予算委員会 第7号
- 発言数
- 323 件
- 登壇者
- 47 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1992/03/23
会議録
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、総括質疑を行います。前畑幸子君。
○前畑幸子君 今週も引き続きまして三重野総裁にお越しをいただきまして、最初に金利政策についてお聞きしたいと思います。 最近の三重野総裁の何回にもわたります金利引き下げ、公定歩合引き下げの意味でございますけれども、金利を下げていただくことによって株の業界を潤わせたい、そしてまた個人の消費を伸ばしたいといういろいろな意味があると思いますけれども、私はもう一つ考えさせていただきますと、ノンバンクの救済が第一目的になっているんではないかなと思わざるを得ないような気がいたしてなりません。 先ごろ金丸副総裁の、日銀総裁の首を飛ばしてでも公定歩合を引き下げるべきだという大変横暴な言葉がありましたけれども、金融機関、特にノンバンクが巨額の不良債権で苦しんでいるという実態があります。特に住宅金融会社が最も苦境に立っているということでございますけれども、そうした面からの圧力というものがあったんではないかと懸念せざるを得ません。 融資先が倒産などによりまして焦げつき債権が大変発生しているような状況でございます。地銀生保住宅ローン四百億円、住総などは三百億円、第一住宅金融に関しましても二百億円以上という大変な金額を抱えております。特に、昨年来問題でありました興銀系の日本ハウジングローンに至りましては一千億円を超える不良債権を抱え込んでいるということでございますけれども、その辺のいきさつを御説明いただきたいと思います。
○参考人(三重野康君) お答え申し上げます。 金融政策は、委員つとに御承知だとは思いますけれども、物価、景気、為替レート、金融市場の動向等を総合的に勘案して決めるものでございまして、金融政策の結果、金利全般に大きな、いろいろ働きかけがございます以上、その影響は国民経済全般に響くものでございます。もちろん資金の借り手、貸し手、それから企業の規模を問わず、業種を問わず、さらに委員御指摘のようなノンバンクも含めまして大きな影響を及ぼすわけでございますので、私どもといたしましては一部分の利害に偏することなく的確なる現状判断を持って適切な経済政策運営をしたいと肝に銘じております。 現在の金融政策の目標はどこにあるかと申しますと、日本の経済が一九八〇年以来四年間にわたりましてバブルを伴いながらも非常に高度の成長を遂げまして、現在はその後のバブルの解消を伴いつつの非常に難しい調整局面にございます。したがって、私どもはこの調整局面を乗り切って日本経済をインフレなき持続的な安定成長への路線につなぐべく日夜腐心しているわけでございますが、現在のところは、ノンバンク等も含めましてあらゆる今までの金融政策の、昨年七月以来一連の金融緩和をとっておりますけれども、その政策効果がどう出るかを含めまして事態を見ているということでございまして、特に一定の分野について何か救済というようなことを考えておるわけではございません。
○前畑幸子君 金融政策の効果というものは、引き下げ期待感が先に送られてはだめなわけで、何回も三次、四次と徐々に下げていくというのには問題があるような気がいたします。 それは、私ども中小企業にとりましては金利を下げていただくということは大変ありがたいことですが、こうして私ども参議院で今予算を一生懸命審議中であるにもかかわらず、自民党の相次ぐ発言に引っ張られたような形で総裁が少しずつ下げていかれるというのには、そういう要求にこたえていかれるような形で金利政策が変更されていくということには私もちょっと抵抗を感じるわけなんですけれども、その辺を総裁はきちっとした態度で取り組んでいただきたいと思うわけです。 悲観的な景気見通しが今、大分強いわけでございますけれども、今度また第四次ということもうたわれております。こんな状態でいきますと、四月、五月にかかりますとドルも百四十円ぐらいにまでもなってしまうんではないかというような心配もされている中でございますので、下げるばかりでないということも考えていただきたい。私ども中小企業では、公定歩合が下がりましても二、三カ月のタイムラグがくるわけです。そして大手の銀行と信用金庫におきます貸し出しの金利にも差がついてきているというような状況でございますので、そうした点もきちんと考えていただきたいと思うんです。 公定歩合に関しましては、もう少し日銀としてきちっとした態度で取り組んでいただきたいというのが私のお願いでございます。第四次公定歩合というものももう考えられているようでございますけれども、その辺、〇・五ないし〇・七五、例えば一%なんというような声まで出ているわけですけれども、少額預金者に関しましても、預金をしている者の立場というものもお考えになって取り組んでいただきたいと思います。 先日、「スーパー定期に優遇金利」ということが出ておりましたけれども、これに対しまして日銀総裁はどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
○参考人(三重野康君) 委員の御要望はしかと承りましたが、金融政策は、日本の経済を一つの健康状況に例えますならば、その健康状況に応じて薬を処方しているわけでございまして、少しずつ下げる場合もございますし、大いに下げなければならないのはひとえに健康状況、日本経済の状況次第によるものだというふうに考えております。 なお、金融政策、特に金利につきましては日本銀行法におきまして日本銀行の政策委員会の専管事項ということになっておりますけれども、それだけに、私どもは独断を避け情勢判断を的確にしなければならないというふうに考えておりまして、いろいろの御要望、御意見は耳に謙虚に受けとめますけれども、その政策運営そのものの責任は私どもにあるというふうに考えております。 それから、委員が最後に御質問の、例えばスーパー預金云々でございますけれども、現在、預金金利の自由化を進めて、いよいよ最終段階に入ってきております。今の御質問もその預金金利自由化の一環でございますけれども、預金金利自由化と申しますのは金融機関の経営の一層の効率化を図り、かつ競争を促進して、いわゆる預金者に対する多様なサービスを銀行が提供できるということを目的にいたしておりまして、その意味に従って逐次自由化をしてきているわけでございます。 もちろん、その過程においていろいろの問題は生じておりますけれども、究極的にはそういう自由化を進めることが預金者のニーズにもかない、かつそれだけではなくていわゆる金融全体の効率化、国際化というものにも沿うものと、そういうふうに考えております。
○前畑幸子君 私は金利が下がるのを非難ばかりしているわけじゃありません。金利が下がることによってやはり個人の消費も伸びるわけですし、そして安い金利により中小企業の設備投資も潤うわけですし、そうしたことが生産活動の拡大につながるということは私も大変いいことだと思いますけれども、むやみに少しずつ少しずつ小出しに出すことによって期待感が先にいってしまうということは、もう少し辛抱しよう、もう少し辛抱しようというその精神的なものを助長するのではないかということに懸念を持ったわけでございます。 そしてまた、銀行の自由金利のメリット、デメリットを今度お伺いしたいわけですけれども、金利が自由化してくることによって、今までも私は大手の企業とそれから中小企業の間に貸出金利に差のあることは承知をしておりますけれども、今後自由化することによりまして、大手の企業は大きい銀行にたくさん預け入れることによっていい金利がつくということが考えられます。そしてまた今度借り入れをするときにはいわゆる値打ちな金利で借りることができると思います。それに反しまして中小企業は、要するに信用金庫、市中銀行に対しまして預け入れる金利についてもその金額に応じて差がついてくる。そして今度逆に借りるときには余り低い金利では借りられない、むしろ高い金利になるという、その借り入れる場合の金利にも差がついてくるのではないかなということを懸念するわけです。 そしてまた、銀行のサイドでも、大きい銀行におきましてはたくさんのお金が集められる。信用金庫、小さいところにおきましては要するに預金を獲得するのにも大変苦労しなければならない、そういう銀行間の競争も大変厳しくなると思いますけれども、借りる方の側に関しましても金利の中で大変差がついてくるのではないかなという心配をいたします。 その辺、総裁はどのようにお考えになっていられるでしょうか。
○参考人(三重野康君) お金を借りる場合、その借りる方の信用いかんによって金利の差がつくのはある程度自然なことだと思います。 昔は中小企業が非常に借りにくいということもございましたが、例えば都市銀行で最近の貸し出しの大部分は中堅中小企業でございまして、健全な経営をしている企業にとっては規模の大小にかかわらずうまく金がついていくのではないかというふうに考えております。
○前畑幸子君 昨年来、本当に真剣に設備投資そして運転資金で借りようとしております中小企業は大変貸し出しに厳しい状況を感じております。そのために、銀行じゃなくて国民金融公庫とか保証協会とか、そうした政府金融に一生懸命頼らざるを得ない。 今まで銀行は、土地が担保にあれば、多少の定期が入っておれば、大変有利に湯水のごとく貸してくれていたものが非常に貸し出しに厳しくなってきております。そういう状況を眺めますと、今後やはり預金の金利とあわせますと、貸し出しというものに大変厳しいものを感じているわけです。現に中小企業では納税額がある程度なければ貸し出しは不可能という段階にまで来ているわけです。ですから私は、そんなに甘いものではないんじゃないかなということを心配するわけです。 そしてまた、銀行側にとりましても、小さいと言いますと失礼ですけれども、例えば力の弱い信用金庫、労働金庫など預金を獲得するのに厳しいところにおきましては、そういう点が今後出てくるのではないかなと私は考えるんですけれども、どうでしょうか。
○参考人(三重野康君) 金融の自由化、国際化が進むにつれまして、かつバブルの解消が並行して行われますに従いまして、金融機関の経営というものは非常に厳しくなってきていることは事実であります。それぞれの金融機関がそれに対応するために自己資本の充実ということとリスク管理の徹底、この二つを基軸に据えて経営をいろいろやっていくことは、これから難しい経営ではございますけれども、やらなければならないことだというふうに考えております。 その中におきまして、中小企業の金融についての委員の御心配はもっともだというふうに思いますけれども、それは本当に金がつかないものにつきましては政府におかれましても、これは私の答弁する限りではございませんけれども、いろいろ政府関係機関の中小企業金融対策もございますし、私は、今はそういうふうに厳しい世の中でございますのでいろいろと難しいことはあると思いますけれども、その中で、中小金融そのものも本当に阻害を受けて日本経済の発展をとめる、そういうようなことにはならないというふうに思っております。
○前畑幸子君 お忙しいところ申しわけないんですが、もう一つお聞きしたいんですが、銀行は大型化していかざるを得ないと思います。そうし、ますと、今まで銀行は地元密着型で支店、その下にはまた出張所という形で地域にどんどんと支店、出張所をふやしてきた傾向にここ数年あったわけでございますけれども、これによって今度効率化というものを銀行サイドも考えなきゃならないということになりますと、その信用金庫と都市銀行のような合併という問題も起きてきて、五人、七人でやっていた出張所的なところは引き揚げざるを得ないんではないかなということも私は考えるんです。 そうしますと、要するに今まで銀行が中小企業のサービス機関として地元に密着型で活動されていたのが、だんだん大型化することによって、それこそ目抜き通りにでんと構える形になって、地方というものに対する地元密着型の銀行というものが成り立っていかないのではないかなという銀行サイドのことも私は思うんですけれども、その辺はどう思われますか。
○参考人(三重野康君) 先ほど申し上げましたようないろいろの経営環境の厳しい折でございますので、確かにいわゆる効率化によっていろんな店舗を縮小するということもあり得ると思います。 しかしながら、現在、他方におきまして小型店舗、機械化店舗の配置もございますし、さらに個々の金融機関の中、あるいはそれを越えて、あるいはさらに業態を越えて、CDあるいはATM等のネットワークというものがかなり普及してきておりますので、委員の御心配のような点はそれほどではないかとも思いますけれども、その点については十分今後ともよく見てまいりたいと思います。
○前畑幸子君 お忙しいところありがとうございました。 次に、景気動向についてお聞きしたいと思います。 先日、斎藤栄三郎先生がきちっといろいろお聞きになりましたけれども、私はもう少し中小企業のサイドでも大変厳しい気持ちを持っておりますので、もう一度、総理、大蔵大臣にお聞きしたいと思います。 大変見通しが甘かったのではないかなということは、きょう現在になってもっと拡大していると思いますけれども、先日、GNPもマイナスということでございますけれども、今のお気持ちはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 甘かったという御指摘についてどれを基準にして申し上げたらあれかと思うわけでありますけれども、確かに私どもが、特に昨年私が就任いたしまして以来、補正予算ですとかあるいは日銀によりますところの公定歩合の引き下げですとか、いろんな実は対応をしてきておるのが現状であります。そういう中にありまして、確かに税収動向が平成三年度なら三年度の当初見積もったものより相当部分へっこむという現実があったことは事実でありまして、こういった結果というものはやっぱり甘かったんじゃないのかということであろうと思うんです。 御案内のとおり、バブルと言われ非常に高い成長で伸びてきたということでありますから、そういうものの流れといいますか諸要因というのがやっぱりはげてしまったという中、そういう中にありまして、特に不動産ですとかあるいは何というんですか、株の取引ですとか、そういったものが総体的に落ち込んできたということがあります。そういうものに対して私どもはいろんな手当てをしてきたわけでありますけれども、大きく膨れ上がったときにこれがきゅっと引っ込むこの動きというのは、やっぱりこれはさらに大きなものがあるんじゃなかろうかというふうに思っております。 ただ、私どもはそういったものに対して、今申し上げましたように公定歩合あるいは財政面、こういった面で手当てをしてきておるということでございまして、今現在の状況というのはまだ景況が減じている、それが広がっているという印象を私たちまだ持つわけでありますけれども、いろんな手当てをしてきたものがこれから徐々に効果を示してくるんじゃなかろうかというふうに期待いたしておるところであります。
○前畑幸子君 私は、時期的な判断というものが非常におくれている、本当にお役所仕事ではないかなと思うわけです。昨年、一年前のデータをもとに大体出されている数字のようでございますけれども、そうした時期的な判断を今見誤ることによって、要するにその指標をもとに在庫調整、設備投資を考えている企業におきましては大変それは商いことだと思うんです。ですから、もう少しいろいろな企業のあり方を見ていただいて、そういうデータの時期的な適切な判断、対応策をきちっと考えていただきたいなと思うんです。 四月になると出ると思いますけれども、総合経済対策の中身というものはどのようなものか、ちょっと説明いただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 総理から先般御指示がございまして、三月中に当面の緊急の景気対策を取りまとめよという御指示で、私どもの方が中心になって、関係各省御協力をいただきながら鋭意現在その努力中でございます。 中心的な柱は、今月の五日にこれまた総理から御指示もありましたのですが、いわゆる公共事業の執行に関する問題等々五項目にわたる事柄が中心的なテーマになろうかと思っております。 なお、いわゆる景気の足元の現状判断についていろいろ今おしかりをいただいたわけですけれども、一年前の数値をもとにして判断しておるなどというようなことは私はありません。むしろ、例えば在庫の動向あるいは生産の動向、消費の動向、かなり私ども毎月毎月月例経済報告という形で報告をいたしておりますけれども、もちろん中には三カ月程度のタイムラグがあるものもありますけれども、かなりの部分は一カ月、二カ月、いわば今月で言えばもう二月中のいろんな経済動向をその数値をもとにしながら判断したり、あるいはさらに、そういう数字的なものだけでなくて、実際に一線で経営の任に当たっておられる方々の生の判断を極力我々も吸収するように努力しながら総合的な判断を下しておることでありまして、その点はひとつ御理解をいただきたいと思っております。
○前畑幸子君 そうしますと、今景気が悪くなって、要するに歳入欠陥が出てきたわけでございますけれども、その不足を国債の増発と増税で賄おうという今度の予算のようでございます。 三年度の補正予算はそうした意味から大幅な税の減収をもう予測して編成されたと思うわけですけれども、それ以上に景気の落ち込みというものは厳しいといいますか、大きいと思うわけです。特に、税収の三割を占めると言われる法人税、それがやはりこの三月末をもちましての予想で出されていると思いますけれども、六月にならないと確定しないわけですね。そうした面での御心配はないでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 法人税収につきましての具体的なお尋ねのように承りましたけれども、平成三年度の法人税収はさきの補正予算におきまして、これまでの課税実績でございますとか大法人に対します聞き取り調査の結果、そういったものを踏まえまして見直しをさせていただきまして、当初の予算額が十九兆二千六百七十億円でございましたものに対しまして一兆八千九十億円の減額補正を行い、十七兆四千五百八十億円、対二年度の決算比、つまり二年度の決算に計上されました法人税収よりも五%低い額を見込んでおるところでございます。 この先どうなるかと申しますと、これはもう今先生御指摘のとおり、いまだ進捗割合が半分ぐらいでございまして、四月、五月に入ってまいります法人税収というのが大体全体の四割くらいという大きな固まりでございますので、これを見きわめぬことには何とも申し上げにくい状況にございますが、一月末現在の勢いというものがどうなっているかということを最新の数字で申し上げておきますと、予算は先ほど申し上げましたように、補正後で去年の決算に対して九五%のレベルを達成できればこれは目標達成ということなのでございますけれども、四月から一月までの累計が約九二%、一月分だけとりましたところの前年比、瞬間風速と申しますとちょっと適当でないかもしれませんが、一月分の法人税収の前年比は一〇〇・一%というような勢いでございます。 こういった状況で、残ります四月、五月決算を注目していきたいというのが今の状況でございます。
○前畑幸子君 そんなに落ち込まないだろうという予想の歳入をもくろんでいらっしゃるようでございますけれども、軒並みここのところ三月の決算は、特に証券はもちろん、製造業に関しましても、自動車、電機を初めとして要するに株の評価割れ、そして在庫調整、それから負債などに関しまして赤字に転落しているという報告がされているわけです。 こうした状況で三年度の税収見込みを基準に四年度の税収を見積もっておられるというわけですけれども、その辺に心配はないものでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 仰せのとおり、三年度の補正後の水準を土台にいたしまして四年度の予算編成に当たりまして四年度税収を見込ませていただいておりますから、先生が御指摘のように、仮に三年度の見込みにさらに狂いを生じまして補正後の予算を下回るということになった場合には、その分四年度の予算に響いてくると考えなければなりません。しかし、そうなるかどうかということは、今申し上げましたように、今の段階ではよくわかりません。しかし、私どもとしては常に楽観的な気持ちでおるわけにはまいりません。刻々移り変わっていきますいろんな指標というものを非常に注意深く見ておるわけでございます。 例えば、民間調査機関がいろいろな予測を発表されますけれども、平成二年十一月に予測されました三年度経常利益の前年比のその数値を見てみますと、十一月調査では一〇四・九%、これは九機関の平均値でございますけれども、一〇四・九%の伸びを掲げておられましたが、同じ三年度経常利益の見込みというものが平成三年の二月調査では一〇四・八、五月調査では一〇一・五、八月調査では九八・六、十一月調査では九〇・五、四年の二月調査では八五・五と。我々が三年度の補正予算をいろいろ検討いたしましたときにこういった機関が発表しておられました数字に比べますと、最近はさらに数字が低下してきているという事実もございます。そういうものも含め、これから注意深く見守っていきたいと思っております。
○前畑幸子君 いろいろな面で厳しい状況を迎えている今年度の予算ですので、歳入歳出両方のきちっとした見直しに真剣に目を向ける必要があるときではないかと思います。 次に、税制改革についてちょっとお聞きしたいと思いますが、改正後三年経過したわけですけれども、その実績としてどんな成果が上がっているかということをお聞きしたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) 税制の抜本改革、消費税の導入が行われましてからある程度の期間が経過いたしたわけでございますけれども、その成果ということについて述べろということでございますが、税制改革が議論されました当時、税制が抱えておりましたゆがみ、ひずみ、これを是正したいというのが税制改革の第一の念願であったわけでございます。ほうっておきますと個人の勤労所得に対する課税に偏っていく体系、そういうものを是正し、それから消費課税のウエートが著しく低くなっておりました当時の状況を是正するということに手を加えていただいたわけでございますが、その結果、税制改革は現にその趣旨に沿ったものとして実行され、新しい税制として我々の目の前にあるという感じが私はいたします。 やや具体的に申し上げてみますと、税制改革前の昭和六十一年とごく最近の数字を比較したところで申し上げてみますと、所得課税のウエートでございますけれども、所得課税のウエートというのは、所得課税の中に資産所得課税というものがございますが、この資産所得課税を資産課税の方に分類し直してみたところで見ていただいた方がわかりやすいかと存じますけれども、それで見ますと、当時六〇・九%と言われておりました課税のウエートが今五五・五%とかなり顕著に低下してきております。反面で消費課税のウエートは二〇%から二二・三%に上昇し、また資産課税、これは先ほど申し上げました資産所得課税を含んだ数字でございますけれども、一九・一%から二二・二%へとかなり上昇していると考えます。 仮に抜本改革が行われなかったといたしました場合にどのようなことになっているかを考えてみますと、抜本改革の趣旨はこういう形で生かされてきているというふうに考えております。
○前畑幸子君 その税制改革の中で最もうたい文句でありました高齢化社会に向かっての財政需要にこたえるためということで消費税が導入されたわけでございますけれども、消費税導入後においても景気対策として有効な財政面からのその動きというものがないというのが私は実情ではないかと思うんです。 そうしますと、政府は現在の税体系のもとで財政需要にこたえるためにはどうしても将来また消費税を上げざるを得ないのではないかなという懸念がいたしますが、その辺は心配はないでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 消費税の働きというものにつきまして今先生のおっしゃったことに対し、一言こういう角度からもごらんいただきたいとお願いしたいと存じますのは、私は消費税の導入というのは二つの点におきましてやはり当時言われておりました高齢化社会への対応に奉仕をし始めているというふうに思うわけでございます。 一つは、その税体系の中のゆがみを是正し、先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますので省略いたしますけれども、負担のバランスというものを準備してくれているということが一つ。 それからもう一つは、次第に増大しております歳出、特に福祉需要、予算の各科目の中で一番大きな額、年々ふえてまいります一番大きな額を占めております項目はやはり社会保障の予算でございます。これは年々五千億とかあるいはもっと大きな額で確実にふえていっております。そういったものを全体として支えているという、そういう意味におきまして既に高齢化社会の財政連営を支えつつあるというふうに認識いたしております。
○前畑幸子君 それでは、この消費税のことに関しまして宮澤総理が衆議院の予算委員会で、消費税の税率引き上げは経済政策としては下の下であるという御答弁をされたと思うんです。これには経済政策というまくら言葉がついていたわけでございますけれども、現在の景気後退の現状の中で経済政策上、下の下の策であるということが強調されているように思いますので、もしこれが景気が持ち直したときにはそうではないというような意味は含まれていませんでしょうか。 もう一度総理に、経済政策としてではなく、租税政策あるいは財政政策としてはどうであるかというところのお気持ちを聞きたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから前畑委員が直接税、殊に法人税の税収をめぐって主税局長にいろいろお尋ねでございました。お尋ねの趣旨は私はごもっともな趣旨だと伺っておったのでございますが、つまり減額補正を、直接税の減額補正をしなければならないといったようなことは経済運営が正常にいっていない、思ったようにいっていないということにほかならないと私は思いますものですから、そういう経済運営というのはやっぱり考えないといけないなと。租税の弾性値というものはおのずからございますわけですから、その見積もりが減額補正をしなきゃならないというようなことはやっぱり経済運営に問題があるだろうと、こういうことを実は申し上げたかったので、その経済運営を改めずして、税収が足りないから間接税の税率を上げよう、それも消費にかかる税率を上げようというのは、財政経済政策としては、もうおわかりいただくとおり、いかにもこれは上手な政策ではないと私は思っております。 したがいまして、今大事なことは消費税の税率を上げるというようなことではなくて、やはり経済の運営を正常にして税収の減額補正を必要とするような事態を招かない、そういうことが起こらないような経済運営をするということではないかということを申し上げようとしたわけでございます。
○前畑幸子君 宮澤総理は、税に対しては本当に日本のトップの方ですので、総理の一言一言というのが租税政策とか財政政策とか経済政策上はというふうに区別をされているのに私は意味がなければいいがという懸念を持ったわけでございます。どんな面でも、やはり財政政策等いろいろな意味できちっとした対応を、早目に対応をしていただくことが経済にとっては大変必要なことではないかと思いますので、お願いをしたいと思います。 もう一つは、時間がございませんが、最後にお願いしたいのは、ここのところ経団連からも、それからいろいろな業界からも徐々に声が出てきておると思いますけれども、所得税に対する減税がもう四年間されておりません。六十三年になされてからもう四年たつわけでございますけれども、この面につきましてやはり実質的な増税になっているのではないかなと思います。今後、所得減税、先ほど大蔵大臣も所得に対するウエートも大きくなってきたという塗言葉がありましたけれども、どういうお考えをお持ちでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) もう四年たったというお話でございますけれども、先般の税制改革におきまして最低税率、これは一〇%の適用範囲の大幅な拡大を含む税率構造全体の累進緩和及び簡素化というものを成し遂げたこと、それから基礎控除、配偶者控除、扶養控除を引き上げましたこと、あるいは配偶者特別控除の創設ですとか、あるいは十六歳から二十二歳までの扶養親族を対象とした割り増し扶養控除の創設など、さまざまな改正を行うことによりまして例の五兆五千億円を成し遂げたということでございます。 この結果、いわゆる中低所得者層、これを中心とした重税感あるいは負担累増感、これが大幅に緩和されたものであろうと考えておりますし、また現在の財政状況というのはもう御案内のとおりの状況でございます。先ほどから御心配のとおりでありまして、そういう中で所得減税を行うのは実際に無理なことであろうと思っております。そして課税最低限あるいは最低税率、これは主要諸外国と比較いたしましても負担が大変低いところにあるんじゃなかろうかというふうに思っております。税負担額からいきましても、これは年収五百万円を一つ仮定した場合にも、日本の場合が二十一万円に対してアメリカが六十一万円、イギリスの場合に九十六万円、ドイツの場合六十一万円ということで、私ども相当低いところにあるんじゃなかろうかと思っております。もう一度申し上げますことは、今日の状況からいたしまして、これを所得減税を行うということはやっぱり私たちは考えられないんじゃなかろうかというふうに思っております。
○前畑幸子君 そうおっしゃいますけれども、消費税も一般会計に入り、そしてことしから地価税も入ってくるわけでして、所得減税によって個人の消費を伸ばさないことにはやはり企業も潤わないわけですし、昨年来、暖冬ということもございますけれども、デパートにおいては衣料品、そして大型のスーパーにおいても衣料品というものが特に売れない。やはり一番最初に耐えるものは衣料品であろうと思うわけです。そして、そのために非常な在庫を抱えているということですので、個人消費というものを伸ばすためには、やはり減税をすることによって国民の気持ちを潤わせなければいけないのではないかなと思うんです。物価指数からいいましても、四年間全然なぶらないということは私は大変な増税につながっているんではないかと思いますし、先ほど所得のランクなどもきちっと見直したということでございますけれども、二千万円以上五〇%が五千万でも一億でも五〇%ということで、六〇%の課税対象者がなくなったということはむしろ上の方には大変厚いわけで、もう少し基礎控除というものを上げるべき時期が来ていると私は思います。 その中で、政策的な減税をもう少しそれと同時に見直していただくときが来ているのではないかなと思うわけです。例えば医療費控除、生命保険控除、火災保険控除というものがございますけれども、医療費というものもずっといろいろな問題点を抱えながら五万円の控除が一挙に十万円に上がったんですけれども、これが上がったいきさつと導入されたいきさつをちょっと御説明いただきたいと思います。
○政府委員(濱本英輔君) 医療費控除、生命保険料控除等の導入時のいきさつについて御説明を申し上げますが、その前に一言だけ、前畑先生の今の御指摘の中にいろいろなお話がございましたけれども、物価上昇があるから実質的な手取りで見るといろいろな公費負担等に食われてレベルが下がっておるのではないかという御指摘に承りましたけれども、標準世帯の場合、恐らくそこは大丈夫であろうというふうに思います。計算を我々の方でも試みてみておりますけれども、税制の抜本改革前に、あるレベルの所得がありました世帯はその後ベースアップがありまして当然賃金収入はふえております。ふえれば所得税でございますので負担もふえてくるという可能性がございますし、その間物価も確かに上がっております。しかし、それらをすべて加味して計算しましても、恐らく手取り額は当時よりもかなりふえているように思うわけでございます。そのことを一言申し上げておきたいと存じます。 それから、ただいまございましたお尋ねで、医療費控除、生命保険料控除等がどのような理由で導入されたかということでございます。 医療費控除でございますけれども、結局これは通常の一般的な家計負担の水準を上回ってある日突然偶発的に相当まとまった支出を余儀なくされる、そういう医療費の性格に着目いたしまして、担税力が減殺される、その減殺をしんしゃくする、そういう制度として二十五年に設けられたものと記録されております。 生命保険料控除でございますけれども、これは保険料の支払いにつきまして導入当時言われましたことは、長期貯蓄を奨励するための誘因的な措置であるということで昭和二十六年に設けられたものでございます。 損害保険料控除、これは住宅、家財等につきまして不慮の事故による損失に共同で備えて国民生活の安定に資するといった政策的要請にこたえまして、ちょっとおくれてでございますが、昭和三十九年に設けられたものでございます。
○前畑幸子君 医療費控除が家計の負担にある日突然というお言葉でしたけれども、今例えば八万円の医療費の領収書を集めるということは、家族四人では大変集まらないんですね、よっぽど入院をするとか手術をするとか百万円の歯を入れかえるという家族以外では。子供が風邪を引いた、おなかが痛いではそれだけのものを集められないんです。それが五万円が十万円になってしまったことによって、要するに子供を育てる、少しずつかかる医療費の家庭では何のメリットも今受けていない。むしろ大変高額な歯を入れる方にはメリットがある。そうして入院をされた場合には社会保険なり国民健康保険で補てんがされて戻るわけですので、私はこの医療費の控除、家計を圧迫するということに関しましては、今そんなにウエートがないんではないかなと思うわけです。 それから生命保険控除というものも、長期貯蓄を奨励するということでございますけれども、今掛けている世帯割合はもう八割以上、九割近くいっていると思います。そうしますと、これを一々控除証明を張りつけて、そして五万円を今度年金も含めて十万円という、そういうややこしいことをしていなくても、もう基礎控除に含めてするのが公平な控除の仕方ではないかなと私は思っているわけですが、この辺に関しましてはどうお思いでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 医療費控除につきまして、これは先ほど申し上げましたように、多額の支出を余儀なくされる、そういう場合の担税力の減殺をしんしゃくするという目的で設けられたものだと申し上げましたけれども、家計の平均的な医療費負担というもののレベルはだんだん上がってまいっております。したがいまして、平均的な医療費負担を上回る、つまり担税力をまともに減殺するような、そういうものに対する救済の手だてでございますので、そういう意味におきまして足切り限度額というものを設け、足切り限度額を超えるものについて担税力減殺部分について配慮するという趣旨からいたしまして、たしか六十二年の九月であったと思いますけれども、従来の五万円を十万円に引き上げたという経過がございます。 そういうねらい、つまり所得の一定割合というものをめどにして、それを超える部分については配慮する。その場合に、家計の平均的な医療費負担というものもあわせてめどにするという考え方自体は適正なものではないかというふうに考えております。手間がかかるという問題がございますけれども、これは確かにシャウプ勧告のころから医療費控除につきまして手間の問題というものが常に認識されておりまして、それにつきましては余り細々したものまで一々医療費控除の対象にするということは行き過ぎではないかという配慮から、そういう配慮も重ね合わせまして今のような足切り制度というものが生まれたというふうに聞いております。 もう一つ、生命保険料控除につきましては、御指摘のとおり、先ほど申し上げましたような理由で創設されて随分期間も長くたっておりますし、普及率も相当なものになった、減収額も生命保険料控除だけで二千七百五十億円に達しておるというようなことから、税制調査会におきましても、前畑先生が今御指摘になりましたと同じような趣旨の問題提起がかつてもございました。先生のただいまの御指摘というのは、こういった従来の論議、今日の時点で改めて貴重な御示唆を含む注意喚起を賜ったものであるというふうに私どもとしては受けとめさせていただきまして、今後の勉強につなげさせていただきたいと存じます。
○前畑幸子君 総理に最後にもう一度お聞きしたいんですが、四年間三十五万という基礎控除で、特に中のいろいろな諸政策に関して細かいことを申し上げたいんですが、時間もございませんので。 基礎控除を上げていただく時期というものは、今厳しい財政状況の中ですけれども、やはり国民すべてが今もう待ちに待っている段階に来ていると思いますが、お考えはいかがでしょうか。もう一度お聞きしたいと思います。 それと消費税に対して、まだ見直しもきちっとされていない状況でございますので、その前にいろいろな益税問題、そしてきちっと払った消費税が国庫に入らないという矛盾もある中ですので、そうしたものに対する対応もお考えいただきたいのですが、お考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 所得税のお話でございますけれども、過般の抜本改正が、前畑委員はお許しゅうございますのでよく御存じのとおり、かなり思い切ったものでございました。 当初、税率あるいは刻み、各種の控除等々合わせまして相当大きな、つまり中のところまでの所得層に対する重税感というのを緩和するということでいたしまして、所得税、住民税合わせまして五兆五千億円になったわけでございます。その結果といたしまして、御存じのように、課税最低限は相当高くなりましたし、また最初の一番低い最低税率も相当低いものになりまして、これは諸外国と比べましてもかなり私は所得税の負担は軽減された。 そのかわりといいますか、消費税との兼ね合いではあったわけですけれども、かなり思い切った抜本改正をさせていただきましたので、これはなかなか、私は次の減税というものはよほどこの経済情勢が好転いたしませんとなかなか考えにくいのではないかというふうに、それだけ先般の抜本改正が大きかったというふうに考えております。 なお、消費税につきましては、先般、昨年の十月でございましたか、改正をさせていただきましたこの定着を図ることが大事なことと考えておりまして、消費税の税率を合いじるというようなことを私は一切考えておりません。
○前畑幸子君 終わります。
○委員長(中村太郎君) 以上で前畑君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、常松克安君の質疑を行います。常松君。
○常松克安君 本日、私は三点についてお伺いいたします。 まず第一点は、交通安全、中でも交通事故による死傷者の統計の改善、第二番目には航空機内における救急医療の充実、第三点目には睡眠預金についてお尋ねするものであります。 まず第一点、中央交通安全対策会議会長でもある総理にお伺いいたします。 過日、各地高速道路にあっての大事故を見聞するにつけ、今や国民にとって交通事故撲滅こそ重大な政治課題の一つであると言わざるを得ません。まずもって総理の御見識をお伺いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 年間の死者が一万人を超えるというようなことは、まことに恥ずかしいことでありまして、問題の解決は焦眉の急であるというふうに考えております。
○常松克安君 それでは、次に警察庁にお伺いいたします。 今日の二十四時間体制、法的根拠、いつからそのようにおとりになっているかお知らせください。
○政府委員(関根謙一君) お答えいたします。 法的根拠といたしまして確たるものはございませんが、内部の規則等でそのように定めております。そして、そのとり方でございますが、これは交通事故を抑止するためという警察行政目的のために一番適切であるという考えから、昭和二十三年三月の警察庁の統計を基本として、以来そのように処理しております。
○常松克安君 特に、私は交通事故死者数については、事故発生後二十四時間では実態を正確に把握することはできないのではないだろうか、あるいは国際的な比較ということにおいても、二十四時間でこういう統計をとっているのは日本だけでございます。よって、いろいろ内部で御研究していらっしゃるようでございますが、これをもう少し幅広く三十日、速報性は二十四時間、こういうふうなことが考えられますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(関根謙一君) 私どもの統計は、先ほどお答え申し上げましたように警察行政目的の立場から二十四時間以内を死亡事故として処理してきたものでございますが、近時、先生御指摘のように、国際的な比較という観点から死亡事故の数字について国際比較をする場合に使われることがございます。そのような場合に、現在は二十四時間以内の数字に一・三を掛けた数字を大体三十日間の死亡事故数と推計いたしまして、その数字を国際比較の場合に使っております。しかしながら、こいう推計値といいますのは近似値といたしましてもかなり粗いところがございますので、 私どもは、従来の警察行政目的のための統計とあわせまして、国際比較その他の指標として使えるような比較的長期間内に亡くなった方々の数字を集計するような統計をつくる必要があるということで内々検討中でございます。
○常松克安君 しからば、それを現実に実施されますのは平成五年一月一日からするとか、あるいはその内容について十五日なのか三十日なのか、これはどうでございましょうか。よって政令で定めるでしょうか。
○政府委員(関根謙一君) お答えいたします。 現在作業中でありますのは、平成五年一月一日から集計を開始するという前提で、本年、平成四年十二月中に交通事故に遭われた方々から、その方々が三十日以内に亡くなるかどうかということで平成五年一月に入ってくる可能性がございますので、そういうところから集計を始めたいと考えております。 そのための手順でございますが、いろいろ都道府県警察との間の意見調整もございます。マニュアルをつくる必要もございます。それから、お医者さん方の御協力をいただき、かつ事故の被害者の方々の御家庭の御協力をいただく必要もございます。ということで手順を作成し、かつ試験実施を少し繰り返しまして、それで本年十一月中にはそのような仕組みをとるべく各都道府県警察に伝達をしたいと考えております。 その法形式でございますが、これは従来どおり内部の規則で定めることとしたいと考えております。
○常松克安君 まことに四十年ぶりにして画期的な英断をしていただいたわけであります。 それに基づいて、人一人亡くなることは、補償、治療費一億、一万一千人だと一兆一千億。これは三十日以内になると必ず死者がふえてまいる。よって、次に総務庁にお尋ねいたします。 第五次基本計画の三本柱が、そもそもこれは交通事故を一万以内に平成七年までにする、こうおっしゃっている。警察庁は、これをすると必ず膨大にふえてくるわけです。この辺のところで抜本的な会議、あるいはそれを検討しなきゃならないのではないだろうか。この会議自体が五年間、つくられてからただ一回しか開かれていない、こういうような実態でございます。いかがでしょうか。
○政府委員(賀来敏君) お答えいたします。 総務庁といたしまして、現在の第五次五カ年計画、毎次の五カ年計画でございますが、この中身につきましては、先ほどお話がありましたいわゆる二十四時間以内の警察統計はもとより、また厚生統計はおおむね三割ほど交通事故死者が多いわけでございますが、そういうものも踏まえまして現在基本計画が成り立っておるわけでございます。 御案内のとおり、中央交通安全対策会議は法律に基づいて設置されているものでございますが、いわゆる交通安全につきましての長期的かつ総合的な大綱を決めるという形で成っておるものでございまして、そういう全体の情勢を踏まえて現在の計画が成り立ったものでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○常松克安君 運輸大臣、お久しゅうございます。自治大臣の折には、救急救命士法への突破口を政治決断していただきまして、一生私お忘れいたしません。 きょうは、陸上を離れまして、ちょっと空の方へ参りますので、よろしくお願いいたします。 そこで、今日、海外旅行者は推計約一千二百万人、あるいはまた企業戦士の海外出張も多いので、航空機内における救急医療体制の充実について、まず大臣の基本的な認識をお伺いいたします。
○国務大臣(奥田敬和君) その前に、本当にいつも人命尊重の一点に絞られまして適切な御提案をいただき、御礼を申し上げます。なお、お触れになられましたけれども、自治大臣当時にあの救急救命士制度を発足させていただき、そういった形で厚生省とも本当に協調した体制で法案通過、制度開始にまで至ったことに、まず厚く御礼を申し上げます。 さて、お話しの航空機、特に国際線なんかの場合、長時間滞空の密室の状態の中で、心臓疾患等々の問題、発作で事故が起きるという形は、最近もやっぱり例が多くなってまいりました。各国全部、これらの問題点には制度改正を含めて十分やっておるわけでありますけれども、特に我が国におきましても、重要な問題として航空各社は乗務員等々に応急医療の訓練、訓育等々やっておる、そういう形で指導しておると聞いております。
○常松克安君 それでは、少し細かくなるが、実態を明らかにしたいがゆえにお伺いいたします。 機内においての急病発生によって臨着、言うなれば緊急着陸、この回数及びフライト中の死亡者数をまずお教えください。
○政府委員(松尾道彦君) 最近の三年間におきまして、我が国の航空三社でございますが、傷病人発生のために緊急着陸を行った件数が平成元年で十件、平成二年で四件、三年は九件、こうなっております。また、航空三社の機一内での死亡件数でございますが、元年が二件、平成二年が三件、三年は幸いにして発生いたしておりません。 なお、これ以外に、地上搬送中あるいは病院で死亡された方も若干名いるようでございますが、ちょっと私どもの手元では数字が確認とれておりません。
○常松克安君 じゃ、立場を変えまして、消防庁にお伺いいたします。 成田空港におきまして、機内で発生したと思われる救急出場件数、この辺についてお知らせください。
○政府委員(浅野大三郎君) お答え申し上げます。 平成三年中の数字でございますが、機内で起こったのであろうと、これは推定でございますが、出場いたしましたものが百十三件でございまして、搬送人員は百二名となっております。
○常松克安君 総理、ちょっとこの辺のところをお聞き願いたいのでございますけれども、楽しくあるべきはずの海外旅行、退職後妻に、愛を込めてエーゲ海を君に贈るよというようなことを言ってフライトされる方もいらっしゃるんですよ。だから、そういう方が飛行機の中で突然そういう目に遭う、遣わない、これは一寸先はわかりません。何も飛行機の中でオペするわけでもない、空飛ぶ救急車じゃないんですから、そういうことを求めているんじゃありません。実態の中には、今お聞き願いましたこういうふうな事件が起きております。その実態をどうしますか。スチュワーデスを航空会社も一生懸命訓練しています。悲しいかな、四百五十二時間の実習の中で十四時間が救急医療の座学あるいは実習でございます。また彼女たちにそういうふうなものを求めることは、これは非常に気の毒な面もございます。こういう実態ということをまずお聞き願っておきます。 それで、次にお尋ねいたします。 しからば、もうどうしようもございません。よって、今の体制はドクターコール、お医者さんはいらっしゃいませんか、こういうことでほとんどが処理されているわけでありますが、この辺の件数をお教え願いたいのと、その中でドクターコールで呼び受けた医師の専門科分類。二、どのような医療診断であったか。三、機内における救急箱で十分対応できたか。四、ドクターコールをしたが医者がいない、いないときはどうしたか。五、ドクター指示により救急車出動、危ないので着いたらすぐ呼んでくれと。あわせて御報告願います。
○政府委員(松尾道彦君) お答えいたします。 まず、機内でドクターコールに応ずる医師の専門でございますが、これは各科の先生方がたまたま機内に乗っておる場合がございまして、内科、外科あるいは耳鼻科、眼科等、いろいろ種類がございます。 それからドクターコールした場合の診療内容でございますが、医師は通常の症状に応じまして航空機に搭載しております酸素ボンベ等で酸素吸入あるいは心臓マッサージ、人工呼吸、こういうものをやっておりますし、また医師がたまたま医薬品を持っている場合にはそれに基づいて応急処置を行っていただいております。 それから救急箱でございますが、私どもの航空法でも義務づけておりまして、ただ薬事法との関連もございますので十分なものではございませんけれども、医療品一式、通常一般的に市販されているようなものは必要なものを搭載いたしておるわけでございます。 それから次に、医師が旅客として同乗していなかったような場合でございますが、これはたまたま看護婦等の医師以外の医療従事者が同乗していればその方の御協力をいただき、また特に緊急に必要があれば地上との無線交信によって地上の医師の御判断をいただきながら協力いたしていますし、先ほど先生の御質問の中にございましたとおり、一番大事なときには空港に緊急着陸を行っているわけでございます。 以上でございます。
○常松克安君 答弁漏れ。
○政府委員(松尾道彦君) 救急件数……
○常松克安君 じゃ結構です。私の方から答えましょう。それはようけ言うんですから、一つ二つ漏れるのは当然でございます。局長、済みません、大事なことなんですから。私の言い方も雑であったかもしれません。 ドクターコールをかけた件数、これは国際線、国内線で三年間にわたって二百七十二件。そして、医者がこれは危ないと判断して着陸時に救急車出動要請、これが百五十五回でございます。ここが大事なんです。この実態が大事なんでございます。 じゃ次に、そういうふうなことで行ってはおりますが、ドクターコールをしたが医者がいないときどうしたか。現実にじゃ例を申し上げましょう。 JALが国内線を飛んでおりました。前立腺を患った人の場合、気圧が変わりましたら、ドクターにお教え願いましたが、特にトイレがしにくくなる。大体成人で五百cc膀胱にたまるともう悶絶するような苦しみになる。そういう疾患の患者が出た。基地に連絡した。ドクターもいない、看護婦もいない、だれもいない。泡食った基地は、それを伝え聞いた全日空にドクターがいることを探し当て、そして通信でドクターコールによって指示され、寸時のところで命を救われた。もう危機一髪なんです。こういう現実。 ですから、これからこっちからお出しします。欧米においては排尿剤だとか注射だとかあるいは尿道カテーテル、こういうものまでその民族民族に応じた資器材が完璧に用意されているわけです。よろしいでしょうか。そっちがこうお答えしたかったと思って私の方から申し上げておきます。 じゃ、次に参ります。 それは、危ないことには海外からストレッチヤーで帰ってきた場合、この件数はいかがなんでしょうか。あるいはその費用を具体的にお教えください。
○政府委員(松尾道彦君) 最近の数年間でございますが、我が国の航空会社が海外から御指摘のストレッチャーで、日本人を我が国まで搬送する人員、年によって若干異なりますが、大体四十名あるいは六十名程度というふうに理解しております。
○常松克安君 答弁漏れ。
○政府委員(松尾道彦君) 失礼いたしました。 ストレッチャーによって傷病人を搬送する場合でございますが、これはストレッチャーの装着に当たりまして相当の座席数を使用するために、国際線で使用する場合、大体ファーストクラスでは二席、それからCクラスでは六席、それからさらにYクラスでは九席ぐらい使いますので、それに今大体ファースト料金の三倍、つまり二席プラスの付添人が一名いらっしゃいますので、その料金でいただいている、こういう状態でございます。
○常松克安君 このストレッチャーでわからないことはさっぱりわからないのでありますけれども、機内で担架に乗っけて医者と看護婦がついて転送してくる、こういうことでございます。 概略申し上げますと、ここに大蔵省からお示し願いましたが、どれだけの金額かかるか、そちらはアバウトなんです。確かに乗っけられたいすは六席つぶさないかぬのです。すると、ファーストクラスの三倍となるんです。どれだけの金額か具体的に教えてくれというのがこれなんです。相当負担なんです。行くときは四十五万かけてペルーに行くが、帰るときはそういう状態で帰らないかぬときはどれだけの金額かかるか、これを実は言ってほしかったので通告してあったはずなのでございます。しかし、それは別でございます。 ストレッチャーでありますと、マレーシアからお帰りになるときは一千七十九万円現実にかかっております。大変なことでございます、これは。当然これには任意保険外のちゃんと保険があるんだからお掛けになりゃいいですけれども、なかなかこれは中へ組み込まれていない。しかし、きょうはそれを論議するのが焦点じゃございません。 そういうふうな中において、非常に危険であるところがある。しかし、それに対して外国ではどのようになっておりましょうか。この辺のところをお教え願いたい。 あわせて大事なことは、呼ばれたお医者さんが救急箱をあけて、治療にふさわしい内容であったかどうか。ファーストキット、救急箱、これをお願いします。
○政府委員(松尾道彦君) 米国でございますが、各種のものが、お客が三十名以上の旅客機につきましては、特に一般市販以外に、日本で積まれる以外に、抗ヒスタミン剤とかあるいはニトログリセリン錠剤、こういうものが積んでございます。これはアメリカの法律に基づきまして義務づけられております。それからドイツの航空会社でございますが、一般的な市販以外に、今申し上げたような抗ヒスタミン注射液とかあるいは麻酔剤の注射液等、各種医薬品を搭載している例がございます。 日本は、これに比較いたしまして、どうしてもお医者さんの指示を受けて使う医薬品がございます。こういったものは、薬事法との関連におきまして、現在航空法上、私どもの航空機の方には搭載できていない、こういう現状でございます。
○常松克安君 答弁漏れ。大事なポイントです。 ドクターコールをかけられた医師が、積んである日本の飛行機の救急箱、ファーストキット、これをあけて、それで治療が可能であったかどうか、その模様をお知らせください。
○政府委員(松尾道彦君) 失礼いたしました。 現在の私どもの航空法では、医療品一式を入れました救急箱が搭載してございますので、この範囲内での問題は可能でございますが、それ以上の医師の直接の指示をいただいて使わなければならない医薬品がないものですから、場合によって不十分だった場合があろうかと思われます。
○常松克安君 事実、その治療に当たられたドクターがおっしゃいます。 ふたをあけた。ここに書いてあるから仕方がない、そのまま申し上げます。この武田の胃腸薬でこの急病人を治せというのかと。これが現状でございます。局長の方は、外国の方を非常に割愛していらっしゃいます。よって、ここに理事会の御承認をいただきまして、資料を提示いたします。(資料を示す)これを全部はっきり言ってください。これはドイツのルフトハンザ航空の中に、世界最優秀の薬品からカテーテルから、すべてのものを完備して積み込まれております。それをちょっと一件だけお見せしておきます。ここにこう出ておるんです。
○政府委員(松尾道彦君) 今御指摘のとおり、大変たくさんの医療品が積んでございまして、点滴あるいは溶液、昇圧・降圧剤、あるいは鎮痛剤、強心剤とか気管支拡張剤とか、各種のものが搭載されております。
○常松克安君 じゃ、次にお尋ねいたします。 アメリカの航空の方ではどうなっておりましょうか。
○政府委員(松尾道彦君) アメリカにおきましても、航空関係の省令に基づきまして掲載いたしておりますが、ばんそうこうとか包帯、添え木、消毒剤を入れた救急箱、その他必要な抗ヒスタミン剤とか血管の拡張剤、昇圧剤などが搭載されております。
○常松克安君 じゃ、二点お伺いいたします。 それ以外の外国航空はここでは時間制約がございますので並べませんが、多種多様に航空会社は積んでおります。韓国航空はすばらしいのが積まれております。 そうした場合、アメリカは法制化をいたしまして、積み込んでよし。はっきりおっしゃいませんでしたけれども、拡張剤、ニトログリセリン。ニトロ、心臓がとまる、爆発させる、これがはっきりされておるんです。しかし、これには行政指導がつけられております。その内容を教えてください。
○政府委員(松尾道彦君) 必要な搭載は今のような医薬品でございますが、それ以外に、具体的にそれを使用された場合におきましては、二年間この使用実績につきまして保存するというふうな中身のものが書いてございます。
○常松克安君 その内容。
○政府委員(松尾道彦君) 具体的な中身につきましては、ちょっと規定そのものではございませんけれども、各種の血圧計、聴診器、注射針、抗ヒスタミン剤の液、あるいはニトログリセリン錠、具体的な個数を明定してございます。
○常松克安君 局長、申しわけございません。今まで余りそちらの方面ライトが当たってないものですから、文献が少のうございまして。 私の主張したいのは、法制化のときに、一九八六年、アメリカは連邦航空局通達といたしまして、この資器材を積んだ場合に、二年間にわたってだれがどのように使ったのかをきちんと報告し、効果を報告しろと、こうなっておるんです。その内容なんです。使った一千六十件の報告内容、だれが使ったか、ドクター五百八十九件、ナース六十七件、ナース六十一件、パラメディック二十二件ないし三百二十一件。しからば、この三百二十一件とは何でしょうか。
○政府委員(松尾道彦君) 今、先生の御指摘の点は、まことに相済みませんが、メディカルキットということで御指摘の細かな規定はございますが、具体的な中身までちょっと存じておりませんので、申しわけございません。
○常松克安君 そちらからいただきました全文英文の中にきちんと書いてございます。お願いします。——じゃ、お気の毒ですから後ほどで結構です。今手元にございませんので後ほど詳しくと、こう言ってください。 私が聞きたいのは、ここはお答えください、でなきゃ大臣にお答えしていただかなきゃならなくなります。ほとんど一九八六、七、八年で全世界航空はこの体制というものを非常に研究し、行動に移したわけです。その原因が一体どこにあるか、ここが一番大事なんです。何で今まで載っけてなかった医療資器材を急に載っけたか、ここがポイントなんです。ここに日本の行政との落差が、見事に違うポイントがあるんです。教えてください、そこだけは。
○政府委員(松尾道彦君) 私どもは、必要最小限度のものに航空法上なっておりますが、特に日本の医療制度の観点から、薬事法の観点から十分な搭載ができないという状態にもなっておりますので、今後厚生省の御指導を仰ぎながら具体的な搭載について努力してまいりたい、このように考えております。
○常松克安君 私の質問の仕方が悪いことも重々わかりますが、もう少し的確に言ったことに対するお答えを、私この資料は半年間かかって現場を歩いての集約なんでございます、魂なんです。ところが、今のようなお答えでは前へ進まないんです。お願いします。
○国務大臣(奥田敬和君) 先生の御指摘で、素人ながら、欧米の国際線と申しますか、に比較して我が国のそういった救急医療、機内における医療のおくれというものは、私なりに理解することができます。日本の機内の医療対応ということになると、富山の売薬式の箱ぐらいしか入っていない。要するに、外国のやつには、お医者さんなりナースなりが注射も打てる、心臓発作に対しても対応できるといういろいろな薬品を搭載してある。それで、日本の場合の対応というのは何たることかという御指摘であろうかと思います。 それに対して当方の局長は、薬事法の厳しい制約があってなかなか欧米の先進国並みの医薬品はそろえられない、残念である、何とか厚生省と相談して御指導を仰ぎたいという答弁であったと思います。
○常松克安君 まあ大臣に御出座願えば、おさまるものはおさまるわけでございます。 ただ、一点だけ申し上げておきます。 一九八六年、この世界じゅうの事件はハイジャックだったんです。すなわち、機内におけるところの乗客もさることながら、乗務員が一人でもその中で長期にわたって、あの密室の中で倒れたりしたらパニックになる。よって、危機管理という思想の中からどうしてもこれが必要だ、これはもう国家的な国是として諸外国が踏み込んだことを、このような判断もあろうかと売主は指摘されていると思います、こう言えばいいんですよ。終わり。 じゃ、次は厚生大臣に申し上げます。 今、こういうふうな流れでございまして、非常にのるか反るか大事なポイントでございますけれども、今盛んにあちらからは薬事法、薬事法と。第四十九条を指すと思います。しかし、人の命でございます。これから機内においての問題は軽視してはならぬと私は存じます。よって航空機に、諸外国と同じように、それも医者が使うんです。乗務員が使うと言ってないんです、医者が使うとして医療資器材の薬品が積み込めないものだろうか、世界より上を積めと言っているんじゃないんです。比較して同じに、そう思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) 先生の先ほどからの御質問を聞いて大変いい質問だと、先生の質問だけで各航空会社が非常にこれは参考になり、謹聴することであろうと思います。 そこで、今の薬事法の問題でございますけれども、積むこと自体はちっとも構いません、医薬品を積むことは。ただ、その使用については、やはりそのものによって医師の指導を受けたりしなきゃなりません。そこで、救急医療からしますと、今は十四時間、十五時間ノンストップですから、足の長い飛行機ですから、私はある程度のものを積むことの方が望ましいと思っております。ただ、先ほどから話がありますように、大きな飛行機には大抵お医者さんとか乗っていますから、そういう指示を受けたり、受けられないときは無線ということもありますし、ただ飛行機に載せているものについて注意しなきゃならぬことは、その使用法とか管理、これはやっぱり十分注意しなきゃならぬと思いますが、先生のおっしゃるとおりだと思います。
○常松克安君 一言付言させていただきますけれども、使うのはスチュワーデスが使うんじゃないんです。乗務員が使うんじゃないんです。ドクターコールがかかって呼ばれたドクターが使うのに、またどこのドクターの指示受けるのですか。そうじゃないでしょう。ドクターが、医師免許を持っている人が使うんだからいいじゃございませんか。ただ一点、確かにそれは薬でございますから、薬事法の関係、管理だとかいろいろな面の難しさは、これは認めざるを得ない。 もう一点だけ付言させてください。アメリカ、ドイツ、これは公表しているんです。乗務員でも訓練して緊急避難の立場で人を救うためにこれを常時使えるようにしなさいとまで政府は立ち入っているんです。それを、ただただひたすらこちらは薬事法、薬事法と。 運輸大臣の試験を受けた人が小さなマグロ船で十九人、遠いところへ行っています。この人たちの衛生管理者に権限を持たせて、薬からオペ、メスまで、血管破れりゃ縫うということまで認めて、厚生省薬務局長はそれに対する回答まできちっと整合性をもって出しています。にもかかわらず、飛行機の中の一千二百万の対象はあかぬのかやと。
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどお話がございましたように、事前にある程度の訓練はいたしておりますから、非常に重大な場面に遭遇した場合には、医師も乗っていないという場合には、私は乗務員の判断によってそれは使うべきだろうと思います。
○常松克安君 厚生大臣もすごく前向きにお答え願いまして、私ちょっとほっとしました。四十九条、これ乗り越えたと信じております。 よって最終的でありますけれども、運輸大臣、どうかこれ今後の課題も含めて申し上げますが、救急救命士の搭乗なども考慮に入れて、機内における救急医療ができるような体制を緊急におつくり願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(奥田敬和君) 大変貴重な御提言で、勉強させていただきました。厚生大臣とよく相談してまいりまして、そういった形の救急医療体制について万全を期していく努力をいたします。
○常松克安君 じゃ、これから睡眠預金に移ります。睡眠預金といっても、どうかそっちで睡眠なさらぬようにひとつお願いいたします。 まず、郵政大臣に冒頭からお伺いし、後ほど大蔵大臣に比較対照論で議論したいと存じます。 預金者の権利または保護の立場で、あくまでその預金が多少なりとも、例え金額が少なくとも国のものでも金融機関のものでもないという私は持論でございます。十年間たったからもう権利としてはつぶれたんだよと収入に上げる。けれども、何か余り言い過ぎるから、国の法律でも、後になっても復活要求を受ける。非常にそこの辺の複雑性も感じながらも、どういう会計法上の問題よりも、むしろ例え少額といえども預金者のものである、大衆庶民のものである、その一冊の通帳には人生のドラマが入っている。それをただ単純に十年たった、来ない、動かない、上げまっせ、これはいかがなものか。預金者の立場で論議してまいりたい。この辺のところをお答えください。
○国務大臣(渡辺秀央君) 常松先生から、一つの社会に対する公平、平等、そういった観点から、あるいはまたある意味では政策の見落としをしているというか、惰性に流れている、そういうところをきちっとおしかりをいただき、御指導いただいて、この問題をどう考えるか、こういう意味だろうと思います。 まさに政治は一隅を照らすということが大切だと思いますし、私はそんな観点から、先生からの事前の御質問要旨を承りまして実際に調査させてみました。数字的には後ほどもし必要がありましたら、担当政府委員が参っておりますので答弁をさせていただきたいと思っておりますが、基本的な考え方を申し上げさせていただきますなら、先生の御指摘のいわゆる郵便貯金の権利消滅金は郵便貯金特別会計法の規定によって雑収入として歳入に組み入れられて郵便貯金事業全体の財源になっている、これは御案内のとおりでございます。基本的に郵政省としましては権利消滅をしないように対応するということは、これはもう言うまでもなく一番大切なことであろうと思いまして、その権利消滅者をできるだけ少なくするように対処、対応いたしているということをまずひとつぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。 この権利消滅金については、昭和四十年代の後半でございますか、預金者還元施策に使用すべきではないかという議論が持ち上がりました。したがって、昭和四十二年にあの例の郵便貯金会館というようなものが一つは具体的な予算措置として実行予算に組み込まれていったという経緯があるのではないかと、歴史的に実は一つのひもときの中から私は推察いたしておるわけでございます。こうした議論も踏まえながら、権利消滅金は預金者還元施策の特定財源とされているものではないけれども、これを含めた郵便貯金事業全体の歳入を財源といたしまして、今申し上げたような郵便貯金会館の設置あるいはまた預金者への還元に努力をしてきているところでございます。 権利消滅金はもともと預金者の大切な預かり金である。今、先生が申された人生のドラマ、一冊の貯金通帳、まさに全員の高低にかかわらず、全くそのとおりだということを十二分にしんしゃくしながら対処してまいる所存でありますが、権利消滅金につきましては、私は、恐らく先生はそれをどうするかと、どういうふうにそれを対応するかということの御質問も多分この後お持ちであろうと思いますので、その点についても後ほど先生の御質問に従って答弁をさせていただきたいと思っていますが、認識としてそのような認識をいたしていることをお答えをさせていただきたいと思います。
○常松克安君 昭和二十六年より今日まで睡眠預金、今郵政省はこういう言い方をされませんので、それを俗にまとめて言わせてください。睡眠預金として処理された総トータル金額は幾らでしょうか。
○政府委員(松野春樹君) 先生今御指摘の昭和二十六年度という年度はちょうど郵便貯金特別会計制度が創設された年でございます。この昭和二十六年度から平成二年度までの権利消滅金額の累計でございますが、約六百三十九億円という数字でございます。
○常松克安君 次に、平成四年度に予算計上された金額はどれほどでしょうか。
○政府委員(松野春樹君) 平成四年度予算では二年度の実績額と同額の金額を計上しておりまして、約四十八億円を予定してございます。なお、これは通常貯金だけでなくて、それ以外の定期性貯金も含めた数字でございます。
○常松克安君 まことに細かいことで申しわけございません。 その六百三十九億円になんなんとする金額、驚きました。ただ、この中には、少額なるがゆえに大蔵省がようけおっしゃる、小さな金額ですよ、じゃなくて、定期性預金も含まれている、このように判断してよろしゅうございましょうか。
○政府委員(松野春樹君) 先生御指摘のとおりであります。 ちなみに、平成二年度の実績として申し上げますと、これは通常貯金がやはり圧倒的に多いわけでありますが、定期性の貯金部分が約八千九百万円というふうにカウントしてございます。
○常松克安君 もう少し申し上げますと、驚きました、定額預金が一千四百万とか。定期預金、どなたが捨てたんでしょうね、証書が一通で五千五百万。これが十年間行方知れずでパアになっている。 じゃ、もう少しそれを。 私、ここで一番不思議なのは、睡眠といいますのは時に目を覚ますから睡眠と言うと思うんです。十年間ためてあったけれども十一年目に思い出した、目を覚ました。ところが、今の実績から六百三十九億円。四十年という経過はありましても、ほとんどがそれは睡眠というよりもむしろ違った性格を帯びる金ではなかろうか、いかがでしょうか。
○政府委員(松野春樹君) 先生、今目を覚ますかどうかという御指摘でございましたが、目の覚まし方に二通りあろうかと存じます。 十年間預入、払い戻しなどの利用がなかった預金者に対しまして利用を促すための催告書を発行するわけであります。この催告によりまして目を覚まして申し出があるケースが一つございます。それからもう一つは、その後、催告を出しまして二カ月たちましてもなお利用がなかった場合には経理手続上権利消滅という手続をとりますが、その後申し出がありまして目を覚ましていただくというケースもあります。 しかし、それ以外にずっと眠っておるといいますか、権利消滅したままとなっているものがやはり相当数あるという実態でございます。
○常松克安君 私ごときがこう申し上げるのはなんでございますけれども、ここでひとつ命名しておきたいと存じます。睡眠預金の中には永眠預金もある。永眠となりますと、これはお弔いを正確に山さにゃいかぬ、出し方に国民の納得が必要である、こういうふうな感覚で物を考えていかねば庶民が納得しない。これはすっと、何といいますか顔の見えると申しましょうか、こういうことを考えなきゃならないということをひとつ申し上げておきます。 なお、大蔵大臣、御心配でございましょうけれども、この時間がたちましても一般質問で大蔵省だけでいきますから、どうぞ御安心ください。 その次に、十年たって郵政省は、たとえ一円であってもこれはやっぱり通知されるんでしょうか。そのときにまたよく言うんです、悪口を。郵便局は何ぼ封筒使うても切手使うてもただやで、こうなんでしょうか、教えてください。
○政府委員(松野春樹君) 郵便貯金の場合でございますが、やはり権利消滅金がもともと預金者の大切な預かり金であるいうことを考慮いたしております。十年間全く利用されてい良いすべての貯金を対象に催告通知を行っております。この催告書の発送にかかわる経費は当然必要なわけでありまして、私ども郵便事業も貯金事業も簡易保険事業も郵便局を通じて一緒の仕事をやっておるわけでありますが、私どもから業務用郵便料といたしまして為替貯金事業から郵便事業へ繰り入れる形できちんと措置しております。したがって、為替貯金事業が負担しているということでございます。
○常松克安君 これは銀行の方へいきますと、コストがかかってしょうがないとかいろんなことをおっしゃる。これはまた後ほどでございます。 普通の銀行でございますと、一万円以下は十年たとうが二十年たとうが三十年たとうが通知いたしません、こういうふうなことになっておる。片っ方は一円。これは業態の内容が違いますから一概に同じ土俵で論議するのはいかがなものかという声はありますが、預けた方は郵便局であろうと銀行であろうと一円は一円なんです。そのことによって差をつける、これは郵政の方ではっきりと経費も計上してございます。一円たりともとか言います。 ただ、一点だけ申し上げておきますが、最初つくった通帳の住所が変わりますと、これがいかにもあやふやになってしまう。銀行口座も、どんどんつくってくれ、新店舗開店なのでどんどんつくってくれつくってくれと行く。アルバイトの人は、会社へ行く。自分の口座、業態別、企業別で皆口座をつくられる。しかし、これを解約するときには必ずつくられた銀行でなきゃ、アルバイトあるいは学生さんが故郷へ帰っても故郷では扱いはしません。ますます残ります。これは郵政と離れておりますけれども、大蔵大臣が聞きたそうな顔をしていらっしゃいますので、先のことまで少し申し上げておきます。 私は、もう一つ不思議でたまらないのは、債権消滅高、こういうふうなものを年々きちっと計上していらっしゃいます、雑収入は別にしまして。銀行はしていないんです。してあるんですけれども、報告することも要りません。大蔵大臣もそんなこと言われておりません。そんなことをすると民間の企業はコストがかかって労力がかかってだめです、こうおっしゃる。まあ銀行のことはよろしいわ、後ほど。 郵政の方でお願いしたい。この経理上の事務手続が年々に出てくるということは、コンピューターにインプットされてきちっと事務手続のベースになっているんでしょうね。だから出てくると思うんですが。
○政府委員(松野春樹君) 私ども、この睡眠貯金として分類する経理手続というふうなものにつきましては、内部規程でございますが郵便貯金の取扱規程という大臣公達で定めておりまして、権利消滅となった郵便貯金につきましては、全国二十八カ所あります貯金事務センターからその計数が本省貯金局に報告される仕組みになってございます。この計数は各会計年度ごとに集計されているところでございます。
○常松克安君 この辺のところで一つのけじめとして郵政大臣にお伺いいたします。 ちなみに、先ほどこうおっしゃいました、雑収入に入るけれども、きちんと収入したものの使い道はいろんなことでベースにしてございます、還元しておりますと。私は違うと思うんですね。入るときの歳入項目をはっきりつけるべきだ。それで歳出においても、トータルで還元というより、むしろ飢餓で苦しんでいらっしゃる世界の子供たちに、あるいは民間でボランティアの人たちが金の出どころがない、倉庫を借りるのに難儀している、こういうところに、歳出でも項目を設けて明確に、たとえそのようになりました睡眠、永眠的なものでありましょうとも、びた一文、国民の発展のために使っていますよと、これが少なくとも国が行われる事業で、後から民間がそうだとついてくるんじゃなかろうか、こう考えるのでございます。よって明確にすべきだと、こういうふうなことになります。 いろんな事業、銀行は、今度美術館をつくりました、あれをつくりましたと。そんなものは自分の業務の利益でやればいいんじゃないですか。少なくともこれは元金まで収入の形、死んでも死に切れません。そういうことで、まず郵政大臣の英断をお伺いしたい。
○国務大臣(渡辺秀央君) 先ほどからの先生の御指摘、まことにもって、先ほど申し上げたように、政策の見直しや洗い直しということは絶えず私ども政治家として、あるいはまた行政の面でも、その時代に対応して迅速に行っていくということが政治に対する信頼であるし、あるいはまた国民に対するサービスでもあろうという観点から考えますと、まさに先生の御指摘されている点は一つの方法であろうというふうに思います。特定目的の利用方法を制度化することについてということであるわけでありまして、歳出項目を立てろ、こういうことでもあろうと思います。 私は、御指摘の点を十二分にひとつ検討させていただいて、大切な研究課題として前向きに研究をさせていただきたいということで御理解を賜りたいと思います。ありがとうございました。
○常松克安君 行政はサービス、政治はドラマでございます。一年でやれる仕事を半年でやれば、国民は減税と見るでしょう。一年で決断すべきものを三年も四年も五年もかかれば、増税だと見るでしょう。こういう立場から研究という言葉を聞きますとこれは四、五年かかる、これじゃ困るのでもう一度答弁願います。
○国務大臣(渡辺秀央君) 念を入れての御質問で大変ありがとうございます。 研究課題として取り組ませていただきますというのが役所的回答でありますが、私はここで申し上げた以上は早急に、少なくともこの年度内にも方向をつけるぐらいなつもりで、先生の御指摘に沿って御指導を賜り、努力をいたしてまいることをお誓い申し上げます。ありがとうございました。
○常松克安君 大蔵大臣、お待たせ申し上げました。 いろいろな角度から聞いて、細部については後に譲るといたしまして、私、本来ならここへ全銀協の末松会長先生に御出座願いまして、そしてこちらはこうせい、ああせいということを言えません、民間ですから。皆さんは皆さんの業務があるんです。しかし、この雰囲気というものは十二分に御理解で、よって、新聞には新しい学術振興財団をつくると発表された。しかし、その後の新聞がいけません、一連の銀行不祥事をこれで払拭したいという気持ちもこれにありと。睡眠預金というのはそんな性格のものじゃございません、もともとから一人一人の大衆庶民のものでございますから。そういう気持ちの中においてのい総括で結構でございますから。
○国務大臣(羽田孜君) 今お話を聞かせていただきました。確かに取りに来られない睡眠預金という形になってしまうものでありますけれども、 しかしこれは貯金された方にとっては本当に汗水垂らしたものを貯金されて、何らかの事情で取りにこられなかったのだろうというふうに思います。そういうことで、これは民間ではありますけれども、銀行もただこれを利益金の中に入れてあれしてしまうということより、やはりきちんと一つの方向というものを出す必要もあるのかなと、今お聞きしながら改めてそのことを感じた次第であります。
○常松克安君 以上。 ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) 以上で常松君の質疑は終了いたしました。(拍手) 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 —————・————— 午後一時開会
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。細谷昭雄君。
○細谷昭雄君 今、国民の政治家を見る目は大変に厳しいものがございます。週末に地元に帰りますと、何か我々を見る目というものに対しまして肩身の狭い思いを感じるのは私一人ではないと思うんです。 そこで、総理にお聞きしますが、総理はこの国民の政治不信というものに対して一体どう受けとめておられるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般も申し上げましたが、殊に今年に入りましてから政治家と金というような問題につきましていろいろな報道がなされ、また事実既に公判に付されたケースもございますし、また当局が真相究明中と伝えられるようなこともございまして、言われますように大変に厳しい国民の批判がございます。政治家全体として深く反省すべきときであるというふうに考えております。
○細谷昭雄君 ロッキード事件、それに引き続いてリクルートの問題、この疑惑が解明されないうちに共和、佐川とますますそのすそ野が広がっておるという現状の中で、大変な問題であるということで国民の政治に対する信頼を失ったということに対しましては、大変に国民に対して申しわけないというふうに私どもも思っておるところでございます。 問題は、今回の共和、佐川疑惑、これをみずから国会が究明をし、その事実を洗いざらいに国民の前に明らかにする、これ以外に私は政治不信を晴らす方法はない、このように思うんですが、総理、どうでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国会が国政調査のお立場からこのようなことに関心を持たれますことは当然のことであると考えておりますが、その御関心をどのような形で御表示されるかにつきましては、これは国会の御決定でございますので、私からはそれにつきましては申し上げることを差し控えさせていただきます。
○細谷昭雄君 確かに総理の今言われることは一応もっともな話に聞こえますが、それでは国民が納得しないと思うんです。 本委員会で全野党が一致して証人喚問を要求しておるわけでございますが、その中でもかぎを握っておる人物というふうに言われておるのが三人ございます。阿部代議士、そして森口共和元副社長及び佐川清佐川急便の会長、この三人の証人喚問はこれは野党が一致して要求しておる問題でございます。そして、これは今や国民の世論になっておる。 総理、我々政治家の自浄能力が問われておるときでございます。証人喚問問題こそあなたの出番ではないでしょうか。国会で決めることであるというふうに言いますが、あなたは自民党の総裁でもあります。今こそリーダーシップを発揮し良識を持ってこれに対処する、これは今をおいては私はないと思うんです。総理は顔がない、顔が見えない総理というふうに言われておりますが、あなたはくっきりした顔を今こそ国民の前に出すべきじゃないでしょうか。どうでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 過日来この委員会に出席させていただいておりますので、ただいま御指摘になりましたような御主張がこの委員会において表明せられ、その取り扱いについて理事会等で御協議をなさるというような御審議の推移は、私ここにおりますので承っております。当委員会において御決定をなされるべきことであろうというふうに存じ上げております。
○細谷昭雄君 自民党総裁としてどうなんだということを聞いているんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国会の御審議につきましては、今ここに座っております立場からとやかく申し上げますことは私は差し控えるべきであろうと思います。
○細谷昭雄君 だから顔が見えない総理だというふうに言われるんです。 私は、富澤総理の決断、証人喚問に対する決断を求めたいと思います。 委員長、委員長にお願いします。 証人喚問に対し、明日以降の理事会で煮詰めるというふうに聞いておりますが、委員長は公平無私の立場から、ぜひ良識を発揮して証人喚問に対し前向きの対処をしていただきたい、このことを要望しますが、いかがでしょう。
○委員長(中村太郎君) 御意見を踏まえまして、後刻理事会において協議をいたします。
○細谷昭雄君 お願いします。 次の問題に移りたいと思いますが、生活大国を政策のスローガンとして誕生した宮澤内閣は、平成四年度予算に対しましてもこのことを盛っておると思います。 そこでお聞きしたいと思いますが、なぜ今生活大国なのか。総理は、日本の今日の民衆の暮らしの現状をどうとらえ、どう変えようとしておられるのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今の我が国の国民生活を概括して申し上げますならば、所得水準は世界有数の高さになっております。そういう意味でのフローは相当の裕福感があると申し上げてもよろしいと思いますけれども、そのストックという点になりますと、例えば社会資本でございますが、これは甚だ不十分であると申し上げざるを得ないと思います。 また、その他の点について申し上げますならば、我が国は治安、と申しますのは町を夜一人で歩いてもいいというような意味での治安でございます。そのような点あるいは国民の中における所得格差が少ないというような点、いろいろすぐれた点がございますけれども、他方で先ほど申し上げました社会ストックが乏しいということ、それから諸外国に比べまして食べ物の値段であるとかあるいはちょっとレジャーに行きますときの掛かりであるとかというものは実はかなり高いのではないかというような問題もございますし、いろいろいい面としからざる面とがございますが、これだけの経済力のある国でございますから、この際、この際と申します意味は、二〇二〇年ごろには本格的な高齢化社会になりますので、それ以前にこのような問題は対応して改めておくことが大事であろう。それによって生活大国というものの実現をいたしたい、その時期は今であるというふうに考えたわけでございます。
○細谷昭雄君 ただいまの総理の御説明でありますが、それでは具体的に国民生活に直結しております各省の目玉政策は一体何なのか。このことについて、大変恐縮でございますが、厚生大臣、労働大臣、建設大臣、運輸大臣、農水大臣、通産大臣、環境庁長官、以上の方々から目玉政策を述べていただきたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) あえて申し上げるならば、厚生省の施策全般が生活大国に結びつきますが、その目玉を申し上げますと、廃棄物の処理対策、保健医療・福祉マンパワー対策、それから高齢者保健福祉推進十カ年戦略、さらに障害者施策の一層の充実、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりの推進、以上でございます。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働行政の面からまず考えますと、何といっても時間短縮でございます。それから安全で衛生的な職場、快適な職場、これも法律を準備して御審議いただきますが、家庭と仕事の調和の介護休業だとか育児休業というふうなことについての配慮ももちろん大事でございますし、今度は職場から出てまいりますと通勤だとかマイホーム、そういったいろんな問題について、これは労働省だけの問題ではないので、関係各省と御相談しながらぜひひとつ促進をしていきたいということでございます。
○国務大臣(山崎拓君) 生活大国づくりに必要とされております住宅、社会資本の整備を我が省が担当いたしておるところでございまして、一層推進してまいりたいと存じております。 それから均衡ある国土の発展という見地から、本国会に地方拠点都市整備促進のための法案も提出をいたしておるところでございまして、ぜひ成立をさせていただきたいと考えております。 その他、地方高規格道路の整備等を企図いたしておるところでございますが、一層生活大国づくりを推進してまいりたいと存じます。
○国務大臣(奥田敬和君) 物の流れ、人の流れを預かる運輸省といたしまして、さきにそれぞれ空港、快適な安全なそしてスピード性のある交通網ネットワーク形成のために空港整備五カ年計画、並びに海の国日本としての物流の港湾整備五カ年計画を策定いたしまして、本年度予算にも計上いたしております。着々整備を図ってまいります。 なお、余暇時間の増大に伴いまして健全な観光振興にも努めてまいりたいと、本年度の予算作成に当たっても留意いたしました。
○国務大臣(田名部匡省君) 具体的に申し上げますと、一番重点の項目の中で生活環境の改善、特に集落の排水施設、それからおくれております農道等の整備、社会資本の関係の整備を図りたいというのが第一点。二つ目は、美しい村づくりの推進を図るということで、自然環境でありますとか景観の一層の保全を図る、こういうことでございます。三点目が環境保全型農業を推進したい。四点目が卸売市場の機能高度化や食品産業基盤の施設の整備、これを図っていきたい。五つ目が高齢者の役割に配慮した村づくりをしたい。営農モデルづくりあるいは婦人の能力開発の情報交換。この五つに分けて推進をいたすつもりであります。
○国務大臣(中村正三郎君) 環境問題から取り組むべき問題としては、一つ地球環境問題があると思います。そして、残された国内の環境問題として都市生活型の公害に対して的確な対応をしていかなければいけないということでありますから、本年六月に開催される地球サミットヘの強力な貢献をしていくということと、大都市に残されました生活排水の対策、ディーゼル自動車から排出される窒素酸化物の抑制とか、こうしたものを現実の対応としてやっていく。 そして、何よりも社会経済システムを幅広く見直して、経済活動全般に環境保全の観点を広く織り込んだ環境保全型社会、UNCEDでも言っております持続可能な開発に向けての社会に向かっていかなければいけない。そのためには、環境基本法という名前になりますか、そうした法体系の整備も必要でございましょうし、環境教育でございますとかリサイクルの推進とか環境、経済の統合ができるような政策手段に取り組んでまいるということでございます。
○国務大臣(渡部恒三君) これはいろいろあり過ぎるほどいっぱいございますけれども、ここで長く答弁をすると評判が悪くなりますから三点に絞りますと、大企業と中小企業で働く人たちの職場条件やあるいは所得の差を縮めていくこと。もう一つは、これは通商政策を担当する立場からいいますと、内外価格差をなくしていくこと。せっかく働いた金を、今外国に行って使えば非常に何か豊かな感じがしますけれども、今総理からお話があったように、国内で使っては豊かさを感じないというようなことですから、これも大事なこと。 もう一つは、やはりこれは東京一極集中の今の経済の機構を改めること。先生も私も同じような条件の中ですけれども、若いころ我々は出稼ぎをなくするということを政治の大きなスローガンにし、その後、人が工場を求めて東京に行くのでなくて、工場が人を求めて秋田や福島に来るべきだということで、工業の地方分散が進展をし、かなりこの面は縮まってまいりました。 ところが、業務機能はむしろ国際化、情報化という中で東京に集中してしまっておりますから、これは今のままでいくと霞ケ関ビルがこれから十年の中で三十本東京にできて、そういう仕事にあるものはこれは東京に集まる、工場は地方ということではいけませんから、やはり業務機能を含めて経済が、北は北海道から南は九州、沖縄まで均等に分散されて、その生まれたところの人たちが、そこで学校を出て、そこで未来一生、親たちと希望を持って働いていけるような経済的な均衡ある国土をつくっていくことだと思います。
○細谷昭雄君 ただいま各省庁からそれぞれお聞きいたしました。 生活大国に至る登山口は、各省各庁によってさまざま違うということも十分わかるわけでありますが、その中で幾つかを取り上げてみたいと思うわけであります。 その第一が時短の問題でございます。総理も現実の国民生活の課題は時短であるというふうにかつて言われたことがあったように記憶しておりますが、この時短に対するまず総理の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは所信表明や先般の国会でも申し上げましたとおり、私の生活大国の一つの大切な目標でございます。 完全週休二日制の普及促進などを中心に、労使に対しましてひとつ時間短縮に向けて御努力をお願いいたしたいと考えておりますし、また必要な法的整備につきましても関係省において考えておるというふうに承知をいたしております。
○細谷昭雄君 時短の問題につきましては、これはもう政策のメーンとして当然平成四年度における重点施策の一つだというふうに思いまして、これが予定されております労働時間短縮促進法になってまとめられておるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、この法案は、経営者側の猛反発で既に政府案の肝心なところは骨抜きにされておるというふうに報道されておりますけれども、いかがでしょうか、労働大臣。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘の時間短縮促進法でございますけれども、実は中央労働基準審議会において議論をしていただいておりまして本年一月三十日に建議をいただいたわけでございます。その建議に基づきまして労働省としての法律案を同審議会に諮問いたしまして、三月初めにおおむね妥当であると。この審議会には、学識経験者だけではなしに労使双方の代表の方がお見えでございます。そこでおおむね妥当というような御答申をいただきましたので、実は近く閣議で決定をしていただいて、今国会で法案として御審議いただいて成立をお願いいたしたい、こういうことでございます。
○細谷昭雄君 この労働基準審議会の中身を聞いておるわけです。一体政府に出したところのどこがいわば経営者側の反発を買ったのか。それで出てくる、いわゆる閣議決定されるのとはどこが違うのか、その点を明確にしてもらいたいと思います。
○政府委員(佐藤勝美君) 今御質問の法案の関係につきましては、昨年の十月以来、中央労働基準審議会におきまして、法律で措置すべきもの以外にも要するに労働時間の短縮の促進のためにどういう施策を講ずべきかという見地からの検討を種々いただいておりまして、その結果を一月三十日に三者一致の建議という形でいただいたわけでございます。 今、大臣申されましたように、その建議に忠実に従いまして作成した法案要綱につきましてさらに諮問をして、三月の十一日にこの審議会のおおむね妥当であるという答申をいただいたところでございますけれども、したがいまして私どもとしましては、一月三十日にいただきました建議が出発点というふうに考えております。もちろん、いろんな議論があったことは御承知のとおりでございますけれども、結局最後は三十日の建議に三者一致した意見というふうにまとまっております。それに基づきます法案でございます。
○細谷昭雄君 どうも中身についてこれはもう問題があると思うんです。別の機会に労働委員会等でこれは議論したいと思いますが、問題は、この法案というものは生活大国を目指す宮澤内閣にとって基本的な姿勢にかかわる問題でございます。したがって、政府の目指す平成四年度末までに総労働時間数千八百時間が達成できるのかどうか、このことが問われる法案なんですよ。それに対してどうですか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のとおり、現経済五カ年計画において平成四年度末に千八百時間を目標にすると、こういうことでございます。最近労働時間は短縮してございますが、三十七、八時間ぐらいの年率でございますから、現在二千時間をちょっと超えております総労働時間をこの率で減少するということを考えれば、御指摘のとおり、来年度末までに千八百時間を達成することが現行の率で減少していきますと極めて難しい状況でございます。 したがいまして、政府といたしましては、まさに時短促進法を御審議いただいて、これに基づいて具体的に時間短縮が加速されるような措置を総合的に講じてまいりたい、こういうことでございます。
○細谷昭雄君 私が言うのはそこなんですよ。 今のこの批判される時短法では、今大臣がお話しのとおり、なかなか政府の目標であります平成四年度末まで労働時間を千八百時間に下げることはできない。ですから、具体的には労働省が中心になりましてこの時短法の骨子をくつったはずなんですよ。その中身が、もうやっぱり経営者側が時間短縮というのは労使の自治原則であるというようなことを盾にとりながら労働省の意図をどんどんどんどん弱めてきたというところに対して私たちは心配しておるわけですが、この論議は別の機会に譲りたいと思います。 それで、労働省にお聞きします。 平成二年度の我が国の所定労働時間は何時間になっておりますか。
○政府委員(佐藤勝美君) 平成二年度の数字をお聞きでございますので、それに対してお答えを申し上げます。 お尋ねの平成二年度の所定内労働時間は千八百五十九時間でございます。
○細谷昭雄君 さらに、残業を含む総労働時間は幾らですか。
○政府委員(佐藤勝美君) 平成二年度におきます総実労働時間は二千四十四時間でございます。
○細谷昭雄君 この差は百八十五時間というふうになっておりますが、産業別に総労働時間の長いワーストスリーを挙げていただきたいと思います。
○政府委員(佐藤勝美君) 産業別に長いところというお尋ねでございますが、産業大分類で申しますと建設業、運輸・通信業、それから製造業の中で申しますと輸送用機器製造業が大体二千二百時間前後ということで長い方でございます。
○細谷昭雄君 それぞれの時間は。
○政府委員(佐藤勝美君) 建設業につきましては、年間総実労働時間、平成二年度でございますが、二千二百三時間でございます。そのうちの所定内時間が二千十二時間。運輸・通信業につきましては、年間総実労働時間二千二百十時間、所定内時間が千九百二十六時間でございます。それから製造業のうちの輸送用機器でございますが、年間総実労働時間二千二百二十八時間、うち所定内時間は千八百六十七時間。 以上でございます。
○細谷昭雄君 これは実際の総労働時間でありますので、千八百時間というのは大変な努力を要するんだということはこれによってもおわかりだと思うわけであります。 総務庁にお聞きしたいと思うんですが、労働省の調査というのはこれは事業所ベースで現在言われておると思いますが、総務庁は労働力調査をしておられるわけですが、その結果について御報告願いたいと思います。
○政府委員(井出満君) お答えいたします。 総務庁が実施しています労働力調査の結果によりますと、非農林業の従業者一人当たりの平均週間の就業時間でございますが、平成二年平均でございますが、四十六・一時間、前の年に比べまして〇・八時間減少、それから平成三年平均では四十五・四時間、前年に比べまして〇・七時間減少しております。 以上でございます。
○細谷昭雄君 年間の総時間は幾らですか。
○政府委員(井出満君) 私どもの調査は月末の一週間について実労働時間を調べておるということでございますので、月末が忙しいとかあるいは休日が入るとか、こういうことで年間については出してございません。
○細谷昭雄君 私どもが伺っておるところによりますと、個人別の労働総時間数というのは非常に長いというふうに聞いておりますし、私自身がずっと回っておりましても実感として確かにそうだと思います。一説によりますと、年間三千時間以上働いておる男子が三分の一だと。もう三分の一の男子は年間三千時間働いておるというふうにも言われておるわけであります。 問題は、こういうふうな労働力調査の結果を総務庁はどのように分析しておられるのか。これについてもお伺いしたいと思います。
○政府委員(井出満君) お答えいたします。 私どもの調査は、一人の個人が複数仕事を持っていればその全体を合わせて時間を調べているということでございますので、労働省の調査とは若干異なると思います。 いずれにしても、昭和五十一年以降昭和六十三年まで大体四十七時間台で推移してございましたが、平成元年以後減少が続いているということで、いわゆる時短といいますか、若干ずつ進んでおるんじゃないかというふうに思っております。
○細谷昭雄君 個人ですから、一定の仕事のほかにいろんな仕事をしておるという実態があると思います。そういう点で、総務庁の今後の労働力調査についても私は十分に注目をしていきたい、こんなふうに思っております。 この本は「日本は幸福か」という本でございます。実は過労死で夫を亡くした五十人の妻たちの手記を集めたものでありますが、扉の言葉にこういうのがあります。「私たちは、夫を、妻を、息子を、娘を、過労の果てに亡くしました。亡くなったその日から私たち残された家族は、毎日問いかけています。なぜ、死ぬまで働かなくてはならなかったのか。なぜ未然に防ぐことができなかったのか。なぜ仕事のために倒れたという現実を、企業も行政も認めてはくれないのか……と。」というふうにあります。 労働省は、こうした過労死の存在があるとお考えですか、ないとお考えですか。
○政府委員(佐藤勝美君) いわゆる過労死と言われているものでございますけれども、例えば動脈硬化等の基礎疾患のある方が一時非常な業務上の無理をして倒れるというような事例はあることは承知をいたしておりまして、これがいわゆる過労死というふうに言われているというふうに考えております。
○細谷昭雄君 基本的にはあるというふうに認めておるんですが、非常に認定が難しいということは認めないことと同じことになってしまう、こういうふうに思うわけですが、一体どこに問題があるんでしょうか。
○政府委員(佐藤勝美君) 先ほどお答え申し上げましたように、基礎疾患のある方が脳心疾患を発症されるという点で、それに業務が直接影響している場合とそうでない場合がある。一方、脳心疾患の発症というものは業務に関係なくても一般日常生活の中でも起こるわけでございますので、したがって起こった結果については同じような結果になっていく、その原因が那辺にあるかということが問題でございます。 一方におきまして労災補償制度におきましては、御承知のように、使用者の事業主の故意、過失がなくても業務上受けた災害、負傷、死亡あるいは疾病につきましては、使用者が全額負担する保険料をもって補償する、こういう制度でございますので、業務上発症したのかどうか、その辺の判断が決定的に重要でございます。 そういうことから、業務上発症したかどうかの認定を私どもとしては適正迅速に行うような努力を日常いたしておるつもりでございます。
○細谷昭雄君 この問題はまた取り上げますが、過労死は決してブルーカラーの労働者のみばかりではなくて、むしろ最近はホワイトカラー、特に管理職層に広まっておるという問題でございます。 これは強制された労働でないという大変厄介な問題がございますが、政府はこういうふうな実際の管理職まで、そして日本人特有のこれは企業意識だと思うんですが、こういう問題に対して放置していいのかどうか、どうお考えですか、大臣。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘のように、過労死と考えられる事柄が管理職の中にも見られるということはそうかもしれませんが、やっぱり基本的に、前に申し上げましたように、我が国の労働時間短縮というものにもっと積極的に取り組むということ、またこれも法案でお願いするわけでありますけれども、快適職場をつくることに会社としても全力を挙げる、こういった形で職場環境の改善を通じて、また勤労条件の改善を通じて、そういった不幸な事態が起こらないような条件整備が極めて大事だというふうに私どもは考えている次第でございます。
○細谷昭雄君 先ほど渡部通産大臣が内外格差の問題を取り上げておられましたが、同感でございます。 実は、アメリカに非政府機関のIEDというのがあるわけでありますが、これがジュネーブの国連人権委員会に日本の過労死問題を取り上げて正式にこれは議論をされるというふうに報道されておりますけれども、その内容を外務省にお伺いしたいと思います。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。 ことしの一月二十七日から三月六日までジュネーブにおきまして第四十八回の国連人権委員会が開かれた際に、アメリカの非政府組織、NGO、先生がおっしゃるところのIEDと言われておりますNGO組織が国連事務当局に対しましていわゆる日本の過労死に関する文書を提出いたしまして、国連がこれを国連文書という名前で配付したということでございます。これはだれかが発言したというものではございませんで、このIEDがそういう書類を人権委員会に提出したということでございます。 内容につきまして二、三例示的に触れさせていただきますと、一九八〇年以来過労死が増加し、日本においてという意味ですが、今や毎年一万人に近い犠牲者があり、大多数が補償を受けていない。日本政府は同問題に関心を示す気配はなく、労働省は問題の存在を否定しておる。日本の労働者の労働時間はフランス、ドイツ、アメリカに比しても長く、年間平均百八十五時間の超過勤務を行っている云々という文書でございます。 この文書に対しましては、特段の発言が行われたということでもございませんし、またこの文書をめぐってその人権委員会で審議が行われたということでも現在の段階ではございません。そういう文書が配付されたということでとどまっておるというのが現状でございます。
○細谷昭雄君 外務大臣にお聞きしたいと思うんです。 こういう国際的な場にいずれ文書であっても出されるという問題、これはやっぱり内外格差の問題もありますが、日本人が一般的に働きアリだとか働き過ぎだとか働きバチだとかいうふうに言われておるんですが、その国際的な影響、これに対する対応、これをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本は働き過ぎということがよく言われますが、これは一挙に解決はできませんので、徐々にいろいろ工夫をしながら労働政策として縮小する方向で努めていると。我々所管外でございますが、何とかそう長年月を要しないで国際的なところまで持っていってもらうように工夫をしてもらいたいと思っております。
○細谷昭雄君 総理、こういうふうな日本の現実、労働の現実、生活大国の中でこういうふうな過労死がある。そして、いろいろな人たちが、一つの仕事を持っておりながらまた別の仕事もしなきゃならないというのもやっぱり現実だと思うんですね。こういう問題に対して最も大事な時短という問題は、むしろ法律によることなく、今経済がだんだん下降期に入っている、不況になってきている、そのことでいや応なしに時短というのが皮肉にも達成されるということになるのではないか、こんなふうに思うんです。 その点でどうでしょう、総理、今こそ労働時間の短縮につきましては総理がリーダーシップを発揮するときではないのか、こんなふうに思っているんです。その点で総理はどういうふうな御見解を持っておるのか。同時に、こういう過労死の根絶に対してもどういうお考えを持っているのか。これをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が生活大国という中で、この労働時間の問題あるいは通勤時間もそうでございましたけれども、取り上げましたのは、やはり根本的にはお互い日本人が持っております人生観と申しますか、そういうことに関係があるというふうに一つ考えております。 つまり、経済というものもしょせんは一つの手段でございます。人生をいかに有意義に生きていくかということのいわば手段でございますから、ある所得水準に達したとか経済が世界一になったとかGNPがどうとかいうことは、それ自身として価値があることではなくて、そういう人たちがそのような富をあるいはGNPをどういうふうに使って人生を有意義に生きるかということに、私は実はそっちの方に意味があるというふうに考えておるものでございますから、それも国全体が貧しいうちはそんなことを申しておれません、また一人一人が飢えや寒さに悩むようなときにはそんなことを言っておられませんけれども、日本はそういう国ではございませんから、そこまで来ましたら、何のために我々は生きておるのかという、やっぱりそこへ問題をもとへ返して考えるべきときが来たし、日本はそういうことを考えることができる国に幸いにしてなった、そういうふうに私は考えましてこの問題を提起いたしました。 したがって、先ほどの過労死の問題も、それは確かに制度の問題もございます。子供さんがたくさんいて、それは食うに、餓死するということではなくても、やっぱり隣の子供はああだよ、よその子供はこうだと言えば、お父さんは働かなきゃならないということもそれは私はあると思いますけれども、それはやはりもう一つは、その人自身の人生哲学の問題でもあろうと思います。また、そういうことが何となく認められる、あるいはどちらかといえば褒められるような会社の仕組みというものもかつてはありましたので、それも考えなきゃならないのではないかというふうに考えましてこういう問題提起をいたしております。
○細谷昭雄君 通産大臣と労働大臣に総理へと同じような質問をいたしたいと思いますが、どうお考えですか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のように、今後の春闘におきましては、賃金についてはいろいろ議論が労使間でございますけれども、この時間短縮については労使間で早々と合意をしたケースが多いわけでございます。 いろいろ話はございますが、生産労働者が特に二千二百時間を超えるような労働時間であったというのでありますけれども、これも新聞等でも先生御案内のとおり、千八百時間というものを労使 が話を決めて、そして着実に減らしていこう、こういうコンセンサスができておりますので、私は現在の生産調整過程というものがある意味ではその時間短縮の一つのきっかけになっていって、願わくは今度は景気がよくなってもまた時短が延びないように、その間、省力化投資とかそういったことをどんどん進めていただきたい、こういうことでございます。 中小企業は、逆にこれは人手不足でありますので、これもやっぱり時短、週休二日制等をしていかなければ人が集まらない、こういうことでありますので、これまではいろいろ問題がございましたけれども、これからはもう時間短縮をして快適な職場環境に大きく私は前進する、こう思っております。 その中で、いわゆる過労死と思われるような問題も、これは政府がいろいろすることよりも、やっぱり関係当事者の方々のいろんな御理解とある程度の自制といいますか、そういったことで進めていただく面がありますが、ただそういっても健康の問題でございますから、企業内でそういった成人病対策の健康診断等についてこれまで以上に徹底をして、こういったことが起こらないようにぜひやってまいりたいと考えております。
○国務大臣(渡部恒三君) 本来、労働条件は労使間の話し合いによって円満に決められることが最も望ましいので、通産省の立場でやらなければならないのは、先ほども若干申し上げましたが、中小企業とか下請企業とか弱い企業の人たちが時短がやれるような条件をつくってあげるということが私どもに与えられた仕事だと思っております。
○細谷昭雄君 ぜひこの時短の問題については内閣として本当に真剣に取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。 次の問題に移りたいと思います。 労働環境、労働条件につきましては、私は昨年の予算委員会でも取り上げたところでございます。その際、日給制の賃金労働者の賃金体系、それから雇用形態のもとできちんと一週間に一回は休める、このような体制をつくるために、特にこれは総合的な改善方策を海部内閣に求めたわけでございますが、海部内閣のその際の回答では、労働省を中心にしまして各省庁と連携をとりながら検討課題にしたい、このように答弁がございました。 そこで、一年間を経過した現在、その検討の結果を報告していただきたいと思います。
○政府委員(佐藤勝美君) 時間短縮の推進に当たってのいろんな問題につきましては、労働省のみならず関係省庁との連携が必要であることは仰せのとおりでございます。 昨年の予算委員会の御質問後の状況ということでございますけれども、労働時間の短縮にかかわる問題につきましては、例えば建設省との間で協議を行う体制をつくっておりますし、また特に長い労働時間で問題があります自動車運転手等の問題につきまして運輸省と連携をするというようなことをやっております。 また、労働省自体といたしましても、特に今御指摘のような問題は建設業に多いということで、先ほどの話にもございましたように、特に建設業におきます時間短縮が非常におくれておるということで、建設業につきましては時間短縮の指針をつくりました。 これは建設業界の方にも入っていただいてつくったものでございますが、そういう中でも、働く人の所得水準の維持向上に配慮しながら労使間のコンセンサスの形成に努めるように促しておるというようなこと、あるいは建設業ではいろんな関連中小企業が多いわけでございますけれども、建設専門工事業におきます賃金制度等の実態に関します事例研究等を昨年の十二月から初めているというふうに、いろんなことを進めておるものでございます。
○細谷昭雄君 今後とも十分そういう点で連携をとりながら、来年度といいますか、平成四年度も継続してそういうふうなことを取り組むかどうか、この点について労働大臣から御答弁願います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 時短が進むためには、これはもうある意味では経営の根幹に触れる問題でありますから、時間が減っていくわけでありますからそれをどういう形でカバーするか、生産性でカバーするか生産調整でカバーするか、そういった問題もございますし、それからやはりこれは横並びがございまして、同業者がやっているということでなくてはとても自分だけではできないという問題もございますし、また、下請、元請もございますので、そういったことを総合的に配慮して具体的に時短が進むように現場の労働基準監督署において御指導申し上げる。今度の時短促進法の中にも、そういうことでいろんな面でお手伝いをすることを考えておる次第であります。
○細谷昭雄君 この際、建設大臣にちょっとお願いがあるんです。 と申しますのは、日本の建設業関係は九九・八%が中小零細企業ということでございます。そこで、私はきょう実は、中小企業の代表であります全国中小建設業協会の会長を参考人としてひとつ御出席願えないかということをるるお願いしましたが、実現できませんでした。むしろ間接的に建設大臣からその点をひとつきちっと、全国建設業協会、これは大手の会長、それから中小企業の建設業協会の会長、両方へきょうこれからの議論について何とかひとつお伝え願えないかと思います。この点はどうです、建設大臣。
○国務大臣(山崎拓君) お伝えいたします。
○細谷昭雄君 建設省にお伺いしますが、建設省が平成二年の十一月より始めました週休二日制の実験事業とも言えます生産システム合理化事業、これは一年余りたったわけでございますが、その得られた問題点は何なのか。
○政府委員(望月薫雄君) お答え申し上げます。 お話しのように、建設業の現場での労働環境の改善ということは大変重要な課題であると認識いたしておりまして、その中におきます特に勤務時商の関係、週休二日制の導入ということは非常に重要なテーマであると認識いたしておりまして、建設省といたしましては平成二年度から、今お話しのように、具体的には関東地方建設局の直轄工事現場で週休二日制の導入を行いました。これは試行的にやっておるものでございます。それから、引き続き平成三年度は全国の地方建設局で八十カ所の現場を取り上げまして、モデル事業を展開中でございます。 こういった中で、幾つかの課題と対応策というものを明らかにし、官民通じて取り組もうということがこのねらいでございますが、その結果で今わかっていますことを簡単に御報告させていただきますと、いろいろの評価も出ております。 端的に言いますと、作業員の方々がどうかというと、やはり休みたいという意向を非常に強く持っておる中でございまして、若年層にかなりこれを好意的に受けとめるという傾向が出ております。しかし一方で、作業員の一部には、週休二日制の導入によって、いわば収入と勤務時間の関係といいましょうか、特に土、日を休んで収入が減るというふうな、こういう受けとめ方をする方もおるわけでございまして、一部には敬遠する向きもある。あるいはまた、周辺の住民の方々の受けとめ方、こういったこともかなり好意的ではありますが、そこについて微妙な受けとめ方もないわけじゃない。さらにまた、モデル工事を実施している会社、この辺の受けとめ方が大変重要な問題と思いますけれども、総じて真剣に取り組んでいこうという機運が高まっているなどなどございます。いずれにしましても、我々実験的にやっている結果では、かなり課題が浮き彫りになっております。 それに対して、また対応策をどうしたらいいかということも官民通じて今検討を重ねているさなかでございますが、抽象的でございますけれども、やっぱり工期が長期化するということが避けられませんので、こういったことからしますと、生産性の向上というのは大事だなと。端的に言うと機械導入等が非常に重要である、こういったことが言えましょうし、日給制が中心の作業員というものが多いわけでございますので、こういった方々に対する収入確保の問題、あるいは休日に関して作業員がどういう意識を持って行動するかなどのことをこれから具体的に詰めなきゃならぬと思っております。 ともあれ私ども、こういうモデル事業を通じて幾つかのことがわかってまいりましたので、これをさらに官民ともども一致協力して進めてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
○細谷昭雄君 ぜひこれは、私たちも成果を期待しておるわけでありますので進めていただきたいと思いますし、先ほども申し上げましたとおり、この実験事業そのものが直接やっぱり国民の生活大国の時短に結びつく問題でございますので、ぜひ労働省なり関係省庁と十分な連絡をとっていただきたい。 それから、先ほどから通産大臣は大変意欲的でございますので、ぜひ通産省も労働省等と連絡連携を密にしていただきたいどいうことを特に要望したいと思います。 次に、お伺いしますが、去る二月十四日、神奈川県の海上自衛隊厚木航空基地で大きな労災事故が起こったわけでございますが、発注者という立場から防衛庁、事故の概況の報告を願いたいと思います。
○政府委員(藤井一夫君) お答え申し上げます。 平成四年二月十四日でございますが、海上自衛隊厚木基地におきまして体育館をつくっておりました。一階がプール、二階が体育館のものでございますが、この建設中のところ、午後一時四十五分ごろ約六十人の作業員が二階床のコンクリート打設中、突然床が崩れ落ちまして、一階及び二階で作業していらっしゃった方々がコンクリートなどの下敷きになってしまいました。その結果、七名の方が死亡され、十三名の方が重軽傷を負われました。これが事故の概要でございます。
○細谷昭雄君 元請はどこで、下請はどこなんでしょう。そして、二次下請といいますか、孫請とか、そういう下請状況について報告願いたいと思います。
○政府委員(藤井一夫君) 元請は、銭高組・佐伯建設共同企業体でございます。 下請につきましては、ちょっと全部の資料はございませんが、事故に遭われた方々の所属されました下請につきましては、新日本工業株式会社、福地組あるいは旭日電気工業、三和興業、高橋工業等でございます。
○細谷昭雄君 私は、そこを問題にしているわけですが、私どもの党の調査団が事故が起きて間もなく現場の調査に参りました。その際に、元請の人力に対して下請その他孫請を聴取しましたところ、わからなかったという事実を伝え聞いております。問題は、政府機関が、どこでも同じなんです、各省庁等がそれぞれ公共事業を発注するわけです。発注するのはもう発注しただけで、あとはもう政府機関が発注した現場で何が起ころうが、どういう仕事がどういう手順で行われておるのか、そこに働く労働者がどういう環境で働いておるのか全く把握しておらないというのが実情なんです。これで一体いいのかどうか。
○政府委員(藤井一夫君) 防衛施設庁の場合をちょっとお答えさせていただきたいと思いますが、私どもが発注しております建設工事につきましては、今回の工事に限らず、労働者の労働条件等に関する管理につきましては、契約上請負者の責任において関係諸法規に基づき適切に管理が行われるということが条件になっております。したがいまして、これは請負者の責任ということでございますので、私ども労働条件の細部等の一々についてその状況の報告を受けるという仕組みになっていないというのが現状でございます。
○細谷昭雄君 そこは一つ問題にしたいと思うわけですが、建設大臣、どうでしょう、こういう各省庁ともずっとやっておられるんですが、建設省はどうしていますか。
○政府委員(伴襄君) 安全対策につきましては、先ほどのお話しの厚木基地内の工事を初め、いろいろ事故は重大事故が起こっております。そういうことでございますので、かねてからこの施工の安全確保に取り組んでおりますけれども、特に一向に重大事故が減らないということもありまして、建設省では建設工事の安全対策を総合的に決めようというふうなことで、各種の委員会がございましたけれども、それを統合いたしまして、事務次官を長とする建設工事安全対策委員会というのをつくって、この中で全省的に検討を行いまして、建設省の工事安全対策というのをまとめたわけでございます。 この中では、それぞれの立場の方がそれぞれ安全意識を持っていただいて安全対策に取り組んでいただくということが一番大事だと思っておりますが、一つには、総合工事業者であろうと専門工事業者、いわゆる元請、下請でございますが、それによる適正な施工体制を確立するといったようなことで、建設業者側の施工管理対策をきちっとやるということが一つ大事だと思います。それから、二つ目は発注者側でございますけれども、発注者側におきましても、やはり必要な安全対策費を見るとかあるいは工期を弾力化するとか、あるいは発注も余り偏らないように平準化するとか、そういった発注段階における安全配慮ということも必要じゃないかと思っております。それからさらには、安全につきましては、いろいろ自動化、プレハブ化、機械化、こういったことも進めることが必要がなと思っております。 こういった各般の総合的な安全対策を取りまとめまして、これを業界関係団体にも徹底いたしておりますし、それから発注者サイドの方にも建設省のこういった考え方をぜひとも推し広めていきたいというふうに考えておりまして、こういった全般的な安全対策を講じながら強力に進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○細谷昭雄君 ここで非常にはっきりしておりますことは、国の公共事業を発注するそれぞれの立場、これは公団も含めてでございますけれども、その際に、安全対策についてはある程度のそういうことをやるんだけれども、そこで働くいわば労働者といっても国民なんですね。この国民がどういうところで働いておるのか、衛生的にどうなのか、それから労働福祉はどうなのか、労働条件、賃金はどうなのか、そこまでやっぱり見ていくということが必要じゃないのかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。これは内閣全体の問題です、官房長官。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働省といたしましては、職場の安全と衛生の確保が最大の労働行政の課題でございますから、これについては従来もいろいろ監督指導してまいったわけでございますが、実は今国会で労働安全衛生法の改正をお願いいたしまして、その中で、単に元請だけじゃなしに下請についても十分な安全管理が徹底するような措置を講じたい、こういう考えております。
○細谷昭雄君 労働省にお聞きしたいと思うんですけれども、この事故防止の一つの方法としまして、総合請負業者の責任というものを明白にすること、つまり元請の責任を明白にするということが極めて大事だと思うんですけれども、例えば労働安全衛生法の第二十九条のように、元請の責任はちゃんと規定してあるんです。ところが、責任の対象が非常にあいまいだということから、罰則がないんです。責任はちゃんと明記しているんだけれども、罰則がない。だから、守らない。そういう実情なんですので、これはもう全面的に安衛法ないしは労災保険法、これを見直す必要があるというように思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(佐藤勝美君) 労働者の安全を確保する責務は、原則としてその労働者を直接雇います事業者にあるわけでございます。しかしながら、建設業におきます労働災害の防止につきましては、御指摘のように、現場全体を管理しております元方事業者の果たすべき役割が大変大きいというふうに思っております。このために、先生は労働安全衛生法の二十九条と申されましたが、そのとおり、現在の労働安全衛生法におきましても、関係請負人や関係請負人の労働者が関係法令に違反しないように必要な指導を行うというようなこと、あるいは違反していると認められるときは是正のために必要な指示を行うということ、あるいは複数の事業場の労働者が混在して作業を行うことによります労働災害を防止するため作業間の連絡調整を行うことなどを元方事業者に義務づけているところでございます。 ただ、最近の建設業の死亡災害の状況を見ますと、やはり労働省としては、中小規模現場の元方事業者の安全衛生管理体制の充実が必要であるというようなこと、あるいは例えば土砂崩壊のおそれのあるような場所におきましては、労働災害を防止するため関係請負人の講ずべき措置が適正に講ぜられているかどうかということを元方事業者に指導させるというようなことが必要であると存じまして、現在既に国会に提出をさせていただいております法改正の内容にはそういうものを含めているところでございます。
○細谷昭雄君 さらに、非常に建設現場の事故が多い、これはもう労働省の統計でもはっきりしているわけでありますが、それを裏づけるように建設現場の労働環境、労働福祉というのが他産業と比べますと極めて悪いわけです。 私は去年の委員会でも取り上げましたが、まず建設業に対する退職金共済制度の問題、それからもう一つは有給休暇の付与の問題、有給休暇制度、もう一つが期間中の健康診断の実施、この三つを私は建設現場の三種の神器と言っているんです。この三種の神器を盛んに労働省も一生懸命やっているんです。建設省も頑張っているんです。しかし、これはなかなか進展していない。その理由はどこにあるとお考えでしょうか、労働大臣。建設大臣にもお聞きします。
○政府委員(伴襄君) 特に建設業の話として、雇用労働条件の改善が進まない原因は何かというお尋ねでございますので、私の方から答弁させていただきます。 いろいろな努力をしておるところでございますけれども、建設業はやや他産業と比べて特異性がございまして、一つは工場生産等と違いまして単品受注で、しかも屋外の作業が多いというようなことでございます。したがって、天候等の外的な条件に影響を受けやすいというようなことがございまして、また先ほど申し上げたように、季節によって工事量の変動があるというようなこともございまして、なかなか計画的な対応になじまないというところが一点ございます。 それから、どうしても多段階にわたる組み立て産業で、しかも専門工事の方々が集まってやるという仕組みになっておりますので、必然的にというか下請関係の存在が不可避な状態にございます。したがって、みずから生産形態を合理化をするというのにどうしても限界があるという点がございます。 さらには、御指摘のとおりの中小企業で、非常に経営基盤の脆弱な中小企業が多いというようなことで、対応するにも資金面、人的面で苦労が多いといったようなことがございます。そういったようなことが原因かと思っておりますけれども、しかしながら中小企業の人たち、あるいは下請の人たちもみずからのこれは大事な問題だということで最近大変真剣に取り組んでおりまして、まさに雇用労働条件の改善を官民挙げて取り組んでいるというところでございますので、私どももできる限り行政側の手を差し伸ばさせていただいてその改善を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
○細谷昭雄君 運輸省にちょっとお伺いしたいと思うんです。 ことしの二月、私は名古屋で、それから次に二月の下旬に大阪で大変びっくりしたことがあるんです。それは、タンクローリーの運転手、特に出稼ぎ者を主に多く使っているんですが、この人力の超長時間労働についてでございます。大変びっくりいたしました。 運輸省はこの実態を知っておられますか。
○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。 先生具体的な事例をおっしゃったわけでございますが、私どもトラック業界全体について長時間労働がひどいというふうに思っているわけでございます。六十三年がピークでございまして、若干減少はいたしているわけでございますが、他産業に比べまして依然として長いわけでございます。大体二割ぐらい長時間労働になっております。実情としてはそういうふうに理解いたしております。
○細谷昭雄君 運輸省と労働省に要望したいと思うんですが、もうとにかく大変めちゃくちゃな勤務状況なんです。実態は、長距離トラック運転手はちゃんと就労ガイドラインが労働省から示されておりますが、しかし宅配便それからタンクローリー、こういった一人乗りの、そこを拠点として歩くという労働者の運転手についてはほとんど放置されておるという状況なんです。 それで、これについて実態調査をするということと、もう一つはこういったガイドラインの全面的な見直しをすることが必要だと思うんですが、どうでしょう。これは運輸省と労働省にお聞きします。
○政府委員(佐藤勝美君) ただいま先生御質問の中で触れられましたタンクローリーの運転手につきましては、これは御承知のように、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、告示の対象になるわけでございますが、典型的には一般道路貨物運送業のようなものが頭に浮かぶわけでございます。今、先生御指摘のような実態があるとすれば、やはりその地域でよくその実態を把握して、私どもとしても労働省の立場からきちんとした対応をいたしたい、かように思います。
○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。 具体的なタンクローリーの問題についても私ども少し調べてみたいと思っておるわけでございますが、トラック事業におきます長時間労働是正の問題、これは私ども安全で良質な輸送サービスを提供するという見地から大変重要な問題だと認識しておりまして、所要の対策を講じてきているところでございます。 一つは、事業者監査というのをやっておりますが、こういう中で過労運転の防止というものを最重点項目として取り上げてその徹底を図っているところでございます。それからもう一つは、運賃改定があるわけでございますが、そういう際に事業者に対しまして労働時間の短縮というものを積極的にやるように指導をいたしております。さらに、今後週四十四時間への移行の問題もございますので、今後ともあらゆる機会をとらえて労働時間短縮の指導を行ってまいりたいと考えております。具体的な話についても勉強させていただきたいと思います。
○細谷昭雄君 話題を変えまして、JRが三月十四日から東海道新幹線に「のぞみ」を走らせました。東京−大阪間が一段とスピードアップされたわけですが、安全性について一体どうでしょうか。私は東北新幹線を週末利用しますが、たまに東海道新幹線に乗りますと揺れが物すごくひどいんですね。一体「ひかり」よりも速い「のぞみ」を走らせて本当に安全なのかどうか。
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。 先生ただいまお話しのように、三月十四日からいわゆる「のぞみ」が運転を開始しておりますけれども、これの安全性につきましては、日本で一番速い列車でございますので、私どもとしても大変気にいたしましていろんな調査をし、実験を重ねさせたわけでございます。 具体的に申し上げますと、「のぞみ」の新車両でございますが、今の東海道新幹線の車体重量を約二四%減らしております。自重が普通のものは全体で六十トンございますが、これを四十六トンに下げて、アルミを使っておりますので、大変軽くなっている。それから、普通の新幹線は屋根の上に空調、クーラーとか暖房用の機器を全部積み上げておりまして、それだけ重心が高いわけでございますが、これを全部床下に配置をいたしました。コンパクトにしまして床下にいたしました結果、車体そのものは断面も小さくなりますし、重心も低くなっております。そういう意味で、軽くなったということで、重心が低くなったということで、安全性それ自体は全く問題ないだろうと思います。それから、下の施設に与える影響もそういう意味では大変従来より安全ではないかと思っております。 それから、具体的な連行に当たりましては、試験編成の列車を一昨年春につくりまして、これで相当実験を繰り返しました。これは昨年の二月に時速三百二十五キロまで出して、それで安全に走ることができるということを確認して、それから約一年間二百七十キロの実験を繰り返し重ねまして、それで開業にこぎつけておるということで、「のぞみ」自体がその安全性に問題があるということはないと考えております。
○細谷昭雄君 昨年九月三十日のひかり二九一号の事故の内容について説明願いたいと思います。
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。 先生、今御指摘の事故は、東海道新幹線の三島駅で具体的に遅延が生じた事故でございますが、これは現時点で調査した結果では、原因は東京を発車したところからあったように思っております。それはどういうことかと申しますと、具体的に申し上げますと、列車のモーターから動力を、回転を車輪に伝えるところに伝達装置がございますが、そこの歯車に給油を、相当油を入れて回しているわけでございますが、この油が何らかの事情で抜けまして、それを発見できないまま走ったということのようでございます。その結果、小歯車と言っておりますが、これが壊れまして車輪にかんでしまったということで車輪が回らなくなった。その結果、車輪がこすれましてすり減って、フラットと言っておりますが、そういう関係で深さ約三十ミリと言っておりますので約三センチぐらいのこすれができた、こういうことでございます。 これが一時東京を発車いたしまして、約八百メートルぐらい走ったときに車輪が固着したという警告灯が出ましたので、運転手がとめまして車輪を点検いたしております。その段階ではまだそういう車輪がとまっているものですから動かなくなっているということが発見できなかった、これは大丈夫だとリセットいたしましたところが、その警告灯が消えたということがありまして、そのまま走ったわけでございます。しかし、途中でまたつきましたので、三島の駅で具体的に専門の人が見たところ、走行の間にかなり減ってしまったということがわかったわけでございます。それで、この列車自体は運休にいたしまして、かわりの列車を仕立てたわけでございます。 この原因でございますが、結局七月にさかのぼるのですが、台車検査というのを定期的にやっておりますが、このときにそこに給油を十分にしていなかったというのが原因でないかと思われます。それで、途中の検査のときに一部漏れているのがわかりましたので給油をしておりますけれども、その給油のときにその量が通常よりも少し多いんじゃないかということに本当は気がつくべきではなかったか、今となってはそういうことなんですが、と思います。そこが点検のときに若干抜けていたのじゃないかということで、私ども中部運輸局を通じまして、JR東海にこういう車輪の摩耗というのは大変問題のある事故であるし、点検の仕方をもう少しきちんとやれということで、具体的に改善策を講じさせました。
○細谷昭雄君 昨年の五月十四日に信楽高原鉄道の大変痛ましい事故がございました。ところが、この乗客犠牲者の遺族会に対しまして、当事者でありますJR西日本当局が正式に謝罪しておらないというふうに聞いておりますが、運輸大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(奥田敬和君) 信楽高原鉄道の事故は史上空前とも言うべき最近の大変な悲惨事でございます。死傷者も多く、したがって原因究明の調査が今進められて、近いうちに結論が出る段階にまいっております。もちろん、信楽高原鉄道の当事会社は当然でございますけれども、滋賀県、しかもJR西日本、これらも被害者救済といいますか、そういった負傷者に対する示談あるいは死者に対する示談等々に関しては、JR西日本としてはほとんどの人員がJRと滋賀県だと言ってもいいくらい出して交渉に当たっております。 先生御指摘のように、JR西日本の社長にも、巷間こういうことがあるけれどもどういうのだと言ったら、いわゆる被害原因がはっきり結論が出る段階が近づいておりますので、私としては遺族並びに負傷者に対して誠心誠意補償解決にお手伝いをさせていただいておると、近いうち一周忌に、五月中旬になると思いますから、その節にはぜひそういった形で自分として心から哀悼の意を表したいという趣旨のことを私に申し出ております。今後とも補償解決に当たっては、JR西日本に積極的に対応するように指導してまいります。
○細谷昭雄君 ぜひお願いしたいと思います。 安全にはチームワークが一番大事なんですね。どうも心配される点は、JR各社の労使関係が本当に順調なのかどうか、安全対策が本当に万全なのかどうか、この点心配されますので、運輸大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(奥田敬和君) 先生御指摘のように、特にJRを例に引かれてのお話でございますから、安全が経営の基本そのものでもあるというくらい、こういった輸送に関しましては安全が最重要な課題で基本であるということは当然でございます。JR各社もこのことはもう念頭に置いて労使一体の体制の中で、東と言わず西と言わず東海と言わず、この問題に関してはまさに至上課題が安全であるということを常に念頭に置きながら、労使一体体制で頑張ってくれておると、私はそう信じておりますし、そういう形で指導しておるというか報告を受けております。
○細谷昭雄君 JR東海の経営陣についてよくマスコミに登場しますね。ああいうようなことは国民の不信を買いますので、やっぱり監督の立場にある運輸大臣はきちっとした注意が必要じゃないかというように思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(奥田敬和君) 今日、民営化以来五年の、もう各社ともそれぞれ体質は違いますけれども、安全そして快適なサービス、経営基盤の強化、こういった形に関してはそれぞれの企業が労使一体体制で努力しておる成果が今日であろうと思っております。まあ東は東、西は西、東海は東海、それぞれの切磋琢磨した体制で努力し合っておりますけれども、基本的に共通している課題は安全ということであって、この形においての認識は一致しているであろう。それで三社とも経営実績を、それぞれ立派に業績を上げておるということを了解しております。 いろいろなうわさはありますけれども、うわさはもう何もJRに限らずどこにもあることですから、健全な労使体制の基調にひびを入れさせない、むしろ一体体制で取り組んでおるという形の方を評価したいと思っております。
○細谷昭雄君 最後になりましたけれども、今大臣のお話しのとおり国鉄がいわゆる民営へ移行して五年目を迎えておるわけであります。いろいろ課題が残っておるわけでありますが、その課題の一番問題点は、五年を経た今日もいまだに千四十七名の旧国鉄職員がいわゆるJR雇用を求めて中労委に現在提訴中ということでございます。 我々もこれはあの民営の際、国会の審議を通じまして、国会決議までつけまして、一名たりとも路頭に迷わせることはない、しないということを国会でも附帯決議を行っておるわけであります。この点で、大変我々も心配しておるわけでありますが、中労委、もちろん労働省、それから運輸省、政府関係機関も大変御努力をしておられるということは私も知っております。労働委員会でも質問いたしました。しかしながら、現在、三月の末という時限がありましても、まだJR各社がテーブルに着かないという現状でございます。 何とかひとつこの際、運輸大臣、労働大臣、富澤総理にお願いしたいと思いますのは、一汗も二汗もここでやっぱりかいていただきたいということなんです。そして円満に、職権命令という形でなくて、本当にテーブルに着いて、みんな国民の納得する中で話し合って問題の解決に至るということをぜひやっていただきたいというふうに思いますが、このことを最後にお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 大変心を痛めておる問題でございます。 御指摘のように、もう月内をめどにして、中労委の裁定と申しますか調停がお示しいただけるようでございますから、それに刮目いたしておるところでございますけれども、今御指摘のような形で、そういった御当人たちの立場を思い、環境整備を含め、お手伝いできることがないか、知恵がないか、まあ中労委の裁定結果待ちでございますけれども、そういった方向でともに心を痛めている問題として対応いたしたいと存じております。
○国務大臣(近藤鉄雄君) JRの不当労働行為問題につきましては、まさに今第三者機関の中労委が鋭意三者懇談会をつくりまして、それぞれの意見を聞きながら何とか円満解決を図りたいということで努力している最中でございますので、私どもは、それが成功するように非常な関心を持って見守っているわけでございます。何とか円満に解決ができて、そして関係者がこれに従ってもらえるように期待を込めて、またいろんな環境整備についても努力をしているというのが現状でございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 中労委が解決に向かって努力をしておられるところでございますが、両大臣の言われましたような心構えで対処いたします。
○細谷昭雄君 終わります。
○委員長(中村太郎君) 以上で細谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、森暢子君の質疑を行います。森君。
○森暢子君 去る三月十三日に児童の権利に関する条約、こういう名称で国会にこの条約が提出されました。私たちは、この条約は世界の子供の憲法、このように位置づけまして、評価して、その一日も早い批准を求めてまいりました。そういう意味で、政府がようやく正式にこの国会に批准の承認を求められたということについては評価いたします。ですから、私どもは、基本的には条約の批准に賛成という立場で質問に立ちたい、このように思います。 まず外務省、この条約の意義、そして批准すべく国会に提出するまでの経過、こういうことについて報告をしていただきたいと思います。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。 先生、御承知のとおり、この児童の権利条約は国連におきますところの世界人権宣言、それ以降のもろもろの人権に関する宣言、条約といったものを背景にして、一昨昨年国連で採択されたものでございます。日本政府は、一昨年の子供サミットの際にこの条約に署名いたしまして、その後、今日批准のために国会におかけするという経緯でございまして、私たちはふだんのほかの条約よりは随分スピードアップして作業したつもりでございます。そういう意味で、先生今評価するということをおっしゃっていただいて大変ありがたいと思います。 ただ、ここに至ります過程で私たちが作業をいたしました内容は、大変広い範囲の関係各省庁との関係があるものですから、国内法との整合性の問題というものを中心に作業をしてきた、こういうことでございます。 なお、この児童の権利条約をどういうぐあいに位置づけるかという御質問でございますけれども、この条約の前文にもございますけれども、従来、世界人権宣言等におきましては、児童は特別の保護あるいは援助を受ける権利があるということが宣明されてきておるわけでございますが、これは御説明申し上げるまでもなく、児童が貧困あるいは環境の悪化といったようなことになりました場合、まず真っ先に犠牲者になるといったようなこと、あるいは未成熟な成長期にある者として当然家庭あるいは社会から特別な保護を受けるべきものであるという位置づけがございまして、この条約は開発途上国あるいは先進諸国を問わず、子供あるいは児童といったものを正面から取り上げて、条約でそういう権利保護といったものを規定したというふうに受けとめております。
○森暢子君 大変重要な時点を話して皆さんに理解していただきたかったのですが、一番の問題点は児童の最善の利益を大人たちが守っていこう、そして差別の禁止であるとかまたは意見を表明する権利とか、表現、思想、良心の自由などのそういう権利を子供に持たせよう、そういうことが大変大きな特徴ではないかと思うわけです。 いろいろ国内法の整備を行ったということでございますが、私どもはその国内法についていろいろと問題があるという立場からこれからお話をしていきたいと思いますが、まず総理、子供観について、子供というものをどのようにとらえていらっしゃるか、一言お願いしたいと思います。 〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 突然のお尋ねで、十分その全体について申すことができませんけれども、この条約の前文に書いてありますような意味が、まず定義としては私は尊重すべき定義ではないかと思います。
○森暢子君 通告をしておきましたのですけれども。 もう一度お聞きしますが、子供を単に権利を持つだけの主体ととらえるのか、それとも権利を行使する主体と理解するのかによってそこの条約の読み方が大分違ってくるわけです。そのことについて総理はどのように思われますか。権利を持つだけか、行使をするのか。
○政府委員(丹波實君) その前に、先ほど国内法を整備というふうに先生お聞き取られにあるいはなられたのかもしれませんが、その検討の段階で国内法との整合性の問題やいかにという、そういう点を検討してまいりましたということを申し上げたつもりでございます。 ただいまの権利の問題につきましては、権利を持つ者がそれを一定の範囲内で行使できるというのは、条約上当然そういう建前になってございます。
○森暢子君 子供が権利行使の主体であるということをここで確認したいと思うんですが、そういう認識で国民の意識を盛り上げないと、本当に大人たちが、ここにいらっしゃる皆さん方がどれだけこの子供の権利条約の内容について御存じか、またはどのように国民の間にそれが広がっているかというのはなかなか疑問があると思うわけです。それで現状今のままでしたら、批准しましたが何も変わりませんということになれば、せっかく批准を力を入れてなさったのに何にもならないと思うわけです。 そういうことで、この批准することに当たって日本の子供をどう扱うのか、どのように生かしていくのかということについて、文部省、法務省、厚生省、そして最後に総理にお考えをいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) この問題は、たびたび先生に参議院の文教委員会で御答弁申し上げておりますように、児童の権利条約、一番大切なものはなぜこういう条約ができたのかという、総理からも前文のお話がありましたが、条約の精神を読み取ることであって、それは子供が権利の主体だということを先生おっしゃいましたが、それは日本国憲法でもあるいは国際人権規約でも、当然我が国のお子さんたちも権利を持っておるわけだし、権利を行使することができるわけですから、そういう意味でコペルニクス的な発想の転回があったわけでは私はないと思うわけで、むしろ子供は先生御指摘のとおり弱い立場に置かれていますから、貧困とかあるいは飢餓とか疾病とかいろいろなものにも弱いわけでありまして、要するに子供は国の宝だから子供を大切にしていこうというその条約の精神、国の宝というよりも世界の宝と言うべきかと思います。 教育の世界では一人一人のお子さんを丁寧に扱って大切にする教育を行いたい、これが条約の精神と思っております。
○政府委員(土井豊君) 厚生省といたしましては、これまで児童福祉法などに基づきまして種々 一の児童のための社会保障施策の充実を行ってきておりますけれども、この条約に規定されております医療や福祉の分野における児童の権利は今後とも十分保障されなければならないと考えているところでございます。
○国務大臣(田原隆君) お答えします。 法務省といたしましては、児童はおっしゃるように権利の主体であるという点ももちろんありますが、ただあわせて同時に保護の対象でもある。やはり未熟なところもあったり、いわゆるか弱いところがあったりしますから当然保護しなきゃいかぬ。その保護は親が第一、父母がやるのが第一義的だろう。しかし政府としてもこれは幅広い見地から保護しなければならない、そういう幅広い考え方をやっております。
○国務大臣(宮澤喜一君) この条約に言っております子供の権利そのものについては、国際人権規約もありますし、我が国憲法、国内法でそれを認めて保護していると思いますけれども、その保護につきまして、制度面ばかりでなく意識面、実体面において必ずしも十分でない、不断の努力をして確保することが必要であるということを考えまして、この条約を締結することによってそういう国内面の法の一層の整備、さらに意識の確立を図っていくべきものと、こういうふうに考えております。
○森暢子君 今意識の整備、法の整備を行っていくというふうなお答えをいただいたわけでありますが、それぞれの立場でこの条約を批准するに際して、この条約の趣旨をより一層生かすためにどのようなことをやるかということがこれから大事になってくると思うんです。 それで、文部省にお伺いしますが、これはもう文教委員会で一度やったんですけれども、文部省の通知、昭和四十四年の古い通知の中に「高等学校における政治的教養と政治的活動について」という通知が出ているんです。このことについてちょっと皆さんに紹介してください。
○政府委員(坂元弘直君) お答えいたします。 昭和四十四年の通知は、高等学校におきまして政治的教養を豊かにする教育の一層の充実を図るとともに、政治的活動につきまして適切な指導を行うための文部省の見解を示したものでございます。心身ともに発達の過程にあります生徒に対する各学校での指導上の指針を示したものでございます。 通知におきます政治活動に関する内容としましては、教科、科目の授業中やクラブ活動、生徒会活動において生徒がその本来の目的を逸脱して政治的活動の手段としてこれらの場を利用することを禁止する、あるいは学校内に政治的な団体や組織を結成することや、学校内での政治的文書の掲示、配布、集会の開催などの政治的活動を行うことを制限するということ、あるいは学校外の活動につきましても学校が教育上の観点から望ましくないとして生徒を指導したり、特に違法なもの、ちょうど昭和四十四年の通知でございますが、当時、かなりいろんな暴力的な学生運動等が発生した時期でありますが、特に暴力的なものを禁止するとともに、そのような活動になるおそれのある政治活動についても制限することが必要である、そういう観点から各都道府県を指導したものでございます。
○森暢子君 これは昭和四十四年の通知でありまして、その文書の中に「最近、一部の生徒がいわゆる沖縄返還、安保反対等の問題についてこ云々というのがあるわけです。昭和四十四年のころにはこういう政治情勢であったと思いますし、その中で政治活動について禁止するとか、それから望ましくないとかいうふうな通達が二十年たった今も生きているということでありますね。そして、今回批准するに当たってこういうものをもう一度洗い直して、見直して、この趣旨により沿うようなものに直していってもらいたいということを私は申し上げたいわけです。 その中で、じゃ政治的教養や政治的活動の勉強を若い高校生や中学生がどこでしているかということをお聞きしたいと思います。文部省。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 質問の御趣旨を私取り違えているか、と思いますが、当然学校でいろいろな勉強はするわけですが、先ほど初中局長が御答弁申し上げましたように、学校というものは教育という大きな目的を持っておりますし、教育基本法にも、学校というものはいわゆる私立の学校であっても公的な性格を持っているということがはっきり述べられておりますから、そういう教育という大きな目的を持った公的な組織の中では当然必要な合理的な規律というものがあるわけでございましょうから、そうした中でいわゆる露骨な政治活動をするようなことは困るというようなことを先ほどの通知は決めておるわけでございまして、仮に今回児童の権利条約が批准、そして承認されることになったとしても、それは矛盾をしないものというふうに私は考えております。
○森暢子君 ですから、政治的教養を高めるというのは、いわば政治教育はいけない、高校生はこうだという通知の中で隔離されていながら野放しになっている状況ではないかと思うんです。つまり、これだけマスコミの発達した中で、子供たちは今の政治情勢をちゃんと見て勉強している。いろいろな中で勉強している。特に、一連の佐川とか共和の問題とか、そういう政治ということに対して子供たちは見ていると思うんですね。それははっきり見ておりますよ。そして批判もし、その中で育っていっているわけです。ですから、次の世代を担って立つ青少年がどういう政治的な教養を身につけ、我々はどんな政治活動をするのかというのを自然に勉強しているわけですね。そういう中でやはり私たち国会、そして国会議員が与野党を問わず、子供の権利条約を批准するに当たり政治浄化について協力して子供たちに見せる、こういうことが必要ではないでしょうか。総理、いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) ですから、私申し上げておりますように、政治について学校でいわば社会科というような形で勉強するのは大いに結構ですし、あるいはお子さんが家に帰って御家族と政治についていろいろ議論をするというようなこともあろうと思いますが、学校という教育の現場のいわば規律を乱すような、教育という目的が損なわれるような政治活動は困りますということを申し上げているわけです。それは教育には中立性がとても大切だと思うからでございまして、例えば湾岸戦争のとき、あるいは紛争から湾岸戦争にずっと続いていく中で、サダム・フセインの方が正しい、アメリカの方が間違っているということを一生懸命教えたら、子供さんもやっとそれを理解してくれて、フセインが正しい、アメリカが間違っていると作文やなんかを書くようになってとてもよかったなどということがある先生方の集団の研究発表の中でなされたというようなことを聞きますと、教育の中立性というのはしばしば危険な目に遭っているんだな、やはり中立性を守るためにも教室内での、教育現場での政治活動は困る、こういうことでございます。
○森暢子君 今、文部大臣の言っていらっしゃることはわかるんですが、そのことを聞いているんじゃないんですよ。ですから証人喚問をお願いしたいということなんです。そして、国会の場ではきちっと大人たちがどのように取り組んでいるかという姿を子供たちに見せるべきではないかと、総理にお願いしているんです。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 御答弁になるかどうかわかりませんが、それはお子さんたちも当然新聞も見るでしょうし、テレビも見るでしょうし、日本の政治についていろいろ見たり聞いたりして考えていると思います。
○森暢子君 では、証人喚問を強く要求しておきます。 次に、名称の、児童か子供かということについてお聞きしたいと思いますが、私どもは子供の権利条約が妥当であろうということで主張してきましたけれども、児童の権利条約ということになったということでございますが、英文の中のチャイルドというのを児童と訳されたわけですが、この児童とした理由、そういうことについてお聞きしたいと思います。
○説明員(野村一成君) お答え申し上げます。 今先生御指摘のとおり、この条約でチャイルドあるいは複数でチルドレンという言葉で使われているのをどういうふうに訳文で指摘するかということでございます。こういった場合に、我が国が現在まで締結しましたいろんな条約の訳文の中で、チャイルドあるいはチルドレンという言葉を訳している言葉といたしまして児童あるいは子というのがございます。私ども条約の正式な訳語をつくります場合に、実体が同じである場合にはそれに整合した訳を使うということでございまして、特に、国会で承認いただきました国際人権規約におきましてはチャイルド、チルドレンを児童と訳してございます。したがいまして、国際人権規約で使っておりますチャイルド、児童の実体、意味というのはこの児童の権利条約におけるのと同じでございますので、したがいましてこの条約におきましても、訳語といたしましては児童ということで統一するのが適当であるというふうに判断した次第でございます。
○森暢子君 児童という用語については国内法の中で年齢の定義がまちまちであります。関係省庁、説明してください。
○政府委員(坂元弘直君) 文部省関係について御説明申し上げます。 学校教育法の二十二条で「子女の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初から、満十二歳に達した日の属する学年の終りまでこ、言いかえれば、小学校の子供でございますが、これを学齢児童というふうに言っております。
○政府委員(土井豊君) 児童福祉法第四条におきましては、「この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいいこという定義がございます。
○森暢子君 児童福祉法では、児童は十八歳未満、乳児を一歳未満、幼児を未就学児、少年というのは小学生から十八歳まで。それから学校教育法では、児童とは小学生のこと、幼児は三歳児ですね。児童が小学生、生徒が中学生、高校生、こういうふうに大変ばらばらなわけですね。これをどうして児童とくくったかということについて説明してください。
○説明員(野村一成君) お答え申し上げます。 この条約におきましては、チャイルド、児童の定義といたしまして「十八歳未満のすべての者」ということになっておりまして、特定の、一定の年齢のより下の人を指すということでございまして、なるほど国内法令におきます用語といたしましては、何歳というときにおいてそれはその法律の目的によりまして違っているということはございますけれども、一致しておりますのは特定の年齢より以下の人を指すというときに児童という言葉を使っておるわけでございまして、やはりこの条約におきまして「十八歳未満のすべての者」という場合に、この訳語が適当であるというふうに考えるわけでございます。
○森暢子君 今日の社会において、十七歳何カ月の若者を児童と呼びますか。いや呼ばないですようちの子供とかうちの児童なんて呼びますか、皆さん。呼ばないですね。そうした場合に、やっぱり法律用語というのはその時代の人の意識や社会状況によってそれに変えるべきだと思うわけですね。おかしいし、まして十七歳の若者がそれを受け入れるかどうかですね、この条約というものを。そういう辺で大変おかしいと思います。納得がいきません。やはり児童というのは子供に改めるべきだと思いますが、富澤総理、チャイルドというのを本当に児童か子供がおっしゃってください。
○説明員(野村一成君) ただいま先生の方から児童についての年齢のことに着目してございましたですけれども、また同時に、子供という言葉の方がより適当ではないのかという御意見がございました。 他方、日本語としまして、例えば児童につきましては、先ほど申しましたように一定の年齢より下という概念がございますけれども、子供と言いますと、日本語の場合には例えば子供扱いとか子供じみたとかということがございます。私自身も、それは私の親との関係においては子供でございまするし、そういう意味におきまして一定の年齢より下という概念を指摘するのには、私は児童がやはり適当であるというふうに考えておるわけでございます。
○森暢子君 総理、チャイルドをすっと解釈してどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは法律、条約の用語でございますので、余りすっと申し上げちゃいけないんじゃないかと思います。
○森暢子君 では、子供と直すべきという私どもの意見を申し上げておきます。 次に、国内法との関係でございますが、政府は今回国内法との整合性について問題ないというふうになさいました。しかし、民法や少年司法、福祉や教育関係でいろいろな検討事項があったと思うんですね。実際あります。しかし、問題ないとされたんですが、留保やそして解釈宣言をなさっているわけですね。そのことについて説明してください。
○政府委員(丹波實君) 個々の分野の具体的な問題につきましては、それぞれ担当の官庁から御聴取されるものと了解いたしますけれども、一般論として申し上げまして、この条約は先ほどからも議論がございましたけれども、日本の憲法、それから今まで締結いたしました国際人権規約、A・B規約、そういったものと権利義務の内容と日本の国内法令との関係につきまして、私たち政府部内で詳細に検討いたしました。条約において規定されております児童の権利の実現のために、日本は既に以上のような法的な立法措置あるいは行政措置を講じておりまして、この条約によって課される義務の履行を確保するための現行国内法の改正または新規立法措置は必要はないという結論に達したわけでございます。 しかしながら、この条約におきます自由を奪われた児童の成人からの分離につきましての規定、条約第三十七条同でございますけれども、に関しましては、その内容にかんがみまして留保を付することを適当と考えて、この点につきましては所要の留保を付して条約を締結することを考えております。 なお、国内法との関係ではそれでは具体的にどういう問題を検討したかという御質問があろうかと思いますが、例えば第二条の差別の禁止の規定と非嫡出子の相続の問題、あるいは条約第九条、第十条と出入国管理制度との関係、あるいは条約第十三条から十五条までの自由権の規定と先ほど先生も問題提起されました学校の校則との関係といったものが検討され、その結論といたしまして新たな立法措置は必要はないという結論に達したということでございます。
○森暢子君 この留保の問題について一つ一つやっておりますと時間がかかりますので、それぞれの委員会にお任せするとして、一つだけ三十七条の同なんですが、少年法にかかわることなんですが、これをもう少し詳しく説明してください。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 委員もう御案内のとおり、児童の権利条約三十七条同項は、自由を奪われた児童と成人との分離を規定しているわけでございます。他方、我が国の少年法におきましては、これも委員御案内のとおりでございますが二十歳未満の者を少年として取り扱うこととしておるわけでございまして、二十歳未満の者と二十歳以上の成人とを分離することとしているわけでございます。これは十八歳未満の児童に対する保護を二十歳未満の者にも広げて対象として手厚い保護を加える制度をとっているものというふうに理解しておるわけでございます。 したがいまして、十八歳未満の児童と十八歳以上の成人との分離を規定しておりますこの条約第三十七条同項につきましては、そういう意味で留保を付することが相当であるというふうに考えた次第でございます。
○森暢子君 今の御説明で皆さん詳しいことがおわかりになったでしょうか。刑法犯の刑務所と、それから少年犯罪の少年院との分離年齢が二十歳であること、これをもって日本の法律の方が条約よりも厚く保護されるという立場からの留保であるというふうに御説明があったと思うんですね。 しかし、裏返せば十八歳で成人とみなすというのが、外務省の条約の説明書三ページの5の(3)で成人ということで括弧して「十八歳以上の者」と記載してあるわけです。ですから、そこら辺が民法では二十歳を成人として選挙権を認めているんですけれども、条約の説明書では成人を十八歳以上としている。こうなると、やはり選挙権のこともかかわってくるわけですね。そのあたりこれから問題が残るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。意見をお聞きしたいと思います。
○説明員(野村一成君) この条約、特に選挙権とは関係のない条約であるというふうに認識しております。 それから、先ほど我が国の場合にはより手厚い保護をという趣旨の御指摘がございましたけれども、留保につきましては条約の趣旨、目的に反しない限り一般国際法上行い得るわけでございまして、私どもこの点についての我が国の留保がそういった国際法上特に問題があるというふうには全く認識しておりません。
○森暢子君 子供と成人の境界を十八歳にするか二十歳とするかという条約の本質にかかわる問題であると思うんですね。そういう意味で、ここを考え直していただくように求めておきたいと思います。 この条約を日本が批准することによって子供たちがどう変わっていくか、または国際的にこういう内容で恥ずかしくないか、これで妥当なのか、よく検討したのか、外務大臣がその先頭に立たれると思うんですが、そのあたりいかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは昔は、諸外国で今もありますが、徴兵制度の問題もありまして、二十歳がいいか、十八歳がいいかと。かつてソ連だったか東欧だったか、やはり不良がふえてしょうがない、したがって徴兵年齢を引き下げて十八歳にしてその不良化を防止する、そういうような話を聞いたことがあります。 物は考え方なんでしょうが、日本などは要するに今徴兵というのはありませんが成人式というようなものは二十歳をあれでやっておると。ここは物の考え方ですが、私は、それはどっちがいいとかどっちが悪いとか言ったって、それはなかなか決め手はないんですよ、決め手は。常識的にやっぱり昔から二十、二十と言っているから二十歳ぐらいがいいのかなということだと思うんですね、これはもう絶対的なものはありませんから。だから私は、二十歳以上が成人、それ以下が未成年者ということでいいんじゃなかろうかと思っています。
○森暢子君 余りこだわっていると長くなりますが、今の外務大臣のお話でいきますと、二十歳が成人で、十八歳以下が条約の中では児童ですね。じゃ十九歳はどこへいくかということになりますし、本当にここは難しい問題で、国会の中で討論になる部分ではないかというふうに思います。 この条約を出される前に、正式の政府の訳というのが、翻訳ですね、訳文がなかなか出なかったんですね。御存じだと思いますが、閣議決定の直前に政府の訳が出た。それ以前に、出さないうちに、この条約を批准するに当たり国内法を改める必要はないとか、または、文部省関係もそうですが、もうこれはいいとかいうのがあっちこっちに出ていたわけですね。 例えば毎日新聞、二月三日の「外交百話」というところにある外務省の方が、もう全然「今のところ、問題はありません。」、まして二部の団体の中に、条文を拡大解釈して国内法を変えるきっかけを作ろうとする政治的動きがあるのは残念に思います。」、こういうことが新聞に載っているわけですね。それを聞いて、また国民の一部の人がそれに反論いたしまして、政府のきちっとした訳が出ない前に政治的活動をしているのはけしからぬとか、または国内法は問題ないとかいうふうなことが出るのは余りにもこれ見過ごすことはできない、看過できないということでかんかんに怒っているわけでありますね。 それで、ぜひ官僚は、お上ではなくてやはり国民全体の奉仕者であるべき。そうしますと、国内法を再検討するためには、官僚の一部の人が決定するんではなくて、やはり国民にもそれをもっと早く示して意見を聞いて国内法はこれでいいというのならまだいいんですけれども、正式の訳文を出さない前にそういうことを言うというのは大変国民の意見や国会無視も甚だしいということで許せない、このように思いますが、外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは実は私のところへ社会党の委員長から電話がありまして、子供条約がいいんじゃないかと。私も最初受けたときに、なるほどそう言われてみれば子供条約の方がチャイルドだからいいんじゃないかと思ったんですよ。 そこで、なぜ子供条約じゃ悪いのかということをいろいろ聞いてみたら、一方においては早くに条約を出しなさい、批准しなさいという強い要求があると。仮にこれを別な、子供条約にしてしまうとすると、今までの法律がみんな、児童福祉法とかやれ何とかいろいろ児童生徒とか、そういうことで法律がみんな決まっている。そういうような法との一貫性といいますか、整合性を持たせなきゃならぬ。そうなると、これまたそいつを全部直さなきゃならぬ。そうすると、またこれはそれまで条約を批准できない、もう三年、五年かかっちゃうということ等がありまして、確かにチャイルドといえば子供と訳した方が素直ですよ、それは。素直だけれども、日本の法律が今まで全部児童というようなことでいって、そういうことで制定をしてあると。だから、非常に広範囲に及ぶので、到底今度の国会に間に合わないということなんですよ。 それじゃ名前だけのことだからどっちだっていいだろうと、いや簡単な話がですよ。それで、それをうんとおくらせるのがいいのか早く批准した方がいいのか、私は考えたんですよ。それじゃひとつもう謝っちゃおうというわけで田邊さんに電話をして、実は空受け合いしたんだが、ちょっとあれはぐあいが悪いらしい、だから今回は児童条約でひとつ出させていただきますからあしからずと、そう言ったの、私が。そういういきさつがあるんですよ。 だから、これは確かに子供がいいか児童がいいかといえば、これも一長一短なんですね、実際は。それは子供の方が響きがいいかもしらぬが、そういういきさつだから今回は急いで批准するということで、子供が児童に変わったからといって別に内容がうんと違ってくるわけでもないし、しかしながら、条約そのものを今度は子供条約にするとほかの法律がみんな影響しちゃうということなので、この点は、よく御趣旨はわかりますが、ひとつ認めていただきたい、そう思っておるのでございます。
○森暢子君 今、訳文の話をお聞きしたんですけれども、何か子供の方へ行ってしまいましたが、つまり、政府の正式な訳文を早く国民に出して、そして論議を呼んで、そして批准するという形が一番いいわけですね。それが遅かったということで、例えばいろいろユニセフなんかが訳文を出していらっしゃって、そして今回国が出したのといろいろと違うところもたくさんあるわけです。 例えば二十八条の(b)ですね、高等学校の教育費無償にかかわるところですが、そこの文書の中の「サッチアズ」というところを単なる例示、「例えばこということにしてあるわけですね。それで単なる例示であるから条約には拘束されないというふうに判断していらっしゃるわけですね。 それについてもう反論する時間がないわけで、「例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。」とされているんですが、そのことについてちょっと説明してください、文部省、大臣。
○政府委員(坂元弘直君) お答えいたします。 先生御指摘の条文は二十八条第一項(b)の規定でございまして、中等教育の発展を奨励し、すべての児童に対して、利用可能であり、かつ機会が与えられるようにするために、締約国がその裁量によってとるべき措置の例示として、先生がおっしゃいました「サッチアズ」でございますが、高等学校教育の無償化導入あるいは必要な場合にはその他の財政援助等のようなしかるべき措置をとるべきだということで、無償教育の導入自体を締約国に義務として課しているものではないというふうに私ども解釈した次第でございます。 先生も御承知のとおりに、かつて人権規約におきましては、特に無償教育の漸進的導入という形で締約国に義務として漸進的導入を課しておったものですから、人権規約の批准案件を国会に御審議いただくときにはそこは留保をつけさせていただきましたが、これはそういうことであくまでとるべき措置の例示であるということで、留保をつける必要がないという解釈でございます。ちなみに、既に批准しております各国で、後期中等教育、高等学校が有償でございますイタリア、韓国等におきましてもこの部分については特に留保をしないで国会で批准あるいは締結しておるということでございますので、私ども、この二十八条第一項(b)につきましては国際的にもとるべき措置の例示である、義務を課しているものではないというふうに解釈して差し支えないというふうに考えております。
○森暢子君 国際教育学会とかユニセフが、今までに国が出さないものですから訳文を出しているんです。その中では、この「サッチアズ」のところを「並びに」と、こう訳していらっしゃるわけです。ところが政府訳は「例えば」と、こう訳したと。そうしますと、本当に意味合いが違ってくるわけです。 今、一つの教育の関係のものを取り上げましたが、まだほかにたくさんとり方で意味が違ってくる問題があるわけです。これも全部政府がきちっと責任を持って早く政府の訳を出して、世論を巻き起こして、ああ、これはこういうところで子供の権利を本当に守っていこうと。そのためには、子供の権利を守るということは大人の権利も保障することですし、全部かかってくることですから、そういう世論を喚起しての条約批准、こういうことに持っていっていただかないといけないと思います。その点、特に今後そういうことについてはお願いしたいと思います。 最後に、条約の広報義務というのがうたわれているわけです。広報義務というのが四十二条にあるわけですが、条約は批准しましたが子供たちにも伝えない、大人にも伝えない、じゃ条約だけがある、こういうことになってはいけないと思うわけですが、この条約の趣旨を生かすためにどのようなことを今後計画なさっていらっしゃるか、文部省お願いします。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 外務省あるいは政府としていろいろなさることがあろうかと思いますが、文部省といたしましては、もしこの条約の批准が承認されるようなことになれば、先ほど冒頭に申し上げましたように条約の一番の重要な部分というものは、その精神は一人一人の子供を大切にした、いつも申し上げております言葉で言えば一人一人の子供をじっくりと見詰めて個性を引き出してあげるような、そういう丁寧な教育をやってください、こういうことを全国的に呼びかけたいと思っておりますが、実際に条約の内容がどういうものであるかについて、教育委員会を通じましてすべての学校あるいは教員等に内容をお知らせしていきたいと思っております。
○森暢子君 そのほか、この条約の中には少年司法の関係であるとか、それから児童福祉法、今となたかおっしゃいましたが非嫡出子の相続の問題であるとか、第二条の特に差別の禁止の中にはいろいろな人権を平等にしていくという国内法があるわけです。そういうことにつきましてしっかり検討して、いい形での、世界の先進国日本として恥ずかしくない批准の内容にしていってほしいというふうに思うわけですが、きょうは子供と児童、国内法の関連、そしてその中身の問題について、十分ここではできませんでしたが、あとの議論についてはそれぞれの委員会で細かくなさると思いますので、この問題はここで終わりにしたいというふうに思います。 引き続きまして、男女雇用機会均等法についてお尋ねしたいと思いますが、男女雇用機会均等法が昭和六十一年四月から施行されてことしの四月で九六年を迎えようとしていますが、労働大臣、男女雇用機会均等法の施行状況はどうか、それからどのように評価されているか、また、どんな問題点が出ているか、お答え願いたいと思います。
○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。 男女雇用機会均等法が施行されまして、私どもどのようにこれが定着してきているかということをいろいろ調査いたしておりますが、その結果によりますと、均等法の施行を契機といたしまして、男女にとらわれない求人がふえるとか、女子の職域が拡大するとか、女性の管理職がふえるとか、また男女別定年制が改善されるなどのさまざまな効果が出てきているというふうに認識をいたしております。 また、大卒女子の就職率も高まってきておりますし、その就業分野も広がるなど女性自身の職業意識も随分高まってきているのではないか。また、企業の中においても女性を積極的に活用しようというような機運というのも非常に高まってきているというふうに思っております。 こうした中で、特に女性を活用することについての障害は何かということもあわせて聞いておりますけれども、その結果では、女子の勤続年数がやっぱり平均的に短いとか、女性については家庭責任を考慮しなければいけないといったようなことが指摘されておりまして、ますます女性の就業継続を支援するような措置の必要性というのが高く認識されるようになってきているということは、私どもも把握しているところございます。 そういうことから、この四月から育児休業法が施行されるということになったわけでございますが、それ以外にも均等法施行後の問題として指摘されておりますことは、大企業を中心としまして導入されましたいわゆるコース別雇用管理につきまして、本来はこの制度というのは労働者の意欲、能力、適性に応じてコースを選べるようにということで設定されたものでございますが、中にはこれが男女別雇用管理に姿を変えたものになっているようなものもケースとして見られないわけでもないというようなことから、私どもは昨年十月にコース別雇用管理の望ましいあり方というものを定めまして、このコース別管理が正しい形で、法の趣旨に沿って運用されるようにということで指導いたしてきているところございます。
○森暢子君 今、コース別雇用管理が問題であるということで御返答があったわけですが、やはり雇用は拡大しました、女性も。本当にみんな働いておりますし、その中で生きがいを持って働いているわけですが、しかしパートとか臨時とか派遣、こういう人たちは女性が多いわけですが、それが一般職ということになっているんです。そしてコースを選んでいける総合職では、つまり管理職の方向へ進むコースですね、それは見るべき成果を上げていない。つまり、一定のある環境でないとそこへ進めていけない状況に今あるわけです。 ですから、女子の労働者はつまりパートかまたは少数のエリートが進む道というふうにますます分断されて、二つに分かれていっているという現状があるわけです。そういうことについて、本当に女性の労働力というのもこれからはすばらしい力でありますが、宮澤総理、この現状をどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうことは雇用均等ではないということになりますから、そういうことについてはやはり改善の余地がある、それで政府もそれに努めておりますということを先ほど政府委員が言われました。私はそのとおりだと思います。
○森暢子君 雇用の機会が均等になるようにということで労働省は各事業所に機会均等推進責任者というのを置くようにしているわけですね。この状況についていかがでしょうか、労働省。
○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。 機会均等推進責任者は平成二年度末で約四万人選任されております。私どもはこの推進者というのは企業における雇用管理改善の中核的な役割を担う方というふうに認識しておりまして、この方々にみずからの企業の雇用管理を自主点検していただくというようなことを促しておりますし、そのために必要な情報提供などを労働省としてはやっているところございます。
○森暢子君 今、四万人とおっしゃいましたが、四万人といったら多く聞こえますね。しかし、労働基準法適用事業所の全体のわずか一%なんです。それだけしか雇用機会均等がいいようにいっているかどうかというのを推進していく責任者が配置されていないわけです。そういうことではなかなか均等法も小さい中小企業にはわたっていかないし、男女平等ということは進んでいかないということで、均等法の中で機会均等推進責任者の選任というものを義務づけるべきではないか、このように思いますがいかがでしょうか、労働省。
○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。 推進責任者は今のところ法律上は規定されておりませんが、私ども強力にこの選任をお願いいたしております。先生、中小企業にはなかなか難しいんではないかというふうにおっしゃいましたけれども、確かにそういう面はございます。中小企業につきましては、個別事業所に選任をお願いするということもさることながら、団体を通じてやっていただくということも非常に重要かと存じます。さまざまなやり方がございますので、一律に法律で規定するというのはいかがかというふうに考えております。
○森暢子君 法律上とか、表向きはそれなんですけれども、実際現場におりていくとそうなっていないのが現状なのです。ですから、ぜひ細かいところまで踏み込んで本当に女性の労働の状況を見て、そして政府として態度を決定していただきたい、そのように思います。 次、平成二年の七月四日の東京地裁で社会保険診療報酬支払基金事件の判決があったんですが、これについて、これは厚生省でしょうか、ちょっと皆さんに御紹介してください、どんな事件か。
○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。 ちょっと事前にお話がございませんでしたので記憶をたどって申し上げれば、これはたしか賃金の是正について男女差別があったという訴えがあったことに対する判決ではなかったかというふうに思っております。つまり、均等法の問題というよりは、法律的には労働基準法の問題ではなかったかというふうに思っております。
○森暢子君 通告をするというのがこの国会の中では通例になっておりまして、通告しても答えられない場面もありますし、通告しなくても、やはり皆さん立派なお方ばかりですからきちっと答えていただきたいというふうに思います。 つまり、均等法が努力義務の対象にしかしていない昇格差別ということについて、憲法の平等原則に反するとして違法という判決が出たわけです。これは従来確立していた解雇についての性差別を違法とする判例の立場をさらに昇格にまで拡大したものと言えるわけで、やはり均等法の限界、これを浮き彫りにした事件であるわけです。本来ならこれは時間とお金をかけて裁判までしなくても、均等法の中で救済されるべき問題なわけです。ですから、均等法の欠陥を如実に出した事件ということで今社会では問題になっております。そのことについて労働大臣、これを禁止規定というふうなことでもう一度見直しをするというふうなお考えはございませんか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 局長が今説明をいたしましたけれども、先生おっしゃるように雇用機会均等法は六年たったわけでございますが、いろんな問題が残っておるかもしれませんけれども、女性の雇用関係の改善向上に大きな役割を果たしてきたと私ども考えておりますので、この法律をさらに普及して推進をしていきたい、こういうことでございますので、当面法律でこれをいろいろな形で義務規定とするということは現段階では考えておりません。
○森暢子君 しかし、均等法ができて六年目になれば、いろいろな社会の情勢の中で新しい問題が出てきているということはおわかりになりますね。 それでは、最近、総務庁の勧告で女子労働基準の見直しについて、「雇用における男女の均等な機会及び待遇を実質的に確保する観点からこ「女子保護規定のうち、女子の時間外労働、深夜業等の規制の基本的な在り方について検討を進める」ことというふうな勧告をしているそうですが、この内容について説明してください。
○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。 総務庁からいただいた勧告でございますが、私が説明するのもいかがかとは存じますが、受け取りました側でございますので申し上げますと、今、先生がおっしゃいましたように、「労働省は、雇用における男女の均等な機会及び待遇を実質的に確保する観点から、労働基準法の女子保護規定のうち、女子の時間外労働、深夜業等の規制の基本的な在り方について検討を進める必要がある。」という内容の勧告をいただいたものでございます。
○森暢子君 だから、その勧告をもらって、今何をなさっているんですか。それを説明してください。
○政府委員(松原亘子君) この勧告に対しまして、労働省としましては、「労働基準法の時間外労働、深夜業等の女子保護規定の在り方を考える際には、男子を含めた全体の労働者の労働条件等労働環境の整備及び女子の就業と家庭生活の両立を可能にするための条件整備の状況等を勘案する必要がある。男女雇用機会均等確保のための法的整備が行われてから五年を経過しているところでありこということから、的確な実態把握を行い、問題点を明らかにし、実際上の男女の機会均等を確保するための方策について幅広く検討を行うこととしているというふうにお答えをいたしたところでございまして、私どもは今後この今お答えしました内容を踏まえましてといいますか、これを実行に移すべくさまざまな面から検討していかなければいけないというふうに考えているところでございます。
○森暢子君 ひとつお願いしておきたいと思いますが、女子の働き方を緩和するということで例えば男性と同じような働き方にする、つまり安易な深夜業の拡大、そういうふうなことになると何にもならないのであって、やはり男子の労働基準を女子の労働基準へと引き上げる立場をとってこそ働き方というのがそういうようになるんではないかと思うんですが、これが危険な方向にならないように指摘をしておきたいと思います。つまり、例えば育休もできたけれども、女性のいろいろな保護とか社会保障がないまま、ただ女性の働き方を深夜まで広げるというのは危険であるということを指摘しておきたいというふうに思います。 最後に、今労働大臣がおっしゃいましたが、この機会均等法ができて六年目になります。それで、いろんなところで討論がなされておりました、労働委員会なんかの議事録も読ませていただきましたが、今申しましたように、新たな社会情勢の中で新たな雇用の関係がいろいろと問題になってきているというふうに思います。それで、この均等法の附則において、この法律の施行後適当な時期において勘案して考え直すというふうなことをおっしゃっているわけですが、それについて労働大臣、どのようなこれからの対策を持っていらっしゃいますか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほど申しましたけれども、雇用機会均等法の精神に基づいて男女の雇用機会が均等に相当大きく前進をしてきたことは私先ほど申し上げました。一方において、先生御指摘ございましたが、そう言っても女性としての特別、特殊の性もございますし、家庭と仕事の両立問題もございますので、それはそれなりの配慮が十分なされなければならないということも事実でございますので、そういったものを総合勘案しながら、労働基準問題は今中央労働基準審議会で議論していただいているわけでございますが、いずれにしてもいろんなことを十分に考えながらこれから対応していきたい、こう考えております。
○理事(井上吉夫君) 以上で森君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○理事(井上吉夫君) 次に、吉田達男君の質疑を行います。吉田君。 〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
○吉田達男君 初めに、初めて総理に質問をいたします。 宮澤総理には、土地柄また時節柄、蓄積された豊かな政治経験と識見によりまして世界の中の日本を力強くリードされたいと期待しておる者の一人でありますが、宮澤総理得意の分野の政策遂行までにクリアしなければならないことが政治改革であります。今日、私たちは共和、佐川急便事件にかかわる疑惑解明をなすことが政治不信を払拭するために喫緊の急務だと考えておりまして、森口元副社長から一億円を預かった阿部議員が、鈴木元総理にこれを届けたと言われることに、鈴木元総理がこれを否定されている現状について解明するために、元北海道・沖縄開発庁長官阿部議員と森口元副社長及び佐川事件の全容を述べると言っておられる佐川会長を参議院に証人喚問をいたすべく申し入れしております。総理というよりも自民党の総裁とされまして、全野党が一致して喚問要求しているこの三人の方について全面的、積極的に協力をいただいて、事件解明を徹底する姿こそが総理に期待されていると思うのでありますが、総理はどうお答えいただけますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、国民が深い関心を持っているところでございますので、国会におきまして国政調査のお立場からるる御審議が行われますことは私は当然のことと存じます。また、当委員会においても御審議が続いて行われておりますことを私自身この席から拝聴いたしておるところでございます。 ただ、どのような御審議をせられるべきかにつきましては、これは当委員会において国会の立場で御決定をなされるべきところと存じますので、私がそれにつきましてかれこれ申しますことは適当ではないと考えております。
○吉田達男君 政党政治でありますから、総理であると同時に自民党総裁でありますから、その立場において私は宮澤総理に聞いておるのであります。 政治の道に身を投じた者は、これを宿命と思い、また天職とも思って二十四時間勤務して、潔癖を通すことをもって、また、その意見を通して国民の期待にこたえなければならぬ。身を正しておる者のつもりでありますが、この立場は与野党とも皆同じ考えで進んでいると私は確信しております。総理にはリクルート事件について秘書の方を証人として議会に喚問することに協力を求めておりますが、これもペンディングになっていることが総理自身の政治姿勢を問われるもとになって、持てる力も迫力を次かざるを得ないような印象を受けております。これは国にとっても国民にとってもまことに不幸な時間の徒過でありまして、このことをもってしても、今私が初めに証人喚問に協力を求めましたことに対して具体的に協力を願えるどうか、重ねて質問をいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私自身のことにつきましては幾たびか申し上げましたが、私の方から当時の関係書類を御提示申し上げ、また誠意を持って前国会以来御説明を申し上げてきておりまして、事実関係につきましては明確になっておると私は実は思っておるところでございますが、お入り用でありますれば、なお誠意を持って御説明いたします。 前段の問題につきましては、委員会の御意思によって決定せられるべきことであろうと思っておりまして、政府側に着席しております者として意見を申し述べますことはやはり適当ではないというふうに考えておりまして、御理解をお願いいたしたいと思います。
○吉田達男君 景気対策について聞きたいと思っておりますが、景気対策をされるに当たっていわゆる五項目の第一番目に、平成四年度予算の早期成立を期しということがまくら言葉になっておるわけですね。現在の審議の状況を見ても、参議院は良識を持って国民の期待にこたえようと土曜日を返上して熱心に審議しております。まさか、その審議を中途半端にするという意思はないと思いますが、よって来るところは、衆議院における証人喚問の空転が今日に至っておるのであります。そのことをもってしても、総理は国民に対して、予算の早期成立を期しと言うからには、証人喚問を速やかに応じられなかったその経過において一半の責任を持たざるを得ないじゃありませんか。その総理がこのようにして国民に出しておられるんですから、総理の信念として、思想として、これは政治に身を投じた者として、立場が違うということじゃ許されないと思うんです。それは単なる詭弁であります。国民は納得できませんから、重ねてお尋ねいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国会におかれまして、国政調査並びに法律、予算等々をどのような順序でどういうスケジュールに従って審議をせられるかということは、当然のことながら国会がお決めになられることでございます。政府といたしましては、例えば予算案のようなものは、こういう経済情勢でもございますし年度の関連もございますから、できるだけ早く御審議を願いたいということは政府は当然に考えますけれども、しかし全般の国政調査、予算、法律の審議のスケジュールをどのようにお決めになられますか、これは国会のお定めになることでございまして、政府は希望を申し上げることはできますけれども、やはり最終的には国会の御意思によるものだというふうに考えております。
○吉田達男君 それならば、五項目の頭にこのようなことを書くことが僭越だと言わざるを得ないことになるんです。 これにかかわっていては時間が徒過いたしますから、景気対策について関連して追及を進めますが、最近の統計によりまして、昨年十月から十二月期にわたりまして経済成長率が〇・〇〇%になった、これを年率に置きかえてみるとマイナスになったということが明らかになりました。バブルがはじけてから懸念されていたことがあらわれたのでありますが、この間、いざなぎ景気五十七カ月を凌駕する長期の今回の景気について、これでもって景気は切れたという認識に立たれておるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
○国務大臣(野田毅君) 現在の経済の情勢は、既にことしに入りましてから、月例報告の中でも申し上げておりますとおり減速が広がってきておりまして、調整段階にあるという認識をいたしておるわけであります。さらに、企業家等のマインドがことしに入りなお悪化をしてきておるわけでありまして、そのことが一段と景気を下振れさせることがないように、総理からの御指示もございまして、現在鋭意三月中を目途に緊急の対策を作成中でございます。 そういった意味では、長く円高不況の後続いてまいりました景気の好況というものは、現在は調整期に入っておるということを申し上げたいと思います。
○吉田達男君 調整過程に入って今日に至ったという経過でありますが、緊急の景気対策としてどういう展開をなさるのか、重ねてお尋ねいたします。
○国務大臣(野田毅君) 先ほどもお触れになりましたけれども、今月五日に総理から既に一応五項目を柱とする御指示がございました。 それは、お触れになりましたけれども、一つ目は、平成四年度予算の早期成立を期し、あわせて公共事業等について予算成立後適切な執行をなし得るよう鋭意検討を進めるということでございま す。二つ目は、平成三年度補正予算、これはもう既に昨年の暮れにお認めをいただき現在実施中でございますが、これの完全消化を図っていくということであります。三つ目は、地方公共団体についても特に地方単独事業について各地域における経済状況等を踏まえ、弾力的な実施を行っていただくように自治大臣からも要請をいたしております。四つ目は、中小企業への配慮でありまして、その円滑な資金調達が行われるよう政府関係金融機関を通じ特段の配慮を行うこと。そして下請中小企業の経営安定確保のため所要の対策を講ずる。五つ目には、これら公的セクターのほかに、さらに民間部門におきましても、例えば電力、ガスなどの公益的な事業を行う事業会社等に対していわゆる設備投資の円滑な実施を要請する。こういうことでありまして、既にこれらの要請については各大臣から関係者に対して要請をいたしておるところであります。 これらの五項目が中心的な課題になりますけれども、さらにそれだけにこだわらずに幅広く、現在の環境の制約はありますけれども、できるだけの知恵を出してさらなる幾つかの方策はないかということで、現在政府部内において関係者において検討を進めておるという状況にございます。
○吉田達男君 そういう対策によって景気はどのように、いつ回復するというふうに見込まれて施策を立てられたのか。
○国務大臣(野田毅君) 我が国の経済は、再々申し上げておりますけれどもいわゆるファンダメンタルズにおいては力強いものが基本的にはあるわけであります。しかし、それが過去の、バブル経済とよく言いますけれども、そういうようなやや過熱ぎみの状態から、金融引き締めが一つのきづかけになり調整局面に今入ってきておるわけであります。さらに、それらの事柄が、個人消費の分野においてもあるいは設備投資の分野いわば最終需要の側面においてもストック調整的な要素が出てきておる。多少そういった意味で、この在庫調整というものがいつ終わるかということが一つは絡んでおるかとは思います。 しかし、今申し上げましたとおり、公共投資といいますか、そういった公共事業などが下支え効果を発揮してくれるということ。さらにまた今日まで行われました補正予算あるいは本年度予算、こういった財政の側面、あるいは三次にわたる公定歩合の引き下げによる市中金利のかなり大幅な低下、これらのことが現在次第に浸透しつつある。こういう側面などによりまして、一つは住宅投資がこのところ昨年と比べて水準としては減少いたしてはおりますものの、いわば下げどまりの傾向が出てき下おる。さらに住宅関連の金利が一段と下がってきておりますので、そういった住宅投資が上向いていくのではないかと考えられること。あるいは設備投資においても、基本的には慢性的な人手不足といいますか、そういったところから省力化、合理化投資への意欲は根強い。 したがって、その投資環境が整ってくるということになれば、いわゆる金利というものがずっと下がってきておりますので、これらのことも好影響を与えていくのではないか。あるいは消費全体につきましても、物価が落ちついておりますし、それからいわゆる個人所得の環境そのものは堅調であります。そういった側面からいきますと個人消費も堅調に推移していくのではないか。 そういった側面があるわけでありますので、基本的には経営者、企業家あるいは消費者のマインドがこれ以上さらに冷え込むことのないように、そういう配慮が必要ではないかと思っております。 そういったことから、大体本年の前半から後半にかけて在庫の圧迫感が緩和してくるということがまた生産の拡大にもつながっていくのではないかというふうに考えております。
○吉田達男君 金利は昨年八月から断続的に既に三回下げておりますが、この方法はタイムラグがある。総理は昨日もその点に触れて、これが底だということになれば借用金をもって投資をする者の決意も生まれてくるであろう、こういうことをもって進んでくるというような観測を明らかにされながら、重ねての対策を打ち出す、こうおっしゃっておられました。この点についていま少し御説明をいただきたい。どういう対策を御準備していらっしゃるのか、お伺いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 概括は今経済企画庁長官が御説明をされたとおりでございますけれども、昨日申しましたことは、結局人手不足、有効求人倍率というのは依然としてタイトでございますし、このことは将来緩むということは恐らく考えられない。 きのう参りましたのは群馬県地方でございますけれども、ここは外人労働者が非常に多いところでございますので、労働事情はそれだけタイトなわけでございます。といたしますと、殊に中小企業でございますが、製造業、非製造業ともこういう人手不足には対応しなければならないという問題は依然として存在をするわけでございますから、やはり省力投資、合理化投資をせざるを得ない。これは事業者がよく知っておられるところである。しかしながら、金利がもう少し下がるのではないかという期待がございますれば、在庫調整の関係もございまして、投資の時期を少し見合わせて待っておるということは多くの企業家が言っておられます。 したがいまして、そういうこともございますから、金利が低下してまいりますと、そういう投資というのは企業それ自身の必要からまた再開せられるであろう。かたがた住宅のこともと。それは住宅ローンの金利が下がっておりますので、これは今経済企画庁長官が言われましたけれども、そういう趣旨のことで金利ということを申したわけでございます。
○吉田達男君 公共投資によって景気を刺激するという手法は伝統的なものでありますが、財政投融資四十兆に及ぶものあり、本予算で七兆プラス一兆の公共事業を推進される、こういう予算を組んでいらっしゃいますが、公共投資をすれば景気がよくなる、こういう考え方というか、大づかみなところはもう公式になっておりますけれども、実際にそれを運用するということになると、例えば公共事業のうちの三〇%は土地の取得資金に消えてしまって、これの経済波及効果というものはいかがかということになる。さっきおっしゃった住宅であれば、所得において一六〇%ぐらい伸びてくる、成長してくる。あるいは、有効求人倍率にどうはね返ってくるか。そうすると、例えば事業をやっても人がいない、東京ではこなせない。地方の方では不景気が蔓延しておるけれども、企業は、事業者の方は余力がある。 こういうような状況等々を勘案してみると、公共投資の前倒しも考えていらっしゃって、全面的な施行に当たっては全国の地域あるいはどの業種にどういうふうに影響を与えてきて、一次産業の方にも最終需要がふえてくる、三次産業の運輸あるいはサービス産業の方にも有効需要を喚起してくるというようなことをいま少し系統的、体系的に詰めて手を打っていただく方が財政効果があらわれるんじゃないかということを思うのであります。 大変大きい金額でありますから、大事な税金でありますし、これは公共投資をすれば景気がよくなるといううたい文句以上の精度でもって、医者がこれは病気である、不景気という病気であるにしても、風邪の病気なのか、腹痛の病気なのか、バブルがはじけたのか、あるいは輸出がだめになったのか、それによって対応策があり、また対応策によってそれぞれの経済の波及効果があるわけですし、公共投資の中身においても、波及効果、寄与率、このものは随分違うわけでありますから、その辺の分析をした上での施行についてどのように準備が進められているか、五項目にもありますのでお答えいただきたい。
○国務大臣(野田毅君) 厳密に定量的に申し上げることはなかなか困難だと思いますけれども、基本的に、御指摘にございましたいわば公共投資をやるにしても全部土地代に消えてしまったのでは意味がないではないかというのは、まさにそのとおりだと思います。ただ、過去の例を見ますと、公共投資のうちの約一五%程度ぐらいが用地費等に向かっておるという、大体過去の統計によるとそういうことであります。しかしいずれにしても、今お触れになりましたが、この予算案成立後、やはり速やかにそれらの事業が具体的に実施されるということは大変大事なことであると思っております。 住宅などの分野においてもお話がありましたが、住宅というのは単にそれを建築するいわゆる建築資材系統の波及効果のみならず、やはり入れ物ができるということは、いわばそれが消費の世界で耐久消費財などを初めとする分野にも広がりを持つわけであります。そういった意味で、特定の公共事業だけが大事だとかいうことではない。全体的な最終需要がどういう形で推進されていくか、ふえていくかということが大事な見方であるということをも念頭に置きつつ対策を講じてまいりたいと考えております。
○吉田達男君 次の質問に移りますが、現在第四次全国総合開発計画が推進されているさなかでありますが、日本の最も大きい問題の一つは、東京一極集中、これに表象されるような大きい地域格差がありまして、その格差がますます拡大する趨勢にあるということだと私は思います。この点について把握していらっしゃる状況を御説明いただきたいと思います。
○政府委員(田中章介君) お答えいたします。 お尋ねの一極集中によるいろいろな格差がどうなるかということでございますが、まず最初に人口動向について申し上げますと、五十年代後半以降、人口の東京圏への再集中というのが生じました。その後の推移を見てみますと、六十二年に東京圏への社会増、これが十六万四千人ということでその時点がピークになりまして、その後毎年減少を続けておりまして、平成二年、最近ですが、これを見ますと九万五千人、東京圏へのいわゆる転入超過数で見ますと、転入数があるわけですが、そのテンポというのを見ますと今申しましたように少しずつ減ってきている、鈍化してきている、こういう状況でございます。しかし、片や地方圏におきましては予想を上回る出生率の低下等もありまして人口が減少している府県数が十八県に上っている、こういう状況もございます。 また、格差と申しますと、やはり一人当たりの県民所得、この数字を見る必要がありますが、東京圏と地方圏との格差というのを見てみますと、これは長期的には格差は一応縮小しておりますが、しかし一番最近時点で地方圏一人当たりの県民所得が東京圏の一人当たりの所得に比べて七割程度あるということでございます。
○吉田達男君 現在掌握していらっしゃる東京一極集中が、都として見ればドーナツ的なことはありますが全体的には一極集中に間違いない。関東を中心ということに相なるかわかりませんが、そのひずみとして十八県、東北、中国等々は過疎が進んでいるわけであります。これを是正しなければならないということで多極分散型の国土形成をねらって四全総が策定され、西暦二〇〇〇年に向けて今展開をしておるところです。しかし、伺ったところで判断をして、今の調子でいってそれじゃ二〇〇〇年には所期の目的を達成する趨勢にあると言えるかというと、私はこれは反対の結論を出さざるを得ないと思いますが、どのように認識なさっていらっしゃいますか。
○政府委員(田中章介君) お答えします。 四全総は、御指摘のように二〇〇〇年を目標年次とします長期の計画でございます。それで、先ほど申しましたように、その目標としては東京一極集中の是正とそれから多極分散型の国土の形成ということを目標にしております。そのため、それに基づきまして各般の施策を実施しているわけでございまして、先ほど申しましたように最近の国土をめぐる情勢を見ますと東京圏への人口の社会増というものに鈍化が見られる。また、片や工業立地も地方展開がかなり見られるということで、東京圏の例えば工業の集積度というようなものは低下しているわけでございまして、これからさらにこの一極集中是正のためにさらなる諸施策を推進するということは非常に重要だ、こういうふうに認識しております。
○吉田達男君 はっきり言ってもらいたいが、これでいいのかと。四全総を見直して重点的な対策を練らなければならぬ、策定しなければならぬ、こういう時期であろうと思う。これから八年間、四全総の今の趨勢を見て東京一極集中が、強弁をしても、国民の目から見てもだれが見ても、国会を移転しょうということを議会が判断する情勢を見ても、今のような認識は私は成り立たぬと思う。四全総を見直す、こういう点についての考え方は全くないのかあるのか、伺いたい。
○政府委員(田中章介君) 四全総を見直すかどうかというお問いでございますが、先ほど申しましたように、最近の情勢を見ますと、予想を上回る出生率の低下であるとか、あるいは国際化の著しい進展もあります。そういうことで、現在国土審議会におきまして四全総の総合的点検、これを実施しつつあるところでございます。そういった総合的点検の結果を見まして、四全総を見直すかどうかにつきましてはその時点で判断していきたい、このように思っております。
○吉田達男君 フォローアップした結論としてそれぞれ施策をするということは、見直し、手直しをしながら進むということであろうと思います。ポスト四全総という問題まで今の時期で及ぶということではないと思いますが、政治は生き物であり、それぞれの現象に対応しなければなりませんので、次に具体的に質問をいたしたいと思います。 この人口の減っておる状況、所得の格差の状況を見ると、概して太平洋ベルト地帯の方が密で、日本海側の方が疎になっておる。かつて表玄関という歴史を持っている日本海側としては寂しい限りでありますが、公共投資の面についてこれがどうなっているかということを点検しなければならぬ。そして、その観点に立って日本海側を見るならば、今大陸を目指してますます日本は将来、地政学的な意味において交流が盛んになろうとしており、またそれに当たる受け入れの日本海側の都市の経済の集積度も高めなければならぬし、また長い文化の中での集積度も日本海側には相当ある。もって、連帯して日本海側の自治体も一つの組織を組み、日本海側に一本の国土軸を形成しながら日本の均衡ある発展を期そう、こういう考え方があります。この考え方について、国土庁長官の見解を伺いたい。
○国務大臣(東家嘉幸君) お答え申し上げます。 四全総の大局的な観点から見ましても、先ほどから御質問の中にございますように、私は十八県もの減少県がまだふえておるというような状況からしますれば、やはりもっと地方に重点的にそうした地域づくりの基盤をつくる必要がたくさんあろうと思っております。 先生の地域の鳥取県、この縦の道路の促進、横の高規格道路等々のいろいろな懸案がございますが、そこらあたりでもまだまだ私はそうしたいつの時期までかという見通しはなかなか立てられない状況にあろうかと思っております。どうかひとつ今後とも、私ども地方拠点都市、地域の整備を図ろうということで新たに法案を各省庁が協調しながら、そして投資効率のいい活性化に向けて、これから各省間の協議の中に実態に即応したものが取り入れられるべきだと思っておりますし、また、長くなりましたけれども、本県におかれましてもリゾートの承認を先般いたしたところでございます。リゾートでもいろいろな問題があることは承知いたしておりますが、地域の活性化のためには、いろんなそうした総合的手法、構造的にこれからどう取り組むかということで、一生懸命私たちも今後とも努力をしていきたいと思います。
○吉田達男君 日本海側にも国土軸を設定するということを考えなければならぬという構想に賛成と受け取って答弁を聞いたのでありますが、ここに高規格幹線道路の地図がありまして、日本列島を太平洋側と日本海側をずっと走っている。二カ所欠落があります。それは、太平洋側は宮古から久慈にわたるところが高速道路が切れておる。日本海側は鳥取−舞鶴間が切れておる。これじゃ構想の欠落になるんじゃないかと思う。これは四全総の頭が一万四千キロあって、国土開発幹線審議会でも問題になりながら、結局は穴があいたままになっておる。これはどのように補完さるべきでありましょうか、見解を聞きたい。
○政府委員(藤井治芳君) 先生御指摘のとおり、日本海側に一カ所、太平洋側に一カ所、もっと厳密に言いますと、青森県の日本海側にも欠落の箇所がございますし、高知県にも実はございます。 昭和四十一年のときに、我が国のそのときの考え方が、せめて全国から二時間ぐらいで高速ネットワークを使えるような国土にしたい、こういうことで七千六百キロの計画を立てたことは先生御承知のとおりでございます。 そのときに、日本海側は北陸自動車道の四百四十キロを初めといたしまして、横断道として千三百三十キロ、言ってみれば一縦貫道八路線の日本海側のネットワークでございます。これで一応二時間というイメージはつながったわけでございますが、昭和六十二年に、それではどうにもならないじゃないかという物の考え方から、全国の都市、農村から一時間で到達できるようにする、しかも重要な港湾、空港の大部分とはおおむね三十分で連絡しようということで、一万四千キロの計画を立てた際に、日本海沿岸地域におきましてもへ北陸自動車道以外に日本海沿岸道、東北自動車道、山陰自動車道、近畿道敦賀線の延伸という形で四つの縦貫道とそれから十三の横断道で結ぶことによって、延長にいたしますとおおむね千九百二十三キロの横断道、縦貫道は千三百キロという形で一時間の構想が立てられるなと、こういうふうに思ったわけでございます。 その際に、やはり一時間で高遠交通のサービスが受けられるということと地域の活性化とが必ずしも一致してないということに私ども着目いたしまして、その後地域が地域のネットワーク社会として活動するにはどうしたらいいか、ストロー効果が起きないようにするにはどうしたらいいかという点を考えまして、地域が一時間圏の集積生活、圏であるとかあるいは三十分とかいったような、地域におけるネットワーク圏を、交流圏をつくるために地域高規格幹線道路網というものをこれに一緒につけ加えることによってストロー効果のない地域社会ができるのではなかろうか、このように考えるに至ったわけでございます。そこで、今先生の御指摘の地域についても、そういう観点を加味しながら現在勉強をいたすべき必要があると思っております。 ちなみに、昭和四十年代は年間百キロしかつくれませんでした。五十年代から六十年代は年間二百キロでつくってまいりました。しかし、六十二年の計画以後は年間三百ないし三百五十キロずつつくらせていただけるように御理解をいただいておりますので、そういう中でおくれを取り戻しながら、特に雪国の多い日本海沿岸は、今までは、三十年代は冬は半分しか車が通れませんでした。夏と冬の交通量でいいますと、夏の一に対して冬は〇・五でございました。現在はほとんど夏と冬変わりませんので、そういう車社会になった日本海沿岸の今後の活性化のために、私どももいろいろと地域発の情報をもとにいたしまして今後まとめていきたいと思っております。
○吉田達男君 ことし一億円の調査費をもって地域高規格幹線道路の構想が進められるので期待をするものでありますが、それではもう一つの鉄道について伺います。 先般、鹿熊委員が北陸新幹線について中身のある御質問をなさいましたが、日本海側動脈の一部を形成されるもののごときであります。 山陰新幹線は、新全総の中で基本計画にのっておりますが、これが整備新幹線となり着工路線となるに当たっては、いつごろと目算されますか、御答弁をいただきたい。
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。 先生、今お話しのように、山陰新幹線でございますが、全国新幹線鉄道整備法ができましたその後の昭和四十八年の基本計画で、全国五千数百キロの中の一本として挙がっているわけでございます。ただ、これの実施につきましては、先生御承知のとおり、その機能としては確かに、四全総との関連で申し上げますと、やはり質の高い高遠の幹線交通体系をつくるという意味から大変役に立つものだとは思っておりますが、今までなかな赤財源その他の関係がございまして進んでおりませんでした。やっと昨年の十月一日に鉄道整備基金をつくりまして、四新幹線を売却したその差益といいましょうか、これを使いまして具体的には三線五区間の着工にこぎつけかけておるところでございます。 そのうち特に日本海側の新幹線でございますが、一つは高崎−長野間の北陸新幹線、それからそれよりさらに先でございますが、金沢−高岡、それから糸魚川−魚津などが具体的に今挙がっているところでございます。そのほかに、先生御指摘の山陰新幹線とか羽越新幹線というのがございますけれども、この整備問題につきましては、現時点ではやはり基本スキームというのがございますが、これを踏まえまして線区ごとに輸送需要がどうなるかとか、あるいは採算性がどうなるかとか、それから地元の社会経済変化がどうなっていくのか、こういうこともかなり細かく見きわめなければいけないという意味で、やや長期的な課題として検討させていただくテーマかと思っております。
○吉田達男君 リニアモーターカーについて強い願望もありますが、現在の山梨実験線の過程の中から、実用運行の可能性はいつごろと目されますか。
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。 山梨で今実験を始めようとしていますリニアモーターカーでございますが、そもそもは三十七年に国鉄の当時に基礎実験を始めておりまして、五十二年から宮崎の実験線で具体的な走行実験をやっておるところでございます。 それからさらに、平成二年度からでございますが、山梨におきましては、やや長距離の高速連続、走行試験が必要だということで今施設の建設にかかっておるところでございますが、めどといたしましては、平成九年度までに実用化できるかどう、かというめどをこの実験でつけていきたいと。それから具体的にいわゆる本式の着工ということになるわけでございますが、今のところは若干土地の問題その他がございましてあれでございますが、九年度までにその実験を何とか終えましてめどをつけたい、こういうスケジュールで今やっておるところでございます。
○吉田達男君 中身が濃いと言いにくい答弁でありまして、日暮れて道遠しの感じでありますが、高規格の鉄道も道路も速やかに設置されたいことを要望します。それが速やかに成らぬとするならば、現在の在来線を高速化するより方法がないんです。ところが、全部の鉄橋がありまして、山陰線はこれが大きいネックのためにとまることしばしばであります。この定時運行が阻害されている現状についてお調べのところを御報告いただきたい。
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。 先生御指摘の全部鉄橋でございますが、この鉄橋は実は明治四十五年から使われている鉄橋でございまして、よわい八十歳という鉄橋でございます。もちろん、その間に補強とか部材の弱ったところは全部取りかえておりますのでそれ自体は安全性に全く問題はございませんが、たまたま昭和六十一年の十二月の末でございますが、風に吹かれまして回送列車があそこから転落いたしまして、下の工場に住んでいる方、仕事をしておられる方を含めまして六人の方が亡くなり、六名の方が負傷されたという事故がございました。それ以来、JRといたしましては、風速二十メートル以上の風が吹くときは列車の運転を見合わせております。 どれくらい休んだといいましょうか運休が出たかと申しますと、平成三年度を申し上げますと、四月からこの二月まででございますが、延べで八日間でございます。それで、列車本数一日五十六本走っておりますが、延べで百十四本の列車がとまっております。 そういうことで、風が回復次第動かしておりますけれども、確かに地元には大変御迷惑をかけておりますが、今のところはこれは安全上の対策でございましてやむを得ないんじゃないかというふうに思っております。
○吉田達男君 通らなければ安全、風が吹かなければそれは安全でありますが、百十四本ということは月にすれば十本、三十分以上運休するような列車、これが四年間続いておるわけです。これで定時運行になっていない現状に対してどういう対策を立てられていますか。
○政府委員(井山嗣夫君) 確かに御迷惑をかけておりまして、私どもも何とかと思っておりますが、一つは、あそこの鉄橋自体のところを基本的にどうしても運休をしないようにとすると、ルートを全部変えてしまわなければいけないという問題がございます。あそこはちょうど湾のようにくぼんだところでございまして、海から突風が大変吹きやすいところでございまして、そうなりますとトンネルを使いまして相当の距離を掘り抜いて別ルートということになります。そうすると、お金の問題が一つございます。それからもう一つは、その結果、別ルートにすると必ず幾つかの駅が廃止になってしまう、こういう問題もあるわけでございます。 そういうところで、なかなか基本的な抜本的な対策は立てにくいのでございますけれども、今私ども考えておりますのは、一つはやっぱり風の予知といいましょうか、実際瞬間で二十メートルとか二十五メートル吹いた場合、その場合でも平均的にどういう傾向になっていくかということをなるべく早くつかみまして、これは気象学との関連だと思いますが、相当勉強をしております。それによってなるべく運転規制の時間を少なくする。今のところはそういうことでなるべく御不便をかけないようにということでやっておりますけれども、やはり年間に百本以上の列車を運休しているという実情にございます。
○吉田達男君 技術的な問題はそれぞれあることを伺いました。問題は、バイパスをつけて根本解決すると予算が六十億要るということであります。 JR西日本は、会社の方針として、コンスタントに二百億円の利益を計上することをもって株式上場をする、これが第一の運営方針でありますから、あのように利益を生まない路線に、つめに火をともすようにして積み上げたものをぽんとつぎ込むことはできない、これが実情であります。かくなる上は、これは危険箇所になるかどうかということであります。 こういう定時運行が常時できないような地区に対して、箇所に対して、運輸省としてはどのようなことを考えておられますか。財政的な援助についてどう考えられるか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。 先生御指摘のような日常運休というものがどうしても出ざるを得ないという地区というのは、こういうところもございますし、それから積雪地帯でございますね。急に大雪が降ったりいたしましてどうしても列車の運休が出ちゃうというところは幾つかございます。基本的にはそういうところも全部トンネルで抜けばよいのかもしれませんが、そういう意味で幾つか全国にやっぱり問題箇所はあるわけでございます。 それに対して、JRができないといいますかやりにくい場合に補助ということでございますが、JRの今までの考え方は、設備投資は一応JRの経営判断でやるというのが私どもの大前提でございます。それでもやはり特に輸送量が多いとか、特に危険箇所で今すぐ手当てをしなきゃいけないというところにつきましては何らかの財政措置も考えなきゃいけないのでございますが、今のところは鉄道整備基金で若干の線路増強などをするときに幾つかのプロジェクトについてやるだけの予算は長期的には持っておりますけれども、申しわけございませんが、全部鉄橋のようなところは、どうでもいいということではございませんが、優先順位その他から考えまして今すぐ国から直接補助をしてこれをすぐやれということにはなかなかまいらないというのが現状でございますので、何とか御理解をいただきたいと思います。
○吉田達男君 落石注意ということが鉄道の線路の横に看板立ててありまして、注意をすれば落石はしない、こういうことなのか、回避できるのか、よくわかりませんが、そういう危険箇所には補助があるそうであります。 今、九州の方で豊肥線、あるいは宮崎の空港から宮崎へ行く間が余りに時間がかかるのでヘリコプターでやったらヘリコプターが事故を起こしたということで、これは運輸省の方で便宜を図ってスピード化を促進された。こういうようなことを見ると、私は国が手を出す十分な根拠になると思う。明治四十五年から八十年、四十二メートルの高さの東洋一の鉄橋は、あの鉄道省ができて最大の難工事だと言われたものを克服したんですが、現在本当に大丈夫かという懸念もある。これに対しては国として手を出さなきゃならぬ。 この間の御質問の中で鹿熊先生は、やっぱりオリンピックができぬと新幹線は通らぬかと迫りました。今アジア・オリンピックを迎えて広島の方は空港を初め大変公共投資をやっておる。それは通る。今あなたは全部鉄橋のようなところにはと、こういうことを言われたが、全部鉄橋のようなところに運輸省が金を出すとすれば、もう一度事故が起こらなければ出しませんよ。九州でもそうだったじゃありませんか。そういうことに聞こえてならぬ。そのような姿勢では私は許されぬと思うんです。余りにも無責任じゃありませんか。それは月に十本も列車がとまるようなことをこの山手線でやったら駅長の首はないですよ。山陰線だからいいかげんにするとは言わないけれども、そのような言い方は私は許されぬと思う。積極的にこれは取り組まなければならぬ。一役人よりも、これは政治的な課題になりましょうから、実力の奥田大臣にお伺いいたしたい。
○国務大臣(奥田敬和君) 全部鉄橋が八十年のいわゆる経過年数を経ておるという形で、大変皆さんに御迷惑をかけているという実態はよく聞いております。JR西日本に対して防風壁をつくるなり何なりの余地はないのかという形も聞いておりますけれども、とても技術的にあそこは非常に難しいということで、鉄橋を全部やりかえるというくらいの工事も必要だろうし、あるいはルートを変えるという形も必要だ。多額な投資経費は確かにかかるわけですけれども、それだけではなくて、私の聞いておるのでは、知事さんの御意向もお聞きいたしましたけれども、やはりルートを変えるという時点においてのまだ地元合意が、はっきりコンセンサスができていないという事情も聞いております。 いずれにいたしましても、代替線の構想もさることながら、ひとつ先生の方で地域実態の世論を一本にされましてそして御要求になれば、私たちとて、JR西日本がいたずらに利益実績を上げて上場の条件整備だけに狂奔するという姿勢であってはならないと思います。基本的には地域の皆さんのそういった姿勢にこたえるように、今智頭線の問題もございますし、そういったいろいろな基幹幹線の整備については全力を尽くして地元意向を尊重してまいりたいと思います。
○吉田達男君 地元は、千二百万円の調査費をもって適切なところを現在調査しております。箇所は兵庫県でありまして、私の選挙区でなく、通るから心配で、被害に遭っておるのでよくわかって言っておるわけであります。 こういうふうにして特急列車がとまると、そこの箇所よりも百四十キロ西に下って伯備線で岡山に出て特急は通るわけであります。すぐ四十キロ西に行けば因美線があるけれども、特急は因美線になぜか乗り入れできないということでそのようなむだをやっておる。これについてはどう改良される予定ですか。
○政府委員(井山嗣夫君) 先ほどちょっと私が口が悪くて申しわけございませんでした。 今の先生の御質問のは、伯備線を回しているけれども、なぜ因美線が回れないのかという御質問がと思いますが、実は伯備線は今電化されておりまして軌道も相当強化されておる線でございますが、因美線は昔できた線でございましてまだ規格が相当低うございます。 一つ問題点がございますのは、いわゆるブルトレのような列車を回します場合に、勾配が最急勾配で二十五パーミル、千メートル行きまして二十五メートル上る急勾配がございます。そのためにはディーゼル機関車を重連で引っ張り上げなきゃいかぬ、使わなきゃいかぬ。そのためには常時そのディーゼル機関車をこの坂の両側に、二カ所あるそうですが、そこで用意しておかなきゃいかぬ、これに第一番の問題があるようでございます。 それからもう一つは、トンネルの大きさ。これは古い線でございますので、ブルトレの車両というのはかなり、車両限界といっておりますが、割と大き目につくってございまして、スピードを出して通りますとトンネルの壁にさわるおそれがあるということで、これは古いトンネルなものですから、伯備線の方は電化の際に電車線が通るようにきちんとやっておるものですから、そういう問題はないということがございまして、今伯備線の方を回らせていただいているというふうに聞いております。 一応技術的な問題はそういうところで、今は因美線は無理なので伯備線を回している、こういうふうに聞いております。
○吉田達男君 車ほどさように、過疎は公共投資がなされていないでおくれるからますます東京一極集中になるんです。 この因美線については、智頭線の第三セクターによる運行をもとに鉄建公団が今やっております。これで智頭まで来る。智頭から鳥取までが改良されれば特急が通れるようになる。これについては運輸省の方ではどのように対応されようかというお考えを聞きたい。
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。 先生今お話しのとおり、智頭線の上部−智頭間を、昔はAB線、今は地方幹線と言っておりますが、全額国庫補助で今整備を進めております。 先生御質問の、その光といいましょうかをどうするかということでございますが、鳥取−智頭間につきましては今の規格では高速走行は難しゅうございますので、先ほど言いました整備基金の無利子貸し付けなどを利用いたしまして信号方式を変えまして、従来タブレットでやっておりましたのを自動信号化するとか、そのほかいろんな構内の配線改良などをいたしましてそこを列車が速く走れるというふうにしまして、その上部間の線と相まって高速化を図って陰陽連絡を円滑にしたいということで、今工事を盛んに進めているところでございます。
○吉田達男君 じゃ、おくれている交通のもう一つの空港について質問をいたします。 日本海側にあります空港のうち防衛庁所管のものがございます。現在、定期便はそれぞれ飛んでおりますが、チャーター便でもって外国に日本人が行かれるということは運輸省の方の海外旅行促進フォーラム等々で言われておりますが、今そのような便が飛べないんです。自衛隊と併用空港になっておるものについてそのような措置はなされ得るものかどうか、防衛庁にお考えをお伺いしたい。
○政府委員(三井康有君) 米子空港すなわち航空自衛隊の美保飛行場につきましては、地元の鳥取県に国際チャーター便の運航促進などの国際空港化に向けての御要望があることは私ども十分承知いたしております。 防衛庁といたしましては、これまで民間との共用飛行場としての美保飛行場を管理する立場から、防衛任務との調和を図りながら民間航空機の運航に最大限の協力を行ってきたところでございまして、このため美保飛行場におきます民間国内便の便数は着実に増加しているところでございます。 国際便の乗り入れ問題につきましても、地元からの具体的な御要望なり計画なりが生じました際には、同飛行場の防衛上の任務との調整を個々の事案ごとに図るとの観点から所要の検討を進めたいと考えております。 なお、当飛行場につきましては、かつて日本エアシステムの便が外国までチャーター便で旅客をお運びしたことがございます。
○吉田達男君 訓練計画も予定があるわけでありますからケース・バイ・ケースでもありましょうが、そのように柔軟に対応して時節に合った運用を願いたいと思います。 一緒にお尋ねしてなにですが、民間機が軍事空港に併用空港ですから入ると、ロシアの人、旧ソビエトの人と北朝鮮の人がお客さんとして乗って入っても、防衛上の機密の問題であろうか、これを拒まれる様子であります。これについては、防衛庁はどういうお考えをお持ちでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 外務省からお答え申し上げます。 米子空港はただいま御指摘のとおり民間との共用飛行場でございまして、防衛施設もいろいろあるということで、現在、外国人につきましては行動制限地域というふうになっておるわけでございます。 それで、一般論でございますけれども、私どもは外国から米子空港を使用する訪日の査証申請ということがございますと、安全保障を含む国益、相互主義等の観点に立ちまして、総合的にケース・バイ・ケースで判断するということでございます。確かに、過去におきまして旧ソ連及び北朝鮮の人に対しまして米子空港の使用を認めなかったケースも若干ございます。そういうことでございます。
○吉田達男君 とっさで恐縮でございますが、渡辺外務大臣にこの件についてお尋ねいたします。 先般来コズイレフ・ロシア共和国外務大臣と国交正常化について熱心な交渉をなさっていらっしゃいまして、御苦労さまでございますが、お聞きのとおりでございます。今、日本の国交を開こうという国民としての雰囲気の中で、相互主義ということをおっしゃいましたが、今、旧ソビエトの体制が全般的に、相互的に速やかに改善されるかどうか、私ははかりがたいものがあると思いますが、この点について日本側の柔軟な対応も含めて、外務省の方の前進的なお考えをお伺いいたしたいんですが、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 建前論としては、今移住部長から話があったとおりだと思いますが、日ソの特に沿海州と日本海との相互往来というものは将来活発になってくるべきだ、そう考えております。 これはやはり一方、日本だけ開放するというわけにはいかないのでありまして、私は、ロシア側にもウラジボの空軍基地がありますから、そういうようなものも民間に開放したらどうだと、それからウラジボ港、これなどもひとつ民間の船に開放すると、そういうふうにお互いにやっていけば、新潟とかあるいは裏日本の地域ですね、それが非常にソ連と近くなるよというようなことで、それは話をしているんですよ。向こうもそれは検討に値する問題だと言ってはいるんです。やはり軍というものがありますから、そこのところがどこでも頭がかたいらしい、どこでも実際は。そんなことは言っていられないので、私は、よく話し合いをして、ロシアが将来あそこの地域を特に経済復興させて繁栄させたいというんならば、それはやはり決断の問題ですからひとつ考えようじゃないかという話はしてはいるんです。
○吉田達男君 前進していただくように要望をいたします。 時間が参りましたので、あと同和対策について総理にお尋ねいたします。 差別のない社会を目指して国際的に運動が展開されて、南アフリカ共和国でもあのような前進がありましたが、日本の部落差別解消は今こそ喫緊の急務だと思います。この時限立法であります地対財特法の今後をどうするか。国民的な注視の中で地対協の意見具申が昨年の十二月十一日にありましたが、ポイントは、日本に今なお部落差別が現存するので、法的措置をもって今後に対処すべきということであります。あわせて、現状を再調査して必要な施策を実施すると同時に、これを監視、継続して協議するための機関を設置することであります。 政府はこれに対して、今の時期にどういう決意をもって対処されようとしているのか、総理大臣の部落差別解消への決意をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(岩崎純三君) ただいまの件についてまずお答えさせていただきたいと思います。 同和問題は、御案内のとおり、憲法に保障されております基本的人権にかかわる極めて大きな問題である、そうした認識を持ちまして、政府といたしましては、昭和四十四年以来二十三年間にわたりまして特別措置法に基づきそれぞれの施策を推進してまいりました。その結果、同和地域における生活環境はもちろん、生活実態も大きな進展を見、総体的には一般地域との格差が大きく是正をされたものであろう、このように考えております。しかしながら、一部事業のおくれておる地域等々もございます。したがいまして、平成四年度以降におきましても、物的事業を初め啓発的な非物的事業等々につきましてもこれからも引き続いて努力をいたしていかなきゃならない、そうした状況にあるところでございます。 政府といたしましては、昨年十二月、地域改善対策協議会から意見具申をいただきました。それを尊重いたしまして、現行の地対財特法の制定の趣旨を踏まえまして、真に必要な事業に限りまして財政的な特別措置を五年間延長することといたし、地域改善対策の問題等につきまして地対財特法の一部改正法案を国会に提出いたしておるところでございます。 総務庁といたしましては、今先生からお話があったように、二十一世紀に差別を残さない、そうしたかたい決意を持ちまして、一日も早く同和問題の解決のため関係省庁、地方公共団体等々と連携を密にしながら、今後さらに一層努力を続けてまいる決意でございます。 以上であります。
○委員長(中村太郎君) 以上で吉田君の質疑は終了いたしました。(拍手) 本日の審査はこの程度といたします。 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十九分散会