政治改革に関する調査特別委員会 第14号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1993/05/11
会議録
○田邉委員長 これより会議を開きます。 梶山静六君外二十三名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに佐藤観樹君外二十四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党交付金の交付に関する法律案の各案を一括して議題といたします。 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。 ただいま議題となりました各案につきまして、審査の参考に資するため、委員を派遣いたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田邉委員長 起立多数。よって、そのとおり決しました。 なお、派遣地、派遣の日時、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田邉委員長 起立多数。よって、そのとおり決しました。 ―――――――――――――
○田邉委員長 本日は、各案審査のため、午前中、参考人として時事通信社解説委員長沖野剛君、共同通信社論説副委員長梶原武俊君に御出席をいただいております。 なお、午後は、政治改革推進協議会会長亀井正夫君、政治改革推進協議会会長代理内田健三君、政治改革推進協議会第二委員会委員長堀江湛君、国立国会図書館調査及び立法考査局政治議会課長成田憲彦君の出席を予定しております。 この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。各案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序でありますが、沖野参考人、梶原参考人の順序で、お一人二十分程度に取りまとめて御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。 それでは、沖野参考人にお願いいたします。
○沖野参考人 時事通信の沖野でございます。 まず、今なぜ政治改革なのか、その必要性について三点申し上げたいと思います。 まず第一に、国の進路といいますか大方針を決めるに値する、そういったことを的確にかつ迅速に決め得る政治体制、こういったものを決める必要があると思います。 したがいまして、これから申し上げますが、まず第一に、昭和三十年以来のいわゆる五五年体制でございますが、これは保守合同によって誕生した自由民主党と左右の社会党が統合した日本社会党、この二つによる英国型の二大政党制を志向したものでございました。しかし実際には、新自由クラブとの連携、連立が一時期ございましたけれども、ほとんどが自由民主党の単独政権でございました。これは世界の冷戦構造を反映したもので、一面ではそれなりに歴史的な意義があったものと思っております。 しかし、冷戦が終結して、しかも新しい秩序は一向に見当たらない、こういう激動する国際情勢の中にあって、現在の政治体制ではなかなか対応し切れない。まして、社会が進化して国民の価値観、ニーズが多様化していきますと、これに政治が対応し切れないといった状況がございます。これは、先年の湾岸戦争あるいはPKO問題、それから米の関税化、こういった事例が示すとおりでございます。 この際、我が国のあるべき姿、国の進路、こういった大きな問題について国会で与野党が討論、論争して、文字どおり切磋琢磨して、その根本方針を的確にそして迅速に決定する、そのような政治システムの確立が何としても重要であろうかと思います。 第二には、国民の政治不信の解消であります。 リクルート、共和、佐川と続いた政治スキャンダルは、金丸事件によって、もう国民の怒りと申しますか政治不信は頂点に達しております。それは、各種選挙の投票率の低下あるいは支持政党なし層の増大となって顕著にあらわれておりまして、今や議会制民主主義の危機と言えるところまで来ておろうかと思います。 消費税など国民からの徴税といったことにあらわれておりますように、政治というものは国民のために、国民に対して時としては痛みの伴う犠牲を求める必要があるケースがございます。国民に信用されない政治では、決して何も国民に要求できません。まさに、信なくば立たずという言葉がございますが、そのとおりだと思います。逆に、日ごろ政治家の皆さんが国家国民のために汗を流して、国会でも建設的な論争を展開しておられれば、国民はそれに感動し、それにこたえていくものと思います。したがいまして、この政治不信の解消ということが非常に重要だと思っております。 第三は、政界、官界、財界のいわゆるトライアングルの癒着ということが言われておりますけれども、こうした問題の背景にある中央官庁によるあのおびただしい許認可の削減の問題であります。そして、そこに介在するいわゆる族議員と称されるものの弊害をなくすということが必要でありまして、そのためにも、現在の中央集権的な体制から地方分権化への断行が迫られていると考えます。 以上申し上げましたような理由から、政治改革の断行が必要であり、また今国会が最後のチャンスだと思います。与野党が選挙制度、政治資金、腐敗防止、こういった面で歩み寄って、政治改革の実を上げていただくようお願いいたしたいと思います。 そこで、ただいま委員長から御指摘もございました具体論に入らせていただきますけれども、現在当委員会を中心に国会で展開されております政治改革の論議は、まことにこれまでになく熱のこもったもので、議員各位の熱意に改めて敬意を表したいと思っております。 しかしながら、政治改革即選挙制度改革、すなわち、選挙制度さえ改めればそれで政治改革は目的が達成されると言わんばかりの議論も見受けられるのはいかがかと思うのであります。まず政治家の皆さんが、選良の名に恥じないような尊敬に値する立派な倫理観を持っていただくことは、これはもう当然でございます。そして、選挙制度、政治資金規制、腐敗防止、政党に対する公的助成について、一括してこの国会で、現在の国会で結論を出していただきたい。そして、次の衆院選は新しい選挙制度のもとで行ってほしい、こう願うものでございます。 その場合の選挙制度ですけれども、まず民意の集約、安定政権の樹立ということを主眼に考えるべきだと思います。同時に、政権交代の可能性のあるシステムという観点も重要であろうかと思います。 以上のような観点から、私は理論的には自民党提案の単純小選区制がいいと思っておりますが、しかし、これも五百人という定員では選挙区が細分化されるといった問題とか、あるいは得票率と議席の獲得率の、いわゆる三乗の法則と申しますか、そういった問題もございますし、欠点もあろうかとは思います。しかも最大の問題は、現状では絶対に野党の賛成は得られない、与党少数の参院で否決されることはほぼ確実であろうかと思います。 そこで、何とか与野党が歩み寄ることはできないかと思うのでございますけれども、私としては、現段階では小選挙区比例代表並立制がベターではないかと考えております。並立制は、さきの国会、海部内閣時代に廃案になった経緯がございます。しかし、当時とは国民世論も違いますし、変わってきておりますし、自民党はもちろん、野党内の空気もそれぞれかなり変わってきているように見受けられます。少なくとも、一部の政党を除きましては、現在の中選挙区制ではもう制度疲労が来てやっていけないというような点ではある程度の合意ができているのではないか、そういうふうに思います。したがいまして、この並立制、これでもって小選挙区と比例区の定員を工夫するとかといったようなことで、まだまだ話し合いの余地があろうかと思います。 それから、社会、公明両党共同提案の併用制でございますが、これは実質上の比例代表制であります。これは、民意の反映という点ではすぐれております。しかしながら同時に、小党の分立とか、小政党のキャスチングボートによる政局の混迷とか、そういったような政権の不安定化といったものが懸念されます。それから超過議席という問題、これは非常に大きな欠点と言わざるを得ないかと思います。 なお、民間政治臨調が第三の案と申しますか、今提唱しまして注目されております連用制でございますが、これは後ほど御質問もあろうかと思いますので譲りますけれども、一言で申しますと、非常にわかりにくいということがあろうかと思います。この点だけ指摘しておきたいと思います。 繰り返しますけれども、政治資金の透明性をより一層追求して、特に自民党にお願いしたいのは、一挙には難しいということでございますれば、段階的と申しますか、ある一定の猶予期間を置くようなことを考えてもいいと思いますけれども、要するに企業・団体献金を全廃というところにまで踏み込んでいただきたい。そして連座制の徹底による腐敗防止の確立、政党助成法の制定を実現していただきたい。一方、野党側は、自民党がこういった政治資金で譲歩するというかわりに、野党側は選挙制度で、小選挙区比例代表並立制を軸とした話し合いの線まで歩み寄っていただきたい、こう思います。こうして、選挙制度だけじゃなくて、選挙制度と政治資金の両方でもってお互いに妥協し合って、包括的な政治改革を今国会でぜひ実現していただきたいとお願いしたいわけでございます。 政治改革は、これまでの歴史を見ましても、非常に困難であります。それは、政治家だけの問題ではなく、国民、有権者との共同作業であります。したがいまして、国民の倫理観、政治的レベルの反映とも言えるからであります。それは、ゼウスの神によって絶えず転がり落ちてまいります大石を山頂に運び上げる刑罰に処せられましたあのシジフォスの神話のように、これはもう無限に根気の要る難事業でありましょう。しかし、今ここで国会議員の皆さんが国民をリードしていくという気概を持ってやり遂げていただかなければ、我が日本国は国際的にも信用を失い、悔いを千載に残すことになろうかと思います。 いろいろ申し上げましたけれども、私が申し上げましたことは、言葉足らずの点あるいは言い過ぎた点、いろいろあろうかと思います。ただ、何としてもこの国会で政治改革を実現していただきたい、こう思うわけでございます。私の真意をどうかおくみ取りいただきまして、建設的な議論をさらに発展させて、ぜひ今国会で政治改革を実現していただきたいと思うわけでございます。 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○田邉委員長 ありがとうございました。 次に、梶原参考人にお願いいたします。
○梶原参考人 共同通信の梶原です。 国民の一人としてという立場から、少し踏み込んだといいますか、実際的なお話をさせていただこうかと思います。 私は、時々地方へ出かけて、地方の、地元の方とよくお話をしたりすることがあります。大体地元の皆さんの話や関心を集約しますと、次の三つになると思うのです。 一つは、この国会の始まるころからずっと懸案になっておりましたけれども、あの腐敗事件、政一治腐敗事件の真相解明はまだなされていない、あれで大体終わりなのかという声であります。それからもう一つは、ああいう腐敗を繰り返していて政治が停滞していることは許されない、政治改革を断行して、公平で公明な内政、外交推進の体制をつくることが必要だ。それから三つ目は、政治改革は本当にできるんだろうか、仮に何か改革をしたとしても、まあ余り成果は期待できないんじゃないか。これはちょっと表現が穏当を欠くかもしれませんが、忌憚なくということですから言わしていただくと、その後に、どうせ永田町のやることだからというような言葉がついできます。 このうちの一と二は、ともに政治の現状に対して国民が怒って、それから憂い、変革を迫ろうということでありますし、国家国民のための政治実践を求めるものですから、大変傾聴に値する建設的な意見だと私は思います。 しかし、私が最も懸念しているのは、第三番目に申し上げた意見です。なぜなら、政治改革は本当にできるのか、どうせ大したことはないんじゃないかというこの三番目の意見の背景には、永田町政治というものに対するあきらめ、不信感がありますし、政治をもはや国民とかけ離れた特殊な存在と見ているという意識がうかがえるからであります。例えば、最近の各種の世論調査を見ましても、支持政党なしというのは相変わらず多い。それから各種選挙を見ましても、棄権の増加というものが定着しております。これは、国民の政治離れというものを裏づけているものだと思います。 国民と政治の信頼関係がなくなっては、民主主義国家というのは成り立たない。これは、一宮澤内閣の問題だとか、一自民党の問題だとかいうようなことではありません。信頼関係を取り返すために、改革を実現することが急務だというように思うのであります。 そこで、今後の皆さん方の審議の中で全党の方にお願いしたいのは四点ありまして、一つは、国民のための政治改革という視点を絶対忘れないでほしいということであります。それから二番目は、この国会で必ず政治改革を一歩でも二歩でも前へ進めていただきたい。それから三番目は、ベストな仕上がりというのは選挙制度改革を含めて一括ということでありますけれども、一括にこだわる余り、いわゆるオール・オア・ナッシングというような、何もない結果に陥ることは必ず避けてほしい。それから第四番目は、最低限、資金の透明化、腐敗の防止ということについては実現を期していただきたいという四点であります。 以上の四点をより確かなものにするために、保証として、もしこれから必要があるとするならば、各党の党首が早急に会談して、こういう方向を確認するとか、あるいは国会の決議で意思統一を図る、こういうことも一つの方法であろうかと思います。とにかく、断じて実現するんだというのが、これが国会の責務でありましょう。 最近、新聞等で見ている限りでは、一部に解散・総選挙論、つまりこれは、自民党案と社会党、公明党案が相打ちになり、妥協が図られず、その結果解散・総選挙にというような声があるようでありますが、今の内政あるいは外交、こういう状態を見れば明らかなように、政治改革は確かに重要な問題でありますが、それが今の時点でできないからといって、解散・総選挙をやって政治空白をもたらす暇はありません。改革論の対立て民意を問うというのは、一見して非常に理屈に合ったような表現でありますけれども、むしろ私はこれは無責任な逃げ口上ではないか、こんなふうに思っております。 各論にちょっと触れたいと思うのですが、まず選挙制度の改革についてでありますけれども、率直に申し上げて、私は二つの考えを持っております。そして、持っているというよりは、むしろこの考えの間にあって気持ちが揺れていると申し上げた方がより正確かもしれません。 一つの考えというのは、各党が合意できて、かつ国民の意思がより正確に反映できる二つの条件、これが満たされる改革案がもしまとまるならば、この際何としても実現してしまおうということであります。 二つの条件の中の、与野党の合意ということを今申し上げましたけれども、これについては、現在審議中の自民党案と社会党、公明党案の間には大きな開きがあることは、もう私が繰り返して申し上げることはないと思いますが、またそれぞれに一長一短の部分もあわせて持っていらっしゃいます。したがって、合意にこぎつけるためには双方の歩み寄り、つまり妥協が不可欠であります。 既にこれまでの六十時間あるいは七十時間になるのでしょうか、審議の間に、両法案の基本的な性格あるいは理念、あるいは問題点といったものはもうほぼ煮詰まったと思います。それならば、この先いわゆる建前論をぶつけ合うのは、はっきり言って、時間のむだです。そんなにこの国会、時間的な余裕がございません。 したがって、何としても、妥協を図ってもこの国会で国民の希望にもこたえ、新しい世紀を目指した政治体制を確立するための改革をするんだ、そのための成案を得たいということであるならば、これから先の審議というのはむしろ本音の論議、これをかみ砕いて言えば、私率直に申し上げて、そろばんを片手にして、そして各党の利害得失というものをむき出しにして話し合いをするということをやらないと、一向にらちが明きません。 その場合には、私一つの物差しといいますか、たたき台といいますか、話し合いのベースになるものとして、先ごろ民間政治臨調が公表した連用制案が手がかりになるのではないかと思います。もちろん、連用制案については、政治改革が目指す選挙制度、これと現実の内容から導き出される結果、こういったものの間に整合性があるかどうかやや問題があることは事実であります。しかし、妥協ということを前提に置きますと、より多くの政党が受け入れやすい超現実的な内容が含まれておりますし、政党の当事者でない民間、つまり国民ということをベースにしてできた案ということで、私はこの案については一つのたたき台になるというように考えております。 今申し上げましたけれども、断っておきますけれども、これはあくまで妥協による成案取りまとめということを最優先にした考えに立った場合のことであります。制度改革の合目的性とか整合性とか、こういったものは度外視したというよりは、二の次にした考え方であります。 二番目の条件に挙げました、民意の正確な反映という問題から考えてみます。今申し上げた妥協を最優先にした考え方で成案が得られるかもしれませんけれども、その場合には、果たしてそうした妥協が適切だったのかどうなのかという問題が常につきまとって残っていきます。仮に妥協案に比例代表併用制というものを部分的に導入するとしても、比例代表併用制を部分導入したからといって、それだけで、それでは私が条件として挙げた民意のより正確な反映ということにつながるかどうかということになりますと、少し疑問が残ります。例えば一票の重みといいますか格差、いわゆる定数是正の問題、こういうものがやはりその前提としては残ってくるのではないか、こういうように私は考えます。 七年前の国会決議がございました。これはもう改めて申し上げることもございませんけれども、とにかく選挙は、国民が政治に参加できる最も大きな、そして数少ない場であります。国民の一票は公平でなくてはならない。そういうことを考えますと、この連用制案はたたき台だと申し上げましたけれども、いろいろな角度から分析、検討していきますと、なおさらによい制度、よりよい制度を目指すための修正といいますか、これは必要なことになってくるのではないか。とにかく、政治の基本の原則であります一票の公平をクリアしない案というものは、仮に民意がある程度反映されていても、正確な反映と言うことはできないのではないかと申したいと思うのです。 選挙制度は、政党の命運を左右すると同時に、国家と国民の基本にかかわる問題です。それだけに、改革に当たっては、私正直申し上げて、拙速は禁物だろうと思います。慎重の上にも慎重を期していただきたいということを心からお願いしたいと思います。今の発言、私の考えは、前段の、そろばんを片手に詰めたらいかがですかというのと矛盾するかもしれませんけれども、それほど選挙の制度改革というものは重要な問題だということで、あえて申し上げたわけでございます。 資金の透明化と腐敗防止の問題について一言触れたいのですが、今回政治改革の機運がこれほど盛り上がり、しかも当委員会でも自由討議制というものが導入されて、大変真剣な論議が行われております。これはひとえに、日本の政治というものがこの何十年間といいますか、十数年間といいますか、ロッキード事件に始まって佐川事件に至る大きな犠牲を払った結果であろうと思います。だから私は、この出発点というものを大事に考えていくべきだろう、このように思います。 その意味で、政治資金の問題については、政治資金の完全透明化ということを最大のテーマにしてひとつ御努力をお願いしたい、このように思うのであります。もちろん、今出されている二つの法案、部分的に拝見させていただきましたけれども、以前に比べれば相当な進歩は見受けられるのでありますが、それでもなお、完全透明化という国民の願い、理想から見ますと、なおまた足りない部分が残されているのではないかと思うのです。 それから、企業・団体献金の禁止、この問題が自民党案と社会、公明両党案のまさに対立点になっておりますけれども、これは先ほど沖野さんも御発言なさっておりましたけれども、私も、この問題は禁止に勇断を振るうべきだというように考えております。ただ、唐突にといいますか、これまでなれ親しんだ方法でやってきた問題を一挙に改めてやった場合に、とてもそれでは実際に本音ベースで言うと政治はできませんよ、選挙はできませんよという声も出てくるかもしれません。私はしたがって、企業・団体献金の禁止に勇断を振るうべきではありますが、勇断を振るうということで与野党が合意したならば、若干の経過措置の期間というものについては話し合いの余地があるのではないか、そのくらいの弾力性を持ってこの問題に取り組まれたらよろしいのではないかというように考えております。 それからもう一つは、腐敗防止に関連して連座制の導入、これは、こういうものを強化、導入して違反者に対する罰則を強化する。これも残念ながら現在の政治状況、それから、これは私たちもともに反省しなければならないことですが、日本の政治風土、国民を含めた政治風土と言ってもいいのですが、からしますと、この罰則の強化というものも政治家だけでなく私たちの方にも責任がある問題で、当面はこの問題の強化を図らなければならない、こう思うのであります。 公的助成という問題が審議の対象になっております。よい政治のためには助成をする、これは私、納税者の一人として決してこの助成にやぶさかではありません。むしろ今まで言われている、総国民数掛ける二百五十円ですか、およそ三百億円と言われる助成の額がそれで足りるのかどうかという心配をいたします。もっと出してもいいのではないか。 ただ、それには前提がございまして、やはり公的助成、つまり納税者の側からある程度の負担をちょうだいするという以上は、政党、政治家がそれぞれその前に身を正すことが先決だ。そのことからひっくり返して申し上げますと、先ほど指摘しました政治資金の完全透明化、あるいは違反者の罰則の強化、こういった問題が当然前提として行われてしかるべきだと、このように私考えております。 どうも言葉足らずで、こういう席は余りなれませんから、意が尽くせなかったかもしれませんけれども、もし何かあれば、御質問というか、自由討議の中でお答えしたいと思います。 どうもありがとうございました。(拍手)
○田邉委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
○田邉委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 この際、一言申し上げます。 議事整理のため、質疑のある委員の方は、挙手の上、委員長の指名により発言されますよう、また、発言の際は、所属会派及び氏名並びに質疑をする参考人の氏名をお告げいただきたいと存じます。 また、できるだけ多くの委員に質疑をしていただくために、質疑と参考人の答弁は論点を絞って簡潔にお願いをいたします。 なお、質疑する委員の席まで事務局がマイクを持ってまいりますので、発言は自席で結構でございます。 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
○衛藤(征)委員 自由民主党の衛藤征士郎であります。本日は、両参考人にはお忙しいところお出ましいただき、ありがとうございました。また、貴重な御意見をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。 沖野剛参考人にお尋ねいたします。 参考人は、単純小選挙区制がベストであるが、現実的には並立制がベターかな、こういうようなベースでお話しになったように思います。特に併用制については、民意の反映はできるが、政権の不安定化をもたらしはしないか、また連用制については非常にわかりにくい、こういうようなお話もありました。私も、連用制については、今現在の各政党のよって立つ現状の追認、あるいは現状の固定化を見据えた妥協案ではないかな、このように思っております。私どもは、やはり将来トラスチックでかつ未来志向型の政治改革を断行しようとしているわけでありますから、私も連用制はいかがかなと、このように思っておる一人であります。 そこで、沖野参考人にお尋ねいたしますが、単純小選挙区制が理論的にもベストであろうが、ただ選挙区が五百選挙区、五百人というのが、結果的には選挙区が小さ過ぎる、こういうようなお話がありました。そこでお尋ねしたいのですが、公職選挙法では衆議院の定数は四百七十一名である、このようにはっきり書かれております。参考人は、単純小選挙区制の場合、選挙区の数は幾つが望ましいのか、適正であるかということを一点お尋ねいたしたいと思います。 それから、梶原武俊参考人にお尋ねいたしますが、参考人は、そろばん片手で本音の議論をやれ、大変わかりやすいお話でありました。またもう一点は、拙速は禁物だよと。私はずしんときたわけであります。拙速は禁物なんですよ、こういうお話もありました。 この中で、何としてでも、一点、二点、三点、四点挙げられまして、今国会で国民のための政治改革を断行してほしい、こういうようなお話があったのですが、その中で連用制に触れられまして、連用制は超現実的な改革案である、しかしこれはまさに妥協の産物であり、妥協の成案なんだ、こういうお話がありました。しかし、とはいうものの、よく民意の反映もするし、何とかこれを軸に考えられないものかという話があったのでありますが、御案内のとおり、英国は一八八五年から小選挙区制を取り入れた。これに対しまして、一九七六年英国下院に出されましたAMS制度、付加議席配分制ですね。これは連用制が取り入れたであろうと十分推測される英国のAMS、付加議席配分制なんですが、これが一八八五年英国で小選挙区制が採用されて九十一年後に、一九七六年に英国下院に、どうなんだ、小選挙区制に加味すること、比例制のいい分をひとつ取り入れぬかというような案が出てきたのですが、結果的には英国下院はこれを採用しなかったわけであります。 私は思うに、やはりこういう政治改革、選挙制度の改革というのは、中長期的に取り組む政策を考えたときに、少なくともその尺度、間尺というのは世紀単位、半世紀とか四半世紀とか、この世紀単位にたえ得る制度、そういうことを考えるべきじゃないか。 また一方で、今我々が特に取り組まなきゃいけないことは、超高齢化社会が来る、超情報化社会である、また高度の国際化社会である我が国といたしまして、特に忘れてならぬ視点は、国際軸といいましょうか、国際化といいますか、これを忘れてはならぬと思うのですが、どうしても内向き、内向きになりまして、生活者の視点、地方分権の地方の視点、あるいは中央における三権分立における官僚対いろいろのシステムというような、中央とか地方とか生活者の視点はあるのですが、国際軸、国際化の視点が見落とされる傾向がある。それをあわせて、先ほど申し上げました世紀単位の尺度をもってする政治改革に取り組む迫力と意欲が欠けておるんじゃないかな、こう思うわけであります。 しかるに、私が申し上げたいことは、連用制というのは確かに妥協の成案であり、妥協の産物である。確かに超現実的ではあるが、やはり私どもは理想というものを目指して、トラスチックでそして未来志向型のしっかりとした政治改革をするに当たっては、連用制が果たして好ましいのかな、このように問い直さざるを得ないわけです。そこで、連用制と言われましたが、梶原武俊参考人は単純小選挙区制についていかにお考えであるかということが一点。 それからもう一点は、参議院でありますが、参議院は以前は御案内のとおり個人選挙でありました。百万票以上とった、支持者を獲得した方をずっと登用していくというような、いわゆる全国区ですね、私はすばらしいと思っておりました。なぜならば、開かれた政治が参議院で実現できるわけですから、参議院の政党化をここでいわゆる相殺できるわけですから、すばらしい制度だ、こう思っておりました。それが、結果としては、現実的には今のような形になって比例制が入ってきたわけでありますが、お尋ねいたしますが、参議院のかつての全国区的な個人選挙、それと梶山幹事長がどこかでお話しになった参議院の完全比例制、どちらが好ましいとお考えであるか、この点についてお尋ねいたしたいと思います。 以上であります。
○沖野参考人 衛藤議員にお答え申し上げます。 私、単純小選挙区制がいいと申し上げましたけれども、これはベストと申し上げたわけではございませんで、民意の集約とか政権の安定といった面から考えると、理論的には非常にすぐれていると思うと申し上げたわけでございます。ただ、さっきも申し上げましたように、やはり選挙区が余り細分化されるということは、いろいろ言われておりますけれども、市長よりも少ない数で一人の人間が選ばれて、その人がその地方の代表みたいになるというようなことも言われておりますし、現在の中選挙区になれ親しんできた現状から考えるといかがかと思っております。したがいまして、ベターという表現を使いましたけれども、私としては並立制の方がいいと思っております。 それで、数でございますが、私も選挙区をいろいろ区割りして考えたことはございませんので何とも申し上げかねるのですけれども、本当にこんなことを目の子で言っちゃ非常に恐縮なんですが、二百五十とか三百とか、その程度でいいんじゃないかと思っております。これは感じでございます。 それで、並立制ですけれども、その場合には三百と、残りが比例代表ということでございましたけれども、フィフティー・フィフティーと申しますか、二百五十対二百五十ぐらいで何とか歩み寄れないか。これは、自民党にはちょっと厳しいのかなとも思いますが、それぐらいでないと野党も妥協できないんじゃないかというふうに思っております。 それから、民間臨調の連用制でございますけれども、これは衛藤議員も御指摘ございましたが、現状追認が目的なのか、あるいはやっているうちに二大政党になるよとねらっているのか、その辺がどうも私によくわかりません。それと、最もよく理解できないのは、小選挙区の方で圧勝しますと、その同じ投票行動をした二票目の票が、無になるとまでは申しませんが、非常に威力を減殺されてしまっている。これは二票制といいながら、あとの一票は何か強い政党にとっては余り意味のないような、こういうのは私、法律学者でございませんのでうまく指摘できませんが、何となく割り切れないものがあろうかと思います。 それで、今そういったこと、自民党対社会、公明両党の案が対立している、そういったことで、妥協を図るためにこれをつくるというようなことでございましょうけれども、実際やってみてどういう結果が出るか。その結果によっては、これは話が違うじゃないかというような感じを持つ国民も多く出てくるんじゃないか。その場合に、ある理論的な裏づけあるいは理念がないと、これはもう選挙に対する不平不満が後に起こってくるというようなことを恐れるものでございます。 そういったことで、私まだ連用制を詳しく勉強しておりませんので一概に切って捨てることはできませんけれども、現段階では、私としてはうまく理解できないなというように思っております。 以上でございます。
○梶原参考人 お答えします。 最初の御質問は、制度改革は世紀単位でたえるものを考えるべきだということだったと思いますが、単純小選挙区をどうとらえるかということについて、私はこのように考えております。 単純小選挙区は、メリットとしては大変わかりやすい、白か黒かという結論がわかりやすいということが一つ。それからもう一つは、よく指摘されますように、政権交代に道を開くんだということも言われます。しかし、まず最初のわかりやすいということで申し上げますと、世の中すべてわかりやすければそれだけでいいのかという問題が実はございます。つまり、これは連用制の問題と絡むんですが、よく連用制はわかりにくいというふうに言うんですが、まあ率直に申し上げて、比例代表併用制がわかる方だったら連用制がわからないわけはないし、そう難しい問題でもないと思うんです。ですから、ただわかりやすいということだけではいけない。 それから、何よりも私やっぱりこの問題で一番心配なのは、いわゆる死に票の問題であります。これはもうたびたびいろんなところで指摘されていますから、あんまりくどくどは申し上げませんけれども、例えば一つの選挙区で得票率五一対四九、わずか二%の差でもこれは勝ちは勝ち。そうすると、残りの四九%に投じた国民の意思というものはその途端にゼロになると言っていいと思うんです、単純小選挙区の場合は。もっと際立った極端な例ですと、これは朝日新聞か何かが書いておりましたけれども、五人の候補者が出た場合に、二二、三%とった方が一人いらっしゃる、その方は当選する。しかし、残り七〇%以上の方に投じた有権者の一票というものは、これもほとんど藻ぐすと消えてしまうというような例もよく言われますが、この死に票をこれだけ多く抱えている制度というのは、やはり私、先ほどお話し申し上げましたように、国民の意思をより正確に反映するということから考えますと、大変残念な点だと思います。 それから、政権交代が可能である、道を開くんではないかということも言われますが、これもはっきり申し上げて、まあ言葉はちょっとどぎついんですが、一強四弱といいますか、二強三弱といいますか、そういうような国会の勢力分野といいますか体制、現状、これから考えますと、政権交代に道を開く可能性があるということは結構ですけれども、さあそれじゃもし、まかり間違ってという気持ちがあるんですが、まかり間違って政権交代ができたときに、受け皿になる政治勢力というものが果たして十分であろうか、こういう点を考えますと、私大変まあ不安と申しますか、心もとないという感じがするのであります。もちろんこれは政党の努力の問題でございまして、私どもが今ここで現状だけをとらえて云々するのは非礼かもしれませんけれども、あえてどう考えられるかという御質問なので、率直に申し上げさせていただきました。 それから、参議院の制度でかつて全国区という選挙があったけれども、完全比例制を導入した場合とどうかという御質問でした。今こちらで選挙制度の改革あるいは政治改革の問題が話されていますけれども、これはあくまで衆議院の問題を取り上げておりまして、ですから私、あえて先ほども参議院の問題については触れませんでした。衆議院の選挙制度の改革の問題が一段落つけば、これはその導入された制度にもよりますけれども、当然のことながら参議院の問題が俎上に上ってくる、論議しなきゃならない状態になる、このように考えております。 それから、ただフラットにこれまでの国会の状態というものをとらえて、どの制度とどの制度がいいかということではなくて、私は参議院の制度の問題を考える場合に、二院制ということから考えて際立った個性のある院にするというようなことで、国会改革ということが当然この議論の対象にならなければ片手落ちになるんじゃないか、こんなふうに考えております。 お答えになったかどうかわかりませんが、以上です。
○松原委員 社会党の松原でございます。 きょうの参考人お二方とも、これまでの国会の議論を見ておられて、話を譲歩によってまとめよという形で御提案をいただいているように思います。私どもも、委員会審議を通じまして、お互いにこれがベストだということを言い合ってきましたのですが、このまま行ったんでは、言い合ったままで物事が終わってしまうこともあり得る。したがって、当然譲歩、妥協の点についても思いをめぐらしていかなきゃならないという点では、意見が一致しているわけでございます。 そこで、御指摘ありましたように、一つの妥協の案として民間政治臨調から提案がなされております件につきまして、これをもとにして若干御意見をお伺いしたいと思います。 まず、臨調提案の連用制の問題でありますが、私は、いわゆるこれは超現実的という御指摘を梶原参考人おっしゃいましたが、それはまさにそういう面はあると思うのです。ある面から見ると併用制の修正に見えますし、他の面から見ると並立制の修正にも見えるわけですね。そういう意味で非常にミラクルですから、そういう点で超現実的に見えますが、政治の妥協の観点からすると大変貴重な制度提案をしてきたんじゃないかなと私は思っております。 そこで、これは梶原参考人にお伺いしたいんですが、今後話を取りまとめていくという観点から、連用制を取り扱っていく場合にどのような点を一つの、連用制を軸にするとしても、この提案に対してこういう点を考えてみたらどうかとかというふうな点がございましたら、御指摘をいただきたいと思います。 それから次は、二つ目は、今度は政治献金の問題なんです。これはお二人にお伺いしますが、企業・団体献金の将来的撤廃ということについてはお二人ともお触れになりました。それで、ただし今直ちにやめよという御趣旨ではなかったと思うんですが、将来的にこれを撤廃するとしまして、それまでの過程、プロセスについてはどのようにお考えになっておられるのか、もう少し具体的なお考えがございましたらお教えを願いたいと思います。民間臨調では、企業・団体献金については政党にのみ集中するという提案をしておるようでありますがね。 それからもう一つ、政治資金絡みでいきますと、民間臨調の方で、政治資金規正法違反者に対してもいわゆる連座制を適用する、こういう提案をしてきております。これは、私どもの案も自民党案の方でもその点はないんですよね。このありようにつきましてどのようにお思いになるか、お聞きをしたいと思うんです。 それからもう一つ、同じ臨調案でも、いわゆる政治資金報告の点検、チェックのために、監督機関としての政治資金委員会というものを新たに設けてコントロールしようという提案がなされています。そこでの主たる問題点は、やはり実質的な調査権限ですね、これを認めさせようというふうな提案であるように思うのですが、このような実質的調査権を持った独自の政治資金委員会を設けて政治資金に関するコントロール、チェックをするという考え方についてどのようにお考えなのか。 以上の点についてお伺いをしたいと思います。
○梶原参考人 お答えします。 連用制を軸にした場合、どのような点が今後それでは妥協の接点としてなり得るかという問題ですけれども、これについて私は、やはり最大のものは定数の割り振りだと思います。三百、二百というようになっているものを、例えば二百五十、二百五十でどうかと。私さっき、表現が余り適切でなかったのですが、そろばん片手にと申し上げたのは、もうここまで来ると本当にそういう次元でと申し上げると、せっかくのこれまでの高邁な御議論に水を差すようですが、実はその部分を本当にたたいておかないとというかクリアしておかないと、まとまることはまず不可能だ、このように考えます。だから、やはり最大のものは定数の割り振りで、今出ている臨調案の小選挙区三百、比例代表二百という数をどのように調整するか、これはこれからのお話し合いの最大のポイントになるのじゃないかというように思います。 それから、企業献金の禁止の問題で、経過措置ということでどのように具体的に考えているかというお話でしたけれども、できるものならば今すぐやった方がいい、しかし多分、これは私の率直な見通しなんですが、なかなかそうは簡単にできないのではないかという予測が裏腹でついております。ですから、例えば三年後とかあるいは五年後とか、政党助成も実現し、これも非常に着実に運ぶようになった、それから政治から金を取るのではなくて政治に金を出して政治を育てる、日本の政治を育てるという国民の意識というものが、こういう改革に伴って恐らく何年か先には日本にもかなり芽生えてくると思うのですね。そういうものが相まって、もうこれはお金を必要以上にかけなくても大丈夫だというようなことが大体出てくるのが、三年なり五年なりの経過措置をとればこの見通しはついてくると思うのですね。 ですから、率直に申し上げて、今急にやって、かえってそのために目に見えないとこちのお金が動くというような事態になれば、改革をした意味がなくなって、また腐敗が拡大するということにもなりかねないので、トラスチックなものを求めたいのですが、現実からなかなかどうかということでございます。 それから、政治資金委員会の設置といいますか、いわゆるGメンの問題ですが、私はこういう問題は、政治家の方自身がきちっとなされるのが本来筋だと思います。ですから、この委員会は本当ならば必要ないものだと思いますが、直接伺ったことはございませんけれども、亀井さんや内田さんのところの臨調でこういうものを御提案なされたのは、恐らく現在の状態で、それじゃ政治家がきちっとやることが筋だといってもできるのかということに対する懸念があるのじゃないかと思うのですね。 ですから、これもまたいつも経過措置ということになって大変相済まないことですけれども、当面は一つ道をつけるという意味で置いて、そしてもう必要ないという時期が来たらやめればいいのであって、私、一言政治改革について申し上げたいのは、鉄は熱いうちに打つのが一番いいのですが、何かこの国会で問題が解決しなかったらもうあすはない、夜が明けないというようなせつな的な空気というものをやや感じるのですが、そうじゃなくて、政治改革はもっと永遠の問題であって、きょうできなければあすやればいい、そういうことだと思うのです。絶えず点検していけばいいと思うのです。そういう観点でひとつ問題に対処していかれたら、こんなふうに思いますが、お答えになったでしょうか。
○沖野参考人 松原議員にお答えいたします。 政治資金の経過措置を申し上げたわけでございますけれども、私も企業献金は即時撤廃した方がいいと思っておりますけれども、これは自民党の問題でございますが、できれば五年なら五年と区切って、もう時期を明示するということで、経過措置は与野党の皆さんで話し合っていただいたらいかがかと思っております。 それから、民間臨調が提案しました監督機関でございますね、こういったものは、行政が国会に立ち入ってくるというような形は余り好ましくないと私自身は思っております。これまでは中選挙区制でもっていろいろ無理があって、ついやり過ぎたというようなこともあったかと思いますので、今後は与野党の議員の皆さんの良識でもってやっていくべきことじゃないか。これは、ここまで行政にお世話になるというのはどうかと思っております。 以上でございます。
○大畠委員 日本社会党の大畠章宏でございます。 きょうは幾つか、参考人の方から大変示唆に富んだ御意見を賜りました。そういうものをちょっと整理してみますと、いずれにしても国民の意識の多様化等の状況の中で、国民の政治不信は今拡大をして頂点に達している。まさに信なくば立たずであって、国民の信頼が基本となるべきなんだけれども、基本の信頼というものが非常に揺らいでいる。したがって、これは何が何でも政治に対する信頼を回復しなければならないというよう々御指摘、または政治家の倫理観の問題、選挙制度や政治資金の問題、それから政治が国民からかけ離れたものになっているのじゃないか等々の話がございまして、各党合意で、それも国民の合意を得られるような内容で実現をしてほしいという御指摘がございました。 また、過去にこの委員会でマスコミの方々から参考意見をお伺いしたわけでありますが、そのときに非常に気になることが私一つ残っております。それは、選挙制度問題になりますと非常に視聴率ががたっと落ちるというのですね。選挙制度というのはまさに党利党略なんじゃないか、そういう視点が国民の方から起こっているのかなと思います。私自身も選挙区でいろいろな方のお話を伺っておりますが、大畠さん、永田町で大分いろいろと活発にやっていますねという、割と冷えた、さめた感じの御意見が多いです。しかし後半になってきますと、まさに政治は税金そのものだという宮澤総理大臣のお話もございましたけれども、だんだんやはり真剣になってまいります。ぜひ私たちが信頼できる政治を回復してほしい、そういうお話がございます。 そこで、御両名にお伺いしたいと思うのですが、マスコミの方々は国民のいろいろな各界各層の、私なんかよりももっと広い各層の御意見を伺っていると思うのですけれども、国民の政治不信の根本といいますか、何が一番原因で政治不信になっているのか、そういうことについていろいな各界各層の御意見を伺って感じておられるものを、ひとつ御両名の方にお伺いしたいと思います。 それから、これは私自身の持論でありますが、政治と金の問題でありますけれども、いわゆる政治に金がかかるのか、かけているのかという話がよくございます。ここら辺も、国民の方からは大変いろいろと御注文をいただいておるのですが、私に、政治にお金をかけられない環境をつくることが大変重要なんじゃないかなと思うのです。力があればどんどん金が集まる、そしてどんどん活動範囲が広がる、そういう環境から、政治家が一年間に使えるお金というものを制限してしまう、これ以上かけられないんだ、そういう環境をつくることが、私は政治の腐敗防止のために大変重要だと思います。イギリスの政治腐敗防止法の根本もそこら辺にあると伺っておりますが、その件について、国民の不信あるいはそれを回復するための方法の一つだと思うのですが、そういう問題についてどういうふうにお考えであるか、お伺いしたいと思います。 さらに、先ほど企業献金の問題が出されましたけれども、いろいろ御意見がございます。御意見がございますが、いずれにしても、どうも政官財のトライアングルのポイントがそこにあるのじゃないかなという感じも持っております。したがいまして、御両名とも、企業・団体献金の禁止あるいは連座制の強化というものをお話しされておられましたけれども、私自身もそのとおりだと思います。そこら辺がポイントになると思うのですが、なかなか現実問題それを禁止するという環境が、合意がなかなか難しいところでありますけれども、先ほど御両名からお話しありましたけれども、もう一度この企業・団体献金問題についてどのような御認識を持っておられるか、お伺いしたいと思います。 以上、三点お願いしたいと思います。
○沖野参考人 お答えします。 政治改革の原因でございますが、これは何といっても、ロッキード以来始まりました政治スキャンダル、これに対する国民の怒りだと思います。しかし、かと申しまして、これは主として政権与党である自民党に起こっているわけでございますけれども、平たく申しまして、自民党にはもう非常に愛想が尽きたということがあったとしても、これにかわる、任せられる野党がいないという感情を国民は持っているのじゃないかと思います。そこのところは、投票率の低下とかあるいは支持なし政党の増大とか、こういったことにあらわれているのじゃないかと思います。 それから第二点としては、いろいろな問題に対する国会としての対応の遅さがあろうかと思います。例えばPKOならPKOでもいいのですが、何でもいいのですが、一つ問題がありますと、普通の民間の会社でしたら招集しなくてもすぐ幹部が集まってきて、どうしようかということで鳩首協議します。そういったことが、国会ではいろいろ手続もございましょうけれども、それから各党内の根回しもございましょうけれども、立ち上がりが非常に遅い。新聞に出てから、新聞を読んでからじっくり考えるということは非常にいいことでございますけれども、だいぶ新鮮味が薄くなってから議論が行われているというようなことが、こういった対応の遅さ、これが国民から見ると何しているんだというような不信を招くのじゃないか。この二点が主たる原因じゃないかと思います。 それから、金をかけないようなということをおっしゃいましたけれども、これはまさにそのとおりだと思います。私も、企業献金は自民党はすぐ廃止する方向に決断してほしいと思っておりますが、この問題を申しますと、野党の方はすぐそうだそうだとおっしゃるのですが、私が申し上げましたのは、確かに企業献金は撤廃すべきだと思っておりますけれども、これは自民党がその点を歩み寄ってくれば、野党が私が申し上げたところの選挙制度の方で歩み寄るといったような、全体的な意味での歩み寄りがなければ、これはなかなかお互いに身を切る思いでしょうから実現しない、こういったトータルとしてのお話で考えております。 以上でございます。
○梶原参考人 お答えします。 政治不信の根本原因は何かというお話でした。私はいろいろあると思うのです。ちょっと羅列的に申し上げますと、例えば、どうも日本の政治家は腹の中で考えていることと言っていることが違うじゃないか。つまり、私たちよく本音と建前ということを申し上げますが、こういう感じがまず一つある。 それから、どうも国会にいらっしゃる人たちは一般の市民の気持ちとはかけ離れたところにいる、何か特別なことをやっているのではないかという意識ですね。これは何でそういうふうになるかというと、例えば金丸さんの問題などももちろん象徴的な問題としてありましたけれども、やはり日常活動といいますか、日常の接触の不足じゃないかと私は思うのです。個々の議員さん方のつまびらかな行動を知らないでこう申し上げるのは少し僭越ですけれども、どう見ても地元の選挙区の方たちに、自分がこういうことを今こういう考えでやっているということを十二分にお話しされているという自信のおありの方は、余りいらっしゃらないのではないかと思うのですね。 そのくせ選挙のときには、もう聞きたくもないような、今までずっと連呼を初めとした騒音公害がまき散らされる。こういう矛盾が次第次第に何十年かたまりたまって、政治家を特別視する感じというものが一般の国民の間の中にあるのじゃないかと思うのです。大変表現がきつくて申しわけないのですが、その象徴的なというか、そういうもののあらわれとして時々起きる政治腐敗事件、それ見たことか、つまり、国民が思っていた感情というのは裏づけられたじゃないかということになってくるのだと思うのです。 だから、やはりその辺を正さないことには、私、政治不信の根本解決といいますか、信頼感の回復ということはないし、こういうものをないがしろにというか、わきに置いておいて政治改革をやっても、これは非常に土台の弱いところに改革が成り立つわけで、やがてはまた再び過去の道に踏み誤らないとも限らないというように考えます。 それから、政治に金をかけないで済む環境をつくることが重要だということは、本当に御指摘のとおりで、そのとおりだと思います。ただ、政治にお金のかかるのはどうも私どもいろいろお聞きしていて現実ですし、例えばユートピア研究会のかつての報告を見せていただいたこともございますが、なるほど他の人と競争していて、自分が国会議員としての使命を完全に果たそう、そのためには議席を確保しなければならない、そのためにはお金をかけなければならない、そういう悪循環の現実は無視できないと思うのです。 ですから総量的に、ここから先は使ってはいけないよという枠を設けるのも一つのあれですが、しかしお互いに見えないところで日常戦いを続けていらっしゃると、どうしても不明朗な行為といいますか、そういうことも出てくると思うのです。だから、本来は私、こう思うんですが、政治家の方々がもう一指も指を指されないというだけの倫理観なり道義観なりそういったものが確立されて、なるほど国民も、もう皆さん大変努力されているということがわかった場合は、お金の規制というものは余り無理にしない方がいいんではないか。 これは、ちょっとこういうところで申し上げるのはなんですが、余りそういう枠をいっぱい設けることによって、枠からはみ出た部分で何かしようということが、これが政治腐敗につながっていくわけですから、それぞれ皆さんの御努力の範囲で、といっても年間一億で済むお金を十億も百億も使おうという方はいらっしゃらないわけですから、また、そういうふうに出す環境にも今なっておりませんので、ですから、余り規制をやかましくやることが果たしてきれいな、クリーンな政治の理想郷に到達できるのかということについては、やや疑問を持っているわけであります。
○北側委員 公明党の北側一雄でございます。 両参考人に共通して、二点お伺いをさせていただきます。 まず第一点目が、単純小選挙区制また並立制についての御認識でございますけれども、まず単純小選挙区制でございますが、私は次に述べる三点からやはり大きな問題があるのではないかというふうに考えておるのです。 その一点目は、御承知のように、この単純小選挙区制というのは得票数と議席数との間に大きな格差が出てまいります。わずかな得票数の差が大きな獲得議席数の差につながってまいります。その意味から、まず第一点目に、選挙結果に非常に大きなぶれを生じてくるということでございます。例えば、これはかつてのシミュレーションでございますけれども、八九年の参議院選挙であれば、社会党の方に大きな議席が行く。そして、九二年の参議院選挙に基づきますと、自民党の方にやはり大きな議席が行く。ともに、もう四百を超える議席が行きます。このように、選挙のときどきによって選挙結果が大きなぶれを生じてくる。果たしてこれを国民の皆さんが期待しているのだろうか、これが第一点目でございます。 二点目が、同じような趣旨なんですけれども、この単純小選挙区制というのは、比較第一党が圧倒的多数になる可能性が高いわけなんですね。そうなりますと、五百の定数のうちの四百余りをとるような比較第一党、それで構成される議会、その議会と政府との間の緊張感といいますか、ここに大きな問題点がやはりあるのじゃないのかと私は思うのですね。やはり議会と政府との間には緊張感というのがないと、議会制民主主義というのは確立をしないんじゃないか。そういう意味で、四百を超えるような比較第一党が議会を占めてしまうというのは、それによって政府が決められるわけですので、それが果たして議会制民主主義の観点からいいのかどうか、これが二点目でございます。 三点目に、単純小選挙区制というのは、政権の基軸となる政党がやはり少なくとも二つある、現実として、そういう政治状況が前提であると私は思うわけでございます。なおかつ、その二つの政権の基軸となるような政党間におきまして、外交とか安保とかマクロ経済政策とか、そのような基本政策に大きな違いがない、そうした政治状況があってこの単純小選挙区制というのは成立する選挙制度ではないのかなというふうに、私は思っているわけでございます。 以上のような三点から考えますと、国民の期待、意思から考えましたら、この単純小選挙区制というのはやはりとれないんじゃないのか。 で、並立制におきましても、基本的には、こうした今述べました問題点がそのまま妥当するんではないかと考えておるわけでございます。並立制におきましては、単純小選挙区での比較第一党の議席の過剰配分が全く是正されないわけでございます。そういう意味で、並立制というのも、やはり単純小選挙区制の今述べました問題点がそのまま当てはまるのではないかと思っております。 これまでこの委員会で選挙制度について長い間議論をしてきたわけなんですけれども、私は結局これから述べるところに尽きてくるんじゃないかというふうに思っておりまして、一つは、小選挙区選挙とそれから比例代表選挙との混合型をつくっていく以外にない。小選挙区選挙というのは、一つは、政権の安定とか、それから政権の基軸党を選べるとかというふうな長所がございます。一方、比例代表の方は、民意を反映する、多様な価値観を吸い上げていくというふうな長所がございます。この小選挙区選挙と比例代表との混合型。なおかつ、比例代表というのは、先ほど申し上げましたように、民意反映の観点から、結果としてその比較第一党の議席の過剰配分を是正していく、このような意味を持つ比例代表がやはり大事じゃないかと考えております。 その意味で、我々公明党、社会党は、我々が提案しております併用制がベストであるというふうに考えておりますけれども、妥協案として民間臨調の皆さんが出していただいた連用案についても、これは非常に私は検討に値する選挙制度であるというふうに考えておるわけでございます。以上のような私の認識、両参考人の御意見を聞かしていただきたいと思います。 もう一点は、政党助成と企業献金の禁止の関係でございます。政党助成をしていくためには、何といっても国民の皆さんの御理解がなければできないことでございます。その意味で、企業献金の禁止、もしくは百歩譲りまして、仮に経過措置を設ける等をやって企業献金についての大幅な制約をしていく、こういうことが政党助成制度をつくっていくことと呼応する問題である、裏腹の問題であるというふうに考えております。この点の、政党助成についての根拠についての御認識をお伺いしたいと思います。
○沖野参考人 お答えいたします。 ただいま申されました得票率と議席数との乖離の問題でございますが、これは私も最初に指摘しましたように、いわゆる三乗の法則なるものがございまして、この点は確かに問題でございます。しかし、大きなぶれとおっしゃいましたけれども、この点を言葉をかえますれば、鮮やかな変化ということにもなろうかと思います。その点が、私はやはり民意の集約という面で非常にすぐれた点じゃないかとも思っております。 それから、第二点の議会と政府との緊張感ということでございますけれども、これは選挙結果でございまして、一党がたくさんとるだけの結果が生まれるとは必ずしも言えないと思うのです。野党が頑張ればそれだけ野党がとるわけでございますし、このことは、緊張関係があるとかないとかというのは結果論でございまして、与党が多いからといって政府が踏ん反り返るということは、これはもうおかしな話でございまして、そういうことは第一党以外の党が、それぞれ切磋琢磨して頑張るということじゃないかと思います。 それから、混合型がいいかという問題でございますが、小選挙区と比例代表、この長所を混合するということでございますけれども、併用制というのは、やはりあくまでもこれは混合というよりは比例代表そのものじゃないかと私は思っております。 それから、民意の吸収ということでございますけれども、これは各政党が日常活動でもって民意を吸い上げることを常々行うべきことでございまして、議席数に必ずしも反映する必要はないんじゃないか。最初に申し上げましたように、鮮やかな結果が出た方が政党政治としてやりやすいんじゃないかと思っております。 それから、政党助成の問題でございますが、これは本当に、国民の税金でございますけれども、政治に必要なだけのお金はやっぱり提供すべきじゃないかと思っております。それをやった上で企業献金などは、私が申し上げましたように全廃の方向でなるべく早く結論を出していただきたい、こういうふうに思っております。 以上でございます。
○梶原参考人 お答えします。 私のお答えも、今の沖野さんのお話とそれほど大差があるものではありません。御指摘になりました単純小選挙区制に伴う幾つかの問題点、例えば議席のぶれとか政府と議会の緊張感の欠如とか、二つの大きな政党、主軸になる政党が必要、それがないとできないんじゃないかというような問題は、それぞれ部分的には御指摘のとおりだと思うんですが、ただ、今のお話にもありましたように、あくまでこの前のシミュレーション、御紹介のありましたシミュレーションは過去の選挙の結果でございます。それはそれなりの時点で各党全力を尽くされたんでしょうが、さらに例えば今後の選挙で、各党の努力によってこの問題はかなり解決できる要素を持っているんではないかというように私は見ております。 もっとも、私はこの単純小選挙区を支持していません。先ほども申し上げましたように、これは余りにも死に票が多いこと、これは国民の意思を正確に反映しないということで望ましくないというように考えておりますし、それから御指摘の三点目にありました、二つの基軸になる政党があって初めて成り立つ制度だというお話、これは制度というより前に、そういった政党の存在をまず前提にしたことでありまして、それは選挙制度を改めて選挙をやった結果そういうものが出てくるというならば話の道行きとしては当然ですが、その逆の発想で初めて成り立つような制度ではいかぬと思うんですね。 だから、私は冒頭に申し上げましたように、単純小選挙区だけじゃなくて、それにやはり補強する、民意をより正確に反映させるための制度というものをかみ合わせるということで、例えば、しかも民間の手によって打ち出された連用制というようなものが一つの話し合いの大きなたたき台になるんじゃないかということを申し上げたわけです。 併用制がベストであるというようにお話がございましたが、これまでの御論議でしたらばこれがベストだ、あるいは単純小選挙区がベストだと言っていらっしゃるのは結構なんですが、余りみずからの党の提案された改革案に固執されると、この制度改革がなかなか実現しにくくなってしまう。だから、これからのあれでは、ベストというのは私、選挙制度の場合はまずないと思うんで、ベターという表現ならばわかりますが、ベストだと言われてしまうと、妥協なんという今お話ししていることが全くむなしいことになってしまいますので、そういうように考えたいな、こんなふうに思っております。 政党助成、これは御指摘のとおり、企業献金の禁止と政治家の倫理も含めた問題と裏腹の問題といいますか、表裏をなす問題だと確かに思います。私は、国民が政治家を公費で支援して、そうしてそれにこたえて、政治家がよい政治で国民にペイバックするという関係ができれば、大変いいことであります。ですから、政党に対する公費の助成ということについてはやぶさかでないと申し上げたのはそういう意味で申し上げたのでありまして、私たちの税金二百五十円なり千円なりというものをけちったために、かえって政治が半年も一年も空白状態が生じるような腐敗事件が起こることよりもよっぽど国民にとっては幸せなことなんですから、このお金を出すことについては全く異存がありません。しかし、それに見合ったよい政治を我々国民に還元してほしいということを希望しております。
○田邉委員長 時間が、本会議が正午からでございますので、なるべく要点を簡略に、御質問とお答えをお願いいたします。
○石井(一)委員 自民党の石井でございます。 連休前に五人の参考人に来ていただきまして、意見をお伺いをしたわけでございます。それからきょうお二人、大変いい御意見をお伺いさせていただいたわけでございますが、私が拝聴しておりますと、いろいろ制度がございまして、それに対します評価は違うんでございますが、小選挙区を非常に支持された発言が三名、読売の島さん、産経の清原さん、そしてきょうの時事の沖野さんと、こういうふうに私拝聴いたしました。併用制を強く支持されましたのが朝日の中馬さんであった。これはお一人でございます。その間、これらがいい制度だけれども、与野党の合意もあるので、並立制がベストといいますか、その中間点としていいと言われた方が四名ございます。読売の島さん、それから産経の清原さん、それから毎日の清水さん、時事の沖野さんというふうに申し上げるんでございますが。連用制に関しましては、超現実的妥協案とか、いろいろそれぞれコメントが違うんですが、積極的な評価は朝日の中馬さんと共同の梶原さんというふうに私は拝聴をさせていただいたわけでございます。 で、私ここでまず聞きたいのは、個人の御見解なのか社としての統一の意見なのかということですね。恐らく個人という色彩の方が強いとは思うんですが、私は日本の見識あるマスコミとしては、またこういう公の場で御発言をされます場合には、個人的見解というよりも社としての統一した見解をお述べいただきたいと思いますし、またそれを堂々と社説なりなんなりで国民に主張していただきたい。 我々大変苦しんでおりますので、今の考え方につきまして、この点一つお伺いをしたいと思いますのと、もう一つ、並立制という制度は、第八次選挙制度審議会において長年にわたり何十名という権威が本当に英知を絞り抜いて出した案でございます。ところが、我々が悪かったんでしょう、海部内閣のときにこれを出したために、一笑に付されておるといいますか、もうあれは廃案になったんだから終わりだと、これは余りにももったいないと思うんですね。しかも、この中で過半数の方が並立は傾聴するに値する、こうおっしゃておるんです。この委員会では余り並立の議論をまだしておりません。これは、自民党は並立と言っておったのに小選挙区まで後退しておるからだめだ、こういう意見なんですが、それなら並立ぐらいで妥協していいかな、こういう感じがするのですね、皆さんもそう言われるのですから。だから、きょうはお二人に聞かずに、並立がいいと言われた沖野さんに並立の長所について、なぜあなたはそう主張されるかということについて、簡潔にお答えをいただきたい。 以上二点でございます。
○田邉委員長 簡潔に答弁をお願いいたします。
○沖野参考人 簡潔に申し上げます。 ここで申し上げている意見が個人か社論がということでございますが、私も社論をまとめてきたわけではございません。あくまでも個人の立場で申し上げておるのでございますが、国権の最高機関である国会に出ます以上は、私としても社で私の考えを申しまして、一応みんな黙っておりましたので、これは賛成であろうということで参りました。ただ、国会と違って自由な、国会と違ってと申しますか民間でございますので、それそれぞれは意見はございます。今のままでいいじゃないかとかいろいろ意見はございますが、私の意見が特に反対だという人は余りいなかったように思っております。したがいまして、個人の意見でございますけれども、それなりの手続は踏んでおります。 それから、並立制の長所でございますが、並立制が前回海部内閣のときに流れましたのは、これは私の理解でございますが、これがいいとか悪いとかというよりは、あのときの政治状況だったんじゃないかと思っております。これはもう、私よりも先生方の方が胸にしみることがございますと思いますので一々申しませんが、まあ理論的にも結構いい線はいっていると思いますし、あるいは包括的な意味の妥協をすれば歩み寄れるんじゃないかと私は思っておりますので、そういったところが長所だと思っております。 以上でございます。
○梶原参考人 社論ではありません。私論であります。ただし、私どもの部屋で数度にわたって話し合いをしました。その中で心に響くものは御紹介したつもりですが、これは極端に言えば全部の案、これまでに出た国会改革、制度改革の全部の案がみんなから意見が出まして、これを紹介すると私は何を申し上げているのかわからなくなるので、私の日ごろ論説に書いているようなことを中心にお話をいたしました。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。沖野参考人に一つお伺いしたいと思います。参考人が、選挙制度として民意の集約ということで単純小選挙区制、今の状況では併用制がベターだとおっしゃられましたが、その理論づけとして、今なぜ政治改革かという必要性のところで、国の進路を決めるために的確、迅速性が必要だ、今の政治体制では対応できない、国民の価値観が多様化してきているのでなおさら対応できなくなっているということを挙げました。そして、もう一つ大きな政治改革の必要性として、国民の政治不信、信なくば立たずということを挙げました。 この考えを推し進めていきますと、逆になるのではないか。国民の価値観が多様化しているので、迅速、的確に進路を決めるために民意の集約が必要だという理屈は、結局少数者の意見が、いわゆる小選挙区ですと三乗比の法則で非常に拡大されて議席に結びついてくるわけでありますから、結局少数者による多数者の支配、国会内では多数の支配とれますからそれは迅速、的確になるでしょうけれども、それは国民の立場からいきますと、国民の少数の支持しか得られない多数の議席で的確、迅速に仕事が進んでいくということにならざるを得ないわけでありまして、これは憲法で決めている国民主権の大原則から逆行する発想ではないかと言わざるを得ないわけでありますね。これを突き詰めていきますと、本当に少数者による多数支配、そして日本型ファシズムとまで言わざるを得ないのではないか。 一体何を称して迅速、的確とおっしゃっているのか聞きたいのですが、もしこれが現在のカンボジアに派遣されているPKOのような問題を言っているのだとすれば、まさに多数の国民の支持がないまま、拙速でああいう法律をつくったその欠陥が今出てきているのではないかと思うわけであります。またこのことは、言ってみれば二番目の信なくば立たず、国民の多くの信頼がなければ政治が進められないという論理ともまさに矛盾するのではないかと思うわけでありまして、こういう民主主義の基本から見て、参考人の立論というのは逆立ちしているのではないかと思うわけでありまして、それに対する考え方をお聞かせ願いたいと思うわけであります。 梶原参考人には、選挙制度については拙速を避けよという御意見、全くそのとおりだと私は思うわけであります用意見が違っている段階で慌てて選挙制度をつくるということは、やはりやるべきではないと思うわけであります。 四月の二十五、二十六の両日、朝日新聞社が世論調査をいたしまして、それが五月三日付の新聞に出ているわけでありますが、現在の選挙制度について何がいいと思いますかと一つだけ選ばせたら、中選挙区制が一四、小選挙区制が二一、比例代表制が一五、併用制が九、連用制が一一、並立制が五、答えないというのが二五、国会の論議がここまで進んだ段階で国民の意思はこんなに割れている。こんな段階で、一つの選挙制度を国会がつくり出してしまってそれを国民に押しつけてくるということは、参考人のおっしゃるように、やはりよくないと思うわけであります。 参考人は先ほど七年前の国会決議を挙げましたが、拙速を避けよということは、結局そうしますと、厳然と現行中選挙区制が残るわけであります。ですから、あの国会決議をまずやるべきだという考えなのかどうか、はっきりと意見をお聞かせ願いたいと思うわけであります。 それと、少なくとも今国会では選挙制度と切り離してでも金の問題、透明性だけはやってほしいという意見でありました。しかし、現在の自民党案も社公両党案も、金の問題と助成の問題と選挙制度の問題は法律そのものでリンクされてしまっているわけであります。参考人の御意見は、この両案からリンクを切ってでも金の問題を優先せよということだと思うのですが、それでよろしいのかどうか、お聞かせ願いたい。 以上であります。 〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
○梶原参考人 お答えします。 最初の問題については、私が拙速を避けよと申し上げたのは、今政治改革が急務だ、それをなし遂げるにはこの国会でという御意見が多数であるように見受けたからでありまして、残された会期はもう本当に一カ月ぐらいしかありません。しかし、その一カ月の中でこれからようやく妥協を見つけ出さなければならないわけで、それができる時間的な余裕はないのではないか。その場合は、この国会で、つまりこの国会の六月二十日までの会期内で急ぐことはない。それは臨時国会もあるし会期の延長もあるし、とにかく次の総選挙が行われるまでに、次の総選挙が行われる場合は新制度でというような、若干幅を持った形で取り組んだらいかがか、一カ月の期間ではたばたとやってしまうのはどうかということが一つであります。 そして、その暁にどうしてもだめだったということであれば、これは現在の中選挙区で選挙をやらざるを得ないわけですし、その場合には、積み残した懸案がたくさんございますでしょう、そのうちの一つは定数是正ですよということを申し上げたつもりです。 それから二番目の、リンクを外してまでもということについては、そのとおりであります。 以上です。
○沖野参考人 木島議員にお答えいたします。 国民の価値観とかニーズが多様化しているから、そういう時代であるからこそ小選挙区制とか比例代表並立制ではうまくやっていけない、時代に逆行するんじゃないかというようなお話でございましたけれども、私は逆に、多くの意見があって価値観が多様化しているから焦点が定まらない、したがってこれを選挙でもって一つの民意を集約してやっていく。要するに民意の吸収は、日常活動でもって政党が国民によく説明し、国民の声を聞いて、日常活動でもって吸い上げてくる、それでそれをもって選挙で戦う、それでその結果がきっちり出れば、それでもって政府を組織して果断に政策を実行する、これが民主主義のうまみじゃないかと思っております。木島議員のおっしゃっていることとは逆かもしれませんが、それは議会政治のとらえ方の根本的な違いということじゃないかと思います。 以上でございます。
○川端委員 民社党の川端です。 両参考人にお尋ねをしたいと思います。大変きょうはありがとうございます。 初めに沖野参考人にお尋ねをしたいのですが、政治改革の必要性ということで冒頭に三つの項目をお挙げになりました。一々ごもっともだと思って拝聴いたしましたが、その中の一番初めに、国の進路に関して的確かつ迅速に決める政治体制が問われているんだ、いわゆる米ソ冷戦構造の産物と言われる五五年体制が崩壊した中で、新しい政治体制というものが、日本が国際社会の中で対応するときに、迅速、的確に行動するということが今機能していない、そういうものをつくっていかなければならないという御指摘であったと思います。そういう意味で、それは果たしてどういう政治状況を思っておられるのか。 例えばの例で湾岸戦争、PKOをお出しになりました。私たちも、湾岸戦争への日本の対応、PKOに対する日本の対応が非常におくれ、混乱をしたということはよくなかったことだというふうに思っております。しかし、あの国会のときに、例えばPKO法案、あるいは湾岸戦争のときにも国会は激突をしたわけです。大混乱の中で激突をした。ある部分では非常に、言葉をかえて言えば、参考人がおっしゃった切磋琢磨する状況で両方が対決をしたということは事実なんですね。この状況がまずいということを言われたんだと思うのです。 そういう意味で、政治体制を変えるというのは、そういう問題に対して、日本の進路に対して的確、迅速に対応するということは、先ほど木島委員が言われたような体制、要するに圧倒的多数が一方を占めるということで的確かつ迅速に対応するという政治状況をイメージされているのか、あるいは、そういう問題は基本的に各党間で共通認識として構築されるという中で政策が争われるという政治状況をつくっていくべきと考えておられるのか、この点に関してちょっと御意見を、どういうふうに今のを変えると思っておられるのかということをお伺いをしたい。 それから、梶原参考人にお尋ねしたいのですが、御意見を伺っていますと、分離論というのですか、切り離し論的な部分も最終では考えるべきではないか、要するに、オール・オア・ナッシングのナッシングになっては絶対いけないというふうに言われたように思います。そういう部分で、私たちはとにかく選挙制度を含めて何が何でもやりたい、ただ時間的な部分でずれてくるということがあり得るというときには、一部だけでも先行してやれということなのか、拙速を避けるということで、選挙制度は相当限がかるよということでおっしゃったのか、この点を、私見ということではなくて、通信社という日本じゅうにネットワークをお持ちの中で、国民の意識という部分を非常に敏感にお感じになっているという意味で、どのようにお感じになっているかということをお聞かせをいただきたいと思います。 以上です。
○沖野参考人 川端議員にお答えします。 どういう状況が望ましいかという御質問でございますが、私は三十何年政治記者をやっておりまして、国会の論議というのは余り感心しないと思ってきた者でございます。と申しますのは、政府提案が多いということが原因がと思いますけれども、野党の方々はある一定の反対意見を持って、細かく追及される。それに対して政府側は、政府側と申しますか大臣の方は、官僚の用意した無難な答弁をここで繰り返して何とか切り抜ける。一方、数の多い自民党の議員の皆さんは、言葉は悪いですが、これは自民党の方々が言っておられるので申し上げますけれども、ますらお派出夫などと称して、定足数を走らせるために座っているというような状態もあると聞いております。そういうことでは、やはり国民として聞いておりまして引きつけられない。それよりは、野党が質問すれば与党が答える、与党がそれに対して切り返せば野党がまた答弁するといったような、現在この委員会で行われておりますような白熱した議論があるのが私は望ましいと思っております。そういったことを期待して申し上げました。 それから、さきの湾岸戦争の際の状況とかPKOの場合の状況とかいろいろございましたけれども、その際民社党がいろいろ提案されたことについては、敬意を表しております。 以上でございます。
○中西(啓)委員長代理 梶原参考人、本会議がございますので、まことに申しわけありませんが、手短くお願いします。
○梶原参考人 お答えします。 先ほど木島先生の質問にもお答えしましたけれども、大変リンクしている状態でありますけれども、それでもしかし、この国会で何も成果を得られないよりは、御努力によってそれを切り離すことができるように修正して、ひとつ選挙制度が時間かかる場合には、そうして一つでも二つでも実りを結実させるということを申し上げたつもりでございます。
○中西(啓)委員長代理 それでは、質疑はまだまだ尽きませんが、予定の時間が参りましたので、午前の参考人に対する質疑はこの程度で終了することといたします。 両参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げたいと思います。 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ――――◇――――― 午後一時二十八分開議
○田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 ただいま御出席をいただいております参考人は、政治改革推進協議会会長亀井正夫君、政治改革推進協議会会長代理内田健三君、政治改革推進協議会第二委員会委員長堀江湛君、国立国会図書館調査及び立法考査局政治議会課長成田憲彦君であります。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。各案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序でありますが、亀井参考人、堀江参考人、内田参考人の順序で御意見をお述べいただき、その後、各参考人に対する質疑を行いたいと存じます。 それでは、亀井参考人にお願いをいたします。
○亀井参考人 亀井でございます。 本政治改革特別委員会に、私ども民間団体でございます政治改革推進協議会の者をお呼びいただきまして意見を述べる機会をいただきましたことを、大変感謝をいたしまして、お礼を申し上げる次第でございます。 政治改革はいよいよ本番に入ったというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、私ども民間人がなぜこのような政治改革の問題について討議を交わし、そして意見を提出しておるかということについて、若干申し上げたいと思う次第でございます。 実は、社会経済国民会議という経済界、労働界、学識経験者三者構成の研究機関がございますが、ここで政治問題について数年来いろいろと勉強してまいったのでございますが、そういう関係から、私個人といたしましては、竹下首相の時代の政治改革に関する有識者会議にも参画し、また、第八次選挙制度審議会には、きょう一緒に参っております内田さん、堀江さんと御一緒に参画をいたしました。そのときに、御承知のように八次の選挙制度審議会で答申を出し、また自民党、政府におかれましては政治改革の三法案というものを提出されたのでございますけれども、二年前の秋に、ああいうふうな経緯であれば廃案ということになったわけでございます。 そのときに、自民党及び野党の若手の議員の方々が、こういう状態では日本の政治は大変なことになる、ぜひとも民間団体と一緒になって政治改革の推進をやりたいというお申し出がございまして、それでは単なる社会経済国民会議の提言団体だけでは意味がないのではないだろうか。行政改革については、土光臨調の後、行革審という格好で政府機関で行政改革を推進する機関がございますが、政治改革につきましても、何か政治改革を民間団体として推進するような制度をこしらえたらどうだろうかということで、一昨年の暮れに準備会を発足いたしまして、昨年の四月二十日に正式に、我々は俗称民間政治臨調と呼んでおりますが、こういうものをスタートいたしまして、いろいろ政治問題につきまして勉強し、そして今までに三次にわたる提言を出した次第でございます。 昨年の暮れには、「日本政治の危機と政治改革の道筋」というので、これは選挙制度、政治資金の問題、国会の改革あるいは参議院の改革、それぞれを包括した意見を出し、そしてことしの初めには、地方分権に関する地方分権特別法というものをこしらえて、中央と地方の関係をもっと整理したらどうかという提言を出しました。そして今般、選挙制度並びに政治資金、公的助成についての緊急の提言を出した、こういう経緯になっております。 したがいまして、私どもが考えております政治改革というものは、現在の日本の政治及び行政のシステムというものが、政治に対しては、相次ぐスキャンダルによって国民に非常な不信感がわいておる。また、国際情勢は、ソ連の崩壊あるいは冷戦構造の終結ということによって、非常に大きく現在激動しております。そういうことで、今の政治、行政システムというものがこれからの大きな変革の時代に対応できるかどうかということに取り組んで、いろいろな勉強をしておるわけでございまして、今回私どもは、選挙制度、政治資金の制度について提言をやったわけでございますが、そういう大きなパースペクティブのもとに出したということをまず御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。 そこで、今回提言を出しました根本的な私どもの考え方をここで申し上げたいと思いますが、まず、三月十七日にやはりこの委員会に私呼ばれまして、いろいろと意見を尋ねられたときに申し上げたのは、この国会で、百二十六回国会で政治改革をぜひとも実現していただきたい。非常に国民の世論も盛り上がっておりますし、また、戦後続いてきたこの政治体制というものがこれから合うのかどうか、非常に大きな問題に差しかかっておりまして、また、国会の先生方におきましては、非常に御熱心に、それぞれが自己の案を持たれて、日本の将来をこうしたらよくなるのだという観点から一生懸命に議論をしておられる、そういう時期でございますので、鉄は熱いうちに打てということもございますが、この際にぜひともひとつ政治改革を実現していただきたいということが第一でございます。 それから第二には、金丸ショックというようなことから、政治資金あるいは政治倫理を確立したらどうか、そこが重点ではないかと言いますけれども、私どもの考え方といたしましては、政治資金とか政治倫理というのは、一つの制度の上にやはりそういうものも成り立ってくるのではないか。中選挙区制というのは、大正十四年以来大体六十何年間この制度でやって、ある意味では大変な制度疲労を起こしておるのではないだろうか。これは、皆様先生方が国会において中選挙区についてもいろいろ議論をされてやられた結果で、ちょうちょう私どもが申し上げる必要はないかと存じますけれども、とにかく中選挙区制というものが非常に腐敗を呼びやすい制度であったということも言わざるを得ない。 今回、自民党におかせられましては、選挙制度で単純小選挙区制という案を出された。それから、社会党、公明党は共同提案で小選挙区と比例代表の併用制という案を出しておられます。これを四月いっぱい非常に御熱心に、それぞれの制度についての長所短所、利害得失というものを随分突っ込んで御議論をされた。しかし、マスコミ等の報道を見る限りにおいては、両方が対立をしておる、このまま両方対立ていくのではないかというふうなことも言われておるのでございますが、私どもの見方でいたしますと、対立をしておるように思いますけれども、共通点も非常にあるのではないだろうか。 第一点は、六十何年やってこられた中選挙区制というものをここで廃止するということが一つ。これは共通しておって、新しい制度に乗りかえようじゃないかということは共通しておられる。それから、両案とも小選挙区制というものを導入しておられる。自民党の案は小選挙区が全部でございますが、社会党の案は三百の比例代表制を入れるということになっておりまして、対立点は、この比例代表制をどういう形で加味するかというところに、非常に大きな問題点があるのではないかというふうに私どもは考えたわけでございます。 そういう点からいいますと、ここで第三の案といたしまして、私どもは連用制という問題を提起したわけでございます。これは各国の選挙制度をいろいろ参考にいたしましたし、また国会で、この委員会で熱心に討論されておる論点というものもいろいろ配慮いたしまして、一つの連用制という、小選挙区を三百、そして比例代表を二百にいたしまして、これを連結するといいますか、ジョイントをして新しい制度をこしらえたらどうかという案を出したわけでございます。 この案に対しまして、いろいろな批判もございます。わかりにくい保ではないかという意見もあります。しかし、これがわかりにくいというのは、ドント方式というのが一般の人にはなかなかわかりにくい制度だという点があるので、これは国会の専門の先生方はドント方式というのはよく理解されておりますから、そのドント方式について新しい工夫を加えたという点では御理解がいただけるのではないかというふうに思いまして、この点で我々としては、現状の政治的現実あるいは国会におけるいろいろなお考え方を総合して、この案がいいのではないかということで御提出をしたわけでございます。 これに対しまして、哲学がないあるいは理念がない、思想がないという批判がございますしかし、これは制度の問題で、もちろん理念とか思想、哲学は要ると思いますが、私どもが考えたのは、自民党さんの案あるいは社公の案、それぞれ哲学、思想はおありになると思いますけれども、私どもが考えたのは、これはへーゲルの言う弁証法的発展ということですね。テーゼとアンチテーゼ、そのもう一つ前進をした新テーゼというものをこしらえようじゃないかという考え方であると同時に、二千年前におきましては、孔子が「中庸」という書物の中で、「高明を究めて中庸による」という言葉を言っておられました。いかに高邁、高尚な議論、明快、明晰な議論を尽くしていっても、究極はほどよいところに落ちつくのだというのが一つの東洋哲学である。そういう意味で、私どもの精神をお酌み取りいただきまして、ここで日本の将来のために日本の現在の政治家諸公が中庸の道をとって、日本の将来を開くという御決意をぜひいただきたいというふうに思う次第でございます。 甚だ簡単でございますが、冒頭に私の個人的意見を申し上げました。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○田邉委員長 ありがとうございました。 次に、堀江参考人にお願いいたします。
○堀江参考人 私ども民間政治臨調が、国会での御審議の御参考の一つともなるべきたたき台として御提案申し上げました私どもの提案の内容について、簡単に御説明させていただきたいと思います。 これは、私どもの提案は三つの点から成っております。第一は、小選挙区比例代表連用制というものを御提案申し上げております。もう一つは、政治浄化特別措置法というものについて御提案申し上げております。第三に、政党交付金制度について御提案を申し上げております。この三点につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。 ただいま亀井会長も申し上げましたとおり、選挙制度の改革の基本といたしまして、私どもは第三の選挙制度を導入いたしたい、かように考えた次第であります。現行の中選挙区制を廃止して、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた、自民党及び社会党、公明党が提案されておるものとは異なる第三の選挙制度の導入を御提案申し上げる次第であります。 また第二に、国民的要請にこたえる小選挙区比例代表連用制といった形のこれが、両案を架橋する一つの案になるのではないか、かように考える次第であります。これは、安定政権の実現と政権交代の可能性、同士打ちの解消と政党を単位とした政策中心の選挙を行うと同時に、少数派に対しても十分配慮した多様な民意の反映を可能にする、こういったいわば国民の要請の調和を目指し、現在、与野党が提案している選挙制度を架橋するものとして私ども考えたものでございます。 そこで、この私どもが御提案申し上げている連用制の概要について御説明申し上げたいと思います。 まず第一に、定数は総定数を五百とし、小選挙区定数を三百、比例定数を二百といたします。 選挙の単位は、小選挙区選挙は各選挙区で、比例選挙は各都道府県の区域で行います。 第三に、定数配分及び選挙区画でありますが、小選挙区及び比例代表の都道府県への定数配分及び小選挙区の区画は第三者機関によって行い、小選挙区の区画に当たっては、選挙区間の格差が一対二未満となることを基本といたします。 第四に、立候補でありますが、立候補は、原則的に政党が小選挙区の候補者と比例代表の名簿を一括して届け出ることにいたしますが、小選挙区については、無所属候補も立候補することができることといたします。また、小選挙区候補と比例代表とに重複立候補も認めます。なお、この場合、名簿上同一順位として、小選挙区での惜敗率によって事後に順位をつけることも可能にいたします。 第五は、名簿結合でございます。比例代表選挙で複数の政党が選挙共闘を行う場合は、その名簿を結合し、議席配分に当たり単一の名簿と同様の扱いを受けることができるようにいたします。 第六は、投票であります。有権者は、第一票を小選挙区の候補者に、第二票を比例代表名簿の政党に対して投票いたします。 第七番目に、当選人でありますが、小選挙区につきましては、第一票により相対多数の者が当選人と相なります。比例代表につきましては、第二票を政党別に集計し、各都道府県を単位とする比例定数の議席をドント式で各党に配分いたします。現在の参議院の比例区と同じようなやり方であります。ただし、このドント式のドントの除数は、各政党ごとに、その政党が小選挙区で獲得した議席プラス一から始めるということであります。名簿結合の場合には、届け出のある政党の政党票を合計し、単一の政党のように扱い、同様に小選挙区で獲得した議席プラス一から始める除数により議席を配分いたします。 次に、私どもの御提案申し上げましたこの制度の実際的な意味であります。 これは、第一に、与野党の中間的な案というふうに申し上げてよろしいかと思います。並立制に比べまして、小選挙区で発生する得票率と議席率の乖離の補正効果が大きく、多様な民意が反映されるという利点がございます。そして、併用制に比べて小党分立になりにくく、安定した政権が確立されやすい、かつ超過議席が出ない、こういうメリットがございます。このような点で、並立制と併用制の中間的な性格を持っておるかと思われます。 第二に、併用制との関係でございますが、超過議席が出ない場合には、その結果は併用制も連用制も全く同じ結果に相なります。 第三に、小選挙区の定数を三百とした意味でございますが、小選挙区を三百としているために、責任ある政策を実行可能な安定した政権を確立することが可能になると同時に、政権交代の可能性が高いというメリットがございます。 第四に、都道府県単位で選挙を行う。比例代表の単位を都道府県に置いておるために、極端な多党制にはなりにくく、穏健な多党制が保障されるのではないかと思われます。 以上が、私どもが御提案申し上げておりますこの連用制の内容でございます。 第二に、政治浄化の実現という問題でございます。 私どもは、政治浄化特別措置法というような形で御提案申し上げておりますが、この政治浄化の基本といたしまして、私どもは政治浄化を実現するために、政治倫理の確立、政治資金の透明性の確保、違反に対する制裁の強化、監視体制の確立などを目的とし、政治の制度の内在的な機能によって有効に政治の浄化が図られることを主眼といたし、いたずもに司法当局の介入に依存することは避けなければいけないというような考え方に立って、一連の措置を御可決いただければありがたいと思っております。 そこで、具体的に政治倫理の確立についてでございます。 第一は、具体的な行為規範に関してであります。国会議員の各位が職務遂行に当たって遵守されなければならない準則を、単なる心構えではなく、具体的に行為規範としてお定めいただきたいと思っております。 その関連で、政治倫理審査会の強化が必要であろうかと思います。国会の政治倫理審査会の機能を強化して、証人換問、辞職勧告を含む処分の勧告ができるようにするのが妥当かと存じます。 第三は、政治資金の適正化に関してでございます。 やはり、政治家個人への献金の禁止を進めなければならないかと思われます。政治資金の透明性を確保するために、政治家個人の寄附の受領を禁止し、すべては政治家との関係を明らかにした政治団体を通して行うことが必要かと思います。いわゆる保有金制度に見られるような政治家個人への献金は、やはり今日の国民世論に照らしても望ましくないと思われます。 第二に、現金授受の禁止と指定口座制度についてでございます。年間一万円を超える政治資金の現金での授受を禁止し、金融機関の口座を通して政治資金の収支を行うようにしたらいかがかと存じます。 第三に、企業・団体献金の政党に対する一本化であります。議会政治は政党本位の政治でなければならないと考えておりますが、そのためには、企業や団体の献金は政党または政治資金団体に対してのみ認める、こういうことが必要かと思います。 第四が、政治資金パーティーの規制についてでございます。世上、いわゆる政治資金パーティーについてさまざまな国民の批判が加えられております。そこで私どもは、政治資金パーティーの対価は、これは寄附、政治献金として扱うということを御提案申し上げたいと思います。 さらに、公開基準の引き下げであります。政治資金の収支報告は年間二回行い、寄附の公開基準は年間一万円超とするということであります。 また、しばしば問題になっております連座責任についての措置であります。公職の候補者は、関連の政治団体の収支報告書に必ず署名をしなければならない、これによって連座責任の道を確保するということに相なります。 四番目は、政治資金委員会の設立についてでございます。 政治資金の透明化、そして金のかからぬ選挙といったものを実現するためには、監視体制の確立が必要かと思われますが、政治資金の適正な監視を行うために、公正取引委員会にも準じた第三者機関として、政治資金委員会を置いてはいかがかという提案でございます。 政治資金委員会は、政治資金収支報告書をデータベース化し、速やかな国民に対する公開を行うことにいたしてはいかがかと思います。 さらに、政治資金委員会は、違反の事件については、政党の自由を侵さない範囲で一定の調査を行い、必要と認められる場合には司法当局に告発する権限を有する。言いかえれば、みだりな司法当局の介入はそれによってかえって阻止される、こういった問題もあろうかと思います。 第五は、罰則の強化であります。連座制の強化と公民権の停止、つまり連座制を強化し、政治資金の規制に違反した者に対しては公民権停止の措置をとる、こういったことをぜひ進めてはいかがかと存じます。 第六は、資産の公開等についてであります。この場合、資産の公開につきましては、資産のストックよりもむしろフローを重視するという意味で、国会議員の資産公開を強化し、フロー重視という観点から毎年資産の公開を行うということを御提案申し上げたいと思います。 三番目が、政党交付金制度の導入についてでございます。 政党助成の基本についてでございますが、私どもは、政党政治の健全な発達に資するために、政党に対して国庫から交付金を交付してしかるべきだと考えております。 ただしこの場合、与党に対して、野党の政策立案活動で野党がさまざまなハンディを負っているという点を考慮し、政党交付金は野党に一定額を割り増して交付してはいかがかと考えております。 ただし、交付金目当ての選挙への参加を防止し、過度の小党乱立を抑制するという意味で、議席を得なかった政党及び極めて少数議席にとどまった政党に対しては、この助成額は減額して交付するというのが妥当ではなかろうかと思います。 以上のような観点から、私どもこの民間政治臨調におきましては、政治改革を推進なさる国会御審議の御参考として、ただいま御説明申し上げたような三つの骨子に関しまして、臨調案を御提案申し上げた次第でございます。御審議の御参考に供していただければありがたいと思います。(拍手)
○田邉委員長 ありがとうございました。 次に、内田参考人にお願いいたします。
○内田参考人 内田でございます。 私は、今亀井さんからいわば総論、そして堀江さんから詳しい各論と申しますか、今度の提言の内容説明がございました。私は、このお二人の説明に対する補足説明ということになっておるのでありますが、時間の関係もございますし、また今のお二人の基本的な御発言にそう改めて補足するほどのこともなかろうかと思っております。 ただ一、二申し上げますと、今亀井さんのお話にございましたが、今度私どもが考えましたのは、現在の日本の政治、行政の全システムの包括的な改革というものが目標でございます。この点がとかく誤解を招いているようなことがございます、あれは選挙制度改革の考えなんだと。私どもは、今御説明がありましたように包括的な改革、それも当面は政治家のいわゆるモラルの問題、それからお金の問題、そして選挙制度という三つ。 お金に関しては、これがガラス張りのものになれば政党助成、公的助成というものを考える、こういう組み立てになっておりますが、全体的な改革は実はもっと広いつもりでございます。亀井さんからも御指摘がございましたが、資金制度、選挙制度、そして国会の改革というものがございます。何よりも私は、行革審におつき合いをしておることもございますが、私どもの民間臨調全体としても、地方分権、中央政府の改革、地方の改革というものを考えております。 そして、これはおこがましいのでありますが、こういう改革をやるについて、基本となっている皆さんの政党自身の改革ということも含めて提言をするつもりでおります。今は緊急提言を重ねてまいりましたが、近く国会の御審議の状況も見ながら、私どもは総合的な政治改革大綱というものを発表いたしたいと思っておりまして、今まで個々に提言をしてまいりましたけれども、そこで今例えば落ちている問題として、中央、地方の改革の問題、あるいは具体的に申しますと、内閣、行政制度というものについても今研究を進めて、近く提言するつもりでございますし、その総合的な大綱を今審議しておりますが、政党についての提言を申し上げたい。その中に、今度の選挙制度改革のねらいの問題も実は入っております。まだ草稿の段階でございますが、私どもは、政権交代を可能にする二つの基軸政党をつくる必要があると思っております。 一方、多様な国民のニーズや新たな争点の登場に対する政党政治の感度を高めるためには、求心力のある適度な範囲での多党化というものも求められる。この責任政治ができるための政権交代可能な仕組みというものと、それから適度な範囲での多党化というものは、私どもは両立するものであるというふうに考えて今度の選挙制度も考えましたし、政党に関する提言の中で、これからの政党政治の形は、多様でソフトな、社会的な対立軸や争点にしなやかに感度よく反応し、多様な組み合わせを国民に提示し得る穏健な多党化を前提としたソフトな二大政党制あるいは二大政党ブロック制というものの実現を政党はお考えいただけないものかということを、その政党提言の中でこれから書き込んでいきたいと思っているわけでございまして、それはまさにきょう議題になっておりますこの連用制なるもの、選挙制度改革というものも、この目標の実現を念頭に置いているということを申し上げておきたいと存じます。 なおいろいろございますけれども、これから御覧間、それに対するお答えというようなことで進められるようでございますから、私の冒頭の発言はこれまでにしておきたいと存じます。 ありがとうございました。(拍手)
○田邉委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
○田邉委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。光武顕君。
○光武委員 本日は、参考人のそれぞれの皆様方大変御苦労さまでございます。私、自由民主党の光武顕であります。 ただいま亀井会長、堀江第二委員長そして内田会長代理さんから、今回御提起がございました連用制についての理念なりあるいは制度なりについて、限られた時間ではありますが、極めて要約されて要領よく御説明がありました。私も、いろいろ問題点があるにせよ、今お伺いする限りでは、それなりの御努力に対しまして大変ありがたく思っておるのであります。 特に、民間政治臨調の方々が、今日置かれております我が国の政治、行政の実態について深い憂慮の念を覚えられまして、さらにまた、今国会におきまして、この選挙制度改革を含む政治改革について、その行く末についていろいろと案じられておられる。そうしたやむにやまれぬお気持ちから、今回のいわゆる連用制というそうした制度についての御提案があったということにつきましても、心から敬意を表する次第であります。そしてまた、それにつきましては非常に皆さん方がよくお考えいただき、もろもろの観点から実現可能であろうと、こういった形のものを提案されたということも、私は高く評価したいと存じます。 しかし、事柄はこれから先の日本の政治の行方を決めることにもなるわけでありますし、さらにはまた、こう申してはなんでありますが、やはり選挙制度の改革というものは国会議員のまた身分にもかかわることであるといったようなことから、我が党の中からもこれに対しては幾つかの疑念が提示されておりますし、また、マスコミ等を拝見いたしましても、この問題に対する完全な消化ができていないといったような気もいたすのであります。 その中には、いわく、よく考え抜かれた案だと思うが哲学、思想がないとか、あるいはまた、現状を視野に入れてつくり上げた緊急妥協案ととられてもやむを得ない、つまり、数合わせの折衷案であるといったような評価、さらにはまた、選挙制度は単純明快であるべきであるが、今回の連用制は複雑かつ難解であるといったような消極的評価もあることであります。しかし、一方ではまた、この発表のタイミングのよろしきを得れば時の氏神になったであろうといったように、内容についてのそれなりの理解のある評価もあるといったふうで、議論はさまざまであるのであります。そういった点につきまして、さらに今から御質問を申し上げ、疑念のあるところをひとつ明快にしていただかなければならない、こう思いまして、しばらくの間質問をさせていただきます。 ところで、今回民間政治臨調が提起されたその要旨については、ただいまお話がありましてわかったのでありますけれども、しかし何と申しましても、今までの私どもの単純小選挙区制度あるいは比例代表制度といったものに比べますと、この連用制というものはなじみが薄いんですね。私も、大分今回この連休中を利用しまして何人か寄せて、そして話をいたしましたが、すぐにわかったという方が一人もいない。大体、この私が考えてなかなかわからなかったわけですから、いなかった。してみれば、一般の国民の皆さん方は、新聞を見る程度ではなかなか理解ができないというふうに思うのであります。 そこで、きょうは政治臨調の方に御質問する前に、参考人として国会図書館の成田さんがお見えであります。成田さんは、私も腐敗制度についてのいろいろな勉強をするときに御相談に乗っていただいたり、私どものみならず野党の方々も、今日までいろいろな御相談があった。言ってみれば客観、公正な立場にある方だと存じますので、まずはひとつ成田参考人に対しまして、一体この連用制をどのように理解したらいいのか、そして、世界の選挙制度における連用制、あるいはまた世界の選挙制度の理論の中における位置づけといったようなものについて、まず成田参考人からお話を承れれば幸いでございます。
○成田参考人 お答え申し上げます。 現在、世界的レベルで選挙制度の根本的な見直しというものが行われているわけであります。その理由は、例えば冷戦終結後のそれぞれの国内の政治システムの再編成の一環として選挙制度が見直されている。この典型はイタリアと日本だと思うわけでございますが、そういうものもございますが、そのほかに、もっと長期的なスパンによる選挙制度の見直しということが進んでいるわけでございます。 大きく申しまして世界の選挙制度が小選挙区制と比例代表制に分かれることは、先生方も御承知のとおりでございますが、小選挙区制といいますのは、一番最初は植民地時代のアメリカで採用されていた制度でございまして、二百年以上の歴史を持っているわけでございます。これがカナダとかオーストラリアとかニュージーランドに普及しまして、最も小選挙区制の代表の国と思われているイギリスで採用されましたのが一八八五年でございますから、ほぼ百年前。これに対して、比例代表というものが初めて本格的に採用されましたのはベルギーの一八九九年でございまして、ちょうどこれも百年ぐらい歴史があるわけでございます。 こういう二百年とか百年という歴史を持った小選挙区と比例代表制というものが、時代の進展とともに少し時間をかけて見直されつつありまして、現在その根本的な見直しの時期になっているのではないかと思うわけであります。特に、小選挙区制の国におきまして、イギリスとかカナダとかニュージーランド等の小選挙区制の国におきまして、どうもこれが各党にとっては必ずしもフェアな制度ではないのではないかということで、特に見直しが盛んなわけでございます。 その見直しの案の中には、単記移譲式であるとか、あるいはオーストラリアで行われております優先投票制度というようなものもあるわけでございますが、その案の一つとして、小選挙区での各党の得票と議席のゆがみを比例を加えて補正をしようというような考え方がございます。これは、英米でアディショナル・メンバー・システム、AMS、追加議席配分方式と呼ばれている方式でございます。これは小選挙区制と比例の組み合わせ型の中でも、日本で言う並立はこれに当たらないわけでございまして、比例をもっと直截に加えて小選挙区の死票等を救済していこうという考え方であります。 大きく申し上げますと、今回の民間政治臨調の御提起されました連用制というのは、このAMSの系統の制度に属するものではないかという気がするわけでございまして、そういう意味では、世界的な広がりを持った選挙制度理論の議論の中から出てきたものだろうと思うわけでございます。 このAMSによる具体的な制度の提案というものも若干なされておりまして、大変有名なのは、一九七六年のイギリスのハンサード協会による提案でございます。これは、定数の四分の三を小選挙区で選びまして、その票を政党ごとに再集計しまして、これは全国十二の地域ごとに再集計をしまして、それぞれの地域ごとにそれぞれの政党が小選挙区で獲得した議席プラス一から割り始めるドントで各党の議席、四分の一の追加議席を配分して、それで各党のその獲得議席の枠内で、それぞれ各党の小選挙区の落選候補者の中から得票率の高い順に救済をしていく、こういう制度でございます。 ここに小選挙区での獲得議席プラス一から始まるドントというのが出てくるわけでございまして、これが今度の臨調案の一つのネタてはいかという説もあるのですが、ただ、これはハンサード協会の独創案ではありませんで、これはドント式というものがわかっていればそういうことはわかるのみならず、例えばベルギーでは一九一九年の選挙法で、既に配分済みの議席プラス一から始まるドントで調整議席を配るというようなことをやっております。ベルギーでは現在もやっておりますし、オランダでもやっておりますから、そういうテクニックそれ自体は特に新しいものではないわけですが、ともかくAMSという枠内でそういうハンサード協会の提案があったことは事実でございます。 それで、今回の民間政治臨調の連用案というのは、こういうAMSの考え方を土台にしまして、例えばハンサード協会案では一票制であるものを二票制にするとか、ハンサード協会案では名簿というものを使っておりませんがこれを名簿型のものにする、それから日本の現状に合わせて、都道府県かブロックかというのを都道府県、それから小選挙区、比例の配分をどうするというようなことを工夫を加えられた案だろうと思います。 ただ、ここで一つ申し上げておかなければなりませんことは、私は、どういう具体案を組み立てたかということに連用制の意味があるのではなくて、もっと積極的な意味があったのだろうという気がいたします。それは、民間政治臨調が追加議席配分方式ということを言わないで、わざわざ連用制という言葉をつくってきた理由は何なのかということでございます。これは制度の表には出てこないことなんですが、この民間臨調の連用制というものは、世界の選挙制度の議論において私は大変大きな貢献をしたのだろうという気がいたしております。 それは、英米におきますAMSというのは一体何かということは議論が随分混乱をしておりまして、例えばドイツの我が国で言う併用制はAMSなのか。AMSだという議論もあるし、いやドイツの併用制こそがAMSだという議論もある。それから、あれはAMSではない、別のものがAMSだという議論もあって、ドイツ型の併用制ということと英米のAMSの関係が、英米の一流の学者の議論の中でもはっきりしていなかったのですね。 今度民間臨調が御提起されたことは、この英米のAMSが実は理論的には超過議席の出ない併用制であるということで、両者の関係を理論的に明らかにした。これは、英米の一流の選挙制度の理論にも出てこない、私は独創的な発見だったのだろうと思うのです。これによって、小選挙区をベースにして比例で補充をするという形の選挙制度が、ドイツ型の併用というものとブリッジされるのだということは、私は一つの非常に深い発見だったのだろうと思うのです。そこで連用制というような独創的なネーミングをしてきたのだろう。 こういうことによりまして、この特別委員会の先生方の議論の水準というのは私は大変高いものだと思いますけれども、連用制というものがまた日本における選挙制度改革議論というのをもう一つ、私は率直に申し上げて、世界的レベル、世界の先端レベルの議論というものに押し上げたと言っても全く過言ではないというふうに私は感じております。これは私の率直な感じでございますので、御紹介させていただきました。
○光武委員 ただいま成田参考人からいろいろお話を伺う中で、この連用制についての高い評価があったわけであります。 国会の中で今日なされている議論が非常に標準が高いというお褒めの言葉もありましたけれども、この連用制については、なるほどその場ばったりの数合わせとかそういうものではなくて、さかのぼれば二百年前ですか、そしてまた世界の中でも、今日イタリアにおきましても比例代表制から単純小選挙区制への移行が考えられているだとか、またイギリスは逆な方向で考えているといったような、一連の世界的な選挙制度改革論議の中の一つとして、非常に考え抜かれた案であるといったような評価があったのであります。私も今お話を伺いながら、一〇〇%理解できたわけではありませんが、この問題については、またあるいは同僚議員から技術的な点についてお尋ねがあろうかと思いますので、割愛をさせていただきまして、次に進みたいと思います。 今回の連用制については、先ほど亀井会長さんから理念等についてお話もございました。しかし、これが結果的には先ほど私が申しましたようないろいろな評価が出てくるわけでありますが、何と申しましても、私どもはこれから先、選挙制度を変えて、ただ単に与野党の議席がどうなるかといった次元てはかり議論するのではなくて、新しい制度というものが一体将来においてどのような政治を実現するのか、もっと言えば、この連用制を評価するためには、こうした選挙制度が日本の政治をどのように変えて、あるいはまた国民のためにどのような政治を実現できるのか、そこのところが明確でなければ、皆様方にとっては数合わせというのはいわれなさ話であるとお考えであろうかと思いますが、そこをもう一つ突っ込んだところで御説明をいただきたいと思うのであります。
○内田参考人 お話しします前に、合成田参考人から連用制についての有力な応援みたいなことをいただいたのですが、これは理論的に御説明であったと思います。私はもともとジャーナリストでございまして、少し今のお尋ねに政治的にお答えをしたいと思います。 もう一つその前に、先ほど、イタリアは比例代表制から単純小選挙区制に向かおうとしているよ、それからこれは光武議員は非常に公平でございまして、イギリスは単純小選挙区をそろそろ考え直すかなということのようだとおっしゃいました。基本的には西ドイツ、今はドイツでありますが、ドイツのいわゆる併用制なるものが有力な案だよと、あるいは小選挙区を論ずる方はイギリスだよと他国を我田引水しても、私は余り意味がないと思うのですね。やはり日本の過去を考え、現実を考えてどうすべきかということであろうと思いますので、今光武議員の御指摘もっともでありまして、私はこの案をみんなで議論しながら苦心してつくりました立場から申しますと、これがもし実現すれば、あるいはイギリスの改革の先鞭をつけることになるかもしれないというようなことを期待したりしておるわけでございます。 さて、今のこの連用制というものが、妥協案だ、理念がないのではないかという批判をよくいただいております。また、一体どういう政党政治を目指そうとしているのかも非常に不鮮明だということも耳にいたします。今たまたま説明を求められましたので、私どもの考えているところを簡潔に御説明したいと思います。 自民党が提案されました単純小選区制、それから社公両党が共同提案されました併用制、いずれも立派な理念に基づいた制度であろうと思います。単純小選挙区制は、言うまでもなく、責任ある安定政権を実現して、二大政党による政権交代を目標にしております。また、併用制は、いわゆる民意の鏡のような反映を重視して、多党制による連立政権ということもあっていいんだ、こういうふうに想定をしております。それぞれ見解は異なりますけれども、ともに非常に確固とした民主主義観に基づいて御提案をなすっているというふうには承知しております。 これに対して私どもの提案した連用制は、小選挙区制と比例代表制、あるいは、自民党は単純小選挙区ということで党議を決めていらっしゃいますが、一昨年の例えは並立制、片や併用制の二つの中間的な案だ、そして、与野党が妥協できる条件ばかり積み重ねて理念のない制度だという御批判だと思います。しかしこれは、私どもの制度の目標なり理念を曲げて見ておられるなというふうに思っております。私どもは、これからの政党政治というものは、少なくとも次の二点で時代の要請にこたえていかなければならないと考えております。 第一は、激変する内外の環境に対応し得る政治システムを構築するということであります。すなわち、国民の政治選択を明確なものにして、責任ある政策の実行と政治的なリーダーシップを確立するということであります。そのためには政権担当能力のある二つの責任政党、基軸政党と言ってもいいかと思いますが、これを中心として政権交代が可能な政治をつくり上げなければなりません。選挙制度の観点からすれば、それを可能にするのは小選挙区制でありますから、私どもは、小選挙区制の要素を提案しました新しい選挙制度の一つの柱に据えなければならないと考えたわけであります。 では、これからの日本の政党政治の姿を考えました場合に、小選挙区制だけで十分かといいますと、そうは思いません。冷戦構造の終えんによって、極端で観念的なイデオロギーの政治争点対立という時代はもう過ぎ去りました。これからの政党は、多様な国民のニーズや新しい出てきた政治争点というものに対する感度を高めて、しなやかに柔軟に対応することが求められます。これを実現するためには、求心力のある適度な範囲での多党化だろうと思います。 つまり、鏡のごとき民意の反映というのは、言葉はいいのですけれども、国民の意識が多様だからそれに一つ一つ応ずる鏡のごとき民意の反映ということは、私はある意味ではアナーキーに通ずるというふうに思っております。いわゆる小党乱立てあります。求心力のある適度な範囲での多党化だろうと思います。ですから、私どもは、極端な多党化を招く完全比例代表制には賛成できませんけれども、比例代表制の要素を新しい選挙制度のこれもまた一つの柱にすることは欠かせない条件だというふうに考えております。 つまり私どもは、新しい選挙制度の条件としては、小選挙区制だけでも、また比例代表制だけでも不十分である、その二つを組み合わせる混合型によってのみ達成できると考えているわけであります。連用制が想定しております新しい選挙、政党政治の姿は、こうした時代の要請を踏まえながら、穏健な多党化を前提として、しかも政権交代の能力のある二つの基軸政党が中心になって政権交代を行う。さっきの冒頭発言でも申しましたが、ソフトな二大政党制、あるいは私は、二大政党と言うよりも、二大ブロックと言った方がいいのではないか、そういうものの実現である、そういうふうに私どものこの連用制の理念というものを考えているわけでございます。 以上でございます。
○光武委員 それでは、今のお話はわかりましたが、もう一つ、どうも結果的にシミュレーションをいたしますと数合わせに近いのではないか、こういった話があるわけですね。したがって、議席が余り変わらない。そうすれば一体変化があり得るであろうかといったような点についても、私どももいろいろ考えてみたのですが、そこら辺のところについてはいかがでしょう。つまり、議席が余り変わらないというところで、果たして今御説明のあったような政治が実現できていくであろうか、その点さらにまたお伺いしたいと思います。
○内田参考人 お答えいたします。 今の御批判も大変多く行われている議論だと思います。ただ、これも、私から申しますと、曲解ではないのかなということでございますので、お答えをするわけでございますが、第一に、この連用案あるいはその前の単純小選挙区制あるいは併用制の案が出るたびに、マスコミの皆さんがいわゆるシミュレーションというのを、これはまあマスコミだけじゃございません、学者の方からもいろいろ出されております。ただ、残念ながら、過去の選挙結果をいかにシミュレーションで精密にやってみても、余り意味はないのではないかと思います。過去の選挙結果は、あくまでも過去のシステムではじき出される。つまり、ゲームのルールが今度は変わるわけでありますから、新しい選挙制度を導入する際の参考にはならない、ならないというのは極言でありますが、そのことをまず申し上げておきたいと思います。 第二に、そうは申しましても、選挙制度は各党の消長を直接的に左右するわけでございますから、導入に当たってはフェアでなければならないわけです。ですから、この連用制というのは、スタートの時点での各党の競争というものがフェアであるようには気配りをしております。あくまでも過去の選挙結果に基づいておりますので参考にしかなりませんけれども、しかしそれはやはり私どももやってみる必要があったし、やったわけであります。 その場合に、現にある特定政党がその政党の意思にかかわらず、ということは、おれはこれを機会に新党二つ三つでやるよとかいうことであれば、これはその党は消えるわけでありますが、そうでなくて、その政党の意思にかかわらず、この新制度によって壊滅してしまうというような事態は、スタートの時点では避けなきゃならないというふうに思います。それは決してあしき妥協ではなくて、フェアであるということが必要である民主政治のルールだろうというふうに思っております。 第三に、これは特に強調したいのでありますが、しかしこの連用制が実際に導入されたならば、確実に現在の政党政治の姿や政治状況は変化していくだろうということであります。御承知のように、連用制には三百の小選挙区が組み込まれております。したがって、連用制が導入されたならば、確実に政党の再編成は加速されると思います。国民の負託にこたえ得る責任政党を目指して、各党が生き生きとした競争を展開することは必至だろうと思います。 殊にこれまで、これは自民党についても中選挙区における同士打ちということがしばしば大きな弊害として指摘されましたが、野党も同じことでありまして、野党が政権政党に脱皮ができなかった最大の理由の一つは、同じ選挙区で、違う党の中でですが、つまり自民党に対抗しておれたちはやるんだと言っているその各党同士の同士打ちというものを恐れる余りに、過半数を超える候補者を擁立ができないということであります。今回の連用制が採用されましたならば、こうした心配はなくなるのではないかと思っております。 それにしても、現状と変わらないか、相当の変化が生ずるかということは、実は私どもの提唱した連用制の問題というよりも、各党の方々がいかに努力されるかの問題ではないだろうかと思います。御承知のように、どれだけよりすぐれたと思って採用する選挙制度であっても、それが当初願った目的を果たせるかどうかは、これは各党の皆さんの能力にかかっているわけだろうと思います。そういう意味で、おこがましい発言でありますが、各党の方々の御健闘をお願いしたいというふうに存じます。
○光武委員 我々に対します御要望もございましたが、内容についてはまたひとつよく検討してもらいたいと思います。 我々は、四月十四日からこの調査特別委員会で二つの案についての議論を今日まで展開してまいったわけであります。我が党におきましては、やはり安定政権の樹立それから国民の明確な政権の選択といったようなことに重点を置いた単純小選挙区制、一万社公の方からは、正確な民意の反映ということで、比例代表制というものが提案されて今日までまいりました。そこにこの連用制がまた登場したわけであります。 ここを、少し議論を整理しなければならないと思うのです。私どもの立場としては、どちらかと申しますと、しっぽが胴体を振り回すといったような比例制については批判的でありまして、やはり責任ある政権を立てるという意味におきましては単純小選挙区制が最もよろしいという主張をずっと今日まで続けてきた。しかしながら、社公案につきましても、どうもそれはそれなりの理屈があるなどいう感じがいたします。 そこで、今日イタリア等で比例制から単純小選挙区制への移行といったようなことが論じられております。その内容について、我々はどちらかというと、多党化していくことによって政権が非常に不安定である、こんな考えで今まで述べてまいったわけでありますが、こういった考え方、あるいはまた、そのほかにこの点についてどういう議論があるのかといったようなことについては、ひとつ成田参考人から簡潔にお話を伺いたいと存じます。
○成田参考人 お答え申し上げます。 先ほど私が連用制が世界的レベルのものであると申し上げましたら、褒め殺しというお言葉でございましたが、私は連用制だけでなくて、この特別委員会の議論自体が世界的レベルのものだと思っているのです、まじめに。これは自民党の御指摘されます安定政権の樹立、国民による政権選択の意思、片や社公案におきます多様な民意の反映あるいは正確な民意の反映という議論は世界の選挙制度学界の二大陣営の議論でございまして、これは世界を二分して議論をしているところでございまして、私も、ことしから導入をさせていただきました国会テレビで当特別委員会の審議を拝見させていただいているのでございますが、まことに世界の先端の理屈を非常にこなれた言葉で導入をされまして、議論されているということに大変感服をいたしておるわけでございます。 その一つとして、正確な民意の反映ということが主張されている。これはそのとおりでございますし、世界でも大変強い主張がございます。光武先生の御質問は、そういう多様な民意の反映というものと、今度のイタリアにおける国民投票による小選挙区の選択ということがどういう関係がというお尋ねかと存じますので、それでは、その角度からひとつ御紹介をさせていただきます。 イタリアの例はこの特別委員会でも随分取り上げられまして、特に自民党サイドからは、多様な民意の反映は結構であるけれども、小党分立になり、不安定な連立内閣になり、第四党、第五党がキャスチングボートを握る、内閣が五十二回も交代したという点が非常に取り上げられているわけでございますが、今度の四月十八日の国民投票で、イタリア国民が比例代表に対してノーを言い、小選挙区制を選択したということは、こういう不安定な政治を嫌ったということではないのですね。全然違う理由だと私は思っているわけでございます。 最近私の課で、世界の国の戦後における政権交代の回数の一覧表をちょっとつくったのでございます。これは若い課員たちがつくったのでございますが、そのとき私も相談を受けまして、イタリアは戦後何回政権交代があったかという質問を受けまして、私はゼロ回であるというふうに答えたわけでございます。この定義は、日本でも内閣はかわりますが、自民党という政権党はかわっていないわけでございますから、基軸となる政権政党が入れかわったときに初めて政権交代があるというふうに定義をいたしますと、イタリアは戦後基軸となる政権政党は交代をしていないわけでございます。 どうして政権交代が起きなかったかというのは、第二党が共産党で、冷戦の東西対決のそのままの構造が国内政治に持ち込まれているということが一つですが、もう一つは選挙制度にあったわけでございます。比例代表の選挙における内閣というのは、例えばA党、それからB党は共産党ですから除いて、C党、D党というので連立政権を組む。これが失敗をして、政治責任を問われて内閣が瓦解すると、次の政権はA党、C党、E党で組むわけですね。あるいはA党、D党、F党で組む。そうすると、A党、C党の政治責任は何かということが問題になるわけです。多様な民意の反映ということによる多党化の中では、この政治責任ということを処理できないということが非常に大きな問題であったわけでありまして、それでイタリアの国民が選んだことは、政権交代あるいは政権の政治責任を追求する、政権の政治責任を追及するという民意が比例代表では反映されないのだということでございます。 イタリアでは、キリスト教民主党が一九八三年に五%得票を減らしましたけれども、これは五%議席を減らしたという結果にとどまったわけでございます。イギリスで今度は、保守党が大勝した、労働党が大勝したというときの得票の移動は大体二、三%でございます。自民党が昭和五十一年にロッキード選挙で大敗をいたしました。このとき自民党は前回より五%票を減らしたわけでございます。ですから、五%の移動というのは実は大変なことでありますが、これが政治責任の問題に反映しなかったということでございます。こういう点がイタリアで問われたのだろうというふうに考えております。
○光武委員 時間がなくなりました。貴重な御意見を伺えて、さらに突っ込みたかったわけですが、最後に、今私どもこうして国会で政治改革の議論を進めているわけでありますが、民間政治臨調といたしましては、今後の我々国会での議論の進め方等々、あるいはその他についてどんな御注文があるのか、ひとつお聞かせを願って、質問を終わりたいと存じます。
○田邉委員長 時間がございませんので、簡潔にお願いいたします。
○亀井参考人 今後の政治改革の論議の進め方について意見をということでございますが、簡単に四点申し上げたいと存じます。 第一は、私どもの提唱いたしておりますこの連用制という案は、あくまでも民間の我々が知恵を絞って出しました提案にすぎないのでございまして、実際にお決めになるのは国民から選ばれた国会の議員の先生方でございますので、日本の将来にとってどういう政治改革が望ましいかということを大所高所からひとつ議論を進めて、ぜひとも今国会中に成立を図っていただきたいということが第一でございます。 第二には、この議論の仕方として、現在おやりになっているように、国民の目に見える国会でぜひとも決着をつけていただきたいということでございます。現在与野党ともに案を出して活発な討論をされておるということは、国民も非常に関心を持ち、非常に好評でございます。したがって、一部に、妥協の道を図るために与野党の政治改革協議会の活用というようなことも言われておりますけれども、あくまでも、こういうふうな非公式の制度はやめて、ひとつ田邉委員長の御指導のもとで、与野党委員がともにかみしもを脱いで、そして与野党共同の作業として、最良の改革案をつくっていただきたいというのが第二でございます。 第三には、与野党の改革案の成立に向けまして非常に大事だと思いますのは、宮澤総理・総裁を初めとする各党党首の御決意とリーダーシップということが私は非常に大事だと思います。現状においては、与党と野党との間に非常に大きな隔たりがございます。その点について十分にひとつお考えをいただきまして、この際日本の将来のために、各党が本当に日本の将来を考えて、どうすべきかということを党首の御決意とリーダーシップに望みたいということでございます。 それから第四でございますけれども、現在両案並立のままで進行しておりますけれども、何かここで歩み寄りということが必要だと思いますしかし、この歩み寄りということが難しいという事態になったときには、これは異例のことかと思いますが、全体の意思統一を図るのに思い切って党議拘束を外すということで、それぞれが国会議員の立場で、それぞれが政治家として、日本の将来をどうするかということで、ひとつ良識ある先生方の御判断で、党議決定というふうなものを外れて、自由にひとつ結論を見出すという御努力をぜひお願いしたい。 以上四点を申し上げます。
○光武委員 終わります。
○田邉委員長 赤城徳彦君。
○赤城委員 自由民主党の赤城徳彦でございます。引き続きまして、特に連用制の制度につきまして、幾つか御質問させていただきます。 連用制の説明の中で、目的とするところに幾つかポイントがあるということをおっしゃられました。安定政権をつくること、政権交代ができること、そして政党中心、政策中心の制度になる、死に票を抑制して、そして民意が反映される、幾つかのポイントが、まさに選挙制度を考える上でのポイントだと思うのです。ただ、そのいろいろな要請にどれも目を配るということが、結果的に八万美人になってしまって、制度としてすっぱり割り切れないような、どっちつかずの制度になる、中途半端なことになりはしないかということをやはり心配するわけです。 先ほど来のお話にもありましたけれども、特にこの日本という国が世界の中でリーダーシップを発揮する、そういうことが求められているときに、国民が一体どういう政権を、どういう政策を選択したのかということがはっきりと出る、これは非常に重要な要件だと思うわけです。そのためにはやはり基軸となる政党が存在して、それが中心に政権交代が起こるという先ほど来のお話のようなものでなければいけないわけで、政党が幾つも分かれて連合した、こういうふうな事態は何としても避けなければいけない。この点は、先ほど成田参考人から言われましたように、多党化する制度というのは、いつまでも同じ政党が政権に居座っていて、責任がはっきりしない、政権交代も起こらない、そういう問題があるわけです。 してみますと、五点ほどいろいろな要件が挙げられましたけれども、その中で、鏡のように民意を反映するということは必ずしもベストではないということがわかりました。この委員会の中の議論でも出てきましたように、選挙制度にもう一つ大きなポイントとして、民意を集約していくという要素が非常に大きい。特に我が国は議院内閣制でありますから、いろいろな民意はあるけれども、最終的には首班指名をして内閣を構成して、これが一つの政治権力として行政を執行していくということであります。 そういうふうなことからこの連用制を改めて見ますと、これは、制度の外形からいって、小選挙区と併用制の間だからいいんだ、こういうふうにはいかないと思うのであります。やはり先ほど申しましたように、基軸となる政党をつくる、そのためには小選挙区というモーメント、これが基礎にあって、核にあって、その上で死に票をいかに抑制して、民意をいかに反映するか、まさにイギリスで言うAMS、小選挙区を中心にそれをどう補正するかという考えであるべきだと私は思います。 ところが、連用制の試算等々を見てみますと、いわゆる超過議席が出ない場面では全くこの議席配分は併用制と同じになるわけです。ですから、通常の場合はこれはもう多様な民意をそのまま比例的に議会に反映する、こういう制度であります。仮に第一党が大きな議席をとれる大きな力を持っているとしましても、小選挙区でその政党が勝てば勝つほど、今度は比例での配分は少なくなりますから、そういう意味では、第一党が単独で過半数をとるということは極めて少ないんじゃないかと思うわけです。 試算の中で定数二十の県の例が挙げられておりますが、定数二十のうちの十二が小選挙区です。そのうちの十一でA党が勝って初めて単独過半数をとる、こういうモデルになっております。それからしてみますと、ある程度制度が定着して、各党いろいろ勢力が拮抗しできますと、もうこれは多党化してしまう、同じような勢力がいつまでも続いてしまうような制度であるか、あるいは、仮に第一党が大きくなったとしても第一党単独では政権をとれない、必ずどこかと連合しなきゃいけない、そういうふうな制度であるんではないかと思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○内田参考人 お答えいたします。 まことにごもっともな御意見だというふうに考えております。ただ、原則として、連立政権は必ず政権の不安定化を招くというふうには私は考えておりません。これは、連立政権の質の問題だろうというふうに思います。先ほどイタリアのA党なるものが話題になりましたが、あるいは今度はいわゆるかぎを握る第三党か第四党がなんかがあって、常にそれが連立政権であるということは問題があろうかと思いますが、要するに連立政権の質の問題であろうと思います。 それは保留をいたしますが、しかし基本的には、おっしゃるとおり、私どものねらいは、責任ある安定多数の政権をつくるということが根本でございます。まあこれは釈迦に説法でございますが、多様な意見を限りなく反映するのは結構ですけれども、政治は最後は選択し決定しなきゃなりませんから、そういう責任ある安定多数をつくり出すということを基本に考えたわけであります。 しかしその上で、これは例えば三百でそれが十分かという御議論が出てくると思うのですが、これはまさに国会で、亀井さんがおっしゃったように、最後はこれは国会の、国会議員の責任において決めていただくことでありまして、私どもが三百、二百で出したから、もうこれは一つでも動かせないんだとか、あるいは一票制、二票制の御議論も十分あるということを承知しておるわけでありまして、それは国会において十分御議論をいただきたい。 ただ、私ども提案者の感じとしては、三百、二百は適当な安定多数を生み出せるであろろうと思っています。それを三百五十、四百にすれば安定度が増すのか、それは過剰多数ではないのかなというような、これは、どの数字がいいかはわかりませんが、そういう感じで三百、二百ということを出した。そういう基本はおっしゃるとおりであって、ただその過剰な多数を、つまり議席と得票率との乖離という問題を補正することに十分配慮をした案である、こう御了解をいただきたいと思います。
○赤城委員 まさに今の点でございますけれども、私は、これは数の問題だから、ここでどう言ってもすれ違いになるかと思いますが、基軸政党をつくるというためには、ある程度の小選挙区制度のモーメント、重みがなければならないと思います。 これはやはり原点のイギリスのハンサード協会、こういったものを見習うべきじゃないかな。このハンサード協会の案では、小選挙区と比例は三対一であります。これを五百の総定数に当てはめれば、小選挙区が三百七十五、比例は百二十五、これがオリジナルのハンサード協会の案でありますから、それをどうして三百に落として比例が二百で、これはやはり野党に相当配慮したなということを考えざるを得ないわけであります。 この数を余り言ってもしょうがないと思いますが、逆に、社会党さんから特に出てくるんじゃないかと思うのですが、小選挙区を二百とか二百五十にする、こちらの考え方もちょっとよくわからないところがございます。というのは、併用制という社公案が出ていますが、併用制というので、超過議席が出ない限りは、顔の見える小選挙区部分は多いほどいいわけです。これはもう鏡のように比例するわけですから、比例する限りにおいては小選挙区部分は多くていいはずなんで、ドイツが割合は一対一です。それでもそう大した超過議席は出ないと聞いておりますので、二百五十、二百五十でもいいはずなのをわざわざ二百にしたのは、それは候補者がいないからしょうがないんだということでもあれば理解できるのですけれども、なぜかなと思うのであります。 ところが、その同じような考え方をもし連用制に持ち込むと、これは変なことになるわけです。というのは、連用制についても同じように超過議席が出ちゃいけない、鏡のように議席に反映すべきだということをいいますと、つまり連用制でも小選挙区分をもっと小さくしろ、こういうことになりますと、これは全く併用制と同じになってしまうわけです。ですから、これを三百を二百五十や二百にしろと言った途端にこれはもう連用制でなくて併用制になってしまう、そういう大きな問題があると思います。 この点では、これは第三者の立場からお答えいただいた方がいいと思うので、成田参考人、三百を減らしたらこれはもう連用制の意味がなくなるだろうと思いますし、ハンサード協会のようにふやすことはむしろ基軸政党をつくるというモーメントがふえますから、これは政治判断の問題じゃないか、こう思うわけですけれども、いかがでしようか。
○成田参考人 小選挙区定数と比例定数をどう決めるかということは、連用制についての極めて政治的判断の問題でございまして、これは民間政治臨調としてそのように御判断をされたんだろうと思います。 ただ、赤城先生御指摘のとおり、小選挙区のウエートが高ければ、安定政権とか、先ほど申し上げました政治責任の明確化及び政権交代、こういう要素が強くなることは事実ですし、比例をふやしていけば、ついにはすっぽりと比例の中に包み込まれて、超過議席がそもそも出ない、そういう意味では併用制と全く同じになっていくということになるのはそのとおりでございまして、その配分の問題は、まさに民間政治臨調としての高度な御判断からお決めになられたことだろうと思いまして、私はちょっと意見を申し上げることはできません。御容赦ください。
○赤城委員 次の論点に移りたいと思います。 ドント式の配分、ちょっと難しい配分になっておりますけれども、連用制で第二票を例えば自民党に投じたといたします。自民党に対してこれだけの、四〇%ぐらいの支持がある、にもかかわらず、小選挙区部分で自民党が当選していますとほとんどこれは、順位が後の方に回されますので、評価されない。そういう、有権者がはっきりと政党を支持している明確な意思があるにもかかわらず、これを切り捨てるというふうな問題があるんじゃないかと思うのです。 これ今、参議院で似たような形で、いわゆる並立制みたいに、選挙区選挙と比例代表の選挙とありまして、これは比例代表に投じた票というのはそのまま評価してくれる。これとの並びでいっても、何で比例に投票した票を小選挙区で当選した者がいたら切り捨ててしまうのかというふうな疑問が、これは有権者から見て、わかりにくさになると思うのでありますけれども、これはどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。
○堀江参考人 ただいま赤城議員の御質問の件でございますけれども、私どもは、第一票と第二票が別々のものだというふうに分けては考えておりませんで、いわば一つのセットになった投票、かように考えております。そこで、比例票はむしろ小選挙区票を補正するという役割を負うておるというふうに考えてみたらいかがか、こういうふうに思っております。小選挙区で当選しておられる票、小選挙区票というのは、そこの小選挙区で当選したという段階で既に十分配慮されておるのでありまして、惜敗された場合に、その不足分、その惜敗分を比例部分で補う、こういうふうに考えたらいかがかと思うわけでございます。 また、これは別の見方をいたしますれば、第二票の政党投票で各党の議席の数をまず考えてみる。具体的には、小選挙区で何議席とれたか、とれた議席の不足分を比例部分で補充する、ただし併用制と違って連用制の場合は、その補充は比例の定数を超えることはない、こういうふうに考えますと、これも一つの御理解の方法がなと思いますが、そのための一つの技術テクニックといたしまして、Nプラス一、議席プラス一のドント式で比例票を配分していけばよろしいのではないかという結論に到達した次第であります。
○赤城委員 ここは非常に難しい部分だと思うのでありますが、小選挙区で当選者が出れば、その人の票はもうそこで評価されているんだ、こういうことなんでありますけれども、有権者にとっての一票の価値をどう評価するかという問題になると思うのであります。これは、いわゆるクロスボーティングみたいな事態が起こったときに非常にはっきりと出てくると思うのであります。 例えば、第一票で自民党のだれだれ候補者に投じます、第二票でも自民党と書きました、小選挙区で自民党の候補が当選すると、第二票の方はまあ後回しで、これは評価されない。ところが、第一票で自民党の候補者を、第二票で例えば公明党と書きまして、小選挙区部分で公明党の候補者が当選しないとしますと、第一票の自民党の候補者も当選しました、第二票の公明党と書いた票もカウントされて比例の配分に与えられます。 つまり、有権者にとって、自民党、自民党と書いた場合には後の自民党は評価されないけれども、自民党、公明党と書くと自民党も公明党も両方とも評価してくれるという結果になるようでありますし、これは、憲法の言う法のもとの平等、一票の価値の平等からいって、ちょっと反するんじゃないかなという気がいたしますが、これは成田参考人、いかが思いますか。
○成田参考人 大変難しい議論でございますが、私、今思い浮かびますのは、一九五二年のドイツの連邦憲法裁判所の判決でございます。これは、直接はドイツにおける五%条項の違憲性が争われた裁判でございますが、ここで連邦憲法裁判所が言いましたことは、一票の価値ということを議論する場合に、一票の数的な価値、ツァールベルトというものと、その一票が議席配分効果においてどういう作用をしたかという効果価値、エルブォルクスベルトというものを区別しなければだめだということを言っているわけですね。それで、ドイツの連邦憲法裁判所は、一人が一票を持つ、だれも二票余分に持ってはいけないというような数的価値の平等は保障されなければいけないということを言っているわけです。 我が国でも問題になっております定数不均衡による一票の価値のアンバラというのは、まさにこの数的価値、ツァールベルトの問題でございます。それに対しまして、その投じた票がどういう議席獲得効果として寄与するかという問題は、ドイツの連邦憲法裁判所は、それは平等は保障されないということを言っているわけで、私は、これは日本でも当てはまるのだろうと思います。 もし、投じた一票が全く等しい議席獲得効果を持つということを求めるのであれば、完全な比例代表制しかないわけでありまして、比例代表の要求というのは、まさにだれが投じた一票も同じ効果価値を発揮するという要請に基づいて比例代表が言われてきているわけでありまして、例えば自民党が御提案されております小選挙区制というのは、全く効果価値では等しくない一票でございますから、そこが問題にならなければ、連用制の一票の価値のことも特には問題にならないんじゃないかというふうに考えております。
○赤城委員 非常に難しい問題に対して明確に答えていただきました。確かに憲法上は、一票の価値の平等というのは数量的価値の平等であって、つまり、同じ人が二票も三票も持たないというふうな意味の平等であって、その投じた一票がどういう効果を持つかについては、必ずしも憲法はその平等は保障するものではないし、だから、例えば単純小選挙区のように、一票を投じた者が当選したりあるいは落選したりということが起こっても、これは一向に構わないということだと思います。 そういうことでありますけれども、ただ、何といいますか、二票を持っていて、それがねじれるといいますか、クロスボーティングをするというふうなこと、または一票を投じるときの効果が、結果が大きく変わるということによって、これは実際の選挙を考えてみますと、戦略的にいろいろな手を使える。 これは外国なんかでもそういう例を聞きますが、例えば自民党の有力な議員、ほっといても当選できる大変人気の高い議員は、あえて自民党からでなくて無所属で出てください、小選挙区から出てください、こういうふうにいたしますと、その人はもう無所属で小選挙区から当選できます。有権者の方には、小選挙区は個人名、有力な何のたれべえを書いてください、比例の方は自民党と書いてください、こういうふうにやりますと、小選挙区で無所属の有力議員、実質は自民党ですけれども、この方が当選して、比例の方の得票も、自民党と書いてくれますから、こっちの枠も確保できるわけです。そうすると、ダブルカウントで自民党が圧倒的に議席を得るというふうな戦略ができるんじゃないか。これは想定できるわけですね。 それから、これはまた別の例なんですけれども、今小選挙区とか連用制に変わりますと、その小選挙区部分、もう地元に密着していますし、範囲も狭いですから、まあ地縁血縁で、長年のつき合いのあるあの人に入れよう、例えば自民党のだれさんがいい、社会党ならだれさんがいい、こういって個人名を書いてくれます。もう一票、第二票目がありますから、まあ個人名はつき合いがあるからあの人に入れた、あの人が好きだから入れたけれども、第二票の方は、既存の政党はどれも嫌だな、だから、例えば日本新党と書こう、結構こういう人も多いんじゃないかなというのは、今の政治状況だと考えられるわけです。 そうしますと、小選挙区の方で自民党の候補者が当選しました、社会党はいいところまで行ったんだけれども惜しくも落選しました、さあ比例部分で当選できるぞと思っていたら、比例の票はみんな日本新党と書いてあって、日本新党からどこどこ当選者が出まして、社会党は小選挙区でいいところまで行ったんだけれども議席を得られない、こういうふうなことも起こり得るわけであります。 そういうことを考えますと、有権者にとっては、これはもう政党中心、政策中心の選挙をやります、こういうことでありますから、有権者の意思というのは一貫していなきゃいけないと思うのです。つまり、自民党の何のたれべえに入れるんだったら政党も自民党でなきゃいけないし、社会党に入れるんだったら小選挙区の方も社会党の候補者に入れるというふうに一貫していなければ、これは政党中心、政策中心とは言えないんじゃないかなと思うわけであります。 これは、またハンサード協会の例を出して恐縮なんですけれども、ハンサード協会でも一票制、こういうふうになっておりますし、なぜ二票制がいいのか、あるいは、これを一票制にしたら何か制度的に問題が生じるのか、この点、それぞれお尋ねしたいと思います。
○堀江参考人 ただいま赤城議員の御指摘の点はいずれもごもっともな点が多いかと思いますが、私ども二票制を御提案申し上げましたのは、ある意味では、選挙区で国民の代表を有権者が選ぶという以上は、やはり顔と申しますか、人を中心に選ぶという面がどうしても必要である。しかし同時に、議会政治は政党政治でございますので、やはり政党を選ぶという面もなければならない。そういう点で、私どもは、小選挙区では個人名を書くという一票を投じ、そうして比例区では政党名を書くという一票を投じるようにしたらいかがか、こういうふうに考えた次第でございます。 クロスボーティングについての御疑念もございましたけれども、確かにそういう点はございますが、またこれは見方を変えてみますと、例えばドイツ等々において見られることでありますけれども、自分の支持する政党はあるけれども、残念ながら議席が必ずしも多くはない、したがって自分の属する選挙区ではその候補者は立つことができない、立っていない、こういうような場合には、もし一票制でございますと、その人の信条に反して個人票だけを投ずることになり、ひいてはその政党に対するロイヤルティーがだんだん薄れていく、かえってその選挙民の政治参加を阻害するという側面も生じかねないという点もあろうかと思うわけでありましす。 そういう点では、二票制ということによって有権者が政治参加について政治関心を高めて、積極的に参加するという側面もあろうかというふうに考えるわけであります。こういう点では、物事すべてメリットとデメリットと両面がございますが、そういう角度からも考えられるのではないかということでございます。そして、私どもは、あくまで人と政党をセットとして有権者に投票してもらうということで、二票制を提案したわけでございます。
○赤城委員 同じ点、成田参考人からもお願いします。
○成田参考人 お答え申し上げます。 ドイツは一九四九年に最初に併用制を導入いたしましたときには一票制でございまして、二回目の一九五三年から二票制に改めまして、現在に至っているわけでございます。そこで、ドイツは一票制と二票制両方経験をしたんですが、ドイツ国内での評価は二票制に対して高いですね。これは一言で申し上げますと、有権者の投票チャンスを増す、選挙への参加度を増すということで、ドイツでは大変高く評価をされている点でございます。 ただ、周りの国、例えばイギリスとかほかの国から言わせますと、二票制というのは、どうも有権者のいわゆる戦略的投票を誘発して、問題があるんじゃないかという議論もあるようでございます。 したがいまして、一票制にする、二票制にするというのは政策的判断でございまして、民間臨調としては二票制を提案されているんだろうと思いますけれども、技術的には一票制ということは可能じゃないか。それで、我が国で昭和五十七年に参議院に比例を導入するときに一票制の議論がございました。それから、海部内閣の並立制案のときにも一票制の議論がございましたが、ともにこのときは一票制は違憲であるという議論が非常に強かったんです。 しかしこれは、参議院も、それから海部内閣の並立も、二つの選挙を一票で間に合わせるということが大きな問題であったわけでございまして、連用制というのは合わせて一つの選挙でございますから、一票制ということも、政策的にはどうかわかりませんが、技術的には可能じゃないかというふうに考えております。
○赤城委員 二票制でも一票制でも、これは政策論だということでございましたけれども、私はやはり、政党を選ぶ、候補者を選ぶ、これは一貫しているべきだと思います。 それから、堀江参考人から言われた点で、小選挙区で候補者を立てられないような政党もあるじゃないか、それに対する選択肢を与えるべきだということでありましたけれども、制度の目指す穏健な多党制、大体三から五ぐらいの政党ということだと思うのですけれども、そういうある程度大きな政党は、少なくとも三百選挙区ぐらいには候補者を立てて、我が党の政策はこうでありますと訴えるような政党であるべきだと思いますし、これは一票制の方がいいのかなと感想を申し上げさせていただきます。 次に、もう一つ難しい問題、名簿結合というふうな仕組み、これはちょっと耳新しいのでありますけれども、これはどういう目的であるのか。それから、都道府県ごとに名簿結合するということになりますと、あっちの県はこういうふうに結びついた、こっちはこうだとばらばらに結合するようなことが起こるんじゃないかと思うのであります。だから、仮にこれをやるとしても、全国一本で名簿結合をしたらすっきりするんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○堀江参考人 名簿結合についての御質問でございますが、ヨーロッパ諸国は非常に多くのいろいろな複雑な選挙制度をとっておりますので、こういった名簿結合といったシステムをとっておるのは決して珍しくはございませんが、これは、比例制で議席を配分する際に、少数政党の場合に、一党ではどうも議席配分にあずかれるだけの得票率が比例票で獲得できていない、しかし同じような類似の政党が名簿結合をすればこれを一党と考えて議席配分をするということでありますが、そうすれば議席の配分にあずかれるということで、これは、一つの制度を改める場合に生ずるいわゆる激変緩和といったような見地からも、こういった名簿結合というものの意味が出てくるかと思います。 ただ、この場合、御指摘のように、県単位でやると県ごとに異なる政党同士の結合が行われて、有権者が戸惑うのではないか、政策あるいは立党の精神等々において一貫性を欠くことにならぬかというごもっともな御指摘でございます。ただ、私どもが提案しております名簿結合においては、最終的な、例えば最後の議席を配分するといったような場合に、A党、B党の名簿結合によってその結合した党が一議席を得たといたしましても、その場合にその議席がどちらに行くかということは、A党、B党の得票率によることになっております。 したがって、名簿結合したA党、B党は、選挙の結果で一議席を得たからといって、それが自分の党に来るか、結合の相手に行くかということはわからないということでありますので、そうなりますと、このA党、B党は、結合する場合によほど政策においていろいろな協定ができ、あるいは親近性がある、あるいはあらかじめ選挙民に対してそういう結合がその県で行われているということが十分周知徹底しておるというような状況でなければ、現実問題として名簿結合は行い得ないということになろうかと思いますので、赤城委員も御指摘のように、言葉は憩うございますが、時に野合と言われるような名簿結合が生ずるのではないかという御疑念はよくわかりますが、現実にはそのような形で結合するということになりますと、結論はどちらの政党に行くかわからぬということでありますし、またそのような無責任な結合を重ねておりますと、結果的にはかえって有権者の反感やあるいは失望を買うということになるのではないかという点で、おのずから一つの政策協定あるいは政策その他のイデオロギー等における親近性というようなことがない限り、名簿結合は事実上行い得ないであろう、こういうふうに考えております。
○赤城委員 時間がないようでありますので、各県ばらばらになるということはないということでございましたので、これも全国一本にしてもよろしいのじゃないかなと思います。 以上、いろいろ疑問の点とか御質問を申し上げましたが、いずれにしましても、今ここで与野党がしっかりと合意案をつくって政治改革をやるんだ、その思いで大きな一石を投じられた。一つの大きな参考にさせていただきたいと思いますし、これも私どもしっかり受けとめなければならないと思います。その中で、ソフトな二大政党、ソフトな政権交代、こういうふうな考え方というのは大いに、これは選挙制度を考える上での一つの理念として、また世界的レベルのものだという御指摘でもありましたので、参考にさせていただいて、これからの議論を大いに進めてまいりたいと思います。 参考人の皆様方、深く感謝、御礼申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○田邉委員長 早川勝君。
○早川委員 この特別委員会のよさは、自民党と社公案をやる場合は私が答弁席に座りまして、参考人の皆さんが見えますと質問者の席にも立てるという歴史的な委員会運営が行われているわけでございますが、最初に、今までの特別委員会の中で、先ほど亀井会長も言われたんですが、共通項があると言われた中で、中選挙区制からもう脱却するんだということを総括されたのですね。確かにそういう議論がありまして、そしてまた、きょうの内田先生も先ほど中選挙区制の短所、欠陥を指摘されたわけですが、ただその議論の中で欠けているのは、七十年近いこの制度を、じゃそういう短所、欠陥を持った制度だったのかと、そういう印象が非常に強いわけでございまして、いや、長所はあったのじゃないかなと思うのですね。 その点、これは内田先生ぜひ、戦後の、やがて五十年たちますけれども、そういった流れの中を見まして、短所はわかりましたけれども、長所というのは一体なかったのだろうかというふうに考えますと、どのように整理できるものか、お聞かせいただきたいと思います。
○内田参考人 私は、今のお尋ねにまともに答えることになるかどうかわかりませんけれども、戦後の政治システムはこれまではかなりうまく機能してきたというふうに思っております。その一つの基盤に、中選挙区単記制という選挙制度があったことも、私は否定するものではありません。 長短いずれぞやということになると、これはもうある意味では出尽くしている議論でございますから、これがよかったよ、これが悪かったよという話は省略いたしますが、私は、一つのシステムというものはやっぱりおのずから寿命を持っているというふうに思っておりまして、これまで四十年うまく動いてきたということは、それによって例えば今日の経済大国というものが築き上げられた、それに、経済が一流だったからだとか、国民が勤勉だったからだとか、政治は三流、五流でなってなかったけれどもなどという論にはくみするものではございません。 しかし私は、歴史的に見て、この五、六年来、ゴルバチョフが出てきたのが一九八五年でありますから八年目ということになりますが、あれ以来の世界の大激動というもの、そしてまた、日本の国内においても急速に経済社会のこれまでのシステム、これまでの利益配分でやっていけなくなってきているという状況、その大激動の中では、過去四十年はうまくやってきたものであっても、変えなきゃならないときが来た、こういう歴史認識で最近の政治政車論をやっているということでございます。 もっといろいろ申せば切りがございませんが、要するに、今までうまくやってきたのは、言うまでもなく、米ソ冷戦体制の中で、その一方のアメリカの核の傘とドルの傘の中に入って、いわば国際的なことは考えなくてもいい、考えるとすれば、むしろイデオロギー的な米ソ対立の、失礼ですが、いわば下請、ミニチュア版みたいなことをやってきた政治というものが、もう大きな枠組みが崩れたからには、これまで何とかやってきたけれども、それがこれからも続けられるのだ、日本だけはこれでいけるのだということではないという基本認識から申しておるつもりでございます。
○早川委員 私は、中選挙区制のよさというのは、いわば新人が無所属としてでも候補者として政治に参加できる、そこが大変すぐれた面だ、いわゆる民主主義的にすぐれていると思います。 で、併用制にしろあるいは単純小選挙区制にしろ、これから問われるのは党の民主主義、党内民主主義の問題だと思うのですね。これはどこがどうという問題でなくて、これからの問題。先ほど内田先生、これから政党改革の問題もぜひ提言をしたいと言われましたが、そういう意味で、政党が問われると思うのですね、民主主義、成熟度、私はそういう認識をしております。したがいまして、先ほど冒頭言いましたように、長所のところが余り真剣に議論されないできているという印象を私個人は持ちますので、新しい制度を考える場合にも、そのよさと政党の民主主義、成熟度、この関連を考えなきゃいけないと私は思っております。 それからもう一点は、内田先生、ジャーナリストと先ほど言われましたのですが、マスコミの世論調査結果を見ますと、やはり政治腐敗対策のウェートが非常に高いのですね、足しますと六割、七割。いわゆる政治家の倫理観あるいは金に非常に弱い、汚染されたという、これに対する不満が大変強くて、そして選挙制度は割と低いのですね。二〇%までいっていない。で、永田町の論理だけでは通用しないよということも、これまた反省を迫られているわけですが、その国民の意識とのギャップですね。 すべて一体でやるべきだということもよくわかるわけですけれども、まず一括で処理しなければいけないという議論をやってきたわけですが、一方、国民のいわゆる民意というものを反映するとすれば、そのギャップがあるのですけれども、これはどういうふうに理解したらよろしいものなんでしょうかね、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
○亀井参考人 お答えいたします。 政治腐敗の問題が政治不信につながり、国民の関心が非常に高いということはわかるわけなんですが、ところが、私どもの考え方は、政治腐敗の根源が、この中選挙区制ということを長くやっておったところから胚胎したところが非常に多い要素があったのではないか。これはもう先生方も御承知ですからちょうちょう申しませんけれども、そこに非常に巣食って、そして、例えば党内の派閥ができるとか、いろいろな弊害が出てきている。それで、国民の方々は、やはり出てきた現象を追う。あるいはマスコミの取り上げ方も、表面に出た現象をとらえて、その真因というところについて本当の理解あるいろいろ報道というのをやってないというところに問題がある。私どもは、やはり制度のところに問題があるのではないかというふうに思います。 これは、私はもともとメーカーの出身ですが、メーカーで四十年間使っておった機械を、これはもう機械自体が疲労し、そのままでやっておって次もそれでやっていいかというと、基本的には経営者は、例えば考えてなかった環境問題というのが出てくる、あるいは技術の進歩がある、いろいろそういう要素があって、常に経営者というのはリニューアルを考えていく。そうすると、この選挙制度というのが一つのシステム、メカニズムであれば、やはりそこで、長年使って制度疲労が来ておればこれを直すという、それを国民に啓蒙するというのが私はむしろ政治家の方々の任務ではないか、そういうふうに思っております。 〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
○早川委員 そこで、まず最初に政治資金の問題について伺いたいと思いますが、確かに政党交付金、いわゆる政党への助成金を含めまして、また倫理の問題を含めまして、自民党案よりもあるいは社公案よりも大変厳しい面がございます。民間の立場からされますと、それぐらい厳しいものを求めるし、それだけ信頼されてないのだなということで感慨を持つわけでございますけれども、大きな問題は、この特別委員会で議論されてきました中での政治資金をめぐっての最大の対決点、違いは、企業・団体献金を禁止するかどうかという問題なんですね。 今度の民間臨調案では、政党そして政治資金団体にのみ認めるということでございますが、今までいわば諸悪の根源と言われるくらい企業献金が日本の政治を悪くしたということも言われてきたわけでございますし、また、企業も何ら目的もなく献金するわけはないですし、そういうことを考えますと、やはり企業献金を禁止すべきではないかと思うわけでございますけれども、これを認められた理由をお聞かせいただきたいと思います。
○堀江参考人 私どもは、企業あるいは団体献金をすべて悪だと決めつけるような態度は、姿勢はとっておりません。と申しますのは、御存じのとおり、企業や団体も社会的存在でございますし、これをネガティブな面からのみとらえて、政治に対してアクセスする道をすべて断つのは妥当ではないと考えております。 ただ問題は、野方図な、全く無規制のこういった団体献金や企業献金は困るわけでございますから、これを規制する、そして政党政治、政党中心の政治という原点に立ち戻って、私どもは、団体や企業献金は政党に対しては認めていこう、個々の政治家個人には団体献金は認めないというふうにしたらいかがかと思っております。 また、ヨーロッパの諸国を見ましても、企業献金を禁止しているという例はございませんし、政党助成を行っているドイツでも企業献金を認めておるというような状況もございますので、直ちに企業・団体献金をすべて一切禁止するというのは実情にやや合わぬのではないかという気がしておるわけであります。 なお、まことに細かな問題でございますが、現実には、本来献金は一人一人の市民が自発的に少額の、しかし多くの市民が非常に積極的に献金をするということが最も望ましい形であろうかと思いますが、ただ現実には、現在においても、個々の市民が献金いたします場合も、私ども、企業と申しますとすぐ一部上場の大企業のみを連想いたしますけれども、地域社会の個々の市民が実際に政治献金をなさる場合も、今日多くのそういった個人経営者、商店等々は会社組織になっておりまして、現実にはそれが税制上企業献金の形で処理されている場合も非常に多いように思われております。 したがって、これは、税制の改革等々と政治のシステム全体が近代化していった暁にはこういう問題はなくなろうかと思いますが、まだ現状においては、社会的存在として企業が我々の社会で認められている以上は、こういった献金は、殊に政党に対して行うことについては認めてよろしいんではないかというのが私どもの考えでございます。
○早川委員 これは成田参考人に、もしおわかりでしたらアメリカの政治献金、企業献金の問題、おわかりですか。ごく簡単で結構ですから。今のポイントは禁止かどうかです。
○成田参考人 アメリカは、企業献金は一九〇七年のティルマン法で禁止されておりまして、組合献金も四三年と四五年の法律で禁止されております。
○早川委員 ということもございますので、ヨーロッパの例を出されまして言われたのですが、またアメリカてたしか二十州は完全に禁止だとか、州で違いがあるということもありますが、結局はPACはあくまでも個人を、企業が出して個人がという話を聞いていますが、形としてはあくまでも個人がそこに出すということにはなっているわけですね。ということも十分御承知の上で今回は認められていると思いますが、この委員会では野党と与党の最大の争点になっているということもぜひあわせて御理解いただきたいと思います。 そこで、先ほど成田参考人が連用制の特徴を二つの面から性格づけをされたのですね。最初は、イギリスの単純小選挙区制の応用と見ることができるということと同時に、イギリスと西ドイツの併用制との関連をどうするかということで、それを超えた、亀井会長のアウフヘーベンのお話が出ましたけれども、それぐらい非常に高い、新しい制度だ。そして表現として、これは併用制だ、超過議席のない併用制だ、こういう性格づけをされたのです。 ということは、この案に対しまして、並立型の修正版だという見方をこちらからはできます。こちらからは、いやそれは併用制の修正版だというふうにも見ることができるという、非常に高度な制度だというのか、玉虫色の制度だかわかりませんけれども、実際そういうものなんですか。これは成田参考人にお願いしたいと思います。
○成田参考人 先ほど私が申し上げましたことは、AMSというイギリスの、小選挙区をベースにして、その得票と議席のゆがみを比例で補正するという方式が、理論的に、超過議席を抑制した併用というものと同じになるということを民間臨調が明らかにしたことが、恐らく与野党の並立と併用の中間的な効果を持つものとして提言をするに至った動機になったんではないかということを申し上げたわけでございます。 仕組みといたしましては、どちらかというと、併用がベースかなという気はいたしますが、並立、併用の中間と言われているのは、日本における現実の議席配分効果を見た場合に、中間的なものだというふうに見ることができるんじゃないかと言われているんだろうというふうに考えております。 よろしゅうございましょうか。
○早川委員 ということですと、中間は別にして、性格づけをすると、併用制のバリエーションだというふうに理解してよろしいわけですね。多分、そうすると、自民党さん困ったなと言われるんじゃないかと思いますが。
○内田参考人 一言ですが、併用と並立と、これはおれの方の案だというふうに言ったら切りがない話で、私どもは実際の働きとして中間のところに、いい線にいくだろうということで言っているわけですから、これは併用制だからおれのところは認めるよと言えば、並立制だと言っている方ははね飛ばすわけですし、それこそ国会の良識において折り合っていただきたいということなんです。
○成田参考人 正しい理解は、やはり第三の案だということだろうと思います。
○早川委員 そこで、私たちは、社公両党で出しているあの併用制がベストだと思って出しているわけですね。また、確信をしているわけですね。じゃ、そういった立場からこの連用制を見ますと、どうも釈然としないなというところがございますので質問させていただきたいと思いますが、第三の案ということで言われますとそこでとどまってしまうわけですが、先ほど言いましたように、私の立場から問題点を出していきたいと思います。 併用制は、総定数をすべて比例で確定するわけですね、御存じのとおり。ところが今度の第三の案は、比例定数部分のみ比例配分をするということに決定的な違いがあるわけですね。したがってこれは、併用制のどの程度のバリエーションと見るかは別にしまして、ベストに近いなというふうにはまず考えられないというのが一つございます。 それから二番目に、特別選挙が実はございます。欠員が生じたときは補欠選挙をやりますね。それから、無効になったときには再選挙をやるわけでございます。提案によりますと、ドント方式の修正というか変形、いわゆるプラスワン・ドント方式で配分するわけでございますが、そういった特別選挙のときにはもう遮断されてしまうと理解してよろしいのかどうかということです。 つまり、小選挙区は小選挙区で選びますけれども、比例の場合にはそのままの名簿、その政党ですかね、上がってくるというふうになります。そうすると、ドントというのは、総選挙が終わったときに計算するときにはプラスワン方式できちんと分けていく。ところが、特別選挙になったときには、このプラスワン方式というのはもう機能しなくなってしまって、完全に比例は比例、小選挙区は小選挙区、こうすみ分けがされる。そういう見方をすると、これは並立制だな、こうなるのですが、そういう認識はいかがですか。
○堀江参考人 私どもは、この連用制というのは並立制と併用制に架橋する、先ほど成田参考人は第三の道と言われましたが、架橋するものと考えております。 ただいま御指摘のような補欠選挙の問題でございますが、これは、私どもの御提案では、小選挙区の場合は欠員が生じた場合は補充選挙を行い、比例部分に欠員を生じたときは繰り上げ補充をする、こういうふうに御提案を申し上げております。しかし、これは御存じのとおり、繰り上げあるいは補充、こういった問題は、いろいろ技術的な問題がございます。そこで、我々いろいろ研究した上で、一つの案としてこういうふうな御提案を申し上げておるわけでございますが、現実の問題といたしまして、現在参議院の比例区においても、繰り上げに伴ういろいろな問題が派生じておることはよく承知しております。 そこで、そういう問題については、これは制度の根幹にかかわるものではなくて、むしろいろいろな実務に携わっている方々の御意見を参考にして出した結論でございますので、この問題につきましては、私どもの提案はあくまでも実務家が、比較的簡便にといいますか簡易にこういう処理ができるということで、私どもはそれに従って御提案をしたものでございますが、これはあくまで御参考と申しますか、今後の皆様方の御審議の結果でということでございます。
○早川委員 先ほども赤城委員が質問をされておりましたが、また答弁がございましたが、小選挙区を三百にしたのは、安定政権を築くためにはという観点から三百にしたと言われたのですが、私たちの立場から、つまり併用制の立場からしますと、やはり自民党に配慮した制度ではないかな、こういうふうに思います。 それから、三百にしたことによって、シミュレーションの話が先ほど来出ておりますけれども、今と同じように過半数以下、五〇%以下の得票率でも議席は確保できる、これが小選挙区制のよさであるわけですね。仮に五〇%を超えなくても議席数は五〇%を超えて安定政権になるということなわけですから、三百にしたということは、結局そういう意味だと思うのですね。 そうすると、併用制のサイドからすると、得票率と議席はきちんとリンクしなさいという考え方ですから、どちらかというと、併用制のバリエーションというよりも、小選挙区制のバリエーション、そっちにウエートがかかっているんじゃないかなというふうに理解するわけですけれども、そんなことでよろしいですか。
○亀井参考人 三百にしましたのは、実は三年前ですか、平成二年に出しましたときに、選挙制度審議会で区割りをやったときに三百と言った。一対二の原則を厳重に守ろうとすると、三百でもなかなか難しいという事態があったわけです。 具体的に申しますと、人口が一億二千万ですから、三百に割りますと四十万に一人ということになりますね。そうすると、四十万というのは、びしっと四十万に割るわけにいきませんから、幅を設けなければならぬ。そうすると、これは二十六万をミニマムにして、マキシマムが五十二万ですか、その幅に選挙区をはめていく、こういう格好になるわけです。それから、二百にしますと、今度は六十万に一人ということになりますと、これは七十八万と三十九万の間に入らなければならない。 そうすると、日本の人口構成、府県のは非常に不公平になっていまして、鳥取県は六十万しかないわけですね。そうすると、鳥取県は一人にしかならない。私の友人に鳥取県人がいまして、あれ三百を減らして二百にしたら鳥取県からは小選挙は一人になるぞ、県民意識としてけしからぬ、こんな法案になったら鳥取県を挙げて反対する、そういうふうな意見もございまして、私は、小選挙区で一対二の原則を守ろうとすると、やはり三百というものが一つの限界ではないか、こういうふうに技術的な問題で、これは選挙制度審議会の区割り委員会の経験から一つ申し上げます。
○早川委員 技術論と、先ほどの赤城委員の論理、明快なところがあるのですね。三百七十五にしなさいというのは、向こうの立場に立つと明快なんですね。私たちの立場に立つと、全くよろしくないわけですね。できるだけ少ない方がよろしい。それで二百という併用制を持っているわけです。 そうしますと、今亀井会長は、三百が一対二の限界だ。もっとぎりぎりすると、多分二百五十とか二百七十とかいう数字で一対二がクリアできるかもしれませんね。これは技術論で処理できると思うのですが、そういう考え方をしますと、この三百というのは、私たちの併用制案からするとより少ない方がよろしい、これは乖離がないようにするわけですから、ということになると思います。 そういったことを考えますと、技術論の問題がありますけれども、基本的には、小選挙区制の本質の持つ安定政権、乖離があっても保障するというところに、まあ意図的か結果的か、どちらとも言いかねるわけですけれども、そちらにウエートがかかっているなというふうに理解せざるを得ないわけですね。そういう内容ではないかなと思っております。 それから、先ほども質問がございまして、修正ドント方式と二票制の問題ですね。これは実質一票というような説明を堀江参考人はされたのですが、やはり二票だと思いますよ。有権者は個人名をきちんと書いて、それから政党名を書く。ところが、臨調案ではいろいろなケースが参考資料で出ておりました。千票を割った数字がございましたが、小選挙区の方で議席を得た政党は、第二票はもうほごになりますね。議席獲得には寄与しないということは、例えば千票の内訳で四百五十という数字を使わせていただきますと、あそこは死票になりますね。そうすると、この二票というものは、まず一票の重みが違ってくる。二票目の重みが違ってくる。ゼロから何分の一かという数字になってくるということで、不等価ではないかという問題がありますね。 先ほども、憲法十四条の法のもとの平等に反しないかということで、成田参考人に聞くと同じ答弁が多分返ってくると思うのですが、ドイツの憲法裁判所はそういう判決を下した。日本の、最高裁の話をやり出しては恐縮なんですが、憲法上そういった疑義はないのかどうかですね。そういう訴訟が行われた場合、十分たえられるのかどうかという問題があるのですが、この点はいかがですか。
○成田参考人 先ほど御紹介しましたのはドイツの議論でございますが、同じ民主主義国家として日本にもそういうような考え方は当てはまるのではないかということで御紹介をさせていただいたわけでございまして、もちろん最終的には裁判所が判断することだと思います。 ただ、今早川先生の御指摘の点で申し上げますれば、説明の仕方は違いますけれども、併用制でも同じことでございますから、先ほどの千票の例で、A党が四百五十票という場合に名簿から追加議席が来ないという点は併用制でも全く同じことでございますから、多少連用と併用は説明の仕方は違いますけれども、そういう意味で、特に自民党の先生方のサイドから、比例から当選者が出ないじゃないかという点は異ならないわけでございまして、そこは特に連用と併用には差はないのだろうというふうに考えております。
○早川委員 つまり、実質一票だというのではなくて、やはり二票をボートするわけですから、問題はこの二票目がゼロから一まであるわけですよ。先ほど例に出されておりましたけれども、一票目を無所属の候補者に入れ、個人に入れて、二票目はきちんと政党名に入れて、そうしたら二票生きる場合がございますね。つまり一から二の間に価値の部分がある。 それで、では併用制と連用制の違いは何かというと、やはり併用制は、結果として起きる場合がある。ところが、連用制の場合は制度的に一から修正ドント方式をやるわけですから、極端に言えば、一票をたくさん集めた政党は、大ざっぱに言いますと、二票目のところは少なくなるのですよ、価値が少なくなるですよ、こうなるわけでしょう。制度的に不等価があるのではないかと思うのです。 したがって、連用は制度的に不等価が起こり得る、そういうシステムなのです。ところが、併用の場合には、結果として起こるかもしれない。そこはわからないですね。そういう違いは私はあると思うものですから、全く同じだ、そのぱっと出た結果は同じではないかというのではなくて、制度論としては違うのではないかと思います。
○堀江参考人 早川議員の御質問でございますが、誤解を招くといけませんが、説明の仕方として申し上げるのでございますが、併用制と連用制の議席の配分の仕方の仕組み自体は同じ形をとっております。 つまり、併用制の場合は、まず第二票である政党票で各党に配分される議席を決めます。これは併用制も連用制も同じでございます。そうして、小選挙区で当選した、その政党の小選挙区での獲得議席数が比例配分の議席数に足りないときにこれを比例から補充するという点も、併用制も連用制も同じでございます。 ただ、併用制と連用制が違うのは、小選挙区で配分議席以上に議席を獲得した政党があった場合に、併用制はこれを既成事実として超過議席として上乗せして定数以上の当選者を認める、連用制の方は、比例部分からの補充を比例定数の数を超えることのない範囲で補充する、したがって連用制の場合は超過議席が出てこない、こういうことになるわけでございます。 ですから、理論的な仕組みの上では全く両者は同じやり方、考え方をしておりまして、ただ、小選挙区で配分議席以上に議席をとってしまった政党があった場合に、併用制はそれは上乗せで超過議席にする、連用制の方はそれはその分比例の方から補充するのが比例の定数の限度においてとどめるということになりますので、非常に得票数の少ない弱小の政党があった場合にはそこには配分がいかないということで、このメカニズム自体は同じでございます。
○早川委員 問題は、やはりメカニズムの問題と、一票の不等価の問題は残るのじゃないかなと思います。 それからもう一つ、先ほども出ました名簿結合の問題ですが、これも、最後に自動的に解消してもよろしいよといっただし書きも書いてございました。結局、極端に言えば、最後の一議席がA党に行くのかB党に行くのかという、結果的にはA党が比較多数をとった場合にはそちらに行きますよ、こうなるわけですが、最終的に結果が出ないとわからないわけですね、どちらに帰属するんですかと言ったときに。十分御存じだと思うのですが、憲法四十二条の「選挙された議員」というところの問題は起きないだろうかという懸念でございます。 つまり、本来直接選挙ですね。先ほど参議院の例もお話しされましたが、本来的には、投票をして、拘束名簿でそれをカバーしてということでやってきましたですね。今回の名簿結合の場合には、最後にならないと、つまり、自分はA党に入れたのだけれども、A、B、Cで連結名簿になっている、名簿を連結されている。自分はA党に入れたけれども、あるいはB党に入れたけれども、最後はA党へ行くんだということですね。自分はB党の議席に寄与したいと入れたものが、結局その票が動くようなものですね。A党に動いて合算されるわけですね。あるいはC党でもそうですね。そういうことは、この四十三条の「選挙された議員」というところと抵触しないのか、その点、検討されましたかということをちょっとお聞きしたいのです。
○堀江参考人 ただいまの御質問でございますが、私ども、その問題について随分いろいろ研究してみました。そして、これは先ほど赤城議員の御質問のときにもお答えしたことでございますが、名簿の結合をする政党というのは、政党間でひそかに結合しているわけではございませんで、選挙の時点でもう公然どこの県においてはA党とB党は名簿結合するということを明らかにし、そして選挙運動をやっておるわけでございます。 したがって、有権者も当然そのことは承知して一票を投じるわけでございますので、自分は元来政党支持はA党であるが、そのようなB党に行くかもしらぬような名簿結合をしておる場合には入れたくないということはその有権者の自由でございまして、つまり、名簿結合を承知で御投票になっているということでございますので、私ども、それは特に有権者の投票の権利を侵害したことにはならぬだろう、こういう結論に達したわけでございます。
○早川委員 先ほど成田参考人は、非常に高い評価をされた連用制ということを言われたのですが、プラスワン方式を含めまして、国際的にはこういう制度があるのかどうか。いや、ないからそれだけ価値があるのだという話になるかもしれませんが、オランダ、ベルギーの場合のプラスワン方式というのは、残余議席の配分ですね。それが行われているし、同時に、オランダ、ベルギーの場合一票投票ですね。それから、小選挙区比例代表の配分、併用制になっている場合、ドイツは二分の一ずつですね。小選挙区は二分の一、比例分が二分の一。ハンガリーが特殊だということでそれなりに評価されるのですが、大ざっぱに言って半々ぐらいだと思うのですね。 そういったことを考えてみますと、連用制というのはどこに近いのか。どこにも近くないのか、どこに近いのかという、つまり二票制の問題を含めてお聞かせいただきたいと思います。
○成田参考人 お答え申し上げます。 先ほど御説明いたしましたのは、この連用制の研究の基礎になったと思われるAMSという制度が、現在小選挙区制を現に実施しているイギリスとかカナダとかニュージーランドというような国において、現在の小選挙区制の問題点を解消する改革案として研究をされてきたということを御説明したわけであります。 したがいまして、選挙制度理論としては極めて新しい、それを研究している国は、現に小選挙区をやっている、こういう国でございますから、またそれが広く採用されて普及するに至っていないというのは、そういう制度の研究の事情に由来するものでありまして、そういう意味では、あえて申し上げれば、これからの制度がなという気がいたします。
○早川委員 社会党、公明党から出している立場である、併用制を出している立場から、冒頭言いましたように質問させていただきました。 併用制により近いものにしてほしいというのは当然ですね。選挙制度というのは、党利党略があるのは当然だと思います。そういうことから考えますと、そしてまた憲法的な問題を含めまして考えてみますと、併用制は一票二記載という、いわゆる一票ですね、基本的には一票でやっているわけです。今回は二票ですから、これは一票にした方が私たちの主張の方にもっと近づくなというのがまず考えられます。 それから二番目に、得票率と議席数ですね、その関連をできるだけ乖離を少なくした方がいいなというふうにまず思いますし、超過議席をなくすためにいわば比例議席にしわ寄せをさせていくわけですから、それを避けたいなというふうに考えます。三百と二百、技術論の問題がありますけれども、先ほど言いましたように、西ドイツなどはフィフティー・フィフティーだというようなことを考えると、比例を軸にしているんだなということでフィフティー・フィフティーぐらい考えられていた方が私たちの併用制、比例を軸にした制度に近づくなというふうに考えられます。 それから、名簿結合の問題も、まず有権者にとっては非常にわかりにくいと思います。そういうことを考えますと、少なくともなくすか、あっても統一名簿の方がはるかにわかりやすいのではないかということも言えるわけですね。ただ、先ほども意見ございましたが、私などはない方がいいのかなという感じがします、すっきりとした、まあこれは個人的な見解ですが。 そういった問題を考えますと、この連用制を私たちの併用制により近くしてほしいなというと、今言ったような算定をしてもらえると、だんだんだんだん結果の中間ではなくて、議席の並立と併用の中間ではなくて、システムとしても私たちの方に近くなるというふうに考えます。 最後になりますけれども、二院制の問題です。 これは内田先生が、国会改革そして政党、政治のシステムを全部変えるぐらいのそういったスタートにしなければいけないという展望に立っていると言われて、全くその必要性に今私たちは迫られていると思います。そういった関係で、二院制からして、参議院の選挙制度をどういうふうに考えていったらいいのか。併用制を出してもそうなんですけれども、非常に両極端の単純小選挙区と完全比例からいくと、その中間に同じように位置するような仕組みになってしまいます、真ん中に現行の中選挙区制があるとすれば。そういったことを考えますと、衆議院の選挙制度を変えていくと同時に、参議院選挙制度とどういう展望をすべきなのか、どういう選挙制度のあり方を考えるべきか、御意見がありましたら伺いたいと思います。
○内田参考人 私どもは、選挙制度の改革は衆議院やり参議院やり、そして地方議会に及ぶべきものだと考えております。したがいまして、今私たちの民間臨調では、参議院の新制度についても検討を進めております。ただ、まず衆議院をというのは、リクルート以来五年と申しますか、二年前もまず衆議院をということで始めたわけでありまして、一部の方の発言の、この土壇場に来て、衆議院と参議院は一体だよなどという議論は、私どもはこの新しい制度をつくろうということに対する挑戦であるというふうに受けとめております。 したがいまして、参議院は、衆議院をまずやって、やるべきであると思っておりますが、その中身についてはなお検討中なものですから、ここで私個人の意見は余りはっきり言うことはいかがかと思いますが、小選挙区にしろ比例代表にしろ、いずれにしても政党本位の、政権交代をするための制度の改革をしようとしているわけです。 それに比べて、やはり参議院はおのずから別な役割を持つのであろう。それは、良識の府などという言葉は私、余り好きではありませんけれども、おのずから第一院と第二院は違った役割、機能を持つべきものである。その観点からいえば、やはり参議院議員の方々の個人的な見識というようなものが主になるのかなというあたりで、これは参議院御自身もいろいろ研究しておられるようでありますけれども、衆議院を単純小選挙区で参議院を純粋比例代表というのは、これは一つの理論としてはあり得ることでありますが、果たしてそうであるのか。ある意味ではそれは衆参逆ではないのかという議論も成り立ちましょうし、あるいは純粋に地域代表というようなことを考えるべきかなと思ったりしております。 余り個人の意見を申し上げるのは、きょうは控えたいと思います。いずれ、近く出します全面的な改革大綱には、参議院の問題にも言及するというつもりでおります。 以上でございます。
○早川委員 ありがとうございました。
○中西(啓)委員長代理 井上義久君。
○井上(義)委員 本日は、参考人の皆様方には大変貴重な御意見を賜りまして、心から感謝申し上げる次第でございます。 とりわけ、自民、社公それぞれ案を出しておりまして、この政治改革特別委員会で五十時間以上に及ぶ審議をいたしておりまして、相打ちで現状維持は許されない、今国会中に決着をつけて次の選挙から新しい制度でやる、こういう国会が置かれた状況を考えますと、この時期に連用制というまことに傾聴に値すべき案をお出しいただいたことについては、心から敬意を表しておる次第でございます。 そこで、まず第一番目に、この連用制について、わかりにくいという御批判があるわけでございます。先般も宮澤総理、ニュージーランドで連用制についてわかりにくい、こういう発言をなさって、本当にわからないのか、わかっていてわかりにくいとおっしゃっているのか、その後も官邸サイドあるいは自民党の幹部の方からわかりにくいという、連用制に対する一番簡単な批判といいますか、どうも相打ちで現状維持を望んでいろ方が専らわかりにくいとおっしゃっているんじゃないかなという感想も持っているわけでございます。 確かに私も、この連休中にいろんな皆さんと懇談をして、この連用制のお話をいたしまして、修正ドント方式というお話をいたしますと、ちょっと首をかしげる方が多いのですけれども、逆に、それじゃ今の参議院の比例区はどういう形で議席が配分されているか御存じですかというふうに聞きますと、ドント方式とおっしゃる方は何人かいらっしゃるのですけれども、じゃドント方式というのはどういうふうに計算するか御存じですか、こういうふうに聞きますと、ほとんどわかっていらっしゃらない、あるいはそれだけ配分方式に格別な関心があるわけじゃない。ただ、やはり投票のときに、片方は個人名を入れて片方は政党名を入れる、非常に投票方式が単純でわかりやすいということが私は選挙制度にとって非常に大事なポイントじゃないかな。そういう意味からいいますと、連用制というのも投票方式は全く同じなわけでございまして、ただ比例区の議席の配分に工夫が凝らされている。 諸外国の例なんかを見ましても、例えばハンガリーなんかの方式ですと、並立て、小選挙区が二回投票制で、しかも死に票を全国集計して再配分する。なおかつ死に票を再配分するときに二回目の投票でやりますから、一、二位連合とか三、四位連合で、あらかじめ死に票になった場合の各党に対する配分を決めて、それを国民に発表して配分するという、まことに複雑な方式をとっているわけでございます。ただ、ハンガリーの人たちに聞きますと、それがわかりにくいからだめだということはだれもおっしゃらないわけでございまして、そういう意味で、わかりにくいという批判があることについてどのようにお考えなのか。さらに、成田参考人、諸外国でいろんな比例代表の制度をつくっておるわけでございまして、諸外国の例に比べて格別わかりにくいものなのかどうか、この辺のことをまずお伺いしたいと思います。
○成田参考人 お答え申し上げます。 わかりにくいという言葉は、主観的な評価を含んでいる言葉だろうと思いますので、わかりにくいという発言に直接コメントすることは控えさせていただきますが、客観的な指標といたしまして、諸外国の選挙制度に比べてどの程度複雑かということから御説明をさせていただきます。 諸外国、もちろん単純小選挙区制は極めてシンプルでございますが、ヨーロッパのほとんどの国で行われている比例代表というのは大変複雑なものでございまして、ただいま井上先生御指摘のハンガリーの方式も大変複雑ですが、そのほかのヨーロッパの諸国の制度も極めて複雑でございます。例えば、残余議席が出た場合にこれを追加配分する、全国で二段階で追加配分をする、あるいは調整議席を追加配分をする、その調整議席をそれぞれの選挙区名簿の獲得済みの議席プラス一で割ったドントでそれぞれの選挙区名簿に還元するとか、大変複雑な手続をとりますし、それから、特に非拘束式の場合に当選者の決定というのは、政党も順位をつけた名簿を出してもいいし、順位をつけなくて出してもいい。順位をつけた名簿に投票した場合はこう評価する、つけてないときはこう評価する、順位名簿をまたいで投票した場合にはどう評価、これはもう大変複雑な制度でございまして、そういう制度が現に行われているわけでございます。それに比べますと、連用制というのは、極めてと言うのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、シンプルであろうという気がいたしまして、過分に複雑な制度だという感じは持っておりません。
○井上(義)委員 内田先生、わかりにくいという御批判に対して、先生はどういう御感想をお持ちでございますか。
○内田参考人 いや、成田さんが言われたとおりでありまして、私は、さっき井上さんが御発言のようでしたが、わかりにくいと言っておく方がいいということで言っておられるのだろうと思っております。 お話しのとおりに、わかりにくいことはないのですね。私ども有権者にとっては、一票か二票かは知りませんが、政党と個人というものをきちっと投票する、あとはその選挙結果を出すためのテクニカルな操作であって、そのことを全国民がわからなければわかりにくいという議論は、私はさっぱりそれこそわからないという気持ちでおります。 〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕
○井上(義)委員 次に、この連用制の基本的な物の考え方でございますけれども、これは並立と比較をいたしまして、どちらも小選挙区における過剰代表というものを比例代表によって補正をしていくという考え方が一つあるのだろうと思うのですね。その並立と連用の違いは、補正の割合といいますか、より連用制が補正の割合が高い、そういう意味でこの制度としては並立よりも連用がいいというふうに考えるのが一番いいのか。先ほど成田参考人、AMSのお話をなさって、並立はAMSではないというような御発言があったと思うのですけれども、この並立制と連用制にやはり基本的な思想の違いがあるのではないか、そういう意味で、並立と連用というのは同列に並べられないのじゃないかというふうに私は思っているわけでございます。 その辺の基本的な考え方の問題を成田参考人にお伺いしたいのと、あわせて参考人の先生方、第八次選挙制度審議会のそれぞれ有力な委員でいらっしゃったわけでございまして、そのときは並立という案を選挙制度審の総意としてお出しになったわけでございまして、この並立制ということについてどのような評価を今の時点でなさっておるのか、このことをお伺いしておきたいと思います。
○成田参考人 お答え申し上げます。 並立制というのは、小選挙区制による得票と議席のゆがみが生じることにつきまして、もう一つ並行的に別の選挙として比例というものをやってみて、両者を足してこのゆがみを薄めるということだろうと思います。それに対しまして、連用というものは一つの選挙として直截に、小選挙区でのゆがみを直截に補正していくというところが基本的に違う、したがいまして、考え方も違うのではないかという気がいたします。 特に、並立と連用を比べました場合には、並立に対する批判の一つは、A党という大政党は小選挙区でしっかり議席をとったけれども、比例でも三割とか四割をしっかりもらおうという制度、だからA党にはいいわけでございますが、これに対しまして、連用というのは、小選挙区でそれだけとったら比例の方では少し遠慮をする、極めて砕けた言い方をすればそういう制度がなということで、発想がかなり違うのではないかという印象を持っております。
○内田参考人 今の話のとおりなんですが、並立制というのは三百、三百をまず分け合うわけですね。それと全く別に、並んで二百という枠を分け合う。だから、今有力政党はとおっしゃった、さっきから早川委員の御質問にもあったのですが、私どもは安定政権をつくろうというねらいでやっているのでありまして、自民党にうんと勝たせようと思って考えているのではないということですね、それだけはわかっていただかないと。この政治状況の中で、社会党頑張れば三百のうち二百とるよという自信を持っていただきたいのですね。三百だと、分けるときは自民党が二百五十とっちゃうだろうという前提は、基本的におかしいのじゃないかと思っております。 それはそれとしまして、今の問題でありますが、よく私どももこの案、難しい、わかりにくいというお話が出るだろうと思っていろいろ議論をいたしましたが、要するに並立制は、三百の中で目いっぱいとる、それから二百の方も分け前はたっぷりもらう、こういう案でありますので、ともすると過剰多数かなという気がする。それに対して連用は、三百のできぐあいがその比例の分け方に作用して、つまり連なり用いるという意味は、連用というのはそういう意味である、こういうふうに申し上げたいと思います。
○井上(義)委員 それから、二票制ということでございますが、いわゆる二選挙二票じゃなくて、一選挙二票である、こういう考え方は理解いたすわけでございますけれども、ただこの制度、運用の仕方によってそれぞれ小選挙区政党、小選挙区だけに出る政党、比例区だけに出る政党と、そして選挙が終わった後、統一会派を組むというような形で例えば政権を維持するというような選挙戦術は具体的に可能になるわけでございまして、そういたしますと、完全に二選挙二票という形にもこの制度がなり得るということを考えますと、この一選挙二票という基本的な考え方によって組み立てられているものが、選挙のやり方によっては二選挙二票というふうになるというのは、これは基本的に問題があるのではないか、こういう御指摘があるわけでございますが、この点、いかがお考えでございましょう。
○堀江参考人 私ども、一選挙二票ということで御説明してきたわけでございますが、それは例えば、確かに御指摘のように大変有力な政治家が無所属で小選挙区でお出になるというようなこともできないわけではございませんが、これは私どもの案でも述べておりますが、そういう場合は当然党籍を離れていただかなければいけませんし、この選挙運動の方法等で、選挙に対する選挙公営その他でこれは政党中心に行われておるわけでございますので、いろいろなハンディを負う、こういうことになっております。 また、ただいまの議員の御指摘のとおり、各党におかれてもしこういった制度を御採用になった際は、当然党内デモクラシーあるいは党の基本的な選挙へ対応する態度として、そういういわばこの制度の乱用ということを阻止するような方法をお考え願わなければいけないということになろうかと思うわけであります。
○井上(義)委員 それともう一点、名簿結合の点でございますけれども、先ほどからいろいろ問題点出ています。A、Bの二つの政党が結合した場合に、Aの政党に投票したものがこの政党の議席獲得のために使われる、あるいは逆のケースもあるというのは一つ問題じゃないか。それじゃ統一名簿だというふうに解釈をすると、あらかじめ順位の付された名簿に投票するということがこれは憲法上の建前になっているわけでございまして、そうすると、この統一名簿というふうに解釈するのであれば、あらかじめ順位を結合された名簿に付さなければいけないんじゃないか。さらに言いますと、選挙結果によってその名簿結合が取り消されるという場合は、その統一順位が付されたとしても、それは解消になるかもしれないという名簿になるわけでございまして、この統一名簿ということについてそういった問題点が指摘されるわけでございますが、その辺はどうでございましょうか。
○成田参考人 お答え申し上げます。 名簿結合というのは統一名簿とは全く違います。あくまでも有権者はA名簿、B名簿に投票するわけでございます。それで名簿結合というのは何かといいますと、A名簿単独では端数票として死に票になる票、B名簿単独では端数票として死に票になる票、これを二つを合わせると一議席の獲得に結びつくということでございます。したがいまして、その使われている票はもともと単独では死に票になるものでございますから、それがA党、B党協力して一議席に結びつけるということによっても、A名簿への投票者、B名簿への投票者の権利をもともと損なうものではないという性格のものだろうと考えております。
○井上(義)委員 ちょっと今の説明ですと、これは参議院に比例区を導入するときに議論されたことなんですけれども、要するに政党に投票しているんじゃなくて、政党が提出した名簿、その名簿はあらかじめ当選順位が付されている、そういう名簿を候補者として投票しているという建前に、これは憲法四十二条でそういう解釈になっていると思うんですけれども、そうすると、名簿結合された場合にどういう順番で当選するか、これは有権者はわからないんだろうと思うんですね。で、もし自分がAの政党に投票したのにBの政党に、もしその議席の獲得に、そちらの方に回ったという場合も問題でしょうし、あるいは、あらかじめ名簿の順位が付されてないわけですから、どういう当選の順位がもわからないという名簿に投票しているということになるだろうと思うんですね。ここがちょっと解釈上難しいんじゃないかと思いますけれども。
○成田参考人 お答え申し上げます。 有権者はあくまでも順位のついたA名簿または順位の付されたB名簿に投票しているわけでございます。それで、御説明申し上げましたように、単独であれば端数票、死に票として死ぬものが、合体して議席配分をしますと一議席プラスになる場合がありまして、それは最終的にA名簿かB名簿かどちらかに配分になるわけでございますしたがいまして、A名簿はA名簿で配分の議席数分の当選者が順位に従って出る、B名簿も同じように配分議席数分の当選者が順位に従って出るということでございまして、先生御指摘の順位のついた名簿に有権者が投票するという要請には反していないわけでございます。
○井上(義)委員 ちょっと十分じゃないと思いますけれども……。 それから、先般この提言を発表されましたときに、法案の要綱を準備をしてお出しになるというようなお話がございました。法案要綱をお出しになるような考えおありかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
○内田参考人 確かにこの前、提言を出しましたときに、今お話しのようなことをちょっと申しました。民間臨調の学者、ジャーナリストのグループで、この案がもし御採用になるようなことであれば、法案の要綱も準備をしなきゃいけないなという話が出まして、ぼつぼつ検討しましょうよ、こういうことになって研究は続けております。ただ、きょうは繰り返し申し上げているように、連用案というのは全く民間のたたき台として出したものでございますから、国会でどういうふうに取り上げられるのか、またこれは基本はおもしろいから、今御議論の出たような諸点の欠陥と皆さんが思われる点を話し合いで直していこうかというようなことがこれからあるだろう、国会、各政党の責任で法案化をされるということがあるのであろうと期待をしておりまして、その法案化ということについては、まあ直には法制局、衆議院法制局との御相談でもあろうかと思いますので、私どもとしてはあくまでわきから、せっかくおまえたちが出したアイデアをある程度入れているんだから少し協力しろよということであれば、御要請があれば協力をしたいなというふうに考えております。
○井上(義)委員 以上です。
○田邉委員長 関連して、北側一雄君。
○北側委員 若干政治資金の問題についてお聞きをいたします。 まず主たる政治団体、そして関連政治団体という概念を設けられまして規制をされておられるわけですが、まずこの主たる政治団体でございますが、これは一つは関連政治団体の収支報告書等も名寄せをしまして、統合して報告するためにある。もう一点は、政治家が自己資金を政治活動に用いるときに政治家から寄附を受けてかわって支出をする、こういう意味があるのではないかと思うのですが、この主たる政治団体の指定をしなければいけないという指定義務を設けられております。 これは、一方では憲法上結社の自由、政治活動の自由が認められているわけですが、一方でこれは不結社の自由というのもあるわけでございまして、結社、政治団体の結社を強制することになりはしないのかという問題点が一つあると思うんですね。それに対する答えと、もう一つは、この関連政治団体というのは特定の公職の候補者を支持する政治団体で、届け出をしなければいけないというふうになっております。そうしますと、届け出をしないと、ある政治団体は特定の政治家を支持できないというふうになるのか。また、政治家がこの関連政治団体についても収支報告書に署名をするというふうになっております。さらには、その関連政治団体の収支報告書を主たる政治団体に提出をして、統合して報告をする、このような形になっておるんですが、これがまたこの政治団体の政治活動の自由というものの侵害にならないのかということがまず問題になってくるかと思いますが、この二点いかがでしょうか。
○堀江参考人 ただいまの御質問でございますが、私ども、各政治家の方々は複数の政治団体をお持ちになっておることであろうという前提でこういう議論をしておるわけでございますが、仮にもし政治団体を一つしかお持ちになっておらぬということであれば、自動的にそれが主たる政治団体ということになるわけでございまして、この政治団体をお持ちにならぬということはあり得ないわけでございまして、これは政治家個人、政治活動に要する政治資金等々はすべて政治団体を通して行う。いわば企業でいえば会社組織にする、法人組織にするということと同じことでございますので、したがいまして、この政治団体は政治家であれば必ず一つはお持ちになっておろう、こういうことでございまして、特に主たる政治団体を別個に一個つくることを強制するという意味では全くございません。 それから、関連政治団体は、これは、この問題はどなたか特定の政治家を応援するための政治団体であるにもかかわらず、それが明示されていないということがいろいろな政治腐敗の原因にもなるわけでございますので、関連政治団体は、その支持する公職の候補者がだれであるかということをこの届け出に際して必ず付記するように求めるというのが私どもの趣旨でございますし、また、いわゆる連座規定が現実にはなかなか実効性を持ち得ませんのは、実はそれは政治家が、応援されておられる政治家がその収支報告について御存じなかったということに起因するわけでございますので、この関連政治団体といえども、収支報告書を提出する際には必ず応援している政治家にお目通しいただいて、そうしてそこに署名捺印をしていただくということによって、そういった関連政治団体の収支については関知しないということがないように責任をお持ちいただこう、こういう趣旨でございます。
○北側委員 私ども社公の方も、この政治資金規正法違反等の法案の一番出発点は同じような考えを持っておりまして、それが法案化に至るまでの作業の中で、関係各機関とも協議をしている中で、やはり憲法、またほかの法律との整合性との関係が問われまして削っていったという経緯もございまして今御質問をさせていただいたわけでございまして、決してその趣旨に反対をしておるわけじゃございません。 ではもう一点、連座制についてお聞きをしたいと思うのですが、政治資金規正法違反の場合に連座制の導入を図られております。これは結局、公民権の停止というものをどう見ていくかということにかかわってくると思うのですが、やはり政治家の公民権を停止するという以上は、これは大変重大な、政治家にとりましては議員資格を奪われますので、重大な効果が及びます。したがって、その政治家に何らかの責任というものがないと、この公民権の停止というような重大な効果は及ぼすことはできないのじゃないのかなというふうに思うわけでございます。刑法で言う責任主義というのはやはり該当するんじゃないか。 そう考えますと、政治団体の代表者とか会計責任者、また秘書等が政治資金規正法違反の罪を犯したというその一点だけで、政治家に対して連座制を及ぼして公民権を停止するというのはちょっと問題があるのじゃないか。やはり、我々考えましたのは、政治家がある政治団体に対して、ここであれば主たる政治団体とか関連政治団体であると思うのですが、それについて監督義務とかそういう規定をしまして、その義務違反が政治家に認められて、政治家にも何らかの罰金なりの罰則が科せられて、それで初めて公民権停止というふうにつながってくるのではないのかというふうに考えた次第なんです。その点、どうお考えなのか。 もう一点は、買収等の罪を犯した場合の連座制の問題でございますが、連座による公民権の停止という制度を設けられております。ところが、これも我々も当初それを考えたのですけれども、連座の拡大、連座の強化というふうな範疇で考えている限りは、やはり当選無効、当選無効によって当該選挙区による立候補制限というふうな範囲でないと、連座の拡張、連座の拡大、連座の強化というふうに言えないというふうな考え方がございまして、一般的に公民権を停止するのはやはり問題ではないか。やっぱり立候補制限、当該選挙区における立候補制限というのが連座の効果としては限界じゃないかというふうな判断があったわけなんですが、その点どうお考えなのか。この二点、御答弁をお願いしたいと思います。
○堀江参考人 連座についてでございますけれども、確かに注意義務違反という問題があることはよく承知しております。 実は、御存じのとおり、例の大正十四年の改革におきましてこの連座規定を導入いたしましたが、実際には余り実効性を上げなかった一つの理由がその点にあったわけでございます。そこで、また英国等との例に照らしましても、もし仮にそういった政治腐敗を、殊に政治資金規正法に関する違反に対してそういった違反を根絶しようということになりますと、やはりこの連座制の強化ということはやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。 この公民権の停止自体は、御存じのとおり政治家にとって非常に厳しいものではございますが、刑罰ではございませんので、そういった刑事裁判という形での問題解決を図るよりは、むしろこういった公民権停止といった資格剥奪という形で対応した方が政治腐敗を根絶するにはより効果的ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。 先生御指摘のようないろいろな法律上の問題があるということは私どもも承知しておりますが、そうすると、これをすべてそういった法律上の問題をクリアするということになりますと、現状と一向に変わらぬということになるのではないか。やはりその点幾つかの多面的な考察によって、むしろ国民が望んでおる政治腐敗の根絶という見地から制度の改革を考える必要があるのではないか、こう思いまして、こういう結論を出したわけでございます。
○北側委員 ありがとうございました。
○田邉委員長 東中光雄君。
○東中委員 日本共産党の東中でございます。御苦労さんでございます。 社会経済国民会議が出された亀井さんの名前の「政治臨調のすすめ」を持ってまいりましたが、これが八八年の十二月に発行されておりますね。その後、ちょうどリクルート問題が吹き荒れていたときでありますが、自民党の中に政治改革委員会がつくられて、八九年の五月に政治改革大綱が出されました。そのころから政治改革、政治改革というのが非常に大きく出されてきたわけですが、問題は、その政治改革をやることが、というよりは、どういう政治改革をやるのかということが問題の中心だと思うのでありますが、そのことにつきまして九二年の十二月、「自由民主」に「パネル・ディスカッション(政治改革)」というのが載っておるのですが、「いまこそ政治改革の断行を!」という題で、そこで内田さんがこういうことを言われております。 「先ほどお話がありました政治改革大綱、私もここへ持ってきておりますけれども、この政治改革大綱は非常によくできております。いま政治改革を論ずるときの、これはもう全くの教科書であると言っていいと思うんですね。」「今度改めて、政治改革はこの大綱に戻ってやろうということですので、復習しますと、改革の柱は六項目、」あと中断して、「第三に選挙制度の抜本改革というのがあります。」こう言われているのです。その前の八九年も同じようなことが教科書と言われております。 だから、いわば政治改革大綱というのは政治改革の原点だと言われているような印象を私受けたのです。 それでお伺いしたいのですけれども、この政治改革大綱では「選挙区制の抜本改革」という項目がありまして、そして結論的には「われわれは、国民本位、政策本位の政党政治を実現するため、小選挙区制の導入を基本とした選挙制度の抜本改革にとりくむ。」これが大前提だ。そして、「そのさい、少数世論も反映されるよう比例代表制を加味することも検討する。」こううたっていますね。衆議院の選挙制度については小選挙区制を導入する、それから比例代表制は加味するというようになっているのですが、今出されました連用制はこの基準の中に入っておるんでしょうか、外れておるんでしょうか。
○内田参考人 入っております。
○東中委員 並立制もこの基準の中に、八次審が答申した比例代表並立制もこの中にもちろん入っておるんだと思うのですが、そうですね。
○内田参考人 私も審議会のメンバーの一人でございました。それも考えに入っております。
○東中委員 社会党、公明党が出している小選挙区併用型の比例代表制はこの基準の中に入っているんですか、入っていないんですか。
○内田参考人 入っております。それは、今東中委員から順次この文章について御説明がありました。今の文章、次第にいろいろ出てきておる、それで、私どもの現在たどり着いた考えが今度の連用制である、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
○東中委員 社会党、公明党が出されている併用制は、小選挙区制の導入を基本とした選挙制度の抜本的改革ではないですね。はっきりと比例代表制が基本なんだということを言っているわけですから、明らかに自民党の出しているこの基準とは違ったものだ。今出されたのは、並立制と同じく、今度は連用制も同じ自民党の大綱で示している基準の枠内だ、こういうふうにお聞きしたんですが、そうすると、中間は中間でも、一つの、小選挙区制導入を基本にする部分と、それから併用制と全然別の概念で、そして別の類型に入って、それで基本になっておる方のちょっと違いがある。私たちは、連用制というのはそういう点では並立制のバリエーションにしかすぎない、私こういう談話を出してそういう評価をしまして、そういう意味で、今内田さんが私の言っておった意味を裏づけていただいたというふうに理解をしておきたいと思います。 それで、亀井さんが先ほど、小選挙区制の部分を二百人にしたら鳥取はもう一県で一選挙区しかないというふうに言われたんですが、連用制によりますと、比例代表部分、都道府県単位でしょう、それで二百なんでしょう。そうしますと、比例代表だと言っておっても、都道府県七県は一人なんですね、十三県が二人ですよ。一人区、二人区で比例代表制なんというのは、これはもう形容矛盾ですわな。一人区で、そこで比例代表の選挙をやるんだ、二人区で比例代表の選挙をやるんだ、これはもう、いわば小選挙区及び準小選挙区ですよ、一人区、二人区というのは。こういう矛盾を持っているんですが、三百でなきゃ小選挙区はくあいが悪いんだ、一県一区になったんではぐあいが悪いんだ、比例代表と言いながら一人区が七つも出る、二人区が十三県も出る、こういう制度はちょっと余りにも奇妙じゃないかと思うんですが、いかがでございましょう。
○亀井参考人 今東中先生御指摘の問題はあろうかと思いますが、ただ、社公案ではブロック制という案を出しておられるわけですね。 ところが、このブロックという概念がまだ本当に定着をしていないといいますか、選挙制度審議会で出しましたときのブロックの囲い方、それと、社公案の囲い方でも三、四点食い違いがございます。それで、定着性がないので、やはりこれは比例代表をとるとしても、府県というものはこれは確定しておりますから、やむを得ずこれをとらざるを得ないだろう。恐らく、例えば静岡県というのは東海地区か関東地区がですね。それから、選挙制度審議会のときは北関東、南関東、東京という分け方、今度は社公の案は東関東、西関東、それから東京という分け方でありますね。近畿地方も北近畿、南近畿といろいろ分けておられて、これは出したら各府県で、おれの県そっち入らなきゃ一いろいろな問題が恐らくこれは出てきて、これでも相当議論になるんじゃないか。それよりは、この一人だけの比例代表、おかしいじゃないかと言いますけれども、連用制というこの考え方では、やはり小選挙区に対して比例代表の方で、弱い政党にハンディを与えよう、こういう精神でできておりますから、一人であってもこれはやむを得ないのではないかというのが、私どもの判断でございます。
○東中委員 一人で比例代表というのはちょっと世界じゅう通用しませんわな。そのことを指摘しておきたい。 私たちは都道府県単位の比例代表制というのは、日本共産党は一つの案として、比例代表の選挙区を、候補者が見えるようにということで提案をしておりますが、二百人なんて言っていないのです、五百なり五百十二なりでやりますから。だから最低一選挙区三人、あるいは三十数人というふうな、これなら比例代表というのは成り立つんですよ。それでもいろいろ意見があるぐらいですね。そういう点をひとつはっきりと申し上げておきたいと思います。日本共産党は二十年前にそういう案を既に提起をしております。ちょっと勉強していただきたいと思います。 中選挙区制度廃止宣言というのが、この間、平成四年十一月十日に国民大会ですか、政治改革推進協議会が主催された政治改革を求める国民集会で採択されました。これを見まして私思ったのですが、「わが国の政治は重大な岐路にたたされている。政治とカネをめぐる相次ぐ不祥事の発覚により、国民の政治に対する不信は頂点に達し、わが国議会制民主政治は崩壊の危機に瀕している。」これは政治改革大綱と非常によく似ているんです。ちょっと違うのは、「政治とカネ」の問題と書いであるけれども、あのときはリクルート問題等と書いてあるんです。そういう違いで、内容は一緒なんです。それで、まさに「議会制民主政治は崩壊の危機に瀕している。」そして「世界はいま、歴史的な激動の時代を迎え、」「混迷と停滞を続ける現実の政治は、」現実の政治は混迷と停滞を続けている、「山積する課題への対応力を失い、一刻の猶予も許されない深刻な事態を招いている。」ごついことが書いてあるんですよ。自民党、これはもう一刻の猶予も許されぬような事態だと書いてあるんですよ、随分自民党もたくさん賛成されているようですけれども。それで何をするのかといったら、選挙制度を変えると書いてあるのです。これは国民の感情からいえば全然おかしいんじゃないかと私たちは思います。 最近の世論調査では、毎日新聞がやった四月十九日のあの世論調査では、選挙制度を政治改革の中心にせいというのはわずか一九%でしたね。政治資金規正法なり腐敗防止ということをやれというのが七六%でした。朝日が五月三日にやったのは、選挙制度を挙げたのは一六%ですよ。政治資金規制なり腐敗防となりを挙げているのは合計すると七二%です。だから、国民の声というのは、この腐敗の状態、まさに議会制民主主義は崩壊の危機に面している、それを直すのは腐敗をなくすることだ、防止することだ、こう言っているんですよ。 ところが、この宣言ではそのことには触れないで、ぽこっと「いまや制度疲労の極限に達し、その歴史的使命を終えようとしている中選挙区制」を変えるんだ、こう言っているんです。それで、どう変えるのかということになったら、新しい制度と書いてあるだけで、何が新しいんだかわからない。それで、やっと出てきたのが連用制、こうなるわけですね。しかもそれは、自民党の大綱に言っている枠内のものだ。これでは私は納得しないと思うのですよ。そういう点、どういうふうに、国民世論、今考えている政治腐敗をなくそうということについてどうしょうかと。私たちは、それは企業・団体献金を禁止する、清潔な政治をつくる、金の力によって政治を動かしていくというようなシステムを変える、見返りを期待するようなそういう企業の献金というものを絶つということがやらなきゃいけない政治改革だと思っているんです。その点についての御意見をお伺いしたい。
○亀井参考人 貴重な御意見としてお伺いしておきます。
○東中委員 貴重な御意見として承って、そして国民の世論調査の結果にも、それから道理にも反したことをやはり続けていく、こういうふうに言われるとすれば、それは亀井さん、やはり財界の代表としてちゃんとしたことを言ってもらわないと困りますよ。内田さんも良識のある学者としてやはりちゃんと言ってもらわないと、私としては納得できません。
○内田参考人 まあ私は亀井さんほど偉くないですから、承っておきますじゃ済まないかと思います。 先ほどから何かいろいろな前の文書を引っ張り出されていて、それで持っていかれるねらいはよくわかりました。わかりましたが、私は終始一貫しているつもりでありまして、先ほどの自民党の政治改革大綱というのは非常によくできています。私は、何度もそのことは言っている。これをそのとおりに実行していただくと日本の政治改革は即座にできるんだけれども、残念なことにこれは作文である、作文のままになっているということをしょっちゅう言っているわけです。 その中に入っている小選挙区を主とするということは、私は今の立場としては賛成であります。それは先ほど来ここでお話をしているとおりでありまして、安定政権をつくるということが大事である。何も自民党が安定政権をつくれといって自民党の味方をしているわけでも何でもありません。社会党が、野党がつくってくれるならどちらでも構わないわけで、安定政権をつくる基礎は小選挙区制が第一の柱であると申しました。ただ、それでは過剰多数、過剰支配というようなことがあり得るから、この連用制によって、初め三百を配分した後に、それを連なり用いて比例代表の方で少し取り過ぎの人は遠慮してもらったらどうだろうという意味で、そこで民意を反映する。それも適度な多党化というものは今のこういう時代にはやはり必要であるから、これがもう一つの柱であるということでございますから、いろいろ御批判がございましたが、私は少しも矛盾したことではないというふうに思っております。 よろしゅうございましょうか。
○東中委員 時間ですから、終わります。
○田邉委員長 川端達夫君。
○川端委員 民社党の川端です。 会長初め諸先生方、大変御苦労さまでございます。民間臨調の皆さんが長時間にわたり、そして大変御熱心に御議論いただいて今回の連用制を中心とした政治改革、この国会で何とか実現していただきたいという御提言をいただいたこと、その御努力に大きな敬意を表するものであります。同時にまた、本来国会で我々の責務としてこれをなし遂げなければいけないということで進んでいるこの政治改革特別委員会の責任もまた大変重要であるし、御提言をいただかなくても本来自助努力でやるべきであるのにという部分も、胸を痛めながら受けとめました。 そこで、現在の政治状況の中では、かねがね言われておりますように、小選挙区制の自民党案と社公案、いわゆる比例代表制の案、我々も比例代表案を持っているわけですが、そういう部分で基本的なスタンスとして非常に大きな隔たりがあるという中で、国会のいわゆる数の情勢の中で、衆議院では例えば自民党の数だけで通すことができても参議院では通らない、逆に社公案ということで私たちも含めて衆議院では絶対通らないという中で、いわゆる第三の案というものを模索しなければいけない。そしてこの協議会の共通の認識としては、何が何でもこの国会で選挙制度を含めて一体的に処理をするんだということは、これは全部の意思でございます。そういう意味では第三の案が模索されなければいけないということもみんなわかっていることでありまして、この案もそういう意味で非常に重く受けとめなければいけない、このように考えているわけですが、多大な御努力の中でこの案までおまとめになって、タイトルまで付されて御提言をいただいたという意味で、いろいろなこちらの事情は別にしまして、亀井会長としては、この臨調案がこの委員会を含めた国会でどのように処理されていくのが一番望ましいと期待をされているのかということを、まずお伺いをしたいと思います。
○亀井参考人 これは冒頭にも申し上げましたけれども、この政治改革特別委員会の先生方が本当に熱心に政治改革の問題をこの国会でやり遂げようという御決意で討論をやる。しかもそれが、前のように野党が質問し与党が答えるというだけではなくて、双方向の、本当に活発なことが行われたということに私は大変な意義を感じておるわけでございまして、私どもの案と申しますのは、この両案が対立をしておるというけれども、共通点もあるのじゃないか。ですから、その両方が対立だけで突っ張っておったら、もうこれは壁に当たってしまう。したがって、どこか共通点を見出して、ここにつなぎができないかということで苦心をしてつくった案でございまして、これはあくまでもしかし、我々は国会に籍を置く者ではございません、これをお決めになるのは国会の議員の先生方ですから、我々の案を一つの参考というか、たたき台にしていただいて、どうやったらこの国会で政治改革が実現できるか、こういう観点からぜひ御討論をし、いい結論を得ていただきたい、こういうふうに思う次第です。宮澤首相も不退転の決意でやるとおっしゃっておられるのですから、その意気を受けて各政党ともぜひひとつそういうことでやっていただきたいという我々は期待を込めて、この案を提出した次第でございます。
○川端委員 ありがとうございました。 そこで、選挙制度をこの委員会でいろいろ議論していまして、制度論としてはおのおのの理念もありますし、それから一長一短も当然あります。私たちも、連用制を御提示いただいて、いろいろ勉強もいたしました。きょうの委員会でも随分その部分は議論がされました。私もいろいろお伺いしたいのですが、何しろ十五分しか時間がありませんので、例えばきようの議論の中でも、小選挙区定数三百、比例二百というものがどうなんだろうという議論もありました。それから都道府県単位の比例区、今も東中先生言われましたけれども、朝日新聞の調べで実際定数をどう配分するかは、またこれはまだいろいろ議論があるところですが、その問題と、定数一が七県、定数二が十三県というのが比例なんだろうかという議論もあります。それから、当然ながら比例選挙というものは、これに関連するのですが、選挙区、比例部分の単位を小さくすればするほどその比例における死に票というものが当然ふえてくるという仕組みを持っている。それから本来の、要するに議席の調整という意味を持つ連用制の機能からすると、二票制というのはいいんだろうかという議論もありました。それから、無所属候補というものをどうするのか。これは併用制の社公案の場合にも、逆の意味で超過議席の問題と、併用制で当選した部分はアカウントしないという部分でも議論がありましたけれども、これは裏腹な問題として抱えていることも事実でありますし、名簿結合というふうな、これはむしろ制度論ではなくて政策の問題ではないのだろうか、それまであえてここで触れられるのはどうなんだろうというふうに、いろいろな議論があることは事実だと思います。 しかし、私たち民社党は、かねがね政治改革の根幹にある問題は、選挙制度を変えることが目的ではない。選挙制度というものは、その国の政治構造に一番適したものを選んでいくというもので、それが単純小選挙区制の国もあれば完全な比例代表の国もある。そして、時代の流れでまた変わっていくというものであろう。そういう意味の中で、今この選挙制度を我々がどうしても変えなければいけないというのは、今の日本の政治が行き詰まっているというところにあるんだというふうに思っております。 そういう部分でお伺いしたいのですが、同時に国民の意識。私も連休中いろいろ地元を回りました。そのときに、先ほど引用されましたように、腐敗を直せ、こうおっしゃる方は山盛りおられる。しかし、選挙制度を変えろとおっしゃる方はほとんどおられないのですね。ところが、三十分、一時間ひざを交えてこういうことでしょうと話していくと、それならばやはり選挙制度を変えないと直らぬのかな、こういうことになる。しかし、今現実に関心が低いというのは、この選挙制度を導入したら日本の政治がどう変わるんだということがわかりにくいというところにあると思うのです。 そこで、連用制を導入をして日本の政治をどう変えようとしているのか、どう変わると期待をされているのか、どこを変えなければいけないと思っておられるのかということを、ちょっと基本認識としてお伺いしておきたいと思います。
○亀井参考人 やはり私は、現在の日本では保守革新という言葉、ここ二、三年、最近はマスコミも余り保守革新という言葉は書きませんけれども、保守革新ということが戦後四十何年、これは世界の冷戦構造のそれを日本の政治の場に投影されておった格好だった。ところがこの冷戦構造が崩壊いたしましたから、保守革新というものはない。あるいは極端に言えば、共産主義国において、もとの共産党は保守派ということになり、それで自由経済を志向する方は革新という、そういうふうに世界の常識は変わってしまった。そうすると、今までの日本の保守革新という構図で政界を考えていくというのではなくて、新しい考え方で、先ほど内田先生も言われましたけれども、ソフトな形の二大政党型か二ブロックというふうなことでいくことが望ましいのではないか。 個人的に私が一番望みますのは、少なくとも、政治の場において国の安全とか外交方針というものは基本的に、これはベーシックに、どんな政党でやっても共通項がある。これはアメリカしかり、イギリスしかり、ドイツしかり、そういうことだ。それがやはり近代的な政治の構造の一番基本の問題であって、その先はいろいろな、保守的な考え方の人、革新的な考え方の人で政策の差がある。そういうことでソフトな二大ブロックあるいは二大政党型、あるいはもう一つ、中和をとる政党が一つあってもいいかもしれない。そういうふうな構図で今の既成、既成と言うと失礼ですけれども、何党と何党をくっつけてこうありなさいというようなことは考えておりません。そういうことがやはり、これはすぐにはできない、我々の選挙制度をもし採用していただければ、恐らく二度ぐらい選挙を繰り返せばそういう流れになっていくのではないか、そういう期待を持っております。
○川端委員 先ほど内田先生が二つの基軸政党ということでお触れに、政権交代可能な、大きく言えば二つの基軸、ブロック、今亀井会長が言われたのも大体共通したお話だと思いますし、私たちも、まさに国の基本的な方針を共有しながら、内政の問題、あるいは腐敗とかそういう問題も含めて、相争うような形の政権交代可能な緊張ある政治状況というのが今の日本に求められているんだというふうに思います。そこで、それが選挙制度を変えれば実現するんだろうかということに、いつも非常に大きな我々の責任を感じるわけです。 それで、例えば今の国民の選択でいえば、腐敗続きである、スキャンダル続きである、こんな政権は、政治は御免だ。そうすれば、もう一つの方に変わるという選択が可能であるということで選挙制度を変えて、リクルートで反省をし、共和で深く反省をし、佐川で深く深く深く反省をし、脱税で本当に反省をして選挙制度を変えたら、二百八十数名が四百八十名になったということにならないんだろうかという危惧が非常にあるわけですね。それは、制度だけではなくてやはり政治構造自体が一緒に変わらなければ保証がないということに、やはり選挙制度だけ変えていいんだろうかという国民の議論が非常に大きくあるというふうに思います。 私はそれで、その促すために名簿結合とかそういうようなものも視野に入れられたのかなという気がするのですが、この二回やればということ以外に、制度だけをいじったときに、私は二回で本当になるのかなという部分では、そういう政治構造の変革というものに関してどういう期待を持っておられるかという、制度だけを変えるということではなくて、付随して起こる動きというものにどういう期待を皆さん方はお持ちなのかということをお伺いをしたいと思います。
○亀井参考人 大変難しい問題でございますけれども、私は、現在の制度というものがやはりいろいろな面での影響力というのは非常に大きい。ただ、具体的に国民一般はマスコミを、前に申したように、マスコミに出てくるいろいろなスキャンダルに目をとられておる。しかし、そのスキャンダルのもとというのは、現在、あけすけに申しますと、日本の選挙あるいは政治というものに金がかかり過ぎます。余すなわち力というふうなことまで言われておる。この体質を変えることが一番大事ではないか。そういう意味におきまして、この現在の中選挙区制という使い古して制度疲労を起こした制度を変えて、新しい制度で一遍国民が清新の気を持つと同時に、金の流れというものも透明化する、罰則も強化する、監視も強化する、こういうことになれば、本当に国を思う立派な政治家の方々が選ばれてくるであろう、私はそういう期待を持っておる次第でございます。
○川端委員 私たちも、選挙制度を含む改革を何としても実現をしたい。そして、それは同時に、二回の選挙の結果ということではなくて、同時に政治構造が大きく変わるという選択を国民の前に示していける姿をつくっていきたい。そういうために、私たち純粋に制度論だけで非常に議論をした中で、私たちは都道府県を中心とする非拘束名簿の選挙制度というものを提起をいたしました。しかし、今日の政治状況の中で、何とか接点をつくらなければいけないというときに、そういう政治構造の変革というものを促進するという意味で、連用制も非常に重要な案の一つとして真っ正面からとらえていきたい。そして同時に、いろいろまだ深めなければいけない議論、そして政策的に判断しなければならない点も、きょうは時間がなかったので全然、大体今までの御議論で理解はしましたけれども、いろいろな問題もたくさんあります。そういう意味で、よりそういうものを修正をするというふうなものも含めて議論をしていきたいと思います。 最後に、そういう意味で、先ほど法案化の問題は少し会長の方からお触れいただきましたけれども、今後の我々の議論は我々の責任としてやるわけですが、民間政治臨調としての今後の活動の御予定も含めてお聞かせいただければ幸いかと思います。
○亀井参考人 当面の私どもの予定は、現在のこの委員会で先生方が熱心に討議をされておる、この状態をずっと見詰めていきたい。そして、その展開の状況によって、あるいは国民集会をやって世論形成が必要であればそういうこともしなければいかぬ。できれば我々はここまでで、後は皆様方にバトンタッチをして大改革を実現していただくということを期待しておる次第でございます。
○川端委員 終わります。
○田邉委員長 以上で本日の参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 次回は、明十二日水曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時九分散会