予算委員会 第6号
- 発言数
- 323 件
- 登壇者
- 42 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1992/03/21
会議録
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 前回に引き続き、総括質疑を行います。斎藤栄三郎君。
○斎藤栄三郎君 日本銀行総裁に大変お忙しいところを御臨席賜ってありがとうございました。厚くお礼申し上げます。 日本銀行月報をきのういただきました。この中に、あなたが二月六日に行った講演の内容が全部網羅されております。その点について御質問をいたしますが、あなたの御意見では、今景気は調整局面だ、急速に失速することはないだろうと述べておられます。これは、昭和六十二年の成長率が五%、昭和六十三年が六%、そして六十四年になると四・六%となり、平成二年になって五・五%だ、この調子でやっていけば生産過剰になるから自浄作用だ、こういう見方をしておられます。景気は循環するんだ、そしてやがて調整局面が終わるだろう、こう言っておられます。 そこで質問の第一は、このお考えにまだ変わりはないかどうかということ。第二点は、いつぐらいにその調整局面が終わるかということです。それから第三点は、金融政策は今のままでよろしいかという、この三点についてお伺いいたします。
○参考人(三重野康君) お答え申し上げます。 景気の現状判断についてはその当時と現在と変えておりません。それをもう少し現在に即して申し上げますと、現在は在庫調整が本格化し、景気全体としては調整色が強まっている、かつ企業のマインドも一層慎重味も加わってきているというふうに判断しております。ただ、そこでも申し上げておりますけれども、これは一九八七年から四年間続いた約五%以上の成長の過程におきまして、人手不足の深刻化あるいは物価上昇圧力の高まり、それから先生がよく指摘されますバブルの発生等がございましたので、やはり景気のスピードが速過ぎる、したがって日本銀行も金利をその当時上げてまいりましたけれども、それと同時に景気循環といたしましても調整期に入ってきている、これはそういう景気のスピードが速過ぎた後の循環といたしまして、よりバランスのとれた成長へ向かっためには避けられないというか、やむを得ない調整であるというふうに考えております。 しかしながら、いかにやむを得ない調整とは申しながら、これは行き過ぎでは元も子もないわけでございまして、日本銀行といたしましては、昨年の七月以来公定歩合の三回の引き下げ、市場金利の低下の容認、準備率の引き下げ等々の一連の金融緩和措置をとってまいりました。現在は冒頭に申し上げたようなことになっておりますけれども、なお雇用水準が非常に高いという下支え要因もございますし、これまでとった金融緩和の累積的効果もこれから出てまいりますし、かつ今本院で御審議になっております予算が出てまいりますと、これまで金融だけの片肺飛行でありましたのが財政、金融と両輪そろっての経済政策がそろうわけでございます。その点も期待できるわけでございまして、急速にこのまま底なしに落ちていくということはないという基本的な考えは変わりございません。 そこで、金融政策でございますが、今のところはかなり金融緩和の浸透が今行われつつある段階でございますので、景気の実態がどうなるか、これは非常に景気は変わりやすいものでございますからよく注意して見ていかなければなりませんが、その点をじっと見ておる、そういうのが現在の金融的なスタンスでございます。
○斎藤栄三郎君 総裁にもう一回お伺いします。 私は、あなたのような権威者に質問するので十分の準備をしなきゃいけないと思って四十の日本を代表する企業の経営者に会ってきまして、約二週間かけて意見を聞きました。あなたのように景気循環論の方ももちろんおられますけれども、そうじゃない、これはシステム不況だ、構造不況だから総裁のおっしゃるとおりにはなかなかいかぬだろう、こういう見方がありますが、これについていかがお考えでしょうか、これが第一。 それから第二点は、バブル経済のときに土地が非常に高くなり、不動産会社の手持ちで余剰のものが約三十兆円あると言われている。これは皆金融機関から借り入れて買ったものですからその後始末がまだ全然ついてない。この際、バブルの崩壊に伴う金融機関をどういう方向で御指導なさるか。この二点についてお伺いしたいと思います。
○参考人(三重野康君) 現在の調整局面がこれまでの調整局面と違っている点が二つあると思います。 一つは、今委員が御指摘になりましたバブルの崩壊といいますか、それを伴いながらの調整ということでありまして、もう一つは、これは戦後の調整局面では初めてでございますが、高い雇用が維持されているということだと思います。 この第一の特色でございますバブルの崩壊とともに行われているというところは、これは一つは、バブルで非常に利益を享受した面については非常に調整が厳しいということがあると思います。それからもう一つは、今委員が御指摘になりましたように、バブルの調整が結局は回り回って金融機関のバランスシートヘ出てきているということだと思います。この点は今後とも問題でございます。 ただし、今、金融機関のバランスシートに回ってきておりますけれども、日本の金融機構の持ちますこれまでの強さからいって、直ちに非常に不安定になるとかあるいは金融恐慌が起きるとかそういうことは全くございませんが、バランスシートの本当の意味の改善には今しばらく時間がかかるというふうに思います。もう一つの方の雇用がずっと維持されているということは、これはある意味で調整を和らげると申しますか、時間をかけることを許すという要素に働いてくる、こういうふうに思っているわけでございます。 第二の質問のことを先に申し上げましたけれども、金融機関にかかわってくるのは、確かにバランスシートに回ってきておりますけれども、日本の金融機関は過去における資本の蓄積その他から見まして、時間はある程度かかりますけれども、これは十分こなしていくことができる、そういうふうに考えております。
○斎藤栄三郎君 先ほど総裁にお伺いしました調整局面はいつぐらいに終わるかということについてまだお答えいただいていませんが、それが一つ。 もう一つは、大蔵大臣、ちょっと証券と一緒に聞きますのでお答えいただきたいと思います。 証券界が非常な不況で、昭和四十年のときに。は、もしも山一をつぶしたら金融恐慌になるということで日本銀行が出動なさった。当時の内閣総理大臣福田さんが財政法を無視してと言っちゃ失礼だが、赤字公債を出したらいかぬというやつを無理してお出しになった。この二つの措置によって昭和四十年のあの証券恐慌はうまく切り抜けられた。今の日本の証券界はあの当時より深刻だと思うんですね。証券界の規模が大きくなっていることもそうだし、世界経済における日本の地位が上がっていることもそうでありますが、今の証券不況を日銀総裁としてどうお考えになるか、昭和四十年のときのようた対策をお考えになるかどうか、お漏らしいただきたいと思います。
○参考人(三重野康君) 調整局面がいつごろ終わるかということでございますが、これは結局、現在進行しております在庫調整が大体いつめどがつくかということが一番大きな判断のファクターだと思います。これについてはまだいつごろまでと確たることは申し上げることはできませんけれども、まだ本格的在庫調整が始まったばかりでございますから、もう少し続く。もう少し続くじゃ委員の御質問の答えになりませんけれども、確たることは言えませんが、やはり年後半までは続いて、そのときのめどがどういうふうにつくのかは今からの進行を待たなければいま一つまだ言えないということだと思います。 それからもう一つ、証券不況でございますけれども、現在の証券、株価の低迷というのは、これはもう委員の方がよく御存じだと思いますけれども、やはり株の何といいますか受注が非常に悪いこと、それから昨年来の証券のスキャンダルが尾を引いていること、景気の見通しがいま一つ不透明であること、あるいはあえて申せば政局その他の不安定も効いているかもしれませんが、そういうことが相まって株価の不安定が続いているというふうに思います。しかし、確かにいろいろ飛ばしその他の行為によって証券会社の受けるダメージというのは小さくはございませんが、この数年間における証券会社の自己資本の充実あるいはその他のことによりまして、これからも証券会社にとってはつらい場面が続きますけれども、かつてのような日銀の特融を要するような事態にはならないと思っております。しかしながら、事態がどういうふうに推移しますか、その辺はよく注意して見てまいりたい、かように考えております。
○斎藤栄三郎君 日本銀行総裁、最後にお伺いいたしますが、今のような経済情勢で平成四年の成長率三・五%は期待できるとお考えですか。
○参考人(三重野康君) 私は、今の調整局面はいずれは終わってバランスのとれた成長路線へつながる、あるいはつなげなきゃならないというふうに思っておりますが、具体的に来年度の成長率が何・何%というのは、まだ来年度に入りますのは来週からでございますし、いま一つその辺についてはお答えする材料は持っておりません。
○斎藤栄三郎君 老人は過去を語り、壮年は現在を語り、青年は未来を語る。あなたは今現役の日銀総裁でいらっしゃるので壮年ですよね。現在を語っていただいたが、未来のことは語らない。それじゃちょっとやっぱり大衆は不満だろうと思うんですよ。調整局面はいつ終わるかわからない、それから三・五%も達成できるかどうかわからない。わからないばかりじゃわざわざおいでいただいた価値がないような気がいたしますが、たとえ万が一間違うことがあっても、もっと大胆率直に言っていただくことを望みますが、いかがでしょうね。
○参考人(三重野康君) 御忠言はまことに身に痛うございますけれども、現在の立場といたしまして、私は、調整局面は必ず終わってバランスがとれた成長へ行くということを申し上げていると同時に、数字的にはともかく、特に来年度の経済というのは前半が悪くて後半はだんだんとその路線につながるわけでございまして、その平均が幾らだということを今申し上げることはできませんけれども、必ずバランスのとれた成長へつながるということを申し上げているところでございます。
○斎藤栄三郎君 じゃ総裁、もっと突っ込んでお伺いしますが、あなたはキチンの波を信用しますか、キチンの波という理論を。これは在庫調整は二年ないし四年かかるという理論です。もう今不況は二年続いている。このキチンの波を信用するとすればもう二年かかるはずですよ。そうすると、そう簡単にあなたの言うように調整が早く終わるとは私は考えられない。 そこで、このキチンの波を御信用なさるかどうか、信用するというならもっと調整局面は長引くだろうと思います。いかがですか。
○参考人(三重野康君) 私どもは、今までの経験によりまして、在庫調整が始まると約一年で終わることが多い、これは平均でございますけれども、それは思っております。しかし、今度の在庫調整というのは昨年の夏ごろから始まっておりますけれども、それよりは多少長引くというふうには思っております。
○斎藤栄三郎君 結局、日銀総裁にお伺いしても、過去のことはよくわかりましたけれども、将来の判断材料としては甚だ不十分だったと私は感じます。私は、キチンの波というのは過去の多くの事例からたどりついた結論なんで、やはり二年ないし四年かかるだろう。そうすると、ことしの秋になったらよくなるだろうというような意見は少し早過ぎると思うんで、私は本当に立ち直れるのは来年の今ごろ以降になるんじゃなかろうかという気がいたすのであります。 お忙しいところをおいでいただいてありがとうございました。 次に、大蔵大臣にお伺いいたしますが、今、株が非常に悪い。ピークのときは三万八千九百十五円、それがとうとう二万円を割っちゃった。この状態を日銀総裁は先ほど大変詳細に御説明いただきましたが、大蔵大臣はどうお考えになりますか。これでいいと思いますか。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほど総裁の方からもお答え申し上げたり、また先生の方からもお話があったわけでありますけれども、基本的に今日の状況というのはバブルというのがはじけたということ、これが一番のあれでございますけれども、やはり現在の状況というのが平成元年までの大量のエクイティーファイナンス、これが市場の圧迫要因となっていようと思っております。それから、やはり損失補てん等の不祥事によったいわゆる証券市場に対する信頼、特に個人投資家の信頼というのがいまだ回復していないということであろうと思っておりますし、特に最近表面化しておりますいわゆる飛ばしという現状、こういうものがあるんじゃなかろうかというふうに思っております。 それともう一つは、このところ、一昨日ですか、発表にもありましたように、企業の業績の悪化ですとか、あるいは景気の先行きに対します不安要因というものがあろうかと思っております。そして、もう一つ何というんですか、三月決算期ということでございますから、特金ですとかあるいはファントラの解約、これに伴います売り物の要因があったんじゃなかろうかというふうに思っておりまして、今の状況というものはどうなんだということを御指摘ありますと、確かにそういった要因があるから厳しい状況であったろうと思っております。 ただ、問題は、いわゆる決算期のことについては一応そのおおよそのものが出尽くしてきたんじゃなかろうかなという感じを私どもは持っておるところであります。そして、飛ばしの問題ですとかそういった問題に対しましては、私どもといたしましても不明朗なもの、あるいは表に出さないということはよくない、やっぱりきちんと表に出しながら話し合いをしなさい、話し合いをしていくことが大事であろうということを申し上げてきておるというようなこと。それと同時に、あと、昨年もいわゆる損失補てん、こういったことはいけませんよということを皆様に国会において法律をつくっていただいたこと。こういうことなんかで、これからも信頼を取り戻すためのいろんな手当てというものを合しております。 それと同時に、やはり証券界も、悪いことは悪いとしても、証券市場というのは日本のいわゆる自由主義経済というものを伸ばしていくためには大変大切なところなんだから、お客様にきちんとした情報を提供する、そういう勧誘活動というものは活発にやること、正々堂々とやることはいいじゃないかというようなことを申し上げてきたりしております。 それともう一つは、我が自民党の方からも御指摘なんかがございましたように、やっぱり株式に対する一般投資家の魅力というものを持たせるために、配当性向ですとかあるいは配当率、こういったものはよその国に比べても低いよというような話もございまして、そういったことをそれぞれの皆様方に申し上げておるということでございまして、そういったことがだんだん整備されてくるであろうと思っております。 ただし、将来に対する不安というのは、今、日銀総裁からもいろいろとお話があったわけでありますけれども、私どもも現在の状況というのはやっぱり一つの巡航速度に経済が向かっための調整局面であるということは言えるだろうということと、もう一つは住宅に対してもあのバブルのときのように二けたで伸びるということはあり得ないとしても、それがある時期、今とまったということでありましたけれども、多少最近新たに持ち家をあるいは貸し家をということが一つの方向が少し見えてきたのかなというふうに思っておりまして、こういったものがだんだん調整されてきますと私は今の株価というのは持ち直してくるんじゃなかろうかなと。そこへ平成四年度の予算というものがきちんと通過することというようなことがありますと、私は一つの明るい兆しというものは見えてくるんであろう。 しかし、日本の経済というのは、大きな企業にしましても厳しい厳しいと言いながらも、やっぱり今日までの間に蓄えというものを持ってきておるということと、一般の家庭が蓄えというものを持っておるという、これ貯金ですとかそういったものを見たときに、そういうものが私たち見受けられるということを考えますと、やっぱり昔と違った底がたさというものはあるんだというふうに私たちは認識すべきであろうと考えております。
○斎藤栄三郎君 大変に懇切丁重な御説明でよくわかりました。過去のことはもうそれで全部わかりました。しかし、この沈んじゃった証券をどうやって浮き上がらせるかということが問題だと思うんです。 そこで、私は証券界自身に苦言を呈したいと思うのは、お行儀が悪過ぎますよね。補てんやってさんざん悪かった。それが証券取引法の改正で補てんができなくなったら、今度は飛ばしということをやる。全く免れて恥なしというのが今の証券界じゃないだろうか。大事なことは、もっと大衆を安心させ信頼させるような証券界になることが証券不況から脱出する根本だと私は思います。これが第一。 それで、参考になりますのは、大正の初めに大阪に岩本栄之助という株屋がおりました。大いにもうけた。そこで百万円大阪府に寄附した。大阪府はこれで中之島公会堂をつくった。そこで多くの行事が行われて、大阪の文化向上に非常に大きな貢献をしたのであります。しかし、その次の暴落のときに大衆が大損害をこうむった。そこで岩本栄之助氏は、自分は株屋だからどうなってもいいが、大衆に迷惑をかけたのは申しわけないというのでピストル自殺をしたのであります。そのくらいやはり人の財産を取り扱う人は責任を持たなきゃいけないんであって、もうけるときはもうけちゃっておいて、損をかけたら知らぬ顔している。こういう態度では私は資本主義社会というのは成り立たないと思うんです。 その岩本栄之助が死んだ後、その後がまた言いたいところなんで、大阪はその岩本栄之助の子孫が生活に困っているんで、全部大阪府の嘱託にして終生仕事をさせながらちゃんと生活を保障したんであります。やはりそこが大事なんであって、もう今、日本を見ておりますと、もうけるためには人の懐の中へ手を突っ込んででもいいからもうけちゃう。後は野となれ山となれということじゃいけないと思うんです。 これは政府についても言えることであって、NTTの株の公開のときどうですか、二百五十五万で売って七兆もうけておいて、それが二百五十五万から数えると今六十八万ですよ。三分の一以下に落っこっちゃっている。しかし、だれ一人として申しわけないとも言わたいし、損失を補てんするとも言わないんです、これもう株屋もそうだが、政府のとった態度にも反省すべき点があるんじゃないかと思いますが、その点についての大蔵大臣の御意見を承りたい。これが第二であります。 それから第三点は、魅力のないものには金は出さないのは当然なんであります。今の株は魅力があるかないかというと、ないのであります。配当率が低いからです。御承知のように、株の利回りはアメリカでは三%です。日本では今ちょっと上がって〇・八%ですよ。アメリカが三%。今預金をしたって定期預金だって四%になるんです、手取りで。そういうときに、四%の定期預金の方や割引債の方へはどんどん金が流れるけれども、株の方には流れない。 その魅力をつけるにはどうしたらいいかといえば、もう少し企業も政府も配当性向を高める努力をしなきゃいけないと思うんです。うっちゃっておいたら株は絶対上がりませんね。何となれば、ある民間の研究機関、はっきり言うと三和銀行系統の調査機関の調査によると、昭和六十二年から六十四年までの間の新株増資六十七兆、そのうちの約三十兆ぐらいが過剰なものだと、こう言っているんです。したがって、もう供給過剰なんですよ。だぶついているから高くならないんです。だからそこで、このだぶついたやつを吸い上げる機関をつくるかどうか。これは昭和四十年のときには共同証券というものをつくって、その金は日本銀行が出したわけ。それをやるかどうかと先ほど日銀総裁に聞いたが、それはやるつもりはないようであります。そうなると、じゃこの余剰の株式をどうやって処理するかということが根本だろうと思うんです。 私のこれは全くつたない提案ですけれども、従業員持ち株制度を活用したらいいと思うんです。この従業員持ち株制度というのは、労使が相談をしてやろうねと決めればできることなんです。それで、その金がなければ会社が貸せばいいし、今までは月給を積み立てておいて、それに何がしかの補助金を経営者側が与えたものです。例えばナショナルの場合だったら、株の二割を奨励金として与えております。これが非常に普及をしたのであって、東京証券取引所上場銘柄二千十九社のうちの九五%までが実行しているわけです。 私は、今の日本の余剰株式を一割動かすことができれば、株は必ず立ち直ると思うんです。昭和四十年のときに共同証券が買い上げたのは六%なんです。六%買い上げることによって動き出したんですから、今の三十兆の余剰株式の一割、三兆ぐらいを動かせば必ず株はよくなると思うんです。そこで、従業員持ち株制度の活用ということを私は真剣に考えるべき段階に来ているんじゃないだろうかと思うんです。 それは、じゃ、どこから金を出したらいいか。〇・八%の利回りじゃ、従業員は買ったって魅力がたいから買わない。それなら、会社の方が株式購入資金をもっと安い金で貸してあげて、従業員に三兆ぐらいの株を持ってもらうように努力することがこの際の応急対策として必要なことだと考えます。これが第三点であります。 以上、三点についての大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 確かに、証券会社の不祥事によりまして大変な信頼を失っておるということは、先ほど申し上げましたように、自由主義経済を支えていく一番のメッカとも言われる場所がこういう信頼を失ったこと、岩本栄之助翁の故事というものを私たちはもう一度振り返らなければいけない。これは確かに、損失補てん等でいろんな問題を受けた、これじゃいけないということで指導した、そういう中で飛ばし等というものが実際に浮上してきたということで、まさにバブルのときの一つの残滓みたいなものが今出てきて、さらにこれは信頼を失われておると思います。 そして、内容をこうやって調べてみますと、内容を調べるというよりは話を聞いてみますと、本当にそんたことがあり得たのかねと思うような実態でございまして、私どもは、証券会社もそうでありますし、またそういったものに乗ってしまうという自己責任といいますか、そういったものもお互いにやっぱり考えてみなきゃいけないと思っております。 しかし、この問題については、私ども率直にこれはもう申し上げまして、やつは力時代が、バブルといいますか、あるいは安定したこの時代というものがそういう世の中に対する責任というものを失わしめておるのか、これは私たち政治家自身も今いろいろと問われておるわけでありまして、そのことを振り返らなきゃならないときなのかなということを思っております。 それから、NTTにつきまして、これは確かに含み資産といいますか、あるいは情報化社会という中にあって、NTTというのは相当大きく伸びていくよ、当時株が売り出されたころにそういうことが報道たんかでも相当大きくされたという中で、どんどんどんどん上がってしまったというのが現状であろうと思っております。 いずれにいたしましても、私ども政府自身が現在でも保有しておるものでありますし、また、政府のあれを通じながらこれを発売したということに対し私どもも大きなものを感じておるところでありまして、これからもこの株に魅力を持たせるということ、これはやっぱり大変大切なことであろうと思っておりまして、この問題について郵政省もいろいろと議論をされたり、あるいはNTT本体でもいろいろとお考えになっておることでございます。外国人が株式をある程度保有できる、そんなことについても勉強されておるということでございますので、いずれにいたしましても、やっぱり相当大きく大衆が参加した一番の株であろうということを考えながら、私たちもこれからの成り行きというものを見守ると同時に、いろいろと相談していかなければいけないと思っておるところであります。 あるいはかってのように、いわゆる株式の保有機構といいますか、そういう会社をつくってやったらどうだというお話。これはちょっと調べてみますと、過去におきまして都銀ですとか大手の証券会社ですとか、あるいはまた証券会社だけのグループですとか、こういったところでおよそ四千億ぐらいのお金をつくりながら株式を市場から隔離した、そういった事例というのを四十年当時やられたということであります。当時の下落率が要するにピークのときに比べて四四・二三%、今日が四九・二一%ということで似たような状況、あるいはもっと悪いということが言えると思います。ただ、当時は七兆九千億ぐらいが今四十倍の三百二十六兆、これが上場株式の状況であるということを見たときに今隔離するための手段というのはなかなか難しいのじゃないかなと、率直にこれは思わざるを得ないということであります。 そういうことで、今、先生の御指摘の中でも持ち株制度みたいなものをもっとやったらどうだろうというのがお話であろうと思っておりますけれども、ただ、これは税制とかなんとかということでやるというのは非常に難しいと思います。それで、実際に今いろんな企業を調べてみますと、先ほど御指摘がありましたように九〇%以上あるいは九五%という数字もありますけれども、そういったものを企業が督励しながらおやりになっておるということ、それから、そういうことをやられることに対して企業それぞれの会社が奨励をするための何らかの措置をやっておるというようなことがございます。こういったことは考えられてもいいことだろうと思っております。いずれにいたしましても、今お話があったように、日本のような配当性向が低い状態というのは改めていかなければいけないことであろうというふうに思っておりまして、これは自民党の方からもいろんな経団連等を通じながら呼びかけもいたしております。 やっぱりこれをきちんとしませんと、先ほどから私は株というのが一つの自由主義のメッカなんということを申しておりましたけれども、それには大衆の方が喜んで、あるいはそれをやることに別に変な後ろめたいものなんか持つんじゃなくて、堂々と家庭の主婦であろうとあるいは若い人たちがアルバイトしたお金を少しでも増殖する、そういったことなんかもやれるような環境をつくらなければいけないというふうに思っておりまして、それには投機じゃなくて投資ができるような環境という意味では配当性向、配当率、こういったものをきちんと高めていく努力というものが必要であり、また、そういったことをそれぞれの立場から指導していく必要があるんじゃないのかなということを率直に思います。
○斎藤栄三郎君 よくわかりました。 具体的に言うと、従業員持ち株制度が少し活発になるように御指導なさってくださると株は少し動くんじゃないだろうかと思います。 それから、大蔵大臣にお伺いいたしますが、ミックスポリシー、ポリシーの総合が必要たんであって、金融を緩めてもそれだけでは私は経営はよくならないと思うんですね。財政と金融が緊密な連絡をとっていくということが肝要なんで、大蔵大臣の管轄下で言うならば、はっきり言うと、補正予算をつくってそして追加していかないとなかなか立ち直れないんじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(羽田孜君) この点につきましては、先ほど日銀総裁の方からもお話がありましたけれども、私どもも、昨年私がちょうど就任したころから収納状況が非常に厳しくなってきたよということがささやかれるようになり、また報告も受けるようになりました。 そういう中で、御案内のとおり非常に厳しい状況でございましたけれども、人勧というものも完全実施をしなければいけないということで、これは当たり前だという御指摘もありますけれども、しかし、ああいう状況が厳しかった中にありましてもこれを完全実施やりましょうということ、あるいはあのころから仕事がとぎれちゃいけないということでゼロ国債を六千億以上のものを手当てしたということ、それから財投も法律改正しながら追加補正としては過去最高のものを実は措置したということ、それに加えまして、財政は非常に厳しいということであったわけでありますけれども、公共事業等を中心にしながら今度の平成四年度予算を今御審議いただいておるということであります。 それと同時に、日銀の方、金融当局の方も三次にわたり公定歩合というものを、貸出金利を、実際に設備投資しようとかあるいは持ち家をやろうとかそういう方々が本当に使える金利にしなければいけないということでいろんな指導をしていただいております。そういう中で、過去の相当低い公定歩合のころ、引き下げのときに比べまして、今の状況は、今のよりもっと低い状況よりは貸出金利の方が実際には下げられておるというような状況がございます。そういうことで、財政とちょうど金融が一致して今動ける態勢になってきておるであろうと思っております。 そこで、補正予算というものを今考えるのは、まだ今現在四年度の予算御審議いただいておるわけでありますので、これはもう皆さんにも本当に土曜日のきょうまでこうやって御審議いただいておるということに対して私は本当に感謝しているんです。今までの過去の国会の歴史から言いましても、私も国対なんか長くやっていましたけれども、こんなふうに御審議いただいていることはないわけで、しかも難しい問題があるにもかかわらずこれをやっていただいておるわけでありますから、何とか年度内にこれを成立させていただいて、そして私たちがきちんと執行できる体制をつくっていただくということを踏まえたがら、その後私たちとしてもいろんな経済情勢を見詰めながら間違いない対応をしていきたい。 そうすれば、私は、先ほども斎藤委員の方から御心配のございましたような問題を克服して、ことしの秋ぐらいから一つの方向というものがきちんと見えてくるんじゃなかろうかなというふうに思っておりまして、いずれにしましても定期的な調査の結果だけにとらわれることなく、毎日毎日の動きというものを十分私どもも注視しながら、間違いのない、おくれのない対応をしていきたいということを申し上げたいと思います。
○斎藤栄三郎君 大蔵大臣に最後に御質問いたしますが、景気対策として二十七日にどういうことをお決めになるか、それを大いに注目しております。 巷間伝えるところによると、公共事業七五%前倒しと言っておられる。昭和六十一年のときに八一%の前倒しをやっているわけです。どうも七五では刺激効果が少ないんじゃなかろうか、これが第一点。 それから第二点は、従来は輸出に向けると摩擦が激しくなるからというので、内需振興ということをやった。ところが、今内需がすっかり冷え切っちゃってるんです。 在庫が非常に多い。私、今度歩いて一番おもしろいと思いましたのは、セメントは適正在庫は四百万トンなのに現実には四百八十万トンある。二割過剰だということです。それからもっとおもしろいのは衣類であります。既製服、八十万着の在庫がある。年間需要量の七割が在庫なんであります。みんながいかに内需が締まっているかという一つの例であります。それから高級呉服屋さんで聞きますと、バブル華やかなりしころは一着一千万円の訪問着が飛ぶように売れたものが、今それを五百万に半値にしても全然売れない。ダイレクトメールで売り出しの広告をすると、お客さんは足代は呉服屋が持つんだし、ごちそうしてくれるんだから来るけれども、買うものは浴衣ばかりだと言うのです。それが一枚三万円平均の浴衣は飛ぶように売れるけれども、もう高いものは全然売れないと言っている。 そこで感ずることは、この不況を乗り切るためにはメーカーの方が在庫調整をやる、減産をやる、これはもう既にやっておりますね。そうすると、今度できたものを消化するためには大衆の購買力がたきゃだめだ。そこで大蔵大臣にお伺いしたいのは、ここで私は減税をたさったらいいんじゃないか。そうすると、景気は私はもっと早く立ち直れると考えますが、御所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 確かに御指摘がありましたように、相当減産の状況があるということは事実であります。ただ問題は、まず第一にお話がございました公共事業の前倒しについて七十何%ということですけれども、いずれにしましても、先日、総理が私どもあるいは我が党の幹部の皆さん方をお集めになりまして景気対策について話し合ったわけでありますけれども、五項目、五項目になるかあるいはそれ以上になるか、経企庁長官がこれをまとめてくださるということになっております。そして、これはただお題目というんじゃなくて、やっぱり実質的な肉づけをするようにというようなお話も強くございますので、私ども、各省いろいろと連絡をとりながら知恵を出していきたいと思っております。ただ、今、前倒しかどのくらいとかということについてはまだ別に数字は定まっておりません。 ただ問題は、過去においてと違うところは、やっぱり雇用状況というのは非常にまだタイトである、特に建設関係というのがタイトであるということ、ということになりますと、公共事業をただ前倒しいたしましても、公共事業というのはやっぱり建設関係というのが大きいものですから、果たして本当にそれを消化することができるかどうかということがありましょう。そのあたりを私ども十分見きわめなければいけないということが第一の問題であろうと思っております。しかし、でき得る限り、やっぱり有効なもので、いいぞという感じのものをやっていかたきゃいかぬと思っております。 それから第二の、これは御提言というよりはいろいろとお調べになったことでお話があったわけですけれども、実は私もここのところもういろんな人に会うたびにお話を聞くんですけれども、どうも報道なんかがもう余りにも大きく不況だ、不況だ、不況だと言われる、しかし実際に、例えばある農協関係の方なんかは、各家庭の貯金というのはこれだけあるんだ。しかし、どうも不況だ不況だと言われてしまうと、これは地方なんかの場合に、今までもそうなんだけれども、不況だ不況だと言われると途端にお金をやっぱり渋ってしまう、それで少し高いものを買っていた人が一ランク二ランク下げて買うようになっているんだというので、余り不況だ不況だと言われちゃうと困るんだなと。というのは、貯金は非常に底がたいしっかりとしたものをみんな持っているというんですね。 ところが、それが使われておらないという現状であるということを言われておりまして、私ども、業況とか景況とかそういうものを判断するときに、あるいはそういうものを発表するときに、やっぱりその裏づけというものをきちんとそれぞれの立場の人たちが言っていく必要があるなということは、これは余計なことですけれども申し上げたいと思います。 それで、今お話のございました、これ確かに減税というのは大きな効果を呼ぶことは事実であります。しかし、減税をするときには間違いなく財源の裏づけがなげればならないというものでありまして、今日の状況というのは非常に厳しい、財源の事情が非常に厳しいことはもうよく御案内のとおりであります。しかし、刺激したことによってまた税収がふえればいいんじゃないかという話、これは私も過去において何回も実は自分自身がやったことでありますけれども、しかし、この前の二次にわたる、六十一年、六十二年ですか、五兆五千億ほどやりました。これによって課税最低限というのは非常に上がってきておるということ、それからその中で割合と特別なものを手当でいたしましたですね。こういったものによって、累進なんかについても五段階になったということで大分みんなが安心されてきたということもありますし、いろんな特別な手当てをすることによって、相当お金のかかる世代の人たちも少しは楽になったよという話を聞くようになっております。 ですから、この減税については、いろんな問題について考えるときに、新たにまたそのときに考えるということで、今ちょっと減税を申し上げることができる環境にないということを率直に申し上げたいと思います。しかし、景気が本当に持続する、インフレのない持続可能な成長に持っていくために私どもとしてもありとあらゆる手段というものを考えていくということだけは申し上げることができると思います。
○斎藤栄三郎君 次に、経済企画庁長官にお伺いいたしますが、これは官庁統計の持つ宿命だと思いますが、甚だ残念ながら景気の判断が私は三カ月おくれたと思います。これが第一。長官の御所見を承りたい。 もし三カ月前に対策を立てておけばもっとよかったと思うことが今になると、まあ死んだ子の年を数えるようなものでありますけれども、残念である。それは官庁統計の持つ宿命だと思う。我々のように毎日毎日民間人と接触して話を聞いたりなんかしていると、どうも官庁統計というのは雲の上の統計で、我々下々の統計じゃないというような気がするんであります。その点についての御所見を承りたい。 第二点は、一九九二年から六年までの経済五カ年計画、どういうお考えでおつくりになるか、それをお漏らしいただきたいと思うし、私は、総理がおっしゃる経済大国にしようと思ったら、一番近道は住宅難解決のために重点的に金をお使いになることが懸命じゃないだろうかと思う。幸いにして金利が下がって家を持ちたいという要望が強いんでありますから、そこを重点的におつくりになることをお願いしたいと考えます。 以上二点についてお伺いいたします。
○国務大臣(野田毅君) 第一点の経済の現状認識のおくれの問題でございます。 率直に申し上げて、いろんな表現はしてまいりましたものの、昨年の秋以降減速という言葉を月例報告の中で使い始めたわけであります。これは率直に言って、個人的感触も含めて申し上げますと、昨年の十月以降かなりマインドといいますか、実体経済にそれまでとは異なった深刻な感じが伝わってまいっております。 私ども、景気の現状認識をいたします際に、もちろん過去のいろんな実績に基づくデータをしっかりと冷静に分析をするということは当然でありますけれども、そのデータそのものは、もちろん遅いものでは三カ月前のものもありますが、かなりの部分はかなり直近時点において入手できる最新の情報を中心に、例えば生産の動向であったり消費の動向であったり住宅の建設戸数であったり、三月でいえば二月分の実績をもとにして判断をするという、かなりそういった、世間で言われておるほどいわゆる我々が判断をする基礎データというものは古いものではないということと、同時に、極力産業界の皆さんやら一線の経営者の皆さんの直接認識をお伺いをしなければならぬということで、鋭意努力をし、そういった中で総合的に判断を下すことにいたしておるわけであります。 御承知のとおり、ある程度経済の動向というものはいわば両面の要素があるわけであります。一つは方向性の問題もありますけれども、仮にかなりの好景気のときであっても、瞬間風速的に見ますとかたり変動いたしておるわけであります、これはDIの指数を見ても。そういった意味で、ある程度この傾向をどうつかむかということが非常に大事なことだと。そういう点でいわゆる迅速性といいますか、感度に欠けるという指摘はこれは避けられないことかとは思いますけれども、かなり慎重な判断をしてきたということは事実でございます。 ただ、私ども、昨年のそういった秋ごろから景気の減速感が広がってきておるし、しかもそれまでまだら模様であった広がりがかなり各方面に、多方面に広がってきておるということを認識し、そこで十二月の月例経済報告の中で、これまでのいわゆる拡大テンポというのがこのところ減速をしという、つまり減速というところに力点を変えた。そういう現状認識に基づいて昨年暮れの予算編成が行われ、現在御審議中の、景気にかなり配慮した公共投資をふやすということを念頭に置いた予算編成が実は行われておるわけであります。 先ほど大蔵大臣からもお話がありましたが、私ども、それよりもさらに年明けまして減速感が一段と強まっておる、しかもこの三月決算ということを考えますと、経営者の方々が二けた減益という、従来のいわゆる二けた増益という傾向から急速に逆に二けた減益というふうになっていくという、このことについてのいわば落差感というものが非常に大きい。そういったことから本年に入りまして減速感は一段と広がってきておるというふうに感じております。そういう点で、我々はこれからの、総理からの御指示に基づきまして緊急の当面の景気対策を今策定中でございますけれども、それらのことをも含めて先行きについて、在庫調整がいつ山を越すかということももちろんありますけれども、これからの経済運営について万全を期していかたければならぬと思いを新たにいたしておるわけであります。 そして、第二点目の問題でありますけれども、五カ年計画、いわゆる経済審議会にお願いをいたしております長期経済計画のことかと思うんですけれども、これは御案内のとおり、総理から経済審議会に一月に諮問をいただきました。私どもその事務当局として、特に中心テーマであります生活大国をこれから創造していく上で非常に大事な柱になるわけでありますから、それをどう五カ年計画の中に反映していくのか。さらには国際環境といいますか、そういう地球社会における日本のあり方として、国際貢献ということをどう果たしていくのか。もちろん環境問題その他いろんなことが入っておるわけでありますが。さらにいま一つは、二十一世紀に向けてますます高齢化が進んでいくわけで、それに備えてどう今の経済社会の発展基盤を今世紀の間に整備していくかという、いわば大きく分けて三つの視点から今御検討いただいておる最中でございます。 その中で、今日、生活大国ということを考えましても非常に大事な柱の一つは、いろいろありますけれども、やはり社会資本の整備ということをこれは着実にしていかなければならないし、少なくともこれを計画的に実施していかなければいけません。そういう中で中心的なテーマの一つは、わけても居住環境の問題であり、そしてまた生活に密着した施設整備であり、そういった生活に重点を置いた社会資本の整備ということを計画的にやっていかなければならぬと考えております。 もちろん各年度において具体的にそれがどのように進捗するかということは、そのときどきにおける経済の状況なり財政の状況なり、そしてまた国の財政のみならず地方財政全体をも含め、財投も含め、そういったことを念頭に置きながらやっていかなければなりませんが、基本的には公共投資十カ年計画というものが九一年度からスタートをいたしておるわけでありまして、これをひとつバックグラウンドとして、そして各年度におけるそれぞれ事業ごとの五カ年計画が別途つくられておるわけであります。そういったことを中心に、これから具体的にそれをどういうふうに総合調整しながら五カ年計画の中に反映させていくかということが非常に大事な中心課題の一つであると考えております。
○斎藤栄三郎君 ありがとうございました。 次の問題として、ミュンヘン・サミットの話に移りたいと思いますが、外務大臣が十一時から御出席だそうでありますから、ちょっと繰り上げまして総理大臣にお伺いしたいと考えます。 私は、非常に御努力なさっていることに心から敬意を表します。特に総理は、経済企画庁長官ほか大蔵大臣、外務大臣など多彩な経歴をお持ちでありますから、何を聞いてもお答えになれる立場の方だと思います。 私は、今、日本の経済というのは繁栄の頂上にいるんじゃないだろうかという気がしてならない。頂上まで来れば後は下がる以外にない。それが大国興亡の歴史であったと考えるのであります。今が頂上かどうか、個人的な感情としてはもっと繁栄したいし、もっとよりよい日本を子孫に残したいと考えますけれども、どうも冷静に考えてみると繁栄の頂上にあるような気がしてならない。危機というのはその繁栄の中から芽を出してくるものであり、残念ながらだんだんと私は経済が危機状態に陥るんじゃなかろうかということを第一に懸念しますが、その点についての御所見を承りたいと思います。 これを乗り切るためには私は研究投資をふやす以外に道はない、国内総生産の二・八%を日本、アメリカ、ドイツ三国は使っているわけで、国内総生産の二・八%、これは去年の統計であります。これをもっとふやしていって経済危機を乗り切るということが非常に大事じゃないかという気がいたします。 なぜ危機が来るかというと、先進国との間では摩擦が激しくなるばかりだし、労賃は高くなるばかりだし、そして労賃の安い国へと移していくとその国はどんどんまた労賃が高くなっていくということになって、最後には行くところがなくなってまた日本に戻ってくる、こういうことになる。そうすれば、先端技術の開発に金を使った国だけが繁栄を持続できる、こういうことになるのじゃなかろうかと考えます。そこで、研究投資増額のための具体的な方策があるかどうか、これが第一の質問であります。 第二は、歴史の流れに逆行することはできないということだと考えるのであります。どうも総理に歴史の話をしては大変恐縮でありますけれども、ちょっと時間をちょうだいしたいと思います。 一八一八年にイギリスで穀物条例というものをつくりました。コーンローであります。それで外国からの穀物の輸入を一切禁止したのであります。そのために非常なまた反対運動が起きて三十年後に、一八四六年にピール内閣のもとで穀物条例が廃止をされたのであります。これで海外から安い穀物が入ることにより産業革命中のイギリスの繁栄は一段と加速をしたのであります。そういう歴史の流れから私は日本の行政、政治というものを考えることが必要ではないかと思いますが、御意見のほどを承りたいと思います。 我々は歴史をだてや酔狂で勉強しているのじゃないんであって、そういう大きな時代の流れをどうやって自分の生活、政治の中に生かすかということが必要ではないかと考えます。穀物条例、コーンローが廃止されたのは一八四六年、ピール内閣でございます。 第三点は、私は論語を愛読しておりますが、孔子の言葉に、孔子の慎むところは三つある。「斉」、これは斎戒沐浴の斉です。「戦」、これは戦争であります。それから第三番目が「疾」、病気であります。これは万人の望むところであって、孔子ならずともだれでも戦争はしたくないし病気はしたくない、それから斎戒沐浴が必要だと。これは私は政治家に対する言葉にぴったりだろうと思うんです。やはり民を恐れる、目に見えざるものを恐れるということが政治にとって大事なことであって、先ほど証券のときにも申し上げたように、ただ金だけもうければいいという考え方で今の日本経済が動いているんじゃないだろうか。むしろ、大衆を恐れる政治でなければ本当の政治はできないんじゃなかろうかと。 この三点について総理の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 外務大臣がしばらくして出席をいたしますので、その間の時間をいただきまして。 先ほどから長い間の御経験と深い学殖に基づいて大蔵大臣、日銀総裁、経済企画庁長官に対していろいろお話を承りました。与党の立場ではいらっしゃいますけれども、大変厳しいお話でありました。また、伺って得るところも極めて多かったということを申し上げさせていただきます。 プラザ合意がございましたのが、御記憶のように一九八五年の秋のお彼岸のころでございます。当時、円が二百四十二円であったと思います。その後今日まで七年足らずでございますが、今百三十三円、百三十円がらみの円をもって、あの当時の我が国の経済と今の我が国の経済と、これはこの間のバブル、バストについて斎藤委員が何度も最初から警告され極めて厳しい御批判をしてこられたことをよく知っておりますが、やはりこの二つの経済を二つの時点で比べたときに、我々はこの六年余りの間に何も得なかったかといえば、やはり得るものは相当あったであろう。 一九八五年のときの日本経済と今日の日本経済と、国内を考え、また海外、殊に東南アジア等々への投資を考えてみますと、我が国の経済自身はやはりこの六年間に内外ともにかなりのものを得ることができた、また我が国の通貨もそれだけ高く評価を受けることになったということは、二つの時点を比べて申し上げてもいいことであると思いますが、ただその間のバブルとバストが非常に強うございましたから、我が国経済の持っております幾つかの面にかなりの衝撃的な影響を与えたことも確かでございます。 先ほどからお話しになっておられます証券の問題もそうであると思います。あるいは土地に関する問題もそうであると思います。これらについては、かなりもとに返って今までうやむやにしていた問題を考え直さなければならないような苦しみを今味わっておるということは間違いございません。それとの関連で、一九六五年、昭和四十年の証券についての、いわゆる山一問題についてのことにもお触れになりまして、このことは私もよく記憶をいたしております。 このような今の我々の制度の幾つかについて、基本的な問題を起こしておるということはよく存じておりますし、私としては、したがって根本的にはオーソドックスな対策で立ち向かうのが本来であろうと思います。ただ、そうではあるが、いろいろお話がございましたように、それに添えてまたこれを促進する方途というものはあり得るではないかということは十分によく承っておかなければならない点だと思います。 そのようなことでございますから、今日このバストの状況においてこの解消に、どう申しますか、正常化という言葉はちょっとよろしくないかもしれませんが、これをもう一つ正常な発展の線に戻しますために相当の時間と相当な苦労が要るということは私は御指摘のとおりだと思いますし、政府はそれに対して国民の御理解を得て対応していかなければならない。それはかなり厳しい道であることも存じておりますが、基本的にはオーソドックスな方法でできるだけの総力を挙げてこれに当たってまいりたい。 斎藤委員の言われますように、私どもが考えておりますよりは在庫の調整の時期が遅いかもしれないということも、これは生産財であるか耐久消費財であるか機械であるか等々によっていろいろまちまちであろうと思いますが、そういうことも考えたから、臨機に対策をしていかなければならないと思います。この点は、概して申せば、先ほど大蔵大臣が基本的にお答えをされたとおりでございます。また、将来の問題については企画庁長官がお答えいたしましたが、その中に住宅というものを考えておくことが大事だというのは極めて示唆に富んだ御指摘であるというふうに伺いました。 そのような過程に今我々はございますが、さて、ポール・ケネディの言いましたように、我が国の経済が今いわば頂点にあって、これから長い目で見ると凋落の過程にあるかどうかということは、実は私は、本来楽観主義者である点もあるかもしれませんが、やりようによっては我が国はまだまだ世界をリードする力を持っていると考えております。 二〇二〇年になりますと六十五歳以上の人口が四分の一を占める。いわば老齢化の頂点と申しますか、一番最下点と申しますかになりますので、そのことは十分考えて今から施策をしていかなければなりません。私の申し上げた生活大国というのもそういう意識でおるわけでございますが、そうではあっても一国の経済でございますから消長はあろうけれども、しかし我々の持っている資質と申しますか、努力に対する志向と申しますか、あれこれ考えまして私は、策を誤らなければ決して将来を悲観することはない。その策は、しかしまさに、まさに御指摘になりましたように、研究、学術ということにどれだけこれから努力をしていけるかにかかる。もうこれ以外にない。それはまさしくペルーのフジモリ大統領が言われたように、教育ということであるということは私は間違いないことだと思います。 したがいまして、平成四年度の予算編成に関しましても、シーリングといういろんな問題がございましてなかなか思うとおりにはいきませんでしたけれども、国立学校施設であるとかあるいは国立大学の特別会計に資金を設けるとか、とにかく何とかしてこの研究、学術にだけはアクセントをつけようという努力をいたしました。これはもっともっと続けていかなければならないところであると思います。 第二にコーンローにつきましてお触れになられました。そういう歴史を、一八一八年から四六年までの歴史を私どもも習って存じておりますが、やはりこのところは、殊に米ソの冷戦というものが終わって、そして世界が平和の配当を求めようとしている今の時点で考えますならば、平凡なようでありますけれども、自由貿易、市場経済というものに立って考えていく。このことは我が国にとって時として非常につらい問題がございますこと確かでございますけれども、やはりフリートレードという立場に立って考えていくということが原則ではないか。 他方で、ブレトンウッズでつくられました体制は実はかなりぼろぼろになっておりますので、いろんな意味で新しい体制を考えていくことが必要になっておることは存じておりますけれども、方向としてはやはりフリートレードということで考えていくことが過去の穀物条例等の経験を生かすゆえんではないかというふうに考えております。 最後のところで孔子の言葉をお引きになりました。確かに、国民全体がいわば表面の豊かさというものにやや心を許している嫌いがあると思います。我々はかつて貧乏でございましたから、貧に処する道徳というものは親からも世間からも習ってまいりました。しかし、豊かになったときにいかにあるべきかという道徳は実は習わずに今日に及びました。それがにわか成金と言われたりすることでございますけれども、しかし日本が豊かになったということは、その豊かさを世界の人と分かち合わなければならない。しかし、豊かさを分かち合うということは、やはりよほど慎重にいたしませんとそれだけまた世間から嫌われるということでもございます。 そういう意味でのしつけ、考え方を身につけていかなければならないと思いますので、もう一遍もとの点に返りますならば、これはかって、これも先哲が申しましたように、君子の一つの楽しみは英才を得てこれを養うことであって、天下に王たるはあずかり存せず。まさに富ではない、教育であるとおっしゃることは私も極めて同感するところが多うございます。
○斎藤栄三郎君 総理の哲学をお聞きして大変喜ばしく存じております。どうもありがとうございました。 外務大臣にお伺いいたします。 今までは株の問題とかそれから景気の問題などを伺いました。日銀総裁にも御意見を拝聴しました。最後に残りました問題は、サミットに臨まれる外相の態度をお伺いしたい、こういうことであります。 今、世界的に景気が悪い。失業率から見ると日本が二%で一番いい。世界的に景気が悪い。どうもコンドラチェフの波に巻き込まれているんじゃないだろうかという気がしてならないのであります。今、イギリスも選挙を前にし、イタリアも選挙を前にし、フランスは選挙は済みました。それで、選挙が済んだところでミュンヘン・サミットと、こういうことでございますが、世界的な不況のもと、外務大臣兼副総理として臨まれる場合にどういう御発言をなさるか、またこの景気についての副総理の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 斎藤先生はもう経済の大専門家でございますから、私が斎藤先生に言うよりも、斎藤先生から教わった方がいいんじゃないかと。したがって、サミット前にはいろいろ御高見をぜひとも拝聴したいと考えております。 世界の経済は、今や自由貿易体制下にありましてはこれはもう鎖のようにつながっている。自分の国だけがいつまでも繁栄するという一方的なことはできるわけがありません。アメリカが景気が悪くなれば日本も悪くなるし、日本がだめになれば東南アジア等にはストレートに響く、そういうような仕組みになっておるわけでありますから、やはり世界経済というのは、お互いにそれぞれ分業ではありますけれども、唇歯輔車の関係で助け合いながらよく政策調整をしていかなきゃならぬ。構造問題も大きな問題だろうと存じます。したがいまして、当然にサミットでは世界の経済のインフレなき繁栄を持続させるためにはどうするかということは議題になるんだろうと存じます。 その次は、やはり対ソ支援の問題。これはもう国が大きいだけに影響もでかいし、一国だけで支援するなどということは言うべくして不可能。だからといって、ソ連が本当にまた民主主義から、権力によって人民を抑えつけて強制労働をさせるような方向に物を言わさず持っていくというやり方は、これはとめなけりゃたらぬ。どうするか。軍部の問題にいたしましても、かたりいびつな国と言ってはちょっとまたこれ外務大臣としては少し言葉遣いに気をつけなけりゃならないのでございますが、宇宙開発にあれだけの力を持ち、しかし民生用のことになるとまるっきり問題外である。 こういうようなことで、軍事から民事への転換といっても、ノウハウだけじゃなくて、やはり資金の問題、いろいろ問題がございますから、どういうように世界はこれを支援していくか。IMFへの加入という問題もございましょうしいろいろ問題がございまして、これもやはり世界の主要国がみんなで相談をしてやっていかなきゃならぬ、かように考えています。 また、地球環境の問題も、ことしは環境年というようなこともあって、当然にこれも一国だけの問題じゃございませんので、必ずサミットの主要な議題になるだろう。 それからウルグアイ・ラウンド、これがサミット前にある程度目鼻がつくのか、それともまだ引きずっていくのか。それによってその重要さ、議題としての重要さが違ってくると思いますが、世界の貿易をどうしてバランスをとらせながらお互いに相互依存関係を深めていくかというふうなことではないか。 特に、私といたしましては、世界の人口の四〇%近いシェアを持つアジアから日本が唯一のサミット国ということで出ておりますので、アジアの主張、アジアの要望というようなものは大体わかっておりますから、アジアのそれぞれの国の代弁というわけではございませんが、そういう主張をし、先進国間の理解と協力を求めていきたい。大体そんなことなのかなと、さように考えています。
○斎藤栄三郎君 私は、外務大臣のおっしゃることよくわかりますし、ぜひともウルグアイ・ラウンドが成功することを希望いたします。やはりこれが成功しませんと世界恐慌になっちゃうでしょうし、ぜひひとつサミットでは全力を挙げてその点に力を注いでいただきたいということを要望しておきたいと存じます。 結論に移りたいと思いますが、今日本の個人が持っている金融資産など非常に大きなものがあって、約一千兆円の財産があるわけですから、それがどこへ向くかによって随分景気が違うわけで、やはり私は証券界が健全に伸びることを心から祈ります。企業経営上、設備投資は証券市場で賄う、それから運転資金は金融機関から借りる、これはもう根本原則です。 ところが、金融の方は金利は安くなったが、これをじゃんじゃん下げていけば金利で食っている人たちに非常な悪影響を及ぼしますから内需はとまっちゃう。こういうことになりますので、この間の調節をどうするかということが大蔵大臣に残された大きな課題になるんじゃないでしょうか。その点をひとつ後でお漏らしいただければいいと思います。 それから、証券市場にもっと金が回るようにするためには配当性向を高めなきゃだめなんであって、一つ提案でありますが、もうかっている会社は現金で配当をもう少し高くしたらどうでしょう。 今の日本の配当率で一番高いのは任天堂の一二〇%配当です。それだけやったらみんな買うに決まってますよ。みんな会社はお家大事で、自分の懐にばかり入れちゃっておいてちっとも株主のことを考えていない。資本主義社会というのは株式会社組織なんですから、もう少し配当性向を高める努力をするように大蔵大臣あたりがひとつ音頭をとっていただくことを心から要望せざるを得ないのであります。まず証券市場から明るさが増してこないと日本全体の景気が立ち直らないだろうということを懸念いたすのであります。これは大蔵大臣に対する要望でございます。 次に、総理にお願いしたいのは、私は、総理はもう何でも知っていらっしゃる方だし、しかも大臣の経験も豊富に持っていらっしゃるので、大臣としての御経験の上に総理という重要なポストにいらっしゃるんですから、思ったとおりのことを言いかつ実行なさることが必要だろうと思うんですよ。 それを総理は、非常に謙遜でいらっしゃるから、言いたいことも言わない。だから世論の支持率が下がっちゃう。大事なことは、もっと総理が思ったことをおっしゃることです。思ったことを実行することだと思います。それでどうしてもだめなら、そのときには責任をとればいいんであって、いたずらに言いたいことも言わずにいたんじゃ、兼好法師ではないが、腹ふくるるわざなりですよ。 もう少し総理は勇気を出して先頭に立って実行なさることを要望したいんだが、これは与党議員としての私たちの気持ちですよ。自分たちのいただいている総理・総裁が世論の支持率が下がっちゃとても我々は悲しい。自分のことよりも悲しいんだ。どうぞひとつ今までの経験を生かし、本当に民のために、民をとうとしとなすという気持ちで率先実行してくださることを心から要望したいのであります。そうすることがお国のためになるゆえんだし、先ほど述べた孔子の「斉」、斎戒沐浴の精神に通ずるゆえんではないだろうかと考えます。この点後で総理の御所見を承りたいと考える。 日銀総裁、もうお帰りになりましたからやむを得ませんが、日本銀行の月報、前回の私は質問のときにも申し上げたんだが、どうもマスターべーションで、日本銀行の人が読めば喜ぶようだが、大衆にはなかなか親しみにくい。これだけの分厚いものを出しておいてもったいないという気がしてしょうがない。官庁出版物全般について言えることであって、我々もらったって読まないのが多いのであります。みんなくずかご行きになっちゃっている。私は官庁出版物の再検討を望みたいと思います。こんなむだなことはたいですよ、実際は。 私は、実は民間におるとき、NHKの解説の時間でも申し上げたんです。こんなに官庁出版物がはんらんして、どれだけ読んでいるか、その調査をしたかということを民間にいるとき申し上げたんだけれども、今議員になってもしみじみ感じます。私の机の上には読み切れないほど雑誌、官庁出版物がある。しかし、読んでみると無味乾燥、何にもない。何もないから読まない、こういう循環である。もう少し我々の税金を有効に使うためには、まず隗より始めよ、官庁出版物の整理から始めたらどうでしょうか。これは予算をとるために出しているような感じがしてならない。こんなことじゃ私は税金を納める納税者は納得しないだろうということを懸念いたします。 以上、大蔵大臣並びに総理に対する私の質問にお答えいただいて、私の質問は終えたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) まず、御指摘のございましたように、確かに郵便貯金だけでも百五十兆ぐらい今あるというふうに聞いておりますし、そのほか、都市銀行ほか全部あれしましても貯金だけでも一千兆を超えるであろうということでございますから、こういった皆様方が金利を当てにしたがら、特に年金生活者なんかはそういうことをしております、そういったことにも配慮しだから金融政策というのは進めなきゃならぬということ、これはよく先生からの御指摘を私どもも念頭に置きながら対応していきたいと思っております。 それから、まさに株式というものを活発にするということは、これは日本経済というものに活性化を与えるためにはどうしても必要なことであろうと思っております。 いずれにしましても、大衆の方が株に投資できるような魅力のある市場といいますか、商品というものをつくり出していくということが大事であろうということで、その中ではやっぱり先進各国に比較しまして日本の配当性向あるいは配当率というのが非常に低いというのが現状でありますので、こういった点はそれぞれの企業にも考えていただかなければならないし、そういったことについて証券界も各企業が上場するような場合に対していろんなサジェスチョンといいますか、一つの枠組み、ルールみたいなものもつくっていただくことも考えていかなきゃいけないんじゃなかろうかと思っております。 そういったことに対して対応すると同時に、やっぱり株式市場というものは、どうも私ども欧米各国に行きましたときに話を聞きますと、学生時代から、あるいは小学校とか中学校という低学年の学校時代から、資本市場というのはどういうものだよという教育なんかもあるらしいんですね。ですから、株式に投資することに対して、子供でも、もちろん御婦人方でも決しておかしな感じをしない。そのかわり企業なんかもそういった人たちにこたえなきゃならぬという責任を感ずるのであろうと思います。そういう環境というものを日本の証券市場といいますか、証券市場を取り巻く環境の中につくり出していかたきゃならぬということ。改めて私もきょうお聞きしたことを念頭に置きたいと思っております。 それから官庁出版物、日銀の月報等についてお話があったわけでありますけれども、確かに大衆というより私が見てもなかなか説明を聞かないと理解できないという一面があります。私は実は就任いたしましたときに、大蔵省といいますと非常に大変な役所だなと国民だれもが知っておるけれども、どうもなかなか難しいぞという声がある。私がもしやれるとすればその接点になることであろうということを申したんですけれども、どうも政治の世界もこのごろいろんな法律なんか見ましても難しい言葉だけで、法律用語を見ただけじゃ何のことだかさっぱりわからぬことがある。 私が実は選挙に出るときに、普通の、要するに藤村が、血につながるふるさと、心につながるふるさとというのをやりましたが、その言葉の一番最後に、言葉につながるふるさとというのがありまして、私は普通の言葉の通じる政治というのをキャッチフレーズにしてまいりまして、今日までそのつもりで歩んできたつもりです。 そういうことで、これからこういった官庁のいろんな問題について、私どもの関与するものについて、あるいは議員として、これからも各役所の皆さん方にお話ししていきたいと思う。日本国民というのはやはり物事に対する理解力は物すごい高い水準にある、世界の中でも最も高い水準にあると思っております。そして今、情報化社会というのもここまで進んだ国というのはなかなかないわけでありまして、中央の情報が全部末端まで村の隅まで行く時代で、一部の人たちが情報を得るという時代じゃなくなっておる。そういうことを考えたときに、やっぱり正確に本当のことをきちんと話せば国民は理解していただける人たちである、これが日本であろうということを念頭に置きながら、これからも私ども努めてまいりたいというふうに思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変適切な御注意をいただきました。十分服膺しなければならないと思います。 時々考えることでございますけれども、日本の民間経済というのは世界に冠たる大きなものでございますし、また官庁の機構、能力も実は非常に大きい、しかも非常に優秀なものだと私は思っておりますのでございますので、ちょうど大きなタンカーと同じように、一つの方向転換をしますときに、かなり前からその予告を与え準備をしていかないとそれが円滑にいかない。後に何か問題を残すということをよく気にかけて実はおりますのですが、余りそういうことばかり考えてもいけないよという御注意であろうと思って承りました。 それから、出版物の点は今大蔵大臣の言われたとおりと思います。出版物がたくさんございますと、実は何を読んでいいかわからない。むしろいいものだけが残りましたら読むものがわかるのだろうと思いますが、同じような趣旨で役所の刊行物というのは長過ぎます。もっと短くしたらば人が読んでくれるのだろうと思っておりまして、そのことは前からも言っておりますけれども、よくみんたで注意をいたします。
○斎藤栄三郎君 どうもありがとうございました。これで終わります。
○委員長(中村太郎君) 以上で斎藤君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、清水澄子君の質疑を行います。清水君。
○清水澄子君 昨日、自民党副総裁の金丸信氏が右翼に狙撃をされるという事件が起きました。今回の事件は幸いに銃弾が外れて未遂に終わりましたけれども、この数年、我が党の山口前書記長への暴行事件、また本島長崎市長への暗殺未遂事件など、言論封殺そして思想抑圧を目的とした右翼、暴力団のテロ行為が頻発しております。 このような事件が起きるたびに政府は遺憾の意を表明しておりますけれども、凶悪な言論封殺事件が減っているという状況にはありません。今回の事件に対する総理の見解をお伺いしたいと思います。 そしてまた、暴力団がよく使っておりますけん銃ですが、このけん銃が使用されていたことでもおわかりのように、右翼と暴力団との密接なつながりを考えなければいけないと思います。暴力団新法が施行されました後、暴力団の右翼への衣がえがふえているのではないか。これらにつきまして今後の対策をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 最後に総理からお答えがあると思いますが、その前に事実関係を踏まえまして御説明申し上げたいと存じます。 昨日、足利市で起こりました事件はまことに残念至極でございまして、しかもこのことは民主主義の制度維持ということにつきましても大変な危機状態だと私たちは認識しております。 お尋ねの、この警備状況について遺漏はなかったかということでございますけれども、私たちは十分な警備体制はとっておったのでございますけれども、しかしこの際に警備体制、いわばVIPに対する警衛体制というものをやはり新しい観点から見直していかなきゃならぬと思います。それは何かといいますと、一言で言いまして、今まではいわば日本刀とかドスとか、そういう刺すことから守るということに重点を置いた警衛体制をとっておりましたが、最近におきましてはピストルが中心になってまいりまして、ピストルをいかにして防ぐかという体制をとっていかなきゃならないということでございまして、警衛体制の見直しをこの際に徹底的にやっていきたいと思っております。同時に、ああいう会場等におきまして、どうしてもやはり会場の雰囲気に合わないことが警備上起こってまいりますので、その点主催者の方々の警備に対する御理解をいただいて、そこへ要員の配置ということ等も御協力いただければ、こう思っております。 それから、最近は非常に異様なスピードでピストルが密輸されてきておるといいましょうか、ふえてきております。しかも、世界各国からいろんなピストルが入ってきておりまして、今回足利で使用いたしましたピストルはブラジル製のピストルでございまして、そういうこと等を見まして、私たちは武器、兵器に対する、凶器でございますが、監視を一層強めなけりゃならぬと思っております。幸いにいたしまして、昨年武器、兵器等に対する、凶器でございますが、凶器等に対する法律改正をして取り扱いの改正をしていただきましたので、事前にこういう探索を強めて、これの徹底的な取り締まりをいたしたいと思っております。 それから、最近暴力団と右翼との関係でございますが、まさにおっしゃるように、その境界がだんだんと不明確になってまいりまして、いわば暴力団の方から右翼へ流れていく者もございますし、右翼の方から暴力団的行動によって自分を売り出していこうということもございます。 今回この事件に関係いたしました右翼の団体でございますが、豊島区にございます憂国誠和会という団体でございまして、構成員十人ぐらいでやっておるわけでございますが、この憂国誠和会というものの過去におきます右翼活動の実績はどうももう一つ定かではないのでございます。その中の一構成員というのがこの犯人でございまして、この犯人がいわば売名的に何か一仕事という意味を持ってやったのではないかなという感じもなきにしもあらずでございます。いわば右翼としての思想的背景というものが非常に何か希薄なような感じがいたしておりまして、その点におきましてはまさに暴力的行為というものと紙一重で動いておるような感じがいたします。 でございますから、新しく暴力団の新法を実施いたすことにつきましては、同時にそういう右翼からの暴力団行為に対する流れというもの、これにつきましても十分に注意を払いながら、一層厳重な警衛に当たっていきたい、こう思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一切の暴力は民主主義の敵でありますが、いわんや人の命をねらうというようなことは言語道断、恥ずべきことであります。今、国家公安委員長からいろいろ申し上げましたが、従来、刀剣を主に考えられておった警備というものがガンに対して考えなければならないということになってまいりますと、これは実は新しい問題と考えなければならないであろうと思います。 そもそも、民主主義というのが、政治家が有権者と一緒にまじり合うという、それが民主主義の一つの大事な要素でございますので、そこへガンというものが入ってまいりましたときには、警備当局がいろんな苦労を実は新しくしなければならないであろうと思いますが、その点は警備当局の警備に対する理解というものもお互いが持たなければならないであろうし、また今国家公安委員長が言われましたように、いわゆるガンについてのガンコントロールといいますか、我が国は麻薬と銃砲を何とか先進国と違って国に入れないでおるという、そこが非常に大事なところでございますが、それが今大変危ないところにきておるということで、これは国民的なやはり努力によりまして、この二つのものは何とか防いでまいらなきゃならないということを今度のことは示しておるのではないかと思っております。 いずれにしても恥ずべきことでありまして、こういうことがないように、政府といたしましてさらに万全の努力をいたさなければならないと思います。
○清水澄子君 どうぞ厳しく対処していただくことを要望しておきます。 次に、渡辺外務大臣は、昨日コズイレフ・ロシア外相との会談で、領土問題の交渉を行われたそうでございますけれども、本当に御苦労であると思います。 原則としては、日ソ共同宣言の歴史的見解の線で一致したようでございますけれども、返還の具体的意思表示はどうだったんでしょうか。九月のエリツィン大統領の訪日に際して、返還の段階的または一括解決の見通しについてどのような感触を持ったか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実は、まだ交渉中でありまして、今晩もまた続けてやるんです。 我々の主張は、たまたま新政権ができてから、法と正義に従ってこの日ソ間の領土問題は解決しようということを言い出したので、これは全く私は同意見だと。だから、ありのままの、一八五五年の日露通好条約から、あるいは千島・樺太交換条約あるいはポーツマス条約、こういう中では、明らかにその条約が正常に結ばれたものですから、それを認めるということであれば、もうおのずからはっきりしているわけですね。サンフランシスコ平和条約で日本が千島列島を放棄したといっても、その前の三つの条約の中では択捉、国後は千島列島に入っていないわけですから、得撫島から北ですからね。だから、まずそういう条約を一遍はっきりさせてもらう、認めてもらうことと、それからやはり、せっかくこれから条約を結ぶにしても、守らないという条約であれば意味のないことですから。ところが、戦時中に結ばれた日ソの関係の中立条約、これは一九四五年に一方的に破棄をして攻め込んできたわけですね。それから一九五六年の共同宣言、これは条約ではないが両国の国会が批准しているわけですから。しかしこれは、それから四年たって安保騒動が起きると、これはもう終わったというふうなことで、そういうようなことでは困るんであって、今度の新政権は共産党を壊滅させて独裁的な全体主義的なやり方でなくて法と正義でやるとおっしゃるのでありますから、それは法と正義でその原点をもっと確認し合うことが大切だということが基本であって、終わりでもあり基本でもあるんです。 ただ、やり方については、しかし現実の問題として四十五年間も占領しておって、それでそこに二万人余の人とそれから一万人近い軍人がおるわけですから、二万人余のソ連人がもう土着しちゃっているわけですね。だからこの問題は、現実の問題としてどうするかという問題でございますし、そこで魚をとって食ったりなんかして生きている人がいっぱいいるわけですから、現実的な対応の問題については柔軟にある程度現状を直視しながらひとつやっていこうじゃありませんかということの延長線上にまだあるということであります。
○清水澄子君 私は、昨年十二月の本予算委員会におきまして、従軍慰安婦問題について質問いたしました。その際に、政府がこの問題に誠実に対応しなければ、必ず日韓、日朝間の外交問題に発展するということを警告しておきました。 その後、いろんな発展があったわけですけれども、現在、政府は調査をされておると思いますけれども、その進展状況と、今後の見通しについてお聞かせください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは今、軍がある程度関与したということですね。はっきりしてきておりますが、どの程度のものであるか、地区によってもかなり違うような気がする。それに、従軍慰安婦になられた方々の中にも、千差万別のような状況があって、実態がわかっていない。したがって、今実態上では各省庁、できるだけの実態的な把握に一生懸命努めているというところであります。
○清水澄子君 六省庁ですから、じゃ一つずつおっしゃってください、どういう段階で何が出てきたかということを。
○政府委員(谷野作太郎君) それではまず、外務省の方からお答え申し上げます。 このいわゆる従軍慰安婦の問題につきましては、昨年末、内閣官房の調整のもとに、関係省庁におきまして事実関係を調査せよというお達しかございました。そこで、私ども外務省といたしましても、保管中の文書について、ただいま誠心誠意、大臣から申し上げましたように、調査を実施しておるところでございます。 何分、膨大な調査でございますので、いま少しお時間をいただきたいと思います。調査の結果が判明次第、内閣官房に御報告申し上げたいと存じます。
○政府委員(村田直昭君) お答えさせていただきます。 防衛庁におきましても、昨年末、内閣官房の方からの調査依頼に基づきまして、防衛研究所を初め陸上、海上、航空の各自衛隊あるいは防衛大学校等の各機関等において、関係資料の有無について鋭意調査をしているところでございます。 なお、これまでに新聞等で報道されたものを含めまして六十九件の資料が発見されておりまして、これらの資料につきましては、内閣官房の方に直ちに送付しておるという状況でございます。
○政府委員(多田宏君) 私どもの方も膨大な資料を念には念を入れて今さらに点検をいたしておりますので、まとまり次第、また内閣官房の方に提出したいと思っております。
○政府委員(井上幸彦君) お答えいたします。 私どもの方でも、昨年末に内閣の方針を受けまして、警察庁はもとより全国都道府県警察に対しまして、関連の資料があるやなしやの調査を現在行っているところであります。現在のところ、これはという情報には接到していないところでありますが、なお念を入れて調査を続けているところでございます。
○政府委員(野崎弘君) お答え申し上げます。 文部省におきましては、全国の公立図書館、国公立、私立大学の附属図書館に調査を依頼いたしました。現在も継続中でございますけれども、現在のところ、公立図書館関係で、沖縄県教育委員会から、同県の浦添市立図書館所蔵資料の中に当時の資料が転載されている旨の報告がございます。この件につきましては、内閣官房外政審議室の方に報告をしているところでございます。 以上でございます。
○政府委員(佐藤勝美君) 労働省の状況でございますが、現在までのところ、省内関係部局及び関係機関におきまして所管する倉庫、書庫等を調査いたしましたが、朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦に関します公的資料は発見されておりません。 当時の事情に詳しい行政関係者からもヒアリングを行いましたけれども、当該行政機関それから関係機関は、朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦については関与しなかったということを聞いておるところでございます。 今後とも、この問題につきましては、労働省といたしましても関係省庁の一員として誠意を持って対応してまいりたいと存じます。
○清水澄子君 それでは、官房長官、現在集まっておりますだけの資料の中からで結構ですけれども、わかった分をお答えいただきたいと思います。 まず、資料の中からで、なぜこの従軍慰安婦問題が起きたのか、その原因ですね。それとその設けた目的は何であったか。原因、目的、それから地理的な広がり、そして経営の実態、そういうものをお答えください。
○国務大臣(加藤紘一君) かつての日本軍が駐在しておりましたところの治安の問題を考えると必要にたったというような記述等も含めて、いろいろな背景があったようでございます。詳細につきまして外政室長からお答えいたします。
○政府委員(有馬龍夫君) 今、官房長官がおっしゃられましたことを若干具体的に申しますと、しかしそれでも何分古い話でございますので明確にお答えできるかどうかまだわかりませんけれども、発見された資料からは、当時の前線の状況からこのような施設を必要とするに至ったのではないかと思われます。 そのような状況と申しますのは、前線における軍占領地内の日本軍人の住民に対する不法行為によって反日感情が醸成され、治安回復が進まないためこのような設備を整える必要があると判断されたことや、軍の構成員の健康管理を図る必要があったこと等の状況があったということが、見出されました資料から推察されております。 それから、地域的な広がりについての御質問がございましたけれども、これもまた完全に調査を終えているわけではございませんので、包括的、網羅的にお答えすることはできませんけれども、中国、香港、フィリピン、マレーシア、インドネシア等に存在していたように思われます。
○清水澄子君 非常に不誠実ですね。先ほど自民党の斎藤議員が、政府の刊行物が非常に読みづらいとか、内容が非常に浅いとかということをおっしゃっていましたけれども、今私がここでお尋ねをしていることは、私が防衛庁からいただいた資料の中からだけでも全部ある程度お答えできることなんです。ですから、その事実を、非常に何か隊員の健康のためであるとか、それでは健康のために従軍慰安婦が必要になったんですか。そういうことは書いてないと思います。書かれている内容をもっと正確にお答えいただきたいと思います。 なぜ必要であったか、そして治安というのは、なぜ治安が必要だったのか、全部書いてありますから、その書かれている資料の中から具体的にお示しください。
○政府委員(有馬龍夫君) 先生御指摘のとおりでございまして、既にお渡ししてございます資料の中に、私がいささか整理した形でお話しいたしましたことが盛られております。 したがいまして、先ほど私が不法行為と申しましたのは、軍人の人たちのまさに現地の女性に対する不法行為が反日感情をもたらしている、そのようなことからこのような施設が必要になっていると。例えば昭和十三年ごろの一連の資料、その後もございますけれども、そういうようなものを整理したわけでございまして、なるべく正確にお伝えしたつもりでございます。
○清水澄子君 非常に正確ではございません。私は自分の時間が減ってしまうので非常につらいんですけれども、政府からいただいた資料の中の一つの例をとりましても、特に性的慰安所よりうくる兵の精神的影響は最も深刻にしてこれが指導監督の適否は士気の振興、軍紀の維持、犯罪および性病の予防等に影響するところ大なるを思わざるべからず、という目的が書いてあります。そして原因は、その現地における兵士の強姦であるということが明確に書かれているわけですね。どういうふうに強姦をしたためにその兵士たちを軍法会議にかけたかという数も全部出ておりますから、いろんな文献で今まで知っていただけではなくて、これは今一つだけ申し上げました。全部理由が書かれております。そういうことを私がここで、じゃわかった中から具体的にお答えくださいと申し上げても、こういう程度であるならば私は質問を続けられないと思います。
○政府委員(有馬龍夫君) 申しわけございませんが、今私は先生がおっしゃられましたまさにそれらの資料に沿ってそれを整理してお話ししたつもりでございました。したがいまして、もしもそれら一つ一つをということであれば可能な範囲でお答えさせていただきたいと存じます。
○清水澄子君 ですから、さっき申し上げました。 じゃ、一つずつやってください。原因、目的、慰安所の数、慰安所の人数、わかった一つの例でいいです。それから地域的、民族的な広がり、年齢層、慰安所の経営の実態です。そしてその経営の許可証はだれが発行していたか、そしてまたこの慰安所の衛生管理はだれが行っていたか、まずそこまでお答えください。
○政府委員(有馬龍夫君) 衛生の管理は、資料によりますと、その現地におります軍医等がそれに当たっているようでございます。それから、慰安所の利用規定等につきましては何件かございます。それらにつきましては、どのような状況のもとで、どのような条件のもとでこれらの施設を利用することが可能であるかといったことが子細に指示として出ております。 もう少し具体的ということでございましたら、ちょっと探させていただきたいと存じます。
○委員長(中村太郎君) 清水君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 —————・————— 午後一時一分開会 〔理事井上吉夫君委員長席に着く〕
○理事(井上吉夫君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、清水澄子君の質疑を行います。清水君。
○清水澄子君 先ほどのお尋ねしたことについて、ぜひ関係者からお答えください。
○政府委員(村田直昭君) 防衛庁から内閣官房に提出しておる資料は、先ほど申しましたように六十九点ございます。この六十九点の資料は非常に種々雑多なものがございまして、かつ先生がいろいろ言われました慰安所の数あるいは地域的広がり、年齢層あるいはそういうようなことについてそれぞれの資料に全部入っておるわけではございませんで、一部入っておるということでございまして、全体をまとめて統計的に出すということはなかなか難しいというのが現状でございます。例えば年齢というようなことにつきましても、年齢が載っている資料というのは幾つかございますけれども、それは例えば検査をしたときの年齢であるとかそういうことでございまして、それを一般に推しはかるというわけにはなかなかいかないというようなことでございますので、その点御理解をいただきたいと思います。
○清水澄子君 年齢層は入っていますから、何歳ぐらいまであったと言ってくださったらいいんです。ちょっとお昼に打ち合わせしましたので、どうぞその持っていらっしゃる資料の中でわかる範囲で、年齢層はどうだったとか、目的、原因はどうであったとか、先ほど打ち合わせしましたので、その点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(村田直昭君) ただいまのお答えを繰り返すようになるわけでございますが、年齢層が載っている資料というのは私の見たところでは二つほどございますが、それは受診をしたといいますか、検査をしたときのそれぞれの女性の年齢であるというふうに承知しておりますけれども、それをもって全体の年齢というものを推しはかるわけにもいかないわけでございまして、六十九点のうちに数点載っておるということでございまして、御理解をいただきたいと思います。
○政府委員(有馬龍夫君) 私が御紹介するのが適切かどうかわかりませんけれども、先ほどの御質問を私伺っておりまして、それに従ってお話しいたします。 例えば募集につきましては、「不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少カラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於テ統制シ」云々といったのがございます。 それから、経営の実情、これも例えばでございますけれども、先ほどの昼の御要請がございましたので申し上げますと、例えば「外出日及時間左ノ如シ 兵 日曜日トシ十二時ヨリ十八時迄トス 下士官水曜日トシ十二時ヨリ日夕点呼迄トス 営外者ニ関シテハ規定セズ」云々というのがございまして、そのほか、これには料金が載っております。 それから、目的でございますけれども、例えば一つに「而シテ諸情報ニヨルニ斯ノ如キ強烈ナル反日意識ヲ激成セシメシ原因ハ各地ニ於ケル日本軍人ノ強姦事件カ全般ニ伝播シ実ニ予想外ノ深刻ナル反日感情ヲ醸成セルニ在リト謂フ」、この部分を紹介するようにという御示唆があって、それからさらに、「右ノ如ク軍人個人ノ行為ヲ厳重取締ルト共ニ」云々とございまして、「性的慰安ノ設備ヲ整へ設備ノ無キタメ不本意乍ラ禁ヲ侵ス者ナガラシムルヲ緊要トス」というのがございます。 それから、輸送につきましては、いろいろございますけれども、例えば「娯楽所洲崎ヨリ二十六名、吉原ヨリ十五名、業者ニ於テ準備シアリ、十五日頃出帆ノ芝園丸ニテ輸送ノ予定ナリ、人員ノ数差支ナキヤ」請う返事、というのがございます。同じく、送れということでは、慰安婦を送ってくれといった要請の電報等がございます。 それから、年齢につきましては、先ほど防衛庁の官房長が申しておりましたように、いろいろな場合がいろいろな場所に掲げられております。
○清水澄子君 年齢はいろいろな場所にいろいろな層がありますということでわかるでしょうか。私が見ましたところは、非常にお答えしにくいらしいので、二十歳から三十歳でありましたけれども、中には十五歳、十六歳の女性も見られました。ですから、そのことは何も集められた資料の中でその実態はどうだったかということをお伺いしているわけですから、余りそういうふうに事実を隠されないでお答えいただきたいと思います。 次に、さっき経営の中で料金を伺いませんでしたけれども、それはどのように定められていたか、そしてその代価は本当に払われたのかどうかということですね。それから、出身地から移動したわけですから、出身地にどういうふうに帰したのか、帰還業務はどこの機関が担当したか、この点をお答えいただきたいと思います。
○政府委員(有馬龍夫君) 料金につきましては、支払っていたのかどうかというのはわかりませんけれども、支払っていたんだろうと思います。 それから、出身地に輸送した、帰したという資料がございます。これは昭和二十年九月の資料でございますけれども、「信濃丸 鮮人三千五百搭載 室蘭十日発 釜山十四日着 鮮人揚陸 十五日発」という記載がございます。
○清水澄子君 料金は支払ったと思いますとおっしゃっていますけれども、私は実際に元慰安婦を名のり出られた方の九人にお会いしました。そういう中で軍票も代金も一銭ももらっていないという人たちが非常に多かったんです。ですから、やはりもっと事実というものをいろんな形で調査をしていただきたいと思います。 次に、指揮命令者ですね、それは防衛庁に集まっている資料の中からはどういう方の名前がありましたか、お知らせください。
○政府委員(村田直昭君) 先生のお尋ねの指揮命令権者というのがどういう趣旨で御質問になっているか定かではございませんけれども、先生の御指摘の文書が仮に私どもが提出しているものの一番であるということであるならば、その決裁者は大臣の委任を受けて次官が決裁をしておるというような文書もございます。ただし、それが指揮命令権者であるかどうかということについては、何分この資料だけからは読み取れないんではないかなという感じでございます。
○清水澄子君 非常に皆さん本当にはっきりおっしゃらないんです。資料というのは過去のことですから、資料はあくまで資料だと思います。その中で私が見たのは、やはり軍司令官東久邇稔彦とはっきり書いてあります。それから、参謀総長梅津美治郎、陸軍大臣東条英機、はっきり書いてあるものははっきり、やっぱり私たちはそういう過去を、事実は明確に資料の中から明らかにして、全体をつかみながら私たちへの今後の大きな教訓にしていかなきゃいけない、そういうつもりでお尋ねしているのですけれども、もう一度お答えいただきたい。そういう最高指揮官の名前で、だれがその資料の中に出ていたかということをお答えください。
○政府委員(村田直昭君) お答えいたします。 今先生が読み上げられた文書、ちょっと今私見ておりますのは、先ほど次官が決裁にたっておる「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」につきましては、次官の梅津という判こが押してありますので、梅津次官が決裁をされたものと考えております。 なお、はっきり資料でということでございまして、私どもとしては六十九件の資料を既に御提出しておりますので、ここに書いてあると言っていただくとぱっとわかるのでございますが、何せ厚い資料でございますので、何も私どもこれを隠しておるわけでも何でもないので、ここに出してあるわけでございますから、そういうふうに言っていただければ、そこの部分はまた御回答をいたしたいと思います。
○清水澄子君 実は沖縄の報告を読みますと、陣地内に慰安所をつくっております。慰安婦というのは非戦闘員であると思いますけれども、そういう戦場の中にそういう非戦闘員をとどめるということは当時のハーグ陸戦法規にも違反しているのではないかと思いますが、この事実を政府はどうお考えになりますか。
○政府委員(柳井俊二君) 事実関係を確認いたしませんと、戦時法規に違反するかどうかということの判断はなかなか難しいわけでございますが、いずれにいたしましても、基本的には民間人に対して人道的な取り扱いをすべしということは戦時法規の基本にあった考え方であろうと思います。 ただ、いわゆる文民の保護に関しましては、これは先生も御承知のとおり、第二次大戦前におきましては必ずしも戦時法規の規定が明確でございませんで、これはむしろ一九四九年のジュネーブ条約、四つの条約がございますが、その中でいわゆる文民の保護に関する条約というところで初めて集大成されたというものでございます。
○清水澄子君 次に、名簿についてですけれども、あの資料を見まして、あれほど明確に各部隊の支隊まで、末端にまで何人と名前も全部名簿がございます。そういうことになれば、非常に名簿というのがはっきりしていたのではないかと思うわけですが、朝鮮での強制的に徴募した際の名簿というものは残っているのでしょうか。 そしてもう一つは、慰安所の設置場所で憲兵隊がきちんと名簿を作成しているという報告が出てまいります。それは、性病を予防し管理するために非常に厳重な管理をしているために逆に名簿は明らかであったと思いますけれども、その点いかがですか。
○政府委員(村田直昭君) その全体の名簿がどのように管理されておったかということは、私どもが持っている防衛研究所の資料だけではわからないわけでございまして、それについてはさらにいろいろな方法で調べるということが必要じゃなかろうかと思いますけれども、私どもああいう報告書というか、昔の旧公文書等だけでなかなかわからないのではないか、事実私は承知しておりません。
○清水澄子君 ぜひそれは、今後の調査の中で具体的にお調べいただきたいと思います。 それは、あの日韓条約協定のときの特別委員でありました自民党の荒松代議士が、同じく一九六五年の十一月二十日に秩父の地元の厚生会館で行った演説が雑誌にずっと載っているわけですけれども、その中に日本の軍隊が朝鮮慰安婦十四万二千人をやり殺したという、こういう話が出てまいります。非常に具体的な数字でございますが、よくこの慰安婦は十三万から二十万と言われているわけですけれども、当時、日韓条約協定特別委員の方であり、その翌年は運輸大臣になっていらっしゃる非常に政治的にも地位の高い方がこういう発言をしておられるわけですから、政府はこれを裏づけるような資料をお持ちであったのではないだろうかと思いますが、これについての当時の調査があったのでしょうか。もしないとすれば、今後調査をしていただくということをお願いいたします。
○政府委員(有馬龍夫君) 先般来官房長官がおっしゃっておられますように、見つかり得る資料は全部探そうということで、今調査を続けているところでございます。
○清水澄子君 じゃ、ぜひその名簿についても御調査いただきたいと思います。 いろんな記録によりますと、慰安婦の大半は朝鮮の若い女性たちですけれども、なぜ朝鮮の女性が選ばれたのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(有馬龍夫君) 構成の比率等は正確にわかっておりません。
○清水澄子君 それでは、どこの国の女性が資料の中から出てきたか、国別に御報告ください。
○政府委員(村田直昭君) 資料に基づいて、この資料からそういうのが出てきたものとしましては、朝鮮の方、それから台湾の方、それから半島の方と書いてあるのもあるんですが、等でございます。
○清水澄子君 またごまかされます。中国ともありましたし、フィリピンというのもあります。いろいろあるわけです。ですから、そういうお尋ねをしたときにはあくまでも資料に忠実にお答えいただきたいと思います。 次に、朝鮮で若い女性たちを強制的に集めた、その場合の募集方法というのを明らかにしてください。そして、そのときに日本軍、警察が多数動員されておりますけれども、それらを動員するための法的根拠は何であったのかお聞かせください。
○政府委員(有馬龍夫君) 募集の実態についての資料は見つかっておりません。それから、法的な根拠というものもわかっておりません。
○清水澄子君 私はきょう、朝鮮女性を強制的に駆り出す役割を果たした元山口県労務報国会動員部長だった方を、こちらでその実態をお聞きしたいと思って参考人として要請しましたけれども、それが実現しなかったことは非常に残念です。 私たちはみずからの過去の歴史というものについて、みんなが本当に謙虚に事実を認識するということが大事だと思うわけですが、これまで質問した中では、本当にこれが実態調査、鋭意調査をしているという中身であろうか。全体像はおぼろげにわかりましたけれども、今までの資料の中でも、私たち素人がやってももっと正確なある程度の全体像が出てまいります。そういうものを今後も徹底して調査をしていただきたい、これでは調査だと言えないと私は思うわけです。 そこで、私は官房長官にお尋ねしますけれども、今お答えいただきました事実から、従軍慰安婦というのはやはりかつてのいわゆる帝国政府及び軍当局が戦争を遂行するための手段として、日本軍の軍人、兵士に性的慰安、これは旧軍隊が使っている言葉ですけれども、そういう性的慰安を与えるために朝鮮の女性を駆り出したものと見られますが、政府はこの事実をお認めになりますね。
○国務大臣(加藤紘一君) 政府が集めました資料につきましては、それが明確になったものから今先生のお手元にあるように公表いたしたりしておるわけでございますけれども、累次御答弁申し上げておりますように、いわゆる朝鮮半島出身の慰安婦の問題につきましては、かつての日本軍が何らかの形で関与していたということは確かなことのように思います。したがいまして、その旨政府としても従来からお答えいたしておりますし、またそういう認識を今も持っております。
○清水澄子君 宮澤総理はことしの一月に訪韓されました際に、従軍慰安婦について実に心の痛むことであり、まことに申しわけないと謝罪されております。そうして盧泰愚大統領からは、徹底した真相究明と、そしてしかるべき措置を要求されたという報道を私どもは見ておりますけれども、これまでの政府の調査されました事実、その報告に基づいて、総理は今後この謝罪の内容をどう具体化されようとしていらっしゃるのか、その考え方をお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどからお聞き取りのとおり、たお誠心誠意調査を継続して、事実関係を究明いたしたいと思っております。 それから、御承知のように、この問題につきまして訴訟が係属をいたしております。その訴訟の行方を見守ってまいりたいと今考えております。
○清水澄子君 訴訟というのはこれは別の問題です。今私たちがみずからの過去の歴史をこの国会においてどういうふうに認識するのか、そしてどうこれを解決していくのかというのは総理御自身の課題であり、責任であり、全国民の課題だと思っております。そういう裁判を見守るというのは第三者的な発言で許せないと思いますが、もう一度御自身のお考えをお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 裁判を見守るというのは第三者的発言ではございません。訴えられておるのは国でございます。国と国との関連におきましては、これは御承知のように既に解決がついております。
○清水澄子君 じゃ、そのまま裁判がどうなるかを見守るだけで、今すぐ救済をしなければならない人々のことについては何ら考えないというこ」とになりますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 裁判の結果を見守って考えなければならない問題だ、こう申し上げておるわけでございます。
○清水澄子君 外務大臣、私どもはいろいろ新聞等でお見受けしているわけですけれども、衆議院の方でもこの問題が論議されて、非常に前向きな発言をされていらっしゃるわけですけれども、補償の必要性は考えていらっしゃるでしょうか。そのしかるべき措置というのはどういう方法で、何らかの誠意を示さなきゃならないという点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、この問題は法律論争を幾らやっておっても、これはもう平行線である、補償問題はこれは請求権は放棄、これは両国政府は取り合わない、したがって国際法上は決着済み、これが政府の基本的立場だろうと思います。 しかしながら、現実の政治問題として、そういうような慰安婦問題というのが新しく出てきて、それで非常な悲惨なことではあるが、戦争というものは常にそういうものがつきもので、殺された人もあれば、まことに残念なことだが、片手をとられたとか傷ついた人とかいろいろある。しかしながら、そういう方々には、軍人軍属の場合は相手国政府が何らかの措置をとってありますと。たまたま同じ従軍という名のもとで強制的に連れていかれたのかどうか実態よくわかりませんが、軍が関与をして、そういうような今いろいろお話があったようないきさつの中で慰安所というものがあった、従軍をしてきた人もいた。これもいろいろ本当に何といいますか、先ほど日本の吉原がどうとかこうとかという読み上げた中にもありましたが、当時は売春防止法もありませんから、そういうようなところから連れていかれた方とそうでない方があるいはあるのかもしらぬ。それらは実態を見なければよくわからないんです、実際のところが。 しかし、これは何か解決をしたければ、政治問題になっていることは事実ですから、事実は事実、しかし個々にやるといってもこれもまた非常に難しい問題だと私は思います。人を特定するということが非常に困難。じゃ三人とか五人とかという訴え出た人はそれはわかるかもしらぬけれども、それ以外の人は、訴えたい人はわからないからいいということにはなかなかこれはもう難しい問題だなと。だから何とか実態をまずきちっとつかんだ上で、何か慰安といいますか慰霊といいますか、何かおわびのしるしというか、そういうことは何か考えなければなるまいたという感じですかねという話を衆議院でしたんです。 それには、まず実態がわからぬことには手の打ちようがありませんので、できるだけ真実に基づいた実態を把握していただきたい。官房が中心になって今実態をいろいろ把握するために非常に御苦労をなさっているというのが実情でありますから、もう急に、一週間置きに言われたってそんなに事態はどんどんどんどんはっきりわかるわけじゃないんですよ。やっぱりそれは毎日のように言われているわけです、別な人から。だから、同じ話になっちゃうんです。ある一定の時間を置いた後で実態が解明すれば、そのときまでにはまたどういうふうな考えが出てくるか、もし少し調べさせていただきたいということを申し上げておる次第でございます。
○清水澄子君 実態というのがもっときちんと調べないと、今のさっきの状況では非常に部分的だと思います。この機会に総合的にやはり問題を明らかにしていく、そういう中でその次のいろんな対策が出るんだと思いますから、その点では私はやはりここで特にこれからの調査についてぜひお願いをしたいわけですけれども、これまでの調査の仕方は非常に不十分だと思います。 それから、旧朝鮮総督府関係の資料とか旧内務省関係の資料、憲兵隊関係の資料などがまだ調査をされておりません。 そしてまた、きょう参考人としてお願いをした元山口県労務報国会動員部長の吉田清治さんなどは、本当に非常に具体的な体験を持っていらっしゃるわけです。それからまた、今名のり出ている元従軍慰安婦の方々からの事実関係というのは参考になります。その方々の話を聞きますと、まるで私どもは慰安婦という仕事だけかなと思っていましたけれども、お伺いしますと看護婦の仕事もさせられた、しかも赤十字の帽子をつけて、それをかぶらされて一カ月間いろんな訓練を受けて看護婦もやらされたという報告も聞いております。ですから、そういう実際に体験した方から事実関係のヒアリングを私は積極的に行っていく、そういう姿勢がなければ本当の実態は解明できないと思うわけです。 ですから、ぜひ今後の調査の中で、この従軍慰安婦や強制連行に関する政府所管資料をもっと全面的に調査され、体験者からもお話を聞かれて、そしてその資料を全面的に私は公開をしていただきたいと思いますし、またこの事実関係を徹底的に明らかにしていく、そういう真剣な取り組みに努力した上で、私は被害者の心に届くような謝罪とそして補償、救済措置を講じてほしいと思いますけれども、官房長官はその責任者ですが、その御決意いかがでございますか。
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど外務大臣から御答弁いただいたとおりでございます。 まず、事実関係を誠心誠意調べていかなければならないと思っております。そしてまた法的措置の問題、補償の問題は、総理大臣が申されましたように、これは法的には決着済みですが、しかしそれは訴権を害するものではありませんから、それの訴訟の成り行きを見ていかなければならない。しかし同時に我々は、この間総理の訪韓によって謝罪の気持ちをあらわしたわけでございますし、また当時の方々の筆舌に尽くしがたい辛苦というものを考えれば何らかの措置というものを考えられないか、そういう骨組みで考えていきたいと思っております。そのためにも当時の事情がどうであったのか、そしてそれにかわる何らかの措置というものをどう考えていったらいいのか、それについて真剣に検討していきたいと思っております。
○清水澄子君 非常にまだ安易な姿勢がありありと出ていると思います。 当時の実態がどうだったのかなんていうのはもう随分、私なんかは防衛庁のあの資料を見るだけでも本当に自分が読むのも恥ずかしいような状況が出ているし、今度逆にそういう対応を受けた朝鮮の女性たちやいろんな国の女性たちの人権とかその人たちの人生を考えたとき、本当に自分が日本人であるということについて恥ずかしいと思うようなところがいっぱいあるわけです。 ですから、もっと真剣に御調査をいただきたいと思いますけれども、こういうものを調査するときに、大蔵大臣、その費用とか人数が必要だと思いますけれども、そういう予算を計上されているのでしょうか。そして、そういう心づもりはございますでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 今それぞれ御報告、まだ全部が整っていないということで包括的な御報告ができないということだろうと思っておりますけれども、現在調査はそれぞれの役所の中で鋭意進められておるということで、そこに予算上の問題があるということは私ども承っておりません。 〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
○清水澄子君 予算上は必要ない、そうですか。防衛庁の皆さん方は、それこそ残業で大変だということを言っておられました。ですから、わずかの期間だけでもそういう状態で、やはり本当に徹底的に調査するには当然予算が伴うと思いますので、その点はぜひ御検討いただきたいと思います。 次に、今ジュネーブで開かれております国連人権委員会で、NGOの国際教育開発協会の代表の方が、二月十七日にこの慰安婦問題を取り上げておりますし、それから二月二十五日には、韓国の女性団体が国連人権委員会にこの問題について申し立てをしております。また、今韓国内での従軍慰安婦の申告されている数が三月二日現在で百九十四人申告をされております。元慰安婦という方は六十八人、勤労挺身隊という方が八十六人、行方不明が四十人という、これは三月二日の数字ですけれども、こういうふうにまだ韓国の中でだんだん広がりが出てまいります。 そこに加えて、今度台湾からやはり私は女性団体の訪問を受けたわけですが、そしてここに慰安婦の「慰」を入れ墨されたという女性にも会っているわけですけれども、そういう台湾、フィリピンの女性団体も今共同して国連人権委員会に提起をするという動きが出ているわけでございます。今や従軍慰安婦問題というのは、韓国、朝鮮との外交問題だけではなくなりつつある。世界は今、日本がさきの戦争で犯した、そしていまだに償おうとしない戦争と植民地支配の被害者、特に慰安婦にされた女性への深刻な生命と人権の侵害に対してみんなが注目をしております。 総理は、国際的な女性の人権問題に発展をしてきた従軍慰安婦問題をどう見ておられるのか、先ほどのお考えで私は国際的に通用しなくなるんじゃないか、このことを心配しておりますけれども、どうぞ御見解をお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 事は、戦争という避けなければならない争いによって実は生じたことでございます。まことに残念なことであったと思います。平時に起こり得べきことでないのでございますが、戦争ということに伴って五十年近く前にそういうことがあったということは大変に残念なことだ、そういう意味では関係方面に私は遺憾の意を表しておるわけでございます。
○清水澄子君 外務大臣も国連人権外交の立場から、この問題にどう対応していかれるかお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今、総理がお答えになりましたように、戦争というのは本当に悲惨な残虐な非道徳的な結果を生む、だから二度と再び起こしてはならないということであります。当然戦争は戦闘員同士が戦うというのが現実であって、しかも捕虜になった人はこういう待遇を受けるとかどうとかいろいろ国際の規約、条約等があるのでございますが、しかし戦争になりますと無差別な爆撃をしたりいろんなことがあって、この問のイラクでも何でもあるんですよ。小さな子供さんや何かは全く罪もとがも何にもないわけですから、そういう者がみんな巻き添えを食って、傷ついたり殺されたり、残虐なことが他にもたくさん実はあるんです。ですから、もう基本的にはそういうことをやらないということを我々は強く知っていかなきゃならない。 ただ、法律上、いろんなことがあって、決まりがあって、はっきりしているものにはそれなりの補償はしておりますが、しかしながら全部の人に、戦争で被害を与えた人の個人個人の補償というようなものは言うべくしてこれは不可能、できないことであります。したがって、どこかで一応線を引いてきておるというのが今までの世界各国の取り扱いであります。 しかしながら、特別な問題についてはどうするかというようなことは、どこで線を引くのかも含めまして、今の慰安婦の問題も、それじゃ日本から行った人はどうするんだという話にすぐこれはなってくるわけでございます。これは、じゃ日本人はいなかったのかというと、資料を見ますると、十対五とか六とか、場所によって多少はみんな違うわけです。しかし、圧倒的にやはり日本の人が多かった地域が多い。これも事実のようであります、私は部分しか見ておりませんからわかりませんが。そういうものも含めまして私は真剣に検討をしていかなきゃならぬ、そう思っております。
○清水澄子君 時間がなくて論争できませんけれども、日本人の女性を慰安婦にしたことにも私は非常に大きな問題があると思っております。しかし、朝鮮の女性たちにはさらに植民地支配という、そういうやはり民族的な支配と差別があったという、この問題は私たちはやっぱり反省しなきゃいけないと思うわけですね。それが、何か戦争一般論でこのお話をしていらっしゃるところに、私は、この問題の深刻な取り組みなり事態の受けとめ方がやっぱり弱いんじゃないかと非常に心配をしております。 もう時間がございませんので、次にお尋ねいたしますけれども、それでは、この日韓条約の請求権協定ですね、そういう中でこの従軍慰安婦の補償問題というのはもうすべて解決されていたものなのか、どうなんでしょうか。
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。 結論的に申し上げますと、この昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定のもとで、御承知のとおり、日韓両国間の請求権の問題は完全かつ最終的に解決したということが、この協定の第二条第一項に結論的に書かれているわけでございます。詳細につきましては、御承知のことと存じますが、この協定のもとで一方においては経済協力を行い、これと並行して請求権の問題は一切解決したということになったわけでございます。 その方法につきましては、必要あればまた詳しく御説明したいと思います。
○清水澄子君 非常に矛盾だと思います。つい最近まではそういう事実はなかったとおっしゃっておられて、どうして一九六五年にこの問題は終わっていたのでしょうか。その関係をお話しください。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま、最近までそういう事実はなかったとおっしゃいましたことの意味を私は必ずしも十分に理解いたしませんでしたけれども、いずれにいたしましても、この請求権の問題は当時の日韓間の長い交渉の中でいろいろ討議をされまして、当初は一件一件の請求の事実を積み上げてそれを検討して、それに補償をするというような方法がとれないものかということで議論があったわけでございます。 しかし、当時、もう既に戦後相当の時日を経ておりますし、またさらには朝鮮動乱という大変大きな事件が介在いたしましたために、その裏づけになる資料、事実関係等が明らかでたかった。また、双方の法律的な考え方につきましても非常に大きな懸隔があったということで、結論的には、一方において経済協力を行い、一方においてはこの請求権の問題は一括解決するということでこの協定ができたわけでございます。 したがいまして、私どもが今までいろいろな機会に御説明申し上げておりますことと先ほど申し上げたこととの間に別に矛盾はないと思います。
○清水澄子君 矛盾があります。矛盾がなければもう何にもしなくていいわけなんですね、法的にもすべてそれが完結しているならば。そうじゃないんだと思います。 次に、じゃ、日韓条約のこの請求権協定の中から外れているものは何なんですか。
○政府委員(柳井俊二君) 結論から申し上げれば、外れているものはございません。日韓両国間におきましては、請求権の問題はこの協定をもって最終かつ完全に解決したということでございます。
○清水澄子君 では、北朝鮮の人たちは外れて、この中に含まれないのですね。そして、サハリン残留の韓国人の財産とか請求権補償、在日の人たちもみんなこれは含まれていないということですか。
○政府委員(柳井俊二君) 先ほど申し上げましたことは日韓両国間においては外れているものはないということでございまして、北朝鮮との関係におきましては、まさに現在国交正常化の中でこういう問題を含めて協議を行っているということでございます。 なお、サハリンの関係につきましては、この日韓の協定は韓国人という、すなわち韓国の国籍ということで個人の方々をとらえておりますので、もしサハリンに韓国籍の方がおられれば、それはこの協定の対象になるということでございます。ただ、私の承知している限り、サハリンにおられる半島系の方々は、恐らく大部分は北朝鮮の国籍をお持ちであるか、あるいはソ連、現在はロシアでございますが、の国籍をお取りになったか、あるいは無国籍の方もあるというふうに聞いております。
○清水澄子君 それでは、しかし、日韓条約のこの協定第二条一項でいう財産、請求権というのは、そしてこれが完全に解決されたとおっしゃっているのは、これはいつもおっしゃるように日韓両国の外交保護権の問題であって、両国民の個人が持っている権利というものはいかなる理由があろうとも国家が消滅させることはできないということは、これは確認ができると思いますが、いかがですか。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の問題につきましては、以前にも先生にお答え申し上げたことがございますが、ただいまおっしゃいましたとおり、いわゆる請求権放棄というものは、条約上の問題について申し上げますれば、まさに御指摘のとおり、外交保護権を放棄したということでございまして、この条約をもって個人の権利を国内法的な意味で直接消滅させたというものではないわけでございます。 ただ、若干補足させていただきますと、この請求権・経済協力協定の第二条の三項に具体的な請求権処理の規定があるわけでございますが、ここでは二万の締約国及びその国民の財産、権利及び利益」、その後はちょっと長くなりますから飛ばしますが、「に対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権」については「いかたる主張もすることができない」という形でいわゆる外交保護権の放棄というものをやっているわけでございます。国については自分の権利を放棄するということでございます。そこで、ここで「財産、権利及び利益」と言っておりますのは、この合意議事録の方で確認しておりますように、「「財産、権利及び利益」とは、法律上の根拠に基づき財産的価値を認められるすべての種類の実体的権利をいう」というふうに決められているわけでございます。 したがいまして、いわゆる従軍慰安婦の請求の問題というのはこのような実体的な権利というものではないわけでございますが、法律上の根拠のある財産的な、実体的な権利というものにつきましては、我が国においては、昭和四十年当時国内法を制定いたしまして、韓国の方々のこのような実体的な権利についてはこれを消滅させたという経過があるわけでございます。
○委員長(中村太郎君) 以上で清水君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、白浜一良君の質疑を行います。白浜君。
○白浜一良君 午前中も審議されておりましたが、外務大臣、第一回のコズイレフ外相との会談を終えられまして率直な感想を伺いたいわけです。午前中は三条約の確認、それから条約を破らないこと、我が国の基本的なお考えを述べられました。しかし、北方領土の返還または日ロ平和条約の締結、これは具体化せにゃいかぬわけでございますが、交渉に第一回目当たられまして、率直な感想をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは長話は御無用と思いますが、日ロの関係では、日本は政経不可分、北方四島の一括即時返還、それがたければ平和条約は結べない、向こうはそういうようなことは聞く耳を持たぬと、そういう言葉じゃないが、結局結果はそういうことです。もう既に決着済み、領土問題はないということで四十何年間これをやってきているわけですから、全然お互いに進まない。そこで、ゴルバチョフ大統領が去年の四月に来られたときに、解決しなければならない問題として北方四島の問題があるというところまでは認めたわけです。しかしながら、ゴルバチョフ大統領は五六年の共同声明の確認ということには至ってないんです。既にチャンスを失ったとかいって日本から帰ってソ連の最高会議で演説しているわけですから、直ちに。だから認めてないということです。 先ほどの話に戻るが、そのように結ばれた条約が恣意的にしょっちゅう認めるとか認めないとかとやられたのでは、これから新しい条約をつくっても、また都合が悪くなったら認めたいと言われたのでは全く意味のないことでありますので、我々は、エリツィン政権が共産主義というものは捨てる、今までやってきたことは間違いだった、だからそういうことで全体主義、共産主義、そういうものはやめちゃう、共産党は解体という中で法と正義ということを言い出したわけですから、それでは法と正義でいきましょうと、それならば必ず接点があるはずであるということで、それで会談を始めておるわけであります。 ロシア側にも何とか一日も早く平和条約を結びたいという気持ちもございますし、我が方もずく隣の国で四十何年間も条約なしでいるというようなことは困るし、ましてや冷戦終結ということになって、軍備問題いろいろ問題がございますから、なるべく安定した国家関係を結びたいという気持ちは皆さん持っていらっしゃる。ですから、必ず接点はあるはずだということで、原則論から始まっているんだ問題について腹蔵のたい実は意見を言い合っておるわけです。 その中で一致しておるものは、部分部分いろいろ出ていますから、その都度記者ブリーフで発表しておりますからニュースになっております。しかし、基本的な一番中心になる問題、これが解決すれば、一遍にどっと解決するんですから、そこはそう簡単に、向こうも立場がございますし、国内世論の問題、議会の問題、いろいろありますから、極めて慎重ではあるということなんです。したがって四十五年間未解決のものがここで一挙に、もう半年、一年でどどどっと解決しなくとも、それはそうなるはずもない。だけれども、近寄っていかなきゃいげないということで確実に近づきつつあることは事実。どこのところがどうだと言われても、それは細かい問題を一つ一つ解決しているわけですから、核心部分だけがだんだん残ってくるような形になっている。これは根気強くあきらめないで悲観もしたいで、しかし主張すべきところはちゃんと主張しなきゃなりません。そういうことでやっていきたいというのが今の心境でございます。 応答内容すべてについて、これは表に発表すべきものではありませんので、それはある時期までは発表はできません。しかし、そういうことで交渉しているということは御報告申し上げます。
○白浜一良君 午前中の答弁でも外務大臣おっしゃっておりましたが、もう既に具体論を詰めていく段階だということで、今も個々にはお話しされているということでございました。 そういうことで、総理も先日、ロシアの新聞のインタビューで、四島返還が確認された場合には返還の具体的な方法、時期、条件などの点で柔軟に対処する、こういうふうにお述べになったと伺っております。また、先月ですか、北方領土に住んでいらっしゃるロシア人の問題、これをどうするのかという具体的な問題がございます。永住権の問題、仕事の問題があるわけで、もうそろそろ、今言ったように、一気にばあっと解決するというのは先ほど外務大臣おっしゃったように、議会の問題もございます、世論の問題もございます。だから、交流を深めて、具体的に返還されるような条件を着実に積み重ねていくということが非常に大事だと思うんです。そういう具体的な各論、具体論の段階に来ている、そういうふうに思うわけでございますが、総理のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私とエリツィン大統領が会いましたのは一月の終わりでございましたが、二月の十日過ぎに事務当局間の第一回の会合、これは斉藤外務審議官とクナーゼ外務次官でございましたが、モスクワでございました。そういう事務のルートが一つ敷かれております。このたび渡辺外務大臣とコズイレフ外相とのお話し合いがあって、今外務大臣の言われましたような基本的な我が国の立場、また先方の考え方の往復があったと。そういう中からさらに話が先へ進んでいく、恐らく外務大臣間の会談というものはまた続いて行われるのであろうと想像いたしますし、また事務当局間の会議もそれと並行で行われていくのでありましょうと思いますが、そういう中で少しずつ原則論から具体的な話に入っていけることを我々としては希望いたしておりますし、また外務大臣もそのように御努力をしていらっしゃるところでございます。
○白浜一良君 そうしたら外務大臣、今回コズイレフ外相との会談があるわけです。九月のエリツィン大統領が来られるまでの日程でございますが、これからどういう平和条約並びに北方領土返還を絡めた打ち合わせの作業日程がございますのか。また、具体的に外務大臣、いつごろ訪日、ロシアに行かれる御予定か、その辺の見解ありましたら伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 既に作業グループも発足させて、そういうふうな段取りはいろいろやっておるんです。正式に日ロの平和条約として会談をしたのは初めてということでございますから、向こうからの言い分も聞き、こちらの話もして、違っているところはどことどこが違っているかということははっきりしてきましたから、一応私どもの言い分を持ち帰って、どこまでのめるのかエリツィン大統領と話をしてもらわなければ、向こうは絶対的な権限を持っているわけですから。 そうすると、私は五日十日である程度の線が出てくるとは思えませんので、まあ早くても一カ月かな。そうすると、国会がありますから連休しかないなと。大体連休の日取りを言いまして、後は大統領の都合も聞いてもらわなきゃなりませんので、外務大臣は結構ですと、大統領が何とおっしゃるか帰ってから御返事しますということなので、日取りは決まっていませんが、連休中に私が訪ソをしてさらにそれを詰めるということで、そこから先はまたどうするか、そこの段階で決めようということです。
○白浜一良君 それと、御存じのように今ロシアでいわゆる憲法草案を起草されておると聞いておりますが、そこでさっきも出てきたのは国土割譲という問題です。これはやはり国民投票をしなきゃならないという、こういう案もございました。しかし、新たにいわゆる国土の修正画定というんですか、そういう概念で、それは世論を尊重しつつという少し違ったニュアンスですね。これは二つの概念、こういう新しい概念も今新しいロシア憲法の草案に入っている、こう報道されているわけでございますが、そういう国土割譲と国土の画定という問題、違う概念を出してきているというこのロシアの動きに対して、何か日本の政府として見解がございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは法律上の問題でありますが、もともとこれは日本のものであるということが認められれば割譲でも何でもないわけですね。ですから、もともと日本のものであると認めるかどうかという、そこで大きく違いが出てくると私は思います。また、ソ連の国民はもともとソ連のものだということを教わってきたし、今ロシアに変わったからといって急に頭の切りかえがみんなつくわけじゃありませんから、指導部は切りかえが多少ついても国民はそうつくわけじゃない。 そこで、一つだけはっきりしているのは、要するにお互いに中央の古文書館にいろんな資料がありますから、両方でそういう客観的にお互いに認められる資料、材料を持ち寄ってこれを表に発表する、そしてPR用に両方使うと。それはエリツィン大統領が来られるころまでにはパンフレットとかなんかでだっと両国に出せるように、そういうようにしよう、これは大体合意しているんです。 ですから、そういうことで客観的に事実関係を知らなければ世論、世論と言ったって正しい情報が与えられなければ、曲がった情報なら曲がった世論しかできないわけですから。だから、何が正しいのか、客観的なもの、だれが見ても動かしがたい、そういうものをお互い持ち寄って、合意したらそれを表へ出していこうと、どんどんどんどん。これは私は前進だと思うんですよ。だから、そういうことも含めて並行的にやっていかなきゃならぬ、そう思っております。
○白浜一良君 私はそれを具体的に提案しようと思ったんですが、いずれにしても国土割譲という概念であろうが画定という概念であろうが、今大臣おっしゃったように世論の支持がたければこれはいかんともしがたいわけでございます。ですから今おっしゃったように、やっぱりロシア政府とも協力して事実関係というか、そういうものを国民に告知する、PRする必要があるんで、日本政府も財政的にも援助されて、今パンフレットというお話がございました、具体的に。あと、できたらテレビなんかも使って積極的に私は共通できる範囲でロシア国民に対するいわゆるPR、啓蒙活動をやっていただきたい。具体的に私は今提案をするつもりでございましたが、もう一度お願いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのような考え方に沿ってやっていきたいと思っています。
○白浜一良君 もう一点は、いわゆる経済支援の問題なんでございます。これ、政経不可分ということでなかなか難しい面もございますが、実際、緊急の支援体制、政府も決められましたが、輸銀融資などの決められた枠で申し上げますと、非常に進捗が芳しくない、このように伺っているわけでございます。今後、CISになりましたけれども、どのように支援を促進されていくのか、まず基本的な考え方を伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 確かに輸銀の融資が動かなかったということは事実です。これはいろいろ原因があるようでして、聞いてみると向こうの責任者がだれだかわからないと、だれがサインしていいのか。責任者がわからないでサインもないところへ金を持っていくわけにもいきませんからね、これ。それはもう大混乱をしているわけですから、どこの権限がどこに及ぶかという、ようなこと。 だから、だんだんに日がたって、ロシアの内部でこの権限はここ、この権限はここ、だれがここと、だんだん決まってきているんです。ですから、それが決まってこなければ幾ら言ったって使いようがないんですよ。それからまた、細かい問題で、利息が今までのやつがどうとかこうとか、いっぱいいろいろなことがある、実務的には。そういうものがだんだん詰まってきて、これは少しずつ動き出し始まっているというように私は報告を受けております。 委細については担当者からひとつ説明をしていただきます。
○政府委員(兵藤長雄君) お答えいたします。 大臣が御答弁申し上げた輸銀融資の件は、緊急食糧・医療援助としてさしあたり問題になっておりますのは、一昨年の暮れに日本政府として決定をいたしました一億ドルの融資の問題でございます。一億ドルの融資の問題は、大臣先ほど御答弁ございましたように、一つの大きな問題は向こうの責任者、主として一番大きな問題は債務の保証をだれが行うのかという問題でございましたけれども、そういう問題等々技術的な問題も含めて幾つかの非常に難しい問題ございました。 最近はそれに加えまして、日本の銀行もいろいろ債権を持っておるわけでございますけれども、その利払いも滞っているというようなことが出てまいりましたために、今は一億ドルにつきましては銀行当局間のいろいろな具体的な契約、ローンアグリーメントと申します契約の交渉に入っていたわけでございますけれども、いろいろその面でも難しい技術的な問題が出ているためにこの交渉がなかなか妥結に至らないという段階であるというふうに承知をいたしております。
○白浜一良君 一つ具体的なことを外務大臣に伺いますが、エリツィン大統領の経済顧問をしていらっしゃるレイヤードさんという方がおっしゃっているわけでございますが、百八十億ドル必要だとこういうことで、六十億ドルがいわゆる通貨安定基金、あと百二十億ドルがさまざまな物資援助、こういうことをおっしゃっているわけでございます。この方の発言によると、IMFと合意したと、IMFの考えはまた違うと思いますが。 それで、このいわゆる六十億ドルの通貨安定基金、もしこういう話がございましたら日本の政府としてはどのように対応されますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはやはりまずロシアがIMFに加入することが先だと私は思うんです。これは国別に個々にというようなことはなかなか言うべくしてそう簡単な話ではなくて、まずIMFに加入をして、そしてIMFがいろいろ診断をするでしょうから、その診断に従ってどれだけやれるか、それがちゃんとこれで合格ということになれば、それじゃIMFからの融資、それが多国間の協力的な協調融資というようなことにたってくるか、まだそこまでいってないんですよ。
○白浜一良君 これ新聞報道なんですけれども、IMFのカムドシュという専務理事さんが、四月には出資比率を決める、夏までには加盟するだろう、こういう見通しをこの専務理事さん述べていらっしゃるわけでございますが、そういう流れがあれば日本政府としても当然加盟した段階でそういう援助は考えるということですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 通貨安定基金まではまだ考えていないんです。それは、通貨の安定というのはどこにあるかというと、通貨の信認ですから、その国の財政、放漫経営をやっておれば通貨はだめになりますし、それから経済の仕組み、そういういろんなことがあって初めて通貨が安定するんで、ただみんなが金を出し合ってお金を積み立てたからといってその国の通貨が安定するとは限らぬのです。やはりどこまでも通貨の信認、その自国通貨の信認というのは国内の財政、経済等がどれぐらいしっかりしたものになるかということでなければ安定はするはずがない。 したがって、そういうものを安定させるためには一つの客観的な国内体制というものができ上がっていかなきゃならぬ、それと並行的に考えられるべきものである。したがって、日本は今通貨安定基金についてイニシアチブをとってやるという立場にはありません。
○白浜一良君 ということは、要するに、IMFに加盟した段階でどういう角度の支援を考えていらっしゃるんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、私は現実の政治を扱っておるわけですから、仮定の上にまた仮定を積み重ねて、仮説の上に仮説をつくって、ここでこういう場合はこうします、ああいう場合はこうしますということを申し上げる評論家じゃありませんので、そこまではなかなか言い切れない。我々は当面はロシアの人道的な医療とか食糧の支援についてはおつき合いをちゃんとしておりますし、政経不可分という旗はおろしてないにせよ、この間も財政当局の御協力を得て六十五億円の食糧・医療援助を実施する。第二回目がきのうからまた運び始まって、沿海州、極東を中心に今どんどん届け始まっておる真っ最中でございます。したがって、もうできることで許されるものはやっていくという好意的な立場でやっておるわけです。 私は、魚心あれば水心ということを参議院の本会議で答弁してちょっと誤解を招きかかったんですが、この言葉よりも拡大均衡と言う方が近代的でわかりやすくて間違われないというものですから、今や拡大均衡ということでロシアとの間は近づけるようにやっております。
○白浜一良君 拡大均衡というのはもう外務大臣にふさわしくない言葉だと思いますけれどもね。 それはそうといたしまして、総理、これからますます日本の国際的な役割というか、非常に大事になってくるわけでございますが、その場合、一つは経済面、技術面での貢献を基本にせにゃいかぬということ。それから二つ目は、人的分野での貢献につきましては、日本はこういう国だと我が国の顔がよくわかるようにせにゃいかぬということ。それから三つ目には、どのような国際貢献に努めるのか、そのことは非常に国民がよく理解しているというか、国民が本当に理解している、サポートしている、こういうことがますます非常に大事だと思うわけでございますが、総理はどのようにお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の点は同感でございます。 従来、いわゆるODAで我が国は今世界で一、二のトップに立つ援助国にたったわけでございますけれども、同時にまたJICA等々でたくさんの若い人たちもいろんな意味で青年協力隊として外国に行ってもらっております、これも大変に好評でございますが。 また、湾岸戦争のようなことが起こりましたときのああいう形での国連に対する協力、国際貢献ということも議論になりました。具体的にああいう例がございましたので、国民の中で我が国の国際貢献ということが広く議論をせられるようになって、これはまことに望ましいことでございますし、それは財政だけではだめなので、やはりできるところは汗も流さなければならぬなという、そういうことも国民にいろいろわかっていただくようになった。そういう現実の事態もございまして、国際貢献が国民の中で大変な関心を持たれるようになったことは極めて喜ばしいことでございます。 さしずめまた、カンボジアにおきまして国連の平和維持活動が行われるということもこれも連日報道されておりますので国民が関心を持っておられますが、それに対して我が国が具体的にどのような貢献ができるかということにつきましては、本院でも今日までいろいろ御議論になっておりますとおり、私どもとしてはいわゆるPKOの法案を成立させて、それによってひとつ国連の活動に全面的に協力したいということをお願い申し上げておりますこともその一つでございます。
○白浜一良君 そこで私、具体的に一つ伺いたいんですけれども、外務省に伺います。 昨年も非常に激しく論議されたわけでございますが、結果的にいわゆる湾岸戦争で我が国は計百十五億ドルの支援をしたわけでございますが、このGCCに支出された百十五億ドル、この決算状況はどうなっておりますか。
○政府委員(佐藤行雄君) お答え申し上げます。 昨年来一兆四千八百二十九億円を支出しておりまして、我々が今まで聞いておりますところですと、ほぼ九九%近くについて契約済みであるというところまでは聞いております。 支出状況につきましては、今申し上げましたのは契約の段階でございまして、若干支出に残っているものもあるようでございますが、それが完了次第、先方の運営委員会の方が関係国と協議して報告書を提出してくるということでございます。
○白浜一良君 いつごろはっきりするんですか。
○政府委員(佐藤行雄君) 我々もなるべく早くと思っております。ただ、契約をした中で支出面でスペックが、後から注文が来たりとかいうことでおくれているものも若干あるようでございますので、支出完了次第ということ以上今は申し上げられません。 いずれにせよ、我々としては、こういう性格の経費でございますので、支出が終わり次第、運営委員会の方で早急に関係国と話し合ってもらいたいと思っております。
○白浜一良君 ですから、総理、これはまだ決算できていたいということなんですが、約一兆五千億円という多額なお金なんですね。もう一年以上たっていますから何となくみんた忘れていくわけでございますが、こういうことも実際このように使ったという、確かにGCCに拠出したわけですからそこから配分されているわけでございますが、しかしそういうことをきちっと国民に開示して信頼されなければそういった協力支援に使われるお金は使えないということでございますので、また昨年の国会では当時の海部総理も、必ずすべて国会に報告しますと、そのようにお述べになっております。 総理、もう一度確認します。これは収支が終わらなければいけませんが、早急にきちっと国会に報告をしていただく。御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのようにお約束を申し上げます。
○白浜一良君 次に、防衛問題で若干お尋ねしたいと思います。 まず、中期防の見直しにつきまして、総理は国際情勢の変化をおっしゃって、三年後の見直しを前広に検討するようにこれは何回もおっしゃっておりますが、具体的にどのような変化を総理はイメージされているんですか、その国際情勢の変化というのを。
○国務大臣(宮澤喜一君) 見直しの内容でございましたら防衛庁長官からお答えをいただきますけれども、申すまでもなく、いわゆる冷戦後の時代になりまして、米ソが戦後四十年余り対立しておった時代というものは大きく変化をしつつございます。 また、その結果として湾岸戦争のような別の不安定要因も出ておりますけれども、大きな流れはそういうふうになってまいっておるということは、まずまず恐らく戻ることはないであろうというふうに希望を持って考えますが、他方で、中期防は定められましたときに既にそういう国際情勢に多少の変化の兆しかございましたから、ある段階で見直し、それも増額の方向でなく限度内での見直しを行うということが決められておりましたので、昨年の暮れの安全保障会議におきまして、これだけ国際情勢の変化も進んできたことであるし、防衛庁長官におかれてその見直しというのを少し前広にやっていただくことがいいのではないかということで、長官も同意をされまして、既に防衛庁の中で具体的な見直し作業をお始めになった、こういうふうに承知をいたしております。 何分にも五カ年計画という中で後年度負担の多い計画でございますから、急に今年度何が直せるといったようなことでないことはこれは御了解をいただきたいところでございますけれども、前広にその辺も考えながら見直しをしていただくように昨年の暮れにお願いをした、そういう背景でございます。
○白浜一良君 防衛庁長官に伺いますが、中期防の見直しということでございますが、要するに防衛庁の訓令で定められている計画がございますね。具体的に申し上げましたら、統合中期防衛見積もり、能力見積もり、訓令で定めていらっしゃるものがあるわけでございますが、ここを見直すということですね。
○国務大臣(宮下創平君) 統合見積もりその他のことは内部的な問題でございまして、見直すのは平成三年から七年までの中期防衛力整備計画、これは政府が定めたものでございます。 今、統合中期見積もりどかいろいろ申されたのは、恐らく五十一年の防衛計画大綱がつくられた以後、政府レベルとしての中期計画は定めませんでしたから、五三中業、五六中業とか五九中業という形でずっと内部的に検討してきたものでございまして、私ども、今総理からも申し上げましたように、中期防の修正見直しというのは、政府レベルで決定した中期防のことでございます。
○白浜一良君 現実の中期防というのは、いわゆる訓令に書かれています統合中期防衛見積もり、中期能力見積もり、これが反映されてそういう中期防という形で具体的にまとまったものなわけです。ですから、中期防をいらうということはこことの関係はどうなるんですか。これはもう変わらずで、なぜ中期防が変わるんですか。
○国務大臣(宮下創平君) 詳細な具体的な内容につきましては防衛局長から答弁させますけれども、基本的に政府レベルである中期防に基づきまして各年度の予算を編成します。そして、各年度の編成をいたします場合は、各幕におきまして業務見積もりその他きちっとした年度計画というものをつくります。また、そういうものに基づきまして統幕議長が中期的な見通しをつくるとか、そういう内部の事務的な作業のことでございますが、これはもちろん連動はいたしておるものでございます。 詳細は防衛局長から答弁させます。
○政府委員(畠山蕃君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたことに大体尽きるわけでございますけれども、御指摘の防衛諸計画というのは、統合幕僚会議議長が作成するものといたしまして統合長期防衛見積もりあるいは統合中期防衛見積もり、あるいはこれを参考として各幕僚長が作成する諸見積もり、年度業務計画等があるわけでございます。 当然、中期防、これは政府計画として決定されているわけでございますけれども、中期防の見直しをするというその前提といたしまして、これらの諸計画において中期的ないわゆる能力見積もりといったようなことについては、その前提として見直しをするということに相なろうかと思います。
○白浜一良君 そこで、先ほど総理もおっしゃいましたけれども、中期防の見直しを安全保障会議でお話しされたということでございますが、これは要するに安全保障会議でのいわゆる決定事項として決まったことなんですか、単に総理が指示をされたということなんですか。
○国務大臣(宮下創平君) 前広に検討するということは総理の御指示でもあり、同時に安全保障会議で決定した事項でございます。
○白浜一良君 そこで決定された、総理からも指示があったということでございましたら、先ほど簡単な国際情勢の認識は伺いましたけれども、そのときのいわゆる指示を出された内容ですね、基本的認識とか検討事項とか時期など、そういう明細も決定事項として議事録が残っておるわけですか。
○国務大臣(宮下創平君) 議事録は残っておりませんけれども、中期防衛力整備計画におきましての情勢認識は、先ほど総理が申されたように、今の冷戦緩和の状況等を踏まえましてこの中期防自体が一昨年の十二月二十日に決められているんですね。そして、その前日におきまして、情勢判断の分析をいたしまして、これは安全保障会議で決定をしております。 これはなぜかといいますと、基本的には防衛計画大綱で前提とされたデタントの情勢というものが、そういう平和的な状況というのがより高められたものというように評価いたしまして、そのことについて十二月十九日にこれを評価し、見直しております。当時は、委員御案内のように、東欧ももう解体し民主化され、そして同時に東西ドイツの統一もなされました。旧ソ連こそ解体ではございませんでしたけれども、そういう方向性も見えた。そういう情勢を踏まえまして情勢判断を変えた上で中期防を決定しております。 そして、中期防のその見直しは、その後大きな旧ソ連邦の崩壊というようなこともございますものですから、それらを踏まえましてさらに前広に検討していこうではないかということでございまして、議事録等は公表しておりませんが、議論としてはそういう延長線上でなされたものと、こう思います。
○白浜一良君 そこで、防衛費削減の問題に関連して次に伺いたいわけでございますが、説明がちょっとばらつきがあるんですね。 要するに、例えば四年度予算で防衛費がもう非常に抑制された予算になっている、そういう解釈もあるわけでございますが、しかし中期防も、それ以降の国際情勢のさらなる変化というのはあるわけですからさらに見直さなきゃいかぬ、そういうこともあるわけで、長官どうなんですか、平成四年度の予算も非常に抑制されたものだという説明をされているわけでございますが。
○国務大臣(宮下創平君) 簡潔にと思いましたものですからそういう点に触れませんでしたが、御質問でございますから若干具体的に申し上げておきますと、平成四年度の防衛予算は、これはまさに三十二年ぶりの低い伸び率でございます。正確に申しますと三・七八%でございます。そして四兆五千五百十八億円ということに相なっておりますが、伸び額にいたしましてもたしか千六百五十八億円だったと存じますけれども、これはずっと調べますと、昭和五十五年当時の低い伸び額でございまして、まさに十二年ぶりの低い伸び額になっております。 しかし、ここで考えておかなくちゃならないのは、五十五年当時の防衛費は二兆四千億程度でございました。今は四兆五千です。倍の規模でもってなおかつ千六百五十八億円の増額にとどまった、こういうことでございますから、この一事をもってしても大変抑制されたもの、こう思いますし、それから正面装備その他につきましても平成三年度予算では、先ほど先生がお触れになりました湾岸戦争で一千億の削減を約束いたしました。これによりまして大幅に抑制いたしました結果、一六・二%正面装備が減っております。そして、なおかつ中期防では平均的には二・三%ずつマイナス下方で正面装備を整備していくということでございますが、これをたしか三・七%だったと思いますが、つまり両年度を合わせますと正面装備で一九・九ですから約二〇%、二割の削減を正面装備についてやったということでございます。 私どもとしては、平成四年度の予算というものは、こういった状況も踏まえつつ、しかし我が国の国を守るための必要な抑止力としての自衛力、節度のあるしかし非常に有効な防衛力はきちっと備えたいということで予算を編成した次第でございます。
○白浜一良君 いや、その説明はもうずっとされている説明だから、私もよく承知しているわけです。だけれども、要するに抑制したと、そういうことであるのでしたら、その中期防そのものの本来の、まあ国際情勢の変化で見直すとおっしゃっているわけでございますが、しかし中期防そのものの当初の計画、それには余り影響はないということですか。
○国務大臣(宮下創平君) もちろん、平成四年度予算は中期防の第二年目でございますから、抑制された中期防に沿ったものと私どもは見ておりますけれども、今正面装備について御説明申し上げたのは、正面装備におきましてもたしか二・三%平均伸率で減だったと思いますが、それをさらに上回ったものという御説明を申し上げたわけでございますが、もちろん中期防に沿ったものとして、より抑制的なものに平成四年度の予算はなっておる、こう申し上げておるわけであります。
○白浜一良君 もう一回長官に伺いますが、いろいろデータで数の面では抑えられている、そうおっしゃっています。だけれども、中期防計画そのものに内容的に影響が出ないということであれば、何ぼ数字の面でこれだけ抑えたと言っても、いわゆる国際情勢の変化によって防衛予算というのはこれだけ圧縮したんだということは国民にはわかりにくいわけですよ。そう思いませんか。
○国務大臣(宮下創平君) ですから、まず第一に平成四年度予算は非常に抑制的なものであったということを申し上げておりますし、第二には、中期防衛力整備計画それ自体もかなり抑制的なものであるが、なお旧ソ連邦の崩壊のような急激な変化を踏まえてさらに総額の範囲内で三年後には見直しを必要に応じてやりますということまでビルトインされております。そして、そのことに基づきまして安保会議において前広にこれを検討していこうと。そして、防衛庁内部におきましても防衛力検討委員会を設置しておるわけですね。そういうことでございますから、そこは非常に連動しております。 そして、私どもといたしましては、これは衆議院の段階で市川書記長にもお答え申し上げたんですけれども、一千億はきっぱりと抑制いたします、しかしそれじゃそれだけにとどまるのかということにつきましては、なおプラスアルファとして下方修正の方向で検討させていただきますということを申し上げてきておるのもこうした両者の関係を考慮して申し上げたわけでございます。
○白浜一良君 それで、もう少し具体的にお話ししますが、長官は三月二日の衆議院の委員会で、五年度予算に反映するのは時間的に無理だと、このようにおっしゃっております。ところが、総理は二月三日の委員会で、三年後の見直しではいかにも間延びしている、すぐにもこの状況の中で中期防をどういうふうにしたらいいかということを検討するのが適当でないかと安全保障会議で述べたと。ですから、三年後では間延びしていると。ということは、もう来年度予算に即反映させなければいかぬという論理的な展開なんです。これはどうですか。
○国務大臣(宮下創平君) 総理の御認識と私の認識と基本的に違っている点はないと存じております。総理も前広にこういう国際情勢の変化を踏まえて早急に検討してほしいということでございますから、ただいま検討中であるということでございまして、ただ御質問の真意がいつまでにそれではできるのかというような点の御質問がございましたものですから、前広に、例えば三年後といいますと中期防の六年度、七年度予算に反映するということに形式的にはなります。 それを五年度に反映できないのかという御質問もありました。しかし、これに対しましては、五年度に反映するということになりますと、予算のルールの問題としても、概算要求がもうことしの八月でございます。防衛庁でそれまでにはっきりとした修正の結論が得られるかどうか、私としてはこれは責任者でございますから、非常に私はそこをはっきり申し上げられないという点を申し上げてきているのでありまして、先ほど統合見積もりその他のお尋ねもございましたが、この中期防衛力整備計画は言うならば鉛筆なめなめでその額を減らしていくというような性質のものではございません、御承知のように。各幕僚監部におきまして積み上げをして、そしてその結果としてそれを統幕で調整し、内局と調整し、最終的には大蔵省とも調整して政府レベルで修正案を決定するということに相なります。 なれば、大変そう軽々に総額だけぱっと切ればいいというような性格のものでないことは委員御承知のとおりだと思いますけれども、そういう点で我々は鋭意努力はさせていただきますが、はっきりしたことは申し上げていないわけでございます。ただし、平成五年度の予算をそれじゃどう編成していくかという問題につきましてもお尋ねが衆議院段階でもございましたので、これは当然そういった方向を頭に置きながら検討はさせていただきますというような趣旨の答弁を私はしたかと存じますけれども、そうした態度でこれからも臨んでまいりたい。しかし、精力的に検討はしてまいります。
○白浜一良君 私が質問しているんじゃないんですよ。総理が三年後の見直しでは間延びしているとおっしゃっている。三年後ということは平成六年度の予算ということですよ。これは、間延びしているということは五年度の予算として考えなさいと。私の質問じゃないんです。総理の指示じゃないですか。これはどうですか、長官。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私はこういうふうに考えて防衛庁長官にお願いをしておりますのですが、大変に大きな組織でありますし、しかも一たんは中期防衛計画というもので定めたものでございますから、国際情勢が変わった、これをひとつ少し削減をしなきゃならないなということは、それは仮にみんなの方がわかっておられたとしましても、それはまず第一に人に関係することでございますし、編成に関係することでございますし、地域にも恐らく関係することでございます。その上に、装備の中には相当いわば後年度負担を伴うといいますか、先に向かって長い契約をする種類のものもございます。また、日米間の関係にわたるものもございます。 そうでございますから、考え方が大体みんなに共通になったとしても、さあそれならどこをどうするかということは、これはいわば生き物をいじることになりますので、私は容易なことではなかろうなということはとうに自分でも考えておるわけでございますけれども、それでもやっぱりこれはやっていかなければならない。 そうしますれば、これはやはり長官初め防衛庁の内局はもとより各幕僚監部、皆さんによくわかってやってもらわなきゃならないことである。また、地域にも御了解を願わなきゃならぬこともあるかもしれないといったようなことですから、図面でうまく絵ができましても、それをみんなでまあまあそこだなといって落ちついていくのに多少時間がかかるに違いない。それは無理もないことだと私は思っていますが、それでもやっぱりやらなきゃならないことだなというふうに私も思っておりますし、宮下長官も思っておられることでございます。 幸いにして防衛庁と大蔵省はしょっちゅう密接に接触をしておりますし、長官も大蔵省のこともよく御存じの人であるししますから、概算要求という問題は確かにございますし、その期限とかいうこともございますけれども、その辺のことも、こういう大事な大きな問題でございますからいろいろにお互いにわかり合いながら何とか知恵を出して、みんなが納得して早く、早くと申します意味は、余り遅くたらたいで結論を出すことはできないかなということで私申しておりますし、長官もそのようなことでこの問題を考えておられると思います。
○白浜一良君 今の総理の答弁、五年度に反映されると。実際に中期防そのものも、あれは平成二年度の十二月に最初にお決めになって三年度から予算が始まっているわけですから、その辺はいろいろやりくりされれば考えが必ず反映される、私はそのように理解をしておきたいと思います。 それから、大綱の見直しに関して次に伺いますが、大綱の別表を見直すと、こうおっしゃっておりました。当然これはその分で、いわゆる大綱本文にも連動する部分で見直しにつながるわけでございますが、防衛庁長官、これはどうなんですか。この辺の見直しかされたらいわゆる防衛力の質量が落ちることもあり得る、このように理解していいんですか。
○国務大臣(宮下創平君) 大綱の見直しにつきましても、これは大綱の見直しという直接表現ではございませんけれども、今の中期防衛力整備計画の中に、自衛官の充足の問題等を背景としてでございますけれども、人的資源の制約等からして、自衛官定数を含む防衛力のあり方について本計画期間中に検討するものという文言が入っておることは委員御案内のとおりだと思います。これに基づきまして、防衛計画の大綱というものを検討の俎上にしようということで今勉強をさせていただいております。 これは今、中期防衛計画期間中に結論を出したいと思っておりますが、今御指摘のように、別表では陸海空それぞれ、陸については十八万人ということが書かれておりますし、それから主要装備、また海空等についても主要装備、編成等の大まかなアウトラインが記載されている。これが法律になりまして、防衛庁設置法、自衛隊法等々で具現化されておるわけでございますしかるところ、例えば陸上自衛隊で申しますと、十八万人体制ではありますけれども、本中期防の期間中は充足状況等を見て十五万三千をシーリングに一応考えようじゃないかというような記述がなされておることも事実で、実際は充足率ということで十五万人前後に現在陸上自衛隊はなっておりますね。 そういうことも踏まえまして、今結論を申し上げるわけにはまいりませんけれども、これは我が国の防衛計画の大綱、一番ベーシックになっている考え方の別表でございますから、これは慎重た上にも慎重にやって、そして組織、編成、装備その他万般に及ぶことでございますから、じっくり時間をかけて検討していこうということを私ども考えておるところでございます。
○白浜一良君 質量は下がることもあり得るわけですか。
○国務大臣(宮下創平君) 数量も下がることもあります。 私は個人的に、この結論はこれからでございますけれども、我が国の防衛力というのは専守防衛でございますから、これは必ずしも量の多きをもってとうとしとせずと私は思います。質的な面で専守防衛にふさわしい抑止力としての機能を十分果たし得るようなもの、こういうものをきちっと備えておくことが重要だと考えておりますが、これからそういった点を含めまして検討させていただく、こういうことでございます。
○白浜一良君 私も専守防衛としての自衛隊の役割というのは十分存知しているわけでございまして、ただ私が言いたかったのは、要するに大綱そのものが、御存じのように、いわゆる基盤的防衛力から発生しているわけでございます。平時から保有すべき最小の防衛力、空白をつくらないためのもの、こういうふうに理解されているわけでございますが、そういう基盤的防衛力の思想の上に立ったいわゆる大綱が、今おっしゃったように、量的に限らない、必ずしも量によらないとおっしゃったわけでございます。 ということは、私が言いたいのは、今の時代に即応した自衛隊のあり方というものを考えるべきじゃないか。基盤的防衛力とは何かということをもう一度やはり考えるべきときに来ているんじゃないかということを私は言いたいわけでございますが、最後ちょっと、総理。
○国務大臣(宮下創平君) 私の申し上げたのは、防衛計画の大綱の中で別表の点について御質問がございましたからお答えをしたわけですが、別表がよしんば改正になるとしますと、本文の方に三自衛隊の体制が書かれておりますが、これに及ぶものというのが総理並びに私が今まで答弁してきた点でございます。 そしてまた、基盤的防衛力構想というのは、この防衛哲学と申しますか、平時における我が国の専守防衛のあり方、我が国が力の空白にたって不安定要因にならない、平時において十分な警戒能力も持つ、そして限定的な小規模のものについては対抗し得るだけのものをきちっと持つ。そして、その背後にはもちろん日米安保体制というものがございますけれども、そういった基盤的防衛力構想というもの、この基本的考え方は私は今後も堅持すべきものと、このように考えております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 防衛計画の大綱は、昭和五十一年であったと思います、つくられまして、私もそのほとんど寸前まで外務大臣をしておりましたので大体の経緯を存じておりますけれども、我が国がこういう憲法を持ち、軍事大国にならないということで進んでまいりました。その基本的な物の考え方というものは今も当時も変わっていない。したがって、仮想敵を設けずに基盤的な防衛力、独立国として最小限何を持つべきかということを基盤として考える、こういう思想そのものは、そもそも我が国の防衛が専守防衛である、独立国として最小限必要なものと考えておりますだけに、世界情勢が大きく変わりました、変わりましたけれども、その影響を受けることは実は非常に少ないのではないか、基本的な思想に変化はないのじゃないかという、そういう考え方は私は一つ確かにあるのではないかと思います。 でございますから、これだけ世界が変わったから防衛計画の大綱の基盤的防衛力整備の思想そのものを改めなければならないというふうに私は必ずしも思っておりません。これはなお十分防衛庁においても検討せられることでございましょうけれども、私は、これは中期防とは違いましてもっともっと基本的なことを昭和五十一年に決めたつもりでございますので、それを変える必要があるのかなとうかな、これは必ずしも私は、そういうすぐに結論を自分としては持っておりません。
○白浜一良君 私は、新しい時代に日米安保のあり方も含めて日本のそういう外交、防衛のあり方を考えなきゃいかぬということを指摘したいだけでございます。 次に、景気対策でお伺いしたいと思いますが、大蔵大臣、午前中の質疑を私も聞いておりました。なかなか手がたい答弁でございました。 しかし、私が指摘したいのは、先日、今年度の第三・四半期の経済成長が発表されておりました。当然マイナス成長であったということ。それからもう一つ大事なのは、内需が〇・五%落ち込んで外需が〇・五%プラスになっているんですね。昨年の二月度と比べたら貿易収支が倍黒字になっているんですね。ですから、景気対策をするといっても、外需ばっかりふえていくとまたこれはいろんな貿易摩擦にたるわけでございます。そういった面から午前中の大蔵大臣の答弁を聞いておりまして、もうひとつ内需を喚起するようなそういう内容を私は感じなかったわけでございますが、ちょっと御所見を。
○国務大臣(羽田孜君) 確かに、先日発表されましたデータ等を拝見しておりまして、外需によって補われておるという状況があること、これはパフォーマンスとして私たちが余り望むべきものではないと思っております。 ただ問題は、輸入の方が例えば投資用の金の輸入というものがもう相当大きく減り込んでしまっているというようなこと、そういったことで輸入そのものの額が減っているというのは現状だろうと思っております。ただ、何というんですか、輸入の数量そのものは減っておらないというようなことがございますから、私どもといたしましては、これからこのものがどんどん拡大していくことにはならないんじゃないのかという見通しを持っております。 そして、それに対する対応というのがとてもなまぬるくてという御指摘だろうと思うんですけれども、しかし本年度の補正予算につきましても、まさにゼロ国債を発行するとかゼロ国債を認めるということですとか、あるいは財投等によって対応していること、また今度の予算におきましても、相当な建設国債を発行させていただきながら公共事業、生活関連を中心にして進めておるということ、また自治省の方ともいろいろとお話し合いをしながら、各自治体が単独で事業が行えるというようなこと、こういったことについて相当何というんですか、私どもといたしましても心配りをした予算であろうと思っております。 それと、三次にわたるいわゆる公定歩合の引き下げ、こういったものも、例えば設備投資ですとかあるいは持ち家ですとか貸し家ですとか、こういったものがみんなが手当てできるようにというようなことが配慮され、そしてそういった指導のもとに相当貸出金利も低下してきておるというようなこと、そして最近のいろいろなデータ、一面を見ますと、住宅等の今申し上げたような問題につきまして下げどまり傾向が見えてきておるということでございまして、こういうものを総じて判断したときに、私どもはやはりこれから内需が進んでいくものであろうという見込みを持つと同時に、またそのようにいろんな面から誘導していく必要があるんじゃないのかというのが私たちの今考えておるところであります。
○白浜一良君 では、時間がないのでもうすべて割愛します。いずれにしても、二十七日にいわゆる景気対策、緊急経済対策をまとめられるというこをで、実効性の高いものを期待しておきます。 それで、マスコミが騒ぐからいわゆる不景気、心理的に影響受けると午前中もおっしゃっておりましたが、そうじゃなしに、そういう心理状態になっている消費者マインドをどう高揚するかというのが大事でございまして、そういう意味できょう午前中も減税の話をされていたわけでございます。 私も所得税減税をした方がいいということを主張したいわけでございますが、先日、日商の石川会頭がお述べになっておりまして、所得税の減税は、三年前に消費税を導入した際の直間比率の見直しという政府の公約があり、それを忘れてはいけないということで、景気対策をも含めて国民の消費意欲を刺激することが必要だと、こういうコメントをされているわけでございますが、私も同感なんですけれども、大蔵大臣、どう思われますか。
○国務大臣(羽田孜君) 今、前段でお述べになられました、先日総理が閣僚を集めましてこれからの対策を進めようという、これは今二十七日までにというお話があったんですが、これは経済企画庁長官の方が中心になってまとめられることになっておりますけれども、何とか私どもとしては内容のあるものをまとめたいということで各省でいろんなその積み上げをやったりしておりますし、また調査もいたしております。そういったことで、何とか三月末をめどにということでやっておるということ、二十七日ということは別に決まっているんじゃないということを申し上げたいと思います。 それから今、減税について石川さんのお名前もお出しになりながらのお話でありますけれども、ともかく私ども六十一年、六十二年、消費税導入のときにとった措置というもの、このときに課税最低限というものを引き上げたというようなことがございますし、最低税率というものの適用範囲というもの、これも進めたこと、あるいは税率構造全体の累進緩和及び簡素化というものをしたことですとか、あるいは基礎控除、配偶者控除、扶養控除等の引き上げもございましたし、そのほか配偶者の特別控除の創設ですとか、十六歳から二十二歳までのお子さんを持つ扶養親族を対象とした割り増し扶養控除、こういったものも進めてきたということでございまして、私どもはこういったものが割合と中堅所得層の皆様方にある程度の安定した生活を営めるものをつくり上げることができたというふうに思っております。 景気浮揚のために減税をやるということは、これは確かにだれもが思うことであり、まただれもが望むことであろうと思うのでございますけれども、これは財源というものをやっぱりきちんと対策をしなければならないという中にあって、私どもは今それができるときではなかろうというふうに思っております。 ですから、先ほどから申し上げておりますように、公共事業等を中心にしながら、私どもといたしましては景気浮揚策を図っていくということ、あるいは金融等によりまして住宅ですとかあるいは新しい自動車を買おうという人たちに買う気を起こさせるようなものをやろうということで、公定歩合のいわゆる実際の貸出金利というものがそういった皆さん方に使っていただけるようにということで、指導したり、またこれを注目しておるというのが現状でありまして、金融と財政、両方をあわせたがら景気に配慮しておるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○白浜一良君 もう一つ、具体的な減税で、先日、我が党の及川委員が提案したわけでございますが、子育て減税、これをもう少しお話ししたいと思うんですが、当然子育てと母親の就労の両立ということもございますし、出生率の低下に対する対策、いろんな意味で非常に大事な子育てに対するいわゆる軽減措置というお訴えをしたいと思うわけでございますが、私は二つの大きな考え方があると思うんです。 例えば一つは、子育てと母親の就労の両立という意味で、いわゆる保育控除というか、保育園の費用、ベビーシッター等の利用料、そういうものがあって初めて女性は就労できるわけでございます。そういうものを必要経費ですから控除していこうという考えがございます。保育控除ですね。 私の資料によりますと、控除限度額を年間で最高二十万まで考えて、大体所得税の減税が二百十億円、住民税の減税が百四十億円、このぐらいになるという一つの考え方があるわけでございますが、厚生大臣、こういう考え方はどうお思いになりますか。
○国務大臣(山下徳夫君) 近年の女性の社会進出に伴いまして、家庭的な面、結婚、育児等に対する何と申しますか、負担感が非常に大きくなってきているということで、厚生省としましても、経済的な負担の軽減を含めて育児と就労の両立の支援を図っていかなきゃならぬということでございまして、したがいましてそのためには税制につきましても検討すべき課題であるということは私どもも考えております。 ただ、実現に当たっていろいろ検討すべき問題がまだございます。したがいまして、それらの面を詰めまして、いずれにいたしましても慎重に検討すべき問題だと思っております。
○白浜一良君 やっぱりこの間の答弁と一緒ですね。 じゃ、もう一つの考え方を文部大臣に伺いたいと思いますが、先ほど大蔵大臣がおっしゃいました特定扶養親族控除ですね、その考え方と同じで、幼稚園も結構お金がかかるんです。特定扶養親族控除をされている高校生でいいますと、公立高校の場合は年間で十四万、ところが幼稚園の場合は平均して年間で十八万も要ると伺っておりますが、大変に負担になっているわけです。そういう特定のいわゆる親族扶養控除という観点で、例えば三歳、四歳、五歳、少なくとも幼稚園児に対しまして、現在行われています特定扶養親族控除と同じように例えば十万円ぐらい上乗せしてあげる、こういう考えをやると大体四百億ぐらいかかるんじゃないかというふうに伺っておりますが、文部大臣、こういう考え方はどう思われますか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 従来から同種の質問を先生はされたことがおありかと思いますが、そのような際に政府としては、引き続き勉強をしていこう、検討をしていこうということでございまして、私としては、今先生がおっしゃったとおり、伸び盛り減税というものがあって十六歳から二十二歳は見てくれる。しかし、三歳児、四歳児、五歳児は幼稚園に通っていてお金がかかる。御案内のように幼稚園は、私立が八割、公立は二割というようなことでありましょうから、当然お金がかかる。そして、年齢が若い分、所得が少ないのに割り増し控除がないということであれば、この際子育て減税をやったらどうかという意見、まことにすばらしい意見と思いますし、よくわかるわけでございますが、結局は、しかしこのことは私どもとしては、幼児教育というものをどのように考えるかという観点でとらえ直していきたいという思いがございます。 公明党の皆様方が感性教育ということを昨年来打ち出しておられますが、感性教育などというものはそれこそ幼児期が一番大切ではないだろうかと私は思いますし、実際、六歳になると就学しますが、これを五歳に引き下げたらどうだというような議論が出るのも、人間としてのいわば基とか根っこに当たる部分は六歳までにはもうでき上がっちゃって、小学校へ入ってからは、あとは枝とか花とか実の問題であるというような解説をする方もいますから、私も幼児教育は大変重要だと思って先生のような御提案は大いに歓迎をいたしたいとは思っておりますけれども、まあ税金を払っていない方がどうなるかというような問題もありましょう。 それから、幼稚園に関しては私学助成もありますけれども、とりわけ就園奨励費ということの拡充についていろいろお願いをしてまいっておりまして、少しずつ拡充はしておりますが、対象率が逆に五三%から五〇%に下がったという面もございますし、就園奨励という事業をやってくださらない、実施してくださらない自治体がいっぱい残っていることが残念であります。 また、私の選挙区等では、実は商店街が区の境になっておって、区が単独事業として私立幼稚園に通っている方に補助をするんですが、商店街の右側と左側とで全然額が違うというような事柄もありますので、もっともっと幼児教育というものを全国的に大切にして、その辺もある程度一律になるように考えていかなければならないとも思っております。
○白浜一良君 そのとおりでございまして、先駆けて自治体がいろいろ補助をやっている場合もあるわけです。そういった面で、今厚生大臣と文部大臣から考えを伺いました。それぞれ考え方はいろんな考え方があると思うんですが、出生率低下の問題、それから女性の就労の問題を含めてやはり何らかの手当てが必要じゃないか、子育て減税が必要じゃないかと私は思うわけでございますが、大蔵大臣としてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(羽田孜君) この問題につきましては、税の面であれするのか、歳出の面であれするのかということがまず考えられることだと思っておりまして、保育園につきましては保育児童のために措置費で対応されております、また幼稚園の場合には就園奨励費というものが実は支出されておるということでございまして、それに対してまた税でやるということが一体どうなのかなということを考えざるを得ないということであろうと思っております。お考えとしては一つのあれであろうと思うんですけれども、ちょっと税の面では対応できないのかなというふうに思っております。 ただ、私ども先ほども御説明申し上げましたように、例の扶養親族に対する扶養控除につきまして、一般の扶養控除が三十五万円に対しまして四十五万円を十六歳から二十二歳までの方、ここの場合にはちょうどこの間というのが子供さんの時代より、三歳から五歳までですか、この時代よりもっとやっぱり大きくかかるということであろうということでこういう対応をしておるんですが、これをまた小さな時代にまでということになってしまうと問題だなと。 それともう一つは、子供さんがふえていかない原因というのはいろんなことが実は言われておりまして、どうも私自身も柱面積が狭いからだめなんじゃないかなということも言っておったんですけれども、しかしそうじゃない場合なんかがあるよという指摘なんかもございましたり、あるいは所得によって違うんじゃないかと言ったら、いや所得が少ない方が子供さんは多いぞなんという指摘がありましたり、なかなかこのあたり難しいところでありますけれども、しかし今御意見があったことは私どもも念頭に置きながらいろんな角度から勉強させていただきたいということは申し上げたいと思います。
○白浜一良君 総理、今の問題でございますが、高齢化社会になっていくわけですからお年寄りを大事にする、ゴールドプランという考え方がございます。それとやはり次代の日本を担う健全な子供を育てるということが非常に大事な、この両輪があってこそ初めて健全な国家運営がされるわけでございます。そういった面で私ども具体的にこの子育て減税ということを今提案しているわけで、文部大臣も厚生大臣もどっちかいったら考えたいという、そういうニュアンスでございますが、大蔵大臣はやっぱり財布を握っていますから非常に厳しい原則的お話でございます。総理、こういう考え方をどう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう種類の減税につきまして国民生活に密着した問題を公明党からしばしば御提議がありまして、そのことの意味は私自身もよく了解のできるところでありますし、もとより主管官庁の立場とすればぜひやっぱりひとつ国の政策としてやりたいということであろうと思います。願わくは、我が国の財政がもう少し健全になりまして、大蔵大臣のところで、その程度の施策であると考えてもいいというようなことになっていかなきゃならない。今のこの平成四年度というのはこんなことでございますので、やりたいことも後へ残さなきゃならぬということでございますが、できれば経済をもう少し順調な動きに持っていきまして、その程度のことは財政でも考えてもらいたい、こういうふうにいたしていきたいと思います。
○白浜一良君 次に、ゴールドプランのことについてお伺いしたいと思います。 政府がお決めになっている高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランでございますが、これは総理、高齢化対策にとって非常に重要な政策の一つだ、このように私も認識しておりますが、そう受けとめていいわけですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは御記憶のとおり、消費税を導入いたしますときに、私どもが将来の高齢化社会を展望いたしますと、しっかりした福祉対策を立てておく必要がある、そのためには恒久的な財源が必要でございますということを申し上げておった。それに対して各党、殊に公明党でございますが、その話はわかるが、それならば一体確たる福祉政策というのは何だ、そういうものは片方で存在していないではないかというまことにごもっともな御指摘がありまして、そういうことが端緒になりましていわゆるゴールドプランというものが発足をした経緯がございます。そういうものとして私は大切に考えておるわけでございます。
○白浜一良君 それでは、平成元年度から始まったわけでございますが、ゴールドプランの現在の進捗状況、これを厚生省ちょっと報告してください。
○政府委員(岡光序治君) 十カ年戦略は、平成二年度から実施されておりまして、実績は二年度のものが出ておりますが、主な内容について申し上げますと、お年寄りの家庭を訪問して介護を行うホームヘルパーにつきましては、予算上の人員が三万五千九百人に対しまして実績は三万八千九百四十五人。それから日帰りで介護サービスを受けるデイサービスにつきましては、予算上千七百八十カ所に対しまして千六百十五カ所。それから特養等に短期滞在するショートステイでございますが、これは予算上八千六百七十四床に対しまして実績は九千六百七十六。それから施設の関係でございますが、常時介護を要して家庭での生活が困難な人をお世話する特別養護老人ホームでございますが、予算上十七万二千十九床に対しまして実績は十七万五千床。それから、入院治療は必要がございませんが、家庭復帰のためにリハビリとか介護を必要とする人が入る老人保健施設につきましては、予算上四万七千八百十一床に対しまして実績は四万五千床。こういうふうな状況で、おおむね順調に進んでいる状況でございます。
○白浜一良君 数字を並べられてよくわからないんですが、十年計画ですから、例えば平成二年度分のいわゆる増加分を今後ふやさなきゃならない数からの比率で申し上げましたら、ホームヘルパーは一一%、ショートステイは一二%。これは、確かにそこそこの数は、初度段階ですからよくいっているわけでございます。しかし、デイサービスの箇所で言いましたら六%です。在宅介護支援センターは一・六%です。これは十年間続けたって絶対できない。 おおむね進捗しているということでございますが、これは厚生大臣、どうですか。
○国務大臣(山下徳夫君) この概算要求の基準につきましては、機械的あるいは技術的手法によって各省庁でもって決めてやっておられることでございますが、厚生省としましては、今御指摘のございます件等について、ゴールドプラン等を最優先の順位をつけてやっておるわけでございます。平成二年、三年、三年はもうやがて終わるわけでございますが、順調に推移いたしておりまして、四年度につきましてもある程度十分な予算の見通しをつけておるわけでございまして、今後ともこれは最優先課題として十カ年計画を推進していくつもりでございます。
○白浜一良君 良好に推移していないから私は言っているわけですよ、大臣。在宅介護支援センターなんか丁六%しか一年間でいってないんですよ。これ十年間やったって一六%ですよ、同じ比率で伸びるとしたらです。私はその事実を言っているわけです。 それで、もう時間がないので詳しい論議はやめますが、結局、大蔵大臣、予算書を見ましても、これだけゴールドプランに関しまして本年度は進捗します、これだけ予算がついております、これが全くわからないんです、「予算の説明」を見ましても。これはどういうことですか、大蔵大臣。
○政府委員(斎藤次郎君) 予算書は、各経費をそれぞれ項目に分けていわば数字としてお示しするものですから、なかなかわかりにくいということで、私どもは補足の説明として「予算の説明」というものを出しております。 その中で、ゴールドプラン関係経費は、社会保障関係費が多いものですからできるだけ説明いたしているようにしているわけでございますけれども、片や「予算の説明」というのは、主要経費等の予算書の区分に基づいて、予算審議の参考資料として極めて短期間の間にやらなきゃならぬということが一つ制約的要因としてございます。それから、ゴールドプラン関係経費の中には、執行段階で確定されていく経費、特に施設費の経費等でそういうものが多いわけでございます。したがって、「予算の説明」を作成する段階ではなかなか確定できない経費もあるものですから、「予算の説明」は、そういう意味で非常に短い期間に限られているということ、それから執行段階で確定する経費もあるということで、そこでまとめるのは非常に技術的に不可能に近い話でございます。 ただ、御指摘もございますので、どういう形でお示しするのがいいのか、今後ゴールドプラン関係についてできるだけ充実した資料をお示しできるようにこれから工夫して適切に対処してまいりたいと思っております。
○白浜一良君 国の重要な施策の柱が予算の説明書を見てもわからないと私は言っているんです。 具体的なことを私は言いますけれども、物価対策と環境対策だけは付表の中にまとまっているんです。ああいうところにいわゆるゴールドプラン関係だけをばちっとまとめていただいたら、ああ、これだけゴールドプランが進むのか、予算がついているのかとわかるわけでございますが、こういうことはできませんか。
○政府委員(斎藤次郎君) 御指摘を受けました二つの経費は、たしか昭和四十七年度だったと思いますけれども、それ以来長い歴史の経緯でそういうことにたっております。 ゴールドプラン関係経費につきましては、先ほども御説明しましたように、非常に個々具体的な細かい数字、人員とか箇所数とかいうことでございまして、その中には予算の編成段階で必ずしも最終的に確定されたい、執行段階で確定されていく経費なんかがあるものですから、「予算の説明」というのは予算審議の参考ということで非常に短い期間でつくり上げていくものだということもありまして、実際上、作業的にも不可能な要因がございます。したがいまして、ゴールドプランにつきましては、厚生省を中心にして、その後、例えば人員が何人から何人にふえたとかそういう資料を別途お出ししているわけでございますけれども、今後も「予算の説明」にこれを経費として特定することは、これは技術的に不可能に近い問題でございますが、資料としてはいろいろ工夫をしてまいりたいと考えております。
○白浜一良君 予算審議するときにわからないから私言っているわけでございます。ちょっと担当の方から聞きまして、時間的に非常に難しい、そういう話も伺っておるわけでございますが、しかし、少なくとも予算審議するときには全予算委員がわかるように、ゴールドプランはこういう内容だという資料を別に提出してくださいよ。
○政府委員(斎藤次郎君) 「予算の説明」といういわば準公式の資料に掲載することは時間的に不可能であるということで説明しましたけれども、今御指摘のようなことがございますので、厚生省ともよく相談をしまして、工夫をして何らかの資料をお出しするように努力をいたしてまいります。
○白浜一良君 たくさん質問はあるんですが、関係大臣、申しわけございません。もう時間がございませんので、最後に環境問題を本当はやりたかったのでございますが、一点だけちょっと御質問したいと思います。 いわゆる環境問題、有害廃棄物の問題でバーゼル条約というのがございますが、環境庁長官、このバーゼル条約の国内調整の問題はどうなっておりますか。
○国務大臣(中村正三郎君) このバーゼル条約、六月の地球サミットでも取り上げられる地球環境問題の一つ、国境を越えての危険物、有害物の移動を禁止するということであります。これを批准しますのには国内法の整備が必要なわけでありまして、その中でこの有害物というものをきちっと特定できるような方法でいけるようにと思って今政府の内部で調整を図っているところでございます。
○白浜一良君 これ五月五日で発効すると伺っておりますが、その発効までに日本はこの条約を批准できますか。
○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、この条約は二十番目の国が加盟を表明した後九十日後に発効するということでございまして、二月の五日にオーストラリアが二十番目の国になりましたので、先生のおっしゃるとおり五月五日に発効することになっております。 そういうことも念頭に置きながら、関係各省庁が、今環境庁長官が申し上げましたとおり、鋭意国内法の整備がそれまでに間に合うかどうかということを検討中で、本当に検討を急ぎたいというふうに思っておりますが、この時点で確定的な時点を申し上げるということはまだできない状況でございますので、御了解いただきたいと存じます。
○白浜一良君 報道によりましたら、ちょっと官房長官、申しわけないんですが、要するに通産省の考え方もある、厚生省の考え方もある、環境庁の考え方もある、こういうことで、本当は五月に発効するまでに批准すべきたんです、こういうことはしないと恥ずかしい話ですから。ところが、いわゆる省庁問の調整で非常に難渋をされているという報道がされているわけでございますが、これは存じていらっしゃいますか。
○政府委員(伊藤博行君) お答えを申し上げます。 先ほど環境庁長官から御答弁申し上げましたように、関係する省庁が複数ございます。したがいまして、私どもも含めまして鋭意調整に努めておるというところでございます。
○白浜一良君 その鋭意調整がなかなかできないから私は質問をしているわけでございます。これはもう総理の英断にゆだねたいと思いますが、私が思いますのは、各国の例を見ましても、それぞれ環境省が担当しております。そういう廃棄物を出す方は産業の方ですから、やはりそれをチェックする機構がこういう国内法を調整する場合に主導をとられた方がいいという、これは当然だと思うわけでございますが、このバーゼル条約批准に向けての総理のお考えを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま政府委員がお答えを申し上げましたが、鋭意調整をいたしてみたいと思っております。
○委員長(中村太郎君) 以上で白浜君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、國弘正雄君の質疑を行います。國弘君。
○國弘正雄君 せっかくの土曜日をお互いに本当に御苦労さまと申し上げたいんですね。ただし、これは自民党が大変に強く主張をなすってのことですから、どうぞ野党の我々をお責めにならないようにあらかじめ申し上げておきます。 自動車の話を私するつもりなかったんですけれども、というのは、渡部通産大臣が中国にいらっしゃるというお話でしたから御遠慮をしていたんですが、きょうはおいでになるということで急遽予定を変えて、最近の百六十五万台に自主規制枠を下げられたことについてちょっと伺いたい。好敵ござんなれなどと申し上げるつもりはないんですけれども、胸をかりるつもりで御質問申し上げますので、よろしくお願いをします。 私は、今回の二百三十万台を百六十五万台に削減したというのは、はっきり言って、やっぱり管理貿易への巨大な第一歩をとうとう踏み出してしまったという思いが大変強いわけであります。そして、これは政治家渡部恒三のまさにあちらも立ててこちらも立てようという高度の政治判断に基づいた苦心の策であるということは痛いほどわかるんですけれども、どうもこのままいきますと、あちらも立たずこちらも立たずという結果になりかねない。つまり、国内においても大変な不満が特に中小の業者から出てくるでありましょうけれども、アメリカにおいても実はもう既にこの措置に対する不満というか、あるいは不安というか、そういうものがかなり激しく聞かれるようになった。だから、敵に塩を送ったなどということを申し上げるつもりは毛頭ありませんけれども、渡部さん、今度おやりになったことはどうも宋襄の仁のたぐいではないかという気が大変にするわけです。 事実、今度の自動車問題を見ておりますと、どうもビッグスリーの社長ともを、あるいは会長ともをブッシュさんが連れてきたということもあって、やや我が方が恐れをなしたという向きがあると思うんですけれども、アメリカのいろいろな地方のマスコミを含めて記事なんかを集めてみますと、むしろ自動車問題については悪いのはアメリカだという自己認識が非常に強いんですね。 幾つかの例を申し上げますと、例えばデトロイトの苦境は東京のせいではないという見出しのボストン・グローブという新聞の記事がある。あるいは、アメリカの自動車業界の問題の所在は日本にはなくしたがって解決策を日本に求めることは見当外れだというような記事がセントピーターズブルク・タイムズというのにある。あるいは、昔はバッシングというと日本を対象にしてきたけれども、今やそのバッシングの対象は大企業、特に自動車業界の相も変わらず高給をはみ続けているトップが対象なんだというような、ミネアポリス・スター・トリビューンというような新聞の記事もある。 そんなこんなで私は、アメリカサイドにみずからの自動車業界の苦境に対して、私どもから言えば非常に正鵠を射た客観的な評価が存在するときに、なぜ我が方から二百三十万台を百六十五万台に削減しなくちゃならなかったのか。申し上げたように、渡部さんの苦心の策であるということは百も二百もわかった上で、なおあえてこういう御質問をしたい。もう一つ、このことが日米摩擦の新しい火種にならないとは言えないのではないか、なる可能性を秘めていると私は思うんですが、そのあたりについても通産大臣としての御感想をぜひお漏らしいただきたいと思います。
○国務大臣(渡部恒三君) 先生はもうすべて御承知ですけれども、大変難しい選択を我が国は迫られたと思います。二百三十万台という現行までの自主規制をそのまま継続するという選択もありましたし、また自由主義経済ということで一切これを撤廃するという選択もありましたし、また現実には、もう二百三十万台というのは昨年度の実績とは大きな乖離をしているわけですから、昨年の輸出実績をそのまま自主規制にするという選択もありましたし、またこれをやはりある程度減らすという判断もあったわけであります。 先生が御指摘をなされるように、これはどの一つを選んでも、いずれかの方からは御批判をちょうだいしなければなりません。したがって、私があえて苦悩の選択ということを申し上げたのは、そういう条件の中で、やはり世界の中で大きな経済的な立場を占めておるアメリカと日本の、しかもいずれの国の基幹産業も自動車でありますから、自動車の問題で日米は共存共栄を図るべく努力をしていくことが自由主義経済を守っていくことであり、また日米の関係をこれ以上悪くしないような努力であると。 残念ながら交渉事でありませんから、交渉事であれば相手の国とこの辺でどうだとか、そういうことの交渉ができるわけでありますけれども、これは我が方の責任で判断すべきことでありますから難しかったわけでありますが、その中で内外のいろいろのことを考え、アメリカ側のことも考え、また日本の国内の自動車産業も言うまでもなく我が国経済を引っ張っておる基幹産業でありますから、これらのことも考えたから、これ以外の道はないということでこういう選択をさせていただいたので、決してこれは管理貿易に踏み出したなどということではなく、むしろこのままの状態で日米関係が摩擦をさらに強めていくと、これはアメリカの中でさらに地域主義や管理貿易の勢いが強くなっていくわけでありますから、管理貿易にならないように、日米関係をこれ以上悪くしないように、世界の経済の中心的な役割を果たしておる日本とアメリカの基幹産業である自動車産業を相互共存、相互繁栄の形でこれから進めていくための苦悩の選択でございますので、御理解を賜りたいと思います。
○國弘正雄君 苦悩の御選択であったということは私も痛いほどわかります。ただ、先ほど申しましたように、既にアメリカの業界や消費者から自動車の値段がうんと上がるのではないかというようなことを含めた不安ないしは不満の表明がなされておりますので、そのあたりについての御配慮を、あるいは御注目をひとつお願いをしたいということを申し上げておきます。 ブッシュさんの日本訪問、特に自動車問題についての動きを受けて、これまたタンパ・トリビューンという田舎の新聞ですが、次のように書きました。政府が自分たちのつくり出した問題を他国、この場合日本でありますけれども、のせいにするようでは、いわゆる有権者、国民が政治に対して白けるのは当たり前だ、こういう論説でありました。これを使って、次に政治不信の問題に移らせていただきたいと思うんです。二つの社説の一部を読みますので、それについての御感想をひとつ宮澤総理から伺いたいと思うんです。 一つは、国民は議会にうんざりし、議会への敵意は高まりつつある。問題は、果たして議会人自身がこの点に気づいているか否かである、これが第一です。第二は、国会はこの国で最も創造力に乏しい立法府で、金を使うことにかけては天下一品のプロだけれども、それ以外のこととなるととんと未熟練である。ついでながらこれは、前者はニューヨーク・タイムズ、後者はウォールストリート・ジャーナル紙の論説の一部なんですが、要するにアメリカにおいても今すさまじい政治不信の波が洗っているということを申し上げたい。 現に議会を揺るがす小切手スキャンダルなどというものも起きておりまして、それが今アメリカの大きな国内政治の問題になっておるんですけれども、今のこのニューヨーク・タイムズあるいはウォールストリート・ジャーナル紙の論説についての御感想を総理、お漏らしいただけるかどうか。また、外務省の方にお願いをしたいんですが、今のアメリカで起きております小切手スキャンダルについて、その内容あるいは範囲あるいはその及ぼすところの影響、そういったようなものについてひとつお聞かせを願いたい。 ついでに申しますけれども、この小切手スキャンダルに巻き込まれたイリノイ州の下院議員現職及び上院議員現職は、予備選においてつい最近落選をしております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 米国の事情、我が国の事情、百も二百も御承知の國弘委員のお尋ねでございますが、アメリカの議会についてのニューヨーク・タイムズとウォールストリート・ジャーナルでございますか、社説、私がどうも今何か申しますことは適当でないように存じます。この点は御了解をお願いいたしたいと思います。 ただ、こういうことが堂々と論じられているということ、そして国民がみんなそういうことについて自由に議論をしているということがアメリカの偉大さだと、これは間違いないことだと思います。
○政府委員(佐藤行雄君) お答え申し上げます。 不良小切手振り出し問題についての事実関係についてお答えいたします。 御承知のことだと思いますが、昨年の九月十八日でございますが、アメリカの会計検査院が、八九年の七月から九〇年六月まで下院銀行、我々そう訳しているわけですが、下院銀行で八千三百三十一件の不良小切手が振り出されているという報告を会計検査院が公表したわけでありますが、それを受けまして下院で、下院議長の指示を受けまして下院倫理委員会がその調査を行いました。そして、ことしの三月五日でございますが、調査委員会から五カ月にわたる調査結果の報告を受けまして、そして下院の倫理委員会として、一カ月の給与よりも大きい額を借り越した二十四名の名前を公表すべきだという勧告が出ました。もちろん、規模ということを言われましたものですから、私たちの判断よりも、議会で出ていることでございますが、共和党側からは不良小切手を切った三百五十五名の名前を公表しろという主張も出ているようであります。 それを受けまして、三月十三日に下院が決議案を出しまして決議をいたしまして、そして十日間の猶予を与えて、三月二十三日ごろまでにさきに指定を受けました二十四名の名前及びそれの件数等を公表しようという予定で準備をしているというふうに承知しております。ただ、その間の猶予期間に今ある状況でございますので、それ以上のことは私ども承知しておりません。
○國弘正雄君 金額その他を後で私も時間があれば申し上げたいと思うんですが、その金額がいかにも少ないことに、特に日本でうわさされているいわゆるスキャンダルと比べてその金額が余りにも過小なことにびっくりするということをあえて今申し上げておきたいと思うんです。 アメリカも議会政治というものに対する疑念が非常に高まりつつあるわけですが、事はイギリスにおいても余り変わらないと思います。 一九五九年に、昔外務大臣をなさいましたベバンさんが、お金絡みの問題で、どうもやっぱり政党政治とか代議政治というものの将来は必ずしも楽観できないというような趣旨のことを述べました。試練に立つ代議制民主主義あるいは政党政治というようなことでありまして、その後、アメリカにおいてもイギリスにおいてもパーティー・イズ・オーバー、政党は終わったと。うだけの終わりというのとそれから政党というのをひっかけて、「パーティー・イズ・オーバー」という大ベストセラーが出るというようなことがあったわけであります。 イギリスのあるユーモリストが、大変厳しいことをイギリス人独特のドライなユーモアで言っております。それは、政治家にみずからを拘束する改革を求めることは絞首刑の宣告を受けた犯人に絞首用の縄をなわせるようなものだというような大変に英国的なドライなユーモアでありまして、どうもこれは人ごととも思えないなということを私、大変痛感するんですが、イギリスでも議会政治ないしは代議制度というものがちょっと問題になってきている一つのいい例は、近く行われるイギリスの総選挙の結果がどうなるかということだろうと思うんです。そこで、イギリスの総選挙の結果をどのように外務省は予測しておられるか、そのあたり伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 自分の選挙の予測も間違うぐらいでございますから、まして国内の選挙もなかなか的確な予測ができない、イギリスの選挙においてをやでございます。
○國弘正雄君 外務大臣、そうおっしゃるだろうと私実は思っていました。 ただ、一つ今予想されておりますのは、与党も野党もどっちも勝たないと。つまり、攻める労働党も守る保守党も両方とも多数党を形成することができないだろうと。これをイギリスではハングパーラメントとかなんとを言うようですけれども、その状況が今や大方の予想になってきている。我々が長い間議会政治あるいは政党政治、あるいは二大政党論の、いわば、何といいますか、代表と目しておりましたイギリスにおいてすら今やどうもこういう時代が到達したようであります。ですから、はっきり申し上げて、政治不信の問題はあに日本一国の問題ではないということを申し上げられると思うんです。さはさりながら、私はやっぱり日本のひどさというのは、これはさっき申し上げた金額というようなことを考えてみましても、ちょっと言語を絶するものがあるというふうに思うんです。あるこれは全国紙の信頼度調査というものでありますけれども、政治家に対する信頼度というのは三%なんですね。これはお医者さんとかそれから教員、それからまあ最近はちょっと信頼度が低くなりましたが銀行家がそれぞれ三〇%以上も信頼度を占めているのに対して十分の一でありまして、この三%というのは街頭運命コンサルタント、つまり大道易者のことでありますけれども、の三%とほとんど同列なんですね。そして、天気予報のキャスターの方がよっぽど信頼度が高い。特に最近は天気予報当たるようになりましたから信頼度が高くなったわけですが、日本においては与野党を問わず政治家というものの社会的な信頼度がこんなにも低いと、お互いこんなにも低い職業としての政治に従事しているんだということなんですね。 総理、どう思われますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国の民主政治というものは、戦前になかったとは思いませんけれども、正直に申して戦後に発展をいたしてまいりました。現在もいろいろ暗い話の多い何カ月かでございますけれども、やはりそういう試練を経ながら少しずつお互いがこれをよくしていくという努力、先人が申しましたように、いろいろ問題があってもどうもこれよりいい方法というものは考えられないというチャーチルの言葉のとおりだと思いますので、そういう努力を継続していく、決してあきらめてはいけない、お互いの努力によって国民の信頼を獲得していくということでなければならないと思います。さしずめは政治改革の問題であると思っております。
○國弘正雄君 先ほど斎藤栄三郎先生から、日本の経済の将来ということについて必ずしも楽観できないんだという趣旨の御発言がありました。私はそれを承っておりまして、これもまたあるアメリカの新聞の論説の内容を思い出していたんですが、それは、このような政治不信が銀行・証券不信とも相まって引き続くならば日本の国際競争力というのにも早晩陰りがくるであろう、だから我々としてはむしろ安心していていいんだというような趣旨の論説がございました。 そしてもう一つ、政治への不信というものがこんなにも高まってまいりますと、私は一般の働く人たちの勤労意欲にも当然マイナスの影響が出てくるだろうと思うんです。もちろん、これは定量分析はできません。計量化できない話であります。しかし、印象論としてあるいは定性分析的に言えば、確かに一日三時間も往復に使って、しかもローンだの、あるいは家賃だのに可処分所得の三分の一近くを支払わなければならないということで額に汗して営々と働いている人にとってみれば、お偉方があんな行儀の悪いというか、あるいはらちもないことをやっているようでは働いてなんておれるかというふうな気持ちになったとしても私は余り責められないだろうと思う。 もとより、これは計量的に定量的に証明できる話じゃございませんけれども、何人かの社会心理学の専門家たちが今集まって、今の景気の後退というか得とん、それから今申し上げたような意味における政治不信に端を発するある種の勤労意欲の減退との間に何か関連を見出すことができはしまいかということの作業をしようとしているところであります。 しかし、いずれにしても、私はこういうふうに政治不信が高まっていきますと、日本というのはしょせんは法が支配する西側の先進民主主義諸国の一員ではないんだというようなたぐいのいわゆる日本異質論というものが、既にあるわけですけれども、さらにそれに火に油が注がれるのではないかというふうに思うんですね。我々は西側の一員、西側の一員という形容をよく申しますけれども、しかし我々をもって本当に西側の一員とみたしてくれるであろうかどうであろうか。私は、日本異質論の高まりというものを非常に強く感じ、今そのことについて物を書いたり、しゃべったりしてまいりましたが、政治不信をこれ以上大きくしてしまうと日本の経済の先行きにもマイナスにたるでしょうし、国際社会の中で日本というのはやっぱり異質な存在でしかないんだと、少なくとも西側の先進国としてはという受け取られ方をしてしまうだろうというふうに思うわけです。 そういったようなことについて、もし総理なり副総理なりの御感想をお聞かせいただければ大変に幸せであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のことは同感するところが多いのでございますが、けさほど斎藤委員が現在のこの経済状態、バブルからバストというこの部分、実は非常に深刻な問題だという御観点からいろいろな対策を御示唆いただきました。それは非常に示唆に富んだお話であったのですが、基本的には私はしかしオーソドックスな手法で、事態は深刻ではありますけれども、土地とか証券とかいったようなものについて起こった問題はかなり基本的な問題でありますから、手法はやはりオーソドックスに考えなければいけないのではないかということを申し上げましたのは今國弘委員の言われましたことに関係がございます。 つまり、我が国が例えばアメリカと構造協議しておるといったようなことも、本来であれば我が国の伝統とか文化とかということにかなりかかわり合いの多いところまで実は問題がいきかねない。それは承知でありながら、しかし国際的に標準化できる分野においてはなるべく国際のルールというものに我が国が沿っていくことが望ましいだろうと、そういう考えからああいう協議が行われていると思うのでございますが、このバブル、バストというのもそういう問題と非常にまさり合いながら日本がいわば国際的に通用する経済大国ということになっていく苦しみであろう、そういうふうに私は考えておりまして、先行きについては、先ほど申しましたように私は楽観主義者なんでございます。まだ我々には十分これからやっていく力があると考えておりますし、やはりこの機会にオーソドックスな手法で国際的に通用するような経済大国と申しますか、になるという問題と、もう一つは、明治以来の富国強兵と申しますか、そういうことから一人一人個人の生活設計とか個人の思想とかそういうものが大事にされてよろしい、また大事にすることができる社会になってまいりましたから、それを伸ばしていきたいというふうに考えております。
○國弘正雄君 副総理、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 僕は、先生の御議論を聞いておって、どの一つをとってもまさに頂門の一針であると、人ごとではないという感じをしみじみと受けました。今後どうすれば信頼の回復ができるか、お互いに一緒になってやっていきたいと存じます。
○國弘正雄君 ありがとうございました。 それでは、少し趣を変えまして、農水大臣に伺いたいと思うんですが、実は土の問題であります。 レスター・ブラウンという世界監視研究所というところの所長さんがおりまして、この人は例えばオゾン層の消滅というようなことについて最も最初に指摘をした世界的な環境問題の大専門家でありますけれども、彼が、世界的に見るとやっぱり最大の環境問題は土壌崩壊である、表土の流失であるということを穀物自給の可能性あるいは人口の増加というようなことと絡んで申しております。穀物一トンとると表土が一トン失われるというような状況の中で、どうも収奪的な農業を特に先進国、アメリカなんかはやってきた。そこで土の破壊というものが非常に起きておるというわけでございます。 かつてニューディールの名前で知られるF・D・R、ルーズベルト大統領は、土の滅びは国の滅びという名言を吐きまして、土壌崩壊のひどかった一九二〇年代の終わりのアメリカに警告を発し、土壌保全という大運動を起こした。あるいは外国でなくても日本でも、例えば今はもう九十歳で大変活躍をしておられる住井すゑさんとおっしゃる方、彼女は、「土、ものの今ここに創まる」、「創まる」という字は創世記の創という字を書いておられますが、つまりすべての命の根源体としての土というものをそういう形で呼んでおられる。 そういうルーズベルトあるいは住井さんあるいはレスター・ブラウン博士の世界の最大の環境問題は農業と絡んでの土壌崩壊であるという説について、どのような御感想をお持ちか、農水大臣そして環境庁長官の御意見を賜りたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) お答えを申し上げますが、農業生産というのは土壌であると言っても過言でないと思います。結局、生産性を向上するにしてもあるいはこの農産物が病害虫に強いということからしても、やっぱり土壌をしっかりしなければならないということはもう仰せのとおりであります。アメリカでもいろいろと土壌のことが問題になっておりまして、新しい資料はないんですけれども、一九八二年に調査の結果を発表しておりますが、アメリカは御案内のように一年一作、そして防風林なんかはたい、全部広大な農地でやっておるものですからどうしても土壌の流亡といいますか、そういうものが非常に激しいということであります。 おかげさまで、私の方の日本の場合は非常に欧米と違いまして土壌というのは意外によく守られておる。特に雨量が多いということ、あるいは急傾斜地でありますとか水田が多いものですから、そういう意味では土壌の流亡というものは防いでおられるということがございます。 いずれにしても、今度のOECDでもこの問題が環境と同時に議論をされるようになりました。大変いいことだと思っておりますし、私どもがかねがね国際の場でいろんな主張をしておりましたので、これからもそういうことを強く訴えていきたい、こう思っております。
○国務大臣(中村正三郎君) 委員御指摘のとおり、土壌流失は地球環境にとっても非常に重要な問題だと思います。そして、ことしの地球サミットでも地球環境保全の方策として行動計画、アジェンダ21と申しておりますが、その中で討議をされることになっております。環境庁といたしましてもこれから真剣に取り組んでまいりたいと思います。
○國弘正雄君 今、農水相がおっしゃいましたように、私は、生は食にあり、食は農にあり、農は土、にありということを本当に考えて、信じておるものであります。確かに、アメリカやあるいはオーストラリアなんかと比べますと、日本の場合は水田という大変結構なものもございますしそれから農業のやり方が違うということもありますけれども、逆にアメリカやオーストラリアは農業の歴史が浅いわけですね。したがって上もまだ若いということが言えると思うんです。その若い土のアメリカにおいてしかし表土の流失が非常に大きな問題になっている。他方、日本の土は老いているわけですね、長い間我々を養ってきてくれたわけでありますから。したがって経済優先で収奪をすればするほど疲弊も早いわけで、土は黙って何にも言いませんけれども大変くたびれているという事実があると思うんですね。 そこで、私、御提案あるいは御質問なんですけれども、五月のバードウイークというのもあるし秋の赤い羽根運動というのもあるわけですから、ここらでどうでしょうか、宮澤内閣で土の日というものを設定していただけないだろうかと。今でも十月の第一土曜日は土の日ということになっているわけです。けれども、それは十月の第一土曜日ということでごろ合わせみたいなことで行われているわけですが、そういうものじゃなくて、また全国いろいろなところでいろいろな組織が行っている土の日でなくて、何かある程度全国的な土の日というようなものを考えていただくことで、設定していただくことで、すべての命の根源なんだ、物の命はここに始まるんだという事実をもう少しお互い理解していく必要があるんじゃないか。 そこで、今まで試みられたわけですが、なぜこの土の日がうまくいかなかったのか、大蔵省やあるいは総務庁の反対があったからなのかというようなことについてぜひ伺いたい。そして農水省が先頭に立って、大蔵大臣や総務庁長官ともお話し合いいただいて、これはもう超党派でできることですから、土の日というようなものをぜひお考えをいただきたい。これからの世界の最大の環境問題が土だということであればなおさらだというふうに思うんですが、もちろん総理にもひとつリーダーシップを発揮していただきたいと思うんですけれども、このあたりいかがでございましょうか。
○国務大臣(田名部匡省君) いろんな日をつくってほしいという要望が非常に多いんです。どれをするかといっても、もっと国民の関心が非常に高まってほしい、こう思っておりますが、私どもとしても全国的な土壌の調査をしたり、あるいは都道府県による地力増進対策指針というものの作成やいろんなことをやっております。また、農林水産省の指導のもとで都道府県が中心となって全国で土づくり推進運動、こういうものをやっておりますし、これを私ども積極的に高めていこうということでやっております。 多くの県でこの土の日というものが制定されて実際にやっております。大体設定している県が五県、推進月間設定というものは十六県ぐらいあります。もっともっと全国的に高まりを見てその他の日を設定してほしい、海の日というのもあるしいろいろありますので、その中からまた十分検討してまいりたいと思います。
○国務大臣(加藤紘一君) 国民の関心のある事項についてその特定の日を設定してそれを全国的にみんなで考え、そしてまたそれを休日にしたらどうかという点は、幾つかのテーマにつきまして内閣官房の方に要請がございます。先生御指摘のように、土とか自然環境とかというのも我々日本人にとりましては大変重要なものであり、また将来国際的なグローバルな環境という意味でも重要な先見的な意味を持つものだと思っておりますけれども、現在までのところ、内閣の方に来ております特定の日というのは八件、十件、数え方によりますがございまして、やはり国民的に広いコンセンサスができていかないとなかなかそれに踏み切れないというところがございます。 また同時に、先進国の中で日本はかなり休日はもう十分多い国になっておりますので、そうしますと、今一番強く出ておりますのが実は五月一日、メーデーを労働を祝福する日として国民的にその意義づけをやろうじゃないかという、これが一番強いのでございます。その次に福祉の日をつくったらどうかというのが二番手にありまして、それからそのあと強いのはどこかということを、まあ官房長官が言うのはいろいろ問題があろうと思いますが、要望が強いものの中には、日本のように海というものと深い関係で国が存立している国はないんだから海の日をつくったらどうかというのも最近極めて強い御指摘をいただいております。 そういう中で、まず国民的に非常に強い世論を喚起するように先生からもリーダーシップを御発揮いただきたいと思います。
○國弘正雄君 私は、休日にしてくださいということを申し上げているんじゃないんですね、バードウイークは必ずしも休日じゃないわけですから。 そこで、同僚の竹村議員ヘバトンタッチをするんですが、その前にそれに関連して厚生省に伺いたいんですが、婦人保護施設運営費補助事業というものについて御解説いただけますか。
○政府委員(末次彬君) 婦人保護施設の運営費の補助金のことかと存じますが、婦人保護事業そのものは、昭和三十二年に売春防止法ができまして、いわゆる要保護女子につきましてその転落未然防止と保護更生を図るという目的で実施いたしております。この要保護女子の婦人保護施設におきます保護というところをこの婦人保護施設は担当しているということでございます。
○國弘正雄君 それでは、この問題についてちょっと触れたいこともございますけれども、時間もございませんから竹村さんへバトンタッチをいたします。
○委員長(中村太郎君) 関連質疑を許します。竹村泰子君。
○竹村泰子君 先ほど清水議員がいろいろと御質問を申し上げました。非常に私たちにとりましては重い問題でございますけれども、私は質問と提案をきょうは申し上げたいというふうに思っております。 まず、宮澤総理にお伺いいたしますけれども、あなたは一月に訪韓をされました。そして、盧泰愚大統領に謝罪をし調査を約束されました。それ以来、つまり、ことしになってから大変調査が本格化されたという感がございますけれども、これは大変な認識不足でありまして、というか参議院の予算委員会を軽視しておられるのではないかと私は思うんですね。なぜならば、私は九〇年の五月二十八日に強制連行の問題を取り上げまして、満足な答弁をいただけなかったので留保し、二日後、そのときの議事録もここにございますけれども、今鋭意調査をしておりますのでもう少しお待ちくださいと。そのときに私は「従軍慰安婦の調査もなさいますね、官房長官。」というふうにお聞きをしております。それについても「協力しながら調べております。」というふうにお答えにたっておられます。調査の約束をしているわけです。同じ年六月六日には、本岡議員が同じくこの予算委員会で従軍慰安婦に絞って調査をしております。いずれも二年前のことでございます。 このことをまず宮澤総理は御存じだったでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 平成二年五月三十日、本委員会におきまして竹村委員からそういうことについて調査の御質問がありまして、官房長官が各省庁に対して調査をするというお返事をされましたということを記録によりまして存じております。
○竹村泰子君 その後、衆議院、参議院両予算委員会、外務委員会、内閣委員会などで幾人かの我が党の議員たちが強制連行、従軍慰安婦問題を追及してきております。まるで今始まったかのように慌てて調査をいたしますと。内閣がかわるとこういう重要なことも帳消しになってしまうんですか、総理。
○国務大臣(加藤紘一君) 竹村先生初め本岡先生、諸先生が、特に両先生を中心にこの参議院で従軍慰安婦、強制連行の問題につきまして大変熱心に累次にわたって御質問されて、また御指摘あったということは、我々政権を引き継ぎましたときに十分に聞いておりました。 そして、確かにことしの一月、また去年の暮れあたりから我々もかつての日本軍が何らかの形で関与していたんではないかということを申し上げておりますが、そういうことを申し上げるようになりましたことも、諸先生方の御指摘があって、そして政府の内部でずっと累次調査をした結果、やっとそういう段階にたったというふうに御理解をいただきたいと思います。
○竹村泰子君 理解しろと言われても私理解ができないんですが。 渡辺外務大臣、あなたは衆議院の予算委員会で、どのくらいの人数なのか全くわからない、三人や五人の解決なら簡単だが実態をまずつかまなければ話のしょうがないと答えておられます。話のしょうがないというのは一体どういう意味なんですか。今ごろこんなことを言っていただいては困るんですね。先ほどの御答弁でも、急に一週間やそこらで調査をしろと言われても云々ということをおっしゃいました。二年間何を一体調査してきたんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 話のしようがないというのは、まあ言葉じりといいますかね、私の言うのは平たく言ったことでありまして、それによって交渉とかあるいはどういうような、いずれにせよ、何かするにしても韓国政府と話をしなきゃならぬわけですから、これは表の権利、義務という話じゃなくて。ですから、そういうような意味で私は言っているのであります。 それから、質問があって一週間たってまた別な答えをするというわけにいかないんです、私は。一週間や二週間で違った事態が発見されれば別ですが、そうでないと、やはり内閣で調査しているわけですから、その全貌についてある程度……。いずれにしても一〇〇%はわかりませんよ、これは。私はそう思っています。わかりませんが、ある程度もうほぼこれ以上は無理がというぐらいのところまで調査を進める必要があると。そうでないと、途中で対策を立てても何かを、また次から次へと別なことが出てきたのでは、それはもう困るわけですので、そういう意味で、ここにきてそれは急がなければならないと言われればそうでございますが、やはりある程度政府としてはどうするかという決断を、いずれにせよ決断をするための材料を整えるということは私は重要だろうと考えております。
○竹村泰子君 私は急がなきゃならないということを言っているのではなくて、もちろん急がなきゃならないかもしれないけれども、先ほどからの政府の誠意のない不誠実な調査態度と申しますかね、それを言っているわけです。 この二年間、確かに九万八百余名の名簿を捜し出されました。百万ともあるいは二百万とも言われている強制連行者、全体ですよ、従軍慰安婦だけじゃなく、強制連行者の中でわずか九万八百余名の名簿を捜し出されました。しかし、民間人の手によっても、私たちの調査によっても、あっちこっちから当時の資料が発見されております。 ここに、私きょう持ってきておりますのは、私たちの仲間が長野県の県庁の地下倉庫から発見した朝鮮人送還関係のこれは書類だんです。特にこの従軍慰安婦が中に入っているということはないんですが、固有名詞は全部塗りつぶされておりますので、女の人がいてもわからないわけですけれども、こういうふうにして資料が続々と今日に至るも発見されているんです。先日、中央大の吉見教授の手によってことしの一月発見、公表されまして、衆議院の予算委員会でも取り上げられました資料も防衛庁の防衛研究所の図書館にありましたね。だれでも入れるところです。 私はここにもう一つの議事録、皆様のお手元にお配りしたかと思いますけれども、この議事録、これは昨年の、九一年四月一日の議事録ですけれども、この中で長野県の松代の問題を質問しております。そこで、きょうもおいでになっておりますけれども、畠山防衛局長がこの防衛研究所のことを言っていらっしゃるんですね。米印が一番下についておりますけれども、そこなんですが、「防衛研究所というところに戦史部というのがございましてこというふうにお答えになって、その資料を全部調査したけれどもというふうに答えていらっしゃる。 それでは、そこでお聞きいたしますけれども、これは議事録ですね。ここで畠山防衛局長はこの戦史資料のことを調べておられたはずですね。なぜことしの一月まで出てこないんですか。
○政府委員(畠山蕃君) ただいま御指摘の、昨年の委員会におきます御質問に対して答えましたのは、御質問がございましたその長野市の松代の大本営の工事の関連でございまして、そこについての資料はこれは調査をいたしまして、その結果そういう強制連行を示す資料がないというお答えを申し上げた次第でございます。 他方、今御指摘の、一月になってわかったか、なぜそこまでわからなかったかと言われたのは従軍慰安婦の問題でございまして、松代の場合には事象が限られておりますのと、年代が、いつこれがつくられたかということで調べる対象数が非常に限られてくるということでございますので、そちらの方は調査が容易でございます。他方、従軍慰安婦の方は、これは調べます対象図書が極めて広範にわたるということでございまして、そちらの方と松代の方との違いはそういうことでございます。
○竹村泰子君 私、とてもおかしいと思うんですけれども、資料がたくさんあるでしょう。その中から松代のものなのか従軍慰安婦のものなのか送還関係の資料なのか、これ全部見なきゃわかりませんよね。上に従軍慰安婦と書いてあるわけじゃないと思うんですね。 防衛庁長官、いかがですか。おかしいじゃないですか、これ。隠ぺいしていたとしか思えない。
○国務大臣(宮下創平君) 松代の大本営の計画は秘密裏にこれをやろうということでございましたが、私も長野県でございますので多少知識が、突然であれでございますけれども、たしか十九年の十一月ごろ着工したんじゃないでしょうか。したがって終戦時にはまだ完成をしておりません。たしか七割くらいまで完成してそのままになっておりますから、今畠山防衛局長の言われたとおり、やはり十九年の終わりくらいの前後の資料を恐らく調査されたものというように私は感じます。しかし、さはさりながら従軍慰安婦の問題も従前委員の御指摘のように指摘されておるわけでございますから、当然気がつけばあれでございますけれども、何しろ防衛研究所の戦史資料というのは十一万六千冊に及ぶという膨大なものでございますので、なかなか委員の御指摘のようなぐあいにはいかなかったのではないかと思います。
○竹村泰子君 いろいろございますけれども、私はこの期に及んで、きょうの清水議員の要請にもこたえておられないんですが、証言を聞こうとしない、証人も呼ぼうとしない、こういう態度は余りにも不誠実、本気でやる気がたいのじゃないかと言いたくなってしまうのですね。私は社会党の人権・女性担当といたしまして、衆参両院に対外補償調査特別委員会の設置をと提唱しております。このようなことをどうお思いでしょうか、総理。総理にお願いします。
○国務大臣(加藤紘一君) 今の問題点は立法府の中で御相談し、お決めになることではないかなと思います。
○竹村泰子君 私はここに、私たちの仲間の弁護士たちが韓国へ行って実際に慰安婦たちから聞き取り調査をしたコピーを持っております。もしお読みくださるのでしたら喜んでコピーをとりますので、彼女たちの声を聞いていただきたいと思います。 私は昔のことをほじくり返せと言っているのではないんです。国際貢献とおっしゃるならば、平和はどうつくられるかとおっしゃるならば、こういうことを、歴史の決済をしないできたのと同じ構造で、「アジアの国々で目に余る売春ツアーだとか経済侵略あるいは性侵略が行われている現状、これは同じ構造なんです。昔のことじゃないと思うのですね。これは私たち日本人全体の歴史認識の問題であり、アジアの国々と真の連帯をするために必要不可欠なことと思います。 ここに私がコピーを持っておりますのは去年の九月の朝日新聞なんですけれども、「カナダ、オーストラリア、米、英、オランダ、ニュージーランドの六カ国の元戦争捕虜らで組織する合同委員会は昨年、生存者と遺族に一人二万米ドルの支払いを日本政府に求める要求書を国連人権委員会に提出した。」。先ほど人権委員会のお話もございましたけれども、まだまだたくさん世界の動きがございますが、こうした世界の動きを日本政府ははっきりと酌み取って、私は最後に提案を申し上げたいと思いましたが、時間がなくなってしまいましたので、あとは國弘さんに締めていただきたいというふうに思います。
○委員長(中村太郎君) 以上で國弘君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、櫻井規順君の質疑を行います。櫻井君。
○櫻井規順君 私は、短い時間ですが、今世界的に不況が進行しているように受けとめられます。恒久的に日本の経済発展、社会発展というものを考えてみたときに、アジア、北東アジア、なかんずく日本海圏の経済開発、社会開発ということが重要な問題になるという観点で質問をしたいというふうに思います。 少々余分のことでございますが、私ごとでございますが、私は十歳のときに、一九四四年でございますが、中国は東北に一家五人で地方公務員の親に連れられてまいりまして、翌年敗戦を迎えるわけですが、両親と兄貴を失いまして、さんざんな目に遭って日本に帰ってまいりました。以後、とにかく中国と朝鮮だけは行くまい、青春時代の社会科学の勉強の結果もありますが、こんな決意をしたわけであります。国会に出てまいりまして、やはりアジアというものを見詰めなきゃいけない、近隣の国をしっかり見詰めなければいけないということで、三年弱ではございますが、わずかですが三回中国に行き、二回朝鮮に行ってまいったものでございます。そういう立場から、環日本海圏の経済発展という問題に焦点を絞りながら、以降質問してまいりたいというふうに思います。 そんな私自身の経歴もありまして、アジアとの国際関係という問題を単に経済開発という視点からだけではなくて、当然なことでございますけれども、環境の問題あるいは軍縮、平和、友好の問題、あるいは私はもう一つ教育という問題が非常に重要だという観点で、以降質問してまいります。 最初に、総理大臣にお伺いいたします。 今、日本で、財界それから民間団体、地方自治体を含めまして、環日本海経済社会開発構想というものが盛んに提案されておりますが、この環日本海開発構想等について、総理、どんなふうに受けとめられているか、所感を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国の持っております地政学的な一つの利点は、四方が海に囲まれているということでございます。これはかつては欠点とも言われましたが、利点と、今私はそういう観点からとらえて申し上げるわけでございますが、そういう我が国にありまして、殊に、なかんずく冷戦後の時代におきまして、あるいはもう少しその前から申し上げるべきかもしれません、中国が国際社会に復帰をしたというあたりから申し上げるべきかもしれませんが、日本海を囲む国々に起こっております新しい変化というものは、我が国の殊さら日本海に面する地方と非常に大きな影響を将来持ち得る出来事であると考えておりますので、環日本海構想というものについて、私は非常に大きな実は関心を持っております。
○櫻井規順君 最初に、環日本海圏のアジアにおける位置づけを外務省にお伺いしたいと思います。 我々がアジアという場合に、アジアは広いわけでありますが、日本が経済展開をする地域としては東アジアという領域を指すべきではないかと思います。この東アジアの構成でございますが、東南アジアあるいは北東アジア、それをおおむねどういうふうに位置づけるのか。そしてまた、環日本海という一つのゾーンはこの北東アジアの中のどういう位置になるか。外務省の説明を求めたいと存じます。
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。 確かに、アジアをどういうふうに区分して理解するかというのはいろいろ議論があるわけでございますけれども、ただいまのテーマでございますこの環日本海ということにつきまして、どの辺のところを対象に理解するかということを話してみたいと思います。 私どもの理解では、環日本海交流あるいは環日本海構想という場合には、日本、日本の中でも恐らく日本海沿岸の道府県が中心だと思います。それから中国の申では何といっても東北三省、黒竜江あるいは吉林、そして遼寧省、この三省が環日本海交流という場合にはそういう文脈の中でとらえられるものでございます。それからロシア連邦の、これも広うございますから、ロシアの中の極東の部分、沿海地方あるいはハバロフスク等々の極東の部分、そして韓国と北朝鮮、こういったところの間の交流をもう少し活発にしようというのが環日本海構想であり、交流というふうに理解しております。北東アジア、北アジアといいますと、これは御存じのとおりでございますけれども、もう少し広い地域を指すのではないかと思います。
○櫻井規順君 台湾と香港は。
○政府委員(谷野作太郎君) 台湾、香港と申します場合には、むしろ東アジアということだと思います。
○櫻井規順君 東南アジアは。
○政府委員(谷野作太郎君) 東南アジアという場合には、私どもの理解では、やはり何といってもASEAN、そして最近話題になりますカンボジアあるいはベトナム、インドシナ三国、その辺を私どもは東南アジアという場合には念頭に置いております。
○櫻井規順君 次に、通産省にお伺いしますが、世界貿易の中で東アジアの位置、それから東アジアの中の東南アジア、北東アジアの域内貿易あるいは対外貿易の世界構成比の中での発展といいましょうか、移動といいましょうか、どんなぐあいになっていますでしょうか。
○政府委員(高島章君) 最近五年間の我が国の地域別輸出入の推移で見ますと、東南アジアとの間では金額で七〇%ふえておりますし、日本の輸出入全体におきます比率もこの五年間で四%上昇しているわけでございます。 北東アジア、そして今お話に出ております環日本海圏ということでは統計上くくっておりませんので、旧ソ連邦、中国、北朝鮮及び大韓民国の日本海周辺四カ国との輸出入についてお答え申し上げますれば、金額では約四五%ふえておりますし、日本の輸出入全体におきます比率はおおむね一一%程度で横ばい推移をしているところでございます。
○櫻井規順君 通産大臣にお伺いいたします。 北東アジアの中で香港あるいは中国・広州、台湾等を含めた一つの経済開発ゾーンあるいは黄海経済開発ゾーン、こういうふうに南から北へ経済開発ゾーンが移動し、さかのぼれば東南アジアへ行くわけでありますがのこれが日本海経済圏へと発展してくるわけでありますが、そのゾーンの開発の過程での特徴というのをどう通産大臣は押さえているか、御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(渡部恒三君) 確かに委員御指摘のように、国交回復前の中国と日本最初の貿易の窓口は南の広州だったわけですけれども、国交回復して今二十年で大連が一番投資や貿易の関心を集めるように北に移ってきておりますし、また長い間国交が正常化されなかった北朝鮮との国交も今進もうとしておる情勢でありますし、またソ連邦の崩壊によって今、新生ロシア共和国の新しい建設で日本に対する大きな協力を求められております。その中でも、通産省でいろいろ今貿易とかあるいは技術面の開発とかエネルギーの開発とか技術移転とか、こういうようなものを勉強しておりますと、これは極東というものに大きな関心を持たれております。 私、距離をはかったことはありませんけれども、モスコーと極東の距離よりははるかに日本海と極東が密接な近い関係になっていくことは容易に想像できることでありますから、今後国際情勢の進展の中で、日本海はかつては、これはこういう言葉を使ってはなりませんけれども、裏日本というようなことを言われておったんですが、いよいよ世界に向かって表日本という時代になってくるのではないかというふうに考えております。
○櫻井規順君 私は、東南アジアの開発、そして台湾から香港に至る圏域の開発、さらには黄海へと移る過程で、経済的に言いますと、専ら原料と安い労働力を求める垂直的な経済協力から、より国際的な分業の水平的な分業へと移行してきているというふうに思うわけであります。 あと環境庁にお伺いしますが、日本海経済圏という場合に、より高次な水平的な分業を求めて政策を進めるべきだというふうに考えるわけですが、通産大臣、いかがでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 確かにおっしゃいますように、先ほど申し上げた日本海を囲む国々、それぞれの国柄、特色があるような気がいたします。何といいましても、技術と大変な資金力に恵まれた日本、あるいは韓国もそのようにとらえられるかもしれません。水産資源その他のいろんな資源を有するロシア連邦、それから何といいましても中国という場合には豊富な労働力そして資源ということがありまして、ただいま申し上げたようなことだけをとりましてもお互いに、水平分業ということをおっしゃいましたけれども、相互の生産要素が非常にかみ合う、そういう意味において互恵的な図が描けますし、そういう意味におきまして将来も非常に展望が明るいということだと思います。
○櫻井規順君 環境庁長官にお伺いします。 東南アジアの開発については、御案内のように、熱帯雨林の乱伐を中心に大変な環境破壊が結果としてもたらされたわけであります。中国との関係でいいますと、中国の人口増等の問題で、中国の砂漠化という現象は日本の開発との直接的な関係は極めて少ないというふうに思うわけでありますが、こうした東南アジアの熱帯雨林の乱伐、あるいは中国の砂漠化という状況の中で、最後に残された環日本海圏の対岸の国はかなり緑豊かな地帯でございます。 こうしたところの経済協力あるいはこれからの社会協力、国際協力関係に当たって、環境庁として過去を顧みながら環日本海にどう臨まれるか、御返答願いたいと存じます。
○国務大臣(中村正三郎君) 中国、韓国など北東アジアの国々との環境協力、これは日本が今まで公害を経験し、それをある程度克服してきたという技術の蓄積、ノウハウの蓄積もございます。また、国境を越えての環境汚染というものが深刻な問題になってまいりまして、まさに地球規模の環境の保全が図られなければいけないという時代に入ってまいりました。 そういうときに、日本といたしましてこういった国々に環境協力をするということは非常に重要なことと認識をしておりまして、従来から日中、日韓の科学技術協力協定のもとにいろいろな協力をやってまいりまして、今まさに中国の環境問題対処能力向上ということで、我が国の協力で日中友好環境保全センターの計画というものが進んでおります。 環境庁といたしましては、これらの国々と密接な情報交換、政策対話を行い、地域環境協力を推進していくことが重要という考えから、昭和六十三年度から開催してまいりました日韓環境シンポジウムを平成四年度から中国なども参加をして環日本海環境協力会議といたしまして、森林減少の問題も含めまして、この地域での環境協力推進のために定期的政策対話を行うこととしております。このための所要の予算も平成四年度の予算に織り込んだわけでありまして、私どもといたしましては、このような対話を活用いたしまして、北東アジアにおけるこの地域の環境協力の強化にこれからも取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
○櫻井規順君 通算大臣に、重ねて恐縮でございます。 国内に、経団連を含めまして経済界に、環日本海経済開発構想を中心にいろんな諸団体の動きがありますけれども、どんなふうに認識されていますでしょうか。
○国務大臣(渡部恒三君) 先ほども申し上げましたように、我が国の経済団体が非常に大きな関心を持っておるということです。
○櫻井規順君 もう少し経団連を中心に具体的な動きを把握されていると思うので、御報告願いたいと存じますが。
○国務大臣(渡部恒三君) 詳細は政府委員をもって答弁させます。
○政府委員(藤原武平太君) お答えいたします。 環日本海経済圏構想のいろんな検討が経済界で行われております。経団連におきましても、日ソにつきましての委員会がございます。それから特に日本海側の都道府県を中心にいたしましていろんな形での開発構想、協力構想というものが累次出されております。北海道あるいは新潟、石川、富山、そういったところで構想が出されております。 私ども通産省も、ソ連東欧貿易会と協力をいたしまして極東地域に調査ミッションを派遣しておるところでございまして、向こう側の要人とその点につきまして意見交換を続けているところでございます。
○櫻井規順君 自治大臣に伺いますが、この環日本海経済開発あるいは文化協力等にわたって自治体の今日果たしている役割、あるいはその日本海の発展への動きというのは顕著なものがあるわけですが、どんなぐあいにとらえていますでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 自治体からの要請は、一つは人的交流ということは当然でございますが、それ以外に例えば重要港湾の指定あるいは空港の拡充とか、要するにアクセス面における具体的な需要というものが相当出てきております。御承知のように、日本海側には重要港湾たしか二つであったかなと思うのでございますが、これを希望するところがかなり出てきておるということ、空港の整備、そういうことであろうと思っております。 それと、なお最近におきます地方自治体の国際関係が非常に頻繁にかつ深度深くなってまいりましたので、今まで府県段階におきましては年間百億ほどの交付税でございました。これを平成四年度では増額していきたいと思っております。また、市町村段階におきましては、三百五、六十億であったかと思っておりますが、これも増額していきたいと思っておりまして、その重点の一つとして私は日本海側の自治体、府県の関係を重視しておるということでございます。
○櫻井規順君 日本側のインフラの整備ということは、また後日、吉田同僚議員が質問させていただきますが、直接的に対岸の国との交流においての実績ですね、それを自治大臣、どんなふうに理解されておりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 特に対ソ関係におきましては最近非常に活発になってまいりました。先ほども申しましたように、府県段階におきまして、特に日本海側が活発に交流ができますようにさらに一層の交付税措置を強化していきたいと申し上げたのはそういうことでございまして、私はより一層質も向上していくのではないか、質量両面で向上していくのではないかと期待しておるところであります。
○櫻井規順君 少々具体的な問題に入りたいと思いますが、図們江という川が御案内のようにございます。この図們江の開発をめぐって、関係国でいろいろな動きがありますけれども、この動向をどういうふうに外務省把握されていますでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 事実関係を私から御説明したいと思いますが、UNDPというところがございますけれども、そこの主催でこれまで関係各国を集めて三回ほどセミナーといいますか会合をやっております。九一年に二回、そして去る二月、九二年の二月に第三回目のを行いました。ウランバートル、ピョンヤン、そして第三回目はソウルに場所を移しての会議でございます。 参加各国は、UNDPのもとに北東アジア、先ほども申し上げました四カ国、すなわち中国、モンゴル、韓国、そして北朝鮮でございまして、日本とロシア、これは第二回目からオブザーバーの形で参加させていただいております。 細かいこれまでの会議の経緯は、御説明を省略いたしますとして、一番最近の動きといたしましては、九二年の第三回目の会合におきまして、ひとつ計画管理委員会というものをつくろうじゃないかということになりまして、ここで今後十八カ月ほどかけていわゆる図們江開発について具体的な作業をしてみようということになりました。そして、とりあえず八月までに開発の基本的な方向あるいは資金の調達をどこからどうする、そういったことを検討しようということになったようでございます。
○櫻井規順君 今の御説明で、UNDP、国連開発計画に基づく国際会議と、それからウランバートルで出発をした日本の民間団体も含めたところの関係国の研究者、科学者の豆満江開発の二つの流れがあるという理解でよろしいでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 図們江開発につきましてはいろいろなお集まりがあるようでございますけれども、私がただいま御説明いたしましたのは、第一回目のウランバートル、第二回目のピョンヤン、そして先般のソウルにおける第三回目、これはいずれもUNDPの主催の会議でございます。
○櫻井規順君 長春は何ですか。
○政府委員(谷野作太郎君) 長春でも、私が承知する限りでも、その他民間の方々のお集まり、学者の方々のお集まり、不勉強ですべてを把握しておりませんが、そのような会議がこのプロジェクトをめぐって行われておるということは承知いたしております。
○櫻井規順君 豆満江開発でUNDPの国際会議には同一テーブルには着くわけでありますが、中国、朝鮮、ロシア、それぞれの対応はいかがでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 私が先ほど申し上げましたように、大きな方向としては大変明るい展望ということを申し上げましたけれども、方向としてはそういうことなのだとは思いますが、他方、この図們江開発自体につきましても、例えばどの範囲をこの開発のあるいはこの計画の対象にするかということでそれぞれの国に立場の相違があるようでございまして、モンゴルは当然自分のところから、あそこは海へとにかく出たいわけでございますから、モンゴルも含めての大きな計画を念頭に置いておるようでございますし、他方、韓国あるいは北朝鮮はもっともっと対象を絞って河口の方面にとりあえず焦点を当てたいということのようでございまして、その点一つをとりましても各国の頭に置いておるところにまだまだ考え方といいますか、思惑に違いがあるというふうに思います。
○櫻井規順君 外務大臣に聞く前に、もう少しアジア局長からお伺いしたいと思います。 この図們江の貿易港の開発、ストレートにそのものでなくて、図們江を中心として中国、朝鮮、ロシアがそれぞれ極めて積極的にその周辺に経済開発特区を設けるなど日本海に出てこようという経済努力をしているわけですが、その動きを国別、三国ですが、御紹介ください。
○政府委員(谷野作太郎君) 私も実は必ずしも詳細は存じませんけれども、ただいま申し上げましたように、北朝鮮はああいうお国柄ではございますけれども、当面北朝鮮と中国、河口のところはたしかロシアと北朝鮮だけの国境沿いの川が十五キロほど続くわけでございますけれども、そこの開発に絞って対応したいということのようでございますし、韓国も私どもの考え方では同じような考え方だというふうに聞いております。中国はもう少し幅の広い、河口からもう少しさかのぼったところまでも含めての開発ということを念頭に置いておるようでございます。
○櫻井規順君 図們江に向けまして、中国は吉林省を中心に琿春経済特区建設プロジェクトというものの推進をかなりの投資をして進めていると聞いておりますし、朝鮮の場合も昨年末、羅津、先鋒自由経済貿易地帯というものを提起いたしまして、朝鮮として日本海側に向けまして経済特区を設けるという構想を出している。ロシアもまた極東のインフラ整備というものに大変積極的である。国情がいろいろありますけれども、やっております。 そこが、図們江の開発というものが一つのポイントになるというふうにどなたも理解していると思うわけでありますが、その国連の開発計画の会議に日本はどなたが正式な代表として御出席しているでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 第二回目からお招きを受けて参加しておるわけでございますけれども、ピョンヤンにおける会議におきましては、私どものアジア局のこの問題に明るい課長補佐、それから専門的な知識の確かなJICAの課長補佐レベル、その両名を派遣いたしました。ソウルではたしか大使館員が参加させていただいたと記憶しております。
○櫻井規順君 課長補佐が悪いというわけじゃありません。課長補佐がこの将来性のある仕事に先鞭をつけていることについては敬意を表するわけでありますが、いかんせん、日本政府あるいは外務省の位置づけが低いということであります。各国はかなり強力に進めている。そして、韓国はそのUNDPの事務所をソウルに置いてこれに対処をしているわけであります。 各国の開発状況から見て日本の対応の立ちおくれという問題について、その消極性という問題について私は責任を追及するものでありますが、外務大臣どんなお考えでいますでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは日本は、もう各地でいろんな御要望のあるところから優先順位をつけて、それぞれの国が要求されたものを見ておるのが実際なんです。 まして、これは北朝鮮と日本との国交もありませんし、じかに入っていってということでもないし、特別に是が非でもという話でもないし、やはり北朝鮮とそれから中国とロシアとよく話し合いをいたしまして、将来それが国連のプロジェクトにのるようなものであるかどうかを含めた立派な基礎調査をやってからのことであろう。それについて頼まれもしないのに日本から行って指図をしてやるという案件ではない、私はそう思っております。
○櫻井規順君 国連開発計画としてテーブルにのせてこれから軌道に乗せていこうという仕事であるわけです。その推進事務局は韓国にあるわけであります。これは日本の今の経済界あるいは地方自治体、広く民間、この日本海圏に求めている動向から見て積極的に参加することを求めるものであります。 自治大臣にお伺いしますが、環日本海の対岸の国との貿易関係あるいは金融等の決済あるいは相手側の経済特区への……
○委員長(中村太郎君) 櫻井君に申し上げます。 自治大臣は生理現象の時間ですから、ちょっとお待ちをいただきたいと思います。
○櫻井規順君 そうしたら次に進んでおきましょう。 農林水産大臣、漁業の問題についてお伺いします。 昨年末、日ソ漁業協定の会議をやっている最中にソ連邦が解体をいたしましてロシアに変わったという状況があるわけでありますが、日ソ漁業協定というものは日ロの段階で正式に引き継いでいくものなのかどうなのか、その点をまず伺いたいと存じます。
○国務大臣(田名部匡省君) お答えをいたしますが、今先生お話しのように、昨年の十二月、日ソ漁業委員会が開催されておる途中にロシア連邦に移行いたしました。しかし、おおむね昨年と同様の内容で合意に達しました。また、ことしの三月開催されました日本・ロシア漁業合同委員会におきましても、日本の二百海里内におけるロシアのサケ・マス安定操業が確保されましたし、またロシアの二百海里内、この操業もほぼ要求したとおりのクオータは確保されました。したがいまして、基本的にはロシア連邦に移行した後でも安全に操業ができるものと、こう考えております。
○櫻井規順君 日ロの二百海里水域における漁獲割り当て量という確認があるわけですが、一番上にスケトウダラというのがございます。このスケトウダラの漁業についても協定どおり進展しているかどうかということ。いま一つは、とても二百海里の中でとれるスケトウダラで我が国のスケトウダラの需要を満たし得るわけではありません。 そこで、合併企業あるいは民間操業枠というのが日ロ間で協定されているというふうに思うわけであります。あるいは実績的に海上取引等で実績を積んでいるというふうに思うわけであります。スケトウダラが一番上に書いてあるから聞くわけでありますが、これは滞りなく展開されているのか、将来展望について不安はないのかどうなのか、どうでしょうか。
○政府委員(鶴岡俊彦君) スケトウダラにつきましては、今年度も前年度同様の無償入漁で二万五千トン、有償入漁では去年より若干減って一万一千五百トンということでございますけれども、これはそれぞれにつきまして確保いたしておるところでございます。
○櫻井規順君 民間枠の操業の展開あるいは船上取引等がどうなっているかということも御回答願いたいんですが、追加いたしまして、スケトウダラの今日までの漁業実績というのはベーリング海における漁獲が非常に多かったというふうに聞いております。今関係者はそれをオホーツク海なりロシア沿岸に求めている傾向が非常に強いわけでありますが、今以上の日ロ間で漁獲高を上げるような提唱、交渉という展望はいかがでしょうか。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 民間の場合には洋上買魚ということで、年々その数字は変わっておるわけでございますけれども、円滑な話し合いによりそれぞれ妥協できる点で話し合いを行っているところでございます。 それから、ベーリング公海につきましては、資源量は減っている、特にスケトウダラ資源が減少しているわけでございます。他方、主としてポーランド、韓国あるいは中国の底びき船の操業によるものでございますが、三月の初めオホーツク公海におきますスケトウダラ資源の扱いをめぐりまして関係国問で協議を行ったわけでございます。ソ連側は資源の減少から見ましてモラトリアムであるというようなことを強力に主張したわけでございますけれども、沿岸国側、日本も量は少ないわけでございますけれども、資源の管理につきましては科学的な調査に基づいて安定的な操業をすべきであるということで、資源の実態に見合ったクオータの設定といいますか、数量につきましては適正化を図る必要があるがモラトリアムはだめだというようなことで、先回話し合いがまとまらなかったわけでございます。 いずれにしましても、私どもとしましては、科学的な調査に基づく資源の実態に即した漁業ということで、このオホーツク公海、ベーリング公海の問題については対応していきたいと思っております。
○櫻井規順君 特に、環日本海ということを考えた場合に、日本海の資源保護あるいは養殖等々を考えてみた場合の日本海の漁業の科学的な調査というものを沿岸諸国と協力して日本がイニシアチブを発揮してやるべきだというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 日本海におきまして、我が国に隣接するロシアあるいは韓国等との間でその資源の保存、有効利用を促進する観点から、水産分野における多国間協力を進めるべきであるというような考え方があることは承知いたしているわけでございます。しかしながら、日本海関係諸国はそれぞれの国が沿岸国であり、また漁業国である、それぞれそういう立場ながら、漁業事情は異なっているわけでございます。また、経済的にも政治的にも異なる体制下にあるわけでございまして、直ちに現段階で多国間で水産分野における効果的な調査協力を行っていくには困難な面があろうかと思います。 現在、水産分野におきましては、我が国はロシア、韓国、中国との間に個別に資源の管理を考慮した漁業協定を結んでいるわけでございまして、当面はその協力関係を維持発展させながら対応していくということが現実的であろうというふうに考えております。
○櫻井規順君 自治大臣、環日本海の対岸との経済交流、文化交流を考えてみた場合に、経済面では例えば貿易、これは主として国に権限が集中しております。これを自治体にある程度の権限を落とす、あるいは金融、為替の決済についても地方銀行に落とす、あるいは相手の経済特区に自治体が進出しやすいようにする、そういう面から、行政改革といいましょうか、自治体に権限を落とす法律制度の整備が必要になってくるかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) それは非常に望ましい方向であると思っておりますが、しかしやはり外交とかあるいは貿易ということになりますと、国としての統一した行動ということも重要なことではないかと思っております。したがいまして、現在以上にひとつ権限を地方におろしていただくということは望ましいと私たちも希望いたしますが、しかし統一の面から申しまして、やはり外務省、通産省、そういう関係との緊密な連絡が保てるような制度の中における権限の移譲ということを私たちは望んでおるところでございます。
○櫻井規順君 次に、先ほど外務大臣もおっしゃっていましたが、日朝の国交正常化が環日本海圏を考えた場合に極めて重要なことは当然なことでございます。 日朝問題について質問をいたします。 まず最初に、今、日朝国交正常化交渉がちょうど一年間、六回にわたって行われてきたわけであります。外務大臣、この際、私ども、自由民主党、社会党、朝鮮労働党と三党の合意事項があるわけでありますが、合意事項を尊重する立場からも、この国交正常化について英断を下すべき時期に来ているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) せっかく二党の幹部の方が北朝鮮に出かけていかれて、日朝の正常化交渉の糸口といいますか、大きく入り口をつくってくれたということは私は高く評価したいと存じます。しかしながら、政府といたしましては、そのお気持ちはできるだけこれは評価をして、取り入れられるものは取り入れてまいりたいと考えております。 しかし、その一方で北朝鮮の核開発に対する疑惑というものがありまして、それについてぜひともそれを晴らしてもらわなければ正常化交渉を進めるわけにはいかない。そこで、一日も早くIAEAの査察を自由に受けていただくことと、それからその結果、何があるかわかりませんが、再処理施設等はまあないと思いますけれども、あった場合はそれは撤収というか撤回というか、取りやめていただくということになります。そういうことはなかろうと思いますが、いずれにしても早く署名をしたら批准をして、速やかに条件整備をしてひとつ査察を受けてもらう、これが最優先課題でございます。
○櫻井規順君 外務省に改めて聞きますけれども、今の日朝の国交正常化交渉、障害になっているのはそれ一つですか、ほかにもあるんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 入り口にふさがっているのはそれですね。あと、その他全くないというわけじゃありません。いろいろございますが、そういう具体的な交渉事まで入るに至っておらないということであります。
○櫻井規順君 ちょっとやっぱり日本側の主張に無理があるのじゃないでしょうか。少なくとも、朝鮮とアメリカの次官会談をきっかけにして、朝鮮民主主義人民共和国は核不拡散条約に基づくIAEAの査察の受け入れについて表明をし、調印をし、保障措置についてももう署名をした。作業は南北の会談に移り、さらにアメリカ側の南朝鮮からの核の撤去の問題に移っているわけでありますから、作業は着々と進んでいるわけであります。それを短兵急に求めるのではなくて、それは一刻も早く解決することを求めながらも、国交正常化というものはこれとは切り離して対応すべきものだと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) したがって、実際に約束をしたという場合は、約束が守られるということが大変必要なことでございますから、だから批准はすぐできるはずでございますし、なるべく早くひとつその査察を受け入れていただく。それと並行的に、我々のいろんな会談は途絶しているわけではないのです。それはそれなりに会談はしておるわけでございますから、その状況については担当局長から説明をさせます。
○政府委員(谷野作太郎君) それぞれにつきまして御説明しておる時間がないと思いますけれども、項目だけを申し上げますと四つございます。 一つは基本問題。これは要するに将来の日本と北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との関係をどういうふうに律するかというような問題。あるいは、北朝鮮の管轄権の問題等を議論しております。 経済的諸問題というのが第二点でございまして、ここではいわゆる過去の植民地時代に起因する経済的な問題をどういうふうに処理するかという問題でございます。 国際問題というのが第三点でございまして、ここでは、ただいま大臣からるる御説明いたしました核の問題等を中心に、ただいまのところは議論しております。 四番目はその他の問題ということでございまして、国会でも大変御関心の強い日本人の配偶者の問題やら、あるいは先方の非常に関心の強い在日朝鮮人の方々の問題等を議論しておるわけでございます。 ただいま大臣が申しましたように、誠意を持ってまじめに真剣に対応しておるつもりでございます。ただ、まだまだ核の問題一つにつきましても、それから先ほど申し上げました日本人の配偶者の問題にいたしましても、向こうの対応がいま一つというのが私どもの率直な印象でございます。 それから、先ほどちょっとアメリカと北朝鮮の方がよほど進んでおるぞというお話でございました。北朝鮮と米国とでは、確かに先般ニューヨークで高いレベルで接触が行われたわけでございます。そして、その結果というふうにお受け取りいただいているのかもしれませんが、北朝鮮の核の査察の問題についても一定の前進があったことは確かでございますけれども、これは何もアメリカだけがこの問題を言っておるわけではございませんで、かねてから日本も日本の安全保障にかかわる問題として、日本は日本の立場を明確に述べ、韓国も述べ、そしてもちろんアメリカも述べて、そういう諸外国の努力の結果、ようやく北朝鮮がそういう国際的な声を受け入れ始めたというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
○櫻井規順君 もう一つお伺いします。 米朝会談で南朝鮮から核兵器を撤去するというアメリカ側の態度、それから韓国は核不在宣言というものをなされておるわけでありますが、これは日本の外務省としてあるいは防衛庁として南朝鮮から核が撤去されたという確証は得ているでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) これは基本的にはアメリカと韓国との問題ではあろうかと思いますけれども、御案内だと思いますが、昨年の十二月十八日に韓国の大統領が韓国内に現時点で核兵器が一切存在しないという宣言を行われました。そして、それを受けてアメリカ政府もそのような盧泰愚大統領の宣言を歓迎するということを言っておりまして、そのように私どもは受け取っておるわけでございます。
○櫻井規順君 その宣言だけで、ないということを日本として確認するということでは余りにも子供だましてはないでしょうか。核を配備しているのは、国連の名において米軍が核を配備しているわけであります。韓国政府の声明をアメリカが歓迎するというやりとりの声明だけで、日本の外務省なり防衛庁が韓国に核が不在だという確認をするのは余りにも不確かな話だというふうに思うわけです。もう少し確かな確証はないでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 私どもが日本政府として独自のそういったことを確証する手段はもちろん持ってないわけでございますけれども、ほかならぬ韓国の大統領が高いレベルでそういう宣言を明確に行われて、アメリカがそのような宣言を歓迎すると言っておるわけでございますから、私どもはそのような一連の高いレベルでの御発言に信をおいておるということでございます。
○櫻井規順君 防衛庁にお伺いしますが、アジアの兵力配置の面で大きな変化だというふうに思うわけであります。アメリカから防衛庁にその種の連絡があったでしょうか。 時間がないのでもう一つ聞きますけれども、韓国の核の撤去によって日本への影響はないでしょうか。
○政府委員(高島有終君) お答えいたします。 先生御承知のとおり、アメリカは核兵器の存在についてはこれを肯定も否定もしないという政策を一貫してとっております。したがいまして、韓国における核の不存在につきましては、先ほどアジア局長から説明があったとおりに私どもも理解いたしておりますが、この点につきましては、防衛庁に対してアメリカ側から特段の連絡があったというふうには承知いたしておりません。 それから、戦略的な変化という点の御質問でございますけれども、この点につきまして我が国といたしましては、日米安保体制のもとでアメリカの前方展開が維持されるという限りにおきまして我が国の安全に対する大きな影響はないものというふうに理解いたしております。
○櫻井規順君 韓国から核を撤去するがゆえに日本に核を持ち込みたいというアメリカ側からの動きはありませんか。
○政府委員(高島有終君) そのような動きは一切承知いたしておりません。
○櫻井規順君 いずれにいたしましても、米軍が配置をし、アメリカが配置している核兵器をアメリカが存在するしないを表明できないという状態では、これはとてもじゃないけれども、韓国に核兵器が不在だということは信ずることはできないと思う。しかし、それを確証するのは南北朝鮮がお互いに、北側の核施設の査察を受け入れるとともに、北側が南の査察をすると合意できるシステムでやる以外にはないわけであります。それには相当の時間を要することは認めなければならないというふうに思うわけであります。そのほか幾つかの理由を挙げて国交正常化ができない事由を並べましたけれども、それはすべて日朝が国交正常化をした方がそうした懸案事項の解決には早いわけであります。 総理大臣、三党合意を尊重して、大英断を下すのは宮澤内閣の責任ではないかというふうに私は思うわけですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 三党の御努力を評価することは先ほど外務大臣の言われたとおりですが、今おっしゃいましたことですが、南と北で核の有無をお互いに査察をしようという話は実はかなりあるところまで進んでおるわけです。確かに、それによりまして、アメリカ自身がアメリカ軍の施設を査察してくれても結構だと言っておるわけでございますから、この査察がございますと事は非常に明白になるわけで、南側は今後の査察をしようと言っているわけでございますから、北側がその気になればいつでもこれはできるので、それに時間がかかる理由は私はないと思います。
○櫻井規順君 それは総理、子供だましの話ですよ。今、南北間で話し合われているのは、モデル地区を決めて、モデル地区の査察が議論されているわけであります。双方で自由に査察をできることが今双方で一致できない点になっているわけであります。その点、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点で一致できないのは北側の立場だと了解しています。
○櫻井規順君 モデル地区の査察を提起しているのは韓国側が提起をして、自由に査察をできると提起しているのは北側が提起しているわけであります。その提起が南側に拒否されているがために交渉が行きどまっているわけです。ですから、どっちがどっちではなくて、一致できる査察体制が整うのを我々としては促進しながらも、それを待つしかないわけであります。国交正常化を急ぐべきは日本の責任だというふうに思うわけであります。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは北朝鮮の代表が全く同じことをおっしゃっております。北朝鮮についておっしゃたことをうのみにできないという、やっぱり何というかな、今までの過去の問題についての不信感があることは事実なんですよ。例えばラングーン事件等は全く北側は関係ないと。それから、あの飛行機の爆破事件ですね、大韓航空の爆破事件等について、あの金賢姫さんというお嬢さんのことはでっち上げで、ああいうものは全く関係ないと、世界じゅうが認めているものは一切認めないとおっしゃっておるわけですから、そういうような点で信頼関係がちょっと問題があるということは事実なんです。したがって、それはきちっとした態度で示してもらわないとなかなか信用に至らないという現実があることをひとつお含みください。 あなたのおっしゃっていることは、北朝鮮側の代表が言っていることと非常によく似ております。
○櫻井規順君 外務大臣の言っていることは南側の言っているそのとおりでありまして、事実関係が明確でない問題を、外務大臣、口ずさむべきでないことまで今言っていることを私は指摘をしておきたいと思います。この議論、ここですべき問題じゃないと思いますから、次に進みます。 なお、見解の違いがあらわれる問題で恐縮でございますが、次に教科書の問題について質問させていただきます。 総理大臣、まず最初に、総理になられて韓国を訪問された点、敬意を表するものでございます。誠心誠意韓国と交渉されても、韓国民衆の日本の長い侵略の歴史の中で残した問題に根を持った抗議のデモンストレーションが展開されるわけであります。日本と韓国の民衆、両国の国民の間の友好を将来的に保障するために何か欠けているというふうに思うわけでありますが、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは両国政府とも一生懸命努力しておりますし、また、志ある人々は韓国の中においても一生懸命そういう努力をしておられる、我が国はもとよりでございますが。しかし、やはり両国の間にこういう、殊に最近の一世紀程度の歴史がございますものですから、なかなかそういう記憶から解き放たれがたい。これは被害を受けられた方の立場としては理解のできることでございますけれども、やはりそういう問題があるというふうに思います。
○櫻井規順君 日朝にしても、日本と韓国にしても、日本と中国にいたしましても、時間がたてば日本の長いアジア侵略の禍根というものが解決されて友好が深まるかといいますと、そうはならない。なぜか。それは、中国にしても韓国にしても北朝鮮にいたしましても、教科書に、日本の教科書とは違う、日本が侵略した事実を子供たちに教育して、教科書の中身が著しく違うからであります。これは子々孫々にわたるまで両国の国民の友好を妨げる問題になるわけであります。どうしても将来にわたって友好を深める上においては教科書の問題が非常に重要になってくるわけであります。 この教科書の問題で、日本と中国なり韓国なり朝鮮は制度が違いますから一概に論じられないわけでありますが、近隣諸国との教科書の共同研究、共同編集という仕事が極めて重大であります。私は、日本政府にそれを求めませんけれども、その共同作業というものが大事だ。だから日本が、それをある程度日本政府も、何といいましょうかその重要性を認めて、しかるべき例えば助成、そういう配慮をすべきだというふうに思うわけでありますが、まず、その必要性について文部省どうでしょうか、文部大臣。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生おっしゃいましたように、制度が全く違いますから、いわば国定教科書を定めていく、歴史あるいは社会科というものは国定教科書でいくという場合ならばまだ別でありましょうが、我が国の教科書の作成方法は、御承知のように、何を記述するかということに関しては著作者あるいは発行者の意思にゆだねられているわけでございます。したがいまして、民間の方々が、世界の歴史教科書が例えば太平洋戦争のことをどのように書いているかということを大いに研究されることは結構でございますし、そういう研究成果があれば私どもも読ませていただきますが、我が国の政府として、文部省としてそうしたものに関与する意思はございません。
○櫻井規順君 ユネスコの一九七四年十一月の第十八回総会でこの種の問題、国際教育、国際平和に関する教育のあり方についての勧告をしておりますが、その中身を御紹介いただけますか。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。 一九七四年の先生がおっしゃっておられるユネスコの勧告の内容は、国際理解、国際協力及び国際平和並びに人権及び基本的自由の尊重というものを増進するために、国連憲章、ユネスコ憲章、それから世界人権宣言に掲げられた諸目的を教育を通じて達成することを目的として、国際理解教育の指導原則、それから実践上の具体的な措置、望ましい国際協力等について国連のユネスコ加盟国政府がとる措置というものを勧告したものでございます。
○櫻井規順君 ドイツがこのユネスコ勧告を受けてといいましょうか、前後いたしましてドイツとポーランドの間、ドイツと近隣諸国の間で教科書作成の努力をされていることについて、文部省あるいは外務省はどういうふうに承知しているでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) お答えいたします。 西ドイツとポーランドの間で教科書問題について共同研究を行なったのは、ユネスコの今話題になりました勧告の出る二年前、一九七二年にポーランドと西ドイツで教科書会議が開かれております。これは西ドイツのゲオルク・エッカードという州認可の国際教科書研究所でございまして、ポーランドは文部省教育課程研究所が対応したわけでありますが、西ドイツは連邦政府は関与していないわけでございます。 一九七二年から一九七五年までの関八回開催されまして、そしてその成果を一定の事項にまとめてそれぞれの州に勧告を行った。それぞれ西ドイツの州では、例えばキリスト教民主同盟が与党の州は六州ございましたが、これは勧告の受け入れを拒否した。その他の州で、五州でございますけれども、一部あるいは相当程度勧告を受け入れた。この勧告、要請をめぐりまして、国家の文化主権を侵すものだという批判があったり、ポーランドの教科書が偏っているという批判等が起きたなどというようなことも私ども承知いたしておりますが、そういう経緯であるというふうに承知いたしております。
○櫻井規順君 総理大臣、時間がないもので結論部分で恐縮ですが、ドイツでそういうふうな国際的な努力をしているわけであります。日本で民間の自主的なそういう近隣国との子供の教科書のあり方の研究ということの大切さをどうお考えになっているか。これは、総理のアジア諸国に行っての謝罪も実体の伴ったものである必要があるわけであります。この教科書問題というのは将来にわたっての大きな問題として、不可欠な問題として私は認識しているわけでありますけれども、総理、私は国が今介入してくれと言うわけじゃありません。そういう民間の研究者や現場の教師たちがやることの意義について、総理はどういうふうにお考えになっているか、御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 鈴木内閣の時代に教科書の問題というのはございまして、これは韓国、中国との間で起こりました。その後、学習指導要領等を変えましたことは御承知のとおりでございますし、文部大臣がしばしば言われますように、現在我が国の教科書、これは民間がつくるものでございますが、ごらんいただければ、そういう問題についての記述が全く客観的と申しますか、きちんとできておるということはしばしば文部大臣が言っておられます。 そこで大事なことは、先ほど文部大臣が言われましたように、我が国は国定教科書ということはいたさたい、昔に戻るということはあってはならないと思っておりますから、したがって、補助金ということをちょっと言われましたが、私は政府がそういうことに関与すべきでたいと思います。他方で、民間の方々が各国の人々とそういう教科書あるいは書かれるべき歴史的事実について御議論をなされますことは、これはまことに自由であると思います。
○櫻井規順君 総理大臣に、最後にお聞きします。 ドイツのワイツゼッカー大統領が一九八五年のドイツの敗戦四十周年の日に、敗戦の償い、ヨーロッパの平和の協力関係というのはドイツの軍隊がヨーロッパを侵略したその歴史的事実を直視することから始まると、そういう有名な演説をして、平和構想を展開されております。そういうものを受けてドイツの国立教科書研究所も発足をし、教科書のあり方も検討されて、実体のあるものにしているわけであります。教科書の問題で私は国定にしろとかいささかも言っておりませんので、そのワイツゼッカー大統領の演説をお読みになったと思いますけれども、総理大臣の見解を聞いて終わりにしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ワイツゼッカー大統領がああいうことを言われておりますのは、第一次大戦、その後におけるワイマール時代、それからヒットラーの台頭、第二次大戦と、ずっとそれを回顧して言っておられるわけでございますから、背景が我が国の場合とは私はいろいろに違うと思います。ただ、我が国の場合にも、あちらこちらに非常に耐えがたい苦痛を与えたということについては政府もしばしば反省の言葉を述べておりますし、また国として、我が国としての反省をいたしておるということは御承知のとおりでございます。 なお、その間の事実について、歴史について我が国の学者が各国の学者といろいろ御議論になるということは、これは学者のなさるべき自由のことでございまして、もとより政府が何らそれに干渉する意図はございません。
○委員長(中村太郎君) 以上で櫻井君の質疑は終了いたしました。(拍手) 本日の審査はこの程度といたします。 次回は来る二十三日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十六分散会