労働委員会 第1号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1992/02/27
会議録
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨日、岩崎純三君及び川原新次郎君が委員を辞任され、その補欠として野村五男君及び大塚清次郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(向山一人君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、労働問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(向山一人君) 労働問題に関する調査を議題といたします。 労働行政の基本施策について、労働大臣から所信を聴取いたします。近藤労働大臣。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働大臣の近藤鉄雄でございます。 労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政について所信を申し上げ、委員各位を初め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。 我が国は、世界有数の高い経済的水準に達し、国際社会においても大きな地位を占めるに至っておりますが、これは、まさに勤労者一人一人の努力のたまものであります。私は、この高い経済力をすべての勤労者と家族の方々に還元し、ゆとりある豊かな暮らしを実現することが生活大国づくりの基盤であり、労働行政の使命であると考えております。 このような観点から、我が国の経済的地位にふさわしいゆとりある勤労者生活を実現するため、次の事項に重点を置きつつ積極的に労働行政を推進してまいります。 第一は、人間尊重の時代にふさわしい労働行政の推進であります。 今や雇用問題は国民生活や社会そのもののあり方と深いかかわりを持つ幅広い問題となっており、人間中心の経済社会システム構築に向けた国民的コンセンサスの形成が不可欠となっております。 先般、労使を初めとする各界のトップクラスで構成される雇用問題政策会議から「人間尊重の時代にふさわしい新たな社会システムの構築にむけて」と題する提言が提出されたところであり、労働省としては関係省庁と一体となって、この提言の趣旨に沿った政策運営に努めていく考えであります。さらに、最近の社会経済の変化への的確な対応を図るため、経済計画の見直しとあわせて、新しい雇用対策基本計画の策定に取り組むこととしております。 また、労働力不足問題への的確な対応は、産業経済の活力を維持し、国民生活の安定を図るために不可欠であります。 特に、高齢化社会の進展等に伴い必要となる看護・介護労働力の確保については、厚生省とも連 携しつつ総合的な対策を講ずることが必要であり、介護労働者に係る雇用管理改善等計画の策定、雇用管理の改善に取り組む事業主に対する助成、援助などを内容とする法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願いいたします。 さらに、労働者の職業生活の安定、充実と産業経済の発展を進めていくためには、労働者の職業能力が十分に発揮できるようにすることが重要であり、職業能力開発の一層の促進を図るため、公共部門の教育訓練体制の整備充実、技能を尊重する社会を形成するための施策の推進などを内容とする法律案を今国会に提出することとしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。 これらの施策に加え、首都圏への一極集中の是正を図り、国土の均衡ある発展に資するため、総合的な地域雇用対策を引き続き推進してまいります。 第二は、ゆとりのある豊かな勤労者生活と人間中心の健康で快適な職場の実現であります。 労働時間の短縮は、豊かでゆとりのある勤労者生活を実現し、生活大国に向けての前進を図るために不可欠な国民的課題であり、年間総労働時間千八百時間という目標の達成のためには一層の労働時間の短縮が必要となっております。 このため、完全週休二日制の普及促進、所定外労働の削減等により労働時間の短縮を進めることとし、その環境整備を図るため、業種、地域ごとに労使が労働時間の短縮に向けての自主的努力を行うことを援助することなどを内容とする法律案を今国会に提出することとしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。 一方、労働災害は、いかなる社会経済情勢にあろうとも本来あってはならないものであり、心身ともに健康で安全な勤労者生活の実現は労働福祉の基本であります。 労働災害の発生状況を見ますと、近年、死亡災害に増加傾向が認められるなどまことに憂慮すべき状況が続いております。このため、特に死亡災害に占める割合の高い建設業に関して総合的な災害防止対策を強力に推進するとともに、人間中心の健康で快適な職場づくりを推進するための法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしく御審議をお願いいたします。 なお、不幸にして労働災害をこうむられた勤労者やその御家族に対しては、必要な保険給付を迅速かつ適正に行ってまいります。 また、勤労者の福祉の向上のために総合的な勤労者福祉対策に取り組んでまいります。 第三は、多様な個性、能力が発揮される社会の実現であります。 我が国においては、諸外国に例を見ない速度で高齢化が進展していますが、高齢者の雇用の場が確保され、高齢者が長年にわたり培ってきた知識、経験を発揮できることが必要であります。このため、六十歳定年の平成五年度完全定着を図りつつ、六十五歳までの継続雇用を積極的に推進するための施策の一層の充実を図ってまいります。 また、女性がその意欲と能力を十分発揮することができるように、男女の雇用機会均等の確保に努めるとともに、家庭責任を持つ労働者が職業生活と家庭生活の調和を図り、働きやすい環境を整備するために、育児休業法の円滑な施行、総合的パートタイム労働対策を推進してまいります。 第四は、障害者雇用対策の推進であります。 本年は国連障害者の十年の最終年に当たりますが、障害者の雇用については、なお重度障害者を中心に立ちおくれが見られます。このため、重度障害者対策の充実、精神薄弱者、精神障害者に対する施策の推進などを内容とする法律案を今国会に提出することとしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。 なお、障害者雇用対策の近年の充実を踏まえ、障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関するILO第百五十九号条約の批准についての承認案件を今国会に提出したところであります。 以上のような各般の施策の展開に加え、外国人労働者問題への適切な対応を図るとともに、外国人研修について、その国際的な意義にかんがみ、より実効ある技能移転の観点からその充実を図るなど国際化の進展に対応した労働行政の展開を図ってまいります。 さらに、良好で安定した労使関係の維持発展を図るための環境づくりに努めてまいる所存であります。 また、今国会には、雇用保険の保険料率及び国庫負担率の暫定的な引き下げ、失業給付の改善等を内容とする法律案を提出いたしましたほか、レディス・ハローワークを増設する等のため、公共職業安定所の出張所の設置に関する承認案件を提出することとしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。 以上、当面する労働行政の重点事項について私の所信の一端を申し述べました。委員長初め、委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
○委員長(向山一人君) 次に、平成四年度労働省関係予算について説明を聴取いたします。坂根労働大臣官房会計課長。
○政府委員(坂根俊孝君) 平成四年度労働省所管一般会計及び特別会計予算案の概要について御説明申し上げます。 労働省所管の一般会計は、四千八百七十一億円で、前年度とほぼ同額となっております。 労働保険特別会計につきましては、全体で四兆八千六百九十三億円で、前年度に対し千二百九十二億円の減となっております。 これを勘定別に申し上げますと、労災勘定は、二兆千二十九億円で、前年度に対し五十五億円の増となっております。 他方、雇用勘定は、二兆四千六百六十四億円で、前年度に対し千三百四十七億円の減となっておりますが、これは、主として雇用保険制度の改正による保険料率の引き下げ等によるものでございます。 次に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定でございますが、労働省関係分は、百六十二億円で、前年度に対し二十五億円の減となっております。 以下、その主要な内容につきまして、新規事項を中心に御説明申し上げます。 第一は、労働力尊重の時代にふさわしい労働政策の推進でございまして、その一は、二十一世紀に向けた総合的な労働政策の展開でございます。 今後、労働力供給の伸びが鈍化することが見込まれる中で、労働者の意欲や能力が有効に発揮されるような人間を中心とした経済社会を実現していくことが重要な課題となっております。 このため、第七次雇用対策基本計画の策定に取り組むとともに、労働力尊重の時代にふさわしい人間を中心とした経済社会の構築に向けたコンセンサスの形成などに努めることとしております。 その二は、労働力不足基調下の雇用情勢に対応した労働力確保対策の推進でございます。 労働力不足問題に的確に対応し、経済、産業の活力の維持、国民生活の安定に寄与することが重要な課題となっております。 このため、速やかな対応が求められている看護・介護労働力の確保につきまして、介護労働者の福祉の増進を図るための介護労働者福祉基金の創設を図るほか、雇用管理の改善等のための援助事業などを実施することといたしております。また、福祉重点ハローワークを指定し、看護。介護労働力確保に向けて、公共職業安定所の機能を抜本的に強化することとしております。 そのほか、中小企業人材確保推進事業助成金の拡充や地域雇用環境整備援助事業の拡充などによりまして各分野における労働力確保対策を一層強力に推進することとしております。 その三は、経済社会の発展を担う人材の育成でございます。 経済社会の発展等、時代の要請に応じて、多様かつ高度な能力開発を実施していくことが重要となっております。 このため、経済社会の変化に対応した公共職業訓練体系への刷新などを図ることとし、職業訓練 短期大学校における在職者訓練実施のための施設整備、都道府県立職業訓練短期大学校の設置に対する新たな財政援助などを実施することとしております。また、技能を尊重する社会の形成のための技能振興の推進に努めることとしております。 第二は、ゆとりある豊かな勤労者生活と人間中心の健康・快適職場の実現であり、その一は、ゆとり創造社会の実現に向けた労働時間短縮対策の推進でございます。 労働時間の短縮は、ゆとりある豊かな勤労者生活を実現していく上で不可欠の課題であります。 このため、週四十時間労働制実現等に向けて、労使の自主的取り組みを支援する労働時間適正化促進事業の創設、取引慣行など労働時間短縮の阻害要因の解消に向けた取り組みの推進等を行うこととしており、また所定外労働時間削減推進事業の実施など、各般の対策を一層充実強化することとしております。 その二は、安全の確保と健康で快適な職場づくりの推進でございます。 このため、快適職場形成促進事業の創設などにより、快適な職場の形成を推進するとともに、死亡災害の多い建設業について店社安全衛生活動活性化事業の実施等により、労働災害防止対策の一層の推進を図ることとしております。 また、勤労者福祉対策あるいは労災補償及び労働条件改善対策についても、それぞれ内容を充実しつつ推進していくこととしております。 第三は、多様な個性、能力が発揮される社会の実現であり、その一は、女性が働きやすく、能力の発揮できる環境の整備でございます。 このため、育児休業等に関する法律の円滑な施行に向けまして、育児休業者の円滑な職場復帰を図るため一定の措置を講ずる事業主に対する奨励金や適用猶予企業に対する育児休業奨励金の創設等を図るとともに、レディス・ハローワークの増設等の総合的な女子就業援助対策を推進することとしております。 また、パートバンク、パートサテライトの増設を図るなど、パートタイム労働対策の一層の推進を図ることとしております。 その二は、本格的な高齢化社会の到来に向けた高齢者対策の推進でございます。 このため、高年齢者の雇用を阻害している要因を把握分析し、必要な援助を行う総合的雇用環境整備事業の実施、高年齢者のニーズに対応した継続雇用を図るための奨励金の創設等により、六十歳定年を基盤とした六十五歳までの雇用の場の確保に努めるほか、シルバー人材センターの増設等高齢者対策の一層の推進を図ることとしております。 また、若年者の職業生活の充実に向けた対策も推進していくこととしております。 第四は、国際社会への積極的貢献であり、その一は、我が国の国際的地位にふさわしい国際協力の展開であり、旧ソ連邦に対する技術支援などの国際協力あるいは国際交流などを積極的に展開することとしております。 その二は、外国人研修生受け入れへの総合的対応であり、企業等における外国人研修の実施に対する支援事業の充実を図るとともに、今後の外国人研修制度のあり方についての検討等を行うこととしております。 その三は、外国人労働者問題への適切な対応等であり、現地相談窓口の開設など日系人の就労適正化に向けた体制の整備等を図ることとしております。 第五は、障害者雇用対策等の推進であり、その一は、障害者雇用対策の積極的な推進でございます。 このため、重度障害者である短時間労働者等に対する雇用助成措置の適用拡大、さらには、精神障害回復者に対する職業訓練の実施など、対策の充実強化を図ることとしております。 その二は、炭鉱労働者雇用対策の推進でございますが、石炭企業の経営多角化等に対応して、炭鉱労働者雇用安定助成金を創設し、配置転換、職業転換訓練等を行う場合の助成措置を講ずるなどの対策を推進することとしております。 その三は、特別な配慮を必要とする人々に対する職業生活援助等対策であり、対象に応じ、それぞれきめ細かな対策を引き続き推進することとしております。 なお、雇用保険制度の改正につきましては、近時における雇用保険の失業給付に係る収支状況にかんがみ、今後、当分の間、失業給付費の負担者である労、使、国庫の負担をそれぞれ軽減することとし、あわせて失業給付の改善を行うこととしております。 以上をもちまして、労働省関係予算案の概要の説明とさせていただきます。 何とぞよろしくお願い申し上げます。
○委員長(向山一人君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 次に、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。田辺哲夫君。
○田辺哲夫君 委員派遣について御報告申し上げます。 本調査団は、去る一月十六日から十八日までの三日間にわたり、長野県及び愛知県において、最近における雇用失業情勢と雇用対策等について実情を調査してまいりました。 派遣委員は、向山委員長を初め、細谷理事、山東委員、清水委員、西岡委員、西野委員、中西委員、乾委員、そして私田辺の九名であります。 まず、長野県における雇用失業情勢等について申し上げます。 長野県におきましても労働力不足は深刻な問題となっており、平成元年三月以来今日まで、有効求人倍率が二倍を超える状況が続いています。 このような中で、昨年の調査によりますと、五二・二%の企業が、人手不足と人材確保難への対応が最も重要な経営上の課題であると答えています。業種別に見ますと、最も人手不足が深刻なのは建築・土木関係であり、その有効求人倍率は実に十一・五倍に達しています。 しかも、長野県では、一九九八年の冬季オリンピック大会や平成五年の信州博覧会の開催、新幹線の建設など、大規模なイベントやプロジェクトが予定されているため、人手不足が一層深刻化する事態も予想されています。このため、県は、建設業やサービス業など、人手の確保が困難な業種について、他県への協力要請活動を積極的に行うこととしております。 また、長野県では、高卒者の約一五%が県外に就職しており、Uターンする大率者の割合も五〇%に満たないため、「アイ・ターン・信州」というキャッチフレーズで若年労働者の確保対策が実施されています。 この事業は、大都市圏に就職している技術者等を出身県を問わず信州へ真っすぐ呼び寄せようというもので、三大都市に「アイ・ターン相談室」が設置され、公共職業安定所と連携を図りながら、県内の企業・求人情報の提供やIターン就職者のマイホーム実現のための格安な公的宅地分譲など、きめの細かい事業が展開されています。 次に、最近の県内民間企業における身体障害者の雇用率は、法定雇用率を上回る一・六五%となっていますが、四割弱の未達成企業があり、普及・啓蒙活動等の強化が図られているところであります。 一方、高年齢者の雇用対策につきましては、六十歳定年制の普及率が全国平均を大きく上回る八二・一%となっております。 しかし、五十五歳以上の雇用割合は一〇%で、その有効求人倍率も〇・五九倍と低く、雇用を拡大するための取り組みの一層の強化が望まれています。 女性の雇用対策について見ますと、平成二年の女性の雇用者数は三十四万二千人で、五年前に比べ一四・一%増加しており、雇用者総数に占める女性労働者の割合は、福井、鳥取に次いで高くなっております。 このような背景には、育児休業制度の普及率が全国平均を大幅に上回る三〇%に上っているのを初め、再雇用制度や介護休業制度など、女性の働きやすい環境の整備が進んでいることも影響しているものと思われます。 次に、労働時間は、近年減少傾向にあるとはいうものの、平成二年の年間総実労働時間は二千八十一時間で、全国平均を約四十時間上回っているため、県は、労働時間短縮啓発事業を実施する等により、時短の推進に努めています。 なお、長野県からは、大規模プロジェクトの推進に係る労働力の確保対策、職業能力開発の充実、高年齢者及び女性の雇用促進と就業環境の整備について要請を受けました。 次に、視察先の概要について申し上げます。 まず、岡谷市に本社を置く丸興工業株式会社は、昭和六年に創立され、当初は製糸が本業でありましたが、時代の変化に対応し、現在では電子機器や空気清浄器、健康機器の製造販売を初め、多角的な経営を展開しています。 かつて岡谷は製糸業の一大拠点でありましたが、現在は製糸部門を残しているのは丸興工業を初め二社のみとなっております。私たちが訪れました岡谷工場は、シルク及びハイブリッドシルクの製造販売を行っており、繭のにおいが立ち込める中で多数の自動繰糸機がせわしく回る昔ながらの風情でありました。 蔵持工場長は、製糸部門の労務事情は年々悪化しており、東北や新潟で社員募集を行っても製糸と聞いただけで来てくれないと、人材確保の厳しい実情を語ってくれました。 現在、岡谷工場の従業員は百十一名でありますが、高齢者が多く、後継者の確保も難しいところから、勤務延長に期待をつないでいるとのことでありました。 次に、私たちは、伊那市に本社を置くKOA株式会社を訪問いたしました。 KOAは、昭和十五年に創立され、抵抗器、IC、コイル等のエレクトロニクスバーツの製造販売を中心に世界的規模で事業を展開しております。 KOAの経営哲学は、農工一体という考え方にあります。 伊那谷は昔から養蚕が盛んな地域でありましたが、一九二九年の大恐慌によって繭価が大暴落し、壊滅的な打撃を受けました。その結果、農家の方々は就業機会を求めて他地域へ流出するようになり、農業を主体とした経済復興も望めない中で、農業にかわる産業を農業者によって創造しなければならないという理念のもとに創立されたということであります。 現在、KOAグループは、伊那谷地域に二十の事業所を有し、千四百人の従業員を擁しております。従業員の半数以上は兼業農家の担い手であるため、農業を継続しながら豊かに暮らせることを目標に、三交代制を採用して、農工の両立が図られるよう工夫されております。 私たちは、工場公園構想に基づいて建設されたパインパーク内のハローウイングにおいて向山社長から概況説明を聴取するとともに、徹底したファクトリーオートメーション化が図られた工場棟を視察いたしました。 次に、愛知県における最近の雇用失業情勢等について申し上げます。 愛知県の雇用情勢は、経済が調整局面に移行している状況を反映し、有効求人倍率に低下の傾向が見られるものの、昨年十一月の統計によりますと二・三九倍という高い水準で全国平均を大きく上回っております。 一方、完全失業率は、最近上昇傾向にありますが、昨年の七−九月期には一・七%で、依然として完全雇用と考えられるレベルで推移しており、業種や企業規模によっては、人手不足が深刻な問題となっています。このため県は、職業紹介、開拓のための諸施策を初め、県外主要供給県に対し積極的に就職あっせん活動を展開する等、労働力確保対策を重点課題として取り組んでいるのが実情であります。 愛知県における労働力確保対策で特徴があると思われますのは、「セカンド・ホームタウン・愛知」と呼ばれる出稼ぎ就労対策であります。 この事業は、公共職業安定所等の国の機関とタイアップしながら、県独自に九道県に現地駐在員を派遣する等により、出稼ぎ労働者の希望、条件に合った雇用機会に関する情報の提供、相談業務を行うもので、慢性的な人手不足対策として大いに機能しているほか、出稼ぎ労働者にも好評を博しております。 また、愛知県は、全国に先駆けて婦人労働サービスセンターを設置したことで知られていますが、女性の雇用促進に向けて推進体制を一層強化する等、積極的な取り組みが行われています。 障害者の雇用につきましては、昨年六月現在の実雇用率は一・四二%となっており、全国平均の一・三二%を上回ってはいるものの、法定雇用率未達成企業が四七%あり、その解消が今後の大きな課題となっております。 愛知県からは、勤労者福祉を推進するための支援体制の整備、障害者に対する職業訓練体制の充実強化について要請を受けました。 次に、愛知県下におきましては、トヨタ自動車株式会社及び中部技能開発センターを視察いたしました。 まず、トヨタ自動車株式会社におきましては、豊田会長を交え、主に労働時間の短縮問題を中心に懇談を行うとともに、堤工場において乗用車の生産ラインを視察いたしました。 トヨタ全社の平成三年における平均総労働時間は、二千百七十三時間であり、このうち、所定内労働時間が千九百六十時間、所定外労働時間は三百四十一時間となっていますが、現在、時短推進計画が積極的に展開されています。 トヨタ自動車は、平成元年四月に労使協力のもとに時間検討委員会を発足させ、平成二年には、年休の取得向上と残業時間の削減を中心に、平成五年までに総労働時間が二千時間を切るレベルに持っていくため、平成三年以降、年間百時間の時短を進めるという目標を設定し、その達成に努めてまいりました。 この結果、平成三年には、所定内労働時間が前年に比べ六時間、残業時間が七十時間それぞれ短縮されるとともに、年休取得日数が二・三日増加し、トータルとして計画どおり百時間の時短を実現しました。 しかし、国が当面の目標としている年間千八百時間とはかなりの隔たりがあり、懇談の中で時短のおくれが話題となりました。 これに対しトヨタ自動車側からは、製造業における時短の難しさが指摘されるとともに、需要の急激な増加に対応するための設備投資と実際の生産との間にタイムラグがあり、残業に頼らざるを得なかったという経過について説明がありました。 また、今日進めている年間百時間という時短計画は、国全体の倍以上のスピードであり、直ちに千八百時間を達成しろと言われても難しいが、この努力を評価してほしい旨の意見が述べられました。 なお、トヨタ自動車からは、時短の推進に伴う経費の増加に対して、制度的な支援措置をお願いしたい旨の要請がありました。 次に、中部技能開発センターは、最近における職業能力開発ニーズに対応し、労働者の職業生活の全期間を通じて職業能力の開発向上を図ることを目的に雇用促進事業団が設置した中部圏では初めての大型技能開発センターであります。 私たちは、このセンターの概要と、名古屋昭和建物サービス株式会社から派遣された障害者の方々の作業状況を視察いたしました。 この会社は、障害を持つ方々が健常者とともに働ける場を拡大する目的で、平成元年八月に第三セクター方式によって設立されたモデル会社であります。 従業員は四十六名で、このうち重度の障害を持つ方が四名、精薄者が十名含まれており、中部技能開発センターには五名の精薄者が配置され、清 掃業務に従事しております。 私たちが訪れましたときには、多目的実習場において床の清掃作業が行われていましたが、ひたむきに作業に取り組んでいる姿には、社会人として自立し、誇りを持って仕事をしていることへの満足感がうかがえました。 今日、障害を持った方々の社会への完全参加と平等の実現が叫ばれておりますが、それをかけ声倒れに終わらせないためにも、障害者がその能力と適性に応じて十分に自己を発揮できる雇用の場を創出することが重要であり、官民が一体となって一層努力することが強く望まれております。 以上で報告を終わりますが、両県から提出されました要望書につきましては、これを会議録の末尾に掲載していただくよう委員長にお願い申し上げますとともに、今回の委員派遣に当たり、特段の御配慮をいただきました関係の方々に心から感謝申し上げます。 以上でございます。
○委員長(向山一人君) 以上をもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。 なお、ただいまの田辺君の報告中御要望のございました長野県及び愛知県当局からの要望事項を本日の会議録の末尾に掲載することについて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十八分散会 —————・—————