大蔵委員会 第6号
- 発言数
- 116 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1993/03/09
会議録
○藤井委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷治通君。
○細谷委員 参議院の予算委員会に引き続き大蔵委員会、大臣も大変御苦労さまでございます。 まず、本題に入ります前に、今世間を大変騒がせております脱税事件について、大臣に二、三お伺いをいたしたいと思います。 今回の金丸前自民党副総裁の巨額の所得税脱税事件については、政治倫理、政治道徳という面から見て全く弁解の余地がないと申さなければならないと思います。政治家は国民の前に謙虚に頭を下げな付ればいけないのじゃないかと思っており ます。まさに、政治に金がかかるのではなくて、政治に金をかけ過ぎている。いや、もっと言えば、そう思いたくないわけでありますけれども、政治で私腹を肥やしているというふうに見られても仕方がないような今回の事件だったと私は思っております。 そして、政治と金の関係というのは、日本の政治の仕組み、すなわち極端な中央集権の行政優位のシステムを軸にいたしまして、これに政治家や企業が群がっている、まさに癒着、利益誘導型の政治に深く根差しているわけでありますから、真の政治改革というのは、この政治システムを変えていかなければならない、そこにメスを入れなければだめだと考えております。しかし、これは一朝一夕にできるものではない。これは中長期的な課題として政治が本当に真剣に取り組まなければいかぬ問題だと思っております。したがって、当面政治改革、政治資金規正法の改正の問題、政治倫理法の確立の問題、選挙制度の問題、こういう問題について、できるところからこれをやり遂げて国民の皆さん方の期待にこたえ、そして政治に対する不信感を払拭していかなければならぬと私は考えているところであります。 そこで、今回の一連の脱税事件について、経験豊かな、かつて総裁選に出馬されたことのある大蔵大臣でございますので、高い立場から、どういうふうに受けとめておられるか、御所感をお伺いいたしたいと思います。
○林(義)国務大臣 細谷議員からのお話がありました。総理も、こういった事件になったことはまことに遺憾のきわみであるというお話を述べておられますが、私といたしましても全く同じような気持ちでございます。大変残念な事件が起きた。こうしたことに対して、国民が政治家または政治に対して持っているところの不信はますます深まってきたと思っておりますし、そういった意味でも、今お話のありましたような政治改革をぜひともやっていかなければならないものだろう、こういうふうに思っているところでございます。
○細谷委員 これから検察、国税の手によって捜査は進められると思いますけれども、今まで私どもが伺っておるところでは、今回の所得税法違反事件の対象というのは、一九八七年と八九年の両年度が対象となっているようであります。他の年の所得、例えば時効にかかっていると言われる八六年以前、それから八七年と八九年の間の八八年、そして九〇年以降の分について、一体どういうふうな捜査の実態になっているのか、もし捜査の実態は進行中でありますから言えないということであるならば、重大な関心を持っておられるのかどうか、その辺についてお伺いをいたしたいと思います。 特に、今回のワリシンを初めて購入したのが一九八四年と言われておりました。八五、八六、八七、四年連続して億単位で買い増しをしたと言われております。八四年に買ったワリシンの償還期日が来るごとに利子分を足して買いかえた上に、さらに億円単位の金を継ぎ足してワリシンの残高を膨らませた。そのほか、ワリコーも購入している。合計四十億円に達する割引金融債を保有していたということであります。こういうことを考えてみると、八七年、八九年に限らず、こうした割引金融債に大量の資金が投入されたんではないか。この資金がどういうふうに調達されたのかということについては、税務当局としては当然関心を持たなければいかぬと私は思いますけれども、それについてはいかがでございますか。
○野村(興)政府委員 お答えいたします。 今回、東京国税局は、東京地方検察庁と共同で金丸前議員に対しまして、昭和六十二年及び平成元年の所得税法違反容疑で強制調査に着手したところでございます。本件につきましては、現在調査、捜索中でございますので、これ以上の具体的な答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。 ただ、今お話ございました公訴時効あるいは除斥期間との関係での御質問でございますが、刑事上は、先生御承知のとおり五年で公訴時効が成立するわけでございます。課税上は、偽りその他不正の行為により税額を免れた場合、これは確定申告期限から七年間更正決定ができる、こういうふうなことになっているわけでございます。したがいまして、一般論で恐縮でございますが、国税当局といたしましては、課税上問題があると認められる場合は、ただいま申し上げました更正決定をすることができる期間、こういったことも念頭に置きながら適正な課税に努めているところでございます。
○細谷委員 国民は大変注目しておりますから、ぜひ国民の期待にこたえるように国税局として厳正な調査をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。 少し具体的にお尋ねをいたしたいと思いますが、まず割引金融債についてお尋ねをいたします。 割引金融債の発行残高がどうなっているか、金融機関別にお示しをいただきたいと思います。
○寺村政府委員 四年三月末の残高を申し上げます。 発行しております金融機関は合計六機関でございます。興銀が六兆二千億、日長銀、日本長期信用銀行でございますが、四兆九千億、日本債券信用銀行二兆二千億、東京銀行一兆七千億、農林中金三兆二千億、商工中金三兆三千億、合計二十一兆五千億円でございます。
○細谷委員 無記名の割引金融債の購入というのは、金額は無制限、しかも無記名、匿名でございます。大蔵省の銀行局通達ないし指導によって、三千万を超えて購入する場合については本人確認がなされているというふうに聞いております。まず、この事実を確認いたしたいと思います。 そして、いつからこういうことがなされているのか、何の目的で本人確認がなされているのか、どんな方法で本人確認をしているのか、まずこれをお伺いしたいと思います。
○寺村政府委員 まず、いつこの本人確認を行うこととしたかという点でございますが、平成二年六月に通達を出しまして、平成二年十月以降本人確認を実施するように金融機関に要請をいたしております。 その本人確認の目的でございますが、麻薬等の薬物の不正取引が国際的に拡大をいたしておりまして、これに伴い、不正取引から生じた収益のマネーロンダリング、資金洗浄を防止することを目的として行うものでございます。 この資金洗浄をもう少し御説明いたしますと、麻薬等の薬物の不正取引から資金を得た者が、資金の出所ですとか真の所有者を隠ぺいするために、金融機関の口座に資金を入金したり、金融商品を購入したり、口座から口座へと資金移動を行ったりするということ、それから金融機関とその職員が麻薬等の薬物の不正取引から得られた資金であることを知りながら資金の受け入れ等に際してこれらの行為に関与すること、こういうことを防止するために本人確認を行おうとするものでございます。 それから、具体的に通達に基づきます本人確認は、顧客が個人の場合は、運転免許証、旅券、住民票の写し等の公的書類等によって確認をいたします。それから顧客が法人の場合は、登記簿謄本、抄本、印鑑証明等によりまして行うことといたしております。
○細谷委員 この、麻薬等の等には、当然政治資金も入っているということでしょうね、裏金も。
○寺村政府委員 麻薬等の中には、麻薬等の薬物は、麻薬取締法、あへん法、大麻取締法、覚せい剤取締法により規制の対象になっている物質のことを指しております。
○細谷委員 どうも政治資金、裏金は入っていないような感じでありますけれども、また後でちょっとお尋ねをします。 本人確認の実績件数というのは一体どうなっているのか、そして、もしこれをしていない金融機関があったとすれば、それに対するペナルティーはどうなっているのでしょうか。
○寺村政府委員 先ほど申し上げましたけれど も、平成二年十月から実施をしておりますので、以降のケースについて申し上げますと、平成二年度下半期は千三百万件、それから平成三年度は年度合計で二千五百万件、それから平成四年度上半期は一千二百万件でございます。 昨年の七月以降さらに通達を発出いたしまして、従来、平成二年の通達は努力規定でございまして、金融機関は努めなければいけないということでございますが、昨年の七月からは通達上の義務規定に変えておりまして、現在適正な確認が行われていると考えているところでございます。
○細谷委員 金融機関がこの大蔵省の指導に従わなくてもペナルティーはないようであります。 そこでちょっとお伺いいたしますけれども、一回の購入限度額が三千万円ということなのですけれども、同じ銀行で分割してやればこれは問題ない、本人確認は不必要、こうなるわけですし、まして銀行が違えばこれはもう堂々とできるということだと思うのですね。何か本人確認をするといってもどうも格好だけではないか、まさにしり抜け、火しり抜けの指導になっているのではないかというふうに私は思います。到底有効な確認手段とは思えないわけでありますけれども、その辺についてはどうでしょうか。
○寺村政府委員 この本人確認は、実は割引債の償還差益について、これはそもそも源泉分離課税になっておりますものですから、税務上の目的での本人確認を行っているものではなくて、先ほども申し上げましたけれども、あくまでも麻薬等の薬物の不正取引に伴うマネーロンダリングを防止するという見地から必要な範囲によって行われておりまして、金融機関を通ずる、預金口座を通じましてもすべての現金取引を、三千万以上の取引を本人確認を行うのみならず、新規に口座を開設するときは、金額のいかんも問わずに本人確認を行う。先ほど申し上げました計数は、実は新規の口座開設に伴う本人確認が大半でございます。
○細谷委員 新聞報道によりますと、日債銀では、三千万円という銀行局通達にかかわらず、一千万円ということで申し込みについては資金の性格を含め本人確認を行っていたということであります。これはどうも日債銀独自の判断のようでありますけれども、他の五行はどうなっていたのでしょうか。
○寺村政府委員 ただいま先生御指摘の報道があったことは承知しているのでございますが、当該銀行からの報告によりますと、そのような事実はないということでございますし、それから他の割引金融債発行機関五行につきましても、三千万以上の取引についての本人確認を行っているということでございます。
○細谷委員 私は、基本的には無記名債券の性格上、本人確認についても限度があるというふうに考えておりますけれども、今回の事件にかんがみ、三千万円というのは少しバーが高過ぎるのではないかという感じがするわけであります。先ほど言いましたように、同一銀行内でも日にちを変えたり、また同一日でも時間を変えればできる、まして銀行を変えればもうへっちゃらだ、そういう意味において私はしり抜けになっているのではないかというふうに思いますけれども、この機会にこういう問題を含めて見直しをされるという御決意があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○寺村政府委員 先ほど申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますが、この本人確認は税務上の目的で行うものではなくて、あくまでも麻薬等の不正取引に伴いますマネーロンダリングを防止するという趣旨から行っているものでございまして、割引金融債に限らず、通常の銀行預金の口座でも現金を伴うものは三千万以上ということで行われているものでございまして、マネーロンダリング防止の観点からするならばこの金額で適当ではないかと考えているところでございます。
○細谷委員 検討するつもりはないということでありますけれども、大変国民の注目を集めたわけであります。制度に問題がないかどうか、洗い直しをぜひしていただきたいということを要望しておきたいと思います。 次に、財産及び債務の明細書の提出についてということでお尋ねをいたしたいと思います。 所得税法二百三十二条には、財産債務明細書の提出が義務づけられております。確定申告で総所得金額が二千万円を超えるものについては、十二月三十一日現在ですべての財産及び債務についての明細書を提出するよう義務づけられている。これは預貯金を含め、土地建物は当然でありますが、預貯金、現金までも全部明細書に記載しなさい、こういうことであります。 この制度は、目的は一体何なのか、何のためにこういう制度がつくられているのか、個人の財産権の侵害に当たらないのか、プライバシーの保護の観点から法律的には問題がないのかどうか、大蔵省の御見解を承りたいと思います。
○濱本政府委員 お答え申し上げます。 一般に、高額所得階層の方々になりますと所得の発生も多様化いたしまして、特に配当所得などの資産所得のウエートが当然でございますけれども高くなってくる傾向がございます。これらの所得階層の方々におかれましては、結局年間のフローとしての所得を把握しますときに、その保有しておられます資産と密接な関係がそこにあるということでございまして、適正な課税を確保いたしますためには、そのいわば補助的な手段といたしまして、総所得金額が二千万円を超えるような方々につきまして確定申告の際に一緒に財産債務明細書を出していただく、その出していただきました明細書に基づいて所得の金額をチェックする、そういうことをやらしていただくことには十分合理的な根拠があるように私は思うのでございます。 ただ、細谷先生御心配のように、そんなことをしていいのか、つまりプライバシーの問題はどうなのかという御懸念でございますけれども、税務当局の立場といたしましては、納税者に関しますいろいろな資料を収集させていただきまして、それに基づいて適正な課税を行わせていただく、その限りにおきましてはプライバシーの権利というものは制約されざるを得ないと考えます。そこは忍んでいただくということで、他のことにおきましてもそうでございますけれども、お許しをいただいているつもりでございます。 ただ、こうして出していただきます財産債務明細書というのは、もちろん一般に公表されるものではございません。そして、当該任に当たります税務職員は、その職務の性質からいたしまして、通常の公務員よりも重い守秘義務が課されておる、その中で税務の適正な運営を確保しようとしておるということかと存じます。
○細谷委員 きょうは、この制度の合法性、法律的な問題については時間がございませんから議論するつもりはございません。一応御見解を承っておきます。 ところで、当該所得金額は二千万円ですね。これは昭和三十三年から四十七年まで。は一千万円だった。四十七年から二千万円に引き上げられて今日に至っているということでありますけれども、最近における提出義務者、提出予定者がどんなことになるのか、想定されているのか、そして実際の提出者がどのくらいあったのかということについてお尋ねをいたします。
○松川政府委員 お答えいたします。 平成三年分の提出義務者は約四十一万人でございます。そして、この提出義務者のうち、実際にどれだけの人が提出したかという計数は把握していませんけれども、従来のサンプル調査等で見ますと、大体八割前後の方が出していただいている。それでまた、未提出の方につきましては提出していただくように税務署の方から督促しておりまして、そういう意味では、かなりその後提出されるということになっております。 今後とも、提出促進に一層努力していきたいと思います。
○細谷委員 実はこれには罰則規定がありませんで、義務違反者に対してはおとがめがないということになっているわけであります。しかも、虚偽 申告の場合についても当然これはおとがめなし、ペナルティーなしということになっているわけであります。だから、およそ八割の人ということで、二割の人は出していない、こういうことになっているわけですね。これをどうするのか、徹底を図っていくのか、それとも廃止するのか、この辺は問題だと思いますけれども、きょうは議論を先に進めたいと思います。 政治家の提出状況というのは一体どうなっているのか。八七年、八九年、ちょうど金丸事件と符合するわけでありますけれども、八七、八九、そして平成三年、九一年、この政治家の提出状況はどうなっているか、教えていただきたいと思います。
○松川政府委員 国税庁の集計でございますけれども、これは全数でございまして、政治家だけの提出状況を取りまとめてはおりません。 また、この提出につきましては、一般の納税者と同様に、未提出の方につきましては督促をしているという状況でございます。
○細谷委員 これは調べればわかると思いますけれども、後から提出していただけますか。
○松川政府委員 一般に、税務署の事務負担の問題もございますので、報告は最小限ということでやっております。 そういう意味で、今の御指摘の点につきましては、国税当局の職員の負担等も勘案して検討したいと思います。
○細谷委員 個別の案件で、だれそれという特定をして出せと言っているのではないので、政治家ではどうなっているのかということを聞いているわけです。 委員長、今前向きのお答えがあったと思いますけれども、ぜひお考えいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
○藤井委員長 理事会において協議させていただきます。
○細谷委員 お願いいたします。 これは国民が大変関心を持っていますからお尋ねしておきたいと思いますけれども、金丸前自民党副総裁について、八七年、八九年で所得税法違反で摘発をされましたけれども、金丸さんは提出されておりましたでしょうか、当然、所得金額は二千万を超えていたと推定されるわけですけれども。
○松川政府委員 個別の事項に該当いたしますので、財産明細書につきましても守秘義務ということで、答弁をすることは差し控えさせていただきます。
○細谷委員 実は今、閣僚や政務次官等の政治家の資産公開というのが行われているわけですね。それから、ことしから議員の資産公開が行われるようになりました。これは比べてみますと、どうも税務当局のおやりになる明細書の方がはるかに詳しくなっているわけですね。ですから、税務当局から見れば、政治家の資産公開の中身が適切かどうかということは一遍でわかる、こういう形になるわけです。ですから、活用次第によっては相当の威力を発揮するのではないかというふうに私は感じておるわけであります。これをどうすべきかということについては、これからもう少し基本論について議論を深めていきたいと思っております。 最後に、所得金額は二千万円ということでもう既に二十年以上放置されているわけであります。例えば、制度全般を含めて見直しの検討をする用意があるのかどうか。これは義務規定ではありますけれども強行規定ではないわけでありまして、この辺について、虚偽の記載等があった場合には罰則を設けるようなこと、そういうことをお考えになったことがあるのか、ないしはそういう議論が行われたことがあるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。
○濱本政府委員 この明細書は、先ほどもちょっと申させていただきましたように、適正な課税を確保いたします上での補助的な手段というふうに考えておりまして、所得計算に直接結びつく書類ということでもないものでございますから、これを提出されない方に対して罰則を適用するということはいかがか、かように思うわけでございます。 しからば、そのような中途半端なことで実効を期せるのかというお尋ねも受けようかと思うわけでございますけれども、これは実際の状況に当てはめて考えました場合に、特に土地とか建物とか、そういう目に見えますような表現資産につきましては認識できる場合が多いわけでございますけれども、不表現資産、つまり預貯金でございますとか株式でございますとか、そういった資産につきまして正確な記載がないという場合には問題が多いというふうに考えられるわけでございます。 さらに考えてみまするに、そういった不表現資産の場合にも当然果実を生むわけでございます。その果実というのは当然所得税の課税の対象になるわけでございまして、仮にそういうものが脱漏しておるということになりました場合には、所得税の世界においていわば罰則をかぶせていくことが事実上できるという気がいたしまして、こういったものをそういう形でチェックできるという気がいたしております。 今お尋ねがございましたように、二千万円という線が引かれましてから確かに二十年以上を経過しておるわけでございますけれども、このラインをどのあたりに設定することが一番適当か。余り高くしてしまいますと、せっかく適正課税を目指して資料を出していただこうという制度の趣旨からいたしますとその意が達せられなくなりますし、逆に余り低過ぎましても問題かという気がいたしまして、今この二千万円ぐらいで引き続き様子を見たいというのが率直な気持ちでございます。
○細谷委員 罰則も設けない、二千万も今のところ考えていないということでありますけれども、制度の運用次第によっては大変おもしろい、いろいろな効果が期待できると思います。まじめに正面から見直しの検討に取り組んでいただきたいというふうに要望をいたしておきます。出さない人は何かやましいところがあるのだろうから税務調査をするぞとか、そのぐらいのことはやっていただくのもおもしろいのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。 次に、本題に関連いたしましてお尋ねをいたしたいと思います。 居住用不動産の買いかえ特例の復活についてでございます。居住用不動産の八〇%強は現行税制の特別控除により非課税となっている、これは大蔵省の資料で明らかになっております。そういう現状から見て、特例の復活は政策効果の点で私は疑問だということではないかというふうに思います。結果としてこの復活が地価の下支えになるということが考えられます。 特に、巷間言われておりますけれども、不動産業界が抱えるバブルの崩壊で売れなくなった分譲マンションの在庫、しかも億ションと呼ばれるちょうどその億、一億に達するような億ションと呼ばれる高級マンションを売りさばくための特例復活ではないか、こういうふうに言われているわけです。この政策目的、ねらいについて、建設省のお考えをお伺いしたいと思います。
○野見山説明員 今回居住用財産の買いかえ特例の拡充をお願いしておりますが、生活大国を実現していくためには住生活の充実が何よりも重要であるとの認識に基づくものでございます。そのためには住みかえによる居住水準の向上を支援する、それを政策目的といたしております。すなわち住宅を譲渡して住みかえられる場合には、実態としまして、一般に顕著に居住水準は向上いたしますけれども、現行の買いかえ特例の制度では、三十年以上居住しておられる、相続を受けた場合等に限られておりますので、適用される場合は極めて少ないものと考えております。 また、現在居住用財産の譲渡につきましては三千万円の特別控除及び軽減税率の制度がございますが、特に東京を初めとする大都市圏におきまして、長く住んでおられる方につきましては、三千 万円を超える譲渡益を生じる場合がかなりあるものと思っております。さらに軽減税率と申しましても、課税が行われることによりまして住みかえを断念するという事例も多いものと思っております。したがいまして、居住用財産の買いかえ特例を拡充することによりまして住みかえが円滑に行われるようになりまして、居住水準の向上に効果があるものと思っております。
○細谷委員 大蔵省は当然反対であったわけであります。尾崎事務次官はこう言っておられます。買いかえ特例が地価高騰を拡大させた最大の原因であることは間違いない、地価が下がったとはいえまだ十分でない、もし制度が緩和し売れ残っている物件をバブル価格で買いかえる結果になればバブルを解消できないまま残すことになる、こう発言しております。一億円以下等の諸条件を付してみても、私は、その尾崎次官の発言というのは正しいし、本質は変わらないというふうに思います。 事実、政府税調の答申でも「現在なお高水準の地価を下支えするだけでなく、将来において地価高騰を再発させるおそれが大きい」、そう言って否定的な見解を示しておるわけでありますけれども、大蔵省としてどうしてこれを認めることになったのか、それについてお尋ねいたしたいと思います。
○濱本政府委員 御指摘ございましたように、この買いかえ特例制度というのは一種の前科がございました。私どもも最初この要求を受けましたとき、そのことを思い出さないわけにはいかなかったわけでございまして、大変問題のある要求であるという認識を持ちました。ただ、そのうちに、要求側といろいろ話をしてまいりましたところ、確かにかつてはいろいろ問題があった、その問題を克服したいという議論になってまいりました。克服したいという意味はどういう意味がと申しますと、やはり今住宅政策において一番必要なことの一つは、国民の住みかえによって居住水準を次第に高めていく、そういう政策目標というものを着実に実施していきたい、議論の照準がここに当たってまいりまして、そのためにいわば副次的にいろいろな弊害を生ずるということであれば弊害が生じないような仕組みができないだろうか、その仕組みができなければこういう制度の復活は適当でない、かように思ったわけでございます。 いろいろ議論をいたしまして最終的にまとまりました案でごらんいただきますと、譲渡した土地あるいは買いかえる土地の対価というものが一定の適正な価格でなきゃならないことでありますとか、今御指摘がございましたように譲渡価格はともかく一億円以下でなきゃならない、あるいは譲渡資産の所有期間でございますとか居住期間でございますとか、あるいは物件の条件でございますとか適用期限、こういったものをあわせ当てはめてみまして、いずれもこれらの条件を満たすというような取引でありました場合には、確かに現実にこの住みかえ需要というものが存在しておって、そういうものを助けていくということをなお避けなければならないかということになりましたときに、それはこの範囲においてそういった道を開くということも国の踏み行うべき施策の中に入ってくるはずであるというふうに最終的には私ども認識いたしまして、このような結果になったということでございます。
○細谷委員 歯切れが悪い非常に苦しい答弁のようであります。私と見解を異にいたします。ところで、今回の特例措置には種々の制約条件が付されていることでございまして、地価の上昇ないし下支えの心配は取り除かれた、こう説明をなさっているわけでありますけれども、しかし現実にはいろいろの脱法的手段が出てくるおそれなしとしないのであります。 そこで建設省にちょっとお尋ねをいたしたいと思いますけれども、例えば一億円以上の土地を一億円以下に分割するというようなケースでは、一定の猶予期間を置けば、経過期間を置けば結果として課税が免れるというケースも考えられるわけであります。そういうことについてはどういうふうにお考えになっているのか。 それから、これは事実関係でありますけれども、首都圏の不動産業界が抱える分譲マンション在庫はどのくらいになっているのか。うち一億円を超えるマンションは幾らになるのか。戸建て住宅で見ればどうなるのか。そういうことを踏まえて、この制度が発足するとして今後二年間でどのくらいの適用件数を見込んでいるのか。これについてあわせてお答えいただきたいと思います。
○野見山説明員 お尋ねの第一段の分割のケースでございます。あるいは条文の中身でございますので私からお答えするのは適当でないかと思いますけれども、現在御提案しております法律の改正案によりまして、譲渡の年の前年と前々年及び翌年と翌々年につきまして、先生御存じのとおり分割譲渡の場合の適用の除外を定めております。したがいまして、前後五年間にわたりまして分割譲渡により課税を免れる行為を防止するとの措置が講じられているものと私どもは理解しております。 なお、お尋ねのマンションの件につきましては他の担当の者がお答え申し上げます。
○石井説明員 御質問の後段の部分にお答え申し上げます。 首都圏の不動産業界が抱える分譲マンションの在庫の問題でございますが、建設省といたしまして分譲マンションあるいは戸建て住宅、こういったものの在庫の数を正確に調べたデータは、私どもの方ては持ち合わせてございません。ただ、民間の調査機関等がいろいろ発表されているものもございまして、こういったものを見ますと、販売中の分譲マンションの戸数は昨年あたり相当在庫があったようでございます。その時期に比べますと、現在、最近ではかなり減少してきているといった傾向は伺っでございますが、具体的な数字につきましては、そういったことで建設省としては調べたデータがないということでございます。 それから、今後二年間でどのくらいの適用件数が見込まれるのかという御質問でございますが、今回のこの居住用財産の買いかえ特例の拡充に当たりましては、現行の三千万円控除と軽減税率の制度はそのまま維持してございまして、買いかえ特例と二つ選択制でございます。したがいまして、その拡充後の買いかえ特例の適用件数がどのくらいあるかと見込む場合に、この両者の選択がどのように行われるのかということにもよりますので、これを正確にこれまた予測するということは、数字をもって予測するということは極めて難しいわけでございます。ただ、三千万円を上回る譲渡益を生じる場合というのがこれは相当数あるわけでございますので、この買いかえ特例を利用される方々はかなりあるのではないかというように見込んでいるところでございます。 以上でございます。
○細谷委員 何かの政策を、制度をつくろうとするのにその自分のところでは今、例えば分譲マンションでしこっているのが何ぼあるというのも把握してない。いやそれは、建設省は怠慢でサボってなければそれはいいですけれども、民間のデータがあるでしょう、民間のデータが。それを教えてください。
○石井説明員 民間の調査機関等の数字をという御質問でございますが、ある調査によりますと、首都圏におきます販売中の新築分譲マンションの数は、大まかに言いまして八千戸台というふうに聞いております。この八千戸台のうち約半数は五千万円未満でございます。五千万円未満といいますと、主として一次取得者、初めてマンションを取得される方々が対象になるわけだと思いますけれども、約半数がそういったものだというふうに民間のその調査では出ているわけでございます。 それから、一億円を超えるものにつきましては、おおむねでございますが、約一割程度が一億円以上であるというふうに伺っているところでございます。
○細谷委員 そうすると、一割ということですと、億ションと言われるのは八千戸のうちの一〇%、だから八百戸、こんな感じでいいのですか ね、理解としては。 それから、さっき五年というのがありましたけれども、二年の時限立法だから、要するに五年間のあれがあるから適用にならない、これはそういうふうに理解していいのですか。分割して売る場合は五年の経過期間があるから、これは二年の措置であるから適用にならないんだ、そういう心配はないんだ、こういう理解でいいのですか。
○野見山説明員 二年間の期限と租特の前後五年とは関係がないものと思います。二年間と申しますのは、今回の租税特別措置法の期限のことでございます。そういう意味では別のものと思っております。
○細谷委員 要するに、二年したらこの制度がなくなるわけでしょう。二年で制度がなくなる、そうしたら適用にならないということでしょう。
○野見山説明員 これも税法の関係でございますので、あるいは私からお答えするのは不適切かと思いますけれども、建設省が昨年要望いたしました際には、今回の措置につきましては、先ほど主税局長からも前科というお言葉がございましたけれども、過去に一部悪用された例があった、そういうことで私ども、税法の仕組みとしましては恒久措置にし、ただし場合によっては一時停止をする、トリガーと申しておりますけれども、そういう提案をいたしたところでございます。ただ、いろいろ御議論申し上げる過程におきまして、租税特別措置の前例、税法の前例に倣いまして二年の期限というものがついたものと理解しております。
○細谷委員 話を先へ進めます。 これは私の見解、私の考え方でありますけれども、本特例制度の復活については、本来土地税制は思惑が地価に作用しないためにも安定的でなければならないというのが大原則であろうと思います。八二年に大幅緩和された居住用資産の買いかえ特例は八八年限りで大幅に圧縮されました。そして今回これを緩和する、こうなったわけでありまして、まさに朝令暮改と言わなければならないと私は思います。政府税調も大蔵省も当初強く抵抗いたしましたけれども、最終的には与党、政府・自民党の圧力で押し切られた、こういうことのようであります。 この特例の最大の推進母体は、申すまでもなく、バブル崩壊で売れない不動産在庫を多く抱えた不動産業界の圧力によるもの、まさにしこり物件の処理をねらったものだというふうに思うのです。だからこそ二年間の時限措置で満足したということではないかと私は考えております。二年間の時限措置としたこと自体がこの税制の問題性というものを物語っているのじゃないかというふうに私は思っております。連合は、サラリーマンの居住用資産の質的レベルアップに資するとは考えられない、むしろ一次取得者や賃貸住宅居住者との関連で優遇し過ぎる、不公平税制だという主張も、去る二十六日の大蔵委員会において連合の参考人から申し述べられておりました。そういうことだと私は思います。 さて、もっと基本的に考えまして、土地税制を含む資産課税のあり方については総合的な見直しが求められているということだと思います。例えば、ある識者によれば、居住用不動産の譲渡益に関しては、三千万円の特別控除と軽減税率が存在しているけれども、この措置は持ち家に住んでいる世帯を特別扱いするもので、持てる者に対する優遇措置である、これを正当化する理由は全くない、そういう考え方を述べられておるわけであります。 また、この資産課税の問題については非常に多様な議論がある中で、こういう形、拙速、まさに朝令暮改的なやり方で、しかも特定業界の思惑に押されて復活することは、私は許されないというふうに考えております。私どもとしては、反対せざるを得ない、政府の答弁次第によっては反対せざるを得ないというふうに考えております。この租特からこれを削除する修正案を出す用意があるということだけ申し述べておきたいというふうに思います。大臣、いかがでございますか、何か御感想がございましたら。
○林(義)国務大臣 今お話がございましたが、この居住用財産の買いかえというのは、制度としては割と古い制度でございまして、確かに、東京や大阪や町の中におるところの人が郊外へ出ましょう、年をとったから郊外へ出て住もうじゃないかというところから、せっかく財産を持っておるのだから、同じぐらいの財産ならば買いかえをさせてもいいじゃないかというのが大体初めだったのですね。ところが、今度こういうふうな土地の高騰というような話になってきてしまったら、えらい土地の値段が上がってどうだこうだ、とんでもない話だ、都内の土地を持っていた者が行ったらめちゃくちゃなことをするからおかしいぞ。例えば都内から川崎やら千葉の方に行って買うと、もう都内で売ったのがめちゃくちゃな値段するものだから、えらい必要でもないぐらいの土地まで買うぞ、こういうふうな話もありまして、この前、父祖伝来の土地に限る、三十年に限るというようなことからああいうような形にしたわけでございます。 しかし、それを全部抑えてしまうと、またこれ、せっかくサラリーマンが少し持っているところを買いかえて新しいところに移りたい。大体都内、都会におる人は、私に言わせたら昔は借家だったのですね。ずっと借家で、少し収入がよくなったらかわっていっていいところへ移る、東京などは昔はこういうふうな形でやっておったのです。だから、そういったようなことからすると、あながちサラリーマンが買いかえを促したりなんかするのがいかぬとも言えないのじゃないかな。そこで、おかしなところはやはり制限をしてやる、こういう形で一億円であるとかいろいろな条件をつけて、それでもっておかしな形のものにならないようなことでやろう。しかしながら、土地政策の問題がございますから、その辺は十分に勘案をして二年間の暫定的な措置、こんな形で今回やったのだろう、私はそういうふうに理解をしているのです。 そういうふうなことでございますから、私は、これをやったところで、今の土地の状況や何かからしてかつてのようなおかしな状況にならない。先ほど先生がおっしゃいましたね、ワンルームマンション売ってどうだこうだというふうな話がこれによって出てくるとも思いませんが、状況がおかしくなったら、またそのときに変えていかなければならない話じゃないかな、私はそういうふうに思っておるところです。
○細谷委員 実は、私たちがこれを心配しますのは、きょう時間がなくなりまして、本当にやりたいと思った地価税の問題ですね。これは敵は本能寺で、実はこれを心配しておりまして、どうも自民党税調の答申を読みますと、廃止を含めというのですか、廃止を含めて見直すみたいな話、どうもそんなニュアンスにとれるわけでありまして、実はこれを本当は心配しているわけなので、我々としては地価税まで不動産業界の圧力がいくということになっては、これは大変なことだという問題意識を持っているわけであります。たまたま先日、平成四年分地価税の申告実績における土地等保有の実態というのが発表されまして、この中では非常に示唆に富んだいろいろなことを教えてくれております。実はこれをやりたいと思っておりましたけれども、時間がなくなりましたので、私、今度一般質疑のときにまたこの問題に絞ってやらさせていただきたいと思います。御答弁を用意いただきましてまことに申しわけありませんけれども、そうさせていただきたいと思います。 最後に、税務職員の待遇改善、労働条件の維持改善の問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。 近年の経済取引の国際化、多様化、業務の機械化等に対応いたしまして、業務執行体制も大きくその変革を求められていると思います。これまでも、税務職員の労働条件の改善については要望もし、牛歩の歩みでありますけれどもそれなりに改善をされてきた実績というものは率直に評価をしていいのじゃないかと私は思います。引き続き、 特に税務職員の要員増、要員手当ての問題についてはぜひ前向きに今後とも取り組んでいただくことをお願いをいたします。 きょうは、ちょっと視点を変えまして、税務行政には徴税の面だけではなくて、国民をどういうふうに税務について教育をしていくか、どうPRしていくか、こういうことは、私は納税意識の高揚を図るために重要な役割を担っているというふうに思います。大蔵省からいただいたデータを見てみますと、この税務教育については最近は力を入れておられるようでありまして、学校なんかでも若干の社会科、商業科の教師等を相手に税務職員が出ていってセミナーを開いたりなんかしているようでありますけれども、それでも高等学校で見ても一〇%ぐらいしかできていない。あとは教育用の教材を配って、見ておいてくださいよというようなことで、まあ実際見てくれるかどうか大変難しい面がありますし、見て実効がどれだけ上がっているか、非常に疑問なしとしないわけであります。やはり学校なんかに、学校教育の場面においても専門知識を有している国税職員を派遣して、講師として正しい税の知識を普及させる、私は大きな意義があるというふうに思いますし、今後一層力を入れていかなければいけない一つの面しゃないかというふうに考えております。 そういう意味で、平成三年の組織改正で各国税局に国税広報室が設置されました。また、一部税務署では、一部ではありますけれども税務広報官が置かれている、こういうことでございます。学校教育に限らず、一般納税者に対しても機会をとらえて租税教育を行うことは極めて重要でありますけれども、その中心部を担う広報官がいまだ一部の税務署に限定されて、他の税務署においては調査官が本業を犠牲にして広報に当たっている、こういう実態のようであります。私は、これでは不十分だと言わなければならないと思います。広報活動、租税教育を専門的に行う国税職員の積極的な役割について、私はその必要性を痛感するわけでありますけれども、これについての御見解を賜りたいと思います。
○松川政府委員 先生の方から大変理解あるお言葉をいただきましてありがとうございます。 税務署というのは何となく調査中心のイメージがあるわけですけれども、現在の税務行政というのは広報、相談、指導、調査と四本柱で運営していくということにしておりまして、最近特に広報に大変力を入れているところでございます。それで、平成三年度の機構改革におきまして、全国五十八の税務署に八十一人の税務広報官を設置いたしまして、広報体制の充実を図ったところでございます。 今先生の方からお話がありましたように、租税教育の推進という点については今最重点でやっておりまして、特に地方税当局あるいは教育行政機関の協力を得まして租税教育推進協議会というものをつくりまして、全体的に協力しながらやっていこうということでやっております。 また、税務広報官の数が少ないものですから、今御指摘にありましたように、税務署の職員も広報活動をするようにやっておりまして、女子職員を中心に、例えば講師になって学校でやっていくということで、広報活動には大変積極的に努力しているところでございます。今後とも努力していきたいと思います。
○細谷委員 ぜひ前向きに一層の御努力をいただきますことをお願いいたしまして、ちょっと時間は早うございますけれども、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○藤井委員長 小川国彦君。
○小川(国)委員 私は、同僚議員の御理解を得まして、きょうはこの大蔵委員会で、居住用財産の買いかえ問題あるいはまたパート税制の問題について質問をさせていただきたいと思います。 最初に、本年度の税制改正案の一つである居住用財産の買いかえの特例についてお伺いをしたいと思います。 これは二年の時限立法ということでつくられるわけでありますが、ぐるぐる変わる猫の目のような税制のあり方、これでいいのかという国民の批判が強いわけでありますが、この点、どういうふうにお考えになっておりますか。
○濱本政府委員 先ほど細谷先生からも御指摘がございましたように、税制というものがそんなにしょっちゅう変わるようでは困る。特に土地税制というものは、過去の経験に照らしましても安定した税制であるということ自体に非常に大きな意味があるということを我々も常日ごろ、みずから言い聞かせているつもりでございます。 ただ、安定した税制というものを守っていきますためには、税制の役割、つまりそのときどきの社会経済情勢に照らしまして、税制が努めなければならない課題、そういうものに直面いたしましたときに、やはりそれには適合する、適合しながら全体の仕組みというものを安定的に保っていく、そういう心がけも同時に我々に問われているという気持ちがございまして、非常にそこは悩ましいところでございますけれども、二つの要請が常に心の中で闘いを演じておる、そういう感じの日々を過ごしております。特に今回の土地税制の論議などにおきましても、先ほども細谷先生からいろいろ承らせていただきましたように、慎重に対応すべきであるという気持ちも強うございました。しかし同時に、繰り返しになりますけれども、なかなかそれだけで済まないという部分が見えてまいりましたときには、やはり果断にそれに適合しなければならないと決心したようなわけでございます。
○小川(国)委員 現行制度で居住用財産の譲渡者の大多数の方々が三千万の特別控除により非課税になっているということでございますが、この制度の利用状況は、平成三年度、四年度実績ではどの程度になっておりますか。
○濱本政府委員 大まかに申しますと、全国の税務署に申告がございました案件から判断いたしますと、居住用財産を譲渡されました案件の中で約八割ぐらいの方は、例の軽減税率の制度におきますところの三千万円の控除、この控除によりまして課税されることなく譲渡しておられる、これが大体全体の八割ぐらいに及ぶという感じがいたします。
○小川(国)委員 そうしますと、実質的にはこの三千万の特別控除で十分ではないか、せっかく特例と名づけて新制度をつくられようとしているわけでありますが、実質的には、今局長御答弁のように、約八割以上の皆さんが現行税率で手続をされているということでは、この改正の意味というのがどれだけあるのか疑問に思わざるを得ないのですが、その点はいかがお考えになっておりますか。
○濱本政府委員 そこは確かに議論のあるところでございました。 例えば、一億円で居住用財産を売却した。その居住用財産の取得価額が一千万円であったといたしますと、差し引き九千万円の差益が出るわけでございますけれども、この九千万円から、ただいま申し上げました三千万円の控除を引きました後、六千万円という価格に税がかかります。仮に一〇%の税がかかるといたしまして、これが六百万円相当の額になります。この額をどう受けとめられるかということでございますけれども、やはりさまざまなお立場の方々の中には、新しい居住用財産を求められまして、その中に調度をいろいろあつらえるというような目算をお持ちの方もおられるわけでございまして、この買いかえ特例の復活を願う要請が日々私どものところにも届けられました。 そのいろいろな御要望というものをつぶさに見てみましたところ、確かにそれによって、先ほど来出ておりますような土地政策との整合性を乱すようなそういった問題事例が続発してくるということであれば、これは到底認められないと思ったわけでございますけれども、個別のそういった需要というものが一方に存在し、一方においてまたそういった非常に大きな問題への波及が防げるという見通しを得られました上は、そういったケースを救うということもこの際一つの方法か、この ように考えたわけでございます。
○小川(国)委員 これらの点はまだたくさん問題点があろうかと思いますが、これはまた同僚議員の方々の御質疑に譲らせていただきたいと思います。 次に、野党の減税要求案であるパートの非課税限度額二十万円のアップについて大蔵省はどのように考えておられるか、この点を私はお伺いしたいと思います。
○濱本政府委員 パート所得者につきましては、既に先生十分御承知いただいておるかと存じますけれども、先般の税制改革におきます配偶者特別控除の創設、拡充によりまして、パート主婦の収入が非課税限度を超えますと夫と妻をあわせました世帯の手取り総額が減るという、例の税制上のパート問題というものは解消されたこと、それから、現実にパート世帯に着目しまして、これを同じぐらいの世帯収入の片稼ぎ世帯あるいは共稼ぎ世帯と比較しました場合には、パート世帯の負担が軽くなっておるという事実があること、こういった面で既に最大限の配慮が払われていると考えておる次第でございます。 昨年もこの大蔵委員会におきましてこの議論がございましたけれども、税制上の面からの問題というのは一応解消しておるというふうに私どもは認識をいたしまして、そのように御答弁も申し上げ、御理解賜っておる、かように考えております。
○小川(国)委員 私は、今の御答弁の考え方というのはどうも違うのではないか。確かに共稼ぎ世帯と片稼ぎ世帯では差があることは事実であります。しかし、片稼ぎ世帯では夫が一人働いて所得を得ている。パート主婦のいる世帯では夫と妻が二人で働いて所得を得ているわけですから、課税最低額に相違が出てくるのは当然なことじゃないかと思うのです。 例えば個人事業主の場合に、個人事業主が一人で働いている場合と妻が青色専従者で給与を得ている場合と、これは所得が違ってくるのは当然のことでありまして、この片稼ぎ世帯とパートの共稼ぎ世帯の課税最低額というものを、所得最低額というものを比較するのは誤りではないのか、こういうふうに思うわけでありますが、この点はいかがでございましょうか。
○濱本政府委員 もちろん世帯構成によりましてさまざまな事情はあろうかと存じますけれども、一定の控除を減じました上で世帯の形態、例えば今申し上げました、一方に片稼ぎがあり、一方に共稼ぎがあり、パートの世帯というものも一種の共稼ぎ世帯かと存じますけれども、いわゆるフル稼動の共稼ぎ世帯とは違いまして、あくまでもパート世帯ということでこの三つの類型を考えましたときに、それはそれなりのつり合いがあっていいというふうに感じるわけでございまして、パート世帯が今一番負担は軽くなっているということをどう見るかということかと思います。
○小川(国)委員 ことしの野党の減税要求案では、現行の給与所得控除を六十五万円から七十五万円に、基礎控除を三十五万円から四十五万円に引き上げることを要求したわけでありますが、この点について政府としてはどのようにお考えになっておりますか。
○濱本政府委員 結局、パート税制というものが特別ございますわけではございませんで、パートで働かれる主婦、これが給与という形で収入を得られる、その場合に生じます課税関係をどのように整理するかという問題でございまして、結局は、全体の給与税制といいますか、給与所得に係ります課税関係をどのように整えるかという問題に吸収されていくわけでございます。 今もし仮にちょうどその限界的な、今先生が御指摘のような層につきましての課税関係を優遇するといたしました場合には、給与所得控除の最低保障額を引き上げるという必要が生じようかと存じます。今の給与所得控除の体系から申しますと、給与収入の限度が一番下の控除率、つまり今四〇%という控除率がございます。その四〇%の適用上限、これが百六十五万円でございますけれども、この百六十五万円を超える層に対して手当てをするということになろうかと存じます。 そういたしますと、この給与所得控除そのものの体系の骨格をいじる必要が生じてまいります。給与所得控除の骨格をいじるということになりました場合は、これはもう所得税体系の骨格そのものをどういじるか、どう見直すかという問題に直面するわけでございまして、制度全体の本格的な見直し論議に突っ込んでまいります。そういう意味におきまして、これは問題の性質としまして、一般の給与所得税制をどうするかということになるし、そのこと自体、非常に大きな問題だというふうに考えます。
○小川(国)委員 国の税収の中で給与所得の占めている割合というものが非常に大きいわけで、それだけに減税要求が勤労者の中から、給与所得者の中から強く出てくるのは当然じゃないかというふうに私は考えるわけでありまして、その最も国税収入に貢献している人、そこに対するところの減税措置というのは当然なことで、そのことが税体系を乱すものというふうには私は考えないわけでありますが、この点はさらに御検討をいただきたいと思います。 それからもう一つ。先ほど御答弁の中で、配偶者特別控除が創設されたことによって、いわゆる百万になるともう働かないという現象は解消された、百万を超えても百三十五万まで配偶者特別控除の制度ができたから、その問題は解消されたと言っているんですが、しかし現実を見ますと、これは非常に違うわけであります。実際に、平成三年において配偶者特別控除を受けた人、大部分は夫であると考えられるわけでありますが、妻の収入が百万円未満の人は一千百三十八万人おるわけであります。これに対して、妻の収入が百万円以上の人は四十五万人にしかすぎないわけであります。この統計を見ても、配偶者特別控除の制度というものは専業の主婦に重点が置かれているというふうに考えざるを得ないわけでありまして、この制度ができたことによって働くパート主婦に対するところの税制の優遇がなされたというふうには、実際の数字を見ると理解できない点があるわけでございますが、この点はいかがお考えでございましょうか。
○濱本政府委員 ただいま御指摘の点につきまして、どのようにお答え申し上げることが一番的確か、ちょっと迷うところもございますけれども、一つは、先年のこの委員会でもそのような御指摘を賜ったわけでございますが、何となく世の中には依然としてパート問題が存在しておる、大蔵省はそのような答弁をするけれども、実際には、妻の収入が減ると一家の世帯としての手取りが減るという現象が今もあるんだ、しかもそれは税によってもたらされているというふうに認識されているのではないかという御指摘もありまして、先刻申し上げました、税制改革におきます配偶者特別控除の創設、拡充、そのことによりまして問題が解消に向かったということをもっと大蔵省は世間に説明をしなければいけないという御指摘を受けました。 それを受けまして、私どもも、広報と申しますか、そういった事実をなるべく広く皆さん方に聞いていただくべく努力してきたつもりでございますし、その後、いろいろ見ておりますと、御婦人方が目を通されますような新聞とか、そういったようなものにもその事実が掲載されるというようなこともございまして、その意味においては、少しずつ認識も広がってきているのではないかというふうに思う次第でございます。これにつきましては、なお不十分な点があれば努力をしていかなければならないと思っております。 いま一つは、先年、日笠委員から御提示がございました資料に基づきまして、私どもの方の意見も求められ、議論もさせていただいたわけでございますけれども、この収入逆転現象というのは現にまだある、それは何によって起こっているかと申しますと、扶養手当なり健康保険料に係る所得制限によって生じておる部分の問題がある、これに対する対応が必要ではないかという御指摘がございました。 これにつきましては、昨年、大きな問題として取り上げられたわけでございますけれども、その後、政府側としましても、関係省庁で勉強させていただくということで、その勉強に移らせていただいたということでございます。
○小川(国)委員 働くパート主婦の実態につきましては、総務庁統計局の労働調査特別調査報告によりますと、最近三カ年の女子パート数の推移を見ますと、平成二年が七百二十五万人、平成三年が七百六十四万人、平成四年が八百十二万人、そのうち、いわゆる主婦パートは、平成二年が五百十万人、平成三年が五百四十万人、平成四年が五百六十九万人でありまして、昭和五十七年の女子パート数の三百九十万人から見ると、十年でほぼ倍増していることになって、最近も急増しているわけです。私どもは、こういう実態というものをやはり理解しなければいけないのではないかと考えるわけでありまして、その点からまいりますならば、この際、パートの主婦の非課税限度額というものも百万円から百二十万円にアップされてよいのではないかと考えるわけであります。 何しろ、平成元年に九十万円から百万円になってから、もう四年間据え置かれているわけであります。もし平成五年も百万円に据え置くとするならば、昭和五十九年の九十万円から九年経過しても十万円のアップしか達成していない。これは、物価の上昇率、賃金の上昇率、家計収入の上昇率、どれと比較してもつり合いがとれないのじゃないか。厚生省の被扶養者限度額並みにするには少し時遅しという感もあるのでありますが、今直ちに百二十万円にして厚生省の被扶養者並みの金額に肩を並べる施策にするという考えはとれないものか。これは前回もお尋ねしたことでありますが、夫が配偶者控除を得られる妻の収入の限度額も百二十万とする政策は、大蔵省としてももう時勢の流れの状況として判断すべきときではないのかと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
○濱本政府委員 小川先生御指摘いただいておりますところの意味は理解することができるわけでございますが、私どもの立場から申させていただきますと、国家を維持していきます上におきまして、この所得税制というものを税の根幹に据えるということになりますと、所得を得ておる人たちは何がしか国家に対して会費を支払う、この基本原則というものを国民全体が認め合うということでなければ一国の税制は成り立たない、かように考えるわけでございまして、その場合、百万円という所得をどう受けとめるかということでございます。 一人で年間百万円を超える収入がございました場合に、その人は少なくとも百万円につきまして独立した納税者として相応の負担をしていただくということが至当ではないかと考えられます一つの理由は、諸外国との比較でございます。例えば諸外国、アメリカの場合はどうであろうか、イギリスの場合はどうであろうかと見ますと、アメリカの場合は八十万円、イギリスの場合は七十六万円、ドイツの場合も七十四万円ぐらいのレベル以上の収入になりますと課税ということになるわけでございまして、そのあたりのレベルと比べましてもただいまの水準というのはおかしなものではない、むしろこれらの国に比べますとやや余裕のある水準になっているという感じがいたします。 それから、先生御指摘の、保険の関係とのバランスにおきまして、税の制度の方が時間的にももう長い時間が経過しておる間、見直しの努力を怠っておるのではないかといった御指摘かと存じますけれども、税にはやはり税の秩序があろうかと存じます。保険にはまた別の保険の秩序があろうかと存じます。その意味におきまして、確かに両方の限度額というものが整合しておりました時期もございましたけれども、また違った道を歩むということもあって、それはやむを得ないことかと存じておりまして、先ほど申し上げました税制として、さらに申せば給与所得税制としていかなる体系がよいか、それはどのような理由でよいか、どのような財源の裏づけをもってその税の変革というものが可能であろうか、そういった秋本来の論議において結論を出していただく問題でございまして、今直ちにこの部分につきまして百万円を百十万円であるとか百二十万円に上げることが至当であるという御指摘につきましては、にわかに私どもも、そういう意味では、その指し示しでおられます方向につきましては、これを理解することはかたいというのが今の状況でございます。
○小川(国)委員 繰り返しになりますが、ここで参考に、厚生省が保険や年金の、パート主婦が加入しなければならない収入の限度額というものを、今までは大蔵省の税金の九十万円と、それから保険、年金も九十万円、いずれも並んでいたわけです。その前も大蔵省の税の課税最低額と大体並んでずっと来ていたわけですね。それが最近におきましては百万円までは並びましたけれども、税の方は百万円でとまっているのに、百十万、百二十万、ことしはまた百三十万、そこまでパートの主婦が働いても保険、年金をかけなくてもいいですよというふうに非常に先行してきている状況があるのです。この状況について、どういう背景、経過でこのようになってきているかを厚生省の方に簡潔に御説明いただきたいと思います。
○紺矢説明員 お答えをさせていただきます。 今主税局長が答弁されましたけれども、私どもの医療保険、現在は御案内のとおり国民皆保険という制度になっております。国民が被用者保険あるいは地域保険のいずれかに加入するということでございます。そして、我が国は社会保険方式をとっておりまして、給付と負担の関係を明確にしていくというのを基本にしておるわけでありまして、この保険の適用につきましてはこの給付と負担の両面を考えていくというふうにやっておるわけであります。 それで、御指摘のございましたパート労働者の社会保険負担の取り扱いにつきましては、お話ございましたように昨年来課題とされまして、私どもも検討会を設けましていろいろと学識経験者の方から御意見をいただいてきたところでございます。その結果、基本的な考え方といたしましては、やはり制度というものはいろいろな社会経済活動に中立的である、あるいはパートの評価につきまして、先ほどから御指摘ございましたような一般化とかパート労働への期待というものを踏まえた考え方が必要であるという考え方でございます。その前提に立ちまして、今御指摘ございました被扶養者認定基準、これは被用者の収入により生計を維持する者というのが法律の考え方でございまして、これを受けまして五十二年に私どもこの取り扱いを明確化するという意味で、家族と本人の収入を比較して被扶養者と認定するかどうかというのを考えてきておるわけでございまして、御指摘ございましたようにこの明確化をいたしましたのが五十二年でございまして、その当時七十万円という基準であったわけでありますが、六十二年五月の改定以降はその間の全体的な所得の伸びというものを見まして、今申し上げましたような社会保険の仕組みにおいて被扶養者の取り扱いを考えていく、こういうふうにしておるところでございます。 それで戻りまして、その検討会におきまして、先ほど来御指摘ございました逆転現象と言われるものにつきましては、現行制度を前提とする限り難しいけれども、平成五年度において今申し上げました従来の考え方の延長においてこの認定基準を引き上げるというのはやむを得ない、さらに、中長期的な方向として被保険者や被扶養者の取り扱いについて検討すべきである、こういう結論がなされたわけでございます。この検討会の検討結果、そしてこのパート問題におきます与野党の御協議を踏まえまして、私ども、この四月から被扶養者認定基準百二十万円を百三十万に引き上げる、こういうふうにさせていただいたところでございます。
○小川(国)委員 先ほど外国との比較があったわけでありますが、私は、例えばアメリカとイギリスの所得税の体系と日本の所得税の体系は、そも そも税体系が全く異なっているんじゃないか、また課税の最低限度額というものはやはり物価水準、賃金水準、そういうものの推移によって決められるものではないか、こういうふうに思うわけであります。したがって、もしことし非課税限度額も、夫が配偶者控除を得られる妻の収入の限度額も百万円に据え置くということになると、昭和五十九年から見ると九年で一割の物価上昇率しか見なかった、こういうことになるので、欧米の制度と我が国の制度の背景、体系が異なるわけでありますから、その点ではやはり日本独自な物の見方をしていただく必要があるのではないかというふうに考えるわけです。 それで、今また厚生省が申されましたように、今までの金額が年々改定されて、既に百万で横並びになったところから百十万、百二十万、平成五年度は百三十万という形で予算計上をしているということは、収支の実態を見ながらも、一つは経済変動というものの要素を十分加味しているということを考えると、この点やはり大蔵省にも十分お考えいただかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。 最近、私の知り合いの方でパートで働いている主婦の方が朝早く電話をかけてきたわけです。小川さんの法律税務の相談日はいつでしたか、いや十日でございます、ちょっと日があるのですが至急に相談したいことがある。どういうことですかと言いましたら、税理士さんをご紹介してください。中身は何ですかと伺いましたら、実はパートで働いていて百万円よりもわずか二千円オーバーして働いてしまった、大変なことになってしまったのです、ずっと計算をしていったのだけれども、ボーナスになって百万円から二千円オーバーになったという結果になってしまった。夫にもしかられて、何で二千円余計働いたと言われて、返しに行っても職場でそれを受け取ってもらうわけにはいかない。それで源泉徴収票を見てそのことがはっきりした、こういうわけなんですね。これは本人の勉強不足もあると思うのですけれども、たしか大蔵省のおっしゃるように百万円を超えても百三十五万円まで配偶者特別控除があるので、配偶者特別控除は全部なくなってしまうわけではない。ないのですが、びっくりして相談をかけてきた。 それは一体何だろうがというふうに考えてみましたら、結局御主人の家族手当が切られるという問題が一つあるわけですね。私がその問題をきっかけに調べてみますと、これは産業労働調査所の平成四年の調査でございますが、約九〇%の企業が何らかの家族手当を支給しているわけです。その支給する企業も前回の調査と比べて約一割ふえているそうでございますが、妻の収入の一定額を基準として家族手当の支給を制限している企業というのが五〇%以上、従業員千人以上の企業では七〇%を超えて、大企業ほどその傾向がはっきりしているわけです。それにこの収入制限の基準について見ると、何と約九〇%の企業が税法上の配偶者控除基準額、すなわち現在ではその基準額が百万円になっておりまして、百万円を超えると夫の家族手当が大幅に減額される、この問題があったわけです。だから、そのパート主婦の方が心配して来た問題は税法上の問題。保険、年金の問題は百二十万になっているから心配はないわけです。税金の方も配偶者特別控除はあるわけです。しかし、御主人の家族手当が切られる、こういうことが最も大きな心配の一つであったのではないかと私は思うわけです。 そうしますと、大蔵省の定めているこの税法上の基準というものが民間の大多数の企業の家族手当の支給の基準額になっている。百万円を超えると家族手当を減額される、こういう状況が起きている。やはり社会的影響が非常に大きいわけでございます。こういう点もやはり大蔵省当局に考えていただかなければならない問題と私は思うわけでありますが、こういう実情についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思うのであります。
○濱本政府委員 多少繰り返しになって恐縮でございますけれども、税法上の基準と先生がおっしゃいましたそのレベルがなぜそこに決まっておるか。それはやはり考えてみますと、国全体としての国民の公共サービスに対するニーズ、つまり国に対していかほどのサービスを期待されるか、それに見合いまして、国はそれに見合った財源を確保させていただく、そういう形で、国民のいわば選択を通じまして、税金トータルとしてのレベルというものがその時代時代で決められまして、次に、次にと申しますか同時にと申しますか、そのレベルをどのような種類の税金で支えるか。所得、消費、資産それぞれの課税分野ごとに、これも究極的には国民の選択によりまして一つの組み合わせが決定される、そういう大作業の中から、所得税につきましても課税最低限なり税率なりが決められる、本来こういう運びの話であるのだろうと思います。 もちろん、そういった作業の過程におきましては、そのときどき起こっている社会のいろいろな物事に対して目配りをしながら配慮をしていくという場面もあるだろうと思いますけれども、骨格の部分につきましては、やはり税制固有の論理を全うできるものでなければ税として成り立たないはずでございます。そうやってつくられた税制というものがいろいろな形で利用される。利用されるその場面におきまして、今先生が御指摘のように、実際にはお困りになるようなケースが生ずることがあるかもしれませんけれども、そういったいわば労使間のいろいろな話し合いの場に税の基準が持ち込まれる、逆にそのゆえに税制を直すという話にはにわかになりがたい。 やはりそういうことがあちこちで起こってきますときには、その税体系のどこかにおかしさがあるという場合があるのかもしれません。そういう日には、やはりこの税体系自体をどうあるべきかというふうに見直さなければならないとき、そういうときというのはそういう局面であるはずでありまして、今社会のあちこちで所得税体系あるいは消費税体系、資産税体系にそういった問題が随所に出てきておるかどうか、そこはまたいろいろお話を伺ってみなければならないことではないかというふうに思います。
○小川(国)委員 今の例なんですけれども、例えば会社別に見ましても、百万円を超えると家族手当が減額されるというのはたくさんあるのですね。東京海上火災、日本航空、ミサワホーム、トヨタ自動車、松下電器、東芝、ロイヤルホテル、明治製菓、雪印乳業、江崎グリコ、キリンビール、サントリー、三越、大丸、ダイエー、こういうふうに見てまいりますと、みんな大企業が百万円というものを基準にして、それを超えると家族手当を切られてしまう。大きいところでは、東京海上火災の場合は、妻の収入が百万円を超えると年額で三十四万八千円の家族手当の支給額が減る、こういうことが伝えられているわけですね。これはおっしゃるように税体系の問題と社会状況とは異なるといいましても、やはり税体系がもとでそういう社会状況が生まれてきている、それが働く共稼ぎ世帯にとっては非常に大きな壁になっている、こういう現実を私は無視できないんじゃないか。 しかも国家公務員の場合は人事院規則九-八〇(扶養手当)というので、この中で「年額百二十万円以上の恒常的な所得があると見込まれる者」、こういう規定があって、国家公務員の場合は年額百二十万円を超えなければ家族手当は支給される、こういうふうになっているわけなんですね。だから、民間の方は国の税制基準に合わせて百方を超えると家族手当は減額される。ところが、国家公務員の方は人事院規則で百二十万まで奥さん働いてもいいですよ、こうなっているのですね。 そうなると、官民格差ではございませんけれども、国家公務員の奥さんの場合は百二十万まで働いても御主人の家族手当は削られない。しかし、民間企業は大手でも国の課税最低基準額百万ということに倣って、百万円を超えたら家族手当が減額されて、今の一企業で三十四万も家族手当が削 られる、こういうことはやはり解消されるべき一つの大きな問題点を含んでいるのではないか、こういうふうに思うのでございますが、この点はいかがでございましょうか。
○濱本政府委員 小川先生のたびたびの御指摘は、御指摘の趣旨が那辺にあるかということは理解できるつもりでおりますけれども、それはやはり基本的に国家公務員の雇用関係あるいは民間のそれぞれの企業におきます雇用関係の中の問題でございまして、税の問題として、それらをいわば税制の秩序の中で解決していくということはなかなか困難であろうというふうに存じます。
○小川(国)委員 今、税の中で給与所得の基礎控除を上げる、そういうことによる野党全体の減税要求というものはある。しかし、それをするということはなかなか困難が多い、こういう御答弁があった。その中の一つの夫婦共稼ぎで働いている世帯というのが、ある意味では日本の社会を支えている一番中心の部分の働く人々であるのだけれども、そこに対する税制というものの光がまだ及んでない。まあ全くないとは言えない。それは大蔵省の努力によって九十万から百万になり、そしてまた三十五万の特別配偶者控除ができた。これは大蔵省のこういうところに光を当てようという大きな努力があったということは私は認めるわけです。ただしかし、大きな社会的状況は、先ほど申し上げましたように年金、保険は百三十万円まで働いていいですよということになっている。それから民間の方は、税制の百万という限度額があるために、そこでやはり主婦はそれ以上その壁を越えて働けないという現象がある。ここはやはり税体系そのものといいましても、いろいろな税体系の中でこのパートの税制というものはある一部分であるし、これは今度出ているいろいろな住宅税制の問題も教育税制の問題もいろいろありました、そういう控除と同じようにパートに対する独自な二十万円の控除の上乗せというものはあってもよいのではないか。知恵のある大蔵省の皆さんからお考えいただけば、そういう働く人々の、さっき申し上げたように日本の社会の大変な数に上っているパート主婦、それはやはり専業の主婦の家庭よりも大変な、夫婦共稼ぎといういろいろな御苦労を重ねているわけですから、そして夫婦を合わせても一千万円を超えるという家庭は少ないわけでございますから、そういうところにやはり減税の光を当てるということもぜひ大蔵省でお考えいただくことが必要なんじゃないかと私は思うわけなんです。 それからもう一つ、妻の非課税限度額、パート主婦の非課税限度額と同じように夫が配偶者控除を得られる妻の所得の限度額、これも並行してあるわけです。ですから、働く妻の非課税限度額百万をもし百二十万に上げていただけるならば、同時に夫が配偶者控除を得られる妻の所得の限度額というものもやはり百二十万に並行して上げてもらわなければならないと考えるわけでありますが、大蔵省はこの問題をもしおやりになる場合は一体のものとしてお考えになることができるかどうか、その点を伺いたい。
○濱本政府委員 後で御指摘になりました点につきましては、確かに税法の仕組み上、先生が御指摘のような関係があろうかと存じますけれども、結局それはもとに戻ると申しますか、最前からたびたび御指摘がございましたその百万円の水準が見直せるかどうかというところに帰結すると私は思います。 私の申し上げておりますことがなかなか意を尽くせなくて申しわけないのでございますけれども、仮に先生がおっしゃっておられますような形に手直しができたとしまして、その当該パート世帯の御主人、奥様が本当にそれを喜ばれるだろうか、私は非常に疑問に思います。と申しますのは、そこに何が待っておるかということでございまして、税金の論議というのは、いろいろな立場の方々がいろいろな立場からごらんになりまして納得していただく一つの論理の組み立てを崩すわけにはまいらないわけでございまして、先ほど御説明申し上げましたような例えば給与所得控除の体系にいたしましても、これをどのように手直しをするにしても、今つくっております公正な秩序というものがどこかで狂いまして、ゆがみを生じましたときに、その後で待っているものというのは、税制に対して有利な立場に立たれる方と不利な立場に立たれる方が必ず出てまいります。その不利な立場に立たれる方が、なぜ自分たちはそのような不利な立場に立つのかということについてのきちんとした説明がない限りは、制度として持ちこたえることができません。そのような方々に対してパート主婦の立場を代表される方々がどのような責任を持って御説明をなされるか。それは、制度がゆがむことによります秩序に対する不安というものがそこに待っておるはずでございますし、また逆に、それは秩序立った手直しということももちろん考えられようかとは思いますけれども、相当のお金を要するものでございます。そういうものの負担のもとにそういった手直しを今急ぐことにつきまして本当に国民の合意が得られるか、そこに行き着く問題だと思います。
○小川(国)委員 例えば教育減税がある、子供が大学へ行ってその教育減税の恩典を受けた、しかし、子供のない夫婦はその恩典は受けられない。あるいは住宅減税があった、しかし、マイホームを持たない人はその恩典を受けられない。これはそういう一つ一つの施策の中で常にプラス面もあればマイナス面もあると私は思います。しかし、このパートの主婦の場合、夫婦共稼ぎで働かなければならないというのは、夫の収入だけでは家計の維持が困難だ、住宅ローンを返す、子供の教育費を支出していく、その家計の容易でなさから働く人々もかなりなウエートを占めていると思うのですね。だから、そういう住宅減税とか教育減税とか、そうしたものの一つとして考えるならば、このパート減税をやることによって、そのために不満を持つ人々というのは一体どこにあるのだろうかというふうに私は思うのです。そういうものと並んで考えるならば、夫婦共稼ぎの家庭というのは社会の中で本当に家庭のいろいろな生活の楽しみを犠牲にしながらも働いて生活を維持していかなきゃならないという面があるわけですから、その点では、さっきの主婦のように、百万円を二千円超えたために真っ青になって朝早く私どものところに電話をかけてこなければならぬということではなくて、年金や保険と同じように百二十万までは安心して働いていいですよ、月十万ぐらいの働きは安心して働いてくださいというような税制の仕組みというものを私どもより賢明な大蔵省の皆さんがお考えくだされば、そういう二十万円上乗せの減税施策というものはとり得るのじゃないか、実現可能な施策ではないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○濱本政府委員 先ほど御指摘がございました子供さんのない家庭と教育減税の問題、あるいは家を建てることができない方々と住宅減税の問題、そういう問題は世の中にあちこちあるではないか、それと同様にというようなお話でございました。 私も全くそのように思うわけでございまして、特殊な優遇措置というものを持ち込みますときには、その優遇措置の恩典にあずかれない立場の方々がおられまして、その方々に対しましてある程度優遇措置というものは、ある程度と申しますか、一定のバランスと申しますか、そこそこの優遇措置というものには程度があるということを御指摘いただいているのかとすれば、まことにそのとおりだと感じるわけでございます。 パート減税につきましても従来から同様の議論があったと思うわけでございまして、先刻ちょっと申し上げましたように、パート主婦が外に働きに出る、それはよくよくの事情があってのことだ、そこを推しはかれという御指摘かと存じますけれども、それはまた、フルタイムの共稼ぎ家庭におきましてパート家庭以上に切実な問題を抱えておられる場合もあるかもしれない。先ほど申し上げましたようないろいろな家庭の類型がございます、その中のバランスということもあわせてお考えをいただきたい、かように存じます。
○小川(国)委員 ちょっと大蔵省に参考のために伺いたいのですが、野党の減税要求案では、このパートの問題について、給与所得控除を六十五万から七十五万に、基礎控除を三十五万から四十五万に、それぞれ十万円ずつ引き上げる、この場合の財源として約一兆円、こういうふうに考えているのですけれども、その点は、実行する場合はそういう財源と考えてよろしいのかどうか。 いま一つ、夫が配偶者控除を得られる妻の収入の限度額も同様に百万から百二十万に上げた場合、そのための財源措置はどのようなものが必要になってくるというふうにお考えになっているか、その点をあわせてお伺いしたいと思います。
○濱本政府委員 お尋ねにお答えできればよろしいわけでございますが、先ほど仰せがございましたような今野党側から出てきております要求、これは金額的にはお示しのような数字に置きかえろということであろうと思いますけれども、先ほど申しましたように、体系のつくり方をどのようにつくりかえるのかというのはいろいろな場合が考え得るわけでございまして、一義的にと申しますか、今のお示しだけで幾らそれにお金がかかるということを算出することは困難なように思います。 また、後者の御指摘の場合につきましても、いろいろな類型があり得るわけでございまして、一概にどれくらいの額に見合う措置になるかということは、計算は、なかなか困難ではないかという気がいたします。
○小川(国)委員 私は、野党で出しております減税要求案というのが勤労者全体にとって最も意味のある減税案だというふうに考えるわけですが、どうしてもこれが財源上困難という場合に、例えばこのパート減税一つでも実行しようというふうにお考えになるならば、給与所得控除の最低額のみを六十五万から八十五万に引き上げるというようなパート減税案も考えられるのじゃないかと思うのでございますけれども、こういう点はいかがでございましょうか。
○濱本政府委員 多少また繰り返しになって恐縮でございますが、今のお話は、給与所得控除の六十五万を八十五万に置きかえる、ただそれだけでもやってみたらどうかというお話かと存じますけれども、今の給与所得控除体系を現実に当てはめて見直しますときに、その部分につきまして手直しをしますことが、全体のサラリーマンの今の給与所得に対する負担の関係から見まして果たして一番適切な修正になるのかどうか、ここは十分吟味してみる必要があろう、かように存じます。 それからもう一つは、この六十五万を八十五万に直します場合でも、先ほど申し上げましたように、その切り口をどのように整えるかということは、いろいろなやり方がございますので、にわかに金額としてお示しすることは難しいわけでございますけれども、これは相当なお金を必要とするものであって、その財源を一体いかにして賄うのかということもなかなかにわかに思い当たらないといいますか、その問題を乗り越えていただく必要があるという感じがいたします。 そのような意味におきまして、体系的にも、またそれをかなり粗っぽくとも実行しろということで踏み切ります場合のコストにつきましても、相当全体的な吟味のもとに結論をお出しいただくことでなければ、パート論議だけからにわかにこの結論に走るということは、たびたびの御議論を賜り、それに対しまして私は一つ一つ困難を訴えておるような形になっておりますことをまことに申しわけなく存じますけれども、この問題につきましても同様にそのような問題を感じます。
○小川(国)委員 私申し上げましたのは、給与所得控除の最低額を六十五万から八十五万に引き上げるというのは最低額のみをということなんで、その点だけを考えるならば、私はかなり部分的な問題として考え得ることではないかと思うのでございますが、その点、いま一つお考えいただきたいと思います。 それからもう一つ、パート主婦の非課税限度額に戻りますが、パート主婦の消費性向というのは一般に非常に高いと言われまして、実際に江戸川ユニオンのパートアンケートによりましても、パート主婦の収入のうち貯蓄に回るのは七・七%、ローン返済が五・四%、残りの八七%は生活費や趣味のために消費するという結果が出ている。つまり、主婦パートの収入が増加すればその増加分の多くが消費に回る可能性が大きいと言われております。それは内需拡大にもつながり、現在の不景気を打破する効果も十分あると考えますが、この点については、日本チェーンストア協会の会長も、パートが百二十万まで働ければその収入が消費拡大につながるのじゃないか、こういう観点も言われているわけであります。そういう点もお考えいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○濱本政府委員 私どもが目にさせていただきます調査あるいは調査結果もいろいろな種類のものがございまして、そのたびに思うのでございますけれども、こういった御調査の場合に、例えば減税があった場合、それをどういったことに使うのかという質問事項に対する調査であります場合と減税をする、それに対してはこういう財源が当然必要になるので、それに対しては新たにはこういう覚悟が必要であるが、なおかつその上でその道を選び、かつそこで受けた減税額というものをどういう道に充てるかというふうに質問設定していただく場合とで答えが違ってくる場合もあろうかと存じます。 いろいろな調査がもちろんあってもよろしいかと存じますけれども、最終的に御決断いただきます場合には、いかなる形にしろ何らかの形で減税はそれに対して償われるものを必要といたします。その部分につきましての論議なしに結論をいただくわけにはまいらない、こういった調査を見ますたびにそのような感想を持ちます。
○小川(国)委員 ちょっと誤解を受けるといけないのでありますが、私は、野党の共同要求している減税要求案というものは今厳として存在するわけでありまして、そのことは政府当局も真剣に考えまして、そして今後のさまざまな協議の中でしっかりした御回答をいただかなければならない、こういうふうに考えているわけです。 ただ、その問題と切り離して、パート減税という問題は従来から独自の問題としてございまして、そのことは一般の減税要求と別に九十万から百万に、そして三十五万の特別配偶者控除というものもつくられる。そういう国会全体の中で、パート税制を見直せという声の中でそういうふうに大蔵省もやってきている。しかし、客観情勢の中で、大蔵省の取り組んできた改革も今や少し周囲を見回すと立ちおくれている感があるじゃないか、だから野党四党の減税要求というものは断固実現してもらわなければならないけれども、それとあわせていま一つこの問題も、従来我々も取り組んできた、大蔵省も取り組んできている、したがって今後もこれに対して十分検討を加えて、ひとつこれに対する対策も進めていただきたい、こういうことでございますので、その点誤解のないように御理解をいただいて、もう一度野党要求に対する政府の真摯な対応を伺って質問を終わりたいと思います。
○濱本政府委員 野党から御要求が出ております各事項につきまして、これから与野党間の協議が行われるということでございまして、私どもはこれを見守らせていただきたい、もちろんそう思っておりますけれども、今回この席におきましては、私どもがこれまでどういうことを考えてきたのか、どういう議論をしてきたのか、お尋ねの冒頭でそういった引き出しをしていただきまして、私もそのまま私どものこれまでの考え方、今どう考えているかということを述べさせていただきました。失礼がございました点はお許しいただきたいと存じます。
○小川(国)委員 最後に、大臣からひとつ御答弁を願います。
○林(義)国務大臣 先般の予算委員会分科会でも、議員からいろいろなこの問題に関する御指摘がありました。その話を聞いておりましたのと、 きょうの話を聞きました。 いわゆるパート問題というのは、相当長い間議論をされたところでありますし、たしか平成四年度の何で一応の決着をつけたような話になっています。しかしながら、その後のいろいろな情勢から、今小川議員お話しのように、もう少し上げたらというような話があります。私は、またこの問題は、健康保険の問題とか、それから会社の払うところの家族給、これの問題とも関連してくる話だろうと思うのです。家族給というのは割と日本的な慣習だろう、こう私は思うのです。こうしたものをどうするかという問題とも関連する話でありますし、もしも一歩譲って小川先生のような話をすれば、税の立場として夫婦別算制みたいなものを考えた方が早いのかねという感じすら実は私はするのです。そうした方がはっきりと出てくるではないか。 それは、もう一つ申し上げますならば、今パートの話でありますけれども、パートからだんだん夫婦共稼ぎで奥さんの方も働く、だんなさんの方も働く、両方でやるというような話がだんだん日本も出てきています。そういったよなことからすると、この問題もそういった観点を入れて考えなくちやいかぬのかなという感じを私は正直に言って持っているのです。今すぐにやろうとかという話じゃありませんよ。ありませんが、私はそういったような問題なのかなということを思っておりまして、またこれも検討していかなければならない。 だけれども、今のところはやっと今の状況でおさまっているところでありますから、あとはいろいろな税制改正を抜本的にやるときの話として考えてみるかどうか。その辺今すぐに抜本的税制をどうするかという話は私は申し上げませんけれども、何かお話を二回にわたってずっと聞いておりまして、小川先生も随分勉強しておられるな、話も確かにそうかもしれないけれども、私考えると、確かに事務当局の方の話もありますけれども、だんだん小川先生の話を詰めていくとそういう話になるのじゃないかなというような実は感じを持ったことを申し上げておきたいと思っています。
○小川(国)委員 ありがとうございました。
○藤井委員長 河上章雄君。
○河上委員 初めに、金丸前自民党副総裁が所得税法違反で逮捕されまして、割引金融債が所得隠しに使われた、この点が明らかになったわけでございますが、まことに遺憾なことだと思います。 そこで、政治資金が私財として蓄財されるという、かねてから政治家に向けられておりました錬金術、この疑惑が明らかになったと思うわけでございますが、金融商品を悪用し脱税で逮捕されましたが、税制や金融を主管する大蔵大臣はこの事件に対してどんな感想をお持ちか、認識をお持ちなのか、まずここからお尋ねをしたいと思います。
○林(義)国務大臣 こうした事件が起こりまして、容疑者として金丸さんが逮捕されましたことは私は大変遺憾なことだ、この一語に尽きると思います。総理も言っておられますが、私はそういうふうな気持ちを持っています。 大蔵大臣といたしましては、特に大蔵省というのは税を担当しています。税は私は政治そのものだろう、こう思うのです。そうした意味におきまして、税というものが政治家だからどうだこうだという話であっては絶対ならない、やはり国民ひとしく同じような形でやられなければならない、公正な形で税の執行というのは行われるべきだろう、こう思っておるところでございます。そうした意味で、私は税務当局または国税当局が公正、厳正な立場においてこの問題に対して対処してくれるものと心から期待をしていることを申し上げておきたいと思います。
○河上委員 そこで、これまでの脱税事件の中で割引債によるものは何件あって、その額は幾らだったのか、平成元年から年度別にお答えいただけますか。
○野村(興)政府委員 お答えいたします。 ただいま脱税事件の中で割引債を保有しているような事例がどうか、こういうお尋ねでございます。 国税犯則取締法に基づきますところの査察調査、これは平成元年から三年度までに検察官に告発した脱税事件の件数が四百九十四件でございます。この事件の中でいわゆる脱税資金がどのような形態で保留されているか、留保の状況で見ますと、割引債と利付債を合わせまして元年度で八十七億円、二年度で五十四億円、三年度で六十九億円、合計いたしまして二百十億円に上るわけでございます。これは元年度からの三年間の告発事件の脱漏所得二千二百十三億円の約一割を占めているところでございます。 なお、件数面の数字は把握をしていない状況にございます。 割引債と利付債、これは区分して計数を把握していない状況でございますので、お許しいただきたいと思います。
○河上委員 割引債については以前から脱税や不正行為が絡む金の流れとしていろいろな問題が指摘されていたわけでございまして、三千万未満なら名前や住所も明かさず買うことができて、何回かに分ければ何億円も匿名のまま買うことができるわけでありまして、こうした今回の問題を契機として何らかの見直しも必要なのではないのか、私はこう思います。 大蔵としては、このままでよいとお考えか、あるいは匿名性の見直し、あるいは三千万円の額等々の問題、何らかの見直しが必要とお考えか、今後具体的に何か対応をなさることはおありなのかどうか、この点について見解を伺いたいと思います。
○寺村政府委員 割引債につきましてただいまお尋ねのような議論が行われております一つの要因といたしまして、割引債の無記名性があるのではないかと思われます。ところが、無記名債というのは、割引金融債だけではなくて、利付金融債、それから国債、社債についても発行されております。これは無記名とすることによりまして債券の流通の円滑化を図り、多額の資金を安定的に調達することを可能とする観点から行われているものでございまして、我が国の割引金融債は大正九年からの歴史を持っているものでございます。 ただ、割引金融債につきましてもう一つお尋ねのような議論が行われる要因の一つといたしまして、昭和六十二年以前におきまして税務上の取り扱いが他の無記名債と異なっていた。割引金融債につきましては一六%の源泉分離課税となっておりましたが、他の無記名債券につきましては三五%の源泉分離課税か総合課税かの選択性になっております。したがいまして、分離課税を選択した場合にも割引金融債は一六%、他の無記名債券は三五%、それから総合課税を選択した場合には支払い調書が出されるということで、税務上の取り扱いが異なっていたところからそのような御議論が出ているのではないかと推察されるわけでございます。しかしながら、この点につきましては、昭和六十二年の税制改正によりまして他の無記名債券も、あるいは預金につきましてもすべて二〇%の源泉分離課税ということになりましたし、それから割引金融債につきましては一六%を一八%に引き上げたということで、その税務上の取り扱いは同じことになってまいっております。 現在では、先ほども御説明したのでございますが、これは課税上、税務上の目的ではなくて、マネーロンダリング防止の観点から三千万ということでございますが、これも割引金融債ではなくて利付金融債、国債あるいは預金取引、すべての現金取引に係る規制でございまして、その点は同じ取り扱いになってきたという状況でございまして、現在のところこれにつきまして、その商品性あるいはその取り扱いを変更する必要はないと考えているところでございます。
○河上委員 いずれにいたしましても、政治資金として善意の国民から集めた浄財を私財として天文学的な金額、これを蓄財して、それを隠し持つということは、ある意味では、言葉は悪いのです が詐欺や横領、こんな認識すら国民の中にはあるわけでございまして、今後捜査が進み、その資金源も突きとめられることになると思いますが、この点をしっかりと踏まえていただきながら、約七十億円に上る金の処理、これをどうぞ間違えないようにしていただきたい、このことを申し添えておきたいと思います。 そこで、次の質問に移りますが、五年度の税制改正、これは政策理念が不在、こういう批判がございます。バブル崩壊によりまして、景気は政府の見通しを上回る勢いで悪化をしていく中で、税収の落ち込みも一段と厳しくなりまして、四年度補正予算はおよそ四兆九千億円程度減額修正も余儀なくされたわけでございます。このような環境の中で五年度の税制改正が行われたわけでありますが、どうも思うところ、税制の理念について十分な論議が棚上げされて、一定の財源確保、この意識だけが先行したように思えてならないわけでございます。総理も、平成六年度は公的年金再計算の年でもあり、税率区分の簡素化、所得税減税など抜本的な税制改革を行うと昨年十二月の参議院の予算委員会等でも答弁をされております。 いずれにしても理念が見えてこないわけでありますが、大蔵省としてはこの平成五年度の税制改正をどのような視点に立ってお考えになられたのか、まずこの点をお伺いしておきたい。
○濱本政府委員 五年度の税制改正でございますけれども、まず何と申しましても非常に厳しい財政状況のもとにあるという認識から出発いたしまして、ただ、その中で最近生じております社会経済一般の情勢の変化、そういうものに税制が適合していかなければならない、その役目を果たさなければならない、そういう問題意識でかかっていったわけでございます。 具体的にはこの租税特別措置、数多くの租税特別措置の整理合理化を行いまして、既にその役割がある程度果たされたものにつきましての縮減等を行います傍らで、新しいニーズに対応していく措置を認める、早急に実施を急がなければならないようなものにつきましては、この苦しい財政事情の中でもこれをお認めするという、基本的にはそういう考え方で作業に臨みました。
○河上委員 五年の税制改正は、ほとんどが租税特別措置の改正でございました。 個別的に見れば、それなりの理由があることもわかりますが、しかし、例外措置というものをやみくもにふやすということは、税制全体の体系そのものをゆがめるもとになるのではないのか。その意味からすれば、決して望ましいことではないわけでございまして、この措置の整理合理化が常に言われながらも思うように進んでいない、これが実態ではないかと思うのですね。 平成五年度の特別措置につきましても、廃止もありますけれども、延長、新設も非常に多い。六十三年から五年まで廃止、改正、創設の、改正が幾つ残っているのか数字をいただきました。廃止よりも創設の方がはるかに多いわけでございまして、全体の量としてもふえている傾向にあるわけでございます。その観点から、今回の法律案の趣旨にもありますように、課税の適正公平を確保する観点から租特の整理合理化を行う、このようにお書きになられておりますけれども、この数を見ますと、余り整理合理化されていないんじゃないか、こういう認識を持つわけでございますが、この点御説明を願いたいと思います。
○濱本政府委員 確かに、この租税特別措置は、税制の最も中心になります大事な概念でございます公平の概念というものをある程度犠牲にいたしまして、政策目的に奉仕するために措置として仕組まれるわけでございますので、当然のことでございますけれども、十分な点検が必要でございますし、一度講ぜられた租税特別措置がその後どのように世の中に生きているかということを年々厳格にチェックをしなければならないという気持ちは私どもも十分持っておりまして、去年の暮れの改正におきましても、そのような気構えで、これまでございました租税特別措置の洗い直しにかかったわけでございます。 確かに、今河上先生御指摘ございましたように、廃止された項目数と創設された項目数を比べてみると、創設されたものがかなりの数でふえておるではないか、整理合理化と言い条一体これはどういうことかという御疑問をお抱きになったのではないかと拝察いたします。こういう廃止でございますとか創設でございますとか、これはどういうカウント基準で勘定しておるかということでございますけれども、税法の条文の規定のしぶりで計算をするということに関連いたしますので、必ずしも実態をこの数字で正確にあらわせておるかというところも多少はございますけれども、そこは毎年のことでございまして、お許しをいただかなければならないのでございます。 今の御指摘に対しまして、私がお答えとして申し上げたいことを申しますと、二つございまして、一つは、大きな措置、租税特別措置が生まれますと、それが世の中に生かされていき、時間の経過とともにだんだん措置として陳腐化していくということになるだろうと思いますけれども、実際どうやっておるかといいますと、毎年一定のものにつきましては縮減措置を講じております。例えば特別償却なら特別償却を認めております率をだんだんレベルダウンしていく、つまり、先に措置を講じた方が有利である、後になればだんだん措置としては縮減されていく、そういう構図になっておるわけでございます。そうやりながら、ある一定のところまで参りますと、相当のレベルまで特別措置として縮減してまいるものでございますからそれを廃止するということに踏み切る、そういう形で入れかえをしておるわけでございます。ことしはたまたま、そういう意味から申しますと、廃止に上がってくる項目は少のうございましたけれども、縮減につきましては相当数字をつけておるはずでございます。 それが一つと、それからもう一つは、何と申しましても、最終的には整理合理化によりまして、財源としましてどれぐらいのものが新しく拡大し、また一方で縮減されたか、その出入りが非常に重要でありますけれども、昨年の暮れの作業の結果を申し上げますと、平年度ベースで約三百七十億円増収になっている、つまり減収幅の縮小、つまり、措置のトータルとしては金額規模において縮減が果たされておるということを御報告申し上げておきたいと存じます。
○河上委員 ことしも廃止が一つですね、新しくできたのが九つ、こんな事実関係にあるわけでございまして、今洗い直し云々というお話もいただきました。そこで、今後どうされますか。今後、整理合理化をどのように行っていくとお考えですか。
○濱本政府委員 租税特別措置に関します限り、詳細に御検討いただきまして御納得をいただけるのではないかと思いますのは、この作業には一つのルールが生きておると思います。それは、スクラップ・アンド・ビルドの考え方に基本的によっておるという気がいたします。 ただ、これは政策目的がございまして、その政策目的に奉仕をしていく制度でございますから、その政策目的が変わりますれば当然対応も変わってまいりますので、機械的、一義的になかなか律し得ないところはございますけれども、時間の経過とともに、先ほど申し上げましたような措置のレベルを下げていくということは今後とも続けていきたい、このやり方はこれまで数年続けてまいりましたけれども、やり方としては私どもとして今後も遵守していきたい、墨守していきたいやり方だというふうに思います。 新しいニーズというのは世の中に必ずできてまいりますので、その新しいニーズを古いニーズを取りかえる形で取り込みまして、全体として公平の概念を乱さない程度の租税特別措置の枠内で世の中に対応していく、こういうことができればと思っております。
○河上委員 次に、居住用財産の買いかえ特例の件について、二点ばかり御質問いたします。 これは昭和二十七年にスタートいたしまして、しかし特例を悪用して課税を逃れる事例も頻繁に 起こりまして、四十四年に一遍廃止をされました。五十七年に条件つきで復活したわけでございますが、バブル下で投機目的など多用されまして、むしろ地価高騰の元凶と、この批判から六十三年度の税制改正において、地価高騰の波及を抑制する目的から原則として廃止をされました。 過去二回にわたって廃止となった税制でありまして、バブルが終わればまた復活というのでは、私は、過去の反省が生かされていないのではないのか、こう疑わざるを得ないわけでございます。今、地価が首都圏を中心に下がり始めているものの、まだ高水準にある。この買いかえ特例を認めることが地価下落のブレーキとなったり、あるいは高騰を再発させるのではないのか、こういう懸念もあるわけでございます。 平成四年十二月、政府税調から発表があった五年度の税制に対する答申の中にも、「税制、特に土地に関する税制は安定的でなければならず、制度を頻繁に改正すること自体、問題が大きいことに留意する必要がある。」また、「現行制度の下では、居住用財産の譲渡者の八割強が特別控除により非課税となっており、また、課税となる場合についても、軽減税率により税負担がかなり軽減されていることから、住替えのための配慮としては十分であるとの意見が多かった。」こういう答申があるわけでございます。 そこで、大蔵省は、この答申、今私申し上げました二つの点について、どのような考え方に立って判断をされたのか、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○濱本政府委員 ただいま御指摘がございましたように、政府税制調査会におきましても、この居住用財産の買いかえ特例の扱いにつきましては、慎重な議論で今のような答申に至ったわけでございます。つまり、かつてこの居住用財産の買いかえ制度がもたらしたいろいろな弊害が再発するということがあってはならないという強い問題意識を各委員がお持ちになり、それがこのような答申にあらわされたものとお考えいただいてよろしいかと存じます。 一方で、この居住用財産の買いかえにつきましての復活の要求というものも、先ほどもちょっと申し上げましたように非常に強い要求がございました。私どもは、政府税制調査会の一部の委員に代表されておりますような非常に慎重な議論と、その強い要請というものをどこで図るかということでいろいろ考え、検討もさせていただいたわけでございますけれども、結局、目指すは土地政策、整合的な土地政策が完遂されることであって、土地政策との整合性が乱されるような措置となるのではこれは受け入れられない、政府税制調査会の答申の真意もそこにあるということを考えまして、そういった問題が起こらない形に仕組み得るのかどうか、そこに議論の時間を費やしたわけでございます。 結果的に、先ほどもちょっと申し上げましたように、いろいろな条件が付加されまして、再び、居住用財産の買いかえと銘打って、ここの大蔵委員会の御議論に付されておるわけでございますけれども、従来の反省はないのかという先ほどのお尋ねに対して申し上げさせていただきますれば、これは従来の居住用財産買いかえ制度の単純なる復活ではなくて、居住用財産の買いかえ制度を使いました国民の住みかえの促進といいますか、住みかえによる居住水準の向上を図るための施策として従来の弊害をできる限りそぎ落とした、そういう新しい形の措置として御認識を賜れないかというふうに今思います。 ただ、私どもはそう考えておりますけれども、この条件の中に適用期限二年間というのが付与されておりますように、今後の土地動向、そういったものがどのように推移するか、必ずしも見きわめられないところがございまして、そういった問題を抱えております以上は、二年という期限を切らせていただきまして、そこで様子を十分見なければいかぬ、そういう気持ちでおります。
○河上委員 買いかえ特例を廃止いたしましたのは地価抑制が目的であった。今、せっかく地価が下がり始めているときに、たとえ条件つきであっても、復活させること自体に疑問が残るわけでございまして、政府は、新たな経済五カ年計画で年収の五倍でマイホームが持てるようにする、これを打ち上げたわけですが、これは国民に対する総理の大事な約束事であります。 私は、まず地価の抑制を図って適正な水準にする、これが先決なわけであると思うのですが、どうもわからないのは、なぜ、今この時期に復活をさせるのか。そして復活させる客観性は一体何なのか。この点についてちょっとお答えしていただけますか。
○濱本政府委員 より具体的にということかと存じますけれども、この措置を本当に求めておる人がおられたとしまして、そしてその人たちがこの措置を活用されることによって世の中に弊害がもたらされないということであれば、この措置を生かす余地があるということになろうかと思うのでございます。 つまり、これまで居住用財産の譲渡に関しましては軽減税率を適用するという制度がございまして、先ほど来も御議論ございましたように、今税務署で申告を受け付けております件数から見ますと、過半のものがその制度によりまして非課税で譲渡が行われておるという事実も確認されたわけでございます。それを私どもは頭の中に置きまして要求官庁ともいろいろやりとりをいたしましたけれども、確かに、中には今までの制度ではなかなか居住用財産の買いかえが進められない、いろいろ考えておるけれども見送っておる、そういうケースもあるという、これは要求官庁からの話だけではなくて、広くいろいろな方々からもそういう御要望がございました。 そういう実態がありまして、現に居住水準を向上していこう、家族構成も長い間の年月のうちに変わられ、そして新しい住まいに移りたいという、ちょうどそういう状況になっておられる方がかなりおられるとすれば、そういう方々がこういう制度をお使いになって新しい家に移り住まわれるとしましても、それで世の中に大変難題が生じてしまうということでは困りますけれども、そうはならない範囲でやれるのではないかというふうな見通しを持ったということでございます。 政府税制調査会の答申にもございますけれども、確かに慎重な議論がベースにございましたけれども、地価高騰などの弊害が生じないような、そういう限定を付した上で、円滑な住みかえを促進するためにこれを認めることもやむを得ないとする意見ももちろんございまして、そういったやりとりの中から生まれた案であるというふうにお受け取りいただきたいと存じます。
○河上委員 次に、老人マル優の枠が五十万円引き上げられまして三百五十万、これ自体、利用者にとって悪いごとではないと思っておるわけでございますが、三百五十万、この基準を決定するまでにいろいろ経緯があったようでございます。当初、郵政省が要求してきた限度引き上げ額四百万が結果として五十万引き上げになったわけですが、一部の資産を持っている高齢者だけをさらに優遇することになるのではないのか、こういう意見もございます。 そこで、税の公平性という観点から、引き上げられた五十万の根拠というのは一体何なのか、そしてねらいは何なのか、これについてお答えください。
○濱本政府委員 この問題につきましても、税の筋道の論議としましては、今河上先生からもその一部御披露をいただきましたけれども、そもそもこういった限度額の引き上げというのは、「抜本的な税制改革における課程ベースの拡大を図るという趣旨に反する措置」になるという指摘、あるいは「高齢者間において大きな資産格差が存在する状況の下では、限度額の引上げは、現行限度額以上に貯蓄ができる一部の者のみが利益を享受する結果となる」、そういった議論が例えば政府税制調査会などでも主流を占めまして、筋道としておかしいという指摘がございました。 これに対しまして、一方では、全国から多数の 老人世帯あるいはこういう制度を活用しておられますさまざまな方々から、実情につきましての開陳もあり、限度額の引き上げ要求が参りました。税の筋道としましては、先ほど申し上げたようなことというふうに私どもも心得て議論をさせていただいたわけでございますけれども、そういった要請等を交えたたびたびの論議の結果、諸般の情勢からこの限度額を五十万引き上げる。五十万引き上げるということはどういうことになろうかと申しますと、現在こういった老人のマル優制度というのは三本立てになっておりますけれども、この三本立ての制度を合計いたしますと、合計九百万円という限度額がございます。この限度額が一千万を超える、一千五十万に達する、そのあたりに新しい線を引くということが実際的ではないかという論議がなされまして、私どもも、政府といたしましてもその論議にこの際従うことにしたわけでございます。 もちろんこれは例外的な制度として存在しておるわけでございますし、今後老人問題あるいは社会全体のこういった問題に対する認識というものがどういった展開を遂げるか、そして税の筋道の議論というものもまた守られなければならない、そういう意味におきましては今後の推移を我々としては注意深く見守りたいというふうに思っております。
○河上委員 この間、参考人質疑でこの問題の答えを求めましたところ、郵貯等の問題は財投の論議なしては語れないという御意見をいただきました。 今後財投を、どういう役割を持たせてどう運用されていくのか、この視点も重要なことだと思いますが、昭和二十八年に財投が国会に示されまして、開始されてことしは四十年になるそうでございますが、その後財投も大分大きく変化をしてきたように思います。出発当初は一般会計に対する比率は三割強、現在では六割強となって、一般会計の補完機能という役割から、もう既に一般会計と並び、一般会計の分野にまで入ってきている、その意味では国家財政を運営する大きな役割を持つようになっているわけです。残高も平成三年度は二百五十兆を超えるまでに膨らんで、民間銀行のトップクラスの四行分に当たるのだ、こういう実態にあるわけですが、政府としては、ここまで肥大化した財投を今後税制全体の中でどういうふうに位置づけようとお考えになっていらっしゃるのか、この点もあわせてお尋ねをしておきたいと思います。
○藤井(威)政府委員 財政投融資の問題の御指摘でございます。 先生のおっしゃいますように、財政投融資が生まれてから現在に至るまで社会経済が非常に複雑化しつつあるということも背景にあるのでしょうが、その財政全般あるいは行政全般に占める役割が非常に重要なものになってきておるということは、我々もひしひしと感じておるところでございます。御承知のように、財政投融資は、国の制度とか信用に基づいて集められました公的な資金を国が一元的に取りまとめまして、これを金融的な手法で政策手段として活用していく、そういう手法でございます。それで、先ほど申しましたように、経済社会の進展に沿いましてこういう分野、つまり金融的手法による政策手段の有効な分野というのが非常にウエートを増してきておる。有料道路にしてもそうでございますし、ODAの分野でもそうでございます、あるいは中小企業金融の分野あるいは住宅金融の分野、いろいろな分野で財政投融資に求められる機能というものが重要化してきておる、そういう点を踏まえてこういう状態に現在なっておるわけでございます。 ただ、今後の財政投融資を考えていく上で常に我々頭に置いておかなければいけないのは、あくまでも有償資金であるという点でございます。特に国の制度、信用のもとに集められた有償資金ですから、それに見合った資金の活用でなければならないし、またその活用も効率的、あるいは時代の要請に沿ったものでなければいけない、そういう不断の見直しはしていかなければいかぬものだというふうに考えております。
○河上委員 地価税について一点だけお伺いします。 地価税の役割は終わったなんという声もちらほらと聞こえてくるわけでございますが、土地税制は二年や三年で軽々しく変更すべきものではない、このように思います。税制は国民生活に直結しているわけでございますし、重要な問題だと思いますが、さきの大蔵委員会、参考人質疑の際にも税調会長に同様の質問をいたしました。今後このまま存続するのかしないのか、税調会長は現行のまま貫く、こうここでおっしゃっておりましたが、これはそのまま貫くのかどうか、大蔵省の御決意と見解を求めておきたいと思います。
○林(義)国務大臣 河上委員の御質問にお答え申し上げます。 先般の地価高騰というのは我が国経済に対しまして大変な影響を与えたところでございます。土地対策の一環として土地税制改革が行われ、その重要な柱として地価税を創設したところでございまして、私どもは、この制度は単に臨時的な話ではない、本来あるべきところの税制、土地に対して税金をかけていくというのは土地のあるべき姿として当たり前のことではないかというふうな気持ちで、この地価税の創設の趣旨を踏まえまして着実な実施に努めていくことが我々の責任であろう、こういうふうに考えておるところでございます。
○河上委員 最後になります。間もなく時間でございますので大蔵大臣に一点だけ、所得税減税についてお尋ねをさせていただきたいと思います。 三月四日、前向きに検討する、こう回答をいただきました。これに伴いまして七年ぶりに暫定予算が回避されたわけでございます。今後、協議機関において減税の規模あるいは実施時期、財源等具体的になると思いますが、これまでのこうした議論を踏まえまして、大蔵省としても所得税減税については前向きに検討せざるを得ない、このように思っておるわけでございますが、ただいまの時点で所得減税について大蔵大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。大臣としてお答えにくい場合は政治家としてでも結構でございます、お答えをぜひともいただきたい。
○林(義)国務大臣 河上委員の御質問でございますが、先般、予算委員会におきまして予算案の審議を終了するに当たりまして、四党合意の申し合わせができました。その中には、不況を克服するための税制について検討するということが書いてありますし、また、協議機関をつくりまして、実施可能なことを考えていくということが書いてあるわけてございます。それに対しまして、我が党の梶山幹事長から、所得税減税については前向きで検討するという話があったというふうな話は承っております。国会におきまして、各党でいろいろなお話し合いをされた結果でございますから、その結果を私たちは見守ってまいりたい。 私の今の考え方は、この委員会におきまして、また、予算委員会におきましてしばしば御説明をしたところでございまして、その考え方は、私は、変わっておらない。変わっておりませんが、いろいろな点がございますでしょうから、さらに与野党間で詰めていただくことを私は待っていきたい、こういうふうな態度でございます。
○河上委員 終わります。
○藤井委員長 次回は、明十日水曜日午後四時五十分理事会、午後五時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時五十分散会