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123回国会参議院1992/03/10

文教委員会 第2号

発言数
187
登壇者
22
会派数
6
開催日
1992/03/10

会議録

大木浩自由民主党

○委員長(大木浩君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 森でございます。よろしくお願いいたします。  去る二月二十五日の文教委員会における文部大臣の所信に関連して質問をいたしたいと思います。  まず、三月八日の日経新聞ですか、それに「今国会での批准が予想される」と。新聞のとおり読みますと、「「児童の権利条約」で文部省は」「学校教育と関連する条項の解釈についての見解をまとめた。」、こういう記事が載って、詳しく十二条だの二十八条だのといろいろと解釈が書いてあったわけです。そのことにつきまして、もしそれが真実であれば、まず我々にそのまとめた内容を示していただきたいと思うわけでありますが、そのことについてお尋ねいたします。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) この児童の権利条約のことにつきましては、昨年のこの文教委員会でもいろいろ私は御答弁をいたしましたけれども、確かに今国会に批准承認案件として提出しようという動きになって大詰めを迎えていることは確かなんですけれども、外務省を中心に最終的な検討を行っている段階でございまして、まだ正課が完全にでき上がっているわけではありませんし、各省庁のすり合わせ、いわゆる読会ですね、読み合わせのようなものも今盛んに行ってきているところでございまして、まだ確定をいたしておりませんので、現在のところではそれ以上のことを私から申し上げるわけにはまいらないわけでございます。  新聞報道につきましては、どういう形でどういうところから情報が得られでこういう形になったのか、もちろん文部省の中でも検討は進めているわけだし、各省庁の打合会にも出ているわけでございますが、もし具体的内容に及ぶ部分がございましたら政府委員の方から御答弁申し上げます。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 今、大臣からお答えになりましたとおりに、最終的には本件の正訳なり解釈が確定するのは、手続的には最終的な閣議決定の段階で確定するわけでございます。先般の新聞記事は恐らく、私どもの方から自民党の文教合同部会に今の段階で文部省としては大体どのように考えているのかという程度の報告をいたしたわけでございまして、あくまでそれは今の段階での内部手続の問題として文教部会に御説明したということでございまして、政府として最終的な解釈なり正課が決まるのは閣議決定が行われる段階で初めて確定するわけでして、それ以後に一般的に御説明するということになろうかと思います。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 この新聞によりますと、十三日の閣議決定後に提出されるこの国会で、いろいろと文部省の解釈をめぐり議論されそうだというふうに書いてあるわけです。今お聞きしましたら、そういうふうなものは正式には出してないということなので、きょうはいい機会でございますのでこの内容について、今までいろいろと討論されてまいりましたけれども、もう一度きょうはいろいろとお話しを願いたいというふうに思います。  今、検討を進めている最中だということなんでございますが、再びお尋ねいたしますが、文部省は現在どのような条項について関係する国内法をどのように解釈し、そしてどういうふうな考えを持っていらっしゃるか、簡単で結構でございますので、お尋ねをいたします。

長谷川善一文部省学術国際局長

○政府委員(長谷川善一君) 文部省の関連いたします条項につきましては、たびたび申し上げておるわけでございますけれども、この権利条約の十二条から十六条にわたっております児童が意見を表明する権利あるいは表現に自由、思想、良心、宗教の自由、結社、集会の自由それから私生活、名誉、信用の保護といった条項に相当関連いたしております。二十八条に教育を受ける権利というのがございますし、二十九条に教育の目的という条項もございます。そういった点につきまして一条ずつ詳細に検討が進められておるわけでございます。  ただいま初中局長から申し上げましたように、検討作業がまだ終了しておりませんので、現在の段階では、批准に当たりましてどういう規定を国内的に整備するのかといったような対応措置について文部省の方から明らかにするということはできない段階でございますので、御了承いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、今国会のうちに批准案件を上程するということを目指して最終的な詰めを行っておる段階でございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 この条約の趣旨は、大臣よく御存じだと思うんですけれども、子供の権利を守って大人たちも子供を本当に日本人として立派な社会人として育てていくために子供の人権を保障していこう、こういう趣旨については大臣は反対はないというふうに思いますが、この条約そのものについての大臣のお考えをお願いいたします。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生おっしゃったように、子供は国の宝だと思いますし、そういった意味で言うと、今のお子さんたちが二十一世紀を通り越して二十二世紀の入り口まで生きていくことを考えますと、まさに我々大人と違った子供に対する大きな期待というものを持っております。これは先生方も我々も共通の理解でしょうし、全世界人類皆が、子供は国の宝、世界の宝、そういうふうに考えているわけでありましょう。そのことがこの児童の権利条約というような形にいわば国際条約化してきているということ、その原点を失わないこと。  例えば悪いですけれども、例えば日本国憲法ならば、憲法の条文も重要ですけれども、前文というのが大変意味深いというように考えますと、やはり今回の児童の権利条約についても、例えば貧困、飢餓、疾病、そういうような形で世界的に見ればまだまだお子さんが悲惨な状況に置かれて随分大勢亡くなっていくというようなこと、あるいは先進国の間でも親からの虐待のようなことも時々議論になる、そうしたお子さんを取り巻く厳しい条件というようなものを取り除いていこうというのが本条約の基本にあることだろうと思います。  ただ、何せ子供さんに関することでございますから、当然いわゆる教育関係と思われるような条項も数多く入ってきているわけですから、その辺をどう解釈するかということについてはまさに今大詰めであると私から申し上げたとおりで、また初中局長から必要があれば幾らでも御答弁はいたしますけれども、私といたしましては、子供を伸びやかに育てよう、大切にしようという観点、教育の世界からいうならば個に応じた教育、臨教審が三年間偉い先生方がみんなで議論して最後に出した三つ四つの大きな結論の一つが個性重視ということであった。つまり、一人一人のお子さんを丁寧に見詰めて、そしてその個性をうまく伸ばすように育ててあげるというのがまさに児童の権利を守るゆえんであって、そういう教育を行うことがこの条約に見合うものだというふうに私は考えております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 それでは、この条約の趣旨には本当に心から賛成で、やっていこうという決意のほどだと思うわけですね。そうしますと、その趣旨を生かすためには、やはりいろいろと今の教育の現状を見直して、この趣旨に沿っていくためにはこの辺をもうちょっとこうした方がもっとこの条約の内容を生かすのではないかということがあるのではないかと思うわけです。  その点で、十二条の意見表明権というのがずっと問題になっておりますが、この中で特に校則のことが問題になっております。校則を制定したり改廃したりする際、その過程の中において生徒たちの、子供たちの意見を聞く、それは大変教育上有益であり条約の趣旨に沿うものと、こういうふうに思いますが、その校則の見直しを促す対応ですね、この条約を批准するに当たりそういうものが国に求められるのではないかというふうに思います。それで、校則についてのいろいろなことを文部省も調べられていらっしゃると思うんですが、そういうことについての資料を提供していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 校則につきまして、一年半ぐらい前から、私ども見直しを行うようにという指導をかなり徹底的に行っておりますが、そういう見直しを現在どういう状況で行っておるか、どのくらいの割合で行っておるかというような数字等につきましては資料として整理をしてお出ししたいと思っております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 これも新聞の記事によりますと、文部省も三年前から是正に乗り出したということですね。それで、三月に、三月というのは去年ですが、発表された調査結果では、全国の中学、高校の七三・八%が校則見直しに着手していると。これは新聞に載ったアンケート結果であるわけですね。ですが、文部省はそれをまとめてないということでは、これはどういうところからこういう数字が出てきたのかと思いますが、その辺は早く文部省の方がまとめて、そして指導しなきゃいけないと思いますが、いかがでしょうか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 見直しの指導はしておりますが、先生が今お挙げになりました数字というのは、中学校長会、高等学校長会がまとめた数字でございます。それについては既にかなり厚い冊子になっておりまして、私ども手元にもらってございます。それが去年の四月段階でございますので、その後さらにどういうふうになっておるかというのは、現在いろいろ県に聞いておる最中でございますので、それは私どもとしてまとめて、まとまった段階で提出したいというふうに思っております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 それはそういうふうなものをまとめたものを早く見せていただきたい。資料をお願いしたいというふうに思います。  ただ、その中身なんですが、日本の生徒手帳とか校則の中には生徒の義務とか禁止規定ばかりが多いわけですね。こうしてはいけないああしてはいけない、ソックスは白いソックス、髪はどこまでの長さとか、そういうことばかりが書いてありまして、生徒の権利であるとか、こういう権利があるとか、それから教師が守るべき義務であるとか、そういうことの記載がないわけであります。そういう内容についてもぜひ現場に指導、助言をしていただきたい、この条約を批准するに当たりそういう内容を詰めていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  次に、いろいろと十三条、十四条、十五条というふうな関連あることを今お話しになりましたが、十五条に結社、集会の自由というのが挙げられております。この中には結社の自由の権利、平和集会への参加の自由とその権利、こういうものを守らなければいけないというふうなことですね。  これは大変古い資料になると思うんですが、「高等学校における政治的教養と政治的活動について」という文部省通達が、昭和四十四年十月三十一日、初中局長通知というので出ているわけであります。これは約二十年前の通達でありますね。その中に、特に違法なもの、暴力的なものを禁止すること、そのような活動になるおそれがある政治活動についても制限、禁止することが必要であるなど、その禁止の範囲が広範で漠然としているわけです。そういうことについて、やはり十二条、十三条、十四条、十五条の趣旨からも、一律禁止ととれるこの通知ですね、こういうものをこの条約を批准する機会に見直してはいかがでしょうかというふうに思いますが、その辺についての見解をお願いいたします。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 最終的にこの条約を批准することに伴ってこれらの通知等について見直す必要があるかどうかという点については現在もう少し詰めているところでございますが、四十四年の通知は、高等学校におきます生徒の政治的教養を豊かにする教育の一層の充実を図るとともに、政治的活動についての適切な指導を行うための文部省の見解を示したものでございます。私どもとしましては、心身ともに発達の過程にある生徒に対する各学校への指導上の指針を示したものというふうに考えているところでございます。  このことは、現行の我が国の憲法でも、今先生が挙げました条約の規定と同じ権利は保障されているわけでございますけれども、心身ともに未発達の児童生徒を教育するというそういう観点から合理的な範囲内でならば、こういう制限をする、注意をする、規制をするということは可能ではないかというふうに私ども考えておりますが、その法律論はいざ知らず、基本的には私どもとしましては、まだ心身ともに未発達の段階にある子供たちに対する指導としては一応適切な指導ではないかというふうに現在でも考えているところでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 そのお考え方はいいんですが、この文章をお読みになりましたか。最初のあたりです。「最近、一部の」、最近ですよ、これは昭和四十四年の段階なんですが、「最近、一部の高等学校生徒の間に違法または暴力的な政治的活動に参加したり、授業妨害や学校封鎖などを行なったりする事例が発生しているのは遺憾なことであります。」というふうな文章があるわけです。  これは昭和四十四年の社会情勢の中での文章なんですね。これが今も生きているわけですね。この通達は二十年前ですよ。じゃ、二十年前と今と同じですか。そうしますと、そういう中で、これはもう一度今に合わせて、もしこういう高校生の政治活動についての文部省の意見があるのなら、やっぱり見直して文章をやり直すというふうなことがあってもいいんではないかと思います。  また、中ほどには、「国家・社会としては未成年者が政治活動を行なうことを期待していないし、むしろ行なわないよう要請しているともいえる」、こういう中身もあるわけです。そして、定時制高校課程には成年に達した生徒も在学していますね。これは選挙権があるわけであります。「いるが、これらの生徒については成人としての権利を行使する場合等において他の生徒と異なった取り扱いがなされる場合もあるが、高等学校教育を受けるという立場においては学校の指導方針に従わなければならない。」、こういう文章もあるわけです。この辺は大変時代がかった文章で、この辺は考え直すお考えはございませんでしょうか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 確かに、昭和四十四年にこの通達を出したときには、高等学校も巻き込んだ学園紛争が全国的に大学等含めまして行われているときで、先生方も御承知のとおり、一部にかなり過激な運動が行われておったことは事実でございます。そういう背景をこの前文で書いてあるということも先生御指摘のとおりでありますが、そこの部分は確かに四十四年のそのときの背景を書いてあるわけですので、かなり今とは違うということは間違いないわけでありますが、その本文の方に書いてある部分については、私どもとしましては、一応今でも通用する考え方ではないかというふうに考えてはおります。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 こだわるようですが、中学生、高校生のころから政治というものはどういうもので、我々はそれにどのようにかかわっていったらいいかということはやはり勉強しないと今のような政治情勢になるわけであります。これは大変大事なことなんですね。青少年の間から、政治は関係ないと。今の青少年をごらんなさい。政治は関係ない。ノンポリです。どっちを向いておろうといいんだ、自分たちだけが楽しくやればいいんだという青少年を育てた責任はやはり教育にあると思うわけです。正しい政治活動、我々はどのように政治に参加していくか。すべての生活は政治に関係があります。そのように、参加していくということについて正しい教育をする必要があると思うんです。特に、この子供の権利条約を批准するに当たり、そういうあたりを文部省は考えていただいて、こういう古臭い通達というものは見直していただきたいと強く要望しておきたいと思います。  フランスのある新聞に出ておりましたが、フランスの高校生が、余りにも学校の治安が悪い、もっと警備員をふやしてほしい、そして自分たちの教育が十分に行き渡るように先生の数もふやしてほしい、教育費が少ないということで行動を起こしまして、ミッテラン大統領に会いまして、教育費の増額をお願いして、大統領はその高校生の代表と会いまして、それを約束したという事件が少し前に出ておりました。これも行き過ぎといえば行き過ぎかもわかりませんが、そういうものをやはり許していく幅広い教育界でなくてはいけないというふうに思います。  次に、二十八条です。二十八条に教育への権利というところがありまして、ここも文部省は大変頭の痛いところだと思いますが、中等教育の無償化の導入というものが規定されているわけですね。後期中等教育である高等学校は義務教育ではないとして無償教育が今導入されておりませんが、無償制度導入のためには法律の改正も必要になりますし、このあたりの見解をもう一度お聞きしたいと思います。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先ほど来御説明申し上げましたとおりに、先生御指摘のところは二十八条の(b)でございますが、一項の(b)をどう解釈するかということについては、現在政府部内で詰めているところでございます。一般的に申し上げまして、高等学校教育を無償化するということについては膨大な財政負担が予想されるわけでして、そういう意味では大変問題が多いんではないかということで、この解釈を別としまして、そのような高等学校教育を無償にするという方針は、今のところ私どもとしては適当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 国際人権規約A規約の十三条の2の中等教育の無償教育について日本は留保しているわけです。今回は、この子供の権利条約ではそれは全然無視するんですか。そのあたりの関係をお聞きしたいと思います。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 国際人権規約の十三条の2の(b)は、「種々の形態の中等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとする」ということで、ここの部分につきましては、「特に、無償教育の漸進的な導入によりこという点については留保しているところでございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 今回との関連。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 今回、二十八条の(b)をどう私どもとして解釈するかという点については、先ほど申し上げましたとおりに、現在政府部内で検討中でございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 それじゃ、国際人権規約の関連と今回の権利条約の二十八条の関連をよく吟味してくださいまして、いい方向を出していただきたいというふうに思います。  それから、同じ二十八条の教育への権利なんですが、特に、子供たちが退学とか停学とか訓告などを受ける場合に、法律上の懲戒の際の意見表明権が法令上の手続として保障されなければいけないのではないかというふうに思います。学校の現状はもう御存じだと思いますが、高校生でちょっと事件があると、すぐ保護者もともに呼ばれ退学、そして停学。先日、事件を起こしたある高校生も、たばこを吸ったということで自宅待機、そういうことの間にいろいろな事件が起こっております。  その中で、子供たちの弁明を聞く機会というのがほとんど学校の中ではないんですね。前も申しましたが、遅刻してきた、おまえは悪い、立っておれと。どうして遅刻してきたかという弁明を——遅刻したにしても理由があるんです、その子供にはその子供の理由がある。しかし、その弁明を聞くチャンスはほとんど学校現場ではない。そういうことにおいて、例えば退学、停学とかいうのは、子供の法的地位、つまり法的地位というのは教育を受ける権利ですね、自分は悪いことをしたけれども引き続き勉強したいんだ、この学校にいたいという気持ちがあったら、これは教育を受ける子供の権利でありますが、そういうものを聞く機会がないんです。法的手続としてそこにない。その機会を保障する、そういうことについてどのように文部省はお考えになっていらっしゃいますか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) その問題につきましても現在詰めているところでございますが、先生の御指摘の条文は恐らく十二条だと思います。十二条1で意見表明権を児童に認め、十二条の2で、先生御指摘の、子供の権利に直接かかわるような処分を受ける場合には適当な聴聞の機会を与えるべきだ、そういう規定だと思いますが、その規定に基づきまして、具体的に学校で子供の権利に直接影響を及ぼす停学、退学あるいは出席停止などの処分をする場合にどういう手続が必要かという点については、現在詰めているところでございます。  ただ、先生がいみじくも例に挙げました、たまたまおくれてきたからちょっとそこに立っているということはストレートに子供の権利義務に響いてくる問題ではございませんけれども、実際の運用上は、私どもとしましては従来から、なぜおくれてきたのかというそういう理由を聞いて、その理由が当然是認される、おくれてやむを得ないというものについては、当然そういう場合には教育的な配慮を加えるべきだという考え方で従来も指導しておりますし、これからもそういう姿勢で指導してまいりたいというふうに考えております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 そういう問題があるということを指摘しておきたいと思います。  そのほか、四十二条では条約の広報義務がうたわれておりまして、大人のみならず子供にも条約を広く知らせる措置をとることということなんですが、政府、文部省としても、この条約に賛成して通すんでしたらやはり広報義務、その方法について今までなされたか、またこれからどういうことをするおつもりかをお聞きしたいと思います。

長谷川善一文部省学術国際局長

○政府委員(長谷川善一君) 第四十二条に、条約に内容について広く知らせるということがうたわれております。現在までは検討の過程でございまして、各条項の解釈等についてもまだ定まっていない部分が非常に多いということで、確たる広報を組織的に行ったということは文部省としてはいたしておりません。  ただ、これが国会に上程されると、正課もでき、解釈も定まったということになりますと、文部省としてもいろいろな広報の機会を通じましてできるだけ広く学校の関係者、PTA、児童の目にも届くような形で広報をやっていきたいというぐあいに考えております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 学校図書館へ本を置くとか、またはいろいろな情報を家庭に配るとか、先生方にいろいろと勉強していただくとか、いろんな方法が考えられると思います。  今、時間の関係で少ししか触れられませんでしたけれども、こうしていろいろと考えておりますと、このまますんなり、日本はきちっと子供たちは守られているんだからもう国内法は何もいじらなくてもいいとか、対策はもういいんだということにはならないと思うんですが、今のやりとりを聞いていらっしゃいまして、大臣としてどのようにお考えですか。このまますんなり行かれますか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) いろいろやりとり聞いておりまして、私としては、先ほど申し上げたように、例えばサッチ・アズという二十八条の英語の表現をどういうふうに解釈するかとか、あるいは国際人権規約のときに初等教育、プライマリーエデュケーションですか、この無償ということがうたわれていますけれども、それを日本ではどういうふうに解釈するかとかいろいろ、それこそ委員長は外交の専門家ですからお詳しいんですが、私は外交のこと、条約のこと、決して詳しくありませんから、専門的なことは論ずる力はありませんが、ただこの条約全体を流れる精神のようなものが最も大切ではないかと先ほど申し上げたわけであります。  ただ、誤解していただいては困るわけですけれども、例えば学校というものは教育のまさに現場であって、そこで人間形成やあるいは知識の伝授、あるいは学力を身につけさせるというようなことが行われていくわけで、学校は当然家庭教師というわけではありませんから、一つの学校としての組織、集団という形をとっていくわけであります。そうした集団行動の中で、子供がいず札社会人として大きくなって成長したときの行動の原理のようなものを学び取っていくわけでありましょう。そう考えますと、公共の福祉というような議論はいかがかとは思いますけれども、学校というものの秩序、あるいは学校で教育的な効果を上げるための例えば規則、校則のようなものは、初中局長から御答弁申し上げたように、常に時代に合うように見直し見直しまた見直しと、見直しを続けていくべきものではありますけれども、しかしやはり校則というものがあってその教育的効果を高めるような組織体が維持されるというような側面もあるだろう。  教育基本法の第六条に、これは学校法人のことを書いているんだと思いますが、「法律に定める学校は、公の性質をもつものであって、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。」と書いてありますね。学校法人でなければ一条学校は持てないということをこれから意味してきているんだとは思いますけれども、私は、この教育基本法の第六条を見たときに、やっぱり学校というものは、仮に私立の学校であったとしても非常にパブリックな色彩のあるところで、公的な色彩のある組織とか集団をきちんと維持するということは極めて重要だろうと思います。  したがって、そういう教育上の効果を公の色彩の非常に強い学校というところで成果を上げていかしめるためには、いろいろな制約というものが出てきたとしても、それはいわゆる憲法に保障される人権があるわけですし、人間の基本権があるし、しかも精神的な基本権まで憲法はいっぱい保障していますし、国際人権規約もあるし、今回新しくこの児童の権利条約というものが批准、承認されたとしても、そこのことと教育上の効果を学校で上げていくということの接点というのは正直言って当然難しい部分も出てくるだろうと思っておりますが、その点については政府もこれから大詰めの議論をしていくようでございますし、文部省としても一定の考え方はいずれ打ち出していかなければならないと思っております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 二、三指摘しておきましたので、皆さんでぜひ考えて、さすが文部省というふうな考えを示していただきたいというふうに思います。  先日、私は参議院の委員派遣でマレーシア等の議会交流ということで行かせていただきました。せっかくの機会でございますのでぜひ日本人学校を見てきたいということで要請いたしましたら、快く受けていただきまして、マレーシアのクアラルンプール、シンガポール、それからオーストラリアのシドニーの三校、日本人学校を訪問させていただきました。大臣も一月にはシンガポールを御訪問なさって日本人学校も行かれたということが新聞に載っておりましたので、ああ、これはお話が合うんではないかというふうに思っております。  それで、大臣の所信の中にも、「日本人学校等の在外教育施設における教育の充実と現地社会との交流の推進、海外での貴重な体験を生かす教育の充実などについても努力」するということを言っておられるわけです。日本にいる子供たちだけの教育ではなくて、海外にいる子供たちは自分が好んで苦労して海外に行ったんではなくて、親のいろいろな都合、または日本の都合によって海外の学校へ行かざるを得ない、そういう中でやはりたくさんの子供たちの教育も守っていかなければいけないというふうに思います。  クアラルンプールやシンガポールへ行ってまいりましたら、現在、日本人の海外進出というのは大変なもので、日本企業はシンガポールでもクアラルンプールでも七百社から八百社の企業が行っておるわけです。したがって、家族が行き子供が行くということで、今、シンガポールは日本人学校の中では最大規模の日本人学校ということで、校舎は狭い、そして四十九台のスクールバスが集まりまして、それに子供たちを乗せる作業が大変であるというふうなことも伺ったわけであります。  この日本人学校の運営は文部省かと聞きましたら、外務省そして現地の日本人会の力で運営されているということで、外務省がどのようなサイドから協力をなされているのかということについてちらちらお伺いしたのですが、ぜひ今回皆さんの前でお伺いしたいと思います。外務省、お願いします。

岩田達明外務省大臣官房領事移住部領事移住政策課長

○説明員(岩田達明君) 私ども外務省といたしましては、日本人学校は在外における邦人社会の最大関心事の一つであること、また次代を担う子女の教育を行っていること、また日本の国際化のために重要な一翼を担っていること等の観点より重要な問題であるととらえ、在外公館、本省におきまして深くかかわっております。  我が外務省の日本人学校への具体的な関与はおおむね次のとおりでございます。  まず、日本人学校の設立に当たりましては、現地の在留邦人社会のコンセンサスづくりが必要でございますので、日本人学校設立のための基準、手続等についての情報を提供し、在留邦人社会と密接に協力を行っております。また、その過程で必要に応じ相手国との話し合いも行っている次第でございます。  次に、一たん日本人学校が設立されますと、先生御指摘のとおり、日本人学校は現地在留邦人により構成される学校運営委員会により管理、運営されております。通常、この運営委員会には在外公館職員もメンバーとして参加して深くかかわっております。  次に、日本人学校の教員として日本から多数の教員が派遣されておりますけれども、この先生方に対して、外務省といたしましては、公用旅券を発給するとともに、必要に応じて各種の便宜、例えば査証をとるとか在外許可をとるとか、そういう便宜を図っております。  また、予算面でございますけれども、日本人学校の校舎の借料とか現地採用職員の給与の一部を外務省の予算で援助しております。  以上でございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 大使館の方にいろいろとお話を伺いまして、その方たちも家族を連れて海外に派遣されて、そして子供の問題でいろいろ悩んでいるというふうな、お話もいっぱい聞いてきたわけです。外務省として、そういう海外に派遣された皆さん方のお気持ちも含めて、現在または将来に向けて日本人学校の課題というのはどういうところにあるとお考えでしょうか、外務省の方にお願いします。

岩田達明外務省大臣官房領事移住部領事移住政策課長

○説明員(岩田達明君) お答えいたします。  我が外務省の在外公館は現地の在留法人社会と密接に協議、協力をしております。海外に在留をされる父兄の方々は、その子女が帰国後希望する学校に円滑に入学できて、さらには卒業後社会の一員として幸福に安定した生涯を送れることを強く希望しておられることは明らかでございます。この観点から、日本人学校は、いずれ日本に帰国する子女に対して極力国内の教育と同等の教育を受けさせる場として極めて重要であると私どもは考えております。  他方、海外に在留する子女は、日本とは全く異なった気候、風土、文化の国で、国内で得られない貴重な体験をしているのも事実でございます。この機会を生かしまして、対外的に閉鎖的にならないように外国での経験を生かしたカリキュラムの工夫、例えば現地語を教えるとかのカリキュラムの工夫、また、可能な限り外国人の子女を受け入れるなど、国際的にできる限り開かれたものにしたいと考えております。換言すれば、国際性を備えた子女の育成が今後の海外子女教育の観点から重要であろうと考えております。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 大臣はどのような課題を持って帰られましたか、そのあたりお伺いしたいんです。  まず、私がいろいろと行ってみて感じましたところで、その方たちの一番の課題は高校進学です。小学校まではいいんですけれども、中学へ入った途端から子供たちの目は日本の高校進学に向いているわけですね。ですから、英語が少してき、そしてマレーシアの人たちとも親しくし、国際交流をしたいという気持ちはあっても、高校進学がどうなるだろうか。そして、子供たちの一番の悩みは、先生から聞いたんですけれども、帰ったときにいじめは大丈夫だろうか、これを一番心配している。二番目が勉強についていけるだろうか、こういうことですね。今図らずもおっしゃいましたが、学力の差はどうだろうか。それから、三番目が友人関係、一番と似ていますが、友人関係はどうなのか、こういうことに心を痛めながら、そして高校へ進学できるだろうかということが一番の悩みであるわけです。  先生方に聞きましたら、高校進学は日本全国にわたっているので、それぞれの高校がどの程度だったら入れるのかという情報を収集するのが大変、それから内申書を書くのにその書式が全部違う、もうこれが大変。そして、受け入れてくれる学校が少ない。特に、私立は帰国子女はちょっとごめんなさいという学校も多いというふうなことで、先生も悩み、子供たちも大変悩んでいる。つまり、六〇%は日本に帰って受験するんですけれども、その受験のことが頭に一番にありまして、本当に今おっしゃった国際性、つまり備えた国際経験を生かすというところまでいかないということが一番の悩みであったわけです。  そして、その人たちが一様におっしゃったのが高等部の設置の要望であったわけであります。現地に高等部を設置してほしいということですね。そのことについてどのようにお考えでしょうか。

遠山敦子文部省教育助成局長

○政府委員(遠山敦子君) 今いろいろ先生の方から海外の日本人学校におられる方々、あるいは父兄の方々からの御要望の御紹介がございました。一番の悩みがいじめ、二番目が学習のおくれについての悩み、三番目が友人関係ということでございますが、これらの事柄につきましては最近は次第に国内の状況も整備されつつございます。といいますのは、日本人学校が各地に置かれ、補習授業校も整備されてまいっておりまして、現地において日本の学校への適応のための学習でありますとか、いろんなそういう情報を収集したり学力についてもキャッチアップできるようなそういう体制ができてまいったのと並行いたしまして、したがって帰ってきてからのいろんな国内の児童生徒たちとの格差というものが少なくなってまいっているというようなことが背景にあろうかと思います。  しかし、さはさりながら、なかなか外国で勉強されて生活された人たちが日本の国内の学校に入ったときの問題というのは難しい面が実際はあろうかと思います。文部省といたしましては、帰国子女教育学級を設けたり研究協力校を指定したり、あるいは教員の研修をやったり、さまざまな方策を実行いたしておりますし、また、来年度から実施されます新しい学習指導要領におきましては、海外から帰国した児童生徒などについては学校生活への適応を図るとともに、外国における生活体験を生かすなど適切に指導しろというふうなことも新しく取り入れているわけでございます。  高校への入学について、これが一番の悩みだということでございますが、私どもも従来からその面についてはさまざまな方策を立てて対応してまいっております。詳しく申し上げる時間がないかもしれませんけれども、入学、編入学につきまして受け入れの学校についてのさまざまな方策をとっております。ただ、希望者の方が特定の銘柄の高校でありますとかそういう御希望がありますので、全国各地でさまざまな方法で門戸を開いておりますが、実際にそういう特別定員枠を持っている学校に入る人たちの率は窓口よりは少ないというふうな結果にもなってございます。  したがって、それでは外国の日本人学校に高等部をということでございますが、その辺はなかなか難しい問題がさまざまにございます。ということで、現在の状況ではなかなかそれにはこたえられない状況になってございます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 これはなかなか言葉どおりには中身というものはいかないもので、本当に大使館の方も悩んでいらっしゃるし、特にクアラルンプールの福田大使は今一人だと、奥さんは子供の受験のために一緒に日本に帰っているんだというふうなことで、本当に学校ということはみんなの大きな生活上の悩みではないかというふうに思います。  もう一つシンガポールでお聞きしたんですが、最近、障害を持った子供の入学が多くなったということなんですね。ダウン症であるとか難聴、言語障害とか自閉症とか、やはりそれだけ海外に行く人がふえると障害を持った子供もふえてくるわけです。ところが、現場では養護教諭も配置されていないんですね。養護教諭はどうしているんですかと言ったら、現地の人でそういう保健の何か免許を持ったような人を採用しているんだということです。まして、障害を持った子供たちに専門的に当たれる人なんかいないわけですね。この辺も今後、養護教諭と、そういう特殊教育というんですか、障害を持った子供たちをどのように守っていくかということも、これから日本人学校もだんだん大きくなっていきますから、必要になってくると思うわけです。  いろいろな問題を聞いてまいりまして、やはりこれから教育も国際化、国際人を育てなきゃいけないという中では重要な問題だと思うんですが、時間が来てしまいましたが、大臣、最後に一言よろしくお願いします。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 私はクアラルンプールは行きませんでしたが、シドニー、シンガポールは先生方と同じところを見てきたわけでありましょう。環境は非常にいい部分もあり、例えばシドニーの日本人学校などは恵まれた立地条件だと正直思いました。ただ、シンガポールの方は世界最大の日本人学校で、まさに過大規模枝分離促進をやらなければならないんですが、シンガポールというところは土地が限定されておるわけですから、新校舎の候補地がないというので、私はシンガポールの文部大臣に対して面談をして、いわば土地探しのお願いをしてきたというような経過もあります。  本来何百人用の学校だったかわかりませんが、恐らく当初予定したのが五、六百人だとすれば、小学校の方ですが、現在三倍あるいは四倍ぐらいの人間がそこで学んでいるという中で、たしか体育館に全生徒を集めて、私がそこで、訓辞ではありませんが、あいさつをしたんです。こんな無理しでこれだけの人数を教えているんですよといういわばデモンストレーションだったのかなと、もう体育館にびっちりお子さんが詰めかける形で、ただでさえ暑いところにあれだけのお子さんがみんな来れば物すごい温度で、汗だくでごあいさつをしたとか、いろいろ印象も残して帰ってまいりまして、問題点についても十二分に把握をいたしておるつもりですから、先生からも御指導をいただきながら、こうしたいわゆる海外子女教育の問題、これは先生御指摘のとおり当然帰国子女教育というものと密接に関係をしてまいります。ですから、その点の解決がなければ、外国へ行ってせっかく国際経験を積みながらも、不安でいっぱいというのでは結局十分な国際性を身につける心の余裕もなかろう、こんなふうに考えております。  前回の文教委員会で申し上げたかと思いますが、私自身は国際性の甚だ乏しい人間なものですから、自分の子供には国際性を身につけさせたいというので、三人の子供のうち下二人の女の子と男の子、長女と次男を一年半アメリカ・オレゴン州のポートランドに女房ともどもやりまして、向こうの小学校で少しでも国際的な経験を身につけさせようということで、私もそんなことをした人間であります。ちなみに、その一年半の間は長男の朝食と弁当は全部私が作成をしたわけでございます。それは冗談でございますが、私みたいに、海外へ勤務できる可能性がゼロでございますので、あえて無理して子供を海外へ送るというようなことすらやる人間がいるわけですから、海外の会社で在勤されるというのは大変な御苦労とは思いますけれども、これは本当に国際人になる絶好のチャンスが与えられるわけですね。ところが、そのチャンスが不安の心にとらわれて生かせないということであってはいかぬ、こう思っておりますので、一生懸命やらせていただきます。

森暢子日本社会党・護憲共同

○森暢子君 以上です。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 会田であります。  百二十三国会に当たりまして、文部大臣から所信表明をお聞きいたしました。「人づくりなくして国づくりなし」、そして二十一世紀はおろか二十二世紀まで視野に入れてこれからの教育をやっていかなければいけないという非常に格調の高い所信を聞かせていただきまして、私も、そのとおりだ、こう感じました。これに関連をいたしまして幾つか大臣、関係局長にお聞きしたい、こう思います。  その一つは、初等教育、中等教育の充実の問題に関連をいたしましてであります。この文教委員会で昨年、一昨年にわたりまして私は質問をして見解をお聞きしてきたところでありますが、それは平成元年度の「我が国の文教施策」と題する教育白書の第一部で「初等中等教育の課題と展望」の中で「学校教育の諸問題」として、かつてないほど文部省は勇気を持って、今日の教育現状を踏まえて実は反省の意味も含めて幾つか提起をしています。  その一つは、今日の学校教育を取り巻いている現状を考えたときに、何としても考えなければいけないことは学校教育の画一性の問題だとみずから文部省は指摘いたしました。私もその際、同感だと言いました。東京のやることと私の住んでいる地方でやることが全く同じということはあり得ないのではないか、そういう傾向を今日生んでいるということもそのとき申し上げました。二つ目の問題は、何といっても今日の初等中等教育の過度の受験競争の問題を抜きにして語ることはできないというところで、これまた二番目に文部省自身の反省を込めて申し上げました。三番目の問題は児童生徒の問題行動等の問題でした。それはもちろん管理体制、いじめ、非行、登校拒否その他を含めまして、さまざまな重要な課題が提起されているときでありますから当然だと思います。  この議論をしたときに、反省を加えたということはかってないほど勇気があるし、それが国民の期待にこたえる教育の再出発になるであろうということを私は申し上げました。その際、ここまで診断をしたなら当然その処方せんというものは具体的に明らかにして教育分野で取り組む必要があるのではないかという指摘もしてきました。しかし、処方せんについては、前の文部大臣でありますけれども、これは中央教育審議会に諮問いたしまして、そこでこれから処方せんの具体策を考えていただくんです、こういう答弁でございました。私が一番関心あるのは、その意味では平成元年から四年目の文教行政の出発のときでありますから、その後一体これはどうなっているのかというところを当然一番関心を持っているわけであります。  そこで、初等中等教育あるいは高等教育まで含めて、今日の教育の現状を文部大臣は一体どう見ているのかということについて御所見なり見解をまず承っておきたい。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 会田先生のただいまの質問に私が全部お答えをいたしますと、ちょうど先生の質問時間がなくなってしまうのではないかと思われるくらい壮大なテーマのお尋ねの仕方なものですから、どこをどう答えたらいいかわかりませんが、一つは、まず先を見るとするならば二十二世紀まで展望をというのは、先ほども申し上げましたように、私は宮澤内閣の最年少閣僚ではありますが、既に四十三歳ですから二十一世紀の前三分の一ぐらいまでしか生きていくことはできないだろう。しかし、今の幼稚園のお子さんがきんさん、きんざん並みの長寿を全うするとどれくらいまで行くんでしょうか、二〇九〇年とかそういうような年齢まで行く、まさに二十二世紀に彼らは飛び込んでいくかもしれない。そういうことを考えますと、政治も行政も先を見ることが一番大切、洞察力が一番大切というようなことを考えるわけで、そんなことを思いますと、二十一世紀の日本は国際化社会、情報化社会でありましてというような演説がやや陳腐化してくるんではないか、もう二十二世紀の日本は、世界はどうなるかということぐらいある程度視野に入れた教育というものがもうじき必要になってくると思います。  ですから、こんなことを言うと文部省の高級官僚の皆さん方は腰を抜かすかもしれませんが、それこそ、学校週五日制のことは別にしても、次の学習指導要領の改訂とかその次の学習指導要領の改訂とか、十年周期ぐらいと仮定して申し上げれば、そのころにはもう完全に二十二世紀を見通すような考え方が生かされてこなければならないだろう。そういうふうに思いますと、教育の世界も今一つの大きな転換点を迎えているのかもしれません。  ただ、臨教審の答申にもしばしば見られたように、しかしさはさりながら、教育の世界、もちろん他の世界もそうですが、いわゆる不易と流行という問題、従来からのいいものは変えないで守っていこう、それに対して、新しく取り入れるべきものは取り入れていこうというその仕分けもまた大切だろうというふうに考えております。  先生から御指摘のあった画一性という問題については、これは個性を重視して、子供の、児童の権利条約の趣旨と私が御説明しましたように、一人一人の子供をもっと丁寧に見詰めてその個性を生かしていく、そういう教育が望まれているし、そういう教育ができる先生を教育力のある教師像として描いていきたい、こういうふうに思っております。  ですが、会田先生、ちょっと先生に議論を吹っかけるわけではありませんが、個性というものは、小学生でも中学生でも、やはり基礎、基本、学習指導要領、教科書、すなわちその基礎、基本の部屋に一たんは閉じ込めなくちゃいかぬと思うんですね。閉じ込めると出たがるわけです。おれはもっとこういう方に伸びたいというところでわかるわけで、野放しにすれば子供は自分の個性のありかもわからないんじゃないだろうか。だから、基礎、基本をしっかり教える、そのための学習指導要領がある。福島県も東京もとおっしゃったけれども、それは北海道の一番北の外れから石垣、西表、与那国等に至るまで日本列島三十七万平方キロ、どこでも最低限均一の義務教育を受けることができるというこの制度の変えてはならない不易の大変すぐれた面というものも同時に見詰めながら、そういう中で過度の画一性が弊害として指摘されてきているならば、これを個性をもっと見詰めて丁寧に育ててやるという形で解決できないだろうかというふうに思っております。  また、先生、受験についてもお触れになりまして、大変これは大問題で、私ももっともっと勉強しなければいけないと思っております。ただ、このことについては、先生に一つ御理解いただきたいと思いますのは、受験の低年齢化というのがあります。日本人は非常にブランド志向でございますから、私立学校のエスカレーター式の小学校へ入ると大学までの切符、急行券が手に入るものですから、その有名小学校への受験戦争の拡大、受験の低齢化というのはごく一部の現象ではあっても激しく行われておりまして、その小学校に比較的よく入る幼稚園のまた入園試験のための塾なんというような話も、新聞にも報道されておりますし、女房からも聞いたことがありますから、恐ろしい時代だというふうに思うことがありますが、最終的に結局このブランド志向、銘柄志向になるという事柄は社会の問題あるいは企業社会の問題にも直結をしてくるような気が私にはいたしております。  すなわち、松永文部大臣が、私の政務次官時代に教育改革の第一歩として経済界の皆様方にお会いをされて、ブランド志向というか、この学歴偏重社会打破のために皆さん方をかしてくださいと、こう頭を下げたシーンを今でも思い出すわけでございまして、中央官庁が東大出を半分にしようというのも一つの考え方かと思いますけれども、企業の方が少してもいい大学を出た人間を出世させる、そういう風潮が続けば、いわば学閥というのでありましょうか、こういう世の中が続いていけば、結局教育に関しては皆さんが総論賛成各論反対になってしまう。受験はけしからぬ、受験のために子供が余裕がなくなっているのはいけないことである、もっと子供には余裕を持たせて遊ばせなければいけない、こう言う。そして、偏差値で輪切りにするような考え方はいかぬ、しかしうちの子供だけはいいところに入れなくちゃというのが世の大勢にあるかもしれない。  ですから、世の中が変わらないと教育を変えることができないという部分があるだろう。その場合は、文部大臣とか文部省という仕事はむしろ頭を下げて回る役割じゃないだろうか。国民に広く訴え、企業に訴え、社会一般に対して、学歴偏重社会を少しでも打ち破ってくださいよ、風穴をあけてくださいよ、それが崩れていけば受験の弊害が少しずつでも除去されていくんだ、こんなことをお願いしなければいけないのではないだろうかとつらつら考えたりいたしております。  また、校内暴力関係の御指摘もありましたが、四万八千人と言われるいわゆる登校拒否、小学校八千人、中学校四万人、そして高校では十二万三千人が中退をするというような事柄が、かつて荒れる学校、今でももちろんないわけではないでしょうが、そういう校内暴力にかわって新しい不適応現象として登場をしてきております。これは今最大の教育課題の一つになってきたなと思いまして、省を挙げて取り組んでいるところでございます。  長い答弁で申しわけありませんが、最後に申し上げたいことは、そうやって初等中等教育の充実ということに関しては私どもは戦後すぐからずっと努力をしてまいりました。そして、高等教育については量的な拡大があればいいかなというような感じで事柄を進めてまいりました。ことしか、今が十八歳人口のピークを迎えているわけですが、同一年齢に二百五万人というピークを迎えるので、各私立大学の皆様方にも恒常増も臨時増もお願いをしますと頭を下げてきましたし、国公立も二百五万人に向かって門戸を広げてきたわけでありますが、今度急増から急減に一転をしていくわけでありましょう。今までは量的なことを考えてきましたが、これからは質的なことを考えてまいりませんと、いわゆる国立大学においてさえ、前の参議院文教委員会でも御質問がありましたが、施設が老朽化、狭隘化してきているという問題があって、とりあえず来年度予算では二百億円という特別施設整備費というものを組ませていただいて、国立学校設置法の改正法もお願いをして新しい仕組みを考えていこうといたしているわけです。  今まで高等教育を考えなかったわけではないけれども、どっちかというとこの議論が初中畑の方に向かってきていたのは事実なんで、ふっと気がついてみたら高等教育の条件が、研究条件もあるいは環境という意味でもすごく悪くなってしまっているというのも事実でございまして、そういう中で基礎科学ただ乗り論などというものが世界じゅうで通用をしてしまうとえらいことになりますので、同様に高等教育にも目を転じながら、懸命に努力をしていきたいというのが私の今の考え方でございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 私は今度は端的に質問していきますから、どうぞよろしくお願いします。  要するに、文部省自身が平成元年度に教育白書の中でみずから今日の教育の現状というものを三点に押さえて反省に入りました、反省に入ったけれども、その処方せんはまだ見つかりませんでしたと。したがって、その処方せんというものが見つからないのでありますから、教育を取り巻く現状というのはなかなか是正されないまま今日まで来ているのではなかろうか、こう思います。そういう意味でお聞きしたわけです。  これは多くの国民から、余りにも学校が画一的過ぎる、あるいは受験競争というものがエスカレートし過ぎる、あるいは子供がその中にあって置いてきぼり、いわゆる落後者が結果的に非行その他に走る、あるいは高校を中退する、学校には行かない、こういう現象が現実に起こっている、これをどうするかというところが最大の課題でありまして、私はまだ解消していないと思う。したがって、この処方せんを具体的に急がなければならないというところに焦点を絞って実は所見を聞きたかったんです。  そこで今度は、その次にお聞きいたしますが、したがって今日、教育現場でも親でもなるほどと思うほど教育の原点が問われているんですね。教育は何のために行うのかというところが今問われているんですよ。正直言いまして、青少年の凶悪事件というのは続発しているでしょう。金が欲しければ人を痛める、自分に気に食わなければもう消す、邪魔な者はよけてしまうというこういう傾向というのはやっぱり今日の初等中等教育の取り組みの中から、社会の中からいかんせん私は出ているんだろうと思うんです。ここまでくれば、一番悪いのは政治家だと。みんなの政治家ではありませんよ、特定の政治家ですと。これは今日の高度情報化社会あるいはマスコミあるいは性をもとにしたような文化が大変影響していることだけは間違いありませんよ。だから、今起きると一時間後にもう全部知れ渡るんでしょう。そういう時代なんですね。  文部省はことしも道徳教育を充実させますと、こう言っている。一層拡大発展させますと言うけれども、ここは今一番道徳教育を、子供たちの模範とすべきことをだれが実践していったらいいのかといったら、ある特定の政治家ですよ。もう金欲しさといえば何でも構わない、やってしまう。それが知らせたくないほど子供のところに映っているという現状でしょう。そういう意味では文部省初め現場の先生方が一生懸命やってもこれはなかなか子供はよくならない、こういう実感を実は持っている。そういう意味ではとりわけ文部大臣にも、ずっとこの高度情報化社会で生きた教材として毎日毎夜子供たちの目に映っているもの、これに対して実は所見など伺いたいわけでありますが、きょうはそこは外します。本当は文部大臣が一番力説しなきゃならないところなんです。  学校の先生はまさか授業でさわるわけにはいかないでしょう。実はなあ、証券スキャンダルというのはこういうことだぞ、リクルートというのはこういうことだぞ、共和問題というのはこういうことだぞ、佐川急便というのはこういうことだぞ、これは一切さわることができないでしょう。そうすると、新聞、テレビ、これが一方的に子供の中に入ってくるわけでありますから、これは人間不信になるのは当たり前ですよ。ましてや、それが日本の指導者たちだと言われている人たちのことでありますから、金融界にしろ経済界にしろ政界にしろ、みんな指導者の人たちですから、これが金欲しさ、自分さえよければいい、他は消す、消す中身は違いますけれども、この方式でありますから、か弱い子供たちの心情にどう映っていくかというと、これほどあしき教材はないですよ。宮澤総理は、ことしの所信表明演説で品格ある国づくりをすると言ったんです。これを子どもたちが受け取ったときにどうしますか。リクルート疑惑に揺れている総理が、いいのか悪いのかわからないけれども、自分で本当のことを言わないで、情報の中で子供たちの目や耳に入るということになったら、品格あるなどという言葉は信じませんよ。  だから、そういう意味からいうと、教育を取り巻く現状の中での三番目の、要するに非行その他を含めての問題行動というのは大人の社会が責任を負わなきゃならないというところに今は来ている、こう思うからその処方せんなどを具体的に聞きたかったわけでありますが、大臣の見解としてはわかりましたので、その次に移らさせていただきたい、こう思います。次の機会に今度は関係局長に具体的にお尋ねすることにいたします。  それでは、第二に文教予算についてお伺いいたします。  これは御承知のとおり、教育、文化、スポーツ、すべて含めまして、芸術含めまして文部省の施策というのはわかりました。しかし、何といってもその背景にある予算的裏づけというものがされていないとその事業というのは計画どおり推進されないということがあるものですから、ここをお尋ねしたい、こう思うんです。  昭和六十年代以降、国の一般会計予算の中に占める教育予算の割合というのは、このままいくとどこまで一体落ちるんだろうかという心配がありました。しかし、ついに歯どめをかけてふやしていただきました。その点については敬意を表したい、こう思います。  そこで、これと関連をしてまず一つお尋ねしたいのは、百二十二国会の予算委員会で、十二月十二日です、我が同僚議員の小林正議員が宮澤総理に質問をして、総理から財政のシーリングの問題について回答が示されました。   財政再建について大きな効果を発揮しておるわけでございますけれども、その結果として、例えば文部省関係の予算、これは御承知のように非常に人件費が欠きゅうございます。そういうところでございますと、このシーリングのもとではなかなか関連の予算が伸びにくい。金があればいいというものじゃございませんけれども、しかし必要なものはやはり必要であるので、その点は、シーリングも立派な役割を果たしてまいりましたけれども、片方でそれなりのまたデメリットもある。 ということで、このゼロシーリングの問題について文部省の教育予算との関連で見直さなければならないという見解を表明いたしました。この点について、文部大臣は総理と同じ考えであるのか、それとも総理以上に決意がかたいのか聞かせていただきます。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) いわゆる教育関係の予算については、このような予算の編成の仕方をこれ以上続けていくことは少なくとも教育大国への道を断念することにつながるのではないか。教育は金なりではない、金権教育などというものがあってはならないですが、しかしお金が極めて乏しければよりすぐれた教育をやることが不可能になってくるわけで、教育は人づくり、人づくりは国家にとっては最大の公共投資、後で大きな大きな果実を生むわけですから、先ほど申し上げたように子供は国の宝で、その宝を育てていくためにお金を使うことは最大量高度の公共投資だと私は考えております。  対米公約になるのか約束が、例えば四百三十兆円というような公共投資が云々されていく中で、あれは具体的な中身が振り分けられているものではないわけでしょうが、ああいうような形で公共事業とか公共投資が議論されるときに、今まで教育というものがどういうふうに扱われてきたかということを考えれば、まだまだ今の政治の状況は教育に対する理解が決して十分とは言いがたいと私は考えております。  そんな中でシーリングが続いてまいりました。宮澤総理が、先ほど先生が読み上げられましたような答弁をされました一他にもう一度別の機会でやや同様の趣旨の発言をされておられました。一国の総理が、シーリングというものの意義を認めつつも、これ以上シーリングを続けると文部省のような人件費が異常に大きい官庁では大変なことになり得る、デメリットを生むというふうにおっしゃられた、その発言を私は極めて重く重く受けとめていきたいと思っております。ですから、すべての国会議員が、あるいはすべての政府関係者が、みんながそういう教育の重要性を認めていただいて、このまま人件費が伸びて、それを文部省予算の枠内で消化するというような方法をとり続けると一体どうなるかという危機感を皆さんに持っていただきたい。  十年前に一兆六千億円ほどあった文部省の物件費は今一兆円になってしまいました。すなわち、物価上昇率を考えれば半分以下なのかもしれません。来年度予算では公立文教の経費を増額することができましたけれども、かつて六千億近くあったものが平成三年度予算では二千二百八十八億円というようなオーダーにまで成り下がってきておるというようなことでございまして、先ほど指摘しましたような高等教育の研究環境基盤の整備ということを考えましても、これまでの予算の組み方ではお金の出しょうがないというところまできております。ですから、今後ともに宮澤内閣の一員として、この総理発言を重く見させていただいて教育の重要性を訴え続けていきたいと思っております。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 それでは次に、学校五日制と学校運営について二、三お伺いいたします。  これは局長よろしくお願いします。というのは、文部省は月一回土曜日を九月から原則として休みとするということを決定いたしまして、「原則とする」云々というその後ろの方に非常にややこしい文章が載っかっているわけでありますけれども、これと関連をしてお尋ねいたします。  一つは、学校五日制というのは、要するに人事院が国家公務員の週休二日制というもの、これを勧告して、平成四年度の早い時期から実施をするということで行われているわけでしょう。そこで出てきたのが学校五日制であります。  学校運営というものが今日までの幾つかの過程を経てもなかなか解決できないというので、子供にゆとりを持たせなければいけない、そうでなければ個性も創造性もなかなか発揮できないというところから学校にゆとりの時間というものをまず導入しましたね。今度はゆとりの時間導入と学校運営というのはどうであったかというのが一つの問題です。そしてその次に、二つ目の問題は、今度は四週五休、六休というのがありましたね。これと学校運営とのかかわりですよ。そして、いよいよ月一回土曜日休みというのと学校運営というのがかかわってくるわけですね。  これは、ゆとりの時間を設けたときには子供もある面てはいろんな活動ができるようになったけれども、結果的に子供も忙しくなった、先生も忙しくなった、ゆとりどころではないという評価さえ出ている。今度は四週五休、六休のときには何かといったら、すべて教員は長期休業中にまとめどりだと、こうなっている。これは別に勤務時間中にゆとりが出たわけでも何でもない、子供が休んでいるときでありますから。他の学校事業にも多大の影響を及ぼした。今度は学校五日制。私も賛成でありますけれども、そこで今度は学校運営とのかかわりで基本になる学習指導要領の問題と標準時数の問題とがかかわってぐるわけですね。そこで学校運営上非常に難しい応用編が出てくる。こういった点についてどのような考え方を持っているのかを聞かせていただきたい。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 確かに標準時数とのかかわりの問題が出てくるわけでございます。ただ、私どもの検討ですと、月一回ないし二回ぐらいまでの段階までは何とか標準時数はクリアできるだろうというような予想を立てているわけでございます。  いずれにしましても、協力者会議が月一回から入るという提言をしたのは、月一回の学校五日制を導入して、そこで出てくる問題点をクリアしながら次の段階に進むべきだという提言をしているわけでございまして、私どももことしの二学期から月一回を導入するということを先般省議で決定いたしまして、それに向かって今準備を進めている段階でございます。その月一回の学校五日制の実施の状況をつぶさに見てまいりまして、次に進む場合のクリアすべき問題点は何かということを見定めて、歩きながら一歩一歩前進していきたいというふうに考えております。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 それでは、例えば今まで月曜日から土曜日までの授業時数、日課表がありまして、土曜日の三時間ないし四時間というのを月曜日から金曜日まで割り振っていくという傾向が私は出ると思いますよ。こういうことは望ましいのか、それともやむを得ないのか、余りそこまで無理することはないのか、どういう方法でしょうか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 私どもとしましては、それぞれの学校がそれぞれの対応の仕方があるんだろうというふうに考えてはおります。ただ、小中学校などでは、学校行事等をある程度精選すれば、土曜日の四時間を他の曜日に上乗せしなくても十分標準授業時間数は確保できるだろうというふうに理解をいたしております。高等学校につきましても、工夫によって授業時間数を削減するという対応で臨む学校もあるでしょうし、また一部ではそれを上乗せするということで対応する学校もあるでしょうし、それはかなりまちまちの対応があってしかるべきじゃないかというふうに私ども考えております。いずれにしましても、標準授業時間数は月一回の場合にはそう問題もなくクリアできるだろう。  例えば、ちょっと申し上げますと、東京都の具体的な例でございますが、学校で短縮授業をやっております。これはどこの学校でもやっておるんですが、同じ小学校でありながら短縮授業を年間四十三日、四十日ぐらいやっておる学校と、それから六十数日やっておる学校もあるわけでございます。もちろん、短縮授業をやるといっても、午後から身体検査を行うとか大掃除をするとか、当然学校としての事業がある場合もありますし、全然そういう事業がない場合もあるわけでありまして、そういうところもある程度見直せば十分私どもは標準授業時間数はそう無理なくクリアできるだろうというふうに感じております。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 無理なく対応できるという自信のほどを聞かせていただきまして安心いたしましたが、私はこういうことも出ると思う。例えば、土曜日を月から金まで割り振って積み重ねていって、土曜日は本来は原則としてお休みですがというのがあるわけだけれども、「原則とする」という後ろにある文章のために、土曜日に特別な行事や活動が入れられて、あえてそこに教職員が出勤をする、それもやむを得ないのではないかというような中身でありますから、ここをお尋ねしているんです。そうすると、これはゆとりを持たせるところか逆に過重になっていく傾向もあるから、そういう選択をする学校はないだろうと思いますけれども、こういう場合はどうしますか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 私どもは学校五日制というのは、先ほど先生御指摘のように、週休二日制とリンクしているんじゃないかというふうに御指摘ございましたが、学校の今の置かれておる子供たちの立場から考えて、子供たちに自由な時間を与える、同時に、子供たちの教育を学校だけではなくて家庭も社会もある程度責任を持って受け持っていただく、そういう意味で子供たちを家庭に返すという考え方で、学校五日制は子供たちの教育にとってプラスじゃないかということで踏み切ったわけでございます。そういう意味で、週休二日制が定着してまいりますと、家庭に親、まさに教育者が戻ってきているわけでございますので、私どもは、よく大臣も発言しておりますが、学校五日制、同時に社会・家庭二日制だということで、原則は家庭、社会で子供たちを引き受けるというのが原則だと思っております。  ただ問題は、そうはいっても週休二日制が必ずしも全国的にすべて二日制で定着しているわけではない。定着しているわけではない上に、かつまた共稼ぎということがこれだけ普及してまいっておりますので、土曜日の午前中、幼稚園の子供や低学年の子供が家庭にいるといってもだれもいない、親御さんも大変不安に思うというような場合には、学校の場を開放して学校にそういう子供たちに出てきてもらって、そしてそれは原則としてボランタリー、これはPTAやなんかにも今お願いしておりますが、PTAに学校区単位のボランタリーリストを近隣の町会などと一緒になってつくって、そしてそのボランタリー活動でボランタリーをやっていただく方に学校にきていただいて子供たちのいろいろな活動を援助してもらうというような仕組みも考えていかなければいけないだろうということで、PTAと相談しておりますけれども、いずれにしましてもそういう形で学校に来ていただく。  ただ、経過的に、ボランタリーの人がすぐ集まらないというような場合には、原則として先生はその日は休みにしますけれども、場合によっては先生にも積極的に協力していただくこともあり得るかもしれないのでという指摘を協力者会議の最終報告の中にも述べられているわけで、私は、経過的にもそういう場合には先生にも御協力いただきたいということもお願いをしてまいらなきゃいけないだろうというふうに考えているところでございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 家庭の教育力の回復、地域社会の教育力の回復、これを急がなければいけないということでは全く同感でありますから、その点はよくわかりましたが、私が今言っているのは、学校運営の中で土曜日を休みとするというのが原則で、その次に、地域あるいは子供たちの要請があれば出るということであれば、よほどしっかりした対応策を考えていかないとそれが日常化してしまうんではないか。  例えば、学校五日制の実験校というのを全国四十七都道府県に募集したでしょう。残念ながら東北は一校もなかったでしょう。そういうのはいいといって、東北に実験校は一校もないんです。恐らく学校五日制の実験校でなければ、その他の実験校だったら文部省はうんと言わなかったと私は思うんです。だめだ、あなたの県も一校つくってくれと言うんだったと思っているんですよ。これは学校五日制のものだから、そうかと、東北各県がそういう気持ちならこの際、実験校なくてもいいわという気持ちになったと思うんです。だから一つもやっていない。それが急に出てくる。そういう意味ですから、今みたいな対応策というものについて心配の点がありますからお尋ねいたしました。よろしくその点の御指導はお願いを申し上げておきます。  最後に、もう二つばかりお尋ねいたします。  一つは、文部省は、小学校の先生の授業時間の持ち時間数と中学校の授業時間の持ち時間数、公立の高等学校の持ち時間数などというのは平均してどのぐらいだと押さえていますか。

遠山敦子文部省教育助成局長

○政府委員(遠山敦子君) 公立学校の教員の方の週平均の担当授業時間数、これは教員統計調査といいますものを三年に一度やっているわけでございますが、最新のものにつきまして申し上げますと、これは中間的な集計でまだ正式のものではございませんが、平成三年度におきまして申しあげますと、小学校は二十一・五時間、中学校は十六・四時間、高等学校は十五・二時間となっております。ちょっと今失礼しました。平成元年度の調査でございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 もう一度言ってください。

遠山敦子文部省教育助成局長

○政府委員(遠山敦子君) 小学校が二十一・五時間、中学校が十六・四時間、それから高等学校が十五・二時間でございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 そこでお尋ねいたします。  教職員定数計画、これは第五次と第四次が完遂して、私などから言えば次の計画を平成三年度で出発させるべきだという意見を申し上げてきました。しかし、第五次、第四次完遂させたところなんで、今後の計画なども考えてみて調査する必要があるということで、平成三年度一年間調査するんだということを聞いていました。しかし、平成四年度以降の教職員の定数増の計画という問題について当面どのように考えているか、簡潔に聞かせてください。

遠山敦子文部省教育助成局長

○政府委員(遠山敦子君) 今お話しのように、現在、現行の改善計画が完成した段階での小・中・高等学校等の学級編制、それから教職員定数の配置の状況あるいは今後の児童生徒数の推移等について実態調査を実施中でございます。これは全国的な悉皆調査でございますので、いろいろデータチェック等を現在行っているところでございます。今後のあり方につきましては、その実態調査の結果あるいは財政状況等踏まえまして慎重に検討してまいりたいという段階でございます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 最後に文部大臣、例年、教育予算の編成期になりますと、事務職員、学校栄養職員の義務教育費国庫負担制度堅持の問題が出てくるんですね。そこで文部大臣は、基幹職員であるので義務教育費国庫負担制度は堅持しますと常に言うんです。  そこで、決意のほどをお聞かせ願いたいんですが、もう六年も七年も八年もこういう問題を続けるということは決していいことではない。これは文部大臣の気持ちで続いているわけじゃありませんよ。それは絶えず大蔵省の関係で動いているわけでありますが、文部大臣として平成五年度以降もこの決意は変わらないという気持ちがあるなら、この際間かせていただきたい。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 変わりません。前にも申し上げましたように、教員の先生方は確かに授業を担当しておられますが、事務職の先生方も子供さんから見ればいわゆる事務の先生、栄養職員は栄養の先生、そうした先生たちが一体となって一つの学校が成立をし、そこで教育が行われているわけでございます。教育というものは決して授業時間中だけのものではなくて、およそお子さんたちが学校にいる時間の教室の中であれ外であれ、すべてが教育でありまして、その全体が教育効果を生み出すものでありますから、そうした点で学校事務職員、栄養職員の皆様方も基幹的職員であるからして常に国庫負担制度の対象でなければならない。  大蔵省は毎年刺客を放ってこれを刺しに来る、こういうような言い方を——お化けが出ると言ったんだ、大蔵省派遣のお化けが出ますということを参議院の予算委員会だったか何かで私が表現をして、やや不穏当だったんですが、今は刺客と言いましたが、これもやや不穏当で取り消すべきかもしれませんが、どうも財政当局がこれをねらってくるというようなことが続いていますね。これをとにかく説得してでもやめさせていきたい、しかしまた同じことがあれば断固これは我々は譲らないという方針で臨みます。

会田長栄日本社会党・護憲共同

○会田長栄君 ありがとうございました。終わります。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 大臣の所信表明演説の中で、「心豊かでたくましい青少年の育成」を目指すとあります。青少年の音楽との出会いのチャンスをもっともっと多くしたいという私の考えから、前回、ガット・ウルグアイ・ラウンドの知的所有権の分野で、レコードレンタルについていろいろと大きな問題があるということを御質問させていただいたわけです。  ドンケル・ペーパーで出された部分を拝見しますと、かなり前進しているなというふうに私は受けとめたのですが、その後また、昨今の新聞報道によりますと、全米のレコード協会と日本のレコードレンタル商業組合との間で交渉が難航しているということなんですけれども、そのあたりの事情をちょっと御説明いただけませんか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) ちょっと政府委員の前に私が……。  具体的内容は次長からお答えをいたしますが、先生御指摘の件、RIAA、全米レコード協会と日本のレンタル商組との間の話し合いということをおっしゃいましたね。今その点をお尋ねですが、もちろん先生御承知で聞いておられると思いますが、私ども若者文化を守るという観点からCDのレンタル問題について大変悩みましたのは、この問題を二つに分けてとらえなければならないというか、二つの問題が同時に押し寄せてきたからでございます。  一つは、いわゆるガット・ウルグアイ・ラウンドのドンケル・ペーパーでまとめられましたように、アメリカ等の国々はそもそもレコードレンタル制度というものを認めたくないということでありました。私ども懸命に努力をいたしまして、文化庁の方々が数カ月間日本を離れて交渉に当たるというようなこともあって、ドンケル・ペーパーではいわゆるグランドファーザー条項というものが適用されたわけですね。すなわち、現在既にレコードレンタルの報酬請求権制度が行われておった場合に、その正当な報酬が払われて、マテリアル・インペアメントというんですから、実質的な損害を与えないというようなケースならばこれは存続してもいいだろう。しかし、現在いわゆる貸しレコード業界というのがなくてこれからやりたいと考えている国々があると思うんですね、開発途上国を中心にして。そうしたところは、日本のレコードレンタルという方法は若者に音楽文化を普及させるにはとてもすぐれた制度だと彼らは見ているわけですが、現にない場合はこれはドンケル・ペーパーでは認められないということで、何か喜んでいいのか喜んでいけないのかという非常に判断に迷う結果なわけですね。  ただ、先生御承知のように、それと同時に、改正著作権法が平成四年の一月一日から施行される。すなわち、今までは野放しであった洋盤の著作隣接権に関してこれを認めるというのが改正著作権法で、本年一月一日からこれが施行になる。その問題とガット・ウルグアイ・ラウンドの問題というのは一応切り離して考えなければいけない。  すなわち、改正著作権法で外国にも認めた著作隣接権は、御承知のように一年間の許諾禁止権と四十九年間の報酬請求権から成っておる。そして、全米レコード協会の方はある種の妥協をして、すなわち、十二月三十一日までに発売をした新譜は一月にすぐ貸してもいいですよ、しかし一月一日以降に発売されたものは一年間許諾禁止権を発動し続けますから、発売後一年以上たたないとレンタルで貸してはいけませんよ、こういうことでやってきた。  このこととウルグアイ・ラウンドというのは実はダイレクトの結びつきはない。もちろん、同じ貸しレコードの問題ですから絡みはもちろんあるわけですけれども、この二つの問題が同時に起きてきて年末から年始を迎えるというんで文化庁の方々も大変苦労し、私どもも心配をしたわけです。  ウルグアイ・ラウンドの方はグランドファーザー条項ということで、ウルグアイ・ラウンドの決着がいつだかわかりませんから、この方向で恐らくいくのであろうと思いますけれども、例の改正著作権法によって外国の方々に、著作隣接権者に認めた権利というもの、これを本来ならば話し合いによって期間を縮めて、一年間許諾禁止権を発動し続けるのではなくて、できるだけ速やかに貸すことをお認めいただいて、それに対して十分な報酬を払うという形に移行すれば、いわゆる洋盤のレコード大好きな日本の若者も喜ぶわけですが、そこのところの交渉が実は難航しておる、こういうことでございまして、これより詳しいことは吉田次長から御答弁申し上げます。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、若干補足いたしますと、今申し上げたような猶予措置を踏まえましてレンタル組合の方は一月以降も交渉を継続しておりますが、外周のレコード会社にはレンタルが販売の方に影響をするというような認識があるようでございまして、現在までの交渉ではこの考え方を変えるに至っておらず、また、国内のレンタル業者から具体的な条件提示ということにまだ至っておらない面もございまして、外国レコード会社の一年間レンタルを禁止したいという意向は現在も非常に強い状況のようでございます。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 そうしますと、もし一年間の禁止期間を全米レコード協会の方が譲らないとしますと、これはすなわち若い人たちが一年間洋盤をレンタルできないことになるわけなんですけれども、これで日本のレンタルシステムにどのくらいの打撃があるとお考えでしょうか。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 御指摘の点につきましては、現在のCDないしレコードの貸し出しの状況でございますが、邦盤につきましてはこれが大体七割弱を占める、洋盤については三割強を占めるということでございます。仮に一年ということを譲らずに一年間が貸与許諾権によって禁止されるということになりますれば、御案内のように洋盤について影響が出てくるということは否定できないと思います。ただ、一年たって発売後一年以降のものについてはレンタルができるということになりますれば、例えば現在ビートルズなんかもまだ非常に多くの人に聞かれているということでございますので、洋盤がすべてだめになるということではない、しかし影響が出てくることは免れないのではないか、こういうふうに考えます。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 一年以内の洋盤を青少年たちがどのぐらい望んでいるかということは、それこそ文部省の方でもおわかりだと思いますし、一年たったCDが本当に青少年たちに両手を広げて受け入れられるかというと、ちょっとこれは疑問だと思うんですね。  ですから、今ちょっと漏れ聞いたんですけれども、疑似レンタルという方法でもって、業者が中古CDを一定金額で買い戻すという約束でもって若者たちに売っている、そういうこともあるやに伺いましたんですけれども、このことについてどういう見解をお持ちでしょうか。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 御指摘の疑似レンタル、これはいろいろな考え方があろうかと思いますが、典型的なものはいわゆる買い戻し特約のついた譲渡ということで、一定期間経過後、レンタル料金相当額を差し引いて店がお客さんからCDなりレコードを買い戻す、いわゆる買い戻し特約つき譲渡というのが典型的な例であろうかと思いますけども、これにつきましては、現在の著作権法二条の八項によりまして明確にこれは著作権法上の貸与に当たる、こういう規定をしておりますので、これを無断にやれば著作権法に違反するということは法律上明確になっておるわけでございます。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 それからもう一つ、レンタル業者の方が、日本のレンタル業者なんですけれども、ことし一月施行された改正著作権法をもう一度再改正するように運動したいというようなこともおっしゃっているようですけれども、そのことについてはどうお考えでしょうか。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 著作権法の再改正と申しますか、具体的に考えますれば、著作権法を改正して、現在ございます一年の貸与許諾権、四十九年の報酬請求権という制度的なシステムを、例えば貸与許諾権を廃止するなりまたは短縮する、こういう考え方あるいは御意見であろうかと存ずる次第でございますが、このことは特に国際的に見まして極めて困難ではないかということでございます。  端的に申しますれば、一つには、ただいま大臣が御説明申し上げましたようなガット・ウルグアイ・ラウンドでの交渉の中で、ドンケル・ペーパーによりまして日本の現行制度に認められた特例措置、これを崩して、ウルグアイ・ラウンドの基調でございます隣接権者に対しても五十年の貸与許諾権を与えるという、この五十年の貸与許諾権のみという事態も招きかねないということで、ある意味では非常に大きな国際的な摩擦を招きかねないというようなことが考えられるわけでございまして、この点につきましては、申し上げましたように極めて困難なことではないかというふうに存ずる次第でございます。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 そういたしますと、残された道は当事者間の交渉ということになるわけなんです。  文部大臣もおっしゃいましたように、青少年の音楽を聞くチャンスをやはりどうしても今回のことで狭めたくはないし、それにやっぱり、今おっしゃいましたように法の再改正をしないということになりますと、では、それぞれがいい知恵を出し合って何とかしなきゃいけない問題になるんですけれども、こじれかけた問題についてこれから一体どういうふうに対応していかれるのか。そして、もしそれがこじれた状態で何カ月か続くということになりますと、これはレンタルシステム全体の問題にもなりますものですから、これについてやはり文部省自身がきちんとした見解を出していただきたいと思いますし、そのことがやっぱりこれからの日本の音楽業界の遵法姿勢ということにもかかわっていくと思いますので、その辺のことをお聞かせいただきたいと思います。最後に大臣にそのことについて御意見を伺いたいのですが、先に事務方の方で具体的に少しお話しいただきたいと思います。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 御指摘の点でございますが、その前に、現在貸し出しの七割弱を占める邦盤につきましては、当然のことながら今後も貸し出しは可能というような状況があるわけでございます。問題の洋盤につきましてでございますけれども、現在のところ今年度内が一つの猶予期間になっておりますのでございますので、当面は、さらに今年度の交渉の中で引き続きの実質的な交渉、レンタル商業組合とアメリカの各レコード会社との実質的な交渉を継続していただく。さらに四月以降も自粛措置、これは本年一月以降発売の洋盤新譜はレンタルしない、こういうことでございますが、その自粛措置を四月以降も継続しつつ実質的な交渉を行うようレンタル関係者に要請をしてまいりたいと思うわけでございます。  こういった交渉がまとまらないという事態は、仮にそういう事態になった場合におきましては、文部省といたしましてもこのレンタル商業組合を所管しております通産省ともよく連絡をとりながら対応策についても検討してまいりたい、このように考えております。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 結局、米とかそういうウルグアイ・ラウンドの大問題が次々報道されておりますけれども、やはりこのドンケル・ペーパーの内容は、先ほど申し上げましたようにある意味では非常に厳しいんですね。つまり、先ほど肥田先生の御質問に対してうちの吉田次長が、著作権法の改正を考えれば、いわゆるグランドファーザー条項を特別に日本だけ認めてやるみたいな形のものがぶっ飛んで、もう著作隣接権も、五十年のいわゆる貸与許諾禁止権、いわゆる報酬請求権という貸与という制度を認めないという形にいつでも移行できるようなそんな刀を突きつけられているような形にも読めるんですね。  だから、なかなかまだ厳しい状況が続くんだということを、米だけじゃありません、TRIPというのは大変なんですということをずっとお願いし続けてきているところであります。ですから、次長が申し上げましたように、それは通産省にも、あるいは委員長の古巣の外務省の皆様方にもとにかく懸命に努力をしていただきたいとお願いを続けておりますし、わたしは総理、官房長官にも格別のお願いをしてまいったところでございます。  そしてもう一つは、これはむしろ委員長に私からお尋ねしたいんですが、私も英語力がないものですから、マテリアル・インペアメントというんですか、マテリアリーにインペアするというのは日本語で何て訳すのかなというところなんですね。実質的な権利侵害行為があるというふうに訳すのか、マテリアルというのは物質がななんてよく字引引きながらみんなで議論をするわけですが、そういう文言が入っているということは、今後これが一応のおさまりをみせたときにも、日本のその報酬請求権に基づく報酬、すなわち対価、代金では我々の権利は守れない、確かにこの日本の新著作権法によってレコード店に貸し出しを認めているけれども、しかしこの料金では我々はマテリアリーにインペアメントされているんだ、こういうふうに言われたときにはまた厳しいことが起こり得るんですね、今からそういう悲観的なことを私が何も申し述べる必要はないのかもしれませんが。  ですから、当分の間なかなか苦しい状況が続きますので、私も文化庁のしりをたたき続けてまいりますが、これはもう日本の国全体の、若者文化全体の問題であるというふうにお考えいただいて、諸先生方にも御理解と御協力をお願いをしたいと思っております。

大木浩自由民主党

○委員長(大木浩君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩     —————————————    午後一時五分開会

大木浩自由民主党

○委員長(大木浩君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 今度は学校五日制について少しお伺いしたいと思うんですけれども、この五日制の調査研究協力者会議、ここで審議のまとめが出されております。この中で学力ということについて、そういう言葉が何度か出てくるわけですけれども、その学力についてちょっと私はお聞きしたいと思うんです。  子供たちにゆとりという問題がこの五日制のそもそもの精神じゃないかというふうに受け取っているわけですけれども、子供たちがすべて基本的に備えなければならない学力がどの程度のものか、そういう問題が絡んでいると思うわけです。教育課程は難し過ぎるという指摘もございますし、それに小中学校で学ぶことで大人になって不必要なこと、それからもっと深く学んでおくべきであるということ、そういうことがいろいろあると思うんですけれども、この際、必要な学力というのは大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 学力という言葉は、従来は試験でどの程度の点数がとれるかということをもって学力というふうに、あるいは成績表にどういう評価が並ぶかということによって学力、従来からそういうとらえ方が一般的であったと思いますが、これからはそういうことではなくて、学力というものを、人間が学校時代だけでなくて、大人になって人生を生き抜いていくときのさまざまな能力の基本に置かれる一つのものというふうに私は定義し直すべき時代がやってきていると思うわけであります。つまり、問題解決能力というのでありましょうか、仕事とは限りません、仕事も家庭も、あるいは子育でもあるかもしれませんが、およそ一人の人間として将来生きていくために課題を設定し、課題を解決していける力の基本に学力というものを置きかえてみたらどうだろうか、そんなふうに考えます。  すなわち、余裕がなくて、学校へ通って、家でもあるいは塾でも勉強ばかりというようなお子さんには経験が不足してしまいます。ですから、休みとする土曜日にいろいろな、さまざまな生活の体験あるいは自然体験、私は自然が大好きですが、自然を愛する気持ちを持つためには自然との触れ合いがどうしても不可欠でありましょう。そういう自然体験、あるいはボランティアの価値を見出すために奉仕体験とかいろいろな体験を休みとなる土曜日に積むことができるとすれば、そうした体験とか経験というものがそのお子さんたちが将来生きていく上には大変大きなパワーになるであろう、そういうような形で学力というものを再定義してみたらどうかというのが私の率直な考え方であります。  ちょっと妙な例を出しますけれども、これは一つの皮肉かもしれませんが、先般行われました東京大学の入学試験のあれは分離・分割方式の前期日程ですかの問題を人が届けてくれましたので見ておりましたら、国語の問題の中に「寅さん」の問題があったというのは御承知ですね。私はあの「寅さん」の映画というのはほとんど見ておりませんので、自分が受験生だったら余りいい答案を私は書けなかったであろうと思いましたが、「寅さん」だけでなくて、もう一つ現代文におもしろい問題が出ておりまして、それはいわば近代芸術というものと安土桃山時代の美術品とをツバキを題材にして比較したものなんでございます。  私はそのしばらく前に東京国立近代美術館に視察へ行って、いわゆる近代芸術と言うものを見てまいって、わかるような気がするけれども、やっぱり自分には絶対理解できないなという芸術作品を幾つか見てまいりまして、館長さんたちと多少議論をしました。それから帰ってきて、しばらくしてからその東大の入試問題を見ましたらまことによくわかるんです。つまり、近代芸術というものの特徴と日本古来の安土桃山あるいは江戸時代の作品との違いというものは見ておればわかるんです。これは一つの皮肉だというのは、それが入学試験の問題だったからであります。あの国語の問題は論述式の答えを要求しておりましたが、美術館等を好きでめぐっている子は恐らく立派な答案を書けたでしょう。机上の空論と言ってはいけないのかな、参考書ばかり見ている人間は恐らくろくな答案が書けなかったのではないかと思うと、その国語の問題の出題者はなかなか味な計らいをしてみたんではないだろうかなと思うわけです。  それが入学試験に直結するから学力論議という意味では一つのアイロニーになってしまうかもしれませんけれども、そういう意味で、お子さんたちのさまざまな経験が評価される必要があり、そのためには、評価するものが学力であるとするならば、学力というものを今までよりもっと幅広いものに置きかえてみたらどうかと私は思っております。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 学力についての今の文部大臣の御意見、本当に私も同感です。  それで、今、東大の試験のことでふっと思いついたんですけれども、この間、官僚の中の半分以上は東大の卒業生にすべきでないという宮澤総理の御意見が出まして、大臣も大変同感だというふうなコメントを出しておられたようなんです。例えば、じゃ官僚の受け入れの試験のときに今のような個性的なテストを出していこうというようなそういう御提案もなされていくおつもりなのか、それとも、例えば東大生がいかに成績がよくとも何点か点数を引いて、それでもってみんなとのバランスをとるとか、そういうことをなさろうとするのか、一体どっちなんでしょうか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) それは私の権限を越える内容で、国家公務員の採用試験というものは直接口を出すことではないわけですが、この間の問題、東大卒を半分以下に抑えようというのはなかなか本当は難しい側面がいろいろあるんですね。これは逆差別ということになれば問題が起こるし、また、どこであった議論だったでしょうか、東大への入学に関して同一校、特定高校からの出身者が多過ぎる問題もリミットを設けたらどうかという、何か中教審ですか、議論があったこともありますね。これもやっぱり逆差別ということになりますとまた問題が起きるわけです。だから、なかおか難しいことと思いますが、宮澤総理や官房長官がそういう一つのお考えを発表しておられるのは、もっとさまざまな個性の人に官界へ入ってもらってこれを活性化したらどうだろうかというふうなお気持ちではなかったか。  私は閣議の席上では、私学は特に建学の精神に基づいて個性的な教育をしているから、私学から一定の割合で上級職に入ってくるようになるとなかなかまた味な結果を招くのではないだろうかというような意見を申し述べました。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 学力ということについて本当にこれから再認識していかなければいけない大切な時期になっているんです。  そうしますと、さっきの五日制の教育課程の問題に少し戻るんですけれども、今度の学校五日制というのは明治以来の教育改革だと言われておりますし、今、大臣がおっしゃいましたように、やっぱり学力を再認識しなければいけないということになりますと、この教育課程についても技術的な面しゃなくてもう少し根本的に教育課程のあり方について考える、そういう検討会議のようなものが必要じゃないかと思うんです。大臣がさっき、二十一世紀も二十二世紀も見越してこれからの学習指導要領について考えていかなければならないということをおっしゃいましたけれども、私はあれはすぐさま実行してほしいことだと思うんです。月に一回とか二回とかの休みでは今の教育課程でもって対応はできるとおっしゃいますけれども、対応するということと積極的に進めていくということは別なんですね。ですから、私はこのチャンスにぜひとも教育課程の問題のみを取り上げていくそういう検討会議、そういうことについて大臣に御一考いただけないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 学習指導要領は、御承知のように、ことし四月から小学校、来年、再来年中学校、高校と新学習指導要領へ移行をいたしていくわけですけれども、学習指導要領には、法律の世界で言うならば、やはり法的安定性というものも要請されると思うんです。猫の目のように毎年変わるような学習指導要領であっては教科書もろくに編集できないということになりますから、そういう中でおおむね十年に一回ぐらいというサイクルが確立しているのだろうと思っております。  そして、この学校五日制との関連では、先ほどから初中局長が何度も答弁しておりますように、月に一遍二遍、土曜日を休みにする程度までだったら現行の学習指導要領でもいいかもしれないけれども、それ以上ということになれば、これは学習指導要領上の問題を考えなければならない。ということを考えますと、これは私は全く予断をもって語ることはできませんけれども、次の学習指導要領というものばまた数年あるいは十年ぐらい先ということになるわけでしょう。そのためには、教育課程審議会がいつごろ招集されるのか、そんなことを考えますと、新たな検討に入る時期というのはそんなに遠くないわけですね。そのときには、先ほどちょっと大上段に振り構えて大ぶろしきを広げ過ぎたかもしれませんけれども、それこそ二十二世紀の地球を想定するぐらいのこともあっていいと思うし、あるいはそのころに向かっての学校五日制の成り行き等も踏まえて検討が開始されることになるだろうというふうに思っております。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 今のままでどこまで行けるということじゃなくて、教育課程についてはもう少し、さっき申し上げましたけれども、ゆとりとそれから学力、そういうバランスの感覚からいいましても十年をワンクールに考えるのは少し長過ぎるような気がいたしますので、ぜひ検討していただきたいと思います。  それから、前の文教委員会でも御質問申し上げたんですけれども、五日制になってきますとますます子供たちの文化面での生活ということが大変重視されてくると思うんですね。その中で子供たちが読書をする習慣がどうもついていない。それがどうも今の教育の中で知識を詰め込み詰め込みしてきた一つの弊害であるんじゃないかということです。  学校図書館の様子を調べてみますと実に寂しい状況である。かぎが締まっているところがほとんどですし、司書教諭も置かれていない。そのことを考えてみますと、学校図書館法が当分の間司書を置かないという一項でもってこの四十年間近くどうもほうっておかれていた。ですから、学校図書館がはっきり言って死に体になっているというふうに私は感ずるわけです。そのことを前回お願いいたしまして、大臣もいろいろとその後検討していただいたと思うんですけれども、そのあたりのことについて少しお話ししていただけたらと思います。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 昨年、作家でもあられる肥田先生から同様の質問が当委員会で行われましたときに、私が、今できることは何であろうか検討してみますとお約束をいたしました。実際、学校図書館に関する調査を実施いたしたい。特に先生御指摘のとおり、司書教諭の有資格者をふやすためにも、国がやらなければいけないことはかなり多岐に及ぶと思いますし、司書教諭の有資格者がいても発令できないというような状況もございますから、全国の公立学校について有資格者の配置状況とか発令状況、あるいは発令が行われない原因、学校図書館の利用状況等についての調査を早速実施いたしたいと思っております。  前回も申し上げたかと思いますけれども、この問題、私が当時文部政務次官を終えたころからでしょうか、今、岩手県知事をやっておられる工藤巌先生が大変熱心であられたわけであります。これは与野党全体で議論もなされていたと思いますし、議員のお集まりもあるのではないかというふうに私なりに記憶をいたしておりまして、文部省として何ができるかということを調査に基づいて考えていくことはもとよりでありますが、また学校図書館法自体が議員立法だと思います。記憶に間違いなければ議員立法だと思いますので、これは与野党で話し合われて、図書館での教育がきちんと行われるような条件整備について大いに政界での議論というのもお願いをしたいと思います。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 今伺っておりまして、大変うれしい気持ちでいっぱいでございます。四十年間恐らくみんなが本当に努力しながら、まだ動けなかったその学校図書館法に関しまして、きょう文部大臣がおっしゃっていただいたことというのは学校図書館法にとっての本当に第一歩の口じゃないかなという気が私はしておりますので、くれぐれもよろしくお願いします。そして、このことでもって四十年分の子供に対する約束をしっかり守っていただきたいと思いますので、このことはくれぐれも大臣が在任中に力いっぱいやっていただきたいと思います。  それで、それに関しまして、美術館とか博物館とかいうものについてもやっぱり子供たちにもう少し開放してみた方がいいんじゃないかと思うんです。こういうことは地方自治体の方がやるべきことなんでしょうけれども、まず国立の博物館とか美術館、それからスポーツセンターなどを土曜日に子供たちに無料で自由に開放してみてはどうかという提案をしたいんですけれども、どんなふうにお考えでしょうか。

内田弘保文部省生涯学習局長

○政府委員(内田弘保君) 学校五日制に関連しまして、公共図書館初め博物館、美術館、これを大いに子供のために開放して利用していただきたいというのは、さきの青少年の学校外活動に関する調査研究協力者会議でも提唱されているところでございます。図書館についても同様でございまして、従来から青少年の読書指導が重要な課題だと考えられておりますが、さらにこれを一層工夫充実していく必要があると思います。また、開館日とか開館時間を弾力化して子供たちが大いに利用できるようなそういう工夫も必要ではないかと思います。文部省としましては、こういう提言の趣旨を受けまして図書館を子供の興味、関心に応じた活動の場としたり、学校外活動に関連した事業を行う拠点としていきたい、こういうふうに指導、助言していきたいと思います。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 受験戦争の緩和になるかどうかわかりませんけれども、さっき大臣がおっしゃいましたように、試験の中身をこれからどんどん個性的に変えていく、そのためには、経験がないと一行も書けないような試験内容もあってもいいんじゃないかという御提案、私は本当に賛成なんです。  それで、今回の美術館のことにしましても、博物館のことにしましても、ひょっとしたら私はこのがんじがらめになっている受験体制の中に一つの風穴があげられるチャンスじゃないか、それがこの五日制の一つの精神であって、ここから何か教育界にさわやかな風が吹き始めるんじゃないかという気がしておりますので、もう一度繰り返してお尋ねしますけれども、図書館のことは今とてもいいお答えをちょうだいしましたので、あと博物館だとか美術館だとかについて文部省としてはどういうふうにして開放していかれるお覚悟であるか。それから、これからもっともっと子供たちの文化について文部省がリーダーシップをとっていかれるつもりなのかどうなのかということを大臣にお伺いしたいと思います。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御承知のように、美術館とか博物館が大変重要な社会教育の施設であることは間違いがありませんが、御承知のように国立のものが非常に数が少ない。フランスのポンピドー・センターというのも見てまいりましたけれども、いわゆるナショナルギャラリーと言われるものすら日本は持っておりません。したがって、これはむしろ地方自治体あるいは民間にもすぐれた施設がいろいろあるわけですから、これらと総合的に組み合わせをして問題を解決していかなければならないと思っておりますので、これは学校五日制との絡みでそういう協力を、国立の施設はいわば直轄でございますから我々が検討すればいいことでしょうが、地方公共団体の場合にはそれなりにまた御相談を申し上げたりお願いをしたりいたさなければいけないことと思っております。五日制というものとそうした社会教育施設との関連ということについては、今、生涯学習局長からも御答弁申し上げましたように大変大きな課題として受けとめておるところでございます。  ただ、言わずもがなのことでございますが、学校五日制を言いかえて地域・家庭二日制と呼んだ場合に、それは地域のいろいろな施設でいろいろな行事があるとか、地域コミュニティーで、東京で言えば町会の青年部がいろいろな催しをやるとか、そういうことはまことに大いに結構でございますけれども、学校五日制の原点に置くべきものはやはり家庭の理解、両親というものは子供にとってやはり第一の教育者であり第一の責任者であるというふうに私は思うわけでございます。例えば、地域でいい美術館があって、あるいはどこか自然体験を得るような機会があるということにしても、子供だけでそれを見つけることができるかどうかわかりません。場合によっては、小さいお子さんであるならば親が一緒についていってあげるとか、親がそういう情操教育とか感性教育の重要性を理解しなければ子供が美術館に行くこともないであろう、そんなことも同時に考えたりいたしております。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 文部省挙げてそういうことにも協力してくださるということで、私はこれからますます、ますますというよりも、これまでは見向かれもしなかった子供の文化ということについてこれから一歩一歩私たち大人がしっかりと考えていかなければならないということを今痛感しております。  それで、今おっしゃいましたように確かに家庭の中での教育力というのがとても大切なわけですけれども、そして地域でどう受け取るかということもとても大切なんですけれども、それよりももっともっと大切なのは私は子供を信ずることだと思うんですね。ですから、子供を信ずることというのが子供の権利条約の一つの大きな精神かと思うわけです。  それで、このことは私は大臣に質問の通告ももちろんさせていただいてなかったんですけれども、もしお答えになりたくなかったら結構でございますけれども、権利条約の名称のことでございます。子供の権利条約にするか児童の権利条約にするかで随分といろんな議論が行われてきておりますけれども、私はきょうの午前中の皆さんの質問、答弁を見ておりましても、ほとんどが子供ということになっております。児童はというふうに伺った人もほとんどなかったし、児童と答えられた方もないと。そういうことにおりますと、子供という言葉はやっぱり普通の言葉じゃないかという気がしますので、法的ないろんな制約は別にいたしまして、大臣は、本当に個人的で結構でございます、感性としてお答えいただきたいんですけれども、子供の権利条約という言葉が子供たちにとって伝えやすいのか、それとも児童の権利条約というのが子供たちに響きやすいのかということについて、それは役職抜きでというのはとっても難しい話でしょうけれども、お答えいただけたらと思います。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) この場合は条約でございましょうし、法律とか条約とか政省令等、あるいはそれらを除いても行政上の専門用語とか、なかなか言葉遣いは難しゅうございまして、私のような、これでも四カ月ぐらいは内閣におるのかと思いますが、まだまだ不勉強でついていけないと思うことの方が多いわけでございます。ただ、そういう用語も大変便利な部分もあります、専門用語というものは。しかし、同時にわかりやすさとか用語からくる温かみとか、あるいはそういう用語を使うための冷たさみたいなものも世の中全く無視していいとは私は思っておりません。  児童、子供、なかなか難しい問題だと思います。幼稚園の場合は幼児、小学生は児童、中学、高校が生徒、大学が学生ですか。だから、文部省が子供と言っても、幼児、児童、生徒、学生なんていうことを覚えるのにも一苦労するような状況にありますけれども、正直言って子供という言葉には私は温かみを感じておることは間違いありません。

肥田美代子日本社会党・護憲共同

○肥田美代子君 ありがとうございました。終わります。

針生雄吉公明党・国民会議

○針生雄吉君 公明党の針生でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私が本日取り上げますテーマは、昨年の四月の本委員会でも取り上げましたが、性教育に関することであります。今、春でございまして、スプリング・ハズ・カムでもありますので、春にふさわしいテーマであると存じます。  我が党は昨年末に「今こそ、新たな「人間教育」の展開を」と題した「新・いきいきした教育のための七つの提言」を内外に向けて発表いたしまして、本年の一月末には大臣に直接申し入れを行ったところであります。その提言の中におきましても、「子どもの内面が豊かに育つ感性教育の確立を」という項目の中で、人間教育としての性教育の充実を求めて、性教育にあっては男女の性差を教えるだけではなく、生命のとうとさや人間としての生き方の共通点、男女の役割の違いとお互いの尊重など、総合的、包括的な人間教育としての性教育を充実すべきであると主張いたしております。  大臣も先般表明された所信の中で、「人づくりなくして国づくりなし」という視点から、「国づくりの基本は人づくりであり、二十一世紀はもとより二十二世紀をも視野に入れた国づくり、人づくりに向けて、文教行政の果たす役割はますます重要なものとなっております。」と述べておられます。これは我が国には現在のカオスの世界を打ち破って生命尊厳の思想を根本とした新しいコスモスを創造すべき使命があり、その新しい文明を担うべき人間教育こそが我が国の二十一世紀の国民教育の基本的課題であるという我が党の主張と軌を一にする大臣の御見解であると思います。  さて、文部省の中学校、高等学校における性教育、性に関する指導の基本的な方針につきましては、昨年もお伺いいたしましたし、また、一九八六年三月、昭和六十一年三月に出されました生徒指導資料第十九集、生徒指導研究資料第十三集「生徒指導における性に関する指導」などにも示されているところであります。  まず初めに、大臣個人としては、いわば鳩山リベラリズムで言う自由な人間教育の中で性教育はいかなる位置を占めるか、あるいは現在の文部省の中で性教育の自由はあるかというような、どういうふうにお考えになっておられるかどうかなども含めて大臣の個人としての性教育はかくあるべしという御所見をお聞かせいただきたい。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 余り得意な分野でありませんので、難し過ぎて正直言ってよくわからないという気持ちが根底にあります。  ただ、一つは、先生は昭和十二年のお生まれですね、私は二十三年の生まれで、昭和三十年代に小中学生時代を過ごしていったわけでございます。あのころは性教育というものは実際には全く行われていなかったようなものでございまして、何かそうしたことは子供に教えてはいけない、どうせ自然にどこかでわかるのだからというような風潮がありました。でも、内向したそういう性のエネルギーが決してプラスではないマイナスの方向へ出ていくというようなケースも当然あったと思います。  私は特に思うわけですけれども、これは余り当てになる話ではありませんが、例えばローマ時代を描いたテレビドラマとか映画とかありますが、西欧の場合は往々にしてこの性の表現というものが、キスするにしても抱き合うにしても、非常に日本よりは自由であった。紀元前のイタリア、ローマ時代の方が今の日本よりもそういうのが表現が自由だったのかなと思いますと、随分人類でも地域によって性というものは違ってとらえられているんだなというふうに思うわけであります。  したがって、正しい科学的な知識を児童生徒の発達段階に応じて教えていくということは当然のことでありましょうけれども、性というものは余りに奔放過ぎて乱れてはいけない。しかし、余りに抑えつけ過ぎてエネルギーが間違った方向に行くのも実に悲しいことでありますし、あるいは抑えつけるということが何か人生の楽しさとか喜びを奪うものであるとするならば、これもマイナスと言うことができましょう。  日本人は、働くことは熱心である、名誉を追うことも得意である、一生懸命仕事をする。しかし、日本人は楽しむことが下手くそではないかというのは、今はレジャーとか余暇の時代とは言われておりますけれども、世界的に見れば日本人に対する見方というのはまだまだそういう面があるのかもしれない。何か抑えつけ過ぎて人生を楽しめないというような面があらゆる場面であるように思いますし、性というものも私はその代表ではないだろうか。でも、適当なところ、最も正しいところがどこにあるかと、こういうふうに言われれば、それは先生のような専門の、先生は医師であられますが、先生には確固たる御見解がおありなのかもしれませんが、私にはまだまだ十分に答弁する能力がないというのが正直なところであります。  なお、先生から今御披瀝のありました公明党の皆様方がまとめ上げられた、特にこの生命の大切さを教えるようなそういう感性教育が重要であるという提言は、まことに興味深く感銘を持って読ませていただきました。

針生雄吉公明党・国民会議

○針生雄吉君 性教育に関しましても正しい知識の普及ということが大切だというお考えをお聞きしまして、非常に心強く思うわけであります。  先日の新聞報道によりますと、文部省では、ことしの秋の配布を目指して、高校生向けのエイズの予防教育を充実させるための指導教材を日本学校保健会に作成するよう委託しているということでありますけれども、その内容はどのようなものとなりそうか、あるいは文部省としてその方向に関して注文を出しているのかどうかをお伺いいたしたいと思います。  私は、エイズの予防教育の中身に関しては、HIVウイルス感染予防のためには具体的にコンドーム装着の指導が不可欠と考えますし、また、二次的な問題になるかもしれませんけれども、HIVウイルス感染者の個人の尊厳と人権を守るためのきめ細かな配慮が絶対に必要だと思います。特にこの二点に的を絞って担当局長さんからお答えをお願いしたいと思います。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) 学校におきますエイズの指導、これは感染症としてのエイズを正しく認識させることによりましてエイズを予防するということがまず第一。それとともに、エイズ感染者に対しまして、その偏見等を除いて人権尊重の精神を育てることが重要である。この二つの観点から、私ども医学的な立場はよく存じませんので、この二つの柱をもって新しい高校生用教材の作成をお願いしたいと考えておるところでございます。

針生雄吉公明党・国民会議

○針生雄吉君 そう言われますとかみ合いませんけれども、私は、エイズの予防教育の目指すべき目標は、いろいろあると思いますけれども、一つは、今、エイズの世界的流行によって人類存亡の危機ということが言われるわけであります。こういう言い方には異論もあるかと思いますけれども、世界に冠たる初等中等教育システムがありまして、そこで行われるべき的確な科学教育の成果をこの危機に当たって我が国が世界に対して示すべきであるというふうに考えるのです。もう一点は、より根本的には、性に対する尊厳あるいは責任というものに裏打ちされたまことの自由の追求とともに、いわば内発的な自己規律であるとか自己制御、そういったものを可能にする思想、哲学の復権、少し言葉をかえれば人間性ルネサンス、そういう流れに対する挑戦にあると考えるわけで、ちょっとつけ加えたいと思います。  次に、性教育をどこでやるべきかということは議論があるわけでございます。家庭教育、社会教育、いろいろな立場でやるべきであるということは承知しておりますけれども、現在の学校教育の中における性教育の実情というものはまことにお寒いものがあるわけであります。例えば、学校における担当の先生が明確でなかったり、あるいは担当すべき養護教諭の養成課程においてすら性教育に関するカリキュラムがなかったり、いろいろな科目の違った方が性教育を担当する場合にも、担当教諭に対する研修もろくに行われていないというのが現状なわけであります。  この現状を補う意味でも、エイズ予防教育にしても、あるいは避妊の実際的な知識の指導にしても、先生あるいは直接生徒に対して専門家である医師がそれを担当するというやり方は極めて有効であると思います。現に、福岡県や北海道あるいは香川県などでは高校に専門医あるいは専門協力医を派遣する事業を地方自治体として行っているわけでありますけれども、文部省としてはどう思うか。  学校医制度の枠外で難しいということもあると思いますけれども、特に何らかの財政的なバックアップの方法はないものか、そういうお考えはないものか。できれば学校医の定員をふやす方向にぜひともやっていただきたいわけでありますけれども、そういかないとするならば、何らかのバックアップめ方法はないのか。これは婦人科の医者だけに限らず、例えばスポーツ外傷に対する整形外科の先生とか、不登校、心の問題に対する精神科の先生方の協力、それを仰ぐための地方自治体としての教育委員会なんかの試みがあるわけでありますけれども、そういうものに対する国庫支援というものは何かできないか。幸い、児童生徒数は減っておりますし、医者の数はふえておりますので、数の上では何とかなるのではないかという感じもいたしますけれども、いかがでございましょうか。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) 児童生徒の性に関します相談、これはまず何よりも学級担任の教員がこの児童生徒の実態をよく把握した上で心身の悩み相談に当たっていくこと、これがまず基本であろうと思います。それから、その際にも、教育相談部等の設置によりまして、校内の連絡協力体制を十分とっていくということが大切であろうと思います。また、専門的に養護教諭が配置されておりますので、その専門知識を生かしまして保健室等において行っております相談活動の一層の充実、これも必要であろうと思っております。  今、先生の方の御指摘は、教育委員会に例えば産婦人科医等の専門医を協力医として委嘱して、そういった方々による相談というふうなことが行われてもいいのではないかとの御指摘であると思います。そういった仕組みが現在幾つかの県にあって、それなりの成果を上げていらっしゃるということも私ども認識しておるところでございますので、今後ともその実践的な取り組みにつきまして十分関心を持って進んでまいりたいと思っておりますが、現在、御案内のとおり、学校医といたしましては、交付税措置で三人つくっております。これを学校医として一人ふやすこと、あるいはそれ以外に現在の学校医制度の枠外に専門家を配置することは、現在の国家財政のもとでは早急には困難でございますが、将来の課題として受けとめさせていただきたいと思います。

針生雄吉公明党・国民会議

○針生雄吉君 ぜひとも近い将来の課題として解決に向けて御努力をいただきたいと思います。  局長が仰せになりましたいろいろな基本的な指導に関しては確かにここに載っております、現実の中学校、高校においてはだれが一体担当するのかとかいろんなことが。これは学校の教員室の戸棚に各学校あるわけでありますけれども、余り読んだことがない。読めば本当に理想的なことが書いてあるけれども、果たして我が校で実践できるんだろうか、あるいは実践しようと思っでもいろいろな隆路があるというのが現場の心ある先生方の悩みでもあるわけでございますので、その点につきましてもぜひとも現実的な対応をお願いしたいと思います。  次に、厚生省の担当の古いらしていると思いますけれども、次の二点をお尋ねいたします。  第一点は、ティーンエージャー、十代の妊娠中絶数というものは増加の傾向にあるわけであります。全体としての人工妊娠中絶数は、かつて百二十万件ぐらいだったのが今四十四、五万件というふうに減っておりますけれども、ティーンエージャーの妊娠中絶数の実数というものは増加の傾向にあるわけであります。その実数とすべての人工妊娠中絶数の中に占めるパーセントをちょっと挙げていただきたいんです。一九五五年と三十年後ぐらいの一九八四年と一九九一年、昭和三十年と昭和五十九年と直近平成二年か三年、恐らく平成二年だと思いますけれども、その数字についてお示しをいただきたいということが一つ。  それから、これはやっぱり中絶ということに密接に関係する問題でございますけれども、現時点で最もすぐれた効果を有する避妊、受胎調節の方法というものは経口避妊薬、いわゆるビルであると言われているわけであります。我が国でもことしの秋からいわゆる低用量ビルの発売が許可になる予定と聞いております。今、全世界では五千万人の人がビルを使っているわけでありますが、そのビルの避妊効果とコンドームによる避妊効果とを比較していただきたい。  この二点についてお教えをいただきたい。

廣瀬省厚生省保健医療局精神保健課長

○説明員(廣瀬省君) 二十蔵未満の人の人工妊娠中絶数につきましては、昭和三十年が一万四千四百七十五件です。昭和五十九年が二万八千二十件です。平成二年が三万二千四百三十一件となっております。  また、これらの数字の人工妊娠中絶総数に占める割合でございますが、昭和三十年が一・二%、昭和五十九年が四・九%、平成二年が七・一%となっております。  以上でございます。

田中慶司厚生省児童家庭局母子衛生課長

○説明員(田中慶司君) お答え申し上げます。  避妊方法と失敗率についての疫学的なデータとしては、少し古いものですけれども、米国の学者が一九六八年に発表されたものがよく引用されております。それによりますと、ある避妊方法を用いた百人の婦人が一年間に妊娠する率、すなわち失敗する率は、コンドームが一四に対してビルが〇・一ということでございます。

針生雄吉公明党・国民会議

○針生雄吉君 今の一番目の数字にもあらわれておりますように、全体的な人工妊娠中絶数というものは減っているけれども、ティーンエージャーの人工妊娠中絶数はもう三十年間で四倍、四十年間で六倍というふうに相対的な数はふえているわけであります。臨床の現場においてこういう実際の十代の未婚女性の人工妊娠中絶術を担当しなければならない産婦人科の医者の困惑というものは非常に大変なものがあるわけでありまして、特にもうかなり大きくなった十二週以上の中期中絶、いろいろな事情でその辺までわからないでいるということがあるという事情もありまして、そういう十二週以上の中期中絶が大人の五倍にもなっているわけですね。そういった事情もございます。  そういうことで、ぜひともこれは、小学校からというのは言い過ぎにしても、中学校、高校の段階できちっとした具体的な有効な避妊の方法についての知識を与えるような体制というものが必要だ。知識が与えられたからといって、すぐ学校五日制で実施をしようなんという人は余りいないはずでありますから、今二番目の御回答にもありましたように、コンドームとビルの有効性というものはもう百倍も百五十倍も違うわけでありますから、失敗率というものは。こういった正確な知識というものをやはりきちっと教えるという体制が必要ではないか。  私は、いわゆる科学的と称せれらているものが最高だとは思っていませんけれども、現時点でベストとされる科学的知識を教育の中で生徒に与えることは大変大切なことだと思います。学校教育における性教育の中でも受胎調節、避妊について現在の医学的水準から見てベストとされる知識を生徒に与えることをちゅうちよしてはならないと思います。  一九八六年三月に文部省から出されました教師向けの指導手引書の中にも性に関する科学的知識を与えることを指導の重点に挙げておるわけであります。そういう意味におきまして、この手引書の中にも、生徒指導の観点から初めて性に関する指導に焦点を絞って解説したとはいうものの、学校における性に関する指導の全体を網羅的に解説したものではない、つまり不備がいっぱいあるから、本書のみならず他の生徒指導資料や生徒指導研究資料をあわせて活用してもらいたいと言っております。  ですから、当然エイズに対してはエイズ予防のための副教材みたいなものをつくるべきであるし、あるいは最も効果的とされている受胎調節の方法である低用量ビルについての教師向けの解説、ひいては生徒への指導を取り入れるべきと思いますけれども、どうでしょうか。そういうエイズ予防のための副教材をつくるという試みと同じように、現在の受胎調節の方法の中において低用量ビルあるいはビルというものが非常に効果的であるということを強調する教材をつくるという点についてはいかがお考えか、お答えをお願いしたいと思います。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) 現在の学習指導要領解説におきまして具体的な避妊の方法につきまして、例えば生理的方法、物理的方法、化学的方法、こういったことがあるということを知らせておるわけでございます。そして、それと同時に人工妊娠中絶の害についても十分触れておるところでございます。  今、先生御指摘のビルというのは化学的方法に属するものであろうと思いますが、そういった化学的方法の中でもビルは特に有効であるというふうな先生の今の御指摘でございますが、そういった先生の御意見を十分踏まえまして、今後こういった手引書の中でどう対応していくか検討してみたいと思います。

針生雄吉公明党・国民会議

○針生雄吉君 ぜひともそれは強調していただきたいわけであります。エイズに対してはコンドームです。それから、避妊の効果についてはビルないしは低用量ビル、そういうふうにはっきり教えてあげなければわからないわけです。コーラで洗浄すれば妊娠しないなどという、それぐらいの程度の知識しか持っていないというのがティーンエージャーの一般的な誤った不正確な情報であるとも言われているわけでございますので、そういうことに関しましてはエイズの予防教育と同じぐらいの重要性を持って文部省は対処すべきであろうと思います。  最後に、質問ではなくて私の主張の一つとして申し述べたいことがあるわけであります。それは性教育への東洋医学思想の応用ということであります。  御存じのように、青春の悩みのテレホン相談なんかでも常に二〇から三〇%でトップを占めております中学生、高校生の性に関する悩みのベストワンは、男子の場合は射精に関するものであります。性教育は射精教育なりとまで言われておるわけであります。特に、これは特別な例でありますけれども、教育ママが我が子のそういった射精、自慰というような、そういう我が子の悩みを見かねて母子相姦にまで至ったなどというおぞましい事態も発生しておるわけであります。  マスターべーション、オナニー、自慰について文部省のこの手引の中にも、「仲間から教えられたり、マスコミ等で知ったり、自ら発見するなどして、多くの男子が自慰(マスターべーション、オナニー)を経験するようになり、それに対する不安や悩みを克服しなければならない。最近は女子もかなりの者が自慰を経験するようになっているといわれる。」と、その重要性は指摘しておりますけれども、この手引書の「性に関する指導事例とその考察」の中では、ケーススタディーの中ではマイナス面への配慮を求めつつも、「男子の自慰(マスターべーション、オナニー)は一般的な性行動で、多少の不安や葛藤を持ちながらもほとんどの男子は、自分なりの判断や意志力でコントロールし克服していく。」であるとか、あるいは総理府のアンケート調査の答えでは、自慰については当然だと思う、やむを得ない行為と答えている者が男子高校生の七〇・九%を占め、罪悪感を持っている者、よくない行為だと思う者は一・一%にすぎないという、そういう総理府のアンケート結果を引用しているなど、射精あるいは自慰というものがその個人にとって将来悪い影響を与える可能性が強いという立場はとっていないんです。むしろ、「自慰は無害だという表層的な指導に終わらず」云々という表現などに見られるように、自慰は無害であるというそういう考え方の傾向がにじみ出ているように感ずるのであります。  それに対する、自慰というものが有害である、無害である、有害論、無害論というものはいろいろな場面で言われておりますけれども、一つの東洋医学的な思想の考え方としては、必ずしもこれは東洋医学の代表的なものではございませんけれども、有名だという点で、皆さんがよく御存じだという点で引用したいと思うのであります。  江戸時代の儒医学者であります貝原益軒のあちわした「養生訓」というものの中に、東洋医学の一つの考え方としてこんなものがございます。私の主張を申し上げる上で参考までに申し上げたいと思うのであります。   腎は五臓の本、碑は滋養の源也。ここを以て、  人身は脾腎を本源とす。草木の根本あるが如  し。保ち養って堅固にすべし、本固ければ身安  し。という、一回お聞きになっただけではわからないと思います。   年若き時より、男女の欲ふかくして、精気を  多くへらしたる人は、土付きさかんなれ共、下  部の元気すくなくなり、五臓の根本よはくし  て、必短命なり。つつしむべし。と、こうあります。   二十歳以前をいはざるは、意あるべし。二十  歳以前、血気生発して、いまだ堅固ならず。此  持しばしばもらせば、発生の気を損じて、一生  の根本よはくなる。と、こうあります。  いずれにしても、この東洋医学的な考え方からいうと、非常にあり余って困る人は時々ガス抜きをするのは結構であるけれども、要するに生命の根本としてのそういった腎、東洋医学では泌尿生殖器の働きを腎という言葉で表現するわけでありますけれども、それを大切にしていけば長生きもできるし、健康にもなるし、寝たきりにもならないんだと、こういう教えがあるわけなんです。そういった物の見方に対しても目を向けていくということが非常に大切だと思います。  最後に、大臣、もしよろしければそういった東洋医学的な考え方に対する大臣としての個人的な御所見をお聞きして終わりたいと思います。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生から御質問の通告がありまして、先生からいただいたものでありましょうか、貝原益軒の「養生訓」の一部を先ほど読んでおりましたが、正直言ってまだ理解できない部分もあります。東洋医学という考え方は私も非常に興味がありますし、東洋医学の先生に何度もお会いをしたこともあります。西洋医学と全く物の見方が違いますから、東洋医学の場合は科学的というよりも、何か生命とか、あるいは人間のあるべき姿のようなものと健康というものを結びつけて理解しようとする傾向があるように私は理解をしておるわけでございます。  ただいまの貝原益軒の「養生訓」につきましても、単に科学的に物を言ったというよりも、人生かくあるべしという貝原益軒の人生観、あるいは人生訓のようなものと彼流の性についての考え方が結びついたものと思いますので、大変興味を持って読ませていただいたところでございます。

針生雄吉公明党・国民会議

○針生雄吉君 ありがとうございました。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 日ごろから敬愛しておる鳩山邦夫先生がこのたび文部大臣に就任したことを大変心からまずもって歓迎を申し上げるのでございます。  文部大臣は、過日の所信表明の冒頭で、教育は、我が国が創造的で活力ある文化の高い薫りを確立するために、世界に貢献していく基礎をつくる重要な要因になっておる、我が国の将来は、究極のところ教育の成果に帰するものである、国づくりの根本は人づくりであると述べられておりますが、私ももちろん同感でございます。  しかし、問題はそれをどう具体化するかというところに問題点があるやに私は思います。教育の充実は予算そのものではないにしても、重要施策をやる場合、予算によって裏づけがなければそれは実行できません。その観点から、平成四年度の文部省の予算が五兆三千百九十五億円で、対前年度に比して五・二%の増加を見ておる実態は、他の省庁の中でも比較的高い伸びを確保したという意味では大変御苦労されたものであると評価するものでございますが、バブルの崩壊によって税収が落ち込むという財政を考え、さらに文教予算の確保ということについては、先ほどからも言われるように、大変御苦労されなきゃならぬ面がございます。  いずれにせよ、これから審査する義務教育費国庫負担法の改正とか国立学校設置法、特別会計法改正案等においても工夫の跡が見られるわけでございますが、平成四年度予算において文部省としてどのような方針のもとにこれに取り組み、何を重点に取り組んできたか、その辺のところを二、三伺いたいと存じます。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 大変先生から御祝意をいただいて恐縮いたしておりますが、私から逆に申し上げるならば、田沢先生は、長年文教施策にあるいは文教政策に最も熱心な自民党の国会議員として御活躍され、みずからも私学の経営に当たってこられた方でございまして、私自身も教育問題を論じ、あるいは文部省を叱咤激励するというような会議、会合等でも先生と一緒に過ごした時間は何百時間にも上るのかもしれません。したがいまして、田沢先生がすべてを御承知の上で質問をされておられる、あるいは文部省にとってみれば最強力の応援団長として御室言をいただいていることにも日ごろから感謝をいたしております。  先生の平成四年度予算についての基本的なありようについてどうだということについて申し上げるならば、国の一般歳出の伸びが四・四九%だったのに対して、文部省予算の伸びが五・二一%であったということで、面目は保つことはできたというふうにも思いますけれども、しかし、これは従前から申し上げておりますように、人件費の割合が八割にも達するという官庁の悲しい特色でもあるわけでありまして、現に三・七一%というベースアップが国家公務員にあったということは、これはほぼそれに見合うものが学校の先生方のベースアップとなっておりますから、一%のベアで四百三十億円ぐらいの費用増となる文部省においては、それだけでも千五、六百億円の支出増という要素を持っているわけであります。  したがいまして、大変苦しい予算の中で、先生方の御支援をいただいて、まあ何とか格好だけはついたというふうには思っておりますが、それでは日本の教育行政がこれで十分できるかといえば、先生よく御承知のように、とてもこれではけたが違う、この伸びではけた違いに悪いというふうに考えるのが至当であろうと思っております。  義務教育費国庫負担法の点についても先生お触れいただきましたけれども、これも共済制度のいわば成熟化というものに伴って、この追加費用等について一般財源化を図るということをいたしたわけであります。これはもちろん自治省と十分に話し合って、大蔵大臣、自治大臣、私と三人で覚書を交わしたというようないきさつもありますが、正直言って、財政が非常に厳しい中で、こういう工夫も自治省に認めていただいたという要素がございます。  教職員の定数を千五十四人ふやしたこと。公立学校施設でことしか、ニイニイパッパとチイチイパッパではありませんが、二千二百八十八億という低水準だったということを申し上げましたが、この点については久々にアップをいたしまして二百十八億円増。私学助成はちょうどパーブレーと言われますが、七十二億円増で、これは先生御承知のように、大学が四十二億、高校以下が二十四億、設備と装置が三億、三億。四十二、二十四、三、三、合わせて七十二億という増で、まあこれも面目を保ったにすぎないということでありましょう。科研費五十七億円増。これも先生方のおかげでありますし、あとフェローシップ七億五千万円増、留学生交流が四十一億円増。そして、国立の設備のいわゆる特別施設整備資金、これが二百億円、財投のお金でございますが、確保したことと、大学院関係に五十億円を新たに獲得したこと。社会体育施設十二億円、これは生活関連ということになります。あと、先生も大変御熱心な文化財の史跡等公有化助成の拡充等に十六億円増。  多少なりともふやすことができて面目を保つことができたのは、以上申し上げたような分野であろうかと思います。しかし、これでは日本の教育行政、文化行政、スポーツ行政、学術行政がどうなるかは先生が最もよく御承知のことと存じます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 今、文部大臣がお話しされたように、大変厳しい中でよくぞそういう内容のものを積み重ねてくれたということについて、私たちも大変感謝をしておるわけでございます。  近時、科学技術等の振興策については、日本は研究ただ乗り論と言われるほど、産業力の向上とか日本の経済力の向上というものを見ても、やはり基礎研究というものがいかに大事であるかということが現実に言われております。  先般、東大の研究室を見学してくれということで私も行ってまいりましたが、大学の施設が劣化、老朽化している、教育環境が物すごく悪い。こういう問題を見るとき、我が国の将来は一体これでできるのかなという心配が率直に言ってございます。高等教育や研究関係の改善は緊急の課題と言っていいのではないだろうか。特に、大学の研究任務というものは、民間では行いにくい基礎研究、こういうところに重点を置いているし、我が国の基礎研究のおくれというものは諸外国から見てもかなり実態的に批判を受けるような状況にある。さきに科学技術会議が政府に「研究開発投資額をできるだけ早期に倍増するように」という答申を出しておりますし、研究体制の充実を求めていくことは我が国の将来にとってなくてはならない重要な課題であると私は思っております。  ちなみに、米国の一九九〇年の科学技術、国家全体の民間を含む額は日本円にすると四十九兆五千億ぐらい。日本は十二兆前後。アメリカの場合は官民半々ぐらいですね。日本の場合は八〇%が民間、二〇%前後が公立と国というようなことで、内容の格差もあるし規模も違う。こういうような現状をこのまま続けておるとするならば、現在の経済大国を維持していく日本は近い将来大きく衰退するであろうというそういう心配があります。  中でも、研究者の中枢的な実力のある者が余り大学に残らない、民間の方へ逃げていっているというようなことになるとなおさらのことではないだろうか。そういうところを総合的にきちっとした位置づけをなさって、例えば審査会などをつくるなり、あるいは検討委員会などをつくって、これから大学の研究としてはどういうものがどういうレベルでどういう年次計画でどうなっていくのか、この辺のところも含めてしっかりした研究開発に対する姿勢を打ち立てないとますますおくれていっちゃうんじゃないかという心配を私は持っております。そういう意味で、大臣はこういう問題に対してどういう決意のもとに何をやろうかという一つのお考えがあれば御所見を伺いたいと思います。

長谷川善一文部省学術国際局長

○政府委員(長谷川善一君) ただいまの田沢先生の御指摘まことにごもっともでございまして、昨年の十月の後半でございますけれども、文部省が公表いたしました教育白書、「世界に貢献する学術研究」という副題をつけまして、現在、大学が置かれております学術研究の状況、将来の展望等について記述いたしました。私ども四つの点を非常に重視いたしておりまして、今後の文部省の予算におきましても中心的な課題としてとらえていかなければならないと思っております。  まずその一つが、学術研究環境の改善ということでございまして、施設設備の改善あるいは研究者の待遇、それから研究費の増額、そういったことを図らなければならない。今、先生の御指摘のございました公費負担の割合というのが非常に落ち込んでまいっております。できるだけ公費負担、研究費の増加を図っていかなければならないということを問題点の第一として挙げております。  二番目が、これも御指摘がございましたけれども、大学における特に研究者の養成確保。若い研究者が、民間の方がかなり待遇がいいということで民間に流れていく、これをどうするか。一つは大学院の質量両面の整備充実を図るということ、もう一つは特別研究員制度、フェローシップ制度の充実を図っていかなければならないという点でございます。  それから、三つ目に学術研究の重点的推進というのを掲げておりまして、さはさりながら限られた人材、限られた経費の中でどうやっていくのかという点については、共同研究の体制などを強めまして、世界に通用するすぐれた拠点というものをこしらえていくというような点も考慮しながら重点的にやっていかなければならない。  四番目が世界各国から期待されております学術研究の面における国際貢献でございます。この点につきましても、今後、日本の研究環境をできるだけ魅力あるものにいたしまして、世界的な研究者の交流を図っていかなければならないと感じております。  科学技術会議のほかにも、臨時行政改革推進審議会におきましてもやはり研究開発投資の充実を図るように指摘されておりますし、民間では経団連もかなり強い指摘をいたしております。現在、文部省におきましても、学術審議会におきまして「二十一世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について」ということで、研究者を中心といたします学術審議会におきまして鋭意御審議いただいておりまして、ことしの夏までには答申をいただけるものと、さように考えております。  いずれにいたしましても、今後とも学術研究の推進には努力いたしていきたい、かように考えております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 問題点は的確に私はとらえていると思います。施設設備ももちろん改善しなきゃならぬ。研究者の待遇も図らなきゃならぬ。学術研究の充実強化の中で共同研究もやらなきゃならぬ。学術研究面における国際貢献、これはもう特に日本はやらなきゃいかぬと思うんですね。ですから私は、今局長さんが申されたような問題点は非常によく的確にとらえているし、これを実行すれば日本はかなりまた前進すると思う。  アメリカが今経済的にだめになったのは何かというと、やっぱり基礎研究をするという意味における優秀な研究者が民間に流れちゃって国家を支える人材になっていない、これがアメリカ社会がだめになりつつある原因だろうと私は思っておるんですが、日本も、国の研究主体が大きく研究母体を支えるという中に立って民間の研究団体がさらに大きく伸びるという、そういう相関関係があると思うんですね。だから、国がちゃんとしていなきゃ民間だけが発達するということはあり得ないんであって、両方が相関関係で交流し合いあるいは助け合ってお互いに補完し合ったときに国連というものが必ず大きく発展する。国連の隆昌は一、二の英雄にあらず、その国を組織する国民の文化、教育力にあるというのが私の哲学なんです。  ですから、そういう意味でこれからやはりこういう面に力を入れなきゃならぬというのは、日本の将来の中で学術、文化面において国際貢献をしていくということが非常に大きな比重であり、かつアジア、東南アジアの方々が日本のそういう意味における技術面においての技術移転とか学術、文化面における日本の恩恵を受けたいというのが多いわけです。PKOで何も自衛隊を海外派遣することが貢献するものじゃない、私は自民党の中ではそういう物の見方を持っている一人なんです。ですから、これから必要なものは何かといえば、国際貢献ができるという意味においては文化力、科学力、教育力というそういうものをもって世界の平和のため、人類の福祉のために貢献していく日本をつくるということになると、これは文部省の果たす役割は大変なものであると私は確信しているんですが、文部大臣、同じような決意を持っていますか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生のその哲学は大変深く共鳴を覚えるところでございまして、これから対外的には田沢先生の哲学を借用させていただこうかと思うような気持ちであります。  全くおっしゃるとおりでございまして、日本の国がこれから世界の中で繁栄をから得ていくために、しつこいようではございますが、十年後、もう二十一世紀になっておりましょうが、十年後だったらガットとかいろいろあってもまだ何とか発展、繁栄を続けることができる日本であるにしても、じゃ今から百年後、二十二世紀の入口に立ったときにどうかと言われたら、この資源のない三十七万平方キロの小さな国土に一億二、三千万人住んでおって、いわゆる加工貿易立国というのか、自分のところで資源をすべて持って自活できるという状況にない。そんな日本が世界の中で発展をきわめるというのは、当然世界からの基本的な信用というものが絶大でなければいけない。  そう思うときに、国際貢献という大きな課題が与えられていて、かつて安保ただ乗り論、フリーライドという批判がさんざんあった。でも今、基礎科学ただ乗り論というような実に嘆かわしい批判を受けて、それに十分な反論ができない日本の姿というものがある。私は戦後の生まれですから戦争のことはわからないんですが、戦後の荒廃した国土の中からこれだけの立派な経済大国をつくり上げた、教育大国とは残念ながら言えないけれども、しかし教育の世界でも相当な実績をつくり上げた先輩の方々の御努力というものには心から敬意を表さなければいけないと思っています。  ただ今日までは、いわゆる大学とか高等教育とか、先生御指摘の科学技術というようなことに関していえば、量的な拡大があればいいというふうなそういう傾向が強過ぎて、質的なものについての目が十分いがなかった。大学というと進学率はどれくらいか。県によって格差があったら、進学率や地域収容率の低い都道府県を助けなければいかぬとか、そういう議論ばかりが中心におっていた。そして、臨教審が設置されるころになって、初めてユニバーシティーカウンシル構想というのがあった。一体何だろうと思ったら、大学審議会のことですが、大学は一体何をすべきところなのか、大学とは何ぞや、大学院の位置づけはということを初めて議論する審議会をつくるということでありました。  ということは、それまでそういう学校法人を認可するとか大学の新設を認めるとか、私学の新設を認めるかということについては十分な行政をやってきましたが、大学とは一体何だろう、じゃ大学院はどうしようということを全く議論もしないできたというところに、正直言ってやはり落とし穴があったと反省を込めて言わなければならないのではないか。ふと気がついてみたら、国立大学ですら設備が狭隘化、老朽化で、これでは優秀な留学生はみんな欧米へ行ってしまうという状況。大学院は、随分ふやしてきたなと思ったんですが、定員を充足させることができない。特に博士課程になるとみんないなくなっちゃう。というのは、田沢先生御指摘のとおり、民間の方がはるかに待遇もいいし設備もいいからということになるだろう。  私は、先生がおっしゃった中で最も重要と思うのは、産学官などというと、言葉で言うのは簡単ですけれども、科学技術というのかあるいは基礎科学というのか、そういったものは大学というのは基礎科学研究の背骨のような形に存在していなければいけないのではないか。国立も私学も背骨を形成する、そこにいろいろな事業意欲に満ちた民間の研究機関というものが、あるいは企業というものが絡み合っていったときに、お互いの切瑳琢磨というか、お互いの足らざるを補うような形で科学技術というのは大変進歩する。  ですから、それから日本の国が、科学技術は日本に学べ、基礎科学も日本に学べ、日本の貢献が大きいと世界じゅうから評価されるような国にならないと、日本が孤立するとまでは申しませんけれども、世界の信頼を得ることができなくなって、経済大国としての位置からあるいは地位から滑り落ちなければならないということもあり得ると思うわけであります。  ですから、田沢先生のおっしゃった哲学を守りながら、二十二世紀まで見通す中で、この小さな国土、産業でいえば知識集約型産業で生きていくしかありません、そして科学技術立国というのは現実に可能な最も理想的な生き方であろうと思っておりますので、全力を傾けていき洗いと思っております。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 文部大臣も共通の考えのもとに国家社会、世界のために貢献する姿勢を自分も堅持するというお気持ち、大変うれしく思っております。  特に、日本の大学の中で私学が高等教育を支えておるという次元、これは平成三年度の大学数においても七五・八%、約百五十万人、公立と国立が合わせて大体五十五万人ぐらいですか。ですから、もう八〇%に近い大学生を訓育しているというのが私学であり、学校数も七五・八%に達しているという意味では、私学なくしては日本の教育はできないというような情けない現状になっているのではないだろうか。しかし、私は、それは情けないんじゃなくて、それが日本の特色であり、日本が今日先進諸国に比して力がついたというのは、民間の活力を生かす施策を有効に使ってきたという意味においては、逆にこういう構造でよかったのではないだろうかと思うのです。  ところが、御承知のとおり、私学助成という面について予算の内容を見ると、これはさっぱり私学に対しては冷たい感じを現実に持っております。これからは私学の振興というものに対しては、御承知のとおり私学振興助成法というものをわざわざつくって、そして国が私学を大切にしなければならないんだという認識のうちに、大学においては経常費の二分の一までを何とか努力しましょうというところに思いをいたし、わざわざ議員立法で私学振興助成法というものをつくったんです。それはつくったのはいいけれども、私学部長、平成三年度で助成率は全経費のうちどめくらいになっていますか。

奥田與志清文部省高等教育局私学部長

○政府委員(奥田與志清君) お答えをいたします。  先生御案内のように、これは実績が出た上で数字を出すことになっておりまして、一番新しいところでは平成二年度でございます。それで言いますと、一四・一%ということでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 一四・一%。これは私学振興法が成立したときは二〇・六%。その後順調に伸びて、昭和五十五年には二九・五%。三分の一を見るという当初の達成目標はやや達成できるなと思った瞬間、その翌年からどんどん落ちてしまって、今言うように平成二年度では一四・一%、平成三年度は一一%前後になっているんじゃないか。こういうような実態をこのまま放置するとすれば、この法律の必要性はないと僕は思う。  それならば、どうしたらいいかということを考える中で、例えば義務教育諸学校施設費国庫負担法というのがあるが、これは助成率を教室の場合は二分の一を持たなきゃいかぬ、屋内の運動場をつくるときには二分の一を負担しますよとか、あるいは建設省関係では橋とか道路の助成率というもの、厚生省の中では年金の掛金に対する補助率というもの、あるいは災害の復旧に対しては助成率をこのくらい持ちますよといって、最低限の基準をみんな決めてあるんだね。ところが、この法律だけは上限があるけれども下限を決めてないという法なんだ。だから、これはちゃんとしなきゃ、どうやったって僕はだめだと思うんだね。  何ぼでも、少なくても構わないよということでは困るんで、上限を五割とするならば、最低限を二割なら二割までやるべきであるというように最低限を保障しない限り、これは本当に安心して国のため、世界のために私学が汗を流してこれでいくぞと——やはりこれからの科学技術というものは日進月歩だから、そういう日進月歩する科学技術を支えるには支えていく施設設備を新たに買わなきゃならないわけです。買うにしても、私学の財政力じゃ買えないということになると、これは国にこれだけ補助してもらうならば、五年後を目指してこういう大型の研究施設設備をうちは買い込んで、すばらしい世界に貢献する道をつくろうという技術者を養成することができるわけです。  これは上限があっても下限がないからあってないような法律になっているということは、法制の精神からいって僕は間違っていると思うんだが、文部大臣、どう考えますか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 私学振興助成法というものは、経常経費の助成を二分の一まで、これを目標として定めて制定されたものと私は理解をいたしておるわけでございます。そして、田沢先生御指摘のとおり、この助成率が、今一四・一%という数字を奥田私学部長が発表しましたが、私が軽々に言ってはいけませんが、これは平成二年度の数字ですね。これは分母は当然二百五万人という十八歳人口のピーク目指して大学の数もふやしたし、臨時増、恒常増、全部やってまいりましたから、分母は今一番広がっているときですね。年々分母が拡大していくときです。しかも物価上昇率もありますね。  そう考えますと、平成三年度、四年度、どれくらいの数字になっているのかなと思うと、年一%ずつぐらいの、正確には一ポイントというんでしょうか、下落は避けがたいんじゃないかな、こう思うわけですね。そうしますと、一三%台か一二%台かというこれは本当におぞましい数字になっておって、田沢先生から、それではこの法律をつくった意味、法律の存在意義がないじゃないかと言われれば、私も残念ながら否定できないという本当に悲しい状況にあるわけですから、こうなりますと、私学助成の根本的なあり方の問題について、いつも申し上げておりますように、全国会議員、全内閣、全政府、できれば全国民でみんなで考え直してもらいたいという気持ちでございます。  問題は、先生おっしゃるとおり、経常経費に占める補助割合だと思います。額ではないわけですね。ところが、毎年予算のシーズンになりますと、先生方に応援をしていただくわけですが、野党の先生方にも私学助成を応援していただいて、自民党も党を挙げて、私学助成は最重点項目として二重丸、三重丸つけてやってくれる。最後には、何か変な話ですけれども、全私学連合の会長以下幹部の人たちの意地だとか、あるいは正直申し上げて文部大臣のメンツみたいなものも出てきて、最後、何億円ふえるか減るかというのが何かメンツの分かれ目みたいな話になってくるわけです。  でも、メンツが立つか立たないかといったって、もともともうメンツは立っていない。だって、例えば大学の増が四十二億円ですよね。高校が二十四億でしょう。三、三で七十二、七十二億円ふえたというのは確かに数字としては最近のふえ方の中ではまあまあだから、じゃ鳩山君まあまあだねって肩をたたいてくれるけれども、そう言っている間に助成率は分母が大きくなるから一%落ちたとしたら、井上文部大臣のときは何%落ちた、鳩山文部大臣のときには何%落ちたというふうに批判されたら、本当は私は抗弁できないわけです。  ですから、そんなことを考えますと、全く先生おっしゃるとおり、私は法律の立法趣旨は勝手に解釈をしてしまいましたけれども、このままでは私学振興助成法あってなきがごとし実態を示していると思います。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 そういうような実態を私たちは深刻に考えなければならない。これは国を思うからです。国を思うから深刻に考えなければならない。  そこで、宮澤総理は、予算委員会等においても、文教予算というものは、シーリングの枠から外せとは本人は言ってないだろうけれども、扱い方を別に工夫しなきゃならぬような表現を使っていると私は思うんですが、大臣はどういうふうに認識されていますか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、総理の前で、つまり衆議院や参議院の予算委員会等でいろいろ御質問が出ましたので、今お答えしたようなことを何度も何度も申し上げてきたわけで、そうした中で、総理、見解はどうですかという御質問も飛びまして、たしか二回ほど総理が、シーリングというものは日本の財政立て直しのためには大きな効果を発揮したけれども、人件費が極めて割合として高い例えば文部、文教予算等ではなかなか難しい問題を生んでいるというような表現をされて、私は大変力強く思いましたし、総理も正しく理解をしていただいているというふうに喜んだわけでございます。  先般の衆議院の予算委員会でも同様の質問が出まして、質問者の方は、文部大臣と大蔵大臣と両方答えると、こういうことでございまして、私はまた、文教予算の今のような仕組みであったら、これは教育大国は目指せないというようなことを申し上げて、大蔵大臣としては、大変厳しい予算の中で平成四年度精いっぱい配慮したつもりではあるけれども、なかなか予算は今財政の状況が厳しいからということをおっしゃって、最後に、総理どうですかという質問に対して、総理が、まあ鳩山文部大臣は文部大臣としてのお立場から物を言っておられて、鳩山さんも将来大蔵大臣になるときがあれば、今の羽田大蔵大臣の立場がおわかりでしょうなどというような答弁を総理がされて、何かこれはちょっとどういう意味かななどと後から考えてみたりしましたけれども。  実際、そのように大蔵大臣だって総理大臣だって、私のように文教という立場からだけ物を言えばいいというのはちょっと本当はいけないのかもしれませんが、私は今自分の所掌しております仕事が教育中心でございますから、文教予算を取らなければならないという立場から物を言うわけですが、大蔵大臣や総理大臣はそういう立場にはおありにならない。そういうおありにならないすべてを見なくちゃならない総理大臣が、一度ならず二度も文教予算のシーリング、撤廃とはおっしゃいませんけれども、シーリング問題、シーリングが文教予算に与えてきたマイナス点ということを指摘されたということは、私は大いに重く受けとめさせて、ありがたく受けとめさせていただきたいと思っているんです。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 そこで、そのありがたくはいいけれども、これをありがたくちゃんと位置づけるようにしなければならないし、それはまあとにかく、この問題については文教だけがシーリングの枠を外すというわけにはいかぬと私は思うんですね。  ですから、政府全体の予算編成について、概算要求は八月にあるわけですから、もう四月か五月ぐらいまでにこの問題について特に総理と文部大臣が会われて、教育は国の柱になるんだから国是として、今のシーリングの枠の中で対応されておったとすれば国はだめになるから、基本的な考えを検討してもらいたいということを僕は申し入れてもらいたいと思います。我々はそれに対して全面的に協力し、どうしても文教予算については別の一つの考えを持ってもらわない限り私はもう日本はだめになるんじゃないだろうかという心配をしておりますので、そういう次元で精力的に、総理もそういう認識を持っているとするならば、お二人でよく話し合っていただいて詰めてもらいたい、こういうふうに思うんですが、文部大臣いかがですか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、田沢先生おっしゃるとおり、もちろん総理あるいは大蔵大臣にも懸命にお願いをしていきたいと思っております。  実際問題として、今、予算が衆議院をいつ通過して参議院へ回ってくるかということが議論されていますね。予算の成立日はいつごろだろうと、こうしているうちに、今度はいろいろ法案を先生方にお願いをしていくわけでございます。法案が通るとか通らないとか、会期末でPKOがどうなると言っているうちに参議院選挙です。参議院選挙が激しく戦われていて、これが終わるころにはもうシーリングが出てきてしまうわけです。ということは、うかうかしているともう八月を迎えて予算の本当の骨格ができ上がってしまって、また七十三億円以上ふえるかふえないかなどというメンツがかかって、助成率が落ちていくということになりかねないということを考えますと、まさに平成四年度予算を審議している今、あるいはそれが通り、成立させていただいた場合のその直後の四月とか五月しか勝負場がないということになるわけです。  そのことを田沢先生はよく御承知で私におっしゃったんだと思いますが、ただこれは正直申し上げて、私はもちろん全力を尽くしますが、私の力ではどうにもならないほどの巨大な課題でございますので、国会全体が燃えるというような情勢を田沢先生のその太っ腹の巧みな弁舌で大いに盛り上げていただければありがたいと思います。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 場合によっては、与野党一緒で国会決議をするとか、そういう一つの方法があると思う。要するに、全体が国是として教育は大事なんだともう一遍回帰しなきゃいかぬ。昔は物がなかったから、貧しさに耐え、貧しさを克服するためにわが身を売って子供のために教育費をつくって全部都会へ出したわけですよ、あるいは地域社会に出したわけですよ。苦しければ苦しいほど、社会が貧しければ貧しいほど教育が大事だと、これは国是であったわけですよ。今は逆に豊さがおり過ぎることによって教育の本質を見失ってしまっているから、この辺のところが大きな世論を形成するには大変難しいと思う。  しかし、世論を形成するに難しいけれども、国会議員というものは、百年の国家の大計をどうするかということを考えるのが、言うならば国民に託された使命なんですよね。ですから、周りの国民はある程度教育は大事だと思うけれども、これから百年の日本を考えたとき、なお大切であるんだという声を国会議員が与野党を乗り越えて国是としてやるべきだ、国会決議やなんかできちっとした姿勢を私は出すべき時期に来ているのではないかと思うんですが、文部大臣どうですか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 全くおっしゃるとおりでございまして、前にも御披露いたしましたけれども、金丸信先生が、個人的なことを申し上げれば、私どもの一つの政治グループの長に立っておられますけれども、今からもう二年ほど前になるでしょうか、演説をされた中で、自分はいわゆる国防関係と公共事業関係のボスというふうに言われてきたし、実際にそういう仕事をやってきたが、この年になって考えてみれば、防衛費を削ってもあるいは公共事業の予算を削っても、人づくりの教育の予算は削るどころか大いにふやさなくちゃならぬということを今痛切に感ずるということを演説されて、その後、同趣旨の演説を私は十回も十五回も耳にいたしておるわけであります。  大先輩の方々もそういう機運が出てきたということは大いに勇気づけられる面がございまして、私も、田沢先生おっしゃったとおりに考えておりますので、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 まことに文部大臣は人がいいし、人間もすばらしいから、僕らと本当に心を一つにして、そういう仕事をやろうとすることになればできる人だと僕らも確信しているので、ひとつその辺のところをしっかりやらなければならぬと思っております。  それからまた、昨年の春に中教審の答申が出ております。高校のあり方、改善に関し方向性が示されたと思いますが、現在、高校教育は九五%、これは先進諸国の中では一番高い進学率だと私は思っております。非常に多様化している生徒の心を受け皿として、教育内容の中で画一化する教育ではなくして、いろいろな教育改革の中でも、若者が求める多様化に対する対応を制度の中で吸収していくことが大切ではないだろうか、私はそう思うんです。  特に、今の状況を見ると、その内容の実態は、大学進学の準備教育が中心で画一化してしまっているし、大学受験競争がそれゆえ激化しているという実相には変わりがない。そういう意味で、普通科とか職業科を総合するような新学科の設置とか、あるいは国際化、情報化に対応した高校や学科間の枠を越えた新しいタイプの高校の設置、学年の区分によらない単位制の趣旨を生かすなど、現在の高校の制度そのものの見直しを求めているとともに、やはり高校そのものだけではなくて、特に大学入試との関係のかかわり合いなどを含めて、特定の大学に特定の高校から入る割合が大き過ぎるというような問題も先ほどから出ておると思うんです。高校教育の改革は高校だけを切り離して行えるものであると、そう簡単には私は思っておりませんけれども、そういうものを含めて、高校教育の改革を進めていく文部省としての決意なり方向性というものがあれば知らせてもらいたいと存じます。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先生御指摘のとおりに、高等学校の進学率が九五%を超えているわけでございまして、確かに高校生の能力、適性、興味、関心、進路等は極めて多様化しているわけでございます。このような多様化している生徒の実態に対応して、各学校が生徒それぞれの個性を最大限に伸長させるためには選択の幅の広い教育を推進していかなければならないということは御指摘のとおりでございます。  昨年四月の中教審の答申におきましても、こういうような観点から、今先生が御指摘になりました、現在、普通科と専門学科というふうに、職業学科と分かれておりますが、これに第三の道として、両者のいいところをまとめた総合的な新学科をつくったらどうか、あるいは全日制課程における単位制高校の導入をしたらどうか、あるいは高校間の単位の互換を行ったらどうか、あるいは専修学校とも互換を行うべきではないかというようなこと、さらには英語の検定試験など民間団体で行われているそういう検定試験などの成果を高等学校教育の中にどうやって評価していくか、その道筋など、さらには多様な選択の基準を持った高校入試についても改革したらどうかというようなさまざまな提言が行われているわけでございます。  その提言を受けまして、制度の改正を要する事項につきましては、私どもの中に高校教育改革推進会議を設けまして、現在それを検討中でございます。そのうち全日制課程に単位制高校を導入する問題、それから高校間の単位互換と申しますか連携の問題等につきましては、ことしの夏までの間に最終的な報告をまとめていただいて、それに基づいて私どもは制度化に踏み切りたいと思っております。その余の問題につきましては、その段階で中間報告をいただき、そして世論にいろいろと聞いて、さらに検討をしていただいて、その後にまた最終報告をまとめていただきたい。  いずれにしましても、最終報告をいただいた事項につきましては、順次実施に移してまいりたいというふうに現在考えているところでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 局長さん、いろいろな方策を考えてくださっている、これはありがたいわけですが、特に今までに、例えば高等専門学校から大学三年に編入する資格を与えて活性化しようという一つの方策がとられていますね。それから、専修学校から大学へ入学する資格も、高等学校相当のカリキュラムを持っている専修学校ならばやりましょうといってやりました。そういう単位制高等学校をつくろうということで法律はできている。高等学校教育を活性化するための措置をいろいろやっておる。例えば大学入学資格検定試験も大いに普及されてきている。  そういうふうに今まで手直しし、活性化のための制度をたくさんつくったけれども、それが一体機能しているのかどうなのか、つくりっ放しで終わっているのかどうなのか。それをつくった結果、これだけの成果が上がってこれだけ活性化できたというようなものを数字でわかるようなことができますか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 例えば専修学校の高等課程、中学卒業生が入学する専修学校ですが、専修学校の卒業生で文部大臣が認定して大学入学資格を与えた専修学校卒業生は、毎年、私の記憶ですと二百人ぐらいは大学に進学しているというふうに記憶しております。当時私が担当課長で大学課長のときに初めてこの制度を導入したんですが、そのときに百数十名で、そのうち何人かの人は国立大学にも高等専修学校を出て入学しているという記憶がございますので、その辺の推移がどうなっているかというのは後ほどまた数字はお手元にお示ししたいと思っております。  ただ、全体に父兄の皆さん方の後期中等教育に対する要望というのは、専修学校に行くことよりもやはりみんなが高等学校へ行くから高等学校へぜひうちの子供を入れたいということで、高等学校を志向するあれがかなり強い。とこうが、実際問題として、高等学校に入った場合に自分の興味、関心に必ずしも高等学校教育が合っていないということで、先ほど来私どもの大臣がお話しになりましたとおりに、毎年十二万人程度の高校中退者が出ているということで、制度をやわらかくするバイパスをいろいろつくるということも重要でありますが、さらに高等学校そのものの教育をやわらかい、弾力的な、子供たちの多様な関心に対応できるような仕組みにすることも重要なんじゃないかということで、現在いろいろ検討していただいているところでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 大体日本人は画一化が好きなんだね。赤がいいというとみんな赤になる、白がいいというとみんな白になる、白にならなきゃはみ出しちゃうみたいに錯覚を起こしている。だから、六・三・三・四制という単線運転で人生航路があるとすれば、それに乗った方がいいことは間違いないわけです。しかし、乗りおくれた人たちがたくさん出ている現状から見ると、その路線に複合線をつくるべきだ、複々線にすべきであるという考えがこういう多様化の制度だと思うんです。ですから、従来、うちの子は高等学校へ入れつやいいけれども入れなかったから専修学校へ行った。専修学校へ行って大学へ行くバイパスがあれば私はそれはそれでいいと思うんですが、そういうものがもう常識なんですよという社会をつくらなきゃならないんです。  世論がそうだからといって、じゃ単線運転を強化したらいい、そこで救済する措置を講じたらいいといったら、これは全然進歩がない、弾力的な進歩はない。だから、単線運転のみじゃなくて複合路線をつくって、そっちから大学へ行って偉くなる人はいっぱいいるんだし、我々の同僚でも暴れん坊で余り勉強しなかった人の方がかえって実社会に出て社長として成功しているとか事業に成功している層が多い、そこに使われている優秀な優等生がいるというようなことは現実にあるわけです。ですから、余り一元化路線を考えないで、多様化路線を敷いたとするならば、追跡調査をしながらより効果あらしめるように努力してもらいたいおという気持ちがございますので、一遍それを総点検してください。またそれを後日お伺い申し上げます。  最後でございますけれども、体育局長、来ていますか。——日本は予算がなくて何も余りできないというような情けない話だけれども、フランスのアルベールビルで冬季のオリンピックをやって、これは大変成果を上げたと喜んでおるんですが、この七月にスペインのバルセロナでオリンピックが開催される。日本も大変予想外と言われるほどいい成績を冬季オリンピックで上げたということはまことに我々もうれしいことであり、日本の国民全体が、やればできるんだという自信を持ったのではないだろうか、こう思うんです。バルセロナでもぜひ日本選手が頑張ってもらいたいということを思うとき、平成十年には長野で冬季オリンピックをやるということにこれはもう決定しておるわけでございます。  そこで、今うわさになっていると思うんですが、昨年スポーツ振興に関するスポーツ振興基金が設けられたのでございますが、オリンピック選手などの選手強化の予算も含め予算が乏しいという実態が言われております。そこで、何とか財源を確保したいというような視点に立って、プロサッカーリーグの発足に合わせていわゆるサッカーくじを導入したらどうだろうかという発想が出ておりますし、我が自民党の中においても今検討をさせてもらっておるのが実態でございますので、実際事務当局として、外国の状況等を含めて何か参考になる意見があれば聞かせてもらいたいと思います。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) ことしの一月下旬でございますが、日本体育協会、日本オリンピック委員会から各政党、スポーツ議員連盟等に対しましてサッカーくじの導入につきまして要請がございました。これを受けまして自民党の文教部会におかれましては、文教部会長から直接、私ども文部省でも外国の制度について勉強をしておくようにというこういう御指示がございました。そこで、現在諸外国の類似制度につきまして私ども勉強中でございます。  例えばヨーロッパでは、イタリア、フランス、ドイツ、イギリス、スペイン、こういった国々でサッカーの試合を対象といたしましたくじが実施されております。この中で最も有名なのがイタリアのトトカルチョと言われているものでございます。これは、言葉はいかにもばくちの代表的な言葉というふうに使われておりますが、中身を私ども勉強いたしました結果、簡単に申し上げますと、この制度は制度発足が一九四六年、第二次世界大戦直後でございます。五十年近い歴史を持っております。実施者はイタリア・オリンピック国内委員会ということで、これは日本のオリンピック委員会と文部省体育局、これを合わせたような公的な存在でございます。  それから、トトカルチョの方法でございますが、毎週日曜日に開催されますプロサッカー十三試合の勝敗の予想によって行っております。  トトカルチョの当せん確率でございますが、これが何と一等当せんの確率が百六十万分の一ということでございまして、天文学的な数字でございます。例えば、私ども一番身近な連勝複式の競馬等の場合には最大で三十六分の一、こういったものと比較いたしましても大変高い確率。したがいまして、ドリームジャンボくじの一等が当せん確率二百五十万分の一から二百万分の一と言われておりますので、ほぼそれに近いような、したがいまして、一発当ててやろうというよりも、むしろその夢を買いながらスポーツ振興のため寄附を行おう、こんなことで行われているというふうに聞いております。  売上金の配分でございますが、当せん者への当せん金の還元、これが三八%、大変低うございます。日本の場合、例えば競輪競馬等の場合には七五%を当せん者へ還元しておりますが、三八%。宝くじの場合には還元率が五〇%でございます。そういったことで、結局CONIというイタリア・オリンピック国内委員会が使います経費、売り上げのうちの二五・二%使ってよろしい、こういうことになっておりまして、その額が例えば九〇年度分では約七百六十億円と聞いております。  そして、それの使い道でございますが、現実には教育団体代表等から構成されます理事会が決定をするということでございますが、民間のスポーツ団体への助成、総合スポーツ施設の整備、青少年スポーツ大会の開催等のジュニア育成、こういったことに充てられておるというふうに現在のところ把握いたしております。  まだイタリアの状況だけでございますが、今、各国に照会をいたしまして、一体どういうふうにサッカーくじが行われ、そしてそれがどういったふうに有益に機能しておるか、特に私ども文部省の立場では、青少年等に与える影響、どういったふうな点に配慮されつつ行われているか、そういった点にウエートを置きながら現在勉強中でございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 そういうような内容で先進諸国はやっているということを聞いていますが、トトカルチョという、何というか、悪名高い名称というものが普及し過ぎておるんで、今の局長の話を聞くと、日本の場合はスポーツ振興くじみたいな内容のものに相当するんだなというふうに理解しておりますが、そんなような理解でいいんですか。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) はい。ばくち、一発当ててこれでどうこうしてやろうというよりも、むしろスポーツの振興のために御寄附申し上げ、そして夢を買わせてもらう、こんなふうな性格を持つ、これは私どもが言葉で言っておるのではなくって、外国で実際にそれをやっていらっしゃる方々の言葉を、今集まってまいっておりますものを見ますと、そういったふうな観点から行っておるというふうに聞いておるところでございます。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 文部大臣、今のお話でございますが、スポーツ振興のためになる、青少年の育成にもなるしスポーツ施設等も普及できるんだというような内容のものであるとするならば、日本は文化度が高い国ですから文化的、創造的な名称を考えられて、特にこういう制度を導入する場合は幅広い国民の合意性というものを大切にすべきであろうかと思うんです。そうかといって、じゃいつまでやれば合意性ができるかというようなことを待っていたところでできっこない、だれかがどこかで決断しなきゃならぬということを考えた場合、長野の冬季オリンピックが十年ですから、その前年ぐらいまでに国民的合意性を形成するよう文部省も努力なさる、我々の方も努力をしながら、スポーツ関係の諸団体も努力しながら、導入するならばそういう意味で配慮しつつなされたらどうかなという感じを私は持っておりますが、大臣の何か所見があれば聞かせてください。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 私どもはJOCや体協が各党にお願いして回ったということを聞いておりますし、もちろん彼らと私もお会いはいたしておりますが、率直に申し上げて、スポーツに関する財源というものが他に豊富にあれば話は別かもしれません。ただ、田沢先生から御指摘のあったように、スポーツ大国を目指すと言いながら、実際にはスズメの涙のような予算しか組むことができないという実態がもちろんありまして、そういう中で一つのアイデアとして示されたものに対して自民党を中心に検討が始まったとするならば、これは先生お話しのように、国民的な合意というものが基本的になければいけない。そのためには、国民の代表である各党間の基本的な合意のようなものができ上がって、そして議員立法で提案されればというふうに基本的なスタンスを置いている次第でございます。  私は、党から勉強はしなさいよという指示をいただいたことと、また、いずれそういう制度ができ上がれば所管をするのは文部省でございますので、勉強は体育局に命じて懸命にやっておるという段階でございまして、いずれにいたしましても各党間の合意というもの、合意というか各党間で根っこからの協議をしていただければありがたいなと、つまり、自民党が案をつくって、それを各党に持っていってどうだとかいうんでなくて、自然に各党間で盛り上がってきてまとまってくるというような形になることを望んでおります。

田沢智治自由民主党

○田沢智治君 もう時間がございません。質問はいたしませんが、事前に予告をした事項について全部できなかったことをおわび申し上げると同時に、少し教育面に熱を入れ過ぎちゃって偏った質問になったかと思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。  以上。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 文部省は、社会の変化に対応した新しい学校運営等に関する調査研究協力者会議の報告を受けて、ことしの二学期から毎月第二土曜日を休業日とする学校週五日制を導入することを正式に決定したわけで、午前中からこの五日制をめぐる議論が行われてきたところです。  この学校五日制の実施については、父母や教師の間からはさまざまな不安も出ているところです。例えば、先日、私は地元の札幌でお母さん方と懇談する機会もあったわけですがへそこでも、土曜日の授業が平日に上乗せされ今以上に過密になる、ついていけない子供がふえるのではないか、あるいは塾通いがさらにふえるのではないか、あるいは共働きの家庭がふえている中で土曜日が休みになると子供の面倒が見られなくて非行に走りはしないかというさまざまな不安が出されたわけです。学校五日制の問題を考えるときは、何よりその実施が子供たちの成長にとってプラスになるのかどうかという視点で検討することが大切だと思うわけですが、きょうはその観点から学校五日制実施に伴う幾つかの問題について質問をしたいと思います。  まず、文部省はことしの二学期からの実施に当たって、土曜休業日に保護者が不在の幼稚園や小学校低学年の子供、特殊教育諸学校での対応として、学校開放の場合の指導員の配置、スクールバスの運行について必要な財源措置をとると、こうしています。まず、これに関連して伺いますが、御承知のように北海道は過疎の市町村が非常に多い、一つの町といっても大変広大だ、だから多くのところで児童生徒の通学にスクールバスを利用しています。小中学校のスクールバスで見ますと、二百十二市町村のうちの百六十一市町村、五百四十九台が運行されています。  土曜日が休業日になった場合、社会教育施設や指導員など、地域の受け入れ体制がおくれている現状ではどうしても学校開放に頼らざるを得ません。    〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕  北海道のように農業や漁業の町が多い場合はなおさらなんですね。この場合、例えば農村部や漁村部の子供が中心街の学校に行くのにスクールバスが必要です。このスクールバスの運行に必要な財源は措置されると理解してよろしいでしょうか。休業日になってもスクールバスが運行されるというふうに理解してよろしいでしょうか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先ほども御説明しましたとおりに、学校週五日制を実施する場合、私ども基本的にはまさに家庭、地域がその受け皿になっていただきたいというふうにお願いしたいわけでございます。これを一律的に全部学校に来て、そしていろいろな活動をするということになると、学校週六日制とどう違うのかと。そういう対応の仕方もやはり地域それぞれの対応の仕方があっていいんじゃないかと思っております。  ただ、先生御指摘のとおりに、そうは言うものの家庭で小学校の低学年や幼稚園の子供たちを保護する、面倒を見る親がいないというような場合にはどうするかというのが大きな問題でございまして、そういう意味で幼稚園、小学校の低学年の保護者がいなくて学校に登校するという場合には、そのための経費としまして謝金などの人件費、それから活動に要する消耗品費、材料費、それから円滑な活動のための推進委員会の設置に要する経費、それから特殊教育学校につきましてはスクールバスの運行委託費、トータルで二十八億円を普通地方交付税で積算をお願いして、そういう財源措置を講じているところでございます。  ただ、過疎地の小学校や幼稚園のスクールバスの運行委託費については、今回の措置をした普通交付税の中に積算いたしておりません。普通交付税になじまない措置であろうかと思いますが、特にそういう場合に必要ならば市町村等で適切に対応していただきたいというふうに私どもお願いしたいと思いますけれども、その種の個別の問題につきましては、まさに月一回でスタートし、一歩一歩問題をクリアしながら前進していくというふうに何回も御説明しておりますとおりに、過疎地でどうしてもそういう手当てをする必要があるんだというようなことが現実問題としてあれば、私ども十分関心を持ってフォローしていって、これは普通交付税になじまない問題ですので、特別交付税に積算できるのかできないのか、その辺については今後の検討課題として関心を持って見てまいりたいというふうに考えております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 北海道教育委員会の場合、北海道の過疎地が多い、広大な面積を持っている等々の特殊性から、実験校を四十八校選んで対応するという積極的な姿勢も持っているわけですから、人数が少ないとかそういう問題ではなくて、子供の成長という点で過疎地の対策をぜひ前向きに検討していただきたいと思います。  次に、これもまた北海道に多い小規模校の問題なんですが、この場合、学校開放を希望する子供がいれば、少数でも指導員を一人配置できるだけの財源措置がされるというふうに理解してよろしいでしょうか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 先ほどの謝金などの人件費というのは、小学校と幼稚園で全国平均しますと一園あるいは一校に各一人という積算になっております。それから、特殊教育学校につきましては、各学校に十人という積算になっております。私ども、指導員ということで積算上はなっておりますが、先ほども他の委員の御質問にもお答えしましたとおりに、指導員一人ではなかなか対応はできないだろう、むしろ地域が学校と一体となってボランタリーで支えるというのが基本じゃないかというふうに考えておりますけれども、いずれにしましても、全国的に平均すればおおむね一校当たり一人という積算になっておりますので、それは地域のそれぞれの教育委員会で対応していただきたいというふうに考えております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 それでは次に、小中学校に併設されている障害児学級の問題でお尋ねしますが、障害児学級についてはこの研究会の報告にほとんど触れられていないわけです。障害児学級の場合、二つ以上の障害を持った重度の子供がふえる傾向にあるわけで、北海道の場合、精薄の場合で二つ以上の障害を持った重い子供が二千二百四十五人のうち六百七十八人、そして情緒障害の場合八百三十一人のうち四百四十人と半分以上になっているわけです。この点で学校五日制に対応した対策が立てられないと行き場のない子供が出てくることはもう必至なわけです。  文部省は、障害児学校については、今局長も指導員の配置ということを言っておられましたけれども、障害児学級の場合については触れられていないわけですね。例えば、障害児学級がある学校について、指導員を一人ということではなく加配する必要があると思うんですけれども、そのための財源措置について考えておられますでしょうか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 障害児学級といっても、先生御指摘のとおりに、いろんな程度の子供たちが特殊学級に行っておりまして、一般的に言えば、軽度の障害のある子供が特殊学級に入っておるということでございますので、私どもとしましては、通常の子供たちが助け合って学校に行く、そして通常の子供たちがそういう子供たちと一緒になって一般的な文化活動やなんかを行うという意味で、特別な措置を講じなくても足りるんではないかということで一応この問題は対応したわけでございます。    〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕  ちなみに、実験校の中に障害児学級、特殊学級を設けている学校が幾つかございまして、私どもで調査したその実験校で、特別な対応が必要と考えられるかという質問に対しまして、ほとんどの学校が必要がない、端的に申し上げますと、対応が必要ないというのが二十、必要であるというのが二、わからないというのが一というようなそういう回答データがございます。したがって、この問題も先ほどと同じように、これから例外的に今先生が御指摘のような重度の子供を特殊学級に編入しているというような学校等、個別の事例を関心を持って見きわめていってどうするかということを考える課題がなという感じでございます。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 実験校の例で、必要がないという回答が多く寄せられたということですけれども、この中の障害の程度によってもまた違ってくると思いますし、中身については子細に検討していく必要があると思います。特殊学級は一般に障害が軽い子供だというふうに言われていますけれども、現実には重い障害の子供もいるわけで、その場合に文部省としても教員の配置で特別な配置をしているという事実もございますので、その実態に即してぜひ今おっしゃったように検討していただきたいというふうに思います。  次に、障害児学校の問題でお尋ねしますが、ここでは、今でも過重な父母や教師の負担がさらに大変になるのではないか、学校開放や地域での受け入れにしても、それを支える体制が保障されるんだろうかという多くの問題があるわけです。  北海道では北海道教育大学函館分校附属養護学校というのがございまして、私、昨日ここに行っていろいろお話を伺いました。五日制の試行については、父母の六三%が賛成、二〇%が反対ということで、教職員の学校開放などによる涙ぐましい努力に私も感銘を受けてきたわけですけれども、そういう努力の中でも、学校側のお話としては、受け皿という面では、学校開放などに伴う活動の必要性と父母や地域のボランティアの協力、組織性が本当に必要になってくる。日曜日だと人込みで非常に込むけれども、いろんな施設を利用するときに土曜日は比較的利用しやすい。しかし、体育館を見てもプールを見ても、今ある施設は障害児が使える施設になっていないという問題があって、やっぱりそこにもきめ細かい対応をしていかないと学校五日制は直ちになじんでいかないのではないかという問題が指摘されました。  また、やはりこれも試行校である立川養護学校のPTAでも、試行に協力してきた保護者の立場から、子供の世話をする地域活動の場所、人の確保が難しい、学校しか行き場のない子供が多く、社会性を学ぶ機会が五日制になっても少ない、それから障害児は母子密着になりがちで、休日の増加はかえって自立心を損なうことになるなどの問題点が挙げられています。そして、公的な受け皿が準備されていない状態で学校五日制を受け入れることはできない。公的なシステムをつくり、制度改革のしわ寄せが弱者にかかることのないように行政面での特別な配慮を訴えているわけです。  さらに、障害児を抱える親御さんの御苦労というのは大変なものがありまして、東京の障害児学校の父母へのアンケートでは、障害児の放課後とか休日の過ごし方について、九二%が家で過ごしていると答えています。このため、親、特に母親の苦労が大変なものになっていて、例えばこれは埼玉の越谷市ですが、十歳の知恵おくれの子供を持つ父親が、長い夏休み、新設の養護学校ではほとんど取り組みもなく体育館も開放しない、子供は朝五時半に目が覚めてから夜の八時までずっとテレビの前にいる、母親は一日じゅうつきっきりで気が抜けない状態ですと、こう話っておられました。また、目を離すとすぐいなくなるので、働きに出るときは雨戸を閉め、くぎを打っていくという母親の声。家にいると子供が奇声を上げて近所からいろいろと苦情が出るために、知り合いの家やスーパーを一日じゅう子供を連れて転々としなければならない。大変な状態だなと、私は本当に涙がでたんですけれども、こういう苦労が絶えないわけです。ですから、五日制を実施するというのであれば、これを契機としてこういう状況を改善するということが文部省主導で行われなければならないと思うわけです。  障害児の地域での生活を豊かにするためには、学童保育、児童館、公民館、図書館、スポーツセンターなど社会教育公共施設への障害児の受け入れのための条件つくり、これを進める必要があると思います。これについて文部省は詳細には把握されていないと聞いておりますけれども、文部省自身この協力者会議の報告の中で心身に障害のある子供が活動に参加したり施設を利用しやすい環境の整備に努めることが大切である、これらのことは社会教育施設以外の種々の学校外活動関連施設の整備等に当たっても配慮する必要があると、こう述べているわけですから、具体的な施策ということについて考えていただかなければならないと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

内田弘保文部省生涯学習局長

○政府委員(内田弘保君) 先生からも御指摘がありましたように、特に社会教育施設の関係で、利用者が自由に利用できるということからこの数も膨大なものでございまして、私、具体的に心身に障害のある子供の数というのは正確に把握していないわけでございます。しかしながら、そういう施設においてこれまで我々はいろんな機会にこのような心身に障害のあるお子さんたちの利用について適切に対応するようにということは十分指導してまいりましたし、これからも五日制とも関連いたしまして一層その配慮をしていきたいと思っているところでございます。  具体的には、公民館、図書館、博物館等の公立社会教育施設の整備をする場合に、心身に障害のある方々の利用に対する配慮をお願いして、その指導を強化しておりますが、具体的に言いますと、スロープとかあるいは車いす用トイレ、エレベーター、点字案内板の整備充実、こういうようなものについて、それを整備するための補助を重点的にやっていきたいというふうに思っているところでございます。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 指導を強化し優先的にやっていきたいという心強い御答弁で、ぜひやっていただきたいんです。  それの関連でもう少し質問したいんですけれども、公民館とか図書館、スポーツ施設などへの障害児の受け入れを促進するための文部省の特別な手だてということがどうしても必要なわけですけれども、今出されましたスロープとか手すりあるいは点字案内板の設置など、施設を改善する場合には補助をかさ上げするということがやっぱりどうしても必要なわけで、この問題、あるいはこれらの施設に障害児を受け入れるために指導員を特別に配置するという場合に、そのための費用について補助を行う、あるいは指導員など専門的職員の養成確保をする、送迎や介助の体制の確立なども必要になってくるわけです。こうしたことは都道府県や市町村任せにしたのではなかなか進まないと思うわけで、文部省としてはこれらを促進する手だてを特別にとるべきだと思うんですけれども、重ねてこの点をお伺いいたします。

内田弘保文部省生涯学習局長

○政府委員(内田弘保君) 御存じのように、公立の施設は都道府県あるいは市町村の設置する施設でございまして、私ども具体的に現在やっております補助のやり方は、その施設の新設のときに今申し上げましたような配慮をして、それを含めて申請しなさいということがまず一点でございます。それから、もう一つ私どもがやっておりますのは、さまざまな活動のための事業のための補助金でございまして、こういう特に心身に障害を持つような子供さんを含めまして子供たちがいろんな活動を展開するという場合に、私どもはこの費用の一部を補助するということをやって、これからもそれを充実したいと思います。  ただ、人の配置その他につきましては、これはその設置者である都道府県あるいは市町村が責任を負うというふうになっておりますので、その点への我々の援助といいますか、補助は非常に難しいというのが実情でございます。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 学校五日制は文部省として実施したいということなわけですから、それに伴ういろいろな整備ということについてはやっぱり文部省が自治体任せではなくて指導的にやっていただきたいということだと思うんで、今後この点についてはぜひ前向きに検討していただきたいということを述べまして、次の質問に移ります。  障害児のための少年少女学級というようなものもつくる必要があるのではないかと思うんです。例えば、これは東京では、学校五日制の実施を控えて、障害児が組織的に教育活動やスポーツ、文化、レクリエーション活動に親しむ、あるいは地域の子供たちとの触れ合いの場をつくるなどの目的で学校施設を利用した少年少女学級を制度化しようと取り組みを始めています。さらに、障害児のための社会教育施設をつくるということも大切だと思うんですが、これらもやはり自治体任せでは進まないわけで、国としては補助制度を新設するなど施策の抜本的拡充を図ることをぜひお願いしたいこと。  それからあわせて、学校開放等でスポーツに現しもうということは、教育大学の函館の養護学校でもプールに行きたいという声が出されていましたけれども、その保障をするという体制で考えるとまだまだ不十分だというのが実態で、プール設置は半分程度と実際おくれているわけです。これも各都道府県に任せるのではなくて、国として計画的に整備をしていただきたいし、五日制になって寄宿舎に残る子供がいれば、寮母さんなどの負担、教職員の負担は大変になってくるわけです。このためめ教職員の増員、あるいは寄宿舎の閉会に伴って子供たちが帰省するときの旅費ですね、この補助も拡充が必要になってくると思います。が、今述べたプールの設置あるいは寄宿舎の問題等は文部省がその気になればすぐにでもできるわけで、これらについてはぜひ積極的に対応していただきたいと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) 養護学校におきますプールの設置傘でございますが、現在四九・二%ということになっております。これは近年ぐっと年々伸びておりまして、私どもはこれが国庫補助申請が出てまいりましたものにつきまして優先的に採択をしておるということのあらわれであると思っております。今後とも優先採択ということはぜひ続けまして、整備の促進を図ってまいりたいと考えております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 ぜひ今述べたことについて積極的に対応していただきたいと思います。  共働きあるいは母子、父子家庭で、子供たちが放課後生活を送るのに、発達を保障するという観点でも、また子供たちの生活を守るという点でも大きな役割を果たしているのが学童保育で、私の二人の子供もこの学童保育で非常に助けられたという経験があるんです。  五日制になるとこの学童保育の役割というのはますます重要になってくるわけで、この学童保育の施設の確保とか内容、指導員の体制の充実が求められてくるわけです。そのための学童保育への国庫補助を拡充していく必要があるわけですが、現状では施設の確保さえ困難なところもたくさんあります。国の補助もまだまだ不十分ということで、これは後で厚生省にもお尋ねいたしますけれども、文部省としても施設の面で学校の空き教室とか学校用地を積極的に開放していくということが必要だと思うんです。この点、積極的な対応をぜひ要望したいんですけれども、いかがでしょうか。

内田弘保文部省生涯学習局長

○政府委員(内田弘保君) いわゆる学童保育、すなわち子供が学校から帰って、親が働きに出ていて家庭にいない子供たちの保育をどうするか。基本的にはこれは児童福祉の観点から対応すべき問題であると考えておりますが、教室や校庭等の学校施設は学校教育上支障のない限り社会教育その他公共のために利用させることができるとされております。学校施設の利用を認めるか否かにつきましては教育委員会が行うということになっております。したがって、学校施設を学童保育のために使用を認めるか否かは教育委員会が当該学校の児童に対する下校時刻等の指導や校舎管理等学校の教育の実情を踏まえた上で判断していただきたいと考えているところでございます。  文部省としては、学校から帰っても親が働きに出ていて家庭にいない児童を含め、青少年の学校外の諸活動を促進するため、学校体育施設の開放や青少年の団体活動の振興、こういうものの諸施策を今進めているところでございます。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 それでは、厚生省にお尋ねしますが、学童保育所とか児童館への障害児の受け入れに関連して、例えば東京では千六十カ所ある学童保育所で障害児を受け入れているのは二百三十八カ所、埼玉では二百五十八カ所あるうち六十四カ所、札幌の場合百十九カ所のうち障害児を受け入れるのはわずか十七カ所と、徐々に受け入れは進んでいますが、自治体によっては障害児というだけで受け入れを拒否しているところもあるわけです。  障害児の地域での生活を豊かに保障するという点で受け入れを促進する必要があると思うんです。自治体によってはいろんな努力が行われていて、東京では八四年から障害児を受け入れた場合に障害児加算という補助を行ったり、埼玉でも指導員の給与費を補助するなどなど行っているわけですけれども、国としてもこの埼玉や東京のように障害児加算といった特別な措置をすべきだと考えますし、障害児を受け入れる児童館とか学童保育所をぜひふやすための努力をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

弓掛正倫厚生省児童家庭局育成課長

○説明員(弓掛正倫君) 児童館、児童センターや児童クラブは児童に健全な遊びを提供するものでありまして、障害児も一般児童も同一の指導が可能であれば受け入れているところでございます。児童クラブは、昼間保護者のいない家庭の小学生低学年児童の育成指導に資するため、遊びを主とする地域組織の活動でございまして、本年度から新たに設けたものでございます。当面この放課後の児童対策として児童クラブの補助対象の数をふやしていくということが重要であるというふうに考えております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 ぜひ積極的に対応していただきたいと思います。  あと、大学の危機問題で、大学の病院で看護婦さんが不足している問題だとかいろいろございますが、これはまた次の委嘱審査のときにお尋ねしたいと思います。  最後に、大臣にお話を伺う前に、ちょっと違いますが、障害者の問題が続いたものですから一つだけ簡単に質問をしたいのが、ことしの三月二日付の朝日新聞で、京都の点訳ボランティアグループ「たんほぼ」というところで全国の国公私立五百十一大学のアンケート調査をして、三百四十五校が回答をしたということで、その中で過去に点字受験を実施したのかということについて、未実施校、実施していないという学校が二百七十四校、そのうち入学の希望があったにもかかわらずが五校、国立が一校、私立四校、これは問い合わせをしたけれども、数字として間違いないと言うことなんですが、受験を断ったということなんですね。  理由が、設備が整っていないということで、努力すれば解決できるのに門戸を閉ざしたというケースで、文部省としても希望者がいれば門戸を閉ざさずにやるということが求められているというふうに思うんです。これについては点字受験ができるようにということで強力な指導をお願いしたいんですけれども、この点いかがでしょうか。

前畑安宏文部省高等教育局長

○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のとおりでございまして、身体に障害のある方がそのゆえをもって受験の機会を失うということは大変残念なことでございます。  ただ、御理解をいただきたいのは、学部、学科等によりましては、教育内容とのかかわりで障害の種類、程度、それが入学後どのように勉学を続けていくことができるかといったような問題もあるわけでございまして、具体にどういう学科でどの程度の障害のある方を受け入れるかということは各大学が主体的に判断をせざるを得ないところであります。  ただ、私どもはできるだけそういう障害のある方々につきましても、種類、程度に応じて試験時間であるとか、あるいは出題、解答の方法、試験場の整備等特別な措置、これは例えて申しますと、試験時間の延長であるとか、点字、拡大文字による出題であるとか、あるいは拡大解答用紙といったようなものを用意して対処するようにということで指導をいたしておりますし、国立大学については所要の経費も大学側の求めに応じて配分もいたしております。また、私学助成においても、障害のある方が入学された場合には、その人数に応じあるいは障害に応じて所要の経常費助成の増額をする、こういう措置も講じておるところでございます。  今後とも各大学に対しましては、今先生御指摘のように、学部、学科等の教育内容にも留意をしながら、障害の程度等に応じて入学後に十分対応できる、あるいは幾らかの努力をすれば対応できるということであれば受験の機会を提供するように指導してまいりたい、このように考えております。

高崎裕子日本共産党

○高崎裕子君 時間でございますが、大臣の所信に対する御質問で全く大臣に御答弁いただかないのは申しわけないのでよろしくお願いしたいんです。  学校五日制の実施に当たっては、この前、私立の北星学園女子高にお邪魔をしましたときに、ここは明治二十年に創立して以来学校五日制を実施してきたということで、生徒の自主性を尊重し個性を伸ばす日ということで大変成果を上げているという話で、私は感銘を受けてきたんです。現状では、先ほど来述べたようにさまざまな問題が山積しているわけで、学習指導要領の問題、教職員の改善、塾の問題等々、私学助成も含めてぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思うんですけれども、大臣の決意をお願いいたします。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 学校五日制については、文部省としても方針を決定しまして、省内にも組織をつくってきちんと対応する。二学期、九月から第二土曜日を休みにするという方針を決定いたしましたから、これは初中局長が何度も答弁をいたしておりますように、月一にしてやってみて、また問題が起きたらその問題をクリアできるように段階的に実施していくということで、実験校も平成四年度は二百三十五校設けていくということで、これはあくまでも、先ほどの御質問にもお答えしましたが、子供さんの立場に立って、子供の多様な経験を将来に生かしていくというそういう明確な目的意識を持って学校五日制をぜひともやってまいりたいと思っております。  先ほどからの先生と政府委員とのやりとりをずっと聞いておりまして私なりに思いましたことは、一つの社会に大変な変革を与えるような大事業をこれからやろうといたしておる。軽々に言えませんが、もしこれが毎週学校五日というよなことになれば、それこそ土曜日ごとに何千万、少なくとも一千万とかいう単位にまで、もっと大きな数のお子さんが学校から町にあるいは家庭に出ていくということになるわけですから、大変大きな社会的な変化を伴うわけです。その変化を承知で私どもが学校五日制を導入しようと決意をいたしましたのは、そのような自然体験、奉仕体験、社会体験、生活体験、そうしたものが必ず子供さんの個性を伸ばしたり、あるいは将来難局や難問にぶち当たったときの問題解決力の増進というような点でプラスになると確信をいたしているからであります。  これをやらせていただく決意ではありますけれども、そういう大きな社会変革を伴うような事業を行う場合には、その恩恵を十二分に浴することができる人の立場以上に、せっかくの学校五日制というものの恩恵を受けることができないというか、かえってそこで困ってしまうようなハンディキャップを負った皆様方のことは真剣に配慮しなければならないということでありまして、先生からたびたび御指摘があったいわゆる障害を持たれているお子さんたちの五日制に対する対応ということについては相当あるいは全力を尽くして対策を講じていかなければならないと思っております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 私は、この文教委員会は初めての質問でございます。朝から同僚議員の質問や御提言、そしてまたすばらしい御答弁を聞かせていただきまして、さすがだというように感動させていただいております。  先ほど針生議員の方からも性の問題につきまして御質問がございましたけれども、できるだけ重ならないように私も性教育についてお尋ねしたいというように思っております。  まず、性教育のカリキュラムのことなんですけれども、幼稚園から高校までどのようになっていらっしゃるか、簡単に御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) 現在、幼稚園につきまして明確なものはないと思っておりますが、小学校以上につきましては、例えば体育の保健領域それから理科、道徳、特別活動、これらを中心といたしまして教育活動全体を通じて行うということにいたしております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 私は、やはり性教育というか、この問題は幼稚園からも大事なのではないか、発達段階に応じて必要に応じてそれぞれやっていくということが大事だと思います。しかし、文部省としてもある程度指針といいましょうか、マニュアルといいましょうか、そういうものを示してあげないと大変現場の先生も困っていらっしゃるのではないかというように思っておるわけです。もちろん、先ほど会田議員がおっしゃいましたように、画一的な教育というのは望んでいませんし、事細やかに文部省が手を差し伸べて指導していくというのは私も問題があると思っていますけれども、この性教育につきましてはやはり何らかのカリキュラムというものを、きちっとしたものを幼稚園の段階からお出しいただいた方がいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) 現在、幼稚園につきましてはございませんが、先ほど体育の保健領域、理科、道徳、特別活動、これらを中心として教育活動全体として行うということを申し上げましたが、幼稚園につきましても必要であるという先生の御指摘でございますので、例えば今度の学習指導要領改訂の機会をとらまえまして、先生の御意見等も十分にその際に検討させていただきます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。  先ほど針生議員の方から非常に格調高い性教育ということにつきまして御意見を聞かせていただきましたけれども、文部省の方から、性教育というものについて何を指導なさろうとしていらっしゃるのか、その基本理念というところをお聞かせ願いたいと思います。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) 私、先ほどから申し上げておりますが、教育活動全体を通じて行うということにいたしておりますが、それぞれの教科がございます。  体育の保健領域、これにつきましては、例えば思春期におきます体の変化、また異性への関心の芽生えなど心身の発達をより科学的に指導していく、心も体も一歩ずつ大人に近づいているぞという自覚を持たせるというふうなこと、そういったことを中心としてやっていく。それから、理科におきまして、人の発生、それから成長、すなわち生殖器のつくられ方や受精、母体内での成長について指導し、生命の連続性について理解させる、生命を尊重する態度を育てるというふうなこと、そこに中心を置いております。それから、道徳におきましては、信頼、友情、男女の協力、助け合い等を指導することによりまして、異性に対する理解と友情について指導し、人権尊重、生命尊重の精神を育てる、そんなことにウエートを置いた指導。それから、特別活動の学級活動におきましては、健康で安全な生活態度の形成について指導するということ、特にその中で、生理的な発達に適切に対応できますよう例えば初経指導についても啓示しておるというふうなことで、それぞれの教科についてそれぞれの重点の置き方があろう、それを総合したものとして児童生徒に授ける、こんなふうなことになっております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 性教育の性という字はりっしんべんに生きると書くんですね。ですから、性教育といえば下半身教育であったり性器教育であったり性交教育であったりと、そういうようなとらえ方じゃなくて、生きる心、人間としてどう生きていくのか、ヒューマンセクシュアリティーだというように私はとらえたいと思うわけです。そうしてくると、性教育をしていくその根本には、やはり人間の尊重といいましょうか、性に対する、愛し方ということ、愛というのは人間愛、人権ということだと思うんです。  今いろんな問題が起こってきて、性犯罪だとかいろんなことがありますけれども、それを見せていただきますと、どうしてもそこには男尊女卑、女性の性を男性が人間として見ていないということがあるのではないかというように心配いたしますんですが、そこら辺はどうでしょうか。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) 先ほど各教科ごとに申し上げましたが、それを統括するような形で、しかも今先生が御質問なさったことにお答えするような形でまとめてみますと、学校におきます性に関する指導、これは発達段階に応じまして、単に科学的知識を授けるということにとどまりませず、人間尊重それから男女平等の精神、こういったものに基づきました生き方をみずから身につけていくための幅広い教育としてとらまえていく、こういったふうなことを考えております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 男女平等の教育を基本に置いてということだと思いますけれども、じゃ現在の教育の中で男女平等というのは、そういう教育というのはきちっとなされているとお考えでしょうか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 男女平等に関する教育につきましては、小学校、中学校、高等学校の各学校段階におきまして社会科や道徳、特別活動等において児童生徒の心身の発達段階に応じて指導することといたしております。例えば、中学校の社会科の公民的分野におきましては、現在の家族制度の基本的な考え方が個人の尊厳と両性の本質的な平等に基づいていることを理解させるとともに、道徳において男女互いに相手の人格を尊重し健全な異性観を持つようにすることとしております。また、高等学校の現代社会におきましては、基本的人権の保障や人間の尊厳と平等等の観点から男女平等を取り上げるとともに、ホームルーム活動におきましても男女相互の理解と協力について取り扱うこととしているところでございます。  今回の学習指導要領におきましては、高等学校においては、先生御承知のとおりに家庭科を男女とも必修といたしており、男女が協力して家庭生活を築いていくということについてもこの家庭科の男女必修を通じて指導することとしているところでございます。  私どもとしましては、今申し上げましたような基本的な考え方に立って男女平等に関する教育をそれぞれの分野で一層的確に行うよう指導してまいりたいというふうに考えております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 体系的にはうまく男女平等の教育ができているというような形にはなっていますけれども、現場では先生の中でも、男の子でしょう、しっかりしなさいとか、男だろう、名前ぐらいちゃんと言いなさいとか言うわけですね。男同士の約束とか、男が廃るとか上がるとか言うわけです。また、まあ社会教育もあるんでしょうけれども、一般のところは、この間うち選挙がたくさん、行われましたけれども、○○候補を男にしてくださいなんて言うんですよね。あなた男じゃないの、それ以上男になってどうするのと。でも、男にしてくださいと言うその後には、女性に対する差別が含まれているんだということをお気づきでないわけです。  それから、先ほどちょっと気になったんですけれども、遠山局長さん、そしてまた坂元局長さんがそれぞれ御答弁の中で、父兄の方々だとか父兄の皆さんという言葉を使われた。これは言葉かもしれませんけれども、父兄というのは、今の憲法ができる前、母親が親権をいただかなかったときにはこれは父ちゃん、兄ちゃんの会でもしようがなかったんですけれども、もう新しい憲法になりまして、父兄という、字で父と兄とというようなところではおかしいのではないか。現場の先生も父兄がこう言ったからというのはまだまだ使っているし、ましてや保護者も使っている、偉い方々も使っていらっいしゃるということで、そこら辺のことをちょっと御意見を聞かせていただきたいと思います。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) そういう言葉を使っておったとしましたらまことに恐縮でございます。取り消しさせていただきまして、改めて父母とよばせていただきます。私も自分の局の課長の者から、局長はよく父兄、父兄と言うけれどもそういう言葉は使うべきではない、必ず父母という言葉を使うべきだというふうに現実に注意されておりまして、まことに恐縮でした。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 言葉の問題というのは、軽いようですけれども、大変やはり重いと思います。先ほど肥田議員の方からも、子供権利条約にするのか児童権利条約にするのかというようなことで言葉が問題にされていたと思うんです。今までの教育の中で、同和の問題だとか、また障害者の問題だとか、そういった差別に対する言葉というのは非常に教育的には成果が上がりつつある、上がっていると思います。しかし、女性に対する差別の言葉というのはたくさんあるんですが、それが指導されていないのではないかというように思います。男女平等教育に根差した教育をしてるんだといっても、現実はそうではないわけなんです。  そして、私ががっかりしたのは、この平成四年度の文部省所管予算概要説明の四ページをあけていただきたいと思うんですが、きょうも朝からたくさんその言葉が出ましたけれども、「海外子女教育」とか「帰国子女教育」とか「中国等帰国孤児子女教育研究協力校」というように、「子女」という言葉がやたらと出てくるんです。この子女の子というのは、私、中国へ行かせていただきまして気がついたんですが、子と書いておるところは全部男の名前がずらっと並んでいるわけです。それから女と書いてあるときに女の名前が並んでいるわけです。  どういうことなんだろうというと、子供というのは家を継ぐだとか跡を継ぐだとか——日本には四行三従七去という教えがありますね。婦言、婦容、婦徳、婦功ですか、四行、四つの行い。三従七去という教えの中で、七去の方のこういうことがあったら即刻離婚されても文句言うなという中に、子なきは去るというのがあるんです。その子供の子というのは即、男の子を指しているわけです。本妻さんに女の子が幾らできても、二号さん、三号さんの中に男の子ができておる人がいればその人を家に入れてきて先の人を去らせる。子なきは去るですから去らせて、その人に跡をとっていただくというように、いわゆる家父長制度といいましょうか、そういう中で子女というのが出てきたかなと。しかし、こういう言葉が悠々とまかり通っている。どういうことなんだろうというように思うわけです。  私も長い間学校現場を離れておりまして、学校へ帰りましたときに担任させていただきました。そのときに、交通遺児、そしてまた家庭のいろんな補助を受けている子女は願い出により授業料を免除することができるという紙をいただきまして、どうしてこんな子女ということを今ごろ使っているんだろう、女、子供じゃないかというんで急いで調べてみましたら、憲法第二十六条に義務教育の項がありまして、そこに子女という言葉が使われているわけなんです。これはここで使われているから仕方がないなというふうに思うんですけれども、帰国子女といえば、明らかに字面から見れば子供とそしてお母さんもお姉ちゃんも一緒にいろんな対応してくれるのかなというように思いますし、実際に適当も言葉であれば生徒でもいいし、児童でもいいわけなんですよ。  今の憲法ができたのは二十二年五月三日からだと思いますけれども、そこら辺の社会事情の中でつくられてきた言葉がどうして脈々として何十年も変えられないで、変えようと思えばすぐ変えられるところだと思うんですが、なぜこの子女という言葉を使っていらっしゃるか、非常に私は疑問に思っていますので、ちょっと御見解を聞かせていただきたいと思います。

遠山敦子文部省教育助成局長

○政府委員(遠山敦子君) 先ほど帰国子女の関係の説明のときに確かに父兄という言葉を使いまして、使った途端にああこれはと思ったのでございます。お耳に残っているとはちょっとそのときは思わなかったのでございますが、記憶しておられたようでございまして、私もあのときは保護者あるいは父母と申し上げるべきであったかと思うわけでございます。ここに、まずおわびを申し上げたいと思います。  さて、帰国子女とよく仕事上もずっと使ってまいっているわけでございまして、子女とは一体何かということでございます。この辺は私どもも広辞苑なりあるいはいろんな言語に関する資料を用いるしかないわけでございますけれども、子女という言葉には男女を問わず広く子供を意味する場合と女の子に限定する場合とがあって、日常生活においては二義的に用いられているようであるということでございまして、恐らく帰国子女という場合には男女を問わず広く子供を意味する場合ということであろうというふうに私どもは考えております。  先生は晴美先生でいらっしゃいますが、私は敦子でございまして、子ではありますが男性じゃないわけでございます。とかく日本語の言葉は難しいわけでございますが、子女という意味はそういうふうに私どもはとっておりまして、先生おっしゃいました憲法第二十六条の「その保護する子女に普通教育を受けさせみ義務」という表現でありますとか、あるいは教育基本法第四条で「国民は、その保護する子女にこということで使われているということも現実でございます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 先ほども申し上げましたように、憲法にあるから使っていくというんでなくて、おかしいなと気がついている人がいれば速やかに直していくぐらいの幅があってほしいなというように思います。  いろいろ文字からいえば、婦人とかということもちまたでは問題になっているわけです。おんなへんにほうきと書いて、やっぱり女がほうきを持つから婦人と言うのかというようなことで、女性と言おうじゃないかというように世間一般では言っているんですけれども、文部省では婦人教育課と言いますし、労働省も婦人局というふうに言いますし、出先の方では婦人少年室ということで女と子供とが一緒になってという、全く違う行政をしているにもかかわらず婦人という言葉が方々に使われている。これも残念だなというように思います。お考えいただきたい。ネーミングも大事ではないか、新しい時代になっていくときにやっぱりイメージも変えていかなきゃならないということだと思います。  何が言いたいかというと、性教育の中の根本に男尊女卑があるのではないか。小学校の先生方が問題にするのは、なぜ男性がいつも重んじられて女性が軽んじられるんだろう、出席簿も男の子がいつも先に呼ばれて女の子が後から呼ばれるんだろう、これを男女混合出席簿にしたいなというような御意見があるんですけれども、文部省はどのような御意見でしょうか。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) 出席簿につきましては、学校教育法施行規則の第十二条の四と第十五条におきまして、学校において作成し備えつけなければならない表簿の一つとして法令で規定されております。  ただ、私どもとしてはその出席簿の様式は特に示していないところでありまして、教育委員会または学校において適切な様式を定めていただければいいということになっております。したがって、学校または教育委員会において、学校運営上あるいは先生の御指摘のような観点から、例えばレディーファーストで女性を先にするとかあるいは混合で作成するか、いろいろそれは教育委員会なり学校で、教育委員会でその様式を示していなければ学校限りで決められることでございますので、それぞれ今先生が示しました男女平等、それから男を先に言うということ自体が女性の方から見た場合に男を尊重しているんじゃないかというような誤解を招く、これは私は長年のこういう慣行でそうなっているんだと思うんですが、それでもそういう指摘があり得るわけですから、そういうことを考慮してそれぞれ学校で工夫してみたらどうかというふうに考えております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 とはおっしゃいますけれども、現実に学校の先生方がやっぱり男女平等にやりたいなということで混合の出席簿にいたしましたとしますと、非常化不都合な点が出てくるんです。どんなところで大変先生方が苦心なさるかといいますと、例えば身体検査があれば男女別に胸囲が何ぼあるとか身長が何ぼあるとか、身体検査は年に一度ぐらいですからそれは混合にしておってもそのときにより出して男女別にするのはいいんです。  問題は月剔出席統計なんです。月剔出席統計を何で男女にしなきゃいけないかということが私は疑問なんです。昔、明治五年に学制ができたときには、それこそ女の子の就学率は少なかったと思います、子守にやらされたり奉公に出されたり。ぎんざん、ぎんさんもこの間言いよりましたね、一日交代に学校に行ってお互いが教え合ったと言いよりましたけれども、あのように女性の就学が少なかったわけです。少ないときには女性と男性の男女別の月別統計という出席統計も要るだろうけれども、何で男と女とそこで分けて考えなきゃいけないか。  こんなことは学校の現場ではいっぱいあるわけです。例えば、勉強部屋を特っていますかとやるとき、また男女別なんです。昔だったら男の子には勉強部屋上げるけれども女だからやらないなんてあったかと思いますけれども、今はそんな時代ではないだろうと思います。そのように、何かといえば男女別に統計をとらされますので、混合にしておきますと先生方がその統計のたびに大変御苦労なさるということがあるので、そこら辺のなぜ男女別にするかということをお聞かせいただきたい。  それと、男性女性を区別する風景というのを学校から減らしていくことがやっぱり社会全体の性差別をなくしていくことになるんではないかと思うんです。小学校の一年生に入ってきたときから、男の子には「僕」と呼ばせて女の子には「私」と呼ばせたり、それから女の子には「さん」と呼ばせて男の子には「君」と呼ばすわけです。「君」というのは大体目上の者から目下の人に「君」と呼ぶんです。ここの国会へ来て、「乾晴美君」と言われたら、はあと思います。やっぱり「君」という呼び方もおかしいなというように思っておりますので、そこら辺も含めて御答弁願えたらと思います。

坂元弘直文部省初等中等教育局長

○政府委員(坂元弘直君) それぞれデータをとる場合に、私どもも、例えば女性の教員何名あるいは男性何名、生徒数を文部省の指定統計などでとる場合でも男女別の生徒数などを調べておるというのはこれは事実でございます。これは長年のそういう統計としての過去からの比較その他を見る場合に、男女別で分かれていた方が一貫性のある統計がとれるということでとっているわけです。  ただ、出席を男女別で統計にとるというようなことは、それぞれの教育委員会でデータとしてとっておるところでございまして、なぜ男女別で分けておるかというのは私どもとしては必ずしもつまびらかじゃございませんけれども、長年の慣行で教育委員会がそういうやり方をしているんじゃないかというふうに感じております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 もう例を挙げれば切りがないと思いますけれども、慣習に流れているということが随分あると思います。そういうのをやっぱり一つ一つ直していただくということで社会全体に対する影響もあると思います。簡単なことですけれども、入学式、卒業式がやがてありますけれども、男の子は白のリボン、女の子にはピンクのリボンとかというように、卒業していくときは全部ピンクでもいいし、白でもいいわけです。そういう簡単なことからでも直していくというような姿勢といいましょうか慣習といいましょうか、そういうものも改めていくようなそういった男女平等の教育というのが大事じゃないかと思います。  また、学校のところもそうですけれども、現実には昇進昇格ということについても今なお女性差別があるわけなんで、これは厚生省とか労働省だけに聞くんじゃなくて、この現実、文部省として男女差別がある現実をどうなさろうとしているか。女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約という条約にも批准したことですし、どうするかということを考えていただきたいと思うんです。  徳島県の場合は、残念ながら中学校も高等学校も女性の校長先生というのがお一人もおいででないんです。先生がいないかというとそうじゃなくて、中学校はどこの学校も約五〇%に近いぐらい、女性も半数になるぐらい構成員としてはいらっしゃるにもかかわらず、現実に働く場の昇進昇格だけでなくて、学校現場の中にもそういう現実があるんですが、文部省はどのようにお考えなんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

遠山敦子文部省教育助成局長

○政府委員(遠山敦子君) 校長、教頭の登用の問題につきましては、各都道府県におきまして的確に全体の状況を判断しながらやっていただいていると思っておりますが、確かに先生おっしゃるような傾向は否めないところではございますが、近年女子校長、教頭数もかなりふえてまいっております。グラフでお示ししたいところでございますけれども、かなりの上昇の伸びを見つつあるところでございます。全体に力をつけた女性の教員の方も多いわけでございますので、そういったことを、全体の状況を判断されながら各都道府県におかれて的確な対応をされることを期待したいと思います。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 私は、やっぱり性教育というのは、性教育を始めるのと同時に男女平等教育も力を入れていただきたい。そういう男女平等教育をやるということが、即また同和の問題や、先ほど高崎議員がおっしゃったような障害者の差別だとかあらゆる差別をなくしていくもとにもなるのではないかというように思うわけです。この性教育も、エイズの話も、それから従軍慰安婦、こういった問題もセクシュアルハラスメントも、その根底には男女差別というか女性に対する性の差別があるからいろいろ発生してきているのだというように思うわけです。早急に男女平等教育をやっていかなきゃいけないというように思います。  先ほどからエイズの話も出ておりまして、私も、三月三日の夕刊、そして三月四日の朝日新聞の朝刊で高校生にエイズ教材ができるんだというようなことを聞かせていただきましたので、もう一度ここでその目的と内容を簡単に説明していただきたいと思います。

逸見博昌文部省体育局長

○政府委員(逸見博昌君) 学校におきますエイズの指導、これは感染症としてのエイズを正しく認識させる、これが基本でございます。このことによりまして、エイズを予防するということ、それとともにエイズ感染者に対する偏見等を除きまして人権尊重の精神を育てるということが重要であると考えております。  こういったふうに大変重要であると認識しておったところでございますが、これまでは昭和六十二年度に「エイズに関する指導の手引」、これを小中高校の教師用につくっておりまして、学校における指導に供しておったわけでございますが、必ずしも十分でないという反省のもとに、今回、我が国におきますエイズの現状を踏まえまして教師用指導資料、これを全面的に改訂したい、それと同時に新たな高校生用教材の作成をも行ってエイズ教育の一層の充実を図ろう、こういったことでございます。  現在、その中身につきましては日本学校保健会に依頼をいたしておるところでございまして、医学関係者、教育関係者で構成されます委員会をこの三月中には設置したい、そして指導資料、教材等を平成四年度中にはつくりたい、こんな予定をしておるところでございます。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 ありがとうございました。  そのエイズ教育をする根本に、やっぱり人間尊重、そして女性の人権というそういう視点においてなさっていただきたいというように思います。  もう時間が来ましたので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。  性教育全般についての大臣のお考えを聞かせていただきたい。先ほど聞かせていただきましたけれども、ようわからぬ、難しい、自然にわかることじゃないかというようなこともあるんですけれども、乱れてはならないし、そうかといってエネルギーを抑えつけてもならないしというような御趣旨のことでございましたけれども、先ほどお答えいただきました以外のことで、性教育の基本理念といいましょうか、大臣としてのお考えを聞かせていただいて私の質問を終わらせていただきます。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど申し上げましたけれども、性教育という名のもとに具体的にどういうことを教えたらいいのか、あるいは平成四年度から小学校の保健体育の教科書もできるわけですが、そういう具体的な内容については、私は専門家ではありませんから、専門家たる体育局長に任せているわけであります。  ただ、先ほども御答弁で申し上げたように、性とか性教育というものは、決していわゆる性的行為にとどまることではなくて、人間、男性であるか女性であるか、今先生からの十分な御講演をいただいたわけでもありますけれども、そうやって人間一生生きていくわけでございますから、そういう中で、性というものに関して非常に明るい伝統を持っている国もあれば暗い伝統を持っている国もあるだろう。我が国はどっちかというと決して明るい方ではないだろうし、その辺はいわば、従軍慰安婦ではありませんけれども、そういうような思想と結びついて今いろいろ問題になるようなことも行われていたのかなと思うことがございます。  もちろん、戦後民主日本は全く様相を一変いたしまして、私は基本的に言えば女性に対する差別というものも非常に減ってきていると思いますし、最近は逆に男性の方が不利かななんて思うことも全くないわけではないですよ。それはいいにしても、そういう男女平等思想というようなものと性教育ということを結びつけて議論をされた先生のお考えというものには非常に感銘を覚えましたので、これを文教行政にどう生かしていけるか考えてみたいと思っております。

乾晴美連合参議院

○乾晴美君 どうぞよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 私も文教委員会での質問は初めてでございますので、よろしくお願いいたします。  第二次世界大戦が終わったときに、日本と同じように負けたドイツが一番先に復興させたものというのは、これは商店でもなく住宅でもなく、劇場を一番最初に復興させました。これはなぜかというと、劇場というのは人間のコミュニケーションをつくる場所であり、文化芸術が非常に人間にとって大事なものであるという理念からつくられました。各地方都市にも全部つくられたそうです。  去年、文化庁が開催した文化政策国際会議の中で、ある子供が、芸術は私を人間と感じさせてくれたというふうに言ったという記事を読みました。私がつくりましたあるミュージカルが中学校、高等学校で十五年間続けて上演されておりまして、年間に百ステージぐらいずつ上演されておりますが、それを見た先生とか生徒から手紙がたくさん来ます。そして、一つの芸術、一つの芝居を見るということは一週間の教育、一カ月の教育よりとてもすぐれていて、私も行きましたけれども、静岡県の中で一番悪い、不良の多い高校というのが見に来まして、ところが非常にしんとして見て、見終わった後、みんな子供たちが感激してステージの上に跳び上がってきたというような現象も目の当たりに見ております。そのくらい僕は大事なものだと思うんですが、大臣に、文化、芸術に対してどういうお考えを持っていらっしゃるかということをひとつお聞きしたいと思います。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生のような文化を創造する能力を全く持ち得ない私ではございますけれども、先ほどから幾つかの議論が出ておりましたが、私は、例えば生活大国ということを考えた場合に、その響きには何となく便利な、物が豊かな国という響きがあると思います。宮澤総理は、生活大国とおっしゃり、同時に品格ある国家ということをおっしゃっておられる。もし、その二つに特別な関係を見出せというならば、私は、生活大国、例えば道路から新幹線から情報からそうしたものが非常に豊かになって、ウサギ小屋問題も解決して、幸せを実感できるような、そんな便利な世の中が近づいてきたときに、そこに文化大国という要素が加わっていくとするならば、これは本当の品格ある超一流の国家ができ上がるものというふうに私なりには心の中で、頭の中で物事を整理させていただいておりますので、およそ人間である限り、文化の薫りが高い、あるいは文化を楽しむことができる、あるいは先生のように文化をつくり上げることができるとするならば、それはもう最高に幸せを増進させる源であろうと考えております。  日本の国も経済大国と言われるようになっただけに、これからは文化大国と評価されるような国づくりを進めていかなければなりませんが、それにしても文化庁関係の予算が非常に量的に少ないものがございます。これからは世界に先駆けて文化予算を増額して文化の面でも国際貢献を、それはさまざまな芸術を世界各国と交流、交歓し合うということもありましょうし、文化財の保存、修復で国際交流を行うということも手でございましょうし、いずれにいたしましても日本は独特の伝統芸術は持っているという評価を海外からされていると思いますが、まだまだ日本が文化大国という評価は余り定着しておりませんので、よほど力を入れて頑張らなければいかぬと思っております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 今そのことを言おうと思ったら、大臣から先に言われてしまいました。文化庁予算は今度四百九十六億という非常に少ない金額で、国の一般会計の〇・〇六五%です。ところが、イタリアは三千三百二十三億、フランスは三千百四十億、イギリスですら千六百七十八億と非常にたくさんの予算を持っております。フランスの場合は、日本の〇・〇六五%に比べて、全国家予算の中の一・七%ぐらいを占めるというふうに言われております。日本の場合、やはり文化的生活、それから文化を通したこれからの国際貢献というのが非常に大事だと思うんです。文化庁の文化政策推進会議でも、もっと文化予算をふやしてもらいたい、文化庁さん自体がそういうふうに言っていますし、我が国の伝統芸術であるとか創造性が高い新しい芸術をつくりたいということを言っていますけれども、ぜひ何とか、防衛費などを削ってでもいいですから、文化庁の予算、文化の予算というものをとっていただきたいというふうにお願いします。  次にお聞きしたいことは、芸術文化振興基金のことなんですが、海部前総理が一千億の予定で集めたいというふうにおっしゃっていまして、現在は政府資金が五百億の民間企業が百億、約六百億、その運営で使える金も年間約三十億しかないというのが現状です。全米芸術基金は年間で二百十二億ありますし、イギリスの場合でも三百二億、こういう基金があるそうです。この前、去年の予算委員会で、非常に文化予算が少ないじゃないかということを私が申しましたら、そのために芸術文化振興基金があるんだと時の文部大臣さんはおっしゃいましたけれども、それにしてもやっぱり非常に少ない金なので、その辺はどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 先生御指摘のように、芸術文化振興基金につきましては、平成元年度に政府出資金五百億と民間からの百億円を目途とする拠出金をもって発足をしたわけでございます。平成三年度のこれによる助成金が約三十二億円、こういうことでございます。これは御指摘の中で、いずれにいたしましても文化庁の予算と両方相まって考えていかなければならないかというわけでございますが、先ほどお話ございましたように、文化庁の四年度の予算案では四百九十六億ということでございますが、これは三年度に比べまして七・九%の増、こういうことで私ども大臣を先頭に努力をいたしておるわけでございます。  文化庁予算の問題、それからこの基金、これは民間の拠出金も今いろいろ努力をしておるわけでございますが、厳しい財政状況の中でございますが、基金の助成金による援助それから文化庁の予算、これはさらに充実という方向で本年度も御提案を申し上げておるわけでございますが、そういった中でさらに努力を進めたい、こう考えておるわけでございます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 その芸術文化振興基金の中で、こういう話を新聞で読んだんですが、あるプロデューサーが世界バレエフェスティバルを十五年間やっておりまして、文化庁がその意義を認めてずっと助成してきてくださったそうです。それで、基金ができたのでこの基金を申請したらば、今度は紙切れ一枚で却下されてしまった。今まで助成されたのが、できた途端に却下された。何で却下したがって聞いたらば、それを決めたのは民間の委員の方々で役所は全く知らない、また理由がわかっても公表できないという答えが文化庁さんの方からあったんだそうですが、これはどういうことなんだとお考えになりますか。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 芸術文化振興基金につきましては、基金の設置という中で具体的にどういうような援助金を配賦していくシステムをつくるか、こういう検討の中でそれぞれ運営委員会、部会、専門委員会というものをつくりまして、その中で、それぞれの学識経験者あるいは専門家の方々の集まりの中で審査をし、それに応じまして援助を決める、こういうことをやっておるわけでございます。その運営委員会なり部会は、芸術文化振興基金ということで日本芸術文化振興会の中に設けておるという形になっておりまして、その審査の中で一つの判断が行われたということであろうかと思います。  今まで続いていたものについてどうであるかというような御質問でございますが、そのような状況の中でこの審査、運営委員会あみいは部会等の判断でそういう形になったんであろうかと推測されるわけでございますが、こういったことについてはさらによく御説明を申し上げるなりしていかなければならないかと思います。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 今まで文化庁が援助をされていたのが、何か民活が入ったことによってだめになってしまったみたいな、余り私は釈然としないんですが、この問題はともかくとしまして、次の質問に移りたいと思います。  次は第二国立劇場の問題なんですけれども、この第二国立劇場の問題で一番不思議なのは、国有地なのに文化庁予算から土地代を払わなくてはいけないということで、一九八八年度に土地代として三百五十億が払われた。それに加えて、その後十年間で毎年三十五億ずつ分割払いをしていくということを聞いております。ことしの第二国立劇場の予算は三十六億四千八百万円しかない。そこから三十五億の土地代を払ってしまえば、一億四千六百万円しか残らない。これで第二国立劇場のいろいろな準備のためのことがこれはできるんでしょうか。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 確かに、御指摘のように第二国立劇場の用地につきましては、今予定しております渋谷区本町のあの用地、これは従前大蔵省が管理しております特定国有財産整備特別会計というところで持っていた土地でございます。これを一般会計の中に取得する、こういうことでございますので、現在の国の土地にかかわります会計のシステムの中では、一般会計が特別会計から土地を買っていかなければならない、こういう状況があるわけでございます。それに従いまして先生今御指摘のような金額の支出を行って最終的に文化庁がこれを取得した、こういうことでございます。  その中で、現在、一年一年お金を予算化して払っているということでございますが、設立の準備のための経費につきましては、そういう中で現在必要な予算はその上に乗せて要求をし計上している、こういう実情でございます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 それはよくわかりました。  それからそれに関連して、欧米のオペラハウスそのほかでは大概国立オーケストラがあり、国立バレエ団があり、国立合唱団があります。これなしには考えられないんですね。ところが、そういうことは何か大蔵省が反対しているので考えていらっしゃらないということを聞いておりますけれども、それじゃ自主公演は全然できず、これはもう貸し小屋と同じ状態に結果的になってしまうということになります。国立劇場がある以上、公演活動にもやはり国が責任を持ってある負担をしてでも僕はやらなきゃいけないと思っております。  それともう一つ、今の貸し小屋ということが非常に多くなると思いますけれども、東京都がつくった東京芸術劇場、これは中ホールの貸し料が六十三万円です。そうしますと一席当たりが七百円以上になってくる。ところが、東京文化会館、これは一席が二百五十七円である。あと区立の文化センター、区民会館は大体二百五十円から安いところでは二百円ぐらいでいく。ですから、これを貸し小屋にする場合に、余り高い費用で貸されるとこれはどうしようもできないので、やはり国立劇場としての面目で何とか国が運営していっていただきたいと思います。  それで、やはり国立オーケストラ、国立バレエ、国立合唱団みたいなものは、ぜひそういうソフト部門はつくっていただきたいと思いますし、ついでに、日本は世界の中で一年間千八百というお芝居の演目が上演されて、世界で一番多い国です。国立劇場の研修生は現在の歌舞伎俳優の中で四九%を占めるぐらいにふえております。そのくらい今の国立劇場では研修生をつくっております。ですから、この際、やはり国立演劇大学を第二国立劇場の中につくるとかそういうことをしていただきたいんですが、その辺のお考えはいかがでしょうか。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 専属のオーケストラであるとかあるいは合唱団あるいは劇団、こういうことについては既にいろいろな機会で議論がなされておりまして、第二国立劇場設立準備協議会であるとかあるいは、これは仮称でございますが、第二国立劇場管理運営検討会議というようなあたりでいろいろな議論がなされております。これらの報告では、こういった専属のオーケストラ、合唱団等は発足当初は置かない、その整備については発足後の状況等を勘案して検討するという報告が出ておるわけでございます。  これにつきましては、長期的に見た場合に、公演組織を置くことが、例えば安定した芸術創造が行えるというような長所もありますが、また逆に硬直化した組織になりかねない、あるいは世界のオペラの主演級の歌手団や舞台監督については劇場の専属にすることは余り例がないというような意見も出まして、結局のところ、今申し上げたような、発足当初は置かないということで、その後の状況等を勘案して検討する、こういう今シチュエーションになっておるわけでございます。  それから、二番目の運営あるいはそれの経費の問題でございますが、これにつきましては、さらに準備を進める中でいろいろ検討させていただきたい、こういうふうに考えております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 第二国立劇場のことはわかったようなわかんないような話ですけれども、わかったつもりになります。  次は、私的録音・録画等著作権の問題でちょっと簡単にお聞きしたいので、簡単にお答えいただきたいと思います。  文化庁長官の諮問機関の著作権審議会で報酬請求権制度を導入した方がいいということが求められています。それで、きょうの日経新聞にも著作者に三六%、歌手、演奏者、レコード製作者が三二%ということが決まったそうです。平成五年には全部これが導入されるということをお聞きしていますが、どのように進んでおりますでしょうか。

吉田茂文化庁次長

○政府委員(吉田茂君) 私的録音録画問題協議会、御指摘のようにこれは文化庁に置かれているわけでございます。私的録音・録画問題についての昨年の著作権審議会第十小委員会の報告では、音楽や映画などの著作権者あるいは実演家、レコード製作者へ家庭内における私的な録音・録画に対する一定の補償制度、いわゆる報酬請求権制度を導入するという報告がありまして、これに基づきまして具体的に関係者間でこれを協議するための組織といたしまして設けられたわけでございます。  現在、先生御指摘の点につきましては、関係の権利者が著作権者あるいは実演家、歌手あるいはレコード製作者等ございまして、その中で、こういう報酬をメーカーから集めた場合にそれぞれ何%の割合で分配するかということの内々の協議ということであろうかと思うわけでございます。この点は大いに関係者の間で協議を進めていただきたい、こう思っておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたような協議会ではまだ正式な報告はしておりません。そういった協議を鋭意進めていただきまして、私的録音録画問題協議会の席でそれを確定しつつ今後それを推し進めていきたい、こう思っておるわけでございますが、その中で今後どうするかの対応が生まれてこようか、こう考える次第でございます。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 ありがとうございました。  最後の質問に移ります。  卒業式、入学式のシーズンですが、何回もこの委員会でやられたとは思うんですけれども、日の丸・君が代のことについてちょっと大臣にまたお伺いしたいと思います。  去年、新しい学習指導要領の中で日の丸の掲揚と君が代の斉唱が義務づけられました。それを実行しなかったとして福岡県の中間市で、ここでは文部官僚が教育長を務めているんだそうですけれども、国の方針が非常にストレートに示されまして、実行しなかった先生たちが、市内の四分の一に当たる七十四人の方が停職三カ月の処分を受けたりしていますし、また高知県でも百十四人という大勢の校長が処分されたり訓告されたりしています。  それで、君が代は大体イギリス人のフェントンという人が薩摩琵琶の「蓬莱山」という曲に似せて作曲して、その後ドイツ人のエッケルトという人と日本人の林広守という人が雅楽風につくり直しました。そして、これは何のためにつくられたかというと儀礼用、儀礼曲として海軍のためにつくった的なんですね。「君が代は ちよにやちよに さざれいしの 巌となりて こけのむすまで うごきなく 常盤がきはに かぎりもあらじ」という長い歌詞なんですけれども、どういうわけか「こけのむすまで」で勝手にちょん切られています。  明治二十一年ごろから歌われ出したらしいんですけれども、海軍の歌のために陸軍では長い間歌われなかったという事実がありますし、この歌は憲法として認められていないし、法律や勅令も何にもありません。おかしなことに、国会図書館に行きましたら、国会図書館には君が代の譜面がないんですね。国歌と言われながら譜面がないという妙な事実があります。  それからまた、日の丸はもともとは豊臣秀吉とか徳川家康のころの御朱印船が使った船印なんです。その後、薩摩藩が使い初めて、今の沖縄、昔の琉球に侵略したときに旭の丸、日の丸でなくて旭の丸と呼ばれて使われたということがあります。そして、昭和六年に帝国国旗法案が提出されましたが、そのときに貴族院で廃案になりました。そういう事実もあります。  それから、一九四三年、アメリカの連邦最高裁でバーネット判決というのがありました。これは国旗に敬礼しなかったといって学校をやめさせられた児童の裁判だったんですけれども、これは間違いである、児童の意見、表現は自由にしなきゃいけない、国旗に敬礼したり忠誠を宣言する必要はないということがアメリカのバーネット判決というので出されています。  今さっきから問題になっている国連の児童の権利条約では、やはり十二条に自分の意見を表明する権利があるとなっておりますから、もっと自由に考えるべきであって、これを強制したり義務づけるのは余りよくないと考えます。もしそうするならば、国民投票をして賛成、反対をはっきりさせた上で憲法にはっきり明記するようにすべきだと思うんですが、その辺は大臣はどうお考えですか。

鳩山邦夫自由民主党文部大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 国旗・国歌の問題が学習指導要領はもとより、行政当局と異なった意見を持っておられる教育現場の方々と私ども行政当局の間のしばしば争いというんでしょうか、思想の違いからいろいろ議論をされてきたということは私は残念なことだと思います。と申しますのは、私は国には歌があり国には旗があるのは当然のことと思っておりまして、それを慣習法とか事実たる慣習とかいろいろ難しい言い方もあるのでしょうが、祖国を愛するということはふるさとを愛するということとイコールというのでありましょうか、全く当たり前のことであって、したがって、特別活動あるいは入学式とか卒業式のような儀式において国旗を掲げ国歌を歌うというのは非常に日本国民として当然の行為であって、学習指導要領でこれを望ましいというのではなくて、国旗を掲揚し国歌を斉唱するものとするというふうに書きかえていったのもそのような趣旨だと考えているわけであります。  ただ、正直申し上げて、私も戦後生まれでございますから、君が代の音楽として、雅楽というのでありましょうか、近代音楽風ではないというようなこと、あるいは歌詞についてもかなり難しいものであるということは私もよく理解をいたすところではありますが、しかし、それがそれなりに定着をしておるわけでございますから、国旗は国旗、国歌は国歌と当たり前にすべての国民が、あるいは教育現場の皆様方が受け入れてもらうことが一番よろしいのではないかというふうに考えております。  また、児童あるいは子供の権利条約等で思想とか良心とかそういう基本権についての定めもありますけれども、学習指導要領においてそうした儀式で国旗を掲揚し国歌を斉唱するということは、一層の教育上の効果をねらったことでございまして、やはり極めて基礎的、基本的な事項でございまして、一定の宗教を押しつけたりするようなたぐいとは全く異なるものだと私は理解しております。

今泉隆雄参院クラブ

○今泉隆雄君 ちょっと私の考えと違いますけれども、ぜひ国民投票をする、国民投票した上で憲法に明記をするというような方向性を考えていただきたいと思います。  質問を終わります。

大木浩自由民主党

○委員長(大木浩君) 本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会      —————・—————

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