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126回国会衆議院1993/05/19

厚生委員会 第12号

発言数
67
登壇者
11
会派数
5
開催日
1993/05/19

会議録

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 これより会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件、特に年金問題について調査を進めます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  我が国は、世界一の長寿国になり、世界でもいまだ経験したことのない超高齢化社会を迎えようとしております。しかしながら、国民が老後を安心して豊かに暮らすためには、高齢化社会への対応、とりわけ年金制度の整備、安定を図ることが喫緊の課題でございます。そのため、本委員会としても、年金問題について論議を深めていくことが重要であると考えます。  そこで、本日、午前中は年金問題の専門家である参考人各位から意見を聴取し、質疑を行い、また、午後は、年金問題の重要なテーマについて政府側から説明を受け、その後、委員間の自由討議を行う予定であります。  それでは、ただいまから午前の部を始めます。  参考人といたしまして、社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長船後正道君、年金評論家村上清君及び上智大学文学部教授山崎泰彦君に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本委員会での審議に資するため、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、参考人各位からお一人二十分程度ずつ御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、船後参考人にお願いをいたします。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 船後でございます。  年金制度の次期改正に関しまして意見を申し述べる機会を賜り、光栄でございます。では、早速総括的な事項について、二、三所見を申し述べます。  去る三月初めに、厚生省から新人口推計等に基づく年金財政の暫定試算の発表がございました。これは、前回平成元年再計算時の収支見通しを基礎に、労働力、人口関係の数値だけは最近のものに置きかえ、試算したものでございます。予期されていたところでございますが、高齢化の進展を反映いたしまして、最終保険料率は前回見通しに比べ一割程度高くなっておりました。いわゆる年金財政の危機が一段と早まることになったわけでございます。  私は、今、年金財政の危機ということを申しました。年金問題では、危機とか支払い不能とか制度崩壊とか、いささか物騒な表現が使われがちでございます。これは年金問題が長期的な問題で、その財政の仕組みが一般にはなかなか理解されにくいところから、困難な状況を強調するためにオーバーな表現になるのではないかと思っております。  年金財政の収支の失調が顕在化するにはかなりの時間がかかりますし、他方、対策は個人の生活設計にかかわる問題でありますだけに、相当の時間をかけて漸進的に実施していかねばなりません。しかし、積立金が給付費の五年分も十年分もたまっておりますような状況の中で厳しいことを申しましても、なかなか理解されないのであります。そこで、つい表現がオーバーになる。  ところが、危機を強調し過ぎますと、どうせ制度が崩壊するのなら保険料を納めてもむだだというふうにお考えになる方も出てまいります。そこで、この点だけははっきり申し上げておきますが、公的年金が支払い不能になったり制度が崩壊するようなことは絶対にありません。問題があれば必ず解決しなければなりませんし、また解決できます。ただ、問題はそのタイミングであります。対策が早ければ痛みは少なくて済みますが、おくれればおくれるほど急激な改革が必要になります。  例えば、日本の公的年金制度は、既に財政の破綻いたしましたJRとかたばこは別といたしまして、現在のところかなりの積立金を持っております。ですから、収支両面で何らの対策を講じなくとも、恐らくは二〇〇〇年前後のころまでは何とかもつだろうと思われます。  それでは、必要な対策はそれからでいいではないかというふうにお考えになる方がいるかもしれません。確かにそういうやり方も不可能ではないと思います。ただ、その段階での対策は、保険料の急激な引き上げとかスライドの停止とか、極めてドラスチックなものにならざるを得ないと思います。要は、適時的確な手を打って二十一世紀の高齢化社会に軟着陸するか、あるいは胴体着陸を敢行するかでありましょう。要するに、これは国民的選択の問題であります。  申し上げたい第二点は、次期改正は厳しい年金財政下での制度改正になるということであります。  年金数理部会の第三次報告書でも述べておりますように、すべての者が負担を分かち合わねばなりません。例えば、支給開始年齢の引き上げは次期改正の大きな課題でありますが、世代間の負担のバランスを考えますと、年齢引き上げたけの問題ではなく、あわせて給付水準や年金額改定のあり方など制度全般にわたる見直しを行い、関係者のすべてに痛みの分かち合いを求めることが必要であると考えます。ある世代、ある階層にだけ痛みを引き受けさせ、他の世代、他の階層が笑っているようでは次期改正の成功はおぼつかないと考えます。  第三は、高齢化社会における活力維持の問題であります。  将来の年金給付は、いかなる財政方式をとろうと、将来世代の勤労に依存しております。年金給付を究極において担保するものは持続的な経済成長であります。このように考えますと、高齢人口の増加と生産年齢人口の減少とが同時に進行するような二十一世紀の初頭におきまして適度な経済成長や社会の活力をどう維持するかは、年金制度にとりましてもまことに大きな問題であります。年金制度も雇用制度もこういった社会に適合した仕組みにする必要があります。そして、年金制度が個人の勤労意欲や貯蓄意欲を阻害するようなことは、いやしくもあってはならぬと考えます。  次に、次期改正の主要課題につきまして、私見を申し述べることにいたします。  第一は、給付水準についてであります。  まず、現行のいわゆる六八%給付水準でありますが、これは六十年改正の際に、歴史的経過の中で既に実現してしまっていた水準を将来に向けて固定したものであります。そういう意味では、政策的に意図した水準ではなく、確かに問題があり、私見としてはいささか高過ぎると考えておりますが、現在はこの六十年改正による適正化計画実施の過程にあります。したがいまして、給付乗率や定額単価といった給付設計そのものを見直すことは現実的ではないと考えます。  しかし、公的年金は、現在では世代間扶養の社会的システムとして観念されております。公的年金制度は、稼得収入のある現役世代から引退世代へ所得を移転する仕組みであります。ですから、その給付水準を考えるに当たりましては、両世代の所得水準の実質的バランスを考慮する必要があります。  そういう意味で、スライドのあり方が特に問題になります。現行のスライド方式はいわゆる物価スライドでありますが、再計算期ごとに行われる報酬再評価が既裁定年金にも適用されておりますために、実質的には賃金スライドになっております。しかし、このような再評価とスライドを今後も継続しますと、実質的な所得水準では両世代の関係が逆転するおそれがあります。物価スライドか少なくとも可処分所得スライドに改める方向で検討する必要があると考えております。  欧米諸国の大勢も、物価スライドか可処分所得スライドに向かっております。アメリカ、イギリス、スウェーデンなどは既に物価スライドでありますし、長く賃金スライドでございましたドイツは、九二年改正で可処分所得ろフイドへ、また、イタリアは昨年秋の改正で物価スライドに改めました。フランスも物価スライドまたは可処分所得スライドへの変更を検討中であります。  第二は、年金支給開始年齢の問題であります。この問題は、次期改正への最重要課題でありますが、長い歴史があり、関係者の意見の容易に一致しない難問であります。  私は、六十五歳への引き上げは避けられない課題であり、苦い薬はなるべく早く飲んだ方がよいと考えているものでありますが、少なくとも現在は、引き上げが是か非か、それだけを切り離して議論するのではなく、就労から引退へのなだらかな移行をどう構成するか、つなぎ対策をどう考えるかという、いわゆる雇用と年金との連携について具体的に詰めた議論を展開すべき段階ではないかと考えております。  六十歳代前半のいわゆる弾力的措置につきましては、減額年金やスウェーデン式の部分年金あるいは日本式の在職老齢年金などの例があります。ドイツが九二年改正で導入いたしました減額年金と部分年金制度も大いに参考になります。減額年金の減額率をどうするか、減額年金と部分年金との組み合わせをどう考えるか、極めて重要な問題でございます。  また、六十歳代前半における年金と失業給付との給付調整も必要であります。しかし、本格的な調整は、西欧諸国の経験も徴し、慎重に検討する必要があると思いますので、次期改正には恐らく間に合わぬと思います。ただ、現行の老齢年金と失業給付の併給は、これだけは理屈にも合いませんし、実際問題としても後々の対策に尾を引きますので、少なくともこれだけは次期改正で合理的に解決する必要があります。  次に、支給開始年齢に関する諸外国の動向でございますが、七〇年代後半から八〇年代にかけては、若年労働者の失業問題への対応から年齢引き下げの傾向が強かったのでありますが、最近では人口高齢化への対応から流れが逆となって、六十五歳またはそれ以上が大勢になりつつあります。  厚生省の「年金改革を考える」というパンフレットにもございますように、現在OECD諸国の中で六十歳に据え置いているのは、日本、フランス、トルコだけてあります。  フランスでは、複雑な政治事情から、年齢引き上げの提案は与野党ともちゅうちょいたしておるようでございますが、フルペンションのための拠出期間の要件、現行三十七・五年を延長することによって、実質的にはこの問題に対応しようとしておるようであります。既にロカールの社会党内閣は、一九九一年の年金白書で、四十一年ないし四十二年に段階的に延長することを検討しようと呼びかけております。最近の新聞報道によりますと、バラデュールの保守党内閣は四十年に引き上げることに踏み切ったとのことでございます。これは一般の勤労者にとりましては、支給開始年齢二・五年の引き上げを意味するわけでございます。  第三は、費用負担の問題であります。  厚生年金、国民年金の保険料は、いわゆる段階的保険料の考え方のもとに、これまでも再計算のたびごとに引き上げられてまいりました。将来の収支見通しにおきましても、例えば厚生年金におきましては、五年ごとに二・二%を引き上げるものとして試算されております。  しかし、将来世代の負担を軽減し、最終保険料率をできるだけ低く抑えるという見地からは、この引き上げ幅はできるだけ大きい方がよいのであります。つまり、できるだけ早期に保険料を引き上げればそれだけ積立金が大きくなり、利子収入も大きくなるからであります。苦い薬を早目に飲むことはなかなか難しいこととは思いますが、毎期二・二%の引き上げ幅が限度であるというふうには考えずに、種々の財政計画について具体的に検討する必要があると考えます。  次に、国民年金につきましては、今後における保険料負担の増大に対応して、国庫負担を引き上げるという大きな問題がありますが、財源問題もあり、次期改正での措置は難しいと考えております。これは中長期的な課題として引き続き検討すべきでございましょう。  このほか、基礎年金には、三号被保険者の問題、滞納、免除、未適用の問題、将来の低額年金者、無年金者など難しい問題がございます。これらは財源問題とも関連いたしますので、国庫負担問題の中で引き続き検討していくのが妥当と考えます。  第四は、企業年金の問題であります。  支給開始年齢の引き上げに伴うつなぎの年金として、企業年金に期待されるところが大きくなってきております。他方、企業年金に対する税制上のサポートといたしましては、厚生年金基金制度、適格年金制度などがありますが、その内容は、国際的に見ましてかなり制限的であります。企業年金の中小企業への普及、さらには本格的な給付建て企業年金の困難な小企業、零細企業への普及をも念頭に置きながら拠出建ての制度を対象に含めるなど、税制上の対策を考える必要があると思います。  第五は、一元化の問題であります。  これにつきましては、年金数理部会の第三次報告書でA、B、C三案のモデルを提示いたしました。また、厚生省の先ほど申し上げたパンフレットにも、これと同じような三つの案が示されております。いずれの案にもそれぞれ問題点があります。結局は関係者がやむなしとして、何とか合意される線でまとめるほかはないのではないかと考えております。  一元化は平成七年完了が予定されておりますが、各制度での検討を含め、さらに精力的な検討が必要であります。A、B、C三案をたたき台として議論を深められることを期待いたしております。  最後に、制度改革の進め方について一言申し上げます。  次期制度改正は、以上申し上げましたように、我が国の年金制度の将来にとって極めて重要な意義を持つものであり、また、すべての者が負担を分かち合わねばならない厳しい改正になることが予想されております。そのために、年金財政の現状と将来に関する情報を幅広く提供し、国民の正しい理解を得つつ広範な議論を展開し、合意形成を図っていくことが肝要でございます。そういう意味におきまして、今回の厚生省による暫定試算の公表、有識者調査の実施は一歩前進と評価いたしたいと存じます。  また、当委員会におかれましても、今日のような段階で前広に次期改正問題をお取り上げになりましたのは、私の知る限り初めてのことでありまして、心から敬意を表する次第でございます。  次に、最後にお願いを申し上げておきたいことがございます。  冒頭にも申しましたように、年金問題は長期的な問題であり、したがいまして、対策はできるだけ早目に打ち出す必要がありますが、当分は何とかなりますのでということで、打つ手がかえっておくれがちになります。そして、ようやく腰を上げたときは、傷口は手がつけられないほど広がっております。  そのよい例が国鉄であります。国鉄共済がおよそこのようになるであろうことは、昭和五十年代の初めごろ関係者の間ではほぼわかっておりました。それがいろいろな事情から抜本的対策には結びつきませんでした。そして、何とかびほう策を講じながら今日に至ったわけであります。  どうか年金問題の持つこういう長期的性格について御理解を賜り、そして、タイミングを失しない御判断、御決断をお願いいたしたいと思います。  以上で私の陳述は終わらせていただきます。(拍手)

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 ありがとうございました。  次に、村上参考人にお願いをいたします。

村上清年金評論家

○村上参考人 村上でございます。  最初にお断りしておきたいと思うのですけれども、これから申し上げます意見は、私が自分で考え出したというものではございません。私は余り独創力はないのです。ただ、私の取り柄は、三十年間各国の年金制度を勉強してまいりまして、そこにはもう長い歴史といろいろな成功や失敗の例がたくさんあります。別に西洋かぶれというわけじゃないのですけれども、そういうたくさんの例を見まして、その中でうまくいった例とか失敗した例、あるいは普遍的な例、いろいろなものがありますね、それを日本に当てはめて申し上げていくというふうに御理解いただきたいと思います。  それからもう一つのことなんですが、最近大きな年金改革をやったのがアメリカ、あるいは昨年のドイツ、これが一番参考になると思うのですけれども、このいずれの場合を見ましても全党一致でやっているということなんですね。年金問題だけは政争の具に供しない。足を引っ張り合ったらだめだ。  というのは、年金制度というのは、よく考えたら極めて簡単な制度なんですね。ですから、その核心の部分においては選択の余地というのは余りないんです。細かいところは人によって意見が違うから、妥協していただかなければならないけれども。そういう意味で、皆さんは国民の代表でございますので、ひとつどうぞ全党一致でやっていただきたいというふうに、外国の例を見て思うわけでございます。  中身に入ります。  最初は、給付と負担でございます。  昔の時代には、年寄りというのはせがれが扶養しておりました。家族内扶養ですね。そういう社会の中で、仮にせがれが月給五十万円稼ぎまして、親に二十万仕送りしちゃって、自分が三十万円で暮らしたとします。三対二ですね。どうですか、親孝行なせがれだとお考えになるでしょうね。  じゃ、今の年金はどうなっているかと申しますと、モデルでは月給の六九%でございます。ところが、現役の月給というのはいろいろな諸控除がありますね。社会保険料だけでも一二%近く引かれているのですから、税金を合わせますと一六%ぐらい引かれているでしょうね。そうすると手取りは八四%なんです。年金の方は、あれはもうほとんど手取りなんです。そうしますと使える金、ネットといいますけれども、それに対する年金の比率というのは八二%なんです。つまり、現役の人の手取り給料を一〇〇とすれば年金は八二だということなんですね。  これを別の数字で置きかえますと、年金を一〇〇といたしますと、現役の人の給料は一二〇なんです。労働組合の方に申し上げるのですけれども、これでいいんですかと言うのですね。つまり、こっちは四人家族で、こっちは二人家族ですよね。それがたった二〇しか違わなくていいのと言ったらば、それじゃおかしい、一五〇ぐらい。じゃ三対二にするかということになるわけですね。  今の数字を別の数字に置きかえますと、五五対四五ぐらいです。五五対四五というのは三対二じゃないんですよ。もっともっと年金の方が高いわけなんですね。  もう一つ申し上げれば、社会保障の年金でございます。  社会保障というのは、老後の生活全部見るという考えは自由社会にないですね。要するに基礎的な部分であって、その上に退職金とか企業年金とか貯金が乗っかって、ある部分は自分が責任を負うというのが自由社会の当然の原則でございます。そういうことを考えると、さあどうなんだろうかということになります。現役の人には別にボーナスがあるのですけれども、住宅ローンと教育費で大体なくなっちゃうのじゃないでしょうかね。どうも五五対四五より六〇対四〇、つまり三対二ぐらいが妥当じゃないかという感じがいたします。  年金制度の核心は、要するに一つの財布をどう分けるかということなんですね。今申し上げた三対二がいいのか五五対四五がいいのか、それを決めてしまいますと、もう負担も給付も全部決まってしまうのです。  それを実際にやったのが昨年の西ドイツの改革でございます。それをきちんと決めてしまえば、老人がふえようが、あるいは経済成長がどうなるか、ファクターは将来わかりませんけれども、恒久的に年金財政は安定する。だから、彼らは恒久的な自動安定装置ということをちゃんと言っているわけでございます。ドイツのことを申し上げたいのですが、これはもう既にたくさん紹介されておりますので、ひとつそちらを見ていただきたいと思います。  それから、次に年金の支給年齢でございますね、六十五歳問題。  六十歳定年が多いのですけれども、定年後働きたい方はたくさんいらっしゃいます。そういう方たちの希望に沿うような雇用の拡大、これはぜひとも積極的にやっていただきたいと思いますね。しかし、六十を過ぎますというと、健康のすぐれない人もいるし、あるいは仕事がない方もたくさんいらっしゃる。そういう方の所得保障もきちんとやっていただきたい。よその国は、確かに原則は六十五でございますけれども、その前にやはりいろいろな施策がある。失業保険とか、船後先生もおっしゃいましたいろいろな施策があるわけでございまして、そういうことも参考にしていただきたいと思うのですね。  それで、厚生年金は現在法律上は六十五歳、その前は特別支給ということになっておるわけですね。昭和六十一年の改正で給付率はだんだん下がってきております。さっき五五対四五じゃ、現役が二割増しぐらいじゃ気の毒じゃないか。ということは、相対的に年金を下げなければいかぬわけですね。だけれども、私はそれは今はやるべきでないと思います。  というのは、今はまだ六十一年の法律がだんだん動いている過程なんですね。あれはある程度給付を下げているわけです。そこのところでまた下げてしまったのでは、国民の信頼をなくします。やはり年金というのは約束なんですから、約束したことは、少なくともそれが終わるまではきっちりやっていかなければいけない。そういうことで、六十五歳からの今の年金水準が人によって高いと思うかもしれないけれども、今の水準は守らなければ、それはうそをついたことになると私は思うのですね。  次に、問題は六十歳から六十五歳、いわゆる特別支給の部分ですね。前回は、六十でも働かない方には五八%の年金をやるということでございました。これはちょっときついのですね。厚生年金、これは厚生大臣なんかがテレビで話していらっしやるのを見ますと、平均六十二歳支給だ。確かに平均はそうなんです。ただ、実際に見ますと、大体六割ちょっとぐらいの方が六十でもらい出しているわけですね。ブルーカラーの方に多いのだと思うのです。  それから、次の大きな山は六十五歳でございます。つまり、ホワイトカラーで所得の高い方は、六十五になると今はもう幾ら給料をもらってもくれてしまうわけですね。だから、そこで全部もらっちゃうからそこに二十数%いるわけですね。中間というのは余りいないのです。ならすと六十二になるわけなんですね。六十五の方は、これはもう別に六十五になっても何にも影響ないわけでございます。それで、六十歳組がどうなるかというと、前回出た案でいいますと、これはもう五年延びるのじゃなくて、年金が五八%、半分近くに減ってしまうということでございますので、これはちょっときついのじゃないかという感じがするわけでございます。  それで、まず第一に高年者の雇用拡大、これは絶対に必要でございます。そういうことをすることによって給付が減れば、年金の負担も減るわけでございますね。と同時に、六十になってやはり仕事がない方もいることは確かでございます。働けない方もいます。この場合に五五対四五は必要がなというと、三対二ぐらいでいいのじゃないかなという感じがするのです。  各国の統計を見ますと、同じお年寄りでも前期と後期と分けますと、前期はまだいいのですね。ヤング・オールドといいます。オールド・オールドになりますと、かなり貧困な人がふえてきているという事例がございます。六十から五年間ぐらいでしたら、退職金もあったり蓄えもあったり何やかやありますので、ここら辺のところはもうちょっと何とか、三対二だっていいのじゃないか。三対二に上乗せしてまともな生活をやるぐらいの自助努力というのは、自由社会で個人に責任を負わせるというのは当然のことだというふうに思っております。  そこで、では具体的にどうするかというと、大ざっぱに二つあると思うのです。前回の五八%という率はちょっときついので、これをもう少し緩和する。例えば西ドイツの例なんか見ればもっと緩和しておりますから、一〇〇までいきませんけれども、それよりも、中間ぐらいの率にするというふうなやり方も一つあるだろうと思うのですね。  それからもう一つは、今、法律上六十五の前と後とで分けてございますね。六十五以後は基礎年金プラス厚生年金という形で、その前の五年間は特別支給というのである。法律上は「当分の間」となっております。あれは厚生年金独自のものですから、あそこについてのみ何か手当てをするというふうなこともあり得るのではないかというふうに考えております。  それから、これは船後先生もおっしゃいましたが、六十歳で年金と失業保険が両方もらえるというのは世界に例がないのです。外国へ行ってしゃべると、非常に不思議がられます。あれは両方もらうと四十万から四十五万円もらえるのですね。しかも、ほとんど税金がかからないのです。職安へ行くと、大体六十ぐらいの方だと二十万円ぐらいじゃないんですかね。そうすると、うちにいて遊んでいて四十万円で、外へ行くと、働くと二十万円で、どっちにすると言うと大体行かないのですね。一年間それをやると、もう体も心もなまって働かなくなってしまう。これは私が言った話ではないのです。  労働省の所管で高年齢者雇用アドバイザーという制度がございまして、そこの方の集まりのところへ行ったら、その方は、一生懸命に働くように声をかけるけれども、これがあるから働かないと言うのですね。だからこれを何とか変えてください、大きな声で言ってくださいと言うので、私、今大きな声で申しておるのでございますけれども、これは本当に世界に例がございません。  よその国は、まず失業保険があって、それが切れてしまったら老齢年金。だって、失業保険というのは、自分は現役でいっとき失業したからと言っておるわけです。老齢年金というのは引退してというのですから、同じ人が違うことを言っておるわけなので、これはちょっとおかしな話でございますね。そうすると、失業保険は三百日、約一年出ますから、それだけでも一年ずれますね。六十歳が六十一歳からでいいわけでございますから、財政的にだって随分寄与するだろうと思うのです。  それから、六十五歳問題というのは、これは実は日本だけではなくてドイツも同じ問題がございまして、ドイツは原則六十五だったのですけれども、実際にはいろいろな特例でもって、もう六十ぐらいでどんどん引退していたわけですね。それを何とか六十五に戻そうということを言っておりました。それから、高齢化も実は日本よりもドイツの方が厳しいです。  その対応で何をやったかというと、さっき申し上げた、両世代の負担割合をネットといいますか手取りで決めてしまうということなんです。これによって財政が安定するし、また、従来の厚生年金のやり方は、税込みの給料にリンクしておりました。五年ごとに過去の税込みの給料の上がる率で年金を上げたのですね。ということは、高齢化の負担を勤労世代だけに負わせたわけでございますけれども、これを平等に負わせていくことによって長期的に安定するということでございまして、詳しくはドイツの資料をごらんいただけたらと思います。  次に、一元化のことを申し上げます。  一元化というといろいろな意味がございまして、統合一元化なんてございますけれども、統合といってもいろいろな意味があるのですね。ECの統合と東西ドイツの統合というのは全然違います。日本語ですと同じですけれども、英語では違いますね。東西ドイツはユニフィケーションでございます。ECはインテグレーションとかあるいはハーモナイゼーションというわけです。ですから、日本の一元化と人に聞くと、みんな違うことを頭の中に考えているのではないかという感じがするわけでございます。  それで、日本はどうするか。一元化は、別の角度からいいますとJRの救済でございまして、現に厚生年金から八百億か九百億か払われておるわけです。それはけしからぬとおっしゃる方がいるのですけれども、若い厚生年金のサラリーマンで、ぜひやってくれという人がいるのです。聞いたら、お父さんが元国鉄のOBだというのですね。これは私はいい話だと思うのです。  日本じゅうの勤労者を全部集めまして、自分の出した掛金をだれにやりたいかと聞いたら、親にやりたいと言うに決まっているのですよ。そうしたら一元化は全部できちゃうのですね。よその国もそういうことをやっております。フランスのことわざなんですけれども、子供が親の仕事を継がなくても親の面倒を見る義務は免れないという言葉がございまして、フランスは財政調整をやって、先細りの集団を援助しているわけです。  だからといって東西ドイツみたいな完全な統合ができるかというと、共済にはそれぞれ経緯がございます。共済は、年金、医療、福祉、それが一体となった同じ職域の生活の場でございまして、長い歴史があってみんな努力してきた。それを一遍に御破算にしてということは、その当事者がうんと言ってくださるかどうか。私は当事者ではございませんので何とも言えませんので、この問題はどうぞ当事者でよく話し合っていただきたいと思うわけでございます。  それから最後に、国民年金の空洞化とこのごろよく申します。要するに一号被保険者ですね。自営業、無業、その他の人で落ちてしまっている人が何百万人もいるということですね。今、掛金は一万円ちょっとですけれども、将来二万円になるという推計が出ておりますので、今でもどんどん落ちてしまうのに倍になったらどうなるんだろうといったら、まずこれはえらいことになってしまって、皆年金なんというのはとても言えないと思うのですね。  それから船後先生がおっしゃった三号、サラリーマンの妻、紙一枚届けを忘れたために千五百万がもらえなくなってしまうなんて、これは世界に例がないです。ここら辺は何とかしていただきたいと思うわけですね。  基礎年金を持っている国は世界に十ぐらいございます。大部分は税方式でございます。つまり、掛金も記録も何もないのですね。六十五になったら黙って例えば月に五万円くれるという仕組みでございます。つまり、要件としては、その国に長く住んでいたという居住要件だけなのですね。それはその間、働いたり、税金を納めたり、次の世代を育てたり、何か社会に貢献しているわけでございますから、水や空気と同じように、ささやかな額だけれども支給する。そのかわり税金は高こうございまして、御案内のとおり、間接税は大体二けたになっているわけですね。  イギリスとオランダだけは社会保険でございますけれども、これも掛金は所得比例で税務署が税金と一緒に取っていますから、直接税でやっているようなものですね。  外国の専門家の意見を聞きますと、日本の年金というのは、皆年金という原則は大変立派である、ただし、何百万人も脱落しているということがどうしても理解できない。  これはもう基本的に難点があるわけですね。二点ございます。一点は掛金が負担能力に応じていないということですね。それからもう一点は強制徴収できないということです。サラリーマンはちゃんと負担能力に応じて嫌でも引かれてしまいますから、これが本当の社会保険なんですね。公租公課でございますから、強制徴収できないで何でできるんだと言われるわけでございますね。  では、税方式でやるとしたらどうするかというと、直接税か間接税しかないんですけれども、直接税で、今も特に自営業から問題が起こっているわけでございますから、クロヨンという税制があるかどうか知りませんが、新聞によると、あると書いてある。だとすると、直接税をたくさん取って自営業の人を助けてやるというのは、どうもサラリーマンとしては余りうれしい話じゃございませんので、それで間接税じゃないか。前に社会保障制度審議会でも、基礎年金ですね、そのときにも付加価値税を財源とするという御意見で、あれは泉さんとおっしゃいましたですか、大変詳しい御説明をしていらっしゃいました。  私は従来から、税方式しかないよ。というのは、外国の専門家に聞いてもないし、ほとんどの国がそうやっているし、それから、皆年金というのはそれしかないんですね。私は本当は税方式は好きじゃないのです。  例えば、アメリカは国庫負担は一銭も入れておりません。労使の折半の掛金だけで給付費も事務費も全部賄うのですね。つまり、公的年金といえども財政的に自分の足で立っているんだ、国からの援助は受けないよ。もらい出したら切りがないのです、よこせ、よこせということになって。これは立派だと思いますが、ただ、アメリカの場合には、対象にしているのは働き手だけなのですね。皆年金じゃないです。サラリーマンだけを対象にしている場合には国庫負担なしでもやれるのです。  だけれども、全国民に広げてしまったらそれでは済まないよというのが、これは専門家の意見でございます。徴収はできないし、無業者はいるわけですね。それをみんなにやろうとするならば、これはやはり別の方法を考えなければならない。  それで、多くの方は社会保険の体制を維持するんだけれども、今のままじゃとてももたないから、国庫負担を三分の一から二分の一あるいは三分の二に上げたらということでございますけれども、これはだんだん実質的に税方式に近くなるわけですね。そういうことをおっしゃる場合には、必ずその財源も一緒に言っていただかないと、これは半端な金じゃございませんので、どこで取るかということですね。その財源を納得させなければ、それはそんなに、二分の一とか三分の二なんて上げるだけのお金はとても出てくるわけじゃございませんし、さらに将来どうするかということですね。  私も、一遍に切りかえるというのは無理です。一遍に今切りかえますと、今三%の税がありますね、あれを一〇%にしないと間に合わないです。一〇%にすると七%アップでしょう。三十万の家計ですと、三、七、二十一ですから二万一千円なんですね。今国民年金は夫婦でちょうど二万一千円払っておりますから、その掛金を払わないかわりに税金で納めていただく。そのかわり今度は、ダイヤモンドを買うような人からはたくさんいただくし、つつましい方からは少しいただく。それから、免除も滞納も三号の問題も全部なくなるということなんですが、いきなり七%税金を上げるというのは、多分先生方はどなたもおっしゃらないだろうと思うのです。そんなことを言ったらえらいことでございましてね。  それからもう一つ、そういう政治的なことは抜きにしても、七%税金を乗っけたら物価が七%上がるわけですね。いきなりそれをやったらみんなの貯金が七%目減りするわけでございまして、金利でつつましく食っている人はどうするんだというようなことになりますから、やはりこれは段階的にやらなければならない。  とすると、社会保険で国庫負担を上げるという説と税方式に向けて段階的にやるということは、当分の間は全く同じことだと思うのです。ただ、将来目指しているところがどっちかということですね。国庫負担を上げてみても、社会保険方式だったらやはり何百万も無年金者が起こります。  ある老人ホームの所長さんのお話なんですけれども、そこに入っていらっしゃるお年寄りは、偶数月の十五日になると何か機嫌がよくなるんだそうですね。あれは年金の支払い日でございますね。ところが、一割くらい無年金の方がいるそうでございます。もう気の毒で顔が見ていられないというのですね。年金があるかないかは天と地ほどもの差だと実感としておっしゃっていらっしゃる。私は全く同感でございます。  ですから、将来、時間はかかっても、そして今度の改正にはこれは無理でございます、船後先生のおっしゃったように、すぐできることとできないことがございますけれども、しかし、議論というのはやっていいのではないかというふうに思うわけでございます。  どうもありがとうございました。(拍手)

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 ありがとうございました。  次に、山崎参考人にお願いをいたします。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 上智大学の山崎でございます。  本日は、お招きいただきまして、どうもありがとうございました。  年金につきましては、平成元年の改正の際にも本委員会で発言させていただきました。私の基本的な考え方は今も変わっておりませんが、その後の議論の進展を踏まえて、改めて意見を述べさせていただきます。  まず最初に、今回の年金改正に取り組む姿勢として立法府並びに行政府に求めたいことは、次の二点であります。  第一は、徹底した情報公開と合意形成に努めていただきたいということであります。  幸い、年金審議会は、昨年末に審議内容を「論点整理メモ」として公表し、さらに厚生省は、ことし三月に異例の年金財政の暫定試算を行ったほか、二千名を対象に有識者調査を実施しております。また、国会においても、厚生委員会独自に、本日のような自主的な検討を進めることとされたそうでございます。このような対話と協調の姿勢を最後まで貫いていただきたいと願っております。  第二は、社会保障の長期的課題と年金政策を有機的に関連づけ、社会保障政策の総合化を図っていただきたいということでございます。  今日、高齢化の進展のもとで、高齢者の雇用、老人医療・福祉、出産・育児対策などが国民的課題になっておりますが、いずれも年金制度のあり方と密接に関連しております。古典的な年金理論の枠組みにとらわれた財政対策的均衡論を超えて、これらの国民的課題に積極的にこたえ、年金制度に対する国民の信頼を高めるという観点から、政策のイノベーションを図っていただきたいと思います。  以下、主要な課題について私の意見を申し述べさせていただきます。  今回の改正の最大の争点は被用者年金の支給開始年齢問題ですが、課題は、いかにして雇用と年金の連携を確保するかということであります。  高齢者の雇用について見ますと、年金が六十五歳支給になれば自然に雇用が延びるという状況にはありません。実態を見ますと、六十歳定年制がほぼ定着しかかっていると言われていますが、その一方で早期退職優遇制度が普及し、定年制の空洞化が進んでいます。定年後の継続雇用制度のある企業においても、希望者全員ではなく、選別した上での雇用が多数であります。  また、労働組合も必ずしも六十五歳定年を要求しておりません。年金六十歳支給の条件を確保した上で、六十歳以後の就労と退職の多様な選択肢を用意すべきだというのが連合の方針のようであります用意外なことでありますけれども、画一的な六十五歳までの雇用延長には反対で、六十歳代前半層については自由度を確保したいという点において、労使の本音は一致しているように思われます。  このような労使の意向を踏まえた上で、社会的な要請になっております高齢者の雇用を促進するには、六十五歳までの現行の特別支給の老齢厚生年金を厚生年金の本体から分離し、十分な就労所得のない者に対する雇用を補完する特別年金として位置づけた上で、その給付設計と費用負担の仕組みに雇用促進の要素を組み込むことが最善の対応策だと考えております。  まず、給付設計では、高齢者の就労が退職後の年金額に十分に反映する仕組みに改める必要があります。現行制度では、定額部分の計算に加入期間三十五年の頭打ちがあるため、高齢者の多くは就労しても年金額が余りふえません。頭打ちを廃止し、就労が年金額に十分に反映する仕組みに改めるべきであります。  在職老齢年金にも問題があります。現行制度では、報酬が月額二十五万円の限度額以上だと全額支給停止、限度内でも報酬と年金の合計額は余り変わりません。報酬増による年金の減額を一定の範囲にとどめ、就労インセンティブを確保する必要があります。  雇用保険の失業給付と老齢厚生年金の併給調整も不可欠であります。現行制度では両者が併給されるため、定年退職者であれば月額四十万円から五十万円が最高十カ月支給されますが、これに見合う職は極めてまれであります。しかも、併給は理論的にも矛盾しております。失業給付は就労の能力と意思を前提に支給され、老齢年金は引退を条件に支給されるものだからであります。  費用負担についても組みかえが必要ではないでしょうか。  厚生年金の保険料率は、高齢者の雇用とは関係なく、全企業同一であります。高齢者を雇用する企業は、受給者を減らし、保険料を負担して年金財政に貢献しているわけですが、その貢献が全く評価されていないのであります。しかも、高齢者の雇用は圧倒的に中小企業に偏っておりますから、年金制度を通して、中小企業から大企業へ相当な規模での所得移転が生じていることになります。高齢者を排除することにメリットがある現在の年金制度であっては、雇用が進むはずはありません。雇用を促進し、かつ費用負担の公平化を図るためには、保険料負担を高齢者雇用の貢献度に応じたメリット制に改めなければなりません。  給付の水準や体系についても見直しが必要であります。  昭和六十年改正以来、サラリーマン世帯の標準年金の水準は標準報酬比で六九%とされていますが、この水準を将来にわたって維持するとすれば、世代間の均衡が崩れてしまいます。問題は、現役世代の租税、社会保険料込みの標準報酬を基準に給付水準を設定していることにあります。  昭和五十年から平成三年までに、勤労者世帯の収入に占める可処分所得の割合は九一%から八五%へと低下しました。今後については、税制のあり方にもよりますが、高齢化のピーク時の現役世代の可処分所得の割合は、現在よりも相当に下がることは避けられません。にもかかわらず、六九%の年金水準を維持するとすれば、現役世代に比べて高齢世代の方が実質的所得水準が上回る懸念があります。  世代間の均衡を図るには、今後の年金額の改定は、勤労者世帯の可処分所得だとかあるいは消費の伸びの範囲にとどめる必要があります。いずれにしても、高齢化に伴う負担増を世代間で等しく分かち合う仕組みをビルトインしなくては、世代間扶養のシステムとしての年金制度の安定化はありません。  さらに、要介護老人に対して一定の介護費用を保障するという観点から、年金の給付体系を組みかえることも課題になると思われます。介護問題は今日の最大の国民的不安でありますが、介護対策の総合的な推進には、医療福祉サービスの充実のほかに、年金制度による対応が不可欠だと考えられるからであります。  老齢年金の水準は、日常生活費の標準的、基礎的部分をカバーするという観点から設定され、終末期の介護費用は考慮しておりません。また、六十五歳未満の一級障害については、一定の介護費用を考慮した障害年金の加算があるのに対して、六十五歳以降に発生した寝たきり、痴呆などの障害に対しては、このような加算はありません。障害者の所得保障という観点からも見直しが必要であります。  具体的には、高齢障害者の老齢年金に一定額の加算を行い、年金で一定の範囲のサービスを買ってもらうという原則を確立することであります。そうすれば病院、老人ホーム等の施設利用者に適切な負担を求めることが可能になり、施設、在宅間の費用負担の均衡や医療費の適正化を図ることも可能になります。  このように、給付については、世代間の公平性の観点から老齢年金の一層の適正化を図りつつ、国民の最大の不安である終末期に給付を重点化することによって、いわばライフステージに応じた水準の分化を図るべきだと考えております。  国民年金の基盤強化も今回の改正の大きな課題です。膨大な適用漏れ、滞納、免除を抱えて、国民年金は既に空洞化しており、社会保険方式から全額国庫負担による税方式へ切りかえなければ、皆年金は実現できないという主張が高まっております。この切りかえは、税制のあり方などとも絡み慎重な判断を要しますが、いずれにしても国民年金が放置できない状況にあることは確かであります。改正に当たっては、社会保険方式のもとでの可能な限りの国民年金の基盤強化策を講ずる必要があります。  第一は、市町村において国民年金の対象者を完全に把握できる体制を整えることであります。少なくとも、公的年金制度に加入義務があるのを知らなかったとか、手続を忘れたなどということは解消しなければなりません。検討されている年金番号の一本化は、その有力な手段になると思われます。  第二は、年金と医療保険の行政システムの一体化であります。現状では、医療保険に加入し、保険料を納付しているにもかかわらず、年金には未加入だとか、滞納している人が少なくありません。両者の運営の一体化によっても問題は相当に改善されるはずであります。  第三は、国民年金を含む社会保険の未加入者や滞納者については、生命保険料控除の適用を外すことであります。  保険料の高額化が未加入や滞納を生んでいるという説が有力でございますが、調査によりますと、国民年金に入らない理由として、保険料が高いという人はごく少数でございます。むしろ、特に理由はないとか、あるいは別に生命保険や個人年金に加入しているからという理由を挙げる人の方がはるかに多いのであります。また、低所得者層では、国民年金や国民健康保険の保険料納付者よりも生命保険の加入者の方が多いという信じがたい事実があります。社会保障を基盤として、それを補完するのが民間保険の役割であるという本来のあり方からすれば、社会保険料の負担を逃れている生命保険加入者に対する税制上の優遇措置の適用は、常識的にも認めがたいのではないでしょうか。  第四は、運転免許証の交付、更新の際に、社会保険料の納付済みを条件とすることであります。交通事故などによる障害給付の保障の観点からすれば、これも当然の措置ではないかと考えます。  第五は、さきに提案しました介護対策のほかに、出産・育児についても年金制度による支援を行うことであります。例えば、年金制度による出産一時金の支給だとか、育児期間中の保険料免除などであります。終末期の不安にこたえるとともに、次の時代の担い手の出生と健全育成を支援することこそ、世代間の順送りの助け合いのシステムとしての公的年金の価値を高め、国民の信頼を確保することになるものと思います。  第六は、保険料免除に部分免除制を導入することであります。今年度の国民年金の保険料は月額一万五百円ですが、低所得者など負担能力のない者は一律に全額免除になります。しかし、保険料の一部なら負担可能だという人も少なくないはずであります。国民健康保険では、低所得者の応益割保険料に六割と四割の軽減措置があることが参考になると思います。  費用負担のあり方についても見直しが必要です。  第一は、被用者年金の保険料の算定基礎給与を賞与を含む総報酬とすることであります。標準報酬制では賞与が報酬に含まれないため、さまざまな問題が生じています。負担面での逆進性は言うまでもありません。また、事業主としては、意図的に定期給与を抑え、賞与に配分することによって保険料負担を軽減するという操作も可能であります。さらに、六十歳から六十五歳未満の在職者については、報酬を二十五万円未満にとどめて在職老齢年金を受給させ、かわって賞与を手厚くするという企業も目立つようになりました。労働保険は総報酬制を採用しておりますし、健康保険でも賞与から特別保険料を徴収しているわけでございますから、他制度との整合性という点でも標準報酬制には問題があります。  第二は、被用者年金の保険料の労使の負担割合の弾力化であります。さきの提案のように、六十五歳前を対象とする特別年金を創設し、費用負担にメリット制を導入するとすれば、その保険料については労使の負担割合を弾力化してもよいのではないでしょうか。メリット制の趣旨は、高齢者雇用に対する企業責任を問うものだからであります。  第三は、保険料の引き上げを毎年改定とすることであります。厚生年金の保険料率は、法律改正時に引き上げて、次の改正までは据え置きにするという慣例になっておりますが、国民年金と同様に、毎年小刻みに引き上げていく方が合意を得やすいように思います。  第四は、国庫負担の拡充であります。長期的には基礎年金の国庫負担率の引き上げが課題になると思われますが、介護、出産・育児対策を年金制度の側で行うとすれば、その部分について重点的配分を行うというのが財政の制約のもとでの当面の現実的な対応ではないかと考えております。  以上が今回の年金改正に当たって特に申し述べたいことであります。被用者年金の一元化も大きな課題でありますが、時間の関係で割愛させていただき、御質問があればその中でお答えします。  以上でございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  この際、委員各位に申し上げます。  議事整理のため、質疑のある委員の方は、挙手の上、委員長の指名により発言されますよう、また、発言の際は、着席のまま所属会派及び氏名並びに質疑をする参考人の氏名をお告げいただきたいと存じます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。持永和見君。

持永和見自由民主党

○持永委員 自由民主党の持永でございます。本日は、年金の専門家でございます三人の先生方には、先ほど来大変貴重な御意見を御開陳いただきまして、まことにありがとうございます。  先ほど来お話がありますとおり、次の来年に予定されております年金制度の改正というのは、我が国が高齢化、少産化の中で、二十一世紀に向けて非常に大事な要因を含む大きな改正だと思っております。  この場合に我々として心がけなければならないのは、やはり年金制度は、お話がありましたとおり長期的な制度でございますから、長期的な安定をぜひとも図っていくということと、そして後代にツケを残さない、後代の人たちに過重な負担をかけない、そういう責任のある制度改正を果たしていかなければならない。そのためには、あるいは多少痛みも分かち合うような制度改正になるかもしれないなという感じがいたしておりますが、そういう前提のもとで、せっかくお話がありましたので、まずは三人の先生方にそれぞれの立場でお伺いをいたしたいのです。  次回の制度改正で、大きな論点として恐らく支給開始年齢、給付水準、国庫負担あるいは基礎年金といった問題があるかと思いますが、それぞれのお立場で、どうしても早急に取り組まなければならない、そういった問題についての多少のアクセントと申しますか、優先度をひとつお述べいただければありがたいなと思っております。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 優先度をつけるという非常に難しい御質問でございます。  実は、アメリカではコンセンサスパッケージという言葉がございまして、すべての関係者に痛みを分かち合っていただくためには、やはりみんなが納得するコンセンサスパッケージをつくる、これが何よりも肝要かと思います。年齢の問題も給付水準の問題もあるいは国庫負担の問題も、いずれも重要でございます。ですから、私どもは国民的な議論の中でこういった問題をひとつ処理していただきたい。私の口からは、何を先にやるべきで、何が後回していいということは申しません。  ただ、この段階で取り上げられる問題と、どうしても取り上げられないのじゃないかという問題がございます。それは、私先ほど陳述の際に申し上げましたように、例えば現行の社会保険方式を税方式に変える、これはやはり無理でございましょう。そういった問題は残念ながら次回以降の検討にゆだねるほかはない、かように考えております。

村上清年金評論家

○村上参考人 幾つかのテーマで申し上げましたが、それはもうおのおの次元が違うものですから、ちょっと優先順位というのはつけにくいのですね。  ただ、せっかくの機会でございますので言わせていただきますと、最近ある雑誌に一橋大学の高山先生が書いていたのですが、「年金が二十秒でわかる法」というのですね。要するに、一つのものをどう分けるか、それを決めるだけの話だということなんです。私が申し上げた三対二がいいのか七対三がいいのかという、そういう配分の仕方ということはこういうことです。若い人が働いて物やサービスを生み出す。年寄りがいないと全部便えるわけですね。年寄りがいるから、それに幾らか分けなければならぬわけです。  その分け方をどうするかということをきちんと決めておけば、一軒の家でいえば、一つのかまの飯を親子でどう分けるかというルールさえ決めておけば、それぞれの社会情勢の中できちんと対応できる。その前例はドイツでございますので、ドイツのことをひとつお調べいただければ、いろいろな面で大変御参考になると私は思っております。  ありがとうございました。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 私がきょう申し述べましたことはすべて同じレベルで大事なことでございまして、すべて取り組んでいただきたいということでございます。  よく政府レベルで優先順位をおつけになると、財政対策がしばしば優先してしまいまして、その結末というのはもう先生方もよく経験しておられます。昭和五十五年改正のときに政府は原案として六十五歳支給を持ち出しましたが、与党の方からこれはまずいということで、つまり、国民の合意が得られないということで取り下げた経緯がございますし、それから平成元年改正も結局同じことでございました。  私は、教訓にすべきは昭和六十年改正であったと思います。あの改正では給付水準の適正化と言いましたけれども、受け取る側から見ますと、受給者の側からだけ見ますと、実は給付水準の大幅な切り下げでございます。にもかかわらず、その一方で基礎年金の導入による一元化だとか、女性の年金権の確立だとか、あるいは障害年金の意欲的な改善という各種の施策が、今、船後先生がお話しになりましたが、パッケージになって提案された。そのことによって初めて給付水準の適正化という苦い薬が飲めたのだろうと思います。  ですから、例えば私が今申し上げました介護対策だとか出産・育児対策というのは、年金制度の枠組みの中では優先順位が恐らく後になるのかもわかりませんが、しかし、給付水準の適正化とセットにして考えれば、意外に合意が形成できるのかなというふうに考えております。

持永和見自由民主党

○持永委員 ありがとうございました。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 野呂昭彦君。

野呂昭彦自由民主党

○野呂委員 自民党の野呂です。  企業年金について船後先生からはお触れいただきましたけれども、年金の設計の仕方というのは、国として基本的なものの設計の仕方という側面と、個人の面から自分の老後の設計に合った年金の設計の仕方というようなことを考えていきますと、三階以上の年金というのは非常に大事な部分になるわけであります。  それを考えましたときに、企業年金とかあるいは共済では職域部分というものもあるわけで、これもいろいろ議論されております。そういう意味で考えていきましたときに、国民年金基金というのができました。しかし、女性の年金との関係からいけば、いわゆるサラリーマンの妻といったような部分については、男女の平等ということからすると、三階建ての設計にもその部分がないといった問題、こういったこともございます。  そこで、そういった個人の老後の設計と、いわゆる公的年金制度の二階まで以上の三階建て、そういった絡みで御意見をちょっとお聞かせをいただきたい。これは三人の先生にそれぞれお願いを申し上げたいのです。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 それでは、船後先生からどうぞ。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 野呂先生が御指摘のように、確かに企業年金は自由設計というのがみそでございます。各人が公的年金で及ばないところをみずからの判断で老後のために備える、こういう機能を持っておるわけでございます。  そういう立場で現行の年金制度、特に税制との関係を考えますと、日本の場合には、私が陳述でも申しましたように、かなり厳しい、あるいは制限的な条件をつけ過ぎでございます。例えば厚生年金基金あるいは適格年金あるいは国民年金基金といったようなものでなければ税制上の優遇措置を与えない、こうなっております。外国ではもう少しこの範囲が広うございます。  私が例えて申しましたように、拠出建ての企業年金あるいは個人年金、これは日本では全く税制上は優遇措置がございません。もちろんこれは例のマル優の問題と関係がございます。そういったことでもってなかなか難しい問題を含めておるわけでございますけれども、諸外国ではこれは非常に発達しておりますので、そういう例を参照としながら、三階部分の助成策について、やはりもう少し掘り込んだ議論を年金と税制と両方の立場からしてしかるべきではないか、かように考えております。

村上清年金評論家

○村上参考人 村上でございます。  今御指摘のございましたように、これは先進国共通でございますけれども、老後の経済的な備えというのは三本柱とかあるいは三階建てと言います。一階は公的年金でございます。国の年金ですね。これは世代と世代の助け合いでございます。それから二階が職域でございますから、これは企業年金も入りますが、日本の場合には退職金の方がまだ比重が高いと思います。よその国も、年金もありますけれども、一時金も随分普及しておりますので、要するに長年働いて職場でもらうお金、これが二階部分でございます。それから三階部分は個人の貯蓄でございまして、個人年金も大事ですけれども、銀行預金だって構わないであろうし、比率からいったらむしろ預金の方が多いかもしれない。諸外国では個人貯蓄と言っております。  この三本柱のパーセントというのは、三つがバランスがとれたらいいのだということをおっしゃっていた方が昔いたのですけれども、今はもういないのです。一階、つまり社会保障が世界じゅうで大きくなり過ぎました。日本、アメリカ、イギリスを通じまして、高年者と現役とを見ますと、暮らし向きは高年者の方がよくなってしまったのです。不動産の所有まで入れたら問題にならないです。お金でいいましても、サラリーマンの場合ですと、年金で大体五千万から、夫婦でしたら六千万ぐらいもらうでしょう。それから退職金は、大企業で二千五百万、中小企業ですと千万から千五百万、個人の貯蓄はわかりませんが、やはり千万か二千万ぐらいだと思うのです。  そうすると、圧倒的に大きいのが社会保障なのです。今モデル年金が二十一万何千円と言っておりますから、これは税込みですと二十五万ぐらいのサラリーですね。今、大卒の初任給はまだ十九万四千円と聞いております。とすると、人の世話にならないでやっていかれる水準にはなっていると思うのです。東京の家が何億というので考えたらだめですけれども、年金というのは北海道から沖縄まで日本全体で考える問題でございますので。  そういう意味で、公的年金がうんと小さい場合には企業年金にうんと厳しい規制を課して、国によっては企業年金を強制している国もございますが、これは例外的でございまして、そこから先は労使が稼ぎ出した金、あるいは自分が稼いだ金を自分で準備するのですから、それは個人の裁量でございます。できるだけ自由に、そして国の政策でやろうとすれば、税制上その他でなるべくの優遇があれば、そして、それが余り不公平にならないということでやっていただくことがよろしいのじゃないかと思います。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 社会保障としての公的年金を補完する形で、企業年金なり個人年金なりあるいは貯蓄が伸びるのは結構なことだと思いますし、また、政府もそれに対して奨励策を行うというのは妥当なことだと思っているのですが、ただ、私が先ほど申し上げましたように、最近の風潮として、国の年金は当てにならないから、国の年金には入らないで個人年金や生命保険にというのはちょっと問題ではないだろうか。ちょっとというか、はっきり言って問題だと思うのです。それが一つ。  それからもう一つ、今、年金制度の二階建であるいは三階建ての絵が描かれるわけですが、実はぽっかり穴があいているのが三号被保険者、サラリーマンの奥さんのところに何もないわけでございます。今の年金制度の整理としては、基本的には個人単位の方向に向かっております。サラリーマンの奥さんについては、夫の二階なり三階の年金があるからそれでいいのだという割り切りなのでしょうが、個人単位の方向に向かっていくということは、妻には独自にやはり二階なり三階があっていい、こういうことだろうと思います。  その点で、平成元年改正で国民年金基金の制度をつくったわけですが、これは自営業者等の一号被保険者に限定しているわけです。将来の課題としては、一人一年金というのであれば、サラリーマンの奥さんにも上積みの機会を与えるべきではないかなというふうに私は考えております。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 それでは持永君、もう一問。

持永和見自由民主党

○持永委員 余り時間もありませんので、それではもう一問だけ、多少細かい問題かとも思いますが、山崎先生にお伺いいたしたいのです。  先ほど福祉全体の問題としての総合化の問題で、介護の問題が先生から御指摘がありました。実は今、介護の問題で福祉の面で言われておることは、特に施設の収容者と在宅の人たちに対して、要するに国の補助のあり方といいますか、そういう税金の充て方にえらい差がある。措置費で福祉に入っている人たちは二十数万円のお金が行く、在宅の人たちは年金だけじゃないかということです。  そこで問題は、先生が御提起になりました障害者加算の問題です。確かに一級障害と老齢年金との差があるのは事実でございますから、そういった意味で、寝たきりの老人に対しての年金の面だけから見ると、そういう差があるということで問題指摘があったのです。先生がお考えになっている老齢の加算というのは、在宅の人たちに対してだけというのか、あるいは施設に収容されている人たちに対してもそういうことをお考えになっているのか、その点ちょっとお伺いいたしたいと思います。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 年金は基本的に本人に支給するものでございますから、施設、在宅を問わず、そういう状態にある方にはそういう加算をつけるべきだと思いますが、施設に入れば、それは全額支払っていただくべきものだと考えております。そのことによって実質的に、施設に入れば支払い、在宅であれば家計に落ちるという形で、一定の費用負担の公平化が図られるというふうに考えております。

野呂昭彦自由民主党

○野呂委員 また少し細かいことですが、一元化のことでJRの救済だ、こういうふうにおっしゃいました。今JRの方は自助努力ということで、その自助努力の中で年金受給者が給付の一部を制約されておるわけですね。特昇分、特別昇給のアップの分は切り込むというのは当然のことにしても、例えば標準報酬の定額部分を除く部分はストップしています。それから、当然職域もございません。  私は、本来国鉄問題というのは、いろいろあったことは事実なのですが、組織としてあった問題と、個々に将来の年金として約束してきたものとはちょっと違うと思うのですね。したがって、年金を制約しておるというのは、まさに国鉄の職員を、犯罪者的という言葉は悪いですが、罰としてそうやっているわけですね。年金としてそれがふさわしいのかどうか、非常にここは微妙な問題かもしれませんけれども、ひとつお聞きをしたいのです。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 どなたに。

野呂昭彦自由民主党

○野呂委員 どなたでも結構なんですが、それでは船後先生、村上先生、お二人からそれぞれ。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 いわゆる自助努力でございますか、これは他制度からの援助を除く部分はすべて自助努力等という言葉の中に入っておるわけでございます。そして内容を子細に見ますと、野呂先生御指摘のように、いろいろ問題の多い中身を含んでおるわけでございます。  私も野呂先生と全く同じ考えでございまして、あの中で特にスライドの停止でありますとか、個人の約束された正当な年金制度上の権利に介入するような措置は、これは後々のためにも問題がある。ただ、関係者の納得を得るために非常な努力をしなければならなかったという現実は、私はよく承知いたしております。そういう意味で、これは歴史的な意味を持った自助努力であったが、もはや見直すべきときではないか、かように考えております。

村上清年金評論家

○村上参考人 JRといいますか国鉄ですね、私は国鉄には大変恨みがございまして、昔随分ストをやられて歩かされたりして、そういう恨みはないんですが、それは年金とは別のことと考えなければいけないと思うのですね。  過去に怠慢だったとかいろいろなことを言われますけれども、親が悪いことをしたら子供や孫まで人間扱いされないのかということは、これはどうも今の社会ではちょっと通らないのじゃないかという気がします。  それで、極端な例でございますけれども、この間会った若い方は、ある大手の電機メーカーに入社しました。そうしたら子会社に行ったらばJRと合弁なんですね。それでJRの共済へ入れられてしまったのです。そうしたら、給料は保障されたけれども手取りはがっくり減って、聞いたら何か今のルールでは厚生年金より悪いんだそうだ。なぜですかと聞くから、私はお気の毒ですと言うよりしょうがないのですね。  国鉄がいい思いをしたといったって、今いる人は何もいい思いはしていないです。悪い思いだけしております。ですから、せめて世間並みにはしてあげていいのじゃないかな。そして、年金制度の財産というのは積立金じゃないです。要するに、人数が減るかふえるかでもってもう九九%決まってしまうわけなんですから、それはもうそれぞれの職域の自然の成り行きでございますので、自助努力というのだったらあちこちから人をたくさん集めてくるということで、それはできないことでございますよね。私はそんなふうに考えます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 網岡雄君。

網岡雄日本社会党・護憲民主連合

○網岡委員 日本社会党の網岡でございます。本日はどうも貴重な御高説を賜りまして、まずもって厚くお礼を申し上げる次第でございます。  せっかくの機会でございますから、この年金の問題を検討していく前に、重要な問題というのは、支給開始年齢の問題、基礎年金、そして一元化、この三つが大きな課題だと思うのでございます。  先ほども質問がございましたけれども、参考人の三名の諸先生に支給開始年齢の問題について改めて御回答いただきたいと思うのでございます。  この六十五歳に支給年齢を定める、こういう問題につきましては今も議論がございましたが、六十歳から六十五歳までの雇用を国または企業といったところがどういうふうに確保するために協力をしていくかということが今一番大きな課題だというふうに思うわけでございます。  その意味でいきまして、例えばいろいろな御提言などもあるわけでございますけれども、六十五歳までの高齢者雇用というものは口では言えるわけですが、なかなか実際には企業の方が余り使いたがらない、こういう現状がございます。そういうものにある意味で国が制度的な優遇措置などを含めて一つのベルトをかけていかなければ、これは全く絵にかいたもちのような事態になる危険性もあるわけですが、現に今の段階では六十五歳までの高齢者雇用というのはなかなか進んでいないというのが現状でございます。  そこで、三人の参考人の方々に基本的なお考えをお聞きすると同時に、例えば山崎先生からは、高齢者の雇用について目に見えた形で実行に移したという企業については保険料の料率を一般のものより低額にする、こういうようなメリットを何かやらなければ実際には進んでいかない、こういう具体的な提言がなされておるわけでございますが、そういう問題も含めて、ひとつこの高齢者の雇用を実現をしていくための具体的な対策というものはどういうものがあるだろうかということについて、それぞれ三名の方々に御意見をお聞かせいただきたいと思うのです。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 それでは、山崎参考人が質問の中で出ましたので。それから村上先生、船後先生ということで。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 前回の改正で、日経連は六十五歳支給はやむを得ないと言ったわけです。しかし、私、その後、事業主サイドの方からいろいろお話を聞く機会があったのですが、現実には六十五歳は困るというのが現場の雇い主なんです。それから、労働組合ももちろんいきなり六十五は困るということですね。今の世の中、労使の意見が一致しちゃって六十五歳支給といったって、これは皆さん、みんな議席を失う話になるのじゃないかなということになると思うのですね。  ですから、やはりもう少し現実的に考えて、年金制度の中に雇用促進の要素を組み込む、そして実質的に多くの方が六十五歳まで働き、企業も高齢者を雇用する、そういう仕掛けをつくっていくというのが長期的に見たら賢明なやり方ではないかなというふうに感じます。ともかく六十か六十五歳かという不毛な争いはやめる。長期的には六十五歳まで働いて、そして十分な所得が得られない人がどうしても出てきます。そういった方には従来どおり、六十からある程度引退の自由が確保できるような年金を補完的に位置づけるということが現実的ではないかなというふうに考えております。

村上清年金評論家

○村上参考人 今のは雇用の問題でございまして、私は雇用は得意じゃないのです。年金の方でございまして、これはどちらかというと労働行政の問題だと思うのですね。  しかし、一番大事なことです。というのは、現在でも六十歳支給というけれども、二〇%以上の人は六十五でもらっているのですね。だから、みんなが六十五まで働けるようになれば、法律を何も変えなくたっていいわけですよ。ですから、企業と労働者がお互いに働きたい、働かせたいということになれば、問題は解決しちゃうわけですね。といって、実際には求人倍率は高齢者は余りよくございません。ということは、余り雇いたがらないということなんだろうと思うのです。  そのためには、これはむしろ労働省の方のお仕事だと思うのですけれども、例えば雇用奨励金とかなんかいろいろなことをやっておりますのでしょう、お年寄りを雇うとお金を上げるとか。だから、それをどの程度にやるかとか、それから職場環境とかそういうことで、ちょっとそっちの方は余り答えられません。  それで、自分の専門に近いことで申し上げますと、今や世界の傾向は画一的じゃないのです。フレキシブルリタイアメントと申しますが、弾力的な引退年齢、例えばアメリカは定年制は違法ですから、引退というのは個人が自分の意思で決めるか、あるいは企業がやめてもらうかということなのですね。また、人によって価値観があると思うのですね。八十でも九十でも働きたい人もいれば、早く引退したい人もいるわけですね。  例えば、同じ六十といっても、中卒の方と大卒の方で大分意味が違うのじゃないでしょうか。中卒の方は四十五年働いているわけですね。鉄工所で三交代、四十五年家族のために働いたら、せがれは、お父ちゃん、もういいよ、魚釣りでもしろと言うかもしれませんね。働きたければもちろん働いていただく。  だけれども、そういう人間の自由選択、オプションというのですか、そういうものがあっていいし、そして、そうはいったってそんなに早い年齢から巨額の年金を出すわけにいきませんので、やはり年金だったら現役よりはややつつましい、いい暮らしをするのだったら自分が努力して貯金する、そういうふうなことになるだろうと思います。  十分なお答えにならず申しわけございません。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 六十五歳に引き上げられた場合の六十五歳までの間の措置でございますが、これは原則といたしまして、労働の意思と能力がある者への対応は雇用政策の問題でございます。ですから、私も、そういう方がいつまでも雇用される、働けるという環境をまずつくることが大切である、かように思います。ただ、私も村上先生同様、雇用問題につきましては素人でございますから、どういう手があるか申し上げられません。  ただ、年金制度の方におきましてもそういうことに対する対応が必要でございます。一つが先ほど村上先生もおっしゃいましたようなフレキシブルリタイアメント、私も弾力的措置ということで各国の例を御紹介申し上げました。各国にはこの例がたくさんございます。失敗の例もありますし成功の例もございます。どうかよく御研究になって、日本にひとつ取り入れていただきたいと思います。  いま一つの問題は、高齢者になりますとやはりどうしてもフルタイムの勤務が難しくなります。パートタイムの形態になってまいります。このパートタイムの形態の人を厚生年金にどう適用するかという問題が残っております。日本の場合はこれはおくれていると私は考えております。もう少しパートの方の厚生適用につきまして、現実に即した解決をお考え願いたい。  それから、最後に申し上げておきたいのでございますが、日本と西欧を比較いたしますと、高齢者の労働力率は日本がはるかに高い。これは先生方よく御存じのとおりでございます。他方、失業率でございますが、日本はほとんど失業はないというような状態でございますが、先方は失業率は一〇%を超えておる。それから、経済成長でございますが、日本は何と申しましてもまだマイナス成長にはなっておりませんが、西欧ではスウェーデンは既にマイナス成長でございますし、ドイツも怪しくなってきた。こういう状況の中で六十五歳でございますし、さらにまた六十歳であった国が六十五歳に変えつつある、こういう現実もひとつよく御判断願いたいと思います。

網岡雄日本社会党・護憲民主連合

○網岡委員 それでは二つ目の問題でございますが、年金を考えていく場合、国民皆年金の一番重要な柱であるのは何といっても基礎年金だと思います。この基礎年金というものは、現行の制度でいきますと、フルペンションの状態で六万円を少し超える程度、こういう金額でございますから、安心して老後の生活を送るということでは十分な年金額とは言えない状況にあるということは、だれの目にもはっきりしておるところでございます。また一方、保険料が一万円を超える、こういう状況でございますので、村上先生からの御指摘もございますが、自家営業者の場合は三人に一人が滞納、こういう状況になっておるということでございます。  もう一つは、単に届け出をしなかったということだけで無年金になっているサラリーマンの妻が数十万人にも及ぶ、こういうことでありまして、先生の本を読みますと、無年金者は日本で数百万人に及ぶ、こういうようなことを言われておられるわけでございます。  こういう状況からいきますと、この年金制度の健全な発展を図っていくためには、基礎年金の額がああいう六万円少し超える程度の年金というものではなくて、本当に老後が生活できるに足る年金ということに充実をすることがまず第一に大事なことではないだろうかというふうに思います。  それから、次期制度改正でまず優先的に検討していただかなければならぬ問題は、基礎年金の充実とその基礎年金の基盤強化をどうやっていくかということが最大の問題点だというふうに思うわけでございますが、村上先生、山崎先生からはさっき具体的な御提言がありました際にも具体的に述べられておりますので、この際、船後先生から、この基礎年金の中身の充実と基盤強化という問題について具体的にどういうお考えをお持ちになっているのか、お聞きをしたいと思います。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 まず初めの基礎年金の充実という問題でございます。  昭和六十年の改正の際の五万円でございますが、それが現在年金改定の結果六万円程度になってきておる。これは十分じゃない、確かにそうでございます。老人世代の生計費調査なんかを見ますと、一人で六万円、二人で十二万円、とてもこれは無理でございます。しかし、もともと基礎年金というのは、老後生活のすべてを賄うという考え方を持っておりません。老後生活の中の基礎的部分をこれで賄うという考えでございます。そうでないと、とても国の財政もしくは保険の財政がもちません。そして、この六万円の水準は、一ドル百円あるいは百二十円といったレートで換算いたしますと、世界的には立派な水準でございます。  この水準をこれ以上に引き上げることは、将来の税方式への移行といったようなことをあわせ考えましても恐らく無理ではないか、私はかように考えております。そうですから、被用者につきましては二階部分の充実、さらに三階部分の充実がございますが、自営業者につきましては二階部分の充実をどう考えるか。これは国民年金基金がございますが、先ほども山崎先生もおっしゃいましたように、これはやはり制限的であります。ですから、もう少しここの部分について国の助成をどう考えるか、これが今後の検討課題でございます。  第二に、基礎年金の基盤強化という問題、既に私はお答えしたつもりでございます。私も現在のままでは基礎年金がもつとは思っておりません。やはり国庫負担を拡大していく。拡大していった方向が村上先生がおっしゃいますような税方式がどうかは、私この場でちょっと何とも言いかねるのでございますけれども、いずれにしてもこの問題は漸進的に考えていかねばならない。しかし、次期改正の課題とすることは、これは無理がある。やはり問題は順を追って解決していかねばならない。そういう意味では、これはその次のさらにその次、そういうときの課題である、このように考えております。

網岡雄日本社会党・護憲民主連合

○網岡委員 それでは次に、一元化の問題について三人の先生に御所見を賜りたいと思うのでございますが、昨年、社会保障制度審議会で一元化の問題について三つのモデルの案が示されております。また今回、年金審議会でも検討が行われているというふうに聞き及んでいるわけですが、この問題は、長い歴史を有する各年金制度の一元化を図っていくということでございますから、その制度、制度ごとにいろいろな問題を抱えているという非常に難しい面もあると思うのでございます。しかし、一元化の方向というのが今現に俎上に上っておるわけでございます。  そこで、この三つのモデル案について、山崎先生、村上先生、船後先生、それぞれのお考えをお聞きしたいのですが、よろしくお願いいたします。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 それでは、山崎参考人からお願いをいたします。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 一元化というと、一階の一元化、そして、さしあたって課題になっているのが二階部分の厚生年金と共済の調整という意味での一元化だろうと思います。  先ほどの国民年金との話の関連もありますが、やはり一階部分をきちっとするというのも同時に進めていかなければいけないと思います。これは村上先生がいつもおっしゃっているとおりでございまして、それに関連して申し上げますと、ぜひ厚生省で国民年金に入っておられない方、あるいは滞納しておられる方がどういう状況にあるのかということを調査をしていただきたいということでございます。先ほど例に挙げましたのは東京の台東区でございますが、数年にわたってずっと調査をしておりまして、意外に保険料が高いからという人は一割そこそこしかいないのです。そういう状況の中で、保険料が上がるから国庫負担を上げなければいけないという議論は出てこないように私は思うのです。払える人が大多数なのですということが一つ。  それから、二階の一元化については、もう趣旨は大方の人が認識を共有していると思います。要するに、世代間扶養のシステムという公的年金制度にあっては、制度が分立していたのではうまくいかないということだろうと思います。そこで昨年、年金数理部会が三つのモデルをお出しになったわけでございます。一つは制度の統合、二つ目に複数の制度に統合していく、それから三つ目が財政調整であります。  私は、現実的な対応は、各制度共通の調整対象給付を設定した上で財政調整を行うということだと思います。要するに、現在の制度間調整法を基盤にして財政調整を完璧なものにする、こういうことでございます。  なぜかといいますと、一つは、統合一本化については、制度間調整法の制定過程あるいは今回の見直しにおきましてもわかりますように、利害調整が非常に難しいということがあると思います。  それから二番目に、現行の分立した制度にもそれなりのメリットがあるということでございます。それは、特に共済がそうでございますが、個別の職域の特性を反映しやすいということでございます。  それから三つ目に、一方で医療保険制度の一元化ということが言われております。理念としては医療保険制度においても統合一本化というものがありますが、現実には、各制度の分立を前提とした上で、構造的な要因についてお互いに助け合うという方向で今進んできているわけでございます。  したがって、医療保険は分立した制度のもとでの財政調整、年金は一本化というのもどうも整合性に欠けるのではないかということでございまして、私自身は、数理部会の報告でいえば、財政調整方式が現実的ではないかなというふうに思っております。

村上清年金評論家

○村上参考人 お答えいたします。  一元化のお話なのでございますけれども、これは話し出すと本当は切りがございませんで、AかBかCかというのは、もううんと広い意味の一元化のごく一部だけだと私は理解しておりますが、当面はあれがたたき台になっているわけですね。あれをつくった責任者は私の隣にいる船後先生でございますので、きょうは私はその話はしないことにいたします。  ただ、一元化の問題と六十五の問題というのは、これは受ける人によって重みがまるっきり違うのですね。つまり、厚生年金に入っている一般の人というのは一元化に関心ないのですよ。どうでもいいのです。どっちへ転んだって大したことはないのですね。ですから、私が地方都市なんかへ講演に行っても、一元化の話というのはみんな寝てしまうのです。六十五だと割と起きて聞いてくれます。ただし、共済あるいはJRの皆さん、各制度を担当していらっしゃる方、これは死活問題ですから、さっき次元が違うと申し上げたのはそういう意味でございます。  どれがいいかというのは、私の個人的な感じは、若干気持ちの中では、落ちどころはここら辺かなと思っていることもございますけれども、私はいろいろな共済の研究会に参画しておりますので、その場へ行くと、目の前にいる人の顔を見ると物が言えなくなってしまうというようなこともございまして、また考えもころころ変わるものですから、個人的な意見は言わないことにさせていただきまして、このA、B、Cについて最も権威をお持ちの船後先生を御紹介いたしたいと思います。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 実は、私は年金数理部会の部会長でございますが、しかしまた国家公務員等共済組合審議会の会長でございますし、年金審議会の委員である、さらにまた社会保障制度審議会の委員である、こういう非常にたくさんの肩書を背負っておりますので、A、B、C三案を提示した当事者でございますが、いずれが劣るかと、ちょっと私の口からはお答えしにくいということだけを申し上げておきたいと思います。  ただ、この案はいずれも一長一短ありと私申し上げました。筋の問題もございますし、現実の対応もございます。でございますから、何よりも大切なことは、いつまでも議論しておりましても、これはもう議論が尽きません。ですから、国鉄共済にならないように早く皆さんが何とか納得される線でまとめていただきたい、これが私の念願でございます。  以上でございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 遠藤和良君。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤(和)委員 公明党の遠藤和良でございます。きょうは三人の先生方、本当にありがとうございます。  先ほど、来年度の年金改正に対してコンセンサスパッケージという話がありましたが、さてこのパッケージに何を入れるのかという問題です。支給開始年齢の問題とか一元化の問題、これは恐らく入れなければいけないだろうと思うのです。三人の先生方、今のお話を聞きますと、入れるべきものをいろいろ考えていらっしゃるわけでございますけれども、イメージが浮かぶように、来年度の改正ということを焦点にして、最小限これだけはパッケージの中に入れるべきだというものを、項目だけで結構でございますから、これとこれとこれはぜひ入れるべきだというものを順番に御主張いただきたいと思います。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 これはもう私は冒頭の陳述で申し上げたつもりでございます。  パッケージの中の一番大きな問題は支給開始年齢であり、また一元化であります。ただ、一元化は、政府の方では順番があるようでございますので、一つの包みになるのかあるいはこれだけは別の包みになるのか、これは行政の方と立法府の方でお決め願いたい、かように考えております。  パッケージの中でその次に大きいのは給付水準の問題であろうと思います。この中でも給付乗率とか定額単価、これをいじるのはちょっと現実的ではない。しかし、スライドの問題はぜひその中に入れていただきたい。  以上が一番大きな問題でございますが、あとそのほかに、保険料率の問題は当然ございますし、さらにはまた、企業年金あるいは個人年金、これを今回の制度改正との関連においてどの程度入れるか。もちろん検討の素材といたしましては、山崎先生が提案されておられますような介護加算の問題といったものを年金の中でどう評価するか、これも大いに議論していただきたい。  ここから先はだめだというのは、タイミングとして間に合わないというものはもう仕方ないのでありますが、タイミングで間に合うものは大いにひとつ議論していただきたい、かように私は考えております。

村上清年金評論家

○村上参考人 きょうの朝、朝日新聞を読んでおりましたら、山田精吾さんと厚生省のOBでいらっしゃる八木さんの対談が出ておりまして、下の方に落ちどころみたいなものが書いてございました。あれで落ちどころが半分くらい、しかもかなり大事なところで出ているのじゃないかなと思います。  それから、私さっきからしつこく、要するに現役と引退者の相対的な割合、アメリカの学者はレラティブポジションと言っておりますけれども、それを決めることが大事だということで、これを決めれば、西ドイツは恒久的に安定したんだから、日本も恒久的に安定するはずでございます。負担が幾らとか給付が幾らというのは後から出てくる問題で、数理計算をやるよりも、その割合をどうするか。これは現役世代とお年寄り世代をどうするという問題なんですから、何党とかいうことは別に関係なくて、一般の庶民の家庭の問題だろうと思うのですね。そういうことがまず一番大事なところだし、そうすれば割とうまくどこかに収れんされるし、全党一致でやっていただけるのじゃないか。  それから、一元化は、今一番のエキスパートに伺ったら、ちょっと発言を差し控えるということでございますので、私も霧の中だと思っております。したがいまして、これは前進というか、スローリー・バット・ステディリーといいますか、ゆっくり着実にということにならざるを得ないだろうと思っておりますね。  それから、ほかの方もおっしゃいましたが、三号被保険者、これは届け出していない。これは当初だけじゃなくて、仕事が変わるたびにですね。だから、どうしても漏れちゃう方がございますので、これを何とか。掛けないからもらえないというのなら納得できるけれども、紙一枚出さなかったから千五百万ももらえなくなっちゃうというのはどうもあれだし、私、雑誌に書きましたら手紙が来て、その紙を下さいというのですね。別に私が持っているわけではないのですけれども、そのくらい世間の方は関心を持っていらっしゃるので、そこら辺のところを何とかやっていただきたいと思います。  その他細かいことはいろいろございますが、私は事務当局を大変信頼しております。もうベテランの方がたくさんいらして、問題点というのは隅から隅まで知っている。ただ、やはり物事にはできることとできないことがあると思うのです。順序もあります。あるいは実務的な対応もございます。マンパワーもございますね。だから、恐らくできるところからきちんとやっていただけるだろう。できないことは、それはもうやむを得ないことだ、次送りですね、そう思っております。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 私が申し上げたことは、ほとんどすべて間に合うことだと思っております。ただ、年金番号の一本化というのは、方針は決めることはできても、施行は少し後になるのかなというふうに思います。  あと、一番難しいのが介護の問題だと思います。年金で介護に一定の対応をするという私の提案はすぐにできると思うのですが、介護についてはやはりサービスが伴わないといけないわけで、そういう意味では、この介護問題というのは年金局だけでなくて、保険局も老人保健福祉局も、いわば厚生省が省を挙げて取り組まなければいけないということだと思います。ですから、どこの局が所管するというのではなくて、対策本部でもおつくりになって、関係審議会が合同の検討の場を設けるとか、そういったことで早急に組織的に対応する体制をつくっていかなければ間に合わないと思います。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤(和)委員 雇用保険と年金の支給の問題ですけれども、三人の先生方が同じように、失業給付と老齢年金の給付の併給は論理的にもおかしい、こういう御指摘がありました。これはやはり失業給付が終わった段階から老齢給付を始めるべきだ、こういう考え方でお三人とも同じでしょうか。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 恐らくこの点に関しては三名の意見は一致しているのじゃないかと思いますが、労働の意思と能力がある人の問題は、これは雇用保険の問題でございますから、そういった場合に当然失業給付の方が優先する、かように考えております。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 そういう原則的な考え方は私も同意いたしますが、現実には今度は厚生年金の職域、つまり民間と公務員とのバランスの問題が出てくると思います。雇用保険を受けている限りは年金を支給停止する、厚生年金の世界ではそうしましても、共済には雇用保険がないわけですから、共済は六十歳からすぐ出て、厚生年金の人は職安通いをして十カ月後に初めて年金が出る、こういうアンバランスも現実には出てくると思います。その辺も考える必要があると思います。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤(和)委員 それから、もう一点だけお願いします。  山崎先生から御指摘がありました要するに高齢者の障害加算制度ですね。これは私も同感です。いわゆる障害年金を支給される方は、保険者のときに、六十五歳以前に障害になった方は一生涯障害年金があるのですが、六十五歳以降に障害になった場合は障害年金の支給はございませんし、老齢年金だけですね。これはこれからの介護に着目をいたしまして、加算制度というものが必要だと考えるわけでございますが、この辺についてのお二人の御認識ですね。聞き漏らしたものですから、ちょっとお願いします。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 高齢者が介護を要する状態になった場合の措置をどうするか、非常に大きな問題でございます。ただ、年金の世界でこれに対応しようといたしますと、障害年金をどう考えるかという問題とぶつかると思います。そして、障害年金の障害認定要件を緩和いたしますと、これはとどまるところを知らない。ちょうどイタリアでございますが、イタリアは障害年金者の数の方が退職年金をもらう人よりも多いという地方があるそうでございます。それほどこれは難しい問題でございますので、そこらあたりは慎重にひとつお考え願いたい、かように思います。

村上清年金評論家

○村上参考人 まさに船後先生がおっしゃるのと同じなんです。障害というのは、日本語ですと障害で、昔は廃疾と訳したのです。廃疾は不快用語でよくないというので、今は障害なんでございますけれども、何となく廃疾という言葉、悪い言葉で済みません。要するに、非常に体がもう悪くなっちゃったという状態なんです。  だけれども、原語はディスアビリティーですから、要するに働けないということなんです。それを拡張をすると、失業も働けないことなんです。それでヨーロッパの多くの国では、失業しちゃうとほんの軽い障害、あるいは自分が肩が痛いと言 えばもう払っちゃうんですね。ですから、今イタリアの例をおっしゃいましたが、イタリアだけでなくて、オーストリアでもオランダでもあるいはスウェーデンでも、障害年金というのはわんさわんさ出ているわけです。それで計算してどっちが得だというので、障害をとっちゃうわけですよ。  そうなっちやっともうどうしようもないので、アメリカは大変厳しくやっております。アメリカの役所の専門家に聞きましたら、ヨーロッパみたいに緩和するつもりはない、一たん緩めたら歯どめがきかないと言うのです。というのは、若い人というのは働きに行かなければ食えませんけれども、お年寄りというのはうちでぶらぶらしていればいいわけでございますから、何というのでしょうか、いわゆるモラルリスクというのはあり得るわけですね。  アメリカは厳しくやっているけれども、なおかつ、せんだってマイヤーズさんという専門家に聞いたらば、やはりちょっと認定が甘いんだ。というのは、アメリカは何か言ってだめだというと、すぐ裁判に訴えるのですね。だものですからつい甘くなっちゃう。したがって、もうちょっと厳しくやればもう少し制限できるのだということでございます。  基本的には、高齢者の介護とかあるいは障害というのですか、見てあげないといけないということは私はもう全く同感でございますけれども、やはりかなり気をつけながらやらなければいけないなという感じはいたします。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤(和)委員 山崎参考人、何か御反論はございますか。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 これは村上先生、船後先生のおっしゃる問題はあるのでしょうが、現実に障害認定をしているわけです。年金を出していないけれども、福祉サービスの対象として認定しているわけです。それが一つ。  それから、問題の重要さからすると、私はこの問題は性善説に立つべきだと思います。好きこのんで寝たきりになる人はいない。性善説に立つべきだと思います。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 児玉健次君。

児玉健次日本共産党

○児玉委員 児玉健次です。  時間の関係もございますので、山崎先生に御覧間したいのですが、先ほどのお話の中で、基礎年金の国庫負担率の見直しについて、長期的には問題となるだろう、そういうふうにお話しになったと思います。  この間の議論をいろいろお聞きしておりまして、私などが一番問題だと思っているのは、年金のことについては選択肢を三つに選定している。一つは支給開始時期を先送りするか、それから保険料を引き上げするか、給付を引き下げるか、あたかも選択肢が三つしかないかのごとき議論が横行しておりまして、この点でいえば国の負担をどうするのか。八五年に制度の改正があったとき、基礎年金の三分の一というふうにしましたが、それまでの国の負担がもし延長されているとすれば、例えば二十一世紀の段階で現行制度より二兆ないし三兆の国の負担というのはプラスされることになるので、そのあたりを含めて国の負担をどう考えるか、その点お伺いしたいというのが一点です。  二点目は、これまた先ほど興味深くお伺いしたのですが、六十歳定年制の空洞化の問題、まさに昇給ストップや出向の問題というのが深刻になっています。そして、実際の雇用は中小企業が引き受けていくという状態がある。そういった中で、中小企業が若い部分の労働者をもちろん雇用しているわけですが、企業と労働者の負担の割合の問題で、大企業と中小企業が必ずしも一定でなければいけないのかどうかという問題、そして、そういう中で公的費用による調整の可能性というのはどうなのか、この二点についてお伺いしたいと思います。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 従来の制度のもとであれば国庫負担が将来ここまで伸びたのに、昭和六十年改正によってここまで下がった、こういうお話だと思うのですが、私は、昭和六十年改正で国庫負担が下がったことについては、一番大きな要因は、給付水準を適正化したことによって結果的に下がった。それから二番目に、厚生年金や共済の、今でいえば二階部分にも国庫負担がついていたのに対して、それがなくなったということであって、そのこと自体は別に問題はないというふうに考えております。  それから、先生のお話の中で、支給開始年齢を上げるか、給付を下げるか、保険料を上げるかという議論が横行しているというのですが、私もちょっと困った議論だなと思っています。要するに算数レベルの話だろうと思うので、私は年金制度にもっともっと魅力をつける。魅力をつけるというのは、世の中の要請にこたえられる年金制度を再構築していく過程で、魅力ある年金制度であればもっと負担してもいいという意識も醸成されてくる、そういう関係もあるのだろうということで、もう少し弾力的に考えるべきではないかなというふうに考えております。  それから、中小企業と大企業との間で負担を調整するという点で、国庫負担、公費負担を絡めて考えられないかということでしたけれども、要するに、中小企業に国庫負担を入れてもいいのではないかという御意見かと思います。  私は、これは被用者年金の中に国庫負担を入れるということになるわけで、そうすると全国民共通の基礎年金に三分の一がついていて、さらにサラリーマンであって中小企業にはまた国庫負担がつくということになりますと、自営業者とのバランスにおいて問題が出てくるのではないかなサラリーマンだけが余計に国庫負担を受けるということになって、やはり問題ではないかなというふうに思いまして、むしろその点は、先生もお話しになりましたように、中小企業がより多く高齢者を雇用しているのであれば、そのことによって保険料が下がるという仕掛けの方が自然だというふうに思います。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 柳田稔君。

柳田稔民社党

○柳田委員 きょうは大変いいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。  御三方の御意見の中で、この年金問題、お話を聞いておりまして、大変大きな問題であると同時に、できるだけ早く対策を打たなきゃならないな、そういうふうな気持ちがしたわけであります。それと同時に、この国会においても対話と協調を最後まで貫いてほしい、私自身もそういうふうにしたいし、そういうふうにしようと思っております。  いろいろと既に御質問があったので、私としては、小さなことになるかもわかりませんけれども、先ほど山崎先生の方から、出産や育児に対して年金制度の方から手当てができるのではないかというお話がありました。私が感じている年金に対するイメージと、育児や出産とどう結びつくのかなという気が少しあるのですけれども、もう少しその辺の説明をしていただきたいと思います。  村上先生には、諸外国でそういうふうな例があるのかどうなのか御説明を願えれば、それから船後先生には、出産や育児に対して年金制度からいろいろなことをするということについてどのようなお考えがあるのか、お聞かせ願えればと思います。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 それでは、山崎参考人からお願いをいたします。

山崎泰彦上智大学文学部教授

○山崎参考人 簡単に申し上げます。  年金制度で出産手当金、一時金を出してはどうかということを先ほど申し上げたのですが、実は今、医療保険の側でほぼ全制度共通に、国民健康保険も含めて分娩費として二十四万円の一時金が出ているわけでございます。一般の方が医療保険に入っているというのは、医療費の負担のための制度としてお入りになっていると思うのですが、結果的に出産時に二十四万円が出るわけです。  私、同じ二十四万円なら、基礎年金から出したらどうかという気がするわけでございます。二十四万円というのは大した額ではないと思われるかもわかりませんが、実は年金の保険料にしますと、現在月額一万五百円ですから、ほぼ二年分の一時金が出るということでございます。しかも、なぜ出るかというと、説明が非常にしやすくなるわけです。次の世代の担い手を産んでくれ、育ててくれるわけですから、お祝い金で十分説明がつくわけですね、年金制度の側からしても。しかも医療保険で出していたものを年金から出すわけですから、振りかわりですから、トータルのコストは全く変わっていないわけでございます。  特に私が強調したいのは、若い世代に年金とのかかわりを早く持たせたいのです。魅力をつけたいのです。年金にきちっと入っておれば、子供を産めば二十四万円、二人産めば四十八万円ということですね。ですから、若い時期に年金制度とのかかわり合いを持たす、それから、先ほど言いましたように、世代間扶養のシステムだという年金制度の側の説明もきちっとつくという意味で、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

村上清年金評論家

○村上参考人 外国の例でございますけれども、一番わかりいい例がイギリスじゃないかと思うのです。イギリスでは、英語の言葉になりますが、ホーム・レスポンシビリティー・プロテクションというのがございまして、要するに家事に対する責任を負っている期間、これは例えば分娩とか赤ちゃんを育てている、あるいは病人の介護をしている。  こういうことをやっている国は、概して社会保険方式で働き手を入れている国なんですね。ずっと働いていればその加入期間が続くわけです。だけれども、やむなくうちへ帰って子供を出産したり、それから寝たきりのお年寄りの面倒を見るというのも、やはり働いているのと同じくらい社会的に貢献していると見ていいのではないか。主として奥さんですね。そういう期間は年金制度に加入したものとみなす。ドイツも今度入っていますね。そういう例が幾つかございます。  したがって、日本にどう当てはめるかというのはなかなか難しいのですね。というのは、基礎年金を三号はもともと掛けてないですから、赤ちゃんを産んでいても遊んでいても同じになってしまうので、その辺どう区別するのか。あるいは二階でやるのか。ちょっとこれは女性の年金全体をまとめて、いろいろな面で検討した中で取り上げるべきことだというふうに思っております。

船後正道社団法人全国労働金庫協会労働金庫連合会理事長

○船後参考人 年金制度と子供の問題との関係でございますが、基本的には山崎先生がおっしゃったとおりでございまして、子供は将来の担い手でございますから無関係ではない。ですから、年金制度の方でできることがあれば何かしたいという気持ちは私もございます。ただ、これは非常にやり方が難しい問題でございます。  例えば、こういう国がございます。家族手当の児童手当でございますが、これの財源を年金制度が負担するという国もございます。それから、村上先生がおっしゃいましたように、イギリスのようにホーム・レスポンシビリティーの期間を拠出期間とみなすという国もございます。  ただ、日本には三号被保険者という非常に厄介な制度があるわけでございます。これとの関係をどうするかというのが実は最も頭の痛い問題だと考えております。ですから、私はこの問題の解決の必要性は感じておりますが、どうもこれは三号被保険者の問題と関係しできますので、今回は間に合わない、引き続き検討していく。  その間に、日本では最近、昔と違いまして離婚が非常にふえてきております。離婚された方の前の奥さんへの対応を今のような基礎年金だけでいいのか、二階部分以上をどう考えるのかといった問題もあわせて考える必要があるのじゃないか、かように考えております。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午後の議事については、まず政府から説明を聴取した後、年金問題の重要なテーマである総論的事項、給付水準、支給開始年齢、費用負担、一元化問題等について自由闊達な討議を行っていただきたいと存じます。  それでは、まず、政府から説明を聴取いたします。山口年金局長。

山口剛彦厚生省年金局長

○山口(剛)政府委員 貴重な時間をいただきまして、まことにありがとうございます。  私ども政府といたしましては、平成六年に予定をされております次期年金の財政再計算に合わせまして、国民年金、厚生年金の改正案を次の通常国会に提出をいたしたいということで準備をいたしております。また、平成七年には公的年金全体の一元化の完了を目途とするということで、政府全体として取り組んでいるところでございます。  この具体的な方向につきましては、御承知のとおり、現在、年金審議会におきまして本格的な御検討をいただいておりますし、また、私どもも関係の皆様方の御意見もお伺いをしたいということで、独自に有識者調査等もやらせていただいているところでございます。  したがいまして、この年金改革に向けての私どもの基本的な考え方、スタンスというようなものをまだ申し上げられる段階ではございませんけれども、年金審議会におきましてかなり議論をしてまいりまして、次の改革に向けての論点整理ということをやっていただきまして、それがメモという形で公表をされております。  そのメモをもとにいたしまして、私どもなりに、次の年金制度改革に向けてどこに主要な論点があるかという点を整理させていただきましたのが、お手元にお配りをしております「年金制度改革に関する主要論点 年金審議会論点整理メモをもとに整理」というものでございます。恐縮でございますが、これをごらんをいただきたいと思います。  まず、制度改正に向けての基本的な視点でございますが、御承知のとおり、我が国の公的年金制度は、国民の皆様の御支持、御協力のもとに発展充実をしてまいりまして、国民生活における年金の役割というのが大変大きくなってきております。二十一世紀の高齢化社会においても、老後生活の主柱として、老後生活の基礎的部分を確実に支えていくという使命を帯びているこの年金の役割が十分に発揮していけるように、長期的に安定した制度運営ということにまず視点を置く必要があるという認識でございます。  また、来るべき高齢化社会を豊かで活力のある高齢化社会にしていかなければならない。そのような社会を展望をしながら、年金制度におきましても、年金制度の発展のベースには経済社会の発展が欠かせないわけでございますので、雇用システム等と連携のとれた年金制度をつくっていく、そういう視点が必要ではないか、重要ではないかということでございます。  また、これも議論の参考にということで、新人口推計に基づく暫定試算というのを公表させていただいておりますけれども、この新人口推計によりますと、高齢化が一層進み、出生率も低下をしていく、将来の世代の保険料負担は従来の見込みよりもかなり増大をするということが予測をされます。大変厳しい見通してございます。また、先ほどのお話では、国民各層が痛みを分かち合うということも必要だという御意見もございましたけれども、このような事実なり見通しなりというものはやはり重く受けとめて、改正に臨みたいということでございます。  また、以上のような諸情勢、諸要件を踏まえまして、世代間の助け合いをベースにしております年金制度において最も重要な視点であります、現役世代と年金受給世代との適切なバランスを確保するという観点に立って、制度を総点検して総合的に見直しをしていくということではないかということで、まとめて申し上げますと、長期的な視点、社会の活力の維持確保、年金制度における世代間の均衡、バランスというような視点を踏まえまして、改革に取り組んでいく必要があるだろうということでございます。  その際、これもたびたび御意見がございますが、改革に向けて国民の合意形成というのが大切なので、適切な情報提供をしていくようにということで、これも改正作業に当たっては極めて重大なものというふうに受けとめております。  そのようなことを前提にいたしまして、具体的な論点でございますが、午前中の参考人の先生方からの問題提起とかなりダブる点がございますけれども、年金審議会等で御議論をいただいている中心テーマは次のとおりでございます。  まず、給付と負担でございますが、給付水準につきましては、世代間扶養システムのもとでは、年金の支え手である現役世代の所得水準や保険料負担とのバランスが重要ではないか。このために現役世代の実質的な所得、可処分所得というような言い方もございますけれども、現役世代の実質的な所得と比較をするという視点が重要ではないかという点でございます。  これも御承知のように、現在の厚生年金では、現役世代の六割ぐらいの水準を年金の水準の目標にしようということで、月収の六八とか六九%に現在の水準がなっておりますけれども、これは先ほど御指摘がございましたように、現役世代の実際の実質的な所得ということになると、税金、保険料といったものも考慮をしていく必要があるのではないか。そういたしますと、今の六十数%という水準は現役世代のいわば手取りの八割に近い、あるいはこれを超えるような水準になっている。そういう水準でいいのかどうかという点について、きめ細かな視点からもう一度この問題を考えてみる必要があるのではないかということで、この水準の問題と、それから年金の額の改定の仕方にもかかわる問題でございますが、そういう問題にこういう視点が必要ではないかということでございます。  それから、負担面では、将来世代の保険料負担が過重にならないように配慮することが必要だ。これは年金の水準に絡む問題でもございますけれども、保険料の引き上げ幅、五年に二・二%ということで将来見通しを従来出させていただいておりますけれども、その保険料の上げ方、上げ幅なども工夫をして、年金財政の計画を立てていくという視点が必要ではないかということでございます。  それからもう一つ、給付と負担以上に大きな問題ですけれども、我が国の年金制度の土台でもあります基礎年金制度の基盤の安定化を図っていくということが必要であるということで、午前中にも基礎年金の滞納、未加入問題、御指摘がいろいろございました。それから、国庫負担のあり方につきましても、中長期的な観点という御指摘もございましたけれども、基礎年金の基盤安定という観点からは欠かせない問題点だという御指摘でございます。  それから、一枚めくっていただきまして、次の大きな課題であります年金と雇用の問題でございますが、まず、これから本格的な高齢化が進んでいく、また生産年齢人口が急速に減少していく、こういう二十一世紀を展望いたしましたときに、年金制度以前の問題として、この高齢化社会を活力ある高齢化社会としていくために、雇用や年金等も含めました新たな社会経済のビジョン、高齢化社会に向けての我が国の社会経済のありようということについて議論をしてみることが重要ではないか、またそれが求められているのではないか。  その上で、支給開始年齢の問題につきましては、前回の改正時におきましても御議論をいただいた上、法律の附則で次の改正時に見直しをするようにという宿題もいただいているわけでございますけれども、次期制度改正の重要な課題ではないか。また、そういう経済社会全体の展望のもとに立って計画的にこの問題については取り組んでいく必要があるし、また問題の性格上、国民の老後の生活設計にも留意して、十分準備期間を置いて考えていく必要があるのではないかということでございます。  それから次に、これも午前中相当議論がございましたけれども、この問題につきましては、六十歳代前半の雇用と年金のあり方にかかわる問題で、就労から年金生活への円滑な移行や、個々人の多様なニーズにも対応できるように、弾力的な制度を検討する必要があるのではないかということでございます。外国ではもう既に六十五歳が主流になっているし、また近時はそれがさらに引き上げられるというような傾向も一応視点に置かなければならない。  それから、年金と雇用との関係でもう一つ、支給開始年齢の問題とも関連をいたしますが、在職中の年金のあり方、在職老齢年金について現行制度には問題があるのではないか。就業意欲に配慮し、賃金の増加により年金と賃金収入の合計額が増加していくような見直し、いわば業労意欲を助長するような形でこの制度を考えていく必要があるのではないかということでございます。  それからもう一つ、これも大変御議論がございましたけれども、現在、年金と失業給付がダブルで給付をされている問題について、併給の調整をしていくということが必要ではないかというような点が主な論点でございます。  それから、一元化につきましては、結局、産業構造、就業構造の変化にも耐え得る長期的に安定した制度にしていく、それから、各制度を通じて給付と負担の公平化を図るということが、この問題の基本的課題ではないかということで御議論がございます。  この問題についての政府の取り組みといたしましては、年金審議会ではこういうことで大きなテーマとして取り上げていただいておりますけれども、これは厚生年金、国民年金だけにかかわる問題ではございませんので、各共済組合にもこの問題について十分議論をしていただく必要があるということで、具体的には、この秋ぐらいまでに各制度がこの一元化問題についてどう取り組むかという基本的なスタンスについて御議論いただき、その議論の結果を持ち寄りまして政府全体としての一元化の方向を探っていく、こんな段取りで考えておりますが、年金審議会におきましては、今申し上げましたような視点からこの問題を検討していこうということでございます。  それから、これとあわせまして、年金業務のいわば一元化ということで、具体的には年金番号といいますか、基礎年金番号を一本化するというようなことで、制度の合理的、効率的な運用に資するというのも大事な視点ではないかということでございます。  そのほか、審議会で課題としていろいろ指摘がございますけれども、主な点は、無年金の問題等も含めまして障害年金の問題、あるいは女性の年金に関連をいたしまして遺族年金の問題、それから、豊かな老後生活を保障していくという観点から企業年金の普及育成の問題、それから、午前中も御議論がありましたが、新たな問題提起といたしまして介護、育児といった問題について、年金制度としてどのような対応ができるのかという点につきましても議論をしていこうということで、御議論をいただいているのが現段階でございます。  以上、主要論点を年金審議会のメモを中心に整理をさせていただきました。討議の参考にしていただければ幸いでございます。

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 以上で説明は終わりました。  これより懇談に入るのでありますが、懇談の方法についてはお手元に要領を配布してありますので、御参照の上、委員各位の御協力をお願いいたします。  それでは、これより懇談に入ります。     〔午後一時二十分懇談に入る〕     〔午後三時二分懇談を終わる〕

浦野烋興自由民主党

○浦野委員長 これにて懇談は終わりました。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時三分散会

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