予算委員会 第2号
- 発言数
- 292 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1992/03/16
会議録
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。 平成四年度総予算三案審査のため、来る三月二十六日に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認めます。 つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(中村太郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 平成四年度総予算三案の審査中、必要に応じ、日本銀行及び政府関係機関等の役職員を参考人として出席を求めることとし、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(中村太郎君) 次に、平成四年度総予算三案の総括質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。 総括質疑は七日間分とすること、質疑割り当て時間の総計は九百七十九分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党及び日本社会党・護憲共同それぞれ三百四十四分、公明党・国民会議百六分、日本共産党、連合参議院及び民社党。スポーツ・国民連合それぞれ五十三分、参院クラブ二十六分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとお川とすること、以上でございます。 ただいま御報告いたしました理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(中村太郎君) 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより総括質疑に入ります。久保亘君。
○久保亘君 最初に、法制局長官にお尋ねいたしますが、憲法六十条に定める自然成立三十日の条項は、本院が修正議決をした場合には三十日の条項には拘束されない、そのように考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。 憲法の六十条二項におきましては、「予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、」、今御指摘の部分はそっちの方になると思いますが、そのほかに、「又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」、こういうことになっておりまして、異なった議決をした場合にはいわゆる国会法で両院協議会というものがございまして、そこでの協議の結果を待つということでございますが、なお三十日以内ということで従来扱われているものと承知しております。
○久保亘君 六十条を正確に解釈すれば、今あなたが最後に言われたようなことにはならないのではないですか。
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。 この点につきましては、従来から学説にいろいろな意見があることは私も承知しております。そういう意味で、学説の争いはございますけれども、その中で先ほど私が申し上げたような説をとっている、こういうことだろうと存じます。
○久保亘君 では、参議院が三十日目に修正議決をした場合には、その議決は全く意味を持たないということですか。
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほどもお答え申し上げましたように、幾つかの説があるということではございますが、この場合に両院協議会を開いても意見が一致しないとき、こういうときには三十日というのが衆議院の予算先議を十分たらしめるといいますか、そういう扱いが従来行われていたと承知しております。
○久保亘君 私が聞いていることにあなた答えてないんだよね。修正議決を参議院が行った場合に、両院協議会等の手続が三十日を超えて行われる場合があり得るということを僕は言っているわけですが、そうなりませんか。
○政府委員(工藤敦夫君) 今御指摘の点は、従来から国会の扱いとしていろいろ扱いがなされてきていることと存じますけれども、少なくとも従来の件に関しましては、予算がいわゆる国権の重要事項として憲法でこういう規定をしているという、そういう趣旨を踏まえて従来扱いがなされているものと考えております。
○久保亘君 法制局長官の答弁には私納得できませんが、時間の関係もありますから次に質問いたします。 総理は、去る十四日、雲仙・普賢岳の災害の視察に赴かれたと承っておりますが、視察をなさいました感想、そして現地で発表されました対策の内容等について御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先週の土曜日に雲仙に参りまして、県知事、市町等々の責任の方々及び災害に苦労しておられる現地の方々のお話を聞き、また、できる限りの範囲で現地の視察をいたしました。 一言で申しますならば、このような長期にわたる、三百日に近いわけでございますが、災害は極めて例の少ないことであり、しかも今後いつまでそれが継続するかということも定かでないということはかって例のないことであろうと存じます。 亡くなられた方はもとよりでございますけれども、現在苦労しておられる方々が、仮設住宅等々に随分おられるわけでございます。その仮設住宅も実は法律上と申しますか制度上は二年間を考えてつくられたものでございますから、全体といたしまして将来を展望いたしましても、地元の方々は何としてもここでもう一遍生計を立て直したい。非常な愛着を持っておられることは十分理解のできることでありますけれども、災害の起きました山に近い方の部分につきましては、将来相当の施策をいたしましてもやはり安全とは申しにくいという問題がございますし、その相当の施策そのものがまた今の状況ではいつスタートできるかもわからない状況である。全体そういうことでございますので、現にこの地域におられる方々及び行政の責任を持っておられる人々の苦しみというものは従来あった災害とは全く異質のものであるということを強く感じました。 国といたしましても、過去二十一方面の施策につきまして九十余りのことをやっておりまして、誠意を尽くしてまいったつもりではございますけれども、例えば食事供与事業そのものは四月の初旬には一応現在の施策が終了するということになっております。しかし、具体的には住民がいろいろ努力をしておられましても、なおこの施策を必要とされる人々が少なからずおられるように思いますので、まずその延長と申しますか、実は新たにと言う方が正確かもしれませんが、この施策に切れ目がありませんように、公平公正を旨として六カ月間この食事供与事業を続けていきたいということを一つ決定いたしました。 次に、長崎県が中心になりまして基金を積んでおるわけでございますが、三百億程度の基金が積まれておりますが、これからの事業等々をいろいろ考えてまいりますと、それだけでは十分でないという長崎県知事及び関係者の一致した御見解でございますので、これを六百億に増額する、その場合国の地方交付税におきましてそのお世話をしていくということを改めて確認いたしてまいりました。これで当分施策を続けておいでになれるものと、多少の余裕を残した金額であるというふうに考えておりますけれども、そういうことを決定いたしました。 なお、先ほども申し上げましたようなこれからの恒久的な災害防止のための施策、それは実は非常に難しい、しかも大きなものになると思います。砂防ダムの建設等々、これにつきましては将来のこの地域の展望ということもありまして、住民の十分な理解の上でありませんと進みかねるわけでございますけれども、長崎県が提案いたしましたそういう問題についての住民との協議をさらに深めることをお願いしてまいりましたのと、あと雇用等々の問題につきまして、国でできますことはあらゆることをいたしますということをお約束してまいりました。 以上のような次第でございます。
○久保亘君 大変御苦労さまでした。そして、現地で要請にこたえるような措置を幾つかでもお決めになったことは、それはそれで評価ができると思いますが、長崎県の発表いたしました復興計画、スーパーダム、導流堤、こういうものの建設に伴って移転対象となる約三百戸の住民がおられると聞いております。これらの方々の今後に対する不安等について非常に大きなものがあるように伺っておりますが、直接住民の皆さんから意見をお聞きになりましたでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 住民の方々からも意見を聞かせていただきました。それで、これは当然のことでございますけれども、いわば父祖の地を動くということはなかなかだれも決心しがたいところでございますし、殊に非常に肥沃な土地でございましただけに、余計それについての踏ん切りというものがつきにくいと住民が考えておられることはもっともでございます。しかしながら他方で、専門家の意見を聞きましても、最小限ある地域は、どうしてもスーパーダム等々をつくりませんと、砂防ダム等をつくりませんと将来大きな地域への危険を防止することができないということであるといたしますと、最小隈の方々にはよそへ引っ越しをしていただかなきゃいけないという問題、これはどうも避けられない問題のように存じます。 したがいまして、まず第一に、それらの方々にそれについての基本的な心構えをつくっていただくことが、そういう理解が大切なわけでございますが、そういう理解があるとの前提に立ちますれば、いろんな意味で、この人たちがやむを得ず父祖の地を去っていく、それに対する対応というのは十分心のこもったものでなければならない、こう考えてまいりました。
○久保亘君 これは総理からお答えいただかなくても担当の大臣からでも結構でございますが、今宮澤さんがおっしゃったような立場に立ては、住民の間にありますいわゆる不安と希望、例えば被災前価格で土地を買い上げてほしいという要請があると聞いております。また、移転先で農地が確保されて農業ができるのかという問題があります。それから、導流堤の中の農地については買い上げでなくて補償だというふうに聞いておりますが、農業の可能性がそこで保証されているのかという問題、それから移転後の生活や仕事の再建のために立ち上がり資金として有利な条件での融資がぜひ期待される、こういうようなことがあるのですが、こういったような問題についてどういうふうな対策をお考えでしょう。
○国務大臣(東家嘉幸君) お答え申し上げます。 今回、総理の現地視察につきまして関係各省初め防災関係の各委員の皆さん方に大変お世話になりまして、地元の皆さん方のいろんな角度からの総理に対する御要望にかなりの点でこたえることができたというふうに思っておりますし、今お尋ねの件につきましては、私もいろんな角度から各省庁とも協議して今日まで参っております。各般にわたる問題につきましては、関係各省庁が今取り組んでいるところでございますので、政府委員の方からお答えをさせたいと思います。 いずれにいたしましても、今総理が答えましたように、本当に皆さん方は苦労しておられる。特に、今後の移転の問題等について農家の皆さんのじきじきの御質問等もございました。総理は前向きに発言いたしておりますので、ひとつ今後は適用条件の緩和等も含めて取り組んでいきたいと思いますので、それぞれの政府委員から答弁をさせたいと思います。
○政府委員(近藤徹君) 長崎県が過日発表いたしましたスーパー砂防ダム計画と言われています砂防施設の整備の基本構想に関してでございますが、これは、現在噴火によって生産されました多くの土石が集中豪雨等によって多くの土石流を伴うであろうということに対しまして、土石の移動を監視するために設けたものでございますが、ただ、その工事はかなり長期間に及ぶということが予想され、かつ下流に向かってその工事期間、相当の土石流が流出するであろうという前提で、その下には導流堤を設けて土石流が住宅街にはんらんすることを防ぐ計画となっております。 そこで、この土地の取得に関してでございますが、その用地買い上げ単価の問題でございますが、一応用地買い上げ単価につきましては、閣議決定されました公共用地の取得に伴う損失補償基準要項に基づいて買い上げることになります。これは財産権に対する補償という観点から、契約の締結時における正常な取引価格をもって補償するということが大前提でございます。契約を締結するときの価格というのは、そのときの現況そのものを言うかといえば必ずしもそうではございませんで、今回のような被災地の評価に当たりましては、この原則の上に立って被災前の価格でなく契約時の価格を、従前地の標準的使用状況、地域の復旧の見通しなどの価格形成要因を総合的に勘案して決定することになります。 いずれにいたしましても、防災施設建設のための用地の取得については、事業の重要性について十分な御説明を申し上げるとともに、地権者の方々の御理解と御協力をいただきながら、またそれぞれの皆様の生活再建にかかわる問題等についても関係省庁の連絡の中で対処することになると存じております。 それから、導流堤の中の土地についていかがかということでございますが、私どもは従来どおり、農耕地としての耕作の意思を持っている方についてはそのとおりにいたしますが、それ以外であるいは買い上げ要望のある場合には、それぞれに対応してまいりたいと存じております。
○政府委員(海野研一君) ただいま河川局長から答弁いたしました導流堤の中の場合でございますけれども、そのものをそのまま復旧いたすということになりますと、これは噴火の鎮静を待たなければなりませんけれども、その人たちが外で代替地においてそこを開墾していくということでございますれば、地元の要望を具体的に踏まえまして、いわば災害復旧に代替開墾という制度がございますので、この辺は県や市町とも連絡を密にしながら対応してまいりたいと考えております。
○久保亘君 立ち上がり資金の問題はだれですか。
○政府委員(海野研一君) 失礼いたしました。 現在、自作農維持資金による災害に対する資金、通常は百五十万円でございますけれども、三百万円までの資金が用意してございます。当座のつなぎ資金としてお使いいただく予定になっております。
○久保亘君 政府でも、いろいろと御努力をいただいているところだと思うのでありますが、ぜひ住民の皆さんの要請に最大限こたえる、こういうことで適切な措置を早急におとりいただくようにお願いをいたしておきます。 なお、現在の防災集団移転法でこの移転措置に対応できるのかどうかということなんでありますが、やはりこの際、島原地域全体の復興対策を含めて特別立法の制定によって復興対策を進める方が望ましい、ぜひそうしてもらいたいという声は現地の住民の皆さんの中にも高い、こう思っているのでありますが、総理はどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は私、以前から各省庁の意見をずっと聞いてまいっております。また、先週も現地においてそういうお尋ねがございました。今私の考えておりますことは、二十一方面九十数項目につきましてかなり各省庁が柔軟に対処をしておるということでございまして、新しい法律を設けなければ処理できないという問題はないというふうに各省庁は考えておりますし、また現地の地方公共団体の方々の中でもその点はそれとして理解をしておられるように聞いてまいりました。住民には、委員の言われますように、やはり新しい法律があ札ば何か違うことができるんではないかという気持ちがおありになるのを私も看取はいたしておりますけれども、一応行政に携わる者としてはそういう考え方を持っております。 私は、何も新しい法律をつくることが絶対にいけないんだというふうにかつて考えたことはございませんけれども、現行の法制で、災害対策基本法ももう三十年経験をしておりますので、処理できておるというのであれば一応そういうこととして考えていこう、しかし何かそうでない問題が仮に起こってまいりますれば、それはあえて固執する気持ちはございません。ただいまとしてはそういうふうに考えております。
○久保亘君 現地の要請も十分勘案をされて、そして総合的に効果的な対策がとれるように、最も適切な方法として特別立法が必要であればそれをやる、こういうことで進めていただきたいと思っております。 それでは、これから少し予算をめぐる問題等について質問をしたいと思うのでありますが、最初に総理と認識が一致できるかどうかという問題を幾つかお尋ねしておきます。 総理は年来、政権の座は政策をもって争うべきもの、こういう御主張であったと思うのでありますが、宮澤政権はそのような立場に立って誕生したとお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のようなことを私、長年考えてまいりました。昨年私どもの党の中で総裁公選が行われたのでございますけれども、各候補者がおのおの政策を掲げて全国の党員に対して遊説をし、また党内でも所信を披瀝し合ったわけでございます。私といたしましては、いわば君子の争いと申しますか、立派な公選ができたというふうに考えておりますし、またおのおのの候補者がその政策についておのおのの所信を披瀝し、党員、党友等々の理解を求めた、そういう選挙の過程であったと考えております。
○久保亘君 私は、現実の問題として、自由民主党の中の派閥が存在しておって、総裁選挙の際に派閥力学というものが全然作用しないようなことがあり得るなどとは、それは思っていないのであります。しかし、政策をもって政権を争うべきものと御主張になっていた宮澤さんが本当にそういうことの上に立って政権をおつくりになったんだろうか、こう思ったものですから、それじゃその総裁選挙でどういう点が一番政策上の争いでしたか、その隣の方との関係で話してください。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、御指摘のように、私どもの党内にもいわゆる派閥というものがございます。これは一つには、しかし派閥が成り立っていきます過程におきまして、やや政策的な志向がおのおのの派閥のカラーを幾らかつくっておるという点もこれもお認めいただけるかと思いますが、そういうことの上でなお同じ党でございますから基本的に大変な政策の違いがあるわけではございません。私は、いわゆる政治改革でありますとか、あるいは生活大国でございますとか、また今起こっております世界の変動というものが 新しい平和秩序の構築の始めであるというような所信を述べてまいったわけでございますけれども、他の候補者におかれましても、基本的に同じ党でございますので、非常にそういう点について違う意見を持っておられたとは思いませんけれども、いろいろニュアンスはあったように存じます。
○久保亘君 不公平になるといけませんから、外務大臣、何か意見ありますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 特別にありません。
○久保亘君 それでは、宮澤さんがお出しになった本の中に、「今度の総裁選に際しても特段に政権構想と銘打ったものを発表する機会もなかった。」、これあなたがお書きになっておりますね。あなたがお書きになっておるんです、今私が読んだのを。これはやはりあなたの政権構想というもの、政策というものを国民は総裁選を通じて理解していない、できなかった、こういうことなんじゃないでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私としましては、パンフレットを中心にいたしまして、かなり詳しく自分の政策を文書をもって述べ、またテレビ等の機会もございましたけれども、先ほど申しましたようなことを申してまいづたつもりでございますので、今何でそういうことを申しましたか、私自身としては政策というものをかなり詳しく述べる機会を得たというふうに実は考えております。
○久保亘君 今、私が読みましたのは、あなたがお出しになっております「美しい日本への挑戦」、この新版をお出しになるに当たづてのあなたの前書きの中の言葉でございます。お忘れになるほど昔のものではありません。 それから、二番目に伺っておきたいのは、中曽根さんが戦後政治の総決算論を主張なさいましたときに、私の記憶では宮澤首相はこの当時、戦後政治の継承発展という主張でもってこれに対抗されたように思うんですが、間違いありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は今、党全体に対して責任を負っておりますので、当時ほど自由な立場で申し上げることができませんけれども、言われましたようなことは、ニュアンスの問題ではありますけれども、ございました。 つまり、ここはお互いが全然違うことを言っておるという意味ではないのでございますけれども、私自身が強調しておりまし大ことは、今の、今のと申しますか、戦後制定されました憲法における自由、基本的人権あるいは平和、民主主義等々、そういう価値観というものはやはり非常に大事なことであって我々の民主主義の伝統は決して長くはないわけでございますから、これを大事にするということがやはり非常に重要なことではないかという点を私は強調いたしてまいりました。 中曽根元総理もそのことに御異存があるわけでは無論ありませんけれども、いわゆる戦前の我が国にもいろいろな美点もあり、大切な伝統も受け継いできていることであって、それを弊履のごとく捨て去るというようなことであってはならない。また、戦争直後のいわば疲弊こんぱいした我が国が今日これだけの国になったについては、当時考えられていたことと今日考えるべきこと、これは対内的にも対外的にもいろいろ問題があるではないか。それはそのとおりでございますが、そういう問題の提起に重点を置かれた、こういうニュアンスの違いはあったと思います。
○久保亘君 戦後を清算しようとするものと、戦後を肯定的に評価して継承しようとするものの間には大変な違いがあると私は思うんですが、その場合に、日本の戦後というものの原点になるべきものは日本国憲法だということでは、私と同じお考えにお立ちいただけますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおり考えております。
○久保亘君 そういたしますと、私が非常に宮澤首相の言っておられることで共鳴できることが幾つかございました。私は、戦後というものを大きな成果を生んだ時代として積極的に肯定的に評価する、こうお書きになっておりまして、これは私も全く同感であります。そしてこその大きな成果というものを平和な国家、自由な社会、繁栄する経済、この三つでこれをあらわしておられるように思います。特に私が思いましたことは、日本民族がその運命をかけた人類史上初めての大きな試みを我々は成功させた、内外ともにいろいろ問題はあっても今日まで成功してきたこの道をやっぱり自信を持って歩み続けるべきだと信じている、こうおっしゃっておられまして、私は非常に同感であります。 そのことは一日本国憲法を尊重して、そしてこの戦後の成果を引き続き発展させていこう、国際的にもそういう立場に立って日本の役割を果たそう、こういうことだと思うんです。これは宮澤首相の信念だと、こういうふうに私は受けとめたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 日本がここまで参りますと、国際的にもなすべきこと、求められること、いろいろございますけれども、基本的には、ただいま御紹介になりましたように私は考えております。
○久保亘君 もう一つ、今日、憲法をめぐるいろいろな議論がございますが、あなたがおっしゃっていることの中でなるほどと私が思いますのは、仮に、あの憲法を制定したときに、五年後にもう一遍国民投票のような形のものをやっておけば、今日、憲法をめぐるこういう議論は同じ結果のもとにおいても起こらなかったであろう、こうおっしゃっておりますが、私は非常によい意見だと思って読ませていただきました。これはそのとおりに今もお考えになっておりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) このことはよほど注意をしてお答えを申し上げなければならない点でございますけれども、つまり、今になりまして我が国の憲法制定当時のいろいろな経緯について、これは憲法そのものに賛成とか反対とかいうことを離れまして、制定当時の経緯についていろいろな議論がございます。また、それは史実に基づいていろいろな議論があるのが当然であろうと存じますが、それにもかかわらずと申しますか、それはそうであっても、今我々は大切な立派な憲法を持っていると私は考えている、こういう気持ちでおります。
○久保亘君 そういたしますと、憲法の理念というものを大事にしてこれからも日本の進むべき道を考えていこう、こういうふうに相なりますと、憲法の解釈を非常に拡大する中で憲法の理念に反するようなことに対しては、やっぱり明確に一国のリーダーとしてその態度を表明すべきものだ、今までの宮澤さんの年来の主張に基づいてきちんとおやりにならなければならぬと思うのでありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点についてはこう考えております。 憲法が制定せられましてから間もなく五十年という長い年月がたちました。その間に、あの当時の我が国と今日の我が国とは、もう全くど言っていいほどいわゆる国際的な立場が違ってまいりましたし、国内的にもだれも予想しなかったようなこのような国になりました。そのことはすべての人が認めるところでございます。しかも、憲法そのものにも憲法は改正できるという規定があるほどでございますから、これをいわば聖域といいますか、手を触れてはならないと考える立場は私はとっておりません。 私自身は、この憲法を大切にといいますか、今日大事にしていくべきだという立場でございますけれども、しかしいろんな立場があって、この憲法そのものはもう一遍考え直すべきであるという主張も十分あり得ます。それはしかも決して違憲ではない、憲法の枠内においてそういうことは考えられておるわけでございますから、そういう議論があることは、これはもとより国民が憲法というものを知るために私はむしろ奨励していいことである、決して封殺すべきことではないと考えます。 そのもう一つ手前の立場で申しますならば、そこまで考えなくても、この憲法そのものが制定された当時の事情と今の事情を考えるならば、その読み方というのにはいろいろもっと幅があってもいいではないかという議論も、これも封殺しなければならない理由は全くない。むしろ、そういう議論があって、そうして国民的な関心が憲法というものに集まっていろいろな議論があって、そうしてこの憲法のもとに生きていく。それが憲法を大事にするゆえんである。 つまり、比喩的に申しますならば、これはもう神聖侵すべからざるものであるから神棚に置いておけばいいということでは、むしろ国民が憲法を理解することにはならない。国民が憲法に親しみますためには、いろいろな議論があることが私はむしろ望ましいことではないかという考えを持っております。
○久保亘君 そこで、やっぱり宮澤首相がリーダーとして疑問を持たれるようになるんですね。私は、改憲の手続を含めて憲法の擁護を言う者は憲法を守らなければいかぬと思っております。したがって、憲法に基づく改憲の手続を主張することを、これを私は違憲論者とは言わない。しかし、憲法の理念を勝手に解釈してそして実質的に憲法と違うことをやっていくことは、これは私は許せないことだと思うんですが、そういう意味で申し上げているんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 思っておりますことを御理解いただくために一つの例を挙げさせていただきたいと思いますけれども、この憲法が制定されましたときのことは久保委員と同じく私もよく存じております。率直に申しまして明治憲法とはかなり異なったものができた。また、そういう状況でもございました。私が当時思いましたことは、この憲法が本当に日本に定着していくかどうかということは、この憲法がどのように解釈され運営されるかということにかかるであろうということを率直に申して思ったわけでございます。 と申しますのは、ちょっと具体的に申しませんとおわかりにくいと思いますが、例えば青法協といったような団体がございまして、これは決して私は非難をするとか批判するとかというつもりじゃございませんけれども、かなり私どもからいえば極端な立場なり解釈をとっておられたことを記憶いたします。憲法そのものは、行政はもとより司法、裁判所というところでどのように解釈されるか、最終的には最高裁判所にいくわけでございますけれども、そういう中でこの憲法がどのように解釈され運営されるかということは、当時、今から四十何年前、私は将来の日本にとって大変大きな影響を持ってあろうということを考えてまいりました。 幸いにして、今日振り返りますと、この憲法は私は国民がなじむ形、国民の常識をつくっていく形で解釈され運営されてまいったと思っておりますけれども、久保委員の言われますように、解釈というものには実はやはりかなり広い幅があって、人と違う解釈をしておるから非難せられるべきであるというふうに私はすぐに、は考えませんで、やはり年月の流れの中で解釈というものは定着していく、そう考えるものでございますから、今いろいろ起こっております解釈論に対しても、かなり過去の経験にかんがみて、我々は、どう申しますか、余り短絡的なと申しますか、予断を持った立場をとらなくても十分に国民の間にこの憲法は定着しつつある、そんな気持ちでおるわけでございます。
○久保亘君 それでは具体的にお聞きいたしますが、小沢調査会の答申は、宮澤首相としては憲法の解釈の範囲内のものだとお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 答申はまだ最終的になされていないと承知をいたしておりまして、先般、答申の原案なるものが報道をされ、またそれをめぐって議論がなされておるというふうに承知しております。私どもの党内にもこの問題につきましてもいろいろな議論があることでございます。で、調査会の答申が最終的にどうなりますか、まだここで申し上げる段階ではございません。
○久保亘君 私は、ちょっと言いたくないことを言わなきゃならぬのですが、先般、ある雑誌を読んでおりましたら、日本の著名なニュースキャスターと評論家、いずれも女性でございます、この女性の二人の方の対談が載っておりました。その中でこういうことが書かれているんですよ。「宮沢さんは自分がなんで総理に選ばれたのかをまったく認識していない。」それからもう一人の方は「国際派といわれる宮沢さんですが、いまの日米交渉などを見ていると、案外一国際的にも孤立するのではないかという気もするしこというようなことをずっと言って、「一日も早く退陣なさったほうがいいのではないかと思います。」と、こういうことを二人の女性が、しかもかなり社会的に影響力のある女性が話をしている。 私は、そういうことを思いながら、宮澤さん、今の問題についても、あなたがこれまで日本国憲法というものについてお考えになってきたその信念の上に立って、そして今日、日本がどうすべきかということについて、きちっとしたリーダーシップに基づく宮澤さんの態度を表明されなければならぬ、それがすべてあいまいになっているということを非常に私は国民の立場に立っても遺憾に思うんです。いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 戦後我が国がここまで歩いてまいりました道を、大体私は自分でわかっておるつもりでございます。そういう中で、いろいろございましても、我が国民というのは、あるいは国民の政治の選択と申しますか、常識的な間違いない選択をしてまいったと考えております。これはお世辞として申すのではございません。このような国の政治が行われてきた。それは長いこと主として私ども自由民主党が政権を担当させていただいてまいりましたけれども、それは自由民主党だけがしたことではなくて、やはり国会を通じ、選挙を通じて与党と野党との間で国政が運営されてきた。そういう結果として今日の我が国があるというふうに考えておりますから、私は余りそこのところを、何と申しますか、狭くと申しますか、考えておりません。 つまり、我が国民の良識というものにもう少し自信を持ってもいい。そういう意味では、どう申しますか、多少言葉は悪うございますが、緩ふんという言葉は悪うございますから何という言葉にいたしましょうか、多少寛大であると申しますか辛もう少しいろんなことに厳しくあった方がいいだろうという御批判を自分でも気がついておりますけれども、しかし、これまで国をつくってきた国民の良識というものはやはり私は大変立派なものであるし、そして十分お互いに寛容を持って、そしていわばすべての国民が自分の意見を言う権利がある。たとえその意見に対して反対であろうともそのような権利というものは十分に守らなければならないというのが私は基本的人権だというふうに思いますし、我が国はまたそういうことをやっていけるだけの良識上知的水準を持っている社会である、こういうふうに考えてまいりました。
○久保亘君 また後ほど防衛問題で少し伺いたいと思っておりますけれども、この際、今いろいろお話を聞かせていただきましたことの結びとして伺っておきたいことは、宮澤首相は総理におなりになります前にいろいろな論文、例えば湾岸戦争の後に国連常設軍に関する論文を月刊誌にお出しになったこともございますね。それから、みずからもまた出版物の中にもたくさんお書きになっております。そういうものを通して、今の憲法のもとで国際的に軍事的貢献については国民のコンセンサスは得られないというのが今日の結論である、こういうことを再三にわたって述べられておりますが、このことは今首相としても、その信念は揺るぎないものだと私は受けとめておいてよろしゆうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) せんだっても、国連軍というものができた場合に云々というお尋ねが国会でございまして、このときに十分私は意を尽くしませんでしたけれども、将来、国際公務員としての国連軍は別といたしまして、今の国連憲章によりますと国連軍というものの実体は実は明確でございません。特別協定を結ぶというようなことも書いてございますけれども、特別協定はかってもとより結ばれたことがございませんので、国連軍ということを定義なしに議論することはやはりいろいろ問題があるであろう。十分な定義をしてから考えなければならない。 したがって、現実にそういう国連軍というものが存在しないときに、これに我が国がどういう対応をとるべきかということは、実は正確に申すことのできない問題であるというふうに私は考えるのですが、それはそれといたしまして、もっと久保委員の御質疑にもう少し近い形でお答えするとすれば、例えば湾岸戦争の際に多国籍軍というようなものができました。こういうことに我が国が参画できるかといえば、私は、それは非常に問題であると考えております。すなわち、我が国の憲法は我が国が外国において武力行使をするということについては極めて厳しい態度をとっておる、私は憲法をそのように考えております。
○久保亘君 今おっしゃったことからいけば、おのずから日本の国際協力、貢献という言葉も使われますけれども、日本の国際協力というものについての基準、憲法に基づく基準というものは非常にはっきりしていると思うんですね。だから、そういう立場でいろいろと今議論が行われているわけです。そういう国会の議論が行われているさなかに、機種を限定しない自衛隊機の派遣が法改正によって可能となるようにしようということが閣議で決められたり、一また、国際貢献チームと称してカンボジアヘの派遣を念頭に置くかのごとく自衛隊の人員編成が行われるというようなことは、これは今のあなたのお考えに照らしても、また国会のコントロールの上からも非常に重大な問題だと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一九七五年の四月の末のことでございますけれども、サイゴンが陥落をいたしました。私は、当時外務大臣をいたしておりまして、ここにおります同胞を何とかして救出したいということをいろいろ腐心いたし。ました。 現実に起こりましたことは、いろいろ説得をいたしまして民間航空会社に飛行機を出してもらおうと考えたのでございましたが、いろいろ段階がございましたが、段階が押し詰まっていきますと、結局、損害保険料が禁止的に高くなったという問題と別に、パイロット等とクルーがそういう仕事をいわば承知しないという二つの問題が生じまして、御記憶でいらっしゃるかと思いますが、サイゴンが陥落いたしましたときに我が国は民間機をマニラまでは置くことができたのでございますけれども、結局何らなすことがなく、米軍に一部は御記憶のような形で救出をしてもらったということがございました。 いかにも私として当時残念でございまして、何かこういうときに、当時今ほどの経済大国ではございませんけれども、それを米軍にああいう形で頼らなければならないということはいかにも残念である。しかし、民間会社の言うことに、これを強制する方法はないという経験をいたしまして、こういう同胞が将来また何かがあったときには何かの形で救う方法を考えなきゃならないじゃないかということを強く一九七五年に感じたのを記憶いたしておりまして、せんだって湾岸危機がございましたときに類似の問題がありかかっておりましたものですから、また同じことを考えました。 そのような同胞を救出するとすれば、今までの経験からいえば、今申しましたように、これは政府機関が行うしか方法がない。といたしますならば、選択として、たまたま政府専用機を設けることができましたので、それをただ要人の輸送ばかりでなく万一のときに邦人等々の救出に使うということは、自衛隊そのものが持っております国の安全、国民の安全を全うするという本来的な使命からして私は間違っていないのではないか。そういう準備を国としてもしておくことが、まあ言ってみますれば、日本は結局またよその国に頼って日本人を救ってもらったんですかねと言われることはいかにも残念であるし、また同胞に対しても済まないことでございますから、今度のよづな法案を御提案をいたした次第でございます。
○久保亘君 この問題については、その提出された法案をめぐっていろいろ議論があるところだと思いますが、要するに機種も限定しない、そして自衛隊の出動がこの法律改正をもって可能となる道を開く、こういう危険性をはらむものですね。そして、それが今PKO協力法案をめぐって日本の将来の国際協力のあり方の基本を問われているそのさなかに、既成事実のようにそういうものをどんどん出してくるということは、やはり私は認めがたいことだと思うんです。この問題はまた改めて議論をさせていただきます。 もう一つお考えをどうしても質問に先立って承っておきたいことがございますが、今私どもが政治改革を急務としております、その今日における政治改革の論議の出発点となったのはリクルート事件である。このことはこのリクルート事件のために副総理・蔵相を辞任をされました宮澤首相としても全く同じお考えだと思うんですが、それでよろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのように考えております。
○久保亘君 そういたしますと、この政治改革というのは、どうして国民の政治不信をなくするか。今日、政治家をめぐるいろいろな不祥事に基づく国民の政治不信というのは単なる政治不信にとどまらず、社会的な不安にも私はつながっていると思います。そして、従来考えも及ばなかったような低年層の、若い人たちの犯罪が非常に多くなってきている。しかも凶悪な犯罪が多くなってきている。こういうことに対して今日の政治不信というものが全く影響を及ぼしていないと我々は言うことはできない、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 同じ感想を持っております。
○久保亘君 そういたしますと、私たちはその政治改革の出発点となったリクルート事件や、そしてこのリクルート事件を究明しているさなかに起きた共和の問題や佐川の問題などについても、もう少しきちんとすることで政治の信頼を回復する。その政治の信頼の上に議会制民主主義の充実した機能を確立していくということが求められていると思うのです。 そこで、私はこの際承っておきたいのは、阿部代議士が宮澤さんが総裁選への出馬の意思を固めた時期に宏池会の事務総長に起用された、その理由を国民は大変知りたがっているんです。そのことにお答えいただけませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どものいわばグループにおける事務総長というのは、グループの中のいわば世話やきとでも申しますか、そういう仕事をするのでございますが、阿部さんという人はお役人の育ちでもなく、長いこと地方の政治もやってこられ、また御自分で仕事もされて、いわば明るい、独特の明るい性格を持ったみんなに愛された人でございました。そういうことで、私が選んだと申しますよりは皆さんのそうだそうだというような意見で事務総長になられたのでございます。また一生懸命仕事をされました。 なお、一部に阿部さんのつくられました資金が総裁公選に使われたのではないかというような御指摘もございましたけれども、これは私どもの、私どもと言っちゃいけません、宏池会の経理がきちんとしておりまして、そのような事実はございませんでした。
○久保亘君 衆議院で宮澤さんが阿部さんとの関係を同じかまの飯を食った件と、こういう表現をなさったと思うんですが、同じかまの飯を食った仲というのはどういう仲ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) どうもその言葉はよくないということをたくさんの方から御注意を受けました。どうも言葉そのものが何か大変因襲的なものを連想させるということでございますので、その言葉は使わないことにいたしまして、いわば政策志向を同じくするような友人として長いこと政策の勉強をし、また政治活動を助けたり助け合ったりしてまいりましたと、こういう言葉に置きかえさせていただきますが、そのような意味でございます。
○久保亘君 政党の派閥の場合に、事務総長というのは株式会社に例えれば専務取締役のようなものかなと、こう私は思うんですが、そうするとやっぱり派閥の資金の運営と非常に深くかかわらざるを得ない立場ではないだろうか。私も、同じかまの飯を食った仲というのを一般的にはよく使われるけれども、本当はどういう意味だろうというので何冊も辞書を引いてみました。そうしたら、生活をともにするというのが一番多いですね。だから、政治の世界で生活をともにするというのは同じ金庫の金を使う、こういうことになるのかなと私は思ったのです。そういたしますと、先ほどの女性キャスターが「宮澤さんはクリーンな政治といっているが、一度どこかでろ過したカネなら何でもいいやというのがあるのではないかと思いますね。するとリクルート事件のときの対応が何であったのか、非常によくわかるわけです。」、こう言っているんです。私もなるほど非常に適な表現だなとも思いました。 それで、そういうことからいたしますと、私は、リクルート事件やロッキード事件の関係者が海部さんのときには復権しなかった。海部さんは政治改革をやろうと思ったができなかった。ところが海部さんはそれをやろうと執念を燃やしたから彼は挫折したのかなと、こう思うんです。そして、その後宮澤さんが首相になられて、政治改革の出発点はリクルートだということを、私と同じ認識を持ちながら出発したはずなのに、そういう点においては政治的に解決済みという論理をもってすべて終わりにされた。これで国民の間にはこの宮澤政権は政治改革をやる資格を失ったな、こういう考えを持っている人が多いのであります。 私は今三つのこと、政策をもって争われたか、戦後政治は憲法を原点として継承されるべきものであるか、政治改革というものは一体どこにその原点を置いて何のためにやるかという問題で、少し時間をとりましたけれどもお伺いをしたのであります。 このことに基づいて少しまた質問をさせていただきますが、最近、世論調査の結果では内閣の支持率がかつてない急落を続けております。昨年十一月発足当初には宮澤内閣の支持率は非常に高いものでありました。そして不支持率は二〇%台でありました。ところが、今日ではそれが完全に逆転をいたしまして、グラフで言うとX形というものになっているのであります。このX形のグラフというのは政権基盤が危ういものだと言われておりますが、このような世論調査の結果がわずか三、四カ月においてあらわれてきたその原因についてお考えになったことがございますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども御指摘になられましたけれども、殊に正月以来いろいろな事件、政治家が巻き込まれました事件の報道が連日のようになされ、一またそれについて司直もおのおのその摘発のメスを入れるというようなこともございました。ある事件は既に公判に付されておりますし、また中には捜査が行われているものもあると承知をいたしておりますけれども、このような暗い事件、報道の連続というものは、やはり国民の政治に対する、先ほども久保委員が図らずも言われましたように、ものについての不信感を増幅することはこれはもう明らかでございます。そういうことが第一に私は背景にあった、このことはもう否定できないことでございます。そして、そういう中で恐らく国民は早く政治改革をすべきであるということを当然に考えられるわけでございますけれども、その政治改革がなかなか進まないではないか、一体宮澤は何をやっているのか、こういうことが私はこの基本にあるというふうに認識しております。 その他、景気の問題でございますとかいろいろございましょうけれども、今私が一番考えておりますのは、このような国民の不信に対して、御協力を得てできるだけ早く政治改革をやっていく、とにかく我々は真剣にこの事態に対処しようとしているということ、またその実を上げますことが信頼を回復するゆえんではないかというふうに考えておるところでございます。
○久保亘君 宮澤さんの宏池会の中であなたが非常に信頼されている若い代議士がこんなことを言っていますね。宮澤政権を生んだ原動力は国民世論だと思っている、それは政権発足後の世論の高い支持率にもあらわれていると。今はどう言われるのだろうかと私は思うんですね。あなたの政権を生んだ原動力が国民世論である、こう言うならば、今国民世論は、世論調査によっては七十数%の不支持率、そして二〇%そこそこの支持率、こういう国民世論というものは、それじゃ宮澤政権を終わりにする国民世論だと見ざるを得ないわけであります。 それで、このことに対するその原因というものは今おっしゃったようなことだけではない。政治改革の問題はもちろん当然です。しかし、平成四年度の予算の中にも、それでは軍縮に向かう宮澤政権の顔があらわれているのかどうか、そういういろいろな問題で今国民は政権に対して疑問を抱いている。生活大国と言われるけれども、生活大国の中で我々の生活実感というものは今わかっているのかね、こう言いたい気持ちが国民の皆さんの間に非常に多くあると思うんです。その一つずつについてこれからお尋ねしたいと思うわけです。 まず、この政治改革の問題について、特に共和、佐川をめぐる問題を伺いたいのでありますが、このことでお伺いをするに先立って、私は、これらの共和、佐川などの事件が問題になっているときに、私どもの党においてもこれらの問題で政治倫理を問われる人たちが出てきていることについて、国民の皆さんに対して大変申しわけないことだと思っております。我が党としては、これらの問題に対して厳しい事実の解明と措置をとってまいる決意でございますけれども、しかし、これらの問題は、党対党の争いの問題ではなくて、今や国民と政治、国会との信頼にかかわる問題だと私は思っているのであります。そういう立場に立って、政治改革の基本となるべき政治倫理の問題に関しては徹底した究明を行わなければならぬ、こういう立場からお尋ねをいたすわけであります。 先般、衆議院において、塩崎証人、鈴木参考人に対する質疑が行われた後、そのことに対して感想を求められた宮澤首相は、これで目的が達したんじゃないでしょうかと事もなげに答えられたと新聞は報道いたしております。この目的を遂げたんじゃないかという主語はだれでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申しましたように、幾つかの事件が起きまして、そのあるものについては既に公判が進行しており、またあるものについては司直の手による究明が行われておる。また、国会も国政調査の立場からこれにつきまして御審議をしておられるという状況であると承知しておりまして、私が、その一人の参考人、一人の証人につきましての衆議院予算委員会の御審査が済んだときに、予算委員会としての国政調査の目的は果たされたと考えると申したことはそうでございますけれも、事もなげにというのは、これは新聞のつけ加えたことで、私が……
○久保亘君 いや、それは私が言った。
○国務大臣(宮澤喜一君) はあ、さようですか。 申しましたことは、国政調査のお立場から国会において調査をされた、そういう目的を達せられたと考える、こういう意味でございます。
○久保亘君 いや、これは目的を達したんじゃないかというのは、だれが目的を達したのかというのがよくわからないんですよ。それを聞きたいんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的には衆議院予算委員会であったわけでございますけれども、予算委員会のお立場において一人の証人、一人の参考人から意見を聞かれ、調査を行われた。そういう国政調査をなされたという、その予算委員会としての目的を御達成になられた、こう考えておると、こういう意味でございます。
○久保亘君 それでは、宮澤さんはあの一問一答をお聞きになっていたんじゃないかと思うんですが、その中で鈴木さんが、入閣できたお礼のあいさつで一千万置いていった、しかし二年余りたったときに阿部さんが取りに来たので返したと、こう言っておるんです。そして、そのことを、善意の保管と言っているんですね。しかし、このことについて、鈴木さんが返すから取りに来いと言ったのか、阿部さんが返してほしいと言って取りに行ったのか、そのことはあの応答の中でおわかりになりましたか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が目的を達せられた云々と申しました意味は、予算委員会が国政の調査をされる、そういう目的のもとに証人を呼ばれ、参考人を呼ばれた。その御審議、御調査の内容について私はかれこれ申そうとしたのではございませんで、参考人と証人を呼ばれて各要員が質問をせられた、そのこと自身が予算委員会としてのいわば国政調査というお仕事であったと、こう申しておるのでございまして、その中身に立ち入って、これで十分であったとかそうでなかったとかいうことを申す。ことは私がいたすべきことではありませんし、またそれを申したのではございません。
○久保亘君 全くその辺は不明のところでありまして、また鈴木さんが、断じてという前置詞を振って、共和絡みの金は一切受け取っていない、こうおっしゃっていますが、それならば、平成三年の十一月十四日に阿部さんを呼んで返した、それはなぜだろうか。そのときは既に共和の森口副社長は逮捕されていました。阿部代議士の身辺にも捜査が及びつつありました。そういう中で、二年余りたってなぜ急に返そうと思い立ったのか。しかも、ちょうど同じときに塩崎代議士も返しています。これは共和絡みの金であることを承知しなければやれないことではなかったかというのが常識的な判断であります。 それからまた塩崎さんは、丸紅の春名会長に共和をよろしくとたった六文字言っただけで二千万円をお礼にもらった。これは証言されております。ところが、麹町倶楽部名誉理事長という大変な立場に就任を承諾された鈴木さんに一億円が渡ったということがいろいろ言われているけれども、一切そのような関係はないと。そして、鹿島建設が予定していた工事が宏池会と関係の深い末広会のメンバーである業者にかわった。こういう問題について、私どもはぜひ共和と関係者との間の中間にいた阿部さん、そして直接共和側の窓口であった森口前副社長、この人たちにこの国会に来てもらって、その真実を明らかにしてもらうことなしには共和事件の真相を解明することはできない、こう思うんです。 したがって、委員長に対して、阿部文男代議士、森口前共和副社長の証人喚問をしていただくよう強く要求をいたします。
○委員長(中村太郎君) 委員長から申し上げます。 ただいまのお申し越しの点につきましては、後刻理事会で十分協議をしてまいりたいと思います。
○久保亘君 さらに、先般の臨時国会以来継続された形になっております政治改革の出発点とも言うべきリクルート事件について、なお解明しなければならない問題が残っております。その問題点は既に臨時国会においても指摘をされているところでありまして、十分御承知のところであります。この問題に関して、服部恒雄氏、松本雅雄氏、小林宏氏、この三人を証人として喚問するよう求めているのでありますが、このことについて宮澤首相は国会の決定に従うと衆議院で申されたと聞いておりますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、先ほども久保委員が言われましたように、昭和六十三年の暮れに責めを負って大蔵大臣を辞任いたしました。それは、国会のお求めになっておられます証憑等について御提示をすることができなかったということでございました。その後、図らずも昨年首班指名を受けましたので、そしてこれは所信表明でも申し上げたことでございますが、努力をいたしまして関係書類を整えまして、私から誠意を持って御説明を申し上げたいということを私みずから申し上げまして、前国会におきまして、その後入手が可能になりました関係書類、いわゆる三点セットと言われるものでございますが、を御提示をいたしまして、誠意を持って私自身が御説明を申し上げたところでございます。 したがいまして、私は、それによりましてかねて国会のお求めのございました関係書類並びにその間の事情につきまして、私自身が御説明を申し上げまして事実関係を明らかにしたというつもりでございます。今日でもそう思っておりますけれども。もとより、私もこういう立場にございまして、何事にもあれ国会が御決定になられることには、これは誠実に沿ってまいらなければならないということは常に考えております。
○久保亘君 これは政治改革を論ずるに当たってその出発点の問題でございますから、どうしてもこのことは、宮澤首相の名誉のためにも私は必要な方々にこの国会で証言をしていただくことが大事ではなかろうかと考えております。 したがって、服部恒雄元秘書、松本雅雄秘書、小林宏ファーストファイナンス元社長、この三人の方に証人として本委員会で証言をいただくよう要求をいたします。
○委員長(中村太郎君) ただいまの御要請に対しましても、理事会において協議してまいります。
○久保亘君 次に、佐川急便にかかわる問題でありますが、佐川急便は一九五七年に創設され、そして今日まで異常な発展を遂げているのでありますが、この佐川急便のもろもろの会合には自民党のそうそうたるトップメンバーが必ずと言っていいほど御出席に相なっております。創業二十周年記念パーティーには、当時もう既に佐川急便の最高顧問に就任されておりました石井光次郎元衆議院議長。それから東京佐川急便記念パーティーには田中角榮氏、一九八〇年。それから八五年、東北佐川急便新年パーティー、三塚博衆議院議員、当時運輸大臣であったのかな、政調会長。こういう方々が必ず出席をされております。 そのことが直ちに問題だと申し上げているのではありませんが、佐川側がなぜそういう政治家とのつながりを考えてきたか。そのことについては、やはり許認可に絡む問題、労働基準法上の問題、それからターミナル用土地取得にかかわっての農地転用許可の問題、こういったような問題と深いつながりがあると聞いておるのでありますが、その中で特にここで今お尋ねしたいのは、運輸大臣は、東京佐川の今日の状況から六社合併が申請をされ、その合併を認めるに当たって、特に暴力団との取引の全容について報告をさせ、その実態を調査されたことがあるのかどうかということをまず説明してください。
○国務大臣(奥田敬和君) 暴力団関係との絡みに関しましては、今司直の手で捜査が進んでいる段階でもございますし、マスコミ報道以外には知るところではありません。
○久保亘君 佐川側から出された文書の中に、暴力団並びにこれと関係の深い企業及び個人とのつながりを断ち切ることも実質的経営基盤を固める上で欠くべからざることでありますというようなことがその文書の中にありますね。そして、そのことについては現在まで東京佐川急便でのすべての取引につき見直しを行い、暴力団関係者との関連取引を洗い出してまいりました、こういうことが書かれております。こういうものは運輸省は御調査になっておらぬですか。
○国務大臣(奥田敬和君) 今日の佐川問題で世間から指弾されている形は、この暴力団絡み、しかも本流のいわゆる物流業務以外にそういったもろもろの会社に多額の債務保証を行っているという、この二点が重大に指摘されておる。 この問題を今度は解決し再建するために現在企業合併の申請がなされてきておるわけでありますが、この前段にある債務保証をめぐって果たして健全な企業運営ができるであろうか。しかも、この暴力団関係との絡みを完全に断ち切るという前提条件がなければ、恐らく新しい合併企業としても物流業に携わるという大きな資格を欠くというそういった形に立って、いれゆる司直の捜査の手を待ちながら、その情報も糧としながら、慎重に公正に対応しようとしているという意味からそういった言動がなされた。私も記者会見等々でそういう発言をした記憶がございます。
○久保亘君 日銀総裁に時間を合わせて御出席いただきましたので、ちょっとただいまの問題を中断いたしまして、日銀総裁に少しお尋ねしたいと思います。 総裁、現在の景気動向をどのように判断しておられますか。
○参考人(三重野康君) お答えいたします。 現在、日本の景気は調整局面に入っているわけでありますけれども、在庫調整の本格化というようなことから、このところ調整色を強めているという感じがいたします。しかも、企業心理も一段と冷え込んできた、こういうことが先日集計しました私どもの短期経済観測でもあらわれておりました。ただ、過去数年にわたり高い成長が続きまして、その間、バブルの発生、それから人手不足の深刻化、あるいは潜在的物価上昇力の圧力の強まり、そういったものがありましただけに、この日本経済をインフレなき持続的成長路線へつなぐためには、現在の調整局面はやむを得ざる調整局面というふうには理解しております。 しかしながら、やむを得ざるものとはいいながら、その調整が深まっていく場合には非常に元も子もなくなるわけでございますから、日本銀行といたしましても、昨年の七月以来公定歩合を三回下げたことを初めとする一連の金融緩和措置をとりまして、現在、長期プライムレートはピークから二・九%、短期プライムはピークから二・四%下がりまして、かなり低い金利水準まで下がっております。こういった効果は今後もまだ予想できますし一がつ比較的高い雇用を維持しております。それから、今本院で審議中の予算が通過いたしましたらその下支え効果も利用されますので、今の調整局面がすぐに非常に深い失速に陥ることはないというふうに思っておりますが、私どもといたしましては、引き続き注意深く情勢の推移を見ているところでございます。
○久保亘君 今もお話がございましたけれども、プラザ合意以降五次にわたる金融緩和策がバブル経済の有力な原因になったと言われているのであります。このことについて、当時あなたは総裁ではなかったけれども、副総裁の地位におられた。宮澤さんは当時大蔵大臣であったと思うんですが、日銀はこのことについてどのような責任を感じておられるんですか。
○参考人(三重野康君) プラザ合意以降の金融政策の運営がその当時の日本経済に課せられた世界的な課題であります内需主導型の経済構造に変革を実現し、かつその上でかなりの高成長を実現したことは事実でありますが、それと同時に、副次作用として今委員御指摘のバブル現象を生じたこともこれは否定できないわけでありまして、それは私どもの責任も感じております。この点は、今後二度と少なくとも金融面からこういうふうなことがないようにしなければならないというふうに思っております。
○久保亘君 特に、あなたの前任者であります当時の澄田総裁が国会で答弁されたことを見ておりますと、マネーサプライが高い伸びを続けていた中で、物価の動向には大変注意を払われておりますけれども、地価とか株価の上昇についてはほとんど配慮していなかったのではないか、そのことが金融政策転換の時期をおくらせる原因となったのではないかとも言われておりますが、この点はやはり日銀にも問題がありますね。
○参考人(三重野康君) 委員御指摘のとおり、その期間、物価はほとんどゼロインフレの成長でございました。その間、資産価額は次第に上昇したわけでございますが、その資産価額の上昇をもって金融引き締めをするというためには、いわゆる認識が足りなかったということは認めざるを得ない、こういうふうに思っております。
○久保亘君 あなたの今の金融政策に対する考え方に対して与党の指導者の中には、あなたの首を切ってでも宮澤さんは公定歩合の引き下げをやらせるべきだ、こういう御主張をなさっている方もありまして、あなたは当時外国におられたと思うんですが、お聞きになられたと思うんです。日銀総裁として、政治と日銀との関係、金融との関係でどういう御感想をお持ちですか。
○参考人(三重野康君) 公定歩合に関しましては、日銀法によりまして日本銀行の政策委員会の専管事項になっております。それだけに私どもは独断を避けなければいけないわけでございまして、いろいろの立場の方がいろいろの発言をされることは謙虚に受けとめてはおります。しかしながら、金融政策そのものはあくまで私どもの責任において運営したい、かように考えております。
○久保亘君 あなたのお考えはわかりましたが、それでは、公定歩合の上げ下げと国会の解散はだましてもよいというような変な言い方がされてきましたが、公定歩合の上げ下げはできるだけ国民をだましておいてやった方がいいんだとあなたはお考えになりますか。
○参考人(三重野康君) 決してそのようには考えておりません。
○久保亘君 それでは、今経済界からもそれから政界からも金利のもう一段切り下げについての要求が非常に強まっておりますが、日銀総裁の判断としては、やはり第四次切り下げを遠からずやらなければならぬ、このような判断をなさっておりますか。
○参考人(三重野康君) 景気の現状に対する判断と態度は先ほど委員に御答弁したとおりでございまして、私どもといたしましては、現在は景気の調整局面にあるけれども、しかしこれを下支えする要因もある。特に、これまでの金融緩和の影響がどう出るか、それから高い雇用のもとにおける消費がどういうふうに出るか、あるいはこれから御審議を経た後に成立する予算の効果がどう出るか、そういったことを注意深く見守るべき段階にある、かように考えております。
○久保亘君 あなたがここでいろいろ言うと大変なことになるから言えないところでしょうが、大体何を言おうとしているかというのはわかりました。 それならば、ちょっとお聞きしておきますが、これは専ら政治の問題かもしれませんが、羽田大蔵大臣も先般そういう御発言があったということを新聞で見ました。私もかねてそう思ってきたことでありますが、この金利の切り下げというのは国民生活にかなりな影響を及ぼす部分がございます。そういうことについて日銀のこの決定をされる立場にあるあなたとして、どういう配慮が行われると思っておられますか。
○参考人(三重野康君) 金利は、委員御指摘のとおり、借りる方から見れば低い方がよろしゅうございますし、それからいわゆる年金生活者にとっては高い方がいいわけでございます。そういう点も含めて、金利政策というのは総合的に行うことになりますが、これをもう少し具体的に申しますと、今委員御指摘のことも含めて、景気、物価、為替レート、国際収支等を総合的に判断して金利政策は進めていきたいと思っております。 これをまた別な言葉で申しますと、我々はインフレなき持続的成長の実現を目指して金利を動かしておりまして、もしそづいう状態が実現すれば、これは国民の一般に広く享受できるもの、こういうふうに考えております。
○久保亘君 大蔵大臣、今、日銀総裁の発言を聞かれて、何か言うことありますか。
○国務大臣(羽田孜君) 今、日銀総裁から言われたことは、私はやっぱり正しいことであろうと思っております。 いずれにしましても一景気を判断したり、あるいは全体の国民生活といいますか、国民経済、こういづたものを配慮しながら政策委員会で決断をされる問題であろうというふうに思っております。
○久保亘君 プラザ合意から、その後の我が国の金融政策、経済政策を含めて大蔵大臣として非常に大きな責任を持ってこられた宮澤首相は、その金融政策、バブル経済を引き起こしてきた政策について今、日銀側のお考えを聞きましたけれども、どういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) プラザ合意がございましたのは一九八五年の九月のお彼岸のころでございます。当時円が二百四十二円がらみでございます。そこから急激な円の上昇が始まりまして、その年の終わり、十二月の末には二百円に達しました。わずか三月ぐらいで急速な円の上昇がございました。 日本経済はこれにどう対応するかということで、かつて経験のない苦しみを味わったわけでございますが、私が大蔵大臣を拝命いたしましたのは翌年の七月でございますが、そのときには百五十円がらみになっております。大変な急上昇で、企業も家計もどうもどういうふうに対応していいかわからないということで、一時ややパニッキーな状況でありましたことは御記憶のとおりでございます。多くの企業が国内に企業立地をすることは困難である、アジアヘ出ていかなければならないであろうかと議論をしておりましたその日のうちにまた三円上がったというような、そういう状況の連続でございました。 政府としては、このような状況に対応するために、かなり大幅な緊急財政対策をいたしました。五兆円を超えるものでございますが、八六年には補正予算を、八七年にはそういう大幅な対策をいたしました。同時に、円の急速な上昇を防ぎますために、かなり長期にわたりましてドル買い、円売りをいたしましたことも御承知のとおりでございます。そこから相当大きな過剰購買力が民間に出てまいりました。また、緊急経済対策によりましても、減税、公共事業等々でございますから、金融的にはかなりやはりここで金が緩むというようなことがございまして、両方のところからいわゆる過剰購買力を生じだということは、これは事実であったと思います。 その結果として、我が国はこの急速な円高に企業も家計も対応することができ、その後、史上二度目の長い経済繁栄が続いたわけでございますが、しかし、そのいわばコストというのが先ほど日銀総裁も言われましたようなバブルであった、このことも事実でございます。 でございますから、そこを総合いたしますと、あの八五年以来の急激な円の上昇に我が国が結果としては成功裏に対応をいたしたわけでございますが、その対応をするためのいわばコストであった。とは言いながら、そのような過剰購買力を他方で吸収する方法はなかったのかとおっしゃいますれば、むしろそのようなことでこの危機を乗り切ったという観点から申しますれば、それはやむを得ないそのための副次的な効果であったと申したいところでございますけれども、現実には株式、土地等にそれが非常に大きな上昇を招く結果になったそのことは、また否定できないところであるというふうに当時を回想して考えております。
○久保亘君 日銀総裁、ありがとうございました。 ただ、私、最後にちょっと申し上げておきたいことがあるんですが、公定歩合に関しては日銀政策委員会の専管事項である、そのとおりであります。そして、あなたに対する監督、命令権というのは公定歩合の問題に関しては大蔵大臣の権限が及ばないと、私は日銀法はそう解釈をいたしております。 そういうような立場であればあるだけ、日銀総裁がその中立性と独立性の上に立って決定される公定歩合の影響というものに対しては重大な責任をお持ちいただかなければならない問題であろう、こう思っておりますので、適切に金融政策について措置をなさるように心から期待をいたしております。それだけ申し上げまして、参考人としての御出席にお礼を申し上げたいと思います。 それでは、ちょっと途中に後の部分を挟むことになりましたけれども、先ほどのところへ戻らせていただきますが、この佐川急便をめぐる問題については、私はこのグループの総帥であります佐川清氏に、多くの雑誌やテレビ等でこの人が発言をされております中に政治家とのかかわりがたくさんございます、そういうことについて事実を明らかにしていただくために、この予算委員会に証人として出席を求めるものであります。 特に彼の発言の中に、例えば坪十万円の農地を買い、政治家に頼んでターミナル用に転用してもらうと地価がすぐに三、四倍にはね上がり、簡単に数十億円もうかる。政治家に数億円やったとしても十分採算がとれるのである。こういうことを公開の席で話をされたと書かれております。 こういう問題について、ぜひ佐川清会長に私どもは本院において証人として証言をいただきたい、こう考えますので、佐川清・佐川急便グループの会長の証人出席をお願い申し上げます。
○委員長(中村太郎君) ただいまの御要請に対しましても、理事会において検討してまいりたいと存じます。
○久保亘君 東京佐川の債務保証や直接融資、仮払いなどの総枠については、これは既に起訴されておるんですが、その内容については、法務省、起訴の中身等について正確に御報告いただけますか。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。 東京佐川急便株式会社をめぐる刑事事件につきまして、東京地方検察庁において捜査している関係についてお答え申し上げるわけでございますが、東京地方検察庁におきまして、去る三月六日、東京佐川急便株式会社の元代表取締役ほか三名を商法上の特別背任罪により東京地方裁判所に公判請求いたしました。 委員お尋ねは、その公訴事実の骨子についてのお尋ねと思うわけでございます。 一つは、東京佐川急便株式会社の元代表取締役渡辺広康及び平和堂不動産株式会社の代表取締役松沢泰生につきまして、両名が共謀の上、渡辺の任務に反して自己らの利益を図る目的を持って平成元年十二月から同三年二月までの間、債務返済能力がない平和堂不動産株式会社の債務合計百八十五億円について東京佐川急便株式会社が保証したという事実、さらに、同二年一月から同三年三月までの間、前後五回にわたり平和堂不動産株式会社等に対して東京佐川急便株式会社が無担保で合計六十億円を貸し付け、よって同社に総計二百四十五億円相当の財産上の損害を加えたというものでございます。 また、東京佐川急便株式会社の元常務取締役早乙女潤及び市原観光開発株式会社社員大内美知夫をめぐる事実につきましては、この被告人両名が共謀の上、早乙女の任務に反して自己ら及び市原観光開発株式会社の利益を図る目的を持って債務返済能力がない同社の債務合計四百億円について東京佐川急便株式会社が保証し、よって同社に同額の財産上の損害を与えたというものでございます。
○久保亘君 ロッキードからリクルート、そして今日問題となっております共和、佐川、これらの問題というのは、私どもはここで司法の役割を果たそうと考えているのではありません。この政治的な道義、責任に関する問題を明確にすることによって、そしてこれらの問題から我々が学び取ることによって、政治腐敗の防止のために心要な措置を国会として責任を持って定める、こういうことが私どもの任務である、こう思っておりますが、政治改革に全力を挙げて取り組むとおっしゃっております首相として、政治腐敗防止のために今直ちにどうしてもやらなければならない問題を何だとお考えになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 党内に政治改革本部を設けておりまして、その本部に対しまして、私としては、一つは、今年の終わりにかけての抜本改正でございますが、その間に、しかし当面急ぐものがございますので、定数の問題、政治資金の問題、政治倫理の問題、党並びに国会の改革、運営の問題等につきまして、とりあえず緊急の政治改革案をひとつ作成してほしいということを申しまして、実は先週末、大体予定のときに答申を党内で得ました軌今週になりまして、各党もいろいろ案を御用意でございますので、政治改革協議会を開いていただきまして合意の可能なものからできるだけ今国会で立法化していただきたい、こう考えておりまして、この点を今最も火急な問題と考えております。
○委員長(中村太郎君) 久保君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十五分休憩 午後一時開会
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、久保亘君の質疑を行います。久保亘君。
○久保亘君 先ほど政治改革についてお尋ねをしてまいりましたが、選挙制度の改革について。 今、定数是正の問題などが言われておりますが、八六年五月二十一日の国会決議を尊重するという立場を基本に置いて定数是正の問題をお考えになろうとしておるのでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) その件につきましては、各党ともそれぞれの主張が皆違ってきております。過般、自由民主党の政治改革本部から提出されましたのは、必ずしもそれに基づいておるものではなくして、むしろ各党協議の上で方法等について協議するということを主体にして考えておられますので、私は、近く開かれるであろう衆議院内におきますところの政治改革協議会のその基本的な方針を踏まえた上で対処していくべきであろうと、こう思っております。
○久保亘君 解散権は首相がお持ちですから、それはそのことに私はとやかく申しませんが、少なくとも、今度政治改革の一環としてこの選挙制度の問題をお考えになりますならば、総理の解散権を担保するだけのための緊急避難的定数是正は国民の信頼にこたえられない、このことはそういうふうにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 総理にお尋ねでございますけれども、ちょっと先に私から答弁させていただきたいと思うのでございます。 緊急避難的にとおっしゃることの意味はよくわかっておりますけれども、同時にまた、一九九五年の国勢調査を見込んでも、なおかつ、現在よりは改善された方向で解決すべきであるという意見も出ておることでございますので、私たちは、一番望ましいのは、一対一の権利が保障されるのが一番望ましいと思うのでございますけれども、そこ、に理想的には到底一挙に到達できないとするならば、段階を経てということを考えざるを得ないのではないか。 したがいまして、各政党間におきましては、暫定的に何回かの改正を経て一対一に近づけるべきであるという意見が多いように聞いておりまして、そうであるとするならば、少なくとも一九九五年の国勢調査にたえ得るだけの理論的な数値をやっぱり決定されるべきではないかなということを私たちは想定をして作業を進めておるところであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま自治大臣が言われましたようなことを私も基本的には考えておるわけでございますけれども、解散権云々ということにつきましては、別段この定数の問題で解散権が制約されているというふうに私は考えておりませんので、それと直接に関係があるということはないと御理解願いたいと思います。
○久保亘君 時間の都合もありますので、次の問題でお尋ねしたいと思います。 軍縮と平和協力外交ということは宮澤首相のまたかねてから述べられていることでもございますが、湾岸戦争が終わりましてから、それまでの間どちらかといえば、パックス・ルッソ・アメリカーナという時代が言われておったのでありますが、今ではルッソがなくなって、そしてパックス・アメリカーナということが、特にアメリカのブッシュ大統領とかチェイニー国防長官の言い分を聞いておりますと、世界の新しい秩序はアメリカがつくる、アメリカのみがつくることができるという主張がございます。このことに対して首相はどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 世界の秩序をアメリカのみがつくるということをブッシュさんやチェイニーさんが公に言ったということを私は聞いておりません。国防省なんかの中に。そういう考えをする人がいるということは聞いたことがございます。けれども、私はアメリカ政府がそう考えているとは思いませんのは、確かにソ連という戦後の米ソを分かち合った脅威はなくなりつつある、それは確かでございましょうけれども、だからといって、世界にはまだいろんなこともございますし、世界のこと全体が軍事力だけで決まるわけでもございませんし、私はアメリカとしてそういうような考えをしていることはなかろうなと。やはり平和はみんなの人が力を合わせて守っていかなければならないという事実に私は変わりはないというふうに思います。
○久保亘君 このことで多く議論しようと思いませんが、昨年、湾岸戦争のときに出されましたブッシュ大統領の年頭教書にははっきりそういう主張が述べられております。これを首相がお読みになっていないとは私は信じがたい。 それでは、恐らく宮澤さん自身は、かねてから言われておりますように、どうしても国連中心で物を考えない限りやりようがないんだけれども、国連がもう一つというのは、今やっぱりあなたの御心境ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この間の湾岸戦争を見ましても、あれだけ国連安保理事会の決議を重ねて、十四でございましたか、そしてサダム・フセインに対する対応をしたわけでございますので、そのことをアメリカ自身だれよりもよく気がついたはずである、国連というものをやはり大切にしなければならないということは。でございますので、そういうことはアメリカ自身も、これ軍事力という意味でなくてもう少し広い意味でございますけれども、感じておることと思いますが、それにしては国連自身が今まで考えてもいなかったような大きな仕事を背負うに至りましたものですから、いろんな意味でそれに十分にすぐに対応するだけの準備ができていない。早くそういうものになってもらわないと、みんなで努力をしないといけないということは感じております。
○久保亘君 国連にもっと力があるようになってもらいたいという意味のことだと思うんですが、国連の改革の中で、日本が安保理の常任理事国になるということについては、そのことが国連をより九のあるものにすることなんでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは考え方でございましょうが、日本という国もこれだけ経済大国となり、国連その他に対する財政的な協力はアメリカに次いで第二番目の協力をしておる。その他いろいろな面において指導的な役割を、平和やあるいは環境問題等において提唱をして、それが随分支持されておる。こういうようないろんな点から見て、おのずから日本が常任理事国にしてもらうだけの資格がだんだん出ているんじゃないかということもありまして、積極的に運動しているわけではありませんが、私は、協力するものは協力する。やはり政治的な地位を得させてもらうものは得させてもらって差し支えないだろうというように考えております。
○久保亘君 そこがドイツとの考え方の違いですね。 私は、国連の中に戦後の大国主義を引きずっている常任理事国制度があることが問題だと思っているんです。日本はこういうものをやめさせる方向へ国連の改革を主張すべきだ、こういうことではなかろうかと思うのでありますが、きょうはもうその論議をやっている時間がありませんので、次の問題に入ります。 予算は政府の顔であるとよく言われます。そうとするならば、今度は、軍縮の立場をおとりになっているとするならば、平成四年度の予算案にその軍縮を進める宮澤政権の顔が具体的にあらわれていなければならぬと思うのでありますが、それはどこへあらわれているんでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは軍縮といいましても、日本の場合は極東情勢が一挙に変わったわけではありません。ソ連が解体をされるというようなことで混迷を続けているのは確かでございますが、西側にあったバックファイアなどがずらっと今度は極東に並んできたということで、形の上ではむしろ物はふえているんですね。だけれども、それが今後動くのか、だんだん動かなくなっていくのか、これはちょっと様子を見なければならないわけであります。ソ連の中も今非常に混迷をしておって、統一軍ができるかできないかというような問題も含めていろいろ議論がございます。 したがいまして、方向としては、また願うべくは世界の大きな軍縮の方向を我々は守り立てていかなければなりませんが、急々に一挙にここで日本の防衛費を減らしてしまうというような急カーブというものはなかなかとれませんので、将来、現実を見ながら政府内部でいろいろ相談をしながらそういう方向に持っていきたいと、こう思っております。
○久保亘君 防衛費の問題について外務大臣がお答えになるというのは大変異なことであります、副首相としてお答えになったのかどうか知りませんが。 防衛庁にそれじゃ名指しでお答えをいただきたいと思いますが、来年度の防衛予算の中で全く新しい装備として購入されるものは何と何がありますか。
○国務大臣(宮下創平君) 私ども防衛予算の正面装備の調達でございますが、原則的には、数量的にはほぼ大綱の水準に達しておりますから、この更新、近代化ということを主体にいたしております。大部分の装備はそのようにいたしておりまして、能力的にはアップしております。そういうものも多数ございます。これでなければ本当の意味での専守防衛、抑止力になり得ないと、こう思っておりますが、個々の具体的な品目につきましては政府委員から答弁させます。
○政府委員(畠山蕃君) 御指摘の、全くの新規という言葉の意味いかんにもよりますが、今大臣からもお答え申し上げましたように、更新、近代化、前の装備が老朽化してそれが落ちる、それの後継として新規に調達するという分を除きますと、海上自衛隊の試験艦というのがございます。それから航空自衛隊の輸送機・救難機等基本操縦練習機というのがございます。それからもう一点、議論のございます可能性のありますのは、陸上自衛隊のいわゆるMLRSというものがございます。このMLRSについて断り書きを申し上げましたのは、我々としてはこれは野戦特科群というところに配置をいたしまして、各国の例に倣いまして、砲とともにこのロケット砲というものもミックスした形で配置するということでございますので、旧式の米当時代に供与を受けた砲にかえて、従来であればこれに新式の砲でリブレースすべきところ、各国の例に倣ってロケット弾で新しく導入すると、こういうことでございますので、一部更新、近代化の要素をはらみつつ、機種そのものとしては新規であると、こういうことでございます。
○久保亘君 地雷原処理車とか地雷原処理ローラーというのは後年度負担、つまり債務負担行為の中で新しい装備として計上されておりますか、おりませんか。
○政府委員(畠山蕃君) 先ほどの御質問に対しては正面装備の中の主なものについて申し上げましたが、ただいま御指摘の地雷原処理に関する新しいものについては、乙類の中で契約をすべきこととして計上されているものでございます。
○久保亘君 それは新しい装備として防衛庁は要求して今度の予算に計上したんじゃないんですか。その内容を説明してください。
○政府委員(畠山蕃君) 地雷原処理車三両分と地雷原処理ローラー三両分といいましょうか、それが後年度負担として、前者が十六億四千八百万、後者が一億六千六百万ということで計上がされているところでございます。
○久保亘君 陸上自衛隊が、地雷原処理がどこで必要になりますか。
○政府委員(畠山蕃君) 地雷の処理につきましても、陸上自衛隊の有事を想定しました地雷の処理ということで、当然その一環として考えられるわけでございます。
○久保亘君 今までそういうものが要求されたことはない。この来年度の予算に初めて出てくるわけです。新規の装備でしょう。だから、その新規の装備は何かと聞いたときにあなたは返事をしないんです。こちらから指摘されると、いやそれはありますと言うんだ。何のためにどこで使うために装備するんですか。
○政府委員(畠山蕃君) 有事におきましてどういう事態が想定されるかは一般的にわかりません。具体的な話はわかりませんけれども、我が国は専守防衛の立場に立って、有事に対応する必要最小限の装備を装備するということの一環として、地雷を敷設されたときの処理という建前からこれを整備するものであります。
○久保亘君 今までそういうことを自衛隊の装備として考えたこともないものが、どうして今度、しかも丹念に調べなければわからないようなところで計上されてくるんですか。
○政府委員(畠山蕃君) これまでも地雷の処理に関しましては全く装備されてないわけじゃございませんで、たしか七〇式と申したと思いますけれども、ロケット弾を発射しまして百メートルぐらい先の一列を地雷処理するという形のものは既に装備しているものでございます。それに加えて今度新たに日本で開発されたものを装備化するというものでございまして、これは各国の技術レベルを勘案してこういうものを装備するということでございます。
○久保亘君 国際的に緊張が緩和して軍縮の方向へ向かっているときに、今殊さらに想定できない有事の場合に備えてと、そういう言い方でなぜこういうものが自衛隊に装備されなきゃならぬのか。それは理解できないことでしょう。
○国務大臣(宮下創平君) 委員にお答え申し上げますが、我が国の自衛隊の装備は一義的には専守防衛でございまして、上着陸阻止ということで海空陸、陸は必要でないじゃないかという御議論も中にはございますけれども、我々はあくまで有事を想定いたしまして我が国が侵略を受けた場合に縦深性のある陸上自衛隊の装備も必要だと考えております。今防衛局長の申されたように、地雷処理能力はもちろん訓練もいたしております。そんな、敵が上陸してきて地雷なんということは考えられないじゃないかと、あるいは仰せかもしれませんけれども、我々はそうした縦深性のある装備によってきちっとしておくことが抑止力になる、このような観点から整備をしているものでございます。
○久保亘君 カンボジアに対する自衛隊の派遣を想定して準備を始めているんじゃないですか。
○政府委員(畠山蕃君) 先ほども申し上げましたが、これは開発を積み重ねた上での話でございますので、開発に取りかかった年というのは、例のカンボジアの問題がPKOとして話が具体化する以前の話でございます。したがいまして、そういうことが念頭に置かれて行われたわけではございませんが、もし仮にそういうことが必要になれば当然、有事以外にもそれに必要であれば当然利用するということもあり得るというふうに考えております。
○久保亘君 先ほどは想定できない有事のためにということで御説明がありましたが、今度は私が申し上げたようなことも必要になった場合には当然それに対応できるようにということでありましたが、そういうことは私は防衛庁の越権だと思いますよ。納得できない。
○国務大臣(宮下創平君) 私どもはPKO法案を提出いたしておりますのは、戦後処理ということで国際連合の要請に基づきまして我が国が国際的な平和貢献をする。その際、自衛隊の組織、機能、訓練等を活用するという目的でPKO法案を提出いたしておりますから、私どもといたしましてはこの政府法案が通ることを前提にもちろんいたしておりますし、国会のことでありますが、御理解を得たいと、こういうことでやっておりますが、防衛庁内部でも昨年も北欧にPKOの検討のための武官の派遣をいたしました。これは、政府としてそういうものを出している以上、組織として、あるいはそれ自体を目的としたものではございませんが、私は、一般論として我が国のこの抑止力に役立つようなもの、こういうものはあり得ていいのではないかな、こう思うわけでございまして、PKOの法案が通れば当然いろいろそういう廃棄された武器の処理の問題等も出てくるわけでございますから、そういうときに有能であろうということを防衛局長は申し上げた次第でございます。
○久保亘君 PKO法案が成立したことを前提にして、そしてその際には陸上自衛隊が地雷処理車をもってカンボジアに派遣されることを想定してここに装備を要求しているということであれば、これは私は絶対に納得できない。今までの説明はそうなるじゃないですか。
○国務大臣(宮下創平君) 結果としてPKO法案が成立いたしまして、これは我が国がPKOの任務をどういう形で果たすかはそのときの情勢次第でございますから、必ず地雷処理に当たるということでもございません。そういうことで一般論としての我が国の抑止力の立場からさまざまな装備について、これを保有することは私は当然なことだと存じます。一義的にこのPKOのために地雷処理車が必要であるという認識で要求したものでもございません。
○久保亘君 言い方が次々変わったんじゃだめです。防衛局長の最初の答弁からずっと変わっている。だめです。
○政府委員(畠山蕃君) 私が先ほど来御答弁申し上げておりますのは、この新しい地雷原処理システムといいますのは、これはあくまでも先ほど来大臣が御答弁申し上げましたとおり、我が国有事を想定して、そういうことがあってはならないけれども、有事になったときに縦深性をもって守るという我が国の使命のためにまず装備するということでございます。それはまさにPKOをそのときに念頭に置いていたわけでないことは、先ほど私が触れましたように、技術研究本部でこの開発が開始されましたのは五十九年、実に五十九年でございます。五十九年のときから平成三年までかかって鋭意開発を進めたということでございまして、そのときに念頭にあったことでないことは確かでございます。 ただ、結果として、PKO法案を許され、かつそういう必要性があれば、同時にそういうことにも利用することもあり得べしということを申し上げているわけであります。
○久保亘君 PKO法案が本院において継続審議となっている中で、既にその成立を予測して、その場合には地雷原処理車、地雷原処理ローラーを装備しておいて、そこへ派遣をして役立てようということも一定の想定をしておきながらこのような装備を要求しているということは、これは国会の統制下に置かるべき自衛隊としては越権である。この予算を撤回するように求めます。
○国務大臣(宮下創平君) 先ほど来防衛局長の発言につきまして、PKO法案成立を前提としたものではないか式の委員の指摘でございますが、私は決してそのように思っておりませんし、私が責任大臣としてそのような我が国の防衛の縦深性という角度からその必要性を認めたものでございまして、委員の因果関係を直接結びつける見解については理解を求めたいと存じます。
○委員長(中村太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(中村太郎君) 速記を始めて。
○国務大臣(宮下創平君) 再度御答弁申し上げますけれども、一般論として私が先ほど申しましたように、縦深性のある我が国の抑止力としての防衛力の整備の一環であることは、これは委員も御理解いただけることかと存じます。 なお、当地雷原処理システムは、これは先ほど防衛局長がここで説明申し上げましたように、五十九年から平成三年度までの期間の研究開発項目装備品として掲記されているものでございまして、五十九年にこの研究をした当時、PKOという議論は、それは背景としてはあったかもしれませんが、一政府案としてPKOは出しているものでもございません。 したがって、この研究開発がようやく成果を得たときにそれに参加していくということは、私は当然なことであり、そしてそういう縦深性のある陸上自衛隊の装備を持つことも我が国の抑止力につながるものと、このように存じております。
○久保亘君 開発研究をやったから必ず装備をするということではないんです。むしろ、開発研究をやったがそういうものはもはや必要なくなったということが最も望ましい姿なのであります。そしてそういう中で、PKOの成立を予定したかのごとく、先ほどの説明でもありました。しかも、よほど専門家でないとどこへこれが組まれているのかわからない形でこういうものが予算に計上されてくるということは、私は絶対に納得できないことだと思うんです。だから、そういうやり方についても問題にしなければなりません。 この問題については、納得しかねる問題でありますから、後刻またこの問題についてはさらにお尋ねをいたしたいと思っております。 次に、防衛庁の武器購入価格の積算基準はどうなっていますか。
○政府委員(関收君) お答え申し上げます。 防衛庁で武器等を購入いたします場合の単価の考え方でございますが、従来から購入実績のあるものにつきましては、それをベースにその後の物価上昇でありますとか、あるいは輸入品に関連いたしますと為替レート等々は変わってまいります。その辺の調整をいたすわけでございます。 一方、新規に調達いたすものにつきましては、材料費それから工数といいますか、どれくらいの時間がつくるために必要かといったようなことを積算いたしまして、なお同時に、他の同様の装備とのバランスなども見ながら予算単価として計上し、お願いをいたしている次第でございます。
○久保亘君 それでは、それをP3CとF15について説明をしていただきたい。P3C、F15昨年どことしの購入単価の違いについて、その理由をあわせて御説明いただきたい。
○政府委員(関收君) 先生の御質問は、P3CとF15と理解をいたしております。 P3Cにつきましては、一つは部品材料の上昇、それからもう一つは調達機数が減少いたしますと管理費等が余計かかるということで増加をいたしているものでございます。 それからF15でございますけれども、これにつきましての主な要因は原材料単価の上昇が中心でございます。
○久保亘君 余りなめたことを言ってもらっては困りますね。 例えば、P3Cは、平成二年度八機、百六億。平成三年は二機になって百二億。四年は一機で百十七億。どうしてそうなるんですか。
○政府委員(関收君) P3Cにつきまして、先ほど申し上げましたように、発注機数が減少いたしますと管理費等のいわばかかる経費がふえるということと、材料等の単価のアップと私どもは御説明を申し上げているところでございます。
○久保亘君 そんなことを言うから、平成二年は八機で百六億、平成三年は四分の一の二機で盲二億に下がっているんです。そして今度の予算では一機で百十七億にまた急上昇しておるわけです。これはどういうわけだと言っているんです。
○政府委員(関收君) お答え申し上げます。 単価につきましては、先ほど申し上げましたように、発注機数だけではございませんで、そのときにおきます為替レートあるいは物価上昇等々を、個別に実績等を加味して決定しているものでございまして、私どもとしてはそれぞれの単価は適正に積算されているものと理解をいたしているところでございます。
○久保亘君 物価や為替レートを問題にして、去年百二億円で買ったP3Cが今度は百十七億。十五億円も高くつくという、それを物価やレートで説明された。 それでは、九〇式戦車が去年よりも五%今度は逆に下がっているのはどう説明するんですか。物価やレートが飛行機と戦車は違うのですか。
○政府委員(関收君) 御指摘のとおり、九〇式戦車については単価が下がっております。もちろん物価上昇等もございますが、九〇式戦車の場合には平成二年度から発注をいたしておりまして、ラーニングカーブと申しています学習効果、生産をふやしてまいりますと一台をつくるために必要な工数が徐々に低減をいたします。ただし、これは非常にたくさんつくりますとこのしカーブがだんだん寝てくるわけでございますが、平成二年からスタートし、三年、四年ということで、主として学習効果による工数減というものが今値段のダウンにつながっているものと私どもは理解をいたしております、
○久保亘君 じゃ、P3Cはかなり早くから百四機を目指してずっと入れておるはずだ。これには学習効果はないのですか。
○政府委員(関收君) 御理解いただきたいと思います。 P3Cにつきましては、かなり長期間かかって取得をしておりまして、もう先ほど申し上げました学習効果のカーブが寝ているといいますか、最初のうちは何機つくって何機というときの工数の減が多いわけでございます。だんだんその減が減少幅が小さくなるということでございまして、それによってその学習効果自体の効果は、そう目に見えて出ていないということかと思います。
○久保亘君 そんなことばっかり言っていたんじゃだめじゃないか。 自衛隊の最高指揮官であります宮澤首相、あなたは、兵器産業は市場経済の原理が働かない、大変困ったものだということをおっしゃったことがありますね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済学のセオリーとして私はそういうことをよく聞きますし、また、そういうことはあることだと思っております。
○久保亘君 これは発注者、受注者が完全に寡占状態にあるわけですね。それで、そういう中でこの価格というようなものが適当に決められていく。いろいろな要素でもって一市場経済原理的なものでない要素によって決められていくから、値段が上がるものがある、下がるものがある、極端に上がるものがある。こういうものをずっと買う側が規制していけば、防衛費というのは私は相当な削減ができるはずだと思っているんです。今のような説明で長官、わかりますか。
○国務大臣(宮下創平君) 私も今P3Cのお話を聞いておりまして、一機になりましたから、どのような原価構成になっていて、材料費がどの程度上がっているのか等々、ちょっと調べませんと何とも言いようもございませんが、原則的に申しますと、これは非常に原価計算を厳密にやっておりまして、調達実施本部等におきましても、原価の構成その他はチェックにチェックを重ねてやっております。 ただし、市場性を持たない装備等もございますから、委員のおっしゃられるとおり、市場価格そのものというわけにもまいりません。そしてまた、非常に受注量が少ないような場合は、いろいろのコストが付加されてまいることも事実でございますが、そういった問題をすべて調達実施本部におきまして厳正に監査し、そしてまた内局その他でもこれを監査して、私どもは税金をお預かりして効率的な防衛力を整備しておるわけでございますから、その趣旨は徹底しておるつもりでございます。
○久保亘君 そこまでおっしゃるなら、これらの防衛庁と売る側との間の契約書を見せてもらえますか。
○国務大臣(宮下創平君) これは私ども防衛の装備の調達に関することでございまして、一般的に公開をすべきものではないと私は思いますが、詳細にわたりましては装備局長の方から答弁させていただきます。
○政府委員(関收君) 補足的に御説明申し上げます。 防衛庁とメーカーとの契約書につきましては、今長官から申し上げたとおり、御理解を賜りたいと思っておりますが、私どもは予算の執行に当たりましては原価の厳格な積み上げを行っておりますし、また、生産をしている段階におきましても、さらに原価監査等を行いまして、実際にぎりぎりの限られた経費の中で適切な調達を行うように努力をしているということを御理解いただきたいと思います。
○久保亘君 原価の計算をそれほど厳密になさっているなら、アメリカ海軍、アメリカ空軍がメーカーから購入している価格を教えてください。P3CとF15だけでよろしい。
○政府委員(関收君) アメリカ海軍ということでございますが、P3Cのお話かと存じますが、具体的にアメリカがP3Cを幾らで購入しているかということについて、実はこれも余り公表されておりませんで、時たま公表された資料等に出ておれば我々も知り得るということでございます。仮にそれを知り得るといたしましても、調達されました年次あるいは具体的な要求性能、あるいはアメリカの場合はP3Cを開発いたしておりますから、開発費は一応別になっております。それに対しまして、日本の場合はライセンス生産をいたしますので、その分の負担があるといったような事情の違いがございますので、同じレベルではなかなか比較できないものと申し上げざるを得ないわけでございます。
○久保亘君 そんな逃げ回ることではないんだよ。P3CやF15がアメリカの軍に納められるときに、幾らで納められるかということがわからずにどうして厳密な原価計算ができておるんですか。
○政府委員(関收君) 私ども、先祖ど申し上げましたような材料費、単価等の積み上げによって価格の積み上げを行っておるわけでございますけれども、具体的に材料費の値段あるいはそのために必要な工数といったようなものにつきましてもアメリカと正本では一様ではないわけでございまして、同じレベルではなかなか比較できない。もちん公表されたものがございますれば、参考資料として私ども当然それをいわば横でにらみながら単価の決定をいたしたいと思っておりますが、そういう資料がアベイラブルでない場合も多々あることを御理解賜りたいと思います。
○久保亘君 ライセンス生産をやる場合のライセンス料とかそういうものがどうなっているのかというのは、アメリカの軍が入れる場合にはこれだけの値段でこうだということがきちんとわからないと、私たちはあなた方が出した百十七億が厳密な原価計算に基づいて積算されたものだと言われたって信ずることはできないでしょう。P3Cが去年に比べた場合に大変な価格の上昇ですね、パーセントで言っても。それで、全体に航空機に関するものは大体一割以上ずっと上がってきている、この一年でだから、そういうものはある程度あなた方は基礎資料なしに目見当で値段を決めているんじゃないか。もし詳細な資料に基づいて決めておるなら、それを出してくださいよ。
○政府委員(関收君) お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたように、私どもは材料費あるいは工数、それからライセンス生産等の場合にはライセンスフィー等を厳密に積み上げ、それによって単価を決めているということで御理解を賜ればと思います。
○久保亘君 だから、その計算書を出してください。 各種装備の単価当たりの計算書を提出するように委員長の方から御指示いただきたい。
○国務大臣(宮下創平君) 各種の装備、例えば今問題になっておるP3Cでございますが、その原価構成を発表せよ、提出せよということでございますけれども、これからネゴをやって調達するという余地を残しておる価格でございますし、そしてまた、ただいままでそうした原価構成について一々御報告申し上げるということはしておりませんが、これは私はやはり、おおよその理解は求めつつも、原価計算を出せと言われても、ちょっとこれは私の方としてはお受けいたしかねるということでございますので、その点は御理解をいただきたいと存じます。
○久保亘君 単価が極端に、もう数年前と比べると物すごく上がってくるんです。これはおかしいと。だから、市場経済原理も働かない兵器の購入に当たってべらぼうな値段を押しつけられているとするならば、これは国民の税金を使ってやっている防衛装備の購入の仕方として私は問題があると思う。だから、そのためにはその原価計算書から、ライセンス料とかあるいは研究開発に要したあれは何と言うんですか、ロイヤルティーと言うのか。なんか知らぬが、そういうものを分担させられている。そういうものの内訳を、全部示せとは言わぬから、P3C、F15、UH60J、これだけぜひ示してもらいたい。
○政府委員(関收君) 先ほど来先生からいろいろ御指摘をいただいておりますが、単年度の動きと申しますのは、そのときの物価でありますとか為替レート等で変動がございますし、先ほど申し上げましたように初期におきましては学習効果、九〇式戦車のように非常に効くという面がございますが、長期的に考えました場合には、我が国におきますF15るいはP3Cの単価のアップ率は、他と比較いたしましても非常に低いものだと私どもは理解をいたしております。 それからう今先生から単価の積算の内訳をお示しするようにというお話がございましたけれども、先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますように、今後省議等を行います際にいろいろ差しさわりが出てくるものでございますので、それをそのままの形でお出しするということについては御容赦を賜りたいと思う次第でございます。
○委員長(中村太郎君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(中村太郎君) 速記を起こして。 久保委員に申し上げます。 ただいまの御質問の件につきましては、時間的にここで直ちに結論を出すわけにもいかないと思いますので、理事会の預かりとさせていただきたいと思います。 次に進んでいただきます。
○久保亘君 私がUH60Jを取り上げましたのは、これは六十三年のときには二十一億なんです。ところが、四年後の来年度予算では四十一億になっております。こんな値上がりというのがどこから出てくるのか説明してもらわないと納得できない。同七飛行機でP3Cは、六十三年九十八億、それが去年は百二億で、そして来年は百十七億になるんです。ところが、このUH60Jという救難ヘリコプターなんかは四年間で倍になるんです。こんな話は普通には考えられないことだ。一体、防衛庁はどんな計算をしているんだということを私はお示しいただきたいと思うんです。 次に、それでは自衛隊の定員充足率について、六十三年度以降、陸海空三軍合わせた定員充足率を説明してください。
○国務大臣(宮下創平君) 委員の御指摘のように、自衛隊の定員につきましては、これは法律で決まっておりますけれども、法律定員のほかに予算の編成の場合に充足率、平均充足率といいますか予算充足率というものを用いておりまして、予算上認められて、それの定数に従って人件費等をはじいております。 平成四年度の場合で申しますと、陸上自衛隊は定員の八三・五%、海上自衛隊は九二・五%、航空自衛隊は九三・五%となっておりますが、これは最近におきます特に厳しい募集環境あるいは自衛隊の部隊運営、教育訓練の実施等総合的に勘案して設定したものでございまして、平成三年度に対しまして陸上自衛隊では一%、海上自衛隊では二%、航空自衛隊では一%のさらに充足率を強化すると。強化するといいますか、この充足率を下げていくということにいたしたわけであります。特に陸上自衛隊につきましては、有事に緊急に充足し得る職域等につきましては、部隊運営等仁重大な支障を来さない範囲内である程度充足率を下げておくこともやむを得ないとの判断、考え方のもとに充足率を現在下げております。 委員の今御質問の経年的に知らせてほしいということでございますが、これは担当局長から答弁させていただきますから、よろしくお願いします。
○政府委員(畠山蕃君) たまたまちょっと直接の担当局長がおりませんので私の方から便宜申し上げますが、陸上自衛隊は、六十三年度八六・四五%、それから元年度が八六・五〇%、二年度が八四・五%、三年度が八四・五%、四年度が八三・五%でございます。 それから、海上自衛隊について申し上げますと、六十三年度が九六・〇、元年度も同様に九六・〇、二年度が九四・〇、三年度が九四・五、四年度が九二・五でございます。 それから、航空自衛隊につきましては、六十三年度が九六・〇、元年度も同様でございます。二年度が九四・〇でございます。それから三年度が九四・五、四年度が九三・五。 以上のようになっております。
○久保亘君 年次によっては、防衛庁の定めた予算定員充足率よりもその年度の最後の三月三十一日の実人員が多い場合もございますね。しかし、これが極端に落ちてまいりますのは平成三年からだと思うんです。充足率と実際に充足している教との差で充足率の方が高い。それ、平成三年からになると思うんです。陸海空を合わせますと、平成二年の三月三十一日の実充足は九〇・〇、それが三年の三月三十一日になりますと八五・五に落ちるんです。この原因は何ですか。
○政府委員(坪井龍文君) お答えいたします。 先生御案内かと思いますが、自衛隊は年間約二万人近く採用し、また退職しているわけでございます。したがいまして、一年間で見ますと、各月によってやめる人、それから採用する人がいろいろずれできます。そして、私どもは高往生と言っておりますけれども、特に高校を卒業した者というのが中核になるわけで、この人たちはまさに三月ないしは四月に入ってくるというようなことになるものですから、その年によりまして、今先生が御指摘になったところは大変充足が苦しくて、採用の目的を達してなかったという年がございます。 そうしますと、年度当初大変低いという格好で一年間が始まる。そしてまた次の年に、年度末に非常に採用者が多くなった場合に、今度は年度当初が高いということで、これは充足率に丸々一年間響いてしまうものですから、そうすると、その年は採用者が少なくなるというような状況になっておりまして、今御指摘になりましたのは、平成元年度が補正におきましても充足率を下げざるを得なかったという状況がございまして、その分今度、今年しましたように、年度当初にたくさんとり過ぎたというか多く入れたために、今度はその年が採用数が少なくなったというような状況になっているわけでございます。
○久保亘君 何か随分わけのわからぬ説明をいただきましたが、私がさっき言ったのは各年次の三月三十一日の充足率を言っているわけです。これ、あなたの方の出された「日本の防衛」から私は得た数字ですから、あなたの方が出しておる数字なんです。それが平成三年度末あたりにがくっと落ちてくるわけです。だから、その理由は何か。四年の充足率をさらに一%下げるというのは募集が困難な状況にあるためと書いてありますね。その理由ですか。
○国務大臣(宮下創平君) 今、委員御指摘のように、最近の自衛官の募集状況、これは今人事局長からお話し申し上げたとおりでございまして、一般論として大変合有効求人倍率も高こうございます。したがって、特に高校卒のとの人たちの候補の募集が大変私ども難渋をしているのが実態でございます。そういう点がありますものですから、どうしても充足率という問題を実態にある程度合わせつつ、しかし我が国の防衛所要上必要な人員はどうしても確保するということの調整の問題として、本年度、先ほど申しましたように、海自で二%、陸空で一%ずつ充足率を下げたということでございます。 それから、委員御指摘のように一二月末にこれは充足率が上がっております。年度を通じて見ますと、確かにグラフでいいますと途中は下がってまいりまして、そして年度末に平均充足率は上がることもございます。しかし、これは年間を通じての平均充足率で予算等を算定しておるわけでございまして、期末に募集等がより行われるということは、これは我が国の学校制度との関連で当然のことでございまして、そういう点で三月末あるいは四月一日にピークであったりすることはしばしば一般論としてあり得ることでございます。
○久保亘君 防衛予算の中で、訓練用の油代が一挙に百七十億八千五百万減額になっておりますが、これは購入費が下がったためですか。
○政府委員(宝珠山昇君) 御説明いたします。 平成四年度の油購入費につきましては、単価の減が約六十億円、その他の合理化によるものがございまして、御指摘の百七十億円の減となっているものでございます。
○久保亘君 六百六十億のうち百十億合理化できるというのは、その合理化は何ですか。
○国務大臣(宮下創平君) この訓練用の油の問題でございますが、たまたま一般論としてことしの場合は原油価格が非常に下がってきたということが一つ。それからもう一つは、為替の円高等の問題等もございます。これは各省庁とも同じでございますが、たしか一ドル百二十九円、前年が百三十六円だったと思いますが、これはちょっと正確でございませんが。そういうことで、今合理化という言葉を使いましたけれども、その二つの主たる要因によって油代の購入費が下がったということでございまして、私どもはやっぱり訓練所要だけはきちっと満たすというようにしたいと思っております。 なお、ストックの問題も若干影響していると存じます。
○久保亘君 事務当局が合理化と言ったものを長官が為替レートに振りかえるという、そんなむちゃくちゃな話はないですよ。
○国務大臣(宮下創平君) 私が責任者でございまして、私もその辺はよく念査をしておりますから、合理化という言葉が誤解を受けやすいので、よりわかりやすく御説明申し上げた次第であります。
○久保亘君 言ってみれば、原油価格というのは物価、それからもう一つは為替レート、この二つでもって訓練用の油が六百六十億から一挙に四百九十二億に減るわけです。それで大丈夫だという以上は、そんな物価の値下がりと為替レートの変化があれば、ほかの部門にもそのことがきっちりあらわれないとおかしいでしょう、油のところはかり出てくるというのは。ほかのところではレートの問題があってもどんと値段が上がるという、そういう予算というのが一方的に示されて、内容が何にもわからぬまま国会はこれを承認しろと言われても無理ですよ。
○国務大臣(宮下創平君) 装備の調達には、委員御指摘のようにFMS、フォーリン・ミリタリー・セールス、これは直に輸入するものでございます。それから、ただいま御議論のございましたライセンス生産、それから共同研究開発という、大まかに言えば三つの類型があろうかと存じますが、そのほかに、今油の問題を申し上げましたけれども、直接購入する、そういうものもございます。そして、それらの装備の調達形態によりまして、いろいろ為替の影響その他も影響を受けないところもございますし、より国内物価の影響を受けるところもございますし、これは千差万別でございますから、一義的に今油代がそれだけ減るからほかも減るのではないかという御指摘は当たらないと私は思います。
○久保亘君 いや、油の問題じゃないんだよ。油が下がった理由を物価とレートで言われたから、それならほかのものは何で下がらぬのかというんです。物価とレートで言うなら同じことじゃないですか。
○政府委員(宝珠山昇君) まず、油について御説明申し上げますが、合理化と先ほど申し上げましたのは、航空機の飛行状態などを精査いたしまして、燃費効率などを合理化したという意味でございます。
○久保亘君 百十億ね。
○政府委員(宝珠山昇君) そのくらい……
○久保亘君 長官が言うこととあなたの言うことと違うじゃないか。
○政府委員(宝珠山昇君) 大臣のおっしゃっていることと同じだと思いますが、言葉が適当でなかったかと思います。 それから、為替レートにつきましては、百二十九円で昨年度と変わっておりませんので、このことによって影響を受けた分というのはございません。その他の部分につきましては、物価情勢等を考慮いたしまして計算をしてい今ものでございます。
○委員長(中村太郎君) ちゃんと答えてください。
○国務大臣(宮下創平君) 先ほど支出官レートのことにつきまして、私ちょっと自信がございませんがとお断りして述べましたが、ただいま確かめましたところ、昨年は百三十円で、ことしは百二十九円だと、こういうことでございます。
○久保亘君 今、百二十九円で変わらないと言った。だめだよ。事務方は百二十九円で変わらないと言った、去年もことしも。
○委員長(中村太郎君) 食い違いのないようにしっかり答弁してください。
○国務大臣(宮下創平君) おわび申し上げておきますが、先ほど私が支出官レート百三十数円と申し上げたのは、概算要求時と決定の段階の相違でございまして、ちょっと私取り違えておりましたことをおわび申し上げておきます。
○政府委員(宝珠山昇君) 油購入費につきまして、平成三年度は六百六十三億円、それから平成四年度、今計上させていただいておりますのは四百九十二億円でございます。この百七十一億円ほどの差の内訳ということでございますが、約百四億円ほどが平成三年度から四年度にかけての単価の差でございます。その他は、先ほども申し上げました燃費効率などについて見直しをいたしました。若干、昨年度から繰り越してまいりました油の在庫の調整をいたしているということによるものでございます。
○久保亘君 ことしの防衛費は三・八%の伸び率と言われておりますが、実際には油だけで百七十億の当然減があるんです。だから、この分はその三・八%の上へ乗っておるんです。そういうことをよく考えなければいけないということと、私は軍縮というのは何も予算にあらわれる総額の問題ではなくて、その中身の問題で考えられなければならぬと、こう思っております。したがって、本年度の予算においても防衛費の削減を将来を見越して可能なものはやらなければならない。 特に、予算書を見ますと、本年度歳出ゼロというのがずっと並んでいるんです。この本年度歳出ゼロというのが後年度負担で物すごい防衛費を既に決定づけてしまうわけです。そういうところについて詳細な審議を加えた上で、私は防衛費の見直しをやらなければならぬと思っております。とりわけ、やはり軍縮の方向へ向かう。アメリカとソ連は、ソ連の側から同盟国だと言っているんです。味方の味方は味方ということがあるんで、それだからもう旧ソ連を仮想敵国として防衛上の配置をやるという時代は終わったんです。 そういう中で、世界の軍縮の動向にもっと日本がそれこそリーダーシップをとれるような、その潮流の先頭に立つことができるにはどうすればいいか。宮澤さんの本音のところは、私が知る限りはそういう方向を目指しておられると思うんです。これからは核廃絶と全面軍縮だということをあなたは至るところでおっしゃっている。その方向へ向かって、中期防や防衛大綱について思い切ってできるだけ早い期間で見直しを行うということは、これは私は宮澤内閣でおやりになる最も重要な仕事であり、そしてあなたならぞれができるだろうと私は思っておりますが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和五十一年に定められました防衛計画の大綱は、久保委員もよく御承知のとおり、いわゆる基盤的防衛力を整備するという思想でございます。そういう意味では、独立国としての最低限のものは持っておかなければならないという基本的な思想でございますから、ほかの国と違いまして国際情勢の変化にすぐにそこから対応するという性格のものでない、そういう我が国独特の性格を持っていることは御承知いただける、御承認いただけると思うのです。 そうではございますけれども、米ソの対立がなくなったというこの変化は、いかにも大きな歴史的な変化でございますから、防衛計画の大綱の思想そのものは間違いがないといたしましても、具体的な中期防等々については、やはりこれだけ世界情勢が変化すれば、それは一遍見直してみるのが本当である。ほかの国とは違いますから、急にあれが減らせるこれが減らせるということは言えないにいたしましても、これだけ大きな世界的な変化があって、しかもそれが恐らくは不可逆的なものであると考えられる限りにおいて、やはりいろいろなことはもう一度検討して見直す必要がある、そういうことを防衛庁長官に申し上げているわけでございます。
○久保亘君 日本の防衛について、いろいろ見直し検討を行う上で、私はぜひ総理に心にとめていただきたいと思うことがございますが、それはかつて防衛庁の幹部でありました久保卓也さんが亡くなりました後、また法制局長官を務められた角田礼次郎さんが「追悼の言葉」の中にこういうことをお書きになっております。「政府も、一歩歩みよって、憲法の理想は非武装だ。しかし、今はそこまでいけないから、理想が実現できるまでの間、自衛力を認めるというような言いかたはできないだろうか」と久保卓也さんが角田さんを訪ねておっしゃったということが書かれてございます。これは防衛庁の大幹部と法制局長官との間のことでございますが、このことについて御感想がございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) にわかに感想を申し上げる用意がございませんけれども、私は、我が国憲法の想定しているものが我が国の非武装であるというふうには考えておりません、いろいろな制約はございますけれども。
○久保亘君 いや、私が言っているのは、憲法の理想は非武装だと、こう言っておるんですよ。
○国務大臣(宮澤喜一君) その理想というのをどう考えるかでございますけれども、私は、今の憲法が我々に非武装を求めているというふうには考えておりません。
○久保亘君 そうすると、あなたの核廃絶、全面軍縮というのはどういうことになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 非武装ということを一般的に申せば、自分についての自衛のためにも武装してはならないということになろうと思いますので、非武装ということがそういうことを意味する限りでは、私は憲法はそれを求めているとは思っていない、こういうふうに申し上げておるわけです。
○久保亘君 時間がなくなりまして大変残念でありますが、最後にもう一つお尋ねしたいことがございます。 総理は、一月十四日でしたか、韓国を御訪問になります前に、日本において韓国の記者団と会見されたことはございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ございます。
○久保亘君 そのときに従軍慰安婦の問題について、被害者個人の請求権は認められるということをおっしゃいましたか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国と国との関係は日韓の国交正常化によって解決をされているということは明らかであるが、韓国人個人が我が個の裁判所に訴訟を起こすという権利は、これは消滅しておるわけではない、こういうことは申しました。
○久保亘君 この問題については最近になっていろいろな事実が明らかになってきているわけであります。なお、この事実を知る生き証人とも言うべき人物について、私どもの同僚は本委員会に参考人として出席を求めることにいたしておりますが、このことについてぜひひとつ委員長に御協力をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○委員長(中村太郎君) お尋ねの件につきましては、十分検討いたします。
○久保亘君 この事実の調査については、政府としても全面的に御協力いただけますか。
○国務大臣(加藤紘一君) 韓半島出身の従軍慰安婦の方の当時の状況等につきましては、政府としても十分誠心誠意調査するつもりでおりますし、その調査の結果等をしかるべき時期に明らかにすることで御協力申し上げたいと思います。
○久保亘君 政府のそういう調査に対する熱意にもこたえる意味で、ぜひ委員長にその参考人の出席についてお願いを申し上げますので、御協力をいただきたいと思います。
○委員長(中村太郎君) わかりました。
○久保亘君 次に、遷都構想ということがよ二言われておりますけれども、新しい首都構想というものがどういう構想のもとに考えられようとしているのか。これは景気の問題とも関係をして考えなければならぬ問題だと思いますが、担当の大臣からお答えいただきたい。
○国務大臣(東家嘉幸君) お答え申し上げます。 首都機能移転問題に関する懇談会の中間取りまとめて、御指摘のような新しい時代の国際国家としての日本の首都として、我が国の顔となる風格を備えた新首都を建設することを提言していただいているわけでございます。 先生のお尋ねは、首都移転問題と景気対策の観点から新首都の建設が必要ではないかというようなことも含めてのお尋ねかと思いますが、御指摘のとおり、景気対策は四百三十兆円という公共投資基本計画の関係も十分考えるべきものとは思いますが、首都機能移転問題については国民生活に多大な影響を及ぼすものでありますので、現段階では国民の合意の形成が必要だと思います。そういった観点から今後とも鋭意取っ組んでいきたいというふうに思っております。
○久保亘君 予定しましたものを全部お尋ねすることができませんでした。 それでは、最後に厚生大臣にお尋ねいたします。簡単にお尋ねしますのでお答えください。 一つは、国民年金はこれから始める人が六十歳まで掛けますと、掛金の総額は元利合計四千万に達すると言われておりますが、この受給権の発生する直前にもしこの人が亡くなりました場合には、今の制度では十万円の一時金で終わるのであります。それ、から、遺族扶助料をもらおうとすれば十八歳以下の子供がいなければなりませんが、六十を過ぎた人で十八歳以下の子供がいるという人は余りないのであります。それから、それまでの間に障害者としての等級の指定を受けた方は障害者年金になりますが、今度は受給権発生後障害者になられた方は障害者年金の対象になり得ない。多くの矛盾がありますが、生活大国の中で生きる実感というものは、こういったような不合理な点が十分に是正されなければならぬと私は思っておりますが、このことについて手短にお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) おっしゃる点は、国民年金制度は昭和六十年に。制度を改革いたしまして、自営業とかすべての国民に共通した基礎年金を支給する制度でございまして、若干貯蓄とは趣旨を異にいたしております。 したがいまして、全国民が加入してそれを公平に負担するという意味において、ただいまの御指摘の点、今申し上げました貯蓄と違う点におきまして後世代の人がこれを負担するという世代間の一つの扶養と、そういう面がございまして、御指摘の点に沿うことはこの制度ではなかなか難しいということでございます。
○久保亘君 また、改めてお尋ねいたします。 どうもありがとうございました。 ―――――――――――――
○委員長(中村太郎君) 以上で久保君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、井上吉夫君の質疑を行います。井上吉夫君。
○井上吉夫君 今、政治に求められている一番大事な問題は何だろうか。それは私は、失われた政治への信頼をどうやって回復するかという、このことほど重大な問題はないと思うのであります。このことはもう与党野党を超えて、与党がどうだ野党がどうだという話ではなくて、およそ政治に籍を置いておる者が一緒になって解決をしなければ、国民の政治に対する信頼が回復しない限り、何を言い何をやろうとしてもその効果があらわれてこないばかりか、国際的な信用も維持できないという、まさに今の日本の政治にとって一番大事なことはこのことに帰するのではないかなと思うわけであります。 さきに我が党は、政治改革本部におきまして五つの部会をつくっていろいろな検討を進めました。政治倫理あるいは選挙制度、政治資金、そして国会改革、党改革の五つの部門であります。その答申が一応緊急改革に関する答申として出されました。恐らくは同じような危機感とこの問題に対する同じ認識に立って各党とも熱心な検討を進めておられると思いますが、私はぜひとも、各党とも多少の違いはありましてもどこまでどうやるんだということをできるだけ早くまとめて、そして国民にその答えを示すと同時に、そのことの実行をしっかりとみんなやっていくという、そのことによって政治の信頼を取り戻さなければならないというぐあいに考えるわけであります。 政治倫理の問題は政治家個人にかかわる問題ではありますけれども、しかし一人一人の正しい倫理観を確立するとともに、みんなでそれを守っていくルールというのをこの機会にしっかりと打ち立てて、そしてこのことの実行をお互いに間違いなくやっていくという、そのことを確立しなければならない。したがって、言葉をかえて言えば政治倫理の確立と、そしてそのことをみんなで守っていくためのルールをどうつくっていくか、そういう立場においてのいわば政治改革が今問われている一番大事な問題だと思います。 宮澤総理、この問題に対する取り組みを率先して指導力を発揮してやっていただかなきゃならぬと思うんですが、総理のお考えと決意をまずお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、政治改革は我が国におきましてただいま最大の急務であると考えております。また、おっしゃいましたように、国の外からも注目されておる問題でございます。 私は、昨年の末に我が党の政治改革本部長の人選をいたしまして、ことしになりまして、本部長に対しまして三月の中旬ごろまでにまず緊急改革についての答申をまとめていただきたい、本格抜本的な改正はことしの末になるとも、当面急ぐ問題について答申をお願いしたいということを要請いたしました。予定どおり三月の半ばに、過日答申がございました。その内容は、第一は定数の問題でございます。第二は政治資金に関する問題であります。第三は政治倫理に関する問題であり、第四は党、国会の改革に関するものでございます。これらにつきまして答申を得ることができました。党内では連日非常に熱心な議論が続きましたが、ともかく答申が出ました。 そこで、引き続きまして、御指摘のように各党ともこの問題についてはおのおのの党において御議論があり、いろいろな案を御用意でございますから、それらを具した上で政治改革協議会において御相談を早急にいただきたいとお願いをしてありまして、恐らくは近いうちにそのような機会が持たれるわけでございますが、その中であるいは実務者会議等も経まして合意のできましたものからこの国会に御提案を願って、そして成案を得たい。 〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕 そのぐらいなこれは緊急を要する問題でございますので、急ぎましてひとつこれらの問題についてこの国会で法案を成立させていただきまして、直ちに実施をするということでありませんと国民の信頼を回復することはできないと考えておりまして、私は私なりに私どもの党の先頭に立ってこの動きの促進をいたしてまいりましたが、また政府の立場といたしましても、この協議会でいろいろ御協議がある、そのことについての御参考あるいはその他できますことは最大限のことをいたさなければならないと思っております。
○井上吉夫君 事件の真相解明も大事ではありますが、今それ以上に大事なことは、今申し上げました政治改革をしっかりとつくり上げて、そのことを実行していくという体制をすべての党が一緒になって実現するというそのことに、その合意に達するために、まずじんぜん日を送ることなしにできるだけ早急にこのことをまとめ上げなければならぬと私は思っています。先ほど申し上げましたように、総理自身が自民党総裁という立場もあります。全力を挙げてこの問題にまず取り組んでいただきたい。 次に景気対策について質問をいたします。 去る十三日、予算案は衆議院を通過いたしまして、本日から参議院における審議が始まりました。衆議院における審議のおくれもございまして、その間に景気は一段と厳しさを加えております。我々はもちろん充実した審議を尽くすことに最大の努力をしなければなりませんが、一日も早く参議院においての審議を終了し、議決をして、そして予算の成立を期さなきゃならぬというぐあいに思っております。景気の現状と先行きに対する不安が日増しに強まっているからであります。どうも政府の楽観的な見通しとは裏腹に、バブル崩壊の影響も重なりまして景気は昨年後半から急速に落ち込み始めております。 経済企画庁は二月の月例報告で、景気後退局面にあることを明確に示されましたが、我々が体験する景気観から見ますとややその判断が遅きに失したのではないかとの疑問が消えません。経済指標が出そろってきちっとした根拠に基づいた判断をしようとするとどうしてもおくれることはわかりますが、景気の後退感は既に昨年夏ごろから当委員会でも強く指摘されてきましたし、民間研究機関の経済見通しも政府見通しより成長率を低目に見ております。景気はそうした指摘に沿って進んでおるようでありますが、経済企画庁がその後から景気の後退を追認するということではいささか不安に考えられます。いま少し景気判断を早める工夫はないのか。景気がこのままさらに悪化するのか、あるいは今後回復に向かうのか、政府の財政金融政策による対応が非常に重要になってきております。 自由民主党では、この二月に景気対策をまとめており、その中では、三年度においては国庫債務負担行為を積極的に活用し、四年度には公共事業の前倒しや地方単独事業の早期実施を図るほか、金融政策の機動的な運営、証券市場の活性化対策等を挙げ、政府に対し景気に対する一段の配慮を求めております。今後、これらの景気対策がとられることによって心理面、実体面の両面から景気の浮揚を図っていくことができると考えますが、政府はこれからの景気対策にどう取り組んでいくつもりか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) まず、経済の現状認識についての判断のタイミングについての御指摘がございました。御指摘のとおり、私どもできるだけ客観的に、的確に現状判断をしなければならぬということに努めておるわけです。もちろん、いろんな統計指標というものが出てくるには多少のタイムラグがあることはこれは避けられないことでありますが、しかし物によっては一カ月おくれ程度のものがかなりあるわけでもありますし、さらに加えで、そういう数値のみならず、そのときどきにおける産業界あるいは経営者の方々の、地方に至るまで、直接皮膚感覚を大事にしながら、総合的な角度から的確な判断が下せるように今努力をいたしております。 このところ、特に昨年の九月以降減速という言葉を月例経済報告の中に表現として盛り込んではおるわけでありますけれども、基本的に、今まで特に景気の山谷ということについていろんな御議論がございますが、私どもが経済運営の大事な判断材料にしておりますのは、少なくとも過去における山谷がいつであったかということよりも、むしろ足元、それから先行きがどうなるかということに力点を置いた判断をしていかなければならぬ。そして、それに基づいて的確な経済のかじ取りをしていかなければならぬ、このように肝に銘じておるわけでございます。 そこで、二月に景気後退宣言という報道がなされておりますが、私どもそういうものを具体的にいつどうなのかということを言うつもりはありません。ただ、九月以降毎月毎月の月例報告の中で、あるいは調整という言葉を用い、あるいは減速という言葉を用い、それぞれ慎重な言葉を選びながら表現をしておるわけですが、そういう点が実際の経営者の生の皮膚感覚と多少のずれがあったということは率直に私は認めていいと思っておるんです。ただ基本的に、実体経済とそれから企業者のマインドとの間にもかなりのぶれがあるんじゃないかな。現状については、けさ日銀総裁からも認識が示されましたが、私どもはほぼ同様の判断をいたしております。 現在、かなり調整局面にあるわけですけれども、これは一つは、基本的な基調としてのいわゆるバランスのとれた成長経路に移行していくという局面で、ある意味では避けて通れない一つの調整過程にあるという、そういう側面が一つありますけれども、同時にいま一つは、かなり過去の成長期間が長かったということによるある種のストック調整といいますか、消費の世界においても設備投資の世界においてもそういうようなものが出てきておる。それが実際需要の側面にあらわれてきておる。そのことによって、生産は弱含みではありますけれども在庫が積み上がっておるという、これは一つそういう局面があると思っております。今はそういう意味で在庫調整が本格化しておる状況にある。 そこで問題は、先行きの問題であります。御指摘のとおり、先行きどうなるかということが今後の経済運営をしていく上で一番大事なことであります。これはなかなか天気予報的に言うわけにいきませんが、一つは、今まさに三月決算を控えて、経営者のマインドは極めて冷えておるなということはそのとおりでございます。そのことが投資マインドにかなりの影響がある。そのことを私どもも十分見ておるつもりです。 ただ、先行きどういうことになるか。一つは、個人消費の世界をとってみますと、いわゆ省所得環境といいますか、消費の前提になります所得の環境でいきますと、雇用者所得の伸びというものは依然として堅調でございます。そういった意味で、引き続いて基調としては堅調な個人消費というものがある。そして一方で、今御審議をいただいております公共投資というものが、これはかなりの下支えという効果ができる。 それから、いま一つは、住宅投資という側面で見ますと、昨年の秋以降すっと減少はしておりますものの、いわば下げどまりの気配がある。この一月に入りまして、逆に年率ベースでいくと、戸数は百三十万戸ペースから百三十八万戸ペースに少し気配が出てきておるというような材料もございます。 在庫調整も、これはいつ終わるかという問題がありますが、やや見方が民間との間でそれぞれ違うと思いますけれども、私どもはおおむねこの在庫調整も一-三から四-六がピークではないかというふうに実は見ておるわけでありまして、設備投資の方も、三次にわたる公定歩合の引き下げでかなり実際の市場金利の低下も今はまだ進行中でございます。 そういったことから、そういう意味で先行きに向かっての明るい材料はやはり一方でもあるということでありますので、私どもは今ここで日本の経済がいわゆる底割れをするというような環境にはない、こう見ておるけでございます。 ただ、そうは言いましても、やはりこの調整が余り強くなり過ぎますと、やはりいろいろ実体面に悪影響をもたらすわけでありますから、そういった側面から、先般御指摘ございましたが一総理のお声がかりによりまして関係閣僚が集まって、いわゆる五項目のてこ入れ策を決めたところでございます。これを着実に具体化し、実施していくということが、まず何より大事なことであろうかと思っておるわけでございます。自民党の方で大変現状を御心配をいただいておりますことを我々も十分参考にしながら、さらに努力をしていきたいと思います。 今後とも私どもは的確な判断をし、そしてタイムリーに手を打っていくということを常に念頭に置いて考えていかなければならぬことであると思っております。
○井上吉夫君 大変詳しい説明をいただきました。ただ、民間の企業マインドというのは、今の成り行きをずっと先々も見通してみると、まあまあ何とかなるよ、こういう調整局面なんで、余り一遍に大変だ大変だということでやったら、かえってまたバブルのもう一遍復活であるとか、インフレだとか、いろんなこともあるので、そういうこともしっかり見通しながらやっていくという、そういう意味の答弁だったと思いますが、余りにも民間における不況感というのが満ちあふれているという状況にありますから、まず予算を早く通過させながら、そのことを実行するに当たってできるだけ前倒し執行なり、少なくとも予算が成立したらすぐでも発注ができるような体制等を含めてしっかりとひとつ対応していただきたいと思います。 次は、PKO協力法案並びにカンボジア問題について質問をいたしたいと思います。 PKO協力法案につきましては、参議院継続審議中でありますが、残念ながら前国会通過に至りませんでした。確かに憲法との問題、自衛隊の派遣につながり、そしてこれがさらに延長すればといういろんな危倶も一番根底に議論されている、そしてこれが国民的合意がなかなか得られないと言われておりますが、しかしながら日本の世界への貢献ということを考え、いわば国際的貢献をこれから先の日本の生活大国ということを目指すこととあわせて最も重大な柱に立てておられます宮澤総理であります。 そして考えてみますと、これだけ経済的に豊かになった日本が今世界のために何をしなければならないかということを考えてみますと、ポスト冷戦時代の世界は、犬型の戦争はないかもしれないけれども、民族間の対立てあるとか宗教的な問題であるとか、いろんなことで各地の局地的紛争がなお頻発をしている。そういうところにできるだけ早く平和を回復し、そしてそれが持続されて安定的な世界というのが、世界の平和秩序ができ上がるということのために我々はどれだけの貢献をしなければならないか。その第一はやっぱり平和を世界に確立するということのためにお金だけでいいのか、平和憲法のもとでやれることほかにないのかなという、そういうところから出たのがPKO法案の由来だと私は考えております。 いろいろ議論はありましたけれども、しかし掃海艇の派遣によって日本の評価が随分変わってきたということは、終わって帰ってきた皆さん方に対する世の評価を見てもおわかりのとおりであります。もっともっと出発に際しても私どもは祝福と声援を送って頑張っていただくという、そういうことをむしろ日本国民として考えていき、そして国際的な貢献というものをやれる範囲で目いっぱいやるということによって、世界での名誉ある地位というものを確保するという、そういうとらえ方が必要なのではないだろうか、私はそう思うわけであります。 したがって、こういう意味でPKO法案の早期成立をいろいろ問題として議論されている点をどういうぐあいに処理するか、そういうことも含めてまず国際的に貢献ができる、平和に貢献ができるという、そういう基本のとらえ方においてこの法案の成立を望むわけでありますが、本問題に対する総理並びに外務大臣の取り組む姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今、井上委員からPKO法案の早期成立の必要性についてるる意見を述べていただきました。全く同感でございます。 今我が国でも国際協力という点においてはアメリカと一、二を争う、金額的にはたくさんの経済協力をしておりますが、それだけではぴんとこない面がございます。この前の湾岸戦争のときも国民に増税を求めて一兆数千億円の協力をしたんです。四百五十億ドルの戦費と言われたわけですから、それの四分の一以上程度の実は貢献をしたにかかわらず、国際的な評価は必ずしもそんな大きな評価ではなかった。しかるに、おくればせながら掃海艇が行って三十数発の機雷を引き揚げたと言われています。これに使った費用が十三億円とか言っておりましたが、いずれにしても、我々が湾岸戦争に貢献した千分の一以下の国民の費用で大変に世界的な評価を得た。やはり日本も本当に多少危険なところでも汗をかいて参加して、我々ど一緒にやってくれるんだというようなことが大きな評価を受けたのであります。 このときも、やれ憲法違反であるとか、やれ自衛隊法違反であるとか、いろんな議論がありました。ありましたが、終わってからの国民の評価は圧倒的多数の人たちがこれを評価している。これが現実の姿でございますので、私は、PKO法案についても全く同じようなことが言われるんじゃないかと信じて疑わない次第であります。
○井上吉夫君 恐らく総理も外務大臣と同じ見解をお持ちだと思いますので、最大限の御努力をお願いいたしたいと思います。 カンボジア和平への協力についてお伺いをいたします。 長い戦争によりまして、完全に荒廃したカンボジアを復興させ、新たな国づくりに国連が責任を持って取り組むため、既に国連カンボジア暫定行政機構、UNTACによって壮大な試みが行われつつありますが、何としてでもこれは成功させなければなりません。 国連の計画によれば、UNTACは、人権、選挙、軍事、行政、警察、難民帰還、復旧の七部門で構成され、構成人員は最大時で二万六千人に達すると言われておるようであります。しかも、この機構の責任者は御承知のとおり日本人の明石康氏が当たっております。このように国連の重要なポストに私どもの同胞が従事をしながら、アジアの平和安定のために大きな貢献をしようとしているときであります。私どもは積極的に協力をしなければならないと思います。 そこでお伺いいたしたいのは、UNTACに参加を表明している国として、タイ、マレーシア、フィリピン、インドといった国々が挙げられているようでありますが、どういう状況になっているか、お答えを願いたいと思います。
○政府委員(丹波實君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、そのほかにバングラデシュ、インドネシアといったような国も参加の意向を表明いたしております。中国も軍人を派遣する意向を有しているようでございます。 なお、先般、先週でございますか、日本の国会におきまして明石代表が参考人としてこの問題で意見を述べておられますが、その中で明石代表は、軍事部門での参加国の数は全部で三十三カ国でございます。それから警察部門の数は四十七カ国でございます。この中に日本という国が見えないのはちょっと自分としては寂しいという発言をいたしておることを御紹介させていただきたいと思います。
○井上吉夫君 今御説明のとおり、アジア諸国におきましても、既にまた軍事面における協力も含めて数多くの国が参加協力を表明しているという中で、日本としてもUNTACに参加し、他のアジアの国とともにカンボジアの平和国家の再建のために汗を流すべきであり、これこそが日本の国際的地位や責任にふさわしい国際貢献というものではないでしょうか。そのためにもPKO法案はぜひとも成立させなければならない、このように考えているわけでございます。このことについての御見解をお伺いいたしたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全く私も同感でございまして、国民の一〇〇%の理解は得られないかもしれませんが、何とか大多数の方の御理解を得て、それでぜひとも今国会で成立をさせていただきたい。 やり方等につきましてはいろいろな御議論がございますので、それは参議院の皆様方の各党間で話し合いをいただきまして、名前だけではなくて本当に実際役に立つような形で、ひとつPKO法案を話し合いのうちにぜひ成立させてもらいたい、そう考えておる次第であります。
○井上吉夫君 次は、その他の外交関係について御質問をいたします。 総理は所信表明等の中で、我が国が大きな経済力とこれを背景とする影響力に見合って、どのような責任と役割を果たすかに国際社会の注目が集まってきており、平成四年こそは日本の真価が問われる年と述べておられます。したがって、英知を結集して、積極的、主体的、創造的に新しい平和秩序の構築に参画し、この光栄ある時代的使命を全うしていかなければならないと述べられました。新しい世界平和秩序の構築に積極的に参加する意気込みと、それを追求すべき目標として平和と自由と繁栄を掲げられました。 そこで、日本外交の哲学とでもいうか、理念というのは一体何なのか。大変な意欲とそして目標は示されておりますが、日本の全体的なあり方、日本の体質がおのずとにじみ出るもの、それこそが日本の国際的影響力を形成するものであり、真の外交の理念ではないかなと思うのでありますが、その。いわば政治姿勢の基本をなす理念とでもいうべきものをどういうぐあいに総理はお考えになっておるか、お伺いをいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、我が国の憲法と我々が戦前から敗戦に至るまでに経験いたしました過去の経験とに基づきまして、世界全体に自由と平和と繁栄をもたらすために我々としてできるだけの貢献をするということが我々の外交の基本であるというふうに考えております。 それは今日に始まったことではありませんで、敗戦後我々はずっとそう考えてまいりましたが、たまたま我が国はこれだけの国になりましたので、そのような理想を自分の力である程度貢献によって行うことができるようになったとともに、また図らずも米ソのいわゆる冷戦というものが終結をいたしまして、新しい平和秩序を確立することができる時代になり、世界的にまたそこから平和の配当というようなことも言われるようになりましたから、我々がかねて考えておりました世界に自由と平和と繁栄をもたらす、そのために我々がなし得る貢献に最大限の努力を果たす、尽くすというのが、今より具体的に我々が実現しなければならない外交の理想になってあらわれておるというふうに考えております。
○井上吉夫君 総理の今の御答弁、全く間違いのない着眼だと思いますが、日本人の行動パターンがこのところ優越感と傲慢さが見え隠れするとの指摘が聞かれることしばしばであります。正本人はそのすぐれた経済や技術力ゆえに世界じゅうでもてはやされており、その結果、我々は日本人そのものが尊敬され受け入れられていると思い込み、知らず知らずのうちに油断している点がありはしますまいか。 私は、一流国とは、誇りがみずからへの謙虚さ、そして他国への寛容になってあらわれるだけの心のゆとり、そういう徳を持った国、それこそが一流国と言われるのではないかなと思います。謙虚さと寛容という美徳を国際関係にも発揮できるよう成長し、評価を受けるということに私どもの心得を集中しなければならないのではないかなと考えるところであります。 同時にまた、国益を守るためには、そのために必要な主張は堂々と主張をして、国家国民のためにその国益と国権を守っていくという、そのことが私は外交の面で特に重大な点ではないかなと思っております。もうわかり切ったことではありましょうけれども、我が国が世界にいわば誇るべき国として胸を張って生きていく、そして尊敬を受けるために一緒になって私は日本の未来を歩んでいきたいなという気持ちを申し上げさせていただきました。 次に、日米関係につきましてお尋ねをいたしたいと思います。 我が国の外交におきまして今日も日米関係が外交の基軸であるということはいささかも変わりがないと思うのであります。ところが、このところ両国間に不協和音が聞かれるのは残念であります。かつての冷戦時代においては、日米を結びつける強い接着剤があっただけにより緊密な一体化した日米関係を維持することができたわけでありますが、その状況に比べて脱冷戦時代と言われる今日、日米関係は従来よりも距離が生じてしまったのではないか、こう思うのは私一人だけではありますまい。さきのブッシュ大統領の訪日の際のグローバルパートナーシップの確認とは裏腹に、日米両国の国民の間には嫌米感情や嫌日感情が醸成されつつあるのではないのかなという、そういうことが心配であります。 私の息子が西海岸シアトルに留学をいたしておりますが、この前電話で話をいたしましたところ、幾らかジャパン・バッシング的、そういう感じが最近しないかと電話で聞きましたところ、確かにそういう感じが最近するということを返事をいたしました。あるいは米国民の嫌日感情がある程度進んでいるのではないかなという、そんな感じがいたしたところであります。 こうした状況は早急に修復しなければならないと考えるところでありますが、総理は今日の日米関係をどのようにとらえておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。 さらに、日米関係にほころびが目立ち距離感が生ずることはアジア・太平洋地域の平和と安定にとっても好ましいことではありません。これまで日米安保条約を中心とする両国関係の強いきずな、つまり、米国のプレゼンスとこれに協力する日本の対応という目に見える形で地域内諸国にある一定の抑止効果を及ぼし、そのことがひいては地域の安定維持に役立ってきたと言えるのではありますまいか。冷戦時代においてアジア・太平洋地域に安定構造をもたらしてきた日米関係に距離が生じれば、それはこの地域におけるポスト冷戦時代の安全保障秩序に空白状態を生むことになりかねません。 今、北方領土周辺水域における韓国漁船に対する操業許可、あるいはこの時期に中国が尖閣諸島や南沙、西沙群島などに対する領有権主張を顕在化させたことなどは、日米による秩序安定装置に緩みが生じたためと見ることもできるのであります。 このように、この地域の平和と安定のためには日米関係が一枚岩で、多少の意見の相違はあっても、常に同じ価値観に立ち共同行動をするという強いアピール効果がなければならないと思います。こうした意味で日米関係の現状を極めて憂慮するのでありますが、日米関係の修復こそ今直ちに取り組むべき日本外交の最大の課題だと思うのでありますが、このことについての御見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘になりましたように、いわゆる冷戦が終結いたしましたために、米国民としては、あるいは米国としては、戦後長い間自分たちが考えてきた一つの政策のターゲットといいますか、目標といいますか、そういうものが消滅をしてしまった、これは結構なことであったのですが、消滅をしてしまったわけでございます。たまたまそういうときになりまして、我が国のいろいろな経済的な力の増大というものがアメリカの消費者の生活にまで感じられるようになっているときにアメリカ自身の失業が非常に高くなったということがございましたために、一部には今度はソ連にかわって日本が脅威であるというような、ちょっと異質な物の感じ方が出たりいたしてまいりました。そういうことが背景にありますことは御指摘のとおりであると思います。 そのことは十分に予測をし得たところでございますので、先般来日されたブッシュ大統領も、また私も、そのような感情が大きくなりませんようにお互いに気をつけるべきことを気をつけよう、むしろ将来に向かってお互いが価値観を同じくする国として共通のなし遂げるべき使命を東京宣言の中で強調したという、そういう経緯であったわけでございます。 その後、今井上委員が仰せになられますような事態が散見され、殊に選挙戦が激しくなるに従いまして幾らかそういう発言があちこちで聞かれてまいりました。しかし、ここへ来て感じられますことは、やはりそこは私はアメリカという国の基本的に偉大なところ、健康なところであると思いますが、そういう意見に対して違う意見というものがかなりまたはっきり出てきている。それは行政府の間ではもちろんでございますけれども、政界でもまた言論界でもそれに対応する議論がいろいろに出てきておる。これはアメリカの非常に偉いところであると思いますけれども、そういうところで今問題がその辺のバランスのところにおるのではないかと思います。 〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕 冒頭に言われました、我が国が非常に金持ちになった、そこでそれをひけらかす我々の同胞の態度というものがありはしないかとおっしゃいますことは、それはやはりにわか成金になったということから注意しなければならないところでございます。確かにそういうところがあると思いますし、殊に我が国が豊かになりましたときに、アメリカの一部の人から見れば、日本は十分に自分の国防、安全のために金を使っていないがゆえに、その負担を免れているがゆえに裕福になった、それはアメリカの負担においてではなかったのかという、そういう一部に考える人がいる、政府がそう考えているわけではございませんけれども。そういうことがまたまざっておりますので、我々としても十分に気をつける必要がある。 ただ私は、アメリカはそういう意味で非常に健全な、やはり一つの議論があればまたそれに対する反論もあるというような形にはなっておりますが、我が国自身もまた今御指摘のように、先憂後楽の士があってこういうことについていろいろ考えるべきこと、注意すべきことを言っておられる。また経済界自身も、先般ブッシュ大統領が来られましたときに、自分の意思で率先してこの日米。間のアンバランスの解消に貢献しようという動きなども具体的にあったわけでございまして、そういう意味ではもとのところに戻りますならば、両国が価値観を同じくしていて基本的にやはり利害関係を共通にしているということから、お互いが注意をする必要があることはもちろんでございますけれども、私は本質的に日米関係というものは健在である、友好というものが基本になっておるというふうに考えております。
○井上吉夫君 次は日ロ関係でございますが、まず北方領土についてであります。 いろいろな情報が錯綜しておりますが、近くコズイレフ・ロシア外相が来日され、ことしの秋にはエリツィン大統領が訪日することになっておるようでありますが、北方領土の返還について今度の外相の訪日もできるだけ成果を上げながら、国民の悲願であります北方領土の返還に向けて努力をしていただきたいと思います。そのことについての見通しをどういうぐあいにお考えか。 第二点は、エリツィン大統領が先ごろ宮澤総理に対する親書で、日ロはパートナーであり潜在的な同盟国であると伝えてきたと報道されていることについてであります。これは、どういう背景でどのような意味を持つものなのか必ずしもはっきりしませ人が、政府はこれをただ歓迎するだけでなく、どのように受けとめ、今後の日ロ関係にどのようなインパクトを与えるものとしてとらえるべきなのか、もしその内容についてわかっておりましたらお答えをいただ、きたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本とソ連との関係においては四十数年間にわたりまして平和条約が結ばれず、平行線のまま現在まで来たことも事実でございます。ところがソ連が崩壊をして、それでエリツィンを大統領とするロシア連邦が北方四島の問題を継承して交渉していこうということになりました。 我々がここで大きく転換をされなければならないと思ったことは、北方四島はもう既に解決済みであるという姿勢を今まで長いこととつてきました。ゴルバチョフ大統領が日本に参りましたときも、一九五六年の日ソ共同宣言についてそれを確認するというところまではいけなかったわけでございますが、平和条約を結ぶ前提として北方四島の問題は未解決の問題で解決をしていかなければならぬということは認めたわけであります。その後でエリツィン大統領にかわりましてからは法と正義に従ってこの問題を解決しよう、こういうことになりました。我々はこれは大変結構なことである、法と正義、その当時我々は解釈をしておるわけでございますから、ぜひともそれならば話し合いの。余地がある。過去において我々とあるいは帝政ロシア、あるいはソ連その他からいろいろな条約を結ばれたりしてきておるわけでございますけれども、やはり法と正義に従って解決するということであれば、これは古文書その他をひもといてみればわかるとおり、日本国有の領土であるということはこれは否定できない厳然たる客観的な事実でございますから、それをまず認めていただいて、そしてこの北方四島はもともと日本のもので日本の主権の届くところにあるんだけれども、一時点領されているということがわかっていただければ、後は返還の対応、現実にもう四十年近くたくさんのロシア人があそこに住みついていることも事実でございますから、強制撤去のどうのというような、そう簡単にいく話のものではありません。 したがって、どういうふうな対応をしていくかはこれは相談しようじゃありませんかというところから話をしてまいりたいということで、コズイレフ外相が二十一、二十二日と日本へ来て交渉をするわけでございますけれども、当然これは九月にエリツィン大統領が訪日をして何らかの方向なり結論を出すということを前提に我々はしておるわけでございますから、その道のりの一環としてどういうふうにやっていくかということをもっと具体性を持たせる、そういうような一歩踏み込んだ話にまとめていきたい、進めてまいりたい。非常に困難な問題がたくさんございますが、そういう方向でいろいろやっておる次第でございます。
○井上吉夫君 それではここで、先ほどちょっと触れました韓ロの漁業問題並びに尖閣諸島の領有権の問題についてお尋ねしたいと思います。 我が国の北方領土については、我が国は戦後一貴してその返還を要求してまいりましたが、まだ実現を残念ながら見ておりません。北方四島は、我々日本国民が父祖伝来の土地として受け継いできたものであります。最近、ソ連、ロシア情勢の変化に伴い、ロシア側においても北方領土問題解決に向けた動きが見られ、北方領土の返還に現実性が増してきている状況にあります。今、外務大臣からお答えをいただきました。国民はいよいよその返還を心待ちにしておりますしかるに今般、韓国とロシアの間の漁業協議により、ロシアは北方四島周辺水域において韓国に対して漁獲割り当てを行ったと聞いています。この件に関する事実関係をまず聞きたいと思うんです。 四島返還が実現しようとするこの時期にロシアが我が国の漁業水域において第三国に対し漁獲割り当てを行ったとすれば、まことにゆゆしい問題であります。我が国漁業が外国周辺水域や公海からの撤退を余儀なくされ、今後ますます自国周辺水域に依存しなければならない情勢のもとで、北方四島周辺水域は北海道を中心とする我が国漁業者にとって重要な漁場となっております。 このような水域に韓国漁船が入漁するのは我が国漁業者の漁場確保の観点から大きな問題であり、また今後の資源維持にも悪影響を及ぼすおそれがあります。そしてそれ以上に、我が国の漁業水域でありながらロシア当局の許可を受けなければ操業できない水域において、韓国漁船が堂々と操業するのを手をこまねいているしかない我が国漁業者の心情を思うにつけても、この問題の早期解決が不可決であります。 このような事態に対して、政府はロシア及び韓国に遺憾である旨申し入れたと聞いておりますが、政府は、これにとどまらず、本問題を解決するため最大限の努力を払わなきゃならぬと思うわけでありますが、問題解決に向けての外務大臣のお考えをまず聞きたいと思います。 次は尖閣列島でありますが、このたび中国は領海法を制定し、周辺諸国と係争関係にある島嶼に対する領有権を主張したわけであります。ポスト冷戦時代と言われるこの時期に、あえてこのように周辺諸国に刺激を与えることが明らかな一方的行為に出たのはなぜなのか、その背景について政府はどのように見ているのでありましょうか。 特に、我が国との関係で問題となる尖閣諸島については、歴史的に一貫して我が国の領土であります。南西諸島の一部を構成してきたことは明らかであり、米国から沖縄の施政権が返還された際にも、施政権が返還される地理的範囲のうちに尖閣列島が含まれておりましたし、現在もその一部は射撃場として米軍に提供されているのであります。 このように、我が国の領土であり実効的支配を及ぼしていることがだれの目にも明らかな領土に対して、ある日突然領有を主張するような行為は、国際法上決して許されるものではないはずであります。こうした行為に対して日本国政府としてはどのような対応をし、今後どういうぐあいに対応していかれるつもりか。 以上二点についてお伺いをいたします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まず一つは、北方四島周辺における韓国とロシア共和国との間の漁業の協定問題、これはまことに我々は遺憾にたえないところでありまして、かねてから韓国政府に対しましては、北方四島におけるソ韓の共同事業とか今言ったようなことはひとつ差し控えていただきたい、日本と韓国は友好関係にあるわけでございますから、ロシアと韓国が日本を差しおいてそういうようなことをやりますと、日韓関係でも今までの友好関係に傷がつくようなことがあっては困りますということは言ってきてあるのであります。 したがいまして、今回のあの協定についてはまことに遺憾なことでありまして、具体的にどういう抗議をし、どういうような返事を受け取ったかということについては担当局長から補足説明をさせます。これは、ともに日韓関係を傷つけないようにやろうということでは一致をしておるわけであります。 また、尖閣列島の問題でございますが、今井上議員が言ったように、何でこのとき突然というように考えるのは当然でございます。ところが中国内部においてはかねてから開放・改革というものを進めるに当たってひとつ法的整備というものをしなきゃならぬというようなことを言っておったようですが、南沙諸島、西沙諸島等、尖閣を含めて、かねていろいろなASEANの諸国が領有支配をしているところも含めて線引きをして発表した。これは我が国のみならず各国に衝撃を与えていることも事実でございます。 そこで、当然これにつきましても我が国といたしましては抗議もいたしますし、せっかくことしは正常化の二十周年の記念式典もやろうというときでございますから、こんなとこでトラブルは起こしたくない。我々はかねてあそこは日本のものだということを主張し、中国側はこれは彼らのものだということは言っておりましたが、国交正常化の以降、平和条約に当たってこれは棚上げしようじゃないかということを向こうが言い出した、これも事実でございます。 そういうようなことでございますから、我々といたしましては、ここで実効支配をしていくためにそれでは今までのやり方以上に何か方法を講ずるという、そんな刺激的なことも私はやらない方がいいんじゃないか。向こうの出方を見ておるわけでございますが、中国側としては今までどおり何ら変化は今のところはありません。当然日本の巡視艇等があそこを警戒に当たっているということでありますから、我が国としては、それに対していろんな激しいことを言う人がありますが、無用、無用と言っては失礼になる、しかられるかもしれませんが、あえてトラブルをここでエスカレートして起こしていくということは現実の政治を預かる者としてはとらない方がいいのではないかということで、静観をしておるというのが事実でございます。 これについても担当局長からちょっと補足説明をいたさせます。
○政府委員(兵藤長雄君) 我が政府がとりました対応について補足をさせていただきます。 韓日間の漁業当局者の話し合いがウラジオストクで行われ、その結果が報道によって伝えられたという時点で私どもこれを承知したわけでございますが、その確認をいたしまして直ちに、先月末でございましたが、枝村駄ロ大使、柳駐韓大使からそれぞれ、今回のこの措置は先ほど外務大臣から御報告申し上げましたような認識から極めて遺憾であるという強い抗議の申し入れをいたしました。 以後、両国の首都におきまして、私どもが申し入れました善後策というものを早くとってほしいという督促をいたしておりますが、韓国につきましては柳大使から、先週末、韓国外務部長官に対しまして重ねて早急なる措置の実施方を申し入れたところでございます。
○井上吉夫君 尖閣列島問題は、今直ちに実効支配がどうのこうのということにはならないということではありますが、黙っていたらあのとき日本は何も大したことを言わなかったじゃないのというようなことになるので、領有権あるいは尖閣列島の帰属に対して悔いを残すことのないようにしっかりとした声明等を出して対処していただきたいということであります。 もう一つは、韓ロ関係についてはもう目の前の、いわば関係の漁民の方々にとっては大変なことであります。このことについては漁業関係の面倒を見ております水産庁、農水大臣も漁業の専門家でありますが、その地域における大変ないら立ち、そういうものはしかと御承知のはずでありますから、これの実質的解決に向けて外務大臣、農水大臣がしっかり連携をとりながら対応して、そして漁民の心配のないようにできるだけ早く解決をしていただきたい、このことを要望いたしておきます。答えは要りません。
○政府委員(谷野作太郎君) その前に尖閣につきまして、ほぼ大臣からお答えしたところに尽きておるわけでございますけれども、正本政府としてどのような措置をとったかというお尋ねでございますので、その点を申し上げたいと思います。 先生からお話のように、また大臣から申し上げましたように、この尖閣列島というものはまごうことなき我が国固有の領土であるわけでございまして、今回の中国の国内立法の措置に対しましてはそのような日本の立場とは全く相入れないものでございます。そこで、東京におきまして、あるいは北京におきまして、高いレベルで中国側にそのような日本の立場を伝えることをいたしました。遺憾であるということと、そして今回とられた置置の是正方を強く求めました。きょう、あすと北京でまた外務次官レベルの協議をやっておりますけれども、その場でも改めて日本側のそのような考え方をしっかり伝えるつもりでございます。 この問題についての背景が那辺にあるかというお尋ねでございまして、これは大臣から先ほど中国の近代化に関係してるるお話がございました。私どもはそのように分析しておりますが、一部の新聞で何か今回の措置と中国側の国内のいわゆる権力闘争に関係があるのではないか、それが対日政策に反映されて、いわば対日強硬派の主張が通ったというような観測も報道で見られたところでありますけれども、先ほど大臣から御答弁いたしましたように、今回の法律の措置は単に尖閣諸島にとどまらず南沙群島等の領有もあわせて記載したということでございまして、私どもはそのような見方は当を得ていないのではないかというふうに今のところ観察いたしております。
○井上吉夫君 次は、地球環境問題と我が国の対応という関係についてお伺いいたします。 先日の京都市におけるワシントン条約の締約国会議では、規制の強化を求める北側先進国と開発のために規制緩和を主張する南側発展途上国との対立がクローズアップされましたが、六月に開催される地球サミットにおいても南北間の対立の図式が影を落とし、その成功が危ぶまれているということもございます。 現在、発展途上国で生じている環境破壊、例えば野生動植物を乱獲して絶滅に追いやるといった生態系の破壊や熱帯林の乱伐による貴重な表土の流失は、かれた大地しか残しません。行き着く先は荒涼とした砂漠化の進行であります。発展途上国にも事情はいろいろあるようですが、問題の根本は、地球人口が二〇五〇年には百億人にもなるといわれている人口の爆発的増犬の大部分が発展途上国で生じているという事実であります。この人口爆発と貧困の悪循環が断ち切られなければ、先進国の言う地球環境を守れなどというのは発展途上国にとっては夢物語であるばかりか、開発の恩恵から取り残され、貧困のままに据え置かれるだけの甚だ迷惑な話となってしまいます。 さて、発展途上国が外貨を稼ぐためには一次産品を切り売りするほかないというのが現状でありましょう。ですから、この種の環境破壊を食いとめるのは並み大抵のことではありません。経済大国の我が国が手をこまねいていてはいけないと思います。我が国にできることは何なのかを考えなければなりません。 これから私は次の二つのことを提案して、御見解をいただきたいと思います。 よく知られております経験則によりますと、一定の経済成長は社会を安定させ人口の爆発を抑制するとのことであります。先進国と呼ばれている高度経済成長を経験した諸国では、我が国のように出生率の低下に悩む国もあるくらい人口の抑制がきいております。それはそれでまた問題がありますが、発展途上国の人口爆発と人口の急激な増大がもたらす環境への負荷を低減させるためには、安定的な経済の成長が必要であります。したがって、我が国がなすべきことの第一は、発展途上国の人々が環境を犠牲にせずともその生活が成り立つような経済成長の方法を創造し提供することではないでしょうか。 我が国のODAは今や世界の一、二を争う規模となっておりますが、何のために対外援助を行っているのか、肝心の基本理念が国民にも世界の人々にもいま一つ見えてこないとの批判があります。そこで、我が国の対外援助は人類の生存と発展の基盤である地球環境との共存を図るための資金であるとの性格づけを内外に宣明し、環境立国として発展途上国の環境に優しい経済成長をお手伝いするとの原則をODAの原則としたらどうであろうかと考えるわけであります。 環境と開発の問題は、先進諸国と発展途上国との間に信頼関係がなければ、幾ら国際会議を重ねてみても南北問題の袋小路からは抜けられなくなってしまうでしょう。救助相手国の環境に負荷をかけない開発、持続可能な開発と言うようでありますが、相手国の慣習や文化、伝統といったものを尊重する援助の姿、そういう実績を丁寧に積み上げていくこと、こういうことこそが地球サミットを契機に我が国が国際社会において名誉ある地位を占めるための秘訣ではなかろうかと思うのが第一であります。 第二は、私は、地球環境の保全について十分な国際貢献ができるようにするためには、内閣の最重要課題として、地球サミット後に環境省の設置など抜本的な国家行政組織の再編や必要な基本法の制定を初めとする国内体制の整備をやり遂げるべきであると考えるのであります。我が自民党内においても、橋本前大蔵大臣や竹下元総理を初めとする有志が環境基本問題懇談会を結成し勉強を進めておられるようでありますが、政府においても宮澤総理が各省の障壁を乗り越えてリーダーシップを発揮されることがぜひ必要だと私は思うのであります。 これから先のいわば地球的規模においてあるいは国際貢献の最大のテーマとして、私は地球環境の保全に向けて最大限の努力をしていかなきゃならぬとこの問題をとらえているわけでありますが、総理の御認識をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 来るべきブラジルにおける会議は、まさに今、井上委員がるるお述べになられましたような長いこと世界各国で議論されておりました問題について、いわばここで各国が集まって一つの画期的な合意並びに今後のプログラムの作成に当たろうという機会でございます。このために我が国は、御指摘のように、各省庁が協力いたしまして準備を進めてまいりました。また、政界においても、世界各国のいわゆる賢人とともに、今後この環境問題についての財政負担をいかにすべきかというようなことについてお集まりがあり、御討議が行われつつあることも御指摘のとおりでございます。 このブラジルの会議から果たしてどれだけの具体的な成果を得ることができるか。ただいまのところ、CO2の排出の基準と申しますか限度をめぐりまして、主としてアメリカでございますが、将来をいろいろ心配する向きもありまして、果たして合意に達することができるかどうかについて今日の時点でなお未定でございますが、そのような問題でありますとか、あるいは熱帯雨林の問題でありますとか、絶滅しつつある種の問題でありますとか、いろいろな問題がございまして、この会議が殊にこの環境基準についてどれだけの成果を上げるかということはなおこれからの努力を必要といたしますけれども、いずれにいたしましても、これだけの国が集まって十年に一度とでもいうような会議をすることができることになったこと自身、やっぱりこの問題についての国際的な重要性というものが認識されておるということになると思います。 この会議がいかなる結果になるにいたしましても、今後に向かって問題をさらに詰めていかなければなりませんし、またそのために先進国と発展途上国との関係がどうなるか、先進国がどのような負担をすべきかについて今後ともいろいろな取り決めをしていかなければならない。このままで問題は解決の方向に向かうというのではございませんから、やはりそういう問題をさらに詰めていかなければならないと思います。 ODAとの関連のお話がございました。確かにそういう問題がございます。我が国のODAのたしか現在一一%か二一%ぐらいが環境問題に向けられているはずでございます。そのことはもっと強化をする必要があるであろうと思いますし、さらにまた自然と累積債務とのスワップ、ネーチャー・デット・スワップというようなこともこれからさらに進めていかなければならない一つの方法論になるであろうと思います。 いずれにいたしましても、このたび六月にそのような会議に我が国も臨む、世界各国が臨むということは、これまで我が国としては、殊に昭和四。十五年ぐらいから環境問題についての意識が非常に高くなりまして、急速に国内の問題の解決が図られ、かなりの改善を見ました。そのことは世界に誇るべきことであるし、我が国がそういうノウハウを、今後各国にもさらに使ってもらうというそういうものを持っておるわけでございますけれども、そういう急速な問題の展開に従いまして国内体制も恐らくこの会議の後、一層整備をしなければならないであろう。そして、環境問題についての基本法というようなものを恐らく考えなければならない。それは今からでも考えられる要素はたくさんございますけれども、この会議が終わりました後の時点をよく見ながら、どういう基本法をつくっていったらいいかということを考えていく必要があるであろうと思います。 恐らく、それとともにどのような行政がこれを担うか、どのような体制が必要になるかということも、これは恐らくもう間違いなくやはり我々としては解決をしなければならない問題になってくるであろう、こういうふうに考えております。
○井上吉夫君 ただいま総理から、地球環境問題というのがこれからの極めて大きな課題になっていくということのお答えをいただきました。 私は、環境問題は、まず国民意識の高揚というのが極めて大事なことだと考えます。近年、我が国におきましても、消費生活の高度化に伴いまして増大いたします廃棄物問題など身近な問題から、さらに地球の温暖化とか熱帯林の減少などのいわば地球規模の環境問題に至るまで、環境に対する国民の関心は急速に高まりつつあります。このため、自民党においても、地球サミットを契機に環境問題に関する国民意識の一層の高揚を図り、環境保全型社会の形成を目指し、行政、企業、市民のあらゆるレベルの行動を促進する必要があるとの認識のもとに、六月の第二日曜日を自民党の環境の日として、毎年この日を中心に環境保全活動の推進キャンペーンを展開することといたしております。 今申し上げましたように、国民意識の高揚に向けて、私は政府の積極的な取り組みが第一だと思うんですが、このことへの取り組みについて環境庁長官からお答えをいただきたいと思います。 お答えをいただいた後は、初村議員と交代をいたしたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 環境問題に関する井上議員の御認識、そして今総理大臣がお答えになったとおりでありまして、極めて地球環境問題が差し迫った課題になってきた。そこで、サミットが開かれるわけでございますけれども、このサミットが開かれるということを契機にして、その一つの効果として地球環境問題に対する注意が非常に高まってくるということがあると思うわけでございます。しかしながら、環境問題、これは今いろいろ世界で調べられておりますが、それがどういうものであって、それをどういうふうに評価するかということが非常に重要な問題であると思います。 私も、環境庁長官になってみまして知らなかったことがいっぱいありまして、そういうふうなことがわかってまいりました。でありますから、自民党で地球サミットを契機として六月の第二日曜日でございますか、環境の日として定められたということ、そして普及啓発、環境問題の活動をやられること、まことに時宜を得たことであると存じたわけであります。 政府といたしましても、環境保全に関する国民への普及啓発活動を積極的にやってまいりましたけれども、特にことしは地球サミットが開催される年でありますから、ことしをアースイヤー92として、国民参加のもとに各種の普及啓発活動を全国的に展開してみたいと思っておりまして、今もう始めておりますが、これからもいろいろ研究をして、そして党の環境の日という御趣旨にも合わせて努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ちょっとつけ加えておきますが、ODAで、アルシュ・サミット、八九年ですが、日本は三年間で三千億円の資金協力を環境問題についていたしますどいうことを言ったんです。ところが、実際は二年間で三千億円達成すると。非常にたくさんの、多額のお金を国民の税金で世界の環境のために費やしているということだけは知っていただきたいと存じます。
○委員長(中村太郎君) 関連質疑を許します。初村滝一郎君。
○初村滝一郎君 去る十四日、宮澤総理には、公務御多忙にもかかわりませず雲仙・普賢岳噴火災害視察のために島原市、深江町にお見えいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお札を申し上げさせていただきます。 さて、今次の雲仙・普賢岳噴火災害は、他に例を見ない極めて長期かっ激甚な災害でございます。このため、政府においては、これまで二十一分野九十項目に及ぶ救済支援対策を決定して、関係各省が一致団結して事に当たっておるわけであります。しかしながら、災害は当初の予想よりもはるかに長期化しており、一年五カ月たった今、なお予断を許さない状態であります。今後は、こうした災害の長期化に対応した新たな対策の検討が必要となってきております。また、被災者の自立や地域の復興等の対策を実施するには地元の努力だけでは解決できない多くの課題があります。 総理も、現地において地域住民からいろいろの要望をお聞き及びのことと存じますが、どうか被災地の厳しい状況等、水災害の特殊性を十分に踏まえ、前例にとらわれることなく、引き続き万全の支援救済対策を検討し実施していただくようお願い申し上げる次第であります。 何と申しましても、我が国は世界でも有数の火山国であり、火山噴火により地域社会に甚大な被害を与えるおそれのある火山が数多くあります。同じ九州の桜島火山の歴史を見ましても、西暦七〇八年の和銅元年から大正三年の間に三十回噴火しております。こういうような記録が残されておりますし、また現在の桜島も、昭和三十年の噴火が現在まで三十七年間続いておるわけであります。こうしたことから考えてみますると、雲仙岳の火山対策について早急に総合的、抜本的な対策を実施する必要があろうか、と思います。 そこで、被災地を視察して率直な御感想と、そして今後の抜本対策への取り組み、決意について、総理の御所見を賜れば幸いと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 雲仙岳の災害につきまして、亡くなられました方々の御冥福を祈りますとともに、今日現在この災害と闘っておられる方々に対しまして、心からお見舞いを改めて申し上げたいと存じます。 さしずめ、ただいま初村委員が御指摘のように、二十一分野九十項目にわたりまして、もう近く三百日になる災害でございますから、累次に施策を講じてまいりました。その多くのものは現在の状況ですぐに必要とされるもの、例えば食事の供与事業の延長と申しますか、四月からも引き続いてこれを行うこと、あるいは長崎県を中心に積み立てておられます災害対策基金の増額を図ること、これらにつきましては、一昨日、現地で私の考えることを申し上げ、皆様にも御了承願ったところでございますが、それは当面のなし得ることでありまして、これから将来に向かってどのような根本的な復旧なりあるいは新しい施策を講じていくかということになりますと、例えば遊砂地をつくるといった程度のことは、これは住民側自身も別段の大きな異存を持っておられないかと思います。 しかし、長崎県知事が提示されましたことの中で、恒久策としての火山噴火活動が終わりました後の砂防ダム群を中心とした治山の対策ということになりますと、これはこの基本計画そのものが将来の地域の変貌を意味することになり、またそのためにはかなりの数の方々の恒久的な移転をお願いしなければならないという問題を含みますので、いわば父祖伝来の地を移るということは容易なことではございませんし、危険は危険といたしましても簡単に決心できることではございませんし、また肥沃な土地でありましたから余計そうであろうというふうに思われます。したがいまして、そのような恒久策をまず住民に御理解を願うというところが一つ一番まずしなければならない問題であろうと思います。 かと申して、すぐに今の状況でこの恒久策が講じられるわけではございませんで、山の上の方からまず堰堤、砂防をつくってまいりまして、そうして両方の河川が一緒になりますところでスーパーダムでそれを受けるということでございますから、この今の火山活動が続いておる状況では到底そのような工事には着手できません。住民の全部の了解があったとしてもその工事には着手できませんし、また仮に噴火活動が終わりまして着手をいたしますれば、それだけでもってかなりのまた土砂の下へ向かっての流出が起こるであろうというようなことも考えておかなければなりませんから、この工事自体が、実は非常に住民の理解があって始めたといたしましても、地元にとりましても国にとりましても大きな事業にならざるを得ない。 例の少ない大きな仕事になるのではないかと思いますが、しかしこれは、地元にいたしましても国にいたしましてもしょせん放置することのできない仕事でございますから、やらなければならないことはやらなければならないというふうに考えております。 なお、当面の対策といたしまして、雇用の安定の問題であるとか、あるいは応急仮設住宅は規定上二年でございますからその後をどうするかという問題は、これはそれに比べましたら比較的やりやすい問題でございまして、国といたしましてもそのような努力を決して惜しむものではございません。
○初村滝一郎君 次に、原子爆弾被爆地域の拡大是正の問題についてお尋ねをいたします。 この問題についてはこれまでも再三にわたり質疑がなされてまいりました。また、私自身幾たびも歴代の厚生大臣にお尋ねしてまいりました。しかし、厚生省は、昭和五十五年の原子爆弾被爆者対策基本問題懇談会の報告書を盾に、科学的、合理的な理由のない地域拡大は認められないとの見解を繰り返してきたのであります。 しかし、昨年の六月には、長崎県及び長崎市が合同で開催した長崎原爆被爆地域問題検討会から、三年間の検討の結果として「長崎原爆残留放射能プルトニウム調査報告書」が提出されております。これこそ拡大是正要望地域における残留放射能の影響を科学的に解明したものであり、地元長崎の長年の努力の結集であると私は思います。 平成元年十二月、私がこの問題についてお尋ねいたしましたところ、当時の戸井田厚生大臣は、「県と長崎市において今検討をしている検討会の結果が出て、そしてその結果に基づいてさらに我々は検討をすることは当然であり」「放射能の被害が厳存して認められたかどうかということは当然この調査の結果を十分検討していくべきことである」との答弁をしておるんですね。 さて、この結果が出た今日、厚生省はこの結果をどのように真摯に検討し、地域拡大是正についてどのように受けとめておられるのか、まずお伺いしたい。
○政府委員(寺松尚君) お答えいたします。 被爆地域の見直しにつきましては、先生も御指摘されましたように、昭和五十五年に厚生大臣の委嘱を受けまして設置されました原爆被爆者対策基本問題懇談会というものの考え方に従いましてやっておるわけでございますが、その内容は、単なる既指定地域とのバランス論ではなく、科学的、合理的な根拠がある場合に限定して行うべきだということが示されております。私ども政府は、これを一貫した立場としてとっておるわけでございます。 今回の調査報告書につきましては、大変御苦労されましておまとめいただきました。そこで、私どももこれにつきましては真摯に受けとめて検討しておるわけでございますが、この報告書の中には、そもそもこの地域指定に当たりましての科学的、合理的根拠があるというふうな御指摘はないわけでございます。そこで、私どもは放射線学、疫学等の専門家の意見を徴しましていろいろと慎重に検討いたしましたが、私どもが見直したところ、被爆線量の推定方法や被爆線量の評価に関する問題につきましてちょっと問題があるのではないかということで、これをもって科学的、合理的根拠とすることは難しいのではないか、このように考えておるわけであります。
○初村滝一郎君 同じことばかり答弁している。 私は、以下、調査報告書の内容に沿ってこの問題を検討してみたいと思います。 長崎原爆直後の状況としては、これまで、死の灰が西の風に乗り爆心地から東方に向かって降り、放射性降下物が東方の広い地域において散ったと言われておりましたが、今回の調査結果はその事実を証明しております用地域拡大要望地域に死の灰が降ったことは今回の調査で科学的に裏づけがなされたと考えますが、厚生省はこれらの地域に死の灰が降ったことをお認めになりますか。
○政府委員(寺松尚君) 今回の長崎の調査結果によりまして地域拡大要望地域の一部で他の地域よりも高いプルトニウムが検出されたことは、被爆当時において一定量の放射性降下物がこの地域に及んだものと推定されます。しかしながら、この放射性降下物が持っていた放射線のレベルは人体に影響を及ぼすようなレベルのものではない、このように理解いたしております。
○初村滝一郎君 厚生省はこれまで、今回の調査の濃度では認定の根拠にできないという見解を示しておりますが、では逆に、どの程度の濃度であれば認定することができるとお考えでしょうか。また、あえてくどくど申し上げませんけれども、今回の調査では拡大要望地域の方が現在の指定地域よりも高いプルトニウムの存在が認められたという解釈もあるわけですから、これは十分検討する必要があると思う。 さらに、この調査報告書によると、被爆地域拡大要望地域の最大被曝線量は二・五センチグレイで、発がんの過剰相対リスクは白血病〇・二三、白血病以外の全がんで〇・〇一程度となっております。しかも、これは外部被曝の影響のみで内部被曝については含まれておらない。私は、人体にそれなりの影響を及ぼしていることは間違いないと確信しますが、厚生省はこうした点についてどのようにお考えになっておりますか。
○政府委員(寺松尚君) 被爆地域の指定に当たりましての科学的、合理的根拠としましては、一定量の残留放射能の存在に加えまして残留放射能による住民への健康影響が実際に存在するということが必要であると考えております。 今、先生御指摘の二・五センチグレイという被曝線量でございますが、例えがどうかと思いますけれども、胃のエックス線検査というのがございますが、それの大体一回半ぐらいに相当する程度でございます。一般の方々が四十六年間で、戦後四十六年、被爆を受けられましてから四十六年間でございますので、それでいきますと、いわゆる自然放射線の被曝線量を推計するとしますと約十一センチグレイでございます。このようなことから、健康影響を及ぼす程度の濃度とは認めることが難しいのではないか、このように考えております。 また、この調査では、生涯の被曝線量二・五センチグレイの場合の白血病の過剰相対リスクというものが数値として示されておりますが、これにつきましては推計上導かれております理論値の最大値でございまして、またこの数値をもってしても当該地域において原爆残留放射能によります白血病の増加を確認することは難しいのではないか、このように思っております。
○初村滝一郎君 残留放射能による被曝の影響を見る場合に、外部被曝及び内部被曝がありますが、外部被曝については人々の行動によりその線量は異なるものの、推定はなされております。しかし、放射性核種を吸入したり、それが付着したものを食べたりして身体の内部から被曝する内部被曝については測定されていないようでありますが、晩発性のがんなど内部被曝による影響も少なくないのではないかと私は思います。 この調査の被曝線量には内部被曝による線量が含まれていないのですが、内部被曝についてはどう考えておられるのか。
○政府委員(寺松尚君) 今、先生がおっしゃいましたように、この調査報告書におきましては内部被曝のことには触れていないわけでございます。 私どもの考えでございますけれども、放射性核種を吸入したり、あるいはそれが付着しましたものを摂取したりするようなことによります内部被曝の被曝線量につきまして考えてみますと、極めて微量ではないか、このように考えておりまして、これを検出することは困難ではないか、このように思います。 実際、財団法人放射線影響研究所というのがございますが、そこでの疫学的な調査におきましても、内部被曝による健康影響があるという結果は私ども今までのところいただいておりません。
○初村滝一郎君 厚生省は、これまで地域拡大に当たって科学的、合理的根拠を求めてきました。しかし、今回の調査結果でもなお不十分とするならば、厚生省を満足させる根拠を示すのはもともと不可能に近いのではないか。そもそも科学的、合理的根拠を年老いつつある被爆者自身に求めること自体、大変過酷なものとなるのではないでしょうか。科学的、合理的根拠と言うならば、むしろその挙証責任は国が負うべきであるのではないでしょうか。 さらに、現行の被爆地域及び健康診断特別地域について、指定当時の経緯はいろいろあったと思うが、地元被爆県としては納得がいかない地域指定であるという根強い意見が余りにも多いのであります。これは無視できない状況であります。こうした現状に対して行政としては看過できないのではないかと思うが、どうお考えになりますか。
○政府委員(寺松尚君) 先生の御質問でございますが、被爆地域の見直しにつきましては、科学的、合理的根拠がある場合に限定して行うべきであると考えておりますことは、これは何度も申し上げておるわけでございます。 残留放射能につきまして、国といたしましても、昭和五十一年及び五十三年には広島、長崎双方の調査を行っております。また、長崎市が行いました昭和五十八年、五十九年の健康調査の結果につきましても、ともども慎重に検討いたしました。今のところ、被爆地域の見直しにつながるような根拠は認められないわけございます。今回の調査結果については、先ほどもちょっと申し上げましたが、一応私どもはいろいろの分野の専門家の御意見を徴して、慎重に検討いたしました。しかしながら、被曝線量の推定方法あるいはその評価方法というものに問題があるのではないかと考えておりまして、今回の調査の結果では直ちに科学的、合理的根拠となるような知見はない、このように考えております。したがいまして、私ども、現時点におきましては国が新たに調査をする考えはないわけでございます。 それから、先生がちょっと御指摘になりましたけれども、これまでの被爆地域の指定につきましては、従来の行政区域を基礎としておるために、爆心地からの距離が比較的遠い場合でも被爆地域の指定を受けている地域があることは、確かに事実でございます。バランス論のみにより被爆地域を拡大することは、今後また新たな不公平感を生み出すのではないか、このように考えておるわけでございます。
○初村滝一郎君 私は、山下大臣にお伺いをいたします。 確かに、この低放射線の人体への影響については、今日まだ解明されていないことが多いようであります。しかし、放射線が人体に悪影響があることは疑いがない。しかも、長崎原爆による被爆は被害以外の何物でもなく、たとえわずかな被曝線量でも到底容認できるもれではありません。今日、被爆四十七年を迎え、被爆者の皆さんは皆高齢化しております。低線量を浴びた場合の影響について科学的に証明されるのを待っていては遅いのであります。後世に禍根を残さないためにもぜひ山下厚生大臣の手によって被爆地域の拡大是正を行っていただきたいと思いますが、御意見を賜りたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 先生はこの問題もう本当に熱心でございまして、過去においても四回御質問されていると伺っております。先生の御熱意に対しても、またこの地域におられる方々の健康等にも十分配慮しながら、昭和五十年以降におきましても四回調査をやっていることは、御承知のとおりであります。 そこで、長崎県と長崎市の調査の結果が昨年の六月に出ておりまして、これでもその数値がいわゆる科学的、合理的という面から見ると出てこない。これは法律に基づく制度の運用でございますから、その結果が出てこない以上はもういかんともしがたいのでございますが、私も、厚生省の担当者にも先生から御質問があるということを聞きましてさらに問いただしてみまして、この上はひとつ昨年のこの調査の結果に基づいて、さらに専門家の意見ももう一回聞いてみたいと思っております。
○初村滝一郎君 最後に、国家総動員法に基づく動員学徒、女子挺身隊等と同様に爆心地付近で救護活動に参加した警防団の団員に対する援護対策についてお尋ねをいたします。 まず、救護活動に従事し死亡した警防団員についての遺家族等援護法の適用はどうなっておりますでしょうか。当然適用があると考えますが、いかがでしょうか。また、救護活動に参加した警防団員が原爆症認定患者として申請をした場合、積極的に認定していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。温かいお取り扱いを期待して、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○政府委員(多田宏君) 爆心地付近で救護活動を行った警防団員に対する戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用についてのお尋ねでございますが、御指摘の警防団員につきまして、旧防空法の規定によって救護活動に従事した、そしてこれがもとで死亡または一定以上の障害を受けたというようなケースの場合には、援護法による遺族給与金または障害年金等を支給するという扱いをいたしております。 なお、先生からお話がございました原爆症認定患者との関係でございますが、戦傷病者戦没者遺族等援護法は直接には原爆症認定患者云々ということはございませんけれども、ただこの障害の認定に当たりまして、原爆の傷害作用によるものかどうかという判断の際に、原爆症の認定患者ということでございますれば、それを重要な資料とさせていただいておる、こういう状況でございます。
○井上吉夫君 私は、総理の所信の中に言われております希望の持てる農山漁村づくりということに関連をして、御質問をいたしたいと思います。 御承知のとおり、農林水産業の任務は、第一義的には食糧等の基礎的な生活物資を生産してその安定供給を受け持つという、そういうところにあると思いますけれども、御承知のとおり、とりわけ農林業等が受け持ちます役目は決してそれだけではなくて、国土の保全、良好な自然環境の維持、さらに言うならば伝統的な文化の継承など、経済的な物差しだけでは評価し切れない重要な役割を持っているというぐあいに考えております。環境保全上受け持っております役割を決して忘れてはならないと思うんです。 我が国におきましては、御承知のとおり、森林面積は国土の六七%、農地が一四%でございますから、合わせて八〇%を超えます。森林、農地が国土の大宗を止めており、そのうち森林について言いますと、森林の一ヘクタールは七十人分の酸素を供給すると言われておりまして、森林の持ちます公益的機能は、こうした空気の浄化作用のほかに水源の涵養であるとか土砂流出防止等広範多岐にわたっているのでありますが、我々はそれと気づかないままに森林から大きな恵みを受けている一そういうことをつい忘れがちであります。私は、都会の人ほどついつい実感としてそれを感ずることが少ないのではないだろうかと。農業について言いましても同じでありまして、水田の有する公益的機能のうち、洪水防止効果だけを経済的に換算した場合に、その評価額は年間五兆円のそういう役割を担っていると言われております。こうした農林水産業や農山漁村の。環境保全上の機能は、その源であります森林や農地の適切な維持管理があって初めて十分に果たしていけるということは言うまでもありません。 ところが、今農山漁村からどんどん人がいなくなってしまうという深刻な事態が生じております。農林水産業や農山漁村の公益的機能も、その資源であります農地や森林の適切な管理や手入れを受け持つ人がいなくなればそれらの機能はほとんど失われてしまう心配があります。このことは地域社会の崩壊に直結し、地域社会が崩壊をすれば、国土保全の機能のみでなくて農山漁村が培ってきた貴重な伝統文化や我々日本人のアイデンティティーの基盤も危殆に瀕するおそれが大きいと思うのであります。 農産物の輸入自由化によって、たとえそれらの物を安く買うことはできましても、そしてそれによって当面物質的に豊かになったような錯覚を抱きましても、それは幻のようなしょせん長続きするものではないと私は思うんです。結局は、物は買えても国土や環境を買うことはできないし、まして日本の伝統文化はあかなうことはできないという単純にして厳粛な事実に突き当たるのであります。 私は改めて質問したいと思うんです。 ともすれば、自由貿易の恩恵を最も受けている我が国は率先して農産物の市場開放をすべきであるという、日本全体の損得感情からすれば自由化してもおつりが来るという論調が乱れ飛ぶ中で、私のこのような認識についてどうお考えになっているか、御見解を伺いたいと思います。 次は、今後の世界の農産物需給について触れてみたいと思います。 世界の人口は現在五十三億人と言われておりますが、人口の将来予測を見ますと、将来の穀物需給については決して楽観ができないと思うんです。まず第一に、世界の人口はこの二十年で十六億人ふえました。そして、現在の五十三億人が今後二十年間でさらに年々一億ずつ二十億ふえるというぐあいに見込まれております。今食糧状況は、一人当たりの穀物収穫面積で見ますと、一九六五年には一人当たりの収穫農地面積は二十アールと言われておりましたが、一九八九年には十三・五アールと三割ほど実は一人当たりの食糧生産なり収穫面積は減っている。ここしばらくは単収増加によって支えられてきた世界じゅうの穀物生産というのは、最近単収は頭打ちであります。ひとり人口の爆発的な増加という、こういう状況の中で、本当に世界的な食糧というのが十分なのかという、そういう懸念をしなければならない状況にまで逼迫をしていると思われます。 また、開発途上国の経済が発展をいたしますと、所得が向上してより豊かな食生活の内容になることを求めるでしょう。御承知のとおり、牛肉一キロを生産するためには八倍の八キロの穀物が要るということはもう定説であります。 これらのことを考えてみますというと、世界じゅうの食糧の先行きというのは決して楽観を許すものではありません。ただでさえ将来の国際穀物需給が多くの不安定要因を抱えている中で、我が国が金があるからといって金に任せて諸外国から大量の穀物を輸入することができるのか。そのような行動は、開発途上国の住民から見れば、ひもじい暮らしか続く中でやっと見つけた食物に手を伸ばして食べようとすると、まさにそのときいきなり割り込んで金持ち国に奪い取られてしまうという、そういう印象を抱く結果になるのではありますまいか。 この意味で、経済大国たる我が国は、国内で生産できるものは極力国内で生産し、開発途上国にも迷惑をかけないということを基本にして行動しなければならないと私は思うんです。このことについての御見解を伺いたい。 総理は、「農業を営む方々が生産活動を活性化し、魅力と誇りを持って農業に従事し農村地域に定住できるよう、その基本的条件を整備することが特に重要である」と言われました。しかしながら、今新規学卒の就農者は年間千八百人にしかすぎません。Uターン青年を加えても三千七百人であります。こういう現実に目を向けますときに、どのような手段をもって総理が述べておられるような状況を具現できるかということは、決して言葉で言うほど楽なことではありません。まず、農家の方々が農業という職業に誇りを持ち、その上で他産業に従事する人たちに肩を並べるような所得を得ることができるということをどうやって実現するかという、この難しい問題に成功しなければ、総理の言われる方針というものの実現が容易ではございません。 こういう実情にあることについて、どうかひとつ総理並びに農林水産大臣、もう篤と御承知でありましょうけれども、改めて私は国民的認識を求めたいし、その上での具体的な対策をぜひお伺いいたしたいと思います。 この機会に、以上のような申し上げました事情の中で、今ガット・ウルグアイ・ラウンドは最終段階を迎えていると言われておりますが、農業交渉に関して申し上げれば、私も世界の農業の健全な発展を図るためにも、また国際的な貿易ルールという立場からも、ウルグアイ・ラウンド自体の全体的な成功そのことは当然必要だと思いますけれども、しかし農産物貿易問題の議論に当たって、食糧安全保障のほか、さきに申し上げました国土環境保全的農業が果たしている多様な役割、いわゆる非貿易的な役割を抜きにして、ただ単に市場原理等の経済的側面のみから論ずることは、私は大変危険な考え方であると思っております。 そもそも、世界の農産物貿易市場が混乱するに至ったのは、一部の先進輸出国による補助金つきの輸出競争が原因であったはずであります。農業の持つ特性を無視して、輸出国側の主張に加担した一方的な提案に沿って農業貿易が律せられるようなことがあれば、今後世界農業の健全な発展を妨げ、ひいては食糧不足、開発途上国を中心とした食糧事情の悪化、さらには世界の環境問題の深刻化といった事態が懸念されると思います。 私は、我が国としては今後とも農業の特性に十分配慮した貿易ルールが確立されるよう議論を展開していかなきゃならぬ。そういう意味で、ダンケル提案に対して我が国は、さきに国別約束表を米に関する限り白紙で回答をいたしました。これは、米については従来どおり関税化を拒否するということを意味するものと解釈するのでありますが、今後とも、以上申し上げました所論に立ちまして、米問題については従来どおり自給方針を貫くというその方針を明確にしていただきたい。 以上のことにつきまして、総理並びに農林水産大臣からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) お答えを申し上げます。 井上先生お話しのとおり、私たちの先祖は自然の恵みに感謝をして長いごと生きてまいりました。お話しのように、太陽、空気、水、環境、直接目に触れることのないものについて余り感謝する気持ちというのがだんだんなくなってきたということは非常に私は残念だと思うし、また現在は直接自分の目先の利益というものには非常に敏感に反応する。こういう前提でいろいろ考えてみますと、農業、農村は国民への農産物の安定的な供給ということが大変大事だ。特に、一ヘクタール七十人ぐらいの酸素を供給しておるというお話でありますが、自然環境の提供あるいは水、大気の維持を培養してまいりました。また、土砂の流出あるいは土壌の浸食の防止あるいは洪水、これはもう全降水量の三分の一は水田で受けとめておりますので、これなかりせば大変な被害が生ずるということもお話のとおりであります。 また、自然を通じて青少年の教育の場の提供あるいは伝統的な文化、そういういろいろと公益的な機能というものをずっと果たしてまいりました。国土の均衡ある発展、わけても一極集中排除、これに挙げて政府が一生懸命取り組んでおるということを考えますと、何といっても国民生活が地方においても生活が十分できる、そういうことをやっぱり考えていかなきゃならぬ。そのためにも、健全な農業生産活動を通じてこれらのことが達成するように努力していくことが肝心だというふうに考えます。また、土地基盤整備等によって必要な条件整備に努めながら、農地の適切な利用管理、そういうものを進めてこれらの機能を積極的に評価して国民の理解を幅広く受けなければならぬ、こう思っております。 また、次のお話でありますが、確かに現在は五十三億でありますが、大体十年で十億ぐらい世界の人口というのはふえるわけでありまして、そういうことを考えると、ただ単に食糧というのは余っているから輸出をするというだけではなくて、地球全体でコントロールすべきものではなかろうか。そのためには、各国とも自分のところでできる精いっぱいの生産をしながら、備蓄で世界の一たん緩急あるときにはそれをもって充てるという幅広い検討というものが必要だというふうに考えております。またいずれにしても、この人口問題を考えるにおへてそれぞれの政府で最も優先して努力をしていかなければならないというふうに考えておるわけであります。 各国が国民に食糧を安定供給するためには、基礎的な食糧供給力を確保することが何よりも基本でありまして、実際の生産活動を通じて生産技術を維持して、担い手、農用地等の生産手段を確保することが不可欠であります。政府としても、今後とも世界の食糧需給の安定のための開発途上国への農業協力を積極的に推進するとともに、国内農業の一層の生産性向上を進める必要があると考えております。 それから次に、若い担い手の確保の問題でありますけれども、何といっても農家の経営士気を喚起しなけりゃならぬ。やる気のある人に農業をやってもらうということが一番大事だと思うんです。その上で、経営管理能力にすぐれ、あるいは企業的な経営のできる若い人たちを育てたいというのが私たちの念願でありまして、こうした担い手に対して、土地利用権の設定、農作業の受委託の促進、そういうものを通じて経営規模を拡大していかなきゃいかぬということで、農地の集積利用あるいは農産加工等への取り組みによる年間を通じた就労条件、何としても一年間やっぱりサラリーマンと同じように働いて、あるいはサラリーマン以上の収入を上げるという、この努力なくして短い時間でそれ以上のといってもなかなか困難でありますから、その努力をしてまいりたい。これらの担い手と地域の実情に応じた多様な経営体というものでこれから生産体制づくりを進めていきたい、こう考えております。 いずれにしても、担い手が魅力と誇りを持って農業をやれるような状態というのは、一方においては農村の環境の整備というものを図っていきたいというふうに考えております。今新しい食糧、農業、農村ということで省内で検討いたしておりますので、近々に方向がお示しできる、こう思っております。 ウルグアイ・ラウンドのことでありますが、私どもは農業交渉において、農業生産の持つ特殊性や食糧安保あるいは国土環境保全、そういう先ほどお話し申し上げた役割が交渉結果に適切に反映されなければならないということで、そのためには各国の最低限の利益というものは損なわないということが大事であろう、こう思っておりますし。かし、今回のダンケル合意案の農業部分について申し上げますと、輸出補助金と国境措置のバランスを欠いておる。特に、包括関税化ということが示されている等いろいろのことがありますので、その点について私どもは問題にしておるわけであります。したがって、この合意案の農業部分についての修正を求めるとともに、これまでの基本方針のもとに食糧輸入国としての我が国の立場というものが確保されるように努力をしてまいりたいと思います。 最後の御質問でありますが、もう既に国会決議等、この趣旨を体して国産で自給するという基本方針のもとで対処してまいる所存であります。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま農水大臣から御答弁がございましたが、井上委員の言われましたように、酸素の供給における森林の効用あるいは洪水対策といいますか、洪水に対応する水田の効用等々、今回のウルグアイ・ラウンドの問題をめぐりまして、そういう環境的な立場から森林、農村というものの見直しか行われているということは私どももよぐ気がついておりまして、それはまた欠くべからざる視点であると思います。 それから、世界の食糧問題につきましても、人口がふえていきます将来に向かっての食糧の安定供給の必要がございますし、我々としてもまた開発途上国への農業協力を進めていかなければならないと思います。 それから、いわゆる担い手の養成といいますか、確保という点につきましては、これも農水大臣が言われましたとおり、何よりもそのような魅力のある農業、農村でなければならない。それは土地基盤整備もございましょうし、あるいは土地利用権の設立ということで経営規模を拡大するということも大事であると思います。 また、バイオテクノロジーのような問題もあると思いますし、生活環境としての農村、それは交通網の整備であったり、あるいは下水道であったり、そういう生活環境ということ一般でございますが、そのような中で将来の担い手が育つように、喜んで農業をしてくれるようにしていく必要があるということも、今農水大臣が言われたとおりと思います。 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、世界の自由貿易に、農産物の自由貿易というものに一番障害を与えたのはやはり輸出補助金であるというふうに沿革的に考えて私は間違いがないと思いますが、その輸出補助金についての対応が十分でない。そういう意味では輸出国の立場はともかく、輸入国というものについてどれだけのことが考えられているのかということはやはり一つの問題であろうと考えておりまして、先ほど農水大臣が言われましたように、先般、各国別の約束表には、我が国はいわゆるタリフィケーションを前提としての交渉に今入る用意がないということの意思表示をいたしたものでございます。
○井上吉夫君 お答えをいただきました。 豊葦原の瑞穂の国と言われる日本は、山と水田の組み合わせによって今日の国土と歴史がある、このことがほかの国と事情が大きく違う。これから将来とも日本が長きにわたって繁栄を遂げていくためにどれほどこのことへの認識が大事かということを最後にさらに強調をいたしまして、基本方針を最後まで貫きながら、世界の自由貿易に対する主張は主張として、そして自由貿易体制がさらに前進するためのウルグアイ・ラウンド自体についての成功を決して私どもは阻むわけではありませんので、このことを申し上げさしていただいておきます。 次に、生活大国を目指す中で、私は今一番大事なのは東京一極集中を是正する、もう一つ言うならば、その思いを地方の活性化に力を入れるという、そういうところに最大の焦点を置かなければ、いろいろ細々した道路や住宅あるいは下水道というそれだけを考えていてはなかなか望ましい答えは出ないのではないかなという気がしてならないわけであります。 既に、大都会におきます大変な住宅取得難や交通渋滞という事情が出ていることは、東京を初めとする大都会で暮らしておられる方が何とかならないかという一番の問題でしょう。そして地方はどんどん若人がいなくなり適当な仕事場がない、そういう関連になっているということに着目をして、これをどう直していくかという、そのことが私は総理の言われる生活大国に導くための忘れてはならない基本条件だ、そういうぐあいに考えるわけであります。 その認識と、それを達成するための意欲ある対策を前進させるための考えをまず担当の建設大臣に伺いながら、その基本的認識の中でどのように進めていくかというそのことは、やはり宮澤内閣においてもその具体的手法の最大の着眼点はそこにあるということを、これは一建設省だけじゃなくて、全内閣の認識として進めていただきたいということを申し上げます。 この際、地方の自立的成長を促進し、国土の均衡ある発展を図るために、今国会に地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案が提出されておりますが、この法案につきましては、御承知のとおり、地方の自主性を尊重することを基本にしながらそういう場所を指定していくというぐあいに述べられておるわけでありますけれども、どうもその地方拠点都市地域のイメージがいま一つ明確に伝わってこない。 それは、第二の都市をできるだけつくっていって、それを拠点としながらその周辺を活性化させるいうことのようでありますけれども、端的に言いまして、全国に何カ所ぐらいそういう地域を指定するのか。余り数多くやったのでは施策がぽけてしまって、広く薄くということになりますとなかなか効果が出ないでしょう。だからといって余りにも数少ないということになると、その場所を指定してもらおうとする手を上げる区域というのは大変な競争になりながら、全体的なそういう発展というのはどう考えていけばいいのかという、そういう問題に突き当たってまいります。まず、そのイメージとでもいいますか、そういうあたりについての御見解を聞きたい。 同時に、私は、この仕事を始めていきますと、今申し上げましたような選定自体に大変難渋をいたします。ましてや、地方の自主性を尊重するということになりますと、恐らくそれらの地域のハード面の事業というのは国の公共事業だけではとても間に合うまい。恐らく、地方単独事業あたりをどんどん進めていくと同時に、ハード面だけじゃなくてソフト面についても相当な手を加えていかなきゃならぬ。そのあたりになりますと自治大臣の所管がなという感じがいたしますので、それらのことについて建設大臣並びに自治大臣のお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(山崎拓君) ただいま先生の御質問の中にございましたとおり、生活大国づくりのためには均衡ある国土の発展は不可決であると存じております。例えば住宅一つとりましても、東京、首都圏ではどうしても遠高狭というイメージがつきまとってまいりますけれども、地方にはゆとりのある住居を持つことができる等でございます。 ところが、この一極集中是正につきましてどういう実情にあるかと申しますと、平成二年度の国勢調査によりますと、その五年間におきまして人口が減少いたしました地域が十八道県に及んでおりまして、実は一極集中がむしろ進んでいるという実情にあるのでございます。 そこで、こうした状況にかんがみまして、建設省といたしましても、従来の施策をより一層推進いたしますとともに、新たにただいま先生が御質問の中で申されました地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設再配置促進法案を今国会に提出いたしまして、地方拠点都市を設けることによりまして人口の分散の地方の核、地方定住の核をつくりたい、かように考えておるところでございます。 もう一つといたしましては、高規格幹線道路の整備を進めてまいりましたけれども、新しい道路五カ年計画を平成五年度から第十一次になりますけれども出発させることになりますが、平成四年度におきまして地域高規格道路構想の検討に入りまして、地域の道路網の整備、モビリティーを高める方向でこれからいわゆる東京一極集中是正に寄与する道路網の整備、交通ネットワークの整備を図ってまいりた、いと考えているのでございます。 そこで、地方拠点都市は全国にどういう展開になるかという具体的な御質問がございました。この点につきましては各県に二カ所程度は整備してまいりたいと考えているのでございますが、従来の例えば政令都市等におきましては、いわゆる東京が持っておりますような人口を吸収する魅力と申しますか、そういう機能を十分に備えている都市でございまして、それらの都市におきましては地方における一極集中がむしろ進んでおるという状況にございますので、そういう地域ではない、別に新たに人口吸引の魅力、職住遊学、それぞれの機能を持ちました都市を重点的に整備してまいりたいと考えているところでございます。
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほどイメージの点につきまして建設大臣からお話がございました。最近は県内におきましても一極集中が始まっている、このことはやはり是正しなきゃならぬと思います。したがいまして、各県の中でまた県都以外の中心都市というものを形成していこう、そういうことが各省庁間の合議によりましてまあ言えば地方拠点都市となったわけでございますが、甚だ私の独断でございますけれども一例を申しますと、例えば富山県なんかにおきまして高岡市なんかを中心とした一つの拠点をつくるとか、あるいはまた山形県なんかを見ました場合、酒田、鶴岡、それから米沢というのがございますが、そういう拠点を得まして、そこを中心に拡大していく、こういうことでございます。 支援体制としてはどういうことをやるかということでございますけれども、まず関係する市町村が計画を策定しますが、その調査とかなんか、そういう費用に対しましては交付税で措置をしていこうということでございます。 それから二番目には、先ほど御質問の中の中心でございましたハードとソフトの面における単独事業ピもって環境整備、そしてまたその地域の独自性を発揮する事業というようなものをやってもらいたいと。これには単独事業を重点的に充当していきたい、こう思っております。 三番目には、進出しできますところの企業、あるいはまた文化施設、こういうようなものに対して措置をしていかなきゃなりませんし、そういうようなものには地方債であるとかあるいはまた地方税の免除とかいう、そういうようなことをやっていかなきゃならぬと思っております。 それから、関係の市町村が集まるのでございますから、そこに業務委託のできる特例措置を講じていく必要があるんではないか、こう思っておりまして、そういうようなこと等を組み合わせまして、この地方拠点都市を形成していきたいと。これは御承知のように、各省庁共同でやる本当に珍しい新しい先例になってきておると私は思っておりまして、これは非常に大きい期待を持ちまして我々も関係省庁と協議しながら積極的に進めていって、一極集中排除の下地をつくっていきたい、こう思っております。
○井上吉夫君 一極集中是正のためにトラスチックな手段の一つとして首都の移転の話があります。先ほど久保議員からも若干質問がありましたが、改めて国土庁長官から、ぜひこのことを強力に推進するという気持ちを込めて、二月にありました中間報告等も含めてお答えをいただきたい。
○国務大臣(東家嘉幸君) お答えいたします。 調整官庁の立場から今日まで、六省庁がこの投資効率をより高め、そして総理が目指される生活大国への地方の振興の活力を見出す、私は本当に画期的な法案だと思っております。先生が農村、山村、漁村等々について今日まで大変力を入れてこられましたその一端の気持ちの中には、やはり今自治大臣がおっしゃられたように、また県の中に一極集中をもたらすんではないかという懸念もあるやに聞いております。 今回はそうした総合的な地域の活性化のための法律を提案申し上げていることでございますから、今後は各省庁よく協議しながら、そしてまた知事さん等にただ押しつけるということだけではなくて、やはり立場立場もありましょうから協議をよく踏まえて、そして知事さんに最終的にやはり地方のこれからの活性化のための協議を踏まえてひとつ指定をしていただくようにすることが一番適正ではないかというふうに考えておりますので、今後とも一層の御協力をお願い申し上げます。
○井上吉夫君 私は、東京一極集中是正のために首都移転というあたりを考えろということが主題でありましたが、最後にこの問題について総理の取り組みを聞きたいんです。 それは、先ほど来申し上げておりますように、いろんなことを言いましても、生活大国を実現するために一番気を使わなきゃいかぬのは一極集中をどう是正するか、そのためのどういう手を打っていくかということにやっぱり政策の中心を置かなきゃならぬと考えておるわけでありますが、総理の御所見をこの問題について最後にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては平成二年に国会の御決議がございまして、衆参両院におきまして各党派の合意があったところでございます。 本決議を受けまして、その後政府におきまして首都機能移転問題を考える有識者会議というのを総理大臣の私的な会合のような形で、しかし非常に各方面の権威を集めまして、既に八回開催しております。私もその都度この会議には欠かさず出ております。かなり議論が進んでまいりました。また国土庁では、首都機能移転問題に関する懇談会がございまして、ここでも検討が進んでおります。この段階で両方の懇談会の連携を図りながら検討を詰めていくことが大事である、そういう段階に参っておると思います。 御指摘のように、しょせんはこの問題が一番のもとになる、これからいろんな問題が発展し得るのでございますから、そういう問題として最も重要性の高い課題だと考えまして、鋭意進めてまいりたいと考えております。
○井上吉夫君 ことしは国連障害者の十年の最終年度に当たります。「完全参加と平等」という、そういう旗印のもとでかなり大きな成果を上げてまいりましたけれども、問題はまだまだ多くを残しております。この際、ポスト国連障害者の十年というのをどうしてもやっぱり続けていかなければこの問題は中々にとまってしまうという、そういうことが懸念をされます。ぜひ終了後の取り組みについての方針を厚生大臣並びに総理大臣から、最後の質問としてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 「完全参加と平等」というテーマで行われました国連障害者の十年がいよいよ平成四年度で終わるわけでございます。振り返ってみて、我が国におきましても他のいずれの国にも負けないいろんな行事や事業が行われてきたことは、私ども十分この点はわかっているわけでございますが、さて一体じゃこれからどうするかという御質問、そのとおりでございまして、じゃ国連は引き続きまた第二期とかなんとかでやるかというと、まだ何も国連は打ち出しておりません。一説によりますと、もうそういう十年間各国共通の同じテーマを取り上げてやるということよりも、ひとつ各国でもって、あるいは短期間、そしてまたあるいはテーマを絞ってやるとかいろんなことが言われておりますが、まだ確定しておりません。 ただ、今の段階で私どもが聞いておりますのは、四月に行われますESCAPにおいてアジア・太平洋地域の障害者十年というものをやってはという、そういう案が出ているそうで、これは正式にまだ私ども受けとめておりませんが、もしもそれがあるとするならば、これはアジア・太平洋地域における身体障害者にとって大変な福音でありますから、私ども積極的にこれに協力してまいりたいと思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) この国連障害者の十年、幾多の成果を上げてまいりましたが、ことしは最終年になります。それで、しかし問題はこれで解決したわけではありませんで、むしろ問題を我が国の国民に投げかけたというふうに考えるべきでありますから、これから後どうするかということがむしろ大切な問題であると思っております。 現在、中央心身障害者対策協議会において、いわゆるポスト十年と申しますか、国連障害者の十年終了後の問題のあり方についてどうするかという検討が行われておりまして、その検討の結果をまちまして、これが文字どおり、事の終わりでなく事の始めになっていくように考えてまいりたいと思っております。
○井上吉夫君 ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) 以上で井上君の質疑は終了いたしました。(拍手) 本日の審査はこの程度といたします。 明日は午前九時十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時散会