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125回国会衆議院1992/12/08

法務委員会 第2号

発言数
294
登壇者
24
会派数
5
開催日
1992/12/08

会議録

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所島田刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田辺広雄君。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 おはようございます。自民党の田辺広雄でございます。  早速、お許しをいただきまして、いろいろ東京佐川急便の問題につきまして御質問を申し上げます。もう既にそれぞれの予算委員会等々、また昨日は竹下登元首相の参議院における証人喚問など引き続いて行われましたので、やや質問が重複する点もあろうと思いますが、まずもってお許しをいただきたいと思います。  今申し上げましたように、東京佐川急便、九百五十二億円に達する渡邉廣康元社長に対する特別背任による告訴に端を発しまして、金丸信氏への五億円の献金が明らかになり、そして再三にわたる検察当局による事情聴取にも応じないで、上申書により政治資金規正法の量的規制違反により罰金が二十万円で結審をいたしました。その後、竹下内閣成立のときにおける褒め殺しの問題、それをまたとめようとするために暴力団を利用して褒め殺しが終わった。その後、稲本氏の代理人大島氏の供述調書に七人の国会議員の名が一般公開をされました。裏づけのとれていない人々の名まで発表されたことによりまして、その検事調書に対する多くの議論が続出をしております。  ある新聞社の世論調査によりますと、佐川急便の巨額献金問題についてこれが問題だというのをそれぞれ皆さん方から意見を聞きましたところが、一番多いのが罰金二十万円での決着、これが問題五七%、二番目には暴力団の関与五三%、三番目には五億円の行方がうやむやであるというのが三六%、四番目が上申書で略式起訴三四%で、それぞれ上位を占めていると書かれておりました。  このような本件の流れの中から、当初段階、捜査段階におけるリークへの疑い、略式結審による検察への不信、日本の総理が暴力団の力をかりて成立した、でき上がった、皇民党事件による供述調書により裏づけのない国会議員の氏名が発表され、それぞれの人々の名を傷つけたということとなり、五億円の行方はいまだに不明であります。  今回の事件で言えますことは、国民一般の考えている罪に対する刑罰と法の決定とが余りにも食い違っている。端的に言えば、五億円の献金を行って、一度も調べられないで上申書を出すことによって二十万円の罰金が決まった、そういう罪、刑罰に対する憤りというものが大きいと私は思います。  二番目には、リークを初めとするマスコミの情報過多、及び札幌高検検事長の新聞社に対する投書にもありましたように、検察官が格別の理由もないのに、国民の知りたいそして聞きたいと思っていることについて尋問をしないのは重大な任務背反になると指摘されております。しかし、一方においては、他の新聞を見ますと、刑事訴訟法で五十万円までの罰金を取る場合には被疑者の異議がなければ書面でもってそれは終わるとも言われております。  こういうようないろいろな情報の中から、一般の国民の皆さん方は真実は何かということがつかみ得なかった。そして、多くのマスコミの毎日の情報というものがいよいよこの事件をわからなくしていきました。同時に、考えておりました事件以上に大きな事件を期待し、そしてそれが検事への期待となってあらわれてきた。そういう中から、先回根來事務次官の文芸春秋への投稿、またテレビなどでも元検事総長とかいろいろな人々が出て発言をされております。したがって、国民は、この問題については非常に内容が不明瞭である、混乱をしておるということをまず思ってみえるであろうと思います。  三番目には、世論に追い回されて態度を右往左往させる検事への不信が政治不信へと増幅して国民の理解が得られなくなってしまった、そこから発生する怒りであります。私どもは、国民の前に法は平等であると言いながらも、法の理解者以外の一般の国民がこの事件を理解しようとしましてもなかなか理解ができない。私自身がそうなんです。「五億もらって二十万」がわかりにくい。しかし、聞けばなるほどとわかりますが、わかったころにはそれ以上にその法のあり方について憤りを感じてきて、それが各県会また地方自治体の多くの方々の意見書となってあらわれてくる、または二万何千人の方々がそれぞれこの問題について告訴をするというような事態に発展をしてきたと私は思います。  そこで、まず第一には、東京佐川急便事件のこれまでの捜査の処理状況の概要についてお尋ねをいたしたいと思います。  背任額が九百五十二億円に達する本件は、これまでに検察が訴追した同種事件に比べてその規模や悪質性においては群を抜いておる事案と思われますが、その特徴や捜査の困難性等についてお聞かせをいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  今委員るる御指摘いただきましたように、今回のいわゆる東京佐川急便事件の捜査処理に関しましては、いろいろな御意見がある中で、検察に対しましてもいろいろな御批判があるのはもちろん承知しております。ただ、この御批判、御意見の中には、検察の使命に対する誤解あるいは法律手続についての誤解等が原因になって御批判が行われているといたしますと、そういう誤解はこれを解くように私ども努力をしなければならないというふうに思っているわけでございます。  それはそれといたしまして、今委員からお尋ねのございましたいわゆる東京佐川急便事件につきましては、昨年八月に東京佐川急便株式会社の渡邉廣康元社長らに対する特別背任罪の告訴を受けまして、以後、本年三月から六月にかけて渡邉元社長ほか三名の特別背任罪等により公判請求したほか、九月二十八日には金子前新潟県知事ほか二名を政治資金規正法の収支報告書虚偽記載罪により公判請求し、同日金丸前衆議院議員を同法の量的規制違反の寄附受領罪で略式請求するとともに、この寄附の受領に関与した生原秘書及び寄附を行った渡邉元社長を起訴猶予処分に付しまして、現在もなお引き続き捜査を行っているところと承知しているわけでございます。  ところで、この東京佐川急便は四十一社一個人の金融機関等に対する債務を保証しており、その額は昨年六月三十日現在で四千億円を超える巨額なものに及んでいたわけでございますが、東京地検におきましては、全国から検事の応援を求めるなどいたしまして本件捜査体制を強化いたしまして、警視庁とも連携をとりながら二万八千三百点もの証拠物を押収してその内容等を分析、検討いたしますとともに、三百二十二名にも及ぶ関係者の取り調べを行うなど、本件に必要な捜査を地道に行いまして、東京佐川急便のこれらの巨額な債務保証や融資等に係る関係する資金の流れ、その使途等につきましてその全容を解明し、その過程で刑事事件として取り上げるべきものは順次起訴しながら捜査を続けてまいりまして、先ほど申し上げたような捜査処理に至ったものでございます。したがいまして、その捜査が極めて長期間にわたりましたのも、本件がこれまでにないほど大規模な事件でございまして、膨大な証拠の収集、検討を要したからであるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 大変な捜査を御努力いただいておりまして、私どもが政治家として、また国民が一般に関心があるのは、東京佐川急便のその四十一社一個人ですか、四千億になんなんとする特別背任という問題以外に、政治家だけに絞られてきまして五億と二十万円へその関心が行ってしまったわけです。本当の事件というのはその解明もあるわけで、私どもはその御苦労には心から感謝を申し上げるわけでございますが、今願っておりますのは、最後になれば、献金問題もさることながら、佐川急便全体の、あのバブルの当時にどういうことが行われたかということの全容の解明も私は必要だろうと思いますから、どうぞひとつ全力を挙げて御努力いただきたいと思います。  次に、第二問でございますが、多くの人々が今回の事件というものは特に検察のリークが多いと言われています。九月二十二日に第一回の公判、その前八月二十一日には日刊紙に、渡邉被告が債務保証だとか融資の見返りに裏金を取りましてそれを十人以上の国会議員に、二十一億円以上の金を渡したと言われております。しかし、もう既にその前、当時のテレビにはその人たちの顔写真がどんどん出ておるのです。よくよくこれは自信がなければそんなことはできないと私は思うのですが、それがある日突然そういうものがなくなってしまった。  そして、特に政治家というのは自分の日常の生活に非常に神経を使っておりますし、またマスコミというものについても大変な神経を使っておりますが、そこまで出されて、その結果は何もなかった。じゃ、もともと事件にならなかったのがこういう問題に出されてきておる、これはやはり検察が何かリークをしておるのじゃないか、このことが大変私は心配ですから、その点についてお聞きをしたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今回の東京佐川急便事件の捜査の過程におきましては、検察の捜査内容や捜査方針に言及したと思われるマスコミ報道が連日のごとくなされたところでございまして、今委員が御指摘になられました、例えば渡邉供述による十数人の政治家に対する多額の献金に関する報道もその一例であることはそのとおりでございます。  ところで、これらの報道を通覧いたしますと、その多くは、例えば東京地検特捜部はだれだれからこういう供述を得た模様であるとか、あるいは地検特捜部はこれこれの事実を把握している模様であるというような書きぶりのものでございまして、その上これらの記事は同時期のものでありましてもその内容が区々に別れていることもございまして、マスコミ側の推測を報じるにとどまっているものというふうに理解されるわけでございます。  マスコミ報道につきましては、これは法務当局といたしまして、その出所、由来あるいは真偽のほどを確認できる立場にはもちろんないわけでございますけれども、検察が意図的に捜査情報を流すことがないということは、このようなマスコミ報道の書きぶりからも御理解いただけるのではないかというふうに考えているわけでございます。  そもそも捜査の過程で収集いたしました情報、資料等、捜査の内容にかかわる事柄がかりそめにも外部に明らかになりまするというと、申すまでもなく関係者による口裏合わせやその他の罪証隠滅工作のきっかけを与えることになるわけでございますし、捜査の遂行が極めて困難になるばかりでなく、事件を起訴できなければ、検察はどうしてやらないのかというような非難を招くことにもなりかねないわけでございます。  また、捜査のために協力して情報を提供した側からいたしますると、それが捜査、公判の目的以外に使用されることは心外なことであるはずでございまして、そのため将来の捜査、公判の遂行に必要な国民一般の信頼と協力を得がたくすることとなるわけでございます。したがいまして、いわゆる巷間言われておりますリークというようなことは捜査機関にとってみずからの首を絞めるに等しいものでございます。そのようなことは、そういう意味で、ないものと確信しているわけでございます。  検察の捜査内容等に関するマスコミ報道がなされました場合に、それがいわゆるリークによるものでないことを明らかにする方法といたしましては、例えばその内容が実際の捜査内容と異なるときなどに、その捜査内容を明らかにすることによってそれが誤りで、誤報であるということのゆえんを明確にするということが一つ考えられるわけでございますけれども、その場合には本来秘匿しなければならない捜査内容を公表しなければならないというジレンマがあるわけでございまして、検察がいわゆるリークをしたものでないことを証明することは、そういう意味では非常に困難であるわけでございます。  ただ、御理解をいただきたいと思いますのは、いわゆるリークが検察にとって大きなマイナスにこそなれ何のプラスにもならないということ、それから、検察における捜査に従事する職員は、これは捜査上の秘密保持の厳守がその職責遂行上の基本的な心構えの一つであるわけでございまして、これに違背することが国家公務員法上の懲戒事由等に該当する場合があるということも十分承知しているわけでございます。  また、報道機関各社におかれては、これは東京佐川急便問題に限ったことではないわけでございますけれども、今回の事件についても、特に熾烈な取材競争のもとに多数の記者を動員して、関係各方面に広くかつ深く独自の取材活動を展開され、場合によっては関係者等に直当たりをされるというようなこともあり得るわけでございましょうから、検察が捜査によって把握し得る事柄は同時に報道機関におかれても独自に把握し得る事柄であるという場合も少なくないわけでございます。  そういうようなことを考えまして、私どもは検察が捜査内容あるいは捜査情報をリークするということは絶対にないというふうに確信しておるわけでございまして、その辺のところをひとつ十分御理解をいただきたいと思うわけでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 よくわかりました。  ただ、一つの事例といいますか、十一月三日の日に、これは新聞にも「調書の内容漏れに検察、異例の上申書」というのが出ておりました。「証拠調べに先立ち、検事調書の内容の一部が新聞や週刊誌に報道されたことについて、検察側が小出裁判長に「弁護士に開示された調書が漏れたとしか考えられない。重大な問題だ」と異例の上申書を提出。弁護側は「一方的な指摘。弁護士が公開することはあり得ない」と反論。」そこら辺にも問題があると思います。そういうようなリークの問題は今お話しのとおりに非常に微妙な問題ですが、これからどういうふうにそのことが疑われないような状態に対処をされるか、そのことをお聞きしたいと思います。  それからまた、これは今の事務次官の文芸春秋の問題でございますが、十月号の文芸春秋には、向谷進氏が、いろいろN−Kのホットラインだとか、また将来の法務省における人事の問題だとかいうことを書かれて、最後に「ある意味で検察冬の時代の幕開けなのかもしれない。」と結んでいます。このことが、恐らく根來事務次官の頭へかちっときたのではないかと思うのです。そこで、その反論として、十二月号に「政治と法務と検察と」そして「検察批判に答える」というようなことを投稿されました。私も法務委員の一人でありまして、やはり検察官の名誉のためには、法のためにも同じ考えでありたい、またあります。  しかし、事務次官がそのときも言っておられましたが、「刑事事件に問いがたいが、道義的に非難すべきものをリークして世論の批判にさらそうとしている、とか、事件に確信がないので、報道に前打ちさせて世論を喚起」する、そしてそれを捜査に使うのだというようなことも書かれてございます。このような方法というのはやはりあるのであろうか、ないのであろうか。聞くまでもない、ないということですが、じゃ、それも含めてひとつこれからどうされるのか、方法を聞きたい。  それから、大臣には、今の根來事務次官が畑さんという方から手紙をもらいまして、その手紙に自分が返事を出したということであります。週刊誌にはそれが全部出ておりますが、こうした今のような大変な時期に事務次官が、公的な立場か私的な立場か知りませんが、こういう文書をやりとりすることについてどういうふうにお考えか、お聞きをしたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員から幾つかの点についてお尋ねがあったわけでございます。一つは、検察の捜査過程で録取した検察調書が流れていたのではないか、あるいはそういうことについて今後どういうような対策を考えているのかというようなお尋ねがあったかと思うわけでございます。  検察官が公判において証拠調べ請求する予定の供述調書等につきましては、これは弁護人が公判において同意、不同意の意見を述べるなど適切な訴訟対応を行うために事前に開示されるわけでございまして、開示においては必要に応じて謄写も許されるわけでございます。いずれにいたしましても、公判における取り調べ以前に供述調書そのものを把握し得る者は、検察官及び担当検察事務官のほかは、弁護人及び被告人を含めましてその関係者に限られていると思われるわけでございます。  部内調査の結果、検察サイドから供述調書その他の捜査書類が外部に流出したという事実がないということは判明したわけでございますが、それ以上にどういう経過で検事調書の例えば写し等が流れたのかどうかというようなことについては、これは徹底的に明らかにするということは困難なことでございますけれども、ただ、今委員仰せになられましたように、かつての、過去の事例として、これは弁護人御自身の行為ということを申し上げているわけではないわけでございますけれども、例えば弁護人の方から被告人あるいは関係者の方に閲覧させた検事調書の写し、それがコピーをとられて別の事件の捜査の過程で別のところから押収されたというような事例もあるわけでございまして、先ほど御指摘になられましたこの渡追被告人らに対する東京佐川急便事件の公判の過程におきましても、この渡邉被告人の検事調書等が、新聞紙上にそのコピーなるものが掲載されるというような事態があったことにかんがみまして、検察官の方からその調査の結果を踏まえまして裁判所に対して申し入れをしたという事実があるわけでございます。裁判所に対しまして弁護人から釈明を求めた上で厳重注意をするなどの適切な訴訟指揮を行われたい旨の意見を述べたという事実がございまして、委員が御指摘になられたのは、その点のことであろうと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、検察当局として今後どういうことを考えているかということでございますけれども、捜査に従事する職員はすべて捜査上の秘密保持の厳守がその職責遂行上の基本的な心構えの一つであることをふだんの指導訓練の中で十分体得しているところでございますけれども、例えば東京地検におきましては、その徹底を期するために、報道機関等外部の者との対応につきましては、例えば副部長以上の幹部検察官において常にその実情を把握するというような方法を講じまして適切な措置を講じているというふうに聞いているわけでございます。  それから、一番最後に委員がお触れになられました、政治家と検察官との癒着がマスコミ等で取りざたされているけれどもこれについてどういうふうに考えるかというお尋ねもあったかと思うわけでございますが、いわゆる東京佐川急便事件につきましては、東京地検において昨年八月に、先ほど申しましたように東京佐川急便株式会社元社長の渡邉廣康らに対する特別背任罪の告訴を受けまして、以後刑事事件として立件し得るものにつきましては順次これを起訴しさらに捜査を継続しているところでございますが、この間に検察当局は、与えられた権限の範囲内で厳正、公平な立場を堅持しながら、法律の定めるところにのっとって事案の解明のための捜査を行い、法と証拠に照らして適正な処理を行ってきたものでございます。検察が政治家と癒着しているというようなことは断じてないということははっきり申し上げられると思うわけでございます。  それから、先ほど法務省の根來次官の畑時夫氏でございますかとの間の書簡についてお尋ねがございましたけれども、これにつきましても、私が承知しておりますのは、今回のいわゆる東京佐川急便事件につきましては国民の多くの方が関心を持っておられて、その捜査処理の帰趨あるいはその過程においていろいろな御意見、御批判を、私信の形ということであるにしろ根來次官なりのところに何通かのお手紙を寄せておられる。  そういうものにつきまして、例えば住所、氏名等をお書きになられて、言葉は適当かどうかわかりませんが、まじめに御意見を述べておられるような書簡につきましては、検察の考え方というかあるいは法務省で理解しているところをできるだけ正確に知っていただくという気持ちから、その私信に対してできるだけまじめに、誠実にその御返事を差し上げるというようなことをしてこられたように聞いているわけでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 じゃ大臣、後でいいです。時間がございませんので、あとまとめて私は質問させていただきますので、簡略にひとつお願いしたいと思います。  日本皇民党の総裁大島さんの調書によりまして、先回も御質問がありましたが、七人の国会の先生方の名前が発表されたということで、全然関係のない人までそういう取り扱いを受けたということは、大変私どもこれからお互いの身を考えながら心配をするわけです。そういう名誉を保護する配慮が一番必要であるにもかかわらず、意外にも簡単に行われた。しかも、一般の人々でこれがあったならばどういうことになったかというと、大変私は心配します。それじゃ、自分自身がおれは正しいんだということをどこで公表したらいいか、だれがそのことを手伝ってくれるのか、このことについて大臣にお聞きをしたいと思います。  それから最後に、今回の検察の捜査処理は政治との癒着だとか取引だとか不公平な取り扱いだとか、証拠を収集、さらにはつじつま合わせ的な調書の作成だとか、これまでの検察に対して見られなかった種々の不満や批判がされております。検察不信の事態を生ぜしめている。政治が事件の解明により名誉を取り戻さなきゃならぬこの大事なときに、そのための検察でなければならないのに、むしろ解明を難しくしている、国民の不信を募らせている。このことについて、その責任は非常に大きいと思うのです。大臣は、今申し上げました皇民党事件の問題、それからこの全体の事件の中から、これからどうしてその名誉回復を図り、法を守っていくかということの決意のほどをひとつお聞かせをいただきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 公判中に名前が出て名誉を毀損されたという問題でございますが、一般的に検察官調書というものは、事の性質上裏をとって出されるものではないと聞いておりますし、法律的にもそうなっている。今度のことも、裁判官も検察官も法律的には何らのことはなかったわけでありますけれども、ただ、名前が出て本当に関係ないと主張される方の名誉が傷つけられたり、それを回復するにはどうしたらいいかという問題があるのは今度かなりはっきりしたわけでございますが、法務省としては、この問題が単に放置されることなく、冷静に謙虚に考えてこれに対処していくということをこれから検討しなきゃならぬ、そういうように考えておるわけでございます。

田辺広雄自由民主党

○田辺(広)委員 それだけでなしに、全体のこの事件の中から、これからの法を守る立場から、ぜひひとつ国民の信頼を取り戻すような努力と決意を大臣からお聞かせいただきたいと思いましたが、聞くまでもないと思いますので、私も大臣も同じ気持ちで、せっかくの法務の立場におりますから、一生懸命ひとつ頑張っていきたいと思いますから、まだまだこの事件は続いておりますので、皆さん方もひとつ最善の努力をお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 石原慎太郎君。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 冒頭に基本的なことをお伺いいたしたいと思いますが、法務大臣、海は一体だれのものなんでしょう。陸には個人の所有が認められておりますが、しかしこれは公共の目的に利用されるときには私権も制限されるというケースがありますけれども、海の場合には、個人の所有権あるいは企業の所有権というのは海面に関してはないようですが、それでもなお海というのは一体基本的にだれのものなんでしょう。  イギリスでは、個人の所有があってもイギリスの国土というのは基本的にキングのもの、クイーンのものとされているけれども、日本は逆で、いかなる所有者がいようと国土というものは基本的には国民のものだと私は思いますが、国土の一部である海は基本的には国民のものだと思いますけれども、いかがお考えですか。——いや、それは私常識的なことを聞いているんだから、政治家同士。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 私、余り定かではないのですけれども、常識的にお答えしますと、私かつて海岸法を制定するときに携わったことがございますが、それから海洋管理法というのを一度出して廃案になったことがあるのですけれども、そのときの経験からすると、原則として国のものであるということだったように記憶しております。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 国を構成しているのは国民ですから、その中にいろいろな職業の人がいるけれども、私はやはり国民全体のものだと思うのですが、ちょっとすれ違ったようですけれども、それは別にしまして、中曽根内閣時代、前川リポートというのが突然青天のへきれきのごとくつくられた。随分勘違いしたところがあって予想の狂ったのがあちこちありますが、基本的には日本人がライフスタイルを変えていこうということを、端的に言えばもうちょっと遊んで金使えというようなことがしきりに言われていた。  あたかもバブルの初めのころでありますから、政府が督励してレジャーしろレジャーしろということでレジャーに関するリゾート法なんかもできまして、通産省も頑張ってくれて、もともとけしからぬ税法だったのだけれども、物品税なんというのも取っ払われまして、従来概念としては金持ちの持ち物だと言われていたモーターボートやヨットというものを割と国民が買いやすくなった。船がたくさん売れて海洋レジャーを楽しむ人がふえたのですが、どうも督励するのは督励してもその後の行政が、法律の内容、体系あるいは条例の体系、それの施行、徹底というものも含めて、時代の進みに決して追いついていない。  事が海洋のレジャーで、私は一種の専門家でもありますけれども、非常に危険な背景であるものですから、行政が、ホビーとして、趣味として海に出ていく国民の安全をきちっと保障する責任があると思うけれども、それがどうも足りないという感じがしてなりません。通産省は物品税も取っ払って国民に船を買え、船を買えということで、それは大変結構なんですけれども、随分船も売れているようで、ちょっと今バブルがはじけてモーターボートがとんざしているようですが、かなり国民の所有の船の杯数がふえました。それはそれで結構なことですけれども、その後の例えば泊地その他の整備に関してユーザーとして満足できる状況にあるとお考えですか。

野口泰彦通商産業省立地公害局立地政策課地域活性化企画官

○野口説明員 リゾート整備につきましては、ゆとりある国民生活の実現とか地域振興策の展開ということでその重要性は十分認識しておりまして、こうした観点から、御指摘のとおりいわゆるリゾート法が施行し運用になったところでございまして、関係省庁六省庁ございまして、御指摘のユーザーサイドの安全性をも含めまして、運用の面からこうした関係省庁と密接に連携をとりまして、適切な運用に努めてまいりたいと思っております。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 そんなことを聞いているんじゃない。今の現況を国民が満足していると思うか思わないかということなんです。  もう少し言いますと、つまり海洋レジャー先進国ではあり得ないような事象というのは日本では枚挙にいとまがないのですよ。それは通産省の責任というのは後から言いますけれども、運輸省なり法務省になるのか農水省になるのか、とにかくもろもろの役所の権限の及ぶところでそれが及んでいない。そういう不整備があるわけで、あなたは書かれたものを読んでいるだけだろうけれども、国民は満足していませんよ。言われるままに船を買ってみたけれども、買ったはいいけれども一体どうして使ったらいいのか、安全に使えるのかどうか、その他いろいろ問題がある。皆さんにレクチャーするのは釈迦に説法かもしれないけれども、日本の周辺の海というのは世界で最も危険な海なんです。  昔ハリウッドの映画に「紅の翼」とか「脱出」とかというなかなかおもしろい映画があった。この原作者はアーネスト・ガンという人で、一九五〇年代までノースウエストのパイロットで、戦争中は軍のパイロットで飛んでいた本当のベテランの飛行士ですけれども、その人のエッセーの中に、世界じゅうの海を飛んできた、空を飛んできた、大西洋というのは非常に危険な空域だけれども太平洋は非常に女性的でおとなしい、ただ一つ日本の周辺の空域、海域というのは非常に危険で怖いということが書かれている。それくらいそうなんです。  昔、遣随使と遣唐使というのは随分犠牲を払って行って、菅原道真が天皇に建言して、もう日本も大分文化的に成熟したから、犠牲が多いからやめようというくらい、あのシナ海を渡るだけでも大変な労苦だったわけです。きょうも実は太平洋と日本海を二つ低気圧が通過してこのようなストーミーな天候になっているけれども、これは日本では当たり前のことで、外国人がストームと呼ぶ低気圧が年平均一日三つぐらい日本の海を通過している。こういう海は世界じゅう眺めると、地勢的にもマダガスカル周辺しかないのです。そういうところで、政府に督励されて国民の皆さんが海洋レジャーもいいじゃないかと出ていくのですが、そこの状況というものは人為的に調整され得るものがいまだに調整されずに非常に危険なまま放置されているわけです。  今大臣がいろいろ海洋関係の法律に従事されたということですけれども、そういう御経験を踏まえて、なお海洋に関する、海面に関する所有権というのはじかにないでしょうけれども、つまり海を利用する、漁業に利用する人もいるでしょう、レジャーに利用する人もいるでしょうが、国民が海に対して持っている一種の水利権というのでしょうか、それの優先順位というのはあるんですか、ないんですか。もう少し詳しく聞くと、幾つかの権利、国民がそれぞれの職業、ホビーに応じて海を使うときの優先順位が何らかって、漁業権は、漁民が海を使って生活するんだからそれは最優先されるべきであるというふうな解釈はあるのですか、ないのですか。

本田進水産庁振興部沿岸課長

○本田説明員 お答えいたします。  海の利用についてということでございますけれども、水産庁としましては、漁業法等水産関係法令に基づき付与された諸権限及び諸権利の範囲内で海を漁業目的で利用することは可能であるということでございます。  優先するのかどうかということについては、ほかの法律とそういう意味では同等であろうというふうに考えております。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 当然そうだと思います。  それで、このごろ内需喚起ということもあって、日本の足りないものはいろいろあるけれども、とにかく社会資本を充実しようということであちこちで、この国土は国土で非常にヒリー、マウンテニアスだし、平地がない。だから、海を埋め立てする。そのときに、漁民がそこに漁業権を主張して、非常に膨大な補償をしなければいけない。  私は何も漁民の敵じゃないですよ。私の選挙区にもすばらしい漁民がたくさんいるし、そういう人というのは男同士、海の男として非常に共感するけれども、そうでない漁民もこのごろかなりいる。例えば今関西空港を建設していますけれども、政府が払った補償は六百億でしょう。べらぼうなものですよ。それじゃ、あそこで何年かにわたってそれに該当する漁獲があるかということは、私はどうも信じられない。  もっとありていに言うと、私のホームポートの油壺も迷路みたいなところで、入り口でふさがっているものだから一番奥の奥なんというのはすばらしい泊地だけれども、魚なんかいない。しかし、そこでも漁業権がずっとありましたけれども、ついにそこを完全に利用するために漁業権を放棄してもらって、私たちも協力して、三崎のその地域の漁協の人はアイデアがないものだから、私たちはそれを提供して、市も協力して第三セクターをつくって、その海域を一部埋めてレジャーポートの管理という新事業に漁協が乗り出している。今大変な収益を上げている。それでもそれが実現する前まではそこに漁業権があったわけです。  もっと平たく言うと、だれかが海岸のそばにうちを建てる、かなり泊地になっていて、潮のかげんで海も変わって魚の姿を見たこともないようなところに、船を買って、船を係留するくいを一本打とうとすると、そこでエビがとれますから、それが見積もり年間何万円でその補償をしてくれ、くい一本打つだけで数万円の金を取られた事例というのは事欠きませんよ。  私は、泉州沖の関西空港のあの用地の水域にどれだけ漁獲があるか知りませんが、そういったものを測定するとき、水産庁はどういう基準というか、つまり漁協の言い分を聞くのか、それとも専門的に、つまりそこの漁業権を喪失するときどれぐらいの金額に相当するかということをどうやって調べているのですか。

本田進水産庁振興部沿岸課長

○本田説明員 お答えいたします。  現実に漁業を営んでいる場所でその漁業に影響を与える行為を行おうとする場合にどういった補償が支払われるべきかということでございますが、それは当事者間の話し合いで決めるものでございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 当事者というのは施行者と漁民ということなんでしょうけれども、要するに施行者、例えば空港公団あるいは関西空港の会社はどうやって漁民と話をして、何の権威を持ってあなた方の言い分は多いとか少ないとか言うのですか。それは水産庁なら水産庁がリファーしてこないのですか。

本田進水産庁振興部沿岸課長

○本田説明員 お答えいたします。  個々の漁業補償交渉において具体的にどのような交渉がなされるかということについては水産庁は関知しておりません。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 そうすると、どんぶり勘定でやるわけだ。そういうことですね。つまり、漁業学者が来て、ここではこれだけの漁獲が上がるとかということはやらずに、つまり関知しないと言っても、全く関知しないのですか。例えば空港公団なら空港公団が埋め立てするようなときに、どういう人に参考意見をお聞きになったらいいんじゃないですかというアレンジはしないのですか。

本田進水産庁振興部沿岸課長

○本田説明員 お答えをいたします。  公益目的による漁業権の消滅等に対しましては、閣議で決定しております公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱により、国としても一定の基準を定めていると承知をしております。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 そんな木で鼻をくくったみたいな答弁をしてもしようがない。要するに、政府のする補償だって国民の血税ですよ。常識的に魚が一匹もいない海が埋め立てられるときに、それを一応チャージしている、管轄しているという漁協が出てきて金を払えと言われて、今言った経緯で、どういうのかわからぬけれども、金が払われるわけだ。それはやはり航空運賃だとか空港の利用税とか、そういったものに全部かぶせられてきて、結局最後は、私たちから見ればどうも理不尽でしかないと思う。漁民が全部とは言いませんよ。しかし、一部の漁民のそういうエゴというものを国民が負担する現象というのはいまだにどんどん続いているわけだ。  例えば、武士の情けだから具体的に名前は言わないけれども、私の非常に親しい千葉県のある友人、代議士が、私がその油壺の第三セクターの話をしたら、なるほどな、千葉も東京から近いし、東京湾もどんどん開拓され、いろいろな形で変わってきているから、私の関係している漁協を向けるので、それをぜひ参考に視察させてほしいということでやってきた。漁協がかんでいないから、ほかに幾つかの代表的な、相模湾というとヨットとかボーティングのメッカですから、日本の代表的なマリーナが幾つかありますし、それを見学させて、特に三崎のボートサービスをやっている漁協の人たちと会って話をして、帰ったそうです。  どうだったと言ったら、彼が頭をかいて、いや参ったと。要するに、私の選挙区の漁民の意見は、あんな面倒くさいことをするよりも、何かできるのだったらごねて金を取った方がずっと楽だということが結論だそうです。彼は政治家として頭をかいていましたが、今日こういう現象がもう枚挙にいとまがない。  今まではプレファス、序言でありまして、一番肝心なことを実はお聞きしたいのですけれども、昭和三十七年に、農水省ですか水産庁ですか、それと運輸省の事務次官の了解事項があって、これが都道府県通達されて、それを受けてでしょう、三十八年の水産庁の通達をさらに受けて都道府県漁業調整規則というのができたのです。その第六十条に「定置漁業その他知事が必要と認め別に定める漁業を営む者は、漁具の敷設中、昼間にあっては別記様式第十三号による漁具の標識を当該漁具の見易い場所に水面一・五メートル以上の高さに設置し、夜間にあっては電燈その他の照明による漁具の標識を当該漁具に設置しなければならない。」とある。  もう一つ、その了解事項の方を見ますと、1の(ニ)に「都道府県知事は、定置漁業及び特定の第二種共同漁業については、漁業調整規則又は漁業権の条件制限による漁具の標識(二海里以上の距離において視認できるもの)の設置を厳格に励行させるものとする。」とあります。  これは当たり前のことですが、これが日本の海ではほとんど実行されていない。そして、事故が絶え間ない。不思議なことに、お上に奨励されて海へ出ていくけれども、漁民もお上か何か知らぬがおっかなくて、網にひっかかって、網を切ってほうほうのていで脱出する人たちが、被害者意識じゃなしに加害者意識で、漁民に見つからぬだけよかった、見つかれば見つかっただけ法外な補償を取られる。  しかし、不思議なことに、沿岸の漁民は余りしけたときは海に出ない。私たちは時間の都合もありますし、夜も走ります。国際レースなどは遠くから走ってくるから、昼着く船もあるし夜着く船もある。まして、初めてその域を走る外国人というのは本当に危険な状況の中で走らされているわけだけれども、つまりこの通達あるいは都道府県の規制というものがほとんど実現されてない。  特に夜間の灯火がついている定置網というのは、私の知る限りでは、私が漁業組合と訴訟するしないでかけ合って実現した本当に一、二カ所であって、定置網で明かりのついているものはないですね。この現況を海上の航行安全というものを監督するまた保障する海上保安庁は認識しておられますか。

赤石憲二海上保安庁警備救難部管理課長

○赤石説明員 お答えいたします。  今おっしゃいました定置網、養殖いかだ等の設置とか変更というような要件の設定に当たりましては、その漁業の水域の全部または一部が港の区域また船舶交通の……(石原(慎)委員「そんなこと聞いてない。定置網の話、定置網」と呼ぶ)定置網につきまして、その設定、漁業権の設定でございますれば……

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 漁業権の設定じゃないのですよ。つまり、通達と規制の中にあるみたいに、一・五メートル以上の、二マイル半からも視認できる標識がついているか、それから夜間は明かりがついているかということ。

赤石憲二海上保安庁警備救難部管理課長

○赤石説明員 そういうものにつきましては、いわゆる免許権者であります都道府県知事と十分協議して事前の調整を図るというようなことにしております。その調整の場で我々は航行安全を確保するようにしておる、こういうことでございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 つまり、事前ということは、設置をするときに言うわけですね、その知事たちにちゃんとやらせなさいよと。しかし、事後というのは監督しているのですか。現に網は張られて、その水域をプレジャーボートが行ったり来たりするわけですよ。保安庁というのは年じゅう走っているのだから、例えば第三管区なら第三管区、東京湾は定置網を張らないのでしょう。しかし相模湾、数限りなくあるけれども、第三管区の巡視艇が、巡視艦でも巡視船でもいい、相模湾に一日行けば、幾つあるかわかる。それを把握してないのだったら、委員長、僕はこれはまた報告していただきたい。  レジャー、レジャーで海に駆り出されている国民の身の安全のために、夜間そういうところを走る人のためにも、外国からやってくる人のためにも、非常に船の行き来の多い、例えば第三——これは象徴的にとらえましょう、第三管区なら第三管区のカバーしている、それもあちこち遠いのだったら、相模湾で一番混雑しているところで定置網が幾つあって、そのうちの幾つだけが点灯しているか、調べて報告してください。  私、運輸相在任中、保安庁にちょっと行って見てくれと言ったら、別にどこでもいいのだけれども、私が一番出入りする港のところに行った。大変よく見えました、君が行ったのはきのうだろう、はい、海はないでいたな、昼間だろう。  大きな巡視艇のブリッジから双眼鏡で見れば二マイル先から見えるけれども、フリーボードの低い、命がけで走っている船が、荒天下、夜間、明かりもついてないものを波高二メートル、三メートルの中で認識できますか。そんな人のことを対象としてないと言うのだったら、そういう人を対象にするような規定なり条例というものを、やはり海上航行の安全のオーソリティーである保安庁なら保安庁が主導して、運輸省が主導して、関係の自治省なり農水省にオファーすべきじゃないですか。どうですか。やってくださいよ、それ。何もやってないのだから。

赤石憲二海上保安庁警備救難部管理課長

○赤石説明員 お答えいたします。  事前にもやっておりますけれども、その後もいわゆる適切な様式があるか、また適正な維持管理がされておるかということにつきましては、そういうことがわかりました段階で都道府県知事とも協議して改善するよう指導しているところでございまして、今後もそういうようにしたいと思っております。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 今後もじゃなしに、今までしてなかったならしてくださいよ。それは保安庁の船は、天皇陛下が葉山の御用邸に暮らしているときに来てパトロールするのは大変結構なことだけれども、ついでに、行きすがりに定置網がどういう状況でどういう様式になっているかということを調べれば、全部違反だ。そのおかげで、政府が海へ行け海へ行けと言って、物品税がなくなったからなけなしのお金で買おうかと船を買って出ていく人は、まさに命がけのレジャーをしているわけです。こんな国は世界にないですよ。  それは生命に関することが基本的人権の中の最も大事な部分でしょうけれども、それを突然政府が気を変えて物品税を廃止して海へ出ていけ。大変結構なことだと思うけれども、その海というものは本当に猫の目みたいに天候が変わって、玄人の玄人でも怖いみたいなところだ。それをやはりそれに甘んじろ。  それから、保安庁の船の数も少ない、しかしそれでもみんな頑張ってやってくれている。だけれども、やはりその一つの仕事の中にぜひ一こういう海洋レジャーの時代になったら立場を越えていろんな人が海へ出ていっているわけです。みんなそのなけなしのボーナスで、とにかくみんなで出し合って、何人かでシンジケートをつくって船を買ったり、そういう人たちが出れば本当に塗炭の苦しみというか、生命の危険を冒して意識、無意識で走っているという珍奇な現象を、安んじてせっかくの休日を海で過ごせるような条件整備をするのは私は法治国家の責任だと思いますけれども、大臣、いかがですか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 石原先生のお説はわかる気がするんですけれども、法務省が責任を持ってお答えする行政上の立場にはないと考えております。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 いや、法務省というよりも、それは大臣として、政治家として答えてください。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 法務大臣としては先ほどの答弁になりますが、政治家として、私個人とするならば同感する点が多うございますが、今後一緒になって、そういう面で落ち度がないようにやることに努力しなきゃならぬ、こう思っております。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 ありがとうございました。  じゃ、これはどこにお聞きしたらいいんでしょうね。保安庁かそれとも水産庁、それとも法務省なんでしょうか。  つまり、この通達、都道府県の規制に全く合致していない、無責任な、荒天の中で、特に夜間など荒天でなくとも網を視認できないような状況で張りめぐらされている定置網に仮にどこかの船がひっかかった場合、これはひっかかった者の責任ですか。それとも、やはり損害補償なんかの問題が起こったとき——まあ補償の問題は別にしましょう。とにかくひっかかったとき、これは加害者はどっちなんですか。ひっかかった者は漁民にとっての加害者なんですか、それともひっかからざるを得ないように、条例、規則というものに合致しない形でしか網を張っていない、それは漁民にとっては財産かもしらないけれども、その網を放置したままでいる漁民の責任なのか、これはどっちなんですか。私は、加害者がどっちかということの以前に、プレジャーボートでそれにひっかかって本当に死ぬ、生きるの思いをしている人たちの方が被害者だと思いますけれどもね。  例えば道路工事をしていて、明かりもつけずメガホンも立てずに、このごろは何かガードマンみたいな人がやっているけれども、そんなものも置かずに、夜間わからずに工事のところへ突っ込んで車がひっくり返ってそこに埋蔵された機械を壊すとか工事の途中やっとつながった管を破ってしまうとか、事件が時々ないでもないけれども、そういうケースの場合には、やはり警告の施設がないところへ突っ込んで車を壊した人たちが被害者だと思いますけれども、海上航行というのは何も漁民たちのものではないし、一般の人たちの航行の安全のためにきちっとそのための通達と条例があるんだから、それを満たしてない定置網にひっかかって事故を起こす人は被害者だと私は思いますけれども、いかがですか。    〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 お答えいたします。  漁業権は一定の区域内におきまして排他的にその海水面を利用する権利、こういうことになっているわけでございます。そのために必要な設備を設けるということも当然その権利の行使としてできる、こういうことになろうかと思います。ただ、他方、御指摘のように海面を通航する人たちがいるということもまた認められているわけでございまして、そういうような場合に、海面を通航する人たちが漁業権者が設置したいろいろなものに例えばひっかかって損害を受けるというようなことが生じた場合に、やはり漁業権者の方でもそういうことが起きないように安全を配慮する義務と申しますか、安全配慮義務と申しますか、そういうものが一応考えられるだろうというふうに思います。また、通航する方でも、その地域が一定の漁業権の対象になっているということでございますので、漁業権者がそこで何らかの行為をしているということを十分に事前に考えて、そういうものに注意しながら運航するということも要請されるというふうに思います。  したがいまして、そういう義務を十分に尽くしたかどうか、どちらがその義務の尽くしぐあいの程度が低かったかというようなことによりまして場合によっては加害者になり、被害者になるということもあり得るのではないか。あるいは、双方に過失があるということになりますと、生じた損害についてそれぞれ過失相殺をして、過失の大きい方が少ない方にその損害を賠償するというようなことも考えられるのでございます。したがいまして、私どもはそういう漁業権の実情というものは法務省としては十分に承知しておりませんけれども、一般論として申しますとそういうことが考えられるということでございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 おっしゃった排他性というのは余り言葉はよくないけれども、つまりここへ来ると危ないぞ、ここはおれたちの一つの権限の水域だぞということを告示するために、同時にその周辺を航行する人たちの安全のためにこの条例、それから水産庁ですか農林省ですか、両次官の了解、通達が行われたのでしょう。  つまり、排他性ということは、何もそこへ入ってきて魚をとってはいかぬということだけじゃなしに、やはり海上航行の安全のために、まさに今法務省が言われた安全のために、定置網が張られているこの限られた水域がエクスクルーシブだ、排他的だぞということを告示、警告するために、夜間でも明かりをつけろ、どんな荒天でも二マイル離れたところから視認できるような一・五メートル以上の標識をつけろという趣旨でこの通達が出され、規制がなされているのでしょう。どうですか、これは。保安庁と水産庁、どうですか。これはそのためなんでしょう。イエス、ノーでいいです。

本田進水産庁振興部沿岸課長

○本田説明員 お答えをいたします。  標識は、定置網等の漁業がそこで行われているということで、その他の海面利用との相互の安全を図るために設置されているということで、そういう指導をしているわけでございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 保安庁、どうですか。そのために両次官が了解、通達したわけでしょう。

赤石憲二海上保安庁警備救難部管理課長

○赤石説明員 お答えいたします。  いわゆる航行安全上の観点からぜひそういうものをつけてほしいというふうなことで、うちの方から申し入れをしておるものでございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 まさにそうだと思うのですよ。だったら、その通達なり都道府県の規制というものを満たしてない漁業施設、漁具というのは、これはある意味で違法じゃないですか。少なくとも違反じゃないですか。つまり、それにひっかかったプレジャーボートのユーザーというのは、これはまさに被害者だと私は思う。被害者以外の何物でもないと思う。国が指導し、都道府県が指導して、こういうことをしなさいよという条件を満たしてない。言ってみればそれは非常に危険な障害物を警告なしに放置している漁民側の責任じゃないでしょうか。私は漁民の責任はここで問いませんけれども、ただ、そこに告示のない、掲示のない、そこに夜間ひっかかってしまった、そして苦労したプレジャーボートのユーザーというのは私は被害者だと思うのですけれども、どうなんでしょう。一種の被害者じゃないですか。法務省、どうですか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 先ほどの次官通達の内容を私承知しておりませんけれども、少なくとも一定の区域において漁業権を行使することができる、こういう権利が与えられておる、そういう人たちがその区域であるということを明らかにする、明示する、こういうことが義務づけられておるということになりました場合に、その義務に違反をする、その結果として通航人が損害を受けたということになりますと、それは通航人というか通航船と申しますか、そちらの方が先生おっしゃるような意味での被害者ということになり得るであろう。ただしかし、これもあらゆる事実関係を前提として議論しなければなりませんので、抽象的なお答えとしてそういうことも考えられるという意味で申し上げる次第でございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 いや、私もまさに抽象的一般論としてお聞きしている。  ちょっとこれ後の質問に関係があるのだけれども、資料を各省にお配りしてよろしいですか。

山口壽男外務省中近東アフリカ局中近東第二課長

○鈴木(俊)委員長代理 どうぞ。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 私もそれが常識の判断だと思うのです。非常識が何の利益を構えてかまかり通るのでは、これはやはり法治国家じゃないので、せっかく先の先を思って両省の次官が了解事項として通達して、それを受けて各都道府県の条例としての規制の一つのこういうフォームができているのですから、それに合致してない、要するに危険な漁具が海上にどれほどあるかということは、保安庁、やはり役所の責任としてきちっと確認して、それに対処し指導していただきたい。それじゃないと国民は浮かばれませんよ。みんな沈んじゃうよ、本当に。  それから、次にお伺いしますけれども、水路というのはどう解釈したらいいでしょう、保安庁。

赤石憲二海上保安庁警備救難部管理課長

○赤石説明員 お答えいたします。  私どもが水路と言いますときには、船舶が航行する道筋ということで、その船の大きさ、スピードその他、そういうところから出てくる、船の通るところ、こういうふうに考えております。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 例の「なだしお」が事故を起こした浦賀水道も、非常に狭小とはいえ、第一、第二、第三海堡などのようなものがあるとはいえかなり幅の広い水路ですけれども、しかしあそこは非常に大きな大きなマンモスタンカーを含めて数多い船舶が航行するから非常に狭小ということで、特にあの広い水道の中の限られた部分は一種の特別の水路として、帆船の航行など許されていないし、同時にまたそこを航行する船舶も速度が制限されているわけです。これは極めて妥当なことだと思う。しかし、世の中の水路というのはいろいろなものがありまして、大体プレジャーボートが使う水路というのは、船そのものもそんなに大きくないから、非常に限られた小さな海の道筋であるわけですね。  私は何も自分のホームポートのことばかり引き出すわけではない、一番わかっているから言うので、あちこちに同じケースがあるのですが、そういう通航する船舶が、漁船も含めて’小さなものにしてもなお、水道そのもの、水路そのものが、言ってみれば百メートルにも満たないようなそういう狭小な水路の中に、それはやはり漁民の漁具として必要なんでしょうけれども、網だけではなしに生けすとかその他がこれまた全く無灯火で、特に生けすの場合には下五メートルのさおも立てず、旗も立てずに放置されている。これはやはり非常に危険な状況だと思うし、ちょっと非常識だと思うし、外国人のセーラーというか船乗りが来るとみんなたまげるわけですよ。それで、これは暫時なものか、エクステンポラリーなものか。いや、これはずっとそうだと言うと、何でこんなものが放置されるのだとみんな言う。  私はそういう現状を保安庁に認識してもらいたいし、同じ事例が日本じゅうあちこちにあるわけです。ですから、水路というものは本当に海を使う人間の公共の財産だし、要するに致命的な財産ですから、それはできるだけ安全に確保するという努力をぜひ役所の方でしていただきたい。いかがですか。

赤石憲二海上保安庁警備救難部管理課長

○赤石説明員 お答えいたします。  全般につきましては、水路通報等で定置網とかいうのは掲載しているところでございまして、また、海図ではございませんけれども、水路部発行の漁具定置箇所一覧図でありますとか水路協会発行のヨット・モーターボート用参考図というようなところには、いろいろそういうものを入れておるところでございます。また、安全上問題があるところにつきましては調査をいたしまして、都道府県知事とも協議をして改善するように指導をするということにしてまいりたい、このように思います。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 そうすると、つまりその水面のユーザーから提訴があれば、保安庁は現場を見て、これは非常識であるとか常識の範囲だとかということを判断をしてくれるわけですか。要するに、提訴がない限りは動かないというか、提訴をすればいいわけですか。  例えば地元の漁師が、あなた方よくゆうべ入ってきたね、おれたちとても怖くてあんなところには夜入れないみたいな、そういう状況の水路というのは日本じゅうあちこちにあるわけですよ。それを何とかしようと言ったって、動かないものだから特別のブイを保安庁に頼んで打ってもらったりいろいろなことをしているけれども、本来ならばそういうものに規定にある標識というものをつければわかることだし、同時にやはり常識的に言って、とにかく通路、家の中だと通路に物を置きませんよ。それをまたいで行けみたいな形でジグザグに物を置いてあるということは、外国を一々引きたくないけれども、向こうでは、少なくとも海洋レジャーの先進国では例がないんだということをひとつ銘記していただきたい。  今ちょっと大事なことを課長が言われたのだけれども、このごろどの船もGPS、自動車にもついていますグローバル・ポジショニング・システムというのがついている。これだと本当に十五メートルくらいの誤差しかなくて場所が出るので、できたら末端の位置をGPSで出して、海上の定置網なんかを明示している水路誌にぜひ記載していただきたい、そうすると随分助かりますから。保安庁、国の役所なんだし、やはりそういう努力くらいしたらいいと思う。  それから、これはまさに基本的な人権というのか、海を含めての国土の利用というものにかかわる問題ですけれども、あるところに定置網が張られている。こちらの入り江とこちらの入り江と、プレジャーボートのメッカで非常に行き来がある。それで、例えばAならAという入り江に夜間、そこは非常に都合がいいから、国際レースでも日本のレースでも、沖縄とか外国から、あるいは近くは鳥羽あたりから走ってくる船が夜フィニッシュする、ゴールインする。だけれども、やはり船によったらそこを出て隣の入り江へ帰る、反対側の入り江に帰る船があるわけです。  大概そういう入り江の岬の本当に寸前のところから定置網が張られていて、それをかわして戻るためには非常に迂回しなければいけないし、それそのものが定置網の巣みたいなところだから危険なんです。要するに、岸に沿って出ていけばショートカットにもなるし非常に安全なんだけれども、もう少しこの網と陸地のクリアランスをふやしてくれと言うと、漁民というのは絶対に言うことを聞かないよ。  これはやはり陸上通行のときに、いつまでもほったらかしにして、せっかくできた高速道路に家を建てる、昔美濃部の時代なんかそういう例があったけれども、環状八号、都の職員の家が建ってふさいだ、これもひんしゅくを買ってどきましたけれども。僕はやはり陸上ではそんなこと許さないと思うのだけれども、海上では五十メートル、百メートルでも動かしてみれば、通る船舶は小さなものだから安全に近道して回るものが、とにかく本当に夜間、なれた人間じゃないと通れないような短いクリアランスしかなしに網が張りっ放しにされている。しかも、その網には明かりもついてない、標識もついてないという事例がたくさんあるわけですよ。  これはどうなんでしょう。非常に障害物があって一種の危険な水路だから、それを漁民の協力があったら、網をわずか百メートル沖へずらすだけでクリアランスが大きくなって、生命の危険なしにそこが通過できるというんだったら、それを要求する権利というのは海のユーザーの一人である国民に当然あると私は思うのですけれども、いかがですか。法務省、どうですか。それもまた十三条の基本的人権に含まれているものじゃないんですか、このごろ解釈改憲が盛んだが。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 先ほど申しましたとおり漁業権というのは、漁業法に基づきまして一定の水面区域におきまして漁業権を行使する、この漁業権というのは物権とみなされまして、土地に関する規定が準用されるということになりまして排他的な権利である、こういうことになっているわけでございます。  そういう状況のもとで、先生御指摘のとおり海面を通航する者が非常にふえてきた、その際に、その漁業権の設定されている区域を一部移動するというようなことを当然に第三者が請求することができるか、こういうことになりますと、現行法上このようなものを請求権として認めるということはできないのではないかというふうに思います。結局、現行法の問題としては、漁業権者と通航権者の話し合いによって問題を解決するということしかないのではないのかな。  漁業法については私ども法務省十分詳しい内容を承知しておりませんので、一応私のただいま思いついた程度の答弁でございますけれども、一般論として申しますと話し合い解決ということしかないのではないかというような気がいたす次第でございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 それでもしようがないでしょう。ひとつそのとき、保安庁なり水産庁、特に保安庁は、そういう一つの提訴があって話し合いの仲介をしてくれ、そのときに、保安庁は保安庁の見解あるいは水産庁は水産庁の見解で漁民と海のレジャーのユーザーとの話し合いの調停をする責任が私はあると思うし、ぜひやっていただきたい。全部レジャーのユーザーが泣き寝入りということにならないように。  先ほど一般論として、抽象論としてそういうものにひっかかった人間が明らかに被害者だと言わ、ざるを得ないという見解がありましたが、私はやはり同じことだと思うのです。片っ方は陸なんですから、網にひっかからなかったけれども座礁してしまった、もうちょっとクリアランスが、百メーター幅があったら通れたのに、こんなところにこんなもの張るから私はひっかかったんだ。私はそのレジャーボートのユーザーの不満というのは、加害者として正当だと思うのですよ。  ここで、イエス、ノーは聞きません。それは当然すべきことなので、保安庁と水産庁、そういうケースがこれから出てくるし、また積極的にユーザーは声を大きくして提訴すべきだと思うし、そういうときに的確に対処していただきたい、それをここで改めてお願いいたします。じゃないと、本当に国民は浮かばれませんよ。死ぬために海へ遊びに行くみたいな話だから、今やっていることは。つまり、行政の対応というのは全然おくれているのですよね。格好いいこと言って、前川さんが前川レポートで、遊べ遊べ、金を使って遊べ、そうだなということで、日本人は決して無趣味な人種とは思わないけれども、海の趣味もいいだろうということで、世界で一番危険な海へ出ていくわけです。それでいて、とにかくそこの整備が全然されてない、死ぬやつは自業自得、これでは済まないと僕は思う。  それから、今お配りしましたけれども、このごろ若い人もいろいろ嗜好が変わってきて、皆さんスポーツがお好きだけれども、調査すると、タンクをしょって海に潜るダイビングの潜在人口が非常に多いし、実際の人口もどんどんふえてきた。私もそのプロみたいなものだけれども、眺めていると、これまた危険なことが物すごく多い。  例えばインストラクターのライセンスなんかもだれが権威を持って与えているのか。御存じかどうか知らないけれども、警察もどういう扱いをしているか知らないけれども、日本で実際にスキューバダイビングで死ぬ人間というのは十人単位ですよ、たしか年間三十人以上ですよ。こんなに人のよく死ぬスポーツというのはないし、外国ではこんなに人は死なない。  いろいろなところにいろいろな問題があるんですけれども、その一つで、ダイビングのメッカにこのごろなってきた下田の沖合に神子元島という大暗礁がある。私もヨットレースのときマークして回りましたし、自分自身もそこで潜りますけれども、このごろそこが非常に繁盛してきたということで、地元の下田の漁協と南伊豆町の漁協が合意して、神子元島潜水協会というのをつくって、甲乙丙ということで、どうもその丙である神子元島潜水協会というのはほとんど漁民なんです。確かなことは知りませんけれども、みんな漁民ですよ。しかも、そこで使っている船は漁船じゃなくて、ダイビングのために仕立てたいわゆる観光ダイビングのための専用船ですよ。それはそれで結構なんです。  ところが、漁のために非常に必要だから漁民の利益を守るためにそこを全部禁漁区にするというなら、これはこれでまた議論もあるかもしれないけれども、しかしダイビングのユーザーたちは納得しますよ。私たちも潜りたいなと思うけれども、これはことしから禁漁区になりました、資源の保護のために潜らぬでください。心ないダイバーもいますから、だから禁漁区と指定されれば私たちは潜らぬ。  しかし、それを見ると、つまり観光のダイビングを、甲乙二つの漁協が合意してつくった、ほとんど漁民で構成されている丙という特定の協会が全部取り仕切って、その協会に属している人間以外の船はそこで潜らせないということがある。これはどうもおかしいですね。それは、例えば山梨県と静岡県の観光協会が、富士山へ車で観光登山する人は静岡県か山梨県のハイヤー、タクシーに限るみたいなことを言うのとほとんど同じですよ。  それはどういう法的な根拠ですかと言ったら、いや、おれたちで決めたと言う。どうもこれはぐあいが悪いよなと言う人もいるみたいたし、それをまねしておれたちの島でもやろうなんということがあちこちで出てきた。私は、これはやはり、水中もまた国土の一部分でありまして、それを国民全体公平に使用する権利を基本的に持っていると思うのだけれども、漁業のためにどうしてもこの水域は残さなければいかぬ、ダイバーに入られたら荒れるというんだったらわかりますよ。しかし、同じ観光ダイビングを、一部の業者はそこでできるけれども、ほかの一般の人は自分の船で来てできないなんという、そんな規制は今の日本の法体系の中でできるんですか。  また、私が憂慮にたえないのは、一つの船に四十人、五十人乗せていって、インストラクター、ガイドなんかほとんどいないで潜るわけです。人間がたくさん過ぎるものだから、行った責任者が統括できずに、それはみんなその日会った人だから顔見知りではなくて、スーツも着てればみんな帽子もかぶっているし、同じにしか見えない。数も勘定せずに帰ってきたら、しまった、三人いない、四人いないというケースがたくさんあって、私たちがほかから帰ってくる途中、何回も漂流している人間を拾って届けてやった。  自分のことは言いたくないけれども、自分たちの船で行ってきちっとチームワークを組んで潜る方がずっと安全だし、安全なダイビングを私たちはしているつもりだけれども、そういうずさんな観光をやっている連中が、四十人、五十人一遍に連れていって、三人か四人のガイドでわあっと潜らして、海も一時間潜っていたら随分変わってくる。それで、上がってみたら流れが急に変わっていた、流されてしまってどうしようもない。数も勘定せずに行って、私たちが帰りがけに拾って届けると、ありがどうも言わずに何かにやにや笑っている。そんなケースがたくさんあって、全部が全部とは言わないけれども、その人たちが、ここはもうかるからおれたちだけが仕切って一般の人は観光もさせない。私はそんな協定みたいなものはまかり通るわけがないと思うのですけれども、権威筋の御意見をぜひ聞かしていただきたい。まず法務省、どうですか。それから、その次は水産庁だな。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 先ほど申しましたとおり、私、漁業権の内容につきましてはほとんど知識がないわけでございますけれども、一般論として述べますと、漁業権というのは先ほど申しましたように物権的な権利であるということでございます。したがいまして、漁業権を侵害するような行為が行われた場合にはこれを排除する機能が認められておる、こういう大前提があるわけでございます。もちろん、これは何でも排除することができるということではございませんで、漁業権という制度が認められた目的を達するに必要な合理的な範囲内における排除機能だというふうに当然言わなければならないわけでございます。  そういうような前提のもとに、漁業権者が自己の漁業権の対象となっている特定水域内においてそれをどのようなものに利用させるかというようなことについて、合理的な範囲内で第三者の利用を制限するということはもちろんできる、こういうふうに思うわけでございます。それを、合理的な範囲がどこまでであるかということについていろいろ疑義が生ずるということもありますので、疑義が生じないように、時間とかあるいは場所とかそういうようなものを明確に協定書というような形で協定をするということは、これは許されることであろうというふうに思うわけでございます。  ただしかし、御指摘の協定書の地域、私はよく存じませんが、そのような地域の具体的な実情に照らして、これが非常に行き過ぎたものであるかあるいはそうでないのかということについてはちょっと申し上げることはできないと考えるわけでございます。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 水産庁の見解をお聞きする前にちょっと補足しますと、法務省にいきなりそんなことをしてお気の毒のようなことだけれども、繰り返して言うことになるかもしれないが、そこに一切入るなというのじゃないのでしょうね。それで、観光だと心ないダイバーが入って貝が転がっているのを持ってきてしまうやつもいるわけだ。だけれども、それはガイドが三人しかいなくて四十人も連れていったら目の届くわけがないから見えないところでとる人もいるわけだし、そんなことを言ったら切りがない。  いずれにしろ、しかし、彼らは自分たちの仕事の一つとして、漁業じゃなしに観光はとにかくおれたちだけでやらせるんだということなんですよ、観光は。基本的には、観光というのは、例えばリンゴ園に行ったって何に行ったって、ブドウ狩りに行けばお金を払うわけだけれども、とにかくそれを眺めてくるだけでは、別にそこで物をとるわけではないし、水中の観光が即漁業の障害になるということは成り立ち得ないので、そういうケースが頻々とあって、どうもそこは人間が入ると魚が落ちつかなくなるし、漁に差しさわりがあるというのだったらそれはいいのです。禁漁区にすればいいし、そうしたらもう専門の漁師しか入れない。しかし、観光には自分たちは連れて入るけれども、ほかの人間は勝手に入ってはいかぬということですから、これは私はちょっと、どう言うのでしょう、逸脱ではないかと思うのですが、水産庁、どうですか。

本田進水産庁振興部沿岸課長

○本田説明員 お答えをいたします。  当該地区は共同漁業権の対象になっている地区でございます。この件は、心ないダイバーによる密漁が絶えないという状況の中で、本当にダイビングだけを楽しみたいというダイバーが気持ちよくダイビングを楽しんでいただくというために一定のルールをつくりまして、このルールに従ってダイビングを楽しんでいただくという趣旨ではないかなというふうに考えております。  ただ、そこに先生御指摘のような行き過ぎがなかったかどうか詳しい実情がよくわかりませんので、実情を十分調査したいというふうに考えています。

石原慎太郎自由民主党

○石原(慎)委員 自分たちが連れていった人間は密漁をしないけれども、ほかから来るやつは何をするかわからぬという、その一種の猜疑心というのはわからないでもないけれども、しかし人を見たら泥棒と思えみたいな、そういう姿勢が何かそういう協定になってきちっと定着したということは、やはりこういう開かれた社会の中でとても危険な現象、危険な兆候だと私は思う。どうかその実情をきちっと調べて——これは要するに漁業権の域内の問題ではないわけでしょう。だって、観光に人を連れていくんだから言ってみれば遊漁船みたいなもので、遊漁船は釣りに連れていくわけだけれども、ほかの人は勝手に自分の船で行って、船を持っている人は釣りをしていますよ。  ところが、この観光ダイビングに関しては、つまり漁民が案内しなければ一切そういうことをさせないというのは私はやはりちょっとこれは逸脱だと思うのだけれども、これはひとつ実情というか、実情はこのとおりのことで、あとは解釈論だと思いますけれども、こういうことがまかり通っていくと、それはまた通産省に戻ることになるかもしらないが、レジャーという一つの産業が非常に阻害されるし、私はダイビングそのものが健全にスポーツとして育っていかないと思うので、そういう見地からも、漁民ということの利益ばかり考えずに、ひとつ国民の全体の立場に立ってこういう問題に処していただきたい。これはそのうち必ずトラブルが起こりますよ、必ずトラブルが起こる。起こったときにどうするのですか。それはそのケース、ケースだということになるのかもしらないけれども、僕は、やはり漁民の被害感だけでこういうものがどんどんまかり進んでいくととても怖いと思う。  私は、決して漁民を敵視なんかしていませんよ。繰り返して言うけれども、立派な漁民、たくさんいますよ、本当に海を知っていて命がけで国民のために漁をしている人たちは。しかし、このレジャー時代に、漁をするよりもレジャーの片棒を担いで、しかも片方で漁民の特権をとにかく振りかざしながら、千葉県の某漁協組合じゃないけれども、事あるごとにごねれば金になるんだよ、面倒くさい仕事は嫌だみたいな、どうもそういう発想の人がいないでもない。これはやはり国民全体が迷惑していると思うし、漁業権そのもの、漁民の権利というものも、特に沿岸に関しては、レジャー時代が進んで物の価値観が変わり、生活様式が変わってきたときにやはり考え直していかなければいけない。  言い忘れましたけれども、私が運輸大臣のときちょっとある放言をしたのです。それは意識的にやったのです。そうしたら問題になったけれども、結局漁民の方から折れてこられた。それはそれで冷静な判断だと思うけれども、それを聞いて、亡くなった林修三さんが、これはやはり行革審で漁民の漁業権の問題には本気で取り組まなくちゃいけない、そういう時代が来たということを言っておられて私も心強くしていたら、亡くなられてしまったのですけれども、まあ行革審にすべて預けずに、政府の当事者そのものが、日本は縦割り行政で横の連絡が全然ないけれども、せっかく水産庁と運輸省の両次官が合意して通達して、それが守られていないのだったら、やはり両省の責任でこれをチェックしてもらいたいし、その他この他、この新しい時代、新しいトレンドの時代に、海に対する価値観だけではなしにいろいろな態様が変わってきているのですから、せめてそれに並行した法的な整備と、あるものだったらそれをきちっと徹底するというぐらいの責任は政府で果たしていただきたいと思います。  せっかく大臣におとどまりいただきましたけれども、大臣、これについてどう思いますかということは恒例ですが、それは申し上げません。どうかひとつ法務省の限りでもやはりそういうことの法的な整備というものを、いろいろな国民の立場で、目でひとつ再検討していただきたいということをお願いいたします。  ありがとうございました。

山口壽男外務省中近東アフリカ局中近東第二課長

○鈴木(俊)委員長代理 星野行男君。

星野行男自由民主党

○星野委員 最近、国際化の進展で外国人が随分多くなりました。町を歩いても、盛り場へ行っても、田舎の工場でも、あるいは旅行先のホテルの二次会のダンサーでも、外国人にお目にかかる機会が非常に多いわけでありますが、そういうことで外国人問題、いろいろと問題点がございますけれども、何点か御質問を申し上げてみたいと思います。  まず、先般外国人登録法の改正で大臣も随分御苦労されたと思うのでありますが、この外国人登録法の一部改正の法律が来年一月から施行されることになっているわけであります。ここでまずこれについての大臣の所感の一端をお伺いしておきたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 お答えします。  平成五年、来年ですが、一月八日から外国人登録法の一部を改正する法律が施行され、永住者及び特別永住者については従来行われていた指紋押捺にかえて、写真、署名及び家族事項等の登録という複合的手段が実施されることになりました。  この改正法律は先ごろの第百二十三国会で各党の皆さんの御賛成を得て成立した大変に重要な法律でありますので、その運用については遺憾のないよう施行前の十分な準備を事務当局に指示してきたところでございますが、これまで登録に当たって提出すべき写真の様式を定めるなど、法律の施行のための準備作業は順調に進んでいるとの報告を受けております。  法務大臣としては、改正法律が適正かつ円滑に施行されるよう法律の内容や各種の手続についてなお一層の周知徹底を図ってまいるように努力したい、このように考えております。

星野行男自由民主党

○星野委員 ありがとうございました。  力強い御答弁をちょうだいしたわけでありますが、なお、外国との関係もあるわけでありますので、この法律の施行、運用につきましては、遺漏のないように御努力をお願い申し上げます。  さて次に、外国人が非常にふえているわけでありますが、外国人の入国者数が急速に増加をしているということは承知しておりますけれども、この入国者の数とか上陸拒否者の数あるいは退去強制者の数等々、いわゆる出入国管理の現状について御説明を願いたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。  お尋ねの外国人の入国の状況でございますが、今先生御指摘のようにいずれも非常にふえております。  まず、外国人入国者数でございますが、平成三年には三百八十五万五千九百五十二人という記録でございまして、平成二年の三百五十万四千四百七十人と比較いたしまして一〇%の増ということになっておりまして、これを五年前の昭和六十二年の二百十六万千二百七十五人と比べますと一・七八倍の増加ということになっております。  それから、外国人で我が国に上陸しようとする場合審査を受けますが、その際審査で上陸を拒否された者、これを上陸拒否者と言っていますが、これにつきまして申し上げますと、平成三年は二万七千百三十七人上陸拒否を行っています。それで、これは、平成二年の一万三千九百三十四人と比べますと九四・八%、約倍近い人数の上陸拒否数となっておりまして、五年前の昭和六十二年の四千百五十一名に比べますと六・五倍、こういうふうにふえているところでございます。  さて、退去強制者数でございますが、この入管法違反等によりまして退去強制になった者は、平成三年は三万五千九百三人でございます。これを五年前の昭和六十二年の一万四千百二十九人と比べますと二・五倍、こういう増になっております。ただ、平成二年の三万六千二百六十四人と比べますと、平成三年は三百六十一人減っておりまして、これは平成二年の六月に罰則の整備等を内容とする改正入管法の施行に伴いまして、処罰を恐れた不法就労者等多数が地方入国管理局に出頭したという事情がございましたのでそういうことになりましたが、趨勢として、五年前に比べますと二・五倍増、こういう現状でございます。

星野行男自由民主党

○星野委員 先般新聞に出ておったのでありますが、恐らく労働省の方の調査、推計ではないかと思うのでありますけれども、国内の雇用者総数が約五千万人、その一%の五十万人の外国人労働者を受け入れたとした場合に、単身出稼ぎの段階のコストが、いろいろな社会福祉や保健衛生その他八百億円というふうに出ておりました。それから、家族を呼び寄せて、三人の家族を呼べば二百万になるわけでありますが、二百万になりますと、そのほか教育やその他の諸経費、コストがふえまして一兆四千億円のコストになる、こういう数字が出ておりまして、国際化の中での外国人の受け入れというのもなかなか大変なことだな、そう感じたわけでありますが、いずれにいたしましても、日本としては、この外国人問題に対しましてしっかりした政策を持ってきちんと対応していかなければならない、そう思うわけであります。  ところで、その不法残留者の現状と不法残留者や不法就労者に対する摘発状況、努力をしているということでありますが、これについてお聞かせをいただきたいと思います。

高橋雅二法務省入国管理局長

○高橋(雅)政府委員 お答え申し上げます。  まず、不法残留者の数でございますが、これは年に二回ほど法務省入管局の電算機によりまして全国からデータを集めまして突き合わせによって推定数を出しておりますが、最近の数字で申し上げますと、平成四年五月一日現在の不法残留者の推定総数は二十七万八千八百九十二名でございます。それで、これを六カ月前の平成三年十一月一日現在の二十一万六千三百九十九人に比べますと六万二千四百九十三人で、一カ月当たり約一万人のペースで増加しているということになっておりまして、入管行政を担当している当局としては非常に憂慮している現状でございます。  この不法入国者の入国・在留時における在留資格別の内容について簡単に御説明させていただきますと、短期滞在ということで入ってきた者が二十三万四千八百七十六名、八四%ございまして、これが大半でございます。そのほか、就学生の資格で入ってきた者が一万六千九百九十八名、約六%、それから興行の資格で入ってきた者が五千四百五十名、二%ということになっております。  それから、国籍、出身地別に見てみますと、不法残留者の最も多い国はタイ人でございまして四万四千三百五十四名、次いでイラン人の四万一人、それからマレーシア、韓国、フィリピン、中国というふうになっております。  それで、タイ人の不法残留者は、短期滞在というのが四万三千六百六十一人ということで九八・四%が短期滞在でございますが、中国人の場合は就学ということで一万四千百八十五人、約五五%を占めるということで、国籍、出身地によっていろいろ特徴が出ているかと思います。  それから、不法残留者、不法就労者等、こういう入管法違反者に対する摘発の状況でございますが、昨年一年間、平成三年におきまして三万五千九百三名を摘発しております。  これまで地方入国管理局におきましては、常時摘発体制をとるとともに、年数回程度集中摘発努力期間というものを設けまして、積極的な摘発活動を実施してきているところでございますが、本年もさらにこれを強化いたしまして、特に警察等関係機関と連絡を密にいたしまして効果的な摘発に努めているところでございます。

星野行男自由民主党

○星野委員 そういう不法就労外国人をめぐる問題は、例えば外国人犯罪の急増とかあるいは外国人女性が出産した子供の国籍の問題、養育の問題等々いろいろな問題がありますが、ここで未払い医療費の問題を取り上げてみたいと思います。  実は、本年十二月六日付朝日新聞でありますが、不法滞在外国人の未払い医療費群馬県が肩がわり、こういう見出しで「外国人不法労働者らの医療費未払いで医療機関の負担が問題化しているが、群馬県は、来年度予算でこれを負担する方針を固め、具体的な検討を始めた。」云々と書いてあります。この数字によりますと、群馬県で未払いが累計一千二百十二万七千七百七十四円に上っているとありますが、全国的にはこういう関係の未払い医療費というのは相当な金額になるのではないかと思っております。  いずれにしても、人命尊重でありますから、外国人であっても、例えば病気、けがの場合、病院に担ぎ込まれれば診ないわけにはいかないわけでありますが、こういう未払い医療費がどこでもふえているということは一つの大きな問題であろうと思います。例えば全国で、そういういわゆる不法残留者あるいは不法就労者等々、さらにまた外国人で社会保険のきかないものもあるでしょう、そういう外国人関係の未払い医療費というのはどのくらいか、おおよその見当はわかりますでしょうか。

今田寛睦厚生省健康政策局指導課長

○今田説明員 お答え申し上げます。  医療機関におきます外国人に係る未払いの医療費につきまして、厚生省といたしまして実態調査を行っておりませんけれども、全国的な規模を有します調査といたしまして、全国自治体病院協議会が実態調査を行っております。  それによりますと、六百六病院におきまして、平成三年度の外国人患者を含みます全患者、これの未払い医療費が約二十七億一千万円でございますが、そのうち外国人に係ります未払い医療費は三・四%、約九千二百万円となっております。ちなみに、これを六百六病院で割りますと、一病院当たり約十五万円という結果となっております。

星野行男自由民主党

○星野委員 自治体病院だけでもそのくらいの金額になるわけでありますから、民間の病院等を含めればかなり大きな金額になると思います。  これについて群馬県がそのようなことを今検討を始めておる、こういうことでございますが、国の方でこれは全く我関せずということでよろしいのでありましょうか。こういう国際化の中での一つの問題点、入管ともかかわりますけれども、これは、全く完全摘発して不法残留者を全部排除するとかあるいは不法就労を全部排除するということは現実には今正直できていないわけでありますが、その後始末を民間の医療機関あるいは自治体病院に任せっきり、こういうことでいいのでしょうか。国の方の何か検討していることがあればお聞かせください。

今田寛睦厚生省健康政策局指導課長

○今田説明員 未払いの医療費に係ります医療機関の負担軽減等の対策でございます。  日本の国内に適法に居住していらっしゃる方々につきましては、内外それぞれ平等の原則に立ちまして、国籍を問わず所要の負担のもとで必要な医療を受けられるように仕組みがとられております。一方、不法に滞在いたします外国人につきましては、当然出入国管理及び難民認定法の規定に基づいての強制退去という取り扱いになるわけでございますが、医療保障を行うということになりますと不法滞在を容認するあるいは助長するおそれがあるということの理由から、不法滞在を前提とした対策というものを講じることは大変難しいのではないか、このように考えております。

星野行男自由民主党

○星野委員 今の答弁はわかりますが、しかし何か基金をつくってそういう医療費の未払い対策を講じるというようなことは必要なことではないかな、こう思いますが、ぜひ検討をお願いいたします。  時間が限られておりますが、いま一点、入管政策の今後の基本方針について、大臣、お聞かせいただきましょうか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 お答えします。  我が国を取り巻く国際環境が今日非常に変化してまいりまして、我が国の国際社会における地位は大変向上してまいっております。したがって、我が国が国際社会において果たす役割が非常に大きくなっておるし、これからも大きくなると認識しております。したがって、今後の出入国管理行政というものは次のような理念が必要であると思うのです。  一つは、国際協調、国際交流の増進への寄与ということと、第二点は我が国社会の健全な発展の確保、こういう理念がないといかぬと思うのです。このような理念のもとで留学生、研修生、技術者等を幅広く受け入れることとしておりますが、さらに行革審第二次答申の趣旨に沿って新たな研修制度の創設についても現在検討中でありますが、今後とも推進してまいりたいと思いますし、また他方、我が国社会の秩序に悪影響を及ぼすような不法残留者等については厳正に対処していく所存でございます。    〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕

星野行男自由民主党

○星野委員 いま少し時間がありますから、登記事務のコンピューター化について若干お伺いをしてみたいと思います。  法務省は現在登記事務のコンピューター化を進めているわけでございますが、その全体計画とコンピューター化完了後の登記事務の将来像、そういうことをひとつ御説明を願いたいと思います。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 お答えいたします。  現在、法務省におきましては、大量の登記事件の適正かつ迅速な処理それから行政サービスの充実向上を図るという観点から、登記事務のコンピューター化を進めているわけでございます。  これは既に御案内のように、昭和六十年に電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律というものがつくられまして、コンピューター化が国の責務であるというふうにされているわけでございますが、これと同時に、あわせて登記特別会計制度が創設されたわけでございます。それに基づきまして、現在私ども全国的にコンピューター化の展開をいたしているわけでございます。  このコンピューター化の大体の概要と申しますのは、原則として各登記所にコンピューターを設置する、場合によっては複数の登記所で共通のコンピューターを利用するということもあるわけでございますが、基本的に各登記所にコンピューターを設置する。それから、各地方法務局に各登記所のコンピューターをバックアップするためのバックアップセンターを設置する。さらに、その上に全国の登記事務をバックアップするための登記情報センターを一カ所、これは法務省に置く。こういう三重構造のコンピューターシステムを現在考えているわけでございます。  登記というのは人の財産に関する公簿でございますので非常に重要である、そういう意味で、慎重の上にも慎重な対応をする必要があるということからこのような三重のシステムになっているわけでございます。平成二年から本格的な展開を始めているわけでございますが、本年度末で約千百カ所の登記所のうち六十カ所程度がコンピューター化をされるという状況にあるわけでございます。  私どもといたしましては、現在の不動産登記システムあるいは商業登記システムのままで、とりあえず、とにかく全国の登記所のコンピューター化を図る。全国の登記所がコンピューター化されますと、それぞれの登記所あるいはバックアップセンターあるいは中央の登記情報センターと回線ですべて結ばれるということになりますので、そういうようなコンピューターの全国的システムを利用したより濃密な行政サービスを考えていく。例えば将来の問題といたしましては、北海道にいて九州の土地の登記簿の登記事項証明書も取れるというようなことも考えていかなければならない。ただしかし、現在におきましては、いずれにいたしましてもとにかく登記所のコンピューター化を進めることが必要である、こういうことで鋭意努力をしているところでございます。

星野行男自由民主党

○星野委員 現在、千百の登記所中六十カ所コンピューター化がなされている、こういうことでございますが、全体計画、このコンピューター化が完了するのはいつごろになるんでございましょうか、またそれに要する投資額はどのくらいこれからかかるのでありましょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 全国の登記所の登記事務をコンピューター化していくためには、現に登記されている極めて膨大な登記事項、つまり登記簿というものがあるわけでございますが、これを磁気ディスクに入力する作業、これを移行作業と呼んでおります。これを行う必要があるわけでございますが、これが大変な事務量になるというようなこともございまして、相当数の要員それから予算を必要とするということになっているわけでございます。  そこで、このような要員の確保とか予算上の制約もございまして正確な見通しを述べるということはできませんけれども、現時点では十年ないし十数年のうちにこの全国の登記所についてコンピューター化を完成いたしたい。また、これに要する経費につきましては、登記特別会計の適切な運用が当然に必要になるわけでございますが、今後の技術革新等によるコストダウンというようなことも大いに期待されるわけでございます。そういう意味で、不確定な要素もありますけれども、総額で四千から五千億円程度の経費を要することになるのではないか。これはかなりアバウトな計算でございまして、十年先あるいは十五年先の数字を見越して申し上げるというのはちょっと問題かと思いますけれども、私どもの大体の計算ではそんなことではないかと、いうふうに考えております。

星野行男自由民主党

○星野委員 コンピューター化自体は大変結構なことだと思うのでありますが、大変権利関係の重要なことでありますが、例えばコンピューターウイルスとかいろいろと言われておりますが、そういう心配はないのでありましょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 世上、コンピューターウイルスの問題が大きな問題になっているということを私ども承知しているわけでございます。  この問題は、登記所のコンピューターと通信回線で接続された端末装置等が登記所外に設置されて、これが第三者によって利用されるということを前提とするわけでございますけれども、この端末装置等を登記所以外に設置するということは今のところ考えてないわけでございます。したがいまして、当然そういう意味でのコンピューターウイルスというようなものが入り込む余地はないし、またこの登記のコンピューターにつきましては法務省で独自に開発いたしましたソフトウエアである、その開発及び保守を一元的に行って内容を管理しておるというようなこともございまして、なかなか入り込む余地はないというふうに思っております。  ただしかし、先ほど先生御指摘ございましたように、将来の問題として、全国の登記所がコンピューター化が完成した場合に、さらに行政サービスを向上させるというような意味で端末を登記所外に持ち出してほかの人たちが利用する、司法書士さんが利用するというようなことも考えられるわけでございます。そうなった場合にどうかというあるいは御心配かもしれませんけれども、そういうようなことは絶対ないように、いろいろなシステム的な工夫を重ねてまいる必要があるというふうに考えているわけでございます。

星野行男自由民主党

○星野委員 コンピューター化について今後四千億から五千億円のお金がかかる、こういうことでありますが、実は田舎の方の、過疎地の登記所の統廃合計画が進められているわけでありますが、こういうふうなコンピューター化に大きなお金がとられる、そのために過疎の住民切り捨てというようなことにならないように、ぜひそのあたりのきめ細かな配慮をお願いしなければならないと思うのでございますが、この点につきまして大臣から一言お願いいたします。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 登記所の統廃合というのは行革の閣議決定に基づいて推進しておりまして、時の流れであると思いますのでこれは進んでいくと思いますが、ただそのときにサービスが低下したり住民のことを忘れたりという気持ちではいけないということで、この実施に当たりましては地元住民の理解を得るということがまず大事であるというふうに考えておりますし、地域の実情を十分考慮しながら、行政サービスの向上を図りながらやっていくということを忘れないでやっていきたいと考えております。

星野行男自由民主党

○星野委員 よろしくお願いいたします。  以上で終わります。ありがとうございました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鈴木喜久子君。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 私、法務で貴重な時間なので、全体を検察のあり方についてしたがったのですけれども、やはり緊急の問題やらどうしても伺っておかなければならない問題がありますので、二、三それを伺った後に検察のいろいろなことについて伺っていきたいと思います。  これは本来は外務の問題なんですが、まず第一番にソマリアの現状について、今いろいろと報道されていることについて、私、心を痛めています。人権の委員会ですからぜひこの点について、またこれは各委員会で当然取り上げられる問題ではございますけれども、簡単に御報告をいただきたいと思うのです。  現在日本の救援体制とか状況についてどのようになっているか、現状はどういうふうに調査をされ、具体的に言いますとどういうふうな時点で、だれがどのような形で現地の情報をとっておられるのかということ、そしてこれからの救援方針はどういうふうになっているかということをお答えいただきたいと思います。

山口壽男外務省中近東アフリカ局中近東第二課長

○山口説明員 それではお答えいたします。  まずソマリアの現状ということでございますけれども、ソマリアでは昨年の一月に当時の政権が崩壊いたしまして、それからあそこの国は氏族、クランと言っておりますけれども、氏族が割拠しているという状況でございまして、そういう氏族を基盤とする勢力が多数乱立してまさに無政府状態という状況が続いておるということです。これにまた干ばつが加わりまして、こういう二重の不幸なことがあって極度の食糧不足という状況でございます。  それで、国民六百万人の国なんですけれども、このうちの約百万人がもう既に近隣国に難民として出ておるという状況でございます。また、国内の国民のうちの二百万人以上が飢餓に瀕するという状況、非常に悲惨な状況が出てきております。これまでに内戦と干ばつによりまして、これは推定ですけれども、死者が三十万人、非常な数がもう既に亡くなっているということで、このままの状態が続きますと、ますます被災者がふえることは不可避であるという状況です。  こういう状況に対してどうするのかという御質問だと思いますけれども、こういう事態に対しまして、既にこれはもうことしの一月、ことしに入ってからずっと続いておるわけですが、国連機関等を中心にしまして活発な救援活動が行われてきております。しかし、問題は無政府状態の中で武装勢力が食糧等の救援物質の略奪をするという非常に困難な状況があるということで、事態が余り改善しないで悪化しているという状況です。救援活動自体がなかなか困難であるという状況であるということです。  こうした中で、ついこの間、十二月三日でございますけれども、安保理、国連の安全保障理事会におきまして決議七百九十四というのが採択されまして、この決議は全会一致で採択されました。これはまさに、ソマリアの悲惨な状況を救うためには既存のPKOの枠内では対応困難である、そして人道的な見地からもはやこれ以上手をこまねいているわけにはいかないという国際社会全体の強い意思を示すものであったと思っております。現在、我が国も含めまして、この決議を踏まえた対応というものを鋭意検討しているという状況でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 お話を伺いますと、非常に悲惨な状況で、一九九二年、ことしの中でもう既に三十万人の、子供たちが中心だと思うのですけれども、命が奪われていくという状況であろうと思いますけれども、ここで具体的に日本が何をしたかというと、結局は経済的な援助以外にはほとんど今のところされていないような状況です。  先ほどもお話の中にありましたけれども、PKOということでの対応はこの際全く困難であるということであるし、PKO協力法に基づいて何か外務省の方で考えるということはまずあり得ないのだろうと思いますが、この点の確認と同時に、そういうこととは違った意味での救援活動、武力というものとは関係のない部分、お金ではない部分で日本ができる部分をもっと議論していかなければいけない、武力行使ではない部分で何かやらなけばいけないのではないかということを本当に痛切に感ずるわけです。先ほどのPKO協力法に基づく協力はあり得ないということの確認をいただくだけにとどめますけれども、ぜひこれから早急な対策の協議をしていただきたいと思います。

山口壽男外務省中近東アフリカ局中近東第二課長

○山口説明員 お答えいたします。  我が国としましても、現在の状況を非常に憂慮しているということで、長々と申しませんけれども、これまでに三十四億円ぐらいの援助物資を出しているということでございます。  それから、先生御質問の国際平和協力法の関係でございますけれども、この国際、平和協力法に定められました諸要件を満たす必要がある、大前提であるということでございます。したがいまして、本件の安保理決議に基づきまして関係各国が実施する予定の統一行動、いわゆる多国籍軍に対しまして我が国が要員を参加させるということは、この法律の枠組みを越えるものでございますので不可能と言わざるを得ないということでございます。  先生御指摘のように、まさに政府としましては、人道的な救援活動の面での協力というものの可能性を幅広く十分に吟味していきたいと考えておる次第でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。  それでは第二の問題に行きたいと思います。  私たちが法律活動をする上で、遺言書をつくったり、契約書をつくったり、その他の公正証書をつくったりするために公証人という特別の公務員の方がいらっしゃいます。この任官について、いろいろなことについては公証人法ということで決まっているわけですけれども、現状をちょっと教えていただきましたところ、現在の公証人は五百四十三名だということなんですが、人員としてはこれでまず足りているのでしょうか。簡単に一言でお答えください。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 お答えいたします。  公証人はみずからの収入でこの事務を行う、役場の経営を維持するということになっておりますので、収入が伴う地域でないとその役場を選べないというような状況がございます。そういうような状況で考えますと、現状におきましてはほぼその需要を満たすような状況になっておるのではないか。ただ、地域的に見ますと、最近の情勢に照らしてまだもう少し役場を置いた方がいいのではないか、そういうふうに思われるところもございますので、そういうところについては公証人の増員を図る、こういうようなことも現在やっておるところでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 私たちも、弁護士の立場からいいましても公証人の方にいろいろお世話になることも大変多いわけですけれども、例えば出張での公証とかいうことになりますと、日にちをとるのにも時間がかかる、公証人のいらっしゃる時間がまたそれほど長い時間いらしてないし、担当の方が何曜日と何曜日ということだけでいらしたりして、かなりそういう面では緊急にも間に合わないというような現状があると思いますし、そういった声を幾つか聞いております。  そして、現在公証人というのは裁判官とか検察官それからそのほかの法務の御出身の方々が任命をされているというふうに聞いております。中身を拝見しますと、その中の半分が検察官出身者で一番多くて、それからあと裁判官出身者と法務局長等の出身の方々がまたその四分の一ずつを占めているというような割合になっているようでございます。  この公証人法を読みますと、これは試験をしてということが書かれているわけでございます。そして、試験でなくてもこういった実務の経験を経た人から公証人を任命することができるというような条文の体系になっていると思うのですが、現在この試験というのは実施されていないというふうに聞いておりますけれども、この点はなぜ実施されてないのでしょうか。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 公証人の任命につきましては、御指摘のように公証人法第十二条で「一定ノ試験ニ合格シタル後六月以上公証人見習トシテ実地修習ヲ為シタルコト」、そういうものが一つの任命資格グループとしてはございます。それから、十三条に簡易裁判所の判事を除きます裁判官と副検事を除きます検察官あるいは弁護士たるの資格を有する者については試験を経なくても公証人に任用することができる、こうなっております。これが第二のグループ。第三のグループといたしまして、公証人法十三条ノ二という規定がございまして、法務大臣は当分の間法務行政の学識経験豊かな者の中から公証人審査会の選考を経て公証人を任命することができる、こういうことになっているわけでございます。  そこで、こういう三つのいわば有資格者グループの中からだれを公証人に任命するかということにつきましては、従来より任命権者である法務大臣の広範な裁量にゆだねられておる、こういうふうに考えられているわけでございます。このような観点から、この有資格者を選考するための公証人試験を行うかどうかということにつきましても、法務大臣が有資格者として十分な人員がいるかどうかというような観点から判断をする、つまり試験を実施するかどうかにつきましても法務大臣の裁量にゆだねられておる、こういうふうに解されているわけでございます。  ところで、現在は、先ほど申しましたように、裁判官、検察官の経験が非常に長い、法律実務経験豊かな方々及び法務行政に経験豊かな方で公証人審査会の議を経た方々、そういう方々が公証人に任命されているわけでございますけれども、現在、公証人試験をしなくても、このような裁判官、検察官等の長い実務経験を有する方々の中から有能にして必要かつ十分な数の公証人を確保することが可能である、こういう状況になっているわけでございます。  そういう状況からいたしますと、さらにこれに加えて公証人試験というような試験を実施する必要性とか、あるいはこれを実施するといたしますと司法試験と同じような程度の試験になることが考えられるわけでございますが、そういう試験、ペーパーテストに合格したのみならずさらに実務修習というようなものを考えますと、司法試験と並んで公証人試験というようなものを実施する合理性というものは非常に薄いということが考えられるわけでございます。こういう観点から法務大臣はこれまで公証人試験は実施しておらない、今後も実施する必要性はないのではないかというふうに考えておられると理解いたしておるわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 後でこれは法務大臣にぜひ伺わなければいけないと思うのですけれども、平均年齢が六十四・二歳。要するに、公証人の先生方もすばらしい人格と識見そして技術、経験豊かでいられる。その点では私も非常に尊敬もしているし、たくさんいい方がいらっしゃるわけですが、御健康の方もいらっしゃいますけれども、平均年齢が六十四・二歳ですから、お年という方も非常にいらっしゃる。  そういう中で機敏に、例えば夜間にも来ていただきたい、こちらも、もうすぐ死にそうな人の遺言状をとらなければならない、そういったことがある場合もございまして、さまざまな利用ということを考えますと、数はどのくらいかということはその需要に応じてですけれども、公証人専門の方があってもいいのではないか。せっかく試験制度があるのに全くそれをされていないということは非常におかしいし、また、裁判官や検察官、法務局長等の方で今足りているのでもう要らないというようなことも一つの理由の中におっしゃっていましたけれども、足りているから要らないということでは本当は論理が本末転倒しているのじゃないかと思うのです。こういう形で有能な若い人、公証人の畑でずっとしてくるという意味での経験豊富な人たちを、人材を養成していくことも必要ではないかと思うのですが、この点、法務大臣、いかがですか。これだけ答えていただけばそれで結構でございますから。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 おっしゃるように、現行の公証人の任用は裁判富とか検察官等を務めた方、そして実績を上げた方の中から任用されているわけであります。先生のおっしゃるようなお考えもわからぬではありませんが、現行の任用法にはそれなりのメリットもあるわけでございますけれども、今突然御質問でございますので即刻十分な御答弁ができかねるわけでございますので、勉強させていただきたいと思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 ぜひお勉強していただきたい。これは、初めて今ここで申し上げましたけれども、きょうは時間が許しませんのでこの程度にしますけれども、これ一回で終わることではなく、またこの次の国会も、その次の国会もずっと、時間のあるときにいろいろ私お尋ねしてまいりたいと思いますので、この点でどうぞ御検討いただいて、法務大臣としてのお考えもきちっとお聞かせいただきたいと思います。  それで、今度、司法試験の問題について一つだけ伺いますけれども、ことしは何か女性が大変ふえた、司法試験の改革によって随分合格者の人数もふえてまいりました。そして、来年度の四月に任官されたり、また弁護士になられる、研修所を卒業する方はその改革の第一期の方に当たるのでしょうか。大勢出てこられる方になるのではないかと思います。この点ちょっとわかりませんのでそれも聞かせていただきたいのですが、その中で来年の検察官の志望者が極端に少ないというふうに聞いているのですが、この点いかがでしょうか。

則定衛法務省大臣官房長

○則定政府委員 最初の御質問の、いわゆる六百人制になって最初の修習終了者は再来年の春ということになります。したがいまして、来年の春研修を終わりますのは五百人体制の最終年次の方。この中で、現時点ではまだ来春の任官志望者を確定的に集約しているわけではございませんので定かな数は申し上げられるわけではございませんけれども、現在私どもが司法研修所の教官から報告を受けております数は五十人程度ということで、必ずしも極端に落ち込むことにはならないであろう、こう考えております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 またこれも継続的に聞いていくことなのでこれだけにとどめますが、私が聞いたところでは、後期の修習が始まったぐらいのところまでで十人台だ、十六、七人だというふうに聞きまして、いやこれは随分不人気であるなと思ったのです。それは昨今の情勢が非常に影響しているのかなと思いながら私は聞いておりましたのですが、御努力のかいあって今のところ五十人ぐらいあるということであれば、どうなりますか、後で——四十人台ですか、四十人台、五十に迫るということですね。その程度ということで伺っておきますが、次の問題に移らせていただきます。  平成二年の商法改正、ちょうど私、初めて法務委員会にも属し、国会議員になったところですが、ここで商法の改正がありました。有限会社と株式会社に関して、その中で資本金額の引き上げということが一番大きな柱であったと思うのですが、これのときに私もこの場で質問もした部分がありまして、それが附帯決議となってあらわれております。  それは、この法律に基づいて増資をする際に生ずる税金についての措置等について特別の計らいをするというようなものでございます。衆議院も参議院も両方とも附帯決議がつきましたけれども、衆議院の場合には、これを読みますと「商法等の改正に伴う最低資本金制度の導入に際しては、会社が最低資本金を満たすために増資をする場合等について、所要の税制上の措置を講ずること。」という一項があります。参議院の方になりますともう少し具体的になりまして、「株式会社への最低資本金制度の導入及び有限会社の最低資本金額の引上げに伴い、小規模会社が増資等をする場合については、税制上の所要の措置を講ずること。」というふうになっております。  まず法務省に伺いたいのですけれども、こういったことについてのこの趣旨はどういったものだったのでしょうか。済みません、時間の関係で簡単にお教えください。

清水湛法務省民事局長

○清水(湛)政府委員 平成二年の商法の一部改正におきましてそのような附帯決議がされたということでございまして、その趣旨といたしましては、私どもの理解するところによりますと、株式会社について一千万円、有限会社について三百万円という最低資本金が設定されたわけでございますが、株式会社についても有限会社についても、多数の会社がそういう最低資本金に満たない現状にある。そこで、このような制度が導入をされた以上、できるだけ速やかにそういった最低条件を満たすような形にこの増資等をしていただくことが望ましい、そういうことを円滑にすることができるようにするために税制上の措置を講ずるのが相当であるという趣旨で附帯決議がされたものと私どもは理解しているわけでございます。  このような附帯決議の趣旨に従いまして、株式会社につきましては、いわゆるみなし配当課税の問題が当委員会でも議論されたわけでございますが、それについて資本金を一千万円にするまでの額について課税をしない、あるいは増資に係る登録免許税についてこれを軽減する、こういうような措置が大蔵省において講ぜられたというふうに理解しているわけでございます。     〔委員長退席、星野委員長代理着席〕

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 有限会社については、これについてそういった措置はとられていないわけですね。株式会社の方はそういうことで、その趣旨にのっとって非常によくわかるのですが、有限会社の方についてはこうしたことについての措置がとられていない、特別措置がとられていないというので、大蔵省に伺いますけれども、なぜ有限会社だけはとられていないのでしょうか。簡単にお願いします。

細見真大蔵省大臣官房企画官

○細見説明員 ただいま法務省の方から御説明がありましたように、平成二年の商法の一部改正に伴う問題につきましては、三年度の税制改正でいわゆるみなし配当課税の点と登録免許税の二つについて税法上の措置を講じたわけでございます。有限会社につきましては、後者の登録免許税につきましては同様に軽減税率を適用するという措置を講じておるところでございます。  多分、委員御指摘の点は、資本金を増加する場合のみなし配当の問題かと思います。  委員も御存じのとおりと思いますが、有限会社の場合には利益または準備金を資本に組み入れるということが制度的に認められていないということから、みなし配当所得について株式会社と同じような措置を講ずることが事実上困難であるということがその背景でございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 形式的に見ますと、そういった制度がないということは確かだと思います。それはそうなんですけれども、しかしここで、最低資本金を充実させていくということのために初めに一たんその利益を配当してそれでその分を増資に充てるということにすれば、実質的に見ればこれはまさにみなし配当の場合と同じことでしょう。ただそういったことになっていないということで、利益準備金とかそういう形がないということだけでそこについての特別の措置をとらないというのは、こういった問題で参議院でのそうした形での決議がまだ実行もされていない、その趣旨もとられていないということで、非常にその点では有限会社の、今会社としては非常に困った事態になっているのじゃないかと思うのです。全国で見ますと稼働中の有限会社の数というのは、資本金が百万円未満の数も非常に多くて約十二万ぐらいあるし、増資する必要のある有限会社というのは全部で五十万社もある。そういう人たちにとって、これはトータルで見てみたならば非常に大きな問題であると思うのですね。  きょうはこれはとば口だと思っていただきましてまた次、時間がありませんのできょうはとば口で、これからまたこの問題について議論もしていかなければならないと思いますけれども、有限会社についても実質的に同様な部分についてはぜひとも御配慮をいただきたいというふうに思うのですが、一言お願いいたします。

細見真大蔵省大臣官房企画官

○細見説明員 ただいま御指摘の点は、一たん配当をしてそれを増資に充てるということであろうかと思いますが、もともと有限会社法に利益準備金なり利益なり準備金を資本に組み入れることが制度的に認められていないという現状の中で、事実上それを、税法上そういうような形で物が流れることを担保するような制度をつくるということ自身がそもそも有限会社法で認められていないということとの関係をどう考えるかなど、難しい問題があろうかと思います。今後とも引き続き勉強させていただきたいというふうに思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 これもタイムリミットのある間に増資をしなければならない問題で、その間に考えていかなければならないと思いますので、勉強を早急にしていただきまして、次の国会のときにはぜひいい回答をいただきますようによろしくお願いを申し上げます。  それでは、検察の問題に入りたいと思います。  私はこれだけをきょうやりたかったわけでございますけれども、それではまず最初に金丸さんの五億円の問題からいきたいと思います。  金丸さんが、八月の末に私は五億円を受け取ったということをみずから発表された。こういったことの中で、検察というところはこれが一体どの犯罪の構成要件になるのかということについて、頭の中に、五億円を受け取った、それでこれはどうも何か陣中見舞いの意思があるというふうに理解したというような内容だったと思うのですが、金丸氏がそれを受け取ったというときに、検察というところは法律の構成要件をたくさん思い浮かべるということはないのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  今の委員のお尋ねは、八月二十七日に金丸前議員が記者会見されたときのことをおっしゃっているのだろうと思いますけれども、そのことに限らず、一般的に申しまして捜査の過程でいろいろな証拠関係から想定される犯罪というものにつきましては逐一検討いたしまして、その成立可能性等は証拠と照らして吟味、検討するというのは、これは当然のことでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 私も当然なことだと思うのですけれども、そういうふうにしますと、例えば金丸氏がここで最終的には量的違反で上申書で済まされることになるわけですけれども、そのときにも、証拠に照らして、そのときそのときの捜査の状況に照らしてさまざまな構成要件の成立ということを考えていかれるというその作業というのが、今回の場合には金丸氏の取り調べといいますか供述というものを得ないで行われるということが万全だったと言えるのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  今の委員のお尋ねは、捜査当局の捜査の手法等についてある程度御説明をしないと正確に御理解いただけないかと思いますので、ちょっとその点も含めて御説明申し上げたいと思うのです。  例えば収賄罪について申し上げますると、東京地検特捜部におきましては、これは委員も十分御承知のとおり、これまで数々の贈収賄事件を認知、起訴しているところでございますが、贈収賄罪は、もともと公務員の職務の公正を害する重大な犯罪と言っていいわけでございます。したがって、いやしくも贈収賄罪の嫌疑が認められる場合に漫然これを見逃すというようなことは考えられないわけでございます。  一般に贈収賄事件の立証について申し上げますると、これはわいろとされる利益の授受のほかに、収賄者の職務権限の有無とかわいろの趣旨あるいは請託の有無などの事柄が当然問題となるところでございまして、贈収賄事件の捜査の過程におきましては、まずその贈賄者と疑われる者あるいは収賄者と疑われる者の地位とか収賄者と疑われる者の職務権限、それからその両者の間における金銭等の授受の日時、場所の特定とか、その金銭等の多いか少ないか、あるいはこれに関する両者の言動とか、そのほかその収賄者と疑われる者の事件後の金銭費消状況とかその他の行動状況など、要するにもろもろの客観的事実の解明のための内偵捜査がまず初めにありまして、そういうものが必要不可欠になるわけでございます。そして、その客観的事実の側面から贈収賄罪の嫌疑があるか否かを十分見きわめた上で、その嫌疑が濃厚になった段階で収賄者と疑われる者を初めとする事件関係者の取り調べを行うというのが捜査の常道というべきものだと考えるわけでございます。  これに反しまして、これらの内偵捜査の目的を遂げないままで、例えば、委員はそんなことをおっしゃっているんじゃないと思いますけれども、マスコミ報道とか投書等を根拠にしまして収賄をしたのではないかと言われているような者をただいたずらに取り調べるというようなことは、これは捜査の常道からいってあり得ないわけでございまして、取り調べを受けた者が収賄罪を犯したことが確実であるかのごとく逆に取り扱われるというか、その名誉を害することにもなりかねないわけでございます。  したがいまして、贈収賄罪の捜査の流れというのは大体そういうような形をとることでもございますし、また、先ほど委員が今回の事件の関係でいろいろおっしゃっておられる中には例えば収支報告書の不記載罪というようなものも考えられたではないかというようなこともおっしゃっておられるのだろうと思いますけれども、その点についても、一般論として申し上げますと、政治団体の会計責任者について成立する犯罪でございますね、収支報告書の不記載罪というのは。そういうことで、会計責任者が全く関与していない場合にはおよそ犯罪の成立する余地がないものと理解しているわけでございます。  本件におきましても、検察当局は今申しましたような捜査の常道とかあるいは法律解釈を踏まえまして捜査の検討を進めたものというふうに聞いているわけでございます。その結果として、例えば贈収賄罪あるいは収支報告書不記載罪を含めまして犯罪の嫌疑ありということで公訴を提起するに足る事実は確認できなかったものというふうに先般衆議院の予算委員会でも御報告申し上げたわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 捜査の常道とおっしゃいますけれども、捜査の常道というのは、最初もらった人がわからないわけですよね、ちゃんともらったかどうか。きっちりとこの人からもらったということがわかってないときには、周りから固めていってやるというのは常道でしようと思います。  しかし、今回は、自分はだれからもらったよということははっきりしているわけですよ。わかってないとすれば、さっきおっしゃったように、例えば職務権限の有無であるとかそれぞれのそういったことについて、それは確かに考えられることではあるかもしれませんけれども、もともと本人のそうした、自分がもらったよということ、だれからもらった、幾らもらったということがはっきりしているのに、裏からそれを固めていくなどという捜査の常道、まずそういうことをやるのだったら、まさに間が抜けていると私は思うのですよ。  最初にそこのところはわかっていることなんでしょう。もちろん自白ですよ、それは。ですから、それだけで決まることではないし、そういった問題については客観的にそれを集めていかなければならないのは当然ですけれども、それをやって、だからもう調べなくていいということには絶対ならない。自分の方から言っている人を、自分がそこでその人から事情聴取をするということ自身、それをしないで済む理由には全くなっていないと私は思います。  その中で、先ほど言われました問題として、例えば贈収賄の問題はどうだろうかとかまたはそのほかの収支報告書の不記載はどうだろうかとか、そのほかの犯罪はどうだろうか、いろいろなことを考えられて、今現在その問題についてあちこちと、捜査の常道とおっしゃることであるならば、それを全部固められたらば何もなかったということだったんでしょうか。そうだとすれば非常に、その後の金丸証言が出てきた結果論ですけれども、しかしそれは違ってきているんじゃないですか。そんなこと、わきから固めていくだけで済むんですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほど私申し上げた趣旨は、要するに、例えばある人がお金を受け取ったよということだけですぐにその人を調べるとかいうことではなしに、捜査の常道としては、例えば贈収賄罪の嫌疑がありそうだということであれば職務権限も明らかにしなければなりませんし、要するにそういう客観的事実の側面から例えば贈収賄罪なら贈収賄罪の嫌疑があるか否かということを十分見きわめた上でその被疑者の取り調べ等の捜査に入っていくということを実は私先ほど申し上げたつもりでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 では、見きわめるまでは事情も聞かない、これが常道であって、私たちがいろいろと携わります。そうした刑事弁護の中でも、初めにそういうことについて事情も聞かないというところから周りを全部固めてそういうふうなことがあるないということを本当にいろいろと切りながらやっておられるかどうかとなったら、実際上は本当にそういうことは余りないんじゃないかと思います。まさに、そうでなくて、事情の聴取ですからね、事情がどうなっているかということを聞くわけですから、それを始めないということはまずないと思うのですけれども、その点。  今の職務権限の有無、こういうことについても、どんな職務権限があったかなかったか、これは話を聞いてみない限りは、職務権限が本人にあろうとなかろうと、あっせん収賄ということがこういう方にはもう当然中の可能性としては出てくるわけでしょう。それは、実際に金丸証言、後でちょっと言いますけれども、そういう中にも出てきている可能性あるじゃないですか。そういうことを全部、これはないね、ないね、職務権限もないねと、ないねで見ていって、そこで出てきたのは、最後に残ったのは量的違反の政治資金規正法違反だけである、こういったことまでそこで判断する、裁判官的な立場で判断するのですか。検察というのはそこまでやってくださるところだとは私は思っていないのですけれども、いかがでしょうか。     〔星野委員長代理退席、委員長着席〕

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、犯罪捜査におきましては、どの段階で被疑者の取り調べをするかどうかというようなことを含めまして、捜査の手順あるいは手法というのは、これは各事犯によっていろいろでございます。今委員御指摘になられましたように、職務権限の有無だけではなしに、客観的に周りを固める捜査というのは、いろいろな点からこれは調べをしなければならないわけでございます。  犯罪捜査におきましては、まずもって関係者の言動とかあるいは人間関係、また例えば、先ほどもちょっと申し上げました金銭等の授受に絡む事件でありますれば、金銭等の原資、授受の日時、場所の特定、その金銭等の多い少ない、あるいは受領後の金銭費消状況その他の客観的な事実の解明のための内偵捜査、これがもうとにかく先に行われることは必要不可欠でございます。そういう意味のことを先ほど申し上げているわけでございまして、捜査のどの時点で被疑者の取り調べをするかというのは必ずしも、各事案によっていろいろ違うわけでございまして、証拠の集まりぐあいあるいは捜査の進展状況によって一概には申せないのではないかというふうに思うわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 そんなことは私も、何回も、さっきも伺いましたからわかっていますし、別にまず最初にやれなどということを言っているわけではありません。各段階でなされればいいんですけれども、捜査の常道とおっしゃる中で、全部の取り調べをされて、その上で全部これは否定するべきものだと言うまでの確証を得られたからここでは量的違反しかないというふうに思われたんですね、だからそこまでの全部の犯罪を否定するだけの、これは出してもしようがないと否定するだけの根拠があった上でこういうことを言われているんですねという確認をしているんです。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほど私がお答えした中であるいはちょっと私の舌足らずの点があったかもしれませんけれども、要するに、例えばどなたかが記者会見をされてこういうことを言った、あるいはマスコミ報道あるいは投書等がこうであるということで何らかの犯罪に関係したのではないかというようなものをただすぐ取り調べるということになるということは捜査の常道としてあり得ないということを申し上げたわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 そんなこと、だれも言っていませんよ。ここで押し問答していてもしようがありませんから次に行きますけれども、今一番私が聞きたいのは、そういったことでこの政治資金規正法違反の量的違反の罪しか成立しないということが、本人の事情聴取もなしで、周りのことだけではっきりわかったからしなかったんですかどうですか、その確認をしてくださいと言ったんですけれども、また同じお答えでしょうから聞かなくてもいいですよ。  それで、その次に行きます。  この問題で何回も金丸さんを事情聴取にということで呼んだんだけれども応じてもらえなかった、だからということだったというふうに私たちはいろいろな報道等で聞いています。そして、上申書という方法を最終的にとられたんだというふうに聞いていますけれども、何回も応じなかったという場合に、この何回も応じないから逮捕するという形を交通事犯などでとっておられるところと、それはとらないところと両方あると思います。そういう手続をとっておられる、そういう立場に立ってやっておられる検察とそうでないところと多分おありなんだろうと思うんですが、何回も呼び出しに応じない、だから逮捕でも何でもしてもいいじゃないかということにはならないだろうという意見があることは当然なんですけれども、この場合に、逮捕ということは考えられないかどうかということなんです。  ここでもまた長いお答えになると時間がなくなるので、逮捕の要件という必要性の問題がある場合に、逮捕の必要性としては逃亡のおそれがあるという場合それから証拠隠滅のおそれがある場合、この二つについては逮捕する判断の中の大きなファクターになってくると思うのです。逃亡のおそれは恐らくないだろうとこの際思いますけれども、証拠隠滅のおそれということが金丸氏の場合にはないというふうな判断をされたから逮捕ということはしなかったんだろうと思うんですけれども、ないと言い切れますか、どうですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 具体的事件の捜査の過程で検察官がどういう判断をしたかということはちょっと立ち入ってお答えはいたしかねるわけでございますけれども、委員お尋ねになっておられるのは、一般的に今の場合は罪証隠滅のおそれに限ってお尋ねだと思うわけでございます。  これはもう委員が十分御案内のとおり、例えば通常逮捕を行う場合につきましても、三十万円以下の罰金、拘留、科料に当たる罪につきましては、一般的な逮捕の理由及び必要性、さっき言われましたことのほかに加えて、被疑者が正当な理由なく取り調べのための出頭に応じないこと、またはその住居が不定であることという要件がなければ逮捕することができないものとされているとおりでございます。これはもう委員も御案内のとおりでございます。  この三十万円以下という点につきましては、これは刑法等三つの法律以外の罪の場合には当分の間二万円以下というふうに読みかえられているわけでございますけれども、それはその趣旨が、戦後の時期に定められたまま罰金額が引き上げられていないものが相当数ある、これらを平成三年改正の際に罰金額の見直しが行われた刑法等の罪と同様に扱うのは適当でないとの判断に基づくものであるわけでございまして、刑法等の罪以外の罪でも、比較的近年において罰金額の定められたものにつきましては、罰金額三十万円以下の刑法等の罪について逮捕の許容性が制約されていることの趣旨を……(鈴木(喜)委員「一般論を聞いてないですよ」と呼ぶ)いや、前提として御説明しないとおわかりいただけないと思うから申し上げているわけでございます。制約されていることの趣旨をやはり尊重しなければならないものと考えるわけでございます。  この政治資金、今委員が問題にしておられます政治資金規正法の寄附の量的規制違反の罪のように昭和五十年代に制定されたものにつきましては、その運用に当たってやはり刑事訴訟法の百九十九条一項ただし書きの今申し上げた規定の趣旨を尊重して、そういう事由が認められなければ被疑者を逮捕するのは適当ではないというふうに考えるべきではなかろうかというふうに思うわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 ずっと一般論は結構なんですけれども、今のところで、要するにこういう罪だからという、政治資金規正法の量的違反だから逮捕しなくていいのだということなんでしょう。私は、これは議論はいつもぐるぐる回っていると思うのですよ。どっちが先にあるかということでしょう、今ここでの容疑というものが。量的違反ということだけの容疑だというならば、それはそういうふうなことも一つの筋としてはお考えになるのはあると思いますけれども、その前に、私がしつこく言いましたように、これが量的違反だけであるかどうかということについてはまだわかってないんじゃないですか。その点についても、先ほどのお答えは非常に明確ではなかったお答えしかないんじゃないですか。それにもかかわらず、どうしても結局はこれは量的違反だと決めつけたところから問題を、全部お答えはそこから出発したお答えになっていると思うのですよ。それじゃ、幾ら聞いたって同じ答えになってしまいますから、その次に行きたいと思います。  こういった問題について、証拠隠滅ということではこういう罪だからないということでは、全くお答えになっていない。そうではなくて、そのほかに量的違反だから逮捕なんかしないんだよということであるのだったら、証拠隠滅のことについて具体的に考えるまでもなくないというお答えであるならば、私はそれは非常におかしなお答えであろうと思います。時間があったらまたもう一回戻りますけれども、次の問題をちょっといきたいと思うのです。  金丸氏の上申書ですけれども、この略式の手続の中で上申書という書面はたしか三通、弁護人の方のも入れますと三通あるのじゃないかと思いますが、その中で私たちが開示を受けているのは二通でありまして、それは告知を承知しましたとか異議は申しませんとか、そういった上申書でありまして、事実を述べた分に関しては上申書が明らかになってないわけですね。これはぜひ見せていただきたいと思うのですが、これを見せていただけないのは、その内容がただいまの捜査中にかかわるということだからという理由でしょうか。イエスかノーかだけで結構ですから、お答えください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 そのとおりでございます。ただ、ちょっとつけ加えさせていただきますと、刑事訴訟法の五十三条一項ただし書きの理由によりまして、関連事件の捜査に支障があるということで、今委員お尋ねのとおり、そういう理由で公開されていないわけでございますが、この点につきましては昨日最高裁の特別審の決定がございまして、今申しました五十三条一項ただし書きの理由があるということで閲覧を拒否したことについて、これが是認されているということでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 それでは、そういう内容についてはわかりましたけれども、この上申書の本文と署名、これそれぞれについては御本人の手書きでしょうか、自筆でしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 公開されていない証拠の中身というか証拠についての詳しいことでございますけれども、それは法務当局におきましてもまた裁判所におきましても信用性のあるものとして公訴事実あるいは犯罪事実の認定に採用したものでございますから、そこは御理解いただきたいと思いますが、端的に申しまして、もちろん御署名のあるものでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 署名はわかりました。  じゃ、本文は手書きじゃないというふうに理解しますけれども、それでよろしいですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 否定することはいたしません。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 そういうふうなところで、金丸さんの証言が、病院の方でされた分が出ております。これは全部読み上げると非常に長いんですが、その中を見ますと、自分は出頭拒否なんてしたことはないよ、それから上申書について、何かちょっと誤解をされているといいますか、思い違いをされている部分などのある供述が続くわけですね。何ですか、初めに八月のころに記者会見をされたときの書面のことを言ったり、またそうでない部分では、いや上申書ということでいろいろと委員それぞれが質問しますと、出てくるのは、これを略式の手続にするというその告知の上申書であるとか、または、息子が説得に来たからそれで書いたものであるとか言っているわけで、どうも事実を書いたということの認識が、大分長いこといろいろな先生がいろいろな質問をされているのですけれども、そのことに対する金丸氏のお答えというのは、どれを見ても、それを正確に把握してお答えをしている部分がないんですよ。  しかも、三通ある上申書の一つは弁護人ですから関係ないとして、二通ある上申書というものの性質というか性格を大変あいまいな形でしか認識しておられない。だから、今聞きましたところによりますと、上申書というものに署名はされたかもしれない、しかし中身が余りわかってないんじゃないかと思うのですね。これは、ずっとその証言をゆっくりと読みますと、そういうことになるわけなんです。  これについて検察のフォローは一応とられているわけですね。一件記録の中で、たしか電話をかけて、そこで電話の録取書によって、金丸氏本人から、意志によったものですねというようなことでされているんだと思うのですね。そういった電話の録取書がたしか出ていると思いましたけれども、報告があるんですね。  捜査報告書で、佐渡さんという方なんでしょうか、その方の捜査報告書が出ているんですが、この捜査報告書によりますと、確認した次の点として、「当職 東京地検特捜部の副部長検事佐渡賢一ですが、安部弁護人から本日提出された上申書二通は、あなたの意志に基づくものでありますか。」そうしたら金丸さんが「御迷惑をかけております、わたしの意志に基づいて提出したもので、そのとおり間違いありません。」と言っているんですね。あそうですがと言っているわけなんですけれども、そのときに「上申書二通」といって「(事実関係を認めたもの、及び略式手続の告知に関するもの)」として括弧書きがあるんです。この括弧書きというのは金丸さんに対して読まれているのかどうか、まずそれをお聞きしたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員お尋ねになっておられますのは、九月二十五日付の佐渡副部長の捜査報告書のことをおっしゃっているわけですか。——佐渡副部長の捜査報告書のことでございますね。  これは結局、電話のやりとりの内容を佐渡副部長が特捜部長に報告をした中で、佐渡副部長が金丸本人に対して電話で話した、そのままを書いたものというふうに理解しております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 電話で話すときには括弧とか言うわけですか。要するに「上申書二通(事実関係を認めたもの、及び略式手続の告知に関するもの)は、あなたの意志に基づくものでありますか。」となっていて括弧書きがあるんですけれども、括弧書きは括弧として読むんですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは、捜査報告書に記載する場合にその趣旨を書くわけでございますから、その従来の取り扱いからいたしますと、こういう趣旨のことを佐渡副部長が電話で話をしたという趣旨だろうと思います。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 佐渡さんが見えてないから本当のところはわかりませんけれども、上申書二通、そういう場合であればこうは書かないと思うのですよ。この上申書、こういった上申書とこういった上申書は、二つともあなたの意志に基づくものですかというのですけれども、これは後から説明のために、上申書二通というのはこういう意味ですよということを、報告する相手、ここでは特捜の部長検事の五十嵐さんにあてての報告書なんですから、そういう意味ですよということを、そのあてた解説として言っているわけで、金丸氏そのものにこういう形で言ったのではないのではないかというような気がしてならないわけです、これを見ますと括弧書きで書いてあるという意味は。  そうしますと、先ほどの金丸氏の証言の内容の各所、随所、どこを見ましても、上申書のことについては我が党の日野委員も聞いておられるし、それからその他の議員の方も聞いておられるわけですけれども、そのときにも、結局何だかわからないけれどもその上申書の中身とは違うことをおっしゃる。本当にわかつてなくておっしゃっているんじゃないか。はぐらかしている場合とは内容が違うんですね。それとは違う内容でおっしゃっているので、非常におかしいというふうに思うのです。  ただし、これは実際問題、裁判所がこういった記録をもとにしてここで判決を下す、命令を下すことについては、だからといって、どこに手落ちがあったり、こういう証拠からこれを認定することにおいて、それが特信情況か云々かということで裁判所の認定に誤りがあったということを私は言いたいわけではないのです。  しかし、上申書にするということ自体も、先ほど申しましたように、事実の取り調べなしでやるということは、これは検察官としてはおよそ本来なら考えられることではないことはわかっているわけですけれども、そこでその常道を破って上申書で済ませ、しかもその上申書の内容がそういう形で出したというふうなことを、検察がそこまでやるかということを、私は非常にこの際お尋ねもしたいし、またこういうことがあってはならないということで言っているわけなんです。  こういう、金丸さんにしてみれば認識がない、事実のそういった上申であるというふうないわゆる認識のない、任意性のないような事実のことが書いてある上申書を、そういう意味であるかもしれないものを検察がはっきりと確認をすること、電話だけでしか確認しないで確認をしてしまうということは許されないことではないか、検察側の態度として許されないのではないか。裁判所と何かつーツーで通じているわけではないでしょうから、こういったものを検察官が出すということはおかしいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今私、委員のお尋ねを聞いていまして、私の理解に誤りがなければそういう趣旨でお答えいたしますけれども、要するに金丸前議員の証言から見て上申書が本当に信用できるのかということについて検察官は吟味したのか、こういう御趣旨のお尋ねではなかろうかと思うわけでございます。  金丸前議員の国会での証言というか、臨床尋問でございましょうけれども、証言についてあるいはその信用性等について御意見を申し上げることは、もちろんこれは差し控えさせていただきますけれども、この上申書が提出されるに至りました経緯と申しますか、これはもう今まで委員も十分御存じになっておられるとおり、要するに金丸前議員に対する政治資金規正法違反事件の捜査の過程で、被疑者の利益を擁護する立場にあって、その適正手続の保障を全うしなければならない弁護士である弁護人が終始関与されていたわけでございますし、また金丸前議員におきましてその上申書の内容や作成目的を十分理解した旨を実質的に保証しているということは、これは弁護士さんが弁護人として提出されるわけでございますから、任意性の問題ではないと思いますが、当然信用性のあるものとして弁護士さん、弁護人がお出しになっておられるわけでございます。  また、検察官におきましても、そういう弁護人から出された上申書の内容について、ほかの証拠と符号するかどうかということも十分検討した上で信用性があるものと判断して、この上申書を含めたそれまでに収集した証拠に基づいて公訴事実を認定して裁判所に公訴を提起した。だから、裁判所もこの金丸上申書の信用性を、金丸上申書を含めた全証拠の信用性に基づいて公訴事実と同じ犯罪事実を認定されたものというふうに理解しているわけでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 弁護士としては弁護人を信頼していただいて大変ありがたいと思いますけれども、やはりこれだけのこと、出頭を拒否していて、そしてその上でこの罪について審尋するということも全くなしで、ここで上申書というものが出てきたという特殊な状況の中で、こういったことについて一般に信頼していただいている弁護人の立場、もちろんそれで私はいつも信頼してもらえれば本当にいいと思うのですけれども、そうでもないのが非常にしゃくにさわるところですけれども、しかしこう信頼してもらえるというならわかるのですけれども、この特別な、今非常に特殊な形での手続をとっている最中のフォローの仕方としては、電話一本で済ますということ、しかもそれがただ単にそういった形での捜査報告書だけで済ましているということでは、その内容等がただ単に何のみを犯しましたということが書いてあるのかどうか、これはわかりませんけれども、それだけではちょっと足りないのではないか。その点についても、私は検察のやり方はいかにも、今回はどれもこれも取り出しても、この量的違反一本でいく、一本なのだ、そこから始まっているといった形が考えられるわけでございまして、どうしてもそういうふうに見えてしまう。この点が非常に疑問があるところです。  先ほど少し、余罪といいますか、この構成要件で五億を受け取ったということについてわいろ性があるのではないかどうかということの判断で、職務権限ということについて先ほどはっきりとは言われませんでしたが、あっせん収賄の場合だって考えられるわけですから、そこまで考えて贈収賄についての嫌疑はなくされたのでしょうか。これはまた金丸さんのこの証言の中に出てまいりますけれども、それに近いような感じのことを言っておられるところがあるわけですよね。  もらったお金でどうしてこんなにくれるのだろうと思ったというような、法務委員でもあられる民社党の中野委員の方の質問に答えているところがあるのですが、何でお金をくれるのだろうか、いろいろな労働条件が何だかんだというようなことで国会で問題になっているというような問題もあるし、いろいろなことがあって、何かあって私のところに来られたんだというような感じがしてお断りしたけれども、結局もらっちゃったというふうに言って、返すべきだったんだけれども返さなかったんだというような言い方をして、また、道路調査会の会長をして何かあったかもしれないというようなことも言っておられる。相談に乗ってやったりもしている、こういうようなことをおっしゃっている。  これは別に検察の取り調べのようなものじゃないですから、もっと紳士的にお聞きになっているわけですから、そこでこれだけが出てくるものではありませんけれども、もっときちんといつもの調子での検察の取り調べというのをされたいとするならば、ここではもっときちんとした形のことがクロにしろシロにしろ出てくるはずだと思うのですよ。そういうことも何もせずにされている、これが一つですね。  先ほどももう一つ言われました。収支報告書のことも聞かれているのでついでに聞いておきますけれども、収支報告書というのは、この一件記録というか金丸さんの収支というのはこの一通なんでしょうか。一団体の報告書だけで終わりなんでしょうか。ほかにもあるのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 金丸前議員の指定団体としては、委員おっしゃっておられるのは多分新国土開発研究会のことをおっしゃっておられるのだと思いますが、それ一つだけというふうに承知いたしておりますが。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 この収支報告書というものの中身なんですけれども、これを見ますと、金丸さんが、個人がこの団体に三千二百八十万の寄附をしておられる。そして、この団体から政治活動費というのがかなりたくさん出ているわけですけれども、その政治活動費とだれかほかの人に寄附をするというお金とそれぞれに分けられているわけですね。  それで、この寄附の中で経世会というところに三千三百万寄附をされている。そうすると、それを見ると、ちょうど大体同じぐらいの金額が出たり入ったりしているような感じになるわけですけれども、このあたりの流れとか、それから私なんか本当にびっくりしましたけれども、政治活動費というものがありますけれども、三千三百万円ぐらいの政治活動費が出ているのですけれども、その中で会合費が二千四百万。飲んだり食べたりするお金というのが二千四百万で、ほとんどです。印刷代というのが二十六万九千円しかないという。  私の方で見たらば印刷代がほとんどになるだろうと思うのに、まあすごく違うものだなと思いながらつらつらと考えていたわけなんですけれども、この金丸さんが出しているお金とそこからまた出ている経世会へのお金というのが一緒だとすると、この三千何百万というお金が一体どこから来などのお金なのかということももう既に突きとめられた上で、何も問題がないというふうにお考えになったのかどうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この政治資金規正法上、金丸前議員に対する政治資金規正法上の不記載罪の成否等につきましては、委員も御案内のとおり、これは金丸前議員だけではございませんけれども、告発を受けて東京地検で現在捜査しているところでございますので余り立ち入ったお答えはいたしかねるわけでございますけれども、この予算委員会で御報告した内容におきまして申し上げましたように、五億円の収支につきまして想定される犯罪について、東京地検がそれまでに収集した証拠によって検討したということはそのとおりでございます。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 今の金丸さんの、もしここで供述を、いろいろと事情を聴取して検討をしていたら、そんなに簡単にこれは何もなしだよというふうな結論は出てくるとは思えないのですよ。このあたり、もっときっちりと説明をしていただきたいのですけれども、ただ時間がありませんからここで次の問題に行きたいと思います。これはいつでもできることだと思いますので、いずれまた時間的余裕のある、質問時間のあるときにその問題についても、どうやってこういうときにその流れが出てくるのか、これはいいことなんだとかこれはもう要らないことなんだとかいうことを決めるのかということを教えていただきたいと思います。  初めにとにかく量的違反があるのだということを前提としてお話をされるというのは、検察、法務省全体でいつもそういうふうな形になっているのですが、先ごろ新聞やいろいろな週刊誌または雑誌等の中にも根來事務次官の発言とか論文とかが発表されています。  その中で、やはりここでも出てくるのですけれども、上申書で済ます理由は何かとか、ここでは、出張していって、検察官の方が行って事情聴取をすればいいじゃないかというような質問に対しても、それから、検察としては一生懸命やったかもしれないけれどもこれが罰金二十万の刑なのだからしようがないのですよということばかりをおっしゃっているような気がするのですが、この点、根來さんは初めから罰金二十万という頭で考えておられるのかどうか。本当は御本人に聞きたかったのですけれども、どうしてもここには、出席の要求をしてもだめだと法務省の方が言われるので、しょうがありませんから官房長にお聞きします。

則定衛法務省大臣官房長

○則定政府委員 委員御質問の一連の趣旨を私なりに受けとめますと、つまり余罪というものに十分な検討をせぬまま検察が処置したのではないか、また法務事務次官が政治資金規正法の量的制限違反のみを念頭に置いて、他の罪は犯罪としないということを当然としていろいろ事を言っているのはおかしいではないか、こういう趣旨であろうかと思います。  もとより法務当局といたしましては、検察をさておきましてこの一連の捜査について、金丸前議員について余罪があるかどうか、こういったことを論ずる立場にはないわけでございますが、検察からの一連のそれについての各種の報告を理解した上でのコメントということでございまして、先ほど刑事局長も言及いたしましたように、今回の中間報告では、それまでに収集された証拠と金丸さんの上申書の内容とを踏まえまして、その当時の判断といたしましては検察としては他に余罪がないもの、こういうふうに考えたわけでございます。  したがいまして、法務事務次官といたしましては、金丸前議員に対する政治資金規正法の裁判が確定した段階でこれをどういうふうに受けとめておるか、こういうことをコメントしたということでございまして、くどいようでございますけれども、検察判断に先立ってあるいはそれとは別に、金丸前議員については余罪がないということをあえて申したということではございません。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 余罪がないということまでそんなに取り調べまでやったら、それはもちろん僭越になるのはわかりきっていることなんですけれども、そうじゃなくて、根來さんそのものがここで発表されて、何もあえて検察の肩ばかり持って言う必要もない立場にもおありになるわけでしょう。全部検察からのいろいろな報告を受けてそれを検察の代弁者としておっしゃっているとは当然思えない、御自分の発言としておっしゃっているわけで、そのときにここで、検察としてはいいんだ、二十万円というのは罰金二十万円の罪なんだからしようがないじゃないのというのは、当時としてはやむを得なかったなどということは一言もおっしゃっていないですよ。当時としてはそういうようなことは言ってはおられないですよ。この点、今おっしゃったのは、後からそうでございますとつけ加えても出てくる問題はそうではなくて、もともとからこういう罪ではこれだけなんですよ、もうそれの押しつけでしかない。それがもし根來さんの基本的な姿勢だとすれば、これは直していただかなければ、これからの法務行政についても非常に不安ばかり残ると私は思うのですね、一つの偏見で言われてしまったら。  この点があるのですけれども、余罪の検討というふうなことばかり、余罪という言い方をすると何か別件逮捕でもしているような、別件の云々というような問題にもつながってきますけれども、そういうことではなくて、あらゆる犯罪の成立の可能性ということを考えつつ、本人が今もらったということがあるんだったら本人から詳しい事情を聞くということ自身、それが抜けているということを、どう糊塗してもやはりそこがおかしかったのではないかというのはどうしても出てくると思うのです。  しかも、二十万円で済む問題だから検察が訪ねていって事情聴取をしなくても当たり前なんだというような発言はやはり非常に問題があると思いますので、ぜひこの点も根來さんにお伝えいただいて、またテレビとか新聞、そういうところでなら意見が発表できるということであればそういうところで言っていただいても構わないと思います。  それでは、あとほかに幾つか問題がありましたけれども、時間が来たようなので、法務大臣、今のやりとりをお聞きになりまして、法務行政のあり方というもの、また法務大臣としてこの問題についての対処の仕方、御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。どこまで事実解明ということに大臣が熱心にされるかということについてお聞きしたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 私は昨年の十一月に法務大臣を拝命して、法務省にやってまいって一年過ぎましたが、法務省の外にいたとき、もとより新聞報道等で過去にいろいろ聞いたときに、検察は厳正、公平にやっておるところだと思っておりましたが、来てみて一層その感を深くいたしました。  私は、今度のことでいろいろ報道等で言われておりますけれども、私自身指揮権というものを与えられておりますけれども、一度もそれについて指揮権または指揮権らしきことを言って関与したことはございません。沈黙を守り続けてまいりました。そして検察が、疑わしきことがあった場合にそれに対して一生懸命、法のもとに、与えられた権限のもとにやられてきたのが今日の結果であると思いますし、今後もその姿勢で貫いていっていただきたいと思います。私もよく徹底的にやれと言われるけれども、徹底的にやれと言うことはいわゆる一種の指揮権であって、感情を込めて検察庁に対して物を言うわけでございますから、私はむしろそれよりも今の姿勢で検察の独自性に任せて、検察が公正、公平にやることの方がいいことであり、正しいことであると信じております。

鈴木喜久子日本社会党・護憲民主連合

○鈴木(喜)委員 終わります。どうもありがとうございました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 小森龍邦君。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 冒頭に一、二、本日の質問に関係をして、言うなれば前提のようなことになりますので、法務大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  その一つは、先ほどいろいろ議論がなされておりまして、鈴木委員の最後の質問に対して法務大臣は、指揮権があるけれども、検察の独自性ということで私は沈黙を守ってきた、こういうことで法務大臣のいわば公正な態度というものを表明されておるわけでありますが、それにすればあなたの直属の事務次官が少しおしゃべり過ぎるのではないでしょうか。その辺、いかがですか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 直属の、平たく言えばやっぱり部下なんでしょうが、私は法務に対して誤解を受けるようなことが、誤解されているようなことが時々耳に入るので、やはり法務省というものがいかにあるべきか、どういうものであるということを世間に知っていただきたいという気持ちはもちろんみんなも持っていますし、私も持っていますが、遺憾ながら私の場合専門家でございませんから、また私一人で実務としてそういうことをPRできるわけでもございませんが、事務次官は、事務次官室に対していろいろ電話がかかったり手紙が来たりしますので、中には親切の気持ちから、法務省というのはこういうところでして、検察というのはこういうところですよということを知っていただくための発言ないし文章等の寄稿であったというふうに私は感じておりまして、そのように御理解いただきたいと思います。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 法務省法務総合研究所長の亀山継夫さんという方は今日も現役でしょうか。これは刑事局長にお答えいただいてもよろしいし、どなたでも結構です。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 現在、法務省の外局ということを申し上げていいか、法務総合研究所の所長でおられる、現役でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 その法務省法務総合研究所長の亀山さんという方が十一月四日の読売新聞に「論点」という紙上で発表されている意見は、今日我が国における金丸前衆議院議員の政治資金規正法違反事件の処理について国民がいろいろと疑念を抱いておることは「検察の常識と一般国民の常識との間の食い違いということが痛切に感じられる」と、こういうことを言っておるのですね。そうすると、いかにして事務次官というものはこの検察の常識と一般国民の常識との間を埋め合わせていくか、つまり一方的に検察側がとった措置のことだけを強調されるということは、ますますこれは国民との間の常識の食い違いが生まれてくるんじゃないか、こう思うんですが、先ほど法務大臣は、わしは専門家でなくて根來事務次官は専門家だから、専門家として検察庁のやったことをサポートしたんだろう、そういうふうに受けとめられる言葉でございましたが、それではますます国民との間に乖離が生まれてくるだけじゃないですか。その点はどうですか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 言葉がちょっと足りなかったかもしれませんが、一方的にサポートという感じで申し上げたのではなくて、手紙が来たり電話があったりして質問があるとそれにお答えしたということであって、聞かれたことにお答えしたというふうに、それ自身がPRになっておるし、やむにやまれぬ気持ち、親切心であったと私は判断しております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 私も自分の選挙区でこの問題に対する政談演説をする場合などは、上限が罰金二十万円の場合には大概の場合逮捕ということはあり得ない、だから逮捕をして調べないではないかというこの単純な疑問に対しては、私はまあ大概の場合そうだということを言っております。  ただ、問題は、事務次官が説明しなきゃならぬところは、先ほど鈴木委員がいろいろと話されたように、余罪という言葉は何かちょっと附属品でついておるものをせんさくして引っ張り出すような感じになるから私は余り適切でないと思うのですけれども、要するに犯罪というものがその他に構成要件として認められるかどうかということを十分に調べるという意味では逮捕ということもあるし、また出張して尋問するということもあり得るだろう、私は、それをやってないことがけしからぬのじゃと、今回の検察庁のとっておる態度は、それをやっていないことがけしからぬのじゃと、こういう意味のことを言うたら、ああ、そうかと、国民は大体、ははあ、あのこと自体で逮捕しないということはあり得ることなのか、こういう認識を持ちますよ。  それが亀山さんの場合はそうでないでしょう。亀山さんの場合は、そうでないばかりか、同じ法務省の外局というか外郭団体であったとしても、法務総合研究所長ということになると、これはかなり権威のある、国民世論に対して答える立場とすれば権威があると思いますが、なぜ国民の常識との間の食い違いを埋めるところまで物を考えなかったか。もし考えれば、当然先ほど来いろいろ議論されておるようなことが真剣に検察内部の問題として私は議論されなければならぬことだと思うのですけれども、その点はどうでしょうか、法務大臣。これは概括的なことだから、法務大臣答えて。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 概括的なことでございますけれども、かなり捜査の実務論でございますので、まず刑事局長からお答えさせていただきます。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  今の亀山法務総合研究所長の御論稿自体について私から御意見を申し上げることはいかがかと思いますけれども、そこでおっしゃっておられることは、私が理解いたしまするのは、例えば今回の金丸前議員に対する政治資金規正法違反事件の捜査処理について、あるいはその過程におきますいろいろな事象について、国民の間に、検察の使命についての誤解、あるいは法律手続についての誤解等に基づいて例えば検察に対する批判がなされているとすれば、これはできるだけ丁寧に御説明してその誤解を解く努力をしなければならないというふうに、これは私もそう思っておりますし、恐らく亀山所長がその御論文の中でおっしゃっておられるのも、法律家である検察官が考えている事柄と国民が考えておる事柄との間にギャップがあれば、その間を埋める努力をしなければならぬということをおっしゃっておられるのだろうというふうに理解しているわけでございます。  ただ、これは改めて申し上げるまでもないことでございますけれども、検察官だけではなしに捜査当局はすべてそうだと思いますが、ある事件の捜査の過程で犯罪の嫌疑を端緒としてつかみました場合には、それはその嫌疑がどの程度あるのか、あるいは犯罪として成立するのかどうか、犯罪が成立するとして刑事責任を問うことができるのかどうか、もし刑事責任を問うことができるとすると、その程度はいかばかりであるか、それは公訴提起をしなければならないものであるかどうかというようなことをいろんな観点から吟味、検討するのは、これは当然のことでございます。  ただ、検察官が、捜査の結果、合理的な疑いを入れない程度に犯罪の嫌疑が十分であるというふうに認められた場合にだけ公訴を提起することができるわけでございまして、またその範囲と限界の中で職務を行わなければならないという立場にあるわけでございまして、その辺はひとつ十分御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。

小林新一農林水産省構造改善局計画部地域計画課長

○小林委員 この亀山継夫さんという人は、次のようなことも先ほどの議論に関係して、ある程度とどめを刺しておると私は思うのですが、「検察の常識と一般の常識に乖離がある場合、その溝を埋める努力をするのは検察の役目だと思う。これまで検察は、捜査の秘密という制約上やむを得ない面があるにしても、この方面の努力に欠けるところがあったといわざるを得ない。」これは、ちょっと言葉は悪いですけれども、我々から言うたらあなた方と同じ穴のムジナですよ。つまり味方ですよ、あなた方の。あなた方の味方からさえこういう意見が出てきておるんですね。  それで、刑事局長、ちょっと御無礼な話になるけれども、きのうの東京新聞に、社説の欄だと思いますけれども、「国会を通じて、かなり立ち入った捜査結果を国民に明かすことは、ロッキード疑獄、ダグラス・グラマン事件などで前例がある。にもかかわらず、かたくなに口を閉ざしているように見える刑事局長の態度は、自民党の反発を恐れているのではないか、と受け取られても仕方あるまい。」これは、今ここで言う国民の常識との乖離ということとも関係をするけれども、大概の者がテレビを見て、刑事局長、あなたの答弁はそういう評価をしているんですよ。これはまた後ほどに関係しますから、そういう意味で、あなたは先ほど、努力するのは当然だと言われたけれども、これはどういうふうにやったら国民にわかってもらえると思うのですか。  今まで聞いた議論では、それは誤解ですという言葉は出てきましたな。あるいはその誤解のもう一つ裏に、あえて私が参酌をして判断をすれば、それは国民が専門的な刑事訴訟法を知らないからだ、こういうふうな意味のことが含まれておるように思うのですが、それでいても、その法律の各条文よりも、国民の常識というのは、たちまち即物的な効果を持たないにしても、これは民主主義政治の上で非常に大事なものですからね。そうすると、あなたはどういう努力をされようと思っているのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは改めて申し上げるまでもないところでございますけれども、検察官を含めて捜査機関が捜査を行いますのは、あくまでも刑事責任の有無あるいはその程度を明らかにする目的で証拠を収集するわけでございますし、またそれゆえに、刑事訴訟法で定められておりますような強い権限を持って人の秘密にわたる事項にも立ち入る性質のものであるわけでございます。したがって、捜査の過程で得られた資料あるいは捜査の過程で把握した事実等につきましては、これは一方で秘匿しなければならないこととされているわけでございます。  その捜査の結果得られた内容等の捜査の秘密に属する事柄につきましては、これは刑事手続以外の目的、例えば国政調査の場、国政調査の目的である場合も含めまして、刑事手続以外の目的に利用されたりあるいはその捜査の秘密に属する事柄が公になることになりますると、これはいつも申し上げておりますとおり、関係者の人権の保護はもちろんのこと、国民の信頼と協力のもとに円滑に遂行しなければならないところの今後の捜査、公判に重大な支障を来すこととなるわけでございます。  そういう意味で、例えば刑事訴訟法四十七条におきましても、捜査の過程で得られた情報、事実等につきまして国会の場で公にすることにつきましても法令上の制約が課せられておってできないところがあるわけでございます。そういう意味では、国会の国政調査にできるだけ御協力して国民の前にわかってもらうということももちろん一つの方法でございますけれども、あくまでも法令の制約の範囲内で、許された範囲で国政調査に御協力するということにはやはり限度があるということでございます。  今委員お尋ねになられましたように、ではどういう方法で誤解を解く努力をするのかということでございますけれども、これはもちろん、今申しましたように、捜査の秘密に属する事柄を逐一公にして理解を求めるということは法令上の制約がございますからできない相談でございますけれども、ただ、一つ申し上げられるのは、もちろんこれはそんなものでは十分でないとおっしゃられるかもしれませんが、衆議院の予算委員会では、ある委員から、今回の東京佐川急便事件についての捜査結果の中間報告については今までよりも若干踏み込んだ説明であったということをおっしゃられた委員もございますけれども、そういう意味では、許されるぎりぎり、限度ぎりぎりのところで御説明をし、ご報告をしたつもりでございます。  また、先ほど申しました捜査の秘密に属する事柄を公にできないという関係から御理解いただきたいと思うことで、できる方法としては、例えばその法律手続についてできるだけ詳しく丁寧に御説明してその間の経緯を御理解いただくということしか方法としてはないということになるわけでございます。  ただ、亀山所長がそういう論文をお書きになったり、あるいは例えば先ほどお話の出た根來次官が、公にする文書の中で何がしかのことについて御疑念のあるところについて説明をして、正確に理解していただきたいということで、同じ気持ちで、まじめな気持ちでひとつ国民に理解していただきたいということで恐らく説明をしようとしているのだというふうに私は理解しているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 また後で続けますけれども、答弁をしていただく最高裁の島田刑事局長の時間の関係で、内々聞いておりますので、ちょっと中断したような格好で、とりあえず話を移します。  それは、法務大臣が、もしこれが一般の力のない民間人であった場合はどうなるだろうかということを想定したら、名誉回復というようなことをあの検事調書朗読の一件に関して、政治家の七名の名前が出たということに関して、何らかの方法で考えねばなるまいということを先般も言われました。そうなると、検事調書朗読ということと、それからそこで出てきた者の人権侵害ということとが二律背反のような格好になっておるということが想定されるからそういうことを言われるのだろうと思うのです。  今日の状況を見ておりますと、自民党政調会長ですか、森さんの問題について、何か森さんの方から上申書を出して、わしはやっとらぬのだ、わかりました、検察の方は了承したというような形で、何だか名誉回復の措置がとられたというようなことをちょっと新聞で私見たのですが、法務大臣がそれを仕掛けられたのですか、そういうことを。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 私は仕掛けておりません。私も新聞で見ただけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 では、続いて法務大臣もう一度、これは簡単でよろしいですから。  そういうふうなことで、仮に森さんが全く火のないところの煙、まあ火のあるところでないと煙は出ぬわけですから、ほかに行った人がおられるわけですから、それをみずから認めておる人もおられるわけですから、火のないところに煙は立たぬという煙の中にちょっと巻き添えを食うたのかもしれません。仮にですよ、私は真偽のほどはわかりませんが。  そうすると、今のような方法で、もしやってなかったとしたら、名誉回復できると思いますか。法務大臣、どうですか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 私はあのときどなたかかの質問に対して御答弁申し上げたのは、なるほどああいう検察官調書の全文朗読となるとそういう場合もあるのかな、そうすると著しく名誉を傷つけられる人も出てくる場合があって、か弱い人ではどうにもならないものもあるかなという気持ちがしましたので、謙虚に反省してみる必要がある、冷静に考えてみる必要があるというところまで申し上げておいたわけであります。  森さんの問題については、私は相談も受けたわけでもございませんし、先ほど申し上げたように新聞で知ったわけでございますが、それで十分とか十分でないとか、実務的なこととしては私からは申し上げかねるわけであります。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 それじゃ、最高裁の方へ質問する前に刑事局長の方へお尋ねします。  刑事局長は、ああいうふうに裏づけ捜査もせずに非常に影響の大きい新聞紙面に載る可能性は十分にあるそういうことについて、あそこで、記述をしたということと、つまり外へ流れて出てくる可能性があるということがわかってそれを読み上げるということと人権擁護という感覚との関係において、あなたはどういう調和というかバランスを考えておられますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 まず刑事手続の中で、例えば……(小森委員「なるべく簡単にお願いします」と呼ぶ)はい。  供述調書等の中において人の名前、実名等が出てくることは、これはある程度やむを得ないと思うわけでございます。その調書等が例えば公開の法廷で朗読されたという場合にそういう実名が法廷で出てくるということも、これは実体的真実発見のためにそういう制度として刑事手続が設けられておる限りにおいてはある程度やむを得ないと思うわけでございます。  ただ、今委員がおっしゃっておられますように、例えば名前が出てくることによって迷惑を受ける人の人権との関係をどういうふうに調整するのかというお尋ねかと思うわけでございます。  刑事手続としてやむを得ないということでありましても、例えば証拠調べを請求する際の立証趣旨が、この証拠の場合にはこういう限度のものであるということが正確に理解できるような方法をとるということとか、あるいはそういうことについて例えばマスコミの皆さんにもそこのところを正確に理解していただいて、裁判の報道として報道されるときにはそういうところをも十分正確に伝えていただくというようなことも一つの心がけるべき方法ではないかというふうに思うわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 先に最高裁の方から答弁をいただきたいと思いますが、私が問いたいことは、つまり、法務大臣も、人権にかかわる、人権侵害と決めつけたかどうかわからぬけれども、これは人権にかかわる考慮をしなければならない問題だという意味のことを言われておるし、刑事局長もそれに歩調を合わせておられる。大臣と局長だから歩調を合わされるわね。  そうすると、これは訴訟指揮をした、公判廷であれを読まさずにそのまま受け取って自分が読んだらあんなことにならなかったかもしれませんね。ところが、訴訟指揮があのことについては間違っておったのではないかという論理上の一つの論点が出てくるわけですね。私はそういうふうに決めつけるわけではないのだが、それについては最高裁はどう思われますか。

島田仁郎最高裁判所刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 まず第一に御理解いただきたいのは、証拠書類の取り調べ方法としましては、法律上朗読をするのが原則であるということです。要旨の告知というのは、裁判長が訴訟関係人の意見を聞いて相当と認めるときに朗読にかえて行うものであって、やはり法律上はいわば例外的な措置とされているものである。法が朗読を原則としている趣旨でありますが、これは、裁判所が法廷で証拠の内容を直接耳で聞いてその場で心証をとるということ、そして被告人にはどのような内容の証拠が現在取り調べられているかということを知らせまして、その場で十分弁解等も聞いて、被告人の防御権の行使を十分にならしめようとするものでございます。そこで、要旨の告知にする場合もこのような趣旨を損なわない限度で認められるということになるわけでございます。  そういうことを御理解いただきたいと思いますが、今問題になっておりますように、調書の朗読によって場合により人の名誉やプライバシーというものが無用に傷つけられるというようなことがまた一方であってはならないわけでございます。そこで、そのようなおそれがあると判断されるような場合であり、しかも逐一その場でその部分を読み上げなくても被告人の防御権等との関係では大丈夫であるというふうな判断に立った場合には、運用上の問題として要旨の告知で済ますという配慮をすることも実務上あるわけでございます。  ただ、刑事裁判は、委員もいつも強調されますように、いやしくも被告人の刑事責任の有無が問われておる場でございます。法廷において一番必要なのは有罪、無罪を決するということでございます。そこで、いやしくも今申し上げましたような被告人の防御権の行使にいささかたりとも支障があってはならない。そこで、そういう法の趣旨が貫かれる限度で、そのような運用上の工夫により避けられるところは避けるというのが実際の状況でございます。  そこで、本件の具体的な事案で、裁判長は朗読をさせたわけでございますので、裁判長の判断としては、そのようないろいろなことを勘案した上で総合的に判断して朗読が必要であろうと判断したんだろうと思いますけれども、これの当否につきましては、具体的事案における個々の裁判長の訴訟指揮の当否ということになりますと、私どもの立場としてはこの場でコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 粗筋はわかりましたが、今刑事局長が答弁なさったことは、つまり刑事被告人の防御権ということについて、そこを軸として話されました。今回は、自民党の七名の政治家は、これは刑事被告人ではないわけですね。その人の名前が出て、そしてそれが検事調書で読み上げられたということだから、そういう意味で新聞へ出てくる、紙面は真実ですね。検事調書との間の、検事調書との関係において真実ですね。だから、新聞も別に罪はない。二十億申し出たとか三十億申し出たとかというような話が出て、一方、金丸五億円事件の問題について物すごい疑惑を国民が持っておる。こういうときに、防御権のない者のことについて私は尋ねておるわけですからね。そこで、簡単に言うと、その人たちの人権の問題を訴訟指揮が無視したことになるのではないか。  しかし、私は訴訟指揮のことをよくわかりませんから、いや、それは読むまでは裁判官はわからないんだ、そこのところ。事前に読んでおってわざと読め言うたものか、そこで読んで初めて聞くんだということになれば、問題は全部検察庁の方へ戻ってきますね、この論点の。そういう点について、刑事局長、どう思っておられますか。

島田仁郎最高裁判所刑事局長

○島田最高裁判所長官代理者 裁判所にはあらかじめ書証は提出されておりませんので、法廷で取り調べられて初めてその内容がわかるわけでございます。本件の場合であれば、一たん要旨の告知をして提出されまして、提出された書証の中身を吟味した上で、先回の要旨の告知では当該被告人の防御権の行使等にまだ十分ではないという判断のもとに朗読をさせたんだろうというふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 大体最高裁の方の考え方はわかりました。  そうすると、刑事局長に尋ねなきゃならぬのですが、法務大臣が、人権上の問題が起きてきた、名誉を回復しなきゃならぬというような形になっておる検事調書ですね。私はこれは何か自民党の代弁をしておるような格好に今なっておるのですけれども、自民党の皆さんが事前にこれをやってくれていれば私はここから先にもっと進んだことを言えるのに思ってけさほど来の質問にちょっと期待を持っておったんですけれども、残念ですけれども仕方がないからここのところ、ちょっと時間をとるのです。  そういう検事調書を書くということは、正確にこの実体を出すためだということを言われましたね。しかし、正確に実体を出すのに、正確でないものを引き合いに出したんじゃ正確にならぬでしょう。裏づけ捜査もしてないし、現に森さんは必死になって文句言いよるじゃないですか。ひところはあなた、検察を告発するとか、ここへ検事総長を呼ぶとかいろいろなことがあったじゃないですか、新聞をにぎわした。テレビであの人が直接に批判しよるのも私は聞きました。そうすると、正確でない材料をもって正確を期すいうことになったら、裁判官をだますんじゃないですか、それは。裁判官に予断と偏見を与えるということになるんじゃないですか。その点はどうですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員正確か正確でないかということをおっしゃっておられるのは、裏づけ捜査がなされているかどうかということをおっしゃっておられるのだろうと思うのですけれども、裏づけ捜査の必要があるかどうかということは、例えばその検事調書の立証趣旨がどういうことであるかによって決まってくるわけでございます。したがって、例えばある人物の供述調書、検事調書で結構なんですが、その中身が他の人物からある話を聞いたという内容のものである場合に、その人物がそういう供述をした。  もう少し具体的に説明した方がよろしいかと思いますが、本件の場合に、日本皇民党総裁がだれが中止要請をしてきてもその中止要請には応じない、中止しないという強い意向を持っていたというそういう事実を立証するということと、日本皇民党総裁がその検事調書をとられている人に対して話した話の内容、ある話の内容が真実であるかどうかということとは別の問題であるわけでございます。したがって、他の人物の話の内容というものについて、それが真実であるということを立証あるいはそれを確定しようとしているものでない限りは、その点について必ずしも裏づけ捜査をとる必要がないということは刑事手続上通常あり得ることであるわけでございます。したがって、そういう意味で、裏づけ捜査をとる必要があるというのはその立証趣旨との関係で決まってくるということで、一概には言えないということになるわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 そうすると、その立証趣旨なるものは、これほどいろいろなことをやって、みんながやめなさい、やめなさい言ってもやめなかったというほどの強い一つの、皇民党、右翼団体のその当時の意思と行動というものがあったんだということが立証趣旨なんですか、そこでは。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 仰せのとおりでございまして、要するに本件では、渡邉被告人が稲川会の石井前会長に絶大な恩義を感じていた、その一つの原因がこの日本皇民党の街宣活動の中止にまつわる事実であった。そういう意味で、渡邉被告人の特別背任事件の動機を立証するために必要な証拠として、今委員が御指摘になられましたように、当時の日本皇民党の稲本総裁がだれが来てもそういう中止要請には応じないという強い意向を持っていた、そういう事実を立証すればよろしいわけで、それにもかかわらずそういう街宣活動を石井前会長が中止をしてくれたということについて渡邉被告人が絶大な恩義を感じて、それが動機となって特別背任につながっていったという事実の立証の一つとして、今問題になっております大島という人の検事調書が証拠調べ請求されているわけでございます。したがって、くどいようでございますけれども、その稲本総裁が話していた話の内容自体を立証するということではないわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 これは非常に複雑な問題で、検察側が立証しようとされたポイント、これはまだ私から言うたらあなた方は右翼とか暴力団というものの真相をつかんでいないんです。なるべく自分を巨大に見せよう、だれが言ってきても聞かなんだのをこういう人が来たから言うたんじゃとかやったんじゃとかいうことを、つまりオーバーに供述しておると私は思いますよ。それをあなた方は、今度はそういうことを供述したことでもって、非常に強固な意思でもって皇民党は褒め殺しをやりおうたということを立証し、それから続いた背任の問題が出てくる、こういうことを立証しようとされたわけでしょう。  やめるときにはぱっとやめるのですよ、もともとこれは商売なんですから。思想右翼というようなものが、それはないことはないですよ、思想右翼というのも。しかし、現実には、一口に右翼・暴力団と言うじゃないですか。衆議院予算委員会でもしばしば使われておりますよ。政府の関係者もそういう言葉を使うていますよ。どういう根性で物を言いおるかということを検察官というものはもっとよく調べて、そしてそれに対処しなければ今回のような問題が起きるのですよ。  しかし、中には行ったという者もおるわけだから、全然火のないところに煙が立ったわけではない。けれども、森さんがあれだけ頑張りおるから、初めは隠しおるのかなと私は思っていたけれども、どうでもこの人はやっておらぬのかなと最近思い出したのですよ、私は。だから、検察官はもう少し真実に迫ることをあらゆる経験則に照らしてやらなければいけませんよ。  私は、衆議院に出る前に十カ月、五十数台の黒い車に責められましたよ。これは構図がわかるわな。右と左の政治的対立のように構図は見える。けれども、そこにはいろいろな問題があるのですよ。単純に物を割り切ってはいけないのです。私は、きょうはその写真を準備して持ってこようかと思ったけれども、面倒くさいから、そんなことで時間を余りとれぬから。  だから結局、そこをとってみても、検察官は単純ですよ。その単純さが、先ほど鈴木喜久子議員が追及しおうた五億円問題の単純さへ来ていますよ。  時間がだんだんなくなりますから申し上げますけれども、要するに、それ以外に犯罪を構成する構成要件は認められなかったというわけでしょう。あの量的違反しか認められなかったというわけでしょう。そうしたら、政治の素人が告発を出したら、すぐまた捜査にかかるのですか。国民から見たらこれは大変疑惑の的ですよ。一たんはこれで終了したと言っておったわけでしょう。それが、二万数千通出ておるのか何ぼ出ておるのか知りませんけれども、大半は素人でしょう。検察というのはそんなにやりおることが信念なくて、ころころと変わるのですか。そこをちょっと答えてみてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  中間報告でも申し上げましたように、検察当局におきましては、このいわゆる東京佐川急便事件につきまして捜査を終結したということを申し上げたことはないわけでございまして、捜査の経過でも申し上げましたように、本年の三月から六月にかけて特別背任事件で公判請求し、あるいは金丸前議員あるいは金子前知事等に対する事件について公訴を提起してきたという経過、これは改めて申し上げるまでもなく、捜査の過程で犯罪の嫌疑が認められ、一つ一つ捜査を積み重ねていって起訴できるものについては逐次起訴をしてきた、なお捜査を続けているという状態であるわけでございます。  今委員御指摘になられましたように、先般も多数の人から告発が出されまして、その告発を受理したという事態をも踏まえまして、それまでに行ってきた捜査を踏まえてさらに捜査を続けているということでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 それでは、捜査を打ち切ったということはないのですね。もうこれでこの問題は済んだという、つまり、金丸さんの五億円問題をめぐって捜査は済んだということを私は新聞の活字で見たことがありますけれども、それはないのですな。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどお答えいたしましたように、捜査を打ち切ったという事実は全くございません。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 そうすると、法律上の用語ではないですが、ちょっと一服したと言うのですか、どうなんですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 一服状態という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、要するに、こんなことは申し上げなくても委員おわかりのとおりと思いますが、捜査は一つ一つの積み重ねでございまして、捜査をしている過程でいろいろな事実が出てくれば、一つ一つ吟味、検討して、証拠が集まって起訴するに足る十分な嫌疑が認められるものから起訴していくということで、残された問題があればなお捜査を続けていくということでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 言葉でそういうふうに説明するとまことにきれいなんですけれども、国民的な疑惑が深まり、アクションが起きたからこうなったというふうに国民の大多数は見ていますよ。だから、今あなたと私のやりとりの中におけるあなたの答弁自体が、国民からいったら、疑惑を解消するどころか、検察をさらに頼りないものとして見るような答弁になっていますよ。検察が頼りないと国民に思われるようになると、これはある意味の、一種の政治とか民主主義の危機ですよ。けれども、現実はそうじゃないですか。告発を出したから再開したんでしょう。どうなんですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどお答えいたしましたように、捜査を一たん打ち切って再開したとかいうようなことではございませんで、捜査はずっと続けているという状態でございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 一つの、つまり政治資金規正法の量的制限違反についてだけ刑を確定するようなところへどうして急いで持っていったのですか。その五億円授受という一つの事実行為をめぐってどういう問題があるかということについて国民は目を見張っておるわけでしょう。それを一つだけ、どうして先にぼこっとやったのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今の点に関しましては、先般予算委員会で中間報告でも申し上げましたけれども、「本件五億円の収支に関して、それまで収集された証拠関係を踏まえ、想定される犯罪とその罰則適用の可能性につき必要な検討を行いましたが、本件処理の段階」、これは金丸前議員に対する政治資金規正法上の量的制限違反の事実で公訴を提起した段階のことでございますが、「本件処理の段階では、金丸前議員が受領した本件五億円は、その後指定団体に対する寄附として取り扱われたものとみられるなど、金丸前議員の余罪として訴追すべき犯罪の嫌疑が認められるものは確認できませんでした。」こういうふうに御報告したわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 それでは、刑事局長、済んだということじゃないですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 ですから、先ほど申し上げましたように、本件処理の段階ではということを申し上げているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 私も本件処理の段階ではと聞きおるのですよ。金丸さんが五億円を受け取ったということをめぐる事件として聞きおるのですよ。本件処理が済んだということは、済んだものをまた再開したということになるじゃないですか。ちょっと私の日本語おかしいですかな。六十年ほど日本語を使うておるが、私は間違うたこと言いおらぬと思うがね。ちょっとそこを答えてみなさい。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、本件処理の段階では、公訴を提起するに足るほかの犯罪の嫌疑は認められなかったということを申し上げたわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 だから、それが打ち切ったということでしょう。それが打ち切ったということじゃないんですか。もうほかのことは嫌疑がない、こうなったんでしょう。ところが、今度は告発がどんどん出だして、またやりかけたわけでしょう。今現にやりよるんでしょう。それを、我々のような法律的な素人は  何かあなたらのように法律的に詳しい者の中で通用する、わしらの常識以外の論理があるんですか。本件をめぐってはもう何もないということになったから判決を出した、じゃそれでもう終わったということじゃないか。私が質問しておるのは、その終わったということになっておって、告発が出たらまたやりかけたというのは、そんな及び腰であったのかという私の質問の趣旨なんだから、そこを踏まえて答えてみてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、金丸前議員に対する政治資金規正法違反事件、量的制限違反の事実で公訴を提起した段階におきましては、それまでの捜査結果を検討した結果、それ以外の余罪について犯罪の嫌疑を、公訴を提起するに足るだけの嫌疑を認めるものは確認できなかったということでございます。先ほど申しましたように、東京地検におきましては残された問題についてなお捜査を続けているということを申し上げているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 金丸さん五億円授受問題をめぐって、捜査のその段階では他に嫌疑をかけるようなものはなかった、なおほかに問題があれば引き続いてやりますというのは、それは論理になっていますか。これで終わりです言って、それでなおやるんです、ほかに何もないんです言っておいて、なおやるんですというようなこと、どこにそういう論理があるんですか。そこには、国民が、この疑惑問題について余りにもへぬるい態度をとっておるということに対して歯がゆい気持ちを持って告発の挙に出たからそうなったのと違うんですか。ほっておいてもこうなる必然性があったんですか。必然性があったとすれば、そこのところで、今あなたの説明の中でも、あの段階ではもう何もない。あの段階でもう何もなかったら、次々何もないじゃないか。わからぬじゃないか、それ。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 九月二十八日に東京地検が、先ほどから申し上げているとおり、金丸前議員に対する量的制限違反、政治資金規正法違反の事実で公訴を提起した時点におきまして、その時点で金丸前議員に対する余罪として、それまでの処理の段階では金丸前議員に対する余罪として他に公訴を提起するに足る犯罪の嫌疑は確認できなかったということを公表しておられます。なお残された問題についてはなお捜査を継続するということもあわせて申しておられるわけでございまして、そういう意味で捜査を打ち切ったということではないということを申し上げているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 なお残された問題、ない言っていて、もうこれ以上ない言っていて残された問題という理論はどこから出るんですか。あの段階では、公訴を提起した段階ではもうない。公正にやったということも法務大臣は強調されておるし、濱刑事局長の中間報告の中にも、私は新聞で、あれは全文掲載だったんだろうと思いますが、読みましたが、公正にやった、公正にやってこれよりもうほかにない、こうなったのに、なお残された問題というのは何が残されたんですか。もうそういうことは国民の間で通用せぬよ。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 残された問題の中には、告発を受けております政治資金規正法違反事件あるいは所得税法違反事件等々が含まれていることはそのとおりでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 それは、ほかにないという中に入っておったんじゃないんですか。公訴の段階ではほかにないという段階に入っておるんじゃないのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどからお答え申し上げておりますとおり、金丸前議員に対する量的制限違反の事実で公訴を提起した時点におきましては、金丸前議員の余罪として他に公訴を提起するに足る事実は確認できなかったということを申し上げているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 そういうことがまかり通るのであれば、国民は検察に対して一瞬の油断もできませんわ。それが問題なんですよ、今国民が問題にしておるのは。そういう理屈がまかり通るなら、どうしてあの事実に対してほかに考えられる罪状はないのかということに対して、一カ月や二カ月でくらっと変えるようなそういう態度で検察が臨んでおるから問題なんですよ、これは。だから、そこに手かげんをしたところがあるのじゃないかという問題が出てくるのですよ。そんな常識なんですか、検察は。五億円事件をめぐって、あの段階では他に問題はありませんと言って、今問題になっておる脱税の問題だとか、あるいはこの金をどういうふうに使うたかということでもっと調べてみいという意見とか、さまざまな問題が出ておるでしょう。それをあの段階ではなかったと言ってばっぱっと一件処理するような段階なんですか。  私は、普通はある一つの事件をめぐって、これは要するに、強盗もやっておる、同時に傷害もやっておるといったら、強盗事件と傷害事件と、判決出すまでに一緒に捜査してやるでしょう。強盗やっておるのをほっておいて、金丸さんが強盗やったというのじゃないですよ、例えの話で、強盗やるのをほっておいて、傷害事件を調べた段階では何もなかったから傷害事件の判決を出したというようなことが成り立つのですか、そんなことが。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどからお答え申し上げておりますとおり、検察官においては、いわゆる東京佐川急便事件につきまして一つ一つ捜査を遂げていって、公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑が十分に認められるものから公訴を提起していったということでございます。  先ほどから繰り返しお答え申し上げておりますように、金丸前議員に対する量的制限違反の事実について十分な証拠が認められて、公訴を提起するに足りる嫌疑が認められたということで公訴を提起した、その段階においては、金丸前議員に対する余罪としてほかに公訴を提起するに足りる事実は確認できなかったということを申し上げているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 それは何遍言っても同じことですよ。他に事実が認められなかったというくらいのそういうぬるい捜査をして、それで国民の側から提起したらやるようになるのかということを私は問うておるのだから。それでは国民は片時たりとも検察行政に対して安心はできぬじゃないか。いつも国会議員に対して、おまえ今度下手をやったら選挙落としてやるぞというくらいの状況にさらしておかないと、検察は何をするかわからぬという国民の疑念は晴れないじゃないのよ。  どうせあなたが同じことを言うのだから、こんなことは、我々政治家が今度選挙区へ帰って演説するときには、漫画のように言わなければしようがないのよ。濱刑事局長はこういうことを言うちゃ言い、言うちゃ言い、ソニー・オートマチック・テープレコーダーみたいだと、こう言って漫画的な演説をせないけんようになるのよ。そうすると、心ならずも、なるべく検察の権威を守り立てて我が国の法秩序というものを守ろうとする我々の意思とは違う結果が、国民にこの議論の真実を伝えるという状況で生まれてくるんだ、それは私は残念なんですよ。これはもう少し、ひとつよく頭を冷やして考えてもらいたいと思いますね。  それに関連して、次の質問に移りますよ。  この朝日新聞が十二月四日に「目前に総選挙が迫っており資金の必要に迫られた 金丸氏上申書全文を入手」というのが出ていますがね。これは午前中も田辺委員の方から検察のリークという問題が出ておりましたが、しかし先ほどの鈴木委員に対する答弁では、裁判所もそれは認めないというような、これを公表することを認めないと言ったのでしょう、裁判所は。そうでしょう。——今答弁の時間ではない。これを公表せいと言って、公表してもらいたいということはいろいろな人が要求しているのでしょう。しかし、これは秘密だということになっておりますが、新聞に出ておるではないですか。その点についてはどう思われるのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 その新聞に報道されているものが本物かどうかということについては、これは肯定も否定もできないということしか申し上げられないわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 多分そういう答弁になると思うのです。しかし、それは要するにまだ本物を出していないという建前があるから、いや、それは違いますと言ったら、ある意味で半分くらいこれに対して説明を加えたことになるから、肯定も否定もできないという答弁が官僚の答弁とすれば当然のことだろうと思うのです。しかし、現実問題として、この朝日新聞が、相当信用のある、我が国では最も信用が高い新聞の一つですよ。その新聞がこの全文を入手したと言って出したわけですよ。  その全文を入手したというその上申書の中身の中にどういうことを言っておるかといったら「今回、この政治資金が捜査の対象となりましたが、ここ約一か月、私の自宅は日夜多数の報道陣に取り巻かれ、私の行動のすべてが報道されるなどの異常事態にあったため、検察庁の事情聴取にも応じられない苦境にありました。 出頭拒否の意図なども頭もありませんが、右の事情から、結果的に出頭不能となったものであります」こういって書いておるのですよ。そして、外へ出ることができぬ、出頭は不能だと言ったのですよ。病院には行ったですな、病院へは。だから、それなりの構えを持って、それなりの、新聞記者が殴ったりけったりはしゃしませんからね、カメラを撮るのにだあっと金丸さんの体に当たったりというようなことをそれなりに避けたら、来る意思があったということになるのではないですか。  いや、これは肯定も否定もしないから、それはコメントできないということになると、これへ戻るのですよ。「刑事局長は何を恐れるのか」この社説に戻るようになる。  本当にこの上申書が出たからもうその犯罪のことはわかったというのは、それは政治資金規正法の量的違反についてはわかったという、それは私はわかりますよ、わかった。ほかのことは調べずにおって、あなたが何回も今繰り返されるように、その段階では他に公訴を提起するようなものはありませんでした。ありませんでしたということをどうやって確認したのだ。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは先ほどの鈴木委員の御質問に対するお答えにも関連いたしますけれども、金丸前議員の秘書の取り調べあるいは政治団体の会計責任者の取り調べあるいは渡邉被告人の取り調べ、松沢被告人の取り調べ等関係者の取り調べ、それからその裏づけとなる証拠物の取り調べ等捜査を行ったというふうに理解いたしております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 しかし、肝心なことは、金丸さんが罪の対象になる、なった事件ですよ。それを肝心かなめの本人を呼ばずして、そしてほかの問題はその時点ではないと思った。しかし、それはすぐに馬脚があらわれて、ありそうな、調べてみなければいかぬという態度に変じておるということでは、筋道は全然立たぬではないですか、これは。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 どういう捜査をしたかという捜査の内容について、これは踏み込んでお答えいたすことはできないわけでございますが、この捜査の過程で、先ほどお答え申し上げましたように、本件五億円の収支に関する想定される犯罪というものはどういうものがあるかということについて若干説明を申し上げますと、検察当局は、例えばその五億円の支出に係る量的制限違反の寄付の供与罪、それから五億円の寄附を受けたことによる所得税法違反、あるいは五億円を金丸前議員の指定団体に寄附した場合における指定団体の収支報告書の不記載罪等の罪につきましても検討を加えたということでございます。  これらの犯罪の罰則適用について、これは法律論の観点から一般論としてお答えせざるを得ないわけでございますが、まずその量的制限違反の寄附の供与罪について申しますと、特定公職の候補者である国会議員が、自分の受領した寄附金を指定団体に取り扱わせるために寄附した場合には、これは政治資金規正法上の指定団体に対する寄附ということになりますし、政治団体である指定団体がこれをさらにほかに寄附した場合には政治団体に対する寄附ということになるわけで、いずれも罰則の適用が除外されているわけでございます。  また、所得税法違反につきましては、これは既に国会において国税当局からも御説明がありましたけれども、政治家個人が提供を受けた政治資金につきましては、所得税の課税上、雑所得の収入として取り扱うことになるわけでございます。その政治資金収入から政治活動のために費消した金額を控除した残額が課税の対象になるわけでありますが、政治家個人が受けた政治献金の全額を政治活動のために費消した場合には、これは課税関係は生じないというお答えがあったものと承知しております。  それから、政治資金規正法の収支報告書不記載の罪はどうなのかということになりますと、これは会計責任者について成立する犯罪でありますから、会計責任者が収支報告書の記載に全く関与していない場合には犯罪は成立しないものというふうに解されているわけでございます。  検察当局といたしましては、今申し上げましたような犯罪の罰則適用関係を念頭に置きながら所要の捜査、検討を行ったというふうに聞いているわけでございまして、その段階では、先ほどから何回もお答え申し上げているとおり、金丸前議員が受領した本件五億円は、その後金丸前議員の指定団体に対する寄附として取り扱われたものと見られるなどの理由によりまして、余罪として公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑が認められるものは確認できなかったという結果であったと聞いているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 これは新潟大学の鯰越という人ですから、法律の専門家だと思いますね。法学部の先生だと思います。この人が「法学セミナー」という本の中でこういうふうに言っておるのですね。「略式起訴か、正式起訴かという起訴の方法ではなく、そもそも金丸氏を政治資金規正法の第二二条の二の第一項及び第三項違反で起訴する他に検察のとるべき途はなかったのか、」これは法律専門家の言葉でもあるが、これは国民は、そうじゃ、そうじゃ、そこが問題なんだ。  あなたは今いろいろ列挙されました。通常罪状と言われるようなものを列挙されて、それを確認するに至らなかったとか、それを認めることができなかったとか、それだけのことじゃないですか。しかも、その論理には、この場で詳細が報告できないということも、それは一面わかりますよ、私は。捜査に関することでまだ言えないこともありましょう。しかし、もう金丸さんのことは済んだということになっておるのでしょうが。済んだということになっておったら、済んだからには堂々と言ってもいいじゃないですか。——ちょっと待ってください。  それで、そういう状況にあって、今あなたと私がやりとりをしておることで国民の疑惑というものはとれませんよ。この亀山さんが言っておるような疑惑はとれませんよ。私は、きょうはこれは最低限のこととして言っているのですよ。私は、この論文全体は法務省を守るために、むしろ札幌高検の佐藤検事長がちょっとこれは考えが浅いのであって、もう少し深く考えたらこうなんだという、つまりあえて言うならば、それは法律的には正しいので、国民との常識の違いだということを言いたいんだけれども、こういう論文だから少しかしこらしく書かなければいかぬのでかしこらしい文書で書いておる。私はその意図はわかりますよ。意図はわかりますけれども、そういう意図をもってしても最低限のところ、検察の常識と国民の一般の常識とをどういうふうに埋め合わせをつけるか、そこの努力が必要であるという論理は大事ではないかということで例に出したのですよ。あなたの答弁では、ますますそれは——刑事局長というのは何を恐れておるんだろうかと。  そういえば自民党の森さんの問題についてはいち早く、そのことであるとは言わないけれども、法務大臣は、政治家でさえこうなのに一般の人だったらなおさらひどいことになるだろうから何らかのことを考えなければいかぬと言って、ちょっと援護射撃的なことを言っていますね。あなたもそれは否定されていないですね。何だかそれは、この事件の真相解明から離れてほかのところへそれたことについて、政府と与党との関係だから与党に都合のいいことは援護するが、国民が今一番問題にしておるところはやはり捜査の都合ということでしょう。  それは捜査の都合もいいですよ。捜査の都合もいいですけれども、捜査の都合ということで言っていたら国民は離れますよ。最終的に民主主義の勝負はそこなんだから。国民が権力というものに対して信頼をするかどうかの問題なんですから。だから、自衛隊の何とかがクーデターでもやらなければ勝負がつかぬというようなことを言ったでしょう。あんなことになったら民主主義が破壊されるでしょう。だから、あなたがその衝にある人だから、もう少ししっかりした考えを持ってやってもらえないか、こういう意味で私は言っているのですよ。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この金丸前議員にかかわる五億円の収支に関しましては、先ほど来お話が出ておりますように、政治資金規正法違反あるいは所得税法違反等につきまして多数の告発が東京地検に出ておるわけでございまして、東京地検におきましてはその告発を受けてなお捜査を続けているわけでございます。  東京地検におきましては、常に、これまでもそうでありましたし、これからもそうあるべきだと思っておりますけれども、法と証拠に照らして厳正、公平に捜査処理を行うものというふうに考えております。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 途中で横道にそれずに、言葉どおりにそれをやらなければいかぬのですよ。だから、まだ捜査は続いておるから、国民のサイドに立って私はこれからの成り行きを注目したいと思っていますからね。だけれども、今私が言ったようなことが、法律の玄人でなくていわゆる素人の論議として、国民は今私が言ったような水準において疑惑を持っているのですから、そこを考えてくださいよ。  最後に、札幌の佐藤検事長ですな。この人は、上申書が出されて、それで二十万円の罰金で済ますというような、具体的な取り調べもせずにやるのはおかしいという意味のことを言っておるわけですね。これを検事総長が注意をしたということになったから、またこれ疑惑が余計生まれてきたのですよ。検察一体化で、そこらのところが論調に足並みが崩れちゃいかぬということはわかりますよ。わかりますけれども、足並みが崩れるようなことは一体どっちがしておるのか。  法律の専門家でさえ、現役の専門家でさえそこはおかしいと思うようなことをしておいて、それを口ふさぎするのは、それはちょっと民主主義国家が行政的になすべきことじゃないのじゃないですか。元広島高検検事長、竹村照雄さんという人、現在弁護士、この人もそれを言っておる。検事長クラスといったらかなりのものですよ。相当信用の高いものでしょう。検察の世界においてはそれは検事総長が一番上だろうけれども、検事長といったら高等検察庁の長でしょう。その人が二人も言っておるじゃないですか。それをどう思うのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 佐藤検事長の「論壇」の内容につきましては、これは私読んで承知しておりますが、今もう一つ後で御指摘になられた竹村元検事長の何かコメントというのは私ちょっと見ておりませんけれども、いずれにしましても、この佐藤検事長の投稿につきましては、これはもちろんその内容について私から御意見を申し上げることは差し控えますけれども、この投稿の時期、内容等からいたしますれば、これは佐川急便事件の捜査処理に何ら関与していない方が、この佐藤検事長が、現職の検察官でありながらこの事件の捜査処理に関する批判的意見を公表したということは疑いのないところだと思うわけでございます。  それで、検事総長は、検察内部の問題として、佐藤検事長に対して、具体的事件に関与していない検察官がその事件の捜査処理に関する批判的意見を公表することは組織の一員として相当でないということなどを理由として注意を行ったものと承知しているわけでございます。したがって、私どもは検察組織内における判断を尊重すべきものというふうに考えているわけでございます。

小森龍邦日本社会党・護憲民主連合

○小森委員 佐藤検事長が新聞にそういうことを発表したということを注意したということもまた新聞に出ていますね。だったら、検察内部の問題だというより、片方だけは検察内部の問題でなくて注意したという一つのインパクトを与えて、佐藤検事長の中身というよりはむしろそういう形式論について注意をしておいて、検事総長の方はやったことが新聞に出るということじゃ、国民の方は何を言っておるか、自分の都合のいいことばかり言っておるじゃないかと。  このこと自体もまた検察に対する疑惑を深めることになっているのですよ。ずっと見てみなさい。あなた方がやったことは全部検察のいわゆる疑惑を深めるような、国民が疑惑を深めるようなことばかりやって、国民が求めることについては口を閉ざして言わない、こうなっているのですよ。そういう態度が改まらない限り、今度あなたが先ほど言ったような形で本当の意味の真相究明を検察がやらない限り、国民はずっと疑惑を持ち続けますよ。そして、そういう疑惑というのは直ちに政治的に作用するか、あるいは時を隔てて作用するか、いずれにしたってこれは宗教でいったら業の理論、私は業を多少研究しているが、業の理論のように業をひこじるというか異時因果というか、異時因果というのは異なる時期に異なる結果が出てくる、そうなりますよ。だから、日本の民主主義のために今がたがた言っておる我々とあなた方だけの問題じゃなくて、次の世代へもこういう問題がこの時期に展開されておったら尾を引きますよ。しっかりひとつ考えてやってください。答弁はよろしいです。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 冬柴鐵三君。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三ですが、本日は一般質疑につきまして一時間をいただきましたので、前半は佐川急便事件について、後半は私がライフワークとさせていただいている法律扶助に割きたいと思います。  さて、平成四年十月十一日付、ちょっと古いのですけれども、毎日新聞の朝刊一面トップに、金丸自民党副総裁の東京佐川急便五億円違法献金問題で、政権政党である自民党の全衆議院議員二百七十六名を対象に行った緊急アンケート調査の結果というものが報道されていました。そのうち「あなたは検察庁が金丸氏に対して上申書をもとに略式起訴したことをどう思いますか。」との問いに対し、実に回答百人中五十名が「一般人に対する処理に比べると不公平だった」と答え、「検察の任務に背いている」と答えた方が六名もいたとまとめています。これは、厳正、公正に法を執行して正義を実現すべき検察にとって、まことに重大な事態であると考えざるを得ないわけでございます。私が地元で毎月行っています国政報告会におきましても、この種の強烈な検察批判をする方々が多いということもつけ加えておきたいと思います。  しかし、私は、検察の威信あるいは国民の信頼というものが損なわれたままであるということになりますと、これは検察が仕事をしにくくなるというだけのことではなく、一般国民にとっても回復すべからざる損失を受けることになる、このように思うわけであります。したがいまして、国民に真実を知っていただく、これが必要である、これほど必要なことはない、このように思いますので、そのような観点から順次お尋ねをしてまいりたいと思います。  刑事訴訟法には、検察官は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる、このように定めておりまして、また、正当な理由がなく前条の定めによる出頭に応じない場合には逮捕することができる、このように定めております。  そこで伺うわけですが、金丸前代議士に対し検察は出頭を現実に求めたことがあるのかどうか。それから、金丸前代議士は結局出頭をしませんでしたけれども、法律上どのような理由によって出頭をせずに処理をされたのか、なぜ逮捕をしなかったのか、その点について法律論を伺っておきたい。簡単にお願いします。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 まず、金丸前議員が出頭しなかったのはいかなる理由によるかという最初のお尋ねかと思うわけでございます。  金丸前議員が出頭の上取り調べに応ずるようにとの検察当局からの求めに応じなかった理由につきましては、これは法務当局が金丸前議員の心の内に立ち入って答弁することはもちろんできないわけでございますが、金丸前議員の事件処理について、書面により、略式手続により処理されたい旨を求めた弁護人の上申書には、被疑者金丸の自宅が日夜多数の報道陣に囲まれている等の異常事態があるというふうに指摘されているものと承知いたしております。  それから、被疑者が出頭要求に応じない場合になぜ逮捕しないのかというお尋ねかと思うわけでございます。  この点につきましては簡潔にお答えさせていただきますけれども、まず、出頭要求に応じない被疑者を逮捕するか否かということは、これは一つには被疑事実である犯罪の法定刑をも踏まえつつ、それぞれの犯罪の性質に応じた取り調べの必要性、あるいは、具体的事件において逮捕の要件である罪証隠滅あるいは逃亡のおそれがあるかどうかということを総合勘案して判断すべきものであるわけでございます。  この点におきまして、金丸前議員の場合には、予算委員会での中間報告でも御報告申し上げましたように、提出された上申書とそれまでに収集された証拠とをあわせ勘案すると本件違反事実を認めるに十分であったということ、それから金丸前議員の余罪として他に公訴を提起するに足る犯罪は確認できなかったということ、あるいは、本件が起訴しても最高二十万円の罰金でしか処罰できない事案であって、金丸前議員が希望する以上は略式手続によることが相当と認められる事案であること、こういう事案を考慮いたしまして、結論的には略式手続相当の事案であるということを判断したことも一つあるわけでございます。  また、適用しようとする罰則の法定刑の最高が罰金二十万円であるということでございますので、これは委員が十分御案内のとおり、刑事訴訟法の百九十九条一項ただし書きの法の趣旨からいたしましても、逮捕をする相当性と申しますか必要性も認められなかったということがその理由でございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 百九十九条まで言及されましたけれども、多額十万円の罰金以下であればこれは逮捕できないのですが、多額二十万円というのは十万円以上ですから、逮捕しても違法逮捕にはならない。趣旨から見ればそのように言えるかもわからないけれども、逮捕しても別に違法じゃない、こういう事案ですから、その点、念を押しておきたいと思うわけであります。  ただ、上申書の提出だけで取り調べにかえるという扱いは、これは希有の事例ではないか、私の実務経験に照らしてもそのように思うわけでございます。そういう観点から、政権政党自由民主党の先生方の中にも、検察は任務に背いているのじゃないか、背いているというふうにその時点で判断をされている方があったということを重く受けとめなければいけないと思うわけです。  被疑者が提出した一方的な上申書をうのみにして、幾多の重大な疑点に捜査のメスを入れることもなく、そして略式起訴の処理を終えたということであれば、私も法曹として、また国民の一人として、どうしても許すことはできないという気持ちになら、ざるを得ないわけであります。これはもう当たり前のことだと思うわけであります。私はそこに、検察が、何というか、説明ができないもどかしさもあるのじゃないかという感じがするものですから、以下何点か聞いていきたいわけです。  例えば新聞報道によれば、渡邉廣康氏は五億円授受の日を平成元年六月上旬ごろだと述べた。これは真偽はわかりませんよ、こういうふうなことを供述したというようなことが報じられているわけですが、それは肯定も否定もされないでしょう。しかし、もしこれが事実であれば、検察は、これは犯罪の要証事実、まさに厳格な証拠で立証しなければならない事実でありますから、そういう調書を作成する前に、資金の出所、いわゆる原資の調達の捜査とかあるいはその裏づけ、こういうものを得なければ、簡単にこの検面調書だけをつくってしまうということは考えられないわけでございます。  それからまた、金丸信代議士がその五億円授受の日を平成二年一月中旬ごろ、一月十六日ですか、こういうふうに中旬ごろと特定をして言っていらっしゃる。それでまた起訴事実もそうなっている。それは私の実務経験に照らせば、その資金の出所についても十分金丸さん以外の面で捜査を遂げて、それには関係者の供述もありましょう、また関係会社の会計帳簿あるいは銀行口座の記載等、客観的な原資に関する証拠書類も当然収集した上で略式といえども起訴をする、こういうふうに私は考えているわけです。  略式起訴というと、この間見せてもらったのが数葉の紙だけですから、何か本当に簡単にさっと、あと金丸さんの上申書と生原さん、渡邉さんの供述調書ぐらいがあるのかなとイメージしてしまうわけですけれども、それじゃ許されないだろう。そういう処理をしたのであれば、これは金丸さんをなぜ調べなかったんだという議論は当然だと思うわけですけれども、私はもっときちっとした捜査がしてあるんじゃないだろうかというふうに思うわけですが、その点、私の理解を肯定されるかどうか、お答えいただきたい。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 まず一般的に申し上げて、この贈収賄事件あるいは政治資金規正法上の寄附制限違反など、金銭の授受の日時の特定ということは、これは裁判でアリバイ主張がなされることがあることも当然想定しなければならないわけでございますから、そういうことも念頭に置いて捜査上極めて重要な事柄であると認識されておるわけでございます。単に当事者の供述というようなものだけではなしに、今委員がるる御指摘になられましたように、その当時の関係者の行動を調べたり、関係物証による裏づけ等、慎重な捜査を行っているわけでございます。  本件の五億円の授受の時期につきましても、通常の想定される捜査方法は当然やっているわけでございまして、今委員がお触れになられましたこの確定記録、これは今の段階ではその大半が公にできないのが残念でございますけれども、この物理的分量から申しますとかなりの分量があるということだけは申し上げられると思うわけでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 ちょっと観点を変えます。  自治省に来ていただいていますのでお伺いいたしますが、渡邉廣康から金丸氏が受領した五億円の寄附、これは個人か政治団体かということが非常にこう、それによって大分変わるわけですから、政治資金規正法の法の建前から、もし個人で受けた場合はどうなるのか、それから政治団体が受けた場合はどういうことになるのか、そこに成立する犯罪とその罰則にはどう違いがあるのか、これはもう何回も議論されたところですので、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

大竹邦実自治省行政局選挙部政治資金課長

○大竹説明員 お答え申し上げます。  自治省といたしましては、個々具体の事実関係を承知していませんので、一般論として申し上げるわけでございますけれども、政治資金規正法では、第十二条で政治団体の会計責任者の収支報告書の提出に関する規定が設けられておりまして、また第二十五条では、第十二条の収支報告書の提出の規定に違反して報告書等の提出を怠り、または報告書等に記載すべき事項の記載をせず、もしくはこれらに虚偽の記入をした者について、五年以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処するものとされているところでございます。  また、同法では、特定公職の候補者の保有金に係る収支報告書の提出に関する規定も設けられているわけでございますけれども、これらの政治家個人の収支報告に係ります義務違反につきましては、罰則の規定は設けられてございません。  このことにつきまして申し上げますと……

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 もういいです。  すなわち、公職の候補者も届け出しなければならないし、それから政治団体も報告をしなければならないけれども、公職の候補者がその届け出を怠っても罰則はない。ところが、政治団体の場合は、会計責任者ではあるけれども、その方に五年以下の禁錮というような法定刑がある。そういう違いがある。これは非常に大きな問題でありまして、新潟県の金子前知事につきましては、これは虚偽記入ということでありますけれども、政治団体に入ったということから公職の候補者まで起訴されるということになったわけでありまして、金丸さんの場合は個人だからこの部分は全然お構いなしになり、単なる量的制限違反というところで起訴されたということになるわけであります。  そこで、これも私の法曹としての観点から聞くわけですけれども、もし金丸さんが上申書すら出さないという場合に、これでも起訴できるに足る捜査は熟していたと考えていいのかどうか、これは非常に重要だと思うのです。これは将来、略式起訴、一件書類はいつになるかわかりませんけれども、全部が国民の目にさらされる時期が来るでしょう。そのときに本当にいいかげんな捜査をやったかどうかは一目瞭然になるわけですが、今国民は知りたいわけです。その判断の手がかりとして、金丸氏の犯罪を首服した内容の上申書があろうとなかろうと、今の量的制限違反については起訴をして公判維持ができるに足る証拠を収集したと、そういうふうに考えないと、私はこの事件、理解ができないように思われるのですが、その理解でよろしいですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 委員のお尋ねは金丸前議員に対する量的制限違反事件の確定記録の内容というか捜査の内容にわたることでございますので、立ち入ったお答えは差し控えさせていただきますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、金丸前議員から上申書が提出されるに至るまでの間に関係者多数の取り調べあるいはその裏づけの物証等を収集して事実認定をしたわけでございますから、そこのところはその程度で御理解をいただきたい、こう思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 ここで今回のこの事件の不幸な面といいますか、国民と検察との乖離といいますか、それがあからさまになってくるわけでして、それぞれの立場はありましょうけれども、一方、検察の威信に対する国民の疑念というのは、知りたい事実、我々が知るべき事実を知らされないということのもどかしさに対して、その不信というのは増幅される。これは先ほど小森委員がここでるるお尋ねになられた質問の論旨でもあったと思うのですけれども、私も全く同じ感じを持っているわけでございます。  今国民の関心を持っているこの略式起訴の確定記録、これは一部分のみ我々に見せていただくわけで、それはわずかな部分ですが、その残りの部分はいつになったら見られるのかということが次に問題になると思うわけです。  例えば量的制限違反だけであれば、これはたしか平成二年一月十六日ということだったと思います。この上申書もそれに向けての証拠だろうと思うのです。そうしますと、時効は刑事訴訟法によりますと三年と定められていると思います。そうしますと、私の理解に誤りがなければ、来年の一月十五日の経過をもって一応公訴時効はその分については完成すると思われるわけでございます。  そうすると、この膨大な記録、先ほどそうおっしゃいましたが、そのうち政治資金規正法関係についての部分、この部分については他と、例えば他の犯罪といえば、政治資金規正法上の不申告罪あるいは不記載罪あるいは虚偽記入罪というような二十五条違反の関係は、これはまた罰則が重いですから、たしか五年の公訴時効だと思いますので平成八年までになってしまう、あと三年ぐらいある、延びる。この量的制限違反の部分だけでも分離をして国民にその部分を閲覧をしてもらう方に入れる、そういう考えがあるのかどうか。もうあと一カ月ほどのことですから、刑事局長から御答弁をいただきたい。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  今委員が御指摘になられましたとおり、告発事件のうち、金丸前議員及び本件五億円の分配を受けたと取りざたされている約六十名の者に対する量的制限違反事件は、金丸前議員が本件五億円を受領したのが、さきの確定裁判によりまして平成二年一月中旬ころというふうにされておるわけでございます。罰金二十万円以下の法定刑の罪は公訴時効が三年で成立することは今委員が御指摘になられたとおりでございまして、来年の一月中旬ころには公訴時効が成立する可能性がある。検察当局としましては、この点を念頭に置きながら、当面はこの事件に焦点を当てて捜査を進めているものと思うわけでございます。  仮にこの分の事件処理を終えた場合に、従来告発事件の捜査に支障があるということで確定記録の閲覧を御遠慮いただいていた関係上、告発事件の中には、これも委員が御指摘になられましたように、収支報告書の不記載罪とかあるいは所得税法違反とか公訴時効期間の長いのもございますけれども、告発事件の一部が処理されたということで確定記録中の一部資料の閲覧という問題が当然生じてくることは想定されるところでございます。  現実に閲覧が可能になるかどうか、あるいはなるとしてどの範囲の資料が閲覧可能になるかということについて現時点ではちょっとお答えはいたしかねるわけでございますが、例えばその告発事件の処理を時効完成前に行った場合には、検察当局において、残りの事件の捜査への支障の有無等も考慮に入れながら、適正に対処するだろうというふうに考えております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 端的に伺いますが、金丸上申書は、私は、量的制限違反に関するものが書かれているように思うわけです。ですから、これは一月中旬の時効完成とともに閲覧に供してもいい範囲に入るべき書類だ、私はこういうふうに思っているわけでございます。答えにくい話ですけれども、私が勘違いしていないかどうか、その点だけお答えいただきたい。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 重ねてのお尋ねでございますけれども、この点は現時点ではちょっと法務当局からはお答えはしにくいわけでございます。したがいまして、先ほど委員が御指摘になられたようなことも当然念頭に置いて、保管検察官である東京地検において適正に対処するものというふうに考えております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 担当検察官の考え方の中に、私が今述べたような論理も当然含んでその当時考えていただけると刑事局長は思われるかどうか、その点、どうでしょう。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 委員のお尋ねも含めまして、国会の御論議というのは、これは検察当局も十分関心を持って見守っているわけでございますし、保管検察官である東京地検の検察官におきましては、先ほどお答え申し上げましたような事情を念頭に置いて、法令の許す範囲で対処するものというふうに考えているわけでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 質についての問題はなかなか議論がかみ合いにくいものですから、それでは国民に視覚的に目で見てわかる、そういう手助けにするために、先ほど刑事局長は、略式起訴の記録とはいえ膨大なものだという量のことに言及されたように思うのです。私もここへ用意してきたわけですけれども、この略式起訴の記録が、例えば厚さ一センチというものであれば、これは国民は怒ると思うのですね、実際、閲覧したときに。そんな捜査のもとにやっつけ仕事をしたのか、こういうふうに思う。  ただし、これが普通の刑事事件、例えばさんずい、涜職事件等の公判記録になれば、ロッカー一本ぐらい記録がたまる場合があります。これは相手が認めますと言っているわけですからロッカー一本の記録を略式起訴で持っていくことは私は考えませんけれども、しかしこの事件、相当な分量になってしかるべきだろうと私は思うのです。積み上げたら何センチになりますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 東京地検から、これは厳密に申しますと東京区検になるわけですが、東京簡裁に公訴を提起するに当たりまして裁判所に提出した確定記録につきましては、私先ほどはかなりの量というふうに申し上げたつもりでございます。厚さにしまして約二十五センチぐらいという表現でよろしゅうございましょうか、そのくらいのものであると聞いております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 大分イメージがわいてきたわけでして、二十五センチの中身が何かはわかりませんけれども、字が大きい字で書いてあるのか小さい字かわからぬけれども、その中に、これは将来全部公開されたときに、どんな捜査をやったのか、国民が、これだけやっていたのに何で刑事局長はあんなこと、あそこまでしか言わなかったんだろうということになることを私は願うわけですけれども、さすれば、一般からもたくさんの告訴が出ている中には、五億円の脱税の問題とかあるいは不記載罪というより刑の重いもの等がありまして、時効が完成するまで随分先になってしまうと思うわけでございます。  しかし、捜査は引き続き継続をする、こういうふうにおっしゃっているわけですから、引き続きずっと時効完成までやられたのでは被疑者にされた人も大変だし、関係者にされた人も大変だし、それよりも何よりも、東京地検特捜部、ほかの事件何もできずに困っちゃう。普通、この程度の事件、どれぐらいたてば捜査処分、いわゆるこの事件の裁定というものをされると一般的に考えればいいのか。その時点になれば、この二十数センチの記録は全部国民が見られるわけですから、その時期はいつかということに関連して、どれぐらいの時期がたてば最終的に結論を出すべきなのか、出すと考えられるのか。その点についての、御経験でも結構ですから答弁をいただきたいと思います。    〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 ちょっとなかなか一口ではお答えしにくいお尋ねでございますけれども、検察官が捜査を進める場合に、やはりその事件に適用されようとしている罰則の法定刑からする公訴時効が大体いつごろまであるのかというようなことももちろん念頭に置いて捜査はいたします。ただ、一般的に申しますと、事件の捜査処理というものは、刑事訴訟法の一条の規定を待つまでもなくやはり迅速適正に捜査処理をしなければならないわけでございますから、これは捜査に当たる検察官の心構えとして、できるだけ速やかに捜査を遂げて処理を終わりたいという意向であることは当然のことでございます。  それから、先ほど委員のお尋ねの中で、確定記録の内容あるいは上申書の内容等について刑事局長がなかなか言わないのはなぜか、何か法務当局の方あるいは検察当局の方に都合が悪いから明かさないのではないかというような、別にこれはそういう御趣旨でおっしゃったのではないと思いますけれども、その点について、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、検察官を含めて捜査当局が証拠を収集いたしますのは、刑事責任の有無、程度を明らかにする目的で、しかも捜査密行の原則のもとで行われるという前提で行うわけでございまして、これが国会の場であるいはそのほかの場で公にされるということになりますと、これは捜査の過程で種々御協力いただいた国民の信頼あるいは協力をも裏切ることになるわけでございますし、関係者の人権保護の上でもいろいろ支障が生じますし、今後の捜査、公判を含めまして検察運営ひいては刑事司法の運営に支障を生ずるという観点から、もうこんなことを申し上げるまでもなく、刑事訴訟法四十七条等の法令の制約があるがために申し上げられないということをお答えしているわけでございまして、決して検察当局あるいは法務当局に都合が悪いから見せられないということで申し上げているわけではないわけでございますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 それでは佐川問題はその程度に終わりまして、ぜひ金丸上申書等が一日も早く国民の目に触れる状態に置いてほしい、その意味でも慎重にかつ迅速に実体的真実発見のために頑張ってやってもらいたい、こういうふうに思うわけでございます。  さて、後半、法律扶助のことについてお尋ねしたいと思います。  私は、本年十月二十六日と二十七日の二日、お隣の国、大韓民国へ参りまして、同国の法律扶助制度の現況について勉強してまいりました。短い時間ではありましたが、法務省及び外務省の便宜供与をいただきまして、非常に効率よく視察をさせていただくことができました。関係部局の方々に心から謝意を表したいと思います。  大韓民国の法律扶助制度は、この国では法律救助と呼んでいますが、本格的な質疑というものは来年の通常国会でまたさせていただきたい、このように思いますが、若干のそのときの見聞をここで報告を申し上げ、最後に大臣及び所管局長、人権擁護局長の所感をお伺いしたい、こういうふうに思いますので、若干異例ではありますが、前半私の報告をお聞きいただきたいというふうに思うわけであります。  二十六日の午前に、ソウル地方検察庁で検事長の李健介氏を表敬訪問いたしました。韓国において法律扶助を支えてきたのは、我が国とは異なりまして、弁護士会ではなくて伝統的に検察庁であるということをかねて聞き知っていたからであります。ここで、李検事長より興味深い話を伺うことができました。  一九七一年二月、当時三十歳だった李健介氏は、パク・チョンヒ、朴大統領の法務担当秘書官の職にあったそうでございます。  朴大統領は、法務部、日本でいえば法務省視察の日程となっていた当日の朝、李秘書官を呼び、きょう法務部に特に指示してしかるべきことを申してみよとの御質問を受けたので、李氏がかねて問題意識を持っていた貧困者に対する法律救助制度創設の必要性を申し上げたところ、簡略にメモに記せというふうに言われたそうであります。  朴大統領は、李秘書官の記したメモを胸ポケットにおさめて、李秘書官らを従えて法務部視察に赴かれたそうでありますが、朴大統領は、法務部高官らへの訓示を終えた後、当時の法務大臣であられる申植秀法務部長官に対し、極めて貧しい人たちで金なくして法律の保護を受けることができない人々に対し、積極的にこれを救助する方法を考究せよと指示するとともに、朴大統領は、私財から一定の基金を下賜されたそうであります。後に他の人々にただしたところ、複数の方々から、当時大統領が下賜された基金は三億ウォン、現在の日本の邦貨に換算いたしますと約五千万円であったそうでございます。  これにいたく感動した検察首脳は、全国の検察官にこれを伝え賛同を求めたところ、同年中に各地の検察庁に法律救助検事制度が発足し、全検察官及び検察庁職員有志がこれに賛同いたしまして、その会員となり事務を奉仕するとともに、経費は年会費として個人で負担する、こういうような方式で朴大統領の熱意にこたえ法律救助制度の第一段階がスタートしたそうであります。  韓国では、刑事事件については我が国と同じように国選弁護制度が定着いたしておりましたので、法律救助検事制度は、専ら民事、家事に関する貧困者のための無料法律相談、示談、和解のあっせんによる訴訟によらない民事紛争の終局解決、それから民事訴訟事件についての弁護士紹介とその費用の立てかえということを始められたわけでございます。  その後、法律救助検事制度は財団法人大韓法律救助協会の設立・許可とともに発展的に吸収されましたが、理事長には検察の高官、法務部次官クラスの方が就任をされ、これを実質的に支えたのはやはり検察の組織であり、極めて熱心に組織を挙げて、一人の民も貧困なるがゆえに法の保護が受けられないということが大韓民国内でないようにと努力が払われてきたようでございます。  協会時代は十四年続きました。これが大韓救助制度の第二段階目でありました。  しかし、民事に関する無料法律相談や民・民の争いに検察が介入することについての反省は常にあったそうでありまして、第七次経済発展五カ年計画の中の大きな目標である社会福祉の充実の中に、法律分野における福祉施策として法律救助基本法の制定が決められ、与党民自党も基本となる基金を三百億ウォンとする財団創設を骨子とする法律救助基本法の制定を公約に掲げられたようでございます。  このような流れの中で、一九八六年、我が国でいえば昭和六十一年十二月二十三日、法第三八六二号法律救助法の制定を見、翌八七年七月一日施行され、同法に基づき、同年九月一日には大韓法律救助公団が発足しました。  当初、政府、民間団体出資で三百億ウォンの基金を元に出発する予定であったようでありますが、財源難から、とりあえずは協会から継承をした十億ウォンの財産と政府出資の五億ウォンを加えた十五億ウォンで出発せざるを得なかったようであります。したがって、基金果実による運営が期待されないところから、毎年国の予算の中から財団の運営経費や救助資金が支出されてきて、発足の年は国から三十億ウォン(約五億円)、本年、九二年度予算では国家から三十九億ウォン(約六億五千万円)の補助を受け、基金果実及び償還金収入三億ウォンを加えた四十二億ウォン(七億円)で今年度は運営をされることとなっております。  これが大韓救助制度第三段階で、財政的には不十分ながら、いわば完成段階に到達していると思います。  これにより、一応検察と救助事業とは法律的には明確に区別されるところとなったものの、救助制度の沿革に照らしまして、財団成立五年を経た今日もなお、大韓救助公団の支所、出張所は各地の検察庁の中に置かれており、九二年、本年の十月二十日現在における各地方検察庁職員、総数で二百十七名が救助財団の事務を兼務して援助をしているという実情にあるとのことであります。  このようなことをソウルの地方検察庁検事長は情熱を込めて説明くださいまして、韓国の扶助制度のアウトラインを知ることができました。     〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕  続いて、大韓法律救助公団を訪問いたしまして、約三時間にわたりまして理事長の金東哲氏と懇談をし、また各部の視察をさせていただき、各部の方から実情を伺うことができました。  本部は、ソウル地方検察庁から至近の距離にある官庁街、六階建て延べ五百五十坪のビルに置かれてありました。職員は、九二年、本年十月二十日現在で、公団固有の職員二百二十名(うち弁護士二十二名)、検察庁の兼務または派遣職員、先ほど申しました二百十七名を合わせますと四百二十七名のスタッフでこれが運営をされております。  昨年度の事件処理実績は、救助処理事件数二万一千二件、そのうち非訴訟救助事件というものが一万六千三十七件で、訴訟救助事件が四千九百六十五件であります。また、無料法律相談総数が二十六万二千八百三十二件でありました。このような大変な実績を上げていられます。  私はその際に、非訴訟救助事件とはどんなものなんですかということを質問いたしました。そうしますと、この理事長は、相談に来られた紛争の相手方を呼び出しをして、そして公団が立ち会いのもとにその前で和解を勧告して紛争を終局的に解決をしてしまうんだ、こういうことをおっしゃいました。迅速な紛争解決の観点からは大変結構な制度なんですけれども、これはやはり検察がやっている、検察だから相手方を呼び出してすぐできる、弁護士会ではこれはできないな、こういうふうに思ったんですが、これが大変な実績を上げているということを感じました。  また、たった二十二名の弁護士で年間二十六万件以上の無料法律相談を処理するということは不可能だと思いますので、その点はどうなっているのかということをただしましたところ、正規の法科大学を卒業し、その教授の推薦を受けた者を受験資格とする公団の試験に合格し、かつ一定の研修を経た相談員、この百十八名が相談に乗っているということを言いました。これは資格を有する弁護士ではありませんけれども、その二十二名の弁護士の監督のもとに相談を実施している、こういうことを説明をいたしました。  また、九二年、ことしは公団設立五周年に当たりまして、アメリカやドイツやフィリピンの扶助制度の関係者あるいは学者を招いて盛大な記念シンポ等の事業を行ったそうであります。我が国がこれに招待されなかったことは非常に寂しいことだというふうに感じましたが、現地の新聞やテレビ等マスコミは非常に好意的で大々的に報道して、国民に対する法律救助の啓発に大いに役に立ったということを言っていられました。  そうして、法律救助の資力要件ですが、韓国の国民の四五%がこの要件を満たしているということで、すなわち無料の法律相談あるいは法律扶助を受けられる資格が日本よりはずっと緩いということを感じました。  続いて、翌日はソウルの中央弁護士会を訪問をいたしまして、黄桂龍会長と二時間にわたって懇談をさせていただきました。黄会長は、弁護士会長就任までは救助公団の理事にも就任されていたという方でありまして、非常に救助事業に理解の深い方でございました。  まず、弁護士の数なんですが、九二年、ことしの九月末日現在で、韓国全土の登録弁護士は二千四百四十六名ということで非常に少ない人数でありますが、うちソウルの弁護士会所属会員は実にその六三%を占める千五百五十三名である、そしてまたソウルについては年々増加の傾向にある、こういうこともお聞きをいたしました。  問題は、弁護士会も救助公団とは別に救助事業をやっているのかということをお尋ねしたところ、もちろんやっているということで、ただ弁護士会は国家からの支援を受けていないので、訴訟の際の救助と四名の専任弁護士による無料法律相談業務を中心に行っているということをおっしゃいました。  訴訟救助事件は、昨年の実績で十四件と非常に少ないわけでありますが、ただこの十四件はそれぞれに非常に規模の大きいといいますか、世間の耳目を沸かすというか、そういう事件のようでございまして、その一件には、輸血原因によるエイズ感染患者が自殺をしたということを原因とする相続人からの製薬会社らに対する巨額の損害賠償事件がこの弁護士会の救助事業で行われているということを誇らしくおっしゃっていました。しかし、少額事件はどうなるのですかということを聞きますと、それは当然公団が扱うべきものであるということで割り切っていられました。無料法律相談は、九一年度延べ九百七十名の相談弁護士によって九千五百七十九件を処理した、そして我々は社会的責任を果たしている、このように述べていられました。  こういうのがあらあらの私の視察の報告でございますけれども、ちなみに大韓民国の人口でございますが、約四千万人だそうでございます。すなわち、我が国の人口の約三分の一でございます。一九九二年度の一般会計予算についても調べましたが、総額が三十三兆二千億ウォン、約五兆五千四百億円、邦貨に直しますとそのようなものでございまして、我が国の七十二兆二千百八十億円に比較をいたしますと約十三分の一の経済規模の国であるということがわかると思います。この国が法律扶助の分野で、九二年度予算において、先ほど述べましたように、我が国は一億六千二百万円でございますが、韓国は約六億五千万を国家から支出していられるわけでありまして、名目額で四倍、人口比では約十二倍、予算規模になれば五十二倍、こういうことになるんじゃないか。その面で非常に努力をしていられるというふうに感じました。  また、我が国の法律扶助協会が行った昨年度、九一年度の無料法律相談の件数総数は三万七千二十八件でありましたから、人口比を無視しても、韓国の二十六万二千八百三十二件と比較すると七分の一になってしまう。もっと努力しなければいけないなということを感じました。  訴訟扶助件数は韓国の四千九百六十五件に対して我が国が四千八百九十六件、人口比を無視すればほぼ同数でありますけれども、それ以外に先ほど申しましたような非訴訟救助件数一万六千三十七件というものがあるわけですから、日本はもっとやらなきゃならないということを感じたわけであります。  以上が報告と私の感想でございますが、ここまでしゃべりましたので、大臣、一言御感想を承りたい、このように思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 韓国の法律扶助制度について非常に細かく勉強してこられたことに深く敬意を表します。  法律扶助というのは、広義に見ますと訴訟援助と無料法律相談と分けられるんじゃないか。もっと広く言えば各種の人権相談とか家事相談とかまであるかもしれませんし、さらに広く言えば訴訟上の救助ということもあるかもしれませんが、我々が通常取り上げるのは訴訟援助と無料法律相談だと思います。  人口比で先ほどお話がありましたけれども、韓国はかなり進んでいるということを痛感しましたが、我が国におきましても貧困者に対して援助するということについては道が開かれておりまして、国民が裁判を受ける権利を実質的に保障するという重要な制度でありますから、これがだんだん大きくなっていくことであろうと思っております、現在は、先生もおっしゃいましたように、一億五、六千万という数字でありますが。無料相談についてはただいま大蔵省と相談中でありますけれども、現在まだ国庫から補助する道は開かれておりません。国は三十三年度以降、財団法人法律扶助協会に対して先ほど申しましたような予算補助を行って、毎年扶助費について補助金を交付してきておりますけれども、この制度は相当の成果が上がっておりますので、当面はこの方式で法律扶助の制度の充実に努めてまいりたい、このように考えております。  なお、法務省としては、法律扶助のあり方について、狭義にも広義にも大いに検討して、勉強してまいりたい、こう思っております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 今すべてのことについての答弁が網羅的にされたわけですけれども、韓国がそれぞれの段階において、三段階と私は申しましたけれども成熟をしてきた。我が国は、今もちょっと言われましたけれども、現在行っている補助で相当な成績を上げているのでいましばらくこれでやりたいという、それを牢固として、私当選してもう七年になりますが、ずっと歴代法務大臣はそのようにおっしゃって、そこから出ないのですね。なぜ基本法ができないんだろう。基本法、そんなものすぐできるわけないわけですから、まず先進各国の制度の調査をされたらどうでしょうか。  私は、昨年はイギリスへ行ってきました。ことしはそんなので韓国に行ってきました。これ全部自費で行っているのですよ。国家がそれくらいの調査費を計上して、そして担当官を派遣して各国のありようというものを勉強してこられる。それはぜひ必要じゃないでしょうか。  また、法務大臣にはいろいろな諮問機関がありますけれども、我が国の法律扶助制度の骨格いかにあるべきやという諮問をされるべき時期に来ていると思うのです。十分国民の御理解、各方面の、私は弁護士ですけれども、弁護士の立場を離れて私はずっと言っているつもりですけれども、そういう法曹以外の人の意見も十分徴しながら、我が国の長い、国家百年を見通した一つの制度いかにあるべきかということを、法務大臣、やはり諮問していただきたい。再三言っているわけです。  私も予算編成時期になれば、来年度予算にそのような意味で、たとえ三百万でも五百万でもいい、調査費をぜひ計上してほしいということを申し上げているのですけれども、いまだにそれが実現しない。これは大臣にお尋ねするというよりも、局長来ていただいておりますので、人権擁護局長から、今私が申し上げたような観点に立ってぜひ進めていただきたいがゆえに御答弁をいただきたい。

筧康生法務省人権擁護局長

○筧政府委員 ただいま委員の方から御指摘がありましたように、この法律扶助制度というのは国民の裁判を受ける権利というものを実質的に保障するものでございまして、人権擁護の観点からも極めて重要な制度であるというように考えております。  この制度の充実策に関しましては、我々は我々なりの努力をしてまいったわけでございまして、基本的なものとしては、この法律扶助のために国費がどの程度のお金を費やすことができるかということが大きな関係があるわけでございまして、委員の御助力にもよりまして、平成元年から平成四年の間にこの扶助費を約二倍にするというような努力をしてまいったわけでございますし、引き続いてその方面の努力をいたしたい、このように考えております。  それから、この制度全体の検討につきましては、何せ法律扶助制度として私どもが法律扶助協会に援助を始めましたのが昭和三十三年でございますから、それからもうかなりの年月を経、その間の実績も踏まえ、また現在の時点においていろいろな問題点が既にこの制度の中にもあるということを認識しておりまして、現在日本弁護士連合会、法律扶助協会、それから法務省を加えました勉強会を続けているところでございますし、こうしたものを発展させながら我が国の法律扶助制度というものがいかにあるべきかについて検討してまいりたい、かように考えております。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 私はその手法は正しいと思うのですけれども、ずっと勉強ばかりやっているのですよね。いつ卒業されるのか、その出口が見えないために私はこういうことをずっと言っておるわけでございまして、大臣、二つお願いしたいと思います。  要するに、来年の予算に概算要求をしていただいた、私高く評価していますし、敬意も表しているわけですから、要求をぜひ貫徹をしていただきたいというのが第一点でございます。  第二点は、何といっても長期的視点に立ってぜひこの問題を、G7の中で我が国だけですよ、基本法がないのは。お隣の韓国はG7に入っていられませんけれども、立派な基本法をつくられて五年になっているわけですから、ぜひ我が国が、勉強はたしか五十六年くらいから始めていらっしゃるわけですから、卒業して、その次のステップに、二段階に進んでいただくことを心からお願いをいたしまして、そういう意味で調査費もぜひ考えてほしい、調査費を予算要求することを考えてほしい、このように要望いたして、その御答弁をいただいて、私の質疑を終わりたいと思います。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 予算要求そのものについてはここで確約的な御答弁をなかなかしかねるのでございますけれども、先生の熱意あるお話を深く腹に入れて、事務当局とともに検討してまいりたいと思います。

冬柴鐵三公明党・国民会議

○冬柴委員 どうもありがとうございました。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  私からは、去る十一月三十日に法務大臣と刑事局長が衆議院予算委員会におきまして行いましたいわゆる東京佐川急便事件に関する中間報告についてお尋ねをいたします。  最初に、新潟県知事選挙に関する東京佐川急便元社長渡邉廣康からの金の問題であります。  中間報告によりますと、渡邉廣康元社長が平成元年六月施行の新潟県知事選挙に際し、選挙に立候補した金子前知事陣営に対して三億円の選挙運動資金を提供していた事実を把握した、そして一億円に関連しては既に起訴済みである、残り二億円についても必要な捜査を行ったが、政治資金規正法違反等の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できませんでした、これが報告であります。  そこで最初の質問、残る二億円についての金の流れは把握できたのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 さきの中間報告でも御報告申し上げましたように、金子前知事陣営等に対して三億円の選挙運動資金を提供していた事実は把握したわけでございます。今委員お尋ねになっておられるそのうちの残り二億円につきましては、さきに御報告申し上げたとおりでございまして、それ以上のことはお答えはいたしかねるわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 必要な捜査は行った、だから二億円について、渡邉廣康から金がだれに流れたのかの全容が把握できたのかという質問であります。イエスかノーかで答えてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員のお尋ねになっておられるところは、結局、起訴されなかった事実関係についてのお尋ねだと思うわけでございまして、先ほど申し上げましたように、御報告した以上のことはお答えをいたしかねるということでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 大変けしからぬと思うのですね。起訴、不起訴なんて私は聞いていないのですよ。三億円の流れをつかんだ、そのうち一億円については起訴しました、二億円についても必要な捜査を行ったと報告をしているのだから、それじゃその二億円についてはその流れの全容をつかんだのかと聞いているのですよ。名前を言えという質問じゃないのですよ。イエスかノーか答えてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 ですから、それは捜査の内容にかかわることでございまして、捜査の秘密に属することでございますからお答えいたしかねるということでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 必要な捜査がどの程度行われたか、まさに国政調査権の対象ですよ。なぜ国会に対してそんなことを報告できないのですか。その理由を述べてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは改めて申し上げるまでもないわけでございますが、検察は刑事責任の有無及びその程度を明らかにするために証拠を収集するわけでございますし、それゆえに刑事訴訟法で定められております強大な権限を行使して人の秘密にわたる事項にも立ち入る性質のものであるわけでございます。したがいまして、捜査の過程で把握した事実等の捜査の秘密に属する事柄につきましては、これを秘匿しなければならないこととされているわけでございます。  もしこれを、例えば今委員が仰せになっておられます国政調査を含めて刑事手続以外の目的に利用されたりあるいは公にするということになりますと、いつも申し上げておりますとおり、関係者の人権の保護はもちろん、国民の信頼と協力のもとに円滑に遂行していかなければならない今後の捜査、公判に重大な支障を生ずるおそれがあるわけでございます。そういう意味で、従来起訴されていない具体的事実関係についてはお答えを差し控えさせていただいているわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 具体的事実関係を聞いているわけではないのですよ。今、当国会に与えられた最大の使命は政治と金との関係をきちっとするということであるわけであります。そういう目的があるからこそ、それにかかわる問題として聞いているわけであります。金の流れが解明できているのかできていないのかを聞いているのですよ。何でそんなことまで答えられないのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、起訴されていない事実関係についてのお尋ねでございますのでお答えを差し控えさせていただきたいというふうに申し上げているわけでございます。  先ほどもお答え申し上げましたとおり、検察が捜査を行い事実を明らかにいたしますのは、刑事責任の追及の目的のために行うわけでございます。したがいまして、先ほどるる御説明申し上げましたような観点から、起訴されていない事実関係についてはお答えをいたしかねるということを、これはいつも申し上げておりますとおり、検察における職務内容の秘密が強く要求されるということは、これは刑事訴訟法四十七条等を初め法令の制約があるわけでございまして、そういう意味で従来も起訴されていない事実関係につきましてはお答えを差し控えさせていただいてきたわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 答弁を拒絶する合理的な根拠は全くないと思います。  それじゃもう一つ、平和堂ルートの捜査の問題についてお聞きします。  松沢泰生から渡邉元社長が巨額な債務保証の見返りに多額の裏金を受けている事実を突きとめた、その使途先の捜査をした、その一つが金丸前議員に対する五億円だ。そこで「前記松澤から約十七億五千万円の裏金を受領していた事実が判明し、その使途先につき必要な捜査を尽くした」と報告をされております。  そこで聞きます。その使途先について必要な捜査を尽くしたとあるが、金丸氏に渡った金以外の金の流れが把握できているのかどうか、イエスかノーか答えてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 約十七億五千万円の裏金を受領していた事実の中から金丸前議員に係るものについては公訴を提起したわけでございますが、それ以外の事実、起訴されてない事実関係については、先ほどと同じ理由でお答えはいたしかねるわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 法務大臣、十七億五千万円にしろ、新潟ルートの残った二億円にしろ、検察が一生懸命捜査をしてその金の流れをつかんだのか、それとも一生懸命やったけれども金の流れがわからなかったのか、それを私は聞いているんですよ。当然、そのぐらいは国会に報告があってしかるべきでしょう。法務大臣、どうですか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 このことは、捜査に関する実務上の中の実務でございますので、刑事局長が答えるべきであると考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 刑事局長が今いろいろな理屈を述べて答えようとしない、そういう法務省の態度に対して、法務省の最高責任者たる法務大臣はどう考えているのかということを今聞いているのです。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 刑事事件に関する実務のことでございますから、私はお答えできません。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 ただいまの答弁態度によって、いかにこの東京佐川の事件について法務当局が事実を隠ぺいしてその真実を国会や国民に述べようとしないのか、物すごい不当な態度をいまだにとり続けているということが明白になったと思うわけであります。この私の質問に対して答弁しないことが不当でありますので、あくまでも私はその内容について求めたいと思うので、後刻理事会で取り計らっていただきたいと思うのです。  では、ついでに聞いておきます。  新潟ルートの残る二億円あるいは平和堂ルートの十七億五千万円の金丸氏に行った分を除く部分、その流れ先の中に国会議員あるいは前国会議員がいたかどうか、答弁してください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、今委員のお尋ねになっておられますことは捜査の秘密に属することでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 時間のむだになっちゃいけませんので、次の質問に移ります。  金丸前代議士に対する五億円の政治資金規正法違反事件の捜査についてお聞きします。  本年十一月二十五日、衆議院予算委員会において、我が党の正森委員の質問に対して刑事局長から、捜査の過程で同じ被疑者、参考人の供述が変遷することはあり得る、こう述べております。  そこでお聞きしますが、金丸前代議士の生原秘書の供述が、上申書が提出された九月二十五日の前後、変遷したのでしょうか、しなかったのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今のお尋ねの点につきましてもお答えは御遠慮させていただきたいと思うわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 これは私が予算委員会の集中質疑でも明らかにいたしましたように、金丸氏の弁護人でありました安部弁護士は、私の研修所時代の検察教官なんです。安部弁護士がこの一連の事実関係について週刊誌に真相を告白されるということを行いました。重大なことが書かれておるので、私は安部弁護士に直接お会いしてその真否を確認したわけであります。その中でももう明らかになっているわけであります。  上申書提出前の段階での生原秘書の供述は、五億円の受領が金丸信代議士の政治団体である新国土開発研究会であった、そして上申書が提出された後、五億円の受け手を金丸個人とする供述調書をつくったと。安部弁護士は金丸前代議士の弁護人ではありますけれども、検察から当時出頭を求められていた生原秘書の法律顧問的な立場でもあったわけでありますから、それはもう紛れもない事実であります。安部弁護士はうそをついているわけではありません。その事実の有無についてまで今検察は答弁しようとしません。  もう一点聞きます。  では、渡邉廣康の供述調書が上申書提出の九月二十五日の前後で変遷したのかどうか。これは特に、上申書提出の前は五億円の受領の時期を八九年六月の参議院選挙前と供述していた。そして、上申書提出後、五億円の時期を九〇年一月の総選挙前と変遷したような供述になっているように受けとめられているわけですが、そういう変遷があったかどうかの事実を答弁してください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員がお尋ねになっておられます点も、確定裁判によって判断された事実認定、その証拠の内容にかかわることでございますのでお答えは差し控えさせていただきます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 先ほど同僚委員の質問に対して、略式起訴をしたそのとき提出した証拠書類の厚さは二十五センチぐらいあったと答弁をされました。じゃ、その提出した証拠の中に生原秘書と渡邉廣康東京佐川元社長のそれぞれ検察官調書があることはもう明らかな事実だと思うのですが、九月二十五日上申書が提出される前の段階で検察がとったそれぞれの供述調書が略式命令の起訴の証拠として提出されたのか、それは提出されないであるのか。それは答えてください。検察官の公訴提起のあり方について聞いているわけです。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  今のお尋ねは、今お触れになっておられる確定記録の中に生原秘書及び渡邉被告人の供述調書が含まれているかというお尋ねでございますか。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 九月二十五日の上申書が提出されました、その前の段階でとった供述調書が証拠として出されているかという質問です。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 その日付はちょっと私承知しておりませんけれども、今申しましたように、生原秘書の供述調書、渡邉被告人の供述調書が確定記録の中に提出されております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 供述調書が出されているのは当然ですよ。生原秘書の供述調書や渡邉廣康供述調書がなされなければ、金丸氏に対しては直接検察官は出頭を求めて供述調書をとっていないわけでありますから、上申書一本だけなんですから、そんなものは有罪判決をもらえるはずないのであって、金の渡し手である渡邉廣康氏に対する供述調書、金の、直接の現金の受け手である生原秘書の供述調書が提出されなければ、そんな略式命令できるはずがないわけであります。  問題なのは、九月二十五日に上申書が出された前の段階でとられた供述調書がちゃんと証拠として裁判官の目に触れているのか、それとも九月二十五日に上申書が出された後にとられた供述調書だけが大事な証拠として裁判官の目に触れているのか、そこを聞いているのです。だから、日にちが大変大事だ。そこを聞いておるのです。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員がお尋ねになっておられますそれ以前の日付の調書も提出されております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 わかりました。では、そう聞いておきましょう。  金丸氏に対する政治資金規正法量的制限違反の略式起訴は、生原秘書との共犯という構成になっております。五億円という金を直接受け取ったのが生原秘書であります。政治資金規正法の量的制限違反の上限は百五十万であります。百五十万が上限でありながら五億円の金を受け取ったことは紛れもない事実であります。どうしてこのような生原秘書に対して起訴猶予という処分をしたのか、どのような情状を検察は酌み取ったのか、お述べいただきたい。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員が正しく御指摘になられましたように、金丸前議員と生原秘書との共謀による量的制限違反の事実が捜査の結果認定されたわけでございますけれども、生原秘書につきましては、金丸前議員の秘書として従的に関与したにすぎないという判断に基づいたものと理解しております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 衆議院予算委員会で既に行われた金丸信氏に対する臨床尋問の結果によりますと、金丸信前代議士は、五億円については自分はもう触っちゃいない、さすっていない、その配分についても全部生原秘書がやったんだ、その受け取った時期についても、八九年の参議院選挙前なのか九〇年の総選挙の前なのかようわからぬと。そういうことまで国会の、うそをつくと議院証言法によって罰せられる制裁まであるのを承知の上で、そういうことを金丸前代議士は供述しておるわけですよ。証言しておるわけですよ。  とすると、今、生原秘書に対しては起訴猶予にした情状として、金丸信代議士の秘書にすぎないというか、そういう身分だけを理由にして猶予にしたというように承りましたけれども、とてもそんな処分が正当な処分とは思えないわけです。むしろ、主導したのは、金丸前代議士の臨床尋問の結果によれば生原さんじゃないですか。しかも、五億円という金の巨額さ。配分については全部生原がやったと金丸さんが言っている。にもかかわらず起訴猶予にした。もっと説得力がある理由を述べてください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 私、先ほど申し上げましたのは生原秘書の秘書たる身分だけを申し上げたわけではないわけでございまして、生原秘書が秘書として従的に関与したもので、関与の度合いが低いという判断をしたという趣旨のお答えを申したかと思うわけでございます。  それで、これはもう一般的にお答えしても御理解いただけると思うわけでございますが、要するに、これは一般論として申し上げているわけですが、実際に犯行場所にいたかどうか、あるいは犯行に手を染めたかどうかということだけでその犯情が判断されるわけではないと思うわけでございまして、その事案に関与した度合いを総合して判断する、そういうことで関与の程度が重いか軽いか、主犯として関与したのか従犯的な立場で関与したのかということを判断するのではなかろうかと一般的に私は考えるわけでございまして、本件でもそういう考え方でもって処理をしたものというふうに考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 五億円をどういう政治家にどうばらまいたかは知らぬ、生原がやったことだと金丸は言っているじゃないですか。こんなに大きく関与しているじゃないですか。秘書として従的だった、関与の度合いが低いなどということを、金丸信代議士から直接事情聴取もしないで何でそんな断定ができるのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 委員のお尋ねは金丸証言を前提にお尋ねになっておられるわけでございますけれども、金丸証言自体につきましては、御意見は法務当局からは申し上げかねるわけでございます。したがって、その金丸証言を前提に御質問をいただきましても、的確なお答えはいたしかねるわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 国会としては、議院証言法を使って証言を求めたのですよ。その証言を基本にして質問しないで何を質問できるのですか。それなら、検察官が今握って出さない証拠書類、みんな出してくださいよ。そうしたら、それに従って質問してあげますよ。何たることを言うのですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 私のさっきのお答えにちょっと舌足らずの点がございましたが、要するに、国会での証言が真実かどうかということは、これは法務当局から御意見を申し上げる立場にはないわけでございます。今委員仰せになられたように、国会での証言を前提に御質問があることは当然のことでございますから、そういう意味で私の先ほどのお答えはちょっと舌足らずの点があったことは事実でございます。ございますけれども、検察当局の判断としては、先ほど申したような判断であったということを申したわけでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 もう時間がないから急ぎます。  渡邉廣康に対して  これは提供者であります。百五十万が上限であります。はるかに超える五億円の金を渡した。これに対してどうして起訴猶予にしたのか、その情状をお述べください。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この渡邉廣康被告人につきましては、これは委員も御案内のとおり、合計約四百億円に上る特別背任罪で公訴提起が行われて、刑事責任を問おうとしているわけでございます。したがいまして、極めて重い罪についてその刑事責任を問うということでありますれば、それで刑政の目的は十分達し得るのではないかという考え方で、渡邉被告人につきましては、この量的制限違反の罪につきましては起訴猶予処分ということにしたものと理解しております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 金丸信前代議士に対する直接の事情聴取も抜きにして、上申書の提出だけで量的制限違反、罰金二十万の略式起訴をするという結論を出したのは、東京地検特捜部だけの判断だったのか、それとも検察全体の意思決定だったのか、どうでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 これは委員十分御存じのとおり、検察官がその職務を遂行するにつきましては、検察官独立の原則がございまして、当該具体的事件を担当する検察官がその権限と責任において捜査処理の最終判断をするわけでもございます。ただ、最終判断をする過程におきまして、例えば上司の意見を求めて決裁を受けるというようなことはもちろん当然あることでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私の質問は、だから、東京地検特捜部の本件公訴提起の検察官は佐渡検事でありますが、彼がこうした略式請求手続をするに当たって、その判断をするに当たって検察首脳会議というものが行われたことはありませんか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 検察首脳会議というのは必ずしも決まったものではございませんので、そういう意味では、何と申しますか、そういう決まった合議体があるわけではございませんけれども、通常、例えば地検が事件を処理する場合に、高検、最高検の幹部が集まって意見を交換したり、意見を述べ合ったり、協議をするということはあるわけでございまして、本件の場合もそういう意味で東京高検、最高検の幹部が協議にあずかったということは事実でございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 具体的に聞きますが、九月二十五日上申書が提出されたときに検察首脳会議が行われていますか。それから、九月二十八日最後の略式起訴が行われる直前に検察首脳会議が行われていますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  内部の手続の問題ですので細かいことは申し上げかねますけれども、私の記憶に誤りがなければ、九月二十五日前後ごろに行われたというふうに記憶しております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 最後に、法務大臣に一つだけ聞いて、質問時間を切ってしまったから終わります。  法務大臣は、昭和二十三年法務庁検務局秘第三六号訓令という存在を知っておりますか。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 知りません。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 じゃ、刑事局長はその存在を知っていますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 処分請訓規程のことでございましょうか。——もちろん知っております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 最後に、今現に有効に生きているんですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 もちろん生きております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 中野寛成君。

中野寛成民社党

○中野委員 素人ですから、率直に、初歩的な質問を先にさせていただきます。  先般予算委員会でお聞かせをいただきました中間報告の中で、先ほど来同僚委員も質問いたしましたが、政界関係の部分ですね。「その一は金子前知事らに係る政治資金規正法違反事件であります。」ということで「金子前知事陣営等に対して、三億円の選挙運動資金を提供していた事実を把握し、」とあります。それから数行後に「平成元年分の収支報告書に虚偽の記入をした事実が判明したので、」とあります。そして最後に「政治資金規正法違反等の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できませんでした。」とあります。「事実を把握し、」「事実が判明したので、」「事実は確認できませんでした。」と、「事実」の次に来る言葉が「把握」「判明」「確認」とあるんです。この言葉の違いを説明してください。     〔委員長退席、星野委員長代理着席〕

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 通常、この報告書で使っている趣旨もそうでございますが、嫌疑を把握したというか端緒を得てその事実関係を把握してさらに捜査を進めた結果こういう事実が判明した、証拠によって検察官の手元で確定したということでございます。それから、確認できなかったというのは、ここで言っておりますように、公訴を提起するに足る事実は認められなかった、こういうことでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 「事実」という言葉の次に来ますよね。ですから、一言で言いますと、「把握」と使おうが「判明」と使おうが「確認」と使おうが、その事実というのは事実である、または事実でなかったというふうに限定して解釈してもよろしいか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 確かに「事実を把握し、」それから「事実が判明し」それから「事実は確認できませんでした。」こういう使い方をしておりますけれども、結局、例えばその「事実が判明した」と言っている方は、合理的な検察官の判断において合理的な疑いを入れない程度に証拠は十分であるというふうな判断に、その程度に至った事実を言っているというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。  それから、前の方の「提供していた事実を把握し、」という方は、これからその事実について証拠を収集していく必要のある、そういう意味では嫌疑の程度が最終段階に至るほどは至っていない事実というふうに御理解いただいてはいかがかなと思うわけでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 ある程度わかってまいりました。というのは、実は法律用語というのは我々素人には大変難しゅうございまして、例えば先般来検事調書という言葉がよく出てくる。冒頭陳述という言葉がよく出てくる。その前に起訴状というのがあるのでありますね。起訴状の事実を説明するために冒頭陳述があり、そしてまたそれを証明するために検事調書なるものが証拠の一環として出されるんだ、こう思うのですが、何しろその違いがもう一つわからなくて、報道されますと結局全部検察によって証拠固めをされた事実なのだというふうに思いがちですね。  ですから、先般来、例の皇民党の大島氏の調書の中で自民党の議員の皆さん七名か名前が出てきて大騒ぎになりました。その持つ性格というものをもっとみんながわかっておればああいう大騒ぎにもならなかったかもしれませんし、場合によってはもっとその性格というものが明確であったかもしれません。そういう意味でこれらのことを私としてはまず確認をしておきたかったわけであります。  そこで、次の質問に参りますが、平和堂ルートの中で「渡邉元社長が、平成元年四月ころから同二年十二月ころまでの間、前記松澤から約十七億五千万円の裏金を受領していた事実が判明し、」とあります。そして、その使途先について必要な捜査を尽くした結果金丸前議員に五億円行っていることがわかったとなっているわけでありますが、その次の「第三」のところで、後ろから三行月に「所要の捜査を行っていたところ、八月二十七日、金丸前議員が記者会見により五億円の授受の概要を説明したことから、更にその真相を解明するため、」云々とあるわけであります。  ここで我々が率直に疑問と思いますのは、金丸氏が早とちりをして記者会見をしたのではないかという話も一方であるわけであります。この十七億五千万円の使途について調べておれば、あのときに記者会見を金丸氏がしょうがしまいが、この五億円については解明されたと確信しておりますか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 もちろん、それは委員仰せのようなことになる可能性は十分あり得ると思います。

中野寛成民社党

○中野委員 うまいですね、可能性は十分あり得る。この辺でついつい私どもはそのままそういうものかいなと思ってしまうのですが……。  そこで聞きたいのですが、金子前知事陣営等に行った三億円、これは「事実を把握し、」という把握の段階の三億円でございますか。この三億円というのは、この十七億五千万円とは別でございましょうか。すなわち、十七億五千万の捜査をしているときには出てこなかった金なんでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 金子前知事陣営等に対して提供されたというこの三億円と、後で仰せになられました松沢から渡邉元社長に流れたとされる約十七億五千万円とは全然別個の金でございます。     〔星野委員長代理退席、委員長着席〕

中野寛成民社党

○中野委員 そうすると、この二億については、三億のうちの二億については政治資金規正法違反等の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できなかったが、三億円選挙運動資金として提供していた事実というのは、これは「把握」ということですが、これはまず間違いがないと検察は認識しているわけですね。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 それは、この報告で申し上げましたように、金子前知事陣営等に対して三億円の資金が流れたという事実を把握したということはそのとおりでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 そうすると、単純に合計をいたしますと、この十七億五千万円が政治家に行った、すべて政治家に行ったということは証明はありませんけれども、この渡邉元社長が政治家等、政治家へ渡したものもあるでしょうし、自分の遊興飲食に使ったものもあるかもしれませんけれども、いずれにせよ単純にトータルいたしますと、二十億五千万円以上の金が政治家もしくはそれらに類する人たちに使われたと、いわゆる単純に合計することは可能ですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨を誤解しているかもしれませんが、この新潟の金子前知事陣営に流れた三億円と、それから松沢から渡邉元社長に裏金として流れた約十七億五千万円とは全然別の金なのでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 ということは、もちろんこの中では、十七億五千万円が金丸氏に行った五億円以外に政治家に行ってないとも行ったとも先ほど来おっしゃっておられませんから、もし仮定の話が、行ったとすれば、この三億円を加えますと、渡邉元社長らは二十億以上のお金をこの種の目的に使ったということになるだろう、こう思いますが、これについては答弁を別に求めようとは思いません。  さてそこで、その金丸氏に行った五億円でありますが、記者会見がなくてもこの五億円は判明したであろうと想定される、そういう御答弁であったと思うのですが、そうするとこの十七億五千万円についてはほとんど把握をされていると考えてよろしいのでしょうか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 この約十七億五千万円が松沢から渡邉元社長に流れたということは把握しているわけでございます。ただ、その行く先については、先ほど申し上げましたように金丸前議員に係るもの以外については公訴を提起するに足りる事実は確認できなかった、こういうふうに御報告申し上げているわけでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 それでは、十七億五千万円のうち五億はわかった、そのほかも行き先についてはわかったものもあるが、またわからないものもあるかもしれませんが、わかったものもあるが政治資金規正法違反ではなかった、また厳密に言えば嫌疑ありとして訴追するに足りる事実は確認できなかった、こういうことですか。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 そこは区別してはちょっとお答えいたしかねるわけでございますが、いずれにしろ、金丸前議員に流れた五億円以外のものについては要するに公訴を提起するに足りる事実は確認できなかったんです、こういう趣旨でございます。

中野寛成民社党

○中野委員 国民の皆さんが一番疑問を持ちますのは、これは実際はどうか知りませんよ、検察陣もしくは検事からのマスコミへのリークだとして、例えば二十数億円が政治家に渡った、そしてその中にはいろいろな、歴代総理大臣初め我が党の元委員長の名前も含まれていましたが、結局そういうのが出る。そして、これはある検事メモによるとなどと報道される。私は、そのことによって、ある意味では、名前を出された政治家も迷惑でしょうが、検察陣も迷惑なんだろうと思うのですね。  そして、その内容が大きければ大きいほど国民の疑惑が大きくなり、検察に対する期待は膨れ上がりますね。そして、その結果、内容的にはその何分の一かであったとするとおのずから検察不信を招きますね。そして、政治家不信を招きますね。しかし、それでもなおかつ名前を出された政治家たちは社会的制裁を実質上受けますね。とするならば、私は、これらのことについては検察は最終的にでき得る限りのことを公にする、そして事前に検事メモとか、または間接的な方法といえどもマスコミに対するリークだとかということは断じてあってはならないことだと思うのですね。ならば、もしそういう報道をされたとするときに、私はその報道機関に対して検察として断固たる姿勢を示すべきだと思いますね、もし間違いなら。  報道の自由は保障されなければなりません。しかし、同じように報道される中に出てくる人の人権と検察、司法の権威等もあわせて守られなければ、民主主義は守られませんね。そのことが、マスコミの取材能力が大変高度に発達しているせいかもしれませんけれども、事前に漏れたり、また漏れたことがほとんど事実であったりする状況から見ますと、私はそこに何もないということは言えないと思います。ゆえに  それは単に検察から漏れるとばかりは言えません。いろいろな形から漏れることはあるでしょう。それは疑われている人から漏れることもあるでしょうし、またはそれを担当する弁護士から漏れることもあるかもしれません。他の人から漏れるかもしれませんが、これらのことをやはりきちっと整理をして、けじめをつけていくという姿勢は常に持ち続けなければいけないと思うのです。  今回の事件は、ある意味では、検察が時に強大な権力を持つ政治家に対しては弱腰であるかのように見られたり、または先般の検事調書の中で七名の政治家が出てきたことによって大騒ぎになったり、または逆に松沢被告がその六法全書に書いたという、被害者の立場から書かれているものも報道をされておりますが、これらは逆に検察の強引な捜査方法があるかのごとく報じられております。  いずれにせよ、検察は公平、公正にやっていくんだという姿勢をあらゆる機会に示す必要があると思いますね。このことについては、単に沈黙して語らず、結果が示すんだというのではなくて、やはりそこには毅然たる姿勢を常日ごろ出すということが大事だと思うのですね。このことについて刑事局長並びに法務大臣の御所見をお伺いします。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 今委員がるるお述べになられましたように、検察の捜査内容等に関するマスコミ報道がなされた場合に、それがいわゆる検察からのリークによるものでないということを明らかにする方法といたしましては、例えばその内容が実際の捜査内容と異なるときなどにその捜査内容を明らかにするということによって、誤報であるということのゆえんを明確にするということが一つ考えられるわけでございます。しかし、その場合には、本来秘匿されなければならない捜査内容を公表しなければならないというジレンマがあるわけでございます。検察がいわゆるリークをしたものではないということを証明することは、そういう意味で極めて困難であるというふうに思うわけでございます。  いわゆる検察がリークをすることによって何らプラスになることはない、大きなマイナスになることはあっても何一つプラスになることはないということは、先ほど委員もお尋ねになられましたように、捜査内容が外部に漏れることによって、これは関係者の人権、名誉の保護の上でゆゆしいことであるばかりでなく、また証拠隠滅あるいは逃亡の契機にもなることもあるわけでございますし、またその後の捜査、公判に大きな支障を来すことになるわけでございます。そういう意味で、検察にとっては何一つプラスにはならないわけでございます。  また、検察において捜査に従事する職員は、捜査上の秘密保持の厳守がその職責遂行上の基本的な心構えの一つであるということは身にしみて感じているわけでございまして、これに違反することが国家公務員法上の懲戒事由等に該当する場合もあるわけでございまして、そういう意味では、秘密厳守ということに殊のほか神経を使っているわけでございます。  先ほど委員がお触れになられました、報道機関各社において今度の東京佐川急便事件についても御多分に漏れず熾烈な取材競争が行われたと考えられるわけでございまして、それぞれ報道機関においては、多数の記者を動員して、関係各方面に広く深く独自の取材活動を展開しているわけでございますから、検察が取得し得る情報と同じような情報を独自の取材によって把握されるということは、これは現在のこの情報化社会の中では十分あり得るわけでございます。  特に、例えば取り調べ対象者への直当たりというような取材とか、あるいは関係者からの取材というようなことが行われることがあり得ると思うわけでございます。そういうようなことをあわせ考えていただきますれば、検察がそういう捜査内容にわたる事項をリークすることはあり得ないということは御理解いただけると思うわけでございます。  ただ、マスコミが報道機関におかれて独自の取材活動をなさることにつきましては、それはどういう取材方法をとられ、どういう取材活動をなさるかということについては、検察がとやかく言う立場にはもちろんないわけでございます。  先ほど委員が御指摘になられましたように、関係者の名誉、人権等が捜査の内容が漏れることによって侵されることもあるではないかという御趣旨は全くそのとおりでございまして、そういう意味からも、検察としては捜査の内容等が外に漏れないように殊のほか気を使っているつもりでございます。  これまでもそうであったと思いますけれども、これからもそういう捜査の秘密というものについては厳重にこれを保持するという心構えで捜査に当たらなければならないというふうに思っているわけでございます。

田原隆自由民主党法務大臣

○田原国務大臣 検察からのリークの問題につきましては、今刑事局長がるるお答えしたことで尽きると思いますが、私もそういうことはあり得ないと信じております。なぜなら、リークして基本的に得することは何もない、リークすることでますます信用を落とし、損をするだけであるということが私は言えると思います。したがって、リークはあり得ないと思いますが、ただ昔から古い言葉にも、楊震の四知だったか何かありますように、非常に少数の人が知っても大体にじみ出てしまうと言われるように、今刑事局長がお話ししましたように、いろいろな人がいろいろなことでかかわっておりますから、やはり情報処理の今の時代ですから、あたかもリークしたごとく描かれていくこともあり得ると思いますが、検察からは私は漏れないと信じております。  私の沈黙の点につきましても、単に沈黙とおっしゃっていただきましたけれども、かなり努力して沈黙しているつもりでございますし、やはり指揮権または指揮権に類似した行為あるいは指揮権の百分の一でも私はいけないというかたい信念を持っておる次第でありますので、御了解いただきたいと思います。

中野寛成民社党

○中野委員 これは週刊誌のコピーで恐縮ですが、先ほど来も引用されました、金丸氏の担当弁護士であります安部氏が、この前金丸氏の証人喚問に参りましたときにも補佐人としてついておられましたので、信頼が今なお続いてあると思います。また、検察の御出身ですし、これは週刊文春ですが、私も何回かこれまでインタビュー等受けたことがありますが、かなりこのとおり間違いありませんかと原稿を示されて確認されるというふうなこともありましたので、比較的慎重に確実に報道しているだろうという気持ちを持っております。  そういう中で、この安部弁護士に対するインタビューで、彼が「テレビで認めた人間だけ捜査するなら、検事はいらないのではないか。特捜部の名前に傷がつくのではないか。金丸氏以外にも他の大物はなぜ捜査しないんだ。捜査は公平にやって欲しい。そうなれば、事情聴取にも協力したい」これは五十嵐部長から呼ばれたときにそう言ったと、この中には彼がコメントしているわけであります。  「弁護人という立場ではありますが、金丸氏の違法行為は違法行為として捜査すればいい。しかし、歴史ある特捜部の捜査にしては、公平と徹底性を欠くと思ったものです。」「その真偽を他の人物に対しては、確かめることもしないで、金丸氏の件だけ立件しようとしたのは、取り敢えず政界に手を入れたというメンツを立てたかったという気がしたからなんです。」何かこの方も特捜部に一時席を置かれたこともあるそうですが、そういう人がこういう発言をいたしますと、ああ、やはりあり得るのかと思ってしまいますね。  やはりこれらのことについては明確に検察の力から何らかの形で意思表示をしておかれることが必要なのではないかという気もするわけでございまして、そういう中で、一番最後の結びのところも「金丸氏以外の疑惑の人々はその疑惑が本当なのか、本当でなかったのかを調べられることもなく、闇に消えてゆく結果は誠に残念だと思います。」これで一応この記事は結びになっているのです。  私が先ほど聞きましたときに、金丸氏が記者会見で五億円の授受を認めていなかった、いなくてもこれは証明されたのかとお聞きしましたのは、このことを聞きたかったわけであります。言うならば、全容を解明する中で、やはり我々は十七億五千万円も三億円も調べました、その中でこれ以外にはありませんでしたと。言うならば、そのぐらいに調べがっくことを期待している、もしくは訴訟との関係があるならば、それらのことを明らかにする機会ができるだけ早く来ることを国民も期待している、こういうことだと思うのですね。  そういう意味で、時間がありませんから、もう一つのことをそれに絡めて質問いたしますが、その五億円の使途に関連をいたしまして現在捜査中ですね。これは告発もされておりますから、捜査をされているのです。そのうちの個別的な寄附の供与及び供与をされた関係というのは、たしかこのままいきますと来年一月十五日に時効が来るのではないかと思うのですが、この時効までに決着をつけられるだろうと思いますが、そのおつもりかどうか。現在の捜査の進展ぐあい。  また、それが処理をされますと、この五億円事件の確定記録について閲覧に供するということも可能になってくるんだろう、こう思うのであります。これら一連のことについて、できるだけ早く閲覧に供したり公開されたりすることによってこの疑惑が明確に解明をされる、解明されるだけではなくて公開されるということが国民の期待しているところであると思います。それから、いろいろな誤解を招いて検察が今悔しい思いをしている、その悔しさも晴らされるのではないかという気もするのですね。これらの今後の公開または閲覧の見通し等についてもお聞かせをいただきたいと思います。

濱邦久法務省刑事局長

○濱政府委員 お答えいたします。  今委員が御指摘になられましたように、東京地検が現在告発を受けて捜査をしております事件のうち、金丸前議員及び本件五億円の分配を受けたと取りざたされている約六十名の者に対する量的制限違反事件は、金丸前議員が本件五億円を受領したのは平成二年一月中旬ごろというふうにされております関係からいたしますると、罰金二十万円以下の法定刑の罪は公訴時効が三年で成立するわけでございますから、来年の一月中旬ごろには公訴時効が成立する可能性があるわけでございます。もちろん、今委員が御指摘になられましたように、検察当局としてはその点をも当然念頭に置きながら、当面この事件に焦点を当てて捜査を進め、適切に対処するものというふうに思うわけでございます。  それから、後の方でお触れになられました確定記録の閲覧の関係でございますけれども、仮に告発事件のうちのいわゆる量的制限違反事件の捜査処理を終えた場合に、従来、告発事件の捜査に支障があるということで確定記録の閲覧を御遠慮いただいていた関係上、告発事件の一部が処理されたということで確定記録中の一部資料の閲覧という問題が当然生じてくるわけでございます。  現実に閲覧が可能になるかどうか、あるいはなるとしてどの範囲の資料が閲覧可能になるかということにつきましては、これは現時点ではちょっとお答えはいたしかねるわけでございますが、例えば告発事件の処理をもちろん時効完成前に行った場合におきましては、検察当局において残りの事件の捜査との関係も十分考慮はすると思いますけれども、いずれにしても適切に対処するものというふうに考えているわけでございます。

中野寛成民社党

○中野委員 終わります。

浜田卓二郎自由民主党

○浜田委員長 次回は、来る十日木曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十五分散会

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