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126回国会衆議院1993/04/09

外務委員会 第2号

発言数
177
登壇者
18
会派数
5
開催日
1993/04/09

会議録

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ちまして、昨八日、国際連合ボランティアでUNTAC選挙監視要員の日本人中田厚仁君が、国際貢献の使命に燃えてカンボジア和平のためボランティア活動中、銃弾の犠牲となられました。  将来、国連大使を夢見て勇敢に行動された中田厚仁君と御遺族の方々に衷心より哀悼の意を表し、委員各位の御協力をいただいて、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いいたします。――黙祷。     〔総員起立、黙祷〕

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 黙祷を終わります。御着席願います。      ――――◇―――――

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 この際、武藤外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣武藤嘉文君。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 今般、外務大臣を拝命をいたしました。正直、大変複雑な心境にございまして、二十何年の長い間、同志として一緒に行動をともにしてまいりました渡辺前大臣が病気のために辞任せざるを得ないという、そういう中でその後を引き継いでやれということでございまして、何かこれが人の運命かもしれませんけれども、渡辺さんのことを思いますと、非常に複雑な心境にございます。  しかし、日本の今国際社会の中で置かれている立場を考えれば、いっときも外交の停滞は許されません。そういう面において引き受けろということでございますので、お引き受けをいたしました。  私は、今までどちらかといえば国内的な問題については相当経験を積んでまいりましたけれども、外交は初めての経験でございますので、ひとつ外務委員会の先生方のよき御指導によりまして、日本の外交が誤りなきように努力をしてまいりたいと思っておりますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。  特に、今東西冷戦がなくなりまして、新しい世界の平和を目指した秩序づくりを各国が努力をいたしておりますけれども、経済状況にいたしましても必ずしもいい状況だとは言えませんし、また、今黙祷をみんなでいたしましたけれども、せっかく平和を目指しているカンボジアでさえあのような痛ましい事件が起きるわけでございまして、そしてまた旧ユーゴスラビアあるいはアフリカのあちこちで今なおいろいろの紛争が起きておる、本当にこういうときに、一日も早く平和で世界じゅうの人たちが幸せに暮らせるような時代をつくっていかなければならない。そういう点においては、今国際社会の中に置かれている日本の立場から考えますと、本当にしっかりした外交をやっていかなければならないと思っております。  たまたま今回、日本で東京サミットが七月に行われるわけでございますし、そのサミットにおける一つの大きなテーマでございますロシアに対する支援につきましては、来週G7の外相・蔵相会議も開かれるわけでございまして、本当に私も早速いろいろの仕事に取りかからなければいけない、まことに勉強する暇もないというようなことでございまして、一生懸命やってまいるつもりでございますけれども、よろしく御指導のほどをお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。(拍手)      ――――◇―――――

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田高敏君。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 私は、具体的な質問に入ります前に、一言私の立場からもごあいさつをいたしたいと思います。  今新大臣からごあいさつがございましたが、渡辺前外務大臣は、病気とはいえ、外務大臣を辞任することになりました。持ち前の本音で物を語るという渡辺外務大臣独特の、いわばいい悪いの批判はありましょうけれども、ある意味においてめり張りのきく外交を展開してきたリーダーではなかったかと思います。そういう意味では、一日も早い御全快をお祈りしながら、また、今武藤新大臣からは真摯なごあいさつがございました。  新大臣は豊富な経験をお持ちでございますが、今日我が国の外交は問題山積でございまして、非常に多難な問題がたくさんあると思います。そういう中で御苦労でございますけれども、せっかくの御活躍を期待を申し上げて、新大臣の就任に対するごあいさつといたしたいと思います。  そこで私は、きょうはカンボジアの和平問題についてお尋ねをいたしたいと思うわけでありますけれども、その前に、今委員長の取り計らいによりまして、中田厚仁君に対し御冥福をお祈りし、また御遺族に対し哀悼の意を表したところでございますが、質問に先立ちまして、国際貢献に貢献される途中このようなとうとい犠牲になられました中田厚仁君のみたまに対しまして、改めて御冥福をお祈りするものでございます。  さて、このカンボジア問題は、予想していた以上の大変な事態が今起こっておると思います。私ども、当然のことでございますが、十三年ぶりにカンボジアに和平がよみがえってくる、そういう意味では、基本的な立場としては、カンボジア人の手による新生平和国家の再建がUNTACの業務活動を通じて一日も早い成功、いわゆる円満な総選挙を通じて新しい憲法を制定して、大統領制をつくるのかあるいは議院内閣制による制度をつくるのか、ともあれ自由にして公正な選挙を通じて新生カンボジアの誕生を期待しておったわけでありますが、そういうやさきに、あってはならない、起こってはならない最悪の事態が起こりました。  こういう事態に直面して、今政府は何をなすべきか。その第一は、まず予見を持たないでこの事件の真相を直ちに究明し、そして国民に公表することではないだろうか。それと同時に、自衛隊を含めてでありますけれども、ボランティア活動と称する停戦監視団の関係あるいは選挙監視活動、そして文民警察等々、ボランティア活動に参加をしておる人々の人命、安全対策というものについて、我々は新聞報道ぐらいしか情報がないわけでありますけれども、少し安易な対応で終始してきたのではないかという心配をいたしております。この事態に直面をして、人命の安全対策について政府は大急ぎで見直しをすべきではないかと思うわけでありますが、いかがでしょうか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 昨日、日本人国連ボランティアの中田さんが、通訳とともにあのように悲劇的な死を遂げられたことはまことに残念でございます。その事件の背景、目的等詳細につきましては、現在UNTACにおきまして鋭意調査を進めているところでございます。私どもも、UNTACと協力をいたしまして、できるだけ詳細な情報を得ようということで努力しておりますので、情報を得次第、ただいま藤田先生御指摘のとおりこれを公表してまいりたいと存じております。  これもまた御指摘のとおり、UNTACの平和維持活動に参加する要員の安全というものは最も大事なことでございますので、これまでも政府といたしましては意を用いてきたところでございますけれども、第一義的にはUNTACにおきましてこの安全対策を講ずるということでございますので、昨日早速、UNTACに対して、カンボジアにおきまして一層の安全対策を講ずるよう要請をしたところでございます。  具体的には、これまでもUNTACといたしましては、選挙に向けて緊張が高まるであろうという予測のもとにいろいろな安全対策をとってきております。例えば、夜間には出歩かないようにするというようなこと、それから危険の多いところでは歩兵部隊の宿営地に寝泊まりをするというような措置、あるいは歩兵部隊の警護をつける等々の措置をとっております。しかしながら、このような事件を契機といたしまして、UNTACとしてもこの安全対策の見直しということを早急にやっていると承知しております。  また、要員を派遣しております日本政府といたしましても、通信体制の整備でございますとか、あるいは情報の提供等々、できる限りのことをしてまいりたいと存じております。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 当然のことですけれども、今答弁のありましたようなことを中心に、人命の安全確保に向けては格段の努力をやってもらいたい、このように思います。  そこで、中田厚仁さんの犠牲に伴う補償問題ですね。これは身分からいって国連の職員ということになるのでしょうか。そういうことになれば、第一義的には国連の責任においてということになろうと思うのですけれども、日本政府としても何らかの形で対応すべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 ただいま御指摘のとおり、国連ボランティアの方々は、国連と直接契約をされまして、国連のいわば一部として活動されているわけでございます。文字どおりボランティアでございまして、日本人のボランティアにつきましても、日本政府としてはその採用等に一切関与していない次第でございますので、制度上は第一義的にまさしく国連がこの補償の問題の責任を負うということでございます。私ども承知しているところでは、ボランティアにつきましては、国連において掛けております保険によって補償を行うというふうに承知しております。その手続は、UNTACにおいて開始されると考えております。  さらに、日本政府として何かできないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたような地位の方々でございますので、日本政府の持っております制度には直接にはのってこないわけでございますが、なお先例等も調査いたしまして、何かできないか、この問題について鋭意検討させていただきたいと存じます。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 先ほどの答弁の中で、今日のカンボジア情勢についての現状の報告、これはこういった事件が起こった問題を含めて、今UNTACが進めておる業務活動が今後順調に進むのか、それとも、これから私が質問をするような不安材料のために中断を余儀なくされるのか、そういうようなことについて、これまた主観を用いないで、ややもすると、また事件等が起こりますと一にも二にもポル・ポト派のしわざではないかというようなことが世間で流布されるわけですけれども、そういう予見とか主観的な立場でこの事態を把握するのではなくて、極めて客観的に事態を判断をして、そうしてその実態をこの外務委員会なり国会の正規の機関へできるだけ早く公表をしてもらいたい、これは強く要望しておきたいと思います。  これは大変愚痴になりますけれども、委員長、この国会が始まって外務委員会は衆議院の方はやっていないですね。参議院の方は二回やっているのですよ、案件の問題もありますけれども。そういう点では、こういう事態が起こったときには、やはり国会の機能として最も敏感に対応しなければいかぬのは外務委員会じゃないか。そういう点では、生きた委員会の運営、対応の仕方について考慮してほしい、これは委員長に対しても要望しておきたいと思います。  それで、今同僚議員からも出ておりますが、その公表のいかんによっては、余り形式にこだわらないで、カンボジアだったらカンボジア問題に絞って、予算委員会で言えば集中審議的な対応をすることが非常に大事じゃないか。これは失礼だけれども、事務局が書いたペーパーを読んで一件落着というようなことではなくて、大臣と私との間には食い違ったこともあるかもわからないし、しかし、国際問題ですから、できるだけ共通の土俵で、共通のいい目標の達成に向けて協力し合うという意味において、今後の運営面についての御配慮をお願いしておきたいと思うのです。まず委員長の見解を聞きましょう。

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 藤田委員の御意見は、十分私自身受けとめて今後の委員会に生かさしていただきたいと思います。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 そのことを強く要望しておきます。  そこで、このカンボジアの問題については、大変残念なことですけれども、今日のこの事態は、当初私どもが期待し、予測いたしておりましたように、パリ協定の精神に沿って、そしていわゆるPKO協力法五原則に沿ってカンボジアの国連活動が順調に進むのではないかと思っていたのですけれども、事態は、先ほどの事件を含めまして、率直に言ってパリ協定の根本になる問題が崩れつつあるのじゃないか。また、いわゆる平和協力法の五原則、なかんずく当事者間の停戦の合意、こういうものが現実に崩れているのではないか。この問題が偶発的あるいは単発的な問題として今の局面を迎えているのではなくて、言うところのポル・ポト派が一番肝心な選挙をボイコットする、これは公式にキュー・サムファン議長が態度表明をしておりますし、その中から予見されるものは、あってはならぬのですけれども、UNTAC自身がこの攻撃のターゲットにされるのじゃないか。そしてまた、あってはならぬと思うのですけれども、選挙、投票の妨害、そういう意味でこれまた選挙の監視員に対する負傷事件が起こるような事態をも私どもは残念ながら予測をせざるを得ないと思うのです。  そういう意味合いから、政府は、今日の事態を含め、現地の今日の現状、そして今後の動向はどうなるだろうかというようなものを極めて客観的に分析をする場合に、パリ協定あるいはPKO参加五原則の線に沿って業務活動が進むというふうに判断をなさっているのか、それとも悲観的な見通しを持たれているのか、このいずれであるかをお答えいただきたいと思います。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 まず第一にパリ協定等の関係でございますけれども、ただいま御指摘のように、確かに当初パリ協定で予想したような形で完全にこの和平のプロセスが進んできたということではないというのは事実でございます。特に、パリ協定で規定しております武装解除でございますけれども、いわゆる第二段階、これは昨年の六月十三日に入ったわけでございますが、それにおきまして七〇%の武装解除をする、そういう武装解除をした上で、いわば武装の低い水準のもとで停戦をさらに確固たるものにするということだったわけでございますが、この点は残念ながら実現しなかったわけでございます。ポル・ポト派以外の各派の武装解除は若干行われましたけれども、それ以上ポル・ポト派以外の三派の武装解除だけを進めるということはむしろ危険であるという考え方もございまして、この点は停滞をしたわけでございます。  他方におきまして、選挙登録あるいは難民の帰還は非常に順調に行われまして、選挙登録につきましては四百七十万の有権者の登録が行われたわけでございます。亡くなった中田さんのようなボランティアの方々が大変な努力をされまして、この選挙登録は順調に進んだと言って差し支えないと思います。また、もう一つ前進いたしましたところは難民の帰還でございまして、三十三万を超える難民がカンボジアに帰ってまいりまして、タイの難民キャンプは閉鎖をすることができるようになったという点もあったわけでございます。したがいまして、パリ協定との関係におきましては、実現したものもありしなかったものもございます。  それから、もとより、ポル・ポト派が選挙に参加しないという意向でございますことは大変残念な点でございます。ただ、いわゆる停戦の合意自体は私どもは今も守られていると思います。いろいろな停戦違反あるいは今回のような襲撃事件が起こっているのは事実でございますけれども、全面的な戦闘の再開になっているわけではございませんし、また、ポル・ポト派を含めまして各派ともこのUNTACの活動の受け入れという立場を変えているわけではございません。したがいまして、我が国の国際平和維持法の基本になっております五原則は現状においては満たされているというふうに認識しておる次第でございます。  今後のことでございますけれども、当面の最大の課題は、公平な、そして民主的な選挙を行う、そして国民に支持された新しい政府を樹立するということでございますので、そのようなことが行い得るようにUNTAC、そしてUNTACに参加している世界じゅうの国々が努力すべきであろうというふうに考えております。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 パリ和平協定なり、なかんずくいわゆるPKO参加五原則の合意条件は崩れてない、こういうことでありますが、これは個別的、散発的にパリ和平協定なりあるいはPKO協力法の五原則に抵触するような事態が起こったというのではなくて、パリ協定の一番根幹になるのは、外国軍隊を含めて、カンボジア内におけるいうところの四派の武装解除の上に停戦の合意が成り立つ、そこで公正にして自由な、民主的な選挙というのがUNTACを中心とする国連のカンボジア再建に向けての活動のスケジュールであったと私は思うわけです。  そういう点からいうと、この四派を構成する中のポル・ポト派勢力が組織的に大事な武装解除はやらない、いわゆる停戦の合意の大前提になる武装解除がやれない、こういう事態が起こっておる。武装解除をやらないばかりか、先ほどから指摘をしておるように、一番大事な選挙にも参加しない、ボイコットをやる。そうして、事と次第によっては、カンボジア人の手によるカンボジアができるわけではないという前提で、率直に言えば、ベトナム人が相当入った選挙になってしまう、これでは真のカンボジアの民主的な独立国家としての再生はない、こういう立場から選挙それ自体を妨害する、こういう事態が十分予見されておるわけなんですね。こういう状態の中で、パリ協定あるいは五原則が崩されていないという点は、いささかこれは強弁に過ぎるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 確かに、理想的な停戦の合意と申しますものは、武装解除を進めまして紛争当事者の各派が低い水準の武装、さらに理想的に言えば、武装を完全に解除した形で停戦がなされるというのが一番よろしいわけでございます。パリ協定もそのような考え方に立って七〇%の武装解除ということを規定したわけでございます。しかしながら、現実の問題としては、これは実現していないというのはまことに残念ではございます。  ただ、武装解除がなければ停戦の合意がないかということになりますれば、停戦の合的そのものは、武装解除なしあるいは余り武装解除をしない、言いかえますれば、武装の水準の高い状態での停戦の合意というものも十分あり得るわけでございます。もとより、武装の水準の高い停戦の合意というものがより低いものに比べますれば危険度が高いということは言えると思いますが、しかしながら、停戦の合意そのものは現在でも保たれているというのが私どもの考え方でございます。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 PKO協力法が成立する過程の審議経過からいえば、今の柳井さんの答弁は大変詭弁のように聞こえるわけですよ。  私どもは、少なくともこのカンボジアの和平、停戦というものは、四派の武装解除が完全になされるということを期待し、そのことを前提にして合意が調ったということで、自衛隊を派遣するかどうかについては我々と意見を異にする政府・与党とのそういう関係がありましたけれども、そういう考え方、見方においては武装解除というものが前提だ、こういう前提に立ってこの問題に対応してきたわけです。  今のお話を聞いておると、武装解除がなくとも停戦の合意というものはあるのだ、最初からそんな解釈でPKO協力法を国会に提案をし、審議したのですか。極端に言えば、国民をだましたことになりませんか。私はそう思いますよ、素直に。国民はやはり、カンボジアの四派がいろいろなことがあってもそれぞれ武装解除しましょう、それまでカンボジアに入っておった外国の軍隊も、ここのパリ協定にあるように武装解除を全部しましょう、外国軍隊は撤退しましょう、そういう形の中で停戦というものができましたということで、いよいよこの活動に入りましょうというのじゃなかったのですか。そこのところは大事なところですから、私もたくさん質問のなにがありますが、その点をぜひひとつお聞かせ願いたいと思います。  それと、いま一つは、やはりUNTACの活動の一番失敗は、完全にポル・ポト派の武装解除をやらないまま入った、ここに一番大きな原因があるように思うのですが、どうですか、これはもう率直に言って。その非は非として素直に認め、国民が理解できるような答弁をひとつやってもらわなければいかぬですね。どうでしょうか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 停戦の合意を含めまして五原則の問題につきましては、法案の審議の際にいろいろ御議論があったわけでございます。カンボジアの和平のプロセスにつきましては、確かにパリ協定におきまして、停戦の合意のほかに武装解除というものもこの合意の一環に含まれていたわけでございまして、これは事実でございます。そして、この武装解除が予想どおり進まなかったということも事実でございます。  繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、この武装解除のレベルというものはいろいろあり得るわけでございまして、もとより武装解除が非常に進んだ状態での停戦の合意が守られるというのが理想ではございますけれども、現実の問題といたしましては、そのような状況でない停戦の合意というのも十分あり得ると考えます。したがいまして、五原則との関係ではこの停戦の合意が崩れたというふうには見ておらないわけでございます。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 この平和協力法の審議過程では、今カンボジアに起こっておるような鉄砲の弾が飛ぶようなところへは自衛隊を含めこういった日本の協力活動はやらないのだ、ここへ議事録も、総理の答弁を持っておりますけれども。これが現在は、弾が飛び合うどころか、実質的には内戦状態に近いような、そして一番肝心なUNTAC自身がターゲットになるような現状だ。そしてミサイルさえ、一発だったか二発だったか知りませんけれども、飛ぶような事態になっておるわけですね。こういう現状を考えると、やはり国会審議の経過というものは、これをほごにしてしまうような、露骨な言い方をすれば政府はうそをついて、うそをつきながら今のPKO活動を進めているのではないかとさえ思われるのですが、どうですか。  それと同時に、武装解除というものが前提で我々は合意という条件を非常に大事に見てきたわけでありますが、こういう事態になってくると、当然PKO活動の五原則、停戦の合意条項というものは実質的には崩れてきた。そういう中で、自衛隊のこの活動の一時中止、場合によっては活動の中断、引き揚げ、撤収ということも、これは当然考えなきゃいけない一つの選択肢を求める局面を迎えているんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 ただいま法案の審議に際しましての一つの議論と申しますか答弁の中で、弾が飛び交うようなところには出さないというような答弁があったというような御指摘がございました。私は、議事録を全部持っておりませんので、どの答弁を指しておられるのかは承知いたしませんけれども、当時、PKOに要員を出すということがあたかも戦場に人を送るというようなことで、いろいろ批判があり反対があったわけです。  それに対しまして政府側としましては、それは、そういうことではないのです、これは停戦の合意が成立して、しかし長年戦ってきた紛争当事者間の停戦の合意というものは脆弱なものでございますから、これに対する停戦の監視等の国連の平和維持活動を行ってさらに確固たる停戦に持っていく、和平に持っていく、こういうことです、したがいまして、現に戦場になっているようなところに停戦の合意もないのに要員を送るということではないという趣旨の答弁をいろいろな機会に申し上げたと記憶しております。  そういうことから申しますと、停戦の違反が全くないという状況でなければPKO活動は行われないというような答弁を申し上げたことはないというふうに記憶しております。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 事務当局の答弁はそういうことなんですけれども、大臣の判断はどうですか。  そして、この問題とも関連しますけれども、けさの新聞を拝見しますと、大臣は大変適切な発言をなさっておると思うのですが、モザンビークに対するPKOの派遣の問題。これは、今度モザンビークにPKOを派遣するかどうかについて、一時、官邸筋と外務省関係はいささか意見の違いがあるということが報道されましたけれども、事のよしあしはいろいろありますが、カンボジアでこのPKO活動というものが半ば成功した、やはりそういう見きわめの上に立って枠を広げるといいますか、事を推進する側に立ってもそういう態度が必要じゃないかと思うのです。  けさ、大臣のこの新聞記事ですけれども、このモザンビークについては、せっかく苦労してつくったPKO協力法が必ずしも定着していない段階で、なし崩しとは書いてはおりませんが、どんどん枠を広げる、これは適切でない、こういうふうに談話が出ております。私はそのとおりだと思うのですが、大臣、前段の問題を含めて、御所見いかがでしょうか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 まず、カンボジア問題でございますけれども、本当に不幸な出来事でございまして、まことに残念で、中田君に対しては心から御冥福をお祈りいたしておるわけでございますし、御遺族に対しては本当に哀悼の気持ちでいっぱいでございます。同時に、このようないわゆるボランティア活動、しかも非常に困難なところで何とか一日も早くカンボジアの平和を実現しなきゃいけない、そういう崇高な気持ちで従事しておられた方に対してこのような武力行為がなされたということは、まことに許されないことであり、本当に、何というか憤りの気持ちでいっぱいでございます。  今の藤田先生の御指摘でございますが、ただ私もまだ事実関係を必ずしも正確につかんでおりません。今鋭意、事実関係について早く把握をするように指示はいたしてございますが、その事実関係を見てやらなければいけないわけでございまして、先ほど最初に藤田先生がおっしゃいましたように、これを直截的にポル・ポト派のしわざだと言うべきではないというふうにもおっしゃっておられました。私も実は、きのう初めてそのニュースを聞きましたときは、直観的にそういう気持ちを多少持ったことは事実でございますけれども、どうも事実関係必ずしもはっきりいたしませんので、どうも私の早とちりであったと言って後で訂正をしておいたのでございます。  今御指摘のとおりで、ポル・ポト派を含めて、本当にカンボジアの国民が長年の争いをやめて、お互いにカンボジア国民としてカンボジアの再建に取り組んでいただきたいという気持ちを私は強く持っておるものでございますから、ただ、今のPKOの五原則が崩れたかどうかということに対しては、もう少し私は事実関係を確認してから判断すべきではないかというふうに思っております。  それから、モザンビークの問題につきましては、私が記者会見で申し上げましたのは、モザンビークに反対というわけではございませんけれども、ただ本当にこのPKO協力法というのは、国会がああいうような形で、国論を二分するような形で成立をした法律でありますだけに、もっともっと国民の中に十分理解されていかなければいけないのじゃないか。外務省としても国民にもっと理解を深めていく必要があると私は思っているわけでございます。  そういう意味合いの定着が十分してないときにどんどん広げていくというのはいかがなものであろうかということを申し上げたわけで、モザンビークにあくまで反対ということではなくて、やはりこういうものは政府だけが勝手にやるべきことではなくて、常によく国民の理解を求めながら実施をしていくというのが必要である、こんなようなことの趣旨を私は申し上げたのがあのような新聞の表現になっていた、こういうことであるわけでございまして、私自身が頭からモザンビーク反対というわけでは決してないわけでございます。ただ、国民の理解を得ないでやることはいけない、国民の理解を得ながら、国民がやはりモザンビークに対しても、それはいいじゃないか、こういうときには派遣すべきだ、こういうふうに私は思っておるわけでございます。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 このパリ協定違反あるいはいうところの五原則の合意条件違反の問題は、これはきょうの段階で幾らやってもこれ以上の進展はどうもないような気がするわけです。ただ、防衛庁の日吉次官ではありませんけれども、こういう事態を含めて、それは政府当局にしては特に残念なことかもわかりませんけれども、PKOの活動の中断、場合によっては撤収、撤退というような作業もやらなければいかぬのじゃないかというようなことをどこか新聞の記事でも拝見したのですが、そういうこともやはり検討する時期に来ているのじゃないか。その点についての判断はいかがでしょうか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 あらゆる事態を想定いたしまして研究、準備するということが必要なことは当然でございます。私、防衛庁の内部における検討の状況につきましては十分承知しておりませんけれども、内々にそのような検討をしているということは漏れ聞いております。ただ、まだ結論を得たというふうには聞いておりません。  それから、防衛庁につきましては、いわゆる部隊派遣につきましてそのような検討をしているというふうに承知するわけでございますが、私ども国際平和協力本部事務局におきましては、いわゆる個人派遣と申しますか、停戦監視員でございますとか、あるいは現在行っております文民警察の皆さん、そういう部隊でなく派遣する場合につきまして、非常事態にどう備えるかということは内々に研究はしております。ただ、現在、中断でございますとか撤収でございますとか、そういうことを具体的に検討する状況ではないということは先ほど来申し上げているところでございます。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 この問題については、現段階では残念ながら意見のすれ違いということでありますが、事態を冷静に判断をして、国会審議の経過の中で国民に約束したことを忠実に守る、そういう前提に立って中断の問題なりあるいは撤退の問題も検討をしてほしいということを要請をいたしておきます。  二つ目は、ロシアと我が国の北方領土問題を含む対ロシア支援の問題です。  これは大変時間がなくなったものですからかいつまんで申し上げますが、七月のサミットに臨む対応として、この四月十四、十五にG7の会議がありますが、これを含めて、日本は領土問題はサミットの議題にはしないということを前外務大臣が言明をされている。このことは従来、去年の臨時国会を含め、あるいは昨年の国会を含めて、北方領土の問題については、政府は政経不可分、わけても拡大均衡という立場でこの問題については対応していくんだということだったわけですけれども、こういう形で議題にしない。ロンドン・サミットでも、去年のミュンヘン・サミットでも、ミュンヘン・サミットのごときは関係各国にかなりな根回しをしてまで政治宣言の中に入れたというふうに私どもは理解をしております。  領土問題というのは、なかなか国民感情を含めてデリケートでございまして、私どもは今日のロシア情勢というものを考えるときに、今のロシアに、領土問題を議論したり、あるいはサミットの場でこの問題が中心になるほど、そういった余力はないような気もするわけですけれども、そうかといって、こういう形でぼんぼん領土問題は関係ないんだというふうなことになると、ミュンヘン・サミットとの関係はどういうことになるんだ。議題にしないという意味は、領土の棚上げということなのか、交渉の一時先送りということなのか。政経不可分というものに対して考えるなれば、政経可分論の立場に政府は方向転換をやったのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 多分、渡辺前大臣の今のお話は、今度はたまたま東京サミットでございますから、日本が議長国になりますので議題をまとめていかなければいけない立場にございます。現時点で私の承知しておるのでは、世界のマクロ経済の問題と、それからロシア問題と、それから途上国問題と、この三つが一応コンセンサスが得られた議題と承知をいたしております。それ以外にどういう議題がこれから出てくるのか、今いろいろ各国と事務的に詰めているわけでございます。日本として、議長国という立場でございますので、決して北方領土の問題を全く考えていないわけではないわけでございますけれども、やはり議題として取り上げていくということについては、日本が積極的に、議長国という立場ではなかなか、その辺はミュンヘンの場合とは違って難しいという判断で前の渡辺大臣はおっしゃったのではないかなというふうに私は思っております。  いずれにいたしましても、私は、例えば今度のG7外相・蔵相会議にコズイレフさんが来られれば多分二国間の協議が行われるということになると思いますが、私としてそういう場合には当然、この問題についてはやはり言うべきことはきちんと言っていかなければいけないというふうに思っております。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 そうすると、素人わかりをするような答弁をしてもらいたいのですが、領土問題はそういう意味では棚上げではない。従来の拡大均衡、政経不可分というのは政経可分論ではない、そういう方向に方針を転換したんではない、こういうふうに理解していいですか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 拡大均衡の原則、前は政経不可分と言っておりましたが、その同則は全く変えておりません。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 領土問題を含めて、拡大均衡論という基本的な立場の変更はない、こういうことですね。  それでは、そのことを確認した上で、非常にこれは難しい状態の中ですけれども、今後の日ソの平和友好条約締結の展望というものはどういう形で動いていくのだろうか。半世紀たって、日本外交がなさなければならなかった二つの課題が残されておる。その一つは、今日の日ロの平和友好条約の締結であり、いま一つは朝鮮との国交正常化の問題であろう、こういうふうに考えるわけです。そのうちの一つの日ロの平和友好条約締結の展望、それについて御所見を伺いたいと思います。  そして、時間の関係でまとめてやりますが、ロシアに対する経済支援の問題。これは少しく材料も集めていたのですが、時間がありませんので簡単にしますけれども、日本は相当、G7の関係国の間でも、日本の立場で応分の積極的な支援をやってきておると思うのですね。例えば過去において、二カ国問支援としては二十七億ドル程度のもの、あるいは国際協調という形で二百四十億ドルの、中身は百十億ドルであったり六十億ドルであったり七十億ドルであるというような区分分けの、それぞれの目的別の条件はありますけれども、その中でも日本はかなりな支援をしてきておるというふうに私は理解をしておるわけですよ。  ところが、フランスのミッテランにしても、あるいはその他ロシアのエリツィンのごときは、日本は一円たりとも協力していないようなことを言っておるわけなんですね。これは日本といえども、日本は何だか貿易の黒字で金持ちだというような見方をしておるところもあるかもわかりませんが、日本の国民はそれこそ長時間労働で、ウサギ小屋と言われるような住宅環境の中で努力をして今日こういう事態が結果としてなされておるわけでありまして、なるほど長時間問題等々については大急ぎで改善しなければいかぬという面がありましょうけれども、何だかそういう努力の結果、日本が協力すべきところはしておるにもかかわらず、やってないというような国際批判が非常に強い。これは今度の十四日、五日行われるG7、あるいは東京サミットで公式に各国の支援の実態というものを公表してもらいたいと思うのですね。我々の立場というものを明確にしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。

野村一成外務省欧亜局長

○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  まず最初の日ロ平和条約の締結の展望についてでございますけれども、領土問題を解決して平和条約を締結するということはまさに日ロ両国間の最大の懸案でございまして、先生御案内のとおり、この問題につきましては日ソ間、日ロ間におきましても累次交渉が行われてまいったわけでございます。何分、特にロシアの現在置かれている状況との関連からいたしましても、例えばエリツィン大統領を日本に招く問題一つとりましても予断を許さない状況にございますけれども、あくまでこの領土問題を解決して平和条約を締結する、日ロ関係を完全に正常化するということが先ほど申しましたような極めて重要な課題であるということで、今後とも一貫して従来の方針にのっとり粘り強く交渉をしてまいりたいと思っております。  それから、先ほどの我が国の対ロ支援についてでございますが、先生御指摘のとおり既に二十七億ドルがロシア向けでコミットいたしておりまして、このうちで現在までのところ既に七ないし八億ドルが実施済みでございます。近い将来四ないし五億ドルが追加的に実施が見込まれておるわけでございます。残りの部分につきましても、ロシア側の受け入れ態勢といった面、必要な条件が整い次第順次着実に実施していく考えでございまして、こういった我が国の支出の総額は、ほかの国と比較いたしましても、特に両独の統一に伴う支援も含めておりますドイツを別にいたしますれば、アメリカ、イタリアに次いで、フランスと同じ程度であるということでございます。  したがいまして、我が国の対ロ支援が消極的である、そういうふうな批判というのは数字の上からも当たらないわけでございまして、先生御案内のとおり、一時期ロシアの方で、日本は支援を行っていないかのごとき発言がなされ、報道がなされたことがございます。私どもはそういうふうな批判に対してはその都度きちんと反論いたしておるわけでございますけれども、最近ロシアの方からのそういった間違った情報に基づく発言は、私どもは承知いたしておりません。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 対ロ支援の問題については、交渉方式の問題でちょっと大臣にも要請したいと思うのですが、この間クリントンとエリツィンの会談がカナダでなされた。そして日本からまた総理がアメリカに行かれる。それで七月の東京サミットが持たれる。こういう東京サミットの共通の議題になるような問題は、事前に二カ国だけが先行して、お互いにパフォーマンス外交というのですか、そういうようなスタンドプレー的な対応の仕方ではなくて、やはり同一スタートラインに並んで、共同のテーブルで共通の問題を議論し合うようなことの方がいいのじゃないか。何だか領土問題でもアメリカのクリントンがリップサービス的にちょっと刺身のつま的に物を言ったりするような、こういうことは余り我々にもいい感じを与えないので、サミットの共通の議題になるような問題は共通の場所で、お互いに同次元で協議するような方向で、国際協調、ロシアの支援問題もやるべきではないか、こう思うのですが、その点についての見解を。  いま一つの問題は、支援の問題とは別ですが、ロシアが核廃棄物を無造作にと言っていいぐらい、日本海からオホーツク海から、一番近隣では福岡の何百キロぐらい離れたところまでなにしておる、あるいはノルウェー沖にもなにしておる。これは固体のものもあれば液体のものもあるということでありますが、今日やはり環境問題というのは地球的規模でみんなが一番気を使わなければいけない最大の政治課題だという点からいって、私は極めて残念だと思うのですね。かつての大国、今でも大国かもわからぬけれども、その点については日本は正式に抗議をしたのかどうか、その結果公式に、世界の海にどういうふうにその汚染をまき散らしているのか、その実態を、回答をもらっているのかどうか、そういった点についてお答えをいただくと同時に、ロシアのこの核物質の廃棄物の海洋投棄については、それこそサミットの議題にして、地球の環境を守るという観点から、警告を含めた形の議論をやってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 二つのお話があったと思います。  一つは、総理が今度クリントンにお会いになるために訪米されることが、何かサミットを前にして二国間だけでこそこそやるんじゃないかというような印象のように受けとめましたけれども、私はそうは思っておりませんので、あくまで対ロシア支援の問題とその他は堂々と議題にものせることにもなっておりますし、また、そのために前もって来週私どもが外相・蔵相会議を開くわけでございますし、決して二人の間でどうこうするようなことは私はないと思っております。今度の訪米はあくまで、とにかく日本の外交の基軸は日米関係でございますから、そういう面で、新しく大統領になられたクリントンさんと日本の総理とが信頼関係を深めるということが一番の目的だと私は思っております。  それから、海洋投棄の問題については本当にけしからぬ話でございますし、今お話しのとおりで、世界じゅうが地球の環境を守らなければいけないという方向に向かっているときに、非常に海洋を汚染する危惧のあるあのような投棄がなされたことは、まことに許すべきことではございません。私どもとしては早速枝村大使を通じてロシア政府に抗議を申し入れました。その後返答が来たとかその他の事実関係については政府委員から答弁をさせていただきたいと思います。

野村一成外務省欧亜局長

○野村(一)政府委員 ただいま大臣がお答えいたしましたように、本件につきましては、四月二日に枝村大使からコズイレフ外務大臣に、即刻この投棄を停止するように直接申し入れてあるわけでございますが、本件につきましてはロシア政府委員会が白書の形で報告を発表いたしております。  それによりますと、非常に広い海域と申しますか、バレンツ海等北部海域のほか、オホーツク海、日本海及び太平洋公海において、核燃料を抜き取った原子炉三基等、あるいは放射線量一万二千三百キュリーの液体放射性廃棄物及び六千二百キュリーの固体放射性廃棄物の投棄を行ったということを明らかにいたしておるわけでございます。  したがいまして、御指摘の点は、これは我が国とロシアの間の二国間に限られる問題ではないわけでございまして、いわば原子力の安全利用にも関連する一般的な問題であると同時に、海洋汚染という地球環境の問題の一環でもございまして、国際社会共通の問題としてとらえるべき問題であろう、そういうふうな問題のとらえ方でもって提起いたしてまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。

藤田高敏日本社会党・護憲民主連合

○藤田(高)委員 私の持ち時間がちょうど来ました。今同僚議員の了解を得て二、三分、あと一つ質問させてもらいたいと思います。  今の海洋汚染の問題については、きょうは科技庁も見えておると思うんですが、ぜひ日本独自の立場でも調査をし、また世界各国の専門家を集めて共同調査等をやりまして、この海洋投棄の被害がこれからずっと、拡大することはあっても現状より少なくなることはないと思うのです。そういう意味で、定期的な調査をやって、定期的に国民に公表するような手だてをやってもらいたい、こう思います。これは要望です。  そして大臣、日米会談の関係、さっき私はごそごそと何かやるという意味のことを申し上げたのではなくて、むしろ日米会談そのものについては極めてオーソドックスな形で、アメリカの対日政策も大体基本的なものは出てきた、そういう点では日米のパートナーシップというものを中心にして、貿易不均衡の問題もありましょうし、いろいろな課題がありますが、これはひとつ堂々とおやりになってもらいたい、こう思います。  そこでいま一つ、いわゆる北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国のNPT脱退の問題です。  これは結論だけ申し上げますが、脱退をすることになったらどういうことが起こるのかといえば、朝鮮民主主義人民共和国はIAEAの条約の枠内に拘束されないで、極端に言えば、核兵器をつくろうとどのような核を持とうとフリーハンドを持つわけですから、そういったことは、北東アジアの安全保障の立場からいっても、日本の非核三原則の立場からいっても、我々がかねてから主張いたしておりますアジア・太平洋地域における非核地帯の設定というような将来展望を含めた観点からも、これは私は決して望ましいことじゃないと思うのです。  ですから、一応の効力を発揮するのが六月十二日だと思うわけでありますが、約二カ月半くらいあるわけですから、この間に、朝鮮民主主義人民共和国も、一九八五年にIAEAに加盟して以来あるだけ南北の首脳会談をやり、日朝の国交正常化もやりながら、その中で核問題を議論し合ってきた経過があるわけですから、こういう経過を尊重する。お互いに冷戦時代のような不信感を持つのではなくて、それこそ国と国との関係においても胸襟を開いて、そして相手を信頼する。こういう立場に立って、NPTの脱退を食いとめるといいますか、見直して、平和的にこの問題が解決できるようにしたらどうか。  これは釈迦に説法ですけれども、安保理に持ち込んで、第二の朝鮮戦争じゃありませんが、湾岸戦争のようなことを考えても、そんなことは韓国にしたって中国にしたって周辺の国でどこも賛成する国はないわけですから、そういう点からいっても、余り力づくで、IAEAの理事会で結論が出なかったから安保理に持ち込んで、そこで力の政策でねじ伏せるというようなやり方に対しては日本外交はくみするべきではない、こう思うのですが、その点についての見解。  いま一つは、問題解決のためには、朝鮮とアメリカが直接交渉できるような機会を、日本が中国に対し、あるいは今度総理がアメリカに行かれるわけですが、そういう機会にぜひ実現できるように、日本外交の自主性を発揮する一つの証左として、あかしとして、このNPTの脱退問題に対処すべきではないか、こう思うのです。  大臣の見解を承って、私の質問を終わります。少し質問の時間を超過しましたことをおわびしたいと思います。

池田維外務省アジア局長

○池田政府委員 北朝鮮のNPT脱退につきましては、ただいま御指摘のありましたように、これはやはり核不拡散の体制というものに対する大変な挑戦でありますし、それから、我が国を含めますアジア・太平洋地域の安全保障という点から見ましてもゆゆしい事態でございます。しかしながら、私どもとしましては、いたずらに力づくで何とかしようということではなくて、何とか平和裏にこの問題が解決されるということを期待しているわけでございます。そういう意味からも、北朝鮮が今回の決定を取り消すということを強く期待しているわけでございまして、そのための働きかけを続けてきております。  まず、我々としましては、アメリカ、韓国等とも打ち合わせをいたしましたが、それ以外に、北朝鮮と大変重要な関係にあります中国とも話し合いをしております。それから、ロシアとも話し合いをしておりますし、その他主要関係国とも常時緊密な連絡をとってきておりまして、そういうことから、できるだけこの問題を穏便に解決したいと考えております。  しかしながら、問題点は、これまでIAEAが六回にわたって査察を行ってきたわけでございまして、この六回の査察の結果、北朝鮮側が提出している資料ないし説明との間に重大か不一致があるということでございます。したがって、この重大な不一致を何とか、どちらが正しいのかということを調べるためにも特別査察というものが必要であるというのがIAEAの立場でございまして、そういうことからIAEAとしては、今回最善を尽くしたけれどもやはりできなかった。もちろんIAEAとしては今後とも努力はするけれども、やはりこの問題は安保理に一応報告するということになったわけでございます。  ただ、安保理に提訴されたからといって、直ちに強制的な措置を考えるということではございません。しかしながら、繰り返しになりますが、北朝鮮側が本当に自分たちが核開発の疑惑というものから無関係であると言うならば、今のような、IAEAの六回の査察の結果と自分たちの説明との間に重大な不一致があるという点については、正しく正確に対処する必要があるというように考えているわけでございます。

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 井上一成君。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 まず冒頭に、私は、前渡辺外務大臣の全快の早からんことを祈ります。同時に、新外務大臣にしっかりと健闘していただくことを期待したいと思います。  カンボジア問題に触れる前に、最初に東京サミットの問題について聞いておきたいと思います。  今かけがえのないものは何だと聞かれたときに、やはり命だ。人類の生命はもとより、花も小鳥も、そして人類共有の財産ともいうべき地球の今、これをやはり私たちはかけがえのないものとして守っていかなければいけない。まさに環境問題というのは世界的な問題であり、今これを軽んじてはいけない。そういう意味で、私自身は、今回東京におけるサミットの果たすべき役割は非常に重要であろう、こういうふうに思うわけです。  地球環境を考えると、開発途上国の開発あるいは経済問題等も踏まえ、あるいは先ほどのロシアの核兵器処理の問題だとかいろいろと考えていかなければならぬ大きな問題がたくさんありますが、総じて先進工業国が地球環境を汚染している。それは翻って先進工業国が責任を負うべきである。その先進国の首脳が寄る東京サミットというものは、そういう意味で環境の問題について非常に大きな意義を含んでいる。  折しも、アメリカはクリントン政権が誕生した。環境問題に熱心なゴアさんが副大統領になり、さらにはヒラリー夫人は人権問題について非常に熱意のある方だ。こういう折に行われる今次東京サミットにおいて我が国は議長国である。環境問題を、さらに子供の人権、とりわけ私は人権問題の中で子供の人権ということを強く訴えたいわけですが、この問題について議題の中に入れるべく、イニシアチブをとった我が国の外交姿勢を示すべきであると私は思うのです。大臣、いかがでしょうか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 先ほども申し上げましたが、東京サミットの議題については、三つは既にコンセンサスが得られておりますが、その中にたまたま経済問題、マクロ経済の問題も入っておりますし、途上国問題も入っておるわけでございますから、関連すれば、今先生の御指摘の環境問題というのは当然それと離すことのできない問題であろうと思います。ただ、昨年の地球環境会議もありましたことでございますから、離すことのできない問題ではあるけれども、際立たせてそれを一つの議題として取り上げるべきではないかという御趣旨の御要請かと承知をいたします。  この点については、実は私の方から総理の方に、今度のクリントン大統領との個別会談において、環境問題といったようなものについてもぜひ議題として御議論いただきたいということは要請をいたしてございます。でございますから、多分そういう中で、今お話しのとおりで、クリントン大統領の周りはゴア副大統領初め地球環境を守っていこうという熱心な方々が非常にたくさんいらっしゃいますので、この問題、非常に私は話が進むのではないだろうかと期待をいたしておりまして、そういうところを踏まえて、私としてはぜひ総理に対して、お帰りになった後そのお話の内容も承りながら、ぜひ東京サミットにおいてこのテーマを一つの議題とする方がいいのじゃないかということは、私から申し上げようと思っております。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 ということは、念を押すようでございますが、議長国ですから調整をする役割があって、まあ参加国のそれぞれの同意が要る。シェルパ会議、事前のそういう根回しも必要でしょう。私は、とりわけ日本としてこの環境問題は議題として提起する、こういうことの意思を確認したいわけです。提起されますか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 前段に今おっしゃったとおりでして、やはり議長国ですから、現時点で日本がイニシアチブをとって、これを議題にするぞと言うわけにもなかなかいかないのじゃないか。今議題の調整の段階ですから、やはり気持ちとしてはタイミングがうまく合えばぜひ議題として取り上げるということは、そういうことが許されるときには私はイニシアチブをとっていきたいと思っています。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 あえて私の方から申し上げたのは、議長国としての役割があり、日本独自の提案すべき問題として、議題としてこれは出すべきだ。  私は先日カーター元大統領とお目にかかって、環境問題、子供の人権問題については全く同感である、クリストファーさんを通してクリントン大統領にぜひ進言をして、アメリカもこの問題については提起したい、同感だという話を私はしたわけなんです。それで、あえて日本として環境問題を議題として提起するか。提起すべきである。議長国の役割は十分承知しています。日本として環境問題を提起すべきである、提起しますか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 くどいようでございますが、前提としては、議長国としての調整の役割はありますが、日本としてぜひ提案をするという方向で検討してまいります。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 いや、検討するではなく、提起する。やはりその方針が明確でないと、これほど環境問題が世界的な問題であるという認識を持つなら、検討とか方向だとか、そんなことでは私は議論にはならない。議長国の役割を十分に承知しながら私はあえてこの質問をしている。日本として提起しますか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 私の申し上げているのは、気持ちとしては提起をしたい気持ちでおります。ただ、やはり調整ということは一つありますので、日本としてぜひ提案をしたいとは思っておりますが、これは調整をしなきゃいけませんので、提案をしたいという気持ちは持っているということは申し上げておきます。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 ぜひ提起すべきである。そして、そういう気持ちがあるということでございます。ぜひその気持ちを実現してほしい。  さらに私は、先ほども申し上げましたように、この東京サミットで人権の問題、とりわけ子供の、エイズを含めた、これはもうルーマニアにしてもブラジルにしてもあるいはアジア諸国にしても、ストリートチルドレンあるいはいろいろな意味で子供の人権が今ほど軽んじられているというか、無視されているというか、めちゃくちゃな状況にあるときに、子供の人権を私は議題としてやはり取り上げるべきである、こういうふうに思うのですが、これまた大臣、いかがでございましょうか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 これまたアメリカの新大統領の出現で、特にヒラリー夫人は大変に熱心でもございますし、クリントン大統領もきっと熱心だろうと思います。私どもはこの問題についても検討を進めてまいりたいと思っておりますが、何にしても、どうもおしかりをいただくかもしれませんが、各国と調整をしていかなきゃなりませんので、検討は進めてまいりますが、先ほどの地球環境については、これは既に昨年のあのような大きな国際会議が開かれておりまして、世界の合意が得られているということで、私はこれはもうぜひ提案をしたいという気持ちを持っている、これは強く持っているということを申し上げましたが、こちらについては、もう少しやはり各国と調整をしていきながら、その各国の対応に応じて最終的には考えていかなきゃならない問題だと思っております。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 私はいつも、日本外交というのは理念があるのかどうか、しっかりとした理念を、我が国の主体性というものを明確に各国に示しながら同意を、協力を、協調を保持していかなきゃいけないのですよ。アメリカに聞くとか、既に私は少なくとも元大統領であるカーターさんと、これは全く同感だと、新大統領に提言ができるように進言をするという約束をとっているのですよ。だから私は日本政府に対して、議長国としてイニシアチブをとりながら、この子供の人権についてもしっかりと提起しなさい、こういうことを申し上げているのです。重ねて、先ほどの環境問題は提起するというふうに今強くまたお答えをいただいたわけですけれども、子供の人権問題、いかがですか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 日本が議長国でなければもっと私は思い切って提案の考え方を言えると思うのでございますが、議長国という立場は、やはり調整をしていかなきゃならない立場でございますだけに、同じ答弁で恐縮でございますけれども、環境問題についてはあのような国際的な国際地球環境会議が開かれましたので、そしてもうほとんどの全世界の合意が得られておりますので、これは私は日本が強く提案をしようと言えば当然受け入れてくれるものと、こう期待をいたしておりますが、事務的にいろいろ報告を受けておりますと、人権問題については各国との間でまだ必ずしもしっかりした調整がなされていないようでございます。努力はしてまいります。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 さらに私は具体的な事例をもって政府の見解を聞いていきます。  最近アジア各地、とりわけフィリピンで日本人による非人道的性的迫害、子供の売春ですね、こういう児童売春、性暴力事件が相次いで起こったという報道がなされているわけであります。このような現状に対する政府の認識をまず私は伺っておきたい。もとより人間的な良心の啓蒙ということは、これは優先して考えられるべき問題ではありますけれども、この問題についてもひとつ政府としての認識を聞いておきたいと思います。

池田維外務省アジア局長

○池田政府委員 ただいま先生が御指摘になられました日本人旅行者等によるフィリピンなどにおける現地の婦女子に対する行動ということで、もし今御指摘になられましたような事実があるといたしますと、同胞として大変恥ずかしいことであるというように感じますし、そのような報道に接するたびに心が痛むわけでございます。  私どもとしては、この間ラモス大統領も来られましたし、日比友好関係を確認したばかりでございますから、そういう観点からも、今後日比の二国間の友好の観点からこういうことは好ましくない、関係者の良識ある行動を期待するということで、その方向で関係者に対しても十分に話をしていきたいというように考えているわけでございまして、日本人旅行者の良心の啓蒙を図っていくということの観点から努力していきたいというように考えております。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 局長、もしという答弁がある。もしというのはイフだ。あなたはそういう情報しか大使館から入手されていないのですか。そういう事件があったでしょう。固有名詞は出さないですけれども、報道されたでしょう。一定のお金を積んで保釈されたでしょう。そういう報道を、事実関係を御存じないのですか。もしというのを取り消しなさい。報道がないとすれば私はお見せしましょう。

池田維外務省アジア局長

○池田政府委員 私どもも、過去においてそういう報道がなされたということは承知いたしておりまして、もしその事実、報道どおりということであれば大変に遺憾なことだというように考えております。(井上(一)委員「もしじゃないんだ、事実だよ」と呼ぶ)はい。それが事実であるということで、私どもも大変心が痛んだということを申し上げたいと思います。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 じゃ、もしというのは、それは取り消すんですね。そういう報道、事実関係を承知しているということですね。それでないと次の質問には入れない。そういう事実関係を承知している、そういうことだね。答えてください。

池田維外務省アジア局長

○池田政府委員 ただいま井上先生が御質問になられましたそういう報道があったという事実は承知しております。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 そういう報道があって大使館から報告を受けたでしょう。外務省は全く知らないんですか。そういう報告を受けたでしょう、大使館から。じゃ、局長――そんなそこで首を振ったってだめなんだから。だから僕は、もしを取り消さなければ――そういう事実を承知をしている。数の問題、件数の問題だとか個々の対象はここでは私も申し上げません。氏名も申し上げません。しかし、そういう事実があったということを私は指摘をしたわけです。

池田維外務省アジア局長

○池田政府委員 在フィリピンの我が方大使館を通じてそういう報告を受けております。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 最初からそういうふうに言えばいいんですよ。限られた時間だから、僕はこの答弁の分だけ時間を延長する。最初からそう言えばいいんですよ。もしなんというようなことを……。  そこで、そういう子供たちの売春を防止していかなければいけないし、非人道的な、さっき申し上げたように、それぞれの個々の人間の良心の啓蒙ということはもう最優先されるべき問題ではあるけれども、しかしそういうことについて、今まではODAを通して、あるいは何らかの形で協力援助ということはなかった。そういう子供の売春を防止するための施策、あるいはそういうことを防止するために大変熱心にキャンペーン運動をやっていらっしゃるNGOの皆さんに対して、政府としても積極的に力をかしていくべきではないだろうか、私はこういうふうに思うのです。  今までは生活だとか民生安定のためのいわゆる教育機関の学校だとか、あるいはその他職業訓練所だとか、そういうことをなさってきた。しかし、それはもとより、さらにこのようなNGOの関係の機関に対して改めて政府としての何らかの働きかけがあってもいいのではないか、いやむしろ当然支援をすべきであるという私なりの考えを持っているのですが、政府はどのようにお考えであるのか、私はきょうはこのことについてお聞きをしたいと思います。

川上隆朗外務省経済協力局長

○川上政府委員 先生御指摘の、いろいろなNGOでこの婦女子救済のために活動をしておられるというものに対しまして、ODAで何か援助ができないかという御質問と存じますが、援助供与の決定の際には一定の要件が要ります。これは、例えばこれまでの活動の実績でありますとか財政状況といったようなことがございますが、そういう条件を満たしていることが確認されれば援助を実施してまいりたいというふうに考えております。  その際、例えば性的迫害を受けた婦女子救済のために職業訓練や貧困家庭の母子保健衛生等の活動を行っているNGOに対しては、小規模無償NGO事業補助金といったような支援形態での資金協力での支援が考えられるわけでございます。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 今の答弁は、私は政府として非常によい方向を示されたと思うのです。  今までこういう自立をケアしていく、あるいはNGOに対して、子供の、児童の売春ということの防止対策あるいは性的迫害を受けた後のケア、これは初めてのケースとして、今回私はたまたまフィリピンの問題を出しましたけれども、こういうことはあってはならないことで、本来はない方がいいわけであります。そういう痛ましい事件がないことを望むわけですけれども、今後はフィリピンに限らず広くアジアの各地に対しても同じように支援をしていくというふうにこれは理解をしてよろしゅうございますか。

川上隆朗外務省経済協力局長

○川上政府委員 先生御指摘のように、この性的迫害を受けた婦女子救済という特定の案件は今まで確かに余り例がないということでございますが、ストリートチルドレン等、今までも対フィリピン等で先ほど申しましたような形態の援助を行った実績がございますし、先生御指摘のような方向で積極的に考えてまいりたいというふうに思います。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 ストリートチルドレンというのは、私はさっき、東京サミットで子供の人権ということについてぜひ議題に取り上げるべきだという中で話をしたわけですけれども、今の問題はストリートチルドレンとは違った問題なんですよ。だから、私は今回初めての政府の政策だと思うのです。そうでしょう。初めての政策なんです。私の言っているのは児童の売春、子供の売春ですね、この防止のための施策、そして事後に、残念ながら非人道的な性的迫害を受けた人たちに対してのヘルピングセンター、まあそれは仮称ですけれども、いろいろな何らかの手だてをNGOがやる場合に協力をしていくべきだ。これは初めてだと思いますよ。だから、そこははっきりしておきましょう。さっきおっしゃったように初めての施策として、一定の信頼されるべき活動を着実に続けていらっしゃるそういう組織に対してという理解を私はしているわけなんです。だから、初めてのことなんだと私は思う。そうでしょう。

川上隆朗外務省経済協力局長

○川上政府委員 そのとおりでございます。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 私は、やはり外務省のそういう前進した、これは評価したいと思います。さっきのアジア局長のもしなんという答弁と比べればもう何倍か評価する。局長がこういうことを率先してやらなければ、アジアの諸国から信頼を受ける日本になれませんよ。  さらに、カンボジアの問題に入りたいのですが、ロシアの海洋投棄の問題について枝村さんから報告を受けている、そういうことを先ほど同僚の藤田先生からの質問にお答えになられていました。国際条約を守るということは、お互いにこれは当然のことなんですよ。ロシアはそれを守ったのですか、守らなかったのですか。

丹波實外務省条約局長

○丹波政府委員 先生も御存じのところとは思いますけれども、この核廃棄物の海洋投棄の問題との関連ではロンドン条約というものがございます。日本もロシアも締結しておる条約でございますけれども、このロンドン条約は放射性の廃棄物を含みます放射性の物質を二つに分けておりまして、一つは高レベルの放射性物質、それから二つ目は低レベルの放射性物質と分けておりまして、高レベルの放射性物質、これは附属書Ⅰというところに掲げられておりますけれども、海洋投棄については禁止であるということでございます。  それから、低レベルの放射性物質の海洋投棄につきましては、事前の申請に基づき個別的に付与される特別許可にかからしめられているということでございますけれども、一九八三年以降はモラトリアムということで、一時的にやはり海洋投棄は認めないという決議が通っておるわけでございます。したがいまして、結論的に、あるいはロシアがソ連時代から行っております海洋投棄がこのようなことに該当するのであれば、それはロンドン条約違反ということを言わざるを得ないというふうに考えます。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 いや、このようなことに違反すればと言うが、私は違反していると思うんだよ。どうなんだ、政府は。

丹波實外務省条約局長

○丹波政府委員 私も違反している可能性は非常に高いと思っておりますが、事実関係がまだ最終的には解明されていないということで、若干間接的な表現になりましたけれども、違反している可能性は極めて高いと私は思っております。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 外務省は現地にも大使館があり、あるいはこっちにもロシア大使館があり、いろいろな情報を持って、あるいはもうそういう情報を得なくたって既に発表されている中で、可能性が高いという、そんな可能性の問題じゃないのよ。違反しているかしていないか、答弁しにくいだろう。しにくいだろうとは思う。しかし、あえてこれはきっちりしておかなければならない。バイの問題であるけれどもやはりマルチの、さっき言った環境問題から考えれば大変な問題だから、私はあえてこれは政府の見解をただしておきたい。

野村一成外務省欧亜局長

○野村(一)政府委員 お答え申し上げます。  私ども、ロシアの方から白書という形で発表されたものがございます。それは、個々の海域、その中にはきちんとどこだということを明示しているのもございますけれども、あるいは処理の態様などについて極めて一般的な記述でございまして、何分私ども今の点で、関係省庁ともよく協議いたしておりますが、この実態につきましては非常に多くの不明の点がございます。不明の点がございますので、まずそちらの点ではっきりとした情報をきちんと入手するということが先決でございますので、鋭意そのためにやっております。  いずれにいたしましても、先ほど条約局長から申しましたように、これは高レベルであろうが低レベルであろうが、決議ができて、海洋投棄を控えるということになっておるわけでございます。そういう意味におきまして、明らかに趣旨に反しているということが言えるかと思います。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 趣旨に反しているということは、違反しているということを上手に表現しているだけのことだと思うのですよ。  きょうの新聞で、ロシア大統領顧問のヤブロコフさんは数年間は続けると言っている、こういうことが報道されているのですよ。これは確かめましたか。そして、こういうことが放置できるのですか。

野村一成外務省欧亜局長

○野村(一)政府委員 先生、この白書そのものの中にもこういう内容がございます。「ソ連時代から存在し、現在もロシア連邦内で有効な海洋投棄に関する国内法規は、ロンドン条約等の国際条約に矛盾している。」そういう旨の記述。それから、こういった海洋投棄は、沿岸貯蔵所及び処理企業が存在しない状況下では即時には停止はできない。先ほど大臣は極めてけしからぬという言葉を使われましたけれども、本当にこれは遺憾な事態だと認識いたしております。  まずこれは、先ほど申しましたが、関係省庁と協議いたしておりますけれども、この事実解明、事実がどうなっているのかということが一つでございます。それからもう一つは、これは私どもの大使からコズイレフ外務大臣に直接申し上げましたけれども、とにかくこういうことは即刻やめてもらいたいということ、これが二点目でございます。それから、必要に応じて現実に過去に起こったことについての善後策をどうしたらいいかというのを考える、これが三点目、そういうふうに認識しておるわけでございます。  いずれにいたしましても、そういう認識のもとに、具体的に関係省庁とも協議しながら適正な対処を行ってまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 私は別に不安感をあおるわけじゃないけれども、投棄した場所が大陸棚なのかあるいは深海なのか、あるいはどういう火山帯の地域なのか、あるいは過去の地震分布図だとか津波の影響がどうであったとか、やはりいろいろなデータを集めてというか、そういうデータの上に立って分析をしていかなければいけないし、これはけしからぬとかそういうことで済ませる問題ではないのですよ。片方では対ロシア支援を考えます。何も宮澤さんや内閣が勝手につくった金ではなく、国民の税金ですよ、基本的には。昨年九月日本を訪問すると言いながら、通常的には外交上大変問題があると私は思うのだけれども、そのロシアの大統領、まあ内政が混乱しているから経済改革を成功させるために、私はロシア支援についてはきょうは言及しませんが、こういう客観的な状況、事実、問題の中で我が国政府が何をなすべきか、あるいはそういうことをきっちりと、世界のすべての国に我が国の姿勢を明らかにすべきだと私は思う。これは大臣の政治家としての理念をきょうは聞いておきたいし、私は今申し上げたような考え方を明確にしているわけです。  ロシアの経済を安定させなければいけないということは共有するでしょう。しかし、それ以前に、こういうことがほっておかれるというか、このままにしていいのですか。このことは我が国日本だけの問題ではない。先ほど申し上げたように、東京サミットで提起する環境問題に大きく包括される一つの世界的な問題である。国際条約を守れない、そういうことが前段にあってロシアに対する何の支援か。アメリカから言われた、あるいは日本が独自的に考えたとしても、この問題を処理せずにどうするんですか。これは外務大臣として、あるいはむしろ政治家武藤先生としてどういうお考えなのか、きちっとこれは聞いておきたい。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 この問題については、本当に私は非常に憤りを感じているわけでございますが、ぜひそういう条約違反をやめさせるという方向でコズイレフさんと話をするときには強く申し入れます。同時に、こういうことをやめさせるためには、ロシアにおいてそういう核の廃棄物について処理をどうしていくかということを考えなければいけないだろうと思うのです。  例えば日本だと、過去において海洋投棄をしようとしたときに国内で非常に議論がございまして、現在陸上で貯蔵しているわけでございます。当然、シベリアという広いところもあるわけでございますから、陸上のどこかでこういうものがきちんと貯蔵されていくならば海洋投棄はなくなっていくわけでございますから、いわゆるロシア支援に対してもこういうものとの兼ね合いを話をしながら進めていかなければいけない。例えば、ロシア支援をするなら、何でもやるということじゃなく、こういうものこそ一つの支援の対象としても考えていいんじゃないだろうかと私は思っております。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 それじゃ残りの時間はカンボジア問題に入りたいと思います。  まず、先ほども黙祷をささげましたけれども、このたびの犠牲になられた中田青年に対して、私は心から、そのボランティア精神の崇高な精神を持っていることに対しては最大の敬意を表すると同時に、哀悼の意を表したいと思っています。  早く言って、今のカンボジア情勢を政府はどういう分析をし、どう認識していますか、今回の事件を通して。

池田維外務省アジア局長

○池田政府委員 お答え申し上げます。  最近のカンボジアにおいてポル・ポト派とプノンペン政権の間で基本的に軍事的、政治的緊張関係があるということは我々にとっては大変遺憾なことでございまして、これまでも事あるごとに両派に対して自制を求めてきたわけでございますし、今後ともそれをやる考えでございます。そして、最近も住民に対するテロあるいは暴力行為あるいはUNTACの人員、施設に対しましても攻撃があり、犠牲者が出たという痛ましい事態があるわけでございまして、中田さんがこのとうとい犠牲者になられたということは大変に私どもも心の痛む次第でございます。  しかしながら、全般的にカンボジア情勢は、この十三年間の紛争を振り返って見てまいりますと、カンボジアにおいて全面的な戦闘が行われているのかということになりますと、私どもはまだそういう事態には至っていないというように見ておりますし、基本的には局地的あるいは散発的な停戦違反が発生しているということであって、パリ和平協定の基本的な枠組みは依然として維持されているというように見ているわけでございます。例えば、ポル・ポト派にいたしましても、最近のSNCの会合には必ず出席するということでございますし、そういった意味でのパリ和平協定というのは基本的に守られていると思います。  それから、選挙の準備状況でございますけれども、タイとの国境におりましたカンボジア人三十数万人が、もう既にほぼ全員がカンボジアに帰ったわけでございまして、そして四百七十万人の総人口の恐らく九〇%から九二%ぐらいと考えられております人たちの有権者登録も進められているということでございまして、この七日には選挙が公示されて正式に選挙運動が開始しているというような事態もございます。したがいまして、そういった意味では、私どもとしましては、今後とも選挙妨害などを防いで中立的な政治環境の醸成に努めていくことが必要であると考えているわけでございます。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 局長、時間がないから、私の方から言います。  例えばパリ協定では、ポル・ポト派の虐殺に対する問題は棚上げにしよう、あるいはプノンペン政権はベトナムのかいらい政権であった、そういうことは棚上げにしようじゃないかという合意の中で平和への仕組みが進むわけなんです。そして、UNTACが入り、それは公正な選挙、民主的な西欧型の選挙を持ち込むわけなんです。今の選挙戦ではこの二点が大きな問題になっているのでしょう。争点になっているのでしょう。そういう認識を私は聞いているわけなんです。UNTACの機能はどうなんだ。だから、もう難民が何人帰ったとか、それはあなたが一番よく知っているんだから、タイの経済圏に入っているとか、そんなことはもうわかっているわけです。  私の聞きたいのは、どういう認識をしていらっしゃるかというのは、今私が言ったように、UNTACの任務が本当に遂行できるのであろうかと私は危惧しているわけです。そしてパリ協定のことが今持ち出されて争点になっている。そして、そのことがいろいろな問題を起こしてきている。状況はパリ協定以前に戻ったんじゃないか、そういう政治的判断をしているのですが、いかがですかと言っているのです。これは大臣でもいいですよ。しかし、就任早々だから大臣は経緯がおわかりでないから、アジア局長が一番よく知っていらっしゃるのだから、いかがですか。

池田維外務省アジア局長

○池田政府委員 パリ協定の際に四派はそれぞれ署名をしたわけでございまして、そのときに武装解除が七割ということで合意ができた、これはもともと一〇〇%の合意が望ましかったわけでございますが、いろいろな経緯がありまして、結局七〇%ということで四派とも合意をして署名をしております。したがって、そのときから武装解除については若干の疑問点を残す格好で行われたわけでございます。しかし、その後もポル・ポト派が選挙に入ってくるために、そして武装解除を行うためにいろいろな話し合いが行われたわけでございまして、その話し合いに乗ってこなかった、つまり平和的な解決に乗ってこなかったということは依然として極めて遺憾なことでありますが、ただ、ポル・ポト派に対しては常に門戸は開かれているということを言ってきておりますから、そういった意味で、本当に今後ともこの平和の過程に協力するということであれば入ってくるようなシステムにはなっているということでございます。  ただ、全体としまして、今先生がおっしゃいましたように、特に選挙前の状況を控えて緊張関係が高まっているということは事実だと思います。したがいまして、そういう事態を踏まえて、私どもとしては関係各派に対して自制を呼びかけていく、それからUNTACに対しましては、UNTACの要員に対する安全確保について十分な体制を整えるようにということを我々からも要望していくということをしていきたいというふうに考えているわけです。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 門戸が開放されている、常にあいているんだ、ポル・ポト派の選挙戦というのは。もちろん西欧型選挙、民主的な選挙をやろうということでこのUNTACが入ったわけですから。しかし、現実としては私はパリ協定以前に戻った、こういう認識を持っているわけなんです。だから、そういうことであれば、やはり政治的なテーブルというものは必要であり、それはしょせん、フランスを含めた日本、タイ、インドネシア、関係諸国がこの問題についてやはり働きかけをしていくべきである。そして、我が国は東京会議を設定したんだから、そういうことも別に東京という意味で――タイでもいいし、そういうことの政治的な次への働きかけというのが、やはり我が国がとるべき一つの平和的解決に向けての政治的手法ではないか、ポル・ポト派に対してはいつでも選挙に参加できるように。  ポル・ポト派は、私の認識としては、いかに現況まで支配してきた地域を自分たちが支配し続け得ることができるかということに力点を置いているかもわからない、これは想像ですけれども。だけれども、選挙後UNTACは全部引き揚げる。コンピュータだって皆なんでしょう。選挙用の資材は全部持って帰るんでしょう。置いておかないんでしょう。あと、それじゃもうおしまいですと、そんな無責任なことができるのですか。明石さんが御苦労されている、それで日本はいい、責任は果たしたと。僕は国連の限界というものを今度は嫌というほど見せつけられたわけですけれども、そういう認識を持った中でこの問題を解決していかなければカンボジアの問題は解決しない、こう思っているのです。いかがですか。

池田維外務省アジア局長

○池田政府委員 初めに、今の事態はパリ和平協定の前に戻ったのではないか、こういう御質問がございましたが、私自身の個人的な体験からいいましても、カンボジア和平というのは、もともとはカンボジア人のみならず関係国による代理戦争的な面がございました。そういう意味では、米ソの対立あるいは中越の対立といったようなものがあって、中、越ともにそれぞれの各派に対して武器を供与するというような事態があったわけでございますが、パリ協定をもってこういう側面はなくなっている、これに完全に終止符が打たれたという意味においては、パリ協定というのは依然として大変に大きな意味を持っているわけでございまして、現在の主要な問題というのは、カンボジア四派の中の民族の和解の問題である。これはパリのカンボジア和平協定の長い歴史から申しますと、やはり大変に大きな、一大画期的な協定だったというように考えております。そういう意味で私は、依然として現在の状況がパリ和平協定の大枠にのっとって行われているというように考えているわけでございます。  それから、UNTACの役割とUNTACに対する協力の仕方でございますが、やはり私どもは、パリ和平協定に基づいて日本としてはUNTACを全面的に支援していくということは必要だと思います。  それから、シアヌーク殿下の役割というもの、これは、これまでも日本政府としては一貫して支持してきておりましたが、やはり四派をまとめていく中心的な求心力になり得る人ということで、シアヌーク殿下の立場を支持していくということもまたこれは必要だと思っております。  そして、将来のことにつきましてただいま御言及がございました。どういったような格好で例えば選挙が行われ、その結果新しい政権が生まれ、その後またUNTACが存在するのかどうか、このあたりにつきましては、カンボジア人の意向それから関係主要国の意向というものをよく踏まえながら考えていく必要があるかと思いますけれども、いずれにしましても、日本国政府としてはこれまでと同じようにやはりカンボジアにおける和平のために最善の努力をしたい、こういうことでございます。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 さっき私が言ったパリ協定での二点、それは今選挙の争点になっているでしょう。いや、これは大きな認識の問題ですから。これは争点になっているんですよ。クメール・ルージュは、プノンペン政権はベトナムのかいらい政権だ。片方ではやはりあの大虐殺、これは選挙キャンペーンになっておる。そういう状況を御存じですか。それは、パリ協定ではどういう状況であったか、そういうことは棚上げをしよう、それで四派が合意するわけでしょう。  じゃ、その認識をもう少しはっきりしましょう。  私はそういう認識をして、だからパリ協定以前に戻っている、こういう問いかけをしているわけなんです。そうじゃないんですか。だからこそもう一度我々は、私は具体的に東京会議に対して少なくとも自分なりに関与してきた関係上、日本は、もちろんフランスを含め、タイの政府を含め、インドネシアを含め、関係諸国でこの問題は処理していくべきではないだろうか。そのことがやはり和平への道に入り込んでいく、そして再び中田君のような悲劇を起こさせない、起こらない、そういうことを今政治がやらなければいけないし、日本の外交がやらなければいけない。それでカンボジアの和平を議論することはできないですよ。いかがですか。

池田維外務省アジア局長

○池田政府委員 私どもといたしましても、その関係四派が、パリ和平協定の精神に基づいて民族和解のために協力するということを強く期待しているわけでありますが、同時に、これはもちろん、パリ和平協定の前に戻ったか、あるいはその後も同じかということになりますと、恐らく一貫して依然として関係各派の間に根深い不信感があるということではないかと思います。したがいまして、これはそう一朝一夕になくなるものではないわけでございます。  他方、もしもある一派がそういう和平の過程に協力しないからといって、その一派に拒否権を与える、そして和平過程をボイコットする、あるいはだらだらと和平の過程というものが延びていくということ、これは国際社会としても、あるいはカンボジアの多数の派から見ても容認できないことであったわけでありまして、ある段階で、選挙に参加しない派があってもやむを得ないということで、見切り発車を行ったということではないかと思います。しかしながら、同時に、そうはいいながらも、やはり重要な派について、これが選挙に参加するようにということで門戸をあけていくという方針をとってきているというように考えております。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 改めてカンボジア問題については質疑をやらなければいけないと思うし、私は現状の認識というのを、局長、大変それは立場上、私も理解はしますよ、あなたの立場ということを。しかし、もっとやはり現状、シアヌーク殿下が今どういう立場にあってどういうお考えでいらっしゃるのか、フン・センさんがどういうお考えでもっていらっしゃるのか、そういうことをあなたよく御存じなんです。私は、少なくともこれは大変なことだ。  それで、むしろPKO派遣の問題、その国内の議論云々、先ほども議論がありましたが、私は、五原則というものは変化している。現地の状況等、変化している。私は、非常にこれまた意味のある言葉を使う、変化している、こういう認識に立っているんです。外務省はそういうことについていかがでしょうか。破られていると言ったら、あなた方は、破られていないと言う。こちら七〇%武装解除、手順からいけばごうごうと、先ほど一生懸命柳井さん答弁されていた。そうじゃない、変化している。いかがですか。アジア局長、一番よくカンボジア問題、あなたはあの難民キャンプまで東京会談前には親書を持っていったでしょう。変化している。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 井上先生、いつも非常に含蓄の深い表現を使われますので、私的確に御答弁申し上げられるかどうかわかりませんけれども、五原則そのものは、それ自体が変わっているということはないと私は思いますが、ただ、世界のいろいろな紛争につきましては、これは言うまでもなく、それぞれの背景、状況がございますので、この五原則の適用の態様と申しますか、満たされ方というものにつきましてはいろいろな場合があるだろうというふうに考えます。  さらに言いますれば、非常に安定的に満たされております場合と、そうでなくて不安定性が残っているという場合、そういうようなことはあるだろうというふうに考える次第でございます。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 私が、変化をしているという、変化という言葉を使ったので、今のお答え、私に近い理解のお答えだ、そう受けとめてよろしゅうございますか。これでカンボジアの問題は一区切りしたいと思うので、そう受けとめてよろしゅうございますか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 先生が変化とおっしゃる意味にいろいろ深い意味があると思いますので、私ここで断定的には申し上げられませんけれども、先生の御解釈と私の解釈の間に少なくとも重複する部分がかなり相当あるであろうというふうに考えますが、いずれまた機会を改めまして先生といろいろ議論をさせていただきたいと存じます。

井上一成日本社会党・護憲民主連合

○井上(一)委員 実は時間が来たのですが、一点だけ南アの問題について、ODAの問題で少し触れておきたいと思います。  私は、もともと差別については、差別される側の人権の問題、その侵害の問題あるいは差別する側の人間的尊厳の破壊だというようなことで、なくすべきは核と差別である、守るべきは平和と人権であるという私の政治の理念は一に変わらないわけなんです。そういう意味で、南アフリカの人種隔離政策、アパルトヘイト政策ですね、このことについて、OECDのDACの中で南アフリカの黒人社会に対する援助ということがあるわけなんで、事実我が国も、たしか教育施設だったと思うのですが、そういうところに援助しているわけです。そういう援助のときに、ホームランドを事実上容認するような形をとってはいけない、このことを私は指摘をしておきたいのです。そういうホームランドを容認するようなところにつながらないODAでないといけないということ、本当に黒人社会に役立つ援助を具体的に検討すべきではないか。このことについて、ひとつ政府の見解。  さらに、資源国ですから、原爆ウランの行方を明確にしてもらうべきである、南ア政府に対して。日本政府はやはりそういうことをしっかりと提言をするというか、申し入れをするというか、話していくというか、そういうことをしっかりとやらない限り、軍縮への道あるいは核兵器廃絶の道に入らないわけでありますから、この二点についてお答えをいただいて、私の質問を終えます。

小原武外務省中近東アフリカ局長

○小原政府委員 お答え申し上げます。  まず、南アのホームランドについての扱いでございますけれども、我が国は、南アのホームランドはアパルトヘイト政策の所産であって、完全に撤廃されるべきという立場をとっております。この立場は今後とも引き続き維持していくべきものと考えております。  それから、南アのウランの行方についての御指摘がございました。去る三月二十四日の発表でデクラーク大統領が、南アは八九年に核兵器開発を放棄して九〇年にはすべての核兵器を廃棄したという発表をいたしました。また、南アは九一年の七月にNPTに加盟しまして、九月には国際原子力機関の保障措置協定を締結いたしました。そして、それ以来すべての核物質、核施設に関する情報を提供し、なおまたIAEAによる査察を受け入れてきております。この査察はこれまで順調に進んできているというふうに理解しております。  我が国としましては、このIAEAによる確認作業を今後とも注視するとともに、IAEAの場を通じまして南ア政府の積極的な対応を呼びかけ続けていくという方針でございます。

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十七分開議

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口那津男君。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 公明党の山口那津男でございます。  武藤外務大臣には、このたび多事多難な折に重責をお引き受けになられまして、本当におめでとうございます。ぜひともこれからの御活躍を期待したいと思います。  そこで、まず、就任に当たって所信をお伺いしたいと思うのですが、中でもとりわけ、今本会議でもいろいろと言われておりましたけれども、ウルグアイ・ラウンドヘの我が国の取り組み方、とりわけ米の問題について、大臣は従来柔軟な発言をされてきたと言われております。私は、それはそれで一つの見識だというふうに個人的には高く評価をしてまいりました。ですから、外務大臣にこのたび御就任されたからといって、たやすくその信念が曲げられるようなことは政治家として望ましくないと私は思うのですね。また、かといって過去の真意をただそうというつもりもございません。ですから、この点について今後どう取り組まれるか、政治家としての信念をお述べいただきたいと思います。  それからもう一つの点は、ロシアの問題でありますが、これまで我が国は北方領土の返還を重視する立場で政経不可分を厳格に主張してきたのだろうと思います。しかし、このタイミング、この環境においてそれを厳格に貫こうと思っていらっしゃるのか、それとも何がしかの方針の変更、修正をお考えになっておられるのか、その辺の大臣の所信を伺いたいと思うのです。  それからもう一点は、PKOの取り組み方であります。現行の法律はPKF本体業務を凍結いたしておりますが、この凍結解除について大臣は消極的なお考えを今お持ちであるというふうに伺っておりますけれども、この点についての大局的なお考え、この以上三点を含めまして、幅広い大臣の所信を承りたいと思います。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 まず最初に、大変お褒めの言葉をいただきましたけれども、微力でございますのでよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。  まず、今本会議でも出てまいりましたウルグアイ・ラウンドの農業交渉における米の問題でございますが、私は、国会決議の趣旨を体してというのは、実は通産大臣のときもそう思っておりました。実はあのときに、今は関税化の問題が大きな問題となってまいっておりますけれども、三年前は関税化の問題、必ずしもやらなければいけないと私は考えておりませんでして、たまたまあのころはミニマムアクセスの方がどちらかというと大きな問題として出てきておりまして、アメリカのヒルズあるいはヤイター、そういった方々との交渉の中で――私は今は外務大臣ですから、大変言葉を慎まなきゃならぬのでございますが、やはり内外に与える影響が通産大臣と比べますとより大きいものでございますから、私は慎重に対処していきたいと思っております。  あの当時申し上げておりましたことは、結局アメリカがちょうどウエーバーをやっておりまして、ウエーバーを外すかどうかという話があったときに、おまえの方もウエーバーを外すのならおれの方も今のように二万トンか三万トンだけというわけにいかないだろうな、こういう話を実はしたことがありまして、これが、ミニマムアクセスをある程度受け入れるべきではないか、こういうふうに報道されたわけでございます。  最近は、どうもこのミニマムアクセスの方が小さくなってしまいまして、関税化か関税化じゃないかというような議論の方が高まっておりまして、関税化という問題になりますと、これはやはり慎重に対処をしていかないといけない。日本の立場からまいりますと、最初、例えば七〇〇%なり六〇〇%でも、私がヒルズとやっておりましたときも最終的には五〇%というような話が出ていたわけでございます。やはり今日本の農業、万が一にでも近い将来に七〇〇からだんだん下がっていって五〇まで持っていかれちゃったらこれは大変だ、こんな感じで、私は関税化については実は非常に消極的でございます。そういう意味合いから申しまして、現時点においては、国会決議を踏まえてというのは、十分趣旨を体してというのは言えるという立場にありまして、私はそういうことを申し上げているわけでございます。  いずれにいたしましてもこの問題は、日本の問題としては大変難しい問題であることはよく承知をいたしておりますが、慎重な対応を今後はやってまいりたいと思っております。  それから、二番目のロシアとの問題でございますけれども、政経不可分、最近は拡大均衡と言っておりますが、私はこの原則を変えるつもりは全くございません。ただ、ロシア支援に当たりまして、これがあるから一切支援をしないとか、そういう問題ではなくて、やはりこの問題はこの問題としてあくまで、だから支援をするにも限界があるよ、やはり日本の国民の気持ちを考えれば、北方領土の問題というものを無視してあなたのところを何でも応援するわけにはいかないのだということを私は今後もよくロシアとの間においては申し上げてまいりたいと思っております。  しかし、それがあるからいこじに日本だけが、例えばG7が今度ありますけれども、その中で日本だけが一切協力を、今までよりも非常に消極的だ、こんなような受けとめ方をすることも、またこれは問題ではなかろうか。その辺は、あくまで拡大均衡の原則は踏まえながら、対応というものはいろいろ変化があってもやむを得ないことは出てくるのではないかというふうに私は考えております。  それから、最後の問題のPKOでございますけれども、これは午前中にも御質問にお答えをいたしておりますが、私は、PKFの凍結解除について、何もいつまでも凍結解除をすべきではないという考え方ではございません。ただ、あの法案が成立をいたしますときには非常な混乱の中で、国論がどちらかというと二分するに近いような形で成立をいたしておりますので、PKOの法律というものに対しては、もっともっと国民が理解をしていただかなきゃいけないんじゃないだろうか。そして、国民の理解があれば、なぜ凍結をこういうときには解除しなきゃいけないのかという話も含めて、国民に御理解を求め、国民が御理解いただければそのときに凍結を解除していくというのが本当の筋ではないかな。やはり政治というものは世論と離れて行われてはいけないし、外交はいわんや国民と離れて行われてはいけない、こういう考え方に立って私は申し上げておるわけでございます。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 先日、イギリスのハード外相と会われたという話も聞いておりますが、ハード外相の発言によれば、日本の常任理事国入りの主張に対して、平和維持活動に全面的に参加できるような国でなければ常任理事国入りは賛成できない、こういう趣旨の発言をされたように伺っております。  この点について、この国連の平和維持活動、最近では平和執行部隊の活動をも含めて国連の平和維持活動であるというような主張もあるかもしれません。あるいは、伝統的な平和維持活動と全く区別して、平和執行部隊は国連の平和維持活動の範疇には入らない、こういう主張もあるかもしれません。その点の大臣のお考えを明らかにした上で、この常任理事国入りについてどのようにお考えになられるか、伺いたいと思います。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 たしか、私との会談のときじゃなくて、ほかの方との会談であったのじゃないかと思っております。私の会談のときには、その話は具体的にそこまでいたしませんでした。どちらかというと、ロシア支援の問題に絞ってお話をさせていただきました。  今の問題でございますが、国連安保理事国の中、今理事国でございますが、常任理事国になるという問題は、私はかつて、たまたま党側におりまして予算委員会の総括質問をやりましたときに、宮澤総理に質問をいたしたときにその問題を提起いたしました。ただ、これはやはり国際環境の中で理解をされなければ、日本だけが無理に常任理事国にしろと言ったっていけないと私は思っております。  ただ、私の考え方は、少なくとも冷戦構造のありました、東西対立のありましたときは、どうしても常任理事国というのは軍事を中心とする軍事力の強い国がやはり常任理事国であってしかるべきだっただろうと思うのです。それは世界の軍事的な秩序を保っていくという上において必要であったのではないか。ただ、これからの新しい世界の秩序というのは、どちらかといえば経済的な面、きょう午前中は環境問題もございましたけれども、そういう社会的な面、環境を含めた社会的な面、経済的な面、こういうものを中心として、軍事ではなくて、やはりそういうものを中心とした新しい世界秩序をつくっていくというのがこれからのあるべき姿ではないか、こう私は考えておるわけでございます。  そういう考え方からまいりますと、当然、経済大国にまでなってまいりました日本というものが、いつかは国際社会の理解を得て常任理事国に入っていくことは必要ではないか。ただ、その前に敵国条項を削除するということが当然必要ではないか、こういうふうに私は思っておるわけでございまして、どちらかといえば、国際貢献が軍事的な面での国際貢献でなければ常任理事国の資格はないということではない、あくまで経済的にできるだけの協力をしていくということによって新しい世界の秩序づくりの中において常任理事国になる資格は十分出てくるのではないかというふうに私は考えております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 続いて、カンボジアのPKOについてお伺いいたします。  昨日、国連のボランティアである日本人の方が不幸なことに銃撃によって死亡する、こういう痛ましい出来事が起こりました。今日まで若い情熱を傾けてこのカンボジアの平和に献身的に活躍されたこの中田さんが殉職されたことに対して、心から御冥福をお祈りしたいという気持ちでいっぱいであります。  さてそこで、この国連ボランティアという立場は、我が国の平和協力隊員とはまた違った身分であると思われますが、日本の国民には、国連ボランティアという活動がどういう意義づけになっているのか、どういう身分なのかについて必ずしも十分な理解はないように思います。  そこで、この国連ボランティアの活動、位置づけと日本人の参加の態様、この身分、これらについて一般的な御説明をいただきたいと思います。

小西正樹外務省国際連合局長

○小西政府委員 お答え申し上げます。  国連のボランティア活動、国連のボランティア計画でございますが、これは一九七〇年の第二十五回国際連合総会決議に基づきまして、技能、資質等に恵まれました若い世代が経済社会の全分野に積極的に参加することによって開発途上国の開発に貢献するということを目的といたしまして、一九七一年一月一日に設立されたものでございます。現在では、開発分野にとどまらず、人道分野、こういった分野にも活動の分野を広げつつあるところでございます。  現在、その要員、ボランティアの数は、全世界で二千四百八十九名のボランティアが派遣されております。このボランティアは、ボランティア計画に自発的に応募して個人の資格で参加する人々から成っております。この二千四百八十九名のうち、日本人のボランティアは五十五名でございます。特にカンボジアにつきましては、二月末現在で六百八十五名のボランティアが各国から派遣されてきておりますが、そのうち日本人のボランティアは三十名でございます。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 今の御説明によりますと、日本人が国連ボランティアになろうとする場合に、ボランティアになるかならないか、あるいはその後のなった上での任務をどうするかということについて、日本政府はかかわる場面があるのですか。

小西正樹外務省国際連合局長

○小西政府委員 外務省といたしましても、このような国連ボランティア計画の非常に積極的な意義を認めまして、国際ボランティア登録センターにおきまして、こうした有能な若い世代の方々にそういう機会を与えたいということで、UNV、国連ボランティア側からの、どういうところで働けるか、どういう分野での活動があるかというようなことをそういう候補者に対して紹介いたしまして、また日本の国内からもそういう希望を外務省の方で把握いたしまして、国連、UNVの方に伝えるということで紹介の作業をやっております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 そうしますと、なるかならないかはあくまで本人の自発的な意思であって、その活動は国連が任務を与える、こういうことでありますけれども、そのアクセスを外務省が援助するといいますかお手伝いをする、こういうかかわり方はしているという御趣旨でよろしいでしょうか。(小西政府委員「はい」と呼ぶ)そのように伺いました。  その上で、こういう国連ボランティアの皆さんの活動現場における安全確保、これは第一義的には国連が担うべきことであろうと思いますが、我が国政府としては、外務省の分野なのか、それとも国際平和協力事務局の分野なのか、仕事なのか、いずれかはっきりさせていただきたいと思います。

小西正樹外務省国際連合局長

○小西政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、国連ボランティアの安全確保につきましては、第一義的にはその働いておる契約先であります国連の責任でございまして、これについては歩兵部隊や文民警察の保護をつけるということなどによりまして、必要な安全対策がとられているというふうに承知しております。  ただ、私ども政府といたしましても、在外公館を通じまして国連のボランティアの配置先、活動状況の把握に努めまして、随時各地の情勢についての情報をこうしたボランティアの方々に提供することによって安全確保に努めておる次第でございます。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 今回のこの痛ましい事件について外務大臣はどのように受けとめていらっしゃるか、これを伺いたいわけでありますが、この件はまた別にいたしまして、最近、日本人が海外でいろいろな事件、事故に遭遇して被害を受ける、こういう場面がふえているのだろうと思うのですね。それに対して日本の報道機関は非常にきめ細かく報道する、ある意味でセンセーショナルに取り上げる、こういう事態もあるだろうと思います。この取り上げ方というのは、一面では、日本人が海外におけるリスクを自覚して自己責任に基づいて行動をする、こういう認識がやや不足しているのだろうと思うのですけれども、そういう自覚を促す、情報を提供するという意味ではプラスの効果を生んでいるだろうと思うのですが、また逆に、当事者に対しましても、また関係の方々に対しても、取り上げ方によっては無用の誤解や負担を与える、こういう場面もあるのだろうと思うのですね。そういうことを踏まえまして今回の事件をどう受けとめられるか、そして、海外での日本人のこういう事故、犠牲に対してのマスコミの取り組み方等についての大臣の御意見を伺いたいと思います。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 最初の、今回の中田さんの本当に不幸な事件というのはまことに残念でございまして、特にボランティアという、しかも長い間内戦で苦しんできて荒廃してしまったカンボジアが一日も早く平和な国になるようにという、本当に崇高な目的で行かれている若い二十五歳の中田さんがあのような形で事件に遭われたということは、何といいますか本当に、実にふんまんやる方ないというか、なぜこんなことになったのだろうかという気持ちでいっぱいでございます。  ただ、まだその実際の、だれがどういう形で撃ったのかということも正確にはわかっておりませんので、対応の仕方がなかなか難しいのでございますが、いずれにいたしましても、きのうもいろいろ私は記者会見で申し上げましたけれども、できるだけUNTACにおきましてももっともっと、やはり治安の悪いところへ行かれるときには警備を厳重にしてあげるとか、あるいは集団で行動していただくとか、いろいろの方法を御指導いただくようにお願いをしなければいけないと思っております。  それから、海外へ行かれる旅行者が非常に多くなりました。不景気で少し減りましたけれども、バブルのときは一千万人以上とにかく海外へ出たわけでございまして、どうしてもいろいろの事故が発生をする。私は、日本の国は世界で一番治安がいい国だと思うのです。ですから日本の方は、日本の社会の中で歩いておられるのと同じような考え方で海外へ気楽に行かれる。これはもう大変な間違いでありまして、特に風俗、習慣も違いますし、あるいは銃器といいますかピストルその他につきましての慣習も違う国がたくさんあるわけでございますから、日本の国の中を国内旅行するのと同じような気持ちで行かれるということは大変間違いで、この辺を私は、これからぜひ旅行業者なり、あるいは役所であればやはり私どもと運輸省か、どちらかといえば運輸省だと思うのでございますが、やはり海外旅行に対しては十分警戒をして行かれなければいけないということをもっともっと徹底をしていかなければいけないのじゃないか、そして、やはり行かれる方は十分その辺の注意をして行動をされるということが必要ではなかろうかと私は思っております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 今外務大臣に今回の事件の受けとめ方をお尋ねしましたのは、UNVというか国連ボランティアの方々の安全確保は国際平和協力事務局の仕事ではなくて外務省の仕事であるということで、その長であられる大臣にお伺いしたわけですね。  さてそこで、こういうボランティアで犠牲になられた日本人の方、この人たちに対しては、いわゆるPKO法に基づくいろいろな補償の体系というのは働きません。適用にならないだろうと思いますね。ではその場合、外務省は先ほど、国連ヘアクセスする場合のお手伝いをしている。つまり全く関与がゼロではない状態で、しかもこの平和協力隊の方々と同じく平和協力活動に尽力をされた、そういうとうとい犠牲なわけでありますから、やはりその功労に対して報いるといいますか、謝意を表するといいますか、弔意を表するといいますか、そういう日本政府の対応というのがあってしかるべきではないかと思うわけであります。必ずしも制度化されていないのかもしれませんが、この点についての政府の考え方をお伺いしたいと思います。

小西正樹外務省国際連合局長

○小西政府委員 カンボジアに派遣されております国連のボランティアに関しましては、国連の規則に従い、UNV、国連ボランティアの負担によりまして民間の保険に加入しておりまして、今回の中田さんのケースにつきましてもこの保険の適用があるのではないかと考えております。  なお、カンボジアの場合の契約条件の詳細は承知いたしておりません。現在、UNVが保険会社と話し合いを進めているところだというふうに承知しております。  政府といたしましても、このようにカンボジアの和平に向けて積極的に、献身的に努力されてこられた若い優秀なボランティアを失ったということにつきましては非常に残念なことだというふうに考えておりまして、政府といたしましても、何ができるのか、こういったことについて誠意を持って検討してまいりたいというふうに考えております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 ぜひその誠意を形であらわしていただきたいと思います。  さてそこで、このUNTACへの日本の参加のありようですが、これについて、まずその前提となっているパリの和平合意、これは実に幅広い合意でありまして、停戦の合意ですとか武装解除のプロセスですとか、あるいは難民の帰還とか選挙とか、さまざまな複合的な合意であるわけであります。その合意の中で守られている部分もある。例えば難民の帰還ですと、カンボジア国内に帰還するという業務は既に終了したと伺っております。それから、選挙の登録という事務もかなり好成績のうちに昨年末で終了したというふうに伺っております。しかし、停戦の合意の部分については、散発的な違反行為もあり、これは必ずしも十分に守られていない。また、武装解除の部分については、これはどの程度守られたか評価すらできないくらい十分ではないというふうに思うわけですね。  そこで、このパリ和平合意の部分的な違反が、全体の合意が崩れたと言えるほどに至っているのかどうか、この点の御判断を伺いたいと思います。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 ただいま山口先生から御指摘がございましたように、パリ和平協定は大変に広範な規定を有しているわけでございますが、ただいまのお話のように難民の帰還でございますとか、あるいは選挙に向けての有権者の登録という面につきましては相当進歩があったというふうに考えております。  他方、武装解除につきましては、パリ和平協定上は七〇%の武装解除をするという予定でございましたけれども、残念ながらこの方は、ポル・ポト派以外の三派につきましてはある程度行われましたけれども、ポル・ポト派の武装解除というものが進みませんで、これは途中で終わっているという状況でございます。  それから、停戦の合意に関しましては、確かにカンボジアにおきましては、一部の地域で武装集団による襲撃事件でございますとか、あるいは停戦違反事件というものが発生しておるのは事実でございます。  また、昨日はあのような痛ましい事件が起こっております。昨日の事件の背景等の詳細につきましては、まだUNTACの方で調査中ということでございますので、私どもといたしましても早く真相を知りたいということで、情報収集に引き続き努めてまいりたいと考えております。  カンボジアの情勢を一般的に見ますと、確かに一部の地域でそういう襲撃事件、停戦違反事件等はございますけれども、全面的に戦闘が再開されているというわけではございません。また、カンボジアの紛争当事者各派は、カンボジア最高国民評議会、いわゆるSNCでございますが、を通じましてUNTACの設立及び活動についての規定を含みますパリ和平協定に署名して、UNTACの活動を受け入れているわけでございます。現在、UNTACの活動を全面的に否定するというような行動を各派がとっているというわけではないと考えております。したがいまして、パリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは維持されておりまして、いわゆる五原則は現在も満たされているというふうに認識しております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 我が国の平和協力法には五原則が規定されているわけですが、UNTACの場合は五原則が充足されているということを確認をして参加をしたわけですね。現状においてはこの五原則が満たされなくなったといいますか、中断、終了させるためには、法律の条文によれば、合意が存在しなくなった場合、こういうふうに規定しているはずであります。ですから、それと同視できるような実態があるのかどうかということが問題なわけでありますが、私の認識によれば、各派がこの停戦の合意を破棄するという明示的な意思表明はしておらないように思います。それでは破棄したと同視できるぐらいの事実があるか、停戦違反の事実があるかというと、これもあるとは言いがたいように思うわけですね。ですから、直ちに中断、終了させるべき法律上の前提はないというふうに理解しておるわけでありますが、それでよろしいでしょうか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 私どもも、ただいまおっしゃいましたとおりに理解しております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 日本国内の議論を聞いておりますと、停戦違反の事実を指摘する声ばかり強くて、この点の、法律の制度の枠組みというものを十分に理解した発言、主張が乏しいというふうに私は見ております。ですから、正確な議論を期したいというふうに思うわけですね。  そこで、停戦合意は消滅していないとしても、和平合意という包括的な合意の停戦合意以外の部分が大きく違反、不履行になっているがゆえにこの停戦合意の存在に影響を与える、あるいはその他の中立や同意の原則に影響を与える、こういう場合もあり得るのでしょうか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 パリ協定で規定されましたとおりに必ずしもいかなかった部分の一つの典型的な例といたしまして、いわゆる武装解除の問題があるわけでございますが、この武装解除自体は停戦の合意そのものとは別な次元の問題であると私は考えております。  と申しますのは、武装解除が進めば停戦の合意もより安定した形で守られるという面がございますから、そういう意味におきまして関連はいたしますけれども、しかしながら、武装解除がない状況におきましても停戦の合意というものは十分あり得るわけでございますので、その意味でこの二つは一応別な問題であろうと思います。  ただ、武装の水準が高い場合におきましては停戦違反等が起きやすいという不安定な面も包含していることは、これもまた事実だろうと思います。そういう意味におきまして、相互に関連性がある問題の一つが武装解除の問題だろうと思います。しかしながら、先ほども申し上げましたように、それだからといって、現在停戦の合意という基本的な原則が崩れたという状況にはないというふうに認識しております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 今おっしゃったとおりだと思うのですが、五原則が満たされた、狭義に満たされたとしましても、やはりこの和平合意は複合的な幅広い合意である場合が通常でありましょうから、相互に深い関係を有するわけでありますね。ですから、五原則が満たされているから当然にPKO活動に参加すべきであるとか継続すべきであるとかということにはならないのであって、やはりそこには総合的な政治判断というのが、正当な事実認識を前提にしたそういう判断というものが必要だろうと思うのですね。そのように考えますけれども、いかがでしょう。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 結論から先に申し上げますれば、私どももそのように考えております。  すなわち、五原則が満たされなければ我が国の国際平和協力法上はPKOに参加できないわけでございますが、逆に、五原則が満たされれば必ず参加するかということになりますれば、そうではないというふうに考えております。そこにはいろいろ我が国としての立場、どのような協力ができるか、あるいは国内的な理解があるかどうか、あるいは国際的に評価されるかどうか等々のいろいろな側面を検討した上で、我が国として参加することが適当であるかどうかという政策判断がそこにはあるべきであろうというふうに考えております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 今のようなるるおっしゃられた理解、そして事実認識を前提として、今後UNTACの活動になお日本の参加を継続すべきかどうかという点についての見解を伺いたいと思います。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 UNTACに関しましては、現在、その目的といたしております一番重要な段階に差しかかっていると存じます。それは、自由で公正な選挙を通じまして民主的なカンボジアの新政府をつくるということでございまして、そのためにUNTACを中心として世界の多くの国々が力を合わせてそのような環境をつくるということで努力をしているところでございます。  したがいまして、先ほど申し上げたことに当てはめて申しますれば、現在も五原則は満たされているという法律的な点が一つと、それから我が国としても、UNTACを中心とする国際的なカンボジア和平の努力を完成させるべく、今後とも引き続きできるだけの支援をしていくべきであろうというふうに考えております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 参加継続を前提にした上で、日本人のUNTACといいますかカンボジアヘの参加形態というのはさまざまあるわけですね。協力隊員として行っていることはもちろんでありますが、先ほど申し上げた国連のボランティア活動として、あるいはNGOのメンバーとしての活動、あるいは一般旅行者としての滞在とか、さまざまな形があるわけでありますが、それぞれに安全確保のあり方、そしてそれに対する責任の所在というのが異なるだろうと思うのですね。一応整理した上で、見解を述べていただけますか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 ただいま御指摘になりました安全確保の問題、これは最も大事な問題だと私ども認識しております。  ただいま御指摘のとおり、いろいろな形で我が国の国民がカンボジアに行っているわけでございますが、私ども国際平和協力本部におきましては、国際平和協力法のもとで政府が派遣した国際平和協力隊員の皆さんの安全について責任を持っているわけでございます。したがいまして、我が国としてできるだけの措置をとり、努力をすべきことは申すまでもございませんけれども、現地におきましては、第一義的には国連が、国連の活動として参加しております各国からの隊員の安全確保ということのために方策をとることとなっているわけでございます。昨日のような痛ましい事件、あるいはその前にも何人かのUNTACの隊員が犠牲になっておられますけれども、そういうことにかんがみまして、現在UNTACの内部で安全対策の強化ということについて協議が行われていると承知しております。  例えば、歩兵部隊による警備を強化する、あるいは場所によりましては歩兵部隊、いわゆるPKFでございますが、PKFの部隊の宿営地に例えば文民警察の隊員を寝泊まりさせるというような措置でございますとか、あるいは夜には出歩かないというような措置等々、いろいろな措置をとっているところでございます。  今回の事件に際しまして、私ども国際平和協力本部事務局といたしましては、個人で参加している、個人と申しましても法律のもとで参加している隊員の皆さんについては一層の注意をするように指示をしたところでございますし、また自衛隊の部隊も行っておりますので、部隊につきましては防衛庁の方からさらに注意をするように指示をしたというふうに承知をしております。また、UNTACに対しましても、今川大使から明石代表に対して一層の安全確保をお願いしたところでございます。  なお、緊急事態が発生した場合におきまして、我が国としては、UNTACと緊密に協議を行いますとともに、緊急事態におきましては通信の問題というのが非常に重要でございますので、一定の地域にいわゆるインマルサット、衛星通信の機器等を利用して隊員の安否の確認、それから情勢の把握、さらに私ども事務局から現地の支援チームとして長期出張の形で職員を出しておりますけれども、こういうような職員を必要なところに支援のために赴かせる等々の措置をとっているところでございます。  その他の在留邦人の保護の問題につきましては、外務省の方からお答えを願いたいと思います。

荒義尚外務大臣官房領事移住部長

○荒政府委員 私の方から、PKOの派遣隊員あるいは国連ボランティアを含む国連関係者以外の民間のボランティアの方々、あるいはその他の在留邦人の安全確保についてのお尋ねでございますけれども、昨日現在で民間のボランティアの方々はおおむね三十数名おられます。ほとんどがプノンペンで活動されておられるということでございます。それから、それ以外の民間企業関係者ですけれども、これが大体四十名くらいというのが我々大使館で把握しておる数字でございます。  これらの方々の安全確保につきましては、現地のプノンペンにおきまして安全対策連絡協議会というのを先般発足させました。これのメンバーは、企業の代表者の方、それから日本人会の方、それからボランティアの代表者の方と大使館の担当の者でございます。この場におきまして、私どもが持っております現地の一般治安情勢であるとか、あるいは安全関係の情報を提供したり、あるいは相互に持っておる情報をお互いに交換するということが一つ、それからもう一つは、緊急時を含めまして連絡通信網の整備をこれから手がけるということでございます。先生も御承知のように、現地の電話事情は大変悪うございますので、そこら辺が大変な問題でございますけれども、私どもとしましては、現在無線機あるいは携帯電話等を逐次配備中でございまして、この点につきましては今後一層強化していきたいと思っております。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 今後選挙監視活動というのが予定されると思うのですが、日本からも準備として五十名ほどその希望者を確保している、こういう報道も伝わっております。しかし、まだ正式に国連から要請が来たわけではないでしょうから、この分野への参加が決定されたわけではないと思うのですが、今後の対策として、この選挙監視活動に参加要請をされた場合に、これらの要員となられる方々が、今回のような事件を前提にして、よく認識をした上で参加の意思があるかどうかということを再確認していただきたい、このように思うわけですね。ただ意思を再確認するというのではなくて、やはり正しい情報、過不足ない情報を与えた上での意思表明でなければならないと思います。医療の分野でもインフォームド・コンセントということが強調される時代でありますから、その点遺漏なきを期していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 選挙監視の分野につきましては、国連からの非公式要請がございましたので、我が国として正式に派遣することになった場合に適時適切に対応できるようにということで必要な準備を行ってまいったところでございます。先月、補欠要員を含めまして五十数名の派遣要員の候補者をリストアップしたところでございます。これらの方々はいずれも本人の御希望によって応募された方々でございますが、派遣の前には国際平和協力本部事務局において再度おのおのの御希望の確認、意思の確認ということを行う予定でございます。  それから、きのうのような事件を含めまして、現地の情勢につきましては随時皆様の方に情報を提供しているところでございます。約二週間の非常に幅広い研修を先般行いましたけれども、その間におきましてはもちろんのことでございますが、研修終了後はそれぞれの職場等に戻っておられます。昨日あの事件が起きました直後、私ども、お一人お一人電話で御連絡をとりまして、そういう事件の概要等につきましても情報を提供したところでございます。現在のところ、まだ希望の再確認という手続をとっているわけではございませんけれども、現在のところは特に辞退者があるということではございません。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 時間もありませんので私の要望だけ申し上げておきますが、まず、この各派のUNTACの活動に対する敵対行為については断固たる申し入れ、措置等をお願いしたいと思うのですね。  それから、今回のような事件は国会へ報告する義務というのは法定されてないわけでありますけれども、しかしその重要性にかんがみて、自発的に報告の場をつくるあるいは情報提供の場をつくるということをひとつ努力していただきたいと思います。  さてそこで、モザンビークのPKOについてお伺いいたします。  先ほど柳井事務局長の方から、五原則が満たされている場合であってもなお総合的な政治判断を要する、こういう一種の手続原則のようなものが示されました。私ども同感でありますが、大臣に伺いますけれども、今回モザンビークのPKO参加について準備を始めるということで、きょうも第二次調査団が出発しております。このモザンビークPKO参加について大臣は必ずしも積極的でない、こういうふうに報道もされているようでありますけれども、しかし政府が一応準備を始めた、これは積極的判断をしているということだろうと思うのです。  ところが、この判断の過程におきましては、ことしの一月、二月、当初の段階では消極的な姿勢であったかのように報道されておりましたし、前の渡辺外務大臣からも消極的ではないかと思われる御答弁もありました。ところが、この第一次の調査隊が戻ってきて報告するや否や突然に、政府といいますか内閣の態度が積極的に変わった、こういう印象を受けるわけです。しかし、そこには五原則は満たされているということは前々から当然わかっていたわけであります。比較的治安の状況もいいとか、あるいはインフラ、通信等も整っているとか、それから対立当事者が単純で安全裏に活動できる、成功するであろうという見込みも強い、こういうこともかなり前からわかっておったわけですね。にもかかわらず、政治判断を受けてなぜ態度が変わったように見えるのか、そのところが必ずしも国民にはわかりにくいわけであります。どのような要素を政治的にしんしゃくをして積極的に変わったのか、これを明らかにしていただきたいと思いますし、また大臣の個人的な考え方を改めて伺いたいと思います。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 これまでの経過の部分について私の方からまずお答えさせていただきたいと存じます。  確かに一時、政府の方針が消極から積極に変わったというような報道もございましたけれども、一たん決まった方針がそのように変わったということはなかったわけでございます。検討はしておりましたけれども、そのような方針変更があったということはなかったと認識しております。  このモザンビークのPKO、いわゆるONUMOZでございますが、これに対しまして、結論的には輸送調整分野において応分の貢献を行うということが可能と判断した次第でございますが、その際、政府としましては幾つかの要素を念頭に置いて検討したわけでございます。  一つは、憲法、国際平和協力法の枠内で行うべきであるということでございます。第二は、国内の支持を受けるものでございまして、また国際社会からも評価されるものであること。第三に、現地の事情に合わせまして、要員の派遣が効果的かつ安全に行われるため万全の支援体制を整えるということ。さらに四番目に、我が国が適切に対応することが可能な分野であること等の観点から慎重に検討を行いまして、先ほどもお話の出ましたいわゆる第一次現地調査団を派遣して、国連の打診も踏まえながら総合的に検討してこのような結論に至ったというのが今までのいきさつでございます。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 私は、モザンビークの調査団そのものの派遣に消極的だとは自分では実は思ってないわけでございまして、報道がそういう書き方であるとすれば必ずしも正確でないと思います。  私は、PKOそのもののモザンビークヘの派遣については、やはり世論の支持といいますか、そういうものが必要だ。それから、それでは隊員として派遣される方々が、世論が全く横を向いているのに派遣されていくということではよくないと思いますので、やはり国民の皆さんが、モザンビークはちょっと遠いところであっても日本からひとつぜひPKO活動に行ってもらった方がいいんじゃないか、やはりこういう国内の空気が出てくるということが必要だろう。そういう意味合いにおいて、まだそういう空気に必ずしもなっているとは私は思えないので、そういう点で対PKOの隊員そのものを派遣することには今すぐどうなのだろうか。カンボジアでもう少しいろいろと成果を上げていただいて、そして国民が、なるほどPKOの活動に対しては日本は積極的にどんどんこれからとも世界のあちらこちらに行っていただこうじゃないか、こういう空気が出てきたところで行っていただくというのが私は一番いいのじゃないかという意味で申し上げたわけでございまして、そのための必要な調査の積み上げは、私は何も反対をいたしておるわけではございません。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 時間も参りましたけれども、大事な問題でありますので重ねて伺いたいと思いますが、私は今回のカンボジアでの事件というのが、やはり国民世論に多大な影響を与えるだろうとは思うのですね。しかしながら、やはりこのPKO協力ということは、我が国全体あるいは国連のあり方というものを総合的に考えた冷静な対処が必要だろうと思っております。ですから、これまでのさまざまな情報収集、御判断の積み上げによる姿勢というものはきちんと貫いていただきたいとも思うわけですね。ただし、大臣は新たに内閣に入られましたので、その大臣の今お述べになったような考え方を内閣で新たに主張されて、このモザンビークPKO参加について異を唱えるおつもりがございますか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 だから、煮詰まってきた段階で私はもちろん賛成をいたします。

山口那津男公明党・国民会議

○山口(那)委員 終わります。

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 古堅実吉君。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 最初に、カンボジア問題について伺います。  今回の日本人殺害事件は、もともと停戦合意が形だけで、ゲリラ的戦闘が激化し、特にポル・ポト派が選挙を妨害するためUNTAC要員を殺害するなど、一層軍事行動を強めてきていただけに、いわば起こるべくして起きた事件だ、このように言えると思います。国連ボランティアとはいえ、日本人が危険な紛争地で射殺されたということは極めて重大な問題であります。政府は、この責任の重大性についてどういう認識をお持ちか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 昨日の大変痛ましい事件によりまして、カンボジアの和平のためにみずから希望してUNTACの活動に参加されておられた中田さんが亡くなられたことにつきましては、大変に悲しく、またこのような非人道的な攻撃を加えた者に対しまして強い憤りを感ずるところでございます。  中田さんの場合は国連ボランティアでございますので、政府として直接派遣した方ではございませんけれども、政府が派遣した国際平和協力隊員とともに、同じ目的に向かって同じカンボジアで努力をしてこられた方でございます。私も現地で、中田さん御自身とは面談はございませんでしたけれども、ほかの国連ボランティアの方々とはいろいろ意見交換をし、またいわば一緒に働いてきた仲間でございますので、そういう意味からも非常に残念に思っております。  今後のUNTACの活動につきましては、現在、選挙という、カンボジアに新しい民主的な政府をつくる非常に重要な過程に差しかかっておる次第でございますので、いろいろ緊張が高まる等問題がございますけれども、要員の安全措置については一層意を用い、またUNTACにおかれても安全対策を強化していただき、この重要な任務を全うしたいというふうに考えております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 この事件は、一月以来の戦闘の激化があった、さらにUNTAC自体がねらわれてきたというこの間の経過から見ても、起こるべくして起きた事件ということになるではありませんか。そこらあたりの見解はどうなんですか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 ポル・ポト派が選挙に参加しない、UNTAC、また世界の多くの国々が選挙への参加を呼びかけたにもかかわらず選挙に参加しないということになったことは非常に残念でございますし、そのような状況になりましたので、選挙に向かって緊張は高まるのではないかという危惧は関係者としてはみんな持っていたところでございます。  そのような事態に対処いたしまして、UNTACとしては、例えば歩兵部隊の展開を変更する等いろいろな安全措置をとってきておりますが、にもかかわらず、あのような痛ましい事件が起こりましたことは大変残念に思っております。現在もUNTACにおきましては安全対策の強化について協議をしているところと承知しております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 言われるように危惧されるような事態が発生し、それが激化するという中で今回の事件が起こったのです。既に一カ月前から、例えばコンポントム州ストーン地区には六部隊千八百名が集結し始めているという情報もありました。こうした中での今回の重大事態の発生です。これは自衛隊も含めて八百名余の日本人の安全を守ることができないということではありませんか。政府はそのことを認めますか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 ただいまおっしゃいましたコンポントム、それからシエムレアプ州を中心としてこれまでもいろいろな停戦違反事件等が発生しているのは事実でございます。したがいまして、これらの地域を中心にUNTACとして安全対策を強めてきておりますし、また政府としても、政府としてできる限りの安全対策というものを講じている次第でございます。  安全対策は、第一義的にはUNTACの方で行うべきことでございますけれども、日本政府といたしましても、通信体制を改善する等の措置をとりまして、安全に意を用いているところでございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 ポル・ポト派のPKO活動に対する襲撃、妨害活動は現局面における彼らの戦略なんですね。したがって、今以上にエスカレートするのは必至だと見なければなりません。それでも安全だ、危険はないのだと言い張るおつもりですか。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 危険が全くないとか、あるいは完全に安全であるということを申し上げているつもりはございません。  確かに危険な地域もございますし、また傾向として、最近、先ほど申し上げたように緊張が高まっているというのは事実でございます。そのような中におきましても、できる限りの安全措置をとって、そしてこの重要なカンボジア和平努力を完成させたいというのが私は国際社会の希望であると思います。それに我が国としてもできるだけの支援を与えるべきであるというふうに思っております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 事態は、我々が指摘してきたように、停戦違反を立証する、こういう事態が一層強まりつつあります。軍事的危険もますます強まりつつあります。PKO参加の自衛隊部隊への襲撃もいつあってもおかしくない、こういう状況、事態はそういうものではありませんか。そういうことがないと言い切ることができますか。明確なお答えをください。

柳井俊二総理府国際平和協力本部事務局長

○柳井政府委員 先ほども申し上げたつもりでございますけれども、危険がないということは申しておらないわけでございます。むしろ地域、状況によっては危険がございますので、そこは安全対策を強化する必要がある、そのようにUNTACに対しましても申し入れているところでございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 PKO参加の自衛隊への襲撃もおかしくはない状況だ、そういうことがないとは言い切れない、危険が進んでいるというふうにしか言えない、問題はここにあります。自衛隊の駐留を続けるために、先ほど来の、午前からのいろいろな言い分を聞いておりますというと、苦し紛れに五原則違反ではないと強弁を続けています。何を根拠にそんなことを言い張るのですか。自衛隊への襲撃、狙撃といった事態も予想されているのに、カンボジア駐留を続けるという以上、もし被害が出たら、外務大臣、あなたは、この事態をそのまま今事務当局をして説明させているような方向に発展させ、被害者がこれから多くなっていくということになれば、責任をとる覚悟はあるというふうなことになろうかと思うのですが、そのように理解していいですか。大臣にお尋ねしておるのです。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 午前中にも答弁を申し上げましたけれども、まだ事実関係がはっきりいたしてないわけでございまして、事務当局が五原則が維持されていると言うのは、現在の時点において申し上げていることだと私は思っております。実際、あれがどういう形の事件であるかがはっきりしてきてから私は判断をしたいということを午前中にも申し上げたつもりでございます。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 責任あるような答弁というものは何一つ言えないんですよね。責任をとるとも言えないし、そういうふうな心配のないようなことですということも言えませんし、責任を持ってこういう犠牲者が出ないようなことにしますということも言えない。  午前中の答弁の中で、このようにちょっと聞いたのですが、事実調査の結果を見て今後の派遣について判断したいというふうな趣旨であったかと思うのですけれども、この事実調査をなされた結果、日本独自の判断で日本のPKO部隊の引き揚げもあり得るというふうに結びつけて理解してもよろしいですか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 いずれにしても、事実関係がはっきりしてから私は判断をいたします。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 今回の事件とカンボジアの現況から言えることは、政府がこれまでの態度に固執するのではなしに、カンボジアに対する対応を抜本的に検討し、自衛隊の撤退に踏み切ること、ここにあると思います。そのことを強く要求するものですが、大臣、お答えください。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 同じ答弁でございまして、事実関係がはっきりしてから私は判断をいたします。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 次は、我が国の政治の中でも沖縄問題ということで外務省とも深いかかわりのある問題ですので、沖縄問題についての基本姿勢について大臣に伺わしていただきます。  戦後半世紀になろうとしています。沖縄は戦後も苦難の歴史でした。解決されなければならない戦後処理問題もまだ数多く残されています。その中でも最大のものが米軍基地問題です。基地は、北部における実弾射撃演習や、嘉手納、普天間両飛行場のもたらす爆音公害、こういうのが県民の平穏な生活を毎日破壊し続けているということがあるだけじゃなしに、沖縄振興開発にとっても最大の障害となっています。まさに諸悪の根源、このように言われるゆえんです。  沖縄県民は、沖縄の戦後が一日も早く終わることを切実に願っています。そして、このような基地問題、戦後処理問題の解決なしにはいつまでも戦後は終わらないとも考えています。このような怒りとも言うべき、願いとも言うべき県民の気持ち、沖縄県民の心、それについては政府の閣僚の一員をなす大臣、特に沖縄の問題との深いかかわりを持たれる新大臣としても理解できるのではないか、このようにも思います。そこらあたりを含めて、沖縄問題についての基本的な姿勢を伺わしていただきます。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 今お話しのとおりで、戦後沖縄県だけが他国の占領下に長い間あったということに対しては本当に残念なことであったと思います。沖縄の皆様方に対しては心から、何といいますか、申しわけがないという気持ちでいっぱいでございます。  ただ、今お話のありましたように、今なお相当沖縄の広い地域に米軍の基地がある、一体これがなくならない限り戦後は終わらないのではないかと、そこまで言われますと少し私も、確かに沖縄の皆様方に申しわけないのでございますけれども、やはり日米安保条約があったからこそ今日の日本の平和と繁栄があると承知をいたしております。その意味において、沖縄に特に米軍の基地が多くあったということに対しては、沖縄の皆様方には本当に申しわけがないと思っております。  それじゃ、基地が撤退していけば戦後は終わる、こういうことでございますが、確かに東西の対立、この冷戦構造はなくなりましたけれども、私は、今日本の置かれている現状を考えますと、今なお日米安保条約が必要でないとは決して思いません。やはりそのもとで日本の平和と繁栄が今後とも維持していけるものと思っておりまして、できる限り整理統合は図っていかなければならないのは当然でございますけれども、全く沖縄から米軍基地をなくしてしまうというようなことは、現実の問題としては非常に難しい問題であるということを申し上げ、その反面、沖縄の皆様方に対しては、そういうある程度の犠牲的な立場におっていただくわけでございますから、できるだけ沖縄県のためには努力を政府はしていかなければならない、こう考えておるわけであります。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 今、基地がこのような形で続く限りは戦後は終わったとは思わぬ、終わるのではないという言い分については、大臣も理解された御答弁があった。しかし、安保のもとでその存続をずっと考えられるような意見も述べておられる。だからといって、一方的に沖縄に犠牲を押しつけていい、沖縄の戦後が終わらないままにいつまでも犠牲が押しつけられていい、まさかそういうお考えではなかろうと思いますが、もう一度念を押してお伺いしたい。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 ですから、大変そういう犠牲的なお立場で今日まで来られましたので、私どもは申しわけがないという気持ちで、政府といたしましては、他の都道府県よりも沖縄に対してはできる限りいろいろ温かい手を差し伸べるという政策を今日もとっておる、私はこういうふうに理解をいたしております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 基本的なものに突っ込めば突っ込むほど日米安保条約ということにもなってきますので、きょうはここでの論議をこれ以上しようとは思いませんが、次に具体的な問題についてちょっとお尋ねしたいと思います。  軍用地の返還については、沖縄県が政府に対して県有地の具体例を示して要請しておりますし、関係の市町村も同様の要請を行っています。冷戦後における情勢の変化もありますし、これまでとは異なる積極的な対米交渉が可能だというふうに思われますけれども、担当の大臣としての抱負を聞かせてください。

佐藤行雄外務省北米局長

○佐藤(行)政府委員 具体的な問題とおっしゃいましたので、特に県有地の問題について御指摘になりましたから、その点だけちょっと先に申し上げさせていただきます。  率直に申しまして、この問題は防衛施設庁の方に聞かれた方がより現時点の正確なことがお答えできるのかと思います。先般、予算委員会の分科会のときに御質疑をいただきまして、そのときに、今の段階では県の要望を現地でいろいろ伺って詳しく聞いているところであるということを申し上げましたが、実は、きょう御質問がありますので一応確認をしてまいりましたが、まだその状況が続いていることのようであります。  先般私も申し上げましたように、そして今大臣からもお答え申し上げましたように、沖縄の基地の整理統合を進めるというのは我々の基本方針でございます。そういう意味で、県の御要望のあるものと、そして返還の進めやすいものとの合致するところを一つでも多く見出しまして、施設の整理統合を進めていこうという気持ちで臨んでおります。その点だけ申し上げさせていただきたいと思います。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 大臣、就任されて間もないことではありますけれども、そういう意味で先ほど私は余り細かい、具体的な言い方はしませんでした。しかし、県有地の返還問題などという、あるいは関係市町村などからも出ている、要は、軍用地の返還問題を何とか促進しないのでは、沖縄の振興開発にも最大の要因となっているものの解決ができないままに推移する、そういう大事な点があるものですから、政府の大きな姿勢にもかかわるものがございます。そういう意味で、大臣としてこのものを重視し、皆さんのスタッフをも含めて真剣に考え、積極的に進めるかどうかの問題は、その問題について大きく推進されるかどうかということにもつながります。大臣からも聞かせてください。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 今北米局長からも答弁いたしましたけれども、たしかことしの二月、渡辺前大臣が訪米いたしましたときにも、アメリカの国防長官に対して整理統合を進めていきたい、アメリカの協力を得たい、こういう発言をしておられると承知をいたしております。私も今後米国の首脳と会う機会が多いと思いますけれども、できるだけ沖縄の米軍基地がより整理統合され、そして軍用地が少しでも開放されていくように努力をしてまいりたいと思っております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 どっちかといえば今までが非常に消極的に過ぎるというふうな感を強く持ってきただけに、ぜひ御努力を願いたい、このように思います。  次に、これもちょっと具体的な問題ですが、今度は演習にかかわる問題をお聞きします。  キャンプ・ハンセンにおける県道封鎖実弾演習の激化は、文字どおり本当にひどいものがございます。復帰後の最悪の事態です。沖縄の実弾演習場のような住民地域と隣接した危険な欠陥演習場、このように言われる状態の演習場というものは日本じゅうのどこにもありません。アメリカ本国に行ってもこのようなものを見つけることができないと言われている。なぜ沖縄だけにはそういうものが押しつけられるのか。県民はだれも我慢のできないそういう思いが積もり積もってあるのです。  ところで、米軍もやっとその検討を始めるに至りました。そういう時期でもありますし、新大臣が、この激化している演習の現状も踏まえ、危険極まりない欠陥演習場にかかわる問題の重大性を受けとめて、この問題について真剣に検討されて積極的に進められるかどうか。この問題も県民の側からするというと重大な関心事です。御所見を賜りたいと思います。

佐藤行雄外務省北米局長

○佐藤(行)政府委員 先に具体的なポイントだけ申し上げさせていただきたいと思います。  今御指摘のキャンプ・ハンセンの問題と一般論と両方あると思いますが、具体的なキャンプ・ハンセンの演習場の件は、県道一〇四号線越えの演習のことをおっしゃっているのだろうと思います。御指摘のとおり、この三月に太平洋地区の海兵隊司令官のスタックポール司令官が、アメリカ側でも東富士演習場への移転を考えているということを記者会見で言われました。我々としてもこの発言には注目をいたしております。  これから先申し上げますことは、第二の一般論と同じ問題になるわけでありますが、我々、特に昨年五月十五日、沖縄返還二十周年を迎えましたときにアメリカ側と合意をいたしまして、施設、区域の整理統合を一層進めるということを追求することにお互いに研究しようということになっておりまして、その中でいろいろな問題が取り上げられております。那覇の港の問題から演習地の問題、いろいろな問題が従来から対象になっていたわけでありまして、我々としてはそういう全体の中でできるだけ一つでも多くの整理統合を進めたいと思っております。  なお、演習の問題一般といたしましては、これもいつも申し上げていて、繰り返しになっていて心苦しい話ではございますが、我々安保条約のもとで有事の場合には米軍の協力を求めるという建前をとっておりますものですから、軍の機能維持のための演習そのものをやめろと言うわけにはまいりません。そこで、公共の安全に配慮するということで、また県民の方々の不安を少しでも少なくするという方向でその都度話し合いをし、またそういう繰り返しを通じてアメリカの側の認識を求めてきているところであります。そういう気持ちを持ちながら、この整理統合等を含めてこれからもアメリカ側と話し合ってまいりたいと思っております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 時間もありませんので、大臣、ぜひお答えください。  一般的に演習をやめろと言うわけにはいきませんというふうに終わりますと、おまえたちそのまま我慢しろということになると聞こえます。そういうわけにはいきますまい。米側も、今まであれだけの抗議、やめろという声があってもうんともすんともなかった演習場の問題について検討せざるを得ないところまで来ているのです。ですから、大臣がどういう姿勢をもってこの問題に、県民の熱意にこたえるような立場から積極的に関与されていくかが大事な点です。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 今局長の答弁を聞いておりますと、米軍側も今の危険な演習場については東富士の方に移転も検討するやの答弁がございましたので、私といたしましては、整理統合を進める中でそういう危険な演習場は極力ほかへ移転をしていただくように、優先的にでもやっていただくように話をしてまいりたい。機会があるときには必ずそういう話をしてまいりたいと思っております。

古堅実吉日本共産党

○古堅委員 終わります。

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 伊藤英成君。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 きょうは重要なことを幾つか質問したいと思っておりますので、要領よく、内容のある御答弁をお願いしたいと思います。  最初に大臣に伺いますけれども、本日のある大新聞の朝刊に「外務大臣影薄い時代」、こういう大きな解説記事が載っておりました。かつて私がイスラエルに行ったときに、シモン・ペレス元首相、現外務大臣ですが、彼に会ったときに、イスラエルにとって外交というものが国家の運命を決定するということを私に話してくれました。私は、日本も全く同じだと思います。そういう意味で、新外務大臣にどうか本当に力いっぱい頑張っていただきたいと期待を込めて申し上げたいと思います。何か決意がございますか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 実は、伊藤さんの質問でそれがあるから読んでみろと言われて、私はまだ読んでいなかったものですから今ちょっと目を通しておりました。  今、イスラエルでそういうお話があったということでございますけれども、外交というのは当然そういうものだと私は思います。国の運命を左右するものでございますし、世界に対するその国の顔は外務大臣だと私は思っております。そういう意味では、外務大臣のポストというのは大変重要なものであると受けとめております。その面においてはまことに微力でございまして、大変恐縮いたしております。しかし、外務大臣に就任した以上はできる限り努力いたしまして、できるだけ日本の顔として恥ずかしくないように国際舞台で頑張ってまいりたいと思っております。  ただ、この記事を読んでおりますと、実際、これは何も日本だけではない、世界的にそういう傾向だということでございまして、今マスコミが発達いたしましたので、何事も首脳外交、首脳外交といって首脳が出ていくようなことになってしまっている嫌いがあると私は思うのでございます。例えば、その記事の中にキッシンジャーの例がございましたけれども、やはりあのときは本当にアメリカの大統領二代にわたってキッシンジャーに任せきりというか、一任をするような形でキッシンジャーに世界じゅうを飛び回らせていたと思うのでございます。  そういう面からいたしますと、私は自分が通産大臣のときに外務大臣と一緒に日・EC閣僚会議、OECD閣僚理事会に出席をいたしたのが三年前の話でございますけれども、たまたま参議院の予算委員会がございまして、そうしたら両方二つの国際会議に出るのに、外国では一泊で帰ってこいというように国会で許しが出ないわけでございます。こういうことでは私は外交というのはできないのではないだろうか。やはりある程度外国の人たちと、少なくとも外国の指導者の人たちと人間関係を確立しなければ外交なんというのは私はできないと思うのでございます。そういう面では、日本の国会というのがなかなか難しい事情にございますので、例えば外務大臣だけは、もう国際舞台に必要なときには国会の方はひとつ出なくても行ってこいというぐらいのことに慣習が変わってくればまたおのずから私もやりようがあるだろうと思っておるわけでございますから、せいぜいそういうような慣習になるように、ひとつ議会の方で御努力をいただければ大変ありがたいと思っております。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 次に、昨日国連の選挙監視要員の中田さんがカンボジアで射殺されたわけでありますが、本当に極めて残念なことでありまして、中田さんに心からお悔やみを申し上げたいと思っております。  そこで、こうした国連のボランティアで亡くなった人たちについての法的な補償制度を検討すべきだと考えるのですが、いかがですか。

小西正樹外務省国際連合局長

○小西政府委員 お答えいたします。  国連のボランティアは国連ボランティア計画により採用されましたボランティアでありまして、国連ボランティアの計画に自発的に応募し、個人の資格で参加している方々でございます。  カンボジアに派遣されている国連ボランティアに関しましては、国連の規則に従い、国連ボランティア計画の負担によりまして民間の保険に加入いたしております。今回の中田さんのケースにつきましても、この保険の適用があるというふうに承知しております。その詳細については、ジュネーブに事務局がございますので、今その事務局が保険会社と話を進めているというふうに承知をしております。  ただ、政府といたしましても、カンボジアの和平にこのように献身的に努力を払ってこられた若くて優秀なボランティアの方を失ったということにつきましては、非常に残念に感じております。外務省も半旗にいたしております。そういうことで、政府といたしましても、このケースにつきまして何ができるのか、誠意を持って検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 政府としても誠意を持って前向きに検討したいということでありますので、鋭意頑張っていただきたい、こういうふうに要望しておきます。  次に、対ロシア支援の問題について伺いたいと思うのです。  今ロシアの政府の中をどういうふうに評価するかということについて、ロシアの改革派とか保守派とかあるいは中間派とかいろいろ言われたりするのですが、エリツィンだけが本当に改革派なのだろうか。改革派とか保守派とか中間派とか言われるのは、基本的には実は改革のスピードの問題ではないだろうかと私は思うのですが、いかがでしょうか。今何となくエリツィンだけが英雄視されて、彼以外はすべて改革反対派であるかのような取り扱いをするのはロシアに対して失礼ではないか、こう思うのですが、いかがですか。

津守滋外務大臣官房審議官

○津守政府委員 御指摘のとおり、現在ロシアの中では改革をめぐりましてさまざまな勢力が種々の見解を主張しているわけであります。したがいまして、改革派、反改革派、あるいは白、黒というふうに単純に割り切れるほど事態は簡単ではないという認識を私どもも持っております。しかしながら、全般的に申し上げまして、スピードの点、改革の程度の問題、そういうものを含めまして、ロシアの中で改革派を主導し率いておりますのはエリツィン大統領である、こういうふうに認識いたしておりまして、こういったエリツィン大統領の進めてきました改革の努力が今後も継続されることを強く期待しております。私ども、そういう観点から対ロ支援を考えていきたいと思っております。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 私は、ことしの一月に櫻内議長に随行してモスクワに行ったのですが、そのときにいろいろな話を聞いたりしたときのことも思い出しながら今の質問をするわけですが、もう一つ伺います。  エリツィン大統領が失脚した場合に、本当に次の指導者は共産主義になるのだろうか。あるいは、共産主義になったとしても、どうしてそれが冷戦時代に逆戻りし、軍拡競争が再現すると考えることができるのだろうか。いかがでしなうか。

津守滋外務大臣官房審議官

○津守政府委員 エリツィン大統領は、御案内のとおり、ロシア史上初めて民主的手続によりまして選ばれた国家指導者でございます。こういうロシア国民の支持を背景にしまして、エリツィン大統領はこれまで、政治面での民主化、経済面での市場経済の導入というような改革の努力を強い意思を持って続けてきたと私ども認識しているわけであります。  御質問の、エリツィン大統領が失脚した場合にはどういうふうになるかという点につきましては、何分にもロシア国内の内政にかかわる問題でございますので、申しわけございませんが、仮定の質問に対するお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 ちょっと話は横へそれますけれども、最近報道をされておりますロシアの日本海への大量の核廃棄物の投棄の問題であります。しかもこれは、投棄をやめるつもりはないとも報道されたりいたしますが、私はこの問題は極めて重大なことだと思うのですね。  そこで、本件の影響についてどういうふうに考えるのか。そして、今後政府としてどうするのか。これは、日本自体が何かをするのか、あるいは中国とか韓国などと共同歩調をとって何かをしようとしているのか、あるいは国連等の国際機関に対して何らかの行動をとるのか、それぞれ伺います。

津守滋外務大臣官房審議官

○津守政府委員 ロシアの核廃棄物の海洋投棄につきましては、昨年十二月の末にロシアの新聞で報道されて以来、在モスクワの大使館を通じまして累次、情報の提供、それから、もし事実であれば即時停止ということを求めてまいりました。四月二日には枝村大使がコズイレフ外務大臣に対して、その日に発表されました白書の内容を踏まえまして、海洋投棄の即時停止を求めたわけでございますが、ロシア側は、貯蔵施設ができない限り液体廃棄物についてはこれを投棄せざるを得ない、投棄を続けざるを得ないというようなことでございます。  放射能の影響につきましては、現在白書の全文を翻訳して、十分分析した上で、科学技術庁その他関係の官庁とも協力いたしまして、汚染の程度については事実関係を把握してまいりたいと思います。  さらに、日本政府としてどういう措置をとるかということでございますが、今申し上げました調査に当たりましては、御指摘のように、ロシアの近隣諸国であります韓国、あるいはバレンツ海、北海の汚染につきましてはノルウェーもロシアと共同委員会をつくって調査に当たっているようでございますので、ノルウェー、こういった国と共同で調査を進めるということも考えておりますし、さらに、IAEA(国際原子力機関)、OECDのNEA(原子力機関)、IMO(国際海事機関)、こういった国際機関の専門知識を活用してまいりたいと考えております。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 先ほど申し上げたように、この問題は本当に重大な問題だと私は思っておりますので、鋭意取り組んでいただいて、本当に私たち日本人に影響がないのかどうか、そして、ないようにするためにどうしたちいいのかという意味で、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  最近のマスコミの報道で、東京サミットでは北方領土の問題を持ち出さないというふうに伝えられたりするわけですが、ミュンヘン・サミットでもロンドン・サミットでもこの問題はもちろん日本側から出されているわけですね。もし東京サミットでこの問題が後退したというような印象を与えるとすれば、これはまた極めて問題だと思うのですが、今度の日米首脳会談も含めて、東京サミットに向けて、この問題についてはどういう姿勢で臨まれますか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 決して後退しておるつもりはございませんので、私どもは対ロ支援に当たっても、拡大均衡、政経不可分の原則というのは今後とも守っていきますときょうも答弁をいたしているわけでございます。今度はたまたまサミットの議長国だものですから、ある程度調整をしていかなければならないという国の立場でございますので、どういう形でこの問題を持ち出していくのかということについて、私どもは、積極的にこれを一つの議題として持っていけるかどうかという点については、問題を今検討いたしております。  ただ、正直、それぞれのサミットで、特にミュンヘン・サミットでは大変いいコミュニケに入れていただいたわけですけれども、これは生きているわけでございます。サミットのコミュニケというのはその都度その都度の一年ごとのものではないわけでございますので、その辺は私ども、継続してこの問題は残っているものというふうに判断をしております。具体的な議題として万が一のらなくても、お互いに話し合う場はいろいろな場がございますから、首脳間の個別の話の中では当然そういうことは出てくるものと思っておりますし、私自身、もしバイの外相会談をやる場合には、私は私としてこの問題は当然話をしていきたいと思っております。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 この問題、重ねて聞きますけれども、私はエリツィンの現在のロシアの中での状況等もいろいろ考えたりしたときに余計思うのですが、ロシアに対する援助というのはエリツィン個人に対する支援じゃない、これはあくまでロシアに対する支援という観点で物を考えないと間違うかもしれないなというふうに思います。そして、日本から見ますと、今申し上げた北方領土の問題もあり、あるいは景気対策への追加支出の問題もある。それから、今の日本の財政事情等は、大臣は最も詳しいわけでありますが、いろいろな事情もあり、今回は本格的な所得税減税についての見送り、先送りといいましょうか、というようなこともあったりする。そもそも、ロシア支援なるものは本当にいかなる意味を持つものなのかということも本来ある問題だと私は思いますね。そういうようなことを考えると、なかなかこの支援という話はそう容易なことではないだろうと私は思ったりしますが、いかがですか。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 あくまでエリツィン個人を応援するというものではないと私は承知をいたしております。ただ、今たまたまエリツィン大統領であり、そしてその民主化あるいは経済の市場原理導入と、こういう形で努力をしておられるその努力に対して私どもは評価をしていきたい。いわゆる民主化を進め、市場経済原理を導入しようとしておるロシア社会、これが逆戻りをするようなことがあってはいけないというふうに私どもは判断をいたしておるわけでございまして、そのためには他の先進国とともにできる限り日本としてやれる範囲は努力をしていかなきゃならない。  それを、北方領土問題があるから日本はやれないよという国民感情はありますけれども、それじゃ実際の外交の面で、おれのところはこれがあるから一切支援ができないよでは、今度は逆に日本が先進国の中で孤立をするという可能性もありますので、その辺は十分両方をにらみ合いながら、しかも今お話のありましたとおり、今国の財政は大変厳しいものでございまして、今度も多少減税の方に回りましたので予備費が相当少なくなってきておりますので、出せる限界というのは当然あるわけでございます。その辺も踏まえながら対処していかなきゃならないと思っております。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 次に、日米関係の問題について幾つかちょっとお伺いしたいのですが、先々週、私はちょっとワシントンに行っておりまして、多くの議員やマスコミの人、あるいは学者なんかともいろいろ議論をしたりしていたのですが、そこで非常に気になるなということが幾つかあったりいたしました。  まず一つは、日米関係は最も重要な二国間関係だ、こういうふうに言われたりするわけでありますが、今回の国務省の新大事に関して言えば、知日派と言われる人は極端に少ないということをアメリカの方から本当に心配をして言ってくれました。これはワシントン・ポストなんかにも出たりしておりますよね。本件に関してどのように懸念をしておられるか、そしてどういうふうにこれから努力をされようとしているのか、伺います。

佐藤行雄外務省北米局長

○佐藤(行)政府委員 今御指摘の御意見は先般来、私もいろいろなところで耳にいたします。ただ、何をもって知日派とするかということだとまず思います。国務省員で日本で研修をして日本語がしゃべれる人とか、あるいは過去において日本にいた人とか、そういうことであれば確かに今回少ないという面がある程度は言えるのかなという気もします。ただ、例えば経済問題でいろいろなところについている人たちは、これまでも長い間日本とかかわり合っていた人が結構おられます。そこで、どういう範囲の人をとらえて、どこで知日派が少ないと言うのかは、詰めて考えてみますと、必ずしも足りないと言えるわけじゃないと私は思っています。  それよりも大事なことは、知日派を求めることの意味でございますけれども、今は、かってのように日本の特殊事情に理解を求めていくという時代よりも、日本が言うべきことを言う時代だろうと思います。この間、今度の国務次官補の、まだ議会の承認を得てませんものですから気をつけて物を申さなきゃいけないわけですが、東アジア・太平洋担当の国務次官補の候補になりましたウィンストン・ロードさんが、これからの日米関係ではアメリカは日本の言うことに耳を傾けなければいけないということを文書で書いた冒頭発言の中で言っているくらいでございまして、私といたしましては、今の、これからどう対応していくかということにつきましては、もちろん日本のことがわかっておられる人が一人でも多いことがいいわけですから、接触を大いに広めていかなきゃいけないと思いますが、その知日派であるかどうかということにこだわらずに、日本としての考えを言っていく、向こうも聞くと言っているわけですから、日本の主張をしていく、これが一番大事なことではないかと私は思っております。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 次に、同じように何人かの人から言われた話の中で、今回の半導体の輸入シェア二〇%の問題であります。きょうは時間もありませんので、二〇%を達成したその要因なり解析については省略をいたしますけれども、あの二〇%達成の例を引いて、ああ、やっぱり日本とはこういうやり方がいいんだ、いわゆる分野別の目標設定方式をベースにした貿易交渉の取り組みの必要性を言われる方が何人もいたりしたのですね。この日米半導体交渉は、結局二〇%達成ということは、結果として誤った認識を米国に抱かせる結果になっているのではないのだろうか。だから、この問題をどういうふうに認識をして、ではこれからどういうやり方を日米間で考えたらいいのだろうか。これはどういうふうに考えられますかね。  今回のUSTRのカンター代表の発言も、似たような発言が非常にされますよね。しかも、中身のことは余り問わない、あるいは本当の経済の実態なり産業の実態を余りよく考えずに、こういうやり方がいいんだよというふうに私は聞こえてならないのですよ。だから、こういった問題についてどういうやり方をこれからすべきなんだろうか。そしてまた、今のようなやり方を見ますと、例えばスーバ三〇一条の復活を議会に提案した場合に、クリントン大統領が受け入れる可能性はあるのではないのだろうかということを思ったりするわけです。  こういう問題あるいは懸念に対してどういうように思うのか、そして目の前に首脳会談もあるわけでありますが、宮澤総理はこのような問題についてどのようなメッセージを米国に与えようとされるのか、あるいは外務省として期待されるのか、いかがですか。

小倉和夫外務省経済局長

○小倉政府委員 アメリカに御造詣の深い伊藤先生の前で恐縮でございますが、その半導体の数値の問題、これは御案内のとおり、アメリカの産業界の期待ということの数値であることは先生も御承知のとおりでございまして、別に政府が約束したものではないというわけでございまして、その点は何遍も我々から言っておるし、そういう種類のものであるということは、誤解が一部にあればはっきりまたこれからも言わなくちゃいけないと思います。  ただ、我々も何遍も申しておるわけでございますが、問題の核心は、アメリカ製品が日本の市場に参入できるかどうかということだろうと思います。したがって、その参入する際の、あるいは参入の、何と申しますか、程度と申しますか、どういうふうに参入しておるかという評価と申しますか、それをどういうことを標準に判断するかということで、統計的にそういうシェアというものもその一つの基準として使うことがあり得るということは当然かと思いますが、私どもはそれだけではない。例えば半導体について見ますと、産業間の協力の実態とかあるいはデザイン・インの進捗ぶりとか、総合的にそれを判断しなくちゃいけないということで、アメリカの日本への市場参入を評価する際の仕方が必ずしも数値だけであってはいけない、市場シェアだけであってはいけないという点はこれからも強調していかなくちゃいけないと思います。  それから第二点におっしゃいました、これからしからばどういうふうに交渉していくのかという点でございますが、個別問題、これは御案内のとおり建設市場の問題あるいは半導体の問題、個別的にいろいろ、何と申しますか、道筋がついているもの、そういう話し合いの場が設定されているものがございます。そういうものについてはその場でやることが自然かと思いますし、あるいはいわゆるMOSS協議といったような個別の問題を協議するような場所もございますので、そういったものを活用していく。そうすると、残るのは、あるいは先生もそういう御趣旨かと思いますが、政策的な協議、まあ構造協議というのがございましたが、そういうものをどのようにこれからやっていくかということ、これはこれから日米間でよく考えていかなくちゃいけない問題であろうかと思います。  それから、最後におっしゃいましたスーパー三〇一条の問題につきましては、先般渡辺外務大臣がワシントンに二月に参りましたときに、総理からの伝言として、また渡辺大臣の意見としても、そういうことは多角的貿易体制を揺るがすことにもなるし、日米関係からも望ましくないということでアメリカに申し入れをしております。ただ、その際クリントン大統領が言ったことの中に、まあそういうことは、なかなかスーパー三〇一条的なことは使いたくないんだけれども、日本市場の開放性の問題というのがあるんだということを言っておりました。  そういうこともありますので、日本側の努力、アメリカ側への申し入れと同時に日本側の市場開放と申しますか、そういうものへの努力を引き続きやっていく、この両方を相まってそういったことにならないようにしてまいるのが方針か、こういうふうに考えております。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 今私は、日米首脳会談でどのように総理にアメリカの大統領に対してメッセージを与えようと期待されるのですかという話をいたしました。時間が来ましたので、最後に外務大臣に今の件をお伺いしたいと思います。  一番最初に、日本の外交について私の思う部分あるいは外務大臣に期待する部分といいましょうか、申し上げたつもりでありますが、私は本当に外交が日本の将来を決定するんだよというふうに考えなければなりません。そして、現在の世界において考えれば、本当に日本は、今は世界の秩序をどうやってやっていくのだろうか、あるいは貿易システムをどういうふうにやるんだ、そういうリーダーシップをとらなければならぬときだと思うのですね。きょうはウルグアイ・ラウンドの話は私はもう聞きませんが、そういう意味で、この貿易システムの問題にしても、日本は相手が言うのを待つのじゃなくて、どういうふうに日本がリーダーシップをとってやるんだよ、あるいはお互いに協力してやるんだよということこそが今必要だと思います。  そういう意味で考えたときに、新しい世代の大統領が向こうもできてきた、そしてアメリカも本当にこれから努力しようとされていると私は思いますよ。だからこそ余計に、今宮澤総理はこの時に行かれるわけですから、本当に日米をどうするのだろうか、あるいは世界の経済をどうしようか、あるいは世界の秩序をどうしようかというふうに、文字どおりリーダーシップをとるべきだと私は思うのですが、新外務大臣に最後にその点について、今回どういうふうに期待するか伺って、終わります。

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 率直に言えば、やはり日本がイニシアチブをとって、これからはいわゆる軍事が中心ではなくて経済社会、社会には、きょう午前中に話のありました地球環境の問題とかあるいは人権問題、あるいは人口問題、いろいろ入ってまいります。そういう問題に対してやはり日本としての一つの見識を持って、そしてクリントンさんに対しても、こういう方向で行こうじゃないかというような提案がなされるのが本当は一番私は望ましい姿だと思っておりまして、総理にはそのようなことはお伝えをしてございます。

伊藤英成民社党

○伊藤(英)委員 終わります。      ――――◇―――――

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 次に、国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認を求めるの件及び国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。  これより両件について政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣武藤嘉文君。     ―――――――――――――  国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認を求めるの件  国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

武藤嘉文自由民主党外務大臣

○武藤国務大臣 ただいま議題となりました国際的なコスパス・サーサット計画との地上部分提供国としての提携に関する通告の書簡の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この通告の書簡は、我が国が、遭難警報及び遭難の位置の情報を提供するコスパス・サーサット衛星制度に地上部分提供国として参加することを目的として、我が国の義務、我が国の責任に関する事項等を定めるものであります。  我が国がこの通告の書簡を締結することは、同制度の発展に寄与し、もって捜索及び救助の分野における国際協力に資するとともに、我が国において一層効率的な捜索救助活動を実施するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この通告の書簡の締結について御承認を求める次第であります。  次に、国際移住機関憲章の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この憲章は、昭和二十八年十月十九日にベネチアで採択されたものであり、移民、難民等について、輸送その他移住サービスの提供等を専門的に行う世界規模の国際機関である国際移住機関を設立すること及びその運営について定めることを目的とするものであります。  我が国がこの憲章を締結し、同機関の加盟国となることは、同機関を通じて移住、難民等の問題に関する国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この憲章の締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につきまして、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願いいたします。

伊藤公介自由民主党

○伊藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会      ――――◇―――――

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