外務委員会 第8号
- 発言数
- 293 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1993/05/12
会議録
○伊藤委員長 これより会議を開きます。 児童の権利に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君。
○長勢委員 おはようございます。 条約の質問に入ります前に、当面大変大きな問題になっておりますカンボジア問題について、若干質疑をさせていただきたいと思います。 みんな大変心配をいたしておるわけでございますが、特にこのたびカンボジアで亡くなられた方、また負傷された方に対しまして、心から哀悼の意を表するものであります。このような事態がどうして起きたか、またその責任等々についてもこれから真剣に議論をしていかなければならないと思います。 それはそれとして、国民の中には、個人的な使命ということではなくて、むしろこういう国家的使命感に基づいて大変御苦労されて、しかも今までささげられた方がおられるということについて、もう少し国家的な敬意なり感謝なりということがささげられていいのではないかという雰囲気を私は感ずるのであります。 にもかかわらず、どういうわけか政府においては、カンボジアに派遣されている方々に対する取り扱いというと、どうも及び腰というような感じが否めないわけであります。こういうことでは、これからいろいろ大きな問題が出ると思いますが、国家国民のために今までささげて働こうという方々がいなくなってしまうということでは、我々国際社会でどうやって生きていくのかということも心配されるわけであります。 政府は、こういう国家的使命に基づいて頑張っておられる、命をかけて頑張っておられる方々に対する世論の盛り上げを先頭に立って積極的に進めるべきではないか、このように感じておるし、またそういう意見も私はたびたび耳にするわけであります。こういうことについて、政府としてどういうふうに考え、お取り組みになっておるか、まず御答弁をいただきたいと思います。
○川口説明員 お答えいたします。 先般、高田さんが国際の平和と安定のための国際平和協力業務に従事しているさなか、正体不明の武装集団に襲撃され、不幸にして亡くなられました。本当に先生御指摘のとおり、世界平和のために努力してきた前途有為な人材を失ったことは、日本にとっても非常に深い悲しみであるとともに、非常に残念なことでございます。 政府といたしましては、高田さんの功績を賞するため、内閣総理大臣特別褒賞を先般官房長官の方から御遺族に対して伝達したところでございます。今後とも政府といたしましては、高田警視の功績を国民に理解してもらうため、努力してまいりたいと思っております。 それから、一般的な方々、現在カンボジアないしモザンビークでも同様でございますけれども、そういった国際平和のために努力しているということで、処遇についてはいろいろな制度を設けて万全を期しているところでございます。 それから、こういった活動につきましては、いろいろな形の広報を通じて努力しているところでございます。今後ともそういった努力を重ねたいと思っております。
○長勢委員 補償とか、そういう金だけの問題ではなくて、やはり心の問題でありますから、ぜひ政府は、閣僚の方々も含めて先頭に立って、そういう方々に対する敬意、感謝というものが世論として盛り上がるように御努力をいただきたいと心からお願いを申し上げます。 また、今回この事態を考えてみますと、どうも我々自体、自衛隊の派適当時は大変一生懸命議論したような記憶があるのでありますが、文民警察の方々について、この役割なりあるいはその安全確保について、果たして十分議論してきたのかなという反省もしなければならないのではないか、このように思っております。今後国連にいろいろな場面で協力をしていかなければならないわけでございますから、この際、文民警察官その他の協力について、その役割また安全確保、これを少しきちっと見直して明確にしておくということが、これからもまだまだ行ってもらわなければならないということもあるでしょうから、必要なことだと思いますが、どのようにお取り組みになっておられるでしょうか。
○川口説明員 先生御指摘のとおり、安全確保という点、非常に重大な問題でございます。 それで、まず政府といたしましては、我が国のみならずUNTAC、カンボジアの場合につきましてはUNTAC全員の安全確保、こういった安全を確保するために、先般、自治大臣兼国家公安委員長をカンボジアに派遣いたしまして、我が国の要員を含むすべてのUNTAC要員につきまして、警護の強化でありますとかあるいは配置先の再検討など、要員の安全対策を申し入れたところでございます。 これに対しまして明石代表の方からは、UNTACとしても隊員の安全対策に万全を期したい、これが一点でございます。二点目につきましては、UNTAC要員の配置について再度見直すことが必要と考えており、緊急に検討したい、それから三点目といたしましては、安全対策のための文民警察の会議を巡回によって行いたい、こういった具体的かつ評価すべき対応が示されたところでございます。 UNTAC要員につきましては、基本的にはUNTACが一義的に責任を負うということでございますけれども、他方、日本政府といたしましても、例えば防弾チョッキの支給でありますとかヘルメットの支給等を通じまして、安全対策には万全を期していきたいと思っております。 以上でございます。
○長勢委員 国際的な活動でございますから、日本のことばかり言っておるわけにもいかないと思うのですが、そういう環境も含めて、こういう状況になっておるからこうなんだということも含めて、行っていただく方々、その家族の方々もおいでになるわけですから、できることできないことをやはり明確にしていく努力をひとつぜひお願いいたしたいと思います。 ところで、このカンボジア、なかなか様子が新聞報道等でしか私らわからないわけで、今大変に緊迫をしておるということだけしかわからない。今後何が起こるのかなということも大変心配をされるわけであります。これから選挙が行われるかどうかということも、やるという方向で議論はされておるようでありますが、本当に実施できる情勢にあるのかどうか。これについて、日本は日本として一定の見解を持って、そしてそれに基づいて一定の行動をとるということが、成り行き任せというか相手任せというのではなくて、日本も大きな役割を果たしていく中で、自分の見解を持って自分なりに行動していくということが外交の姿勢として私は必要なんじゃないかなと思うのでございます。 ひとつ外務大臣に御見解をお伺いしたいと思いますが、日本としてカンボジア情勢の見通しについてどういう見解に立たれて、それに基づいてどういう働きかけを国連なり各国なりになさっておられるのか、その方針をひとつぜひお聞かせをいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 先ほど来お話のありますように、高田警視の亡くなられたことに対しては、本当に心から義憤を感ずると同時に、哀悼の意をささげたいと思います。 今、カンボジア情勢の中で果たして選挙が行われていくのかどうか、一応和平プロセス、選挙を行い、そしてそれによって憲法をつくる議会が発足し、憲法ができ、新しい民主国家ができ上がっていく、こういう形はできるだろうかということでございますが、私どもはぜひそういう方向で行かなければならないという気持ちを強く持っております。 そこで、それではどういう手を打っているのか、こういうことでございますけれども、一応UNTACに協力をいたしまして、できる限りの努力を日本は日本なりに他の各国とともに努力をいたしておるわけでございますが、それとはまた別に、いろいろな外交ルートを通じて、なるべくカンボジアの不安定な情勢が少しでもよりよい方向に行くように努力をいたしておりまして、たまたま今、安保理の一構成国でもありますし、安保理の中においてもやっておりますし、それから、中国あるいはタイなどにも働きかけをいたしまして、いろいろとポル・ポト派その他に対するできるだけの工作をやってきたわけでございます。 また、最近は今川大使と池田アジア局長を北京に派遣をいたしまして、シアヌーク殿下にできる限りもっとイニシアチブを発揮していただきたいということをお願いし、また、北京にあるポル・ポト派の代表にも会って自制を促したわけでございますし、今後もなお一層カンボジアの各派に対してもできるだけの働きかけをしてまいりたい、こう思っております。
○長勢委員 特にカンボジアはアジアでありますから、日本がアジアの有力国として当然イニシアチブをとっていくことが、いいチャンスと言ったらおかしいのでありましょうけれども、大事なことだと私は思っております。もちろんこのPKOその他の活動に参加するだけでなくて、外交というルートを通じての日本のイニシアチブを、ぜひひとつ大臣、お取り組みをいただきたいと思います。 現在自治大臣がカンボジアにおいでになって大変御苦労されておるということでございますけれども、どうも新聞報道等を見ておりますと、何か日本人の安全の話ばかりをされているかのごとき雰囲気も感ずるわけでありまして、もちろん日本人の安全確保が大事でございますけれども、ここまで至った段階で、五原則だとかあるいは撤退がいいか悪いかといったようなことを論じておる状況なんだろうかどうかということも議論の対象になるでしょうし、それ以上に、やはり今回の事件を考えますと、同じ同胞として怒りは禁じ得ないわけであります。そうしますと、日本人の安全確保も、UNTACとの接触だけではなくて、やはりそういう事態を引き起こした暴力的な勢力というものに対する対応をもうちょっと何かできないかというふうに残念に思うわけであります。 今大臣からもこういうものに対する御答弁がございましたが、国連あるいは関係各国といろいろな共同歩調をとるとか、それに対して日本が積極的に働きかけをするとかという行動がもっともっとできるのではないか、またやるべきではないか、こう思います。今大臣から御答弁をいただきましたので、ぜひそういう考えに立って積極的にお取り組みをいただきますように心からお願いを申し上げます。 そこで、児童の権利条約について質問させていただきたいと思います。 この条約の意義というものについて私も十分理解をしておるつもりでありますし、その批准というものも必要な段階になっておるということもわかるわけでございますが、ただ一点不安がございますのは、現実にこの条約の趣旨とは違った形で国内に混乱が起こるということはあってはならない、そういうおそれがないようにしていかなければならないし、またそういうことを十分慎重に検討した上で批准をしていかなければならないのではないか、このように考えておるものであります。 そういう中で、これは文部省さんにお聞きをいたしますが、この権利条約の批准について日教組その他の団体が、大変熱心というか躍起に批准を迫るというか、批准したいということで、しかもその中で、殊さらにこの条約の解釈について手引とかパンフレット等を配布する、広報宣伝に努めるといったようなことが行われているというふうに仄聞しておるわけでございますが、文部省の方で、このような活動の状況、またその方々の主張、また、どういう意図でそのような活動を行っておられるのかということをどのように把握をしておいでになるのか、把握の状況をひとつ御説明をいただきたいと思います。
○野崎政府委員 お答え申し上げます。 今いろいろな団体からさまざまな意見が寄せられているのではないかということでございます。確かに本条約につきましては、教育に関係する部分につきまして関係の団体等から多くの意見が寄せられておるわけでございまして、その中では特に日教組からの意見等も含まれておるわけでございます。 具体的に各団体がどのような活動をしているか、そしてどのような主張をしているかということにつきましては、私どももその活動の詳細というものについては十分な承知をしていないわけでございますが、特に日教組からにつきましては、平成二年の九月に文部大臣あてに要望書が出されておりまして、その中で、条約の早期批准あるいは名称の問題、それから条約の広報活動、それから条約に沿った国内法制、そして実態上の整備に努めることというような要望書等を出されておりまして、その後におきましても、この国内法制の整備等につきましては日教組から要望が出されておるわけでございます。 そしてまた、活動につきましては、いろいろなシンポジウムとかフォーラム、また日教組におきましては、機関誌の「教育評論」という中におきまして権利条約に関する特集企画が行われているということは承知をしておりますが、やはりこれらにつきましては、それぞれの団体の意思という中でそのような活動が行われておるもの、このように私どもは考えておるわけでございます。
○長勢委員 今主張の内容については特に詳しい御答弁がございませんでしたが、昨日、同僚の狩野議員からもいろいろ問題提起がございましたので、個々の問題についてきょうは触れることを省略いたしますが、校則の問題だとか国歌、日の丸・君が代の問題だとか、あるいは内申書の問題だとか教科書の問題だとかカリキュラムの問題だとか、いわゆる現在文部省がやっておられます方針と相当程度に異なる点を、この条約の批准を契機に、この条約に違反しているのだということで大々的に宣伝広報をなさっておられるのではありませんか。 そういう中で、教育現場でも相当な混乱、不安というものが巻き起こっておるというふうに承知をいたしておるわけでありますが、それについて文部省でどのように対応されてきているのか、また、それらの見解について文部省としてどういうお考えでおられるのか、ひとつ明確に御答弁をいただきたいと思います。
○野崎政府委員 先生御指摘のような主張が行われておることは私どもも承知をしておりますが、これは既に本会議におきましても大臣の答弁がございましたように、この条約の締結に伴う国内法の整備ということにつきましては、本条約の精神が我が国では憲法あるいは国際人権規約の規定によりまして既に児童に保障されている、こういう基本的考え方に立っておるわけでございまして、その意味では条約の批准によって国内法の改正は必要がない、そしてまた現在の学校教育の制度や仕組みにつきましても基本的な変更が求められるものではない、このように認識しているわけでございます。 文部省におきましては、かねてから指導事務主管課長会議あるいは校長会等の場におきまして、この条約の趣旨、基本的な考え方につきましては指導しているわけでございますが、今後、この条約の締結ということになりましたら、さらにこの趣旨の徹底ということにつきまして努力をしてまいりたい、このように思っております。
○長勢委員 今の御答弁は、この条約の批准に伴って国内法制を整備をするというか見直すという必要はないという御見解であろうと思いますが、同時にやはり問題は、法制のみならず、大ざっぱには法制なのでしょうが、指導要領なりあるいは文部省通達なり、あるいはそれに基づくいろいろな指導なり、あるいは教科書検定の方向なり、具体的に現在文部省が実施をしておられる、また指導しておられるその方針というものが、この条約の趣旨に反するという部分はあるのかないのかということが一番大事なことだと私は思うわけであります。この条約以外の部分で日本国内の議論としてこういう問題を見直すということは、当然今までもやってきたわけですし、今後ともやらなければなりませんが、この条約の批准がそういう主張の大きな論拠になるということであるとすれば、それはそれなりに大きな問題だと私は思います。 したがって、明確に御答弁いただきたいと思いますが、今申しましたような指導要領以下の現在やっておる文部省の方針というものがこの条約の趣旨に全く反するものではないというふうに言えるのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
○野崎政府委員 この条約につきましては、一人一人の子供を大切にした教育指導が大事であるということを内容としている、私どもとしてはこう思うわけでございまして、やはりこの条約の批准、締結ということになりますれば、この条約の趣旨に沿いまして、一人一人を大切にした教育指導ということにつきましては、我々としても十分指導をしていかなければいかぬと思っておるわけでございますが、先生御指摘の学習指導要領あるいは教科書検定制度、こういうものを改めるという必要はない、このように考えておるわけでございます。 また、いろいろな各種通達等も現在出されておるわけでございますが、そういう通達等により進められております現在の学校教育の制度、仕組みにつきましても基本的な変更を求めるものではない、このように考えております。 先ほど答弁しましたとおり、既にこの条約に言われている趣旨は日本国憲法あるいは国際人権規約等におきまして保障されておるわけでございまして、従来のそういう考え方のもとに、まさに実際の指導におきまして一人一人を大切にしていく、こういう条約の精神というものを我々としては指導していく必要がある、このように思っておるわけでございます。
○長勢委員 文部省におかれましても、今までもそういう趣旨に基づいて教育行政をお進めになったと思いますし、今後ともそのようにされることが期待されるわけでありますが、恐れておるのは、この条約に違反しておるということで、現在の指導方針に反する行動を教育現場で強制をするというか主張するということによって大きな混乱がもたらされるということが一番心配な点であります。 そういう意味で、今の御答弁のとおりであるとするならば、そのことを、条約の関係で現在のものを変える必要はないんだということを教育現場に徹底をするようにぜひ強力な措置をとっていただきたいと思いますし、今の局長の御答弁のような抽象的な話では現場は対応できないと思うのです。個々具体的にいろいろな主張があるのであれば、それに対する反論の根拠というものを文部省においてきちっと現場に示していただいて、混乱が起きないように措置をとっていただきたい。どのようになさるおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
○野崎政府委員 先生のお尋ねの件は、この条約全体に関する広報とも関係するわけでございます。広報につきましては、もちろん外務省を中心にしまして政府全体として取り組むべき事項でございますけれども、特に教育につきましては重要な規定が多く含まれておるわけでございまして、文部省といたしましても、この条約締結後、学校関係者に対します指導通知の発出あるいは広報紙等による広報など、外務省とも連携しつつ、積極的に条約の趣旨、内容等につきまして学校関係者あるいは教員に対し周知を図っていきたい、このように考えておるわけでございます。 また、具体的な御指摘の点につきましては、既に本会議の場あるいはこの委員会におきましてもいろいろな論議がなされているわけでございまして、それに対しまして政府としての考え方あるいは条約の解釈というものにつきまして御答弁をさせていただいているわけでございまして、そういう考え方というものにつきましても学校現場の方によく趣旨が徹底するように努めてまいりたい、このように思っております。
○長勢委員 当然そういう御努力をお願いしたいと思いますが、重ねて申し上げますが、趣旨とかそういうものは恣意的にまたいろいろなことで違った解釈を強弁をする向きもあるわけであります。今後具体的にいろいろな問題が提起をされるとした場合に、それに対する反論の根拠を現場にきちっと文部省で出してもらうように、ひとつこれはお願いをさせていただきたいと思います。 いずれにしても、こういう問題の混乱を私は大変心配いたしますし、現実に今行われておるいろいろな運動についての非常に強力な補強材料として考えておる向きもあるように聞くわけであります。非常に抽象的に書かれておる文章を国内の実定法と同じように扱っていろいろな運動に使われる、あるいは現実にそういうことが問題になっておる裁判もあるわけであります。それは日本の文化、伝統に基づいて判断されるのではなくて、この条約の恣意的な解釈に基づいていろいろなことが、混乱が起こるとすれば、この審議を通じてそういうことのないようにしなければならないと思いますし、もっと言えば、むしろそういう影響がないような措置を講じた上でこそ、法制の問題だけではなくて日本の場合の状況を踏まえて現実にそういう問題が起きないような措置も講じた上でこそ批准をすべきものだ、このように考えますが、この条約の批准については、そのような私の考えに対して外務省の方ではどのようにお考えになっておられるのか。その措置を十分やった上での批准という姿勢を持つべきだと私は思いますが、御答弁をお願いいたします。
○小西説明員 お答えいたします。 外務省といたしましては、この条約が署名されて以来、いろいろなチャネル、いろいろなルートを通じまして、既に私どものとりあえずの考え方という形で国民の皆様方にこの条約の趣旨、目的とするところ、こういったものが憲法と軌を一にしている、あるいは既に日本が締結しておる人権規約、この内容と同趣旨の条約なのであるということについて御理解を得るための努力を払ってきたわけでございます。 この国会でこの条約についての御承認を得られますれば、政府といたしまして、この条約が正しく国民に理解されるように、これは国民と申しましても、行政の現場、それから国民一般、それに児童、子供を含めまして、子供にもわかりやすい形でぜひとも正しい理解が進むように、教育については文部省と二人三脚で協力しながら、ぜひともその辺に万全を期していきたいというふうに考えております。
○長勢委員 いろいろ御努力をされておられることは伺いましたが、なおかつ恣意的な解釈のチャンスを待っておるという勢力も相当数あるやに聞くわけでありまして、そういう意味での批准後の混乱というものに大変危惧を持つわけであります。当委員会もこの条約を審議しておる以上、国内にそういう恣意的な解釈に基づく、条約の趣旨とは反する混乱がないように国民の方々に明確にするというのが我々の任務の一つであろうと思います。 当然、政府において、文部省、外務省さん、いろいろこれから誤解のないようにひとつ御努力をいただくと同時に、我々もこの批准に当たって、当委員会として、特に現在文部省が実施をされておられる指導要領あるいは文部省通達その他、現在行われておるものが全くこの条約とは反するというものではないということを明確にする措置を委員会として講じた上でこの批准を承認をするということが私は適当ではないかと考えるものであります。 つきましては、委員長にぜひお願いをいたしますが、当委員会として、今私が申しましたような措置を何らかの形で講ずるということを私からお願いを申し上げたいと思いますので、委員長においてよろしくお取り計らいをいただきますようにお願いを申し上げます。委員長、よろしゅうございますでしょうか。
○伊藤委員長 承知しました。十分承って対応させていただきたいと思います。
○長勢委員 ありがとうございました。 終わります。
○伊藤委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 まず私は、質問を行う前に、中田さんに続いて高田警視がとうとい生命を失われたことに心から哀悼の意を表したいと思います。 なお、八木さんなり谷口さん、川野辺さん、鈴木さん、重傷を負われた方の一日も早い全快を心からお祈りをしたいと思います。 今、世界のすべての子供たちの生きる権利を十分に保障していくという、これは大人の責任であり、すべての人が納得することだと思うのです。そういう意味合いから、あえて私は子どもの権利条約と申し上げますが、本委員会で審議をいたしておりますこの条約についても大変な意義があろうかと私は思います。とりわけ、その条約審議とも相関連はいたしますが、当面の起こっている国際的な問題として、カンボジアの問題について私から少し質問をいたしたいと思います。 このことについては、先月の四月九日、当委員会において私なりの認識と政府の見解が明らかにされたというか、ただ、私の考え方に重複する部分があるというお考え、さらに私は、五原則というものは変化をしているということも主張したわけであります。以下、具体的な問題について逐次私の方から質問をいたします。 昨日、SNCの会合がUNTAC本部で持たれたわけであります。このSNCの会合はどういう状況であったのか、何がそこで話されたのか、とりわけ議長であるシアヌーク殿下は出席をされたのかどうか、明石代表はその席でどのような趣旨の発言をされたのか、このことについてまず外務省からお答えをいただきたいと思います。
○池田政府委員 お答えを申し上げます。 昨日、プノンペンにおきましてSNCの非公式会合が開かれまして、その場にはシアヌーク殿下は出席しておりません。 そして、明石代表から最近の状況につきまして、全体の治安状況が悪くなっている、そして暴力行為あるいはテロ活動がふえているということで各派に対して自制を呼びかけるということで、参加した各派に対して強く自制の要請がございました。そして、そのときにこれまでの犠牲者の数というものも明石代表から紹介されたというように聞いております。
○井上(一)委員 シアヌーク殿下は欠席をされたことは事実です。それから、この会合は作業部会に切りかえられたでしょう。さらに、今死傷者というか、明石代表から、公正で自由で国民和解の民主的な国家建設に向けて、UNTACを中心に関係諸国が総力を挙げて努力をしている、しかし見通しとして、表現は少し楽観視し過ぎたのではないだろうか、そういうような自省を込めた現状認識を吐露されているわけなんです。そういうことについて、例えばラナリット派の党員が五人殺害されたとか、あるいは今日まで四十四件で六十二人が亡くなっているという、そういう数まで正確に発表してみずから自省の念を皆さんに伝えているわけなんです。このことは御存じなんですか。
○池田政府委員 ただいま御指摘になりました点につきましては、私ども承知いたしております。
○井上(一)委員 私はここで大臣にお尋ねをしたいと思うのです。 明石代表がそのような現状認識を持ち、自省を込めて、いわゆる紛争件数、事故件数と申しますか、あるいは死傷者の数字も挙げて、そして大変な状況であるという認識を持っていらっしゃるわけです。外務大臣はどう受けとめ、どうお考えになられますか。
○武藤国務大臣 確かに最初の、何といいますか、予想といいますか思惑といいますか、そういうものよりも非常に不安定な状況になってきたということは、今御指摘のとおり明石代表も認識をされておると思います。私どももそのような認識を持っております。しかしながら、やはりカンボジアの国民の大多数が、今御指摘のとおり民主的な、しかも平和な国家を目指しておるということだけは事実でございますし、御承知のとおりに難民もたくさん帰ってきているわけでございます。 そういう中にあって、パリ和平協定ができ、そしてそれに基づいていろいろと新しい和平プロセスが今進められておる。多少そのような最初の思いよりは違ったいろいろな事件が起きてきてはおりましても、まだ全面的な戦争にも至っておりませんし、何とかここは、二十三日でございますからもう本当にそう期間がない、制憲議会選挙がとにかくできるだけ安全な中で行われ、そしてそれによって議会が発足し、憲法が制定され、新しい民主国家ができ上がっていくということに対して、でき得る限り日本も、またこれは国際的にも、そのような方向を支持するということは変わっておりません。ぜひ私どもはそのような方向で協力して、民主的な平和な国家が一日も早くでき上がるように協力していかなければならない、こう考えております。
○井上(一)委員 大臣、全面的な戦闘状況に入っていないとか、ずっと今までの質疑の中でも政府が返す答弁は必ずそうなんです。河野官房長官も記者会見で、戦闘が局地的だとかそういう表現で、協定は守られていると言うのです。 私は、四月九日のこの委員会で、パリ協定以前の状況に戻ったと言っているのです。高田警視がとうとい生命をなくされた、そういうことを予測もしないで私は、中田さんの死をもってもう既にパリ協定以前の状態に戻ったと言っているのです。きょうもそのことをやはり政府は客観的に認めなければいけない。 では、局地的だ、全面的でないから守られていると言うけれども、どれが全面的でどういう状況が局地的だという基準があるのですか。パリ協定を御存じなんですか。東京会議での中身は御存じなんですか。わかってお答えになっていらっしゃるのですか。そこが問題なんですよ。いかがですか、大臣。
○武藤国務大臣 いろいろと局地的なものは起きておりますが、全面戦争になっていないということにおいて、しかもポル・ポト派も含めてこのパリ和平協定は遵守すると言っているわけでございますから、私どもは、パリ和平協定の基本的な枠組みは崩されていない、こう判断しているわけでございます。
○井上(一)委員 さっき私が言ったように、局地的紛争だとか全面的紛争、そういう基準はないわけなんです。 では大臣、大変失礼ですが、パリ協定の骨子というか要点を確認のために少しおっしゃっていただけないでしょうか。五つの大きな柱——いや、私はやはりこの問題については大臣と。 外務大臣、政治家としてどうあるべきか、どう責任を果たしていくべきかということになると思うのです。私は、局地的とかそういう基準というのはパリ協定にはないと思う。
○武藤国務大臣 和平協定において決められておる大きく分けて三つの、いわゆる内紛を解消して包括的な平和を求めるという方向、それから主権、独立、私が先ほど申し上げました民主的な国家をきちんとつくるということ、三番目は、今後のカンボジアの復旧、復興に関する問題、この三つからでき上がっておると認識しております。
○井上(一)委員 外務大臣、すべてを御承知だと思って私はこの質疑を行っているのですけれども、やはり少し……。 それでは、UNTACの任務はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
○武藤国務大臣 あくまでパリ和平協定に基づいて和平プロセスを進める上においての役割をUNTACはしておるというふうに判断をいたしております。
○井上(一)委員 大臣に大変御無礼かもわかりませんが、さっきの答弁も、パリ和平協定の認識も少し整理をしていただきたいし、UNTACの任務というものも、何にどういうことで、我が国も協力をしているわけなんですから。 一番大きな問題としては、外国軍隊のかいらいというか、今までのプノンペン政権に持たれていたそういう国際的な認識を払拭しなければいけないということで、外国軍隊の撤退、あえてこれはベトナム軍ということで私は話をしますけれども、そういうことを検証しなければいけない。さらには、各派が停戦合意をしていく。そして武装解除する。そして、西欧型の民主的な選挙をやろう。そして、制憲議会を建設して、新たな民主国家を建設していこう。それをサポートしていくのがUNTACの任務である。 私は、確かにベトナムの、外国軍の撤退ということは行われたと思います。これはUNTACが撤退させたというよりも、ベトナムが撤兵をしたわけなんです。そういう認識の中で、では各派の和平に向けての停戦合意が守られているかといえば、守られていない。局地紛争だとか全面紛争だとか、そういう問題ではないと言うのです。どこが局地であってどこから全面なのか。そういうことがまやかしの説明であり、そういう政府の答弁がやはり物事の混乱を招いている一番の原因だと私は思うのですよ。ここはやはりはっきりしておかないと、PKOの五原則云々の問題ではないのですよ。パリの和平協定が確実に現実の問題になっていない。 だから、パリ和平協定を受けてP5の一つの働きかけから動いてくるわけなのですけれども、それ以前に、東京での東京会議もやはり持っているのですよ。その歴史的な経過というものは十分承知の上で今回の問題をやはり強く認識していただかないと、この問題解決には当たられない。 局地的だから、あるいは全面的紛争になっていないなんという基準もないし、そういうことはパリ協定にどこにも書いてないし、私はあえて、各派の停戦、和平の監督、検証というか、そういうことがなされていないという時点でパリ和平協定はもう守られていないということを指摘したいのですが、大臣、いかがですか。 私のこの考え方に対して大臣から、大臣、いかがですか。私の今の質問に対して大臣はどう受けとめ、どうお思いになられますか。大臣に聞きましょう。
○武藤国務大臣 私どもは、パリ和平協定の枠組みは守られておる、こう判断をいたしております。
○井上(一)委員 そういう情勢分析をしていることが不十分というか、間違いであり、判断を誤る、そういうことであってはいけない。一日も早くカンボジアの和平を回復したいという強い願いは私も政府に負けない。皆さんに負けないほど持っているわけなのです。当初からかかわってきただけに、私としてはこれは何としても、パリ和平協定の以前の状況に戻っているという認識に立たなければこの問題は解決しませんよ。 平行線かもわかりませんが、これは担当のアジア局長、私はパリ協定以前に戻っているというこのことをやはりきょうは冒頭強く申し上げなければいけない。担当の局長でもいらっしゃるし、一番当初からあなたもこの問題についてはかかわりを持っていらっしゃるわけです。意見が違うかあるいは同じであるかは別として、じゃ、今度局長、さっき手を挙げていらっしゃったから、局長から聞きましょう。
○池田政府委員 カンボジア問題について大変造詣の深い井上先生の御指摘でございまして、私ども、確かにそういう面があるというように考えております。 確かに、パリ和平協定で想定されておりました当時と現在の状況を見ておりますと、選挙に至ります和平のプロセスが当初予定されていたように必ずしも順調に進んでいないという面があることは事実でございます。 しかしながら、他方、ただいま外務大臣から御答弁がありましたとおり、そういう状況にもかかわりませず、カンボジア全体として全面的な戦闘が行われているわけではないということでありまして、パリ和平協定の基本的な眼目というものはまだ支えられているわけでございます。これは日本政府だけがそう言っているわけではございませんで、国際的にそういう認識で一致しているわけでございます。最近も、パリ和平協定の署各国全体、このパリ和平協定を守って何とか選挙をやり抜こうという決意を表明いたしております。そういった意味では、依然として全体の構造というのは変わっていない。しかしながら、ある時期に考えられていたよりも難しい局面が出てきているということは事実だと思います。
○井上(一)委員 局長は、当初の想定していた状況が思惑どおり進んでいないと言う。確かに、役所として、外務省として今答えられる限度いっぱいだろう。しかし、私はあえて大臣に、政治家というのはこういうときにみずからの理念、信念をぴしっと言うべきだ、そういうことなんです。もう既にパリ協定以前の問題だ。 この間、東京でいろいろな会議を持たれたということについても、それはそれなりに御努力をなさっていらっしゃるということについては私は評価をしたいと思います。私は、外務省がカンボジア問題で大変苦労をなさっていらっしゃるということについてはむしろ敬意を表しておきたいと思います。 ただ、皆さんと同じように、このカンボジア問題に対して、何とか血を流さずにというか、四派合意の中で和平をつくり上げていきたい、そういうことに我々は努力をすべきである、こういう思いがきょうの質問になり、一月前にもそれは、前もって予告というか、申し上げた。私が心配していたそういうことが現実の問題になってきた。特に、さっき申し上げたように、各派の停戦、和平の合意、署名はしているのです。形式的には署名はしている。しかし現実にはそうではない。これはもう崩れている。UNTACの任務、今言うように、それを検証すべき役割、任務があるわけなんですね、民主的な選挙を実施するということも含めて。各派の武装解除、ここなんです。各派の武装解除を行うということ、これまたUNTACの一つの大きな任務なんです。 ところが、昨日、明石代表は、ポル・ポト派以外の三派に対して、これは去年から求められているわけなんですけれども、武器を返還する意思を表明されたと伝えられているわけなんです。まず、このことについて大臣はどういう情報をお持ちであり、どういう認識を持っていらっしゃって、どのようにお考えになり、この明石代表の意見に対して大臣としてはどう評価されるか、その点からお聞きをしましょう。
○武藤国務大臣 正確な情報はまだ私自身受け取っておりません。しかし、私は、一方においては、このような不安な状況の中でもし明石代表がそういう決意をされたとするならば、それはそれなりに理解はできますけれども、しかし、これはやはり、今おっしゃったパリ協定、そしてそれに基づくUNTACの一つの和平プロセスの中で武装解除というのはあるわけでございますから、それと相反するような行為を安易にすべきではないということにおいて、やはりそのようなことはやるべきことではないというふうに私は判断いたしております。
○井上(一)委員 アジア局長、同じように、私の質問に対してどういう御意見を持っていらっしゃるか。大臣は今しっかりと大臣なりの所信を表明されたわけです。
○池田政府委員 私どもが承知いたしておりますところでは、ただいま御指摘のありましたような武器返還についての要求というものが明石代表に提出された、それに対しまして明石代表は検討を約したということでありまして、まだ結論的なことは何も言っておられない、そして、明石代表としては国連の本部とも十分に相談したいという態度を表明されているというように承知しております。
○井上(一)委員 武器返還をするなんていうことは、パリ和平協定以前どころか、もう相反することであり、そして、国連は拒否をしているのです。その報告もまだお聞きではないのでしょうか。国連は、そういうことを、武装解除をやる任務を持っておるのに、それをまた返せなんというのは本当はよくないわけで、当然武藤外務大臣のおっしゃった考え方が正しいと思うのです。 国連にも我が国政府の代表がいらっしゃるわけです。これは緊急なこと、それこそ一刻を争う問題だと思うのです。まだ日本政府、外務省は、きょう今の時点でそういうことについての国連の対応というものを御存じないのでしょうか。また、そういう情報は非公式にでもお受けになっていらっしゃらないのでしょうか。
○池田政府委員 私どもは、現在のところ、結論が出たというようには聞いておりませんが、ただいま御指摘ありましたように、在外公館を通じて至急情報の確認に努めたいと思っております。
○井上(一)委員 私の質問の時間は昼からもありますから、午後の冒頭にこの返事をいただくということにして、この問題については一応留保したいと思います。 それで大臣、武装解除の放棄といってUNTACが、少なくともその代表は、国連の職員でありますが日本人なんです、明石さんは。立派な方なんです。しかし、パリ協定というものの精神も、東京会議の精神も全部理解をしていただいていると私は思っているし、それがみずからの手によって武装解除を破る、放棄するということはとんでもないことだと私自身は思っているわけなんです。これは基本的な枠組みをUNTACみずから崩すということにもなるし、そんなことは本当に、日本政府としてUNTACに対して、もちろんPKO要員あるいは文民の皆さんの安全の要請もさることながら、いち早くこういう問題について政府の対応が迫られるというか、対応を急がなければいけないというか、対応を示さなければいけない。国連がオーケーして、日本はいやそのとおりしますと言うのですか。東京会議は何のためにやったか、パリ協定はどういう意味を持つか、そういう意味から、私は一時時間を猶予します。 この問題については、私から言えば、あえて言葉を選ばずに言わせてもらうならば、武器返還なんという発想それ自体が甚だもってけしからぬ、この流された血というものを本当にどう受けとめるのだということを強く私は訴えておきたいし、また、大臣並びに外務省、いや日本政府に対して私は強く申し上げておきたいと思います。このお答えは後で結構です。一時の再開冒頭に返事をいただくということにします。 予測を踏まえて大変僭越かもわかりませんけれども、先ほど私が申し上げたパリ協定あるいはそれを実現するためのUNTACの任務、武装解除し、それこそ各派の合意の中で総選挙をやっていきたい、そして制憲議会による憲法制定によって安定したカンボジアの民主国家をつくっていきたいというプロセスはよくわかるのです。余りにも事を急いで、武装解除を投げ出して総選挙をやる。総選挙に走り過ぎて、選挙の延期を避けたいということが先にあるのではないだろうか。そういうことであっては判断を非常に誤りますので、ぜひ日本政府の見解も含めて、これは午後の冒頭でいいですから、大臣、政府の御見解をいただけますか。いただけますね。事情は、局長、国連あるいはカンボジア、プノンペンを通して報告をいただくということで、政府としての見解を私はいただきたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 二時間ありますから、その間努力をいたします。しかし、一時に間に合うのかどうか。夕方まできょうはあるわけでございますから、できるだけその辺は努力をいたします。
○井上(一)委員 それでは、この武器返還の問題については、私の与えられた時間が一時からということでございましたが、委員会は夕方までありますから、その時間は私はあえて留保しましょう。次に移ります。 先ほども申し上げたように、情勢分析が不十分であったり、あるいはまた情報の収集が不正確であったり不十分であったりすると、どうしても判断が間違ってくる。そういう意味では、じかに当事者同士がこういう問題について、私たちはこのような考え方を持っているのだ、あなた方は私たちのこの意を酌んで十分にカンボジアの和平について協力をしてほしいという、そういうやはりコミュニケーションというかお互いの意がわかるような一つの手だてというのが今日必要である、特に我が国は。何らかの外交的手段が必要な時期に来たというふうに思っているわけなんです。 そういう意味で何か具体的に、私は私なりの考えもありますけれども、今政府が何か一つのお考えを持っていらっしゃるようであれば、少しお聞かせをいただければありがたいと思います。
○武藤国務大臣 御指摘のとおりで、やはりカンボジアの和平というのはまずカンボジア人自身が本当にそう決めていただくべきことでございますし、その意味で私ども、この間今川大使と池田局長に北京に行くように私が指示をいたしましたのも、シアヌーク殿下が何といっても求心力がある方だと私は判断いたしておりますので、シアヌーク殿下にもう少しイニシアチブをとってもらいたいということを強く訴えるために派遣をしたわけでございますし、幸い北京にいるポル・ポト派の代表にも会うことができましたので、ポル・ポト派にも自制を強く訴えさせたわけでございます。 それ以外に今何か考えていることがあるのか、こういうことでございますが、私から各派に対して直接呼びかけをいたしたい、こう思っておるわけでございます。
○井上(一)委員 私はいろいろな具体的な方法が考えられると思います。そして、北京にシアヌーク殿下がいらっしゃるときに御努力をなさったことも承知いたしております。 私は、実効的支配をしているというか、プノンペンにフン・センさんがいらっしゃるわけで、いわゆる九〇年六月の東京会議では、シアヌークさんとフン・センさんがやはり一つの合意を持ったわけなんですね。そういう中にもやはり、武装解除、停戦、そして民主的な和平に向けての総選挙というようなこと、そこでSNCが一つの手法として、そういう組織がつくり出されていくわけなんですね。そういう意味で私は、フン・センさんに対してしかるべき我が国の熱意を伝える、そういうことがやはり一つの方法だと思うのです。一つの手法である。今シアヌーク殿下のお話もありましたけれども、プノンペン政権、フン・センさんに対して——UNTACの明石さんに会うことはみんな、自治大臣だって明石さんに会ってUNTACにこうだああだで、そのUNTACの明石さんが、先ほど私が強く指摘したような認識を持っているわけなんです。そこへ何の陳情、要請、私はフン・センさんにも、これは明石さんを攻撃するのではないのです、余りにも安易な考え方を持ってもらうことを、私としてもそれは非常に間違いですよということを強く申し上げたいからあえてこれは申し上げているのですが、今手法として、具体的にしかるべき方々、特にフン・センさんとは御懇意で個人的にも信頼の深い方もたくさん要職につかれて、政府の代表をでき得る方がいらっしゃるわけなんですから、私は、そういう方からじかにみずからの意を伝えるということも一つの方法ではないでしょうかということを申し上げているのです。 そういうことについてもひとつ大臣から、具体的にそういうことをやる、中身の問題ではないんです。固有名詞を挙げてということでもないんです。フン・センさんに我が国の和平に対する熱意を伝えるということをなさることは、私はいいことだと思うのですよ。私はぜひそのことをやってくださいよと申し上げたいのです。いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 先ほど各派のそれぞれに私からと申し上げましたが、フン・センさんには、しかるべき人からこれも親書を出すことに予定をいたしております。
○井上(一)委員 私は、いろいろな意味で国際貢献というのは、ただ自衛隊をたくさん出したから国際貢献だというんじゃなく、こういう一つ一つの積み上げが日本の外交の理念だと思いますし、それこそ世界に確固たる名誉ある地位を築いていくということは一つ一つの積み上げでありますから、余り私の方が長く申し上げたくもないのですが、大臣にカンボジアについての認識をさらに深めてもらいたいし、和平に向けてぜひ力を注いでもらいたいということで進言をした次第です。親書を届けるという今のお話、非常に私はその効果を期待したいと思います。 さて続いて、私は冒頭、亡くなられた方に対する御冥福をと申し上げました。私は、さらに犠牲者がふえないためには一日も早い停戦、和平に四派が取り組むということはもちろんでありますが、今回のとうとい犠牲を通して、これを無にしないためにも、我が国には、武器輸出三原則、さらには軍事大国にならない、武器商人にはならないのだ、そういう国是があるわけなんですよ。そういうことから考えましても、あるいは問題の真相を解明するためにも、犠牲になられた中田さんにしても高田さんにしても、受けられた銃弾の種類というものはもう既におわかりなんでしょうか。
○澁谷政府委員 私どもは承知いたしておりませんので、早速調べます。
○井上(一)委員 これはもう初歩的な問題なんですよ、大臣。今、病院に担がれて治療を受けて回復に向けて頑張っていらっしゃる重傷を受けられた方に対しても、どんな弾を受けたか、どういう武器によって被害を受けたか、これはもう初歩的なことで、そんなこと外務省がまだ知らないなんていうようなことは、ちょっとおかしいんじゃないの。どう思いますか、大臣。
○武藤国務大臣 やはり、武器輸出を禁止をしようということに対して国際的にも呼びかけておる我が国でございますから、あのような痛ましい事件が起きた、その武器が、一体どこの国の弾であるかというようなことは当然早く承知をし、そういうものに対してもできるだけそういう武器輸出をしないように呼びかけるというのが日本の当然の姿だと私は思っております。
○井上(一)委員 そのことは関係者にお尋ねになられたことがあるのか。ないとすれば、すぐにこれまた、きょう五時までこの委員会があるのですから、これも留保しますけれども、どんな武器を使われたのかやはり分析をする必要があるし、その武器がどこから手に入ったのか、あるいはその武器をどの国が、まあ手に入れた国がわかれば、その国が出したことになるわけなんですね、どういう形で出されていったのか、あるいはその国はどこなのか、そしてもし武器提供をした国が、あるいは武器を売った国が我が国の援助を受けていた国とするならば、我が国はこの援助をどうするのか。 仮定の問題ではお答えはできませんとおっしゃるかもわかりません。私はあえて仮定の中で言います。今、武器はどういう武器であるかということを調べますということですね。そしてそれがわかった、そして我が国がそこに援助をしていた国であった、大臣、どういう対応をされますか。
○武藤国務大臣 いずれにしましても、今申し上げたように早急に調べさせます。 ただ、これは先ほどのとちょっと違いまして、時間的にきょうの夕方までに間に合うのかどうか私は心配をいたしておりますが、いずれにしても早急に調査をさせることはお約束をいたします。そして、それに基づいて、多分今の御指摘は、いわゆるODAの今度の、私どもが昨年新たに大綱を決めました、それに対しての御指摘かと思いますが、あの大綱の中にもそのようなことは十分書いてございますので、その辺を踏まえて対処していかなきゃならないと思っております。
○井上(一)委員 私は、武器を供給する、そのこともやはり断たなきゃいけない。武装解除ということと同時に、武器の提供を断つ、そういうところに今まで視点を置いてきましたか。あるいは過去において提供していた国に対してそういうことを、公式、非公式は別として、日本政府として何らかの申し入れをされましたか。それをお聞きしましょう。
○武藤国務大臣 国際的に武器の輸出に対しては登録をさせようとか、先ほど申し上げたように、日本自身もODAの新しい今後のあり方として、この武器の問題も含めて一つの条件として考えておるわけでございまして、その点は新しい一つのそういうことを踏まえて日本政府としてやってきておるというふうに私は自負をいたしております。
○井上(一)委員 大臣、私は、武器供与をする、供給をしている、過去において供給をしていた、これはポル・ポト派だけという意味ではなく、全体的にですね、そういう国々に対して何らかのアクションを起こされたんでしょうか、こういうことを聞いているのです。そして具体的にそういうことがあれば、どこの国に対して、いつ、こういう話をしましたということを聞かせてくださいということです。
○池田政府委員 カンボジアへの武器の搬入につきましては、UNTACが責任を持って監視いたしておりますが、UNTACも、これまでのところ武器がパリ協定締結以来外国から搬入されたということは報告いたしておりません。もちろん私ども関心を持っておりますし、関係国の動向も見てまいりましたけれども、パリ協定締結以降そういう事態はないというように確信しております。
○井上(一)委員 わかりました。パリ協定以降においては、UNTACからの情報としては供給はしていないという情報を受けた。 それで、過去に内戦状況の中でカンボジアに武器を供与していた国があるわけなんですね。そういう国に対して、我が国独自で何らかのアプローチをされたのでしょうか。何らかの意思を、武器を供与しないでくれとか、弾薬をもう出さないでくれとか、出してはいないと思うけれども、お願いしますよというような趣旨の話を持たれたのか。持たれていないなら持たれていないでいいのですよ、私は持って当然だと思っているから。今言われたように、ないということですね。 私は別に供給している現場に立ち会ったわけではありませんので、そういうことをせんさくしようとは思いません。私はきょうはそういうことをせんさくする時間もありませんし、そういう議論はしません。しかし、何らかの形でそういうことについて我が国の意思を伝えられましたか。伝えてないなら伝えてない、今後伝えるなら伝える、やはり今の時期に来て、我が国の姿勢というのは非常にはっきりしなければいけないときだと私は思うので、あえてこのことも聞いておきたい。
○池田政府委員 日本政府としましては、個別にそういう話し合いをしたことはございませんけれども、いろいろなレベルでの関係国との情報交換あるいは意見交換のときに、これまでカンボジアに武器を搬入していた関係国がすべて口々に自分たちはパリ和平協定を遵守しているということを言っているということでございまして、そのことについてはその言葉どおりに受けとめていいと私どもは考えているわけでございます。
○井上(一)委員 私もぜひ信頼をおきたいと願っているし、信頼をおきたい思いはいっぱいです。しかし、念には念をということもあるし、私はあえて、ここで不幸な状態が起こらない前に予防的措置をとるということも一つの方法だと思うのです。 いかがですか、過去において提供していた国に対して改めて念を押すということは大変失礼かもわかりませんけれども、そういう我が国の意思を伝えるということはこの折に大事なことだと思うのです。大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 過去というのは、ずっと過去はあるわけでございまして、一体どの辺の過去か、その辺は、非常に古い過去のものまでなかなかこれは言えないと思うのでございますが、今の局長の答弁では、少なくともSNCが発足してからはないということでございますし、せっかくの御意見でございますので、私は参考にさせていただいて、一度考えさせていただきたいと思います。
○井上(一)委員 次に進みます。 これは基本的な認識の問題なんですけれども、カンボジア政府と国交を持っているという——カンボジア政府は御承知のようにプノンペン政権と三派の二つあったわけなんです。恐らくSNCという答えが返ってくるのではないかと思うのですが、SNCというのは、さっき申し上げたように、東京会議を通してカンボジアの和平を構築していくための一つの機関として設置された機関なんですよ。だから、もう答えが返るであろうということを予測したものだから、SNCということをおっしゃるかもわからぬと思ったので、あえて私は、日本がカンボジアとの国交関係を正式に締結しているのは過去と変わりありませんかということを聞きたいのです。
○武藤国務大臣 過去の経緯から申しますれば、日本はプノンペン政権を認めていなかったわけでございますし、どちらかといえば、日本は三派の方とおつき合いをしていたわけでございますが、SNCが発足いたしまして、どうも今指摘をされてしまったので恐縮でございますが、私の方はやはりSNCが暫定的にはカンボジアを代表するものと判断をいたしております。
○井上(一)委員 次の問題ですが、これは余り時間をとりません。 外務省の南東アジア第一課が出しているものに、カンボジアと我が国の二国間の関係でも、我が国はSNCとの間で外交関係展開と書いているのですよ。開始ではないのです。展開なんです。これは非常に外務省らしい表現を使っているのです。そして、大使館は再開なんです。これは当然なんです。再開したのです。私の聞いているのは、どのチャネルと再開したのかということなんです。SNCは新しくできた。これと外交関係を展開した、これはこれでいいのですよ。このことについてどうですか、これは局長から答弁してください。
○池田政府委員 我が国政府は、SNCが正式に発足いたしましたときに、これを暫定期間におきます正統政府として承認したわけでございまして、それまでのいわゆる三派連合政府から切りかえてSNCを正統なものというように承認したということでございます。
○井上(一)委員 それじゃ、私はあえて大臣に、今SNCは四派が入っているのです。ポル・ポト派に対する我が国のアプローチはどのようになさろうとお考えでしょうか。さっきフン・センさんのは、私の提案したしかるべき人からの、信頼関係の厚い方からということは、これはわかりました。それは北京でもいろいろと努力をなさったということはよく承知していますが、同時にまたポル・ポト派に対しては、さっきは四派全体的な雰囲気の話をされたのですけれども、特に私はポル・ポト派をということを強調しているのですが、きょうの時点でどうなさるのか、そのことについても聞いておきます。
○武藤国務大臣 先日の北京における会談、シアヌーク殿下に対してもポル・ポト派に対しても呼びかけをしていただくようにお願いをいたしましたし、また北京におけるポル・ポト派の代表に対してもいろいろと自制を促したわけでございますが、現時点でそれ以上というのは、今は考えておりません。
○井上(一)委員 さらに、私は先日、先ほども申し上げましたように、カンボジア情勢が変化をしている、五原則も変化した、そういう状況になっているということを指摘したわけです。現在のカンボジアの状況はまさに私が指摘したように推移していっていると思っているのです。 私の四月九日の質問に対して柳井政府委員は、当時いろいろと御答弁をいただいているわけです。私の解釈と柳井政府委員との解釈の間に少なくとも重複する部分がかなり相当ある、こういう答弁もいただいているわけです。僕はこれは正直で非常に素直な答弁だと評価をしているのです。 今お聞きをしたいのは、そういう質疑の中で、今日のカンボジアの状況が大きく変化をした、そういう状況の中でいわゆるPKO五原則、我が国の言うPKO五原則、私たちはこれは強く反対をしたわけなんです。いたしましたが、その五原則の適用の態様というか満たされ方というものはいろいろあるでありましょうというような答弁をいただいたわけなんです。 さらに現在のカンボジアの状況、一カ月を過ぎた今日のカンボジアの現状は、満たされた方というか、そういうものがさらに悪い方向に変化していると私は理解をしているんです。さらに悪い方向に変化した、そういう私の理解でよろしいでしょうか、政府もそういう理解を持っているでしょうか、こういうことをお聞きしたいんです。
○武藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、一部の地域では確かに情勢は不安定な状況になっていることは事実でございます。しかし、私どもとしては、どうも何遍も同じことを申し上げて恐縮でございますが、全面的な戦争になっているわけではございませんし、ポル・ポト派自身もSNCから脱退をすると言っているわけではございませんし、そういう面においてはパリ和平協定の枠組みも守られており、PKOの五原則に照らして、今私どもは撤退をするということはないというふうに申し上げたいと思います。
○井上(一)委員 すぐに大臣、PKOの撤退云々につなぐわけなんです。私は、そういう議論を今しているんじゃないわけなんです。私は、PKO派遣に反対したということは申し上げたけれども、今それについて撤退をせよとか、撤退をするのかしないのか、そういう質問をしてないわけなんです。 私が一月前に指摘をした変化というところの中で、政府の答弁も、そのときには、満たされ方というものにはいろいろある、そういう答弁をしているわけなんです。今も五原則は満たされているということを答えたいんだろうと思うんですよ。しかし、私が一月前に指摘したときよりもさらに悪い状態になっている、悪い方向に変化をしている。私は、満たされているとか満たされていないとかの議論をしていないんですよ。変化している、変化した、今も、きょうも変化している、さらに悪い方向に変化をしている、このことはどうですかと言っているんです。PKOの話のなにはまだ質問してないんですから、そこに落ちつけてはだめだ。
○武藤国務大臣 一部の地域が確かにあのときよりも不安定になっていることは事実でございます。
○井上(一)委員 それでいいんですよ。悪化しているということは、これはもう常識論であります。それを局地的だとか、あるいはまだ五原則が云々と、きょう、ある報道で、まさに政府が五原則の問題については天動説を唱えていると書かれているんです。あえてきょうはPKOの派遣云々の質疑は避けます。またのときに。天動説だ、これは、心して受けとめておいてほしいと私は思う。まさに天動説を政府はいつかは修正をしなければいけない。それは早い方がいいし、おわかりでありながらなおかつ天動説を言わなければいけない、そういう状況というのは苦しいんでしょう。 しかし、カンボジアの和平、それは世界の子供の人権を守ることにも通ずるんですよ。きょうの子どもの権利条約の審議に当たって、あえてカンボジアの問題を私がそういう関連で申し上げたのも、ひとつぜひ考えを率直に、素直にかつ正直に言われる機会を一日も早く私は望んでいます。 さらに、私は、ロシアの問題についてここでやはり触れざるを得ない。 これは前回も対ロ支援の問題等も含めて申し上げたわけです。G7、いわゆる東京サミットでは環境問題を取り上げなさい、これは議長国である日本が提起をしたいという大臣からのお答えをいただいたわけです。子供の人権というものも取り上げるべきだという持論を私は持っていますし、それはなぜなのか、その問題については後で議論をいたしますが、ロシア政府が日本海に毒ガスを投棄した。これはもう許せない行為なんです。その国に支援をしようといって東京サミットをやるんだから、これはもう本当に、私にとっては何を一体考えているんだということになる。日本海に毒ガスを投棄して、特にイペリットという、これは猛烈なきつい毒ガスなんでしょう。子供の命とそういうことを比べるというか、そういう行為に対しては強い憤りを私は持っているわけなんですが、今までこういうことについては、海上保安庁も含めて、政府は御存じなかったのかどうか。
○津守政府委員 この問題につきましては、この報道の内容として、毒ガスを投棄した場所は日本海である、さらに毒ガスの容器の腐食が相当進んでいる、人体に対する危険もあるというような報道でございましたので、政府としましても、直ちにロシア側に対して日本側の強い関心を伝達するとともに、事実確認を求めたわけであります。 具体的には、御案内のとおり、モスクワで海洋投棄のための日ロ共同作業部会の会議がきのう、きょうと行われておりますが、昨日、日本側の代表団が、この報道にありますボリソフ水中特殊作業実施国家委員会委員長に対しまして事実関係を照会いたした次第でございます。 これに対しましてボリソフ委員長の方からは、朝日新聞とのインタビューの事実は認めましたが、同時にこれを公文書で確認する必要があるということで、ただその事実の究明のためには若干時間がかかるというような回答がございました。当方よりは、早急にこの事実関係について確認次第、通報方を要請した次第でございます。
○井上(一)委員 いや、全くもって頼りない。外務省、今までこういうことを知らなかった、きのう、きょうとロシアで、モスクワでこうやっていますなんという、もうこれはそういう問題ではない。すぐにこの問題の処理をしていかなければいけない。前回も申し上げましたように、日本近海というのは日本海の火山帯だとか、地震の発生しやすい地殻というか、そういうものも含めて、どこに、どれだけ、どう処分をされているのか。防衛庁の見解は、引き揚げは非常に危険を伴う、こういうことを言われているのです。 それに対して政府は、こういうことをやる、そのことに対してはどれだけの費用が要って、どういうことが必要なんだということを、発表と同時に検討されなければいけないのですよ。私は、それまでにこういうことが情報として入手され得なかったということにも問題はあったけれども、それはいたし方ない。しかし、こういう情報が流れたというかわかった段階で、素早くその後の処理というものを、防衛庁あるいは海上保安庁、環境庁も含めて、外務省としてはしかるべき対応をし、かつ、それをもってやはりロシアと当たっていかなければいけないわけですよ。ロシアの責任なのですよ。 そのロシアに今度金を支援しようとするのでしょう。その金は一体どこから出るか。国民の税金なのです。私は対日支援を否定するものではないけれども、余りにもやり方がひどいし、こんなことが許されるべきでないし、我が国として外交をしっかりとやる。へなちょこなそんな外交をやっておって何が国際貢献だ。善は善、悪は悪、反省を求めた上で、かつまた、この処理についてどうされるのか。大臣、限られた時間だから、ただモスクワできのう、きょう会議をやっていますなんという、そんなものは新聞に報道されておる。そんなことを聞いておるのと違う。危険度はどうであるかとか、どういう対応をされるか、答えてください。
○武藤国務大臣 先回の放射性廃棄物の投棄といい、まことにけしからぬ、許されない話でございます。これは日本だけではない、本当に、世界の環境を考えた場合、また人道的にも大変な問題でございますので、早急に事実関係を確認をいたしまして、そして日本の政府部内でそれに対してどう対応すべきかを一日も早く決めることと同時に、もしそういう事実関係がはっきりすればロシア政府に対して厳重に抗議をするのは当然でございますので、なるべく早くやらせていただきます。
○井上(一)委員 はっきりすればと言うが、はっきりしているのですよ。私の言うのは、もっと具体的にこの問題について、こうしようといういわゆる政府部内でのこの問題の処理、検討処理委員会とか、あるいは関係各省庁が寄ってそういうプロジェクトをつくって、具体的にこういうふうにやっていくんだ、そういう中で、新たな問題が起こったらそれはそれとして、ロシアに対しても、あるいは国会、我々の方も含めて、報告をいただかなければいけない。だから、具体的な対策委員会というかそういうものをつくって対応していかなければいけないということを私は申し上げたいので、そういう取り組みを外務省が中心になってやられますか。
○武藤国務大臣 とにかく事実関係をはっきりさせないことにはあれでございますから。 それと同時に、当然それに対しての日本の対応の仕方としては、各関係省庁に集まってもらって、そして、場合によれば作業部会をつくるなり何らかのことをして、このような問題が大きく広がらないように、とにかく処理をどういう形にするか、早急に検討したいと思います。
○井上(一)委員 大臣、今松浦さんが行っていらっしゃるのじゃないですか。そしてもうロシア側から協力要請を受けたのでしょう、これは事務方で結構ですから。今は事実関係が云々なんと言っている時期ではないと思う。だから、そういう姿勢、プロジェクトを持つかどうかということを聞いておるのですが、まだそういう事実関係云々なんですか。
○津守政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、毒ガスの廃棄につきましては、ボリソフ委員長の発言によれば、そういうことを言っている科学者がいる、ただ、これは公文書で確認する必要がある、こういう段階でございまして、ロシア側も事実を確認したわけではございませんので、繰り返しになりますが、その点は申し上げておきたいと思います。 他方、松浦外務審議官が現在モスクワに行っておりますのは、これは対ロ支援一般について協議をするために現在モスクワに滞在中でございます。
○井上(一)委員 モスクワに外務省の高官がおって、そしてこういう問題が報道され、明らかになって、いや、対ロ支援の方の話だけで行っているんですで事を済ますのですか。我が国にとっては何が大事であり、何を処理しなければいけないか。もちろん東京サミットの問題も重要な役割は認めます。しかし、事は生命にかかわる問題であり、環境汚染の問題であり、そんなことは私から多くを言う必要はないのですよ。化学兵器の問題、大変危険なそういう海洋投棄が明らかにされて、いや、そのことの調査ではございませんで済まされるのですか、大臣。 私は、これも時間を与えたいと思います。さっき大臣が言われたように事実であれば、私は事実だと思うのですが、そういう検討委員会をつくる、別に確認するわけではありませんが、それはそうなさるわけなのですね。それで、松浦さんがモスクワにいらっしゃるから、当然この問題を最優先して詳細に詰めていく必要があろう、私はこういうふうに思うのですが、いかがですか。
○武藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、早急に事実関係をはっきりさせまして、もし事実であればロシアに対しての抗議をするのは当然でございますし、松浦君が行っておりますから、それは松浦君から当然抗議をさせますし、それからこちらの対応といたしましては、各関係省庁にとにかく集まってもらって協議をし、それに続いて作業部会を設けてやっていくというのは当然のことだと思っております。
○井上(一)委員 それでは、早急に問題解決に向けての政府の取り組みを私は促しておきたいと思います。 さらに、時間の関係があるのですけれども、ミャンマーに対する現状の認識、特にミャンマーの子供たちの現状の認識をどういうふうに持っていらっしゃるか、そのことから聞いてまいりましょう。
○小池政府委員 ミャンマーにおける子供の状況については、残念ながら私たち十分な資料を手元に持っておりませんけれども、実態を把握することが極めて困難な状況にございます。しかし、わずかにユニセフ執行理事会の際に提出された資料の中に、ミャンマーの子供の状況を保健、衛生、教育等の観点からまとめたものがございます。 そのユニセフの資料においては、五歳未満児の死亡率は、一九九一年において、千人当たり百十七人という極めて高い数字になっております。栄養不足等が原因で約二九%の新生児が未熟児であること、それから、小学校は整備されているけれども教師の訓練が不足しているなどなどが、そのユニセフの資料の中で指摘されております。
○井上(一)委員 それでは、さらに広げて、ミャンマーの今日の政治情勢について、外務省の認識を聞いておきたいと思います。
○池田政府委員 ミャンマーにつきましては、現在の最大の問題は民政移管をどういうように進めていくかということでございまして、民政移管のためには新憲法をつくる必要がある、そしてその憲法をつくるために国民会議を開こうという動きがございまして、一月に既にこの国民会議が一度開かれましたけれども、現在休会中となっております。そして来月、六月に再開される予定であるというように私ども理解しております。 それから、このミャンマー政府の民政移管の具体的時期、手続等についてはまだ明らかにはされておりませんが、我が国としては、これまでも種々の機会を使いましてミャンマー政府に対して早期に民政移管が実現されるように、それから人権状況が改善されるようにということを働きかけてきているという状況でございます。
○井上(一)委員 いずれの国も政治、経済、文化を知ろうとする中では、やはり「地勢学」、形態、地形ですね。そういうことについて当然把握をしなければいけないと思うのです。私は、やはりカンボジア、ミャンマー、タイ、中国、こういう国々の「地勢学」、地質学、そういうものは十分外務省は御承知だと思うのですが、念のために後の質問が関係しますので、そういうことは御承知でしょうね。
○池田政府委員 後の御質問の趣旨がちょっと想定いたしかねますが、私どもの理解しておりますミャンマーの地勢学的な重要性というのは、確かにインドシナ全体の中でも、その位置であるとか歴史であるとか資源であるとか、あるいは少数民族が四〇%程度に達するとか、そういった点で、いろいろな面から見ましてもインドシナにおける一つの重要な国であるというように認識いたしております。 それから、さらには日本との関係で見ましても、これまでも日本に対してミャンマーの人たちは比較的親日的な感情を持ってまいりましたし、日本からもミャンマーの人たちに対して親近感を持ってきた、そういう関係にあるというように承知しております。
○井上(一)委員 もう一点前段で聞いておきたいのですが、カーター元大統領が議長をなさっていらっしゃる国際交渉組織、インターナショナル・ネゴシエーション・ネットワーク、この組織は御存じですね。
○佐藤(行)政府委員 お恥ずかしいのでございますが、名前は承知しておりますが、実態はよく承知しておりません。
○井上(一)委員 名前を御存じだし、中身のことについてはまた午後にでも時間があれば触れていきたいと思います。 それで、私はミャンマーの民主化ということを、一日もこれまた早からんことを願うわけであります。そのためにもやはり内戦状況というものをとめなければならない、そういう認識を持っているわけなんです。内戦を終結させる、そういうことへの我が国の手だてというのはなされてこられたのでしょうか。
○池田政府委員 ミャンマーの中の一部反政府勢力に対する政府側からの攻撃あるいは一部難民の流出等につきまして、基本的にはミャンマーの内部のことでございますので、私ども関心を持って見守ってまいりましたけれども、特にそのことについて内政干渉に当たるような発言あるいは申し入れをしたということはございません。しかし、一般的な意味でミャンマーにおきます安定あるいは政治の民主化ということを日本としては強く希望しているということは申し入れてまいりました。
○井上(一)委員 私はミャンマーの和平へのプロセスというものをある程度明確にしながら日本がそのことに協力をしていく。先ほど申し上げたように軍事休戦ですね、これは第一条件だと思うのです。さらには、カンボジアに類するわけではありませんけれども、ミャンマーにとって民主化への道をつくれるような、そういう組織をつくっていく、さらに、民主化されたミャンマーに対しては日本が応分の協力をしていく、こういうことが大事ではないか。 私が聞き及ぶところによれば、というよりは、いわゆる反政府軍、反政府勢力と言う方がいいかもわかりません。あえてビルマ民主連合という固有名称を挙げておきます。私はその有力な幹部との話し合いの中で、少なくとも少数民族とミャンマーの今の軍事政権とは休戦、停止を今月中に実現したい、こういう意思を明確にしているわけなんです。私は、ぜひ日本政府としてこの実現に協力をすべきではないだろうか、協力をしてあげるべきではないだろうか、こういう意見を持っているのです。正式な、どういう形でという、そこまでは今私も申し上げられませんけれども、そういうような休戦可能な状況に今日あるという事態の中で、政府の意思をひとつここでお聞きをしておきたいと思うのです。
○池田政府委員 私どもも具体的なただいまの事態の状況につきましては承知はいたしておりませんけれども、最近いい方向に動きつつあるという一般的な感触を得ております。したがいまして、もしミャンマーの内政の安定に資するということに日本政府が何かできるということであれば、これは日本側としても協力していくべきではないかというように考えます。
○井上(一)委員 そこで、当然休戦状態に入った後の問題でございますけれども、やはり民主化を求める多くの人たちあるいは少数の部族であったとしても、そういう方々が今生活することそれ自身に、教育を受けること自身に大変困っている状況にあるわけなんですね。そういう子供たちやそういう人たちに対して日本政府としてしかるべき手順、しかるべき手法の中で何らかの手だてはできないものなのかどうか、私はこのことについてもお聞きをしておきたいと思います。
○川上政府委員 休戦成立の暁ということで今先生おっしゃいましたけれども、今後のミャンマーに対する援助につきましては、今御指摘のように、その時点で当該案件を実施することのいろいろな政治的な意味合い等を十分勘案いたしまして検討する必要がある、こう思っておりますが、一般論といたしましては、御指摘のような方向での援助、これはとりもなおさず人道的性格が非常に強いということも考えられますので、具体的な要請を踏まえまして何らかの協力の可能性を検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○井上(一)委員 もう時間が来ましたので、先ほどカーターさんの話に触れましたが、カーターさんもこのミャンマーの民主化を進める人たちへの援助、協力というものを国際的に広めていらっしゃる、こういうことなんです。だから、我が国もそういう形で何らかの協力を可能な範囲で私はぜひ進めていくべきであるということを強く申し上げて、とりあえずの質問はここで中断をして、午後また引き続いて質問をいたします。
○伊藤委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時一分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。井上一成君。
○井上(一)委員 午前中の質問に引き続いて質問をしてまいりますが、留保した答弁はいかがですか。もしお答えがいただけるようでしたら最初にいただいて、あと続けたいと思いますが。
○伊藤委員長 外務省、報告できますか。
○池田政府委員 午前中に井上先生から御質問のございましたカンボジア問題に関係しました武器返却の点につきましての一番新しい情報につきましてお伝え申し上げたいと思います。 その後、我が方の在プノンペンの大使館それから在ニューヨークの我が方の代表部を通じて情報を徴収させたところ、その結果は大体以下のとおりでございます。 在プノンペンの我が方大使館からUNTACの担当者に連絡をとりました。そして、UNTACとしましては、本件については、まず武器の返却について正式な要望文書が提出されたのは、カンボジア各派のうちのうナリット派、つまりFUNCINPECのみであって、UNTACとしてはほかの派からの正式な要望文書提出を待っている状況である、そしてほかの派からも正式な要望文書が出てくれば、これを受領した上で、UNTACとしての意見を付して、それを国連本部に提出するということでございます。 それから、同時に、在ニューヨークの我が方の代表部を通じて国連本部の動きを聞いてもらいましたが、これにつきましては、国連本部においては現在特段の動きはないということでございます。
○井上(一)委員 このことはくどく申し上げませんが、午前中にも大臣にはしかと私の意見を申し上げ、また大臣も、それに対して我が国の姿勢を明確にお答えになりましたので、これ以上悪い方向に進まないように引き続いての御努力をぜひお願いをしておきます。 私は、最初に申し上げましたように、世界の子供たちの生きる権利を私たち大人が保障していくという意味から、あえて子どもの権利条約という表現で私はこの条約について二、三質問をいたしたいと思います。 質問に入る前に言葉の定義というのはなんでございますが、先住民と原住民の定義について外務省はどのようにとらえていらっしゃるのか、このことについてまず聞いておきたいと思います。
○小西説明員 お答えいたします。 外務省といたしまして、先住民と原住民と、一般的な定義を行う立場にはございませんけれども、一般的、日常的には、ある土地にもとから住んでいた方々を指す、そういうものとして使われているというふうに承知しております。
○井上(一)委員 先住民に対する定義は。
○小西説明員 両者ともそういう意味で、その土地にもとから住んでいた方々を指しているというふうに我々として承知しております、これは一般的な、日常的な使い方でございますけれども。
○井上(一)委員 きのう同僚の高沢委員からも質問があったわけですが、繰り返しになりますけれども、三十条の問題で、「インディジナス」の訳が、世界の先住民のための国際年ということからも、いわゆる「先住民」というのが国際的な用語になっているわけなんですね。そういう一般的なとらえ方が同意語であるとするならば、私はあえてここでこだわる必要がないんじゃないか、こういうふうに思うんです。 それで大臣、世界の先住民のための国際年という、一つの国際的に認められた、提起されたそういうことも含めて、やはり進んで提案された政府が言葉に対してもより適切であるように取り組むべきである、私はこういうふうに思うのです。大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 言葉については確かにおっしゃる意味、私もよくわかるのでございます。 ただ、きのうも議論いたしまして、後で過去の議事録をいろいろ取り寄せて読んでみましたら、国会においてはあくまで条約の締結について承認を求める、こういう形になっておりまして、字句の修正とかそういうもの、いわゆる訳語の修正、締結権はあくまでも行政府にあるという考え方からいくと、その訳語を変えるということはやはり非常に困難である。いわゆる国会に対してはその条約全体の承認を求める、こういう形で、私もきょう取り寄せてみましたら、過去の議事録もそうなっているのでございますね。 私は個人的には、今の原住民と先住民というのは、今大体先住民の方が、国際的にはそういう訳が使われているわけでございますから理解はできますけれども、大変恐縮でございますが、立法府と行政府との関係においては、いわゆる条約については、その締結ができる承認を求める、その中の訳語については行政府の方にお任せをいただかなきゃならないというのが、どうも議事録を読んでおりますと従来そうなっておりますので、その辺は十分わかりますけれども、御理解をいただければと思うのでございます。
○井上(一)委員 私は精神というものに比重を置いておきたいと思います。 それで、きのうの小池さんの答弁でも、ここは条約を締結する。ここはというのは、外務委員会は、国会はそれを承認するか、是とするか非とするか、集約すればそのことなんだ。僕は素直な答弁だろうとは思うのですが、これはそんなものではない、本当にそれで大人の責任というものを果たしていくことができるんだろうか。 大臣、二十一世紀を背負ってくれるのはだれなんですか。二十一世紀を、次の世代を背負ってくれるのはだれなんですか。
○武藤国務大臣 もちろん今の子供たち及びこれから生まれてくる子供たちでございます。
○井上(一)委員 そうでしょう。やはりそれが通常の私たちの認識なんですよ。私は、そんなに字句についてどうのこうのというよりも、ごく自然体の中で日常私たちが考えている、あるいは思っている思いをやはり条約に、そして名も実もともにそうあるべきだ、そのことから派生していろいろな問題が処理されていく、こういうふうに思っているのです。 今さっき国会図書館で云々とおっしゃられました。私もやはり国会図書館、こういうことについては最高の権威ある機関である、大臣もそうお思いになるでしょう。
○武藤国務大臣 国会図書館と申し上げたんじゃなくて、私は国会図書館まできのうはちょっと行く時間もなかったものですから、過去の議事録の写しを取り寄せてみました。そうしましたら、その中に特に法制局長官の答弁がありまして、締結についての承認を受けるのであって、訳語の修正ということはやはり考えられないという答弁があるのでございます。だから、法制局長官が過去においても、少なくとも法制局長官の答弁でございますから、私はそれを尊重したいということでございます。
○井上(一)委員 いや、それは今ここで、いかに外務省が不親切であるかといったら、では、具体的に私は一つだけ申し上げておきます。 過去の問題ですが、宇宙衛星の問題で、日本とアメリカ、あるいはカナダ、ECも含めて協定を結ぶのです。このときに、「モジュール」という英語の訳を、一棟、二棟の「棟」と訳しているのです。僕は指摘はしたけれども、訂正は求めなかったというか——原文は、モジュールといえは部屋なんですよ。ハウスじゃないのですよ。しかし、外務省はそういう訳をへっちゃらで委員会に出してくるという姿勢そのものに問題がある。何も深いことは要りませんよ。外務省が今まで出してきた、二年か三年前に出したその原文と訳とを持っていらっしゃい。私はそういうことをあえて今ここでどうのこうの言いたくないけれども、それほど不親切というか、余りにも現状から離れたところで物事の処理を考えている。今の点は、時間があれば持っていらっしゃい。「モジュール」というのをどう訳しているかというのを具体的に私は指摘をしたわけです。 もう一点、国会図書館というのは権威ある機関だと私は思っています。大臣はどうお思いですかということを聞いたわけです。
○武藤国務大臣 私も、過去においてはよく使わせていただいておりますが、大変権威のあるのが国会図書館だと思っております。
○井上(一)委員 全くそのとおり。私は多くを申し上げません。国会図書館が提起している中で、「子どもの権利に関する条約(子供の権利条約)」ということを「外国の立法」の中の「わが国が未批准の国際条約一覧」というところで明記しているわけです。外務省これを持っているでしょう。持っていますか。これは皆さんにお渡しをしましたか。外務委員の皆さんにお渡しをしましたか。あなた方は少なくとも、平成二年十一月、政府が署名し、いまだ国会に承認を求めていない主要な条約の一覧とその理由という中では、児童の権利に関する条約、まことにもってけしからぬ、こういうことでレクをしているわけです。 だから子どもの権利条約ということについて、あえてと言わなければ、これは全部議事録で児童の権利条約に書きかえられるわけです。私はあえて子どもの権利条約と言う。それは私井上一成個人の見解というよりも、権威ある我が国の国立国会図書館調査立法考査局が出版をしている、外国の人にもちゃんと、そういうことで「子どもの権利に関する条約(子供の権利条約)」と書いているのですよ、大臣。いかが答えられますか、大臣。 委員長、これは委員会でもって、きっちりとこういう点は各論に入るまでに総論として整理をしなければいけない。だから、これはちゃんと政府の統一した見解を私は出していただきたい。それから各論について質疑を重ねます。
○武藤国務大臣 私が先ほど申し上げたのは、そういう子供の問題だけではなくて、先ほど先住民の話もございましたけれども、きのうはサッチ・アズという話もございましたし、いろいろ訳語について御疑念がございました。 これに対して一々それを修正をいたしますということは、いわゆる憲法の七十三条との関連もあり、やはり行政府が条約の締結をする承認を求めるのであって、それは全体を一つのワンパッケージとして条約の承認を求める、こういう形でお願いをしておるということで、そういうことを私は申し上げたわけでございまして、個別の問題は、私も残念ながらそのころは外務委員におりませんでしたので、議院からそれを私はいただいておりません、見ておりませんので、恐縮でございます。
○井上(一)委員 いや、確かに条約を審議するのは、締結をするか、是とするか非とするかであって、その論議はきのうも小池さんが答弁の中で、それは素直で当然だと思うのですよ、正しいお答えだと思う。 しかし私は、やはりその審議をする前段として、国立国会図書館で、これは外国の人にも見ようと思えば全部に手渡している。それには「子供の権利条約」とちゃんと明記されているのですよ。片一方では、子どもの権利条約、いわゆるネーミングの問題を言ったら何やかんや言って、それはもう条約の締結を是とするか非とするか、そのことを国会に御承認をいただいているのです。だから私は、それはそれでいいと思うんです。しかし、国立図書館で明記した、外国の人も含めて、もちろん私たちも含めて、それには「子供の権利条約」とはっきり書いてある。 これはやはりどちらかにしてもらわぬと、整合性は、いや国会図書館で出されたのはみんな間違いだといったら全部回収しなければいかぬわけでしょう。訂正をしなきゃいけないわけでしょう。どちらがより新しいかといえば、この国会図書館の出版物の方が新しいわけです。外務省は何でそんなに意地を張って、児童の権利条約やなんていうことをなぜそないまでして言わないかぬねん。 聞いたら、国内法、いろいろ児童福祉法だとか、そんなつまらぬことを議論するよりももっと中身の議論をしようやないかというのが私の持論。だから、これはそこへ入るまでに、済みませんがこれはひとつ統一してくださいよ。 いや、これが間違いだと外務省はお答えになるのですか。これをお持ちでしょう。あなた方は出さない、我々には出さない。僕は別にもらってきた。もらってきたというよりは手に入れた。外務委員会の皆さんは今までこういう議論をされたことがない。だからまずは大臣、ちょっと審議に入る前に、時間がないからひとつはっきりしましょう。どちらが正しいのか。どちらをとるのか。国会図書館が出されたこの書物は間違いなのかどうか。
○小池政府委員 先生のお尋ねに直接お答えする前に一言申し上げますけれども、国会において承認の対象になっておるのは、条約を締結することではございますけれども、当然のことながら条約の内容を知らずして承認するかどうかということはできないものでございますから、その正文の意味というのが本当に反映されているかどうか、どういう意味であるかということを十分審議するというのは極めて重要な意味を持っているものと考えております。 それから、先生の御質問の国立国会図書館調査立法考査局がつくりました「外国の立法」、付録としまして「わが国が未批准の国際条約一覧」については私たちも存じております。それで、ここの中に「子どもの権利に関する条約」という形で明記されておるのも承知しております。それは国立国会図書館の方で、恐らく国民の間で広く用いられている言葉ということで「子ども」という言葉を使ったのだろうと推察いたします。そういう意味では、これを訂正するとか、間違っていると言うつもりは毛頭ございません。 ただし、私たちが政府といたしまして「児童」という用語を用いておりますのは、何度も今まで繰り返して御説明いたしましたが、法令用語の整合性ということで「児童」という用語を使っているものでございます。すなわち、過去に我が国が結びました条約の訳例を参照し、それから国内でどういう形で法令用語として用いられているかということを念頭に置いて、「児童」ということを法令用語として選択したということでございます。 それで、先生御指摘のような、国立国会図書館が法令用語でない、国民一般に使われている用語を使っていることは、これは間違っているとかあるいはそれを訂正する必要があるというふうには考えておりません。
○井上(一)委員 すぐに法令用語と言う。法というのはいろいろな法があるわけです。私は、ここでは法律論を議論するという時間もないわけだけれども、あなた方がかたくなにそういうような思いを持っているとするならば、この精神は生かされないですよ。 例えば、管理することが何か子供の成長にあたかもケアをしているという、これは誤った認識であって、自立の中から子供が、その子供、子供に合った成長を私たちはケアしていくんだ、そういうのがやはりこの中の精神なんです。そうでしょう。あなたが言うように、確かに何も締結することの可否だけじゃない、もちろん中身の問題を審議した中で可否が決まってくるわけだ。今のなにでは、法令の中ですべてそういうことでじゃあ処理をしていくのか。 昔、生活保護法の中で、貯金をしてはいけない、いやテレビがあったらいけない、もう生活保護を打ち切りましょうなんていった公的な解釈もあった。この間秋田の裁判で、本当にそれは殺生じゃないかということになった。法令的な用語というのは、私は、もうちょっとやはり精神というか、この法律の生きているものをあなた方がつかまない限り、僕はこの子どもの権利条約は大賛成、大賛成だけれども、少なくとも外務省の持っているようなそういう認識では不十分きわまりないし、間違った認識の中で議論を進めることはできぬ。恥ずかしい。 だから私は、変えなさいとか変えるべきであるとか、そこまでまだ言っていない。自主的なあなた方の判断にまちたい。あなた方の、心を変えることが私のきょうの質問であるわけです。押しつけない。私は押しつけません。あなた方の心が変わること、そのことが私のきょうの質問ですよ。子どもの権利条約にこだわるとか、あるいはこれについてこうだああだとか、多くを申し上げませんが、あなた方の認識を変えたい。 大臣、指導されますか。私の考えに何か疑問がありますか。私の考えに少しでも重複する価値観を持っていただけますか。大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 現時点では、児童の人権に関する条約という形で出しているわけでございまして、その承認を求めているのが私の立場でございます。私の立場としては、やはりいろいろおっしゃるお気持ちは私も理解はできますけれども、現時点においてはこれでお願いをしておるわけでございまして、ぜひこれでお願いを申し上げたいというのが私の気持ちでございます。
○井上(一)委員 大臣、提案をしているのだからということで現時点はとか、ただ私が聞いているのは、私の思いと共有する部分をお持ちですかと言っているわけです。変えますとか変えませんとかいう返事は今要りません。 あなた方が自発的に、ああ本当に——僕は子どもの権利条約ということをあえて何回も言うように、そこから初めて子供に対する意識が、それこそ正しい個々の子供に対する成長を願う大人の気持ちが生まれてくる、こう思うのです。だから私は、私と同じような価値観を持っていただけるでしょうかということなんです。結果の問題を聞きません。私と同じような価値観を少しでも共有する部分がありますか。大臣、いかがでしょう。
○武藤国務大臣 きのうから私自身がいろいろと、それぞれの議員の皆さんからおっしゃられる訳語の解釈、言葉についての御質問、御意見、私は私なりに今のお話も理解をすると申し上げているわけでございます。それは、わかる点はわかるわけでございます。 ただ、私の立場としては、今この形で御審議を願っておりますので、先ほど申し上げましたように、やはり条約全体を御承認をいただく、こういう形でお願いをいたしておりますので、いろいろとおっしゃるお気持ちは理解をいたしますけれども、承認をお願いをするということにおいては今の形でお願いをしたいということでございます。
○井上(一)委員 言葉の是非を僕は論じているのじゃない。言葉の問題ではないと言っているのです。精神というか、やはり価値観の問題。私がくどいほど言っているのです。だから、そういう私と共有する価値観を大臣は持ってもらえるのでしょうか、こういうことを言っているのです。持ったからといって子どもの権利条約に変えるということにイコールになるかならぬかはそれは後の問題だ。 私は今子どもの権利条約に変えなさいという質問をしていないわけです。私は、子どもの権利条約という、ネーミングからして、そもそも法令用語で提案をしたのですなんという、そんな冷たいというか、そんな古いというか、僕は、そういう認識はこの条約の精神にも反することだし、外務省というのは外交をやっていらっしゃるから、もっとフレキシブルに、幅広く、それこそ柔軟な対応のできる省庁だと今までずっと思っていたわけです。しかし、これは全くもって心外、意外なことで、大臣は、何とか半分以上はわかっているけれどもと言う。まだそこまでは答えてはないけれども、だから私は、要は、私の持つ価値観に共有する部分がおありでしょうかどうかということ、もうこのことだけ聞いておきたいのです。
○武藤国務大臣 理解をいたしております、こう申し上げておるわけでございます。
○井上(一)委員 やはり子どもの権利条約というのは、中身、個々の問題にも、たくさんの疑問も含めて、あるいは問いただきなければならない点がある。お互いのこういう考えを質疑を通して理解を深めるためにも私は必要であるということです。 それで、国会答弁は、どうも国会の中では通用しても、広く国民の皆さんにそれこそわかってもらうということ、国会用語ということで言われるぐらいですから、やはりそういう点はこれから正していきたい。改めていく。それも政治改革の一つだと私は思っているのですよ。そういう意味であえて申し上げたわけです。 それじゃ、この条約を批准することによって、子供たちの人間としての人格というか人権がより尊重される、あるいは自立等のためにより一層の貢献を期待でき得る、あるいはそのことに大きな貢献ができる幾つかの箇所があるわけなんです。より優先してこの点はぜひ、子供の権利、子供の自立、成長に大きな役割を果たすのだという意味からも、具体的に何点かを挙げてください、外務省が優先して考えていることについて。
○小西説明員 井上先生よく御存じのとおり、この条約は五十四条、非常に広範な児童の生活のいろいろな分野にわたって規定してございます。 基本にある考え方は、児童というのは先ほど先生もお触れになられたましたとおり次の世代を担う大切な宝物だという考え方で、そういう未来を担う子供たちを一人前の大人に育て上げるために社会が一体となってそれを見守っていく、どういう権利を持っているかということをわからせていく、それでそういう権利が十分に行使できるようにしていく、そういう基本的な考え方でつくられているものでございます。 もう少し形式的に申し上げれば、これにはいわゆる自由権と呼ばれる、憲法にもございます表現の自由、思想、良心の自由、こういったいわゆる基本的な人権という分野、それから社会的、経済的、文化的権利と呼ばれておる生活保障に関する権利ですとか、母子、健康にわたる面とか、そういういわゆる社会権的な権利、それにまた先進国においても見られる問題でございますけれども、麻薬の害による子供の被害あるいは児童虐待の問題、こういった点から児童を保護する、こういう非常にたくさんの領域にわたっております。しかし、考え方の基本はそういう基本的な自由、基本的な人権を認めて社会としてそういう人権が完全に実現できるように子供を育て上げていこう、こういう考え方でございます。
○井上(一)委員 非常に抽象論で答えられているわけです。大枠ではそういうことかもわかりませんけれども。 私は、さっき法令用語ということを使ったから小池政府委員の答弁に若干がっかりしたのです。僕は立派な方だと思っているし、管理というか大人の物差しなんですよ、少なくとも法令用語というのは。大人の物差しだと思う。やはり大人の目の高さで物を考えていらっしゃる。少なくとも子どもの権利条約については、子供の生きる自由というものを大人が保障して、手をくくったりあるいは綱で引っ張るものではない。目を離さない、手を放すんだ。だから、これはやはりそういう議論から始まらないと、すべて個々の問題も含めて、どうも外務省の見解というのは、直接担当なさっていらっしゃる小池さんが法令用語でこうこうですなんて言われるとがっくりするね。だから、このことは本当に皆さんに一から考え直してほしい。ネーミングだけの問題ではない。やはり子供の目の高さ、子供の目というか、子供のそれぞれの生きる自由、生きる権利、そういうものをどのようにして私たちがつくり上げていくかという、それが子どもの権利条約だと思うのですよ。そういう認識で、少し私自身はがっかりし過ぎましたよ、外務省の直接の担当なさる方に。しかし、がっかりしたからといってこのままでは済まされない。だから私はあなた方の意識を変えるためにこれからも質問は、きょう一回で終えませんよ、これは。 あえて私は我が党の理事にもお願いをしておきたい。あなた方の意識を変えるためにも、委員長にもお願いをしておきたい。新たな質疑時間を設けるべきである。ネーミングだとか個々の解釈論、そういう問題ではない。やはり子供に対する意識、子供を我々は社会を構成する一個の人格としてどう位置づけていくか。そういうことについて私自身は、幾らきょうの時点で各論に入っても、外務省が意識を変えた後でないとその各論は整理されてこない、こういうふうに思います。 厚生省に私はお伺いをしたいと思います。 ずっと子供の数が減ってくる、いろいろな社会の現象、時代だと言われてしまえばそうかもわかりませんが、やはり子供が我が国においては減少ぎみである。世界的には二五%というか、四人に一人、五人に一人の子供たちが飢えと貧困、病気のためにとうとい生命をなくしていく、こういう世界の現状をとらえて、少なくとも我が国は、今後この条約の精神を、先ほど私が申し上げているような認識に立つならば、とりわけ厚生省の果たす役割は、今度は実際に具現化していくわけですから、そういう意味では大変御努力をしていただかなければいけないし、またそのことにおいてそれなりの予算措置も含めたいろいろなことがやられなければいけない、大変御苦労が多かろうと思いますが、厚生省の考えを私はここで聞いておきたいと思います。
○宮島説明員 先生御指摘のとおり、近年我が国におきましては、出生率の低下あるいは核家族化、都市化の進行、さらには女性の社会進出等によりまして子供や家庭を取り巻く環境が非常に急速に変化してきております。こういったものに対応いたしまして、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりを推進するというのが非常に重要な課題になってきております。我が国の将来を支えます子供たちが健やかに生まれ育つための環境づくりを進めるということは、二十一世紀をにらんだ場合に高齢者対策とともに車の両輪とも言うべき重要な施策であると認識しております。 こうした観点から、政府全体におきましても、健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議というのを十八省庁が参加して組織しております。こういったことを中心に、政府を挙げて子供のための環境づくりに今取り組んでおるところでございます。 厚生省におきましても、国民のこうした認識を深めるためのいろいろな啓発活動の推進でありますとか、あるいは子育てと就労の両立のためのいろいろの各種の保育サービスを拡充していきますとか、あるいは子育てに関するいろいろな相談支援体制を強化していく、こういった一連の施策を現在推進しているところでございます。今後とも、本条約に規定されている福祉や保健の分野における児童の権利に関する各種の施策の推進に引き続き努めてまいりたいと思っているところでございます。
○井上(一)委員 さらに、厚生省の関係で子供の問題、虐待とかそういうようなことも含めて、SOSというか、相談、駆け込み相談、悩み、そういう窓口が児童相談所だとか福祉事務所だとか保健所だとか、病院も含めていろいろあるわけなんですけれども、こういう機会に全国的なネットワークをつくっていくべきではないだろうか、そういうことがこの条約の精神を生かす一つの手法だと私は思うのですが、そういうことはお考えの範疇に入らぬでしょうか。あるいは、やる、今後検討していく、もちろんそういうことはさっきの話も含めて予算措置は必要だから、そういうことは当然政府が決めていくことですけれども、厚生省として、所管の省庁としてそういうことについてはどういう考え方を持っていらっしゃるか、ちょっと聞いておきたいと思います。
○宮島説明員 今御指摘の点でございますけれども、先ほども申し上げましたように、非常に都市化なり核家族化が進行いたしまして、かつては家庭の中なり地域社会でいろいろ解決できた子育てに関する問題かなかなかそういったところで解決できなくなってきておる。したがって、子育てについての孤立化といいますか、そういうことに伴います育児についての不安あるいはいろいろな意味のストレスを持つ母親が次第に増加してきているのではないかと言われてきております。こうしたケースが虐待という形に結びつく前にいろいろな施策を展開していく必要があろうかと思っております。 児童虐待のケースについては、基本的には、児童相談所におきまして必要な調査指導を行って、施設への入所措置等の対策を行っておるわけでございますが、それに至ります前のいろいろな育児に関する悩みなり相談体制につきましては、一つは平成元年度から各県の中央児童相談所に「こどもと家庭一一〇番」という電話相談の体制を整備しておるところであります。 それから、二つ目には、平成五年度、本年度予算に新規につくったものでありますけれども、全国に二万三千の保育所がございます。これが最も各地域の身近な施設であるわけでありますが、この保育所機能を活用いたしまして保育所地域子育てモデル事業、いわゆる地域の家庭で子育てをしていらっしゃるお母さん方のいろいろな相談なりあるいは地域活動を支えていく事業を新たに始めることを考えております。 それから、三番目には、現在民生委員、児童委員という形で地域の第一線で活躍していらっしゃる方々がいるわけですが、そのほかに平成五年度から新たに児童問題を専門的に担当する主任児童委員という制度を設けまして、約一万三千人ほど全国にそういった児童問題についてのいろいろな相談なり対応する方々を活用していこうというようなことを考えております。 こういったいろいろな機関なり体制をつくっているわけでありますけれども、当然、先生御指摘のようにそういった機関が相互に必要な連携をとりながら一つのネットワークをつくって進めていく必要があるわけでございまして、現在児童相談所の運営指針等においてもそういった各機関とのネットワークづくりを指導しているところでありますけれども、今後ともこういった機関の相互の連携がよりスムーズに進められるよう必要な措置を今後とも検討し、かつその強化を図ってまいりたいと思っております。
○井上(一)委員 いろいろと努力をなさっていらっしゃるケースを説明していただいて、要は、そういうことをより充実するためにも今以上の予算措置は必要であるということなんです。 私はちょっと外務省に、外務省がわざわざ条約の説明書の最後に、この条約の実施に当たっては「国内立法措置を必要としない。」とか「この条約を実施するためには、予算措置は不要である。」とかということを書いていらっしゃるわけなんです。私は、条約を締結するそのこと自体には何にも金は、予算も——さっき言うように、精神をお互いが理解し合うということにおいて条約は整うわけなんです。可決されるわけなんです。そのことにおいてはむしろ外務省の方が精神は整っておらぬ、あなた方は出す資格がない、説明をする資格がないと私はあえて申し上げたいわけなんです。今この条約が締結されたら、当然これにふさわしい予算措置は講じなければいけないのです。 私が聞きたいのは、説明書に書かれたことは、善意に解釈すればただ条約の締結それ自体について予算は要らないという意味なのか、いやいや、この条約を締結したって全般的な関連する予算はふやさないのですよという意味なのか。立法措置のことは後に置いておきましょう。ですから、条約が批准された後には当然予算措置はついてくる、額の問題ではなく、そういうことをお互いに理解し合いましょうという理解をしているのです。それでよろしゅうございますか。
○小西説明員 お答え申し上げます。 外務省で作成いたしました児童の権利に関する条約の説明書において「条約の実施のための国内措置」として「なお、この条約を実施するためには、予算措置は不要である。」と表現しておりますが、この言わんとする趣旨は、この条約で例えば分担金の支払いとかそういった一定の基金に対する拠出金とかそういうものを義務づけているわけではなくて、そういう意味で何か予算措置が義務づけられているという意味ではない。しかし、当然のことながら、国内の実施面で我が国がいろいろな予算措置を講じていることは事実でございまして、今度この条約を御承認いただいて、今いろいろ行っている各施策を充実していくという意味で、その予算措置がそれぞれの各現場を担当されている立場から判断されて、進んでやっていかれる、そういうことはもちろんその判断に基づいて行っていくべき事柄であって、私どもがこの説明で申し上げたかったのは、分担金的な義務はないということでございます。
○井上(一)委員 いやあ、小西審議官、私はそれはよくわかった、いいことだ。私と全く同じであって、批准した後はやはり予算をつけていかなければいかぬ、これをもっと早く親切に説明しておったら、多くの人が何回聞いてもあなた方は——それは、うぬぼれてはないけれども、小西審議官は私の質問で、たった一時間足らずだけれども、心が少し変化した、意識が変わった。小池参事官については、きのうのあなたの答弁は非常に素直でいい、あなたの答弁は非常に素直であったと僕は少なくとも評価をしておるのですよ。しかし、きょうがっくりきました。だから、あなたの意識が変わるまで質問を続けなければいけない、私はそう思うのです。 それで、私はなぜこういうことを申し上げるかというと、この条約を提案されたときに、外務省が提案理由の説明ということで、これは大臣が読まれるわけですが、その五行目から八行目について、私はあえて言いませんけれども、「適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずることを定めております。」こういうことなのです。これは、立法措置は負担金、補助金ということになるけれども、行政措置ということになれば、それぞれの主管する、自治体になるのか国になるのか、そういうことになると、やはり予算というものは当然ついて回る。 今の小西さんの説明で私はわかりました。わざわざ御親切にこの条約の説明書の一番最後に1、2と書いて、私は最後の方からやったのです、もう時間がありませんので、あと1の方はきょうはやれないわけです。 やれないが、しかし、まだ大事なことは、先ほども申し上げたように、世界ではたくさんの子供が亡くなっていく。一週間に二十五万人の子供が死んでいくという現状なのですよ。特にアフリカの現状。そういうことを考えたときに、我が国が国際貢献という、午前中から、いろいろな国際貢献のあり方がありますと。きょうは子どもの権利条約を審議する中で、特にアフリカの子供たちに対する援助、それはとりもなおさず、アフリカ地域に対する我が国の援助が余りにも少ない。そういう中で今後の取り組みをどうなさるのか、まずそのことについて聞いておきましょう。
○川上政府委員 お答え申し上げます。 我が国のアフリカ援助、御指摘のように、パーセンテージでいきますとODAの一〇%強ぐらいで推移いたしております。 我々といたしましては、アフリカの援助のニーズと申しますのは、基本的に基礎生活分野、食糧援助、それから食糧を増産する支援といったような形態の援助、我々の無償資金協力それから人づくりの面での協力といったような援助が望ましいと考えておりまして、無償資金協力全体で見ますと、アフリカに三割ぐらいの援助が行っているというのが現状でございます。 我々の援助の基本的な理念の一つが人道主義ということでございますので、そのような視点から、今後ともアフリカに対する援助をできるだけ前向きに、可能な限り拡充してまいりたいと考えております。
○井上(一)委員 ぜひアフリカに対する援助を強く推し進めていくべきである、私はこういうことも指摘しておきたいと思います。 それから、今大変な問題になっているソマリアの飢餓に苦しむ人たちに日本全国の子供たちの善意を届けようということで、コップ一杯の米を送ろうという運動が民間ボランティアの団体の手で実施されているのです。これは大臣、農業政策で減反減反と言って、米輸入の問題にも大きな議論がある。減反政策をするなら、むしろ農家にはうんとおいしい米をつくってもらって、アフリカの子供たちに、飢えに苦しむ世界の子供たちに送ることも日本の果たす国際貢献の大きな役割。金と自衛隊を出しておったら国際貢献だ、朝言った天動説に政府は位置づいたらいけない。私は、ボランティアで子供たちの善意を届けようというこのコップ一杯の米を送る運動というのは大変評価をし、かつ支援をしたい。政治がこういうことにどうかかわっていくかということが大事なことである。 外務省はこの問題をどう受けとめて、どのように協力をしていこう、あるいは政府として、農水省も含めてどういう対応をなされようとしているのか、このことについても聞いておきます。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のアフリカに米を送るという運動につきましては、民間のいろいろな団体の方々のソマリア支援の熱意のあらわれとして自発的に盛り上がってきている運動でございまして、私たちも大変結構な、ありがたいことだと思っております。外務省も、農林省初め幾つかの省庁と協力いたしまして、できるだけのお手伝いをさせていただきたいと考え、いろいろ御相談しているところでございます。
○井上(一)委員 相談しているところということですから、いい相談をして、いかにすべきか、何をなすべきか、国際的貢献をやるべきだ、みんなが同じことを言います。いかにすべきか、このことが今問われている。何をなすべきかということは全部わかっている。いかにすべきか。 時間が来ました。私は子どもの権利条約について、総論で予算措置の問題はちゃんとするということですが、今度は立法的な、というよりも法的なこともあるわけで、個別の問題で一点だけ聞きましょう。 アフリカの問題というよりも、これは人間としての人格の問題であり、子供に限らず、差別の原点とも言うべき、いや、むしろ犯罪だとも言われているアパルトヘイト。 私は、特にこのアパルトヘイトの問題については当委員会でも何回となく指摘をしてきたわけでありますけれども、子供たちに南アフリカの現状というかアパルトヘイトの問題について、アパルトヘイトに関する人種差別ですね、そういうことについて教育的に、あるいは実態、実情にどのように今日取り組んでいるのでしょうか。あるいは、現在の状況をお聞きした上でですけれども、この条約批准後、何らかの手だてを考えようとなさっていらっしゃるのか。アパルトヘイトに関する教育についてどういう取り組みをしているのか、これは外務省に聞きたいと思う。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 アパルトヘイト自身は、一九八九年以降、この撤廃に向けて今歴史的な改革が進展中でございます。 昨年六月ごろから一時的に中断された状況がございましたけれども、年末ごろから交渉による解決の再開に向けて動きが出てまいりまして、この四月以降いろいろの政党がテーブルに着いて、交渉によりまして残る最大の問題であります黒人の参政権を認めた新しい民主的憲法の制定という方向で今動きが進んでおります。 最近の状況では、五月に入りまして、新しい憲法をつくるための制憲議会の選挙を来年の四月までに行うという方向が打ち出されております。こういう状況が現地で進行中であるということは、私どももいろいろの機会に広報に努めてまいりたいと考えております。 これを具体的に教育の場でどう生かしていくかという点につきましては、私がお答えできる立場にございません。それはしかるべき方にお答えしていただきたいと思います。
○井上(一)委員 南アの情勢について報告をいただいて、私の質問はわかっているでしょう。子どもの権利条約の審議に当たって個々の問題で、そして限られた時間をやはり私は遵守したいということで、アパルトヘイトについて、どういう場所でどんな教育をしているのですか、そういうことを外務省に聞いているのですよ。あなた、今の私の質問の答えは、そんなの全く、写真で言えばピンぼけやないの。丁寧に南アの情勢を言ってくれはったということについてはありがとう。しかし、私の尋ねておるのはそういうことではないのですよ。子どもの権利条約を審議する中で、アパルトヘイトの問題を子供たちにはどう教育していらっしゃるのか、外務省はどう掌握しているのか。教育は文部省だということにはならないと思う。 だから、魂と言うたらおかしいけれども、心が入っとらぬというか、法令用語だとか、さっきから何回も小池参事官の名前を申し上げて悪いけれども、だから、そういうことで答弁を繰り返していると、これは実りある審議にはならないし、充実したものが生まれてくることはあり得ない。どこでどんな教育をしているのか。外務省、きょうどなたもそういうことを、今ここにいらっしゃる方で結構ですよ。どなたでも結構です。お答えください。もうそれで終えますから。いや、これは、大臣よりもむしろ……。
○伊藤委員長 小西審議官。しっかり答弁してください。
○小西説明員 この条約におきましては、第二条で、児童を「いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。」というこで、差別に対する考え方をはっきりと規定しております。また、第二十九条におきまして「すべての人民の間の、種族的、国民的及び宗教的集団の間の並びに原住民である者の間の理解、平和、寛容、両性の平等及び友好の精神に従い、自由な社会における責任ある生活のために児童に準備させること。」というふうに規定があるわけでございます。 したがいまして、こういう条約の精神にのっとって、学校の現場を預かる文部省とも協議しながら、こういうものがいかにして充実できるかということについて御相談してまいりたいと思います。
○井上(一)委員 私が尋ねていることに全く答えていただいてない。これは、みんなわかっているが、答えられないのです。失礼かもわからぬけれども、答えられないんだよ。(「大臣が答えたいって」と呼ぶ者あり)答えたい。では、大臣、答えてください。
○武藤国務大臣 この人種差別問題については、日本ができるだけこういうことに対して、子供の教育でなくして、そういうことがあってはいけないということを徹底をすべきだと思っておりまして、実は、きょうは文部省来ておりませんけれども、たしか昨年の四月から、教師のテキストの中に人種差別があってはならないという形でアメリカのいろいろの、例えばキング牧師の公民権運動とかその他の問題をたしかテキストの中に取り上げておるはずでございます。
○井上(一)委員 いや、それは答えには、事実そうやっていらっしゃるということで、大臣、手を挙げてせっかく答弁していただいたのだから、大臣にむしろ私から、外務省の皆さん、失礼だけれども、小西審議官も一生懸命説明しはったけれども、それは納得ができないし、こういう状況ではいけないな。 それで、私は前回の委員会でも申し上げたように、東京サミットで子供の人権という問題を日本が議長国として提案すべきだ、そして議論すべきだと。日本海に毒ガスを投棄するロシアの政治のあり方に支援を送るのか。世界の子供の権利について東京会議が十分な役割を果たすという、そういうことこそ我が国の国際貢献だ。東京サミットに環境問題は取り入れていただいた。子供の人権という問題についてどうして我が国が議長国として提案できないのですか。これはもう私は前回から言っている。これからも言い続けます。もし東京サミットで子供の人権について議題にしてやらないというようなことであれば、これは日本の大きな失点になるということを私は指摘をしておきたい。 大臣からあえてこの答えをいただいて、申しわけない、限られた時間が過ぎていますから、東京サミットで子供の人権について議長国として提案をする。マルチな話だから、バイの話ではないから、同意が得られる得られない、あるいは事務的に処理、あるいは次回には必ず子供の人権にはと、そこまでつなげるぐらいの手を打っておくべきだ、私はそういうことを強く申し入れをしたい、強くお願いをしたい。そのことがまさに、子どもの権利条約、これを審議するこの委員会の大きな責任でもあろうと私は思うのですが、大臣、いかがですか。
○伊藤委員長 時間が経過していますので、端的に御答弁を願います。
○武藤国務大臣 今御指摘のとおり、幸い環境問題というのが議題になる方向にございます。環境問題と人権問題というのは非常に関連性があると私は思っておるわけでございまして、少なくとも、環境問題を取り上げる以上は、それとの関連においても人権問題を取り上げられないか、できるだけ努力をしてまいりたいと思います。
○井上(一)委員 では、終わります。
○伊藤委員長 佐藤泰介君。
○佐藤(泰)委員 外務委員会で質問させていただくのは初めてでございますので、よろしくお願いしたいと思います。 そこで、まず私は、私の本会議質問に対する政府答弁について幾つか伺っていきたいと思います。 最初は、今もやりとりがありました本条約の名称についてでございます。 本会議質問でも申し上げましたが、本条約の意義が、チャイルドを、未成熟で保護を要する者とのみ認識することから、独立した権利の行使者と認めることへの価値観の転換を求めているものだと私は思っております。したがいまして、「チャイルド」の訳語は、未成熟であり保護が必要な者という意味合いの強い「児童」ではなく「子供」と訳し、条約名を子どもの権利条約とすべきという私の質問に対して大臣は、「我が国がこれまで締結した条約の訳例及び国内法令における用語との整合性にかんがみ、この条約の「チャイルド」の訳としては「児童」が最も適切であると判断したものであり、「子ども」に改める考え」はない、このように答弁されました。 そこでこの答弁にかかわって伺いますが、我が国がこれまで締結した条約の訳例で「チャイルド」は「児童」とすべて統一されているのか、あわせて「ウーマン」の場合についても同様の趣旨でまず御説明をしていただきたいというふうに思います。
○武藤国務大臣 条約では、国際人権規約の中で「児童」という表現をとっております。国内法においては、憲法もそうでございますし、児童福祉法、児童手当法等、「児童」という表現を用いておるわけであります。ただ、私の承知している限りでは、国民の祝日の法律でこどもの日というのが一つ取り上げられておる、こういうように私は判断いたしております。
○佐藤(泰)委員 今そんな答弁をいただいたのですけれども、日本が批准した条約の中でも、「チャイルド」を「児童」と訳していない場合があるのですね。私の調べた範囲では、例えば難民の地位に関する条約あるいは子に対する扶養義務の準拠法に関する条約、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約等、これらの条約において「チャイルド」は「子」と訳されているわけです。 また「ウーマン」の訳例は、今触れていただけませんでしたけれども、御存じのとおり、一九五五年批准した婦人の参政権に関する条約では「婦人」と訳しています。一九八五年に批准した女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約では、この「ウーマン」は「女子」と訳されています。そして、これらは条約そのものの名称を異にしています。 したがって、大臣が今お答えになりましたけれども、これまで締結した条約の訳例との整合性にかんがみ「児童」としたとの答弁は、私は、本条約の「チャイルド」の訳が「児童」でなければならないという根拠にはなり得ないのではないか、このように考えるわけですが、いかがでありましょうか。
○小西説明員 お答えいたします。 「チャイルド」の訳語として私どもが用いておりますのは、「チャイルド」が、条約のテキストにおきます前後関係におきまして、一般的に低年齢層を指すという趣旨で解釈されるものについては「児童」という訳を通例用いておるわけでございます。ただ、文脈によってあるいは条約の目的によっては、それが親子関係の、親と子供との関係の子という意味に解すべき場合がございます。そういう場合は「子」と訳しておるわけでございます。 先生が今引用になられました難民の地位に関する条約あるいは女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、これはたまたま私、この箇所を今持っておりますけれども、一例だけあえて引用させていただければ、家庭についての教育の箇所がございますけれども、「家庭についての教育に、社会的機能としての母性についての適正な理解並びに子の養育及び発育における男女の共同責任についての認識を含めることを確保すること。」というふうにございますけれども、この文面からおわかりいただけますとおり、ここでは、親と子のそういう対比におけることに着目した用語になっておるわけでございます。したがいまして、私どもが訳を考える場合に、「子」という場合と一般的に低年齢層を指すものとして「児童」と二つのケースがあるわけでございます。 また先生、女子差別条約について述べられましたが、日本が締結している条約において、英語で申しますとウィミンなりウーマン、これがどういうふうに訳されているかということでございますけれども、日本が締結いたしました条約におきましては、「ウィミン」及び「ウーマン」の訳としては通例「女子」または「婦人」が用いられておるわけでございます。
○佐藤(泰)委員 何かよくわからぬですけれども、今の答弁で「児童」でなければならないという根拠としては私どうしても理解できないわけです。 例えば、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約第五条の(b)のところに「あらゆる場合において、子の利益は最初に考慮するものとする。」との規定がありますね。この規定は、まさに今提案されております本条約の十八条一項の「児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。」との規定と全く同趣旨であるというように私は考えるわけですけれども、ここのところはどうでございましょうか。
○小西説明員 今先生が御指摘になられましたように、考え方は基本的に共通してございます。 ただ、ここで「子」という訳語を用いましたのは、先ほど申し上げましたようにまさに家庭における子ということで、一般的に低年齢層を表現するものとして私どもが使用している「児童」という表現よりも「子」の方が適当ではないか、そういう考えに基づいて「子」と訳したものでございます。
○佐藤(泰)委員 内容が同趣旨ということを理解されてみえるわけですね。内容が同趣旨でありながら時には「児童」と訳したり時には「子」と訳したり、そういうことが、大臣が答弁された整合性にかんがみ「児童」でなければならないという根拠にはなり得ないのではないかというふうに私は言っているわけです。 やはり内容でしょう。内容を度外視してネーミングをしているのですか。内容が同じだったら、児童だとか子だとかということではなくて、やはりそこに整合性を見出すとするならば、内容から持っていくべきではないかということを私はお尋ねをしているわけです。もう一度お願いします。
○小西説明員 内容という観点だけに着目いたしますれば、私が先ほど申し上げましたとおり、共通な考え方を表明しているという意味で同じで、共通した考え方でございます。 ただ、繰り返しにはなりますが、この文脈、コンテクストと申しますか、前後関係において表現されているのはやはり家庭における子、そういう立場、地位、状況、こういったものを表現しているというふうに私どもは理解しておりまして、そういう意味において「子」の方がより的確な表現ではないかという考え方で「子」というふうに訳したものでございます。
○佐藤(泰)委員 返すようで申しわけないですが、私は本条約はむしろ「子」と訳した方がいいという立場に立って申し上げているわけでございます。 国内法令における国民の祝日に関する法律については、大臣も、これについては子供というのは法律用語であるということはお認めになったところだと思います。このように、我が国はこれまで締結した条約及び国内法令がすべて「児童」ということで統一されているわけではない、このように考えております。やはり私は、内容から追ってどういうネーミングをしていくかということをもう一度考えていただきたいなと思うわけです。 これは何度も言われていることですけれども、例えば国内法令の「児童」の年齢定義というのは全くばらばらで整合性がないわけでございます。したがって、法律より上位にあるとされているこういう条約では、それぞれの児童を包括して「子供」とする方がむしろ自然であるし、わかりやすいし、その趣旨を生かしたネーミングになるのではないか、こんなことを思うわけです。 以上のことから、私は、大臣の本会議の答弁では、国内法令における用語の整合性からも、本条約の「チャイルド」を「児童」と訳さなければならない根拠にはなり得ぬのではないか。場合場合によって使い分けてみえるのではないかというふうに思うわけですよ。その条約の趣旨の内容からしてどうしたらいいのか、やはりそういう発想から考えるべきじゃないか。単なる整合性を追っていって、この場合は親と子だとか、これはこうだとかいうのじゃなくて、条約の本来的な趣旨、中身からどういう名称がいいのか、こういうことを考えていただきたい。単なる整合性で、つじつま合わせで子供ではなくて児童の方がいいのだということでは私は納得ができないというふうに申し上げているわけですが、大臣、この点で重ねて伺いたいと思います。
○武藤国務大臣 私も先ほど申し上げたように、こどもの日だけは子供というのがあることは事実でございます。 今お話しの、内容にということでございますが、先ほど来事務当局が説明しておりますように、親と子の関係の場合には「子」と訳している場合がありますけれども、それ以外は、条約の場合には、先ほど私申し上げました国際人権規約もそうでございますし、「児童」と訳しておりますし、国内法でも、全部との整合性では、確かにございません。しかし、児童福祉法、児童手当法、こういういわゆる十八歳未満、今度の条約は十八歳未満ということになっておりまして、そういう点では確かに「児童」というものを使っている法律で、年齢の差は、十三歳であったりいろいろあるわけでございますけれども、十八歳未満という形においては、児童福祉法、児童手当法なり十八歳未満というのが案外多いのじゃないか、こういう点からいけば、その点の整合性というのはやはり児童というのが当たっているのではないか、私はこういうふうに判断をいたしております。
○佐藤(泰)委員 重ねて伺いますけれども、そういう整合性を追わないと何か不都合があるのでしょうか。これを「子供」と訳すと、今までの日本の法体系、私はようわかりませんけれども、そういう中で「児童」と訳さないと特段こういう不都合が生じてくるという具体的なものをちょっと挙げていただけませんですかね。
○小西説明員 法令の用語とか条約の用語一般についての御質問だというふうに理解いたしますけれども、やはり法律の用語あるいは条約の訳語という性格は、同じ状況において用いられているものが一つの場合と他の場合において同じ言葉で表現されるということが原則でございまして、そういうことによって一貫性、整合性あるいは安定性といいますか、この話を用いればこういう事態が表現されるんだなということで、読む人に明確、的確に把握できるということが要求されるのがまさに法律文章でございます。したがいまして、日常的な感覚あるいは一般的な感覚からすればややぴったりこないという場合もあるかもしれません。しかし、法令用語、条約の訳語といたしましては、そういう一貫性の立場に立って訳語を決定しているということでございます。
○佐藤(泰)委員 大臣も同じ考え方でございましょうか。
○武藤国務大臣 先ほどの御質問は、要は、不都合なのかどうかという御質問だったと思うのでございますね。それが不都合とか不都合じゃないという議論じゃなくて、先ほど申し上げているように、これは絶対的かどうかといえば、いろいろ疑問はおありだろうと思うのでございます。しかし私どもとしては、整合性を考える場合に、最大公約数の整合性という考え方で児童という言葉をとっておるわけでございます。
○佐藤(泰)委員 子供か児童かという点については、これは間違っておったら指摘をいただきたいと思いますが、宮澤総理も予算委員会の論議の中で、言葉は時代とともに変わるという認識をお示しになっていると思いますし、とりわけ私が所属しております文教委員会において鳩山前文部大臣は、これはここでも言われただろうとは思いますけれども、子供という言葉には温かみを感ずると。専門用語といいますか、整合性だけを追っていくとわかりやすい面もある、用語を使う冷たさを無視してよいとは私は思ってはいないというようなことも文教委員会で答弁してみえるわけですよ。 そうしたら、その内容からして、過去のこれとこれを合わせなければいかぬ、ここと合わせなければいかぬということではなくて、ここまで皆さんが求めている子供の権利、これは重要にしていかなければいかぬと。そういう中で、総理も時代とともに言葉が変わるんだと、前文部大臣も用語の冷たさというようなことを言ってみえるわけですから、かたくなに過去との整合性を追っていくということだけでこれからの時代は本当にいいんだろうかということを思います。 それから、これは何度も言われることですが、結局高校生が児童と呼ばれることになるわけですよ。こうしたものが本当に高校生や若者にとって、大切な自分の条約と思えるだろうか、その点でも私は大変大きな疑問を生ずるわけです。 確かに言われるように、条約の名称が直ちに条約の法的部分に影響を及ぼすものではない、これは理解をしますけれども、そのタイトル、ネーミングは条約の理解普及にかかわる重要な問題だと私は思うのですよ。したがって、私はどうしてもこのネーミングだけは「児童」を「子ども」と改めていただくように強く要求をしたいというふうに思うわけです。 そんな観点で、宮澤総理も言葉は変わると言っておられますし、鳩山前文部大臣も用語の冷たさ、子供は温かいと。大臣はどうですか。
○小西説明員 事実関係ということでちょっと私から申し上げさせていただきたいと思います。 今先生が宮澤総理の答弁について触れられましたが、宮澤総理の平成五年三月二十三日の参議院における予算委員会の御答弁でございますけれども、その中で、「やっぱり法律というものは、ある言葉を使ったらその言葉がずっと使われていくと いうのが普通の考え方だし、まあそれが便利なんだろうと思うのでございます。」という表現で御答弁されておられます。このことは、私先ほど申しましたように、一つの言葉の一貫性と申しますか整合性ということを総理が念頭に置かれて御答弁されたのではないかというふうに私は理解しております。
○佐藤(泰)委員 大臣、どうですか。
○武藤国務大臣 先ほど井上議員にお答えした中にあったのでございますが、従来私も十分過去の議事録など見てなかったのでございますが、きのう実は、いろいろそのネーミングの問題もございましたので過去の議事録を見ますと、条約というのは、いわゆる国会に対してお願いをするのは、条約の締結を御承認を願うというのが従来からの考え方でございまして、その条約の訳語に対していろいろと修正を加えるということは現実的にはこれは不可能であるというふうに、過去の内閣法制局長官その他の答弁を見ておりまして、私はそういうことがわかりましたので、大変恐縮でございますけれども、私どもは、この今の、現在の児童の権利に関する条約、こういう形でお願いをいたしております以上、これに対しての御承認をいただけるかどうか、こういうことでお願いをしたいと思っておるわけでございます。
○佐藤(泰)委員 それでは私は、再度やはりこの条約は「子ども」とすべきだということを重ねて申し上げまして、次に、本条約の広報義務について伺っておきたいと思います。 私のこの点に関する本会議質問に対して、「既に政府の広報誌等において、この条約や内容について紹介、普及に努めているところであります。」と大臣は答弁されました。これまでにこの条約の精神、内容についてどのような紹介、普及に努めてきたのか具体的に説明していただきたい。 あわせて、「今後とも、各種メディア、講演会等を通じて」広報するとも答弁されました。その内容についても具体的に説明をしていただければというふうに思います。
○小西説明員 御説明申し上げます。 政府といたしまして今までいろいろな形で広報努力を行ってきておりますが、外務省に限りまして、私どもがやってきました範囲で申し上げたいと思います。 まず、主なものでございますけれども、一九九〇年の四月、外務省の広報誌がございますが、「世界の動き」という名前でございますが、それの四月号でこの条約の作成経緯、概要等について説明する記事を掲載いたしました。同じように、十一月にまた説明を掲げております。 一九九一年の四月に、シンポジウム「全政党に聞く。どう考える、子供の権利条約」、これは子供の人権連が主催したものでございますが、ここで国連局の参事官が説明を行っております。同じ年の十月でございますが、読売新聞連載記事「子どもの権利は今 条約批准と国内法」というインタビュー記事で国連局の審議官が説明いたしております。 一九九二年一月、同じ「世界の動き」でこの条約の重要性を広報いたしております。同じ一月、国連総会の報告会、これは国連のNGO国内婦人委員会主催のものでございますが、当時の国連局長が講演を行ってこの条約について説明いたしております。同じ一月でございますが、ラジオ日本(短波放送)におきまして、国連局の審議官がインタビューという形でこの条約について説明しております。一月、ミニ外務省、宮城県で行われたものでございますが、国連局長が講演でこの条約について触れております。二月、「外交フォーラム」二月号で締結の重要性を広報いたしております。四月、総理府広報室の編集協力で、「今週の日本」でこの条約について説明しております。四月、訳文の冊子の作成、配布という活動を行っております。五月にはテレビ東京の「タイム・アイ92」に国連局の審議官が出演いたしまして、この条約について解説を行いました。六月、全国児童相談所長会議、厚生省が主催されたものでございますが、人権難民課長が講演を行っております。十月、雑誌「現代のエスプリ」十月号、ここにおきまして行われた座談会に人権難民課長が出席いたしまして、この条約について説明いたしております。十月、雑誌の「子ども家庭福祉情報」、厚生省が監修されておるものでございますが、この特集号において条約の説明を行っております。十月、雑誌「時の法令」におきまして、この条約の現状を紹介いたしております。 そういうことで、若干具体的に申し上げましたが、今後の広報の予定でございますが、講演会等と申し上げましたのは、今ちょっと触れましたような講演会をもちろん含めましていろいろ各種のものがあると思います。私どもが特に留意しておりますのは、この条約を子供を含めて広報しないといけないということが条約上の義務になっておるわけでありまして、そういう意味で子供にわかりやすい小冊子、リーフレットをぜひつくりたいということを考えております。 この条約が関係しておる省庁は非常にたくさんございます。教育についてですと文部省、母子、健康、衛生問題、こういった問題については厚生省というふうに、各分野において担当されておられる省庁と相談しまして適切な広報をやっていきたいというふうに考えております。 どうも長くなりました。
○佐藤(泰)委員 大変具体的にありがとうございました。 こういった広報義務については、おおむね国連においては附帯決議となるようなものが本条約においては条文化されているということの意味は大変大きなものがあろうということで、今、さまざまな広報活動について外務省にかかわって言われたわけですけれども、これは外務省だけでなくて、関係する各省庁がそうした広報義務に取り組む必要があろう。 子供の小冊子という話もありましたけれども、とりわけ子供の広報に対しては学校教育が重要な場となる、私はこのように考えます。例えば、学校、図書館に資料を配付するとか、子供を通して各家庭にパンフレットを配付するとか、そういったことが考えられるのではないかというふうに思いますが、学校教育の中で文部省としてはどのようにその広報義務に対処されていくのか、また、同じような趣旨で、厚生省についても広報義務をどう受けとめられているのか、簡単に触れていただきたいと思います。
○富岡説明員 先生御指摘のように、条約の中には、教育に関しまして重要な規定が多く盛り込まれているわけでございまして、これは学校におきます教育活動等とも深くかかわるものと考えておるわけでございますので、文部省といたしましても、条約締結後、学校関係者への通知の発出とか、あるいはいろいろな広報紙等による広報など、課長会議とかございますので、そういういろいろな機会を通じまして、外務省とも連携しつつ、積極的に条約の趣旨、内容等につきまして学校関係者、教員等に周知していく所存でございます。
○宮島説明員 厚生省関係でございますけれども、厚生省におきましても、平成二年にパンフレットを作成いたしまして各都道府県、指定都市に配付いたしました。 あわせまして、関係の団体におきまして、それぞれの機関誌において、「子どもと家庭」とか「愛育」「保育の友」という機関誌がございますので、そこにおいて条約の内容を紹介したり啓発をやり、あるいは特集の記事を掲載しております。それから、厚生白書においてもこれを紹介し取り上げております。 それから、先ほどとちょっとダブりますけれども、全国の児童福祉主管課長会議なり児童相談所長会議、そういった各種会議におきましても条約の内容の趣旨を説明し、その周知徹底を図っておるというところでございます。
○佐藤(泰)委員 それぞれ今御説明をいただいたのですが、そうした広報に係る予算といいますか費用というものは、それぞれの省の広報予算の枠内の範囲で行うのか、この条約が批准された後は新たな予算追加措置がとられるのか。どうも今聞いていると、従来の枠内の予算の中で取り上げるというように理解したわけですが、そういうわけですか。
○小西説明員 先ほど、私どもが行ってまいりました広報活動の具体例について御紹介申し上げたわけでございますけれども、私どもといたしましては、今後、例えば例示的に触れました、子供を中心とする、子供にわかりやすい小冊子ということで計画いたしておりますけれども、そういうものも含めましていろいろと考えまして、それのために必要な予算というものはぜひとも獲得していきたいというふうに考えております。
○佐藤(泰)委員 そうすると、新たな財政は講じないということではなくて、批准された後は、そういう広報部分については新たな予算を追加していくというふうに今の答弁は理解してよろしゅうございますか。
○小西説明員 私どもは、広報として何をやるかということを具体的にまず計画を練って、一つは、今具体的に申し上げました、子供にわかりやすい広報ということで小冊子を考えておりますけれども、それ以外にどういう具体的に適切な広報手段があるかということをいろいろ検討いたしまして、その具体的な計画に沿って、それに必要な予算を獲得していく。ぜひともこの条約の趣旨にのっとった積極的な広報をやっていきたい、そのために必要な予算はぜひとも獲得していきたい、こういう考え方でやってまいりたいと思っております。
○佐藤(泰)委員 大変ありがとうございます。ぜひそういう方向で、批准後の広報については、従来の各省の広報予算の枠内だけではなくて、さらに広げていくために、追加予算なり予算を獲得して、本当に大人から子供まで、この子どもの権利条約の本当の趣旨、中身が広報されるように期待をしておきたいというふうに思います。 一つの例として、スウェーデンでは、既にこの条約の国内の普及のために三年間にわたって七億円の予算を計上したということも伝えられているように聞きます。そんな意味からも、今申し上げたように、今も御答弁いただいたような形で、従来の各省の広報予算の枠の中でおさめるのではなくて、さらに、そこへ予算を獲得、追加するなりして、幅広い広報に当たっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 次に、本条約の第二十八条一項(b)は、すべての子供に中等教育を受ける権利を義務づけているのではないかとの私の本会議の質問に対して、森山文部大臣は、第二十八条一項(b)は、中等教育の無償化を義務づけたものではない、莫大な財政負担の問題があり適当でない、進路選択の多様化が進み、無償化、義務化することは適当ではないと、三点にわたって義務づけるものではないという理由を答弁されました。私は、この答弁は大変苦しい答弁だというふうに思っております。なぜなら、この本条約の「サッチ・アズ」を意図的に「例えば、」と訳し、例示規定と強弁するためにこうした理由づけをしているのではないかと考えるからです。 本来「サッチ・アズ」は、アメリカやイギリスの法律における用語法としてはより限定的な表現であり、「及び」あるいは「かつ」と訳すべきであると私は考えております。したがって、本条約の本来の趣旨からして、この条項は例示規定ではなく義務規定であると私は考えますが、外務大臣及び文部省の考えを改めて伺いたいと思います。
○小西説明員 条約の解釈でございますので、私の方から御説明させていただきたいと思います。 今先生お触れになりました二十八条の規定は、まず第一項の、教育について、教育を受ける権利というものを一般的に表明した後に、「特に、」ということで、各項目にわたってその内容を示しておるものでございますけれども、その中で(b)において中等教育ということに触れまして、こういう中等教育が利用される「機会が与えられるものとし、」というところで二つ項目的に挙げております。それが「無償教育の導入、」「必要な場合における財政的援助の提供」という二つの項目でございます。この二つの項目が「適当な措置をとる。」という中身として挙げられておるわけでございます。 私どもは、ここで言う「サッチ・アズ」というのは、まさにこういうふうに、この「適当な措置」というものはある一つの方法に限定されるものではなくて、「無償教育の導入、」ということでもあるし、また「財政的援助の提供」ということでもあるし、またそのほかに、締約国の判断により適当と思われる措置がほかにあればそれももちろん排除されない、この条約としてはこういう例示を行いたいということでここで表示されたものであって、義務的にこのうちのこれを「適当な措置」として義務づけたものではないというふうに考えております。
○富岡説明員 今外務省からも御説明ございましたように、先生御指摘の二十八条の一項(b)の規定でございますが、中等教育の発展を奨励し、すべての児童に対して、利用可能であり、かつ機会が与えられるようにするため、締約国がとるべき適当な措置の例示として「必要な場合における財政的援助の提供」等と並んで「無償教育の導入、」を規定しているものでございますので、「無償教育の導入、」自体を締約国に義務として課しているものではないと私どもは考えているわけでございます。 そこで、高等学校教育でございますが、それを無償化するということにつきましては、今先生からも御指摘ございました答弁をいたしましたように、膨大な財政負担の増加等問題が多いわけでございまして、そのような方針をとることは適当でないと考えておるわけでございます。 我が国では、高校におきます教育につきましては、必要な場合における財政的援助ということで、育英奨学とか就学奨励等、修学が困難な者に対する経済的な援助及び私立高校の修学上の経済負担の軽減のための私学助成などを行っておるわけでございまして、これらの措置によりまして、本規定の趣旨といたします中等教育の機会の確保のための適切な措置をとっているところでございまして、この点につきましては今後ともその充実に努力してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
○佐藤(泰)委員 例示として二項目のうち、無償化にするか、あるいは財政的なそういう援助、私学助成とか就学援助とか、そういうどちらかをとるというようなことが締約国に任されているというような答弁にお聞きしたわけですが、私はこんなことを聞いているわけです。 国連で本条項が条文化される際に、日本の代表は、中等教育の無償化の導入をすることは困ると発言し、奨学制度の導入に置きかえる提案をした、最終的には両面を併記した内容となり、日本政府は、どちらか一つをとればよいという解釈がとれるならば承認するとした経緯があった、こんなことを私は聞いているのですが、これは一体事実なのかどうか。事実だとすれば、そうした日本の提案の解釈が国連の論議の中で全体として共通認識になったのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○小西説明員 今先生がお触れになられましたことが事実かどうかについては、ちょっと手元に資料がございませんので、その資料に当たって調べるわけにはいきませんが、私の承知しておる限り、日本代表の発言は、ここに掲げられている「無償教育」ということは単なる例示であって、締約国がとることを義務づけられた措置ではないと理解するという発言を行ったということは事実でございます。それで、その発言に対して、そのとき出席していた各国の代表から何ら意見及び異議、反対等は述べられなかったという事実は承知いたしております。
○佐藤(泰)委員 ちょっと理解できないのですが、私の言ったことは事実ではない、事実なのか事実でないのかははっきりしない、それで今言われたところは事実だということですか。私の質問の中で言ったことは、大体同じようなことを言ったようなつもりなんですけれども、まずそれが事実か事実でないかということがはっきりしないと話が進みませんので、もう一度お願いします。もう少し私にもよくわかるように一遍説明してください。
○小西説明員 日本側が発言しましたのは、ここにある「財政的援助の提供」ということを提案したのは事実でございます。他方、「無償教育の導入、」については、先ほど申し上げましたとおり、日本の代表から、これは義務づけるものではなくて単なる例示であるという趣旨の発言をしたということも事実でございます。
○佐藤(泰)委員 それがその国連の論議の場でどういう形になったのかということをもう少しつけ加えてください。日本の代表からの発言としては、無償化は例示としたいという発言はあったのですね。それに対して各国の反応なり、その国連の場での論議の中ではどういう形になったのかという点ももう少しつけ加えてください。
○小西説明員 「無償教育の導入、」に関する、これが例示されたものであって義務づけられるものではないという日本代表の発言に対しては、各国から異存、異議が唱えられなかったという事実がございます。他方、「財政的援助の提供」に係る日本の提案については、これが受け入れられたという事実がございます。
○佐藤(泰)委員 財政的援助だけでいいということが国連の中で確認されたということですね。各国からはそういう異議、異論が出なかった。「サッチ・アズ」は、日本的に言えば例示でいいということが国連で確認をされたという答弁として今理解してよろしいですね。私はもう少し調べてみたいと思っています。これはまだ余り調べてありませんので、そういうところでもう少し私は調べたいと思いますが、今の答弁は、各国からは異議、異論はなかったということですね。確認をちょっとさせていただきたいと思います。
○小西説明員 先ほど述べましたとおり、日本代表の発言に対して、異議、異論等の発言はございませんでした。
○佐藤(泰)委員 それでは、これは私ども、もう少し資料を取り寄せて、また機会があったらお伺いをしたいと思います。 国際人権規約のA規約では、中等教育のみならず高等教育にまで無償化を義務づけているにもかかわらず、今のやりとりの中でも明らかになったように、文部大臣の答弁は、育英奨学、就学奨励、私学助成、必要な場合の財政措置の側面のみに終始した答弁で、私としてはどうしても納得できるものではありません。そのことだけを申し添えて、次に私は、この条項ともかかわって二十八条一項の(c)について伺います。 この条項ば高等教育へのアクセスを規定しているというふうに私は理解しております。国際人権規約のA規約では、高等教育についても漸進的に無償教育を導入すると規定されています。しかし、本条項はそこまで規定せずに、高等教育については、単なる高等教育へのアクセスを規定しているわけですから、この国際人権規約のA規約よりもむしろ後退しているのではないかというような見方もあるわけですが、この点については外務省としてはどのようにお考えになってみえますか。
○小西説明員 ただいま御指摘の点でございますが、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、私どもはこれを長いのでA規約というふうに言っておりますけれども、A規約ではその対象を「すべての者」というふうにしておりまして、第十三条2の(c)におきまして、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」と規定しております。 他方、児童の権利に関する条約では、第一条で、当然十八歳未満の者を対象としているわけでございますが、第二十八条で規定する児童の教育を受ける権利につきましては、基本的には、初等教育及び中等教育の機関における教育がその対象となっているわけでございます。それで、このA規約とは対象とする者の範囲が異なっていることから、第二十八条1の(c)では、高等教育についても中等教育に続く教育の課程の一環として規定しておりますけれども、A規約とは異なる規定ぶりになっているものと考えられます。 なお、児童の権利に関する条約の二十八条の一の(c)におきましては、高等教育に関して、いわゆるA規約のような「無償教育の漸進的な導入」についての言及はございませんけれども、これは、児童の権利に関する条約が高等教育における無償教育の導入を排除するという趣旨ではもちろんなくて、第二十八条1(c)の「すべての適当な方法」の中に、選択し得る手段の一つとして含み得るものというふうに理解しております。
○佐藤(泰)委員 私も今の答弁に異論はない、そのとおりだろうと思います。本条約はやはり十八歳未満の者に適用する条約であり、高等教育にすべてかかわらないからこのような規定に本条約ではなっているんだろうと私は思います。したがって、高等教育の無償化は、国際人権規約のA規約で規定し、本条約ではそのアクセスを規定しているものと私も考えます。 第二十八条一項(c)をこのように理解すれば、第二十八条一項(b)は国際人権規約のA規約と同じように受けとめなければいけないんではないでしょうか。そうでなければ第二十八条一項の(b)の規定は、国際人権規約のA規約そのものを後退させる規定になってしまうのではないか。「サッチ・アズ」を意図的に「例えば、」と訳すことによって例示規定とすることは、本条約の趣旨に反するのではないか。したがって、今私が申し上げたような矛盾が生じてくるのではないか。今のように(c)を解釈されるならば、当然(b)は義務規定とすべきだ、このように考えますが、いかがでしょうか。
○小西説明員 国際人権規約の表現は「特に、無償教育の漸進的な導入により、」ということで、そこでとられる方法が特定されておるわけでございます。 他方、この児童の権利条約の該当箇所にあります「無償教育の導入、」に触れた点につきましては、先ほど来話に上っておるように「適当な措置」の中の一つの選択し得る方法として例示されておるわけでございます。そういう表現上の違いがあるということでございます。
○佐藤(泰)委員 私が申し上げたいのは、(b)を例示規定とすると、(c)の方が国際人権規約より後退した規定になってしまうのではないかということです。それは先ほど、決して後退する規定ではないと言われました。そこから考えていけば、(b)を例示規定とすれば、(c)の方は当然後退する規定になってしまうのじゃないですか、国際人権規約との関連で。そこのところをお尋ねしているわけです。
○小西説明員 児童の権利条約の方は、先生御承知のとおり、この定義規定によって十八歳未満の者に適用される条約でございまして、そういう意味で国際人権規約の方とその適用になっている範囲が違うわけでございます。そういうところからの差が出てくるということは、国際人権規約と児童の権利条約がそれぞれの趣旨に従って規定されているという意味で差が出てきているところであるかと思います。
○佐藤(泰)委員 それは理解しているのですよ。それはわかっているのですよ。 それじゃ、もう一度伺います。二十八条一項(c)は、国際人権規約から後退していると理解しているのか、後退していないのか、どう理解してみえるのか。
○小西説明員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、児童の権利条約は十八歳未満の者を対象としているわけです。ところが、国際人権規約の方はそういう適用範囲について限定した条約になっておらないわけでございます。したがいまして、そういう意味で適用範囲が違うわけでございます。
○佐藤(泰)委員 いいですか、人権規約の方は中等教育も高等教育も無償化しようと言っておるわけでしょう。今回の本条約は、(b)の方では中等教育は無償を言っているわけですよ。(c)の方は対象が違うから、これはアクセスだけ言って、後は人権規約に任せてありますよ、こういうふうに理解していくのが筋じゃないですか。それを、(b)を例示規定としてしまえば、(c)は後退したと解釈されてしまうのじゃないですか。そこのところを聞いているのですよ。私の言い方が悪いですか。
○小西説明員 私の理解が不十分なのかもしれませんけれども、児童の権利に関する条約の二十八条の1の(c)におきましては、高等教育に関していわゆるA規約のように「無償教育の漸進的な導入」という言及はございません。これは、児童の権利に関する条約が高等教育における無償教育の導入を排除するという趣旨ではなくて、二十八条1(c)の「すべての適当な方法」という中で選択し得る手段の一つとして含み得るものという理解で規定されているわけでございます。
○佐藤(泰)委員 どうもすれ違っておるようですが、もう一度言いますよ。 人権規約の中で中等教育も高等教育も無償だと言っておるわけでしょう。そして、本条約は十八歳未満ですから、すべてにかからないから、中等教育のところにかかるのが、十八歳というと大学一年生になるかもしれませんけれども、ここのところは十八歳未満ですから、高等教育のところはアクセスだけ言っておいて、それは人権規約で無償だと言ってそこへつながっているわけでしょう。それを、(b)のところを例示だ、どうでもいいのだということになってしまえば、(c)は後退したということにならないですか。私の理解、解釈は間違っていますでしょうか。
○小池政府委員 うまくまとめて説明できるかどうか、頑張ってやってみたいと思います。 人権規約の方から入ります。 人権規約の社会権規約の十三条二項(b)で中等教育について触れております。(c)で高等教育について触れております。 人権規約の(b)は、「中等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。」これはすなわち「無償教育の漸進的な導入」を特記して義務として位置づけております。これは人権規約の中等教育についてでございます。 高等教育につきましては、人権規約を読みます。「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。」高等教育についても「無償教育の漸進的な導入」を特記して、一つの手段として義務づけております。これは、特記されて手段は義務づけられているものでございます。したがいまして、人権規約を批准する際に、日本国政府としまして、個々の人権規約の(b)項と(c)項に留保したものでございます。 児童の権利条約についても同じような立て方をしております。もっとも何が中等教育、何が高等教育と明確な定義は置いてあるわけではございませんが、この立て方から判断しまして同じ立て方に立っていると考えてよろしいかと思います。 児童の権利条約については、二十八条一項の(b)におきまして中等教育について触れております。そうして(c)項で高等教育について触れております。 中等教育につきましては、中等教育の発展を奨励し、こういう教育が利用可能で、また利用する機会が与えられるものとするためにふさわしい措置をとるという一部としまして、「例えば、」ということで二つの方法、二つの手段をここで例示しております。それがすなわち「無償教育の導入、」と「財政的援助の提供」ということで、これは例示といたしまして二つの特別な方法を例示しております。それ以外の方法もあり得るわけでございます。これが中等教育についてでございます。 したがいまして、中等教育について言いますと、人権規約と比較いたしますと、無償教育の導入という位置づけが、人権規約においては特記された義務としての方法という位置づけになっている。それから、児童の権利条約においては選び得る手段の一つという位置づけになっております。 高等教育につきましては、無償教育の導入について、人権規約についてはこれが特記された一つの手段として義務づけられておりますけれども、児童の権利条約におきましては、この方法というのは何ら特記されていない形になっております。したがいまして、条約上の義務として無償教育の導入というのは、高等教育に関しては義務づけられていないというのがこの児童の権利条約に書かれた規定でございます。
○佐藤(泰)委員 長々と説明いただきましたけれども、ちょっと理解ができぬのです。 (c)が人権規約より後退したものとは理解していないということからすれば、(b)の方は例示規定にするのはおかしいのじゃないですか。例示規定にすれば、(c)の方が当然後退した決まりになりますよ。そう解釈するのが、私は文教委員ですから法律の素人ですけれども、(c)の方が後退した規定でないとしたら、当然(b)の方は義務規定にならなければ、(b)の方も大きく後退し、(c)の方も国際人権規約より大きく後退した解釈にならぬですか。
○小池政府委員 お答えいたします。 先ほど御説明いたしましたけれども、(b)と(c)の関係は、中等教育が(b)、高等教育が(c)という立て方でございます。それで、中等教育の児童の権利につきまして、中等教育の中において考えられる手段の一つとして「無償教育」が言及されています。高等教育については、「すべての適当な方法により、」「機会が与えられる」ということで、無償教育の導入というのは明記されておりません。しかし、締約国がその判断によりまして、無償教育の導入が必要だという判断をすればそれをとることはできるわけです。しかし、それは人権規約の(c)にあるような、条約上の義務として無償教育の導入が義務づけられているものではございません。
○佐藤(泰)委員 どうも同じようなやりとりの繰り返しになってきましたので、私ももう少しきちっと整理して、また機会をつくっていただいてお伺いをしたいと思いますので、外務省の方も一遍見解をまとめていただけませんか。二人の方が同じようなことを言ってみえるようでちょっと違っているし、だから、見解をまとめていただければというふうに思います。 もう時間が終了しましたのでこれでやめさせていただきますけれども、私は最後に、ちょっと私の思いも含めて一言申し上げさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。 これは子供の日に掲載されたある新聞を引用しながら、最後に次のことを申し上げておきたいと思います。 「ルソーは教育論『エミール』の中で、こう書いている。「私たちは、二回この世に生まれる。一回は存在するために、二回目は生きるために」一回目の誕生は、親の都合で授けられる。生きる自覚を持つ思春期に至ると、そこにあるのは大人が決めた人生のルールだ。」「私たち自身が、「何のための豊かさか」という難問に戸惑っている。「豊かな社会」に生まれた子供たちは、その戸惑いから人生を始めねばならない。」私たち自身、「自分本来の姿を見失いがちな日々の暮らしを離れて、」時には子供とともに悩みを分かち合い、先ほどもありましたけれども、子供の目の高さで、本条約の批准を機に子供たちを独立した権利の行使者と改めて認識するために、本条約の「チャイルド」を「子供」と訳し、条約名を「子どもの権利条約」にすることを強く求めて、私のきょうの質問を終わります。
○伊藤委員長 佐藤委員の質疑については、明快に後日外務省から報告をさせます。
○佐藤(泰)委員 ありがとうございます。
○伊藤委員長 きちっと整理して御報告させます。 山口那津男君。
○山口(那)委員 公明党の山口那津男でございます。 まず、児童の権利条約の質問に入る前に、PKOに関しまして若干の質問を行いたいと思います。 それに先立ちまして、先日カンボジアで亡くなられました文民警察官高田晴行さんの殉職に対しまして、心から御冥福をお祈りいたしますとともに、生前の活躍、活動に関して多大なる敬意を表したいと思います。 そこで質問をさせていただきますが、このいわゆるPKO協力法の審議に際して、ある方からの非難は、政府は、危険なところには協力隊員を行かせない、こういう答弁に終始をした、このような非難がなされているようでありますが、私はこの特別委員会に委員として終始立ち会っておりました。その審議の中で、そういう安全PRのようなものが意図的に繰り返しなされたという記憶は私ありません。それに先立つ国連平和協力法、これは廃案となったわけでありますが、この審議に際して当時の海部総理大臣その他から、そのような危険なところには行かせないという答弁があったことは記憶いたしております。したがいまして、これらの審議の過程において果たして政府が本当にそのような答弁を繰り返したのかどうか、私が一部の議事録を見た限りではそういう形跡は見られない、むしろ危険な側面もあるという指摘も現になされていた、このように思っているわけであります。 しかし、これまで政府の側としてはこのような非難に対する、主張に対する明確な反論というのが必ずしもなされていない、このように思っております。そうした状況の中で、国民に誤った認識を与えるということは好ましくないと思いますので、改めてこの点についての政府の認識を問いたいと思います。 〔委員長退席、狩野委員長代理着席〕
○川口説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、政府におきまして、国連平和維持活動が全く危険が伴わない、そういった説明をしたことは私の記憶する限りございません。 今般、我が国の文民警察官の殺傷事件というものが発生いたしましたけれども、非常に痛ましいことでありますし、また憤りを禁じ得ません。 現在カンボジアにおきましては、一部の地域でございますけれども、武装集団による襲撃事件とか停戦違反事件というものが発生してございます。これらの事件というのはまことに遺憾なことではございますけれども、カンボジアにおいては全面的な戦闘が再開されているわけではないという認識でございます。 それで、こういった国際平和協力業務が展開する地域といいますのは、長年にわたりまして紛争が続いてきた、そしてやっと和平に向けてということで、その和平というものも非常に脆弱な面があることは遺憾ながら事実でございます。そして、そういった地域におきまして和平を確固たるものにするということが国際平和協力業務の特質でございまして、本当に先生御指摘のとおり、遺憾ながらそういった危険性があるというのは事実でございます。 それから、昨年二月の予算委員会におきまして宮澤総理も、国連平和維持活動は戦闘行為がやんだ後それを恒久の平和に導くための行動である、こういった答弁もしておりますけれども、これにつきましては、国連平和維持活動は、全面的な戦闘が行われているような状況のもとに派遣されるような活動ではなくて、停戦の合意により戦闘が終了した後に停戦を確固たるものとし、恒久の平和に導くために行われる中立的、非強制の活動であるとの趣旨で答弁したものでございまして、先生御指摘のとおり、何かしらの格好で危険性は伴うことでございます。 他方、そういった安全性の問題につきましては、これは、一義的には国連なりUNTACの問題でございますけれども、政府といたしましても、いろいろな装備を持たせるとか、機会をとらえまして研修で指導を行うとか、UNTACに対する申し入れを行うとか、そういったことで努力しているところでございます。
○山口(那)委員 私は、我が国のPKOへの参加につきまして、基本的には、冷戦後の国連の平和維持活動の拡大に伴う世界の平和維持機能の強化のために我が国が協力する、そういう我が国としての決断をいたしたわけでありまして、可能な限りこの経験を積み上げて、制度の運用というものに誤りなきを期していく、こういう過程にあるものと思っております。痛ましい犠牲が出たことはまことに残念ではありますが、その悲しみを乗り越えて、平和へ向かっての崇高な活動をやり遂げる必要があるだろうと思います。 カンボジアにおきましても、選挙を目前にいたしまして、ここで我が国が情緒的な判断に走って突出した行動に出るようなことがあれば、それに追随する他の国も出てくるかもしれませんし、それがひいてはUNTACの活動そのものに支障を与え国連の信頼をも損なう、そういう可能性もあるわけでございまして、厳に慎むべきであるし、また慎重な対応も図っていかなきゃならない、このように思うわけであります。その上で安全対策に万全を期していただいて頑張っていただきたい、こう思うわけであります。 しかし、そうはいっても、このたびの文民警察官の犠牲のように、各方面から参加する方々に、このPKOの業務あるいはその実施の過程というものが事前に十分に予測された上で参加がなされていたかどうか、これは疑問なしといたしません。初めての活動でもありますから、いろいろな試行錯誤があるだろうし、当初の想定どおり、そうすべてがうまくいくとは限らないことも事実だろうと思います。 そこで、文民警察のこのたびのカンボジアにおける行動について、警察庁からの発言として、本来実施計画で定められた業務、これは、文民警察の場合は指導、監視、助言というふうに規定をされているわけでありますけれども、それを逸脱した、超えた行動、任務がUNTACから与えられ、現にそういう仕事をさせられていた、これは我が国の法律で定められた業務の範囲というものを超えているのではないか、このような発言が新聞報道でなされておりました。昨日の地方行政委員会におきましても警察庁長官から同様の答弁がありました。 そこで、警察庁といたしまして、この点について、果たして本当に我が国の法律の業務の範囲を逸脱した任務が与えられ、それに従ったこともある、こういう御認識をお持ちなのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
○櫻井説明員 国際平和協力法に基づく実施計画によりますと、文民警察隊員が行う業務は、警察行政事務に関する助言もしくは指導または監視とされておりますが、我が国から派遣されている文民警察官の中には、政党事務所の警備業務やVIP、要人の警護業務等に従事している者もいるようでございまして、その業務遂行の対応等によりましては、こうした活動は実施計画に定める業務の範囲を逸脱するおそれがあるというふうに考えております。
○山口(那)委員 昨日の警察庁長官の答弁は、おそれがあるとは言いませんでした。逸脱すると考える、このように主張されておったと記憶しますが、おそれがあるという御指摘ですか。それとも、カンボジアの現実の任務、これは報道等によれば、警察官はベトナム人の村をパトロールするとか各派の政府要人警護に当たらせられた、このような事実を指して任務の逸脱、業務の逸脱であると考える、こういうふうに御答弁されていたようでありますが、改めて伺います。どうですか。
○櫻井説明員 ただいま申し上げましたとおり、文民警察官の業務は実施計画で定められているわけでございますが、具体的に申し上げますと、実際そういうことがあるのかどうかというお尋ねだと思いますが、すべての文民警察業務においてそういうことがなされているというわけではありませんが、具体的に幾つかのところで、例えば政党事務所の警戒について二十四時間体制で、地元の警察官が一緒にいないで、我が国の文民警察あるいは他国の文民警察と一緒に政党事務所の警戒を行っている、あるいは、ただいまございましたベトナム入居住区という危険な箇所におきまして、現地警察が同行しない状態で文民警察官がパトロールを警戒のために行っている、そういう状況が現に出てきております。
○山口(那)委員 今おっしゃられたそういう事実が出てきている。その事実を前提として我が国のPKO法に定められた業務を逸脱している、超える、こういう発言があったわけですよ。その点、ちょっとお答えがはっきりしないところもございますが、ただ私は、この法律の規定の仕方、指導、監視、助言といったものはかなり幅の広いものだろうと思うわけですね。ですから、一般的な警察活動、これに対する指導、助言、監視は、もとの警察活動というのは非常に幅の広いものでありますから、果たして法律に定められた業務を逸脱した、こう言い切っていいのかどうか、ここが疑問だろうと思います。 警察庁の御判断は、それはそれとしてあり得ると思いますが、警察庁は関係の職員を協力隊員として選定するといいますか推薦をする、こういう立場でありまして、協力隊員に採用された場合、その後の活動というのは、これは平和協力本部がその責任を負う。つまり、平和協力本部の管轄に基づいて業務を確定していく、最終的には閣議で決定される、こういう枠組みだろうと思いますが、警察庁長官なり警察庁の判断が直ちに法の解釈を拘束するとかいうものでもないだろうと思うのですね。その上で、協力隊員となったからには、その直接の責任者でありますこの平和協力本部としてどのような見解をお持ちか、まずそれを伺います。
○川口説明員 先ほど警察庁の方からもお答えになりましたけれども、実施計画におきましては、日本の文民警察要員の任務というものは警察行政事務の助言、指導、監視でございます。具体的には、現地警察活動が公正中立に行われているかどうかの監視等を行うということになっております。したがいまして、個々具体的な業務になりますとなかなか判断が難しいところがございますけれども、例えば現地のカンボジアの警察が選挙に干渉しないようにパトロールを行うとか、そういったことにつきましてはこの業務の範疇に入るものかと思われます。 ただ、我が国といたしまして、要員の安全の確保の観点、それからただいま御指摘ございましたけれども、国際平和協力法との関係から、政党事務所とか投票所の警備あるいはVIPのエスコート、地元の警察官が全く関係ないところでやるということにつきましては問題があるということで、UNTACの方に申し入れを行っているところでございます。
○山口(那)委員 そうすると、国際平和協力本部としても、これは逸脱するおそれがある、こういう判断に基づいてUNTACに申し入れを行っている、こういう理解でよろしいですか。
○川口説明員 具体的には、個々の業務といいますか、どういう状況で警備を行っているとかVIPのエスコートを行っているとか、その辺の状況がございますけれども、一般的にはちょっと問題があるのではなかろうか、こういうことで、やらせないようにしてほしいという申し入れを行っているところでございます。
○山口(那)委員 もしそのような判断をお持ちなのであれば、これは現場で携わる協力隊員の方々が逸脱したことをやらされている、このような認識を持つのではこれは大変困るわけでありまして、その点は原則的には、UNTACの与える任務と我が国が定める業務というのは一致をする、こういう前提で事を進めておられるのだろうと思いますから、逸脱するという判断をお持ちであれば、これはもうUNTACにはやめさせなければいけない、そういうふうに申し入れをしなければいけないし、どうしてもそれを強制するようなことがもし起きたらどうするのですか。
○川口説明員 文民警察も含めて我が国の平和協力隊員に対して仕事をやっていただく場合につきましては、まず第一点目として国際平和協力法というのがございます。この国際平和協力法で定められている「国際平和協力業務」、その中で、今回文民警察でございますけれども、文民警察につきましては、実施計画、実施要領をもって業務を定めまして、もし仮にUNTACの方からいろいろな面で指図がある、それが食い違う場合でございますけれども、基本的には実施計画、実施要領で定めた仕事の範囲内で、なおかつUNTACの指図の内容といいますか、そういったもとでやれということで、我が国の定めた実施計画が上位法といいますか、その中でしか仕事ができない、こういうことになっております。 仮に、UNTACの指図が実施計画で定めた我が国の業務と違う場合、その場合につきましては、制度的には本部長に報告するということになっておりまして、実施計画の範囲内であるということであればUNTACの指図のもとで仕事ができますけれども、もしその指図の内容が実施計画を超えているとか逸脱している場合につきましては実施計画を変えなければ仕事ができないわけでございまして、実施計画を変えるまでの間は従前の実施計画、実施要領に従って仕事をしていただく、こういうことになります。
○山口(那)委員 国連というさまざまな加盟国の参加者とともに仕事をするわけでありますから、そこは指図と実施計画が食い違わないように最大限の努力をする、当然の話でありますが、ただ、やはりそれが食い違うという場合もあるという御指摘でありましたから、その食い違いが是正されないで任務が一方的に生じてくる、こういう場合に個々の隊員としてどう判断すべきか、しかるべきルート、例えば隊長とか指揮官の指揮を仰ぐ、調整をするいとまなくそういう逸脱した任務の指図を受けたというような場合にどう対応すべきかというところがもっとはっきりしていた方が、緊急事態のたくさん生じ得る現場でありますから、隊員の方は、何といいますか、予測可能性があってしかるべきだろうと私は思うのですね。その点、どうですか。
○川口説明員 先生がおっしゃるとおりの問題、現段階ではいろいろな意味で試行錯誤というのがございまして、例えば文民警察の場合ではございませんけれども、施設部隊の場合につきましても、道路、橋の修理ということで、ある程度客観的に決まっていると思われがちでございますけれども、これにつきましても、いろいろな面でUNTACがこんなことをやってくれということでその都度本部の方に照会が来まして、これはできるとか、これはできないので、この間の計画変更でございますけれども、例えばUNTACの要員に対して給食を、食事を差し上げてくれという要請がございましたけれども、これも今の橋、道路の修理等で読めないということで政令を新たにつくりましてやったように、非常に試行錯誤といいますか、法律を守りつつその中で試行錯誤でやっているわけでございます。 文民警察の例でございますと、何らかの格好で本部まで上げていただいて、そして仮にそのUNTACの指図というものが法律の範囲を超えている、あるいは実施計画の範囲を超えているということであれば、それでもなおかつUNTACの方が強制するということであれば、我々としてはUNTACに申し入れをしてそれはやめてもらう、そんなことにしていきたいと思っておりますけれども、確かに今いろいろな意味で試行錯誤があるのは事実でございます。
○山口(那)委員 現場においてはその指図との食い違いを是正するとか、それを待っているいとまがないことは実態であろうと思うのですね。ですから、その場合の選択肢としては、本来の法律で定められた業務の範囲内と信ずるところに従ってその範囲内のことしかやらない、逸脱したことはやらないという現場の判断があってもいいかもしれませんし、あるいはその逸脱した任務については、これは何をもって逸脱と見るかというのはもっともっとフレキシブルで柔軟であっていいと思うのですね。 しかし、生命の危険が及ぶ、そういう可能性のある業務とか、あるいは特別な資材や予算を伴う仕事とかというものはもう明らかに範囲を超えていると思われますので、それについて食い違いが是正されない場合には、それがはっきりするまでその仕事はやめてもいい、こういう措置がこれは正当化されてもいいだろうと思うのですね。危険を冒してその崇高な目的のために殉じなければならないというのはおかしな話でありまして、自分自身の命を守る、生命身体を守るというのは当然の基本的な人権でありますから、これはUNTACの要員すべてに当てはまることだろうと思います。そうした意味で業務の休止という概念が実施要領で定めてあると思います。 しかし、休止という概念はこの法律の中には出てまいりません。実施要領で初めて出てきた概念でありますが、これは全面的に公開、公表されておりませんので、一般の国民にはわからないわけですね。この休止という制度といいますか、概念について正確な御説明をいただきたいと思います。
○川口説明員 先生が御指摘のとおり、実施要領だけに出てくる概念でございまして、法律には出てこない概念でございます。 実施要領の上におきまして、状況が隊員の生命または身体に危害を及ぼす可能性があり、国際平和協力本部長の指示を受けるとか、あるいはUNTAC等国連の責任者との連絡をとるいとまがないときには業務を一時休止することができるとされております。 これはいろいろなケースがあると思いますけれども、これは五原則との絡みというより、むしろ隊員個々人の生命身体の安全性の問題でございますけれども、そういった状況がある場合については仕事を一時休んでいいというようなことになっております。
○山口(那)委員 そのような休止の概念であるとすると、先ほど言いましたように、指図と我が国の業務が食い違う、あるいはその範囲内であっても生命に危険が及ぶ、そういう場合に休止できる、こういうふうに規定されているわけですね。そうすると、現場におきまして判断に困った場合、そういう休止の措置、それから本来定められた業務の範囲内で逸脱をしたものは行わない、こういう判断も例外的に許される、こういうことになりますでしょうか。
○川口説明員 一時休止につきましてはあくまでも安全面ということで、したがいまして、特に日本の方と連絡をとるいとまがないというか、そんな緊迫した状況下だと思われます。そういった個人の生命身体に危険が及ぶ、こういった場合につきましては隊員だけの判断で可能でございます。 それから、それ以外の生命身体といいますか、そういった安全性以外の問題でこんな業務をやれと言われた場合につきましては、東京に相談をするからだめと言うことも可能でございます。
○山口(那)委員 ちょっと今ロジックがよくわからなかったのですが、東京と連絡をとって、だめと言う場合もあるとかというのをもう一度明確に述べてください。
○川口説明員 まず一点目につきましては、一時休止でございますけれども、これは状況が生命身体等に危険が差し迫っているという状況でございまして、なおかつ国際平和協力本部長との連絡とかあるいはUNTACとの連絡とかそういったものがとれない場合におきましては、隊員の判断におきまして仕事を一時休む、いわゆる一時休止をとることができます。 それから、日本の定めた実施計画、それを逸脱する実施につきましてUNTACの方から指図があった場合につきましては、これは国際平和協力本部長の方に報告していただいて、それが実施計画の範囲なのかあるいは範囲を逸脱しているのか、そして仮に範囲を逸脱しているとしても、それは実施計画を変更したりすればできるものなのかどうか、そういった判断は国際平和協力本部の方でやることになっておりますので、もし仮にこれは明らかに逸脱しているということであれば、そこのところはその仕事には従事しないことも可能でございます。
○山口(那)委員 今の後者の場合、例外的に従事しないこともできるというのは、これは休止の概念に含まれることですか、それとも特にそういう制度は法律にも実施要領にも定められていない、いわば常識的な一般法的な概念から出てくるものかどうか、その点いかがですか。 〔狩野委員長代理退席、委員長着席〕
○川口説明員 一時休止の制度につきましては、法律ではなく実施要領の上で定められた制度でございます。 それから、後段で私が述べましたことにつきましては、制度というよりもむしろ仕事のやり方といいますか、平和協力隊員につきましては実施計画、実施要領の範囲内でなおかつUNTACの指図する内容に従って仕事を行え、こういったことが実施要領土明記してございますので、制度というよりも、もともと仕事の与えられた範囲ということでございます。
○山口(那)委員 書いてないもの、定められてないものはできない、こういう当然のことだというお話だったと理解をいたします。 さて、そこで休止という概念も一応明らかになったのですが、今のお話ですと、一時的な休止、つまり実施要領で定めてある休止というのは極めて一時的なものである、こういう印象を持ちました。しかしながら、一時的な休止では対応できないような状況というのもあり得るだろうと思うのです。例えば、その本来の活動をする拠点を中心とする周辺の地域は地域ごと危険がかなり差し迫っている、あるいはその他の事情で任務の遂行が非常に妨げられる、こういう地域であれば、果たしてその地域で活動を続けなさいということが妥当なのかどうかという疑問が起きてまいります。そうした場合に、休止ということだけで対応し切れるのかどうか、この点が問題だろうと思うのですね。 ちょっと視点を変えますけれども、一般論で申し上げます。五原則の中に、停戦の合意それから紛争当事者の同意、また中立的な活動、こういう三つの前提があるわけでありますが、従来、停戦の合意につきましては、一部の停戦違反があったとしても合意が直ちになくなるものではない、こう説明されておりました。カンボジアにおいては一部の停戦違反は確かにあるけれども、全土にわたって全面的な内戦状態に逆戻りした、こういう状況ではないから停戦合意はいまだに存在をする、こういう説明をこれまでずっとしてきただろうと思うのですね。しかし現場の状況は、そういう説明を繰り返しているにもかかわらず、地域的にはかなり停戦違反が頻発をしたり広がったりする地域が出てきている、これもまた事実であります。それに対して、このような五原則あるいはこの法律の解釈だけで対応できるかどうか、これが疑問視されるだろうと思うのですね。 よく誤解されているのは、停戦合意が崩れた、こういう表現がマスコミその他でも横行しているわけであります。しかし、崩れたという話感からいくと、一角が崩れた、つまり一部の停戦違反があっても、崩れたというふうに受け取られやすいわけであって、国民には相当な誤解が蔓延しているだろうと思うのですね。しかし、法律では停戦の合意が確認されて協力隊員の活動が始まった、その後は停戦の合意がなくなった場合に、任務を、仕事を終了する、こういう枠組みになっているわけであります。ですから、合意が存在しなくなった、これが終了する要件であります。 それと、存在しなくなったかどうかという認定は難しいわけでありますが、明示的に合意を破棄する意思表示があればこれは当然のことでありますが、これがない場合には破棄したにも等しい停戦違反があった場合というふうに見るべきだろうと思うんですね。その意味で停戦違反が全土に広がるような事態というのが原則的に考えられるんだろうと思うんです。しかし、必ずしも全土に広がるとは限らない、しかし一部の地域では明らかに停戦の合意が維持されているとは判断しにくい、こういう場合もあるだろうと思うんですね。 例えば私は三つぐらいの場合が想定されると思います。 一つは、停戦の合意にかかわった当事者が一部分裂をした。一方は停戦の合意は守る、そういう行動を確かにとっているけれども、他方はこれを翻して、その分裂した一部当事者間においては停戦の合意がなくなる、こういう事態も考え得るだろうと思うんですね。 二番目としては、その停戦合意の当事者が、カンボジアを例えで使えば、一部地域に偏在をしている。このグループが停戦合意を破棄する行動、全面的な停戦違反に出た。その場合に、やはり一部地域に集中するわけでありまして、必ずしも全土に広がるとは限らない、こういう状況も想定されるだろうと思います。 三番目としては、一たん停戦の合意は確認をされた。確かにある期間守られた。しかしその後一部地域から停戦違反がどんどん続発した。全部なくなったかどうかはわからないけれども、一部の地域では明らかな継続的停戦違反がある、こう見られる場合もあるだろうと思うんです。ほかにもいろいろな状況が考えられるかもしれません。 そうしますと、単なるオール・オア・ナッシングで、PKOの展開する全地域において全面的な停戦違反が広がらない場合であっても、一部地域にそれが集中することによって、その一部の地域における停戦合意の不存在が確認された、これを前提にいたしまして我が国の平和協力業務の中断ですとかあるいはその一部の終了とか、こういうことも一般論としては考え得るだろうと思うんですね。常識的には、あっちの地域で合意があってこっちの地域ではなくなる、これはあり得ませんから、当事者の合意というのは不可分、一体のものと考えるのが通常だろうと思いますけれども、例外的には、私が今三つの場合を申し上げましたけれども、一部地域における停戦の合意の不存在、これが認定できる場合もあり得るんじゃないか。そうだとすれば、それを前提として業務の中断あるいは一部の終了、こういうことが法の運用の中で出てきていいのではないか、このように思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。まず協力本部にお願いします。
○川口説明員 国際平和協力法に言う停戦の合意等を初めとする五原則でございますけれども、先ほど先生幾つかのケースを挙げられましたけれども、そのときどきの情勢を総合的に勘案しないとなかなか判断は難しいと思っております。 それで、国際平和協力法におきましては、地域ごとに停戦の合意の原則につき判断する、そういった考え方には立ってはおりませんで、その当該国連平和維持活動が行われる国全体につきまして停戦の合意が、原則が満たされているかどうかということで判断しております。したがいまして、先ほど先生が御指摘になりました三つのケースでございますけれども、恐らくは停戦違反という状況になるかと思います。停戦の合意は、原則はあるけれども、地域によっては違反行為がある、そういった格好かなと思っております。
○山口(那)委員 本当にそうでしょうか。今の答弁で果たして全国民を説得できますか。停戦の合意は、原則としてはそれは不可分的なものである。部分的な合意の不存在なんということは法律は想定していない、これはよくわかりますよ。わかりますけれども、私が挙げたような三つのケースのような場合はやっぱり地域的に明らかに停戦の合意がなくなっていると判断せざるを得ない場合があり得るんじゃないかと思うのですね。今のような御説明ではこれはちょっと説得力に欠けるんじゃないでしょうか。 私はカンボジアがどうだと言っているんじゃないのですよ。法律の解釈、運用として、一般論としてこういう考え方もあり得るのではないか、こういうことを申し上げているわけで、事実に当てはめて認定するかは、これはまた別の問題であります。改めて伺います。どうですか。協力本部。
○川口説明員 一部地域におきましてそういった戦闘行為が多発している、恐らくそういったケースにつきましては身体、生命の危険性が当然予想されます。そういった場合につきましては、先ほど述べました一時休止という制度を利用してしばらく仕事を休む、あるいは安全な場所に退避するといったことも恐らく含まれますけれども、そういった対応かと思われます。
○山口(那)委員 休止で対応するかどうかはまた別なんですが、どうも私の問いに対するかみ合った回答が得られないようでありますけれども、法律の六条によれば、外務大臣は、実施計画の変更について閣議の決定を求める要請を総理大臣にできる、こういうことになっております。ですから、この実施に関して変更を必要と外務大臣が考えた場合には、閣議を要請できる、こういうのが法律に規定をされております。したがって、外務大臣もこの変更を要するかどうかという前提の判断を迫られることがあるわけですね。そうした意味で今の質問に対してどのようにお考えになるでしょうか。
○柿澤政府委員 ただいま山口先生が例示として挙げられたような状況における判断というのはなかなか難しいものだと思います。しかし、停戦の合意というふうに法律上書いてございまして、停戦の合意というのはまさに合意ということで、どちらかというと意思の表示を中心に認定をしなければならないのだろうと思います。 ですから、今総理府の方から、川口参事官からお話がありましたように、部分的な停戦違反事件の頻発ということをもってその当事者の意思の変更と見るかどうかという点はなかなか微妙なところであろうかと思っておりまして、我々としては、そうしたものは停戦違反事件の頻発とか局地的な発生というふうに認定すべきではないか、明示的に我々は合意を破棄するんだという意思表示がない限りはやはり違反事件の局地的頻発と考えるべきではないかと思っております。 それに一つカンボジアの例についてつけ加えますと、現在までのところ、国連の安保理またパリ和平協定署名諸国等も現在の状況をもって停戦の合意が崩れたといいますか、和平合意が崩れたという状況とはみなしていないということが、一つ日本が判断をする上で念頭に置かなければならないことではないかと思っておりますので、外務省としてはまたは外務大臣としては、現在そうした停戦の合意が崩れたのではないかという懸念のもとで閣議に発議をするとかそういうことは考える状況ではない、こういうふうに思っております。
○山口(那)委員 どうもカンボジアの実態に当てはめることと、それから法律の解釈、運用、一般論として考えることと混同してお答えになっているようで非常に混乱しておるわけであります。 まず政府側としては、停戦の合意が崩れたというようなあいまいな表現はやめていただきたい。これは法律的に何の意味もない言葉であります。停戦合意があるかないか、それによって参加とか中断とか終了とか決まってくるわけでありますから、先ほど言いましたようにこれは非常に誤解を招いている。意図的に誤って導く、ミスリードをするような報道の仕方もないとは言えない。ですから、これはぜひ気をつけていただきたいと私は思うのです。 その上で、私なりにカンボジアの状況を見た場合、一般論としては、先ほど言ったようなその一部の停戦合意の不存在というのが明らかに認定できて、そして中断あるいは一部の任務の終了、業務の終了ということも、例外的ではありますけれども一般論としては成り立つ考え方と私は思っております。しかし、実際にカンボジアに当てはめてみれば、ポル・ポト派がそのような行動に出ているかどうか、これは実に難しい要素があるだろうと思うのですね。 まず、明示的な意思表示はいたしておりません。かえって、和平協定の枠組みを守ると、たび重なる停戦違反についても我が派がやったことではないと、こういう声明を繰り返しておりますから、明示の意思がないことは明らかであります。それでは、個々の停戦違反についてポル・ポト派が行ったものである、こう断定できる証拠があるかというと、それも定かではありません。それから、停戦違反の件数及び広がる範囲、その継続性、これらを見た場合に、これが果たしてポル・ポト派が組織的に合意を破る行為として行っているものかどうかというのは、直ちには認定しにくい面があると思うのですね。 ですから、現時点で一部停戦合意の不存在による中断あるいは一部終了、こういうことを実際に起こすべきである、そういう認定をすべきであると私は必ずしも思いませんが、まずやはりそういう一般論と現実の当てはめというのを明確に区別して、ルールというものをつくっていく必要があると思うのです。 繰り返しになりますが、オール・オア・ナッシングで、合意がある、ない、総合的な認定、これに終始するのであれば、やはり具体的な対応に対処し切れない場合が出てくるのではないか、それを心配しているわけであります。法律はあらゆる場合を想定してつくっているわけではありませんし、そのために解釈の幅というものも設けてさまざまな対応が可能になるようにつくってあるわけですから、その制度の解釈、運用という面ではいろいろな知恵が浮かび得るはずであります。そうした意味で、もっと突っ込んだ検討があってしかるべきだと思うのですね。改めてその一般的な基準とカンボジアへの当てはめという点についてどのようにお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。
○川口説明員 まず最初に、カンボジアの例につきまして、五原則ということで申し上げます。 カンボジアにおきましては、一部の地域におきまして停戦違反事件というのが発生しているのは事実でございます。しかしながら、全面的な戦闘が行われているわけではなくて、パリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的枠組みは現在維持されております。 それから、紛争当事者の各派でございますけれども、UNTACの設立と活動についての規定を含むパリ和平協定に署名しておりますし、また、カンボジア最高国民会議、SNCを通じましてUNTACの活動を受け入れております。ポル・ポト派につきましても、先ほど先生が御指摘のとおり、パリ和平協定の遵守の意向を表明しておりまして、UNTACの活動を全面的に否定するというような行動をとっているわけではありません。 したがいまして、かかる観点から政府としては、カンボジアにおいては停戦の合意は満たされている、こう認識しているわけでございます。 それで、一部の地域におきまして停戦違反といいますか、それが頻発した場合につきましては、現行制度では、繰り返しになりますけれども、一時休止とかそういったことで措置すべきではないかというふうに考えております。
○山口(那)委員 外務省、いかがでしょうか。
○柿澤政府委員 停戦合意が崩れたというようなことを私ども申し上げたこともございませんし、今山口先生から御注意がありましたけれども、むしろ停戦の合意は守られているというふうに考えておるわけでございまして、その点では協力本部と同じ考え方でございます。
○山口(那)委員 崩れているかいないかという言葉遣いは今後はやめていただきたい、こういうことであります。崩れたという認定をしているとは申し上げておりません。なお私の問いに対する答えが明確ではないように思います。 その場合に、今後、カンボジアあるいはその他のPKOの参加地域でやはりいかなる不測の事態が起こってくるかしれないわけでありますから、あらゆる場合に備えて、我が国のつくった制度というものが対応できるように、そしてもし対応し切れない部分があるのであればどのような対応が可能か、やはり再検討も必要な場面が出てくるかもしれません。したがいまして、私は、一部の停戦合意の不存在等による業務の中断あるいは一部終了ということは一般論としてあり得るし、そしてそれへの当てはめができる事態もないとは言えない、このように考えておりますので、引き続き御検討いただきたい、このように思います。 そこで、中断というような、一部合意の不存在というような考え方が仮にとれるかどうか、それはおくとして、休止という制度であらゆる緊急事態に対応し切れるかどうかというところ、これが私は、先ほどの休止の説明というのは、一時的な休止という極めて緊急避難的といいますか、仮の暫定的な措置であるように思えるわけですね。しかし、ある地域によっては継続的任務の遂行が妨げられる、こういう状況もあり得るかと思います。 例えば、今回の文民警察官の事件の起こったアンビルの周辺、これは陸路での通行ができない、つまり食料、水等の供給が日常的にはやりにくい地域であります。航空機でこれを運搬しておったわけでありますが、航空機も輸送がままならない、こういう事態もあり得るわけですね。そして、今回のように、盗み、強盗のたぐいが横行して、機材、食料ともに全部持ち去られた、こんな事態も起こってくる。しかも待ち伏せに遭って攻撃される事態も出てくる。こういう地域で継続的に活動ができるかどうか。これは現場の実態が必ずしもよくわかりませんから断定的には申し上げられませんが、やはり妥当じゃない、非人道的なことを強いる結果になる、そういう場合もあり得るだろうと思うのですね。 そうすると、もはやそれは継続的な活動ができないわけでありまして、一時休止というような対応だけで果たしていいのかどうか、この点疑問があるわけでありますが、どうですか。
○川口説明員 日本から行っている文民警察職員でございますけれども、いろいろな手だてを使いまして情報をとりますと、中には非常に危険な地域になってしまって、それが毎日続くわけでございませんけれども、しばらく続くと、本来の文民警察の仕事である地元警察職員の指導監督とかそういったものが一切できないような状況にあるとか、あるいはまた先ほど先生が御指摘になりましたような、水とか食料がない、そういったような状況下に置かれている文民警察職員の声もお聞きいたします。 そういったところにつきましては、本来の文民警察職員としての仕事ができないし、なおかつ水とか食料とかがないということで、そういった地域につきましては私どもの方としては配置転換をしてくれるようにということでUNTACの方に申し入れて、つい先日も村田自治大臣の方からそういった申し入れをUNTACの方にいたしまして、UNTACの方としても検討はしてみるという格好になってございます。
○山口(那)委員 しかし報道によれば、配置転換はにわかにできない、日本だけそういう措置はとれない、こういう回答があったわけですね。ただ、検討は全くしないというわけではない、そういう状況だろうと思います。ですから、配置転換を申し入れるのは結構でありますけれども、それだけでも対応し切れない。 もう日々現地で仕事に携わっているわけでありますから、その人たちがどういう行動をとったらいいのかということが明確にならなければ、これは重大な影響が出てくるのは明らかですよね。ですから、今申し上げたように、一時休止というような制度だけでは対応できないのじゃないのか。配置転換という善後策、次善の策をとる、これはこれで別な次元の問題であります。そう思いませんか。どうですか、お答え。
○川口説明員 現在の国際平和協力のもとで、実施要領というベースでございますけれども一時休止とか、あるいは全く別の次元でございますけれども配置転換とか、そういった格好で私ども安全対策は最大限やっているつもりでございますけれども、ほかに現在の、特にカンボジアのそういったところに置かれている文民警察職員について、目下の問題でございますので、どういった対応が一番いいのか、しかも迅速に行われるのか、短期的に考えたいと思っております。 それから、制度の問題につきましては、少し時間を要する問題でございますので、それはもうちょっと長い時間をかけてどういう制度がいいのか考えてみたいと思っております。
○山口(那)委員 今回五原則というものが大きくクローズアップされているわけでありますが、この五原則というものが仮になかったとすれば、国連のUNTACに参加した以上、UNTACと行動をともにする。我が国独自の制度というものが、まあ独自といっても特異な制度とは言えないと思いますけれども、我が国の制度が生かされずに国連の行動に流されてしまうといいますか、軌を一にせざるを得ない、こういう側面があっただろうと思うのですね。しかし、五原則があるからこそ我が国の主張というのは国連側に向けることができるし、また場合によっては、よほどの場合でありますけれども、国連の判断とは違った措置がとり得る、こういう担保になっているところが今回改めて浮き彫りになっただろうと思うのですね。五原則の存在というのは私は非常に大切な制度であると思います。 しかしながら、実際の運用に当たっては、具体的な行動に誤りのないように運用できるような工夫というもの、知恵というものをやはり出し合っていかなければ国民にもまた国際社会にも説得力を失うであろうと私は恐れているものであります。ぜひこの点の柔軟な対応を考えていただきたい。 私個人が総括すれば、休止というのは一時的な制度である、これだけでは限界がある、したがって、停戦の合意がオール・オア・ナッシングではなくて、一部合意の不存在による中断、終了、一部終了というような概念もやはりあった方が柔軟な対応の可能性ができる、このように思います。もし、このような解釈、運用が不可能だ、こうお考えになるのであれば、もっと新しい制度というものをさらに工夫する必要があるのではないか、このようにも考えている次第でありますので、ぜひ改めて再検討をお願いしたい、このように思います。 さて、時間も限られておりますので、児童の権利条約について若干の御質問をさせていただきます。 まず、少年司法の関係についてでありますが、条約の三十七条の(d)においては「自由を奪われたすべての児童は、弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有し、」そして「その自由の剥奪の合法性を争い並びにこれについての決定を速やかに受ける権利を有する」、このように規定をされておるわけであります。 ところで、この児童の弁護人の依頼権というものは、刑事手続に移った場合にはこれは保障されていると考えていいわけでありますが、それに至らない手続の中で、依頼権というものは、端的に言えば国選弁護というものは制度化されていないわけであります。そして、付添人という別の制度が行われている、こういう実情だろうと思います。 しかし、これが条約の趣旨に果たして適合しているのかどうか、この点は疑問なしとしません。つまり、刑事手続に移る前の段階でも、それ以外の少年にかかわる手続の中でも、やはり事案を争うといいますか、その自由の剥奪の合法性を争う、こういう立場で少年に弁護人をつける、こういう制度が保障される必要があるだろうと私は思うのですね。この点について、まず法務省はどのようにお考えでしょうか。
○倉田説明員 お答え申し上げます。 少年の場合でも、犯罪少年の場合は、委員御案内のとおり、まず被疑者として捜査を受けるわけでございます。警察が通常捜査をいたしまして、それから検察官に送致いたしまして、しかる後、検察官から家庭裁判所に送致して、そこで少年審判が重大事案ならば行われていく、こういうプロセスを経るわけでございますので、まず、何はともあれ、もし犯罪少年が犯罪を犯したという嫌疑を受けた場合には、警察によって捜査が、被疑者としての捜査が行われるわけでございますので、御案内のとおり刑事訴訟法が適用されまして、もし逮捕されたりすれば、そこで当然にこのプロセスが刑事訴訟法に従って進んでいくわけです。もちろん身柄をとらないケースも多々ございますが、そのときももちろん刑事訴訟法によって手続が進められていくわけでございますので、そこでは当然のことながら、弁護人の選任ということが一〇〇%認められているわけでございます。 そして、御案内のとおり、捜査がまとまりますと、警察はその事件を検察官に送致するわけでございまして、それから検察官は、これを法律上犯罪の嫌疑ありとすれば必ず家庭裁判所に送致しなければならない、こういう仕組みになっているわけでございまして、そこにおきましては、御案内のとおり、御指摘の付添人という制度があるわけでございます。 この付添人は、もちろん弁護士の方が付添人となることが少年法でも認められているわけでございますので、条約の趣旨は現在の日本の法制度においては十分守られている、かように考える次第でございます。
○山口(那)委員 その付添人の制度につきまして、付添人は、司法当局の見解によれば、保護処分の目的の実現のために裁判所と協力する地位にある、いわば協力者であって、対立当事者で争う場面を想定していないかのような、対立の契機がないかのような説明がなされることがあるわけですね。確かに、付添人の制度というのは、少年保護の立場から、成人につく弁護人とイコールでなければならないとは思いませんけれども、対立する契機というものがあるわけでありますから、この点の側面に注目すれば、やはりその弁護人を依頼する権利というものがもっと保障されなければならないのではないか、このように思うわけでありますが、これは裁判所も絡む問題でありますが、法務省としてどうお考えになるか、再度伺います。
○倉田説明員 お答え申し上げます。 御案内のとおり、付添人の権限、これは何かと申しますと、まず、当然のことながら、少年審判に出席することでございます。そして、そこで意見を陳述することができるのでございます。 また、付添人の固有の権限としては、保護処分に不服がある場合の抗告、再抗告、刑事事件でいえば控訴、上告に当たることをすることもできますし、また、十分の活動をするために、家庭裁判所にあるところの保護事件の記録、証拠物を閲覧することができますし、また、鑑別所においても立会人なくして少年と面会することができる。もちろん審判廷におきましては、ケース・バイ・ケースで個々の弁護士の方が付添人になられて御活躍なさっていることはよく新聞、テレビ等でも報道されているとおり、非行事実なしという争い方をするときには、いろいろと、家庭裁判所に対してこういう証人を調べるべきであるとか、そういった形でもって少年審判に協力をなさって、正しい事実認定がなされるようにということで御活躍いただいているというふうに理解しております。
○山口(那)委員 弁護士が付添人になることが妨げられているわけではありませんけれども、しかし、事実を争ったり手続的な非違をただす、こういう側面が少年の手続の中にあるのであれば、この点はやはり弁護士が最もふさわしい地位にある、このように考えます。成人の場合はそのような場合に、そのような手続に国選制度というのが適用されているわけでありますから、少年においてもこの側面においてはやはり国選制度というものが考えられていいし、できれば弁護士が携わるのが最も少年にとってもふさわしい、この側面を見ればですよ。ですから、この点についての今の説明は、妨げてはいないという説明にはなっていても、権利を保障しているという説明にはなっていないと私は思うわけですね。 さらに、この付添人、これが実際に付されている数字というのは大体〇・五%程度である、このように説明されております。ですから、一%に満たない、多少の異同はあったにしても著しく低い率である。ですから、権利が保障されるといっても、これは名目だけであるといっても差し支えない。ですから、付添人がもっとつきやすく、なおかつ、そうした対立する場面における権利の保護、弁護権の保障というものをもっと実効あらしめるための措置というものがもっともっと工夫されなければならない、このように思うわけですね。 時間も参りましたので、この点について、後の質問の材料として法務省にもう一度答弁いただいて終わりたいと思います。
○倉田説明員 まず、付添人の付添率が〇・五%くらいではないかという御指摘でございますが、確かにトータルで見ますと低いのでございますが、しかし、それも漸増状態にあるということを御報告申し上げたいと存じます。 例えば、一般保護事件、つまり道路交通事件を除いた家庭裁判所で行われた一般保護事件の終局総人員の中で付添人がついた事件のパーセンテージがどのくらいのものかということをちょっと司法統計年報から計算してまいりましたところ、平成元年が刑法犯で〇・六%、二年が〇・七%、それから三年が〇・八%と徐々にふえております。 ただ、これは相当多数のいろいろな事件の中でのことでございますので、罪名別に見ますと、重大な事件には相当多数の弁護士の方々が付添人としてついておられます。例えば、平成三年の数字を見てみますと、強盗致死事件は一〇〇%弁護士の方が付添人としてついておられます。次に多かったのを調べてみましたところ、傷害致死でございまして、これは五割弱ついておられました。また、殺人は四割ちょうどついておられまして、強姦は三割弱、こういう状況でございます。 なお、これは裁判所の実務を聞いたところについて御報告申し上げますと、裁判所におかれましても、付添人ができるだけつくようになるよう、付添人を選任する権利があるのですよということは少年保護者に対して必ず告げておりまして、身柄事件の場合には必ず裁判官が口頭で、まず本人に対してこれを平易な言葉で教えるということを励行しております。また、そうでない事件でも、必ず書面で、大体が各庁が「少年と保護者の皆さんへ」というような書面を郵送したりするということで普及を図っているところでございます。
○山口(那)委員 この問題は、改めて質問の機会を持ちたいと思います。ありがとうございました。
○伊藤委員長 古堅実吉君。
○古堅委員 きのうの質疑で、条約十二条の意見を表明する権利の対象について伺いました。小西審議官は、条約の審議過程で、結婚、職業選択、学校選択とされていたことを論拠に、十二条は、結婚、職業の選択、学校の選択といった狭い範囲を対象としているかのような説明をされました。きのうは時間がありませんでしたのであれで終わりましたが、納得できません。 原案では、つまり審議官が言う審議過程では、確かに対象を人格にかかわる事柄とし、結婚、職業選択、医療的措置、教育及び余暇などを例示、列挙しておりました。しかし、議論の末採択された条約の十二条は「児童に影響を及ぼすすべての事項」、このように規定したのであります。だから、原案を論拠にして狭い解釈しかないというのは間違いです。大事なことは、子供の権利委員会が十二条を広く解釈しているということであります。 条約採択後の一九九一年十月十五日に子供の権利委員会が採択した「条約四十四条一項(a)に基づいて締約国によって提出されるイニシャルレポートの形式と内容に関するガイドライン」というのがございます。これは一般原則として四点を明記しておりますが、その四点目は何となっておりますか。
○小西説明員 お答えいたします。 先生がお触れになられましたのは、ゼネラルガイドラインズというガイドラインのお話だというふうに理解いたしますが、その中で一般的な原則といたしまして四項目触れておりますのは、差別、ノンディスクリミネーション、この児童の権利条約では第二条でございますが、その点。それから第三条におきます児童の最善の利益、それから第三点といたしまして、生命に対する権利ということで第六条に触れております。それから第四点といたしまして、児童の見解に対する尊重ということで第十二条に触れております。
○古堅委員 要するに、権利委員会が一般原則としてその四項目を確認しておるんですよね。十二条は「自己の意見を表明する権利を確保する。」というふうに書かれておりますが、ガイドラインでは「子どもの意見の尊重」という表現が用いられています。条約十二条は原案のまま狭いと決めつけることができないことは指摘してまいりましたが、ガイドラインで、権利委員会は狭く解釈するどころか、条文の「児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。」という規定を前提に、さらに一歩踏み込んで対象を広げ、それを尊重することを一般原則としたのであります。違いますか。
○小西説明員 先生御指摘のとおり、こういった事項について関連情報を提供するということはそのとおりでございます。 それから、先生のお話の中にありました、私が狭く解釈をしているという御指摘でございますが、私は狭く解釈しているという趣旨で申し上げたのではなくて、児童の自己に関する事項がすべてこの中に入るという趣旨で御説明申し上げたとおりでございます。
○古堅委員 きのう来何回かにわたって、審議過程であったところの原案にあった事例を持ち出して説明をされた。ですから、説明としては、そのような狭い意味合いにおいてこの条項は受け取られるべきだという趣旨に聞こえるような内容の説明になっていた。ですから、あえてこのようなことを言ったのです。もう少し素直に、指摘されて、言うとおりだときのうの説明とのかかわりにおいて認めた立場から、十二条の条約の条文のとおりに説明すべきですよ。 権利委員会はそういう立場を踏まえてきちっとしましたし、今、狭い意味合いにおいて解釈するという立場で説明したのじゃないというふうなことがありましたから、そのことの確認をさせていただきますが、仮にもきのう来説明してきたような形で狭く解釈、結婚とか学校の選択とかいうかかわりで言われておるのですよというふうな立場を踏まえるのであれば、二年以内にはこの権利委員会に我が国のとっている態度を報告しなくてはいけないので、ここでは今言ったようなことは絶対通用しないんだというふうなことも含めて、あわせ指摘しておきます。 次に進みますが、水戸市立のある中学校の事例です。 この中学校は腕時計の携帯を校則で禁止していました。時間厳守といいながら腕時計を一律に禁止していることはおかしいと生徒が意見を出し、全学で討議、アンケート調査も行うなどして学校に要望いたしました。その結果、解禁になったのであります。生徒は、自分たちの意見が学校生活に生かされ張りが出てきたと喜んだそうでありますが、まことに当然であります。学校が子供の意見を尊重し一校則にも反映する、これはまさに条約十二条の趣旨に沿ったものだというよい事例だというふうに考えますが、それはどうですか。
○富岡説明員 今の御指摘の件につきまして、個別に今初めてお聞きした話ですのでよくわかりませんが、一般論として申し上げれば、学校におきまして、その学校の教育目的を達成するために必要な合理的な範囲内であれば、校則等により一定の制約を課すことができることになっているわけでございます。 具体的なその校則の内容につきましては常に見直し等が必要でございまして、子供の実態に沿ったものになる必要があるわけでございまして、例えばそのときにいろいろな形で、生徒会とか特別活動等でいろいろな意見を聞くということはもちろん大事なことでございますけれども、基本的には、学校がその教育目的を達成するために必要なものについては定めるということになっております。したがって、それぞれの工夫がその中で対応したものではないかというふうに思っておりますけれども、具体的な個別の案件については私よく承知しておりませんので、一般論で申し上げました。
○古堅委員 条約を審議する立場が逆立ちしておるのですよ。今聞いておるのは、そういうものがあった。時計を持てぬのかということでみんなでいろいろと意見を出した。そして解禁になった。自分たちが意見表明して、それができたので喜ばれた。条約の趣旨に沿うようなものじゃないかと聞いておるのですよ。それにもまともに、素直に答えられぬのですか。もう一度。
○富岡説明員 私は、学校におきます教育指導のあり方としてそういう形は一つあろうかと思いますけれども、直接的にこの条約との関係でどうかと言われても、ちょっと個別の案件でよく承知しておりませんのでよくわかりませんけれども、一般論として言えば、学校が定めるその校則につきましては、学校の責任によって定める、しかしその見直しとかにつきましては、それぞれいろいろな工夫があろうかと思います。
○古堅委員 あえて答えようとしないので、しかし反論もないわけですから、内々は認めたということになるのでしょう。 それで、前に進みます。 第十四条一項の思想、良心、宗教の自由についての子供の権利との関連で、日の丸掲揚や君が代斉唱問題について伺いたいと思います。 学校の入学式や卒業式などで子供たちにそれを強制することは、この条約との関係で許されないのじゃないかというふうに考えるが、どうか。 さらに、仮に強制されるような事例があった場合にでも、この第十四条一項を貫けば、子供からそれを拒否する権利があると解釈できるというふうに考えますけれども、どうですか。その二点について。
○銭谷説明員 お答え申し上げます。 条約第十四条の思想、良心の自由は、既に憲法や国際人権規約に規定されているところでございますけれども、これは一般に、内心について国家はそれを制限したり禁止したりすることは許されないという意味に解されるものと承知をいたしております。 お尋ねの国旗・国歌の問題でございますけれども、我が国におきましては、長年の慣行により日の丸が国旗、君が代が国歌であるという認識が広く国民の間に定着しているものでございまして、学校教育におきましては、学習指導要領に基づいて児童生徒が国旗・国歌の意義を理解し、それを尊重する信条と態度をしっかり育てるために、入学式や卒業式などにおいて国旗掲揚、国歌斉唱の指導を行うこととしているわけでございます。 この学習指導要領に基づく指導は、児童生徒が将来広い視野に立って物事を考えられるようにとの観点から、国民として必要な基礎的、基本的な内容を身につけるために行われるものでございまして、児童生徒の思想、信条を制約しようというものでなくて、したがって、本条約の第十四条に反するものではないというふうに考えております。 また、お尋ねの第二点でございますけれども、児童生徒は、こういった学校教育活動の中で行われます国旗掲揚、国歌斉唱の指導には従うといいましょうか、学校の指導を受ける必要があるというふうに考えております。
○古堅委員 とんでもない話です。こういう人たちがこの条約の政府側の執行者になっていくのかと思いますと、ぞっとしますよ。 日の丸・君が代が国旗であるか国歌であるか、そこを今ここで論じようとしていません。私が質問をしていますのは、この日の丸・君が代を国旗・国歌というような立場を踏まえるかどうかは別問題として、学校で、入学式や卒業式などで子供たちにそれを強制することができるか。強制された場合に、子供の立場からそれを拒否するという権利は認められない、拒否権はないということなのか。拒否することはできるのではないかという立場で質問しているわけです。
○銭谷説明員 お答え申し上げます。 先ほども御説明を申し上げましたけれども、国旗・国歌の指導は、学校の教育活動として、児童生徒が国民として必要とされる基礎的、基本的な内容を身につけるために行われるものでございます。これは個々の児童生徒の思想、信条を制約しようというものではなくて、したがって条約の第十四条に反するものではないというふうに考えております。 また、学校は、その教育目的達成のために児童生徒の行動に制約を加えて指導を行い得るものでございまして、児童生徒はそのような学校の指導を受ける必要があるというふうに考えるわけでございます。 したがいまして、国旗・国歌の指導も学校の教育目的を達成するために必要なものでございまして、子供たちは斉唱をする必要があるというふうに考えるわけでございます。
○古堅委員 国連子供権利委員会、そこはこのような思想、信条にかかわる問題について押しつけることができるというふうな見解をとっていますか。
○小西説明員 今先生の御指摘になられました児童の権利委員会、この委員会は個々の条約の解釈が任務ではございませんので、そういった点についての見解は示しておりません。
○古堅委員 聞いてください。思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利は拒否の権利が含まれることは、子供の権利委員会第三会期第五十三会議のボリビア政府レポート審査の過程で明確になっています。一九九三年一月十四日の第五十三会議でボリビア政府のレポートを審査する中で、子供の権利委員会はボリビア代表にこう質問しました。 公立教育機関では、カトリックでない子供たちはカトリック教育を受けなければならないのかというふうにして質問したのです。これに対してボリビア政府代表は、カトリック教育は国の教育機関では強制されないが、これを免除されている生徒たちは別の勉強を実行する義務があると述べ、他方、国の政治憲法は、その第百八十二条で宗教機関の自由を保障、また少年法は第百十四条で信仰及び宗教の自由を想定していると答弁しています。権利委員会がカトリツクでない子供たちに、カトリック教育が強制されていないかどうかを明らかにするために質問をしました。それに対して、強制されていないということが明確に答弁されたので、やりとりはこれで終わっているわけであります。 思想、良心及び宗教の自由、そこにかかわって質問されたもので、日の丸・君が代、国歌・国旗、そういうことも取り扱いの対象とされるのは全く同じです。条約は子供の拒否権を保障している。明確ではありませんか。もう一度。
○銭谷説明員 お答え申し上げます。 学校教育における国旗・国歌に関する指導は、国が定めました学習指導要領に基づいて各学校で実施をしていただくわけでございますが、これはあくまでも国民としての必要な基礎、基本を子供たちに確実に身につけさせるようにするという観点から行うものでございまして、私どもは条約には抵触をしないというふうに考えております。 仮に、子供の中で国歌斉唱のときに国歌を斉唱しないという子供がいた場合には、むしろ当該児童生徒について教育が果たして十分であったかどうかという課題として受けとめて、引き続き指導を続けているということが重要なのではないかというふうに考えるわけでございます。 なお、宗教教育の問題につきましては、教育基本法の九条におきまして、「国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」ということで、従来から我が国の公立学校では特定の宗派教育は禁止されているところでございます。
○古堅委員 学校でどういう指導をするか、そういう立場からのもの、その全体についていろいろ問題にするなどとかいうふうなことを今言っているんじゃないんですよ。これはいろいろあっていいでしょう。その中で、条約十四条で明確にされている思想、良心及び宗教の自由について、押しつけられたら子供たちに拒否する権限がないのか、あるんじゃないかと質問をしておるのです。 全日本教職員組合傘下の大阪泉北教職員組合が昨年十五カ国の大使館、領事館に入学式や卒業式で国旗・国歌がどう扱われているか聞き取り、その結果を明らかにしています。そのうち、主要八カ国については次のとおりになっています。 イギリス、入学式、卒業式自体がない。学校で国旗・国歌を教えたりしない。アメリカ、国旗に毎朝忠誠を誓うことはよく行われている。しかし拒否する自由も認められている。国歌を学校で歌うことはまずない。ドイツ、学校で国旗・国歌はまずない。フランス、親から教えられるもので、学校で教えたりしない。オーストラリア、学校で国旗・国歌について教えたりしない。中国、入学式、卒業式に国旗・国歌はない。イタリア、入学式、卒業式自体がない。学校で国旗を掲げ、国歌を歌うことは考えられない。一般社会でも儀式で国旗を掲げるとファシストと思われる。 このように、先進国などでは入学式、卒業式での国旗・国歌の押しつけはほとんどありません。日本政府の態度はまことに時代おくれです。国旗・国歌の学校での扱いは、一般的はいろいろありましょうけれども、しかし、日の丸・君が代が侵略戦争のかつての旗印にされ、天皇崇拝の強制と結びついておったことなどからして、その強制を拒否する態度に出る者があってもこれはごく自然、当たり前だとも言えましょう。侵略戦争の過去を背負ったイタリアでは、国旗を飾ればファシストと見られる、このようにまで言われています。学校で強制されてはならない。 子供の拒否権は、条約が認める思想、良心、宗教の自由についての最も大事な権利の一つでありませんか。これだけの事例をいろいろと持ち出されても、なお同じような説明しか出ませんか。もう一度答えてください。
○銭谷説明員 お答えを申し上げます。 諸外国の学校における入学式、卒業式での国旗掲揚及び国歌斉唱の実施状況についてのお話があったわけでございますが、私どもといたしましても、諸外国の状況をつまびらかに承知しているわけではございませんが、一般的に申し上げますと、各国の事情によってその取り扱いは必ずしも同様ではないというふうに承知をいたしております。 例えばアジア地域では、法律や告示によりまして、すべての教育施設が毎日国旗に対する儀式を行うこと、及び国歌を斉唱することを要求している国もあるわけでございます。 また、欧米諸国の中にも、ただいま先生のお話にもございましたけれども、法律によって学期中は校舎に国旗を掲揚すべきものとしたり、国歌については音楽の時間に指導を行ったりしている国があるわけでございます。もちろん、欧米諸国の中には、学校行事等においては特に国旗掲揚及び国歌斉唱が実施されていない国もあると承知をいたしております。 ただ、学校教育のありようというのは国によってそれぞれ異なるわけでございまして、儀式等一つを取り上げましても、その位置づけが各国の間で一様ではございません。したがって、国旗掲揚、国歌斉唱を行うかどうかということも各国の事情によるものであって、必ずしも一様ではないというふうに承知をいたしております。 しかしながら、今日、世界のどの国においても、自国や他国の国旗・国歌を尊重するということはマナー、常識ではないかというふうに私どもは考えております。 したがいまして、これは繰り返しになりますけれども、文部省といたしましては、国が定めました教育課程の基準でございます学習指導要領に基づきまして、重要な学校教育活動として位置づけております儀式的行事の中で、特に入学式、卒業式等においては国旗を掲揚し国歌を斉唱するよう指導することが、これからの我が国の将来の児童生徒のあり方を考えたときに、文字どおり基礎的、基本的な内容として必要なことであるということで、現在指導を行っておるところでございます。
○古堅委員 とんでもない話ですよ。時間がないので、この問題引き続き論じられないという面もありますけれども、しかしこの条約にとって、思想、良心、宗教の自由、それらについての子供たちの権利が認められるかどうかの問題は本当に中心的な問題の大事な一つです。今のようにして、そういうものに当てはまらないのだなどという形で逃げることは決して許されません。 次に進みます。 十五条は、結社の自由、平和的な集会の自由についての子供の権利を認めております。我が国は、「高等学校における政治的教養と政治活動について」という、一九六九年、昭和四十四年の文部省初中局長通知でいわゆる子供の政治活動を全面禁止しています。後日詳細な論議をしたいと思いますけれども、これがいかにばかげた結果をもたらしているか、その一例を取り上げてみたいと思うのです。 一昨年、埼玉県の三つの高校の図書委員の生徒たちが、子どもの権利条約を語る三校交流会を計画しましたところ、会場を希望された学校が、他校生徒の交流に学校を使用することはよくない、いわゆる先ほど挙げた通知に基づく立場からのものですか、よくないとの理由で使用を拒否されたのです。子どもの権利条約について、しかも条約の対象となる当事者が集まって交流することが許されないというのは言語道断だと思うのですね。この条約に照らして、決して是認できない事例だというように思うのですが、いかがですか。
○富岡説明員 今突然のケースのお話でございますので、その実態がそのようなものかどうか、ちょっとどのような理由で制限したのかわかりませんけれども、一般論で申し上げましたら、我が国の生徒の表現の自由、集会、結社の自由につきましては、既に日本国憲法、国際人権規約等の規定によりまして児童に保障されているものであります。この条約もこれらと同趣旨のものでありますが、日本国憲法等のもとにおきましても、学校におきましては、教育目標の達成のために必要な、合理的な範囲内であればこれらの権利に制約を加えて指導を行い得るものとされているわけでございます。 それで私ども、御指摘のありました昭和四十四年の通知におきましては、高等学校におきます政治的教養を豊かにする教育の一層の改善充実を図るとともに、高校生の政治活動につきまして、例えば教科・科目等の授業や生徒会活動等の場合を利用しまして政治的活動の手段として利用しないこと、それから、学校におきます政治的活動について制限を行うこと等につきまして、各高等学校において適切な指導をするようにという指針を示したものでございます。高校生は発達段階の途中でございますから、そのような一定の制限を課すことは当然のことだというふうに承知しております。
○古堅委員 子供たちが、自分たちが直接適用される子どもの権利条約について語り合おうということで、三つの学校の図書委員の皆さんが集まろうとした。ところが、それはいけないということであの通知を基礎にされて、それが学校使用の面で拒否されたという事例、授業中とかなんだとか、そういう問題とは違うのです。そういうこともあの通知とこの条約との関連においてそうあるべきだ、やめさせられたのは当然だということを言おうとしておるのですか。
○富岡説明員 やめた事由の経緯等、事実がわかりませんので何とも申し上げられませんが、当該学校がその教育活動を進めるに当たって適切でないと判断してそのようにしたものではないかと推察されるわけでございますけれども、個別ではよくわかりませんが、いずれにしても学校として、学校の教育活動で適切かどうかという判断を学校が主体的な責任を持って判断していただくことだというふうに思います。
○古堅委員 時間が参りました。終わりますが、このように逃げの答弁じゃなしに、まともに、やはり条約に照らした、その条約をどう実践していくかという、条約の求められておる立場から答弁すべきですよ。厳しく指摘して、きょうは終わります。 ————◇—————
○伊藤委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。川島實君。
○川島委員 時間がございませんので簡潔に質問をし、答弁を求めたいと思います。 地球環境保全について、先進国の一員としての我が国が国際社会の中で国際協力の積極的な役割をどのように果たそうとしているのか、お尋ねをいたしたいと思います。 昨年六月、ブラジルで開かれた地球サミットに我が国の宮澤首相が出席することができず、開発途上国の国々が我が国の地球環境に対する取り組みに不信感を持ちました。あれから約一年、今地球環境を考えるとき、サミットで決定された持続可能な開発のためのリオ宣言、二十一世紀に向けた地球環境保全のための行動計画、アジェンダ21、環境保全のためのバーゼル条約、気候変動枠組条約、生物多様性保護条約など、世界の国々が人類共有の生存基盤である地球環境を守るための行動を起こしております。 そこで、現在問題となっております地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、森林の減少、野生生物の絶滅、砂漠化、海洋汚染、人口の増加による貧困・飢餓の八点について、我が国が今後国際社会で指導的役割を果たすためにどのように努力していくつもりか、以下お尋ねをいたします。 一つは、地球温暖化問題について。 我が国は気候変動枠組条約を締結し、二〇〇〇年までに二酸化炭素など温室効果ガスを一九九〇年レベルに戻す行動計画を組んでいますが、なかなか進展をいたしておりません。例えば、アメリカが電気自動車採用を一年に一万五千合計画しているのに対し、我が国は十分の一です。また、太陽光、風力、コージェネレーションなどのクリーンエネルギー開発も十分でなく、さらにリサイクルによる省エネ対策も先進国に比べると、我が国のこれらの施策に対する一層の努力と国際的な責務が問われているところでございますが、いかがでございますか。 二つには、オゾン層の破壊の問題について。 我が国は、モントリオール議定書による特定フロンの全廃に向けて代替フロンの切りかえが進められておりますが、国内フロン関連業界六十五団体が集まり回収に努力されているにもかかわらず、なかなか進展をいたしておりません。そればかりか、規制フロンの値段が十倍に上がり、早期の代替フロンの供給が望まれております。その上、代替フロンHFC134aがCO2の千倍以上の強い温暖化が生まれると現在問題になっているところでございますが、一九九七年までに我が国が全廃を行うという目標が達成できるかどうか。 三つ目は、酸性雨の問題について。 環境庁の全国調査によると、日本列島のほとんど全域で酸性雨が降っていることが確認されております。原因は、我が国の排ガス、排煙だけでなく、中国や韓国からも流れてくると言われておりますが、これらに対する対策はいかがでございますか。 四つ目は、森林の減少問題について。 我が国は世界の木材の四割を輸入していると言われております。熱帯雨林の破壊国のように思われておるところでございます。森林は野生動植物の生息の場であるだけでなく、二酸化炭素の吸収源として地球温暖化を抑制し、洪水被害を防ぐ保水機能を持っている、この認識の上に立って、我が国の国際貢献における森林対策はどのようになっているか。 五つは、野生生物の絶滅についてでございます。 地球上で確認されている野生生物は約百四十万種、これはほんの一部であり、実際は五百万種から五千万種が存在すると言われております。日本でも数多くの貴重な動植物がピンチに立たされております。国内で確認されております環境庁のデータによると、脊椎動物、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、淡水魚類など、合計で千百九十九種と言われております。我が国のこの問題に対する国際的な取り組みはどのようになっているのか。 六つ目は、砂漠化問題についてでございます。 一九六八年にサハラ砂漠南縁部のサヘル地帯の大干ばつを初め、中国、アフリカなど、毎年我が国の九州と四国を合わせた面積が砂漠化になっております。現在地球の陸地の四割が乾燥地と言われ、ここにある農地の六九%が砂漠化にさらされておるところでございます。我が国はこれらの問題にどのように取り組んでおるのか。 七つ目は、海洋汚染問題について。 湾岸戦争はかつてない規模の海洋汚染をもたらし、アラビア湾は死の海と化したと言われております。また、年間四百五十二回に及ぶ船の事故で約四百万トンの油の流出があります。さらに、毎年約六千五百万トンのごみが海に捨てられております。最近、旧ソ連の原子力発電所の放射性廃棄物や原子力潜水艦、毒ガスなどの海洋投棄の汚染が、さらに化学物質による汚染も深刻な問題になっております。我が国はどのように対応しているのか、一向に見えてこないところでございますが、海洋保全対策についてどのように進んでいるのか。 最後に、人口増加、貧困・飢餓問題について。 地球上の五十四億五千万人の人口が現在毎年一億人ずつ増加しており、そのうちの九〇%が開発途上国の国々の増加分であります。国連食糧農業機関の統計では、途上国人口の二一%に当たる五億一千二百万人が必要な栄養を確保できない状態になっていると指摘しております。我が国は、この問題に対しどう対応しているのか。 以上、八点にわたり質問いたしました。簡潔に御答弁をお願いいたしたいと思います。
○西尾説明員 先生御指摘のうち、地球温暖化対策についてお答え申し上げます。 地球温暖化対策につきましては、御指摘のとおり地球温暖化防止行動計画におきまして、都市地域の構造、交通体系、生産構造、エネルギー供給構造、さらにはライフスタイル等の見直しにまで至る広範な対策を掲げているところでございまして、関係省庁が力を合わせて同計画に基づく施策の推進に努めているところでございます。 進捗のお尋ねもございましたが、実施初年度であります三年度の施策については取りまとまっておりますけれども、三年度におきましても、省エネ設備の優遇税制の創設やリサイクル法の施行など、三百項目余に上る対策を推進しているところでございます。 先般、アメリカのクリントン大統領が環境面におきまして積極的な発表をいたしましたことについては、歓迎するところでございます。 省エネの面では、我が国は、石油ショック以来関係者の大変な努力によりまして、世界でも極めて進んでおるわけでございます。一人当たりの二酸化炭素の排出量も米国の四割程度という低い水準になっておるわけでございますが、それだけに、今後の抑制を進めていくには格段の努力が必要だというふうに思っております。 電気自動車の進捗の御指摘もございました。環境庁といたしましても、公害パトロール車への電気自動車の導入促進のための助成を行いますとか、あるいは低公害車フェアというものを毎年行いましてPRに努めてきたところでございます。導入数もここ三、四年の間に倍増近い千三百台というところまできておりまして、それなりの着実な伸展を見ているというふうに存じておる次第でございます。 これら温暖化対策のための各般の施策につきましては、毎年度、温暖化対策のために講じられた施策と、二酸化炭素排出量等を取りまとめて、地球環境保全に関する閣僚会議に報告するということによりまして、その推進に努めているところでございます。 今後とも、関係省庁と一層緊密な連絡をとりまして、行動計画の目標が達成されるよう取り組みを進めてまいりたいというふうに存じております。
○西出説明員 オゾン層保護対策についてお答えいたします。 先生御指摘のように、昨年十一月にモントリオール議定書の見直しが行われました。これによりまして、特定フロンにつきましては九六年までに全廃をするということになりました。現在、この九六年全廃に向けて努力を続けているところでございますけれども、一番大事な点は、代替フロンあるいは代替技術の導入ということによりまして円滑に特定フロンの需要を削減していくことかと思っております。 その意味で、転換の支援を円滑に進める、あるいは代替品の供給を円滑に進めていくということで現在指導しているところでございますし、御指摘のような産業界の団体を結集いたしましたオゾン層保護対策産業協議会を通じまして、代替技術あるいは代替フロンを導入するための技術的な支援をできるだけするということをやっているところでございます。 今年度につきましては、既に、基準年度の八九年に比べまして、特定フロンにつきましては四〇%の水準を目標に削減を進めているところでございます。 代替フロンの中には、先生の御指摘のように、134aというようなものも非常に大きな冷媒の用途に使われる見通しになっておりますけれども、この134aにつきましては地球温暖化の効果という御指摘をいただきました。地球温暖化効果につきましては、従来使われておりましたフロン12に比べますと、この134aも従来より一けた程度小さいということで、特定フロンからの転換により地球温暖化の面からもいい面での効果が期待できるということでございますけれども、なお地球温暖化に対する影響があるということでございますので、ただいま第三世代フロンというような形で、オゾン層保護の面だけでなく、地球温暖化効果も小さい第三世代のフロンの開発という面での研究開発の助成をしているところでございます。 最後に、九六年全廃に向けてということでございますが、先ほど申し上げましたように今年度四〇%の水準、来年度二五%ということでございますので、各方面の努力を結集いたしまして、九六年全廃が間違いなく達成できるように今後とも指導していきたいと思っております。
○松本説明員 酸性雨の問題についてでございますが、酸性雨は大変広域的な問題でございまして、特に我が国の周辺諸国では大変工業化が進んでいるということで、原因物質の排出も増加しております。その影響も指摘されておりますので、環境庁といたしましては、これまで、第一次あるいは第二次の酸性雨対策調査におきまして、我が国の酸性雨の実態調査を継続的に行ってきたわけでございます。 今年度、平成五年度から開始いたしました第三次の酸性雨対策調査におきまして、越境汚染をも考慮した酸性雨の発生予測モデルの開発を実施する、この解析に努力をするというふうにいたしております。 また、酸性雨の防止に当たりましては、そういう広域的な取り組みがどうしても必要であるということでございますので、平成五年度、今年度から、我が国が中心になって、東アジアにおける酸性雨監視ネットワーク構想というものをスタートさせまして、周辺諸国と検討を開始することにいたしたいと思っているわけでございます。 環境庁といたしましては、このような国際的な取り組みを含めまして、今後さらに一層酸性雨対策に努めてまいりたいと考えております。
○米山説明員 森林の問題につきましてお答えさせていただきます。 先生御指摘のとおり最近熱帯林が少なくなってきているという事情があるわけでございますけれども、その減少は、現地におきます無秩序な焼き畑移動耕作の増大、あるいは過度の放牧、あるいは薪炭林の過剰採取、こういったようなものが主な原因でございまして、我が国の木材貿易が必ずしも主たる原因ではないわけでございますけれども、何といいましても熱帯林の地球資源としての重要性にかんがみまして、私どもといたしましては、従来から、二国間あるいは国際熱帯木材機関(ITTO)といった機関を通じた多国間の協力を積極的に推進してまいっております。 今後とも、それらの過程で体得しましたいろいろな蓄積をもとにしまして、一層技術協力に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
○喜多説明員 野生生物の種の保存に関しましてお答えを申し上げます。 先生御指摘のように、野生生物の種の絶滅を防いで豊かな生物相を次の世代に引き継ぐということは、現在の我々人類にとりまして取り組むべき緊急の課題、かように認識しております。環境庁といたしましては、本年四月から施行されました絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律を適切に運用することによりまして、貴重な野生動植物の絶滅の防止に努めてまいりたいと思っております。 また、国際的な協力につきましては、御案内のように我が国はワシントン条約あるいはラムサール条約といったものに加盟をいたしまして、締約国会議を開催するなど、現在までこれらの条約の適切な運用の推進に貢献しているところでございます。 さらに、発展途上国への支援といたしましては、東アジア地域等におきます野生生物の現状の把握など、野生生物の保護に関します国際的な協力を行ってきておるところでございます。 今後は、生物の多様性に関する条約の締結といったことも踏まえまして、国内外にわたります野生生物の保護施策の推進にさらに一層積極的に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○河合政府委員 砂漠化防止対策についてでございますが、先生御指摘のように、アフリカ諸国の非常に大きな関心に基づきまして昨年六月に開催されました国連環境開発会議のアジェンダ21を受けまして、昨年末の国連総会の決議によりまして、来年六月をめどにいたしまして砂漠化防止に関する条約を作成するための交渉委員会が設置されたところでございます。我が国といたしましては、この問題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。二国間ベースではアフリカにおいてのプロジェクトを幾つか推進しておりますが、今後の条約交渉につきましては積極的に参加してまいりたい、このように考えております。
○柴田説明員 お答え申し上げます。 海洋汚染の問題でございますが、昨年の海洋汚染の状況でございますが、前年に比べまして件数として五%減っておるということでございまして、日本周辺における海洋汚染の問題というのは若干改善の状況にあるのではないかというふうに考えております。 日本の対象といたしましては、IMOにおける検討を踏まえまして、国際条約の国内化というものを図っております。また、最近では、タンカーの構造の二重船体化につきましても、本年七月よりこれを実施することとしております。さらに、油の汚染防除対策につきましても、湾岸戦争の際にはオイルフェンス十キロを湾岸諸国に対して供与するとともに、専門家の派遣というものを行っております。 今後とも、造船、海運先進国日本といたしまして積極的に、国際海事機関、こういう場で協力をするとともに、また、現在ではASEAN海域における油防除体制の整備についても積極的な協力をしております。こういった国際協力も十分に推進していきたいというふうに考えております。
○河合政府委員 最後の人口問題についての御質問でございますが、日本といたしましては、国連人口基金への最大の拠出国でございまして、この分野で非常な役割を担っております。二国間ベースでも、家族計画、母子保健、人口教育促進等のプロジェクトを進めているところでございます。明年九月に、エジプトにおきまして国際人口・開発会議が開催される予定でございますが、この準備につきましても今積極的に対応しつつあるところでございます。
○川島委員 時間が参りました。七分の質問で大体十三分答弁いただきました。ありがとうございました。 これをもって終わります。 ————◇—————
○伊藤委員長 ただいま委員長の手元に、小里貞利君外五名より、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五派共同提案による地球環境保全に関する件について本委員会において決議されたいとの動議が出されております。 この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。土井たか子君。
○土井委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党を代表して、ただいま議題となりました動議につきましてその趣旨を御説明申し上げます。 これから案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。 地球環境保全に関する件(案) 人類共有の生存基盤である地球の環境は、地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、熱帯林の減少、海洋汚染、野生動植物の種の減少、砂漠化の進行、有害廃棄物の越境移動などにより従来にまして一層悪化しつつあり、今や、地球環境問題は国際社会が緊急に取り組むべき最重要課題であり、特に先進国にとってその責務が問われている。 かかる状況にかんがみ、我が国は、地球環境保全に向けてのより実効性のある政策を確立するとともに、各分野におけるより充実した国際的な取決めの実現を含む国際協力を積極的に推進する役割を果たすため、国際場裡において、イニシアティブを取り、関連する諸問題の解決に最大限の努力をすべきである。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 小里貞利君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。 この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。武藤外務大臣。
○武藤国務大臣 政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分尊重し、今後とも地球環境保全に向けて努力してまいります。
○伊藤委員長 お諮りいたします。 ただいまの決議の議長に対する報告及び参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————◇—————
○伊藤委員長 次に、理事辞任の件についてお諮りいたします。 理事遠藤乙彦君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に東祥三君を指名いたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十七分散会