文教委員会 第1号
- 発言数
- 241 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1992/12/07
会議録
○委員長(松浦功君) ただいまから文教委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、井上裕君及び世耕政隆君が委員を辞任され、その補欠として狩野安君及び藤江弘一君が選任されました。 —————————————
○委員長(松浦功君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に筑波大学教授・著作権審議会委員齊藤博君、社団法人日本レコード協会会長乙骨剛君の二名の方を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(松浦功君) 次に、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鳩山文部大臣。
○国務大臣(鳩山邦夫君) このたび政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。現行著作権法では、私的に使用する目的で行われる録音または録画は無償で自由に行い得ることとされております。 しかし、近年における録音・録画機器の目覚ましい開発、普及に伴って、録音や録画が家庭内において容易に、かつ頻繁に行われるようになり、大量の録音物や録画物が作成されております。さらに、デジタル機器の開発によって高品質の録音・録画が可能となり、著作権者等の経済的利益に大きな影響を及ぼすことが心配されるに至りました。 このような状況は立法当時想定していなかったものでありますが、対応措置を講ずることが国際的な潮流であり、権利者の保護のための早急な措置が必要となったところでございます。 次に本法律案の内容について申し上げます。 第一は、私的使用を目的とし、政令で定めるデジタル方式の特定機器及び特定記録媒体を用いて行われる録音または録画に関して、著作権者、実演家及びレコード製作者に補償金を受ける権利を創設することであります。 この補償金を受ける権利は、録音または録画に関しそれぞれ文化庁長官が指定する権利者の団体を通じて行使することとするとともに、その場合に、指定管理団体が請求する補償金の額については文化庁長官の認可に係らしめることとしております。 第二は、権利保護の実効性及び利用者の支払いの便宜にかんがみ、特定機器または特定記録媒体の購入者は、指定管理団体から請求があったときは、購入に当たり一括の補償金を支払わなければならないこととするとともに、特定機器または特定記録媒体の製造業者または輸入業者は補償金の請求及び受領に関し協力しなければならないこととすることであります。 なお、購入時に補償金を支払った者で、購入した特定機器または特定記録媒体を私的使用の目的に使用しない者は、指定管理団体に対し、その事実を証明して補償金の返還を請求することができることとしております。 第三は、指定管理団体は、補償金の二割以内で政令で定める割合に相当する額を、著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業のために用いなければならないこととすることであります。 最後に、施行期日等についてであります。 この法律は、指定管理団体等に関する規定については公布の日から施行し、この制度の準備を進めることといたしますが、具体の権利行使に関する規定は、国民への周知期間や準備の状況を考慮して、公布の日から六月以内で政令で定める日から施行することとしております。 以上がこの法律案を提案いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(松浦功君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより参考人から意見を聴取いたします。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 皆様には、御多忙中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 当委員会では、著作権法の一部を改正する法律案の審査を進めているところでございますが、本日は、本案に対し皆様から忌憚のない御意見を聴取し、本日の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 つきましては、議事の進め方でございますが、まず齊藤参考人、乙骨参考人の順にお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えをいただく方法で進めてまいりたいと存じます。 それでは、まず齊藤参考人よりお願い申し上げます。齊藤参考人。
○参考人(齊藤博君) ただいま御紹介をいただきました齊藤でございます。御丁重なごあいさつ、ありがとうございます。 平素より我が国著作権法制につき心を砕いていらっしゃいます先生方の前でこのようにお話しできますことは、まことに光栄でございます。 本日は、私的録音・録画問題につきまして私見を申し上げたいと存じます。 三つの点をお話しいたします。第一点は、複製技術の活用と著作者等の保護、第二点といたしまして、国際的な動向、そして第三点といたしまして、我が国の対応でございます。 まず、第一点の複製技術の活用と著作者等の保護でございます。 今世紀の後半に至りまして、著作物や実演、レコードを複製する技術は目覚ましい勢いで開発され、普及しつつございます。その勢いは今なお弱まる気配がございません。しかも、そのような技術が専門家の間のみではなく、一般の者が家庭などにおきましても容易に手にすることができるようになったのでございます。テープレコーダーやビデオレコーダーなどの複製機器にしましても、テープなどの機材といいましょうか記録媒体にいたしましても、小型化、低廉化がなされつつあるからでございます。 今や音声にしましても映像にしましても、家庭などにおきまして質のよい複製物、市販のソフトに匹敵する良質の複製物をつくる時代に入ったのでございます。これまでのいわゆる玄人と素人の間の役割分担といいましょうか、レコードなどのソフトは玄人が提供し素人はそれを購入し鑑賞するという区分があいまいになってきたのでございます。複製技術が家庭等に広まることによりまして、個人の文化生活も大いに豊かになってきたことは確かでございます。 ところが、市販のソフトを購入せずにコピーで間に合わせることになりますと、著作者や実演家は著作物等の利用の対価を得る機会を失うことになります。市販のソフトの原価には著作物や実演を利用した対価が含まれているからでございます。コピーで間に合わせるというのでございますから、ソフトの売れ行きにも影響が出まして、やがてはソフトの製作者もその事業から撤収せざるを得ないことになります。その結果、著作者、それに実演家もみずからの成果を世に出す主要なチャネルの一つを失うことになります。 このようなあたりへの配慮といいましょうか著作者等への思いやりを欠いたままでございますと、短期的には確かに個人の文化生活が豊かになりましても、長い間にはその国の文化は枯渇していくように思われます。今の時代に求められていますことは、複製技術がすぐれたものであればあるほど、それをせつな的に用いるのではなくしてバランスを保って用いる方法を探し出すことでございます。 そこで、先進諸国を中心に、すぐれた複製技術の活用を抑制することなく、あわせて著作者等の利益の保護にも思いをいたす制度が模索されることになるのでございます。 第二点といたしまして、国際的な動向をお話し申し上げます。 そのうち、諸外国の例からお話し申し上げます。 複製技術のバランスのとれた活用に最も早く注目いたしましたのはドイツでございます。既に一九六五年法におきまして、著作者等が録音または録画機器の製造者なり輸入者に対しまして報酬を請求できる制度を導入しているのでございます。その後、やや間を置きまして、一九八〇年代に入りますと、ヨーロッパの諸国を中心に次々とこの種の制度が導入されております。 まずオーストリーが、複製機器ではございませんで、録音または録画用テープにつきまして報酬請求の制度を設けております。さらに、ハンガリー、アイスランド、フィンランド、ポルトガ ル、フランス、スペイン、オランダというヨーロッパの諸国のほかに、コンゴ、オーストラリアも制度の導入を果たしております。九〇年代に入りましてもその勢いは衰えませんで、ブルガリア、チェコスロバキア、イタリア、デンマーク、ベルギーと続きまして、アメリカも過日、導入を決定いたしております。今や諸国が複製技術のバランスのとれた活用を求めて大きく動き始めていると申すことができるのでございます。 次に、ベルヌ条約につきまして触れさせていただきます。 一世紀余りにわたりまして国際著作権界を支えてきましたベルヌ条約には、この私的録音・録画問題につきまして直接の規定は設けられておりませんが、同条約第九条第二項は、複製権を国内法によって制限することは認めますものの、同時に著作物の通常の利用を妨げず、著作者の正当な利益を不当に害しないことをも求めているのでございます。すぐれた複製技術が家庭等に普及するようになりますと、条約の面からも複製技術のバランスのとれた活用、ユーザーと権利者の間の利益調整が必要となるように思われます。 もう一つ、ジュネーブにございますWIPO(世界知的所有権機関)の作成しましたモデル規定案につきまして言及させていただきます。この著作権法のモデル規定案におきましても、私的使用のために録音物なり視聴覚著作物、オーディオヒジュアルワークスと呼んでおりますが、この視聴覚著作物を複製することは自由としながらも、同時に相当なる報酬の支払いが求められております。 第三点としまして、我が国の対応でございます。 我が国は、この私的録音・録画問題につきまして既に長い年月にわたり検討してまいりました。昭和五十二年十月、著作権審議会第五小委員会がこの問題の検討に着手しましてより、途中、著作権資料協会における検討を挟み、著作権審議会第十小委員会が結論を出しましたのが平成三年十一月、同審議会の総会がこれを承認しましたのがその翌月でございます。我が国は、既に十数年の長きにわたりましてこの問題の検討を重ねてきたのでございます。その間、御委員会からも数次にわたり、制度的対応の検討を進めるよう附帯決議をいただいてきたところでございます。 この長い年月の間にはデジタル複製の技術も開発されました。コンピューター処理に合わせまして、今やさまざまな情報がデジタル化されつつございます。情報は一たびデジタル化されますと、その複製は極めて容易、迅速に行うことができるのでございます。巨大な量の情報でございましても、デジタル化されておりますと簡易な方法で極めて短い時間に複製することができます。複製物の質もオリジナルとの間に差異が認められないのみか、劣化しないというのでございます。そのような複製物からさらに第二の複製物を作成することもでき、その方の質も高く劣化もしないというのでございます。今や複製技術に関しまして、我が著作権法制は全く新しい局面を迎えようとしているのでございます。アナログ複製につきましてさえ、著作者等の保護に意をいたさなければなりませんときに、デジタル技術の普及をも目の前にしているのでございます。このすぐれた複製技術を活用しつつ、同時に著作者等の権利者の利益を不当に害することのないよう、一層の配慮をしなければならないところでございます。 ユーザーと権利者の間の利益をどのように調整するのか、その方法にはさまざまなものがございましょうが我が国も一つの解決案を見出し、このように法律案に接することができるに至ったのでございます。この法律案には、デジタル時代にふさわしいといいましょうかデジタル時代だからこそというのでございましょうか、国際的にも新しい規定が盛り込まれております。国際著作権界に誇ることができる考えも盛り込まれております。 法律案第三十条第二項は、録音または録画を行う者、すなわちユーザーが補償金を支払わなければならない旨定めております。ユーザーが支払う旨の規定は、これまで諸国が書きたくても書けなかった規定でございます。果たしてユーザーが任意に支払うであろうか、法律が家庭に入るのはプライバシーの保護の点でいかがであろうか、こういう消極論に遭いまして、諸国は、複製機器なり記録媒体の製造者や輸入者が支払うという、いわゆる次善の策をとらざるを得なかったのでございます。 ところが、デジタル時代に入りますと状況は一変します。新たな技術的手段を用いることができるからでございます。例えば、複製機器に特定のカードを挿入しまして、これに複製しました個々の著作物や実演、レコードを読み取らせる方法をとることも技術的には可能になりましょう。もちろん、複製の記録をおさめたカードを回収しまして集計する機関には高度の守秘義務が求められましょうが、ユーザーによる録音なり録画の頻度を個々の著作物や実演、レコードごとに把握することができるのでございます。当面は、複製機器なり記録媒体の製造者や輸入者を介しまして補償金を包括的に受ける措置をとらざるを得ませんが、今回の第三十条第二項の規定案はデジタル時代を先取りしたものと評することができるように思います。 もう一つ、今回の法律案が外国の権利者をも我が国民と同様に扱おうと内国民待遇の考えを盛り込んでいますこと、この点も高く評価できるところでございます。 なお、今回の案は、デジタル方式による私的録音・録画につきましてユーザーと権利者の間の利益調整を金銭により行うものでございますが、これはデジタル複製を一世代に限るとする技術的制限を前提にしていると申すことができます。 最後に、今回我が国が新しい複製技術のバランスのとれた活用に一つの解決を示すことができますと、国際著作権界におきましても技術の面、文化の面両面におきまして先進国としての地位をますます高めることは確かでございます。 以上でございます。
○委員長(松浦功君) 齊藤参考人、ありがとうございました。 次に、乙骨参考人にお願い申し上げます。乙骨参考人。
○参考人(乙骨剛君) ただいま御紹介にあずかりました社団法人日本レコード協会の乙骨でございます。 委員の先生方には、常日ごろ私ども著作権者、著作隣接権者に対する権利保護につきまして格別の御理解、御尽力を賜りましてまことにありがとうございます。 また、本日は当委員会におきまして、私どもの念願でございます私的録音・録画問題についての著作権法の一部改正案の御審議をいただくに際しまして、ここに権利者の参考人として発言の機会を設けていただきましたことを深く感謝する次第でございます。 それでは、しばらくお時間をちょうだいいたしまして、以下、私的録音・録画問題のうち、特に録音問題につきまして三つの観点から述べさせていただきます。 その三つの観点とは、第一番目に、当問題のこれまでにたどってまいりました大まかな経緯、第二番目に、この問題を取り巻く周囲の状況とその対応、第三番目に、当改正案の主要点についての考え方、この三つでございます。 それでは第一番目の、この問題のこれまでにたどってまいりました経緯について大まかに御説明申し上げます。 この問題は、今から二十七年前、すなわち昭和四十年に当協会として、当時西ドイツにおいて既に実施されておりました報酬請求権制度と同様なものを日本にも導入していただきたい、こういう意見書をお出ししましたのがその発端でございます。 その後、昭和五十一年に至り、今度は私ども協会単独ではなく、同じ権利者団体でございます日本音楽著作権協会、日本芸能実演家団体協議会と 共同でホームテーピングの実態調査を行いまして、その結果に基づき報酬請求権制度導入の要望を文化庁に提出いたしました次第でございます。それからの間、文化庁の長年にわたる御尽力によりまして、また審議会の先生方の御尽力によりまして、昨年著作権審議会のこの問題に対する報告書ができ上がりました。 以降、この報告書に基づきまして、本年初頭より権利者、メーカー、消費者、学識者の各代表によります私的録音・録画問題協議会におきましてその具体化へ向けての協議を続けて合意を得た結果、本法案の提出の運びとなったわけでございます。 以上がこれまでの経緯でございますが、私自身この長い道のりの一部に携わりました者としまして、この法案が広く多くの関係者の御意見を反映したものであり、またすべての皆様が、ともかく法案を成立させ制度を発足させることが後に御説明申し上げます私どもを取り巻く状況を解決するのに必須であるとの共通認識に立っていたことを強く申し上げたいと存じます。 それでは第二番目に、この問題を取り巻く周囲の状況とその対応について意見を述べさせていただきます。この問題につきましては三つの点を申し上げたいと存じます。 第一は、録音・録画機器、機材の技術的進歩の問題でございます。 すなわち、その進歩のスピードは近年特に急速でございます。特に、従来のレコード、カセットテープをベースにいたしましたアナログ技術に比べまして、最近主流になっておりますコンパクトディスク、さらには最近の新製品でございますミニディスク、デジタルコンパクトカセット等のベースになっておりますデジタル技術は、メーカーで製造したものと同等の性能を有するものを家庭内で手軽につくれるということを可能にいたしました。私ども権利者にとって重大な問題になっております。制度導入を必須とする一つの理由がここにございます。 第二の点は、一つの不幸な例を申し上げたいと思います。 従来からオーディオ、ビデオ業界は、ハード、ソフトは車の両輪であり、相互の協調が業界発展のかぎと言われてまいりました。しかし、今回御審議願う報酬請求権制度が確立されない中で発表されましたデジタルオーディオテープレコーダーという製品の場合、ハードは発売されましたが、レコード各社がそのソフトの発売に踏み切れなかったために、一般家庭用として普及するには至りませんでした。今回のお話し合いの中でも制度導入が必須なのだという認識が強かったのもこのような過去の不幸な体験があったからでございます。 最後に、三つ目に申し上げたいのは海外との関係でございます。 今や日本がオーディオ機器において世界第一の地位を占めていることは先生方御承知のとおりでございますが、オーディオソフトにつきましても米国に次いで世界第二位の地位を占めております。また、将来に向けての発展のポテンシャリティーからいってもこの地位は維持され続けると思います。したがって、そのような我が国における制度は世界から注目されるでございましょう。私どもも審議の過程におきまして、アナログ時代に制度が確立されたヨーロッパの国々の例、また日本とほとんど同時進行しております米国の状況等、内容的に世界的ハーモナイゼーションを考慮しつつ、また一方において日本の独自性、先進性の面も勘案し討議をいたしたつもりでございます。 次に、当法案の主要点についての考え方を述べさせていただきたいと思います。 一番目に、当制度を適用する製品の範囲についてでございます。 製品の適用範囲につきましては、デジタル方式による録音・録画機器、機材を対象とすることで関係者合意いたしました。もちろん私ども権利者は、当初アナログ、デジタルを問わずすべてのものを対象とする制度導入を希望いたしておりましたわけですが、導入に当たりまして国民の理解等も考え、デジタル方式に限定いたしました。一方、国際的に見た場合、デジタル方式に限定した部分がありますが、録音のみならず録画も対象にした点、また機材のみならず機器もその対象とした点、遜色ないものと考えております。 二番目に、報酬額についてでございます。 この問題は一つの大きな問題でありましたが、関係者間で次のような合意を得ております。 すなわち、機器について初年度、次年度が蔵出し価格の一%、三年目が二%、また機材につきましては初年度、次年度が蔵出し価格の一%、三年目が三%という料率であります。段階的な年度設定をいたしましたのも機器について上限一千円の歯どめを設定いたしましたのも一般消費者のよりよき理解を得やすいこと、また新製品の立ち上げをより容易にすること、さらには前述の制度導入の必要性の認識が以上のような合意に働いたと考えております。 三番目に、報酬の権利者間の配分と共通目的の支出について申し上げます。 制度が実施に移された暁に、窓口となります権利者団体につきましては単一団体をつくり、この団体がメーカーからの御協力によって支払われた補償金を著作者三六%、実演家三二%、レコード製作者三二%の割合でそれぞれの団体に配分することで関係者間で合意されております。それぞれの団体が受けました補償金は、さらに個々の著作者、実演家、レコード製作者に分配されます。 このような分配の仕組み、すなわち最終的に個々人に分配するという考え方は、報酬請求権が私権であるという面から当然でありますが、その理論を乗り越えて一部を権利者と社会を結ぶ共通目的に支出しようということも合意され、法案に盛り込まれております。その使用の範囲は今後広がりを見せることと存じますが、当面は著作権制度の思想普及を中心に支出していくことが適当であると考えております。 また、私的録音を行わない例外的な機器、機材の購入者に対しての補償金の返還につきましては、起こり得る種々の状況を十分調査検討し、返還に際しての明確な基準づくりを詰めていく所存でございます。 以上、るる申し上げましたが、今回文化庁でおまとめいただいた法案は、関係者一同の合意のもとに提案されたものである点、また実際の機器、機材の利用者である一般消費者の方、格別の御協力をいただいたメーカーの方々の御理解がなければ実現が難しかったと考えます。この点、本日御出席の先生方にもおわかりいただけたかと存じます。 本日は、御多忙な審議の日程の中をこの法案の審議に時間を割いていただきましたことに改めて感謝いたしますとともに、ぜひともこの法案成立のためにさらなる先生方の御理解、御尽力を賜りたく、切にお願い申し上げます。 以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(松浦功君) 己骨参考人ありがとうございました。 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。 これより質疑を行います。 なお、参考人の皆様に申し上げます。各委員の質疑時間が限られておりますので、恐れ入りますが、お答えはできるだけ簡潔にお願いを申し上げたいと存じます。 それでは、質疑のある方は順次御発言を願います。
○田沢智治君 齊藤参考人に三点お聞き申し上げます。 齊藤参考人は、著作権審議会委員として、また特に私的録音・録画問題を検討すべき第十小委員会の主査として長年にわたってこの問題に取り組まれて、本法律案の基礎となるべき報告書をまとめられたと伺っております。 そこで、審議の中で一番御苦労された点ほどの ようなものがあるのか、また本法律案に対してどのような感想をお持ちなのかお聞かせをいただきたいというのが第一点です。 第二点は、外国との比較でございますが、参考人も申されたように、ドイツではいち早く一九六五年から本制度が導入されておるし、またアメリカでも去る十月に法律が成立したばかりであると聞いております。私的録音・録画について税金という形で広く国民に負担を求めていく国もあると聞いております。これらの諸外国の制度と比較した場合、本制度の特徴はどういう点にあるのかお聞かせをいただきたいと思います。 第三に、著作権問題については文化が高度化すれば高度化するほど、あるいは時代の進展に伴い、まだいろいろな取り組むべき課題が多く出てくると思うのでございます。今後の日本社会を展望した中で、取り組むべき最大の課題がまだたくさん残っているんじゃないだろうかと思いますが、その点についてどうお考えになられているかお聞かせをいただきたい。 この三点について、まず齊藤参考人からお願い申し上げます。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 第一点の、苦労した点でございますが、これは十数年続いたことからもお察しいただけますように、かなり我が国固有の難しさもございました。 外国、特に西洋でございますと、権利を主張する側は、まずは裁判所をチャネルにしましてそこで争うということをし、それから行政なり立法の問題に持ち込まれるわけでございます。ところが、我が国はそういう手続でございませんで、かなりマイルドな方法で関係者がじっくり話し合うというところから出発いたしました。かなり東洋的といいましょうか農耕民族的な方法でございました。支払う側と受ける側両者が話し合うということでございますからなかなか時間がかかる、ここが非常に苦労した点でございます。 それから、第二点のタックスシステム、税システム等、諸外国にさまざまな方法があるが我が国の特徴はどうか、こういう御指摘でございます。 先ほどもちょっと触れましたように、まず特徴がございますのは、個々の私的録音・録画を行う者が補償金を支払うという規定をも設けたという点でございます。これが一点。 それから、ナショナルトリートメントといいましょうか内国民待遇、これは決して新しい権利ではなくして伝統的な複製権から派生する報酬請求権である、こういう考え方に立ちまして、やはりこれは条約上の義務として内国民待遇、外国の権利者も同じく扱おう、こういう非常に何ですか心の広い制度を設けている。国によりましてはそこまで考えていないところもございましょうけれども、我が国はそういう点では非常に国際的な感覚で処理しようとしているのではないかと思います。 それから第三点でございますが、確かに著作権法制を取り巻く諸状況というものは常に動いてございます。とりわけ複製技術、これは今回の問題に限りませずさまざまな形で出てまいります。とりわけデジタル技術が導入されますと、これはどうも著作物等の利用の範囲が拡散するといいましょうか、かなり広がってまいります。利用者が広がるということは権利の処理に時間がかかるわけでございます。そうしますと、権利の処理のために効率的な方法といたしまして、包括的な処理といいましょうか集中管理の方式がとられます。これはユーザーにとりましては極めて簡易な方法でございますが、個々の権利者にとりましては許諾権が実質的には制限されます。結果としては何らかの報酬を得るという、報酬請求権そのものではございませんけれども、許諾権をベースにして何らかの金銭を得るという、そういう形に著作権があるいは一部変容するのではないか、このように考えております。 以上でございます。
○田沢智治君 次に、乙骨参考人に二点聞かせてもらいたいと思います。 その一点は、本制度が導入された場合、CDの売り上げにどのような影響が出ると予想されるか。もう一点は、日本レコード協会において、本制度の導入を機会に日本における音楽文化に対してどのように貢献されていくお考えを持たれているか、この二点についてお伺いしたいと思います。
○参考人(乙骨剛君) この制度導入によりましてCDの売り上げにどういう変化があるかということでございますが、ともかく先ほど申し上げましたように、ソフトとハードは車の両輪ということでございますので、基本的な制度がこの法案によりまして確立され、これがさらにお互い相互の上に発展していくということであれば、必ずやその結果として非常に有効的な売り上げの増大に結びつくのであろう、こういうふうに思っております。 それから、先ほどの第二点でございますが、日本の音楽文化、これにつきましては、この制度と直接関係のある部分では先ほどの共通目的基金というものを設定いたしました。しかし、この基金につきましてはトータルの額というものもいろいろ当初は問題ありますので、ともかく小さく産んで大きく育てるということでステディーにその発展を図りたい、こういうふうに思っております。これも必ずや時間をかけていけば、先ほどの売り上げの増加とか業界の増加、そういうことと相まってこちらの方の力もついてくるのではないか、こういうふうに考えております。
○肥田美代子君 両先生、きょうは本当にありがとうございました。 私もこういう世界に関しましては素人なものですから、どじな質問があるかもしれませんけれども、その辺はお許しくださいませ。 齊藤さんは著作権審議会の委員でいらっしゃいますのですが、この審議会に私は若い人たちが入ってないのはいかがなものかというふうに感じるのでございますけれども、審議会の進行の中にいらっしゃってどういうふうにお感じになりましたでしょうか。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 確かに、御指摘のとおり、比較的御年配の方が多いかと存じます。著作物等の利用という視点を考えますと、かなりユーザーの中には若い人も多いわけでございます。やはりそういう意見が反映できる方法は、審議会に限りませず、何らかあった方がよろしいんではないかと思います。もちろん、世論調査等によりまして年齢層ごとに意識等を調査させていただいておりますけれども、やはり会議の場で発言できる機会、これが必要であろうと思います。 同時に、著作権等の分野におきまして、研究者も含めまして若手の研究者がさらにどんどん出てくることを期待しております。
○肥田美代子君 それでは次に、プレースシフティングとタイムシフティングという言葉がございますけれども、これをちょっとわかりやすく御説明いただけませんでしょうか。齊藤さんにお願いします。
○参考人(齊藤博君) シフティング、まあ場所をシフトしたり時間をシフトしたり。 場所の場合でございますと、例えばレコードを買いましたとき、それはやはり修学旅行に持っていくには不便があるというのでテープに置きかえる、こういうようなことでございましょう。こういうのはプレースシフティングというのでございましょうが、タイムの方でございますと、例えば昼間はどうもこのドラマが見たいんですけれども、見られないということでセットをしておきまして帰宅してから見る、こういう形で時間をずらす方法、こういう方法がやはり特にビデオにおきましてあり得るかと思います。
○肥田美代子君 それで、プレースシフティングとタイムシフティングとについては著作権者の権利を侵害するとは言えないんじゃないかなと思うんですけれども、そのあたりどうお考えでしょうか。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 今回のホームテーピングの問題は、全体として、建前としましては権利の侵害を扱うというよりも権利を制限し過ぎてしまった場合どうやって調整しようかということでございます。もちろん、権利の侵害という御認識もあり得るかと思いますが、ひとまずはマイルドな対応をいたしております。 今の権利の侵害を例えば権利者への影響の度合いという形に置きかえさせていただきますと、おっしゃいますとおり、今タイムシフティング等におきましては権利者に与える影響の度合いというのは比較的少ないんじゃないかと思います。今回の包括的な処理が第一段階に出ておりますが、これによりますとかなり画一的な処理でございます。複製によりましては比較的権利者に与える影響が少ない複製もあるし、与える影響が大きいものも含まれる、かなり包括的な処理をしているかと思います。 それからもう一つ、非常に原点に戻りますと、どういう目的でございましょうと複製行為をするということ自体をとらえる、こういういき方もございます。そうしますと、これは質的には二つの行為に変わりはないんではないか、こういう見方もあり得るかと思います。
○肥田美代子君 それで、私がこの法案で一番感じましたことは、音の保護はなされたんだけれども、映像についてはどうも手薄いんじゃないかという実感を持ちました。音の方はデジタルがもう市販されておりますからそれは問題ないんですが、映像の場合にはまだアナログの状態であると。そうしますと、デジタルに一般的に移行するまでに何年ぐらいかかるのか、その間の映像の方への権利の保障というのは随分おくれるんじゃないかというふうに心配しているんですが、その辺ちょっとお願いします。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 このたびデジタル方式に限るといたしましたこと、これは決して報酬請求権制度の本質といいましょうか、そこから必然的に出てくる結論ではございません。かなり現実的な処理をしているということではないかと思います。 そして、デジタルに限定いたしましても、御指摘のように、録画の場合でございますが、これはデジタルの動画といいましょうか、このメモリーがまだ市販されておりませんのでございますね。また、民生用のものがまだ開発されていないという現状がございます。まあ数年後とか、私はもっと早いと個人的には思っております。と申し上げますのは、マルチメディアソフトなどが大幅に出てまいりますものですから、これとの連動で動画のメモリーの開発は民生用にもかなり急ピッチで開発されるのではないかと思います。したがいまして、二年とか三年後にはかなりデジタル録画につきましても現実的な問題になるんではないかと思います。 しかし、いずれにしましても、二年にしましても三年にしましても、そこに空白ができます。現実、やはりアナログ、これは録音ももちろんでございますが、録画の場合も、当然アナログによってもやはり権利者等は影響を受けているわけでございますね。これは、私もこの点は否定できないところであろうかと思います。 これをどう解決するか。第十小委員会の段階におきましては、審議を進めていく過程でデジタル、アナログを区別せずに審議しておりましたので、著作物等を複製するということにつきましては変わりはないわけでございます。技術的な方法というのは変わりがないはずでございます。しかし、現実的な解決策といいましょうか、関係者等がまず合意してスタートできる。それは何かと申し上げますと、どうもデジタル方式である、こういうことで、まずはデジタルから発足する、こういうことになったのでございます。
○肥田美代子君 そうしたら、その審議会の中でデジタル、アナログ同時に今度補償していくという形でなくなったというのは、やはりさっきもおっしゃいましたけれども、中でいろんな御意見があった。しかし、主にどういうサイドからの御意見が今回強かったでしょうかこういう結論になるのに。もしお話しいただければありがたいなと思うんですけれども。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 十分なお答えができるかどうか存じませんが、審議会の段階におきましては、いずれにしましてもホームテーピング、技術水準は問わずに審議してきたところでございます。そうしまして、やはりアナログの方もあわせて考えるということになりますと、もう既にアナログ複製の技術がかなり普及してしまっているわけでございます。これにすぐこの種の制度を導入いたしますとかなり混乱が生ずるんではないか、これが一つ考えたところでございます。もちろんもっと早く手を打っておけばよかったわけでございますけれども、これはさまざまな事情がございましておくれてしまったわけでございます。この種の技術は一回普及してしまいますと、かなり後から制度を導入するというのは難しいような気がいたします。 そういたしますと、これから普及する技術、これにつきましてはとにかく早く手を打とう、こういうことになって、もちろんアナログ複製につきましてこれを導入することを放棄したわけでは全くないわけでございますが、アナログにつきまして同意を待っていますとデジタルにつきましても手おくれになる、こういうことでデジタルから発足する、こういうことではないかと思います。
○肥田美代子君 それじゃ、次に乙骨参考人にお伺いしたいと思います。 それで、レコード協会で権利者に分配される場合なんですけれども、どのような調査を行われるのか。また、現にもう調査をお始めになっているんでしたら、その方法についてちょっとお伺いしたいと思います。
○参考人(乙骨剛君) メーカーの御援助をいただきまして、報酬額の全体を三六・三二・三二ということで三つの団体にまず大きく区分けいたします。その中で三二%の部分を受けた後の私どもレコード協会としての配分は、これからその配分の基準は考えねばならないわけでございますが、従来貸しレコードの配分とかいろいろの基準がございますので、生産高の比率とかそういうことで各社に配分いたす予定でございます。
○肥田美代子君 じゃ、現在調査を行っていらっしゃる具体的なやり方というのがちょっとまだ私イメージできないんですけれども、少し素人にもわかるようにお話しくださいませんでしょうか。
○参考人(乙骨剛君) 分配につきましては先ほどちょっと触れさせていただきましたが、今までの例といたしまして、放送局が私どもの音楽をお使いになった場合、放送局から一括して入ってまいりました使用料というものは、先ほどちょっと申し上げましたが、生産実績で分けております。 それから、先ほどちょっと申し上げました貸しレコードの収入につきましては出荷実績、こういうもので各レコード会社に配分しておりますので、そのような過去のいろいろなケースの配分方法というものを参考にしながら決めていただきたい。ただ、この二つのどちらかか、これをつきまぜたようなものにするか、この辺はまだ最終的に決定はいたしておりません。
○肥田美代子君 その分配にこだわるんですけれども、分配されてどなたに最終的には行ったということについては、これは公表されるんですかされないんでしょうか。
○参考人(乙骨剛君) 外部に公表するということは現在考えておりません。 私どもレコード製作者の場合、個々の権利者と隣接権者というのはレコード会社そのものなので、ほかの団体に比べれば割と数が限られておりますので、今おっしゃられた個々人と著作権者の場合は個々人まで参るわけでございますが、レコード協会の場合は最終的な配分先がレコード会社になってしまいますので、この辺が私の説明ではちょっと御理解されがたい部分があったんではないかと思います。
○肥田美代子君 それで、十一月からCDに時限再販制度が導入されまして、発売二年後のCDが自由価格になるように伺っておりますけれども、これに対してどういう感想をお持ちになっていらっしゃるか、そして今後全面的に自由化するおつもりがあるかどうかについてお願いいたします。
○参考人(乙骨剛君) その時限再販につきましては公正取引委員会と私どもの間で議論を重ねました結果が、今先生がおっしゃられました発売後二年経過したものについてはお店が自由な価格で売れる、それまでは定価を守ろうじゃないかというのが今回の取り決めてございます。私どもの当初の希望はもちろん今までの再販制度、これを全面的に認めていただきたかったわけでございますが、これも御議論の過程でそういう結果になったわけでございます。 ただ、やはり我々のいつも主張しておりますのは、私どもの扱っております商品は文化的商品であるということと、それから今再販制度が適用されておりますのは「著作物」という範疇の中で規定されているわけでございます。その中には私どものレコード以外に、新聞、それから書籍、これが含まれておりますので、将来につきましてはわかりませんが、私どもは存続を希望いたしております。将来検討をするに際しましても「著作物」ということでお取り扱い願いたいというのが私どものあれでございます。 ですから、ただいま公正取引委員会で、もう今年は無理かと思いますが、この次には書籍を調査される、それかも新聞もその次には調査されるということを聞いておりますので、そういう大きな「著作物」という網の中でこの次の段階のものにつきましては私どものレコードも扱っていただきたい、こういうふうに考えております。
○肥田美代子君 それでは、ちょっと質問のトーンが変わるんですが、乙骨参考人にお伺いしたいと思います。 文化庁の月報といいますか、そこのインタビュー記事にお話ししていらっしゃったんですけれども、そこで日本人の時間の使い方についていろいろお話をされておりまして、私も全く同感だなと思って伺っておりましたんですが、中学、高校、大学生が学生を終わって就職しますと、今まですてきなライフサイクル、音楽に関するライフサイクルを持っておりましたのにそれがごろりと変わっちゃって、音楽よさようならということになると、そういうふうなお話であったように思うんですけれども、こういうライフスタイルが変わってしまうということに関して、もし行政が何かできるとすればどういうことなんでしょうか。もう、どうぞ御自由にお答えください。
○参考人(乙骨剛君) 文化庁のその印刷物の中で申し上げましたのは、今日本は豊かな時代を目指さなくてはいけないということを一方において言いながら、我々の豊かさというのは何なんだろうと。やっぱり生活が何か満たされないものがあるんではないか。その一つとしまして、日本人の時間の使い方というのが下手なんではないかと。 これは私の読んだ話でございますが、毎年誕生日が来るとどんな人でも一つ年をとる、これは水平的時間の経過というんだそうでございます。ただ、これは本当に我々サラリーマンですと、毎日会社が終わって、途中寄り道して一杯飲んで、それで帰ってテレビを見て寝る。働いている人も怠けている人も同じなんです。結局は、今我々が人生限られている中で一瞬一瞬の時間をより深く使う、その使い方が下手なんじゃないか。これをその先生は垂直的時間とおっしゃられていましたんですが、日本人はやはりこの辺が非常に下手なんではないかと、そういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。 これを行政、それから立法の先生方に何をお願いしたらよろしいのかということになりますと、私もちょっと戸惑うわけでございますけれども、例えば最近の例で言いますと労働時間の短縮ということを非常に叫ばれておりまして、労働組合なんかでも八時間ずつ時間短縮というようなことをよく言われておるのでございますが、これは私どもの会社でも八時間短縮というと一日に直すと何分になるんだろうと。十分だか十五分ぐらいだったと思いますが、こういう何かなし崩しの段階的な時間の短縮というので一日一時間やそこら時間を短縮しても本当に我々の生活のライフスタイルが変わるのかどうか。 こういうことなんで、本当に豊かさを求めるということであれば、その豊かさは何かということを考えて、やるときはなし崩してはなくて一気にやるとか、そういう行政も必要かと思いますし、小学校、中学校の初等の教育のころから、やっぱり働くことも大事なんだけれども、豊かな人生というのは何なんだろうということをもっともっと教える必要があるんじゃないか。もう四十、五十になった人はちょっと難しいんじゃないかなと、こういうふうに思っておりますのですが、お答えになりましたでしょうか。
○肥田美代子君 大変ありがとうございました。私も垂直的時間をもう少し大切にしなきゃいけないと反省いたしております。 それでは、最後に齊藤参考人にお伺いしたいんですが、今回ここまでやってこられるまでに十五年間かかったんですよね。それは、やっぱり私たち日本人のこういう著作権ということに関する認識がどこかで随分おくれている、そういうことが一つの理由であったように私は感じるんですけれども、例えば子供たちの教育の中でこれから著作権について何か、やはり今乙骨参考人がおっしゃいましたように、小さいときからこういうことは当然なんだよというような教え方をするとすればどういうふうな方法がありますでしょうか。その辺、もしお考えがありましたらお願いします。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 非常に重要な御指摘でございます。従来でございますと、有体物の方につきましてはかなり我が国も一般の意識が高いわけでございますが、無体物につきましては、大人も含めまして、まだまだその意識が低うございます。そして、今度ここら辺の教育は小学校あるいは中学、高校、このあたりでかなりきちっとしておく必要があろうかと思います。 一、二例を申し上げますと、例えば小学校の生徒の前で、まあこういうことはあり得ませんでしょうけれども、業者のテストを一部買いまして、そして教室の人数分コピーして配る、これを生徒の前で先生がやりました場合、やはりどういう教育になるのか。 あるいは、現在高等学校の理科の先生が悩んでいらっしゃいますのは、コンピューターソフトで十万とか二十万、さらに高いものもございますが、これは財政の問題もございましょう、コピーで済ますと。これがもう一瞬にコピーができてしまいます。先生自身は非常に間に挟まって困るわけでございますね。予算の面では手当てしてくれない、しかし、やはりその教材も必要である。そうすると、ついついコピーせざるを得ない。業者テストと違いまして何十万というものでございますね。これを生徒の前でもしコピーするとしますと、無体物の保護という教育の面からは大きなマイナスでございます。三十万円のソフトでございますと、目の前で一部コピーしますと単価が十五万円に落ちるわけです。生徒分を配るともっと安いものになる。こんなうまい話があるのかというように生徒の印象として持つわけでございます。先生は敏感にその辺は感じ取っていらっしゃいまして、何とかコピーをしたいんだけれどもどこか許諾を得る窓口はないだろうか、こういうことで、最近その種の団体ができまして仲立ちはしているようでございます。 もう一つは、高等学校の予算、これがやはりそういう面でかなり窮屈な思いを先生にさせるということもまた一つ問題なんではないかなと。これはちょっと出過ぎた発言でございますけれども、二つの例を申し上げた次第でございます。
○肥田美代子君 両先生、本当にありがとうございました。ぶしつけな質問に忌憚のない御意見をちょうだいいたしましたこと、感謝申し上げま す。 ありがとうございました。
○刈田貞子君 公明党の刈田貞子でございます。 私は当委員会でこの問題について質問させていただくのは初めてでございますが、当院におきまして音楽議連のメンバーといたしまして、こうした問題に大変関心を持っておりました。しかし、初歩的なことしかわかりませんので、伺わせていただきたいと思います。 まず、齊藤参考人にお伺いをしたいのでございますけれども、齊藤参考人はこの著作権法の平成三年度版の一部改正のときに、平成三年四月九日に当委員会にやはり参考人としてお出向きになられ、そして御意見を述べられております。 そのときに、実はやはり私的録音・録画の問題が質問に出ておりまして、それに対して大変いいお答えをされておりましたので、私はそれに赤線を引っ張ってきたわけでございますが、我が国におきましては、こうした問題についての対応が確かにおくれているというふうに思います。しかし、おくれた以上は、やはり世界に誇れるような日本の独特の方式、これが編み出せればよろしいんではないでしょうかというふうにお答えになっておられます。 これは大変大事な事でございますが、先ほどからその中身に触れたお答えがあったかというふうに思いますけれども、もう一度、世界に誇れるような独特な方式が編み出せたというふうに御認識であるのかどうなのか、そのことも含めてお伺いいたします。 さらに、このお答えのもう一つ後段で、「それからもう一つ」というふうに改めて項を起こされまして答えておられる部分の中で、「技術開発、これは抑えてはいけませんので、技術を活用しながら、しかしどこかにしわ寄せがありますときには何らかの調整」が必要だと、こういうお話をなさっていらっしゃいます。これも私は大変重要な部分と思っております。この技術開発、これを活用しつつ、しかし何らかの調整制限ということが今後においても非常に大事な課題であろうというふうに私は認識しているものの一人でございますが、まずこの点について御質問させていただきます。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 前回、そのようなことを申し上げていたことを私忘れておりまして、失礼いたしました。その後、後退したのかどうかわかりませんけれども、今回の法律案を見させていただきまして思いますことは、やはり「おくれた以上」というところ、これはまだ生きていると思います。これはまだ他の先進国が手がけていない規定を盛り込んでいる。先ほどちょっと触れさせていただきましたが、三十条の二項、ユーザーが補償金を支払う。これは現実にはすぐには動きませんけれども、近い将来やはりこれがメーンとして動くことを私は期待しております。 それからもう一つは、これは我が国の、日本のエゴではなくして、やはり外国人も同等に保護していこうと。決して新しい権利ではなくして、これは伝統的な利益調整の制度であるからということで外国人も同等に保護する。これはやはり世界に誇れる考え方ではないか、このように思っております。もちろん、外国に払うものも多いかもしれませんけれども、しかしグローバルに考えるべき問題ではないか、このように思っております。 それから、第二点でございますが、技術の開発の活用と同時に、それによって何らかの影響を受けるもの、これにも気配りをする必要があるということ、今も私変わりはございませんし、それから今回の法律案にはやはりその点が盛り込まれていると存じております。 これはどういう調整をするかということになりますと、今回の案によりますと金銭によって調整する。その額はその都度見直していく必要がございましょうけれども、しかし大筋としまして金銭によって調整する。またほかの調整の仕方があり得るかと思いますが、あくまでも私的複製は自由に行える、許諾なしに行えるという建前を保持しまして、それを前提といたしまして、しかし金銭によってそのしわ寄せを埋めていく、こういう考え方が今回の案にも示されているかと存じております。 以上でございます。
○刈田貞子君 乙骨参考人にお伺いいたします。 今回、先ほどお話ございましたように、いわゆるこの得た補償金でございますかそれを三六%、三二%、三二%で配分をいたしまして、その後に共通目的に支出をするというシステムになってございますが、大変私はこれもすばらしいことだというふうに思うのでございます。いわゆる指定管理団体と申すのでしょうか、これが二割の範囲で支出するということになっております。 今度はその使い方の問題について、先ほどちょっとお話が出ておりましたが、「著作物の創作の振興及び普及に資する事業のために支出しなければならない。」というようなことが書いてあるわけでございますけれども、先ほど来同僚委員の中からもお話がございますように、著作権とか著作物とかあるいは著作隣接権とかいうふうなことは一般の庶民の中では、大変に私は日常の中で意識しない問題だろうというふうに思うのでございます。 そういたしますと、振興及び普及という事業に関して言えば、今教育の方の側面での話が出ておりましたが、一般社会にあってもこうした認識に国民がみんな立つという、そういう地盤あるいは環境づくりが今後非常に大切になってきたというふうに思います。著作権情報センターのアンケート等では、いわゆる著作権の認知度というのは八三・四%、それから私的録音・録画問題ということに問題があるということについての認知度は六四・一%ということを書いてございますので、認識度というのはあるのかもしれないんだけれども、それがやっぱり日常生活の中ではなかなか生きていないという部分が実はとてもあるんじゃないかというふうに思うんです。 私も、大変おか目八目でいろいろなものを見ます大なものですから、例のはとバスの問題でございますとか、あるいはまたNTTの回線を通じたカラオケの問題でございますとかそんなものにも新聞の記事として興味を持って見ておるわけですけれども、こういう問題というのは日常ニューメディアが進めば進むほど起きてくることなんですよね。そうすると、それは実はある一つの権利を侵しているんだ、下手すると法を犯していることにつながっていますよという認識を持たせるための教育というのはやはり非常に大事な事業になっていくというふうに思いまして、この共通支出によるこれからの事業というものについて私は大きな期待とまた役目があるのではないかという立場をとっておるものでございますけれども、少し詳しくお話しいただけますでしょうか。
○参考人(乙骨剛君) お答えいたします。 先ほどの肥田委員のお話にもありましたように、これは教育との関係でございますが、やはり日本人といいますのは財産というものは何か目に物として映るものでないとなかなか財産として感じない。先ほど齊藤先生おっしゃられました無体財産というものにつきまして非常に認識が弱いと言っては語弊がございますが、これからさらにさらにこれを深めていかなくてはいけない、こういうふうに思うわけでございます。それですから、今申されました共通目的の基金、これからこの制度ができましてこの分野の産業が大きくなっていけばこの額もふえていくわけなんでございますが、先ほど申しましたような初段階の単に著作権の普及、これはまだまだ窓口なんでございます。 それで、教育の問題につきましても、私どもレコード協会といたしましてはことし五十年になったわけでございますが、その事業としまして青山学院大学と早稲田大学で著作権の講座というのを設けさせていただきました。ただ、これは大学からまず始めているわけなんで、これはだんだん高校、中学と、もっともっと初期の教育段階におきまして始めなければならないのでございますが、 おっしゃるように、やはりそういう教育を受けた者が初めて無体財産、手に触れないものも財産であるという認識の上に立って社会の生活をしていかなくてはならないのではないかと強く思っておりますので、これからそういう方面も多くやっていきたい、こういうふうに思っております。
○刈田貞子君 カラオケとか音楽喫茶みたいなところがいろいろな形で契約していますよね。だけれども、実はそういうのとは全然無関係に、はとバス事件なんかもそうだと思うんですけれども、私の行く美容室なんかでは開店から閉店までずっと、ムードづくりもあるんだろうと思うんだけれども、音楽が流れております。それから、今ほとんどのホテルで音楽を流しておりますよね。ああいうふうな問題とか、もう本当にこういう問題を考え始めると契約ができているのでしょうかというような形のものがいっぱいあると思うんですね。 それから、最近やっぱり気にして見てみると、ローカル新聞とかあるいは雑誌の片隅に、お分けしますという欄がありまして、ビデオとかそういうふうなもので、あれは恐らく自分で大変貴重なものを持っているので複写してお分けするという値段だろうと思うようなものが結構あるわけですよね、主婦と書いて。これは学生ばかりでなくて一般の主婦たちも家庭内でいわゆる複製して、それでそういうものをお分けしますというようなことが事実としてあるわけですね。 こういう問題は、本当に社会の共通の認識というもの、コンセンサスというものをやっぱりつくっていかない限りは、法律はできたけれども、しかし先ほど乙骨参考人の言葉を控えてみましたら、とにかく制度を発足させることが大切との共通認識に立ったのでやったということ。それからもう一つは、小さく産んで大きく育てる、これもおっしゃいました。実は、この言葉の裏に大変苦しいことが含まれているのではないかというふうに私は認識をするわけでございまして、こうした環境づくりについてはやはり国民みんなの総意の中でつくっていかなきゃならない課題だと思いますので、あわせてもう一度御答弁いただいて、質問を終わります。
○参考人(乙骨剛君) 先生おっしゃるとおりでございます。先ほど先生おっしゃられましたはとバスの問題、NTTの問題、それから美容院で聞かれている音楽は恐らく有線放送かと思いますが、これらについては著作権者の許諾というのをとっているというふうに思っております。まだ取り切れない部分も若干あるかと思いますが、それは先ほどの、これから小さく産んで大きく育てるという中で日夜努力しているところでございます。 先生おっしゃられるように、我々の認識、それから国民全体の認識、これは本当に重要だと思います。しかも、先ほど私はソフトとハードが車の両輪だと申し上げましたけれども、技術の進歩と権利の問題というのもやはりもう一つの車の両輪だと思いますので、そういう中にありまして、先生今おっしゃられましたことを十分わきまえてこれから努力したい、こういうふうに思っております。
○橋本敦君 最初に、両参考人にお伺いいたします。 今回の報酬請求権制度が創設をされまして、著作権者とユーザーとのバランスのとれた今後の発展が期待されることになるわけですが、国民の理解を得てこの制度が定着していく上で大事なのが、一つは乙骨参考人もお触れになりましたが報酬額がどうなるかという問題でございます。 これは、当面三年までの間は決まっておりまして、四年以後が新たな協議の主体になるわけです。これについては文化庁長官の認可ということでございますが、それも文化庁長官の認可だけではなくて、慎重を期すために諮問機関として著作権審議会、これにかけるという制度になって、国の方も慎重を期しております。国民の側からしますと、一定の報酬額を支払うというのはこれは当然として、それが高額になりますとこれはまたバランスに欠けることになるし、この制度の円滑な発展にも障害を及ぼしかねないという問題があって、非常に難しい問題だと私は思います。 そこで、今後どのような方向づけがこの報酬について定められる、あるいは方向づけがなされることが妥当と考えられるのか、それぞれの参考人で御意見がありましたら、まずこの点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 後ほど乙骨参考人からも具体的なお話があろうかと存じます。したがいまして、私は一点だけ申し上げますと、これは国際的にも先進国が考えている問題でございますので、諸外国の報酬額でございましょうか、これらはやはり参考にして決めていくことが必要であろうかと、このように思っております。
○参考人(乙骨剛君) 今、齊藤先生がおっしゃられましたように、ハーモナイゼーションという意味から諸外国の事例というのは非常に重要なことでございますが、私ども日本国内の産業の立場としまして、これを一%、一%、二%、あるいは一%、一%、三%というふうに協議して合意を得たのも、先ほど申し上げましたように、段階的にやはりこのパーセントを決めただけでその製品あるいはその産業が育たなくては全く意味がございません。 それから、私どもの権利者の報酬というのは総額でございますので、やはり単価にパーセントを掛けたもの掛ける出回っている数量というのが問題になりますので、三年目以降につきましては、そのとき時点においていかにその業界が育っているかというのは最後の数量の問題でございます。それを勘案しながら、しかもそれが国民の皆さんに御負担にならないようにということを考慮しながら方向づけをやってまいりたい、こういうふうに思っております。
○橋本敦君 時間が少ないものですから、あと一点ずつお伺いいたします。 齊藤参考人に御意見を伺いたいのは映画に関する問題でございます。この点については、かねてから議論があることは先生もよく御承知いただいているとおりですが、映画監督、撮影あるいは照明等のメーンスタッフの皆さんに対してもやはり報酬請求権制度の適用を含めて権利を認める必要があるのではないかということが関係者の皆さんの要望もございますし、またそれ以外、理論的にもそうすべきだという見解もかなりございます。この点について先生の御見解はいかがでしょうか、まずお伺いいたします。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 映画の著作物につきましては、御指摘のように、我が国の著作権法におきましては製作者に著作権が集中するように定められておりまして、とりわけ総監督等の監督、主監督におかれましてはこのあたりは大いに不満とされているところであろうかと思います。そこはよく存じ上げているところでございますが、今回の報酬請求権、これは複製権から派生する権利でございます。したがいまして、複製権というのは著作権の一内容でございます。そうすると、建前からしますと、やはりどうしても著作権者、すなわち製作者の方に集まってしまっているわけでございます。 しかし、どうして映画製作者にそのように権利を集めたのか。これを考えていきますと、やはり映画の著作物につきましては多数の著作者が関与している。その多数がそれぞれ許諾権を行使しますと利用が全うできない、こういう配慮があったかと存じます。したがいまして、権利を一カ所に集めた、こういうことでございます。 しかし、映画の著作物の利用によって受ける使用料なり補償金、これにつきましてはやはり何らかの形で監督等にも関与できる機会、これが必要であろうかと思いますが、法形式としまして報酬請求権そのものを得るというのは今の二十九条がございますとなかなか難しゅうございます。しかし、現実的にはやはり映画製作者と監督等とのきめ細かな契約によりまして、このあたりを実現し ていく道は十分あろうかと思います。 以上でございます。
○橋本敦君 それじゃ、次に乙骨参考人に御意見を伺いますが、問題は実演家等の保護ということで、いわゆる著作隣接権の問題でございます。 この問題についてレコードの場合で言いますと、商業用レコードの二次使用の問題につきまして、この点について報酬請求権ではなくて著作者と同様に許諾権を実演家へあるいはレコード製作者にも与えるべきではないかという御意見もあるやに聞いておるんですが、そういった点について我が国の商業用レコードの使用状況との関係でこういった問題は今後どのようにしていくのがよいとお考えなのか、御意見がございましたらお伺いしたいと思います。
○参考人(乙骨剛君) お答えいたします。 演奏権につきましては、ディスコとかデパート等において演奏されているものにつきましては著作者のみに認められているということなんで、この辺については私どもも現在希望を申し上げているところでございますので、この辺今後ともひとついろいろ御検討、それからお話等を承りながら進めていきたい、こういうふうに考えております。
○橋本敦君 時間がありませんので、終わります。
○乾晴美君 連合参議院の乾でございます。よろしくお願いいたします。 私も不勉強を暴露するような質問だと思いますのですが、先ほどベルヌ条約のことにちょっとお触れになったと思います齊藤さんにお願いしたいんですけれども、日本の対応と今後の見通しといいましょうか、今までの経緯を含めてちょっともう少し詳しく説明していただきたいと思います。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 その前に確認させていただきますが、国際社会におきまして日本の対応はどうかという御指摘でございますか。
○乾晴美君 はい、そうです。
○参考人(齊藤博君) 私が考えますには、この報酬請求権、これはやはり条約の枠の中で、すなわちベルヌ条約の枠の中で考え得る制度であろうかと思っております。 もう少し申し上げますと、ベルヌ条約の九条の二項には確かに複製権を制限できるという規定がございます。しかし、バランスのとれた制限ならばよろしいというただし書きがついてございます。こういうことを考え合わせますと、やはりこの九条の二項から報酬請求権という制度も導き出せるのではないか、このように思っております。 しかし、国際著作権界におきましては、この報酬請求権、このような制度はやはり別個の権利である、九条の二項と必ずしも結びつけない考え方もあり得るところでございます。しかし、私としましては、やはりこれは条約の枠の中から導き出す権利である。したがいまして、先ほども申し上げましたように、内国民待遇、これは条約が認めております原則でございますこの内国民待遇もあわせてこの制度におきまして適用していく、こういうふうに考えております。 したがいまして、国際著作権界におきまして複数の意見があり得るわけでございますが、やはり私が見ますところ日本のような考え方の方が説得性があるし、ハーモナイズをするのにやりやすいのではないか、このように思っているところでございます。
○乾晴美君 それから、また齊藤参考人にお願いしたいんですが、外国の方にも権利者には権利を及ぼしていくということなんですけれども、これは機材にかかるということですから、トラブルが起こらないかなというような心配もございますが、そんな心配はございませんでしょうか。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 機材にかかるという御質問でございますが、どういう御趣旨でございましょうか。
○乾晴美君 今度のこの法律は私的なものの機材にかかるわけでしょう、購入したときの。だから、外国のものを買ってきてもう一度録音・録画するというようなときに、その相手の外国の方に対してどのような配分をするかということが心配になってこないかなと。
○参考人(齊藤博君) お答え申し上げます。 これは複製機器なり機材といいましょうかテープ等、これを買い入れた者が補償金を支払うわけでございますが、これが一カ所に集められまして、その中から外国の著作権者等にも支払われるという仕組みでございますので、その配分が多いとか少ないとかあるいは日本の額が少ないとか、こういう苦情はあるいはあるかもしれませんけれども、やはり制度としてはトラブルが起こる余地はないんではないか。 若干考えられますのは、共通目的の部分が必ずしも国際的にバーモナイズされているわけでございませんから若干議論の余地はございましょうけれども、しかし全体としましてやはりトラブルは起こりそうもない、このように思っております。
○乾晴美君 齊藤参考人さんばかりで申しわけないんですが、著作権審議会の委員さんであられるので。 先ほど肥田委員もおっしゃっていましたけれども、若者が少ないということなんですが、私もちょっと調べさせていただきましたら二十名中に女性が三名ということで、臨時の方なんかも入れますと三十名中四名が女性だということなんですが、もう少し女性の割合もふやしてほしいな、できたら消団連といいましょうか、そちらの方の方も入れていただくといいのになという感想も持ちましたが、いかがでございましょうか。
○参考人(齊藤博君) 私は人選する権限はございませんけれども、感想として申し上げますと、御指摘のとおりでございますが、あらゆる層の意識を集約できる方が審議会としては好ましいかと思います。 ただいまのところも消費者の代表としてお加わりいただいておりますけれども……
○乾晴美君 婦人ですか。
○参考人(齊藤博君) そうでございます。男性、女性と必ずしも区分けしないでも、御指摘のように、偏らないでさまざまな層から参加できるシステムがよろしいんではないかと。賛成でございます。
○乾晴美君 それじゃ、最後に乙骨参考人にお願いいたします。 先ほど齊藤参考人の方からはこの法律に対する満足度といいましょうか御感想をるる述べられましたけれども、乙骨参考人の方の満足度といいましょうか御意見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○参考人(乙骨剛君) 満足でございます。 これだけの長い時間をかけまして、先ほど申し上げましたように、たくさんの方と御意見を交わさせていただきまして、デジタルの問題とか額の問題、もちろん最初に私どもが要望いたしました線とは若干違った部分も出ましたが、それはそれ、やはりこの制度をともかくいち早く導入するんだということ、そういう意味で、さらに先生方の御審議をいただきましてこの法案が通過できると思いますが、それを念じて、それについては結果として満足でございます。
○乾晴美君 どうもありがとうございました。
○委員長(松浦功君) 他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと存じます。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 参考人の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせくださいましてまことにありがとうございました。本委員会を代表し厚く御礼を申し上げます。 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十分休憩 ————◇————— 午後一時開会
○委員長(松浦功君) ただいまから文教委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○森暢子君 本日は著作権法の改正案の審査なんですけれども、その前に高校入試をめぐる業者テストの問題につきまして、重要な問題なので、この際、一、二質問しておきたいというふうに思います。 埼玉県に端を発した、いわゆる業者テストという表現の仕方がいいかどうかちょっとわかりませんけれども、これをもとにした偏差値による私立高校の推薦入学の実情が明らかになりまして、報道によれば鳩山文部大臣はこうした状況を非難されて、平成六年度入試から業者テストを活用しないようにという要請を関係者になさったというふうに聞いております。 これは大変大きな問題でありまして、長い間今日の我が国の教育の問題点とされてきたものであります。すなわち、教育現場にはその業者テストが広く今まで入り込んでいたという事実もあります。それから、偏差値の輪切りによる高校入試が主流になっていた。これを利用、実施している県が全部ではないんですけれども、そういうことになっていたということ、そしてそういうシステムを前提とした教育が行われていた現実、今までその中で、学校現場では十五の春を泣かせまい、こういうことで全員希望の学校に入学させるためにということで、どんなにか担任の先生たちも大変苦労してきた。こういう現状で、やはりあの全国四万七千人にもなる小中学校の不登校の生徒であるとか、または高校へ入ったけれどもその中でついていけない中途退学者の十二万人の若い子供たちであるとかそういう現状もこの中につながっている、このように思うわけです。そのことについて大臣がその是正に大変強い姿勢を示されたということには大変敬意を表するものでございます。 しかし、どのようにこういうものを認識なさっているかということと、今後どのように対処されようとしていらっしゃるかということについてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 二つのことを申し上げるべきかと思うんです。 一つは教育改革、すなわち学制発布百二十年という年に当たりますが、日本の教育、この間小林正理事がサクセスストーリーが多かったととらえているかというお話を参議院の予算委員会でされまして、私も概して言えば日本の教育というものはサクセスストーリーという面がありましょうと。資源のない小さな島国でありながら明治維新以降の急速な近代化、それ以前にも寺小屋とかいろいろ我が国の教育に対する姿勢というものはあったであろうとは思いますが、少なくともこの明治以降の急速な近代化、現代化というものが明治五年の学制発布に始まって、そういう人づくりにおける基本的な成功が国の経済的発展あるいは国力の伸長につながったことは私は率直に認めていきたいと思っております。 そうした日本の教育に特徴的な幾つかの現象が二十一世紀を目の前にした新しい時代にそぐわなくなって、逆に大き過ぎるストレスを子供たちに与えるとかあるいは大変知的水準が高いと言われながら個性の伸長が十分でなくて、例えばですが、ノーベル賞の受賞者数が極めて少ないとか、江本さんもメンバーに加わっていただきましたが、スポーツも大変な発展を遂げて人気もあるんですが、この間のオリンピックも大変見事なものでありましたが、しかしお隣の韓国に比べますと金メダルの数がはるかに少ないとかいろんな問題があるだろうと、こういうふうに思うわけで、科学技術の世界でただ乗り論などということが言われますのも我が国の創造性というところに幾つかの問題点が投げかけられてきているわけでして、ただいま森先生が御指摘の、私とは数字がちょっと違うかもしれませんが、五万三千人の登校拒否とかあるいはいろんな数字がありますが、やや減っても十万人を優に超す高校中退とか、そうした先生が御指摘の事柄もやはり今までの教育制度と社会とか時代のずれというのか時代にそぐわなくなった面というのが、選挙制度も同様だと私は認識しておりますが、そういう要素がある。 じゃ、それを教育改革によってもっと豊かな人間性を育てるように、早い話が教育改革というのはなぜやるかと言えば、それぞれの国民一人一人がもっと大きな幸せをつかめるようにというのが究極の目標だろうと思うわけであります。そういう点では余りに個性を尊重しなさ過ぎた嫌いがあるという反省から、個性化というか個性重視というのかあるいは個に応じた教育というのかあるいは多様化とか柔軟化とかいろいろな路線がありますが、その中心は個性重視ということであろうと。教育改革イコール個性重視プラス生涯学習社会の建設と言っても、極論すれば言い過ぎではない。その大変大きな課題である個性重視ということを打ち出しておきながら、偏差値という一つの物差しの上にすべての児童生徒を並べて判断するようなことがずっと続けられていく。これも必要悪というのか便法というのか、正しくないことであっても物を言いにくいから表ざたにはするまいというようなことで、今、森先生御指摘の十五の春を泣かすなという名目のもとに割り振りというかはめ込み、当て込みをやる。 だから、私はそれをしばしば人身売買に類するような行為と見られてもおかしくないのではないかと、こういうことを申し上げておりますし、本日の朝の新聞は、余り事実を調べないで物を言うのはいけないんでしょうが、少なくとも見出しを見ますと、進学相談、三者面談に絡んで中学生の男のお子さんが両親を刺し殺したというようなことが出ておる。これは直接の関連があるかどうかはもっと事実を調べてから言うべきだと思いますが、ただ、いろんな子供さんの意見として載っているのは、部活動を一生懸命秋までやって好成績を残してきたつもりだけれども、さていざそれから高校受験の勉強をしようと思ったらもう業者テストの偏差値が出ちゃった後で間に合わなくて、夢にまで見ている学校へ行くことができないとかいろんなことも言われているわけでございます。 やや長くなって申しわけありませんでしたが、教育改革の個性重視ということを本当に文部省も日本の教育界も全体がやろうとするならば、この問題は避けて通れない。一時的な混乱が起きるのは、それはできるだけ混乱が起きないようにすべきと思って平成六年度入試からと申し上げておりますが、それは仕組みを変えていって、教育の改善じゃない、まさに改革だと。我々は改良とか改善というよりもっと強い改革という言葉を使っているわけですから、これだけのことをやろうとすればいろんな摩擦はあるだろう。したがって、場合によっては幾ばくかの私学関係者とかあるいは評論家から、今の文部省の急な方針転換みたいなのはおかしいとか鳩山邦夫なんという文部大臣はお坊ちゃんで何にもわかってないだろうというような批判が出るのは私は当然だと思ってやっている、物を言ってきているわけでございまして、日教組の皆様方も比較的というか非常に委員長以下協力的だということも新聞で承って心強く思っております。 今後のことでございますが、私はあと何日この職にあるかわかりませんが、今後の長期的なスケジュールを今示すということではありません。ただ、私は、平成六年度の入試に向かって、公立中学から私立高校に偏差値が渡らないということをとにかく最大の主眼にして、まずこれを第一目標にしていこうと。調査研究協力者会議の報告が来年一月にまとまるとかいろんなスケジュールがあると思いますし、また各都道府県教育委員会と文部省の間の事務当局での話し合いというか聞き取りというか調査というか、これもきょうから開始したところでございまして、いろいろやってまいりますが、一番は大きな目標である教育改革の柱にするというか私はアリの一穴になればという ぐらいの言葉から始めていった方がいいのではないかと思ってそういう表現をしておりますが、そんなことで平成六年度入試を目指していきたいと思います。
○森暢子君 いろいろ今問題点や今回明らかになった状況がわかってきまして、大臣も今までの教育制度を変えていこうという強い御熱心なそういう思いがおありになるということについては、これは大変すごいことになるんではないかと思っております。 しかし、業者テストが悪い、それを使っている私立高校の入試制度が悪い、またそれを使っている現場の先生が悪い、またそれを期待して子供のおしりをたたいている親が悪いとか、そういう問題ではないんですね。やっぱり学校教育の、大学を含めて入試のあり方というものを根本的に変えていかないとどうにもならない問題であるというふうに思いますが、これはもう大臣も同じお考えだと思うんですね。 それで、今大臣もおっしゃいましたが、内閣改造も近いとかで鳩山大臣が万一かわるようなことがおありになって、この重大な一石がそのままになってしまったんでは本当にいけないと思うんですね。ですから、ぜひ今後そういうお考えを引き継いで、これからの子供たちの大きな問題ということで引き続き文部省としても力を入れてやっていただきたいということを強く要望しておきます。 それでは本題に入りますが、今回提出された著作権法改正の問題について質問に移りたいと思います。 まず、この法案がこの国会に提出された理由ということなんですが、著作権審議会の報告が実は昨年十二月に出されている。その中でいろいろ御相談なさってこの時期になったと思うんですけれども、私どもがこの法案を読んでいろいろと勉強していけばいくほどまだまだいろいろな問題が出てくる、こういうことなんですね。きょうのこれで終わりなんですから、大変審議時間が短いというふうに思うわけですね。そういうことで、十分この国会の中で審議時間が確保されない、例えば次の通常国会で十分審議してもいいんではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(佐藤禎一君) この法案提出に至ります経過につきましてはもう十分御承知のことと存じますけれども、もともとこの現行著作権法が制定をされた昭和四十五年以来、長い間の議論を積み重ねてまいったわけでございます。当委員会におきましても幾度となく附帯決議をちょうだいいたしておりますし、また著作権審議会におきまして、あるいは第五小委員会というようなところであるいはまた関係者の懇談会の場で、引き続いて第十小委員会という場で検討を重ねてまいりまして、先ほどお話ございましたように、昨年の暮れに御報告をちょうだいしているわけでございます。 その中では方向を示しますとともに、なお関係者と十分な話を詰めて円滑に実施をするようにということが言われたわけでございまして、私どもそれを受けて私的録音・録画問題協議会というものを設けまして、関係者の御参画を得て中身についての議論の煮詰めを行ってまいったわけでございます。 そういった状況の中で、御案内のとおり、補償金を支払う対象となりますデジタル録音機器の新しい製品がこの秋からかなり低廉のものの販売が始まるというような事情があり、今後急速な普及が見込まれるという事情がございまして、制度の円滑な導入を早く行った方がよいのではないかというのが一つ。今申しましたように、この懇談の場で関係者の間からも早期にそれを求める声が挙がっているということ。加えまして、世界の動向といたしましても、一九八〇年代にヨーロッパ諸国では多くの法案化が行われておりますが、十月の末にはアメリカにおきましても類似の法律が成立をする、こういう動向がございましたので、この時期をとらえましてこの臨時国会でぜひお願いをしたいというふうに御提案したわけでございます。
○森暢子君 それでは、次に少し中身に入りたいと思います。 午前中の参考人の質問の中にも出てきたんですけれども、プレースシフティングというのがございますね。携帯用のものであるとか自動車の中のカーステレオとかいうふうなことなんですが、これは自分が購入した著作物の複製であるわけですね。それからまた、タイムシフティングといって放送時間をずらして再生できるような録音とか録画の問題ですね。これは一度再生すれば消去されるというふうなことから考えますと、権利者の権利を侵害するとは言えないのではないかという問題があると思うんです。これについてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(佐藤禎一君) 御指摘のように、私的録音・録画の問題の中にプレースシフティングあるいはタイムシフティングといったような問題があることは御指摘のとおりでございます。 これにつきましては平成三年に調査をしたものがございまして、それを眺めてみますと、録音と録画では少々状況が違っておりますけれども、例えば録音をする理由として幾つか挙げられたものの第二位に、ヘッドホンタイプのカセットステレオプレーヤー、そういったものやカーステレオで改めて聞くためというプレースシフティングの例が二番目に挙がっておりますし、また五番目には、聞きたいものを放送時間に聞くことができないためというのが挙げられているわけでございます。また、録画につきましては、一位に、見たいものを放送時間に見ることができないため、こういうことが挙げられているわけでございます。 しかしながら、それ以外の録音理由等を拝見いたしてみますと、まず録音についての第一は、レコード、CD、市販の録音済みのテープを買うよりも安く済むからというような理由が挙げられておりますし、三番目には、好きな音楽を抜き出して編集したテープを自分でつくって聞くんだというようなことがございます。それから、録画について見ましても、二番目には、放送で見た後さらに繰り返して見る、あるいは三番目には、市販の録画済みビデオカセット、ビデオディスクを買うより安く済むから、こういったことが実態調査の中で挙がってきているわけでございます。 こういった状況を考えますと、著作物を利用してその利用者が利益を得ているという状況はございますし、かなりの部分が保存をされているというようなことを考えますと、プレースシフティングあるいはタイムシフティングというような場合があり、そして通常これらの場合は侵害の程度は必ずしも高くはないということがあったといたしましても、全体として考えますと権利者の利益を侵害しているという状況が見受けられるのではないかということから、今回のような制度を考えたわけでございます。
○森暢子君 そういう事実はちまたにはあるように思いますし、それからテレビでいい映画を上映しているときにはそれを録画しまして、それをずっと自分の本箱に並べているというふうな現状もあることはわかります。 それで、ちょっとお聞きしたいんですが、アナログではダビングすればするほど画面が不鮮明になるというふうなことを言っておりますけれども、今後大変品質のいい機器も出るやに聞いておりますので、今のアナログの実態と今後予想される状況、そういうことについてお答え願いたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) 現在、家庭内で録音・録画をされておる実態につきましてはただいま御紹介をいたしました平成三年の調査がございます。これは権利者の団体とメーカーとで共同して行ったものでございます。 この中から現状、これは実はアナログとデジタルを分けているというわけではありませんけれども、調査の時点でデジタルはごくわずかでございますからほとんどがアナログの状況だと、こういうふうにお考えいただいてもよろしいかと思いま すけれども、まず普及状況について見れば、録音の機器が九〇%、録画の機器は八五%の普及率になっているということで、録音・録画とも大変大きな普及状況になっているわけでございます。殊に、録画機器は伸びが著しゅうございまして、五十三年度の政府の調査では普及率二%、六十年度でも三九%でございましたが、平成三年の調査では八五%まで伸びてきているというような状況があるわけでございます。 そしていま一つは、先ほどお答えをしたことと重なるわけでございますけれども、私的録音・録画の実態についての、それはどういう目的で録音・録画をしているかということになりますと、さっき御紹介を申し上げましたような、録音については第一位にレコード、CD、市販のテープを買うより安く済むからだというようなことが挙げられているというのがございます。パーセントとしても高くなっているわけでございます。録画の方は、先ほど数字まで申し上げておりませんが、実はタイムシフティングの率は大変高くなっております。八〇%以上がタイムシフティング的な利用をしておりますけれども、それでも半数程度は放送で見た後にさらに繰り返して見る、あるいは市販のものを買うより安くて済むからだと、ライブラリーをつくるからだと、こういったことが挙げられているわけでございます。 現状、今後のデジタルによる録音・録画の予測ということにまでなってまいりますと、実はなかなかわかりかねるわけでございますけれども、ただ言えますことは、レコードの売り上げとCDの生産の数というのが急速にその立場をかえまして、レコード、LPの生産数量というものは急速に落ち込み、ほぼ五年程度でCDの生産量と取ってかわってしまったというような実情もございます。また、既に発売をされておりますDATについて見ますと、これはこれまで値段が高かったので必ずしも普及はしておりませんけれども、平成元年には四十九億、平成二年には九十八億、平成三年には百七十五億というような伸びを見せている、こういう状況が各種の統計から見てとれるわけでございます。
○森暢子君 ですから、これは今後急速な日本の技術から考えますと発達していくんではないかと思うので、今後ぜひ考えていかねばならない課題ではないかというふうに思います。 それから次に、デジタル方式に限定されたことによりまして、権利者の中にこの制度の利益を受けない人たちがいるんではないかというふうに思うわけです。 この中で、午前中にも出ましたけれども、例えば映画監督の問題なんですね。映画は製作者に権利があるということで、映画監督にその権利がないということなんですね。 それで、平成三年の十二月十三日ですか、著作権の審議会の小委員会でそういうことに関しても御報告があったと伺っておりますが、どういうふうな内容だったんでしょうか。
○政府委員(佐藤禎一君) お話の前段の部分でございますけれども、デジタルに限定したことによって利益を受けられない権利者が生ずるかということについては、ちょっと私どもはそういうふうに考えておりませんで、むしろ何と申しますか、もともと複製権等の権限を持っている、その権限を私的録音のときに制限をしている、そういう人たちに対して調整的な補償金制度がつくられるわけでございますので、もともとその権利を持っている人たちの話でございます。その関係はデジタルであろうとアナログであろうと同じ関係ではないかというふうに思うわけでございます。 ただ、後段お話がございましたように、映画については現行法上映画に出演を許諾をしたときには実演家にはその映画の二次的な利用を行います場合に当然には法律上の権利は発生いたしませんし、また映画の著作物の著作者の一人であります映画監督につきましても映画製作に参加をしたときは、これは映画製作者に著作権が帰属をするというふうにされているわけでございます。このこと自身につきましては、かねていろいろな御意見がありまして、今御紹介をいただきましたように、著作権審議会の中で多くの課題を第一小委員会というところで取りまとめを行っております。その中の大きな課題として掲げられてきたわけでございます。 今回出されております第一小委員会の報告の中では、「映画の二次的利用の増大に伴う実演家又は映画監督等の権利関係について」というまとめがなされておりまして、もともとの権利のあり方についてはいろいろ社会的な影響が大きく、現行制度を直ちに変更することは難しいということが一つあります。それに加えて、しかし二次利用の実態が随分ふえてきている。それについて、あるいは契約等によりその中身を担保していくというようなことが一つの方向としてございますけれども、そういった二次利用の増大に伴う問題点について著作権審議会では検討を継続いたしますが、当面、関係者の協議に対して文化庁が積極的に支援をするように、こういう報告がなされたわけでございます。
○森暢子君 映画の場合は、もう一度申しますが、監督などに著作者人格権というのは認められていますけれども、著作権は映画製作者、つまり映画会社に帰属するということで著作権法第二十九条があるわけですね。これも今後やはり見直しをしていかなければいけないというふうにも思います。それから、演奏家や俳優などの実演家は著作物の利用者ということで著作隣接権によって保護されている。しかし、実演家の権利を規定した九十一条とか九十二条は、映画の場合は除くというふうになっているわけです。 それで、映画というのは、今と事情が違いますが、年がわかりますが、私どもの青春時代は本当に情報と文化の源であったわけでありまして、郷愁というのがあるわけです。その映画文化をどのように守って今後発展させていくかというのも文部省及び文化庁の大きな課題ではないかと思います。 出演した映画作品がテレビやビデオで繰り返し放映されている中で、俳優たちは一回ギャラをいただいたらその後追加報酬もなく無権利の状況に置かれている。こういう中で、ますます二次利用が盛況になってくる社会が予想されますが、今後どうしても映画監督及びそれに関する実演家たちの権利の問題については考えていかなければならない課題だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(佐藤禎一君) 御指摘のように、このことが一つの課題であるという認識は持っているわけでございます。したがって、監督協会その他からの御意見もいただき、それをまた著作権審議会に反映させながら御審議いただいているわけでありまして、先ほど御紹介申し上げました著作権審議会の第一小委員会のまとめの中では、まさにそういう問題を受けとめて検討を重ねてきた結果、当面の結論を出しているわけでございます。 若干、先ほど説明不足でございますので少し付加をさせていただきますと、そもそも、もともと著作権自身のあり方ということについてはいろいろ意見がありますけれども、当面の考え方としては慎重な意見というものが多いのではないか。 それはどういうことかと申しますと、映画の利用がますます増加をしていく傾向がある中で、社会的に大きな影響を及ぼす問題であろうということが一つと、映画というものは大変多くの方々が関与をしておつくりになりますので、この円滑な権利処理という問題では大変難しいあり方を含んでいるわけでございます。 そういったことや、さらには国際的な調和、国際的に映画についてはどのように取り扱っていくかという傾向やあるいは各国との一種の調整のようなことも必要になります。世界的には比較的我が国の制度に近い考え方で整理をされているのが一般的でございますので、そういったことも考慮をしなければいけないということから、当面基本的な権利のあり方自身について議論をするというよりも、今御指摘のありましたように、むしろ二次的な利用というものが従来考えられなかった形 でだんだん広がってきている、その利用についてどのような形で補償を受けるのかという問題が中心になってきているわけでございます。 この問題については、もとより契約によって処理をするということが一つの処理形態でありまして、その契約についてもだんだんとルールができてきていると申しますか幾つか権利処理のあり方のひな形ができ上がり、またそれによって権利の処理がされているという実態もございますけれども、こういったことも含めてこの二次的利用に伴う権利のあり方について関係者間で議論を深めてもらいたいということで今回協議会を発足させたわけでございます。発足以来何回かやっております。実はきょうも今ちょうどやっていると思いますけれども、そういった協議会を開催させていただいておりまして、そういった場での協議というものを私どもも見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○森暢子君 もう少しこだわりますが、映画は俳優さんと監督だけでできるものではなくて、俳優さんをいかに生かしていい映画をつくっていくかというのは、いろいろ下積みでなさっている方がたくさんいらっしゃるわけですね。そういう中に映画のメーンスタッフというのがあります。撮影、それから照明、美術、録音、編集、スクリプター、こういう人たちの本当に地味な縁の下の力持ちのような仕事があって初めて監督も生き俳優さんも生きていく。こういうことで、何か最近日本映画のメーンスタッフ連絡会なるものができたと聞いておりますが、その中身について御存じでしたらお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) ただいまお話がございましたように、映画を製作するに当たって多くのスタッフがそれに参画をするという実態があるわけでございます。そういった方々についてのもろもろの問題を検討するため、実はそれぞれ団体が職種ごとに今までもできているわけでございます。例えば、日本映画撮影監督協会でありますとか日本映画照明技術者協会、美術監督協会等々の協会ができているわけでございますが、それらの協会が相集って日本映画メーンスタッフ連絡会というものを設けている、そういうふうに伺っているわけでございます。
○森暢子君 それでは、今回この法案を出した後もいろいろな、これからの監督であるとかまたは映画を支えている人たちとか、もっともっと広く考えますと、午前中のお話にも出ましたが、例えばコピー機が発達することによって著作権を侵害されている各方面の人たちの権利、こういうものを今後ずっと引き続き見詰めていき法案化していく、こういう作業が必要ではないかと思いますが、その今後のあり方についていかがでしょうか。
○政府委員(佐藤禎一君) 先ほど御紹介をいたしました第一小委員会の中でも実はこの二次的な利用、映画についての二次的な利用のほかにも、例えばコンピュータープログラムの問題でありますとか、それによって創出されたものをどうしたらよいかというような問題もございます。 今回提起をした問題に関連していろいろ今後検討を必要とする問題はありますほかに、さらには今御指摘の複写の話でありますとかプログラムの話であるとか、さらにはマルチメディアというような形で情報が提供されるということになった場合の著作権のあり方というようなことについても課題が残るわけでございます。これは、私ども時を失することなく著作権審議会の中で練っていただくよう努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○森暢子君 では、今後の活動に期待をしておきたいと思います。 それでは、次の問題に移ります。 私的録音・録画の補償金の返還請求ということについてお聞きしたいと思うんですが、私的使用を目的としないということで、例えば鳥の声を録音したとか小川のせせらぎの音を録音したとかという場合ですね、こういう場合には権利を侵害してないわけですから、こういう人たちが、私はそういうことに使っていませんからといって補償金を返還してもらえるということが法案の中にあるわけですね。これは大変事実上困難ではないかと思うんですが、どのようになさるおつもりですか。
○政府委員(佐藤禎一君) 返還の規定がございます。これは「専ら私的録音及び私的録画以外の用に供することを証明」するということによって行うということになっているわけでございます。 幾つかのことが実は考えられておりまして、態様によって返還の仕方というものの難しさというものが違うように思いますけれども、最も典型的なものは、もともと権利の制限が働いている場合、具体的に申しますと、教育目的で授業に使うというものは著作権法上制限規定があるわけでございますので、専ら教育目的で学校で使うということを証明するというのは比較的容易になされるのではないかというふうに思うわけでございます。 そのほかのケースは、理論的に考えるケースになりますけれども、態様としては二通りございます。 一つは、もともと私的利用ではなくて権利の侵害をしている場合、つまり著作権料を払わなければならないようなケース、会社で著作権を、複製権を侵して使っているんだけれども、私的利用のお金を払ったんだというふうなことを言ってくるケースでございます。これは通常考えられない。というのは、複製権を侵して使っているということがわかれば当然それに対して補償しなければいけないわけで、今回考えられておりますような定率のお金では当然ないわけでございますので、こういう請求をするケースは現実にはないと思いますけれども、理論的にはあると思います。 それから、三つ目のケースは、今多少委員御例示をくださいました、もともと著作権のないものを録音している、こういうケースも考えられるわけでございます。これはおっしゃるようになかなか返還の実務という意味では難しいと思います。証明をするということが難しい問題がございますけれども、こういったことにつきましては、いずれにいたしても指定管理団体が一括をして行うことになるわけでございますので、そういったものについては経験の積み重ねということによりましてできる限り簡便な処理ができるようなルールの形成というものに努めるようにお願いをしていこう、こういうふうに考えている次第でございます。
○森暢子君 簡単に手続ができるように、まだこれから中身を考えていかれるということなんですか。
○政府委員(佐藤禎一君) これは指定管理団体がまだできていないので、この法律ができませんと指定管理団体がつくれませんので、形式的に言えばこれから考えられることでございますけれども、関係者の間ではそのことの問題意識はございますし私どもも検討をお願いをしてございまして、現に検討が進んでいるという状況でございます。
○森暢子君 ちょっともう一言、しつこく聞きますが、つまり教育目的の場合はいいということで、例えば図書館、それから学校、役所ですね、そういうところの複製は自由になっている。ここが機器を購入した場合には、その補償金がかかっているのをやはり返還するわけですね。それは、学校がようやくややこしい書類の整理をして買ったと思ったら、また補償金の返還処理を事務的にやるというのは大変なことだと思うんですね。これについてはどう考えていらっしゃるんですか。
○政府委員(佐藤禎一君) 実は、学校が購入をする場合でも福利目的で使うというようなときは返還の対象にならないわけでございますので、最初から免除をするというようなやり方はできないわけでございます。 したがって、今回の制度におきましては、一たん払っていただいたものを返還するというシステムに乗せようというわけでございますけれども、 先ほど申しましたように、学校が教育的目的で使うというのは比較的立証が容易でございます。それぞれの学校が記すればそれをもってスムーズに返還事務が行えるようにというようなことはルールとして私どもは確立していただけることが可能であろうと考えておりますし、またそのようなことをお願いしていこうというように思っているわけでございます。
○森暢子君 これから法案ができてから具体的に実施していく中でまだいろいろと問題が出てくると思うんですけれども、私はもちろん権利者は大事だと思います。特に日本の今の社会の中では権利者の人権というんですか、こういうものが大変希薄な状況でどのように教育の中でやっていくかというのは午前中のお話にもございました。しかし、ちょっと消費者の立場にも立ってこれは考えていかないといけないと思うんですね。そういう権利を侵害していないのに消費者は全部補償金を払っていくわけでありますから、その中で、じゃ人権をどのように考えるかという教育も必要になってくると思います。 ちょっと消費税との関係について次にお聞きしたいんですが、補償金返還の請求が認められた場合にどうなるかということなんです。例えば、卸売価格にまず補償金がかかって、それの合計した価格に消費税がかかるのか。または、卸売価格に三%の消費税をかけたものに補償金がかかるのか、そのあたりをちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) この実務が必ずしも全体としてきちっと詰められているわけではございませんけれども、考え方といたしましては、今回の補償金は蔵出しのときに、つまり製造業者が卸売業者に卸す時点でかけるわけでございます。したがって、そのかけた金額全体が消費税の課税対象になる、こういう構造になろうかと思っております。
○森暢子君 そうしますと、補償金を返還する場合でも消費者がたくさんのお金を払ったことになるのではございませんか。
○政府委員(佐藤禎一君) したがって、その補償金を返還するということが起きました場合には、すなわち著作物の利用行為がなかったという場合には消費税を課した対象がないわけでございますので、考え方といたしましては、購入者は当然当該補償金にかかる消費税の負担義務がなくなるわけでそれも返還される、こういうふうに考えておるわけでございます。
○森暢子君 それでは、前の著作権法の一部を改正する法律案のとき、平成三年四月二十二日に出た附帯決議がありますので、このことにつきましてどれだけ文化庁が努力なさったか、その結果をお聞きしたいと思います。 〔資料配付〕
○森暢子君 この附帯決議の中で、「私的録音・録画問題については、国際的動向にかんがみ、録音・録画の機器・機材に係る報酬請求権制度の導入など抜本的解決のための制度的対応について検討を進めること。」というのが二番目に上がっているわけですね。これが今回の法案として実現したということは大変前進したということになりますが、その他の一、三、四、五、六、このことについて今までの間に政府がどれだけ努力をなさったか、その成果はどうかということについて一つずつお答え願いたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) この第一点は、外国レコードの貸与に関する権利行使のあり方についての課題でございます。 このことにつきましては、現在は現行法上一年間のレコードの貸与権と四十九年の報酬請求権、こういうふうになっているわけでございますけれども、邦盤レコードが短期間で貸与を許諾するのに対して、アメリカを中心とする外国レコード会社につきましてはレンタルの禁止期間を制度上の上限である一年間禁止する、こういうことが行われてきているわけでございます。もとより、貸与に関する権利のあり方自身は各国の実情によって考えの違うものでございます。外国レコード製作者の理解を得ることが困難というやむを得ない面もございますけれども、我が国におけるレコードの流通ないしはレンタルの実態というものを考えまして、今後関係者による適正なルールが形成されるための話し合いがさらに進められることを期待しているわけでございます。 なお、これと関連をいたしまして、今回のウルグアイ・ラウンドのTRIP交渉の中で、このレコードの貸与権というのは世界の中では特別な制度でございますので、もともとその存在を否定するという意見がアメリカでもヨーロッパ諸国でも多いわけでございます。そういう意見の中で、ともかくも現在のドンケル事務局長案の中では例外的な形ではあるけれども、そういった貸与権というものの存在を認めるような原案になっているというところまでこぎつけさせていただいているというのが状況でございます。 それから三番目でございますが、先ほどお話しを申し上げました実演家の権利の適切な保護ということで、特にここにございますような二次的利用の問題につきましては、先ほどお話し申し上げました本年五月からのこの協議会の発足の中で引き続き検討を行っている、こういう状況にあるわけでございます。 第四点の複写複製問題でございますが、これは、ここに直接書いてございますのは複写複製問題と出版社の権利の創設ということでございます。 いずれにいたしましても、文献複写に関する著作権の集中的な処理体制というものが必要であろうということから昨年の九月に日本複写権センターというものが設けられまして、現在そのセンターで権利を集めますとともに、各企業等の利用者との契約交渉を積極的に進めているわけでございます。そのセンターが集中的な処理機構的な機能をうまく働かせて権利処理のルールが確立されるということを期待しているというのが現実に動いている手だてでございます。 なお、出版社の権利、いわゆる版面権についてはそういう考え方もございますけれども、これについてはいろいろ異論もあるところでありまして、むしろ今申しましたようなセンターでもって権利者の権利を集める。いずれにしてもそのことが必要でございますので、そういった実態を成熟させていくということに現在重点を置いているわけでございます。 それから五番目にございますコンピューター創作物についての著作権問題でございます。 これは著作権審議会の第九小委員会で検討を継続いたしております。私ども、かなりかかっておりますので、来年には何とか一つのまとまりが欲しいなという事務的な希望を持っておりますけれども、できるだけ煮詰めていく努力をさせていただきたいと思っているわけでございます。 最後に、視聴覚障害者等の利用の問題でございます。 これにつきましては、これまた著作権制度としてはいろいろ議論はございますけれども、障害者の方々の利用に配慮をした適切なルールの整備というものが今もかなり窓口をまとめまして行われつつはございますけれども、これを一層促進するように各権利者団体にも要請をしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 次長の御説明したとおりではありますが、出版物の版面権の問題につきましては次長より私の方がやや前向きでございまして、これはこのときにこういう附帯決議がついたいきさつもあろうと思いますし、どういうふうな形で権利構成をしていったらいいのか私は次長のように詳しくはありませんから御説明する力もありませんが、また、経済界が反対をしていることもよく承知しております。ただ、今次長がいろいろな意見があると言ったとおりですが、しかし避けて通るわけにはまいりませんので、積極的な議論が必要だと思っております。
○森暢子君 ありがとうございました。 附帯決議を毎回づけながら、それがどのように 進んでいるかということについて私どももぜひこれからも見守っていきたいというふうに思いますので、格段の御努力をこれからお願いしたいというふうに思います。 それでは、あと細かい内容につきましては次の上山委員に譲ることといたします。 以上です。
○上山和人君 日本社会党・護憲民主連合の上山和人でございます。私は一年生でございますので、どうぞ皆さんよろしくお願い申し上げます。 まず、最初にちょっと委員長にお願いしたいことがありますけれども、先ほど森委員から冒頭この国会では審議時間が足りないというお話がございました。特に、今この委員会で議題とされている著作権の改正案につきましても、きょう一日の時間しか割り当てられておりません。あしたはもう会期末ですよ。全体的に四十日の会期の二十九日目に、委員長、この文教委員会が初めてこうして開会されておりまして、私など初めて委員会審査に参加させていただいているわけでありますけれども、非常に不満ですね、この問題につきましては。 とりわけ森委員が業者テストの問題を冒頭文部大臣にお尋ねになりました。その業者テストの問題などというのはもう全国的にむしろセンセーショナルな焦点的課題になっておりまして、またエイズ教育の問題だって非常に切実な問題ですよ。この国会が終わりましたらまた予算の編成作業が始まるんですよ。教育費、教育予算の問題についてもいっぱい私たちは問題を抱えているんだと思うんです。そういう教育をめぐる、また文部省所管のいろんな問題をめぐる課題が山積している状況の中で、委員会審査がこの臨時国会でだった一日しかもしとれないということになりますと、大変なやっぱり国民の皆さんに対しても責任を負いかねるような気がしてなりません。 これは会期末は動くのか動かないのか私どもにはよくわかりません。しかし、正式に決まっているのは、参議院は五十日と決めましたけれども、衆議院の議決優先で四十日という会期で進んでいるように思いますから、あすまでですよ。もし、仮にも会期末が動くようなことになりますと、できるなら、委員長、こういう状況でございますので、この文教委員会が一般調査の時間を確保できるように、もう最大限の御努力をお願い申し上げたいと思うんです。文部大臣には文部大臣として、こういう状況の中でもしそういう状況になりましたら、ぜひこの文教委員会として一般調査の時間を確保するようにという積極的な御意思がございますか。委員長と大臣にお尋ねし、決意をお伺いしておきたいと思います。
○委員長(松浦功君) 各会派から理事をお出しいただいております。御要望のあることもよく承知をいたしております。全体の態勢を眺めながら理事の皆様と相談して日程を決めておるわけでございますので、ひとつ御了解をいただきたいと思っております。
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは委員会がお決めになることでございまして、国会は国権の最高機関でございますので、私どもは国会のお決めになったとおりに審議に加わって、あるいは御答弁申し上げているのみでございます。 ただ、私も立法府の一員であるということから申し上げれば、先生が冒頭おっしゃったことはまことによくわかるわけでございまして、日本の今までの国会のありようの問題、すなわち教育と同じでございまして、戦後これだけの経済発展をしてきたいきさつの中には、日本の政治の安定とかあるいは日本の政治の仕組みというのは意外とうまく機能しているじゃないかという面もあったろうとは思いますが、御承知のような時代にそぐわないような面が多々あらわれているわけでございまして、会期の最後になってしかこういう委員会が開けないというのも、まあそれが国会がとまるとか寝るとかというようなことに加えて、予算委員会は全閣僚が答弁は一回もなくても張りついていなくちゃいかぬのだ、総括といったらもう一歩も予算委員会室を出てはならぬというような、明らかに時代に必ずしもマッチしていない政治の運営が行われてきた結果がしばしばこういうような状態になってあらわれてまいると私は個人的に思っておりますし、そういう意味で国会内の改革とかあるいは政治改革とか大胆に進めていく必要があろうと存じます。
○上山和人君 委員長にぜひ、会期が動きましたら理事を通してまたお願いもいたしますので、真剣に御検討くださいますようにお願いを申し上げておきます。
○委員長(松浦功君) わかりました。
○上山和人君 それでは、本題に移ります。 先ほど森委員の方から補償金の返還問題、さらには消費税との関連などについて御質問がございましたけれども、いずれも今度の法改正に当たって、消費者といいますかユーザーが不公平感を抱かないように慎重な配慮がされているかということをただされたんだと思うんです。この新しい制度の導入の背景になっております昨年十二月の著作権審議会第十小委員会の報告にも、ユーザーの気持ちに十分留意して、そしてユーザーが受け入れやすいものにする配慮が必要だという趣旨の指摘がございますけれども、私たちはやっぱりこの制度を導入するに当たってユーザーに対する慎重な対応がなければならないと思っております。もう一方、この補償金を請求できる権利者の皆さんについても、やっぱり取り扱い上公平性が保障されるべきだと思っております。 そういう観点でこれから少し具体的な問題についてお尋ねいたしたいと思うんです。 まず最初に、何といいましてもこの制度を導入するに当たって、この制度のいわば中枢といいますか、この制度の趣旨が生かされて具体的に推進されるかどうか、まさにその成否を握っているのはやっぱり指定管理団体だと思うんです。 そこで、この指定管理団体の特に補償金関係業務について最初にお尋ねをいたしたいと思うんですけれども、指定管理団体の仕事というのは、最初にまず額を決めて文化庁長官に認可の申請をする、文化庁長官がそれを認可されるという仕組みになっていますけれども、この補償金の額の決め方が出発点として大変大事じゃないかと思うんです。補償金の額を決めるに当たって、まず指定管理団体は製造業者等を代表すると思われる団体から意見を聴取しなければならないとされております、この案では。 つまり、ここでメーカーの意思は反映される仕組みになっていますね。その場合、やっぱりメーカーの気持ちというのが十分尊重されなければならないと思うんですけれども、「製造業者等の意見を代表すると認められるもの」から意見を聞くとあります。どういう団体が製造業者等を代表する団体だと御認定になるのか。メーカーの意思が反映されるというのはそこしかないんですから、そこをひとつ最初にお尋ねしたい、どのようにお考えか。
○政府委員(佐藤禎一君) この制度の成り立ちは、一つにはその権利が侵害をされてきている、その権利者の権利を保障しようということがございますけれども、片方から見ますと、利用者の方々にとってもそれを簡便な形で処理をするという実益のあるシステムでございます。 すなわち、三十条をもとどおり複製権があるものといたしますと、個々の権利者と個々の利用者との関係の間でその権利義務を整理しなければならなくなりますけれども、これは個々にやっていくというのはとても大変なことなので、一括した処理をするという、それによってまた値段の低廉化も図るというようなことがこの制度の出発点として一つ埋まっているわけでございます。その上で、御指摘のように、指定管理団体というものが大変大きな役割を果たすということから、この管理団体につきましてはその要件を法定いたしますとともに、常日ごろの業務の執行に当たってこれを監督する権限を幾つかに課しているわけでございます。 一つは、法人の成り立ちとして民法三十四条に定める公益法人でなければならないということが ございますので、民法上の監督規定もございますし、それから今回著作権法で新たに付与されております百四条の八並びに百四条の九といったような規定が加重をされているわけでございます。 そして、核心の値段のところへまいりますと、その値段については文化庁長官の認可を要するものにするとともに、その認可に当たっては著作権審議会の議を経なければいけないというシステムをとることによって、公的なシステムといいますかウォッチというものが果たせるような仕掛けを幾重にもつくっているわけでございます。 そういうような前置きになりまして恐縮ですが、直接のお尋ねに近づいてまいりますと、もともと製造業者はその直接の権利義務のいずれにも立たないわけでございます。利用をしている人が義務者でありますし、著作権者が権利者でございますので、メーカーはその間に入っているわけでありますけれども、この全体のシステムをうまく利用してうまく動かしていくためにはメーカーの協力が不可欠であろうということで、特にこの法律によって協力義務を課し、全体としてスムーズな運営ができるようにしているわけでございます。 そういう立場でございますので、価格を決定をする際にこの指定管理団体は特にメーカーに対して意見を聞くというシステムを埋めて全体としてのそのバランスをとっているというような考え方でございます。 ところで、製造業者を代表する団体といたしましては、現在機器については社団法人日本電子機械工業会がございます。また、記録媒体につきましては社団法人の日本磁気メディア工業会というものがございまして、現在のところ発売をされておりますすべての機器はこれらの団体所属の会社で出されておりますので、こういった団体が考えられるというふうに思っているわけでございます。
○上山和人君 今の考えられていることにつきましてはよくわかりました。 この額がどういうふうに決まるかということについてはメーカーにとっては深刻ですよね、これは売れるか売れないかという問題に結びついていきますから。そういう意味で、やっぱりメーカーの意見を聞くということについてはメーカー側の不公平感が起こらないように、今大体の構想はわかりましたけれども、ぜひ今後慎重に対応していただきたいとお願いを申し上げます。 そして次に、そうなりますとメーカーの意思は反映される仕組みができている。今度はもう一方、管理団体が製造業者等の意見を聞いて長官に認可申請をする、その場合に審議会に語るとありますね。ここでユーザーの意見が反映されることになるのかなと思うんです。だから、ユーザーの意見がやっぱり反映されなければ非常に大きな問題になると思いますので、そういうふうに理解をしてよろしいですか。まず、ユーザーの意見が反映される仕組みはここだ、審議会に語るときだということで理解していいですか。
○政府委員(佐藤禎一君) それは極めて重要なポイントでございますけれども、その前に私的録音録画補償金の額については、今申しましたように百四条の六で認可を得なければいけない。その認可に当たっては、百四条の六第四項で一定の基準を設けております。「第一項の認可の申請に係る私的録音録画補償金の額が、第三十条第一項及び第百四条の四第一項の規定の趣旨、録音又は録画に係る通常の使用料の額その他の事情を考慮した適正な額であると認めるときでなければ、」認可をしてはいけないということが法律上の要件として書かれているわけであります。非常に抽象的ではございますけれども、まず法律上そういう制約を課している。 したがって、長官が認可をするあるいは審議会で審議をするという場合にはそういった要件に適合しているかどうかという尺度で見るわけでございますので、これが一つの担保になっておろうかと思うわけでございます。 それから、文化庁長官の認可そのものがいわば利害関係を越えて公益的な立場から判断をせいということでございますので、これも第二番目の公益的な判断でございますが、さらにそれに加えて、著作権審議会の議を経なければいけないという網をさらにかぶせているわけでございます。 この趣旨としては、著作権審議会では逆に関係の人たちも含めて多くの意見が示されますけれども、最終的には公益的な立場から意見が調整されるであろうということを期待しているというふうに理解するわけでございます。当然、その中には現在も消費者を代表するような方も参画していただいているわけでありまして、私どもこのことは今後とも心してまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。
○上山和人君 ユーザーの意見がどこで反映されるかという点は大変大事だと思うんですね。 今御説明いろいろございましたけれども、やっぱり文化庁長官が認可しようとするときは、七十一条の政令で定める審議会に諮問するとおります。 先ほどの参考人に対する質問の中で、いろいろ審議会の構成メンバーについて、肥田委員は若い人がいない、それから乾委員の方からは女性が少ないというようなお話がございました。そういうこととも関係があるんですけれども、文化庁としてどうなんですか、この審議会が非常にこれから大事な役割を担うことになるんじゃないでしょうか、この額を決めるに当たっても審議会に諮問されるわけですから。そうすると、今までの審議会のメンバーというのは平成三年十月七日現在の一覧表を私どもはいただいております。今はこれなんですね、審議会の構成は。平成三年十月七日現在の審議会のメンバーがそのまま生きているわけですね、そうですか。
○政府委員(佐藤禎一君) 平成三年十月一日付で発足をしております現在第十一期の著作権審議会の委員のメンバーでございますけれども、その後三人ばかりの変更があり、いずれも構成をする団体のエクスオフィシオ的に出ている方々の変更かと思います。基本的な構成の考え方は変わっておりませんけれども、具体的な人は一部変更がございます。
○上山和人君 新しい制度を導入される大変大事な出発点なんですけれども、この審議会の役割というのは、先ほどから申し上げているように、大変大事なときだけに現行審議会を改組なさるお気持ちがあるのかどうか。 先ほどから、いろいろ参考人に対する御質問の中にも私が今御紹介申し上げたような御意見もございました。そういうものも尊重しながら新たに審議会を再編成されるお気持ちはないか。特にこのメンバーが非常に重要な責任を持つことになるように思いますので、いかがでしょうかその点は。ちょっとお尋ねしたいんですが。
○政府委員(佐藤禎一君) 最初にお話がございましたように、私どもこの著作権審議会というものは大変大切な審議会であると考えております。 以前、著作権制度審議会と言っておりましたのを四十五年度の制度改正以来著作権審議会として、制度改正だけでなく多くの権限を付与され機能してきているわけでございます。引き続き大切にしていきたいと思っているわけでございます。 これは現在委員が二十人、それに臨時委員が十人発令をされておりまして、かなり多くの分野からの御意見を反映する人々にお加わりいただいているというふうに考えております。委員に直接加わっていただくやり方あるいはその委員会の中で関係者の意見をよく聞き取っていくという、運営の方法を工夫するというやり方もございます。私ども、当面今の審議会、これまで機能をしてきております著作権審議会というものを基本的な場所としていろいろな御検討をお願いしたいというふうに考える次第でございます。
○上山和人君 余り変える意思がないという御意向のように今お聞きするんですけれども、十五年来ずっと議論してきた新しい制度を発足させるわけですから、やっぱりその場合にはこの審議会の 機能についても新たな役割が加わるわけですから、できればそれは、基本的には今おっしゃるとおりのことでいいと思うんですけれども、先ほどから御紹介申し上げているような御意見も午前中にはありました。 私は今何を申し上げたいかというと、特にユーザーの意見が反映される工夫を具体的に示すことがこの新しい制度をスタートさせるに当たっては国民の皆さんに対しても大変いいんじゃないか、そういう決意をあらわす意味でも審議会についてはこの制度の趣旨に沿って補強するということが具体的にあってしかるべきだと思うんです。ぜひそこのところは少し責任を持ってはっきりしていただきたいんです。 午前中の意見、今私が申し上げているユーザーの意見を反映できるように工夫する、メンバーになるように補強するということについてはぜひお約束いただけないでしょうか、いかがでしょうか。
○政府委員(佐藤禎一君) 先ほど申しましたが、文化庁長官が額の認可につきまして審議会に諮問をするというふうなシステムをわざわざとっておりますのは、この報酬制度にかかわります関係者が大変多い。個々の権利者はもちろんそうでございますし団体そのものも、あるいは購入者としての利用者、製造業者、そういった多くの方々が関係者として入っておりますので、それらの多数の意見を適切に反映させるということが必要だろうということが基本的にあるわけでございます。 お話しのように、私ども基本的には今の審議会はうまく動いていると思いますし、また今も申しましたように一部消費者の意見を代表する委員も入っていただいておりますし、また工夫を凝らしていろいろな機会に御意見を直接お伺いするというような運営も可能であろうと思っております。しかし、そういう工夫、改善も必要でございますけれども、今御指摘のようなことも私どもとしてはひとつ頭に入れて検討させていただきたいと思います。
○上山和人君 やっぱり大変消極的なお答えだと率直に思うんですね。基本的にはよろしいと思うんです、前段ではっきりお答えになりましたように。でもやっぱりプラスして、新制度を発足させるわけですから、その制度の趣旨に沿って補強するということについては誠意を持ってひとつ御検討いただきたい。どうも私には消極的に聞こえてなりません。もう少し積極的に、せっかく参考人に対する質問、こうした審査をしているわけですから、意見を尊重してほしいですね。積極的にぜひ御検討ください。強く御要請を申し上げて、次の質問に移りたいと思いますが、文部大臣の御決意があれば……。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 次長と答弁が変わるわけではありませんが、先ほど映画の御質問が出まして、昔は映画というのは大変な文化の大中心の一つであったと思っておりまして、そのころに映画に関する著作権を権利構成していた著作権法は今の時代から見ると、例えば「田原坂」は里見浩太朗がやっているからいいんだといって見てくるんだけれども、その里見浩太朗さんには著作権も隣接権もないということで、今の時代になってみるとどうかなということを二次的利用がこれだけ盛んになってくるとみんな考えるようになる。 しかし、じゃ映画でそういう著作権者や隣接権者の範囲をふやしていけば当然映画の料金あるいは借りた場合の料金にも影響するかと思いますが高くなるわけでございまして、そこには常に著作権者というものあるいは隣接権者というものとユーザーとの間のバランスの問題というのが存在するところに著作権制度の非常に難しい部分があろうと思っております。 今回の補償金の問題も思い返しますと、今際で聞いております吉田茂さんという文部省の官房長が著作権課長のころに貸しレコードは合法だと言い、私は違法だと言い、大変な大論争をやったことがありますが、要するに、そのころから私もいろんな著作権にかかわってまいりましたが、バランスの問題というのがいつも議論をされてまいりました。 そういう意味では、今文化庁次長がお話をいたしましたように、当然そういうバランスを考えて金額の設定がなされていくわけでございますから、審議会の構成等については私は詳しいことはわかりませんが、この法律では十二分にそういう点は担保されているというふうに考えております。
○上山和人君 質問を移そうと思いましたけれども、せっかく文部大臣がお答えになり、幸いに御意見をいただきました。 先ほど申し上げましたけれども、昨年十二月の著作権審議会第十小委員会の報告も、ユーザーの気持ちを大事にしてユーザーが受け入れやすいものとする配慮が必要だというふうに指摘してあるわけです。そういう審議会の報告にもやっぱり具体的にこたえる必要があるんじゃないですか。 もう大臣も、それから次長もおっしゃる基本的な考え方はわかるんです。その上に、くどいようですけれども、こういう大事な日本の文化のレベルが問われるような制度をスタートさせることになるわけですから、やっぱり目に見える誠意を、ユーザーの意見が反映される工夫をしたという、この跡が国民の皆さんに見えるようにしてほしい。ユーザーが不公平感を抱いて問題を持つようになるとこの制度はやっぱりスムーズに推進されないと思いますので、その点は大変大事ですから余り消極的にお考えにならないで、大臣が立たれましたのでひょっとしたらもっと積極的な御意見、お答えをお聞きできるんじゃないかと思いましたけれども、少しその点は大臣らしくないと思います。ぜひ、積極的に審議会のメンバーの選定につきましては御努力くださいますように重ねてお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。よろしゅうございますか。 つけ加えて、少し蛇足になるかもしれませんけれども、この審議会に諮問して、指定団体から申請のあった額を変更することがありますか。
○政府委員(佐藤禎一君) お尋ねの趣旨がやや正確に受け取りかねますが、一たん認可した額を将来変更することがあるかという……
○上山和人君 いや、そういう意味じゃありません。指定団体が額を決めて長官に認可申請をしますね。そして、長官が審議会にお諮りになってお決めになりますね。審議会にお諮りになって、指定団体から申請のあった額が変わることがあり得るんですかとお尋ねしたんです。
○政府委員(佐藤禎一君) 制度としてはございます。それは例えば、先ほど読み上げました要件というものが法律上書いてあるわけでございますので、その要件にもとる額であれば当然認可はできないわけでございます。
○上山和人君 わかりました。 その次に、それでは具体的な補償金の額について少し不明な点がございますからお尋ねいたしたいと思うんです。 午前中の参考人に対する皆さんの御質問の中で少し明らかにされた経緯がございますけれども、この法案が成立をしましてから管理団体が指定されて、いよいよこの制度が具体的に進められていくということになると思うんですけれども、こういう法律改正案を提案なさるに当たって、既に関係者の間で補償金の額について一定の合意がされたというふうにお聞きいたしております。午前中の質問の中でもう額が決まっているかのような表現がございましたけれども、それはないはずでありまして、新しい制度がこの法律が改正された後具体的に発効するわけですから。したがって、これまでの過程の中で関係者の間で合意された補償金の額についての具体的な構想がございましたら、もう一度明らかにしていただけますか。
○政府委員(佐藤禎一君) 補償金の額につきましては著作権審議会第十小委員会の報告を受けまして、その報告の中では今後関係者でよく協議をしなさいというようなことがございまして、私ども昨年の十二月に関係者の協議の場でございます私的録音・録画問題協議会というものを設けまして、この場において関係者の参画を得て金額につ いても話を詰めてきたわけでございます。 その中身でございますが、機器については制度導入後三年目に卸売価格の二%とするが、初年度及び次年度は卸売価格の一%とする。なお、報酬額の上限として、シングルデッキの場合千円という上限を設けてございます。それから、記録媒体につきましては制度導入後三年目に卸売価格の三%とするが、初年度及び次年度は卸売価格の一%とするというものが二つ目でございます。三つ目に、四年度目以降の額については、機器、記録媒体のいずれについても三年目に入ったときから見直しを行おうということが合意されているわけでございます。
○上山和人君 よくわかりましたけれども、端的に、事務的な質問で恐縮ですけれども、機器については上限千円が設定されておりますね。しかし、機材については上限の設定がございません。 これはどういう意味ですか。機材についてはとても上限を設定するまでもなく、そんな大きな額にならないという実態から上限設定がないのかどうかその点だけちょっとお答えいただきたい。
○政府委員(佐藤禎一君) そのことは大きな理由になってございます。 機器について申しますと、これは価格帯が大変広範囲にわたっている、高いものから安いものまでいろいろな仕様のものが出てきている。それから、複合機器のようなものがございまして、どの部分を取り出して録音・録画機器であるかということが判定をしにくいといったような場合に大変大きな額になる心配がございます。そういったふうに額にぶれがございますので上限を設けている。 それに対して、記録媒体の方は単価が相対的にまず安い、今御指摘のとおりでございます。そしてまた、価格帯も現状で見ますと比較的集中をしておりまして、そういった大きなばらつきもないというような実態を受けてのことでございます。
○上山和人君 四年目以降については三年目に見直しを行うとされていますけれども、その見直しをされる場合も上限千円については変わりがないと考えていいんですか。
○政府委員(佐藤禎一君) 見直しを行う範囲については特に限定をしておりませんで、上限のことも含めて見直しが行われる可能性がございます。 もっと申しますれば、現在この額を定めますに当たりまして、これは一体定額で決めるべきものか定率で決めるべきものかという議論もありました。もろもろの要素を皆さんで相談なさってこういったところへ落ちついているわけでございますけれども、四年目以降この機器の普及状況等をよく見ましてまた考え直すということはあり得るわけでございます。
○上山和人君 そうすると、上限の千円というのも動く可能性があるわけですね。 私が今御質問申し上げておりますのは、四年目以降のことについて三年目に見直しを行う。やっぱりだんだんこれは消費税じゃありませんけれども、その額がふえるようなことになることをみんな、特にユーザーの側は、消費者の側は懸念していると思うんですね。それでお尋ねをしたわけですけれども、この上限の千円というのも変わり得るという見直しなら見直しのたびにどんどんこれがふえていくんだという、そういうものではないということが国民によくわかるようなやっぱり措置の仕方というのが必要じゃないかと思います。 その点は非常に大事なことじゃないでしょうかね。見直しのたびにふえていくんだという印象を国民が持たないようにする必要があるんじゃないでしょうか。その歯どめとしてどういうことをお考えになっていますか。
○政府委員(佐藤禎一君) システムとしてこれに歯どめをかけるのは、まさに先ほどの、抽象的ではございますけれども、法律上の基準というものが決められているわけで、それに則した適正な額でなければいけないということと、その認可の際の手続で審議会への諮問を義務づけている、こういった形でこのことを保障していきたいと思っています。 ただ、申しましたように、これは今まで幾らであったかというその事実が消えるわけではなくて、それを受けながら検討されるということになるというのが実際問題としての運びであろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、しかし千円は絶対に超えないというようなことは難しいわけで、それは全体の状況を見ながら適正な額を判断していくということになろうかと思います。
○上山和人君 額の決定、そして見直しについてはユーザー側の関心が非常に当然のことながら強い問題でありますから、ぜひ無際限にこれが膨らんでいくということにはならないんだということについて十分機会を見て御説明をして、そういう無際限に膨らむようなものにならないような努力をぜひしていただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。 次に移りますが、改正案の第百四条の三の三号に、権利者団体が具備すべき要件として「構成員が任意に加入し、又は脱退することができる」ものでなければならないというのがあるんです。権利者も権利者の団体に加入しまたは脱退することは任意でなければいけない、自由でなければいけない、それが大事だという構成要件についての規定があるわけです。 その規定から見ますと、権利者の団体に所属していない人にも補償金を分配することになる。権利者の団体に加盟、加入していなくても権利者には補償金を分配することになると思うんですけれども、そのように理解してよろしいですか。
○政府委員(佐藤禎一君) 前段にお尋ねのその百四条の三の第三号のロにございます「構成員が任意に加入し、又は脱退することができる」という構成員は構成団体の構成員のことでございます。この指定団体は、現在それぞれ団体を構成員とするということが考えられておりますので、ここの構成員は個々の権利者を指すものであります。これはそれぞれの権利者団体の中での今度は取り扱いの問題になるわけでございます。 そこで、別のお尋ねとして、いわゆるアウトサイダーというものの関係はどうなるかということでございますけれども、このシステム全体は個々の利用行為を正確に把握することが困難でございますし、使用の量などに基づかない包括的な支払いでございますから、これは指定管理団体が一括してこれを取り立て、そして分配をするわけでございます。そういうことを考えますと、実際の運用の中に当たりまして、いわゆるそれぞれの権利者団体に加入をしていないいわゆるアウトサイダーについてもその利用実績が出てくれば当然配分をするという関係に立つわけでございます。
○上山和人君 わかりました。そのことが明確になればそれでいいんです。 それで、時間がなくなりまして大変急いでおりますけれども、大事なことは、いよいよスタートしまして指定管理団体ができる。そして、額を決めて長官に認可申請をして認可されたらいよいよ管理団体の業務として補償金を徴収するといいますか納入される補償金を管理する、そして権利者に分配するあるいは共通目的事業に支出する、そういった業務が具体的に出てくるわけですけれども、今の段階で収入予測といいますか、補償金が総額大体どれぐらい集まると言ったら語弊がありますか、収入予測が幾らぐらいと想定されているかということ。 もう一つは、この指定管理団体の運営費はどこから捻出されるのか。つまり、そのことと関連しまして、権利者に分配する額は総収入の全額なのか、総収入のうちの例えば運営費なりを差し引いた額になるのか。そして、共通目的事業に支出する二割はどの二割なのか。この補償金の総額、収入総額の二割なのか、一定経費を差し引いた後の二割なのか。そこは非常に大事なことのように思いますから明確にしておいていただきたいと思い ます。
○政府委員(佐藤禎一君) これは見通してございますので必ず当たるかどうかわかりませんけれども、現在推計をいたしておりますのは、平成五年度の売上高として約四百億円という推計をしているわけでございます。それをもとにして計算をいたしますと、これは機器と機材の割合をどう見るかというようなことがございますけれども、おおよそ二億数千万円の補償金が入ってくるというような推計になってございます。 なお、平成七年度、さらに二年後でございますけれども、これは総売上高一千億円程度となり、この指定管理団体には総額で十三億数千万円程度の補償金が入ってくるという推計をしているわけでございます。 ところで、指定管理団体は法律上民法三十四条に基づいて設立をされた法人でございまして、この民法法人の基本的な管理運営の経費については補償金業務とは関係がございませんので、これはこの団体を構成するそれぞれの団体からの会費によって賄われていくだろうと考えているわけでございます。しかしながら、分配に要する費用につきましては補償金関係業務の支出に不可欠な支出でございますので、これは徴収した補償金から経費として支出をするということにならざるを得ないだろうと考えております。
○上山和人君 そうしますと、収入総額の中から運営費をまず差し引きますね、指定管理団体の運営費。そうなんですね。そして、その残りの二割を共通目的事業に支出する、その残りを分配の対象額とするということになりますね。
○政府委員(佐藤禎一君) 運営費は補償金からは賄わないと。運営費はそれぞれ構成する団体の会費で賄っていただいて、これは補償金業務とは無関係に処理をしていただく。したがって、補償金で得た額の中から調査等々の経費的な金額を引きまして、それを八割、二割と分けると、こういう関係になるわけでございます。
○上山和人君 わかりました。 その二割につきましては、「二割以内」で支出を決めるとありますけれども、これは「二割以内」とありまして、二割と明確な規定がないんですね。「二割以内」のどこにするというのは管理団体が自主的に決めるんですか、長官がお決めになるんですか。
○政府委員(佐藤禎一君) この共通目的に使用する額は政令で定めることにいたしておりますので、私ども政府で決めることになります。 その二割の金額は上限で、「二割以内」でございますので、法律上上限として与えられているわけでございますけれども、当初の売上額等から見れば、スタートの時点では私ども二割と指定をすることになるだろうと思っております。それ以降は全体の状況を見てまだ判断をするということになろうかと思います。
○上山和人君 わかりました。 そうしますと、共通目的事業に対して政令で定める二割以内の額が支出をされていくことになるわけですけれども、共通目的事業の事業主体というのはどこなんですか。管理団体そのものなのかあるいは管理団体が別に委託をすることになるのか。管理団体そのものが事業主体になるとすると、管理団体から管理団体へ支出されるという仕組みになりますので、大変大事なチェック機能がそこで働かなければいけなくなるのではないかと思うんです。そこはどのようにお考えですか。
○政府委員(佐藤禎一君) この共通目的事業の実施主体は指定管理団体でございます。もちろん、指定管理団体が扱った事業に支出することにした経費をどこが実際に実行するかはまた別の話でありますけれども、形としては指定管理団体が共通事業を実施するわけでございます。 そこで、今御指摘のように、これは大変重要な仕事であるのでチェックが大丈夫かということになりますけれども、法案の中の百四条の八第三項で、特に共通目的については文化庁長官の命令が発せるというような形をつくって担保しているわけでございます。
○上山和人君 こう見てまいりますと、この指定管理団体の責任というのは非常に大きいように思うんです。 そこで一体、指定管理団体の具備すべき要件というのは明記されておりますけれども、この指定管理団体が補償金関係業務を滞りなくこの制度の趣旨に沿って進めていく上で必要な組織、機構あるいはそれに伴う必要人員等をどんなふうに構想されているのか。 最後の質問になりますけれども、この指定管理団体の運営を誤るとこの制度は挫折すると思いますので、そういう意味も含めてこの管理団体の組織、機構あるいは運営要項といいますかそういうもの、必要人員等をどのようにお考えになっていらっしゃるのか最後の質問としてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) この法案の中では、御指摘のように、加重要件として幾つかの要件を定めておりまして、その中に、的確な業務遂行能力があることというような抽象的な表現で規定をしてございます。 これは実は前例がございまして、実演家あるいはレコード製作者についての商業用レコードの二次使用でありますとか貸与権の場合に同じように団体をつくって処理をしてございますけれども、そこに同様の文章の規定が置かれているわけでございます。それらの前例を拝見して全体の運営を見てみますと、この的確な遂行能力というものは、一つには定款でありますとか組織規程あるいは業務執行規程などによって人的な組織あるいは業務執行体制が十分とれているかどうかというようなことをチェックいたしますし、もう一つには、役員、事務職員等の現実の事務処理状況によって権利者の権利を法律どおりに実行できているかどうか、そういうものをチェックしていくというふうに解釈されているわけでございます。 いずれも抽象的で大変恐縮ですけれども、具体的に何人いてどうやればというのはこれから関係者の間でも案を詰めると思いますし、私どもは、今申しましたような抽象的なクライテリアではありますけれども、それに別するものかどうかというのは十分チェックをしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○上山和人君 特に、大臣にお願いをしておきたいと思うんですけれども、私がお尋ねしたかった問題は三分の一ほどしか質問できませんでした。残りの問題につきましては、この後の委員の皆さんの御質問によって解明されることを御期待申し上げたいと思うんです。 午前中、参考人への御質問に対して両参考人から、この法律改正案については大変満足している、満足度が高いというお話がございました。森委員からも指摘がございましたけれども、またも映画監督の皆さんの問題、メーンスタッフの皆さんの問題などが積み残されてスタートすることになりますので、どうぞそういう人たちのことをやっぱりお忘れにならないで、できるだけ早くそういった積み残された人たちの問題を解決するように精いっぱい御努力をお願い申し上げたい。 なお、そういう問題、残された課題等につきましては、ぜひ附帯決議という形でも結構ですから明記して今後の課題として引き継いでくださいますように、委員長にもぜひそういう処理もお願い申し上げたい。 今後のことについて、最後に、大臣に一言御決意をお伺いして、質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 科学技術の発達とかあるいは国際的な潮流とかあるいは生活様式の変化というようなことで新しい著作権の問題というのが常に生じてまいりまして、新しい社会情勢その他の要素と著作権法というのはしばしば追いかけっこをしているような、追いかけっこといっても時代が先へ行ってしまうので著作権法が後から追いかけていくということなのかもしれませんが、そういう要素が間々非常に色濃くあらわれるケースが多いと私は考えております。 ですから、積み残しとおっしゃった先生ではありますけれども、確かに今までの著作権法でこれではおかしいのではないかという幾つかの問題、あるいは間もなく科学技術的にいろいろ出てきそうなマルチメディア等の問題とかあるいは社会の風潮や社会生活の変化に伴って音楽の再生演奏とかあるいは映画の二次利用とか非常に頻繁になってきているものにどう対処するかとか、そういう幾つかの問題については常に著作権法を時代に合うように見直していく必要があるだろうと考えております。
○山下栄一君 公明党の山下でございます。 今まで各同僚委員の皆さん方から非常に細かい、また適切な御質問をいただきまして、僕自身が非常に啓蒙される面があったわけでございまして、この法律案につきましては非常に私自身の初歩的な問題点、疑問点といいますか幾つか確認させていただく程度になると思いますけれども、少し確認したいと思うわけでございます。 まず、先ほど来ずっと問題になっておりました映画づくりの問題でございますけれども、著作権法制定当時の状況から映画づくりの実態も大分大幅に変化してきておると午前中からいろいろとお話ございました。特に二次利用の問題とか、また映画製作会社自身が映画をつくるよりも配給の方が中心になってきておるというふうな時代の大きな流れの変化があるわけでございます。 そういう意味で、さまざまな映画づくりに携わっておられる皆さん方の諸権利を守るために、やはり時代に見合った権利を保障していく体制を整えていかなくちゃならないと思うわけでございますけれども、経済的な不利益をこうむる問題につきましては、特に監督の皆さん、そしてまたメーンスタッフの皆さん、俳優の皆さん、これにつきましてはさまざまな、特に審議会の第一小委員会でしたか御検討いただきまして、映画製作者関係の契約時における保障、このためには文化庁もいろいろかかわっていただいて、出てきた内容が不満にならないようにという御努力があるわけでございます。協議会もつくられたし、またそれも何度か行われているという話も聞きました。そういう経済的な不利益をこうむらないようにという面での保障の体制はできておると思うわけでございます。 私は、この法律の権利主体といたしまして、特にこの第二十九条の見直しをやる必要があるんではないかなと。この法律の条文によりますと、「映画の著作物の著作権は、」「当該映画製作者に帰属する。」、こういうふうな内容になっておるわけでございますが、この条文ができた当時とは大分もう実態がかけ離れてきているのではないかなということから、この二十九条を見直しまして著作権の権利主体として映画監督または俳優の皆さんを明確に保障する必要があるんではないか、こういう状況になっているのではないかなというふうに思うわけでございますが、この点お聞きしたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) ただいまお話ございましたように、映画監督は現行著作権法上、映画の著作物の著作者ではありますけれども、映画製作に参加を約束したときには製作者に著作権が帰属をするという二十九条が設けられているわけでございます。 この問題については関係者からの御意見もいただき、そしてまた著作権審議会の中での御披露もあって、これまで議論もされてきているわけでございますけれども、著作権審議会での現時点での判断としては、この二十九条を改正するということについてはいろいろ御意見はあるけれども、なお関係をする、及ぶところが大きいという、全体として、先ほどちょっと御紹介をいたしましたように、広範な影響力とかあるいは関係者がたくさんいて権利の円滑な処理ということに問題がある、あるいは先進諸国の制度との国際的調和を図るというような必要があることから直ちに制度改正を行うことは困難だという判断をしているわけでございます。 ただ、そのようなことではございますけれども、しかし特に二次利用というものを取り出してみますと、当初予想をされなかった二次利用の形態というものが幅広く行われるようになってきている、したがって、これについての経済的な対策が必要ではないかという問題意識があるわけでございます。そのことについては一方映画監督と製作者との間の契約事項でもありますので、これはその契約時にある程度のそれ以後を見通した有利な契約をするという努力もまた一方で必要でございまして、そういった契約については実態として幾つか進みつつある状況でございます。しかし、現在の映画の製作者がいわゆる大手の製作者だけではなく多くの製作者を持っておりますので、全体にわたって円滑なルールができ上がるというところまでは至っていない。 そこで、先ほど来御紹介をいたしましたように、この第一小委員会では検討を継続しながらも、文化庁において関係者の協議を積極的に支援することを進めなさいというような報告をいただいたわけでございまして、そのために協議会を設け検討を重ねてきていただいている、こういう状況にあるわけでございます。
○山下栄一君 私は、その製作スタッフと映画の製作会社の社長さんといいますかの契約によってさまざまなスタッフのメンバー、監督も含めてですけれども、権利を保障していくという方式ではなくて、やはりこの第二十九条の法の権利主体の中に明確に著作権者の、監督を含めそういう方々、俳優もそうですけれども認定してあげないと、レコード等の製作との比較の上からやはり整合性を欠く、このように思うわけでございまして、この法の権利主体であるかどうかということは大変大きな人権にかかわる問題なので、時代の趨勢からやはり権利主体者として認めてあげるべきである、このような法改正を行うべきである、このように思うわけでございますが、大臣、お願いします。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 映画のお話は先ほどから何度となく出ておりまして、正直申し上げて私にはよくわかりません。ただ、先ほど森先生が、私の年がわかっちゃうんだけれどもなんということで映画のお話をされました。別に年齢の比較をしているわけじゃありませんけれども、やっぱり私の子供のころもちょうど映画全盛期だったと思います。 ちょっと、全然関係ない話をして申しわけありませんが、藤子不二雄さんという漫画家がいますね。日本海側、富山かどちらかから上京されてきて大変な漫画界の第一人者になられたわけですが、あの二人が御自分たちの伝記を「まんが道」という本にしておられて、それを実は最近私ずっと読んでおったわけであります、子供が持っておったものですから。そうしますと、当時の彼らの文化的な刺激というのはもうすべて映画なんですね。彼らが大尊敬をしております「鉄腕アトム」の手塚治虫さんに例えば映画に連れていってもらったとかとにかくもう休みといえば映画。映画を見なければ次の漫画の想は出てこないという、そういう時代の映画というもの、まさに一世を風靡しておった、日本の文化を支配していた映画というものをどういうふうに権利構成しようとしたかということが今でも残っているんだろうと私は思うわけです。ただ、映画の場合は関係者の数が大変多いわけですから、そういう中で今のような方法で著作権を考えたのであろうというふうに、私はこれ専門家でありませんので想像をしているわけでございます。 ただ、二次的な利用がこれほどまでに盛んになりますと、本当にそれでいいんだろうか。先ほど私は里見浩太朗さんが出ているから映画を見たんだとかビデオを借りるんだという話を私の心理的な実際の例として申し上げたわけでございまして、その辺をどう権利構成するかというのは非常に難しい問題だと思いますが、いずれにしても真剣にまじめに考えなければいけないこととは考えております。
○山下栄一君 将来的には、私も第二十九条の内容というのは時代の産物であるというふうに思いますので、附帯決議の中にも入っておるわけでございますけれども、第二十九条の見直しも含めまして今後ぜひとも検討をお願いしたいと思います。 それから、指定管理団体の問題につきまして先ほど細かくまた詳しく上山委員の方から御質問がございましたわけですけれども、ちょっと私も指定管理団体のイメージ等がわかりにくいんです。 運営体制でございますけれども、さまざまな権利団体はその構成メンバーである個人を含まないということをお聞きいたしました。この役員体制ですね。運営のお金につきましては会費で賄うという、こういうようなことでございましたけれども、この辺はもう少し具体的な運営体制のお話をお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) この指定管理団体は法律的な機能を持つ重要な団体でございますし、それゆえに法律的に多くの規制、監督規定がかかっているわけでございます。 しかしながら、あくまでもこれは私権を集中的に整理する私的な団体という性格が基本でございまして、それを構成することになるでありましょう音楽著作権協会でありますとか芸団協でありますとかレコード協会、そういったところから構成をされて自主的にその構成を決めておいでになるべき性質のものでありまして、私どもが、さっき申しましたように、抽象的なかかわりで遂行能力があるかとかそういうことはチェックをしなければいけませんけれども、個々にどれくらいの体制でどのような人がということについては余り口を差し挟むということは適当ではなかろうと思っておる次第でございます。
○山下栄一君 百四条の八、ここに指定管理団体が集まった補償額の二割以内で行う事業につきまして、「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業」、もう一つ、「著作物の創作の振興及び普及に資する事業のために」、集まった補償金の「二割以内で」「支出しなければならない。」と、こう書いてあるわけでございます。 集まった補償金につきましてはできるだけたくさんのお金が直接著作権者その他の権利者にやっぱり行くべきであろうかと思うわけでございますが、二割以内でこういう事業を行うというふうな規定になった例はほかの国にもあるわけでございますか。
○政府委員(佐藤禎一君) これは外国にもございます。ございますが、やり方自身はいろいろなやり方をしておりまして、法律できちんとそのことを設けているものとそれぞれ関係者の間で協議をして決めようというようなことにしているもの、さまざまでございますけれども、こういったものを設けている国は多うございます。 また、割合もさまざまでございまして、法定されているものを私どもなりに調査いたしますと、少ないものは一五%、多いものは三分の二、六七%というような高率のものまでさまざまな例があるわけでございます。
○山下栄一君 二割以内と申しましても相当な金額になると思われますので、そういう意味で、ある程度法律の中にこういう事業という特定をしておいた方がいいのかもわかりません。 二つの事業を書いてあるわけですが、文化庁の方でそれ以外に考えられる事業はございますのでしょうか。例えば、先ほど午前中もございましたけれども、指定管理団体が集まったお金の二割以内で行う事業といたしまして、特に著作権に関する一般国民への啓蒙等、そういう内容なんかも入れた方がいいんじゃないかと思うわけでございますけれども、この二つに限定されているということでございますか。
○政府委員(佐藤禎一君) 共通利用の目的につきましては百四条の八に定められているわけでございます。これは読んでいただきますと、「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業」というのが一つと、それから「並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業」、この二通りを書いてあるわけでございます。 この共通目的の事業というものは、もともとこのお金は権利者に帰属をすべきものではございますけれども、しかし調査の精度等、経費の都合でどうしてもこれは一〇〇%正確に実態を調査することはできません。したがって、精度の関係でその調査から漏れてしまうというようなケースもございますので、むしろ間接的な助成といいますか間接的に使うことによって著作権全体に裨益をするということが目的とされているわけでございます。
○山下栄一君 先ほど申しました一般の国民への啓蒙等の事業は入っているわけですね。 ちょっと別の観点でございますけれども、先ほども上山委員の方から機器には一%、二%、媒体にはという話がございましたけれども、価格に上乗せする補償金の具体的な割合でございますけれども、機器と媒体で扱いが少し違いますね。その理由はどういったことですか。
○政府委員(佐藤禎一君) 数字的に積算を詰めていったわけではございません。経験的なところが多いわけでございますし、また全体として言えますことは、先ほど申しましたように、機器の場合は比較的高額なものでございます。現状で生み出されておりますものを見ましても数万円、それも十万円に近い数万円から上の価格帯にあるものでございます。それに対して、記録媒体の方は極めて単価が低いというような実態を踏まえながら考えたものであるというふうに思ってございます。
○山下栄一君 機材の方、媒体の方が初年度、二年度は一%で三年度から三%と。順次引き上げるわけにはいかないのかなという、そういう素朴な疑問なんですけれども。
○政府委員(佐藤禎一君) ちょっと正確に御質問の意味を取りかねますが、順次引き上げる、経過措置として三年目には三%にしたいけれども、初年度及び次年度は一%というような金額を設定するということを合意しているということでございます。
○山下栄一君 それはわかっているんですけれども、機器の方は初年度一%、二年目は二%でしたね。違いましたですか。
○政府委員(佐藤禎一君) 失礼いたしました。 機器につきましても、三年目が二%で一年目及び次年度は一%でございます。
○山下栄一君 わかりました。 それでは、機材の方も三年目二%という同じ扱いにならないのかなと。扱いを変えた理由をちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) それは、まさに全体として単価のおよそ違うものでございます。機器の場合は数万円でございますけれども、機材は恐らく千円程度のものでございますから、それによって得られる補償とかそういったことも総合的に勘案をして決定したものだと思っております。 なお、これはごく直近にはアメリカでこの十月にデジタル機器について録音につき補償制度ができたばかりでございますけれども、アメリカの方で実施を予定されておる金額の考え方ともほぼ似ているような状況、つまり外国の状況をも参考にしながら決められているということも要素としてはございます。
○山下栄一君 私もなかなか細かい内容等、具体的にわからない面がたくさんございまして、非常に基本的な質問で大変御迷惑をかけたわけでございますけれども、日本の国際化が進む中で知的所得権の方に関する意識につきましても特にこれからどんどんと啓蒙していき、また教育現場でもそういうふうな内容のことを教えていく時代にきているというふうに思うわけでございまして、この改正法につきましても余り報道もされておりませんもので、そういう観点からも特に一般国民の啓蒙につきましても文化庁の方の御努力を今後ともお願い申し上げたい、このように思うわけでございます。 それで、あと一般質問的内容になって大変恐縮でございますけれども、次に開かれる文教委員会が来年の通常国会しかないということでございますもので、少しトピックな問題、特に大臣の方にお聞きしたいなと、このように思っております。 先ほども森委員の方から少し御質問ございました業者テストの問題でございます。 このことにつきましては、特に中学三年生の進路指導のあり方、また見直し、そして偏差値依存体制の見直しにかかわる問題であろうかと思うわけでございます。今回の動き、また大臣等の発言も業者テストそのものを一切なくしてしまえということではないとは思うわけでございますが、さまざまな問題が取り上げられているんですけれども、今回特に大臣が厳しく御指摘になったポイントといいますか、業者テストの何が、どこが問題なのかという、そのことについてちょっと確認しておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 一般論として申し上げて、私は業者テストそのものを否定しているわけではない。なければない方がいいものとは思いますが、業者テストというものがそもそも白昼堂々と授業時間をつぶして行うということはもうやめていただきたいと思うわけで、それは例えば学校五日制の議論をして、月二遍にするにはどういう問題がありましょうと言うと、もう皆さん、一日というのがいかに大変か、一日授業をつぶした場合に、一日休みがふえたときにこれを取り返すのがいかに大変かということをさんざんおっしゃるのに、業者テストで授業を五回も六回も十回もつぶしている例があるというわけですから、そういうことから考えてもまことにおかしなことで、白昼堂々やるということはやめていただきたいとまず思うこと。 結局は、その利用の仕方なんで、これが便利ということで、決して公のものではありませんから試験期日がずれておって情報が飛び交って、決して正しい成績が出ているとも言えない。しかも、どちらかというと何となく学校が打ち合わせして、一つの県をできるだけ一業者か二業者で、それだけ何というんですか汎用的に広く同じ試験をやれば偏差値を出した場合に権威がつきますから、そういうようなやり方でこれを利用して、事実上この偏差値をもって私立の高校との事前相談とか推薦入学とかいろいろ言いますが、その事前相談というのが事実上の、一応試験は受けるけれども、単願で偏差値が幾つで、まあこんなもので手を打ちましょうというようなことが行われてきていると。 新聞報道によると、抱き合わせ入学、合格などという恐ろしい話も一部にあるようなことが言われていたり、実質は試験を行っても入学枠の九割までをそういう事前相談で決めてしまうというようなことになる。あるいは、塾の介在がうわさされるようなことすら報道されていくということになれば、もはやこれは教育界であってはならない姿というものがそこにあるように思えてならないわけでございます。 ですから、業者テストというものを何らかの形で、日曜日でも結構ですが、子供たちが何人か受けてみたと、こんなような点数だったと。点数が出れば偏差値というのも出るかもしれない。それを中学側の先生たちが見ておって、この子はふだんの試験ではこんな成績だし、こういう業者のテストではこんなもので、スポーツはこの程度得意でボランティアはこのくらいやっておってということで判断して、君々こういう学校を受けたらどうかねというのであるならば、それはいわゆる子供を多面的に見て、子供の個性を見詰めて、決して物差しの上に並べるというやり方でない進路指導というのは正しい進路指導であって、そのときに例えば一回、二回業者テストは受けたとかどこかの模擬試験を受けた結果を先生が参考にするというのは当然あってしかるべきことであります。 でも、実際はそういう行われ方でなくて、全県下でほとんど同一の試験が行われて、その偏差値でその人間の背番号が決められていって、偏差値が幾つだからおまえはここへ行きなさいというか受けなさいと。受けなさいということと行きなさいということが実は連動しているケースが多いということを聞いて、私はやや、本当に遅かったんですが、これほどひどいものとは思わなかったというふうに自己批判もし国民に謝りつつ、このことをアリの一穴としながらも、大きな偏差値偏重社会、学歴偏重社会に挑戦することをもししないならば教育改革は一歩も歩むことができないだろうという認識で今仕事を最後の数日させていただいているところでございます。
○山下栄一君 じゃ、今の大臣の御答弁から考えますと、例えばそういう民間の業者テストの結果に基づいて私立高校の合否判定の材料にまで使われているということは大変よくない。また、子供をそういう偏差値によって序列化してしまう、そのこと自身が大変だめなんだというお話から考えますと、一部報道された記事の中に、業者テストにかわる例えば公的機関による統一テストみたいなものを導入したらどうかというようなお話が大臣からあったというように聞いたんですが、これは似たようなことになってしまうと思うのでございまして、実際そのことについてはどうでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、業者テストにかわって、いわゆる民法法人であるかあるいは公的な団体であるかわかりませんが、そうしたところが行う統一テストのようなものはいいのではないかということは一度も申し上げたことはありません。 むしろ、そういう公的な試験であるならばいいだろうという発想は、結局はその人間を全部一つの物差しの上に並べようということにつながりますので、業者でない分試験日がそろうとか、昔の学力テストではないかと思いますが、試験日がそろうとか不正がないとかという意味では仮にプラスの面があったとしても、児童や生徒、特に中学生なら中学生を全部一つの目盛りで推しはかって、おまえの偏差値は幾つということが結局は決められていくと思いますので、私はそうしたものを礼賛する気持ちは全くありません。
○山下栄一君 ただ、中学校の進路指導の現場では、やはり客観的なデータが欲しいと。県内にあるたくさんの高校、公立も私立も含めてですけれども、できるだけいわゆるいい高校に入りたいんだ、そのためには客観的に自分がどの位置にあるかというようなことを知りたい、校内だけの実力テストとか、また内申書だけでは位置がわからないと。そういうことが実際中学三年生の進路指導担当の先生がこういう業者テストのデータとか偏差値をやっぱり求める背景にあると思うわけでございまして、そういう観点から申しますと、やはり高校が、具体的には普通科が大半で、その普通科の大半の学校が成績のよくない生徒から上位までもうどの学校も同じという実態になってしまうと非常に教育がしにくい。ある程度整えるために序列化されておるというふうな実態があるわけでございまして、序列化されているからこそいい学校に行きたいんだというふうな、そういうことになってしまうと思うんですね。そういう意味では、森委員も申されましたように、やはり高校の入試そのものを抜本的に見直すということがまず必要であろう。 そういう意味で、私は文部省の教育改革推進会議等でも検討されているとお聞きしておりますが、いわゆる普通科一辺倒ではなくて専科といいますか国際科とか芸術科とか、さまざまな子供たちの能力を評価ができるような専門学科を設置して、またカリキュラムも設置して、普通科であれば例えば英語とか数学が非常に重要視されて、音楽とか体育とかどうでもいいんだという、そういう主要教科と副科とかいうふうな非常に同じ教科の中でも差別されてしまっている実態をなくすためにも普通科にかわる専科の体制といいますか、そういうようなものをつくっていく必要があるんではないか。 そういう意味で、やっぱり高校そのものの改革が必要であるのではないか。入試そのものの科目、何で生徒の力をはかるかという内容につきましても、いわゆる主要五教科だけではないというふうな観点からの幅広い形での選抜方式といいますか、それにかかわってくる問題じゃないか。これを連動させないと、この偏差値重視の体制は一向に変わらないのではないかなと、このように考えるわけでございますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) おっしゃるとおり、高校でも大学でもそれぞれの学校がうんと特色を持っていけば非常に問題の解決にいい影響が出るわけで、どこもみんな同じようなことを教えます、しかし試験でとる点数が違いますということですと偏差値で学校も並べられてしまう、子供を偏差値で振り分けるだけでなくて、この学校は大体偏差値幾つの学校、この学校は偏差値幾つの学校というふうに、特徴がないとそういうことになってしまうわけです。 したがって、文部省でもいろいろ検討をいたしておりまして、例えば公立の高校でも入学者の選抜にいろんな特色を持たせていいんじゃないか。あるいは、公立の高校というとみんなどこも同じように見えるけれども、これからは各学校、学科、コースごとの特色に応じて多様な選抜があっていいのではないか。あるいは、その学校ごとに特色があるだけじゃなくて、一つの学校や学科の中でもまたそれを幾つかに分けて、こういう特色のある子を何人かとろう、こういう特色のある子を何人もとろう、こういうことでいろんな尺度、いろんな物差しではかって生徒を入学させるというようなことをこれから考えていきたい。あるいは、受験機会の複数化というのは国立大学でも行われたことですが、高校段階でも受験機会の複数化というようなことも考えていきたいというようなことでございます。 いずれにいたしましても、これは高校入試においても大学入試においても同様の面があろうかと思いますが、また私立、公立を受験する場合を問わずいろんな尺度で人間を判断できるようにしなければならない。それは非常に手間のかかること、進路指導も非常に大変になると思うんですが、しかし個に応じた教育をやろうというのが今度の新しい学習指導要領の大目標なんです。個というのはそれぞれの子供さんの個性を丁寧に親切に見ていこうということですし、今度予算要求をいたしております第六次の教職員の改善計画もチームティーチングとかいろんな新しい仕組みを入れておりますが、これもすべて個に応じた指導というのができるように先生の数も改善増を求めていこう、こういうふうに考えているわけでございます。 ですから、本来高校入試というものを考えた場合、とりわけ私立の高校へ入学試験で入っていく場合に、推薦入学というのは多ければ多い方がいいんじゃないかというのが割合と幅広く意見としてあったわけです。それは、それぞれの学校同士の信頼感とかいろんなものもあったでしょう。しかし、推薦入学というのは本来偏差値で入学させるべきものではないわけでございまして、この子は特別にこういう部分がすぐれているからといろんな個性を認めて推薦入学でとっていくならばいい。そして、推薦入学の枠がふえていくならば、これはまさに受験の緩和になるのかもしれない。しかし、今のように偏差値で実際の裏交渉をやって人身売買と私が言っても人が反論できないぐらいのひどい実態というのがあって、それで推薦入学あるいは実質上の推薦入学がふえていったら残りの枠がほんの小さなものになってしまうから余計受験競争は激しいものになる、こういうふうに考えておりまして、偏差値だけで振り分けるような推薦入学だったら、これはむしろない方がいいというのが私どもの見解です。 人の個性を見詰めて推薦入学をやるんだったら大いに推薦入学やってくださいと言って、文部省もあるいは自民党の文教も勧めてきたかもしれないけれども、これを全部偏差値で推薦入学を決めていこうとするならば、これはもう推薦入学という制度をとらないで試験日で最後の勝負をする方がまだ私は正しいあり方だろうと思います。
○山下栄一君 いろいろ教育の理想論があるわけでございますけれども、やはりたくさんある高校の中で、それも大半が普通科で、やっぱり具体的には高校の中にいろいろ差がある。特に、主要五科目で評価される力によって高校は非常に段階に差があるという実態がある限り、私学も公立も含めてでございますけれども、やはり客観的なデータが欲しい、そのためには数字であらわされるようなものでやっぱり人間を評価したいという、そういう衝動に駆られる。 そういう意味では、偏差値中心の流れというのはまだ一向に変わらないのではないかなと。たとえ、業者のテストを導入しなくても高校の定期テストでも実力テストでも全部それを偏差値に換算して、それで生徒を並べて、それによって進路指導をするというやり方はやっぱり変わっていかないのではないか。口で言うほど簡単には直らないのではないかなというふうに、それほどこの偏差値依存体制というのはもう何十年にわたる中でしみついておるというふうに思うわけでございます。 そういうことを考えますと、私は先ほど申しましたように、やはり一つは高校の中にさまざまな専科を設けて、その専科に基づく、例えば体育科であればそれに見合った入試科目にしていくというふうな、例えば英語とか数学、理科の比重が少ないような入試科目であるとかそういうふうな方式を導入するとか、それはいろんなコンセプトが必要であると思うわけでございますけれども、いろんな観点からの見直しをしていかないと、つまり業者テストの廃止だけではなかなか大変な問題であろうと、このように考えております。 それから、先ほど大臣申された推薦入学制度でございますけれども、全国の私学で具体的にこの推薦入学という形で本試験の前に明確に打ち出して生徒を募集し、とっておるというふうな実例はあるんでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 今ちょっとデータは手元にございませんが、実例はございます。
○山下栄一君 それはどの程度か割合わかりませんですか。
○政府委員(野崎弘君) 今ちょっと手元にデータを持ってきておりませんので……。
○山下栄一君 できましたらその辺の、私学の推薦入学制度そのもの、内定とかそういうことではなくて、具体的に入試制度そのものとして推薦入学制度、本試験という大学みたいな形で二つというのがございましたら、またデータ等を公表していただければありがたいなと、このように思うんですけれども、どうでしょう。
○政府委員(野崎弘君) 私どもも、大臣からお話がありましたように、特色ある推薦入試というものは指導しておるわけでございますが、ただ、具体的にどういう形でやっているかというのはちょっと手元に十分なデータがございませんので、またよく調べまして、調べましてというのはどういうことが行われているかというのを少し事情を聞きながら、よく勉強してみたいと思っております。
○山下栄一君 よろしくお願い申し上げます。 以上で終わります。
○国務大臣(鳩山邦夫君) ちょっと最後に一言。 先生、先ほどおっしゃられましたように、この問題は簡単であるわけないんです。言ってみれば社会風潮、社会というとちょっと、私は反社会的な人間ではないつもりですから、社会風潮に対して挑戦をしているつもりでございます。 率直に申し上げて、学歴偏重社会というものが現にあるわけでございます。そして、そこから下って、これは大学入試の問題もあって高校入試の問題もあって、何でも偏差値で輪切りをしたいという風潮がそこにしみついているわけでございます。そういう中で、教育界の相当大勢の方々がこんなものだろうと思って過ごしてこられたわけです。埼玉の竹内教育長のような勇気ある方はそう多く出てきてはいなかったわけですから、また文部省の今日までの対応でも、これはどこから挑戦したらいいのかという悩みがあったんだろうと。 こういうふうに思いますと、これはまさに社会風潮に対する挑戦だと私は認識をいたしております。しかし、これをやらないと臨教審が打ち出したような本当の理想の教育改革は絶対できないというふうに考えておりまして、私は今の業者テスト問題というものは非常に嫌な実態が明らかになってきて、私が知らなかったようなもっともっとひどい状態が毎日のように新聞に明らかになって絶望的な思いになることもあります。しかし、この学歴社会、偏差値偏重社会に一矢を報いて個性を尊重する、もっと国民が幸せになる世の中をつくるための教育改革であると考えるならば、ここで相撲で言えば回しというのか何か取っかかりになる一つのチャンスが来ているというふうに私は考えます。
○橋本敦君 法案に則して質問をしたいと思います。 今回の私的録音・録画について報酬請求権制度が確立をされたというそのこと自体は非常に評価できるわけですが、基本問題の一つとしてその対象となる録音・録画の機器、機材、これがデジタル方式に限定されたという問題をやっぱり一つはきっちり議論しておく必要があると思うんです。 文化庁に伺いますが、昨年の十二月に今回の法改正のもとになった著作権審議会の第十小委員会の報告について日本音楽家ユニオンは、これは基本的には今日アナログ方式の録音機器が九〇・三%、録画機器が八四・九%と非常に高い普及状況になっているという状況、そういうことの中での著作者や実演家、レコード製作者の利益の保護の必要性は当然あるということを認めておきながらデジタル機器だけに限定したというのは非論理的ではないか、こういう意見が一つは出されている。また、実演家の団体である日本芸能実演家団体協議会、ここでも一月の機関紙で、第十小委員会の最終報告の取りまとめについてはアナログ方式を含めて全部やるべきだという意見を出したんだということも言って、この問題について基本的な疑問を投げかけている。こういうような意見が出ていることは文化庁ももちろん御存じですね。 〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕
○政府委員(佐藤禎一君) それらの意見はちょうだいをいたして、かつ審議会へお伝えを申し上げでございます。
○橋本敦君 デジタル方式ということになりますと、今日、一般家庭用の録画機器はまだデジタル方式では商品化されていないわけですね。そういう状況から考えますと、これがたとえ商品化されたとしても、現在のアナログ方式に取ってかわるかどうか。これは基本的によく目先の見えない疑問が残っていく、これからの問題でございますのでね。だから、そういう点を考えますと、今回の制度ができても録画についてはほとんど機能しないという心配があるのではないか。録音についても同じようなことが起こり得るかもしれない。 こうなりますと、将来の課題としては、これはデジタル方式に限定しないで広範な権利を保障するという方向をもう一度踏まえた議論が必要ではないかということをこの出発点から感じておるわけですが、いかがですか。
○政府委員(佐藤禎一君) 今回の制度をデジタル方式に限定する理由というのは幾つかあるわけでございます。 基本的には、これがアナログに比べて高品質の録音・録画が可能であるということから権利者のこうむる不利益がさらに大きくなるであろう。それから、著作権審議会の第十小委員会の中では、この制度を円滑に導入するという必要性も指摘をされてございます。また、権利者の権利を実現するという面ももちろん大切でございますが、先ほど来御指摘ございましたように、逆に支払い義務者が一般消費者でございますので、既にほとんどの家庭に普及しているアナログ方式の機器媒体を対象にするということは与える影響が大変大きいであろうというようなことが理由になっているわけでございます。 デジタル方式の商品は、録音関係はことしの秋から低廉なものが大分発売をされる状況になりました。録画の関係は、御指摘のように、まだ民生用のものはございませんで業務用のものばかりでございますけれども、これは逐次発展をし低廉なものになれば急速に普及をするだろうということも予想されている、そういうことが予想され得る時期にきかけているということでございます。
○橋本敦君 だから、そういった将来展望で今答弁されているわけですから、そういった状況がそうなるかどうかも踏まえて将来的にはこの問題は改めて検討することが必要になるかもしれないという、そういった判断はあるんですかないんですか。 〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕
○政府委員(佐藤禎一君) 私ども、今回これは国民に対して支払い義務を課すわけでございますので、デジタルということは法文上明確に書いているわけでございます。しかし、その基礎になっております考え方は、その権利者の権利を制限する実態が進行してきているということが基礎になっているわけでありますので、それがデジタル以外の方式によって起こるということがあれば、理論としてはそれはまた検討し、また国会に御提案申し上げるということは当然あり得ることではございます。ただ、私ども、現時点ではそのようなものが出てくるということは予想はできないという状況にございます。
○橋本敦君 若干意見の食い違いがあるようですが、先に進めることにいたします。 次にお伺いしたい問題は、議論を同僚委員からもされておりましたが、私も午前中の参考人質疑で提起をした映画の関係の問題であります。 まず、文化庁に伺いたいんですが、実態として今家庭内での私的録画ということになりますと映画を録画するのが極めて通常でありまして、実際九一年三月に権利者団体とメーカー団体が実施した私的録音・録画に関する実態調査というのがあるようですが、これを見ましても外国映画が五八・四%、日本映画が三八・七%、こういう数字が出ておりまして、家庭内での私的録画では映画が極めて大きい割合を占めるということは、文化庁もこの実態報告を御承知で認識していらっしゃいますか。
○政府委員(佐藤禎一君) これは著作権審議会の第十小委員会の中でも報告の中で取りまとめをいたしております。その中で、録音・録画源別の録画実態というものにつきまして、多少今お挙げになりました数字と違いますけれども、主として映画のジャンルが多く挙がっているということは同様でございます。
○橋本敦君 そういった状況の中で、法制度とのかかわりが出てくるんですが、先ほども著作権法二十九条の改正問題、見直しはどうかという意見がありました。 私も同じような問題意識を持っているわけですが、その前提としてお伺いしておきたいのは、映画の二次的利用が今日非常に多様化して増大しているということの中で、実際にはその権利保護が実演家や映画監督に二次的利用に関して保障されていないというのはやっぱり制度的欠陥ではないだろうかというふうに私は思わざるを得ないんですが、制度的欠陥ではないかというほど多く議論がされているはずですが、文化庁としてはその点はどのようにお考えですか。
○政府委員(佐藤禎一君) これは昭和四十五年の著作権法の御提案にさかのぼるわけでございますけれども、多くの権利者が存在をする。その権利を円滑に調整し、かつ実態と適合させていくためには現在のような制度というものは当然あってしかるべきものであります。 また、これは条約を初め、各国の状況ともおおむねの点では一致をしている点もあるわけでございます。
○橋本敦君 現在の実態にそれが合っているかどうかという、そのことの認識がまたあなたと違うんですね。 著作権法の十六条では映画についてはどういう 言い方で決めているか、ちょっと言ってみてくれますか。
○政府委員(佐藤禎一君) 十六条は「映画の著作物の著作者」という規定であります。 映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、製作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。とございます。
○橋本敦君 その文言を理念的に解釈するならば、映画監督やあるいはその他のいわゆる重要なメーンスタッフ、これらの皆さんが全体的形成に寄与する創作的な活動でそういった寄与をした場合には、これはやっぱり著作権の権利保護の対象にはなり得るという考え方が一部はそこにベースとして示されているように解釈していいのではないかというように思いますが、どうお考えですか。
○政府委員(佐藤禎一君) ただいま読み上げました第十六条では、著作者としての規定を置いてございます。この著作者にどのような権利を与えるかというのは十七条以降に定められていることでありまして、十七条以降の中では著作者人格権は残っているわけでございますけれども、その他のいわゆる狭義の著作権については二十九条の規定によって当該映画製作者に帰属をするというシステムになっているわけでありまして、このシステム自身は先ほど来申し上げましたように、一定の合理的な根拠があると私どもは考えるわけでございます。
○橋本敦君 そこで、問題はあなたのおっしゃるように、二十九条で製作者にということで帰属をさせているという、それは一つのまとめの考え方ですよね、事態をどう把握してだれに権利を付与するかという。ところが、そこへいくプロセスとして、実際には監督やメーンスタッフにそれぞれ著作権の隣接権利関係を保護してもいいという考え方が理論的には今の著作権法で全然ないんじゃなくて、それはあるけれども、政策的な観点から二十九条ということで締めくくったというように私は見ていいのではないかと、こう解釈しているんですよ。 だから、したがってそうなりますと、今日の社会的な状況の発展や、それから国民意識のいろんな変化ないし著作権の保護に対する私的財産権保護といったことの要請からずっと考えていきますと、著作権法二十九条は、これは見直すということがそろそろ検討課題にのってもいい時期にきているという認識を持って対処するのが私は今後の課題をやっていく上で大事ではないかというように思っているわけですね。 この問題について、文化庁は今言った二十九条を見直すということは特に今の時点で考えないということですが、これについても関係者からのかなりの要望が出ていることは承知をしていらっしゃいますか。
○政府委員(佐藤禎一君) この問題につきましては映画監督協会から御意見をちょうだいをしているのは承知いたしております。 また、先ほど御質問にお答えをいたしまして、協議会を設けているということも申しましたが、その協議会の場におきまして各関係者、製作者も含めていろいろな御意見が出されているところでございます。
○橋本敦君 現実の当面の解決として文化庁の方は、先ほどの答弁にも製作者と映画監督やメーンスタッフとの間の契約の中身で善処していくということをちょっとおっしゃったわけです。それは次善の策として私はそういったことがあってもいいと思うし、そういった契約の中で具体的に権利保障が前進するように文化庁も指導的意見をお述べいただくのもこれはいいと思んですが、そういう契約というのは、これはあくまで当事者の意思の合致がないとできませんから、権利として法的に保障するという問題は依然として残るわけで、将来この問題についての課題として引き続き検討するという姿勢でおってほしいと要望したいんですが、いかがですか。
○政府委員(佐藤禎一君) この問題については、著作権審議会の第一小委員会では当面制度を改正するということは困難である、しかし関係者の協議によって二次的利用についての解決を図っていくべきである、こういう筋道の中で動いてきているわけでございます。 その中で拝見をいたしますと、映画監督側からの実態の御説明もございますが、逆に製作者側から見ても実態の把握の仕方がございます。例えば、現状ではもはやつくった映画の配給収入だけで全体を考えているわけではないというようなことも勘案しながら、つまりビデオ化したり放送したりするということも勘案しながら、監督との契約、出演者との契約等も結んでいるという実態の披瀝もございます。それを逆にどういうふうに把握するのがよいかというようなこともございますので、そういう協議会の場で議論が練れてまいりましたら私どもそれを受けとめていろいろな検討をすることはやぶさかではございません。
○橋本敦君 それでは、次の問題に進みますが、もう一つの問題は実演家の保護の問題であります。 言うまでもありませんが、著作者については著作権法上明確に人格権が付与されているわけで、その中身としては公表権、氏名表示権あるいは同一性保持権といった、そういう問題があるわけですね。ところが、今日ビデオがこれだけ発達し、録音・録画が実演についても普及している中で、実演家にこういった人格権の保障ということが確立されていない問題が新たに提起されておりますね。これについても衆参の文教委員会で附帯決議がなされた経緯もありまして、これの確立は文化庁としても「今後の検討課題」だというように衆議院の外務委員会で答弁された経過も私ここに八九年六月二十一日の議事録で拝見をしておるんですが、これからの課題としてのお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(佐藤禎一君) 実演家の人格権に関する問題は、現行著作権法上はそういうものは定められておりません。それから、実演家等保護条約にも明文の規定はございませんし、諸外国でも立法例は少ないという状況でございます。ないわけではございません。 しかし、一万実演家の人格的な利益が侵害をされた場合の救済につきましては、これまで判例の積み重ね等によりまして、民法上の不法行為に基づくいわゆる肖像権というような概念も議論をされ、こういった考え方で権利を保護するという、そういう道筋も少しずつでき上がってきているようでございます。 映画のビデオソフトその他で映画の利用が多様化をしてございますので、実演家の人格権の問題は私どもとしても重要な課題だと考えておりますけれども、先ほど来申しておりますような協議の場等を通じましてこの問題がどのように展開するか、そういうものに大きな関心を寄せてまいりたいと思っております。
○橋本敦君 じゃ、そういった方向で関心を持って御検討いただくことを要望しておきましょう。 最後になりましたが、これは大臣にも御答弁いただきたいと思うんですが、視聴覚障害者の皆さんが公表された著作物を適正、公正に利用する、こういったことは非常に大事な問題になっております。 実際問題としても、字幕をつくってそれですぐに理解できるというような、そういうことで苦労していらっしゃる団体もあることは文化庁も御存じのとおりであります。ところが、実際はそういった字幕ビデオをつくって努力する中でこの著作権問題がひとつの障害になってきて、許諾金やあるいは著作権問題だということでなかなか一般化が進まないという、そういう状況で苦労していらっしゃることが数多く報告をされているわけであります。 しかし、健常者と同じように障害者の皆さんがテレビを楽しみたい、また学びたいというのは当 然の人間的な要求でありますから、これを保障するということを行政としてはぜひとも現実的な問題として施策に乗せて推進してほしいと思うわけですね。 この点について今文化庁のお考えはどうなっておりますか。この点の改善について大臣として御見解はいかがであろうか、このことをお伺いして、質問を終わりたいと思うんです。
○政府委員(佐藤禎一君) 現状を最初に御報告申し上げますが、聴覚障害者のための字幕入りビデオの作成ということにつきましては、一方ではそれを行います場合に音声の内容を要約したり省略するということが伴いますので、それと映画の著作物の複製に当たるということから個々の著作権者からの許諾が必要となるわけでございます。しかし、多数の権利者と個別に連絡をとるということがなかなか難しゅうございますので、そのため、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターというところが窓口になりまして、低廉な使用料で包括的な権利使用を行うという契約が結ばれつつございます。 そういう状況にございます。
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは、障害者の皆様方にもできる限り健常者と同じように文化を楽しんでいただこうという私どもの気持ち、あるいは行政もそれにこたえなければいけないという責務と、しかしまた著作権者の皆さん方の人格権や、もちろん経済的な面もそうでしょうが、これを侵してはならないというバランスの問題だろうと思っております。 ただいま佐藤次長から説明がありましたが、今後障害者の方々が大いに文化を楽しめるような、例えば聴覚障害者のために字幕を入れる問題等についてもできるだけ適切なルールが確立してスムーズに事が運ぶように期待をしております。
○乾晴美君 連合の乾でございます。大変お疲れのところだと思いますけれども、私で最後でございます。よろしくお願いしたいと思います。 先ほどから問題になっておりました著作権審議会の委員の問題ですけれども、この委員会だけでなくて国にはたくさんの審議会があると思います。そのときに、どなたがその中にお入りになっているかということは本当に重要だというように思うわけでございます。先ほども上山委員の方からるるおっしゃいましたが、私も賛成でございまして、ぜひ考えてほしい。いわゆる消費者の、ユーザーの代表者を入れるべきであるというように思うわけです。 そのためには、消団連といいましょうか消費者団体連合会なんかもあるんですけれども、そういう中からもお入れになって、ユーザーの立場の御意見がしっかりこの中に反映できるようにならないかなというように思うんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(佐藤禎一君) この問題は、先ほど御答弁申し上げましたとおり、仕組みとしてはいろいろな仕組みで公益的な立場を確保する仕組みが二重三重にできている中で最後の仕上げとしてこういう審議会を置いているということでございます。 御意見は、先ほどもちょうだいをしましたようなことは頭に置いておきたいと存じますけれども、具体的にどうするかということにつきましては私どもはまた具体、個別に即して判断をさせていただきたいと思っております。
○乾晴美君 その次に、私的録音・録画に関する意識調査というのをなさっているようなんですけれども、私は非常に高い数値だなと思うんです。この私的録画・録音に関する意識はどのぐらいあるかということなんですが、認知度が六四・一%、非常に高いと思うんです。これは平成四年七月になされたそうなんですけれども、全国で満十五歳以上の男女二千二百九人というふうになっていますが、全国といっても大体どの地方にどれぐらいなさったかというのをちょっと聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) これは残念ながら全国どの地方ということはわかっておりません。住民基本台帳によって抽出をしたと書いてございますので、恐らく全国無作為に抽出をしたものと考えでございます。
○乾晴美君 この著作権につきましては非常にあいまいなところがたくさんあるのではないかというように思うわけです。それは認知の問題もありますし、どれぐらい著作権のことを御存じなのか。私的録画・録音はだめなんだということをどれぐらい御存じかということも大切だと思います。 午前中の議論の中で刈田委員もおっしゃっていましたけれども、私もやっぱりパチンコ屋に流れている音楽だとか夏のビーチにかかっているレコードだとか、またはホテルなどのバックミュージックなんかはどうなっているのかなというふうに思いますし、今回の場合は、例えば学校についてはいいんだということになっているようなんですけれども、そのほかでやっているフォークダンスに使用しているようなレコードだとかダンスパーティーでやっている、チャリティーでも音楽を流しているとかいろんな面があると思うんですね。そこら辺、どのように著作権法が適用されているのかされていないのか、把握されているのか、全部からきちっと精査されていただいているのかというようなことをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) かなり多くのケースについてお尋ねでございますので、少しお時間をいただくことになりますけれども、法律関係を最初に整理いたしておきます。 パチンコ屋などのレコードの再生演奏でございますけれども、基本的には現行の著作権法は音楽の演奏には録音物の再生を含むのでございます。したがって、パチンコ屋、デパートなどでレコードを再生演奏するのは原則的には演奏権が働くわけでありますが、実は四十五年の立法当時に、それ以前の法秩序の中では再生は出所の明示を条件として自由だったということがありまして、これは経過措置として一定の場合を除き自由とされているわけでございます。したがって、現時点で申しますと、パチンコ屋、デパート、ホテル、そういったところでの再生演奏については特に権利が働かないわけでございます。 それから、バスの中のカラオケビデオでございますが、バスの中のカラオケビデオは上映主体が一応バス会社ということになるわけでございます。したがって、営利を目的とした上映に該当いたしますので、映画の著作権者から上映の許可を得る必要がございます。ただ、この権利処理については社団法人日本バス協会と社団法人日本ビデオ協会の間で一定の契約が結ばれている、こういう状況でございます。さらに、上映するだけでなくてカラオケビデオの伴奏で乗客に歌唱させるということになりますと、音楽の著作権者からの許諾も必要になりますが、これについてもバス協会と日本音楽著作権協会の間で一定の権利処理がなされているわけでございます。 それから、学校以外の場所での運動会やフォークダンスでございますが、これは原則として演奏権が働きますけれども、営利目的でなく、かつ聴衆または観衆から料金を徴収しないという条件に当たれば著作権法三十八条一項の規定によりまして許諾を得る必要がないということになるわけでございます。 それから、夏のビーチでございますが、ビーチでレコードを再生演奏する場合、これも考え方としては同じでございまして、演奏権は働きますが、再生演奏が営利目的でなく、かつ聴衆または観衆から料金を徴収しなければ三十八条一項が働きます。しかし、これはそういうものに該当しないというふうに認定をされるケースの方が多いのではないかという感じがいたします。 あとはチャリティーパーティーについてお尋ねでございますが、チャリティーパーティーなどで音楽を演奏するということにつきましては、基本的には音楽の著作権者から演奏の許可を得る必要がございまして、窓口は音楽著作権協会になるわ けでございます。これも先ほど来の三十八条一項が働くかどうかという要素がありまして、すなわち非営利の催しで、かつ鑑賞の対価を徴収せず、さらには演奏者に報酬が支払われないときにはこれは自由にできますけれども、恐らくチャリティーパーティーといっても、そのチャリティーというのは一種の対価になると思いますので、具体的には支払わなければいけないというようなケースに該当するのではないかと思っております。 これらにつきましては、それぞれ音楽著作権協会等が許諾いたしましたものの照合をするという形で実態については適宜調査をしているというような状況にございます。
○乾晴美君 いろいろ詳しく説明していただいてありがとうございました。 そのように、個々にわたって違っているということが一般の人たちによくおわかりにならない場合もあるのではないか。そういうことで、今回導入されるこの制度というのは、結局ユーザーに値上げというか非常に負担がかかっていくことなので、もっと広報活動とか啓発活動は積極的にすべきでないかというように思うわけです。 こういったことを具体的にどうなさるのか、制度導入について関係者はどのような努力をこれからなさっていかれるというおつもりなのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) まず、今回の制度改革に直接かかわることを御答弁申し上げますと、これは言うまでもなく広く補償金の支払いの義務を課しますものでございますので、国民の理解が必要であると考え、第十小委の報告がなされた直後から広報活動を行っているわけでございます。さらには、関係者に対してもそういった広報活動を行ってほしいという要請をしてきておりまして、権利者とメーカ−はこういった要請に基づきましてことしの春から夏にかけて新聞、週刊誌あるいは情報誌等を通じて広報活動を行ってきているわけでございます。 その結果、認知度が高まっているのではないかという評価もさせていただいているわけでございますが、私ども、引き続きこういった活動は、今回制度をお認めいただきますればより積極的に展開をしなければいけないと考えでございます。 さらに、この制度に限らず、一般的に著作権思想の普及ということにつきましてはこれまでも幾つかの努力をしてきておりまして、具体的にはセミナーを開きますとかあるいはビデオ等の教材をつくってビデオライブラリーにお流しをするというような活動もやらせていただいているわけでございますけれども、このことについてもさらに強化をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○乾晴美君 こういったデジタルがこれから普及するであろうということに先駆けてこの法律ができておると思います。私的使用を超える場合、もちろん違反になるんだろうとは思うんですけれども、そういった私的使用を超えた利用もふえてくるのではないかというように思うんですが、そのときのチェックはどのように考えていらっしゃいますか。
○政府委員(佐藤禎一君) これは、私的使用を超えた場合は目的外使用となるわけでございまして、当然著作権料を払っていただかなければいけないわけでございますけれども、これは現在でも著作権者の団体が通常の手続によって許諾をしているものについても販売データ等との照合活動を行ってきているわけでございます。こういった活動というものはだんだん経験により方法についても積み重ねがございますので、工夫、改善をやりながらチェックをさせていただきたいと思っています。
○乾晴美君 この補償金は卸業者のところで徴収されるわけですね。そうすると、一般の消費者にはわかりにくいと思うんですけれども、その表示はどのようになっているわけですか。内税とか外税もあるけれども、表示を一応するのかしないのか。
○政府委員(佐藤禎一君) これは具体的に指定管理団体のこれからの業務のあり方となるわけでございますけれども、これまで関係者の間で議論をされておりますところでは、権利者と製造業者の間で補償金がその料金に含まれているということを製品のパッケージ等に表示するということが必要ではないかと考えられておりまして、そのようなためにはどういう手順でパッケージをつける作業をするかということを具体的に御検討くださっている段階でございます。
○乾晴美君 私、それでいいかなというふうに思いますけれども、今回のこの著作権法の一部を改正する法律がきっかけとなって、例えば一般のコピー機とかに、品質がよい高性能だということでかけようかなということですから、これから高品質のものであればカメラにしてもコピー機にしてもというように、これが一つのきっかけになって拡大解釈してざっといきやしないかなというような心配もしているんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(佐藤禎一君) この問題は、今回の制度的な仕組みとして三十条で定めております私的録音・録画というものが国際基準であるベルヌ条約九条二項にいう、通常の使用を妨げ、かつ権利者の権利を阻害していることになっているという状態に達しているので、三十条の現在の秩序のままではおかしいだろうという結論に達したわけでございます。 同様なことがほかの案件、例えば今挙げられました複写の問題等について出てくれば当然考えられるわけでありまして、そのときは、これはやはり権利者の立場も考えて改めて制度を整理する必要があろうかというふうに思うわけでございます。
○乾晴美君 次に、ほとんどの議員さんがおっしゃったと思うんですけれども、映画監督の問題です。 私も大変映画が好きでして、国会に当選させていただきましたときに一番に入りましたのが映画議連というところでございまして、非常に映画が好きです。ですから、映画と監督の関係というのは今さら私が申し上げるべきことでもありませんし、もうよくおわかりのことだと思うんですけれども、やはり映画製作の中心的立場にあるというのは監督さんなんです。その中心的存在である監督さんが著作権者でないとの理由で外されているというのは、やっぱり監督さんにしてみても納得しがたい問題ではなかろうかと思いますね。俳優さんがいても、シナリオが幾らすばらしいものがあったって、やはりそれを有効に使ったり創作的につくっていくのは監督だろうと思いますからね。 これも、ずっと附帯決議を見せていただきますと、ほとんどのときにこれが出てきているわけですね。皆さんがおっしゃっていて、そして附帯決議がついているにもかかわらず、やっぱりいろんな理由をおっしゃって入らないわけなんですね。附帯決議に書くだけじゃなくて、実のあるものにこの際して差し上げられたらいいのになというように思います。再度御答弁願いたいと思います。
○政府委員(佐藤禎一君) 附帯決議で直接御指摘いただいているのは実演家のお話でございまして、監督の話では直接はないようでございますけれども、まあそれはさておき、監督をめぐってそういう御議論があるということは、そしてまた御主張があるということは、先ほど来御答弁申し上げておりますように、十分私どもも承知をしているわけでございます。 したがって、そういう意見を披瀝しながら著作権審議会の中でも審議を重ねてきているわけでありまして、当面二次利用ということにつきまして協議に移すわけでございますけれども、そういう場を通じていろいろな議論が成熟をいたしてまいりますれば、私どもとしてもまた著作権審議会の場で御検討いただくべきことであろう、こういうふうに考えるわけでございます。
○乾晴美君 先ほど午前中もお聞きしたんですけれども、外国の著作権者にもそれを適用していこうということなんでしょうけれども、そのときにトラブルは心配ないでしょうか。国内にいるというのではなくて外国の、アメリカならアメリカ、ドイツならドイツの方々にどのような形でそれが支払われていくのかということについてお伺いします。
○政府委員(佐藤禎一君) 本法は内国民待遇をとってございますので、御指摘のように、外国の著作権者、実演家、レコード製作者にも補償金が当然実態が出てくれば分配されるわけでございます。 これまで実は著作権者、JASRAC(日本音楽著作権協会)では、外国の著作権の管理団体との間に相互管理契約を結んでいるという実態がかなりございます。その契約に基づいて集めました補償金を送金しているわけでありまして、実演家につきましてもそのような、それに近い実態でございます。レコード製作者だけはレコード会社同士での原盤供給契約等に基づいて行われている、こういうふうに把握をしているわけでございます。 アメリカにおきましてもこの十月に同様の制度が立法化をされてございますので、私どもとしては関係各団体間の相互管理契約等が恐らくはスムーズに結ばれていくもの、こういうふうに考える次第でございます。
○乾晴美君 最後に、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、何といったってこの著作権思想の普及、啓発ということが一番大事だろうというように思いますので、御見解を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 著作権の保護ということと消費者とかユーザーの関係というのは、このバランスは非常に難しいものとは思いますが、いわゆる知的所有権というものについてどの程度の認識や理解を国が示しているかあるいは国民が理解度を持っているかということ、すなわち、言葉は変かもしれませんが、どの程度の著作権大国であるかというのはその国がどの程度上等な国であるかどうかという一つの指標になるような気がいたしまして、こういうことを言ってはいけないんですが、例えば海賊版とかいうようなことで世界じゅうが悩まされるのは、結局は、国として一流の発展を遂げているところから海賊版というのがやってくるというケースは余りないわけでありましょう。恐らくかつては日本人が海賊版をつくっておったというような時代もあったかもしれませんが、これだけの経済発展を遂げた以上は、日本は本当の意味での著作権大国にならなければいけないし、国民みんなも著作権について正しい理解を持つように啓蒙していかなければならないと思っております。 率直に申し上げて、例えば二次利用とかそういうようなことに関して言えば、何で我々が負担しなくちゃならぬのかという疑問をぬぐい去れない方がいるだろうと思うんです。レコードを買う、それが著作権者にお金が入るのはよくわかるんでしょうが、二次利用というもので何で金を払わなくちゃいけないんだろうか。まして、カラオケ歌うとどうして金を取られるんだということはしばしば聞かれることでございますから、国内的にもこの著作権思想というのはもっともっと普及しなくちゃならないということが一つと、もう一つは、でき得れば著作権大国として世界じゅうに対して国際貢献という面で著作権というものをもっと広く訴えていく、そんな国に日本がなれればと思います。
○委員長(松浦功君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 著作権法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松浦功君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林君。
○小林正君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党、連合参議院の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び関係者は、文化の発展に寄与する著作権保護の重要性にかんがみ、著作権思想の一層の普及に努めるとともに、次の事項について適切な措置を講ずべきである。 一 指定管理団体が行う権利者への補償金の分配、私的録音・録画以外の用に供するための特定機器又は特定記録媒体の購入者への補償金の返還及び著作権等の保護に関する事業等のための支出については、権利者及びユーザー等の信頼を得て適切に行われるよう努めること。 二 衛星放送、有線テレビ、ビデオグラムの発達等により録音・録画された実演の利用が多様化・増大化している等の事情を考慮し、映画監督、実演家等の権利の適切な保護等について検討すること。 三 レコードによる音楽の演奏権の及ぶ範囲及び写真の著作物の保護期間については、関係者による条件整備の状況等に配慮しつつ、制度的対応について検討を進めること。 四 視聴覚障害等の障害者が、公表された著作物を適切公正に利用することができる方途を検討すること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(松浦功君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松浦功君) 全会一致と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、鳩山文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山文部大臣。
○国務大臣(鳩山邦夫君) ただいまの御決議につきましては御趣旨を体しまして今後努力をいたしたいと考えております。
○委員長(松浦功君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(松浦功君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、教育、文化及び学術に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(松浦功君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、派遣委員の報告を聴取いたします。 まず、木宮理事より第一班の御報告をお願いいたします。木宮君。
○木宮和彦君 去る九月十六日と十七日の二日 間、宮城県及び岩手県に委員派遣が行われましたので、その調査結果の概要を御報告申し上げます。 派遣委員は、松浦功委員長、小林正理事、山下栄一理事、小野清子委員、上山和人委員、國弘正雄委員、橋本教委員、乾晴美委員、そして私、木宮和彦でございます。 初日はまず宮城県庁に赴き、本間知事、大立目教育長等より、県勢及び県教育の概要と国への要望事項について説明を伺いました。 その中では、まず九月から導入された学校週五日制についてその円滑な実施を図るため、市町村教育委員会の対応を第一に今後とも多様な施策を講じていく方針が示されました。また本県でも増加の傾向にある登校拒否への対応については、適応指導教室の開設などを初めとして、その解決に向けた積極的な対策を講じている現状の説明がなされました。 さらに、今後の県教育の課題として、二四・三%にとどまっている大学進学率の向上、公立小中学校の校舎に占める木造建物や危険建物の割合の改善、図書館の増設の必要性などが指摘されました。 なお、国への要望事項として、次期学級編制及び教職員定数改善計画の早期策定と実施、私学助成の拡充など五点が挙げられました。 次いで東北大学を訪ね、西澤学長より説明を伺いました。 その中で学長は、大学における学術研究のあり方について、基本はまず人の水準であるが、優秀な研究者が大学に残らなくなってきている。また、高価な施設や設備ではなく、独創的な着眼と創意工夫によって世界に先駆けた基礎研究を行うとのスピリットが弱くなりつつあると、現状への危機感を示されました。深く心に刻んでおくべき貴重な御指摘であります。 説明の後、強磁場超伝導材料研究センターを訪ね、ハイブリッド・マグネットを視察いたしました。 これは超伝導を利用することによって世界最強の磁場を発生させる装置であり、超伝導材料の性質の測定などに大きな成果を上げております。模型等を用いた説明も伺い、今後の研究の成果に大いに期待するとともに、人間の知性と科学技術の豊かな可能性に改めて思いをいたしました。 次に松島の瑞巌寺を訪ね、国宝に指定されている本堂や庫裡などの豪壮な伽藍と重要文化財である障壁画などを拝見いたしました。 現在、瑞巌寺では障壁画本体の保存修理事業とともに、描かれた当初の姿を再現する復元模写事業を行っております。この復元模写は全国的にも珍しいそうでありますが、文王呂尚図などを拝見し、一同その色遣いの鮮やかさに強い印象を受けました。 翌日は、まず宮城県立西多賀養護学校を訪ね、伊藤校長より説明を伺いました。 本校は国立療養所西多賀病院に入院している筋ジストロフィー症の子供たちを初めとして、小中学部合わせて百四十二人が在籍する病弱養護学校であり、運動会や弁論大会などの各種の行事の開催や地域の学校との交流に特に力を入れております。病気や障害に負けない子供たちの笑顔とひたむきに学ぶ姿勢、また熱意と明るさを持って指導されている教職員の方々の姿を拝見し、深い感銘を受けました。 以上で宮城県での日程を終え、岩手県に向かいました。 岩手県では、まず国の特別史跡と特別名勝に指定されている毛越寺に赴き、平安様式を模して平成元年に建立された本堂などを拝見いたしました。また、毛越寺では岩手県の諏訪副知事、高橋教育長等と当面する教育問題などについて懇談いたしましたが、その席上において、文化財保護に係る国庫補助事業量の確保、国立体育大学及び国立博物館の設置など五項目の要望が寄せられました。 続いて、平安美術の宝庫と言われる中尊寺を訪ねました。 金色堂や讃衡蔵において国宝や重要文化財を初めとする数多くの文化財を拝見し、奥州藤原氏の栄華にしばし思いをはせるとともに、先人より受け継いだこうした貴重な文化財を子々孫々にまで伝えていくことの重要性を改めて痛感いたしました。 最後に、奥州藤原氏の政庁跡とも言われる柳之御所跡の発掘調査現場に赴き、概要の説明を伺うとともに、出土品の一部を拝見いたしました。 本格調査は北上川遊水池と平泉バイパスの建設に伴い、昭和六十三年から実施されておりますが、地元や歴史研究者などから遺跡の保存を強く求める声も上がっております。今後、関係者の英知を集める中で、遺跡の保存と遊水池等の建設の両立を図ることがぜひとも必要であると感じました。 以上で報告を終わりますが、詳細に触れることのできなかった宮城県及び岩手県の要望につきましては、本日の会議録の末尾に掲載していただくようお願い申し上げます。 最後に、この場をかりまして、両県並びに関係の皆様方に改めて厚く御礼を申し上げます。 以上で報告を終わらせていただきます。
○委員長(松浦功君) 次に、田沢理事より第二班の報告をお願いいたします。田沢君。
○田沢智治君 去る九月八日から十日までの三日間、北海道に派遣されました第二班の調査の概要を御報告申し上げます。 派遣委員は、肥田美代子委員、山本正和委員、刈田貞子委員、江本孟紀委員と私、田沢智治でございます。 第一日目は、まず寺山北海道教育長から道の教育概況と国に対する要望事項について説明を受けました。 北海道では、明治初期より、開拓を担う人材の養成を重視するという開発政策がとられてまいりました。札幌農学校では英語による授業が行われ、函館にはロシア語学校が設置されておりました。また女子教育の面でも、いち早く宣教師により女学校が開設されております。 北海道が国土の二割以上を占める広大で豊かな自然に恵まれていることは御存じのとおりであります。自然と人間が触れ合う伸びやかな教育環境を求めて、毎年金国各地から多くの児童が山村留学のために来道しております。ただその一方、人口密度が希薄なため、僻地校や小規模校の比率が極めて高く、学校の適正規模を維持することが大きな課題となっております。 生涯学習に関しては、現在、振興基本構想の策定作業を進めており、年内にも公表できる段階にあるとのことであります。また、潤いのある生活をもたらす地域文化の創造発展を図るため、札幌交響楽団への活動支援やアイヌ民族文化の伝承保存対策を行っております。 なお、北海道の教育の振興に大きな役割を果たしてきた私学に対しては、長期的な生徒減少期を迎え、厳しい学校経営が予測されることから、学校経営の健全化、父母負担の軽減を図るために各種助成を進める等、特色ある私学づくりの支援に努めているとのことでありました。 次に、北海道大学を視察いたしました。 廣重学長の説明によりますと、大学院教育が基幹大学としての責務であるとの自覚から大学院に重点を置いた改革を行っており、また広大なキャンパスを有効活用すべく大学全体の総合的見直しも検討しているとのことでありました。さらに、外国の大学等との国際交流についてもより一層活発に進めながら、百十六年の歴史に培われた開拓精神を維持していきたいとのことでありました。 なお、去る八月十日の工学部における酸欠事故につきましては、学内に委員会を設けて事故原因を調査中とのことでありますが、通常では起こり得ない事故であり、今後このようなことのないよう再度気を引き締めて総点検を行っていくとのことでありました。 次に理学部を訪れ、堀理学部長から説明を受けました。 当学部では、専門分野間にまたがる境界領域もカバーできるよう講座を再編制して、より近代的な体制を整えつつあるとのことでありました。地質学鉱物学科においては、鉱物や化石等の貴重な標本を拝見した後、生物学科においては、ザリガニの脳神経を観察することによってその働きを探るという興味深い実験を拝見いたしました。 続いて農学部を訪れ、七戸農学部長から説明を受けました。 最古の歴史を誇る当学部も学部改革を行い、ことしは入学科を七学科に再編制いたしました。農学は余りに専門分化し過ぎて本来の役割を果たし得なくなっているとのことであり、札幌農学校以来の伝統である実物を使った実験を通じて総合的な応用性を取り戻す試みを行っているとのことでありました。しかし、実物教育に必要不可欠な農場等の施設の老朽化、狭隘化には著しいものがあります。さらに、最近は世界各国からの留学生が増加しているため、留学生の受け入れ体制という観点からも施設を早急に整備する必要があるように見受けられました。 北海道大学を後にして、昨年四月開校した札幌市立高等専門学校を訪れました。 同校は、全国初のデザイン系高等専門学校であります。地形をそのまま生かした校舎は自然に溶け込み、それ自体が教材であり教科書でありました。五年間を通じて積極的な美術教育が行われることになっており、今後、創造性に富み、幅広い実践活動に役立つ人材の育成が期待されております。 次に、同校に隣接する「札幌芸術の森」に参りました。 四十ヘクタールという広大な丘陵地に、美術、工芸、音楽など幅広い分野にわたる芸術の工房や広場を配した総合芸術村であります。芸術家や市民が滞在しながら創作活動を行うことができ、内外の異なるジャンルの芸術家や市民の交流の場となっております。 二日目は八雲市を訪れ、道立八雲養護学校を視察しました。 同校は、進行性筋ジストロフィー症児、重症心身障害児などの病弱児童生徒を対象に教育を行っております。橋本校長は、子供たちは病気と闘いながら、残された少ない時間を後悔しないよう一生懸命勉強するんだと言って頑張っておりますとおっしゃっておられました。私たち一行の訪問を歓迎してくれた児童の屈託のない笑顔に、教育の役割とは何か、子供に希望を与えるために何をすべきか改めて考えさせられた次第であります。 八雲市を後にして函館市に参り、木戸浦函館市長と市の教育概況等について懇談をいたしました。 同市では、北海道教育大学函館分校を母体とした国立函館大学を新設するよう強い要望がありました。 三日目は、まず重要文化財であるハリストス正教会及び旧函館区公会堂を訪れました。、 両所とも行き届いた修復がなされ、保存状態もよく、同市の文化財保護にかける熱意が感じられました。 次に、函館市立中部小学校において、給食を試食いたしました。 同校では、学年の異なる二学級ずつが交代でランチルームを利用する交流給食を行っております。下級生は上級生と一緒に食事をすることにより食事のマナーを見習い、上級生は下級生の世話をしながら自分の態度にも注意を払うようになったということであります。現在、給食のあり方についてはいろいろ論議を呼んでいるところでありますが、同校の給食指導は非常に行き届いており、児童も毎日の給食をとても楽しみにしているとのことでありました。 次に、特別史跡五稜郭を訪れました。 同所は、北辺防備と蝦夷地開拓を目的としてつくられた我が国最初の洋式城郭であり、後に函館戦争の舞台となりました。昭和二十七年に特別史跡に指定され、現在、堀の内側は公園として市民や観光客の憩いの場となっております。 続いて、道立函館美術館を視察いたしました。 当美術館は、地域の特性に沿った特色あるコレクションづくりを目指して、道南ゆかりの芸術家の作品の収集、展示に力を入れております。また、研修や講演会等も活発に行われ、地域の芸術文化の発信拠点としての役割を果たしております。 以上が今回の派遣の概要でありますが、この報告で子細に触れることのできなかった北海道からの要望につきましては、本日の会議録の末尾に掲載させていただくようお願い申し上げます。 最後に、この場をかりまして北海道並びに視察先の関係者の方々に厚く御礼を申し上げ、第二班の報告を終わらせていただきたいと思います。
○委員長(松浦功君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。 なお、ただいまの派遣報告につきましては、別途、派遣地での要望等をまとめた報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(松浦功君) これより請願の審査を行います。 第一号義務教育諸学校の学校事務職員に対する義務教育費国庫負担制度の維持に関する請願外八十五件を議題といたします。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(松浦功君) 速記を起こしてください。それでは、第一号義務教育諸学校の学校事務職員に対する義務教育費国庫負担制度の維持に関する請願外十一件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第四九号国民の祝日「海の日」制定に関する請願外七十三件は保留と決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(松浦功君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 教育、文化及び学術に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦功君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十八分散会 ————◇—————