文教委員会 第1号
- 発言数
- 251 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1992/11/26
会議録
○伊藤委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 文教行政の基本施策に関する事項 学校教育に関する事項 社会教育に関する事項 体育に関する事項 学術研究及び宗教に関する事項 国際文化交流に関する事項 文化財保護に関する事項 以上の各事項につきまして、本会期中、国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○伊藤委員長 次に、内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。鳩山文部大臣。 ————————————— 著作権法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○鳩山国務大臣 このたび政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 現行著作権法では、私的に使用する目的で行われる録音または録画は、無償で、自由に行い得ることとされております。 しかし、近年における録音・録画機器の目覚ましい開発普及に伴って、録音や録画が家庭内において、容易に、かつ頻繁に行われるようになり、大量の録音物や録画物が作成されております。さらに、ディジタル機器の開発によって高品質の録音・録画が可能となり、著作権者等の経済的利益に大きな影響を及ぼすことが心配されるに至りました。 このような状況は、立法当時想定していなかったものでありますが、対応措置を講ずることが国際的な潮流であり、権利者の保護のための早急な措置が必要となったところであります。 次に本法律案の内容について申し上げます。 第一は、私的使用を目的とし、政令で定めるディジタル方式の特定機器及び特定記録媒体を用いて行われる録音または録画に関して、著作権者、実演家及びレコード製作者に補償金を受ける権利を創設することであります。 この補償金を受ける権利は、録音または録画に関しそれぞれ文化庁長官が指定する権利者の団体を通じて行使することとするとともに、その場合に指定管理団体が請求する補償金の額については、文化庁長官の認可に係らしめることとしております。 第二は、権利保護の実効性及び利用者の支払いの便宜にかんがみ、特定機器または特定記録媒体の購入者は、指定管理団体から請求があったときは、購入に当たり一括の補償金を支払わなければならないこととするとともに、特定機器または特定記録媒体の製造業者または輸入業者は補償金の請求及び受領に関し協力しなければならないこととすることであります。なお、購入時に補償金を支払った者で購入した特定機器または特定記録媒体を私的使用の目的に使用しない者は、指定管理団体に対し、その事実を証明して、補償金の返還を請求することができることとしております。 第三は、指定管理団体は、補償金の二割以内で政令で定める割合に相当する額を、著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業のために用いなければならないこととすることであります。 最後に、施行期日等についてであります。 この法律は、指定管理団体等に関する規定については、公布の日から施行し、この制度の準備を進めることといたしますが、具体の権利行使に関する規定は、国民への周知期間や準備の状況を考慮して、公布の日から六月以内で政令で定める日から施行することとしております。 以上が、この法律案を提案いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○伊藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま趣旨の説明を聴取いたしました法律案審査のため、本日、参考人として筑波大学教授、著作権審議会委員斉藤博君及び社団法人日本音楽著作権協会理事長石本美由起君の御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○伊藤委員長 この際、ただいま御出席になられました参考人各位に対し、一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、大変御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、大変ありがとうございました。 参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせをいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。斉藤参考人、石本参考人の順にお一人二十分程度の御意見をお述べをいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますけれども、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承を願いたいと存じます。 それでは、斉藤参考人にお願いをいたします。 〔委員長退席、中山(成)委員長代理着席〕
○斉藤参考人 ただいま御紹介いただきました筑波大学の斉藤でございます。 日ごろより我が国の著作権法制につきまして熱心に取り組んでいらっしゃいます先生方の前でお話しできますことは、まことに光栄でございます。 本日は、私的録音・録画問題につきまして、私見を申し上げたいと存じます。 この際、三つの点に分けましてお話しさせていただきます。第一点は、複製技術の拡散、広がるという意味でございます。第二点としまして、国際的動向。第三点目としまして、我が国の対応。このように三つに分けましてお話をさせていただきます。 まず第一点でございますが、著作物や実演、レコードを複製する技術は目覚ましい勢いで開発され、普及しつつございます。今や録音機器、録画機器、文献複写機器などさまざまな機器に接することができるようになったのでございます。しかも、音声情報にいたしましても映像や文字情報にいたしましても、オリジナルをそのまま複製できる度合いと申しましょうか、コピーの忠実度というものもますます高くなってきたのでございます。その上、複製機器の小型化、低廉化も達成されつつございます。かつてでございますと、個人では到底手の届きませんでした機器も、今や容易に購入することができるようになりました。機器のみではございません。テープなどの機材につきましても、今回の法案におきましては記録媒体という用語にいたしてございますが、この媒体の性能もますますすぐれたものになっております。それに応じまして、家庭など私的な領域におきましても、他人の著作物を複製する機会が急速にふえてきたのでございます。 このような動きは、従来ございました玄人と素人の区分を徐々にあいまいなものにしてきているのでございます。かつてでございますと、レコードなどのソフトは玄人が提供しまして、素人はその製品なりソフトを購入し音楽等を鑑賞していたわけでございます。ところが、今や素人であります一般のユーザーも性能のすぐれた複製機器をみずから保有いたしまして、玄人の製品に匹敵する複製物をつくり出すようになったのでございます。その限りにおきまして、今や玄人と素人が混在する時代と申すことができるように思います。 確かに複製技術の拡散は個人の文化生活を豊かにしつつございます。しかしその一方、その豊かさが著作者や実演家、レコード製作者への配慮を欠いたまま享受されるということになりますと、それは妥当とは申せないのでございます。そこで、拡散されました複製技術の活用を抑えることなく著作者等の利益の保護にも意をいたす道を模索することになるのでございます。 第二点としまして、国際的な動向でございます。そのうち、まず諸外国の状況につきまして簡単にお話しさせていただきます。 複製技術の拡散にいち早く対応いたしましたのがドイツでございます。既に一九六五年法におきまして、著作者等の権利者は録音または録画機器の製造者なり輸入者に対しまして報酬を請求できる制度を導入しております。その後、やや間を置きましてオーストリアが、複製機器ではございませんで、今度は録音用テープ、録画用テープにつきまして同様に報酬を請求できる制度を設けております。さらにハンガリー、アイスランド、フィンランド、ポルトガル、フランス、イタリア、スペイン、オランダなど、制度の具体的な内容はさまざまではございますが、報酬請求権制度がヨーロッパの諸国を中心に導入されつつあるのでございます。アメリカも本年十月、法案の可決、成立を見まして、過日大統領の署名もなされています。今や諸国が問題解決のために大きく動き始めていると申すことができるように思うのでございます。 次に、著作権法の国際的な規範でございますベルヌ条約との関係で若干お話を申し上げます。 この私的録音・録画問題につきまして、国際著作権界の支柱でございます、柱でございますベルヌ条約は直接の規定を設けているわけではございません。しかしながら、同条約の九条二項によりますと、複製権を国内法で制限することは認めますものの、著作物の通常の利用を妨げ、著作者の正当な利益を不当に害しないことを求めるただし書きをも設けているのでございます。今の時代のように、性能のすぐれました複製機器が一般の家庭等に普及いたしてきますと、条約の面からも利益の調整、すなわちユーザー、権利者両者の利益を調整します報酬請求権のような制度が必要となるように思うのでございます。 さらにWIPO、世界知的所有権機関と訳しておりますが、このジュネーブにあります機関におきましても著作権法のモデル規定の案が検討されました。まだ成案を見ておりませんが、その案によりますと、視聴覚著作物、オーディオ・ビジュアル・ワークスでございますが、この視聴覚著作物、それに録音物、これを私的使用のために複製することを認めますと同時に、相当なる報酬の支払いが必要である、このように記されております。 第三に、我が国の対応でございます。 私的録音・録画問題に関する我が国の検討は非常に長うございます。著作権審議会が第五小委員会を設けまして、この問題を検討し始めましたのが昭和五十二年十月でございます。その後、一たん著作権資料協会に設けられました懇談会で自由な討議を行いまして、再び著作権審議会第十小委員会におきましてこの問題を検討したのでございます。そうしまして、同第十小委員会が結論を出しましたのが平成三年十一月、著作権審議会の総会がこれを承認しましたのがその翌月でございます。 このように見ていきますと、我が国は既に長きにわたりましてこの問題の検討を重ねてきたのでございます。その間、御委員会からも、機会がありますごとに報酬請求権制度の導入など抜本的検討を進めるよう附帯決議をいただいてきたところでございます。 このような長い年月の間には、複製に関する技術も一段と開発されまして、新しい技術も徐々に普及しつつございます。とりわけコンピューター時代に対応いたしまして、さまざまな情報が急速な勢いでディジタル化されつつあるのでございます。一たび情報がディジタル化されますと、その情報の複製は極めて容易、迅速に行うことができます。これまでの何百倍、何千倍あるいはそれをはるかに上回る情報量でございましても、簡易な方法で極めて短い時間に複製することができる時代に至ったのでございます。 複製物の質の面におきましても、オリジナルとの間に差異が認められないのでございます。違いが認められないのでございます。加えて、複製物の質が劣化しない点、さらにはその複製物からさらに第二の複製物を作成することもできるわけでございます。そして、この第二の複製物の方も質が高く、これまた劣化しないということでございます。このように考えますと、従来に比べ数段も飛躍しました技術を用いる時代に入っていると申すことができるように思うのでございます。 そのようにすぐれた技術であれば、当然活用する必要がございましょう。しかし、その一方におきまして、著作者等の権利者の利益を不当に害することにならないよう配慮しなければならないところでございます。ユーザーと権利者の間の利益をどのように調整するのか、その調整の方法にはさまざまな道がございましょうが、我が国におきましても、このたび一つの具体的な案が示されるに至りました。 その案を見させていただきますと、長い年月をかけただけのことはあるというのでございましょうか、ディジタル時代にふさわしい、国際的にも新しい規定を見ることもできます。あるいは国際著作権界に誇り得る考えも盛り込まれているように思います。 一つ例を申し上げますと、この法律案の三十条の二項、新たに加えられます二項によりますと、「録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。」このように、録音または録画を行う者が何がしかの金銭を支払うように、このように書いてございます。これは他の先進諸国がなそうとしてできなかった規定でございます。 大分古い話でございますが、ドイツが一九六五年法を制定するに際しまして、その前に政府草案が出されました。これによりますと、やはりユーザーが報酬を支払う、こういう規定になっていたのでございます。しかしその後、果たしてそのユーザーが直接任意に支払うだろうか、さらには家庭に法律が介入するのはプライバシーの保護の点でもいかがなものか、こういう消極論が出まして、結局のところは製造者または輸入者がその種の報酬を支払う、こういう規定に落ちついたところでございます。 これは、アナログ時代におきましては、確かにこの種の規定、実行するに難しいところかもしれません。しかし、ただいまのようなディジタル時代に入りますと、状況は一変してくるように思います。情報がディジタル化されているということになりますと、今度それに対応しまして、ただいま研究段階でございますけれども、プリペイドカードとかデビットカード、こういうカードをハードに挿入しまして、そしてどの曲を録音したかあるいはどの絵を録画したか、こういうことがカードで読み取ることができます。そのカードを集計しますと、具体的に個々のユーザーがどういう曲をあるいはどういう絵を複製したか、これが記録として残るわけでございます。これに応じましてユーザーが報酬を支払うということになりますと、具体的な、個別的な利用に応じました報酬を支払うという、ある意味では理想的な形になるわけでございます。ただいまは研究段階でございます。しかし、ディジタル技術の開発を考えていきますと、その種の技術の実用化もそう遠い先のことではないと思うのでございます。この規定の起草者はそこまで見越してお書きになったのであろうか、その辺は定かでございませんが、しかし、この種の規定、ディジタル化時代には最も先端を行く規定になるのではないか、このように思います。 当面は第二段階としまして、特例としまして、機器それから記録媒体のメーカーに協力義務を課しまして一括処理する、一括補償金を徴収する、こういう仕組みにいたしているようでございます。こういう二段構えの非常に現実的な規定を設けましたということは、極めて敬服に値することであろうかと存じます。 それから、もう一つ、国際著作権界にも誇り得る考えが盛り込まれているということを申し上げましたが、これは内国民待遇を当然の前提としてこのような案をおつくりになったということでございます。外国の権利者も我が国民と同様に保護していこうということでございます。外国の権利者の中にはかなり手前勝手な考えをお持ちの方もいらっしゃるかと存じますが、我が国は外国人もひとしく保護していこう、こういうことでございます。これはやはり国際著作権界における我が国の地位をさらに高くするものであろうかと存じます。 なお、付言させていただきますが、ディジタル方式による録音・録画につきまして、ユーザーと著作者等の間の利益調整を金銭によって行う今回の案でございますが、これはディジタル複製を一世代に限るとする技術的制限を前提にしていると申すことができるように思います。 最後に、我が国がこの私的録画問題を解決できますと、国際著作権界におきまして、テクノロジーの面、文化の面、両面におきまして先進諸国としての地位をますます高くすることは確かでございます。 簡単でございますが、説明とさせていただきます。(拍手)
○中山(成)委員長代理 どうもありがとうございました。 次に、石本参考人にお願いいたします。
○石本参考人 ただいま御紹介をいただきました日本音楽著作権協会の理事長をいたしております石本でございます。先生方には常日ごろ私ども著作権者や著作隣接権者の権利保護に御理解と御尽力を賜っておりますことを心よりお礼を申し上げたいと思います。 さて、本日の委員会は、私ども権利者団体が長年の悲願としております私的録音・録画問題についての著作権法の一部改正の御審議をいただく場と承っておりますが、この場に参考人として招かれましたことは大変光栄でございます。また同時に、このことは数多くの関係者の方々の御協力のたまものと深く感謝をする次第でございます。 振り返りますと、昭和五十一年に、日本音楽著作権協会、日本芸能実演家団体協議会及び日本レコード協会の三団体で、個人録音・録画の実態調査を行いました。その調査結果をもとに、翌五十二年、既に早くから制度化をしておりました西ドイツと同じような録音・録画の機器・機材に対して報酬を課す制度の導入を文化庁長官に要望いたしましたが、それから既に十五年を経過してまいりました。 文化庁では、その要望以来、この問題を大きな制度上の課題として、まず最初に著作権審議会第五小委員会で、次いで著作権問題に関する懇談会、そして再び著作権審議会第十小委員会で審議を繰り返しましたが、昨年末、制度化の必要性をうたった第十小委員会の報告が出されました。これを受けて、ことし初めから権利者、メーカー、消費者、学識者の各代表を含む私的録音・録画問題協議会において、その具体化のために懸案事項について協議を積み重ね、おおむね合意を得ました結果として今日この法案の提出の運びになったわけでございます。 この間、録音・録画の機器・機材に関する技術は日々に進歩を重ね、アナログ方式の機器や機材はほとんど一般の家庭に普及し尽くすところまできておりまして、これからの録音・録画の機器・機材はディジタル方式が中心になる時代となってまいりました。 ディジタル方式と申しますのは、CD、コンパクトディスクで御存じのとおりでありまして、現在はDAT、DCC、MD等という製品が既に発売されております。こうなりますと、従来工場で製造をいたしましたものと全く同じ製品が家庭においても無料で手軽につくることができるようになり、私たち音楽・芸能文化の創造に携わっている権利者にとってはまさに重大な危機を迎えることになります。 私ども権利者団体におきましても、最初はアナログ、ディジタルを問わず、すべての録音・録画機器・機材を対象とする補償金制度の導入を希望したわけでございますが、この新しい制度の円滑な導入のためには、一般国民の理解を必要とすることを考えました場合、既に普及し尽くしたアナログ方式のものを除く方が賢明であり、またいずれ近い将来ほとんどディジタルの時代になるであろうことが推測されますので、ディジタル方式の録音・録画機器・機材に限って対象としていくということについて関係権利者団体間で協議をし、決定をいたしたものでございます。 国際的な視野から見ますと、私ども権利者団体がかねてから目標としておりました西ドイツ、次いでオーストリア、フランス、オランダ等のほか米国でもこの十月に補償金制度を導入いたしまして、現在では世界十七カ国の国々が同じような制度を導入済みでございます。 我が国の制度導入がこのように立ちおくれ、また今日の国際的状況の中での我が国の立場を考えました場合、本日のこの委員会の御審議は極めて重要な意義を持つものでありまして、ぜひとも先生方の御理解のもとに速やかな御審議と御決断をいただきたいと強く希望するものでございます。 また、今回の法案は世界各国の著作権をも同等に保護する内国民待遇の制度であり、この法案を可決していただきますならば、制度導入済みの諸外国の著作権管理団体に対しましても初めて顔向けができるようになるという次第でございます。 次に、実際に制度を実施することになりますと、受け皿となる権利者団体についての検討が必要となってまいりますので、それもいろいろと研究をしております。当面、私ども権利者団体間では、著作権者の団体、実演家の団体、レコード製作者の団体を網羅いたしまして単一の団体をつくり、そこにメーカーの団体から御協力をいただいて補償金を支払っていただく考えでおりますが、この場合、私的録音の分野では、著作権者については日本音楽著作権協会、また実演家については芸団協が、またレコード製作者につきましてはレコード協会がそれぞれ権利者を代表して個々の分配について責任を負うというシステムを準備中でございます。 徴収する補償金について申し上げますと、冒頭に述べました私的録音・録画問題協議会におきまして、メーカーの団体、消費者の団体と私ども権利者団体、さらに学識経験者の方々が加わり、そこで補償金額の合意が調っております。機器については、初年度、次年度は蔵出し価格の一%、三年目が二%、機材につきましては、初年度、次年度が蔵出し価格の一%また三年目が三%という料率であります。この料率に従いまして、メーカーの御協力のもとに補償金を受け取ることを予定しているわけでございますが、本当の意味の支払い者は、私的録音の行為者である一般国民、一般の方々になるわけでございますので、徴収の実施段階に際しましては、それなりの啓蒙運動も予定しながら、来るべき制度の実施に備えているという状況でございます。 なお、国際的に見ました場合、補償金額につきましては、国によって方式が違い、また額の違いなどもございますが、我が国が現在合意をしております料率は、十分とは言えないまでも、それほどの遜色はないものと判断をしております。 権利者団体間では、著作権者三六%、実演家三二%、レコード製作者三二%の割合で分配するということを決めており、またその分配金をそれぞれの団体が個々の著作権者、実演家、レコード製作者に分配をいたします。 日本音楽著作権協会の場合で申しますと、このように一括で徴収しました使用料の分配に際しましては、統計学者の意見を取り入れまして、極めて細かいサンプル調査を実施し、ほぼ九〇%を超える精度をもって分配を行っているところでございまして、お預かりしております数百万の楽曲の著作権者からは厚い信頼をいただいているところでございます。 今回の補償金の分配につきましても、随時実態調査を行いながら、適正な分配ができるよう実演家、レコード製作者とともに早くから検討をいたしているわけでございます。 〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕 私的録音を行わない例外的な機器また機材の購入者に対しての補償金の返還につきましては、事業上の専用機器・機材、個人事業者の購入機器・機材、一般個人の場合の購入機器・機材と録音状態などをつぶさに考慮し、そうして検討を加えながら、返還に際しての明確な基準づくりを外部の御専門の方々のお知恵も拝借をしながら行っております。いずれにいたしましても、はっきりとしたものにつきましては、きちっと補償金をお返しする方針で現在その基準を準備中でございます。 今回の制度の中には、著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業のための支出についての定めがございます。私ども権利者団体の間では、この支出金を俗に共通目的基金と呼んでおりますが、これは、言いかえますと、関係権利者と社会を結ぶ共通の目的のために設けられるものでございます。 御承知のように、この法案が予定する制度は、実際に録音に使用した場合に対して設けられるものではなく、私的録音の可能性に対して補償金を求める制度でありまして、部分的には抽象的な性格を含んでおります。したがって、補償金の一部を権利者共通の事業に支出することを定めるとともに、これによって制度の円滑な導入を意図するものでございます。諸外国におきましても、この支出金に関する数多くの立法例が認められているところでありまして、私どもこの支出については積極的に取り組んでいく考えでございます。 今後、実際に制度の円滑な実施をするためには、その啓蒙運動が権利者の義務として求められるところであり、制度実施後当分の間は著作権制度の普及のために優先してこの支出金を充てる予定でございます。 従来、著作物の使用料は権利者と利用者との直接の関係において処理されてまいりました。しかし、最近の複製技術の進歩は著しいものがあり、いわゆる業者の利用から家庭内における個人の利用へと変化してまいりました。このような状態になりますと、個々の著作物の利用の実態を把握することは極めて困難になり、使用料の徴収も不可能になります。そうなれば、そのあり方がその国の文化のバロメーターであると言われております著作権制度が事実上崩壊することにもなりかねません。今や著作権制度を守るためには、著作権者と利用者との関係だけでなく、広く一般の御理解と第三者の御協力とが必要になっております。 この点、今回の法案は、支払いの義務者は実際の利用者である一般消費者と規定した上で、直接著作物を利用するわけではなく、その道具を生産するだけのメーカーに協力義務を課したという点で画期的な制度であると存じます。この制度実施に御理解をいただいた録音・録画の機器・機材のメーカーの方々、そして関係者の方々の御努力に対しまして、心から敬意と感謝の意を表する次第でございます。 以上、長々と意見を述べさせていただきましたが、既に申し上げましたとおり、今回文化庁でおまとめをいただきました法案は、関係者一同の全般的な了解のもとに提案されるものであり、また国際的にもその成り行きが注目をされているところでございます。 今国会がいろいろな問題の山積している国会であることは重々承知しておりますが、御多忙な御審議日程の中で、この法案に審議の時間を割いていただきましたことをまことに恐縮に存じますが、先ほど申し上げましたとおり、ディジタルの録音機器・機材は既に発売をされております。何とぞこの事態に対応できるよう、私どもの長年の悲願でありましたこの法案の成立のために、先生方の御理解と御尽力を賜りたく、切に切にお願いを申し上げる次第でございます。 以上で私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○伊藤委員長 ありがとうございました。 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○伊藤委員長 これより質疑に入ります。 まず、参考人に対します質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。真鍋光広君。
○真鍋委員 斉藤参考人、そしてまた石本参考人、それぞれに、この私的録音・録画の問題の解決のために、長年にわたって大変先頭に立って御尽力をいただいた方々でございまして、今日、著作権法の一部改正法案ということで上程をされたわけでございますが、お話を深い感銘を持って伺った次第でございます。 最初に、斉藤参考人にお伺いを申し上げたいわけでございます。 この私的録音・録画に関してどのように権利者の権利を守っていくか、やり方がいろいろあると思うわけでございます。外国の例を見ておりますと、その多くは、これから我々が採用しようという報酬請求権ということでやっておるわけでございますが、中には、例えばノルウェーであるとかスウェーデンであるとか、これは税金という形で徴求をしておるわけですが、これはどういう思想で税にしたものか、そしてまた、その税金をどういう形で、どういうふうな仕組みで権利者に返していく、流していく、こうなっておるか、ちょっとそのあたり、もしも御存じでしたら御説明賜りたいと思います。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 ただいま御指摘のように、報酬請求権制度、これと並ぶ形で、タックスシステムといいましょうか、税方式というものがございます。 結論を先に申し上げますと、これはやはり著作権法による解決ではないと思います。私権を制限し、それに対しまして何らかの補償をするという報酬請求権制度と、それから税でそれを調整するということは、やはりそのもとのところの考え方が違うように思います。 それならば、その税制度、税方式というのはどういう思想で組み立てられたのかという御質問でございますが、これはどうも、どちらかといいますと、社会保障とかそういうあたりに非常に御関心の強い国におきまして、作家の老後の保障とか、それから若手の作家、まだ十分な収入を得られない作家、将来性のある作家、これを何らかの形で補助していく、こういうような考え方があったのではないかと存じます。しかし、これはやはりただいま私どもが考えております報酬請求権制度、私権を保護するという制度とは全く違うものであると個人的には思います。
○真鍋委員 要するに、おっしゃっておられることは、権利者自身に、個人に返っていくものではなくて、若い方々、将来性のある方を養成といいますか育成していく、そういったふうに資源を、権利者から次の世代といいますか、そういった者の育成に回していく、こういうことで思想が少し違う、こういうことと理解してよろしいと思いますが、そうだとするとよく理解ができました。 次に、こうやってユーザーが補償金を払っていくということになります。そうしますと、一方でこれまで既に導入された、あるいは過渡的な制度なのかもわかりませんけれども、制度がございます。例えば貸しレコードの話でございます。これについては、貸しレコード店から借りた方、ユーザーといいますか消費者といいますか、その方々が録音するだろうということを前提にして貸しレコード店では一回貸すごとに五十円でしたか何円でしたか、著作権使用料ということで徴しておるわけですね。それとのかかわりというのは、考えてみると、ある意味では同じユーザーに対して二度取りをしておる、段階を違えて二度取りをしておる、こういう物の考え方もできるかと思うのですが、そのあたりについてはどう考えておられるのか、どう整理しておられるのか、少しお伺いしたいと思います。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 非常に鋭い御指摘でございます。確かに、貸しレコード業が出現しまして、これに法的な対応をいたしたわけでございますが、その際、貸しレコード業の実態を見ますと、ただいま御指摘ございましたように、借り出したユーザーが家庭等で録音をして返してくる、これがこういう御商売の、例外もございましょうが、一つの前提であったと思います。当時の音盤でございますと、やはり音楽の愛好者ですから、一晩借りたら何度でも聞こう。何度でも針を通しますと、返された物を再び他のユーザーに貸し出すことができないわけでございます。ところが、幸いなことに非常に性能のすぐれた複製機器が家庭等に普及してございますので、一回だけ針を通して返してくれる。したがいまして、同じ音盤を何回も貸し出すことができる。したがいまして、こういう複製機器が普及した国であるからこそこういう貸しレコード業が出現し、御商売になるのではないかと思います。 こういうときに法的な対応ということになりますと、建前としましては、貸与に対する使用料ということでございますが、どうも当時の状況を考えますと、私的な複製とセットになった行為、何らかの形でこれに対しまして権利者を保護する、保護の道を考える、こういうことであったかと思います。貸しレコードへの対応というのは、実際的なことを申し上げますと、私的録音・録画問題の一部を解決したのではないか、このように個人的には思っております。
○真鍋委員 次に石本参考人にお伺いいたしたいと思いますけれども、先ほどの御説明の中で、昭和五十二年ごろからとにかく報酬請求権を導入してほしい、こういうことで十五年かかって今日までやってこられた、こういうお話でございました。その中で、五十一年当時から実態調査をしておった、それをベースにいろいろやってきたのだということでございます。 この十五年間でその実態は随分さま変わりだろうと思うのですけれども、どのように変わったか。十五年前でも報酬請求権を導入してほしいと言っておられたわけですけれども、それから十五年たった今日、どのようにその必要性が増してきたと認識しておられるか、実態調査といいますか、実態に関して御認識があれば伺いたいと思います。
○石本参考人 十五年前と現在とを比較してみますと、機器・機材も随分と新しいものが発達して販売をされました。だから、もちろん録音の技術というものも進歩いたしました。そうして録音される量も膨大なものになってまいりました。だから、我々作家として、こういう将来が来るのではないかということも憶測もしながら、この問題には十五年前から取り組んできたわけでございます。その間に大変な変化があったわけでございますが、その変化というのは、本当に録音機器・機材の進歩、そしてユーザーの人たちのコピー行為ですか、それがもう十五年前には想像のできないくらい現在は多くなっているわけでございますが、その多くなっている過程というのが、十五年前から三年、五年、十年というふうに多くなっていったというわけでございます。
○真鍋委員 このたびの制度というのは、先ほど御説明もありましたように、例えば著作権者の団体、その他の団体もありますけれども、それが権利を指定管理団体に委任をして、そこで一括して権利を行使する、こういうことになるわけでございます。 そこで、分配に際しても、指定管理団体からそれぞれの分配率において例えば著作権者の団体に返ってくるということでございますから、例えば例を著作権者の団体ということに限りますと、その組織率といいますか、そこのところが網羅的でなければ、これは大変大きな問題が起こってくるだろう、こう思うわけでございます。そこの例えば著作権者の団体という中には一体幾つぐらいの団体があり、その団体全体の組織率と申しますか、それはどういう状況になっているか、そこらをちょっと伺いたいと思うのです。
○石本参考人 実際には日本音楽著作権協会、芸団協、それから日本レコード協会、この三団体が組織して一つの団体となるということですし、また、そのために新しい受け皿をつくろうということで今その準備をしているわけでございます。だから、一たん一括したものをいただきまして、そして受け皿になる団体からそれぞれの三団体に配分するということでございます。
○真鍋委員 ちょっと私理解ができない。著作権者の団体というのは、日本音楽著作権協会というものだけですか。
○石本参考人 著作権というのは、例えば作家だけでなくてレコード協会、レコード会社も著作権というものを持っておりますし、それから一般の芸能人の所属している芸団協という団体もそれぞれ著作隣接権というものを持っておりますので、その三団体が一つの組織をつくりまして、受け皿になって、そうしてそれぞれの団体に分配するというわけでございます。
○真鍋委員 私の質問が不十分だったんでわからなかったと思います。 私が申し上げておるのは、著作権者の団体、実演家の団体、レコード製作者の団体、それがあることはわかっておるのです。その中の著作権者の団体というのは、日本音楽著作権協会一本ですか、こういう御質問でございます。
○石本参考人 ほかに文芸団体というのがあります。その文芸の団体もJASRACが代理するということになっております。
○真鍋委員 そこの作曲家であるとか、皆さんの組織率というものが——個人個人でございますね。その組織率というのが非常にしっかりしてないと、分配に、その入ってない方に当たりにくいという問題がありますから、そこのところは、文化庁長官が指定する指定管理団体という公的なものがいよいよ加わってまいりますので、そこをひとつしっかりやっていただかなければいかぬかな、そんな気持ちを持ちまして御質問をいたしておりました。 時間がなくなってまいりましたので、最後にお伺いいたします。 この問題は、国内の法制はこれでひとつ形がついてくると思うわけでございますが、これまで日本の国内であったと同じようなことが海外、とりわけアジアの国々で起こっておる、いわゆる海賊版ということでございますが。このあたりについての御認識はどうなっておるのか、あるいはこれについてどうやっていかなければいかぬという気持ちを持っておられるか、お聞かせいただければと思います。
○石本参考人 このアジア地区の問題というのは我々が一番関心を持っておりまして、日本の楽曲が使われておりますのも、世界を見渡しましても、一番アジア地区が使用されております。ただ、使用されているわけですけれども、それぞれの国の中にまだ制度化というものがはっきりされてない、そのために海賊行為がすごくなされているということでございます。そのことに対しましても、今日本音楽著作権協会としては、アジアそれぞれの国に対しまして、アジアのそれぞれの団体の育成指導というものを心がけておりますし、そのことに対しては、これから我々はより協力的に取り組んでまいりたいと思っております。日本の歌の市場というのは、アジアを考えなくて、日本の音楽市場というものの世界に対する発展は考えることができませんし、まずアジアのこれからの充実というものを考えなければいけないと思いますし、それがまた我々日本音楽著作権協会に課せられた一つの責任だと思っております。
○真鍋委員 終わります。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 次に、宇都宮真由美君。
○宇都宮委員 まず斉藤さんにお伺いしたいと思いますけれども、この今回の改正、先ほどからお話に出ていますように、十五年間ずっと実現しようと努力してこられたということで、その十五年もの長い間実現しなかったその理由、そして、今ここに至って実現したその理由はどういうところにあるとお考えでしょうか。そのあたりの背景をちょっと教えていただきたいのです。
○石本参考人 そのことについて私から申し上げたいと思います。 実は、十五年前に我々が著作権の問題を云々して、この報酬請求権制度のスタートを切りました当時は、まず一般のユーザーの方々、一般の人々に著作権というものの思想の理解、認識というのが全然と言っていいほどなかったと思います。最近は、日本の至るところにカラオケを歌う会場ができまして、皆さん盛んにカラオケなどを歌っておりますけれども、そういうことによりまして、一般の人たちも、著作権というものが存在するんだということ、それから著作権というものはやはり守らなければいけないんだということ、そういうものの理解、認識がだんだんとついてきたというのが一番大きな要素になっているのではないかと思います。 そうして、私たち作家の権利というものに対しても、一般の人たちが、はっきり申しますと、作詞・作曲家、我々作家というのは月給もなければ退職金もなければ、すべて収入というのはなくて、言うなれば、作詞・作曲の作品が稼働し、使われることにおいて初めて権利というものが認められ、その権利の中から一つの使用料を徴収し、その徴収を分配することにおいて作家というのは生活しているわけです。そういう作家というものに対する理解も一般のユーザーの人たちにも持っていただけるようになったのではないかという気がいたします。 だから、著作権に対する理解、認識というのは、この四、五年といいますか、五、六年といいますか、その間にすごく一般の人たちも目覚めたと思いますし、それからマスコミとかなんとか、そういうものもいろいろと取り上げて記事にしていただける、そういうふうになったということですね。これも一般の人たちが著作権というものに対する理解、認識をいただける要因になったと思います。だから、こういうものは五年間ぐらいではなかなか実現しないものでして、十五年たってここまで来たというのは、私は、結果的には、そのぐらいの時間をかけてここまで来られたということは結構なことではなかったかという気がいたします。
○宇都宮委員 確かに、要するに国民といいますか皆さんの著作権に対する理解度が深まっていっているところに大きな原因があるんだろうと思うのですけれども、今回対象がディジタル機器ということになっておりますことから考えますと、ディジタルの機器の開発ということが今回この制度を改革するに至った大きな理由になっていると思うのですけれども、アナログの場合とディジタルの場合と比較しまして、私的使用というのがどのくらいディジタルの場合が多くなろうか、そのあたりをどのくらい多くなるとお考えになっていらっしゃるのか、そのあたりを斉藤さんにお伺いしたいと思います。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 将来の予測という点になりますと、これは率直に申し上げまして、アナログからディジタルの時代に移行するであろう、このように予測してございます。ただいまはアナログ、ディジタル混在の時代でございますが、徐々にディジタル主流の時代に移っていくかと思います。したがいまして、将来的にはほとんど九〇%あるいはそれ以上ディジタルによる複製が行われてくるのではないかと思っております。 それから、先ほど、その前に御質問がございました点もあわせて触れてよろしゅうございますか。——十五年前との違い、その間どう変化したかという点でございますが、四つの点があろうかと思います。 一つは、ただいま御指摘がございました、ディジタルの時代を迎えつつある。このディジタル複製が行われるようになりますと、そしてその技術が普及してからでございますと手おくれになる可能性がございます。著作権制度に与える影響が極めて大きいということで対応を急いだという点がございます。 それから、あと三点ございまして、既に御説明がありましたように、著作権制度への理解がこの長い十五年の間に深まってきた。先ほど真鍋先生から実態についての御質問もございましたが、著作権に対する意識、あるいはホームテーピングに対するユーザーの意識、これも徐々に変わってきたということを申し上げることができるかと思います。 それから、国際的動向の変化もございます。 それから、最後にもう一点でございますが、西洋と違いまして、西洋の場合でございますと、権利者がみずからの利益を保護するためにまず裁判所で争うというステップがございますが、我が国の場合、メンタリティーが違いまして、関係者の間でじっくり話し合う、こういうことをいたしてまいりました。極めてマイルドな方法でございます。結果としましては、これは時間がかかることになろうかと存じます。 簡単でございますが、説明させていただきます。
○宇都宮委員 斉藤先生は著作権審議会の委員もなさっていたということなんですけれども、いわゆるこの補償金を受ける権利ですね。その権利の主体として、著作権者と実演家とレコード製作者ということが上がっているのですけれども、そのほかに、例えば映画監督とか演出家とか、そういう補償金を受ける主体について何か審議会の中で問題になったことはございませんか。あれば教えていただきたいのです。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 ただいまのところは権利者三者を考えてございますが、これは具体的に討議をしたかどうかはっきり記憶してございませんが、放送事業者をどう位置づけるかという問題がございます。放送を家庭等で複製されるということになります。しかし他面、放送はやはり複製を助ける側でもあるという微妙な立場にございます。国によりまして、この放送事業者の位置づけ、やはり結構苦労しているところかと思います。 それから、ただいま御指摘がございました映画の場合でございますね。これは非常に特殊な問題があるのではないかと思います。御存じのように、著作権法の二十九条によりますと、著作権は映画製作者に帰属する、こういう制度になっております。したがいまして、監督等は著作者ではございますけれども、著作権がないということで、将来録画等につきまして積極的に補償金の支払いを求めていく場合につきましても、やはり権利者の中には監督が加われないという問題がございます。これは具体的な運用でその辺はカバーしていく、あるいは前段階の監督等の著作者と映画製作者との間の契約によってきめ細かな対応をしていく、こういうことが必要であろうかと存じます。
○宇都宮委員 石本先生にお聞きしたいのですけれども、先ほど真鍋さんもちょっとお聞きになっていたと思うのですけれども、いわゆる著作権者の団体というのは強制加入じゃなくて任意加入だと思うのですね。そういう団体に加入しなくても著作活動というのはできると思うのです。加入していないそういう方も、本来は補償金の分配に、今回の制度のシステムからいえばあずかってしかるべきだと思うのですけれども、著作権者の団体に著作者が加入している状況、そのあたりはどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいのです。
○石本参考人 いろいろ物を書いている人で、著作権協会なら著作権協会、著作者の団体に加盟してなくても、その人たちも分配の対象になるのではないかなということですけれども、やはりそういう人たちには、じゃその人が、どこにどういう人がいらっしゃるかということ、そういう人に名のり出ていただくというか見つけ出すというか、そういうことができれば、それは一つの考え方としてまた検討もしてみたいと思いますけれども、今のところほとんど、作詞とか作曲とか、そういうのをやっている方々というのは日本音楽著作権協会の会員になっていますので、例えば著作権協会の会員でなくて、それに該当する物を書く人がどこにいらっしゃるかといってもなかなか難しいのではないかなという気がします。ただ、詞を書く人も曲を書く人も、著作権協会の会員ではないけれども、著作権協会の会員である出版社がありますね、その出版社と契約を結んで仕事をしていて、著作権協会の会員にはなってないという方はいらっしゃいます。その人には、やはり著作権協会から分配したものが出版社に行って、出版社からその人へ渡すということはあり得ると思います。
○宇都宮委員 著作権者の団体というのは出版社も加入しているのですか。(石本参考人「はい」と呼ぶ) では、最後に斉藤先生にお伺いしたいと思うのですけれども、日本の著作権法、これは外国と比較して遜色ないところまで今来ているというふうに多分おっしゃられたと思うのですけれども、今後著作権法の問題で私たちが考えていくべき点、検討課題といいますか、そういうのが今ございましたらちょっと教えていただきたいのです。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 非常に大きな、しかし重要な御質問でございます。我が国の法制は、著作権法に限りませず大陸法系の立法をいたしていると存じます。ただいま国際著作権界におきましては大きな動揺がございます。それは、一つは、英米法系諸国のとりますコモンローアプローチ、それからもう一つは、日本も含めましたヨーロッパ大陸法系諸国がとりますコンチネンタルアプローチ、この二つが大きく激しく対立している状況でございます。先進諸国の間におきましても対立してございます。これはどういう効果が出るかと申し上げますと、一つは、我が国のような大陸法系諸国におきましては、オーサーズライト、クリエーティブな精神作業をなしました著作者を保護するというところに力点があるのでございますが、コモンローの国々、イギリスやアメリカにおきましては、プロデューサーの保護にも力点を置くということで、その力点の置き方が違ってまいります。 これは将来どういう形に影響を与えていくかといいますと、例えばサウンドレコーディングズ、レコードの製作者をどう位置づけるのか、そういった製作物を著作権法の中にどう位置づけるのか、こういう問題が立場によりまして変わってまいります。国際著作権界におきましては、著作物につきましてはベルヌ条約によって保護する、レコード等につきましてはローマ条約によって保護する、こういう区分けがあるのでございますが、ただいまのような二つのアプローチが一つのコンプロマイズをいたしますと、どうも場合によりましては、ベルヌ条約とかそういう大きな条約の中に、ただいま我が国等におきまして隣接権者として保護している方々も含めてしまうのじゃないか。これは全く個人的な予測でございますが、それほどの動揺がございます。その縮図といいましょうかひな形が、既にECのハーモナイズの作業の中で行われております。ECが一九九二年、本年の末をめどにさまざまな側面で著作権法のハーモナイズをいたしておりますが、この成り行きが将来の国際著作権界の行方にも大きな影響を与えますし、我が国の著作権法にも影響を与えてくるのではないかと思います。 簡単でございますが、説明させていただきました。
○石本参考人 ちょっと追加させていただきたいのですが、先ほどの未加入者についてのことですけれども、そういう人がいたらどうするかという御質問をいただいたのですけれども、今後指定管理団体という受け皿の組織というものをつくりますけれども、その中で、もし未加入者がいまして、そしてその人たちが例えば権利を主張する、そういうことがあった場合は、そういう人たちがもしあると仮定してクレーム基金というものもその組織の中に設けて、もしそういうことがあった場合は、そういうふうな対応をしていきたいというふうに考えておりますので、一言つけ加えさせていただきたいと思います。
○伊藤委員長 ありがとうございました。 次に、平田米男君。
○平田(米)委員 お二人の参考人には大変お忙しい中おいでをいただきまして、ありがとうございます。 まず、斉藤参考人からお伺いをさせていただきたいと思いますが、今回の改正によりますと、三十条に二項を追加してディジタル方式の録音・録画については、録音・録画を行う者が相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならないということになるわけでございますが、これまでの三十条の原則は、私的録音・録画は自由かつ無償である、こういうことになっていたわけでございますが、この二項を追加することによって原則が変わったというふうに理解をしていいのかどうか、まずこの点についてお伺いをいたします。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 結論は、原則は変わっていないと存じます。これは複製権を制限することの補償として二項を設けたということではないかと私は理解してございます。いずれにしても、複製権を制限することにおきましては変わりがないところでございます。
○平田(米)委員 もう少し御説明をいただきたいと思うのですが、確かに条文の体裁は原則は自由であるというふうには書いてあるわけでございますが、今後ディジタルの方式による録音・録画が一〇〇%を占めることを予測して、今回アナログは捨ててディジタルに対してだけ補償金を要求する制度を設けたという御説明があったわけでございますが、そうなりますと、私的録音・録画は全部ディジタルで行われるということになれば、それに対して補償金を払うということは、原則が変わったというふうに理解もできるのではないかというふうに思うわけでございますが、そうではない、原則はどこまでも自由かつ無償であって、例外的に有償になるんだ、こういうお話かと思うのですが、その辺もう少しわかりやすく御説明をいただければと思います。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 著作権、特に今回の場合は複製権の制限という問題でございますが、制限の仕方には複数のものがございます。ただいま御指摘のように、無許諾、無償という制限の仕方がございます。これは一番厳しい制限の仕方でございます。それから、もう一つは、無許諾で自由に複製することは差し支えない、しかし何らかの金銭の支払いが必要である。ですから、複製権の中で非常に重要な部分であります許諾権の行使が権利者はできないわけでございますね。しかし、今回の三十条の二項は、そういう点では利益調整規範として考えていくことができるんではないかと思っております。無断で無許諾で複製することができる、これは変わりがないわけでございますね。しかし、やはり一方にどうもしわ寄せが出る可能性があるということでございますと、それは金銭によって利益を調整していく必要があろう、家庭等での複製でございますから、そう大きな額ではございませんが、何がしかの金銭を支払って利益調整をしよう、こういうことではないかと存じます。
○平田(米)委員 録音・録画するについて許諾を要しないという点では原則は変わらない、自由という意味では変わらないということはわかりましたが、ただ、無償であるということについては変わったというふうに今の御説明ですと理解をするわけでございますが、違うのでしょうか。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 この無許諾、無償が無許諾のみになったという限りにおきましては、変更があった、このように考えてよろしいかと思います。 以上でございます。
○平田(米)委員 それから、この補償金は、三十条の二項によりますと、録音・録画を行う者が著作権者に払う、これが本来の補償金の支払い義務者と支払い請求権者ということになるわけでございますが、しかし、実際上はその当事者が請求することは許さなくて、指定管理団体がすべての権利を集めて、そしてまた録音・録画を行う者に直接請求するのではなくて、録音・録画に関する機器及び機材でございますか、それを製作する者に請求をする、こういう格好になるわけでございますが、これは技術的にこういう方法をとらないと回収ができないといいますか、取り立てができないということではよくわかるわけでございます。しかし、三十条二項の権利関係の建前からすると大変変わったやり方になっているわけでございますが、これは補償金請求権という個人の権利、著作権者の権利というものをこのように法律によって強制をして、全国で単一の指定管理団体に集めさせてしまって、そしてその権利の行使について全く権利者本人の意思にかかわらしめない、こういうような法的構成を行うことあるいは技術的措置を行うということは、この著作権という私的権利に何らかの変質をさせるのではないか、さまざま法的な問題点があるのではないかというふうに思うのですが、その点について斉藤先生はどのようにお考えでございましょうか。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 非常に重要な御指摘でございます。一つ考えられますのは、やはり新しいテクノロジーの時代におきましては、こういう方法も一つの解決策ではないのかな、このように思うわけでございます。家庭など私的領域に高度の技術、複製技術もそうでございますが、こういうものが入り込めば入り込むほど法的次元では画一的に処理する方が妥当ではないか、こういう考え方も出てまいります。個々の利用者に権利者が請求するという、これがまず大前提で、三十条の二項にございますけれども、これは権利者が利用者の私的領域に介入することを認めることでもあるわけでございますね、個々に請求するということでございますと。利用者の家庭を訪ねまして、あなたはこの絵を録画していたではないか、あるいは録音していたではないか、こういうようなことをするということは甚だ妥当ではない。やはりどうも新しい時代に入りますと、家庭に余り介入しないで処理する方法としましては、一括、包括処理というのでございましょうか、画一的な処理も、不正確な部分が残りますけれども、せざるを得ない、こういうことではないかと思います。 先ほども触れさせていただきましたが、かつてドイツにおきまして利用者に支払いを求める、こういう案をつくった段階がございます。これは理想的ではあるけれども、やはり好ましくないのではないか、こういう指摘がございました。そして、次善の策としまして、製造者とか輸入業者が支払う、こういう仕組みに変えてございます。これは確かに一つの考え方であろうかと思います。 以上でございます。
○平田(米)委員 必要性については十分わかりました。このような技術的な措置をとらないと補償金の請求はできないということはよくわかるのですが、このような取り立ての方法を法律によって強制をする、そういうことによって現在の著作権というものが変質をするのではないか、さまざまな法的問題点が出てくるのではないか、私もまだよくわからないものですからお伺いをしているわけでございますが、その点についての先生の御指摘をいただければというふうに思うのでございます。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 私は、ただいま法律案に出ております特例の方でございますが、これはやはり過渡的な措置と考えることができるような気がいたします。将来的には、技術的手段を用いまして、三十条の二項、これが実効性のあるものに変わっていくのではないか、このように思います。特に、ディジタルを前提といたしますと、先ほどちょっと御紹介申し上げましたように、デビットカードとかこういう新しい技術を使いますと、個別的な利用も、しかも秘密を保持しながら把握できる、こういうことでございますから、将来的には、私の勝手な理想かもしれませんけれども、三十条の二項そのものが生きてくるのではないか。したがいまして、ただいまちょっと変質したのではないかという御指摘がございましたが、やはりオーソドックスな形に戻っていくのではないか、このように期待しております。
○平田(米)委員 先ほど真鍋先生が聞かれた点でございますが、ちょっとよくわからなかったので確認をさせていただきたいと思いますが、貸しレコードの点については、今後ディジタルで録音をする場合は、補償金といいますか、著作料の二重取りになるのではないかという御指摘があったのですが、もう一度それについてお答えをいただければと思うのです。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 実質的には重なる部分があり得るかと存じます。しかし、実際に今回の制度を運用するに際しまして、補償金の額をどうセットするか、こういう問題がやはり絡まってくるわけでございまして、ただいま示されているような案でございますと、かなり低く抑えています。こういうところで具体的に調整していくのではないか、このように思っております。
○平田(米)委員 最後に石本参考人にお伺いをさせていただきたいと思いますが、補償金の額を機材については三%、媒体でございますね、それから機器については二%、三年後にはそうなるということでございますけれども、これはアメリカと同じということに恐らくなるんだろうと思うのですが、この辺の、アメリカと同じという根拠ではちょっと薄弱でございまして、このパーセントが適切なのかどうかということが疑問になるわけでございます。また、諸外国の例によりましては、機器にはかけないという例もございますが、機器にも我が国はかけた、またそのパーセントの根拠。 どうも資料によりますと、著作権協会の方は定率じゃなくて定額方式を求めておいでになったということもございまして、その辺の経過とそれから理由について御説明をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○石本参考人 この問題は、権利者側とそれからメーカー側とで大変いろいろと交渉を重ねまして、互いの主張が相入れないというところもあったわけでございますが、これはやはり我々は、この制度化というものに対してお互いが、権利者もそれからメーカーも同じ方向を見詰めて、そして一つのものをつくり上げていかなくてはいけないということでございまして、やはりそれはお互いの歩み寄り、お互いの妥協、そういうものもあったことは事実でございまして、最終的に、初年度、次年度の卸売価格が一%、三年度が同二%というような一つのパーセンテージにおさまったということなんでございます。
○平田(米)委員 どうもありがとうございました。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 次に、山原健二郎君。
○山原委員 今回の報酬請求権制度の創設、十五年来の関係者の皆さんの懸案であったもので、本当に大きな意義を持っておると思います。また、お二人の参考人の御説明を聞きましても、大変苦労された経過がありますから非常に迫力のある御意見を陳述していただいたと思っております。敬意を表明します。 日本共産党としましても、今回の法改正に賛意を表明する立場で、以下幾つか質問をいたしたいと思います。 第一は、斉藤参考人にお願いしたいのですが、補償金がかかる対象がディジタル方式の録音・録画機器・機材に限られて、アナログ方式は対象外となった点であります。 著作権審議会第十小委員会報告の中にも、アナログ方式による録音・録画とディジタル方式による録音・録画とは著作物の利用という観点からは理論上区別すべき理由はないと述べております。著作者等の利益を害している状態というものは現にあるわけでございまして、そのほとんどすべてが、現在一般的に普及しているアナログ方式によって利益が損なわれているのですから、アナログ方式の録音・録画機器・機材を対象外とするというのは、こうした実態論からいっても納得いかないという面が残るわけでございますが、この点はどんな議論が行われたのでしょうか。簡明に御説明いただきたいのです。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 結論は、やはり現段階におきまして現実的な対応が必要であろうかということで、まずはディジタルから対応していくということであったかと存じます。アメリカを除きまして、これまで先進諸国が私的録音・録画問題を検討してきたわけでございますが、いずれもアナログ段階での複製でございました。我が国は、御指摘のように、ディジタル方式の複製に焦点を合わせているわけでございます。しかし、これは報酬請求権制度から必然的に導き出されることではない、このように思っております。したがいまして、先ほどアナログは捨てたという御指摘がございましたが、必ずしもそういうことではない、このように思っております。
○山原委員 石本参考人に。録音の場合、最近のディジタル方式の機器・機材が一般民生用として商品化されていますが、広く普及するには時間がかかると思います。そうなると、当面の補償金徴収額はわずかな水準にとどまってしまう。圧倒的量のアナログ機器・機材での私的録音による利益侵害の大きさに対しまして補償金の配分額がとても見合わないということになりはしないかという懸念の声もあったと思います。この点を日本音楽著作権協会はどうお考えになり主張されてきたか、お伺いしたいのです。先ほど、除くことがより賢明であるというお話もありましたので一応わかりますけれども、なお御説明いただければと思います。
○石本参考人 この私的録音・録画問題、報酬請求権の問題に対しまして作家の立場から申しますと、やはりアナログはぜひ入れてほしいということを我々側としては持っていたわけでございます。ただ、交渉の過程におきまして、我々がアナログというものを強く余り主張してまいりますと、これにこだわり過ぎまして、そしてこの制度化というものがもっともっと時間が先に延びてしまうのではないかということも考えました。そういうことを考えますと、やはり我々もメーカーとの接点というものを求めることが賢明な策だというふうにも考えまして、そしてアナログに対する主張は放棄しまして、このディジタルに対しての考え方というものをまとめていったわけでございます。だから、ディジタルというものですので確かに補償金的な額というものは少なくなるということですが、これはこの制度を発足するためには一つの試練のときだと思いまして、ディジタルだけにということで、今回の交渉というものをまとめてきたわけでございます。 この新しい制度を円滑に導入するに当たりましては、本当に最終的な負担をする一般の消費者の御理解を得ることが最も大事なことでして、メーカーはもちろんのこと、やはりユーザーの方々も、そこまで権利者が主張するということに対しての理解といいますか、そういうものもいただけなかったということもつけ加えて御報告をさせていただきたいと思います。理想というものと現実というものがありましたら、理想というものは大切なものですけれども、やはり現実をとらえて、現実の処理をせざるを得ないという場合は、やはり現実に比重を置いて対応をするということが大切だということで、結果的にはこういうことになってしまったわけでございます。これも今度の報酬請求権制度の制度化に対して我々が苦慮し、また結果的にはこの道というものを選んだわけでございます。
○山原委員 もう一つ斉藤参考人の方に伺いたいのですが、特に録画機器の場合、まだディジタル方式の一般民生用商品は発売しておりませんし、当面は補償金は配分されない事態が続くことになります。たとえ商品化されましても、急速に市場占有率を高めるかどうかということは不透明でございますし、私的録画によって利益を害されている関係者の懸念は一層強いのではないかと思います。この点で、私的録画にかかわる団体代表などからは著作権審議会の場でどのような意見が開陳されたのでございましょうか。この点も伺っておきます。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 アナログかディジタルかということにつきましては、第十小委員会では截然と区別しないで審議をしてまいりました。これは先ほど申し上げましたように、報酬請求権制度の本質から考えますと、アナログとかディジタル、これは区別する理由がないわけでございます。しかし、ただいま石本参考人からもお話ございましたが、やはり現実的な対応としまして、まずディジタルから何らかの制度を設ける必要があるだろう、こういうことでディジタルの方に傾斜して踏み切ったところでございます。当面はそういう形になろうかと思います。 それから、もう一つ御指摘がございました録画の方でございますが、確かにディジタルに限定いたしますと、いまだ動画のメモリーの開発が十分にはなされていない。特に民生用の機器につきましていまだ開発がなされていない、こういうことでございます。しかし、この種の技術も急速に開発されつつあるわけでございます。そう遠い先ではない段階で動画のメモリーも民生用のものができてくるはずでございます。当面も、さしあたっては録画につきましては御指摘のような状態になるかもしれませんが、これはそう長い間ではない、このように思っております。
○山原委員 現実的対応は、また理想の問題と関連しますから質問をしにくい面もあるわけですが、私としましては、理論的にも実態論から見ましても、補償金をかげる対象としてアナログ方式の機器・機材も含めるのが筋だと思うのです。この点につきましては、今後の録音・録画機器の普及動向、それから権利者の意向なども踏まえまして、ぜひ適切な見直しについて引き続き検討をお願いしたい、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてお二人から、簡単で結構ですが、御意見を伺っておきたいのです。
○石本参考人 ただいま貴重な御意見を伺いましたけれども、私たちもそのように考えておりますし、これからもより努力いたしまして、権利者の立場というものを考えながらこの問題に対応してまいりたいというふうに思っております。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 録画につきましての対応でございます。これは現段階におきまして権利者への配慮、これは十分でないことは確かでございます。しかし、この報酬請求権制度自体から考えますと、やはりディジタル、アナログを区別せず一つの制度をつくり上げる、こういうことが理想でございますので、機会がありますごとに関係者でこの点は協議をしていく必要があろうかと思います。 それから、もう一つは、録画につきましても、ディジタルに移行します段階、これが比較的早い段階に来るといたしますと、アナログにつきまして多くの精力を注ぐよりも、場合によりましては、かえって新しい技術への対応を積極的に考える必要があろうか、両面あろうかと存じます。
○山原委員 あと二、三分時間がありますので、一つは斉藤参考人に、世界の十六あるいは十七カ国ほどで報酬請求権制度あるいはそれに類した制度、税制が導入されておりますが、先ほど、今回の法改正は他国の制度にもないすぐれた点もある、一例として三十条二項の規定を挙げられましたが、そのほかにどういう特徴点がありますか。この点も伺っておきたいと思います。 それから、石本参考人には、今日まで随分長く御苦労されてきたわけですが、これからまだ何が残っているかという点について御報告いだだければと思います。
○斉藤参考人 お答え申し上げます。 先ほどもちょっと触れた点と重なりますが、一つは、ただいま御指摘のように、案の三十条二項にございますような、直接ユーザーが支払うという仕組み、これは世界的にも全く新しい規定でございます。しかし、それにとどめませんで、やはり現段階の技術を考えますと、もう一段階、もう一つ第二段階を設けまして、特例として製造者または輸入業者の協力を得て包括的な徴収をする、一つの法律の中にこういう二つの制度を盛り込んでいるという点は、これもまた非常にユニークなことであろうかと思います。 それから、その第二段階における協力義務、メーカー等、製造者等の協力義務でございますが、固有の義務としないで協力義務とした点、これもやはり特殊な規定の仕方であろうかと存じます。 それから、国際的にやはり誇れますのは、何といいましても内国民待遇を前提にしているということで、外国人の権利者もひとしく保護していこう、こういうことであろうかと思います。 そのほかあろうかと存じますが、ひとまずそのくらいにさせていただきます。
○石本参考人 今後のことでございますが、本当にこれから始まる、これからスタートをするというわけでございまして、いろいろと懸案もございますし、これから充実させていかなくてはいけない、そういう問題もたくさんございます。 まず最初に、指定の管理団体、言うなれば受け皿になる団体をつくりまして、その団体をしっかりとした団体にしていきたいと思っております。また、近い将来ですけれども、録画等の問題に対しましても、これからより真剣に取り組んでまいりたいと思いますし、とにかく何から何まですべてこれからスタートすることでございますので、我々権利者間でいろいろな意見の交換をし、そうして我々の将来のために力強い足並みといいますか、それをそろえていきたいというふうに思っております。
○山原委員 どうもありがとうございました。終わります。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げたいと存じます。 本日は、大変お忙しいところを本委員会に御出席をいただきまして、大変貴重な御意見をお述べをいただきまして、大変ありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ————◇————— 午後零時四十七分開議
○伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより政府に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。真鍋光広君。
○真鍋委員 本日は著作権法の一部改正法案を審議いたすわけでございますけれども、文化、芸術というのはスポンサーがあって初めてその花が開くわけでございまして、昔は大富豪がおり、なにがおったわけでございますけれども、今日の時代では、税制公平なゆえをもってなかなか大富豪というのはできませんし、また存在しにくい。こういう状況のもとで、しかし我々が豊かな生活、人生を送っていくためには、やはり文化、文芸の花が咲かなければならないということでございまして、そういった意味合いにおきましては、著作権法をこのように順次整備していくということは、この著作権法がいわば現代のスポンサーという役割を果たすわけでございます。そういった意味合いにおきまして、長い間御苦労されました御検討の結果が今日の私的録音・録画に関する一つの解決に向かっての大きな一歩を進めるわけでございまして、関係者の皆様方に対しまして心から敬意を表するわけでございます。 そこで、今回の改正の趣旨というのは、累次の本院の附帯決議の趣旨に沿うものでございます。そういった意味合いでも、本当に結構なことだと思うわけでございます。 そこで、内容の質問にわたってまいりたいと思いますけれども、これまで著作権法第三十条というところで、およそ「著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」、つまり、私的使用に関しては自由であり無償だ、こういう大原則でやってまいったわけでございますが、それに対しまして、一定の条件のもとではございますけれども、この際、補償金という形でユーザーに対して、利用者に対して負担を求めていく、こういう制度に変わっていくということでございます。その場合に、やはり何といいましてもユーザーの権利、そういったものも十分に考えていかなければいかぬわけでございます。 そこで、お伺いいたしたいわけでございますけれども、果たして現在の私的録音・録画の実態というものは著作権者などの経済的利益を害するというところまでいっておるのかどうか、そこの実態認識というものを少ししっかり教えていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○佐藤(禎)政府委員 お尋ねの実態でございますけれども、これにつきましては、昨年、それからことしにわたりまして関係者による調査が行われているわけでございます。その調査は、録音物と録画物それぞれに分けて調査をいたしているわけでございますけれども、まず使用の実態という前に全体の著作権問題についての認知状況というようなものも調査をいたしております。著作権という問題の認知状況というものは累次の調査を通じまして逐次上昇してまいりまして、平成三年の調査におきましては八四%の人々が著作権問題というものを認知をしている。さらに、私的録音・録画問題について知っているかというようなことを尋ねましたところ、六四%の人々がそのことを知っているというような状況であるわけでございます。 なお、この調査におきましては、録音物と録画物等々につきまして実際にどのような利用をしているかという調査をしておりまして、録音物と録画物では多少状況が異なりますけれども、録音物につきましては、おおむね借りてきたCD等をコピーをしているというようなことが大きな実態としてあらわれているという状況にあるわけでございます。
○真鍋委員 今のお話でまだ説明がないのですけれども、著作権者などの経済的利益を侵害している、こういう実態があるということが一つ前提ではないかと思うのですが、そこはどう考えられますか。
○佐藤(禎)政府委員 これは一義的には判断をいたしかねるわけでございますけれども、先ほど御指摘のとおり、現行著作権法ができました昭和四十五年に、現在の自由かつ無償という三十条が設けられたわけでございます。そのときの議論として、国際的な基準でありますベルヌ条約九条二項で権利者の利益を不当に害することがないということを条件としてそういった権利の制限をしてもよい、そういう基準にのっとって立法をされたわけでありまして、当時の認識としては不当な侵害には当たらないであろうという判断でございましたけれども、逐次の実態を見るに従いまして、そのことについてはやはり疑念を感じている。権利者の経済的な利益を侵害するような実態が、特に今回のようなディジタル技術を駆使した機器の開発普及に伴って生じてくるのではないかということが今回の御提案の一つの基礎になっているわけでございます。
○真鍋委員 それは要するに、今度ディジタルということになるといよいよ侵害する、そういった分野に入ろうか、こういう認識だろうと思うのです。それがいわばアナログに対してはタッチしませんよ、踏み込みませんよ、こういう理屈だろうと思うわけでございます。 ただ、こうやってユーザーに対して原則を変えて、課税といいますか、負担を求める、法律をもって負担を求めるということに進む以上は、そこのところで現状既にこうなんだ、もういっぱいまでいっておるんだ、こういう認識はやはりきちんと示されなければ、ディジタルはといったってまだほとんど見たこともないような話を、だからあらかじめ、これはちょっといかがなものかな。現にずっと侵害されるおそれがある、経済的に侵害されるおそれがあるということで、これまで著作権協会とかなんとかは十数年にわたって要望してきたわけだろうと思うのでございますから、そのあたりについてやはり一言示していただかなければいかぬと思うのであります。
○佐藤(禎)政府委員 先ほどから触れております平成三年の調査というものがございます。これは権利者の団体並びに機器のメーカーが共同して調査をしたものでございます。この調査によりますと、今日録音機能を持っております機器を保有しておる者が調査者全体の九〇%以上に達している。それから録画機器を持っている者も八三%に上っているというような数字がございます。その中で、録音・録画の頻度というものも調査をしているわけでございますけれども、これもある程度、録音経験については五割に近い者、これは若い人ほど実は多くなっておりまして、年齢別によって随分違いますけれども、多くの人たちが録音をしております。録画の方はそれに比べると若干頻度が低くなっているわけでございます。それからソース別に見ますと、録音等につきましては、録音源は自分で持っておるCD、あるいはレコード店から借りたCD、友人から借りたCD等といったものが多くなっております。一方、録画につきましては、どちらかと申しますとテレビの放送を別の時間に見るというようなことの利用が多い。ただ、実態の中でも、やはり貸しビデオ店等から借りたビデオテープ等の録画もかなりに上っているという状況でございます。 そこで、これを総括してみます場合に、現行三十条というものが全く権利者の経済的な利益を侵害し違法状況になっているかということになりますと、現在の認識では必ずしもそこまでは到達をしていないのではないか。しかし、今回発売をされますディジタル機能を持った機器等による録音・録画を考えてみますと、これはもともとのソースの品質を劣化することなく録音し、かつ再生をすることができるという機能が高いわけでございますので、このことによって恐らくは格段に経済的な利益を侵害するおそれが高まるであろう、こういうふうに考える次第でございます。
○真鍋委員 そこで、このたびの補償金の対象として機器と機材と両方を対象にしておるわけですが、外国の例を見てみますと、例えばフランスであるとかオーストリアなんかは機材だけということになっておりますが、外国の事情を全部知っておかなければいかぬというわけじゃないですが、機材だけとしたのは何か理由でお知りおきのところがあるかどうか、そしてまた、この法律において機器と機材と両方取り込もう、これはどういう理由によるものか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 御指摘のとおり、外国の状況を眺めてみますと、国によって状況が随分異なるわけでございますけれども、オーストリアでありますとかフランスにおきましては機材のみ、つまりテープだけに補償金の対象を課しているわけでございます。それに対しまして、ドイツでありますとか、ごく最近立法されましたアメリカ等におきましては、機器と機材の両方に補償金を賦課するというようなシステムを設けているわけでございます。恐らく、テープだけをその対象にするという考え方は、録音・録画の頻度の反映というものがテープを押さえれば十分にわかるのではないかというようなことがその実質的な理由になっているのではないかと想像しているわけでございますけれども、私どもの今回御提案しております考え方によりますと、録音をする機器それから機材の両方があって初めて録音・録画が可能になるわけでございますし、また補償金を支払う利用者の立場ということを考えますと、機器と記録媒体、テープの両方にそれぞれ薄く負担を求める、そういう補償金制度とする方が適当であろうというふうに考えた次第でございます。
○真鍋委員 現在のアナログでの話でございますけれども、機器・機材両方の売上高というのは年間どのくらいになっておるわけですか。
○佐藤(禎)政府委員 恐れ入ります。ちょっと今手元に資料がございません。アナログの売り上げはわからないわけでございます。
○真鍋委員 それでは後でまた伺わせていただいてもいいですけれども、要するに一体どのくらいの上がりになるのだろうか。これは要するに権利者の、著作権者等の権利を救済していこう、こういうことですから、それが微々たるものであったらこれはまた意味のないことになる、多額に過ぎたらこれはやはりユーザーの立場も考えてやらなければいけない。重要な話であろうと思いますので、わかればまた教えていただきたいと思うのです。 そこで、少し教えていただきたいのですけれども、補償金という名のもとで報酬請求権というものをこれで実現していくわけでございますけれども、これの法的性格というのは一体どうなっておるのでしょうか。つまり、補償金というと何か損害賠償金でもないし、かといってまともな請求権のような色合いでもない。補償金、どこか何か中間的な色合いが出てよくわからない。法的性格について少し明確に教えていただきたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 御承知のように、現在著作権の一種類であります複製権というものがございます。この複製権の中身には、許諾をする権利、つまり、裏からいえば差しとめをする権利とそれから許諾をした場合に報酬を請求をする債権的な権利、この二種類のものを包含しているわけでございます。それに対しまして、三十条が定めておりますのは、そのいずれについても私的録音については制限をする。つまり許諾を差しとめる権利もない。自由に録音・録画できますし、また、それに伴って報酬請求権を行使することもできないということになっているわけでございます。 今回の報酬請求権は、それに対しまして、そのうちの債権的な部分、つまり、自由に録音・録画をする、差しとめをする権利は復元をいたしませんけれども、それに伴って生ずる損害についての報酬を請求をする、そういう債権的な権利を盛り込んだもの、こういうふうに理解しているわけでございます。
○真鍋委員 つまり、許諾権をここで放棄するかわりに、債権的請求権を発生させる、こういう意味合いでございますか。
○佐藤(禎)政府委員 そのように理解をしていただいても結構かと思います。 私の理解では、一たん著作権法上、複製権というものが認められており、それが制限をされて、そのうちの一部分が復活をしたような形になるわけでございますけれども、整理としては、委員仰せのとおりだと存じます。
○真鍋委員 そこで、この補償金の制度の仕組みでございますけれども、ちょっと伺いますが、これは著作権者の団体、実演家の団体、レコード製作者の団体、この三つの団体が指定管理団体というものを録音及び録画に関してそれぞれ全国一本で一つつくる。そしてこの三つの団体がその指定管理団体に請求権の委託をするということでございまして、その委託を受けた指定管理団体が要するに機器・機材のメーカーなどから蔵出しで徴収をするのでしょうか、どうでしょうか。ユーザーから取る前に製品が工場から出る蔵出しの段階で徴収されるのかどうか。
○佐藤(禎)政府委員 最初の御指摘の中で、指定管理団体はそれぞれの著作権者から権利の委託を受けてそれを行使をするのかということにつきましては、整理としてはそういうことで結構だと存じますけれども、通常の委託と異なりまして、個々の権利者が個別に委託をするのではなくて、法律上当然委託をされていく、こういうシステムをつくっていくということでございます。 後段お尋ねの実際の取り方のルールというのは、これから細部は詰めなければいけませんけれども、私どもの理解といたしましては、仰せのように、蔵出しのところでそれを押さえていくということで確実であろうというふうに考えているところでございます。
○真鍋委員 そこで、百四条の五をつけ加えて、製造業者等の徴収協力義務というものが規定をされているわけでございますが、これについて一体製造業者というのは幾つくらい団体があり、どうなっておるのか。つまり、これもアウトサイダーみたいなのができると変になりますので、そのあたりはうまく整理されておるのか。つまり、業界が幾つあって、その業界にはちゃんと製造業者が全部入っておるのでしょうね。ディジタルですからこれからのことですけれども、アナログの類推で結構ですが、そうでしょうね。その製造業者に了解を得ておるのでしょうか。 それから、もう一つは、この製造業者がもしもずるをしまして、数字を間違えて、本当は一万台売ったのに、出したのに、八千台と出したときに、一体そのあたりの不正に対してはどういう罰則というのか、どういう追及の手段があり得るのか、そのあたりちょっと教えてください。
○佐藤(禎)政府委員 現在、この問題に対応するに当たりまして私どもが協議をしております製造業者の団体は二つの大きな団体がございます。一つは社団法人日本電子機械工業会、EIAJと略称されている団体であります。いま一つは日本磁気メディア工業会、MIAJと略称されている団体でございます。私どもこれらの団体とこの問題の初めからこの整理の仕方について御意見を伺いつつ、また御協力を得られるという、そういう御意見をいただきながら進めさせていただいているわけでございます。そのうち、これからディジタルの機器に相当するものを発売するであろうというものの社の数というものについては一応の調査がございます。 既に六十二年から発売をされておりますDATにつきましては、録音機器の会社が十七社、記録媒体の会社が十一社ございます。それから、ことしから発売になりましたDCCにつきましては、録音機器が三社、記録媒体が四社となっております。また、MDにつきましては、録音機器が二社、記録媒体が二社というような状況でございまして、いずれも先ほど申しました団体に加盟をいたしておりますし、またその中で、こういう取り扱いをするということについてはるる御相談をしながら進めさせていただいておりますので、協力をしていただけるものというふうに考えている次第でございます。 なお、最後にお尋ねのように、何らかの形でその義務が履行されないという場合にどうなるかということでございますけれども、これは基本的には私権同士のことでございますので、罰則をもって強制するということではなく、義務違反があれば通常の民事上の手続によってその実現を求めるということになるのでございます。
○真鍋委員 不正をどうやって——信頼でやっていくのでしょうけれども、そのあたりちょっと気になったものですからお尋ねしたわけでございます。 それで、最終的にユーザーに来たとき、機器を買う人たちに来たときに、これは内税になるのですか。税といったらあれですけれども、要するに込められて、込みですよというのか、それともこれには九百八十円かかってますよというのを表示をされるのか、そこはどうなんでしょうか。 それから、もう一つは、ユーザーというか購入者が、私は絶対そういった録音をしないんだからといいますか、これに当たるようなことはやりませんということ。つまり返還の規定がございますけれども、しかし、返還の規定というのはまず払った後で返還請求、こういう理屈ですから、その場で、店頭でもめごとが起こるということをどうやって回避するのか。そこのところはちょっと気になるものですから、ある程度の答えがいただければいいと思うのですが、いかがですか。
○佐藤(禎)政府委員 最初の表示の件でございますけれども、今回法律の附則におきまして、六月以内で政令で定める期日からというふうに若干余裕をちょうだいいたしておりますのは、その辺についての製造業者等の準備の必要があるからでございます。 具体的には、各製造業者はパッケージにおきまして、この中に私的録音・録画の補償金が含まれているという旨の表示をすることを現在考えているわけでございまして、小売においてそれぞれ買ったものにはそのものが含まれています……(真鍋委員「金額は明示しない」と呼ぶ)金額は明示をいたしませんけれども、その旨を表示するということが現在考えられているわけでございます。 いま一つは、クレームのことでございますけれども、これはもともと一括した補償を求めるという趣旨は、それぞれのユーザーから個々の権利者が取り立てていくということは実現不可能であるということから統一的な処理が必要である、したがって、指定管理団体を設けて処理をするわけでございますけれども、本法案の中におきましても、こういった事務処理はすべて指定管理団体において行うということにいたしておりまして、個々の小売店頭でそのようなもめごとが発生をしないようにしているわけでございます。
○真鍋委員 論理上は発生しないようになっていますが、実際は発生する可能性はあると思います。 それはそれとしまして、そこで、とにかく今のアナログの普及状況というのは、録音に関しても録画に関しても八割、九割という普及状況であるわけでございます。これがディジタルがいよいよ出たわけですけれども、出て、どんどん何年かのうちにすぐもう変わってしまうのだ、こういうことならよくわかるのですけれども、そこはやはり並行して残っていくんだということになりましたら、一部商品についてだけ負担を課する、競争上の制限を片一方にだけは課していく、こういうことになってくる可能性があるわけでして、そこのところはよほどよく考えておかないと、この自由競争社会、自由経済の観点からいきまして問題が生ずると思うわけでございますが、そこはどう見ておられるのですか。もうアナログからすぐディジタルに、これは質的、つまり能力が全然違うのだからどんどん変わっていくのです、数年のうちに変わっていくのです、こんなことでしょうか、どうでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 これは見方でございますので、私といたしましても確定的なことはなかなか申し上げにくうございますけれども、関係者のお話を伺っている限りにおきましては、今後、従来のアナログ機器にかわってディジタル機器の普及というものが急速に進むのではないかということが関係者の間では見通されておりまして、将来的にはディジタルの機器が主流になるというふうに予想する向きが多いわけでございます。そしてまた、今御指摘のように、従来機器との競争ということを考えます場合に、性能という点におきましては、従来のアナログ機器とは格段に異なっておりますところから、ディジタル機器の製造者が今回の賦課金のゆえをもって特別の負担を強いられるものではないだろうというふうに見ているわけでございます。
○真鍋委員 さて、それで補償金の額というのは、これは指定管理団体が原案をつくるというか、つくってくるのですけれども、それを文化庁長官が認可する、こういう規定になっておるわけですね。この場合に「録音又は録画に係る通常の使用料の額その他の事情を考慮した適正な額であると認める」、こういうことを書いてあるのですが、これはどういうふうに、適正というのは何から見るのでしょうか。ユーザー、払う側からいって適正というあれなのか、それとも権利者である著作権者からいって適正なのか。両方の適正は大きく離れておるから真ん中が適正なのか、ちょっとそのあたりをどんな感じで見ておられるのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 補償金の額の認可につきましては、今回の法案百四条の六の第四項に一応の考慮事項が掲げてございます。三種類のものがございまして、一つは「三十条第一項の規定の趣旨」、二つ目には「百四条の四第一項の規定の趣旨」、そして三つ目には「録音又は録画に係る通常の使用料の額その他の事情」、こういうふうになっているわけでございます。 最初の「三十条第一項の規定の趣旨」ということにつきましては、これは権利者の許諾を得ることなく自由に行うことができる私的録音・録画というものが広く国民の間に普及をしている、今までそういう秩序の中でやってきたということから、それぞれの購入者の理解を得られるようなものでなければいけないという要素を掲げているというふうに理解をいたしております。 それから、「百四条の四第一項の規定の趣旨」ということにつきましては、請求の額というものが権利者の権利保護の実効性あるいはその利用者の利便ということを考えて、補償金の支払いの特例を一括の支払いという形で認めたという事情があるわけでございますので、権利者と購入者の双方にとって妥当な額になるようにという観点が示されているものと考えるわけでございます。 そして、三つ目の「通常の使用料の額その他の事情」ということの読み方でございますけれども、これは通常支払われます使用料の額とのバランスということと、それから加えて、ディジタル方式に限定をしたというような事情がございますので、さらには外国の事情その他を考慮して、少なくとも通常の使用料を上回るものであってはおかしいと思います。そういったことを総合的に勘案をすべしというふうに理解をしているわけでございます。
○真鍋委員 なかなか総合勘案、難しいな、微妙なところであるなというふうなことを感じました。いずれにせよ、製造業者の立場、ユーザーの立場、そしてまた権利者団体の立場、いろいろあるわけですから、ひとつ遺漏なき運用を今後においてお願いしたいなと思うわけでございます。 時間がだんだん迫ってまいりましたので、質問になるかどうかわかりませんが、一つお願いをしておきたいのは、この補償金を受領する団体でございます。これの組織というのは、しっかり組織率を高めていただいて、クレーム基金をつくるらしいですけれども、いやしくも被害をこうむる権利者が出てこないようにひとつよろしくお願いしたいし、また、各団体への配分比率につきましても、私はよくわかりませんけれども、ひとつよく考えていただかなければいかぬのかな、これは時代時代で変わっていくものですから、そういう気がいたすわけでございます。 そこで、日本国内でこうやってだんだん権利者を保護していく法制が整備されて結構なことなんですが、海外において、特に東南アジアで、いわゆる海賊版ということで著作権者等の権利が侵害されていく、こういうことがあるわけでございますけれども、その点について少し伺いたい。 時間が来たので、今のはまた後で質問が出るかもわかりませんから、またこれは私の質問の趣旨というふうに受けとめていただきまして、最後に大臣にお尋ねを申し上げたいのですが、この法案が成立をすれば権利者の権利が一層保障されることになりますし、また一般の利用者との利害の調整もより適切に行われることになると思います。その差配ぶりは大変難しいことにはなると思いますけれども、今後、著作権制度のさらなる改善に向けて、大臣の取り組み姿勢というものをこの際お伺いさせていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 今先生の御質問と佐藤次長とのやりとりを承っておりまして、著作権をめぐる法改正を今お願いをいたしておりますが、実際にはその運用、例えば団体はどうなっておるかとか、あるいは適正な額というのはどういう概念であるか、今後のそういう運用も大きな課題であると思いますし、あるいは東南アジア、海賊版等のお話がありましたが、これは我が国がいわば著作権の、知的所有権の先進国となっていくことによって、いわば国際貢献の一環として、全地球的に著作権思想を普及する側の国になっていくというのが我が国に求められているところではないかと思うわけであります。 正直申し上げて、著作権法と科学技術の発達、あるいは著作物の利用形態、社会の状況等の変化、これが追いかけっこのような形になってきていると思いますし、こういうことが起きてきたからこういうふうに著作権法を変えましたということで、もう私が知っているだけでも六回も七回も改正をお願いしてきているわけでありまして、これからもまさに科学技術の発達のぐあい一社会経済事情の変化等を見まして、適宜適切な改善に努めていきたいと思っております。 著作権審議会の先生方にいろいろと御審議をお願いをしているという点、あるいは当然関係団体、著作権や著作隣接権をお持ちの団体の皆様方からの御要望、例えば、きょうも後で質問が予想されますが、映画の二次的な利用などという問題があって、かつてはそういうことはなかったのですが、今、昔の映画がいろいろな形で放映されるようになってくると、二次的な利用をするときに自分たちにも何らかの経済的利益をという声が強まっておりますが、そういう関係団体からの要望というのもありましょうし、あるいは国際的な動向、こうしたものを見きわめながらやっていきたい。今後予想されるのは、例えばマルチメディアが発達した場合どうなるかとか、あるいはレコードの再生演奏の場合、あるいは写真の著作物の保護期間、あるいはコンピューターを用いて作製される創作物をどう見るか、あるいは版面権と前から問題になっておりますが、出版物の複写にかかわる権利の問題あるいは衛星放送など多様な通信手段の発達に伴って出てくる問題等いろいろありますので、当然、追われて改正をするということではありましょうが、できるだけ我々も法律の方も先へ行くように努力をしたいと思っております。
○真鍋委員 終わります。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 次に、宇都宮真由美君。
○宇都宮委員 まず大臣に、今回のこの改正につきましては、関係著作権者等にとりましては十五年来の悲願といいますか、ずっと要望してきたことがやっと実現しそうであるということなんでございますけれども、今回のそういう背景から見まして、今回の改正案につきまして、できというか満足度、そういう著作権者の皆さんの声に十分こたえることができるものになっているかどうか、そのあたりの感想をちょっとお聞きしたいのでございますが。
○鳩山国務大臣 先ほどのやりとりにもありましたように、これは今後の運用の問題、報酬金の額の設定は文化庁長官の権限に係らしめているのかと思いますが、あるいは真鍋先生からお話があったように、団体の組織率のお話もありました。それは著作権者側、隣接権者側のお話もありましょうし、また、機器・機材を作製する方で技術が発達していって、今ではどことどこがつくっているとはっきりわかっていますが、簡単にそういうものがつくれるようになれば、潜りの業者があらわれてきたらどうするかとか、そういう運用の問題等も含めて、今先生のお話に照らして言えば、できるだけ著作権者や隣接権者の方々に御満足いただけるようなハイレベルの特典を得られるような運用を目指していきたいというふうに考えるわけであります。 先生お話しのように、十年来、十五年来、二十年来の悲願という面があろうかと思っておりまして、そもそもが著作権法三十条というものを私も初めて読みましたときに、私的な録音・録画等、私的な複製というものは自由かつ無償だということが書かれてあって、私的というのはどういう概念でくくることができるのかなこと、非常にこれは難しい条文、問題の起きやすい条文だなというふうに私も最初から、初めて国会議員になったときから思っておったわけでありまして、例えば、そのときに起きた問題として貸しレコードという問題がありました。今、ガットのウルグアイ・ラウンド、昨年、一年前からいろいろなペーパーが出回って、これがどうなるかは農業交渉の推移によるのではないかと思われますけれども、私は、現在貸しレコードというような業態を一つの若者文化としてこれを認めている立場にはありますが、実は、私は、衆議院の商工委員会に商工委員として、当時の安倍通産大臣に対して、貸しレコードという業は、著作権法三十条を巧みに利用した脱法行為というか、人の権利を侵害する行為であるからして、これを取り締まるべきであるという質問をいたしたことがございます。それも結局、この著作権法三十条というものをうまく解釈して、うまく手玉にとるような形でいきますと、ああいう貸しレコードが一時ぐんと伸びたような実態が生じるわけですね。そこで、いわゆる貸与権を一年間の許諾権と四十九年間の報酬請求権という構成をして現在に至っておるわけでございまして、あのときにも著作権者や著作隣接権者の方々とはしばしばお会いをいたしまして、この三十条という条文は非常に問題が起きやすいなどとお話をしておったわけでありますが、今回もこの三十条にいわば手を加えて、文化の再生産のためには著作権者や著作隣接権者がきちんと経済的に潤うことが必要でございますので、そういう観点から今回の改正をお願いをしておるということでございます。
○宇都宮委員 ただ、今回の改正がディジタルに限ったということですね、アナログは対象外ということ。その点は、技術的なものとして仕方がないという立場からそうなったのでしょうか、それともディジタルの場合だけに限って決めておけばそれで十分だという観点からそうなったのでしょうか。その点、いかがお考えでしょうか。
○鳩山国務大臣 先ほどの与党質問の中で、どれくらいの上がりになるかというのは問題ですよという話がありましたが、ヨーロッパの例として百億とか百数十億というような数字を私は散見いたしましたが、それはどうもディジタルとアナログを区別していないケースかなというふうに思ったわけでございますが、しかし、我が国については、またアメリカもそうだったと思いますが、アメリカも立法したばかりだと思いますが、いろいろな事情があって今回アナログは含めないという形にしたと思いますが、その点については佐藤次長が詳しく御説明申し上げます。
○佐藤(禎)政府委員 今回の御提案の経緯については、先ほどお聞き取りをいただいたわけでございますけれども、現行法の秩序がベルヌ条約で定めております国際基準、すなわちベルヌ条約、パリ改正条約の九条二項に照らして、機器の発達の状態というものが権利者の利益を脅かすに至ったのではないかという事情が根底にあるわけでございます。殊に、ディジタル機器というものが出現をいたしてきますと、アナログに比べて高品質の録音・録画が可能でございまして、複製をしても劣化がないということから、権利者のこうむる不利益は大きいというふうに予想されるわけでございます。 この点は、委員御指摘のように、理論的に仕方がないのかということになりますと、実はこの問題を検討いたしました著作権審議会の第十小委員会の報告の中では、著作物の利用という観点から眺めてみれば、アナログとディジタルを区別すべき理論上の理由はないと考えております。ただ、ユーザーやメーカー等の理解や協力を得てこの制度を円滑に導入をするということを考えますならば、ディジタル方式のものに限定することが望ましいだろうというのが著作権審議会の結論でございます。 また、こういう検討結果を受けまして、私的録音・録画の協議会が関係者の間で持たれてきたわけでございますけれども、昨年の十二月来行われてまいりましたこの協議におきましても、制度の導入に当たっては、補償金の対象はディジタル方式のものに限った方がよいということで意見が一致をしている、こういう事情があるわけでございます。
○宇都宮委員 ディジタル方式の方に限った方が望ましいという根拠はどういうところにあるのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 ただいま申しましたように、一つはこういったディジタル機器の開発発展に伴って権利者の受ける経済的な利益の損失というものが大きくなると想定をされるということ、いま一つは著作権審議会が申しておりますように、ユーザーやメーカーの協力や理解を得ながらこの制度を円滑に進めていくというためには、ディジタル方式に限定をして進める方が望ましいということを根拠にしているわけでございます。 なお、十月の末にアメリカで類似の補償金制度ができてございます。立法化されてございますけれども、今回のアメリカの制度の中におきましても、ディジタル方式の録音機器等に限ってこの制度を導入をしている、こういう潮流にもなっているわけでございます。
○宇都宮委員 今までのアナログに比べてディジタルの方が権利者の損失が大きいと予想されるということがディジタルに限る一つの理由になっていると思うのですけれども、アナログと比べてディジタルの方がどの程度損失が大きいというそういう試算というのは検討なさいましたか。
○佐藤(禎)政府委員 数量的な検討といいますか、定量的にこれをつかまえるということは大変難しいことでございまして、そのことは基礎に置かれてございません。 ただ、性能面から見まして、定性的な比較になりますけれども、アナログ方式の録音・録画というものが再生、録音を繰り返すたびに劣化をしていくというそういう性質が大きいわけでございますけれども、ディジタル方式におきましては、原音を忠実に録音、再生できるという機能が大きいことから、その品質上の差異が格段に違っているということが議論されたわけでございます。
○宇都宮委員 ちょっとこの点また後で、ちょっと後のところに関連しますので後の方に回していただきまして、まず、今回三十条二項で補償金の制度が導入されるわけなんですけれども、この補償金請求権といいますか、この権利についてお聞きしたいと思います。 著作権者、そして実演家、レコード製作者に補償金請求権というものを与えることになるのですけれども、この補償金請求権と著作権者の権利、著作権だろうと思います。そして実演家の権利、レコード製作者の権利、それぞれの権利関係について、ちょっと先ほどの質問もあったかとは思いますけれども、それぞれについてちょっと関係を教えていただきたいのですけれども。
○佐藤(禎)政府委員 著作権法上の権利は、大別をいたしまして著作権と著作隣接権というものに分かれているわけでございます。そして著作権はこれまた著作者人格権と狭義の著作権に分かれているわけでございます。今回問題になっております複製権は、この狭義の著作権の一種の代表選手であるわけでございます。 この複製権の中身には、一つには、許諾をすることができる、裏返して言えば差しとめをすることができるというような物権的な性格を持っているわけでございます。いま一つは、許諾をした場合に相当の報酬額を得るという債権的な性質もあわせて持っているわけでございます。この複製権につきましては、三十条に該当する私的録音・録画の場合にはこれが制限をされている、つまり許諾権も報酬請求権もない、自由にかつ無償で行えるというのが現行のシステムでございます。著作隣接権についてもこのことは準用されているわけでございます。 今回のシステムにおきましては、この秩序を見直しまして、許諾権については現在のままである。つまり、自由に録音・録画できるわけではございますけれども、それに伴って生ずるであろう利益を一括の支払いとして請求をすることができる。つまり、債権的な部分については、これを一種復元をしたというような形になっているというのが今回の権利の構造だろうというふうに理解をいたしているわけでございます。
○宇都宮委員 では、著作権者の場合と実演家の場合、レコード製作者の場合、それぞれ同じように、著作権あるいは著作隣接権との関係においては同じように考えてよろしいわけですか。
○佐藤(禎)政府委員 ただいま申しましたように、著作権についての制限というものは隣接権についても準用され、同じようなシステムになっておりますので、委員御指摘のとおり、同じようなシステムを働かせようとしている、こういうふうに御理解をいただいて結構かと存じます。
○宇都宮委員 そして次に、補償金請求権を有する者として著作権者と実演家とレコード製作者が挙がっているのですけれども、この権利を有する主体としてほかに問題になった点はなかったか。 例えば、これは映画監督など問題になると思うのですけれども、このことは著作者が著作権者と認めていない、映画監督については、映画については。そのあたりに問題があろうかとは思いますけれども、補償金請求権を有する者としてこの三者だけで十分とお考えかどうか。そのあたりの点をちょっとお聞きしたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 今回、このシステムを考えます場合の権利者の範囲の考え方でございますけれども、これは権利が制限をされているということによって生ずる損失の補償というそういう制度導入の趣旨からかんがみまして、もともと録音・録画権、つまり複製権を持っているということが一つ。それから、いま一つは、私的録音・録画によってその経済的な利益が害されている、そういう二つの要素を考慮して決められるというふうに考えるわけでございます。 こういった観点から考えます場合に、直接の対象となりますものは、御提案申し上げておりますように、原著作権者とそれから実演家、レコード製作者とすることが適当だと考えたわけでございます。 そのときに、そのほかにだれかいなかったのかという御質問でございますけれども、類似の権利者という立場に立ち得る者としては、放送事業者ないしは有線放送事業者というものが想定をできるわけでございます。 ただ、これらの権利者につきましては、放送というものはそもそも放送番組が放送され受信をされたことによって目的を達しておりまして、それ以後の放送に対する影響ということを考えてみました場合に、固有の権利が害されるという程度は極めて少ないというふうに一般的には考えられているわけでございまして、放送事業者等は今回対象としなくてもよいであろうということが結論として出されたわけでございます。
○宇都宮委員 放送事業者等はわかりましたけれども、映画監督とか演出家とか、映画の場合は著作権法自体がちょっと特殊に扱っていると思うのですけれども、そのあたりの点は問題になりませんでしたか。
○佐藤(禎)政府委員 映画の場合は、現行著作権法上、第二十九条によりまして、映画製作に参加をしたときには、それぞれの人々の原著作権の著作権は消えまして、映画の製作者に全部吸収されることになっているわけでございます。つまり製作に参加をしたときには映画の製作者が著作権を持つことになるわけでございます。したがって、今回制度を考えます場合に、映画監督その他の参加をした人々はもともと権利が消滅をしておりますので、その対象とすることは考えにくいわけでございます。 むしろこの問題は、それより以前に、現在の著作権制度上における映画製作についての著作権の取り扱いがどうかという別の次元の問題であろうかと考えております。
○宇都宮委員 それはおっしゃるとおりでよくわかるのですけれども、では、もとに、一歩原点に返りまして、大体著作権というのは、そもそもが人間の精神的な労働といいますか、知的な作業に対して、その結果を保護しようというのが著作権の本来の趣旨だろうと思うのです。そういうふうに見れば、むしろ映画の場合は監督の方に著作権を残す方が本来の趣旨からいえば妥当ではないかと思うのですけれども、そのあたりは全く議論にはなっておりませんか、現在。
○佐藤(禎)政府委員 仰せのとおり、このことは一つの課題にはなっているわけでございます。著作権審議会の中におきましても、このことの議論を行っていただいておりまして、本年三月に著作権審議会の第一小委員会で一応のまとめが行われております。 そのまとめの中身は、一つは、映画の利用についての広範な影響を及ぼす可能性がある。この秩序の見直しということについては、映画の利用についての広範な影響ということを考えなければいけないということが一つ。 いま一つは、映画の製作に当たって多くの権利者が参画をするわけでございますので、この多くの人々の権利関係をスムーズに処理をするためのシステムという観点からこの問題を考えていかなければいけない。 三つ目には、先進諸国との権利のハーモナイゼーション、調和ということが問題になります。おおむね映画につきましては、諸外国も我が国の法制と同じように映画の製作者に著作権が帰属をするというシステムになっているものが一般的でございますので、それとの調和ということをかたがた考えますと、現在の著作権審議会の認識によれば、直ちに制度改正を行うことは困難であるというふうな結論に立っているわけでございます。 ただ、これに派生をして、その映画の二次利用ということについては別の問題がまた派生をしてきておりまして、著作権が全部消滅をすることに伴い、最近の衛星放送その他の進歩に伴って映画が二次的に利用されるようになる、その利用についての補償が十分に与えられていないのではないかという観点が、特に映画監督等の関係者から述べられているわけでございますので、この点について関係者の協議会を持って検討するようにということが言われておりまして、現にこの協議会を発足をさせ、御協議をいただいている、そういう状況にあるわけでございます。
○鳩山国務大臣 私は詳しいことはわかりませんから間違いがあるかもしれませんが、先ほどからお話をしておりますように、著作権という知的所有権は、人間の文化的活動の歴史とともに始まってまいりましたから、当然その文化の発達あるいはさまざまな科学や技術の発達に伴っていろいろ変化してきていると思うわけでございます。 したがって、今先生から映画のお話がありまして、私は詳しくありませんから本当細かい知識では間違っているかと思いますが、少なくとも、今私どもはテレビでいろいろなドラマを見ることができますし、またビデオ屋さんに行くといろいろなものが置いてあるわけですが、当初映画というものができたときには、これは映画館に見に行くものであったわけでございまして、そうした映画をつくって、これをだれが上映していいか悪いかということで、映画については頒布権という考え方があったはずです。今でもあるわけでございまして、たしか上映していいかどうかというのを最後の最後まで追いかけていく権利が映画にはある、こう言われているのですね。これは要するに、映画というものがいつごろの時代にどうやってできてきたかという、その沿革によっていろいろな権利構成が微妙に変わってきている部分があるわけでございます。ですから、今後その辺を調整をして時代に合わせていくのが文化庁の仕事になってくるという認識をいたしております。
○宇都宮委員 ありがとうございます。 じゃ次に、補償金請求権の額ですね。これも先ほどから出ていると思うのですけれども、この額を決めるに当たりまして協議した当事者といいますか、これは本質的には指定管理団体が定めて文化庁長官が認可するということになっていますけれども、それまでにその額を定めるに当たりまして協議した当事者、そしてまた、どういうところからその額をはじき出したかという算定方法をちょっとお聞きしたいのですけれども。
○佐藤(禎)政府委員 今回御提案を申しております制度の基本は、昨年の十二月に著作権審議会第十委員会で示されたわけでございますけれども、この報告を受けまして、関係者による私的録音・録画問題の協議会というものが設けられまして、実際にどのような運用をしていくかということの協議がなされてきたわけでございます。この協議会には、著作権者あるいは隣接権者、それから関係の機器メーカーの代表、さらには学識経験者、それから地婦連等の消費者の代表者も加えて、ここで細かい実行上のことが議論をされてまいったわけでございます。今回予定をされます金額につきましても、この場におきまして皆様で御協議をしていただき、それぞれ了解を得るに至った金額というもので当初スタートをしようというわけでございます。 理論的には、先ほど私からお話申し上げましたように、法文上一つのクライテリアがあるわけでございますけれども、実際の金額というものは、そういう関係者の場で、間で協議をし、円滑に実施が進められるようにという観点から考え、検討されてきているわけでございます。実際の金額としてこの場で現在了承を得られておりますのは、機器につきましては、一年目、二年目は一%、三年目は二%に、機材については、一年目、二年目は一%に、三年目は三%にというような金額が合意に達している、こういう状況でございます。
○宇都宮委員 著作権あるいは著作隣接権の評価というのは難しいと思うのですけれども、著作権の評価といいますか、そちらの方からはじき出した額ではないのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 こういう制度がもしなくて、かつ権利の制限がないとした場合に複製権の侵害に対してどういう金額を請求できるかということが一つ問題になるわけでございます。この算定は個々のケースに即してやらなければなりませんので大変難しゅうございますけれども、一般的には、それによって利益を得た場合には、それは損害額とみなすというような規定がございまして、それはかなりの金額に恐らく上るだろうと思います。しかし、これは確定できる金額ではありません。 一方、この制度では、今回機器と機材に広く薄く一括した補償金をかけるということによって権利者の権利を保障しよう、そういう趣旨を考え、かつまた、利用者側の立場を考えますと、そういった通常の金額というような金額に上ってはならないだろうという配慮が働くわけでございます。その金額が定量的に幾らであるかということはちょっとお答えすることはできませんけれども、これは経験もあり、いろいろ各国の実情ということも見ながらおおむね妥当なところへ定まっていくもの、このように考えるわけでございます。(「委員長」と呼ぶ者あり)
○伊藤委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○伊藤委員長 それでは速記を起こしてください。 質問を続行してください。宇都宮君。
○宇都宮委員 多分補償金の額のことを聞いていたと思うのですけれども、両方とも一年目は一%でしたかと定めた場合に、初年度に指定管理団体に入ってくる額の試算はどの程度とお考えになっていらっしゃいますか。そして、その将来の見通しにつきまして、もししていらっしゃれば教えていただきたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 これは見通してございますので、これもなかなか確定的に申し上げることができませんけれども、関係者の見通しによりますれば、平成五年度での市場規模は、機器と記録媒体を合わせまして約四百億円というふうに推計をされているわけでございます。そのことから計算をいたしますと、補償金総額は恐らく二億五千万円程度になるのではないかというふうに推定をされているわけでございます。 その後の推定はなかなか難しゅうございますけれども、平成七年度の売上総額というのはおよそ一千億程度になろうか、そういうような推計もございます。
○宇都宮委員 七年で一千億というのは、機器、媒体の売り上げですよね。機器、媒体の売り上げからその指定管理団体に入ってくる額というのは、どういうふうにして計算するんですか。
○佐藤(禎)政府委員 これは、売上額はそのものが推計であります上に、その中で機器のお金と機材のお金をどのように割り振って計算をするかというのは大変難しいところがございます。先ほど申しました平成五年度の補償金の額を計算をいたしました場合には、およそ機器が八割、記録媒体が二割というような割合で計算をして二億五千万というような推計を申し上げたわけでございますけれども、それを延ばしてまいりますと、平成七年に一千億の市場規模が達成をしたというふうに想定をいたしますと、補償金額、その総額は約十三億四千万円というふうに推定をしているわけでございます。
○宇都宮委員 それから、ちょっと飛ぶのですけれども、私的録音とか録画以外に利用するということを証明した場合に補償金を返してもらう、還付を求められるというのがありますね。その制度についてちょっとお聞きしたいのですけれども、むしろ私、なかなか一遍支払ったものを、例えば個人なんかだったら額も少ないし、一々還付の手続をするのは面倒くさいということで、むしろその機材・機器を買うときに、こういう目的に使いますということを証明して、その補償金を払わない、払わなくてもいいような、そういう制度にした方が消費者にとっては便利じゃないかと思うのですけれども、そういうふうにはできないという理由がありましたら、どうしてそうならなかったのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 この制度の成り立ちそのものが、補償金の支払いの義務の対象になります特定の機器あるいは記録媒体が、購入後においてそれらを用いて私的録音・録画行為が行われる可能性の高い民生用の機器や記録媒体に限ってスタートしておりますので、もともとそれ以外に利用されるというケースというものは極めて少ないだろうというのが一つございます。それとは別に、購入時にそういった機器やテープといったものを私的に用いないという証明を個々の小売業者が確認をするということは大変難しいことでございます。全体として、この指定管理団体が統一的な処理をするという趣旨から考えますと、それぞれの小売店に負担を課すというシステムということを想定することは適当ではなかろうということが基本になっているわけでございます。
○宇都宮委員 還付を求める先は指定管理団体ですよね。その場合にもやはり証明をして、私的録音・録画以外の用に供するということを証明して返してもらうわけでしょう。そういう証明というのは、例えば、ではどういうことあるいはどういう書類、どういう事情があれば証明したことになるんですか。
○佐藤(禎)政府委員 ここで定められております補償金の返還の対象となるケースというものがどういうものがあるかということからまず考えなければいけないわけでございますが、およそ三つぐらいあるだろうと思っております。 一番典型的なケースは、もともと権利の制限が働いている、つまり学校において教育目的に使うというものは著作権法上権利の制限が働いているわけでございますけれども、学校において教育に使う、図書館で図書館の業務に使う、そういったケースについては当然返還をする対象になるということは大変わかりやすいわけでございます。 これは典型的なケースでございますけれども、例外的にあと二つのケースがあるだろうと思っております。一つは、その権利の目的となっている著作物は一切録音・録画いたしませんということをそれこそ証明をしなければいけないわけで、これは一般論としてそのことの証明は難しかろうと思っております。しかし、理論としてはそういったケースも想定できないわけではないというのが第二番目でございます。 それから、三つ目は、もともとその著作権が働くケースであります。もともと私的録音・録画ではない、会社が業務のために著作権を侵して、その録音・録画の機材を使っているというケースがありますれば、これは私的録音・録画ではありませんから補償の対象にはなりません。しかし、それは著作権料を払わなければいけない、もっと高額なお金を払わなければいけないという関係になりますので、こういう還付の請求をするというケースは実務的にはあり得ないだろうと思っております。 いずれにいたしましても、理論的にはその三つのケースがございますが、実務としてこういったものをできるだけスムーズに行っていくにはどうしたらよいかということについては、若干その実際上の積み重ね、経験の積み重ねということも必要でございますけれども、私どももできるだけ簡便な形で指定管理団体が円滑にその返還事務を実施できるようなルールをつくるということについてお手伝いをしていきたい、こういうふうに考えております。
○宇都宮委員 その三つのケースの場合なんですけれども、例えば学校において使うとか図書館で使うんだというのは別に小売店で買うときにでもすぐ証明できると思いますが、個々の場合で絶対に私的録画・録音には使いませんという証明をすることは難しい、そういう証明は難しいと言われるのであれば、小売業者に対して証明するのも小売業者が認定するのも難しいし、指定管理団体が認定するのも結局難しいわけで、あえて指定管理団体に還付を求めるという理由には特にはならないと思うんですけれども。
○佐藤(禎)政府委員 この制度全体が一括した支払い等々という全体的な、統一的な処理ということを前提といたしておりますので、私どもとしてはできる限り店頭でトラブルを起こすというようなことは避けたい。したがって、指定管理団体で全部の整理をする、そのかわり今お話しのような学校で教育目的に使うというものについてはできるだけスムーズな形で返還ができるよう、そういうようなルールをつくってさしあげたい、こういうふうに考えるわけでございます。 理屈を申しますと、学校が使うからといって全部学校教育の用途に使うとは限りません。福利厚生目的で使うということもございまして、これは還付の対象にならないわけでございます。ではございますけれども、そういった大数的な処理をするルールをできるだけ決めまして、円滑な形で、かつ店頭で負担をかけない形でスムーズに実施をさせていただきたい、こういうふうに考える次第でございます。
○宇都宮委員 こだわるようですけれども、例えば鳥の声を録音するとかいう場合は、こういう著作権の問題はないですよね。例えば個人がそういう目的のためだけに使う、カメラマンが写真を撮ったりとかだけに使うという場合には、個人だから還付の額というのはすごく少額になると思うのですよ。それも一々指定管理団体のところへ行って請求しないといけないというのはすごく面倒くさいなという気がするのと、大体一括処理とか、そういう能率性みたいなもので、大きな制度の中でいつも消費者が何か保護されていないという状況があると思うのですけれども、そのあたりをむしろ消費者の方に目を当てて、視線を当てて、どうすれば消費者に便利か、少々の不便はメーカーなりむしろ大きいところにかぶってもらったらどうかという気が正直言ってするのですけれども、これが最後ですが、そのあたりどうでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 仰せのように、この制度を考えます場合に、個々の利用者の利便ということは一つの大きな視点になっているわけでございます。したがいまして、法律本則によれば個々の利用者がそれぞれ請求関係、支払い関係に立たなければいけないものを、メーカーにその利用義務、協力義務を課すことによって大数的な処理をするわけでございます。確かに店頭の方が手近であるという論はあると思いますけれども、逆に、店頭での扱いが統一的な取り扱いではない、ばらばらな扱いであるということになりますと、むしろそれぞれの利用者にとっての利便ということからは問題が出てまいるわけで、むしろ一括的な処理をすることによって全体の補償金額も安くなり、そして統一的な処理ができるということに価値を置いて考えているわけでございます。
○宇都宮委員 ちょっと変えますけれども、先ほどからずっと言われていますが、大体著作物の複製というのは、原則は著作権者の許諾が要る、なければできないというのが原則ですよね。それが私的使用の目的の場合には許可もなくかつ無償でできる。ただ「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製するときを除き、」そういう規定はありますけれども、私的使用の場合には複製できるというのが今までの三十条だったと思うのです。それを今回ディジタル方式の機器を使う場合には、私的使用の目的の場合にも補償金を支払わなければならない、そういうことですよね。だから今回のディジタル、補償金を支払わなくてはならないという場合は、やはり私的使用の場合だけに限っているわけですよね。私的使用ではない場合は今までと同じ扱いというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 そのとおりでございます。
○宇都宮委員 そうしますと、やはり私的使用外の場合にはアナログであろうとディジタルであろうと、どちらの場合にも著作権者の許諾なしてはできないし、許諾なしでした場合には、差しとめとかあるいは損害賠償の対象になるということですよね。
○佐藤(禎)政府委員 少しさかのぼったところからお話をして恐縮でありますけれども、著作権法の中では、第三十条から第五十条にわたりまして著作権の制限の規定を数多く置いているわけでございます。それはいろいろな立法趣旨から出ておりますけれども、おおむね四つくらいのものがその中に含まれてございます。一つは、その著作物の利用の性質から見て著作権が及ぶことが妥当ではないだろうというようなケース、二つ目には、公益上の理由から見て著作権を制限することが必要な場合、それから三つ目には、他の権利との調整のために著作権を制限する必要がある場合、それから四つ目には、社会慣行として行われており、著作権の制限をしても著作権者の経済的利益を不当に害さないと認められる場合、こういった四種類のものが考えられるわけでございます。これは著作権法第一条に定めております「文化的所産の公正な利用」という点に考慮をしてそれぞれ定められたものというふうに基本的には理解をしているわけでございます。 三十条に定めております私的利用というものは、まさにその著作物の通常の利用と衝突をいたしません。著作権者の経済的な利益を害するおそれがないと認められるケースとしてそのような制限が設けられたわけでございますけれども、そういった利用という観点から見れば、私的利用の範囲というものは、アナログであれディジタルであれ、御指摘のように変わらないわけでございますけれども、その制限ないしはその制限を外す理由の基本になっております私的録音・録画による権利者の不利益の度合いでありますとか、円滑な制度の導入といったような観点から、今回はその補償の対象をディジタル方式に限っている、こういうふうに御説明をしているわけでございます。
○宇都宮委員 ちょっと私の言っているのがおかしいのかもしれませんけれども、要するに私的使用ではない、例えば、私的使用と言われる限りは、やはり余り多くの人数じゃだめだと思うし、そういう制限があるわけでしょう、個人とか、何か家庭、家族的なといいますか。要するに、その制限を超えた複製、私的使用の目的を超えた複製と認められる場合には、著作権者等の許諾がなければ、やはりそれは差しとめの対象とか損害賠償の対象になると思うのですよ。その点まずどうでしょう。
○佐藤(禎)政府委員 今お話しのとおり、この三十条の規定は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において」の使用というふうに規定をしておりますので、自分自身が使ったり、自分の家族に使わせたりといったごく少人数の閉鎖的なグループの中での使用に限定をされて制限が設けられているわけでございます。したがって、御質問のように、それを超えて使用するということになりますと、これはまさに著作権法に定めます複製権の侵害ということになるわけでございます。
○宇都宮委員 その場合に、著作権の侵害という点においてはアナログであろうとディジタルであろうと同じだと思うのですけれども、ディジタルの場合には、一応機器とか機材を買うときに補償金というのを納めていますよね。そういうことは著作権者等の損害賠償の額を算定する場合に関係はないのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 結論的に申しますと、納めた額が損害賠償の金額に影響を及ぼすことはないだろうと考えております。と申しますのは、著作権法違反ということで複製権を侵害した場合の損害は、個々のケースに応じてそれぞれ算定をするものでありまして、それぞれの個人とそれから権利者との関係で整理をされるべきものでございます。したがいまして、もしその利用者が自分は著作権法を犯して複製をしていて専らそれを利用しているということがあるならば、そのことを証してむしろ補償金の返還を求める、そういう関係に立つわけでありまして、当該複製権を侵害された人と侵害した人との関係には直接の影響を及ぼさないというふうに考えてございます。すなわち、通常の形で損害賠償の請求ができる、こういうふうに考えるわけでございます。
○宇都宮委員 今回のこの法律案の提案理由の中に、結局ディジタルの場合には、今までのアナログと違って高品質の録音・録画ができるという点もありますけれども、何回してもそれが変わらないというふうなところが言われていると思うのですよ。そういうことは結局複製を何回でもするということで、一つのものを私的使用を超えて利用されるおそれがある。そのあたりがディジタルの場合に今回特にこの改正をしなくちゃならないという理由があるのではないでしょうか。やはり私的使用の範囲内ということで、要するに私的使用の機会がふえる、私的使用をする人がふえるというところもあると思うのですけれども、その一人の人が私的使用の範囲を超えてこれを使う、そういうところもあるのじゃないかと思うのですけれども。
○佐藤(禎)政府委員 そのお尋ねは、私的使用の範囲に限っている場合と私的使用の範囲を超えてその複製物がばらまかれた場合というふうに分けて考えますと、ばらまかれた場合はまさに複製権違反ということになるわけでございます。私的な、つまり小グループ、閉鎖的なグループの中で使っている限り、それは私的使用という点では問題がありません。しかし、原音に忠実な録音と再生ができることによって、例えば反射的にその他の著作物が売り上げが伸び悩むとか、そういったような経済的な不利益を生ずるということが心配をされるわけでございます。 冒頭の質問で、数字は必ずしも正確に挙げてございませんけれども、録音物については、レンタルをしてまいりましたCDを録音をして、それを楽しんでおるということが実態としてかなり多くあるわけでございますけれども、そのようなことによって逆にレコードの売り上げ等々に影響を及ぼすというようなことも想定をされるわけでございます。
○鳩山国務大臣 ただいまの先生の御質問は、私横で聞いておりまして、ディジタル式ですと、半永久的だかどうかわかりませんが、何回でも聞けるようなもの、使えるようなものができるので、その時間の経過の中には私的使用の限界を超えて出ていくようなものがありはしまいか、その辺がディジタルだけに補償金の制度を設ける意味に含まれてはいないか、こういう御質問だったのではないかと思いますが、そういう観点から申し上げれば、それはそういうケースを想定して法律を構成をしているわけではないと申し上げるしかありません。
○宇都宮委員 そうしますと、ちょっと質問を変えますけれども、ディジタルの場合に限って今回の制度を導入したということは、ディジタルの場合だと、要するに今までのアナログに比べて複製されることが多くなるから、だから権利者の権利侵害が多くなるということでしょう。だからこれを導入したのか、あるいは別にディジタルでもアナログでも権利者の侵害ということについては変わりないけれども、将来はディジタルに移行するだろう、だからディジタルについてこういう制度を設けておれば、極端な話、いずれアナログはなくなるわけだから、すべての場合にこの補償金の制度が適用されるのだ、そういう観点からこの制度は導入されているんですか、どっちですか。
○佐藤(禎)政府委員 ディジタル機器を使用することによって録音・録画の機会が多くなることを直接の根拠にしているわけではございません。そういったことが一つの誘因になることは言えるかと思いますけれども、むしろ私が先ほどから強調いたしておりますのは、高品質な録音・録画ができる、つまり原音に忠実な録音と再生ができるということが一番大きな原因になっております。そのことは、ひいてはそのような形で録音・録画されたものをそれぞれライブラリーとして所蔵をするというようなことも実態としてはついてまいりますけれども、出発点としてありますのは、高品質の録音・録画ができるということがあるわけでございます。 なお、後段でおっしゃいました意味を必ずしも私正確に受けとめなかったかもしれませんけれども、全体の見通しとしましては、先ほど申しましたように、こういった形で高品質の録音・録画ができるというものが出回りますと、それは従来のものに比べて格段に品質が違いますので、従来のものは次第に駆逐されるであろう、そういう見通しは持ってございます。
○宇都宮委員 録音・録画が高品質であるかどうかという点を言われるのであれば、高品質であろうと低品質であろうと、権利者の権利の侵害というところから見れば大して差はないような気がするのですけれども、むしろ何回ダビングしても品質が変わらないというようなところにディジタルの特性もあって、ということは、結局複製の機会が、例えば今までだったら五回しか複製しなかったのを十回複製するだろうとか、そういうことがあるわけではないのですか。私は今までそういうふうに考えていたのですけれども。
○佐藤(禎)政府委員 ただいま御指摘のような要素を否定する気持ちを持っているわけではございません。おっしゃるように、今回のディジタル機器を使用することによりますれば、御指摘のような形で繰り返し録音・録画されるというようなことは当然考えられるわけでありまして、その要素が全くないと申し上げるつもりはございません。
○宇都宮委員 だから、複製される機会が多くなるということは、ディジタルの場合、私的使用のために複製する人もふえるかわりに私的使用を超えた複製がなされる場合が多くなるということじゃないかと思うのですよ。そうだとすれば、ディジタルの場合とアナログの場合とを今までと同じような扱いにしたのでは権利者の保護に薄くなるんじゃないかなという気がするのですけれども。
○佐藤(禎)政府委員 ちょっと私の説明が不行き届きで申しわけございませんけれども、今のようなお話で私的使用の範囲を超えて利用されるという実態があるならば、これは今回問題にしていることのらち外というか、むしろ著作権に違反をする問題として取り上げるべき問題でありまして、今回はあくまでも私的使用について制限規定がある、その一部を補償金という形で解除しよう、こういう範囲のお話でございますので、目的を超えて利用された場合とは話が違ってくるのではないかと存じます。
○宇都宮委員 それはわかるのですけれども、今までよりもディジタルが出てきたことによって私的使用の範囲を超えた機会が多くなるとすれば、その手当てもしなければならないのではないかということを申し上げたいのですけれども。
○佐藤(禎)政府委員 御指摘のようなことになりますれば、むしろ今回の三十条二項で対応する話ではなくて、まさに複製権違反という形で真正面から著作権に違反をするという形で対処すべき問題であるというふうに考えております。それについてもその集中処理機構をつくれという立法論があるかもしれませんけれども、今回の制度では、もちろんそこまでは御提案は申し上げていないわけでございます。
○宇都宮委員 どういう指定管理団体をつくれ云々ということを直接申し上げているわけではないのですけれども、著作権の保護というところから見れば、ディジタルができることによって複製権が侵害される機会が多くなるのであれば、著作権者を保護するためには、それに対する手当ても当然考えていいと思うのですよ。だから、その手当てについては、この三十条二項の問題ではないですけれども、その点はどういうふうに文化庁としては—今後の問題としてでもいいのですよ。ディジタルが出たことによって複製される機会がふえるのじゃないかと私は思うのですよ。それを今までと同じように差しとめと損害賠償だと、著作権の保護に薄くなるのではないかと申し上げているのですけれども。
○佐藤(禎)政府委員 まさに三十条に定めた許容の範囲を超えて目的外使用した場合については、現行著作権法四十九条に規定がありまして、この場合には二十一条に定める複製権を侵害した、ないしは複製を行ったものとみなすという規定がございまして、この差については制度上はその限りでは整理がついているわけでございます。しかし、それはあくまでも個々の侵害者と権利者との関係でございますので、今回のような統一的な処理の対象とはならない問題でございますけれども、そういった個々の権利侵害について今後どのような救済措置が考えられるだろうかということについては、御指摘の点も私ども頭に置いて今後の研究課題にさせていただきたいと存じます。
○宇都宮委員 質問を変えます。指定管理団体のことなんですけれども、一応、これは社団法人ということで録音・録画について一つずつつくると思うのですけれども、その具体的な構想、例えば事務所をどこに置いて、規模をどのくらいにして、理事をどのくらい置いて、職員をどのくらい置いてとか、運営費は幾らでとか、準備の段階にもよろうかと思いますけれども、もしわかっていればそのあたりを教えていただきたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 今回予定されております指定管理団体は、録音にかかるものと録画にかかるものとあるわけでございます。それぞれ関係者の間でその設立の準備が進められている段階でございますけれども、録音に関する指定管理団体といたしましては、社団法人日本音楽著作権協会、社団法人日本芸能実演家団体協議会、社団法人日本レコード協会を構成員として団体を設立するということが関係者の間で合意をされ、この法律が成立をいたしますれば、私どもも認可、指定等が行えるわけでございますけれども、そのための準備活動に入りかけているところでございます。 また、録画につきましては、指定管理団体に参画をいたします団体はもう少し数が多いかと存じますけれども、こちらの方はいまだ関係者の間での協議を取り進めている段階にございます。 指定管理団体の業務内容はすべて法律に書いてあるわけでございますけれども、補償金を受ける権利を権利者のために行使をするということと、徴収した補償金を個々の権利者に分配をすること、それから徴収した補償金の一部を著作権等の保護に関する事業などに支出をする、こういったことが業務内容として定められてございます。しかしながら、その先、事務所をどうする、理事は何人にするというような、そういった具体的なことまではまだ詰められている段階にはございません。ただ、この指定管理団体の役員は、権利者の団体であるという基本的な性格を考えまして、著作権者、実演家、レコード製作者の代表が基本となると思いますけれども、それだけではなくて、製造業者の代表でありますとか、学識経験者でありますとか、消費者の代表、そういったものを加えて構成をするということが関係者の間でも話し合われている、こういう団体になるわけでございます。 これは、この法律上文化庁に与えられました関与の権限のほか、公益法人であることを要件としておりますので、公益法人としての民法上の監督権限もございます。そういった観点から、適切な運営ができますように私どもも見守っていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
○宇都宮委員 この運営費というのは補償金の中から出すということになるのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 このことにつきましては、私ども補償金関係業務とそれ以外の管理的な業務というものは分けて考えていただくことが適切であろうと考えておりまして、関係者の間でも想定されておりますのは、例えば法人としての基本的な管理費、そういったものにつきましては、その会員となりますそれぞれの団体から納められた会費によって賄われるべき性質のものではないかと考えているわけでございます。 一方、補償金関係業務、すなわち補償金の受領に関して協力をしてくださる各メーカー等との契約事務でありますとか、あるいは分配のための資料を収集する、そういった仕事が徴収、分配に伴って当然必要になるわけでございますが、これは補償金関係業務の経費として、受領した補償金の中から手数料という形で控除をしていくということになるのではないかと考えている次第でございます。
○宇都宮委員 そういうことは、これに加入する著作権者の団体等との契約によって決まるということになるのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 おっしゃるとおり、その法人の中で決められるわけでございますけれども、ただ、業務規定等については、私ども届け出をいただくようになっておりますし、民法上の一般的な監督権もございますので、そういった形の中で確認をさせていただきたいと思っております。
○宇都宮委員 この指定管理団体は団体加入ですよね。加入者は団体ですよね。いわゆる団体に加入していない著作権者あるいは実演家——レコード製作者はないのかな、等がいる場合、問題になるのじゃないかと思うのですけれども、そういう場合はないのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 これは当然想定されるわけでございます。 分配に関する資料を収集いたすわけでございますけれども、その中で実態が上がってまいりますが、例えば音楽著作権協会に加入をしていない、これはわずかではありますけれどもございます。そういう方々の利用実績というものが上がってくれば、それは配分することになるわけでございます。
○宇都宮委員 ちょっとよくわからなかったのですけれども、そういう団体に加入していない人は指定管理団体には入れませんよね、個人の場合には。入れないけれども、補償金を受ける権利というのはあるわけですか。
○佐藤(禎)政府委員 これはこの制度の基本的な成り立ちにかかわると存じますけれども、さきの御質問でもお答えいたしましたように、個々の権利者がそれぞれ権利の委任をするわけではなくて、いわば法定委任という形で、本人の同意もなくすべて委任をされて執行するわけでございますので、その基礎となります団体に加入しているかどうかということと配分とはかかわらない。つまり、配分は、一定のルールに従って利用実績を調査し、その調査の中で実績が上がってくれば一既存の団体に加入をしていなくても配分するということになるわけでございます。
○宇都宮委員 指定管理団体は、著作権者の団体に三六%、実演家の団体に三二%、レコード製作者の団体に三二%という形で配分する。それが指定管理団体の加入者であり、その配分の割合だと思うのですけれども、そうしたら、それよりほかにそういう団体に入っていない著作権者というものがいるわけですか。
○佐藤(禎)政府委員 そうではありませんで、ただいま配分の割合というのは、指定管理団体が受け取った補償金を、著作権者とそれから著作隣接権者であります二つのそれぞれの団体にどれだけ還付をするかという割合の取り決めてございます。その中で、例えば著作権団体は、音楽著作権協会がこれを行うわけでございますけれども、そこに配分をされました三六%の補償金総額を、その次にその団体が個々の人に配付をしなければいけない。その段階で使用実績を調査いたしまして、それは例えば音楽著作権協会に入っていない人であっても、実績が上がってくれば配分をいたします、こういうことでございます。
○宇都宮委員 そうしたら、著作権者の団体が、その団体に加入していない著作権者に対しても配分をする。指定管理団体とは関係ないわけですね、そういうことですか。
○佐藤(禎)政府委員 実務的には、指定管理団体はそれぞれの著作権者の団体あるいは隣接権者の団体へ配付をするという形でありまして、配付を受けた金額をそれぞれの下部の団体、音楽著作権協会等が個々の権利者に配付する、そういう仕事を行っていくというふうに考えているわけでございます。
○宇都宮委員 ちょっと音楽著作権協会とのあれがよくわからないのですけれども、音楽著作権協会は、それに加入していない人にもこの補償金を配分する。それは著作権者と音楽著作権協会との契約で決まるのですか。それとも、そういうものが何もなくても、今までもそういうふうになっているのですか。
○佐藤(禎)政府委員 このシステムにおきましては、いわば強制的な委任関係にございますので、当然配分をすべきものだというふうに考えるわけでございますけれども、現在の音楽著作権協会、例えばカラオケバー等から著作権料を徴収してまいります。それを配分するに当たりましても、実は著作権協会に入っていない人々についても、実績調査の結果実績が上がってくれば、それに応じて配分をしているという実態は既にあるわけでございます。
○宇都宮委員 わかりました。 次に、共通目的事業への支出の点についてお伺いしたいと思うのです。 指定管理団体は、受け取った補償金の中から二割以内の範囲で共通目的事業へ支出するというふうになっていますけれども、これは本来、補償金というのは、最終的には著作権者等にすべて帰属するのが筋ではないかと思うのですけれども、それを特に共通目的事業への支出を定めた理由はどういうところにあるのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 私的録音・録画の補償金は、御指摘のように、基本的にはそれぞれ私的録音・録画されたすべての権利者に分配をされるというのがその性格であろうかと考えております。しかし、今回のような特例の請求と一括の支払い、こういった形をとります場合に、通常のように個別の利用行為ごとに支払うというシステムと違いまして、その著作物をどれだけ録音・録画したのかということとかかわりなく徴収をし、分配をしていくわけでございます。その関係で、個々の権利者と個々の義務者との関係を完全に明確にするということは実務的には難しいことでございます。 具体的には、多額の費用をかけて調査の精度を上げていけばできないわけではないと思いますけれども、それは費用、効果との関係である程度の限界がございます。一定の精度の調査資料しか得られないであろう。そういたしますと、大変零細な実績によって分配し切れない権利者、あるいは分配資料にたまたま出てこない権利者、そういったものが当然上がってくるということが回避できないわけでございます。したがって、こういった権利者に対する配慮ということから、権利者全体の利益となるような支出を考えることによって一定の間接的な分配というような効果を求めようというのがこの制度の基本的な考え方でございます。諸外国におきましても、このような共通目的というものは想定をされている場合が多うございまして、おおむね一五%から、多いところでは六七%に至る共通目的用の経費をリザーブしているという実態がございます。
○宇都宮委員 その場合の支出先、どういうところに支出するか、あるいはその手続はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
○佐藤(禎)政府委員 この共通目的事業への支出の目的につきましては、法案の上では「著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業」、こういう規定がなされているわけでありまして、その規定の範囲の中で指定管理団体が判断をしていくということになるわけでございます。 こういうものとして、それでは一体具体的にどういうものが考えられるかということでございますけれども、現在想定できますことは、まず最初の著作権、著作隣接権の保護に関する事業としては、著作権思想の普及啓発事業を行っていただく、あるいは著作権保護に関する法制面の研究でありますとか、あるいは技術面の調査研究といったことも考えられるのではないかと考えるわけでございます。 それから、著作物の創作の振興及び普及に資する事業という観点から考えますと、例えばでありますけれども、非商業ベースのコンクールの実施でありますとか、若手芸術家の養成といったような創作の援助活動ということも考えられるのではないかと思っているところでございます。
○宇都宮委員 具体的には、例えば今ある団体とかではどういう団体に、この共通目的事業への支出として具体的にはどういうところが考えられるか、あるいはそれは支出してもらう方から支出してくれと言われてするのか、それとも指定管理団体の方で、その活動等を団体とか、個人でもいいんですか、団体とか個人とかの活動を見ながら決めるのか、そのあたりはどういうふうになっているのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 現在の想定では、おおむね先ほど御答弁を申し上げましたような事業が想定をされているわけでございますので、その支出の相手方は区々であろうと思います。この事業の性格から考えますと、支出の相手方については法律にはもちろん特段の制限はございませんが、制度の趣旨から見て、通常公益的な事業を行う団体を中心に行われるものと思います。ただ、普及啓発活動などというものは、要するに相手方がない話で、この指定管理団体が自分から行ってもいいわけでございますし、若手の芸術家の養成などということになれば個人をお相手にするということも考えられるわけでございます。ただ、性質上、公益的な団体というものを中心に据えて考えていくであろうということは想定をされるわけでございます。
○宇都宮委員 先ほどの試算だと、一年目が四百億からして二億五千万ぐらいの補償金が入るだろうというところから想定しますと、その二割とすれば五千万ぐらいがこの共通目的事業へ使われるということになると思うのですけれども、その点は、額としたらどういうふうにお考えでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 先ほどの御答弁とあわせますとそういうことになります。四百億というのが平成五年度の売り上げと想定をされておりまして、補償金総額が二億五千万という想定をいたしますと、共通目的事業への支出額は約五千万というふうに想定をされるわけでございます。 ただ、これは実務上は若干タイムラグがございます。つまり、製造業者等から指定管理団体へお金を支払っていくというものは、通常年払いによって精算をされていくと思いますので、そういった事業に対するお金が使えるようになるのは、五年度中は実務的にはなかなか難しいというようなタイムラグがあるとは思いますけれども、先ほどの二億五千万を前提にいたしますと、およそ五千万という規模が考えられるわけでございます。
○宇都宮委員 先ほどお聞きするのを忘れたのでお聞きしたいと思うのですけれども、三十条一項の場合には、私的使用の目的で複製した場合でも、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いた場合にはできないことになっていますよね。三十条二項の場合も、やはりこういう公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製した場合には、私的使用の目的の範囲外になるのですか。
○佐藤(禎)政府委員 三十条で例外を設けております複製という概念は著作権法上定義がございまして、これは「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製する」というふうに定義をされております。したがって、三十条の対象になっておりますのは、録音・録画に限らず、今お話がありました複写の問題でありますとか、その他の問題も含んでいるわけでございますけれども、今回はいわゆる私的録音・録画問題として、録音・録画に限ってこの制度を行っているわけでございます。したがって、御指摘の括弧書きの規定は複写のケースでございますので、直接の関係はございません。
○宇都宮委員 そうしたら、こういう個人的なそういう機器じゃなくて、どこか店に設定されているような機器を用いてした場合にも私的使用の目的の範囲内というふうに考えてよろしいのでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 先ほどの御答弁は若干不適切でしたので訂正をさせていただきますが、御指摘のように、店頭においていわゆるダビング機というようなものを置いてそれを複製をせしめる場合には、三十条に言う私的録音・録画には該当しないのでございます。
○宇都宮委員 そうしましたら、一項の公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製することを除くというのは、二項の場合もそうだというふうに考えていいわけですか。
○佐藤(禎)政府委員 当然二項に尾を引くわけでありまして、三十条一項でその部分が除かれており、いわゆる私的録音・録画として許容されておりませんので、二項で言う補償の対象とは無関係ということになります。
○宇都宮委員 さっきお話の出ましたいわゆるコピー、文献の方もちょっと関連してお聞きしたいと思うのですけれども、いわゆるコピーがはんらんしていまして、文献等の著作権者の権利が侵害されているという状況は広く今認められるのですけれども、それを保護するためといいますか、著作権を集中的に管理して処理しようということで、ここに言う指定管理団体と同じような位置づけになるんではないかと思うのですけれども、日本複写権センターの設置が考えられていますよね。去年の四月ですか、著作者、出版者、複写権集中処理センターというのが発足していると思うのですけれども、その状況をちょっと教えていただきまして、文献等の著作権者の権利保護についてちょっとお聞きしたいと思うのです。
○佐藤(禎)政府委員 文献の複写機器の発達、普及というものがございまして、そのために著作物が出版物から容易にかつ頻繁に複写をされるという問題がございます。これは私的使用とは無関係に、むしろ企業等において業務上の利用のためにそういったものがしばしば行われている。その場合に、著作物を複写する側から見れば、事前に権利者の許諾を一々得るということも煩雑でなかなか実行しにくいことでございます。したがって、結果的には無許諾でそういったことが行われておりますし、権利者もそれぞれそれを追及をしていくということは実務的にも不可能である、こういうことがございます。 したがって、この問題にどう対処するかということで、幾つかの協議会が持たれたわけでございますけれども、長年検討の末に、昨年の九月に著作者団体、学協会、それから出版者団体の関係者の協議がまとまりまして、関係十三団体によって構成される日本複写権センターというものが設立をされたわけでございます。この複写権センターでは、それぞれの権利者から権利の委託、信託等を受けまして、つまり権利を集めてきて、それぞれの企業等と契約を結んで権利の実現を図るということを目指すわけでございますが、企業との間の複写許諾契約のひな形というものにつきまして同センターと経済団体連合会との間で合意を得ることができまして、その合意に基づいて、現在各企業に説明をし、理解を求め、そして契約を進めるということを行っているわけでございます。本年十月末現在の数字でございますが、同センターと複写許諾契約を締結をしました企業は百十社、使用料総額は一千六百万円というような規模でございます。
○鳩山国務大臣 以前、もう大分前でありますが、著作権法の改正を何度もやっておりますから、やはり著作権法の一部改正がこの文教委員会で話題になったころ、もう数年前でございますが、ある議員の方が一生懸命質問をして著作権を守らなくちゃいかぬということをやっているわけで、それをその政府委員に説明するのに、ほらこんな事例もあるんだと言って、見てみると新聞のコピーを振りかざしてやっておられるわけですね。考えてみると、新聞のコピーをとるということも、これは少なくとも三十条の私的使用ではなくて衆議院の文教委員会でやっているわけですから、その新聞のコピーを振りかざして著作権法の審議をするという非常に妙な光景もあったわけですが、私は率直に申し上げて、確定的な私の信念とか意見を持っているわけではありませんが、いずれこの問題については版面権ということを国会でも御議論をいただきたいと希望いたしております。
○宇都宮委員 衆議院議員が新聞を一部コピーをとると、やはり私的使用の範囲を超えますかね、超えるんですか。
○佐藤(禎)政府委員 これはケースによりますけれども、典型的に考えますれば、著作権法四十二条で「著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。」という制限規定がございますので、それによって利用できるのではないかと思っております
○鳩山国務大臣 私が申し上げたのは一つの笑い話として申し上げたわけで、実際コピーはんらんということがここまで起きておりますから、それは今の佐藤次長が読み上げたことでどこまで追えるかどうかとか、あるいは教育の世界の問題とか、そういう制限規定はさまざまありましょうが、それぐらいコピーは例えば役所の中でも相当はんらんをしているというのは事実だと思うわけです。
○宇都宮委員 ちょっと戻りますけれども、日本複写権センター、企業が百十社と言われましたか、その発足をした日本複写権センターの状況、それは期待どおりの状況でしょうか、それとも何かちょっと考えるところがある、そういう状況でしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 これは、実はそういったひな形、契約のひな形についての合意もことしの三月に成立をしたばかりでございます。最近これは、先ほど申しましたのは十月末の数字でございますけれども、最近に至って徐々にそのような契約を結ぶケースがふえてきていると思います。概括的に見まして、現在の契約状況が十分であるとはとても思えませんけれども、引き続き御努力をいただくことによって目的を徐々に達していくことができるのではないか、こういうふうに考える次第でございます。
○宇都宮委員 最後に大臣に、先ほど版面権の問題等今後の課題として考えているとおっしゃられましたけれども、著作権法の今後の課題、そのあたりを諸外国等の法制度と比べましてどういうふうにお考えか、ちょっとお聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。
○鳩山国務大臣 これは先ほど与党質問のときにもお答えをしたわけですが、著作権法の問題というのは、科学技術の発達とか国際的な動向とか社会情勢の変化とか、あるいは文化的なさまざまな著作物のできようとか、いろいろな事柄に影響をされていくと思っております。とりわけ文化が変遷をし、それに伴って新しい機器・機材というのか道具というのか、そうしたものが登場することによって著作権が侵されるようなケースが目立ってきたし、これからもそうなっていく可能性があると思いますので、やや抽象的な言い方になるかと思いますが、我が国が著作権という世界でこの地球上の先進国と見られるような活動をしなければならないだろう、著作権先進国と思われるような立法もしていかなければならないだろうと考えておりまして、先ほど申し上げましたように、例えばマルチメディアの発達とかコンピューターによってつくられる創作物の問題とか版面権の問題とか、あるいは写真の著作物の保護期間をどう考えるとか、レコードの再生演奏の及ぶ範囲をどう考えるとか、いろいろな問題が出てくると思いますが、実際、ガット・ウルグアイ・ラウンドの動向も見きわめてまいらなければならないと思っておりますし、いわゆるWIPO、世界知的所有権機関によってベルヌ条約を今後どういうふうに考えていくかという議定書の問題もあろうと思いますので、それらすべての動向をにらみながら、できる限り先へ行ける著作権法をつくっていきたい。後から追いかけていくのがなかなか大変でございますので、少しでも先へ行けるということが大事だし、東南アジアの海賊版等のことを考えれば、そうした意味では、世界に向けて、地球全体に向けて、著作権思想の普及発展という意味で発信をする国になりたいと願っております。
○宇都宮委員 ありがとうございました。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 次に、鍛治清君。
○鍛治委員 著作権法の一部を改正する法律案に対して若干質問をさせていただきます。 本法案は、もう過去衆参の文教委員会でこの数年にわたって何回も、早くやれ、早くやれという各党合意の附帯決議案が出されておる内容のものでございますので、質問もだんだん限られた内容になってまいりますし、後になりますと、やった後で非常にやりにくいというところで今質問をさせていただくわけですが、多少重複等することがありましても、ひとつご容赦を願いまして、くだくだしたお話は抜きにして簡潔に御質問をさせていただきますので、御答弁もよろしくお願いを申し上げたいと思います。 最初に、本法案の背景となる基本的な事項についてお伺いしたいのですが、今回の法案については、私的録音・録画問題という、権利者の皆さんが長年悲願としておったものがいよいよ実施されるという段階になってきたわけです。これは今も申し上げたとおりでございますが、この問題は随分と各関係者の間でも課題となって話し合われてきたというようなことも聞いておりますし、そういったことを含めて、この私的録音・録画問題の概要、それから従来の検討のいきさつ、こういったことについて簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 現行の著作権法三十条という規定にこの問題は由来をするわけでございますけれども、それ以前の旧著作権法におきましては、「発行スルノ意思ナク且器械的又ハ化学的方法ニ依ラスシテ複製スルコト」は偽作となさずという極めて限定的な制限規定を設けていたわけでございます。それが昭和四十五年当時の実情にかんがみ、現在のような制限規定を設けるに至ったわけでございますが、その当初からベルヌ条約で定めております著作権者の「通常の利用を妨げず、かつ、その著作者の正当な利益を不当に害しない」という条件に果たして当たるのかどうかということが議論をされ、当時の認識としては、大丈夫だけれども、今後の機器の発達によってそのことをよく考えるようにということが、この衆議院の文教委員会でも議決されておりますし、各方面から御指摘を受けたわけでございます。 こういったことを受けまして、私ども著作権審議会の中でも昭和五十二年から第五小委員会というものを設け検討いたしました。この小委員会では必ずしも明確な結論を得るに至りませんで、なお関係者の間で協議をせよというようなことで途中で関係者による協議会を設けましたけれども、さらに昭和六十二年、改めて著作権審議会に第十小委員会を設置し検討をお願いして、昨年の十二月に結論をちょうだいをした、こういう経緯をたどっているものでございます。
○鍛治委員 国際的な観点からちょっとお伺いをしたいのですが、多少重複することもあるかもわかりませんけれども、我が国の国際的な地位というものはまさに年々向上をしてきているわけですけれども、知的所有権の分野、特に著作権制度の分野についても、我が国の国際的地位にふさわしい充実したものでなければならない、こう考えております。 これは、先ほどの大臣答弁でもそういうふうなお話をされておりましたけれども、しかしながら、知的所有権の分野というのは、どうも我が国は従来、やはり姿かたちの見えないものに対する権利ということについては空気のような感じで使って、その補償という考え方が少なかったようなことも感じておりますが、もう日本の国もここまで参っておるわけでございますので、今申し上げたように、国際的地位にふさわしい充実したものにすべきである、こういう考え方を持つものでございます。 そこで、国際的に見て、我が国の著作権制度というのは大体どのような水準にまで来ておるのか、その見解をお伺いしたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 著作権等に関連をいたします主要条約というものは、大きく分けて四つございます。 著作権に関しましては、ベルヌ条約というものがございまして、これは一八八六年に創設をされたものでありますけれども、我が国は早く、一八九九年に加入をいたしてございます。この当時の加入は、国際的な潮流というものを見て世界におくれない著作権制度をつくろうということを目指したものと思われまして、逆に言えば、余り国民の間での著作権思想の普及という実態がないまま制度化をした嫌いはございますけれども、それ以後このベルヌ条約の改正条約にその都度加入をしてきてございます あわせまして万国著作権条約という一九五二年に創設をした条約もございますが、この条約にも我が国は一九五六年に加入をいたしているわけでございます。 隣接権に関しましては、実演家等保護条約というものが一九六一年に創設をされておりまして、我が国は一九八九年に加入をいたしました。先ごろ関係法律の改正をお願いしたわけでございます。もう一つは、レコード保護条約という海賊版のレコードを防止する目的の条約がございます。これは一九七一年に創設をいたしたものでございますが、一九七八年に我が国は加入をいたしてございます。 このように、著作権、著作隣接権に関する主要な条約のすべてを我が国は締結をいたしているわけでございますが、そのほかに世界に先駆けて有線放送事業者の保護でありますとか、貸与権、あるいはコンピュータープログラムの保護の明確化、そういったものを規定をしていただいてきておりまして、そういった意味では世界的に見ても高い水準にある、こういうふうに考えるわけでございます。
○鍛治委員 この問題については諸外国でも積極的に制度的な対応が図られていることを聞いておりますけれども、そこで、世界各国の対応状況、これをこの際ちょっとお聞きをしておきたいと思います。また、この問題について世界知的所有権機関を初めとする国際機関等で検討が進められているということも聞いておりますけれども、その概要についてもお伺いをいたしたいと思います。 〔委員長退席、中山(成)委員長代理着席〕
○佐藤(禎)政府委員 本件で御提案申し上げておりますような報酬請求権制度は、早く、一九六五年にドイツ、旧西ドイツにおいて導入をされたものでございます。その後、一九八〇年代に入りましてからこの制度を採用する国がヨーロッパ諸国を中心に急激に増加をいたしてございまして、現在ではドイツのほかオーストリア、フランス、オランダ等十七カ国がこのような制度をとっている状況にございます。諸外国のこの私的録音・録画等に関連した補償金制度の中身は、基本的にはこの法案と同様に、私的複製を認める権利制限の代償として補償制度をつくるということでございまして、機器または記録媒体の購入時に補償金を支払うことといたしておるわけでございます。 もう少し具体的に申しますと、おおむねの点では、補償金を受ける権利を有する人は主に著作権者と実演家、レコード製作者とされている。それから補償金の支払い義務を負う者は、それぞれの実定法上、機器または記録媒体の製造業者とされているケースが多うございます。最終的に補償金を負担する者は私的録音・録画を行う利用者たる購入者と考えられている。それから権利の行使方法については、一般的に単一の権利者団体によって権利が行使をされている。それから共通目的については、支出を権利者団体の意思にゆだねている国と法律で定めている国がございますけれども、まあ相応のパーセントをこれに投じているというところが多いというような状況になっているわけでございます。 これがそれぞれの国の状況でございますけれども、国際機関における検討といたしましては、一九七五年、昭和五十年にジュネーブで開催をされました万国著作権条約の政府間の委員会及びベルヌ条約の同盟委員会というものがございまして、この時点でこの問題を解決する唯一の方法として包括的補償金を制度化するということが提言をされまして、以後検討が重ねられているわけでございます。一九七八年にも同様のことが述べられてございます。 昨年から世界知的所有権機関、WIPOで検討中のベルヌ条約の議定書におきましても、この問題が検討に挙げられ、さらにEC諸国におきましては、EC委員会から各国に指示を出しますディレクティブの中においても同様の制度をとるということが検討されているというふうに伺っている次第でございます。
○鍛治委員 次に、国際的な観点から考えますと、このような制度については外国の権利者についても差別なく補償金を受ける権利を認めることが必要である、こういうふうに考えるわけですが、この点について、またこれに関連しまして、第九十六条第二項を廃止する趣旨というものは、レコード保護条約の締結国の権利者にも私的録音・録画に係る補償金を受ける権利を認める、こういうふうにしたんだというふうに解釈をしていいのかどうか、この点についてお伺いをいたします。
○佐藤(禎)政府委員 今回の御提言の基礎になっております著作権審議会の第十小委員会の報告書の中におきましては、私的録音・録画に関する報酬請求権制度についても、ベルヌ条約等が定めております内国民待遇の原則の適用があるかどうかということについては、実は既に類似の制度を導入している国々においても取り扱いが違っている、したがって、現時点で各国の条約上の見解は一致しておりませんで、これが果たして条約上の義務かどうかということは確定した考えがないわけでございます。 しかし、条約上の内国民待遇の原則に照らして考えれば、これは積極的に考えた方がいいのではないかという御提言をちょうだいしたわけでございます。こういった第十小委員会の報告書、並びに我が国の置かれております国際的な地位ということを考えますと、著作権者、実演家及びレコード製作者について、それぞれ関係をする条約の規定に基づき内国民待遇を適用して、これらの条約に基づいて保護の義務を負う外国の権利者についても同様の権利を認めるということにすることが適当であろうということで、今回、この案文の中に盛り込んであるわけでございます。 そしてまた、後段で御指摘のように、これは大変専門的なことになりますけれども、レコード保護条約の締結国のレコード製作者に対しては、もし現行法のままでありますならば、その複製権というものが限定的にしか認められておりません。したがって、今回の補償金制度というものを適用することができなくなる、こういう結論になるわけでございますけれども、あえて先ほど申したような考え方に基づき補償金を受ける権利が与えられますよう九十六条の二項を廃止して内国民待遇の考え方を徹底しているわけでございます。
○鍛治委員 私的録音・録画の補償金について、ドイツやフランス等の諸外国の制度の実態、それから国際的な動向を見ながら、ディジタル方式以外の記録方式による私的録音・録画についても対象にすべきだと思うのです。この点についてお伺いしたいのですが、これは朝からずっと何回も話が出ております。私は、率直に言って理由づけができるのかできないのか知りませんけれども、恐らく妥協の産物でそうなったのだろうという気がするのです。むしろ私がお伺いしたいのは、ディジタル方式以外の記録方式による私的な録音・録画についても対象に入れる方が至当であろう、私はこう思うのですけれども、その点についての考え方をお伺いしたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 このことは先ほどからるる御答弁申し上げたことでございますけれども、ディジタル方式によりますものが高品質の録音・録画が可能であり複製をしても劣化がないということから権利者のこうむる不利益が大きいという事実が一つございます。 そこで、第十小委員会の報告書の中では、著作物の利用という観点から見れば、御意見がございましたように、アナログとディジタルを区別すべき理論上の理由はないけれども、ユーザーやメーカー等の理解や協力を得て、この制度を円滑に導入するというためには、ディジタル方式のものに限定してこの制度を導入するということが適当であろう、こういう結論をいただいておりますので、この御結論を引き継いだわけでございます。なお、現実に昨年十二月以来行われてまいりました関係者間の協議におきましても、この導入に当たってディジタル方式のものに限るというような形で協議が調ったということも事実としてはあるわけでございます。
○鍛治委員 この問題は、この法案の採決の際に附帯決議の中で各党合意でつけられて注文がつくような感じにどうも流れがなっておりますが、ひとつその取り組みについてはしっかりやっていただきたい、こういうふうに御要望申し上げておきます。 これは先ほど大臣もちょっと言われておったのですが、改めてお尋ねをいたします。 我が国が世界で著作権制度の充実、改善の点で積極的なリーダーシップを発揮する、こういうことは我が国の国際貢献の上で非常に意義深いものだと私は思うのでございますが、改めてまた大臣にこの見解をお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 率直に申し上げて、鍛治先生が冒頭にお話をされたように、日本の国内において著作権の思想というものが十二分に普及しているかということを考えれば、まだまだというところもあろうかと思うわけであります。現にいわゆるカラオケというようなところで歌を歌えば当然JASRAC等に幾分かのものを払わなければならないわけでございますが、そうしたことがいまだになぜなんだと十二分に理解されていないようにも思われるわけでございまして、まして文部省、教育の世界の仕事をいたさせていただいておりますから、国内的に見ても著作権思想の普及というものについては、これから相当力を入れていきたいと思いますが、また先生御指摘のとおり、世界に貢献する日本という観点では、著作権思想の全地球的な普及のために貢献をするというのはとても大切なことと思っております。 平成五年度の概算要求、これは新規予算でございますが、アジア地域著作権制度普及促進事業として二千二百七十五万円ではございますが、これはWIPO、世界知的所有機関に対して継続的に拠出金を供出して、同機関と協力して主としてアジア地域諸国を対象とした著作権制度の整備や普及事業を行う、こういうことで概算要求をいたしておるところでございまして、このような形で世界に貢献できるように努力をしたいと思います。
○鍛治委員 いみじくも今大臣が啓発活動といいますか広報活動のことについてお触れになったのですが、次にその件でお尋ねしたいのです。確かに著作権とか知的所有権の問題というのは従来は日本人に非常になじまなかった感じがいたしますが、だんだん今理解が進んできたとは思いますけれども、こういう国民の皆さんに対する広報活動ないしは啓発活動、これは私はむしろもっと積極的にやっていいのではないかなという思いがいたしております。 特に、今回の補償金制度の導入というのは、利用者の側から見ますと、当然録音・録画は皆やるのでしょうから、それに対して補償しなければならぬという考え方もあるかもしれませんけれども、一方ではむしろ端的に値上げになってしまうという受け取り方をする方の方がひょっとしたら多いのではないかという気もするのです。したがって、一定の機器及びテープ等の記録媒体を使用する場合には、こういう新たな支出というか補償というものはちゃんとしなければならないし、また今回こういう法改正がありましたよということを含めて国民の皆さんに対する広報活動というものをしっかりやるべきだと思いますが、今回のこの制度に対する国民への広報活動といいますか啓蒙活動、どういうふうになさっていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 仰せのとおり、今回の制度改正等については積極的に広報活動を展開することが必要であろうと考えているわけでございます。この第十小委員会の報告が出た直後から、その内容等につきましては適時私ども広報活動を行ってまいりましたけれども、また関係者に対しましても、このような制度の導入について一緒に広報活動をしていただきたいということを呼びかけてございます。その結果、権利者とメーカーでは、特にことしの春から秋にかけまして一般の新聞紙あるいは週刊誌ないしは音楽情報誌等に広告を出しまして、この制度の周知徹底というものに努めてきているわけでございます。この結果、世論調査等によりましても、この問題についての認識とあるいは賛成意見というものが若干ふえてきているという結果を得ているわけでございます。今後とも、この制度の円滑な導入と定着のためには、御意見のとおり、広報活動に努めることが大切だろうと考えておりまして、私どもも努力をしてまいりたい、このように考えております。
○鍛治委員 これはもうしっかりひとつやっていただきたいと思います。 これも重ねてのようなお尋ねになりますけれども、今回の法律の制度の実施に当たっての広報活動だけではなくて、著作権思想自体をやはり大いに、これはふだんから啓発活動はもっともっとやっていいんじゃないかというふうに思います。 今私が余り新聞を読んでないのか、大分読んでいるつもりだけれども、広告のところを読んでないせいですかね、今答弁のありましたようなそういうのが、広告が出ていたというのはちょっと全く記憶にないのでね。私にないから皆さんなおさらないのかなという気がしますが、確かに読まない方もよくないのかもわかりませんけれども、とにかく、そういうのがどこかで必ず頭に引っかかるような形での広報活動をやれるぐらいまで、これは著作権の問題も含めてぜひお取り組みをいただきたい。著作権思想が普及していない国というのは一流国とは言えないというふうに言われているわけでございまして、この今回の制度だけではなくて、著作権思想に関しては一層の普及啓発、こういった点をやっていただきたい、こういうふうに思うわけですが、この件について、多少重複をいたしますが、再度お答えをいただきたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 御指摘のとおり、今回の制度に限らず、著作権思想一般についてこれを普及啓発をするということは大切な課題であるというふうに考える次第でございます。私ども、従来から、実は講習会の開催でありますとか資料の発行等を通じてそういった活動に努めているつもりではございます。 具体的には、講習会といたしましては、一般を対象とした著作権セミナーというものを全国七カ所で行っておりますほか、都道府県職員を対象といたしました専門的な講習会、あるいは図書館や視聴覚ライブラリー等の職員を対象としたこれまた専門的な講習会を行っておりまして、こういった自分で行う講習会を持っているわけでございますけれども、このほかに、地方公共団体の機関が開催をする各種の講習会等へも講師を派遣をして参画をさせていただいている、こういう状況でございます。 また、別途資料といたしましては、著作権法テキストといった資料を出しますとか、あるいはビデオで資料をつくりまして、そのビデオ教材を教育委員会や視聴覚ライブラリーなどにも配付をするというような活動もあわせてやっているわけでございます。 予算の額が微々たるものでありまして、私ども今後力を入れなければいけない、こういうふうに思いますけれども、引き続き努力をさせていただきたいと存じております。
○鍛治委員 これも質問がありましたから重複するわけですが、ちょっと今の広報活動と重ね合わせてお尋ねをしたいのですけれども、指定管理団体が受け取った補償金は権利者に分配するけれども、二割以内で、政令で定める一定額について著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業に支出するということにしているわけですけれども、その理由、また、この事業も、これは先ほどからもいろいろお話がありましたけれども、この補償金制度、この事業についての補償金制度についても、国民の皆さんに対するやはり普及活動、啓発活動というものが必要である、こういうふうに思いますが、この点についての御意見をお伺いしたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 今回の私的録音録画補償金は、御指摘のように、基本的にはそれぞれの権利者に分配をされるべき性格のものでございます。 ただ、先ほども御答弁を申し上げましたけれども、百四条の四の特例によって請求をし支払いをするというこの行為は、通常のような形で個別の利用行為ごとに支払われる場合と違っておりまして、どのような著作物をどれだけ録音・録画したということにかかわりなく補償金が支払われることになりますし、個々の権利者と個々の録音・録画行為との関係は明確に確定をするということが難しいという事情があるわけでございます。 その上に、実際の配分資料、分配資料を作成する場合にも、費用との関係からどうしても一定の制度というふうな限界があるわけでございまして、その場合、零細で分配し切れない権利者あるいは分配資料に今たまたま挙がってこない潜在的な権利者、こういったものが出てくることを回避できないわけでございます。 したがって、こういった権利者への配慮として、権利者全体の利益となるような事業へ支出をするという制度を設けることによりまして、一種の間接的な分配を行うというような仕組みを考えているわけでございます。諸外国でもこれと類似のシステムが設けられているケースが多いわけでございます。 この事業の中で、ただいま特に御指摘がございましたように、この補償金制度についての国民の一層の理解を得るために普及啓発活動ということを行うことが必要なことだと私どもも考えておりまして、今後指定管理団体が設立をされました場合には、このような普及啓発活動に力を入れるように、こういうものについては十分指導を行ってまいりたい、このように考える次第でございます。
○鍛治委員 これも朝からの論議の中で触れておられましたことですが、映画に関する実演家、監督、それからメーンスタッフについての権利の問題ですけれども、映画の概念が広がって映画の利用が多様化してきている現在、このあり方について見直しが行われるべきである、こういうように思うのですが、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 現行制度におきましては、隣接権と著作権者の書き方が若干異なっておりますけれども、映画に出演の許諾をした場合には、実演家には、その映画を二次的利用する場合には、当然には法律上の権利は発生をしないことになっております。著作権法の九十一条でございます。 また、映画監督でありますとか撮影、美術等の映画の著作物の著作者という者につきましては、映画製作に参加をしたときには、映画製作者に著作権が帰属をするというものが現行法二十九条で定められているわけでございます。 したがいまして、実演家につきましても映画監督等につきましても、その後の映画の二次的利用において利益の配分を受けようといたしますと、出演契約あるいは参加契約を結ぶ際に、この点について特に契約を結んでみずからの権利なり利益を確保しておかなければいけない、こういうことになるわけでございまして、こういう状況というものは世界を通じておおむね同様の状況にあるわけでございます。 ところが、御指摘のように.近年の技術の発達によりまして、ビデオでありますとかあるいは衛星放送あるいはCATV、そういったものが登場をしてまいりまして、従来予想しなかった映画の二次的利用の形態というものが広がってきているわけでございます。したがいまして、実演家においてこのような二次的利用についての権利を確保するという必要を感じたといたしましても、実は、制度上は先ほどのように契約を事前に結ばなければいけない、そしてその契約はほとんど結ばれていない、こういう状況にございますので、今のところ実演家等の団体は、結局この契約というものをもう少しルール化し、より適切に結んでいけることができるようなそういう運動を展開をしていらっしゃるというふうに理解をするわけでございます。 こういった状況を受けまして、著作権審議会ではことしの三月に第一小委員会の審議のまとめが出されておりますけれども、文化庁といたしましては、映画の二次的な利用に伴う実演家や映画監督等とそれから映画製作者との関係のあり方の問題を検討するために、この五月に改めて映画の二次的利用に関する調査研究協議会というものを発足をさしているわけでございます。現在この協議会は比較的積極的に開かれておりまして、関係者の共通理解を得るためにヒアリングを行うなど議論を進めているわけでございますけれども、こういった関係者のお集まりの場で共通理解が得られ、適正な関係というものが形成をされていくということを大いに期待をしているという状況にあるわけでございます。 〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕
○鍛治委員 今次長が答弁されたことは、まさにそのとおりだと思います。ただ、確かに著作権法をつくりましたときには想定されなかったようないろいろなものが発達をしてきて利用されるということになってきておりますし、そういう協議会をつくっておるということは、恐らくそれをいい形で変えていこうという思いもおありである、こういうふうに思いますので、早くこれが実現できますようにひとつ御努力をお願いしたいと御要望を申し上げておきます。 次に、著作権法上、著作者については死後に至るまでその人格権というものは保護されているわけですけれども、実演家の人格権の保護は著作権法上は顧みられていない。そういう意味では、法的均衡を欠いているんではないかというふうにも思うわけです。そして、実演のゆがめられた利用とか伝達、改変、こういったことによって実演家の皆さんの名誉とか声望というものを侵害されるということも間々起こってくる。時には致命的なことも起こるというようなこともあるわけですから、著作権法上何らかの人格権の保護を明記する必要があるんではないか、こういうふうに思うわけですが、この件についてお尋ねを申し上げます。
○佐藤(禎)政府委員 御指摘のとおり、著作権者の著作者人格権というものは現在法定をされておりますけれども、隣接権者についての人格権、特に実演家の人格権は現行著作権法上は特に認められていないわけでございます。これは恐らく、実演家等保護条約にもこのような明文規定はございませんし、世界を通じてそのような立法例が少ないということにも起因をしておろうかと思います。ただ、少数ではございましたが立法例はございまして、例えばドイツでは、その実演家はその実演の改変その他の侵害で実演家としての名誉または声望を害するおそれがあるものを禁止する権利を有するというような規定を持っておりますし、フランスにおきましても、実演家は、その名、その資格及びその実演の尊重を要求する権利を有するというような規定を持っている。そういう立法例もないわけではございません。しかし、世界を通じてそのような形が共通の理解というところまで立ち至っていないということが一つあろうかと存じております。 他方、我が国におきましては、実演家の人格的な利益が侵害をされた場合につき、これまで判例の積み重ねによりましていわゆる肖像権というものが少しずつ形成されつつあるように感ずるわけでございます。淵源は民法上の不法行為に由来をするというふうに思うわけでございますけれども、判例の積み重ねによって、そのような肖像権といった一種の形が形成をされますならば、それはそれとして大いに有効に機能するものでもございます。 したがいまして、こういった一般的な不法行為からくる肖像権の動きがどうなるか、あるいは世界がどうなるかというようなことを頭に置きながら、今後の検討課題というふうに受けとめさせていただきたいと考えております。
○鍛治委員 これで最後の質問にいたしたいと思いますが、今までの私の質問を含めて大臣に最後にお尋ねでございますが、著作権法の改正については、今後とも技術の普及発達に伴って積極的に行っていくべきである。ここ数年、もう毎年といっていいぐらいいろいろ著作権法改正が出てきているわけですが、この件について大臣に最後に一つお尋ねをいたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
○鳩山国務大臣 冒頭鍛治先生が、著作権、あるいは知的所有権とおっしゃったかとも思いますが、著作権とか知的所有権のようなものがきちんと保護できなければ一流国ではない、先進国ではないというような御趣旨のことをおっしゃいましたが、私は全くそのとおりだと思っておりまして、著作権法の改正については、これからの国際的な動向とか新しい技術の発達とかいろいろな問題があろうと思いますし、先ほど先生がお話をされた実演家の人格権とか、既に提起されているさまざまの問題もございますが、できる限り先へ先へ進んでいくことができまして、日本の国は著作権思想も普及をしておるし、いわば著作権の先進国だなと評価されるような、そんな行政をやり、そんな法律をつくっていきたいと存じます。
○鍛治委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 次に、山原健二郎君。
○山原委員 今回の法改正、これは十五年にわたると言われましたが、年来の懸案でありますし、報酬請求権制度を法的に確立するという点で大きな意義を持っておると思います。そういう意味で私どもも賛成の立場です。ただ、制度創設の画期性に対しまして、ディジタル録画・録音機器・機材に限定するなどという、実効性という点で不十分な点があるのではないかと思われますので、この点について、さきの質問者の皆さんと重複するかもしれませんが、基本的な点について幾つかお伺いをしておきます。 まず第一番に、これは文化庁の方へ伺いますが、現行著作権法第三十条は、私的録音・録画は自由かつ無償、こう規定しております。この立法当時は、録音・録画機器・機材の普及も一般的ではなくて、家庭内などの私的録音・録画もごく限られていたため、著作者の利益を不当に害するとは考えられなかったという事情があることは、もう先ほど来論議しておるところです。ところが、その後の録音・録画機器・機材の急速な普及発展と相まって、現在では私的録音・録画が広く大量に行われるようになっている。昨年十二月の著作権審議会第十小委員会報告でも、「これらの実態を踏まえれば、私的録音・録画は、総体として、その量的な側面からも、質的な側面からも、立法当時予定していたような実態を超えて著作者等の利益を害している状態に至っている」と指摘しています。今度のこの実態認識ですね、これが今回の法改正を根拠づける背景になっておるのではないかと思いますが、そのように理解してよろしいですか。
○佐藤(禎)政府委員 ただいまのお話は恐らくは著作権審議会の第十小委員会の報告の中から援用なさったと存じます。この著作権審議会第十小委員会の報告の中におきましても、このあり方につきましては、おおむねただいまお話のございましたような、機器の発達によって立法当時想定されていなかったような経済的な不利益を招く事態というものが徐々に生じてきているのではないかという認識を持っているというふうに理解をいたしております。
○山原委員 実態調査について次に伺っておきたいのですが、私的録音・録画に関する実態調査の最近のものとしては、昨年三月から四月にかけて関係団体の協力で実施されたものがあって、その概要は第十小委員会報告書に紹介されておりますね。この昨年三月、四月にディジタル録音機器・機材として発売されていたのはわずかにDATだけで、その販売実績も微々たる状況で、録画機器は今も一般家庭用のものは発売されるに至っておりません。したがって、今日の著作者等の利益を害している状態、これはディジタル機器・機材によって生じているのではないわけですね。今一般に広く普及しているアナログ方式の録音・録画機器・機材によって引き起こされたものでございます。したがって、報酬請求権制度の適用対象からアナログ機器・機材を外す理由というのは、理論上も実態上もないのではないかと思いますが、この点についてお答えいただきたいのです。
○佐藤(禎)政府委員 実態という点に関して申し上げますならば、先ほど来申し上げましたように、ディジタル方式によります録音・録画は、アナログ方式に比べまして各段に高品質の録音・録画が可能になるわけでございます。そしてまた、複製をしても劣化がないというような性質を持っておりますので、そういった意味では大きな違いを持っているのではなかろうかと考えている次第でございます。 理屈の上で申しますと、著作権の利用という観点だけから見ますれば、第十小委員会におきましても、その両者を区別すべき理論上の理由はない、しかし、実際にこの制度を円滑に実施をしていかなければならないわけで、本来直ちに義務を負うわけではないメーカー等に対しても協力義務等を課していくわけでございますので、そういった関係者の理解や協力を得て円滑に導入をするということを考えますならば、ディジタル方式のものに限定をすることが望ましいということが第十小委員会での結論となっているわけでございます。
○山原委員 円滑に導入する、それから望ましいと判断するということですね。 これは、例えば一般家庭向けのディジタル方式録画機器・機材の商品化は数年先とも言われておるわけです。私的録画で権利侵害されている権利者への補償金配分は当分実現しないことになります。たとえディジタル商品が一般向けに売り出されたとしても、急速に大きな市場を獲得するかどうか不透明なところがございます。しかも、ハイビジョン方式の高品位テレビやビデオテープレコーダーの開発も進められておりますが、この方式による一般民生用の機器は当面アナログ方式になる見通しではないでしょうか。現に昨年七月に発表されたハイビジョン録画機器はアナログ方式でございます。こうした方式が録画機器・機材の主流をなせば、アナログ方式で高品位の私的録画が補償金の支払いなしにできることになるわけです。どういう録画機器が市場の大勢を占めるかはもちろんまだわかりませんけれども、ハイビジョンも有力な方式であって、仮にそういう状況が生まれるとするならば、私的録画で権利侵害されている権利者の方はいつまでたっても満足な補償金の分配さえ受けられないということになりかねません。したがって、少なくとも報酬請求の対象からアナログ方式の録音・録画機器・機材を外すという今回の規定については、今後の録音・録画機器の商品化動向などの実態をも踏まえまして、見直すことを含め、適切に対処すべきであると考えますが、その点はどうお考えでしょうか。
○佐藤(禎)政府委員 この問題は、一方で権利者がどこまで権利を確保するかということがございますが、他方でそれぞれのユーザー、一般の家庭がどういう負担をするかという問題とも結びつくわけでございます。そういった意味では、先ほど来お話ししてございませんが、一面で、現在家庭に大いに普及をしておりますアナログの機器に広くこの補償金制度をかけていくということに伴う問題点というものも頭に入れておく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。 ところで、ディジタル方式の録画機器についてのお尋ねでございますが、この制度につきまして補償金の対象と考えておりますのは、ディジタル方式によって記録が可能になる録音と録画の機器と記録媒体でございます。御質問のように、現在まで録画については民生用のディジタル方式の機器、記録媒体は発売をされておりません。したがって、この制度が導入をされても、当分の間録画については、このシステムは動かないわけでございます。 しかしながら、従来から録音・録画問題としてこの問題は録音と録画がセットにして考えられてきたという経緯があり、その制度化に当たってもセットで考えていくという関係者の合意もあるということが一つございます。いま一つは、放送局など業務用のディジタル方式の機器というものはかなり発展をしてきております。これのコストダウンが行われますなれば、直ちに民生用のディジタル機器の発売というものも見込まれるわけでございまして、そういったものがいつから発売できるか特定できませんが、逆に特定できませんだけに、こういったシステムをつくり、備えておくということも必要になるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。 なお、補償金の対象というものは、適宜技術の発達状況等見ながら、権利者の権利の保護という観点を大切にし、適時見直しを行うというその気持ちはございますけれども、具体的にどういうふうな変更を行うかということについては、現在具体案は持ち合わせていないわけでございます。
○山原委員 大変苦労されたこの法案ですから、判断をされた基準、あるいはまた円滑に実施をしていくという立場はわからぬわけでもありませんし、先ほども参考人の方にもお聞きしたわけですけれども、参考人の方も、一つは、理想と現実という問題という言葉も出ましたように、苦労された結果の作品であるということをおっしゃっておりましたね。その点はわかるのですけれども、実態として、やはり今後の商品化動向などの実態を十分把握して、さらにこれに適切に対処する、あるいは見直しをするということは当然のことだと思いますので、この点については、私は一定の問題として提起しておきたいと思います。 それから、先ほども出ておりましたが、次の問題は映画の二次的利用の問題です。 昨年三月の著作権法の改正案の審議のときにも私はこの問題を取り上げたわけでございますけれども、衛星放送を含めたテレビでの頻繁な再放送、ビデオ化による市販など、おびただしい量で映画の二次的利用が繰り返され、これに伴う監督、実演家に対する追加報酬はごく一部を除いてほとんどなされていない、そういう実態を昨年もこの委員会でお示しをしたわけです。 この問題で、著作権審議会第一小委員会はことしの三月のまとめで、映画の二次的利用に伴う実演家及び映画監督等の権利について著作権審議会において検討を継続しつつ、文化庁において関係者の協議を積極的に支援することが適当との見解を明らかにされました。これを受けて、五月に文化庁に関係者から成る映画の二次的利用に関する調査研究協議会が設けられました。この協議の場については、法律上の検討とあわせて、当面契約等による解決の方向で検討を進めることも適切な方策との指摘も踏まえたもので、この点での文化庁の積極的な支援が望まれております。当事者間の協議、契約による不利益の是正といういわゆるルールづくりのできるだけ速やかな実現のために文化庁の指導性の発揮を強く要望したいのでございますが、この協議が何年もかかるということにならないように、打開のめども含めまして、これは文化庁の決意をお伺いしておきたいのです。
○佐藤(禎)政府委員 この問題につきましては、先ほど来お答えをしてまいりましたように、なかなか難しい問題を多く包含をしているわけでございます。制度的な問題もございますし、さらにはこの問題の焦点となっておりますのは、一つは、事前の契約段階においてきちんとしたルールをつくるということができれば制度的な改正を伴わずして問題を整理していくということも可能な要素を持っているわけでございます。そういった意味では、関係者による協議、共通理解というものが何よりも大切であろうと私ども考えるわけでございます。著作権制度全体が私権同士のぶつかり合いでございますので、私どもがどんどん前へ出ていくということが果たしてよいかどうか、そういう基本的なスタンスもございまして、私どもといたしましては、せっかくこの第一小委員会の報告、審議のまとめを受けてできました検討の場がより積極的に機能するように支援をしてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
○山原委員 もう一つ、時間の関係でもう二つになるかもしれませんが、これは文部大臣も含めてお伺いしたいんです。 大臣は先ほど、著作権法の先進国になりたい、非常に積極的な御発言だと思っております。これは前にも取り上げられた問題ですが、例えば、写真著作権の保護期間の延長の問題でございます。第一小委員会のまとめでは「写真の著作物の保護期間については、国際的な流れは、長期化の傾向があり、死後五十年以上とするのが先進国の大勢となっている。このような国際的動向を踏まえれば、将来的には、写真の著作物の保護期間についても、文芸、美術等の著作物と同様の取扱いとするのが適当であると考えられる。」としております。 このように大筋ははっきりしているわけですね。いわば方向性ははっきりしているわけでございますので、この問題についての法制化を急ぐ必要があると思いますが、この点については大臣の御見解を伺っておきたいのです。
○鳩山国務大臣 従来から写真については、ただの写真とか芸術性のある写真とかいろいろ分けている国もあるようでございますし、また旧著作権法では比較的短目の保護期間になっておったことも承知いたしておりますし、ベルヌ条約や万国著作権条約でも一般の著作物よりは保護期間が短いという傾向があったと思います。 ただ、山原先生御指摘のように、今後著作権というものは、その思想を普及をしていく必要性があるし、保護期間も写真だけ短いというのもいかがなものかというふうに基本的には私も考えております。著作権審議会が報告をしておりますように、我が国でも写真の著作物に著作者名をつけるという習慣がかつては乏しかったわけでございましょうが、その辺の普及を前提にしまして、今は死後ということではなくて公表後五十年というような考え方がとられているようでございますが、これを他の著作物と同じように死後五十年という形に持っていくのも一つの考え方だろうと思っておりまして、決して我々消極的に物事を考えているわけではありません。幾つかの検討段階を経て、いずれ立法措置を考えなければならないというふうには基本方向をとらえてはおります。
○山原委員 最後に、著作権についてこれだけの認識が高まり、そういう機運が起こっているときでございますから、先ほど文部大臣が言われたように、著作権法についての先進国になりたいという、この御意見は大変積極的でありますし、そういう意味で今後とも対処していただきたいと思います。 最後に、これは文化庁ですが、いわゆる権利者の団体、指定管理団体が受け取った補償金の一部が個々の権利者に配分されず、共通目的事業のため支出しなければならない、こう規定されています。先ほども問題が出ましたが、著作権は私権でありますから、この点について、少なくとも私権に属することであるから権利者間の協議によって決めるなどの仕組みにすべきではないかという意見や、将来的には上限の二割をもっと低くしてもらいたい等の意見も聞かれるわけでございますが、これについてどういうふうにお考えになっているか、これを最後に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○佐藤(禎)政府委員 基本的には、お話しのようにそれぞれの私権を集めたものでございますので、分配をするということが望ましいわけでございます。しかしながら、どうしても捕捉をすることができない人、その他の理由によってこういった共通目的で間接的に配分をするということがこの制度の趣旨でございます。 この中身につきまして、あるいはその支出割合につきましては、今後の全体の実行状況を見ながら適時関係者間でも協議をするということになっておりまして、固定的に永劫に二〇%ということで実行していくわけではないわけでございます。
○山原委員 終わります。
○伊藤委員長 御苦労さまでした。 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○伊藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中山成彬君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。吉田正雄君。
○吉田(正)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいまの法律案に対する附帯決議案について御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府及び関係者は、文化の発展に寄与する著作権保護の重要性にかんがみ、著作権思想の一層の普及に努めるとともに、次の事項について適切な措置を講ずべきである。 一 私的録音・録画に関する補償金制度が、ユーザー等の信頼を得て円滑に運用されるため、指定管理団体が行う権利者への補償金の分配、私的録音・録画以外の用に供するための特定機器及び特定記録媒体を購入する者への補償金の返還及び著作権等の保護に関する事業等のための支出が適切に行われるよう努めること。 二 録音・録画された実演の利用が多様化している等の実態を勘案して、映画監督、実演家等の権利の適切な保護等について検討すること。 三 視聴覚障害等の障害者が、公表された著作物を適切公正に利用することができる方途を検討すること。 四 レコードによる音楽の演奏権の及ぶ範囲及び写真の著作物の保護期間については、関係者による条件整備の状況等に留意しつつ、制度的対応について検討を進めること。 以上でございます。 その趣旨につきましては、本案の質疑応答を通じて明らかであると存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○伊藤委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、本附帯決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鳩山文部大臣。
○鳩山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、御趣旨を体しまして、今後努力をいたしたいと考えております。 —————————————
○伊藤委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十九分散会 ————◇—————