大蔵委員会 第8号
- 発言数
- 180 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1993/03/23
会議録
○藤井委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 きょうは、宮澤総理、大蔵委員会に御出席いただきまして、御苦労さまでございます。当委員会では、税法の審議が終末になっているわけでございますが、今までの真剣な論議を振り返りながら、幾つか当面する主要な問題について率直な総理の御意見をいただきたいというふうに思っております。 最近、新聞もテレビも押しなべて、ロシアのニュースか、あるいは金丸さんのニュースか、いつもどちらかがトップで報道されているわけでございますけれども、当委員会に関連することで、金丸前副総理のことで三点、具体的ないろいろな措置のことはまた専門委員会の我が大蔵で議論することがあると思いますが、お気持ちを伺っておきたいわけであります。 総理もこういう事態について、まさに政治の重大な危機と申しましょうか、事態だということを幾つかの会合で最近真剣にお述べになっているというふうに伺っております。そういう上に立ちまして、私は感ずるのですが、幾つか、大蔵省と申しましょうか、いろいろな意味で努力をしなければならぬ点があると思います。 三つだけ言いたいのですが、一つは日債銀とかそれから岡三とか、何か岡三証券などは、報道でまいりますと、二十年くらい前から役員を含む専従者を置いてさまざまなお世話をしていたというのですね。金丸さんの債券を買う、小口分散とかなんかのいろいろなお手伝いをしていたというようなことが報道されております。これは法的なさまざまなルールによって調査をされ、また態度を、処分をお決めになるというふうなことは当然だと思いますが、やはり金融機関を担当する大蔵省としても、こういうことがまかり通っていた、こういうことがないような査察調査あるいは対応、制度と申しましょうか対応というものが必要なのではないだろうか、これは国民の常識としてだれしも思うことであろうというふうに思います。最近は、金丸信のシンはワリシンのシンかなんというようなことが書いてございましたけれども、そういう金融商品に対する国民の不信が起きないような対応というものが必要ではないだろうか、これが第一点であります。 それから二つ目には、この委員会でも議論がございましたが、割引債など、こういうことで脱税を許さないようなシステム、これは制度上金融機関が発行する債券として存在をしているというわけでありまして、これ自体は社会にとって私は必要なことだと思います。ただ、そういうものの管理が、商品上無記名という性格になるわけでございますけれども、外国の例などをいろいろ聞いてみますと、やや厳しい登録制とかいろいろあって、何か膨大なお金がとにかく資産隠しの形で存在をしているというようなことはやはり社会の道徳上、社会のルール上あり得ないという形にしなければいけないのではないだろうか。ですから、そういう金融商品の存在自体のことを言っているわけではありませんが、そういうものが発生しないようなシステムを考えるということも必要ではないだろうかというふうに思うわけであります。 もう一つは、使途不明金の問題であります。 先ほど総理が参議院で答弁なさっているのをテレビで拝見をいたしておりました。私は企業の使途不明金自体を全廃するのかしないのか、あるいはどうするのかということはいろいろ詰めた議論をしなければならない、これは現実問題としてあると思います。ただ、今報道されて我々聞いているように、大手の建設会社で相当膨大な量の政治献金というものが、当初から使途不明金扱いになるという想定のもとに公共事業の割り当てをしてくれたといいますか、そういうドンのところといいますか、金丸さんのところなんかに運ばれていく、こういう現実があるわけでありまして、こういうことは、やはり幾ら使途不明金という制度か名目があるにせよ、あってはならないことではないだろうか。したがいまして、これは一面では政治資金規正法その他、これから国会で真剣な議論になるわけでありますが、そういう面からもやらなければならないと思います。しかし一面では、これからやがて大きな課題になっていく企業会計あるいはディスクロージャー、国際的な水準におけるさまざまな問題などとも兼ね合って改善しなければならない問題ではないだろうかと思うわけであります。 具体的なことは役所の皆さんや大臣といろいろ議論する機会がまたあると思いますので、こういうことについて、お考えだけ総理から例えればと思います。
○宮澤内閣総理大臣 幾つかお尋ねがございましたが、まず金融商品としての割引債の問題を御提起になっておられました。 今度ああいう事件がありまして、いかにもこの割引債といったような金融商品そのものが何か不正なものである、好ましくないものであるといったような印象を多くの国民が持たれたであろうと思います。これは極めて遺憾なことだと思います。責めが割引債にあったのではなくて、その割引債が、伝えられるところによれば脱税の具に使われたというところに問題があったわけでございますから、割引債そのものは大量に資金を集めますときに使われる、非常にある意味でそれなりの社会的、金融的な機能を持っておると思いますから、それ自身ではなくて、それが脱税の手段として使われた、資産の隠匿の手段として使われたというところに問題があると思います。したがって、これはたしか行政の方で、一定以上の大口の割引債の購入については、販売者にその購入者をトレースするような行政上の指導をしておるというふうに聞いておりますけれども、これはやはり一つそういう場合の割引債が本来の使途でない方法に使われることを防止するのに役立つのではないかと思います。 それから、使途不明金の問題でございますが、企業がどうしても使途について税務当局等々に秘匿をしたいということは、必ずしもそれが不正であるからというばかりではない、あり得ることだと思います。そういう自由といいますか、そういう余地を企業の側に与えることは必ずしも私はすべて悪いとは思いませんが、ただし、それは企業の側で当然のことながら経費としては否認を受ける、そして場合によっては重加算税の対象になるかもしれない、そういうリスクは企業側がとらなければならないわけです。使途不明金そのものが場合によってある、これはやむを得ずある場合もありますでしょうし、企業側が意図してそうした場合もあるかもしれないと思いますが、そのことは、全部使途不明金を認めないということであるとすれば、相当専門家のこれは検討を経なければならないだろうということを私は見守っておりますが、他方で、もし伝えられるごとく、あるいは御質問のように、大手建設業界がほとんど恒常的に、一種の毎年の例のようにある金額を一定の人々に贈与する、それを当然のこととして使途不明ということで、しかもそれは一会社があるとき一度だけというのではなく、もし多数の会社が似たようなことを、お互いに共謀してか共謀でないかわかりませんが、結果としてやっておるというようなことになりますと、これは建設業のあり方に関する問題であろうと私は思います。 という意味では、建設業自身は建設省によって監督を受けているはずであって、そのような企業の運営というものは当然監督官署としては関心を持たざるを得ない問題ではないだろうか。これは一つの報道された事実としてお尋ねがありましたので、それを確認するという意味じゃなく、そういうお尋ねに基づいてお答えをするわけですけれども、それはやはり業界のあり方として非常に問題があるのではないだろうかというふうに考えます。
○伊藤(茂)委員 三つ申し上げた、最初に金融機関に対する監督などのことを申し上げましたが、これは当然のことと思いますから、司直の取り調べも進んでいることでございますから、岡三とか、それを踏まえた上でまた議論をしたいと思います。 私は、総理の御答弁に関連してなのですが、今例えば企業会計制度の問題、それから資産再評価の問題、それから国際的な協議によるそういう会計制度をどうするのかとか、いろいろな議論が進んでいるところでございまして、この二年、三年、四年ぐらいのうちにはそういうものが本当に具体化をされる時期が来るであろうし、しなければならぬというふうに思っておりますが、ダーティーな問題が、これだけ国民の怒りがあったものだけに、そういうことでないフェアルールの経済をつくっていくという御努力をぜひお願いをしたいというふうに思います。 本題の前にもう一つ伺いたいのですが、経済見通しの問題でございます。 先般日商の総会でしたか、新聞を拝見しましたら、何か総理が明るい兆しの方向へというふうな意味合いのことをお述べになったように伺っております。 政府の発表した経済指数その他を見ますと、例えば九二年度、平成四年度の実質経済成長率、一・六に下方修正したわけでございますけれども、現状の指数から申しますと、一-三月期に三・一四%にいかないと一・六にならない。そうなりますと、政府公約を下回る可能性が非常に大きいではないかというふうに言われているわけでありまして、率直にそういう事態をどう御認識になるのか、と同時に、効果ある追加、予算が間もなく成立をして早くさまざま執行される。そうなりますと、特にこの一-三月期、それ以降相当緊急な手を打たないと経済構造全体が活性化しないという非常にまだ厳しい時期にあると思います。ですから、一・六%できる、できない、厳しいと思いますが、総理としての御認識、それからこれからの予算の執行、追加策というものについてどういうお考えでおやりになりたいのか、おやりになるのか、まず具体策は後にいたしまして、そういう認識をお伺いしたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 先般十-十二月期のQEが発表になりましたので、今年度の残りは一-三だけとなりました。計算をしていきますと、一-三月で三・一四%ぐらいでございましょうか、年率にいたしますと一三%ぐらいのことになるかと思いますけれども、そういう成長が一-三に起こりつつあるかと言えば、それは実感ができるところではございませんから、したがいまして、平成四年度につきましては、やはり思ったとおりの経済成長ができていないということになろうかと思います。 これは統計ばかりでなく実感でもそうでございますから、私がこの間やや好転の感じがあると申しましたのは、これはもう御承知のとおり、今度の不況というものが在庫調整をめぐる循環だけでなく、資産下落ということがあって、資産の下落というのは、資産価格の下落は当然ながら家計では消費に影響いたしますし、企業では投資意欲に影響いたしますし、また金融機関に、今回特に金融、証券にそれが影響いたしまして、金融機関は融資対応能力をかなり損傷したわけですし、証券市場ではエクイティーキャピタルを起こすことが難しくなったといったような、そういう今回特有の事情がございますものですから、殊にこの一月から三月までの間の経済運営を私ども非常に実は注意をいたしておりまして、その間に、しかし例えば銀行について不良債権の処理の仕組みが誕生するに至った、あるいは住宅金融専門会社につきましても、これをどのようにこれから処理していくかという一つの方式が合意された、証券市場におきましても多少出来高の上昇が見られるというようなことから、ともかくいわゆる三月危機というものは起こらずに済んだといったようなことを頭に置きながら、せんだってああいうことを申したわけでございます。 しかし、何分にもいわゆる長い好況時代に企業設備投資が二けたでふえ続けました、三年、四年に近くふえ続けましたわけでございますから、今後突然また設備投資が急に起き上がってくる、非製造業はともかくとして製造業ではなかなか難しいだろうと思われますし、消費もいつまでもこんなことではございますまいけれども、急にまた消費が盛んになってくるというわけでもございませんでしょうから、底を打った後の経済というものは急激に上昇していくというわけにはまいるまい、そういうことを考えてまいりますと、ともかくただいま参議院で御審議いただいております平成五年度の予算案は昨年の総合経済対策の延長線にございますから、中央地方の公共投資等を中心にかなり大きなものを組んでおりますけれども、しかし何といっても市場経済の国でございますから、それだけで十分であるかどうかということはいろいろに世上御議論のあるところでございますのでございますから、ともかくこの予算をまず成立をさせていただいて、早期に執行いたしまして、なおしかし、さらに何をなすべきか、経済の状況を見ながら考えていかなければならない、そういうふうに思っておるところでございます。
○伊藤(茂)委員 何をなすべきか、経済の状況を見ながら、また機敏でなければならぬとお気持ちを述べられましたが、実態からいたしますと、この三・三%の実質成長という次の経済見通しの実現というためには、これは経済、景気全体としても、それから経済の政策のさまざまな構造としてもいろいろな工夫をしなければならない。それは相当厳しい条件というのは現実であろうというふうに思うわけであります。 ちょっとその点に関連して二つ伺いたいのですが、一つはどのようなテンポでやっていくのか。報道によりますと、与党の三塚政調会長が各部会のさまざまの要望などをまとめまして、先般の景気対策を超える十四兆円規模の大規模な、史上最高規模での計画を組まなければならないというふうな発言をされております。政調会長ですから、恐らく与党の中でそういう作業をなさっているのだと思います。そういうお気持ちを御同様にお持ちになりますかということと、それから梶山幹事長が言われておりますが、会期末にも補正予算それから関連法案を組んでこれを通過させたい。予定では六月二十日までか、サミットもございますから。そういう中で、この国会でそれを実現したいということが今の経済から見て必要じゃないかということを幹事長、政調会長が御発言になっておりますが、総理はその点はどう御認識でしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 政府といたしましては、私ども最善と考えました平成五年度の予算をただいま国会で御審議中でございますので、これをまず成立させるために私ども全力を尽くす、その執行に全力を尽くすということがただいま申し上げ得る限界でございますが、同時に、去る三月四日でございましたか、各党の間で、自社公民の四党の間の合意がございました。それによりまして、不況対策に関する与野党協議機関を設けられることになりました。また、その御協議のテーマとしては、平成五年度の公共事業等の執行あるいは不況対策としての税制上の措置などであるという合意を四党の間でなされたわけでございます。したがいまして、私どもの自由民主党では、この協議機関の協議に臨みますためのいろいろな可能性について政務調査会を中心に検討しておりますことは事実でございます。 私は、その結果を、結果と申しますか経過でございますか、聞いておりません。いろいろ報道は見ておりますけれども、ただいままだ私が聞くまでの段階にはなっていないようでございます。これは、その内容及びその時期につきましてともに検討中であるということでございますけれども、協議機関で御協議が始まりますと、それを反映しつつ、各党の御意向も伺いながら、どういうふうにするかということを自由民主党としても考えることになるかと存じますが、その段階で恐らく私が相談を受けることになるのであろうと考えております。
○伊藤(茂)委員 中身の考え方を伺いたいと思います。 昨年の半ばに、宮澤内閣といたしまして、中期経済計画、「生活大国五か年計画」を発表なさいました。私は、ここに掲げられた諸目標というものは、これからの社会にとって、あるいは世界と日本にとって、ほとんど適切な、我々も合意できる目標が掲げられていると思いますし、また、振り返りますと、七、八年前になりますか、前川レポート以来何かそういう考え方が一貫してずっと来ている、それで宮崎勇さんなど苦労しておつくりになったというふうに伺っているわけであります。 ところが、「生活大国五か年計画」、何も紹介いたしませんが、やはりこの条文にも、「新たな視点」、それから「我が国の基本的課題」というようなタイトルで、この「生活大国五か年計画」の必要性が掲げられております。 ところが、これが出されました後、政府の認識の甘さもあったと思いますが、思った以上に不況が深刻化する、当面さまざまの緊急の手を次々打たなければならない。そうすると、当面と、それから中期の構造といいますかマクロといいますか、経済構造を変えなければならない。その構造、中期の方が影が薄くなってしまって、当面のことが次から次へと議論の中心になる。この当面とそれからこの目標と、こういうものがつながっていなかったら、先ほど景気の、不況の性格論のこともちょっと総理お触れになりましたが、複合不況とかいろいろ言われている。今までとは違った構造のもとでは、今までと同じメニューというか処方せんを何ぼ切っても効き目が出てこない、何か新しい工夫をしなければならぬ。 私はやはり、こういう中期の経済目標と当面と、これがつながっていなければならぬと思うわけでございますけれども、経過を見ますと、何か当面、当面で追われてしまっているのが、現在もそうではないかという気持ちがいたしますが、どうお考えになりますか。
○宮澤内閣総理大臣 それはまことにごもっともな御指摘でございますし、私も大切に考えておる点でございます。 私の気持ちを言わせていただきますと、「生活大国五か年計画」というものは、消費者の例あるいは国民の側から見ました幾つかの政策目標を掲げているわけでございますが、不況打開策として政府がやっておりますものは、中央地方の公共投資であり住宅対策であり中小企業に対する対策でございますけれども、この生活大国で申しておりますような生活関連のインフラストラクチャーの不足というものは、今回の公共事業、中央の事業、地方の単独事業、みんなそういうものを主たる対象として行われようといたしております。 つまり、この不況を契機にして「五か年計画」というものの実効を上げていきたいと考えておるわけでございまして、公共事業ばかりでなく住宅につきましても「五か年計画」では、ある段階で勤労者の五カ年分の給与で質の高い住宅の取得ができるようにという目標を掲げておりますけれども、そういうような住宅建設につきましても、今回いろいろな面から融資を含めまして施策を進めております。 また、中小企業について申しますならば、「五か年計画」では労働時間の短縮ということを申しておりますが、それとの対応で、いわゆる省力あるいは合理化等々のための中小企業への融資あるいは税制の特別償却等々の措置を講じております。 また、生活大国で、いわゆるお年寄りが生きがいのある生活をしてもらうようにということで、デイサービス等々の施策をかなり具体的に述べておりますけれども、それも今回の不況対策の中で、いわゆるゴールドプランを中心に施設並びに人材の育成、看護婦等々、ホームヘルパー等々でございますけれども、それらを図ることを政策の一つの項目といたしております。 したがいまして、せっかく「五か年計画」を掲げながら、不況、不況ということでそれが違う方向へ行ってしまったということはあってはならないことでございますし、むしろこれを契機にして「五か年計画」をさらに進めていく、こういう心構えでやっておるつもりでございます。
○伊藤(茂)委員 広く尊敬される方でございましたが、大来佐武郎さん、私もまた前にお会いをしましたら、こう言われました。世界のさまざまの会議、特に経済関係の会議にたくさん出席をいたします、そこで一様によく言われることは、日本について、ジャパン・エコノミック・スーパーパワー・ウィズアウト・パーパス、あなた方は大きな債権国であり大きな経済国である、ウィズアウト・パーパス、何があなた目標なんですかという質問をよく受けますというんですね。与党・政府の責任もありますけれども、伊藤さん、社会党はニューパーパスをつくる大きな努力をしてくださいというようなことを言われたことがございまして、記憶に残っでございます。 総理はお気持ちはおっしゃいました。しかし私は、そういうことならば、公共事業の性格とか、今でもみんな分け前は厳しく決まって、前に、臨調時代、瀬島さんなどに伺ったことがありますが、分配、公共事業の分け前はとても変えられない、さまざまな利権に結びついているとも言われているんですね。 公共事業の性格にしても、それから分権という問題もありますね、それから今ある公共事業というのは十本ぐらいのいろいろな中期の計画ですね、道路、公園その他その他ですね。私は、そういうもの全体について新しい目標を生活大国の線に沿って立てる、そういう大きな枠組みがやはり経済政策、あるいは大きくいえば財政戦略と申しましょうか、そういうものを発想し、立てなければならない時期ではないだろうかというふうに思うわけでございますが、いかがですか。
○宮澤内閣総理大臣 公共事業のいわゆるシェアの問題につきまして、例えば下水道であるとか公園であるとか、そのような生活関連の、生活に密接した施策につきまして、なかなか従来のシェアを動かせない、なかなか思ったほどのシェアの変更が見られないとおっしゃいますことは、実は私も以前からいろいろに悩んでいるところでございますが、事務当局の説明を聞いておりますと、毎年毎年の伸び率というものは確かに変わっておりまして、そういうところの方を大きく伸ばしている。ただ、いかにもちょっとずつは伸ばしましても、従来のいろいろもとというものがございますものですから、なかなかそれが思うように動いていかないという嫌いはございます。 ただ、この平成五年度でもそうでございますけれども、そういうこともありまして、新しいいわゆる生活関連の枠を設けますとか、あるいはまた、学術、文教等につきましてはまた特別の施策を講ずるとか、ともかく、シーリングというもの自身は、それ自身はそれなりの効用を持っておりますからこれをやめるということではございませんけれども、やはり長年のシーリングの続行から生まれるそれなりのデメリットというものも直していかなければならないということで、一生懸命、公共の投資の中身を生活関連なり、あるいは学術なりなんなり、教育なり、あるいは福祉なりという方に何とかその重点を少しずつ移していこうという努力をいたしておりますし、また、先ほどお尋ねのありました、これからの協議会に臨む自民党の検討の中でも、社会資本というものについて従来のものに加えて新しい分野も検討してみるべきではないかという有力な意見もございまして、今おっしゃいましたようなことは、何とかしてそういう方向を達成していきたいというふうに考えております。
○伊藤(茂)委員 総理、今の問題は、私は、どうしてもやはり新しい経済戦略、財政戦略と申しましょうか、それが求められている大事なときだと思いますし、こういう短い議論でもあれですし、できれば、社会党もシャドーキャビネットがございますから、いろいろなところで、積極的な、我々も具体的な提案を提起をして、議会だけではなくて、やはり与野党議員間で大いに議論するというような努力をぜひしていきたいものだというふうに思っております。 それから、本題、本委員会の焦点になりました問題について伺いたいのですが、土地税制の問題でございます。 実はこの土地問題は、土地基本法以来、私どもも、与野党とも非常に精力的にやった分野でございます。実は土地基本法、最初に提案いたしましたのは、四野党政審会長連名で議会に提案をいたしまして、当時竹下内閣のときでございましたが、総理がそれをお読みになって、これは非常にいい提案だから国土庁長官に研究させますので、政府も提案をしたいと思いますのでぜひアドバイスしてくださいというようなお話がございました。私どもも、何か反対をする野党から時代にとって必要な、あるいは政府がまだ遅い、やれないというものを先に提案をするというふうな野党になろうではないかという、四野党間で随分議論をいたしまして、一つの試みとしてやったわけでありまして、その当時は、これは国民的にもそうですが、与党も野党も政府も、とにかく土地神話を壊さなければならない、もうこれから先、もう一度あれは絶対あってはならないというやはり一つのお互いの気持ちがあって、土地基本法、それからそれに基づくさまざまの法制化というものが進んできたと思います。私に、そういうことを振り返り、現在からこれからの社会を考えますと、ああいうことで決めた土地税制の基本を軽々に動かしてはならないということではないかと思います。 確かに、地価税、議論すれば、土地の構造とか納税者とか、いろいろな問題がありますからそれはまた別途ですが、何か大変だからもうやめてくれぬかとか、それから軽くしてくれぬかとか、いろいろな議論も実は出ておるようであります。私は、やはり中長期に我々の国を、とにかく日本のこの小さな国土全体の値段があればアメリカが幾つも買えるとかというようなことがよく言われる。こんな状態を変えなければならない。したがって、やはり軽々に変えるべきではないというふうに思います。中心になる、例えば地価税という問題についても、さまざまの与党内部の御議論、それから財界の一部の提案その他あったことは承知をいたしておりますが、やはりこういうものはきちんと堅持をするというのが社会の将来のために大事なことではないか。地価税制の堅持ということですね。いかがでしょう。 〔委員長退席、石原(伸)委員長代理着席〕
○宮澤内閣総理大臣 いわゆる土地の高騰、それに続きますバブルというものを我々今経験しておるわけですけれども、このことは我々の経済のあるべき姿を非常にゆがめたばかりでなく、やはり国民の生活感情といいますか、むしろもっと国民全体のいわば物の考え方に非常によくない影響を与えているというふうに私は思っておりますのでございますから、こういうことが二度とあってはいけない。経済としても困りますが、もっともっと大きな意味で、国民全体にとってこれは不幸なことであったという感じがいたしております。 もっと卑近なことで申しますれば、先ほど申しましたように、私ども「生活大国五か年計画」で、良質な住宅をサラリーマンの五年ぐらいの給与で手の届くところにしたいということを考えておりますけれども、これ自身のためにも地価が高騰するということはもう絶対に避けなければならないことだと思っております。いわゆる土地神話というものは二度と起こってはいけませんし、またそのために地価税制度というものは何とかこれは堅持をすべきものであるし、また、先般の土地税制改革についてはこれを着実に実施をしていくべきものというふうに考えております。
○伊藤(茂)委員 もう一つ、買いかえ特例の問題が当委員会でも賛否含めましていろいろな議論になりました。 今、土地住宅その他が動いていない。それから業界も厳しい状態になるとなりますと、賛成、反対、いろいろな御意見も出てくるわけでありますが、私は、先ほど申し上げましたような気持ちから、将来のためにか、あるいは安定した社会のために、とにかく甘い気持ちは持たない、抑える、それがやはり将来の安定した社会のためのものである。また、景気とともに地価がまた上昇になったりするようなことのないように構えなければならぬ、厳しさを持たなければならぬというのが何か基本的に私どもの姿勢であるべきではないかというふうに思います。 今回も政府税調とは違った内容の御提案を政府はなさいました。御案内のとおりですね。政府税調の答申とは違います。私は、政府税調が答申した方が筋だというふうに思いますが、二年ということでさまざまな条件を付して出されております。二年という時限立法ですから、法律どおりに二年たったらおやめになるということだと思います。当然のことだと思いますが、いかがでしょう。
○宮澤内閣総理大臣 居住用財産の買いかえにつきまして、確かに政府税調と異なった御提案をいたすことになりましたが、これは一般の勤労者を初めとする国民がより高い居住水準を求めるという、そのために一定の措置を講ずることといたしましたが、その際には、土地政策との整合性を図る観点にも十分に配慮をいたしたつもりでございます。そのためのいろいろの厳しい適用条件を設けたところでございまして、この措置によって地価の下落を食いとめるといったような、下げどめるといったようなことは起こしてはならないと考えております。 このたび提案をいたしますにつきましては、以前の買いかえ特例が昭和六十二年に廃止されるに至りましたその経緯等も考えまして、今回は適用条件につきまして慎重な検討を行いました。高額物件の譲渡あるいは投機的な譲渡、不適正な価格の資産の購入等を排除するような工夫をいたしております。この運用につきましては今後とも十分注意をいたしまして、これによってまた土地の価格が上昇をすることはもとより、下げどまるというようなことに奉仕をすることがあってはならないと思いますので、土地政策との整合性を損ないませんように十分留意をいたしていきたいと思います。 それで、二年ということで御提案をしておるわけでございますけれども、これはある意味で、日限を設けまして、その間にこういう動きがあればそれを促進するという役割も果たすかと思っております。今のような心構えで十分注意をして適用をし、施策を進めてまいりまして、二年後にどういう状況になりますか、またしかるべき検討をしなければならない、申すまでもないことでございます。
○伊藤(茂)委員 簡単に言いますと、二年たったらその効果が上がっなかなかったか、あるいは地価高騰などと結びついたかどうか、それらを正確に判定をして、廃止をも含めて検討するというような意味になりますか。
○宮澤内閣総理大臣 さように考えております。
○伊藤(茂)委員 この問題は残念ながらまだ意見の開きがございますが、もう一つ別のことを伺いたいと思います。 今総理がおっしゃいましたが、与野党協議が行われるわけでございまして、さまざまなテーマがございますが、その中の大きなテーマは所得税減税をめぐる議論でございます。 総理にまずお願いしておきたいのですが、私も政策を我が党で担当いたしまして何回か記憶に残る与野党協議を行いました。当時の政調会長伊東正義さん、パート減税千五百億円、千三百億円でしたか、それから不公平税制をめぐる現渡辺副総理とのこととか、それから消費税もございました、これは不幸な結論でしたが、実は何遍かやったわけであります。 私は一番懐かしく思い起こすのは、伊東正義さんとの議論でございました。あのときに、冒頭に生意気ですが後輩の私から伊東さんにお願いしたのです。我々は国民の皆さんに喜んでいただけるよき実りをつくるために政策担当者として議論するのだ、この際、与党野党、議席の数、与野党の垣根というものは抜きにして、まじめに政策担当として、また議会人として努力をしようではないかということで、十数回会談をいたしましたが、いい実りができたわけであります。終わったときに伊東正義さんからごあいさつがございまして、非常に気持ちのいい議論をさせていただきました、やはりこれから場合によっては与党野党、議席の差とかなんとか、もちろん腕力ではなく知恵を絞って国民に喜んでいただけるいい議論をするようにしたいと思いますというごあいさつがございました。私にとっては非常に気持ちのいいといいますか、懐かしい思い出であります。やはりそういう議論なりなんなりというものを今国民も期待をしているということではないかと思います。したがいまして、与野党間もそういう議論を間もなく真剣にやっていただきたいというふうに思います。何か力ずくでというふうなことではない、やはり国民の納得する結論が出る議論をなさるべきであろうというふうに思います。 〔石原(伸)委員長代理退席、委員長着席〕 もう一つ減税問題に関連をして、どうしても私は総理に御見解を伺うことがあるわけであります。 今まで所得税減税について、衆議院の予算審議でも否定的な御意見を発表なさいました。そして、その一つは貯蓄に回る、貯蓄に回って景気効果がないという御意見でございます。もう一つは財源問題ということが主な理由であったように思います。私はそれをずっと聞いておりまして、非常に考えさせられたことがあります。 最近の家計の状況などなど私から詳しく申し上げる必要はないと思います。さっき冒頭総理が御答弁になった、十-十二月期の年率〇・五という数字にしても、これは消費が足を非常に引っ張っているということも統計上言われているわけであります。私は大蔵委員会で、なぜ国民は貯蓄をするのかという議論を随分したことがございます。将来に対する不安、安心感がないということですね。これは一番大きな原因だと思います。食料品まで消費が落ち込んでいる、マイナスになっている、必需品までマイナスになっているということが、これはいろいろな調査あるいは業界からも言われている。 宮澤さん、政府がお決めになった、いろいろな苦労はあるけれども、我々の将来は生活大国なんです、ゆとり、豊かさのある社会をつくれるんですということを本にして、紙にあるだけではなくて、力強くそういう方向を常に提起をなさる、そういう判断を政策上の基本としてお持ちになるということがないから貯蓄になるのであって、大蔵省の何か、いろいろな報道か週刊誌を読みますと、大蔵省次官、局長が協力をしてそういう説得を一生懸命して回ったというふうなことが書いてございますけれども、私は発想が逆だろうと思います。どういう経済にするのか、国民のためにやるのかという基本を忘れて、貯蓄に回るからおかしいというのは、これは物事の考え方が逆ではないだろうかというふうに私は思います。 効果の方は私から申し上げるまでもございません。今まで政府の方では、主として経企庁の言うところの世界経済モデルによる試算ということで乗数効果云々ということが言われてきたわけでありますけれども、最近も日本総合研究所とかあるいは三井信託とかいろいろなところから計算について出されております。減税の効果の程度及び効果の範囲。公共事業でいえば建設業、製造業。建設業のところと製造業、一部にどうしても偏る。減税は幅広い効果がある。今まで言われておりました貯蓄に回ることについては、私は絶対これに反論したいと思います。効果論については、最近出ているこういう状況を見たら、これはきちんとした、大切な効果のある分野である、減税問題についてそういう御判断をなされるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○宮澤内閣総理大臣 過去においてしばしば、いわゆる各党間の政策協議につきまして、伊藤委員が社会党を代表されて極めて有意義な提言をされましたことは私もよく記憶をいたしておりまして、心からその点に敬意を表するものでございます。このたびの政策協議もそのような精神においてぜひ各党の間でお願いをいたしたいというふうに考えております。 そこで、所得減税の問題でございますけれども、私自身は、平成五年度予算編成に際しまして、一定の財政負担をする場合に、公共事業がいいかあるいは減税がいいか、いずれが大きな乗数効果を持ってあろうかといったようなこと、それはいわば費用対効果といったような意味合いにおいて両方の比較論を自分でいたし、考えたのでございますけれども、減税そのものは貯蓄に回るから余り意味がないといったようなことは、私はそれほど強く申したことは実はございません。 ただ、現実の問題として考えますと、この際、所得減税をやるといたしますと、まあ年末調整ということであればこれは大変に時間の先のことになりますし、戻し税ということになりました場合には、現在給与が御承知のように銀行振り込みになっておりますから、多くの勤労所得の消費者にとっては、いわば源泉徴収分が夏にある程度減ったというようなことを、それも直接にではなく間接に銀行振り込みということで知るということでございまして、アメリカのようにそれだけのチェックが送られてくる、それなら使おうかということはなかなか一緒にならない要素があるということを実は私は考えたりいたしております。 しかし、それはそれといたしまして、私どもが提言しております。その生活大国という立場から申しましても、また二十一世紀に向かって高齢化をしていく社会を考えましても、そこから来る国民年金の負担の問題等々あわせ考えますと、二十一世紀に向かっての国民の負担と福祉の問題をどういうふうに考えるかということは、もう余り遠くない機会に財政再計算もございますので、考えなければならないと思っております。 そういう意味では、昭和六十二年、六十三年ごろにいたしました税制の抜本改正の中で、所得税の改正というのはやはり十分に累進構造を簡素化し得なかった、これは財源のこともあるわけでございますけれども、財源のことがあるという意味は、つまりその中ぐらいのところの重税感が大きいということでございますから、やはりこの問題は、そう遠くないときに将来に向かって、年金の問題もあわせまして、税制全体の問題といたしまして検討しなければならないのではないかということは思っておりまして、したがいまして、所得税減税というものが無意味である、あるいは必要がないというふうに私は申してはおりませんで、この際のいわゆる景気回復、不況打開のための措置としては何が適当であろうか、こういうふうな考え方をいたしておるわけでございます。
○伊藤(茂)委員 いずれにしても、所得税についての改善措置をとらなくていいと思う人は、これはどなたもいらっしゃらないと思います。それから、総理も先ほど御答弁ございましたが、真剣な与野党協議というものを通じて大いに知恵を絞って、短期間しか時間はないと思いますが、いい結論が出るようにということをぜひ尊重していただくというふうにお願い申し上げたいと思います。 今、総理の答弁に関連して一つだけ申し上げたいのですが、いろいろな意味で税制の全体像について国民的な議論をお願いするというふうなときではないだろうか。今私どもは、いい方法ではないけれども、とにかく緊急赤字公債、それから、もう減税の方法として非常にいい方法ではないかもしらぬけれども、景気対策からいったらもうあすでは遅過ぎるので戻しということを野党共同で要求をしているということでございますが、これは与野党間で詰めた議論をしていただきたいと思います。と同時に、総理もおっしゃいましたが、これからの年金その他いろいろ考えますと、やはりどういう社会ニーズと、あるいはどういう公正、公平な負担がですね。私どもは消費税の飲食料品の、政府もおっしゃった公約の問題などまだ主張いたしているわけでありますが、いずれにしても全体像を国民の皆さんの前でまじめに議論するというときが必要なのではないだろうか。 要するに、この間の経過を見ましても、与党の税調会長も、減税と消費税はセット論であるとか何がどうとか新聞にはいろいろなことが書いてございますし、それから、財界からも消費税を一五%にすればいいなんという提言があったりいたしておりますが、何かそういう短絡的な発想からの短絡的な発言はやめましょう。やはり全体像、次の社会と次の公正、公平な負担というものを政府税調だけではなくて、建設的なプランをお互いに出し合って議論する、単年度だけではなくて、そういうことが必要な時期ではないだろうかというふうに思いますが、いかがですか。
○宮澤内閣総理大臣 その点は同感を禁じ得ません。先ほども申しましたように、社会が高齢化をしていくという中で、国民負担をどうすべきか、あるいは年金をどうすべきかといったようなことは、税制そのものが、やはりよく言われますように所得と消費と資産とのよくバランスをした公平かつ公正なものでなければならない、そういう長期的な見地から各党において御議論をいただく、御協議をいただくということは、殊にただいまのこういう高齢化社会に入ろうとする我が国にとりまして大切なことであろうと思います。
○伊藤(茂)委員 時間が少なくなりましたので、ひとつ今後のことについて伺いたいと思います。 訪米の御日程も詰めておられるようでございますし、それから、我が国が議長国、総理が議長をお務めになる東京サミットもございます。幾つか懸案があると思いますが、大きな問題で二つだけ伺いたいのです。 一つは、対ロシア支援の問題、何か大混乱して、日本の政治も大変だが、向こうの方がまだ大変だなと毎日見ているわけでありますけれども、やはり総理も、改革路線と申しましょうかそういう方向に進んでもらいたいというふうな御意思は今までも述べられてきたようであります。そしてまた、緊急サミットを開こうということも何か余り賛成でないということで、来月中旬ですか外務大臣、大蔵大臣レベルの相談をしよう、そこには何らかの提案を議長国日本としてもしなければならぬというふうな動きになっているようであります。 お伺いしたいのは、世界の論理とそれから日ロ間、領土問題を含めた論理と、これはギャップがあるわけであります。何か世界の論理というものをもうちょっと尊重しながらやらないと、サミットその他も控えて、それだけではなくて、これからの日本としてどうなんだろうかという気持ちがするわけでありますが、その辺のお考えが一つであります。 それからもう一つは経常収支、貿易収支、ただいま大変な黒字になりました。黒字還流、資金還流の問題が話題になり得るのではないだろうか。 この間、中曽根さんが雑誌に書いているのを見ましたら、二、三年間ぐらいで五百億ドル程度の規模で計画を立てる、そういう必要があるのではないか。それから、私ども大蔵委員会でもおなじみだった内海前財務官が発表した最近の論文を読みましたら、何かやはり実際には、民間ではリスクを恐れるという気持ちも非常に強い、ODAは額からいって限られている、過去に六百五十億ドル資金還流計画を策定して、そのときに国際機関への資金の協力、それから輸銀の問題、海外経済協力基金の活用などさまざま努力をしてやったことがあるけれども、やはりそういう発想を、私は、そういうものについて外国から指摘をされるからやるというだけではなくて、やはり日本がこれからの世界にイニシアチブを持ってどうするのか、例えば環境、エネルギーとかいろいろな問題があると思いますが、こういう方向で我々は日本の大きな黒字、基本的には内需によって解消していくということなんだけれども、貢献をしていきたいという発想があっていいではないか、その二点ですね。 それから、もう時間がありませんから済みません、総理にちょっと要望をつけ加えて申し上げたいと思います。 日産の座間工場の移転の問題がございまして、説明は省略をいたします。自治体、商店街、雇用その他非常に心配な状態にございます。総理、お願いしておきたいのは、今後の姿勢、取り扱いの問題なんですが、中央官庁さまざまございます。これは通産省、労働省、中小企業庁、大蔵省、自治省その他いろいろございます。縦割りではなくて、それから県、市、地元がありますね、縦横十文字というとなんですが、総合的にそういう問題を相談したり何かできるような、伺いますと、国の計画している事業で前倒しでやってもらうと非常に助かるという事業の問題とか、いろいろな問題があるようでございまして、その辺の、地元を含めた国の横断的な連携、ぜひ、これは大きな問題ですから、企業のリストラで移転その化しょっちゅうあることですから、非常に大きな問題でございますから、政府レベルで十分な対応をとっていただけるように追加要望を申し上げまして、お願いですが、先ほどの二点について伺って終わりたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 最初に、対ロ支援の問題についてお尋ねであったわけでございますが、今年は我が国がサミットの議長国でございますので、先般、最初のいわゆるシェルパの会合を香港でいたしますときに、ロシアからフョードロフ副首相を招きまして、ロシアの経済状況等々について、これはなかなかいい会合であったようでございますけれども、事情を聞いたわけでございます。そして、各国代表ともロシアの経済、政治状況等々から判断して、やはりG7としてできるだけの支援を考えなければならないということについては、基本的な意見の一致がございました。 ただ、問題は、ロシアの経済がかなり悪化しておりますので、従来のように、IMFがスタンドバイクレジットを出して、それを中心に各国が考えていくというようなわけにはなかなかいかない状況でもございますし、リスケジュールの問題もいろいろな事情から今のところ決着していないといったように、幾つか難しい問題がございますので、それらを含めまして各国でやはり何か案を出さなければならない、そういう雰囲気でございました。 そこで、伊藤委員の言われます、世界全体の流れと領土問題を持っている我が国の立場というものの調整ということでございますけれども、私どもがG7としてロシア支援をするというのは、やはりロシアが、御指摘のように民主主義に転じてほしい、そして市場経済を志向して、またスターリン時代の外交政策を改めてほしいといったような、そういう世界全体、またG7のおのおのの国にとってもそれが利益であるということから支援をしようということでございますので、我が国にとりましても、エリツィン政権が法と正義の問題で領土問題の解決に当たろうということは、これは我々としても歓迎するところでございますから、基本的に二つの立場が矛盾するということはない。このロシアのここまでの方向が逆行いたしませんために支援を送ることは我が国自身のロシアとの間の具体的な懸案の解決にも決して悪いことではない、こういう考え方をいたしております。 それで、そういう立場から、まだ確定をいたしておりませんけれども、G7の蔵相、外相の会議でも、できるだけ早く開きまして、そしてさしずめどうすべきかというようなことを相談をしてもらってはどうかということをただいま各国に提案をしているというところでございます。 それから、資金還流の問題は、私自身が実は非常に強く感じておりまして、これだけの大きな経常収支を計上するに至りましたので、やはり一つの問題は、資金還流をできるだけ大きくかつ急ぐことであるというふうに考えております。 その中身といたしましては、おっしゃいますように輸銀もございますし経済協力基金もございますし、何よりもODAの五カ年計画が切れたところでございますので、これを、恐らく五カ年でございましょうか、新しいものをつくらなければなりません。この中からやはり資金還流が行われる。それはプロジェクトの場合もございますし、おっしゃいますように十数%は環境関連になりますので環境への還流もあろうと思います。ぜひこれは我が国のためにここで、何年になりましょうか、五カ年でございましょうか、還流を、やはりきちんと計数としてまとめたいと考えて、各省庁に作業を急いでもらっているところでございます。 それから、日産座間工場でああいうことが起こりまして、これは地元の方々及び下請工場等々非常に大きな影響がある事態だというふうに考えております。ちょうど円高の後、いわゆる企業城下町が灯の消えたようになった時期が一時ございましたけれども、それのはるかにスケールの大きな事態というふうに考えるべきでございましょう。あのときも各省庁一緒になりまして、縦割りになりませんように施策をいたしましたし、また必要な公共事業は国も県も前倒しをいたしました。 そういう例もございますから、おっしゃいますように、各省庁一緒になりまして地元の市町村、県等々と緊密な連絡をしながら実態把握をし、また必要に応じまして諸般の対策を、これは企業助成の点もそうでございますし公共事業の点もそうでございますが、各省庁一緒になりまして対応してまいるつもりでございます。
○伊藤(茂)委員 ありがとうございました。 時間が延びまして失礼いたしました。
○藤井委員長 井上義久君。
○井上(義)委員 金丸前副総裁が脱税で逮捕され、起訴をされた。政治資金を流用して百億円に上るような蓄財をなさっていたということが発覚をいたしまして、国民の極めて厳しい政治不信を引き起こしているということは総理も御認識のことと思うわけでございます。 国会議員を五期、六期やると、大臣をやると家が建つ、あるいは高級車を乗り回すようになるというような、政治にお金がかかると言いながら、政治資金を流用してそういう私的な蓄財に使っているんじゃないかというような疑念というのはこれまでも国民の間に何となくあったわけでございまして、私なんかも世田谷に住んでおりますから、そういう立派な家を構えた政治家の方がたくさんいらっしゃるわけでございまして、政治資金を使って私的な蓄財をしていたということが事実の上ではっきりしたということが私は今回の問題の一番のポイントだろう、こう思っておるわけでございます。 しかも、脱税ということで起訴されました八七年当時は第三次中曽根内閣の副総理だったわけでございまして、いわゆる内閣のナンバーツーにある方が国民の基本的な義務であります納税の義務を怠って国家に対する詐欺行為を働いていた、こういう問題、非常に深刻な問題だというふうに思っているわけでございますが、この問題についての総理の基本的な御認識をまずお伺いしておきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 しばらくいろいろな政治のスキャンダルが続きまして、国民が政治に対して深い不信を持つに至ったこの段階でこのたびのようなことがございまして、ただいま井上委員が御指摘になられますように、これはただ政治資金の問題だけではなかったという、起訴状によりますと、ということで余計国民の不信が高まったというのが今の事態であると思います。 もとよりこの真相の解明と所得税法違反等々についての検察、国税の対応は厳正でなければなりませんし、当然それを信頼するものでございますが、同時に政治家として、我々のいわば一緒に政治を志しておりましたお人でございますだけに、我々自身も大変に国民に対して申しわけないという深い心の痛みを感じる問題でございます。 それで何としても、したがいましてこの事態を厳正に処理することと、一人一人の政治家としての倫理ばかりでなく、その倫理を担するための政治改革というものを、先般の国会で緊急改革は成立をさしていただきました、抜本改革をこの国会においてひとつ法制化をしていただきまして、そして日本の議会政治がいわば出直した、かつてイギリスが百年余り前にそうでありましたように、そのようなやはり心構えを持って議会政治をここでもう一遍再出発をするという努力をしなければならない、それによって国民の信頼を回復することに努めなければ、この機を逸しますと悔いを百年に残すのではないかというふうに考えておりまして、つきましては、政治改革につきまして、各党におかれましても十分この事態を御理解の上、この国会におきまして政治改革の実が上がりますようにお願いを申し上げたいと思っております。
○井上(義)委員 私は、野党の議員で、なおかつ一年生議員ということで、まだ国会議員になって三年しかたっていないわけですけれども、私のような立場でも、立場を利用して金品を得るような機会というものはあるなということを感ずるわけでございまして、私のような者でもそうなんですから、これはベテランの、しかも与党のあるいは実力者ということになると、そういう機会というのは、これは我々の想像を絶するようなものがあるのだろうな、その一角が今回の金丸問題の事件の全容がわかるにつれて明らかになってきたわけでございます。 私は、政治家というのは本来国民に奉仕をする、そして日本の将来、世界の平和のために貢献をするということが本来政治家になった使命なわけでございまして、やはり政治家という立場、その立場を利用して金品を得るような機会が常に周りにある、それとやはりどう闘うかということが私は政治家の一番基本だろうと思うわけです。 そういう基本を逸脱をして、金丸前副総裁のような方が当時の内閣の副総理であった。しかも今総理、同じ政治を志す者の中から、こういうふうにおっしゃったわけでございますけれども、私は、ただ単に総理にとってこの金丸前副総裁というのは、同じ政治を志す者の一人というような軽い位置づけじゃなくて、宮澤総理誕生の経過をいろいろ見ていますと、やはりこの金丸副総裁の強力な推薦があった、あるいはまた自民党総裁として副総理就任を求められたという経過からして、私はこの問題、ただ単に同じ政治家を志す者の一人としてというような軽いものではなくて、総理自身に私はやはり道義的政治的な責任というものがあるというふうに言わざるを得ない、このように思うわけでございますが、重ねて、この問題についての総理の政治的道義的な責任、どのようにお考えなのかお伺いをしたいと思います。 〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
○宮澤内閣総理大臣 その点は、決して軽い意味で申し上げたわけでもなく、また軽い意味で考えてもおりません。御指摘のとおりでございます。
○井上(義)委員 それで、今回の問題に関連して非常に気になることなんですけれども、ある新聞の社説にこういうふうに書いているのですね。「いまの日本には、二種類の国民が住んでいる。税金をきちんと納めている人と、納めていない人と。 金丸信・前自民党副総裁は納めていない人たちの代表になっているが、もちろん彼だけが特異な例外的存在ではない。政治家の多くが「納めていない」側にいる、とだれもが思っている。」こういう社説の指摘でございますけれども、私は、今の国民の感情というのはこのとおりじゃないか。 要するに、政治家というのは本来憲法を守る、憲法を遵守することが政治家の一番の基本ですから、その憲法で納税の義務を課している、それを日常的に犯しているのが政治家なんだ、こういうふうに国民に思われているということは、これは非常に深刻な問題だろうと思うのですね。 それで、これまで政治資金の収支の不明確さとかあるいは政治資金と私的資金の境界のあいまいさというのは繰り返し指摘されたわけですけれども、これがずっと放置をされてきたということで、やはり政治資金で私腹を肥やしているというのは国民の一番の不信でございますから、ここはやはりきちっとする。今、制度改革の論議がありますけれども、それとはまた別に、いわゆる政治資金と私的な資金の境界というものをきちっとするということが、私は非常に大事なんだろうと思うのです。 そこで、今いろいろな企業から献金を受けると、政治資金規正法の第二条で、できるだけ指定団体に入れて公私の区別をしなさい、こういうことになっているわけですけれども、別にまた保有金の制度というものも認めているわけでございます。 ところが、この保有金の制度というのは報告の義務がない、罰則がないということで、事実上ほとんどの人は報告をしていないということで、例えば今回のように、お金をもらった、いわゆる指定団体に入れなくて個人がそれを保有しているという形になっていて、それがたまたま私的蓄財に利用されていたのでこれは所得だというふうに断定して所得税法違反。 ただ、前回の、東京佐川から五億円もらったという例の場合は、要するに五億円もらったんだけれども、それはどこにも記載はしてないんだけれども、本人が議員に配ったということで政治資金であるというふうに認められて政治資金規正法違反になった、こういう非常にあいまいな今の仕組みになっているわけでございまして、私は、そういう意味からいいますと、例えば個人の受け取りを全面的に禁止をするとか、あるいは収支報告書に記載のないものは基本的には所得というふうに認定をして原則課税をするというような、これは裏金じゃなければ明確に収支報告書に記載していいわけですから、そういう記載のないものは原則課税にするというような、これは課税当局の基本的な考え方でできるのじゃないかと思うのですけれども、これはどうでしょうか。
○宮澤内閣総理大臣 先ほど御引用になられました社説でございますか、国民がそういう感じを持っているということはきっとそのとおりと思いますが、多少そこにはやはり誤解もあって、政治家が取得いたします資金、政治資金が、政治目的に使われる限りにおいてそれは課税の対象にならないということは、今の制度として私は間違っていないと思います。 したがって、大変大きなものが入ってくるという部分だけをとらえますとそういうふうに映るということはあろうかと思いますけれども、それが政治目的に使われておる限りにおいて間違ったことはない。問題は、そうではなくてその間に公私混合が起こったときに本当に問題にしなければならない問題があるということであろうと思います。 私どもが自由民主党で今度抜本改革案として国会に御提案をしょうとしておりますことの中には、したがって、政治家個人が政治資金を受けるということは原則として禁止したらどうかというような考え方をかなり強く打ち出そうとしております。それは、そのような危険を防ごうとすることでございますが、今言われましたように、理屈で言えば、入りました政治資金のうち、政治目的に使われなかったものは雑所得になるわけでございますので、それはそれで整合しておるのではないかというふうに思います。 なお、もし国税庁の方の問題についてのお尋ねでございましたら、政府委員がお答えを申し上げます。 〔井奥委員長代理退席、前田(正)委員長代 理着席〕
○井上(義)委員 今の問題、あわせて、要するに個人の受け取りを政治資金規正法上禁止をするというふうにした場合でも、例えば、個人が受け取ってそれが蓄財されていた、そうすると、これは政治資金規正法上は違反ということになるわけです、いわゆる届け出をしなかったから違反ということになるわけですけれども、あるいは個人が受け取ったから違反ということになるわけですけれども、これは課税上直ちにこれを所得というふうに認定はできないわけでございまして、これを基本的には、例えば記載をしなければ所得である、それともう一つは、今総理おっしゃったように、いわゆる政治目的に使わなければこれは雑所得ということで当然所得税の対象になるわけですけれども、いわゆる政治目的のために使ったというところがまた非常にあいまいで、何が政治目的なのか、どこまでが政治目的なのかということも、どうも今の現状はあいまいだと思いますし、それから、課税当局も、この辺についてもっと厳しく私はやるべきだ、こういうふうに思うのですが、それもあわせてお願いします。
○松川政府委員 今御指摘の点でございますが、政治家個人に対して提供された政治資金につきましては、雑所得の収入金額となっておりまして、この場合の政治資金は政治資金規正法あるいは公職選挙法の規定に違反するものも含まれるということでございます。 それで、この場合の雑所得の金額は、総収入金額から必要経費の総額を差し引いて計算するということになっております。この場合の計算におきましては、政治資金収入のほか、原稿料、講演料、その他の収入も含むベースで計算しているところでございます。そして、その必要経費を引いた残額がありましたら課税するということでございます。 それで、認定を厳しくしたらどうかというお話でございますが、課税当局の考え方といたしましては、その政治資金収入が政治活動のために消費されたかどうかにつきましては、私的消費の状況あるいは私的財産形成の状況など、総合的に勘案しまして、個々のケースにおいて実態に即して判断しております。
○井上(義)委員 実態に即して判断なさっている、こういうことはもちろんそうなんでしょうけれども、では、事実上金丸さんのような例、今回はたまたま発覚をしたから所得税法違反ということになるわけですけれども、そういうようなことが恒常化しているんじゃないかという疑念がかなり国民の間にあるわけでございまして、もうちょっと厳しく、きちっと調べるとかということをやらないと、この国民の疑念というのはなかなか晴れない。 それから国民の側にとっても、政治活動の範囲、政治資金の範囲というのが非常にあいまいで、この辺も明確にしないと、どうしても何となく政治家の周辺は非課税の世界、こういうことに疑念があるわけでございまして、そこをもうちょっと明確にすべきじゃないかというのが私の申し上げていることなんですが、どうでしょうか。
○松川政府委員 御指摘のように、政治活動の範囲につきましては、政治資金規正法あるいは所得税法におきましても定義規定は設けられておりません。したがいまして、自治省の解説書におきます「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを目的として行う直接間接の一切の行為をいうものと解される。」ということでございまして、こうした規定、こうした解釈に沿って、国税当局としては政治活動のために支出した費用かどうかというものを判定しているところでございます。
○井上(義)委員 総理、もう一つこの金丸問題で、要するに、なぜ金丸前副総裁にあんなに巨額の金が集まってきたのかということが国民の一つの疑問点だと思うのですね。 いろいろ新聞なんかによりますと、山梨ルートとか中央ルートとか、あるいは佐川ルートというようなことが言われているわけでございまして、いわゆる許認可権に絡んで便宜を図ってもらうとか、あるいは公共事業の配分に影響力を発揮してもらうとかというようなことが主にお金を出した動機だ、このように言われているわけでございます。 この問題の背景には、いわゆる中央省庁の持っている許認可権に絡む便宜を図ってもらうというようなこと、あるいはそれに絡めて族議員なんということが言われているわけでございまして、総理はこの問題について、特に族議員の存在ということについてどういうふうに認識をされて、またこういう問題をなくするためにはどういうことが必要だというふうにお考えなのか。
○宮澤内閣総理大臣 主として私どもの党内の問題でございますけれども、戦後の何十年かを考えてまいりますと、議員さんが国政を勉強されて、そして随分詳しく本当に勉強される方が多くて、そういう方々が族議員というふうに言われるようなことに発展してきたわけですけれども、本来は大変に政策の勉強をしようという動機からそういう方々が努力をしておられたということを私は知っていますけれども、ただ、今となりますと、いかにもおっしゃいますように弊害もございます。 それで、私どもの党改革でこのことは問題になっておりまして、今みんなで考えておりますことは、何々部会、そこのいわばボスになるとかナンバーツーになるとかいう、そういうことについて、一つの部会に余り長いこと籍を置くということは原則として認めないということにするのがいいのではないか。そうしますと、勉強をされることはそこで勉強できます。しかし、その部会を通じて相手の役所にある意味でかなり大きな影響力を与える、過大の影響力を与えるというようなことは、やはり長くいるということから生じますので、そこは一定以上の人はもう次のほかのところへかわってもらうということにしたらしいのではないかというのが、私どもの党内におけるただいまの大体の考え方の大勢になりつつございます。
○井上(義)委員 例えば、いわゆる業界団体の長に自民党の実力者の方がついていらっしゃるようなケースがよくあるのですね。何々業界の何々団体のいわゆる会長とか長についていらっしゃる。そういうことを例えば具体的にもうおやめになるとか、そういうことからまず始められたらいかがかなと思うのですが、そういうことについて総理はどういうふうに思っていらっしゃいますか。
○宮澤内閣総理大臣 それもあるいは一案かもしれません。私ども党内でよく検討させていただきます。
○井上(義)委員 その次に、三月四日に減税に関する与野党合意ができて、所得税減税も含めて前向きに検討する、こういう合意がなされたわけでございます。今後与野党協議が行われると思いますけれども、総理、所得減税についてはかなり消極的な御発言をなさっておるわけでございますが、どういうタイミングでどういう条件があればこの所得減税をやってもいい、こういうようにお考えなのかということが一つ。 それから景気対策につきまして、御堂の梶山幹事長が今国会の会期中に補正予算案を成立させるというような発言をなさったり、あるいは三塚政調会長が十四兆円規模くらいの景気対策を追加でやるというようなことをおっしゃっているわけでございまして、与党内でそういう議論がなされていることだろうと思いますが、四月の中旬には総理の訪米が予定されている、それまでには景気対策をまとめなければいけないというようなことも含めて、この追加の景気対策についてどういうお考えなのか、所得減税の問題とあわせてお答えいただければと思います。 〔前田(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○宮澤内閣総理大臣 先ほど伊藤委員からもそのようなお尋ねがございましてお答えいたしましたが、平成五年度の予算編成におきましては、費用対効果という観点から、財政負担とすればやはり公共事業、住宅等々を中心にした方がいいという判断をしたわけでございますが、さりとて、しかし、先ほども申しましたように、やがて国民年金の再計算をしなければならないときも参りますし、二十一世紀に向かっての負担と給付をどうするかということを全体の問題として議論しなければならないときが参ります。かたがた、六十二、三年の税制改正のときに所得税の累進構造を十分には直し切らなかったという点もございますので、遠からざる機会にこのことは議論しなければならないであろうということは考えております。 それから、三月四日に、自社公民の各党の間でお申し合わせがございました。やがて各党協議が開かれるということで、私どもの党内でもどのようなことを御協議すべきかについていろいろ鋭意検討を進めております。また、どの時期にということについてもいろいろな意見があるようでございますけれども、政府の立場は、ただいまこの平成五年度の予算をともかくできるだけ早く成立をさせていただいて執行をしたいという一点に集中をいたしておりまして、私自身、まだ党内のそのような議論の推移を聞いておりません。やがて中間報告を聞きたいと思っておりますけれども、ただいま聞いておりませんで、党内ではそういう、各党協議会に備えましていろいろな可能性を検討しておるように承知いたしております。
○井上(義)委員 景気の問題はかなりマインドの問題でもあるわけでございまして、そういう意味で総理がもう少し積極的な発言をなさるということは、私は景気に与える効果というのはかなり大きいと思いますので、特に所得減税については前向きにぜひお願いをしたい、こう思います。 最後に、今度の景気対策、追加景気対策ということで与党内でいろいろな議論がなされて、その中で住宅減税ということが議論されているようでございまして、例えば住宅取得促進税制、この還付額の上限の引き上げとか、あるいは期間の延長とか、あるいは宅地ローン減税を導入するとか、どちらかというと持ち家に対する減税ということが非常に議論されて、私はそれはそれで意義があると思いますけれども、いわゆる借家で生活をなさっている人、今首都圏で三百四十万戸ぐらい民間の借家というのはあるわけでございまして、私は、景気対策の観点からいっても、この家賃に対する例えば控除をやるということは、それは当然消費に回るわけでございますから、景気対策という観点からも即効性があっていいのじゃないかというふうに思っているわけでございます。 特に、今回建設省で特定優良賃貸住宅供給促進法案、いわゆる優良民賃の促進法案が国会に出されて、具体的な家賃補助制度というのが今回スタートすることになったわけでございまして、私は、これまで持ち家一辺倒だった制度に対して、民間賃貸住宅に対して具体的な施策が施されたということは非常に評価しているわけでございます。 しかしながら、この計画も九三年度で大体全国で二万戸ということで、先ほど申し上げましたように首都圏で三百四十万戸ある民間賃貸住宅から見ると比率は非常に少ないわけですし、今借家に実際に住んでいる人は新しい借家ができるのはそんなに長く待っていられませんよというのが現状だと思うのですね。 私が住んでいる世田谷あたりですと、三DKで坪当たり大体一万二千円から一万五千円ぐらいする、ということになりますと家賃も二十四、五万から三十万ぐらいするわけでございまして、一般の人たちにはとても手が届かないということで、やはり借家ということに対して本格的な対策を講じる、持ち家一辺倒じゃなくてやはり借家の方に、賃貸に政策誘導していくということもこれから必要なのじゃないか。ライフサイクルに合わせて家を住みかえていくということがこれから非常に大事になってくると思いますので、そうなると、家を買ってまた売って買ってというようなことよりも、安心して住めるような民間のそういう賃貸住宅があればそれはそれでライフサイクルが成り立つわけでございまして、そういう方向にシフトすべきじゃないか。そういう観点からも、本格的な家賃補助制度、家賃控除制度というものをこの際検討されてはいかがか、このように思うのですが。
○宮澤内閣総理大臣 資産としての家を持つということ、決して悪いとは申しませんけれども、今井上委員の言われますように、ライフスタイルが変わってまいりますと、家の需要のあり方というのは、対応のあり方というのは違ってまいりますから、そういう意味で貸し家というものはやはり大事なものだというふうに思います。したがいまして、特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律案、ただいまお話しのような法律案を今国会にお願いいたしましたのも、そういう意味で賃貸住宅の供給や建てかえ等に際して居住者の便を図りたいという考えでございます。 ただ、家賃を所得控除の対象にするかということにつきましては、これはいろいろに御議論のあることだと思いますけれども、やはり家賃というのは生計費、食費、被服費等々と同じような生計費でございますから、家賃一つをとって所得控除をするということは非常に問題があるのではないだろうか、私はどうもなかなかそれにはにわかに賛成いたしかねるという感じを持っております。
○井上(義)委員 要するに、いわゆる持ち家とか社宅とかあるいは公的住宅というのは非常に優遇されているわけでございまして、税制上優遇される、あるいは政策家賃ということで優遇されているわけで、借家に対する優遇は全然ないということと、もう一つは、そういう借家の利点というものを評価してそっちに政策誘導するという観点からもう一回見直してはいかがか、こういうふうに最後にもう一回お尋ねしたい。
○濱本政府委員 ただいま総理から御答弁があったとおりでございますけれども、なお井上先生は、何か誘導政策のようなものをもう少し意図すべきではないかというお感じの再度のお尋ねかと存じます。 私、税のサイドで申しますと、先ほどの総理の御答弁を繰り返すつもりはございませんけれども、結局井上先生がおっしゃろうとしておられることは、家を建てる人たちに対してはいろいろな手が及んでおるけれども、借りる人たちに対して及んでいないじゃないかというところに尽きると思いますが、その場合、結局生計費の中から、例えば教育費でありますとか家賃でありますとか、そういうものを抜き出していきますと所得税というものが成り立たなくなる、これは我々がいつも言わせていただいていることでございます。 そのほかに、本当に気の毒な方というのは、借家に入りましても税金を納めていない方もおられるわけでございまして、そういう方々に対してはなかなか所得税で対応するということが難しい。そこでさっきのような補助ということも一部出てきているということが現実にはあろうかと存じます。 それに何よりも払お話を聞いておって思いますのは、一番大事なのは借家を建てることが一番肝心なことであって、借家を建てることについて税金としてお手伝いできることがあるのではないかということであれば、それはそのとおりだと思います。 現に私どもの方で今既にお認めいただいて実施されておりますことの中にも、相当思い切ったこと、例えば三大都市圏におきまして一定規模を有する賃貸住宅を公募の方法であるいは適正な家賃で建てて運用されるような場合には、新築貸し家住宅の割り増し償却の特例といたしまして、普通の償却に加えて五〇%とか、あるいは耐用年数が長いものは七〇%という割り増し償却をやっている、これは相当のことであるということをお認めいただけないかと存ずるわけでございます。
○井上(義)委員 どうもありがとうございました。
○藤井委員長 正森成二君。
○正森委員 昨年の通常国会でも当委員会で総理に質問をさせていただきまして、議事録を見ますと六月の二日だということになっております。そこで私は公定歩合の引き下げについて総理に御質問を申し上げまして、結局家計の犠牲で企業救済になるのではないかという趣旨のことを申し上げました。 総理はそれにお答えになりまして、高齢化社会というものも起こっておるし、年金に大きく依存しておられる人もいるので、「ただ下げればいいというわけにはいかないということは大切に考えるべきことだと思っております。」こう言われて、これは結局中央銀行が決めることであるが、「中央銀行においてもこれを今変更しようということは日程には上っておらないのではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、今の問題は、今後高齢化社会になるに従いましてますます注意を払わなければならない問題だと考えます。」こういう御答弁になっております。 これは去年の六月のことですが、それ以来、この間の二月四日の金利引き下げまでに、二回にわたって公定歩合が下げられました。そして、それについて、これは二月四日の日本経済新聞ですが、「金融筋は「今回の利下げにより、預貯金金利の低下を通じて家計部門から約一兆八千億-二兆円の所得が企業部門と金融部門に移る」と試算する。このうち企業に行く所得は従来の金融緩和期よりは小さくなり、銀行に残る分が大きくなるとみている。」云々という指摘をしております。これは日本経済新聞の記事であります。 同時に、同じ日の日本経済新聞あるいは毎日新聞の記事を見ますと、三重野日銀総裁自身がこの公定歩合の引き下げ、年二・五%というのは「企業収益を下支えすることで日本経済の成長を後押しする」こういう意味のことを言われ、「利下げが年金生活者など預金者の利子所得を減少させることに対しては、三重野総裁は「胸が痛むが、企業の利払いコスト低下などによる企業収益の下支え効果の方が全体の景気浮揚に有効だ」と述べた。」と明白に書かれているわけであります。別の、毎日新聞でも「「預金者に不利になるのは否めない」と率直に認めた。」というように書いてあります。 ですから、こういうのを見ますと、公定歩合の累次にわたる引き下げが直接景気に非常に影響がある、それによって何か投資がふえるということじゃなしに、企業の、特に金利の負担を減じて企業収益を下支えする、企業がもうかりやすいようにする、そのために家計部門から企業部門、特に銀行部門に所得を移転する、そういう政策意図は明白だと思うのですね。これは総理が昨年の六月に言明されました全体のバランスを考え、高齢化社会における年金生活者等も考えるという政策とは明らかに反して一たとえそこが少々犠牲をこうむっても、今は銀行なり企業の利益を守ることが大事で、その企業収益の改善のために尽くすのが先だという見解になるのではないか。現に、これは赤旗ではないのですからね、日経新聞にそういうぐあいに書いているということを指摘して、御見解を承りたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 その記事は私も読みました。そして、それは静態的な経済について言えば確かにそういうことが、計数的にはともかく私は言えるだろうと思いますし、公定歩合を下げていきますときに、またそういう年金・利子生活者等々のことも考えなければならないというのは、殊に我が国のようにだんだんそういう人たちがふえてこられますと、大事なことと思います。 ただ、私が申し上げたいのは、このような不況のときでございますから、金利負担を企業に対して軽くするということは、企業がもうけて配当をするという意味ではなくて、企業が企業活動を十分にやっていく、日本は市場経済でございますから、企業が十分な企業活動ができて、そして国の経済が成長して、それから分配が大きくなるということが、やはり政策としては私は決して間違っているとは思わない。それは企業の利益をふやすというところで、正森委員の御思考がそこでちょっととまりますので、いつでも私はそれを残念に存じておるのですが、それは日本経済全体の経済活動を大きくする、やはり市場経済ではそれが大事なことだというふうに考えておるわけでございます。
○正森委員 私も市場経済の効果を重んずることについては、総理とは違った意味ですが、人後に落ちないというように思っております。また、金利政策が景気の点で非常に重要な局面があるということも理解を持っているつもりでございます。しかし、現在の局面は、金利を下げたからそれで資金需要が高まって、それが投資とか経済の拡大に向かうという局面ではないのではなかろうか、だからマネーサプライもふえておらないということで、もっと別の観点が必要ではないかという最初の問題提起として申し上げたわけであります。 二番目に、他党の議員もお聞きになりましたが、私が申し上げたいのは所得減税の問題であります。 総理も我が党の予算委員会の議論をお聞きになって御理解賜っていると思いますが、非常に失礼な言い方ですが、我が党は、同じ野党でも社公民三党とは違いまして、減税の財源を赤字国債で貯えというようなことは言っておりません。社公民各党の政策、減税についても拝見いたしましたが、四兆二千幾らの減税額のうち実に四兆一千億円、九五%以上は赤字国債で賄うということになっております。 私どもは、これは将来の国民に対する非常な負担でありますし、第一、財政法四条にも違反することでありますし、赤字国債の発行が財政上、税制上非常に大きなゆがみを与えてきたということはよく存じておりますので、赤字国債の発行は避けて、しかるべき財源措置と不要不急の、お気に召さないかもしれませんが、防衛費等、冷戦構造が崩壊したとかソ連が崩壊したとか言われるときに、こういう点にメスを入れるべきであるというのが私の主張であります。 しかしきょうは、世界観の相違ということにもなりますので、その点を総理にお聞きしようと思っているのじゃないのです。同じ土俵の中で、所得減税の景気浮揚効果について若干お話を申し上げたいと思っているわけであります。 総理は、きょう伊藤委員の御質問にお答えになって、所得減税そのものをだめだとかいうようには思っていないという趣旨に受け取れる御答弁がありました。そこで、考えていきますのに、私も予算委員会に時々委員として入らせていただいたり傍聴しておりまして、その中で大蔵省や経企庁が言っておりますのは、所得減税というのは景気浮揚効果が遅いあるいは少ない、それに対して公共事業というのはこれが即効的であって、しかもその効果が大きいというのが繰り返し述べられていることだったと思います。かてて加えて、赤字国債で所得減税を行うというのはもってのほかだ、こういう二段論法、三段論法になっていたと思うのです。 そこで、経済企画庁は何をもって公共事業は景気浮揚効果が大きいが所得減税は少ないと言っているかといいますと、世界経済モデルというのを使っているのですね。そこで私は、経企庁の専門の担当官に来ていただいて、その点についてのレクチャーを受けました。それによりますと、確かに、GNP、付加価値がどれだけふえるかで考えておりますが、公共事業というのは相当押し上げて、減税の場合の二倍から三倍になるという数字が出ております。 しかし別の研究所、日本総合研究所というのがあります。日本総研と呼ばれております。これも念のために申し上げておきますが、我が党の研究機関ではなしに住友系の財界のシンクタンクですね。そこが研究しておりまして、ここについても、私は研究論文を取り寄せて、直接それの執筆者にも連絡して多少勉強させていただきましたが、ここでは産業連関表の逆行列表というのを使っておるのです、御承知の方がおられると思いますが。この分野でこうなればどういう効果があらわれているかというのを調べているわけであります。 それで調べますと、一兆円減税した場合の生産誘発額、GNP、付加価値ではなしに生産誘発額で見ておりますが、生産誘発額は一兆四千三百億円、公共投資は一兆五千六百億円という数字を日本総研は出しておりまして、決してそう低い数字ではないのですね。 それに加えて、ここにその論文のコピーを持ってまいりましたが、それを見ますと、公共投資の場合にはどれくらい生産誘発効果があるか調べているんですが、金丸さんのことを申すわけではありませんが、建設業関係に非常に大きな付加価値、浮揚効果があらわれるわけです。ところが、それ以外は比較的少なくて、特にサービス業、卸、小売業、運輸・通信業などというのは非常に低いのですね。皆さん御承知のように、今は第一次産業、第二次産業の我が国経済に占める比率が下がりまして、第三次産業が六〇%を占めていることは、国民経済計算でも明らかであります。 そこで、そういう点ではどうかといいますと、例えばサービス業だとか、卸、小売業とか、運輸・通信とかあるいは金融・保険・不動産などでは、所得税減税の生産誘発効果は断然公共事業よりも高いんですね。それらを総合しますと、生産誘発効果では、所得税減税は一兆四千三百億円、一兆円減税したとしてもね。公共投資は一兆五千六百億円、こういう数字を出しておるんです。 さらに、そのことによって就業入口がどれだけふえるかということを、これまた産業連関表等で、そのほか労働省の資料等で調べておりますが、それによりますと、所得税減税は十四万三千五百人の就労労働者の増加をもたらす。公共投資は一方的に建設業等に偏って、その就労人口の増加は十三万五千二百人で、所得税減税に比べると、逆に劣るという結果が出ているわけであります。 そういう点からいいますと、決して所得税減税の生産誘発効果というか、景気に与える影響は公共事業に比べてそうそう劣るものではないということで、お断りしておきますが、私どもは公共事業をやめろというようなことは言っていないのです。公共事業と所得税減税のバランスをとることが必要ではなかろうか。 特に公共事業の場合には、予算委員会でも御答弁があったようですが、大規模なプロジェクトのみに集中しますと、それは大きな企業だとか、鉄鋼、セメント等に生産誘発効果が偏りますが、生活関連の住宅とか学校とかあるいは福祉関係の施設とか生活道路に回しますと、それは中小企業にも仕事が回って、そういう意味で違った効果を発揮する。両々相まってやはり景気浮揚を目指すというような選択肢も必要ではなかろうかということで、特にきょう私が申し上げますのは、日本総研という財界の住友系の研究論文でもそういうことを言っているということを申し上げまして、私どもは残念ながら除く共産党で入っていないようでありますが、所得税減税について三月末ないしは四月初めから間もなく協議が開始されるということのようでございますから、総理のお考えの一端に私が今申し上げたようなこともインプットしていただきまして、総理も共産党の赤旗に載っておる何かでは御採用しにくいかもしれませんが、住友系の日本総研も言っておるということでは多少心も和らぐのではないかということで、あえて申し上げた次第であります。 時間が参りましたので、御感想を承って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○宮澤内閣総理大臣 ただいまいろいろお話承りまして、私はおっしゃいますことが全く間違っているというような気持ちで伺ってはおりません。 ただ、モデルでございますけれども、今の日本の経済を前提にしてモデルでそこらを計算するまでにモデルというものは実は発達しておりませんので、ある意味で一般論ということになるのではないかと思っております。決しておっしゃることは初めから間違っているというような気持ちでは伺っておりませんけれども、ただ平成五年度の場合は、私はやはりだんだん雇用に不安がありそうに思いましたものですから、殊に地方に不況が波及いたしましたときには、公共事業を地方でもやってもらうことが一番雇用には手っ取り早い効果があるというようなことも考えておりまして、それで公共事業、中央地方の公共事業の方を選択をいたしたのでございました。おっしゃいましたようなことは全く荒唐無稽でございますというようなことで申し上げるつもりはございません。
○正森委員 これで終わります。
○藤井委員長 中井洽君。
○中井委員 総理にお尋ねをいたします。既に各党から幾つか同様の質問が出ていますが、私もロシアに対する援助の問題、このことについてお尋ねをしたいと思います。 ロシアのこういう現状の中で、にわかにフランスやらアメリカから、エリツィンを助けるために、こういう声が上がってまいりまして、外務次官もあしたお戻りになるとか、あるいはG7、七カ国蔵相会議が行われるとか、いろいろと対応が取りざたされているわけであります。もちろん民主化を進め、自由主義経済に進もうとしているロシアを助けるということについては、私どもは結構なことだと考えております。しかし、どうもエリツィン大統領を助けるということがマスコミの報道等で前面に出てきておる。まあ大統領の選ばれ方とロシアの議会の選ばれ方が随分違いますから、そういう意味ではそうかなという思いもありますが、ここら辺の微妙なところがあろうかと私は考えております。 ロシアの民主化あるいは自由主義経済への着実な努力、こういったものを助けるという意味ではいいけれども、エリツィン大統領がいなければそれらができないんだ、後退するんだという発想で西側諸国が叫んで、日本もそれに引っ張られて援助をやっていくというのはどうだろう、こんな思いを持つのですが、総理のお考え、お尋ねをいたします。
○宮澤内閣総理大臣 先ほどもお答え申し上げましたが、ロシアがその政治、経済、外交において、いわゆる我々と価値観を同じくする方向に向かっていってもらうことがお互いのために非常にいいことだということから、それを支援をいたしてまいりましたし、これからもそういたそうと思っております。 エリツィン氏が今まで先頭に立って努力をしてこられた、また民主的な選挙によって選ばれた大統領であるということも事実でございます。しかし、問題はロシアがそういう方向に向かって進んでくれることが大切なことでございまして、今の問題を加えまして、だれがそのかじ取りをするかというようなことは、しょせんはロシアの国民自身が決めることでございますので、その点は二つのことを混同して考えるようなことは注意しなければならないと思っております。
○中井委員 もちろん私どもは北方領土のことを考えないわけではありません。しかし、今のロシアの政治状況からいえば、なかなか北方領土を返すというのはだれがやっても難しいことであろうか、やはり安定をしないとなかなかそこまで踏み込めないかなという思いも持っております。 しかし、フランスやらドイツやイタリアは、やはり国境を接していますから、難民を出すということに対して猛烈な恐れを抱いている。ドイツも、できる限り東ドイツを戻してもらうという意味でお金を出した、もう限度いっぱい使った、出すところがない。アメリカはアメリカで、やはり核兵器の処理あるいは核兵器が分散をしてしまうということを恐れておる、そして出すべきだ、こういうことであろうかと思います。 日本がこの二つのことで本当にロシアに対してヨーロッパ諸国やアメリカ以上にお金を出さなきゃならないか。どうもここ二、三日の各国首脳のマスコミに報じられる言葉を聞いておりますと、日本がちっとも出していない、こういうことだけが伝わって心配もいたしております。もしそういう会議を通じて出すというのなら、日本が核兵器でロシアに対してどういう処分を求めるんだとか、そういったことが要るのかな、こんなことを思いながら質問をしておるのでありますが、総理大臣、この二点についてはいかがですか。
○宮澤内閣総理大臣 現実の問題といたしまして、エリツィン大統領が今日までロシアを先ほど申しましたような方向に引っ張ってこられたことは確かであったと思いますし、その路線が抵抗に遭っているということもほぼ間違いのないところでございますから、私どもとしては、だれということを申しはいたしませんが、そのような路線をロシアがさらに進んでくれることが望ましいと考えておることは事実でございます。 そこで、現実にはしかし、例えばIMFの仲介というものがなかなかうまくまいりませんし、また、債務のリスケジュールというものもちょっと得とんしておるといったようなこと、それから、軍民転換でありますとかあるいは核兵器の処理でありますとか、原子力発電所の危険性の防止であるとかいったようなことで、いろいろ支援をすることが我々自身にとっても有利であるという点は多々ございます。 かたがた、エリツィン氏が唱道しておられます法と正義に基づいて領土問題を解決しようという考え方は私どもと思いを同じくするところでございますので、そういうこともあわせまして我々としてなし得る援助をやっていきたい。もちろんドイツは、これは特別な関係にございましたから、それと比肩し得るようなことが我々にできるとは思いませんけれども、できることはやってまいりたいと思っておるわけでございます。
○中井委員 ロシアが本当にうまく軌道に乗って経済が順調に回り出すのにどのぐらいかかるのだろう。いろいろな方にお尋ねをしますが、大体五十年と言う方もいらっしゃれば百年と言う方もいらっしゃる。専門家は大体かなりかかるのじゃないかと言われるわけであります。私どもも旧の共産圏を見させていただいてこれは大変だなという思いを持っております。したがって、その国その国に合った自由化あるいは自由競争市場に向かっての復興、こういうものがあろうかと思うのです。 ところが、見ておりますと、どうもアメリカやあるいはヨーロッパの一部の国々は共産主義に勝った、自由主義が勝った、だから一遍に自由主義でいくべきだといってちょっと急ぎ過ぎるのじゃないか。また同時に、ゴルバチョフさん、エリツィンさんときましたけれども、対外援助をもらうには思い切った自由化政策をやらざるを得ないということでお急ぎになり過ぎるのじゃないか。この急ぐことが実情とかけ離れてなかなか国内の政治経済が安定をしないのじゃないか、私どもは心配をしております。 かつて日本も大変な努力をして今日までの国をつくりましたが、やはりこれは戦争で負けた、けちょんけちょんに負けたんだ、この反省からみんなで頑張った。ロシアだって、人々は我慢強いし、また指導者に従ってやっていくといういい面を持っていると思うのですね。ところがそれが余り急ぎ過ぎる。急ぎ過ぎるのはロシア自身が、指導者が急いでいるということもあるが、アメリカやらが急がせているのじゃないか。 私ども日本はお金を出す、あるいは世銀、欧州復興開発銀行等を通じてお金も随分出しておる。そのときに日本の言うことは、やはりその国の実情に合った、もう少しスピードをダウンした自由主義経済への移行、こういったことを言うべきじゃないかと私は思いますが、総理大臣いかがですか。
○宮澤内閣総理大臣 それは確かに、少なくとも七十年やってきたことをほとんど逆の方向に向かっていこうというのでございますから、それはもう容易なことではない、これは初めからある意味でわかったことでございまして、援助をする方も当然それなりの忍耐を持ちながら援助をしなければならないということであると確かにそれはそう思います。大きな目で見まして、ですから、一直線にそっちへ向かって進むというわけにはいかずに、いろいろジグザグのコースをとりながら、それでもそっちへ向かって進んでくれることが何より我々としては歓迎をする、そういう気持ちでおらなきゃならないだろうと思います。
○中井委員 アメリカやヨーロッパに引っ張られるだけじゃなしに、日本独自の発想の中でサミット議長国として対ロシア問題をリードしていただくように要望をいたしておきます。 次に、公共事業問題それから減税問題、こういうことで総理のお考えをお尋ねを申し上げたいと思います。 当委員会でも何回ももう議論をしたわけでありますが、景気対策として公共事業の方がはるかに効果が多い、こういうことで今日までまいったわけであります。しかし、公共事業にも私は幾つか問題が出てきておると思わざるを得ません。 その一つは、昨年十兆数千億の景気対策をやったわけでありますが、公共事業がもう多過ぎてこなし切れない。これは国会の通過がおくれたということだけじゃなしに、景気対策の公共事業ということで幅が決まっておりますから、担当等がもう処理し切れない、こういう状況の中で一兆六千億の繰り越しがあるわけであります。ここらを考えたときに、公共事業のあり方というのはもう少し考えるべきじゃないか。 同時に、過去数年間は景気対策の公共事業というものは土地の売買を含まない、土地の売買をしたって土地投機になるだけだし、また同時に銀行預金につながるだけだ、こういうことで、土地の要らない公共事業でやってこられたはずであります。しかし、昨年の景気対策につきましては、政府の公共事業の中で千五百億円、あるいは公団公社等で二千五百億円、あるいは地方事業で一兆円の土地の購入費が入っておるわけであります。減税が預金に回るだけだという議論が盛んにこの委員会でも行われましたが、この土地売買だって預金に回るだけであります。また、土地売買といいますか土地の買収、これはGNPにも換算されない数値であろうか。そういう意味で、公共事業だけで本当におっしゃるような景気対策というのがいくのかということがあります。 もう一つは、公共事業をやればやるほど、大変失礼だけれどももうかる人がいるじゃないか、これが世間一般の今日の受けとめ方であります。金丸さんのああいう問題、あるいは地方にいろいろと公共事業をめぐる汚職問題、公共事業をふやせばふやすほどそういったダーティーなところへのはね返り、プラスが出てくる、こういう反発もあろうか、このように思います。 それから四つ目には、この公共事業は、冒頭申し上げたように、非常にやることがなくなってくる。そうすると、処理をするために溝を直したりガードレールを直したりがけを直したりと、非常に何の意味がある公共事業だというのが現在行われているわけであります。地方でも中央でも、道路をちょっと走ったらもう全部工事中、片側通行、物すごい交通渋滞を巻き起こしております。これらの公共事業が本当に将来六十年たって子孫が返すときに、ああいうものをやってもらったから返すんだ、こういう思いで使われたお金と言えるかどうか、こんなことを考えると、私は公共事業一辺倒の景気対策というのはどうか、減税というものも当然あわせ考えるべきだと思いますが、いかがですか。
○宮澤内閣総理大臣 先ほど生活大国との関連で他の委員から御質疑がございましたけれども、我が国自身は、住宅はもちろんでございますけれども、いろいろな意味でのインフラストラクチャーというのはやはり非常におくれておるわけでございますから、殊にこれから高齢化社会に入ることを考えますと、やはりこの際やらなければならない中央地方の公共事業は私は非常に多いのだと思います。ただ、それがおっしゃいますようなむだ遣いにならないように、また、いろいろな設計能力であるとか等々の不足の問題等々、よく注意しながらしなきゃいけませんけれども、私は、インフラストラクチャーは十分にしなければならないことがたくさんあるんだというふうに実は考えております。 ただ、おっしゃいますように、経済政策というのは公共事業だけではございません。いろいろなものをミックスしていかなければなりませんので、それは一概に、減税はだめで公共事業だけでいい、そういう簡単なふうに私は考えておるわけではありませんで、やはりいろいろな政策減税の問題もございましょうし、いろいろなものをあわせて考えていくということは大事なことだろうと思っています。
○中井委員 三月の四日に与野党協議をする、こういう形になりました。私どもは大いに議論をすればいいと考えておりますが、一向に話し合いというものはなされずに、三月の二十九日にセットがされたと聞かせていただいております。そういたしますと、先ほどから宮澤総理のお話を聞いていますと、自民党さんはこの席に補正予算的に考えておられる景気対策をお出しになって何とかこれでと言って、総理は四月十六日にアメリカに行っちゃう、こういうことかなと私どもは実は少し不信の念を持たせていただいております。 減税をやるかやらないか、どういう景気対策をやるか、与野党協議の中で十分な議論がなされるように自民党総裁としても努力をいただきたい、このことを御要望して質問を終わります。
○藤井委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○藤井委員長 この際、本案に対し、渡辺嘉藏君外一名から、日本社会党・護憲民主連合提案による修正案が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。渡辺嘉藏君。 ――――――――――――― 租税特別措置法の一部を改正する法律案に対す る修正案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○渡辺(嘉)委員 租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出をさせていただき、その提案の理由を申し上げたいと思います。 ただいま議題となりました日本社会党・護憲民主連合提出の租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。 政府案においては、地価等土地対策との整合性を図りつつ、住みかえによる居住水準の向上を図ること等を目的に、居住用財産の買いかえ特例の復活が盛り込まれております。しかし、この特例の復活は、その掲げられた政策目的に矛盾する作用を伴わざるを得ないと言わざるを得ないのであります。 前回、八八年に買いかえ特例が廃止されたのは、政府の言葉をかりるなら、地価高騰の波及を抑制する見地からであり、また、朝令暮改となる特例の復活は再び地価高騰を惹起するおそれがあるとした政府のこれまでの姿勢も、正鵠を得たものと社会党は支持する立場をとってまいりました。 しかるに、地価が適正水準に達しているとは到底思われない時期に、地価の下支えにつながる可能性を否定し切れない特例の復活を行うことは、生活大国実現に向けた意欲が問われるだけでなく、政策上の整合性も著しく欠くと指摘せざるを得ないのであります。さらには、この間、政府みずからが土地税制は安定的であるべきと力説し、安易な土地税制の変更は税制緩和の期待をいたずらに高め、かえって土地の売り惜しみを招くと警鐘を鳴らしてきたのでありませんか。二年間の暫定措置となっている説得的な理由をいまだ政府が明確にできないでいることもゆゆしき問題と言わざるを得ないのであります。 また、この特例は、第二次取得者に限定されるものであり、マイホームを初めて持とうとする人には恩恵は及びません。通常の買いかえなら現行の三千万円の特別控除で十分なのは、九一年度実績を見ても、資産譲渡者のおよそれ割がこの枠内におさまっていることからも明白であります。現時点における買いかえ特例の復活は、その求められる条件を見出せないばかりではなくて、税制に期待されている公正、公平、加えて簡素化の理念を侵食するものと断ぜざるを得ないのであります。 よって、租税特別措置法の一部を改正する法律案より居住用財産の買いかえ特例をうたった部分の削除を求める修正案を提出した次第であります。 皆さんの御賛同を切にお願いいたします。(拍手)
○藤井委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○藤井委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。正森成二君。
○正森委員 私は、日本共産党を代表し、政府提出の租税特別措置法一部改正案について反対の討論を行います。 第一に、相変わらず大企業優遇税制を温存した上、新設、拡充までしていることです。 特に、製品輸入促進税制の緩和、拡充は、論議でも明らかになったように輸出大企業への減税そのものです。また、逆輸入にも適用されることから、大企業の海外進出、空洞化戦略を促進し、税制面から国内下請中小零細企業の切り捨てを進める効果を持ち、不況対策にすら逆行します。環境・省エネ、研究開発、情報産業対策、証券活性化等の税制など、現行の大企業優遇措置の不公平税制も拡大しています。その一方で、財源不足対策として、主として中小企業に負担を強制する赤字法人課税を行おうとしています。 第二に、米輸入自由化を前提に、政府の新政策を推進する税制上の措置を盛り込んでいる点です。 政府は、昨年六月発表した新政策で、米輸入自由化を前提に、我が国農業を支える九割の中小農家を切り捨て、これらの農地を少数の大規模農家と農業法人等の大規模経営体に集積させようとしています。改正案はこの新政策を税制面から推進する数々の項目を含んでおり、賛成できません。 老人マル優の一部拡大、相続税減税、住宅取得促進税制の対象拡大など賛成できるものも一部ありますが、本改正案は大企業優遇税制措置の温存、拡充が中心で、農業新政策推進税制もあり、我が党は全体として反対であります。 さらに、改正案にあらわれない問題で容認できないのは、不良債権買い取り機構を通じた大銀行くの減税措置であります。 国税当局は、金融機関が買取機構に不良債権を売却した場合、当初設定した資産評価額との差をそのまま是認し、税務上損金算入するという特別扱いを行いました。この売却は、あくまで暫定的に不良資産の評価額を見積もっているのにすぎず、実際に資金も土地も動くわけではありません。後日、本当に売却されたときの売却損益は銀行に帰属することになっており、確定前の仮の売却評価損をそのまま認めることは異例中の異例であります。この措置は、バブル時代、金融機関が投機的につり上げた担保設定をそのまま容認し、減税額を水増しするものでもあります。そもそも、損金が確定しない時点で損金算入しようとするのは、会計学上の通説や国際的な会計原則、税制の公平原則に照らしても通用するものではありません。 この特別扱いによって、九二年度内だけで約一千億円の減税となり、今後数兆円以上もの処理をするとなれば、それこそ莫大な減税となります。政府による事実上の公的資金の導入そのものと言わねばなりません。大銀行にこのような救済大減税を行いながら、一方では国民に不況打開のかぎである所得税減税をしないというのは、全く本末転倒ではありませんか。 最後に、社会党提出の修正案について一言申し上げます。 買いかえ特例措置には提案者の指摘するような問題も確かにあります。しかし、今度の復活は限定的で一定の歯どめがかかっていること、またこれを待望して住みかえを考えている人も相当いることなど、総合的に考慮する必要があります。修正するのであれば、さきに私が指摘したような、もっと大きく重要な大企業優遇措置こそ問題にすべきで、それらを不問にし、買いかえ特例だけを問題にする態度には同調できないことを表明しておきます。 以上で私の反対討論を終わります。
○藤井委員長 これにて討論は終局いたしました。 ―――――――――――――
○藤井委員長 これより租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、渡辺嘉藏君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○藤井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、石原伸晃君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。石原伸晃君。
○石原(伸)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 公平・公正な税制を確立し、税制に対する国民の信頼を確保するため、引き続き、不公平税制是正の取り組みについて格段の努力を行うとともに、資産に対する適正な課税を推進すること。 一 政策目的を終えた、又は、政策効果の少ない各種準備金・特別償却等の租税特別措置については、今後とも徹底した整理合理化を進めるとともに、引当金のあり方等について引き続き検討すること。併せて、赤字法人、公益法人課税に関し、社会的役割及び応益の観点等を踏まえ、課税方式を引き続き検討すること。 一 居住用財産の買換え特例については、昭和六十三年に廃止に至った経緯にかんがみ、地価の動向も含めて実施期間中の適用状況に十分注意しつつ、今後とも、土地政策との整合性を損なうことのないよう留意すること。 一 土地問題の根本的解決へ向けて、適正な地価水準の実現と地価高騰の再発防止が必要不可欠であるとの観点から、土地基本法の理念の下、土地に対する税負担の公平を確保しつつ土地政策に資するため、地価税制度の定着を図るとともに、地価税の創設に伴う増収分の使途については、創設時の論議、その他の諸事情を踏まえ、引き続きその具体的内容を検討すること。 一 利子及び株式譲渡益に対する課税のあり方については、課税の公平・適正の観点から引き続き検討を行うこと。また、いわゆる老人等マル優及び財形貯蓄の非課税制度については、非課税限度額を含むそのあり方につき、それぞれの政策目的及び適切な利子課税体系に配意しつつ、適宜検討を行うこと。 一 未成年者の飲酒防止等の観点から、酒類業界が今後とも適切な対応に努めるよう指導すること。 一 自動車関係諸税については、社会経済情勢等の推移に即応しつつ、そのあり方について幅広く検討すること。 一 変動する納税環境の下で、業務の一層の複雑化・国際化に対処しつつ、税務執行面における負担の公平確保の見地から、複雑・困難であり、かつ、高度の専門知識を要する職務に従事する国税職員について、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、今後とも処遇の改善、職場環境の充実及び定員の一層の確保等につき特段の努力を行うこと。 一 納税者意識の向上のための啓発活動の充実及び納税者の応接のための庁舎環境の改善など納税者サービスの一層の向上を図るよう努めること。 以上であります。 何とぞ御賛成賜りますようお願い申し上げます。
○藤井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。林大蔵大臣。
○林(義)国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。 ―――――――――――――
○藤井委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし]と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ――――◇―――――
○藤井委員長 次に、内閣提出、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 趣旨の説明を求めます。林大蔵大臣。 ――――――――――――― 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す る法律案 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律 の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○林(義)国務大臣 ただいま議題となりました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 まず、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率、減免税還付制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 第一は、関税率等の改正であります。 昨年九月の日米乳製品・でん粉等協議の合意に基づくポテトフレーク等の関税率の引き下げ、石油に関する国内の規制緩和に対応した重油の関税割り当て制度の廃止等を行うとともに、平成五年三月末に適用期限の到来する暫定関税率の適用期限を延長する等所要の改正を行うことといたしております。 第二は、減免税還付制度の改正であります。 原子力研究用物品等の免税制度について、適用実績がなくなったことから廃止するとともに、平成五年三月末に適用期限の到来するそれ以外の関税の減免税還付制度について、その適用期限を延長することといたしております。 以上のほか、最近における郵便物等の輸入の急増に対応し、輸入通関の迅速化等を図るため、課税価格が十万円以下の少額輸入貨物に対する簡易税率制度を新設するとともに、所要の規定の整備を図ることといたしております。 次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。 国際開発協会、いわゆる第二世銀は、加盟国からの出費金を原資として、特に貧しい開発途上国に対して、極めて緩和された条件で融資を行う国際開発金融機関であり、これら開発途上国の経済社会開発の促進に大きな役割を果たしてきております。 国際開発協会は、設立以来九次にわたり増資を行ってまいりましたが、このほど、今後三年間の融資財源を確保するため、第十次の増資を行うことが合意されました。政府は、開発途上国の経済社会開発における国際開発協会の役割の重要性にかんがみ、その活動を積極的に支援するため、この合意に従い、追加出資を行いたいと考えております。 本法律案の内容は、政府が国際開発協会に対して、従来の出資額のほか、四千七百十五億九百七十四万円の範囲内において追加出資を行い得るよう所要の措置を講ずるものであります。 以上が関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○藤井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○藤井委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。
○仙谷委員 仙谷でございます。まず、関税定率法、暫定措置法関係についてお伺いをいたしたいと存じます。 今回の改正の中で、いわゆる重油について関税の割り当て制度を廃止する、それからこれを一般の税率化という、一般の税率で関税化するという方向に改正をされたということなのでありますけれども、この理由と趣旨、あるいはその意味するところをお聞かせいただければと存じます。
○米澤政府委員 お答え申し上げます。 我が国の石油産業は、従来から各種石油製品の輸入を抑えて、原油を処理して供給する方式、いわゆる消費地精製方式を基本としてまいりました。そうした中で、石油製品全体の需給バランスを確保して、安定的な石油の供給を図っていくため、通産省の方で原油処理指導により、連産品でございます各種石油製品の生産量を調整する一方、石油製品需要の相当部分を占めていた重油の輸入量を調整してこられたところであります。その一つの手段といたしまして、重油の関税割り当て制度は、昭和四十七年度に重油の輸入自由化が行われました際に、輸入量調整を的確に行っていくために導入されたものでございます。 しかしながら、昭和六十一年に特定石油製品輸入暫定措置法が施行され、これまで行われてこなかったガソリンなど石油製品輸入を石油精製会社が本格的に行うようになりまして、こうした需給環境などの変化を受けて、石油産業に対する一連の規制緩和措置が通産省の方で行われてまいりました。その最後として、昨年三月末をもって原油処理指導が廃止されましたことにより、各石油精製会社はそれぞれの判断で生産、輸入を行い、みずから需給調整を図るようになったものでございます。 こうした状況のもとでは、関税割り当て制度はその存在意義が薄れるとともに、場合によっては各社の自由な判断の障害にもなりかねないといった事態になってきております。また、そもそも関税割り当て制度そのものにつきましては、関税率審議会におきまして、安易にその存続を認めることなく、絶えずその見直しを行うべき旨の指摘がたびたびなされているところでございます。 以上のような状況を踏まえまして、重油の関税割り当て制度につきましては、本年度末をもって廃止し、一般税率に移行するよう法律改正をお願いしているものでございます。
○仙谷委員 そこで、一般税率へ移行されますと、国内の需給関係が、以前オイルショックのときに、あるとかないとか、足りるとか足らないとかいう話があって、混乱をしたこともあったやに聞いております。この税率の設定とその需給関係の安定化といいましょうか、これについて、関税局の方でお考えがございましたらお述べいただきたいと存じます。
○米澤政府委員 お答え申し上げます。 現在、一次税率によりまして輸入されております重油は、ほとんどが国内生産のみでは供給が不足する電力用の低硫黄重油でございますが、当該重油につきましては、これまでと同水準の関税率を設定していることといたしておりますので、関税割り当て制度廃止後においても、関税率の面から輸入のインセンティブには変化がないものと考えられます。
○仙谷委員 いずれにしましても、国民の生産活動あるいは生活に直接関係をしてくる重油といいましょうか石油の話でございますので、今後とも十分注意をして関税の運用をしていただきたいと要望しておきます。 続きまして、関税当局の職員の労働条件といいますか、いろいろな環境変化に対応する措置でございます。 ちょっと統計を拝見いたしますと、昭和五十六年から平成四年というところで指数を見てみますと、五十六年を一〇〇といたしますと、輸入の許可が二七七程度、入国旅客の数が二五九、輸出許可が一六三と飛躍的に件数が増大をしておるようでございます。それから、いわゆる国内に入ってきてはならないと思われる銃砲、不正薬物、こういうものも、平成四年は少々減少しておる物品もあるようでございますけれども、向精神薬と言われるようなものは飛躍的に税関で摘発がなされておるような数字も出ておるようでございます。 こういういわば複雑になったり、あるいは密輸とか、こういう不正な物品の日本国内への搬入という観点では、手口が巧妙になったり、現場は大変な状況になっているのではないだろうか、こういうふうに私どもは考えております。税関職員の労働組合の方からも、悲鳴がよく我々の方に聞こえてくるという状況でございますので、この点、関税当局の御認識と今後の対応策について、簡単で結構でございますけれども、お聞かせをいただければ、こう思っております。
○米澤政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、税関の業務量は毎年大変な勢いで増加してきておりますし、それからまた業務量が増加する中で、麻薬、銃砲等の社会悪物品の取り締まりの要請というものもますます高まっているところでございます。特に、世界情勢のいろいろな変化のもとで、日本に対するそうした社会悪物品の流れ込みの危険といったものも増しているところでございます。当委員会におかれましても、何度も附帯決議をいただいておりまして「中長期的展望に基づく税関職員の定員の確保はもとより、その処遇改善、職場環境の充実等に特段の努力を行うこと。」という御決議を百二十三国会においてもいただいているところでございます。 私どもといたしましては、大変厳しい行財政事情のもとではございますけれども、まず私ども自身、電算化でありますとか情報機能の充実でありますとかいった業務運営の効率化に努めるとともに、定員の確保及び職員の処遇改善に最大限に努力しているところでございます。今後ともこうした事態に備えまして引き続き最大限の努力を続けてまいりたいと考えております。
○仙谷委員 私どもも、税関の職場で過労で入院をされたりあるいは過労死が発生するというふうなことでは、ますますその職員の確保もままならないことになってくるのではないだろうかと思いますし、あるいは職場の環境が厳しければ要らざる紛争も発生するのではないか、こういうふうに危惧しておるところでございます。今後とも、職場環境あるいは処遇それから定員確保について、国会の方でもそういう観点から応援したいと存じますので、努力をしていただきたい、これも重ねて要望いたしておきます。 続きまして、貿易関係でございますので、最近のアメリカの外国企業課税強化といいますか、みなし利益課税といいましょうか、この問題について若干お伺いしておきたいと存じます。 新聞報道等を見ますと、クリントン政権が発足する前段階で、現在のベンツェン財務長官が財務長官になる前に、公聴会で、いわゆる外国企業の課税をする、あるいはそれ以前の段階では、四年間で四百五十億ドルの、五兆四千億円になるのでしょうか、外国企業課税の強化をするという選挙のキャンペーンが行われていた、そんなことも聞くわけでございます。 クリントン大統領が就任されて、二月十七日に経済政策を発表されました。その経済政策の中に含まれる移転価格税制、この外国企業に対する課税の強化というものは実態としてはどうなっておるのでしょうか、まずその点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○濱本政府委員 クリントン大統領は、昨年の選挙期間中に発表いたしました経済政策におきまして、外国企業課税強化によりまして四年間で四百五十億ドルぐらいの増収を図りたいという旨を明らかにしたと報ぜられておりましたけれども、その具体的な中身は必ずしも明らかにされておりませんでした。 新しい政権がスタートいたしまして、本年の二月に発表されました増税案によりますと、二つの柱があるように思います。一つは移転価格税制の執行強化、いま一つは過小資本税制の強化でございまして、一九九三年から九八年までの六年間で、それぞれ三十八億ドル及び六億ドルの増収を図ることとしております。 必要がございますれば、これらの中身について御説明いたします。
○仙谷委員 多分日本企業だけではなくて、アメリカの企業がアメリカ以外の地域で生産したものをアメリカに持ち込むときにも関係があるのではないだろうかというふうに推測しておるわけでございます。 この移転価格税制に係る財務省規則というものが制定をされたといいますか、されようとしているということが新聞等にも書かれておるわけでございますが、これはどんな内容で、従来行われてきた国際ルールとの関係はどんな関係になるのか、この点についてお答えいただければ幸いでございます。
○濱本政府委員 移転価格税制の執行強化に関連いたします点を申し上げればよろしいのかと存じますけれども、これは九〇年に立法されました内国歳入法に規定がございまして、増額更正を行いました場合には過少申告のペナルティーを科すという規定がその中に設けられておりました。 やや細かくなりますけれども、四百八十二条という規定がございまして、その規定によりますと、税務当局が調べてみましたところ、ネットの調整額が一年度当たり一千万ドルを超える、あるいは関連者間取引につきまして、実際に取引しておった価格が適正価格に比べて二〇〇%以上過大であるとか五〇%以下過少であるとか、そういう場合に、過少申告額の二〇%相当額をペナルティーとして科すという内容でございました。また、ネットの調整額がもっと大きくなりますと、そのペナルティーの額ももっと大きくなる、こういう仕掛けになっておったわけでございます。ただし、納税者が、取引に当たりまして合理的な理由と誠実な姿勢に基づき価格を決定したということにつきまして証明をしました場合には、そのペナルティーを免れるということになっておったわけでございます。 今回財務省により発表されました改定内容について申し上げますと、納税者が今申し上げましたペナルティー免除の要件を満たしますためには、文書によって自己の取引が一定の独立企業間の価格算定手法に基づいた適正なものである旨を証明する、そういう証明文書を準備する必要があるという内容でございます。その文書自体の中身の詳細というものはまだ明らかにされておりません。
○仙谷委員 この点については従来からOECDで合意があるというふうに聞いておるわけでございます。それから、今お答えになったわけでございますが、財務省規則で比較可能利益法という、何か比較対象企業を選んで、そこでの利益率といいますか利益を判定した上で、この程度利益があるはずだということでどうも課税をしようとしておるのではないだろうか、こんなことも考えておるわけでございます。 また一説には、どうもアメリカは日本の貿易黒字あるいはECとの関係において、ある種の輸入制限を関税あるいは量的規制ということでやるのではなくて、この移転価格税制をフルに使って実質上の輸入に対する抑制をするのではないか、今そういう見方も出ておるように私は聞いておるのでございます。 その点につきまして、日本の税務当局といいますか日本の立場からして、あるいは日本の国益というような観点でなくて公正な自由貿易のシステムを維持するという観点から、こういう移転価格税制というものがOECDならOECDの基準に照らして間違っている、あるいはOECDの中で議論をすべきだというふうな考え方は大蔵省の方でもおありになるのでしょうか。
○濱本政府委員 前段お話がございました点でございますけれども、移転価格税制の具体的な適用に当たりまして、従来から幾つかの手法が既に考えられておりまして、例えば比較可能独立価格法、これは同様な状況におきまして法人が非関連者との間で行った同種商品の取引価格から独立企業間価格を算定するというわかりやすい方法でございますけれども、以下、再販売価格法でございますとか原価加算法でございますとか、そういった幾つかの手法というものが認知されておったわけでございますけれども、それだけでなくて、コンパラブル・プロフィット・インターバル、CPIと称しておりましたけれども、比較対象利益比準法という別途の方式をさらに持ち込む、それをどう位置づけるか、その優先劣後の関係等においてどう位置づけるかという議論が出てまいったわけでございます。 そういう議論につきましてはOECDの諸国も同じように関心を示すわけでございまして、我が国それからOECDの他の諸国とアメリカとの間でいろいろな議論が行われてきたことは事実でございます。 ただ、それにつきましてOECD側の意向もアメリカに伝わり、アメリカもまたそれを受けていろいろ考えるというプロセスをたどってきているわけでございますが、今先生がお話しになりました最後の部分に関連いたしまして、貿易問題との関係でどういうことであるのかということでございますが、先ほど仙谷先生、最初のところでお示しがございましたように、アメリカの移転価格税制というのは、実はむしろ、事の起こりは、主としてアメリカ系の企業の所得の海外移転に対してアメリカ政府としてどう対応するかということから起こってまいりまして、一九八〇年代の後半になりまして、今度逆に外資系企業の納税水準、アメリカの国内における納税水準がアメリカの企業に比べて低いということが意識され、問題視されるようになってきた。 今回の改正の動きというのは、そういう外資系企業に対してもその執行を厳格に行う必要があるという認識のもとにとられている措置あるいは行われている議論なのでございますけれども、そういう系譜をたどってきておりまして、そういう資本の出入りあるいは物の出入りというものについて、アメリカの立場としては、入ってくるものと出ていくものと両面を押さえる形でこの問題を考えてきたわけでございます。 したがいまして、例えば米国側が貿易赤字の削減というか、貿易取引そのものの今の状況というものを意識して何かこの税制で事を図るというような感じの論議、そういうことに関連づけた論議というものは、今までのアメリカの主張からは私どもは聞いておりません。
○仙谷委員 その種の話、それからこれはもう三年も前になるわけでありますが、以前この委員会、で正森委員の方からも援用してお話があったと思いますが、今副財務官をなさっておる黒田さんが「米国の外資課税強化に反論する」という論文をお書きになっている中で、「日米構造問題協議の中間報告においては、米国側のイニシアチブとして日米両国企業間の無差別待遇を規定した租税条約が結ばれていることが再確認されたことは非常に意義がある。」というふうに書いていらっしゃいます。ただ、こういうふうに書いていらっしゃるということは、つまり無差別待遇にならない危険性も相当あるのではないだろうかということで三年前から危惧を、警鐘を鳴らしておるということではないだろうかと思います。 それで、いろいろクリントンのこの外国企業課税強化については、揣摩臆測のたぐいもありましょうし、いろいろ斜めから見て物を言う人もありましょうけれども、現実に日本のこの貿易黒字一千百億ドルという額については、アメリカから見て余り気持ちのいい感じを持ってないことも間違いないわけでございまして、ただ、そこのところをどういうふうに整理していくのかというのは、日本側の問題でもあると同時にアメリカ側の問題でもあるということで、いろいろな手段が使われる可能性もある。戦後世代でございますので、ドライにやってくる可能性もある、こういうふうに考えておいた方がいいのではないだろうかと思います。 この点はまさに、先ほども申しましたけれども、日本の国益という観点からだけではなくて、余り特異な税制で貿易障壁といいますか、輸入障壁になるようなことをアメリカがやらないように、日本の大蔵省といいましょうか、税務当局もひとつ頑張っていただきたいということを申し上げて、この問題を終わります。 それで次に、景気動向がいろいろかまびすしいといいますか、きょうあたりですとマネーサプライがやや上向きになってきたのではないだろうかという新聞記事も出ておりました。それから、株価が一万八千円に戻ってきたというふうな状況もございます。 ただ、依然として私は、設備投資が昭和六十三年からは甚だ行き過ぎた。私が今持っておる資料で見ましても、いわゆる産業構造転換法という法律で過剰設備を廃棄した業種、つまり五十八年から六十二年までに廃棄した業種が、六十三年から一挙に二けた台の設備投資を三年間あるいは四年間行って、そして能力増強を甚だしく行った。自動車産業などは、乗用車については大体バブル期の頂点のところで三百万台の生産能力から六百万台の生産能力になってしまったというような、いわばある種見境のない投資が行われたことが現在の景気回復のおくれにつながっておるのではないだろうかというふうに感じておるわけでございます。後でまとめて大蔵大臣にもお答えいただきますけれども。 そしてもう一つは、当然のことながら、金融といいますか、土地でございます。この土地問題というのは、土地に対するある意味では過大な投資というものが、大げさに言いますと現在の金融恐慌的な議論を生んでいるというふうに思います。余りにも土地を信用創造のネタにし過ぎて、そこに過大な融資をして、それが焦げついておるというのが現在の不良債権問題ではないだろうか、そんなふうに私は思っております。 そういう意味では、私は地価税の問題というものもあるいは金利政策というものも少々、いずれにしても遅きに失したのではないか。これは感じでございますけれども、半年から一年、一年半ぐらい以前の、二・五%の公定歩合を締めるのがおくれたのではないか。それから、国会の中でもあるいは政府の対策としても、地価税のような保有コストを適正に土地の所有者あるいは保有者に課するそういうシステムの導入が半年から一年おくれたのではないだろうか。結局、導入したときには実体経済の方はどうも収益還元価格と投資とのバランスにミスマッチが起きて、もう既に景気は下降線を下り始めておって、我々が予期した以上の地価税効果なのかあるいは金融引き締めの効果なのかわかりませんが、つまりなだらかに土地が低下しないで急激に下落をしておる、こんな状況でないかなというふうに私は思うわけでございます。 ところが、地価税の答えだけで結構なんですが、どうも昨年年末の自民党の税制調査会の議論を私どもが横から見ておりますと、何かもう既に地価税は役目が終わって、これを亡き者にしようという声が相当大きい声として聞こえてきたように私は理解しておるわけでございます。平成二年の末の自民党税調の中では、土地を要するに信用創造のネタ元にし過ぎたという反省が語られたり、土地神話を打破しなければならないということが論議をされたりしていたのに、そのたった二年ぐらい後にもう地価が下がり過ぎた、それで来年度、つまり今年年末の税制改正においては地価税についても抜本的に見直すことを検討しなければならないというふうな議論がなされているというのを見まして、これはこれはまた気の早いといいますか、定見のないというふうに思ったわけでございます。 こういう動きにつきまして、大蔵大臣、どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○林(義)国務大臣 私に対する御質問は二つあったと思いますが、設備投資が非常にふえているんじゃないかな。確かに八八年から、バブルの時代にエクイティーファイナンスなんかで非常に企業が資金調達が楽になった。伝統的な考え方によりますと、企業の設備資金は銀行借り入れでやるというのが、そういったいわば自己資本調達というような格好ができるという形で二けたぐらいの伸びをもたらしたということは、私は事実だと思います。 そうした形でありましたから、設備に相当に向かったということも事実でありますのでき過ぎだから、今ちょっとその反動食っちゃって、今伸びてない、こういうことでありますけれども、私は、これからどうなるかというのを見れば、必ずしもそのままで、落ちたままになっていることはないんじゃないかなと思います。それは、これからなだらかな成長の方向へ行くならば、設備投資というのは必ず改善をしていかなくちゃならない話でもありますし、私はまた急速な伸びがあるとは思いませんけれども、やはりなだらかな形での設備投資というものは期待できるんだろう、こう思っておるところでございます。 もう一つお話がありましたのは、地価税の話でございますが、地価税につきましても、地価が非常に高騰した、そこはやはり何かしなければならない、やはり一番の元凶でありましたのは土地神話でありましょうから、その土地神話を打破していくためには土地の保有について税金をかけていくということしかないではないか、こういった形で今の制度ができたわけであります。 自民党の中でもいろいろと議論はありましたし、私も当時税制調査会におりましていろいろな議論には参画いたしましたけれども、やはりこれをやっていくということが一番大切なことだろう、こういうふうな形で大体の話はまとまってきた、こういうふうに思っておるところであります。 あるいは、いろいろな御議論があるということになりましたならば、実は土地の保有について税金をかける、こういうことでございますから、固定資産税という税金、固定資産税という形で土地の保有に税金がかかっておる、同時にまた新しい税金をどうするかという形で、二つの税金をどういうふうな形で調整していったらいいかなどというような議論があったことも事実でありますけれども、私は、地価税というのは地価税本来の制度としてこれから安定した形で動かしていかなければならないものだ、こう思っておりますし、党の中でいろいろ議論がありましたけれども、大体そういうふうな格好に落ちついてきているものだろう、こういうふうに思っているところでございます。
○仙谷委員 本年二月の初めには、経団連の平岩会長まで、どうも地価税は廃止をした方がいいのではないかと一方で言っております。当然のことのように不動産協会理事長の坪井東さんは、今度のこの地価税の申告実績における土地等保有の実態というのが発表されたわけでありますけれども、これについて「一部の法人だけが不当に高額の負担を強いられている不公平性を明らかにしたものだ」、不公平だ、こう言っておるわけですね。「地価税の課税対象土地は面積的にも極めて限定されているのに、法人・個人間や業種間の比較を行い、あたかもこれが日本全体の土地保有の実態を示したものであるかのような印象を与えるのはきわめて遺憾だ」と批判した。つまり、何か大蔵省が地価税申告の実態から日本の土地保有の実態はこうだ、あるいは高額土地の保有している実態はこうだ、こういう発表をしたことが非常にお気に召さないような話になっておるわけでございます。 こういう見解について、大蔵省の方はどうお考えなんでしょうか。先ごろ発表されたこの土地等保有の実態、これの要点を二、三点挙げていただいて、この坪井さんという不動産協会の理事長さんのコメントについての御見解を例えればと思います。
○濱本政府委員 地価税が実施されましたことによりまして、今まで我々が捕捉できなかったいろいろな土地に関する新しい実態というものがわかってきたような気がいたします。 先生は今、何点がそれを申し上げるようにというお求めでございましたけれども、例えて申し上げますと、地価税の課税対象となりました法人分の土地というのは、法人が所有しております土地全体の約六割強を占める、つまり少数の法人が我が国の土地資産の大半を有しているという実態を明らかにしているように思います。 今、全法人数は二百五十万社と言われておりますけれども、地価税の納税対象となった法人は約二万八千社でございまして、全法人の一%強でございます。この一%強の法人がどれくらいの土地を有しておるかということになりますと、その二万八千社が有しております土地の価格が四百八兆円、これに対しまして我が国の法人が所有しております土地資産総額が六百四十四兆円ということでございますから、全体の約六三・四%の土地がこの二万八千社に掌握されておるということになろうかと存じます。 それから、地価税の課税対象土地のうちで法人所有でございましたもの、これは法人の所有地と個人の所有地とに分かれますけれども、法人所有地でございましたものは約九割に達しておりまして、居住用土地を除きました一定以上の資産価値を有する土地保有は法人に偏っておるということも、これは当初論議されておったことでございますけれども、より鮮明になってきたと思います。 また、今大きい企業についてというお話が少しございましたけれども、法人の資本階級別の申告状況を見ますと、大法人に土地資産が集中している実態が明らかになってきたように思います。例えて申しますと、資本金百億円以上の企業、申告件数が全体の三%でございますけれども、この三%の企業にかかります課税価格が百二十二兆に相当しまして、全体の四割を占めているという実態も明らかになってまいりました。
○仙谷委員 いわば私どもがかねがね申しております法人資本主義の一つの端的な事例がこの土地問題でもあらわれているということだと思います。 ちょっと時間がございませんので、この土地税制に絡むもう一つの問題を申し上げます。 大蔵大臣、今、金丸さんの脱税事件というのが世上をにぎわしておりまして、私は、この事件の切り口は二つあって、政治腐敗防止といいますか、裏金、やみ金を政治家と業界の間でやめるためにはどうしたらいいのかという問題が我々に突きつけられていると思うのですね。 もう一つは、やはり一方では許認可行政あるいは税制との絡みで業界のある種の自民党何とか部会に対する働きかけや何とか省に対する働きかけ、ここにお金が動くということが、金丸さんの事件は道路とか土木工事とかそういうことで動いたんでしょうけれども、やはり大問題だと思うのですね。 私が仄聞をし、かつまた報道等でもあらわれている中に、この土地税制の絡みでは、国土庁次官だった人が比例区から自民党で選挙に出る、ほとんどの金額を、ほとんどの政治献金を不動産業界から集めて、そのお金であるいはその業界が集めた名簿で比例区の中間ぐらいにランクされて当選してきた。当選してくるやこの買いかえ特例をつくる、あるいは地価税を亡き者にしようとして不動産業界と一緒になって走り回るというふうなことがもしあるとすれば、これは広い意味での収賄的事例というふうに言っていいのじゃないかと私は思うのですね。そのようなことが日本の税制をゆがめたり、あるいは予算づけをゆがめるというふうなことはあってはならないわけでございますね。 私は今、さる元国土庁次官の政治資金の報告書を持っていますけれども、個人から集まったと称しているのは五百万ぐらいですよ。あと五億円近い金が、ここに記載されているのは一億五千万ぐらいが不動産何とか政治連盟とかなんとかいうところから集まって、あとは何か党友会費とかなんとかいって自民党に一たん納めたものの四割が返ってくるという話になっておって、それが四億円も返ってきておるわけですね。 こんなことがまかり通るようでは、昨年年末の自民党税調の中で、平成六年度改正については、地価税についてその必要性を含めて抜本的検討をするということを言っておるわけですから、地価が下がったから必要性ない、やめようではないかという話にもしなるとすれば、不動産業界と建設業界の運動が功を奏してこの税制がなくなる、こういう話になるわけでございます。多勢に無勢で、我々の方が幾ら論理的にそれがおかしいと言っても、数で押しまくられてこの税制が亡き者になるということだってあり得るわけでございます。 私は、今度のこの地価税を導入するといいますか創設したことでよかったことは、やはりある種安心して金利の引き下げができる環境をつくっておけたということだと思うのですね。 それから、バブル経済と言われる経済の反省というのは、この間予算委員会で大蔵大臣もおっしゃっていたかもわかりませんが、山高ければ谷深しといいますけれども、やはり景気循環というのは、余り極端な話が起こりますと庶民が迷惑しますから、できるだけ安定的なシステムにする、安定的な循環が景気循環としても望ましい。循環自身は避けられないにしても、波はなだらかであればあるほどいいということを考えますと、やはりこの地価税の導入というのは非常に意義があったのではないか。 とりわけこれから日本の課題が、宮澤首相の方は生活大国というふうに言っていますけれども、社会資本整備だということになりますと、社会資本整備するためには土地が安くないと、土地代に全部食われるというふうな社会資本整備というのは何をやっているのかわからないという話になるわけでございますので、そういう観点からもよかったと思います。 私の近所でもついに三、四年前にマンションが建たなくなって、つまりマンションでは、もうその家賃では入れる人がいなくなってオフィスビルになった。オフィスビルを一棟借りするような業者が相当あったわけでございますが、最近家賃が高いからどんどん出ていっていなくなりました。がらがらになっています。 それは多分貸借人の収益と家賃のバランスが合わなくなったから出ていったんだと思うのですね。地方へ出ていっていただいたとすればなおいいことだと私は思っておりますけれども、そういう状態でございまして、地価税を、もう土地がここまで低くなったからやめようなどという話はとんでもない話だ。 これは消費、所得、資産の課税のバランスから考えてもとんでもない話だと思いますけれども、経済政策を進める上についても、やはりこのような制度といいますか、このようなシステムがビルトインされている方が経済政策自身の許容範囲が出てくる、こんなふうに私は考えておりますので、ひとつ大蔵省の方でも、もし自民党税調が無理難題を言ってこの地価税を亡き者にしょうということが行われようとしても、大蔵大臣筆頭に頑張っていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。ひとつ御決意をお聞かせ願いまして、質問を終わりたいと思います。
○林(義)国務大臣 仙谷委員からいろいろなお話がございました。地価税というのは、委員御指摘のように土地政策、土地税制というか、土地の金融メカニズムに対してやはり一つのかなめ石になっているのだろうと私は思うのです。 かつての時代に土地神話というのがありまして、土地がだんだん上がっていく、買っておけば何しろよろしい、またそれを担保にして金を借りる、またそれを担保に借りた金でもって土地を買うというような格好でやっていくことがいかに経済に対して悪影響を及ぼしたかというのは、お互い身にしみて感じているところでありまして、そういった形の中でこの制度が着実に伸びていくということは必要なことだろう、私はこういうふうに考えております。 党の中で抜本的にというのも、先ほど申しましたようないろいろな諸問題がありましたし、特に固定資産税とどういうふうにするかとかという問題はあるだろうと思いますから、そういったことも含めてやるという話だろうと思っています。地価税の持っているところの経済政策的な意味については、大抵の方々の御理解を賜っているところじゃないかな、こう思っているところでございます。
○仙谷委員 どうもありがとうございました。終わります。
○藤井委員長 渡辺嘉藏君。
○渡辺(嘉)委員 ただいま議題となっております国際開発協会への二十六億SDRの出資について質問いたします。 まずSDRについてですが、御案内のとおりかねて長年の間、アメリカの国際収支の赤字とそれがための大量のドルの海外流出等によりまして、一つは国際通貨制度を不安定にしておる、あるいはまた一国の通貨によって流通するのではなくて、国際的に管理が可能な通貨を創設しよう、こういうようなことで一九六八年の五月、IMFの総会でSDRが決定をされたわけです。そして七〇年の十一月に三十五億SDRを、一ドル一SDRからスタートして配分をして、今日では二百十三億五千万SDRが配分されているわけですが、今ではこの一ドル一SDRでスタートしたものが、ドル安によりまして一・三七ドル、こういうことになっておることは御案内のとおりですが、ここで今回国際開発協会に百三十億SDR、これを出資しよう、そのうちで二〇%の二十六億SDRを日本が負担をしよう、こういうことなんですね。 そこで、その価格をドルに直したら三十六億ドル、日本の価格に直したら四千七百十五億円、こうなったわけですが、これが昨年の十二月十五日に合意をした。問題はこの金額なんですが、昨年の三月から六月までの間のレートによって算出をされた。その結果、今日のレートにこれを換算すると、約四千二百億円で済むのです。言うなれば五百億円日本は国損をするわけですね。こういうようなことについて、どういう考え方でこういう取り決めをしてきたのか、今までの慣例、慣行ということだけでなくて、日本の国益を守る立場からも問題ではないか。
○中平政府委員 ただいま先生からSDRがどのようにしてできて今日に至ったかというお話がございました。 基本的におっしゃるとおりでありますが、今回のIDAの増資交渉におきまして、増資規模を幾らにするか、各国の負担額を幾らにするかというのはおっしゃいますとおりSDR建てで議論をされました。そしてそのSDR建てで幾らにするということを決めましたけれども、各国の通貨に換算する場合に幾らの為替レートで換算するかということを、これは従来からそういうことでございますけれども、同時に決定をいたしました。各国とも昨年の三月から六月までの平均為替レートというもので換算をいたしましょうということになったわけでございます。その結果として、先生おっしゃいますように最近急激な円高もございますから、ごく最近の円の為替レートで計算したものと差が出ていることは事実でございます。 ただ、こういうようにSDR建てで決めますと同時に、各国で幾らの為替レートで換算するかというものも決定する、こういう方式を従来よりとっております理由は、IDAに対する拠出が、三年間にわたってこの払い込みを行いますし、さらにはこの払い込みは通貨代用国債、いわゆる出資国債といたしまして、それを現金化するのは非常に長期にわたって行われるということもございまして、各国の負担額をそれぞれの自国通貨の額で確定をさせまして、為替変動に伴う調整上の煩雑さを回避しようということでやってきているわけでございます。 おっしゃいますように、円高になりますれば、もし現在の為替レートで換算しますともう少し小さい額になるというようなことはあるわけでございますけれども、為替レートというのは上昇することもございますし下降することもございます。例えば、昭和六十二年、一九八八年の十一月には百二十一円十五銭でございましたが、その一年半後の平成二年、一九九〇年の四月には百五十九円九十五銭と約百六十円まで円安になったこともございます。そのように、確かにその時点時点で見ますと得が出たり損が出たりすることがございますけれども、一定の額で固定をいたしましてやっていくということが、長く続けていく場合には為替レートの変動によってその都度変えていくというよりは各国にとって便利である、こういうことで各国合意してやってきているわけでございますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 そういう計算は、かつての十六カ国の通貨でやっている時分ならともかく、今のように日米英仏独で五カ国の通貨でやるわけですから、計算は簡単なのです。そうすれば払い込みの直近三カ月とかこういうレートで、最も新しい数値で計算をして対応していく、これが一番今必要なことではないか。 大蔵省からもこれに参加して協議されたわけですが、この際今までの、もうそういう一年も前のレートでなくて、国債で払い込むわけですが、払い込むときの金額はその直近の三カ月間の平均レートで計算をするように改めるべきじゃないか。そうでなければ各国とも困る。ましてや今のようにアメリカのドルがいろいろな事情から弱含みのときに、それを補完するために設けたSDRなのですね。このSDRが余り活用されていない。部分的にしか、官しか利用していない。民間ベースでは使っていないわけなんです。この際、米ドルが世界の基軸通貨のごとく動く、これは改めた方がいい。この際はSDRで計算して国際流通性を確保した方がいいのではないか、この方が安定性があると私は思うのですが、この点についてはどうですか。
○中平政府委員 先生おっしゃいますように、SDRというものが国際的な通貨のバスケットで計算をされておりますので、ドルで、ある一国の通貨で増資の総額を議論するよりは、SDRという国際的な通貨単位と申しますか、そういうもので増資の計算をする、その合意をするということが適当であるということで先生おっしゃるとおりやってきたわけでございますけれども、それでは、今度は各国が出資をする、拠出をするという場合に、何億SDRというのでは、これを何年間に分けていきますし、そのときどきによってこの金額がそれぞれの自国通貨で幾らになるかわからないというのでは、各国、国内手続として調整が非常に煩瑣になるということで、日本であれば何億円、各国それぞれの通貨で今回は幾ら出すのだ、こういうことを決定したい。そうでないと、一年後にはどうなるか、二年後にはどうなるか、こう分けて出していきますので、そこが確定しないのでは困るという皆さんの事情がありまして、全体は先生おっしゃるようにSDRでやりますけれども、各国の拠出額、出資額は一定の換算率で確定しましょう、そうすればそれが予想のほかふえるとかいうことにならないで済む、こういうことでやってきているわけでございます。その点は御理解をいただければと思うわけでございます。 それから先生のもう一つのお話に、ドルが基軸であってこの辺を少し改めていくべきではないかというお話もあったというふうに考えておりますけれども、確かに全体として見れば、例えば日本の貿易をとりましても、かつて圧倒的にドル建てでございましたけれども、だんだん円建ての比率がふえていくというように、少しずつ通貨が国際的にいわば分散していくといいますか、特に、ドルに加えてマルクとか円というものがかなり広く使われるようになってきているということはそのとおりでございます。
○渡辺(嘉)委員 今局長のお話を聞いておると、説明はあるけれども答弁じゃないのですよ。僕がそういうふうにしたらどうか、こうあるべきじゃないかと言うことに対して、あなたは説明だけしたわけですね。これではだめなんですよ。僕は直近のレートでやるべきだ、それからSDRをもっと広げるべきだと言ったのであって、円建てでいけとは言ってないのですよ。いいですか。マルク建てでいけとも言わないのです。これはやはり五カ国の平均のバランスの中で国際流通を図るのがこれから必要だと思うので申し上げた。 しかし、これに余り時間を食っておると、あとがつかえておる人も大勢おられるので、ここで終わりますが、これはまた後ほど一遍やりたいと思っております。これについて何か補足があったらまた言ってください、答弁があったら。説明はもう要りませんから。 それから次に、金丸事件で不正の問題、脱税の問題、政治腐敗に対する政治不信の問題が出て、これは国民的な、むしろ歴史的な大きな課題になったわけです。政治献金のピンはねというか私財の蓄積、これは今までも論議を尽くされておるわけですが、またその手法として使われたのが割引債券であったということですね。この割引債と、またこれを仲介取り扱いをいたしました岡三証券、ここがクローズアップされてきたわけです。 問題は、どうしてこういう手法がとられたか。これも今までも予算委員会その他でも、この委員会でも論議されたわけですが、私は、この手法を講じた、小針さんのいわゆるサジェスチョンがあったとかいろいろなことはありまするが、要は、こういう金融機関と証券会社との間にこういう問題についての取り扱い上に差別的な扱いが行われておる、行政的に指導されておるのではなかろうか、こういうことを懸念するのですが、その点はどうですか。
○寺村政府委員 銀行と証券会社の取り扱いの差があるのではないかというお尋ねでございますが、このマネーロンダリングの防止の観点ということからいたしますと、銀行も証券会社も口座開設とか保護預かり等の継続的な取引を開始する際には、公的書類等によります厳格な本人確認を行うことが求められております。そうした継続的な取引以外の取引につきましても、三千万円以上の大口現金取引については、やはり同じように公的書類で本人確認を行うことが求められているわけでございます。この点につきましては、証券会社も金融機関も取り扱いの差がないわけでございます。 ただ、証券会社の場合に、顧客と有価証券取引を開始するに当たりまして顧客カードを作成することになっております。これは、証券会社が市場の仲介者であるという立場から、証券市場を利用する不公正取引を排除するとともに、顧客の資力等に見合わない投資勧誘を防止し、それから受け渡し不能などの証券事故の発生を防ぐといった証券市場におきます投資者保護の観点から行われているものである、このように承知をいたしております。ただこの場合、顧客カードを作成するような場合でも、三千万以上の取引につきましては、マネーロンダリング防止という観点から同じように厳しい本人確認が求められている、こういうことでございます。 ですから、マネーロンダリング防止という観点からすると、先ほど申し上げましたけれども、本人確認につきまして銀行と証券会社の取り扱いは基本的には差がない。ただ、顧客カードの作成というのが市場仲介者としての投資者保護の観点から行われる。つまり、市場の仲介者でいろいろな金融商品を扱っている、その投資者保護の観点から顧客カードが作成されている、そこの違いではないか。金融機関が、債券発行銀行が直接、単発の取引で、つまり保護預かりでもし割引債を売った場合には、これは当然本人確認になりますけれども、そうでない場合は、三千万以下はマネーロンダリングの観点から特に本人確認が義務づけられていない、こういうことでございます。
○渡辺(嘉)委員 今おっしゃったとおりで、三千万円以上は本人確認を両者とも行いましょう、ただし、これを行うことになったのは平成四年、昨年からなんですね。それからは義務規定になったけれども、それ以前は努力規定だったですね、努力規定。平成二年以前は青天井であったわけですね。 問題は、しからばその当時に証券会社はどうなっておるかといえば、証券会社の場合にはやはり一万円でも百万円でも本人確認はしますよ。ただし、平成二年六月二十八日のこの細則によりますと、現金による一取引の取引額が三千万未満の国債、金融債等の取引を行う顧客による顧客カード作成の際の本人確認は、今の公的な証明は、一応それによらなくてもよろしい、こういうふうな細則を出されたわけですね。これは大蔵省も指導並びに目を通して出したもの、こういうことですね。
○小川(是)政府委員 ただいまお話がありました本人確認の問題につきましては、証券会社につきましては仮名口座の禁止と本人確認の徹底という二つの流れがこの十数年ずっとございました。いろいろな形でこうしたものをやるようにという要請をいたしてまいりました。それが平成二年の六月にマネーロンダリングの防止という観点からこの問題を取り上げましたときに、全体として厳しい公的書類による本人確認を行う、ただし、今委員がおっしゃった場合については、この公的書類による確認まではこの際はやらなくてもいいという形になったわけでございます。したがいまして、公的書類による確認で顧客カードをつくるというのも、実はこのときに始めたものでございます。
○渡辺(嘉)委員 ここに問題があるのですわ。要するに、金融債、国債等については顧客カードを作成するときでも公的証明は要りませんよ、こういうことを示達したということは、金融債ならばそういう本人確認はなされなくてもいいのだ、これはこういうふうに抜け穴になるのではないですか。
○寺村政府委員 もともと本人確認というのは、金融債の場合、無記名債でございますのでそのような手続はなかったわけでございますけれども、昨年の七月に例の麻薬二法が施行になったということで、まさに資金洗浄を防止するという観点から厳格な条件を付した。 ただし、そのときの考え方として、継続的な取引、例えば預金取引は、一円からでも継続反復される取引については厳格にやりましょう、それから個別の現金取引、これは小さくしますとまさにいろいろな手続上実行不可能な問題もございますので、それでマネーロンダリングという観点から三千万という線を引いて、そこで初めて本人確認を行う、こういった措置になったわけでございまして、金融債でも保護預かりの場合は、やはり三千万以下でも本人確認をやる、こういうような取り扱いになっているわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 金融債、いわゆるワリシンを扱えば手数料が入りますね、証券会社なりその仲介をした人は。これは幾ら入りますか。――まあ、いいです。それなら私の方から言おう。 これは、私の調査によると、百円につき五十銭入るというのです。そうすると〇・五%ですね。そうすると、百億扱えば五千万円入るわけなんですね。 こういう前提のもとに、この金融債なら無記名である。本人確認もしない。とすれば、いいですか、平成二年以前ですよ。平成二年以前ですと、六十一年、平成元年に十億ずつ買っだということが新聞に報道されている。そうすると、そういう債券を買うときに、仮にその証券会社は、私のところはそういうことは、口座をつくって保護預かりすると本人確認をきちっとやりますから、だから私のところはできない。しかし、証券会社がお手伝いをして、そしてそういう金融債を購入に行った、こういうことになると、本人確認はしなくてもいいという抜け穴がここにできるのではないですか。 と同時に、その証券会社は手数料が入るのでしょう。とすれば、やはり証券会社においても、これだけのいわゆるバブルの不況を浴びておるときに、あるいはまた営業努力をするという意味からは、こういうことについて、では骨折りましょうと一歩踏み出すことが違法でない限り行われる可能性は私はあると思うのですよ。こういう点についてはどう思われますか。
○小川(是)政府委員 まず一つは、先ほども申し上げましたように、公的書類による確認を行うようになりましたのは平成二年の六月からでございまして、それ以前の本人確認というのはそうした公的書類による確認ではございませんでした。 それから第二点といたしましては、今お尋ねになっておられるのは、事実の問題として証券会社の社員が顧客のために割引債を銀行の窓口に買いに行った場合ということを設定してお尋ねになっておられるかと存じますが、その場合には、もし仮にそういうことがあったといたしますと、これは別に証券会社であれ、その他の方であれ、どなたか第三者のために銀行の窓口へ行って購入するわけでありますから、その証券会社の社員に手数料が入るということはないわけでございます。証券会社が業務として金融債を発行銀行のために売却したときに初めて手数料が入るわけでございますから、今のような設定であれば手数料の問題にはならないということでございます。
○渡辺(嘉)委員 日債銀に聞いてみますと、こういう多額の、十億というような多額の購入の注文を受ける、そういうような場合には現金を持ってくる人はまずいないと言うのですね。一億も二億も現金を持って買いに来るということはあり得ない。電話があるとまずそこへ行くと言うんですよ。そうすると、その注文された場所へ行って、日時、場所、それを扱った人の名前を聞く、そしてそれは報告書にして記録しておくのだそうですね。 私が日債銀に、じゃ、金丸事務所に行きましたか、こういうふうにずばり聞いてみたんです。そうしたら違うとはおっしゃらないんですよ。一般論としては、そういう注文があれば私どもも出かけていきました、そしてそれが場所がそういうところであっても行きます、そのかわり現金ですから二人か三人行って持って帰っできます。 そうすれば、ここで問題は、大蔵省はこの日本債券信用銀行に対しても当然検査をいろいろしておるわけですね。こういう多額のものがぼんぼんと動いている、そして場所がそういうところなら、異常だと思うのが当たり前じゃないですか。大蔵省の検査はこの間にあったわけなんです。 もう一つは、岡三証券に対しても検査をされたわけですが、そのときになぜこういうことが見つからないのですか。
○寺村政府委員 金融検査の方から申し上げますと、大蔵省で行います金融機関に対する検査は、預金者保護を図るための金融機関の経営の健全性の確保を目的として実施するものでございまして、税務上の目的から実施されるということではないわけでございます。 ですから、例えば今の割引債の問題なんかも、もし検査をするとしたら、この入出金の管理ですとかそういった内部事務手続が適正に行われているかどうかというような、恐らく昨年六月以前の検査でございます。そういう観点からの検査を行いますし、それから昨年の七月以降はマネーロンダリングの観点から本人確認が適正に行われているかどうか、そういうところを検査するわけでございますので、かつその種のものは、臨席検査を行いますのは悉皆調査じゃなくて一部の抜き取り調査でございますから、仮にその間に金融検査が入ってもその事実がつかめるかどうか、これはちょっとその場合によってはわからない。つまりその種の事務手続が適正に行われているかどうかというような観点からでございまして、何か資金の源泉が、マネーロンダリングからもし不適正な動きを察知できたら、そこはまさに銀行行政上の目的になるのでございますが、いわゆる税務調査が目的になっていませんから、そういう観点からの検査はやっていないということでございます。
○小川(是)政府委員 まず、岡三証券に御指摘のような仮名口座があったかどうかという点につきましては、現在岡三証券から事実関係の調査を行っているという報告を受けている段階で、確認ができる状況にございません。 第二点といたしまして、これまでの岡三証券に対する証券検査の過程において金丸元副総裁関係の仮名口座があったかどうかということにつきましては、これまでの検査でそういった事実を把握していたということは承知いたしておりません。
○渡辺(嘉)委員 先ほど私が申し上げた岡三証券に対しての検査も行われ、それから日債銀についても検査をやる、それぞれ答弁されたけれども、それではこれは何のための検査をやっておるのか。こういう中身のことがもう当然わかるはずなんですがね、この検査をやっておれば。だから、一昨年から起きたあの損失補てんの問題のときでも、結局大蔵省の検査ではわからなかったでしょう。こういう検査のあり方ではいけないということで昨年証券取引法と金融関係法を改正したわけなんです。そして昨年の二月か三月でしたか岡三証券も検査していらっしゃる。当然こういうことが明らかになるべきなんであって、これがまた全国に仮名口座で分けてあるということがもし事実だとすれば、こんなことわからぬはずないでしょう、本人確認しなければならぬのだから。そうでしょう。 だからこの点では、なかったのか、あったのか、それとも検査のときにはよう見つけなかったのか、この点はどうなんですか。
○小川(是)政府委員 証券会社の仮名口座の問題につきましては、これを防止するという観点から、自主規制団体の性格を持っております日本証券業協会で本人確認を公的書類等で行うようにという規制を行っているわけでございます。したがいまして、証券取引に関し、あるいは証券会社の財務の健全性に関し検査すべきことはたくさんあるわけでございますが、こうした仮名口座という問題につきましては、第一義的には協会の自主規制に任せているわけでございます。 もとよりそのことは、実際の私ども行います検査の過程で、たまたまそういう問題に遭遇したときにそのことを指摘しないというわけではございません。ただし、今具体的なお尋ねにつきましては、今日までの検査におきましてそうした事実を把握しているということは承知いたしておらないということでございます。
○渡辺(嘉)委員 非常になまぬるい答弁をいただいておるわけですが、先ほど私が申し上げたように、多額の金額の場合にはそこの場所へ行って、そして日時、場所、金額、こういうものを打ち込んだ記録があるわけなんですが、日債銀の検査でこういうものは見つからなかったのですか。
○寺村政府委員 金融機関が顧客のためにいろいろな対応をしていると思うのでございますが、金融検査の場合は、経営の健全性確保というのが目的でございますので、個々の取引のというところは必ずしも本来の目的でない。 仮に事務上の手続で、例えば行員の不正があるとかあるいは内部管理が不適正に行われますと、経営自体が問題であるという指摘になるわけでございますが、個々の取引、顧客との取引関係につきまして、例えば不良資産になっているとか、まさに経営の健全性の観点からの調査でございますので、ちょっとそこは、金融検査の場合は、そういうところはいわゆる検査の目的に当たらないのだと思うのでございます、税務調査とは違う観点からの検査でございますので。
○渡辺(嘉)委員 そうしたら、国税庁おられますか、おられない。では、これはまた別に聞きます。 いずれにしろ、監視委員会もつくって、この証券の問題、これを厳正に行うということになって発足しておるわけですから、この点は今後の万全を期していただくとともに、再発は何としても防止していただきたい。 と同時に、現在の株価の動きについてもひとつ聞いておきたいのです。 現在、株価がこの十数日間上昇を続けた。きょうはちょっと下がったわけなのですけれども、それでも一万八千円半ばまで来ておるわけなのですね。一時から見るとかなりの値上がりをしてきたわけです。時間がありませんからはしょりますが、今皆さんのお手元へ資料をお配りしたいのですけれども、委員長よろしかったらお配りいただきたいのです。 これは何をあらわすかというと、再びバブルがあっちゃならないということから、過日の大蔵委員会でも、また証券及び金融の特別委員会のときでもそうでしたが、キャピタルゲインからインカムゲインに入るべきなんだ、そして健全な証券市場をつくるべきなんだ、こういうことは常々私どもも申し上げたし、大蔵省側からもそういう意向を漏らされた。ところが、これに対する配当性向、各国の株価の収益率、それから外国の配当利回りと日本のそれ、これを比較していただきますと余りにも大きな違いがあり過ぎるわけですね。 配当性向率でも、ずっと見ていただければ、日本が三八でアメリカが七五、イギリスが八〇、こうなる。収益率もここに書いてあるとおり、平均利回りもこれ、これをまた詳細に書けば、この右の欄にあるとおりなのですね。こういうような配当性向の低さ、利回りの低さ、それから株価の収益率の高さ、これが再びキャピタルゲインを招く危険が多分にあるわけなのですね。 そのことは、配当と利息をそれぞれ百万ずつと仮定した場合、これが課税上どうなっておるかということを下の欄にあらわしたわけですが、二千万円の方が、配当または利息を受けたときには、配当による税金は六百六十万円、利子による所得が百万の場合には六百三十万円と利息の方が安くつくのです。これは言うまでもなく、配当課税のあの特例と、いま一つは利息は二〇%ですべて打ち切ってしまったものだから、総合課税ではありませんので源泉課税で計算してあります。こういうところからも、配当を受けると課税上不利である、利息ならば有利である、こういう問題点もあり得るわけなのですね。ですから、この際、今の株価の動きが妥当なのかどうか、どうしてまたこういうふうに動いておるのか。 それから、今公定歩合は二・五%という超低金利になっておるわけなんですが、こういうときにこそ配当を引き上げ、そして配当による収益によって銀行利息と同じような利益が受けられる、そういう水準にまで引き上げる指導、行政的な手法を講ずることによって債券市場の健全な発展を図っていくべきではなかろうか、そうでないと、今の株価の値上がりが、これは妥当かどうかということを含めまして、また再びバブルに走る危険が危ぶまれるのではないか、こういう面を私は孝之ておるわけですが、それぞれ御答弁をいただきたい。
○小川(是)政府委員 二つのお尋ねがあったかと存じます。現在の株価水準についてが第一点だと思います。 株価は、申すまでもなくさまざまな要因を背景にして自由な市場の需給関係で決まってくるものでございます。したがって、この最近のところあるいは日々の株価の変動がどういう要因がというのは、あるいはその値動きが妥当かどうかということについて、私どもからコメントを申し上げるのは大変困難でございますし、適当でないだろうと思うわけでございます。 第二点といたしましては、株価の水準あるいは利益、配当、配当性向の問題でございまして、数字につきましては、ただいま御指摘のあったとおり、配当性向あるいは配当利回りといったようなものは我が国はかなり低い水準にございます。そこで、政府といたしましても、配当性向の向上等を通じて株式投資魅力を高めることが重要であると考えまして、昨年夏の総合経済対策におきましても、利益配分ルールを踏まえて、発行企業に対して今後とも配当性向の引き上げをお願いしているところでございます。 株価収益率が我が国の場合がなり高いではないかという御指摘でございますが、株価収益率というのは、企業の成長性であるとかあるいは減価償却等会計制度に左右されるところもございますので、一概に諸外国と比較するのは困難ではないかと思うわけでございます。例えば株価を決定する理論にいろいろなことが言われるわけでございまして、単に配当だけではない、あるいは企業の一株当たりの利益で見るとか純資産額で見るとか、さまざまの議論があるわけでございます。ベースになりますのはやはりその国のあるいは当該企業の将来にわたる成長性が決めてきているのではないのかな、こんなふうに思うわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 時間がないので終わりますし、何ですが、証券局長、今おっしゃったが、回りくどいいろいろな説明をされるけれども、株価収益率が、日本経済新聞で常に毎日出てきておりますが、あれによると六十から六十一なんです。ところが、これを国際的なベースに置き直してみても、今お渡ししたとおり日本の場合は三十九なんです。四十に近いのですよ。よその国はみんな二十台なんですよ。また、二十台以下なんですよ。こういうことは既におかしいのです。 ですから、こういう点を直す努力をせずに放置しておくというようなことは好ましくない。何としてもこの対応を考えて、そして健全な投資意欲を育成していく、助長していく、促進していく、このことが必要じゃないでしょうか。
○小川(是)政府委員 株価収益率というのは、一株当たりの利益で当該株価を割ったものでございます。したがいまして、一株当たりの利益が低いということは、株価収益率を同じ株価のもとでは高くするわけでございます。ただいまの水準が六十倍程度というのは、一つは恐らくこの分母になります一株当たり利益を今の業況のもとで収益を見込んで計算をしているというところから、今日こういう業績の悪いときにはどうしても高く出てくるということもあろうかと存じます。 しかし、御指摘のように、一株当たりの利益を上げる、つまり企業の収益を上げるということが、株価収益率、株価のほかに一番大事なところは、一株当たり利益、日本の企業の収益を上げるという点にある、そこで企業業績の回復が重要であるという御指摘はそのとおりであるというふうに存じます。
○渡辺(嘉)委員 終わります。
○藤井委員長 井上義久君。
○井上(義)委員 最初に、国際開発協会への第十次増資の件につきましてお伺いをしたいと思います。 今回、第十次増資、二十六億SDRということでございますが、趣旨はまことに結構だと思いますが、やはり問題は、先般世銀の業務評価局が出した一九九二年の業務評価報告書によりますと、世銀融資プロジェクトの三七%がいわゆる不満足な結果であったということが明らかにされておるわけでございます。同報告書では、一九九一年までに完了した二百七十八件のプロジェクト、世銀の融資額としては百四十億ドルに上るわけでございますが、これらについて、一九七〇年代に比べて一九八〇年代には満足的な結果を得たプロジェクトの割合が大幅に減少している、その要因の一つとして、融資プロジェクトの質が低下しているということが指摘されているわけでございます。特に、満足的な結果ということになりますと、いわゆる世銀、IBRD関係が六四・六%で、このIDAの関係が特に六二・七%と非常に悪いわけでございます。 世銀グループに出資をする、国際機関に出資をするということで大変重要なことだと思いますが、これは国民の血税であるということで、その国民の血税として出資されたお金が結果的に三七%は不満足であるという業務評価報告書が出ているわけでございまして、この問題について、ただ単に出せばいいというようなことでは困るわけでございまして、どのようにこれを受けとめていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○中平政府委員 ただいま御指摘がございましたように、私ども、このIDAが特に貧しい国に対する支援を行うということで、その増資は極めて重要でございますし、資金を充実していくということが非常に重要であるということで今回お願いをしているわけでございますけれども、おっしゃいますとおり、ただ出せばいいということではなくて、その資金が有効に使われる、そして所期の効果を上げるということが極めて重要なことは、ただいまお話があったとおりでございます。 確かに、世界銀行の業務評価報告書におきまして、世銀が融資をいたしました、これはIDAも含めてでございますが、プロジェクトにつきまして、コストに対してどれだけ収益を上げるのかという観点から評価を行っておりまして、ただいま御指摘のように、収益率が一〇%に達していないようなプロジェクトが全体の三七%に達している、そして御指摘のとおり、この数値が増加してきているということは事実でございます。 それで、こういう状態になっている理由としては、一次産品価格が低迷いたしますとかいったような外的な要因が極めて大きいわけでございますけれども、それに加えて、おっしゃいますように借入国がプロジェクトの準備、実施能力をさらに向上させる必要がある、あるいは世界銀行自体がプロジェクトの審査、管理能力を向上させる必要があるということが指摘されているわけでございまして、世界銀行自体、その中におきまして、どうすれば世界銀行、IDAの融資が所期の目的をより達成できるか、そして開発効果を向上させることができるかということについていろいろ内部で検討をしているわけでございます。 私どももこのような検討がみずからのイニシアチブによって行われているということは極めて健全なことであるというふうに考えておりまして、私どもとしても建設的にこのような世銀、IDAみずからの活動に協力をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○井上(義)委員 先般、やはりこの世銀の増資のときに委員会で、具体的にはナルマダの問題を取り上げて、日本としてももう少し独自に、たとえ世銀の融資でやってもいわゆるチェックをする、日本の独自の調査によってその是非というものを世銀に対しても明確にしていくべきじゃないかということを申し上げて、そのときは問題がないという御答弁で、一カ月後に融資が中止になるというようなことがあったわけでございまして、今回のこのいわゆる業務評価局の業務評価という観点でも、例えば環境破壊だとか強制移住の問題だとか先住民の生活基盤の剥奪というような問題はこの報告書には評価をされていないわけでございまして、こういった環境的、社会的影響という視点をやはりきちっと加味した上での有効な世銀融資プロジェクトを行うべきであるというように考えるわけでございます。 今、世銀のみずからのイニシアチブによるそういう体制に協力をするということでございますけれども、日本として世銀のそういう具体的なプロジェクトについて、どういう形で物を言うのか、また言ってこられたのか、また今後さらにそういうことについて具体的に何か――またこれだけの増資をしてそれだけ出資比率も上がるわけですから、それに伴って当然発言力も拡大してくるわけでございまして、その辺のことをお答えいただければと思います。
○中平政府委員 先生今おっしゃいましたように、世界銀行が融資をするに当たって環境面あるいは地域住民への配慮、そういうものが極めて重要であるということはまさに御指摘のとおりであろうというふうに思っております。 私どもはこのODAの大綱の中でもそういうことを言っておりまして、私どもの見解、この開発支援についての私どもの取り組みの姿勢、そういうものが世界銀行、IDAの融資においても反映していくように努力をしていく必要があるというふうに考えておりまして、具体的には、私どもの理事が理事会に出ているわけでございまして、こういったような融資案件というのは理事会で審議をされるわけでございます。したがいまして、その理事会におきまして私どもの今申し上げましたような見解を主張し、そういう面への配慮ができるだけ行われるように見解を述べ、説得を試みる、そういうやり方でやってきているわけでございます。
○井上(義)委員 理事を通してそういう考え方を述べるということなんですけれども、やはり日本としての独自の例えは調査なり検討なり評価なりということをきちっとする体制がないと、抽象的に物を言っても、それは国際機関ですから、そんなに簡単にそれについて検討する、考慮するというようなことはなかなか難しいのじゃないかというふうに思うわけでございまして、その辺の国内体制、独自の監査能力といいますか調査能力というものはもうちょっときちっとしなければいけないのじゃないか。 あわせて、その問題と同じような問題なのですけれども、要するに日本のODAは相当な規模になっているわけでございまして、これも国民の側から見ますと、果たしてこのODA資金というものが有効に使われているのか、予算執行が適正で、不正やむだがないのかどうかということが非常に関心があるわけでございまして、先般も会計検査院が調査できる範囲で調査をして、おおむね満足だけれども、五件程度、若干問題があるプロジェクトということについて報告があって、本当にこれは全部調べたらもっともっといろいろな問題があるのではないかというようなことも実際に考えられるわけでございます。今、外務省による事後評価、内部監査が白書として出されておるわけですけれども、より国民の理解が得られるような客観的な監査体制というものをこのODAについてもっくるべきではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○上田説明員 委員御指摘のとおり、外務省では評価を担当する評価室というところを設けてございまして、評価活動を行って年次評価報告書を公表しているところでございます。この際、従来から国内外の有識者によりますいわゆる第三者評価、それから他の供与国との合同の評価、それから援助を受けている側の、被援助国の関係者による評価をも行いまして、評価をできるだけ公正かっ客観的なものにするように努めているところでございます。 御指摘のとおり、ODAの大綱におきましても第三者による評価及び他の国との合同評価を含めた評価活動の充実ということがうたわれておりますので、今後ともこういう方向で評価の充実それから客観的な評価に努めるという方針でございます。
○井上(義)委員 独立した監査体制、監査機構というものを設けるべきではないかというのが私の主張している点でございまして、そういうものをつくるお考えがあるのかどうかということ、もう一つは、業務評価とは別に会計検査院的な、予算の執行にむだが本当になかったのかどうかというまた別な角度の監査というものも、これは両面ないとODAの適切な運用ということが図られないのではないかというふうに私は思うわけです。 それでまた、援助相手国の主権ということもありますから、相手のところに乗り込んでいって会計検査をするということはもちろん難しいこともあるわけですけれども、今行っておる現地調査の充実をするとか現地調査への協力あるいは会計報告の義務等を、例えば援助の締結のときに相手国と合意文書の形で取り交わすとかいうような形で、できるだけ主権を侵害しないような形で相手国も含めた監査ができる、そういう客観的な業務評価をするための第三者的な機関をつくる必要があるのではないかということと、もっと別な角度の会計検査というものをやる必要があるのではないか、この点についてはいかがでしょう。
○上田説明員 御指摘の第三者的な機関による監査を行うべきではないかという点でございますけれども、私どもといたしましては、援助の評価の目的は、その援助案件が十分に効果が上がっているかどうかということをもちろん確認いたしまして、これをその後の援助の政策それから実施の面におきまして反映させていく、いわゆるフィードバックさせていくということを目的としているというふうに考えております。 したがいまして、これは他のいわゆる主要な援助供与国もそういう体制でございますけれども、第三者機関という形ではなく、援助の担当の省庁あるいはその実施機関というのが評価を行ってそれをフィードバックしていくという体制で充実させていくということが適当ではないかというふうに考えております。
○井上(義)委員 大臣、もう一つは、いわゆる議会によるチェックということをこれはぜひやるべきじゃないかと思うのです。ODA資金そのものは非常に巨額でございますし、それから一件当たりのプロジェクトも非常に大規模なものがあるわけでございまして、例えば先ほど環境の問題あるいは住民移住の問題、やはり十万大規模で人が移動するなんというプロジェクトに対して日本がODA資金を使って援助するというようなこともあるわけでございます。 私は、国会が恒常的に経済協力を審議するような場を設ける、そういう中で特に大規模な援助プロジェクトについては、例えば我々にもNGOなんかを通していろいろな情報が入ってくるわけでございまして、大規模な援助プロジェクトについては事前に国民の意見を集約する場として議会で審議をする。もちろん最終的な決定はそれぞれの担当部局が行えばいいと思いますけれども、少なくとも国民の前できちっとした議論をしてやるというようなことは必要なのじゃないか、私はこういうふうに思うのですが、大臣いかがでございましょうか。
○林(義)国務大臣 援助問題のいろいろな話というのは、大体外務省が各省の取りまとめをしてやっていくというのが今の政府の中のあり方だと私は思うのです。ただ、お話がありましたように、いろいろな点で援助についてチェックをしていくことというのは、援助金額が非常に大きくなってきていますし、また日本の、いわゆるODAだけでなくて、今度出ていますIDAの出資の問題とか世銀であるとか、いろいろなところについて金が出ていますから、そういったことが本当に適正に行われているかどうかというのはやはり見ていなければいかぬ。私は最終的には日本は国会が見る話だろうと思うのです、基本的には。ただし、国会にそれだけの手があるかどうかということになりますと、私はこれもなかなか一つの難しい問題もあるだろうと思うのです。 私も、大臣としてではなくて、国会でかつて予算委員会におりましたときにその辺の議論を一遍したことがあります。フィリピンのマルコス大統領がやめて、マルコス疑惑というのがいろいろありました。どうするんだ、こうするんだと随分やったことを、たしかこの中におられる先生方も覚えておられる方もあると思いますけれども、そんな話がありました。そのときにありましたのは、日本から金を貸す、あるいはいろいろな融資をいたします、向こうの方の人に行っているわけですから、それから先はやはり向こうの政府が監督するのが大事だ、こういうことなんですね。日本政府が行っていきなり向こうの中で調べたり何かしたら、これまた向こうからすれば何事だ、金を貸しているのに後で調べに来てどうだというような話は実際問題として出てくるのだろうと思うのです。 そういったようなこともありますから、私は一般論としては先生のお話のようなことはよくわかるのですが、さあ具体的にどういうふうな形でどういうふうな人がどういうふうにチェックをするかというのは、やはり少し考えてみなくちゃならない問題だと私は思うのです。 援助がこれだけ大きくなってきていますし、日本の国際貢献というのもあるわけですから、それがおかしな形になったりよそから非難されるようなことになるのはやはりチェックをしていかなければならないということはわかりますが、さあ具体的にどうするかということになると、少し勉強してみないと何とも言えないのじゃないかな、私は率直な考えを申し上げておきたいと思います。
○井上(義)委員 難しい問題はいろいろあると思いますけれども、少なくとも国民の税金を使っているわけでございますから、これがほかの予算執行であればもう大変厳しいチェックがあるわけでございますし、会計検査院の検査もある。このODAだけが聖域であるということは今後許されなくなると思うわけでございますし、あわせて、やはり大きなプロジェクトについては、もちろんその国の政府が最終的に決めることでありますけれども、例えば環境という問題、あるいは住民がたくさん移動するという問題、そういう問題については、少なくとも日本としてきちっとした価値観を持って、国会の中でも援助をやる前にきちっと審議をして、最終的には国民の血税ですから、国民がある意味ではお金を貸すわけですから、国民の議論をきちっと踏まえてやるべきである。まずこういう基本的な原則に立って、具体的に、ではどういう仕組みをつくるかということを組み立てていくべきだ、このように思いますので、ぜひよろしくお願いします。 それから、これに関連して、いわゆるNGOの途上国援助活動というのは、草の根レベルでの働きかけが可能であるとか、あるいは限られた地域への限定的なニーズにも対応できるとか、あるいは緊急時にも柔軟迅速に対応できるとか、非常に特色があるわけでございまして、政府によるODAを補完し得るような、そういう利点があるわけでございます。そういう意味で、このNGOの果たす役割は非常に大きくなっているわけでございますけれども、日本の場合は欧米諸国に比べて組織、人材、財政等非常に基盤が脆弱であるわけです。 そこで、政府によるODAとともに民間のNGOの活動を支援強化していくという観点から、NGOの独自性、主体性を十分配慮した上で、NGOの基盤整備を促進するために人件費とか通信費とか事務経費などの経常経費についても助成を考えるということが一つ。 それから、今いろいろNGOの関係者の人に聞きますと、いわゆるNGOの事業補助制度というのは、単年度制に基づく予算申請とか、四半期ごとの交付とか、非常に融通性とか効率性に欠けるというのですね。そこで、NGOの特色を生かすために、NGOが企画する事業に対しては一括で、助成するような包括助成制度を検討してはどうか。この二点、どうお考えでしょうか。
○上田説明員 御指摘のとおり、民間の援助団体、NGOの活動は近年非常に活発になってきておりまして、私どもといたしましても、これは国民各位の参加する形での国際協力という観点から極めて望ましいことだということからいろいろな形で助成しているところでございまして、御指摘のとおり、NGOが途上国にみずから人を派遣していろいろな協力活動を行う場合には、具体的なプロジェクトごとに補助金を出しているわけでございます。 経常経費的なものについてもというお話でございますけれども、その件につきましても、途上国で行います事業に直接必要となるような場合の事業管理費とか、あるいは人件費の一部等につきましては一定の範囲内で補助金が出ているところでございます。 しかしながら、まさに御指摘のとおり、NGOの団体の維持そのものに関するような経費につきましては、NGOがまさにボランティア活動である、自主性を尊重してまいるべきだという観点から、その団体のそれぞれの御努力にまつものであって、補助金の直接の対象というものにはなじまないのではないかというふうに考えております。 さらに、援助を円滑に進めるために包括的な形での何か補助金交付ということができないかというような御指摘でございますけれども、今ほど申し上げましたように、対象のプロジェクトを特定して交付していくということが予算執行上の観点からも必要だというふうに考えておりますので、包括的な形でというのはいささか困難であろうというふうに考えております。 しかしながら、これは、いろいろなNGOの方々から、事業計画が途中で変更になったりすることが多々ございます。そういう場合につきましては、できる限り柔軟な対応で、事業の途中でも変更してあるいはさらにお認めするというような形もとっているところでございます。
○井上(義)委員 NGOのそういう自主性を損なわないという意味で経常経費に支出するのはいかがなものか、こういうお答えなんですけれども、日本におけるNGOの基盤というのは非常に脆弱で、今後の日本の国際貢献ということを考えていくと、できるだけこのNGOというものを育成していかなければいけない、こういう観点から、その自主性を損なわないようなやり方で何とかこういう経常経費も含めてぜひ考えていただきたい、このように要望しておきたいと思います。 それから、関税定率法の関係で、税関職員の定員の問題、処遇改善の問題について一点御要望しておきたいと思います。 税関の皆さんの仕事というのは、近年の著しい国際化の進展に伴って旅客、輸出入貨物が非常に増大しているということで、税関の税としての仕事が急速に増大している。もう一方で、社会悪物品の密輸などが増大していて、関としての仕事も増大し、また複雑化しているということから、税関職員の定員の問題それから処遇改善の問題は最重要で取り組んでいかなければ将来に禍根を残す、こういうふうに思うわけでございます。 平成五年度で百七十一人増員が予定されておるようでございますけれども、今後、関西新空港あるいは成田空港拡張、国際航空便の地方進出なども考えられて、大幅な行政需要が予想されるわけでございます。税関の職員の皆さんの仕事というのは非常に専門的な要素がありますので、かなり中長期の展望に立った定員の確保というものをしていかなければいけないのではないかということを思うわけです。 それからまた、週休二日制などが今なかなかなじみにくいということで、そういった面での問題とか職場環境などの整備とか、こういった面についても十分な処遇改善を図るべきであると思うわけでございますけれども、大蔵省としてのこの問題に対する考えをちょっとお聞きしておきたいと思います。
○米澤政府委員 先生御指摘のとおり、税関の仕事は質、量ともに大変難しい、そしてまた大量の仕事を抱えてきているところでございます。先ほど仙谷委員にもお答え申し上げましたとおり、厳しい行財政事情の中ではございますけれども、そうした税関業務の重要性というものにかんがみまして、私どもも最大限の努力をいたしまして、要員の確保、処遇の改善、それから職場環境の整備ということに努めてきているところでございます。 ちょっと具体的に申し上げますと、定員につきましては、今先生がおっしゃいましたとおり、五年度におきまして百七十一人の純増を認めていただきました。それからまた、処遇改善につきましては、紋別定数を拡大して上位級をふやしていく、やはり専門的な知識というものが報われるようにということでございます。それからまた、犯則取締手当といったようなものについてその対象を拡大する。それから、職場環境の維持につきましては、独身寮の新設であるとか更衣室、休憩室の新設など、できるだけのことをやってまいったつもりでございますし、今後とも一層努力してまいりたいと思います。
○井上(義)委員 最後に、皮革・革靴の関税割り当て数量を今回改正するわけでございますけれども、日本の靴産業というのは、従業員九人以下の事業所が全体の七〇%以上という実態が示しておりますように零細企業が非常に多くて、経営基盤とか競争力が弱いというのが私どもが認識している実情でございます。 今回の関税割り当て数量の改正に伴ってこれらの零細な業者の皆さんに大変大きな影響があると考えられるわけでございまして、国内産業の保護、また自立という観点からどのような対策を講じておられるのかお聞きしておきたいと思います。
○上野説明員 先生御指摘のように、我が国の皮革・革靴産業をめぐる状況といいますのは、大変厳しいものがございます。そういう点にかんがみまして、私ども通産省といたしましても、特に御指摘のありましたような零細な企業に配慮をいたしまして巡回指導あるいは需要の開拓、それから情報の提供、技術者研修などの各種の振興対策をこれまでもきめ細かく、かつ強力に推進をいたしてきたところでございます。 具体的には、例えば一般会計予算におきましては、大変厳しい財政事情、もう御承知のとおりでございますが、毎年増額に努めております。平成五年度予算におきましても三億三千万円を計上をいたしております。例えばその内容の一つとして例を挙げますと、皮革産業に属する零細な企業を対象にいたしまして品質管理などの技術、知識に関するきめ細かな指導、相談及び普及を目的としました巡回指導事業などを実施をいたしておるところでございます。今後とも皮革産業の置かれました状況を十分認識いたしまして、皮革産業の一層の発展のため各種の施策を強力かつきめ細かく推進してまいりたいと存じております。
○井上(義)委員 以上で終わります。
○藤井委員長 正森成二君。
○正森委員 私の持ち時間が非常に限られておりますので、今も出ましたが、皮革・革靴の関税割り当て制度について質問させていただきたいと思います。 東京地方の履物工組合協議会が、「首都東京の地場産業・靴産業を断固守るために 革靴の関税割当(TQ)制度の維持・強化等を求める要請書」というのを出しておられます。その中で、 東京の代表的な地場産業である皮革・靴産業は、長い歴史をもった伝統的な産業であり、台東区浅草を中心に東京東部一帯と東武線、常磐線沿線の一定地域で集中して生産されていますが、いまこの皮革・靴産業は、昭和六十一年四月からの革靴輸入自由化以降、大量の外国からの革靴の輸入と最近のバブル不況が重なって、深刻な事態に直面しています。 こう言っています。そして、TQ制度に移行したが、 これ以降外国からの革靴の輸入が急増し、平成三年度にはTQ製品及びTQ外品目であるスポーツ靴の名目で輸入される革靴、またパーツ等を含めると、約二千七百九十万足という膨大な数量に達しており、国内産業にきわめて重大な影響を投げかけています。 いずれにしてもこれ以上の輸入の増大は、日本の靴産業を崩壊の淵に追いやり、この産業で働く十万人の労働者、家内労働者及び家族を含め三十数万人を路頭に迷わせる深刻かつ重大な結果を招くことになります。 こう言った上、 従業員九人未満の事業所が全体の七〇%以上という実態が示すように、零細な企業がたいへん多く、経営基盤、競争力が弱いのが実情です。そのうえこの産業の従事者は、夫婦二人で無権利・無保障の劣悪な状態で働く家内労働者(職人)が非常に多く、また高齢化もすすんでいます。 すでに、わが国の靴・履物の輸入量は、国民消費量の三五%に達しており、EC諸国に遜色ない輸入大国となっています。このまま推移すると数年後には国内消費量の二分の一以上が外国の履物で占められるであろうと予測されています。こういうように悲痛な声を上げております。 そこで大蔵省当局、特に関税局長に伺いたいと思いますが、例えば靴職人の工賃、一足当たり七百五十円を最近では百円、つまり一五%も切り下げられたり、倒産の規模が大きくなって中規模の業者が倒産したり、メーカーの倒産で靴職人が工賃未払いに追い込まれて、多い人では去年八月から百四十万円もの未払いが残るなどの事態もあると言われております。九二年度のTQ枠、約五百八十万足は日産二百足のメーカー換算で約百社分に相当します。一社当たり製甲、底づけの労働者十五名と計算すると、外国製革靴のTQ枠分だけで千五百名の労働者の仕事量に相当します。今度の法案に盛られた九三年度のTQ枠の対前年度百十六万足増分だけで三百人の労働者の仕事が完全に失われるということになりますし、影響を受ける範囲はその数倍以上ということになります。 で、去年私の質問に対し吉田関税局長は、関税局発行の「関税と税関のてびき」のTQ制度の説明を肯定されまして、需給調整方式ですね、つまり「一次税率が適用される数量は原則としてその物品の国内需要量から国内生産量を差し引いた数量です。」という、その関税局の「関税と税関のてびき」を基本的に認められました。こういう零細業者の多い革靴のTQ制度に対してこそ需給調整方式という原則を適用して――その一次枠をどんどん増大させる。五、六年前に導入したときは年間一〇%ずつと言っていたのが一五%に、一七%になり、今では二〇%ずつ増大しております。そういう状況では零細な企業はやって保いけないんじゃないですか。だから、今こそ需給調整方式というのを守るべきではないですか。答えてください。
○米澤政府委員 お答え申し上げます。 昨年の委員会で前吉田関税局長がお答え申し上げましたのは、先生御指摘のように、この大蔵省のパンフレットでございます「関税と税関のてびき」と申しますのは、税関の仕組みを一般的に御理解いただくために比較的簡略に書きましたパンフレットでございまして、関税割り当て制度というのは「原則として」と書いてございます。「実はいわゆる需給調整方式、今先生がおっしゃったような意味のものが非常に多うございます。ところが、関税割り当て制度というのはガットでも一条、ガットの十三条に一項しかございませんで、関税割り当て制度の具体的な仕組みについて国際的なコンセンサスがないわけでございます。現実問題として、日本におきましては大体今先生がおっしゃいました需給調整方式のものが多うございます」というふうにお答え申し上げておりますが、法律上この皮革・革靴についてはほかの我が国の関税割り当て品目とは異なり、法定基準数量を法律で決めた上で、これをもとに具体的な割り当て数量を政令で決める形となっているものでございます。 しかしながら、この具体的な数量の決定につきましては、物資所管省でおられます通産省におかれまして、国際的な要請と国内の事情といったものを十分勘案されてぎりぎりの選択として判断されたものというふうに承知いたしております。
○正森委員 通産省。
○上野説明員 お答えをいたします。 皮革・革靴のTQ制度の一次税率枠についてでございますけれども、毎年度関税率審議会にお諮りをいたしまして、また国会の議決を経て決めておるわけでございます。その際、私どもといたしましては、先ほど来先生御指摘のありましたような国内の厳しい産業事情を勘案し、また他方で、現在進行中のウルグアイ・ラウンドなどにおきまして諸外国から市場アクセスの改善というものを大変強く要求されておるという国際的な観点も勘案をし、慎重に決定しているというところでございます。
○正森委員 何が慎重ですか。そのことで皮革関係、履物組合の人は悲痛な声を上げているじゃないですか。 今これは東京の例だけ言いましたが、私の大阪でも皮革関係の産業は地場産業で非常に大きな役割を果たしていますし、何よりも同和地区の基幹産業だということを知っていますか。その今まで虐げられてきた人が一生懸命仕事をしているのですよ。それが仕事を奪われてやっていけないという状況が、何が慎重にやってきただ。慎重にやって、毎年毎年、導入するときは一〇%までと言いながら二〇%も一次割り当てをふやして、だから二次割り当てなんか利用しなくても一次割り当てでどん、どん入ってきているじゃないですか。おまけに、私は去年実物を持ち込んで示しましたが、スポーツ製品だということで千五百万足以上も入ってきておる。ここに持ってきましたが、スポーツ製品だということについて一定の基準を決めているでしょう。それでは「スポーツ活動用として製造した履物でこというようにまくら言葉に書いてあるけれども、スポーツなんかと関係なくて、サラリーマンだとかあるいはブルーカラーが通勤でも全部使っているじゃないですか。何が慎重ですか。 法務省にも伺いますが、おまけに、若い優秀な外国人労働者、韓国人が多いのですが、観光ビザで入国して三、四カ月間休みもなしに目いっぱい働いて、それで稼いで金を持って本国へ帰るということをやっていますから、三、四カ月ともかく働けばいいというから日曜日も土曜日も休まない、夜も休まない、小さなアパートなんかで一生懸命仕事をするということで、太刀打ちできない。六十人のメーカーで外国人が十五人というケースもございます。観光ビザで入ってきてこういうことをやっている。法務省はその実態を把握していますか。東京なんかでは物すごくふえているのですよ。
○大久保説明員 御説明申し上げます。 当省の電算統計に基づきます推計によりますと、平成四年十一月一日現在で、観光目的などで入国後不法に残留している韓国人は三万七千四百九十一名おります。それで、これらのほとんどの者が不法に就労していると見られております。そして、先生のおっしゃった台東区とか荒川区などにおきましては製靴工場等の中小企業がございまして、昨年も台東区内の製靴工場で稼働していた韓国人不法就労者を摘発した事例がございました。その後も同様の不法就労事案があるものと想定されます。そこで、今後もその実態調査を一層進めていきたい、こういうふうに考えております。
○正森委員 そういう状況の上に部分品の輸入が物すごくふえているのです。部分品の輸入だけで約九百万足分に相当する、こう言われております。こういう部分品の輸入についても何らかの対策をとる必要があるのじゃないですか。
○上野説明員 お答えをいたします。 靴の部分品の輸入につきましては、先生御指摘のとおりここ数年増加をいたしてまいりました。業界でもこの問題を大変重要視しているというふうなことは承知をいたしております。直近の数字を見ますと、九二年、昨年は若干減少、数字で見ますと対前年比四・一%減というふうになっております。 最近の部分品の輸入につきましては、いろいろ要因は考えられますけれども、その中に国内産業の専門技術者の高齢化、あるいはそれに伴う人材難といった要因もございます。今後ともこの靴の部分品の輸入につきましては動向に十分注意をしてまいりたいと考えております。
○正森委員 そんなことを言うけれども、TQ制度について今度、二次枠については税率六〇%を四〇%に下げる、値段は四千八百円を四千三百円にするという上に、新聞報道によりますと、在ジュネーブの日本政府筋は、それでもまだ足りないで、さらに検討の必要が出てきたというようなことを言っているのですよ。これ以上まだ下げるつもりですか。 それで、アメリカはどんなことをやっているかというと、傍若無人で、大体、TQ制度を本件について導入するために代償措置が必要だというので、代償措置で百九十九品目の関税を引き下げたのです。さらにアルミの関税率を引き下げて、全部で五百億円規模の関税を失うような代償措置をとったのです。それなのにアメリカは満足しないで、皮革・革靴に対して四〇%の関税引き上げを行い、これがずっと今でも六年も続いているのですよ。そのために我が国の履物の対米輸出は、八五年千三百万ドルから現在九十万ドル、皮革では六百万ドルから現在十万ドル、十分の一から六十分の一に激減しているのですよ。それでもまだ足りないで、まだ関税を引き下げろとか、一次枠をふやせとか、そういうことを言っている。 それで、同和関係の労働者がどういう状況にあるか、アンケート結果を言ってみましょうか。十時間以上十二時間未満働いているのがアンケートの回答では二三%、十二時間以上十四時間未満が四四・八%、十四時間以上十六時間未満が一七・七%、この三つで八五%以上を占めているのです。それだけ一生懸命働いでい谷から、健康に不安があるという人が九五%を超えているのです。そういう零細企業に対して血も涙もないやり方じゃないか、私はこのことを主張せざるを得ないということで、これ以上譲歩するなどというのはとんでもないことだということを申し上げておきたいと思います。 それで、残念ながら時間が参りましたので、私はIDAについて質問しょうと思いましたが、質問する時間がございません。そこで、理事会でお許しいただきましたので、討論のかわりにIDAについての若干の意見を申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 我が党は、我が国初め先進諸国が発展途上国を経済的に援助すること及び国際援助機関等に十分な資金を拠出して発展途上国の国民に役立つ援助を行うこと自体に反対するものではなく、むしろそれを積極的に進めるべきだと考えております。 しかし、IDA一億ドル、世銀二億ドルの融資を行っているインドのサルグル・サロバル・プロジェクトでは、ダム建設のために十万人が、さらにかんがい運河の建設のために五万人が立ち退かされるにもかかわらず、移住と補償の問題が未解決のまま融資協定を締結して工事を強行、六千人の大行進など周辺住民の決死の抗議行動が展開され、日本政府はこのプロジェクトヘの海外経済協力基金の追加融資を見合わせているが、世銀グループは融資を中止しておりません。 また、世銀によって勧められる制度改革及び政策変更、特にIMFによって課せられる国際収支安定化プログラムを策定することが融資条件、いわゆるコンディショナリティーとされ、輸出の促進、公的支出の削減、賃金のカット、緊縮財政の採用などが押しつけられることにより、かえって借入国の国民経済の破綻を招く実例が続出しております。世銀自身の一九九二年業務評価報告書も、「貧困層を益するはずのプロジェクトが、往々にして、富裕層を潤すことになっていること」などについて触れ、我が国の海外経済協力基金も、世銀との定期協議の場で、「民営化による効率性の向上が常に最善の処方箋となるわけではなく、国ごとの実情の違いを十分に踏まえた使いわけが必要である。この点で世銀の構造調整アプローチはあまりにも一本調子であるといわざるを得ない」と文書で指摘しているぐらいであります。 こうした世銀グループの実情をもたらしている主要な原因の一つは、IDAの投票権が末日英独仏の任命理事国で四二・四二%、それにカナダ、イタリア、オランダ、スウェーデンを加えると五二・六%を占めるなど、先進国主導の意思決定方式になっておるところに大きな原因があります。 我が党は、こうした国際援助機関のあり方を抜本的に改革して、真に途上国国民の利益になる援助活動を展開することを主張する立場から、本法案には現段階では反対せざるを得ないことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○藤井委員長 中井洽君。
○中井委員 関税法案について、二つお尋ねをいたします。 もう既に先ほど同僚議員から出ましたが、税関職員の定数等を見ましても、一九七八年に八千人余り、ピークでありまして、現在は七千五百八十一名。昨年、関西国際新空港等ができるということでかなり増員になったようでありますが、仕事が拡大する一方の中でなかなか大変であろうかと考えております。 特に、ついせんだって、元阪神タイガースの江夏投手が覚せい剤で逮捕されました。一時は勝新の、勝新太郎のパンツ事件というので有名になりましたが、ああいう事象を見ますと、かなり麻薬がじわじわと日本の社会に浸透しておる。アメリカのようにならないように、もちろん警察にも頑張ってもらわなければならないけれども、水際で食いとめる、そういう意味では専門官、こういったものを育てなければならない。 同時に、世界じゅうの方々が来ていただきますから、窓口での第一印象。そうすると、やはり語学だと思うのですね。英語の研修あるいは中国語、韓国語、ことしはロシア語の研修も入ったと聞いておりますが、例えばスペイン語なんかはやっておられない。こういったことを含めたこの税関職員の待遇あるいは教育、人数、こういったことをもっともっと思い切って進めていかなければならないと思うのですが、いかがですか。
○米澤政府委員 先生御指摘のとおり、税関の仕事というのは質、量ともにますます大切になってきているという自覚を持っております。それに対応いたしまして、私どもの職員の方も質、量ともに充実していかなければならない。定数ということになりますと、これは厳しい全体の定員事情もございますし、行財政事情もございますので、全く税関のエゴで私どもの欲しいだけというわけにはなかなかまいりません。 しかし、少しでも税関の仕事の難しさということが、関係御当局の御理解を得て、増員を少しでも余計認めていただけるよう努力したところでございますし、たびたび当委員会の附帯決議においてもお励ましをいただいたところでございますし、その結果が実りまして、ことし百七十一人という画期的な増員を認めていただいたということに大変感謝している次第でございます。 それで、質の方でございますけれども、これは、私ども世界にもかなり誇ることのできる研修所を持っておりまして、しかも、その研修所の所長というのは関税局長自身が兼務しているというほどの力の入れようの研修所でございます。そして、まず、高卒といいますか、三種職で採用されました職員につきましては、九カ月間、柏で合宿の研修をいたしておりますし、その中には、英語が第一外国語で、そのほかに中国語、韓国語、そしてことしからはロシア語を選択に加えて第二外国語をやる。 それから、何も一遍研修が終わって配属されればそれでおしまいということではございませんで、あらゆる段階、中堅の段階、さらに幹部になる段階、いろいろな段階で専門的な研修も積み重ねているところでございます。今後とも一層、質、量ともに充実を図ってまいりたいと思います。
○中井委員 今回の法案はかなりの簡素化が盛り込まれて、私どももスピードアップという意味でも大いに賛成であります。数年前に旅客の携帯品の簡素化も行われました。しかし、飛行機等に乗って、あるいは私どもも後援会の人たちと一緒に旅行しましても、なかなかあれがわかりにくい。もう少しPRの仕方というものを御工夫いただけないか。 あるいは同時に、承りますと、例えばワシントン条約というのが結ばれて、象牙等は輸入してはならない、買ってはいけないということはおわかりいただけているのですが、日本人の大変好きな漢方薬、これは動物性のものからとられた漢方薬というものはワシントン条約にひっかかるものほかなり多い。その漢方薬だけではなしに、この間NHKの職員さんがオオカミまで入れようとしたなんというばかばかしい事件までありました。もう少しPRとか、あるいは大勢の旅客に簡単に理解できる、そういう工夫が要るのじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
○米澤政府委員 先生御指摘のとおり、関税関係の法令というのは非常に複雑でございます。それから、やはり環境保護というような問題あるいは武器の拡散を防ぐといったようないろいろな要請が、水際での出入りのチェックに責任として課されておるものでございますから、なかなか簡単に一口で御説明しにくい部分がいっぱいございます。 ただ、それにいたしましても大勢の方々、特に余りふだん輸出入ということにかかわっておられない一般の旅客の方々に対してはPRが大切だというふうに十分思っておりまして、特に難しいのはワシントン条約関係でございますので、まずワシントン条約というものがあるのだということから御理解いただかなければなりません。 具体的には、例えば広報のパンフレットの「通関案内」という中に、もちろん麻薬はいけません、それから、こういうものは簡易税率で持ち込めますとか、お酒は三本までは無税ですというようなものに加えまして、ワシントン条約でこういうものはいけませんといったものまで盛り込んだパンフレットをつくっております。それからまた、通産省の方でもパンフレットをつくっていただいておりまして、これをいろいろな、例えば旅行代理店でありますとか一般の方々の目に触れるようなところに大量に配布いたしております。 それから、これまた御批判をいただいたことがあるのでございますけれども、空港の出国ロビー、それから税関の資料展示室、これも、成田、伊丹だけではなくて地方空港にもできるだけこうした展示をして、こういうものはいけないのですというものを目で見てわかっていただくようにという工夫もしているつもりでございます。 それから、飛行機の中でビデオ、これは航空会社の御協力を得まして、飛行機の中でワシントン条約に関するビデオを放映していただくというようなことでいろいろPRに努めているところでございますけれども、これで百点満点ということはございません。次々と工夫を凝らして、できるだけPRの拡大に努めてまいりたいと思います。
○中井委員 IDAの出資に関する法案に入ります。 こういう国際金融関係の出資の法案になりますと、払いつも聞くのですが、お金だけはどんどん出していくのですが、日本人職員というのが一向ふえてこない。総裁をとったり副総裁をとったり理事をとったりされておりますが、大体大蔵省から行かれて二年か四年で戻ってこられる。ここらが、金だけ出してなかなか日本の発言というものは出てこない最大のものだと私は思います。 欧米の人が低開発国を見る目と日本人が低開発国を見る目とは違う。同時に、環境面で日本は世界一何とか苦労しながらやってきておる。ここでノウハウというものはもっと出せる。あるいは日本の国会は、大体武器をよその国へ売っているような国あるいは防衛費をふやすような国へ余り援助を出したくない、こういう思いも持っておる。それぞれ相手に相手の事情がありますから、余りきちん、きちんとできないことは承知していますが、日本人がこういう関係機関へもっともっと出ていって、出資したお金にふさわしい発言力を持って世界平和、世界経済の安定、こういうものに寄与すべきだと思います。もっとこの職員をふやす工夫というのはないのか。 私どもはいろいろな若い方に会いますと、こういう関係機関で働くというのはどうだと言ったら、やりたいという人はいっぱいおります。しかし、どうやっていいのか、どうやって資格がとれるのか、いろいろと問題もあろうかと思うのです。もっともっと職員をふやしていくという工夫、そのことによって発言力をふやしていくのだ、こういう発想を持たないのかどうか、お尋ねをいたします。
○中平政府委員 ただいま御指摘ございましたように、私どもは世界銀行、あるいはIDAも一緒でございますが、その他アジア開発銀行等に出資をだんだんふやしてきておりまして、そういう意味での貢献をしてきているわけでございますけれども、こういう資金面での貢献だけではなくて、御指摘のように人的な貢献というのは極めて重要であるというふうに考えております。 したがいまして、日本人の職員数が出資等に比べて大変少ないということについて私どもも全く同様の問題意識を持っておりまして、これがふえるようにいろいろな形で実は努力をしてきております。世界銀行等のリクルートのいろいろな形での広報、そういったものに私どもも積極的に協力をしておりますし、我々もいろいろな形でPRに努めているわけでございますけれども、ただいま御指摘がありましたように、なかなかふえてまいりません。徐々にふえてきていることは事実でございますけれども、ふえ方が必ずしも私どもの期待どおりにはいかないという現実がございます。 これは高度の専門知識と語学能力というのが両方要るというようなことがありまして、そういう人材は日本でも非常に引っ張りだこになるというようなことで、国際機関で働いていただきたいわけですけれども、なかなか働いていただけない。最近では、円高というようなこともありまして、必ずしもドルで外国で受け取る条件が日本に比べてよくないというようなこともありますし、また我が国の雇用慣習との関係で、海外に長期にわたって勤務することが難しいといったようなこともありまして、なかなか思うようにはいきません。 私どもとしては、今御指摘のありましたような点を全くそのとおりと思いますので、今後ともいろいろな形で努力をしてまいりたいと思いますし、また日本の雇用の形態を踏まえた採用もしてもらうように向こうにも働きかけていきたい、こういうふうに思っております。
○中井委員 もう一つ、ODAの額もアメリカを抜いて世界一になろうとしております。アメリカのODAは六割くらいがイスラエルとエジプトに行ってしまう。ロシアヘ残りの大半が行っておる。そういう意味ではもう世界一のODAに対する貢献をしておると私は思います。 それはそれで結構なのでありますが、その中で財投のお金が日本のいろいろな政府関係機関を通じて使われていると思うのです。トータル的にこの財投で使われているお金というのはどのくらいになりますか。
○藤井(威)政府委員 平成五年度の、現在御審議をいただいております予算をベースにして我が国のODAの予算額を事業規模ベースで申し上げますと、一兆九千億円程度でございます。それで、この一兆九千億の事業規模のうち、先生がおっしゃいます財投の入っている部分としましては、海外経済協力基金の行っております円借款がございまして、その円借款用の財源として七千七百億円の財政投融資計画を組んでおります。
○中井委員 財投というのは返してもらわなければならないお金だと思うのですね。トータルでいくと三兆円か四兆円ぐらいもう財投から海外援助で出ている。そして、なかなか返ってこないで繰り延べになっておるのもある。債務国が苦しくなってカットだ何だといっても、日本は財投を使っているからカットしたり捨てたりできない、繰り延べならいい、こういう形でやりくりをしているけれども、本当はなかなかこれは大変なことではないかなと思います。 よその国でこんな財投的なお金を使っている国というのはあるのか。もし日本だけだとしたら、本当にODAの中身、先ほどから環境問題等が出ましたけれども、本当に確実に利益を上げて返ってくるチェック、ここらをもっと考えなければならないんだと思うのですが、いかがですか。
○藤井(威)政府委員 今申し上げましたように、財政投融資計画の金がODAとして使われている部分は海外経済協力基金の円借款の財源でございます。我々としましても、先生のおっしゃるように、これは有償資金であり、安全確実でなければいけないわけでございまして、その点は肝に銘じておるところでございまして、海外経済協力基金の事業の案件承諾というようなタイミングのもとで、事業計画の妥当性とか借入国の債務返済能力とかそういうものを十分チェックして円借款の決定をしておるということでございます。 また、現実に返済困難となりました国もございますが、そういう債務問題を抱えております国に対する救済策として、パリ・クラブを通じたリスケ、繰り延べというのが行われていることも先生のおっしゃるとおりでございます。 ただ、これも当該国に対する国際的な支援体制を確認しながら慎重に行われておるところでございまして、我々としましては、リスケによって債務は一たん繰り延べられるものの、将来における返済は確保されているというふうに考えておるところでございます。
○中井委員 先ほどロシアのときにもちょっと申し上げたのですが、本当に相手の実情にあった援助、そして金を出す分日本も、何も威張ることはないのですけれども、やはり実際的に運用がうまくいくように発言をしていく、こういうためにありとあらゆる努力をやっそいただくことを重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
○藤井委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○藤井委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに両案について採決に入ります。 まず、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ―――――――――――――
○藤井委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、石原伸晃君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。仙谷由人君。
○仙谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 世界経済における我が国の立場を踏まえ、多角的自由貿易体制の維持・強化と世界経済の安定的な発展に引き続き貢献するとの観点から、ウルグアイ・ラウンドが成功裡に終結するよう努力すること。 一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢に対処するとともに、国内産業、特に農林水産業及び中小企業への影響に十分配慮しつつ、国民経済的観点に立って国民生活の安定に寄与するよう努めること。 一 国際化の著しい進展等による貿易量、出入国者数の伸長等に伴い、より適正で迅速な通関に加え、麻薬、覚せい剤、銃砲、不正商品、ワシントン条約物品等の水際における取締りの一層の強化が国際的、社会的要請になっていることにかんがみ、税関業務の一層効率的、重点的な運用に努めるとともに、今後とも税関職員の特殊な職務を考慮して、中長期的展望に基づく税関職員の定員の確保はもとより、その処遇改善、職場環境の充実等に特段の努力を行うこと。 以上であります。 何とぞ御賛成賜りますようお願い申し上げます。
○藤井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。林大蔵大臣。
○林(義)国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。 ―――――――――――――
○藤井委員長 次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○藤井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ――――◇―――――
○藤井委員長 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤井委員長 御異議なしと認めます。よって、日笠勝之君を理事に指名いたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後十時十二分散会