農林水産委員会 第10号
- 発言数
- 208 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1992/05/14
会議録
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十三日、大島慶久君、高木正明君及び石渡清元君が委員を辞任され、その補欠として鈴木貞敏君、秋山肇君及び初村滝一郎君が選任されました。 また本日、秋山肇君が委員を辞任され、その補欠として須藤良太郎君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(永田良雄君) 農業協同組合法の一部を改正する法律案、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○谷本巍君 初めに、合併助成法の問題について伺いたいと思うのです。 今回の農協二法の提案の背景になっておりますのは、一つは金融自由化等々の情勢変化があり、そしてそういう中で農協の経営をしっかりしたものにしていくためにはこれが必要であるということと、もう一つの事情として挙げられておりましたのは、組合員の経済圏、生活圏、これの広域化も進んだという点が挙げられております。 私どもから見ますというと、農協の組織再編成を行うに当たっては、少なくとも地域農業をどうしていくんだ、したがってそのために農協組織の再編成が必要なんだと、こういう点が出されていなければなりません。ところが、今回の場合は、農業経営をどうするかではなくて、農協の経営をどうするかということが事実上主体になっておるわけであります。 こういう状況の中で、以前と比べますというと、今回の合併助成法の延長問題に絡みましては、農家の関心は薄いし、どちらかというと冷ややかという印象すらあるのであります。農家の意思の伴う合併にしていくためには地域農業をこうするという観点に立ったものが示されていかなければなりません。今回の延長の場合、一体農協の経営が主体なのか農家と農業の方が主体なのか、大臣、どうお考えになっておるか、お考え方を聞かせていただきたいのです。
○国務大臣(田名部匡省君) もともと農協は農家の自主的な協同組織でありまして、私ども、団体がいろいろと案をお出しになっている、それが農家の本当にニーズにこたえたものでなきゃならぬ、こう思っております。 その中で、今お話しのように、事業も組合員の営農活動等を支えるために行われるということは基本であります。農家があって農協ということでありますから、農家をいかに発展させるかという中で農協基盤というのも確立されていくんであろう、こう思います。そういうために、合併も組合のニーズあるいは積極的な営農指導を確保していくということでこの基盤づくりを進めていくことが求められている、こう思っております。 また、このため、合併に当たっては、野菜あるいは畜産、こうした各生産部会の活用を図るように指導するとともに、地域の特性というのがありますから、それに応じたまた営農指導をしていかなきゃならぬということは当然であります。 ただ、私が大臣に就任していろいろ考えてみますと、もっと経営指導ということがあっていいのではないかということで、新政策の中では意欲のある、経営感覚にすぐれた、企業マインドを持ったと、こういうことを何回か申し上げておりますが、そういうことからすると農協も、商工会等は経営指導員というのがおって経営指導をきちっといたしておりますが、農家も営農ばかりではなくて、どうやればいいかという経営指導ということも今後は大事なことになってくるのではないか。 いずれにしても自主的な組織でありますから、いろいろとみずからのこととして考えていただくということが大事なことであって、どうしても足りない部分というか不足しているものについては、私どもも指導をしながら農家のためにどうあるべきかということでさらに進めていきたい、こういうふうに考えております。
○谷本巍君 そうしますと、大臣、農家、農業を基本とした合併促進であって、そうした合併を進める中で農業経営の指導ももっと強めるようにしていきたい、そういう立場のものだということでございますね。
○国務大臣(田名部匡省君) 今お話しのとおり、そのとおりでありますが、農家の経営指導についてはまだそこまでの体制ができるかどうかというのがありますので、新農政の中でそういうものが検討できるかどうか、今私の方からどういうふうにすればこの体制がとれるかということを検討してもらっております。いずれにしても営農と経営ということは大事なことでありますから、これはこれからの方針として、営農はしっかりしていただいておりますから、経営をこれに合わせればすばらしい農協になり、農家を育成していけるというふうに考えております。
○谷本巍君 そこで伺いたいのは、どの程度の規模の広域合併を進めようとしているのかということについてであります。当初は一千単協を目指すということでありましたが、実際にはそれ以上、一千以下といいましょうか、の広域合併にしていくんだという方向が出ているわけであります。 農協の経営上からしますと、例えば金融関係の事業でしたら一県一農協というのが一番効率的ではないかとする意見もあります。これに対して、営農それから販売事業ということになってまいりますと地域性がありますから、したがってむやみやたらに大きい広域合併というぐあいにはいかないという点があるのではないかと思います。したがいまして、合併を進めるに当たっては、そういう意味で実態に合わせた合併ということでなければならぬと思うのでありますが、この点について政府はどのように考えているかということをまず第一点として伺いたいのであります。 それから二つ目に伺いたいのは、今回の合併が今までと決定的に違うのは事業二段化、つまり県連をなくしていくということと結合された単協の合併だということであります。したがいまして、単協が今後は一定程度県連が持っている機能も一部備えていかなければならないというようなことになるわけでありますから、そういう立場から見てみますと、一県当たりの合併の結果の農協というのは一けた以下というぐらいにしないと県連的機能も備えた単協にはならないだろうというふうにも言われておるわけであります。 そうしますと、組織二段化を前提にするとかなり無理な大型合併をやらなきゃならぬということになってきはしないか。そういう点では、先ほど来申し上げたような農業生産の持つ地域性、そしてそれに基づいた農産物の販売行為といったようなものが無視されかねない合併になっていきはしないかという不安を私は感ずるのであります。その点について政府はどう考えているか、所見を承りたいということであります。
○政府委員(川合淳二君) 合併を進める上での適正な規模と申しますか、これは今お話もございましたように、全国いろいろな地域がございますし、それぞれの農協の置かれた環境が異なるわけでございますので、全国段階で画一的な方針というものはとり得ないことは御指摘のとおりだと思っております。 したがいまして、一口で申し上げれば地域の実情に応じた合併の姿ということになろうかと思いますが、今日のいろんな環境からすれば従来、発足当初と言った方がいいかもわかりませんけれども、のような規模の組合ではなかなか立ち行かないということだろうと思います。これは非常に難しいことなんでございますけれども、従来のような組合員と組合との関係を残しながらいかに大きな、基盤の強いと言った方がいいかもわかりませんが、組合をつくっていくかということが、若干二律背反的な要素はありますけれども、一番の課題だろうと思っております。したがいまして、地域の実情に応じて、かつ農協の基盤を強化するためにはどうあるべきかということでお考えいただきたいということだろうと思っております。 二番目の問題として二段階制の話がございましたけれども、これにつきましても、物事といいますかこの問題の考え方の順序といたしまして、単協をどうすべきか、どの程度の規模ということも含めましてどうすべきかということがまずありまして、その単協のためにどういう県組織あるいは全国組織が必要かというふうな発想で考えるべきだと思っております。したがいまして、今、先生のおっしゃるような二段階にしなければならないから単協をどうするかという発想はとるべきでないというふうに私は思っております。
○谷本巍君 今、御答弁いただいた後者の方は私の考え方と全く同意見でありますが、前者の方の答えのうち、実情に応じた合併と、そしてその視点というのが基盤の強化だというお話でありましたが、その基盤というのは経営基盤のことを指してのことでございましょうか。
○政府委員(川合淳二君) 戦後農協組織ができまして、農業の振興なり地域の振興につきまして農協が果たしてきた役割というのは非常に大きなものがあったと思います。しかも、今後もそうした役割というのは期待されているわけでございますので、農協が立ち行かなくなるようなことでは決して農業なり地域の振興ということは図れないわけでございますので、農協の経営基盤というものはそうした期待にこたえ得るだけのものでなければいけないというふうに思っております。同時に、だからといって農協のための農協という姿であってはいけないわけでございますので、基本的には農家の希望あるいはニーズというものに的確にこたえ得るような、そういう経営基盤を持ち得るような規模と、非常に抽象的な言い方で恐縮でございますが、そうしたことを考えなければならないんではないかと思っております。
○谷本巍君 さてそこで、もう一つの問題があるのでありますが、広域合併を進めていく場合の小規模優良農家の扱いをどうするんだということであります。 小規模の農家であってもうまくいっている例というのは結構あるんですね。例えば、私が知っている例で言いますというと、営農指導にかなり力を入れている小規模農家というのは押しなべてうまくいっているんです。例えば、農協職員総指導員というような心構えで、一職員が例えば七戸とか十戸ぐらいの担当を決めまして営農指導、営農相談というのを重点にやっている農協などが結構あるものであります。そういう農協の場合は、貯金を積む場合には決まって農協、資材も農協から買う。そしてまた、営農指導が徹底しておりますから、農協の職員自身ができた農産物をどう売っていくかということについては非常に熱心に市場開拓などを含めてやっている例があるんですね。 こうした農協では、非常に嫌がられる共済の推進事業などは推進事業でやらなくたって結構農家が応じてくれる、言うならば農協全利用ですね。しかもそういう農協でありますから、したがって賃金が安くとも結構職員の皆さんは言うならば使命感に燃えてやっている。最近の農協に見られるように、中堅どころが引き抜かれていく、中堅どころからやめていくというような状況というのはこういう農協にはないのであります。 ところが、先ほどもちょっと申し上げましたように、今回の合併の特徴というのは組織二段化ということと関連しているというようなことからしますと、こうした小規模優良農家の扱いというのは非常に難しくなっていくんじゃないか。無理無理合併させられていくという状況になっていきはしないのかというような点を感じてならないのでありますが、こうした問題については政府はどういうふうな指導をしていかれるか、その考え方を承りたいと思います。
○政府委員(川合淳二君) 今お話しのように、小規模な農協でございましても、地域ぐるみと申しますか、農協を中心として生産なりその他の活動が非常に密接に行われている農協、特に旧開拓農協などの農協でそうした例を私も見せていただいたことがあるわけでございますが、そうした農協の姿というものを見ますと、それはそれで残してそういう形で進んでいくということも必要な面があろうかと思います。今、先生若干お触れになりましたが、職員の今後のことを考えますと、そうした形で今後とも本当にいけるかどうかということもやや懸念材料としてないわけではございません。 言い方はちょっとあれでございますけれども、そうした機能といいますか、そうした状況を残しながら合併していくというのが一番実は理想的な姿だと思っておりますけれども、規模の小さい農協だからすぐ合併すべきという発想ではないとは思いますが、なかなか今後の将来展望を考えますと、特に有能な職員を確保し、組合員のいろんな多様化しつつある意向にこたえていくということは余り小さな規模ではなかなか難しくなってくるんではないかということも一方ではありますので、その辺をよく見ながら、しかしながら、先ほども申し上げましたように、例えば二段階にするために合併するというような発想はよくないと思いますので、地域それぞれの自主的な取り組みの中で合併というものは進めていっていただきたいというふうに考えております。
○谷本巍君 次に伺いたいのは、市町村の枠組みを超えた広域合併を進めていく場合、自治体農政との絡みをどうしていくかということについて伺いたいのであります。 これから先私どもが重視していかなきゃならぬのは、耕作放棄地がかなり出てくるという状況の中で、耕作放棄ゼロの地域農業づくりをどう進めていくかということが大きな課題になりつつあります。それからもう一つの問題は、環境保全型農業の確立ということであります。こういう状況を目の前にして行政と農協が一体的に進めていかなきゃならぬというような問題が多く出てくるのじゃないかと思うのです。 最近の大都市におけるごみ処理問題というのは、行政だけでは片づけることができなくなりました。市民運動とのドッキングが必要になってきたのです。これは環境問題も同じであります。私は農業問題も同じような状況になってきたなというふうに思います。今申し上げた環境保全型農業の確立とか、耕作放棄ゼロの村農業というようなことになってくるととりわけそうだからであります。そういう点で、例えば耕作放棄ゼロの村農業づくりということになってきますというと、市町村の枠組みを超えた、そういうふうな広域的な取り組みなどが必要になってまいります。 そこで伺いたいのは、地域農業振興に関する助成事業についてでありますけれども、広域的実施システム等を一定程度考えていかなきゃならぬ時期に来たのではないかと思うのですが、その点はいかがでありましょうか。
○政府委員(川合淳二君) 農協事業あるいは活動と市町村行政というのは密接なつながりがあるというふうに私どもも考えております。したがいまして、広域合併が行われて農協の中に複数の市町村との関係が出てまいりますと、その関係をいかに円滑にしていくかというのは農業振興あるいは地域の振興という意味でも非常に大事なことだと思っております。 私ども今年度予算で合併推進の特別対策事業というのをお認めいただいておりますけれども、ここでも具体的に市町村と農協とのあり方について、地域連絡協議会というようなものを開催して密接な連携あるいは計画の策定などを指導していくというようなことを考えているわけでございます。広域合併を進めていく上で組合員との関係のほかに一つ重要になってくるのは市町村との関係だと思いますので、今お話しのようなシステムということも含めまして非常に大事なことだと思っておりまして、私どももそうした指導を強めていかなければならないというふうに現在考えているところでございます。
○谷本巍君 次に、今回の農協組織再編成と農業委員会との関連が一体どうなっているのかについて伺いたいのであります。 さしあたってこれから先問題が出てくると思いますのは、市町村の枠を超えた大型合併が進んでいきますと、農業委員会の構成員になっている農協代表が一体どういうふうになるのかというような問題が出てくるような気がするのです。大型合併の典型といえば、香川県が一県一農協にしていきたいというようなことでありますが、香川の市町村の数も正確には調べておりませんが、恐らく四十二か三ぐらいの市町村があったはずでありますので、一県一農協ということになりますと、四十二か三の市町村の農業委員会に全部理事さんを出さなきゃならぬということになるんですね、今までのシステムでいきますと。果たしてそういうことができるのかどうなのか、一体どうなっていくのか、そういう疑問が一つあります。 それからもう一つの疑問は、県の農業会議が一体どうなるのかということであります。御存じのように、県の農業会議は農協の県連を重要な構成員としていて、そして県の農業会議の運営費等々の経済面においてもかなり重要な支えになってもらっているわけです。県連が消えますというと、県の農業会議は一体どうなっていくのかというようなさしあたっての疑問があるのでありますが、まずこの二つの点について農水省の考え方を承りたいと思います。
○政府委員(川合淳二君) 農業委員会は、先生御承知の点でございますけれども、農地法に基づきまして行政事務の執行という性格も持っております市町村の行政委員会でありますので、農協と同じような考え方、例えば合併というようなことが直接的に考えられるわけではございません。しかしながら、農協の合併、これは当然のことながら地域の農業状況の変化その他を受けながら進めていくことでございますので、当然農業委員会を取り巻く農業情勢が変化してくるということだろうと思います。 したがいまして、端的に申しまして、そういう中で農業委員会系統組織、農業委員会そのものの問題、それから今御指摘のありました県の農業会議の問題も当然農協のそうした動きに無関係でいるというわけにはいかないのではないか。これは農業委員会系統組織におきましてもそういう問題意識を既に持っていろいろの検討を開始していると承知しておりますけれども、そうした面でこうした団体問題というのは、農協のいろいろな動きと同時にいろいろな形で検討が必要になってくる、そういう問題であろうというふうに私ども今のところ考えているところでございます。
○谷本巍君 この農協二法が成立しますというと、これが引き金になって農業団体の再編成問題が起こってくるということになるわけであります。ところが、そのことについては今のところ何の方向づけもないんですね、今のお話ですと。これをやるんならこういう事態が起こってくるというんですから、団体再編成の問題が起こってくるんですから、これについても一定の方針を出さなければ、これは審議する側が審議のしょうがないんですよ。その点はどうなんですか。
○政府委員(川合淳二君) まず、今農協系統組織の再編問題が一つ系統みずからの課題として取り組みを開始しているわけでございます。系統組織では平成五年の三月を目標に具体策の策定に今着手しているわけでございます。私どもはこの検討がまず一日も早く、かつ具体的に出されることが必要であると思っておりまして、そのためのいろいろな御協力を申し上げているところでございますけれども、こうした構想が進められていく、しかもそうしたものがだんだん浮き彫りになっていく過程で農業を取り巻く今御指摘の団体のあり方というものをどうするかという検討が当然並行して進められていくべきだろうと思っております。 その場合に地域の農業の振興と農村の活性化ということが一番の基本的な課題であると存じますので、そうした方向で他の農業団体の問題についても検討されるべきだということだろうと思っております。
○谷本巍君 それはいつごろ示すようなお考えですか。
○政府委員(川合淳二君) この問題も私どもが示していくという、例えば行政委員会の問題と、それから農業委員会といいますか農業会議の系統の自主的な検討と相まっていく必要があると思っております。私どもは新政策の検討の中でもこの問題を一つのテーマとして既に検討に着手しているわけでございますが、そうした中で私どもも検討していくということになろうかと思います。 具体的なスケジュールというのが一つ考えられますのは、先ほど申しました農協系統組織の方の検討が五年三月ということがございますので、これを受けて検討ということになっていく、そういうスケジュール的な点では今一つありますけれども、具体的にいつまでにというふうな形で今私ども頭にあるわけではございません。
○谷本巍君 その場合、農業委員会の問題で申し上げますというと、一部には超大型合併が進んでいくのであるから、したがって市町村単位にある農業委員会ですね、これに新たな任務を付与しながらもっと積極的な地域農業づくりについて貢献できるような方向を考えるべきだといったような意見もあるのでありますけれども、農林水産省としてはどのようにその辺お考えになっておりますか。
○政府委員(川合淳二君) この問題、農業委員会自身の問題は、先生御承知のように土地利用の問題と密接に絡んできております。そのほかにも農業の振興という面で今までにもいろいろな形で役割をお願いしてきているわけでございますので、農業あるいは地域の状況の変化に応じて対応していくという面が当然出てくると思います。組織の問題というのは組織のために検討するわけではございませんので、そうした役割と同時に検討していくべき問題だろうとは思っております。
○谷本巍君 そうしますと、地域農業振興ということを基本に置きながら団体が団体なりにそれぞれまた問題を検討されるであろうから、そうしたようなものを見た上で対応していくということになるわけですね。そうですね。
○政府委員(川合淳二君) 一つは、例えば今新政策の検討の中の中心課題であります担い手問題とのかかわりなども含めまして私どもの方で行政委員会としての農業委員会のあり方を検討するという面と、それから自主的な系統組織、この系統は農業委員会系統という意味でございますけれども、組織の方で検討すべき問題と、両面があるというふうに私ども考えております。
○谷本巍君 次に、大臣に伺いたいのであります。 先ほどの冒頭の話に大臣からお答えをいただいた。それをもう少し具体的なお答えをいただくためにお尋ねをするのでありますけれども、問題はどういう合併をしていくんだということにあると思うのです。私ども村歩きしておりまして、一番立派な建物といいますというと役場なんですね。その次に立派なのが合併農協の建物なんですよ。私はあれを見ると複雑な心境になる場合が多いのであります。といいますのは、合併をした場合に本所に人も機能も全部集中してしまうという、単協の場合にえてして本所が非常に立派なビルディングになってしまうというような状況があるからであります。そうした合併の仕方ですと、農家との関係というのは希薄になってしまうというのが通常見られる例であります。 問題は、合併によって生ずるであろう経済事業、こっちの基盤が強化される、そのメリットをどれだけ農家に及ぼすことができるようにするか。つまり、大型合併をすればするほど職員を農家と接触し得る部分により多く配置していくという発想が大事だと思うのです。つまり、大型合併即本所はスリムにというのが私の考え方であります。そして支所機能を充実する。あるいはまた営農生活センターですね、そういう施設をつくりながら、そこへも職員の配置を行うことによって営農と生活問題などについて一定の指導性が発揮できるような農協にしていく、これが大事だと思うのです。改めて大臣の御所見を承りたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田名部匡省君) いろんな変化が時代とともに起きてきたと思うんですね。どの程度の合併規模になるかということと、昔は自転車かなんかで農協に来る範囲というのはおのずから限定されておった。今は道路もよくなり、車社会になってその範囲というものはおのずから、これも余り遠いということは不適切だと思うし、仮にそういう合併があったとしても今お話しのような支所の機能というものは充実をしていかなきゃならないということはあろうかと思います。いずれにしても基本は、合併のメリットというものが組合員に適切に及んでいくということが最大の基本なんです。 私もあの大きな中央会に時々お邪魔するんですが、すばらしい建物があります、単協でもありますけれども。いずれにしても、農家の出資等によって農協が経営もされておるということからいたしますと、組合の指導的立場にある人たちが、どの程度が適切なものか、負担がどういうものであろうか、いろいろな観点から経営というものをしていかなきゃならぬのであって、それと切り離して何か大きければいいということでやってもいかぬし、また、事業及び経営の効率的な運営、あるいは組合員の日常活動への適切な対応というものを指導しておるところでありますが、特に合併によって農協が市町村を超えて広域化するというのも中にはあると思う。そういう場合にも組合員と緊密な関係を一層確保していく。 何といっても身近なものは先生お話しのように安心するという面があるんですね、なれたということもあるし。しかし一方、基盤が確立しておりませんと、いろんなことをもっとやりたいというときに今度やれないという点もありますので、そういうことも考えながら合併後の農協においては営農、生活面、こうしたものに十分対応できるように、特にお話しの支所の機能ですね、この充実強化、生産者の組織の育成強化、こうしたものを流通・販売対策等も含めて整備していかなきゃならぬ。そういうことを適切に私どもは指導してまいりたい。 基本的には農家の皆さんが本当に自分のことはどうあるべきかということで検討していただく、それに私どもがもっといい方法はこういう方法もありますということでの指導といいますか、そういうことで対処してまいりたい、こう考えております。
○谷本巍君 大型合併イコール農協が地域営農づくりの主体になれるような方向を追求していかなきゃならぬというのが大きな課題になるわけでありますけれども、その課題を現実のものにしていくのには政府自身もいろいろと援助してもらわなきゃならぬことがあると思うのです。その一つの問題としましては、農協が行う営農事業への国や県の援助ですね、これを私は強化すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) 営農指導事業は、何と申しましても農協事業の固有の事業といいますか本来的な事業だろうと思っております。 経済事業あるいは信用事業、共済事業も含めまして各種事業があるわけでございますが、こうした事業は当然のことながら営農あるいは生活といったものを中心に置いて行われるべき事業でございますので、営農指導事業というものを具体的に個別に取り出すということはありますけれども、本来的には経済事業の販売、購買というものは営農指導と密接に結びついて行われるべきものだろうと思っております。したがいまして、こうした指導事業を行うのは農協みずからがまず行うということが当然原則でございますので、そうした面で御努力を系統組織としてもいただきたいと思っております。 ただ、そうした合併に際しましてこうした事業を行っていくということにつきましては、私どもも、先ほどもちょっと触れましたけれども、合併推進の特別対策事業という形で四年度に指導事業を予算化しておりまして、こうした形で御協力をいたしたいというふうに考えて推進しているところでございます。
○谷本巍君 局長、今までの農協合併と今度のは違うんですよ。どこが違うかというと、新規就労者が少なくなっちゃっただけじゃなくて、農業経営がうまくいっている三十代、四十代の皆さんが農村を離れるというような、農業を離れるというような状況すら生まれてきている危機感の中での合併なんですよ。今までとはこの点は決定的に違ってきている点なんですよ。 そういう状況の中でまた農協の経営も左前になってきている。そこで大型合併というわけでありますから。しかも、地域農業づくりのためには営農事業を強化しなきゃならぬという大きな命題があるわけでしょう。してみれば、従来的な手法だけで、それでいいのでありますということで済むのでしょうか。営農事業については政府自身も助成面について検討していくというぐらいの答弁があってしかるべきなんじゃないですか、いかがですか。
○政府委員(川合淳二君) 私ども今回のお願いしております合併促進法におきましても、従来と異なりまして政府としての御協力の内容も、格段の改善と申しますか拡充を図りましてお願いしているわけでございます。 と申しますのも、今、先生御指摘のように、こうした環境の中で合併を進めていくという必要性あるいは状況を踏まえてのことでございまして、私どもといたしましても、先ほどお話し申しました四年度の予算につきましても、そうした今回の合併の意義なり将来への可能性というものを推進するためにそれぞれ措置を講じたものでございまして、こうしたものを中心といたしまして合併に御協力、推進をいたしていきたいというふうに考えているところでございます。
○谷本巍君 今の答弁では甚だ不満でありますけれども、押し問答をやっていてもしょうがないですから質問を先に進めます。 次に御質問申し上げたいのは、農協が持っている膨大な資金を地域農業に還流させていくことができないか。それを可能にするために低利融資を行うことができるようにしていく大幅な利子補給ですね、そういう制度的なものを考えるべきではないのかということであります。 農家の農協離れが進んでおりますけれども、その中で顕著なのは、大型農家、それから若手の担い手が農協離れという状況にあるというような点があります。こうした皆さんは押しなべて最近は補助金は要らないとおっしゃっているんですよ。なぜかといいますというと、がんじがらめに条件がつけられて縛られ、自由な発想を生かすことができない、さらには補助事業のいかんによっては要らぬ物まで買わされて経済的にも合わない、こういうことからこうした皆さんというのが補助事業は要らないというような話になってきているのです。 現に、例えば土地改良で言えば、土建屋さんにお話をしますというと、しょっぱなに聞かれるのが、補助事業ですかそれともあなたが負担してやる事業なんですかという話が出てきますよ。補助事業だと言うと見積もりは見事に高い単価のものを出しできますよ。自分でやると言うと安いものを出してきてくれますよ。補助事業というのは一体何なのかということをそういうことが端的に示しておるのではないかという指摘が多くなってきているのであります。 さて、そういう状況の中で農協自身も地域農業振興計画というのを立てている。大体半分以上立てておるでしょう。しかし、これが実際には余り機能しないんですね。実際にこれが機能することができるようにしていくためには、農家が自由に使うことができる低利の資金準備、この裏打ちがありますと農家の創意工夫が生かされた地域農業建設というのが可能になってくるんです。つまり、そういう状況が農協が持っている資金を地域農業づくりに還流させるということなのでありまして、そうした状況をつくりますというと、農協離れをしている大型農家にしましてもあるいは若手の皆さんにしましても、これは農協へ戻っできますよ。そしてそういうことが地域農業づくりの主体に農協がなり得る、そういう道を開いていくのではないでしょうか。 環境保全型農業というのがこれから大事な時代だとされてきております。環境保全型農業というのは何なのか。地域の自然を生かした農業ということなのではないですか。つまり、地域地域でもってやり方がそれぞれの独特の方法でやってもらうということなのじゃないですか。そういう意味では、農協を主体にした地域農業づくりというのが非常に大事になってきているんです。それを可能にしていくためには、農協が抱えている資金を地域農業建設に還流することができるような超低利融資に向けての資金制度、これをつくる必要があるのではないかと思うのだが、まず局長の見解を伺います。
○政府委員(川合淳二君) 農協の資金を地域に還元するということは、当然その資金の性格からいっても重要なことだと思っております。 これは先生御承知の点でございますが、農業近代化資金という制度によりましてこれを進めてきておりまして、いろいろな状況の変化に応じて従来からも改善を図ってきているところでございます。現在、生産から案出荷あるいは販売に至るまで幅広く融通をしております。こうした資金が円滑に融通されるように私どもはやってきているわけでございまして、こうした方向を今後とも進めていくということが重要であろうと思っております。
○谷本巍君 今やっているやつを今後とも進めていくと、こういうお話ですね。私が言っている話とはまるで違いますな。 大臣、私はこの間の本会議でもちょっと申し上げましたけれども、例えば、西ヨーロッパの生協が大型化していく中で経済の効率性追求に傾斜をしていった、そしてその結果、資本と併合されて協同組合としての実体を失ってしまったということを申し上げました。ところが日本の生協は、今や一千百万世帯ですか、さらに拡大されていくだろうということが見通されております。なぜ日本の生協が言うなればそういう隆盛の時代を迎えているのかということでありますけれども、これはやっぱり班組織が生きているんです。共同購入、そして共同購入と同時に、その班組織というのが意思の決定機関にもなっており、そしてそれがまた独自的な発想で独自的にいろいろな運動なり動きなりをすることができるというような状況になっているからであります。 農協の大型合併を進めていく場合も、私は学ばなきゃならぬのは日本の生協の姿なんじゃないのかというふうに思うのです。日本の生協と同じような活力のあるものにしていくためには、何といっても地域農業づくりを可能にするための自由に使える金ですね。そのために、この間本会議で申し上げたのは、これまでの補助制度というのを見直して、それを基本にして農協の金が地域農業づくりに還流することができるような制度の創出をひとつ考えてくれという質問をしておるのでありますが、大臣が御答弁になったのは先ほどの答弁と同じなんですよ。非常に残念なことです。もう一度ここで大臣の見解を承ることはできませんか。
○国務大臣(田名部匡省君) 補助金は要らないというのはもう何年か前に私も伺ったことがあります。それはむだな物も買わなきゃいかぬということが言われるわけです。まあ、大分改善されてはおると思いますが、いずれにしても私はこの資金ばかりではなくて幅広い選択ができるようにしておくということが大事なことだと思っております。 ただ、資金の場合になりますと、自由に使える金というのは一体あるんだろうかということを考えるとなかなか難しいと思うんですね。ですから、地域によってはこういうものにも使えるとかそういうことは可能であっても、自由に何にでも使えるということは少し難しいかなという気がするんですね。例えば、普通の金融機関でもやる内容によっては貸してみたり貸さないということもありますように、なかなか今度は一人一人を見て十分これで採算がとれてやっていけるという見通しでないと出せない、いろんな制約があるわけでありますからどういうことが考えられるのか勉強はしてみたいと思うんです。 特に生協のお話なんかも出てまいりましたが、事業というのはやっぱり人なんですね。だれでもうまくいくというものではない。ですから、うまくいったところはそれなりの経営感覚というかアイデアというものを発揮してうまくいっているんだろうと思うわけでして、ヨーロッパの西ドイツの場合もだめになった理由はまた別にあるようであります。いずれにしても私どもは、利子補給でありますとか金利等ももっと安くといいますけれども、いずれどこかから調達をしてきてお貸しをするということになると、預金したといいますかそういう人たちの金利の支払いということとのバランスも見なきゃいかぬ。 それでも農業等の場合、私も三年前に随分金利の安いものをお願いしてやったことありますが、他の省庁からえらい安いものをとこう言われまして、国の場合にはまたそういうバランスというものもあるのでなかなか難しいと思いますが、なるたけそういう意味では生かされて使える、そういう方向というものは、選択の幅を広げるとかいろいろ、少し勉強させていただきたいと思います。いずれにしても、地域農業の振興に活用されていくということは大事なことではあると思います。その辺のところはもう少しどういう方向があるか勉強してみたい、こう思います。
○谷本巍君 大臣の前向きの回答をいただきまして、感謝をいたします。そしてまた、その検討に大いに期待をしております。 〔委員長退席、理事北修二君着席〕 次に、合併助成措置の問題と絡みまして、固定化債権の償却に関する事項が今回追加されました。税制上の支援措置は継続をしながら基金に充てる負担金は損金算入、これは確かによいことなのでありますが、それだけでうまくいくかどうかということについて私は疑問を禁じ得ないのであります。 固定化負債の整理などについては、局長も御存じのように、結構多くの県で助成事業などをやっていますね。今回の場合、固定化債権の償却問題に絡んで、自治体などの助成、これをひとつ盛んにしていくことが必要ではないかと思うことが一つ。それからもう一つは基金造成ですね、これについて、自治体はもとよりと言いたいのでありますけれども、自治体はもとより、そして国も私は参加してしかるべきじゃないのかと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) 今お話ございましたように、固定化債権の償却問題というのが合併におきまして障害になっているというケースがかなり多いと思います。そんなこともございまして、今回の合併法では従来と異なりまして基金を設置するということで、この基金から償却につきましていろんな形で助成するという形をとっていくという制度を考えたわけでございます。これにつきまして御承知の税制面の損金算入という措置をとったわけでございます。 これにつきましては、政府内部のお話を申し上げて恐縮でございますけれども、かなりいろんな議論がございました。その中で損金算入という道を開いたわけでございまして、このことは、実際に損金算入するかあるいは課税対象になるかということを考えますと、非常に大きな助成措置でございまして、私どもはこれによりましてこの基金の造成が非常に促進されるのではないかと期待しているわけでございます。そういう意味では、今回の改正に際しましてこの措置をとったということは、私どもは今回の合併についてかなりの武器になるのではないかというふうに考えておりますので、これをうまく使うように今後とも私ども指導なり協力をしてへかなければいけないというふうに考えております。
○谷本巍君 そうしますと、自治体関係のことはどうでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) 御承知のように、今回の基金は県段階とそれから全国段階と二つつくることになっております。県段階につきましては、これは県内部であるいは系統の県段階でお考えいただくことでございます。県段階におきましても損金算入の道を当然開いているわけでございますので、この面での助成効果というのは相当に強いと思っておりますけれども、その辺につきましては県段階でいろいろな実情なり状況もあろうかと思いますのでその段階でお考えいただくことではないか、国の方で特別これについていろいろなことを言うということは今のところ考えておりません。
○谷本巍君 例えば県段階で基金造成への参画といったような問題が起こった場合、これはあなた方の立場としては望ましいこととお考えになるんですか、それともそういうものをやめにしてほしいという考え方なんですか。
○政府委員(川合淳二君) 私の方は、特にこれについてやめてほしいとか望ましいということにつきまして申し上げるのは僭越ではないかというふうに考えておりますので、特にこれについて私どもコメントすることは今のところ考えておりません。
○谷本巍君 合併関係の最後に伺いたいのは、今回の場合なぜ三年延長なのかということであります。 これまで三年でやってきましたから今回も三年でありますというのでは、これは理屈にならぬのですね。今回の場合は、先ほど来申し上げておりますように、組織二段化ということと絡みながら単協の大型合併ということで言ってきているわけですから、これはもうとてもとても三年間ですべて解決するというようなことにはならぬはずでありますのでありますから、三年間やってみて、その上でまたさらにもう一度、成果と欠陥とでもいいましょうか、それを検討しながらまた考えていくということなのかどうか、その辺のことについてちょっと伺いたい。
○政府委員(川合淳二君) 今回の延長期間三年といたしましたのは、従来も三年やっていたということも当然あるわけでございますが、そのほかに農協で三年ごとに農協大会を開きまして基本方針を定めてやってきているというようなこともございます。それからもう一つ、金融の流れなどもそうした平成六年春までに金利の自由化が行われるというような、これは直接的ではありませんが、そういう間接的な環境もございます。そうしたことから三年というようなものが適当ではないか、過去も行ってきたし今回も適当ではないかということでございます。 三年後のことにつきましては、現在私どもがまだ申し上げるのはいかにも早いわけでございますので、この三年間にこうした措置法によりまして少しでも合併が促進されますように私どもは全力を挙げていかなければいけないと思っているところでございます。
○谷本巍君 次に、農協法の改正問題について伺いたいと存じます。 まず、初めが経営管理体制の強化に絡んだ問題であります。 大臣は先ほど何をやるにしても問題は人だというふうにおっしゃいました。私もそうだと思うのです。今回の農協法改正の中での経営管理体制の強化については、一つには学経理事の枠を拡大していくというような方向が出され、そしてまた組合員の理事については、青年、婦人代表、それからまた部会代表など多様な層による構成といったようなことを想定されておるようであります。 そうしますと、選出規程例、これを私は検討してみたらどうなのかという気がするんですが、そこのところはどうなのかということと、選出規程例というのは変えていかないんだとするならば、政府自身が一つの方向というのを出しているわけですから、その方向を実現するためにどのような指導をされるのか、その辺について承りたいのです。
○国務大臣(田名部匡省君) 選出規程例、農協はその地域ごとによって千差万別でありますから、余りそれでがんじがらめにするというのもどうか。 望ましい方向としては、今お話しのように、業務が専門化、高度化してきておる、あるいは組合員の幅広い意向をどうやって反映させるか。学識経験者等も別の角度から見ていく。あるいは御婦人の方々が、もうこの委員会でも何回も御議論になりましたが、もう今や農業の大きな存在になっておるということからすると、御婦人方の役員の登用といいますか、それも必要であろう。あるいは若い担い手、こういうことを今一生懸命言っているわけですから、担い手の立場からの経営はどういうふうにあるべきかということ等を考えますと、積極的にこれらの人々が役員等に参画できるようにするということは私は大事なことだと思うんです。 このため、これまでも後継者や婦人の正組合員加入を進めておるわけでありますが、理事の選任に当たっては、今申し上げましたような学経理事、青年、婦人、部会などで活躍している各層の人たちが入っていただくということにしたい。また、今回の法改正においても員外理事の枠を拡大していこうということでありまして、実態面においてもこの法改正の趣旨を踏まえて各層からの代表の理事を登用していく、このことを指導してまいりたい。 先ほど申し上げたように、余り何かこう枠をはめてこうなきゃならぬと、こう言っても、実態として農協そのものが運営できるような、そこまでのまた多少勉強していただくとかいろいろあります。ありますので、時間をかけてはそういうことになりますけれども、指導としては大いに望ましい方向だと私も思いますので、指導してまいりたい、こう思います。
○谷本巍君 次に、事業譲渡の問題について伺いたいのであります。 組織の再編成に伴いまして、全国連と県連間、そしてまた県連と単協間等についての事業譲渡が行われる方向というのが出されてきておるのであります。 そこで、まず初めに伺っておきたいと思いますのは、例えば県経済連で見ますと、例を一つ新潟を挙げてみましょうか。新潟の県経済連は県内の最大の事業体ですよ。ところが、この事業譲渡が行われることによって県経済連が消えて、そして全農と単協に二分化されていくというような状況になっていくと、果たして新潟の県民の皆さんがこれについてどういう意見を持つのか、大体私は想像できるような気がするのです。農村県であるほど県の経済連などが果たしている役割りというのは、県経済への寄与度というのは高いんですね。それをなくすというような方向が出ているわけでありますけれども、これは機械的に進めていかれるんですか、どうなんですか。
○政府委員(川合淳二君) 組織再編の問題は、事業そのものによっていろいろと問題があり、かつ状況が異なると思っております。特に経済事業の場合でも販売事業と購買事業では違いますでしょうし、それから販売事業の中でもいろいろな事業がございます。例えば野菜の問題、米麦の問題、それぞれあろうかと思います。それから、地域によって非常に大規模な経済連というのも当然ございます。 そういうことでございますので、この問題につきましては、先ほども申しましたように、今系統組織の中で御議論が進められているわけでございますが、一つは、まず事業二段階ということから入りまして、それから組織二段階ということを系統の方も言っているわけでございます。この事業二段階というのは、ある意味では当然のことでございますけれども、これは単協を除くわけにはもちろんいきませんので、単協と県段階、あるいは単協と全国連、どれが望ましいかということが比較考量されて結論が出てくる問題だろうと思っております。 端的に申しまして、先生がもう御承知の点でございますが、例えば野菜などは既に県段階でいろいろな産地間競争を含めてやられているということがございますし、そうしたことも含めまして、この問題は画一的に全国と単協というふうにすべてを考えるべき問題ではないのではないかというふうに思っております。したがいまして、まず事業二段階ということからどうあるべきかということで検討を進めるべき問題であろうと思っておりますし、系統組織でもそういう取り組み方をしているというふうに私ども承知しております。
○谷本巍君 それからもう一つの問題は、今回の法改正で、例えば経済連と全農の間では事業譲渡の手当てはされておるんですけれども、信連と中金、これは手当てされていないのです。なぜなんでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) この事業譲渡規定につきましては、ちょっと言葉は適当であるかどうかわかりませんが、一番汎用性がある手段だということで今回改正をお願いしているわけでございます。と申しますのは、系統内部で平成五年三月に向けて今検討を進めておりますので、その間にどういう形の再編整備というものが行われるかということを見た上でないと、こうしたある種の手法、法律的手法につきましても検討しなければならないものが今後も出てくるだろうと思っております。 したがいまして、前段階と申しますか、そういうことで今回事業譲渡の規定についてのみお願いをしているわけでございまして、例えば今御指摘いただきました中金と信連というような関係につきましては、今後の検討を待った上で要すればまた法律改正をお願いするというようなことを私ども考えているわけでございます。
○谷本巍君 そうしますと、組織論、業務範囲等について系統が方向を出せばそれに対応してやっていきますということですね。
○政府委員(川合淳二君) 原則的にそういうことでございますが、当然のことでございますし、系統もそういうふうに当然御検討いただくことになろうかと思いますが、あくまでもそれは農協組織として、言うなれば農家、農業者にとって何が適切であるかという観点で当然見た上でのお話だということはつけ加えさせていただきたいと思います。
○谷本巍君 最後に、老人福祉の問題について伺いたいと思います。 独居老人の食生活等について、農協が福祉事業として給食サービスを行っているというような例等が見られます。これは大変評判がよろしい。業者がやった場合は心がこもっていないという指摘が多いのに対して、農協の場合は地域に密着度が濃い農協であればあるほど評判がいいという傾向があるようであります。 さて、そういう状況の中で農協の福祉活動を進めていくのには、例えば二、三日間の家庭介護、それから昼間だけの世話役活動といったようなもの等々を進めていくにしても、保健婦、看護婦さんを抜きにしてやることはできないんですね。 そこで、一つはホームヘルパー、弁護士、これをどう確保するのか。また、保健婦、看護婦、これをどう確保するのか。例えば看護婦について言いますというと、これまで農協で言うと厚生連が持っておる病院、あそこで看護婦をあわせて養成しているところが幾つかありますよ。普通、民間の病院の場合には病院で看護婦を養成するという状況になっておるわけでありますが、関係者の皆さんに聞きますというと、一人の看護婦を養成するのに三年がかりで約四百万円の金が必要だというのですね。これはもう大変なことですよ。厚生省はゴールドプランを出している。施設はできるけれども、人が確保できないのが最大の悩みになってきています。これは農村の場合だって同じですよ。 そうしてみますと、ホームヘルパー、弁護士、保健婦、看護婦などをどう確保していくのか、その辺について農林水産省としての一定の方針を持たなきゃこれはしょうがないですよ。その辺は一体どうなんでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) 今回の農協による老人福祉事業についてでございますけれども、この問題は従来の各種事業と若干異なる性格を持っていると思っております。と申しますのは、こうした問題に農協が取り組まなければいけないというのは御承知のように農村におきます高齢者の増大ということでございまして、これは事柄の好き嫌いにかかわらずこういうものに携わらざるを得ないという、そういう状況があることが一つあろうかと思います。 そうしたことから既にこうした形に近い事業に取り組んでいるわけでございますが、一方で当然のことながらこれはかなり農協にとって負担が伴う問題でございますので、慎重にやらなきゃいけない点もございます。それと同時に、福祉事業でございますので当然全体的な福祉事業の傘のもとでこれも行われるべき問題でございまして、当然のことながら市町村行政との関係というものも密接になってこようと思います。 その中で人の問題でございますが、とりあえず私どもが考えておりますホームヘルパーとかいわゆる介護の問題でございますが、これは現在介護リーダーの養成というようなことで若干の事業を開始しておりますけれども、これも厚生省の計画の一環として私どももやるということを、今お触れになりましたゴールドプランでございますが、これの一環としてやるということを考えておりますので、そうした全体的な行政の計画の中でこれも進めていかなければいけないというふうに私ども考えております。
○谷本巍君 今の答弁では私非常に不満でありますから、最後に大臣からもお答えをいただきたいのであります。 大臣にこの際申し上げたいのは、福祉型農村社会の構築を目指す、それを農水省の一つの仕事にしていきますということをここで聞きたいのであります。これまで農林水産省の農政というのはいわば農業一辺倒でありました。新農政づくりの中では農村政策ということが強調されております。その農村の中で一番大きな問題になってきているのは何かといえば、高齢化社会の二十年先取りの状況になっているということであります。 どうしてこうなったかということは、これはもう農家の責任ではないのであります。若い人たちが農業から出ていったというのは、これはもう農家の責任ではないのであります。それは国の経済政策や農政、そういうツケが生んだ現象というのが高齢化社会の二十年先取りという状況になっていると申し上げてもいいと思うのです。でありますから、農協の責任で福祉事業をやってもらいますということじゃなしに、政府自身の福祉政策を強めながら、そこへ農村独特の福祉をつくるということが私は大きな課題になってきていると思うのです。 大臣、一つの例を申し上げますけれども、例えば老人医療費の一人当たり平均で見てみますというと、北海道はダントツですよ。どうしてなのかということについては、大方の専門家の皆さんの論議は、北海道というのはアメリカに似た新しい地域である、そこへいくというと内地というのはそうではない、そういう違いによるのではないのかといったような指摘が専門家の皆さんに多いのであります。 農村で、あるいはまた漁村でもそうでありますけれども、ひとり住まいの老人について近所の皆さんがおふろの世話をしてあげる、買い物の世話をしてあげる、洗濯の世話をしてあげるなどの状況というのは結構今でも見ることができるんです。農村社会というのはそういう意味じゃ懐の深さを持っているのです。 そういうものをどう生かしていくかということが私はこれからの課題になってくると思うのです。こういう状況というのは厚生省にはわかりませんよ、厚生省には。一番知っている官庁というのはどこかといえば農林水産省なんです。そして、先ほども申し上げたように、環境問題にしても、あるいはまた福祉問題にしても、行政だけでは解決がつかぬ時代が来ましたよということを私は申し上げた。運動というのと行政というのがドッキングして問題解決を図っていかなきゃならぬ時代に来たということなのであります。 そういう視点から見てみますと、農村福祉というのは農林水産省が一定の指導性を持ちながらやっていけるようにしていくことが大事になってきたと思うのです。それを可能にしていくのには何といいましても、先ほどから、ここでも申し上げますけれども、農協が持っている資金をどう還流させるか。例えば施設づくりに人づくり。そういう意味で私はこの際大臣に要請をしたいのは、農協資金を原資とする福祉づくりについての資金制度の創設というのを考えていくことができないのかということをひとつ要望しながら、最後に大臣の福祉型農村社会づくりについての所信を承りたいのです。
○国務大臣(田名部匡省君) 非常に難しい問題だと思いますが、こういう問題は、今、日本が抱えている最大の私は問題だと思います。高齢化がどんどん進展していく、出生率が低下をする、そのことがいろんな改革に結びついてきている中の一つであります。 ただ、おっしゃるとおり、そういう事業まで手を出すということになると、一体農協がその負担にたえて事業としてうまくやっていけるかどうかという問題もあると思うんです。そうすると、その事業がうまくいかないと農家が今度はそれを補てんするということになってきますと、一挙にそこまでいけるかどうか。ただ、考え方としては結局地域の実情でやむを得ないというところがあるのかなと思います。 そういうところについては、施設の設置等いろんな面で考えられるだろうと思いますが、積極的にやるんではなくて、これは農村社会だけではなくて漁村も、もう日本全体、国民全体ですね、ボランティアと言うとただでやらなきゃならぬから、そこまでは言いませんが、いろんなところからの委託を受けてみんなが取り組んでいこうということで、今農村もそういう意味では御婦人方が多方面で活躍している。その中にそういうリーダーの養成をして、その人たちにも御苦労でありますがそういうこともお手伝いをいただいていくという、当面の考え方はそういうことであるというふうに私は認識しております。 施設のことまで今からやりますと、厚生省の所管のことを農林省がやるということで、まあ将来的にはどうなるかわかりません。もっともっと深刻な状態になると、もうそれはみんながやらなきゃいかぬ時代が来ると思いますが、当面はそういうことで市町村、社会福祉法人が原則的にはそういう施設というものは設置をして、私どもは委託費とかいろんなことを受けてお年寄りの面倒を見ていく。先ほど看護婦さんの話までありましたが、そういうものはもう病院の方でお世話をいただく。要するに、ホームヘルパーといいますかそういうことでお手伝いできる範囲のことをまず手がけていこう。先生のお話はその先の第二段階の高齢化社会になったときはどうするかというところでの検討がなと、こう考えます。
○一井淳治君 私は、ウルグアイ・ラウンド農業交渉の関係の質問から始めさせていただきたいというふうに思います。 我が国の米について、輸入自由化は断固として阻んでいかなきゃならないというわけでございます。また、乳製品やでん粉も守っていかなくちゃならないわけでございますけれども、最初に質問させていただきたいことは、七月のミュンヘン・サミットの前に農業交渉がまとまっていくんじゃなかろうかという心配もございますが、そのあたりについてはいかがでございましょうか。簡潔にお願いします。
○政府委員(川合淳二君) 私どもも、十分今の状況を的確にお話しするまでに至ってないわけでございます。御承知の米・ECの話し合い自身につきましても、どうもうまくいってないのではないかという情報が多いわけでございまして、そういう中で具体的な進展というのは少なくとも表には見えてない状況でございます。私どもとしては、現在情勢の把握に努めておるとともに、我が国の立場をいろんな機会を通じて申し上げて、理解を求めているという状況でございます。
○一井淳治君 これは言わずもがなでございますけれども、六月中に農業交渉がまとまらない場合にはアメリカでは農業に対する輸出補助金を大幅に増額するという、いわゆるガットトリガーが引かれるんじゃなかろうかという状況になりますけれども、そうなる前にアメリカとECとで裏取引をまとめるんじゃなかろうかという観測もよくなされていることはもう言わずもがなのことであるというふうに思います。また、そういった関係で、先ほどの四極通商会議ではアンドリーセンEC副委員長が決着期限の設定については強く反対されたわけでございますけれども、これについても七月決着を目指しての策謀であるという観測も行われているところでございます。 そういったことで、EC・アメリカ間の裏での合意工作が急に進んで、ある日突然浮上しできますと、日本の要求などはねのけられてしまって、そして一気に合意成立へと持っていかれる危険性を非常に心配するわけでございます。そういったことでやはり現時点においてもいろいろ対策が必要ではなかろうかと思うんですけれども、本当にどうなんでしょうか、七月までにまとまる可能性もあるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) 率直なところ、それについて的確にお答えする状況にはございませんけれども、当然先生がお話しのようなことを十分警戒しながら対処していかなきゃいけないと思っております。現在も塩飽審議官がオーストラリア、ニュージーランドヘ出張しております。これも我が国の立場を十分理解を求めておりますけれども、それと同時に、ケアンズ側の代表であります両国から見た米・ECの動きについての問題などについての意見交換もしたいということを考えておりますし、来週には国際部長がOECDの閣僚会議で出張いたしますので、その前後にそうした情勢の把握に十分努めたいと思っております。 それから、先日、四極通商でヒルズ代表が来日したときに大臣のところへ参りまして、大臣からも米・ECのみで話が進むようなことについては、そういうことはとても受け入れられるものではないということを強く申し入れていただいております。
○一井淳治君 ダンケル事務局長が示された順番を見ますと、第四トラックとして修正交渉の場を設けるということが示されておったわけでございますけれども、これがいつまでたっても開催されないということを残念に思っております。 日本では国別表で、米や乳製品等については包括関税化に対しては反対の意思表明をしているということであるわけですけれども、しかし、アメリカとECの輸出国同士のやりとりだけで、日本も、また他の世界の国々の要求も十分に入れられないままで決められていくというふうなことがあっては絶対にいけないというふうに思うわけでございます。この際、大臣もどうか陣頭に立っていただきまして、何とか修正交渉が始まるような状況に持っていっていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、大臣の御決意等についてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) 従来からの姿勢は一歩も変えておりません。今もお話しのように、反対の国にも、意見の合わない国にもそれぞれ派遣をいたしておりますし、私のところにも、今申し上げましたように、今月だけでもヒルズ代表あるいはカナダの経済大臣、ニュージーランドの農業大臣、いろんな方が訪ねてきてくれます。その中でも私も申し上げておりますけれども、アメリカとECだけが何か合意された、一生懸命協議をしているということはおかしいじゃないですかと。もともとこのダンケル案というのは案であって、十分な討議を経ないまま提示をされたというところに各国の不満が出ておるということでありますから、第四トラックがどうのこうのというのは別として、反対の国も集まって十分意見を交わすべきだということをヒルズ代表にも申し上げました。 世界的な食糧が一体どうなるかという見通しをしっかりと立てるということも私は大事なことではないか。人口がどんどんふえていく、開発途上国がこの十年間で十億もふえるということを踏まえて、一体どこがこれらの国の食糧の援助というものをしていくか。つくれるところも放棄してそういうものを私は達成すると思えない。ニュージーランドの大臣にも先般申し上げましたが、ヒルズさんにも同じことを申し上げたんですが、私どもは開発途上国にODAを通じていろんな援助を申し上げておる。おかげでベトナムあるいはタイも輸出国になった。インドネシアも、この間副大統領とお会いしましたが、おかげさまで自給できるようになりましたと。 このことが、それはアメリカの販売先が減ったということでおもしろくないという気持ちは私はわかる。だからといって、その国々はまだ輸出補助金をつけて競争するだけの力はありませんよと。片っ方では、金を持った国は輸出補助金を出すということは一体公平なんですかという話をいたしました。大使さんたちもお見えになれば、もっとたくさん申し上げるわけでありますが、それはそのとおりだと、こう言ってくれます。いずれにしても、理屈の合わぬ、公平でないルールでやるということは、私は断固これは反対しなきゃならぬということで申し上げておるわけです。 いずれにしても、これからもとにかく日本の立場はこういうことなんだということが世界にわかってもらえるということが大事なことでありますから、それは引き続き努力をしてまいりますし、アメリカとECさえよけりゃ世界がいいんだという、そんな勝手な話はないわけでありますから、そのことも主張し、いずれ多くの国が集まって、そして譲るべきところは譲る、あるいは譲れないところは譲らない。いろんな話し合いの中で、少しずつ痛みを感じて話し合いというのがなされていくのならば別でありますが。 いずれにしても、それぞれの国が困難な問題を抱えておるわけでありますから、輸出国、輸入国の立場、そういうものを理解し合うということから、あるいは世界の食糧全体をどうするかということから考えて、一つの方向というものを世界で見出していくということでなければならぬ。そういう立場でありますから、従来とも私どもは輸入国としての立場が確保されるということは大事であります。国会でも決議いただいておりますから、それを体してこれからも最大の努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
○一井淳治君 お話をお伺いしたわけでございますけれども、アメリカとECの交渉、そしてその成り行きを見ながらじっと動かないダンケルという図式になってきておるわけでございますけれども、どうか包括関税化案の修正が現実にできるような動きを、大臣も場合によっては海外に出ていかれる等の御努力を賜って、ぜひともつくり出していただきたいというふうに要望を申し上げたいと存じます。 それから、このウルグアイ・ラウンド農業交渉に関しましては、マスコミの動きということが非常に微妙な影響を持っておりまして、私もこの国会で二度ばかり質問をさせていただいたわけでございますけれども、マスコミ対策というものに引き続き御努力をお願いしたいと思うわけでございます。 マスコミ対策というのは決してどうこうしろというんではなくて、正しい報道をしてほしいということでございますけれども、きょうの新聞を見ますと、一つは朝日新聞を見ますと、所得補償を中核農家を対象に始めるんだということが一面トップで報じられておりますし、また別の東京新聞を見ますと、米産直を自由化するので政省令を改正するんだというふうなところまでの記事が載っておるわけでございます。もう一見してこれはいずれも誤報だろうなというふうにわかるわけですけれども、きょうは馬場官房長も何かお見えのようでございましたが、もうこれは三度目のことになるんですが、どうか今後こういうことが起こらないように農水省内部もよく統率されて、よろしくお願いしたいということをこの際要望しておきます。 それから、次に減反の生産調整の問題について質問をさせていただきますけれども、来年以降の問題について検討が始まっているというふうに思います。要は、大規模農業を志向しておる若い意欲のある方に頑張ってもらいたい、そういう状況を農村部でつくっていただきたいというわけでございます。そういったふうな意欲のある方には一〇〇%耕作させるということができるように、そういう方向に進んでいっていただきたいというわけでございます。 この問題については、三月の十二日にも質問をさせていただきまして、その際には「考慮に入れてまいりたい」という御答弁もいただいておるわけでございますけれども、その後、いわゆる十三万ヘクタールの減反緩和目標について、全国平均が七七%ぐらいしか達成できないということも公表されたわけで、もう一遍生産調整の問題について要望させていただきたいわけでございます。
○政府委員(上野博史君) 委員のお考えについてはかってもお伺いをしておるわけでございまして、私どもとすれば、米の生産というものを我が国の農業なり、稲作を中心に担ってもらう地域あるいは担い手層に稲作をやっていただくんだという、これが基本的な考え方であるというふうに考えているわけでございまして、現在やっております対策につきましても、転作等目標面積の配分の際に地域的なそういう事情を考慮に入れて配分をいたしております。それから、それぞれの地域、地方公共団体におきましても、配分の過程におきまして御趣旨のようなことも考えて転作の面積を軽減するというような取り扱いが行われているということも承知をしているところでございます。 ただ、先般も申し上げたかと思うのでございますが、若い農業者について転作を全く免除するという話になりますと、この生産調整というものが地域の合意を結集して、調整の上に成り立っているというようなことでもございますものですから、農業者間の不公平感の調整という問題もあるわけでございまして、そこら辺は実効性についても考えてまいらなければならないというふうに考えているところでございます。 あえて申し上げますと、若い農業者であれば、この生産調整の本旨といたしております水稲作とそれ以外の転作の作物との組み合わせのもとに、その地域におきます効率的な水田の利用を図ってまいる、そういう経営を作り上げていくということがあるわけでございまして、転作についてもこれに十分鋭意取り組んでいただいて、率先垂範、転作政策の実が上がるように協力をしてほしいという、そういう意味合いも持っているわけでございます。 助成金の加算額やなんかにおきましては、規模の大きい効率的な農業経営体の稲作に援助が行き届くというような考え方のもとに加算を考えているということでもございまして、ポスト後期の問題というのは今後さらに検討してまいって決めてまいりたいと考えているわけでございますけれども、その辺の事情を十分に配慮しながら検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
○一井淳治君 十分な御検討を賜りたいわけでございますけれども、要するに、農業が崩壊寸前の状況にあるということで、よほど思い切った対応をとらないとどうにもならない状況であるということをお考えいただきまして、今までの農政の考え方を真っさらに白地にして新規に考えるというお考えでお取り組みいただきたいというふうに思います。 また、昔と違って現在は非常に多くの方々が耕作が大儀になってしまって、耕作をやめてしまいたいという人の方が圧倒的に多いわけでございますから、そういう情勢変化ということについても率直に見ていただいて、いい方向をぜひとも出していただきたい。いい方向といえば、私は若い積極的な人には一〇〇%耕作をさせるというところまでいかないと日本の農業は本当にもう崩壊してしまうというふうに思いますので、十分な御検討を賜りますよう要望いたしておきたいというふうに思います。 次に、員外理事の枠の拡大の問題について質問をいたしますけれども、現在でも員外理事の枠に達していない場合が大部分でありますし、また、学識経験者の理事に至りましては農協当たり平均〇・一人というふうな実情でございます。したがって、この際、員外理事の枠を拡大しても、その効果を発揮させるためにはよほど積極的な指導が必要ではなかろうかというふうに思うわけでございますけれども、適切な人が得られるような御指導についてはどのようになさるのでございましょうか。
○政府委員(川合淳二君) 員外理事枠の拡大を今回お願いしているわけでございます。今、先生御指摘のように、現実は今の四分の一以内というのが制約になっているというほどに員外理事が登用されてないわけでございます。したがいまして、そういう意味では改正をお願いしているのがすぐに効果が出るという問題ではないことは御理解いただきたいと思うんですけれども、ただいろいろな環境の変化、それから事業の専門性、高度化というようなことからいいまして、やはり今後の農協経営というのは専門性の高い経営者という方が参画していただくということが非常に大事になってくるんではないかと思っております。 そうした必要性ということを系統内外に知っていただくために今回の改正をお願いしているわけでございます。したがいまして、改正をいただいただけでこれができるというふうには毛頭私ども考えておりませんので、こうした必要性を具体的に説明し、かつ系統にもそうした運動を起こしていただかなければいけないと思っています。員外理事になるかどうかもございますが、例えば若い人それから婦人、そうした理事が入っていただくことも同時にやっていかなきゃいけないと思いますので、一つは、いろんな形で農協内に部会なり協議会というものを設けていただくということが一つ。 それから、専門的な人をどう求めていくか。ある意味では一番早い道は職員の中から登用していくということが一つあろうかと思います。それから、系統内部での出向とかあるいは交流人事という形を通じてだんだんそういうことをやっていくということもあろうかと思います。そういう具体的なことを考えながらこのことを何とか進めていきたいと思っております。
○一井淳治君 依然としてこの員外理事は制限するというのが法の基本原則になっておるわけでございまして、この立法趣旨についてはもうわかり切っておりますのでここでは質問をいたしませんけれども、消極的な側面といいましょうか、員外理事の枠を拡大して起こる弊害というそちらの面も除く努力は必要であるというふうに思うわけでございます。 例えば、土建業者のような利権目当ての人が入ってくるとか、あるいは政治的に利用するとか、あるいは組合長を中心に人間関係を固めるために使われるとか等々、まじめに農業振興を考える農民が本来からいえばやればいいんだけれども、そうでない人たちが入ってきて組合の運営が好ましからざる方向に向かうということもあるわけでございますので、マイナスの、反面の弊害が起こらないような運用上の御指導も必要ではなかろうかと思うわけでございますが、そのあたりはいかがでございましょうか。
○政府委員(川合淳二君) 今申しましたように、この員外理事枠の拡大というのは、今後の事業の高度化、専門化あるいはある意味では透明性の増大ということでこうしたことをやっていただきたいということでございますので、先生が今御指摘のような形にこの制度が悪用されるということは、最も警戒し、かつ回避しなければいけない問題だと思っております。 具体的にどういうふうにしたらそういうことにならないかということはなかなか難しい問題だろうとは思いますけれども、なぜこういうふうに拡大したかということの趣旨と申しますか、をよく理解していただくということがまず大事だと思います。それから、大きくなればなるほど重要なことなんでございますが、組合員一人一人が理事、いわゆる経営者、管理者というものに対してそれなりの目を持っていただくということも必要だと思いますので、もう一つ組合のいろんな事業なり運営なりについて組合員によく広報活動などを通じまして知っていただくということも十分やっていただかなきゃいけないと思いますので、ただ員外理事枠の問題だけではなくて、そういうことも含めて指導を徹底するように私どもも努めたいと思っております。
○一井淳治君 員外理事としてこういうような人に積極的に入ってもらいましょう、そしてこういった人は少なくとも言外にわかるように、こういった人には入ってもらうとよくないということが理事の構成を考えていく人たちにわかるように御指導を賜りたいと思いますが、その辺までは御指導いただけるんでしょうね。
○政府委員(川合淳二君) 今、先生からいろいろお話がございました点、十分参考にいたしまして、なるべく具体的に指導していくような、そういうことを系統ともよく相談したいと思っております。
○一井淳治君 次に、監査の強化のことについて質問をさせていただきます。 今回の改正で監事は非常に多様な権限や使命を与えられたわけでございますけれども、これまでの監事の実際の姿というのは恐らくは決算書の内容を十分に確認しないまま判を押すというふうな状況がまあ多いんじゃなかろうかと。そういった中で、もし監事がいろいろと意見を言ったりするとうるさがられるというのが実情ではなかろうか。私は一々調査していませんからはっきりとはわかりませんけれども、そういう農協も少なからずあるんじゃなかろうかというふうな感じもいたしますけれども、その辺の、監事が堂々と農協内で活動できるような状況をつくり出していく、これが監査の強化の一番の大事な点ではなかろうかと思いますけれども、そのあたりの御指導はいかがでございましょうか。
○政府委員(川合淳二君) 今回、監事の権限なり職員の強化というものをお願いしているわけでございますが、これは今、先生がお話しのように、監査機能あるいは監事からの立場で農協の経営を十分見ていただくということでございます。先生方の方にむしろ農協問題につきましては御専門の方がおられますので、私から申し上げるのはまことに恐縮な面もありますが、この監事の問題につきましては、やはりそうした権限を置く、強化するということだけでは当然十分ではないわけでございまして、こういうところにどういう人がつくかということにかかっているわけでございます。 学識経験者の監事への登用とか、それから常勤の監事の設置というようなものが今後規模が大きくなり合併などが進んでまいりますと必要になってくるわけでございますので、これにつきましても、先ほどの員外理事の問題と同じように、具体的にこういう人が監事として就任すべきだというようなことも含めまして、よくこの改正の趣旨を徹底するように私どもも工夫をしていきたいと思っております。
○一井淳治君 中央会の監査の強化についてはどのような対策をお持ちでございましょうか。
○政府委員(川合淳二君) 中央会の監査は御承知のように組織内の自主的監査という性格がございます。したがいまして、これを強制的な形で行うということは性格上できないわけでございますが、私どもは、行政検査というものがあるわけでございますので、こうしたものとの連携なり緊密な連絡をとりながら中央会監査も行っていくということをいたしたいと思っておりますので、行政との関係を緊密にしていくということにさらに努力していきたいと思っております。
○一井淳治君 次に、農協が農地を取得してみずから農業経営できるような法改正をなすべきではなかろうかと思いますが、そのあたりについてはいかがでございましょうか。
○政府委員(川合淳二君) この点につきましては先生から幾度か御質問を受けております。私どもも真剣に受けとめて検討している課題でございます。 今回の改正にはこの点について私どもは改正をお願いしておりませんけれども、この問題は担い手のあり方、特に地域によりましては担い手がいろんな形で既になくなっているようなところについて農協がどういうふうな対応をすべきか、担い手対策の一環として農協がどうあるべきかという問題だろうと思っております。 新政策の中の大きな課題の一つだというふうに私どもは考えておりまして、検討しているわけでございますが、これも、従来も申し上げましたように、一方で組合員の事業と競合するというようなこと、農協が農地を所有するという問題、その上で経営するという問題等々、他の問題に波及する点もあるということで現在検討を慎重に行っているわけでございますので、そうした担い手対策の一環として今後の検討課題ということで今回は見送らせていただいたということでございます。
○一井淳治君 その担い手対策の問題とあわせて、農協が所有権を取得しないと、例えばその付近一体を果樹園にしようというふうな一つの企画を実現するためには所有権を取得しないと思うとおりの経営ができないということや、それからまた、年間を通して果樹園の仕事、野菜の仕事、花の仕事等の組み合わせなど総合的な対策をするためには所有権の取得をしておかなくちゃならないということもあることをひとつ念頭に置いていただきまして、さらに御検討を深めていただきたいというふうに思います。 次に、農協が農業生産法人の構成員となって農業生産法人として共同作業への取り組みをすることが現在はできない。できないというのは、個人として農地または労務の提供をすることが要件になっているからこれはできないわけでございますけれども、しかし今後それも可能になるような御検討をいただきたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(海野研一君) 現行制度上は御指摘のとおり農地または労務を提供する個人だけが農業生産法人の構成員ということでございます。これは何といいますか、みずから農業をしない人が農地に関与するということを避けようということからできているわけでございます。 ただ、御指摘のように、今の農業労働力の減少や高齢化が進んでいく、担い手がなかなかいないという中で、農業経営の強化を図っていく上で法人化というのも一つの大きな検討課題になっていくと思います。そういう意味で、今後いわば法人化する農業生産法人そのものについて幅広く検討することにしております。特に、農業生産法人を支援していくというようなことをも含めまして、農協が今御指摘になりました構成員になるというようなケースその他を含めまして、農協がどういう格好で農業生産法人の育成に関与していくかということも重大な問題として検討してまいりたいと考えております。
○一井淳治君 最近、農地について、耕作する方がいないために農地の荒廃が進んでいるという状況の中で、当面の対策として耕作者を確保するという一つの目標も持って、市町村公社、まあ農業公社とも呼ばれておりますけれども、市町村公社が各地でだんだんと設立されているという状況にございます。私はこういうふうな農民の間あるいは地域の中から意欲を持って生まれてきたようなものは積極的に育成していった方がいいんじゃなかろうかというふうに思うわけでございますけれども、そのあたりの御見解はいかがでございましょうか。
○政府委員(海野研一君) この市町村公社の問題につきましても、一つには、先ほど経済局長から農協の耕作問題についてお話がございましたように、今後伸びていく個別経営体との競合という問題が一応あるわけでございます。 ただ、そういう競合を起こさない限りにおきましてそういう公社が基幹的な農作業の受託をするというようなことは、特に担い手不足を補完して農地を適切に管理していくという意味で一つの有効な方策だというふうに考えておりまして、そのような公社の受託につきましても平成四年度から助成の対象としたわけでございます。 さらにその場合に、先ほど農協についておっしゃいましたように、具体的な権利取得をしていかないとうまくいかないというようなケースもございます。もちろんその公社が半永久的に農業の主体になるというのはおかしいと思いますが、少なくとも農地保有合理化法人として担い手が出てくるまでの間つなぎとして持つというようなことはあってもいいんであろうということで、今般農地法の施行令を改正いたしまして、市町村公社が農地保有合理化法人となる道を開いたわけでございます。 そういう意味で市町村公社が特に担い手不足の場合、そこに対応して土地をしばらく持つということで優良農地を適切に保全しながら担い手の育成に携わっていくということに期待しておりまして、このような新しい助成策なり法制上の措置なりの普及浸透と、それに関連する関係機関の指導に努めてまいりたいと考えております。
○一井淳治君 時間がありませんので要望だけさせていただきますけれども、県の設立認可を容易にするようにしていただくこと、それから農機具の取得や更新の助成の強化をしていただくこと、年間通じての仕事の確保についていろいろと御指導や援助をいただきたいこと、それから地方自治体の助成についての御指導を賜りたいこと、そういった多方面の育成策を今後深めていただきたいというふうに要望をいたしておきたいと思います。 次に、農協の営農指導の関係について質問をさせていただきます。営農指導の役割を強化する必要があることは言うまでもないことでございますけれども、しかし、残念ながら農協の事業収益はどの部面をとりましてもだんだん縮小しているという中におきまして、営農指導をするための経済的な裏づけがないということで、国の、あるいは公共団体の助成ということが強く期待されているというふうに思うわけでございます。そのあたりについての御所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(川合淳二君) 営農指導事業は、農協の本来的な、ある意味では固有の事業であるわけでございます。各種事業が行われていく中心が農家への営農指導であるわけでございますので、この事業は農協みずからが取り組んでいただくということが一番大事であろうと思います。その上でこうしたことが地域の農業の振興あるいは地域の活性化ということにつながるように行政が協力していくということが建前であろうと思っております。直接的にこうした事業に何らかの助成をするということはなかなか難しいんではないかというふうに考えております。
○一井淳治君 直接的にもう私どもは何とか考えていただきたいという要望を重ねて行う以外にないわけでございますけれども、それ以外に営農指導員の確保とか、資質の向上等に対する積極的な助成とか、あるいは農業改良普及員との関係の緊密化等々のいろいろの御指導を賜りまして、営農指導が円滑に、強力に進むように要望しておきたいというふうに思います。 それから、この営農指導の問題につきましては、広域合併をすると市町村との連携が希薄になるために合併の弊害という側面が出てきはしないかという心配もなされているわけでございます。そういったことがあっては絶対なりませんので、それに対するどのような対策をお立てになるのか、御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(田名部匡省君) 農協合併に当たっての目的というのは、何といってもこのメリットが組合員に適切に及ぶということがもう最も大事なことでありまして、私どもはその中で、おっしゃるように連携が希薄になる、大きくなるとそういう面が出てくるかもしれません。そのところは十分注意をしていかなきゃならぬところで、そのために、従来ある合併した後の支所、そういうものの機能というものを充実していかなきゃならぬ、こう思っております。 また、事業運営の効率化がうまくいくだろうということで、またいってもらわなきゃならぬわけですが、農協と組合員あるいは市町村、行政との関係がそのことによって希薄になってもいかぬということがありますので、このため野菜、畜産、各生産部会の活用を図って、地域の特性に応じた適切な営農指導を確保していきたい。あるいは市町村との連携強化を図るための連絡協議会、そういうものを設置して、最終的には農家個々に支障のないようにしていかなきゃならぬというふうに考えております。その辺の指導もしっかりしてまいりたい、こう考えております。
○一井淳治君 それから、もう一つ合併との関係で心配なのは、補助事業というものが関係市町村単位で行われるために、広域合併との関係で連携がうまくいくんだろうかという心配があるわけでございます。その点についても弊害が起こらないように十分な御配慮を賜りたいというふうに思います。 それから、また要望を重ねますが、もう一つは事業譲渡の規定が入ってまいりますけれども、信連と農林中央金庫との間の事業譲渡の規定がないわけでございます。今後、事業譲渡が可能となるように検討を賜りたいというふうに思います。 それから、もう一つ質問でございますが、系統農協の組織整備の取り組みについて、政府とすればどのようにお考えになり、どのような支援や御指導を考えておられるのかという点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) 系統組織においては、去年の十月の全国大会でみずから事業、組織の改革を図る必要があるということで、二十一世紀までに千農協を目指していきたい、原則として事業二段・組織二段、これに取り組んでいくことを実は決議いたしておるわけでありまして、おっしゃるとおり厳しい情勢の中で使命を十分果たしていくためには、こうした系統みずからの改革努力が実行されていくということは重要だというふうに考えております。 農協合併助成法についてはその延長、充実を図るとともに、農協法については事業譲渡の規定を整備することといたしておりますが、また農協合併の推進のために税制上の特例措置、財務調整の円滑化、市町村農政との連携強化及び広域営農指導の強化を図るための予算措置もあわせて講じておるところであります。
○一井淳治君 あと一点、時間がありませんので要望して終わらせていただきたいと思いますけれども、合併の最大の阻害要因であるのは固定化債権の処理の問題であるというふうに思います。これにつきましては合併推進法人を設置することとされたわけでございますけれども、この基金の拠出について、行政としての支援、これをぜひとも要望したいわけでございます。それで、国としての御支援を希望いたしますし、少なくとも都道府県は必ず支援をしていただくような御指導を賜りたいというふうに思うわけでございますが、時間が参りましたから――あと一分ありますね。
○理事(北修二君) いいですよ。
○一井淳治君 まだ一分あるようですから、お願いしたいと思います。
○政府委員(川合淳二君) この基金につきましては税制上の優遇措置を図るべくお願いしているわけでございます。このことは、この基金の運営につきまして相当な私どもは支援になるというふうに考えております。この法人が円滑に運営されるように私ども今後とも指導してまいりたいと思っております。
○理事(北修二君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時十一分休憩 ―――――・――――― 午後一時十分開会
○委員長(永田良雄君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農業協同組合法の一部を改正する法律案、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○三上隆雄君 それでは、私は社会党・護憲共同という立場で質問するわけでありますが、前段ベテラン議員が相当詳しく厳しく質問したわけでありますから、私はないのかなと思うけれども、一番現場に近い立場にいる立場で、そこに視点を置きながら質問を進めてまいりたいと、こう思います。 今回の農協法改正に当たっては、社会経済の情勢変化に伴って、農協の健全な発展を期すために今回の法改正があるわけであります。そもそも私は、農協は組合員農家の生活の向上に資するための組織である農協であると、こう思うわけであります。 そこで、組合員農家の豊かさとは、経済的な面で豊かさを求めるという点がまず第一にあると思います。その経済的な豊かさを求める場合に、良品質の農産物を、しかもいかにして多量に生産して、しかもそれをいかにして有利に販売するか、その有利に販売するための農協がいかにあるべきかだと思うわけであります。 その意味での適正な農協の規模と、そしてその体制、機構はいかにあるべきか、その点についての政府の考え方とその方策を示していただきたいと、こう思います。大臣、よろしくお願いします。
○国務大臣(田名部匡省君) この合併については、もう何回も申し上げているところでありますが、何といっても農業者の自主的な協同組織でありますから、農協の性格にかんがみて、合併に当たっても、組合員の営農や生活面での利便性の確保、農協をめぐる地域特性等の諸条件、合併の効果等を十分に踏まえて、組合員の意思などによって行われるべきだということであります。 したがって、合併による組合の規模についてもどの程度がいいかと、こう言われましても一概には言えないと思うんですね。全国それぞれ特徴があって、広範囲にわたる北海道のようなところもあるし、あるいは集落が密集している地帯もありますから、一概には言えないんですが、合併によって合併後の組合の経営の安定が図られるということが大事であります。 消費者が求める物、これが多様化してきておりますから、従来農家がつくった物を消費者が買うという時代から、エリアを見ましても従来は本当に小範囲の規模のところで物は売り買いされておった。ところが、交通が便利になって、今や北海道の物が九州でも沖縄でも販売されるようにもう変わってきたということですね。国内だけでなくて世界の農産物も私たちが手にできるようになったということでありますが、いずれにしても、そうなってきまして相当変わってきたことに対応していかなきゃならぬ。したがって、小さいところでもっと何かしたいと、こう思っても、基盤がしっかりしておりませんとこれができないということ等もあります。 ですから、小規模組合、とりわけ正組合員戸数が一千戸未満の組合または市町村区域の一部を地区とする組合の合併に重点を置いて、何とか基盤をしっかりするということで、農家のいろんな営農事業、経営事業、そういうものももっと積極的にやっていける体制をつくるように指導してまいりたい、こう思っております。
○三上隆雄君 ただいま大臣から、先ほど来お答えにあったような同類同質の同じようなお答えがあったわけでありますけれども、今、全中なり政府が考えている構想というのは、私はあえて言うならば余りにも大き過ぎはしないか。確かに大きくなることによってのスケールメリットというものは期待できますけれども、これは順調にいった場合のメリットであって、とかく必ずしもそういかない場合が多いんではないかと、こう思うわけであります。 そこで、むしろ最小限の規模がどの程度であったらいいかという視点から考えてみたいわけであります。もちろん農協経営も農業経営も人が一番の基本であります。優秀な人があって、そして土地があって、技術と資本投資をして農業の生産性を上げる。立派な経営感覚を持った人によって農協経営なり運営がされるわけでありますから、その人をいかに大事にするかということに視点を置くならば、先ほど来言っていますように、生産者については、生産の段階で現弱小農協では営農指導体制ができないから営農体制の強化をするという、これはいい例であります。そして役員体制についても、小規模農協は小規模農協の私は欠陥があると思いますけれども、その地域によっては極めて私は優秀な農協もあるし、有効に機能して運営している農協もあると思うわけであります。 例えば、私の農協を例にとってみたいと思います。私の村は四千百という小さな純農村、弘前市近郊、距離的には近いけれども、純農村の地域であります。リンゴと米の複合経営であって、リンゴが主体の地域であります。もちろん行政一本の組合員が若干異動があっても七百五、六十という農村地域であります。そういう農協は、生産を主体として、その生産の販売機能を農協が最大限に発揮して経済の豊かさを農家に還元できるような、そういう機構の農協もあってもいいと思うし、それはむしろ行政一単位が原則であって、そして生産した物が最も機敏に、適切に販売できる規模というものが適正であるなどいう考え方を持っているわけであります。 うちの農協では、大体リンゴの生産量が八十万箱というと一万六千トンということになるわけであります。米は約二万俵、二百町歩でありますから二万俵、ほとんどが飯米程度でありますけれども、実際私も営農集団、うちの方はリンゴが主でありますから、二十数年前に全地域が稲作の機械化一貫体系による集団化を実施しました。それで、現在八集団があるわけであります。大体二十町歩から大きいところで四十町歩内外で八集団がございます。全地域が集団化であります。そして、育苗から植えつけ、防除、刈り取り、ライスセンター、政府販売という一貫した機械化体系でやって、その余剰能力をリンゴに投資して、リンゴでも全国一表彰を何度も受けた、農水大臣賞も受けた地域であります。 したがって、私は、こういうブロック地域の農協もあってしかるべきだと。そこにこれからの最も有効な経営ができるような、もちろんうちの地域も兼業化が進んでいます。兼業化が進んでいるから、今の稲作集団というものは、大体二十町歩でも四、五十名の農地保有者があって、共同化という形でやっていますけれども、近い将来せいぜい四、五人の、専業化というか、従事者によって生産法人化させて経営させたいと、そう思うわけであります。 そうしますと、大体二十町歩で五人としますと、一万円米価であれば、いや私は、一万六千三百五十円、現在の米価で試算してみましたけれども、そうなると、まず一反歩十俵で二十町歩で二千俵とれる。そして、一万四千円掛けまして、一万四千円というのは収穫してライスセンターのこん包と費用だけで一万四千円を手取り若干切ります。そして、それでは二千八百万であります。それから、地代をそれぞれ地権者に払うと、その地代が六百六十万、差し引き二千百四十万になります。 その所得率を五〇%と一応見ます。うちの現在の集団化されたところは所得率が五六%ぐらいいっています。県平均では五四、五%だと思う。一〇%以上うちの集団が所得率が高いわけでありますけれども、しかし、今までの労賃なりそれでは雇いようがないという労働不足もありまして、所得率を五〇%と見たいと思います。そうすると、一千七十万の所得になります。それを、五人ですから、五人で割ると一人に二百十五万、二百十五万の年間所得配分が行くわけであります。それにプラス奥さんがパートで百万。リンゴの兼業で、それに専門に従事しても若干副業的にリンゴの方をやれると思います。その意味で、リンゴの兼業収入が百万あったとすると四百十五万、奥さんと理想的な農業従事者と二人で四百十五万という所得が得られるわけであります。この所得が今の労働収入に比較して果たしていいのか悪いのか。これは私はいい方には入らないと思います。 私の立派な農協で集団化した地域でもこういう状態であるということをおわかりいただいて、しかし、所得率の五〇%というものは余りにも軽い見方かもしれません。これからのやり方によっては、六〇%となればその分のアップがあるわけであります。あるわけでありますけれども、逆に今の米価の価格の予想というのは下げられる条件がむしろ強いわけであります。ことしの農業団体の要求は恐らく上げ要求すると思いますけれども、下げ要求があるとすれば、それを見据えた農業青年は、やっぱり進んだ、優秀な、農水大臣の賞を受け、そしてまた、朝日賞を受賞した稲作集団で、そのような補助事業による一貫機械化体系によってもなおかつそういう状態であれば、なかなか私は、農業の立派な従事者が育つはずがないと、こう思うわけであります。 その意味で、その点を若干申し上げておきながら、農協の経営実態を見たいと思います。 そこで、農協はやっぱり人づくりであるというわけでありますけれども、農業の生産性の実態がそういう状態、そして役員体制は、広域化することによって、実際営農に従事している役員よりも、まあこう言うと弊害があるかもしれませんけれども、とかく大型化すれば役員の選出範囲が広域化する。したがって、相当な権力の持ち主というか、政治力の持ち主というか、経済力の持ち主というか、そういう傾向の人が出はしないか、現実にそういう農協が多いんではないかと思うわけであります。ですから、私は、いわゆる適正規模というのは、その地域によってそれぞれの条件が異なりますけれども、むやみやたらに大きくすることが必ずしも取り柄ではないと、こう思うわけであります。 そこで、もう一つは職員。農協経営というのは、意識の高い、生産性の高い経営基盤を持った農家組合員と、それから立派な経営感覚を持った農協の経営マン、理事者、そして、それを両方まとめ支えていく立派な職員が必要だと思います。しかもその職員が、おとといの参考人の意見を聞いても、職員の待遇が極めて劣悪な状況にあるということを秋山参考人でしたか申されましたですね。 そこで、その農協の実態をもう少し聞いてみたいと思いますけれども、この間の参考人の意見は、高校卒で初任給が十一万四千円、それに比して一般企業は十三万七千円と言いました。大学卒は、農協で十三万五千円に対して一般企業は十七万五千円。三十五歳の中堅職員で、農協の職員は約二十万に対して一般企業は少なくとも二十五万以上だという、そういう実態なんです。 この実態をどう見て、しかも各県の最低賃金法というものがあって、各県の最低賃金が決められておりますけれども、農協の職員のいわゆる最低賃金が今現在最賃法のその県の基準より下回っている農協がどの程度あるのか、そしてまた、ぎりぎりの賃金体系にいまだあるのがどの程度あるのかをお示しいただきたいと思います。
○政府委員(川合淳二君) 突然のお尋ねでございますものですから、ちょっと最低賃金との関係等の資料を私は持っておりませんので、ちょっとお答えできないわけでございます。 今、私の手元にございますもので農協と民間企業との比較をしているのがございますが、仮に農協の男子職員の平均年齢三十七歳ということで所定内賃金で比較しております資料でございますが、農協は二十三万五千円、一般企業の十人から九十九大規模で二十四万七千円というようなことの一つ資料がございます。これに賞与などを加えておりますと、これは先日の参考人の方々のお話とも符合するわけでございますが、一人当たり農協は三十八万八千円、一般企業はもう少し大きい百人から九百九十九大規模の三十八万というのがございまして、これとまあまあ符合するのではないかという資料でございまして、恐縮でございますけれども、ちょっと最低賃金との関係を持ち合わせておりませんものですから、この資料で答弁させていただきました。
○三上隆雄君 それにつけても、大まかに見て農協の職員の待遇が極めて悪いということだけはうなずけると思います。それは、そもそも採用の段階から問題がなしとは言えません。言えませんけれども、そういう劣悪な条件ではいい人材が農協に寄ってこない。しかも、現実に中堅職員がその農協に自分の生涯を託してもいいという見通しがあれば、農協に終生勤めるという考え方も出ると思うけれども、今の農業の実態と農協の経営の実態を見たときに見切りをつけて退職する者がいかに多いかということもまたこの間の参考人のお答えにもあったわけであります。 だからこそ、農協経営を合併して健全化して、職員に対しても応分の待遇を与えるというその目的もあるかもしれませんけれども、そういう実態だから農協の経営が悪いということだと思う。その意味で政府はどう考えますか。
○政府委員(川合淳二君) 先生、農協運営、経営の専門家でございますので、私ども今お話をいろいろ非常に興味深く、かつ参考に今後させていただきたいと思って聞いておりましたわけでございますが、農協の規模の問題は地域によって、お話にございますようにいろいろなことが考えられようかと思います。 やはり何と申しましても、地域の実態に即応した規模というものがあるわけでございますので、そうしたことは系統組織が自主的にお考えいただくことが最も大事だと思っております。今、御指摘のありました、例えば職員の待遇の問題をとりましても、これもその地域の農業なりに影響されるところが非常に大きいわけでございますけれども、今後のことを考えますと、農協の経営基盤というものがしっかりできていないとなかなか職員の処遇もできないということになろうかと思います。 それは、もう一つ先の問題といたしましては、当然のことながら地域の農業の振興が十分なされて、その上で農協の基盤が強化され、その上で職員の待遇が改善され、立派な職員によって農協が支えられるという姿になっていくのだろうと思います。 いずれにしても、単協が今後どういうふうに進んでいくべきかということに根差して、合併の規模なりあり方というものが当然検討されるべきものだというふうに考えているところでございます。
○三上隆雄君 したがって、今回の法改正によって画一的にこう進めるという規制というか拘束というか、それはしないという考え方で、あくまでもその農協の自主判断でいいということ。しかし、国が求める規模でないといろんなこれからの補助なり援助措置がおろそかになるというようなことは絶対ないわけですね。
○政府委員(川合淳二君) この問題は、当然のことでございますけれども、系統の組織として、自主的推進方策として農協の合併、さらに再編、整備ということを掲げているわけでございます。まさに自主的にお考えいただき結論を出していただく問題だと思います。それについて私どもは御協力を申し上げる、そういう立場にあるというふうに考えております。
○三上隆雄君 そこで、前に谷本委員も質問し、あるいは要望申し上げましたけれども、やっぱりどんな経営感覚のすぐれた経営者であっても末端の農家の実態がわからないほど規模拡大するというのは私は問題があると思う。毎日生産現場が目で見えるようないわゆる農協の範囲というものが限界ではなかろうかと、こう思うわけですけれども、それは大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(田名部匡省君) きめ細かにやるということになるとおのずから限界があると思うのでありますが、きめ細かな経営は困難でというわけにはまいりませんから、やっぱり両面達成するための努力というのは私は必要だろうと思うんですね。 かつて結構内容がいい組合も合併しておる例があるわけでありますが、それを見てみますと、営農指導員が合併五年前には三百七十六人、それが合併した年度では五百十六人、六十二年度には七百十八人、これは担当者の合計でありますが、生活指導員も同じように四十一人が七十一・六人、百二十三・七人、渉外担当で八十六人が六十二年度には五百六十二人というふうに、それを調べてみても専門指導体制が強化されたというのは七五・六%になっておりますし、組合員の増加によって組織基盤充実、各部会組織が活発化したというのが六五・九%というふうに、やっぱりいい面といささか手薄になる面、それぞれあろうかと思いますが、それは逐次解消されていくと。一緒になったころは顔も見たことない人と一緒になるわけですから、学校に入学したときと同じような気分ですが、だんだんたちますとみんな仲よくなって、卒業のときは抱き合って涙を流すというふうになっていくのと同じようなことであろうかと。 ただ、さっきからお話を伺って、役員の選任にしてもそれぞれ農家個々が選ぶわけでありますから、それだけの十分洞察力、そういうものも必要であろうかと思うし、職員の待遇が悪いと、こうおっしゃいましたが、小さい農協がいっぱいあって、小さくても大きくても同じものが必要でありますね。車でも電話でも何でも全部必要だということが、一緒になればそれだけの効果も上がっていくということも御理解いただけると思うんです。 私どもの方は強引に何かこうやれやれと言うんじゃなくて、これは各農協がこういうふうにしたい、するという決議を尊重して、私どももそれに御支援を申し上げる。中には先生の農協のように非常にうまくいっているというところもあろうかと思います。ですから、画一的にこうだとか考えておりませんが、しかし将来にわたってうまくいくかどうかという判断等もいたして、あるいは高齢化が進む、さらに出生率が低下しておる、こういう中で一体どうなるかといういろんな判断をされて合併に踏み切るとか、そういう選択であろうと思うんですね。ですから、今はいいけれども将来にわたって不安があるならば、やっぱり一緒になって、そして農家のために本当にやる指導体制、そういうものを再三御質問いただいて、そういうのは支所の機能を充実して、余り疎遠にならぬように指導もいたしてまいりたいということを実は申し上げておるわけでありますから、その辺のところは御理解をいただきたい、こう思います。
○三上隆雄君 私はあくまでも農協経営面から見ると規模の大きい方がいわゆるスケールメリット等いろんな機能強化によっていい面があるけれども、最終的には組合員の豊かさと幸せがなければ、これは農協合併の意味もないし農協の存立の意味もないと、こう思うわけでありますから。 どうでしょうか、農家が最も生産を高めて有利に販売する、そういうモデル的な地域を全国、少なくとも私は二百カ所、各県にその作目形態の違うごとにモデル地区を指定、今モデルの段階ではないにしても、これからの日本の農業生産というものは食糧自給率をこれ以上下げてはならないという前提のもとに、しかも農家も、少なくとも専業農家であれば他産業と比較して人並みの生活ができるような、そういうためにこういう農村地域があるんだと、こうしなきゃならないという意味も含めてそのモデル地区を指定したらどうか。 例えば、稲作中心にプラスアルファの野菜なり畜産の関係もあるでしょう。水田に果樹の補完的な地域もあるでしょう。徹底した稲作地域もあるでしょう。いろんなケースがあると思うから、各県に五カ所か十カ所やると、そのケースごとの私はモデル的なものが、標準的なものが可能だと思うので、そして全国的に見ると二百カ所ぐらいのモデル地域を指定してやってみたらどうでしょうか。その辺の考え方は。
○政府委員(川合淳二君) 私ども、今回の農協法の改正、それから合併法の改正に先立ちまして、全国の農協につきまして優良事例というものをいろいろと勉強することをいたしました。担当の職員もかなり広範囲に全国いろいろなところへ行って勉強いたしました。これはもう先生御承知の点でございますが、全国いろんな条件が違いますので、それぞれの環境条件の中で立派に農協を運営しているというところが幾つもあるわけでございまして、そういうところはそれぞれ非常に私どもも勉強になりますし、恐らくそれぞれの農協にとりましても勉強になることだろうと思います。 そういう意味で合併が進められておりますし、既にある意味では理想的な形の合併が行われている農協もあるわけでございますので、今、先生のおっしゃられたような形で、モデルという形でやることがよろしいかどうかわかりませんけれども、そうした優良事例というのを広く全国に、まあこれは条件が違いますからすぐそれが参考になるということではないと思いますが、そういう形で優良事例をお互いに知り合うということは非常に大事だし有益なことだと思います。 私どももそういうことを従来も心がけておりますが、今、先生のお話もございます。そうしたことを少し、今回の法律が制定をお認めいただけましたらそういう形で、これはもちろん系統組織とも相談しながらやらなきゃいけない話ですけれども、全国の非常にすぐれた事例というものを広く紹介していくというようなことをやってみたいと思っております。
○三上隆雄君 今、局長から全国の優良事例を示して普及徹底を図るということですけれども、優良事例というのは、既存の条件の中でいわば優秀なモデル的なケースなわけであります。しかし、将来に向けての先進的な地域をある程度国が示して、そしてモデル的な方策を政府自体が系統と一緒になって考えていただきたい、そのことを要望して、次の問題に入りたいと思います。 今回の法改正によって合併がなされるわけでありますけれども、その合併の一番弊害になっているのは固定化債権の問題があると思います。この債権の内容には、いろいろ組合員の債務によってそれが固定化するものと、農協自体の事業の失敗によってのものと、二通りあると思いますけれども、これに対する今買い取り業務、いわゆるファクタリングという制度があるやに聞いて、それに対して期待する声も多いわけでありますけれども、それに対して政府はどうお考えでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) 今お話ございますように、合併に当たりまして組合間の資産内容の格差を調整する、なかんずく固定化債権を有する農協の調整をどういうふうに図っていくかというのが一番の難しい問題であるというふうに私どもも承知しております。 今回こういうことで私どもは基金を設定して、これをもとに回収、償却を図るということを考え、それについての税制上の損金算入を認めるということを講じたところでございますけれども、今お話しのファクトリングといいますかファクタリングといいますか、買い取り業務につきましては、これは先生御専門でございますのでやや恐縮でございますけれども、私どもはなかなか難しい点もあるのではないかと思っております。 一つは、財務的なリスクがかなり大きいのではないか。これはまあやや杞憂かもわかりませんが、固定化債権が譲渡できるという形になるわけでございますので、かえってこういうものの発生が安易になってくるおそれがないかどうか、あるいは協同組合組織としての農協の性格として組合員の債権をファクタリングの対象とするということが果たしてどうかというような、かなり基本的な問題、それから実際的なリスクの問題などがあろうとと思います。御専門の先生のお話でございますので、私どもも勉強させていただきたいとは思いますけれども、もう少しそういうやや本質的な問題点もあろうかと思っております。
○三上隆雄君 もしやそれを、農家の固定債務を譲渡する場合には、農地法の関係も絡んできますので、その点についてのお考えはどうでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) この債権の範囲をどういうふうにするか、あるいはそれの担保になっているものもどこまで含めてどういうふうにやっていくかという問題がかかってくると思います。かなりいろいろなところに波及する問題でございますので、いま直ちにどういうふうな方向で対処するかということを申し上げるについてはやや問題が大きいと思っております。
○三上隆雄君 それに対して各県からの要望を、これは全中がとったのだと思いますけれども、その要望が何県ぐらいに及んでおるんでしょうか、その制度を設定してほしいというのは。
○政府委員(川合淳二君) 今のお話、買い取りのお話だとすると私ども具体的にまだお聞きしておりません。
○三上隆雄君 それでは、次の問題に入らせていただきます。 先ほど谷本委員も質問されましたけれども、今回の法改正によって系統二段階制を強く打ち出して、それを求めることによって経営の合理化という、目的が大きいわけでありますけれども、先ほども議論になりましたけれども、これは一律に経済連、いわゆる県の連合会を省略して単協と全国連を直で結んで合理化を図るというものではないという説明がありましたけれども、そう解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(川合淳二君) この問題は、現在、系統段階でいろいろ議論されているわけでございます。当然のことながら、その議論を待つ必要がありますけれども、私どもがお聞きしているのは、まず事業二段階ということを考え、その延長線上で組織二段階ということを考えていくという、そういう検討の段階を議論しているというふうに承知しております。当然のことながら単協を否定するわけにはいかないわけでございますから、単協とどういうふうな事業二段階制あるいは組織二段階制ということを考えていくかということでございますので、今の段階で当然のことながら県連についてスリムになるところもあろうかと思いますし、全国段階でも同じことが求められてくると思いますけれども、そうした検討の中で直ちに県をどうするか、県をなくするというところの議論をしているわけではないと思っております。 いずれにしても、今の三段階制というのが非常に合理化あるいは効率化という面で問題があるということはそれぞれ問題意識を持っているわけでございますので、最もよいあり方はどんなことかということで現在検討を進めているというふうに承知しております。
○三上隆雄君 農協の機能には販売と購買がその経済業務の中にあるわけでありますけれども、販売の場合は今の段階では、米も大体食管法丸抱えの状態ではない、むしろ自由競争、自主流通米で産地間競争を奨励しているという現実があるわけでありますから、勢い二段階ということになると、単協が大規模化する。そして二段階にするということになるとむしろ全国連が必要外になるという感じを、販売面から見るとですよ、信用、共済、これは別にして、また購買も別な意味合いがありますけれども。販売が農家経済を一番潤す重要部門だとすれば、むしろ県連を強化して全国連は要らないと。そうなると、全国連にもいろいろ問題はあるけれども、二段階にするということは、それがむしろ求められるんではないかと思うけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) いろんな事業がございますので、それについて画一的に一つの方向ということが恐らくなかなかとり得ないということが逆に申しますとこの問題の非常に難しさだろうと思います。 したがいまして、組織二段階ということに最終的になる段階ではどういう組織体制があり得るかということは、相当な検討を要すると思っておりますが、御指摘のように事業によっていろいろなケース、それから地域によってもいろいろなことがあろうと思っております。一つ販売事業をとりましても、例えば野菜、それから今お触れになりましたけれども米麦では違うというようなこともございますので、その辺は系統内でも十分御議論をいただきたいと思っております。
○三上隆雄君 それぞれの農家あるいは産地が生産努力して、経営改善して販売に力点を多く入れるとなれば、ブランド化をしてそれを有利に販売する。結局は全国一律な販売はむしろ無理だ、現実と逆行するということがあり得るから、県連をストレートに排除するという考え方にも私は販売の面からいきますとこれは問題があるなと思いますから、その辺にも留意をされていただきたい、こう思うわけであります。 それから農林中金、金融の関係についてはどうお考えですか。それは大型合併することによって今の県連の機能を単協がやるということになるんです、先ほど来話になっていますけれども。大型化すると本所では実際組合員との直接な取引をしない、いわば管理業務だけ本所でやって、いわば今までの県連のような業務が出てくるわけでありますから。ですから、私はむしろ単協は余り大きくしないで、単協は私が聞いたような方向に力点を置いて、県連と全国連とのそれをスリムにして両立させながらやった方がもっといいという考え方もあるわけでありますから、その点について、金融事業についてはいかがお考えでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) 今回の合併あるいは再編成という問題は、当然のことながら地域の農業の構造あるいは地域、農村の変化というものに対応して行われるものでございますけれども、一方で現実的に農協経営の系統組織のかなりの基盤になっております信用事業におきまして競争の激化ということが予想されることがその一つの契機でもあるわけでございます。 そこで、こうした競争に耐え得る組織ということ、それは、一つはもちろん対外的に耐え得るということと、それから対内的に組織、経営管理体制として耐え得る、その二つの面から組織の整備ということが必要になってくるわけでございますので、そうした観点でこの再編あるいは合併ということも考えていく必要がもう一つの面としてあるんではないか、特に信用事業についてはそういう面があるんではないかと思っております。
○三上隆雄君 時間がなくなりましたので、最後に、今回の合併法の延長が三年ということを限定していますが、現場では目標とする計画を達成するにはなかなか三年では不可能である、少なくとも四年あるいは五年という年月が必要であるという考え方が各県に多いようでありますけれども、三年で限定していいのでしょうか。この時点で再度延長ということもあり得るということを言明されますか。
○政府委員(川合淳二君) 三年という切り方でございますけれども、過去三年という形で来たということもございますが、一方で、先ほどもお答え申し上げましたけれども、農協大会などの基本方針の決定が三年ごとに行われているとか、あるいは先ほど触れました金融の自由化問題が平成六年春というような一つの目標がスケジュール的に示されているというようなこともございます。 ここのところの合併の状況を見ますと、今申し上げましたような状況もありましてかなり合併の促進が図られてきているところでございます。私どもといたしましては、三年ということでまず全力を挙げてこの合併の推進に協力させていただきたいというふうに考えております。
○三上隆雄君 誠心誠意努力してもなかなか急激には、このくらいの事業を推進する、いわゆる機構改革をするわけでありますから、なかなか思うようには進まないと思いますから、どうぞその段階では再延長もあるということを念頭に置いて積極的に進めていただきたい、こう思うわけであります。 最後になりますけれども、けさの朝日新聞の報道でありますが、先ほど同僚委員の一井先生も質問をいたしましたけれども、限られた時間内で確認をしたい、こう思うわけであります。 「コメ問題で農水省検討」、この見出しだけを申し上げます、「所得補償し市場化促進」と、中核農家だけを対象にして所得補償するという大まかな解釈ができるわけであります。それから最後に、「また、ウルグアイ・ラウンドの包括合意案で削減対象とされた直接所得補償をあえて打ち出したことは、」、農水省がですよ、「あえて打ち出したことは、コメの市場開放受け入れには、直接所得補償を削減対象外にすることが、日本の最低条件とする方針を固めたとも推測できる。その意味では、コメ開放について条件闘争に転じる布石ともいえそうだ。」という、解説で言ってありますけれども、このことは、先ほどの答弁のようにないという判断でよろしゅうございますか。
○政府委員(馬場久萬男君) この報道につきましては、私ども、こういう方向を決めたわけでもございません。また、そこに説明されたような、解説がされたようなことを考えているわけでもございません。 ただ、新政策の検討の中でいろんな議論が出ていて、そういうものの断片を新聞記者がどこかから聞いてきて書いたんだろうというふうには思っているわけでありますが、これらについては現在のところここに書いてあるような事実はございません。
○三上隆雄君 天下の大新聞がこういう報道をされますと、大変国民がこれによって惑わされるというか、これが誤報であるとすれば大変な影響を持つわけでありますから、きちっとしたやっぱり反論をすべきであると思うし、反論しないとすれば正式な報道を、機会を通してこれ以上の報道をすべきだと、こう思うわけであります。 それから、ECの直接所得補償というのが、日本のこれからの農業を維持していくためには所得補償が必要だということは、ECもやっているということ、やっぱり農業というものはそういう宿命にあるし、今の経済の仕組みの中では私は単なる経済合理性ではできない、農業生産そのものに価格を付与しないと私は不可能であると。農業が他産業と比較して、そしてまた、安全な食糧を環境を保持しながら国民の命を守るという立場からいってできないと思うので、やっぱり農水省の今までの考え方を他省庁に、そして社会にもっと強くアピールすべきであると、こう思うわけでありますけれども、大臣の御決意をいただいて、終わりたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) 新聞報道はもうしばしばウルグアイこフウンドのときも、もうあしたにでも自由化が始まるかという報道がずっとなされてきて、何回も申し入れしても、報道は自由でありますから……
○三上隆雄君 しかし、誤った報道はだめだよ。
○国務大臣(田名部匡省君) 間違った報道でも、予想記事も書くし、再三私も予想は競輪や競馬で結構で、真実を伝えてくださいと申し上げておっても、書くものはこれはどうしようもない。 したがって、この種の議論というのは、議論の中には、私もしばしば申し上げて、本当にやろうという人たちにはそれ相当のものがなければ、やろうという者もそうでない者も一緒にしたんではそれは進まぬと、こういう話もしたこともあります。 そういういろんな決まったわけでない話の過程のことがこういうふうに報道をされておる。基本としてはやっぱり何らかの形では、何か一生懸命将来二十一世紀に向けて努力しようという人たちにはそれなりのことをしてあげたいなと、それが専業で行こうという場合にはなおさらそういう気持ちが私にもそれはあります。これは記者会見したわけでも何でもない。また、中にはそういう議論は私と同じような考え方の人もおって、言ったり引っ込めたりしている。そういうことがこの新聞記事に私は載っておるんだろうと思うんです。 ましてやウルグアイ・ラウンドがどうのこうのというのが書いてあったんで、ウルグアイ・ラウンドとこれはもう全く違う。我々の二十一世紀にどうあるべきかということで議論しているということも再三お答えして、これがあるからこれをやっているんではないということも御理解いただきたい、こう思っております。 いずれにしても、デカップリングのこともありましたが、日本には日本の農業、どういう農業がいいかということは、これは議論のあるところでありますから、アメリカがやっているから、あそこがやって、世界のいいところを全部持ってくれば、それは結構な話でありますが、しかし、私たちには長い歴史の中でやったこともあるし、これから変えてやっていかなきゃならぬこともあるし、それらはこれからの検討をひとつして結論を見出していきたい、こう考えております。
○三上隆雄君 大臣しっかり頑張ってください。
○猪熊重二君 農協二法の改正案に対する質問に入る前にちょっと農水省に申し上げておきたいんですが、いろいろ資料をいただいて勉強しましたけれども、何しろ制度、趣旨もよく理解できないし、制度の実際の運用がどうなっているかについても不完全な理解かもしれませんので、もし質問や意見で不適切なところがあれば遠慮なしに指摘していただいて答弁していただきたいと思います。 最初に、農業協同組合法の改正案の方についてお伺いします。 まず第一点は、農業経営の委託ということに関連してお伺いします。 現行法は出資農業協同組合に限って農業経営を受託する資格を認めております。これに対して改正法は、そのようないわゆる単位農協のほかに連合会にも新たに農業経営の受託資格を認めるということになっております。 それで、まず第一に、現行法に基づいて単位農協が実際に農業経営をどのように受託しているのか、その状況についてお伺いしたい。農水省からいただいた資料によると、まず農業経営を受託している単位農協の数は昭和五十五年が五百三十五組合、平成二年は二百八十五組合であるということになっています。要するに、受託組合の数自体はこのように半減しております。このように組合の数が半減しているということは、当然に委託した農家の数や委託した農地の面積も減少していると思いますけれども、この辺の数値について概略を御説明ください。
○政府委員(川合淳二君) 今、先生お話ございましたように、実施組合数が、昭和五十五年が五百三十五、平成二年が二百八十五でございます。そういう意味で減少しておりますので、この傾向はそのとおりだと私ども思っておりますが、実はその委託農地面積を六十二年から調べ出しております。この調査をし始めました途端に、実はその受託経営の実施組合数が減っておりますので、どうも統計の連続性について私ども若干疑問を率直に申し上げまして持っております。六十二年から見ますと委託農地面積は減少しておりますので、先生が今御指摘のように実施組合数が減っていることは事実と思いますが、五十五年の五百三十五が二百八十五という、こういう減り方かどうかについて、ちょっと数字の比較がやや無理がと思いますが、御指摘のように減っていることは事実でございます。
○猪熊重二君 そうすると、委託農地面積は昭和六十二年から調査しているけれども、それ以前は調査していないということですが、委託している農数の数についてはいかがですか。
○政府委員(川合淳二君) これは調査しておりません。
○猪熊重二君 そうすると、どのくらいの農家がこういう単位農協に対して委託しているかという数値の調査をしていないということは、単位農協に加盟している農家がどんなような要望を持っているかとか、あるいは委託したいと考え実際に委託している人がどのくらいかとか、その辺について農水省としてはいろいろ知っておく必要というふうなものを認めていないわけですか。
○政府委員(川合淳二君) 決してそういうことではございませんが、そういうふうな統一的な調査を今までしてなかったということは率直に認めざるを得ないと思っております。
○猪熊重二君 単位農協に対する委託の問題に関してこういう意見があるんです。これは農水省はもちろん御専門だからとっくに御存じのことだろうと思いますが、「農業と経済」という雑誌の九二年三月号に、東京農業大学教授の梶井功さんという方でしょうか、この方の記事が出ております。 盛岡市郊外の都南村農業協同組合で平成二年四月に組合員に対するアンケート調査を実施した。そのアンケート調査の問いは、「近年中に農協が責任をもって、あなたの水田を小作料一〇アール当たり三~四万円程度で管理する場合、何年後に利用しますか」という問いに対して答えは、来年からという人が八%、三年後からならば八%、それから五年後からだったら一四%。そのほかの数値があるわけですが、結局こういう組合員のアンケート調査に対して梶井教授の所見は、「すぐにでも貸し付けたいと思っても、引き受けてくれる人が見つからないとか、あっても確かな相手なのかどうか不安があるということが低い貸し付け希望率にさせ、その心配がなくなれば八%にも一六%にも貸し付け希望率を跳ね上がらせる」「”農協が責任をもって、……管理する”体制の早急な確立をここの組合員は強く望んでいる」と。 このような論文がありますが、この農協が責任を持って管理する体制が確立することを組合員が強く望んでいるというのは、単にこの都南村の農協の組合員の特殊的な例とお考えなのか、それとも全国的にもそういうふうな状況にあるとお考えか、いかがですか。
○政府委員(川合淳二君) この制度は四十五年に創設されたわけでございまして、これまでは恐らく稲作を中心に行われてきたということだと思っております。そういう中で、今までは農地流動化施策というようなことが一方で進められてきましたので、まあその陰に隠れてというか、そうした方法にどちらかとすれば進められていたことと、それからもう一つ、私ども現在検討しているんですが、経営委託の場合の損益計算方法の複雑さというようなものがありまして低調であったというふうに考えているわけでございますが、やはりこの制度につきまして一番の問題は、責任を持って管理する体制というものが農協に対して信頼性があるかどうかということだろうと思います。 もちろん、農協が責任を持って管理する、ですからリスクといいますか、経営管理、経営の計算は農協が責任を持ってやってくれるということであれば、そこに非常にはっきりした機関が介在するわけでございますので、恐らくそうした形で出すといいますか、出し手になる農家というのはかなりあるというふうに考えてよろしいのではないか。したがいまして、今のアンケートのお話というのは決して盛岡の都南村に限るそういう特殊な事例ではないと私も考えております。
○猪熊重二君 全国中央会の平成三年十月八日付の大会決議録によると、平成二年における耕作放棄地の割合は六・九%になっている。要するに、耕せば田畑になる土地の七%が耕作を放棄されている。この七%の土地が耕作を放棄されている原因は、一口に言えば、要するに後継者がいない、担い手がいないということだろうと思うんです。 ただ、担い手対策、後継者対策ということを言っていても、五年たっても十年たっても事態は改善されないで悪化しているだけだと。そうすれば、これだけの七%近い農地をそのままに放置しておくことは、社会経済的に見ても非常に非効率的なことであるし、農家自体として見ても荒れ地にしておいて楽しんでいる農家はいないはずなんです。だとしたら、後継者対策あるいは担い手対策とか、それはそれとして努力するにしても、農業経営委託というふうなことがあればもう少し事態は改善されるんじゃないかと、こういうふうに私は素人なりに考えるものですから、農業経営委託ということについて農水省としてもう少し真剣に取り組んだらどうだろうと思うんですが、所見はいかがですか。
○政府委員(川合淳二君) この制度は四十五年にできております。それと、これよりもさらに前に農地信託事業の制度もつくっております。ある意味ではこうした制度は非常に先見的なところがあったかもわかりませんけれども、残念ながらどうも受け入れられないままに推移してきたわけでございますが、今御指摘のような担い手問題からくる耕作放棄というような状況が出てまいりますと、今日こういう経営受託というような制度をもう一度見直し、もっと農家が利用しやすいような形に改善して、もう一度この制度を普及してみたらということは私どもも考えておりました。 今回、そういう意味もありまして改正――若干単協だけでなくて広げておりますが、同時に単協につきましてももう一度この活性化を図りたいというふうに考えているところでございます。
○猪熊重二君 それでは、この改正案についてお伺いしますが、現在は、先ほど申し上げましたように単位農協が受託資格を持っている、これを連合会にまで拡大しようと、こういうことですが、連合会にまで拡大するということの根拠、理由と、とにかく連合会まで拡大した場合に、実際に連合会が農業経営を受託するような能力を持っているんだろうか、この辺についてお伺いします。
○政府委員(川合淳二君) 私どもこの受託農業経営を考える場合に、原則はやはり単協が受けるべきではないかというふうに考えております。したがいまして、単協が受託できるものについては単協で引き受けていくということを推進したいと思っているわけでございますが、一方で経営自体が非常に大きくなってきている、あるいは既にそれに類似した経営については連合会が直接いろいろな形で関係を持ってきている。資材の購入あるいは技術指導その他につきまして直接対応しているケース、具体的に申しますと畜産などでございますけれども、そういう事態がふえてきておりますので、単協では応じ切れないようなそういう経営受託というものも出てきているというのが実態だろうと思っております。そうしたものについて連合会が今回引き受けるという道を開きたいと考えているわけでございます。 したがいまして、既に経営指導あるいは資材購入というような形で関係を持っている連合会にはそうしたことを引き受ける能力というものもあるというふうに私どもは考えているところでございます。
○猪熊重二君 ちょっと今の局長の御説明はよく理解できません。なぜかというと、資材購入だとかそんな問題は農業経営受託ということとは全く別個な問題の農業協同組合の一つの業務の問題であって、農業経営の受託をするということは、まさに受託した連合会が農業経営、すなわち耕作し、収穫し、その損益の最終の、負担者は別にして、計算までやっていくと、こういうことになってくるわけです。私がだからお伺いしているのは、府県単位の連合会が単協の組合員から農地の耕作の受託をするなんというようなことができるのか、そして実際にそれだけの仕事ができるのか、そういう点についてお伺いしているわけです。
○政府委員(川合淳二君) 私どもが今県連合会が受託するような事例といたしまして想定しておりますのは、養豚、いわゆる施設型の畜産ではないかと思っております。もちろん、資材の購買ということだけで関係があるというようなことでありますればそういうことに終わるわけでございますが、同時に、技術指導、あるいは物によってはその資材購入に伴いましていろんな経営指導なども行っている場合もあるわけでございまして、そうしたものについて県連合会が受託するというケースが想定され、かつ必要になってきているというふうに考えているわけでございます。
○猪熊重二君 要するに、私が言いたいのは、連合会にも農業経営受託資格を認めると、こう言っているけれども、実際に連合会が、例えば何々県の県庁所在地にある連合会が県内の単協の組合員から農業経営一ヘクタールやってくれと言って頼まれてできるんですか、どういうふうにするんですか、そういう要望があるからこういう法律を出したんですかと、こういうことを伺っているんです。 それから、先ほどから何回も伺っているように、やれ飼料だとかあるいは養豚なら養豚にかかわるいろんな問題の、購入だとかどうとか、そういうことじゃなくて、養豚なら県連合会がまさに豚を飼うわけですよ、豚を飼ってやるということが経営の受託なんだから。だから、そんな資材だとかえさだとか、そんな問題じゃないはずなんです。そういうことができるし、またそういうことを要望する県連が多いからこういう改正案をやっているんですかと、こう伺っているんです。
○政府委員(川合淳二君) 先生さきにおっしゃられました一ヘクタールというようなそういう農地に関しまして、農地の土地利用型的な事業につきまして受託するということでありますれば、これは恐らく単協が引き受けるべき仕事であるし、それが一番適当であると思います。 ここで考えております県連合会は、既にいろいろな形で単協では応じ切れなくて連合会が直接関係を持っている、それは経営指導もそれから先ほど言っています資材の購入等も含めまして、そういう規模の農家であるわけでございますので、そういうものの対象として受託をする必要性、それの要望が来ているということでございます。
○猪熊重二君 じゃ、もう少しはっきり申し上げますが、要するに、現在の農協法による単位農協の農業経営受託に関しては、農地法三条二項本文ただし書きに、単位農協が農業経営を受託する場合に農地の利用権が設定されるけれども、そういう場合には許可し得ると、こう書いてあるんです。ところが、今回この農協法を改正して、単協のほかに連合会まで入れた組合全体について農業経営受託ができるという改正案をつくったけれども、農地法三条二項の本文ただし書きの方については手だてをしていないわけです。手だてしていないということは、この改正案によれば、農協法からいえば連合会は農業経営受託資格があるということで、耕作についても受託できるという規定になっていながら、農地法の方へいってみると単位農協だけができる、要するに連合会はできないということになっている。 そうすると、農協法の改正法だけ見た人は連合会も耕作に関する農業経営受託ができるんだと思っている。ところが、農地法の方を見ると連合会はできないよ、単協だけだよということになってくると、非常に法規の整合性という観点から問題があるんじゃありませんか。農協法の改正法だけ見た人は、ああ、できるできると思うし、ところが農地法へいってみたらそれはできないんだよと。だから、もしそうだとすれば農地法の方も単位組合だけでなくして連合会に改正するか、そうでなければ、今回の農協法の改正で連合会の方が受託できる農業経営のうちの可能な事業に限定するべきでないかと思うんです。そうでなきゃ非常に不親切な法律だと思う。どうですか。
○政府委員(川合淳二君) 御指摘の点は、私どもは先ほど来お話ししておりますように、農地の利用権について連合会に認めるというようなケースは今のところ想定されないということで、農地法の方に改正を行っていないわけでございますが、今、先生のような確かに御心配といいますか、不親切さというのがあるとすれば、私どもこの辺につきましては法律でその辺まで詳細に書くということはなかなか難しいのではないかというふうに考えておりましたので、この施行に際しまして、その辺の誤解が生じないように指導通達、運用通達等で明確にしていかなければいけないというふうに思います。
○猪熊重二君 それは通達の問題じゃなくて、法律の問題なんです。 いずれにせよ、そんなに難しいことじゃないんですよ。改正法に組合と書いて、ただし、農業協同組合以外の組合の受託する事業は養畜の業務に限ると、それだけ加えておけばすべてがはっきりするんです。それを加えておかないから、農協法の改正法の方で見ると全部できる、ところが、農地法へいってみたらおまえはだめと、こういうことになる。こういうふうな整合性のない法改正はもう少し考えたらどうですか、不親切ですよということを申し上げているんです。 農業受託経営の問題と直接は関係ありませんけれども、結果的には、あるいは実質的にはそれと同じような問題としての農事組合法人について少しお伺いしたいと思います。 農業経営を行う農事組合法人について、昭和四十年以降最近までの組合致、組合員数あるいは対象農地面積数の概略の数値や傾向について述べてください。
○政府委員(川合淳二君) 農事組合法人の実態でございますけれども、法人数につきまして、農業経営を行う法人、法律の二号、それから一、二号で行うという、やや技術的になりますが、それは四十年度におきまして法人数が千百三十七、これが五十年度で二千九百七十七、六十年度で三千八百六十、それから平成二年度が四千五十七というふうにふえてきております。 それから、別の統計になりますので恐縮でございますが、農事組合法人統計というのがございまして、それの組合員数は、昭和四十年度に一万一千六百二十七、対象面積が一万一千六百五十一ヘクタール、五十年度は組合員数が二万五百五十一、対象農地面積が三万二千七百六十八、六十年度が組合員数が二万三千四百四十九、対象面積が三万三千八百九十九、それから平成二年度で組合員数が二万一千百五十二、対象面積が三万二千四百六十二ということでございますので、五十年以降組合員数はまあまあ横ばいと言った方が適当かと思いますが、また対象農地面積も横ばいというような状況だろうと思っております。
○猪熊重二君 局長にせっかく答弁していただいたのにこういうことを言っては申しわけないけれども、今、局長が言われた中で正当な数字は組合数だけなんです。組合数の昭和四十年度千百三十七組合、平成二年度四千五十七組合というこれは客観的数値なんです。 ところが、今、局長が言われた組合員数と対象面積の数値は、アンケート調査の回答結果による数値だけであって、全体的な数値じゃないんです。ということは、もう少し申し上げると、例えば平成二年度は、四千五十七組合あるうち、アンケート調査の結果、回答があった千七十九組合に関する組合員数と対象面積の問題であって、実数を全然あらわしていないんです。ですから、組合員数がどのくらいいるんだろうと、全体としてですね。あるいは、全体としての対象面積はどのくらいあるんだろうということについての数値は全然農水省の方では把握していないというふうに理解していますが、いかがですか。
○政府委員(川合淳二君) 御指摘のように、二つの統計が違う統計を使っております。 しかしながら、私どもは、この農事組合法人統計は、もちろん調査の限界がございますので、今、先生御指摘のような点もあるわけでございますけれども、まあまあある意味の実態を反映しているんではないかというふうに思ってはおります。
○猪熊重二君 いや、だから私が言いたいのは、平成二年度で言えば四千五十七組合ある、この四千五十七組合に対して加盟している組合員数はどのくらいですかと言ったときに、数値は全然ないんですよと。対象面積はどのくらいですかと言ったときに全然数値がないんです。 先ほど局長が言われたのは、四千五十七組合中返事があった千七十九組合、すなわち四分の一ぐらいの回答があった組合の数値にすぎない。そういうことになると農水省としては、農事組合法人なんというものを法文の上でつくっているけれども、その組合数だとか組合の組合員によって耕作している対象面積がどのくらいかということに関しては、言葉は悪いけれども何ら関心がないから全然統計調査をとっていないと、こういうことになるんです。いかがですか。 だから、たまたま回答があったのを、この数値だと言ったからといって、四分の一の回答によって全体を推測するわけにはいきはせぬじゃない。一体どう考えているんですか。
○政府委員(川合淳二君) おっしゃるように、これを悉皆調査というふうな形で使うことは限界があると思っております。そういう意味では、この農事組合法人の統計は、ある意味では活性化している法人、どちらかというと積極的な経営が行われている法人というふうに見ざるを得ないと思っております。
○猪熊重二君 組合法の九十三条によれば、農水省はいろんな農事組合法人に対してきちんとした資料を提出しろということを命令する権限もあるんじゃないですか。その命令に従わなければ適宜な処置をとる権限も農水省はある。だから、あるにもかかわらずやらぬということは、農事組合法人のそんなことは調査する必要性も何もないということなんです。と言わざるを得ないじゃないですか。 私がなぜこんなことを申し上げるかというと、先ほど申し上げたように、今本当に仕事をしようといったってもう年をとってできないで、どこかで何とかしてくれと言っている農民がいっぱいいるでしょう。私のところへゆうべ来たじいさんばあさんもそう言っているんです。二ヘクタールぐらいやっているけれども、もう七十二ですよ、夫婦とも。七十二で、子供は出ちゃっているから二人で二ヘクタールやっていくのに大変だ、一ヘクタールだってもうやっとこだ、もうちょっとどうにかしたいけれども、農協に持っていっても金額は安いしだれもやってくれぬし、非常に困ってどうにもしょうがない。荒れ地にするわけにもいかぬからたまに行っているけれども、行ったって仕事にもなりはせぬということを言っている。 さっきから同じことを申し上げますけれども、今、後継者不足だとか担い手対策とか言ったって、口で言っているだけで全然進展してない。進展してないけれども、高齢化が進んで跡取りがいないで、この畑どうしよう、この田んぼどうしようという農民がいっぱいいる。何とかそこでみんなで協同組合的な意味において耕作を持続しようと、こう思っても、単位農協の場合であっても農事組合法人の場合であっても、それに適切に対応できてない。 もう少し身にしみてこの農事組合法人なりあるいは単位農協の農業経営受託ということ、あるいはもう時間がないから聞きませんけれども、農業生産法人の会社組織の問題、もう少し考えるべきだと思うんですが、大臣どうなの。要するに、畑を荒れ果てさせておいて喜んでいる農民はいないし、どうにもしょうがない。この状況を打破するためには、農業経営受託だとかあるいは農事組合法人とか、この辺の問題にもう少し真剣に取り組むべきだと思いますけれども、大臣どうお考えですか。
○国務大臣(田名部匡省君) 真剣に十分取り組んでまいりたい、こう思います。
○猪熊重二君 口で言うだけではだめだ。まさかここで私は真剣にやりませんと言う人はいないんだから。もう少し、私は、最初申し上げたように、よく実態は知らぬけれども、ともかく困り抜いているのを何とかせにゃいかぬということで申し上げたんです。 次に、今回の改正法の中の信用事業の利用枠の拡大についてお伺いします。 従前、単協の場合、信用事業の員外利用については組合員利用分量の五分の一未満に法定されていましたが、今般この制限を連合会並みに貯金合計額の百分の十五以内に緩和するというふうな改正案が出ているわけです。 そこで、今回、従前の組合員利用分量の五分の一未満というこの基準を貯金合計額の百分の十五まで枠を広げたことの理由をお伺いします。
○政府委員(川合淳二君) 一つは農業投資が全体として低調になっておりまして、農協の貯貸率が年々低下の傾向にあるわけでございます。一方で、地域金融機関として地場産業などの地域振興に資する資金のニーズというものの必要性は高まってきているわけでございます。 一方こうした中で、金融制度調査会がこうした地域金融機関と申しますか、協同組合金融機関を含めまして今後のあり方について御議論をいたしておりまして、その答申におきましては、貯貸率の著しい低下への対応とか、農村地域への活性化の役割発揮ということから、員外貸出制限の緩和についてその必要性を指摘しているわけでございます。 このようなことがございまして、この員外利用が先生が今お触れになりました既存の規制水準に達しておりまして、地域の資金ニーズに対応できる農協の中で、当然のことながら貸付審査体制というようなものもしっかり整備されているということが一つの条件になろうかと思いますが、特例といたしまして、今お触れになりました貯金総額の百分の十五という員外貨し出しを認めたいということで導入をお願いしているところでございます。
○猪熊重二君 要するに、単位農協の貯貸率が昭和五十五年の四二・三%から平成二年二五・六%になった。要するに、預かるには預かるけれども、使ってくれる人がいないというふうなことからこういうふうにしようということになったわけでしょうけれども、なぜこういう、貯貸率が四二・三%から二五・六%になったか、半減してしまったかということになれば、これは借り受けの方が少なくなったということよりも、預金の方が、農業所得以外の所得による資金が非常に流入してきて、そのために貯蓄量が増大しただけの話なんだろうと思うんです。 要するに、農業所得以外の所得が農協に多額に流入して、しかし農業生産的な側面においては利用の方はそう急激に伸びるわけじゃない。だから、貯貸率は下がる。だから、員外利用をこのような枠に変えるということなんですが、ただ、そういった場合に、従前の組合員利用分量というものを基準にして、それの五分の一未満というふうな発想というのは、これは協同組合理念に基づく発想なんです。ところが、貯金総量に対する一五%という発想は協同組合的発想と非常にかけ離れている。ほかのいろんな問題とも兼ね合うんですけれども、だんだん農協が農業協同組合理念というものから外れていくということの一つの象徴的な出来事だと思うんです。 その辺について、百分の十五というふうな単なる金銭数字の割合にすることと農協の協同組合理念というものとの整合性についてどのように考えておられますか。
○政府委員(川合淳二君) この規制の方法の変更が協同組合としての性格を変えてしまうかどうかという点については、やや私はそうではないのではないかという感じがいたします。 一方で組合員農家の実態がかなり多様化しておりますし、農村の中の混住化なども進んできておりますので、従来の協同組合の農協組織の基盤が変わってきている中で、協同組合としての新しい理念なり考え方というものが生み出されてくる必要があるわけでございますが、少なくとも百分の十五というような、そちらの指定とすれば一つのかなりきつい規制をするということは協同組合としての性格に根差すものでございますので、そういう意味では、確かに環境が変わり基準のとり方は変わっておりますけれども、協同組合としての性格を本質的に変えるというようなものではないのではないかというふうに思っております。
○猪熊重二君 以上で協同組合法の改正案に関する問題を終えて、合併助成法についてお伺いします。時間がありませんから、もう私の方から数値を申し上げて、御意見をお伺いしたいと思います。 私は、単位農協を合併して規模拡大するということの中には、経費の削減ということが一つあるだろうと思うんです。経費の削減ということと職員とか役員の人間というものが直ちに連動するわけではありませんが、昭和三十五年一万二千五十組合あったものが、平成二年には二千五百七十四組合になった。要するに、四分の一弱になったわけです。だから、普通で考えると、ああ人間も四分の一になるな、組合の数が四分の一になったんだから人間の数も四分の一だろうなと、こう思うわけなんです。 ところが、単位農協で言えば、役員は確かに半分に減っているんです。昭和三十五年と平成二年を比べて役員の方は十四万九千人余が六万八千人余に減っている。しかし職員の方は、十四万五千人余が二十九万七千人余で、ちょうど二倍近くふえている。単位農協の場合ですよ。それから県連合会の場合は、役員の場合にはほとんど変動がなし、少々ふえた程度ですが、職員の方は一万二千人余が二万四千人余で、ちょうどこれも二倍にふえている。ということは、組合の数が四分の一に減ったのに、単位農協の方の職員の数はほとんど二倍にふえている。それから連合会の方も、役員の数は微増しているだけですけれども、職員の数は二倍になっているんです。 もし仮に合併ということが人件費の節約による経費節減ということも目的の一つにあるとすれば、人間の数だけで経費の問題を言うわけにはいかぬけれども、四分の一に数が減ったのに人数の方は倍だというのは、これはどういうふうに農水省としては考えているんですか。
○政府委員(川合淳二君) 御指摘の点でございますが、確かに先生御指摘のような推移でございます。三十五年が起点でございまして、それから経過を見ますと、四十六、七年までに職員数は伸びております。その後、四十七、八年以降は横ばい、微増しているところもございますが、ややそこに一つの分岐点があるわけでございます。 御承知のように、三十五年以降高度成長のもとで農業の中身もかなり変わってまいりまして、選択的拡大というようなことで畜産などの部門がかなり伸びたというようなこともございます。農協の取り組む範囲も、そういう意味では生産から加工、流通へというふうに広がってきた過程でございますので、そうしたことを反映しているのではないかというふうに考えます。 職員の数を合併あるいはこういう経過の中で減らしていく、それはそれで農協の経営基盤を強化する方向ではありますけれども、先ほど来御議論がありますように、なかなか地域に根差した組合員との密着度を維持しながらやっていくということになりますと、一つの問題点であろうかと思います。円滑な形でそれが進められることが一番望ましいわけでございますので、そうした点には今後とも十分留意しなければいけないとは思いますけれども、そういう地域との密着というような一方で問題も抱えながらの問題といいますか、だと思っております。
○猪熊重二君 私は、農水省がいろいろ農協の合併というふうなことをおっしゃるんならば、またそれが正しい政策判断だとするならば、今申し上げたようなことぐらいは、こうこうこういう根拠があるから四分の一に数は減ったけれども人数は倍になったんだということがもう少し明確に言えるように、いろいろ調査検討していただきたいと思うんです。というのは、四分の一になって二倍になったら八倍になっているんです、単純計算すれば。 今度は、その人数の問題じゃなくて支所の問題についてもお伺いします。名前は支所とか支店とか出張所とか事業所とかいろいろありますけれども、これは統計の関係で言うと、昭和三十八年出先機関が七千四百九十カ所に対して、平成二年は一万九千九百四十七カ所になっている。要するに、三倍でもないけれども、数は三倍ぐらいにふえている。組合数は減っているんです。三千百六十から二千七百に減っている。だから、組合の数が八割ぐらいに減っても、出先機関の数は三倍近い数にふえているんです。そうすると、広域合併したしたと言っても、今申し上げた支所、名前はどうであれ、支所、支店、出張所、事業所等で、実際には前の農協の場所にそれだけのものがなきゃならぬということになってくると、余り合併合併といっても結局地域からそう離れるわけにはいかないという実情をこの数が示しているんじゃなかろうかと思いますが、この支所等の数についてどういうふうに認識しておられますか。
○政府委員(川合淳二君) 農協の合併が農協のための合併ではなくて組合員のための合併ということを推進するとすれば、やはり支所機能の充実ということがどうしても求められるわけでございますので、こうした傾向にあることはやむを得ないところだろうと思います。 問題は、こういうことによって、共通部門と申しますか、そういうものをいかに簡素化するかということにかかっているわけでございまして、そうしたことと相まって合併の効果を出していかなければならないというふうに思っております。
○猪熊重二君 先ほど三上委員の方からも広域合併ということについての農水省の考え方とかいろいろお話がありましたけれども、大きいことはいいことだということもあるかもしれぬけれども、大きいことが必ずしもいいことというわけでもないだろうと思うんです。 「農業と経済」という先ほどの雑誌の九一年の別冊に東北大学教授の酒井惇一さんという方がこういうことを書いておられるんです。「協同の力の結集の基礎となる組合員の連帯感、農協と組合員の信頼関係が保たれ、組合員の農協運動への参加が可能になるような規模でなければならない。」、農協の規模としてはですね。要するに、組合員が農協運動に直接に参加することが可能となるような規模でなければならない、こういう観点が一つ。もう一つ同じようにこの先生が言っておられるのは、「土地を不可欠の生産手段とする農業は、地域を基礎にしなければ、成り立たない。このことはいいかえれば、農協も地域を基礎とすることなしには成り立たない」というふうなことも言っておられます。 要するに、農協というものは組合員の協同組織であるという意味では、組合員がその事業に、運動に参加するということ、そういう機能的、運動的側面と、それから農業が土地を基盤にする限り土地を離れて農協も成り立たない、地域を離れて成り立たないと、こういう意見で、私もそのとおりだと思うんです。組合員が、例えば私は生まれは群馬県だから、利根郡の山奥の農民が前橋市まで車で二時間かけて行って農協運動に参加するなんてことはなかなか難しいことです。そしてまた、土地というものを考えた場合にも県単位で一つの単位農協というふうなことで果たして妥当なのかどうか。 要するに、広域合併ということのプラス面、マイナス面をもう少し検討する必要があるんじゃなかろうかと思いますが、いずれにせよ、この合併推進をしていく上において、今申し上げた組合員の農協運動への参加あるいは地域を基盤にする農協というふうな見解に対して大臣はどんなことをお考えになっておられますか。
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるとおり、いずれにしても農家に過重な負担をさせてはいかぬということで、また広く合併するわけでありますから、一方では全然この職員の数が減ってないということはやっぱり問題であろうと思います。しかしながら、一挙に合併して解雇するということもできない問題もあろうし、逐次、事業量がふえてふえたというのはこれは別でありますが、そうでないものは極力スリムになっていくという方針に基づいて、多少時間はかかるでしょうけれどもそういう努力をしていってほしい、私たちもまたそういうふうに指導していきたい。 また、お話しの二時間もかかって行かなきゃいかぬほど広域にやる必要があるかというのは、農協を系統の考え方で適切な規模にしていただく、あるいはだんだんいろんな情報化時代でありますから一々行かなくても十分その機能が果たせる、そういうシステム等も整備をしながら、いずれにしても人員は徹底して合理化をし削減の方向でいってほしい、こう願っております。
○猪熊重二君 最後に、どなたからかも言われましたが、農民の農協離れということが言われておりますが、農民が本当に農協離れしているのかどうなのか。その一つの指標として、例えば昭和三十五年以降、農民の中で単位農協に加入している人あるいは非加入者の数、割合がどんなふうに推移しているかお答えください。
○政府委員(川合淳二君) 農協の正組合員の農業従事者に対する割合というふうに考えたらよろしいのでございましょうか、これは私どもちょっと手元に具体的な数字を持っておらないのでございますが、これはそんなに変化はないというふうに私どもは考えております。
○猪熊重二君 要するに、農業協同組合法で言っている農民の数というのは農水省では把握しておられないらしい。だから、農民の中で単位農協に加入している人の数というのも、あるいはその比率というのも出てこないんだろうと思います。 いずれにせよ、最後にまた先ほどの酒井惇一さんという先生の著作を引用して、終わりにしたいと思いますので、これに対する見解を大臣に簡単にお伺いして、終わりにしたいと思います。 大型化するほど農協と組合員の結び付きは弱 まり、農家個々の営農や地域農業振興の指導性 が弱まり、信用、共済事業のみが強化され、経 営上の情報が組合員に正確迅速に伝わらなくな り、その結果としてますます組合員の農協離れ が進み、組合員の農協利用率は低下し、そこか ら脱却するために一般企業並みあるいはそれ以 上の事業推進に走り、それが若手職員のやる気 をなくさせて中途退職に追い込んでいると。 このようなことが農協離れの実態なんだというふうなことを述べておられますが、いわゆる世間でよく農協離れと言って話が出ておりますけれども、農水大臣に農協離れということについての見解をお伺いして、終わりにします。
○国務大臣(田名部匡省君) いずれにしてもこの種のものは、これそのものはどうか私も実態をよく調べてみたいと思うのでありますが、どういう組織をつくっても、その組織のメリットというものはどんなものがあるか、組合員のニーズに十分対応しておるかどうかということだろうと思うんですね。入ったけれども何にもないというのは、こればかりではなくていろんなところで私どもも聞くわけです。入っている意味がないということをいろんな団体等で聞きますので、やっぱり組合員のニーズに十分こたえて、そして希望するものを創設してあげるという、改革といいますか、そういうことがなければマンネリ化して、いつまでも同じことをやっておっては、その時代についていけることを先取りをしながら積極的にやっていってほしい、そのことが何よりも大きな原因であろう、こう思います。
○猪熊重二君 ありがとうございました。終わります。
○林紀子君 農協の広域合併問題についていろいろ論議が行われておりますけれども、私も市町村という行政単位を超えた農協の広域合併について質問していきたいと思います。 一九九〇年度現在で三千五百七十四総合農協のうち、一四・二%に当たる五百八農協が既に広域合併したものであり、二十一世紀までに系統農協では一千農協を目指すという方針を立てましたが、昨年十月の全国大会以降も見直しが進んでいるということです。資料をいただきまして、それを拝見いたしましたら、ことしの四月一日現在、既に三千二百九十四農協になり、どれくらいの数にしていくのかという計画は、全国で七百七十四にしていく、そういう計画だという数字を見せていただきました。 そして、この広域合併を行うに当たっては、そのメリットをさまざまに組合員に宣伝をしているわけですが、これは上越農協となりましたところから、「広域農協合併研究資料」ということで農家組合員に配られたものを見せていただいております。 それによりますと、「現在の支所・出張所はそのままで充実」をする、営農指導は「営農指導員の支所駐在制を取り入れます」、生活指導は「本物の豊き求め生活・文化活動を充実」いたします、信用・共済事業は「営農と暮らしに密着したサービスにつとめます」、購買事業は「スケールメリット発揮でコスト低減に」と大変組合員にとってはバラ色のことばかり書いてあるわけですけれども、実際広域合併が進んでどういう状況になったのかということを、全中、農水省、調査をしておりましたらその状況を教えていただきたいと思います。
○政府委員(川合淳二君) 実態調査を全中が行っているのがございます。一斉調査とか事例調査でございますが、その中では、例えば指導体制の専門機能強化につきまして、専門指導体制が強化されたというのが七五%とか、組織の充実強化などにつきまして、組合員の増加により組織基盤が充実し、各部会、組織が活発化したというのにつきまして六六%というような調査結果が得られている調査がございます。
○林紀子君 私は、新潟県で広域合併の第一号となりました上越農協というところに伺いまして、いろいろお話を聞いてまいりました。この上越農協を中心に新潟県内の農協について、具体的にその実情というのを見ながら御質問していきたいと思うわけです。 この上越農協は、上越市と周辺の三村を含む大農協が三年前に広域合併した正組合員およそれ千五百人、准組合員五千人、新潟県内では一番規模の大きい農協だということです。合併して三年間でどのように変わったのかということでは、まず営農指導ということですけれども、指導員が削減されてこれが後退していると、そういう状況があるということを聞いてきたわけです。基幹支所の指導員を本所へ集中、おまけに二人も指導員を削減してしまった。本所に集中した指導員は専門指導どころか旧農協の補完に飛び回り、支所駐在の指導員は合併前の仕事をそのまま抱えているので、支所駐在とはいってもほとんど支所にいない。合併前より対応が悪いという農家の声が圧倒的だ。こういうことなんですね。 それからまた、お隣のひすい農協というところですけれども、合併前の能生谷農協というところに三人いた営農指導員は合併により一人になってしまった。能生町農協、二人がゼロになってしまった。糸魚川農協、四人いたものが合併により一人になってしまった。青海農協、二人であったものが一人になった。市と本所は九人が六人になった。全体で考えると十九人が半数以下の九人になってしまった。支所配置の三人は、支所にいても本所の営農部所属で全域を対応しなければならない。また、営農企画課というところには四人配属されているけれども、稲作指導会や育苗、ライスセンターに業務をしている。農繁期には指導員も育苗、ライスセンターなどに張りつきで現場巡回もできない。営農は本所に電話してもだれもいない。いるのは部長と課長だけで、それも会議ばかりしている。こういう話なんですね。 これで本当に営農指導が充実をするというその約束が果たされているのかどうか、その辺はどうお考えになりますでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) 具体的なお話ですので、私どもそのお話について言及する資料を持ち合わせておりませんけれども、やはり合併の効果というのは物によっては若干長い目で見ざるを得ない面も当然あろうかと思います。先ほど来御議論がありますように、農家との密着性を保ちながら合併の効果を上げていくということでございますので、なかなか難しい面も当然あろうかと思います。関係者はそのためにいろいろな形で努力をしていると私どもは思っておりますし、そうした形で県なども指導を続けているんだろうと思っております。
○林紀子君 この新潟の例というのは決して特殊なものではないと思うわけですね。 参考人の方に来ていただきまして、いろいろお話を聞きました。全中の松旭参考人も、一農協当たり営農指導にかかる費用は七千万円、ところが六千万円は持ち出したというようなお話がありましたし、福岡からいらした花田参考人は、営農指導に関しましては財源確保が重要課題だということで、福岡県では県の方もそれから農協の方も基金という形でお金を出し合っているというお話もこの場でお聞きしたわけです。 また、「農業と経済」という雑誌の中で、農業協同組合中央会の組織部組織整備推進課長の山田さんという方が書いているものを見せていただきましたが、「営農指導事業費の確保について、営農指導基金の造成等にかかる制度上の支援措置が必要である。」ということも書いていらっしゃるわけですね。 営農指導というのは農協本来の仕事だというお話もありましたけれども、こういう財政的な面での援助、そういうものもどうしても必要ではないかと思うわけですけれども、その辺はいかがですか。
○政府委員(川合淳二君) 営農指導事業は農協の本来的な固有の事業だと思っております。各種事業がございますけれども、こうした事業も農家の営農というものを中心に営まれているわけでございますので、本来的にはこうした営農指導は農協みずからが負担すべきものだというふうに思っております。したがいまして、直接的な形で支援をするということは難しいのではないかというふうに私どもは考えているところでございます。
○林紀子君 広域合併により営農指導というのがますます弱まっている。そのこともぜひ考えていただきまして、農協からも非常に援助をという声が高まっているわけですから、このところはどうしても考えていただかなければならないと思うわけです。 それから支所というものの弱体化。今の営農指導員が支所からいなくなってしまうという状況も支所の弱体化の一番大きな一つのあらわれだと思うわけですけれども、そのほかにも一般支所の職員を減らして支所機能を麻痺させる、仕事だけは減らされた人員の分まで残された職員が行っている、これが上越農協の姿だということを上越農協では職員の方たちがおっしゃっておりました。 また、今例に挙げましたひすい農協でも、配送集約化によって全体として相互の助け合いの体制がとれなくなった、担当の一人のところがふえて、外に出る部署では事務所にだれもいなくなって対応できなくなった、そして忙しさの余り他の部署がどんなことをやっているのかさっぱり見えなくなってしまった。共済は実質一人体制になって、残業は五十時間、百時間を超える力もある。支所の充実どころか広域合併により弱体化が進んでいる。こういう状況も出されているわけですが、それにつきましてはどうですか。
○政府委員(川合淳二君) 具体的なお話でございますので、私どもその事実を承知していないので言及は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、合併は農協としての経営基盤を強化するということが一つあるわけでございます。そうすることによって農家のニーズに対応していくということでございますので、しからば合併をしない姿でそうしたことに対応できるかということを考えますと、今日の環境からいってなかなか難しい面もあるのではないかと思います。 問題は、合併後農家が期待しているそうしたニーズに対する対応をどのように果たしていくかということでございまして、合併当初いろいろな問題があろうかと思いますが、そうした目標に向かってそれぞれの農協は努力しているし、また、そうすることによって合併の効果も出てくるというふうに思っておりますので、鋭意各合併農協はそうしたことで努力を続けているというふうに私どもは考えております。
○林紀子君 合併当初はというふうにおっしゃるわけですけれども、少なくともこの上越農協というのは合併後もう三年もたっているわけですね。そうしたら、もうそろそろ落ちついて本来の軌道に乗らなければいけないという時期なんじゃないかと思いますけれども、依然としてこういう状況であるわけですし、先ほども申し上げましたように、この上越農協、ひすい農協というのが全国的に見ても決して特殊な例ではないと、そこのところに大きな危惧を持つわけなんです。 この広域合併により特に強められたのが事業推進の強化、こういうことなんですね。すさまじい事業推進だということがこの実例としてさまざま挙げられているわけですが、上越農協の事業推進の実態、具体的に申し上げますと、定積み一人二百五十万円、ボーナス貯金一人五百万円、長期共済一人八千六百万円、これはことしは一億円に引き上げられるだろう、年金共済四十万円、傷害共済六十件、自動車一人一台、しらゆき米一人五万円、酒一人十五万円、紳士服一人二着、女子職員の場合は着物、(笑声)キャップロール一人一台、遠赤外線ふとん一人三枚以上、食材一人一件、宝飾品、これは特に個人目標は設定しないけれども売れるだけ売れと、家電は一人三十万円、コードレスホン一人三台。これが個人ノルマとして、しかも恒常推進という形でそれぞれの職員に課せられているノルマなわけですね。 恒常推進というのは、日常の担当業務、それをやりながら就業時間内を含めて年間恒常的に売り込みなさいと、こういうふうに言われてるというわけなんですね。今ずらっと並べて、思わず笑い声が出ましたけれども、決して笑い事じゃないわけなんですね、職員の方たちにとっては。就業時間内も含めてやれということですから、実際にやるのは、もう仕事をいっぱい抱えているわけですから、夜間とか休日に出かけていかなくちゃいけないということになるわけですね。しかし、建前は就業時間内だということですから、時間外手当などはだれも請求しないし、支給もされないと、こういう状況になっているというんですね。 これだけのものをふだんの仕事を片づけながらやらなくちゃいけないということになると、到底売れないということになりまして、仕方がないから自分で引き取るという方たちも多いわけなんですね。これ自爆というふうに言うんだそうですけれども、紳士服などはこの自爆率三五・三%、羊毛パット四九・五%、半分は自分で引き受けて、売れないからしょうがないという形になっているわけです。 賃金のこともお話に出ましたけれども、ほかと比べても大変低いお給料の中で、また自爆ということでこれだけ抱えていかなくちゃいけない。大変な状況じゃないかと思いますが、どうお考えになりますか。
○政府委員(川合淳二君) 私ども、従来からこうした事業の推進ということにつきましては、当然のことながら、協同組合活動は組合員の自主的な意思の積み重ねによって行われるものでございますので、仮に共同出荷とか共同購入というものにつきまして希望しないものがあったとしても、これを強制したり、農協の他の事業利用などで不利益を与えたりすることは適当でないということで指導してきております。 今のお話は、私ども事実を掌握しておりませんけれども、こうした趣旨でそうした問題については今後とも対処してまいりたいと思っております。
○林紀子君 四月二十二日の衆議院の農水委員会で、局長は我が党の藤田スミ議員に対しまして、農協の事業推進は組合員の要望あるいは需要に基づいて行われるべきだと、そのような形での事業活動、無理な事業活動というのは行われないように指導していくという御返答をいただいておりますし、今もそういう御趣旨のことでお答えいただいたと思いますので、この上越農協の問題につきましては、個別の例ですので、今後これを具体的にも調査をしていただきまして、こういうようなひどいやり方をしているということについては適切な指導をぜひお願いしたいと思うわけです。 そして、この事業推進という形は職員ばかりではなく、農家組合員にどう受け取られているかというその調査を、これは京都府の農協中央会が平成二年の二月に行ったというものを私は見せていただきましたけれども、農協事業の問題点は何かという問いに対しまして、「組合員の意向を反映した事業が行われていない」一九・三%、「農協の経営を重視した事業が中心となっている」四五・五%、「農協からの一方的な事業推進が多い」三五・四%。ですから農家組合員は、夜も来る、それから休みの日も来る、こうした事業推進ということに対して、やはり大きな不満を持っている、こういうことではないかと思います。 一方では、きょうの午前中のお話にもありましたけれども、推進に頼らなくても組合員の営農と暮らしの発展を中心に据えて十分にやっていける農協、こういう農協が理想的な農協だと思うわけですけれども、こういうものも実際全国にはあるというお話も聞いておりますし、私も実際そういう状況を見せていただいたところもあるわけですけれども、こういうような形をもっと全国に広めていくというような形で何らかの指導ということをお考えにはなっていないのでしょうか。
○政府委員(川合淳二君) 今お話しのようなことは、何と申しましても農業協同組合組織の自壊につながるわけでございますので、組合員の自主的な意思の積み重ねで協同組合活動というのは行われるべきであるということでございまして、私どももそうした面で指導を今後とも続けていきたいと思っております。 いろいろなお話がございましたけれども、全国で優良的な事例で合併後の経営が行われている農協は数多くございます。先日参考人で出られました農協もその一つだろうと思っておりますが、先ほども御答弁いたしましたように、私どもはそうした例を広く全国に知っていただいて、そうしたものを一つの参考にしながら合併後の経営が行われるように私どもも協力をしてまいりたいと思っております。
○林紀子君 そして、こうした無理なノルマ一辺倒の事業推進というものが今大変農協で問題になっております中途退職者、この増加に拍車をかけているのではないかということなんですね。 上越農協、合併して三年間で百六十人がやめていった。今、正職員がおよそ六百五十人という農協だそうですから、この百六十人という数は随分大きな割合だと思うわけですね。で、その退職をなさった方四十人に具体的に話を聞いたところ、事業推進が大変であると十七人の方が答えている。そして、転職をしたことによって残業時間が減ったと答えた方が二十人、休日労働が減ったと答えた方が二十二人、半分以上それぞれいらしたわけなんですね。 私は、農協中央会の経営課長の明田さんという方が書いた「農協づくり人づくり」という「農業協同組合経営実務」という雑誌の特集を見せていただきましたけれども、中途退職者の理由、農協の場合は、平成二年夏に全国の八農協について実施した全中、農協労研の共同による聞き取り調査によると、賃金が低いというのが一番の理由。二番目の理由が夜間の事業推進、ノルマが嫌だということを挙げている。また、「A県」としか書いてありませんけれども、県下の八割強の農協の人事担当部課長から聞き取り調査をしたところによると、結婚退職や家族の扶養、看護などを除くと退職の理由第一位は推進、ノルマが大変だということだというふうに答えているわけですね。ですから、労働組合の方の調査にしてもそれから全中の調査にしてもこの事業推進が大変だということでやめていっている方が大変多いという結果があらわれていると思います。 そこで、この中途退職をなくしていくためにも、どうしても事業推進というのは無理な押しつけやめるということが必要だと思いますが、三十代から四十代にかけての中堅の職員が大量にやめていくということにつきましては、農水省にとっても農協の今後の存立という問題を含めて大変な状況ではないかと思いますが、これについてはどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(川合淳二君) 近年の経済状況あるいは雇用状況などを反映いたしまして、労働力の流動化とかあるいは今お話がございました中途退職というようなものが農協に限らず各種の事業体で起こっているわけでございます。 その理由はいろいろあろうかと思います。今御指摘のような点があるということももちろん否定できないわけでございますけれども、やはり何と申しましても、今後のこういう労働環境と申しますか、を確立していくためにはそれなりの農協の経営基盤というものがしっかりしていくことが必要であると思います。 そうすることが農家組合員の農協に対する期待にもこたえるわけでございますので、私どもはそういうためには合併、これは当然のことながら適度な規模の合併でございますが、そういうものが必要だということで推進をしてきているわけでございます。労働環境なども整備されたそういう環境で働いていくということが必要でないかと思っております。そのために今後とも合併を推進していくということも必要ではないかというふうに考えているところでございます。
○林紀子君 広域合併、大型合併をこれからも推進していくというお話があったわけですけれども、新潟県内の全農協の組合長を初めとした常勤理事に合併についてアンケートをとっているわけなんですね。それを見ますと、広域合併を進めるべきだという人は二一%はいますけれども、農業を土台に地域を立て直し、協同組合らしい農協をつくっていくために全力を挙げるべきだというのが三八%、合併を云々する前に農協間共同などを含め総合的に考えるべきだというのが七%、こういうようなアンケート調査、これは組合長、理事さんの答えなんですね。それから、農家組合員に対しての調査に対しましては、「合併は必要だが、広域合併までは必要ない」という方たちが三六・一%、「合併はなるべく避けた方がいい」が二三・二%、合わせますと半数以上の五九・三%の方たちが広域合併というものに賛成をしていない、こういう状況になっているわけですね。 今まで営農指導の問題、支所の問題、事業推進の問題、中途退職の問題、問題別にいろいろ申し上げてまいりましたけれども、こういうことを総合的に見ましても、そして理事さんや組合長、そして農家組合員の皆さんの声を反映したこういうアンケート調査を見ましても、やはり広域合併というのはメリットがない、するべきではない、こういう方向を指し示しているのではないかと思うわけです。 時間がありませんので、最後に私は大臣にお聞きしたいのですが、農水省では今月にも新政策というものをまとめて発表するというような話もあるわけですけれども、今後の農協の姿ですね、どういうふうに位置づけて、担い手問題、耕作放棄地問題なども含めまして、どのような役割を農協に担わせようとしているのか、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) いろいろと御意見を伺っておりまして、特に新潟の農協の問題が多いようでありましたが、そう数多い例ではないと思いますが、随分新潟では事業推進等ノルマを課してやっているんだなという感じを受けましたが、私の方では余りそういうことは聞いたことないんです。したがって、そういうことは、合併もしたくない、事業推進もしたくない、こういうことで一体将来は何をどうするおつもりなのかなという感じがするわけです。 だれでも楽な方がいいんであって、週休二日制もいろいろと取りざたされておるわけでありますが、一方では、支所で寝ずに働けということも無理でありますから、週休二日制、時間短縮というならば、周囲の人も多少そういうことはやっぱり理解してあげないと、役所等でもそういうことをやると不便を感ずる人はおるんですね。それは理解しないとそのことは実現していかないということがありますので、いずれにしても、どうぞ、まあいながらにして何でも事足りればいいわけでありますが、そういうわけにもまいりませんし、農協の抱えている悩みというのは、また販売、購買、いろいろあるわけでありますが、もう混住化が進んでその必要がないというところもあるし、あるいは依然として農協に依存していろんな購買事業あるいは販売事業が成り立っているところもありますから、いずれにしても私は、組合員のニーズの多様化に対応してやっていかない農協はだんだんおかしくなっていくということだけは言えると思うんです。 それに積極的に取り組んでいただきたいと思うし、今度の農協法改正でも、福祉の事業でありますとか、受託農業経営事業、あるいは理事会の設置、執行体制の強化、いろいろお示しをいたしております。そういう中で、私どもは新政策でも、多様な担い手の育成を図るとか、土地利用型の農業の確立、新しい地域政策の展開など、農政全般について検討しているわけでありますが、これらの検討結果を現実のものとしていく観点から、食料・農業・農村政策に係る農協などの団体機関のあり方も、先生方のいろんな御意見を伺った中で、どういうことが本当に望ましいのか、そういうこともあわせて検討をしていくことにいたしたい、こう思っております。
○井上哲夫君 まず、大臣にお尋ねをさせていただきます。 これまでずっと大臣は一貫して、営農指導と言っても経営指導、経営感覚のある人を農業関係者の周りでたくさん固めていかないと、結局は日本の農家あるいは担い手の問題も含めてうまくいかないんだというお話を一貫しておっしゃってみえて、私もまさに卓見だと思っておるわけでございます。 今回、この農協法の改正、農協の最大の事業とも言える営農指導、これが今非常に惨たんたるありさまである。合併を促進する中で、この営農指導は手薄になっているところもあるとかいろんなお話があるわけでありますが、私はこの間、一昨日ですか、参考人が見えた中で、秋山さんという茨城県の農協連の委員長の方がいろいろ御意見をおっしゃいました。 結局、農協というところは、昔からの姿を引きずってきておるものですから、上に行けば行くほど地域の名望家というか偉い人が上になって、しかも組合長や常務さんがほとんど関連農協の当て職というんですか、そういうところの兼務で、もう会議会議で余り農協にいないんですよね。そういうふうで、昔は職員から上がった参事という人が一大切り回しをして、上にこびつつ下にはへつらうというふうな形で、なかなか上意下達じゃないですけれども意見が通らない。 そういう中で、農協の職員も、農家も含めてですが、大臣がおっしゃる経営感覚のある人を育てようという場合に、これはなかなか大変なことなんですけれども、大臣は恐らく農協関係者の経営陣のトップの方とは随分意見交換やいろんなことをやってみえると思うんですが、そういう農協の労働組合の委員長とも一回ひざを突き合わせて会って話を聞いてみていただきたい。 経営感覚のある営農指導員とか、農協に新しい経営感覚を入れようと思うと、私は尽きるところ研修に、そういう大臣がおっしゃるような中身、カリキュラム、そういうものが入っているかどうか。私も昔関係がありましたから随分研修に講師としてやりました。しかし、常に目先のテクニックあるいは目先の問題についての専門技術的なということで、なかなか経営感覚を身につけるというか、今の新人類があらわれてきたそういう中で、民間企業が必死になって係長クラスの人には係長クラスに必要な経営感覚、経営感覚というよりも自分の仕事の関連性のさばく能力、感覚を身につけるように研修をやっている。あるいは新入社員には新入社員でやっている。そういうふうなものがどうも欠けているんではないか。 したがって、余り自治能力のある農協に役所が上からあれをせいこれをせいということは言えないわけですが、経営感覚を持った営農指導員なり農業関係者を育てるということからいいますと、そういう研修制度に新しい観点のものを盛り込んで新風を入れる。そのためには、本当に生意気なことなんですが、そういう農協の労働組合の責任者にも、大臣お忙しいところですが、一度意見をいろいろ聞いていただいて、そして経営感覚をどういうふうに、どういうところから吹き込むことができるか、その辺のことを私も申し上げて、もう一度経営指導能力のある者を育てたいという大臣の御見解をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるとおり、組合長あるいはトップの人たちと働いている人たちとのギャップというのは相当あると思うんですね。今おっしゃったように、やっぱりどこの農協へ行きましてもその地方の一族の多い人が、私の方だと本家だという人が組合長になるとか、そういうことがまあどちらかというと多い。残念ながら、ちょうどその年代の人たちというのは、余り学校教育を受けておる人はおりません。 昔は、私の方では学校へ入れると農家の跡を継がないからということで、長男は小学校でもう農業を継いだわけですね。そういう人たちがトップになるという例が今まではありました。しかし、これからは教育を受けた若い人たちがだんだんなるその過渡期にあるものですから、どうしてもずれがある。もう一方的にこうだと言われて働いている。縁故採用も多いものですから、どうしてもそれに一々言えない。いろんな面で変えなきゃならぬ点というのは私はあると思います。 したがいまして、民間では研修をいろいろやります。むしろ私は人事交流なんかもやって、民間のやっていることを取り入れてやるというぐらいのことがなきゃいかぬだろうと思っておりますし、今お話しの労働組合の幹部の人と会うようにということであれば私も会ってみても結構ですが、郵政政務次官のときに、実は郵政省の幹部職員を六百人、講堂で一時間四十分、私は講演しました、「やる気」という題で。それから札幌で北海道、仙台で東北郵政、それから関東、郵政大学もあれば六百人ぐらいでしたか、人に言われて改革をするべきでない、みずからやっていくんだという、監督時代に選手を指導したそういう経験を実はお話を申し上げたことがあります。 企業にも随分私も講演に引っ張られてやりましたが、いずれにしても、トップになる人はトップになる人の指導力というのは必要なんですね。よく私は監督しておるときに、心理学を学びなさいと、こう言われて、スポーツと心理学は何が影響あるかなと思ったんですが、いろいろ勉強させられてみて本当にすばらしいことを教えてくれたということを感じまして、そういうやっぱり努力をしていきませんと、さっきから申し上げるように人なんですね。何といってもうまくやる人というのは、働く人たちをうまくリードして力を出すようにしてみたり、いろんなことをやるわけです。そういうことですから、私もお話しのように一度そういう機会があればお会いして話をしてみたい、こう思っております。
○井上哲夫君 ぜひ農業関係の労働組合のリーダーに会ってやっていただきたいと思います。彼らはもちろん公務員じゃなくて民間ですが、農林水産大臣がじきじきに話を聞いてくれるということになれば、いろいろ激烈なことを言う人も中にはおりますが、実際には非常に悩み苦しんでおる好青年ばかりでありますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 私は、余談ですが、農協関係の組合の役員になるというとみんな辞退するから、組合の役員になれぬで何が仕事ができるんだと言って、よく率先して組合の役員になれというふうなことを自分が言ってきたこともあるものですから、ぜひ一度そういう機会をつくっていただけたら大変ありがたいと思っております。 それから、合併の促進ということで、随分私もいろいろ関係先に顔を出しますと、合併の波に乗ってよかったとかいろいろな動きも聞きます。中には、今御質問が林委員からありましたように、合併をすることで職員が大量にやめてけしからぬじゃないかという話があるかと思うと、合併をしたところの参事が首切り参事とあだ名されて、本人は決してそんなつもりでないのに、たくさんやめていくためにまるで自分が首を切ったように思われてかなわぬと言ってしょげているようなケースもあるわけでございますが、私きょうは一つだけ、陳情を受けましたので、自治省の方見えてますか、お尋ねをさせていただきます。 どういうことかといいますと、複数の三ないし五の市町村にまたがる広域合併をします。そうすると、その合併をしたことによって出資金額と資本の積立金額が合算になりますから大体十億円を超えてしまうということらしいんですね。そういうことになると、その合併をした新しい農業協同組合が納める地方の税金ですね、地方税法の第三百十二条第一項に該当するものですか、これが四倍五倍にはね上がる。合併をして何かいいことがあるかというわけで喜んでいると、後から何と五倍の税金のお土産をちょうだいする、えらいこれはかなわぬぜという話を聞くわけでございます。 ちなみに、私がそういう陳情を受けた中には、私の地元の農協でございますが、名前は挙げませんが、十億円のそういうボーダーラインを超えてしまうと、例えばある農協の場合には、市町村が五つにまたがった広域合併をして、従前法人市町村税で均等割で納めておった税金が百四十四万で済んだものが四百七十万円払うということになった。あるいはもっとひどいところでは、四つの市町村にまたがった広域合併をした農協では、従前百六十万円納めていたのが七百万円になったと、こういうふうなこと。 これが出資金と資本金の積立金の合計が十億円を起さないところではさほど大きな増税というものは出てないわけです。例えば一つの場合には、三つの農協の合併をしたんですが、十億円を起さないために、従前納めていた地方税が八十四万八千円であったのが九十八万円で、十三万二千円の増加。で済んだと。 こういうふうなことで、私がお会いした組合長なんかは、これでは仏つくって魂入れずだ、合併促進法がまた今度三年延長になって、やれ合併しなさい合併しなさいということで、いろいろ農協も苦しい中を努力して合併をしていくんだけれども、ここら辺は何とかしてもらえないんだろうかというような悲鳴を聞いているわけであります。 そこで、まず自治省の方に、これは一体どういうことになるのか、しかも考慮するようなことは、税金を扱う方は大体税務体系の本来の筋からいえばこれはこうでありますとかいうふうにおっしゃる、それは私も承知をしておりますが、その点どのようなことになって、かつ考慮できる余地があるのかどうかもあわせてお尋ねをいたしたいと思います。
○説明員(瀧野欣彌君) 法人住民税の均等割についての御質問でございますが、御案内のとおり、地方税につきましては、地域社会の費用を住民が広く負担するという性格を持つべきだという考え方があるわけでございまして、こういった考え方から、特に今御質問のありました法人住民税の均等割につきましては、その地方団体の住民である以上、所得の多寡にかかわらず、資本等の金額あるいは従業員数というものに応じまして均等の額によりまして税の負担をしていただくという考え方でございます。 したがいまして、ただいま具体的にお尋ねの農業協同組合の合併の場合でございましても、合併により出資金額等が増加するということになりますと、それに応じて担税力があるという考え方のもとに、それに応じた負担をしていただくというふうにならざるを得ないというふうに考えております。
○井上哲夫君 さて、これ今御説明を伺ったんですが、農水省の方ではこれはどう考えたらいいんでしょうかね。これしょうがないという返事しかないという、私はやっぱりこの辺は知恵を出すことはできないのかどうか。よろしくお願いいたします。
○政府委員(川合淳二君) 今、自治省の方からの御答弁がございました問題でございますので、私どもの方でこれについてとやかく言うのは困難であるというふうに言わざるを得ないと思います。それなりの社会的存在になるわけでございますので、やはりそういう制度のもとで対応していかざるを得ないのではないかというふうに思います。
○井上哲夫君 これは、こういう事実を見て二年、三年特例措置を議員立法でやればということなんでしょうけれども、それはむしろ各委員の方にお願いをするということになりそうなんですけれども。 それからもう一つついでに、御通告をしなかったんですが、川合局長にお尋ねをしたいと思います。 先ほど三上委員の質問の中に、この合併をするためにいわゆるマイナスの債務といいますか、まあ不良債権と言うと語弊がありますが、そういう広域合併の障害になる債務の処理について、そういう問題の債務というか債権を買い取る、ファクタリングというふうな言葉をおっしゃいましたが、買い取るようなそういうことについても積極的に農水省が支援をする気はないのかという御質問に対して、農業協同組合の本来のあり方、存在のことからいうと、組合員に対する債権を譲渡して、そして別会社なり別法人が処理をしていくというのは、これは本来の組合の精神からいってどうなんだろうかと、こういう疑問もあるというふうなことをおっしゃいました。 私は、むしろ債務者が組合員であるからこそ、この問題を別の形で、ファクタリングだけが唯一の方法であるかどうかは疑問ですが、別の形で処理をしない限り、やはり合併のときに不明朗なというか、あるいは情実に流されて処理をされるおそれはある。むしろ組合員に対する何といいますか、そういう債権関係をワンクッション別のところへ移すというのは本来の組合のあり方からいえばなじまないんじゃないかというよりも、逆にそれは移した後の処理のところで、組合員と農協との間で発生した債権債務関係であるということを考慮すれば、そこで配慮すれば足りる問題であって、農協と組合員との債権債務関係だからファクタリングにはなじまないという考え方は、私はちょっと理解ができかねるわけであります。 その点について、御通告をいたしませんでしたけれども、御答弁をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(川合淳二君) 私、この問題につきまして三上先生から先ほど御質問を受けたわけでございますが、率直に申しましてこうした考え方についての御要望は初めてお聞きいたしました。したがいまして、この中身について正確に理解しておりません。それは認めさせていただきたいと思います。したがいまして、具体的にどういう手法で、どういう段階を経てこれを処理していくかということについて、具体的でございませんので、一般論として先ほどのようなお話をしたわけでございます。 今、私どもが基金をつくりまして、それに基づいて対応しようとしておりますのは、償却をするということでございますので、それはある意味ではストレートな方法でございますが、このファクタリングというようなことをやります、まあある意味で迂回していくといいますか、何段階かをとりながらやっていくという手法が果たしてどういうふうな効果を生み、直接的な償却に比べてどういうメリットがあるかということも十分検討する必要があろうかと思います。もう少し勉強をさせていただきたいと思いますし、実例あるいは御要望の実態などがわかれば、私どもももう少し勉強させていただきたいと思っております。
○井上哲夫君 まだ質問したいことを残していますが、きょうはこれで終わりにして、時間短縮に協力をいたします。ありがとうございました。
○喜屋武眞榮君 昨日は御四名の参考人の御所見をお聞きいたしました。きょうはまた朝から今まで委員の皆さんの御質疑を承りました。いろいろと問題点が質疑されておることに対して、なるほど、なるほどと思いながら、私も私なりに与えられた時間内で七つ、八つの質問は用意いたしておりますが、ほとんど私のお聞きしたい問題点はおとといときょうの先生方の御質疑の中で解けたと私は理解いたしまして、今さら同じ問題を同じように繰り返す必要はないと判断いたしまして、お聞きできなかったことの二つに絞って、なるべく時間を短縮いたしたいと、そう思いましてこれから質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。 お聞きできなかったということは、もうこれだけ申し上げれば、どなたもおっしゃらなかった沖縄の問題でございます。こういう機会に、いよいよ五・一五、あしたは沖縄の復帰二十周年の日でございますので、私も質問が最後でございますのでなるべく早く終わって、そして羽田に駆けつけて、きょうで沖縄に着いておらぬと、あしたに間に合いませんので、そういう心のときめきもございます。お察しください。 まず、お尋ねしたい一つの問題は、沖縄の農協問題についてです。それから二問題は、沖縄農協の合併についてどうあるべきかと、この二つの問題に絞ってお尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 あす五月十五日は沖縄が本土に復帰してから満二十年になります。去る五月十日は、私、二十年ぶりに沖縄のあの北の端、辺戸岬と言っておりますが、辺戸岬に駆けつけまして、かがり火大会と申しまして、与論と相呼応しましてかがり火大会をして、二十年前を実感いたしたわけでございます。本土の仲間たちも三百五十名参加してくれまして、そして翌十一日から辺戸岬を起点にして平和行進をずっと続けて、汗にほこりにまみれて歩き続けておりますので、あすの夕方A、B、Cの三コースにわたる平和行進団が那覇の与儀公園に結集しまして、いわゆる沖縄の復帰二十年記念の決起大会を持つわけであります。 なぜあえて前もってこれを私が申し上げたかと申しますと、私たちは、復帰の目標は平和憲法に、即時無条件全面返還という合い言葉で復帰の実現に立ち上がりました。その背景には、人間が人間として幸せに生きていくための生命、財産、人権も守らなければなりませんけれども、そのよりどころの憲法がなくして、戦後沖縄県民を支えてきたのは米軍の布告、布令、指令、この二十年間に一千四百件の布告、布令、指令がありまして、そのもとに、軍事支配者の支配のもとに明け暮れてまいったんです。復帰運動というのは、その中から沖縄の全県民が結集して立ち上がって、そしてその渦を本土と連動しまして、連帯の闘いで二十年前の五月十五日に復帰が実現したいきさつがございます。 ところが、あす迎える復帰二十年の沖縄は二十年前とどうなっておるのか、県民の意識はどう変わっておるのか。これについてもいろいろあるわけですが、ここで述べる時間は持ちません。また、ここで申し上げる必要もないと思っておりますが、ただ申し上げておきたいことは、依然として米軍基地の専用基地の七五%は沖縄に居座っておる。だから、いかに平和を訴えても、基地の整理縮小、基地の撤去を現知事の大田知事も打ち出しておるわけですが、この基地の整理縮小というものが国策の線にのらない限り、沖縄をどうするこうすると言ってみたところで沖縄問題の前向きの解決はあり得ないということ、これだけははっきり申し上げておきます。 そこで、あしたの大会の結論を、この問題を本土の仲間たちとの連帯の闘いをますます結束して広げて深めて闘い続けようと、この決意を訴えるわけでございますが、そのことを申し上げて、満二十年になるわけでありますが、即時無条件全面返還というその柱のもとに二十年を迎えるわけですが、そこで、復帰してから取った、復帰してよかったか悪かったかという質問は、今さらそういうことを問うのも愚問であるし答えるのも愚問である。よくなければ復帰する必要はないということなんです。 そこで、十年節目をつくって、沖縄振興開発計画という一次振計、二次振計、二次振計が去る三月末に終わって四月から三次振計に連動しておるわけでございますが、その間に、二十年間に本土政府は沖縄にお金を約三兆四千億投じてくださっております。ところが、それだけを下さったからといって手放しで復帰して本当によかったんだと両手を挙げて賛成するわけにはいかないという一つは、その三兆四千億の金がそのまま沖縄に落ちて県民の懐に落ちておったとするならば、県民一人当たりの所得、これが本土並みになる。全国平均の国民所得との差においてもはるかにまだ差があるということを申し上げたい。はしょって三兆四千億が、平成元年の統計によりますと県民一人当たり所得は約百七十万円でした。それが最近、まだ統計として正式の発表にはなっておりませんが、平成二年の発表では一人当たりが百九十九万九千円と報じております。あと千円すれば二百万になる。そうすると、これだけを申し上げるとそれはもうアップしておりますね。 ところが、本土はどうなっておるかといいますと、ここが問題。平成元年は県民一人当たり約百七十万に対して全国平均は二百三十万円でしょう。パーセントで七三・五%。ところが、平成二年の県民一人当たり平均は約二百万、百七十万から二百万になった。ところが全国平均はどうかというと二百七十万でしょう。そうすると、パーセントからしますと七一・四%にダウンしておるんですよ。こういう状態でありますから、手放しで喜べないという根拠はそこにあります。決して財政的にも沖縄が発展、繁栄したという答えは出ておりません。それじゃそこに投じた三兆四千億がどのような形をとって本土に吸い上げられたかというところに問題があるわけなんです。それは申し上げません。 本土並みを目指して、本土との経済格差を縮小しようとして沖縄振興開発計画に基づく公共事業が実施され、道路を初め社会基盤がだんだん充実の方向へこの二十年歩んできたことは間違いありません。しかし、現実はなお経済的な格差は残っておる、今申し上げましたとおり。そして沖縄の企業体といいましても、ほとんど九九・九%もう中小企業、零細企業であります。大企業というのは沖縄には一つもございません。だから、沖縄の経済復興は、この中小零細企業にどう水を与えて潤してやるかというところに問題があるということを御理解願いたいと思うのであります。そして一人当たり所得が全国四十七都道府県で最下位でしょう、びりでしょう。トップは申し上げるまでもなく東京都なんですね。東京都がトップでびりが沖縄県なんです。こういうあした迎える復帰二十年といえども、そういう経済情勢のもとで迎えて、そしてさらに三次振計に、こういうところでございます。 こうした中で、我が国唯一の亜熱帯地域に位置する沖縄の農林漁業の置かれた厳しい状況に加え、沖縄県の農林漁業団体の経営は全国的に見て特に厳しいという状況にあるということは申し上げるまでもありません。 そこで、まず政府は沖縄の農協の現状をどのように認識しておるのであるか。さらに二点は、言うまでもなく農協は、農業生産力の増進、組合員の経済的社会的地位の向上等社会経済の発展に寄与しておることも間違いありません。このため、沖縄の農林漁業団体の経営基盤の安定強化のため積極的な施策を講ずるべきであることは今さら申し上げるまでもありません。それにより、農林水産業の従事者のみならず、沖縄農林漁業振興に大きく寄与すると考えておりますが、政府の見解をお伺いいたします。 そしてまた、今までもどなたかおっしゃいましたね、全国一律ではなく地域の実情に応じた農協への支援策を講ずべきだという声も沖縄でも高く聞こえできます。この点についてもあわせて御見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) あすが復帰二十年ということでありますが、私も二十年前、三十六歳のときでありますが、沖縄本土復帰の国民体育大会が開催されまして、団長でお邪魔いたしました。そのときの印象は、随分手痛い歓迎を受けまして、残念な思いで実は帰ってまいりました。しかし、先般の国体も団長で行きましたが、このときは大変な歓迎を受けました。ただ、二十年前のあの国体で、小学校の女の子がこれで本当に本土に復帰したなという気持ちだということを我々選手団の前であいさつされたときに私も感激しました。すばらしい言葉をあの小学生の女の子が言ってくれたな、来てよかったなというのがそのときの印象でありまして、そのときにちょっと見ただけでありますから、沖縄はこれから日本の観光地として心温かく迎えてあげたら本当に発展するかなどいう感じを持って帰ってまいりました。 御質問のことでありますが、どういう因縁か因果かわかりませんが、全国で所得が最下位の沖縄県の先生にその次の青森県の私が答弁する、こういうことでありまして、お互いにこの悩みは一緒であると思っております。 沖縄県の農協は、何といっても離島が多いこと等の地域的な特性もあります。あるいは他の都道府県の農協に比べて相対的に組合員の数あるいは事業取扱高が少ないということは承知いたしております。しかしながら、沖縄県において営農指導員を設置している組合の割合というのはこれはまた非常に高くて、平成二年度で沖縄が九五%、全国平均が約八八%、地域農業振興計画を策定している農協の割合は、平成二年度で沖縄が八二・五、全国平均五七・五、いずれも全国平均を実は上回っておるわけでありまして、このように沖縄県の農協は組合員と密接な結びつきを持って事業活動を進めているとともに、先生お話しのように亜熱帯の気候を生かした本土向けの野菜、花卉、果樹、産地形成等の農業振興に積極的に取り組んでおると承知しております。今後とも沖縄の地域の特性を生かした農業並びに農協の体質強化を図っていくことが必要だと考えておりますし、地域の実情に即応した計画的な合併の推進によって、経営基盤の強い沖縄農協を育成してまいりたい。 もう既に先生御案内のとおりでありますが、千八百二十三人の組合員がおって五十その組合がございます。市町村の数が五十四でありますから、それを上回る組合があるということでは、今はそれで緊密にうまくいっているんであろうと思うのでありますが、将来のことを考えればやっぱりこの姿では早晩行き詰まりが出てくるであろう、私はそう思っておりますので、なお体質を強化しながら沖縄農業振興のために全力を挙げてやっていただきたい、そう願っております。
○喜屋武眞榮君 ありがとうございました。ぜひそのお心を大事にいたしたいと思いますので、よろしくお願いします。 じゃ、あと一問。次は、沖縄の農協合併についてのいわゆる農協の問題から申し上げたいことは、沖縄県には総合農協が平成二年度現在で五十七ありますが、総組合員規模で見ると、組合員二千人未満の農協が約六五%を占めております。また、市町村区域未満の農協が七地区十八農協ございます。さらに、県内の総合農協一組合当たりの財務規模は全国平均を大幅に下回っており、例えば平成元年末の資産規模では沖縄は全国の約六七%にすぎません。このように、沖縄の農協はその規模が一般に小さいこと等から、農協経営の健全化と地域農業の振興を図るため農協合併が重要な課題となっておることも今さら申し上げるまでもありません。 そして、平成六年度までに八合併が予定されております。また、今世紀中、と申しますからあと八年ですか、をめどにするいわゆる一千農協構想のつながりからしますと沖縄は八農協にすることが構想されております。ところが、その一千の構想につきましても、先ほど来御質疑もありました、現実は七百七十四と承っておりますが、農協合併に関しては、農協の大型化に伴い事業運営が効率化される反面、農協と組合員、農協と市町村行政との関係の希薄化等の問題点が指摘されているところでありますが、このような問題点を踏まえて、沖縄の農協合併はいかに進めていくのか、その方針を承りたい。
○政府委員(川合淳二君) 沖縄県におきます農協の概況は、今、先生御指摘のとおりでございます。今の五十七農協を構想としては八農協に集約していこうという構想がございます。沖縄県の場合は、先ほど大臣も触れましたように、離島が多いという特質があります。したがいまして、合併に際しましては、従来非常に緊密な関係のある組合との関係をどう維持しながら合併をしていくかということが非常に重要な問題だと思っております。 特に、近年沖縄は、果樹、野菜、畜産などに非常に意欲的に取り組んでおられまして、本土との時間差と申しますか季節差を利用した農業が各地で芽生え、振興が図られているわけでございます。こうした問題を地域の特色を維持しながら合併を進めていくということが非常に大事な問題になってくると思っております。 全般的、一般的な問題として、先ほども申しましたような組合員と農協との関係を維持しながら合併していくという問題のほかに、やはりそういう立地条件について十分配意しながらこの問題を進めていくということが必要だと思っております。系統の皆様方と協力しながら、意欲的に盛り上がりつつあります農業振興に資する形でこの合併が進められるように私どもも協力をしてまいりたいと思っております。
○喜屋武眞榮君 それじゃ、最後に大臣の御所見を承って終わりにいたしたいと思うんです。 と申しますのは、沖縄県民自体がしでかした戦争でもないし、また、例えば憲法のもとに公平、公正なという見解からも、特に今問題になります厚生年金の問題、それさえも同じ日本人で憲法のもとにあるといいながら、公務員を初め二五%の差別をされておるわけなんですよ。是正されて七五%になった。あと二五%の差を残している。何としても、あしたまでには総理の、という決意をして迫っておりますけれども、それはきょうのきょうまでまだ答えは出ておりません。 ただ期待は、前向きで検討して受けとめてくださっておる、何とかしなければいけないという、そのお気持ちは十分うかがえます。でも、その「やる」という一言が欲しいといって沖縄からはもう波状的に代表団が政府参りをしておることも御承知でありましょう。 どうかこのことを、あしたの二十年を契機にして、さらに決意を新たにして、私たちは即時無条件全面返還と憲法のもとに公平、公正な政治を、行政を享受したいと、こう願っております。その方向に二十年を迎えた県民の決意は、しかも本土との連帯の闘いが組まれて進められている。あしたの五時までに本土の仲間たちも五百名が沖縄に乗り込んでまいりまして、一緒に決意を新たにする大会を持つつもりでありますので、よろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(田名部匡省君) 気持ちとしては、私も予算委員会で総理や厚生大臣が答弁なさったこと、何とかしてあげたいというお気持ちでいろいろと考えておられることもわかりました。 私どもも政府の一員でありますから、同じような気持ちで対処しておるわけでありますが、さりとて、この財源問題をどうするかとかいろんなことから、仕組みの中から考えると、古くからやってきた人とそうでない人との差というものをどうやって埋めるかということで大分悩んでおるようでありますが、いずれにしても閣議等で私もよく先生のお話をお伝えし、何らかの方法というものを、いい方法が見出せないのか十分伝えておきたい、こう思います。
○委員長(永田良雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(永田良雄君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま初村滝一郎君が委員を辞任され、その補欠として真島一男君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(永田良雄君) それでは、これより両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、農業協同組合法の一部を改正する法律案並びに農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。 まず、農業協同組合法の一部を改正する法律案についてです。 反対の第一の理由は、本改正案が、金融の自由化等に伴う総合農協の経営の危機と、農産物の相次ぐ自由化、食糧自給率低下などによる農協経営基盤の弱体化を、農協の広域合併と企業的経営の一層の導入、組織再編で乗り切ろうとする目的でなされるものであり、農協の民主的運営を保障する条件を一層弱めるものだからです。そして、このことは、農協事業の原点となっている組合員が主人公であり、組合員の要求実現のための協同活動であるとする基本原則を大きく後退させるものにつながるからです。 第二の理由は、事業譲渡規定の新設についてです。この規定は、これまでの農協、県連合会、全国連合会の三段階で進めている事業を、農協、全国連合会の二段階にするために県連合会の事業を単協などに譲渡し系統組織再編を円滑に進めるための規定であり、組合員のための農協にという農協本来の目的から離反することになりかねないものであって、認めることはできません。 第三に、経営管理体制の変更についてです。この規定は、これまでの総会中心の運営を理事会中心にし、その結果起こる組合員の意向と離れた運営を監事の機能拡充、内部牽制機能の強化でカバーしようとするものであり、模範定款例や民法の準用のものを、株式会社等の運営を規定する商法の準用に移行するものです。これは、農協の事業、組織全体を企業化に導き、それを運営面にも持ち込もうとするものであり、賛成することはできません。 なお、連合会への受託農業経営の付与及び農事組合法人の制度変更は、企業型農業経営に道を開く側面を持つものであり、家族経営中心の持続可能な農業の破壊につながる可能性があることも指摘しておきます。 次に、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案についてです。 反対の第一の理由は、本改正案が、広域合併を上からの行政指導型で推し進める役割を担っていることです。これは、農協法の理念にも農協合併助成法の目的にも反するものであり、合併は組合員の要求のための一つの手段ではあっても、合併そのものが目的とされるのは大きな誤りと言えます。 また、固定化債権の解消については、合併をするかしないかにかかわりなく政策的な救済措置が必要になっているにもかかわらず、これを本改正案で合併を条件として固定化債権の解消を図ろうとすることは、農協の自主的な性格を損ない、上から合併を推し進めようとするものであり、容認できるものではありません。 第二の理由は、農協の民主的な手続を後退させるからであります。これまで合併計画を立てるには、組合員の半数以上が出席する総会において三分の二以上の議決を必要としていたのに対して、本改正案では、総代の半数以上が出席する総代会において三分の二以上の議決によっても樹立することが可能となります。組合員に大きな影響を与える合併に当たり、総代会の議決のみで合併を可能にすることは、組合員が有する平等の議決権及び組合員の利益と要求に基づき自主的に決定することを決めた農協の原点と民主的手続を大きく後退させるものだと言わざるを得ません。 以上、反対の理由を述べて、討論を終わります。
○委員長(永田良雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより順次採決に入ります。 まず、農業協同組合法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(永田良雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(永田良雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、菅野君から発言を求められておりますので、これを許します。菅野君。
○菅野久光君 私は、ただいま可決されました農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 農業協同組合法の一部を改正する法律案 及び農業協同組合合併助成法の一部を改 正する法律案に対する附帯決議(案) 最近の我が国農業及び農村を取り巻く内外の 厳しい諸情勢の下で、農業協同組合は、農業者 の協同組織として組合員の信頼にこたえ、地域 農業の振興や地域の活性化に積極的に取り組む とともに、金融の自由化等他業態との競争激化 に対応して、その組織、事業機能及び経営管理 体制の強化が求められている。 よって、政府は、両法の運用等に当たっては、 次の事項の実現を図り、農協が本来の使命を達 成できるようその指導、監督に万遺憾なきを期 すべきである。 一 農協の農業生産に関する各種事業を強化、 拡充すること。 特に、営農指導事業については、本事業が 農協事業全体の基礎をなすものであることに かんがみ、組合員のニーズにこたえ、その円 滑な推進が図られるよう目的積立金の造成等 安定的な財源の確保、営農指導員の資質の向 上、普及事業との連携強化等について所要の 措置を講ずること。 二 連合会による受託農業経営事業について は、単協の機能を補完する観点から行われる ことを基本とし、連合会と単協との間で十分 調整すること。 また、地域農業の担い手を確保する観点か ら、引き続き、農事組合法人の事業活動の活 性化に努めること。 なお、新規就農者の減少、農業就業者の高 齢化の進行、耕作放棄地の増加等の現状にか んがみ、協同組織による農業経営の在り方に ついて検討すること。 三 農協の地域の活性化に関する事業への取組 を強化するとともに、老人の福祉に関する事 業の実施に当たっては、市町村等との機能分 損を明確にし、十分な連携を図るとともに、 人材の育成その他の実施体制の整備に必要な 措置を講ずるよう努めること。 四 信用事業に係る業務能力の拡充、指定単協 に対する員外貸出規制の緩和等に当たって は、業務の健全かつ適切な運営を確保するた めの措置を講ずるとともに、地域農業の振 興、地域の活性化等に関する農協の取組を促 進するため、農協資金の地域への還元を図る こと。 また、先般一部農協で発生した金融不祥事 等が再発することのないよう責任ある業務執 行体制を確立するとともに、検査体制の一層 の強化を図ること。 なお、金融の自由化・国際化の進展に対応 し、農林中央金庫を含め農協系統について も、自己資本の充実に必要な措置を早急に検 試し、その実現に努めること。 五 理事会制及び代表理事制の法定化、監事の 権限の強化、員外理事枠の拡大等経営管理体 制の強化に係る改正の趣旨を、役職員を初め 組合員にも十分徹底させ、その実効を期する こと。 また、員外理事枠の拡大に当たっては、学 識経験者等の登用により、その効果が十分発 揮されるようにするとともに、青年層や婦人 層の幅広い意向を反映した組合運営に努める こと。 六 農協系統組織の事業・組織の再編・整備に 当たっては、組織の自主的な協議を尊重し、 組合員の理解を得るとともに、事業の種類、 地域の実情等に十分視点を置いた方向で推進 すること。 なお、事業譲渡に係る今回の法改正に加え て、今後、農協系統組織の取組を踏まえた法 制度の整備について検討すること。 七 農協合併の推進に当たっては、画一的な基 準によらず、地域の実情を反映させるととも に、組合員の意思に基づきその理解と納得の 下に行われるよう措置すること。 また、専門農協については、その特性等に 十分配慮し、合併体制の整備を図ること。 八 農協合併に伴う固定化債権対策について は、農協系統の主体的な取組を基本に、推進 法人等の機能が十分に発揮されるよう措置 し、その実効を期すること。 九 農協の大型化に伴い、農協と組合員、農協 と市町村行政との関係が希薄化することのな いような各般の措置を講ずること。 特に、市町村域を超える広域合併農協と関 係市町村との連携のとれた地域農業振興対策 等の円滑な推進を図ること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(永田良雄君) ただいまの菅野君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(永田良雄君) 多数と認めます。よって、菅野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、田名部農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。田名部農林水産大臣。
○国務大臣(田名部匡省君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(永田良雄君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十七分散会