が必要であるというふうに考えております。 それから、指導者の問題でございますが、今回合理化法人の機能が拡充されたということを評価をいたしまして、JAといたしましても、積極的に合理化法人の資格取得をするように強力な運動を展開中でありまして、その運動の過程を通じまして、JA職員の育成とか体制整備を図ってまいりたいというふうに考えております。 それから、デカップリングの問題でございますが、私は、地域の活性化は基本的には産業の振興、生活環境整備等によってなさるべきというふうに考えるわけであります。しかしながら、我が国には産業振興等をもってしてもなお課題の残る条件不利地域もあるというふうに考えておりまして、こうした地域の活性化のためには、従来の枠組みを超えた施策、いわゆる所得政策が必要だというふうに認識をしております。しかし一方、所得政策には、不安定な支給や最低限の生活を保障するものであれば効果が期待できない、また、支給方法が不適切であれば受給者の誇りを奪いかねない、根拠があいまいであれば国民の納得が得られないという問題があることも事実であります。そこで、中山間地域を対象に国土、環境、景観保全等に資する活動への助成、あるいは税、社会保険料負担の軽減、地方交付税制度の拡大運用などの措置をとり、所得の実質的な確保を期することが適当というふうに考えておるわけであります。 今回上程されました特定農山村整備法では所得政策の言及が見られないことは残念でありますが、政府見解に見られますように、国民的なコンセンサスの醸成等克服すべき課題が多く、一朝一夕に導入することが困難であることは私どもも十分承知をし、理解できるわけでありますが、将来の導入に向けまして合理的な導入の仕組みを模索すべく、これらの手法の実現可能性や効果の検討に着手をしていただきたいというふうに考えております。あわせまして、本委員会におきましても議論を深めていただきたいというふうに考えております。 要は、かなりかたい国民の合意が必要である。したがって、国民を納得させ得るに足る十分な理論といいますか、筋道と内容が不可欠である。ECの制度もいろいろ勉強してまいりましたが、十分に私どもを納得させるほどの成功をおさめているかどうかということにつきましても、まだ十分研究をする必要があるというふうに思っておりまして、今回の内容にとどまったこともある意味ではやむを得ない措置だというふうに考えております。 それから最後に、機械化の促進法の関係でございますが、株式会社の出資につきましては、全農も出資をする、それから各県の経済連も出資をするという方向に向かって動いております。 以上でございます。
○野坂委員 もう時間が参りましたので、これで終わります。もっともっと追及をしたい、再質問したいと思いますけれども、時間がございませんのでこれで失礼します。大変ありがとうございました。
○平沼委員長 宮地正介君。
○宮地委員 公明党の宮地正介でございます。 きょうは、大変お忙しい中、池田専務理事並びに石倉常務理事には、農林水産委員会にお越しいただきまして貴重な御意見、大変感謝申し上げます。 十五分という限られた時間でございますし、またきょうは本会議ということで、時間を詰めていかなければなりませんので、私は端的に御質問をさせていただきたい。 今回、この新農政に基づいて関連法案が七法案国会に提出されてまいりました。その中でも重要な三つの法案が当農林水産委員会で今審議をされております。そういう中で、お二人の御参考人の方からの先ほどの陳述を伺いまして、今回のこの三法案は農政の改革の第一歩である、こういう御意見がありまして、私も全く同感であります。この第一歩を契機として、今後日本の農林水産、農林業の二十一世紀に向けての抜本的な改革をしていく大変大事な法律ではなかろうか、私はこのように見ております。 そういう中で、一つは池田専務理事にお伺いしたいのですが、やはり農業の活性化をしていく場合に、基本的には魅力ある農業とかあるいは若者に希望の持てる農業づくり、こう言われておりますが、そういう中で、日本は宿命的に耕作面積、農地が非常に小さい。アメリカなど平均百ヘクタール、こう言われておりますが、日本は一ヘクタール。百対一。根本的に、生産の耕作面積が宿命的に日本は非常に狭いわけですね。ですから、おのずから生産性というものを上げるには相当な技術革新と経営能力、そうしたものが求められてまいります。 そこで、現在の相続税の制度、この問題は果たして今のままでいいのか。農家の皆さんとお会いしますと、代議士、この我々の耕作面積も三代で土地はなくなってしまう、こういう相続税の制度は、本当に政府は我々の農家を将来ともにやらせるつもりがあるんでしょうか、そういう素朴な質問を伺います。確かに、税制度の基本から見れば、資源の再配分ということで公平に配分をしていかなきゃならぬという大原則はあるにせよ、この相続税の現在のあり方というものは、農地の流動化の問題だとか今後の日本の農業の活性化、発展をしていく上において、単に税制度の上からのこの哲学でいいのだろうか、そういう感じが私はしております。 今後、農地の流動化の問題あるいは農業の活性化、発展の問題を考えたときに、現行の相続税制度というものについて率直にどういう御意見をお持ちなのか、お伺いをしてみたいと思います。
○池田参考人 この相続税と贈与税の問題につきましては、おっしゃるとおりでございまして、私どもの方も、この問題につきましては、農地の流動化対策のためにこの問題を解決しないと流動化はなかなか困難な問題がたくさんある、こういうことで、何とかならないかという要望をずっと続けておったわけですけれども、税制体系の基本に触れるということで何回もけられておるということでございます。新政策が今回、例えば納税猶予制度が御承知のとおり自作農というものを基本としておりまして、農業生産法人がその問題につきましても蚊帳の外ということで、法人化の問題とそごを来しておるわけです。 したがいまして、こういう問題につきましては、例えば農地の一括生前贈与を受けた青年が経営の法人化に取り組むという問題のときに、特に都市近郊の場合等は相続税の猶予適用がされない、こういう問題がありまして、この点につきましては新政策の問題との関連もございますので、先生方のお力をかりまして何とか打開できないか、現段階ではそういうことしか申し上げられませんので、お力添えをいただきまして、ぜひお願いしたいということしか申し上げられません。 以上でございます。
○宮地委員 もう一つ、池田専務理事にお伺いしておきたいのは、私は埼玉県選出の衆議院議員なんですが、首都圏の、特に三十キロ圏の中における農家の皆さんの最近の一つの声として、農振地域を外してくれぬか、こういう声が非常に強いのですね。これは、我々がこれから農業を活性化して食糧の自給率を高めていこうという中において、ある意味では非常に残念な御意見だ。一方では、建設省などは、宅地化を進めるということで宅地並み課税、こういうものを創設して農地をできるだけ宅地の方に流動化させていこう、やはり政府の中においても一方のそうした動きもあるわけですね。 こういう点、農家の方は今回の生産緑地帯の問題についても大変悩まれて選択をされたわけです。こうした動きについて率直にどういう御意見をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
○池田参考人 農振地域を首都圏等では外してほしい、こういう要望が、私どもの組織としては正式に上がっていることはございませんけれども、そんな話があるということは聞いております。 ただ、やはりそういう地域におきましても、野菜などの大供給地帯、基地でございますので、そういう位置づけもあるわけでございますから、やはり農振地域として線引きをしておくということは、農政論からいたしましても、国民的な立場をとりましても必要ではないのかというふうに考えております。やはり土地利用計画の策定につきましては、どうしても農地が侵食されないような対応策をとるということが大事じゃなかろうかというふうに考えております。 というのは、私、一般論で申し上げますけれども、農家自身のことを考えましても、線引きいたしまして一定のまとまりがあるということは大変大事なことだというふうに考えておるのです。やはりこれがスプロール化いたしまして、一たんこれがスプロールになってしまいますと後になって大変なことになったという話もいろいろありますので、取り返しがつかないことになるということもございますから、そういうことのないようなことを考えるとしますと、やはり農振法の線引き制度というのは農業者側から考えてもどうしても必要だし、私ども団体の方は農地の問題を預かっている機関でございますから、やはり線引き制度なり農地制度なりというものをきちんとやってほしいということで組織対応しているのが今の現状でございます。 それから、生産緑地の問題につきましては、御承知のとおり昨年決まりましたけれども、本年に入りましてから生産緑地の再指定を、やはり余り散り散りばらばらになっちゃうとかえって農業者側も困るし、それから行政の方も困るということで、市町村長さんに判断を結構任せて、再指定についても考えるということが出てまいりましたので、そういう点では再指定の問題で取り組むということが私ども団体としては必要なことじゃないか。実は昨年暮れまではこれでおしまいということだったのですけれども、建設省の方も再検討して再指定をするということになったようでございますから、そういう面では一歩前進したのじゃないかというふうに考えております。 いずれにいたしましても、生産緑地の問題と線引き制度の問題につきましては、やはり農振法なり農地法の法の体系に基づきましてしっかり守っていくという対応が、私どもとしては必要だということを申し上げる以外にはございません。
○宮地委員 時価も参りましたので、最後に、石倉常務理事に私、率直にお伺いしたいと思うのですね。 今回の法案が出ましたので、私も農家の方にいろいろお会いしておるのですが、今回のこの新農政によって活性化をしていく中で、やはり農林水産省という官と、それから全中さんとか全農さんとか、こういう農家を指導する団体の皆さん、それから生産農家の皆さん、この三位一体の中で協力と、またもう一つはやはり時代にかなったリストラをやらないと、本当の国民の期待に沿った二十一世紀の農家づくりというのはできないと私、考えております。 そういう中で、率直にきょうはお話しさせていただきますと、経済連と全中さんと農家、この関係のリストラを本当にここで思い切ってやる必要があるんではなかろうか。農家の皆さんの中の声を聞きますと、我々一生懸命働いて生産に頑張ります、しかし最後、生活に返ってくる所得となると大変厳しいのです、確かに近代化をされてすばらしい技術開発の機械が入ります、しかしこの支払いを終えるまでには大変な負担がかかるのです、こういう声も聞かれるわけです。 率直に申し上げまして、農家所得最優先の中で、私は、皆さんの団体も農林水産省も、農家の皆さんのためにある団体であり行政だと思っております。しかし、結果として農家の皆さんが一番下の支えでもって受けている感情というのは、相当やはり厳しいのですね。そういう点で、今後この新農政に基づいて新しい日本の農業活性化に向けていく中で、全中さんとして現在のシステムのリストラを今後どういうふうに思い切っておやりになろうとしているか、その辺の御決意とまた抱負をお伺いさせていただければありがたいと思います。
○石倉参考人 ただいま先生のおっしゃった官民農一体的な取り組みが必要だ、御指摘のとおりであります。 それから、我が組織の各種の問題につきまして、一応決意と抱負を申し上げてみたいと思います。 私どもは、平成三年十月八日に第十九回全国農協大会を開催しまして、これは三年に一回でございますが、組織としての運動方針それから実践方策を決定をしたわけです。この大会ではいわゆる三つの目標と三つの改革というものを決定しておりまして、三つの目標、三つの改革とは何かといいますと、一つは農業改革をしっかりやろう、二番目は組織の改革をやろう、そのためには農協に働く役職員の意識の改革をやろうということで、昨年からいわゆるCIの運動を展開しておる、こういうことであります。 特に組織改革につきましては、現在三千二百強の農協がございますが、一千農協構想ということで鋭意今努力しておりますが、現段階では約七百五十農協構想が上がってきておる。これは、言ってみますと県平均大体十五農協、郡単位に一つの農協。私どもはあくまでも、合併というのはだれのための合併か、だれのための組織改革かということを常に片時も忘れてはならない、農民のための組織改革ということで今努力をしておるということであります。 私どもは常日ごろから、挑戦なくして改革なし、改革の土壌は健全な危機意識にある、こういうことで今組織の総力を挙げてこの運動を展開しておるということでございまして、ひとつ先生方の御支援と御理解をいただきながらさらなる努力を積み重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。
○宮地委員 貴重な御意見ありがとうございました。皆さんの御活躍をお祈りいたします。
○平沼委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 池田参考人、石倉参考人、きょうは本当にありがとうございます。 私は、まず最初にこの法案の母体であります新政策について一言だけお聞きしておきたいと思いますが、私たちも、今日の日本の農業の危機を招いた原因の一つに農産物価格の引き下げ政策があるというふうに考えております。しかし、新政策はそれを転換していくということではなしに、市場原理、競争条件の一層の導入を図る政策体系に転換していくことが必要であるということで、その推進を強く打ち出しているわけであります。こういうことになぜなるのか、そこが問題だと思いますが、日本の農業を危機に追い込んだ原因については新政策は何一つ触れられておりません。分析をしていないわけであります。だから、新しい方針を示すには、失敗をした原因を明らかにして、それを正すことから始めなければならない。物事のイロハのイでありますけれども、そこが欠けているというふうに考えております。 そこで、私は石倉参考人にお伺いをしておきたいと思いますが、現在の日本の農業を存亡の危機に追い込んだ原因についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、そしてそれを正していく方向はどこにあると思われるのか、率直なところをお聞かせください。
○石倉参考人 大変難しい御質問だと思います。 今日の我が国の農業、農村を危機的状況に追い込んだ原因は、私は、いろいろな要因が絡まって今日の状況に至ったのではないか。一つは、戦後の農政の展開に問題はなかったのかどうかという問題とか、いろいろ要因があるわけでありますが、私は先ほどの冒頭の意見開陳で申し上げましたように、確かに過去を振り返って反省することは非常に大事なことでありますが、覆水盆に返らずという言葉がありますように、反省は反省としまして、要はこれから先どうやって農業、農村の活性化を図るかという視点に立って、その観点からどういう具体的な政策の展開をすればそういうふうになるのかということが極めて緊急的課題ではないかというふうなことが問われているというふうに思っておりまして、そういう観点で私どもも組織としてやるべきことはやろうじゃないかということで、これまたあさって決定するわけでありますが、新政策の展開とJAの対策ということで、当然に政府、国会に御要請することはきちっと御要請すると同時に、みずから自助努力としてなすべきは何かというみずからの課題を具体的に宣明してやっていきたい。そういうことを通じて農業、農村の活性化を果たしていくしか道はないというふうに考えておりますので、今後ともよろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
○藤田(ス)委員 できるだけ率直に御意見を聞かせていただきますようにお願いをしておきたいと思います。 それでは、農業経営基盤強化のための関係法律の整備法案についてお伺いをいたしますが、今回のこの法案の問題点の一つは、農業生産法人に対して企業の出資を認め、農地法の原則に風穴をあけ、その改悪を進めようとしていることであります。これは極めて重要なことだと思います。また、企業の出資というのは、農機具や種苗などを握る独占企業による農業生産法人の系列化あるいは農産物の流通支配の強化になることも見ておかなければならないと思うのです。それがたとえ出資制限がありましても、大企業の経済力は農業生産法人に参加をしている農民の比ではありません。農家に対する便宜供与あるいはさまざまな経済力に物を言わせた影響力の行使によって、農業生産法人を支配していくことはいとも簡単なことではないかというふうに考えるわけでありますが、この点について参考人のお二人、どういうふうにお考えでしょうか。
○池田参考人 生産法人のことにつきまして、企業の農業経営支配のおそれはないのか、こういう質問のようでございます。 これは私、意見開陳のときにも申し上げましたのですけれども、私どもの組織からしますと、一つは実施に当たって制度の悪用をさせないチェック体制をしっかりやるということが大原則だというふうに私は考えております。先ほども申し上げましたけれども、現行の仕組みでは、生産法人の農地の権利を取得する時点で要件確認を行う、こういうことが原則になっておりまして、生産法人台帳を整備いたしましてこれをチェックしていくということでございます。 そこで、三点目といたしまして冒頭申し上げましたのですけれども、今までは御承知のとおり農地の提供者と常時従事者ということになっておったわけでございますけれども、今度は緩和されまして、消費者等の出資を認めるということでございます。ただ、株式会社等につきましては農地法の段階でそのチェックをいたしておりますし、今回も、御承知のとおり産直の相手方だとかあるいは法人に農作業を委託している人だとか、そういう関係者、個人や法人に限られているということになっておりますし、それからこうした参入につきましては、御承知のとおり少額出資の中の歯どめ、それから一社当たりの歯どめということで二重の歯どめがありますので、経営としてはやはり農業者が経営の主宰権を持っているというふうに私どもは考えておるのです。 ただこれからは、特に農地制度を悪用いたしまして、法人の解散等によりまして実質的に農地が企業の手に渡ることのないようにどうするかということにつきましては、やはり農地法によりましてチェックをしっかりやる、措置をしっかりやる、こういうことでやらなければいけませんし、それから、私どもの組織は従来土地と農業を守る運動をずっと続けてきておりますし、現在もやっておりますけれども、こういう視点はしっかりした行政としての対応も必要でございますけれども、運動論といたしましても、そういうことが絶対ないような土地と農業を守る運動を展開していくことがやはり必要だ、こういう認識を持っております。以上でございます。
○石倉参考人 ただいまの先生の御質問は、企業の参入問題、特にそのことを通じて農民支配のおそれがあるのじゃないか、こういうことだと思いますが、私は、その本論に入る前に、ちょっとこの問題提起の仕方がよかったのかどうかということが吟味されるべきではないか、こういうふうに思っているわけです。 というのは、株式会社の農地取得の是非という限定された、そしてそれが農政見直しの中心問題であるがごとき新聞報道が非常に展開された、それに対して主要農業諸団体の明確な反対声明とか強硬な反発があった。そうではなくて、これからの農業に必要とされる経営感覚あるいは若者を定着させ得る労働条件、社会保障といったことを考えると、一戸一法人を含めまして農業経営の法人化の促進を今後の政策方向として重視すべきだというところから議論を出発すべきではなかったか、まずこういう問題提起の仕方をしてみたいと思います。 そこで、株式会社による農業経営あるいは農地取得の問題は、農業の担い手論から派生じた議論であるわけでありますが、その本質は、私は農地問題だというふうに考えております。農地の維持、確保は大きな政策課題だ、こういうふうに認識をしておりまして、今後このまま推移をしますと、十年後には五百万ヘクタールを割るのではないかということが非常に懸念をされるわけでありまして、農地の確保の基本は、どうやって土地利用計画あるいは農地の転用規制を図るかということでありまして、これの厳格、厳正を期すことが極めて重要というふうに考えております。 株式会社は、投下した資本に対する収益の最大化を追求する企業の典型的な形態であるというふうに私は思っておりまして、農業の土地生産性が他産業に比べて低く、地価が容易に下がらないという神話がまかり通る我が国におきましては、当初から転用を目的とした農地取得あるいは経済環境の変化による転用、放棄が考えられるわけであります。したがいまして、株式会社の農業経営あるいは農地取得、いわゆる新規参入論は、私は極めて問題があり容認することはできないというふうに考えております。 土地利用型農業に資本と活力を注入する、そういう方策として株式会社に農地取得を認めてはどうかという議論もあるわけでありますが、いずれにしましても、法人形態による農業経営のあり方につきましては、土地利用計画とか土地利用規制とも関連をしまして、今後農業政策上幅広い視点からの検討が必要だというふうに考えておりまして、今後そういう観点でこの問題に慎重に対処していく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。
○藤田(ス)委員 最後に、特定農山村法について一問お伺いいたします。 この法案は、要するに活性化の対象として農林業以外に「その他の事業の活性化」ということをうたっているわけでありますが、こうなりますと、リゾート開発から工場誘致から、その他の就業機会の増大に結びつくものなら何でも結構という性格をも持っているわけであります。問題は、この法案全体が租税特別措置法や地方税さらに地方債の特例措置によって開発促進の総動員体制をとる一方、開発規制立法である農地法、農振法、都市計画法などについては、この法律で指定されている中山間地は日本の国土面積の六割に当たりますけれども、それらの地域がこの法案で開発規制立法から除外されるということになることは大変なことであるというふうに考えます。 そこで、池田参考人にお伺いをいたしますが、所有権移転等促進計画については農業委員会の決定が前提になっておりますが、地域の開発と農地の保全が対立することも往々考えられるわけであります。農業委員会としてはどのように問題に対処されようとしているのか、簡単にお答えください。
○池田参考人 いや、実はこのことにつきましては、法律の検討段階で、私どもは農地を預かっている機関でございますから、規制緩和論に拍車をかけるみたいな話になっては困る、こういう農振法なり農地法との整合性をきちんとやってもらわなければ困る、こういうのが私どもの考え方でございましたので、今回もそのことを役所の方へ率直に申し上げておきました。 そういう意味で、所有権移転の問題につきましても、御承知のとおり農業委員会の決定を得なければそういう措置はとれないということを法文上明らかにしていただいておりますので、組織対応としてはそういうふうにしたいと思っておりますが、おっしゃるように地域住民との関係におきましては、これから市町村部局の関係者だとか住民の皆さんとのコミュニケーションをとりながら、農業委員会の決定、許可という問題も踏まえながら活性化の問題も同時に考えなければいかぬと思いますから、二つの視点で農業委員会に与えられました機能を有効にしっかりやっていかなければいかぬ、こういう認識を持っております。 以上でございます。
○藤田(ス)委員 ありがとうございました。
○平沼委員長 小平忠正君。
○小平委員 民社党の小平です。本日は、当委員会に池田専務さんそれから石倉常務さん、お忙しい中御出席賜り、しかも貴重な御意見を承りました。まことにありがとうございます。私からも御意見をさらにお伺いしたいと思うのであります。 まず、お二方の御意見をお聞きいたしておりまして、総論的にはこの新農政に対しての評価はする、そういう御姿勢がうかがえます。しかし、何点かについての問題点も指摘されている。今までも各委員会からもそれぞれ質問等ございました。 私は、まず最初に石倉常務さんにお伺いしたいのでありますけれども、今ほど開陳されました御意見の中で、特に第一番目の問題点として、一九九〇年にジュネーブで開催されたガット民間人会議、このことに沿った外交交渉を展開することが必要です、こう指摘されております。私も今回の新農政、今後十年間を見据えて、我が国の農業が海外に対しても伍していける、また、足腰の強い農業をつくるというそういう方向にあることはこれはもうもちろん大事であります。 しかし、この新農政で触れていないことは、環境問題というか、特に昨今は、地球と環境、こういうことが大きく問われております。そういう中で、ただ単に農業を効率的にしていってそれだけでいいのかという問題、要するに、経済効果だけを律していていいのかというそういうことがやはり大きな問題点ではないかと思います。大事なことは、環境と調和、そういうことをとらえていくことも大事だと思います。 そういう中で、今の方向ですと十から二十ヘクタール、また複合体では五から十、そういう方針になっておりますが、ひとつ石倉常務さんにお伺いしたいのでありますけれども、そういう中で、やはり農業というのは経済効果だけで律してはいけない、また、農業というのは生産効果の低い産業である、それでも守り抜いていかなければならないんだというこういうコンセンサスをもっともっと訴えていくことが、この新農政の中に大きな柱として位置づけられていくことが私はぜひとも必要じゃないか、こう思うのであります。 特に思いますことは、例えば輸出向けの農業というか、農地法改正等で、また今いろいろと御意見がありましたように、企業参入等々が合うたわれております。しかし、例えば輸出補助金、これらをアメリカあたりやってございますね。そうすると、農家の方はこの輸出補助金が欲しいがためそれに志向したそういう農産物に特化していく。そうなるとそこに、いわゆる地帯の環境が破壊され、また、いわゆる水寺の汚染も進みますよね。さらに、農家の皆さんのいわゆる精神構造というか、そういう荒廃も進む。私はやはりこの日本的な家族農業、これが私は農業の基本になると思うのですね。 そんな私は考えを持っているのですけれども、そういう中において、どうでしょう、この新農政の柱に何か欠けているものがあるような気がするのですけれども、御意見をお伺いしたいと思います。
○石倉参考人 ただいま先生から大変貴重な御意見を賜ったわけでありますが、私どもは、農業につきましては市場原理あるいは競争原理という尺度ではかってはならない分野があるというふうに思っております。それは、特に土地利用型農業についてはそうだと思っているわけであります。 それで問題は、一体農業というものをいわゆる産業としてとらえるか、あるいは経済的側面のみを重視してとらえるか、あるいは農業の持つ多面的な役割を重視をして農業展開を考えるか、ここによって大変議論が分かれてくるし、言ってみれば農業の基本理念といいますか哲学の問題だ、こういうふうに私は思っているわけでありまして、先ほど先生の御指摘のような環境問題あるいは家族農業を大事にしていこうというやはり根底には、そういう経済効率性のみで追求してはならないそういう価値というものを重視して考える、そういう哲学、基本理念を根底に置かなければ、競争原理、市場原理といういわゆる工業の論理に農業が押し流されていくというふうに考えておりまして、私どもは、やはり我が国の風土に合ったそういう家族農業をまず基本に据えて、担い手の問題、経営の問題を考えていくのを基本に据えているわけであります。 それから、ジュネーブ宣言との関連でございますが、私どもは、昨年からことしにかけまして、ヨーロッパの農業諸団体あるいはアメリカの諸団体、カナダの農業団体といろいろ連携強化を密にしてきたわけでありますが、世界的に共通していることは、この農業団体との交流を通じまして家族農業をしっかりと守ろう、あるいは農業には保護が必要である、こういう共通の認識を再確認しておるということでございまして、まさに先生の御指摘の線に沿って今後の農業政策を展開すべきではないかというふうに考えております。
○小平委員 池田専務さんにも同じような質問なんですけれども、今いろいろとお話しございましたように、各町村にございます農業委員会が今日までしっかりと、農地をきちんと守ってこられたこの大きな足跡、実績がございますね、これが今度の中で少しく変わろうとしている。そういう中で、特に我が国は、内地付近に見られますように小規模の農村地帯がございますね。そういう中で、基本的に農業会議所というお立場の中で、これらについて今私がお聞きした点、どういうお考えでしょうか。
○池田参考人 新政策の中におきまして、どういう点が私どもとしては大事なことなのかということを申し上げなきゃいかぬわけですけれども、私は、端的に申しまして、一つは政策展望を、やはり自給率にいたしましても、どういう経営体をつくるかということを目標をつくるということが今までなかったので、それを今回は、いろいろな意見がありますけれども、とにかくつくり上げたということが一つあります。 それからもう一つは、構造展望を示して、構造の問題と経営体の問題を一緒に考えようではないかということが出てきたということは、従来は構造問題だけでやっていましたけれども、どういう経営体をつくり上げるかということが必要だというふうに考えております。そのことが大事だ。 それからもう一つは、どういう経営体がといいますと、農業生産法人、法人をつくるということが——私ども組織は家族協定農業をやっていますけれども、一番大事なことは、経営体をつくるということと同時に、農業の経営体の中の個の確立といいますか、個人の地位の確立の問題がこれからの農業問題でなければ、花嫁対策を幾らかけ声を出したとしてもなかなか推進しないんじゃないかというふうに考えておるのです。したがって、今回の問題は、とにかく法人をつくって財務経理を明らかにして青申をして、家計と経営の分離をしながらしっかりとした農家をつくろうじゃないかということは、そういう面で評価しているのです。そういうのがありませんと、金を出したとか出さなかったとかということではなくて、若者だとか御婦人、お嫁さんが農家の方に来ることにらなければどうしてもこれは困るわけでございますから、そういう面を今度の新政策の中で私は評価しているのです。 何も生産法人だけじゃございません。一戸一法人もございますけれども、その中で特に若者と婦人の地位確立が同時並行に行われるという問題が農政論の中に出てこなければ仕方ないという考え方でございます。そういう面で一歩前進だということを申し上げているのです。 それから、農業委員会の問題につきましては、おっしゃるように、農地の確保という問題は、石倉さんが言いましたように、将来展望を考えましても優良農地を確保していくということがどれだけ大事なことか。これはなかなか今そういうことで御支持いただけない点もございますけれども、後になって考えたらいかに大事かということがわかるような、私どもの方も啓発なり国民合意なり、そういう問題をやらなきゃいかぬというふうに考えております。 それからもう一つは、規模の小さい農家の方もいらっしゃいます。ですから、それは組織経営体の中でやはり集落一体となって頑張っていくということだろうと思っておりますが、ただ、しっかり農業をやるという人たちの芽をつぶすようなことになってしまっては、これはまたもっと悪い話になっちゃう、こういう考え方、二つの視点が、両方あるんじゃないか、こんなような考え方でございます。 以上でございます。
○小平委員 今回の改正の中で、企業参入がこれから出てきます。確かに大きな歯どめ等々は設けられておりますけれども、やはり有形無形、潤沢な資金がで席巻されるという、このことを私はやはり大変危惧しているわけなんです。そういうところで、今いろいろといただきました御意見等々ございますが、特に今までの農業委員会の役割を思い起こしてみますと、私も一農業人として農業委員会の大きな役割というのを評価してまいりました。 そこで、今後この認定制度等々の中で、大きく移行して、市町村というものが出てきますね。池田さんも指摘されておりました、要するにバランスのとれた調整が必要じゃないか、そういうこともおっしゃっておりますけれども、これらの問題は、私はやはりこの最初の段階できちんと指摘をして、そして官民きちんとこれに留意をしていきませんと、このことが歯どめなく広がっていくとやはり農地の崩壊につながり、また我が国の農業は基本的に構造がおかしくなる、こんな心配をするものですからお聞きしたわけであります。 そこで、最後にもう一点、私は、新農政でやはり今欠落しているものは価格政策だとどうしても思うのです。特に、合理化に努め、コストダウンを図って、それが言うならば価格に響いて毎年の価格交渉で下げられる、こういう悪循環が今起きておりますけれども、こういうことはぜひ改善しなきゃならないと思います。 それともう一点、農家の皆さんは土地改良、構造改善等々を通じて農業の近代化にいろいろな努力をされてまいりました。これも政府の指針どおりに進めた面もございます。そういう中で、今大きく負債を抱えて苦労されている。そのことにおいては農地の流動化が今までできづらかった面がここにあると思います。この土地改良等にかかわった負債、それにあわせて金利の問題、こんなことがやはり大きくかぶさって、これらを解消しないとどんなにいいプランをつくっていっても私は前に進まないと思うのですね。このことについて、石倉さん、どう対処していかなきゃならないか、最後にちょっとお聞きをしておきたいと思います。
○石倉参考人 まず、価格政策でございますが、今回の新政策の中では「需給事情を反映させた価格水準」、こういうような表現があるわけでございますが、我が国が米以外の多くの農産物を輸入に大きく依存している現状から見ますと、確保すべき国内生産の水準が明示をされなければ国際価格まで際限なく価格が引き下げられる、そういう懸念、おそれがあるわけであります。したがいまして、価格政策の前提といたしまして、確保すべき国内生産の明示と、それに基づく確固たる国境措置が必要である、そういうふうに思っております。 それから、農家といたしましては、規模拡大による合理化努力が所得として実現するとき初めて規模拡大の意欲を持つわけでありまして、したがいまして価格低下とコスト低減にタイムラグを持たせ、価格低下よりもコスト低減が先行するようにしなければ、私は、農家は規模拡大への意欲を持ち得ない、こういうふうに思っておりまして、そういう点の対処の仕方が大事ではないか。つまり、構造政策の進展に応じながら適切に価格政策を反映さしていく、こういうことが大事だ。 それからもう一つは、流動化とかあるいは土地改良の問題でありますが、要は農家負担の軽減をどう図っていくかということが極めて大事でありまして、例えばの事例でありますが、ある中国地方の例を申し上げますと、工期が当初計画の三倍かかった、そしてこうしたことで工費も三倍かかった、こうした事例では圃場整備の農家負担金が非常に経営を圧迫して、また農地流動化の阻害要因になっているわけです。そうしますと、何のための圃場整備かということが問われるわけでありまして、今後平成五年から十四年、十年間で四十一兆円の第四次土地改良長期計画が決定を見ておるわけでありますが、どうかそういう農家負担の軽減措置ということに大いに留意をしてやっていただきたい。そういう意味で、全中としましてもそういう立場から、今後この農家負担金の軽減のあり方についていろいろ御要請を申し上げていきたい、こういうふうに考えております。
○小平委員 どうも貴重な御意見ありがとうございました。
○平沼委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、心から御礼を申し上げます。 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 ————◇————— 午後一時三十二分開議
○平沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 各案審査のため、引き続き参考人から御意見を承った後、質疑を行います。 ただいま御出席いただいております参考人は、東京農業大学教授梶井功君、新潟県入広瀬村村長須佐昭三君、青森県五所川原市笠井実君の三名であります。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 各参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。各参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌揮のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 梶井参考人、須佐参考人、笠井参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 なお、念のために申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。 それでは、梶井参考人にお願いいたします。
○梶井参考人 東京農業大学の梶井でございます。 三つの法律案につきまして意見を求められておりますが、私はこの三つの法律案、いずれも基本的には賛成であります。基本的には賛成ですけれども、法律案が意図していることがより的確に実現できるようにする、あるいはより十分にその機能を発揮できるようにするためにはなお検討を要するというような幾つかの点につきまして、私見を申し上げたいと思います。 ただし、農業機械化促進法の一部改正案につきましては、これは農業機械の開発、実用化、特に実用化を政策的に支援するための改正が主内容になっておりますが、これから開発を必要とする野菜用の機械などが、市場規模が余りにも小さ過ぎるために、試作機が開発されましても実用化コストが高くつきまして製品化が行いがたいという現状からいいまして、これは必要な改正であり、特にコメントすべき点もありませんので、賛成であるということを最初に申し上げまして、以下では触れることをいたしません。 〔委員長退席、金子(徳)委員長代理着席〕 最初に、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案でございますが、私は、日本の農業構造は、昭和四十五年以降、零細所有、零細経営という構造から零細所有、大経営の構造へ、徐々にではありますが確実に変わってきているという認識を持っております。そして、この方向での構造変動にドライブをかけること、そのために必要な法制的用意を整えることが大変重要であるということをかねがね主張してまいりました。そういう見地からいたしまして、今回提案されております農業経営基盤強化促進法案及び関係法律の改正案は、極めて時宜に適したものとして、基本的に賛成いたします。 この中で、私が特に注目しておりますのは、一、農地保有合理化法人を経営基盤強化措置を進めていく重要な主体として位置づけるとともに、その機能を拡充し、農地信託事業や農業生産法人出資育成事業、新規就農者研修事業を実施できるようにしたこと、二、農用地利用集積準備金に対する課税特例がある特定農業生産法人制度を創設したこと、三、農業生産法人について事業要件、構成員要件の緩和が図られたことの三点でございます。 農地保有合理化法人の機能拡充は農地流動量の増大に大いに資するということになりましょうし、特定農業生産法人制度の創設は、農地の出し手はありましても受け手がいないということがこのところ方々で問題になっておりますけれども、そういう問題への有効な対処策になると思われます。また、農業生産法人の要件緩和も、法人従業員の年間就労体制の確立、資本充実の必要性などからいいまして、かねがね要望されていた点であります。農外資本は議決権以上に経営への発言力を持つ場合があることを、これから法人を指導する場合には念頭に置く必要がありますけれども、まずは実態に即した妥当な要件緩和であるというふうに評価しております。 しかし、このような経営基盤強化促進法が用意されましても、農地流動量を現状の二ないし三倍にし、かつ、その大部分が望ましい経営体へ集積するようにすることは容易なことではありません。例えば、平成二年度の農用地利用増進法による賃借権の階層間移動を見ましても、二ヘクタール以下層から二ヘクタール以上層へ動いたのは、全流動量の四五・一%でございます。逆に、二ヘクタール以上層から二ヘクタール以下層へ二・六%が動いています。差し引き四二・五%が二ヘクタール以上層への集積量になっております。流動量それ自体は、老齢化の進展などで現状よりはふえるかもわかりません。まあ、多分ふえるでしょう。しかし、その流動農地の大部分を特定経営体に集積させる、これは多数の兼業農家がなお存在し、その人たちも農地を求めるということからいいまして、容易なことではないと言わざるを得ません。 そういう現状を踏まえながら、日本農業全体の生産性を高めていかなければならないのでありますけれども、このことを考えますときに、私は、この衆議院農林水産委員会が平成元年の農用地利用増進法の改正案の議決に当たりましてつけました附帯決議、その一番真っ先に「地域農業全体の生産性向上に資する効率的生産体制の確立を図ること。」これを言われていましたことに改めて注目したいのでございます。 望ましい経営体ばかりでなくて、老人農家、兼業農家を含めての地域農業全体の生産性向上がやはり重要だと思うのであります。農業経営基盤強化促進法案では、効率的かつ安定的な農業経営育成に傾斜し過ぎているのではないか。効率的かつ安定的な経営の育成が重要であることは十分認めるのでありますけれども、同時に、なお残るであろう老人農家、兼業農家をも含めての効率的生産体制の確立にも政策努力を傾注すべきだというふうに考えるものです。 農地保有合理化法人による新規就農者研修制度が活用され、成果を上げることを私は強く期待しているのでありますけれども、ここで考慮する必要がありますのは、農地保有合理化法人は研修事業を行えるだけのスタッフも生産手段も持っていないということでございます。農業後継者が激減している現実からいいまして、この確保が焦眉の問題になっていることを考えますと、この研修制度は極めて重要な役割を果たすであろうことは明らかであります。保有合理化法人が積極的にこれに取り組めるようにするために、財政的支援が必要だと私は思います。保有合理化事業からは研修事業に必要な資金は生まれてこない。もともと事業の性格がそういうものでございます。 出し手はいても引き受け手がいないところでは、特定農業生産法人をつくることができるようになっております。これも有効だと思いますけれども、中山間地等では、この保有合理化法人による研修と兼ねまして、地域農林資源の保全、活用に当たらせることが極めて有効だというふうに私は思います。そういう場合には、これは単なる研修ではなくて、地域の資源保全活動を行わせるということですから、研修期間中の手当ての支給ということを考えていいのではなかろうか。フランスに青年農業者就農助成交付金制度、DJAというのがあることはよく知られておりますけれども、日本版DJAをそういう形で考えられないか、御検討お願いしたい点でございます。 特定農山村農林業活性化法案では、活性化基盤整備計画作成に当たりまして、市町村の自主性が大変強調されております。自主性は無論大いに強調されていいのでございますけれども、問題は、新規作物の導入計画が他市町村の動向にお構いなしに立てられますと、市場競合を起こすことにならないかということでございます。 新規作物として考えられておりますのは地域資源活用型の高付加価値農産物でございますけれども、これらは山菜や花木類などでこれまでも経験しておりますけれども、狭い市場しか持たないという特徴がございます。今後取り上げる新規作物もそういうことが十分予想されるわけでございます。幾つかの市町村で取り上げたらすぐに過剰生産になる場合が起こりやすいと考えられるのであります。 そういう場合、目標収入を下回るときの融資が二回しかない、こういう点も気になるわけでございますが、この点がせめて無利子にならなかったものだろうかということを考えておりますが、この点も検討をお願いしたいのですけれども、より以上に、そういう事態にならないような計画段階での市場関係者との協力、他市町村との計画調整が必要ではないかというふうに思います。活性化基盤整備促進事業の実施に関する事項につきましては、都道府県知事の承認を受けなければならないということになっております。この承認の際にそういうふうな調整が行われるのかどうか、この辺のところは十分に検討する必要があるのではなかろうかというふうに思います。 以上です。
○金子(徳)委員長代理 ありがとうございました。 次に、須佐参考人にお願いをいたします。
○須佐参考人 ただいま御指名をいただきました新潟県入広瀬村長、須佐と申します。 本日は、本委員会に参考人としてお招きをいただきまして、意見開陳の機会を与えていただきましたことを、まことに光栄に存じます。せっかくの機会でございますので、この法案の御趣旨とされます中山間地の活性化に向けてのいろいろな実践例等を例示申し上げながら、率直に存念を申し上げたいと存じます。 冒頭申し上げたいと存じますことは、御審議の日程にございます中山間地等の地域の農山村の活性化のための特別立法等について御配慮を賜っておりますことについて、当該の地域行政を担当する者の一人として、改めて衷心より敬意と感謝の意を表するものでございます。 さて、本日の発言の要旨につきましては、お許しをいただきまして、お手元にメモを用意させていただきました。その順序を追いまして申し上げたいと存じます。 「はじめに 新潟県入広瀬村は」となりまして、最後に「むすび」となっております。時間の制約もございますので、要旨のみ申し上げてまいりたいと思います。 まず、新潟県入広瀬村、我が村は新潟県の東南端に位置しまして、二百七十二平方キロメートルという広大な、典型的な豪雪山村ということでございます。今我が村では、そこに住まいする若者を含めて、村民が誇れるふるさとをつくりたい、このようなことを念願しながら行政を進めておるところであります。 さて、中山間地域の現状認識等について私の考えておりますことをまず率直に申し上げてみたいと思います。 まず第一点は、この農山村地域の現状でございますが、深刻な後継者難の問題がございます。 今農家の家庭のお茶の間の話題は何だろうか。あそこの後継ぎは帰ってくるだろうか、あそこの息子は帰ってくるか、娘さんは帰ってくるか、こんな問題が最大の話題であるということが申し上げられるかと思います。 高齢化の進行は避けて通れない事態となっておりまして、現在二五・六%の老齢人口比率となっております。県下の平均は一六・四、これまた二〇%近い姿でございます。 耕作放棄地の増加ということがありますが、未整備の農地を耕しております老農夫、このことにつきましては、一昨年ですか、きょうおいでの辻先生初め皆様がお越しの際に、私が長岡までお迎えに出まして、あの山地をバスで御案内しながら、この未整備の農地はいつ捨てられるだろう、この農地が捨てられたときこの集落の灯が消えます、こんなことを申し上げたことがございます。聞きますと、全国では二日に一つずつ集落が消滅している。こんなことを聞きますとき、本当に肌寒い思いがいたします。これはよそごとではないんだ、自分のことなんだ、こんな思いで、深刻なものとしてこういう数字を受けとめております。 さて、若者が定住を拒むものは何だろうか。それは若者がふるさとを誇りを持って語れないことでございます。あなたはどこの出身だと問われたとき、我が村の青年は何と答えたでしょう。私は長岡市の近くのふにゃふにゃだと言って、つい入広瀬村と言わなかったというのであります。大変寂しいことであります。ふるさとを誇りを持って語れない、こんな寂しいことはありません。 その原因とするのは、私の考えるに、まず農地が未整備であること、雇用の場があっても都市との格差が大きい、あるいは文化、スポーツ活動の拠点がない、生活環境の都市との格差が激しい、こういうものがあるのではあるまいかと思います。 そして、市町村の行財政はどうか。中山間地を抱える市町村の行財政能力は、一つの数字をもってしましても、財政力指数が極めて厳しい。もちろんいろいろな国や県の御支援を得ながら、我が村についていいますならば、経常収支比率は六一・七、公債費比率は一一・六、この辺において健全でありますが、財政力は極めて厳しいのでございます。自主的な地域基盤整備計画の策定というような問題がありますが、こうした問題について、後継ぎ等の定住不在の中でどこまで可能かということが言えるかと思います。今山村にありましては、競うがごとく市町村独自の地域活性化事業を展開をいたしていることも事実であります。 さてそこで、誇れるふるさとの創造に向けて、今我が村は何をやっているか、簡単に要点のみ申し上げてみたいと思います。 まず、若者定住と地域の活性化のために、農地の基盤整備事業を一〇〇%実施をいたしました。これに対しましては農民の負担の上限を定めました。平均いたしましての年賦償還金が二万二千七百円でございましたので、これを上回る元本のすべての繰り上げ償還援助を行って、二万二千七百円、このところにおいて圃場整備が完成をいたしたのであります。この負債整理援助施策の執行等については行政訴訟も起こされましたが、幸いにして高裁判決をもって確定し、このような姿に相なっておるところでございます。 農林道等は、山間地でありますから極めて厳しい。舗装をしなければいけない。全村の耕作道を含めた農道の舗装工事は完成をいたしました。幸いにして我が村では、今耕作放棄地は見受けない現状にございます。 次に、財団法人のドリーム・クリエーション入広瀬という財団をつくりまして、寄附行為三千万円をもって定住支援基金二千万を充当し、農地受託耕作あるいは特用作物のクワイの団地栽培等を進めることにし、この四月一日より本格的な業務に入っております。また、国の御支援をいただいて、ドリームホームタウン構想等の推進の支援を本財団をもっていたしたい、こう考えております。 次に、若者等後継ぎ定住支援戦略事業を、基金一億二千万を設定し、定住支援金の給付、言うなれば、都市から村に帰ってきての格差の補てんということになりましょうか、そういう意味における給付でありますとかあるいは公営住宅の家賃の補助でありますとか、都市との交流支援であるとかあるいは農業後継者に対する利子補給であるとか、このようなもろもろの施策を本基金をもって実行いたしておるところであります。 その四として、自然休養村事業の展開あるいは温泉開発と施設整備等で、入り込みも二十万を突破をいたしております。もろもろの都市との交流施設の運営を通じて、地域に活力を育むべく努力をいたしておるところであります。 次に、めくりましてその五といたしましては、若者就業センターの建設ということで、これは県単の補助あるいは県の融資事業等を入れて四棟のバイタリティーセンターをつくり、ここに約二百名近い若者が安定雇用の場を得て、雇用の場を開拓いたしたのであります。山間農村には都市からの工場進出はなかなか大変であります。こうした形で行われました。 農村工場団地の整備、企業の導入、あるいは地場産業の振興等で、林構、新林構等による山菜工場の経営等も、幸いにして今日二億数千万円の収入を得るようになりました。言うなれば、これが我が村の一村一品と言うことができようかと思います。 都市並みの生活環境整備に向けて、全村の集落排水事業等で平成六年の七月には全村域に完成をいたします。今日九五%の普及になりまして、これらについては維持管理基金三億円設定し、後顧に憂いなきような対応をとっているところであります。農水省の集落排水のできない一部地域等については、厚生省の補助事業をもって実施をいたしました。 集落再編事業を昭和四十六、七年度に行っております。 それから、都市住民の定住促進というようなことで、平成三年と四年、宅地無償提供により、我が村に定着しませんかの呼びかけに対し、十二世帯が決定し、恐らく本明年中には新集落の誕生を見るのではあるまいかと思っております。 あるいは山菜共和国のイベント等でいろいろな事業を進めております。 何よりも、雪国なるがゆえに雪国の意識の改革をしなければいけない、このようなことで全村域の生活道路の無雪化、あるいは落雪対策条例を制定をしまして、雪国というものは怖くないんだ、嫌ではないんだ、怨念の雪はまさにこれは地域活性化の財源である、財産である、こんな形に仕向けたいということでもろもろの施策を進めているところであります。 そこで、新たな活性化施策の展開としましては、前段触れたドリームホームタウン構想の推進、国土庁の「過疎地にふるさとを」事業の推進、グリーンツーリズム事業の展開、農林省の御補助をいただいて都市との交流計画策定等を進めたいとしております。その三としては、「山村で休暇を」の林野庁の事業の導入、緑の触れ合いのプロジェクト事業の展開。特にこの事業については、トゥスティーインの滞在型温泉ホテルの整備等について、今検討を進めておる経過にございます。 その五として、農村集落環境整備事業の実施で、ナチュラルグリーンパークの整備、都市との交流のためのもろもろの施設の整備、雪国山野草、黒木林の植栽、冬期はクロスカントリーのスキー場の整備等を今検討し、いろいろな御指導をいただいている経過にございます。 三としての、長寿社会を迎えての福祉の里づくり等については、特にここの時間の関係もあるので説明を省くことといたします。 そして、誇れる地域社会の創造のために文化スポーツ基金を設定し、国際交流事業の展開等を通じ、中国揚州市との提携七周年を経て、今中国の調理士等を村に入れまして日中友好飯店の経営等をしまして、着実な実績を上げている経緯にございます。その他、地域づくり振興基金の設定と政策の継続、五億五百万円の基金を設定し、事業を推進しておるところであり、住民のためにではなく、住民の求めるものは何か、百の宣言よりも一つでも政策実行、このようなことをモットーに進めているところであります。 〔金子(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 次に、第三に申し上げたい問題は、中山間地活性化への所見であります。 今、過疎農山村の共通する行政課題は何かということであります。これは、誇れる地域社会の創造に向けて、言葉の遊びではないんだ、集落の灯を消さないために何をなすべきか、若者等の後継ぎ定住等地域活性化のために、あるいは高齢化等長寿社会を迎えて福祉の里づくりのために、誇れる地域社会の構築のために何をなすべきか、こうした問題があろうかと思います。 さて、その一の問題については、賦存する資源、土地、自然条件等を活用し、地域の創意工夫の中であらゆる諸制度を駆使し若者等後継ぎ定住施策を推進すること、これ以外にない、このように考えております。 第一点として、制度を改め、農地整備を推進してほしいということであります。農地の放棄は集落の灯が消えるのであります。中山間地域における圃場整備事業費の分析等をそこに例示をいたしましたが、中山間地域の我が村における事例等を見ますならば、何と田面の圃場整備に費やす金は、十五地区の合計は四七・二%、道路、用排水路事業等に係る経費が五二・八%であります。いわゆる年賦償還金の五二・八%は、道路、用排水路の経費、そういうものが農民の負担になってまいった、こういうことが言えるかと思います。 私は、こうしたような実態からいたしまして、田面整備費三〇%から四〇%程度、道路、用排水等は、地区内であっても、言うなればこれは社会資本である、私はこんなふうに見ておりまして、国、県、市町村等で一〇〇%負担をし、年賦償還負担を十アール当たり、少なくとも上限を設けて整備をする。この農地整備なくして集落の灯は守ることはできない、このように考えているところであります。 次に、グリーンツーリズム事業の展開等のためにも、美しい田園風景がその前提である、私はこのように考えております。 第二点は、都市との交流等活性化のために、農用地、林地の有効利用を推進することでございます。 もろもろの事業の整備、あるいはまた都市との交流の不可欠のものとして、ナチュラルグリーンコースというような形で、企業のゴルフ場ではなく、いわゆる一定の基準を設けての山間地域の若者定住と交流のために、こうしたような設備を公設をもって整備することが必要な問題として検討されるべきではないか、私はこのように考えているところであります。 第三点の問題は、就業機会の拡大というものが明記されておりますが、政策、制度としての実施にこれを移してほしいと思います。 若者よふるさとに帰れと申しましても、安定雇用の場がなければ定住しないのであります。安い労働力を求めるのではなく、適正な労働条件のもとに、この内容を明示しながら、若者よふるさとに帰ってもらいたい、このように考えております。 できることならば、広域行政圏等を単位とする中山間地域町村に若者就業センターを市町村で建設、整備せしめ、相当規模の雇用企業の進出を促すというようなことが行政としてあっていいのではないか、このように考えます。幸いにして、今は若者就業センター設立については県費の助成がございます。補助残については過疎債が認められるようになりました。大きなる進歩と思って、この点は歓迎をいたしております。 私どもはこうしたような事業を通じて、一人でもいいから若者にふるさとに帰ってほしいと念願をいたしているところであります。 緑の触れ合いプロジェクト事業等の一層の拡大を期待したいと思います。 第五点として、集落再編事業を実施すること。 第六点として、都市並みの生活環境を整備すること。まず、雪国にあっては生活道路の整備、集排事業等による下水道施設の整備、これらが必須要件である、このように考えております。 都市からの定住促進等も、いろいろ環境も整備されてまいりました。私は勇気を持ってこれらの事業を進めたい。それにドリームホームタウン構想等を進めながら、こうした問題の取り組みを展開したいと思っております。 さらに第八点として、若者等後継ぎ定住支援戦略事業に対する積極的な支援をお願いしたい、このように思います。 誇れる地域社会の構築のために何をなすべきか等については、特にそこに記載のとおりでありますが、国際交流基金を設定せしめて、農山村の若者を積極的に国際交流に参加せしめることも大切であると思います。 第四点。いささかショッキングな表現でありますが、百姓のせがれもゴルフかという観念があってはならないと思います。今公民館主催で催されるいろいろな教室が開かれているような時代でございます。こうした問題についても御理解をいただいて、私は、パブリック方式による公営ナチュラルグリーンコースの整備等が今後の課題としてあるのではあるまいか、このように思うのであります。 結びといたしまして申し上げたい問題は、この特定農山村地域における農林業活性化のための法律案につきましては、その趣旨、事業の活性化のための基盤整備に向けての取り組み等についてはまことに適切であると歓迎いたしたいと思います。しかし、中山間地集落の現状認識については、前段触れたとおり、いささか甘さがありやしないかというふうな感じもなしといたしません。 また、ソフト面でのいろいろな整備計画等を重視することは当然でありますが、同時に私は、集落崩壊の瀬戸際に立つ多くの中山間地域にあっては、問題解決に向けて今なすべき施策は何か。多数がよかれとする諸事業の積極果敢な実行である。ハード面におけるいろいろな予算の整備等について御配慮願わなければいけないと思っております。 前段で触れたとおり、美しい田園風景の維持存続なくして農山村地域の活性化は望めないのであります。今、新潟県下の中山間地域の圃場整備率は三二・六%ということであります。約六五%がまだ未整備であるということであります。農地が崩壊したとき集落の灯は消えるのであります。それらの意味におきまして、国土保全の見地から、山間地における圃場整備の問題、基盤整備の問題について一層の御配慮を願わなければいけないと思います。 就業機会の拡大という項目提示は評価できるのでありますが、その具体的な案についてはハード事業にゆだね、かつ企業対応は通産行政の分野であるといういわゆる縦割り行政であってはその効果は望めないと思います。こうした問題について、一層の御配慮を願いたいということであります。 その他もろもろの問題について記載いたしてございますが、もうお示しの時間が参りましたので、この辺をもって意見開陳を終わりたいと思いますが、特に七番目に、地方財政上の措置等についてでございますが、幸い我が村のドリーム・クリエーション入広瀬等については、県の条例により税の不均一課税等が規定されております。この点、大変県の施策に敬意を表するところであります。 その二の、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備等については、そこに記載のとおりであります。そこの問題については、財団法人の問題等、いわゆる法律に示す団体の問題の表現に少し誤解もあるようでございますので、特にこの問題については説明を省きたい、このように思います。 御指定の時間、三分超過いたしましたことをおわびしまして、以上で発言を終わります。 ありがとうございました。(拍手)
○平沼委員長 ありがとうございました。 次に、笠井参考人にお願いをいたします。
○笠井参考人 青森から来ました笠井でございます。 初めに、本日このような場で発言できる機会を与えてくださいましたことに心より感謝を申し上げます。 私は、本日の心境をつたない川柳に託してきました。御披露いたします。 農の岸国へとどけよ生のまま ひもじさを忘れた人の農政論 日ごろ、我が国の農政が厳しい状況に置かれているにもかかわらず、私ども農業者に対して積極的な御支援、御指導をいただいていることに対しまして、この場をかりてお礼を申し上げさせていただきたいと存じます。 さて、限られた時間でございますので発言させていただきます。言いたいことはたくさんありますが、本日は四点に要点を絞って、日ごろ感じていることを申し述べさせていただきます。 そのポイントは以下のとおりでありますが、第一に、私の経営の歩みを簡単に御紹介させていただきます。私は、現在、水稲と小麦四十二ヘクタールを作付しております。私は、昭和五十一年から六十年ころまでの比較的規模拡大が難しいと言われた時期に、いろいろな困難を克服しながら今日に至りました。 第二のポイントは、我が国の農政のあり方についてであります。誤解を受けるかもしれませんが、私の感じているところ、これまでの我が国の農政は対応の農政であって、確固たる哲学を持たない農政ではなかったかと思われます。例えば、米が余ったから減反だ、転作だ、やれ足りないからつくってくれ、復元だということなどがそれであります。これは、言葉とか字で書く通達はごく簡単でありますが、実際生産の現場でそれを行うということはとても難しいことであります。 第三のポイントは、本日の最大の課題であります新農政プランについてであります。つまり、新農政プランの斬新性とともに、具体的な生産の現場で実践している我々との矛盾点についてであります。 第四のポイントは、今後の農政、特に土地利用型農業がどうあるべきかという点についてであります。つまり、土地利用型農業の体質強化をどのように図るかということであります。もっと短絡的に言いますと、規模拡大のプロセスをどう手順よく求めていくかという点であります。 では、まず第一の私の経営の歩みであります。 先ほど、水稲と小麦四十二ヘクタールと申し上げましたが、内訳としましては、自作地が十九ヘクタール、借地が二十三ヘクタール。しかし、この自作地十九ヘクタールには、私が十年間で取得した農地が十七ヘクタールあります。また、借地は十六人から二十三ヘクタールでありますが、昭和五十一年は五ヘクタールふえて七・四ヘクタール、五十五年には十ヘクタールふえまして十七・四ヘクタール、昭和六十年には四十八ヘクタールまでにふえました。そして、現在では少し減りまして四十二ヘクタールであります。 私の取得した農地のほとんどは離農者からのものでした。なぜかといいますと、農地取得資金が当時は五百万しか融資されませんでした。したがって、離農者らを対象にする農業者年金基金を活用するために、離農者から農地を取得したわけであります。 次に、六十年以降の拡大のポイントですが、それは借地による規模拡大に切りかえました。借地の場合は、特に強調したいことは、私の経営というよりは、相手方に有利な方法を教えることによって、結果として私の規模拡大につながったということであります。つまり、相手方と、売った方がいいのかあるいは貸した方がいいのか、あるいは今までのように営農を続けた方がいいのかということをとことん話し合うわけです。そうして、やはり貸した方が一番有利だという結論に達して借地になったわけです。 次に、我が国の農政のあり方についてでありますが、先ほど、我が国の農政は対応の農政で、理念といいましょうか哲学がない農政であると申しました。一つは、我が国の自給力をどうあるべきかという点について、あいまいだったということであります。最も基本となり安全保障的な意味を持つ食糧を他国に依存してきたことであります。二つには、先ほども言いましたように、私ども農業者は、米が余ったから減反、ペナルティー、そして今度は復元だ、復元が達成しなかったから、農家がつくる意欲がなくなったと言われますが、これでは農家も混乱するわけです。経営というものは、生意気のようですが、第一には、持続性、永続性という長期的な視野に立って物事を考え、とらえなければならないと思います。第二には、安定性、安全性であります。そして第三番目には、経済性、効率性ということであります。この三つがバランスをうまくとってこそ経営が成り立つものと思っています。どうもこれまでの農政の動きをつぶさに見てみますと、最後の第三の目先の効率性だけでやってきた嫌いがあるように思えてなりません。 前置きが少し長くなりましたが、さて、新農政プランについてであります。 私は、まず、過去の我が国の稲作に代表されるような零細で効率の悪い状態を、体質の強い経営体に変革しようとする方向性を打ち出したということには、大いに評価したいと思います。しかし、今農村社会や農業者を見ると、大変難しい時期に来ております。 つまり、その中で、我々がやっている農村社会には、ちょうど年齢からいいますと月五十万ぐらい取らなければならないという高齢者がいっぱいいます。しかも、都会で働いている若い人たちを一生懸命育てて、十二万か十五万ぐらいで、働く人を輩出している地域なわけであります。そうすると、その差額を農業や農村社会が負担することになっているわけです。もう少し農村社会の置かれている社会的、経済的な状況を組み入れた農政というものを真剣に考えてもらわないと、なかなか若い担い手というものは育たないのではないかと思われます。つまり、そういう不利な状況のもとで、我々は農業を産業として確立するために努力していることを、制度、政策でもっときちんと反映してもらいたいことを強く要望いたします。 新農政プランは、体質の強い経営体を育成しようとしていますが、実際我々現場で実践している者にとっては、改善すべき課題があることを痛感しております。例えば、一つは、プランでは受け手を主体的に考えて、出し手を喚起するような制度、政策にはなっていないように思われます。恐らくこの考え方の背後には、全国に耕作放棄地が二十万ヘクタールあるとか、あるいは山間地の農地をどう維持管理するかというものを見受けるわけでありますが、この耕作放棄地や中山間地の農地は、国土維持政策としてはとても大切なことだと思いますが、農業経営的な観点からしますと、生産性の低い非効率的な土地と言わなければなりません。強い経営体ということは、優良農地をどう流動化するかということにあって、そういうことに、プランの主眼はここに置かなければならないと思います。前者は国土政策であり、後者こそ農政であると思います。優良農地を流動化するという点からいえば、実態とは大きくかけ離れていると言わなければなりません。 具体的には、農地を売りたい、また一方では買いたいという農家がいても、現状の制度ではそれがなかなかできにくいようになっているのであります。例えば、昨年税制が改正されまして、譲渡所得税が三二%から三九%になりました。私の住む五所川原では、七十アール以上売ると八百万のあっせん控除額が越えまして重い税金が課せられるために、売ることができません。また、反対に、買いたいという人があっても、今の農地取得資金では新農政プランの言う十ヘクタールから二十ヘクタールを育成するという目標には甚だほど遠いものと言わなければなりません。 例えば、私の住む集落では、今集落全体で農地の利用調整を行っております。どういうことをやっているかといいますと、集落の戸数七十二戸のうち、農家戸数は五十六戸でありますが、全体の耕地面積約二百ヘクタール、この中で集落全体がお話し合いをしまして、十一人の農家が十三ヘクタールの農地を手放すということになりました。それから、三十二人の人が貸し借りによって三十八ヘクタールを動かすことになりました。そのほかに、交換耕作は十七人で七・四ヘクタール、合わせて全体の面積の三〇%に当たる約六十ヘクタールを流動化することになりました。その際は、県の農村開発が中に入りまして、開発公社を活用しました。でも、基盤整備のときのような換地のような状態にはなりませんでしたけれども、でも、集落が少しでも農地の有効かつ効率的な利用を図ろうということに関心を持ったということは大きな成果であったと思います。 なお、これらを達成するためには、役員たちが約五十日間ボランティアで働いたこともつけ加えておきたいと思います。このようなボランティア活動も含めて地域のリーダーを支援するような制度、政策が必要だということも思っております。 次に、生前の一括贈与についてでありますが、これは農地の分散を防ぐということから考えられた制度だと思いますけれども、しかし、私たちが、先ほど言いましたように集落全体で農地の利用調整を図ろうというときに、生前の一括贈与をやったがために農地を売ることができない、売ると贈与税がかかる、あるいは譲渡所得税がかかるということで、二重の負担になるということで農地の流動化を制約するようなことになっておりますので、一括贈与については、農地の規模拡大農家に農地を譲渡するということは基本的には農地の分散でないということを考えますと、何か猶予するような措置が必要ではないかと思われます。保最後に、体質の強い経営体の確立のための規模拡大のプロセスについてでありますが、今までは農地の流動化は自然発生的であります。そして個人対応でありましたが、そのために農地の有効かつ効率的な利用には非常に合理性に欠けておりました。これからは集落または地域全体の流動化を意識的に図ることが最も重要な課題であると思われますので、そういう地域全体の農地を流動化するような制度、政策に変えてもらいたいと思います。 もう一度繰り返しになりますが、規模拡大をすることは、反対に出し手もなければなりません。そのためには農地を手放しやすいような制度がなければなりません。受け手を中心にした考え方ということは、農家の側から見ると、小さい規模の農家は、我々は選別されるという意識を強く受けるわけです。反対に、出し手を中心にした政策ができますと、農家の側が自分で営農するのかあるいは離農するのかということを選択するわけです。したがって、選別と選択では非常に受け方が大きく違ってきますので、どうかこういう制度ができますことを切に望みまして、私の意見といたします。(拍手)
○平沼委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○平沼委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩山教嚴君。
○萩山委員 本日は大変お忙しい中を御来院いただきまして、当農林水産委員会において貴重な御意見をいただきました。先ほどから現場の生々しい声、そしてまた村長さんの村政の問題あるいはまた学術的な面からの先生のお話、いろいろと多角的に私たちは聞かせていただきました。まことにもって意義ある御意見だと私は拝聴しておりました。 そこで、梶井参考人にお伺いいたしたいと存じます。 提案されている農業経営基盤強化法案は、今後の農業構造対策の柱となるものと考えております。この法案を実際に動かしていくに当たって、それを円滑に進め、所期の目的を達成していくためにはどのような点に特に留意していく必要がありましょうか、お聞かせを願いたいと存じます。
○梶井参考人 先ほど笠井参考人の方からも御意見がありましたが、出し手が出しやすくするような政策ということをいろいろ考えなきゃいけないという問題の御指摘もございました。私もまさにそのとおりだと思いますが、そういう点を条件にしまして、これからいろいろ農地の流動化を進めていきます場合に非常に問題になりますのは、先ほども私申し上げましたように、客観的な動きからいいますと、どうしても一ヘクタール前後といいますかあるいは五十アール前後といいますか、兼業と一緒に農業をやっていらっしゃる兼業農家、これは多数残るということを想定せざるを得ません。そういう方々を含めまして地域全体の生産性を高めていくには、この地域では一体どういうやり方が一番いいのかということを集落ベースで十分に話し合う、これがやはりまずスタートだと思うのですね。集落ベースで話し合った上で、地域全体の農地の利用の仕方、これを十分にみんなで相談し合うわけです。その中でおのずから、農地を高度に利用して個別経営として伸ばしていく方も当然出てまいりましょうし、しかし依然としてなお残って自分たちでもってやっていきたい、しかし個別ではなかなか生産性が発揮できない、そういう方々に対しては協業組織なんかを強化していく、この両面を同時に考えていく、これが私はどうしても必要だと思うのですね。そのための話し合いのベースはやはり集落での話し合い、あるいは端的に言えば、これは利用改善団体での話し合いということになりましょうけれども、そこでの話し合いをベースにして、その上で市町村なんかが農地集積事業、これを仕組んでいく、こういうことが必要ではないかというふうにまず思います。 それから同時に、今回の強化法案の中で中心になっておりますのは、経営改善計画の認定制度がございます。その認定制度の前提になります問題としまして、市町村がこの地域の条件に合った経営類型をきちんとつくり、そしてその経営類型をいかなる生産方法でやるのか、労働管理はどうやってやるのか、こういった点について地域に合った指標を出すことになっております。この指標づくりは、私も非常に重要だと思うのです。これが地域の条件に合ったものじゃなくて、よそから借りてきたものをそっくり写したというふうなものでありますと、せっかく立てた指標が何も役に立たないということになります。 この指標づくりをいかに具体的に進めていくか。そのためには、市町村当局はもちろんでございますけれども、農業委員会、農協あるいは普及所、こういったものが総力を上げてこの指標づくり、本当に農家の人たちも納得するような指標づくりに取りかかる、この点がスタートのところでもって一番大事なポイントになるんじゃなかろうか。せっかく指標を示しましても、意欲のある農家もこれだけはとても食いっきがたいというふうなものじゃ全然意味がないわけですね。そういう点の、まず今回の強化法案の中で意図しております市町村レベルでの認定制度、これをうまく活用できるような、そのためには前提となる指標づくり、これは非常に大事でございます。この点について、私は十分な配慮といいますか、必要だろうというふうに思っております。
○萩山委員 梶井先生、もう一点だけお願いを申し上げます。 この農業経営の法人化を推進するに当たって、今後の担い手、それは法人化のメリットなどあろうと思います。そのメリット等を踏まえて、今後どのような形で法人化を求めるべきかをお話しいただきたいと思います。
○梶井参考人 農業の経営の形態というのはどういう形態であるべきか、また家族経営という形態もございます、あるいは有限会社という形もございます、あるいは農事組合法人、二号法人というような形態もございます、こういうふうな経営形態、どういう経営形態を選ぶべきかというふうな問題は、本来ですとこれはまさに農業経営者の判断に任せていい問題であると思うのです。 そういった意味で、農業経営者が自分はこういう法人の形態を選択したいということであるといたしますと、それはもちろんやることは大変結構なんですけれども、私は必ずしも法人化万能ではないというふうに思っております。家族経営でもって十分にそのメリットを発揮できるような部面もございますし、法人化でやった方がいいという部面もございます。 特に私、法人化というふうな場合に非常に重視したいと思っておりますのは、通常よく一戸一法人といいますか、家族経営そのものを法人化するというふうなタイプよりは、これは今でも随分たくさんございますが、意欲のある数人の方々が集まってつくるような法人組織、これがこれからはもっと強調されていいのではないか。その形としましては、農事組合法人、二号法人もございましょうし、有限会社もある。どの法人をということを私は申し上げる必要はないかと思いますけれども、むしろ法人化ということで考えるべきなのは、そういう家族以外の複数の人間が共同して農業を頑張っていこうじゃないかというふうな法人化に特に注目したい、そういう法人化であって初めて、今若い後継者も農業につくというふうなことになるのではなかろうかと私は思っております。
○萩山委員 大変ありがとうございました。 次に、笠井参考人にお伺いしたいと存じます。 今後の農地の流動化の見直しについて、新政策では、これまでの実際の二倍から三倍に当たるようなかなりの量を見直しております。これについて、実現を疑問視する声もあるわけでありますが、実際に農業に身を置く者として、今後の農地流動化、担い手の農地集積の可能性、これをどう見られておるのか、御意見を賜りたいと存じます。
○笠井参考人 私は、担い手を育成するのが先か、経営体を育成するのが先かということを真剣に考えたりすることがあるわけですけれども、やはりよい経営体をつくらないと担い手が育たない、まずこの農地の流動化を進めて、だれがやってもいい経営ができるような体制をつくるのが、担い手を育成する最も結論的に早い手段であると考えています。 したがって、今我々の農村社会では、農地がいっぱいあるといいましても、それは先ほど言いました条件の不利な農地であって、優良農地というのはなかなか動かないわけです。したがって、これからは優良農地をどういうぐあいに流動化するかということをまず考えながら、そしていい経営体をつくる。そうすると、今の制度ではなかなか優良農地が動きにくいような制度なわけであります。例えば、売りたいと言ってもなかなか、重い税金が、税制が改正になってむしろ流動化しにくいような制度に変えて流動化しようというような状態になっているわけです。したがって、あっせん控除を思い切って、今八百万ですけれども、思い切って農地のあっせん控除を農業委員会のあっせんで受けた農地は二千万、三千万に引き上げる。そうすると、優良農地が動くわけであります。 また一方では、買いたいという人、今担い生育成資金が五千万ということで一番出ているわけですけれども、それでも五ヘクタールしか買えないわけです。国では十ヘクタール、二十ヘクタールを育成するというわけでありますので、それなりの資金を出してやるという制度がないと、なかなかできないと思います。
○萩山委員 なかなかいい御意見をいただきました。 もう一点だけお願いいたします。 あなたの、現場に身を置く方として、実感が我々にひしひしと伝わってまいりました。農業後継者の確保の問題が各地で深刻化いたしております。これから農業後継者、そういった方々の育成について、基本的にはどうしたらいいのか、これを少しお聞かせ願いたいと思います。
○笠井参考人 私は、担い手というものがこのぐらい少なくなったということは、農家、農業問題だけではなく、国家、国民問題として取り上げなければならない時期に来ているのじゃないかと思います。 したがって、皆さんに笑われるような考え方かもしれません。しかし、これから日本が国際貢献にどのくらいの金を使うのかというと、私はよく想像できないですけれども、日本は国際貢献に非常に貢献しなければならない状態になってくる。そうすると、これからの開発のおくれている国には、物、金よりも、その国の生産現場で生産する技術を提供するというのが最も必要じゃないかと思います。そうすると、それには農業保護という形ではなく、国際貢献で若い担い手を外国に派遣してやる、それも最も条件のよい状態で派遣してやって、そして外国からも歓迎され、帰ってきてから我が国の農業を担うという条件でやるというような方法も一方法じゃないかと考えたりしたこともあります。
○萩山委員 そういう発想もあるということを今理解いたしました。大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。 次に、日本一の入広瀬村の村長さんにひとつお伺いしたいと思います。 先ほどから滝の流れるごとく御意見を拝聴いたしまして、私は感動いたしておりました。地域活性化に対する村長さんの意気込みというものをひしひしと私たち感じたわけでありますが、これから地域活性化の基盤は農地である、もちろんそのとおりであろうと思います。圃場整備、積極的に推進等に尽力されていることは敬意を持っておるものであります。 中山間地域の農業については、平場の農村にはない地域特性を生かして、戦略作物、売れる作物の生産に地域ぐるみで取り組むと言っておられます。高付加価値の農業や複合型の農業の展開によって農業の振興を図っていくことが重要であるというふうにも言われております。入広瀬村ではどのような作物が戦略作物として考えられるか、また資金面での手当てのほか、営農指導や販路の開拓など、どう取り組んでおられるのか、次から次へとお聞きしたいのですが、時間もございませんので、この一点をお聞かせいただきたいと存じます。
○須佐参考人 お答えをいたします。 高付加価値な農業や複合型の農業の展開というふうな私の申し上げます内容は、それほど大それたことではないのでございますけれども、よく一村一品と言われますが、我が村では一村三品をやっております。三品の三品は何であるかというと、それはおいしいお米であり、そして木工品であり山菜である、こんなふうなことをやっております。 さてそこで、農業の問題につきましては、クワイを栽培しようということで十数年来取り組みをいたしてまいりまして、ようやく市場の価値が高まってまいりまして、あっ、入広瀬のクワイかと東京市場へ出しましても通るようになりました。これをさらにひとつ評価を高めるようにしていかなければいけない。しかし、残念ながら非常に市場の価格の上下が激しいのでございます。ことしは国におめでたいことがあるからクワイの実を煮るかな、こんなことを言っている人もありますが、なかなか大変だなということはありますけれども、そんなふうに真剣な取り組みをいたしております。 行政の場におきましては、例えばクワイ栽培のために必要な機材の整備でございますとか、農業改良普及所を通じての技術指導でございますとか、あるいは販路の開拓等については農協の組織を使っての販路の開拓というようなことで、幸い順次市場価値が高まっておりますことをうれしく思っておりますし、今前段触れたドリーム・クリエーション入広瀬等も、このクワイの団地栽培等を担当して、今作業に入っておるということを申し上げて、お答えといたします。
○萩山委員 村長さん、時間がないと思ったらもう少しありました。もう一問お聞かせいただければ幸いに存じます。 入広瀬村では、若者の定住の促進を基本戦略としておる。大変これはすばらしいことであると思います。これまでの雇用の場として、文化、スポーツの振興、生活環境の整備、積極的にお取り組みであります。また、これからも新たなプロジェクトを展開されようといたしておられます。そのような取り組みに当たって、地域住民のやる気を起こさせ、その意向を反映するとともに、地域ぐるみの推進体制を整えていくという大変重要なポイントがあります。入広瀬村ではこの点についてどのような工夫をしてここまで来られたのか、お聞かせ願いたいと存じます。
○須佐参考人 お答えをいたします。 行政の組織としては、地域づくり懇談会というものを設けまして、定期的な会合を進めておりますし、何といってもやはり若い層からいろいろな知恵が出てこなければなりません。二十一世紀若者委員会というものをつくりまして既に五年ほどになります。彼らは自主的に若者模擬議会を開いて、本物の議場でいろいろな村政に対する積極的な発言等を聞きまして、きちんとそれにお答えするというようなことに努めておるところでございます。 また、若者自体が都市との交流を進めるとか、あるいはまた行政に対するハードな面、ソフトな面での提言というようなものがこの若者二十一世紀委員会等から発言のあることを大変うれしく思っております。実質的にはそういうふうな取り組みを進めているところでございます。 また、子供の時代からふるさとというものを見直していかなければいけない、考えてもらわなければいけないというようなことで、模擬議会方式によって中学生の身辺にあるいろいろな問題を聞き、私がそれに答えるというようなことを通じて、彼らが成人になったときに何を思い出すか、村長に議場で質問したことが最大の思い出である、こんなこともふるさとへの思いを新たにする意味において大切な、小さなことであるけれども大切な一つの行事ではないかな。今までのいろいろな取り組みの中にそんな評価もいたしているところであります。 しかし、やはり私が大切に思いますことは、住民との対話というものがすべての原点である、このように考えて、通常的な対話の機会を年間四回持っております。六月定例議会の前、十月定例議会の前、予算の成立した後、その他随時そうした機会を持ちながら、村民のいろいろな意のあるところがきちんと村政に反映されるということに相努めているところであります。 以上であります。
○萩山委員 時間が来ましたので、ここで終わらせていただきますが、今の村長さんの御意見を聞いておりまして、我々政治家としても教えていただくという点が多々あったと私は思います。これからもどうぞお体に十分御配慮を願って、そしてまた三万、この我々に農政についての御意見をこれからもひとつお聞かせ願えれば幸いかと存じます。 きょうは本当にありがとうございました。
○平沼委員長 石橋大吉君
○石橋(大)委員 参考人の皆さんには、きょうはまたお出かけをいただきまして大変ありがとうございました。いろいろたくさん質問をしたいことはありますが、時間が限られでおりますので、お一人の方からせいぜい四、五分ぐらいしかお話しいただけないということですから、質問の取捨選択にも非常に困るわけです。お一人大体三問ぐらいに絞って、最初に全部申し上げておきたいと思います。お答えをいただきたいと思います。 まず、梶井先生にお伺いしたいのですが、一つは、農業基本法と新農政の関係をどう見るか、こういうことです。 農水省としては、農業基本法の発展線上に新しい新政策を組み立てているから農業基本法の改正の必要はない、こう言っておられるわけですが、この三十年間の基本法農政下の農政、結果、土地利用型農業は担い手の問題を含めて惨たんたる危機的な状況にあるわけです。そうだとすれば、やはりここで何らかの転換が必要だ、こういうふうにも思われるわけですが、この点とういうふうにお考えになっているか、これが一つ。 二つ目は、日本の土地利用型農業の将来展望をどういうふうに見ておられるか。 これは、もう少し説明しますと、今までは家族経営を主体にした自立経営、今度は個別経営体と組織経営体。その一番大きな違いは、労働時間を他産業の従事者並みにする、あるいは生涯所得を地域の他産業の従事者並みの所得にする。そういうことにするためには、やはり家族経営では無理だ、こういうことから個別経営体だとか組織経営体が出てきておると思うのですね。働いている人たちに他産業並みの所得や労働時間を保障していく、一方で規模拡大をやっていくということになると、将来的にやはりもっと大きく有限会社から株式会社まで発展をしていかないと始末がつかなくなるんじゃないか。これは、農地の関係でいいか悪いかという話は一応おきますよ。おきますが、そういうことを含めて将来の経営体像というものをどういうふうに専門家として見ておられるのか、この点を二つ目にお聞きしたい。 それから、三番目の問題は、農業生産法人のことについてお触れになりましたので、ここで改めて、そういう組織経営体というものが将来とも安定的に永続的に農業経営の新しい主体たり得るのかどうか。これは後継者を確保するという問題もあるでしょうし、組織経営体は組織経営体なりにいろいろと難しい問題をはらんでおりますから、そういうことを含めてちょっとお聞きをしておきたい。これは梶井先生に対する質問です。 二番目に、須佐先生にちょっとお聞きしたいのです。 きょう提出をいただきました陳述要旨を見れば答えは全部ここに書いてある。本当は余り聞くことがないかなという感じもするのですが、あえてお聞きをしますが、一つは、今度の経営基盤強化法、特定農山村地域活性化法案、市町村の役割がかなり大きいわけですね。基本構想の策定から認定農業者の選定だとか、今の市町村にそういう役割をちゃんと担ってこなしていけるだけの体制があるのかどうか、そこら辺のことについてちょっと、恐らくそのことに関して国の財政措置その他について注文もあるでしょうしね。そのことについてまず一つ。 二つ目は、今おたくの村では、このメモを見ますと、どうも耕作放棄地はない、こういうことでしたが、中山間地のようですから、その耕作放棄地がないということは、村長さん、村の行政の中でどういうふうにしてそういうことになっているのか。例えば、梅、クリ植えてハワイへ行こうというような形で、棚田が全部利用されているようなそういう仕組みになっているのかなという感じもするのですが、その辺をちょっと二つ目にお聞きをしたい。 それから三番目には、村長さんの今のような政策でも地域のリーダー、役場の中のリーダー、担い手リーダーが物すごく大事だと思うのだけれども、そこら辺をどういうふうにうまくやっているのか、秘訣を参考までに、あったらお聞きをしたい。 それから、笠井参考人にお聞きをします。 まず一つは、さっき梶井先生の質問の二番目に言ったように、かなり大規模の経営をやっている。おたくの方は今有限会社でやっているのかどうか、その辺の説明はなかったように思いますけれども、有限会社なら有限会社のレベルでとどまって一体将来的にやっていけるのか、やはり株式会社まで含めて変えなければいかぬ、こういうような展望になるのか、そのことを経営の立場からお聞かせをいただきたい。 それから、二つ目は、雇用労働者、労働者の雇用がおたくの経営ではあるのかどうか知りませんが、恐らく稲作単一経営だったら余りないかもしれませんが、将来的には大経営になるとかなり雇用労働者を雇わないとどうにもこうにもならないところに来ているわけですね。そういう意味で、労働時間の問題や生涯所得の問題などもますます大事になってくるわけですが、そこら辺をどういうふうに見ておられるか。 三つ目は、後継者問題。後継者問題は、担い手一般の問題としてどうかということではなくて、大経営の後継者の問題というのは少し違うと思うのですよ。とにかく主たる経営者の子供や孫がそのまま継続していくということはないと思うので、場合によっては、そういう意味ではかなり機能的な後継者問題を考えなければいかぬ、その辺はやはり大経営と後継者の問題をどういうふうにお考えになっているか、このことだけお聞きをしたいのです。 まとめて申し上げましたので、よろしく。
○平沼委員長 それでは、まず梶井参考人から。
○梶井参考人 先生からいずれも難問ばかりありまして、大変恐縮です。 私、実はこの新農政の検討が農水省で始まりました時点では、まさにこれは農業基本法の抜本的な検討というところから始まって新農政を組み立てるんであろうというふうに思いました。その御参考に供するためにということで、私は、農業基本法はもう大分現実性を失っておりますから、こういう方向に変えるべきではないかということで、農業農村基本法に変えるべきだという趣旨の論文を書いて発表したことがございます。しかし、残念ながら、農業基本法、御承知のようにまだ法律としては生きておりますし、改正はなされておらないわけですけれども、ただいま御質問の土地利用型農業あるいはその育成のための個別経営体あるいは組織経営体という考え方の、この点に関して、実を言いますと、これは農業基本法の思想の延長というふうに考えられる点もあるのですね。 といいますのは、農業基本法では、御承知のように、自立経営の育成と協業の助長ということを農業構造政策の中心に据えました。もう一度申し上げますが、自立経営の育成と協業の助長でございます。本日、先ほど今年度の農業白書の御審議があったそうでございますが、農業白書などでは自立経営農家というふうにこれを言っておりますけれども、法律上は自立経営の育成。 その自立経営の育成ということを言いましたときに、これは基本法の前提になりました農業基本問題調査会での論議を集約した本が出ておりますが、その本を拝読いたしますと、その中では、従来の農家というのはともすれば家父長制的家族経営である、これからの家族経営は近代的家族経営でなければいかぬと書かれております。近代的家族経営というものを表現するために、それに同時に「所得の目標」というものを入れまして、「自立経営」という言葉をお使いになっていらっしゃったわけですね。 今回の個別経営体という概念、これの中身を拝見いたしますと、他産業勤労者並みの労働時間、労働環境、そして同時に生涯所得として他産業勤労者の賃金所得との均衡を農業所得で上げるように、それも主たる農業従事者が上げるような経営を目指すのだということをおっしゃっています。あの中身を拝見いたしますと、他産業勤労者と同等な労働時間、労働環境、これを強調されている。つまり、そこで言われでおりますのは、農業基本法の基本問題調査会の論議のときに非常に強調されました家族関係の近代化、そっちの方向を推し進めていかなければいかぬ、農業経営も近代的な家族関係の中でやらなければいかぬ、この方向を、より今日的な条件の中に合わせて表現したというふうに評価できるのではなかろうか。 その意味でいいますと、土地利用型農業の担い手というものをどうつくっていくかということに関しましては、この点だけは基本法の延長線上に現在の個別経営体あるいは組織経営体の議論というのがあるというふうに理解していいのではないかと私は思っております。言葉の使い方は私は余り賛成ではありませんけれども、しかし中身としてはそういうことではなかろうか、これが第一点でございます。 第二点の土地利用型農業の将来展望。 将来は組織経営体が展開していって、有限会社なり株式会社なりに、家族経営が否定されましてそこに行くのではなかろうかという問題の御指摘がございましたが、私は家族経営の中身がそういう形でもって、近代的な家族関係というものを前提にした家族経営というものが日本の農業を担っていくような形というのはそうそうは崩れてはいかないのではなかろうか、やはり主体は家族経営が中心になりまして農業構造がつくられておりまして、それを補強するものとしていろいろな法人形態というものが生まれてきましょうけれども、法人形態それ自体が支配的な経営様式になる、経営形態になるというふうには見ておりません。農業の特性からいいまして、将来ともやはり家族経営というものが、何といいましても農業の労働過程の中では時間に拘束されない——生命現象を相手にするわけですから、時間に拘束されるような形での労働環境の中ではなかなか農業は担えない。やはり家族経営というものが中心になっていくのではなかろうか。しかし、その中で特に労働生産性なんかが追求できるような、そういう分野につきまして法人形態のものが一部伸びていく。支配的なものはやはり家族経営になるのではなかろうか、そういうふうに見ております。 それから、組織経営体の問題でございますけれども、家族経営も同時に、家族経営は常に安定的、持続的たり得るかといいますと、必ずしも、家族経営それ自体も非常に不安定な面があるわけですね。特に今日の家族経営は、いろいろ労働力の移動に伴いまして家族経営の安定性それ自体というものが非常に揺らいでいるというふうに言った方がいいかと思います。例えば現在五ヘクタール以上の経営でも、五年間の間にその五ヘクタール以上の規模を維持できているかといいますと、必ずしもそうではないわけですね。二割、三割の方は経営規模を縮小するというような形にならざるを得ない。その点は、例えば西ドイツなんかの五十ヘクタール以上なんかの経営に比べましてもやや不安定性を持っているわけです。 そういう意味での不安定性というのは、有限会社あるいは法人というような法人経営でありましても持ってしょう。持ってしょうけれども、法人組織というのは家族関係というような一つの枠組みの中に縛られない形でもって労働力を編成できるわけですから、その面でのメリットというものを持っている。また、そういう法人組織の組み方の問題でもって、近代的な家族関係に立つようなものを法人的な形でもって編成するというものも可能なのではなかろうか、これも考える。例えばフランスのガエックという共同経営の組織がまさにそれの代表だと思うのですけれども、そういったこともこれから、日本の家族経営が今のような形の家族経営ばかりだとは限らない、そういう法人形態をとった家族経営という形で存続していくということもあり得るのではなかろうか。法人だから不安定ということもないというふうに言っていいのではなかろうかと私は思っております。
○須佐参考人 簡潔にお答えいたしますが、三点でございます。 まず、市町村の行政の役割が大変だろうという御指摘、私はまだこの法律案の内容等について熟知いたしておりませんので、明確にお答えするわけにはまいりませんが、確かになかなか、市町村の事務というよりも住民の側、農民の側のいろいろな自主的な計画、発想というものが本当に行くだろうか。結局行政がお手伝いして計画をつくらせ、行政が認可するというようなことになってはこれまた大変なことだなという思いがいたしますけれども、この点は、いろいろなこれからの行政指導を待ちながら、それぞれ適切な対応をしていかなければいけないと思っておりますが、職員教育は大変だぞという思いはまずいたしております。 第二点の耕作放棄地の問題でございますが、これは二つ問題があります。一つは、お手元の資料の四ページのところに集落の再編成を行ったことがメモいたしてございますが、これをやらなかったら恐らく相当の耕作放棄地が出ただろうと思います。これは行政サービスの行き届かない地域の集落をまとめて村落の中央に移転し、通勤農業を行わせて、今挙家離村はないわけであります。それをやらなかったら恐らくあの山地の農地は捨てられただろう、こんなふうに思いますとき、これを実施してよかったなと思っております。 今農水省では、この集落再編成の問題を国の補助事業としてお取り組みになるということを聞きまして、大変よかったなと思っておりますし、こういう政策が完璧に行われることによって山地の農家が救われるのではあるまいか、こんなふうに思っております。 それからまた、もう一つは基盤整備を行ったことでございます。基盤整備を進め、どんな山地の農地でも全部農道を舗装して整備した、こういうことによって、農地が捨てられない状態が今日の姿においてあるということであります。私はこれを実行したことが村の百年の歴史の中で最大の出来事ではなかったかな、こんなふうに評価をしながら、農地が今日守られていることにうれしさを禁じ得ないのであります。 三つ目のリーダーの問題については、これは特別な手法など私はやっておりません。先ほどもお答え申し上げましたように、二十一世紀委員会の若者等のいろいろな意見を聞きながら、彼らの求めるものは何かであります。行政が住民のためにするのではなく、住民が何を求めるかにこたえていこう、このことを通じて若者たちにもそれぞれの責任ある発言を求めながら、また行政もきちんとそれに対応する、このことが結果的にリーダーの育成につながっていくのではあるまいか、このように考えております。特別な手法などございません。 以上であります。
○笠井参考人 農業の将来的な展望ということでございますけれども、それから二番目が雇用問題はどうなっているかというようなことでありますので、関連するので二つ一緒にしたいと思います。 日本型の規模拡大というのは、雇用を中心にした経営というのでは日本型稲作経営はうまくいかないのではないかと私は思います。したがって、自家労働力を中心にした最大限の経営はどのくらいか。これは経験からいって一人最高十ヘクタール、したがって家族二人以上であると二十ヘクタール、私は現在四十ヘクタール以上やっていますけれども、それは先ほど発表ありましたように水稲が半分、小麦が半分です。したがって、作物を変えることによって経営を倍にすることができるということで、まず自家労働力を中心にした我が国の規模拡大の理想的な体系というのは、そういうぐあいに一人十町歩、だから夫婦で最高二十町歩、それを転作を入れて他の作物と組み合わせるとそれを倍にすることができるということが日ごろ私の考えていることであります。したがって、忙しいときには多少、一部雇用を入れるという程度でやるのが一番いい日本型の経営ではないかと思います。 ちなみに、農業を極端に強くしなければならないということで資本力を投下した株式経営になると、それはそこの農業の部分では強くなると思いますけれども、農村社会というものはどうなるかということを考えると、やはり日本型の土地利用型農業というのは、そういう自家労働力を中心にした最大限の規模拡大というのは一番望ましい体制でないかと私は思っています。 それから、最後の方の経営と後継者対策でありますけれども、特に土地利用型農業というのは、家族経営であっても後継者が好きでないと、特にきつい、汚いというような仕事であるということで、なかなか長男だから跡を継ぐというような状態には、まあ現状では大体そういう状態になっているわけですけれども、将来的にはあるいはそういう状態にならないのじゃないか。したがって、法人化して、自分の後継者でなくてもちゃんとした経営体であれば跡を継げるような体制に、将来的にはそうなるのじゃないかと思っております。ところが、現状ではまだ家族経営中心の体制で来ておりますので、なかなかそこまで行くような体制ではないということでありますけれども、将来的にはそういう法人化した体制でないと、農業というのはなかなか後継者が育たないということを感じております。 以上であります。
○石橋(大)委員 時間が参りました。ありがとうございました。
○平沼委員長 倉田栄喜君。
○倉田委員 公明党・国民会議の倉田でございます。お三方の参考人には大変示唆に富む、また心に響く御意見を承りまして、大変ありがとうございました。お話に関連して若干質問をさせていただきたいと思います。 まず梶井参考人に、参考人の話の中で、いわゆる農地保有合理化法人の事業内容の拡充であるとか、あるいはまた関連するのだと思うのですけれども、農業生産法人の構成要件の緩和等々については評価をする、その趣旨のお話がございました。この農地保有合理化法人の拡充であるとか、あるいは農業生産法人の構成要件の緩和に関しては、いわゆる自作農主義の観点から大きな影響を与えるのではないのか、こういう見解もあるのかと思いますけれども、この自作農主義ということと新政策、どのようにお考えになっておられるか、この点をまず一点お伺いしたいと思います。 それからあと一点でございますけれども、参考人のお話の中で、効率的、安定的農家の育成ということに傾斜し過ぎているのではないのか、地域農業全体の生産性の向上を図っていくべきではないのか、こういうお話がございました。この点は、私はある意味では高齢者であるとか女性であるとか、もっと多様な担い手を考えていくべきではないのか、こういうお話の趣旨かな、こういうふうにも考えたのですが、私も全くそのとおりだという気がいたしております。 同時にあわせて、私たちは農業の持っている多面的な機能、治山治水あるいは環境保全、こういうことを盛んに論議をしているわけでございますが、新政策について、農業の持っている多面的機能、これを支えている人たちはどうなんだという視点がないのではないのか、こういう気持ちを持っているのですが、この点について梶井参考人、どのようなお考えをお持ちなのか、まず梶井参考人からお伺いをさせていただきたいと思います。
○梶井参考人 自作農主義の問題でございますけれども、私は、先ほども言いました四十五年の農地法改正以降は、農地は耕作する者が所有するのを最善と認め、という農地法の第一条の文句は残っておりますけれども、効率的利用ということを強調して借地容認という方針を打ち出しましてから、必ずしも現在の農地行政は自作農主義に拘泥はしてないのじゃなかろうかというふうに理解しております。むしろ耕作する者の農地の利用関係を拡充していく、ここのところに力点を置いているわけでございまして、これは人によりますればむしろ自作農主義は耕作者主義だという言い方も出てくるような形になっております。 それで、現時点でいいますと、先ほどこの売買というような点も、いろいろ青森の方なんかでは問題にされておりますけれども、大勢としていいますと、やはり借地中心での構造改革、構造変動、これを進めざるを得ないのじゃなかろうか。そういう点でいいますと、自作農主義よりは耕作者主義という形でもって農業の生産体制をつくり上げていく、ここのところにこれからの政策のポイントを置くべきじゃなかろうか、こういうふうに考えております。 零細所有、零細経営から、零細所有、大経営ということを私は先ほど言いました。まさに零細所有を前提としての大経営というのは借地を前提にしませんといけません。自作農主義ではなかなかもたないというふうに私は考えております。 〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕 それから、第二点の農業の多面的機能を支える主体という問題でございますけれども、その点は、特定農山村の法律の方に関しましては特にその点を非常に重視しているのじゃなかろうかというふうに私は理解しております。特に、特定農山村での主要な産業が農林業である、農林業を健全に維持していく中でもってその特定農山村の活性化を図っていこう、従来のような形でもって、例えば過疎だから何かの非農業の事業を呼び込んでそこで活性化を図るということじゃなくて、あくまでも農山村での主要産業である農林業を中心にしてこの活性化を図っていこうということは、そこで農林業を支えている人たち、この人たちが、それでしかもあの特定農山村のあたり、早く読んで条文はよく覚えておりませんが、例えば地域資源の保全というのに配慮しながら事業をやっていくんだよということが、あの第三条の中なんかでは特に明記されております。そういう点でいいますと、今度の特定農山村の活性化法、これは特に今御指摘の農業の多面的な機能を担う主体というものを大事にしていく、この点に配慮しているのじゃなかろうか、こう私は考えております。 なお、農業経営基盤強化法の中でも、市町村が市町村のそれぞれの条件に応じて経営類型を策定していくというところにポイントが置かれております。あの市町村基本構想の中でもってそれは書くことになっている。そういう中でもって、当然この農業の持っている多面的な機能というものも配慮しながら、これをベースにしながら市町村は経営類型をつくっていくということになるのだというふうに思っておりますけれども。
○倉田委員 大変ありがとうございました。 それでは、須佐参考人にお伺いをしたいと思います。 先ほど、参考人から入広瀬村の現状をお話しをいただきましたけれども、これを見ますと、土地利用区分は水田が三百十一ヘクタール、畑地が六十九ヘクタールというふうに書いております。今、新農政の中で、いわゆる優良農地で米をつくっていこうという一つの方向性があって、この中山間地域の稲作というのがどんどん切り捨てられていくのではないのか、こういう議論もあるわけでございます。この点について、例えば条件不利地域において稲作が果たしている役割をどのようにお考えになっておられるか、これをまず一点お伺いしたいと思います。そして同時に、新政策で入広瀬村においては稲作をきちんとやっていけるのかどうかということも、あわせて御開陳いただければと思います。 それから、あと一点。いわゆる中山間地域において高付加価値型農業ということが打ち出されているわけですけれども、これが果たして現実問題として、机上プランだけではなくて現地で実際に行われても可能なのかどうか、この点もお尋ねしたいと思います。 最後に、三つ目ですが、村長さん、いろいろな意味で農村の活性化ということの具体的なプランを練られております。お話の中で、農地が崩壊をしたときに集落の灯は消える、こういうお言葉がございましたけれども、私もまさにそのとおりだと思います。いわゆる中山間地域、居住空間としての中山間地域をどうしていくのかということの御工夫かと思いますけれども、現実的には過疎化ということがどんどん進行していく。この点について、入広瀬村だけではなくてほかの中山間地域についても、どのようなお考えを持っておられるのか。 三点、簡潔にお答えいただければと思います。
○須佐参考人 お答えいたします。 私は、申山間地というのはいろいろあると思います。本当に千差万別だと思いますけれども、先ほども申し上げましたとおり、中山間地域というところの圃場整備率が何%かといえば、新潟県では三十数%、こういう状態であります。 さてそこで、稲作というものをどう考えるかという冒頭のお尋ねでございますが、私は、稲作が山村で切り捨てられたら、もう農村は消えてしまうだろうと思います。やはり、どんな条件下にありましても、稲作をやっていくということは大切なことであります。農地を捨てたら集落の灯は消えると申しましたのは、私の言う農地というのは水田でありますが、それは国土の崩壊を意味するのだ、こういう意味で申し上げたのでありますのでありますから、何としても稲作農業は守っていかなければいけない、崩壊するような状態になったら受け皿をきちんとつくって守らなければいけない、こういう認識を持っております。 それから今、居住空間としての云々というお話がございましたが、これから本当に大切にしたいと思いますことは、農村の、中山間地の美しい田園風景を守ること、これがなかったらどうにもならないと思います。今言うグリーンツーリズム事業でございますとか、山村で休暇をと申しましても、農地が荒廃した状態の中で何の政策がございましょうか。私は、それ自体がもう農村放棄の政策になると思うのであります。ですから、農村の集落の灯を消さないこと、それは農地を守ることであり、水田農業を守ることなのだ、私はこんなふうに受けとめております。 転作といいましても、あるいはまた特別な付加価値農業といいましても、先ほどクワイのお話を申しましたが、それとて絶対のものではありません。しかし、そういうふうな試みをしながら、美しい田園風景を守る、農村の灯を消さないために田地を守るのだ、こういう取り組みが山村の最大の課題だ、こういう認識を持って今取り組みを進めております。 〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕
○倉田委員 あと一点、高付加価値型農業については。
○須佐参考人 今申しましたように、高付加価値型農業といいましても、我が村の実践例からいえばクワイの栽培等であります。中山間、圃場整備の進まないところで付加価値の高い農業と言ったところで、それは絵にかいたもちになりかねないと思うのです。問題は、きちんと整備された田園風景の中に、いかにして集落の灯を消さないようにするのか、それは先ほど来申し上げたことに尽きるわけであります。なかなかそう簡単に絵にかいたようにはまいらぬ、それが中山間地の実態ではあるまいか、こう思っております。
○倉田委員 大変ありがとうございました。 最後に笠井参考人にお伺いをしたいと思います。 先ほど、「農の岸国へとどけよ生のまま」ということでございました。確かに生のまま届いていない面が、あるいは生のままの声を委員会で議論していない面があるのかな、そう思いながら、参考人のお話を聞かせていただいたわけでございます。 そこで、参考人にお尋ねしたいことが三点ほどございます。 笠井参考人のところは四十二ヘクタール、かなり大規模だなと思ったわけですが、一般的に、規模を拡大すると、例えば時間もかかる、それから圃場移動のための燃料もかかる、いろいろな指摘がなされているわけです。もちろん、一カ所に集中的に圃場というのを確保すればその問題は解決するのだろうと思いますが、果たして規模拡大ということが、一走の優良農地を一定の地域に集積をすることができるのだろうか、こういうふうに実は問題意識を持っているわけです。この点についてどうお考えになるのか。 そしてまた、御自分がもうここまでやっておられるのですから、なかなか難しいのだと思うのですが、規模拡大について、適正な規模というものもあるのではないか、こう思うのですが、この点はどう考えられるか。 そしてさらに、いわゆる価格の抑制的傾向というのは、規模を拡大すればするほどデメリットの場合も、不利益を多く受ける場合もあり得るという指摘もされているわけでございますので、価格政策について、参考人の御意見があったらぜひお伺いをさせていただきたい、こういうふうに思います。 それから、お話の中で、哲学を持たない農政ではなかったか、こういうふうな御指摘もございました。今の私の質問と関連をするのですけれども、いわゆる新農政がどうも効率性、安定性が第一義的に来ているような気がするのですけれども、安全性という側面から、規模の拡大が果たしてうまく両立できるのかどうか、これも、もしお考えがあればお伺いをしたいと思います。 最後に、農地の流動化について、出し手を中心とする政策が必要なのではないか、選別ではなくて選択ができるような政策が望ましい、こういうふうなお話でございました。笠井参考人に、具体的な施策としてお考えになっていることがあれば、あわせて御開陳をいただければと思います。
○笠井参考人 最初に、規模拡大が進むと広い農地なので分散地ができてくる、それを一カ所に集約するのは非常に難しいのじゃないか、そのとおりであります。したがって、なかなか容易に理想的な状態にはならないわけですけれども、ただ問題は、分散地でも今は機動力でございますので、皆さんが思うほどには効率が悪いという状態ではないと思います。ちょっと走るとすぐ隣へ行けるというような状態でありますので、確かに一カ所にまとまるということは非常にいいわけですけれども、それほどマイナスになるというような状態にはないと思います。 そういう点では、私がさっき申し上げましたように、農地の流動化というのは、今までだれかが貸したい、売りたい、では私が買いましょう、そういうような自然発生的な状態から、これからはそうではなく、地域全体で、こういう場合に農地の利用調整を図りましょう、そういうような方向に行くと理想的な経営形態ができるということで、できるだけそういう方向に制度が手厚い助成をすると動きやすいということだと思います。 それから価格面ですけれども、私は、日本の土地利用型農業では、稲作だけが水余りという状態、小麦、大豆は少ないという状態、これでは非常に困ると思います。したがって、農家がこれから規模拡大が進むと、私は先ほど発表で稲作半分小麦半分と言いましたけれども、規模拡大が進まないのでできるだけ高い作物をつけるということで稲作に集中するわけですけれども、二十町歩、三十町歩ということになると、農家自体が作物を組み入れてつけるようになるのではないかと思います。そうすると、稲作が突出する価格政策ではなく、農家が稲をつくってもあるいは小麦つくっても、大豆をつくっても、ああ、そんなに差がないよというような状態にすると、あるいは非常によい状態になるのではないかと思っております。そのために、大豆、小麦の国内自給力をもっと高めるというような政策も必要だと思います。そして、米を多少セーブするというのは、これは国からセーブするというよりは、農家自体が規模拡大によって自分でセーブするというような状態になった方が理想的ではないかと思います。 それから、規模拡大と安全性ということでありますけれども、そういう考え方の発想からすると、農業問題を生産者という感じでとらえるとこれからはうまくないということで、農業問題をひとつ消費者を含めた農業問題ということでこれから議論してもらわないと、我々はどうしても効率性を求められると、そういう安全性という問題が薄れてくる。だから、そういう問題を消費者にも、農業者的でなく、消費者的な農業サイドを国の立場からもう少しアピールしてもらうと非常に我々も助かるということで、これからはひとつ消費者を含めた農業問題ということを絡めてお願いしたいと思います。 以上です。
○倉田委員 出し手の側で何かお考えですか。
○笠井参考人 保出し手ですけれども、先ほども申し上げたのですけれども、今我々の周辺の農村の現場では、まだまだ出し手というのは非常に少ないわけです。だから、出し手をどういうぐあいに喚起するかということを我々は非常に苦労しました。 ところが、例えば小さい集落で、田んぼを売るというのは非常に抵抗があるわけです。あっ、あそこで田んぼを売ったというような。だから、売りたくても売れないという状態があるわけです。したがって、そういう状態を緩和するといいましょうか、集落全体で農地の集合事業をやるということになって、いろいろ話ししたら、いや、そういう状態ならわしは田んぼ要らないよという人が十一人できたわけです。普通の状態であると、三年に一回ぐらい一人しか出ないわけです。ところが、集落全体で話ししたら、いや、それはわしは田んぼなくてもいいよという人が十一人いた。だから、そういう話し合いの場をどんどんつくって農地を動かしやすいような状態にするのが、出し手を喚起するということだと思います。 以上です。
○倉田委員 大変ありがとうございました。以上で終わります。
○平沼委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 きょうは、参考人の皆さん本当にありがとうございます。特に、新潟から、そして青森からはるばるありがとうございました。現地の皆さんのお話を聞いておりますと、私は本当にもっともっと時間をとって、もっといろいろとお伺いしたいという気持ちでいっぱいになりますし、農の心というのでしょうか、そういうものに出会ったような気がいたしまして、とても深い感動を覚えます。 笠井参考人は、我が国の農政に哲学なし、ひもじさを忘れた人の農政だと、大変厳しい批判をされました。私も実はそういうふうに思っております。自給率をあいまいにし、食糧の安全保障という問題を他国に依存をしていこうとするその政治の未来に農業はないと考えております。私は、今回出された新政策で何が一番問題かというと、繰り返し私はここの場で言っておりますが、実はそこのところの本当の分析がない。だから、るる日本の農業がいかに今困難な状態になっているかということについては言葉が並んでおりますけれども、本当にそこのところをよく反省をし、そしてそこをやはり切りかえていく政策の転換がなければ、本当の農業の未来はないというふうに考えているところでございます。 皆さんにお答えをいただきたいところでございますが、笠井参考人と梶井先生はどういうふうにそれをお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
○梶井参考人 ただいまの御質問は、本日かかっております、意見を求められております三つの法律に必ずしもかかわらないでという御質問だと思いますので、私も法律にかかわらずに申し上げますけれども、私、現在の農政でもって一番欠けているのは、本当に基本的に日本の農政をどこへ持っていくのかという点がはっきりしない点だと思います。 新農政で示されましたあの基本方向の中では、非常に厳しい国際的な食糧需給の動向なり何なりを分析してあります。あるいは、従来の効率追求の農業生産のあり方を反省して、環境保全型の農業の確立をやっていかなければいかぬという点の問題の御指摘もございます。そういう方向でいくといたしますと、私は、これからの日本の農政の基本は、安全な食糧を安定的に、そしてでき得べくんば効率的に供給していく、これが農政の基本に据えられなければいかぬ、こう思うのでありますけれども、残念ながら新農政の方向の中ではその順序は逆になっております。まず効率的生産に努めて、内外価格差の縮小に努めつつ、国内農業資源を使って安定的に供給し、そして消費者の立場に立って安全な食糧を云々、これを食糧政策の基本にするんだというふうな表現になっておりました。私は、まさにその順序をひっくり返すことから日本農政の立て直しを図っていかなければいかぬのじゃなかろうかというふうに思っております。 その点でいいますと、例えば長期見通しの中で、五百万ヘクタールというふうな耕地でもつて、食糧輸入がゼロでありましても、でん粉質食糧にこれを転換することによって国民一人一日当たり二千キロカロリーの栄養供給は可能になるというふうな見通しも発表しております。しかし、それをベースにするのであれば、端的に言いまして、その五百万ヘクタールはどこでどういう形で守っていくのか。例えば、中山間の問題がございましたけれども、中山間での水田というふうなものも五百万ヘクタールの中では随分大きなウエートを占めているはずなんです。五百万ヘクタールの中に、例えばそういう中山間地の水田なら水田をはっきり位置づけて、どういう形で守っていくんだ、それを明確にしていくことが基本ではなかろうか。 そして、その場合には、日本農業として守っていくべき基本的な作物というものはおのずから出てくると思うのです。その価格政策というものは、常に供給政策に連動して価格政策が決まってくると思います。例えば、米は一千万トン供給しなければいかぬのだということであるといたしますと、一千万トンをいかにして確保するかということによっておのずから米価は決まる。麦も、例えば何百万トン供給するんだということが政策として確定しておれば、それに基づきましておのずから価格というものは決まってくるわけです。そこの点が非常にあいまいになっておるというところが、農政がはっきりした姿を見せないというふうに批判される一番のポイントではなかろうか、そういうふうに思っております。 以上です。
○笠井参考人 私にはちょっと難しくて答えになるかどうかわからないのですけれども、私の感じだけを申し上げますと、我が国の食糧の自給力というのは今非常に低くなっているということで、したがって、我が国は非常にいろいろな面で国の力、国力が強いというような感じを受けるわけですけれども、本当の国力というのは非常に低下しているのではないか。国民が何かあったときに果たしてどのくらいの食糧の自給力があるのかというと、三〇%足らずということは、最も国力の弱い国ではないかという感じを日ごろ持っているわけです。したがって、この国民全体のサイドから、我が国の食糧の自給力をどの程度まで高めなければならないかということをまず話し合って、そしてそれがこの程度だと決まると、それを達成するような制度、政策が当然必要ではないかと思います。 このままであると、だんだん食糧の自給力を上げなければならないといっても、制度、政策がないので下がっていくのじゃないかと私は思っているわけです。したがって、ちゃんとした目標を決めて、それに制度、政策をちゃんとつけないと、なかなか自給力というのは上がらないものではないか、私は日ごろそう思っております。そのために、今の新農政プランではそういう形態を育成するということでは、ある程度我々も非常に期待しているし、成果も持てるんではないかということで考えております。
○藤田(ス)委員 ありがとうございます。 それでは次の問題を質問をいたしますが、これも笠井さんは受け手より出し手なんだ、選別より選択なんだということを指摘されました。今回出されております農業経営基盤の強化関連法案は、要するに認定制度を創設し、それからそれに対する支援措置の仕組みをとっておりまして、その前提として都道府県の基本方針と市町村の基本構想がつくられていくわけでありますけれども、問題の一つは、その市町村の基本構想は集落の話し合いでなされるんだ、こう言っておりますが、実際にそれはそういうことにならなくて、上からの決定として農民に市町村構想が押しつけられるんじゃないか。 また、市町村が経営規模の拡大を図ろうとする農業者の策定した改善計画を認定し、その認定農業者に対して課税の特例、資金の貸し付け、あるいは研修等の実施というような支援策が組まれるわけですが、しかし一方では、その基本方針、基本構想にのらないそういう人たち、認定されない人たち、そういう農民がやはり選別されていくことになりはしないか、せっかくのこの集落の団結、そういう和やかな一つの固まりがそこでばらばらになりはしないかという心配をしております。これは既にいろいろ御苦労されていらっしゃる須佐村長さんにお答えをいただけたらと思いますが、あわせてこの問題は梶井参考人からも御意見をお聞かせください。 もう一つ、私は新政策の問題について、全国幾つかのところを歩いてみました。そこで出された問題は、大規模な経営体に生産を担わせることによって過疎化が進行し、地域の集落が維持できなくなる、そして畦畔管理だとかあるいはまた水路の管理が一層困難になるんだという深刻な疑問点が出されたわけであります。これについてはどういうふうにお考えか、これは笠井参考人の方に。それではお三人にお願いいたします。
○須佐参考人 お答え申し上げます。 新法におきましては、集落の話し合いを基本として、市町村計画というものがこれを認定していく、その基本的な方向等についての集落の話し合い、いろいろな計画というものが行政の中にあって実行段階へ行って曲げられはしないか、こういうふうなお尋ねでございますが、私ども、まだこの法律の内容等について詳細な行政上の指導等、あるいはまた内容等を熟知いたしていないわけであります。 私どもはそれぞれの市町村の行政の中で、これからは集落を維持するために、村落そのものを維持するために何をなすべきかということを真剣に模索をし、実行しようといたしております。その模索の中で、あるいは農地の基盤整備あり、あるいは集落の環境整備事業あり、もろもろの事業が出てくると思います。そうした問題をいろいろなこの行政ベースにのっけて実行に移していかなければいけない、そのいろいろな具体的な問題について、これからその法律の施行を待ちながら、いろいろな内容を熟知しながらやっていかなければいけない、こんなふうに思っておるわけであります。 そもそも私は、いつも住民との対話に申し上げておりますことは、村の政治とは何だ、これは住民に夢を与えることなんだ、同時にまた、この地域の、今あること、一年一年の集落の経過の中に変化を語れることが村の政治なんだ、町の政治なんだ、こんなことを常に申し上げております。これからの集落の話し合いの中に、集落のあるいは市町村の計画の中に、集落の変化を語れること、村の変化を語れること、そして住民に夢を与えること、こういうことにいろいろと考えを持ちまして、そうした考えの中で計画の策定を指導してまいりたい、また取り組んでまいりたい、このように考えております。 以上です。
○梶井参考人 私は、今回の市町村との基本構想、あそこで再三各集落の地域の実情に即してというような点が強調されており、また、集落での話し合いというのをベースにしてというようなことが再三強調されている、これは従来の農用地利用改善団体なんかの活動の経験というものを踏まえて、その活動をより一層活発化していく、これがベースにあっての考え方だろうと思うのですけれども、そういうことが十分にやられないようなところにつきましては、先生御指摘のような心配というのは多分に出てくる可能性は大いにあると思うのです。しかし、そうならないように、市町村なりそこの農協なり、あるいは農業委員会、普及所、これが本当に地域の実情に合って、その地域の農民の人たちが本当に選択して、自分が営農意欲を持って取り組めるような経営指標をどうつくれるか、そこのところに専らかかっていると思うのです。 そして、その営農指標に基づきまして、自主的に、これは頭から選別していくのではなくて、認定を求めて自分で経営改善計画をつくって持っていくわけですから、そこはまさに経営者の自主性というものが大前提になっている、ここのところはやはり十分に評価していいのではなかろうか。その上で、なおかつ今度の法案の中でもって、特定農業生産法人制度というものを創設するということがあるというのを私は重視するということを申し上げました。でも、本当にその地域の話し合いの中でもって農業生産法人が特定できる、これはまさに利用改善団体がやることになっておりますから、そういうふうな話が進められるような条件をつくっていきませんと、これはだめだと思うのです。まさにそれを進めるようなことを今度の法律はベースにしているわけですから、そういう点の心配があればあるほど、まさに地域の農民の自主性というものをいかに喚起していくか、ここのところは大事なポイントなんですよということを、私は行政当局も十分にその点は普及といいますか、PRしていく必要があると思っております。 同時に、もう一つ、これだけ日本の場合兼業化が進展しているわけです。兼業農家が圧倒的多数になっております。しかし、その兼業農家の中でも、こういう形の農業だったら自分は本腰を入れてやれる、農家としては兼業農家だけれども、その兼業農家の中の農業従事者はフルタイムでもって農業に頑張っておりますという方がたくさんいらっしゃるわけですね。そういう方々が営農指標に即して経営改善計画を立ててやっている。これは兼業農家であろうが、その人自身はフルタイムの農業就業者なんですから、その人たちに十分な活躍の場を与える、これが今回の非常に大きなポイントになるんだろうと思っております。そういった方々を、例えば共同化法人なんかでもって仕組んで、それが特定農業生産法人になるということであれば、地域の話は保非常にうまくいくのじゃなかろうか、私はそれを大いに期待したいと思っております。現実に兼業が非常に進化している中では、先ほど青森の方では集落での話し合いをやったら十何戸ですか、もうやめるという方も出てきておる。これはまさに兼業という条件が具体的にその人たちの生き方を決めていっているわけですから、その生き方が農地の利用という問題とどういうように関連していくか、その点を十分に話し合う中でもって、その点の御心配は消すことができるのじゃなかろうかと私は考えております。
○笠井参考人 農地の管理についてということでございますけれども、確かに今農村集落では、大体以前は八割、九割が農家、農民であるということで、全体がそれを維持管理するものというような認識でいました。ところが、今半分になり、将来は三分の一になるということになると、どうしても農業を続けていけないという状態があるいは出てくるんじゃないかということを痛感しております。現に都市の、町の近くなんかに耕作放棄地があるということは、それをやるためには人の分まで全部水路を掘り上げ、草を刈らないと水が流れてこないというような状態があるわけで、どうしてもそれは投げなければならないという、耕作放棄地という感じになるわけです。 したがって、農地の理念といいましょうか、考え方をこの辺で考え直して、例えば農地の多面的な利用ということでいろいろなことを唱える人はいっぱいいるわけですけれども、しからば農地の社会資本という理念を確立するということになると、まだなかなか踏み切れない面があろうかと思いますので、これからはまず、私の考えですけれども、とにかく農家が今基盤整備で非常に重い負担金を強いられておるわけですけれども、その中で、専用農地といいましょうか、永久農地といいましょうか、そういう農地と、それから用途農地、農家が何かに変更したいという用途農地、したがって、農家自身に用途農地にするのか専用、永久農地にするのかということを選択させまして、そして農家が専用農地あるいは永久農地として、ここは国民の食糧を供給する土地であるということを選択した場合には、当然これは社会的な資本であることを考えまして、もっともっと公的な維持管理負担をふやすべきだという考えを持っておりますので、ひとつその点を十分御検討願えれば幸いだと思います。
○藤田(ス)委員 大変残念です。誇れるふるさとということで大変創意を発揮していらっしゃる村長さんにぜひ聞きたいこともございました。梶井先生にもどうしてもお尋ねをしておきたい質問を残しておりますが、残念ですが、時間が参りましたので、終わらせていただきます。 大変ありがとうございました。
○平沼委員長 小平忠正君。
○小平委員 私は民社党の小平忠正であります。 きょうは御三方には本当にお忙しいところ、貴重な御意見、御出席ありがとうございます。梶井先生からは学者のお立場で貴重な御意見を拝聴いたしました。さらには、新潟から須佐村長さん、特に笠井さんにおかれては、今は春の春耕起ですよね。本当に水田、さらに畑作と忙しいさなかで、今一日でも現場をあけたら秋の収穫に影響する、そういう後ろ髪を引かれる思いで故郷を後にしたのではないかと思います。生産者の立場での生のお声、本当に貴重な御意見を拝聴しておりました。 そこで、今御三方はそれぞれ幾つかの問題点を指摘しながらも、基本的にはこの新農政に対して賛意を表し、また評価もされておるということでございます。しかし、私が今いろいろとお話をお伺いしておりまして感じますことは、日本の農業は一つではない、いわゆる地域によって、背景というか条件によっていろいろと違ってくる、これは当然であります。また、農業といってもお米だけではありませんから、また、品目というか種類によってもいろいろございます。そういうところで、笠井さんの立場では、規模拡大、そして収益を上げていくということが特に土地利用型農業では要求されている、しかし、そこには農政のいろいろな問題が立ちはだかって、価格政策も含めて問題を抱えている。また、須佐村長さんの立場では、いわゆる中山間地域というのは、単に収益を上げるというそのことよりは、その地帯をどうやって守って、先ほどから景観、いわゆる村を守る、村づくりを非常に主張されておりました。その村を守り抜いて、過疎から脱却して、日本の地方の村落というか集落を守っていくには農業は不可欠の産業である、それをいかにいろいろなことを包含しながら、そして産物については付加価値を高くして、生産者、農業者の地位向上を図るということではないかと思います。 今いろいろと各委員からも御質問等がありましたので、それに尽きると思うのですが、まだこれから委員会審議も残っております。この後また参議院へも送られていきます。そういう中で、この新農政を今推進するに当たって、それぞれのお立場の背景で結構ですから、まず簡潔に、どういうところに特に留意してほしいということをそれぞれ御三方からお伺いしたいと思います。
○梶井参考人 新農政全般につきましては、私は先ほど藤田先生ですかの御質問にお答えしましたような点が、新農政全般についてはそういうことでございます。 特に今問題になっております農業経営基盤強化促進法、この問題に関して言いますと、私は、一番中心的なポイントは、先ほども御質問がありましたが、市町村での基本構想のつくられ方が非常に大きな問題になってくると思います。その意味で、それを進めるに当たりまして、市町村はもちろんでございますけれども、農業協同組合あるいは農業委員会、それから改良普及事務所、そういったものが本当に協力をし合って地域の実情に合った経営手法をおつくりいただく、ここのところがスタートでございますから、これが一番大事なポイントではなかろうか。 それで、その上で、各集落での十分な話し合いの上でそういう経営手法をうまく使いこなして経営を伸ばしていける、そういった経営主体というものは自分の集落だったらどういう方々がなっていくのだろうか、こういう話し合いを十分に進めていただく、ここのところが一番大事なポイントではなかろうか、こう思っております。
○須佐参考人 お答え申し上げます。 私のこの中山間地域活性化という法律の政策への注文といいますか、また、これの法律に対する所見というようなものについては、お手元に資料として項目をメモして差し上げましたとおりでございます。 要するに、山村にはまだ賦存する資源というものは非常に多くあります。それは土地あるいは自然条件、今はもう、豪雪といって雪に泣いた地域が雪が財産になった、雪がなければ地域の活性化はない、こんなふうに時代は変わってまいったわけであります。それらもこれからは資源である、資源としてこれをとらえるというような時代に変わってまいりました。でありますから、未利用の土地等の資源を有効に活用しながら、置かれている環境を最大限に生かしながら地域に活力をはぐくんでいくこと、これ以外にないのではないか、こんなふうに思っております。 先刻来申し上げておりますように、農地の基盤整備でありますとか、あるいはその有効な活用であるとか、あるいは雇用の場を拡大することとか、こういうふうなもろもろの問題を、本当にただ単にソフトの計画をつくってそれでよしとするのではなくて、ハードの面に、それをどう実行に移すかという行政のきちんとした対応、それはただ単に農林省の事業だけではない、通産行政あり、自治省、いろいろな行政の支援もなければいけないと思うのであります。問題は、中山間地域の活性化のためには——また政策というものが一たんスタートしたら後退は許されないのであります。私は、政策の継続性がなかったら行政はやっていけないと思っております。その意味において基金の設定等を進めておるわけでありますが、これからはひとつ中山間地域活性化のそうした政策の継続性を保証するような、そういうふうな支援というものがあっていいのではあるまいか、こんなふうにも考えております。 おっしゃるように、先生御指摘のとおり中山間地は千差万別であります。しかし、ほとんど多くが、私の知る限りにおいては我が村と同じような苦しみの中にある、このように認識をいたしております。幸いにして国、県の行政というものも大変濃密なものになってまいりました。我々は、これは行政の場にある者としては、今は知恵比べの時代だ、こんなふうに思っております。大いに知恵を出しながら、住民の求めるものは何かを肌で知りながら、具体的な地方行政を描きながら取り組みを進めてまいりたい、そのための支援をこの新しい法律に求めたい、こう考えております。 以上であります。
○笠井参考人 今、農業で何が一番大切だと思いますかという、いろいろな問題があるわけですけれども、一番大切だということになると、私は、我が国の農業というのは、代表するのは土地利用型農業をどうするかということが一番だと思います。 そうすると、土地利用型農業の体質をどういうぐあいに強化するかということをまず考えると、先ほども申し上げましたように、優良農地をどういうぐあいに流動化していくかということがこれからの課題だと思っております。そして、経営体が十ヘクタールから十五ヘクタールぐらいを達成したときには、我が国の農業もそれほど競争力では負けないのじゃないかということで、自由化の是非を議論する前に、我々が地元で競争する力をつけるということが一番大切じゃないかと思っています。 参考までに、私、三年ほど前にアメリカへ研修に行って、四百ヘクタールの農家へ研修に行ったのですけれども、年収が、所得が一千五百万程度だということで、大した所得じゃないなということを感じましたので、十ヘクタール以上の土地利用型農業が確立されたときには相当な競争力になるということを確信を持って、そういう体制を一日も早くつくれるような制度、政策をお話ししてもらえれば幸いだと思います。
○小平委員 どうもありがとうございました。 それぞれお三方から御意見いただきましたが、この新農政の展開の中で優良農地のことだとか、あるいは地域の問題、お話ございましたが、今いわゆる法人化という問題がございますね。法人化するということは、新農政の中で一般的にそう言っております。しかし、農業の中でも、品目によっては法人化しやすい分野、あるいはどうしてもこれは個別でした方が効率がいい、そういうものがあると思うのです。それはもう皆さんも、そういうものを実践しながら、または御指導しながら、そのことは感じておられると思います。 私は、心配というか危惧するところは、今法人化を進める、また企業参入のことも歯どめをつけながらもやっていく。しかし、私も前からこのことを主張しておったのですけれども、企業の潤沢な資金力でこれを席巻するおそれが特にある、これをしっかりと投資の段階からチェックせなければならぬ、そういうことですけれども、それと同時に、同じ法人化といっても、その規模でまた違うと思うのですね。言うならば大手、例えば話をちょっと変えて言いますと、お店屋さんでスーパー的な法人化と個人商店の法人化、個人商店でも法人がございますでしょう。だから、本当に有志が、農家の皆さんが何人か集まってやる形の法人化、あるいは企業が背景にいてやる、また農業者を前面に出してやる大きな法人化、当然商品の流通においてもいろいろな資材の関係あるいは流通費の関係等で大手スーパーはどうしても有利な点がありますし、コストも低減してくる、そういう問題があるのですけれども、これが農業にも入ってきましたら、今、須佐村長さんが訴えておられた地域を守るんだというそのことが、全国的な企業の思惑によってその地域の特性というものが失われて、ただ経済効果だけを利して進んでいったら、これはやはり地域の崩壊であり、また農業の崩壊につながる、こんなふうに私は危惧をしております。 そういう意味で、今回十から二十ヘクタールという、これは稲作を中心にしたということでのこういう規模拡大をうたっておりますけれども、これは特に笠井さんと梶井さんにちょっとお伺いしたいのですが、今の稲作経営で法人化というもの、今後これをさらに進めていくことをどう考えておられるのか、そこのところを私が今申し上げたような観点で、違ったお考えがあるかもしれませんけれども、御意見をお伺いしたいと思うのです。
○笠井参考人 私も、まだ法人化についてはそれほど勉強もしておりませんので、感じとしてということだけと思いますけれども、まず法人化することによって、対外的なそういう経営の体制が整うという面があろうかと思います。 ただ、組織的に大きい法人化をすると、あるいは集落といいましょうか、なじまないというような感じがまだあるのじゃないかということで、私は稲作を中心にしているわけですけれども、恐らく稲作の場合は、家族経営的な法人化とか、それをちょっと上回ったような法人化という程度の法人化の方が、あるいは農村社会あるいは集落を維持、守るということでは好ましい状態で進むんじゃないかと思います。そして、例えば株式のような大きい資本力を持った法人が参入してきて農村が崩壊するんじゃないかというような心配もあるようですけれども、私は、稲作農業は、そういう資本力を持った投資の農業はリスクが大きくて成り立たないというような感じを持っています。 というのは、企業経営であると年間の収入は年間を通して得るわけですけれども、稲作経営というのは短期間に、田植えが一週間か十日の間に一年の経営を左右するというような危険な作業なわけで、そこに資本力を投資して農業経営をやると言っても、それは経営者よりも労働者の方がはるかに強いということで、リスクが非常に大きいということで、そういう点では、資本力を持ったこの農業経営というのはリスクが大きくてなかなか手が出せないという面があるんじゃないかということを感じています。
○小平委員 簡潔で結構ですから。
○梶井参考人 私は、法人化の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、原則的にいって経営形態の選択というのは経営者に任せるべきだ、その意味で、家族経営ばかりじゃなくて法人にも道を開いておく、これは必要だというふうに思っております。 それで、今回の法人の要件緩和につきましては、事業要件の緩和というのは、法人で働いている人たちが周年労働を確保するためには、やはり必ずしも農業ばかりじゃやっていけない、農林業ばかりじゃやっていけないという問題があるわけですから必要な改正でございますし、それから、構成要件の改正につきましてはかなり限定がついている。先生御心配のような形での農外資本のいわば支配というふうなもの、これは形式上は起きないような形になっております。 今回の構成要件の緩和で、法人の中で多額の資本シェアを持つ可能性が一番あるのは、むしろ農地保有合理化法人が農地の現物出資をやった場合に、やった直後には農地の評価額いかんによりましては相当大きな資本のシェアを持つことになります。しかし、それは持ち分権をすぐに構成員に移転してということが前提になっているわけです。それからまた、保有合理化法人そのものの性格として、経営支配ということにはなかなかいかぬだろう。また、農協もしかりだと思います。 問題は、企業その他の参加でございますが、これもかなり限定がつけられておりまして、「法人の事業の円滑化に寄与する者」、これは企業の場合、そういう形で限定がついている。そういう点で言いますと、今回程度の事業要件の緩和であれば、今の実態に即して言いまして、そういう心配は余り必要ないんじゃなかろうか。しかし、実際は、だからその点で、法人経営に対する常時の指導、議決権の数以上に実際の経営の発言権というのは資本の場合には強い場合がございますから、そういうことで経営が揺るがないような形に持っていくことが必要であろう。 それから同時に、やはり一番の問題は、農外資本の場合に、農業経営をやりますという形で入ってきながらこれを土地取得の目的で入ってくる二とをいかに排除するか、ここのところが最大のポイントだと私は思います。そういう点で言いますと、今程度の形で抑えておく、それで農外資本には農地の利用権、これを排除していくことの方が必要だろう、こう思っております。
○小平委員 それでは、最後に、農業を実践しておられる笠井さんにお伺いしたいのです。 御説明によりますと、四十二ヘクタール、自作地が二十ヘクタールで借地が二十二ヘクタール、また水稲がそのうち二十二ヘクタールで小麦が二十ヘクタール。ということは、やはり稲作農業の中では我が国としては大規模な理想的なことだと思いますので、御参考までにお聞きしたいのです。 まず、借地が大体半々と言われましたけれども、それは、水田、畑地、どういう比率で持っておられるのか。小麦が約半分つくられておりますけれども、それは畑地なのですか、それとも水田の転作なのですか。そこのところですね。それと、借地、自作地の比率はわかりましたけれども、そのうち水田、畑地、それはどういうふうになっているのか、比率の問題。 それと、先ほどから価格政策のことをお話ししましたけれども、お米を笠井さんのところでは、自主流通米、政府米あるいは他用途米といろいろございますけれども、青森県五所川原ですか、主にどういう生産体系をとられておられるのかという問題。 それと、当然土地改良、基盤整備はされていると思います。これだけの大規模な面積をやられているのですからね。それに事業費の返済、これが経営に大きな負担となっておられないかどうか、そういう状況。そこを差しさわりのない範囲でひとつお聞かせ願いたいと思います。
○笠井参考人 私の場合は全部水田であります。水田を作付することができないので転作したという状態であります。したがって、集落では、比較的規模の小さい農家は水稲を作付すると収益性があるのでどうしても転作はしたくない。規模が進むと、作付を変えるとより多い面積を耕作することができるということで、私は積極的に転作を取り入れたという状態。したがって、集落全体では非常にうまくいったという状態であります。そして、私の場合は、転作が大体半分半分であります。毎年私の作付は違うわけです、例えば売る面積、貸す面積、そのほかに集落で毎年交換耕作ということをやっていますので。 土地改良費は非常に重い負担がありますので、ひとつこれは何とか軽減するような方法をしてもらいたいと思っております。
○小平委員 どうも貴重な御意見をありがとうございました。
○平沼委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、心から御礼を申し上げます。(拍手) 次回は、明十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時九分散会