外務委員会 第4号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1993/04/21
会議録
○伊藤委員長 これより会議を開きます。 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とトルコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とイスラエル国との間の条約の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
○新村委員 日本とイスラエル並びに日本とトルコの間の条約及び協定について、若干の御質問をいたしたいと思います。 経済活動のグローバル化によって、国際的に課税の調整、二重課税あるいは脱税の防止、そういった必要が高まっていると思います。現在二国間の租税条約は三十九あると言われておりますけれども、それ以外に結ぶ必要のある国がどのくらいあるのか。また、結ぶ必要がある国で交渉中のものがどのくらいございますか。
○小池政府委員 先生御指摘のとおり、現在までに我が国は三十九カ国と租税協定を結んでおります。経済のグローバル化が進んでいく中において、こういう必要性というのはますます高まってくると思います。 それで、いろいろな国からの要望に応じまして具体的な交渉に入るわけでございますけれども、現在、フランス、シンガポールとの間では租税協定の改正交渉を進めております。それから、新しい国といたしましては、クウェートとの間で租税協定の交渉を現在行っております。
○新村委員 日本が二国間条約を結ぶ必要のある国がどのくらいあるのか。そして、それは今どういう経過にあり、交渉中であるのかということです。
○小池政府委員 日本として結ぶ必要がある国というのは、もう三十九カ国でかなりの欧米諸国との間では結んでおりますけれども、先生も先ほどおっしゃられましたように、グローバリゼーションが進んでいく中においては、いわばいろいろな経済、貿易関係が進む国との間ではそういう必要性というのは一般的に高まっております。 先ほど申し上げました国以外で新規条約の締結交渉の申し入れのある国といたしましては、ポルトガル、パプアニューギニア、スリランカ、それからアイルランド等がございます。
○新村委員 今議題になっているのはイスラエル及びトルコでありますが、このトルコについては、協定が調印されるまでにかなり時間がかかっておりますね。イスラエルは大体四カ月ぐらいで調印に達した。トルコは七年もかかっているということでありますけれども、トルコが異常に長く時間がかかった理由は何かございますか。
○小池政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、イスラエルとの交渉においては特に大きな問題ということもなく、交渉を始めて二回の交渉会議でもって合意に達することができました。 しかし、トルコとの交渉は昭和六十一年に始まっておりまして、約七年間かかった。断続的にいろいろな交渉を何度か行ったのですけれども、結構時間がかかりました。それは、例えばトルコが投資所得に係る源泉地国の限度税率について、OECDモデル条約というのがございますけれども、それよりも高率な税率にすることを主張したり、あるいは恒久的施設の範囲ということについても、できるだけ源泉地国であるトルコで課税権を広げたいという見地でいろいろな主張をして、日本とトルコとの間で交渉が長引きまして、合意に至るまで相当の時間を要したという経緯がございます。
○新村委員 トルコとの協定で、二十四条に、不服の場合の不服の申し立てというのがありますね。この不服の申し立ての期限が、イスラエルには三年という期限があるわけですが、トルコにはこれがないわけですね。これはどういうわけでしょうか。
○竹内説明員 御説明いたします。 今まさに先生御指摘のとおり、トルコとの条約につきましては不服申し立ての期限がございません。 租税条約については、不服申し立てについての期限を定めるものと定めないものがございまして、条約に適合しない課税を受けた場合、通常、実際は比較的早期、一、二年に申し立てがなされておりますので、申し立て期間に制限が持たれていないトルコのような条約でも特に実務上問題は生じていないわけでございます。 トルコとの交渉におきましては、先方側から期限のない条約にしたいということで、国内法上の事情等もございまして期限のないものにしてございますが、今申し上げましたように、実務的には比較的早期に申し立てがなされておりますので、こういう申し立て期限に制限が設けられていない条約でも問題は生じないと考えております。
○新村委員 そうしますと、期限を付するかどうかということについて、事前の協議では論議になったわけですか。
○竹内説明員 おっしゃるとおりでございまして、実はOECDの最近のモデル条約では期限のついたものがございます。三年というような期限が最近ついておりまして、まさにイスラエルとの条約では三年という期限をつけたわけでございますが、トルコとの条約につきましては、先方の国内法上の事情等から、先方から期限をつけることに反対だという議論がございまして、そういう交渉の過程で期限をつけないことにしたというわけでございます。
○新村委員 そうしますと、日本側としては期限をつけたいという主張をしたけれども、相手の方で期限をなくしてくれということであったのでその点は譲った、譲歩した、こういうことですね。
○竹内説明員 OECDのモデル条約につきましては、六三年にできたモデル条約では期限がついておりません。最近のモデル条約、これは七七年でございますが、それのモデル条約では期限がついたというようなことでございまして、OECDモデル条約を基本として議論する中で、トルコ側では従来のモデル条約、あるいは日本側としては最近のモデル条約、そういう議論をした結果、交渉の結果、期限をつけないという形で条約になったわけでございます。 先ほど申し上げましたように、期限がないということで実務的にも不都合が生じていないのでこういう結果になった次第で、我々といたしましても、この点については交渉の結果譲歩したということでございます。
○新村委員 OECDのモデルがどうであろうとも、どうであろうともと言うと語弊があるでしょうが、日本の利益を主張するのがこれは当然でありますから、これは日本の利益を主張してもらうことがいいのじゃないかと思います。 ただ、交渉の中で、経過で譲歩したということであればそれでもいいのでしょうけれども、期限がないということになると、運用上不都合な点が起こらないでしょうか、ずっと昔のものまで場合によっては持ち出してこられる可能性があるわけでありますから。そういうことを懸念をして、従来のOECDにはなくても最近のものは期限をつけている、イスラエルについても期限をつけているということでありましょうから、期限をつけなかったということは、これは我々の見解からすれば不適当ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○竹内説明員 今の点でございますけれども、当局間の協議というものでございますけれども、条約に適合しない課税がなされた場合に両国間の合意によって問題を解決しようというものでございまして、事実関係の確認等が困難な場合にはそうした協議は行えないということでございます。したがいまして、これは課税当局間の協議といたしましても、その申し立てにはおのずと時間的な制約があるということでございます。 したがいまして、先ほど申し上げましたように、比較的早期に、通常では一、二年の間に申し立てが行われていることでありまして、期限がないということでも実務上特に問題は生じないのではないかと思っております。また、トルコの国内法上の事情から期限がないということでございますけれども、不都合が生じることはないと考えております。 ただ、御指摘のように、最近のモデル条約は三年という期限がついておりますので、私どもとしても、なるべく今後そういうOECDモデル条約に沿った条約をつくるように努力していきたいと思います。 トルコは、OECDのメンバーとは申し上げますが、なかなかまだ開発途上国的な面もございますので、そういう点については相手国の事情も考慮いたしまして、私どもとしても期限のない条約にしたという次第でございます。
○新村委員 相手の事情を考えてということ、そういう場合もあるでしょうけれども、やはりこれは期限をきちっとつけて、運用上の問題が起こらないようにすることが当然だと思いますし、これからはっけるというお考えでありますからそれでいいと思いますが、そういう規定がついているほかの条約があるわけですけれども、その規定に基づく不服申し立て、そういう問題が今までどのぐらい実際にはあったのでしょうか。
○羽床説明員 申し立て件数につきましては、土地によって若干ばらつきがございますが、ここ数年を見てみますと、毎年十件程度となっております。
○新村委員 それはどういう方法で解決されましたか。
○羽床説明員 申し立てがありました事案につきましては、租税条約の趣旨あるいは条文にのっとりまして、例えば特許権の源泉課税の問題につきまして申し上げますと、源泉課税の対象となっているのが特許権であるかどうかという議論だとか、あるいは特許権に当たるとしましても、実際の支払い者はだれであるかということを議論を行いまして、事案の事情を総合的に勘案して、租税の専門家の間で十分に協議を行って解決に努めているところでございます。
○新村委員 もう一つ、協定の中での問題点でありますが、これは経済的な内容を持つ協定でありますから、しかも二国間でありますから、二国間で見解の相違、意見の対立というようなことは当然予想しなければならないと思います。しかも、この協定の内容が、一方の締約国あるいは双方の締約国の認定あるいは判断、そういうことにまつ事項がかなりありますよね。 例えば九条等もそうでありますが、「両締約国の権限のある当局が、協議の上、」とありますね。「協議の上、」合意するときにはこれこれという規定があります。これもほかにもたくさんありますが、両締約国が、紛争とまでは言わないにしても、意見の一致を見なかった場合にどういう手続によってその対立が解決をされるのかという規定がないですよね。大抵の条約、特に経済関係の条約には、両締約国の意見が対立した場合には、こういう手続でこういうふうにしてその対立を解決するという規定が普通あるのですけれども、それがこれにはないということですが、これについてはいかがでしょうか。
○小池政府委員 二重課税の防止というのは、課税に関する極めて技術的な分野でございますので、両国の課税当局間で協議して合意に達するというのがこの協定の趣旨でございます。 租税条約というのは、若干繰り返しになりますけれども、そういう極めて技術的な面で関係、権限のある当局の間での協議でもって極力物事を解決していこうという趣旨で規定されておりまして、果たしてその協議が調わないときにはどうするかということは、この条約には規定しておりません。そのときには一般国際法に基づきまして両国の間で交渉する、あるいは協議するということになっております。
○新村委員 例えば事業所得については、恒久的な施設がない場合には企業の所在する一方の締約国で課税をする、恒久的施設を有する場合には源泉地で課税をするとなっていますね。 そうしますと、この恒久的施設の認定、これは例えばですけれども、認定は必ずしもいつも明々白々というわけではないと思います。こっちの国は恒久的な施設だと思う、こっちはそうでないという解釈をした場合、これは一つの例ですけれども、そういう解釈あるいは意見の不一致というものが、実際にやる場合にはしばしばあると思うのですよ。 ところが今の御答弁では、そういうことはないことを予想しているというのはちょっと了解できないし、対立があった場合には、いや結構ですからどうぞということで、こっちが引き下がるのかどうか。二者ですからね。多数の間であれば多数決ということもありますけれども、二国間でありますから、二国間の意見の対立、あるいは紛争とまでは言わないにしても、立場の意見の相違が出た場合に、それを解決する手続があってしかるべきではないかと思うのですね。 ほかの協定あるいは条約では必ずその手続があるわけです。この租税条約に限ってないというのはどういうわけでしょうか。
○小池政府委員 確かに条約の運用に関しましては、当初二つの国の間で意見の食い違いということはあり得るかと思います。そういうことを念頭に置きまして規定されたものに、例えばトルコとの間の協定ですけれども、二十五条に、権限ある当局間における情報交換というのがございますけれども、これは協定の運用、それから協定の例えば特定の課税、先ほど先生がおっしゃいましたように、恒久的施設に入るのか否かということについても情報交換し、お互いに意見を交換して調整を図るという趣旨でございます。 それから、OECDのモデル条約におきましても、当局間の情報交換というところにとどまっておりまして、二つの国の間でこれが解決できない場合にほかの手段に訴えるということについて規定は設けられておりません。すなわち、繰り返しになりますけれども、OECDモデル条約においてもそういう紛争の解決条項というのは設けていないという事情にございます。
○新村委員 OECDのモデル条約、これは歴史は二十余年くらいあると思いますけれども、OECDのモデル条約が万能、すべてそれで完璧ということではないと思うのですね。 それから、経済活動、国際間の経済交流というのは日に日に複雑化していくわけでありますから、これは不備な点は訂正をしていかなければいけないと思いますし、今の御答弁では両者で解決をするということでありますけれども、両者が意見の対立をしているわけでありますから、対立している両者がその両者だけで解決ができるかどうか。解決ができる場合もあるでしょうけれども、解決できないこともあるだろう。解決ができなくて長引いている場合にはどちらかが紳士的に引き下がるのかどうかということでありますが、やはり国際間の問題、特に租税の問題あるいは経済の問題等については、そういうことは期待できないと思いますね。ですから、どうしてもそういう措置が必要だと思いますけれども、この条約についてどうこうということではないのですけれども、今後そういうことを配慮されるお考えがあるかどうか。
○小池政府委員 この租税条約というのは、基本的に二重課税の防止、脱税の防止のために二国間で協力していこう、課税権の調整及び協力していこうというのが趣旨であります。すなわち、分野といたしまして極めて技術的、専門的な分野でありますので、それぞれの国における権限のある当局間で話し合いをし解決策を探るというのが最もふさわしいということで、今まで三十九の条約を結んできております。したがいまして、よっぽど特別の事情がない限り、現在それはちょっと想定しておりませんけれども、紛争解決について特別な規定を設けるということは考えておりません。
○新村委員 両国の権限のある当局が交渉するということですから、ますますそれが必要なんじゃないでしょうか。権限のある当局というのは相当自信を持って法的な根拠を固めて見解を出すわけでしょうから、お互いにそういう権限のある当局同士がぶつかった場合、これは対処できないでしょう。そういう場合に何の規定もなくていいのかどうかということについて、もう一回伺います。
○竹内説明員 今御指摘の点、確かに経済のグローバル化とかそういうことが進んでいく中で、課税権の衝突ということはいろいろな場面で起きるわけでございまして、御指摘のように、まだOECDの場における検討も不十分ではないかという御議論もあろうかと思います。 例えばOECDのモデル条約について申し上げますと、六三年につくりまして七七年に改定いたしました。実は九二年にも、昨年でございますが、改定を行っておりまして、その中で、これは先生から見れば大したことじゃないじゃないかと言うかもしれませんけれども、従来は厚い本になっていたわけでございますが、それをルーズリーフ方式ということで、経済の現状の伸展に対応してどんどん変えていくというようなことで、条約の解釈についての疑義とかそういうものについて租税委員会も年二回でございますが開いておりますし、その中では条約だけを検討するワーキンググループもございます。そういうところで、専門家限りの努力ではございますが、常に経済の動きに対して条約の解釈の疑義をなくそうという努力をしております。 そういう努力の積み重ねで、先生から御指摘がございましたように、権限ある当局同士の、プロとプロとの対立について解決の道を探っていこうという努力をしている次第でございます。
○新村委員 そうしますと、そういう問題については全く考慮のほかだということですか。それとも、将来、世界情勢は日進月歩でありますから、条約、協定等についても必要な改定、補完はしていかなければいけないと思いますけれども、そういう過程の中でぜひ考慮していただきたいと思うのですけれども、その考慮もできないということですか。
○小池政府委員 若干繰り返しになりますけれども、特段の事情というか、現在予想できないような事情が生じますれば、これはその時点において改めて考えたい、検討したいと思いますけれども、現時点においては、二重課税の回避あるいは脱税の防止ということで二国間で協定を取り決めるに当たりましては、この分野は極めて技術的、専門的な分野でございますので、権限ある当局間で解決を図るというのが最も合理的なやり方ではないかというふうに考えております。
○新村委員 それは今後の状況の変化の中でおのずから解答の出る問題だと思いますので、これ以上は繰り返しませんけれども、考慮の、頭の隅にはぜひ入れておいてもらいたいと思います。 それから、トルコはこれからECに加盟をする申請をしていると思いますけれども、ECに加盟した場合にこの協定に影響が何かありますか。
○竹内説明員 お答えいたします。 先生の御質問の御趣旨は、最近ECでいろいろ統合問題が進んでおりまして、そのEC加盟国と租税条約を改正する必要はないか、そういう御趣旨であろうかと思います。 確かに、ECの統合に伴いまして税制の調和という問題が進んでおります。ただ、これは、付加価値税の最低税率が例えば本年一月から一五%になるなど、間接税の分野ではかなり進んでいるような話でございまして、租税条約が対象といたしますいわゆる直接税の分野ではそれほど進展していないものと承知しております。 ただ、いずれにいたしましても、租税条約はEC各国の個別の国と日本との間の課税関係の調整を図るものでございますので、EC域内の税制の調和がこれらの諸国、トルコがECに加盟したといたしましても、個別の租税条約改正に直ちにつながるものとは考えておりません。 ただ、いずれにいたしましても、ECでは、今申し上げましたように、税制の調和ということが進んでおりまして、特に租税条約に関係いたします直接税の八一モナイゼーションの動向については、十分検討あるいは注意を払っていく必要があるのではないかと考えております。
○新村委員 もう一つは、租税の情報でありますが、所得の性質によっては、日本に居住をしている者が他の締約国に所得の源泉のある場合に両方に課税をされるというようなこともありますね。そういう場合に、向こうとこっちとの情報の交換、特にその場合には他の締約国からの租税情報が十分得られないと適正な課税はできないと思いますけれども、この条約、協定によりますと、他の締約国からの情報については必ずしも制度化されているわけでもなければ義務があるわけでもないわけであります。そういう場合に、その十分な情報をどういうふうにしてとるかということについてはいろいろ問題があると思いますけれども、自信がありますか。
○羽床説明員 我が国は、租税条約上の情報交換規定に基づきまして、国税庁の国際業務室が窓口になりまして各国と国税当局との間の積極的な情報交換を行っております。 情報交換、現状を申し上げますと、大きく分けまして三つございまして、特定の納税者についての情報が必要だということで相手当局に要求する、あるいは相手当局から要求されるというパターンがまずあります。それから二番目は、配当だとか報酬だとか使用料、これは源泉を取る分野ですけれども、このものについては自動的に相手当局から送ってくる、あるいは日本の方からも相手当局に自動的に送るということになっております。それから、相手当局の税務調査が非常に有効だと思われる情報につきましても積極的にお互いに出し合うというような三つのパターンがございますが、いずれにつきましても情報というのは非常に重要でございますので、積極的な情報交換を実施しております。今現在、年間約十五万五千件ほどの情報交換が行われています。 先ほども申し上げましたように、海外取引等の国際課税の適正な課税のためには情報交換というのは非常に重要でございますので、我々、そういう認識を十分持った上で適切な事務運営を行っているところでございます。
○新村委員 時間ですから以上で終わりますけれども、不服申し立ての期間の問題、そしてもう一つは、両者が対立した場合の解決の問題についてはこれはぜひ課題として御検討いただきたいと思います。 終わります。
○伊藤委員長 川島實君。
○川島委員 私は、ただいま議題になっております日本とトルコ租税協定並びに日本とイスラエル租税条約の件につきまして質問をいたしたいと思います。 両条約の共通の解釈について最初にお伺いをしておきたいと思います。 ただいま新村先生からもいろいろお話がございました。その中で、第三条に、日本とは「その領域の外側に位置する水域で日本国が国際法に基づき管轄権を有し」云々と、こうあるわけでございますが、お話を聞きますと、尖閣諸島の扱いはきちっと日本の領土、こういうことではっきりしているわけでございますが、北方四島の関係については、租税が働いていないということで除外をされておる、こういうことになっているわけですが、二百海里の関係その他を含めて当然入れるべきだと思うわけですが、どういう障害があるのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
○小池政府委員 先生御承知のとおり、北方領土は我が国の固有の領土でございますけれども、御承知のようにロシアが不法占拠しております。したがいまして、我が国の租税に関する法令が現実には施行されていないという状況にございます。したがいまして、北方領土は御指摘の領域には含まれておりません。 それから、先生御指摘のように、尖閣諸島は我が国の固有の領土であり、かつ我が国が実効的に支配しております。したがいまして、尖閣諸島は御指摘の領域に含まれているということでございます。 それから、二百海里については、そもそも租税に関する法令が適用されるような状況にあるとは認識しておりません。
○川島委員 次に、二十六条の関係で「租税に関する脱税を防止するため必要な情報を交換」、こうあるわけでございまして、今国際的にも、麻薬等の関係だとか暴力団等の関係のこういう脱税に関する問題点がいろいろ指摘を受けているわけでございますが、今までの他の条約国と二国間の関係で、これらに対する情報交換なりそれらの捕捉というのはどのように行われているのか、お伺いをしておきたいと思います。
○羽床説明員 情報交換につきましては、国税庁の国際業務室が中心になりまして各国税当局との間で情報交換を行っておりますが、一つは、いろいろな調査の過程、あるいはいろいろな経済動向なんかを見ながら、こういう情報が必要だと思いますと、その情報について各国に要求するという一つのパターンがございます。そういう部類、例えば不動産だとかいろいろな取引の関係とか、そういういろいろな特定の情報について、相手当局の協力を得て集めてもらいたいということの要求をいたします。また、相手当局からも我々の方にそういう要求が参ります。 それから配当だとか報酬だとか使用料、これらにつきましては、お互いに一定の時期に自動的に交換するということもやっております。 それから、我々が調査している過程において、例えばA国の課税上非常に有効な資料じゃないかと思いますと、それを自主的に相手当局に送付いたします。また、相手当局の方も、日本の課税上非常に有効だと思われた情報につきましては自主的に送ってまいります。 そういうことで、情報交換を積極的に実施しているというのが現状でございます。
○川島委員 次に、両条約、協定とも、議定書がおのおのついているわけでございますが、お話を聞きますと、条約なり協定を結んだ以後に出てきた問題だとか、さらにまた、細かい問題でその条約に載せるに値をしない、しかし運用上必要なことについて議定書で行っていく、こういうことで説明を受けているわけでございます。 他の国との関係もこのような形ですべて生まれてくるという受けとめ方をするのか、できればこういうものはない方がいいという受けとめ方をしているのか、このことについてお伺いをしておきたいと思います。
○小池政府委員 トルコとの協定、それからイスラエルとの条約の間でそれぞれ議定書がございますけれども、議定書の頭に書いてありますように、議定書は「協定の不可分の一部」として条約と一体をなすものでございます。すなわち、条約を交渉する際に基本的な考え方というのを条約の本文の方に入れまして、議定書の方は比較的技術的なものについて規定したものでございます。これは、条約合意に至る際に、条約の本文と議定書あわせて交渉したものでございます。
○川島委員 次に、トルコ共和国との間では、経済開発を促進するための奨励措置、こういうものが結ばれているわけでございます。中身をずっと見てみますると、優先地域等もございまして、優先地域はトルコの国の市によって税率が控除されておる。法人税が控除される都市であったり、いろいろな問題点、農業投資だとか、投資によって何%か控除されている。こういう措置が行われているわけでございますが、この優先地域の基準というのは、あらかじめ企業が投資をしたときに、その企業との間で大体何年くらいは優先地域の控除率というのが取り決めがなされるのか、それとも、一方的にトルコの国が毎年こういう優先地域を変えたり、奨励措置というものは変更がなされていくのか、この辺のことについてお伺いをしておきたいと思います。
○小池政府委員 優先地域というのは、先生問題提起されましたけれども、トルコとの間に特別の奨励措置ということで幾つかのカテゴリーがございますけれども、その一つとしまして、特にトルコの中でも経済開発が極めて著しくおくれているという地域がございまして、その地域の格差を是正するために制定されている投資減税措置でございます。 それで、その優先地域というのはトルコの法令に基づいて定められているものでございまして、個々の企業に対してこれは適用する、これは適用しないというふうに決められたものではございません。
○川島委員 私はデータをちゃんと調べて持っておるのですよ。どの都市が何%、それから第二開発優先地域、第一開発優先地域、養殖漁業投資に関係するものが何%、科学調査開発投資、一般地域農業投資、こういう優先地域も全部あるのですね。 だから、企業が投資をしていったときに、突然相手国が二年なら二年目にばんとそれを変更する、そういうおそれは全然なしにずっといくのか、こういうことを聞いているわけでございますが、いかがでございますか。
○小池政府委員 お待たせいたしました。 若干技術的になりますけれども、外国税額控除で対象になっておりますのは、トルコの法律で決まっております。すなわち、一九四九年の法人税法(法律五千四百二十二号)あるいは一九六一年所得税法追加条項第一条から六条、一九四九年法人税法、一九六一年所得税法、一九四九年法人税法というような法律で規定されております。 それで、新しく法令が適用になるような場合には、交換公文でどの法令が適用になるかということを決めることになっております。
○川島委員 次に、大臣にお伺いをいたしたいと思います。 日本とトルコ共和国とは実は百年以上おつき合いがありまして、その上に非常に共通点の多い地域でございます。アジアの東側に位置する日本と西側に位置するトルコ。トルコはその上西欧と中近東とどちらの国のグループに入ってもいいくらい接近しているわけでございます。さらに十五世紀にはビザンチン帝国がオスマントルコ帝国に滅ぼされて、西欧帝国主義の出発点となるのに対しまして、帝政ロシアの圧力をも体験している。我が国は、徳川幕府が倒れまして、新しく帝国主義になった。こういう、国の出発点が実は似ているわけでございます。 さらに、一九〇五年の日露戦争のときに、帝政ロシアの黒海艦隊があの海域を渡って日本へ行くのをトルコが許さなかったということで、バルト海のパルテック艦隊だけが日本海にたどり着いて、我が国は、東郷元帥が指揮する日本の連合艦隊が勝利した、こういう経過もあるわけでございます。 こういう中で、実はスレイマン・デミレル首相が昨年十二月二日、宮澤総理と会談をいたしまして、企業投資の拡大、それから観光資源の開発、日本語教育の充実等の協力要請がありました。これらを受けて現在、トルコ共和国と我が国の経済交流のあり方、トルコ共和国と対外債務等についていろいろあろうかと思いますが、大臣の御所見を伺っていきたいと思います。
○武藤国務大臣 日本とトルコとの経済交流というのは最近緊密化していると私は承知をいたしております。 具体的な数字は、日本とトルコの貿易は、一九八五年の往復約五億ドルから九一年には往復約十一億ドルに増加をしております。それから、我が国企業のトルコに対する直接投資は八〇年代半ばより活発化してまいりまして、一九九二年までに四十四件、二億七千六百万ドルに増加しております。また、我が国のODAの供与額は中近東では第二位を占めておるという状況でございます。
○川島委員 次に、トルコのクルド人への弾圧についてお伺いをしておきたいと思います。 ドイツはこのことを人権無視と非難をいたしておりますし、欧州共同体及び緒方国連難民高等弁務官も懸念を表明をいたしております。しかし、トルコの知識人の間では、政府の措置はテロに対して行われた対策の一つであり民族の差別でない、こういう表明も行われているわけでございますが、その後の情勢はどのように変化をいたしておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 先生御承知のように、トルコには、公式統計はございませんけれども、約一千万規模のクルド人口がいると言われております。従来トルコ政府は、このクルド人に対しまして少数民族としての特別の権利は認めない、他の国民と平等の権利義務を有するトルコ国民であるという扱いをしてきておりまして、分離主義的な動きに対しましては、これを厳しく抑えるという政策をとってきております。 これに対しまして、クルド人の間には民族的自意識の制限に対する反発がございまして、クルド人が多数居住する南東部を中心にしまして、一九八四年以来、クルド労働者党、PKKが反政府ゲリラ活動を行ってきております。 これに対しまして、トルコ政府、特に九一年に成立しました現在のデミレル政権は、PKKのテロに対してはこれは絶対に容認できないという立場をとる一方で、この問題を民主的に解決するという態度を表明しておりまして、現に、出版の自由などのクルド人に対する文化的な自由化政策をとってきております。 さらに、ことしの三月にPKK側が一方的な停戦を表明しております。したがいまして、現時点では情勢は比較的鎮静化してきているという状況でございます。
○川島委員 次に、トルコ共和国が希望いたしておりますEC加盟問題ですね。これは、一時八七年に正式加盟を申請いたしまして、EC側が、ポルトガルの半分しか国民所得がない国だ、そして対外債務もいろいろあるから時期尚早ということではねられた経過がございます。その後どういう変化を来しているのか。 さらに、経済協力機構(ECO)と黒海経済協力機構(BSEC)の両ブロックに対してもトルコは非常な役割を果たそうといたしておりますが、このような中でトルコとして今どういう努力をされておるのか、この辺の情勢についてお伺いをしておきたいと思います。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 まずトルコのEC加盟のその後でございますが、先生御指摘のとおりに、八七年にEC加盟を申請いたしましたが、八九年にEC委員会は、EC自体の市場統合の調整が難航しているということを理由にしまして、トルコの加盟は九三年度以降に検討するということ、あわせまして、トルコがECに適合するための政治的、経済的な構造調整努力を行うことを求めるという審査報告書を提出しておりまして、その後特に新しい動きは出てきていないという状況でございます。 質問の第二は、経済協力機構(ECO)と黒海経済協力構想に関するトルコの役割でございますけれども、一九九二年二月以降、旧ソ連邦の中央アジア諸国がそれぞれ独立するという新しい事態を受けまして、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギスタン、タジキスタンなどをECOに新たに加えまして、トルコ、イラン、パキスタンの原加盟国と同様に地域内の経済協力の拡大、貿易障壁の除去、インフラの整備などについて地域協力を行うという方向を打ち出 してきております。しかしながら、この加盟国間の経済体制が違うというようなこともありまして、今後どう発展していくかについてはまだ未知数という状況でございます。 また、黒海経済協力機構でございますけれども、九〇年の初めにオザル大統領が構想として提唱してきたものでありまして、ソ連邦解体後、九二年二月にイスタンブールで会合を開きまして、トルコ、ロシア、ウクライナ、グルジア、モルドバ、アルメニア、アゼルバイジャン、ブルガリア、ルーマニアという九カ国の間で地域協力の機構が構成されております。これも各国の国内体制の違い、経済体制の違い、発展段階の違い、それから財源の不足などがございまして、まだ具体的な協力の活動は生まれてきていないという状況でございます。
○川島委員 次に、最近のイスラエルを取り巻く幾つかの問題点についてまず最初に大臣にお伺いをしておきたいと思います。 一つは、米国がクリントン新政権にかわるに当たって中東政策については変わりがないと声明を出しておったわけでございますが、その後いろいろ多くの変化といいますか、流れが出てきておるわけでございますが、どのような変化を来しておるのか、それが第一点。 二つ目は、アラブ・イスラエル紛争の問題の中でパレスチナ、アラブ人との二国間交渉が始まり、当事者だけでなく、関係諸国の多国間協議が行われ、難民問題を初め軍備管理・安全保障、水、経済、環境に分かれて討議が進んでおります。我が国は、多国間協議の環境グループの議長国として環境問題について対策が行われておるわけでございますが、その和平の見通し等についてお伺いしておきたいと思います。
○小原政府委員 まず事実関係につきまして私から御説明させていただきます。 御質問の第二点の中東和平多国間協議における日本の役割でございますけれども、昨年の一月にモスクワにおきまして多国間協議が始まりました。これは当事者の直接交渉とあわせまして、いわば車の両輪のごとく、和平の機運を進めていくという目的のために始まったわけでありまして、御指摘のように五つの作業部会が設置され、日本はその中の環境部会の議長国をし、さらに、全体を統括する運営委員会にも参加して積極的に貢献してきております。 作業部会はこれまでにツーラウンド、それぞれ部会を二度やりまして、この四月の末から五月いっぱいかけまして第三ラウンドを行う。我が国としましても、環境部会を五月の下旬に東京で開催するという方向で準備しているところでございます。
○武藤国務大臣 クリントン政権の対中東政策について私からお答えをさせていただきます。 クリントン政権は、中東和平交渉を含んで、中東の政策については高い優先度を持っておるものと承知をいたしております。なぜならば、本年二月にはクリストファー国務長官が中東を訪問をいたしまして、何とか和平交渉を推進していこう、こういう努力をしておるということでございます。 イラクにつきましては、御承知のとおり、一連の安全保障理事会の国連の決議の完全履行を迫っているわけでございまして、従来どおりの姿勢は変わらないものであろうと思っております。 イランにつきましては、現在どうも政策の見直しがされているのではないかと言われておりますが、しかし基本的には、同国がテロ支援あるいは大量破壊兵器の生産、開発といったようなことを行っているという点で、厳しい態度で臨んできた従来の姿勢を今後とも続けていくのではなかろうか。どの程度見直しが行われるかわかりませんけれども、多分従来の姿勢を結果的には続けていくのではなかろうか、こういうふうに判断をいたしております。
○川島委員 次に、湾岸戦争後のイスラエルとアラブ諸国との関係について、どう推移しているか、お伺いをしておきたいと思います。 アラブ諸国がイスラエルとの取引関係のある企業を排除する、アラブ・ボイコットと言われる問題はその後解決しておるのか。新聞等報道では、日本政府はアラブ寄りを修正、対イスラエル・ボイコット政策撤回を要請しているというような報道もあるわけでございます。しかし、我が国の石油の中東依存は、この中東に七十数%以上依存をしているわけでございますが、今後のそういう依存度がどう変化をしていくのか、そしてアラブ・ボイコットというのはもう考えなくてもいいのかどうか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 湾岸危機後のアラブ・イスラエル関係でございますけれども、御承知のように、湾岸戦争後、中東和平の歴史的な新しい動きが始まっているわけでございまして、直接当事者同士が交渉する、それから先ほど御説明したように、和平実現を望む域外の国も参加しまして多国間協議というものも始まってきているという、今までなかった中東における新しい状況が出てきております。 そういう中で、御指摘のアラブ・ボイコット問題を含むアラブ諸国のイスラエルに対する姿勢というものにも相当の変化が出てきておりまして、国によってはかなり柔軟な姿勢をとるという傾向が見られます。しかしながら、このアラブ・ボイコット政策そのものについて公式にアラブ諸国が態度を変えたということはまだございません。 我が国のアラブ・ボイコット問題に対する姿勢でございますけれども、これ自体は自由貿易を阻害するものであって望ましくないというのが我が国の従来の基本的な姿勢でございます。そういう立場から中東諸国に対しまして、ボイコットを停止するように昨年の十一月以降働きかけを行ってきているわけでございます。このイスラエルに対するボイコットをやめるということによって中東和平を推し進める、そういう当事者間の信頼醸成にも役立つというのが私どもの考えでございます。 アラブ、イスラエル、それぞれに対するおつき合いの仕方といたしまして、現在のように真剣に和平の交渉が行われているという状況では、その一方と関係を良好にすることが他方との関係を阻害する、そういう状況ではもはやないというふうに認識しております。湾岸諸国の石油に対する依存という状況は今後も続いていくものと思いますけれども、日本がアラブ、イスラエル双方との関係を発展させるということによりまして、中東和平に日本もより貢献できる、双方との対話を行える立場を築いて、それを通じて中東和平にも貢献できるという、そういう新しい場が開けつつあるというふうに認識しております。
○川島委員 時間がございませんので、最後に一点お伺いをしていきたいと思います。 最近のイスラエル経済の問題点として幾つかあるわけでございます。一つは、市場経済を採用しているが、非効率的な経済体質を有しているという問題。それから、景気動向が不透明で、インフレが非常に心配だ。それから三つ目は、ロシア移民の受け入れが一時財政を非常に圧迫をしておった、その移民のその後の状況がイスラエルをプラスにしている、こういう新しい流れが生まれてきた。最後に、米国及び世界のユダヤ人からイスラエルは援助があると言われておりますが、その援助の実態等、この問題についてお伺いをしておきたいと思います。
○小原政府委員 イスラエルの経済の現状でございますけれども、イスラエルは市場経済原則をもとにしまして、アメリカあるいはEC諸国並みの経済発展を目指してきているところでございます。労働組合運動が非常に強いということで、労使関係に非常に大きな特徴があるようでございますけれども、ここ一、二年経済は比較的順調に発展しておりまして、かねてから悩んできた物価上昇率も、昨年は九・四%に抑える、それから、実質経済成長率も六・四%という安定した成長を実現しているようでございます。 旧ソ連邦、なかんずくロシアからの移民がふえてきておりまして、約四十万人の移民を既に受け入れたとされております。しかし、当初四、五年の間に百万人受け入れるというペース、それはかなりスローダウンしてきているようでありまして、それは移民の就職難あるいは住居難というようなものが大きなネックになって抑制効果を出してきているということのようでございます。 米国からの援助、これはエジプト、イスラエル、この二カ国がアメリカの対外援助の大きな受け手であると言われておりまして、米国からの援助が年間約三十億ドルはあると言われております。 ユダヤ人同士の、同胞からの援助というものにつきましては実態をよく把握しておりません。
○川島委員 時間ですから終わります。ありがとうございました。
○伊藤委員長 東祥三君。
○東(祥)委員 ただいま議題になっております日本・トルコ租税協定並びに日本・イスラエルの租税条約について質問させていただきます。 まず初めに、外務大臣、先日トルコのオザル大統領が急逝されました。現地時間十七日だったと思います。オザル大統領は、御案内のとおり三十年ぶりに文民出身の大統領として出られた。また親日的で十数回に及ぶ来日をされている方でございました。また、最近の中東情勢を踏まえた上で、オザル大統領が湾岸危機のときに活躍された状況、また先ほど若干説明がありました中央アジアあるいはアゼルバイジャン等に関して果たしてきた外交的な役割、高く評価されている方でございます。 と同時に、前回の総選挙においてオザル大統領率いる祖国党が残念ながら大敗してしまった。そういう状況下においてトルコ内における地位が若干下がった、こういうふうにも伝えられているわけでございますが、このオザル大統領の急逝によって、トルコの社会及び経済、政治状況がどのように推移されていると外務省は推察されているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○小原政府委員 まずは事実関係について私から御説明させていただきたいと思います。 先生御指摘のとおり、オザル大統領は八三年から首相として、また八九年からは大統領としてトルコの政界の重要な指導者の役割を果たしてこられたわけでございます。政治家になる以前から通算しますと約二十回訪日されたという、自他ともに許す知日派、親日派であられたわけでございます。しかしながら、八九年に大統領になられましてからは、大統領は憲法上の権限としまして国家元首でありますが、儀礼上の役割に権限が限られるということになりました。 そういう状況にありましても、まだオザル大統領の与党であります祖国党が政権にありましたときには、大統領というよりは党の最高の指導者として実質的ないろいろの大きな役割を果たしたわけでございまして、御指摘のような湾岸危機のときのトルコの多国籍軍の活動への協力などもこのオザル大統領に負うことが多かったわけでございますが、九一年十月に与党が敗北しまして、デミレル首相を首班とするもとの野党が政権をとりましてからは、本来の憲法上の大統領としての役割に活動が限られるという状況が続いておりました。 したがいまして、今回の急逝されたこと自体非常に惜しむべきことでありますけれども、これによってトルコの内政、外交、なかんずく我が国との二国間関係というものに直接影響が及ぶというようなことはないのではないかというふうに見ているところでございます。
○東(祥)委員 今回の租税協定が締結されますと、トルコとの間には三本目の条約が結ばれる。平成元年日ト航空条約、そしてまた平成四年におきましては日ト投資保護協定締結、そして今回の租税協定でございます。 今、日ト関係にはオザル大統領の急逝は影響しないのではないか、このような御指摘があったわけでございますが、極めて親日的で、トルコ自体がまれに見る親日国であるというふうに私も経験上理解しておりますが、とりわけオザル大統領は、トルコを中東における日本にしたい、これを持論にしていた方でもございます。この方が急逝されることによって日ト関係に何らかの悪い影響が来るのではないのか、このように私は推察するわけでございますが、外務大臣、いかが御推察でございますか。そうならないようにするためにどうすればいいかということが質問の背景にあるわけでございますが、お考えをお聞きしたいと思います。
○武藤国務大臣 私も実はオザル大統領とは大変お親しくさせていただいておりましたので、本当に残念でございます。今局長から答弁をいたしましたようなことでございまして、ただ憲法上といいますか、現在のトルコの政治情勢からまいりますと、オザル大統領の国内における影響力というのは相当低下をしておったことは事実だろうと思います。 そういう面からいって、国内の問題はともかくといたしまして、それではトルコと日本との関係はどうか、こういうことになりますと、これも今局長の答弁もございましたように、デミレル首相を昨年の十二月いわゆる公式実務賓客としてお招きをいたしておるわけでございますし、その点については、デミレル首相も非常に日本を理解して帰ったと思っておりますので、私は二国間の関係がオザル大統領の御逝去によって変わってくるということは全くないというふうに判断をいたしております。
○東(祥)委員 それでは、イスラエルとの租税条約に関連して質問させていただきます。 イスラエルとは我が国は今まで何の条約も締結していないわけでございます。今回この条約が締結されれば初めてのものになる。何ゆえ租税条約が初めての条約としてイスラエルと結ばれることになるのか。さらにまた、この租税条約が結ばれる、用意されるまでの過程、経緯についてお伺いいたします。
○小原政府委員 先生御指摘のとおり、この租税条約がイスラエルとの間で結ばれます初めての国際約束でございます。別途、査証の相互免除の取り決めでありますとか、あるいは司法上の共助の取り決めなどもございますけれども、これは国際法に言う国際約束ではないものでありますので、この条約が初めてのものになるわけでございます。 この租税条約そのものにつきましては、両国間の経済関係がここ数年の間にかなりの速さでかなりのレベルに進みまして、租税条約を必要とする、そういう実態が出てきたという状況を反映したものと言えると思います。 先ほどのお答えでちょっと申し上げましたけれども、アラブ、イスラエル双方の国とそれぞれ友好関係を発展させていくことができる、そういう状況に国際環境がなってきたということが言えると思いますし、また、我が国がそうすることが中東のいろいろの問題に日本独自の立場で貢献できる、そういう基盤づくりにもなるというふうに考えているわけでございます。
○東(祥)委員 イスラエルの地理的範囲についてお伺いいたします。 条約によれば、第三条一項の(b)で、「イスラエルが国際法及びイスラエルの法令に基づき主権を行使することができるイスラエル国のすべての領域」等云々、こういうふうに書かれているわけでございますが、有名な国連安保理決議二四二及び三三八とのかかわり、つまりヨルダン川西岸地区、そしてガザ地区とのかかわり合いについてお伺いいたしたいと思います。
○小池政府委員 お答えいたします。 イスラエルの定義は条約の三条一項(b)に規定されておりますけれども、地理的な意味で用いられる場合のイスラエルの領域というのは、国際法及びイスラエルの法令に従ってイスラエルが主権を行使できる領域でございます。すなわち、先生御指摘のヨルダン川西岸、ガザその他の地域、いわゆる一九六七年の戦争によって占領された地域というのは国際法上イスラエルの領土とは認められ ておりませんので、この条約上の地理的な意味で用いられている場合のイスラエルの範囲からは当然排除されております。 それと、安保理決議二四二、三三八との関連でございますけれども、我が国は、武力による領土の取得は認められないという国際法上の原則に従って、イスラエルが安保理決議二四二、三三八に従って全占領地から撤退するように繰り返し要請してきております。これは、本条約に言うイスラエルの地理的範囲も二つの安保理決議と軌を一にするものというふうに考えております。
○東(祥)委員 先ほど局長の方から、イスラエルのみならずアラブ諸国との交流も緊密にしていきたい、推進していきたいというお話がありました。今回の条約をイスラエルと締結することによって他のアラブ諸国、大半が、大半といいますか、イスラム圏でございますが、イスラム教に従えば、利子を取るということも基本的に禁止されている、そういう宗教的な問題もあります。 実際のところ、アラブ諸国と租税条約が結ばれている国を挙げるとすればエジプトだけなんだろうというふうに私は理解いたしております。そうしますと、エジプトを入れて二十二、イランを入れて二十三ですか、全体の数は間違いがあるかわかりませんが、それぐらいの国々がこの地域にイスラム諸国として存在する。イスラエルとの租税協定を結ぶことによってこれらの国々に悪い影響を外交上与えるのではないのか、このように推察いたしますが、この点についていかがお考えでございますか。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、いわゆるアラブ諸国との間で租税条約があるのはエジプト一カ国でございますけれども、現在クウェートとの間で交渉中でございます。 イスラエルと条約を結ぶことによってアラブ側から日本に対する反発が出る、そういう事態が起きるとは考えておりません。現にアラブ側から異論が出るということは今まで出てきておりません。先ほどのお答えの繰り返しになりますけれども、アラブ、イスラエル双方といわば拡大均衡的に関係を発展させることが可能であるというふうに考えているところでございます。そういう中で中東和平などへの日本の貢献が双方から評価されるという状況になってきております。
○東(祥)委員 中東和平について質問させていただきます。 余りにも大きな問題で短時間で議論するということがそもそも不可能だなというふうに思うのですが、中東和平に関連して最大の懸案事項が、先ほども一部の議論としてありましたが、パレスチナ人国外追放問題であろう、このように思っております。大変憂慮いたしております。一人のパレスチナ人、国外追放された、あるいはまた弾圧、難を恐れて日本まで逃れてきた人が難民申請し、そして残念ながら一年かかった審査の上日本においては却下されているという事実がございます。この点については別のところで取り上げさせていただきましたが、このような状況を見ておりますと、パレスチナ人国外追放の問題に対して日本が余りにも積極的ではない、このように思えてなりません。 この問題に対して政府としてどのようにお考えになられているのか、さらにまた政府が何をやられようとしているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 御指摘のとおり、約四百人に上りますイスラエル占領地からのパレスチナ人活動家の大量追放というものが、今、中東和平の直接交渉を再開する上での最大の障害になっているという状況でございます。昨年十二月十七日にイスラエルがそういう追放措置をとりました。その原因、引き金になりましたのは、占領地におけるパレスチナ人過激派の一連のテロ活動というものがあったわけでございます。 しかし、原因は何であれパレスチナ人の大量追放というものは国際法上認められない行為でありまして、これを厳しく非難する外務報道官談話というものを直ちに発出いたしましたし、また、時を同じくしまして、中近東アフリカ局長がイスラエル大使を招致して撤回を強く求めるという措置をとったわけでございます。以来、機会あるごとに関係当事者の自制を強く求めて、中東和平達成に向けて一層の努力を強化するということを呼びかけて現在に至っているわけでございます。
○東(祥)委員 確かに、イスラエルとのかかわり合いでいけば、今御指摘になった問題がパレスチナ人とのかかわり合いで一つあります。それからもう一つは、湾岸戦争後における中東全体におけるパレスチナ人の問題というのがあります。 今までの単なる、単なると言ったら語弊がありますけれども、限られていた。パレスチナ問題から、明らかに重層的、複合的な形でパレスチナ問題というのは取り上げられてきている。そういう意味で、問題の所在を明確にした形で、さらに日本政府のこの問題に対しての積極的なかかわりと、また貢献を期待しております。 もうあと四分ほどしかありませんので、済みません、質問いろいろ用意させていただいているのですが、全部質問できないので、最後に飛ばさせていただきたいと思います。 租税条約とのかかわり合いでいきますと、日本にとってまず一番最初に租税条約を結んだ国にアメリカ合衆国がございます。クリントン政権が誕生して以来、また大統領選挙戦中から、外国企業への課税強化ということを積極的に言われておりました。また、ことしの二月の段階でも、課税強化に対しての動きがある程度明らかになってきているのではないのか。租税条約に照らした上で、このアメリカ合衆国の課税強化の動きが日本企業にどのように影響してくるとお考えになられているのか。 さらにまた、総理が訪米いたしました。この問題についてクリントン大統領と議論されたのかどうなのか。この点について質問させていただいて、御回答をいただいて、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
○林(暘)政府委員 二番目の御質問の方を先に答えさせていただきます。 さきの日米首脳会談で、米国の外国企業に対する課税の問題は、両首脳間の会談では出ておりません。
○竹内説明員 最初の御質問でございます米国の課税強化の本邦企業に与える影響ということでございますが、今回の課税強化策の詳細は、まだ法案が出ておりませんので必ずしも明らかではございません。ただし、その内容は、海外の関係会社との取引を通じた租税回避行為を防止するための税制の強化ということでございますので、したがいまして、少なくとも不当に在米子会社の所得を海外に移転されているというような企業については影響を受けるということが考えられます。 ただ、いずれにいたしましても、その影響の度合いは個々の企業がどのような取引実態にあるかにかかっておりますので、どのくらい影響が出るかについては、今のところ明らかではないということでございます。
○東(祥)委員 終わります。ありがとうございました。
○伊藤委員長 古堅実吉君。
○古堅委員 最初に、イスラエルとの租税条約に関連して質問いたします。 イスラエル政府は、占領問題でも、また占領地からのパレスチナ人追放問題でも国際法違反を続けていますが、この租税条約を締結するについて何らの支障もなかったかどうか。基本点についてお尋ねします。
○小原政府委員 租税条約は二重課税の防止、脱税の防止という特定のそういう目的のために締結されたものでございますので、御指摘のような支障は特段なかったと考えております。
○古堅委員 パレスチナ人の追放問題ですけれども、政府はイスラエルのこの非人道的行為に対してどのような措置をとってこられたか、パレスチナ人の自決権を守るために日本政府としてどういう外交をやってこられたのか、その点についてお聞かせください。
○小原政府委員 先ほど同じような御質問にお答え申し上げましたので繰り返しになりますけれども、イスラエルにおりますパレスチナ人の大量追放というのは国際法違反で容認できないというのが私どもの姿勢でありまして、直ちにこれを厳しく非難する外務報道官談話を発表し、あわせてイスラエル政府に対しまして追放措置の撤回を求めたところでございます。 パレスチナ人の苦難というものは、一日も早く問題を解決することによってそういう状況からの脱却をするという、これは国際社会が一致して望んでいるところであります。それを実現する道は中東和平の実現を通じてしか根本的解決はないわけでございまして、直接交渉が片や進む中で、これを補完するものとして多国間協議というものが行われ、我が国は、中東和平実現への貢献の一端としまして、積極的に参加し、貢献をしてきているところでございます。
○古堅委員 先ほども質問にありましたが、確認の意味で念を押してお尋ねしますけれども、国連安保理決議の一九六七年の二四二及び一九七三年の三三八がございます。日本政府は、ゴラン高原、ヨルダン川西岸、ガザ地区、この三つともイスラエル政府は返還すべきだという見解は明確ですか。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 我が国は、従来から国連決議二四二、三三八を基礎としてイスラエルの全占領地からの撤退、独立国家樹立の権利を含む民族自決権の承認、イスラエルの生存権の承認を通じて公正、永続的、かつ包括的な和平が達成されるべきであるという基本的な態度を一貫してとって今日に至っております。
○古堅委員 念を押して聞きますけれども、ゴラン高原、ヨルダン川西岸、ガザ地区、この三点について今の御答弁で含まれているというふうなことですか。
○小原政府委員 そのとおりでございます。
○古堅委員 先ほど指摘しましたパレスチナ人追放問題にかかわる非人道的な問題、それから占領地について国連決議をも無視してじゅうりんの姿勢が続いているというイスラエルの態度、そういうものは許されてはならないだけに、経済問題優先などとかいうふうな立場で、我が国外交上、そういう大事なものについていささかもあいまいにしちゃいかぬ、そういうことについて指摘しておきたいと思います。 次に、トルコとの租税条約について、若干質問いたします。 この租税条約について、政府は、トルコからの要請があったので交渉を開始したというふうに、相手国の要望に沿ったかのような説明になっております。しかしながら、トルコに対する日本資本の進出の経緯を見ますと、実態的にはそのようになっていないように思われます。 まず、一九八五年までの日本のトルコへの投資件数、投資資本はどの程度であったか。
○小原政府委員 八五年までは投資の実績はございません。
○古堅委員 たしか四件、四百万ドルがあったんじゃないですか。
○小原政府委員 手元の資料によりますと、八五年以前の実績が記されたものはございませんので、後ほど詳細については調べてお答えを申し上げたいと思います。
○古堅委員 私が調べてきたところでは、四件、四百万ドルございます。それがあったとしても大変低調だったことを物語るものであります。なぜそういうことになったのか、その一例を引用してみたいと思うのです。 一九七〇年代の石川島播磨重工業の進出問題です。 石川島はペンディク造船所建設のためにイスタンブールに工場を建設する予定でした。それが、途中で手を引きました。その理由が何であったか政府は御存じですか。
○小原政府委員 詳細については承知しておりませんけれども、資金調達に困難があったということ、それから七〇年代のトルコ情勢の不安定などがその背景にあったというふうに聞いております。
○古堅委員 今おっしゃるようなことにかかわる面があったかもしれませんが、ずばり言って、そういうところからの問題じゃないのですよね。 前駐日トルコ大使のウムット・アルク氏が「トルコと日本」という本を出しています。今ここに持ってきておりますけれども、それを読みました。 当時のトルコの法律では、外国資本が五一%以上の株主になることは許していなかった。トルコ側の主権の確保のために必要だったからであります。ところが石川島は、法律の規定を無視して、五一%の株主となることを要求したのであります。そして、その要求が通らないと見ると、手を引きました。八二年にも日産が自動車と部品生産のための進出を決定しましたけれども、その後、トルコ側から不利な条件がついたとして進出を拒否しています。こういう経緯を経て、トルコ側は、日本を含む外国資本を受け入れるためにはやむなく自国の主権の制限に踏み切らざるを得なかった、これがトルコ側も言っております経緯の実態です。 一九八六年に至ってトルコ側が設定したフリー・トレード・ゾーンは、こういう状況のもとでできたものでありますけれども、御存じですか。
○小原政府委員 七〇年代それから八〇年代前半のトルコでは、外国企業がトルコの企業に資本参加する場合には、国内法上、その資本比率が四九%まで制限されていたということは御指摘のとおりでございます。この制限は八六年ごろに廃止されたというふうに理解しております。 御指摘のこのフリーゾーンも、オザル政権が、国内経済の開発を進めていくために外国資本を導入することが不可欠であるという認識に立ちまして設定したものというふうに理解しております。
○古堅委員 このフリー・トレード・ゾーンに進出した企業は、十年間は法人税を払わないでよいということになっています。しかも、ここで働く労働者はストライキをすることも禁止されているのであります。日本独占資本の進出は、トルコの主権の制限、労働者への抑圧とともに進んだのであります。 日本の財界がトルコへの進出を目指し始めた一九八四年に、日本トルコ友好議員連盟が設立されましたけれども、その会長は金丸信でございました。金丸氏の就任とともにトルコに対する日本の資本進出は急増いたしました。先ほどお尋ねしても答えられなかったのですけれども、八五年までは四件、四百万ドルだった投資が、八六年以降の現在は何件、幾らですか。
○小原政府委員 八五年以降九二年上半期までの直接投資の件数は四十四件、金額にしまして二億七千六百万ドルでございます。
○古堅委員 このように、急速に件数もふえ、投資の資本もふえてまいりました。 金丸氏の役割を示す好例をもう一つ言っておきますと、第二ボスポラス大橋の開通式の問題がございます。この開通式の日程は日本の国会の日程との関連で決まったとされますけれども、御存じですか。
○小原政府委員 御指摘のような経緯の詳細は承知しておりません。
○古堅委員 御存じなければ申し上げておきましょう。 これも先ほど引用しました前駐日トルコ大使が本で書いています。「卓越した政治家であり、また日本トルコ友好議員連盟会長をつとめる金丸信元副総理」の出席を保証するためというのであります。トルコヘの企業進出やODA供与をめぐっては何かと金銭のうわさがつきまとっていた中心人物が金丸氏では、うわさだけでは済まないような気がしてなりません。 本条約は、こうして破格の条件で進出が許さ れ、国内だけで活動するより莫大な利潤を上げる日本の独占資本に対して、国内並みだけの課税がされれば済ますという条約面での保障、それがその本質となっております。そういう面で我が党としては容認できない、そういう態度を表明して終わらせていただきます。
○伊藤委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○伊藤委員長 これより両件に対する討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。古堅実吉君。
○古堅委員 私は、日本共産党を代表して、日本とトルコ及びイスラエルとの間の租税条約に反対の討論を行います。 この租税条約は、両国の租税制度の違いによって生まれる混乱を回避するため、協定で定義等を明確にすることにより、大企業に対し、国内法で定められた優遇税制の実施を確実に保障するものであります。 条約の締結、特にトルコとの協定に見られるみなし控除の規定により、日本の企業は国内で活動するよりトルコに進出した方が税制面で優遇されることになります。既にトルコではトヨタ自動車が十万台の生産計画を発表していますが、こうして日本国内では産業の空洞化が進むことになります。 さらに、イスラエルとの条約についていえば、日本がイスラエルと経済交流を拡大する目的で結ぶ初めての条約であり、国会の批准を必要とする初めての条約でもございます。 我が党は、イスラエルと外交文書を取り交わすこと一般に反対するものではありませんが、イスラエルが国際法に違反し、国連安保理決議もじゅうりんし続け、占領地からの撤退を明確にしないもとで我が国の態度を転換することは、中東和平問題で貫くべき国際道義を踏み外し、アメリカの戦略と日本独占資本の権益追求に奉仕するものとなる、このように考えます。 以上の点で、提案された条約に反対であることを表明し、討論を終わります。
○伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○伊藤委員長 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とトルコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とイスラエル国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○伊藤委員長 次に、気候変動に関する国際連合枠組条約の締結について承認を求めるの件及び生物の多様性に関する条約の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。 これより両件について政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣武藤嘉文君。 ————————————— 気候変動に関する国際連合枠組条約の締結につ いて承認を求めるの件 生物の多様性に関する条約の締結について承認 を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○武藤国務大臣 ただいま議題となりました気候変動に関する国際連合枠組条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、平成四年五月九日にニューヨークで作成されたものであり、大気中の温室効果ガスの濃度の増加によってもたらされ、自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼすおそれのある気候変動に対処するための国際的な枠組みを定めることを内容とするものであります。 我が国がこの条約を締結することは、地球環境問題に関する国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 次に、生物の多様性に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約は、平成四年六月五日にリオデジャネイロで作成されたものであり、地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全し、生物資源を持続可能であるように利用し、及び遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分することを目的とするものであります。 我が国がこの条約を締結することは、地球環境問題に関する国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願いいたします。
○伊藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 次回は、来る二十三日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十六分散会 ————◇—————