大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 87 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1993/02/26
会議録
○藤井委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、参考人として経済評論家大田弘子君、日本労働組合総連合会社会政策局長中川宏一君及び税制調査会会長加藤寛君、以上三名の方に御出席をいただいております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 なお、議事の順序についてでありますが、まず、各参考人にそれぞれ十分程度御意見をお述べいただき、次に、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 それでは、大田参考人からお願いいたします。
○大田参考人 おはようございます。大田でございます。 租税特別措置法案の中で、高齢者マル優の限度額引き上げ、それから居住用財産の買いかえ特例、この二つを中心に意見を申し上げます。 まず、高齢者マル優の問題ですが、私はこの制度は廃止の方向が望ましいと思っております。その理由は三つございます。 第一は、利子非課税ということは、見方を変えますと補助金を渡すということと同じです。ですから、この制度の場合は、高齢者に補助金を差し上げる、それも貯蓄を持っている高齢者だけに補助金を差し上げる、それもたくさん貯蓄を持っている高齢者ほどたくさんの補助金を差し上げる、こういう制度です。こういう制度になぜ多くの方々が賛成なさるのか、私には理解できません。 それから第二に、日本はこれから急速に高齢化が進みます。この高齢化社会の負担をだれがどういう形で担うかという問題です。現在のように、現役世代は扶養する人、高齢者は扶養されるだけの人という関係ですと、現役世代はとてもこれからの負担を担っていけません。重くなり過ぎます。ですから、高齢者もこれからは一定の負担を担っていくことが必要だと私は思います。もちろん、経済力の弱い高齢者への配慮は必要ですけれども、高齢者イコール弱者ととらえることは望ましくありませんし、現実的でもありません。 それから、第三です。年金の保険料ですとか税負担が重くなる中で、現役世代はこれから自分の老後に向けて貯蓄を行ってまいります。したがって、これから必要となる税制上の措置は、高齢者に対してではなく、むしろ若い層です。これから資産形成をスムーズに行っていけるように、税制上の配慮をすることが必要だと思います。 こういう理由で、高齢者マル優は廃止すべきだと思っておりますので、ここでさらに限度を引き上げることには反対です。ただ、当初要求されました限度額よりかなり圧縮されましたので、この点だけを評価しております。 次に、買いかえ特例について意見を申し上げます。 土地に対する課税は、私は保有税を強化し、譲渡税を軽減することが基本だと思っております。譲渡課税が重過ぎますと、土地の流動性が阻害されますし、それから住みかえを必要とする世帯とそうでない世帯と比べましたときに、住みかえた世帯の方が不利になってしまいます。ですから、譲渡税は軽くする方向だと思いますが、ただし、譲渡税を軽くするためには保有税を強化することがあわせて必要になります。保有税が軽いために、土地が過度に有利な資産になってまいりました。そして巨額の譲渡益が生まれてまいりました。この巨額の譲渡益が生まれる状況をなくしておくことが必要です。今回、固定資産税は評価の適正化が行われることになっておりますが、あわせて非常に大きな負担調整措置がとられることになっておりますので、保有税としての役割は必ずしも果たしておりません。 こういう状況で買いかえ特例が復活しますこと には懸念がありますが、ただ幸いなことにさまざまな要件がつけられております。売る資産だけではなくて、買いかえる資産についても適正な水準かどうかを見るとか、あるいは二年間の短期的対応ということですので、妥協し得る水準かと思います。問題は、これからどのようにして保有税の強化を行っていくかということだと思います。 保有税に関しまして、一つ気になる点がございますので、あわせて意見を申し上げます。それは、今地価税の撤廃を求める声がまた強くなってきていると耳にいたします。ただ、私は、これはとんでもないことだと思っております。これまでも、地価が少し下がりますと、業界から土地対策を緩和せよという要求が上がります。そして、この要求を受け入れて土地対策が緩和される、そしてまた地価が高騰する素地がつくられるという愚かしいことが繰り返されてまいりました。今回もこのあしき前例を繰り返してはならないと思います。 土地が下がって困っている業界もありますでしょうが、土地が下がって喜んでいる国民はたくさんおります用地価が高騰しましたことが社会資本整備をおくらせましたし、私どもの生活をさまざまな面でゆがめてまいりました。このことを考えますと、ここで地価を下げ切って二度と地価が高騰しない構造をつくっておくこと、ここで土地神話を完全に脱却してしまうことが何より大切です。地価が下がることで痛みを負う層は当然あるでしょうけれども、こうした層はこれまでの高い地価の恩恵を受けてきた層でもありますし、痛みなくして構造改革はできないかと思います。 あと、残りの時間で、景気刺激策としての所得税減税について簡単に意見を申し上げさせていただきます。 私は、景気刺激のための所得税減税には反対です。その理由は、効果が極めて弱いからです。現在消費者の心理が冷え切っているというふうに言われますが、私は必ずしもそのようにはとらえてはおりません。百貨店統計だけ見ますと落ち込んでおりますけれども、スーパーの売り上げはそれほどではありません。ここで暖冬の影響が出ておりますが、それでも百貨店ほどの落ち込みではありません。それから、ディスカウントショップの中には売り上げが伸びているところもかなりあります。 それから、こういう状況を見ますと、必ずしも必需的な支出まで切り詰めている状態とは言えません。それから、自動車の販売台数などを見ましても、ピーク時からの変化率で見ますと急速な落ち込みですけれども、水準はバブル期以前に戻ったにすぎません。好景気の間に、異常なほどに車ですとか耐久消費財の購入が進みました。山が高かったわけですから、その反動もこれは当然だと思います。 今の状況は、消費者心理が冷え込んでいるというよりも、堅実な消費にニーズが変化したと見た方が妥当だと私は思っております。このニーズにかなった商品ですと、今でも売れております。逆に言いますと、このニーズにかなった商品が出てきませんと、減税が行われても買いません。後ろにおられる連合の方には申しわけないのですが、春闘の賃上げは余り期待できそうにありませんので、なおさら貯蓄に向かう傾向があると思います。それから、ミドルクラスの雇用調整が行われたとか、この一面の状況が拡大されて大変だ、大変だと騒がれることも貯蓄に向かう傾向を強めているかと思います。 今回の不景気の場合は、特に所得税減税の景気刺激効果は弱いと思います。効果が弱い減税を赤字国債を発行して行いますと、いずれ償還のツケが回ってまいります。そこまでして今所得税減税を行うべき時期がどうか、冷静に判断すべきです。 ただ、私も所得税減税の必要性そのものは否定いたしません。昭和六十三年の抜本改革以来調整が行われておりませんので、所得税の構造を見直す時期は迎えております。それから、現在の税負担は所得税に偏っております。このゆがみを是正して、消費税の税率を上げるというような税構造全体の改革が必要です。しかし、これは景気刺激のためにばたばたと行うことではありませんし、実施時期から見て景気浮揚効果もありません。今、本格的な税構造の議論が必要なだけに、ここで安易な減税が行われることを私は懸念しております。言葉が悪いのですけれども、景気対策をにしきの御旗にして将来に対して無責任な減税が行われることを懸念しております。 日本は、これから急速に高齢化が進みます。高齢化社会は負担の増加する社会でもありますので、今から公平な負担の枠組みをつくっておくことが必要です。 第一に、所得税に偏った負担のゆがみを是正すること、第二に資産の面で公平な課税が行われるようにすること、この二点が私は特に必要と思っております。 超高齢化社会を迎える直前の非常に重要な時期を迎えておりますので、豊かな高齢化社会を支える税制をぜひつくっていただきたいとお願い申し上げます。 ありがとうございました。(拍子)
○藤井委員長 どうもありがとうございました。 次に、中川参考人にお願いいたします。
○中川参考人 おはようございます。連合の中川でございます。限られた時間ですので、三点ばかり申し上げたいと思います。 第一点は、景気対策及びサラリーマンの重税構造の是正の観点から大型の所得減税、教育や住宅などの政策減税をぜひ実現していただきたいということであります。 この点は、既に二十二日の予算委員会公聴会で私どもの山田事務局長が申し上げておりますので、細かいことは質問等でさせていただくということにして省かせていただきますが、二十四日に社会党、公明党、民社党三党が共同で自民党に提出しました予算修正要求を私どもも積極的に支持しております。ぜひ今国会で実現をしていただくようにお願いをしたいと思います。消費不況の中で国民の方は、先ほども連合は春闘で余り頼りにならぬ、こういうふうに言われましたけれども、決してそうではありませんで、我々も頑張ります。国会でもひとつ頑張っていただきたい、こういうふうに思っております。 第二点は、居住用買いかえ特例制度の問題についてでございます。 私ども連合は、勤労者、サラリーマンの立場から政策、制度の取り組みをかなり重視しておりますし、その実現に向けて努力をしておりますが、この制度の復活を喜ぶ声はほとんどありません。ある面で言えば、望んでもいない制度が声高に出てくるのはどういうことかな。やはり地価をこれ以上下げさせないでやろうとする諸政策の一環ではないだろうかというふうに感じているわけであります。確かに、地価は下落傾向にありますけれども、まだ依然として高いということであります。あるいは首都圏ではまだバブル以前に比べて約二倍の水準になっています。こうなりますと、御承知のように、「生活大国五か年計画」で明らかにされている、東京など大都市でも年収の五倍程度の持ち家という目標にはほど遠い現状にあるというふうに見ております。 私どもは、中長期的に見て、地価の下落傾向を一層促進し、バブル高騰以前の地価まで段階的に引き下げていくべきだ、そういう土地政策が求められていると考えております。日本の土地資産の総額がアメリカの三・六倍、単位面積当たりで九十倍という異常な現状は、何としても早く改革をしていかなければなりません。その意味では、土地政策は景気対策的視点よりも構造的な視点を重視すべきであろうというふうに思っております。 確かにここ数年、政府は、十分とは言いませんけれども、国民の声に押されて、土地政策について随分構造的な視点から諸対策をとってこられだと思います。土地基本法の制定を初め、地価税の創設や土地譲渡益課税の強化あるいは三大都市圏における市街化区域での生産緑地の指定を受けない農地に対する宅地並み課税など、土地税制や供給対策あるいは都市計画法の改正などで土地神話 を打ち砕く諸改革がなされたと思います。その際、この買いかえ特例は、地価高騰を東京都心の商業地から全国に波及させた元凶あるいは象徴的な制度として、原則として廃止ということになったわけであります。 しかしながら、最近の新聞報道などを見ておりますと、政府の最近の動きは、どうも地価下落、これ以上地価を下げさせない、あるいは下支えを図ろうとしている動きに見えます。例えば国土庁でも、監視区域での上限規制を一部の区域では今後弾力的に対応するやに伺っていますし、また地価の上昇トレンドをGNPの上昇トレンドと見合いで考えていくというふうなことも聞かされています。また、大蔵省でも地価が鎮静化したという判断で国有地をこれから売ろうじゃないかというふうなことを検討しているという記事を読んでおります。 このように見ますと、地価上昇の象徴的な制度として廃止された買いかえ特例の復活も、こうした一連の動きと無縁ではないのではないだろうかというふうに考えているわけであります。私どもは、なぜこの時期にという疑問はぬぐい去れないわけであります。また、この制度自身、これは私の個人の意見ですが、この制度は地価が上昇することを前提にしない限り成り立たないのではないだろうかというふうに感じているわけです。 確かに、いろいろな条件がついております。しかし、そうはいっても、既に現行の三千万の控除と軽減税率があります。これによって、既にこれを適用している人が大体八七%というふうに聞いておりますので、そういう意味では現行制度で十分ではないだろうか。買いかえ特例を復活させることは我々としては反対であり、問題があると思っております。 また、この制度は、社会的公平性の観点からいってどうだろうかという問題があります。 この制度自身は既に住宅を持っている人たちの制度ですから、これから家を持とうとする人たちあるいは賃貸住宅居住者との資産格差がますます拡大するのではないかという点であります。第一次住宅取得者に対するハンディをどういうふうにするのかというふうな意味で公平性が欠けるのではないかというふうに思っております。そういう意味で、この制度は選択制を一応出しているわけですが、税制は簡素を旨とするというのが基本ですが、選択制であること、あるいは課税の繰り延べですから帳簿を持たない個人に対して取得価格を将来に引き継ぐという形になります。そういう意味では、税の執行上も問題が出てくるのではないかというふうな感じを持っております。 さらに、二年間の時限立法という関係ではどうなのかというふうなことも考えるわけであります。地価高騰のおそれが生じたときは見直すというふうに言われていますが、これまでの我が国の土地政策が機動的に発動されたことは余りありません。 いずれにしても、この制度自身は廃止、復活を繰り返してきました。八八年にこれまでの土地税制の反省から廃止された経緯に立ては、復活させるべきではないのではないかと思っております。土地政策は、中長期的に適用されて初めて実効が上がります。景気対策のための復活は朝令暮改と言わざるを得ないと思います。鎮静化し始めた地価を政府みずからが再上昇させることで、土地政策への国民の信頼を大きく損なうことのないように強く要請をしたいと思っております。 第三点は、財形貯蓄の非課税限度額の一千万円までの引き上げについてであります。 今回五十万円引き上げられまして五百五十万円までが非課税となりました。老人マル優と横並びで五十万円引き上げられたのですが、若干理解に苦しんでいるところであります。この非課税限度額については、一九七四年に五百万円に引き上げられて以来ほぼ二十年間据え置かれたままであります。 財形貯蓄は、御承知のように住宅取得と老後のために勤労者がそれぞれ毎月の給料から積み立てて、自分たちの努力で将来の支出のために、住宅とか年金のために、支出のために貯蓄しているものであります。 そもそも財形貯蓄自身は、西ドイツの戦後復興のための社会労働政策の柱の一つとして成立した労働者の財産形成促進法を見習ったものでしたが、ドイツの法律が数次にわたって改正され、さまざまな政府の援助で制度的にも充実し、今日のドイツの住宅政策の基盤になっていたものであります。ドイツでは住宅政策から株など資本参加にも政策の重点が移っていますが、すべての制度に税制の優遇措置があり、割り増し金や付加金が政府や州から出されております。 しかし、十年おくれてできた日本のこの制度は必ずしも十分なものになっていません。加えて住宅政策そのものも、日本の場合は勤労者にとっては生涯ローンに追われるというふうな現状であります。そういう意味で、我々の方はドイツの制度に比べても、せめて非課税限度額を五百万から一千万まで上げてもらえないだろうか、本来ならばもっと財産形成に関する充実した制度が必要なのでありますが、せめてものささやかなお願いであります。 そういう意味で、我が国の税制を見ますと、勤労者は源泉徴収制度のもとにほぼ全部捕捉されております。先ほどの買いかえ特例の問題では急速復活してまいります。しかし、我々が二十年来要求しているこの問題については一顧だにされない。わずか五十万円でいいというふうな形になっております。そういう点で、ぜひとも御検討いただきながら、勤労者がゆとりと豊かさを感じられる日本の社会にしていただければというふうに思っております。 既に、財産形成審議会では、公労使三者一致で九〇年、九二年と二回にわたって非課税限度額の拡大、一千万円までの引き上げを答申しておりますことを申し上げまして、若干時間が延びましたが、私の意見陳述とさせていただきました。 どうもありがとうございました。(拍手)
○藤井委員長 どうもありがとうございました。 次に、加藤参考人にお願いいたします。
○加藤参考人 加藤でございます。 租特法改正案につきまして意見を申し上げます前に、現在日本で論ぜられております財政あるいは税制の問題について若干触れることをお許しいただきたいと思います。 所得減税ということが最近非常によく言われまして、私は所得減税につきましては、御承知のとおり公共投資に向かうのか、あるいはそのほか政策減税とかいろいろな考え方がございますけれども、基本的に景気対策のための所得減税とそれから中長期的に考える所得減税とは別個に扱うべきだと考えております。 景気対策として考えますときには、これは全く現在の不況には間に合わない、現在の状況の中ではこれは効果を出しません。なぜかと申しますと、所得減税をいたしますとき、これは既にいろいろな研究によって明らかでございますけれども、第一年度目の効果が少ないからであります。二年目、三年目には効果が出ます。しかし、一年目には効果がございませんから、その効果のないことを考えますと、ここで景気対策のための所得減税を行うことは妥当ではないと私は考えております。しかし、私たち税制調査会といたしましては、どういうふうにすれば最も課税の公正を図ることができるかという立場から絶えず研究を続けておるところでございますから、その意味では、私は中長期的には所得減税の問題も当然視野の中に入る、こういうふうに考えているわけでございます。 しかも、御承知のとおり一時的に所得減税をやるといういわゆる戻し減税的な考え方もございますけれども、これもまた効果があり得ない。なぜかと申しますと、去年の十二月にボーナスが支給されましたときに、そのボーナスがどこへ使われたかということを統計的に調べたものがございます。この調査報告は完全なものと皇言えませんから、そういう意味では私はこれを全部信ずるわけではございませんけれども、一般的に申しまし て、ボーナスは約六割の方が貯蓄に回しております。これほど金融に対して批判が高まっている中でこれが貯蓄に回るということは、私は非常に日本の健全な姿を示していると考えております。 なぜならば、昭和恐慌が始まります前の金融恐慌、昭和二年、このときには御承知のとおり取りつけ騒ぎが起こるという重大事件が発生しております。つまり、金融に対する信用が大きくなくなったのであります。しかし、現在はこのようなことにつきましては余り大きな社会問題は起きておりません。ということから考えましても、貯蓄に回っていくということは今の国民の考え方から申しまして当然のことと言わなければならないのでありまして、そのようなわけで、私は所得減税につきましては、これを景気対策として実行することはいささか効果がなさ過ぎるというふうに考えております。 しかもこれを赤字国債によって行うということは全く私どもには考えられません。なぜかと申しますと、歴史的にも理論的にも政策的にも、これは今日に至るまで世界ですべて問題になったことでございます。なぜかと申しますと、日本で申しますれば歴史的に、御承知のとおり高橋是清蔵相がこれを行い、さらに大平蔵相がこれを行って、そのとき結果的に御承知のようにこれを解決することができませんでした。もちろん高橋蔵相も大平蔵相も、そのとき蔵相でございますが、大平蔵相も、懸命になってこの後片づけをしようとされたのでございますけれども、これを解決することができませんでした。これは歴史的な一つの厳然たる事実であります。私どもといたしましては、気持ちの上ではこれを解決しなければならないということを思いながら、そこへなかなか行くことができない、そういう方向を発見することができないというのが今までの日本の一つの歴史でございます。これはまた世界でも共通の現象と言ってもよろしいのでございます。 そしてまた、理論的にもこれは正確に証明することができません。なぜならば、御承知のように、今世界の政府は、民主主義になりますとひとりでにだんだんと政府を大きくしていこうというトレンドが働きます。この国家経費膨張の法則というのはいまだに覆されておりません。つまり、どんどん政府が大きくなるということは避けられないのであります。それが決して悪いというのではなくて、大きくなることについて歯どめをつくることが難しいということであります。 そのようなことで、さらに私どもはレントシーキングという言葉を使うのでございますが、公的な規制を使って、その公的な規制の上に利益を上げていこうとする者が国民の中には存在するのであります。このような人たちに対してどのような制度を設けるか、あるいはどのような確約を設けるかということが赤字国債をやるときの大きな問題でございまして、今日に至るまでまだそれが解決しておりません。よく言われますのは、一度赤字国債を発行しても、これを増税によって、あるいはそのほかの方法によって補えばいいではないかという考え方がございますけれども、このような考え方に対しては、それが果たして歯どめとなり得るかどうかわかりません。 なぜかと申しますと、増税が後に行われるということを一たん国民が考えますときには、減税をされましても必ずそれを覆すような行動が起こるということが、一九七五年以来アメリカにおいても日本においても一つの確認された理論でございまして、その理論からまいりまして、これは合理的期待といっておりますけれども、認めることができないのでございます。 さらにまた政策的に考えましても、政策的な条件の中では歴史的状況が必要になります。現在の日本の状況を判断する際にどのような歯どめをつくることができるかということになると、いまだにその答えが出ておりません。ということから考えまして、歴史的にも理論的にも政策的にも、私は、赤字国債を財源にして所得減税を行うということはそもそもできないことだ、こういうふうに考えております。 その次に、租特法に入らせていただきますが、今までのお二人の御議論と関係がございますので、なるべく簡単に申し上げさせていただきます。 老人マル優の非課税限度の引き上げでございますが、これは私ども税調としての考え方としましては、課税ベースの拡大ということを考えておりますので、このような特別なところにいろいろなことを考えるということについては余り私どもの趣旨にそぐわないと考えております。 第二番目には、高齢者間には大きな資産の格差が生まれておりまして、その資産の格差をどのようにこれから是正していくかが重要でございます。したがって、このようなことを考えますときには、老人マル優の非課税限度額の拡大は望ましくないと私は考えておりました。しかし今日、御承知のとおり利子が非常に下がっていくというような状況の中で、国民にもしそういう不安があるとすれば、そういう気持ちが出てくるということはあることだと私は思っております。したがって、それに対して私どもは否定をしながら、しかしそれについてどのようなことが行われるかということについて、私どもとしましてはなるべくやらない方向で考えてほしい、こう考えておりました。そのような結論に従っていろいろと御議論をいただきまして、そして五十万円と、わずかでございますけれども引き上げられたということにつきましては、これは一応私どもの考えている範囲の中におさまっている、こう判断をしたわけでございます。 それからまた、居住用の財産の買いかえ特例でございますが、これも、円滑な住みかえが必要であるということは私どもも認めております。しかし、一次取得者、つまり第一次取得者に対してはこれは効果がないわけでありまして、既に土地を持っている、あるいは家屋を持っているという者について行われるわけでありますから、これも決して私は好ましいことだとは思っておりません。しかしながら、これがいろいろな条件をつけて認められたことについて、私どもは、私どもの考えていることについては決して逸脱をしていないというふうに考えております。 それからまた、地価税につきましても、既に私どもはそれについての意見を持っているわけでございますけれども、一言で申し上げますならば、それは当面の地価の下落だけを目的として地価税がつくられたわけではございません。そこがよく誤解されているところではないかと思いますのであえて申し上げたのでございますが、そのほか租時法の整理合理化、あるいは道路財源について、ガソリンと軽油の税負担格差を縮小してNOxの対策に資するようにぎりぎりの工夫をしていただいたというふうなことでもって、そのほかのことについては妥当な結論があったのではないか、こういうふうに考えております。 以上、終わらせていただきます。(拍手)
○藤井委員長 どうもありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○藤井委員長 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正男君。
○中村(正男)委員 お三方の参考人の皆さんには、大変早朝からこの大蔵委員会にお出ましをいただきまして、ありがとうございます。 今それぞれのお立場で、当面いたしております減税問題、景気対策、さらには租特法についての御意見を伺いました。限られた時間でありますけれども、さらに中身の濃い御意見をちょうだいする、そういう意味合いで二、三質問をさせていただきます。 まず、加藤参考人にお伺いいたしますが、基本的に租税特別措置法、これについてのお尋ねでございますけれども、現在、大蔵省から聞きますと約二百八十余りの項目がございまして、とりわけ減収効果のあるものとしては、ことしの、五年の 改正後では百九十七項目、翻って見てみますと、昭和五十八年には百六十五項目、その間、減るというのではなしにずっとふえ続けてきている、これが一つあるわけです。私どもは、できるだけ公平、公正な税制、そういう意味合いでは、本来租特法というもの、これは不公平税制の温床ではないか、こういう見方をいたしております。 確かに、税制というのは毎年の改革で改良はしていかなければならない、あるいはまた、当初理想的な形で税制がスタートしたとしても、その後の社会の変化等で修正は加えていかなければならない、また毎年個別に発生する問題についてもこれは対応していかなければならない、そういうことは理解をしておるのですけれども、ずっとこの大蔵委員会で毎年租特法を論議する際、大蔵省当局は、抜本的な整理統合をやった、したがってことしはこれだけを何とか審議してもらいたい、こういう形で提起されてくるのです。しかし、中身は大なり小なり、そうは大きくは変わっていない、その政策目的を達成したものまでまだ依然としてそのまま手がつけられずに残っている、これが率直な私どもの見方であるわけです。 そこで、そういったことに対する加藤参考人の御意見をお伺いしたいのですが、私は、乱暴な言い方をするようですけれども、一度これを全廃して、そして項目ごとにそれぞれの関係者なり中立的な立場の人を含めて検討して、どうしても必要なものは新たにそれを起こしてくる、そういうことをやらない限り抜本的な不公平税制が解消されない、そういう立場であるわけですが、その点について、まずお聞きをしたいと思います。
○加藤参考人 お答えさせていただきます。 今先生おっしゃいましたように、私は、租特法というのが不公平の源泉である、なり得るということにつきましては、まことに同じ意見でございます。 その意味で、私は、租特法というのは次第に整理統合していくことが必要であると思いますし、また、よく言われますように、これは外国の意見でございますけれども、消費税のようなものが導入されるときには、そういういろいろな租特法のようなものが整理統合されることが望ましい、こういうことでございます。 しかし、よく私は言うのでございますけれども、比喩的なことをお許しいただきますが、木というものが育ってまいりますときには、育っていくときにどんどんその枝を出してまいります。租特法というのは、そういう意味ては枝がどんどん出ているわけであります。その枝が伸びていきまして、それが余り大きくなって茂みがひどくなりますと、今度は本体そのものがだめになってまいります。そこで、その本体を生かすためには、やはり枝を少しずつ刈り取っていかなければならぬ。しかし、枝を全部刈り取ってしまいますと、これは結果的にはまた木がだめになってしまいます。 その意味で、木というものを育てるように税制を考え、余り茂ってはいけないということを前提にしながらも、しかし、その中で刈り取るべきところ、茂みの強いところをなるべく是正していく、こういう考え方で徐々に進めることが民主主義社会における税制改革だ、私はこういうふうに理解しております。 以上でございます。
○中村(正男)委員 せっかくでございますから、とりわけ税制については、連合として、本当に長年にわたって検討されておられます。連合の立場から、私が今申し上げた点についてお考えがあればお聞きをしたい。とりわけ不公平税制の最たるものとして、連合として指摘をしたいということがあれば、あわせてお聞きをしたいと思います。 諸外国に比して、私は、やはり日本は租特法といいますか特例が多過ぎるのではないか、これは率直な気持ちでございますので、その辺もあわせてお願いしたいと思います。
○中川参考人 十分なお答えになるかわかりませんが、私どもの場合、サラリーマンの立場で一番強調していますのは、物価調整制度の導入です。 これは御承知のように、我々は源泉徴収で丸ごと取られております。それから、税率はありますが、その中で、所得が上がればそのまま税負担が上がっていくような構造になっています。これは、したがいまして、せめて物価スライドで最低の控除額を決めてもらいたいというふうなことを言っているわけです。物価調整制度の導入を政府税調その他で何回も繰り返しておりますけれども、まだ検討の段階にも入っていないというふうなことで非常に残念に思っております。 それから、そういう意味で、この点はサラリーマンの立場でいえば、自営業の皆さんは領収書で物価が込められて、物価が込み込みの領収書で確定申告ができる、我々はそれができないというふうなことで申し上げているわけであります。 それから、我々ももう資産、所得、消費、それぞれに対して総合的な税制体制にしてもらいたいというふうなことを申し上げています。既に政府税調で総合課税化の問題も出ました。納税者番号制度も検討されているように聞いています。我々は、それを早期にやっていただきながら総合課税の方向へ持っていっていただきたいというふうに考えているわけであります。特に、一生懸命賃上げしましても、それに見合う、それに対応して約二倍ないし三倍で税負担が上がる、税負担の伸び率が上がるということは、何としても是正していただきたいというふうに思っております。
○中村(正男)委員 大田参考人にも一言お願いします。
○大田参考人 不公平税制の最たるものは、やはり自営業者とサラリーマンの所得捕捉のアンバランスだと思います。いわゆるクロヨンと言われている問題です。この部分を是正するためには消費税の税率を上げることが必要だと思います。その前提としまして、消費税の中での現在の消費税の不合理な点、伝票方式でないということ、それから簡易課税制度が設けられているということ、この点の見直しが必要だと思っております。 それから、今、中川さんがおっしゃいました物価調整減税という考え方にも私は賛成です。ただ、それを明確に指標化してインデクセーションを行うかどうかが問題だと思っております。アメリカでもインデクセーションを行って物価調整減税を行ったことがかなりの財政支出につながりましたので、その点が問題だろうと思います。 現在は、課税最低限を引き上げること、それから各税率が適用される範囲の所得額を上げていくこと、この改革が必要だと思っております。
○中村(正男)委員 次は、当面いたしております五年度税制の問題でありますが、私は大体五つぐらい問題点があると思うのです。 それらについての御所見をお伺いしたいと思うのですが、一つは景気対策のための租税措置を今回どう対応をしたのかということであります。我々の理解では、個人としては所得税の減税なりあるいは法人としては投資減税等々考えられるのですけれども、これが余り際立ったものがない、これが指摘の一つであります。 それから二点目は、とりわけ勤労者の重税感緩和のための所得税の見直しが行われなかったという点だと思うのです。特にこの重税感という意味合いでは、抜本改革が一九八八年以降行われておりません。課税最低限はそのままであります。この課税最低限を平均的な国民所得で割りますと、八九年は三〇・八、これは抜本改正の翌年であります。ところが九二年にはこれがもう二六・二%に下がっている。これを一つ見ても極めて重税感が強い、これが何ら対応されてないという点が一つ。 それから、同じような意味合いで、国税の収入の中の源泉所得税と申告所得税が占める割合、これを見てみましても、八九年は源泉所得税の割合が二六・八、申告所得税の割合が一〇・八、これが九二年にはいずれも三二・五、九・二と、こういう数字になっておりまして、もう既に抜本改革以前に戻っている。これが率直な見方ではないかと思いますが、それについてのお考えをお聞きしたい。 それから三点目は、土地税制の強化であります。それぞれお三方とも、基本的には地価税の問題とか土地税制、とりわけ保有についての税制は強化せにゃいかぬ、こういう御意見でありますから私も同感であります。 ただ、けさの新聞では地価税の四年度の申告分がそれぞれ出ておりまして、それなりの業界の反発の御意見もあったのですけれども、私は、やはり問題は導入時に骨抜きにされた、この基礎控除が大法人では十億円、それから一平米三万円以下は非課税だとか、こういう当初導入時の、非常に狭めてしまった、そこにも一つの問題があるんじゃないか。その点についての御意見をお伺いしたいと思います。 それから四点目は、資産所得課税ですね。だんだん経済がストック化してまいります。そこから当然収益も新たな発生が出てくるわけですけれども、それに対する的確な税制というのが行われてない。これについての御所見をお伺いしたいと思います。 最後五点目は、消費税そのものに対する問題でありますが、基本的には、これは欠陥税制で、導入されたまま今日に至っておる。その上で一部では税率のアップだとかそういうものが論議されておるのですけれども、まず原点に戻って、本来こういう欠陥的な消費税を是正しなくちゃならないんじゃないか。国会でもそれを一部やりましたけれども、抜本的な是正には至ってない。それが一つ。 それからもう一つは、これは私どもの意見にもあるのですけれども、先ほどから言われておりますが、高齢化社会に合った税制、豊かな高齢化社会のための税制というのは当然これから我々は考えていかなきゃならない。その場合、消費税というものを国民全体がそういう意味合いで理解していくということでは、社会保障費に限定して、言ってみればこの際欠陥を是正した上でそういう形、目的税にすべきではないのかというふうに思うわけであります。 以上、五点についてそれぞれ、今度は大田先生の方から。
○大田参考人 まずサラリーマンの重税感の問題ですけれども、この点に関しましてはおっしゃるとおりだと思います。ですから、先ほどのお答えと重複いたしますけれども、課税最低限は引き上げるべきだと思いますし、各税率を適用する刻みに該当する所得額、これを拡大していくことが必要であると思っております。 それから消費税の増税、これも先ほどの答えと重複いたします。 それから、土地税制の強化といたしまして、地価税の導入時にかなり骨抜きになったんじゃないかという御指摘ですが、これも賛成でございます。地価税の申告状況を見ますと、ごく一握りの企業がたくさんの土地を、一%の法人が全法人の資産額の六割以上を占めている、一%の法人の中のさらに三%の法人、資本金百億円以上の企業が四割を占めている。面積からいいましても四割ぐらいを占めている。この実態を考えますと、大き過ぎる基礎控除の中の特に面積控除、平米当たり三万円という控除が私は大き過ぎるのじゃないか。面積をたくさん持てば持つほど控除が大き過ぎるということが不公平につながっているのではないかなと思っております。 それから資産所得課税ですけれども、これにつきましては、利子課税、株式譲渡益課税について政府税調でも議論が行われましたが、実は貯蓄をどう扱うかというのは課税の原則に関する大きい問題を含んでおります。つまり、課税のベースを所得にするのか支出にするのか、この大きな根源的な議論を含んでおります。その全体の中で考えるべきだと思いますが、少なくとも総合所得税という考え方を続けていくならば、やはり納税者番号を導入して貯蓄に分離課税ではなく総合所得税の中で課税していく、それからキャピタルゲインについても課税していくことが必要です。 それから、少なくとも高齢化社会に向けた資産形成のあり方ということでいいますと、一定額までの貯蓄に対して、老後に向けた貯蓄に限定して何らかの優遇策がとられることは妥当ではないかと思います。 それから、消費税を社会保障費に目的税化してはどうかという御意見ですが、目的税自体は決して望ましいとは思いませんが、社会保障費の中でも税が使われる部分というのは、年金の国庫負担分、それからもう一つは介護などの福祉サービスの分野です。この介護などの福祉サービスの分野は今極めておくれておりまして、早急に財源の対策をとって充実していかなきゃいけない部、分です。それを考えますと、私は目的税化という考え方も十分にあり得ると思っております。 それから、高齢化社会ということで一つ申し忘れました。サラリーマンの重税感というところでぜひ、年金の保険料も上がっていくという、出ていく財布からは税も社会保険料も同じところで出ていきますので、それを合わせて負担というものを考えていかなきゃいけないと思います。 たくさんの質問で回答がばらばらして申しわけありません。
○中川参考人 第一点の課税最低限については、当然引き上げるべきだと思っております。同時に、中堅サラリーマンが非常に重税感を持っている。ここを何とかしなければいけないのじゃないだろうかと思っておりまして、単に税率構造の改善ということだけではなくて、先ほど物価調整減税の問題を申し上げましたけれども、全体の底上げ等、中堅サラリーマンの重税感に対する対策を強化をするべきではないだろうかと思っております。 それから、土地税制についてはおっしゃるとおりで、地価税が創設されたときには、とりあえず発足させて今後拡充していこうということでつくったと思います。そういう意味では非常に不十分であるという立場に立っております。特に長期間保有されている遊休地その他に対する課税も含めて、この土地税制の拡充強化は必要だと考えております。 それから、資産所得の課税の問題について、先ほど申し上げましたように、納税者番号、それを踏まえた総合課税の中でキャピタルゲインを含めて全体を把握するというふうな考え方をもっと強化をしていくべきだと考えております。 最後の消費税の問題については、我々もやるのならEC型の付加価値税でやるべきだと思っております。 ただし問題は、消費税が非常に大きな反響を呼んで選挙の大きな争点になって、国民の大きな怒りがあったことを忘れてはならないだろうと思っております。そういう意味で、税制の導入に対しては国民合意の選択、取り組みが必要ではないだろうかと思います。 いずれにしましても、資産、所得、消費に対するバランスのある課税の対策ということは必要であります。そういう意味で、一方では低所得者に対する逆進性あるいは累進性の緩和、こういったことを考えながら全体としては考えていかざるを得ないだろうと思っております。今のような、みんなが三%納めたものが必ずしも政府の国庫に入らないというふうな体制、そういったことも検討をしていく必要があるだろうと思っております。 そういう意味で、今の税制が労働所得に対して比重が非常に大きい、こういうことに対する抜本的な改革をぜひともお願いしたいと思いますし、我々サラリーマン、被害者意識が強過ぎると思われるかもしれませんが、ほかの階層に比べれば非常にきちんと納めている、そして厳しく取り立てられていると思っております。ぜひともそういう点も含めて総合的に検討していただければありがたいと思っております。
○加藤参考人 お答えさせていただきます。 順々に申し上げて、要点だけになりますがお許しいただきます。 第一は、景気対策をどれだけ考えたかということでございます。これは御承知のとおり、既に去年の十二月に成立しました大型補正予算、これがもちろんいろいろな効果を持つのでございます。 しかし、私ども非常に心配しておりますのは、日本の今の不況は単なる循環的不況ではございません。循環的不況ではないということは、不況になったから財政で効果を出すかというと、この効果は間接的になります。したがって、循環的でない構造的不況でございますから、構造を直さなければいけないわけです。対策にかかわらずなかなか効果を発揮しませんのは、現在のこの不況が、それは構造的に不良資産を抱え込んでいる今の状況でございます。その対策をどうするかによって決まるわけでございまして、それは単なる財政政策ではできないと考えておることが一つでございます。 それから、二番目の問題でございますが、重税感の問題でございます。 これは、確かにおっしゃるとおり、今、次第に負担感がふえておりまして、その意味では上昇しておりますけれども、しかし日本の場合は課税最低限は決して低くございませんし、同時にまた、その意味ではこの前も抜本改正で段階を変えたわけでございます。これを将来どう変えるかということは、もう私ども頭の中に描いていなければいけないのでございますが、そういうことを描いて考えますと、今急にそれをやるというぐあいにはいかない。やはりこれは慎重に審議して、そして私たちが答えを出すべき問題だろう、こういうふうに思っておりますので、現在の税制のところでは、それが予算のところで出なかったということでございます。 そして、同時に重税感の問題でございますけれども、これもさっき申しましたように構造的問題がここに重なっているわけでございます。したがって、私が先ほど政策的な判断と申し上げましたのは、それは一つのことを実行いたしますときには、それに対する歯どめをどう考えるか、つまり作戦的に、前進したときには、いつとまっていつ後退するかということも必ず頭の中に入れた考え方をしないと、政策は投げやりになってしまうという危険がございます。そういうことを考えますと、私どもとしては中長期的にこの問題に対して対処すべきであって、御承知のように税制の抜本改革があったところで、まだ負担感は数字的にも若干低いところがございます。ただ、これはいろいろな統計がございますから答えを一義的に出すことはできませんが、そういう議論があるということは、結果的にこれを検討する余地がまだ残されているということでございます。 それから三番目でございますが、これは御承知のとおり源泉と申告の問題がございます。これはこれからどういうふうな税制体系に変えていくかということが非常に重要なんでございますが、先ほども大田参考人がおっしゃいましたけれども、これから消費に重点を置くのか、あるいは資産に置くのか、あるいはそのほか所得に重点を置くのか、いろいろとございますが、二十一世紀を考えたときには、ちょっと早過ぎるかもしれませんけれども、支出税という考え方が世界的に広がってくるだろうと私は思っております。そのようなときには、バランスの問題についてはこの支出税で解決することが可能になってまいりますので、そういう方向を今頭の中に置きながら、私どもは十年後の税制をどうしたらいいかというふうに考えているところでございます。 それから四番目には、おっしゃいましたような資産所得の課税でございますが、これは御承知のように総合課税の方向を今検討しているところでございまして、本当にできるかできないかということを前提にした上でこれから論じていくところでございますので、またいろいろと御指導いただきたいと思っております。 それから五番目でございますが、消費税の問題でございます。欠陥消費税、こうおっしゃったのでございますけれども、私どもから見ますと、これは欠陥があることがわかっておりますから、欠陥があるというと間違っていたかということになりますが、そういう意味の欠陥ではなくて、余り完全に把握はできないことは初めからわかっているわけです。そこで三%にしたのだということです。つまり、五%という案があのときもありましたけれども、しかし三%の方がなるべく大きな抜け穴ができないという意味で三%になっております。その意味で、これをこれから直していくとすれば、インボイス方式を考えなければいけないし、あるいはいろいろな抜け穴がございますからその抜け穴を押さえていかなければならぬ。こういうことで、もし消費税を国民の皆さん方が全部納得してくれれば、私は、これは将来の支出税に結びつけていくための一つの重要な布石だと考えています。しかし、それにもかかわらず私は、まだそこまで踏み切って考えでいいのかどうか、もっと視野を広くして直間比率をどういうふうに考えたらいいかというふうに問題を進めるべきではないかと思っております。 それから、地価税の問題でございます。先ほどちょっと申し上げましたけれども、地価税というのは、地価が上がっているからこれを下げるためにやったものではございません。したがって、地価税というものは、ある意味で構造的な不均衡を直すため、つまり不良資産のようなものが発生いたしましたのは、そこに集中的に過剰信用が流れ込んできたためでございますね。その過剰信用が流れ込んでくる、そういう金融構造、信用構造を直さないとこれを直すことができないというわけでございますから、その意味で、地価税を導入したということは、これは大変よい方法であったと私は思っております。 ただ、これにつきましては、当初一%などという案もございましたし、かなり厳しい案がございました。しかし逆にまた、それでは厳し過ぎるから大変だという案もございました。きょう発表されました新聞で見ますと、先ほども大田参考人がおっしゃったように非常に偏っているような感じがございますが、逆に申せば、そういう偏ったところがあるように、日本の資産というものが非常に不均衡になっていたということでございますね。そういうものを直すためにこの地価税は非常に有効な方法になったのではないか、こういうふうに考えております。 そして、さらにつけ加えますと、この地価税とは別に、先ほどのお話の中に消費税を高齢化社会のための目的税にすべきではないかという御意見がございましたが、私は、目的税化ということに対してはちょっと慎重でございまして、目的税になったことによって財政が硬直化することが危険でございます。その意味では、むしろ高齢化ということに対する対応は、何も社会保障だけではなくていろいろな政策があるわけであります。例えば少子、子供が少なくて、少産少子というああいう状況もございますね。こういうこともやはり高齢化社会の一つの原因になるわけです。 そういうことを考えますと、そこら辺も含めた広い意味の財政が必要になってまいりますので、目的税化を考えていくことはむしろ望ましくない、正しい消費税というものが決しておかしいものではない、これはむしろ将来の日本の税制の当然の方向であるということを国民に何とか理解してもらうことが第一条件ではないか、私はこう考えております。 以上でございます。
○中村(正男)委員 中川参考人にだけちょっとお伺いいたしますが、居住用財産の買いかえ特例の問題、これはもう御指摘されましたが、要は、現行でも一定の要求のある人については十分カバーできているわけです。その上なおかつ今回これを復活しよう、こういう意図はやはり地価高騰につながっていく、私はこう思わざるを得ないわけですし、連合という立場で、仮にこれが復活された場合、一体どの程度これを利用しようとする階層がおられるのかということですね。実態としてのお考えをお聞きをしたいと思います。これが一つ。 それから、財形貯蓄の問題なんですが、これも大蔵省は、結局利用率が低いじゃないか、まだ平均的に五百万円までいっていない、それが極めて強く前へ出て今回わずか五十万円にとどまった、こう思うのですけれども、それでは、なぜ利用率 がそういう程度にとどまっておるのか、そのことについてお伺いしたいと思います。その二つをお願いいたします。
○中川参考人 買いかえ特例の問題ですが、我々の方でどこまでという具体的な調査をしたことはありませんから冒頭申し上げましたような結果でございまして、我々の方でこれから考えますと、それほど活用できるものではないだろう、転勤のときに役に立つんじゃないかというふうな話もありますが、そうそうこういうふうなことを使うというのはほとんどありませんと思います。大企業の場合は社宅その他で対応してまいりますし、中小ではそういう思い切った転勤というものはありませんものですから、これがほとんど役には立たぬのではないかなというふうに思っております。 そういう意味で、先生おっしゃるように、私どもも、買いかえ特例は地価の底支えの、下支えの政策の一環ではないだろうかというふうに考えているところであります。 確かにいろいろな条件があります。しかし、実態的に言って、先ほど申し上げましたように、八七%の人が軽減税率の方で処理をしているということになれば、なぜ今ここでそんなことをやらなきゃいけないのかということにもなると思うのです。そうしますと、考えてみると、勘ぐりはしませんが、地価の底支え、そしてまた高騰の危惧を持たせる、あるいはみんなもうこれで地価はとまったんだ、これから上回るのだということからの思惑買いみたいなものが出てくるのではないだろうかと思っております。 それから、財形の問題について十分お話しできませんでしたので申し上げたいと思いますが、確かにこれは数字で、住宅では百四十万円、一人平均で積立額が百四十万円です。住宅ではそうで、年金では百一万円というふうになっております。しかし、これは毎月毎月二万円なり三万円なり積み立ててやっていくわけですから、ある面で言えば契約高が低いのは当然であるわけです。十五年ないし二十年積み立ててようやく一千万なり五百万なりになっていくというふうになっているわけで、その点、非課税限度額を大きく下回っているから、この非課税限度額を引き上げる必要はないということにはならないと思うのです。 特に、今どき一千万円で土地が買えるあるいは家が買えるという段階じゃありません。むしろ一千万円ではどうにもならないという現状でありまして、後はローンでやれという考え方もあると思いますが、勤労者が汗水垂らしてためていく、そしてそれを元手にして土地や建物を買っていくということに対する政府のバックアップ対策が当然あってしかるべきではないだろうか。二十年前の五百万円の非課税がそのまま据え置かれてやられるということについては非常に疑問を感じております。確かに今、政府は、日本は貯蓄が多過ぎるじゃないか、こういうふうに言われていますが、目的のある、例えばこういう財形の貯蓄に対して非課税限度額を下げていく、あるいは上げないというふうなことはいかがなものかというふうに考えているわけです。
○中村(正男)委員 最後に、景気対策という観点での減税問題について改めてお聞きをしたいと思います。 今まで財界の方々は声をそろえて四兆ないし五兆円の大型減税を直ちに実施をせよと政府に向かって盛んにおっしゃっておられます。また、政府の方は、今度は財界に向かって、この春の賃金交渉、ひとつ思い切って賃上げをやってもらいたい。私は、極めてお互い無責任だと思うのです。本来それぞれがやらなきゃならない課題に口を閉ざして相手側にそれを求める。 そのことはそのこととして、ただ両者も、やはり今日の不況というのは消費不況である、はっきりそこに視点を置いての御意見になっているわけでして、そのためには、それを脱却していくためには、やはり購買力の回復しかないということに尽きると思うのですね。したがって、私は、やはり減税というのはもう天の声だというふうに、極めて乱暴な言い方ではありますけれども、そういう状況になってきておると思います。 そこで、私どもも先般、社会、公明、民社三党共同で所得税減税を中心にした景気対策を申し入れをいたしまして、三月一日に回答をいただくことになっております。 そこで、お三方に、我々が要求しておるこの所得税減税を中心にした景気対策、このことについて御所見をお伺いしたいと思います。 私どもは、確かに単純にこれが景気対策になるとは思っておりません。とりわけ戻し税の効果というのは率直に言って私どもも疑問であります。ただ、それは、やはり先行きに、特に勤労者の場合、先行きに重税感が軽減されるということと結びついておれば、我々が要求しておる戻し税というものも有効に消費に回るのではないか、だからあくまでも戻し税と制度改正はセットで実現をしなきゃならない、こういう立場であります。 問題は、赤字国債でということなんですが、これにもいろいろ御意見ございますが、例えば今の、冒頭から申し上げておりますような不公平税制の是正、とりわけ総合所得課税ですね、これを一日も早く実施をして、そこから新たに生み出した税収については、今回のいわゆる減税の償還財源に充てていくというふうなことをやれば何とかこれのつじつまは合うんじゃないか、こう思っておるわけですが、時間が参りましたので、一言すつで結構ですが、お願いいたします。
○大田参考人 まず私は、先ほど申し上げましたように、消費不況ではないと思っております。バブルのときが異常であったと思っております。ここはちょっと認識が違います。 それから、三党でお出しになりました減税要求ですけれども、やはり財源面が最大の問題でありまして、赤字国債というのはツケの先送りですから、私は反対です。これは先ほど加藤先生がおっしゃった御意見に賛成です。 それから、不公平税制の是正ですとか総合課税への移行はもちろん必要ですが、これは景気対策としての即効性はありません。戻し税はもう絶対に反対です。これは一時のばらまき減税にすぎない。これにかつての戻し税減税も多大の行政コストをかけております。そして効果は上がっておりません。この状況を確認すべきだと思います。 以上です。
○中川参考人 私どもは、冒頭申し上げましたように、ぜひとも実現していただきたいという立場であります。 我々も所得税減税、物調減税を中心にした所得税減税を長年申し上げてきました。国会でもいろいろな形でお願いをしてまいりました。しかし実際には実現しなかったわけです。 この不況の中で、我々の方は消費不況ととらえておりますが、三・三%の実質経済成長を実現するために、ではどうするか。残されたのは所得税減税しかないのではないだろうかというふうに考えているわけです。いろいろな運動の経過の中で、我々としても赤字国債を認めているわけではありません。必ずしも賛成はできないというふうには思っていますが、こういう状況の中で赤字国債を出すのもやむを得ないというふうに考えているわけです。景気の底のところで財政政策が発動されて、景気が上昇の面でそれを回収していくという調整基金的な制度だって考えるべき段階ではないだろうかと考えております。 そういう意味で我々は、いろいろ問題はあるということは十分承知していますが、この不況克服のためにあるいはサラリーマンの重税感の是正のために、所得税減税を中心にする今回の三党案についてはぜひ実現をしていただきたいと思っております。
○加藤参考人 今大出参考人がおっしゃったように、現在は消費不況ではございません。構造的不況でございますから、これは全く政策的に違った方法をとらなければなりません。 それからさらに、今ここで所得減税を大幅にやっても後でそれをこうやって補えばいいじゃないかということは、もう昭和の初めからずっと言われてきたことでございますけれども、日本でい まだかつて行われたことがございません。ということを考えますと、私は、このお考えには一つの立場としての御意見はあると思いますけれども、全体としてこれを認めることはできない、こういう考え方でございます。
○中村(正男)委員 終わります。大変ありがとうございました。
○藤井委員長 沢田広君。
○沢田委員 続いて質問しますが、二分ぐらい休憩しますから水でも何でも、お茶は出ませんが飲んでください。 お手元へちょっとプリントして、ここで多くを言うのは時間がかかると思いましたので。 まず加藤先生の方に、答申がこれほど無視されて今日の国会を迎えているわけでありますが、税制調査会としても、これは一言あってしかるべきではないかという気がするのです。私は、言葉が悪いからかもわかりませんが、総辞職でもして政府に尊重する意思を迫るくらいの決意があってしかるべきではなかったか。内答のいかんは別としましても、少なくとも政府はもう少しそういうものを尊重していく、こういう姿勢が、これは大臣がいれば答えてもらうところですが、あってしかるべきではなかったかと思うのですが、いかがでしょうか。
○加藤参考人 政府税制調査会といたしましては、御承知のとおり今回の私どもの答申と政府の決定とが若干違っております。その点は先ほどもちょっと申し上げましたが、一つは老人マル優の枠拡大でございます。しかし、考えてみれば、これは最初三百万を七百万にというようなお話で議論が進んでいたようでございますから、その意味で五十万にとどまったということは私どもの意見を大きく取り入れていただいた、こういうふうに理解をしております。 それから、さらにまた買いかえ特例でございますが、これにつきましても私たちといたしましては、余り効果のあることではない、しかも土地を最初に、第一次の取得者には余り効果のあるものではございませんから、その意味でこれは好ましくないという立場をとっておったのでございますが、これもいろいろな制限を設けまして、その制限の中でということになりますと非常に限られておりますけれども、しかしその限られたことによって私どもは土地対策のあるいは地価対策の方向を逸脱したものではないということで是認をしているところでございます。
○沢田委員 続いて、あの答申は、今の状況というものをある程度予測されて昨年の暮れ出したものだろうと思っているわけです。ただ、社会的に見ると物すごい不況という表現と、あるいはこれは後の条項にもありますが、対策が言うならばちぐはぐなものがあるのではないかという意見もあります。 これは加藤先生に、あと二先生にもお伺いしますが、現下の景気について、答申と景気は間違ってないのか、その点、見通しは若干展望を欠いたのか、これは言いにくいかもしれませんが、どちらなのかお答えいただきたいと思います。
○加藤参考人 私どもの答申と景気の問題でございますが、景気のことは、私たちはもちろんかなり厳しいという判断に立っておりましたので、その意味で、例えば利子所得課税につきましても、この点について私どもとしては方向はまだ決められないというようなことで答えを出しております。その意味で、税制についてはこの景気を下に落とすようなことがあってはならないということを前提にしてつくられたものでございます。 しかし、そのことは現在の景気をどう見ているかということになるわけでございますが、私どもといたしましては、十二月のあの大型補正予算によってこれは効果はだんだん出てくるという判断に立っております。その出てくるという意味は、景気がよくなるのではなくて、景気が少なくとも下に落ち込むというような情勢はないというわけであります。 最近非常に円高になりましたために、これは大変なことだというふうな認識が大分いろいろなところで出ているようでございます。しかし、御承知のとおり、逆に日本の円建てが非常にふえておりまして、例えば全世界に対しては大体四割は円建てになっております。それから、いわゆる東南アジアに対しては六割が円建てでございます。こういう円建ての貿易が行われているということは、これは円高になりましてもほとんど影響がない、逆に今度は輸入する資源につきましては原油を初め非常にプラスになるものも大きいと考えております。 現下の景気は、構造的な問題がございますから、これを直さない限りそう急激に明るくなることは不可能であります。しかし、構造的な問題が解決されるという方向が徐々に進んできているようでございますので、私としましては、その見通しの上に立ってこの答申はつくられたというふうに考えているところでございます。
○沢田委員 加藤先生と中川先生にお伺いします。 財形貯蓄ですね。今お答えいただきまして重複する点があったらお許しいただきたいのですが、住宅と年金と二つの目的があるのですね。 これは加藤先生にも、今度の税制調査会でこれから考えてもらいたいのですが、財形の住宅の方を使うのは三十五から四十以前の、三十五歳ぐらいなんです。それで十倍借りられるから、四百万あって四千万借りられる。こういうことで、四百万あればこれは四千万ぐらいの枠にはなる。しかし、年金の方の資金を全部使い切ってしまうわけですから、今度は年金の方をそれからためるということはなかなか無理だ。年金の方は老後を保障するわけですから、一千万ぐらいの枠が当然あっていいのじゃないか。これを一緒にしてやりますから、新規採用の人の多いところでは平均百九十六万ぐらいにしかならない、こういうことになってくるわけなんで、財形で使うものが途中で消えるということを考えて、財形貯蓄については何らか考慮すべき点があるのではないか。これは両先生にお伺いいたします。
○加藤参考人 財形貯蓄につきましては、実は私は財形貯蓄が出発しましたときにその関係をしておりました。したがって、財形貯蓄については私はどちらかというと前向きでございます。これは非常に大切な制度であるというふうに理解しております。 したがって、現在五百万でございますけれども、これが例えば一千万になるなんていうことがあるんだったらば、その新しく積み立てられる五百万については、これは例えばこれから国有企業がどんどん株を放出いたしますが、そういうものをやはり勤労者に持たせる必要があると私は思っているんです。これは世界はみんな、そういうふうに国有企業の株というのは一部ちゃんと勤労者のためにそれをとっていくのでありますが、日本の場合はそれが、国鉄の場合、JRにかわるときになされておりませんでした。NTTの場合なされておりませんでした。今度JRがそれをやりますときにはそれが考慮されているようでありますけれども、そういう意味で、この財形貯蓄は、その分野からも非常に重要な資金になると私は思っております。 しかし、そうかといって、これを今の状況の中で拡大していくことについては、慌てることはない、日本がここでもって底力をもって回復する方向がある以上は、まだ急がなくても大丈夫だというふうに私は考えておりますので、今回は、それに対して積極的な意見は出さなかったということでございます。
○中川参考人 財形貯蓄の問題は、今までも申し上げてきましたが、とにかく二十年間こういうふうな非課税のままで、限度額が引き上げられないまま来ているということ、それから、例えば五百万を超えますと一から課税をされるというふうな実態もあるわけです。 いずれにしましても、財産形成制度というのは、ドイツの制度を見習いはしましたが、非常に制度的には不十分なものになっている。その中で、非課税限度額だけでも上げてもらいたいとい うことなんですけれども、我々としては、もう少し制度が活用されるように、資産形成というか、株式の資本参加というふうなところまではまだ考えてはいませんけれども、とりあえず、住宅を例えば四十ぐらいまでにつくる、そして四十から六十の二十年間で一千万円ぐらいの年金を積み立てる。そうしますと、あと二十年間で一千万円まで積み立てれば七万円ぐらいという試算が出ております。そういう意味で、自分たちが積み立てたものをほかの目的に使うわけではありませんので、その他の貯蓄と性格が異なっているというふうに私どもは考えているわけです。ぜひとも御検討いただきたいと思っております。
○沢田委員 あわせて三先生にお伺いしますが、国債は、我々が税金を払って今償還しておるわけですね。ですから、もう二十四兆円に近くなって、払ってて、また国債にもし利子がつくと課税される、これは二重取りになるわけですね、買ってる人から見れば。国債を買った人で利息が出れば、そこに分離課税が出てくる。しかも国債は、払うのは国民として納税で払っている。こういうことで、国債の償還に当たっては、国民は二重に負担しておる。だから、利子にはかけなくていいんじゃないのか。一たん税金で納めているものについてまた利子に課税をするということは、これはマル優のことでなくて、マル優はもうあるんですが、一般的な論理として二重課税なのではないか。その点は、まあ突然でありますから、もう一つ次の問題とあわせてお答えいただきます。 今のこの租税特別措置法は、不良金融機関の救済だ、こういうふうに一般的に言われているんですね。それだから、六十兆円の、ノンバンクを合わせると恐らく百兆円を超えるいわゆる土地不良債権というようなものを持っているから、例えば減税しても何しても、みんなそこに吸い取られちゃって、それ以上にいかなければ効果が出てこないという状況に極端に言うとなっちゃっておる。そういう状況を何とかしたいというのが、背に腹はかえられない発言が、うちの党にも出ているんです。私としては、赤字国債で充当するというのには若干問題があるな、今の百八十兆円もいつ返せるのかわからぬというときに、これ以上発行していくのは果たしてどうなのかなという気はします。しかし、そういう必要に迫られたものが一方にある、それが政治的な解決ということになるんだと思うのですが、その点はいかがでしょう。 以上で私の質問は終わりますが、あと今後の税制、金融、財政について、十分間では先生方の発言も少なかったと思いますので、あと残された時間は、余りありませんけれども、ひとつそれぞれ言いたいほうだいにおっしゃっていただきたいと思います。
○大田参考人 国債に関して申し上げます。 同世代内で償還される期間の国債ならばその考え方はあり得ると思います。ただ、もう少し厳密に考えてみないと、うまいお答えできません。 それから、二番目の不良債権の処理に対して、例えば公定歩合を切り下げたりすることは金融機関への優遇ではないかという点、これは、単なる優遇だからといって、金融の場合は必ずしも悪いとは言えない難しい面を抱えております。今金融機関は自由化という激動の中にあります。ですから、一方で自由化の中で競争促進をしていかなければいけない、だけれども不良債権を抱えるという、救済も必要だというジレンマの中にあります。 ですから、今原則を確立することが必要だと思います。原則の一つはあくまで金融機関の自己責任がベースになること、二番目は金融機関のディスクロージャーが促進されること、この二点が必要です。その中でやむなく淘汰される金融機関は、私は仕方ないと思っております。ですから、淘汰された場合の預金者保護、それから信用秩序への波及を最低限に抑えるための制度を整えることが必要かと思います。 今後の金融財政については一言だけ、高齢化とストック化と国際化、この三点を考えなければいけないと思っております。 以上です。
○中川参考人 余り専門家でありませんから、二、三御意見を申し上げたいと思います。 不良債権問題について、聞くところによりますと、半年前だったら銀行の一つや二つつぶしてもよかったんだけれども、今やもうつぶしもできないというふうな話も聞いております。ぎりぎりになるとそういう救済策がとられる。そういう意味では、銀行や証券は不透明なところが非常に多いというふうに思いますので、そういう点をきちんとしていただかないと、国民の不信というのはぬぐい去れないんじゃないだろうかと思います。そういう意味で、この金融の問題、救済の問題、不良債権の問題はもう少しオ一プンにやっていくべきではないだろうかと思っております。 それから、今後の財政あるいは税制のあり方の問題です。私どもも、高齢化社会に向かって自分たちの負担が今後強くなっていくことについては認識をしております。しかし、その負担のあり方について、本来は公平、そして国民が納得できるものを制度的につくっていただきたいということを言っているわけでありまして、そういう意味で、我々は自分たちの責任を回避するというつもりはありませんが、今のような税制なり金融財政制度を考えますと、果たして我々が納得できるだろうかと考えているわけであります。 今までにちょっと述べてまいりましたような幾つかの問題点を考えましても、税制について、例えば総合課税がもっと早くできないだろうか、キャピタルゲインの問題をもう少しきちんとできないだろうか、遊休土地の保有についてもう少しきちんとした制度の縛りができないだろうか、こういうふうなことをきちんとしながら、国民に負担を求めるなら求めていただきたい、我々も検討をしていきたいというふうに思っております。
○加藤参考人 今御質問のございました二つのことについてお答えさせていただきます。 最初は国債の問題でございます。これは税金を出して買ったから、したがってそれは国民のお金である、こういう御意見でございますが、これは二点から問題がございまして、一つは、御承知のとおり世代間の差がございます。つまり、買った人とそれが今度返ってくる、償還されるときとは人が違ってくる場合があります。そういうことを考えますと、このときに同じ考え方をすることはできません。 それからもう一つは、御承知のとおり前転と後転という財政上の問題がございます。つまり、これは一つの金融証券にもなりますから、そこでこれを売り渡していった場合に一体どこで課税すべきかという問題が出てまいります。したがって、ここで課税をするのがやむを得なくなるわけでありますが、それは二重課税というよりはむしろ当然の一つの論理から出てくることになります。したがって、国債はなるべくない方がいいというのが一つの考え方でございます。今、沢田先生も赤字国債には余り賛成でないとおっしゃったので、ぜひそういう方向でお考えいただければありがたいと思っております。 それから次に二番目でございますが、現在の景気でございますが、これは三つの心配がございまして、一つはファンドトラストが解約されるのではないかというおそれがあったわけです。ところが、これは御承知のとおり金融が非常にしっかりしておりまして、そのためにどんどん貯蓄をする人がふえたということで、むしろ安心感が出てまいりました。それから二番目には、公定歩合が思い切って下げられたということで、これも安心感につながりました。そして三番目には、不良負債についての買い取り機関ができまして、これはいろんなところに広がってまいります。まだ五千億程度でございますけれども、これは効果をいずれはだんだんと広げていくことになるだろう、こう考えまして、全体としてこれは三Kと言っておりますけれども、この三Kの問題がだんだんと解消してまいりますので、一つの危機感が去っているというのが今の景気状況ではないか、こんなふう に理解しております。
○沢田委員 時間が少し余っておるので、最後に何か、特にこれは言い忘れたという先生方がありましたらどうぞ。なければ終わりにしたいと思います。 じゃ、終わります。
○藤井委員長 河上章雄君。
○河上委員 参考人の皆さんには、大変早朝から御苦労さまでございます。 私は、三十分間でございますので何点がます質問をしたいわけでございます。 初めに加藤参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、平成五年度の税制改正については政策理念が不在している、こういう批判もあります。バブル崩壊によりまして、景気が政府の見通しを上回る勢いで悪化していく中で、税収の落ち込みも一段と厳しくなってきております。四年度の補正予算では、約四兆九千億円近い減額修正が余儀なくされたわけでございます。このような環境の中で五年度税制改正が行われたわけでございますが、そのために税制の理念についての論理が棚上げされて、何とかして一定の財源を確保しよう、こういう意識だけが働いたように思われてならないわけでございまして、宮澤総理も、来年度、平成六年は公的年金の再計算の年でもあり、税率区分の簡素化あるいは所得税減税などの抜本的な制度改革を行う、これは昨年の十二月の参議院の予算委員会で答弁をいたしておりますけれども、政府の税調会長として五年度の税制改正が理念なき改正と批判されることについてどのように受けとめられているか、これが一点でございます。 二点目に、同時に宮澤総理が次年度抜本的税制改正の必要性について答弁されているわけでございますが、税調会長として抜本的税制改正の必要性、これをお感じになられていらっしゃるのか。 三点目に、お感じになられているとすれば、どのような方向の改革が必要であるとお考えになっているのか、それぞれ御見解を賜りたいと思います。
○加藤参考人 お答えいたします。 まず最初の、税制の理念が欠けているのではないかというおしかりは、私十分に反省いたします。その意味では、これからもそういうことを念頭に置きながらやっていかなければならないと考えております。 ただ、念のために申し上げますが、既に御承知と思いますけれども、税制調査会というのは、長期的に考える、中期的に考えるという一つの方針と、それからもう一つは来年度の税制をどうするかという問題と、二つございます。 その来年度については目先のことでございますから、これをどうするかということになりますと、それは現状の中でもって最も私たちが考える中期的な税制に近づけられるような方向で考えたい、こういうふうになるわけです。したがって、そのような理念に立ちますと、私どもといたしましては、例えばこれからは老人マル優の枠の拡大ということは、全体の税制の方から考えて理解できないから、これは中期的に考えるというものにつながっていかないから、本当は今回はなるべくならばやめてほしかった、こういうような気持ちがあるわけです。 さらにまた、いわゆる土地の問題につきましても、ちょっと私の言葉が間違っているかもしれませんが、地価税の必要性を含めて検討するというような、見直しをするとか、そういうような言葉が入ったわけでございますが、これが業界の方から見ますと、何か廃止を含めてというふうに理解をしているようですね。 私は、地価税というものはそんなものじゃない、そういう土地の価格が上がったか下がったかなんということで考えることじゃないのだからということで、それは中期的な理念とかみ合いません。したがって、もしそういうようなことがあるならば、そういう考え方ではないのだということを明言しなければならないということで、常に中期的な税制改革につながっていくような、そういう年度改正を考えている、こういうことでございますから、それをいろいろな形でもって表現しておりますけれども、それは一つの私どもの理念でございまして、何かおまえたちの言う理念は外から見るとわからぬ理念だ、こう言われると、これはまことに難しいわけでございまして、私としてはそこは十分に、なるべく浸透できるような形で表現することはこれからも大いに反省材料として考えさせていただきたいと思っております。 それから、二番目が抜本改正でございますね。抜本改正につきましては、私どもとしましては、やはり現在の状況の中では、この間やりました抜本改正では不十分な点が多々残りました。その多々残りました中でもって、例えば納審制をどうするのかとか、あるいはさらには御承知のように総合課税の方に向かってどうしていくのかとか、こういう問題が残っているわけです。 そういうことを含めまして、消費税が現在行われておりますが、これがまだ国民の理解を十分に得たとは思っておりません。したがって、これを何とかしてもっと理解をしていただくような方向に進めなければならぬというような方向で考え、しかも御承知のように、中間所得者という言葉を使っていいかどうかわかりませんが、クリントンさんが言うとだんだんその中間が下がってくるのですけれども、私は中間というのはかなり広く考えたらいいと思っているのですが、その中間所得者が教育とか住宅でもって非常に負担を感じておりますので、こういう面について何らかの対策をとっていくことが必要ではないかというような気持ちを持っております。しかし、持っておりますけれども、これは将来というかこの次に論ずるべきことでございますので、私どもとしては年じゅう研究を続けながら、もしそういう問題について少しでも御下命があればいつでもこたえられる、そういうことにしていきたいと思っております。 それから三番目でございますが、そうなると、一体どういうことを頭の中に描くかということで、今申し上げたことでございますけれども、もう一つやはり広く直間比率の是正ということをどう考えたらいいか、直間比率というともうすぐそれは消費税だ、こういうふうにおっしゃる方がいらっしゃるのですけれども、そうではなくて、広い意味の直間比率を考えることは、これは一つの課題であります、それは視野に入れております、私はこういうような気持ちで申し上げているわけでございます。 以上でございます。
○河上委員 五年度の税制改正は、ほとんど租税特別措置の改正であります。租税特別措置は、むろん個別的に見ればそれなりの理由があることはよく知っておるわけでございます。しかし、この例外措置が余りふえることは税制の体系そのものをゆがめることにもなりまして、決して望ましいことではない、こう思うわけでございます。 特別措置の整理合理化、このことは万たび言われながらなかなか思うように整理が進んでないというのが実態ではないのか、このように思っております。五年度の特別措置も、むろん廃止するのもありますが、延長そして新設といったものも多い。来年度の抜本税制の改正と絡む点もあることと思いますが、税調会長として今後この特別措置の整理合理化をどのような方針なり考え方でお進めになられるつもりか、この点をまず税調会長にお伺いするとともに、それぞれの参考人の先生にお尋ねしたいと思います。
○加藤参考人 租税特別法というのは、これはやはり不公平の源泉になるというおそれがございますから、これはなるべく直していった方がいい、あるいは整理していった方がいい、こういうふうに私どもは基本的に考えております。 それは、先ほど木の例を例えたようでございまして、木の例でもって考えますと、枝が、茂みが多くなり過ぎると伐採しなければかえって悪いということが起こってまいります。そういう意味で私どもは常にそれに目を配っておりまして、税制調査会でも今まで幾つかの特例措置を廃止するあるいはそれを是正するという方向で進めてきたことは御承知のとおりだと思っております。そのよ うなことで、全部まだ廃止するあるいは整理するところまでいっておりませんけれども、徐々にそういう方向が進められていくことは否定することができないというふうに思っております。 私は、そういう意味で、これからの方向というのはそうだと思うのですけれども、しかし、なおやはり難しいと思いますのは、よく言われますが、私は一つの政策の理念としてよく言うのですが、知に働けば角が立つ、情にさお差せば流されるでございまして、ここのバランスをどうとっていくかということが国会の先生方の大きなお仕事だと思っております。それを邪魔しないようにしていきたい、こういうふうな考えでございます。
○大田参考人 私も加藤先生と同じく、租税特別措置法は減少させていくべきだと思います。ただ、やはり余りに情にさおをお差しになることが多過ぎるように思いますので、加藤先生よりももっと強固に私は枝を払っていくべきだと思っております。
○中川参考人 十分なお答えにならないとは思いますが、我々の方はできるだけ簡素に中立でかつ公平という考え方で、今までの私どもが申し上げてきたことをそういう立場で申し上げているわけであります。 そういう意味で、政府税調の今度の答申についても、正直なとこう、所得減税が見送られるというふうな問題あるいは納税者番号制の導入の結論が先送りされるというふうな問題、こういったことについては我々としてももう少しピッチを上げて全体の簡素、中立、公平という立場から政策を進めるべきではなかったかということが第一点。 それから、これだけ景気が落ち込んでくるということは、政府は当然当初想定をしなかったわけであります。そういう意味で考えますと、まさに段落としで、ある面でいえば、加藤先生は構造不況とおっしゃいましたが、我々はもうちょっと、消費不況程度に考えてはいるわけですが、構造不況であればこそ、なおかつ総合的な税制改革を単年度的にも考えていくべきではなかったかというふうに考えます。 そういう意味で、全体の体系を一方では長期的なタームで考えながらも、他方でここ一、二年の景気あるいは経済情勢との対応で、もう少し先取りした形での税制改革が進められるべきではないだろうかというふうに思っております。
○河上委員 次に、地価税の件でお伺いしたいと思います。 五年度の税制改正で土地の買いかえ特例が復活をいたしております。歴史的に申し上げますと、昭和二十七年にスタートいたしまして四十四年に一遍廃止、そして五十七年に条件つきで復活をいたしまして、バブル期に投機目的に多用されるあるいは地価高騰の元凶である、こういうことで六十三年には原則廃止の経過が御承知のようにあったわけでございます。バブル経済が終わればまた復活というのでは、過去の反省が果たして生かされたのかどうか、私はこういう疑問に当たらざるを得ません。また、現行制度のままでもほぼ八割程度はカバーされているのではないのか、こう言われておりますし、もうこれ以上の枠の拡大は必要がない、こういう強い意見のある中での復活であったわけでございます。 まず第一点目に、政府税調がこの復活を最終的に決断した理由は何だったのですか。これが一点目でございます。 また、買いかえ特例を廃止したのは地価の抑制が目的であったわけでございますが、同じ地価の抑制という観点から導入されました地価税について、財界あるいは政府等の一部からも、もう既に地価税の役割は終わった、こういう声すら聞かれるわけでございます。この買いかえ特例復活も地価抑制の役目は終わったという考え方から行われたものなのかどうなのか、これが二つ目でございます。 三つ目に、同時に、地価税の役割終了の声について税調会長としてはどのような御見解をお持ちなのか。この三点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○加藤参考人 お答えさせていただきます。 第一の点でございますが、地価税につきまして、今度の買いかえ特例の復活を認めたのではないか、こういうふうにおっしゃいましたが、政府税調は認めておりません。認めていないという答申を出しております。 したがって、それではなぜ今の状況を是認しているのかということでございますが、私どもの考えている地価税についての考え方から逸脱するような政策が入ったらば、これは問題でございます。しかし、御承知のように、バブルが始まりましたときにはもう無制限にこの買いかえ特例が使われたのです。したがって、これがいろいろなところで利用されまして、悪用されたりということもあったと思うのです。それをやめるために今度の制限が非常に厳しくなりまして一億円。一億円ということになりますと、これは御承知のとおり都心ではとても無理でございますね。やはり都心から郊外ということになるのですが、そこら辺の人たちのことを考えているということになります。同時に、そのような考え方をいたしますと、さらに面積も制限されておりますから、そういう意味で悪用するということは非常に難しいという買いかえ特例でございます。 かといって、それでは全く無意味なのかというと、私はどちらかというと、使う人がどれだけいるかまだよくわからないのでございますけれども、しかし、若干そういうことがあるということで助かったという気持ちを持つ人たちがないわけではないということを考えますと、これがさっき申し上げました情の部分のわずかなところでございまして、これがあれば、大体知のとおりに働いている、こう考えていいのではないかというのが私の考え方でございます。 それから、さらに申し上げますと、地価税は地価政策ではないのでございまして、これは御承知のとおり、地価が上がったから地価税をやったのではございません。保有コストが日本は世界に比べて安過ぎる、これが日本の過剰信用がそこへ殺到した理由でございますから、それを逃すために、ちょうどどぶ川にどっと雨水が流れ込みますと大変なことになりますから、そこで流れ込む道を少し制限している、これが地価税の意味でございます。したがって、地価税がここで安定的にこれからもずっと使われていくことになりましたならば日本のバブルは起きないということになるのでございまして、このような構造改善が私は今の日本に必要だったのだと思っておりますので、現在の買いかえ特例が決してバブルを引き起こすことにはならないというふうに考えております。
○河上委員 中川参考人、今の地価税の件でございますが、この地価税の件、基本的にはどのようにお考えでございますか。簡単で結構でございます。
○中川参考人 地価税に対する考え方ですか。 私どもは地価税をより拡充強化すべきであるという考え方でございます。ただ、当面は、これほどいろいろなところから抵抗が強いわけですから、とにかく定着をさせることを第一にするべきだというふうに考えています。 加藤先生もおっしゃいましたように、とにかく地価の保有コストに対する課税という意味での地価税、これをさらに、我々当初は一%、こういうふうに要求していたわけですけれども、今度〇・三%になりますが、さらにそれが対象もかなり限定されたというふうなことになっていまして、当初の段階から非常に縮小されたように思っております。我々はこれを定着させ、拡大しつつやっていかなければならないということが一つ。 それから、本来これはそのときの約束で、地価税については土地対策あるいは減税、住民減税に充てるというふうなことを国会でも決議をしていただき、約束になっているわけですが、それが履行されていない、ここも情の一部かなというふうに思っております。
○河上委員 次に、老人マル優の件につきまして、大田参考人と中川参考人にお尋ねをいたしたいと思います。 老人マル優の枠が三百万円から五十万円引き上げられまして三百五十万円にしようということでございまして、これ自体、その利用者にとって悪いことではないわけでございますが、この三百五十万円という基準を決めるまでに今回さまざまな経緯もございました。 参考人は、郵貯、ちょっと話が飛んで恐縮でございますが、郵貯のあり方という点についてどのようにお考えであるか。言いかえれば、官業と民業のあり方と言ってもいいと思います。 同時に、この官業と民業のあり方という問題の中で、今回マル優枠が五十万円引き上げられた点について、この措置はどのように評価なされるのか。もっと引き上げるべきであるとお考えなのか、あるいはマル優枠の利用状況から見まして引き上げの必要はないと思われているのか、この点、両参考人にお尋ねをしたいと思います。
○大田参考人 高齢者マル優につきましては、私は廃止の方向が望ましいと思っております。この理由は、先ほど意見陳述の中で申し上げましたので、繰り返しません。 それから郵貯の問題ですけれども、金融機関は、自由化の中で融資対象の審査というものに多大なコストをかけております。ところが郵政省は、郵便貯金の場合はそのコストが要りません。つまり、財政投融資に一元化してまいります。それだけリスクが低い預金でありながら金利は同じような商品である、これが自由化の中では非常におかしいことになってまいります。ですから、郵貯はリスクが低いのですから金利も低い商品として、もしこれから残すとすれば、私はその形でいいと思います。 ただ、郵貯の問題は、財政投融資をどうするのかという、つまり政策金融をどうするのかという問題を抜きにして語れません。入り口だけでとらえることはできませんので、むしろ財政投融資のあり方を含めての議論の方が重要だと思っております。 繰り返しますが、高齢者マル優は廃止の方向だと思います。
○中川参考人 老人マル優の問題について、私どもは引き上げの方向です。 政府税調でも、うちの事務局長と大田委員とが論争されたそうですが、いずれにしましても、この老人マル優と財形が残ったということで、これを政府としては例外中の例外だ、したがって、これは余り引き上げることはまかりならぬという考え方があるようですが、年金生活者の問題、あるいは財形でこつこつためている人たちの問題を考えますと、これに対する非課税を上げることに、ほかの何らかの福祉政策が充実していれば別ですが、この程度のことは認めるべきではないだろうかというふうに思っております。 それから、郵便貯金の問題については専門家でないのでわかりませんが、私も、郵貯、厚生年金その他が財投に回っていく、その財投を使って公共投資が行われていくというふうな財政の流れを考えますと、簡単に郵貯の官と民のあり方というふうな金融関係の単純な横並びだけで比較はできないだろう。日本の財政金融上の仕組みがそういうふうにつくられているという意味で、郵便貯金については国が育成してきた、そういう役割を持っていると思います。そしてなおかつ、今日、財投の中で大きな役割を果たしているとすれば、全体の仕組みを検討しなければ一概に答えられる問題ではないだろうというふうに思っているわけです。 なお、我が方は郵便局の組合員もおりますから、いろいろな意味で官と民のあり方も検討しております。
○河上委員 ありがとうございました。 加藤参考人にもう一点だけ、消費税の件についてお尋ねしたいと思います。 税調において消費税見直しの論議は出ていらっしゃいますか。現行のままでよい、この方向なのか、あるいは見直しの方針なのか、また、今後どのような考え方で臨まれるのか、この点についてだけお伺いしたいと思います。
○加藤参考人 消費税につきましては、御案内のように、消費税を導入いたしましたときの議論がいろいろございますが、その議論で一番重要だと思いますのは、消費税というものが直間比率を是正していくことに必要である、しかも消費税を導入することによって、これはむしろ、直接税が熱いお湯だとしますと、この熱いお湯に対して消費税のような逆の性格を持つもの、つまり片っ方は累進性があり、片っ方は逆進性でありますが、その逆の性質だからこそ、この二つをうまく使うと全体としてのバランスがうまくとれ、国民の負担も軽減されていくのだ、こういう考え方でございますから、その意味で、消費税を導入する必要性については私どもは何ら疑問を持っておりません。 問題は、それを導入するに当たってどういう形態がいいかということについての議論が幾つもございました。その中で、私どもとしては、理論的に考えればインボイス方式をとることが最も望ましい、しかし、そのようなインボイス方式をとらなくても、日本の場合は非常に帳簿が発達しておりますので、その帳簿方式を使うことによって十分に代替可能である、しかも、これは大きな額になりますと困難でありますけれども、三%程度ならば十分にやり得るということで、三%の場合にはこのままでいいのじゃないかということで帳簿方式になったわけであります。 したがって、それについては、もしこれから、消費税を皆様、国民が是認していただきまして、これをさらに使っていこうということになりましたならば、それは率も変わってくるかもしれませんので、その場合には当然インボイス方式のようなものを採用していくという方向が避けられないというふうに私は思っておりますが、それは、視野の中に入れてはおりますけれども、まだ検討課題とはなっておりません。その意味で、これはこれから皆様の御指導をいただきたい、こういうふうに思っております。
○河上委員 最後になりますが、お三人の参考人の皆様から所得減税のお話を最初にいただきました。反対の方が二名と賛成の方が一名、こういうことでございました。減税効果が極めて薄い、また、赤字国債はリスクが大きいと、いろいろとお話をいただいたわけでございますが、私どもも、公共投資か減税か、二者択一を論議しているわけじゃございません。両方とも必要、こう申し上げているわけでございます。 この不況も、在来とは違いまして、一年半をもうとっくに超えまして二年に入っている。こうした厳しい状況にあるわけでございまして、さまざまな現場を歩いても、実体経済の上からかなり厳しいのではないのか、こういうことも考えられます。そして、在来型の不況構造ではない、ある意味では日本が戦後初めて経験する不況であろう、こうした視点から所得減税の三党共同修正案を先日提出したところでございます。私は、この減税の実施時期あるいは規模あるいは戻し方の手法によっては一定の効果があらわれる、このように思っているわけでございまして、さまざま御議論はあると思いますけれども、何としても三党共同修正案の実現に向けて頑張っていかねばならない、そして所得減税を実行に移したいと考えているものでございます。 それぞれ御意見を拝聴させていただこうと思いましたが、時間も参りましたものですから、私から一方的に言い放させていただいて、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○藤井委員長 正森成二君。
○正森委員 最初に、所得減税の問題について伺います。 私ども日本共産党は、所得減税が必要である、ただし社公民三党と違って赤字国債を出すのは反対である、その必要もなく、財源があるという立場ですので、それをまず申し上げておきたいと思います。その上で伺いたいと思うのです。 今お二人の参考人から所得税減税は効果がないという意見が述べられました。例えば、大田参考 人は、産経新聞の二月二十一日号に「効果少ない所得税減税」ということで、きょうお述べになったようなお説を展開されております。あるいは加藤参考人も同じ産経の「正論」というところでお書きになっておりますし、いろいろ出ているところであります。 しかし、加藤さんが、例えばこの「正論」でお書きになりました「時事通信社のアンケート調査によれば昨年末のボーナスの六〇%は貯蓄にまわし、残りは教育と住宅に支出するという。」つまり、六〇%は貯蓄に回ってしまうのだ、だから景気刺激効果はないというのを各地でお述べになっているようですが、これは一つのごく少数の統計にすぎないのですね。 例えば、家計調査の勤労者世帯のふえた所得のうち消費にどれぐらい回るかという限界消費性向というのは六〇%強です。あるいは国民所得統計の消費性向というのは八五%です。したがって、そういう統計を使えば、財界のシンクタンクの日本総合研究所でも産業連関表を使った推計で、一兆円減税した場合の生産誘発効果は一兆四千三百億円、公共投資の場合は一兆五千六百億円というように大差がありません。しかも、二年目、三年目は所得減税の方が増大するという統計が出ております。ですから、それぞれの統計の基礎のとり方によって違ってくるので、政府の使っているのは経済企画庁の世界経済モデルというのを使っているのですが、それだけが正しいということにはならないのですね。 しかし、これでやりますと、私の持ち時間は十五分で、時間がありませんから意見を言うだけにとどめて、大田参考人に伺います。 あなたは、例えば老人マル優を五十万円引き上げたということについて意見をお述べになりまして、それは一種の補助金だということを言われました。それはそれなりにあなたのお立場からしたら筋が通ると思うのですが、その筋を貫けば、公定歩合を累次に引き下げました。この間は二・五%で、三・二五から〇・七五下げました。そのときに日銀総裁はどう言ったかといえば、景気を刺激するといったって、今まで五回も六回も公定歩合を下げてもそんなに景気はよくならなかった、今度の場合は企業に対する下支えの意味を持っている、こういうように言いまして、日経新聞などは、今回の公定歩合引き下げによって二兆円が家計部門から大企業と銀行に回るというように明白に言っているのですね。そして、あなたのお立場では、もちろん二兆円を大銀行と企業が政府から補助金の支出を受けた、こういうことになりますね。
○大田参考人 公定歩合をめぐりましては、企業と家計の利害は対立いたします。特に、家計の資産蓄積が進んでおりますので対立いたします。ですから、両方の事情を考えて公定歩合を下げるかどうかを考えなければならないと思っております。 ですから、この間公定歩合を下げられましたが、あの時点で私は家計のニーズというのは軽視されたと思っております。ここで公定歩合をまだ下げるというような余地も残されているようですけれども、やはり打ちどめ感を出すべきだと思いますし、次、今度はどういう手続でいかに上げていくかということを注目しております。
○正森委員 加藤参考人に伺いたいと思います。 あなたが「経済往来」の九二年十月号に「「ケインジアン台頭」の不安」という論文を書いておられます。思い出しておられますか。私は非常に興味を持って拝見しましたが、その論旨は、宮崎義一元京大教授などの言われた複合不況という考えに非常に反対されて、複合不況というのは不況の原因がよくわからぬということだから対策もできないということだ。あなたの論文を三十秒でまとめるのですから不正確かもしれませんが、そして、「日本の将来に必要なのは構造改革を主とした対策である」ということで、これによると、政府の総合経済対策なんて本当は大して効果がないのだという説になるのです。非常に独自の議論で、これもまた議論すると二十分や三十分かかりますので省略させていただきたいと思います。 あなたが九二年九月三日の週刊新潮に、これは論文じゃなしにインタビューにお答えになった文がある。そこについて聞いていきたいと思うのですが、思い出されるかどうか。ちょっと読んでみます。こう言っておられるのですね。 消費税は最も公明正大に税金を徴収する方法です。消費税を発案したイギリスのニコラス・カルドアという学者は、これからの税制は人の懐ろに手を突っ込んで奪ったり、収入があったからといって奪うような暗いものではなく、消費したときに支払う公明正大で明るいものでなくてはならないと唱えたのです。消費は表に出やすく、所得税に比べて明るいのです。思い出されましたか。うなずいておられますけれども、そしてこう続けているのです。 消費税を導入したとき、高齢化社会に備えるためと言われ、我々税調もそう説明しましたが、本当はあれは、ああ言えば一般の人に分りやすいから、ということでした。消費税の本来の意義はそういうものではないんです。こう言っているのですね。 そうすると、政府税調は政府と一緒になって、高齢化社会のためであるというようにマヌーバーを使って国民にうそをついて導入したということを認めていることになるのですか。
○加藤参考人 今、週刊新潮を御指摘いただいたのですが、週刊誌というのは本当に恐ろしいものだということを今初めて気がつきました。 実は、私が申し上げたのは、消費税ではなくて支出税の話だったのです。ところが、今伺って、私も後でよく見ておけばよかったのですが、見ていなかったのですが、それが消費税になっておりますね。ただ、消費税も支出税に進むための一歩前進であるということを考えますと、私は、決してそういうことが全くうそだというわけじゃない。消費税は少なくとも明るいところで昼間にいただくお金である、こういう考え方がイギリスにはございます。したがって、私はそれについて全面的に否定するわけじゃございませんが、最後のところでございますね。消費税というのがそういうようなものであるから、したがって、ちょっと済みません、文章を今ど忘れしてしまったのですが……
○正森委員 「高齢化社会に備えるためと言われ、我々税調もそう説明しましたが、本当はあれは、ああ言えば一般の人に分りやすいから、ということでした。」
○加藤参考人 これはこういうことなのです。 答申で書きましたのは、消費税というのは高齢化社会のためだということを、盛んに売上税のとき、それからさらにその前の一般消費税、すべてそれによって説明されたわけです。しかし、私ども税制調査会では、それはちょっと説明が不十分じゃないか。高齢化社会のためと言っているけれども、高齢者というのは、今のように世界的な統計で六十五歳以上をすべて高齢者と言ってしまって一体いいのだろうか。日本の場合は、当然これからは七十歳以上を考えざるを得ないときになってきている。そういう意味で、高齢化社会は、負担すべき人が今は七人いるけれどもこれからは三人になって大変だ、こういうようなことを言うけれども、それが本当かどうかを確認できないで、いろいろな統計を見ただけで、お金が足りなくなるから消費税だというのでは、これはなかなか納得できない面があるじゃないかということで、消費税というものは高齢化社会のためであるという説明もございましたけれども、あの消費税の、つまり一般消費税から売上税に移って消費税になりましてから、そのときの文章がはっきりと変わりまして、高齢化社会の問題の目的は三番目ぐらいに落としてありまして、一番先の問題は直間比率の是正であるということに前提を置いております。 したがって、決してそこに書いてあるように国民が納得できるからこう言ってやろうなんというような、私はそんな政治的発言は全然いたしませんので、まことに正直にただ申し上げただけで、 その書き方がちょっと、私が今考えてみると、随分変な書き方をしてくれたなという気持ちでございます。
○正森委員 週刊誌は恐ろしいなという感想ですが、週刊誌にこういうように出ますと、例えば私のような議員がこれを読んで、参考人に出てこられたときに質問することがあり得るということをお考えになった上、インタビューにこれからは応じていただきたいというように私は思います。 中川参考人に伺います。 あなたは、明白にはおっしゃらなかったかもしれませんが、赤字国債を発行してもという点を除けば、あなたの御意見にはおおむね賛成なのですが、ただ、連合と申しては失礼ですけれども、去年、近藤という労働大臣が、バブルのときにたまった利益があるのだから賃上げをすべきであるという意味のことを言いまして、財界との間に物議を醸しました。しかし、それを承知の上で、この間船田さんという経済企画庁長官は、余裕のあるところはという限定つきでしたが、大いに春闘で賃上げも考えてほしいということを言われたわけで、つまり労働者が賃上げで家計が少し楽になって、それが消費に回るということが景気にいい影響があるということは、労働大臣や経済企画庁長官も心の中では思っていることなのですね。 ところが、忌憚なく言いますと、連合ができてから十数年になりますが、その間に労働分配率というのは、決して上昇しているのじゃなしに逆に低下しているのですね。ですから私は、党の立場から、外から応援するのですが、大いにことしの春闘などは、ただ減税と言うだけでなしに、主体的にやはり賃上げをから取っていただくということが景気の点でも非常に大事だと思うのですが、その点について御意見を承りたいと思います。応援する意味で言っているのです。
○中川参考人 激励いただきましてありがとうございます。 おっしゃるとおりで、我々の方は、この春季生活闘争を戦略上立てる段階で既に賃上げと減税を決めているのです。したがいまして、政府には減税を求めます、しかし経営者側には賃上げを求めるという戦略スタンスできているわけでありまして、連合総研の消費不況のシナリオでシミュレーションを出しても、やはり七%の賃上げと四兆円の所得税減税、それから公共投資、これでようやく三・三の実質成長率ができる、このままいくと三・三の実質成長率は難しいということで、我々の方もそういうつもりでおります。 したがいまして、単に我々は国会の方に減税をお願いするだけでなくて、我々自身も頑張る。連合ができまして五年ですから、十数年とおっしゃいましたけれども、まだまだそういう意味では日本の労働組合全体がもう少しきちんとしなければならないというふうに考えております。
○正森委員 正式にできたのは五年前ですね。 加藤さんに伺います。 去年の大みそか、十二月三十一日に、日本経済新聞の「経済教室」で「秩序模索する資本主義」という、あなたと飯田さんと今井さんの座談会が載りました。非常に興味深く読ませていただきました。その中であなたがこう言っておられます。「この一年間、資本主義をめぐっていろいろな論争がありました。ソ連が崩壊したので、「資本主義が勝った」と言われていますが、それは間違いです。」こう言って、「つまり資本主義社会は様々な批判があるからうまく機能するのであって、そのチェック機構である社会主義勢力がなくなると、何を問題にしていいのかわからなくなります。」という意見を陳述されております。それを受けて飯田さんは、「共産主義もひどいけれども、資本主義もひどいというのが私の実感です」と言うので「(笑い)」となっておりますから、恐らく出席された方が共感の笑いを笑われたと思うのですね。 そこで最後に、もう時間がございませんので、あなたのこの問題についての御意見を簡単に時間いっぱいいただいて、私の質問を終わります。
○加藤参考人 ただいまの正森先生の御引用されたのはまことに正しい引用でございまして、ありがとうございました。 現在、世界が非常に混乱に陥っているのは、アメリカの経済、アメリカが世界を主導的に持ってきた今日までの経過、これが共産圏の崩壊によりましてアメリカ自身がその手だてを失ったというか目標を失ったというふうに私は考えております。 したがって、御承知のようにアメリカは自由と平等と民主主義を守るために努力したのでありますけれども、自由主義を守ると言いながら昨年の初め、お正月に車の代表者を日本に連れてまいりまして、そしてなぜ日本人はアメリカの車を買わないか、これは明らかに私は押し売りに近いと思っております。そういうようなことに対してアメリカでは物すごい批判が出ました。つまり、ブッシュのやることはおかしいといって批判が出た。ところが、日本ではそれに対する批判が余り出なかったのです。私は、これは日本が戦後これだけ成長してきているのに自分についての自信が持てていないということに問題があるように思っております。それからさらに平等につきましても、ロサンゼルス暴動、御承知のようにあれはアメリカが不平等を持っているということを示しております。それからまた民主主義についても、クウエートを応援したことが、本当にあの国は民主主義の国であったかという疑問がございます。 こういうことを考えると、アメリカは理念を失ったのでございます。その理念にかわって当然日本がそこで自分の理念を世界に主張していかなければならぬ、そういうときが来ているように私は思うのでございますけれども、それはなかなかできないという状況にございます。ということは、日本自身も、世界が変わってきているものですから、それに対して何を言っていいかわからないという状況に入ってきてしまったのでございますね。 そういうふうに考えまして私はそういうことを言ったのでございますが、これから日本のやるべきことは、シェア、つまりどういうふうにみんなが取り分を分配するかというシェアの問題、それからフェアネス、公正、そして三番目にはケアというんでしょうか、テイクケアという言葉を使いますが、要するに地球に優しいとか、貧しい人たちにいろいろ目を配るとか、そういうような考え方を持たなきゃならぬ、こういう理念を日本が打ち立てるときが来たんだというつもりで私はそこでは申し上げたつもりでございます。
○正森委員 初めの議論は「「ケインジアン台頭」の不安」という論文の中でも展開されている御議論で、非常に膨大な論文を短い時間でまとめていただいてありがとうございました。
○藤井委員長 中井洽君。
○中井委員 民社党の中井洽です。お忙しいところ大変有意義な御議論をありがとうございました。 最初に大田参考人にお尋ねをいたします。 自民党さんの御推薦で出てみえました。一応、法案には賛成なのか反対なのかをまずお聞かせをいただきたい。 それから、先ほども老人マル優のお話がございました。金利も下がったということで、私どもは、補てんじゃありませんが、まあやむを得ないのではないか、こう考えていますが、これは御議論がありましたので省かせていただき、高齢者もこれからの社会では負担をすべきだ、こういう御意見がございます。消費税の導入以来、高齢者も実は負担をしておるのである、私どもはこのように考えておりますが、それ以上に負担をしろという御意見なのでありましょうか、お尋ねをいたします。 それからもう一つは、今の景気をどうお考えになっていらっしゃるか。先ほどスーパーの消費なんかは伸びているとおっしゃいましたが、お言葉を返して恐縮なのですが、スーパーで売り上げが上がっているのは食料品専門のスーパーだけなんです。大体二割から三割お客さんはふえている。なぜかといったら、一週間に一遍しか行かなかっ た人が毎日来る。それじゃ売り上げはどうだ。売り上げはまあ三%くらい。何だといったら、おなべの材料ばかり買う、刺身、ステーキはちっとも買わない、その分外食もしない、全然お金を使わない、こういう状況であります。 私もこういう不況で、たまに若い人たちが厳しい経済環境の中でどういう生活をと、あるいはバブル時代の反省をというのもいいと思います。しかし、この不況はちょっと大きいな、長いな、こういう思いを抱いております。そういう意味で、今の景気とそれに対応する対策、何かありましたらお教えを賜ります。
○大田参考人 法案に対してですけれども、先ほどから意見を申し上げておりますように、幾つか批判的な見解も持っておりますが、白紙に絵をかくように政策的には決められないでしょうし、加藤先生おっしゃいましたように情の部分もあるかと存じますので、全体的には賛成しております。 それから高齢者マル優の、高齢者も一定の負担を担うべきだという点ですが、高齢化の比率が今の状況でしたらよろしいのですけれども、これから急速に増大し、負担も重くなっていく、その中での意見でございます。 その場合に、まず一つは消費税の税率を上げていくということ、これで高齢者の負担も増加していくかと思います。それからもう一つは年金課税のあり方を見直すべきだと私は思っております。これからの負担を、勤労世代の、現役世代の、それも今の時点でサラリーマンにかなりしわ寄せが来ておりますので、このままふやすべきではないと思います。 それから景気に関してですが、大庭はそろそろ打ったと思っております。ただし、金融セクターでのかなりの不安面がありますので、なべ底のように回復感はかなり弱いだろうと思います。 それからスーパーに関してですが、これは消費者の立場で発言するか、スーパーの立場で、経営者の立場で発言するかによって見解は違うと思いますが、少なくとも一月の統計のその前までは横ばいでした。一月の統計は暖冬で衣料品が落ちております。それから消費者の立場としては、刺身やステーキを年がら年じゅう食べる状態でなければおかしいから所得税減税をしなきゃいけないということはないと私は思います。 それから、景気対策として一段必要であれば公共投資です。一時的な減税よりも、生活の豊かさという点では一時的な減税、今更し税をもらうよりも社会資本整備の方が重要だと思っております。
○中井委員 加藤先生にお尋ねをいたします。 大学時代習ったものですからあえて先生と申し上げさせていただきますが、私どもは減税を要求をしております。 先ほど先生が、現状の景気は構造的不況だ、財政政策では下げどまりをとめるのが精いっぱいで上がるというところまではいかない、こういう御意見でありました。 私も今の公共投資が効果はないとは思いませんが、こういうばらまき的な、小刻みな公共事業みたいなのは何の効果もない、やるのなら大きなものに絞って公共投資をやればいい、こういうふうに考えておりますが、そういう今の下げどまりに役に立つ公共投資という意味からならば、減税も効果があるんじゃないか。この点でお考えを賜りたい。同時に、この財源につきましては、例えば先ほどもお話が出ましたけれども地価税、これは四千億という予算のもとで、そして土地対策に使うんだ、残りは減税に使え、これは国会の決議であります。ところが、結局新しい土地対策としては六百億円ぐらいしか使われていない。今回五千億の税収があった。こういうものもやはり減税を考えるべきじゃないか。あるいは、私はあえて短期の赤字国債で賄ってもいいと言いました。その財源はどうするんだといったら、私は、たばこの値上げをすればいい。政府税調でもたばこの値上げについては御議論がかなりあったやに聞かせていただいております。そこら辺のお考えはいかがでありましょうか。 同時に、消費税が導入されてから一度も減税されたことがありません。今までの税制と違いますから、所得税減税をやりますと消費税の増収ということに後年度がなりきいてくるんじゃないか、実はこういう思いも持っております。 これらの私の、先生の高邁な御意見に対して少し理屈っぽいところがあったかもしれませんが、お答え、お考えをお聞かせをいただきます。
○加藤参考人 お答えいたします。 最初の問題から入らせていただきますが、現在日本が構造不況だというふうに私が申し上げておりますのは、それは日本だけで解決ができない、つまり世界通貨の不安が今世界を覆っておりまして、その世界通貨の不安の根源はもちろんアメリカの財政赤字にございます。したがって、アメリカが財政赤字を、今度クリントンさんが提案して本当になくすことができるという方向が明確になりますと、世界的な構造的問題が解消してまいりますので、これは日本にとっても大きなプラスになってくるわけでございます。 それから、さらにまた日本の中の構造的問題とすれば、それは社会資本の不足でございまして、大いに社会資本をふやすべきときが来ている。この社会資本については、大型補正予算がかなりの方向で進んでおりますし、今回の場合も、前年度の最初のときの当初予算に比べると必ずしもふえているとは言えませんが、社会資本だけはふえているんですね。ということを考えますと、私は、これはやはり日本にとって必要な構造改善だと思っております。 ただ、非常に重要なことは、この構造改善をやりますときには、先ほども出ましたが、郵便貯金の七割ぐらいが財投に回ってまいります。そのお金が回っていくと、財投機関がそれを使うのでございますが、その財投機関が使いますときに、今まで例えば十人で一億のお金を扱ったとしますと、今度それが二億になったらば二十人でやるのかというと、それはできない、十人でしかやらない、十人でやるわけです。ということは、それだけ能率が落ちる可能性がございます。その能率の落ちることが、予算としてついてそのお金が使われるようになっているはずなんだけれども、実際にお金が出てくるのには六カ月かかるという状況がございます。こういうところをどうやって行政効率を高めるようにやれるかという、この構造改善が残っているということを申し上げなければなりません。 さらにもう一つつけ加えておきたいのは、そのような中で、所得減税をやることがいいじゃないかとおっしゃったのですが、実は所得減税は、先ほど申し上げたとおり赤字国債に大きな負担になってまいりますから、これは解決することが大変だということが、とにかく一つのことをやったらばどうそれを処理するかをまず考えなきゃなりませんからなかなか難しいのでありますが、その赤字国債を出さないという原点の中で考えるとしますと、もっと効果的な方向は消費者物価を下げることでございます。 現在、御承知のとおり物価リポートでもって企画庁が毎年出しておりますが、日本の消費者物価は外国に比べて三割高いというのが常識になっております。なぜそんなことが起こるのか。それは、御承知のとおり、例えばウイスキーの場合は関税がございますけれども、デパートで売っているウイスキーは、例えばジョニ黒でございましたらば九千円もする。ところがそれを安売りで買えば二千円で買える。ということになりますと、これは明らかに流通機構の問題が残されているわけです。そこでその流通機構を改革していかないと本当の改革にならぬわけでございまして、私は構造改善というものはそういう形でこれから進むことになるんだというふうに思っておりますので、所得減税が余り効果がそう見られない、しかも同時にそれが負担が大きくなるということを考え、しかもことしは景気対策としては無理だということになったらば、むしろそういう物価対策の方に重点を置くべきだと考えております。 それから次の問題でございますが、地価税でございます。 これにつきましては、地価対策というものではないということは先ほどから申し上げてきたのでございますが、これは地価税というものがあることは悪いことではないのですが、このお金の収入が土地対策に本当に使われていくかということが問題なんですね。その点について私ども実は心配いたしまして、最初からこれが大丈夫かと言っておりましたら、今おっしゃいましたとおり六百億円しか実は使われていない、それなのに実際は五千億に近いお金が入ってきたじゃないか、こうなるのでございます。 これは結果でございますが、実はその結果として考えまして私どもが思いますことは、土地対策というものは単に土地の価格だけではないのでございますが、それでも土地価格が下がる方向にいったということは、これはアナウンスメント効果は非常にあったと考えられます。しかし同時にまた、そのような土地対策が行われるということは、これは都市計画の問題としてどんどんやられるべきでありますから、必ずしも地価税のお金を全部そこに名目上ちゃんと回さなきゃならぬということではない、こう考えております。 時間が超えて大変申しわけございませんが一言だけ申し上げますが、あとはたばこでございます。これは私ものまないものでございますから何となくいいじゃないかなんて安易な気持ちがあるのですが、しかしそれではとても税制調査会としてはこれは間に合いません。したがって、私は中立な立場に立って思うのでございますけれども、今回もたばこと酒については増税に入らなかった。ということは、私は、非常にここでもって何らかのこれから日本の余力を残したという意味においてプラスであったという判断に立っております。
○中井委員 時間がありませんが、中川参考人と加藤先生にもう一度だけお尋ねをいたします。 住宅の買いかえ特例の復活でありますが、私どもいろいろなことを心配しておりますが、一番は、土地の値はもう発表されたよりかうんと下がっている。国土法の半値八掛けでも実は売れない、買わない。売買がないから、したがって値段が下がらない、これが今の現実。先生のおっしゃった金融機関の買取機構もできましたけれども、これは債権の売買であって、実際の土地の売買ができないと処理ができない。私は、土地が安くなって動くべきだと思うのであります。土地は安くなったけれどもだれも買わない、だれも売らないということではどうしようもないじゃないか。上がるということに十分監視をしながら、下がったらリーズナブルな値段で売買ができる、そういう姿を税制として、あるいは政策として考えるべき時期に来ていると考えておりますが、お二人の御意見、いかがでございましょうか。 中川さんからお願いします。
○中川参考人 おっしゃるとおりだと思いますが、我々の方では、じゃ、どこがリーズナブルな地価がということについてもう少し議論するべきじゃないだろうか。 確かにこの不景気の中で、我々の主張はバブル以前の値段まで戻せという主張ですけれども、この不景気の中でそう簡単なものでないことは我々も十分承知しています。しかし、底支えする時期ではないだろうというふうに我々は理解するわけです。そういう意味で、それを間接的にバックアップする政策に対しては、我々としてはクレームをつけたいという気持ちであります。そうしませんと、日本の社会資本の充実強化その他も、あるいは構造対策その他についても、土地の問題でかなりのネックがあるわけですから、十分できないのではないだろうか。大きな見地で、大局的見地で我々としてはこの問題を考えていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○加藤参考人 住宅の問題につきましてなかなか流動性が出てこないということは私も認めておりまして、それは当然だと思うのです。そう申しますのは、まだ下がる、ここまで下がってきますと、もうちょっと下がるんじゃないかという見方がかなりあるわけです。そのためになかなか需要は、潜在的にありましてもすぐは出てこないというわけでございます。そこで、今度の買いかえ特例に若干譲歩ができましたのは、そういうことも前提に置いて、ひとつなるべく流動性を高めていこうという考え方でございますから、そういう方向は出てくるのだろうというふうに私は思っております。 そんなわけで、全体として、私どもとしては今の日本の方向としてそう落ち込むことはないんじゃないかというふうに判断しているということでございます。
○中井委員 ありがとうございました。
○藤井委員長 前田正君。
○前田(正)委員 きょうはまた大変早朝から、三参考人におかれましては、お忙しいところ本当に御苦労さまでございます。あとしばらくの時間、最後のしんがりでございますけれども、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。 私は大阪二区というところの選挙区内でございまして、とりわけ一番大都会でございます。昨年の年末も、私ども、大変広い大きな商店街がございまして、商店街でごあいさつ回りをしたときに、たまたま陶器屋さんの前を通りまして、奥さんがおられましたから、奥さん、景気どうでっかと言うたら、いや前田さん、おかげでうちは景気ええねん、こんな話でございました。何でだんねん言うたら、えらいようなべ売れて仕方がない、こういうことなんですね。ようよう考えてみたら、最近サラリーマンがもう残業は一切だめだということで早くお帰りになるし、もう交際費も一切ないということでございまして、ほとんど早く帰宅をする。帰ってくると、お母ちゃんが、父ちゃん久しぶりに早く帰ってきたから、じゃ、うちでなべでもやろか、こういうことになって、意外となべの料理も、先ほどの中井先生ではありませんが、材料費も安くつく、こういうことから大変なべがよう売れた、こういうことでございます。なべ底景気は聞いたことあるけれども、なべ景気というのは初めてですわ、こんな奥さんからの話でありまして、サラリーマンというのは、そういうところまで随分景気が悪くなっておるなということは私もよく理解をするところであります。 そこで、所得税の減税を求める声が各方面から上がっております。去る二月の二十四日にも野党の三党が平成五年度予算案に対する共同修正要求を提出し、四兆円を上回る所得税の減税の実施を求めている現状でございます。 私は、この所得税減税論に関しまして、若干論点が広くなるかもしれませんけれども、まず、大田参考人に幾つかの点をお尋ねをいたしたいと思います。 まず第一点は、所得税の減税について、当面の景気対策についての効果には疑問があるのではないかといった問題点がある一方、減税財源の問題やあるいは今後の税体系、税負担のあり方についての考えを抜きにしてこれを論ずることはできないと思うのでありますが、そうした論議を進める上でも、まずもって、バブル後の我が国の経済社会の進むべき方向について、相当先の将来まで展望したビジョンを描くことが大切ではないかと考えております。 このような観点から、バブル後の我が国経済社会の問題は一体何なのか、それに対処するためどのような処方せんが適当なのか、生活大国づくりということで種々の意欲的な論議を展開しておられる大田参考人のお考えをお伺いしたいと思います。
○大田参考人 私は、生活大国の条件は三つあると思っております。 一つは、社会資本を充実させることです。二つ目は、老後に対して必要以上の不安を持たなくて済むということです。必要以上の不安です。現在は不安が必要以上にあります。三番目は、多様な選択肢があるということです。これは制度、政策でいいますと、規制緩和が進められるということが中心になります。 これらの質の向上のための課題と並んで、資本供給国として日本が国際社会の中で重要な役割を果たしていくということも大きな課題かと思います。 いずれも今世紀中にその枠組みをつくっていかなきゃいけない。その処方せんというのは大変難しいのですけれども、私が今考えておりますのは、一つは、公平な負担の枠組みをつくるということ、それから二番目は、今の政策決定のあり方がどうしても生産者サイドに偏ったものになっていると思いますので、これを是正すること、それから、例えば公共事業の配分などにしましても、予算配分に硬直化が見られますので、これを柔軟な配分にしていくこと、そのためには政治改革と行政改革が不可欠だと思っております。
○前田(正)委員 次に、迫り来る超高齢化社会においても豊かさと活力を維持し、本当に真の意味で生活大国を実現していくためには、国民が事業意欲や労働意欲を失わず経済社会の活力を維持できるような税制を構築することが政治の大きな使命と考えております。 そうした中で、勤労者の所得税の負担のあり方については、早期見直しを行って減税を実施することがやはり必要であろうと私は考えますが、その際、現役世代の利益だけではなしに、将来世代への配慮と責任を欠くわけにはいきません。そういう意味で、野党の言う赤字国債に依存した減税要求は無責任なものと言わざるを得ません。 高齢化社会において財政や税制をどのようにしていけばいいのか、導入後ちょうど九四年を経過しようとしておる消費税に対する評価を含めて、大田参考人のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○大田参考人 財政における今後の最大の課題は、社会保障費の増大です。年金の国庫負担分は増加いたしますし、介護などの福祉サービスも今相当におくれております。よりよい高齢化社会をつくるには負担の増加というのは避けられないと思っております。歳出のむだを省けば何とかなるという意見もありますが、私は、やはり無責任だろうと思います。 一番重要なことは、公平な負担で担っていくということです。今は、現役世代の労働所得、中でもサラリーマンの源泉徴収に負担が偏っております。ですから、所得税の比重を減らして消費税を上げていくことが必要だと思います。これによってサラリーマンと自営業者の負担のアンバランスを是正する、それからもう一つ、現役世代と高齢者世代の負担のアンバランスを是正することだと思います。そのために、その前提としまして、まず伝票方式、インボイス方式を導入する、それから簡易課税制度を廃止する、こうした今の消費税の合理化が必要だろうと思っております。 それからもう一点、高齢化社会の活力という面でいいますと、現役世代がスムーズに資産形成を行っていけるように資産課税のあり方を総合的に見直すことも必要かと思います。
○前田(正)委員 先日、ある論者から、所得税、今大体二十七兆円ぐらいを一遍全廃をして、消費税の増税でその分を補うと消費税率は大体一八%になるということであります。したがって、今三%ですから、実質一五%の値上げということになるわけでありますし、また、先ほど加藤先生もおっしゃいました、国内と国外の物価の格差というものをある程度是正をすれば、大体それで所得税を全廃していけるんではないか、こういう話であります。それでもフランスの付加価値税率よりも低い。所得税は限界税率が高いため負担感というものが非常に強い税であります。クロヨンと言われるように、完全な税務執行を行うことが難しいといった欠点もあるため、むしろこの方が公正な税制ではないか、こういう論議であります。 これはやや極端な論議だと思いますけれども、直間比率の見直しとか、あるいは所得、消費、資産の間でのタックスミックスといった今後の税体系の持っていき方について、大田参考人はどのようなお考えを持っておられますか、お聞かせいただきたいと思います。
○大田参考人 所得税、消費税、それぞれ欠点を持っておりまして、所得税は所得捕捉が不十分になってしまうということ、それから、消費税はどうしても累進税率を導入できませんので、所得の高い人は高い負担をするという垂直的な公平を守れないということですから、やはり全部を消費税にすることも望ましくありません。やはりタックスミックスだと思います。ただ、高齢化の進んだヨーロッパ諸国の現状を見ますと、やはり消費税が将来は一五%程度になることも考えておく必要があると思います。 それから、今後の税制のあり方として、消費税の比重をふやすこととあわせて、土地に対する課税を強化することが必要だと私は思います。所得に関しましては、累進税率で、例えば所得が五百万の人と三千万の人の間に公平なルールがつくられてまいりましたけれども、資産に関しましては、持つ者と持たざる者、あるいは持つ者の中でも、親から相続を受けた人とそうでない人の間の公平のルールというのはまだつくられておりません。ですから、土地保有税の強化、これは固定資産税でそれができればよろしいんですが、かなりの負担調整措置がとられることになっておりますし、なかなか政治的に難しい面がありますので、あるいは地価税をさらに個人の居住用資産まで含めて考えることも将来的に必要かと思っております。 それから、相続税における土地資産の評価、これを考え直さなきゃいけないと思います。人生のスタート地点で余り大きな格差があるということは決して望ましくないわけで、そのためには、相続税における土地評価のあり方を見直すこと、これが不可欠だろうと思っております。
○前田(正)委員 それじゃ、時間がありませんので、最後に中川参考人にお聞かせいただきたいと思います。 連合さんは、赤字国債を発行して所得税の減税を実施すべきとの主張をしておられるようですけれども、可処分所得という観点からは、労使間交渉で十分な賃上げを確保するというのが組織としての本来の活動のあり方ではないかと考えております。減税という点では労使協調となっていますが、財源をお示しにならない減税要求は無責任のそしりは免れません。連合としては、今後の財政、税制のあり方について、どのような展望を持ってこのような主張をしておられるのか、再度お聞かせ願いたいと思います。
○中川参考人 おっしゃるとおり、本来は労使の中で賃上げをするのが我々の仕事であります。したがって、そのことについて激励をいただいたというふうに承りまして、同時に我々の方も、では賃上げや労働時間短縮だけで世の中の生活がエンジョイできるかということになりますと、そうはいきません。やはり減税についても申し上げていかなければなりません。このことは、単に不況になったから所得税減税と言っていたわけではありません。数年来これを申し上げてきたわけでありまして、そういう意味では、所得税減税は結果的に景気対策になるではないかというふうな話をしてきたわけであります。だから、景気対策が至上目的ではなくて、むしろ公平な税金のあり方を求めてきたのが我々の要求であるわけです。 そういう意味で、我々の方は、その財源の問題について、むしろ物価調整減税を含めて、まず公平性を確立することが前提で、財源がないから公平性が確立てきないということは本末転倒ではないかというふうに申し上げてきたつもりであります。 そういう前提でやってまいりましたが、これだけの不景気に、あと残された政府の手だては減税しか残されていないんではないでしょうか。そういうときに、赤字国債はだめだから減税はできない、景気対策もできないというふうな政策の視点で、政権党としてどうでしょうか。 そういうふうに問題を立てれば、赤字国債も、我々が申し上げているのは、短期で、しかもはっきりさせて償還させようということでありまして、後世に悔いを残すような考え方を持っている わけではないわけです。それをも赤字国債はだめだというふうに考えますと、財政政策上も、今日の景気対策あるいは今日の日本の経済に対する財政政策の考え方というのは、もう袋小路になるしかないだろうと思うのですね。それほど我々としては深刻な状態ではないだろう、むしろこういうふうな所得減税を出してみんなが気持ちを新たに新しい経済活動に邁進する、あるいは生活をエンジョイするというふうになってくれば、また日本の新たな経済の活力あるいは経済の方向性は出てくるのじゃないかと思います。 そういう意味では、日本の今の社会のあり方というのは、「生活大国五か年計画」にも目標は示されていますが、それを保障する政策的措置がまだ十分ではないだろうと思うわけです。そういう意味で、構造的な視点で我々は社会の改革を考えていかなければなりません。そうなりますと、今までのシーリング方式の財政政策でやっていっていいかどうかという問題もあります。赤字国債はだめだ、財政支出についてのあり方は検討しないというふうな状況はちょっとちぐはぐではないだろうかというふうに考えますと、今後の日本の高齢化社会の問題、あるいは冷戦構造が崩壊したこの段階における日本の今までの防衛のあり方の問題、その他もろもろについてもっとメスを入れるべき段階だ、そういう中での歳出もメスを入れ、歳入に対しての問題を提起すべきではないか、こういうふうに思っております。
○前田(正)委員 時間が参りましたから終わります。ありがとうございました。
○藤井委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十六分散会