農林水産委員会 第5号
- 発言数
- 193 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1993/03/24
会議録
○平沼委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、原材料の供給事情及び水産加工品の貿易事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案、水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の四案を一括して議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。田名部農林水産大臣。 ————————————— 原材料の供給事情及び水産加工品の貿易事情の 変化に即応して行われる水産加工業の施設の 改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措 置に関する法律の一部を改正する法律案 沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律 案 水産業協同組合法の一部を改正する法律案 漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律 案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○田名部国務大臣 原材料の供給事情及び水産加工品の貿易事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び改正内容を御説明申し上げます。 本法は、北洋における外国政府による漁業水域の設定等に伴う水産加工原材料の供給事情の著しい変化にかんがみ、これに即応して行われる水産加工施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸し付けを行うことを目的として、昭和五十二年に制定されたものであります。 その後、本法は、昭和六十年代に入ってからの二百海里体制の強化及び水産加工品の輸入の増大に対処するため、昭和六十三年に改正され、水産加工業の体質を強化するための研究開発等に必要な資金についても、貸し付けを行うこととされたものであります。 この間、政府といたしましては、本法に基づき、近海低利用資源の食用加工品の原材料としての有効利用と、新製品、新技術の開発導入等による水産加工業の体質強化の促進に努めてきたところであります。 本法は、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととされておりますが、最近における水産加工業を取り巻く状況を見ますと、各国の二百海里内における対日漁獲割り当ての一層の削減に加え、水産資源の保護等の観点から、公海における漁業についても規制が拡大されるなど、国際的な漁業規制の強化により水産加工品の原材料の供給事情はさらに悪化しております。 また、各国とも、自国水産資源を最大限に活用する観点から、水産加工品の形態で我が国に輸出する傾向を強めており、水産加工品の輸入が引き続き増加する傾向にあります。 このような状況にかんがみ、引き続き、水産加工施設の改良や新製品、新技術の開発導入等に必要な資金の貸し付けを行うこととするため、本法の有効期限を五年間延長し、平成十年三月三十一日までとすることとした次第であります。 以上が、この法律案の提案の理由及び改正内容であります。 次に、沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 沿岸漁業改善資金制度は、昭和五十四年に発足して以来、沿岸漁業の経営及び生活の改善並びに漁業後継者の養成のための無利子資金の貸し付けを通じて、沿岸漁業の健全な発展と漁業従事者の福祉の向上に大きく貢献してまいりました。 しかしながら、近年の沿岸漁業をめぐる情勢は、国際的な漁業規制の強化に伴って沿岸漁業の果たす役割が一層重要となる一方で、我が国周辺水域における水産資源の状態は総じて悪化傾向にあり、また、養殖業をめぐる漁場環境の悪化が進むなど厳しい状況にあります。このため、このような状況変化に的確に対応した新たな漁業生産方式を積極的に導入し、沿岸漁業の経営を改善していくことが求められています。 また、漁業就業者の減少、高齢化が一層進行する中で、特に次代の漁業を担うべき後継者が著しく減少し、漁業の担い手の脆弱化が危惧されており、すぐれた技術及び経営感覚を持った担い手を幅広く養成確保することが急務となっております。 さらに、沿岸漁業改善資金の償還期間等及び保証制度につきまして、借り受け者の利便を図る観点から見直すことが求められております。 政府といたしましては、このような状況を踏まえ、沿岸漁業の経営の改善と次代を担う漁業者の養成確保を図る観点から本資金制度を改正することとし、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、最近の水産資源や漁場環境の悪化等の状況変化に的確に対応した新たな沿岸漁業の経営の展開を図っていくために、経営等改善資金について、従来の近代的な漁業技術等の導入に必要な、資金に加え、合理的な漁業生産方式の導入に必要な資金を新たに貸付対象とすることとしております。 第二に、意欲ある青年漁業者等の養成確保を図るため、現行の後継者等養成資金を青年漁業者等養成確保資金に再編し、漁業外からの新規参入青年等も含め幅広い層に対応し得るよう、貸付対象者の範囲を新規参入者等を含む青年漁業者、漁業労働に従事する者その他の漁業を担うべき者に拡大するとともに、資金内容を拡充して、沿岸漁業の経営方法または技術の実地の習得その他近代的な沿岸漁業の経営の基礎を形成するのに必要な資金とすることとしております。 第三に、経営等改善資金及び後継者等養成資金の拡充に伴い、借り受け者の利便を図るため、償還期間及び据置期間を延長するとともに、保証制度についても、従来の保証人による保証のほか、物的担保の提供によることもできることとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 水産業協同組合制度は、漁民及び水産加工業者の自主的な協同組織の発達を促進し、その経済的社会的地位の向上と水産業の生産力の増進を図ることを目的として、昭和二十四年に発足いたしました。以来、水産業協同組合は、活発な活動を展開し、漁業の振興や漁村の発展に寄与してきたところであります。 しかしながら、国際漁業規制の一層の強化、我が国周辺水域における資源状態の悪化、担い手の減少及び高齢化、金融自由化の一層の進展等、近年における我が国漁業及び漁村をめぐる情勢は大きく変化しており、漁業者及び水産加工業者の協同組織たる水産業協同組合は、組合員の負託にこたえるため、その事業活動を通じて、水産業の振興、漁村地域の活性化等の役割を一層的確に果たしていくことが強く求められているところであります。また、水産業協同組合の多くは、総じて規模が零細で、取り扱い事業量の減少、伸び悩み、固定化債権の増大寺厳しい経営状況に直面しております。 このような状況に対応して、今後とも、水産業協同組合が本来の使命を果たしていくためには、その自主的努力にまつところが大きいことはもとよりでありますが、制度面においても、水産業協同組合の行うことができる事業の内容を充実するとともに、執行体制の強化を図る等の改善を進めていくことが緊要となっております。 このため、今般、水産業協同組合法の一部改正を提案することとした次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 まず第一に、漁業協同組合等の事業内容の充実等を図ることとしており、資源管理型漁業を推進する見地から、水産資源の管理を漁業協同組合等の事業として位置づけるとともに、漁業協同組合等は水産資源の管理を適切に行うための資源管理規程を定めることができることとしております。また、漁業協同組合の漁業自営につき、技術の進展、漁業の担い手の減少等の状況にかんがみ、その要件を緩和することとしております。さらに、組合員のニーズに対応して、漁業協同組合等の信用事業の実施機能を拡充することとしております。 第二に、漁業協同組合等の執行体制を強化するため、理事会及び代表理事を法律上設置することとするとともに、学識経験者等の理事への登用の促進の観点から、正組合員以外の理事の枠を拡大することとしております。また、内部牽制による的確な業務運営を確保するため、監事の業務、会計監査機能の拡充等を図ることとしております。 第三に、漁業協同組合等の事業規模の拡大を図るため、信用事業、販売事業等の譲渡を円滑かつ適正に推進するために必要な規定を整備することとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 次に、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 漁業協同組合合併助成法は、昭和四十二年に、適正な事業経営を行うことができる漁協を広範に育成して漁業に関する協同組織の健全な発展に資するため、漁協の合併の促進を図ることを目的として制定されました。以来、議員提案により四回の延長を重ね、今日に至っているところでありますが、この間、百八十八件、参加五百三十六組合の合併が行われるなど、漁協の事業規模の拡大が図られてきたところであります。 しかしながら、近年の我が国漁業及び漁村をめぐる状況の変化の中で、漁協が、組合員ニーズの多様化等に対応した健全な事業運営を図るとともに、漁業の振興及び漁村の活性化に積極的に取り組んでいくためには、その経営基盤の安定強化が喫緊の課題となっておりますが、全国的には市町村区域未満の漁協が約八割存在するなど、いまだ脆弱な小規模組合が多数存在しているといった状況にあります。 政府といたしましては、このような状況を踏まえ、漁協の合併を引き続き促進して漁業に関する協同組織の健全な発展に資するため、所要の改正を行うこととし、この法律案を提案した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。 まず第一に、合併及び事業経営計画の都道府県知事への提出期限を五年間延長して、平成十年三月三十一日までとすることとしております。 第二に、漁業権の放棄または変更の取り扱いが合併の阻害要因とならないよう、合併及び事業経営計画に定める事項として、共同漁業権の放棄または変更の手続に関する事項を追加するとともに、当該合併及び事業経営計画に従い合併をするために行う定款の作成等に当たっては、当該事項の内容を定款に記載しなければならないこととしております。 第三に、合併及び事業経営計画の提出期限の延長に伴い、都道府県知事の認定を受けた合併及び事業経営計画に従った漁協の合併について、漁業権行使規則の変更または廃止についての漁業法の特例措置及び税法上の特例措置の適用期限を延長することとしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。何とぞ、これら四法案につきまして、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○平沼委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。 ————◇—————
○平沼委員長 次に、農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松岡利勝君。
○松岡委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、当面最大の農政の懸案であり課題となっております畜産物の価格問題について質問いたしたいと思います。 まず最初に、今現在酪農、畜産は大変な状況に置かれておるわけでありますが、自由化によりまして、国内のこの酪農、畜産への大打撃ということが当時大変心配をされたわけでございます。現状を見ますときに、当初心配をされたその予想以上に大変な状況になっておるというのが現実であろう、このように認識をするわけでございます。 その一番象徴的なものとして、これはそれぞれが大変困難な状況に陥っておるわけでありますけれども、その例といたしまして、いわゆる赤毛和牛でございます。通称赤牛と言っております。熊本県、これは赤牛の産地でございまして、私はふるさとがあの阿蘇山のございます阿蘇でありますけれども、特にここがまた肥後の赤牛、阿蘇の赤牛、このように呼ばれておる赤牛の産地でございます。 その赤牛の状況を見ますときに、自由化する前は、時点によって価格のとらえ方というのはいろいろなとらえ方があるわけでありますけれども、一応平成二年のころは平均で三十六万四千八百円ぐらいいたしておったわけでありますけれども、それが今現在、平成五年でございますけれども、この一月、二月幾らになっておるかというと、二十一万ちょっと、こういうような状況でありまして、率にいたしますと六割ぐらいにまで落ち込んでしまった、もう六割を割ってしまった、このような状況になっておるわけであります。そしてまた、それが一番高いときは四十万円ぐらいいたしておったわけでありますから、そのときに比べるとまさに半値でございます。このように、自由化というものによって思いもしなかったような、予想をはるかに超えた大打撃を受けてきておる、これが今の赤牛の状況でございます。 じりじりと下がってきまして、いつかはよくなるんではないか、そういうような気持ちで、まさに願望にも似た、また祈るような思いでまいったわけでありますけれども、全く下げどまりはならない、こういうことでありまして、今現在物財費だけでも二十二、三万円する。俗に言うえさ代でありますが、もはやえさ代さえも賄い切れない、このような状況でありまして、まして労賃なんかとでもじゃないが出てこない、今こういうような状況にあるのが、この肉用牛の経営の実態でございます。またもちろん赤牛だけではありませんで、黒牛についても大変な打撃を受けておりまして、自由化前に比べますと、今現在二割程度の価格の下落、こういうような状況に立ち至っておるわけであります。 そしてまたこれは、酪農経営とまさにダブる問題でもございますけれども、乳用子牛、これにっきましてもまた大変な、いろいろ種類によって中身はまたいろいろあるわけでありますけれども、一番ひどいものはこれはもう半値以下、こんな状況で、四割程度さらにはまた三分の一程度にまで種類によっては価格が落ち込んでおる、このような大変な打撃を受けております。総じて申しますと、肉用牛の経営は壊滅的な打撃を受け、そしてまた酪農経営もこの肉用牛の、特に乳用子牛等の下落によってまた多大の影響をこうむっておる、こういうような状況でございます。 そういったような状況を認識いたすわけでありますけれども、今現在青息吐息のこのような状況にある酪農、畜産の状況ということにつきまして、私は農林省当局におかれましてしかるべき認識を持っておられると思うのでありますが、とにもかくにも今後の対策をどう組み立てていくか、きちっとした間違いのない対策をとっていく上でも、その出発点としてこの現状認識というものが極めて重要である、このように思うわけであります。したがいまして、そのような観点から、今のこの自由化後の酪農経営また畜産経営、こういったものについて農林省としてどのように御認識をされておるか、まずこのことからお伺いをしたいと思うのであります。
○中須説明員 お答え申し上げます。 牛肉の輸入自由化が行われましてはぼ満二年経過いたしました。いよいよ三年目を迎える時期でございます。 自由化によりまして特に輸入面で顕著なのは、いわゆるテーブルミートに適したチルド、冷蔵輸入牛肉の輸入が急増している、こういうことでございまして、品質的に競合のしやすい乳用種等の枝肉価格が低下しているわけでございます。そしてこうした枝肉価格の低落を反映いたしまして、乳用種の子牛及びぬれ予価格、これが大体平成二年の一月をピークとして低下傾向で推移しておりますし、また肉専用種の方でも、ただいまお話のございました褐毛和種あるいは日本短角種等の肉専用子牛の価格についてもかなりの低下を見ている、こんなふうな状況にございます。 このような生産物価格の低下によりまして、乳用種を中心とした肥育経営、それから褐毛和種など特定の品種を中心とした繁殖経営においては、収益性の低下が現に見られております。また、酪農経営についても副産物価格が下がったということで収益性の低下が見られました。これについては最近若干回復基調にある、こういうふうに見ております。 このような状況を踏まえまして、我が国の肉用牛生産あるいは酪農の存立を守っていくということから、一番がなめの制度になります肉用子牛の生産者補給金制度、この的確な運営を実施していくということを基礎といたしまして、自由化決定時に措置した各般の対策に加えまして、平成四年度で申しますれば、一つは肥育経営の安定を図るために、肉用牛肥育経営安定緊急対策事業、これを継続実施いたしております。 また褐毛和種、赤毛等の特定の地方に根差したすぐれた肉用牛品種の生産の安定と振興を図るために、地方特定品種総合活性化対策事業、こういうものを実施いたしました。 また、酪農経営に関しましては、特に乳肉複合経営の体質を強化する、そういった意味での事業も拡充強化を図ったところでございます。 いずれにいたしましても、こうした措置の適切な運営等を通じて、今後とも国内における肉用牛生産及び酪農の振興、経営の安定を図るように努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
○松岡委員 今審議官からの御答弁、自由化後、酪農、畜産が打撃を受けて大変な状況にある、こういった御認識、十分お持ちいただいておるもの、そのような御答弁であったというように思うわけでありますが、そういった認識をしっかりと持っていただきまして、そして厳しい中からどうやって間違いのない対策を立てていただいて、酪農家、畜産農家がきちっと将来に向かって取り組んでいくことができるか、そういった点にしっかりした取り組みをしていただくように私はお願いする次第であります。 そこで一番問題は、平成五年度の畜産物の価格をどうするかという問題でございます。そこで今申し上げました肉用牛の問題、特に赤牛との関係につきまして、私はその価格に対する考え方、またそして価格水準をどのように思っておられるかということについてお尋ねをしてまいりたいと思うわけでございます。 私は、当時まだ当選をしておりませんし、国会議員ではなかったわけでありますが、あの自由化のときに聞き及んでおりますし、そしてまた承っておりますところでは、自由化によって国内の畜産農家、酪農家には迷惑かけない、このような政治公約としてきちっとしたその公約が示されて、そしてその自由化というものがなされた、このように承っておるわけでございます。 そして、今またお話をいたしました赤牛についてでありますけれども、今いいときの半値近く下落をしてきた。自由化前に比べて約六割を切る、そういう価格の下落がある、こういう状況でありますけれども、実は赤牛は、黒毛和種、いわゆる黒牛と一緒になってこの取り扱いといいますか区分がなされております。その結果、今現在三十万四千円という保証価格でございますけれども、この三十万四千円を赤牛だけで見るならば、もう下回ること十万円近い、こういう状況になっておるわけでありますけれども、黒牛と一緒に平均をするとまだまだ三十万四千円を下回るということになっていない、こんなわけでありまして、先ほど審議官もおっしゃいましたいろいろな対策、そしてまた、この価格制度によってそこのところは自由化後の問題はできるだけの救いをしていくのだ、こういうことでございますけれども、この赤牛に限って言いますならば、まさに救済制度は絵にかいたもち、このような実態でございます。黒毛和種と一緒のために、平均がその保証価格をなおなおまだ下回っていない、こんなことから、赤牛だけで見ればもう十万円近くもその保証制度の価格を割り込んでおるにもかかわらず救済制度が受けられない、そういうような大変な大波の中でおぼれ死ぬかのような、あっぷあっぷという状態に立ち至っているというのが今の赤牛経営の実態でございます。 したがって、私はこれはひとり政府の責任、そういうふうに押しつけるつもりはもちろんございません。これは政権与党の立場から、去年の段階、いろいろな議論のときに、ことしは少なくとも一本でいこう、こういったようなことについて私どももそういう立場に立って議論をしたことを十分認識をいたしております。ひとり政府の責任と言うつもり、押しつけるつもりはございませんが、しかしながら、農家から見たときには、これは政治なり行政というものに対して何なのか、これは大変な問題があろうと思っております。その辺について、もちろん私どもも政治的立場にあって十分農家に対して反省もしお会いもし、そしてそこのところはきちっとその問題を整理して、農家が今までそのことによってこうむった被害といいますか、そういったことも含めた今後に向かった救済というものをしっかり考えていかなければいけない、こう思うわけであります。 私は、まず第一にお伺いしたい点は、その点について政府としてどのような御認識をお持ちになっておるのか。 そしてまた、価格水準の問題でありますけれども、三十万四千円という基準価格が現在生きておるわけでありますから、当然この三十万四千円をベースに、赤牛、黒牛というものを整理して、そして絵にかいたもちではなくて、本当に現実に合った形で救済ができるような区分に仕分けをしていただかなければいけない、このように思っておるわけであります。そして、赤牛と黒牛というものを実態に即して、実態に合わせて、かつまた将来赤牛が振興発展するように、そういう位置づけもきちっとしていただいた上で、しかるべき措置というか対処をしていただかなければいけない、私はこのように思うわけであります。 今現在、私も選挙区を回っておりまして、阿蘇の畜産農家、赤牛農家を回っておりますと、もう私の実感では、牛を飼う農家も半分くらいに減ってしまったのではないか、半減したのではないか、このように実は実感するわけであります。牛の頭数も、この前までは牛を飼っておったけれども、もうこの牛を売ってしまったら後はやる気がない、このような形で大変な状況になっておるわけであります。そういったような意味から、ぜひともしかるべき価格対策というものを講じていただきたい。 重ねて申しますけれども、きちっとした、今日までの実態を踏まえた反省の上に立って、そして、赤牛と黒牛、しっかりと実態に即した形で区分分けをしていただいて、そしてまた、農家が意欲を、希望を持てるような価格水準というものをしっかりと考えていただきたい、私はこのように思うわけであります。 党の部会においてもいろいろな議論をさせていただきましたが、表に出てくる農水省の統計ではどうしても、例えば二月一頭しか飼っていない農家と二戸十頭飼っておる農家、これは平均すれば二分の十一ですから五・五頭になるわけでありますが、しかし、二戸一頭がもうやめたということになると一戸十頭だけが残る、飼養規模というのは五・五頭から十頭だ、いきなりこういう形で数字は出てくるわけでありますけれども、それはまさに、前向きに規模拡大をして飼養規模がふえたわけじゃない。今言いましたように、リタイアしていって、もう本当にそういうことでやむなく撤退をしていった結果、数字だけ見れば非常にそこのところが改善されたような、その数字を見て、経営は規模拡大でそれなりの前進をしておるから価格的な面でも前進をしているということで考えでいいのではないか、こういったことでは、まさに物の本質を見ずに形だけに追われているということになるわけであります。どうかそこのところも十分踏まえていただいて、しっかりとその対策を立てていただきたい。 重ねて申しますが、自由化による影響、そのことによって国内農家には迷惑をかけない、これは最大の政治公約でございます。そういった点から考えましたときに、ぜひとも、今言いましたようなことにつきましてどのようにお考えで、どのような価格水準かということをまずお伺いしたいと思うのであります。
○中須説明員 お答え申し上げます。 ただいま御質問の肉用子牛の生産者補給金制度におけるいわゆる子牛の保証基準価格でございますが、まず大前提として、肉用子牛生産安定等特別措置法という法律の定めるところによりまして、価格水準については、肉用子牛の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮して、肉用子牛の再生産を確保することを旨として毎年度定める、こういうふうにされているわけでございます。 ただいまるる先生からお話がございましたとおり、この制度の発足時に、子牛の保証基準価格を決める際のグループ分けといたしまして、大きく三つに分けました。黒毛及び褐もの和種というのを一つのグループとし、それからそれ以外の肉専用種、これには短角種とか無角和種とかいうものが含まれるわけでございますが、それが二つ目のグループ、そして三つ目が乳用種のグループ、こういうような区分けをしたわけでございます。 その際、黒毛と褐毛を同じグループにしたということについてはその当時も大変議論があったわけでございますが、基本的には、自由化決定前のかなりの過去の期間を見ますと、やはりその当時でいえば黒毛和種の子牛と赤毛和種の子牛がほぼ同水準で、似たような価格動向、上下の推移が見られるということで、同一の品種区分とすることが適当ではないかということで発足したわけでございます。 ところが、まさにその後の事態、もちろん牛肉の輸入自由化ということが大変大きな変化でございますし、特に最近におきましては景気後退等の影響で消費が大変低迷している、こういうことも加わりまして、平成二年以降でございますが、黒毛和種との差が次第に拡大をする。先ほどちょっとお話がございましたように、本年の二月で申しますと、熊本県の褐もの子牛は二十一万円台ということでございまして、同じ時期の黒もの子牛が全国平均で三十七、八万円ぐらいということでございますので、大変大きな差になってしまった。こういうような状況があったわけでございます。 このような状況を受けて、関係者からもいろいろ御要請を受けまして、実は本日十時半から畜産振興審議会の食肉部会が開催されるわけでございますが、審議会に対しまして、政府としては毎年度試算値を提出することにしておりますけれども、その試算値におきましては褐毛和種と黒毛和種を別区分といたしまして、平成五年度における保証基準価格につきましては、褐毛和種については二十八万円、また黒毛については三十万四千円、こういう試算値を提出することを予定しております。その後、審議会でいろいろ御議論をいただくわけでございます。 各品種をめぐります生産条件とか需給事情を十分踏まえながら、審議会での御審議に基づきまして答申を得た上で適切に決定してまいりたい、こういうふうに考えております。
○松岡委員 今お伺いいたしまして、黒牛と赤牛、これを区分けして、そして赤牛は赤牛という独自の立場で保証制度を適用していく、こういうことで、そのことについてはぜひそのようにしていただきたいし、またそのようにするということでありますので、その点につきましては本当にありがたいと思うわけでございます。価格の問題につきましてはまだまだいろいろとお願いもあるわけでありますが、一つの線として今そのことが示されたということでありますし、審議会の審議、私どもも少しでも農家にとって有利な形になるように審議をお願いしたいと思っておりますし、私どもの立場からもまたそれをお願いしたいと思っているところであります。 今、景気対策も言われております。そして、非常に不景気という中で春闘という問題もあっておりますが、賃金が下がったというところは聞いたこともないし、景気対策でいろいろな形で大変な対策が行われておる。農家の所得、購買力、こういったものもやはり国内経済の重要な柱でありまして、そういった意味からも、私は、米価とか畜産物の価格というのは農家にとってみれば基本給でありますから、これが下がるよというようなことはあってはならない。そのような意味で、ぜひともこのことに対するなお一層の御配慮をお願いいたしまして、次に、加工原料乳の保証価格の問題、限度数量の問題についてお尋ねをいたしてまいりたいと思います。 昭和六十年に比べまして、現在まで、生乳の価格は一キロ当たり幾らになっておるか。六十年は九十円七銭でありました。今現在は、平成四年度が七十六円七十五銭ということであります。六十年に比べて一五%というか一割五分くらいの、言ってみれば引き下げになってきておるわけでございます。そういうようなことで考えますときに、ただいま申し上げましたように、これはサラリーマンでいうなら基本給に相当するものである。それが八年間で一五%も下がってしまった。 そしてまた、その間には輸入自由化ということがあったわけであります。そして、自由化圧力によって先ほど申しました肉用年等の関連、ぬれ子を初めとする言ってみれば老廃牛も含めた、そういった今までは酪農経営の副産物として大変大きな一つの柱であったところが大打撃を受けた。そのことによって、酪農経営というものが大変な打撃を実は受けておるわけであります。 そして一方、この生産費というものがどうなっておるか見てみますと、私が私なりに熊本県でそれなりに聞いたある資料によりますと、これは平成三年と平成四年を比べてみれば、熊本の例では生産費百キロ当たり七千六百十七円が七千九百九十九円、こういうわけでありまして、約五%のアップを、一頭当たりこれは生産費が上がっておる。農林省の統計を見ますと、いろいろなやはり私ども部会のときの議論でもいつもそのことが問題になるわけでありますが、農林省の統計で見ると、生産費がいつも下がっておる。しかし、私どもが実感をするそういう実態というものはこれはそんなことになっていない、こうも思うわけでございます。 今現在、ちょっと例えが全く跳びはねて違うかもしれませんが、円高差益ということが言われております。円高差益、円高によって利益を受けるところ、例えばある部門の、この前テレビでも会見があっておりました。円高差益を即還元すべきではないかということに対しまして、いや、その後の環境条件が実は自分たちが想定をしておったものと比べてこのように違ってきておるから、円高差益によってそれなりのメリットはあったにしても、会社全体、経営全体として見たときはまだまだとてもそういうふうな利益を還元するようなところまではいっていないんだ、こうやって円高差益の還元はだめだ、こういう話でありました。細かく言いますといろいろ語弊もありますから言いませんが、そのようなことでありました。 農家の場合は、米でも何でも全部そうでありますが、農林省の数値によってその生産費が下がれば、その分はそっくり、言ってみれば価格は下げられる、こういう状況になっておるわけであります。円高差益の問題ではありませんが、これだけ言ってみれば価格も引き下げられ、輸入自由化によって大変な打撃も受けた。そういうような状況であり、なお北海道の例で、私もそれなりに聞き、調べたところでは、自由化後大変な赤字になった。赤字になったけれども、例えば平成三年でいいますと二百三十二万六千円ぐらいが赤字幅であった、二戸当たり、ある一つの平均で。ところが、平成四年は二百十六万三千円ぐらいの赤字だ。そうすると、前に比べて赤字幅が十七万三千円ぐらい縮まった。したがって、そこのところだけとらえれば前年より改善された。しかし、その赤字と、または借金というこの全体で見たときにはこれはまだまだ大変な借金を抱えたままである。まさに、生産費を単年度でただ比較だけで見るものですから、経営実態の反映というものがなされていない。 そういうことを考えますときに、私はこの今の価格式というものも、これはそれなりに問題を持っておると思いますが、そういうことを今ここで解決というわけにはいかない。しかし、そういうやはり実態を十分反映をしていただいたこの加工原料乳の今回の保証価格でなくてはならない。そういうような意味からも、私は今のこのぬれ子の暴落、副産物収入の激減、こういったことから考えましたときに、酪農経営の安定のためには、そして発展のためには、これは何としてもことしは加工原料乳は引き上げてもらわなければいけない、このように強くお願いをする次第であります。 と同時に、またこの限度数量の問題につきましても、いわゆる計画生産については全量をやはりその対象としていただく。こういったことをぜひ基本にして、ひとつこの価格というものを考えていただきたい。このことをお願いをいたしまして、そして、このことに対する考え方をお聞きをしたいと思うわけであります。 時間がありませんし、私もまだあと二つぐらいどうしてもお願いをしたいし御質問したいので、なるべく簡潔にひとつお願いしたいと思います。
○中須説明員 平成五年度の加工原料乳の保証価格につきましては御承知のとおりでございますが、加工原料乳の暫定措置法に基づきまして、生乳の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮して、加工原料乳地域、現在では北海道でございますが、におきます生乳の再生産を確保することを旨として定める、こういうことになっております。 具体的には、明日畜産振興審議会の会議が予定されておりまして、現在それに向けて鋭意、試算値を含めた作業を私どもやっている段階でございます。内容、水準等についてここでお答えする段階にまで至っていないわけでございますので、その点は御容赦いただきたいと思います。 ただ、加工原料乳の保証価格につきましては、この法律、昭和四十一年に発足して以来長い歴史がございます。その中でいろいろ議論を積み重ねながら、基本的には農林水産省統計情報部が実施しております生産費調査というものを基礎にして、その生産費調査に、一定のルールに基づく労賃の評価がえであるとか物価を最新時点に修正するとか、そういう計算をした上で適正に決めていく、こういうことでございまして、私ども、そういうルールに今年度についても従って決定してまいりたいと思っているわけでございます。 限度数量につきましても、現在の需給事情を詳しく申し上げるあれはございませんが、現在の需給事情を適切に反映したものとして作成すべく努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
○松岡委員 先ほど申し上げましたことを重ねてひとつ十分御勘案をいただいて御決定いただきたいということをお願いしまして、次に進みたいと思います。 そこで私、ちょっと環境庁、お見えになっておると思いますが、ひとつ環境庁にもこれはお伺いしお願いしたいわけでありますが、今畜産が問題になっております、酪農が問題になっておりますが、この畜産を含む農林業、こういったものがどういう大変ないわゆる効果を持っておるか、こういったことをやはり十分認識をいただいて、そして、その認識の上に立ってこの農林業の位置づけなりまた対策なりを私はやっていただきたいと思うわけでありますが、先ほど申し上げました赤牛の問題。この阿蘇というところは世界の阿蘇と言われております。そして国立公園であります。大変その景観が言ってみれば世界的にも有名でありますが、この景観は何によって守られておるか。こういったことを十分私はお考えいただきたいと思うのであります。 赤牛でありますから放牧をいたします。放牧をいたしますから、そのための準備行為として野焼きをいたします。この野焼きをすることによって、人間の頭でいいますなら月に一回床屋に行くのと同じでありまして、そういう手入れによってあの景観がずっと守られてきております。 最近その野焼きができなくなったところが出てまいりました。もう草ぼうぼう、やぶぼうぼうでございます。恐らく、赤牛がなくなって野焼きがなくなったならば、あの世界の阿蘇と言われる景観はなくなってしまうであろう、私はこのようにも思うわけであります。 これはだれによってそうやって維持されてきたか。まさに畜産農家の労役によって維持されてきたわけであります。私も昔年を飼っておった農家のせがれであります。私もその野焼きに出たことがあります。今、野焼きに出ない場合は六千円から八千円という、これは夫銭という向こうの言葉で言いますが、野焼きに出ない場合、出ない農家は六千円から八千円、それは地域によってその幅があるわけでありますけれども、それを対価として支払わされる。そういう農家の負担によってあれだけの野焼きという仕事が毎年毎年されてきた。それによってあれだけの景観が維持されてきた。ひとつ環境庁というものはそういった点について十分御認識をいただいて、そしてまた国の政策全体の中でも、環境行政という観点から、こういった点についての私はしっかりした考え方を持って取り組んでいただきたいと思うわけであります。 最後に、政務次官に大臣のかわりとしてぜひお願いしたいわけでありますが、ただいま質問をいたしてまいりました。そういう状況の中で、まさに大変な状況にあるのがこの酪農、畜産でございます。自由化によって環境がさま変わりいたしました。したがって、そのさま変わりしました現実に立脚して、そうして将来に展望のある形で酪農経営、畜産経営が成り立ちますように、やはり価格安定制度も私はある意味では見直しが必要ではないか、このようにも思うわけでございます。そういった点について、今後の酪農、畜産の経営に向かってどういう振興、発展のために、政務次官の御決意をお伺いをしたいとまず思う次第でありますし、そしてまた、ウルグアイ・ラウンドの問題も、これは我が国の酪農経営にとっても大変な問題であります。ひとつ御決意を伺って、この質問を終わりたいと思います。 それで環境庁、ちょっと一言だけお答えいただきたいと思います。
○菊地説明員 御説明申し上げます。 御指摘のございました阿蘇国立公園に関しましては、世界一のカルデラの地形という地形が雄大な草地という衣をまとって成り立っているというふうに私ども認識いたしております。この草地、長年の、先生の御指摘のとおり火入れあるいは放牧あるいは刈り干し切り、こういう一連の農業によります行為に基づいて維持されてきた景観でございまして、私どもといたしましても、その維持という点につきましては今後とも重大な関心を持っておるというところでございます。 なお、全般的に申しますと、私どもといたしましても農林水産業と環境保全ということに関しましては十分認識をいたしておりまして、自然環境保全基本方針でございますとか、あるいは現在御提案申し上げております環境基本法案の中でもそういった趣旨のことを明記いたしておりまして、今後ともそういう点については十分関係の農林水産省とも連携を保ちながら、私どもの立場で申し上げますと、自然環境の保全あるいは景観の保持という点では努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○石破政府委員 お答えを申し上げます。 松岡先生の御意見、大変に感銘深く拝聴させていただきました。 自由化等々によりまして大変に国内の畜産、酪農、大打撃を受けておることは、私ども深刻に認識をいたしております。自由化等の影響を受けましても何にいたしましても、国内の酪農、畜産は、私どもとしては全力を挙げて守り育てていかねばならぬ、かような決意でおります。 それは、一つには、先ほど来先生が御指摘の環境の問題もございます。ことしから新政策というものがスタートするわけでございますが、その中の大きなキーワードの一つに環境というものがございます。そしてまた、他産業並みの所得、そして他産業並みのゆとり、これをどうしてもこの厳しい環境下で実現をさせていかねばならぬ。それは決して容易なことではございませんが、先生方の御意見をよく承りながら鋭意努力をしてまいりたい、かように思っているところでございます。 なお、適地適産という言葉がございますが、酪農、畜産というものが、特に中山間地もございますけれども、そういうところの活性化にいかに寄与するものであるかという点、その点も考えていかねばなりません。そしてまた、国内において需要の拡大がなお見込まれる分野であるということもまた事実でございましょう。そういうことも踏まえ、そしてまた、そもそも国民の食生活、そしてまた体位の向上、これにも大いに資するものでございます。そういうような観点から努力をしてまいりたいと思っております。 さらに、ラウンドの御指摘がございましたが、私どもとしては、ラウンドの見通し、いまだ不透明でございますけれども、今までの主張を堅持してまいり、努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○松岡委員 どうもありがとうございました。 時間が参りましたので終わります。
○平沼委員長 鉢呂吉雄君。
○鉢呂委員 きょう、あす、畜産審議会が開かれまして、食肉、乳価等が決定することになりますけれども、私も、地元酪農地帯を先週、先々週、日曜日に回らせていただきました。また、前後して、きょう北海道からは百名余りの農家の皆さんが上京し、農水省を初め要請をしております。実はここに出てくる前にも私の事務所に御要請に参りまして、今傍聴席にも来ておりますけれども、二名の酪農家の奥さんがやっとこういう場に上京した。私三年おりますけれども、女性の方がこういう価格要請に、それも普通の方が、農協の婦人部の部長さんとかという立場でなくて、そういう方は初めてであります。そういうことで大変皆さんが注目をしております。 農水省からさまざまなことが事前に新聞等で報道されておりますけれども、今やはり現場を回ってみて、この価格問題等の牛肉の自由化を踏まえての状況についても、政治がきちんと方向を指し示す必要がある。国民の合意を得るとかさまざまなことが各大臣からも言われておりますけれども、むしろ国民の合意を得るための努力を政治はやっていく必要が、今日ほど重要なときはないというふうに思います。 そういう意味で、きょうは石破政務次官でありますから、ともに今後の農業をどうしていくか、農政をどうしていくかということで御答弁を願いたい。 私ども、実は三月に入りまして、社会党の代表訪米団ということで、影の内閣の農水大臣、辻大臣を先頭として訪米をいたしました。国務省、農務省あるいは上下両院の有力な農業議員に会ってまいりました。そこで痛切に感じたことは、日本のガット農業交渉等における交渉姿勢について、非常に傍観者的である、そのような発言がアメリカ側からなされております。 そこで、質問に移りますけれども、前回の畜産審議会の総会、三月十七日にあったわけでありますけれども、そこで農水大臣のあいさつ、それから畜産局長の情勢報告とありますけれども、ガット問題の状況報告はあっても、特に乳製品、てん粉等に対する日本の姿勢が一つも示されておりません。 昨年末来、乳製品、小麦、でん粉等については、ガットの場でいわゆるダンケル合意案を認めて関税化の非公式の交渉をした、各新聞報道はこれを報じておりました。前回、私は農水大臣に聞きましたら、それを否定いたしましたけれども、しかし、米の陰に隠れて乳製品あるいはでん粉等についての日本の明確な姿勢が示されておらない。ここは石破大臣に、次期大臣に、この問題についての日本の基本的な考え方、十一条二項の同の明確化というふうに言われておりますけれども、しかし例外なき関税化ではこの十一条二項同自体がだめになってしまうわけでありますから、日本は北欧ですとかオーストリアですとかカナダに、この問題について持ちかけてきたというふうに経過は聞いておりますけれども、基本的に、今後もダンケル合意案のもとでこの問題についてのどういう修正の態度を示して、今後どういう戦略で行っていくのか、明確にお答えを願いたいというふうに思います。
○眞鍋政府委員 ガットのウルグアイ・ラウンドの問題でございますが、委員御指摘のとおり、我が国といたしましては、ガットのウルグアイ・ラウンドにおきまして包括的関税化という、いわゆるダンケル提案が出ておるわけでございますが、これにつきましては、米のような基礎的食糧でございますとかあるいは国内で生産調整を行っているような農産物につきましては、安定供給や生産制限の実効性を確保する、こういうふうな観点からいずれも量的な管理が必要である、こういうふうな主張を行っておるわけでございます。すなわち、ダンケル提案にございます包括的関税化の例外にすべきである、包括的関税化は受け入れられないというふうなことで主張を行ってきておるわけでございます。 委員も御指摘がございましたように、同じような主張を行っております韓国でございますとかあるいはスイス、それからカナダ等といろいろと連携をとりながら、これをどうしても例外にすべきであるという強い主張をこれまで行ってきておるわけでございます。 それから、委員がまた御指摘がございましたが、関係国にいろいろな打診をしているのではないか、こういうふうなお話でございますが、これは交渉でございますので、相手国も、我々の主張に対しましては、米を例外にするわけにいかぬ、あるいは酪農品についても例外は認められない、これは関税化すべきである、こういうふうな主張を行ってくるわけでございます。それで、こういうときはどうだとかああだとかいろいろなことを指摘をされるわけでございますので、そういう点についてはこちらとしても毅然として、こういう問題点がある、こういうことは困るというふうなことで反論をしておる、こういう状況でございます。 そういうことでございますので、我々の方として、この関税化につきまして関係国に打診を行った、こういう事実はないわけでございます。この点につきましては、委員から御指摘もございましたように、大臣からも従来から御答弁を申し上げているとおりでございます。 しかしながら、ウルグアイ・ラウンドにつきましては、現在アメリカの政権交代というふうなこともございまして、若干先行きも含めまして不透明な状況にあるということでございますが、我々といたしましては、従来からの我が国の主張が交渉結果に反映されますように、最大限の努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
○鉢呂委員 各国からの打診に対して反論をしているのだ、その際はやはり十一条二項の同、いわゆる農業生産の調整をしているものについてはこれを制限することができる、このことをきちんと明確に基本線を、日本として主張すべきである、またその達成、修正に対して最大の努力をすべきである、このことを申し上げたいと思います。 それでは、本題の方に入りますけれども、三月十七日の、先ほど言いました畜産局長の情勢報告、この中の酪農関係であります。私は、昨年あるいは一昨年の局長報告と比べておるのでありますけれども、酪農経営については、飼養戸数の減少や規模拡大、あるいはまた生乳の粗収益の増、あるいはぬれ子の価格については言及をしております。しかし、それは酪農経営の一断面を示したにすぎないのであります。ほかの牛肉やあるいは養豚、これらについてはすべてその収益性について言及をしております。あるいは昨年、一昨年についても、酪農についてはこのことをきちんと、収益性については言及をしております。 今回は、このような農業にとって、酪農家にとっても非常に大切な経営としての農業所得なり、その推移あるいはまた収益性なり、あるいはまた一番問題になっています新農政でも、労働時間を二千時間以下に下げてゆとりある農業をやっていこう、酪農についても抽象的にそのことを新政策では述べておるのですけれども、やはりそのことも大変重要な今の酪農経営の大きな課題であるというふうに思いますけれども、これらについては非常に意図的に、意識的に言及を避けておる。私は、畜産審議会で畜産審議委員に非常に誤った感じを持たせるのではないか、そういうふうに危惧をするわけでありますけれども、この点について、農水省として何か意図があるのかどうか、明確に答えていただきたいというふうに思います。
○中須説明員 私ども、酪農経営の現状、経営の動向というか、そういうものについては、いろいろな資料、皆様からの現場の声を含めて受けとめながら、最終的には各種の統計データに基づいて、どういう状況にあるのか、こういうふうに把握していこうというふうに思っているわけでございます。 ただいまお話のございました情勢報告におきまして、特に収益性の問題について触れておらないという御指摘がございましたが、酪農経営の収益性について一番明確になるデータというのが生産費調査でございます。生産費調査が統計情報部の方から公表されたのが、ただいまお話のございました十七日ということでございまして、基本的に印刷物にするのに間に合わなかったということでございまして、他意はございません。 ところで、では、酪農経営の状況について私どもはどう考えているかということでございますが、飼養規模等の動向については、先ほどのとおり、既に畜産振興審議会におきます情勢報告の中に述べております。特に所得動向について、その後明らかになりました生産費調査等によって、ちょっとかいつまんで御説明申し上げますと、平成四年度の生産費調査では、搾乳牛二頭当たりの所得、これはぬれ予価格の低下等、そのもう一つ前の生産費調査の時代に比べて、やはりぬれ予価格は低下しておりますので、減少しております。しかし、一頭当たり乳量の増大等、そのほかの要因もございますが、生産性の向上により、一日当たりの家族労働報酬というベースでは増加を見ているわけでございます。 同時に、二月当たりというか、これは労働時間の問題がございますから、一定の制約をもって見なければならないわけでございますけれども、一戸当たりの所得で見ますと、全国で六百八十八万八千円ということでございまして、前回生産費調査に比べて一〇%の増、北海道に限ってこれを見ますと、九百六十万一千円ということで、対前年比六%増、こんなふうな結果が生産費調査から出てきている、こういう状況でございます。
○鉢呂委員 私もそれは見ています。しかしながら、この生産費調査はあくまでも生乳の生産費調査であって、いわゆる酪農経営全体を考えたときには、農水省統計情報事務所で出しておるいわゆる農家経済調査、これによるのではないですか。
○中須説明員 ただいま御指摘のとおり、酪農経営、その一つの部門としての酪農部門だけを切り離した調査が生産費調査でございまして、酪農以外の部門を含めた経営全体ということの姿を見ようということになれば、御指摘のとおり農家経済調査が一つの有力な資料になる、そのとおりでございます。
○鉢呂委員 酪農経営部門というよりも、搾乳部門に通ずる生産費調査ではないですか。いわゆる全体の酪農経営というのは、生乳販売と個体販売で成り立っております。その個体販売については、ぬれ子についてはいわゆる副産物、あるいは堆厩肥については出ていますけれども、それ以外の個体販売については出ないのではないですか。
○中須説明員 生産費調査では、ぬれ子の販売、ぬれ子の価格、これが副産物価格という形で計上されるわけで、搾乳部門というか、その中に一体化した計算上出てくる。それと同時に、個体販売価格のうち乳牛として搾った牛、これの例えば廃牛として売った場合にどういうことになるか。これにつきましては、生産費調査はコストを把握するという調査でございますので、最終的には生産財としての母牛、これの償却費ということで処理をしているわけでございまして、その分を含めて生産費調査ではコストの動向を考えている、こういうふうに私ども判断をしております。
○鉢呂委員 ですから、余り細かい話にいきませんけれども、生乳にかかるものについては、自分で牝牛を自分の自家牛として持ち込んだときにはそれはもちろんコストとしていわゆる償却をしていく。あるいは今度それを売った場合、廃用として売った場合は入ってきますけれども、純粋の個体販売、乳用個体販売をした場合には出てこないわけであります。したがって、私どもは農水省の先ほど言った農家経済調査に今それを見ておるのですけれども、農水省が言っておるような、そこがぼやけてきてしまうのです。 いわゆる農家は、四年ほど前、自由化の問題においては個体販売と生乳販売は三対七の割合であったのです。今個体価格がもう大暴落をしておる現況であります。数字で示します。平成元年と平成三年の資料しかありません、二年もありますけれども、四年の資料がないのですけれども、農家の総収益は、全体ですね、元年をピークにして減少してきております。しかも、特に先ほど言いました個体販売価格、この収益は急落をしておる、金額にして二千八百万円も減少しております。同時に農業経費は急増しています。これは搾乳部門に移行したということで、えさ等がかかりますから、二百四十六万七千円、二百四十万円ほど増加をしております。したがって、農業所得としては、元年と三年を比較した場合には一千万円から七百万円に、三百万も減少しておるのであります。詳しく言えば三百八十万円でありますけれども、農業所得率は三四%から二三%、大変大きい率で減少をしております。 同時に、先ほど言いました新政策でも取り上げておるゆとりある労働ということからいけば、家族農業労働時間は七千三百七十九時間、専従者が二・六一人ですから、ほとんど専従者でやっておりますけれども、専従者一人当たりが年間二千八百二十七時間、これはまさに農水省の統計で出ております。私ども、酪農家の皆さんから聞いたら、そんな少ない数字でない、もっと大きいんだ、三千時間を超えているというふうに酪農家の実感でありますけれども、八時間に直しても三百五十三日、まさに一年間フル活動をしておるという状況であります。 こういう状況を見たときに、農業経営はまさに農水省が生乳の生産費調査だけを取り上げて酪農家の経営を今喧伝をしているのですけれども、そういう実態でない。今審議官が言われた生産費調査にも一部そういうものは入っていますけれども、まさに生産財として償却をする分にしか入っていないわけでありますから、このこと全体をどういうふうにとらえておるのか、端的に御答弁願いたいと思います。
○中須説明員 御指摘のとおり、農家経済調査の数字で酪農部門を見るということで酪農単一経営の動向を見ますれば、これは生産費調査でも当然のことながら同様の形が出てくるわけでございますが、いわゆる個体販売価格の低下に伴いまして、平成元年ないしは二年をピークとして農業粗収入が減少している、そういう傾向にあることは事実でございます。ただ、その減少というのも、特に四年に入りましてからは個体販売価格の低下ということが、ある意味では底に来たというか、ほぼ横ばいに転じたということと、二戸当たりで見ますと、頭数規模の拡大あるいは二頭当たり乳量の増加によりまして、いわゆる本業というとおかしゅうございますが、生乳生産量、生産額が増大しておりまして、そういう意味で粗収入というものが増大傾向に転じている、こういうことを申し上げているわけでございます。 ただ、確かに農家経済調査につきましてはまだ四年の数字がございませんので、三年までということで、先ほど申しましたように、四年の数字というのは今の段階では生産費調査からうかがう、こういう形で私どもお話し申し上げているわけでございます。
○鉢呂委員 規模拡大を強調されるのですけれども、畜産局長のあの報告でもこういうふうに書いています。飼養規模が着実に進展をし、生乳販売額は年々増加をし、順調に推移をしておる。これだけを見れば非常に農業経営者が意欲的に、前向きに取り組んでおるという表現、これは局長報告というのはいいかげんに言っているわけではありませんから、そのようにとらえ得るのでありますけれども、実態はそうではない。先ほど松岡委員からも御指摘ありました。 牛肉の自由化は後で触れますけれども、酪農という牛乳を搾る部門でありますけれども、先ほど言いましたように、副産物としてのぬれ子は牛肉の自由化の影響を直撃されました。また同時に、先ほど言いましたように、北海道なんかは牝牛を、初妊牛を初めての分娩をして搾乳する前段階で売るのですけれども、それが大きな収入源になっておったのです。また、いわゆる搾乳をして使い終わった牛を廃用として売るのですけれども、これまた肉になるということで、この肉の価格が一定の水準で売られておりました。これが牛肉の自由化の影響で非常に急落をしたものですから、いわゆる経産牛といいますか、搾乳する牛の回転が非常に悪くなった。北海道は、先ほど言った初妊牛の購買がもう一つの大きな経営の柱でありますから、それが売れなくなった、したがって需給のバランスでもう価格が急減をした、急落をした、そういう実態でありますから、酪農経営の総体に牛肉の自由化は、今も継続しておりますけれども、まさに大きな影響を与えておる、このことをやはりきちんと見るべきである。 したがって、農家はもう死に物狂いで、農家の表現をかりれば牛が死ぬか人間が死ぬか過労死の状態である。本当に私ども行っても、牛も生き物ですから、生きているものを扱うというのは大変な仕事です。日本の中でも看護婦さんが非常な状態であるように、生きているものというのは大変なことで、平均五十頭も六十頭も搾乳しておりますから、もう毎日のようにと言っていいぐらい疾病があったり、分娩も日中やればいいのですけれども朝方あったり、まさに、一日八時間、九時間ですけれども、働く者からいけば拘束時間が二十四時間あると言っても過言ではない。本当に一日も泊まってどこかに旅行もできない、あるいは不幸があっても本当に苦労する。自分のうちで不幸があっても、朝晩の搾乳を終わってからその不幸のいろいろな儀式を行う、大変な事態になっておるのです。まさにやむを得ずしてこういう形になっておる。このことをやはり国の施策としてきちんと把握をする必要があるというふうに思うわけであります。 同時に、日本の経営は規模拡大した、そういうふうに言われます。確かに二十年前に比べまして、アメリカあるいはヨーロッパでは飼養頭数は大体二倍から二倍半ぐらいです。日本は四倍を超える急激な増加を図りました。したがって、すべての施設、機械がきちんと償却されないうちに次から次へ新しい機械なり施設を購入しなければならない、それだけ経営コストに与える影響は大きい、それが負債となって累増し、そして労働時間を激増させておる、そういう実態にあると思います。 北海道庁の幹部の皆さんがきのう来ました。これでは、今の労働時間を何とか下げたいと思っても、フリーストールとかミルキングパーラーを施設するといったら五千万も一億もかかる、この資金の捻出が全然できないんだ。したがって、先行きの見込みがないから農家はもうやめるか今のままを惰性にするか、そういう状態である。先ほど松岡委員からもありました。今の生産費所得補償方式は酪農家の平均規模、所得のいろいろな生産費の仕方を変えておりますけれども、酪農家が努力をして生産性の向上につなげて、それが所得として一定の増加をしなければならない。それが、年々保証乳価はそれを食っていって、これでもかこれでもかという、本当に昔ながらのゴールなき拡大、これを強いておるのではないか。何とかここで一息をつかせてほしい。ゆとりある経営、金額的にもあるいは労働時間的にもゆとりある経営に、この辺で日本の生乳の決め方、乳価の決め方を変えてほしいということを懇請もされました。 今の乳価の方式をやはり変える必要があるのではないか。一頭当たりの搾乳量がふえたらそれが全部乳価を下げる要因として働く、あるいはまた経営の採算性が向上したら、それが向上したということで乳価の下げに行き着く、しかも、先ほど言ったような牛肉の輸入自由化の影響については表に出てこない。これらを勘案したときに、ことしの乳価の算定は、やはり今後の日本の酪農のあり方を見通した——去年酪農の全国調査を、農水省が一億数千万を出して全国の酪農家に調査したではありませんか。あのときの調査結果は、八三%の酪農家が回答しておりますけれども、その中で酪農家が求めておるのは、一番多かったのは五〇%で、見通しのつく酪農を示してほしい、二番目が生産物価格の安定をしてほしい、これが四一%、そして三番目が利益率の向上、三八%。私は、このアンケート調査にこたえる農水省の具体的な施策を示していただきたいというふうに思います。 これはぜひ政務次官にこたえていただきたい、そのように思います。
○中須説明員 私の方から若干事務的に御説明申し上げたいわけでございますが、先ほど御指摘ございました畜産振興審議会での局長報告の中に、生乳生産量、搾乳量が順調に増加している、そういう表現があるのは事実でございます。ただ、これは単に量の増加というものをそのように表現しただけでございまして、その裏に、例えばただいま御指摘ございましたように、個体販売価格の低下に伴う所得の減を補う、そういう意味で生産者の方々が大変努力をされて生産量の増大ということが実現してきている、それは御指摘のとおりでございまして、私どももそこは同様の認識を持っているわけでございます。 それからまた、酪農経営における労働時間の問題。これはもともと酪農の労働というのが、ただいま御指摘のとおり休めない、一日も欠かすことができない労働だという意味で大変厳しい。そこに加えて規模拡大が進んできた結果、一人当たりの労働時間で見ても非常に高い水準になってきている。やはりこれに一定の方向、つまりこういう労働時間をどういうふうなやり方でもって削減していけばいいのか、縮減していけばいいのか、そういう方向性を示していくという時期に来ているというふうに、私どもも認識をしております。そういう意味で、昨年六月に、新しい農業・農村・食料政策の方向が出されましたが、いわばその各論と申しましょうか、酪農経営についてどういうような経営を展望し、そこに至る道筋、どういう政策を考えていくか、そういう作業に、私どもも着手しているところでございます。
○石破政府委員 お答えをいたします。 今、春闘の時期でございまして、労働時間の短縮、千八百時間とかいうようなお話が出ますと、それを酪農家の方はどのような気持ちでお聞きになっていらっしゃるのかなということを私ども痛切に感じておるところでございます。 先生御指摘のように、生き物相手でございますし、また、ぬれ子が下がった、その分は量で補わねばならぬ、したがって一生懸命搾る、さらに下がる、そういうような循環があることもまた事実であろうと思っております。したがいまして、平成五年度から、これから御審議をいただくわけでございますが、ゆとりの創出というものにつきまして新しい事業を組んでまいりまして、これは内容は先生御存じのとおりでございますが、そういうような事業を組む、ヘルパーの利用促進というような従来からの措置に加えまして新たな措置を講じる、かように考えておるところでございます。 先生の御指摘は、常に価格政策から所得政策というものを考えてはどうか、こういうようなお話ではなかろうかと思っております。ただ、現行の価格の決め方というものに従いまして、いろいろな要素を勘案いたしまして、どういうような価格になるのかということをまず明らかにいたしました上で、総合的な施策をこれから勘案してまいりたい。それは新政策のビジョンでもございます。 以上でございます。
○鉢呂委員 ですから、乳価は据え置くと同時に、昨年、異例、単年度限りといういわゆる酪農の緊急対策事業でしたか、キロ二円、四十八億であります。この事業の目的を見てみますと、牛肉自由化によるぬれ子等の個体販売価格が急落をし酪農経営に大きな影響を与えておる状況を踏まえ、四年度限りの臨時異例措置としてこれを行う。この状況は平成五年度も変わっておらない。 少し具体的に言いますと、先ほど言った北海道の家畜卸市場での個体価格の推移でありますけれども、六十三年と平成四年、一年間を対比しておりますけれども、初妊牛は五十万九千円から二十九万一千円、四二%の下落です。それから肉用経産牛、いわゆる経産牛を廃用にするときの価格ですけれども、二十八万一千円から十万一千円、実に六四%減少しておる。それから乳用経産牛、これは経産牛同士で売るということですから、酪農に使うというふうに理解をしてもいいのですけれども、四十二万から二十万三千円、半減をしておる。ぬれ子についても、先ほど低落をして持ち直しぎみだというような表現がありましたけれども、決して持ち直したと言えるような金額でないことは事務当局は承知しているはずであります。 そういうことを勘案すれば、牛肉の自由化の影響はまさに続いておる。今政務次官も言いましたけれども、ゆとりの時間、これはもうお金がかかるのです。ゆとりの時間を、二千八百時間を勤め人並みに千八百時間にするということにはお金がかかるのです。先ほど私も聞きましたら、ヘルパーを頼むのに年間三十万も四十万も、基金も持ち出しておりますからかかっておる。お金がかかるのです。だから、農家によっては、そんなヘルパーなんかどうでもいい、乳価がきちっとすれば我々はお金で雇えるんだよという人さえいるぐらい、これは何をやるにもお金がかかる。そういう状況を考えたら、先ほど言った緊急対策二円というのはやはりもっと強化拡充をして継続をすべきである。先ほど個体販売価格二百八十万ほど減少したというふうに述べました。これを乳量で割り返せば、加工原料で割り返せば大体九円ぐらいになる、これだけで。概算ですけれどもこれは間違いない。金額に直せば二百十億にもなるのです。二百十億の影響がこれだけでも出ておるのでありますから、二円相当の四十八億というのは本当に少ない金額であります。 私は、後でまたお話しする時間がなくなるとあれですから述べますけれども、実はこの牛肉の自由化の際に、いわゆる肉用子牛の生産安定法律をつくりました。その際の会議録を全部見させてもらいましたけれども、牛肉等の関税収入相当額をもって国内対策に万遺漏なきを期すということを明確に答弁をしております。当時の佐藤農水大臣であります。 この二年ほど、牛肉の自由化がされまして、関税率七〇%、六〇%、漸減しておりますけれども、その財源は、大蔵省に聞いてみますと、平成三年度は一千四百億、農水省がこれについて計画をして肉用対策をしたのが一千十億弱であります。しかし、これも予算で見ただけで、実際に使った実績については示されておりませんけれども、後でそれをこの場で示してほしいと私何回も請求しましたけれども、明確に示していただけませんでしたけれども、多分この半分ぐらいしか使っておらないのではないか。平成四年度、今年度まだ三月まで関税収入来ておりませんけれども、推定すれば一千六百億ぐらいの関税収入があるのです。ことしも計画は一千億余りだというふうに聞いております。私はこの四百億、六百億のお金を使えばもっと有効に酪農経営の体質強化なり肉牛の経営の体質強化ができる、そのことをあの当時農水省、国は皆さんに約束をしたわけであります。 もちろん外国のものと対抗し得る経営体質に変えていくという前提でありますけれども、非常に急激に牛肉の、本当に日本の消費量の五割を超す、まさに割り当て数量が六万トンずつふえてきたあの前の年、六十二年当時から比べたらもう二倍以上牛肉の輸入が実数としてされておるのです、この五年余りぐらいで。そういう急激な自由化に国内の酪畜農家は対応し切れない状況を呈しておるのでありますから、先ほど言った酪農の緊急対策二円の、農業団体は三円を要請しておるようでありますけれども、三円をきちんと、政務次官お約束をしていただきたい、そのように思います。
○中須説明員 ただいま御指摘の酪農経営安定等。緊急特別対策ということで、今年度というか昨年四月から四十八億円予算化したのは、そのとおりでございます。ただ、この事業の趣旨は、その当時の個体販売価格の急落、かなりの山の上から谷に向かって急落している、そういう事実に着目して、何と申しましょうか、一種の激変というものをどう緩和していくかそういう議論の中から生まれた事業でございまして、その実施の際も、四年度限り臨時異例の措置という条件つきで、そういうお約束のもとで始まった事業でございます。 そういう意味では、私ども、個体販売価格は、例えば昨年というか平成四年度に入りましてほぼ横ばい、最近では若干でございますが上昇傾向、こんな感じでございまして、そういう客観情勢なり事業実施当初の約束ということから、継続は大変困難である、そういうふうに認識しております。
○鉢呂委員 審議官、余りにも血も涙もないようなことを勝手に言われては困るのです。 それでは、去年の状況と変わっておるということが言えるのですか。先ほど私個体販売価格を言いましたけれども、去年よりもことしの方が、平成三年より四年の方がおおむね下がっているのですよ。同時に、今ぬれ子の話を言いました。何か上昇機運であるかのような話をしましたけれども、数字で示しますけれども、昨年の一月から四月までは四万七千円から四万八千円、この間を推移しています。一番低かったのは、どんどん漸減しましたけれども、十月が四万一千四百一二十円でした。今十二月、一月、四万二千円、四万三千円です。去年乳価を決定した、あるいはこの緊急対策を決めた三月よりも、それでは上がったのですか、四万八千円よりも。もっと前を言ってもいいのですよ。上がっておらないのですよ。十月に比べたら少し一千円か二千円だかだか上がったぐらいで、そんなに上昇機運に転じたとかいうような段階ではない、まさに牛肉自由化の影響は引き続いて深刻化を加えておるというふうに言ってもいいと思います。 次に移ります。 乳製品の在庫がふえておるということが喧伝をされています。何かこの時期になると悪い方悪い方ばかり言われるのでありますけれども、しかし、昨年の四月に農水省は告示をし、脱脂粉乳を緊急輸入しておるのであります。その一年もたたないうちに在庫量が、在庫量についての調査の仕方についても大変信憑性が薄いというふうに思いますけれども、バターについては五・一カ月内外、脱粉については四カ月とかという話をされるのですけれども、しかし、このことは本当に短期間のうちに繰り返されておる。少し余れば生産調整ということで農家の自主的な努力にまってこれを調整していく、足りなくなれば乳業メーカ1の言うことをそのまま聞いて輸入をしておる。私が見ましても、五十二年から平成四年までほとんど三年ごとに過剰期と不足期の繰り返してあります。そのたびごとに農家は、あきらめを持って農業をやめておるのであります。どうせ不足期、これは必ずこの周期があるのですから、閣議決定をした政府の農業の生産見通し、平成十二年に向けての長期計画を立てておるじゃありませんか。これに沿って、生乳はどのような状況を示しておるのか、やはり中長期の生乳計画、ゆとりある生乳計画をすべきである。畜安法では、過剰になった場合にはバター、脱粉を調整保管することができるという法律があるではありませんか。なぜこれをやらないのか。 今回だって、必ずしも天候要因で飲用乳が伸び悩んだ、適正在庫の二倍になったからという、それだけで調整を加えていく、今北海道では、本年は去年の実績の〇・九%しか多く搾れないという、牛酪の決定に基づいて、それが付されてきておりますけれども、大変な状況であります。むしろここで本当に日本の自給率を高める、高める項目は数多くはないのです。この生乳は量的に見れば基本的に伸びてきておるのでありますから、この政府の長期見通しに立って、ゆとりのある需給の計画、それに基づく実行をすべきである。そのことに対して、国が財政的な手をかすこと自体が食糧の安全保障という具体的なあらわれではありませんか。 このことについても政務次官に、バター等の事業団買い上げにはいろいろな条件があると思いますが、安定指標価格を下回った場合にこれをきちんとする、そういう決意があるのかどうか、そのことについてもお伺いいたしたいと思います。
○中須説明員 お答え申し上げます。 現在の生乳及び乳製品の需給状況につきましては、決して私ども意図的にどうこうということではなくて、明らかに昨年途中から、それまでの逼迫基調から緩和基調へと基調の転換がなされた、こういうことだろうと思います。もちろん、その原因というのはさまざまな要素がございますし、一概に言えないわけでございまして、長期的に見れば緩和と逼迫というのがある程度の期間でもって繰り返されているというか、山と谷というか、そうなっているのも事実でございます。 ただ、例えば現在の状況、平成四年度の状況を見ますと、それまでの生乳の逼迫基調から、生産増強にみんなで努めたわけでございます。その結果、平成四年度で言えば、一月まででございますが、生乳生産は三・七%増ということになってきた。それに対して飲用牛乳の消費はほぼ横ばい、〇・五%増ということでございますので、必然的に乳製品の生産量が大幅に増大する、そこに景気後退等の影響もございまして、バターあるいは生クリーム等を含めて消費が停滞する、あるいは減少するということで、残念ながら現在需給はかなりの緩和基調にある、こういうことだろうと思います。 これにつきましては、既に昭和五十四年でございましたが、そういう事態が繰り返されるという中で、生産者の自主的な形によります計画生産というのが生乳についてはとられているわけでございまして、そういった生産者の計画生産ということを通じまして、現在の事態が悪化しないように、そういうことで基本的には対処してまいりたいと思います。 畜産振興事業団によりますバターとか脱脂粉乳の買い入れ、こういう問題については、法律上、御指摘のとおり、価格が一定の水準を割り込めばそういうことが可能だという規定がございます。そういう段階になりましたら、それが適切な措置がどうかを含めまして検討いたしまして対処をする、こういうふうに考えてまいりたいと思っております。
○鉢呂委員 畜安法に基づくそういう条件がそろえば、事業団の買い上げ発動はあるというふうにその発言を聞きたいというふうに思います。 そこで、次に移りますけれども、乳用の初生犢、いわゆるぬれ子対策の関係であります。 先ほど言いましたように、政府は、牛肉の自由化に当たりまして、肉用子牛生産安定等特別措置法という法律を制定しました。これは牛肉の自由化がされた場合には当然国内産の肉用牛生産が困難な状態になるだろう、このことも当時の国会答弁で明確に政府は答えておりますけれども、肉用牛生産の振興を図る上で、価格対策等を含めて総合的な対策を講じていくという趣旨でこの法律はつくられたというふうに理解をしております。そこで、肉用牛の生産振興を図る上で子牛の再生産を確保することは不可欠であり、しかも効果的であるというふうに述べておるところでありまして、子牛に対する不足払い制度が発足をしたところであります。 六十三年十一月八日の当農水委員会で、当時の京谷畜産局長はこのように答弁をしております。今後の酪農経営を考えた場合、ぬれ子が適正な価格水準で取引されることが大きな要素であると認識をしておる、肥育素畜、いわゆる生後四カ月から十カ月のこと宣言うのだと思いますけれども、肥育素畜とぬれ子の間には極めて強い相関関係があるので、価格の連動が非常に強いというふうなことだと思いますけれども、相関関係があるので、肥育素畜四カ月から十カ月を本制度により価格安定を講ずれば、ぬれ予価格について相応の適正な価格が形成されていくというふうに答弁をされております。 しかし、先ほどから言いましたように、ぬれ子雄価格の動向は、平成元年が、これは農水省の統計でありますけれども、十三万五千円、ただしこれは北海道の生乳加工原料乳地帯でありますけれども、元年が十三万五千円、二年度が九万六千円、三年度が平均の五万五千円、四年度は先ほど言ったとおりの低迷をし、この三、四年間で大きな価格の低落を示しておるのであります。まだこの制度自体は二年を経過しようとしているにすぎないのでありますけれども、まさに肥育素畜とぬれ子の相関関係は効果を発揮し得ておらない。肥育素畜に対する保証基準価格は十六万ちょっとでありますけれども、今回の諮問もそれを若干下げておりますけれども、十六万円であります。まさにこの価格の連動性、相関関係は形成されておらない。その間にも酪農家のこれに与えた影響は大きいのであります。 私は、このことからいっても、この制度が持つ制度的な欠陥として今の価格形成があるのではないか、示しておるのではないか、そのように思うわけでありますけれども、農水省当局の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○中須説明員 ただいまの先生の御指摘のとおり、肉用子牛の生産者補給金制度立案当時、私どもといたしましても、基本的には、この制度の中に肉用牛として育てられる乳用種というものを取り込むことによって、端的に申しますれば、七カ月齢ぐらいで肥育素牛として取引される、そういう子牛段階で一定の不足払いを行うということによりまして、それが初生牛というかぬれ予価格の安定にも資するのではないか、こういうふうに考えていたのはそのとおりでございます。 確かに、その後の推移を見ますと、例えば非常に端的なお話として、乳用種の七カ月齢程度の子牛価格、現在の価格水準でいいますと、もちろん差はございますが、十万から十二万の間ぐらいというふうな状況だろうと思います。それにつきまして、ではそこに育てるまでどのくらいの経費がかかるか。これもいろいろございますけれども、仮に十万だと考えれば、この制度がもしなかりせば、そのぬれ予価格というのはゼロないしごくわずかなもの、そこしか支払いの余裕がないということになるわけでございまして、そこが適正な水準かどうか、あるいは完全に反映し切っているかどうか、連動しているかどうかという議論はございますけれども、基本的には、この補給金制度によって子牛段階で不足払いが行われていることが、ぬれ予価格の一定の安定に寄与しているという状況があるのも事実だろうと思っております。 短期的には、特に制度がまだ発足直後というか日が浅いわけでございまして、これまでの間の状況を見ますと、制度への加入状況の問題、あるいはぬれ子を買われる側、育成経営あるいは一貫の肥育経営にとっては、どういう価格でぬれ子を買うかというのは、単純な計算だけではなくて、その経営自体がぬれ子を買って肉牛あるいは子牛として出荷する、それまでの間のタイムラグがあるわけでございまして、それによって育成経営あるいは一貫経営が収益性が悪化しているときはその買い気が弱くなる。そういうような意味での収益性の状況等の影響も受けているのではないかな、そういうふうにも思うわけでございます。 ただ、いずれにいたしましても、この制度のもとで考えますれば、いわゆるぬれ子自体を制度の対象にすることは困難だと考えておりますが、酪農家の皆様方が御自分でぬれ子を育成するあるいは個別の農家で取り組む場合に、困難であれば、共同してあるいは組合でそういう取り組みをされる、そういうことによってこの肉用子牛の生産者補給金制度の中に、じかにというとおかしゅうございますが、酪農経営が入ることも可能なわけでございます。 そういう道も含めまして、私ども、この生産者補給金制度がより一層ぬれ子の価格安定につながるように今後とも努力をしていきたい、こういうように思っております。
○鉢呂委員 この制度が価格の安定に一定の寄与をしておるということについては、これはまさに納得できない。十六万の保証基準価格、正確には十六万五千円でしたが、この基準価格を想定したときに、ぬれ子、いわゆる本当の素畜ですね、この価格は今の四万円台前半でいいのかということになると、私はそうではない。今審議官が言われたように、ゼロに相当する、今肥育素牛の値段が十万から十一万ぐらいですから、それからいけば、経費を考えれば素畜代は、ぬれ子はゼロであってもいいのだと、いいのだとは言いませんけれども。それが今四万円台ということは、その分が補てんされているということではない。実際には、十六万五千円を維持するということでこの制度は成り立っておるわけでありますから、私は、それに基づいた酪農家のぬれ子の価格の維持があってしかるべきだ。今の複雑な流通機構、すべての農畜産物がそうですけれども、複雑な流通機構の中で、中間の肥育素牛を幾ら価格支持しても、その前の段階のぬれ子の段階にはなかなか波及しない、連動しない、そのことを端的に示しておる。私はむしろぬれ子の段階、一番最初の段階で価格を支持する、そのように畜産局長も述べておるのです。子牛の段階を維持すれば、それは最終的な肥育の段階まで行く。私は、そういうことからいけば、この中間段階を維持したというのは制度的な欠陥である。 いろいろ希望的なことを言うのであって、今の現実の立脚点に立って、私ども、同じ町の中でぬれ子もおり、肥育素牛農家もおります。同じ町内であれば、価格補てんされた五万なり六万をぬれ子に上げたいぐらいだ、そういうふうに言っています。しかし、大きな流通の中ではそれがなかなか実現しないのです。ちなみに、七万ぐらいのぬれ予価格は保証されなければならない。そうすれば、全国的に七十一万七千頭が流通しておると見られておりますから、ここで酪農家は実に二百十五億の本当は補てんされるべきものが補てんされない。経営的乳肉複合はやってもいいとかいうのは、これは農家の選択制です。今の二千八百時間という労働時間の中でこれをやれといっても、もうそれ以上は過労死をしろということを言っているのですよ。やはりこれは制度的にきちんと保証する、制度を創設する。それが今すぐできないのであれば、先ほど言ったような緊急対策でなくて、恒常的なゆとりある酪農経営対策というものを、政務次官、創設すべきであると私は思います。御理解できますか。——それは、もうあと十分くらいしかないから要りません。 そこで、あの当時の委員会でも、下落をした場合には畜安法による買い支え、畜産振興事業団の買い支えをするのだ、二本立てでいきますというふうに明確に農水大臣は御答弁をされておるのですけれども、いわゆる畜安法による事業団の買い支え、今九百円台に落ちてきておりますからそういう事態は考えられるのでありますけれども、そういうことをやるというふうにここで御答弁を願いたいと思います。
○中須説明員 ただいまの御質問は、牛肉の省令規格、いわゆるB2,B3の規格について定められております安定基準価格を割ってB2,B3が推移した場合に、畜産振興事業団等による調整保管を実施するのかどうか、こういう御質問だろうと思います。 私どもといたしましては、牛肉の省令価格が安定基準価格を一定期間というか、ある程度水準的に下回るという事態が発生しますれば、その時点で調整保管を実施するかどうかという判断をしなければならないわけでございます。これは基本的に、その時点における需給動向であるとか価格低下の原因、こういうものを見定めた上で、調整保管というものが価格回復を図る手段として有効に機能するかどうか、これを十分検討した上で、その時点でその事情に即して判断をしていく、こういうふうに考えております。
○鉢呂委員 買い入れ、調整保管等が有効に機能するかどうかということではなくて、あの当時の六十三年の国会答弁でも、そういう事態、いわゆる安定指標価格を下がった場合には、そういう事態が生じたときには、畜安法に基づく買い入れ発動を行いますというふうに御答弁をされておりますから、きちんとこれを履行していただきたいと思います。 それから、先ほども申し上げましたけれども、私ども日本社会党は影の内閣を創設しております。三月十八日に衆参十一名の国会議員を中心として、やはり生産者段階だけを見ても日本の食糧全体を見通せないということで、消費流通部門に対して現地調査を実施させていただきました。東京都が運営をしております食肉卸売市場、あるいはまた厚生省が所管しております輸入食品の検疫所、そしてまた直接消費者の段階に、消費者の声あるいはまたスーパーの牛肉の販売状況、これを見てまいりました。 そこで言えることは、加工原料乳生産者保証価格は、政府が一手に価格を握っております。あした、あさって決めることになるのですけれども、昭和六十年、今から七年前は一キロ九十円七銭でありました。これが平成四年、脂肪率も三・五に引き上げになって、七十六円七十五銭。まさに脂肪換算を補正しますと一八%の価格の引き下げ、昭和五十二年当時の乳価水準であります。乳業メーカーの基準取引価格も、この間一〇%ほど下がっております。政府の補給金はこの六年間でキロ二十円から十円に落ちた、半分に補助金を減らした。まさにガットの国内支持政策を模範的に遂行しておる、そういう状況であります。 しかし、小売の製品を見てみますと、この点は一切農水省もきちんと明確に審議会等に明らかにしておらないのですけれども、総務庁の消費者物価指数を見れば、例えば牛乳、これは飲む牛乳ですけれども、一リッター当たり二百一円、これは平成二年一月が最低でして、二百一円が命ずっと上がってきて、ことしの二月でも二百十二円になった。この間、三年弱で一〇五・四%、五・四%も上がっておるのです。消費が減退をした、寒いとかなんとか言いながら、牛乳の小売価格は下がるどころか二百十二円、ある面では、これは価格を維持するということは、以前の乱売をして百五十円とかということから見るとそれなりのことは言えますけれども、しかし上がっておるのであります。上がって消費を伸ばそうなんというのは、いわゆる市場経済では無理な話ではありませんか。 同時に、バターについても二百二十五グラムの小売価格、これはほとんど国内物でできているというふうに思いますけれども、この三年余りで三百七十四円から三百七十六円、まさに価格は固定をしっ放してあります。二円の変動しかないのであります。最近もずっと三百七十六円です。これもバターが余っておるというふうに言われておる中で不思議でならない。あるいは粉ミルク、赤ちゃんが飲む粉ミルクですけれども、この三年余りで一二%も上がっております。 大臣のあいさつは、生産から流通、消費にわたる施策の総合的な実施をしていくというふうに畜産審議会でも御答弁されました。このことからいけば、血のにじむような生産者の段階の努力が消費者物価に、小売物価に反映をしておらない。やはりこのことについて農水省はきちんとしたメスを入れるべきである。流通が複雑化しておるということだけで手を挙げておる状況でない、牛肉についてもそのことが言えるのであります。総務庁では、牛肉はむしろ上がっておるというデータしかないのであります。これは特売を外しておるということが言われておりますけれども、輸入牛肉を加えてもこの間一一%上がっておるのでありまして、そういう点で、政務次官に食糧政策としての生産から流通、消費に至る総合的な施策に対する考えをお聞きをして、質問を終わりたいと思います。
○中須説明員 ちょっとその前段で、ただいま小売価格の問題が出ましたので若干御説明を申し上げたいと思うわけでございますが、バター等の小売用の乳製品につきましては、確かに、特に多頻度少量配達等の要請による物流費の上昇だとか、人件費の上昇等の要素があって、なかなか小売価格に卸売価格の低下基調というものが反映されにくい状況にあるのは事実でございます。 ただ、小売物価統計、ただいまお話あったわけでございますが、それだと、いわゆる定番商品というか決まった商品についての価格の動きということになるわけでございますが、いわゆる総理府の家計調査によりまして、世帯で購入したバターの金額を量で割るということで出しました単価の動向で見ますと、これが正しい水準だというつもりはないわけでございますが、例えば平成四年度、四年四月から十二月末の段階でマイナス一・一%というふうなことも出ておりまして、そこはいろいろ難しい問題はあろうかと思いますが、徐々にではあるが一定の影響は出ている、そういうふうに見ております。
○鉢呂委員 終わります。
○平沼委員長 田中恒利君。
○田中(恒)委員 時間が余りありませんから、簡単に、簡潔に質問しますから、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいわけですが、新農政というものが投げかけられて、一応注目されておるわけです。私たちも、やはり次の新しい時代が、今もそうですが、爆発的な人口の増加に世界の食糧が対応できない、そういう意味での食糧問題、あるいは環境というもの、自然というものと農林水産業というものの関係、そういう観点に立った農政のあり方を描くという視点についてはよくわかるわけでありまして、そういう意味では総論、全く賛成であります。 ただ、具体的にそれがどういう形で出てくるのかということになるとたくさんな疑問を持っておるわけでありまして、これから本委員会でもいろいろな角度から検討してまいりたいと思いますが、今問題になっております酪農、畜産の問題については、残念ながらまだこの新農政のかけらも見ることもできないわけでありますので、一体酪農、あるいは果樹もそうでありますが、戦後の日本の農業発展の上に一つの足跡を残しておりますこういう部門をどういうふうに持っていこうとしておるのか、そういうことについてのスケジュールなどがもうできておるのか、そういう点を、大臣がおりませんから、政務次官からお答えをいただきたいと思っております。 私は、個人的には、日本の今の農業諸立法の中で残念ながらできていないのは、農畜産物の需給安定法といったようなものが、外国にはあるわけですが、日本にはどうもない。ないというよりも、まあ個別に食管法があるし、畜安法はある、果振法はある、そういういろいろなものが入っておりますが、非常に大きく変わった今日の情勢でこれらが十分な機能を果たしていない。食管法はそうであります。畜安法もそうであります。ですから、この際相当思い切った、いわゆる需給調整基本法といったようなものの法的整備が必要だと思いますが、そこまではなかなか大変でしょうが、少なくとも畜産については政府が中長期の需給安定計画というものを早急に樹立して国民の前に示すべきだ、こういう考えを持っておりますが、私の個人的な見解が含まれておるわけですが、政府にその考えありや否や、あるいは前段申し上げましたような新農政の中で、畜産部門、どういうビジョンを示すのか。 酪農家に聞くと、第一位があすの酪農に希望を持てない、やってもだめだ、こういうものが一番多いわけですね。それはあなたのところが調査せられた調査結果でありますから、そういう意味で安心のできる畜産はこうすればなるんじゃないかというものを速やかに示さなければいけないと思うのです。それについてのスケジュールなり考え方はどうか、それから需給調整法の考え方はどうか、お答えいただきたいと思います。
○石破政府委員 お答えを申し上げます。 確かに御指摘のとおり、新政策というものが稲作中心のビジョンしか示されておらぬではないか、十町ないし二十町というものしか提示をされておらぬではないか、そういうような御指摘は事実でございます。新政策の検討に際しましては、稲作等の規模拡大が施設園芸また中小家畜というものと比べまして著しく立ちおくれているということがございまして、国内における土地利用型農作物の供給力を確保する、それが喫緊の課題である、そういうことでございまして、まず水田を中心といたしました稲、麦、大豆等につきまして経営展望を行ったところでございます。 しかしながら、新政策において畜産部門をどのように考えるか、これは早急に検討をしていかねばなりません。そういうような観点から、私ども。今春早々というような言い方をしておりますけれども、まず予算の概算要求、そのあたりまでには新政策における酪農、畜産の位置づけというものを明確にしてまいりたいと考えておるところでございます。 なお、先ほど松岡委員の御指摘にもお答えをいたしましたが、これは非常に抽象的なお話で恐縮でございますけれども、ゆとりのある経営ということ、そしてまた生涯賃金が他産業並みということ、そして適地適産ということを視野に入れながら考えていかねばならないと思っております。 また、先ほどの鉢呂先生の御質問とも関連をすることでございますが、確かに展望のあるものを示していかねばならない、そのとおりでございます。ただ、新政策というものは、それが決して魔法のつえというわけではございませんで、このようにやれば必ずもうかるというものが提示できるかといえば、それはなかなかそういうわけにもいかないのではないか。それぞれの経営の実態、そしてまた経営の状況、そしてまた、どのようなところでどのような形態でおやりになっておるか、そういうようなものを総合的に、子細に検討していくことが必要ではなかろうかと思っている次第でございます。
○中須説明員 後段の中長期的な生乳需給計画、調整計画のようなものを国として定めていく、そういう制度化を図ってはどうかという御質問でございます。 一つは、実態といたしましては、御承知のとおり生産者団体、具体的には中央酪農会議がやっておるわけでございますが、もう御承知のとおり、釈迦に説法でございますが、生乳というのは、乳牛がいて、そこから生乳が生産されるという形でございますから、急激な増産とか急激な減産ということが非常にやりにくい、そういう特性を持っております。そういう急激な増産とか減産ということは、経営に大変影響を及ぼす。そのために、昔はこの中央酪農会議に基づく計画生産というのも単年度でやっていたわけでございます。いろいろ問題が生ずるということで、平成元年度から三年ということで、やや中期的なものに改善する、その中で、三年で計画を立てて、ローリングシステムと申しましょうか、見直しをしながら進めていく、こんなふうにやっておるというのが現状でございます。 これは基本的に、生乳の取引自体は、言うまでもないことでございますけれども、生産者と乳業メーカー、もちろん今の不足払い制度のもとでは、生産者は一元集荷団体という形で生産者団体を通じて乳業メーカーと交渉するわけでございます。そういう民間同士の取引にゆだねられている。需給動向に応じてその両者の間の判断によって、必要量というか、価格と量が決まってくる、こういう形をとっているわけでございます。そうである以上、やはり国が後見的に計画をつくっても、その両者の間での取引が具体的なものだということになりますれば、やはり実際上どういう意味を持つのかということがあるのではないかなというふうに思うわけでございます。 そういう意味で、私ども当面この中央酪農会議によります計画生産ということについて、お互いに情報交換等を含めまして、適切な指導助言を行っていく、こういう形で、ある程度中期的な需給の安定に努力をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○田中(恒)委員 中酪の生乳の需給計画をもって事足れりという意見は、大変安易な考え方ですよ。あれは大体、つくるときからその議論があったわけだが、生乳の需給というのは、生産者とメーカーがあるわけなんだ。メーカーは、牛酪の生産需給計画の中に入ってないんだな。そういう力がないものでは一方的なんだ。やはり、これだけ大きく農政が変わろうとすれば、政府が、農林省は責任を持ってこうしたいということを生産者とメーカーとを合わせてやっていく、これが一つ。 もう一つは、輸入の問題だ、輸入。輸入が今の乳業界を、酪農というものを、肉畜を混乱させている一番大きな原因ですよ。だから、この輸入の問題も含ませた需給調整でないと、計画でないといけないんですよ。何もペーパーを出して数字入れるだけのことなら大したことはないのだ。そういう意味ではないわけでありまして、政府がやらなければいけないというのは、そういう意味で、私はしっかりとした調整計画というものは必要である。それは、輸出入を考えて、国内のいわゆる生産者と消費者と、それがともに検討し合って守れるような権威のあるものにしてほしい、こういう意味で申し上げたわけでありますから、これは検討の素材にしていただきたいと思います。 それで、これはなかなか大きな問題ですからあれですが、今政務次官のお話の中にヘルパーの問題に通ずる御意見があったので、私もこのヘルパー制度をつくるときにちょっと走った一人ですが、今の経済情勢の中では大変大切な役割を持っておると思うのです。この酪農ヘルパー対策事業というものはことしでたしか三年目に入ると思うのですが、今後の事業推進についてはどういうふうな考えに立っているのか、簡単でいいですから、要点だけちょっと。
○中須説明員 御指摘のとおり、周年拘束制の厳しい労働が酪農の労働の一つの特徴でございまして、酪農ヘルパーというものがそういう酪農経営を支援していくという意味で果たす役割は大変大きいと私どもも認識しております。 ただいま先生御指摘ございましたように、平成二年度から酪農ヘルパー事業円滑化対策というのを進めてまいりましてことしが四年度目、こういうことでございます。基本的な仕組みとしては、御承知のとおりでございますが、中央のほか都道府県段階に生産者、利用者の側と国、そういうものを含めまして基金を造成いたしまして、その基金の運用益を主体としながら一番末端での利用組合の活動を援助していく、そういうふうな仕組みができ上がっているわけでございます。 私ども現在、当面この制度のもとで、各都道府県に造成された基金の運用益によってその酪農ヘルパー組織の普及定着を支援していくという状況を見守ってまいりたい、そういう意味で、今後とも酪農ヘルパーに関する団体の指導援助に努めてまいりたい、こういうふうに思っている段階でございます。
○田中(恒)委員 結局、七十億の基金を積み立てて、その七十億の金利、利子分で運用していくということでありますが、一口に言うたら、七十億では足らぬ、もっと百億にして二百億にするという考えはないかということが結論であります。 今いろいろ聞いてみると、まず一番言うのは、ヘルパーに対する人件費の助成が何とかならぬかということなんですね。皆さんいつも聞くでしょう。ところが、これはだめだと言うんだな。財政的に個人に対する補助金は出ないと言うんだが、これをもう少し知恵を働かせて何かそういうものと通ずるような方法が考えられないのか。 ことしの予算のときにも私は局長とある程度突っ込んだ話もしたけれども、なかなか大変だ、難しいと言うんだが、後継者の問題がこれほどやかましくなっておる。特に山村、こういう畜産地帯の後継者確保が非常に難しくなっておる。後継者養成事業というのに対しては相当な補助金が出るわけだが、こういうものと結びつけるということも一つの方法だと思う。あるいは、労働者が今保険で、労災の問題とかいろいろありますね。失業保険から厚生年金から、そんな制度が要るわけだが、そういうものもあわせて市町村や団体、バックアップするわけだから、そういうものも絡ませてこのヘルパー制度というものをもっと内容的に充実してもらうということが、当面二千八百時間の労働を千八百時間にさせるという基本的な方向は、あなた方も言っておるわけだから、そういうものに接近するためにどうしても大切なのですよ。それをやらないと、もうヘルパーになる人がいないという状況が現在の実態ですよ。だから、ヘルパー制度というものに対して力を入れてもらいたいと思うのだが……。 人件費の問題も、人件費そのものと言ったら大蔵省がどうだこうだと言いますから、言いませんが、人件費と絡んで、そういう知恵の働きどころは幾らでもあると思うのだ。役人というのは知恵があるんだから、何か仕組みをつくっていただきたいと思うのですが、どうですか。
○中須説明員 御指摘のとおりでございまして、このヘルパー事業を普及定着するために私ども知恵を絞って対処していかなければならない、そういうふうに思っております。 まさに先生からもいろいろお話を伺いましたが、平成二年度に酪農ヘルパー事業円滑化対策を実施する、これ自体もいわばそういう知恵を出す一つの過程の中で生まれてきたものでございまして、現在利用組合の事務所の借り上げ料であるとかヘルパーの活動車あるいは燃料費あるいは通信機器のリース料など、運営経費をかなり幅広く助成対象にしている。その分、言ってみれば実質的に料金の負担軽減にある程度寄与している、こういうことだろうと思っているわけでございまして、やはり現段階では、当面この制度ができて、全国で百億ちょっとの基金ということになっております。その利用状況を見ながら、今後どういうふうに進めてさらに次の段階に進んでいくか、将来の課題として考えていきたい、こういうことでございます。
○田中(恒)委員 問題として提起をしておりますから、十分検討していただきたい。 そこで、ことしの原料乳価、あと数日で決まるわけでありますが、この原料乳価とことしの市乳、飲用乳価ですね、この関係は連動するのかどうか、この関係はどう見たらいいのか、この点をお答えいただきたい。
○中須説明員 先ほども御説明申し上げたとおりでございますが、加工原料乳の保証価格につきましては、主要な加工原料乳地域、つまり北海道における生乳の再生産を確保することを旨として、生乳の生産条件であるとか需給状況その他の経済事情を考慮して決めている、こういうことでございます。 しかし一方、飲用向けの生乳価格というのは、全く基本的には市乳の需給の実勢、こういうものに基づいて指定生乳生産者団体と乳業メーカ−との間で自由で対等な交渉によって決められるべきもの、こういうことでございますので、基本的に両者の価格は性格が違うということでございまして、飲用向け乳価というものと保証価格は基本的に連動しない。現に近年におきます両価格の動きを見ても、その方向あるいは幅について連動しているという事実はないというふうに認識しております。
○田中(恒)委員 連動しない、こういうお答えでありますが、しかし傾向としては、原料乳価が下がれば市乳も下がる、原料乳価が上がれば市乳も少し日が差す、こんな傾向を示しておるのではないですか。これはやはり乳ですからね。全体的にはそういう、本質的にはそんなに全く連動しないというものではないと思うが、しかし考え方としては、原料乳は原料乳の立場で、生産も北海道を中心にしておるというわけですから、市乳は買う方と売る方とが対等で話し合って決めるということでありますからそれでいいわけでありますが、必ずしも実態はあなた方が言うように——この間、二年ほど前ですか、農林大臣が、原料乳を下げて、下げたときに心配をして、別だから、それは別だというふうに徹底させるよ、こういうことを談話として発表されましたね。されましたが、しかし結果的にはやはり原料乳が下がったら市乳だって影響を受けるのですよ。 そういうことであるから、これからこの原料乳の問題が終わったら市乳の問題に移るわけですが、なかなかメーカーと生産者団体とが話が煮詰まらない。だから、必ずあなた方が表になり裏になりいろいろ走り回る、そういうことがあるわけですね。去年なんかも相当長かったね。こういうふうに余り長い間がたがたさせなくて話をつけなくてはいけないのですよ。そういう意味では、そういう際にこそ農林水産省の行政指導というものがあるべきだと私は思うのです。そういう場合に、その行政指導はどういう方針で臨んでいかれるのか、それをまずお答えいただきたいと思う。
○中須説明員 一つは、運動に関する実績というとおかしゅうございますが、過去どういう状況だったか。これはどういう統計をとるかでもっていろいろ違うわけでございますが、例えば一例を挙げますと、これは飲用等向けの生乳価格というのはある程度推計でございますので、そういうある程度の幅はあるというふうにお考えいただきたいわけでございます。 例えば昭和六十二年度をとりますと、たまたま保証価格が対前年比で五・五%下がり、飲用等向け生乳価格が五・一%下がりました。しかし、その翌年の六十三年度で申しますと、保証乳価は三・五%低下したわけでございますが、飲用等向けの生乳価格は一・四%上昇。さらに、その次の年の元年でいいますと、保証価格は横ばいということに対して、飲用等向け生乳価格は一・九%の上昇。こういうことで、実態的にも必ずしも連動しているわけではない、こういうことだろうと思います。 それから、飲用乳価の具体的な交渉については、これは私が申すまでもなく、過去何回も大変難しい局面もございましたし、その辺先生も十分御承知のとおりだろうと思います。私どもといたしましては、基本的に両者間が自由で対等な立場で交渉して適正な価格形成が行われる、こういうことを目指す、そういうことを期待するわけでございまして、そういう基本的な観点に立って、状況に応じて、必要に応じてと申しましょうか、その場で適切に対応していくということだろうというふうに考えております。
○田中(恒)委員 今の連動するか連動しないかということについての数字の説明も余り納得いきませんが、しかしムードとしては、原料乳が上がる下がるで乳価全体に影響を与えるのですよ。それは否定することはできないと思うのです。だけれども、そのことについてとやかくは言いませんが、生乳団体とメーカーとの話し合いが非常に混乱をしてくるということがないように、あなた方は事前にそのときの需給事情というのはほぼわかっておるわけでありますから、あなた方の数字で。そういうものに基づいて両方を余り混乱させないように調整に入っていく、こういうことを考えてもらいたいが、その場合に、先ほど来いろいろお話があったように、酪農というものが大変な状態になっておる、こういう事態の上に立って農林水産省としてははっきりとした方針を持って臨んでいただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。 それから、最近数年間の市乳と加工乳の割合はどういう状況になっておりますか。
○中須説明員 御質問は、市乳の中での牛乳と加工乳の割合ということでお答えを申し上げますと、昭和四十年代には、飲用牛乳生産量に占める牛乳と加工乳の割合はほぼ同程度でございましたが、その後牛乳の好調な伸びの一方、加工乳が減少するということで、加工乳の割合が大幅に減少してきたわけでございます。 ところが最近、消費者の嗜好の変化と申しますか多様化を反映いたしまして、例えばローファットであるとかあるいは特別に濃い、そういうような加工乳が増加傾向にございまして、三年度で見ますと、飲用牛乳のうち牛乳が約八五%、加工乳が約一五%、こういうような比率に相なっております。
○田中(恒)委員 この数年間の傾向としては加工乳がだんだんふえておる、こういう状況であります。 私なども初めて国会に出たころの記憶がありまして、当時は半々で、加工乳が非常に多かった。むしろ加工乳の方が多かった。これはおかしいということで国会でも大分大きな問題になりました。特に農林水産委員会、社会労働委員会、社労はたしか橋本龍太郎さんが政務次官でしたが、あの人は非常にはっきりと我々に答えてくれて、いずれ数年の間にこれはずっと加工乳を減らしたい、こんなことをおっしゃっておったのです。それからだんだんその方向に向かっておったのですが、どうも最近また加工乳がだんだんふえていく、こういう感じが強いのです。 これはいろいろ原因はありますが、一口に言えば、加工乳の方がもうけが厚いということですよ。やはり乳価全体がこういう状態になっていくと、市乳というか飲用乳ではなかなかもうけの幅が薄い。加工乳の方が厚いということだと思うのですよ。しかし、それが国民に健康食を勧めていくという上で妥当かどうかやはり再検討してみる必要があるんじゃないかと思います。 公取にお尋ねをしますが、公取では公正取引協議会というのを持って牛乳の取引についての公正さを期するために規約をつくり、あるいは指導の要領などを大変細かくやっておりますが、私どもスーパーへ行きますと、きょうここへ持ってきたかったが、そんなものを持ってくる時間もないから持ってきておりませんが、ともかくたくさんの牛乳なり牛乳に類似したものが並べてある。一々見ればわかるわけですけれども、小さい字でたくさん書いてある。一つのスーパーで二十近くあるんじゃないですかね。だから、加工乳はあるし、乳飲料もあるし、無脂肪もあるし、いろいろな形でたくさんあります。あんなにたくさん出さなければいけないのかどうか、私などは素人なりに疑問に思いますがね。牛乳とはいわゆる乳から搾った生乳そのものであるといえば、一〇〇%これは牛乳ですといえばいいんですが、雪印牛乳といって、これは一般牛乳でありますけれども、一〇〇%の牛乳が入っておるんだ。加工乳というのは生乳はこれだけ入って、それから脱粉がこれだけ入っておるんだ、四割と六割だ、五割と五割だ、六割と四割だ、そういう割合を示せばいいんじゃないかとすら思うわけでありますが、そういう意味で、もう少し思い切った表示の検討をしてみる必要があるんじゃないかと思いますが、公取としての御意見があったらお聞かせいただきたいと思います。
○伊東説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、加工乳、乳飲料等の飲用乳の表示につきましては、業界で公正競争規約を設定してその適正化に取り組んでいるところでございます。 公正競争規約におきましては、牛乳、加工乳、乳飲料等の種類別にその名称を明瞭に記載することといたしますとともに、加工乳及び乳飲料につきましては使用原材料名等も表示することとなっておるわけでございます。 御指摘の配合割合の表示につきましては、消費者や生産者の団体からの要望もございまして、従来から業界において検討しているところでございますが、コンセンサスを得るに至ってはいない状況でございます。ただ、牛乳と誤認されることを避けるために、例えば加工乳、乳飲料につきましては、その商品名の三分の二以上の大きさの活字でその旨を表示する等の改善を図っているところでございます。 公正取引委員会といたしましては、引き続き飲用乳の適正な表示について関係業界を指導していきたいと考えておるところでございます。
○田中(恒)委員 私はこの問題で何回かあなたのところとやり合いをしておるんだが、そうは言いながら、牛乳とか乳とかミルクとかこういう表示をしてはいけないと言いながら、やはり抜け穴がちゃんとできておるんだ。だから、それが公正規約の中に例外措置として規定せられておるし、施行規則にも載っておるものだからちょっと混乱が起きてきておるので、もう少しそういう意味では、細かいことをたくさん書いてあるんだな。自然とか土とか、そんな言葉を使ってはいけないとかというような表現の文字まで細かくこれ書いておるが、もう一遍やはり総ざらいをして見ていただかないと、私は西日本の方ですが、西日本では市乳の乱売合戦というのがあって、特にスーパーなんかは牛乳と卵なんだね、客寄せが。そして特売日というのを設けて、べらぼうに安いんだ。普通牛乳は大体二百六十円ぐらいですよ、今。これが半値に近い価格でどんどん売られていっておる。乳飲料になるとまたずっと安くなる。だからそういうところから値崩れして、そこからやはり一つの大きな問題が出ておるわけでありますから、もっとしっかりとした表示の内容を決めていただくようにお願いをしておきたいと思います。 そこで農林省、農林省では六十二年から市乳の取引、乳の取引を脂肪率、当時三・二%と思いましたが、三・五%に上げましたね。乳質改善ということを盛んに言い出してきた。これが先ほど来の超過労働というか、非常に真剣になっていく。先ほど鉢呂君の方から、牛が死ぬか人間が死ぬか、そこまで真剣になっておると言われたのですが、そういうこともこの問題にちょっとひっかかっておるわけです。いい乳をたくさん搾りたいという競争をあおっておるわけでありますが、高い脂肪率が市乳の価格、乳の価格を決める場合の基準になる、これが果たして正しいのかどうか。新農政は自然に対応する農業、畜産業のあり方ということが基本になっていくと思うのですが、その場合に、乳牛という牛の個体をそれほど無理をしなければいけないような形に引っ張っていくものは、現在の市場価格における価格構成ですよ。それで所得ですよ。それに関連しておるわけです、ある意味で、 ですから、私はやはり高脂肪率、脂肪率中心の乳の基準単価の置き方ということは再検討する必要があるんじゃないかと思います。現に国民の嗜好も必ずしも高い脂肪の乳がいいとは言ってない。最近は特に低い脂肪の方が求められておるということで、いろいろなそれに類した商品が育っていくという状況になっておるようでありますので、この際私は、乳というものについてはやはり全成分、いろいろな成分があの中に入っておるわけですが、その成分の中で最も健康を保持するために有効と思われるものを参考にして価格形成は決められなければいけないと思いますから、全成分を対象にして市場の基準価格というものを設定をして進めていく必要があるんじゃないかと思うのですが、そういう考えについて農林省はどういうようにお考えになっておりますか。
○中須説明員 御指摘のとおり、最近におきます消費者の嗜好と申しましょうか、良質な牛乳乳製品というものを望む需要の高まり、こういうものに対応して生産側でこたえていくというためには、乳脂肪分だけではなくて無脂乳固形分であるとか乳たんぱくであるとか、そういった他の成分の面、あるいは成分ではございませんけれども、細菌数であるとか体細胞数だとか衛生面での牛乳の質、こういう両面で充実した高品質な生乳、原料乳というものを供給していくことが今後ますます重要になってくる、こういうふうに考えております。 実はこのために、六十二年度から高品質生乳生産供給の合理化を促進する事業ということで、特にこの事業の中で、ただいまお話し申し上げましたような総合的乳質を評価した取引を推進するために、成分的乳質あるいは衛生的な乳質、こういうものを加味した生乳取引の導入についていろいろ調査検討を進めているところでございます。 今後とも、もちろんこれは取引当事者間の問題でございますから、そういった面での成熟も待たなければならないわけでございますが、私どもといたしましても、乳脂肪だけではなくて、さまざまな面での高品質生乳の安定的な生産供給体制の整備に努力をしていきたいというふうに考えております。
○田中(恒)委員 時間があと五分ですから、残った質問事項を一括してさせてもらいます。 一つは、私は四国ですが、四国には四国酪連というのがありまして、これが四国乳業株式会社というものをつくって農民的な運営をやっておるつもりです。私自身もそれの誕生の一人でありますが、ここが近く新工場をつくって四国、中国を中心とした広域な余乳の調整をやりたい、こういう考えを出しております。そして、もう既に四国の各経済連、中国の各関係団体の御了解を得ておるわけでありますが、この四国の広域余乳消費機能については、政府としても、国としても御支援、御指導をいただきたい、こういう要望がたくさん私などの手元に届いておりますので、これについてもうお聞きだろうと思いますが、農林省畜産局なり畜産事業団なりの格別の御指導をお願いしたいということが一つであります。 それから、ちょっと時間がありませんので十分な質問ができませんが、この畜産と同時に、いよいよ養蚕が近く価格の決定を見るわけであります。養蚕地帯は中山間、山村地帯でありまして、最も厳しい状況に追い込まれております。全国の統計でも、既に対前年度大体二〇%内外の農家が離脱をしております。私などの県でも二五%から三〇%近い農家がやめております。高齢化が急速に進んでおります。養蚕というのは山村で最大の収入源でありますが、まさに崩壊寸前の状態にあると言っても過言ではないと思うのです。 この養蚕の価格の決定を前にして、必要な措置を委員会としてもとるべきだと思っておりますが、この種の価格をめぐってはいろいろな意見が出てきておる。養蚕の生産者は今のような状態だ。ところが、機屋さんというのがありますね、この機屋さんの方もとても苦しいのだ。さらに和装などの呉服屋さんがある、これも苦しい。みんな苦しいのですよ。だから、それぞれの立場によって利害が違うから、基準価格を下げよと言う、上げよと言う、そういう状態であります。しかし、生糸の出発点が生産であることは間違いない。そこがもう崩れかかっておるわけでありますから、技術的にもいろいろ検討していただいておるようでありますが、少なくとも前年度水準を下らない、前年度の枠の中で操作をしていく、こういうことを原則として養蚕の価格を決定いただきたいということが一つ。 それからいま一つは、この問題は、対中国、いわゆる外国との関係がございまして、中国との話し合いが既に二回持たれておるそうでありますが、話がなかなかつかないということで四月の初めまで延ばされるようでありますが、この中国についてもやはり毅然とした態度で臨むべきだと私は思うのです。日本の養蚕がこんなに厳しい状態になっているわけでありますから、外国からそんなに入ってくる必要はないと思うのであります。 私も日中の友好運動を長い間進めてきた一人であります。私は一九七〇年に中国の生糸の公司へ行って、日本の農民をいじめるようなことはせぬだろうなと小言を言ったことがあるのです、もう二十年ほど前ですが。そんなことは絶対にありませんと彼らは言ったわけでありますが、もしそれがこの日中の生糸の交渉の中に生かされないとすると、私は非常に責任を感じるわけであります。主張すべきことは堂々と主張すべきであります。 毎年見てみると、二万俵から一万五、六千俵ですかね、だんだん下がってきてはおりますが、ひとつ最大の効果を発揮するように特に要請しておきたいと思いますので、これについての答えをお願いいたしたいと思います。
○中須説明員 前段のお話でございますが、御指摘のとおり、余乳を適切に処理するということは、基本的に飲用牛乳市場の正常化と申しましょうか、安定した飲用牛乳市場を維持していく上で大変重要な課題だと認識しております。このために、余乳の効率的な処理、それによって飲用牛乳市場の安定化を図るという観点から、私どもも例えば融資による余乳処理施設の設置ということにも努力というか御援助を申し上げてきている、こういうことでございます。 ただ、余乳の処理というのは、その施設をつくるということが基本的にもう不可欠でございますが、それだけではなくて、生産者団体、需要者、メーカーを含めまして、全体として余乳を調整する、処理するシステム、そういうものと連携してというかそういうものをつくっていくことが不可欠でございます。 そういった問題もございますので、四国乳業におきます。その計画についても、そういう観点から、どういうことになっていくのか、十分お話を聞いて考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
○高橋(政)政府委員 養蚕についての御質問でございます。 まず生糸の行政価格に関してでございますが、先生御承知のとおり、繭糸価格安定法に基づきまして定めるわけでございますが、安定法では、生糸の生産条件あるいは需給事情その他経済事情から見て適正と認められる水準に生糸の価格を安定させることを旨として定めろというふうに書いてあるわけでございまして、平成五年度の行政価格につきましても、こうした法の趣旨にのっとって定めなければいけないと思っておりますが、まさに先生が今お話しになりましたとおり、四年度の国内産繭の生産を見ますと、農家が高齢化しておるとかあるいは実勢糸価の低迷などによりまして、大幅な減少傾向にあるというようなことがまず第一にございます。 また、特にバブル経済の崩壊ということで、不況を背景にいたしまして、現在繊維全体が非常に取引が縮小し、絹織物も相当の減産傾向にあるということが二つ目にございます。 それからまた、生糸の価格を、最近の動向をずっと見てみますと、需要の減退から安定価格帯の下位で推移しているというような状況でございます。 こういったことを考慮いたしまして、蚕糸絹業一体となった発展を図るという観点に立ちまして、蚕糸業振興審議会にお諮りした上で、適正に決定をいたしたいと考えております。 いずれにいたしましても、今後の我が国の養蚕業の維持発展を図っていくというためには、何とか意欲のある中核的な養蚕農家を育成確保していくということが必要でございますし、これとあわせて、革新的な技術の導入などによりまして、できるだけコストの低い、生産性の高い養蚕経営を実現するということで、現在、先進国型養蚕業を早急に確立し普及するということで取り組んでいるところでございまして、今後この実現に向けて精力的に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。 それから、二つ目は生糸の輸入交渉に関係してでございますが、これも御承知のように、生糸の輸入につきましては国内の需給を十分に踏まえまして、今までも行ってきております。したがいまして、今までも需給が逼迫をいたしますときには輸入が増加いたしますし、また、国内供給が過剰の場合には輸入を削減しているというようなことでやってきておるわけでございます。 それで、今お話しのように、特に我が国の生糸輸入の大部分を占めているのは中国でございまして、中国とは政府間協議を行って毎年度輸入枠を定めております。 五年度の輸入枠を定める日中の協議におきましても、我が国の今申し上げました需給事情を十分に説明をいたしまして、適正な輸入数量にすべく努力をいたしたい、このように思っておるところでございます。
○田中(恒)委員 終わります。
○平沼委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時九分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○平沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。有川清次君。
○有川委員 我が国の畜産、酪農を取り巻く情勢は、国際化の進展の中で今極めて厳しい状況に立たされております。中でも、平成三年四月から牛肉の自由化による枝肉価格や子牛価格の暴落で大幅な減収が余儀なくされ、また、豚肉やブロイラー等も輸入量が増大、さらに鶏卵の生産量も増加したのに加えまして、一方で構造的な経済不況で需要も不振となり、価格の低迷が続いております。 このため、畜産農家全体が厳しい現状に置かれておるわけでありますが、生産者価格の低迷や固定化負債の増大のために経営離脱する農家も相次いでおるところです。どの事業体を見ても生産農家が軒並みに減少いたしております。そうして後継者不足、高齢化の急速な進行等が顕在化すると同時に、農村村落、集落そのものが崩壊する問題さえ引き起こっておるなど、憂慮される状況にございます。 今私たちは真の政治に基づいて、国民の、農家の暮らしを所得で八百万から、そして労働時間も千八百時間から二千時間以内に抑えるような、後継者が展望を持って立ち向かうことができる、希望の持てる農業、こういうことを言いながら論議をしているさなかでありますが、現実は極めて厳しい状況にあると思います。 本年四月には牛肉輸入の関税がさらに五〇%に引き下げられることから、一層厳しさを増すことが予想されるところでありますが、よって、こうした畜産の置かれた厳しい実情をしっかり踏まえた上で、畜産農家経営の安定と担い手の確保を図る観点から、価格決定や諸対策について万全を期すべきだということをまず申し上げておきたいと思います。 私は、先般三月一日からアメリカに、米の輸入自由化阻止の立場で国務省並びに上院、下院の議員の皆さん方との話し合いに参加をいたしてまいりました。穀物自給率二九%、これを割る状況の中で、日本の農産物はほとんどが輸入自由化の名によってアメリカから購入している現状がある。そうした中で、米までも自由化されたら大変だという立場でいろいろ主張してまいりましたが、その際に国務省の方から、しかし牛肉の自由化の際にも、日本はそれがされたら大変だ、大変だということで国を挙げて大騒動し、農家もいきり立っておられたけれども、結果としては牛肉が自由化されても政府が打つべき手を十分打たれて、全く今日事なきを得ているんじゃないか、米も同様だ、そういう対策をとればいい、こういう発言があったところでございます。 しかし、今日本の畜産の実態は、けさほど来論議がありますように、大変な状態に置かれているのが実情であります。不況のどん底に追い詰められて、畜産農家、とりわけ酪農の皆さんは、ぬれ子の暴落など含めまして、悲鳴を上げているのが現状ではないでしょうか。 そうしたことを考えるときに、私たちは、今度の加工原料乳の保証価格など、万全を期し、畜産対策も先の見えるものにしていかなければならない、このように考えておるところでございます。 そういった立場で、まず第一点は加工原料乳の保証価格についてでありますが、酪農家は、毎年引き下げられる保証価格の中で、副産物である初生牛や初妊牛、廃用牛などの個体販売に一部依存をしてきておりましたけれども、これも牛肉の自由化以降、今申し上げたように暴落し、所得が急速にダウンをしております。それでも搾乳量の増大や規模拡大などで損失をカバーすべく、コスト低減を図りながら努力をしてまいりました。 政府は、乳量が不足するという場合には増頭をせよ、乳を搾れという指導をすると同時に、一方では乳製品の緊急輸入を繰り返してきたところでございます。しかし、飲用牛乳需要の伸び悩みもあって、牛乳需給は昨年の夏以降過剰の状態になりつつあります。これまでの設備投資、規模拡大の努力が逆に酪農家を塗炭の苦境に追い詰める結果になろうとしているのではないでしょうか。これはまさに政府の需給見通しの誤りであって、その責任とツケを酪農家だけに押しつけるということは絶対にあってはならない、このように思います。そうした立場から、長期の生乳安定需給対策を確立をして、先が見えるようにしてほしいということを強く要求したいと思います。 本年度の、五年度の保証価格については、再生産を保証する価格とすること、個体販売価格などの暴落を勘案して、最近の酪農経営の厳しい現状を打開するため、現行価格を引き上げるべきだと考えますが、まず考え方をお聞かせを願いたいと思います。
○中須説明員 加工原料乳の保証価格等につきましては、御承知のとおり、不足払い法に基づきまして、生乳の生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮して、加工原料乳地域、これは現在は北海道でございますが、その地域における生乳の再生産を確保すること等を旨として定めることとされております。 現在、明日の畜産振興審議会酪農部会に向けて私ども内部で鋭意検討中でございまして、まことに申しわけないわけでございますが、現段階ではその内容、水準等についてお話しできる用意がないことを御容赦願いたいと思います。
○有川委員 私は、上京されまして果敢に必死の訴えをされました北海道の酪農家の皆さんといろいろ懇談をする機会がありました。今、乳を搾れという形の中で三度までするという牛の状態で、非常に死亡率も高まったということもありまして、共済の加入が増大をしておる、加入をしなければならぬ。しかし、その共済掛金も引き上げられて、一頭が二万一千六百円ぐらい。六十頭以上おるわけで、百万円を超える毎月の掛金になっておる。あるいは、へい獣処理でございますが、こうしたものも、従来はへい獣処理業者が引き取っておったけれども、今日ではぬれ子の場合に千円、大きいもので五千円、寝ていた牛では一万円、これだけの金を払ってへい獣処理をしてもらっておる。目に見えない形でいろいろなそうした負担がのしかかっておる、そういうことを考えて十分勘案をしてほしいという要求でもございました。 そこで、政務次官にちょっとお伺いいたしますが、昨年もこういう場面がありまして、乳価の問題を論議をいたしました。自民党の中で政務次官もこの乳価の引き上げについては努力をされ、そして一定の引き上げがあって自信を深められたような発言があったというふうに記憶をいたすわけでありますが、そうした立場から、今回の場合をどのように立場が変わってお考えになっておるのか。 さらに今諮問をされた内容を見てみますと、指定肉用子牛保証基準価格及び合理化目標価格の中で、いずれも乳用種、こうしたものが引き下げになっておるわけでありますが、本来これはもっと支えるという立場で判断をしなければならないと思っておりますが、政務次官の見解をお伺いをしたいと思います。
○中須説明員 後半の御質問について、ちょっとお答えというか御説明を申し上げたいと思います。 本日の畜産振興審議会食肉部会に提示いたしました試算値につきましては、ただいまお話しのとおり子牛の保証基準価格について、その他肉専用種、いわゆる短角等のグループ、これは今年度二十一万四千円という単価でございますが、それを二十一万一千円、それから乳用種につきましては十六万五千円という今年度の価格でございますが、試算値は十六万四千円ということに相なっております。いずれもわずかでございますが、御指摘のとおり下げということになっておりますが、これは、最近におきますえさ価格の動向でございますとか生産性の向上ということを加味した、こういうことでございます。 ただ、同時にちょっと申し上げておきたいのは、子牛の合理化目標価格については、その他肉専用種については現在十八万三千円でございますが、それを十七万三千円、乳用種につきましては十三万八千円でございますが、試算値では十三万四千円と、保証基準価格よりかなり大きく下げております。 ただ、御承知のとおり、合理化目標価格と申しますのは、低落をした場合にそこまでは政府が全額を保証するというか、そういう性格でございまして、そういう意味で、最近の実勢価格の動向を考慮しながら、やはりこの制度が適切に運営される、そういうことを考慮いたしましてこのような試算値になっておるということをちょっと御説明申し上げます。
○石破政府委員 御指摘のとおり、私も昨年自民党で価格を取りまとめる立場の一員でございました。結果といたしまして、別に満足したというような発言をした覚えはないわけでございますが、酪農経営安定等緊急特別対策事業というものを講ずることによりまして、若干なりとも生産者の方々の御期待に沿う部分があったかもしらぬ、かようなことを申したような覚えはございます。 経営の状況は、午前中から御質疑がございますとおり、相変わらず大変に厳しい。しかしながら、数字にあらわれない部分、また実態として子細に検討すべき部分、そういう部分が多々あろうかと思います。数字は数字として検討いたしますが、それと同時に総合的な所得というものをいかに確保していくかということも勘案をしてまいらねばなるまい、かように思っております。 ただ、数字として、試算値として出てまいりますものは、それはそれとして十分に尊重していかねばならぬ、このことは申し上げておかねばならぬと思っております。 以上でございます。
○有川委員 御答弁をいただきましたが、合理化目標でなしに、やはり保証基準価格ですね、ここがやはり問題だ、このように私思って申し上げたところであります。 昨年次官が、生産者の期待に沿うものがあったのかもしれない、こういうふうには言ったかもしれないということでございますが、いずれにいたしましても、今、けさほど来鉢呂委員やらそれぞれいろいろ意見がありましたように、そうした現場の実態を踏まえて総合的に、これでは酪農をやっていけない、そういう気持ちで努力をされた結果だっただろうと思います。ことしだって決して変わらない、ますます厳しくなるという条件、状況、そしてさらに新農政で先の見える農業をつくろう、こういう意欲に燃えて、今私たちが論議をするさなかでありますから、十分な、その辺を判断した御努力と姿勢を要請を申し上げておきたいと思います。 次に、飲用乳価についてでありますが、生乳の過剰状態と需要の伸び悩みを理由にいたしまして、乳業会社が乳価の引き下げを考えているように伺います。価格決定に当たっては、先ほど田中委員の質問にもあったわけですが、当事者間の自主的な交渉にまつ、こういうことになっております。 昨年も私、このことを質問をしたわけでありますが、弱い立場にある生産者と、対応する大企業、乳業会社が対等に交渉ができるように行政指導を強めるべきと思う、このようにも述べましたところ、昨年は、けさほど来の答弁のほかに一定の、自主的交渉が主体だが、「必要があれば適切な指導をしてまいりたい」、このようにお答えになっておるわけでありますけれども、その辺のことについて適切な指導、対等の立場でという、その辺を尊重されて、今の弱い立場にある酪農家の皆さんの救済を考えた対策ができないのかどうか、考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○中須説明員 飲用向けの生乳価格の問題につきましては、ただいま御指摘のございましたとおり、基本的にその取引当事者間で自由、対等な立場で交渉の結果決める、こういうことでございます。 したがいまして、政府といたしましても、生産者団体と乳業者の間の対等、自由な交渉、こういうものが実現するような環境づくり、そういうことが基本的に重要だろうと思っております。そういう意味では、御承知のとおり加工原料乳生産者補給金等暫定措置法自体が、指定団体による一元集荷、こういう仕組みをつくることによりまして、多数の生産者というものが団体に一元化して乳業者と交渉する、こういう道を開いているわけでございますし、また実質的な意味でその指定団体が力をつけてより対等に交渉できる、そういう意味での各種の指導、あるいは指定助成団体の行う各種の調査や運営体制に対する助成も含めて、私ども努力をしているところであります。 基本的にはそういう対等、自由な関係のもとで飲用乳価が決まってくるということでございますが、もちろんその場面場面におきまして必要が生じますれば、役所として、行政指導の範囲ということでございましょうが、適切に対処していく、そういう基本的な姿勢は持っているわけでございます。
○有川委員 適切という言葉がどうにでもとれるわけでありますが、しかし、繰り返し述べられたように、ぜひ、指定団体が一団となって交渉ができ、対等にいろいろな、売る側でありますから弱みがありますから、それをやはりきちっと支えるような体制をとられるよう期待を申し上げておきたいと思います。 時間がありませんので、次に移ります。 昨年実施されました酪農経営安定緊急特別対策事業、四十八億円ついておったわけですが、平成五年度も継続実施をして、酪農家が危機を脱却できるよう対処すべきだと思いますが、お考えをお聞かせください。
○中須説明員 御指摘の酪農経営安定等緊急特別対策事業でございますが、昨年決定時、特に酪農経営において個体販売価格が急落をした、そういう激変があったという事態を踏まえて、今後とも良質な原料乳を供給していただく、こういう観点で事業化、四十八億の予算化というか、したわけでございます。 ただ、その際、そういう基本的な性格を持っているということと、この措置自体四年度限りの臨時異例の措置だ、こういうことを関係者間で、何と申しましょうか確認をして実施をした、そういう経緯がございます。 そういう意味におきましては、この事業をこのまま後年度以降継続するということは、大変困難だというふうに考えております。
○有川委員 事情はわかりますけれども、七対三ぐらいの比率で個体の収入が農家経営に大きく役立っておった。これが落ち込んでくるということになれば、やはり悲鳴が出るのは当然でありまして、そういう意味では、その辺の所得を支えるという立場で考えていかなければ、継続しなければならぬのではないか、このように思うわけです。ただそれだけでなしに、ぜひ御検討を願いたいと思うところでございます。 関連もしますので若干申し上げますが、肉用牛に関してですけれども、肉用子牛の保証基準価格、今ここに、黒毛和牛の場合には昨年同様に三十万四千円、こういう据え置きの諮問が出されておるところでございます。このことが農家の生産意欲を向上させ、畜産の振興に役立って、再生産が確保し得る、そうした適切な価格というふうに算段されておるのかどうかお伺いをしたいと思います。 あわせて、若干の状況を申し上げますが、私の出身である鹿児島の、黒毛和牛の主産地ですけれども、肝属地区で二月の価格が、消費税抜きですが、最低で六万二千円、平均で三十三万五千円ですね。三月は、最低が四万一千円、平均で三十一万五千七百七十八円、こういうふうになっておりまして、毎月下降線をたどっております。もう間もなく、次の次の月ぐらいはこの保証基準価格を割るだろう、このように言われて心配をされており、特別な牛の保有をされている人は別といたしまして、最低が四万一千円という、黒毛和牛の実態は非常に厳しい、全体的には。これ、低い方が大半であるわけですから、そうした意味では大変な状況を来すと思うわけでありますが、こうしたことも時間の問題としてこれから懸案になるだろう、このように思います。高齢化も進んでおりますし、今後子牛生産に大きな打撃も与えるだろうと思うわけでありまして、そういう意味で御見解をお願いを申し上げたいと思います。
○中須説明員 肉用子牛の保証基準価格につきましては、肉用子牛生産安定等特別措置法という法律に基づきまして、肉用子牛の生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮して、子牛の再生産を確保することを旨として定める、こういうことになっているわけでございます。 今回、本日提示いたしました試算値も、これまでの例に基本的に倣いまして、自由化前の一定期間における子牛の価格というものを基礎に置きまして、その後の生産事情の変化、それを加味して算定をする、こういうやり方でもって試算をしておるということでございますので、基本的に子牛の再生産の確保が図られるもの、こういうふうに考えている次第でございます。 ただ、御指摘のとおり、実勢の価格の推移、御指摘ございましたが、確かに黒毛和牛につきましても、黒もの子牛につきましても、自由化後もかなり高い水準で推移してきたわけでございますが、昨年後半から、特に年が明けて以降、かなり低下というのが目立つ感じになってきた、御指摘のとおりだろうと思います。自由化の影響という以上に景気の動向、市場関係者等にお伺いいたしますと、押しなべて大変売れ行きが悪い、こういうことでございます。そういったことも影響しているのではないかと思いますが、こういった価格動向については注視をしていかなければならない、こういうふうに感じているところでございます。
○有川委員 黒毛和牛の子牛の生産をされておる農家は、非常に、多頭肥育でなくて少ない牛を生産をしながら、高齢者が中山間地域を主体としてやっておるのが現状なんです。それだけに、これから先どうなるかという不安で、私たちが市場に行っても、もう悲鳴を、それこそ悲痛な声を出して悲鳴を上げていらっしゃるというのが現状でございます。 中山間地域の農業振興、複合経営、そういうことも、あるいは付加価値の高い農産物の生産とか、いろいろ提起もされておるところですが、我が鹿児島地区については、特に生産地帯であるだけに、これが核になってほかの農産物が生産される、そういうことにならなければならないと思うだけに、特に今後の動向に注目をしながら万全の体制を、再生産が可能な状況をつくり上げていただきたいと思います。 余り時間がありませんので次に移りますが、合理化目標価格の問題でありますけれども、これは一応先ほど、乳用種が引き下げを若干提起をされております。この目標価格から下回った分については、指定協会にあらかじめ積み立てをして、生産者積立金を財源としておるわけでありますが、今日既に多額の不足を来しておるのが現状ではないかと思います。けさほども若干質問があったところでございますが、これらの問題について、農家負担を軽減する、あるいは、四年据え置き八年返還ですか、そういうような状況になっておりますので、いよいよ返還の時期にも入る。支援体制をどのように考えておられるのか。生産者、県負担のこれまでの四分の一から六分の一に軽減する、こういうのもありますかね、今度の方針で。そういうのがあればそういうことを含めて、さらには今の財源の不足、マイナスになっている分の取り扱い等、特別に考えていく考え方はないのかどうか、そういうことを含めて御回答願いたいと思います。
○中須説明員 御指摘のとおり、これまでというか、三つのグループのうち、その他の肉専用種のグループ、それと乳用種のグループにつきましては、実勢価格が合理化目標価格を連続してある程度下回るという事態が起きておりまして、この結果、あらかじめ積み立てた積立金だけでは補給金の交付財源が不足をして、その分借入金によって対処をするというような事態が生じているわけでございます。 ただ、一時的にはそういうことが起こり得るということでございまして、そういった事態にあらかじめというか、備えるために、各県協会の集まりました全国協会に一定の資金を留保しておきまして、これを無利子で融通いたしまして、とりあえずの財源に充てる、こういうことを行っているわけでございます。ただいま御指摘のとおり、四年据え置き八年償還、こういう長期無利子の貸し付け、こういうことでございます。したがいまして、これの処理につきましては、基本的には昨年度以降借り入れが行われているわけでございますが、まだ償還開始というのに若干余裕がございます。 そういうことを含めまして、今後どのような対策が必要であるのか、その要否を含めて検討していきたいと思っておりますが、基本は、やはり子牛価格自体が合理化目標価格よりかなり下回っている、やはりそれを上げる努力というか、そういうものもまた一面で必要なわけでございまして、両々相まってというふうなことを考えている次第でございます。
○有川委員 言葉の上では、合理化目標価格よりも下の方を上げるという、そのことはわかるんですが、現実の問題としてなかなかそういう状況にないということを踏まえて十分な対策を今後していただきたいと思います。 次に、ちょっと移りますが、畜産の環境対策についてでございます。とりわけ養豚ですが、これについてお伺いいたします。 養豚は、平成四年度で見てみますと、飼養戸数が三万戸で対前年度比マイナス一六・九、飼養頭数が千九十六万六千頭で対前年比マイナス三・三、うち、子とり用雌豚が百六万一千頭で対前年比マイナス四・五、こういうふうに大きな減少傾向を示しております。これは経営の厳しさ、そういうのがあると思いますが、規模拡大をしたり継続をしようにも、そのぶん尿処理という一つの畜産公害の問題等もありまして、その処理に大変な金がかかるということもあってこれが進まない、こういう落ち込みが出ておる、このように思われますし、ふん尿処理対策が何としても隘路になっておるのではないかと思うところでございます。 国の方では、畜産環境対策事業とか家畜ふん尿処理施設整備特別対策事業、家畜ふん尿処理利用新技術実用化事業、さらには畜舎周辺環境等の整備事業等を総合的に行ってこられております。承るところによれば、環境保全型畜産確立対策事業を本年度からまた実施する、こういうことになっておるわけでありますが、ふん尿が公害という立場の処理だけではなくて、畜産のふん尿処理はさらにもっと有用な有機肥料、土づくり原料としてこれを活用しながら農業の振興発展にも大きく寄与する、そういう立場で努力をすべきであることを、これまでも私、何回かお訴えをしてきておるところでございますが、ふん尿処理の前進は畜産全体の振興、さらには規模拡大、低コスト生産に大きな役割を果たすと同時に、それは養豚農家にとっても決定的なプラスの面が出てくる、このように思うわけでありますが、新規事業などの内容及び考え方、この辺について若干御報告をしていただきたいと思います。
○中須説明員 御指摘のとおり、畜産経営にとりまして、環境問題、もう少し狭く言えば、ふん尿処理問題、大変大きな問題でございます。 御指摘ございましたとおり、養豚農家、最近戸数の減少が著しいわけでございますが、足時期にやめられた農家の方にお聞きをいたしますと、やめた中で一〇%ぐらいの方々が環境問題が原因でやめた、こういうことを挙げておられる、そういう統計もございます。やはり畜産にマイナスイメージを与える、後継者が確保できない、そういうことにもつながっているわけでございまして、家畜ふん尿の適切な処理が大変重要だ、こういうふうに私ども思っているところでございます。 しかもその処理というのは、ただいま先生御指摘のとおり、やはり有機物を土壌に還元して自然のリサイクル機能を生かす中でそれを処理していく、これがやはり一番基本だ、こういうふうに考えているわけでございます。 そうした観点から、先生から今御指摘ございましたように、平成五年度から若干の新しい事業というか、取り組みを考えております。考え方はまさに先生から御指摘あったとおりでございますが、畜産環境問題の解決を図るとともに、とにかく家畜ふん尿を良質な堆厩肥化する、しかもそれを耕種部門で有効に積極的に活用していただく、そういうような意味で堆厩肥の需給調整センター、そういった機能を生産者団体等に持たせる、それと同時に、家畜ふん尿の処理施設、堆厩肥の保管施設等の整備を行って、畜産農家と耕種農家をつないでいく、こういうような形で新しく事業を進めてまいりたいと補助事業を考えているわけでございます。 またそのほか、平成五年度からは、農業改良資金、いわゆる無利子の資金でございますが、この対象施設を見直しまして、家畜ふん尿の処理のための発酵処理施設であるとか、ロックウールの脱臭施設あるいは浄化処理施設、こういうものをこの無利子の資金の貸付対象にする、そういうようなことも実現をしたいと考えておる次第でございます。
○有川委員 時間がありませんので論議ができませんが、さらに私は問題提起をしたいと思っておりますが、先般質問をいたしました際に、政府答弁もいただきました。かなり答弁に問題があるというふうに私は思っております。また機会を改めて、このことはお互いに意見の開陳を図りながら、よりよいふん尿処理の仕方、あるいは園芸に役立つような、そうした土づくりに生かされる堆肥づくり、こういうことはまた論議をしてまいりたいと思います。 時間がありませんが、さらにそうしたことを今後はするということを申し上げて、有効な施策があれば畜舎の改善、こういうことをしたいという人たちもかなりあるわけです。そういう畜舎改善について経費助成などあるのかどうか。 さらにもう一つは、コスト低減で畜舎建設をしたい、こういう新しい希望があった場合に、今建築基準法等で非常に規格が厳しいわけですが、農林サイドでそれを緩和するなどの方策なり考えられておるのかどうか、その辺についてお聞かせ願いたいと思います。
○中須説明員 畜舎の建設に当たっての低コスト化というのは、経費の節減という意味でも大変重要な課題だというふうに考えております。 ただいま先生御指摘のとおり、畜舎の建設についても建築基準法ということが原則的に適用されるわけでございまして、それがコスト高の要因ではないかというふうな御指摘が一部あるのも事実でございます。 ただ、現状におきましても、建築基準法に基づく法規制の一部につきましては、例えば雪おろし慣行による積雪荷重規制の緩和だとか、いわゆる人の住居と畜舎によってそこは規制の内容を緩和する、こういうようなことが幾つかの点について行われております。 そういった点を活用していくということと同時に、実は建築基準法によって規制される部分、これは畜舎の工事費全体で見ますと、直接工事量の三分の一くらい、つまりその三分の二は建築基準法の規制外の部分での経費、こういうことになるわけでございまして、低コスト化のための工夫、こういうのは現状でもなおいろいろ余地がある、こういうふうに考えております。 そのために、実は私ども低コストで畜舎をつくった優良事例集をつくりまして、作成、配布をするとか、あるいは建築行政あるいは建築業者を含めた、そういう方々を含めた低コストでの畜舎建設の検討会でございますとか、現実に低コストでつくった畜舎の実証展示、こういったことも進めて、できる限りコストの安い畜舎の建設ということに今後とも努めていきたいというふうに考えております。
○有川委員 時間が参りましたので終わります。 最後にヘルパーの問題で、先ほどもちょっとあったのですが、昨年の質問の段階では二百七十四利用組合ができた、四年度までには四百三十組合をつくりたい、こういうことなどもあったわけでありますが、今日ヘルパー制度については、内容の充実を含め、今非常に不況になりまして、金利が下がりまして、この利用、運用益で運営するというのが基本になっておるだけに、これらについては、そうした皆さんの要望をきちっと踏まえながら財政的にも対応できるように御指導されるように要望いたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○平沼委員長 志賀一夫君。
○志賀(一)委員 本日は畜産問題について、審議会等も開かれる中での当委員会でありますが、私は、この委員会で酪農問題に絞って、わずかな時間でありますので御質問をいたしたいと思います。 今度の審議会に、また私どもの手元に出していただきました、最近における畜産の動向についての畜産局長の報告によりますと、飼養規模の拡大と一頭当たり搾乳量の増加により酪農経営は順調に推移しているとして、酪農経営の現況を、極めて明るい見通しに立っているようであります。さらにまた、牛肉の自由化の影響でぬれ子、廃牛の値段が急速に低下したが、最近は四万円台で推移しているし、また乳肉複合経営の進展が見られるとして、酪農経営が好転しているとの認識を示しているわけでありますが、これらの二つの点について、なお詳しくお話をいただきたいというふうに思います。
○中須説明員 ただいまお話のございました畜産振興審議会における畜産局長の報告の中では、酪農経営につきまして、二つの面と申しましょうか、酪農経営の粗収益というのは基本的に生乳販売額と個体販売の両面がございます。 そこで、まず粗収入の大部分を占めている生乳販売額の動向はどうかということで記述をいたしまして、それについては、飼養規模の拡大と一頭当たり搾乳量がふえたことによりまして生乳販売額自体は次第に増加している、そういう意味で順調に推移しているものと見込まれる、こう言っているわけでございます。 しかし一方ということで、酪農経営の副産物でございますぬれ予価格につきましては、御承知のとおり六十二年以降二年度初めまで大変高い水準で推移していたわけでございますが、その後牛肉自由化の影響もあり急速に低下をした、こういうふうに記述をしてございます。しかし、平成二年夏以降ぬれ予価格は急落をしたわけでございますが、その急落もほぼ昨年夏時点あたりでとまって、その後は四万円台で推移している、こういうふうに記述をしているわけでございます。(発言する者あり)
○平沼委員長 静粛に願います。
○志賀(一)委員 これらの認識でありますが、そういたしますと、そういう認識でありますと、今酪農経営全体が好転しているという認識に立っているという明確な考え方に立っているわけですか。再度お聞きしたいと思います。
○中須説明員 酪農経営全体が好転しているかどうかというのは、どこを基準にとるかという問題があろうかと思います。例えば収益性で見たとき、あるいは所得で見たとき、最もピークであった水準というものに現在到達しているかというと、それはまだ到達しておりません。ただ、一時期最悪の事態から持ち直す状況に来ている、段階に来ている、こういうふうに御説明申し上げているわけでございます。
○志賀(一)委員 後の、最近のぬれ子の値段を四万円台というとり方をいたしておりますが、これは一体どこの平均なのか、どこでとっている価格なのかということをまずお聞きをしたいと思うのであります。
○中須説明員 農林水産省で調査をしております農村における物価賃金統計の中の、北海道のぬれ予価格というものの水準で申し上げました。
○志賀(一)委員 私はやはり、北海道の調査、そして都府県の実態はどうなっているかという調査、そういうものを同時並行的に調査をすべきだと思いますが、実は、月曜日に私の地元酪農家のところを十数軒回りまして実態を調べてまいりました。一カ月牛乳をくれて育てた子牛が、もう買ってくださいと手を合わせるようにして一万円で買ってもらっている今の実情ですね。そういう全国的な状況というものは多分に、北海道は四万円するかもしれませんけれども、都府県の実態というのはそういうように非常にどうにもならない事態だという認識をやはりきちっととらえていただきたいということを言いたいと思うのであります。 今、労働力が不足をいたしております。高齢化しておる。そういう中では勢い機械の過剰投資も現にあるわけであります。わずか五ヘクタールや、内地では、我々の周辺では十ヘクタール未満のところでも一千万、二千万という機械を投資をしなければやっていけない、そういう状態にあるわけであります。過剰投資なんです。こういう実態をどう把握しているのか。また、大変高品質の牛乳を生産することが消費者に喜ばれるということで、脂肪率を、かつてはホルスタイン種の本来の脂肪率というのは三・二%ですが、それを三・五%に上げる。上げるためにはやはりえさ等でかなり投資もかかる。そして、無理した飼い方をやるから疾病等にもかかるということでありますから、こういう実態というものをきちんと把握をした上でどうすべきなのかを考えるべきだ、こう思うのでありますが、北海道と内地、都府県というその実態把握についてどういうふうにとらえておられるのですか。
○中須説明員 ただいまのいわゆるぬれ子の価格、私、四万円台、北海道の数字というふうに御紹介を申し上げたわけでございますが、それの内地の価格といいますか、北海道以外の都府県の数字で申しますと、例えば昨年十二月段階で三万九千二百三十円、こういうようなことに相なっております。おおむね、昨年度、四月以降、四万円と三万九千円の間ぐらい、こういうふうな形で内地では推移をしております。
○志賀(一)委員 実は、私もその辺をそれなりに調べてまいりましたけれども、昨年で大体二万円台です。そんな、あなたが今おっしゃったような価格ではないはずです。もっとやはり正確な価格の把握をしていただきたいというふうに思うわけです。 このことで時間を費やしてもあれでありますから、今恐らくそういう把握の中では、先ほどの畜産局長の説明にもありましたように、酪農経営がいい方向に向いているというような認識に立っている、そういう点で私はそれは違いますよ、こう言いたいのであります。農水省で出しました乳牛の生産費調査、これをちょっと私は見ただけでも、まず今のお話にありましたぬれ子あるいは廃牛、副産物価額というふうにありますが、これが平成三年度で七万七千二百五十七円になっておりますが、とてもそんな価格ではない、こう指摘せざるを得ないわけです。全く廃用牛の価格は問題になりませんし、また、ぬれ子も先ほど申し上げたとおりの価格でありますから、もっと平成四年度になれば下がっているはずです。これが第一。 それから二番目に、乳牛の償却費という点で、これが四万一千九百六十五円というふうに見られておるわけでありますが、これもまた問題があろうと思うのであります。かつては乳牛は大体七産も八度もとったことを自慢にしておったものです。このごろ、ついこの間北海道の皆さんを初め陳情に来られましたから、今どの程度の平均になっていますかと言いましたならば、もう四座をとる牛は十頭のうち一頭もない、そんな実態だ、こういうことを実は言っているわけであります。私も月曜日に聞いてまいりましたけれども、都府県はそういう状態まではまだいっていないようですが、しかし寿命が短くなっている、すなわち乳牛の償却費が非常にかさんできているというのが実態だと思うのです。それは高脂肪、そして泌乳量をたくさん増加させよう、このために牛が大変な苦労をしているわけですね。 したがって、御承知のように、家畜共済に加入の割合というのは乳牛がどっとふえておりますし、同時にまた、普通に飼っておったのではだめだから共済事業に入って、そしてやった方がやはり最終的に得だ、こういう酪農家の感覚で乳牛が共済に入っていますし、そのことが、たくさんの無理をするから疾病が非常に多い、だからその共済の支払いも大変だ。これは、もう二年前から家畜共済の方は赤字に転落をしているというのは、この実態は、隠れみのを共済事業に酪農家は求めているという実態じゃありませんか。こういうことを考えますと、乳牛の償却費をこんな程度で見ているというのは問題だ。 それからもう一つ申し上げたい点は、農機具につきましても、北海道、内地を含めて、平成三年度で二万一千二百九円ですか。やはりこれなども、先ほど申し上げたように、過剰投資でもうこんな状態ではないのだという、全体的にこの資料が、一体どういう調査をやってこういう資料を出してくるのかな。もう本当に私は疑問に思うのですね。 それからまた、その下に搾乳牛二頭当たりの収益性というものが実はあります。その中で問題は所得率であります。この所得率を平成三年度で三八・一%に実は見ておりますが、この三八%、四〇%というクラスは全国で表彰を受けるようなクラスの酪農家であって、普通の酪農家はこんな高い所得率ではない、大体二五%から三〇%未満だというのが一致した見解であります。 そういう諸点を考えますと、やはりこのことはどう見ておられるのか、全体的に後で答弁をしていただきたいと思うのですが、そういう酪農の実態なのだということをまず認識を新たにしていただく意味で申し上げているわけですから、これらについて簡潔に御答弁をいただきたい。
○嶌田説明員 私どもが公表しております牛乳の生産費調査でございますけれども、昨年の米麦の生産費から適用してきております新しい生産費調査の見直しに基づきまして、今回牛乳につきまして算定したものでございます。その生産費調査の見直しによりまして、先生もちょっと触れられましたが、農機具等の償却計算の変更等によりまして物財費が減少しておりますし、それから労働費は、従来農村の雇用賃金を使っておりましたが、今回は労働省の毎月勤労統計の五から二十九人規模の賃金に変更した、それから副産物価額が大分下落したというようなこともございまして、全国平均で見ますと五%の増加となっています。 それからさらに、今先生がお触れになりましたように、乳牛につきましても償却方法を変更しておりまして、これは従来は二頭二頭評価していたものを、最近の多頭化飼育に応じまして法定に則しまして評価したということがございます。この評価の結果、乳牛の償却費は対前年と比べまして大分上昇しております。そういうことがございまして、昨年に比べますと五・〇%増加しておりますし、従来方式で計算いたしますと対前年比〇・七%の増加というふうになっております。 なお、北海道につきましては、これは加工原料乳地域でありますので別途公表しておりますけれども、これは前年に比べますと五・六%増加しております。従来方式によりますと一・一%の増加というふうになっております。
○志賀(一)委員 政務次官、今の私の質問に対して、こういった問題点が現状にどうもそぐわないという認識を私は持っているのですが、いま少しく検討するというお考えはありますか。
○石破政府委員 今統計情報部長からお答えをいたしましたとおりの数字でやってまいりたいと思っております。統計上はそれは確かな数字であろうと思っております。それが統計技術上も正確なものというふうに認識をいたしておりますが、なお、先生が最初から御指摘のように、決して好転をしたというような認識は持っておりません。相変わらず厳しい状況が続いておると思っております。個々の酪農家の経営の実態を踏まえまして、適正な決定をいたしたいと思っております。 〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
○志賀(一)委員 いま少しく私が指摘しました点を十分把握をしていただきまして、いろいろな角度からもう一度検討していただきたいということを強く要求しておきたいと思います。 乳脂率が三・五%というのは、これは品種改良によってもかなり上向きになってきたというふうに思います。しかし、そのために、高脂肪にするためのえさ代というものも大変なものだというふうに思いますし、またその結果として、先ほども申し上げたように、疾病等も非常にふえているというのが実態だというふうに思います。 ここ数年、低脂肪の牛乳、ローファット牛乳の売れ行き状況が大変進んでいるようであります。六十二年度で四万六千キロ程度であったものが、平成三年度では十六万四千五百六十二キロというふうに大変なふえ方であります。やはりこれは消費の動向が、健康のために必ずしも高脂肪のものを求めないんだ、求めていないんだという一つの証左ではなかろうかと思うものでありますから、高脂肪の牛乳、三・五を今度は片方の会社は三・六、三・七というふうに、売らんかなの構えでやっておりますけれども、これはちょっと問題だな。消費者教育のためにも、そういうことでいま少し行政指導をして、政府として、牛体を大事にする、そういう立場からもやはりガイドライン的な、そういう脂肪のあり方についてもう一度再考してもいいのではなかろうか、そんなふうに思いますが、いかがでしょう。
○中須説明員 御指摘のとおり、最近におきまして、ローファット牛乳、消費動向を見ますとかなりのテンポで伸びている、そのとおりでございます。ただ、今先生御指摘のとおり、平成三年で約十六万キロリットル、こういうような水準でございますが、生乳全体の牛乳の処理量の中でどのくらいを占めるかというと、大体三%ぐらい、こんなふうな状況でございます。 いろいろなことが言えるわけでございますが、私ども基本的に、最近の牛乳の販売動向を見てみますと、やはり消費者の嗜好というのがいろいろ多様化している。確かに、例えばお年寄りでカルシウムをたくさんとる、そういう場合にはローファット牛乳でもってやらなければならない。しかもカルシウムがもっと多いのがいいとか、そういうような嗜好がある一面、御承知のとおり、六十二年から通常の牛乳につきまして脂肪率が三・二から三・五に上がったわけでございますが、このとき消費は大変大きな伸びを示しました。コクがあっておいしいという評価があったわけでございます。今でも、先ほど先生も御指摘のとおり、より高脂肪の牛乳というのも、一面ではそういうものが出ている。やはり今は消費者の嗜好自体も多様化している。そういう中で、提供される商品も多様化して、そういう消費者の嗜好にそれぞれ合ったものが、消費者の選択にこたえ得るように多様になっている、そういう時代なんではないかな、こんなふうに考えているわけでございます。
○志賀(一)委員 今、北海道の原料乳地帯、そしてそれ以外の都府県は飲用牛乳地帯、こういうふうに二つに分けられて、施策がされているわけであります。しかし私は、もう一方を考えれば、山地の酪農、中山間地帯の酪農、平場の酪農、こういうものもあると思うのですね。こういう段階別の酪農に対してそれなりの施策が必要ではないかと思いますが、そういう視点は今日までの酪農政策にないと私は思っているわけであります。 そういうところから、私は従来の画一的な施策ではなくて、もっと幅広い立場に立った政策をやるべきではないか。本来酪農というのは、御承知のように、牛乳の供給、そしてまた農地保全とか、土地利用型の農業としては酪農が何としてもなきゃいけない。そして同時にまた、有機質肥料を農地に還元をして、豊かな、そして安心して食べられる食糧の生産に酪農はなきゃいけない。そういうことを考えれば、やはりそういう酪農の使命に応じた酪農施策があってもしかるべきではないのかというふうに思うのです。 政府のいろいろなやり方を見ますと、余りにも経済合理主義的な立場に立って酪農をやっている、指導をやっている、そう言えなくはないのではないか。スイスでは、標高差によって、標高差を五段階に分けて、そしてその段階ごとに乳価プラス所得政策ということをやっていることは皆さんも御存じのとおりだと思うのですが、そういう施策を我が国でも取り入れてやっていくべき時期が来ているのではないか、そんなふうに思うのであります。酪農はそういう意味で政策の新たな転換期にある、そういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○中須説明員 確かに先生御指摘のとおり、私どもの施策というのが一律的、画一的になり過ぎているのではないか、そういう御指摘に対しては、やはり謙虚に私ども自身も、そういうそれぞれの地域に応じた酪農経営のあり方ということで施策の改善努力を続けていかなければならない、基本的にはそういうふうに考えます。 酪農というのは基本的に、新鮮な牛乳を国民に提供する、そういう意味でやはり地場で生産が行われているということの有利性はあるわけでございまして、そういったただいまの御指摘のようなことを踏まえながら、また現状の話といたしましては、例えば北海道の酪農と内地の酪農、飼料基盤が非常に大きな差がございます。北海道の場合には、草地の造成等によって飼料基盤を強化していくということが主体になりますし、内地であると、そういう形よりも、既耕地、例えば未利用になっている不作付地等を含めましてそういうものを飼料基盤として活用していく、そういうことが挙げられますし、また、ふん尿処理の問題なんかにいたしましても、先生もちょっとただいま御指摘ございましたとおり、他の耕種部門と連携して堆肥化して有効処理を図る、こういうことはやはり内地の方がはるかにやりやすいわけでございまして、そういうふうなそれぞれの特徴に応じた施策、そういう面での努力をなお我々していきたいと思います。
○志賀(一)委員 ぜひ今答弁なさったことを、実現に向けて大いに努力をしていただきたい。期待をいたしております。 私は赤坂の宿舎におるものですから、そこで牛乳を買いにちょいちょい行きます。そこに行って、水のパックに入ったものより牛乳は安いのですね。これはやはり、買う立場、消費者の立場に立ったら不思議だなと思うのは当たり前です。そのことを考えますと、ほとんど外国から輸入される納豆や豆腐と同じように牛乳が店頭で安売りされたら、一生懸命汗を流して家族ぐるみで頑張っている酪農家にとって、全くこれ以上の酪農家を侮辱した行為はないと思うのです。やはりこれはぜひ行政指導で安売りはやめさせろ、私は強くこれを要求したいと思うのですが、どうでしょう。
○中須説明員 飲用牛乳市場の正常化と申しましょうか、先ほど来、午前中での御議論でもございましたように、飲用乳価を適正に決定していく、そういう意味でもやはりいわゆる市乳の乱売、安売りということが好ましくないのは御指摘のとおりだろうと思います。ただ、やはりこの問題、基本的に、さっき午前中のお話でも余乳の話が出ましたが、やはり生産構造なり流通のあり方そのものと結びついている、そういう部分があるわけでございまして、そういうことを含めまして、我々としては市場正常化のためにできる限り関係者と話し合いながら努力をしていきたい、そういうふうに思っております。
○志賀(一)委員 関係者と話し合いながらじゃなくて、より強い行政指導でこういうばかなことをやめさせてくださいよ。これはやはり酪農家の一致した要求だと受けとめても結構だと思います。 それから、保証価格の算定上必要になって牛乳の生産費調査というものはかなり詳しくやられているようでありますが、私はかつて酪農家をやりましたから…
○萩山委員長代理 志賀委員の持ち時間がもう終了いたしましたので、よろしくお願いいたします。
○志賀(一)委員 はい。農家の手取りが百円で、そして店頭で売っている、量販店で売っている牛乳の値段はその倍だ。農家から市乳処理工場に持っていって殺菌してパックに入れて店先に並べるだけで倍になる。どうも私はこれは納得がいかないな、こういうふうに思うのであります。流通経費がそんなにかかるのだろうか。やはりそれだけかけるなら、その流通経費の一部をもっとひとつ酪農家に還元してほしいものだ、こういうふうに思うのですが、そういう面での行政指導をどうお考えになるのか、お聞きをしたいと思います。
○中須説明員 私ども、飲用乳市場というものは、そもそも生産者団体と乳業メーカー、そしてまた乳業メーカーと卸売業者あるいはじかに大手の量販店、そういうところの間の自由な取引の中で、それぞれの販売経費なりマージンなりあるいは消費動向、そういうものを踏まえて市場原理で決定される、そういうふうに基本的に認識しておりまして、そこにまで行政が強く介入するということはいかがかと、基本的な視点としてはそういうふうに思っております。
○志賀(一)委員 では、時間が来たようでありますので、途中ですが、やめます。どうもお世話になりました。
○萩山委員長代理 佐々木秀典君。
○佐々木委員 時間に制限がありますので、できるだけ手短にと思っております。同僚議員のお尋ねになった質問となるべく重複を避けたいと思います。端的にお答えをいただければありがたいと思います。 先ほど来の質問、お答えのように、いずれにしても今酪農家あるいは畜産農家が大変に苦境に立たされているというのは、とりもなおさず牛肉の輸入の自由化、これの影響がすこぶる大きい。恐らくだれしもが予測していたよりももっと大きな影響あるいはダメージというものが現実のものになってきたということにあるのではなかろうか、こんなふうに思われます。 そこで、平成三年に自由化されたときには関税率は七〇%だったわけですけれども、それが年々一〇%ずつ下がって、ことしの四月からは五〇%ということになるわけですね。これは円高ということもあって、輸入については有利な条件がこれまた加わっているのではなかろうかと思われるわけですね。昨年の輸入牛肉ですけれども、これは四十一万三千トン、今までの史上最高を記録したわけですけれども、本年四月からまたこうして関税率が下がるということになると、さらに輸入量の増加には拍車がかかるのではないかということが非常に心配されるのです。この辺の見通しはどうですか。
○中須説明員 牛肉の輸入につきましては、御承知のとおり、自由化決定前三年間にわたりまして、日米、日豪合意によりまして毎年六万トンずつの輸入枠の拡大をしてきた、その最終年度、三十九万トン水準というところから自由化が始まったわけでございます。しかし、六万トンの毎年の輸入量の拡大というのは消費の実力に比べればかなりそれは大きかったということで、自由化当初かなり、十万トンを超える国内の在庫があったわけでございます。したがいまして、自由化初年度はそれを取り崩すという形のために輸入量はむしろ減少いたしまして、約三十二万トン台だった、こういうことでございました。それがついに、ついにというか、自由化二年度目の四年度に入りまして、積み上がっておりました在庫分は一掃されて通常の形になった、こういう中でかなりの伸びを見せている。ただいま先生が御指摘されたような状況でございます。 これからの、明年度以降の輸入動向でございますが、率直に申しまして、輸入動向は国内での消費の動向あるいは為替レートの推移、原産地の価格、いろいろな不確定な要素がございまして、なかなか予測は私どももしがたいというふうに思っておりますが、ただやはり基本的には、関税がさらに五〇%に下がるという状況でございますので、なお輸入の増加が続くという気持ち、心構えでもっていなければならないだろう、そういうふうに思っております。
○佐々木委員 だから、当然それは、今おっしゃったようなことというのはだれしも考えることなんですよ。具体的な計数としてどのくらい見込んでいるかということを今までの経験とそれから資料などから推量できないか、ここのところをお尋ねしているのです。多くなるだろうということは、これはもうだれだって認めているのですから、わかるのです。そんなのは素人だってわかるのですよ。玄人だと思うから聞いているのですよ。
○中須説明員 大変申しわけないわけでございますが、率直に申しまして、輸入量の動向というものを見積もる、それだけの責任を持ってこの程度の数字だと言うだけのものは現在持っておりません。
○佐々木委員 どうもその辺になると成り行き任せというか、さっき山口委員はケセラセラという言葉を使ったけれども、どうもそういうような感じがしてならないのですよね。もう少し、今までいろいろとお調べになっているわけだから、それに基づいてこのぐらいということはつかめないのだろうか、あるいは出せないのだろうか。それを出すことによってそれに対する対応というものも考えていかなければならないわけですからね。これはその都度行き当たりばったりでは困るのですよ。これはきょうの段階でお答えいただけないとすれば、この後また私はお聞きする機会を持ちたいと思っておりますので、その辺少しよく準備をしておいてください。 それで、いずれにしても、関税率が引き下がるに従って輸入量はふえるだろう、これは相関関係にあるだろうということはだれしも考えられることなんですけれども、一応関税率が今年度は五〇%と決まっているけれども、この後どうなるかということについてはまだはっきりはしてないわけですね。恐らく来年もまた一〇%これで減っていくということになると、来年もまたそれに加えてふえてくるだろうということが予想さるんだけれども、だからもうこれ以上関税率は下げないでくれ、切実な要望がたくさん来ているわけですが、これについては農水省としてはどういうふうに考えているのか。これ以上下げないという方針を出せないのか。その辺、どうですか。 〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
○中須説明員 六年度以降の牛肉の関税率については、さきの日米合意あるいは日豪合意におきまして、五年度の水準を超えて引き上げられることはないという点と、ウルグアイ・ラウンドにおける関税交渉の対象になる、こういうことが合意されているわけでございます。 私ども、先ほど来お話出ておりますが、現在の自由化の状況のもとで広範な影響が各面に出ている、こういう状況でございます。やはり、私どもの気持ちといたしましても、現在というか、これから始まります五〇%の関税水準、ぜひ守りたい、こういう気持ちでございます。これからのウルグアイ・ラウンドの交渉においても、それが実現する方向でできる限り努力をしたい、こういうふうに思っております。
○佐々木委員 きょうのこの審議の中で、同僚の鉢呂議員からもガットの新ラウンドとの関係でも質問があったわけですけれども、本当に今生産者の皆さんというのはこの動向を注目しているのですよね。ただ、どうも政府が、余りにもガットの成り行きだとかあるいは他国の顔色などをうかがう余りに毅然たる態度をとっていないんじゃなかろうか。もう少し、我が国の生産者の立場を守る、利益を守るということはまさに国益を守ることなんだというような思いで、そちらはそちらとして、国内の政策としてこういうような関税率については今後は引き下げないというようなことについても打ち出せないものかという切実な願いがあるわけですよね。そこのところをしっかり受けとめていただいて対応していただかないと、また政府に対する不信を招きかねないということにもなりますので、この辺ひとつ十分に対応していただきたいと思うのですが、政務次官、何かこれについてのお考えございますか。
○石破政府委員 お答えいたします。 関税率が七〇、六〇と下がってまいりまして、ことしから五〇になる、御指摘のとおりでございます。それがぬれ子の暴落等に見られますように深刻な影響を与えるという認識を私ども持っておりますので、関税率のさらなる引き下げは困難である、その立場を堅持しながら最大限の努力をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○佐々木委員 そうなんですよね。国別表では下げ方向を出しているんですけれども、これについてもまだガット、とにかくまとまってないわけだから、国別表を出してからも大分事情が変わっているわけだから、これに拘束されるということは私はないと思うのですよね。法律的な義務づけというのはないはずなので、事情の変更があるんだったら国別表の見直しということだって考えられるはずだと思うのです。今の政務次官のお答えというのはそういうことも含んだものとしてもう一回全般的に考えていただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。 次に、乳製品についての輸入の問題です。 これも一昨年の暮れだった思いますけれども、非常に在庫が足りなくなった。それで緊急輸入をしなければならない。脱脂粉乳、バターですね。これは特別の緊急的なものだというようなお話があって、私どもにお話があった。どうしてもないというならしょうがないだろうということだったのですが、しかし、一回にとどまらないで、昨年の春まで何回かあったですね。そういうことがある。非常にその辺が無定見というか、そのたびに多いとか少ないとか、どうも不安定なんですね。 それから、この輸入枠の設定についても、例えば昨年、九二年の輸入枠というのは、脱脂粉乳で二万六千トンだったですね。バターで二千トンだったですね。ところが、これについて脱脂粉乳の方は九千トンが未消化のままだ、それからまた、バターについては二千トンと決めた枠全量未消化だ、こんなことになっているのですね。 こういう枠の設定、それから実際の輸入、この実情、この辺がどうも、これもまた場当たり的に思えてならないのですけれども、この輸入枠の設定、それから輸入を必要とした実情などの絡み、これはもう少し展望のあるというか、計画的なものにならないのですか。この辺はどうですか。
○中須説明員 需給の計画と実際の動きの間に乖離が生ずる、私ども自身も大変歯がみもする思いで、しかし実際にはどうしてもそういう一定の差が出てしまう、こういう事情があるわけでございます。 ただ、四年度の状況について御説明申し上げますと、四年度の限度数量の算定の際の参考にいたします、畜産振興審議会に提出をいたしました生乳の需給表というのがございます。そのベースで、一定の幅でもって生産動向、生産、輸入、消費、こういうものを推計しているわけでございますが、その中央値でもってただいま先生が御指摘のような枠を年度当初に設定する。しかし、計画でございますから、最初からその枠とおり一挙に輸入するということは、果たしてそのとおり本当になるかという問題がございます。したがいまして、個別に発注をしていくというのは、国内の乳製品の価格動向、その後の変化を踏まえて、それぞれの時点で、これはどうしても必要だという時点で具体化をする、こういうようなやり方をしております。今年度の場合でございますと、脱脂粉乳について一部輸入を実施して、その段階以降、これは輸入の必要がないということで、枠はそのまま凍結と申しましょうか、実行されないまま現在に至っている、こういう事態でございます。
○佐々木委員 いずれにしても、この辺については私は、無定見というか計画性に欠けるんじゃないかと思うのですね。これもやはり今までの過去の例があるわけだし、それから、例えば当年度についても、どういうことになるかというようなことについてはいろいろな観点から分析をしていくということがなければならないし、やらなければならない。そうでなければ、結局その都度、足りない、入れる、あるいは余った、だから搾乳しなくてもいいというようなことになれば、つくっている、あるいは搾乳している生産者としては、一体どうしたらいいんだというような思いになるわけですよね。 かねがねお話しのように、相手は牛という生き物なんですから、機械じゃないんですから。機械だったら、これは生産過剰になったときには機械をとめておいて、うまく保存しておけば、油を差し、手入れをすればまたすぐ稼働できますけれども、生き物の場合はそうはいかないわけですからね。それで、稼働できない牛については、これは余っちゃうわけで、そこでさっきのお話のように、個体の価格にも重大な影響が出てくるということにもなる。これは、一人一人の生産農家にとっては本当に生きるか死ぬかというようなことにまで影響するんだということを十分切実にお受けとめいただきながら、いろいろな要素があって難しいということはわかりますよ、わかるけれども、できるだけ計画性のあるものにしていただきたいということを強く要望しておきます。 それから、生産費の調査、これは生乳についてですけれども、これは調査結果、いただきました。これについては、先ほども他の委員からも本年度については生産費調査の方法が変更になったということについてのお尋ねがあり、一定のお答えがありました。ですから、それについては深くはお伺いするつもりはないのです。 ただ、その中で、これも先ほど来の御質問に出たように、労働力の評価の点、労働費、これは再々さっきから話が出ているように、実際の酪農家、畜産家、特に酪農家の方ですけれども、規模拡大によって非常に労働時間がふえている、労働過重になっているというお話が出ております。北海道の場合には、鉢呂議員の御質問の中にも出ておりましたように、一人当たりで年間二千八百時間を超えるというような労働を強いられている。また、それをやらなければどうにもやっていけない、やらざるを得ないという状況だというお話がありました。 この辺について、この労働時間のとらえ方、恐らく調査をされた方々も実情として酪農家がそれだけの時間働いているという実態はつかんでおられると思うのですけれども、これが労働費の中にどういうように評価されているのか。確かに、昨年から比べますと、労働費の評価というのは、これは生乳百キログラム当たり、それから搾乳牛通年換算一頭当たりの労働費としては前年よりは高額にはなっていると思うのですけれども、しかし、今の労働時間の多さということを考えると、実質的にはもっと違った結果が山やせぬかと思うのですけれども、この辺、労働時間との絡み合いで労働費の評価というのはどうだったのですか。
○嶌田説明員 ことしの生産費におきましては、今お話ありましたように、労働費につきましても、例えば従来見ておりませんでした生産管理費、すなわち技術習得のために講習会出席などの生産管理労働につきましては、これは生産を維持継続するために必要なものというようなことで家族労働費に新たに計上しているということもございます。それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、家族労働費については、従来農村におきます雇用賃金をとっていたわけですが、最近の通勤圏の拡大などの実態を考えまして、算出の基礎となる賃金については毎月勤労統計の五から二十九大規模の賃金を適用するということで算定がえを行っております。その結果、今もお話ありましたように、平成三年で比べますと対前年比一一・五%の生産費上労働費のアップになっておりますし、なお労賃単価、これは男女平均でございますけれども、平成三年が千百二円でありましたのが、平成四年は千二百八十八円と単価の方も上がっております。
○佐々木委員 これは、労働の質と量と両方絡み合わせた評価というものが出てこないと実態をあらわしたものにはならないんじゃないかと私は思うのです。今お話のあったような、今度の発表によるものでも評価がまだまだ低過ぎるのではなかろうか。この酪農関係の実態からすると、もっと労働力の評価というのは高まらねばならないのではなかろうか。そうすると、それも生産費の中で正当というか、もし少し実質に合ったものとして評価されてこなければならないのではなかろうか。そうすると、例えば保証価格の決定についても恐らく違った結果が出てくるはずだと思われるのですね。 先ほど同僚の志賀議員の方からそれぞれの特性なり地域性に合った考慮がなされるべきだというお話がありましたけれども、私は、この労働力評価についても生産費の調査についても同じようだと思うのです。どうも数字というのは平均的なものをとりがちなわけですけれども、またとらざるを得ないという一面があるのはわかりますけれども、しかし、例えばさっきのぬれ子の価格の出し方、これは北海道の場合をとっているんだというお話ですね。そうすると、北海道の酪農畜産家というのは専業農家が多いわけですから、そして先ほど来のお話のように規模も拡大していますから、そうすると、やはり北海道は北海道の実情に合ったものを出していただくということで、全国一律ということでは皆さんなかなか納得がいかないんじゃないかと思うのですよ。 そういうことで、生産費の調査の方法についても、ここも差し迫ってきていますから今いきなり変えるというわけにはいかないと思うのですけれども、今後の問題としては、こういう地域性なりそれぞれの経営の実態に合わせたとり方をする必要が出てきやせぬだろうか。それでなければなかなか皆さんの納得を得られることにはならないんじゃないかと思うのですね。これを一つ問題提起をしておきながら、これからの課題としてお互いに検討し合うということにしたいと思いますので、どうかこれについてもお考えをいただきたいと思っております。生産費の問題はとりあえずその程度にいたします。 それから、今度の乳価ですけれども、いろいろ新聞などが先走って下げ方向だということを出しておられる。また、事実農水省の方で出しておられる資料を見ても、それを裏づけるような記載なり言い方というのがところどころに見受けられるわけですね。その下げ要素の一つとして公定歩合の引き下げなど金利の引き下げ、円高などというものが一つの大きなファクターになっているということが指摘をされておるわけです。 しかし、それが果たしてこの生産農家に対してメリットがあるものになっているんだろうか。乳価を下げる原因にならなければならないほど要因としての実質性を持っているんだろうか。どうもその点については、そういうメリット、実益というのは、個々の農家に対して非常に薄い。例えば、これから新たな借入金をしようという人にはその点は当てはまるかもしれないけれども、今実際に頑張っておられる農家の方々というのは、これも先ほど来のお話のように、北海道の場合などは大変に規模拡大をした、頭数もふやした、設備もよくした、そのかわり借金はふえてふえて、恐らく中規模の酪農家で二月当たりの負債額は三千万を超えているのが普通だと思うのです。もう少し規模の大きい人などは一億円を超える借金を抱えているという人がこれまた随分いるわけですけれども、そういう既に多くの借入金を抱えている人々にとっては公定歩合の引き下げとか金利の引き下げなんというものはちっともメリットにならない。だから、それにもかかわらず彼らの懐に入ってくる金、今度のこの乳価の決定に当たって、これが下げ要因になるというのは私はどうも納得がいかないのですが、その辺の関係はどうなっておりますか。どういうようにお考えになっているのですか。
○中須説明員 確かに金利の低下というのは、それぞれの農家という時点で見れば、これから借り入れる際の金利が安くなるという面と同時に、貯金をしている方にとってみれば利子が減るという側面もあります。さまざまなプラス・マイナスの要素があるのだろうと思います。 端的に乳価算定に当たって一般市場金利が下がってくるということがどう響くかという面で言いますと、今度概念が変わりましたが、いわゆる全算入生産費というものを最後に出す際に、自己資本分、酪農経営を行うのに必要な資本のうち自己資本で賄っている分、これについての一定の利子分というのを計算をして乳価の一部分ということにするわけでございますが、例えばその部分については利子率が下がると低下する、そういうような一般的な側面があるということでございます。
○佐々木委員 どうも一般的なお話で、具体的な、生産農家に対してどれだけのメリットがあるか、どうもそこのところがびんと響いてくるものがないのですね。ないのだとすれば、ないような手当てをするべきだと私は思うのです。 今度の乳価なんというのは、そういうことを原因にして下げるというのではなくて、昨年に比べれば若干収入は上向いているはずだと言うけれども、しかし、その収入増の原因というのは、審議官もさっきお話しのように、原因はわかっているわけですね。決してよい方向で収益が上がっているのじゃなくて、無理をして、その個体価格でとことんまで、副産物収入がなくなった、だからしょうがないから牛を責めて責めて搾乳量を多くして、そういう中で少しでも収益をカバーしようという結果としてあらわれているだけのことで、これは長続きするものじゃないですよ。 そんな中で、どうも聞いてみると、能率化の方向として、あるいは合理化の手段として、フリーストールとかあるいは他の方法だとかいろいろ言うんだけれども、これも実際にそういうことをやっている人に聞いてみますと、それによって労働力が決して削減されるわけじゃない、そして牛がそれによって自分の方から搾乳場に集まって機能的に動くなんというものじゃない、人間の手はどうしても放すことができないんだ、かえって手間がかかるんだというようないろいろな苦情も聞くわけですよ。 それからまた、個体の価格についても、これはいろいろあるのですが、きょうも実は北海道の北の方で懸命に頑張っていらっしゃる酪農家の方々が来ておられる。先ほどもその方から話を聞いたのですけれども、これは北海道の天北という一番北の方でやっているところですが、川上さんという方がいらっしゃいますが、搾乳牛が四十七頭、その他が四十七頭、約九十頭飼っている。そうしたら、大体子が半分ぐらい、四十五頭ぐらいとれるそうですけれども、狭いからそれを全部置いておくような牛舎がないというわけですね。だから、どうしても売らなければならない。雄の方は、お話のように何とか少し上がってきた。雄子牛は四万ぐらいだ。ところが、雌子牛に至っては一頭五千円から一万円、売れればいい方だと。場合によったら、ちょっとでも欠陥というか、そういうものがあればすぐにまた値段が下げられて、ついこの間なんか一頭二千円で売ったというのですよ。二千円というと、これはサケ一本の値段よりまだ安いんですよね。これでは全く話にならないわけで、これがどれだけ響いているかということで、こういうこともひとつ十分にお考えをいただきたいと思っております。 そういう例えば借入金対策の手だてとして、具体的には、要望として、例えば農協等の長期金利の借りかえ資金、これに対する利子補給をしてほしいとか、制度資金への上乗せ利子を助成していただきたいとか、あるいは信用保証基金制度の拡充をしていただきたいとか、こういうような具体的な要望があるんです。そこら辺について、もう時間がないというものですから、具体的にお答えいただく余裕がないのは残念なんですけれども、こういう要求がある、これについて十分ひとつ検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 その他、いろいろ準備をしておりましたけれども、時間がなくなりましたので、残念ながらこれでやめざるを得ません。しかし、いずれにいたしましても、本当に今専業酪農家の皆さん、畜産家の皆さんというのは、一般の方々の想像を絶するような苦しみの中にある、そしてその方々が懸命の努力をなさっている、そのことを十分にひとつとらえていただいて、その人たちが先の展望が持てるような対応をしていただきたいということをぜひお願いいたしたいと思います。 緊急対策事業についてもお伺いしたいと思いましたけれども、残念ながら時間がなくなりました。以上で終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○平沼委員長 倉田栄喜君。
○倉田委員 公明党・国民会議の倉田でございます。私は、まず最初に、肉用子牛生産者補給金制度についてお伺いをしたいと思います。 二月二十三日に行われました当委員会におきまして、この問題は質問をさせていただいております。そのときに、黒毛和種、赤毛和種、いわゆる黒牛、赤牛の区分の問題について御検討をお願いしたい、制度が仕組まれたときは、この黒牛、赤牛、同じ値動きがあったけれども、既に御答弁もいただきましたように、赤牛の方は合理化目標価格も下回っている、しかし黒牛、赤牛ということで平均価格をとっているがために、赤牛農家の方にとってはこの補給金制度の適用を受けられない、これはもうそれだけ価格の変動が違ってきているとすれば、仕組まれた制度の前提を欠くのではないかそうだとすれば、この制度を御検討いただきたいと前委員会で要望させていただいたわけでございますので、その後、政府としてどのように検討され、また今、午前中議論もありましたが、どのような方向で臨んでおられるのかこれを簡潔にお答えをいただきまして、あわせて赤牛生産農家に対する現時点の対策もお聞かせを願いたいと思います。
○中須説明員 簡潔にお答えを申し上げます。 褐毛和種につきましては、これまで、今年度まで制度発足以来黒毛和種と同一のグループ、こういう扱いをしてまいりました。それはそれで、この制度発足のとき、さまざまの要素を考慮して、やはり同一グループが一番望ましいのではないかという判断のもとにやってまいったわけでございますが、やはり現実の価格の推移がかなり大きくそういった想定と離れている、乖離している、そういう状況が起きたということと、それを受けて赤牛生産農家を初め関係の皆様方からも、やはりこの際分離せざるを得ないのではないかということで、強い要請がございました。 これらを受けて、私どもも慎重に検討いたし、関係方面とも協議いたしました結果、本日開催されております畜産振興審議会食肉部会に対しまして試算値という形てきよう提示したわけでございますが、その中では、黒毛和種と褐毛和種、この子牛については別グループ、ですからトータルとして四グループに区分をして、それぞれ各価格を試算値として示す、こういうことにした次第でございます。 なお、平成五年度の試算値といたしましては、褐毛和種の保証基準価格は二十八万円、黒毛和種については三十万四千円、こういう水準の試算値を提示しているところでございます。本日はいろいろまだ審議会でも議論は続いていることと思いますが、いずれにいたしましても、審議会での御答申を踏まえまして、生産条件、需給事情を踏まえて今月末までに適正に決定してまいりたい、そう思っております。
○倉田委員 もう一点、その区分の問題と同時に、今大変赤牛生産農家の方が、午前中も質問出ておりましたけれども、困っておられる。その総合的な対策について再度お伺いをしておきたいと思います。
○中須説明員 褐毛和種の場合の基本的な問題点というのは、やはり今の肉用子牛補給金制度において、現実の価格が下がっていながら、その制度上の問題で補給金が出ない、一銭もその自由化対策の手が差し伸べられていない、そういうところにあったわけでございまして、そこについて基本的に手を差し伸べるということがやはり一番大きな支援ということになるのではないかと思います。 ただ、問題は、やはり赤牛等の、赤牛だけに限らないわけでございますが、地方特定品種と申しましょうか、地域に根差したそれなりのよさを持った少数の品種、これについては取引面含めてさまざまな不利な面があるのも否めないわけでございまして、そういった面でのブランドの確立とかそういうことを含めて、地域特産としての赤牛振興、そういうことで今後とも引き続き努力を我々もしてまいりたいと思っております。
○倉田委員 ぜひともよろしく後は実行していただきたい、このように再度お願いを申し上げておきたいと思います。 そこで、このいわゆる生産者補給金制度の一般的な仕組みについてお伺いをしておきたいと思います。 この制度は、いわゆる保証基準価格を下回って、かつ合理化目標価格を上回る場合は、畜産事業団からの財源で生産者に交付金が支払われる、それから合理化目標を下回った場合は、畜産事業団、都道府県、生産者が積み立てている都道府県基金から、これは九一%ですか、補給金が交付をされる、こういうふうな仕組みになっていると理解をいたしております。 しかし、私が問題意識として持っておりますのは、このまま輸入牛肉の価格が引き下がっていけば、また子牛価格も運動して引き下がっていくのではないのか。今回の諮問でもそうですけれども、そうすると必然、保証基準価格も下げなければいけない、また合理化目標価格も下げる方向に考えていかなければならない。そういうふうな循環を繰り返していくと、現在の給付金制度、またその財源の問題についても行き詰まってしまうのではないのか、このような危惧を持っているわけでございます。県基金の全国基金からの借入金も既に三十億に及んでいるみたいな報道もあるわけでございますが、この点どのようにお考えになっておられるのか。さらには、現実においても全国の肉用子牛価格安定基金協会の原資、これは大丈夫なのかどうか、その協会の財源状態はどうなっているのか、この点について政府の御認識をお伺いしたいと思います。
○中須説明員 この子牛の補給金制度の仕組みについては、ただいま先生が御指摘になったとおりでございます。したがいまして、現実の実勢価格が合理化目標価格を下回って推移した場合には、その積立金を財源として補給金の一部が交付される、こういうことになりますので、その幅が想定より大きい場合には、既存の積立金では財源が不足して、その分を借り入れて対処しなければならない、こういう事態が起きてしまうわけでございます。 現実に、現在では、これまで運営してまいりました三つのグループのうち、その他肉専用種のグループそれから乳用種のグループではかなりの期間にわたって合理化目標価格を実勢価格が下回っておるという事態が続いておりますので、その財源が不足しております。これは現在、各県基金協会が会員になって全国ベースでつくっております全国協会に、いわばそういう事態もあり得るかということであらかじめ積んでおいた、留保しておいた積立金がございまして、それを無利子で各県基金協会にお貸しをして、それで補給金を交付する、こういうことをしております。 その貸し付け条件は、償還期間八年間、据置期間四年間で無利子、こういうことでございます。したがいまして、利子が利子を生むというようなことは避けられるわけでございますが、借り入れてから四年後には償還が始まる、それまでにはその償還財源を確保しなければならない、そういう問題がございますので、その点につきましては、今後どういう形で償還財源を確保していくか、その辺については検討していかなければならない、こんな状況にあるわけでございます。
○倉田委員 今の質問にも関連をしていくわけでございますけれども、牛肉の輸入自由化開始以降、牛肉の枝肉卸価格が安定基準価格を下回る、こういうこともあると思いますけれども、現状のこんな場合、枝肉の卸価格が安定基準価格を下回った場合、制度上においては畜産事業団が買い支える、買い支えることができるように制度として仕組まれている。しかし、ずっと輸入牛肉が入ってきて、値段もそのまま下がっていくということになるとすると、どう言えばいいのですか、買い入れをしてもさらに輸入牛肉が入ってくる、そうすると買い入れすることの意味がなくなるのではないのか。さらに、買い入れしてもそのときの値段で売れないとすると、販売も非常に困難になってくる、こういう問題が起こってくると思うのです。 そうだとすると、調整保管というのですか、今調整保管という形で価格の下支えをしておる部分がこの制度として仕組まれているのだと思いますが、こういう状況で、もし畜産事業団が買い支えができないような状況まで輸入牛肉によって価格が下がっていくと、この制度そのもの、この制度の仕組みも崩壊をするのではないのか、杞憂かもしれませんけれども、実はこんな心配を私はするわけでございます。 この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○中須説明員 御指摘のとおり、一定の関税率のもとで自由化がなされているという段階で、一定の食肉、牛肉なら牛肉の調整保管がどういうふうに機能するか、なかなか難しい問題もあろうかと思います。極端な場合というか、ただいま先生がおっしゃったような場合、いわば世界を相手に調整保管をするのか、こういうような極論さえ出かねない側面もあることも事実でございます。 ただ、この制度自体は、もちろん牛肉の輸入数量が制限されている時代から基本的にこういう制度があったわけでございます。自由化とともにそういう面での制度の機能なり、ある程度変わったというのは事実だと思っております。今後の自由化後、国産牛肉と輸入牛肉が一体どんな形で需給あるいは価格面でそれぞれ共存していくのか、その姿がなかなかわからないということが、こういう問題について答えを出す難しさになっているのではないかと思うわけでございます。 例えば、国産牛肉と輸入牛肉には、物によって違いますが、明らかに品質格差がございます。質の面でかなりの差がある。そういう意味で、それぞれある程度の独立した価格形成あるいは需給ということが、よく言われる言葉で言えばそれぞれのすみ分けみたいな形でもし秩序ができてくれば、国産牛肉について調整保管をやることの一定の意味が生ずる、そういう場合が考えられます。 それから、例えば非常に短期的な需給変動、需給失調、三カ月、四カ月たてば回復することがおのずとというか、かなり明確になっている、そういうふうなときに、短期間の需給失調を補正するために調整保管を行う、そういうふうな道もあり得るわけでございます。 いずれにいたしましても、やはりまだ今、関税が下がって自由化が進行過程でございます。これがある程度落ちついた段階で、どういうふうな姿で調整保管を考えていくか、私どもも今後とも探求してまいりたい、そういうように思っております。
○倉田委員 牛肉の輸入自由化の問題につきましては、いわゆる緊急輸入制限、セーフガートがあるわけですけれども、この問題も、いわゆる輸入数量の伸びの設定が高過ぎる、あるいは価格下落が要件に入ってないということで、実際にはセーフガードが機能してないのではないかこういうことも新聞等で指摘されているとおりであって、本当にそうだとすれば、まさにこの制度の仕組みも問題だな、こういうところから私は質問をさせていただいておるわけでございます。 同時に、もう一点、牛肉の安定価格というのがあります。これは和牛と乳用種を一本化した省令価格で定められている。これもさっきの黒牛と赤牛と同じ問題が発生してくるわけですけれども、乳用種、その他の肉専用種の枝肉の卸価格が低水準で移行したとしても、和牛、乳用種という形で一本化されているために、結局この制度の発動もない。そうだとすれば、この辺のところも、畜産安定法の改正も含めて検討しなければいけないのではないか、これもまた杞憂なのかもしれませんが、実は私はそういう問題意識を持っているのですが、この点についてはいかがでしょうか。
○中須説明員 省令規格をB2、B3ということで統一いたしましたのは昭和六十二年度でございました。それまでは、和牛去勢、その他去勢ということで二本立てで制度を仕組んでいたわけでございます。ところが、六十三年に牛の枝肉の取引規格というものをかなり基本的な大幅な改正をいたしました。従来と変わって、取引規格というものを歩どまり等級と肉質等級の二つの物差してはかるということで統一的に処理をする。そういう統一的に処理をするのだという中で、牛肉消費のかなりの部分を占めつつ、かつ大衆的な牛肉ということで、B2、B3規格というものを省令規格に定めたところでございます。 ただ、現実の問題といたしましては、B2、B3と一言で言いましても、乳用種でB2、B3の占める比率と申しますのは、乳用種去勢牛の中で約五割、あるいは五割を超えている、そういう状況であります。それに対しまして、和牛去勢の中でB2,B3の占める割合というのは一〇%ちょっと、こういうことでございます。したがいまして、和牛と乳用牛双方入っているといいましても、基本的には大半が乳用種である、こういうふうに理解しているわけでございます。 したがいまして、やはり乳用種の価格動向というものが、量的に多うございますから、基本的にB2、B3の動きを決めている。なおかつ、和牛と乳用種のB2とB3の価格の変動をグラフ等で見てみましても、かなり高い相関関係にある。そう見られていることから、私ども一応現時点においてはB2、B3一本化で処理をして特段大きな問題はないのではないかと考えているわけでございます。
○倉田委員 御承知のように、本年度の四月から牛肉の関税率については五〇%に引き下げられる、こういうふうになっております。現在の関税率でも、既に畜産経営農家の方々にとっては今のような厳しい状況がある。四月から関税率が五〇%に引き下げられた場合、そうなった場合、その輸入量と価格はどんなふうになっていくというふうにお考えになっておられるのか。そして、五〇%に引き下げられた場合を想定した場合に、今御答弁をいただいたわけでございますけれども、その御答弁の認識の範囲内でこの事態を乗り切れるのかどうか、この点についてお伺いをしたい。
○中須説明員 先ほども、五〇%関税時代における輸入量をどの程度見積もるかというお話で、なかなか数量的にイメージができないということでおしかりをいただいたわけでございますが、やはり御指摘のとおり、当たり前と言ってしまえば当たり前かもしれませんが、量的にはまたふえていくということを覚悟せざるを得ないということでありますが、では、その量が具体的にどのくらいの水準になるかということはなかなか的確に見通しがたいというふうに思っております。これは、やはり価格面についてもほぼ同様のことが言えるわけでございます。 ただ、現在の制度と申しますか、一定の関税を払えば牛肉を自由に輸入できる、そういう自由化のもとで国内の肉牛生産を守っていくために何が必要かということで、肉用子牛補給金制度を設けている、これが基本的な支えの制度として設けられているということでございますので、五〇%関税時代におきましても、さらに現在より輸入量がふえる、あるいは価格的に低下があるということが起こりましても、この子牛の補給金制度を中心に据えてその的確な運営を図っていくということで国内の肉牛生産の維持を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。
○倉田委員 今までのお話の中で出ているのかもしれませんけれども、非常に大変な事態を迎える、そんな場合に、肉用牛経営を安定的に支えるためには、私は、今その制度の問題についてお答えをいただいたわけですけれども、この補給金支払い制度で支えていくんだというお話ですが、その制度自体も本当に問題になるのではないですか、大丈夫なんですか、実はこういう御指摘をさせていただいているわけで、そうすると、もっと価格という問題からも肉用牛経営の安定化のために抜本的な対策というものを考えていくべきなのではないのか、こう思うわけですけれども、その点については今後を見通した場合にどうあるべきなのか、これについて政府はどのようにお考えになっているのでしょうか。
○中須説明員 牛肉の輸入自由化に伴いまして外国から安い牛肉が入ってくる、それが国内の牛肉の卸売価格を引き下げる、それはまず典型的には、肥育経営にとってみれば、自分の育てた牛が出荷してみると価格が下がっている、こういうことにあらわれる。基本的には、私どもは、それは最終的にというか、子牛の価格がその公安くなるということでもって転嫁が行われる、こんなふうな形が起きるだろう、したがいまして、子牛段階で補給金制度を設けることによって国内の牛肉生産が維持できるのである、こういうふうに考えたわけでございます。 ただ、言うまでもございませんが、肥育経営そのものにとりましても、製品である枝肉価格が低下をする、低下をしたら子牛価格をその公安く買うということで対応することになるわけでありますが、それは口の上ではそう言えるわけでございますけれども、実際には、肥育経営はかなり前に仕入れた子牛を長い時間かけて育てている、そこで出荷をするということから、タイムラグと申しましょうか、高い原料を安い価格で製品になって売らなければならない、こういう事態が経過的には起きるわけでございます。 そのために、肥育経営に対しましては、緊急特別対策ということで、そういうタイムラグを考慮した上で、所得にかなりの減少が生じた場合に一定の金額を交付することによりましてその経営の継続を図っていく、そういう事業も今年度継続をしたわけでございます。そういった肥育経営、何と申しましょうか、子牛の補給金制度を補完する、補強するというか、そういう措置を含めまして国内の肉牛生産の維持、振興を引き続き努力していきたい、こういうふうに思っております。
○倉田委員 私は、政府がどんな方向を向いて政策を誘導されるかということは大変重要な問題だと思うのです。私は、今その政府の方向というのを考えるときに、いわゆる国際競争という価格競争の中において、ともかく値段を安くしてこれに打ちかっていこうという大きな流れの中で、実は国内生産者の方々も非常に苦しんでおられるという現実があるのだと思うのです。 それでは、輸入量がどんどん入ってくると価格が下がっていかざるを得ない、この状況を踏まえてどんなふうに考えていけばいいのか。これは、私は私なりに非常に悩んで考えてみて、確かに価格の問題はある。その価格の問題の中で生産者の方の手取り額をいかに高めていくか、その視点も必要なんじゃないか。同時に、確かに国際競争価格ということで下がった方がいいのかもしれないけれども、それだって安全性等々の問題からいえば、この間も指摘をさせていただきましたけれども、一定の限界がある。そうだとすれば、いわば適正な、安定的な価格を維持するためにはどうしたらいいのかというその視点と同時に、その視点の中で生産者の手取り額を高めるためにはどうしたらいいのだろう、このことももっと実は真剣に検討をしていただきたい、調査をしていただきたいと思うわけです。 例えば、飼料コストの問題があります。飼料コストがどんなふうに決まってくるのか。いわゆる価格が下がると、何となく今の印象では、そのしわ寄せが一番一生懸命に働いて苦労をされておられる生産者のところを直撃しているような仕組みになっていないかどうか。飼料コストの問題だって、それは生産原価の問題で、ありますでしょう。それから、流通経路の問題からいけば、いわゆる生産者の卸価格と消費者価格の配分の手取り額が現在のままでいいのかどうか、その辺も含めて実は検討をしていただいて、生産者の手取り額を高める方法をもっと前面に押し出して考えていくべきである。 実は、この問題は、そうでないといわゆる一生懸命に本当に額に汗して働くことがばかになってしまう。おれはもうそんなことしないよ、机に座って、ペーパーで計算をしてマージンを稼いだ方がずっと楽だよ、こんなふうになってしまうと、実は日本の実業というのか、働くというのか、その辺のところが、一般論と言ってしまえば、みんな働くのは嫌だ、現場で汗を流すことは嫌だ、ペーパーを動かしてその手数料をかいて、それでしっかり懐に入った方がいいやというふうな風潮になってしまう、それでは実は日本の国は非常に危ういのだという、非常に大層なことを言いましたけれども、そういう問題意識もまた持っているわけでございます。 だから、この肉用子牛の問題でいけば、生産者の手取り額をいかに高めるか適正な、安定価格をいかに維持するか、この方向で実は検討をしていただかなければいけないのではないのかと思うわけですが、いかがでございましょうか。
○中須説明員 確かに、ただいまのお話をお伺いしまして、私の先ほどの御答弁は、いわば大量性製品をいかに安くつくるか、そういう意味での努力をして頑張っていく、そういうお話を申し上げたのに対して、そういう事柄のほかに、やはり一つ一つがそのよさを売り込むというか、一面では、最近肉の世界あるいは乳製品の世界でもありますが、小さな生産者がそれなりのブランドをつくって売り込んでいく、付加価値を高めて売っていく、そういう消費者の信頼をつくれば物はある程度高く売れていく、そういうような時代でもございます。そういったもっと多様な付加価値を高める、そういう努力も通じて実質的な所得を増加させていく、そういう点についても我々施策の中で十分考えていかなければならないな、お話をお伺いしながらそういうように感じました。
○倉田委員 まさにこれは農業全体の問題でもあるわけでございますけれども、担い手をどうするか。畜産の問題に限ってみても、先ほど労働時間のお話もございましたけれども、お父さん、お母さんが一生懸命、本当に朝から晩まで一線で額に汗して働いておるのになかなか報われない。一方で、何となく会社で机の上で計算しているだけでうまい金が入ってくる。こういうのを見ていると、やはり私は後継者は育っていかない、こう思うのですね。やはり生産者の方々が本当に額に汚する分だけの苦労が報われるということを子供たちが見ていかなければ担い手というのは育っていかない、そう思うわけですが、そうしますと、この畜産経営についても、政府は、後継者、担い手対策、どんなふうにお考えになっておられるのか、またその対策は十分であるのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
○中須説明員 畜産も含めまして、我が国農業にとっては、今後有能な若い農業者をいかに後継者として確保していくか、これが極めて重要な課題だ、こういうふうに認識をしております。このために、もちろん各畜種共通いたしまして後継者対策ということは、農林省、非常に大きな政策として取り組んでいく、こういうことでございますが、畜産独自の世界におきましても、先ほど来お話が出ております、例えば酪農ヘルパーの育成等を推進する、あるいは生産性の向上によって経営体質を強化する、そういうことが基本的に後継者対策につながるわけでございますし、特に平成四年度からでございますが、畜産における後継者対策といたしまして、相談活動と新しく畜産に入ってこられる方に対する技術研修、それから例えば北海道等が典型的なわけでございますが、離農された後の農場、これを草地、畜舎込みで新しい方に承継する、それを円滑にまとめて承継等を可能にする、そういうような各種の対策を総合的に実施する担い手対策を実施しているところでございますし、各作物共通でございますが、農業改良資金の中の青年農業者等に対する貸し付け内容の拡充等、これも今年度改善を図ったところでございます。 しかし、酪農経営の場合に、後継者ということになりますと、労働の問題、労働の内容の過重さ、あるいはその時間が大変長い、やはりここに焦点を当てて改善をするということに取り組んでいかないとなかなか後継者も難しいのではないか。そういう意味で平成五年度からは、もちろんまだ部分的な取り組みにとどまるわけでございますが、ゆとりを創出するための酪農集団の育成対策とか、若干話が出ておりましたが、フリーストール、ミルキングパーラー等を初めとする新しい搾乳システム、こういうものの定着事業、そういうことを含めて後継者対策に努力していきたいというふうに考えております。
○倉田委員 な言葉を返すようで恐縮ですけれども、今の畜産経営の現状はゆとりとかそういう時点の問題ではないのだと思うのですね。一生懸命働いても報われないな、これが問題なんだと思うのです。一生懸命働いて報われる、働けば働くほど収入として入ってくる、そうであれば、やはりおれもやろう、頑張ってもうけよう、こういう人たちが入ってくるんだと私は思うのです。ゆとりというのはそこができてからの次の話だと私は思いますので、まずは現場で働いておられる方が本当に報われる、こういうところから御検討をいただきたい、こう思うわけでございます。 残された時間が少なくなりましたが、次に、いわゆる新政策でございますが、新政策において環境保全型農業ということがうたわれております。この環境保全型農業と畜産という視点からお伺いをしたいわけでございますが、新政策においては畜産というのはどのように位置づけておられるのか、同時に、環境保全型農業ということを打ち出された中で、畜産というのはこれとどんなふうにリンクしてお考えになっておられるのか、この点をまずお伺いをしたいと思います。
○中須説明員 昨年六月に公表されました「新しい食料・農業・農村政策の方向」、こういう中では、いわゆる畜産経営というかそういうところに具体的に言及しておりますのは御承知のとおりでございますが、酪農と肉用牛生産について、生産性の向上、経営の体質強化とあわせて、ゆとりある酪農経営の実現、肉用牛資源の拡大、環境問題への適切な対応等の課題に早急に取り組むことが必要である、こういうようなことが指摘をされております。こういった課題を踏まえて、酪農及び肉用牛生産については今後の将来を見据えた経営展望というものを示して、それに沿った施策の展開を図っていくべきだ、こういうふうな指摘になっているわけで、先ほど来お答えを申し上げているように、その具体化に今我々として取り組んでいるところである、こういうことでございます。 そこで、環境保全という問題でございますが、環境保全型農業の確立というのも、実はこの「新しい食料・農業・農村政策の方向」での大きな項目、推進施策でございますが、その環境保全型農業の確立ということの中で触れられていることとして、地力の維持増進と未利用有機物資源のリサイクル利用の推進、こういうことが三つの話の一つとして挙げられております。 御承知のとおり、家畜のふん尿というのは多くの有機物を含んでおりますし、基本は、やはりこれを堆肥化いたしまして農地にリサイクル利用する、これによってふん尿処理という後ろ向きだけではなくて、地力の減退だとか連作障害を防止する、そのことを通じて農業の有する、何と申しましょうか、物質が循環していく、そういう機能を生かしながら、環境への負荷の少ない農業としての、総体として言えば環境保全型農業というものが確立てきる、こういう考え方だろうと思います。したがいまして、畜産につきましても、家畜ふん尿を地力増進のために土地に還元していく、これをやはり大きな柱として我々進めていかなければならないんじゃないか、こういうふうに思っております。
○倉田委員 新政策において畜産がどんなふうに位置づけられていくかということを考えるならば、これからどんな地域で、どれくらいの規模で、経営者数はどのくらいで、あるいは組織的経営体、個別的経営体、これも示されていくんだろうと思いますし、その過程の中でやはり地域それぞれの実情をきちんと酌んでやっていただかなければいけないのであろう、こう思うわけでございます。 同時に、今お話にございましたけれども、環境保全型農業の中で畜産、一方ではふん尿、逆に環境を破壊していくんではないのか、こういう問題もある。そうすると、いわゆる中山間地域の中における畜産ということも考えていく必要もあるだろう。そんな場合に、今のままで畜産ということが環境保全型農業にマッチしていくのかどうか、これも実は問題意識を持って検討しなければいけないのではないのかと私は思っておりますので、この点についても政府の御認識をお伺いしたい。 それから、政府の方針の中で飼料生産基盤の拡充整備という方向を打ち出されておると聞いております。いわゆる中山間地域の耕作放棄地であるとかあるいは荒れ地みたいなものを飼料生産基盤として整備していく。これは、農薬の使い方等について、それをきちっとやれば中山間地域対策にもなりますでしょうし、あるいは飼料生産の自給率の問題、国内自給率の問題についても大いに貢献をするのではないのか、こう思うわけでございますが、ただ、これをやるということは、余り生産性のよくない状況を考えなくてはいけないのではないのか。そうすると、それだけでは多分、例えば中山間地域に飼料生産、牧草とかなんとかいろいろな草木を植える、それだけでは農家の方々はとても割に合わないやという話になるんだろう、こう思うのです。そうすると一方で、やはり今盛んに我々が議論しておるわけですけれども、国土の保全とか治山治水とかそういう側面を考えるのであれば、私はそういう中山間地域を活性化をさせる、同時に国内飼料生産基盤を増大をさせるという意味からすれば、ここに何らかの形で政府のお金の出し方というものがあるのではないのか、こんな気もするわけですが、この点については政府はどのようなお考えを持っておられますかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
○中須説明員 いわば畜産から見た中山間地域の特に環境保全だとか国土の有効利用、そういうことを含めてどう考えていくべきかというお話でございますが、まことに申しわけないわけでございますが、中山間地域問題全般について私も十分御説明申し上げるだけの能力がございません。 ただ、一つ畜産の立場から言えますことは、中山間地域の農業というと、調べてみますと現実に畜産が大変大きなウエートを占めているわけでございます。そして、ただいま耕作放棄地等の御指摘もございましたが、中山間地域にはそういうものを含めてかなり大きな草地、草としての資源というものがあるわけで、それを有効に活用して自給飼料基盤を拡大していく。自給飼料生産基盤に立脚しているという意味で、足腰の強い畜産をつくっていくという意味でも大きな役割を持っていると思うわけです。 そういう意味で、実は私どもの施策の中でも、割にそういう小規模なというか、中山間地にマッチするような、例えば転作田とか耕作放棄地の活用による飼料作物の作付拡大だとか、あるいはよく言われますが里山、こういうものを活用して放牧利用する、あるいは野草等の低利用資源、これは林野とか河川敷とかそういうところも含まれるわけでございますが、こういうものを活用していく、そういう場合に各種の補助事業が小まめに使えるというか、そういうものも用意してございまして、そういうものを活用しながら中山間地域における、特に飼料基盤というか、そういうものに着目した畜産の発展ということは私どもの範疇でも取り組んでいる、こういうことでございます。
○倉田委員 議論が残ってしまいましたが、時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。 石破次官にも御答弁いただこうかと思っていたのですが、質問できなくて申しわけございませんでした。また、次の機会に譲りたいと思います。 終わります。
○平沼委員長 藤原房雄君。
○藤原委員 きょう午前中から、同僚委員から多方面にわたりまして、このたびの平成五年度の畜産物価格の決定に当たりまして、特に加工原料乳の保証価格や加工原料乳限度数量、これらのことについて質疑がございました。 冒頭にちょっと申し上げたいのでありますが、政務次官、非常に厳しいお話がいろいろありました。政務次官も農業に携わって、また農業関係のことについては非常にベテランでございますので、きょう午前中からございましたいろいろな質疑の中で、今までにない非常に厳しい環境の中にあるという御認識で、我々と同じ気持ちであろうかと思うのでありますけれども、きょうこれから私がいろいろ質問するわけですけれども、まずは冒頭に、ことしの畜産審議会に諮問した段階、そしてまた、今いろいろな議論があったこと等踏まえまして、ひとつ率直なお考え、お伺いしておきたいと思うのであります。
○石破政府委員 お答えを申し上げます。 午前中から御議論がございますとおり、大変に厳しい情勢である。若干の改善が見られるというのは、数字の上では確かにそうなのかもしれませんが、それが実態、また生産者の方々の実感との乖離がややあるのではないか。その辺の間隙をいかにして埋めていくかということが肝要ではなかろうかと思っております。何にいたしましても、再生産を確保するということを旨としていかねばなりません。その点をよく留意してまいりたいと思います。 また、先ほどの倉田先生のお話にもございましたが、これから先の酪農、畜産というのは、実際守っていかねばならない。しかし、外国との価格差を詰めると申しましても、それは規模また賃金等々から申しましてやっぱり限界というものがあるのであろうなというふうには考えておるわけでございます。しからば、国内で酪農、畜産を守っていくとするならば、環境問題も含めまして、一体だれの御負担でこれを守っていただくかという議論をしていかねばなりません。それは、とどのつまりは国民皆様方の御負担でということになろうかと思いますが、そのことにつきましてのコンセンサスを得るべく努力をしてまいりたいと思っております。 以上でございます。
○藤原委員 非常に厳しい受けとめ方をお伺いいたしましたが、私も申し上げることは、何といいましても畜産物価格の決定という大事な場でございます。そしてまた、今政務次官の方からもお話ございましたように、数字は確かに生産費調査ということで厳格にいろいろな統計上やっていらっしゃることは私どもも確信をいたしておりますが、それと現実とはちょっと乖離があるのではないか、こういう気持ちでいっぱいであります。そういう中にありまして、何点かの問題について、ぜひ農水省としましても御検討いただきたい、こういう厳しい中にあるという現状をさらにひとつ御認識いただきたいということで申し上げたいと思うのであります。 その冒頭に、それぞれの地域で非常に困惑しておるといいますか、大変な危機的な状況の中にありますときには、それらの問題について当然関係者の方々もいろいろな議論をするでありましょう。やはりその地域の地方自治体、そしてまた地方議会がそれらの問題については一義的に集約をして意見を取りまとめる、こんなことがよく行われるわけであります。このたびも、何町村からか、私のところにも議会で採択した意見書が参っておりますし、また過日は、国の大きな政策のもとに進めてまいりました根釧のど真ん中、中標津町議会で山下博議員が提出いたしました「平成五年度加工原料乳保証価格等畜産物政策・価格実現に関する意見書」、採択になりましたこの意見書も添えて私のところに参りました。各種町村のものやこの中標津町の意見等を見ますと、私も時折現地にも行っておりますけれども、現実は非常に厳しい状況の中にある、こういう認識をいたしておるわけであります。 これらのことにつきまして、前置きとしまして、何点かについてお尋ねをしておきたいと思うのであります。 まず一つは、輸入規制措置の堅持ということが、これは農業団体におきましても主張されておりますし、さらに議会における決議の中にもございますけれども、国内的な措置ということでの問題でもいろいろな問題が山積いたしておるわけでありますけれども、それに加えて、関税化というガットの問題が絶えず脳裏から離れられない、こういう現状にあること。そういう中にありまして、関税化とか農業保護の画一的な削減、こういうことは酪農だけではなくして地域の経済に大きな影響を及ぼすということで、大変な危機的な意識を持っていらっしゃる。こういうこと等で、これは同僚委員からも先ほど来いろいろ御意見がございましたが、乳製品等についての国内での生産供給というのは基本としてすべきであって、現行の輸入規制措置、これを堅持すべきであるということが、第一番にそれぞれの立場から強く主張されておるわけであります。 さらにまた、擬装乳製品等についての秩序ある輸入が行われるように関係業界へ適切な指導をしてもらいたいという、これもまた私も当然のことと思います。内の中のことはある程度できたとしましても、外からの、いろいろな制度をつくりましてもその制度が、畜産物価格の制度もありますけれども、輸入というこの壁を乗り越えてくるもののために制度が十分に機能しなくなった、こういう現象もあるように私どもは受けとめておるわけでございますが、これらのことについて、農水省のかたい決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
○中須説明員 乳製品の輸入制限に関しましては、対外的問題としては、大きく分ければ二つございます。 一つは、昭和六十三年にいわゆる十二品目問題、その一環としてガット違反との裁定がなされました乳製品の輸入制限についてどう扱うかという問題でございます。 これにつきましては、御承知のとおり、当事国のアメリカとの協議を我が国は行いまして、六十三年度以降三年間、一部品目についてアクセス改善措置を講ずるということを行い、粉乳とか練乳等の基幹的乳製品については輸入制限を継続する、こういうことでアメリカとの合意を見たわけでございます。この合意は六十三年度以降三年間ということで、平成三年三月、期限が参ったわけでございます。これ以来、日米間で再びこの問題については協議を行いまして、昨年の九月、一応前回の合意を輸入割り当て額の一部拡大等によってさらに三年間延長するということで、日米間で合意をしている。十二品目問題関連では、そういうような動きになっております。 ただ、こうした解決の仕方について、粉乳とかバターについて関心の高い豪州とかニュージーは、大変それを不満に思っている。日本とアメリカでそういうことをやった、我々の主張を聞いていないということでの不満がありまして、我々とも交渉せよということを言っております。 それから第二点は、藤原先生ただいま御指摘のとおり、ウルグアイ・ラウンドにおける乳製品の問題、こういうことでございます。 これはもう御承知のとおり、平成三年末に包括関税化を含む最終合意案というものが示されたわけでございますが、我が国としては、乳製品等生産調整を行っている品目については関税化の対象外とすべきである、こういうことが主張でございます。アメリカ、ECを含め包括関税化ということを主張する国は多うございますが、交渉が厳しいといえども、我が国の主張が最終合意案に盛り込まれるよう今後とも最善の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○藤原委員 午前中の質疑でも、自民党の松岡議員からも牛肉の自由化のときのこと等、いろいろ述べておりました。いろいろな対策をしましたけれども、予測以上に厳しい状況にあるということで、これに対しては当然償いをしなきゃならぬぞという意味の趣旨のことをおっしゃっておりましたが、現在、この四月一日から関税がいよいよ五〇%ということになるとどうなるのか。予測等についても、先ほどいろいろお話ございましたから同じことをお聞きしませんが、これは恐らく相当なまた影響があるだろうと思うわけであります。飼育農家や素牛の生産農家に大きな影響があることは御存じのとおりでありますけれども、これが肉牛を中心とする農家だけではなくして酪農家に大きな影響があるという、ここがまた一つ大きな去年からの問題であるわけであります。 このことを考えますと、この五〇%維持ということにつきましては、日米、日豪、それからガットの推移、いろいろなことがありますけれども、これは絶対変えてはならぬ、そしてまた断固たる決意で交渉に臨んで、守り通していただかなければならない線だと私どもは強く思うわけでありますけれども、この点について、農林省としてはどうお考えですか。
○中須説明員 先ほど来から先生方の御議論にございますように、自由化進行過程で多くの影響を我が国肉牛生産あるいは酪農に及ぼしているわけでございまして、政策推進の当局といたしましても、現在のというか、この四月から関税率が五〇%に下がるわけでございますが、これをさらに引き下げるということは大変厳しい状況だというふうに認識しております。そういう考え方に立って、現行関税率を維持するということで最大限の努力を尽くしてまいりたい、こういうように思っております。
○藤原委員 豚肉の関税のことについてですけれども、これは差額関税制をとっているわけです。ダンケル・ペーパーによりますと、通常の関税以外の国境措置は関税化するということでありますから、今、ガットの方につきましてはちょっと先行き不透明な状況にありますけれども、これまた議題にのりますと大きな課題になるのだろうと思います。 養豚のことについては、もう私が申し上げるまでもなく、いろいろな資料データで御存じのとおり、今日までは非常に危機的な状況で、農家戸数がどんどん減っておる、しかし頭数はその割に減ってない、大規模化の方向に進んでおるのかという、こんなこともございましたけれども、ここのところ毎年一七%から離農するといいますか、戸数が減るということと、頭数も最近は減っておるということでありますから、このまま推移いたしますと、養豚業というのは本当に日本の国からだんだん消えてしまうのではないか。本当に限られた人にしか、限られた地域に、限られたところにしか残らなくなるのではないか、こういうことを非常に心配をいたしているわけであります。生産物というのは、やはり最低限自国で生産をする、こういう基本原則の上に立ってということが米を初めとして叫ばれているわけでありますけれども、豚肉もやはり日本の国の主要な食糧であることは間違いございません。 こういうことから、こういう離農が急激にふえた原因というのは一体どこにあると見ているのか。長いお話はいいのですけれども、それに対して、今後の助成策として対策を講ずる施策がございましたら、ぜひひとつお述べいただきたいと思います。 それに、最近はだんだん高級化といいますか、チルドの方が輸入が多くなってきておりますから、そういうことからいきますと、差額関税化の維持ということを叫ばれておるわけでありますけれども、これが、質の高い、値の高いチルドが入ってくるようになりますと、差額関税がかからないといいますか、こういう問題になりまして、チルドに対する対策または秩序化、こういうこと等もまたあわせて考えていかなければならない、こういうことではないか。 豚肉については、この点についてお伺いをしておきたいと思うのです。
○中須説明員 養豚の動向につきましては、御指摘のとおり二年連続して約一七%の農家がやめていく。平成四年には約三万戸ということになっているわけでございます。 これを少し子細に眺めて、繁殖豚の規模別に飼養戸数の動向を見てみますと、特に、言うまでもないことでございますが、子取り雌豚十頭未満層という層を見ますと、平成四年までの十年間で年率平均一六・九%ということで、極めて大幅な減少。今こういう統計でとっている階層別で見ると、子取り雌豚百頭以上層のみがふえている、その他の階層は減少、こういうような状況にあるわけであります。総体として見れば中小規模層を中心に戸数が減っている、それに伴う頭数の減少というのをこれまでは大規模階層が頭数をふやすことでカバーしてきたわけでございますが、それまでカバーし切れなくなっている、そういうことで頭数もある程度減少している、こういう状況だろうと思います。 そういった中で、平成三年度に中央畜産会が行いました養豚を中止した方の実態調査、これを見てみますと、やめられた理由幾つかの項目が挙げられておりますが、養豚の先行き不安ということ、養豚経営者の高齢化、後継者不足、あるいは収益性の低下、あるいは混住化の進展に伴う環境問題、こういったことがそれぞれかなりのウエートで出されております。やはり養豚経営、どこかでちゃんと歯どめをかけて生産を維持していくというためには総合的な対策が必要だということなのでありましょうが、なかなか地域においても、例えば環境問題等含めて一朝一夕には解決しない、そういう問題を含んでいる、こういう状況でございます。 それから、そういう国内生産が若干減少ぎみに推移しているという中で、輸入面につきましては、ただいま御指摘のとおり、チルド豚肉の輸入というのが増加傾向で推移しているということが最近の特徴であります。ただしそれは、ふえているわけではございますけれども、差額関税制度そのものは、価格安定制度の安定帯の中心価格というものより安い輸入物の国内への流入をとめるという基本的な役割は果たしているということでございまして、現に、国内価格が基準輸入価格以下、かなり低下してきた昨年秋以降は輸入の伸びはかなりの鈍化を見ているわけでございまして、それぞれ完璧にどうかということについてはいろいろ問題はありましょうが、差額関税制度がそういう意味で輸入について国内価格と連動して一定の抑制機能を持っている、そういうことも効果として言えるのではないかなというふうに思っております。
○藤原委員 なかなか厳しい状況にあるわけでありますから、ひとつ積極的なお取り組みをいただかなければならぬと思います。 次は、価格と所得政策ということで、時間もありませんから一つ一つ申し上げることもできませんが、何といいましても、酪農経営の安定ということからいいますと総合的な収入の安定が必要なわけでありまして、保証乳価とか、飲用乳とかそれらの販売価格、それとまた老廃牛や初妊牛、こういうもの等の価格がどうであるかということ、その収入が総合的な収入として、またそれに見合うところの支出、それで所得というのは決まるわけであります。 保証乳価というのは生産費調査で決まるわけでありますけれども、老廃牛とか初妊牛とか、これは下げ要因ということで言われております。今回は、えさが下がるとか金利が下がるとか生産費とか、下げ要因が非常に多いんだということです。これを中身を一つ一つ詳しく見るわけにもいきませんけれども、大まかに言って一頭当たりの乳量の増加、確かにこれは下げ要因かもしれません。しかしこれは、農家の方が、限られた中でどう収入をふやすかということのためには一頭当たりの乳量をふやさなければならぬということで、黙っていて乳量がふえたわけではない、大変な御努力をなさって、または乳量の多い牛にかえるとか、私の知っている人たちもやはり乳量を搾る以外にない、こういうことで大変な御苦労をなさっていらっしゃる。これには大変なお金がかかっておるんですよ。 それから生産規模の拡大ということでありますが、これも下げ要因かもしれませんけれども、これも北海道の中核的なところですとまあそれなりに、北海道全体としては平均六十五・五頭ですか、EC並みという状況の中にありますから、規模拡大したための負債、こういうものが一つ大きくのしかかっているということです。 それから生産資材価格の安定、配合飼料とかそういうものが低下したとか、これも下げ要因だということでありますけれども、国内生産のものは、労働賃金が上がったとかいろいろなことで、決してマイナスばかりではないと思うのであります。 金利の低下、それからまた円高というのは、これは農家の方々の努力とか何かではございませんで、社会情勢の変化ということになるんだと思います。 こういうことから申しますと、上げ要因といいますか、一番困っているのは、先ほど来お話ありますように子牛価格の低下ということです。こう見ますと、やはり生産者の努力によって、また負債を負いながらも、それなりの乳量の増加、規模拡大、資材価格、こういうものをフルに活用して乳量をふやしたということでありまして、天から降ってきてそして乳量がふえたわけでもないし、それから収入がふえたわけでも決してないのですよ。そこをひとつお考えいただかなければならぬと思うのです。 先ほど政務次官もおっしゃいましたが、生産費調査の数字と現実との乖離というお話がございました。その中には、労働時間も千八百時間どころではない、二千五百時間とかそれを超えているとか、いろいろな経営形態や何かによっても違いますから一概に言えないかもしれませんけれども、とにかく今までより過重な労働であることは間違いない。そして、とにかくたくさん搾って収入をふやす以外ないぞということ、こういうことで現在の生産費調査というのが出ているということからしますと、どうしてもそこには大きな乖離が出てくるのは当然だろうと思います。 それから、乳価は毎年再生産が償えるようにということで価格を決定するわけでありますけれども、余り大きな変動があっては、農業というのはそんなにかじ取りが急に切れるわけではありませんから、やはり安定的な、二年、三年、漸進的な上昇なり下降なり、そういうものがなければ農業の安定経営というのはできないのではないか、私はそう思います。そういうことを十分に勘案して、去年どことしはもう数値は随分違うぞ、ことしはもう下げる以外ないんだというような新聞論調みたいなことを考えておるわけではないだろうと私は思うのですけれども、ぜひひとつそれは、現状をもう少し分析をしていただいて価格決定をしていただきたいものだと思います。 昨年、酪農経営安定等緊急特別対策事業というのが行われまして四十八億の対策がとられたわけでありますけれども、これは平成四年度限りの「臨時異例の措置として本緊急特別対策事業を実施する。」ということであります。それはもう、確かに去年はいろいろな状況がございました。しかし、去年どことしとどこが違ったのでしょう。 この事業目的の中に四つほど書いてありますが、一つは、「平成三年四月からの牛肉の輸入自由化により、ヌレ子、乳廃牛等の個体販売価格が急激に低下し、酪農経営に大きな影響を与えている。」これはもう下がったままで上がっておりません。根室での個体販売の市場の価格を私ちょっと持っておりますけれども、低迷しておることは事実でありまして、去年と変わらない現況にあることはお認めいただけると思うのです。 二番目には、「これを状況を放置すれば、乳質改善努力が後退するのみならず、半群・草地等の酪農資源の維持向上努力にも支障が生じるおそれがある。」これも去年どことし同じです。 三番目に、「このため、搾乳時の衛生管理の徹底等の乳質改善対策に取り組むとともに、乳牛の飼養管理や草地管理の適正化を図ることが緊急の課題となっている。」これも去年どことし同じです、何も変わりません。 また四つ目には、「特に、加工原料乳供給地域は我が国の生乳供給基地であり、将来とも安定的に国産生乳を供給しうる酪農経営を維持向上する必要がある。」 これは、まさしく去年、牛肉の自由化の影響が大変に出たということで、皆さん方も真剣にこの対策をどうするかということで頭を痛め、対策を講じていただきましたことは私どもよく存じておりますけれども、去年どことし、それが変わったかというと、決してそうではございませんで、環境は去年と同じ状況の中にあるということでありまして、確かに当時としては、これはことし限りだぞということでこの事業は始まったのかもしれませんが、しかし、今日におきましてもこの状況を変え得る現状には決してない。こういうことをぜひひとつ御認識をいただきまして、諸施策についてはいろいろまた対策、同僚委員からもお話ございましたけれども、適切に行っていただきたいと思います。この特別対策事業、本年も是が非でもこれは継続をしていただきまして、経営の安定化、酪農経営が安定できるように、希望を持って営農のできるように、夢の持てる農業を確立することのできるように、是が非でもこれは御検討いただかなければならぬ。 今回、農業団体やまた地方自治体のいろいろな議会の議決等いただいたのを見ますと、確かに数字的なことについて説得力のあるお話は、上げ要因としてかくかくしかじかということはないのかもしれませんけれども、やはり希望の持てる酪農業をぜひお願いをしたい、これが非常に強い。私もいろいろな方々にお会いして、また現地も何回か酪農家を回りましたけれども、今離農なさる方々は、Aクラス、Bクラスの比較的安定した経営をしている人。今お金のあるうちに離農しないと大変なことになるぞ。こういうことが続くようなことになりますと、今まで三十年、昭和三十年代から酪農に大変に力を入れて今日の日本の酪農を築き上げてきた農林省、これが根底から崩れてしまうのではないかということを私は本当に危機感を持って実感として感じておるわけであります。これはぜひひとつこの現状をつぶさに御検討いただきまして、これらの価格決定にぜひひとつ反映させていただきたい、このことを強く要望したいと思います。 政務次官、一言決意のほどをお述べいただきたいと思います。
○石破政府委員 るる先生のお話を承りまして、まことに実情はそのような面が多々あろうかと思っております。先ほどお話がございまた酪農経営安定等緊急特別対策事業、これを拡充、継続というような御要望、私どももあちらこちらから承っておるところでございます。私も昨年、党でこの関係をいたしておりまして、四年度限りの臨時異例の措置という非常に厳しい申し渡しというのでしょうか、申し合わせというのでしょうか、それを見まして、さてこれは来年もこういう状況であったらいかなることになるのかなということを考えたわけでございます。 ただ、ぬれ子が下げどまったというのは数字としては明らかに出ておるわけでございまして、その辺をどのように考えるか。また、酪農経営の総合的な所得の安定という観点から、何とか先生方の御教導を賜りながら、酪農家の方々に希望の持てるような、そういう価格をお願いをいたしたいと思っておるところでございます。 いずれにいたしましても、先生方のいろいろな御意見を承りまして適切に反映いたしますためにこのような委員会をお開きかと思いますので、今の藤原先生の御指摘、真摯に承りたいと存じます。
○藤原委員 以上で終わります。
○平沼委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 畜産価格問題についてお伺いをいたします。 先ほどからも言われておりますが、ことしの乳価はこれまでと決定的に情勢が異なっていることを何としても認識してもらわなければならないと思うのです。それは、乳価算定方式が酪農の実態を反映することができず、畜産農家を一層深刻な状態に追い込むものになっている点であります。何よりも現在の乳価では生計を営むことができない。それを補うために飼養頭数を上げて乳量をふやして、朝早くから夜遅くまで過酷な労働にみずから追い込んでいったとしても、そのようにして生産性を上げた者に対して、翌年はまだその生産性の向上を理由に乳価が下げられ、その繰り返しの中で畜産農家はもう限界に追い込まれているわけであります。この点について農水省はどう受けとめていらっしゃるのか、明らかにしてください。
○中須説明員 酪農経営の現状につきましては、午前中以来種々お話がございました。私どもといたしましては、乳価の算定という議論の中では、乳価算定というのは、これまで私ども農林水産省が行っております生産費調査というものに基づいて、それに一定のルールによる労賃の評価がえでございますとか、物価について最新のデータに修正をするとか、そういう過程を経て一定のルールに従って算定をする、こういうことが基本だろうと思っているわけでございます。 その生産費調査等にあらわれてきております最近の酪農経営の動向、こういうことを見ますと、背景としてはさまざまな事情は当然あるわけでございますが、規模拡大の進展なり経産牛一頭当たりの乳量の増加によって生産性の向上が図られているということが一つの面としてある。 それからもう一つ、ただ収益性という面で見れば、昭和六十二年以降特に顕著なわけでございますが、雄子牛、ぬれ子が非常に上昇したということで、収益性は急速に上がったわけでございますが、平成二年後半から自由化の影響によってぬれ予価格が低下をするということに伴いまして、トータルとしての収益性低下を見た。この件につきましては、生産費調査の三年と四年、それぞれ本来の暦の年の三年と四年とはずれているわけでございますが、その二つの数字を比べますと、そのぬれ子の価格の低下というものが最近に至ってほぼ横ばいになった。若干上昇というのは余り強調するとおしかりを受けるわけでございますが、そういう状況だということを反映いたしまして、三年と四年の生産費調査で経営動向というか収益動向を見ると、三年と四年という範囲で比べれば一定の改善が見られている、こんなふうに把握をしているということでございます。
○藤田(ス)委員 全然認識が合っていないのですよ。生産費調査、労賃、物価のルールに従って算定、さっきからも言われていますけれども、物価そのものが八〇年から九二年の間に一三%も上がっている。どうして乳価だけが同じ期間に一五%もマイナスになっているのですか。全然あなた方は実態を御存じないのか、それとも知っていてとぼけていらっしゃるのか、私はそういうふうに言いたいわけです。 私は去年北海道に参りまして新政策の問題で調査をやったわけですが、ここで北海道別海町の美原地区に行きましたら、新酪農村を対象に調査をされた北海道酪農協会の報告を見せていただきました。 これを見ましても、「昨今の酪農危機に直面し、夜逃げ同然の離農が相次いで発生したことから、周辺の酪農家に大きな先行き不安と動揺が広がって来ている。」こういうふうに言って、残っている農家の実態を次のように紹介しています。「乳牛の個体価格の下落により、生乳五百トン出荷農家で約七百万円の減収。」「借入金残高一億円強、売上高負債比率二〇〇%以上、毎年度元利償還額約一千万円の経営では生活費が捻出できない。(このような農家は平成三年度で五十戸)」これは集落の六二・五%にもなる。「ヘルパーを利用する資金的なゆとりが無い。(一日休むと朝晩二回の搾乳だけで約五万円かかる)」「夫婦どちらか一人が倒れるとたちまち経営は破綻に追い込まれる。」そして、これらの実態を踏まえてこういうふうにも言っています。「これらのことから、所得確保のための規模拡大は、再び負債の増大を招くことになるとともに、労力的にも限界である。このような情勢のなかで、再び生乳生産の減産計画が出されることになれば、経営破綻や離農が続出することはさけられない。」こういうふうに言っておられるわけです。 きょうは、先ほど御紹介ありましたように、北海道天北からたくさんの皆さんが傍聴席にお見えであります。天北の方でも自殺、離農は決して珍しい話ではなく、最近の特徴は集落ごと酪農家が消えてしまうということが大問題になっている、こういうふうに言われているんです。こういう実態について、きょうは大臣いらっしゃいませんけれども、政務次官はどういうふうに認識していらっしゃるか。
○石破政府委員 お答えを申し上げます。 先生御指摘のとおり、非常に厳しい実態というのを私どもも受けとめておるところでございます。ただ、生産費調査につきましては、科学的な根拠に基づきまして公平公正に算定をいたしておりますので、価格は価格としてこれは認めていかねばならぬところであろう、そのように考えておるところでございます。 実際問題、そこにあらわれました数字と実際の経営との間にどのような乖離があるのか、そしてまた、こういう言い方をしてはしかられるかもしれませんが、経営といいましてもそれぞれさまざまな形があろうかと思っております。一円上げようが二円上げようがそれではどうにもならぬというところもございましょうし、あるいは今のままでもよろしいというところもあるのかもしれません。いろいろな形の経営実態があろうかと思っております。私ども鋭意決定に向けましてそのような経営実態の把握に努めておるところでございますので、どうか御了解をいただきたいと存じます。
○藤田(ス)委員 やはり認識が、本当につかんでいらっしゃらない、的確な認識になっていない。私たちが例をお話しすると、それはそれ、こっちはこっちみたいなことでおっしゃるけれども、政府の生産性向上、その成果を的確に価格に反映するという、これは新政策の価格政策でもありますけれども、同時に酪農のあなた方が出された基本方針の中にも明記されておりますが、こういう方針が完全に破綻しているんです。北海道の酪農協会、何と言っていますか。「解決への提言」の第一に挙げたのが「日本型デカップリング政策をつくり上げる。」「早急にこの実態を許に調査、検討し思いきった対策を実施しなければ北海道酪農は地域ぐるみで崩壊する。」そういうふうに言って、その実現の緊急性を訴えているわけであります。この声は政府に届いていないはずはありません。どういうふうに受けとめられたのか、お答えください。 価格保証から所得保証に私は仕組みを抜本的に変えるべきであると思うのです。きのうも農民運動全国連合会の皆さんと交渉いたしましたけれども、席上出された要求は、「九三年度加工向け原料乳保証価格は九十六円以上とすること。」こういうふうに出されていました。これがぎりぎりの要求なんだ。ここまで価格を引き上げ、そして所得を保証をしてもらわなければ生き残れないんだ、そういうことを訴えていらっしゃるわけであります。私はもう一度申し上げます。所得保証のために、乳価算定方式を変えて乳価を大幅に引き上げるべきであります。
○中須説明員 私どもといたしましては、加工原料乳の保証価格そのものにつきましては、やはり法律の規定に基づきまして、生乳の生産条件、需給事情その他の経済事情を考慮して、加工原料乳地帯の生乳の再生産を確保することを旨として定める、こういう大原則に立って、基本的には過去のルールに従って定めていく、こういうことだろうと思います。 ただ、確かに御指摘のように北海道の酪農、急速な発展というか、極めて短期間に規模の拡大を進めてきた。そういう中で一部にそのひずみと申しましょうか、特に借金問題を中心として大変経営が困難になっている、そういう農家があるのも事実でございます。 ただ、そういう農家にはそういう農家に対して、例えばそういう借金なら借金をより低利なものに借りかえるとか、そういうそれぞれ特別の対策を講じて対処していくということでございまして、乳価自体はやはり基本原則、基本ルールに基づいて算定すべきものではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○藤田(ス)委員 再生産を旨として定めるとおっしゃいますけれども、再生産ができないような状態に追い込まれているから問題にしているのです。今の日本の畜産業の不況をもたらしたものは、政府が決めた牛肉の輸入自由化ではないんですか。畜産農家の責任ではないのです。これはすべて政府の責任ではありませんか。だから、朝早くから夜遅くまで休む間もなく働き通しに働いてもやはり赤字。そして、その負債ももとをただせば政府の政策に基づくものではありませんか。しかし、その負債を抱えて苦しんでいる酪農家なんです。どうして今、せめて人並みに暮らせる所得を保証する乳価にします、そういうふうに一言言ってもらえないのですか。もう一度お答えください。
○中須説明員 加工原料乳暫定措置法ができましたのが昭和四十一年でございます。それ以来今日まで、私どもといたしましてはこの制度のもとで不足払いを実施する、そういう中でさまざまな困難はあったわけでございますけれども、生産者の皆さんの努力によって北海道酪農というものがここまで来た、こういうふうに認識をしております。 何度も申し上げるようでございますが、価格についてはやはり基本的なルールに従って算定をしていく。しかし、それぞれ価格というのは、ある意味での平均概念でございますから、それですべてが解決するわけではない。それで対処できない部分についてはそれぞれ必要な対策を検討し講じていく、こういうことが基本的な考え方でございます。
○藤田(ス)委員 国内の酪農は瀬戸際に立たされています。汗が報いられる乳価決定の実現を、これが生産者の血の出るような要求であるということを私はもう一度重ねて申し上げておきます。 同時に、これ以上乳価を引き下げて、そして酪農家をつぶしていくという方向は、これは安全でおいしい畜産物をと願っている消費者国民の願いにも反していくんだということもまた申し上げておきたいと思います。 それでは、ぬれ子の暴落問題についてお伺いをしていきたいと思いますけれども、これも先ほどから言われておりますが、せめて酪農経営安定特別対策の継続を、これが本当に一歩も引けない要求なんです。キロ二円、これは乳価の中に入っているのです。だから、この事業をやめるということになると、それはそのまま二円引き下げということになるのです。生き残れるかどうか、それが問われる問題になっているんだ、その声にこたえていただけませんか。
○中須説明員 先ほどこの件については政務次官からもお答えがあったとおりでございます。御要請は御要請として受けとめるわけでございますが、この事業を昨年実施する際の経緯、事実認識なり、その際、四年度限りの臨時異例の措置である、こういうことのもとに発足したということでございまして、私の立場からは、その継続は大変難しいというお答えになるわけでございます。
○藤田(ス)委員 全くお話になりません。何にも変わってないんですよ。少しもよくなってないんです。それは近視眼的に今この瞬間で見れば多少の値動きで上を向いていても、月がかわれば四月からは関税率五〇%、ふえるということはもう皆さんもお認めになっている。そうすれば、それはまたそのままぬれ子が下がるということになっていくのです。少しもよくなっていないのにどうしてそういう言い方しかできないんですか。私たちは牛肉の自由化のときからこれを肉用子牛価格安定制度に取り込むべきだと政府に質問をし、修正案さえ出してまいりました。これが実現していれば現在のぬれ子の価格暴落による酪農家の苦境が幾らか緩和されていたのではないか、そういうふうに思います。 しかし、政府は乳肉複合経営の推進の名のもとでそれを拒否してこられました。その責任もまた極めて重大であります。まして資金的にないわけではなく、関税収入は十分余裕があるわけでありますから、できないはずはありません。乳肉複合経営について言えば、政府はその頭数がふえているというふうにおっしゃいますけれども、酪農経営に与える負担は極めて厳しいわけであります。酪農家の実態を踏まえるなら、肉用子牛価格安定制度にぬれ子も取り込むべきだと考えますが、いかがですか。
○中須説明員 そのお話の前に、再三お答えというか御説明申し上げているとおり、乳価につきましては、加工原料乳の保証価格につきましては明日の畜産振興審議会酪農部会に試算値を提示し、御議論を経て決定をする、そういう寸前の段階にございます。私ども、いつものことでございますが、その価格決定に際しては、先ほど言った価格だけではすべて救えない部分、そういうものについては関連対策を含めてこれから一年間の酪農をこういう形で何とかやっていっていただきたい、こういう姿を模索というか、最後の検討をしている段階ということでございまして、大変歯切れが悪いことだけはお許しを願いたいわけでございますが、そういう時期だということであります。 ところで、ただいまの御質問のぬれ子の問題でございます。これにつきましては、肉用子牛の価格安定制度、まさにその名前のとおり肉用子牛の価格安定を図るということでございます。やはり私どもとしては、まず基本論として、ぬれ子というのはその段階では酪農経営の副産物でございます。それがやはり一定の意思を持った方に、これを肉牛として育てていこうという意思を持った方の手に渡って肉牛としての哺育から育成が始まる、やはりそういうことを経ないと肉用牛の資源という位置づけがまずできないではないか、そういうそもそもの論があるわけでございます。 それと同時に、大変これは技術的な話で恐縮なんでございますが、ぬれ子というのには御承知のとおり一定の事故率がございます。ある程度のものはぬれ子段階でやはり資源としては活用できない。また、御承知のとおり昔はぬれ子というと雄の子牛だけが肉用に使われていたわけでございますが、今は雌牛についてもかなりの部分が肉用に仕向けられております。それがぬれ子の段階では、一体乳用牛の後継牛なのであるか、搾乳牛の後継牛なのであるのか、あるいは肉用資源として育てられるものなのか、その区別がつかない、そういった問題もございます。 そういうことをもろもろ含めまして、私どもとしては先ほど来の御議論で御説明申し上げましたように、六、七カ月齢の孔子牛、その段階での不足払いを仕組むことによってそれがぬれ子段階にも一定の価格安定に資する、そういうことをも含めまして制度運営をやっていくのが現段階では一番いいのではないか、こう思っているわけでございます。
○藤田(ス)委員 何だかもうだんご理屈みたいな話をされているわけですよ。要するにはっきりしていることは、皆さんは、酪農家のぬれ子の価格がこんなにまで落ち込み、廃牛が落ち込んで、そして収入がうんと低下をして酪農家がどんどん離農をしていこうという状態にあるのに、この特別対策の方も継続をしない、ぬれ子の取り込みもしない、こういうことじゃありませんか。私はそれではもうだめだということを強調しているわけであります。 時間がなくて本当に残念ですけれども、あなた方はいろいろおっしゃって、例えば円高問題についても触れていらっしゃいますけれども、それでは今円高で差益が蓄積されている飼料の値下げ、これについては取り組まれる気はありますか。
○中須説明員 配合飼料につきましては、御承知のとおり全農であるとか各飼料メーカーによる自由な競争のもとで価格が形成される、こういうことが原則でございます。しかし、原材料の大部分はアメリカ等からの輸入に依存しておりますので、一般論でございますが、円高が進めば飼料原料の輸入価格の低下が実現するというか、そういうものにつながると考えられるわけでございます。 ただ、ちょっと御注意というか申しておかなければならないのは、配合飼料の原料の手当てというのは大体三カ月ぐらい前に行っておりまして、船旅が四十日ぐらいかかる、こういうことでございます。それと同時に一カ月程度の在庫を持っておりますので、現時点というふうに申しますと、現時点で使用している原料についてはまだ円高によるメリットが生じていない、こういうことがあるわけでございます。 なお、全然別の話でございますが、ことしというか現在、主原料であります。アメリカ産のトウモロコシについては、長雨が続いたということもございまして、たんぱく含有量が低い等の品質上の問題がございまして若干原料コストが高い、そういう要因が他方にあるということを、直接関係ございませんが、一言付言しておきたいと思います。 現在、配合飼料価格はこの間の円高というものを反映して、したがいまして引き下げは行われていないわけでございます。しかしいずれにいたしましても、このような円高が今後とも継続するということでございますれば飼料原料の輸入価格の低下につながることは間違いないわけでございまして、円相場の推移とともに穀物の国際相場の問題、あるいはレート等の問題がございます、そういった要因にも考慮しつつ、円高のメリットが畜産農家に還元されるように配合飼料メーカー等を指導していきたい、こういうふうに考えております。
○藤田(ス)委員 時間がありませんので、最後にもう一言だけお伺いします。 この不況で牛乳の消費が低迷し、減産が言われるようになっておりますけれども、現在の低乳価の中で生産数量の拡大で何とかぎりぎりの状況を保っているわけでありまして、生産数量の削減が直接経営に打撃を与えることはこれまた言うまでもありません。まず私は、基本として、乳製品需要に対して国産品を使い、そして輸入は行われない、この原則が今ほど求められているときはないと思うのです。また、酪農経営を考えて限度数量は拡大すべきであります。輸入の乳製品の生乳換算で二百六十七万六千トンも輸入されているのです。せめてこの中から三十万トン、限度数量上積みの方に回していく、これくらいの措置はぜひとも検討をしていただきたい。御答弁ください。
○中須説明員 加工原料乳の限度数量につきましても、保証乳価と同様に明日の畜産振興審議会に一定の試算値を提示いたしまして御議論を願って適正に決めるという段階で、今最後の詰めを行っている状況でございます。率直に言って、その水準についてお答えを申し上げる準備がございません。お許しをいただきたいと思います。 ただ、従来から加工原料乳の数量を決定する際には、参考となる生乳需給計画というものを畜産振興審議会にお示しをして限度数量決定の参考にしていただいております。この生乳需給計画におきましては、輸入制限を行っております基幹乳製品、これに関しましては国産生乳による製品というものを基本とする、こういう考え方で策定を行ってきている、こういうことでございます。
○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、終わります。
○平沼委員長 小平忠正君。
○小平委員 乳価、畜産価格については後ほど質問いたしますが、まず畜産農家の実態についてでありますが、特に最近は畜産農家の飼養戸数は非常に減少傾向にある。平成四年度について言いますと、酪農農家は対前年比三%減、また肉用牛の肥育農家は対前年比五%の減、養豚農家に至っては一七%減で、減少状況は非常に深刻なものがある、こう言わざるを得ません。このことは、すなわち究極的には畜産経営に魅力を感じられないからであって、ましてやこのような情勢の中で後継者の確保を図るということは到底難しいことである、こう言わざるを得ないと思います。 ところで、この畜産農家の状態なのですが、実は私の手元に農水省よりの「酪農経営の現状について」という資料があるのですが、これを拝見しますと、昭和六十三年あたりに調査をしました「酪農経営の状況」というところで、酪農家をA、B、C、D、四つにランクを分けております。言うならば、経営状況が一番いいと言われるAランク、これについては約定利息及び約定元金の支払いが可能なもの、それがAランクで、あとB、C、Dとなっております。 これは、いろいろとお聞きしますと、農水省ではこれはつくっていない、こういう調査をしていないと。特に酪農が非常に多くあります北海道において北海道庁がこういう調査をいたしました。これによりますと、六十二年の調査、これが今回のこの酪農経営の現状という形で出ております。これは言うならばAランクがこの時点では七八・九%、約八割近いパーセンテージを示しております。これが実際、今、道を含めて全国の酪農家の経営状況かというと、これは完全に間違っております。そうですね。 ちなみに、北農中央会、この北海道の系統が毎年継続的に百三十戸の農家をランダムに抽出をして調査を続けてまいりました。それによると、農水省が言っております六十二年以降、六十四年にはこのAランクが約六七%、そして平成四年に至っては三三・九%、約三四%、三分の一までこのAランクが減少しています。これが今の酪農経営の状態でありまして、こういう過去、ぬれ子の価格がよく、また牛肉自由化以前のそういうときの調査を、ことしのこの乳価試算価格の算定に当たって、これが基準にはならないとしても、こういうことを臆面もなく出すというのは、私はちょっとおかしいと思うのですね。こんな状況の中で、どのように今農水省としては酪農家の実態、畜産を含めてとらえておられるのか、まずそこのところについて御見解をお伺いしたいと思います。
○中須説明員 ただいまの資料には御指摘のとおり六十二年の調査の数字が並んでおります。これは、農家をA、B、C、Dという階層に分けて、それがどういうことになっているかという議論の中で出てきたデータということでそれが載っている、A、B、C、D階層に区分した資料としては昭和六十二年に北海道庁が実施したその調査しかないということで便宜掲げた、そういう性格のものでございます。したがいまして、私どもも現時点でA、B、C、Dがあのとおりなんであるということをあの資料から主張しようということではございません。 なお、北海道庁に問い合わせをいたしましたところ、北海道庁としては六十二年にこの調査をやった後、この中から一部の農家を抽出いたしまして、六十三年に濃密調査をやるということをやったようでございます。その後、その農家について、最近またやはりそのA、B、C、Dというような形での追跡調査を実施したというふうに伺っております。ただ、残念ながら、今それは集計中でございまして、内容的にはまだわからない、こういうふうな段階にございます。 それで、いわゆる酪農家の負債の状況に関しましては、私どもとしては、こういうA、B、C、D、特にこの調査の基礎にはいわゆる組勘と申しましょうか、そういうふうなデータがどうも基礎になっているようでございまして、私どもはそのような調査はないわけでございますが、その負債の状況については、いわゆる農家経済調査、これがトータルとしての農家の負債の状況がどうなっているかというものをあらわすデータだということで、ただいまの資料の次のページにその推移を、簡単でございますが若干載せてある、こんなことでございます。
○小平委員 審議官の御説明は私はそれは理解できますが、しかし、大事なことは、平成五年三月というはっきりと日時を明確にして、「酪農経営の現状について」という中でこういう資料が出ています。となると、これが場合によっては受け取った方は、よく状況を知らない人たちは、例えば消費者ですとか、なかなか経営はいいじゃないか、こういうふうに受け取られると思うのですよね。したがって、今のお話のように道がやっていない、それもわかります。したがって、この調査が最終である、今の平成三年、確かに今新たな調査の段階でまだ集計ができていない、それも私は聞いております。それは今お話があったからわかることであって、この資料がひとり歩きすると、誤った酪農家の経営状況が流布されちゃう、これはやはり問題なんですよね。 では、もう少し親切味があるなら、例えば北農中央会が調査したそのものを、北海道の酪農の経営状態、これを見ると、Aランクがぐんぐん下がってきています。そして、平成四年度においてはもう全体の三分の一まで下がっている。そこも併記するならばこれはまた正確なそういう情報としてのことになると思うのですが、やはり片手落ちになると思いますので、特に指摘をしておきます。今後、こういうことのないように、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。 それにあわせて、私はこのあれを見ていましてもう一つ疑問に思いますことは、今酪農経営の実態が厳しいという中において、今お話ししましたように、夢がないということで後継者が減ってきている、これが実態ですね。そのときにやはりこの「酪農経営の現状について」という資料の「後継者の状況」という中で、酪農家において十六歳以上の男子の後継ぎのいる農家の割合は、という表現がされております。それを見ますと、酪農家というのは一般に五万五千戸と言われておりますけれども、単一経営といいますか、それに限ると大体三万八千二百戸ぐらいですか、それは抽出の仕方によって違ってくると思うのですけれども、こういう中で、十六歳以上の男子の後継ぎがいる酪農家は全国で四五%、北海道においては六〇%と高い、こう記述されております。これも、半分以上もいるのかなと、こんなふうに受け取られますよね。 ところが、十六歳以上というとらえ方というのは、以前はこれでよかったと思うのですよ。言うならば、当時の農村は、まず義務教育が終わりましたら、中学が終わると大体仕事につく、そういう家庭が多うございました。でも最近は、幸いに我が国の教育レベルも上がってきて、義務教育で終わって上級学校に進まないという子弟は本当に少ないと思うのですね。よっぽど事情がない限りは大体高校に上がっていく。そうなると、十六歳以上の男子の後継ぎというのは、その家の後継ぎというならわかりますよ。でも、その家の職業の後継ぎということとは違うと思うんですよ。 ですから、これはいわゆる価格の算定基準にする数値とは違いますけれども、酪農を語るときの背景としては、こういう年齢のとり方はどうかなという気が私はするのですよね。例えば、今後高卒ぐらいの十八、十九歳以降の年齢で後継者というふうにしていくこととか、そんなことを含めてどういうふうにお考えでしょうか。後継者のことなものですから、少しこのことについてお聞きしたいと思います。
○嶌田説明員 今先生のおっしゃいましたものは、我が統計情報部が出しております農業調査をベースにしておりますので、私の方から簡単にお答えしたいと思います。 今言われましたように十六歳以上としていることでございますが、これは、国勢調査なり労働力調査などにおきます生産年齢人口の考え方と同じように、要は就業し得る状態になっている人口というような、そういうとらえ方を一般にしていまして、そういう意味で、中学校を卒業し義務教育を終了している年齢以上の人口を一般的にとらえています。 ただ、今言われましたように、近年では中学校を卒業してすぐ農業に従事する農家の子弟というのは少なくなってきております。我々がよく出しております農業動態調査というのがございまして、そこで新規学卒就農者、例えば千七百人というようなことを言っておりますけれども、その内訳を見ましても、中学卒は百人でございます。また高校は七百人、大学、各種学校などを合わせました卒業者が九百人というふうになっていまして、確かにおっしゃいますように、中学校を出ましてすぐ農業に就業するというような形態は少なくなっています。 それから、先ほどおっしゃいましたように、全体として酪農経営農家の後継者の比率が高いのではないかというようなお話がありましたが、これも例えば稲作などでは確かに非常に少なくなっております。稲作単一経営の場合ですと全体として三%程度というような話になりますけれども、この酪農の場合には、北海道におきます酪農の場合には、一般的に考えられますのは、通勤兼業は困難でありますこととか経営規模が大きいというようなことなどがありまして、後継ぎが農業専従となっている場合が多いというようなことではないのかと考えています。
○小平委員 統計調査ですから、確かに就業可能な年齢十六歳、それは私も理解できます。しかし、私が今なぜこういうことを指摘したかというと、この表現ですとあたかも酪農の後継者という解釈に一番入っちゃうわけですよね。それは事実を正しく指摘してない。その家の後継ぎがいてどういう仕事につくかはまだわからぬということまでここに書くなら別ですけれども、そうなってないのです。後継ぎのいる農家の割合、こう言っていますね。そういうことなんで、紛らわしい表現、こんなことが積み重なりますと、先ほどのA、B、C、Dランクの問題もそうですが、いわゆる実態をよく知らない人たち、消費者ですとかマスコミの皆さんとか、そういう方が酪農はそんなに厳しくないじゃないかというとらえ方をしていくとやはりまずいと思うのです。したがって、特にこの数値というものは的確に出していただく方が私はよろしいと思いましたので、お聞きしたわけであります。このことについてぜひ御検討いただきたい、こう思います。 それで、けさほどから乳価、畜産価格のことでいろいろと質疑がされてまいりました。きょう、あしたと、大詰めに来たわけですが、今回、政府サイドから漏れ伝わってくる情報では、算定基準のこの方程式に当てはめると、円高ですとか金利のダウン等々で保証価格や特別対策費も、またこの限度数量にしても、余り期待できるような話が聞こえてきません。 私は確かにそういう外因的な要素はあると思います。でも、円高になったのは、これは別の方の理由で円高になったのですよね。それから金利が下がったことも、これも別に農家の皆さんには何ら責任というか、直接のものはないわけでしょう。それを一つの基準にして下げるということは、これは今の乳価、畜産価格から始まって、これから来ます麦価、米価、そして畑作三品、いろいろ政府価格がございますが、これらは言うならば農民のサラリーであって、年々物価が上がる中でこういう価格が下がるということは、これはもう営農意欲の減退ということにダイレクトに響くと思うのです。したがって、そこのところをよく考えていただきたいと思います。 それで、私がお聞きしますところによりますと、ことしの七月ごろには農政審議会から畜産の将来展望等を踏まえた基本指針を発表する、こういうことであるようですが、これらのいわゆる諸現状を農水省はどのように認識してこれからいかれるのか、またどのように対処されるのか、今後の新農政における畜産の将来展望にオーバーラップしていくんですが、この将来展望について、その基本的な姿勢をこの際お伺いしておきたいと思います。
○中須説明員 畜産経営の将来展望につきましては、やはり基本的に昨年六月に公表をされました「新しい食料・農業・農村政策の方向」という大きな方向の中で畜産経営についてもその展望を明らかにしていく、そういう考え方で進めていきたいと思っているわけでございます。したがいまして、基本的には、農業を職業として選択し得る魅力あるものとするために、主たる従事者の年間労働時間を他産業並みの水準にする、また主たる従事者一人当たりの生涯所得も地域の他産業従事者と遜色のない水準とすること、そういうことを目標にして、具体的に酪農及び肉用牛生産を中心といたしまして望ましい経営の展望を作成してみたい。 この場合、もちろん酪農と申しましても、例えば北海道と内地ではかなり形が違うわけでございます。肉用牛生産にいたしましても、肥育経営と繁殖経営では非常に大きな差がございます。幾つかの経営類型を設定して、先ほど申しました大きな基本的考え方のもとに経営の展望をデッサンをしてみて、どのような形で施策の展開の中でそれを実現していくのかという方向を、どこまでいくかという問題はございますが、基本的に明らかにしていく、こんなことで現在作業に入ったところでございます。
○小平委員 時間が来ましたので、最後に、今のこの乳価、畜産価格、きょう、あした、大詰めですけれども、これらのことについて詳細をお尋ねする時間がなくなりましたので、政府としては、こういう状況を勘案して、酪農家の皆さんあるいは畜産農家の皆さんに納得のいくよい結果で対処されていかれることができるのかどうかこの点お答えをいただきたいと思います。
○中須説明員 大変時期が切迫してまいりまして的確なお答えができなくて申しわけないわけでございますが、明日の畜産振興審議会の酪農部会に試算値を提示するということで現在鋭意検討、調整を進めております。基本は、法律に示してあるとおり、需給事情なり生産条件を勘案、考慮しつつ再生産の確保を旨として定めていく、こういうことに従って適正な試算値になるように努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○小平委員 終わります。 ————◇—————
○平沼委員長 この際、金子徳之介君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の共同提案による畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。有川清次君。
○有川委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党を代表して、畜産物価格等に関する件(案)の趣旨を説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 畜産物価格等に関する件(案) 我が国農業の基幹的部門である畜産業は、牛肉の輸入自由化後三年目を迎え、その輸入の急増に伴う影響が現れる中、需給の不均衡、畜産物価格の低下、所得の停滞、さらには畜産農家戸数の減少など厳しい情勢にある。 よって政府は、平成五年度畜産物価格の決定に当たっては、左記事項の実現に努め、畜産経営の健全な発展と消費者への畜産物の安定供給に万全を期すべきである。 記 一 加工原料乳保証価格については、乳用初生牛等副産物価格の低迷、農家の生産意欲等を総合的に勘案し、また、長年にわたり生乳の生産調整を実施している実情を踏まえ、生乳の再生産を確保することを旨として決定すること。 加工原料乳限度数量については、国産生乳供給の十分な確保を旨とした生乳需給計画の下、適正に決定すること。 二 豚肉・牛肉の安定価格については、再生産の確保を図ることを旨として、経営の安定が図られるよう適正に決定すること。 三 肉用子牛の保証基準価格については、繁殖農家の再生産の確保を旨として適正に決定し、合理化目標価格については、我が国の肉用子牛生産の実態等に十分配慮し適正に決定するとともに、肉用子牛生産者補給金制度については黒毛和種、褐毛和種の分離を図るなど円滑な運営に努めること。 四 畜産経営の安定を図るため、乳肉複合経営の推進、肉用牛肥育農家に対する経営安定対策、農家労働の軽減を図る観点からのヘルパー制度の充実、畜産経営に対する金融支援をはじめとする諸対策を講ずること。 五 生産基盤の強化、経営の中長期的安定を図る観点から、我が国畜産についての将来展望と施策の展開方向を明らかにするとともに、畜安法に基づく価格安定制度に関し、検討を行うこと。 六 ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、我が国畜産の健全な発展及び地域経済の振興を図る観点から、基幹的乳製品の輸入制限措置、牛肉に係る関税率、豚肉の差額関税制度はそれぞれ全力で堅持すること。 七 国産畜産物の消費拡大を図るため、生産、流通、消費に至る各段階のコスト削減と効率化をさらに促進するとともに、卸売価格の小売価格への適切な反映、消費者のニーズに即応じた新製品の開発、安全性の確保、原産国を含む表示も可能な表示の適正化に努めること。 八 畜産による環境汚染問題が、生産性の向上と経営の安定を阻害し、畜産農家減少の大きな要因となっていることにかんがみ、環境保全対策を充実すること。 右決議する。 以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○平沼委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 金子徳之介君外四名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○平沼委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。 この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。石破農林水産政務次官。
○石破政府委員 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
○平沼委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 次回は、明二十五日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十八分散会