安全保障委員会 第5号
- 発言数
- 248 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1993/04/21
会議録
○志賀委員長 これより会議を開きます。 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武藤外務大臣。
○武藤国務大臣 今般、外務大臣を拝命いたしました。ごあいさつを申し上げる機会を賜り光栄に存じます。 まず、何より、渡辺前外務大臣の一日も早い回復をお祈りいたします。 今日の世界は歴史の転換期にあり、不透明で流動的な状況にあります。東西冷戦は終了したものの、国際社会に新しい平和と繁栄の枠組みが構築され、安定がもたらされるまでには、なお少なからぬ年月を要するものと考えます。 アジア・太平洋地域においては、中国、ロシア、韓国それぞれの関係が進展するなど、冷戦の終了に伴う一定の好ましい動きが見られます。しかし、この地域の安全保障環境の多様性をも反映して、安全保障面での変化は欧州におけるほど劇的ではありません。 また、この地域には、朝鮮半島問題、北方領土問題など未解決の問題が依然として存在しております。 さらに、北朝鮮の核兵器開発疑惑の問題は、引き続きこの地域の安全保障にとっての重大な懸念材料であります。特に、先ごろの北朝鮮の核兵器不拡散条約脱退表明は、核不拡散体制に対する重大な挑戦であります。 また、ロシア情勢が極めて流動的な中で、核兵器を含む近代化された膨大な戦力を蓄積している極東地域のロシア軍は、この地域の安全に対する不安定要因となっております。 このような国際情勢の中にあって、日米安保体制は、我が国の平和と繁栄に必要な抑止力を提供するとともに、両国間の緊密な協力関係の基盤をなすものであります。また、この体制は、アジア・太平洋地域の安定要因としての米国の関与を引き続き確保する上でも重要であります。先般の日米首脳会談においても、宮澤総理とクリントン大統領との間で、冷戦後の時代においても日米安保条約が引き続き重要である旨確認されました。 政府としては、このような意義と重要性を有する日米安保体制を今後とも堅持し、その円滑な運用と信頼性の向上のために、できる限りの努力を払っていく所存であります。 また、在日米軍の円滑な駐留の維持確保につい ては、今回、宮澤総理よりアスピン国防長官に対して、在日米軍支援のための努力を継続したい旨述べるとともに、特に施設、区域の密度の高い沖縄における整理統合問題を初めとして、今後とも、米軍施設、区域にかかわる問題の改善を図ることが重要である旨指摘したところであります。 政府としては、安保条約の目的達成と地域住民の要望との調和を図り、米軍施設、区域に関する諸問題の解決のため、引き続き努力を払っていく考えであります。 国際社会が新たな枠組みの構築を模索している今日、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するために、積極的な外交努力を行うことは、ますます重要になってきております。 アジア・太平洋地域の長期的安定を確保するために、朝鮮半島問題等の未解決の問題の解決を図っていくことや、ASEAN拡大外相会議の場を通じて安心感を高めるための全域的な政治対話を促進すること、さらには、この地域の国々の経済発展のための協力を多面的に行うことは、我が国の安全保障の見地から極めて重要であります。 また、我が国は、カンボジアにおける平和維持活動への要員の派遣など、平和と安全の維持のための国際的な努力に協力しております。 ここで想起しなければならないのは、先日、国連ボランティアとしてカンボジアの再建に貢献してこられた中田厚仁氏が、不幸な事件によって亡くなられたことであります。ここに改めて哀悼の意を表するとともに、総選挙に向けた中立的な政治環境を乱すあらゆる暴力行為を厳しく非難するものであります。また、私は、中田氏が夢見たカンボジアでの総選挙を実現することが、同氏のとうとい御遺志に報いるゆえんであると考え、政府としても、このためにできる限りの努力を行う決意であります。 我が国は、軍備管理・軍縮及び不拡散の努力に対しても、旧ソ連の非核化、核不拡散体制の強化、通常兵器に関する国連軍備登録制度の確立などへの貢献を通じて積極的な協力を行っております。 さらに、我が国は、先週十四、十五の両日、ロシア支援G7閣僚合同会議を開催しました。ロシアにおける改革の努力を支援し、市場経済、民主的体制、法と正義に立脚した外交への転換が実現することになれば、我が国をめぐる北太平洋地域の安全保障に大きく貢献するのみならず、世界の平和と安定に多大の利益をもたらすことになると考えます。 以上のような努力を行っていくことは、国際社会における我が国の責任を果たすという見地に加えて、我が国の安全保障という観点からも重要な外交課題であります。 今や、我が国は、国際社会の新たな枠組みづくりにかかわる問題に大きな影響を与え得る存在となりました。私は、このような我が国の責任と役割を自覚しつつ、我が国の安全のみならず、世界の平和と安定のために努力をしていく所存であります。外務大臣としてのこのような重責を果たせますよう、本委員会の皆様の御指導、御鞭撻と御協力をお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○志賀委員長 次に、国の安全保障に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原伸晃君。
○石原(伸)委員 自民党の石原伸晃でございます。 武藤大臣、就任おめでとうございます。ただいま大臣の所信を聞かせていただきまして、大臣がいらっしゃる間に二、三質問をさせていただきたいと思います。 今も大臣の表明の中にございましたように、先日、宮澤総理がアメリカに行かれ、クリントン大統領と会談をされました。そんな中で、クリントン大統領は、これまでの冷戦時代の日米パートナー関係というものは既に時代おくれである、ここまで言い切られ、私も昨日外務省の方のブリーフィングを受けたのでございますが、新しいパートナーシップの三本柱といたしまして、政治、安全保障、ここの部分については、大臣のお話の中にありましたように日米安保体制の堅持、そしてまた二番目の柱といたしまして、グローバルな問題についての協力、この中でロシア問題、北朝鮮問題あるいは中国問題等が話されました。そして、私は今回の宮澤総理との会談を拝見させていただきまして一番感じましたことは、これまでに余り首脳会談では話されませんでした、いわゆる経済の問題について多くの時間が割かれたのではないか、こういう印象を持ったわけでございます。 言ってみるならば、これまで日米安保体制を基軸としてきました両国関係から経済の問題中心、アメリカ側の非常に実利主義的とでもいえるような、また新しい概念として経済安全保障とでもいうのでしょうか、こういう概念を持った対日政策への変更が見られた、こんな印象を持ったわけでございますが、大臣の忌憚のない御所見をお聞かせ願いたいと思います。
○武藤国務大臣 今御指摘のございましたとおり、また私のごあいさつの中で申し上げましたとおり、やはり三本柱は、これはきちんとかみ合っていると思うのです。その中で、確かに経済問題というのが相当時間を割かれたというのは事実だろうと思います。 これは、私は考えますのに、やはり今のアメリカ経済、また世界の経済を見ますと、どうしてもアメリカの経済を一日も早く再建をさせなければいけないということはクリントン政権にとって大きな課題であうと思っております。その意味において、クリントン政権が、財政の再建とともに国際競争力をとにかく強化しなければいけないということを大統領就任以来言ってきておられることは私は高く評価をしたいと思うのです。経済においても、そういう面でいろいろの率直な話し合いがなされたと聞いております。しかしながら、日本側といたしましては、宮澤総理はあくまでも、管理貿易につながるような方向だけは何が何でも避けなければいけない、これに対しては強く反対されたと承知をいたしております。 いずれにいたしましても、世界のGNPの約四割を占める両国が、より経済面においても緊密な関係をとりながら、お互いに自由貿易、自由主義経済体制のもとで世界の経済の繁栄につながるような形で努力をしていくというのは当然のことでありまして、そういう意味合いの話し合いが持たれ、結果的にはどういう形になるかはこれから三カ月以内に決めることになっておりますけれども、何らかの形の協議機関が設置されるということも、これはいい意味のいわゆる自由貿易、自由主義経済体制を堅持しながら両国間でいろいろと話し合っていくことは私は結構なことだ、こう思っているわけであります。
○石原(伸)委員 大臣のお話をお聞かせいただきましても、自由貿易体制を堅持しなければならない、そういう立場で宮澤総理はかなりクリントン大統領に対しても、クリントン大統領の言ってみるならば、自動車の総量規制ではございませんが、それに類することを他の業種においても行うということに対して、管理貿易的な手法は絶対よくない、こういうことを反論されたということも重々聞いております。そこで、新しい言葉としてユニラテラリズムでございますか、一方主義というものもよくない、排他していかなければならない、こういうことを十分にクリントン大統領に対して発言されたということは私も心強い限りでございます。 しかしながら、その後、残念なことなのですけれども、記者会見という席で、これもずっと円高基調がそれ以来続いておりまして、昨日も最高値、百十円台を記録するというように、言ってみればアメリカの新しい対日圧力とでもいうべき行動に、クリントン大統領が異例ともいえる、総理との会談の後ああいう発言をされて、円高がどんどん進んでいく。円高が進みますと、日本の円が強くなるのですから、長期的に見れば非常にいいことなのかもしれませんが、現在のような景気の低迷状態で、いろいろな企業からお話を聞かせてい ただきますと、トヨタで一円円高になると五十億円の差損が生じるとか、あるいは下位のマツダでも一円の円高で二十億円、あるいはその他半導体業界あるいは家電業界、こういうものにも大変な影響が出て、輸出ということでは商売にならない。あるいは、アメリカに対してはまだいいのですけれども、ヨーロッパに対しては、例えばリラとかポンドとかあるいはフランに対して切り上がっておりますので、ヨーロッパに対する輸出がもうままならない状態になってくる。これは言ってみればアメリカの新しい戦略のような印象をも持つのですけれども、日本の経済に対してああいう発言をされたということに対してどのようにお考えになるか、お話をお聞かせ願いたいと思います。
○武藤国務大臣 これは、クリントン大統領が発言をされることに対して私どもがとやかく言うというわけにもまいりませんけれども、一般論としては、その国の最高首脳者が、そういう為替レートにまで言及されるというのは非常に異常なことではないかなという感じはいたします。金融関係の責任者がいろいろおっしゃることはこれは当然でありますけれども、最高責任者がそういうお話をされたということは非常に異常な事態だと思っております。
○石原(伸)委員 この後ちょっと、大臣じゃなくて経済企画庁にお聞きすることになるかと思うのです。 言ってみれば、先ほど来経済安全保障、こういう新しい概念が出てきて、このような円高が進んでまいりますと、私も先ほど申しましたけれども、今せっかく十二兆二千億という総合経済対策を自民党の方で政調を中心につくらせていただいて、これから補正予算で国会で審議していただく、こういうせっかくの総合経済対策に悪影響があるのではないか、また景気の腰を折りかねないのではないか、こういう懸念もありますけれども、せっかくですので、この場でこれからの見通しについてお聞かせ願えたらと思います。
○筑紫説明員 円高の経済に対する影響についてのお尋ねでございますが、まず一般論として申し上げますと、ただいまも先生から御指摘ございましたようにプラスの面もございます。それから、もちろん今いろいろ御指摘になっておるマイナスの面がありまして、さまざまな側面があるわけでございますが、まず円高によりまして輸出数量が減少、輸入数量が増加するということになりますと、国内の生産の縮小、それから企業の収益や所得の減少というようなことになりまして、この効果は実質GNPを減少させる方向に働く、いわゆる円高のデフレ効果というような事態が生ずることがあることになります。 また他方、円高によりまして輸入価格が低下し、物価の安定に資するということになりますと、実質所得の増加に寄与するということで、消費者マインドに好影響を与えるほか、企業の面におきましても、原材料のコストの低下が企業収益を改善する要因となるというようなことで、内需が拡大する、いわゆる交易条件改善効果というものがございまして、これが働くということになります。 このプラスの面、マイナスの面、それぞれの効果がどの程度になるかということにつきましては、そのときの経済の状況等によってさまざまでございますけれども、これも一般的に申し上げますと、マイナスの効果は、輸出産業を中心に目に見える形ですぐにあらわれてくるというような傾向がございますのに対しまして、プラスの効果は、目に見えない形で時間をかけてあらわれてくるという傾向があることに留意する必要があると思います。 ところで、最近の動きでございますが、御指摘のようにやや急激な円高となっておりまして、これによりまして輸出産業の円建ての手取りを減少させ、そして企業収益を圧迫するということから、現在経営者のマインドが長期にわたる調整過程の中で冷え込んでいるわけでございますが、企業活動に悪影響を与えて、我が国の内需拡大のための努力を阻害する懸念があるというのは御指摘のとおりでございます。 ただ、いずれにしましても、為替相場が思惑等によりまして短期間のうちに大きく変動することは、ただいま申しましたような悪影響があって好ましくないわけでございまして、為替相場は、基本的には一国の経済のファンダメンタルズを反映いたしまして安定的に推移することが望ましい、このように考えております。
○石原(伸)委員 今の課長のお話を聞かせていただきましても、私の懸念というものも大体当たっているのかな、そんな印象を持ったのでございますが、大臣を初め外務当局の皆様におかれましては、このような思惑によって為替相場がいじられるようなことが今後ないように、やはり外交交渉に当たって十分に言うべきことを言っていただきたい。これがまた日本の経済の発展、そしてまたこれが世界の経済の発展に寄与することにつながるのではないか、こういうふうに考えております。 そこで、時間も限られておりますので、次の問題に移らせていただきたいのでございます。 昨日も外務大臣、武藤大臣、参議院の方の外務委員会で、いわゆるロシアの問題につきまして政経不可分、そして拡大均衡、このようなことで、多少我々も認識ができないような部分があったことについて統一見解を発表されたようでございますが、国民的な感情を申させていただきますと、四月の十四、十五日と、武藤大臣も御出席いただきまして、G7会合で我が国も新しい対日支援といたしまして十八億二千万ドルを決定されたわけでございますが、人道的な見地からこういうものはいたし方ない、こういう感情がある一方で、国民の中には、昨年でございますかやはりあのように突然エリツィン大統領が訪日を中止するといったようなことで、非常にわだかまりみたいなものもあると思うのでございます。 そしてまた、援助といいましても、これは国民の皆様方の貴重な血税の一部でございますので、やはり国民の側にも政府のこれからの外交姿勢、そしてまた対日支援のあり方、こういうものを十分にPRして理解を得てやっていきませんと、一体どうなっているんだ、自分たちの生活もままならないのに外国に援助するとは、極端な話ではございますが、こんな話をする方も出てきておる。 そういうところを考えまして、いま一つ、いま一度ちょっとかみ砕いた形で教えていただきたいのでございますが、政経不可分の原則、そして昨日の外務委員会の、私も報道でしか存じておりませんが、政経不可分の発展が拡大均衡である、簡単に言いますとそのような御見解であったと思うのでございますけれども、そこの点についてお話をお聞かせ願いたい。そしてまた、G7会合で事実上棚上げとなったと言われております北方領土の問題についても、取り扱いについても、大臣がどのようにお考えになるのか、お話をお聞かせ願えればと思います。
○武藤国務大臣 ロシアとの関係は大変微妙など申しますか、非常に複雑など申しますか、本当に難しい感じがいたします。 それは、一つは今御指摘のとおり、日本とロシアとの間には北方領土の返還という領土問題が依然として残っておるわけでありまして、これがために両国には今なお平和条約が締結されていないという状況にございます。また、ロシアの日本に対する態度も今御指摘のとおりで、昨年の九月のエリツィン大統領の訪日が突然中止をされたということについては、国民の大半の人たちが大変な不快感を持ったことも事実でございます。 しかしながら、一方、私どもはやはり世界の中における日本の役割というものがあるわけでございまして、今エリツィン大統領を初めロシアの努力をしている方向というのは、政治の世界においては民主的な国家をつくり上げていこうということでありますし、また経済面においては、私どもと同じ市場経済原理、競争原理を導入していこうという形で改革の努力をされているわけでございますし、また外交面においては「法と正義」の原則に基づく外交を展開するんだ、こういうことを言っているわけでございます。その方向というのは、我々自由主義経済体制を堅持する自由主義諸 国にとっても、あるいはまた世界の平和という点からも、私は、これは大変いい方向だろうと思うのです。この方向が万が一にも後退をして、またあの地域に全体主義の社会が生まれるようなことだけはどんなことをしても阻止しなければいけないというのが、少なくとも私どもの国際社会の中における一致した考え方ではないかと私は思うのです。 そういう面において、日本は特殊なそういう関係がありますので、日本独自で積極的な支援というのは非常に難しいのでございますが、少なくとも国際社会の中におけるG7との協調というものは、やはりこれは世界の平和にもつながることでもございますので、その範囲内でできる程度の応分の支援をするというのもやむを得ないことではないか。 しかしながら、我々はそのような国際協調の中での支援には応じてまいりますけれども、二国間の問題としては、あくまで今後とも政経不可分、まあ私ども、政経不可分の延長の中で今後は拡大均衡ということをきのうも統一見解を出したわけでございますけれども、そういう拡大均衡の中で、経済的な問題は支援を一方においてはするけれども、一方においてはこの領土問題を一日も早く解決して、そして一日も早く平和条約を結び、そして両国の国交を本当に完全な形で正常な姿に持っていこう、こういうことで努力をしていく、これを一緒に絡み合わせてやっていくということをしていかなければならないと考えておるわけであります。
○石原(伸)委員 今の大臣のお話を聞かせていただきまして、拡大均衡の均衡の部分で、やはりこの領土問題というものもバイラテラルな関係として十分に話をしていただけると確信いたしましたので、エリツィン大統領が五月の末にいらっしゃいましたら、くぎを刺すところだけはしっかりと刺して、ロシアの大統領とアメリカの大統領が二人でカナダで会って、日本に金だけ出させた、国民の間で一部からそういう話が出ているということもまた事実でございますので、しっかりと日本の外交のかじ取りをお願いしたいと思います。 きょうは、実は大臣が参議院の方に御出席になるということで、大臣がいらっしゃらなくても聞ける質問をつくってまいりまして、ちょっと話がずれていくかもしれませんけれども、先ほど来私も経済安全保障ということをお話をさせていただいているのですが、ロシアでございます。今石油についてもあるいはいわゆるレアメタルについても産出国として世界の中でも最たるもので、今そういう国がもう一方の産出国であります南アフリカを中心とするアフリカ諸国と、言ってみれば価格カルテルのようなものを結んでいる、そんなことも言われております。そんな中で、九二年の二月にロシアと南アフリカが貿易協定というものを結んだわけでございますが、それについてちょっとお話をお聞かせ願いたいと思います。
○小原政府委員 お答え申し上げます。 南アにおきます最近の政治改革の進展を受けまして、各国とも南アとの関係を正常化してきております。先生御指摘のとおり、ロシアも九二年の二月に南アとの外交関係を樹立いたしました。その後、九二年の六月にデクラーク大統領がロシアを訪問しましてエリツィン大統領と会談し、その際に、今後両国間の関係全般を進展させていくこと、そしてその一環として、経済関係拡大を目指す貿易協定の締結に向けて協議を行っていくということが合意されたと承知しております。しかし、この貿易協定そのものはまだ締結されていないようでございますが、御指摘のとおり両国間の経済関係の緊密化を目指す動きが続いているという状況でございます。
○石原(伸)委員 今局長のお話の中にありましたように、南アとロシアが国交正常化をして貿易協定を結ぶ方向で話が進んでいる。私もちょっといろいろ調べさせていただきますと、ヨハネスブルクにありますコンソリレーテッド社といいまして、そういうレアメタルの削掘でございますとか、こういうことをやっているような会社の技術をロシアの方にも移転する、ロシアの方はそういう技術が大変おくれているということで、そういうことをやって両国間の関係を緊密にしながら産出高のコントロールをねらっているのではないか、こんなような気もいたします。 何でこんな質問をさせていただくのかといいますと、次の質問になるわけでございますが、いわゆるコバルトとかニッケルとかいろいろございますレアメタルというものの使途についてちょっとお聞かせ願いたいと思うのでございます。
○増田説明員 レアメタルは、コバルト、クロム、ニッケル、マンガンと、産出量は少ないわけですけれども有用な金属元素類、そういうものを総称するものでございます。レアメタルは、電磁気面あるいは化学反応面などに非常に特性を有しておりまして、先端技術分野を初めとする幅広い産業分野で使用されております。代表例を挙げますと、コバルトはガスタービン、ジェットエンジンなどの耐熱合金とか磁性材料に、クロムはステンレス鋼等の特殊鋼あるいは原子炉の炉材でございます。それから、ニッケルはステンレス鋼などの特殊鋼あるいはニッケルカドミウム、いわゆるニッカド電池などに使用されております。
○石原(伸)委員 今の通産省の方の御説明にありましたように、実は本当にレアメタルというものは日本の最先端技術あるいは防衛産業の中でも非常に使われているものでございまして、私がちょっと聞いたところによりますと、いわゆる今日本で配備されておりますF15でございますか、この戦闘機、ジェット機のエンジンに、一機当たりコバルトを大体四百キログラム使用しなければならない、あるいはクロムは原子炉素材や航空機部品などにも使用する、こういうふうに、言ってみればその供給が絶たれますと日本の産業そして防衛にも大変影響を及ぼす、そういうものがレアメタルではないかと私は考えております。 そんなレアメタルを産出している国が、これは神様が施したと世界の中では言われているそうでございますが、アフリカの一部とロシアに偏在している。こういうことを考えたときに、言ってみれば、ロシアと南アフリカの一部の国々がそれらのレアメタルの価格協定を結んで、石油ショックのことを思い出していただければいいのでございますが、援助をしなければ日本には輸出しない、例えばこんなことになりましたら、日本の産業界全体あるいは防衛というものを考えても困難が大変予想される。こういうことを考えたときに、これらの、言ってみれば非常に貴重な金属についての国家備蓄というものがどの程度あるか、あるいは民間分野でどの程度のものをストックしているのか、ちょっとお話をお聞きかせ願いたいと思います。
○増田説明員 レアメタルの安定供給を図るために、昭和五十八年度から七種類のレアメタルにつきまして備蓄を実施してございます。これは官民協力で実施をしてございます。七つの鉱種といいますのは、ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、パラジウム、先生おっしゃるような供給国の寡占性とか供給企業の寡占性とかカントリーリスクとかそういうことをいろいろ考慮した上での選定でございますが、この七種類の鉱種につきまして平成七年度末までに六十日分を備蓄するということを目標に順次積み上げを実施してまいっております。平成四年度末で四十六・七日分備蓄をしてございまして、うち国家備蓄が三十二・七日分、民間備蓄が十四日分でございます。
○石原(伸)委員 通産省を中心に備蓄について御努力をされているということがわかりましたが、再三私が申しておりますように、これらの国々が価格カルテルを結んで、今は価格が低下方向に動いているそうでございますけれども、反転して向こうが出し惜しみしてきたらこれは大変なことになると思う。こういう点につきましても、外交当局におかれましても十分に配慮してロシアとの折衝等でもお話をしていただければと思います。 大臣、ちょっと御感想をお聞かせ願えますでしょうか。
○武藤国務大臣 レアメタルの将来を考えましても、今飛行機のお話がたまたま出ましたけれども、日本経済にとっても大変大切なことでございますから、このようなものの国家備蓄といいますか、あるいは民間備蓄も含めて、備蓄がより強められていくのは大変大切なことだと思っております。
○石原(伸)委員 武藤大臣は通産大臣も歴任されておりますのでこの分野に非常に明るくて、前向きの発言で私も心強い限りでございますが、民間では、商社の名前を言っていいのかわかりませんが、三菱商事が二月の十六日に南アフリカのプラチナ鉱山でありますウエスタン・プラチナというところと二千五百万ドル、為替レートによって違いますけれども、およそ三十億円の融資を決めるなど、民間レベルでは国家備蓄の問題よりももっと先に行って、何とかそういうものを日本の経済圏の中にとどめようという努力をされていると聞いておりますので、政府におかれましてもこの分野での御努力をお願いしたいと思います。 残り時間も大変短くなってまいりましたので、先ほど大臣の所信の中にもございましたようなカンボジア問題、国連ボランティアの中田さんに対しては、私も本当に哀悼の意を表する次第でございますが、今カンボジア情勢というものが非常に混沌としてきた。私も報道でしかその事実を知ることができないのでございますが、ポル・ポト派が選挙に不参加を決める、あるいは北京でのSNC会合への参加をプノンペン政府が拒否をする、SNCの機能自体が麻痺してきたとでも言っていいような状況ではないかと推察するのでありますが、カンボジア情勢についての最新の分析について外務省の方からお話をお聞かせ願いたいと思います。
○池田政府委員 お答えを申し上げます。 ただいま御指摘がありましたようにポル・ポト派の動向につきましては、四派ともに平等に選挙に参加する機会というものを与えられていたわけでございますけれども、結局、最終的にこの選挙に参加しないということを表明いたしまして、プノンペンの事務所も閉鎖するということになったわけでございます。これは非常に遺憾な事態でございます。しかしながらポル・ポト派も、まだSNCのメンバーとしてはとどまる、あるいはパリ協定を遵守するということを申しております。 他方、全体的にカンボジアの中で治安情勢が悪化しているという事態がございます。これは、テロ活動であるとか武装集団による襲撃事件というものにあらわれているわけでございます。しかしながら、全体のカンボジア状況を見てまいりますと、大筋におきまして、まだ全面的な戦闘が行われているということではございませんで、私どもとしましては、パリ和平協定の基本的な枠組みというものは依然として維持されているというように考えております。特にその点で重要かと思いますのは、五月二十三日から二十八日まで選挙を行うということで予定どおりのスケジュールに沿って今UNTACが選挙準備を進めておりますし、全国民の九〇%以上の有権者登録というものがもう既に済んでおりますので、そういう意味で、この総選挙を安全裏に公正かつ自由な形で行うということが重要であろうというように考えております。
○石原(伸)委員 亡くなりました国連ボランティアの中田さんの死をむだにすることのないためにも、平和裏にカンボジアで選挙が行われることを私も一人の地球に住んでいる地球人として祈念いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○志賀委員長 上田哲君。
○上田(哲)委員 急遽武藤新外務大臣が就任をされました。御就任に心から祝意を表したいと思います。大変内外多難な折でありますから、大いに武藤外交に期待をいたしまして、ぜひ御奮闘あらんことを激励をいたします。 私どもはまた、当然野党の立場でありますけれども、外交という国益を背負う立場についてはぜひ同じ立場に立ちたいものだ、最大の協力を惜しまないものであります。同時に、大きく相隔てる国論を踏まえて、こうした場では最も厳しく議論を闘わせなければならないと考えますので、新大臣の抱負を存分に展開していただきたいと思うし、私もまたその立場から御意見を申し上げたいと思います。特にきょうは二時間という時間をいただきましたから、たっぷりひとつ胸の内を闘わせていただくことにいたします。 まず、直近の日米首脳会談であります。一口で言うと、この日米外交は失敗をしたと私たちは理解をいたしております。おおむね三点について御意見を伺いたいと思うのでありますが、一つは、日米間の認識ギャップの露呈であります。 言うまでもありませんが、今回の日米首脳会談は、冷戦構造が終えんをした後での、言ってみればG7体制も微弱になってきた中で、G2体制とでも言いましょうか、そうした国際的任務を負うて新しい政権に立ったクリントン側と新しい分野を展開しなければならない日本側との最初の首脳会談であったという点では、冷戦構造崩壊後の新しい世界のあり方に対してどのような努力と協調があるべきかということであったわけでありますが、まことに十分とは言えない認識の差がそこに大変露骨に出てしまったと思うのであります。 日本側としては、あるいは宮澤さんとしては、十三兆二千億円の総合経済政策あるいは十八億ドルの対ロ支援、こういうお土産を持って、俗に言うならよくやったという評価を期待して出かけられたことは間違いないだろうと思うのであります。しかし、クリントン側の評価は、ファーストステップである、入り口にすぎないという、軽くいなされたといいましょうか、その程度の評価であるのみか、その上に大きな荷物をしょわされてしまった、この認識のギャップですね。高付加価値製品が、ほかじゃ売れるのに日本じゃ売れないんだという言い方の中で、品目まで挙げて日本の閉鎖市場性という立場での批判を繰り返されたと言わなければならないと思います。お土産を持っていったはずだけれども大きな荷物をしょわされて帰ってきたという基本に、両国の認識ギャップが露呈されたという点で、失敗の第一に私は挙げるのですが、大臣いかがですか。
○武藤国務大臣 今回の首脳会談の一番の目的は今お話しのとおりで、アメリカの新政権が発足して初めての日米首脳会談でございますから、それは電話では既にやりとりはあったわけでございますけれども、とにかく会って話をするというのは初めてのことでございます。お互いに人間関係ができ上がっているわけではございません。そういう面で、今回の日米首脳会談というのは、一番の目的は個人間の信頼関係をいかにして確立するかということにあったと私は思うのです。そういう点では、率直に話し合う雰囲気の中でいろいろとお互いの立場をそれこそ正直にというか、大胆にといいますか、話し合ったということは、将来の二人の人間関係にとっては決してマイナスではないと私は思っております。 それから、今いかにも何かこちらのが向こうに評価されなくて、荷物だけしょわされて帰ってきたというような表現でございますが、これは立場が違いますから、野党の上田さんのお立場と、私は宮澤政権を支えていかなければならぬ立場でございますから、おのずから評価は違うのはやむを得ないとは思うのでございますが、私としては決して、今回の景気対策についてもその結果重視という立場で、これからどうそれが日本の内需拡大につながっていくのか、こういうことを向こうは見ているということでありまして、それが内需拡大につながっていけばプラスだと向こうは高く評価するようになると私は思うのです。まだこれからということでございますので、そういう面でクリントンさんの政策としていわゆる結果重視、これからそれはどうしていくかということでございますから、日本政府としてとにかく内需拡大を図る、それによって輸入も促進され、貿易収支も向こう側から改善がなされていくということになっていけば、それは後々評価されることであって、そんなに評価されなかったと断定してしまうのはいかがなものかと私は思っております。 対ロ支援につきましても、日本としては、先ほ ど来申し上げておりますように、本当に国民の長年の悲願であります北方領土返還という問題があるわけでございまして、そういう二国間の問題があるにもかかわらず、日本として国際社会の中における今の立場を考えれば、応分の国際協調の中でのロシア支援もしていって、そしてロシアの自由化、民主化という方向を支援していかなければならない。こういう点で、よく十八億二千万ドルと言われますが、実際の国民の直接の税金は三億ドルでございます。どうもその辺が、十八億二千万ドル全部が国民の税金であるかのように思われるのはちょっと、これはもう御承知のとおりでございますけれども、貿易保険とか輸銀の関係の方がずっと多いわけでございます。これは実際に使われるかどうかもまだわからないわけでございまして、実際それは油田の施設を修復するとか原子力発電所を修復するとか、いろいろのことに使われていく場合に、実際にこれから使われていく中の、本当に支援というのは核廃棄の関係とか食料、医薬品というのが中心でございます。いずれにしても、そういうような形で、国民の気持ちをそんたくいたしますと、そして国際協調の中でその調整をすると、その辺が限界ではないかという形で、財政当局とも相談しながらあのような数字を出したわけでございます。 これが評価をされていないというのは、たまたまG7の閣僚合同会議で私が議長をさせていただきましたけれども、アメリカの財務長官もアメリカの国務長官も非常に高く評価をしておってくれたわけでございますから、私はそういう面においては決してクリントン大統領が評価をしていないとは考えておりません。クリントン大統領の口からも、G7閣僚合同会議をよくやってくれたというお礼の言葉があったと宮澤総理から聞いておりますので、その辺は、私は土産は土産でこれは十分その効果を発揮していると思いますし、片方荷物をしょわされたというのは、これから協議機関をどういう形でつくっていくかということにかかってくると思うのです。 先ほども申し上げておりますけれども、いわゆる管理貿易につながるような形での協議機関だけは絶対に私どもは排除する、こういう姿勢でいるわけでございまして、これが貫き通せればお互いに、自由貿易また自由主義経済体制のもとでいこうということが貫かれれば、世界のGNPの四割を占めておる両国がやはりうまく話し合っていくというのは大変いいことでございますから、そういう原則が守られている中においての協議機関であれば私は何も荷物ではないのではないかというふうに思っております。
○上田(哲)委員 外務大臣の主張は主張なのです。それは十分にお言葉として聞くことにやぶさかでないのですが、今言われたような姿勢で総理大臣がアメリカへ行ったのだけれども、それが会議の主題にはならなかったということが問題ではないか。例えば、クリントン側が出してきたセクター協議の問題などというのは、日本の予想しなかった分野として出てきたものであり、それが唐突であることのみならず議題の中心になったという点は、会談としては成功でなかったと思うのですが、なお成功だったと言われますか。
○武藤国務大臣 これからの推移を見ていかなければいけないのじゃないか。やはりこちらは、私どもは宮澤さんは宮澤さんで主張されたと思っております。クリントンさんは、繰り返すようでございますが、結果を見てという考え方が非常に強いと思うのでございます。ですから、日本の国内の内需振興策がいかにこれから実際に内需振興につながっていくかどうか、これはやはりきちんと日本政府としてやらなければいけないのじゃないか、これをやれば結果的に、私はクリントン政権も高く評価してくれるものと確信をいたしております。 また、協議機関は、くどいようでございますけれども、管理貿易につながるような、向こうがそういうことを言ったのでございまして、こちらはそれを拒否しているわけでございます。個別のことで、もう半導体協定で非常に日本は苦労したわけでございまして、こういう個別の協定が結ばれるようなことは困るということでこれを拒否しているわけでございます。今後どういう形で、この三カ月以内に協議機関をつくろうということになっておるわけでございますから、これから詰めていく段階の中で、私は日本側の主張が正しいと思っておりますから、少なくとも管理貿易につながるような形でのことを協議するような機関にしないということでやっていけば、決して荷物ではないと今でも思っております。
○上田(哲)委員 私がこの外交は失敗したと言う二番目の問題は、三・三%成長についてのことであります。 十三兆二千億円もそういうことの一部をなしているわけでありますし、確かにこの日米首脳会談の正式な会議の中身ではなくて、後の記者会見の言葉が大きく物を言っているわけですけれども、こうした場合の記者会見の発言というのは、古くは八一年の日米首脳会談、鈴木さんのときもそうだったように、非常に国際的な公約の意味を持ちます。したがって、総理がこの会談後の記者会見で実質三・三%に手が届くということを表明されたことは、この場と内容からいって国際公約をなすったというふうに評価されているわけであります。三・三%の国際公約まで、そこでしてきてしまったということはいかがなものか、いいか悪いかは言いません。どのようにお考えなのか。
○武藤国務大臣 実は宮澤さんがそのときにどういう表現をなされたのか、えてして新聞記者会見に基づく表現というのはそのまま正確に伝わってない場合もあるわけでございます。三・三%を確実に実行しますとか、これによって三・三%は確実、間違いなく日本は経済成長しますとか、少なくとも経済がよくおわかりの宮澤さんがそういう表現でなされたかどうか、私は直接聞いておりませんけれども、そういう表現ではなかったのじゃないか。一つの目標としてそういうものが、日本の経済成長、一応経済成長率三・三%でいこうという政府の一つの方向が今あるわけでございますけれども、それを確約されたというようなことは少なくともないのじゃないか。これは、プレスの表現が必ずしも正確ではないのじゃないかというふうに私は受けとめているわけでございます。
○上田(哲)委員 やはりアメリカの場合、公式なプレスでの表現というのは事実上の公約の意味を持ちますから、正確に伝えられたかどうかという問題は残るとしても、もし今のお話のように、そうしたことが伝えられているような発言であった、手が届くということを言われているというわけでありまして、その表現の適否はともかくとして、そうしたことをかなり明確に指摘されているのであればいかがなものかという御見解なのですか。
○武藤国務大臣 経済成長率について国際公約をするというのは、過去においてもそういう誤解を招いたことがよくありまして、守ってないじゃないか、後々批判をされたことも承知をいたしております。そういうことは宮澤さんもよく御存じでございますから、そういう確約ととれるような表現をなさらなかったというふうに私は信じているわけでございます。
○上田(哲)委員 ということは、そういう確約的な発言をすべきじゃないという御見解だと理解をいたしますし、正確に伝わったかどうかわからぬというお話でありますから、どういうことを正確に言われたのかお確かめをいただきたい。これは、私ども国内の政治を担う者の第一義的な任務の一つでありまして、総理大臣が向こうへ行っていろいろ、例えば十三兆二千億円の評価が低かったか軽かったかということとの関連でこうしたことを公約されるとすれば、甚だ問題の一つであろうと思います。 大臣はその点を、プレスが正確でなかったかもしれないとおっしゃるから、正確にはどういうことであったのか、また国際公約というのがあるのであればどうなのか、この点については確かめていただいて御見解を承りたいと思います。
○武藤国務大臣 総理に確認をいたします。
○上田(哲)委員 失敗であったという第三点は、まさにクリントンの円高容認発言であります。 これも誤解をしないために申し上げておきますが、これも記者会見の発表でありますから、このことが悪事千里という言葉は当たらないかもしれないが、直ちに大きな地球的影響を及ぼして昨今の急激な円高ということになります。 世論一般の感覚では、例えば十三兆二千億円だけについても言えることですが、この大きな景気刺激策を携えて、内需拡大だ、しっかりやっているぞということを持ってアメリカに行ったことへの期待からすれば、そのこととの引きかえに、今非常に懸念されている急激な円高傾向に歯どめをかけられるような発言ぐらいあるのじゃないか、これが期待だったと思うのですよ。ところが、逆さまになってきた。しかも記者会見の発言は、有効なものは三つ、四つあるけれども、第一に円高である、こういう発言が出てきたということは、これは私は問題であろう。さっき大臣は、一般論だけれども、他国の首脳が違った国の為替レートについて発言をすることは大変異例なことだあるいは異常なことだという趣旨のことを言われました。そのとおりだと思うのであります。これはゆゆしきことであり、こんなこと宣言わしてしまった状況というのは外交としては失敗であった。失敗、成功のことはこれ以上言いませんが、立場が違うとおっしゃるから言いませんが、事実の問題としてこの円高容認発言、第一に円高であるなどという発言が及ぼした影響を考えるなら、私は大変不愉快であると思いますが、いかがでしょう。
○武藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、日本でいえば大蔵大臣、アメリカであれば財務長官、こういう金融を管轄しておられる責任者がおっしゃるのなら別でありますけれども、一国の最高責任者がこのような発言をなさるというのは、私は本当に異常というか異例なことでなかろうか、そういう面において私は大変遺憾に思っております。
○上田(哲)委員 率直でいいと思いますよ。外務大臣、そういうことはぜひストレートに言ってください。発言がいろいろ取りざたされておりますが、ぜひひとつ今のようなストレートな発言をしていただくことが民意に沿っていきますから。 それならば、どうしますか。言われっ放しにしておくことはないのだろうと思うのです。ぜひひとつそれに対して外交的な一種のレスポンスといいますか、あるべきではないですか。
○武藤国務大臣 非常に異例なことでありますけれども、やはりお互いの、それぞれの国の一つの考え方で言っているわけでしょうから、私は本当に大統領がおっしゃるのは非常におかしいと思うのですけれども、ベンツェン財務長官も言っていたわけですね。ですから、アメリカの政策としては多分そういう一つの考え方を持っている、貿易収支を改善するには為替レートである程度改善ができるのじゃないかと考えている節があるのじゃないかというふうに私は受けとめているわけです。実際は、一般論からいたしますと、為替レートが変わったからといって貿易収支が必ずしも改善されるとは私は思わないわけであります。それよりもやはりクリントンがもう一方で言っておられる国際競争力を強化することの方がよほど私は貿易収支の改善につながると思っているのでございますけれども、これは私の考え方でございまして、アメリカ政権は、もしそのような考え方でいらっしゃるとすれば、そのような発言につながったのではないかと思います。 いずれにしても、それじゃおまえ、そういうことを言ったからけしからぬというのは、私どもは遺憾には思いますけれども、そう一々、相手の国は自由に発言をしているわけでございますから、日本としては遺憾に思い、これに対する対策を考えていくということではなかろうかと思います。
○上田(哲)委員 その対策なんですが、政治的にとげとげしたことを言えと言っているつもりはありませんが、宮澤さんはかなりとげとげしたんですな。いら立った発言があったように私たちも漏れ聞いております。じゃ介入するか、それは本来行政府の口にすることではないけれども、そんなことについての発言もあったようでありますし、経済政策上の手だてとしては介入あるいは協調介入ということになっていかなければならないわけですから、そこで協調介入ということが具体的な話になっているわけです。だから、これは相手の発言が何だという政治的な側面の問題ではなくて、経済政策上の問題、金融政策上の問題として打つ手がなければならない。この急激な円高が困ることは間違いないわけですから、そういう政策上の対応は具体的にはどうなさるのか。月末のワシントンのG7に協調介入についての提起をするというふうにも聞いておりますし、三塚政調会長はそのことを積極的に発言されているようであります。その点はいかがですか。
○武藤国務大臣 広い意味で言えば外務大臣のあれでございますが、これは本当を言えば大蔵大臣の所管でございますから私が余り深く申し上げるのはいかがかと思いますけれども、G7の蔵相会議が行われるわけでございますから、当然そのような協調介入をしてほしいということは日本側から私は発言されるものと受けとめております。
○上田(哲)委員 政府首脳会議でその方針が決まったというふうに報道されておるのですね。三塚さんとさっき申し上げたが、政調会長の発言があって、御堂では政府・与党首脳会議でG7に向かって協調介入を要請しようじゃないかというふうになったということでありますから、これは直接担当であるかどうかは別にして、広い意味の外務大臣としてはいかがかということをお尋ねしているわけであります。
○武藤国務大臣 私どもの党の中における政府・与党首脳会議というのは、当面の主要な問題についていろいろ意見交換をする場でございまして、決定をするような場ではございません。ですから、そういう決定というような報道がなされていれば、それは三塚政調会長がぜひ協調介入を呼びかけるべきではないかとか、大蔵大臣の方がなかなか大変だとか、やはり自分が幾ら言ってもクリントンの発言の方が大きいとか、いろいろそういう議論はありましても、やはり政府・与党首脳会議というのは決定をする場ではございませんので、そのようなことが決められたということはない、私はこう申し上げるわけでございます。
○上田(哲)委員 御見のことでありますから、そこへ、やったに違いない違いないと言い募るつもりはないのですが、報道によると、十九日の政府・自民党首脳会議で、G7での協調介入の要請、それからアメリカなどに協調介入への政策転換を働きかけていくということが合意されたと伝えられておりますから、その点を確認をしたわけでありますが、ここで私が言いたいのは、にもかかわらず、協調介入というのはこの際一つの当然な政策手段だと思いますね。それはそうだと思うのです、今とるかとらないかは別にして。これは当たり前のことですが、ちょっと確認をしておきます。
○武藤国務大臣 やはり為替の変動がこのように激しいことは、何も日本だけではなく世界の経済にも決していい影響を与えるわけではございませんから、そういう面で協調介入を呼びかけていくのは私は方向としては間違っていない方向だと思います。
○上田(哲)委員 私もそう思うのです。ところが、今度の日米会談に振り戻れば、それができなくなった。つまり、日米首脳会談の結果としてクリントンさんが、三つ四つあるけれども有効なものは第一に円高だということを発言してしまったという、いわゆる円高誘導というもの、したがって日米の協調介入はだめだ、できないんだということを実は裏書きしてしまったことに意味があると私は思っているのです。だから現実に、まあ実態はわかりません、日銀は介入しているはずでありますけれども、宮澤さんのいら立ちにもかかわらず全く効果がない。単独で効果が出ようはずがないわけでありまして、そこへもってきて出てくる次の手は協調介入でなければならないけれども、アメリカはそうは言わぬと言っている。これは無理だろう。協調介入は今言われたように政策手段 としては当然な路程であると外務大臣も認識される、そのとおりなんだが、その手が打てなくなったというところに私はやはりこの日米首脳会談の失敗があったということは言わざるを得ないと思っているのです。
○武藤国務大臣 G7の蔵相会議はたしか二十九日から開かれるわけでございますから、そこでなぜ協調介入を日本が呼びかけるかということを粘り強く日本側から主張いたしまして、各国が共鳴してくれれば、協調介入というのが基本的に出てくると私は思いますし、やはりこちらは言うべきことは言ってそして協力を求めるという姿が望ましいのではないかということを私は先ほどから申し上げているわけでございます。
○上田(哲)委員 そうだと思うのですよ。そうだと思いますから、もう一歩突っ込みますけれども、アメリカは円高を誘導してしまった。しかし、当然な政策努力としておっしゃるように呼びかけていく、粘り強くとおっしゃる。とすると、G7でアメリカのその姿勢を転換させなければできないわけですから、そういうものを含めても一生懸命粘り強くやっていくべきであるというふうにお考えなわけですね。
○武藤国務大臣 それは、私が出席するわけではございません、大蔵大臣あるいは日銀総裁が出席することだと思うのでございますが、私は、日本政府としてそういう協調介入を粘り強く、なぜそれが正しいのかということを十分相手に理解させるように努力をしていくのが当然の姿だと思います。
○上田(哲)委員 よくわかりました。そうだと思いますよ。できれば一緒に行ってもらいたいですな。 私は、そういう形の中で経済政策として、金融政策として、先ほど大臣も指摘されたような、他国の金融問題に介入といいましょうか発言をするということは異常なことであり、異例なことであり、しかもこのような被害を受けるといいましょうかあおりを受けているわけでありますから、これを経済政策の正当なあり方として戻していくということは、具体的には円高誘導発言というものを転換させるということになるのであり、そのことを我が国としては十分に粘り強くしていくんだという点については御努力をいただきたいし、クリントンさんが発言を訂正されるということになれば、それはそれで、それこそが一つの協調であるというふうに考えております。念のために御意見、御感想を承ります。
○武藤国務大臣 繰り返すようでございますけれども、結果はいずれにしてもわからないことでございますが、日本側の主張は日本側の主張として粘り強く言って、協調介入を求めていくという姿勢はきちんとすべきだと思っています。
○上田(哲)委員 結構です。 そこで、もう一つセクター協議というのが出てきてしまったわけですね。これは正確に伝えられていないと言われてしまえばまた御訂正いただくのですけれども、伝えられているところでは、経済協議機関、機関ですね、機関を設ける、しかも七月までに云々、こういうふうになっているのですが、どうも私がいろいろ聞いてみると、機関まではつくらないんだとか、はっきりしないのです。これはどういうことになっているのですか。
○林(暘)政府委員 お答え申し上げます。 首脳会談で分野別市場開放に関する議論がなされたわけでございますが、そこでは新たな協議の枠組みについて創設に合意したということでございまして、枠組みという言葉を使っております。
○上田(哲)委員 ですから、その枠組みというのは、機関をつくるのかどうかという点を具体的に答えていただきたい。
○林(暘)政府委員 日米間には従来もSIIとかMOSS協議とかいろいろな形での協議する場があったわけでございますけれども、新しい政権になりまして、従来の状況も踏まえてどういう枠組みで貿易問題、経済問題を協議していくかということが議論になったわけで、そういう従来にもあるような形での何らかの協議する枠組みをつくろうということでございます。
○上田(哲)委員 全然答えてくれないんだね。枠組みというのは、機関をつくるのかどうかと聞いているんだよ、三回聞かせないでください。MOSSもあった、構造協議もあった。向こうの表現で伝えられているところでは、構造協議にかわるものとしてという言い方もあったように聞いているのです。ですから、私が聞いているのは、いいですか、三回質問に立ちませんよ。枠組みという言葉は、機関をつくるのかどうかということを聞いているのです。イエスかノーか、しっかり答えてください。
○林(暘)政府委員 機関という意味の定義にもよるかと思いますけれども、両国間が話し合いをする場でございます。
○上田(哲)委員 三回聞くのは嫌だから。大臣、これはどういうことでしょうね、この辺にギャップがあったのでは困るので。 例えば新聞だってこんなに大きく書いてあるのですよ、機関の設置。どうも、担当省は機関ではないと言うのですよ、場であると言うのです。これはわからぬな。機関となれば、例えば委員が出るとかメンバーが決まるとか項目が云々とかそういうことですね。場ということになれば、それぞれの担当大臣もいるし関係省庁もいるのだから、いろいろずっとやっていけばいいわけだ。それは違うのです。そんないいかげんなことを、もう属僚の答弁は意味がないから、大臣ここはどうなのか、はっきりひとつ整理してくれませんか。
○武藤国務大臣 これ、英語ではフレームワーク、こうなっているようですね。やっぱり枠組みじゃないでしょうかね、フレームワークということは。オーガニゼーションじゃないですから、フレームワーク、こうなっていますから。
○上田(哲)委員 ということは、機関ではないのですね。つまり一種の任意的、あらゆる場をとらえての、それぞれの担当者が集まって協議をするということをやろうじゃないかということを決めたのであって、機関をつくって、これこれの委員会をつくるとか、会議をつくるとか、あるいは座長を決めるとかというような機関ではないんだということは合意されているのですか。どうもこの辺のところがわからない。 宮澤さんとクリントンさんがどういうことを会議したのかというのはその後の宮澤さんの発言されているのを見てみてもよくわからない。つまり、個別的に数量規制だの管理貿易になるようなことは困るよ、しかしセクター協議はいいよと言っているわけですね。数量規制その他は困るよ、つまり管理貿易になることは困るよ、では七月までに、こうなった。何をどうやって七月までにやるのかということを我々としては具体的に路程として、あり方として説明をしてほしいのです。 どうも伝えられているところでは、何かMOSSや構造協議にかわって一つの機関が生まれるように認識していますよ。ところが、そうじゃないというなら、ないということをこの場ではっきりしてもらわないと、英語の解釈はどっちかなと字引を引くような話じゃなくて、もしその辺がはっきりしないのなら、まあ二時間やっていますから、その間にきちっとひとつ答えてくれるようにしてください。
○佐藤(行)政府委員 直接の担当ではございませんけれども、私、総理に同行して行ってまいりましたものですから、その間の経緯を踏まえて御説明をさせていただきたいと思います。 クリントンさんの会談後の記者会見での発言あるいは総理の発言でも同じことを言っておられるわけでありますが、これから三カ月かけてこうした二つの問題、一つは構造的問題、セクター別の問題といったような二国間の経済問題の課題、もう一つはテクノロジーとか環境といったようなお互いの協力の課題、こういう二つの課題について話し合いができるような枠組みをつくろうということで合意をした。その枠組みがどういうものになるのか、極端に言えば、今先生御指摘の協議機関なのか、それも一つなのか二つなのか、そういうことは一切決まっておりません。決まっていま すのは、今言ったまさに考え方でありまして、二つの分野、構造、セクター等の経済問題と環境その他の協力案件、二つのものを話し合えるような、今経済局の次長が場と言いましたが、そういう場をどうやってつくっていくかということをこれから三カ月間相談をして決めましょうということであります。したがって、協議機関なのか何なのかという御質問については、どういう形になるかも含めてこれから相談をしていく、そういうことがこの間の二者間の了解でございます。少しあいまいな点が残るのは、まさにお互いがこれからやっていこうということなものですから、明確な形になっていないということでございます。
○上田(哲)委員 そこまではわかりました。そこまではわかったので、わかったことを整理すると、向こうはどうも機関ということを言った感じがするのだけれども、こちらの受け取り方としてはあいまいな形になっていて、それを機関にするか単なる場にするのかフレームワークにするのかということはこれから検討していく課題である、こう言っているわけですね。そこまではわかりました。 では聞きますが、日本側としては、機関にする方がいいのですか、そうではないのですかその方針を聞かしてください。
○林(暘)政府委員 今北米局長からお答え申し上げましたように、この三カ月間かけて協議をしていくことになっているところでございまして、日本側としてこの問題にどういう政策で今後対応していくかというのはまだ未定でございます。
○上田(哲)委員 日本側は、通産省の畠山さんなんかの発言によると、アメリカに誤解がある、だから、例えば閉鎖的でも何でもないのだ、そこから始めなきゃいけないのだという認識をはっきり出していますね。それは通産省の姿勢でしょう。それが政府の姿勢ですよね。日本の姿勢ですよ。私は、その姿勢は姿勢で、それでいいと思うけれども、という立場からすれば、わざわざここでもってかた苦しい機関をつくってもらうということじゃなくて、なるべくフレームというようなところで、まず誤解を解くところから始めるんだ、それが三カ月というスタンスだというふうに考えていると言われれば、それはそれなりにわかるのですよ。やはり、これでもって日本の産業に与えている大きな衝撃もあるのですから、その辺のところはこの機会に、まだ終わったばかりのほかほかしているところなんだから、その辺の真意のところをやはりきちっと言ってもらった方が私はいいと思うのです。どうですか。
○武藤国務大臣 今どういう方向に行くかというのは、これからやるということですから、ここで私が、それではこういう方向にしますと言うのは、これは私の方だけではございませんので、各省、特に今度は従来の経済問題だけではなくて環境問題とかいろいろ出ているわけでございますから、各省庁ございますので、うちの中も、日本側の中もよく協議をこれからしていかなければならない話だろうと思うのです。
○上田(哲)委員 ではそうしましょう。とにかく例示されておるわけですよ。エレクトロニクスから始まって半導体、そして農産物まで具体的な項目が挙がっていて、これで機関だということになれば、そこは真っすぐ向き合うことになる。いや、それは基本的な認識のずれがあるのだからそうはいかないんだというのは、その辺が攻防なんですよ。だから、攻防なら攻防と言ってくれればわかるので、既に機関を設定するところまでは決まってないんだということがきょうはっきりしたのなら、それはそれで一つの説明なのです。あいまいだということも説明なのですから、そのことがはっきりしたということは、私は、前進という言葉を使っていいのかどうかわからないけれども、一つの解明だというふうに思いますから、その辺はひとつしっかりしてください。これは、あいまいだとはいいながら、余りにもあいまいで来ているというところに日米間の問題や日本の対外姿勢の問題が問われていることは事実です。 これは、通産大臣をおやりになったからついでにちょっと聞いては悪いけれども、米はどうしますか。
○武藤国務大臣 米の問題については、総理から非常に慎重な話があったというのは伝えられておるわけでございます。私どもは現時点において米の問題について、やはり国会の決議もございますし、その趣旨を体していくという今日までの姿勢は変えておりません。
○上田(哲)委員 この点はこの程度にしておきましょう。 次に行きましょう。大臣も議長を務められて頑張ったロシア支援です。このロシア支援は、どうも日本は外圧に負けたという風評が高いわけです。つまり、金額は大変な金額だ、これはさっき真水の問題その他ありました。それはそれとして、その理解の上に立って大変な金額であるということはそれでいいでしょう。にもかかわらず、例えばこれはアメリカとロシアの共同政策である、コールが乗って、イギリスが乗って、それで云々と、実は四月一日に宮澤さんとクリントンさんの電話でもう方向が決まったんだというような、全部外側のフレームが決まった上で日本としてはこうした決定に至った、本来ならば十二億ドルぐらいで決まっていたのだけれども、アメリカが第二次支援として二十億ドルを決めたものだから慌てて六億を積み足したなどと風評されるように、大変主体性がなかった、外圧での援助ということになったのじゃないかという認識がかなりびまんをしているのであります。どうですか。
○武藤国務大臣 私は先ほども申し上げましたけれども、日本側としては特殊な領土問題というものを抱えているわけでございまして、その点は他のG7の諸国とは違うわけでございます。これはやはりしっかり一つの考え方として持っているつもりでございます。しかしながら、繰り返すようで恐縮でございますけれども、ロシアの現在の政治の世界においては民主化の方向を目指しておる、経済の面においては市場経済原理導入を目指しておる、そういう方向というのは国際社会から見ても歓迎すべきことでございまして、あの地域が全体主義から我々と同じ体制になってくれるということは、私は大変いいことだと思いますし、国際的にもそれは評価をしていると思うのです。それが万が一にも後退して、また全体主義になるようなことは防がなければいけないというのが私は大体国際的なコンセンサスではないかと思います。 それを日本が、片っ方の二国間の領土問題があるから一切協力はできないというような姿勢は、やはり国際的に孤立をするおそれもありますし、政経不可分の延長に拡大均衡があると私ども今申し上げておりますように、政経不可分というのは、領土問題というものを旧ソ連が全く認めないというときには経済支援もできないということで来たのでございますが、ゴルバチョフ以降、そういう領土問題は認める、そういう問題があることは認めるという方向に来たものですから、それではある程度向こうの苦しいところは日本も応分に応援しようということで、今、経済支援とその領土問題を解決して平和条約を締結することを一緒に進めていこうじゃないか、こういう形に来ているわけでございます。 そういう点からいたしますと、まあまあぎりぎりのところを私どもはっくったと思っておるわけでございまして、何かアメリカに言われて日本がつくったとかいうようなことはないと私は信じております。
○上田(哲)委員 外務大臣としては当然そうですね。ただ、そういうふうな憶測がかなり有力である、またそれを裏づけるとでもいいましょうか、その傍証が大変出てくるということは指摘しておかなければなりません。そのことを追及するのはしばらくおくとして、そもそも対ロシア支援とは日本にとって何なのかという基本的な構想がはっきり確立しなければならないし、内外に、特に国民に向かって宣明されなければならない。これではわからないですよ。 私は以前、衆議院の北方問題特別委員長をやりまして、一九九一年一月十二日に、委員長個人と してですが、当時の海部首相に政経不可分の原則を変えるということを申し入れました。御存じと思います。調べておいてくれということも申し上げておりますから後ほど聞きたいけれども、そういうことはそういうことで過去にはあります。しかしそれと、やれ拡大均衡だとか言葉のあやをいろいろ操りながら、そういうものとは切り離すんだ切り離すんだというような後ろ向きでは前向きの方針は出てこないし、これだけの金額に相当する理由にはならない。日本が外交の原則としてロシア支援は何のためにやるのか、やらねばならないのかということが宣明されてないと思うのですね。 よく言われるように、四月一日、アメリカ時間ですが、クリントン大統領はアナポリスの海軍兵学校で、ロシア支援というのはチャリティーではない、平和、繁栄への投資である、こういう言葉をはっきり出した。そして、申し上げるまでもないけれども、六つの原則を示した。これはよくわかりますよ。少し気取って言えば、冷戦構造後の新しい外交方針をこの中に込めたと言っても言い過ぎでもないだろう。こういうものがどうも日本にはなくて、それが前へ出るよりも、何となくアメリカのおじさんやドイツのおじさんやロシアのおじさんに言われたので、うじうじとして追加したように見えるというのは、事の真偽は別としても、外交の基本態度として十分でない。今日までそういう気持ちを国民に与えておる。税金は大したことはないとおっしゃるが、税金一文といえども、納税者の立場からすれば、説明が今まで不十分だった点は、これは大臣、率直にお認めいただけると思うのですが、いかがですか。
○武藤国務大臣 先ほど申し上げておる、そういう自由主義経済体制、民主主義体制に行くことは世界の平和と繁栄につながるということではないかと思うのです。その辺はアメリカの言っていることと何ら変わらないのであって、くどいようでございますけれども、そういう一つの国際社会の中でロシアがせっかく自由主義、民主主義の体制になろうとしているものをバックアップして、そして我々と同じ体制にすることで、以後、冷戦構造が完全に崩壊してそのままなくなっていく。しかし、これがもし万が一にも失敗して、保守派もまだいるわけでございますから、もし万が一にも失敗して、これが全体主義の方向にもう一回戻るということは、これは世界の平和のためにはならないわけでございますから何としても防がなければいけない、これが国際社会における今共通の認識だと私は思うのでございます。 その中で、日本は片っ方に領土問題というものがあるわけでございまして、その領土問題を、これは国民の皆さんの気持ちからしても、我々は大切な問題として一日も早く解決するように努力をしなければいけない。そういう中で、どうしてもそこに日本としては、他の諸国とは違った制約があるのはやむを得ないと私は思うのですね。そういう制約の中で、できるだけやれる範囲はどこかということで努力したものが今回の支援の額、こういうふうに国民が御理解をいただければありがたいと私は思うわけでございます。
○上田(哲)委員 外務大臣が就任早々、ロシア支援はすべてに超越してやるべきだと言った。この発言はいいと思うのですよ。初々しいですよ。撤回はされていないと思うけれども、言葉じりを撤回なんかされないで、外交というのはそういうところをすっきり出さないと、国民は税金払うの嫌ですよ。 今は直接お答えにならなかったけれども、今日まで説明が十分でなかったという点は、やはり政府も率直にお認めになった方がいいと私は思う。日本人の感情は、一九四五年八月八日の対日宣戦布告の遺恨もあるし、好き嫌いでいえば、明るいアメリカに対して何となく薄暗いイメージのスラブとか、いろいろな問題はありますよ。それは、沖合での漁民たちの交流とかほのぼのした友情も芽生えてはいるけれども、それはある。そうした問題を超えて、外交はまさに超越して方針を出さなければならない。ということは何だといえば、世界の平和と繁栄のためにはこれは必要なんだということをもっと出すべきであったのだが、宮澤さんのあの電話会談での、アメリカの大統領が言ったことには全面的に賛成でありますなんということから始まったのじゃなくて、我が国はもっと近いのですから、それに向かって、必要なら必要だということを宣明されるという点が足りなかったと私は思うのですよ。 前大臣の批判になるようなことになってもいけないから、そんなことはあえて問いませんが、具体的に言いますと、そういう不鮮明な説明にならざるを得なかったというのがやはり領土問題であり、政経不可分という原則がおりになっていたと思うのです。私は誤解していない。日本国民はみんな北方領土を返してもらいたいと思っていますから、それを誤解していない。それとこれと兼ね合いだなんて思わずに、今、世界平和のために必要だとおっしゃるのならその点をしっかりされるがいいのであって、何だか両方足して二分の一のような政府統一見解というのは私は反対だ。そういう言葉じりをやっている限りにおいては、これはいつまでたっても半身になっているし、大体、相手方と駆け引きになってしまいますよ。私はそういう点をむしろ激励したいので、超越するなんということはいい言葉じゃないですか。この際は、超越した方がいいのです。超越して、堂々と、支援するならありがたいと思ってもらえるような支援の仕方をすべきなんで、これが税金の使い道じゃありませんか。ここは演説ですがね。 具体的に言いますと、例えばクリストファーは、二十五日の国民投票で仮にエリツィンが敗れてもこの支援体制は崩さないなんと生きのいいことを言っているわけです。日本はどうもそういうことを言いませんね。この言葉のとおり言えとは言いません。言いませんが、奇妙な統一見解だの何だのと両にらみしようとするのじゃなくて、今これだけの支援をするということが、日本としてこれだけのものだということをもっと鮮明に言っていただくことが必要なのではないか、私はこう思うのです。いかがですか。
○武藤国務大臣 超越してという言葉でなくて、思い切ってと、こう言ってしまったので、私はこれは今訂正しているわけでございまして、非常に誤解を生んだようでございますから、上田議員から激励をいただきましても、やはり私どもの立場としては政経不可分の原則、これは堅持をし、その延長線上に拡大均衡というものがあるという今の姿勢は貫いてまいるということでございます。
○上田(哲)委員 政経不可分の原則は堅持するという言葉が今出てしまった。政経不可分の原則はやはり堅持するのですか。その言葉はちょっと問題だと思うのだけれども、訂正されたらどうですか。
○武藤国務大臣 政経不可分というのは、一般的に言って、きのう統一見解を出したのでございますが、どこの国でも政治と経済との関係は不可分である、こういうことで、全く政治と経済を切り離すことはできないものだということが一般論だということで私は申し上げているわけでございます。そういう意味合いの政権不可分の原則というものは、これは当然両国間にあるわけでございまして、それを、全く政治と経済とを切り離すのはおかしい話じゃないかということで申し上げているわけであります。
○上田(哲)委員 それはだめですよ。そんな一般論は当たり前のことなんです。今、体ロ政策として政経不可分というのは、北方領土と経済援助との関係を言っているのですよ。それは切り離せないということが政経不可分という熟語なんですから。それは堅持するということではもうないのでしょう。
○武藤国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたように、過去の旧ソ連時代に、全く領土問題などはないと、そういうようなときには、こちらも経済的にも支援もできない、こういうことであったのが、ゴルバチョフになってきて、領土問題というのは認める、そういう問題が両国間にあることはよくわかるということで、経済もひとつ応援し てくれよということになってまいりましたから、これが拡大均衡という言葉になってくるわけでございますけれども、ぜひひとつ領土問題も早く解決していこう、経済もできる限りの範囲、応分の経済協力はしていこう、こういうことで来ているのが今言っている拡大均衡ということになっているわけでございます。
○上田(哲)委員 余り追い詰めたくはないのですけれども、政治と経済は切り離せないという一般論の話をしているのじゃないのですから。対ロシア外交の問題として、北方領土と経済援助は切り離しがたいということは、それをリンクさせるという発想からいくのではないと、その事態まで来たということは今確認できるでしょう。
○武藤国務大臣 幾らロシアとの関係においても、その過去の政経不可分の原則というものから、何というか、延長というか、その中にあるというか、拡大均衡という考え方を日本は今とっていこうということでございますけれども、大きな枠の中に政経不可分というのは全くなくなるということではないと私は思うのでございます。
○上田(哲)委員 私は、事実問題として政経不可分という言葉はもうないと思っているし、死語になっていると思うのです。それから、拡大均衡というのも言葉のあやになっていると思うのです。 それじゃ、それはどこで具体的な線を引けるかというと、本格的な金融支援の段階に入ったかどうかというところだと思うのです。では、今回は本格的な金融支援であるかどうかということになれば、言葉の問題ではない。今回の支援の内容は本格的な金融支援の段階に入ったと認定していいのじゃないですか。
○野村(一)政府委員 今先生御指摘の本格的なというのは、どういうふうにとらえるかによるわけでございますけれども、確かに、IMFとか欧州復興開発銀行あるいは世界銀行の協力を得て支援を行っていこう、そういう線をかなり具体的に出しているという点はございます。
○上田(哲)委員 だから、それじゃ答弁にならないので、どこが本格的と言えるのかというのをこっちが聞いているのですから。それは一定の常識というものがあるじゃないですか。一定の経済常識、財政常識、金融常識からいって、今回の支援というのは他国との比較からいっても、本格的な金融支援の段階に入ったと言えるか言えないかと聞いているのです。いかがですか。
○野村(一)政府委員 本格的な金融支援という言葉を、先生は二国間の意味でとらえているのか、あるいは全体の意味でとらえているのかということによるわけでございますけれども、具体的に、今回の閣僚会議でもそうでございますが、現実にどういうふうにすれば持続的な実効性のある支援が行われるかということで、個別、例えばエネルギー等の問題について、あるいは中小企業の育成とか民営化の促進とかいうことを議論いたしました。他方、本来経済支援がそういうことによって軌道に乗るためにはどうしてもマクロ経済の側面からの安定が必要である。そういう意味で、IMF、世界銀行、欧州開発銀行の協力を得るということでございますけれども、しかしまだ現実問題としてIMFとかそういうのが、国際機関でございますから、ロシア側とよく具体的に話し合いまして、そのためにはどうしたらいいかということを詰めていかないといけない、そういう段階でございます。
○上田(哲)委員 時間のむだだからいいです。そういう話をしてもしょうがないので、じゃ、こう言いましょう。 本格的な金融支援だと私は思っている。本格的な金融支援ということは言いたくなくても、客観的に言えば限りなく本格的な金融支援の段階に入っている、あるいは目指してきているというふうに大臣、言っていいのじゃないですか。
○武藤国務大臣 これは議長声明の中、私どもつくったものでございますが、二国間のものの中には金融支援は入っておりません。いわゆる国際協調の中でIMFによるマクロ経済安定化の支援、世銀による構造改革の支援、それからEBRDを中心とする中小企業に対する支援、これが国際的な、G7全体としてこういうもので応援をしていこうというものには日本も協力をする、こういう姿勢でございまして、二国間では全く金融支援というのは入っておりません。ですから、今御指摘のいわゆる二国間での本格的な金融支援というのはないと判断していただいて構わないと私は思います。
○上田(哲)委員 そうすると、いうところの今回の支援は、政経不可分の範囲内だということになりますか。
○野村(一)政府委員 そのとおりでございます。
○上田(哲)委員 いいですか、大臣。
○武藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、言葉のあやと言われればどうもあれでございますが、私どもは、政経不可分の延長線上に拡大均衡がある、その拡大均衡の範囲内、こういうふうに判断をしていただいて結構でございます。
○上田(哲)委員 政経不可分の範囲内の支援だったという話は、これは私はびっくりしたことなんで、言葉はとらえませんが、しかし言葉としてはびっくりしたのですが、まあ実質的な議論をしましょう。 エリツィン大統領が四月十四日に記者会見をして、宮澤首相が領土問題に絡めないで支援するのだと言っているから日本に行くのだよということを記者会見していますね。これについて、そういうふうにとられていいのですか。
○野村(一)政府委員 エリツィン大統領は確かに経済協力と訪日の問題、正面衝突しないという趣旨のことを言いました。それは宮澤総理の発言としてそういうふうに引用いたしましたけれども、他方、宮澤総理の発言という中には経済協力と対日支援、そういう関連づけについての発言は一切ございません。宮澤総理はエリツィン大統領をG7、いわゆるプラスワンの会合に招くかどうか、先生御案内のとおり確かにそういうことが問題になったときがございます。その問題と領土問題とか二国間の関係は関連づけない、そういう趣旨の発言はいたしました。
○上田(哲)委員 つまり、アメリカ時間の四月一日にアナポリスでクリントン大統領の積極発言があった、そして、その後すぐ大統領から宮澤首相に電話がかかった。そして、アナポリス演説は賛成であると宮澤さんは言われた。そして、東京サミットに招くときに二国間問題は入らないと言われた、そこまでは正確なんでしょうね。それをエリツィンは、領土問題を含まない、経済援助があるからというふうに理解した、こういうことで正確なんですか。
○野村(一)政府委員 エリツィンがどういうふうに理解したかということについて私が、それは正確であるかどうかということまで述べるわけにいかないわけでございますけれども、クリントン大統領のアナポリスにおける演説につきまして基本的に賛意を表明したということと、先ほど説明いたしましたけれども、二国間の問題と招待する、いわゆるサミットプロセスの問題とは関連づけない、そういう立場をいろいろな場で宮澤総理は表明しておられるということは事実でございます。
○上田(哲)委員 つまり、それ以外は宮澤さんは言ってないんだと。したがって、エリツィンの理解がそれだけのことを理由にしているんだとすれば、ずれているということになりますね。それでいいですか。
○野村(一)政府委員 私ども把握しているエリツィンの発言を見る限り、そういう理解になろうかと思います。
○上田(哲)委員 エリツィンがそういう発言をするに至った経過はそれだけではないと思うのですよ。どういう話し合いがどこでどうなされたかということは私たちは全部はわかりません。外交の幕の向こうはわかりませんが、わかっているところだけ言っても、今の宮澤さんのサミットについての発言があった。それに先立って去年の十二月には、外務省の斉藤審議官はモスクワでクナーゼ次官にその種のことを言われている。これはサミットのことを言っているわけですけれども、そ う発表されているわけです。どうもその辺が相手方には、それだけではないようにとられたかもしれない。さらに三月二十七日に松永さんが、これは総理の特使というのでしょうか、よくわかりませんが、そうした要務を帯びてモスクワへ行って親書を渡している。この親書の中身を言ってもらえるなら大変結構ですけれども、言うにせよ言わないにせよ、こういう中で、いうところの領土問題というのは余り言わないよ、そんなことをがたがた言わないからどうぞということをエリツィンに思わせるような経過があったというふうに理解する部分は多いのですけれども、いかがでしょうか。
○野村(一)政府委員 そういうふうな点は私ども、ロシアとの関係において一切ございません。
○上田(哲)委員 大臣に伺いたいんだけれども、この松永さんが渡した総理の親書の内容というのは幾分かでも話をしていただけますか。
○野村(一)政府委員 事実関係でございますので……。 親書の内容というのは、先生御案内のとおり具体的に明らかにしないことになっております。これは趣旨といたしましては、G7、いわゆるプラスワンの会合にエリツィン大統領を招待する、そういう点でございます。
○上田(哲)委員 私は素直に聞いていますよ。そういう言い方だとすると、日本側は領土問題を棚上げして経済援助しましょうとか、これとこれとは別にしますからどうぞ御安心をというようなことを言った覚えはないということになる。一生懸命後ろでうなずいておられるから、そうでしょう。それをそのとおり素直に信ずると、エリツィンはそれを誤解している。まあ誤解しているのでなければ政治的にそれを発言しているということになってくる。外交というのは厳しいですから、いろいろなことは歯にきぬ着せず言わなければならない。また利用することもあるでしょう。しかし、少なくとも今の日本側の御説明を聞いていると、エリツィンの言っていることとはずれるわけですね。こちらが言ってないにもかかわらず言っていることになってしまっているというずれが生じているということは、物理的にそうなりますね。これはほっておけないですね。これはどうしますか。
○武藤国務大臣 エリツィンの発言について私は正確につかんでおりませんので、何とも申し上げようがございません。ただ、先日私自身がコズイレフ外務大臣と会いましたときには、領土問題については日本の立場を、領土問題がある、できるだけ日本としては領土問題を解決して平和条約を結ぶことが両国のためにいいんだということは、私は言っておるわけでございまして、少なくとも日ロ間において領土問題が棚上げされているというふうには私は全く考えておりません。
○上田(哲)委員 これは、傍証というのもおかしいですけれども、例えばイギリスのハード外相が、日本が領土問題と切り離しているのは結構であるという発言をしたり、あるいはクリストファーがこの十五日ですけれども、日本のそういう分別は結構だということを賞賛しました。周りからは、これはもう切り離された切り離されたというふうにどんどん声が上がってくるわけです。そして、具体的には明らかにされないけれども、そういういろいろな密使が飛んでいるということになって、それを総合してエリツィンが球を投げてきたことになるのだとすると、誤解を与えているのなら誤解を与えないようにしなければなりませんね。これは外交努力として当然なわけですよ。 それで、ちょっとついでに振り戻って言うのですけれども、今日外務省の中にも、例えばミュンヘン・サミット等の政治宣言の中に、一生懸命努力をしてやったことだったけれども、北方領土問題の内容を入れたこともちょっとやり過ぎだったかなという反省もあるやにも聞きます。事実は知りません。 しかし、現実の問題として、どうもその路線とは違ってきているのですね。そんなにしてまで、全世界が日本の北方領土のために挙げてロシアに向かって迫っていく、場合によっては経済制裁などもというのではなくて、それどころか、今経済支援が大事だ、日本もやりなさいと言っている趨勢の中では、みんなが寄ってたかって北方領土をまず解決しなさいよと言ったにしては、イギリスの外務大臣なりアメリカの国務長官の発言というのは違う状態になってきている。今までのこういう軌跡がこうした誤解を生む土壌にもなっている。私は、そういうことは率直に指摘しなければならないと思う。 したがって、その外交は間違いだったなどということを今ここで答弁させようとは思いませんが、そのトータルの問題として言えば、この誤解は解かなければならないでしょう。エリツィンがそういう形で言ったのだとすれば、北方領土の返還を経済とは別な意味で希求している日本国民に対しても、日本外務省はエリツィンに対してその誤解を解かなければならないはずだと思うのです。外務大臣、これはどういうふうにしてこの誤解を解かなければならないか。これは外務大臣、外務大臣——これは大臣の問題だ、事実関係の問題ではない。これからのことです。
○野村(一)政府委員 大臣の前にちょっと一言。非常に重要な領土問題の関係でございます。 先ほど、大臣の方から今般の日ロ外相会談においてきちんと日本の基本的な立場を述べたのに対して、そうだということが説明がございましたが、それに対してコズイレフ外相自身も、エリツィン大統領がロシア側も「法と正義」の原則に基づいて領土問題の解決を含めまして、平和条約の締結により両国の関係改善、正常化のために努力したいという発言がありました。
○上田(哲)委員 発言を禁止してくれよ、頼むから。そういうふうに邪魔はしないで。そんな経過は知っているんだから、その上で縮めて大臣と僕は外交の論戦をしているのだから、役人は入るな。どうぞ大臣。
○武藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、コズイレフ外務大臣との会談においては、領土問題があるということを日本側から申し上げ、先方もその問題については理解を示しているわけでございます。そういう問題があるということについては理解を示しているわけでございます。決して領土問題が棚上げになっていると私は判断をいたしておりません。 先ほど欧亜局長が答弁しておりましたように、どうも誤解があるのは本当に誤解があるのであって、東京サミットへ来られたときに、東京サミットの場でちょうどミュンヘンと同じようなことは多分ない、こういうことは向こうは理解しているのではないかと思うのです。東京サミット、いわゆるサミットの場でもう一回二国間の領土問題を取り上げることはなかろうということで理解しているのではないか。その辺が、直接エリツィンの言葉がどうもそのまま伝わっていないのじゃないかという点もあると私は思うのでございます。
○上田(哲)委員 それはそれでいいのですよ、誤解があってはいけないのですから。誤解のまま来られても水際で困っちゃうわけですから、誤解があるのならば、大臣も言われるようにまさに誤解なんですから、誤解じゃないのだったらそれはそれでいいです。 誤解があっては両国間に不幸ですから、しかも、意図的であろうが何にせよ、記者会見して大統領がそういうことを言っているわけですから、これは来日までに解かなければいけない。その解く方策を考えるのが外交努力だろうと私は言っているわけでして、伝えられるところでは、大臣も連休にモスクワへ行かれるというふうなお話もありますけれども、行かれるのでしょうか。行かれるとすれば、そういう誤解があるとするならば誤解を解かれる努力をなされるのでしょうか。
○武藤国務大臣 いずれにいたしましても、もしエリツィンが来られるときには私どもは当然領土問題を提起いたしますし、議論をしていただかなければならぬと思っております。 それから、私がモスクワへ行くかどうかという問題でございますけれども、今度のエリツィンの 訪日というのは、昨年の九月の突然の訪日中止、それが今度訪日という形で実現をする、延長線上のものだと私は理解しているわけでございます。そうなれば、昨年九月のエリツィン訪日が中止にはなりましたけれども、その直前に渡辺前大臣がモスクワへ行っておられるわけでございますから、私がここで行く必要はないというふうに私は判断をしておるわけであります。
○上田(哲)委員 誤解があるから誤解を解きに行くなどというのは、外交のメンツの問題があると私は思うから、そういう名分というのはどうかと思いますよ。しかし、それはそれとして、せっかくこれだけの援助もするのだし、肌に感ずるような援助という声もあるわけだし、議長国として議長を務められたということもあるわけですから、行かれるのなら率直に行かれたらいいと私は思いますよ。 そして、日本が援助する意味はこうだ、例えばさっき申し上げているように、決して諸外国の圧力などに負けているのではなくて、隣国として世界の民主主義や平和のために必要だと思うから、我々の国民の総意をぜひこういうふうに受け取るべきであるということは、お話しになる機会があるのならなすったらいいと思う。それにあわせて、誤解があるなら誤解を解かれることが日ロ外交の健全な発展のために非常にいいことだと私は思うので、大臣もおかわりになったことですから、行かれるなら行って、そっちが目的じゃなくて、円満な親交のためにお話しになることは、この大きな経済援助を決定されたときですから時宜に適している判断じゃないのかなと私は思っておりました。いかがですか。
○武藤国務大臣 コズイレフ外務大臣によくお話をしてございますから、私はそれが伝わるものと思っております。
○上田(哲)委員 行かないのですか。
○武藤国務大臣 ですから、私が行く必要はないと思っております。
○上田(哲)委員 急に気が変わって行くのでも結構だから、ひとつ努力してください。努力してくださいというのだから、答えてもらおうか。
○武藤国務大臣 事態が変わってまいりまして、私が行かなければならないという必要性が出てくれば、当然私は行かなければならぬ立場でございますが、今はその必要性はないというふうに判断しているわけであります。
○上田(哲)委員 エリツィンはいつ来るのですか。つまり、最近伝えられているところで言いますと、きのう在京のロシアの外交筋の伝えたところによると、エリツィンは五月末、これを実はコズイレフ外相が今月十四日に宮澤首相に直接五月二十五日から二十七日の間だ、こういうふうに伝えたと言われているのであります。これはどうなんですか。
○武藤国務大臣 それは正確ではないと思います。六月は御承知のとおり宮中の行事がございますし、エリツィン大統領が来られればやはり天皇陛下にもお目にかかっていただくことになると私は思うのでございます。そうなると、六月はとても無理だろう。向こうからも五月という話がありましたから、では五月ということで話をしておるわけでございまして、いつかということについては外交ルートを通じて詰めようということになっているわけであります。
○上田(哲)委員 そうしますと、日にちも、十四日にコズイレフ外相が宮澤首相にはっきり五月二十五日から二十七日と言った事実はない。
○武藤国務大臣 そういう事実は私は承知しておりません。
○上田(哲)委員 そうすると、五月中、それからサミット前、サミット後、この三つぐらいのケースと言われていますが、どのケースが可能性があるとお考えですか。
○武藤国務大臣 五月中ということは言っておるわけです。サミットの役とかいうことじゃなくて、五月中で両国で外交ルートを通じてきちんとした日は決めよう、こういうことになっているわけです。
○上田(哲)委員 外交ルートのことは私どもは情報がわからないのですが、五月中に来ることは確定なんですね。
○武藤国務大臣 来る場合にはですね。何も訪日が決まったというわけじゃございませんので。
○上田(哲)委員 わかりました。ぜひひとつ、すべての誤解を解き、しっかりした方針を持った日本外交としての対ロ支援ということに主導的に御活躍をいただくように切望しておきます。 次の問題に移りますが、朝鮮民主主義人民共和国の核防条約からの脱退の問題なんであります。これは非常に深刻な問題であります。日本の朝鮮半島との関係において非常に重要な意味を持っておりますから、この点について少しく詰めてお伺いしたいのであります。 まずはっきりしておきたい。これは政治論ではなくて条約論であります。朝鮮民主主義人民共和国がNPTを脱退するという方針を打ち出しましたのはけしからぬことであるというふうなムード的なものが一つありますけれども、あるいは経済制裁というような言葉になったりもしておるのですが、まずはっきりしておきたいのは条約上の理解であります。これはNPT第十条の期限・脱退という項目がございますから、脱退の権利というのは条約上の正当な権利の行使であるということになるはずだと思うのですが、そこはいかがですか。
○丹波政府委員 条約の解釈の問題でございますので……。 先生おっしゃるとおりこの第十条一項の第一文でございますけれども、「各締約国は、この条約の対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する。」ということでございますので、ここに書かれておる意味で各締約国はそういう権利を有しておるということは、第十条の一項第一文から明確であると思います。
○上田(哲)委員 ここはひとつ大事なことでありまして、一方に核保有の大国が存在をしている、ここは国際的には制肘の可能性が非常に弱い。そして、大国でなくても核保有国が存在する、しかもそれは必ずしも核防条約と同心円ではない。こういう状況の中でそれぞれの主権が行使されるケースとしては、加入も脱退も同じ権利としてあるという点だけはまず正確に押さえておかないと、これを政治論的あるいはムード論的に取り扱うようなことになってはいけないと思うのであります。 脱退に関しては特に罰則規定もありませんし、国連安保理にも脱退を阻止する法的権限はないわけであります。この点を踏まえた上で、私は冷静にこの問題に対処していきたい。もとより私は前提として明らかにしておきますが、こうした事態は大変不幸なことでありまして、地球的あるいはアジア的にすべての国々が、核拡散あるいは核兵器の行使を制御していくという体制の中に含まれていくべきものであることは言うまでもありませんから、一日も早い脱退の方針の撤回とか、さらに大きく核防についての合意というものがなされることを希求するのでありますけれども、この点についてどのような考え方や努力がなされるべきかということで逐次お伺いをしていきたいと思うのであります。 この脱退通告は三月十二日でありまして、六月十二日に発効するわけでありまして、時間はかなり狭まっているわけです。この問題について日本がどういう態度をIAEAの中でとってきたかという点を念のために明らかにしていただきたいと思います。
○須藤(隆)政府委員 北朝鮮の保障措置協定の実施に関しまして、御案内のとおり北朝鮮は一九八五年十二月にNPTに加盟したわけでございますが、いろいろな事情で保障措置協定の締結がおくれておりまして、昨年、九二年四月になって保障措置協定をIAEAとの間で結んだわけでございます。その後、IAEAとの協定に従いまして、北朝鮮の申告が正しいかどうかということを検認 するための特定査察というものをIAEAが六回にわたり実施してきたわけでございますが、IAEAの査察の結果、北朝鮮が提供した情報とIAEAの分析結果との間に重大な不一致があるという理由をもって、二月九日に特別査察の要求を行ったわけでございます。これに対しまして、北朝鮮が特別査察の要求を受け入れなかったために、IAEAの理事会が二月二十五日に開かれまして、北朝鮮に受け入れを求める決議を採択いたしました。このときは、投票にかけることなくコンセンサスで採択されました。 それからさらに、先ほど先生御指摘のとおり、三月十二日に北朝鮮がNPT脱退の決定を発表いたしまして、国連安保理にも通報いたしましたことを受けまして、三月十八日にIAEAの理事会で、IAEAの事務局のとった措置を支持して、努力と対話を継続するよう要請するとともに、北朝鮮に対して再度特別査察の受け入れを求める決議を採択いたしましたが、このときもコンセンサスによる採択でございました。 その後、いろいろな働きかけにもかかわらず依然として北朝鮮が特別査察を受け入れなかったために、IAEAの理事会は四月一日に、北朝鮮が保障措置協定上の義務に違反していることを認定し、核物質の軍事不転用が確認できないことを安保理等に報告すること等を内容とする決議を採択いたしました。 なお、我が国は以上三つの決議の共同提案国となっておりまして、四月一日につきましても賛成票を投じた次第でございます。
○上田(哲)委員 まさに三つの決議を、実は日本はいずれも共同提案国ということで、コンセンサスによる場合も当然なんで、採決しているという形ばかりではありませんけれども、いずれにしても共同提案国としての賛成票を投じているわけですね。これはいかなる理由によって、判断によって共同提案国、つまり決議賛成の立場に立ったのか。先ほど来、条約上は国家主権の正当な権利行使でありまして、これに対してこのような判断をした理由は何ですか。
○須藤(隆)政府委員 NPTに加盟しIAEAといわゆるブルスコープの保障措置協定を結んだ以上は、すべての核物質並び核施設を申告して、それらの物質並びに施設が軍事転用されていない、平和利用に徹しているということをIAEAが検認する義務があるし、またそれに対して協力する義務があるということがIAEAの一般的な規則でもありますし、北朝鮮とIAEAとの協定上もそういうことになっているわけでございますが、この保障規定に違反いたしまして北朝鮮が特別査察の要求を受け入れないということは、IAEAが本来の任務を達成できないという非常に重大な事態を招来するということでございますから、我が国としては、ぜひとも北朝鮮がIAEAの特別査察を受け入れて、軍事転用がないことを世界に明らかにしてほしいという立場から、当初の決議案の共同提案国になった次第でございます。それから、NPT脱退通告をして以降は、さらにそれに加えまして、現在のNPT体制というのは核不拡散体制を維持する上で基本的なものでございますから、ぜひNPT条約に残るべきであるという点もあわせて共同提案国になった次第でございます。
○上田(哲)委員 理事会でこの判断をしたときに根拠となったのは、アメリカの軍事衛星の写真なんです。その軍事衛星の写真はこの理事会に提出されましたか、日本はそれを見ましたか。
○須藤(隆)政府委員 IAEAが保障措置協定違反を認定するに当たりましては、アメリカの衛星写真ももちろん参考にはしておりますが、IAEAの説明によれば、それだけではなくて、IAEAの六回にわたる特定査察の結果、北朝鮮の申告した物質の科学的な分析、反応調査等も含めましてIAEA独自の調査の結果、北朝鮮が提供した情報とIAEAの分析結果の間に重大な不一致があるという結論に至ったという説明を受けております。 それから、衛星写真につきましては、理事会の場におきまして、限られた理事国の間で事務局長より提示されております。
○上田(哲)委員 日本も見ましたか。
○須藤(隆)政府委員 我が方の理事はそれを見ております。
○上田(哲)委員 その航空写真、軍事衛星写真に、例えば五メガワットの試験炉は冷却塔が一つしかないのに二つ写っているとか、送電設備と暖房施設は削除されているという指摘があるのです。それはどうでしたか。
○須藤(隆)政府委員 IAEAとしましては、査察の詳しい内容につきましては公表しないということになっておりますので、具体的な点については差し控えさせていただきたいと思います。
○上田(哲)委員 これは差し控えられては困ってしまうのですよ。我々にとっては非常に重大な問題ですから、それはもし部分的な人にしか見せないというのなら、本委員会でやっていることですから、部分的な中に入れてもらって見せてもらわなければ困る。どうしてもその辺の事実関係がよくわからないのです。 一方だけの議論ということではいけないのですが、どうも私は客観的に眺めてみると事態の経過が少しおかしい。つまり、六回査察が行われているのですね。それで、六回までの経過で言いますと、長い経過がありますから簡単に言わなければならないけれども、初めは二カ所の軍事施設の査察を行った。寧辺の放射化学研究所などですね。これは、昨年五月の第一回特定査察の結果、IAEAのキッド報道官が、核兵器製造に必要なプルトニウム生産にはほど遠い状態であるということを明らかにしておりますし、六月九日にはアメリカのソロモン国務次官補も、北朝鮮の前向きな姿勢に満足している、こういうふうにインタビューで答えています。つまり、疑いが晴れた。ところが、その後、今度は、一つは軍事施設、もう一つは生活施設を入れて査察の要求があった。そして九月の時点では、ボーリングをしようというような言い方になってきた。それで、さっきの御答弁のように、プルトニウムの測定に違いがあったということも一つだと言われるのだが、プルトニウムは天然ウランからやっているのだから出るのは当たり前なんだ。だから、ここは単純に技術的な問題だという反論もある。ですから、どっちが正しいかということはしばらくおくとしても、その辺の反論もあるにもかかわらず、その辺をいかにも疑惑であるというふうに決めつけることは客観的なのかという疑念は当然生ずるのです。 それはそれとしても、一番大事なことは、この二つの軍事施設に対する疑いがアメリカの軍事衛星写真に基づくものだ、これはIAEAの中立性を損なうものだ、こういうことになってくるはずなんであります。これについて日本政府はどう思ったのですか。
○須藤(隆)政府委員 IAEAの協定上、この協定の実施に関連して入手した情報は公開してはならないというようなことがありますので、IAEAとしては我々に対する情報提供に限界があるわけでございますが、そういう制限の中でも、協定の実施に関連する特定の情報を理事会に対して必要に応じて提供することができるということがございまして、過去の理事会におきまして、IAEAの事務局からその必要な範囲内において説明があったわけでございます。その説明を聞きましても、単にアメリカの衛星写真をそのままうのみにするということではなくて、IAEA自体として相当詳しい専門的な科学実験あるいは科学分析をしておりまして、その結果、北朝鮮が申告した情報並びに物質とIAEAの分析結果との間にどうしても説明できない不一致があるということで、この点はもう既に昨年の秋ごろから、IAEAとしては北朝鮮側とその問題提起をして話し合ってきたわけでございます。北朝鮮の方も、いろいろな形でIAEAに説明をし、また原子力工業大臣等が公表書簡でも反論しておりますし、私どもも、その北朝鮮側の反論も十分読んだ上でIAEAに対していろいろ情報を求めておりますが、IAEAとしては、これまでの北朝鮮側の説明によって はIAEAが分析した不一致についてなお説明できないということでありまして、ぜひともその二カ所の特別査察並びに不一致に関する追加的な情報提供が必要であるという立場を堅持しているわけでございます。
○上田(哲)委員 これはもう全然説明にならないですね。内容は言えないけれども疑念がある疑念があると言われたのでは、これは全然解明しょうがないですよ。だから、私は外側の話をする。外側の事実関係の話をするのですけれども、今具体的にあなたの話がおかしいのは、IAEAはことしの一、二月の第六回の査察のときに再計算を約束しているのだけれども、この約束が守られていない。それで、査察団がウィーンに帰ったのは二月八日なんです。ところが、特別査察を公式に要求したのはその明くる日の九日なんです。全部できている話だというふうに普通は考えざるを得ないですよ。 そして、私が今絞って言いたいのは、IAEAはアメリカの軍事衛星を使ってはいけないのですよ。それが理由の一つに入っているなら、それだけでも公正を欠いているということを私は言いたいのです。つまり、例えば去年の二月二十五日に行われたIAEAの理事会で特別査察問題が論議されまして、IAEAは議長総括の形で次の文言、未申告施設を対象に軍事衛星などの情報を判断材料に特別査察権を発動する、こういう解釈を明記することを求めたのだけれども、非同盟諸国から大きな反対があり、これは大国のエゴであるということで明記されなかったという経過があるぐらいなんです。つまり、アメリカの軍事衛星を使ってこれを証拠にするということは、IAEAの中立性を害するということで、理事会でも通ってないのです。にもかかわらず、この軍事衛星というものが材料の一つになっている。ほかにもあるほかにもあるとおっしゃるが、その内容を言わないのだから議論のしょうがないが、間違いなくこれが判断の材料になっているということはIAEAの中立性を害することになるじゃないか。これに対して、問答無用にどうもおかしいからというので、この特別決議に日本が共同提案国になり、賛成するというのはまずいのじゃないか。これは間違いじゃないのか。少なくとも慎重さが足りないのじゃないかという点について、あなたの御説明は長いからひとつ簡単に答えてください。
○須藤(隆)政府委員 御指摘のとおり、軍事衛星による証拠写真をIAEAとしては採用できるかどうかというような点について議論があったことは事実でございますが、IAEAの協定上も、「各加盟国は、自国の判断により機関にとって有用と考える情報を提供するものとする。」ということが八条にも書いてありますので、アメリカとしてはIAEAが有益であろうと思われる情報をIAEAに提供することは自由であるし、むしろそういうことが協定上も奨励されているということが言えると思います。ただIAEAがみずから検認もしないでそれをそのまま証拠として、それだけを根拠として特別査察を要求するということについては確かに問題があると思いますが、先ほどから説明しておりますとおり、IAEA独自の検査に……
○上田(哲)委員 独自のといったって、独自のことはここで説明しないのだから議論のしょうがないよ。入れちゃいけない資料なのですよ。そうでしょう。客観的にやらなければいけないIAEAの中立性からいったら、一国の、しかも核を持っている国の軍事衛星の写真がその中の判断材料になるということが公正を害するのは当たり前じゃないですか。長い話をしないでちゃんと答えてください。
○須藤(隆)政府委員 具体的なことをお話しできなくて申しわけございませんが、先ほどから申しておりますとおり、IAEAとしては独自の検査結果に基づいて理事国、大部分の理事国は……
○上田(哲)委員 いや、そんなことは聞いてない。その軍事衛星の写真を判断材料の一つに入れるということはIAEAとしての中立性を害するじゃないかと言っているのです。それを答えなければだめだ。ほかのことを言ってもしょうがない。
○須藤(隆)政府委員 IAEAが査察活動を行うに当たって衛星写真を参考にするということは、IAEAの中立性を害することにはならないと考えます。
○上田(哲)委員 時間のむだを省きますよ。まだはっきりしないような状況の中で、私は日本の態度が誤解されることを憂える。この状態の中で日本側の基本姿勢というものが問われていると私は思います。 例えば、三月四日に外務省幹部の発言として、朝鮮民主主義人民共和国が二月二十五日までに特別査察を受け入れなければ国連安保理に提訴するというのが日本政府の基本姿勢であるとか、提訴される場合、有効な措置がとられなければならないというような発言をしたり、三月十日に外務省が、朝鮮民主主義人民共和国は二、三個の核兵器の製造が可能であるという試算を発表しているとか、あるいは脱退以後は通産省が朝鮮民主主義人民共和国に対する機械、化学関連製品などの輸出を全面的に規制する方針であるとか、この措置は事実上の禁輸に近い極めて厳しい内容だ、これは新聞報道もされていますよ。こういう経済制裁をこの段階で予告するなり動かすということは、私は行き過ぎじゃないかと思うのですよ。 これは、このほかにもいろいろな言い方が全部出ていますけれども、宮澤さんも三月三十一日に、取り得るあらゆる手段を考えなければならない、これは制裁を示唆したものだというふうにとられていますけれども、こういう発言が出ていくというのはますますこの事態をこじらせてしまうことになる。少なくともこの時点で経済制裁なんということは、これは口にすべきでない、考えてはいけないというふうに私は思います。 例えば、核大国でなくても核を持っているイスラエルとかインドとかパキスタンというのはNPTには参加してないのですから、こういうものに対しては何の制裁もない。制裁という言葉はおかしいけれども、たまたま核防に入って出たものに対してはすぐ制裁というような言葉が出てくるのは、私は隣国としても、全体のあり方を円満に進めていくためにも、正しい態度ではないと思うので自重を促したいと思うのですが、大臣、その基本的な考え方はいかがでしょうか。
○武藤国務大臣 NPTからの脱退を北朝鮮が撤回をしてくれまして、査察を受け入れるということは、やはり北朝鮮にとってとるべき姿勢ではないかと私は思っております。
○上田(哲)委員 いや、私がお伺いしたいのは、なるべく円満に解決をしなければならない、その努力の大事な時間に来ていますから、この段階で、私自身はその軍事衛星や何かを使って、それが材料の一つになっていることは公正を害すると思っておるが、そうだと言いたくないのだろうからそれ以上は追及できないとしても、条約上は当然な権利行使なのだし、これを悪玉扱いすることもいけない。しかも、その段階で経済制裁というようなことをちらつかせるということはやはりいけないのではないか。もっと円満な話し合いを進める姿勢を日本はとるべきではないかということを問うているわけです。
○武藤国務大臣 日本だけではなく一番関係の深い韓国、あるいは割合最近北朝鮮との関係が良好になりつつある米国というようなところと協調しながら、ただ単に追い込むというだけではなくて、今申し上げましたようにできるだけ素直にNPTから脱退するのを撤回をしてもらっていくのが私はいい外交ではないかと思っております。
○上田(哲)委員 そこのところがぎりぎりの接点ですね、大臣と私どもとの。どっち側に立とうと言っているのじゃないのです。不幸な事態にさせないためにということで努力してもらいたいと言っているわけで、そういうことで言いますと、きょうも報道されていますけれども、朝鮮民主主義人民共和国の許鐘国連大使がインタビューに応じて、できるだけ話し合いを進めて解決したいということを言っているわけです。これは、どうもアメリカと朝鮮民主主義人民共和国との間にかな り高いレベルの直接交渉も進んでいるかのように聞いています。結構だと思います。絶対にそういうことはしないよと言ったアメリカが、今実は、つまり軍事衛星をもってそれをやっているアメリカがピョンヤンと話を進めようとしているのですね。これは結構なことだと私は思うのですよ。それに対して日本はどうか。 この際、ピョンヤンの言っていることは、朝鮮民主主義人民共和国の言っていることは、チームスピリットみたいな圧力をどんどん加重するようなことはやめろ、そして軍事衛星を使うような一方的なやり方で来るのはやめろ、そういう国家主権などが認められるならば核防条約に復帰しようということを言っているわけですから、そういう具体的なアプローチを努力をしていくことが必要で、アメリカすらそこまで変わってきているわけですから、日本としてはその話し合いを進めていくことに参加していくというか、努力をしていく時点に私は来ていると思うのですが、いかがでしょうか。
○池田政府委員 ちょっと事実関係に関係いたしますから、私から御答弁させていただきます。 私どもも忍耐強く、話し合いを通じて北朝鮮側に今回の決定の撤回を求めていくということをやっております。そして、例えば一つの努力といたしましては、もちろん日米韓等で緊密に協力する、それから中国と話し合う、それからロシアと協議をするというようなことをやっておりますし、その他もちろんIAEAを通ずる多国間の場を使っております。 それから、日本と北朝鮮との二国間の間で申しますと、今月の七日に在北京の我が方の大使館から先方の大使館に対して連絡をいたしまして、私どもの本件に対する考え方、つまり本件問題を円満に解決するために日本としては今回の決定を撤回をすることを強く求めていきたいという、そういう趣旨でございますが、そういう基本的な立場を伝えようと思って接触を試みましたが、先方側の返事は、今お会いする段階ではないということで、残念ながらこの接触は実現しておりません。しかしながら、そういう努力は続けているということでございます。
○上田(哲)委員 いや、大臣に、そのさまざまな各論はあるだろうが、ぜひこの問題を円満に解決したい、その立場からいえば、日本が共同提案国になって賛成をしてきたけれども、その中心であったアメリカですら今話し合いに入っているわけですから、日本も例えば経済制裁などというようなことをちらつかせるなんという姿勢でなくて、さっきのお話のように、ぜひ円満な話し合いに一歩進んで入るという姿勢を明らかにされることがアジアの緊張を加速させない、緩和させていく具体的な外交努力だというふうに思いますので、基本的にその辺の御見解を承りたい。
○武藤国務大臣 今アジア局長が申し上げましたとおりで、日本側としては円満な形で解決がいくように努力をしていきたいということはやっているわけでございます。私もその方向で努力をしたいと思います。
○上田(哲)委員 くどいのですが、アジアは大事ですから、いま一歩の努力をするということを答えてください。
○武藤国務大臣 相手があることでして、今北朝鮮との関係は少し冷却しているような感じを私は率直に受けているわけでございまして、いま一歩の努力を、円満な解決に向かって努力をいたします。
○上田(哲)委員 頑張ってください。 最後に、PKO問題について伺っておきます。 もうこれはいろいろな議論が高まっておりますように、五原則が崩れたんじゃないか、パリ協定は既に空洞化したんじゃないか、いろいろな問題の議論はあります。私は裏返して聞くのですが、ここでさらに事態が悪化した場合に、日本はそのときは自衛隊を撤退するんだということを前々から言っておられた。こういう事態が進んでいって、なお自衛隊は撤退することができる可能性、条件は残っていますか。どうあっても、帰ろうと思っても帰れないという状況になっちゃうというところには踏み込んでいませんか。大丈夫、帰れるという条件、保証、可能は今でもあり得ますか。
○武藤国務大臣 現段階では五原則は守られている、だから派遣されて行っている自衛隊を撤退させるような方向へ日本が決める必要はない、こういうふうに私どもは今は思っております。
○上田(哲)委員 私の質問は、仮に帰らなければならない、例えば大変な交戦状態になるとかになれば帰るわけですね。そのときに帰り得るか。追加要請がどんどん出てきたり、閣議決定もどんどん、例えば給水であるとかざんごうであるとかいうところへもいっている。あるいは自衛のための応戦ということにもなり得るだろうという状態がさらにエスカレートしたときに、帰ろうと思っても帰れない状況になってしまうのではないか。そのときに、国会でも約束された、もし紛争状態になれば帰るんだよといったことが今後とも可能であるかということを聞いているんです。
○武藤国務大臣 仮定の問題にどうも答えられないのですけれども、私どもはとにかくできる限り、今少し治安が悪くはなっていることは事実でございますけれども、全面戦争にいかないようにという形でいろいろの努力をいたしており、場合によれば国際会議が開けるような方向でも努力をしているわけでございまして、せっかく民主国家を目指しているカンボジアでございますから、とにかく何とか平和なうちに中立的な状態の中で民主的な選挙が行われるということに対して、一生懸命我々は協力をしていくのが当然の姿勢ではないかと思うのです。
○上田(哲)委員 この追加要請ですね、輸送、水、燃料の補給、浄水その他のいろいろなことが出てきている状況で、今の状態をどう理解しているかということを私は聞いているんではないのです。私は、もう既に五原則が崩れていると思うし、パリ協定の枠内ではない。しかも、選挙というけれどもプノンペン政権と一緒になってやっている、あるいは投票所の数も減らすなんというものが一体選挙になるのか、民意を本当に反映できるのかという点では大いに議論があるし、もはや違うと思っていますが、それは恐らく政府の見解と違うでしょうから水かけ論はしません。 しかし、政府が今まで国会に約束されてきたのは、どうしてもこれは枠を超える、紛争状態になったときは帰すんだよということが絶対の条件の一つでありました。しかし、そういう事態になったときにも帰れなくなっちゃうんじゃないかという心配があるのだが、帰るという可能性は、その最終、最悪の事態になったときには常に留保しつつあるんだよということが今でも約束してもらえるのかという点です。
○武藤国務大臣 くどいようですけれども、そのような全面戦争にはならないような努力を今しているわけでございますから、そのような状態にはならないというふうに私は信じているわけです。
○上田(哲)委員 水かけ論を避けますが、同じ世代で気にすることは、中田さんという方が非常に純心、純粋な立場で、ボランティアとして民主主義のメソッドである選挙のために奮迅をされた。本当にそれ自体にはもう私どもはほかの言葉はないのです。しかし、既に命を失わなきゃならないような状況になっているではないか、非常に危険な状態で、選挙を円満に行う状況にはなかったということを裏書きしているのだとすれば、私は例えば、世代の意識としても、どんなに崇高な努力であったということを認めるとしつつ、この死は悲しい。国策によって青年の死を美化してしまうようなことがあってはならない。それは大臣、そう思いますね。そういう面では、情勢の判断というのはしっかりしなきゃならないという点で、例えばだれが守るのか、帰れるのかということが留保されない状態が起きるんじゃないかということを心配しておるんですよ。 まあ言えないんでしょうから、そこのところはこれ以上追及しないとしても、国策によって不可能な状態の中に純心な人々を散らすようなことがあってはならないということだけはしっかり伺っ ておきたい。
○武藤国務大臣 本当にとうとい生命を守るということは、これはもう何よりも大切なことでございます。
○上田(哲)委員 いや、国策というものによって純粋な人々の努力やあるいは最大の犠牲を美化するようなことにならないような判断がなければならぬということを私は申し上げているので、これは御同感のはずですから。例えばそのボランティアを、一番前線にいるボランティアを自衛隊は守れないわけですからね。撃ち合いはできないわけですから。そういう問題からいったら非常に深刻な事態に既に来ているということはもう強調いたしません。 それで、シアヌーク殿下が救国構想を出している。この救国構想というのは、やがてカンボジア人の手で総選挙をやり直して新政権をつくろうと言っているんですよ。ということは、今の選挙というのは何のためにやっているのかという認識にはなりませんか、もはや。
○池田政府委員 シアヌーク殿下の救国構想については、そういう御発言がございましたけれども、その後三日ぐらいしましてから撤回されておりますので、今シアヌーク殿下がどういう構想を持っておられるか、そこの点はわかりません。しかしながら、そういう考え方は、将来新しい政権ができたりしたときにどういう格好のものになっているかということで、私どもとしては十分に参考にしながら和平プロセスを進めていきたいというように考えているわけでございます。
○上田(哲)委員 まさに事態がどんどん悪化していく。プノンペン政権の部分平和に乗って総合平和の方針はもう放棄したというふうに言わなきゃならないと思うのですが、それはそれとして、国会を強行通過したPKO法の範囲でいつでも、これは大臣もすぱっと言われた発言を私はむしろここで買いたいのですけれども、国民は懸念を持っているわけです。大丈夫だろうかという懸念を持っている。そしてどんどん予測しがたいいろいろな問題が出てきて、業務も追加していくことになっていく。それは予測しがたい問題が出てくるのは当然あり得ましょうけれども、その予測しがたい追加というものがどうも軍事的要素の方向にされていくということになれば、この国会が論議した部分を超えることがあり得るのであって、これがカンボジアにとどまらずさらにモザンビーク、アフリカまで行くということになっていくのは、一体国会の議論の範囲であったのかどうかという問題は、私はそこで反省すべきだと思うんですね。それはいかがですか。
○武藤国務大臣 モザンビークにつきましても、やはり日本はアジアだけではない、世界の平和のために日本の許される範囲で貢献をしていく、人的貢献をしていくという立場で派遣が今検討されておる、私はこう承知をいたしております。
○上田(哲)委員 PKO法の議論は、国会の意思は、モザンビークの問題も含めていたとお考えになりますか。あれは私たちはカンボジアを集中的に議論をしたと思っていますが、当然その議論の範囲、国会の許容した範囲はモザンビークも含んでいるとお考えになるわけですか。
○武藤国務大臣 いろいろ議論の中ではカンボジアの問題があったかと思いますが、国連の平和維持活動を支援していくことにおいてはどこの地域というふうに限定すべきものではないと私は思っております。
○上田(哲)委員 ここは私どもと根本的に意見が違うのでありますが、際限もなく地球のどこへでも行くことになってしまう危険は問題としなければならないと思いますが、その基本的な問題を離れても具体的に実施計画、実施要領というものがどんどん変わってくるわけですね。せめて、これは認めるのではありません、カンボジアの先例があるのですから、そのカンボジアの先例の経験の上に乗って、実施計画と実施要領を国会に明らかにされることの中で議論があるべきではないかと思います。いかがです。
○武藤国務大臣 私は、モザンビークの問題の話、さっきの話ですね、法律の中に二千名という一つのあそこの定員、定数が決められている、枠が決められているというところに、今お話しのどこへでもどんどん行くということではないことはもうおわかりいただいていると思うわけでございまして、国民の皆さんにもその辺は御理解いただきたいと思うのです。 それから、今の件につきましては、閣議で決定して公開をすることになっております。
○上田(哲)委員 二千名の枠だからというのとはちょっと次元が違いますよ。それは、カンボジアに行くのが二千名に足りなかったら残りの分はどこかへやってもいい、こんな勝手な言い方はないので、どこへ行くのかということは、例えば国会の議論は、カンボジアはアジアでありました。アフリカというところは意味が違ってきます。細かくは追及しませんが、先遣隊が行って帰ってきた報告によると、例えば特別機を派遣して撤収する方法がまだないというわけです。そういうところへやっていいのかという話だけだって違ってくるわけですから、二千名の範囲云々ということじゃないのであって、概念として、さっき外務大臣が言われたように、PKOの理解の範囲はそこまで含んでいるのだと言われるなら、それはそれで私たちは意見が違いますから議論いたしたいと思います。 実施計画、実施要領、これは派遣前にぜひ国会の議に付していただくことを確認をしておきたいと思います。
○貞岡説明員 御説明申し上げます。 国際平和協力法上実施計画は国会に報告しておりますが、実施要領につきましては概要を国会の方に連絡しておるところでございます。
○上田(哲)委員 長い時間にわたって議論いたしました。不十分ではありますけれども、新しい世界、新しい時代の入り口に立っているわけでして、冷戦構造の崩壊というところから出発をしなければならない発想が求められる。新大臣、就任されて、多くの問題を後に残しますけれども、ぜひ日本のあり方を鮮明に打ち出していける平和のための外交政策ということに御努力をいただいて、例えばPKO問題あるいは核査察。問題等々について、仮にも日本が危険な側に立つことのないような、平和勢力としてのあり方を宣明できるような、私は九条を守っていきたいということをしっかり申し上げて、質問を終わります。
○志賀委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二十四分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○志賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。山口那津男君。
○山口(那)委員 公明党の山口那津男でございます。外務大臣がいらっしゃるまでの間、実務的な面も含めて御質問をいたしたいと思います。 まず初めに、カンボジアのPKOの問題についてでありますが、近い将来、つまり四月二十九日にSNCの会合が当初プノンペンで開催される、こういう予定だというふうに言われておりました。しかし、これについては最近ポル・ポト派が、治安その他の問題があるのでこのプノンペンでの開催には応じない、こういう対応を表明しておるようであります。片やプノンペン政権の側は、プノンペン以外の地で開催するのには基本的に反対の方向であるかのようであります。北京で開くという説もありましたが、非常に遠いとか人のやりくりが大変だとかいろいろな理由で反対しているようであります。 このSNCというカンボジアの主権の主体というものが今後維持継続されていくことは、パリ和平合意の枠組みを維持する上でも非常に大切なことだろうと思うのですね。そこで、四月二十九日の開催はいずれかの地でぜひやるべきである、こういうふうに思うのですが、実際上四派の間に開催地についての対立があるということであると、 当分の間延期という選択肢も考えられるのかなと懸念をいたしております。そこで、この直近のSNCの会合の行方についての認識をまずお伺いしたいと思います。
○池田政府委員 SNCの開催の場所につきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、各派の立場とか思惑がまだ一致しておりません。そういう意味で結論が出ていないというのが現状でございます。 それで、このSNCの会合を含めまして、やはり全体的にパリ和平合意をどういうように進めていくかということにつきましては、フランスとインドネシアの両議長国が中心になりまして関係各派とも話をして、何が現状でやれるのか、やるべきなのかということを話しておりますけれども、具体的な結論はまだ出ておりません。
○山口(那)委員 そうしますと、このSNCの会合、全く見通しが立たないという状況ですか。それとも延期される可能性というのもあるのですか。
○池田政府委員 正直申しまして、ここの見通しはなかなか難しいわけですが、二十九日に開かれるかどうかにつきましては私どもも確たる見通しはございません。しかし、できましたら選挙の前にはそういう会合が開かれることが望ましいのではないかというように我々としては考えておりまして、そういうことで関係者と話し合いは進めております。
○山口(那)委員 五月にUNTACのもとで選挙が行われるわけでありますが、このUNTACの選挙監視団に日本が参加をするであろう、国連から要請も受けている、こういう話であります。五十名ほど参加をするということでありますが、この要員の選考が実際にどのように行われているのか。その場合に、例えば一定の資格とか特別な能力というのが必要になるのか、あるいは制限があるのか、それから民間からも要員を確保するのか、それとも公務員中心でいくのか、その構成がどうなるのか、これらの点について御説明をいただきたいと思います。
○貞岡説明員 御説明いたします。 カンボジアへの選挙要員につきましては、これまで選考を行いました。選考は、関係省庁、外務省、自治省、総務庁から推薦を受けた方々、それから民間人で自薦をされた方々、そういう方々を対象にして選考を行いました。選考の結果、五十数名程度現在内定しております。その内訳でございますが、国家公務員が数名程度、地方公務員が十数名程度、その他が民間人でございます。 それから、選考の基準でございますが、まず業務に対する意欲、あと体力、語学力、外国で業務をする性格上協調性それから運転免許、そういうふうな要件を中心にして選考をさせてまいりました。したがいまして、枠組みとして国家公務員何名、地方公務員何名、民間人何名というふうな枠組みが当初からあったというわけではございません。
○山口(那)委員 今の要員の選考基準を伺っていますと、私どもの通常の常識だと、選挙管理事務に携わった経験があるとか選挙の制度について熟知しているとか、ある程度の経験や知識というのが必要ではないかと思っておったのですが、このUNTACへの参加については特にそういうものは必要ないということになるのでしょうか。もしそうだとすれば、募集のすそ野は非常に幅広いというふうに思うわけでありますけれども、その点について念のため伺います。
○貞岡説明員 選挙の経験につきましては、国連からの要求には必ずしも入っておりません。我々としましては選挙の経験があった方が望ましいので、事前の研修におきまして自治省の方にお願いをしまして、選挙の管理についての講習等を十分に実施しました。
○山口(那)委員 そういうことであれば、この要員の確保ということはそれほど困難な問題ではないのではないかと思いますけれども、現地の仕事における安全確保の問題については十分な配慮を払っていただきたいと思いますし、先日私が外務委員会で質問した際にも、十分な現地の情報を与えた上での参加の意思の確認というのを確実に行っていただきたい、こう要望もいたしましたので、再度またお願いをいたしておきます。 さてそこで、日本のこの協力隊員の安全確保の問題でありますが、さまざまなレベルがありますので、まず部隊として参加をしている施設大隊ですね。この施設大隊は、伝えられるところではトティエという採石地の前線を引き払ったとか、タケオのメインの基地の周辺の鉄条網を厚くしたとかあるいは土のうを積み上げたとか、いろいろな対策が講じられているやに報道されておりますけれども、活動全般がさまざまな地域に及ぶことを考慮した上で、きめ細かな安全対策というものが必要だろうと思います。この点、防衛庁としてどのような対策を講じられているか、まずお伺いしたいと思います。
○畠山政府委員 御指摘のとおり、従来から防衛庁といたしましても安全対策を非常に重要と考えておりまして、関連情報の収集に努めるということは当然のことでございます。具体的に、夜間の外出禁止、外出時あるいは業務実施時におきます単独行動の禁止、それから一台の車両での運行を極力避けること、あるいは車両移動時におきます国連旗の掲揚といったことの指示を徹底してまいったところでありますが、さらに最近のような情勢を踏まえまして、タケオの基地内におきまして、今お話にもございましたように、基地用地におきまして、雨季対策ということを兼ねた形でごうを掘るという整備を行っております。それからまた、土のう積みを行ってこれに備えるというようなことも行っております。そのほか運用の問題といたしまして、これは大隊長の判断に係るわけでございますけれども、行動時におきまして必要に応じて武器あるいはヘルメット、防弾チョッキ等の携行等を行わせるというようなことを指示したところでございます。 なお、お話にございましたトティエ山の引き揚げということでございますけれども、これの直接的なきっかけは五月から雨季を迎えるということで、ここのところが十分に活用できないということ、それから今事業の中心が南部の方になった、あるいは土砂というよりもこれからアスファルト舗装の面が重要になってきているというようなことから、前々からここをどうしようかと検討していたわけで、その答えとしてタケオの方に引き揚げるという形をとったわけでございます。これは同時にまた、お話にもございましたように、ある意味で孤立、二十一名という形で少人数であそこにいた者に対する、結果として安全措置にも役に立つのではないかというふうに思っておるところであります。
○山口(那)委員 この施設大隊の作業地というのは何カ所かに分散して比較的少人数でやらざるを得ない、こういう場面もあろうかと思うのですね。最近UNTACの車両が強奪される、こういうことも起きております。そこで、この小規模に分散された作業地における安全確保ということも大切だと思うのですが、それは単に自衛隊の施設大隊、部隊だけの問題ではなくて、その装備も必要最小限に限られておりますので、例えばUNTACの平和維持部隊、他国の参加部隊との共同ということも必要になるのではないかと思うのです。その辺はUNTAC内部の問題かもしれませんけれども、そういう連動した安全対策はどうなっておりますでしょうか。
○貞岡説明員 最近のカンボジア情勢を反映しまして、UNTAC内部において、軍事部門の内部及び軍事部門とその他の部門との間で一層の安全対策について現在検討中でございますが、私どもが現在まで承知しております範囲内では、そういうPKFといいますか、平和維持軍との連携というものも検討策の中に入っていると承知しております。
○山口(那)委員 そのほかの協力隊員は停戦監視員あるいは文民警察員、そして選挙監視員となるわけですが、これらの人たちは単独または数名のごく少人数で行動するところから、これらの人た ちの安全対策はまた部隊とは違った周到な策が必要だろうと思うのですね。これらに対する個別の安全対策はどう行われているか、これについて伺います。
○貞岡説明員 御説明申し上げます。 停戦監視要員、文民警察要員というのは、先生御指摘のとおり少人数でかつ非武装でカンボジア全土に配置されております。したがいまして、我々もこれら要員の安全性について最大限の関心を持って万全の措置を期することとしております。 具体的な措置としましては、まずUNTACがとる措置がございます。現在実施されておりますのは、情勢の厳しい地域においては、外出の際にUNTACの歩兵部隊が護衛する、それから夜間におきましては最寄りの歩兵部隊の宿営地に宿泊する、そういうふうな措置が現在実施されていると承知しております。 それから、我が国政府としてとり得る安全措置でございますが、まず現地に支援チームを設置しまして、それを通じましてカンボジアでの情報収集を鋭意行っております。それから、情勢の厳しい地域に配置されております文民警察要員に対しましては、インマルサットを配置しまして、直接プノンペンの支援チームないしは東京の本部事務局と連絡がとれるような体制にしております。それからさらに装備品等につきましては、文民警察要員には防弾チョッキ、それからあと無線機、それからラジオ等を配備しております。それから事前の、派遣前の研修におきましては、安全上注意すべき点について十分なる講義を実施しております。
○山口(那)委員 実際の選挙に向けていろいろな妨害活動が起こってきますと、従来予定していた地域でまんべんなく選挙を実施することはなかなか困難な場合も生じてくるかと思うのですね。部分的な停戦違反とか和平協定違反というものは出てきているわけでありますから、臨機応変に、しかもこの全体の枠組みは推進していかなければならない、こういうことになるだろうと思いますが、実際に安全配慮のためにその選挙の地域を縮小するとか、あるいは実際の投票所を危険な場所を避けて、例えば五個配置するところを一カ所にまとめるとか、そういうきめ細かな策というものも検討されているのでしょうか。
○貞岡説明員 我々が現在収集しております情報では、UNTAC内部において投票所数の削減という課題も検討に上っていると承知しております。
○山口(那)委員 そうしますと、UNTACとしてはこの安全対策には万全を期しながら、そしてさまざまな妨害活動を最小限に食いとめながらこの和平の枠組みを推進していく、こういう意思は変わらないと思います。 そこで、この和平協定の枠組み、これは現在維持されていると私も認識しております。一部の不履行、違反等はあるものの、難民の帰還は実現をいたしましたし選挙の登録もほぼ目標達成をいたしました。そしてまた、選挙活動は既に始まっているわけであります。そうした意味で、全体としての枠組みは当事者も守るという意思表示をしているところから見ても維持されている、こう認識をするわけであります。それから、我が国のPKO参加のいわゆる五原則と言われるものも、部分的な停戦違反はあるものの、この停戦合意が全くなくなる、不存在になって中断、撤収、終了すべきである、こういう評価もこれはすることはできないと思います。 そうした意味で、これら和平協定の枠組み、五原則が維持されたまま今後総選挙が実施されていく、こういう見通しを持っておられるのかどうか。これは外務省、いかがでしょうか。
○池田政府委員 私ども現在のところは、カンボジアは全体的に不安定な要因は強まりつつありますけれども、同時にUNTACが主導権をとりまして、ただいま先生が御指摘になられましたような有権者登録であるとか、あるいは難民の帰還であるとか、そういうものを終えまして選挙のための準備をやっております。そうして、国際的な支援もここにあると思いますので、予定どおり五月二十三日から選挙は行われるものと確信しております。
○山口(那)委員 しかしながら、既にポル・ポト派は総選挙に参加しないという確定的な意思表示をしておると思いますし、あからさまな選挙妨害という事実も重なっているわけであります。そうした意味で、ポル・ポト派、つまり和平協定の当事者の一つであるこのポル・ポト派が参加をしない総選挙はやはり問題がないわけではない。したがいまして、その総選挙が実施された後の事態ということも十分考慮に入れておかなければならないと思うわけであります。 その一つの解決策といいますか、一つの考え方というのにいわゆるシアヌーク構想と呼ばれるものがあるやに聞いております。これは、シアヌークさんが中心に座って、そして四派の連立政権をつくっていこう、こういう構想であるというふうに伺っております。こういう構想の現実性は必ずしも高くないだろうとは私は思っておるのですが、その内容及び評価をどう考えていらっしゃるか伺いたいと思います。
○池田政府委員 いわゆるシアヌーク殿下の救国構想というものは、シアヌーク殿下が発表をいたしました後数日後に撤回されておりますので、現在の状況でどういう形になっておるのか、そこのところは不明確でございます。しかしながら、シアヌーク殿下が従来考えていたというラインでもございますので、この構想が将来どういうような形で生きていくのか、あるいは受け入れられるのか、これは選挙を行いまして、その結果成立します制憲議会の中で十分に議論される話ではないかといういうように思っております。
○山口(那)委員 シアヌークさんという方は非常に柔軟で、かつ機敏な方であるというふうに思っておりますから、撤回されたという意思も確定的な意思ではないかもしれません。それに対して、ポル・ポト派もこの構想を評価するような発言もあるようでありますので、選択肢の一つとして考慮しておかなければいけないのかなと私は思っております。 さてそこで、選挙が終わって制憲議会ができて憲法ができる、その後新政府が樹立されると思うのですが、そうしますと、UNTACの任務がことしの九月ごろ終了するという予定になっておるかと思います。しかし、UNTACが任務終了したからすぐカンボジアから引き揚げる、国連が手を引くということでは、新しい政府が安定的に離陸していくというのはまた難しい面もあろうかと思います。やはりポル・ポト派との関係がどう和解の方向で解決されていくか、あるいは共存という道もあるのかもしれませんが、何らかの形で解決の見通しが立っていくということでなければ心もとない、こういうふうに思うわけです。 先のことでありますし、選挙の結果が出てないわけでありますから今からこれを云々するのはなかなか難しい面もあろうかと思いますが、UNTACの任務終了後、日本は国連を通じて、または二国間の関係あるいは周辺諸国との関係においてカンボジアとのかかわりをどう持っていくおつもりか、その辺のお考えを伺いたいと思います。
○池田政府委員 先の見通しを述べますことは必ずしも易しいことではございませんが、新しい政権ができたということを仮定して考えますと、新しいカンボジア政権が国連からの協力をどういうふうに考えるかがまず一番重要だと思います。それから、関係主要国の対応ということもまた必要になってくると思います。そういうものを踏まえまして、全体の総意として国連からの協力を何らかの形で引き続き続けていくことがカンボジアの和平をさらに進めていくために必要であるということであれば、やはりその段階でいろいろ検討されることになるのではないかというように考えております。
○山口(那)委員 近い将来にこのカンボジア問題を話し合う国際会議、これは外務省もその必要性を認識して注目している、こういう報道もあったわけでありますけれども、先ほどおっしゃったフ ランスやインドネシア、関係国との協議を重ねた上で、我が国が以前東京会議を開いてきたように積極的なイニシアチブをとって、このカンボジア問題解決のための国際的枠組みをつくっていく、あるいは国際会議を提唱する、こういうお気持ちはおありでしょうか。
○池田政府委員 私ども、これまで続けてきております国際協調という姿勢、これを通じてカンボジア和平を進めていきたいという気持ちに変わりはございませんし、そのために努力していきたいと考えております。ただ、具体的な国際会議というものがどういう形でできるのかにつきましては、これは関係各派の立場とか思惑もいろいろ異なっておりますし、また関係主要国の立場も若干違いもございます。したがいまして、引き続きインドネシア、フランス等の議長国との接触を通じて日本として努力を続けていきたいというように考えております。
○山口(那)委員 大臣がお戻りになりましたので、非常に御多忙でお疲れのところ申しわけありませんが、これから幾つか伺ってまいりたいと思います。午前中の質疑と重なるところもあろうかと思いますが、お許しいただきたいと思います。 まず日米の首脳会談についてですが、今回の首脳会談においては経済の面が非常に強調されておりまして、安全保障の面についての突っ込んだ議論は日本側の思惑とは裏腹に余りなされなかったかのような印象があります。そこで、外務大臣からごらんになって、クリントン政権のアジア・太平洋地域に関する安全保障観というものが従来と何らかの変化があったのかどうか、この点をこの首脳会談を通してどう見ておられるか、この辺を伺いたいと思います。
○武藤国務大臣 結論からいって変わっていないというふうに判断をいたしております。クリントン大統領からもアジア・太平洋地域における米軍の存在、このプレゼンスは今後とも継続していくというお話がございましたし、宮澤総理からも日米安保体制を今後とも続けていくことが大切であるということも申し上げまして、確かに経済面が非常に両国ともに、両国だけでなく世界の経済が非常に大変な時代でございますから結果的にはどうしても経済にウエートが置かれたとは思いますけれども、政治面についても議論は十分なされ、そして合意に達しておるというふうに聞いております。
○山口(那)委員 西太平洋の諸国、これは日本周辺あるいは東南アジアあたりまでも含めての話でありますが、これらの国々の近年の経済発展は著しいものがあります。将来予測においても、例えば中国あたりはトータルとしては日本の経済力をいずれ追い越す可能性も指摘されておるわけであります。そうした経済発展に伴いまして軍備の増強も顕著に見られる傾向になっております。そしてまた不安定な要因は依然各地にございまして、これは楽観を許されない、こういうふうにも認識しておりますが、その西太平洋諸国の経済発展に伴う軍事力の増強と日米安保の役割、これを今後どういうふうに位置づけていくかということについての御認識を伺いたいと思います。
○佐藤(行)政府委員 御指摘のように、近年ASEANの国等を中心といたしまして兵器体系の近代化が見られることは事実でございます。また中国の軍事力の強化ということも、発言の上の問題もありますし実態の伴っている部分もあると思いますが、進んでいる点はあると思います。ただ、今のASEAN諸国の問題ということだろうと思いますが、基本的には自衛の範囲の中での兵器体系の近代化あるいは防衛協力の強化ということではないかと思っております。 他方、このアジアの国々、我が国も含めてでございますが、ASEANの国々も、アジア・太平洋地域におけるアメリカの存在ということが軍事的にもまた政治的にも安定要因であるという共通の認識を持っていると我々は受けとめております。そして、この地域におけるアメリカの存在を確保する上で日米安保体制が一つの大きな役割を果たしていることも事実だろうと思います。 そういう意味で、先ほどの大臣のお答えにもございましたけれども、今回アメリカとの間で、アメリカもアジア地域における米軍の存在を維持する、我々も安保体制のもとにおけるアメリカに対する協力を続けるということについて意見の一致を見たところでありまして、この点につきましては、ASEANの国々の自衛努力の問題とは一応別にして、今後とも安保体制にはそういう意義があるというふうに感じております。
○山口(那)委員 その場合、この西太平洋地域に軍事力の高度な蓄積といいますか大量の蓄積というのが徐々に進んでいくだろうという懸念を持っておるわけであります。日米安保体制というのは二国間の問題でありますが、アメリカは従来からアメリカを中心とする二国間関係で安保を処理してきたというふうに認識しております。いわゆる扇形の安全保障体制だろうと思うのです。 しかし、また一方で、地域安保ということも考えていかなければならないと思うわけであります。アジア地域においては安全保障の話し合いの枠組みがいまだに十分なものができていないというふうに思うわけですね。従来、外務省としては、このAPECという組織とASEANの拡大外相会議、この二つの枠組みを利用してこの安全保障の話し合いの場にしていこう、こういう構想があったと思うのです。ツー・トラックス・アプローチ、こういうふうに呼ばれておったかと思うのですが、先ごろ外務省の外郭機関の報告書によりますと、経済中心の地域の統合が積極的になされるべきである、必ずしもブロック経済化というマイナス面だけではない、こういう評価がありまして、APECの存在を非常に重視したこういう報告書があるやに聞いております。そうした意味で、このツー・トラックス・アプローチというものがもっと強化されていかなければならないだろうと私は思うわけでありますが、この基本的な方向は現在どう考えていらっしゃるでしょうか。
○佐藤(行)政府委員 ツー・トラック・アプローチという言葉は、昨年の七月に宮澤総理がワシントンで演説をされたときに出した言葉でございます。それで、その二つのトラックというのは、当時実はもう少し違う分け方を、今もしておりますが、一つは、今御指摘のようにASEAN拡大外相会議における対話、安心感を高めるための対話であり、そしてまたAPECにおける協力ということも入っております。ただ、御承知のようにAPECというのは本来経済の協力を中心とする集まりでございます。もちろん開発途上国の多いアジア・太平洋地域では、経済協力というものを進めていくことがそれまた地域の安定に役立つ、そういう意味で、広い意味での安全保障に役立つという意味があると思いますが、今のところツー・トラック・アプローチの対話というところで我々が重視しておりますのは、ASEAN拡大外相会議であります。 もう一つのトラックと申しますのは、実は、アジア・太平洋地域の朝鮮半島の問題であるとかカンボジアの問題であるとか、存在する地域紛争あるいは地域の不安定要因を一つ一つ片づけていくという幾つかの局地的な試みを一つのトラックととらえ、もう少し広い地域のASEAN拡大外相会議における対話とか間接的な意味でのAPECにおける協力というものをもう一つのトラックととらえてツー・トラック・アプローチと言っていたわけでございます。その前提にあるものが、二国間の安保体制とかそういうものがもう一つあるということでございます。 そこで、そのツー・トラック・アプローチを今後とも追求していくという方針には我々現在でも変わりはございません。 そして、先ほどのクリントン政権になっての西太平洋の安全保障政策という件でございますが、それとの絡みで申しますと、最近だんだんと政策の全貌が姿をあらわしつつあるわけであります。このASEAN拡大外相会議における安全保障対話を支持し拡大していこうという意味では、アメリカのクリントン政権も我々の考え方に近いものになってきた、そのような受けとめ方をいたして おります。
○山口(那)委員 アメリカも含めたアジアにおける広い話し合いの枠組みをぜひ構築していただきたい、このように思います。この点、外務大臣としてこの方針をどのように考えていらっしゃるでしょうか。
○武藤国務大臣 日本はやはり国連を中心とする外交ということでございますが、日米が外交の基軸でもございますし、また一方、やはりアジアにおける日本、アジアのことを一番考えていかなければならない立場にあるわけでございまして、西太平洋を含め太平洋地域全体、あるいはもっと言えばアジア・太平洋地域の全体の平和が確立されるように許される範囲の努力をしていかなければならない。どうしても平和憲法の制約がございますので、外交面でできる限りの協力をし、また経済面において、平和につながるのはやはり各国の経済が安定をしていくことでございますから、経済面についてもできる限りの協力をしていく、こういうことではなかろうかと思っております。
○山口(那)委員 そこで、今回の首脳会談の中でクリントン大統領は、日本の国連の常任理事国入り、これを公式に支持する、こういう表明がなされたようでありますが、従来、日本政府はこの常任理事国入りということを推進してきたというふうに私は認識いたしております。しかし、この常任理事国というのは政治的にも憲章の上でも非常に重い責任を負うわけでありまして、特に国連軍という一定の軍事力を持つ、あるいは最近、PKOにおいても武力を使わない伝統的なものだけではなくて、平和執行、平和強制をする、こういう範疇も現に出てきているわけですね。これは前回外務委員会でもちょっとお尋ねをしたわけでありますけれども、こういう平和執行部隊や国連軍に対する態度というものを我が国が明確にした上でなければ軽々にこの常任理事国入りを推進していくわけにはいかないと私は思うわけであります。現に常任理事国の中でも、この日本の常任理事国化については積極、消極、いろいろな考え方があるようであります。ですから、我が国の基本的な方向というものを、やはり国民の意見集約に向けて努力していかなければならないのではないかと私は思うわけです。その点、大きな方向づけとして外務大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○武藤国務大臣 国連常任理事国になるということは、今後の新しい世界の秩序づくりがやはり経済に相当ウエートを置いた形で、従来はどちらかというと軍事というか政治と申しますか、冷戦構造時代はそういう面での秩序づくりであったと思うのでございますけれども、冷戦構造が崩壊いたしました今日は、今後はできる限り平和な形での世界の秩序づくりとなりますと、どうしても軍事よりは経済面が中心となっていくんじゃないかと私は思っております。そういう面からも、日本が経済大国になりました今日、安全保障理事会の常任理事国になるということは適当な方向だと私は思っておるわけでございます。今たまたま国連軍のお話がございましたけれども、これは私の承知しておる限りでは、事務総長がそういうようなお話を提唱されたとは聞いておりますが、まだ具体化しているとは承知をいたしておりません。いずれにいたしましても、今政府部内でこの問題について検討を続けておるということでございます。
○山口(那)委員 今外務大臣は、平和執行部隊のことだろうと思うのですが、これは実現をしていない、こういうお話をされました。しかし、ソマリアで展開されているものは平和執行部隊の一つの形態である、一例である、こういうふうに国際社会では言われているのじゃありませんか。ですから、現に国連のイニシアチブによってこの平和執行部隊というのはもう実施されていると私は思っておったのですが、その点いかがでしょう。
○武藤国務大臣 私は国連軍とお聞きしたものでございますから、今の平和維持軍ではなく国連軍とお聞きしたのでそういう答弁をしたわけでございます。 細かい点について、国連局長から答弁させます。
○澁谷政府委員 確かに平和執行部隊につきましては、例の「平和への課題」でガリ事務総長が提案しました平和執行部隊によく似ております。しかし、細部につきましては本当に同一のものであるかどうかはさらに検討する必要があるかと思います。例えば憲章上の根拠につきましては、「平和への課題」におきましてガリ事務総長は四十条を根拠としておりますけれども、ソマリアにおける部隊に関する安保理決議においては、国連憲章七章のもとということで、具体的な条項を引いておりません。そういった違いがございますので、今後研究してまいりたいと思っております。
○山口(那)委員 私が今申し上げたのは、国連事務総長の提唱に係るものについての参加ということを大臣が言われたというふうに聞きましたので、それで平和執行部隊の参加がなというふうに思ったわけであります。それはそれとして、いずれにしても、武力を行使するタイプの国連の関与した活動については、やはり日本として国民のコンセンサスを得ていく、あるいは加盟国の理解を得ていく、こういうことを十分になしていかなければならないということを申し上げたいわけであります。 さて、時間も限りがありますので次に行きますが、ロシアの支援の問題であります。 最近、ロシアとして、国連憲章上の旧敵国条項を死文化することによって、この憲章改正という方法による旧敵国条項の削除という従来の我が国の主張とは違った形で日本に対するアプローチをしてきているように思うわけであります。しかし、この死文化提案というものがどのような意味を持つのか、私はちょっと懐疑的ではありますけれども、これを今どのように評価されておられるか、伺いたいと思います。
○澁谷政府委員 ソ連側の提案につきましては、一部報道はされておりますけれども我が方に対しては提案はされておりません。これが若干誤解があるのかと思います。 それから、旧敵国条項に関しましては既に死文化しているというぐあに考えております。したがって、仮に安保理の中において決議によってそれが確認されるということについては、それはもう既知化している問題を扱うことであるというぐあいに私どもは理解をしております。
○山口(那)委員 そうしますと、仮にロシアからそのような死文化提案があったとしても、我が国としてはこの旧敵国条項の削除を含めた憲章の改正を要求していく、こういう方針であるということでよろしいでしょうか。
○澁谷政府委員 そのとおりでございます。
○山口(那)委員 続いて、ロシア支援と政経不可分の関係というのが議論されてまいりまして、昨日、統一見解という形で政経不可分の延長としての拡大均衡という概念を整理されたというふうに伺っております。これはこれで従来の主張と一貫性を持たせるという意味があるのかなとは思いますが、私はこの言葉の定義の問題を聞きたいのではなくて、実質的な変化があるのかないのかということであります。 この北方領土返還交渉の問題を重視して、従来は経済援助については非常に消極的であったというふうに認識をしておったわけでありますが、今回のさまざまな動きを見ておりますと、この北方領土返還問題は、引き続き主張はしていくものの、その問題が解決しなければ一歩も動かない、経済支援をしないというかたくなな姿勢ではなくて、それはそれとして、そして経済支援は経済支援として、もっと国際社会の動きに対応しながら積極的な展開をしていこう、こう実質が変化をしたのではないかと私は思うわけですね。その点の御認識はいかがでしょうか。
○武藤国務大臣 これは、日本と旧ソ連時代と現在の日本とロシアとの関係におきまして、かつての旧ソ連時代、とりわけゴルバチョフ以前の状況、ブレジネフだとか、スターリンに始まっていわゆる冷戦の構造の非常に強かった時代は、領土問題などは全く存在しないという形で旧ソ連側が主張しておりましたので、そういうようなときには、 とてもこちらも経済の支援はできないよ、こういう形で来たということでございます。全く政経不可分という状況で来たわけでございます。 ところが、ゴルバチョフ時代になってまいりまして、いろいろと日本とソ連との間で領土問題が存在するということを旧ソ連側も認める方向に参りました。向こうがそういう非常に弾力的な態度に出てまいりました以上、こちらもいつまでもかたくなな姿勢であってはいけないのじゃないだろうか。やはりそこは、あくまで分離はさせないけれども、経済支援と領土問題は車の両輪といいますか、絡み合わせながら両国が関係を深めていき、要は経済も支援しながら領土問題についても解決するという要望をし、そして領土問題を解決し平和条約を結んでいく、こういう形がいいのではないか、これをきのう私から、拡大均衡というのはそういうものでございますという統一見解を出したわけでございまして、今後はその方向で努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
○山口(那)委員 ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄の問題について伺います。 この点については、私自身が平成二年六月十一日安全保障特別委員会で当時の中山外務大臣に質問したことがございます。それは、沿海州のソビエツカヤガバニという軍港がございますが、その沖合で原潜が沈められた、捨てられた、当時はソ連でありましたけれども、こういう国内報道があったわけです。それについて外務大臣は、外交ルートを通じてきちんと調査をさせますとその場でお約束されました。この点について、調査をしてこうだったという結果は私は伺ってないわけでありますけれども、実際にどうなったでしょうか。
○津守政府委員 御指摘のとおり、平成二年六月に我が国の新聞で、間宮海峡にありますソビエツカヤガバニにソ連海軍がいわゆる原潜の墓場をつくっているという報道がなされまして、先生から御質問があったわけでございます。私どもとしましては、この件を重視いたしまして、直ちにモスクワの大使館を通じてソ連側に対しまして照会いたしました。しかし回答はなかったわけであります。 その後も、現在に至るまでたびたび同様の報道がなされております。一番最近では、ことしの三月二十三日にも我が国の報道機関で同様の内容の報道がございました。私どもは、そういった報道がなされるたび、あるいはその他の機会を通じて、しばしばソ連側あるいはロシア側に対しまして事実関係の説明を求めてきたわけでございますが、どういう理由か全く回答がなかったわけでございます。 ただ、御案内のとおりことしに入りまして、いわゆる放射性廃棄物の海洋投棄につきまして、ロシア側が白書という形でこれを公表に踏み切りまして、こういった問題について公にするという姿勢を示しております。また先週コズイレフ外務大臣が来た際の武藤大臣との会談の際に、武藤大臣の方から海洋投棄についての合同作業部会の設置、それから共同での海洋調査を提案いたしましたところ、コズイレフ外務大臣からの前向きの返事があったわけでございまして、こういった合同作業部会等を通じて、必ずしも海洋投棄物そのものではございませんがよく似た問題でございますので、ロシア側に対しまして、こういった原潜の墓場を含めて事実関係の照会等強力に進めていきたいと考えております。
○山口(那)委員 時間もなくなりました。最後に大臣に伺います。 今の問題ですが、結局外交ルートを通じてもなかなか正確な回答が返ってこない。しかし、国際社会のさまざまな調査によって、日本近海に投棄がなされているという実態はどんどん明らかになっていく、こういうことで、やはり正確な情報収集という面で一つ問題があると思います。そしてまた、これの解決のために、従来放射性廃棄物の投棄については条約もあると聞いておりますが、しかしそれが機能していないということで、国際的な解決の枠組み、これは経済支援も含めてですが、つくっていく必要があると思うのです。 その点の御認識を伺いたいのと、もう一点、いろいろな形で日本の国際支援、経済的な面の支援が求められますが、しかしその財源をどこから日本が生み出していくかということはまた別個の大きな問題であろうと思います。やはり税金を使うわけですから、その使い道も考慮しなければいけないとともに、国民の皆さんに理解をいただく形で財源を求めなければいけない。その一つの選択肢として、日本の直間比率の見直しということも広い意味で検討されるべきであろうと思うわけでありますが、この点の大臣の直間比率の見直しについての、具体的には消費税の税率をアップするとか、こういう方向についての御認識、この二点をお伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 放射性廃棄物の海洋投棄につきましては、これはロンドン条約で禁止をしているわけでございますし、ロシアもそれに加入をいたしておるわけでございまして、そのような条約を無視して海洋投棄をするのはまことに許せないことでございますので、私の方から、これは厳重に即刻中止をするようにこの間もコズイレフ外務大臣に申し上げたわけでございます。 同時に、今答弁が審議官からありましたように、この問題だけではなく過去のいろいろなものもございますので、海洋調査を両国間でやろうじゃないかということで、そのような会合を持つことについて前向きの返事をいただきましたので、できれば今月中にでもそのような会議を開きましてやっていきたい。そうなれば、おのずから情報もそこでつかんでこれるのではないかというふうに私は承知をいたしております。 それから、全くあれとは別の、国際支援という面では関連がございますけれども、私は率直に言って、国際支援ももちろん必要な財源が要りますけれども、やはり日本のこれからの財源が一番要るのは高齢化社会を迎えて福祉関係、どのくらい要るのか全くわかりませんが、私は今以上に年金その他の財源が相当要るようになるのではないかなと思っているわけでございます。しかも一方は、高齢化社会を迎えるにもかかわらず労働人口は減っていくという現象にあるわけでございまして、働く人たちの勤労意欲をできるだけ阻害しないように税の面で考えていかなければならない。そうすると、所得税あたりは思い切って大幅な減税を将来はしなければいけないんじゃないだろうか。そうすると、それとの関連で間接税にウエートを置いた課税のあり方というのが望ましいのではないか。何も消費税を上げるということまで私は申し上げていないのでございますけれども、いわゆる何らかの形での間接税にウエートを置いた税制改正を将来においてはしなければいけないということを私は考えておるわけであります。
○山口(那)委員 時間が来ましたので、終わります。
○志賀委員長 古堅実吉君。
○古堅委員 私は、去る三月五日の予算分科会で、在日米軍基地が冷戦後の現在もアメリカの新世界戦略に基づいて再編強化されている、その問題をとらえて指摘をいたしました。この在日米軍が米軍の新世界戦略の立場からどう位置づけられているか、その問題についてきょうは伺いたいと思います。 米国防省は、昨年八月、第四回目の統合軍事力純評価報告書なるものを議会に提出しています。この米国防省報告書、それについて北米局長は御存じですか。
○佐藤(行)政府委員 承知しております。
○古堅委員 この国防省の報告書の中で、日米安保条約の根幹にかかわる記述がございます。 第九章は「危機対処」という項目になっておりますけれども、そこで「国家安全保障の第三の基盤は危機対処であり、これは米国の戦略の重要な要素である。」とした上で、朝鮮半島と南西アジアの二つのシナリオが描かれています。そこで、決戦戦力が南西アジアに展開されると仮定すれば、残余の前方展開部隊には、西太平洋における一個空母戦闘群、西太平洋における一個海兵機動 展開部隊の戦力が含まれることを明らかにしています。ここで言う西太平洋における一個空母戦闘群とは、横須賀を母港とする空母インディペンデンス戦闘群でありますし、西太平洋における一個海兵機動展開部隊とは、沖縄の第三海兵師団であろうというふうに思われますが、どうですか。
○佐藤(行)政府委員 この統合軍事評価の問題について議論される場合に、私は幾つかの点を指摘しておかなければならないと思っております。 一つは、まず何よりも先ほど委員もおっしゃられましたように、これは昨年前政権のもとで発表された問題であります。それからもう一つは、そこで今御指摘になられました章がございまして、評価が行われております。ただ、これも御承知のとおりだと思いますが、ここに書かれているシナリオと称するものは、危機対応のために計画されている戦力構成や能力を判定するための一つの方法として開発したものである、したがってこのシナリオというのは決して一つの事態を予測しているものでもなく、またそこに書かれている運用は具体的な戦略を示しているものでもないというわざわざ注が書いてあるわけでありまして、今いろいろ御指摘の点について言われましたけれども、今私が申し上げましたように、あくまでも能力評価のためのシナリオであって、具体的な予測でも戦略でもないということをまず御認識いただくことが大事ではないかと思います。
○古堅委員 あなたの解釈はそれなりにあなたの立場でいいですよ。今の質問に答えてください。
○佐藤(行)政府委員 今の御質問でございますが、今私が申し上げましたような事情で書いてあるものでございまして、先生がお読みになられた表現はございますが、それがそれ以上具体的に何であるかということまで書いてございません。コンピューターにかける、いわゆるアメリカが能力測定する一つのウォーゲームと称するものの要素として記述されておるものであると私思っておりますので、それが具体的に何であるか、先生の言われた推測を否定するだけの材料も私持っておりませんけれども、私の口からこれはそうでしょうと言うだけの材料もこの文書の中からは出てまいりません。
○古堅委員 さすがに否定はしてないんだが、私の質問にまともに答えるつもりもまたなさそうであります。 こういう問題が出てきた場合に、従来アメリカがその地域や部隊について呼んでいることに照らして、それがシナリオであったにしても言おうとしているものは何を指すのかということぐらいは日本政府の立場から当然理解があってしかるべき問題ですよ。逃げを打つような形では論議ができない。 この国防報告書の記述が意味するものは、これは私の立場から言いますよ。南西アジアで戦闘が開始されれば、日本を基地とする空母インディペンデンス戦闘群と沖縄の第三海兵師団を決戦戦力として抽出する、抽出した残余の部隊でも西太平洋で米国の影響力を維持できる、そういうことが書かれています。政府は、極東地域でもない南西アジア、すなわちペルシャ、その地域の戦闘に決戦戦力の構成部隊として在日米軍が展開できるというふうに考えるか、それとも日米安保条約の建前上そういうことはできないというふうに考えるか明確にしてください。
○佐藤(行)政府委員 最後の御質問にお答えする前に、しつこいようで恐縮でございますが大事な点ですので申し上げておきますが、先ほど先生がおっしゃられた一つのシナリオは、これをお読みになっての先生の解釈だろうと思います。と申しますのは、先ほど御指摘になったような艦名その他はこの文書には出てまいりません。私さっき申し上げましたように、あくまでコンピューターに入れるための、しかも能力評価の分析の一つの材料としての想定、仮定を置いた要素として書かれていることでございます。 そこで、そこを申し上げた上で今おっしゃられた話でありますが、在日米軍と言われましたけれども、米軍が日本の地域から移動してペルシャ湾地域で一つの任務に従事することは、そのこと自体が安保条約に反するものではないと思っております。
○古堅委員 日米安保条約は、決戦戦力を在日米軍基地から送ることができるような、そういう仕組みになっておるのですか。南西アジア、いわゆるペルシャ湾地域のことでしょう。
○佐藤(行)政府委員 もう御承知のことだと思いますが、もちろんアメリカはこの間の湾岸戦争のときにも、日本に家族を置いておりました米軍の艦船が何そうかは、移動した上でペルシャ湾で戦闘作戦行動に従事しているわけであります。ただし、その前に日本から出ていったという移動行動があるものでございまして、そのこと自体、当時湾岸戦争のときも国会で随分議論をされたと承知しておりますが、そのことは安保条約に反しているものではないと私は感じております。
○古堅委員 どういう意味で日米安保条約にも反しない、そんなことを言おうとするのですか。安保条約に基づくところの米軍基地の使用目的というのは限定されておるでしょう。世界じゅうどこにでもアメリカの直接の軍事行動ができるようになっておるのですか。
○佐藤(行)政府委員 この点は、実はもう長年にわたって国会で議論をされていることでございまして、安保条約の米軍の使用目的という見地であれば、我が国の安全であり極東の安全であるということは書かれておりますが、他方において、機動性を有する軍隊が移動してほかの任務に従事することまで安保条約が妨げているものではないというのが我々の解釈でございます。そういう意味で、先生が在日米軍と言われましたけれども、米軍が日本から移動してペルシャ湾地域に行く、そこで一つの別の任務に従事するというのも、そのこと自体は安保条約違反ではない、これは従来から政府がお答えしているところでございます。
○古堅委員 重ねて聞きますけれども、戦闘地域に直接在日米軍基地を使って米軍機や米軍隊などが出撃できるというふうなことを今おっしゃっておるのですか。
○佐藤(行)政府委員 私、声が小さかったかもしれませんが、移動した上でと申し上げました。従来から、日本にある施設、区域を戦闘作戦行動の基地として使用する場合には当然我が国との間で事前協議がある、事前協議の対象であるということは取り決められております。ただ、米軍が我が国から移動した上で、軍隊というのは本来機動性がございます。そこで、移動した上でほかの任務につくこと自体まで、そのことまで安保条約が否定しているものではないということを申し上げたわけであります。
○古堅委員 このシナリオには、南西アジア地域において危機状態が起こった場合に、決戦戦力として在日米軍をこのような形で派遣しますという趣旨のことを書いております。これも単なる移動だなどという形で許されるということですか。
○佐藤(行)政府委員 この文章にということで先生が言われますと、私は先ほど申し上げたことに戻らざるを得ないのでございますが、この文章にはそのようなことは書いてございません。アメリカがその一つの能力評価のためのシナリオとして、南西アジアの地域の一つの危機対応を行うときにこれこれの要素のものが要るということが書いてあるわけであります。
○古堅委員 いいかげんなことをおっしゃらないでください。その報告書は何も空想的な描写をしたなどとかいうふうなものではありません。こう書いてあります。 シナリオは部隊と計画の評価に役立つ道具だ、「シナリオはまた、現有の兵站補給組織、作戦地域までの距離、Dデー(戦闘開始日)に投入可能な部隊、および戦略輸送と継戦能力に関する、明確な基準を提供する。」というふうに明記してあります。実戦部隊配置のためのものじゃありませんか。そのためのシナリオを描いて、実際にそのような訓練をしたり、しかもそれがアメリカの議会に対する国防長官からの正式の文書なんです。何もそこで小説が書かれているんじゃないの です。
○佐藤(行)政府委員 私は、先生の申されたのが空想だと申し上げているわけでありませんで、具体的に先ほど指摘されたような艦船名とか在日米軍とかいう名前が挙がっている、そういう事実はないということを申し上げたわけであります。 それから、今先生文書の性格あるいはこのシナリオの性格について言われましたものですから、私の注目している部分は、ここに書いてあるところでございまして、そもそも先ほど申し上げましたように戦力構成と能力の妥当性を判定する方法として開発したもので、「この方法はシナリオに基づく分析を用いる。シナリオは予測的なものではなく、以下で述べる一連の米軍の運用も戦略ではない。シナリオは戦力及び計画の評価を助ける道具である。」そのように書いてあるわけであります。
○古堅委員 あなたは、在日米軍基地と私が表現したら、そういうことはどこにも書いてない、そういうことを言い返しておるのだが、それではもう一度聞くよ。「西太平洋における一個空母戦闘群」これは何を指すか。「西太平洋における一個海兵機動展開部隊」何を指すと思うのですか。在日米軍基地以外に考えられますか。
○佐藤(行)政府委員 細かい議論をして恐縮でございますが、先ほど私申し上げましたのは、在日米軍とかいう名前が挙がってないということを申し上げたわけで、他方で先生が言われたことを否定する材料もないと申し上げましたので、この文章に書いてないことは申し上げるわけにいきませんが、先生が推測されていることについて、そのことを私は否定をしたことはございません。
○古堅委員 あなたは、否定するものを持っていないというような形で間接的に認めているようであるけれども、またそうでもないような気がするので、念を押してお尋ねしますけれども、「西太平洋における一個空母戦闘群」「西太平洋における一個海兵機動展開部隊」というものに該当するものを、在日米軍以外に考えられる、思い当たるところがありますか。
○佐藤(行)政府委員 その点は先生の推測のとおりだろうと私は思います。 ただ、先ほどの御議論の展開はこのアメリカの報告書に基づいての議論でございまして、先生の議論には二つのポイントが含まれていたのだろうと思います。この報告書そのものの議論と、それから一般論としての、先生が言われた在日米軍がペルシャ湾に展開する問題、これは具体的な問題であります。私は、そこのところを区別して議論した方がよろしいと思いまして、文章についての御議論に関する限りはそういう在日米軍云々ということは書いてないということを申し上げただけであります。ただ、先生のおっしゃるとおり、ここに書いてあるような構成要素として何が今存在するか、それは私は先ほど申し上げましたように先生の推測を否定するものではございません。
○古堅委員 もう一度念を押してお尋ねしますよ。 南西アジア地域で危機状態が起きた、この決戦戦力として先ほど申し上げたような戦力部隊を投入するということが、在日米軍基地との関係において許されるか。単なる移動というふうな形でそういうことが許される、そんなでたらめなことをおっしゃらないで、きちんと言ってください。安保条約の根幹にかかわる、日本の米軍基地とのかかわりにおける我が国の将来にかかわる重大な問題なんだ。
○佐藤(行)政府委員 きちんとお答えはしているつもりでございますが、具体的に申し上げますと、我が国に駐留している米軍、これが移動をしてほかの地域における別の任務に従事することまで安保条約違反ではない。ただ、我が国の施設、区域を直接の戦闘作戦行動の基地として使用する場合には当然事前協議の対象になる、そういうことを申し上げたわけであります。
○古堅委員 大臣から直接御答弁願いたいと思います。 今論議しているものは、アメリカの軍関係の最高の責任ある人たちがいろいろと協議してつくられた文書を、国防長官の名において議会に報告された正式の文書です。だれかがいいかげんな小説を書いて発行しているなどというものとは意味が違います。ですから、単なる空想とかなんとかというふうなものでもございません。 このように在日米軍基地を想定して、中東、南西アジア地域における危機が生じた場合に、そこの海兵部隊といえば沖縄におけるところの部隊を直接指しておるのでしょう。艦隊のことであれば横須賀のインディペンデンスを初めとするものですよ。それがその中東、南西アジア地域に送られるということを議会に対する国防長官からの正式の文書として平気で出されるなどということがなぜ許されるか。これは湾岸戦争のときに事実上そういうことがなされたということが既成事実として、アメリカとしてはもう既にそういうことが許される、日本もそれを了解しているということを前提にして、平気でそういう公式の文書が議会にも提出されるということになっておるんじゃありませんか。そんなことが許されていいかという問題なんですよ。 日米安保条約、我々は日米安保条約を容認する立場じゃないんだけれども、容認している政府の立場からさえも、安保条約に基づくところの基地の使用の問題については、直接戦場等にかかわって、戦闘行為のための展開部隊として在日米軍基地がストレートに結びつけられるなどということは許してはならぬ。安保条約上そういうことはできないんだよということで直ちに否定せぬといかぬじゃないですか、大臣。
○佐藤(行)政府委員 大臣のお答えをいただく前に、事実関係で一つ先生の御質問に意見を申し上げさせていただきたいと思うのです。 と申しますのは、これは先ほど私申し上げましたように、あくまで米軍の戦力の構成と能力を評価するためのアメリカ部内の一種のシナリオとしてできた文書についての報告でございます。アメリカが自分の軍の戦力構成やその能力を常にいろいろな角度から評価をしていくことは当然だろうと思います。この報告書の中に書いてありますように、このシナリオというのはその能力評価の手段として開発されたものでございましで、その点だけは改めて指摘させておいていただきたいと思います。
○武藤国務大臣 私は北米局長の答弁が間違っていないと判断いたしております。
○古堅委員 時間が参りましたので、この論議はまた後日続けさせていただきます。今の御答弁は断じて容認することはできません。
○志賀委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後二時十七分散会